相変わらずの行き当たりばったりなんですが、これもカラーだと思っていただけたら。
それでは、どうぞ!
NO SIDE
st.ヒルデ魔法学院に入学したリナたちの前に現れたのは、担任教師として赴任してきた夜天の書の管制人格であるアインスだった。予期せぬ事に驚きつつも盛り上がるリナたちだったが…
そこに現れたククリ・ブラックローゼと取り巻きたちの心無い嘲りの言葉にはやてと騎士たちは心に深い傷を負う。
その時激昂したリナがL様の力を借り金色モードに覚醒、首謀者・ククリを粛清するべく決闘を申し込んだ。
ククリはまだ知らない。自分の目の前に立つ少女と戦うことがどんなに無謀な愚行だということに…。
SIDE:ククリ
全く…ちょっと核心を突いた事を言われたからって逆ギレして噛み付いてくるなんて…これだから辺境世界の田舎者は困りますわ。
あまつさえ手袋の代わりにスリッパを投げつけてきた挙げ句に「九割殺しで勘弁」ですって?!…思い上がりもここまでくると大したものだとは思いますが。
「…なにをぶつぶつ言ってんのよアンタ…きもっ?!」
ハッ、思わず口に?!
まぁいいですわ、それではさっそく決闘の準備をするとしましょうか?
わたくしは胸元から薔薇型のデバイスを取り出し頭上に掲げて起動させる。
『…シュバルツローゼン、セット・アップ!』
次の瞬間わたくしは紫色の魔力光の中でバリアジャケットを装着する。
両肩と腰に黒薔薇をあしらったレオタード型のジャケット、そして両手を包むのは宝珠をちりばめた手袋。
『御呼びで御座いますか、ククリお嬢様?』
我が僕たるデバイス、シュバルツローゼンにわたくしは…
「えぇ…わたくしを侮辱したあの田舎者を成敗するわ。…リナとか言ったかしら?降参するなら今…」
「…ハイハイ、能書きは聞きあきたからさっさと済ませましょ…あたしは準備OKよ?」
…?! 見たとこバリアジャケットもデバイスも装備してない…何処までバカにすれば気がすみますのっ!!
「この山猿風情がぁ~っ?!もう許しませんわっ!」
わたくしは両手を前にかざすと魔力弾を複数展開する…くらいなさいっ!
『ローゼンシューター…フルファイアっ!』
わたくしの言葉に導かれて、展開させた魔力弾はすべてリナに襲いかかる。
ドガァァァン!
直撃した魔力弾によって爆風が視界を塞ぐ。
「ホーホッホッホッ!…手応えありましたわ!早くお友達を助けてあげた方が宜しいんじゃなくてっ?!」
わたくしは戦況を見つめているはずの地球組の面々に声を掛ける。さぞや悔しげに…って、えっ?
「…ククリさんって言ったっけ。あなた実戦経験無いんじゃないの?」
茶髪のポニーテール…確か高町なのはとかいったかしら?
「失礼ね、U15のインターミドルでは向かうところ敵無し…」
「…それってルールが定められた試合の話だよね。」
高町なのはの目には憐れみの光…
「…わたしが言ってるのは、相手が非殺傷設定している保証のない中で…文字通り命を懸けて戦った経験があるか、って言ってるの。…無いよね?」
彼女の言葉にわたくしは言い返せない。だけど、そんなの誰もあるわけが…
「…わたしたちはあるよ、6年前に魔法と向かい合ったあの日から…何度も。」
………?!
なにを言っていますの…?わたくしの射撃魔法の全弾直撃を受けて無事なわけ…が…?!
「それがアンタの全力な訳?…よくそんなので大きな口叩けたわねっ?」
…爆煙の向こうから現れたのは…逢魔リナ?しかも傷ひとつないなんてそんな馬鹿なっ?!…だってわたくしの射撃魔法は全て…
「うん、確かにアンタの魔力弾は全部あたしに命中した…でもそれだけ。アンタの〈軽い〉攻撃なんてL様の呪力結界だけで弾けるからシールドすらもったいないわ。」
なっ…?わたくしの魔力弾を〈軽い〉っ?!…でも現実にわたくしの攻撃は全く通じていない。
「…仕方ないわね…じゃ、もう一度だけチャンスをあげるわ。今度こそ全力でかかってきなさい。でもその攻撃が届かなかったら…覚悟を決めることね。」
リナはそう言い放つと自然体に構える。一見隙だらけにしか見えませんが…恐らくさっきと同じ呪力結界とやらが護っているのは明白…なら?!
『シュバルツローゼン、ディバイダーモード!』
わたくしの声に応え、シュバルツローゼンは攻撃形態(連装銃)へと変化した。
「…少しあなたたちを舐めてたみたいですわね。…でもこれで決着つけさせて頂きますわ!」
わたくしの全魔力が銃身に溜め込まれ両手持ちに構えると銃口に極大の魔力弾を造り出す。
「…これで沈みなさい!『ローゼス・スクリーム』!!」
わたくしの声と共に放たれた魔力弾は美しい黒薔薇のように形を変え、目前の愚かな田舎者に襲いかかる。これで…終わりですわ!
「…ふ~ん…で?」
魔力弾が当たる直前、リナが前方に手をかざすと 魔力弾は何事も無かったかの如く消滅した。
「…へっ?!…う、嘘でしょ、わたくしの全力の砲撃が片手一本で…?!」
この期に及んで初めて理解した…世の中には決して挑んではいけないものがあることに。
「…それじゃ覚悟はできた?…獣王操牙縛[ゼラス・バインド]っ!」
リナはわたくしの両手両足を拘束魔法で空中に縛りつける。バインドは強力で身動きとれない。
『…悪夢の王の一片(ひとかけ)よ 世界(そら)の戒め解き放たれし 凍れる黒き虚ろの刃よ 我が力我が身となりて 共に滅びの道を歩まん…神々の魂すらも打ち砕き!』
得体の知れない呪文の後具現化したのは漆黒の魔力刃…いえ、〈虚無の刃〉。数メートル離れたこの場所からでもその禍々しい魔力が伝わってくる。
『さ、懺悔の時間だよ。言いたいことがあれば聞いたげる。…それともびびって何も言えない?』
…全く彼女の言う通り、わたくしは恐怖のあまり声が出ないどころか腰が抜けてしまって、動く事すらままならなかった。
『…そう、謝る気はない、ってことね。…一応非殺傷設定はしてるけど、多分死ぬほど痛いと思うから。それじゃいくわよ…[神滅ざ…/ラグナ・ブレ…]』
彼女の右手に宿る虚無の刃が降り下ろされようとしたその時…
NO SIDE
「ご、ごめんなさい~っ?!」
ククリが謝罪の言葉をあげるが、無情にもリナの虚無の刃は降り下ろされ…
「…なんてね♪」
…る寸前で消え去り、握ったまんまの拳がククリの頭部を直撃する。
ゴッチン!!
「あだっ?!…あ、あらっ…ここは死後の世界…?」
頭を押さえつつも呆けた表情のククリ。
リナは通常モードに戻るとククリに声をかける。
「…あのねぇ、いくらあたしでも入学初日に退学…というか逮捕なんてされたくないから。…ほら、立てる?」
そう言って差し伸べたリナの手をとってククリは立ち上がろうとする。しかし…
「あ、あれ?腰が…」
…どうやら腰が抜けてしまって立てないらしい。よっぽど怖かったのだろう。
「それじゃ座ったままでもいいや。…はやてとアインス先生に謝りなさい。そしたら赦してあげるわ。」
その言葉にククリはすぐさまはやてとアインスの方を振り向くやいなや、
「はやて…さん、アインス先生…先程の失礼な物言い、誠に申し訳ありません!どうかお許し…」
「…もうええよ。確かに夜天の書が過去犯した罪は決して消されへん…だけどわたしらは過去に振り向かんと未来に向かっていこう思うてるよ。ククリちゃんもそれだけはわかってほしいんや。」
はやての言葉にククリの目から涙が。
「…はい…本当に…すいませんでした!」
なんとか立ち上がったククリは、はやて、アインスと握手をかわす。
「よかったわね、ククリ。…それはそれとして…今日は午前中だけでしょ、午後から街にでない?…アンタこっちの出身なんでしょ、どこか美味しいご飯のお店知らない?」
リナの言葉になのはたち一同は顔を見合わせほっとした表情を見せる。…返ってきたククリの返事を聞くまでは。
「…はい!リナお姉さま、ククリにお任せくださいっ♪老舗の最高級レストランにご案内致しますわっ♪」
そういうとククリはリナの右腕にしがみつく。
小柄なリナと長身のククリが並ぶと役柄は逆にかんじるのだが…ククリの瞳はうっとりとリナを見詰めていた…。
SIDE:リナ
「あの…ククリ?これって一体どーゆー…こと?」
あたしの腕にしがみついてるククリに尋ねる。
「どーゆーことと言われましても…実はわたくしの家には家訓がありまして、自分が敗北を認めた相手には全力で尽くしなさいと。」
…よし、そんな家訓は一生忘れろ。ドブにでも捨てろ。
しかしあたしの想いもむなしく、ククリはぶら下がったまんま。
「さ、参りましょリナお姉さまっ♪皆様もご一緒に!」
予想外に強い力で引っ張るククリにあたしは引きずられていく。
「…ちょっと、なのは、はやてっ!…皆も助けてっ?!」
僅かの望みをもってなのはたちに助けを求めるあたし。でもその反応は…
「えっと…ユーノくんには伝えておくの…」(なのは)
「…リナちゃん、幸せにな…(汗)」(はやて)
「まぁ…頑張れ。」(ヴィータ)
「結婚式には呼んでね♪」(フェイト)
……………「この薄情もの~っ?!」
あたしの叫びはむなしくもクラガナン・シティにこだまするのだった…。
どうしてこうなった…(汗)
まぁなにはともあれ始まった学院生活。次回からはしばらくSPをディスってみようかなと。
次回、「りべんじゃあ、突然くる災難。」
それじゃあ次回もリリカル、マジカル…
「兄のかたきぃ~っ!」
「な、なんなの~っ?!」
(BY ??&なのは)