活動報告を見て心配してくださった皆様、ご迷惑をおかけしました!
NO SIDE
伝説となった模擬戦から一夜明け、学園祭は後半戦、3日目を迎えた。
SIDE:リナ
「…あ~、暇ね~っ…。」
学園祭3日目の昼下がり、あたしたちは喫茶店MIDORI‐YAの店内で絶賛待機中。
昨日アリサがやり過ぎたせいかはわからないけど、きょうはお客が全然こない、全くこない、ほんとにこない…
「アリサちゃんのスイーツ、とっても可愛かったから馬鹿売れしたしな…たぶんその反動じゃないやろか?!」
店長のはやてもぼやくしかないみたい。
ちなみに今日のコスプレのテーマは「学校の制服」。
はやては清澄高校、フェイトは陽海学園、あたしは真似木ヶ丘学園の制服…ってどこから仕入れてきたのよこんなの?
「それは企業秘密や。繋がりのある学校探すのは苦労したで?!」
…なんじゃそりゃ…訳の解らない事を宣うはやてを無視してフェイトの方を向くと…
「アルフ、その制服かわいい…どこの制服なの?」
「ん~、麻帆良学園だったっけか?まぁかわいいのはかわいいんだけど…なんかこれ着てからおトイレが近く…あ、漏るですぅ~っ?!」
ピュ~!
…あ~あ、あんなに慌てて…間に合えばいいけど。
今日はアリサとすずか、ククリはお休み。厨房はなのはとはやてが、ホールはあたしとフェイト、あと買い出し中のアメリアとプレシアさんなんだけど…。
「ただいま~っ!」
「おかえり…ってプレシアさん…その格好…」
今日のテーマに漏れずアメリアたちも学校の制服に身を包んでる…んだけど、千川高校のアメリアはともかく、プレシアさんその制服は…?!
「え、私立きらめき学園の制服だけど…なにか文句でも?」
いや、文句はないんだけど…何よそのどこぞのお店みたいなネーミングの学校名はっ?!…それになんで若作りモードなのよ?
今のプレシアさんは外見17歳ぐらい…まぁいつもの状態であのコスされたら周りが腐海と化しそうだけど。
「あまりに酷くない?!」
あたしはプレシアさんの嘆きをスルーして窓から外を覗く。秋晴れのいい天気、賑わう生徒たち…平和よね~。
ん、あれは…レヴィ?
「はやて、ごめんちょっと出てくる!」
あたしはそういうと窓から飛び出し、レヴィを追いかける。あたしの見間違いじゃなけりゃ…レヴィ、泣いてた。
昨日は一夏といい感じだったのに…なにがあったんだろう?
あたしがしばらく探し回ると…いた!
「お~いレヴィ、いったいどうしたって…」
「あ…リナリナぁっ?!」
ドカッ!
「げふっ…レヴィ、いきなりは高速タックルはやめてほしいんだけど…本気で死ぬかと思ったわよ。」
「…ご、ごめんなさい…」
…レヴィが普通に謝った?!
「どうしたのよレヴィ、何があったの?」
あたしが尋ねるとレヴィは表情を暗くする。
「…一夏が…ボクに隠れて女の子といちゃいちゃしてた…。うわぁ~ん、浮気されたぁ~っ!」
「…それ何かの間違いじゃないの?だって一夏は…」
そう、一夏は今日、ユーノから居合い術を教わるために管理局の訓練施設に行ってる。学園にはいないはずだけど…?
「でも一夏にもリヒトにも通信が繋がらないし…」
えっ?!…あたしは念のためユーノと連絡をとる。
『やぁリナ。なにかあったの?』
程なくしてユーノと通信が繋がる。
「ユーノ、そこに一夏いる?」
『一夏に用事かい?…一夏、リナが話があるってさ。』
画面が右にスライドするとそこには汗だくだくの一夏。
『おうリナ、なんか用…』
「いちかっ?!」
あたしを押し退けてレヴィが前に飛び出す。
『おわっ?!…ってなんだレヴィか…お前泣いてんのか?』
一夏はレヴィのただならぬ泣き顔に表情が変わる。
「一夏、いちおー確認するけどあんたずっとそこにいたのよね?」
『あぁ、朝からずっとユーノさんと練習してた。』
『僕も保証するよ。なにかあったの、リナ?』
あたしとレヴィは互いに頷きあうとこれまでの経緯を説明する。
『はぁ、俺が他の女子といちゃいちゃ?!そんな事有り得ないって!』
『でも気になるね…一夏そっくりの存在がいるのは間違いないみたいだし…うん、僕と一夏も今からそっちに向かうよ。僕たちが合流するまで無理はしないで。』
「わかった。出来る限り早く来てよ?」
通信を切ったあたしとレヴィは一旦はやてたちと合流しようとしたら…あら、そのはやてから通信?
『リナちゃんっ?!あ~よかった、無事やったんやな。』
はやて、いったいどうしたのよ急に通信なんて? なにかあったの?
『リナちゃん大変や、学園中で行方不明者が多数出てるんよ!しかもな…』
『アリサちゃんやすずかちゃん、ククリちゃんとも連絡がつかないの!今フェイトちゃんやアメリアちゃんが捜索を開始したけど…。』
な…?!もしかしてこれって関係が…?
「…あ、あれって…リナリナ?!」
何かを見つけたらしいレヴィが指差す先…そこにいたのは…な、なんで〈アイツ〉がこんなところに?!
「…もしかしてさっきいちゃいちゃしてたのもアイツっ?!」
…ありうる。というよりそれしかないかも。
…元々が似てるから認識阻害の魔法かければ簡単には気づけないはず。
「おいこら、まて~っ!」
あ、馬鹿っ! そんな大声だしたら…?!
『……………!!(ニヤリ)』
ほら、やっぱり気づかれた!…でもアイツ、なんかほくそ笑んだように見えたけど…?
アイツは振り向くと逃げ出し始めた。レヴィはソニックムーヴでそれを追う。
あたしも翔封界[レイ・ウイング]で上空に上がり空から追っかける。だけど…
(この動き…あきらかに誘ってるわね…)
やがてアイツは人気のない校庭裏へたどり着くと立ち止まった。
「もうここまでだぞっ、かくごしろ~っ!」
レヴィがそういった途端…
バシュン!
「…えっ、これって…?」
やっぱり…封鎖結界!
「まんまとひっかかたなぁ、レヴィ・ラッセル…それに逢魔リナよぅ!」
「あいにくだけど引っ掛かったのはレヴィだけ。あたしは気づいてたわよ。…とっくに消滅したと思ってたんだけど、しぶといわね…織斑秋羅(おりむらあきら)、いやほんとは違うんだっけ?」
あたしは苦笑いでからかいつつも周りを見渡す。
(変ね…姿は見えないのに何かの気配を感じるわ。)
「ひゃあはははっ、相変わらずご挨拶だな逢魔リナっ!」
下品な笑いを浮かべる秋羅…うん、ぶっとばそう。
「なんで一夏のふりしていちゃいちゃしたんだ?!」
レヴィが怒鳴るのもどこ吹く風。
「そうすればてめぇが引っ掛かるからだよレヴィ。…まぁつまんねぇおはなしはここまでだ。まずはお前らを無力化してやるよ…こいつらで、な!」
秋羅が手を空にかざすと、辺りの時空に歪みが…やっぱり伏兵か。
やがてそこから現れたのは…えっ、嘘…嘘でしょ?!」
だって時空の歪みから現れたのは連絡がつかなかったアリサ、すずか、ククリ。そして大量の女の子たち。
アリサたちはそれぞれバリアジャケットを纏ってるんだけど何時もと色が違う。
まるで宵闇のような漆黒のジャケット、それに持ってるデバイスも同じ色。
他の女の子たちも同様だ。
「あらリナ!アキラ様の邪魔するバカ女ってアンタだったの?」
「駄目だよリナちゃん…ご主人様のいうことはちゃんと守らなきゃ?!」
「そうですわ、アキラ様は絶対神そのもの。逆らうなんてあり得ませんことよ!」
「な…?!」
惚けた眼差しを秋羅に向けながら口々にアイツを誉め称えるアリサたち。
「ちょっとアンタ、いったいあの子たちに何をしたのよ!」
「ん…俺はちょっとしたお願いをしただけだぜ?…『俺の忠実なお人形になる』ってお願いをなぁ!ひゃあはははっ!!」
やっぱりそうか…でもアリサやククリならともかく、吸血鬼の真祖の末裔のすずかまで支配するなんて…
「アンタ本当に秋羅?まるで別人じゃない。」
「ひゃあはははっ!!俺は確かにお前たちに消滅させらせそうになったさ。だが、〈あのお方〉が俺のわずかに残された魂の欠片を復元し更に新たな力を与えてくださったんだよっ!!」
…やっぱり黒幕がいたか。だれだ、そんなはた迷惑なことを…
「ひゃあはははっ、あのお方…〈冥王〉さまには足向けて寝れないぜぇ、まったくよう!!」
…なるほど、黒幕は冥王…め、冥王っ?!
あたしはその言葉を聞いた途端に絵も知れぬ悪寒に教われた。
(…冥王ってまさか…ううん、元の世界のアイツはL様に完全消滅させられたはず…)
「あん?!もしかして冥王さまって聞いてびびったのか?意外とびびりなんだな!」
「だ、だれが?!あたしはびびってなんか…」
あたしが言い返そうとしたその時、頭上と両サイドから殺気!
「フレイムウイップ!」
「アイスブランド!」
「ローゼスミュート!」
「くっ…ナイトメアハート、セットアップ!」
あたしはバリアジャケットを纏うと全力でバリアを展開、3人の攻撃を受け止めた。
「仕方ないわね…レヴィ、アンタは秋羅の足止めをお願い…じきになのはやユーノ達が助けに来るわ、それまでなんとか持ちこたえるのよ!」
「う、うん!頑張ってみる!」
頼むわよ…さてこちらは…?
「いくらアンタでもわたしたち3人まとめては無理ゲーじゃない?」
アリサの焔の鞭を避けるとあたしはナイトメアハートをかざし…
「いくわよ…烈閃槍[エルメキア・ランス]っ!」
精神力にダメージを与える魔法の槍を放つ。これで気を失ってくれたら…
「あぁぁ~ん♪」
あ、あれ…なんか悲鳴が予想と大幅に違うんですけど…
「き…気持ちいい…♪」
アリサはすぐに起き上がり再び構えを取る。
「…あぁ、言うのを忘れてたな?今のそいつらは 痛みを快楽に感じるように調整してある…精神的にも肉体的にもな。」
「なっ?!」
不味いっ…一撃で気絶させないとじわじわやってたんじゃアリサたちの心が持たない。でも強力な呪文を唱えたくても…
「次々いくよ…アイススピアー!」
「そこですわ、ローゼスショット!」
3人が矢継ぎ早に放つ魔法でどんどん魔力が削られてく。
(これじゃ多勢に無勢だわ…ユーノ、なのは…誰でもいいから早く…)
でもあたしの思いはむなしく…
「はぁ、はぁ…」
数分もしないうちにあたしは地面に膝をついてしまう。
「レ、レヴィ…あ、あぁ?!」
その傍らにはまったく動かないレヴィ…気を失っているようだ。
(しまった…完全に相手を見くびってたわ…)
「これで終わりねリナ?…さぁ立ちなさい?」
あたしの両脇をすずかとククリが抱え強引に起こすと秋羅の前につれてかれる。
「あたしをどーするつもりよ…?」
精一杯に強がるあたしを見て嫌みな笑いを浮かべる秋羅。ぶん殴ってやりたいけどすずかとククリの力が予想外に強く身動きが取れない。
「…お前とレヴィには利用価値があるからな。こいつらと同じように俺の忠実な操り人形になってもらおうか?」
秋羅はそういうとあたしの胸に手をかざし魔力を集め始める。
「おっと、下手な抵抗なんてすんじゃねえぞ?でないと…」
こっちはアリサたちを人質に取られてるようなもん。抵抗なんてできやしない。
(い…嫌!こんなやつのいいなりになんか…お願い、だれか…)
ピシッ…パリンッ!
『ディバイーン…バスターっ!』
結界が割れると同時に桜色の砲撃…なのはっ?!
「ちっ、邪魔がはいったか…まぁいい、おい…」
秋羅はあたしの首根っこをわしづかみにすると睨み付けながら…
「一夏に伝えときな…大好きなレヴィちゃんを返して欲しかったら、明日の正午にこの場所にこいってな…こないだの女どもも一緒で構わないぜ。」
言い終わると秋羅は手を放す瞬間に爪をあたしの首に突き立てる。
「くっ?!」
チクッとした痛みと共になにかが注ぎこまれたのがわかった。まさか…毒?
秋羅はポケットから地図らしき紙を取り出すと地面に放り投げ、気を失っているレヴィを肩に担ぐ。
「そいつは俺からのプレゼントだ。リベンジマッチだったら受けてたつぜ…ひゃあはははっ!じゃあな!」
秋羅とレヴィ、そして女の子たちは再び時空の狭間に消えていった。
それと同時に…
「リナっ、大丈夫?!」
「大変、ひどい怪我だよ…」
ユーノとなのはが近寄ってくる。そして…
「リナ、レヴィは?一緒だったんだろ?」
一夏…
「…ごめん、アイツに…織斑秋羅に拐われちゃった…」
薄れ行く意識の中であたしは言葉を絞り出す。
「なっ…嘘だろ?アイツは俺たちの手で消滅させた…」
あたしは地面に落ちてる地図を指差し…
「アイツから伝言よ。レヴィを返してほしかったら明日の正午にその地図の場所に…」
…もう限界…あたしは失いつつある意識の中で…
(覚えてなさいよ秋羅…必ずギチョンギチョンにしてやんだから…)
SIDE:一夏
「…リナ、おいリナっ?!」
リナは秋羅からの伝言を伝えると気を失ってしまった。
ユーノさんが首を振る。
「…命に別状はないみたいだけど、大分衰弱してる。…すぐに治療を!」
「アメリアちゃんには連絡とれたからこっちに向かってくれるって!」
喧騒の状況の中、俺の頭の中は秋羅とレヴィのことで一杯だった。
(秋羅のやつ…わざわざ別次元にまで俺を追っかけてきた?…いや、そもそもアイツがこの世界に誘い込んだのかも…それにしてもどんだけしぶといんだ、あの男は?!…レヴィ…必ず助けるから無事でいてくれよっ!)
俺はリナに託された地図を握りしめ心に誓った…
はい、とうとう現れた懲りない男・秋羅。(笑)
ただ今回は黒幕さんの介入&入れ知恵で手こずらせてくれそうです…作者を。
次回は対戦前の葛藤を書ければなぁ…と思います。
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