魔法少女リリカルすれいや~ず!   作:タカヒロオー

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とうとうやって来た熱中症シーズン…今年こそは耐えてみせるっ!(やけくそ)


六十二、「ウチにくる?」 今紡がれる 縁(えにし)かな

SIDE:リナ

 

ゼロスの依頼で辺境の次元世界・アルザスを訪れたあたしとアメリア。

 

依頼に疑問を抱いたあたしたちは手分けして調査を開始。竜の峰[ドラゴンズ・ピーク]を探索していたあたしは〈竜の巫女〉キャロを発見したんだけど、どうやらこの子、前世で縁があるみたい…おまけにあのミルガズィアさんまで現れるし、どうなってるのよもう?!

 

「…誰に向かって話しておるのだリナよ?」

 

気にしないで、ただのぼやきだから。

 

「…ところでミルガズィアさん、なんでさっきからキョロキョロしてんのよ?」

 

明らかに挙動不審な長さまに尋ねる。

「…いや、もう1人…招かざる客だがな。」

 

『そんな事言わないでくださいよミルガズィアさ~ん?』

 

声と共に歪んだ空間から現れたのは…

 

「…やっぱりでたわねゼロス。」

 

そう見た目はどこのご家庭にもいるゴ〇ブリっぽい少年、だがその実態は獣王ゼラス=メタリオムに仕える獣神官・ゼロス。

 

今は力をセーブされてるとはいえ、はっきり言って関わりたくはない相手だったりする。

 

「…で、何しに来たのよゼロス?」

 

「いえ、色々判った事があるので教えて差し上げようと思いまして。…その少女の事も、〈あのお方〉の事も…ね。」

…?!

 

〈あのお方〉って…まさか?

 

「…〈冥王〉フィブリゾか。」

 

「はい。巧妙に魔力反応を誤魔化しておられるようですが、確実に力を蓄えられてるようです。…まぁ、まだまだ時間はかかるみたいですが。」

 

相も変わらず顔色1つ変えずに話すゼロス。ほんっと、何考えてんのか判んないのよねー、こいつは。

 

「でもあんた、一応上司なんでしょフィブリゾって。リークしちゃっていいの?」

 

「いいんじゃないですか?ぶっちゃけ苦手…って いうか嫌いなんですよあの方。それに金色の…L様に滅ぼされた為に我等魔族とは縁切ってますから。」

 

え、そうなの?それじゃなんで冥王様って呼ぶのよ。確かガーヴの時は魔竜王って呼び捨てにしてたわよね?

 

「まぁ長年の…慣例というか癖ですね。実際ガーヴさんの時も百年ぐらいは敬称つけてましたし。…それはそうとして、彼女…キャロさんでしたっけ?」

 

ゼロスがキャロの方を振り向くと彼女はミルガズィアさんの後ろに隠れ、ボソボソと耳許で囁く。

 

「…『怖い』らしいぞお前の事が。」

 

「…転生されて別人格になられても人見知りは治らないとは…『三つ子の魂百まで』とはよくいったものです。」

 

「…転生って…ゼロス、やっぱりキャロはあの子の…?」

 

あたしの言葉にほくそ笑みながら頷くゼロス。

 

「はい。彼女の前世は貴女のお知り合いのあのお方で間違いありません。もっとも、今の段階では以前の記憶は無いようですが。」

 

…やっぱり!

 

「…以前お話した通り、貴女がこの世界に転生したことにより、貴女に近しい存在の方たちもまたこの世界に転生しています。…もっともアメリアさんやゼルガディスさんのように以前の人格のままの方たちもいればユーノさんのように力と記憶のみを有される方、そしてキャロさんのように記憶も無くされた方と様々ですがね。」

 

なるほどね。…ユーノも記憶はあるけど人格はユーノのものだし、もしかしたらキャロも切っ掛け次第で記憶が戻るかもね。

「それで?お前はどうしてこの子を探していたのだ?」

 

「ん~、簡単に話すとね…」

 

あたしはこれまでの経緯を説明する。

 

「村の長老だと…バカな、それはあり得ん。…キャロは確かに竜の巫女の力は有するが、そのあまりの力ゆえに村を追放されたのだから。…他でもない長老の手によってな。」

 

なっ…それじゃやっぱりあいつら…

 

『リナ、聞こえるー?』

あ、アメリアだ。

 

「これはまた久しい顔だな、セイルーンの巫女よ。」

 

『ほえっ?!もしかしてミルガズィアさんですか?』

 

さすがにアメリアも驚いたみたいね。

「それはそうとアメリア、あいつらの正体判った?」

 

『もちろんよリナ!やっぱりあいつら指名手配中の誘拐組織よ。ということは…いいんですよね、ぶん殴って。』

 

…どんだけ殴りたいんだおまいは…ま、あたしもだけど。

 

「すぐにそっち行くからシグナルだして。合流したらやっちゃいましょ!」

 

 

 

 

 

…というわけで数十分後、あたしたちの前にはヴィレほか数名のごろつきどもが顔面モザイク状態でふん縛られていた。

 

「ううぅ…何をしやがる、俺は依頼主…」

 

ヴィレ、しゃべり方が素に戻ってるわよ…ま、取り繕ったところでもう遅いけど。

「あんたらが誘拐組織なのはもう確認ずみなの。大人しく観念して正直に話したらこれ以上は手をださないわ…どうする?」

 

「へっ、お前らみたいなお嬢ちゃんに脅されても何も怖くねーよ!!」

 

ボコボコにされててよくそこまで強気になれるわね…

 

「どーする?もうちょっと鉄拳制裁しとく?」

 

腕ぐるんぐるん回しながらアメリアが聞いてくる。そーねー…ほんとはあんまりやりたくは無いんだけどなぁ…

 

「ちょっと質問を変えるわ。あなたたち、逢魔リナの噂って知ってる?」

 

話題が変わって少し間が空いたもののヴィレが答えた。

 

「あぁ…時空管理局の都市伝説だろ?犯罪組織を壊滅させる事に総てをかけてるS級の魔導師で、潰された組織は1000ではきかないらしいぜ。なんでも小さい頃に家族を犯罪組織に皆殺しにされたらしくてな、確か茶髪の貧乳だっ…て…えっ?!」

ヴィレは話の途中で絶句し、身震いを始める。

 

…どーやらあたしが誰か判ったみたいね。…しかし夜天の書の管制騎とタメはれるよーな親、そんで伝説の剣を自在に操る義弟…間違っても犯罪組織程度にはやられないけど。

 

ま、ちょっと脅してやるか。

 

「あんた…よく見りゃ似てるわね、姉さんを殺したやつに…」

 

ちなみにあたしに姉はいない…前世にはいたけど。

 

「…ってことはお前があの…」

 

「強盗殺し〈ロバーズ・キラー〉の魔を滅す者っ?!」

 

…まてやコラ。どーしてあたしの異名ってこんなのばっかなのよ!

 

「ま、インガオホーってやつ?」

こら、そこのアメリア!そんなこと言ってると…?

 

「ということは…そこのお前は夜天の暴れ巫女っ…ガボッ?!」

 

「誰が暴れ巫女よ、誰が?!」

 

…いや、あんたでしょアメリア…それこそ自業自得なんじゃないの?

 

「…ま、あたしたちが誰か判ったところであんたらの雇い主は誰よ?素直に言えば半殺しで勘弁しといたげるわ。」

 

「あの…ちなみに…言わなかったら?」

 

ヴィレの質問にあたしは満面の笑みを浮かべて…

 

「…全殺し?」

 

「言います言います言わせてください!俺たちの雇い主は…ぐっ?!ぐわあぁ~っ?!」

 

な、何?黒幕の名前を言おうとしたヴィレたちが頭を押さえて苦しみ出した?

 

「ち、ちょっとどうしたのよあんたら?」

 

「あが、あが…」(ガクッ)

 

その場に倒れ込むヴィレとその一味。いったい何が…

 

「リ、リナ…こいつら死んでる…」

 

そんな…あたしはあわててヴィレの脈をとるが、確かに死んでる。

 

「どうやら〈あの方〉が絡んでおられるとみて間違いなさそうですね。」

 

ゼロス…やっぱそうなの?

 

「えぇ…もっともご本人じゃないようですがね?これは魔法ではなく科学的な自殺装置…まずいことを話しそうになったら作動するよう仕込んであったんでしょうね。」

そんなものが…ってちょっと待って?!

 

「それってアイツに協力者がいるって事?」

 

「恐らくは。前にも言いましたが〈あの方〉はまだ具現化には至っていません。まだ直接介入するのは無理なはずですからね。」

 

アイツだけでも厄介なのに仲間までいるのか…あ~面倒この上ないわね。

 

それはそうとして…あたしは同行していたミルガズィアさんとキャロの方を見る。

 

「それでミルガズィアさん、今後の事なんだけど…」

 

「うむ、〈冥王〉が関与していると判ったからには我等竜族もそなたらと協力する事を約束しよう。…その上で逢魔リナ、お前に頼みたい事が…」

 

そういうミルガズィアさんの視線の先には、おどおどと不安げにこちらを見るキャロの姿。

 

「…頼みと言うのはあの子を保護してやってほしいのだ。この竜の峰で養うのは容易いが…この子は幼くして近しい者に裏切られたにも関わらず、人を慈しむ心を失っておらん。」

 

ミルガズィアさんはキャロの頭を撫でながら話を続ける。

 

「お前に再び合間見えたのも何かの縁なのかもしれん。頼む、どうか…」

 

あたしはミルガズィアさんの問いかけには答えずキャロに近寄ると、しゃがみこみ視線を合わせる。

 

「…………?あ、あの…?」

 

「あ、ちょっと待って。確かここに…あ、あった!」

 

あたしはカバンの中から通信用の耳かけ型のマイクを取りだし、キャロの耳にセットする。

 

 

「これなら声が小さくても大丈夫…ほら、しゃべってみて?」

 

「えっ?…あ、ほんとだ、これなら普通に…ふふっ♪」

 

ふふっ、やっと笑ってくれたわね。

 

「…なんだか不思議です。今日初めてあったはずなのに、以前にもこんな事があった気が…」

 

 

…!

 

「それでキャロ、あんたはどうしたいの?…ここにいれば悪い人に襲われる事は無いわ。それとも…」

 

あたしの意地の悪い質問にキャロは頭を振る。

 

「いいえ、わたしリナさんについていきます。わたし見たいんです…わたしの知らない世界を!」そう宣言するキャロにはさっきまでのおどおどした様子は全く感じられない。…決意は本物みたいね。

 

「…じゃあ今日たった今から、あんたはキャロ・ル・ルシエじゃない。あたしの義妹(いもうと)逢魔キャロなんだからね…わかった?」

 

あたしの差し出た手を取ったキャロは満面の笑みを浮かべて頷く。

 

「…はいっ!これからよろしくお願いします…リナお姉ちゃん!」

 

ぶぶうぅ~っ?!

 

キャロのお姉ちゃん呼びに思わずあたしは仰け反ってしまった。

 

ユーノの姉さん呼びは半分冗談だけど、この子のは真面目だから破壊力が半端ないわ…

 

「やれやれ、落ち着くところに落ち着いたみたいですね…それでこれからどうされます、リナさん?」

 

「そうね…一旦ミッドチルダに帰るとしますか。キャロの手続きもあるしね。」

 

それにしても、あたし繋がりの転生者ってまだいるんだろうなぁ…どうか極力かかわり合いになりませんよーに。

 

…ま、無駄な願望だとは思うけどね。




体調重視で書いてるので遅筆ぎみです。

それでは次回…

「六十三、訓練も たまには休んで 遊ぶこと」

次回も見てくんないと…

「ディバインバスタァ!」

(BY スバル)

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