では本編どうぞ!
NO SIDE
スバルたちと共に休日を楽しむティアナの前に現れた謎の男性・ジェイル。どうやらもう一波乱ありそうな予感…?
SIDE:ジェイル
ふむ…気まぐれに一架の買い物に付き合ってみればギンガくんに出逢うとはね…
「ジェイルおじさま、表でお逢いするなんて珍しい…また籠ってらしたんですか?」
はは、まぁそんなところかな…ところでそちらのお嬢さんは?多分初対面だと思うのだが…?
「あ、紹介が遅れました。こちらはティアナ・ランスターさん。わたしがお付き合いしているティーダ・ランスターさんの妹さんで、スバルたちとは訓練校の同級生だって。」
「あの…ギンガさん、こちらの方は一体…?」
おっと、こちらも名乗らないと無作法と言うものだね。
「失礼、私の名前はジェイル・スカリエッティ。しがない科学者さ。こっちは娘の一架、まぁよろしく頼むよ。」
私は簡単に自己紹介をする。
「はぁ…スカリ…エッ…ティってまさかっ…あの『無限の欲望/アンリミテッド・ディザイア』?!」
おや、私の異名を知っているとは…私も意外に名が知れてるようだね。
「知ってるも何も…監理局の最高評議会に名を連ねていたにも関わらず、野に下り姿を消した孤高のマッドサイエンティスト。まさかこんなところに普通にいるなんて…?」
「…父様…」
おや一架、私の事はドクターと呼んでくれと言っているだろう?
「…失礼しましたドクター。それはそうと、ドクターはご自身の知名度を過小評価し過ぎです。もう少しご自重していただかないと…」
「あの~ジェ…ドクタージェイルはどうして最高評議会を辞められたんですか?そのままいれば一生安泰なのに…?!」
ふむ…このティアナと言う子は中々に聡明なようだね…?
「聞きたいかね?それならば…「…ドクターにお任せしたら暴走するので私が…よろしいですね、ドクター?」ぐぅ…?」
…せっかく私の武勇伝を語るつもりが…釘をさされてしまったみたいだね。
まぁ仕方ない、説明は一架に任せるとしようか。
SIDE:ティアナ
「…それではティアナさん…でしたか、これから話す話はくれぐれも他言無用でお願いします。いいですね?」
神妙な面持ちで話す一架さん。…考えてみたら、彼女ってゆくゆくは義理の従姉妹になるんだよね?
あたしが頷くと一架さんは話を再開する。
「貴女の仰る通り、私たちの父はかつて管理局の 最高評議会の一員として開発部門のトップに君臨していました。ですが、評議会の方針が変わり自らの思う研究が出来なくなった父は野に下る決意をしたのです。」
そんな事が…あれ、でも?
「一架さん、博士って何の研究を?」
「…父は人体の可能性について研究していました。その中で開発した障害のある人の体をケアする義肢の技術に評議会は目を着け…あろうことか兵器への転用を命じたのです。」
な…?
「貴女もご存知でしょうが、時空管理局は優秀な魔導師を求めています。しかし実際には最高評議会が求める高ランクの魔導師はそうはいないのが現実です。」
一架さんの言葉に頷くあたし。…だからこそ訓練校で魔導師を目指す者が後を絶えないのだ。
「…ですが最高評議会は父様に求めたのは体を機械化した『戦闘機人』、そして人工的に造り出したリンカーコアを埋め込んだ『人工魔導師』の開発だったのです。」
まさか…時空管理局は多次元世界の平和管理を目指した組織よ。そのトップがなんでそんなことを?
「…確かに管理局の存在意義は文字通りなのですが…その中でも最高評議会は所謂『管理局至高主義』、すなわち全ての世界は管理局に管理されればいいという考えの面々の集まりなのです。」
「まぁ、そんなふざけた思想には付き合いきれないのでね…三下り半をつけさせてもらったよ?」
「それじゃなんで『無限の欲望』なんて異名が?」
今の話聞いただけじゃむしろいい人にしか思えないんですけど…ってどうしたんですか2人ともばつ悪そうな顔して?
「いや、それは…父様からお話に…」
「それは狡くないかね一架?!…まぁ仕方ない、私の口から話すとしよう。私は管理局を退職する際、評議会の差し金で退職金を貰えなかったのだよ、一銭たりともね。ただそれでは男1人で娘5人は養えん。」
む、娘5人?!そんなにいるんですか一架さん?
「…正確には8人姉妹よ。うち3人は離婚して出ていった母さまに引き取られたわ。」
「…続けても良いかね?そんな状態で退職金0はキツイ…というか懲戒免職ではなく自主退職なのにそれはあり得なくないかね?」
「まぁ確かに…」
「そこで私は管理局のメインコンピューターをハッキングして退職金をがっつり…いや正当に下ろさせていた…」
「それは横領なんじゃないですか~っ!それにそんなのすぐにバレるんじゃ?」
あたしの当然の疑問に答えるジェイルさん。
「それは心配ないよ?その後直ぐに痕跡は跡形もなく消したし、我々一家の戸籍も偽造したからねぇ。」
「ちなみにいただいた退職金は管理局の年間予算の10年分です。」
「それぼりすぎーっ?!…まさか『無限の欲望』ってそこから…?」
あたしの呟きに仰々しく頷くジェイルさん。
「どうもそうらしいね。いや、私は中々にカッコいい二つ名だと思ってるのだがね。」
…だめだこの人…マッドにもほどがある。
「でもおかげで私をはじめとする姉妹は不自由なく学校にも通うことができてるのですから。それに父様も無職ではないですし。」
えっ?仕事なさってるんですか?
「あぁ、地球に管理局時代の知り合いがいてね?その女史が興した魔導師シミュレーターの運営に協力しているのだよ。」
「へぇ…って、それ『ブレイブ・デュエル』の事?!」
「ほう、知っているのかね?」
…知ってるもなにも…あたしと兄さんはそのゲームのトッププレイヤーとして結構有名だったりする。
地球からミッドチルダにも展開して爆発的なブームとなったこのゲームに携わってるなんて…
「正直、蓄えは十分あるのでね。まぁぼちぼち楽しい仕事だよ。」
「ちなみに私達姉妹もプレイヤーとして参加してますよ、『セクレタリーズ』…ご存知ない?」
…?!
「あ…もしかしてあなた『ウーノ』?!」
セクレタリーズってのは突如乱入してきた陣営でチートな能力でやりたい放題する無法者集団。
よく見れば一架さんはそのリーダー格・ウーノにそっくりだった。
「私は一目で気づきましたよ…『双銃のティアナ』さん?」
一架さんの言葉にあたしの顔は真っ赤に。
「あ、あの一架さん?その話はスバルたちには内緒に…?」
「えっ、あの子たち気づいてないの?おかしいわね…あの子たちもブレイブ・デュエルやってたのに?」
えっ…非情な一言に今度は真っ青になる。
「あ、いたいたぁーっ!」
「あれ、ジェイル伯父さん?」
「一架姉も久し振りッス!」
そこに帰ってきたスバルたち。手には銘々袋を持ってる。
「ジェイルさん、お久し振りです。」
「君は確か…そうか、ティアナくんは君の妹か。」
兄さんもジェイルさんの事…あ、挨拶に行ったって言ってたっけ。
「さ、それじゃそろそろ時間ね…門限までに帰るわよあんたたち。」
「おや、もう帰るのかい?」
「うん、訓練校の門限厳しいから。」
「そうか…デバイスの調子はどうかね?」
えっ…この子達のデバイスってジェイルさんが?
「うん!伯父さんが訓練校の入学祝にって。」
「絶好調ッスよ、ジェイルのおっちゃん!」
「そうかね、それはよかった。卒業したらバージョンアップしてあげるから楽しみにしていたまえ。その時はティアナくんのも見てあげよう。…どうやら親戚になるみたいだしね。」
あ…はい、お願いします!
「それじゃギン姉、ティーダ兄!」
「ジェイル伯父さんに一架姉もありがとね!」
「今日はどうもありがとうございました!」
みんな駅まで見送りに来てくれて…なんか今日はとっても楽しかった。
「…ありがとね、スバル。」
「ん、なんか言ったティア姉?」
「なんでもないわよ♪」
「…?変なティア姉。」
こうしてあたしたちの休日は終わりを告げたのだった…
NO SIDE
「…ということがあったのだよ、プレシア女史。」
「ふ~ん、あなたの姪っ子たちが管理局にね…最高評議会の事は教えたの?」
ジェイルの正面のモニターに映るのはブレイブ・デュエルの運営責任者であるプレシア・テスタロッサ。
「あぁ、私の知ってる範疇でね。あの子達はしっかりしているから流される事は無いと思うよ?」
「それはよかった…ノーヴェくんやウェンディくんはうちの子達の愛弟子だからね。」
もうひとつのモニターに映るのはジェイルと同じ年くらいの男性。ジェイルと比較すると温厚そうな印象を受ける。
「…で、僕とジェイルに何の用かなプレシア女史?ブレイブ・デュエルの運営は順調だと思うけど…?」
男性の質問にほくそ笑み、プレシアが答える。
「…率直に言うわ、あなたたちの力を私の娘達に貸してほしいの。…『無限の欲望』ジェイル・スカリエッティ、そして…『天空の叡智』グランツ・フローリアン!」
今ここに「管理世界の三大頭脳」が集まっていることを知るものは誰もいなかった。
どうだったでしょうか?
さて次回ですが、以前活動報告で告知した通り99話(本編次話)→100話(記念後書き)→リリすれSP1話と連続投稿する関係で書き溜めするため遅くなります。
盆前後には投稿出来るようには頑張ります!
では次回「六十五、今出逢う ファーストタッチ 旦那様♪」
次も見てくんないと…
「フリード、ブラストレイ!」
「アギャア!」
(BY キャロ&フリード)