ポケットモンスターDark Sign〜不死の探究者〜   作:悠人777

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現金なものですが、やはり嬉しいですし、やる気に差がでてきますねww



prologue②

俺は化物に取り押さえられた後、抵抗らしい抵抗も出来ずに両手足を縛られた状態で転がされていた。

その化物は縛り上げた俺を放置したまま、殴り倒した男とマダツボミを引きずってどっかに行ったが、すぐに戻ってきた。

 

「…他の奴等はどうしたんだ」

 

正直話しかけたくもないし、さっきから恐怖で身体が震えそうなのだが、俺は精一杯の虚勢を張って化物に問いかける。

俺のマダツボミも連れて行かれたのだ。あいつの居場所だけでも聞き出さなければならない。

 

そんな俺が必死に問いかけた相手である化物は、拳銃を手に持って興味深そうに様々な角度から眺めていた。

その、まるで拳銃を知らないかのような態度や、先程まで持っていた筈のメイスが見当たらない事などに対して、疑問に思わないわけではないが極力話しかけたくない俺はスルーする。

 

そんな思考をしながら化物の反応を伺っていると、化物は俺の声に反応して此方を見て、俺の拳銃を懐へとしまってから口を開く。

どうやらコミュニケーションを取る気が無いわけではなさそうだ。

 

「答えてもいいが、要求がある」

 

少し違和感を覚える発音だったが、確かに返答は帰って来た。

その化物の言葉に対して、俺は少し考え込むフリをする。

逆らえるはずも無ければ、逆らう気も起きないが、すぐに了承するのは悪手だという事ぐらいはわかる。

 

「…要求ってのは?」

 

「マサラタウンまでの先導役だ」

 

「っ!」

 

反応をしない様に努力したつもりだったが、駄目だった。

自分の目が見開かれ、喉が鳴ってしまったのがわかる。

…この化物は、何故かはわからないが、俺達がどうして此方にいるのかを知っているのだ。

此処で惚けるのや、シラを切るのは無駄だ。

むしろ機嫌を損ねて状況を悪化させる可能性があるだけ最悪の選択と言えるだろう。

 

「…わかった」

 

「そうか。貴公の仲間達なら死んではいない、船の牢屋に纏めておいた」

 

「…………そうか」

 

船の牢屋ーーー商品であるポケモン達を入れておく牢屋がこの船には複数ある。

『オーキド博士』と『オーキド研究所のポケモン達』を入れる牢屋と、最低でも二つは空いている状態だったので、そこにぶち込まれたのだろう。

牢屋の場所を何故知っているのかとか、どの牢屋にも鍵がかかっていた筈なのだが如何したのかとか、この化物に対して疑問を持つのは疲れるだけかもしれない。

 

化物は縛られたままの俺を肩に担ぐと、そのまま歩いて船を降りる。

そして船の方へと振り向き、そのまま立ち止まった。

 

「…マサラタウンなら、この海岸線を真っ直ぐだぞ」

 

「そうか、貴公が嘘を吐く人間ではなくてよかったよ」

 

「………」

 

「そう睨むな、もうすぐだ」

 

その、化物の吸い込まれそうになる瞳と目が合った俺は一瞬惚けるも、逃げるように視線を逸らす。

 

「…訳がわか…ら……な…」

 

そして、視線を逸らした先で俺は見てしまった。

俺の事を担いでいる化物に感じるのは”絶望”だとしたら、目の前の光景から感じるのは”恐怖”どまりだろう。

 

しかし、その光景を見て俺は悟った。悟ってしまった。

 

 

 

ーーーーあぁ…終わった…と。

 

 

 

☆ ☆ ☆ ☆

???side

 

 

私は少し周りと違っていた。

 

私の特性は【テレパシー】と言って、言葉を使わずに意思疎通ができるという、少し珍しいものだった。

しかし、この特性は少し珍しいだけのものだし、コミュニケーションが苦手な私にとってはありがたかった。

 

生まれた時から、周りの子達と見た目が少し違った。

私の様な子を色違いというらしい。

それは極稀にある事だとお母さんとお父さんも言っていたし、実際他の仲間達にも珍しいと言われはしたが、私達の種族は仲が良い事もあり、普通に受け入れられていた。

同年代の子達と遊んだり、バトルの練習をしたり、力の使い方を学んだりと他の仲間達と変わらない生活をおくることができていた。

 

そして暫くたった頃、私も他の子達と同じ様に選択をせまられることとなる。

私達の種族だけでは無いのだが、私達はどの様に生きていくかを決める時に、大体二つの選択肢がある。

 

ーーー1つ目が、このまま群れで生きていくこと。

此れはそのままの意味で、親や仲間達と一緒に暮らしていくという事だ。

 

ーーー2つ目は…トレーナーと呼ばれる人間と共に生きていくことだ。

この場合だが、私達だって出来ることなら自分の理想のトレーナーについていきたいと思う。

だから、先達もその為に様々な方法を考えてきた。

 

…例えば、トレーナーの実力を見るためにバトルをして、この人にならついていっても良いという人を探す方法。

 

…例えば、人間界で噂がたつぐらいに強くなって、スカウトを待つ方法。

 

…例えば、人間と接触して仲良くなる方法。

 

基本的な方法はこれぐらいだろうか。

 

私達の種族の場合、感情を感じとることができるため、その力を使うことが多い。

仲間達と暮らしたい場合には、人間達に合わない様に避けるためにその力を使い。

トレーナーと共に生きていきたい場合には、隠れた状態でその力を使って理想のパートナー候補を探すのだ。

 

私は正直な所、わからなかった。

同年代の子達が如何するかを決めていく中、私は中々決められずにいた。

両親は”お前の好きな道を選びなさい”と言ってくれるが、迷っていた私は更に迷っただけだった。

 

それはそれとして、自分で言うのも何だが私はバトルが強いらしい。

同年代の子達には一度も負けた事が無く、仲間からは”天賦の天才”と呼ばれていて、特にトレーナーの元へいきたい仲間達には羨望と尊敬の眼差しを向けられる事が多く、一緒にいる時間も長かった。

 

なので、私はそんな子達と一緒に草むらに隠れて人間を観察しては、仲間達のどんな人がいいかという話を聞いていた。

仲間達の話を聞くに、やはり理想のパートナーというのは似たり寄ったりだった。

 

『ポジティブで前向きな人』、『明るい性格の人』中には『心が温かい人』という抽象的な印象を言う子もいた。

 

そして、そんな人を見つけても仲間にしてもらえるかは運次第だ。

見つけたトレーナーが他の子と被ってしまい、誰が行くかを決めている間にいなくなってしまう事もある。

やんわりと断られて、とぼとぼ帰ってくることもあるし、或いはバトルで負けて涙目で帰ってくる事だってある。

ボロボロになって帰って来て、治療を受けるなんて事も珍しい事じゃない。

そんな事を繰り返しながらも、諦めなかった仲間がパートナーを見つけた時は皆、自分の事のように喜び祝福するのだ。

 

私達の種族は、他人の喜びを一緒に喜ぶ種族だというのもあるが、仲間の今までの苦労を知っているからこそである。

本来なら直接その気持ちを伝える事は出来ないのだが、私の特性である【テレパシー】を特性【トレース】の子達が特性を使う事によって擬似的な【テレパシー】を使い、直接脳内に祝福の言葉などを送ったりもできた。

あまりやり過ぎると、相手の頭が痛くなるので程々にだが。

 

 

 

ーーーそんな仲間達を見ていると、やはり私は皆んなとは少し違うのかなと思う。

 

仲間の努力が実るのは純粋に嬉しいし、仲間達が見つけたトレーナーさん達も優しそうないい人達だと思うし、きっと上手くやっていけるだろうなとも思う。

 

 

 

ーーーーけれども、何故か羨ましいとは思わないのだ。

 

いや、正確に言うと『私のパートナー』となった場合というのを想像してみても…しっくりこなくなる。

他の子達が言う”理想のパートナー”というのは、確かにいい人だし、そんな人に仲間達を任せられたらいいなぁとは思うのだが、”私のパートナー”になる場合を考えると途端に想像出来なくなってしまうのだ。

だからと言って、では”私の理想のパートナー”は?と聞かれたら『わからない』としか答えられない。

 

 

そんな理由もあって、私はこの先どうするか迷っていた。

その日は同年代の子達と一緒にバトルの練習をしていたのだが、その時はいつも以上に悩んでいて、バトルには勝っていたのだがずっと上の空状態だった。

 

だから、私は風の違和感に気づく事が出来なかったのかもしれない。

そのまま私達はいつの間にか眠ってしまっていたのだった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

目が覚めた時には牢屋の中だった。

見渡す限り牢屋しかない部屋、その部屋の牢屋の一つに私達は入れられていた。

その牢屋はかなり良いものらしく、私達の力が抑制され、使おうとしても散らされるというものだった。

 

辺りを見渡せば、様々な種族達が疲れきっていたり、怒り狂って吠えていたりしているという状態。

流石に喰う喰われるの関係にある種族達を一緒に入れたりはしていなかったが、それにしてもひどい場所だった。

 

そんな場所だからか、私達に伝わってくるのは負の感情ばかりで、仲間達も怯えていたり、泣いていたりした。

かくいう私も、そんなにメンタルが強い訳ではなく涙がポロポロ出てきて嗚咽が漏れる。

そして弱い私が”自分だけでも逃げてしまえ”と囁いてくるのがまた怖くて、涙が止まらなかった。

 

…そう、確かに力はかなり弱まっているが、私だけならば【テレポート】で逃げる事が出来そうだったのだ。

恐らく、その事を伝えれば仲間達は『逃げろ』と言ってくれるだろう。

そう言われてしまったら、私は恐らく逃げ出してしまうだろう。

だから、私は只々嗚咽を漏らしながら泣く事しか出来なかった。

 

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

牢屋の中に入れられてからまだそんなに経っていないだろうが、すっかり弱ってしまった私達は騒ぐでもなく泣くこともなく、ただ身を寄せ合っていた。

そこそこの頻度で来る見回りや、偶にご飯を持ってくる人がこの部屋の扉を開ける音にビクビクしながら過ごしていたのだが、何だか妙に静かだ。

 

少し前までは騒がしいぐらいだったのが、漸く収まったと思ったら、今度は不気味なぐらい静かなのだ。

それに、何時もなら見回りが来るかなというタイミングになっても誰も来ない。

少し疑問に思い扉の方をぼーっと眺めていると、ゆっくりとその扉が開いていく。

遅い見回りだなと思いながらも、その開いていく扉を見続けていて…ふと、何故か扉が開く時にする音がしない事に気が付いてーーーー視界に入ってきた情報に固まった。

 

其処には確かに視界に収めているのにも関わらず、目を離せば何処にいるのかわからなくなりそうな男の人が、ズバットと四人を引きずりながら入ってくる光景だった。

音を発生させず、普通に歩いている時と変わらないであろう速さで移動する男の人を只々呆然としながら眺める。

 

 

ーーーーーふと、男と目が合った。

 

「ーーーー」

 

瞬間、私は吸い込まれていくような感覚に包まれた気がした。

 

それは、深い深い何処までも続いているような闇。

 

しかしそれは、恐怖を与えるでもなく、拒絶するわけでもない、只々全てを許容して…光ですらも包み込んでしまうような闇。

 

全身に確かな重みと…熱を与えてくる…全てを受け入れてくれるような…全てを預けたくなるような闇。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーカチリ、と…私の中で全てが噛み合った音が聴こえた気がした。

 

 

 

 

がちゃん、と静かだった部屋の中に急に音が響き、私の意識が戻ってくる。

音のした方を見れば、男が牢屋を閉めた時に出たものであり、その牢屋の扉を閉めた男の手には鍵とは違う金属の束があったが、私を含めこの部屋にいる者達は皆、男の人に釘付けになっていた。

 

感情を感じ取る力を持っている私じゃ無くともわかるそれは”畏怖”。

そんな事を周りの皆んなが感じている時に、私が思っていたのは別の事だった。

 

 

 

 

 

 

かつん、と男の足音が止まる。

それは私達が入れられている牢屋の前で、その視線は勘違いでなければ私を見ていた。

 

「さっきのは君かな?」

 

そう語りかけてくる男に対しておろおろしだす仲間達。

それを見て「あぁ、すまない」と言ってしゃがみ込んだ。

 

「そこの水色の君だ。詳細はわからなかったが、私に何かを訴えてきたのは君かな?」

 

仲間達や、この部屋にいる皆んなが私の事を見てくる。

 

そして、私は驚いていた。

弱まっている【テレパシー】で、しかも私の感情の高ぶりから漏れ出した程度の感情を、この人は感じ取ったのだ。

 

恐る恐る、私は男へと近づいて行く。

それを男の人はじっと見て待っていてくれた。

 

《…え…えっと…その…》

 

「…感情だけでなく言葉まで伝えられるタイプか…君は人が使う言葉を使いこなせるのかい?」

 

《あっ…そ…そのぅ…こ、言葉の…理解だ、だけ…なら…皆んなで、でき…ます…》

 

「皆んな…此処にいる全員か?」

 

《…はっ…はい…》

 

「そうか…ならば話は早いな」

 

《えっ?…えっ…と…その…》

 

「あぁ、突然すまない。少々時間が無くてな、言葉が通じるのならば急ぎたい。後でしっかりと話を聞くと約束する」

 

そう言うと男の人はその場で立ち上がり、ぐるりと部屋を見渡した。

 

ーーーーその瞬間、男の人の存在感が膨れ上がる。

とは言っても、その存在感は相手を威圧するものではなく、男の人から視線を離せなくなる様なものだ。

 

「今、この船の持ち主達は、この牢屋の新入りを迎えに行っている。ーーー意味はわかるか?」

 

その男の人の言葉に空気が固まったかのような錯覚に陥る。

男の人もそれを感じ取ったのか一拍おくと、すぐに口を開いた。

 

「私は、個人的な理由でそれを阻止する為に動いている。それで、今は船の見張り達を片ずけているわけだが…すぐにそれも終わる…私は牢屋の鍵を開けることが出来るから、君達は逃げる事が出来るわけだ」

 

その言葉に固まっていた空気が軟化するのがわかった。

そして騒がしくなる前に男はまた喋り出す。

 

「だが、もし今ここから逃げても君達の居場所に帰るのも難しいだろうし、逃げる途中でまた捕まるかもしれない」

 

軟化して喜びが滲み出てきていた空気が一気に沈み込む。

しかし、そんな空気にも関わらず男の人は淡々と喋り続けた。

 

「其処でだ…今回君達を牢屋の中に閉じ込めた奴等が捕らえようとしている人は、かなりの力を持っている人でね、その人なら君達の事をどうにか出来るはずなんだよ…わかるかい?」

 

男の人の言葉を吟味する。

つまり、今此処に連れてこられそうな人ならば仲間達を家族の元へ帰す事が出来るかもしれない。

そして、その為にはその人が捕まっては駄目なのだ。

どうにかして、その人を守りぬかないと駄目だということだ。

周りを見渡す男の人は、私達の雰囲気が変わったのを感じ取ったのか、満足そうに口元に笑みを浮かべる。

 

「理解が早くて助かる」

 

そう言って、男の人は一拍おいた。

その口に先程とは違う攻撃的な笑みを浮かべて、ゆっくりと決して大きくない声が私達の元へと届く。

 

「もう二度とこんな目に合わない為に、君達が望む場所に帰るために…」

 

 

ーーーーー邪魔は全力で叩き潰すぞ。

 

 

防音の牢屋の中、私達の声が部屋全体を激震させた。




このポケモンはいったいなんなんだー(棒

時系列がちょっとややこしいですかね。
次回辺りにもっとわかりやすくなるような追加描写をいれてみます。

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