GOD EATER ~The Phantom Edge~ 作:キツねえ
『・・・神機使い,なのか・・・?』
ファントムがその神機を銃形態へと変え,撮影をしていた神機使いに向けると引き金を引く.
炎の弾丸が神機使いの足元に着弾すると,そこから爆炎が生まれ映像は一面の炎に包まれた.
「炎が消えた頃にはファントムは消えていたよ.幸い,この炎が殺傷能力の無い『装飾弾丸』や『装飾爆発』の様な見掛け倒しだったから,この神機使いは無事だ」
黒いイェン・ツィーには映像でも分かる程の超威力の弾を撃って捕食し,人間・・・神機使いには威力の無い煙幕の様な弾を撃ちその間に逃げる.
神機使いとアラガミの区別.アラガミには敵対し,神機使いからは逃げる・・・いや,その前の様子を見ると助けるまでしていた.
更にはあの腕輪と神機.どう考えても『アラガミ』とは思えない.
「・・・なぁ,サカキ博士.こいつは本当に『アラガミ』なのか?」
ヒロがブラッドの皆の気持ちを代弁する様にそう言う.
「最初の弾・・・『メテオ』級の威力だった・・・アラガミが,そんなのを使うのかよ」
『メテオ』・・・発射後,空中に長時間待機させオラクルを充填し,威力を上げる特殊な弾丸だ.
「・・・『アラガミ』だよ.けれど,知能を持ち,人間を助ける,人に優しいアラガミだ」
サカキは思いふける様に天井を見つめ,ポツポツと語りだす.
「疑問に思うだろう.なぜ,そう確証しているのかとね.簡単だ.前例があるからさ」
それは,昔自分たちを助けてくれた存在.白い子供の様なアラガミ.
「昔・・・いたんだよ.僕たちを救ってくれた人型のアラガミが.シオと言ってね,彼女は私たちを助ける為に月に昇ってしまった.・・・特異点だっただよ,彼女は.
・・・ファントムは,『聖地』に続く,長いアラガミとの争いを止める鍵になるかもしれない.君達に頼みたいのは,ファントムと良好な関係を築いて貰う事だ.・・・詳しくは,第一部隊やクレイドルの皆が戻ってからしよう」
そう,サカキは締めくくる.
再び現れた『人型のアラガミ』.
アラガミとの長い争いを止める終止符に・・・そして,月に昇ったシオとの繋がりを得る鍵に成り得る彼は,絶対に確保しなければならない.
(ヨハネス・・・二度目のチャンスは,絶対にふいにはしないよ)
‡ ‡ ‡
『・・・?』
一面緑の草原で,彼女は目を覚ます.まるで,何かに呼ばれる様に.
『・・・・・・!!』
そうして,遥か先に見える『青い球体』に向かって叫ぶのだ.
祈るように,願うように.
再び,『彼』に会えるかもしれない.その機会が来た事を彼女は喜ぶ.
緑の月で彼女は叫ぶ.愛しい彼に届くように.
そのメッセンジャーが,早く彼の元に行くように.