やってきたのは電子の世界   作:泥人形

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驚くほどの駄文。でもこれ以上どうにもできないっていうか…まあ許せ(真顔


電子の世界 一日目

 

 

ムゲンドラモンの消滅と共に場に満ちた光。それが消えて視界に入ってきたのはムゲンドラモンではなく小さな四足歩行の生物…記憶が手繰ればあれも見たことがある気が…、あぁ、幼年期デジモンのトコモンだ。

 正直光を放った瞬間パワーアップでもするのかと思ったもんだからほっと一息である。

 

 安堵するとともに膝が崩れた。ドゴッ、と鈍い音を立てて膝を床にぶつけそのまま前のめりに倒れ込む。

 どうも連続する未知の体験に体が限界を迎えたようだ。身体にビリビリと痺れるような痛みに顔を顰めながらそう考える。

 あまりの痛みに目の端から滴が落ちた。

 

 そこで二匹のことを思い出したかのように探す。

 身体は動かないので頭を動かして、だ。

 

 テリアモンとロップモンはすぐに見つかった。

 トコモンのすぐそば、二匹並ぶように倒れ伏していた。

 まさか、と思ったがゆっくりと胸が上下するのを確認しほっと一息をついた。

 

 あれだけの激戦を繰り広げたのだ、最後の一撃を放った後に気を失ってしまったのだろう。

 ふぅ、と息を吐きこれからどうしたものかと考える。

 ムゲンドラモンを倒せばここから出られるかも、と何となく思っていたのだがそうはならない現実に頭を悩ませる。

 

 いっそのことこの空間に穴を空ける、とか? 

 そう考えるがすぐに却下。現状では不可能極まりない…どころか先ほどのムゲンドラモンの破壊光線ですら傷一つつかなかったのだ、どう考えても現実的ではない。 

 

 では外に助けを求めてみるか。

 携帯を取り出し画面を見るがまず電源がつかないという事実を知ることになり軽く失望、故に却下。

 …直るのだろうか。

 

 必死に頭を捻るが特に良い案が思いつかずに時間が過ぎていく。

 もしかしたらここで人生終了? 何それ超嫌だ…

 何とか体を起こしてみようとするが痛みに邪魔される。

 

 ―これ実はかなりやばめな感じ?

 

 掠れに掠れた声でそう言うと一気に現実味を帯びてきた。

 不安が全身を包み込み、急に恐怖が体を支配する。

 早く何とかしないと、そう思うが何も出来ないもどかしさに苛立ちが募っていく。

 

 不安と恐怖と苛立ちで、痛みも無視して叫びそうになった時、突如聞いたことのある電子音が鼓膜を揺らした。

 音のする方へ顔を向けるとそこには回転する0と1の羅列に囲まれたテリアモンとロップモンの姿。

 その光景は、ムゲンドラモンが出現した時と似ていて、だけどそれは別物だと何故か分かった。

 

 嫌な予感が全身を包み込む。

 あの0と1をぶち壊してしまおうと勢いよく立ち上がろうとするが全身が悲鳴を上げそれは阻止された。

 その反動で更に大きな痛みが体を襲う。

 それでも何とかあれを邪魔したくて手を伸ばす。

 だがそれは当然ながら届く訳もなく、羅列の回転数はどんどん増していった。

 

 ――

 

 言葉を出せず睨みつけるように見つめると同時に0と1は霧散した。

 ぼやける視界を晴らすように目を凝らすとそこにあったのは未だ倒れ伏す二匹の姿―

 ではなく、輪郭がはっきりとせず一定の形を保たない電子の塊のようなもの。

 

 考えるまでもなくそれが二匹だと分かってしまい声を失った。

 音にならない言葉がパクパクと吐き出されるのみ。

 

 しばらくそうしていただろうか。

 不意に襲ってきた痛みによって現実に引き戻らされた俺は乾いた声で笑う。

 完全に思考を停止した瞬間、轟音と共に又も強烈な光が全てを呑み込んだ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――い――せい―!―――おい! しっかりせい!」

 

 途切れ途切れに誰かの声が聞こえてくる。

 無意識にその声に反応しようとするが上手く声が出せない。

 んんっ、と何度か咳ばらいをすると身体に痛みが走った。

 それが収まってからゆっくりと目を開けるとそこにいたのは、頭から顎までモサモサと白い毛(髪?髭?)を生やした老人だった。

 

 と言っても、それはおよそ俺の知っている人間のようではない。

 頭身は2程度で顔と身体の大きさがほぼ同じだ。

 服装はボロボロな布切れのみで原始人のようで、右手に持たれた玩具のような杖の頂点には猫の手がついていた。

 

 周りを見渡すと木の壁が、どうやら木造の家の中にいるようだ。

 もしかしてこいつは敵で俺は捕まったりした、とか?

 どうにも不信感が強く警戒しながらも頭を回転させる。

 しかしそれを老人の言葉が遮った。

 

 「おい、大丈夫か? 一応手当はしたが如何せん手元にある物が少なくてのぉ…」

 

 顔は見えずとも、その優しい声音だけで俺の身を案じていてくれているのがはっきりと分かった。

 そして、その言葉通り確かに体の痛みは若干ながら薄れているのに気付いた。

 取りあえず敵ではなさそうだ、少しだけほっとしてすぐ近くにあった壁によりかかりながら、礼を言う。

 

 「何、気にすることはない。それより何があったのじゃ?」

 

 ―俺も、良く分かってないんですけど…

 

 その言葉を皮切りに俺は事の顛末を語っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 「なるほどのぉ、別世界からの来訪、そしてムゲンドラモンとの戦闘、か…」

 

 ―ええ、それでその後二匹は良く分からんものになって…

 

 言葉と同時に瞳が揺らいだ。

 喉がつまり声が上手く出せなくなる。

 するとジジモン―先ほど名乗られた―は俺の肩に手を置きふさふさの毛を揺らした。

 

 「何、そう不安そうな顔をするでない。お主のパートナーは完全に死んだわけではないのじゃからな」

 

 ―つまり?

 

 「パートナーデジモンというのはな、転生というものがあるのじゃ」

 

 ―転生?

 

 「そうじゃ、本来力尽きてしまったデジモンはそのままただのスクラップデータへと還ってしまうがパートナーデジモンはその限りではない。記憶までは引き継げないが少しの能力を引き継ぎ新たなデジモンへと生まれ変わることができるのじゃ」

 

 ―死んだわけでは、ない…

 

 「そうじゃ、何なら今から転生するかの?」

 

 お主の言う良く分からんもん―データの塊はここにある、と俺に見せる。

 俺は震えながらも立ち上がり、それを受け取りどうすればよいのかジジモンの方を向く。

 

 「デジヴァイス持っておるじゃろ? それを向けてみるのじゃ」

 

 言われた通りにデジヴァイスを取り出しそのデータの塊に画面を向けるように突き出す。

 すると突如画面とデータが呼応するように光りだした。

 それと同時に視界が暗転。気づいたら0と1の羅列が周りを覆いつくしていた。

 いつの間にかジジモンの姿はなく、あるのは自分と、輪を描くように置いてある同じ種類のものが各二つの(・・・・・・・・・・・・)卵のみ。

 

 …なるほど意味わからん。

 これはどうするべきなのだろうか。

 恐る恐る一番手近にあった卵に触れてみる。

 指先からつるりとした感触が伝わってくると同時にデジヴァイスからピピピ、と電子音が鳴り響いた。

 画面を見れば〈クラモン〉という名前とドットで描かれた一つ目のデジモンと思わしき生物の絵。

 

 それを長々と見つめ、ようやく気付く。

 デジヴァイスが表示しているのは触れたデジタマから生まれるデジモンなのだと。

 そうと決まれば簡単である。

 一つずつ卵に触れていきどんなデジモンが生まれるのかをチェックしていく。

 

 最終的に選んだのは、白に緑の色の三角模様が入った卵と、茶と白が半分ずつになっている卵。

 白と緑の方からはゼリモン、茶と白の方からはココモンが生まれるらしい。

 ゼリモンはテリアモンに進化するデジモンだし、ココモンはロップモンに進化するデジモンなので悩むことすらしなかった。

 

 決めたのは良いがどうやったら孵化させられるのだろう、そう思い取りあえず持ち上げた二つの卵を輪の中心に丁寧に置く。

 そうして自分も隣に座った瞬間、緩やかに回っていた0と1は徐々に卵を取り囲んで行きそして遂には卵の中に全て収まっていった。

 

 それと同時に卵が一際強い光を放つ。

 真っ白な光に目を細めるとそこには小さな二つの影。

 俺の膝にすら届かない小さな存在。光が収まると同時にその姿を視認した。

 片方は緑色で少し潰れた丸に大きな角と長い尾が付いたゼリモン。

 もう片方は茶色で少し潰れた丸に小さめの角が三本と長い尾がついたココモン。

 

 「―――――!」

 「―――――!」

 

 完全に身体が形成された瞬間大きく鳴き声を上げた。

 言葉は喋ることが出来ないのかピョンピョンと飛び跳ねながら嬉しそうに俺の周りをまわる。

 そんな二匹の頭を撫でると同時に、この不思議な空間は溶けるようになくなった。

 

 「転生は上手く言ったようじゃな」

 

 声も出せずに驚き呆けていた俺に声をかけたのは当然ながらジジモン。

 

 「うむ、ようやく表情が柔らかくなったの」

 

 ジジモンは明るい声でそう言い笑った。

 どうやら俺は意図せず険しい顔をしていたようだ。

 何とはなしにペタペタと顔を触るとジジモンはまたも愉快そうに笑い声を上げ、それにつられるように二匹もキャッキャと笑いだしてしまい俺は何とも言えない気分で苦笑いするのみであった。

 

 

 

 「さて、まだ問題は残っておったのぅ」

 

 未だに笑うようにピョンピョコ跳ねてる二匹を(多分)優し気に見つめながらジジモンはそう言った。

 

 「元の世界に戻る方法は分かっておるのか?」

 

 全く分からない、と困ったようにそう伝えるとジジモンはやはりのぅ…と呟き持っている杖で軽く頭の横を数回コンコンと叩き、むむむ、と唸り始めた。

 どうしたのだろうか、不審な目で見ているとジジモンは何かを決意したかのように口元の髭をモハモハ動かした。

 

 「わしの方でも帰る方法は探してみようと思う、しかしそれだけではお主は何もすることがなく暇であろう。そこで、じゃ。お主はこのデジタルワールドを探索し帰る方法や他にもこの世界に来ているかもしれない人間を探してみるのはどうじゃろうか?」

 

 ―でも、外にはムゲンンドラモンみたいなのがゴロゴロいるんじゃ?

 

 「ふぉっふぉ、究極体のデジモンは少なくとも近場にはおらんよ、それに是非頼まれて欲しいこともあるのじゃ」

 

 ―頼み?

 

 「頼みと言っても探索の負担になるものでもない、ただ、この村に住民を集めて欲しいのじゃ」

 

 ―住民?

 

 そう聞くとジジモンはうむ、と頷き家のドアを開けこちらにこいと手招きをした。

 それに付いていき外に出る。

 家の外に広がっていたのは閑散とした村とも言えない程小規模な集落だった。

 まともな建物はジジモンのところと後は一つ程度で他はキャンプのようなもの。

 昼間であるにも関わらず外に出ているデジモンは片手で確認できる程度で、

 少し視界を広げ見渡すようにすれば何やら襲われたような傷跡があちこちに存在していた。

 

 ―これは、一体何が?

 

 「うむ、お主が戦ったムゲンドラモンがおるじゃろう? それと同じ個体が今デジタルワールドに頻繁に出没しあちこちを荒らしておるのじゃ。元々ここもそれなりに繁栄していた街だったんじゃが奴らに襲われ住民もあちこちに逃げてしまってのぉ…そこでお主には元の世界に帰る術を見つけるついでにでもこの街に住民を呼び戻す、または新たな住民を呼んできてほしいのじゃ」

 

 ―ふむ…

 

 なるほど、確かに理に適っている。

 こちらとしては是非ともこの世界を探索してみたいし、そうしていく内に力も付けていくだろうことは想像に難くない。

 その過程で出会うであろうデジモンたちをここに呼ぶのは難しくはないだろうし、人…デジモンが集まりここが発展していけば帰る方法が見つかるのが早まる…とも思える。

 ほとんど負担になることもないだろう、引き受けても問題なさそうだ、というよりここまでしてもらっておいて断るという選択肢は元よりない。

 

 ―分かりました、可能な限り頑張らせてもらいます。

 

 「おお! そうか、それは良かった…」

 

 ほっとしたような声音のジジモン。

 隠そうともしない嬉しさが全身からあふれていた。

 

 「それじゃあ早速…と行きたいところじゃが流石に幼年期で外に出るのは危ないからのう、トレーニング場で成長期にまで進化してから行くとよい」

 

 あそこじゃ、と杖を向けた先にはこの家より少しばかり大きい一つの建物。

 そこにはトレーニング場を管理しているデジモンがいるとかなんとか。

 詳しいことはそのデジモンに聞けば良いらしい。

 快く送り出された俺は二匹を抱えトレーニング場へ向かった。といってもすぐそこなのだが。

 

 

 

 木造の扉をぐいっと押し開ける。

 最初に目に入ったのは黒く鋭い角を生やしたオレンジと白の幼年期デジモン。

 突然の来客に目を丸くした後にそのデジモンはニヤリと笑った。

 

 「おー、お前ら少し前にここに落ちてきたやつらだろー。初めましてだなー、オレはツノモン、よろしくなー」

 

 語尾を伸ばす癖があるのか間延びしている自己紹介にこちらも返す。

 

 ―よろしく

 

 「ここに来たってことはトレーニングしにきたんだろー? 外は危ないからなー、好きに使えー。デジモンは前の方に、お前はそこの白い機械を使うんだー」

 

 丁寧な説明に礼を言いながら二匹を機材の方へ、俺は白い機械の電源を入れた。

 真っ黒だった画面がジジ、と電子音を鳴らし起動すると、六つのトレーニングメニューと二匹のアイコンが映された。

 六つの内一つは力強さ、一つは頑丈さ、一つはHP、一つはMP、一つは賢さ、一つは素早さ、でありアイコンはタッチで動かせるようだった。

 何を鍛えれば良いだろうか、そう思い悩んだ挙句ステータスが見れないのかとアイコンをタップしてみる。

 すると案の定タップした方―ゼリモンのステータスが表示された。

 

 ゼリモン

 H P:9847

 MP:9279

 力強さ:1586

 頑丈さ:1497

 賢さ:841

 素早さ:1049

 

 ……何か幼年期のステータスじゃなくね?

 

 

 突然だが幼年期にはⅠとⅡがある。

 もちろんⅡはⅠの進化形。

 そして生まれたばかりのゼリモンはもちろん幼年期Ⅰ。つまり最弱だ。

 最弱のステータスが4桁とか半端ねぇな…もう鍛える必要性を感じないまである。

 

 しかし取りあえずは成長期にまでは進化させておくべきなのだろう。強すぎても損はないし。

 取りあえず他のステータスに比べ賢さの低さが際立っているため賢さを上げようと機械を操作する。

 といってもアイコンを賢さの欄にドロップするだけなのだが。

 

 ドロップすると同時にポロン、と小気味の良い音が鳴る。

 これだけで良いのか、と前を見ると同時に現実でも変化が起きた。

 二匹が同時に0と1に囲まれたのだ。

 足先から頭までスッポリと。

 …大丈夫なのだろうか。

 

 そんな俺の不安を無視しもうすっかり見慣れてしまった0と1はクルクルと周り数秒後には霧散した。

 そこでは気持ち凛々しくなった二匹の姿が。

 …あれで本当に賢くなったのだろうか、不審な気持ちでアイコンをタップすると賢さが二匹とも50程上がっていた。

 どうやらあれで成功らしい、デジモンとは全く不思議な生物だ。

 俺もそのくらい簡単に頭が良くなりたいものだ。

 

 何はともあれ、取りあえずは成長しているようなので賢さを重点的に上げていく。

 数時間たった頃には二匹は成長期にまで進化していた。

 そんなあっさり…? と思うだろう、俺も思った。

 だが逆にあのステータスですぐ進化しない方がおかしいのだ。

 

 足元でキャッキャとはしゃぐ二匹を視界に収めながら俺は腑に落ちないのを無理やり納得させた。

 

 

 

 

 

 


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