全身真っ白な人形、そいつは神と名乗り俺に3つの卵を渡していった。
そして、夢から覚めるとテーブルの上にはその卵が……
これは、ただ田舎町で三匹と暮らす話である。
この小説は、バトルなし。冒険なし。そして短編。
これは、思い付きなので設定うんむん考えていない。
ただただ、癒し系を書きたかったそれだけ。
それでもいいと言う人は、どうぞ!
季節は夏間近、お天道様も頭上近くに上る昼ごろ。鳥も鼠も、お腹をすかせる時間。
きっと今の家族はオムライスを作っているところもあれば、カレーっという家庭もあるだろう。はたまたハンバーグなんかも。
子供はそんな料理に喜び美味しく食べているだろう。
そんな事を考えながら俺ことナギサは非常にひっじょおおおうにっ困っている。
冷蔵庫の前で頭を抱えながら何度も見返し、まだ寝ぼけているだろうと顔を冷たい流水で洗ってまでして開いている冷蔵庫を見る。
この冷蔵庫は最新式のモデルで、デカイ為結構な値段をしたが電気屋で値切りに値切った冷蔵庫である。テレビではこの冷蔵庫に約一ヶ月の食料を入れられるほどデカイ冷蔵庫といっていた。もう買ったときはウキウキで業者に頼み送って貰ったが、玄関に通らなかったときは落ち込んだよ。
まあ、丁度配達員の人が中にテレポートするポケモンを持っていたから助かったが。
つい先日、その冷蔵庫に大漁の材料を買い足したので目の前にはさまざまな食材が並べてられているはずなのだが、今は空っぽの空間しかない。
その現実を改めて理解してしまいまた頭を抱える。
結構な量が残っていたので普通に使っていれば一日程度で無くなるはずはない。
俺は床に正座させている大量の食材を盗み食いした犯人達を見下ろして言う。
「さて、何か言いたいことはあるかな?」
そいつらはギラッ!だの、パルぅとか、ディア・・・!など発言している。表情から見ると不満だらけだと。
なるほどなるほど、要するに・・・・
「おけー、反省の色無しってことだな。お前ら、今日の晩飯はなしな」
『!?』
驚きの顔をしている。当たり前だ。
一か月分の食料を食ったんだ。晩飯どころか明日の朝昼晩も食えないんだぞ?
俺の発言を聞いたこいつらは晩飯なしに驚き、落ち込むようなポーズを取り嘆いていた。
嘆きたいのはこっちだ。大漁の食材をここまで持ってくるのは骨がおれる。田舎町でもあり、スーパーがかなり遠い。
「...はぁ。とにかく、俺は今から食材を買ってくるからお前らは留守番な?喧嘩するなよ?したらほんっとうに晩飯抜きにするからな」
そいつらにそう言うと水を得た魚のように元気になり俺を見送る。現金な奴らだ。
俺は出かける支度をし玄関に向かう。
三匹は、大人しく俺に手を降りながら見送ってくれる。可愛い奴等め。
見送られながら食材を買いに外にでる。
扉を開けると目を焼くような日差しが俺を照らしてくる。
思わず目を薄め、手で日差しを防ぐ。
空には雲ひとつなく、快晴の青空だ。帰ったら洗濯物でも干そうかな。いや、時間的に無理か。変える頃には夕方だろう。それにこんなに暑いなら帽子でも買おうかな。熱中症にでもなりそうだ。
「そういえば……あの時もこんな日だったな」
スーパーに向かう道を歩きながら昔あったこと不可思議な夢のことを思い出した。
二十歳になった俺は、人が少ない田舎町に一軒家を建てそこに暮らしていた。
とある理由で金なんて腐るほどあった為、思う存分一人生活ライフを楽しんでいた。
さっき言ったように金ならあるため外に出ることなんてそうそう無いため家に引きこもっていた。
なんだかんだで、そんな生活を楽しんでいたがやはり、家族の元から離れるのは少し寂しいものを感じるようでたまに外に出ているが、近くにコンビニや娯楽施設が無いためやはり家が最高と思う。
そんなある日、とても摩訶不思議な夢を見た。
改めて今思うと、あれは悪夢だったと断言できるだろう。
何時ものように就寝した俺は何も無い白い空間に立っていた。いや、床の概念すらないのか浮いているようで立っているような曖昧な感じだった。夢だから仕方ないと片付けたが。
夢なのに意識がハッキリしているのに疑問を感じず、特にやることも無い為、目が覚めるまで横になっていると突然後光が眩し過ぎて輪郭しか見えない人物が俺の前に現れた。
明らかに怪しさプンプンと漂わせているそいつは行き成り登場してきた癖に、私は神だぁ~。とかほざきやがった。本当に不思議な夢だな。
俺は当然無視したがそいつはかまわず俺に語りかけてくる。
記憶は失っているとか、特典も幾つか消えているだとか、本当にすまないと謝罪したくるとか。
さっぱり訳分からんことを言われてこの患者さんとどう接すればいいのかわからない。
そんなピカりん(命名俺)は戸惑っている俺に、幾つかの卵を寄越してきた。
なんでも俺に対しての謝罪の気持ちらしい。その他にも何でも入りそうなリュックに、何処かで見たことがあるような紫色のボール幾つかと、赤白のボールを3つくれた。
いや、こんなの渡されても冒険とかリーグのチャンピオンとかになる気はないけど。
そこで、ふと意識が遠退くのを感じる。
どうやら目が覚めるようだ。
ピカリんは、最後にまた謝罪してその姿を消していった。
そこで目が覚めた。
カーテンの隙間から眩しい日差しが漏れそれが今の時刻が昼だということが分かる。少し寝すぎたようだ。
意味分からん夢だと思って起き上がると、テーブルの上に夢で渡された卵達と道具袋がそこに鎮座していた。
・・・こいつで卵焼きつくってみようかな
なんて、現実逃避していたところ、危険を察知したかのようにいきなりその卵達が光を放ち殻を割って何かが出てくる。
まだ目が覚めていない俺には殺人的な光が容赦なく目に当たり遅れて手で目を覆う。
目がぁ・・・
光は収まり、チカチカと点滅する視界で改めて卵を見るとそこには卵ではなく三匹の動物がすやすやと寝ていた。
一匹は鋼のような金属の体と胸にダイヤモンドのような宝石はあり、全体的に蒼い体をしている。
一匹はピンクの体をして、両肩にパールのような宝石が埋め込まれている。
三匹目は・・・なんといったらいいのだろう。まず目に入ったのが身体を覆うようになっている金色の甲殻?
蝙蝠のような翼で身体を包んでいる。翼の間の胴体に赤と黒の線が入っている。
うん、なにこいつら。
今までこんなの見たことない。新種かなにかですか....
とりあえず、触ってみることにした。
うーん、蒼い奴は硬そうな甲殻?はやっぱり硬いし、かと言って柔らかい所は柔らかい。
ピンクの奴も同じく。
金色は、触っていると気持ち良さそうに顔をしているような?
「ふむ……フシギな生き物だな」
そう言いながらも寝ている三匹を見つめる。抱きかかえれるくらいの小さな身体は寝息を立てながら気持ちよさそうに眠っている。
こういうとき、
まぁ、俺は選ばれなかったから仕方ないか・・・
ああ、やめやめ。昔のことを考えると鬱になりそう。
とりあえず、起こすのも悪いし俺はその三匹を抱えさっきまで寝ていた俺のベットに寝かせてやる。
気持ちよさそうに身体を丸める姿に苦笑しながら、かなり遅めの朝飯もとい昼飯を作ることにした。
今日は・・・・・・オムライスがいいかな。
冷蔵庫の中に残っている卵を見て思った俺は仕方ないと思う。
それが、アイツ等との出合い。何だかんだであの三匹と過ごしているがなかなかどうしてか楽しい。
前までは一人が当たり前だったが、今は充実しているようで満足しているかもしれん。
大漁の食材を買い込み、例のピカリんから貰ったバック詰め込み、帰り道にそんなことを思っていた。
日は既に夕暮れ近い、皆が夕飯の支度でもしているのか辺りから数々の料理の匂いを漂わせており、それが腹の虫を鳴らす。
こっちも早く帰って、夕飯の支度をしないとな。きっと腹を透かせた三匹が帰りを待っているだろうし。
やっとの思いで辿り着いた自宅玄関前で一息着く。このバック、両手が塞がらないのはいいのだが入れた分だけ重さが変わらないような。
まあ、それでもいくらかは軽い方だろう。きっと俺が貧弱なだけさ。
玄関を開こうとドアノブに手に掛けると、ドアの向こうからトタトタと足音が聞こえ、それに思わず笑みが漏れる。
開けると案の定、三匹の姿が・・・・・・
「あれ?一匹しかいない・・・・・・」
目の前には金色の体をした『ギラ』が、出迎えていた。
俺が帰ってきたことが嬉しいのか尻尾をゆらゆらと揺らしているのにきゅんとくるが、今はいない二匹だ。
「出迎えありがとな、ギラ。ほかの二匹はどうした?」
「ギラッ!」
こっちだよ!というような鳴き声で、裾を引っ張り案内してくれる。
すると、どうやらまた俺のベットの上で寝ているようで、気持ち良さそうな寝顔をしていた。
「はぁ、『ディア』『パル』。寝るなら自分のハウスで寝ろ。これじゃあ、買った意味がないじゃないか」
チラリと三匹のために買った寝床を見るがあまり使われた様子がない。こいつらは決まって俺のベットに寝たがる。本当に困った三匹だよ。
「ほら、そろそろ飯だぞ」
そういうと、寝ていた二匹はすっと起き上がり鳴き声を上げてはしゃぎだす。欲に忠実だな。
ギラも嬉しそうに鳴き声をあげている。
ま、起きたことだし飯を作るか。
俺ははいはいと適当に返事を返し、台所に向かう。こいつらが来てから台所に立つ機会が増えたな。
独り暮らしなら適当に作って食ってたからな。
さて、昔の話は良いとして、今日は・・・・・・そうだな。オムライスにでもするか。
夕飯をオムライスにすると言うと三匹は、ブンブンと首を降って拒否する。
「なんだよ、美味しいじゃねえかよオムライス」
なんどか三匹に、オムライスを提案するも拒否され泣く泣くとシチューにすることにした。
はぁー、オムライスが食べたかった。
そんなこんなで、こんな田舎町で三匹と過ごしているが今の俺の生活は・・・・・・悪くない。