明史は残っていたオーガテイルをあらかたなます切りにし終えたところだ。
「俺はアラガミを駆逐する。もう二度とこんなことになるのは嫌だから」
明史は血に濡れた剣を一振りして血を払う。
明史の後ろには血の海が長々と伸びていた。
硝煙を書き消す様に雨が降り始める。
血の海を雨が穿ち、赤黒い水溜まりに変える。
瓦礫の山を雨が穿ち、土埃をあげる。
明史は雨のなかを進んでいった。
「アラガミ反応が全て消失しました。隊長まであと少しです」
「よっしゃ、じゃあ迎えに行きますかな」
リンドウとツバメはそのままの速度で進んでいった。
明史は歩いて壁にたどり着く。
壁はアナグラよりも遥かに大きく、圧倒的な存在感を放っている。
すると急に雨が止み辺りを支配していた闇が一瞬で消え去った。
次の瞬間、俺は真っ白な場所足下に床が在るとも無いともわからない場所にいた。
「やあ四日ぶりだね、やっと君は君の力をまともに使える様になったんだね。」
「これのことか?」
明史は神機を掲げる
「そうそう、リンクの力にも先があるけど彼が気づくのはまだまだ先だろうね」
「リンクの力?」
「僕は君達のvitaに一つ力を与えた二人ともこの力は十分に使いこなせている。でもvitaの力に頼る余り自分達の力を忘れてしまったようだね」
「俺達の力?」
「そう君達の力だ。君の場合は『制御』する力だ。元はただの才能だ。それが次元を越え、そして僕の力が宿ったvitaの力を借りることで力を得た」
「いままでの四日間もそうじゃなかったのかい?オペレーターとして場を制御する。隊長としてチームを制御する。プレイヤーとして蒼次を制御する。そして今、ゴッドイーターとして蒼次の代わりとして神機を制御している。あらゆる事象を制御するそれが君の力だ。」
「なら、リンクは…」
「さあね、リンクの力はまだ欠片も目覚めていない。だから僕にもわからないでもいつかきっと目覚める筈だよ。さて元気にしていることもわかったし僕は帰る。健闘を祈るよ」
周りの白い空間が硝子のように砕けて辺りは雨の降り頻る闇夜に戻った。
「制御する力か…」
『隊長ー、明史隊長ーー』
ツバメが呼ぶ声が聞こえる。
『おーい、明史ーー。途中でバックレた罪は重いぞーー』
リンドウさんも一緒らしい。
明史は声の方に向かって歩いていった。
明史が白い空間に入った頃、ツバメ達は
「リンドウさん!?隊長の反応が消失しました」
「圏外に出たとかじゃなくてか?」
「忽然と消えました…」
「まさか、喰われちまったんじゃないよな、とりあえず急ぐぞ。もしかしたら間に合うかもしれん」
「隊長が死ぬなんて…」
「そういうことは今は考えるな、一先ず明史を探そう。遺体になってなきゃいいが」
二人は明史が消えたポイントに向かって走っていった。
そして時は戻り
明史は二人と合流する。
「隊長、無事ですか?」
「大丈夫だ、怪我はない。リンドウさんも心配をかけました。」
「いや、これも仕事だな。かなりの数だったようだが大丈夫か?」
「大丈夫ですよ」
「隊長忘れ物です」
ツバメはvitaを明史に差し出す。
「持ってきてくれたのか、ありがとう」
「さて、戻って飲み直すか。お前の奢りでな」
「マジですか…(蒼次ごめん、散財する)」
そして三人はアナグラに戻っていった。