Re:フラグから始める攻略生活   作:律乃

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駄作ですが、読んで頂けたら嬉しいです。
この小説は【無彩限のファントム・ワールド】の要素が多く入っています。
では、ご覧ください


プロローグ〜ストーリーフラグと攻略対象フラグに導かれる未来〜
零話『少年と少女達のファーストコンタクト』


フラグ

ーーその人の性格、苦悩、悩乱、煩悩、願望、本願そして運命、辿る人生が印されし旗。

その旗を見る事が出来るということはその人の運命も人生も変えてしまうということ、生も死も思い通りに操れるそんな畏怖の念すら抱く力を俺は持ってしまった。誰が俺にこの力を授けたのか分からないが、俺は元の世界に戻る為にこの力を振るおう。それがどんな結末になろうと……

 

τ

 

「くそッ!わけがわかんねぇ〜!!」

 

暗闇の中、俺は追いかけてくる犬達に理不尽さを感じる。靡く赤髪をうっとおしく思いながら 両腕両脚を懸命に動かしながら、白い牙を輝かせて時折飛びついてくる犬と攻防を繰り広げる。

 

「くそッ!意外と痛いし牙がギラついてるし涎ダラダラとか俺捕食されるの!?」

 

わけが分からないテンションでそう叫びながら、行き止まりに喉を鳴らす。ゆっくり振り返ると俺を囲む黒い犬達が姿を現していた。

 

「………ッ。やるしかないということか。師匠、不甲斐ない俺にどうか力を!」

 

目を閉じて、師匠の顔を思い浮かべる。

後ろで束ねられた金髪を揺らしながら、振り返る師匠の美しい顔を。振り返った振動でプルンプルンと震えるたわわに実った胸元を。

“こんな非常事態に師匠のおっぱいを思い出すとか、俺の性欲に嫌気がさす”

違う。今はそんな事よりもアレを思い出さなくては……。繊細な作りの顔を微笑で崩して、茶色い瞳を細めて 俺の赤い髪を撫でる。指を一本、立てた師匠は

『いい?晴糸。あんたに教えた《五行の氣》はね。其々に弱点があるの。水なら土、土なら木、木なら金、金なら火、火なら水といった具合にね。ここまで言えば分かるわよね?ほら、やって御覧なさい』

といってのけた。幼い俺は見よう見まねでそこに触れーー

 

パチと目を開けた俺はジワリジワリと距離を詰めようとしてくる黒い犬達を母譲りの赤いレイザービームを放つ。この異世界に召喚?されてから見えるようになった頭上の旗へと視線を向けた俺は小さく呟く。

 

「……こいつらの弱点は?」

 

黒い犬達の頭上に浮かぶ旗にはーー

【メラメラと燃え上がる紅と黄色のグラデーションが綺麗な炎】がプリントアウトされていた。

ーーということはこいつらの弱点は

 

「OK、水って事ね。ならっ」

 

腕をクロスして、服の上から腎臓へと触れる。ゆっくりと掌を撫で回す。瞼を再度閉じると水の氣を集めることに集中力を割る。

 

「五行万象を発生し、帥にして錘なる水の氣は火を吸い込む。腎の水氣で拳を満たさん。翠にして錐なる水氣は拳を満つ」

 

ゆっくりと目を開けると両手の甲に淡い水色の五行の氣が現れている。師匠直伝の構えを作りながら、近づいてくる犬達に一瞥する。

“かかってくるなら来いや!一網打尽にしてやる!”

という意も込めて。

 

「ガルルルゥゥ!」

 

「ハァアアアアアア!!!」

 

正面の黒犬がそれに挑発されてか、進み出てくる。そして、構えを取る俺の左肩を噛み裂こうと飛びかかってくる。その攻撃を冷静に観察して、身体をズラす事で避ける。その黒犬の白い牙がギラついている顎へとアッパーカット。その勢いに任せて、後ろの二匹の横腹へと回し蹴りをお見舞いする。派手に飛ぶ犬達を残る犬共が仇を打つみたいな紅い瞳で俺を睨んでくる。

“おいおい、マジかよ……”

構え直しながら、冷や汗を二つ三つ流す。

 

「さっきので戦意喪失というのが俺の理想なんだけど……。その殺意漲る紅い目はどういうことかな?もしかして、俺 選択間違えた?早くも」

 

「ガルルルゥゥゥ」

 

「そのガルルルゥゥゥって吠えるの、地味に怖いからやめて欲しいんだけど。マジでまだかかってくるのかよっ!?」

 

飛びかかってくる犬の顔面へと拳を埋め込んでから、後ろから不意打ちを狙う犬へと蹴りを加える。

 

「師匠や母さんに比べたら、俺もまだまだだがお前らの相手くらいは出来るんだよぉおおおお!!!」

 

いつの間にか、群がっていた黒犬共を片っ端から殴り飛ばしていたら、倒すまではいかないにしろ 気絶させる事は出来たらしい。

 

「はぁ……はぁ……」

 

大量に氣を使い過ぎたらしい、肩で息をしながら この物騒な森から出ようと足を動かす。

 

「師匠……俺……頑張ったんだ……」

 

バタンッと鈍い音が森に木霊する中、俺は意識を手放した……

 

τ

 

「姉様、姉様。変な格好した方が倒れております」

 

「?」

 

妹に呼びかけられ、少女は手に持った紙袋と共にそちらへと振り返る。サラサラと風に靡く青色のショートボブを気にせずに薄青色の瞳に怪訝そうな色を浮かべて指差す少女は紙袋を持った少女の妹で名前をレムと言う。そして、そのレムに姉様と呼ばれた少女の名前はラム、言わずとも青髪の少女のレムの姉である。外見はレムと瓜二つである、身に纏っている格好も可憐な顔つきも同じである。違いと言ったら、レムの髪型と瞳が青系統なのがラムは赤系統なところと身に纏っている雰囲気が違うところだろうか。

ラムは妹が指差す方で仰向けに倒れている赤髪の男を一瞥する。暫し、考えてーー

 

「そうね。奇妙な服装をしてる女々しい男が倒れているわ。……。レム、お願い」

 

ラムの言葉にレムは“いいのですか?姉様”とアイコンタクトしてくる。ラムはそれに頷くとレムは赤髪の男へも近づくとその触れれば折れそうな細い腕で男を担ぐと小さな肩へとのけてしまう。

 

「ロズワール様にはラムから言うわ」

 

「はい、姉様」

 

紙袋をレムから受け取ったラムはそのまま、働き先の屋敷へと歩いていく。その後に男を担いだレムが続くのだった


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