なので、このレム章が今後にどのような展開を齎すのか。楽しみにしていただければなぁ〜と思います!では、ご覧ください!
あの戦いから、深い眠りについたままだった俺だが、屋敷に居る方々のおかげで、目覚めた一時間後には外で星を見るくらいには、体力が回復したのだった。
手入れの行き届いた芝生に寝転がり、二人して鮮やかに光る星たちを見る。
「綺麗だね、レムさん」
「はい、そうですね」
月に照らせて、淡く光る青髪を揺らして微笑むレムさんに俺も微笑み。
暫し、二人の間に沈黙が流れる…
「………」
「………」
そして、その沈黙を破ったのは、最初に沈黙を作った俺であった…
「あー、レムさん…ひとつ聞いていい?」
「はい、何なりと」
と慈愛に満ちた笑顔で俺を見つめる…いや、見下ろすレムさん。そう、見下ろしているのだ。そして、俺の頭の後ろには柔らかくも程よい弾力性があるものが広がっている。俺が上を見上げると、年相応よりも大きく実った二つの双丘が見えーー
「ーーなんで、俺はレムさんに膝枕されて、頭を優しげに撫でれているのだろうか?」
「それはハルイト君がまだ無理をしてはいけない身体なのに、星を見ようとレムを誘ったからですよ。レムは心配で心配で胸が張り裂けそうなのに、ハルイト君が強引に迫るからレムは仕方なくーー」
余計なことまで口走りそうになるレムさんを、暴れて黙らせる。
「あーあ〜〜ッ!!、ストップ!ストーップーー!!
まずその誤解を招く発言はやめるようにと、レムさんは本当に嫌だったの!?の割に、笑顔が素敵なんだけど!!」
「そんな、夜空に光る星たちよりもレムの笑顔が素敵なんて…照れてしまいます」
「飛躍しすぎだよ!」
「そんな、褒めすぎですよ、ハルイト君。お嫁さんに欲しいなんて…」
「………ダメだわ、これ」
完全に自分の世界へと入ってしまったレムさんに、俺は苦笑する。
“まぁ、レムさんには…迷惑かけちゃったし……”
しばらくの間、彼女の好きにさせてあげようと思い、俺は変な抵抗をやめて彼女へと体重を預けた。
「……」
「ハルイト君…手を貸してください」
「? はい…って、レムさんくすぐったいっ」
俺が差し出した右手を両手で掴んで、隅々まで触るレムさん。あまりのくすぐったさに、手を引っ込めようとするが力強く握れ、断念。
レムさんの謎の行動は、激しさを増していき、色んなところへとレムさんのほっそりした手が伸びていく。
「こんなにほっそりした…綺麗な手なのに、やっぱり男の子なんですね…少し、ゴツゴツしてます」
「そうかな?」
「そうですよ。それにハルイト君の髪の毛は、癖っ毛が多いのにレムよりサラサラしてる気がします」
「えっと…それは、かな〜りドリーム入ってるような…」
「ハルイト君の瞳は鋭いのに大きくて…優しい光がいつも浮かんでいて、素敵です」
「いや、俺よりもーー」
「ハルイト君はがっしりしてるんですね。胸板とか、思ったよりも大きくてーー」
「ひゃあ!?レムさん…そこは…っ」
その後も、レムさんの謎の行動に疲れた俺が見上げると、当事者が微笑んでいた。そんなレムさんだが、満足そうに首を縦に振ると小さく呟く。
「……です」
「へ?」
「レムは…ハルイト君の事が好きみたいです」
「みたいですって…」
「言い方を間違えてしまいました…レムはハルイト君を愛してます」
「……」
堂々と告白するレムさんに、俺は唖然とする。スゥ〜と上を向くと、あの攻略フラグにいつの間にか、赤い文字で済と書かれていた。
嬉しいのは、嬉しいが何がどうして…いきなり、レムさんが俺の事をーー
“ーー好きなんて…愛してるなんて…”
「あの時…レムを助けてくれました。レムに、沢山のことを教えてくれました。レムの知らない世界のことを沢山、聞かせてくれました」
「そんな事で?」
「……」
俺の一言に、頬を膨らませるレムさんに俺は何故か冷や汗が流れる。
「いくら、ハルイト君でも言っていいことと悪いことがあると思います!レムがハルイト君を好きになった理由をそんな事なんて」
「ごめんなさいっ、そんなつもりはなく…」
「ふ」
俺が必死で謝る様子に、小さく笑うレムさん。
「へ?」
「そんなに謝らなくても…冗談なんですから。そういうハルイト君の真摯なところもレムは好きですが、こんな風に騙されないか心配です」
「それは遠回しにお人好しって言ってるのかな?」
「でも、それもハルイト君の素敵なところですよ」
「フォローしてないからね!?」
ツッコミを入れつつ、暴れる俺を落ち着かせるために頭を撫でるレムさん。
そんなレムさんを見上げると、偶然に見下ろしてきたレムさんの視線を重なる。
「ハルイト君はレムを好きになってくれますか?姉様と同じように愛してくれますか?」
「……」
「やっぱり、レムではダメですか?」
「……ダメじゃないよ。俺には勿体無いくらい素敵な女性だよ、レムさんは。
……そんな素敵な女性を愛さないわけないでしょう。俺も好きだよ、レム」
「っ……ありがとうございます…っ、ハルイト君…」
俺は起き上がると泣きじゃくるレムさんを強く抱きしめた……
〜〜〜〜〜『オマケ』〜〜〜〜〜
「ハルイト君はレムにどう呼ばれたいですか?」
「…………。…………へ?」
ある日のお昼休憩にて、向かいに座る青髪のメイドさんの口から聞こえてきた言葉に、俺は傾けかけていたカップを危うく零しそうになる。
“レムちゃんなんて言った?どうヨバレタイカッテ?”
どう呼ばれたいと言われても……。
この十七年間、同学年の女子と関わりあったことがあまりなかった為に…こう呼ばれたいと思う呼び名がない。それ故に、何故レムちゃんが俺にはこんな無理難題を問いかけてきたのだろうか?
「レムだけ、ハルイト君から呼び方を変えてもらったので…不公平な気がして」
“あぁ…なるほど、そういうことか…”
「んー、俺は今のままでいい気がするけど……そうだね、言われたい呼び名かぁ〜」
腕を組んで、考え込む俺を期待の眼差しで見つめてくれる。
“やめて、そのキラキラな瞳はやめて”
これは変な事を言ってはダメなタイプのやつだ。ボケてはいけない感じのーー
「ん〜、ん〜〜」
そういえば、レムさんに攻略フラグが立ったなくて、ラムさんの攻略が今よりも順調に進んでいたら、ラムさんと今頃…その…婚約とかしちゃったりして…レムちゃんに『お義兄さん』って言われてたのかな?いや、『義兄さま』か?
「……義兄さまかぁ…、ぐふふふ……いいな…」
俺を甲斐甲斐しく世話するラムさんに、可愛い義妹のレムちゃんーー有りだな!これ!!
「兄様?ハルイト君はレムに兄様って呼ばれたいんですか?んー、兄様ですか…」
「ん?」
何やら、レムちゃんは難しい顔をしている……どうしたのだろうか?
「ごほん」
小さく咳払いをしたレムちゃんは、スゥ〜と息を吸うと俺の目をまっすぐに見つめて、俺にとってある意味、爆弾にもなりうる言葉を俺へと放った。
「兄様」
「……」
「……どうですか?」
「……」
恥ずかしかったのだろう、僅かに赤らんだ頬にウルウルな薄青色の大きな瞳は俺の反応を心配そうに、上目遣いで伺っている。
“………”
「兄様?兄様、どうされました?」
まるで石像のように固まったまま、動かなくなった俺へとレムちゃんは恐る恐る触れる。
バタン
「兄様ぁああああ!?」
触れた拍子に、椅子ごと後ろへと倒れた俺はというと、その後、レムちゃんの叫び声を聞いて駆けつけてきたラムさんの割とマジな踵落としによって、目を覚ましたのだった……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
レム章完結です。
レム章によって、第一章の所々を変わったと思うので、それらを付け加えたり、消したりしつつ第一章を完結出ればと思います、では!!
*間違えていた場所を直しました