Re:フラグから始める攻略生活   作:律乃

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大変お待たせ致しました、オリジナル展開の終わりとスバルの二度目の死に戻りとなります。
このオリジナル展開はスバルのあるセリフを元にこの話を作成しました。それがどのセリフかは、皆さんなら分かるばす!
そして、かなり簡潔に書いてるので……書きたいと思っていることが皆さんに伝わっているかどうか不安なところもあります。では、ご覧ください!

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多くの方に応援して頂いている事に感謝の気持ちを申し上げます。これからもゆっくりですが、更新していけたらと思いますので宜しくお願いします(礼)


二十一話『見たくない景色と果たせなかった約束』

「それでバルス、これからどうするの?」

 

簡単な説明を終え、二人が黙って、俺の作戦を聞き終えた頃にはもう外が明るくなり始めていた。呼び出した時間も時間だったのだから、こうなる事は予想をしていたが……。

 

「それでバルス、これからどうするの?バルスの無駄に長い説明のせいでお日様が登りかけてしまっているのだけれど」

 

「無駄に長くって悪かったなっ!?」

 

そう言って、腕を組む桃髪を肩のところで切り揃えている少女がいつもの調子に毒を吐くのに、ツッコミを入れた後、俺は不敵な笑みを浮かべると……

 

「そうだな……取り敢えず、俺が村に様子を見に行くっていうのでどうだ?」

 

「「………」」

 

“うぐッ……”

 

正面に立つ双子は其々、無言ながらも俺を呆れた様子で見ている。暫く、蔑むような視線で俺を見続けた後、そのままで居た二人は顔を見合わせると其々、桃色の髪と水色の髪を揺らして振り返る。

 

「レム、行こうかしらね」

 

「はい、姉様」

 

二人は何事もなかったように踵を返して、町の方へと歩いて行く。

 

「ちょっ、置いてくなよっ!?」

 

 

そんな二人を追いかけて、俺も村へと向かう。

 

 

τ

 

 

「なんだよ……これ」

 

村に着いた時、俺は目の前に広がるその光景についていけなかったーー

 

「うっ、おえ……」

 

口元を抑えて、這い上がってくる胃液を何とか、奥へと押し返す。しかし……それにしても……。今、目の前に広がっている光景がいまいち頭に入ってこない……だってーー

 

ーー辺りを多い尽くす臭いに、彼方此方に倒れている村人たちの死体ーー

 

があるなんて……あり得るのかよ?嘘だろ?あの子犬、ハルだけじゃあ足りず、この村全員を襲ったっていうのか?

 

「くっ……」

 

俺は唇を噛みしめる、自分自身の無力さが不甲斐ない。それは俺の隣に並び立つラムとレムも同じようだった。レムは目の前の光景に目を丸くして、ポツンと呟く。

 

「……っ。これ全部、あの子犬がやったのですか?」

 

「バルス、レム、立ち止まっている暇はないわ。まだ息がある人がいるかもしれないわ。手分けして探すわよ」

 

ラムが鋭い指示を俺らに飛ばすのに、俺もレムもハッとする。

“確かに……そうだよな……”

まだ全員、死んだって事は無いよな?まだ、希望はある!俺は近くにある村人へと跪くと脈を取る。

 

「あぁ!すまねぇ、ラム。その通りだよなっ!まだ全員が……ってわけじゃないよな」

 

「はい、姉様」

 

俺とレムが少し息のある村人達を一箇所へと集め始めた時、ラムが突然立ち上がる。

 

「レム、バルス、ラムは一旦屋敷へと戻るわ。そこでロズワール様やベアトリス様達のお力を借りる予定。あの方々ならこの呪術を解除出来るはずよ」

 

そう言って、屋敷の方へと走って帰って行くラムの小さくなっていく背中に希望を委ねて、俺とレムは屋敷の人々が現れるまでの時間稼ぎを続けた。

そして、ロズワール達が現れたのはそれから三時間後であった……

 

 

τ

 

 

なんとか、意識のあった村人達の呪術の解除が終わった後、俺はあることに気づいていた。

残念ながら、助けられなかった村人たちの中にもまだ治療を受けている村人たちの中にも、小さな身体ーー子供達の姿が無い…

 

「ッ!?」

 

俺は身を翻して、あの子犬と出会った小さな小道へと向かう。

“オイオイ、マジか?まさか、そこまで運命は……”

 

「ちょっと、バルス。何処へ行く気なの!?」

 

「スバル君、どうしたんですか!?」

 

後ろから聞こえる二人の声に答える余裕もなく、あの小道へと向かうと数人の小さな足跡があった…、そして、小さな肉球の跡もーー

 

「クソッ‼︎」

 

自分の黒髪をグシャグシャと掻き毟り、森林へと視線を向ける。

“覚悟を決めるしかないな……。エミリアなら…ハルなら……こういう時どうする?あの二人なら……”

目を瞑り、答えを見つけた時、自然と足が動いていた。

“あの二人なら迷わず、助けるはずだ!”

草むらを掻き分け、奥へと進んでいく。その時、横から何かが飛んでくる予感がした。

 

「ッ!?」

 

「フーラ!」

 

俺へと飛びつき噛み付こうとする犬を真っ二つにする緑色の刃の絶妙なタイミングとあと少しで死んでいたという実感によって、その場にへたり込む。そんな俺を抱き起こすのは、水色の髪が視界で揺れていたのでレムだろう。

 

「バルスはもう少し、自分の実力を知った方がいいわね」

 

「あぁ、すまねぇ……ラム、助かった…」

 

腕組みをして、腰の抜けた俺を呆れた様子で見る桃髪の少女に礼を言うと、何とか自力で立ち上がれるくらいにはなったようだ。

 

「それで、バルス。突然、走って無謀にも森林へと足を踏み入れた理由を聞かせてもらいましょうか?」

 

「あぁ…ガキ共の姿が村の中に見えなくてな……もしかしても思って…」

 

俺の説明を聞いた後、ラムは振り返ると俺へと視線を向ける。

 

「この先にこの子供達はいるのかしら?」

 

「あぁ、いると思う」

 

俺の言葉に頷き、瞑目するラムは目を開けると俺と横に並び立つレムへと視線を向ける。

 

「なら、行きましょう。そのためにラムたちはこの村に来たのだから」

 

「はい、姉様」

 

「あぁ」

 

そう返事すると、隣から聞こえるチリンという音に俺は目を丸くする。さっきまで何も持ってなかったレムの手の中に重量感たっぷりの鉄球が先についた武器が収まっていたからだ。それに何故か、冷や汗が背中を伝う。

 

「………あの…レムさん…それ……」

 

「護身用ですよ、スバル君」

 

「へ?でも、それ……」

 

「護身用です」

 

「あぁ、うん…OK、理解した」

 

そんなやりとりから、数分後、俺たちは目的だった子供達を発見し、村へと戻る途中であの子犬と鉢合わせてしまった。

大勢の仲間を連れて、中央で偉そうに立つその姿に腹が立つがそいつを倒す力はまだ、俺は持ててない。

 

「グルルル……」

 

「おいおい、マジかよ……あっちは大勢の仲間を連れて、俺らは子供達を連れて遅れをどっちにしても取るって……」

 

子供達を抱えている俺らを取り囲むように、連携を整える魔獣に俺は苦虫を噛むような顔を浮かべるとーー

 

「バルス、ラムとレムが隙を作って、時間稼ぎを稼ぐからその隙に子供達を村へと運びなさい。それくらいなら、バルスでも出来るでしょう」

 

「でも、お前ら……」

 

「グダグダ言ってるとその身体を真っ二つにするわよ。さっさと行きなさい」

 

ラムからの視線が厳しくなるのを感じ、俺は戦闘態勢に入る二人のタイミングに合わせて、いつでも出られるように走る体制を取る。

 

「それでは、バルス、頼んだわよ。フーラ!」

 

「しっ!」

 

陣形が一番脆い右側へ鉄球と緑色の刃が飛ぶ、その隙に俺は子供達を近くにある木々へと寝かしつけ、二人ずつ村へと運ぶ。

 

「これで終わりと……、そうだ……ラムとレム」

 

子供達を全員にロズワール達に預けた後、俺はラムとレムが戦っているところへと帰る。

 

「ラム!レム!子供達は全員、村に帰した!」

 

「遅いわ、バルス。それでも、全力を出したの?」

 

「お疲れ様です、スバル君」

 

おでこから汗を流すラムを構いながら、レムが愛武器を振るっている。それ一振りで肉の塊へと姿を変えていく魔獣たちを敵ながら哀れに思いながら、あの子犬は何処へ行ったのか?と辺りを見渡す。

 

「グルルル」

 

「居た!あいつ」

 

ラムとレムの背後に陣取ったあの子犬の身体が黄色に染まるの見て、俺は駆け出す。そんな、俺に気づいたのか、子犬が俺へとターゲットを変更する。

 

「うっおぉおお!?」

 

下の地面が浮き上がり、身体が上へと弾かれて、混乱する俺に子犬もトドメとばかりに次の魔法を放とうとする。しかし、それはーー

 

「ーーエル・フーラ!!」

 

緑色の刃によって、真っ二つにされた為、その魔法が実行されることはなかった…。

そして、俺はというと、ドンと強い音を立てて地面へと激突すると……顔をしかめる。

 

「痛ててて……」

 

「無事なようね、バルス。その頑丈さだけは認めてあげてもいいわ。ねぇ、レム」

 

「そうですね、姉様。その悪運と頑丈さと見た目の悪さでスバル君の横に出る人は居ないでしょう」

 

「お前ら、助けろよ!!」

 

どうやら、あんなにいた魔獣の群れは二人の手によって片付いたのだろう。あまりの痛さで立ち上がれない俺を見下ろす二人の露出度満載のメイド服は所々、返り血を浴びて酷く汚れていた。比べて、二人が受けた傷は擦り傷くらいで目立ったものはない。

 

「………やっと、仇が打てたのね…」

 

自分がドドメを指した子犬へと視線を向けたラムの薄紅色の瞳の奥に見たことない感情が揺れるのを見て、俺は目をパチクリしてラムを見る。

 

「???。ラム?」

 

「何よ、バルス。いつまで、地面に寝転がってるの、帰るわよ」

 

「ちょっ、まっ……本当に痛くて、動けないんだって……」

 

そんな俺の訴えへを無視して、歩き出すメイド姉妹に冷や汗と涙が溢れる。何とか、上半身を起こして、横を見ると真っ二つにされた子犬の死体があるーー

“やったんだな……俺たち…”

ゆっくりと広がる達成感に俺は心の中で赤髪の少年を思い浮かべていた。

“ハル…やったぞ……、お前の仇取ったぞ…”

なのでーーなので、俺は後ろに隠れ潜んでいる悪意に気づけないでいた……

 

ガブッと、首筋を噛みつかれた感覚がした後ーー

 

気付くと、目の前にはドロドロと粘っこく紅い液体に濡れた地面と草が目の前にあり、何とか動く目だけで状況を理解しようとするが思考が上手くついていかない。

 

「バルス、しっかりしなさい」

 

「スバル君、待っていてください。い……」

 

両脇で俺の身体をゆする双子のメイドの珍しく焦った声に驚きを覚えながら、俺は意識を手放した……




というわけで、オリジナル展開のおしまいです。

スバルには死んでもらいたくありませんでしたが……これもハルの為なんですッ。スバル、すいません



※レム章、ゆっくりですが更新中。宜しければご覧ください。

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