機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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最終話・地球の興亡この一戦にあり・2

 ジェネシスからの攻撃により大損害を受けた連合軍だったが、辛うじてではあるものの、壊乱や戦線の崩壊などはせずに、各部隊指揮官らの努力もあり、攻勢を続行した。

 

 

 そんな中、連合軍に凶報が入る。

 

 ジェネシス破壊の中核戦力として参加していたユーラシア連邦第一艦隊旗艦アドミラル・クズネツォフがザフトMS部隊による強襲を受け轟沈、直掩部隊も壊滅し、ユーラシア連邦第一宇宙艦隊が壊滅、ユーラシア連邦艦隊の指揮を引き継いだハンス・ヨアヒム・バルクホルン少将の第二艦隊が第一艦隊への救援としてヤキン攻略部隊から分離し、急遽ジェネシス攻略部隊と合流。

 

 第一艦隊残余を吸収するも、その間にも襲撃を受け続け、ユーラシア連邦艦隊は残存艦艇アガメムノン級3隻、ネルソン級4隻、ドレイク級12隻のみとなり、他の補助艦艇を喪失、当初100隻近い艦艇を有したユーラシア連邦艦隊は、ジェネシスの攻撃と、ザフト精鋭部隊により戦力の8割を喪失した。

 

 しかし、それでも尚、ユーラシア連邦艦隊は食らい付いた。

 

 ジェネシスの威力を前にし、絶望的なまでの損害を受けても尚、無謀とも言える前進を続けた。

 

 「全艦、止まるな!怯むな‼︎我らは誇りあるユーラシア連邦宇宙軍である‼︎少しでも敵の目を引きつけるのだ‼︎突撃を止めるな‼︎敵の目が此方に集中すれば、他の艦隊が…味方が戦線を突破する助けとなる‼︎我らが故郷たる地球をあの炎に焼かせないために‼︎」

 

 バルクホルン少将がそう言って艦隊を鼓舞する。

 

 ユーラシア連邦の兵たちは、死の恐怖以上に、あの炎に自らの故郷、家族、友人など、自分たちの大切なものが焼かれる事にこそ恐怖し、自らを鼓舞し、戦いを続ける。

 

 ザフト虎の子の精鋭部隊を率いるのは、コーディネーターでも、ナチュラルでも無い、言って見れば人造人間とも言える存在……プロト02と呼ばれる後天的に改造措置を受けた空間認識能力の高い素質を持った元人間(・・・)である生体コンピュータであった。

 

 そして、部隊を構成する24機のMSに乗る者は全てプロト02と同じ存在である。

 

 ザフト……いや、プラント最高評議会議長パトリック・ザラが、ある男に対して極秘に建設していた秘密宇宙要塞メサイアを譲り渡す代わりにナチュラルを抹殺するために譲り受けたその男にとって不要になった(・・・・・・)素体…それが彼ら彼女らである。

 

 絶対的性能を見せる彼らの前にユーラシア連邦の誇る第一艦隊の精鋭たるMS大隊は蹂躙された。

 

 そして、ユーラシア連邦のエース級部隊も食い破られる。

 

 ユーラシア連邦艦隊は、苦境に立たされていた。

 

 ーーー

 

 ユーラシア連邦艦隊の状況は他の艦隊の知るところではあったが、他の艦隊もタイプ02と同じ存在からなる部隊に襲撃を受けていた。

 

 大西洋連邦第十艦隊は、切り裂きエド、乱れ桜の名だたるエースが撃破され、2名とも助かったが重体に…更に一個MS大隊を壊滅させられた。

 

 艦隊指揮官のワイアット中将が座乗する旗艦バーミンガムも襲撃されたが、直掩に当てていたのが大西洋連邦のエース部隊の一つ、第一戦闘MS大隊ジョリー・ロジャースであったこと、更に他の直掩隊も捨て身に近い迎撃戦を展開、12機の襲撃部隊は、エース部隊のジョリー・ロジャースの全滅と3個MS大隊の半壊、直掩艦4隻撃沈という代償を払い撃破に成功する。

 

 たった12機に100機近いMSを、それも名だたるエース級部隊を屠られたことに、流石のワイアット中将も驚愕した。

 

 そして、日本の艦隊も攻撃を受ける。

 

 ただし、日本艦隊は他の2艦隊より多い36機の襲撃部隊に襲われた。

 

 直掩隊は、ディアボル隊を当てていたが、流石に無理があり、彼らは回避に専念して襲撃部隊を引きつけつつ時間を稼ぐ戦術を取る。

 

 彼らが狙うのは、敵のエネルギー切れ、又は味方のMS部隊の増援である。

 

 ただし、並の部隊では即座に屠られてしまうため、他の直掩隊には前方にいる襲撃部隊とは別のザフト軍部隊への対処を割り当てていたことから、待っていたのはただの増援ではなく、エース級部隊による増援であった。

 

 そして直ぐに希望は叶う。

 

 後方に配置していた航宙母艦部隊から直掩に当てていたMS部隊であるアンタレス隊が救援に来たのである。

 

 隊長は元航空自衛隊で、航宙自衛隊に所属替えした人物で、彼が選んだパイロット達で編成された部隊であり、エース部隊と呼ぶに相応しい部隊だった。

 

 「アンタレス1エンゲージ‼︎……やっとザフトと戦える……行くぞ!」

 

 隊長…守人三等宙佐は襲撃部隊に突貫、それに彼の僚機も続く、彼は近接格闘戦にて敵の動きを制限しようとしたのである。

 

 幾度も斬り合い、鍔迫り合い、撃ち合い、そして、ディアボル隊もそれに加わる。

 

 時間にして数分か…体感にして数時間にも感じた戦闘は日本側が辛うじて迎撃に成功、アンタレス隊、ディアボル隊共に6割強の損害を受け、交代を余儀なくされた。

 

 

 どの艦隊も、ジェネシスと襲撃部隊による損害が多くユーラシア連邦艦隊に支援する余裕は無かった。

 

 ユーラシア連邦艦隊もそれは承知の上で、残った二個MS大隊…第666戦術MS大隊、通称ビーストナンバーと呼ばれるエース部隊と第105戦術MS大隊、通称ジャール大隊の二つの大隊が活躍し、襲撃部隊を退けた。

 

 しかし、そこまでで、弾薬やエネルギーも切れた両MS大隊は、戦闘不能に陥り、補給しようにも艦隊の被害は凄まじく、母艦も被弾によりMSの発艦や着艦が不能な状態に陥っており、ユーラシア連邦艦隊はその戦闘能力を完全に喪失、司令官であるバルクホルン少将は苦渋に満ちた表情で一時後退と、ヤキン攻略部隊への合流を指示、その後の指揮をヤキン攻略部隊に参加している第三艦隊司令に委ね、艦隊の後退を支援するため数隻の艦と殿を務め、ザフトMS部隊の袋叩きにあい壮絶な戦死を遂げた。

 

 それと程なくして、ジェネシスに核の光の比では無い程の眩い閃光が戦場を照らした……。

 

 

 

 

 

続編について、多分10話から20話程度になりそうです。そこで質問です。

  • 続編はここに続きで書いた方がいい
  • 続編は題名を少し変えて別に書いた方がいい
  • むしろ続編いらない

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