アラガミ転生記〜ザイゴートからの成り上がり〜 作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神
今回は日常回っぽいあれです。
愚者の空母に着いた。
空母というだけあってデカイな。
穴が空いていたから入ってみた。
広いな、暗いけど。
これなら俺達3匹でも充分暮らせそうだ。
「グルルル♪」「キヒヒヒ♪」
......なんでこの2匹はこんなに可愛く追いかけっこできるんだろうか。
「キシャァァァァァァ.......」
.....何か聞こえたな。
あの、サソリっぽい声が。
ズーン!!!と大きな音がした。
それと同時に、銀色の装甲が目に入る。
「キシャァァァァァァ!!!!」
ボルグカムランが先住していた様だ。
慣れた手付きで口に手を突っ込んで裂く。
よし、今日の晩御飯はこれで決まりだな!!
ほーれ、食っていいぞ。
「グルルルル〜♪」「キヒヒヒ♪」
仲良く分け合いながら食べる2匹を暖かく見守る俺。
......良いな、こういうの。
あらかた食い終わると、また2匹が残った物を咥えて持ってきた。
尻尾と胴体の一部か。
.....なんだろう、貢物を望んでもないのに渡される神様の心境が知れた気がする。
食うけどさ。可愛い家族は裏切れません。
パリパリしてて美味い。
その後も空母の中のアラガミをあらかた食い終わると、夜になっていたので眠りに就いた。
黒テイルを枕にして、黒ゴートを抱きしめて寝る。癒されるわぁ。
翌日、上が騒がしくて起きた。
2匹とも起きていたのだが、俺を起こさないようにしてくれてたのか。
本当に可愛い。
鉄と鉄がぶつかる音と、爆発物の音がする。
「グオォォォォォ!!!」
どこか機械的な叫び。相次ぐ爆発音。
これは多分、クアドリガか。
戦車のアラガミだっけか。
序盤は強かったなぁ。
なんて考えながら、じっとしている。
俺だって学んだ。出ていったら面倒事に巻き込まれるからな!!
今更感があるな、これ。
ズズーンと音がする。
同時に爆発音も止まる。
クアドリガ負けたのか。まぁ、ここ極東だもんな。
仕方ない。流石に仕方ない。
前より発達した聴覚で声を聞き取る。
「今回は比較的楽だったねぇ隊長!!」
「おぉ、ナナお前比較的なんて難しい言葉使えたんだな」
「ちょっとギル!?ひどいよ!?」
「まぁまぁお2人とも、依頼が終わったからって油断したらダメですよ?」
「シエルの言う通りだ。新しくアラガミが乱入して来るとか何回かあっただろ?」
「それもそうだな.....」
「ごめんなさーい」
聞き覚えのある声だ。
うん、これは出ない方が良いね!!!
どう聞いてもブラッドだもんね!!
よし、お前ら少し引きこもるぞ。
「グルルルル....」「キュゥ.....」
残念そうな顔すんなよ......。
しばらくして、足音も会話も聞こえなくなった。
ふぅ、良かった良かった。
奇跡的にレーダーにも引っかからなかったみたいだな。
なんでオペレーターってあんな優秀なの?怖いわ本当に。
出てみると、戦闘の後がチラホラ見えた。
派手にやったな。まぁクアドリガだとどうしても派手になるか。
周りを見渡し、後ろを見ると.....。
「.......」
「.......」
金色の猿と目が合った。
言わずと知れた筋肉ダルマ猿、コンゴウだ。
ど、どうもぉ。
「ウガァァァァァ!!!!」
「キエァァァァァァァァァァァ!!!!」(すいませぇぇぇぇん!!!!)
すぐさま空母に篭る。
び、ビックリした!!
心臓が一瞬止まったわ!!
俺は一旦落ち着いた。
よし、行くぞ!!
そう決意して蓋を開けると!!
「ウガァァァァァ!!??」
「グルルラァァァ!!」
「キィィィィァァァァ!!!」
お供の2匹がコンゴウをボッコボコにしていた。
あのさぁ、お前ら強くない!?
ザイゴートとオウガテイルだよね!?
その後、2匹は嬉しそうにコンゴウを差し出してきた。
だから、お前らが仕留めたんだからお前らで食っていいのよ!?
「グルゥ....」「キィィ.....」
俺はこの絶望した様な2匹の顔に、負けて分け合って食った。
2匹が嬉しそうだったので良いとした。
はい、ちょっとおかしい気がする日常回でした。
日常に殺し合いが入っても普通なのがこの世界ですよね。