推薦作品:死者に祈りを、兵には讃歌を 原作:原作:バイオハザード
バイオハザード。かの有名な、ゾンビと戦い、生き延びるサバイバルアクションゲーム。本作は、その二次創作である。二次創作とは、元ネタとなる「本家」と比べれば質、量ともに劣る事が多い。ゲーム製... (全文表示)
バイオハザード。かの有名な、ゾンビと戦い、生き延びるサバイバルアクションゲーム。本作は、その二次創作である。二次創作とは、元ネタとなる「本家」と比べれば質、量ともに劣る事が多い。ゲーム製作は、言わば専門技術を持つ集団が莫大な費用を投じ、収益を得るために作り上げた「製品」である。対して、二次創作は「個人」が仕事や家事の合間に時間を捻出しながら作ることがほとんどである。こうした理由から、本家(元ネタ)と比べてクオリティが見劣りするのは、言わば必然であり、私は胸の内でそれを常識として捉えていた。この作品を読むまでは。---------------------戦場に身を投じた兵士は何を見て、何を感じているのか。殺し、殺される異常なまでのストレス環境下で、如何にして己の精神を守りながら戦うのか。M4カービン、M14バトルライフルにはじまり、拳銃、爆薬、各種爆薬。無線、戦術、近接戦闘、屋内掃討戦、相互援護、サプレッサーで減殺された銃声の響き……。これら軍事的描写の正確性と鮮明さは、本家の質を遥かに凌駕している。それだけではない。登場人物――兵士達や混乱に巻き込まれた無垢な子供達――が抱える心象も鮮やかに魅せる。本作は「バイオハザードの二次創作」というのは名ばかりに過ぎない。本家を超えるミリタリー描写、上質で洗練された言葉選びによって構成された内容を、是非他の方々、それも多くのの目にも留まる事を願って止まない。
推薦:防衛太郎 評価:★ (参考になった:3/ならなかった:6)
推薦作品:【完結】The 5th Survivor 原作:原作:バイオハザード
アンブレラの任務のためならどこまでも冷酷になれ、絶望的な状況や戦場にあっても常に最適解を見出す死神HUNK(ハンク)。そんな彼を主軸に、『バイオハザードRE2』を舞台にしたオリジナルのストーリー。... (全文表示)
アンブレラの任務のためならどこまでも冷酷になれ、絶望的な状況や戦場にあっても常に最適解を見出す死神HUNK(ハンク)。そんな彼を主軸に、『バイオハザードRE2』を舞台にしたオリジナルのストーリー。バケモノに変貌したウィリアム・バーキンから襲撃に遭いウィルスの奪取に失敗したハンクは、司令部よりGウィルスのサンプルの回収と併せ、極秘裏に開発された幼い少女の形をしたB.O.W『LISA-001』を回収せよとの任務を受けます。『リサ』の名前から分かるように、リメイク版バイオハザードに出演した不死身の怪物『リサ・トレヴァー』の細胞から造られたオリジナルのB.O.Wです。アンブレラの女性研究者に造られ、見た目は子供、中身も子供、身体能力はタイラントに匹敵し、知識低下もない。精密機械を電気操作する能力、電熱を利用した鉄爪、もはや新人類と言ってもいい奇跡の生物兵器。最初は幼く、か弱い少女でしたが死神と行動するうちに心身ともに成長していき、終盤には予想だにしない展開を迎えます。中盤からは本編では死んでしまったU.S.Sの幽霊兵士GHOST(ゴースト)も合流し、人間味をそぎ落としたハンクには出来ない、人間性のある一面や未熟なルーキーっぽい若々しさを見せてくれます。シリーズ恒例の探索や、資料の回覧。タイラントと対峙したり逃走する際のリアルな絶望的光景、おぞましく変わり果てた生物兵器のありさま。いっそ吐き気を催してしまう腐臭を感じてしまうほど丁寧な描写。オリジナルとは思えないくらいに完成された、バイオハザードの外伝小説と思えます。サバイバルホラーのSSとは斯くあるべしと言える珠玉の一作。『弾薬少ない。モンスターいっぱい。ゲームと違って一撃喰らえば終わり。おまけに子守りまで。そんなアホ難易度でも仕事人に努めるからハンクかっこいいよね』とは作者の弁。公私混同を排し、仲間はおろか自身すらも切り捨てることができる非情な一面、徹底的なプロフェッショナルの性格を違和感なく書き上げ、ハンクのキャラクターを原作そのままに完成させております。▼読む際の注意事項など原作の魅力をカケラも損なわずに書きあげてられますが、半オリジナルのストーリーであり、レオンやクレアといった原作の主要人物が登場しません。ですが、あくまでもおまけゲームである『第4の生還者』をメインに捉えたものなので、それはやむなしというほかにないです。
推薦:風凪五月 評価:★ (参考になった:9/ならなかった:0)
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