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推薦作品:ゼルダの外伝 バナナ・リパブリック 原作:原作:ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』本編開始前からスタートする、オリジナル女性主人公もの。主人公のバナーヌはゲームにも登場する悪の組織「イーガ団」の、凄腕だが下っ端の「パシリ」。クールで無表情、で... (全文表示)
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』本編開始前からスタートする、オリジナル女性主人公もの。主人公のバナーヌはゲームにも登場する悪の組織「イーガ団」の、凄腕だが下っ端の「パシリ」。クールで無表情、でもバナナに目がない彼女が、数々の秘密魔法アイテムと、戦闘経験で磨きぬいたセンスを武器にハイラルの大地を駆け巡る。 原作ゲームの世界観が、ハイラル王国にまつわる歴史学・地政学的な作者独自の考察を加えた形で描写されていて、作品全体にリアリティと重厚な印象を与えている。 またバナーヌの使う「ヘビーブーツ」「疾風のブーメラン」といったアイテムや、作中のちょっとした描写などには「ブレスオブザワイルド」のみならず「時のオカリナ」や「ムジュラの仮面」「スカイウォードソード」といったゼルダ過去作の要素もふんだんに盛り込まれており、ゼルダ好きであれば楽しめること請け合い。 世界観およびバナーヌを取り巻く状況、魔物との死闘などは基本的にシリアスな描かれ方だが、バナーヌの少しとぼけた反応やバナナへの熱い思い、またバナーヌの友人や仲間とのやり取りは、温かでコミカル。総じてメリハリの利いた作風といえる。 ハイラル世界に対する深い考察と女の子同士のキャッキャウフフ(たまに裸体)、そして作者の持つ確かな「ゼルダ愛」に満ちた作品です。▼読む際の注意事項など・主人公は基本的に戦闘経験豊かで、並みの魔物なら相手にならないほどの強さだが、決して「主人公TUEEE」ものではないこと・一話がそれなりの長さなので、「簡単にさらっと読める」作品ではないこと・ゲーム本編主人公のリンクは、登場こそするもののメインでは出てこないので、オリジナル主人公とリンクとの絡みが見たい人は、おそらくもうしばらく作品の展開を待たなければならないこと
推薦:けすた 評価:★ (参考になった:8/ならなかった:1)
推薦作品:ゴジラ vs 大仏 原作:原作:シン・ゴジラ
この夏、異例の大ヒットを記録し日本特撮の新境地を拓いた超大作「シン・ゴジラ」は、日本のゴジラ映画としては1954年公開の「ゴジラ」(いわゆる初代ゴジラ)を除けば、ゴジラはおろか怪獣というものが存在し... (全文表示)
この夏、異例の大ヒットを記録し日本特撮の新境地を拓いた超大作「シン・ゴジラ」は、日本のゴジラ映画としては1954年公開の「ゴジラ」(いわゆる初代ゴジラ)を除けば、ゴジラはおろか怪獣というものが存在しない現実の日本を舞台とした初の作品である。日本とゴジラの戦いを描いた映画といえば1984年公開の「ゴジラ」(いわゆる84ゴジラ)が挙げられるが、それとて1954年のゴジラ上陸を経験した世界が舞台であり、よってゴジラ対策として実力部隊の配備や法整備などがある程度進められていて、いざゴジラが出現したとき、だれもが迷いもなく「ゴジラだ」と認識できているという点で、われわれの世界とは似て非なるある種のファンタジーであるともいえる。しかし、「シン・ゴジラ」ではそれまでゴジラもほかの怪獣も現実には存在しなかった世界へ、突如としてゴジラという虚構が現れる。巨大不明生物との対峙という日本史上どころか人類史上初の危機に1億の日本人が総力戦を挑む、それが「シン・ゴジラ」である。さて、そのゴジラが現れたのが現代ではなく、聖武天皇の治める奈良時代であったなら、という、なんとも突拍子もない設定がなされているのが本作だ。さすがの庵野総監督も予想できなかったろう。武器といえば弓矢や刀剣しかない時代に海より上陸し破壊のかぎりをつくすゴジラに天皇がとった対抗手段、それは、大きな仏像、すなわち大仏を建立し、もってゴジラと戦わせ撃退することであった。ゴジラと大仏、すなわち神と仏の人智を超えた戦いが幕を開ける。ここだけ見るとおバカな作品に見えるかもしれない。しかし、時代背景を汲んだ筆致は見事のひとことであり、読んでいるうち自分が古文書かなにかをひもといているようななにやら怪しい感覚にとりつかれてしまう。しかも、登場人物は皆が皆、その時代で生まれ育った人間であり、二次創作でありがちな、現代から転生や転移や憑依したキャラクターなど存在しないため、ゴジラなる巨大生物を例外なく見たこともないし知識もないのだ。原作のカヨコにあたる登場人物はゴジラの存在と名を知っているが、それはやはりカヨコ同様、彼女の地位と立場によって知りえた情報であって、第4の壁をいたずらに壊してしまうようなことはない。つまり、恐ろしいことに、これだけシュールな設定でありながら、本作にはツッコミ役が存在しないのである。全員がいたって真剣に大仏をゴジラと戦わせようとしている。これが最善の手段だと信じきっている。こんな作品が出てくるなんて「まったく想定外だ」なのである。▼読む際の注意事項など昔々、カムイ伝という漫画に、時代劇であるにもかかわらず「ドル箱」とか「千載一遇のチャンス」とかいう台詞があったが、本作にもときおり横文字が登場する。そういえば水戸黄門でも「八兵衛、またサボっとるな!」と黄門様が怒鳴っていた。カムイ伝や水戸黄門の場合は単なるミスであろうが、本作ではだいぶ恣意的である。そこはそれとご容赦いただきたい。だって、どう見てもエヴァがモデルなんだから、発進するときは「リフト・オフ!」って言いたいだろう。そういう作品である。
推薦:蚕豆かいこ 評価:★ (参考になった:134/ならなかった:9)
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