推薦作品:個性『RTA』があまりに無慈悲すぎるヒーローアカデミア 原作:僕のヒーローアカデミア
昨今、ハーメルンではRTA風小説というものが流行になりつつあります。良作、駄作、未だ見ぬ作品が今後も次々と産み出されていくのでしょうが、本作はその中でも堂々たる「正統派」と言うべき作品です。 念... (全文表示)
昨今、ハーメルンではRTA風小説というものが流行になりつつあります。良作、駄作、未だ見ぬ作品が今後も次々と産み出されていくのでしょうが、本作はその中でも堂々たる「正統派」と言うべき作品です。 念のため、RTAとはなんぞやということを軽く説明しておきますと、これは本来ゲームのスーパープレイのことを指します。人力で、如何にして最速クリアないし目標達成するかを競うもので、特にニコニコ動画においては、そこにブラックジョークとスラングに満ちた解説を付与し、実況プレイ風動画と銘打ったものが広く流行していました。 さて、これは個人的な考えになりますが、実況プレイ風動画のノベライズというものは、書くにあたり、ひとつ大きな問題点があると思われます。それは、「ゲームシナリオと実況が並立しない」という点です。実況プレイ風動画、その本来の醍醐味は、まさにこの並立にあると言って間違いありません。主人公がシナリオを紡ぐさまを、そこにRTAプレイヤーが介入して引っ掻き回したり失敗して嘆いたりするさまを、視聴者は画面の内と外を自由に行き交いし、共に囃し立てて楽しむ趣向なのです。 それを文章に落としこむ……これはなかなか容易なことではありません。視点移動、それは神たる作者の御業にて行い、我々読者は唯々従うだけ。図式的に言い換えれば、「主人公とプレイヤー/それを見守る視聴者」というトライアングルの関係にあったものが、間に作者を挟み、視聴者は作者を通して主人公とプレイヤーを見る関係へと変わってしまうのです。そこに実況プレイ風動画本来の自由さは見当たらず、頻繁な視点変更が感情移入を妨げるのみ。これではむしろ、コンテンツの旨味を削って退化させたという見方すら可能でしょう。 ……長い前置きはこのくらいに。それでは本題に入りましょう。本作には――少なくとも最新話までは、プレイヤーの視点で主人公を眺める話は出てきていません。プレイヤーの扱いは徹底して「脅迫的な天の声」であり、物語は、それに翻弄される主人公ないし周囲の人物からの視点で描かれています。 これは一見すると欠点に見えます。前述した実況プレイ風動画の旨味、視点の行き来というものを完全に失ってしまっているからです。しかし動画のパロディであるという点から離れて、物語としての構造に目を向けてみればどうでしょうか。……打ち倒すべき敵は絶えず傍らにあり、打ち倒すべき理由もまた誰の目にも明らか。目標と動機を読者に鮮烈に意識させる、シンプルかつ強固な構造が浮かび上がってくるのです。 つまり、本作は目新しいものではありません。むしろRTAというドレスを脱がせば、「悪神に立ち向かう『ヒーロー』」という単純かつ古典的な原型が隠れています。しかし単純だからこそ力強く、深く雄弁に――RTAというコンテンツの全てを忠実に再現せんとするよりも、「RTA」を物語ります。作者は奇抜な手段を採らずして、見事、新しいものをより巧みに描き出したのです。これが冒頭、本作を「正統派」と評した理由となります。 推薦欄の文字数も残り少なくなって参りました。悲劇を描く作者の筆力、濃く立ちこめる不穏な空気、サイコパシーを感じるほどにおぞましい天の声など、素晴らしい点は挙げれば尽きませんが、それは実際に読んで味わっていただくとしましょう。 物語は未だ始まったばかり。幾人ものヒーロー、ヴィランと出会い、これから彼女に何が待ち受けるかは、神ならぬいち読者には知る由もありません。 けれどもきっと、読んだ貴方はこう思うはずです。「こんな作品を読んでみたかった!」と。
推薦:ヰ宮まいみ 評価:★ (参考になった:3/ならなかった:6)
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アギト、ファイズ、ブレイドのクロス。同一世界線で最終回後。毎日夜九時更新中で超おすすめ。原作キャラの再現精度が高く、TVの続編を見ている気分にさせてくれる。相変わらずのナチュラルボーンスーパーヒ... (全文表示)
アギト、ファイズ、ブレイドのクロス。同一世界線で最終回後。毎日夜九時更新中で超おすすめ。原作キャラの再現精度が高く、TVの続編を見ている気分にさせてくれる。相変わらずのナチュラルボーンスーパーヒーロー津上翔一。剣崎の守りたかったものは俺が守ると静かに燃える相川始。謎の存在に体の崩壊を止められたものの、棚ぼた的に伸びた命を持て余す乾巧。オルフェノクを狩りだしたアンノウン。アンデッドである始を襲撃するオルフェノク。そして巧の体の崩壊を食い止めた謎の存在の思惑。ギルスやデルタ、参戦はまだだけどギャレンの活躍も期待できる。そして今作のおそらくキーマン、相変わらずのただの人間、どころかG3-Xでもなくなっちゃった氷川誠。人間同様、善人もいれば悪人もいる、しかしその生態は現行人類の天敵でしかないオルフェノクは守るべき市民なのか?彼の掲げる正義の天秤はいずれに?注意点原作、というよりTVで描かれた範囲(放送で表現されなかった裏設定や後付設定を除く)との矛盾点は無いように見受けられますが、DVD版ではあったというアークオルフェノクの死亡は無い設定のようです(これも放映版準拠)。もっとも、王の最後を看取ったのはエビ姉さんだけなので、現時点の主人公陣が知らなくても当然なのですが。また、各作品の最終回後を描いているため、当然ながらネタバレが含まれます。
推薦:Paradisaea 評価:☆ (参考になった:2/ならなかった:0)
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