「フィオーレ。それで一体何があったんだ?」
「えーと・・ですね・・」
要約するとこうだ。
アウラとマーレの『森には危険があるから入るな』という警告を無視してイグヴァルジが入った。
二人は仕方ないと思ったが、心配になったマーレはイグヴァルジを追いかけた。
イグヴァルジがドライアドのピ二スンと会った。そこでピ二スンはイグヴァルジに『薬草』の場所とその場所の危険性を話す。その危険性が『ザイトルクワエ』である。
そのザイトルクワエに関する話を聞いたイグヴァルジが薬草を取りに行こうとした所をピ二スンが制止。
「ザイトルクワエは危険だから、行くな」と警告、それを聞いたイグヴァルジが逆上。
マーレが止めようとした所でモモンたちがやってきた。
以上である。
「成程な・・・君は悪くないな。私たちの同業者がすまない」そう言ってモモンは頭を下げる。
「いえ・・そんな・・・」
「それで気になったんだがピ二スン、君がイグヴァルジに話した『ザイトルクワエ』に関する話を聞かせてくれないか?」
「うん!いいよ!お兄さんはあの人とは違って話せるみたいだね!」
ピ二スンの言う『あの人』とはイグヴァルジのことだろう。同業者であり依頼を合同で受けた身としては胸が痛む。
「その・・・私の同業者がすまない」正直な気持ちをモモンは伝えた。
「もういいよ。確かにビックリ!したけど『ザイトルクワエ』程じゃないし!」そうピ二スンは言ってくれた。そう言ってもらってモモンは頭の中で感謝の言葉を告げた。だが同時にザイトルクワエなるものを警戒した。
「それでその『ザイトルクワエ』というのは何なんだ?」
「『ザイトルクワエ』っていうのはね・・・・」
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
「・・・・ってこと。ヤバいでしょ?」
「確かに・・・・」
モモンが聞いた話は要約するとこうだ。
(恐らく)数百年前に『ザイトルクワエ』なる植物が『次元を切り裂くようにして出現』した。
そのザイトルクワエはトブの大森林で中央部に向かいながら栄養を蓄えて眠ったとのことだ。
その後・・・(恐らく)数百年後にふらりと現れた旅人たちが『枝』を倒して『封印』したとか。
(これは推測だがモモンは)その旅人の種族や容姿から『十三英雄』の可能性を感じたのだ。
(だから『十三英雄』の名前を出していたのか・・)ようやくイグヴァルジの行動を理解したのだ。
(彼もまた『十三英雄』に憧れた者か・・・)
(・・・・・)
「危険だからね、今は入らない方がいいんじゃないかな?」
「あなたはどうするのですか?確かドライアドは本体からはあまり離れなかったと記憶していますが・・」ナーベが口を開いた。
「ん?まぁ気長に待とうかな・・・旅人の彼らの約束もあるし」
「約束?」
「うん。『ザイトルクワエが復活したら必ず助けに行く』って約束してくれたんだ」
「もし彼らが来なければ?」(もし『十三英雄』なら最低でも200年前か。彼らが助けにこれるとは思えないな)
「それなら・・ドラゴンでも来れば何とかなるでしょ?」
「ドラゴン?」
モモンは疑問に思う。この辺りでドラゴンがいたと聞いた覚えは無い。アゼルリシア山脈にフロストドラゴンがいるとは聞いたことはあるが、フロストドラゴンがトブの大森林に『偶然』来る可能性はそんなに高くないだろう。
(となると・・ここでピ二スンを助けないと何かしらの被害を受けることになる)この時モモンが考えた最悪の被害は死であった。
「うん。だって『ザイトルクワエ』は『世界を滅ぼす魔樹』だよ。それに対抗できるのはドラゴンくらいでしょ」
(世界を滅ぼす・・・か。危険な敵だというのは確かだな)
「さぁ・・どうでしょうね」そう言ってナーベはモモンの方を見る。視線に気づいたモモンはそれに応えた。
「全てのドラゴンが強いという訳でもないだろう」(最悪の場合、『
『
それはモモンがミータッチから授かった10個の武技の総称である。
モモンが今まで使用した『闘気』もその1つである。
といってもこの時は実際に使用できるのは8つだけである。
「えっ!いやでも!」
「まぁ。この話はここまででいいだろう。それでその『ザイトルクワエ』はどうしてる?」
「今は眠ってる。でも何か切っ掛けがあればすぐに目覚めるよ」
「切っ掛け?」
「うん。ザイトルクワエの身体に触ったりしたら目覚めるはずだよ。君たちの言う薬草はザイトルクワエの頭に生えているアレのことだと思うし・・・・」
「!っ・・・・」(イグヴァルジが危ないな)
「それと時期的にもそろそろ目覚める頃なんじゃないかな?」
ピ二スンがそう言った時、何者かの叫び声が聞こえた。