提督の憂鬱   作:sognathus

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時間的には健康真だの前のお話。
何となくネタが浮かんで書きました。
急ですいません。


第51話 「爪切り」

パチッ......パチッ......。

 

多摩「にゃ?」

 

夜中、皆が寝静まった基地で、お手洗いから戻る途中だった多摩は執務室の前で妙な音を聞いた。

 

多摩「何の音にゃ?」ソー

 

気になってこっそり部屋を覗いてみるが誰も居なかった。。

音は執務室からしか行けない提督の私室からしている様だった。

 

多摩(気になるにゃ......部屋からは明かり漏れてるから大佐は起きているはずにゃ)

 

多摩「......よしっ」

 

 

大佐「誰か居るのか?」

 

 

多摩「にゃぁ!?」

 

 

ガチャ

 

提督「多摩か。こんな時間にそんな所で何をしているんだ」

 

寝間着姿の提督が現れた。

本人の趣味なのかどうかは分からないが、着物姿が妙に様になっていた。

 

多摩「えっと......えっと......」プルプル

 

提督「別に怒ってはいない。執務室は俺が居ない時は出入り自由だからな」

 

多摩「お、怒らない?」

 

提督「そう言ったろ」

 

多摩「にゃ......廊下を歩いていたら大佐の部屋の方から変な音がしたから、気ににゃって......」

 

提督「音?」

 

多摩「そうにゃ。こう、パチッ、パチッって」

 

提督「ああ。爪切りの音を聞いたのか」

 

多摩「爪? 大佐、爪を切っていたのかにゃ?」

 

提督「そうだ。寝る前に少し伸びているのに気付いてな。気になって切っていた」

 

多摩「なんだ、そうだったのかぁ」

 

提督「気が済んだか?」

 

多摩「うん。ごめんにゃ。失礼しま......」

 

提督「どうした? 指がどうかしたのか?」

 

多摩「大佐」

 

提督「ん?」

 

多摩「多摩も切って欲しいにゃ」

 

提督「なに?」

 

多摩「多摩も爪を切って欲しいにゃ!」

 

提督「どうしたんだ、いきなり」

 

多摩「多摩はたった今、まだ自分が爪の手入れをしていなかった事に気付いたのにゃ。だから大佐にそれをお願いしたいのにゃ」

 

提督「俺は女の爪を手入れできるほど器用でもないし、気も遣えないぞ」

 

多摩「そ・れ・で・も! 切るだけだったらできるにゃ?」

 

提督「切るだけだったらな。だがな、おm」

 

多摩「それだけでもいいにゃ! 切った後に鑢で整えるくらいはワケないはずにゃ」

 

提督「それだってお前が満足する程の出来とは限らないぞ?」

 

多摩「多摩は大佐に切って貰えるだけで満足にゃ。だから......お願いにゃ。切ってぇ」スリスリ

 

提督(急に何を言い出すのかと思えば今度は甘えてくるか。本当に猫だなこれは)

 

提督「分かった。ほら、動き難いから離れろ。切ってやるから」

 

多摩「! ありがとうにゃぁ♪」ピョン、ギュ

 

提督「こら、動き難いと言ったろ。全く......部屋に入るぞ」

 

多摩「分かったにゃ。お邪魔しますにゃ♪」

 

 

~提督私室

 

多摩「......」キョロキョロ

 

提督「何か珍しいのか?」

 

多摩「多摩、大佐のお部屋に初めて入ったにゃ」

 

提督「そういえば、艦娘で入れたのはお前が初めてだったかもな」

 

多摩「ホント!?」

 

提督「多分な。なんだ、嬉しそうだな」

 

多摩「当り前にゃ! だって、だって多摩が一番にゃんてぇ......♪」フルフル

 

提督「よく分からない拘りだな」

 

多摩「猫は総じてそういうものにゃ」

 

提督「お前が言うと何となく説得力があるな」

 

多摩「にゃふふ~。大佐も分かってるにゃぁ♪」スリスリ

 

提督「いちいち擦り付いてくるな。暑い」

 

多摩「多摩はこれがいいのにゃ♪」

 

提督「全く......ん? 今度はどうした?」

 

多摩「今気付いたけど、大佐の部屋って物があまりないにゃ」

 

提督「まぁ、ベッドと風呂を除いたらら酒と煙草を収めてる棚だけだからな」

 

多摩「大佐らしいけど、もうちょっと賑やかにすると良いと思うにゃ。そうじゃにゃいと女の子はちょっと気まずいかもしれないにゃ?」

 

提督「私室と言っても軍から提供された施設の一部だ。女を誘う為に使えるわけがないだろう」

 

多摩「にゃふふ、相変わらずお堅いにゃ。んにゃ、切って」ピョン

 

提督「膝の上に、寝るのか」

 

多摩「これがいいのにゃ♪ はい、手」

 

提督「まるで幼子だな」パチッ

 

多摩「にゅふふ~♪」スリスリ

 

 

――数分後

 

提督「ほら、切ったぞ」

 

多摩「ありがとにゃ。今度は足もお願いするにゃ。はい」

 

提督「おい、はしたないぞ。下着が見えている」

 

多摩「別に見せるつもりでやってるわけじゃにゃいから多摩は気にしないにゃ」

 

提督「俺が気になる」

 

多摩「にゃ? もしかして多摩のパンツみてこうf」

 

提督「切らないぞ」

 

多摩「にゃにゃ! ごめんにゃ。謝るから切って欲しいにゃ」

 

提督「それでもその格好は変えないのか」

 

多摩「この格好が良いのは本当なんだにゃ。だからお願いにゃぁ」スリスリ

 

提督「膝の上でじゃれつくな。ふぅ......」パチッ

 

多摩「あ、切ってくれるのにゃ。もうパンツは気にならないかにゃ?」

 

提督「お前と話していたら、島風と話しているみたいな感覚になって、気にならなくなってきた」

 

多摩「にゃ? それってどういう事にゃ?」

 

提督「子供の下着には食指は動かんという事だ」

 

多摩「ガーン」

 

バッ

 

提督「おい、何で片足が終わらないうちにもう片方を出す?」

 

多摩「セクシーアピールにゃ!」マルミエ

 

提督「そうか......」パチッ ←余計に気にならなくなった

 

多摩「ガーン!」

 

 

~数十分後

 

提督「終わったぞ」

 

多摩「結局、表情一つ変えなかったにゃ......。多摩は、何だか負けた気がするにゃ......」ショボーン

 

提督「それは残念だったな。もっと女を磨いて出直して来い」

 

多摩「にゃー! 悔しいにゃ!」ピョン、グルグル、トン

 

提督(凄い動きだ......)

 

多摩「大佐、次は負けないにゃ! 覚えているにゃー!」

 

バタン

 

 

提督「......」

 

提督「さ、寝るか」




多摩はやっぱり天然でこそ多摩だと思います。
逆に球磨は......多摩と比べるとちょっと動かし難いかも。
ま、彼女の番が来るまでには何とかしたいですね。

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