提督の憂鬱   作:sognathus

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青葉が衝撃の事実を大佐に告げようとした丁度その時、本当にいいタイミングで榛名の登場です。
青葉と大佐の運命は如何に。


第22話 「我儘」

青葉「え」

 

提督「榛名か? いるぞ。入れ」

 

 

ガチャ

 

榛名「失礼します」

 

青葉「は、榛名さん......」

 

提督「ん......? なんだ青葉、重大な知らせというのは榛名の事だったのか?」

 

榛名「え?」

 

青葉「えっ」

 

提督「榛名を見る限り、俺の命まで関わっているようには見えないんだが」

 

青葉「た、大佐!」

 

榛名「あ お ば さん?」

 

青葉「ひっ!?」

 

榛名「私の事、大佐に何かご忠言をしようとしてたみたいですが?」ニコ

 

青葉「え、えっと......それは......」アセ

 

榛名「あまり余計な事はしないでくれますか? でないと......」

 

榛名「46cm砲を貴女の顔にねじ込んで、以降、青葉さんのことは『あ』だけ抜いて呼んで差し上げますよ?」ニコォ

 

青葉「ひ、ひぃ! お、お願いです! 砲撃も嫌ですけど、『おばさん』なんて呼ばないで下さい!」

 

提督(榛名?)

 

榛名「なら分かってますね?」

 

青葉「あ、青葉は何も見てません! 何も知りません!」

 

榛名「よく出来ました♪ じゃぁ、ちょっと私は今から大佐に用があるので出て行って貰えますか?」

 

青葉「りょ、了解であります! 大佐、失礼します!」

 

提督「青葉」

 

青葉「は、はい?」

 

提督「後で俺が呼んだらまた来るように」

 

青葉「分かりました......失礼します」ズーン

 

 

バタン

 

提督「さて......」

 

榛名「大佐......」

 

提督「何かあったのか?」

 

榛名「っ、 大佐っ!」ダキ

 

提督「うぐっ......どう......した?」

 

榛名「大佐、今榛名の事心配してくれました? 気に掛けてくれました?」

 

提督「まぁ、いつもと明らかに様子が違っていたからな。どうかしたのか?」

 

榛名「大佐......榛名は......榛名は、悪い子でした。大佐に甘えたいのに、優しくしてもらいたいのにずっといい子の振りをしていました!」

 

提督「なに?」

 

榛名「私がずっと大人しかったのは、大佐やお姉様達に褒められたかったからんです! 喜んで貰いたかったからなんです!」

 

大佐「......」

 

榛名「でも、それじゃダメだと気付いたんです......。皆は喜んでくれても、榛名は寂しいだけでした......」

 

榛名「大佐......私は、榛名は、大佐にもっと甘えたいんです! 『よくやった』ってもっと褒めてもらいたいんです!」

 

榛名「そんな思いを今までずっと隠していい子の振りをしてきました。ごめんなさい!」

 

大佐「......榛名」ス

 

榛名「......っ」ビクッ

 

ポン

 

榛名「あ......」

 

大佐「全く、お前たち姉妹はどうしてこう手間のかかる......」ナデナデ

 

榛名「大佐ぁ......」ブワァァ

 

大佐「いつも苦労していたんだな。我慢をしていたんだな」

 

榛名「うぅ......ぐす」スリスリ

 

大佐「気付いてやれなくて悪かった。俺はお前にずっと負担を掛けていたんだな」

 

榛名「そんな! それは、榛名が勝手に......!」ガバ

 

大佐「分かってる。分かった上でお前に命令する。もう無理はするな。少しは我儘でいろ」

 

榛名「我儘でいろなんてそんな......」

 

大佐「お前の我儘は俺に迷惑を掛ける程なのか?」

 

榛名「そんなこと......! そんなことはありません!」

 

大佐「なら、少しくらい欲張れ、自分に正直でいろ。な?」

 

榛名「大佐......大佐ぁ!」ダキッ

 

大佐「っ......、周りを気にすることは無い。俺はお前を信頼している」

 

榛名「ひっく......ぐす......あ、ありが......ありがとうございます......」

 

大佐「さぁ、涙を拭け。そして遠慮なく言ってみろ、自分の望みを」

 

榛名「ぐす......はい。榛名、大佐にお願いがあります」

 

大佐「なんだ?」

 

榛名「榛名も大佐の恋人にしてください。甘えさせてください!」

 

大佐「時と場所は弁えろよ?」

 

榛名「勿論です!」

 

大佐「ならいい。俺も応えられる範囲で応えよう」

 

榛名「大佐、ありがとうございます! 本当に......大好きです!」ダキッ

 

大佐「ぐっ......一つだけいいか榛名」

 

榛名「はい。何でも言ってください。大佐の為なら私......」

 

大佐「お前に限った事じゃないが、いきなり抱き付くのは少し遠慮して欲しい」

 

榛名「え?」

 

大佐「いや、別に抱き付くなというわけじゃない。その、なんだ......お前たちは、特に戦艦は力があるからその......」

 

榛名(あの大佐が凄く歯切れが悪そうにしてる......。こんな表情を見たのは初めて......)

 

大佐「男が女性にこんな事頼むのは恰好つかないが......もう少し加減して抱き締めて貰えると助かる」

 

榛名「大佐......くす。分かりました♪」キュ

 

大佐「む......。流石だな」

 

榛名「はい。榛名、我儘な良い子ですから♪」スリスリ




甘い!と、個人的に思います。

これで一件落着かと思いきや、残りの姉妹がなんか画策してたり、青葉への説教が残ってたりするんですよね。
やる事為す事いっぱいですね大佐。

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