ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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130ありんすちゃんのあけおめ

 あけましておめでとうございます。

 

 ナザリック地下大墳墓 第二階層の屍蝋玄室の前には赤い鳥居が建てられています。更にお賽銭箱まで置かれています。

 

 お賽銭箱の前ではありんすちゃんが得意そうにしています。

 

 今日のありんすちゃんは巫女服を着ていてとても可愛いですね。ありんすちゃんに巫女服を着せる為、シモベのヴァンパイア・プライドが大変な苦労をしたのは秘密です。

 

「この箱におちゃいちぇん、入れるでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはシモベ達を集めて言いました。そして少し考え込むと言葉を続けました。

 

「……おちゃいちぇんじゃなくてもお菓子でも良いでありんちゅ。ありんちゅちゃの好物入れて良いでありんちゅ」

 

 フンスと鼻息を荒くするありんすちゃんにヴァンパイア・プライドの一人が恐る恐る声をかけます。

 

「……ありんすちゃん様、恐れながら私たちシモベはお菓子も持っておりませんが……かといって屍蝋玄室から持ち出すのも意味がないかと……」

 

 ありんすちゃんはしばらく考え込むと何か閃いたようです。

 

「……しょれなら他の階層からありんちゅちゃのお参りしゃしぇるるありんちゅ!」

 

 それからありんすちゃんはヴァンパイア・プライド達を各階層に行かせて『ありんすちゃん神社にお参りをするよう』伝えさせます。ありんすちゃんは大きな紙に『ありんちやのじんじやこち』と貼紙を作りました。

 

 第二階層のゲート入り口に貼るんだそうです。

 

 そうして準備をするとありんすちゃんは巫女さんとしてお賽銭箱の側に待機をします。

 

「……こりでいぱいイパーイお年玉あちゅめるでありんちゅ」

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 新年そうそう第二階層に初めてやって来たのはアウラとマーレでした。

 

「やほー。ありんすちゃん、あけましておめでとう。あたし達と羽根つきしようよ」

 

「……あの、あけましておめでとう、ございます」

 

 アウラは紋付き羽織に袴、マーレは振り袖を着ていました。

 

 ありんすちゃんは首をふります。

 

「ありんちゅちゃは巫女ちゃんしるでありんちゅからダメでありんちゅ」

 

「……ふーん。あっそ」

 

 アウラとマーレはあっさりと頷きます。

 

「……そうだ。マーレ。確か食堂にアインズ様がお雑煮とお汁粉を用意してくれているらしいね。これからアインズ様に新年のご挨拶しにいこうか?」

 

 途端にありんすちゃんのお腹がグウ~と鳴りましたが双子は気がつかないふりをします。

 

「……あの、そ、そうですね。せっかくの晴れ着をアインズ様に、あの、ご覧いただきたいですよね」

 

 賑やかに去っていく二人をちょっと羨ましくなったありんすちゃんでした。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 お雑煮もお汁粉も我慢して頑張り続けたありんすちゃん神社でしたが、残念ながら次の来客によっておしまいとなってしまいました。

 

「……お賽銭箱かぁ。わたしぃの大好物のぉ、おいしぃ栄養満点のおやつぅ、たくさん入れてあげるぅ~」

 

 みるみる黒くてピカピカ光沢がある『おやつ』が溢れ出す賽銭箱からありんすちゃんは逃げ出すのでした。

 

「……もうありんちゅちゃ神社やらないでありんちゅ」

 

 ありんすちゃん、新年そうそうに災難でしたね。

 

 翌日になったらすっかり忘れてしまい、またしてもありんすちゃん神社が復活したりしますが……仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。


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