ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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133ありんすちゃんツインテールにする

 ナザリック地下大墳墓 第二階層〈屍蝋玄室〉──今日のありんすちゃんはご機嫌です。

 

 三人のヴァンパイア・ブライドに髪をツインテールにしてもらっています。ありんすちゃんの長くて艶やかな銀髪はツインテールが良く似合いそうですね。

 

 ツインテールの根元にはピンク色のサクランボみたいなボンボンをつけます。服装は白のフリルがたくさんのワンピースです。

 

 ありんすちゃんは椅子から降りるとクルリクルリとワンピースを翻しながら回ってみせました。

 

「ありんすちゃん様。とってもお似合いです」

 

「本当にお似合いです」

 

 シモベのヴァンパイア・ブライド達の賞賛にありんすちゃんの小鼻が膨らみます。

 

「……と、とうじぇんでありんちゅ。ありんちゅちゃは可愛いでありんちゅから……ふん!」

 

 ありんすちゃんの頬がみるみる紅潮していきます。

 

「では、こりから見回り、しるでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはフンスと鼻から息を吐き出すと階層の巡回に出かけて行きました。興奮のあまり、ぎこちなく手足を揃えて歩いてしまっていますが……

 

 

※   ※   ※

 

 

 翌日もありんすちゃんは髪をツインテールにしました。今回は前より少し上から分けていますね。細い銀色の髪がユラユラ揺れています。

 

「おはよー! ありんすちゃん」

 

 いきなり扉が開き、アウラが入ってきました。アウラはありんすちゃんを見つけるとマジマジと見つめます。

 

「……へぇー……思ったより似合ってるじゃん。あーあ。あたしも髪が長かったらツインテールにしてみるんだけどな……」

 

 残念そうなアウラを見て、ありんすちゃんは得意になります。

 

「ふふん。ツインテールはありんちゅちゃにとぉっても、とぉおっても似合うんでありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんは鼻からフンスと息を吐きました。

 

「……うー……なんかムカつく……あたしも髪を伸ばすんだ。じゃあね、ありんすちゃん」

 

 アウラは乱暴に出ていってしまいました。

 

 ありんすちゃんはご機嫌です。シモベ達の賞賛を浴びながらまたしても階層の巡回に出かけていくのでした。

 

 

※   ※   ※

 

 やがて、ありんすちゃんがツインテールにし始めてから一週間が経とうとしていたある日のことです。

 

 ありんすちゃんがいつものようにヴァンパイア・ブライド達に髪をすいてもらっていると、来訪者がありました。

 

 ありんすちゃんが部屋に入れるとそれは領域守護者の恐怖公でした。

 

 恐怖公は真っ白のタキシードに身を固め、恭しく赤い薔薇の花束を差し出しながら言いました。

 

「この数日間というものの貴女の美しい銀色の触角に心奪われておりました。身分の違いこそあれど、この恋心はいかにもしようなく、ここに想いのたけをぶつけたく思います。願わくは我が宿世の伴侶となって頂きたく……」

 

 

 

 

 

 その日からありんすちゃんは二度とツインテールにする事はありませんでした。仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。


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