ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫

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045ありんすちゃんあちゃんになる

 ありんすちゃんはお風呂が大好きです。朝、起きたらまずお風呂、そして各階層を一回りし終えたらまた、お風呂に入ります。

 

 ありんすちゃんが特に大好きなのはバスタブ一杯に泡が溢れるなかでバチャバチャする事ですって。

 

 ヴアンパイア・ブライドが二人がかりでありんすちゃんをゴシゴシ洗います。

 

 するとありんすちゃんはピカピカのツルツルになります。身体を洗い終えたら、シャンプーです。ありんすちゃんはまず、頭にシャンプーハットをかぶります。

 

 シャンプーハットがないと泡が目に入ったり、顔があわあわして大変なので、必須なのです。

 

 仕方ないですよね。ありんすちゃんはまだ5歳時位の女の子ですから、シャンプーがちょっと苦手でも。

 

 ヴアンパイア・ブライドはありんすちゃんの頭をゴシゴシ洗います。

 

 ありんすちゃんの頭はその度にグラグラ揺れます。

 

 シャワーで綺麗に泡を流すと、今度はリンスです。

 

 ありんすちゃんお気に入りの花の香りがするヤツです。

 

 大変です! なんということでしょう! リンスの中身が空です! よりによってありんすちゃんがリンスをしようとしているタイミングでリンスが無くなってしまいました。

 

 なんということでしょう!

 

「うひひひひ。ありんすちゃん、リンスが無くなったっすか? これじゃありんすちゃんじゃなくてリンス無しの『あちゃん』っすね」

 

 不意に現れたルプスレギナが意地悪します。ありんすちゃん、真に受ける必要はありませんよ? ルプスレギナの言うことは出鱈目で、ありんすちゃんはありんすちゃんですから大丈夫です。

 

 しかしながらありんすちゃんは所詮まだ5歳児位の女の子、ルプスレギナの言葉を真に受けてしまったようです。

 

 ありんすちゃんが『あちゃん』になんかなるはずないのに……

 

 可哀相なありんすちゃんは風呂から飛び出して必死にリンスを探します。いやいや、そこらにリンスは落ちていませんよ? ありんすちゃん。

 

「そういえば、第九階層のスパにシャンプーとリンスが常備してあったっすね。まあまあ、慌てない慌てない。裸で至高の御方のおわす階をウロウロしたらまずいっすよ? まずはちゃんと服を着るべきっすよ」

 

 ありんすちゃんも恥じらいある乙女です。裸でウロウロ歩き回る変態さんにはなりたくはありません。

 

 ありんすちゃんはヴァンパイア・ブライド達に身体を拭いてもらい、ちゃんと服を着せてもらいました。

 

 これで準備万端です。

 

 珍しく、ルプスレギナがありんすちゃんをスパの入り口に案内してくれました。

 

「私はここで待っているっすから、ありんすちゃんはさっさとリンスを持って来ちゃって下さいっす。流し場の所に沢山あるっすから」

 

 ああ、後から考えたらルプスレギナが妙に親切過ぎだと疑問に思うべきでしたよね。何しろありんすちゃんの事を『男胸さん』だの『残念美少女』だの『ペタン血鬼』だのと陰口叩いていたルプスレギナです。

 

 疑う事を知らない純真無垢なありんすちゃんはガラガラとサッシを開けて中に入っていきます。

 

「入るでありんちゅよ」

 

「──服を着たまま風呂に入るなどというこの痴れ者がぁ!!」

 

 風呂場のゴーレム達が一斉に立ち上がり、ありんすちゃんを囲みます。まさに絶対絶命!

 

 ありんすちゃんはこんな事になるなら『あちゃん』になっても良かったな、と今更ながら思うのでした。


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