お隣さんが踏み台転生者だった件   作:あああう

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大変お待たせいたしました。


第三話

 「先手は譲るよ。」

 アインハルトはわずかに眉を顰める。まあ、戦う前から格下認定されるようなものだし腹が立つのだろう。とはいえこの娘分かりやすいなー。

 

 「行きます!」

 遠い間合いからの右ストレート。さすがに当たってあげる訳にはいかないので左腕で受け流す。

 それを予想していたのだろう、アインハルトは独特な歩法で俺の死角に回り込む。

 しかし、速度はともかくそれくらいのことをやってのける奴は地球のファイターにも居た。何ならもっと巧妙だったぐらいだ。

 死角からの蹴りを紙一重でよける。

 

 (当たらない!?)

 自分でいうのもなんだが俺以外にだったらほぼ完ぺきな奇襲だった。だがそれが通じるほど俺は甘くない。

 

 (ならばこれはどうですか!)

 アインハルトは正面からラッシュをかける。かなりの速度だが見切れないほどじゃない。

 

 (そんな!) 

 拳に魔力を込め隙が出来たところでアインハルトの腹に正拳を叩き込む。

 

 「~~~ッッ!?」

 もろに喰らったアインハルトが地面に倒れこむ。

 こんな風に女の子を這いつくばらせるのは趣味ではないがアインハルトは油断できる相手じゃない。アインハルトは聖王の鎧抜きのヴィヴィオと互角ぐらいの力を持ってる。手加減はしても気は抜けない。

 

 「…まだやるかい?」

 花山さんみたいな言い方になってしまったが決してネタで言ってるわけではない。ここで諦めるようなら原作に近づけないほうがきっとアインハルトも幸せだろう。だが。

 

 「まだ私は、負けていません!!」

 そういって立ち上がるアインハルトの目には勝利への執念が宿っていた。

 

 「わかった。なら最高の一撃を打ってこい!」

 それを叩き潰してやる。

 

 「はい!」

 アインハルトは目を閉じ構えなおす。かなり集中しているようで膨大な魔力がその拳に集まっていることが感じられる。

 それを俺は正拳突きで迎え撃つ。

 

 「こい!」

 「覇王断空拳――――!!!」

 お互いの一撃が腹に入る。

 

 そして、立っていたのは俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________

 

 今回の勝負は順当と言えば順当で勝つべくして勝ったものだ。ぶっちゃけ圧勝だったと思う。

 とはいえアインハルトはその歳で相当な強者だ。インターミドルで上位に食い込めるんじゃないか?ヴィヴィオ?あいつは聖王の鎧がチート過ぎてムリゲー。

 

 アインハルトは相当悔しかったようで目に涙を浮かべている。

 俺も負けた時は何度も泣いたものだ。

 こんな時、なんて声を掛けたらいいだろうか。

 親父には「男ががたがた泣くんじゃねえ」って気絶させられたし参考にならん。

 最後に泣かせた女の子を慰めたのっていつだっけ。あれだ。ヴィヴィオがおねしょした時だ。

 結局参考にならねえじゃねえか。

 

 「アインハルト、君は未熟だ。まだまだ弱い。だからこそ成長の余地がある。」

 「はい・・・」

 

 こんな感じだろうか。

 

 「あの・・・」

 「なにかな?」

 「私はあなたより強くなれますか?」

 

 これはまた難しい質問をしてきたな。ここでyesと答えるのは簡単だ。子供の夢を壊さないようにするのはありだと思う。

 しかし、アインハルトは武人でもある簡単にyesとは言ってやれない。

 だけど俺より強い人間っているしなあ。範馬さんとかどう考えても俺より強いだろ。別世界にいてもビビるほどの殺気飛ばせるってどういうことだ。魔法込みでも勝てる気がしないぞ。

 

 「君次第だな。それだけの素質はあるよ。」

 

 この言葉が良くなかったのだろう。アインハルトは覚悟を決めた目をしてこう言ってきた。

 

 

 

 

 「悟空さん!私をあなたの弟子にしてください!」

 

 

 

 「えっ?どうして?」

 「この試合で私は2回しか打たれていません。たった2回、ですがどちらも雄弁な一撃でした。一流シェフが作る極上のスープは一口すすっただけでその材料をイメージさせるほど雄弁だと聞きます。悟空さんの一撃はそれを想起させるものでした。そんな悟空さんにぜひ教えを請いたいのです。」

 

 うーん、どうしたものか・・・。

 俺も弟子兼娘を持つ身、あいつらにライバルができるのはいいことだとは思う。

 だがアインハルトは転生者だ。ヴィヴィオに近づくのが目的で俺と接触した?

 いや、根はいい子っぽいし拳を交えてわかったが強くなりたいというのは嘘じゃない。

 まずは・・・。

 

 「いくつか聞きたいんだけどいいかな?」

 「はい、なんでしょう?」

 「ヴィヴィオ、高町なのは、リリカルなのは、このなかに聞き覚えのある単語はあるかな?」

 「高町なのはさんは時空管理局のエースでしたよね。ヴィヴィオとリリカルなのは?は聞いたことありませんが・・・」

 

 嘘・・・じゃないな。俺は格闘家として人を見る目は鍛えてる。詐欺師相手ならともかくちょっと抜けた女の子の嘘を見抜くことくらいはできるつもりだ。

 

 「なぜなのはを知ってるのかな?」

 「テレビで特集してました。」

 

 それは、盲点だった・・・。いや、前世のテレビということもあるか?

 ・・・ないな、それならリリカルなのはで引っかからないのはおかしい。白か?

 しかし、なのはも有名になったもんだな。いや、人のことは言えないが。

 

 「なるほど。いや、変なこと聞いて悪かったね。ほかにも聞かせてほしいんだけどどうして強くなりたいんだ?」

 「はい、実は・・・。」

 

 アインハルトは普段アインハルト・ストラトスと名乗っているが正式名称はハイディ・E・S・イングヴァルトといい古代ベルカの覇王の子孫らしい。

 それで部分的な覇王の記憶と身体資質があって覇王の悲願である最強のベルカ王の名を追い求めてるとか。

 覇王流って・・・。なんだよカッコいいじゃん。俺が黒歴史とともに封印した厨二心をくすぐるじゃねえか。

 

 思った以上に重い話だった。徳川さん関連の戦士たちはバキ君以外そんな重い設定背負ってなかったしヴィヴィオみたいに好きでやってるわけでもない。

 というか転生特典でそんな重い設定つけられたの?そもそもアインハルトは神様経由の転生者なの?

 直接聞いてもいいが藪蛇になっても怖い。「という設定を神様に頼んでつけてもらいました」とか言われたらこの子を信用できなくなりそう。

 転生者としてその辺の話にナーバスになってしまう。軽いノリで付けた設定が足を引っ張るということもあるだろう。俺もそうだったし。覇王ロールプレイをしないだけましだ。俺も悟空ロールプレイをしようとした結果がこれだし。

 ガキの頃「オッス、オラ悟空。」とか言ってたのは完全に黒歴史。今でもなのはにからかわれる。

 

 「最強か。だけど俺も最強というほど強くない。まだまだ修行中の身だ。人に教えられるような段階じゃない。」

 「そんな!?」

 「でも最強になりたいっていう気持ちは伝わった。こんな未熟な俺でよかったら君の師匠になるよ。」

 「本当ですか!」

 

 花が咲いたような笑顔というのはまさにこういう顔を言うのだろう。こんなことで好感度Maxな感じの笑顔になられてもなあ・・・。

 

 「ああ、ただしご両親から許可はもらってね。」

 「わかりました!今後ともよろしくお願いします!師匠!」

 

 アインハルトを弟子にしたいという純粋な気持ちはあるが彼女を監視できるという下心もある。下心と言ってもエッチな意味じゃない。俺はロリコンじゃない。リリカルなのはは好きだったけど主人公勢は大人の姿のほうが好きだしアインハルトも変身後のほうが好きだ。

 アインハルトを監視し、ヴィヴィオを危険から遠ざける。それが目的だ。

 ああでもアインハルトをヴィヴィオに近づけていいものか?聞けばTS転生なんだろ?自分が女であることをいいことにヴィヴィオに変なことしないだろうな?

 そんな下種じゃないと信じてるが性欲というのは馬鹿にできない。その辺アインハルトはどうなんだろう。

 監視抜きにしてもアインハルトは誰かがついてないとなんか危うい気がする。精神的に追い詰められてるというか、重い設定背負いきれてないというか。

 とりあえずなのはと相談だな。フェイトは過保護だからなあ。多分ヴィヴィオにあわせるのは却下されるだろうから黙ってよっと。

 

 「もしもし、なのは?俺だけど?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのはさん。オレオレ詐欺じゃないです。




遅くなった割に文字数少なくてすいません
私の文才のなさと性根の悪さが悪い
具体的にはさぼり癖
ほんとすいませんでした
次回は未定ですができるだけ早く用意したいと思います。




アインハルトがなのはのことを知ってる理由はオリ主が介入した結果なのはが原作より有名になったからです。




最初はアインハルトを一本拳で倒そうかと思いましたがさすがに痛そうなのでやめました。

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