※この作品はR-18です。

新そっくりなアイツ   作:もっち~!

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警察との攻防*

 

「拉致・監禁容疑で、緊急性が高い事案なので、令状が取れました」

 

目暮という警視庁側の責任者が妙な事を言った。拉致・監禁?誰を?

 

「まさか…有り得ない。誰を拉致、監禁すると言うのですか?」

 

蘭の母親は抗議してくれているが

 

「何も無いなら、家の中を見ても問題無いでしょ?」

 

と言う言葉に折れて、家の中に刑事やら鑑識課やらが雪崩れ込んだ。取材メモ、情報を整理したノート類、書き溜めた原稿など、全部段ボールの箱に投げ込まれて押収されていく。

 

「そこは、やめてぇぇぇぇ!」

 

紅子の叫び声。その場に行くと、一人の男の刑事が、紅子の下着を入れたタンスの引き出しに手をかけていた。刑事に縋って止めさせようとした紅子は、突き飛ばされ、壁に激突した。

 

「ジャマするって事は、ここに何かあるんだな?」

 

引き出しを開けて、紅子の下着と対面する刑事。タンスの中の物を、無造作に段ボール箱に入れていく。

 

「はぁ?同棲か?おい、その不良少女を連行して、親を呼び出せ」

 

「紅子に手を出すな!」

 

僕は咄嗟に紅子の前に立ち塞がり、刑事達の手から紅子を護ろうとした。そんな僕の手に金属の冷たさが…

 

「公務執行妨害だ。現行犯逮捕する」

 

紅子の下着を見た刑事は、僕の手首に手錠を打った。そして、連行される僕と紅子。

 

「ちょっと、横暴じゃないの?!」

 

蘭の母親が抗議するもスルーされる。僕と紅子は別々のパトカーに乗せられて、警察署へと連行された。

 

 

取り調べ室に通された僕は、刑事達に執拗に尋問された。小説のネタノートは、犯罪の計画書と誤認され、蘭や美和子を描いた全裸デッサンにより、いかがわしい行為の有無を確認してきた。すべて黙秘する。

 

時間を追うごとに、状況は不利になっていく。姉ちゃん達も刑事達とやり合い、公務執行妨害で逮捕され、地下室の存在を知られ、母さんの遺品の数々が発見されてしまった。

 

「高木刑事を拷問して、どこに捨てたんだ?」

 

刑事達の妄想について、答えを出すように迫られる。答えを持っていない僕は黙秘を貫いた。そして、地下にある牢屋へ連れて行かれる時、階段から突き落とされた。

 

「おい、しっかり歩かないから、階段から落ちるんだ、クソガキ!佐藤刑事に手を出すなんて、100年早いんだ」

 

その時、悟った。警視庁のアイドル的に存在である美和子との仲に嫉妬して、報復をされているんだと。その後も、色々な刑事により、階段から突き落とされた。手錠を嵌められていたが、受け身でダメージを抑えていく。姉ちゃんからの虐めに比べれば、問題無いレベルだ。

 

 

意識が戻ると白い部屋にいた。

 

「亜樹君、大丈夫?」

 

蘭が声を掛けてきた。美和子、蘭の母親、紅子、兄さん、姉妹、朱美がそこにいた。

 

「ここは?」

 

「病院よ。階段から落ちて、意識を失ったそうよ」

 

蘭の母親に言われた。僕は事実を告げると、顔色が変わり、

 

「ひどい…きっちりと謝罪と詫びはさせるわ」

 

と、意気込む。

 

「で、行方不明の刑事さんは?」

 

「私達の捕まえたこそ泥だったよ。牢屋にぶち込んで置いて、拉致監禁って、えん罪を作るのが上手いなぁ、警察は」

 

って、姉ちゃん。

 

「紅子は大丈夫だった?」

 

「私は大丈夫です。私のせいで、ごめんなさい」

 

「紅子は悪く無い。紅子の下着を鑑賞して、押収した刑事が悪い」

 

「えっ?警察はそんなことまでしたのか!」

 

兄さんが怒り出した。

 

「きっちりとケリはつけるよ。佐田家に牙を剥きやがって!」

 

「で、僕の取材メモとかは?」

 

「押収されたままよ。今返還要求を請求している最中なの」

 

蘭の母親は、先回りして行動をしてくれているようだ。

 

「それよりも、亜樹君に描いてもらったデッサンの行方がわからないんだよ」

 

って、美和子。

 

「私と蘭ちゃんの分…誰がくすねたんだ?押収物リストに記載すら無いし」

 

「知らない人物に鑑賞されていると思うと、気持ち悪いですよね」

 

と、蘭。

 

「一番の問題はPCが押収されたことだよ。お兄ちゃんの原稿を総て持って行かれたし」

 

って、夏美。

 

「営業妨害だな。損害請求してください、蘭母さん」

 

「わかったわよ♪」

 

蘭の母親が頷いた。うん?待てよ…それはおかしい…

 

「美和子、デッサンが押収物リストに無いんだよね?」

 

「あぁ、無かった」

 

「でも、取調室で、全裸デッサンを描いた経緯と状況を訊かれたんだ。それって、おかしくないか?押収していない件を尋問ってさぁ」

 

「…そうだな。おかしい。その刑事はどこから、情報を得たんだ?調べて見る。まかせておけ!」

 

美和子が颯爽と部屋から出て行った。

 

「あと、夏美…蘭母さんと、書庫の隠しカメラの映像をチェックしてみて」

 

「あぁ、セットしてあったね。わかった」

 

蘭母さんと夏美が部屋を出て行った。資の料ビデオは、ホテルの部屋に置いてあるので、それは安全だろうな。後は、取材メモだな…新作は延期だな…いや、今回の経験をモデルにして…

 

「蘭、鈴木さんを呼んで」

 

「わかったわ」

 

蘭は鈴木さんへ連絡をしてくれた。

 

「姉ちゃん、地下室の長持ち…母さんの思い出の品が入れてあったんだけど、抜き取られていないかチェックしてくれない?目録リストは、ホテルの部屋にあるから」

 

「わかった」

 

姉ちゃんも部屋を出て行った。

 

-------

 

全裸デッサンをくすねたヤツは見付かった。でも全裸デッサンは証拠品として、押収されて戻って来ない。なんか理不尽である。紅子を突き飛ばし、僕に手錠を掛けた刑事が犯人だった。監視カメラにしっかりと、犯行は記録されていたのだった。

 

地下室に置いてあった、、長持ちの中身が戻って来ない。仕事場で使っていた母さんの形見の硯や筆までもが、押収されたそうだ。そして、母さんのアルバムも…

 

家の中は、隠し扉を調べる為か、土壁が壊され、畳は剥がされ、板は破れている。母さんの思い出なのに…これでは、原状回復は望めない。この家を作り上げた職人さんは、もういないから…それに、地下室の壁が破壊されていて、家の土台がもうダメだと思う。土台からだと、建築基準法で再現は無理だと、何かで読んだ気がする。

 

家の中で立ち尽くす僕。涙が零れてくる。なんで、こんな事に…僕の想い出が…これだけしか無いのに…

 

「亜樹君、原状回復できるようにする。取り敢えず、ホテルの君の部屋に住んだらどうかな」

 

兄さんがそう言って来た。

 

「高校も近くなるし…どうかな?」

 

申し出をありがたく受けることにした。この家は、もう住める状況では無いから…

 

 

ホテル住まい…紅子が一緒に住み、身の回りの世話をしてくれた。まぁ、紅子の家は、この部屋の2フロア上にあるらしいけど。自宅にいても同じ屋根の下なので、僕と住んでも変わらないって、兄さんの助言だったらしい。

 

鈴木さんに原稿書き用のPCを用意してもらい、今回のえん罪をモデルにした、小説を書き上げる。

 

「えっ?もう書き上げたの?」

 

怒りがエネルギーとなり、書き上げるスピードが、過去最速だったので、驚いている。書き上がった原稿に目を通し、OKサインをもらった。

 

「最速で本にして、出荷する。こういうのは新鮮な内に出荷がいいのよ♪」

 

って。次にカバーの表紙絵を描き上げる。手首に手錠が嵌まっている構図である。美和子に手錠を借りて、自分の左手をモデルに描き上げた。

 

「リアルだな…」

 

描き上げた絵を見て、美和子が呟いた。そんな彼女に、即興で描き上げた絵をプレゼントした。

 

「え?全裸?また押収されるぞ♪」

 

って、笑いながら言う。

 

「今度こそ、大事に保管するよ。ありがとう、亜樹君♪」

 

 

久しぶりに美和子とデート。外出も久しぶりである。逮捕、入院、ホテル住まいで、外に出る機会がまったく無かったから。でも、監視の目が気になる。刑事が数名貼り付いているようだ。

 

「美和子…」

 

「ごめん…亜樹君との関係を疑われていてね。無理やり亜樹君が関係を迫ったんじゃないかって」

 

まぁ、出逢いはそんな感じだったけど…まぁ、自然体が一番かな。美和子に甘え、美和子も甘えてくる。刑事達の歯ぎしりが聞こえてきそうだ。

 

「美和子…ラブホへ行きたい」

 

「うん?ダメだよ。高校生になったらね」

 

中学生はダメなのか…

 

「資料が押収されて…」

 

「あぁ、ノー天気探偵物だっけ?う~ん…どうにかしてあげたいけど、もうしばらく待って。高校生になったら、連れて行ってあげるから♪」

 

そして、連れて行かれたのは、美和子の部屋。

 

「手料理を振る舞うわよ。手料理、久しぶりでしょ?」

 

確かに。病院食の次はホテル食だし…美和子が楽しそうに調理をしている。

 

鍋からいい香りがし出した頃、ドアがノックされた。応対に出る美和子。

 

「うん?由美?どうしたの?」

 

「ちょっとね。上がるわよ」

 

知らない女の人が入ってきた。身構える僕。

 

「あぁ、亜樹君。怖がらなくて大丈夫だから。私の友人で宮本 由美って言うのよ」

 

彼女を紹介してくれた美和子。

 

「ふ~ん、確かに工藤君にそっくりだね」

 

って、この人も警察関係者か?このタイミングだしな。

 

「由美!何の用よ」

 

由美はメモに何かを書いて、僕達に見せた。

 

『潜入要員。隠しマイク有り。ごめんね』

 

って。そうだろうな。このタイミングだし。美和子は言葉を飲んだ。正体をバラした彼女は、美和子の味方なのだろう。

 

「美和子が非番って聞いて、久しぶりに遊びに来たの」

 

「そう…あぁ、今食事を調理していたの。食べていく?」

 

「そうする」

 

美和子はキッチンへ消えた。僕といると、いらんことを言ってしまいそうだから。

 

「で、君は美和子のことをどう思っているの?」

 

台本通りなのか?彼女自身の質問なのか?わからない。

 

「大事な人です」

 

正直に答えておく。嘘は後で、辻褄が合わなくなるから。

 

「大事とは?どんな関係なの?」

 

「中学生の僕に言えるのは、そこまでです」

 

「そう…意外にしたたかかな?」

 

「どうでしょうね…試してみます?」

 

由美と唇を重ねた。驚く表情の由美。だけど、逃げる素振りは見せない。抵抗すらしない。逆に僕が驚いた。彼女の方から舌が入って来たのだ。僕の舌を見つけるや絡み、そして挑発してきた。彼女から離れようとしたが、首に腕を回せて逃げられない。どんな展開だ?

 

しばらく、僕の口の中で遊び、美和子が戻ってきそうな雰囲気を感じ、僕から離れて何事も無かったように振る舞う。凄い…モデルにしたい。

 

「どうしたの、亜樹君」

 

美和子が僕の異変に気が付いた。

 

「いや、彼女もモデルにしようかなって…」

 

「うん?全裸モデル?高いよ♪」

 

って、由美。

 

「いや、小説のモデル…全裸は無理。見た物しか描けないから」

 

「うん?小説って?」

 

「彼、小説家なんだよ」

 

って、美和子が由美に僕の事を嬉しそうに説明している。

 

「へぇ~、小説家なんだ。あぁ、あのメモはそういうことか」

 

押収されたメモか。

 

「犯罪計画書って思われて、分析中なんだけどね。まぁ、それで返却できないって感じだよ」

 

「アレがないと新作が書けない。いずれ、出版社の方から損害賠償請求が行くと思います。新作の原稿も押収された上、パソコンも押収されているし」

 

と、事実を伝えた。隠しマイクに向かって。

 

「君、有名な作家さんなの?損害賠償請求って…」

 

僕のことを知らされていないのか、それとも、警察もそこまで調べていないのか?

 

「有名では無いです」

 

「亜樹君、ダウト♪」

 

って、美和子。

 

「有名だよ」

 

って、僕のサイン入りの本を2冊持って来た。

 

「えっ?この作者って、君?私も買ったし…」

 

驚いた声で反応する由美。

 

「由美、これサイン入りだよ♪」

 

僕のサインを見せびらかせる美和子。本気で悔しそうな由美。

 

「いいなぁ…私の本にもサインが欲しいなぁ…ねぇ、今どこに住んでいるの?」

 

これは誘導か?敏腕刑事か?

 

「それは言えません。プライバシーの侵害です」

 

「美和子は知っているんでしょ?ズルい!」

 

え?誘導で無くて、個人的な質問だったのか?

 

「由美…この件がすべて終わったら、連れて行ってあげる」

 

「約束よ、美和子」

 

いや、ここから帰る際に尾行されて、見付かる可能性が大だと思う。紅子の兄さんへメールを打つ。

 

『警察尾行有り 美和子の家から帰れない』

 

っと。暫くすると、『何か手を打つ』と返信があった。美和子と由美にもヤリトリを見せる。

 

「じゃ、食事にしようか。帰りが遅いと心配されるから」

 

食事の用意を始める美和子と由美。また、ドアがノックされた。

 

「高木です。美和子さん、いらっしゃいますか~♪」

 

って。メールが傍受されているのか?咄嗟に、

 

『メール傍受』

 

と、予めインストールしていた暗号ソフトで、兄さんへメールした。直ぐに、『了解』と返信があった。

 

「どうしたんだ?高木君…うん?千葉君も?」

 

「すみません。お邪魔します。鳥井亜樹君、ちょっと一緒に来て貰えるか?」

 

「任意ですよね?」

 

「そうだけど、美和子さんの立場が危うくなるから、やめた方がいいよ」

 

って、脅される。なので、連行されることにした。

 

「おい、脅迫じゃないのか、それって」

 

美和子が噛みつく。

 

「美和子は、優しい顔が好きだよ」

 

って、抱きしめて、彼女を落ち着かせる。

 

「あぁ、ごめん…亜樹君…」

 

僕は彼女の家から、連れ出された。

 

 

で、警視庁の取り調べ室。高木刑事と千葉刑事により、取り調べを受けている。

 

「何の容疑ですか?前科者だからですか?」

 

公務執行妨害の現行犯逮捕により、前科のついた僕。

 

「君の属している組織はどこだ?」

 

訳の分からないことを訊かれた。なので、黙秘。

 

「君の部屋の押収物から、盗品を思われる高価な品が見付かったんだよ」

 

写真を見せられた。母さんの形見の硯だった。

 

「母さんの形見の硯だけど…ねぇ、返してよ。母さんの思い出を!」

 

「はぁ?君の母親は生きているだろ?どこから盗んだんだ?」

 

何で、そんな話になるんだ?嵌められたのか?次々に見せられる盗品とされる母さんの形見の品々。

 

「全部、母さんの形見だ。僕が受け継いだんだよ…信じてもらえないみたいだけど」

 

「コレは、安芸桜という絵師の遺品だ。どこで盗んだ?」

 

「だから、安芸桜は僕の母親だって、言っているだろ?」

 

「何を言っているんだ?君達、三つ子の母親は存命中だ。この嘘吐き野郎が!」

 

あぁ、警察は誤解をしている。三つ子では無いのに…こうなると、いつもどうにもならない。小学校でも三つ子では無いって言ったのに、嘘吐き呼ばわりされた。姉妹からも弾かれた…

 

「もういい。好きにしろ。完全黙秘します。僕の言葉が信じられないヤツらとは会話できない」

 

そして、二度目の牢屋に拘留…

 

 

唯一の肉親である父親は、出版社による缶詰状態で連絡が取れないようだった。姉妹の母親は、相変わらず、息子なんかいないって言っているらしい。

 

肉親では無い、紅子の兄や鈴木さんでは身元引受人になれないようで、父親が見付かるまで、拘留だそうだ。黙秘と共にハンストもしているので、5日くらい断食である。

 

「そろそろ、本当の事を言え!」

 

「…」

 

そして、夕方まで瞑想に耽る。蘭の母親が接見に来るが、黙秘で通す。もうどうでもいいから。このまま、母さんの元に行きたい。

 

拘留1週間目、ようやく鈴木さんが、父さんを見つけてきてくれた。父さんは、僕の身の上を、警察に洗いざらい話したそうだった。そして、釈放…すでに自力で立てない。そして、再度の病院生活へ…

 

 

「また、経験本が書けそうです」

 

って、鈴木さんに伝えた。

 

「ハンストは止めなさいよ!次は、食べてね」

 

って、本気で心配されて、本気で怒られた。母さんの元へ行ける一歩手前の容体だったらしい。水分も取らなかったので、脱水症状がひどかったそうだ。

 

「で、容疑は晴れたの?」

 

「晴れたようだよ。押収物も一部戻って来た」

 

って、紅子兄さん。母さんの形見の品は、ホテルで保管してくれるそうだ。

 

「一部って?全部で無いの?」

 

「勝手に博物館に鑑定を依頼して、博物館で保管することにしたそうだ」

 

あの硯、筆などの硯箱に入っていた物一式が、国宝級と鑑定されたらしい。

 

「横流し?」

 

「そう、官製横流しよ。不謹慎よね。国宝級だからだって。今、取り返す為に手を尽くしている。だから、もう少し時間を頂戴ね♪」

 

って、蘭の母親。

 

「卒業式も入学式も行けなかったなぁ…」

 

誰も僕に掛ける言葉が見付からないのか、沈黙の時間が訪れた。そして、沈黙に耐えきれない者が一人、また一人と帰っていく。残ったのは紅子と蘭だけだ。

 

「亜樹さんの席は、紅子の隣ですよ♪」

 

って、紅子が僕を元気づけるように、嬉しそうに言った。

 

「そうか…また、迷惑かけそうだな」

 

「そんなこと無いですよ」

 

心配そうに僕を見つめる蘭へ、声を掛けた。

 

「蘭、別れよう。僕、前科者だし…」

 

「うん?別れない。あんなの前科のうちに入らない。亜樹君は、いつでも傍にいてくれるもん♪それだけでいいんだよ」

 

紅子と蘭の優しい言葉に、胸が詰まる。

 

「とにかく、元気になって、学校へ行こうよ♪」

 

 

ゴールデンウィークを目前に控えた日、問題作が刊行された。『えん罪』の上下巻だ。発売日に完売という記録を打ち立てたようだった。フィクションという形式であるが、ほぼ事実を描き上げているので、娯楽性は無い。なのに、即完売だという。

 

「亜樹君…いや、栗井先生、凄いですよ♪」

 

って、鈴木さん。ここはホテルの部屋である。退院をして、今は日常生活へリハビリ中である。復学はゴールデンウィーク明けになる予定だ。

 

押収から戻って来た母さんの形見の品の硯と筆以外は、ホテルのコスモスの間に常時展示されている。警備も温度・湿度・照明も完璧なので、安心して預けられる。あの硯と筆も返ってきた♪それらは展示せずに、僕が使っているけどね。

 

離れの修復が開始したそうだ。国が責任を持って修復するそうだ。佐田家、鈴木家が猛抗議した結果らしい。だけど、やはり…職人さんが見付からないので、似た感じの家になるらしい。

 

それで、『えん罪』だけど、マスコミがこぞって、取り上げたそうで、増刷中だって。僕に出演オファーが来ているらしいけど、鈴木さんが全て断ってくれている。「真実か、事実かは、あなたが決めてください」って、キャッチコピーも効いたようだ。

 

警察の方からは、出版停止を求められたらしい。まぁ、不祥事だからな。しかし、売れる物だし、予約殺到だし、止められないと返答したらしい。

 

そんな状況下なのに、珍客が来た。美和子と由美だ。

 

「ごめんね、亜樹君」

 

美和子が謝った。いや、警察の責任者の謝罪がいいんだけど。美和子が謝る必要はまるで無いと思う。

 

「美和子のせいでは無い」

 

美和子が僕に抱きつき、優しく抱きしめてくれた。

 

「ふ~ん、やはり、そういう関係なのね」

 

って、由美。

 

「ここなら、警察は手を出せないよね。佐田家の本丸だし」

 

由美が部屋を見て廻っている。

 

「本部長が驚いていたわよ。佐田家の次期当主の弟枠で、鈴木家のバックアップを受けていることにね。私も驚いたけど」

 

警察には、正しい情報が伝わり始めているようだった。

 

「で、今日はどんな用事?」

 

「高校入学のお祝い♪デートしようよ」

 

って、美和子。なんだっけ?

 

「そうね、たまには、デートしてきなさい」

 

って、鈴木さん。って、ことで、美和子と由美との三人でデート?由美の愛車でドライブ。

 

「尾行されているみたいだけど…」

 

後ろについている車に、僕を取り調べした刑事の顔があった。

 

「あっ、本当だ。高木君と千葉君かぁ。どうする、美和子?」

 

「容疑は晴れたし。見せつけてやろう♪」

 

何する気だ?車はお城のような建物に吸い込まれて行く。尾行者は付いて来ない。ここって、どこ?

 

「さぁ、着いたよ。亜樹君の見学したかった、ラ・ブ・ホ♪」

 

ここがそうなんだ。一部屋ずつ、駐車スペースが有り、そこから部屋へと、誰にも見られずに行けるようだ。プライベートは保たれるな。これだと、蘭父さんの言う通り、入り口で張るしかないか。気づいた点をメモしていく。

 

「本当だ。取材する目付きだね、美和子」

 

「うん♪」

 

そして、部屋に行く。煌びやかな内装。う~ん…どう愉しむのかな?取り敢えず、部屋の内装や設備をスケッチして、資料化していく。

 

「描く速度が速い。それにリアル志向だね」

 

「で、どう愉しむの?」

 

美和子の視線は由美を指す。いいのか?由美は、僕達の目配せに気づき、固まる。

 

「えっ?美和子とじゃないの?」

 

美和子と二人で由美を制圧する。手際良く服を脱がせ、拘束具を装着させていく。そして、ウォーターベッドの上に、目と耳と口と手首を拘束された全裸の由美が置かれた。由美の秘部はもう準備オーケーである。

 

「まず、私と♪」

 

美和子が手際良く全裸になり、僕を全裸にしていく。そして、抱き合う。濃厚に…1ラウンドを終えて、由美を手にかける。美和子が由美の下腹部を責め、僕は拘束具の入った口を責めつつ、耳を攻略していく。耳栓により音は聞こえないが、感触だけが由美に伝わる。舌を拘束しているため、声すら出せない。

 

「うぅぅぅ…うっ…ぅぅぅうん」

 

言葉に成らない喘ぎ声。小刻みに震える由美の全身、一瞬強張り、直ぐに弛緩していく。達したようだ。美和子と位置を交換して、僕が由美の中に侵入した。準備が整い、受け入れが済んでいるので、すんなりと吸い込まれるように入っていく。一瞬抵抗感が先端に感じるが、更に奥を目指す。

 

「うぅっ!はぁ…はぁ…はぁ…」

 

障壁より先に行くと、由美の呼吸は荒くなっていく。唾液の量も増えているらしい。美和子は胸を責め始めた。由美の腰が動く。刺激を求めるか如く。

 

美和子が耳栓を外し、音を聞かせ始めた。やはりエスなのだろうか。勉強になるな。肉の叩き合う音、何かをしゃぶる音が部屋に響く。

 

唾液が溢れて暫くすると、美和子が舌の拘束を解いた。由美は、溜まった唾液を一気に飲み込む。それを見届けて、美和子が舌を責め始めた。僕は相変わらず、下腹部責めである。

 

「ダメ…おかしくなりそう…はぁ…はぁ…はぁ…お願い…もっと…」

 

由美はお強請りしている。美和子が彼女を四つん這いにさせて、僕と位置を交換した。美和子は両端にローターの付いている器具を手にして、自分と由美の膣に入れて、スイッチを入れた。

 

「「あぁぁぁぁぁ」」

 

喘ぎ声がダブるで聞こえる。僕は由美の顎を上げさせて、僕の物を口に入れた。美味しそうに口に頬張る由美。

 

 

由美は果てている。体液塗れでベッドの上で、ぴくりとも動かない。荒々しい呼吸音だけが聞こえる。僕と美和子は、シャワールームでお互いの身体を洗いながら、交わり抱き合う。激しい動きは無く、お互いの感触を確かめるだけだ。

 

最後に、由美をシャワールームで洗いながら、もう1ラウンド。腰が抜けたらしく、由美は自力で立てない。後ろから差して、彼女を立たせると、前から美和子が交わる。

 

 

そして、延長料金発生の6時間に渡るプレイは終わった…

 

「どうする?由美が動けないけど」

 

「う~ん…どこかで食事をしよう、亜樹君♪」

 

由美の車の後部座席に由美を押し込み、美和子が運転席に座った。ラブホを出ると、また、尾行され始める。待っていたようだ。事件捜査なのか?

 

「あいつら、暇だな…非番なのに、彼女はいないのか?」

 

バックミラーを見ながら、美和子が呟いた。非番で張り込み?職業病か?暫く走っていると、後続の車がパトライトを付けて、僕達の車を止めた。

 

僕を制して、車の外に出た美和子。

 

「何よ!高木君!」

 

怒り心頭な美和子。

 

「いえ、由美さんの姿が見えませんが…」

 

後部座席を覗き混む刑事。

 

「疲れて寝ているのよ!まさか、私達で由美を殺したとでも思ったの?」

 

「いえ、そんなことは言いません。生きているか、確認させてください」

 

後部座席に寝ている由美の脈を確認する刑事。

 

「あぁ、生きていますが、薬で眠らせたのですか?」

 

「はぁ?疲れて寝ているだけよ。いつまでも、あそこで休めないでしょ?」

 

美和子の剣幕の前で、たじたじな男性刑事2名。

 

「これでいい?せっかくのデートが台無しよ。由美は付いて来るわ、高木君達は尾行するわ…目暮警部の差し金?」

 

「いえ、違います」

 

「あぁ、白鳥君かな?まぁ、目暮警部には報告します。いいわね!」

 

車に乗り込み、運転を再開した美和子。

 

「ごめんね、あんな姿を見せて…」

 

激怒した姿を見せた事を恥じたのか、真っ赤な顔で俯く美和子。その姿は無性にかわいく思えた。しかし、運転中は俯かないで欲しい…

 

 

当然、今日の出来事も書く。第3弾は『尾行』かな?

 

 

 

 

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