※この作品はR-18です。

新そっくりなアイツ   作:もっち~!

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元の鞘へ

---毛利蘭---

 

夢?目の前に新一がいる。首元には傷跡が無い…新一は、私を抱き締め、涙している。

 

「もう、離れ離れはゴメンだ」

 

「新一…」

 

待ち望んでいた瞬間?違う…待ち望んでいたのは、こんなことじゃない。

 

「亜樹君は?」

 

「アイツのことは忘れろ!アイツを苦しめるな」

 

私は亜樹君を苦しめる存在なの?それでも…会いたい…彼を一人にしてはイケナイ。

 

「亜樹君はどこ?」

 

「わかならい。アイツは俺達の前から、消えると言った。だから、ほっといてやれ」

 

消える?ダメだよ…放っておけないよ!でも、この瞬間も待っていた。欲張りな私。ダメな女の私…亜樹君…ごめん。

 

 

 

---佐藤美和子---

 

う~ん…『女刑事乱』…亜樹君の作品臭い…このストーリーは以前、メモにあった奴だよな。出版社を叩くか?

 

「あぁ、美和子も買ったんだぁ~」

 

って、由美。お前もか…

 

「これ、そうだよね?」

 

毎回、出す度にペンネームを変えている気がする。だけど、読めば、亜樹君らしいさを読み取れる。書きクセは直らないからな。そして、挿絵…鉛筆画である。亜樹君の特徴の1つだし。

 

「生きているって、証拠ではある」

 

頷く由美。もう1年も経つ。私達の前から消えて。どこでどう生きているんだ?小説家として、絵師として活動はしているようだけど。

 

彼の住んでいたあの家は、改築され、まったく違う趣の家になっていた。彼の住んでいたあの部屋は…アレ以来行っていない。あのホテルには、もう出入りしていないそうだ。

 

どこにいるんだ?

 

「佐藤刑事…新宿…」

 

高木君がぼそっと言った。

 

「いたの?」

 

「従兄弟を追尾して…新宿で会っていました」

 

おいおい、従兄弟を囮にしたのか?

 

「新宿のどこ?」

 

「そこまでは…歌舞伎町の雑踏の中で、見失いました」

 

「歌舞伎町周辺か…彼、人混みはダメなんだけど…あえて、人混みに紛れたのか。目暮警部、有給の申請をします」

 

1年間、休み無く働いた。この日の為に。それはみんなも知っている。

 

「う~ん…許可する。1週間くらいやる。会えるといいなぁ、彼に」

 

「はい♪」

 

 

亜樹君の正体を知ってから、目暮警部、高木君達は、私に協力的になってくれた。あの工藤新一の影武者で、彼の代わりに危険な目に何度も遭遇している人物で、バックには佐田財閥、鈴木財閥がついているという事実。

 

でも、新宿って広いんだよなぁ…どうするか…ふと、伝言板が目に入った。そう言えば、都市伝説で、秘密の暗号を書いて、願いを書くと叶うって聞いたことがある。伝言板の前に立ち、チョークを手にした私。すると手首を何者かに掴まれた。

 

「刑事が都市伝説を信じてどうするの?」

 

って…野上警視だった。上司である目暮警部の上司とも言える人物だ。

 

「でも…もう、これしか…」

 

「噂の彼に会いたいの?」

 

「まぁ…もう1年以上も会っていないから…」

 

「しょうが無いわねぇ」

 

不敵な笑みを溢す野上警視。まさか、そっちの趣味があるのか?

 

 

予感が的中。二人でラブホにいる。二人でシャワーを浴び、唇を重ねている。夢うつつな状態で、ベッドに横にされた。こっちの趣味は無いんだけど…手首には手錠…そういうプレイなのか?身体は久しぶりの刺激に既にヨダレが湧いているし。そんなに淫らだっけ?私の身体は。

 

コンコン!

 

ドアがノックされた。警視がドアを開けると、男性が入って来た。まさか、回すのか…警視…それはちょっと…犯罪ですよ~

 

「ゴメンね、呼び出して。あなたに会いたいって…」

 

警視が私を指差した。そこには亜樹君がいた。首筋にはあの傷跡がくっきり残っている。それって、警視と知り合いってこと?

 

「美和子…冴子、僕は…」

 

「彼女の想いに応えるのも大切よ」

 

警視を名前呼び…関係を持っているってこと?女性の私でも憧れる素晴らしいボディと美貌を持つ警視。そんな彼女と関係を持つって…

 

「美和子…何をしているんだ?」

 

ベッドサイドに座る亜樹君。そんな彼の服を脱がしていく警視。脱がし終わると、彼のモノを口に含み、上目遣いで彼を見つめている。

 

「私は…亜樹君に会いたかった…」

 

警視の行動に動揺している私。どんな関係なんだ?私から離れて、警視に鞍替えか?

 

「僕も…でも…僕は…」

 

警視は大きくなった亜樹君のモノを身体に取り込み、踊っている。天女の舞いのような、そんな優雅さ、神々しさを感じる。

 

「美和子…ゴメン…僕は美和子に、見合う男にはなれないんだ」

 

「亜樹君、逃げちゃダメ」

 

苦悩する彼の耳元で囁く警視。

 

「でも…冴子…僕は…」

 

「そうね…佐藤刑事…彼は、警察官とは、結婚出来ない身分に落ちたの」

 

警視からの言葉…それが何を意味するのか、直ぐにわかった。あの時、公安になんか引き渡していなかったんだ。彼は、彼の手で…だから、私の前から…これまでの彼の行動に意味は有った。私を巻き込みたくない、大好きな刑事の職を失わせない為…私の前から姿を…でも、あれ?

 

「で、警視とは?」

 

「うん?恋愛関係じゃないから。問題は無いわ」

 

そんな抜け道が…ズルい…

 

「彼は私の情報屋。情報料の代わりに、ホテル代と私の身体を提供しているの。だから、問題は無いのよ♪」

 

嬉しそうに話す警視。そんな…裏技が…

 

「ただ、あなたの様な平刑事には、この手は使えない。分かるわね?ふふふ」

 

情報屋を必要とする事件に、出逢う確率は低い…私には使えない技。そもそも情報屋に出逢う機会も無い。

 

「でも!」

 

亜樹君の為に…警察辞めようかな。

 

「刑事は辞めるなよ、美和子」

 

釘を先に打たれてしまった。う~ん…

 

「それでも、私は亜樹君の傍にいたい。警視…目を瞑ってくれませんか?」

 

「無理!彼は公安の監視下にある。わかるわね?」

 

公安は彼のしたことを知っている上で、彼を協力者にしているのか?裏切らない為に監視を付けて…

 

「刑事を辞めて、彼と情報屋をします!」

 

目を見開いて私を見つめている亜樹君。

 

「どうして?僕なんかの為に?」

 

「言ったでしょ?君といると心が癒やされるんだよ。だから…お願い…一緒に生きたい」

 

「よく言い切ったわ。うん♪佐藤刑事の心意気を買いましょう。懲戒免職でいい?」

 

え?!懲戒免職?亜樹君と一緒になるって、そういうことか…現実に直面した私。でも…

 

「いいですよ!」

 

「わかった。退職金は出るように協力するわよ。ようこそ、チームシティーハンターに♪」

 

うん??

 

後日談…冴子さんもシティーハンターというスィーパーチームのメンバーだった。

 

 

亜樹君と会った翌日、辞令が下りた。私と由美が、野上警視のチームに異動になったのだ。警察の組織内では出世と言える異動である。野上警視のチームは警察庁の広域捜査室に所属している。一般企業で言う、支社から本社への栄転って感じになるのだった。

 

「異例な人事だ。まぁ、野上警視の目に止まったってことだろう。皆で、快く送り出して上げようじゃないか」

 

と目暮警部。まさか、亜樹君絡みだとは言えないような。警視は、私が警察を辞めないで良い方法を取ってくれたようだ。亜樹君と言う情報屋と接触という業務を、私と由美にもお裾分けしてくれた感じである。

 

戸惑う由美と共に、警察庁の広域捜査室へ…って、警視しかいない。

 

「まぁ、仕事に慣れてから、捜査には出て貰うから。まず、系統図、支社での振る舞い、手順なんかを覚えてね」

 

って、分厚いマニュアルを置いていく。

 

「亜樹君とは毎週接触する。交代制にしましょうか」

 

3人で回すと月に1回会えるってことか…定時で職場を後にして、三人で歌舞伎町にある建物に入っていった。

 

「ここよ、私達の裏の職場は…」

 

建物の4階に連れて行かれた。そこには、警視並のプロポーションの女性と、大男がいた。

 

「紹介するわね。彼は冴羽リョウ、このチームの要よ。そして、彼女は槇村香、主に連絡係をしているの。彼女達は新人さん。佐藤美和子さんと宮本由美さんよ。あぁ、先生の女だから、手出しはしない方がいいわ」

 

先生?亜樹君?

 

「そうか…アイツに生きる希望を与えてやってくれ」

 

冴羽さんに言われた。生きる希望?

 

「こっちよ」

 

香さんに3階へと案内された。そこに亜樹君の部屋が…中に入ると、紅子ちゃんがいた。

 

「美和子さん…お久しぶりです。兄さんは仕事中です…」

 

隣の部屋で、資料を見ながら、文字を打ち込んでいる亜樹君。

 

「ねぇ、生きる希望って?」

 

小声で紅子ちゃんに訊いた。

 

「兄さんの希望は…精一杯生きて、消えることだけです」

 

消える…以前と変わっていないのか…

 

「兄さんには、想い出が無いんです。鳥井亜樹として、生きた証も無いんです」

 

唯一の想い出と言っていた、あの家はもうない。彼は今、佐田亜樹である。もう、どう足掻いても、鳥井亜樹として足跡は残らないってことだ。

 

「想い出も、証も無いなら、消えても…そんなところです」

 

う~ん…

 

「うん?美和子、由美…どうして?」

 

「今夜は顔見せよ」

 

って、香さん。

 

「あぁ、そういうことか…」

 

電動車椅子で近づいて来た亜樹君。車椅子?ラブホには歩いて来たのに…

 

「あぁ、これ?相変わらず、スタミナが無いんだ。まぁ、散歩はたまにするけど」

 

ラブホに散歩?

 

「警察、首になったのか?」

 

「警視が拾ってくれたの」

 

「広域捜査室か…なるほどね」

 

何がなるほどなのか?

 

 

 

---鳥井亜樹---

 

見つけた…工藤君を狙っている奴だ…迎撃に向かう。

 

「おい!一人で行動するなって言っただろ?」

 

しまった、リョウに見付かった。

 

「リョウには関係無い」

 

「関係か?有るよ。お前を保護するって決めたんだ」

 

僕の保護者である。裏の世界での…

 

「その体力で倒せるのか?」

 

「あぁ…相打ち覚悟だ」

 

「死に急ぐな!」

 

リョウの隙を突かないと…

 

「わかった」

 

部屋に戻る…ふりをして香さんの部屋を襲撃した。

 

「何?どうしたの亜樹君?」

 

香さんを押し倒して、股間に指を這わす。

 

「ダメだって…今日は…」

 

香さんに隙が出来た。窓から身を乗り出して、雨樋を伝わり、屋上へ行き、隣のビルに飛び移り…

 

 

リョウの追跡をかわす為に、デコイを設置しながら、目標に近づいて行く。教授の愛弟子であるリョウも無類の女好きである。ソレ系のデコイを設置してあるので、少し時間は稼げるはずだ。

 

そして、目標の建物に着いた。

 

「ジン!そこまでだ!」

 

黒ずくめの長身の男に声を掛けた。

 

「何?工藤新一だと…じゃ、コイツは??」

 

目の前では本物の新一君と蘭が縛られている。口から液体が…アレを盛られたのか?早く、解毒剤を投与しないと…

 

「俺の影武者だ。見抜けないとはなぁ。間抜けな奴だなぁ」

 

咄嗟に、新一君の振りをする。

 

「自分の女を影武者と?」

 

「あぁ、味方を欺かないと、テメエを欺けないからな」

 

僕に銃口を向けるジン。アイツの目の前に走り込む僕。

 

パン!

 

乾いた音。胸に衝撃が走る。でも、構わない。

 

パン!

 

2発目。うっ!防弾チョッキを抜かれた。激痛が全身を駆け巡る。だけど、コイツは仕留めないと。気力でジンの首筋に指をあてがい、意識を狩った。急いで二人に解毒剤を投与して、獲物を運び出した。

 

 

獲物を濃硫酸で満たしたバスタブに投入した。口を拘束してあるので、悲鳴が上げられない。身体中が溶けていく。苦しめ…もっとだぁ…

 

「それで最後?」

 

灰原哀であった宮野志保に訊かれた。

 

「最後であって欲しいが、後1匹だ」

 

「誰?」

 

「ラム」

 

「ナンバー2だよ」

 

「あぁ、そこを消せば、もう脅威は無くなるだろう。トップとは話が着いているし」

 

「ねぇ、血が垂れているわ。どこか怪我したの?」

 

僕の上着を脱がせる志保。

 

「左胸に2発着弾…」

 

「大丈夫、防弾チョッキを着ている」

 

防弾チョッキも脱がせる志保。1発が、胸に着弾していた。先端が少し、肉体にめり込んでいる。

 

「至近距離で撃たれたのね。ちょっと待ってね。今、取り出すから」

 

局所麻酔を打ち、僕の左胸から弾丸を摘出し、簡易的に縫い合わせてくれた。

 

「内臓は無事…もう無理しちゃダメだよ」

 

僕に抱きつく志保。あの…傷口が痛いんですが…

 

 

 

---毛利蘭---

 

病院で目覚めた。新一と一緒にいる所を襲われたそうだ。頭がボンヤリしている。薬を投与されたらしい。

 

「蘭…大丈夫か?通報が早い上、解毒剤を投与してくれた奴がいたそうだ」

 

目を腫らしたお父さん…

 

「新一?」

 

「はぁ?アイツも、蘭と一緒に縛られていたぞ。まったく、アイツは役立たないなぁ」

 

じゃ、誰が?亜樹君の顔が脳裏に浮かぶ。

 

「亜樹君?」

 

「わからない。警察が駆けつけた時には、通報者と襲撃者が共に居なかったそうだ」

 

亜樹君だ…また、手を汚したのだろう。私達を護る為に…

 

「お父さん…亜樹君を探して…お願い…」

 

「アイツのことは忘れろ!お前は新一を選んだんだ」

 

そうだけど…でも…

 

新一は心を入れ替えたように、傍にいてくれるようになった。事件が起きても、現場へ行くことも少なくなっていた。

 

「蘭、大丈夫か?悪い、油断しちまったよ」

 

新一が現れた。

 

「新一…亜樹君を探して…」

 

「アイツのことはあきらめろ。蘭…」

 

どうして、みんなそんなことを言うの?

 

 

 

---工藤新一---

 

まさか、蘭と交わっている最中に襲われるとは…油断も隙もあったものでは無い。アイツにまた助けらちゃったなぁ。

 

「工藤君…どう?」

 

志保に頼まれて、探し物をしている俺。

 

「う~ん、手がかりが少ないなぁ。持ち物はこれだけか?」

 

「そうよ。早く終わらしてね。彼、怪我しているんだから、長時間の身代わりは、難しいわよ」

 

そうだな。今も変わらずに事件を追っている俺。事件を追っている間は、アイツが身代わりを務めてくれていた。

 

「で、ジンはどうしたんだ?」

 

「彼が消したわ」

 

志保の表情が曇った。アイツはまた、手を汚したのか。猟奇的な方法での殺害。死体無き殺人は事件では無い。そう言いのけたアイツ。だけど、アイツの心は病んでいる。疲弊している。早く、解放してやりてぇ。早く、ラムを見つけないと…早く…アイツの心が完全に壊れる前に…

 

 

 

 

 

 

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