※この作品はR-18です。

新そっくりなアイツ   作:もっち~!

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工藤君への来訪者 Part5

---毛利蘭---

 

亜樹君の退院…お母さんとお父さんが、引っ越し作業を手伝ってくれた。つまりは、私の想いに根負けして、腹をくくったそうだ。

 

「ネタは提供する。いつでも来いよ、亜樹」

 

「ありがとうございます」

 

恐縮する亜樹君。お父さんは亜樹君を名前で呼んでくれた。

 

「戸惑っています…いきなり両親が出来て…」

 

亜樹君もお父さんとお母さんを受け入れてくれていた。新居は、亜樹君の改築した家である。以前の趣のある家ではなく、ごく最近見かけるような2世帯住宅のような佇まいである。2世帯住む訳では無いが、1階には作業場があり、共用のキッチン、バス・トイレがある。2階は私、亜樹君、紅子さんの部屋だ。3階は倉庫、亜樹君のプレイルームがあり、地下にも倉庫がある。倉庫には資料なども置くため、広めにしてあった。

 

作業場では亜樹君、春美、夏美のそれぞれの仕事部屋の他、大きなテーブルのあるリビングもある。

 

新居に着くと、鳥井姉妹、紅子さん兄妹、朱美が待っていた。美和子さん達は非番では無い為、後から来るそうだ。

 

「えっ!こんなになったんだ…」

 

初めて見る改築された家に驚いている亜樹君。間取りは以前より広くなっているそうだ。母屋側との境の壁を取り払い、母屋側に拡張した感じだそうだ。元々、ここの土地は亜樹君のお母さんの物であり、相続したのは亜樹君だったらしい。

 

「じゃ、家電とかを運び込むか。亜樹はリビングで休んでいろ。蘭、亜樹を頼む」

 

お父さんが亜樹君を気遣ってくれている。

 

「亜樹君、おいで」

 

亜樹君と共に1階のリビングへ向かった。1階に関しては鳥井姉妹と朱美で、荷物の配置を終えたそうだ。

 

「以前と同じようにしてくれたんだ…」

 

三方を本棚が囲んでいる。本棚の無いサイドには大きめな窓があり、母屋の庭が見える。ここは2階を吹き抜けにして天井高を高くし、本棚が柱の役目をしているそうで屋根の梁まで届いていて、3階の倉庫の同じ位置に本棚があるそうだ。

 

亜樹君が仕事部屋を見に行った。私も一緒に行く。以前は窓の無い部屋だったが、窓があり、明るい室内になっていた。執筆机、絵画を描くスペースなどもある。

 

「これは、思ったよりもいいなぁ」

 

そう、呟くと、何かを描き始めた。風景画のようだ。桜が舞い散る坂道、少女が空を見上げている構図。少女は後向きであり、誰なのかはわからないけど、私では無いようだ。

 

引っ越しが終わる頃には、絵が完成していた。早い…彩色も終わっているし。

 

「兄さん…これ、お世話になったお礼…」

 

今描いたばかりの絵を、紅子さんのお兄さんへ、手渡した。

 

「うん?これは…いい…心が穏やかになっていく」

 

「亜樹君、こんな短時間で描き上げられるの?」

 

お母さんが驚いている。いや、お父さんも、私だって。

 

「うん…暇だから…」

 

「コスモスの間に展示しておく、体調が戻ったら、今度見に来てくれ」

 

「はい…」

 

こうして、新しい生活に踏み出す私達…

 

 

 

---服部平次---

 

また、性懲りも無く、和葉と東京見物や。前回、見物が出来なかったからな。工藤の奴のせいで…

 

「平次…今回は問題を起こさないでや」

 

「あ?工藤次第や」

 

「あかんって…工藤君との接触は禁止されておるでしょ?」

 

あぁ、禁止はされている。だけど、偶然会ったら、シャア無いと思う。えぇと宿は…はぁ?あのホテルでは無いか…高級なホテルが取れたと思ったら…って、ここって高級なホテルだったんかぁぁぁぁ~!

 

高校生の分際で、工藤の奴、稼いでいるのか…そんなにぎょうさん…あくどい奴やなぁ。沸々と工藤への怒りが燃え上がっていく。

 

部屋はエコノミークラスではあるが、ミニスィートだった。

 

「部屋が2つあるんだ。スゴい…これでもエコノミーって…」

 

ホテルの雰囲気に飲み込まれて行く俺と和葉…

 

「以前、和葉の泊まっていた部屋って?」

 

「えぇっとねぇ…これや…スーパーシングルって奴や」

 

パンフを見て指差す和葉…おいおい、ここよりも高いやないか…工藤の奴…こんな高い部屋に和葉を…どんな魂胆や?暴いてやる!

 

「で、平次…どこへ行くんや?」

 

工藤の家はあかんよなぁ…そうや、あの姉ちゃんの家って、探偵やったなぁ。

 

「毛利探偵事務所へでも行くか?表敬訪問や」

 

「はぁ?いやな予感しかしないで…工藤君の彼女の家やない」

 

「偶然や」

 

そう、偶然なら問題は無いはずや。

 

 

毛利探偵事務所を電撃訪問すると、アイツがおった♪

 

「西の高校生探偵の服部平次や。東の名探偵、毛利小五郎に表敬訪問に来でぇ」

 

「アポの無しに?お前、無礼だな」

 

このおっさんはスルーだ。

 

「よぉ!工藤。この前は世話になったなぁ」

 

「うん?あぁ、インポ探偵か?また彼女連れで、女を漁りに来たのか?」

 

コイツ、相変わらずに失礼なやっちゃなぁ。

 

「この前だってなぁ、女を漁りに来た訳でないわぁ!」

 

「筆下ろしを強要して、蘭を拉致監禁して、強姦未遂?お前、女に飢えすぎだろ?彼女だけで満足出来ないのか?」

 

「え?工藤君の彼女を拉致監禁して、強姦未遂?平次、聞いていないわよ」

 

あ…そんな事、言える訳あらへん。

 

「お前が悪いんだろ?なぁ、工藤…ピンクトラップなんかしやがって」

 

「していないよ。お前は強要した上、強制したんだろ?府警のお偉いさんの息子だと、罪は問えないらしいじゃないか。お前、未だに前科無しだものな」

 

「え?平次…前科をもみ消したんか?」

 

和葉が俺から離れていく。

 

「それよりもだ、おい、貴様。何のマネだ!」

 

「お前も、何のマネだ?」

 

背後から声を掛けられた。目の前にいるのに…振り返ると工藤が、おった…はぁ?

 

 

 

---工藤新一---

 

今日は亜樹に、取材される日だったので、おっちゃんの事務所を訪ねた。そこには服部平次とコイツの彼女がいて、亜樹に難癖を付けていた。

 

「なんやて…工藤が二人おるのか…お前ら、双子か?」

 

驚き過ぎで、腰を抜かした服部。

 

「双子では無いよ。お前が俺だと思っているのは、佐田家本家の次男坊だぞ。口には気を付けろ」

 

「なんやて…佐田家の…」

 

「うそっ!」

 

固まる浪速からの訪問客2名。

 

「亜樹、遅くなってすまない。仕事が押しちゃってな」

 

「いいよ。インポ探偵と遊んでいたから」

 

インポ探偵?あぁ、筆下ろしで赤玉出して、股間にケリ喰らって、立たなくなったらしい。

 

「インポ、インポ言うなぁ!」

 

褐色な肌なので、顔色がわからねぇや、コイツ。

 

「じゃ、前回のアレは?」

 

「俺が忙しくて、亜樹に代役を頼んだんだよ。見た目がソックリだろ?たまに、バイトで代役をして貰っているんだ」

 

アイツの機転で、俺は何度も助けられている。俺にとっては恩人クラスだ。

 

「じゃ、じゃ、あのホテルは?」

 

「あのホテルは佐田グループの本丸だ。亜樹の住んでいた部屋だ」

 

「なんやて…」

 

亜樹は立ち上がり、服部の連れの女性の肩に腕を回した。

 

「大丈夫か?顔色が悪いよ」

 

女の扱いは、俺よりもプロな亜樹。

 

「えっ…大丈夫…です」

 

仄かに頬が紅色に染まっていく女性。

 

「おい!お前!和葉に粉を掛けるな!」

 

「彼女なら、気配りをしろ。こんなに震えているじゃないか」

 

震えている?あぁ、本当に微妙に震えているなぁ。

 

「大丈夫か?ゆっくり呼吸をしてみて」

 

「あ…はい…」

 

驚き過ぎて、過呼吸気味なのか?

 

「おい!和葉から離れろ!この女垂らしが」

 

ドスン!

 

服部が亜樹に詰め寄ろうとして、蘭のケリが服部を捉えた。

 

「うっ!」

 

「亜樹君に手出しはさせない」

 

蘭がガードしているんだ。素人相手なら問題は無いな。そして、亜樹の機転で、服部はパトカーに、彼女は救急車に乗ることになった。

 

 

 

---服部平次---

 

また、留置所や…父親から、こっぴどく怒られた。今回はなぁ~んもしておらんのに。あの偽工藤のヤツめ…

 

そして、取り調べ…

 

「君の罪状だけど、住居不法侵入と傷害未遂だから」

 

「ちょい待て!住居不法侵入って、なんや?」

 

覚えが無い罪状が追加されている。

 

「君、あの家の住民の許可無く、入ったよな?アポ無しでの電撃訪問っていって。それって、不法侵入に当たるんだよ。毛利探偵は接客中だった。プライバシーの侵害も付くかもしれないぞ」

 

「接客?しておらんかったで」

 

「亜樹君と話しをしていただろ?彼は毛利家の人間では無い。それは毛利探偵から見れば客に当たるんだよ」

 

何?また、嵌められたんかぁ…

 

「今回は、送検するよ。2度目だからね。大阪のお偉いさんの息子と言え、問題がありすぎる。まして、前回も亜樹君を襲撃したよね?」

 

あいつ、亜樹っちゅうんか…あの野郎…許さへんでぇ~!

 

 

 

---遠山和葉---

 

今回も彼に助けられた。体調不良を押して、平次と東京見物に来たのだけど…衝撃な事実を目の前にして…

 

「大丈夫?」

 

平次のおかんが来てくれた。

 

「うん…亜樹君のおかげやなぁ」

 

いち早く、私の異常に気づき、介抱してくれた。前回もそうや。さすが、佐田家のお坊ちゃまだ。

 

「あぁ、平次と来たら…アイツ、何してんや」

 

まったくだ。強姦未遂ってなんや?アイツ、何してんや?私を東京に連れ出して…

 

「退院したら、彼にお礼を言いに行きましょ。私は、平次の非礼を詫びんといかんし」

 

頭を抱える平次のおかん。

 

 

退院をして、平次のおかんと共に、彼の家へ…う~ん、デカい…2世帯住宅に見えるし。立派な門…しかし、表札は出ていない。

 

門をくぐって、呼び鈴を押した。

 

『はい?』

 

聞いた事の無い女性の声。いや、どこかで聞いたような…

 

「服部平次の母です。息子の非礼を詫びに来ました」

 

「遠山和葉です。助けて頂いたお礼をしに来ました」

 

二人でインターフォンに向かって、用件を伝えた。暫くすると玄関のドアが開き、中に通された。通されたのはリビングのような場所である。2階が吹き抜けになっており、三方を本棚で囲まれているが、広々としている。

 

「少々、お待ちください。ただ今、お仕事中ですので」

 

紅髪の特徴的な少女。そうだ、前回、紅茶とケーキを出してくれた子や。今回もケーキと紅茶を出してくれた。

 

「あの…彼の彼女さんですか?」

 

思わず訊いてしまった私。

 

「いえ、義妹です」

 

妹さんか…何故か、少し安心をする私。なんでや?う~ん、そうや、本棚の本を見ていく。栗井鳥栖と三田バードの本が並んでいる。ファンなのか?他の作家さんの本もあるが、どれも問題作と言われている物が多い。

 

「彼は何のお仕事をしてますの?」

 

平次のおかんが訊いた。

 

「物書きですよ」

 

小説家なんだ…これらは、参考資料なのかな?

 

「あの絵…まさか、安芸桜の絵ですか?」

 

「えぇ、2代目のですが」

 

安芸桜って、有名な絵師じゃないの…それが、結構な数、展示してあった。佐田家のおっ坊ちゃまだけあって、お金持ちなのだろうか?

 

「これって、未発表ですよね?」

 

平次のおかんは目利きであり、あぁいう物に精通している。

 

「えぇ、そうです。気に入った物は、手元に残しているんです」

 

「えっ!まさか…」

 

うん?平次のおかんの顔色が変わっていく。どうしたんかな?

 

「えぇ、兄さんの作品ですよ。あぁ、正体不明の絵師故、ご内密にお願いしますね」

 

って…はぁ?彼が2代目安芸桜なのか?

 

「初代の物は、佐田グランドホテルのコスモスの間に展示してあります」

 

「そうなると、彼は養子ですか?」

 

「はい。兄さんの本当の母親は初代安芸桜です」

 

佐田家の養子?才能を買われたんかな。近寄れない存在なのか…

 

「大丈夫?身体が震えているよ」

 

いつの間にいたん?彼が後から優しく抱き締めてくれた。震えが収まっていき、身体がほかほかして、心が癒やされていく。なんでやろか?

 

「大丈夫です。この前はありがとうございました。対処が良かったので、大事にならずに済みました」

 

って、彼は私の後にいる。う~ん、正面から言わんとあかんのに…あかんなぁ

 

「うちの息子が非礼を…えらいすみません」

 

平次のおかんが土下座をしている。私もしたいんだけど…彼に抱き締められていて、動きたくない。

 

「気にしていません。実害は無いし」

 

彼にエスコートされて、椅子に座った。

 

「紅子、珈琲を頼めるかな?」

 

「はい。ただ今、お持ちします」

 

「顔を上げてください。お着物に皺が…どうぞ、こちらにお座りください」

 

平次のおかんを抱き起こし、椅子へとエスコートした。平次も見習って欲しい所作である。と、彼はペンを手にして、何かを描き始めた。何を描いているんやろか?

 

「訪問記念に、これをお持ちください」

 

私と平次のおかんに、それぞれの絵が手渡された。早い…一人分を5分くらいで描き上げていた。さすが、プロやな。

 

「いいんですか?この大きさでも結構なお値段に…」

 

「目利きなんですね。じゃ、これもお持ちください。価値の分かる方に眺めて貰えるのは嬉しいですか」

 

彩色が為された大きな絵が、平次のおかんに手渡された。

 

「え?!いいんですか…未発表の絵ですよね?」

 

「えぇ。動産価値としてでは無く、作品を愛でくれる方に持っていて欲しいから」

 

うっ!マズい…惚れてしまいそうや…気前の良さ、器の大きさ、女性の扱いなど、平次が足元にも寄れないくらいにレベルが高いし。

 

「大切に毎日、眺めますわ」

 

平次のおかんの頬が紅色に染まっている。うそっ!あの冷徹な平次のおかんの心も掴んだのか?スゴい…

 

 

 

 

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