---遠山和葉---
『どないしたんや?』
スマホのスピーカーから平次の声が聞こえている。
「どないしたんや、やない!このアフォンダラがぁぁぁぁ~!」
『ほんま…どないしたんや、和葉』
興奮気味のウチに対して、平次は冷静な声だ。
「亜樹君のことや!」
『うっ!』
平次の声から動揺した感じが…
「胸に手を置いて、何したんか、ゆうてみ!」
『ダレに訊いたんや?』
「蘭ちゃんに会いに行って、毛利探偵に聞いたでぇ~。おのれ、何してんのや!」
『それは…』
言葉に詰まりよる平次。
「お前…しでかしたことに、反省せいや」
『あぁ、わかってる』
平次にしては、素直な返答である。
---鳥井亜樹---
少女を観察する。まだ、美味しそうな裸体では無い…そうじゃなくて、思考の主導権を僕にした。蛇の様子を観察しないと…まだ、蠢き絞めている。これ、リターンじゃないなぁ。
『フルカウンター3倍返し』を発動して、彼女に掛かっている術を術者へ返品した。彼女の身体から2匹の蛇が飛び出て、神社から去って行く。
「何をしたんだ?」
龍さんに訊かれた。
「相手を呪い殺そうとしている子だよ。この子も恨みを買っているってことだ。あれ、リターンじゃなくて、彼女を狙った呪術だよ」
「神社から出て行った蛇は?」
「術者を襲いに向かっているよ。いい?全てを救うのは難しいんだからね」
僕もそうだった。みんなを救ったはずが、僕自身だけは救えなかったから…もしかすると、お姉ちゃんも…
「それはそうなんだが…」
龍さんが蛇を追おうとする。
「まだ、やることがある。逃げないでくれ。関わった以上、最後まで関わってくれないか。途中で別のことをするって、失礼だぞ」
「それはそうだが…」
蛇の行方が気になっている龍さん。だけど、僕達は目の前の問題に当たらないとダメだ。
「まず。このご神木だけど、霊力を感じ無い。これ、本当にご神木か?単なる巨木じゃないのか?」
神木っぽい装飾は為されてはいるけど…
「うん…そうだな。これは違うな。どうして、これを神木にしたんだ?」
周囲を見回すが、それらしい木は見当たらない。
「次に、白蛇だよ。この辺りには白蛇が大量にいるのか?」
「う~ん、聞いた事は無いなぁ、そうなると…」
そうなると、これは白蛇では無い。今さっき磔られた蛇を観察した。
「なるほど…その少女は罪深き行いをした。蛇の皮を剥いでから磔にしたんだ」
白く見えるのは、蛇の筋肉である。生きたまま皮を剥かれ、生きたまま磔にされた蛇達。
「なんだって…あぁ、そうだな。これは蛇の筋肉だ…酷い…」
「そして、あの崩れた本殿…あれ?壊されているよね?御神体も無いようだ」
龍さんも心眼で崩れた本殿を探査した。
「確かに御神体が無くなっている。どういうことだ?」
「考えられるのは、元々無かった。そして、元々崩れた状態だったってことだな。ここはたぶん、移築先だ。組み上げてみたはいいが、柱が足り無かったんじゃないかな?」
「まさか…」
その日の調査はそこまでだ。少女を緊急搬送って形にして、月野木病院へ入院させた。
◇
翌日、田代貴子の容体が快方に向かったそうだ。僕と九郎丸、夏美、狭霧、夏凜で、あの白蛇神社へ向かった。雪乃、結衣は、危険なので、連れていかない。
「酷い状態だね」
って、九郎丸。まず、偽ご神木の掃除。蛇の死骸を丁重に剥がし、聖なる炎で荼毘に付し、鎮魂の祝詞を上げた。次に綺麗になった偽神木を浄化して、普通の巨木にした。
「これで、ここで儀式をする者はいなくなるな」
って、狭霧。
「問題は、あの本殿だ。一旦、土台から、木材を全て退かす。夏美、頼む」
「あい。やぁ!」
掛け声と共に、木材が次々を平地に並べられていく。全て退けてみたが、やはり御神体は無かった。
「そうなると、ここは偽神社ってことだな。いや、誰かが持ち去ったか?でもご神木は持ち去れないよな…」
石段の手前に見える鳥居が目に入った。そうか…
「これがご神木なんだ…」
鳥居に手を翳す。微かではあるが霊力が残留していた。
「まさか、ご神木を切り倒して、鳥居にしたのか?そうか、神木だけでは足り無いから、本殿の柱を流用したのかもな」
夏凜に訊かれ、頷く俺。
「作法を知らない奴が。ここへ建立したのだろう。何の為に?う~ん…そもそも、元々、どこにあったんだ?この神社は?」
「ちょっと、待ってね」
夏美が探査してくれた。
「これかな?白浪公園って場所みたい」
狭霧が地図を広げた。巨大な団地群の入口にある公園のようだ。
「都市開発の為の移築か…そうなると作法を知らない土建屋がやったことか…で、白浪神社だったのに、間違えて白蛇神社って名前にした可能性はあるな。ここには白蛇は生息していないから」
「なるほど…」
って、九郎丸。
「で、どうするの?」
「神社では無く祠にするか。鳥居は立派だけど、ご神木も無いし…結界力も無い。周囲も鎮守の杜では無く、ただの森だしなぁ」
「お兄ちゃん、稲荷様にしよう♪」
って、目の前にある木材で、稲荷様の祠を瞬時に作り上げ、御神体を置いた夏美。
「こんな広い場所に稲荷様か?」
って、狭霧。
「うん?稲荷様なら、ご神木はいらいよ。お供えに油揚げがあれば、サイコーだよ♪」
九尾の狐様目線のようだ。って、夜な夜な喰いに来るつもりでは…
「夏美、摘まみ食いは禁止だよ」
「ガーーーーン!」
涙目になる夏美。やはり、そういう作戦か。
「るり子さんの稲荷寿司を食え。いいな」
「うん♪」
仲居さんは稲荷寿司作れるかな?旅館向きの料理では無いし…
◇
古文書のある旧家に行きたいと、いろはと小町から依頼を受けた俺。仲居さんに紹介され、神原家という旧家のお屋敷に、夏美と共に4人で向かった。そのお屋敷はデカかった。門構えがデカい。大名屋敷のような大きさだし。
家人の人と会い、紹介状を手渡すと、
「あれ?駿河?」
「うん?いろはす?小町も…」
この家の家人の一人、神原駿河と小町といろははクラスメイトだったらしい。俺の手助けは要らなかったのでは?
小町といろはと夏美は、駿河の祖父と古文書を見に蔵へ。俺は駿河に持ち逃げされ、駿河の部屋に連れ込まれた。その部屋は、所謂BL本で溢れかえっていた。なんだ、この量は…大広間に山積みされているBL本の数々。
「まぁ、狭いが、ごゆるりとしてくれ」
駿河の右手には包帯が巻かれていた。何やら、気になる。怪我にしては、巻いてあるだけのようだし。
「それって、怪我か?」
「あぁ、これか?まぁ、そんな類いだよ」
神原駿河はボーイッシュであるが、出る処は出ている。う~ん…
「なんだい、亜樹先輩は、私の身体に興味でもあるのか?」
「まぁ、健全な男の子だからな。エロ女体の前では、立つ物は立つ!」
俺の股間に視線を向けた駿河。
「なるほど…亜樹先輩は、正直なんだな。いいよ、幾らでも見てくれ」
って、俺の前で全裸になる駿河…引き締まりながらも、豊満なバスト。中学生にしては大きい気がする。
「おい!見るだけだって…ダメだって…うぅぅぅ~ん…」
辛抱溜まらん俺は、駿河の股間に顔埋めた。これが中学生の香りか…少しション便臭い。まだ、フェロモンが出ていないようだ。
「ダメ…先輩…ダメだよ…」
下半身の力が抜けたのか、俺に身を委ねた駿河。畳の上に静かに寝かせ、大量のBL本を載せ、腕の自由を奪った。
「先輩…ダメだって…え!うそっ!」
ダメダメな男です。中学生の刺激に興味を持ってしまった俺は、駿河と交わった。すこぶる気持ちがいい。締まりがいい…それほど発達していないのか、膣壁は絡んで来ない。これはこれで新鮮である。未発達な分、フェロモンの発散量も少ない気がする。
「いい…もっと突いて…壊すように…もっと壊して…」
腹筋を鍛えているのか、下にいる駿河のピストン運動が力強い。パシ!パシ!と、いつもと肉の叩き合う音まで鋭い気がする。
「いい…」
駿河が電池切れをしたかの如く、静かになった。ふと、右手の包帯が目に付いた。怪我をしているには、痛いって言わなかったなぁ。包帯を解くと、右手には悪魔の手が生えていた。何かの呪いか。亘が、その場で札を作り、浄化していく。2、3回繰り返すが、頑丈であり、変化が少ない。では、亘の陰陽師としての術を発動して、浄化をすると、駿河の右手はしなやかな腕に戻った。
俺だけ、服を着ておく。突然、いろはが乱入するかもしれない。この状況を結衣に言えば、またケダモノ呼びされそうであるから。いや、実際ケダモノであるけど。
「うぅん…あれ?先輩…一人で服を着るなんて…」
右腕を見た駿河が固まっていた。
「どうして…元に戻っている。先輩がしてくれたんですか?」
全裸で抱きつく駿河。
「先輩、何をしているんですか?」
いろはの声…
「あれ?駿河…右腕、どうしたの?」
「先輩が治してくれたんだよ…」
「あぁ、治療するのに全裸にしたんですね。ケダモノに戻ったのかと心配しましたよ」
いや、戻ってました…
「駿河、良かったね。先輩、こう見えても、高名な陰陽師なんだよ」
そんなに持ち上げないで…俺は、巧妙なケダモノです…
「陰陽師…だから、治せたのか…スゴい、スゴいよ先輩♪」
全裸で抱きつく駿河。気持ちはいいのだが、ひやひやである。いつ、いろはが事実に気づくのか…
◇
翌日、ホームルームの時間…
「亜樹!奉仕部では、大活躍らしいじゃないか。だが、いい気になるなよ。放課後、部屋に来い!」
雪姫先生の呼び出しだ。駿河の件がバレたのか…マズいなぁ。結衣との関係性が改善してきたのに…う~ん…
放課後、雪姫先生の部屋。
「お前に頼みがある」
頼み?駿河の件では無いんだな。セーフだ。
「どんな?」
「同じクラスにいる羽川翼を救え!」
救え?
「状況は?」
「アイツは闇を持っている。暴発をする前に、どうにかしろ!」
闇を見極める力は、俺より上の先生。闇かぁ…漠然としているなぁ。
「どんな闇?」
「それは、お前が見極めろ…おい!学校では止めろって、言ってあるだろ…」
あぁ、しまった。先生の股間に顔を埋めていた。香りに誘われた事にしよう。
部屋を出ると、夏美、九郎丸、千紗希、雪乃、何故か結衣が待っていた。
「今回は何をやらかしたの?」
千紗希に訊かれた。
「羽川翼が暴走する前に止めろって…羽川翼ってどんな子?」
「クラスメイトの名前を覚えていないの?」
結衣が怒り心頭である。どうして?
「黒髪ロングで見た目はグラマラスよ。後、眼鏡を掛けている」
って、雪乃。
「暴走しそうな子なのか?」
「成績は優秀だけど…ぼっち系女子かな」
って、九郎丸。ぼっち系か…苦手だ。俺もそうだから…どう、アプローチするかな?人間相手は苦手である。
◇
翌日、羽川翼ウォッチを始めた。九郎丸にどの子か教えて貰い。取り敢えず、香りを覚え込む。顔を覚えるのは苦手であるから。見た目、印象に残りにくいガリ勉タイプの女子。暴走するようには見えない。どんな闇を抱えているのだろうか。
そして、放課後…男子トイレに行ってから、部室へ…その時、上から女が振ってきた。紙切れのようにフワフワと…咄嗟に落下地点に走り込み、その女をキャッチした。軽い…人間の体重とは思えない軽さである。
「おい!何をしているのよ!」
あぁ、咄嗟に胸の谷間に顔を埋めていた。ケダモノとしての習性かもしれない。
「あぁ~!お前は鳥井かぁぁぁぁぁ~!」
キラりと光る物が見えたので、手刀で叩き落とした。
カチン!
うん?ハサミ?殺す気か?『催淫』を発動して、女を無力化する。
「え!何…イヤ…ここで犯すの?」
身体をノッキングしている女。学校内でそんなことは出来ない。雪姫先生と結衣に何を言われるか、分かったものでは無いから。取り敢えず、女を抱えて部室へ連れ込む。コイツ、おかしい。なんで、こんなにも軽いのだ?
◇
「どうして、トイレに行って、戦場ヶ原さんを拉致したのかな?」
結衣の冷たい視線。どうやら、この女はクラスメイトの戦場ヶ原ひたぎって奴らしい。
「だから、上から降ってきたんだよ~!」
「ここに連れ込んだってことは、彼女に何らかの異変を感じたのよね?」
雪乃は俺善説である。結衣は俺悪説であるが…
「軽いんだよ。こいつ…人間とは思えない程にね」
絶頂に達して意識をとばしているひたぎ。結衣が抱えた。
「あれ?本当だ軽い…片手でも持てる…どうして?ねぇ、アッキー!」
結衣の俺の呼び方が日々変化しているような…まぁ、いいか。
「う~ん、こういう現象を起こす怪異となると、重し蟹かな…」
俺の思考は亘が主導権を得た。
「アイツかぁ♪」
夏美が喜んでいる。
「そうなると、ここで抜けないよね?持って帰れないし」
「どういうこと?」
夏美の独り言に結衣が反応した。
「重し蟹は、取り憑いた相手の重さを、奪い取る怪異なんだよ。体重は勿論、重責や重荷なんかをね。で、重さをエサにしているので、身がしっかりと詰まっているんだよ」
うっ、ヨダレが出て来た。
「まさか、怪異を食べるの?」
「「勿論♪」」
俺と夏美が同時に飛び上がった。
「お兄ちゃん、ゆらぎ荘で抜こうよ」
「そうだな。デカいから、持ち帰りは無理だものな。って、ことで、帰るよ雪乃」
三人で転移をした。そして、仲居さんの前で重し蟹を剥離させて、夏美が活き締めにして、仲居さんにバトンを託した。
俺は、意識が飛んだままのひたぎを全裸にして、身体を洗い、女湯の湯船に入れて上げた。溺れないように、浮き輪付きである。
疲れたし…寝るかな。部屋に戻り、幽奈の膝枕でしばしのお昼寝タイム…
◇
ドンドンドン…誰かの階段を昇ってくる音で目が覚めた。
ガチャ!
「おい!置いて行くなよ!」
結衣の声だ。
「はぁ?お前はここの住民で無いだろ?」
「同じ奉仕部の部員だよ~!え!どうして…」
うん?あぁ、結衣には幽奈が見えない。だから、俺の体勢が不自然に見えたようだ。
「俺の彼女の幽奈だ。見えないだろうがな」
「彼女が…幽奈さん…う~、悔しいけど見えないよ~」
ズルっ!ドン!
結衣が俺の足首を引っ張ったせいで、俺の頭部は幽奈の腿から滑り落ち、畳に激突した。星が見えた。花火か?線香花火の最後の奴かな…
「てめぇ~!何をするんだよ。この暴力女め!」
「はぁ?元ケダモノに言われてく無いわ」
幽奈はクスクスと笑ってみている。まぁ、こういうタイプの女は、ここにいないからな。
ドンドンドン!
「おい!お前!私の裸を見たのか?見ただけなのか!」
全裸のひたぎがやって来た。仮に見ていなくても、今見せられていると思うが…
「汚れていたから、洗っておいたよ。汚れたまま温泉に入れるのはルール違反だからな」
「触ったのか…触れたのか…なんてことを…」
「あぁ、お前のパンティは汚れていたから、手洗いをして、脱衣所に干してあるぞ」
顔を真っ赤にしたひたぎ。
「お前…下着まで洗ったのか?なんてマネを…」
「それより、脱衣所においておいたスエットの上下を着ておけ。洗い立てだから、臭いは付いていないから」
「なんで、お前は…そんなに優しいんだ…初めて口を利いた相手だぞ!」
結衣はあっけに取られて固まっている。
「なんで?愚問だ。そこに困っている人がいるからだ。で、結衣!てめぇ~なぁ!昼寝のジャマするんじゃねぇぞ~!」
え!結衣が固まったまま。石化したのか?
「へぇ~意外だな。元ケダモノの分際で、困っている女の子を助けるとは」
石化が溶けて、毒舌が復活した。その時、階下からカニに美味しそうな香りが漂い始めた。これはカニ飯か?
「ひたぎ、服を着てこい。飯を食っていけ」
頷くひたぎは。風呂場へと走り去ったようだ。
PCを入れ替えたら、入力環境が激変…orz
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