再会 Part1
---デコ---
夏休みに入る1日前、世間では、終業式をしている日である。明日から駅がごった返すと思うので、あやか温泉へ向けて、移動を開始した。鈴木まゆこさんへは連絡済みである。あやか温泉駅の改札口に18時、彼女と待ち合わせをしている。高鳴る鼓動と共に不安も高鳴っていく。本当に亜樹君が生きているのか。同姓同名の別人では?一抹の不安が顔を覗かせてもいる。
新宿駅を出て、途中でローカル線に乗り換え、約3時間くらい…あやか温泉は遠い。1つ手前のあやか市駅で下車をした。ここはそれなりに栄えている街だそうで、まゆこさんのバイト先である月野木病院があるそうだ。駅で時刻表をチェックをして、18時に着けるように、ここで時間調整をすることにした。まゆこさんからのアドバイス、あやか温泉駅で下車すると、温泉以外にナニも無いそうだ。温泉好きの亜樹君にはぴったりな場所だな。
そして、18時…あやか温泉駅前で、まゆこさんと合流した。
「ふ~ん、生前の亜樹君の好みって、こうなのか」
まゆこさんの視線が、私をなめるように感じている。何げなく漏らしたまゆこさんの言葉…生前…それは、死んだってこと…少しショックである。分かっていたことだけど…
「じゃ、行こうか。あそこに見えるのがそうだから」
左手奥の方を指指すまゆこさん。そこには、あの鉛筆画の建物があった。
---鳥井亜樹---
初めての終業式…成績表を配られた。う~ん…1が並んでいるのは、どうしてだ?
「あぁ、亜樹。10段階評価で、1は最低だからな」
それは…
「学校の授業以外では10だが、学校は甘く無い。あぁ、お前の補習は羽川に丸投げする」
補習?まさか、夏休みに勉強をするのか…
「まぁ、がんばれよ~」
先生が笑って去って行く。えぇぇぇぇ~!
下宿に戻り、部屋でぼんやり…翼が補習分の宿題の説明をしてくれている。見た感じ、楽勝に見えるので、亘に丸投げするかな。
『えぇぇぇぇぇ~!亜樹…無理だって…丸投げって言うは、出来る人に投げるんだよ』
って、俺の脳裏で亘が絶叫している。この先、俺がいなくなっても、亘が大丈夫なようにしてあげないとなぁ。俺の真心なギフトだぜ。
って、夕方、まゆこがアポ無しで訪れた。まゆこの隣には…どうして、ここにいるんだ…デコ…
「亜樹君?」
不安そうなデコの顔。俺は、顔を背けた。生前の記憶が蘇って来た。戸惑う俺…どうしろって言うんだ?
「亜樹君、逃げちゃダメ!」
まゆこの声。
「デコ…どうして来たんだ?」
デコの顔が真っ直ぐに見られない。俺は、デコに何もしてあげられなかった。
「亜樹君に逢いたいから…それだけじゃ、ダメ?」
「ダメじゃ無い。俺も入院から脱走をして、デコに逢いに行ったからなぁ」
俺の傍に近寄って来たデコ。俺の肩に、恐る恐る手を置き、頬を重ねて来た。
「温もりを感じる。亜樹君…生きているんだね」
ただ頷く俺。言葉が浮かばない。ふと、目を向けた部屋のドアの前には、ヤジ馬達が耳を澄ましている。
「なんだよ?」
たまたま目が合っ千紗希に声を掛けた。
「えっ!いや…亜樹君の生前の彼女が来たって…」
「デコは彼女じゃない。俺はデコにプロポーズをして断られたんだよ」
「えっ!」
響めくヤジ馬達。
「断って、ごめんね…マジだと思わなかったから…」
デコが笑っている。その笑顔が好きなんだよ。
◇
せっかく来たので、夏休みの間、空き部屋に逗留することになったデコ。宿泊費は、俺の財布から出るのだが、月2万の家賃だと言う。まぁ、そのくらいなら、印税でどうにかなるか。
夕食時、デコへ質問が殺到していた。生前の俺のことを知りたいらしい。大切なのは生前より、今だろうに。
「私の知っている亜樹君は、身体が弱かったかな」
成長期に十分な栄養が摂れなかったので、体力不足、筋力不足であった。
「今、絶倫なのになぁ」
って、駿河。不適切発言な為、ひたぎに意識を刈り取られ、別室へ退場になったようだ。
「絶倫なの?」
苦笑い気味のデコ。
「まぁ、生前より、性欲はあるかな」
「ふ~ん」
「えっ?生前は性欲が無かったのか?」
狭霧に訊かれた。
「今と比べると無いかな。あの頃、女体は愉しむ対象では無く、モデルだったからな」
俺がそう言うと、デコがスケッチブックを鞄から取り出した。俺がデコにあげたヤツだ。
「これ…亜樹が描いたのか?」
狭霧に訊かれた。頷く俺。風景画とデコの肖像画ばかりである。
◇
デコとの再会の翌日…初めての夏休みが始まった。それは毎日が、日曜日だった。そのことから、フィールドワークがたくさん出来そうだ。
結衣、静、いろは、小町、火憐、月火、駿河が、ゆらぎ荘で合宿をするという。仲居さんは、月2万の家賃で手を打ち、大広間を開放したようだ。う~ん、こんなことなら、夏休みはいらないかな。1日の大半が部活の予感である。
「おぉ~!ここが噂の天然温泉ですかぁ~♪」
って、いろは…いや、ここは男湯なんですけど…結衣とデコ以外、全員全裸であるし。襲ってしまいそうだよ。襲うなら、狭霧であるが…デコの視線が怖い。デコの前では紳士でありたい。
「結衣先輩、全裸で入りましょう。マナーですよ」
って、全裸で俺の目の前で仁王立ちをしている駿河。う~ん、こいつは健康美すぎて、襲う気が起きない。デコのことは、その場で、皆に紹介した。男湯で、なんで紹介タイムなんだ?朝飯の時ではダメなのか?こいつら、男湯を会議室と間違えている時があるようだ。
「で、どうする?」
翼が訊いてきた。会議の始まりのようだ。
「まず、あの白浪稲荷の問題が先決だな。なんで風が無いんだ?」
風が無いと悪い気が溜まってしまう。まぁ、夏美の夜回りで、大半は消されているが、夏美で消せないのは、強敵だしなぁ。
「あの5合目辺りの休憩所が怪しいと思う」
って、千紗希。
「俺もそう思うんだよ。他に要素は無いし。あの辺りで冷気が有り、空気が冷えて、じめじめしているような気がする」
あそこに併設されているトイレは、コケだらけだったし。まぁ、風合い的には有りではあるが。
「小町といろはが集めた資料と、駿河の持って来た古地図を見ると、あの辺りは、物見の丘と昔呼ばれていて、狐が住んでいた草原だったらしい。で、稲荷のある頂上は、月見の台と言われ、町を一望出来たそうだ」
その面影は無い。もっと高く無いと、街は見えない。この場合の街は、ここ温泉街だと思われる。現在、街と呼ばれている地区は新興住宅街で有り、古地図には無いから。
「後、資料によると、滝らしき物があったらしいのだけど、見付かっていない。そもそも、あそこに神社を移築した理由がわからない。水は雨水を溜めるしか無いし。井戸の類いがあったかどうかが焦点だな。それらの探索を優先課題としてあげたい」
「先輩についていきます」
って、下級生組。同級生組も概ね了承である。概ね…問題はトイレである。仮設トイレを5基導入したのだが、ボットン式で、恥じらいを見せたい高校生組には、評判が悪いのだった。
「トイレかぁ…下水道管が無いもんな…翼、悪いけど、水道局に掛け合ってくれる?」
「いいけど…設置してくれるとしても、夏休み中は無理だよ」
「下水道の使用許可だけでいいよ。夏美に頼むから」
夏美の中の九重様に、汚物タンクの中身を、下水管へ転移してもらう作戦である。
「あぁ、なるほど」
夏美に頼めるかどうかは、お供えの揚げの数によるが…
「問題は水だよね?」
って、夏美…
「あぁ、水が大量に使えれば、揚げを作ることも出来る」
水が無いと、前段階の豆腐が作れないからな・白浪稲荷で揚げを売りながら、摘まみ食いすることを、ささやかな夢にしている夏美。商売が成り立たない気がする。いや、客がいるのか?
「そうなると、水脈の調査だな」
資料と古地図によると、川らしき物の源泉があったようなのだが…長旅で疲れて居るデコは、温泉地で静養して貰い、残りの者で調査へ出ることになった。
◇
部屋に戻って、調査へ行く準備を…え?!
部屋には全裸の結衣が待っていた。どうして?ケダモノの俺の部屋に?
「ちょっと!全裸を晒しているんだよ。もっとリアクションって無いの?」
スルーをするか。ピンクトラップかもしれない。
「ねぇ、私の事って嫌いなの?」
背中に柔らかな感触…結衣が抱きついたようだ。俺のアレは反応してる。トラップだってばぁ。
「ねぇ、何かいいなさいよ!」
僕を振り向かせた結衣に唇を奪われた。彼女の舌が恐る恐る入って来たが、スルーする。これが地位や名誉を一夜にしてロストさせると言う、ピンクトラップなんだと思うから。って、言うか。このタイミングで僕にスイッチした亜樹。デコさんのことで、いっぱい、いっぱいだったのかもしれない。
だけど心配を余所に、僕のアレは正直である。3時半くらいの角度で、結衣の股間に当たり、割れ目に飲み込まれて居る。これはこれで気持ちが良い為、さらに2時くらいの角度を目指して上昇していく。そして、結衣の湿り気というアシストを受け、スルりと侵入してしまった。僕の初めてを…ショックだぁぁぁぁ~!
「え?いきなり、そっち?さすがケダモノね…」
いや、男のサガだと思います。それにケダモノは亜樹であって、僕では無いし。
「動くなよ!」
亜樹が一応注意をするが、不意に動く結衣。
「うっ!」
結衣の太股に赤い一筋の線…
「私の初めてを…ケダモノに…」
不可抗力です。
「責任取ってね♪」
責任を取らすことが、ピンクトラップの正体なのか?お姉ちゃんだけと思っていたのに…
『いや~、それは結衣ちゃんが悪いよね』
って、幽奈の声。一部始終を目撃したようだった。
◇
そして、現地調査へ。転移術で2,3人ずつ、運んでいく。夏美は、デコ、ひたぎ、千紗希と食材と共に転移して、お昼の準備を始めた。
まず、トイレだよなぁ。そうそう、本殿と祠の屋根にソーラーパネルを葺いて、電気は確保している。使わない分は蓄電池で溜めている。麓から水を引き上げるポンプを、駆動する場合に使用する予定である。
ペットボトルに水を入れ、少しずつ流して、地面の傾斜を調べる。その結果、造成した平地と森の境に、少し段差があり、そこへ流れ込み、崖から下へ落ちていく。下水管はここに設置がいいな。
崖から下を見ると、トイレの屋根が見える。崖に沿って、下水管を設置かな?絵図面に書き込んでいく。
次に源泉を探す。森との境にあった段差を崖とは反対方向へと追って行く。だけど、途中で途切れていた。それの意味する物は、そこに滝があったってことだ。今は造成した平地であるけど…もっと、高い台地だった可能性はあるな。
手の空いている者には下水管となるパイプの設置を頼んだ。何でも知っていそうな翼と、ガテン系が似合いそうな静と狭霧に講師を頼み、素人集団で土木工事をしていく。デコは手伝いたいと、土木作業を手伝ってくれている。一人で温泉はつまらないらしい。
俺は、水源を見つける為、L字状の針金を左右に一本ずつ持ち、探していく。眉唾的な計測方法ではあるが、結構役立つのだ。
ある場所で反応した。そこに印を付けた。位置は納骨堂と御炊きあげ場の中間辺りだ。ここで水が湧いても問題はないけど…掘削魔法で穴を開けていく。うん?探査能力で、異常を感じた場所を計測していく。地下2メートル付近にコンクリートが打ってある。無理をすると、この周辺が陥没する危険があるなぁ。
「小町!造成の計画書ってあるかな?」
「確か、ありました。えぇっと…あぁ、これかな?」
小町が書類ケースから取り出してくれた。書類類は小町に管理をまかせてある。
う~ん…コンクリートを打った記録も、打つ予定も無い…では、これはなんだ?
「どうしたの?」
翼が寄って来た。
「地下2メートル付近に、コンクリを打ってあるんだよ。地盤強化の為かな?それとも…」
「地盤強化の為なら造成計画書に載っているはずよ。無いってことは、知られたらまずいことの為だろうね」
やはり、ここには何かあるんだろうな。何があるんだ?いや、水源がジャマだったのか?
古地図を探していく。ここの詳細な絵である。月見の台…池?ふと、脳裏に浮かんだ。池の底に何かあったんだ。それを取り出すのに、水がジャマで…
建物に影響しない範囲で、掘り出していく。掘った場所の地下はコンクリートが打たれていた。コンクリが何メートル打っているかだよな…鉄筋で補強はされていないようだ。地盤強化の為では無いのは明らかである。僕の魔法だと、全部剥がれそうだなぁ。ピンポンとで撃ち抜くには…衝撃系、振動系は危険だよな…
「夏美!頼む!ここに穴を開けてくれ!」
「水はそこなの?」
「そうだ。ただ、ピンポイントで抜かないと、祠が危ない」
と、伝えた。考え込む夏美…その姿は九重様に変化していき、ビームのような光で、ピンポイントで撃ち抜いたくれた。だけど、水は出ない…あれ?どうして?
「う~む。すまぬ。抜きすぎた…岩盤まで抜いたようで、そこはほら穴のようだぞ」
そうか、ほら穴が崩落しないように、保護しているのか。
「どの位、下?」
エネルギー切れなのか、夏美の姿に戻っていく。
「うんとねぇ、あの休憩所付近かな~」
物見の丘か…古地図を探す。物見の丘の絵図である。ススキの生い茂った草原…奥の方に滝らしき物と、ほら穴らしき物が描かれている。午後から、物見の丘の調査だな。
◇
狭霧、九郎丸、夏凜と物見の丘の調査へ向かった。何が起きるか分からないので、能力者で固めてみた。
ここも空気が澱んでいる。生暖かさを感じる。絵図を描いたと思われる場所は、地面が無かった。削られたようだ。階段を作る為に…絵図から分かる広さは、今の10倍近くはあったんだろうな。今は階段を挟んで、5名くらい座れるベンチと、トイレがあるだけであるから。
ベンチ側は自然に出来た崖のようだ。階段側は、明らかに、抉ったような絶壁の崖になっている。なんで、抉る必要があったんだ?階段部分だけじゃ、ダメな理由は?
「狭霧、この崖を調査してくれ。横穴が無いかを」
「分かった」
狭霧はロープを丈夫そうな木の幹に縛り、崖を降下していった。さすが忍者系で、身軽である。狭霧がいない間に、トイレを解体していく。絵図では、この辺りに、滝と洞穴があったから。
屋根を外し、壁を外し、床と便器と柱だけになったトイレ。うん?トイレの奥だった部分にタンクがある。タンクからは、パイプが出ており、下へと伸びていた。崖下を覗き混むと、山肌に沿って麓に伸びるパイプに接続されていた。あれって、下水管で無いのか?
崖下へ転移して見た。パイプの本管部分の先端は崖に沿って、トイレに繋がっている。垂れ流しでなくて、下水に流しているのか…そんな記述は無かったが…水道局へ下水道料金を払っていないってことだな。サギで立件出来るだろうな。
警察の阿良々木警部へ通報した。暦の父親だ。父親は県警の捜査一課で、母親は所轄の生活安全課らしい。しばらく待つと、阿良々木警部が鑑識の人間とやって来た。
「これか…確かに、トイレに伸びているな」
造成地地下のコンクリ打ちも、摘発をお願いした。
「これは悪質だな。何の為にしたんだ?」
「それを調査しているんですよ」
阿良々木警部とトイレ前に転移した。僕が魔法を行使出来る陰陽師と知っているので、驚かない。
「問題は、このタンクです」
たぶん、滝の水源はあそこなんだろう。ただ、滝だと都合が悪いから溜めているのだろう。それを有効利用する為のトイレで有り、下水管なのだろうな。
狭霧が戻って来た。
「横穴が3つくらいある。人が通れる大きさだった。中に入って調べたんだけど…ここって、金山だったみたいだ」
金の入った石を出した狭霧。そうか…金を取る為に、ジャマだったんだ…水が…
「そのうちの1つは、天井から水漏れだ。たぶん、夏美が貫通した穴だろう」
その穴を埋めれば、水が湧き上がるかな?
「もう1つお願いしていいかな?あのタンクの真下に滝ツボがあると思うんだよ。そこに穴が無いか、見て来てくれるか?」
「わかった」
再度、降下していく狭霧。
「金の採掘か…そうなると莫大な財を得たのだな」
「たぶん。あんな大掛かりな工事をしたくらいだし」
「前の所有者は…雪ノ下家か…白蛇神社を建立すると言って、この辺りを寄付してもらったようだ」
タダで手に入れて、金を取り、放置か…うん?
「もしかして、白浪神社の跡地を開発したのって…」
「たぶん、バックに雪ノ下家がいるんだろうな」
『まかせろ。全財産を絞り取る』
って、賢者様の声が聞こえた。何かやらかすんだろうな…人間では理解出来ない完全犯罪を…
「おい!亜樹、ここに隠し扉があるぞ!」
夏凜が見つけた。僕が中に入るが、瘴気が酷い…
「夏凜は入るな。お前にとっては猛毒だ」
彼女は聖属性である。瘴気には特に弱い属性である。
「九郎丸もよせ…浄化出来るかやってみる」
前もって清めてある紙の札に、呪文を描き込み、壁に貼っていく。浄化のお呪いである。僕の背後から懐中電灯を手にした九郎丸が恐る恐る続く。
「九郎丸、出ろ!ここから先は危険だ。地縛霊がいる。それも怨霊系だ。外へ出て、まゆこと龍さんを呼んでくれ!」
「わかった」
僕だけなら大丈夫であるが、他の人が入ることを想定するなら、徹底的に浄化しないとダメなレベルである。
隣に青白く輝く転移陣が発言し、賢者様が転移してきた。
「これは酷いなぁ。よくも溜め込んだって感じだ」
『レミーラ』と賢者様が唱えると、洞窟内が明るくなった。
「自然に出来た穴では無いなぁ。削岩機の痕がある」
確かに…人為的に掘ったようだ。通路はL字状態で左しか行けないが、突き当たりには、木で作った格子があった。中には骨がある。
「労働者の性の捌け口をここに、幽閉したようだな。うん?この骨は…」
骨に見覚えがあるようだ。誰のだ?
「許せない…半年しか生きられないのに…こんな場所に幽閉か…」
半年しか…生きられない…誰のことだ?
「亘!ここって、物見の丘か?」
「そうですが…」
「くそっ!そうなると、アイツらもいるのか…」
アイツら?誰だ?
「この骨は預かる…正確には、人骨では無いから」
見た目人骨であるが…賢者様は、骨を聖なる布にくるみ、転移していった。そうだ。僕に出来る事をしよう。左に曲がり、先を目指す。
鉄の扉がある。ソレを開けて入ると、ディーゼル発電機がいくつも並んでいた。電気はこれを使ったんだ。大掛かりに掘る為に…
吸排気はどうなっているんだ?換気扇を探す。あぁ、これか…中央部に穴がある。これは排気かな?吸気はどこだ?壁際に小さな穴がある。これかな。中央部の穴から、地上へ向けて転移をした。
森の中に排気塔があった。二酸化炭素が豊富なせいか、木々が生い茂っていた。ここって、どこだ?歩いて来た方向へと戻っていく。しばらくすると本殿の裏手に出た。では、物見の丘へ転移するか。
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