---鳥井亜樹---
龍さんとまゆこの予定がつかず、浄化作業は明日に延期になった。僕は阿良々木警部へ、中で見たことを報告した。
「牢屋があったのか。そうなると、10年位前に起きた神隠し事件かもしれないな」
10年くらい前、若い女性が次々といなくなる事件が起きたそうだ。手がかりもなく迷宮入りしたらしいけど。
「発電設備があったのか?う~ん、大掛かりに採掘したんだな」
鑑識作業は、浄化が完了してからってことになった。後、狭霧も戻っていた。滝ツボのあるだろう場所には、コンクリートが流し込まれていたそうだ。砂金を取り切って、証拠を隠滅したのだろうな。
夜になり、ゆらぎ荘へ戻った来た。まずは温泉だよな…へ?男湯かどうかの確認をした俺。デコと九郎丸を除く、結衣を含めて全員が全裸で温泉に浸かり、デコと九郎丸だけはタオルを巻いて浸かっていた。
「ここ。男湯なんだけど…」
一応、確認してみた。
「反省会も兼ねて…1箇所の方が効率がいいでしょ?」
って、翼。やはり、男湯は会議室扱いのようだ。
「なんだよ~。デコはいいのか?」
狭霧の前を陣取った俺。
「今日、大活躍だったから、労おうと思ってさぁ」
「目がやらしいのは、気のせいか?」
弱々しい狭霧は、なんでこんなにもそそるんだ?デコの目を気にしながら、狭霧を舐める様に見る。いや舐めたい…デコの前では紳士な俺には。出来無い行為であるが…
「おい!朝の責任はどうしてくれるのよ~!」
結衣に引っ張られ、結衣の前で正座をさせられた。
「何をやらかしたの?」
千紗希が訊いてきた。
「結衣に無理矢理、レイプされたんだよ~」
正直に話しておく。亘がピンクトラップに引っかけられて、責任を押しつけられた件である。
「はぁ?亘って誰?」
って、結衣。面倒なのでスルーだな。
「え?!先輩をレイプしていいのか♪」
ややこしい奴が、突然声を上げた。駿河だ…
「お前は拒否する。健康美すぎて、エロさを感じ無い」
「それは差別だよ、先輩!ほら、ごゆるりと、堪能してくれよ」
ポージングをしながら、立ち上がり、力説する駿河。お前には、恥じらいが無いのか…そうだ♪
「駿河、今度、魔乳詣でするときに、一緒に来い」
「先輩、魔乳詣でって何ですか?」
「見れば分かる。幽奈でさえ、引いたんだ。お前だってきっと」
カオスな雰囲気と会話に飲み込まれていくデコ。デコだけは汚れない乙女でいて欲しいのだが…
「ふふふ、私は怖じ気づきませんよ」
ボディービルダーぽい決めのポーズをしながら、話す駿河。ノー天気過ぎるだろ?そんな駿河に魔の手が伸びていく。
「いやっ!やめてください」
ひたぎの指が、駿河の股間を這い、2穴攻撃を仕掛けていく。
「え?!戦場ヶ原先輩…ダメです…止めて下さい。先輩の前で惨めな姿を晒したくは…いやぁぁぁぁ~!」
そして、達した駿河が、温泉に浮かんでいる。ひたぎの圧勝であった。そんなひたぎを今度は翼が襲った。
「止めて…羽川さん…乙女な姿を彼に見せたく無いの…いやっ!」
恥じらいの表情を浮かべるツンデレひたぎを、いつもの笑顔で、オーラルプレイで責める翼紗。その結果、ひたぎも温泉に浮かんでいる。ユリは恐い…いや、両刀遣いは怖い…この3名は中学時代、百合の三角関係だったらしいが、今では、俺を頂点にした三角錐関係だと駿河が言っていた。
「さぁ、ジャマ者はいなくなったよ。ゆっくりしてね、デコちゃん」
って、翼が俺の腕に抱きついて来た。もう片手は結衣が抱きついているし。俺のアレは、デコに向けて潜望鏡状態である。デコに見せたく無い姿なんだが…なんで、疲れを取るための温泉で、俺は精神的に疲れるんだ…
◇
翌朝…目の前には幽奈が憑依したデコ…俺のアレはデコに刺さっているような。
「もう、亘君たら…むにゃむにゃ」
寝言を言う幽奈に憑依されたデコが、俺の乳首を舐めている。これは気持ちが良いのだが…夢精状態になりそうだ。って、ソフトクリームでも亘とシェアしている夢だろうか?そして、左には狭霧、右には結衣がいる。どんな状況だ?
「うん…ダメだよ、ヒッキー…」
結衣の寝言…ヒッキー?コイツ、比企谷八幡の関係者なのか?
「すやすや…」
狭霧は、安眠中のようだ。俺の中指を何故か挿入したまま…う~ん…動けない。
◇
ようやく、寝床から脱出して、朝の温泉タイムへ…誰もいないようだ。ゆっくりと出来そうだな。って、5分も経たないうちに、集まってくる後輩組と静。
「旅行気分で早起きしちゃいました」
って、いろは。ここは男湯なんだけど…
「美人の湯だし。1日何度入っても良いし、ここは極楽だな~」
って、静。教師なら、女湯へ行けよ!この世の道徳って、そういうもので無いのか?
「先輩、今日の予定は?」
小町に訊かれた。
「あのほら穴の浄化作業だ。だから、能力の無い者は、自由行動でいいかな」
「じゃ、白浪神社のお掃除しようかな」
って、月火。
結局、みんな来そうだ。
「そうだ、小町。結衣って、お前のアニキの関係者か?」
「う~ん…まぁ、中学の時、雪乃先輩と3人でつるんでいたけど…失踪して…二人共壊れちゃったかな。雪乃先輩は、もっと尖っていたんだけど今は丸いし、結衣先輩は八方美人的だったけど、今あんなんだしねぇ」
「そうか…今朝、結衣が寝言で、お前の兄の名前を呼んでいたんだ。俺には、他人の身代わりなんか、出来ないのにな」
「そうなんだ…結衣先輩…」
◇
そして、朝食。ひたぎと千紗希とデコが仲居さんを手伝ったそうだ。
「助かります。マンネリ化していたメニューが改良されていくのが、嬉しいです」
仲居さんが喜んでいる。
「そうだ、先輩!多少ならエロいことをしていいぜ。兄ちゃんに、よくされていたからな」
って、火憐。阿良々木暦という男は、幼女、童女系が好きだったそうだ。そして、何よりも妹達すらもエロの対象にしていた、スーパー鬼畜なシスコンだったそうだ。
「死んだお兄ちゃんのこと悪く言いたく無いけど、ほんと、頻繁に胸を揉まれていたんですよ~!妹の胸を揉みすぎってくらいだったよ~」
って、月火。だけど、怪異である月火の胸を迂闊に揉めない。灰になるとマズいからねぇ。火憐にしても、怪異が取り憑いているからなぁ。妹の胸かぁ…そういや、夏美の胸は揉んだこと無いなぁ。いつも背中に張り付いているから…
「そうだ。魔乳ってなんですか?」
いろはに訊かれた。
「中学生で、アヒル隊長を頭に乗せている奴を知っているか?」
「あぁ、たぶん、生徒会長の雪本柚子ですね」
「そいつの下宿先である、すのはら荘の管理人がそうだよ。今日、行って来てみれば?」
「そうなんだ。興味有るなぁ。先輩が言うんだもの、相当なインパクトがあるんだろうな」
ここでは大きい部類である翼の倍以上あるだろうな…
◇
飯を食って、現場へ向かう。寝坊をした狭霧と結衣は、おにぎり持参である。
「亜樹!何度も言うが、起きる時は起こせ!」
安眠している狭霧を起こすなんて、出来ないよ。狭霧の寝顔は好きだし。
「ぷぅ~!」
怒っている結衣。スルーだな。龍さん、まゆこに稲葉もやって来た。稲葉は土木要員だな。この機会に、龍さんと稲葉に、デコを紹介してみた。
「賢者様は粋だな。同じ時間軸に転生させたのか」
って、龍さん。普通は、違う時間軸で転生させるらしい。なので、転生前の事を知っている者がいるのは、珍しいらしい。
「じゃ、僕と龍さんとまゆこで、洞窟の浄化をしていく。残りの者で、あのタンクに吸い上げのポンプを付けて、上のため池に注水してくれ。狭霧は、洞窟の穴の修復を頼む」
今日の行程を指示すると、それぞれが、担当する作業に向かった。ちなみにデコは、稲葉班長の元で、土木作業をするらしい。僕は蓄電池から、電線を伸ばし、あの排気塔から線を発電室に垂らした。洞窟内に蛍光灯があったので、それを灯す為と、排気ファンを動かす為である。ファンの羽で電線を切らないように、設置して、配電盤へ繋いだ。そして、排気ファンと、蛍光灯のブレイカーをONにしてみた。
澱んだ空気が吐き出され、洞窟の入口から新鮮な空気が流れ込んで来た。洞窟内も明るくなり、浄化作業を始めた。
「これか…確かに人骨が散らばっているなぁ」
龍さんが格子の先を見つめていた。
「ここは怨霊系地縛霊だな。浄化をしよう」
俺は奥にある鉄の扉を除去していく。空気の流れのジャマであるから。その後、亘にスイッチをして、浄化作業に合流した。
無事に浄化作業が終わると、阿良々木警部達が入り、現場検証をしていく。僕達は祠のある場所まで昇った。結構、段数が多いなぁ。他の移動手段を検討した方がいいかな?
龍さん、まゆこには本殿の仮眠室で休んでもらい、ため池の状況をみる。うん。順調に溜まっている。では、水洗トイレを設置していこうか。洞窟内の電力供給を止めて、水洗トイレへの電力供給に切り替えた。
そして、あの下水管へ、便器のから流れ出る汚水パイプを接続し、周囲を個室にして、トイレの外観を作っていく。トイレの貯水タンクへは、汲みあげ用ポンプで水を汲み上げていく。基本、滝の水がメインで、補助的に、湧き水を使う。湧き水のメインな目的は、炊事であるから。
さてと、次は…あの湖だよな。
◇
その夜、賢者様が一人の少女を連れて、ゆらぎ荘へやってきた。
「ちとせ、悪いけど、こいつも頼めるか?」
少女の頭を撫でながら仲居さんに、用件を伝えている。
「いいですよ。今度は人化狐さんですか」
「あの…沢渡真琴です。なんでもします。ここへ置いてください」
ちょこと頭を下げたツインテールヘアの女の子。
「聖域は、コイツにとっては、つまらない場所だ。ほとんど能力は無い。既に枯れているから」
能力が枯れている…それは、生命力が儚いって事である。彼女に何があったんだ?
「真琴、亘をアシストしろよ。ミスったら、躾だからな」
「躾はイヤです」
躾…賢者様の趣味と実益を兼ねた拷問である。所謂エロ方向の…なので、女性限定である。男の場合の躾は、絶対に死ねない鉄拳制裁になる。
「亘と亜樹に、頼みがある。月宮あゆと相沢祐一のその後を探ってくれ」
「あの場所に関連があるんですか?」
俺が訊いた。頭脳労働と足を使った労働は、俺の役割である。基本、亘は、非科学的な事案に対しての対処が役割である。
「あぁ、月見の台に関係する。後、月宮神社だ。まかせたよ。僕は雪ノ下家に制裁を与えるので、忙しいんだよ♪」
根こそぎ財産を奪うんですね。雪乃の分は残して置いて欲しいけど。
「あぁ、お前の仲間の取り分は、別にしておくよ。じゃ、頼むぞ」
賢者様が転移していった。
◇
翌朝…息苦しくて目が覚めた。瞼を開けた光景は…はぁ?俺の鼻と口を塞ぐように、幽奈の股間が載っている。
「亘君…大胆だよね…むにゃむにゃ…」
いや、幽奈の方が大胆だろ?で、右に狭霧、左には結衣。何故、結衣に懐かれたんだ?う~ん…僕は温泉の脱衣所に転移した。そして、亜樹にスイッチした。
温泉に気配は無い。今日こそ、一人温泉を満喫だな。そうだ、気配を消して、モブ化しておこう。だけど、翼が入って来た。迷わず、俺に向かって歩いて来るし。
「み~つけた♪」
見付かった。どうして?
狼狽える俺の正面から抱きつく翼。多彩なフィンガーテクニックにより、戦闘モードになった俺のアレを、体内に取り込み、更に、密着した来た。
「ふふふ♪一人占め」
だな。裏をかいて、女湯に入ったのに…翼にはお見通しだった。
「何でも知っているんだな」
「知っていることだけだよ」
謙遜する翼。胸は謙遜せずに、主張をしているようだけど。起立した乳首が何とも言えない…マズい、発射しそうだ。声を出すと、隣の男湯にいる女子達に気づかれそうだし。
う~ん…俺の朝風呂に、いつ平穏が訪れるのだろうか?
◇
朝食…少しのぼせ気味である。
「どこで温泉を入ったのですか!」
いろは達も、のぼせ気味のようだ。
「おい!だから、起きる時は起こしてくれ」
って、狭霧。
「ぷぅ~!」
お怒りの結衣。そんなカオスは雰囲気を楽しんでいるデコ。デコが楽しいならいいか。って、苦情は総て、スルーした。
「それで、どうだったんだ?いろは」
魔乳詣での結果を訊いた。
「魔乳…意味がわかりました。あの人って、人間ですか?」
「魔乳以外は人間だけど…」
「神原さんは寝込んでいますよ」
と小町。ショックがデカ過ぎたようだ。いや、魔乳と百合プレイをしたらしい。あの谷に住む魔物は危険である。アレと戦ったのか、駿河は…勇者だなぁ~。
「で、小町といろはに頼みがある。月宮神社の資料を集めてくれるか?」
「月宮神社?あったけ?そんな神社って…」
って、千紗希。無いのか?古地図を見ていく。う~ん…あぁ、これか…
「古地図によると、場所は…すのはら荘の方だ」
「あったかな?」
無いのか…今は…
「翼、ひたぎ、千紗希、雪乃、後、デコは、俺と一緒に図書館だ。探し人が二人いるんだ」
月宮神社の情報は、下級生組が全員で当たることになった。俺達は図書館へと向かった。
「その二人って、誰なの?」
結衣に訊かれた。指名していないのに、付いて来たのだ。
「賢者様が探してみろって。今回の案件の関係者らしい」
「賢者様って誰のこと?」
そこか?スルーだな。
図書館で手分けして情報を探す。紙媒体やネット検索を駆使して。だけど、見付からない。何故だ?
「10年前は10歳だったかな」
二人を知っているのか、真琴が一緒に来ていた。10歳?今は20歳か。
「そうか…少年法で、実名報道はされていないんだ」
と、翼。10年前、少年Aで検索していく。たくさん出て来た。う~ん…
「地域を限定するわよ。合併前の名前を入れて」
出て来たのは、月宮あゆの方で、該当記事によると被害者のようだ。で、事件か事故に遭う前に少年Aと約束をしていたことが確認されていたそうだ。待ち合わせ場所は、月見の台であった。
「朧気だけど、繋がったねぇ」
朧気過ぎる。翼は、月宮あゆに絞って、情報を探っていく。俺は図書館の外へ出て、スマホで、阿良々木警部に、10年前の月宮あゆ絡みの件を訊いた。
『あぁ、あれか…今も真相は不明の上、証拠保全が為されなかった為、捜査も中断したんだ』
中断した?
「圧力か?」
『現場の捜査中に、工事を始めた為、証拠となる木が切り倒されて、鳥居にされてしまったんだ』
あの鳥居か…
「あの木は神木だよ」
『地元の人間は知っていた。だけど、業者は地元の企業では無かったんだ。だから、知らないって…捜査していることも知らなかったと…伐採前に規制線のシールも無かったと…くそっ!アイツらめ…』
雪ノ下グループか。自分こそ正義だと主張する雪乃の母。その妻の後押しで、会社を大きくした雪乃の父。二人を見て育った雪乃の姉。見えて来た…そのせいで虐められて、越境入学した雪乃と、監視役の葉山…
「で、相沢祐一ってやつは関係者にいたか?」
『あぁ、少年Aだ』
そこで繋がるのか…
「二人の関係は?」
『不明だよ。相沢祐一は行方不明。月宮あゆは事件後、一度も意識を取り戻さずに他界した。正に、真実は闇の中だよ』
「その当時、月見の台の所有者は?」
『雪ノ下家に寄付される前だった。その前の所有者は…なんてこった…相沢家だ…』
そこでも繋がったのか…捜査資料を後日見せて貰う約束をして、翼達の元へ戻った。
「そっちはどうだ?」
「月宮あゆって、真琴ちゃんの親友だったらしいの…」
って、雪乃。
「亜樹君の方は?」
「少年Aは相沢祐一だそうだ」
「そうだよ。祐一とあゆちゃんは付き合っていた。だけど…名雪がそれを許さなかったんだよ」
名雪?
「姓は?」
「う~んっと…水瀬だったかな?」
「ヒットしないわ」
首を横に振る翼。ここまでに、判明した情報をノートに書いていく。見落としは無いか?
「月宮あゆって、月宮神社の関係者だったりしてね」
って、結衣。そうだ。その可能性はある。
「翼、その子の入院した病院はわかるか?」
「ヒットしたわ。これって…まゆこさんの病院だわ」
俺は再び図書館を抜け出し、スマホでまゆこへ連絡をした。
『面識は無いわよ。だって、10年前って、私は小学生だし』
あぁ、そうか…俺達より歳上なのか…ちょっと待てよ…今20歳だと、雪乃の姉と同い年なのだが…賢者様は訊き出したのか?そして、その検証作業を俺達に…
「なぁ、カルテとか残っているか?」
『残っているはず。探しておくわ』
「頼む」
俺は図書館のみんなの元へと戻っていく。
---妃英里---
デコちゃんから連絡が入った。蘭に知らせようとしたらしいのだけど、蘭はまた発作を起こして、入院してしまった。あの探偵小僧は、ジャマだわ。
「何を伝えれば、良いのかしら?」
『あやか温泉に、湯治に連れてきてあげてください。きっと、良くなりますよ』
デコちゃんも蘭と同じ症状だったのだけど、とても元気な声であるし、穏やかそうだ。
「デコちゃんは、そこで湯治をしているの?」
『はい。ここの温泉は良いですよ』
じゃ、夏休みの旅行はそこにしようかな?