---毛利蘭---
近くにいた金髪の巫女さんに、声を掛けた。
「鳥井亜樹君に会いたいんです」
「関係者ですか?」
その返答の意味することは、彼がいるってことだ。
「えぇ。ずっと、探していたんです」
「うん?あぁ、あなたが毛利蘭さんですね。デコさんから、お話を聞いております。では、こちらへどうぞ」
デコちゃんが、道筋を付けてくれたようだ。待合室のような場所に案内され、お母さんと待つ事にした。何故か、お母さんの顔は引き攣り、血の気が引いていた。緊張しているのかな?
「どうして、生きているの…亜樹君…」
震える声で、独り言を呟いている。生きている?どういう意味かな?生きているから、こうして逢えたのに…
しばらく待つと、知らない男性が入って来た。
「毛利蘭さんと、妃英里さんですね」
どうして、名前を知っているの?初対面のはずだけど…デコちゃんが話しを通してくれたのかな?
「蘭さんは真実を知らない…いや、忘れてしまったようですね」
真実?どういうこと…忘れた?何を??
「えぇ…知らせてません。記憶を消したって、そういうことですよね?」
って、お母さん。知らせていない?何を?記憶を消した?まさか、私の意思で?どうして…
「じゃ、まず、蘭さんに真実を話しましょう。でないと、彼の説明が出来ない」
亜樹君の真実?どういうこと?
「鳥井亜樹は、人間の法律では裁けない罪を多々行っていました」
それは…私達を護る為。あえて、手を汚してきた亜樹君。死体を見付からないようにして、事件として扱われることは無かった。
「だけど、ここでは大罪として扱います。同族を殺した時点で罪ですから」
ここでは?
「ここは、法律で護られていないんですか?」
お母さんが訊いた。お母さんは弁護士である。死体が無いので、事件にはならず、この国の法律では、罪には問えないはずであるから。
「いえ、ここはここのルールで統治しています。ここは、あなた達の住む『この世』ではなく、『聖域』と呼ばれる『この世』と『あの世』の間にある世界ですからね」
聖域…何を言っているの、この人は…
「ここでは、生者と死者の魂が共存し、生きています」
魂として生きている?
「鳥井亜樹は事故により死亡しました。そして、彼の死を目撃した鳥井夏美は、後追い自殺をしました。ここでは、自殺も大罪に当たります」
夏美が自殺…そういえば、亜樹君を見かけなくなった頃から、夏美も見かけなくなったっけ。一緒に旅行していると思っていたんだけど。
「彼らの魂は、犯した大罪により、一旦地獄へ落とされました。だけど、彼らの行いには情状酌量の余地があった。だから、彼らの最後の願いを叶えつつ、僕の願いを叶えて貰うことにした。減刑を取引材料にしてね」
最後の願い?
「亜樹は夏美と一緒にいたい。夏美は亜樹と一緒にいたいって願いです。そして、僕の願いは、魂をロストした弟子に魂を与えることだった。彼らは取引に応じて、僕の弟子の魂に亜樹の魂を使い、夏美の魂は、弟子の監視役の魂として使った」
「あなたは何者?」
お母さんが訊いた。
「名乗る程の者では無い。皆は、僕を聖域の賢者と呼んでいる」
聖域の賢者?
「君の亜樹に対する強い想いは受け取ったよ。そこで、提案だが、デコと一緒に下宿をして、高校1年に転入してこないか?」
それは、亜樹君が高校1年であるってことかな?デコちゃんは、転入を決めたんだろう。
「お願いします。亜樹君といたい」
賢者様を名乗る男性に、頭を下げた。
「先程、話した通り、彼は2つの人格を持っている。鳥井亜樹としての人格と、僕の弟子である神代亘としての人格だ。君への記憶がどこまで残っているかは、わからない。それでもいいか?」
「彼の傍にいたい。記憶が無いのであれば、新たに作ればいいだけのこと」
幸いなことに、私も記憶が消えているようだし。
「真っ直ぐな想い…汝の願いを叶えよう。1週間後、ゆらぎ荘へ、お前一人で来い。当面の着替えだけ持ってくれば良い。いいかな?」
ゆらぎ荘…そこにいるのね。亜樹君…
「では、ソレまでに、手続きは終えておく」
穏やかな日差しに包まれて、徐々に意識が戻ると、私と両親、そして、旅行カバンなどが、お母さんのマンションの部屋にいた。あれは、夢?
---鳥井亜樹---
ついに、この日が訪れた。編集部から契約打ち切りのお知らせが届いた。売れ行きが伸びず、収支はトントンで、先行きが無いと判断されたのだった。その代わり、絵師になるなら、買い取ると、担当編集の鈴木さんから、お手紙があった。鈴木さんのオジサンが画廊をしていて、俺の描いた絵がお気に入りだと言う。小説家よりも稼げそうだし。絵師に転職だな。
「えぇぇぇぇ~!断筆だって…!」
身近なファン達が叫び声をあげていた。
「ねぇ、これからも原作を書いて…」
って、呑子さん。マンガの原案として使いたいらしい。
「鬼畜物?」
「純愛物だよ」
なるほど…僕の出番は無いようだ。
「で、どんな絵を描いているの?」
翼に訊かれて、俺はスケッチブックを見せた。
「スゴい…これ、亜樹君が描いたの?」
「暇な時にねぇ」
「このかわいい女性は誰?」
千紗希に訊かれた。
「あぁ、幽奈のデッサンだけど」
浴衣をはだけ気味の幽奈のデッザン。見えそうで見えないタッチである。
「こんなにかわいいんだ…」
幽奈が見えない者達が、ショックを受けていた。
「こっちの女性は?幽奈さんに似ているけど…」
「あぁ、亘の想い人だよ…テンコさんだっけ?」
亘の記憶を垣間見て描いたデッサンである。うろ覚えのパーツは幽奈で代用してあるので、ほとんど幽奈ではあるけども…
「うっ!お前…なんで、私だけはヌード画なんだ?」
って、狭霧。幽奈はセミヌードである。見えそうで見えないエロさを描きたかったからだけど、狭霧の場合は、全裸が大好きだからである。
「かわいいと想うけど…」
顔を真っ赤にして、沈黙した狭霧。どうしたんだ?
「お兄ちゃんは、前世で有名な絵師だったんだよ」
って、夏美。こいつは記憶の封印が無いのか…なんか、ズルい。
「雅号は?」
翼が訊いた。
「二代目安芸桜だよ」
「え…超有名絵師じゃないか、先輩」
って、駿河。そうなのか?記憶に無いので、よくわからない。
「スケッチブックに描かれたデッサン画で雅号入りだと、100万クラスだよ」
って、博識の翼が驚いている。それはスゴい。小説を書くよりも儲かりそうだ。徐に、夏美が狭霧のヌード画へ、雅号の印鑑を押している。誰の雅号だ?
「あい♪紗霧ちゃんのヌード、100万円だよ♪」
「売らないよ~。出せるか~、こんな物…」
狭霧が泣きながら絵を持ってトンズラした。まぁ、出せないよな。細部まで描き込んでいるし…
「三代目を名乗っていいって、鈴木さんが言っていたよ、お兄ちゃん」
って、夏美。そうなのか。だから、雅号印が送られて来ていたのか。って、鈴木さんの中では、俺の絵師は確定事項だったんじゃ無いのか?この雅号印の印面って、『三代目安芸桜』って、彫られているし。
---毛利蘭---
1週間後…あやか温泉の地に降り立った。旅行カバン2つに当面の着替え、お化粧道具などを入れて、タクシーでゆらぎ荘へ向かった。眉唾な話故、騙されているかもしれない。でも、少しで望みが見えるなら…藁にも縋る想いだ。それに、デコちゃんが、悪い方向へは連れて行かないと思うし。
ゆらぎ荘は想像以上の建物だった。巨大な温泉旅館に見える…ここが下宿屋なのか?玄関を入ると、デコちゃんがいた。
「蘭さん…」
「うん、来たよ」
「ちょっと、待ってくださいね。仲居さぁ~ん!新人さんがいらっしゃいましたよ」
奥から、中学生のような仲居姿の少女が現れた。
「私、ここの管理人の仲居ちとせです。よろしくお願いしますね。お部屋はデコちゃんと同室で、3階になります」
中学生が管理人さん?どうなっているの?
「ちとせは永遠に13歳の座敷童だよ」
って、この前の男性がいつの間にか、私の荷物を持って隣にいた。
「座敷童ですか…」
「あぁ、この辺りは、人と人外なる物の共存エリアだ。だから、アイツを、安心して預けられるんだよ」
アイツ…亜樹君だ。
「あぁ、賢者様…いらしていたんですか?」
「まぁ、初日くらいはいないとな」
案内された部屋は10畳一間の部屋である。既に、デコちゃんの物が置かれていた。
「食事は大広間で朝と夜の1日2食です。温泉はお掃除の時間以外、いつ入っても良いですからね」
旅館と同じシステムなんだ…
「そうそう、住民は一人を除いて、みな女性ですから、安心してくださいね」
亜樹君以外は女性?ハーレムなのか?まぁ、亜樹君らしいけど…
「わからないことがあれば、デコちゃんに訊いてください」
「後、学校関係の物は、そこの箱にいれてある。今は夏休みであるが、新学期は1日目から、デコ達と登校しろよ」
賢者と呼ばれている男性と、管理人さんが出て行った。
---鳥井亜樹---
調理しない部分の野菜や、落ち葉なので堆肥を作り、パイプのある岩盤に撒いていく。ここの標高を少しずつ元の高さに戻す作戦である。まぁ、継続は力だと思うので、少しずつではあるが撒いていく。
夏美達は、コンクリートで蓋をした部分を剥がし、浄化作業をしながら、水の流れの修復をしている。水脈を元に戻さないと、霊的バリアが貼りにくいらしい。狭霧とか、専門家を交えて、頼んである。
小町、いろは組は竹林の整備をしている。雑草を刈り込み、寿命の近い竹を駿河が切り倒していくらしい。
「竹の利用方法って、どうしましょう」
小町に訊かれた。
「水路のパイプとか…古いと水漏れするか…竹炭にするって手はあるけど」
「あぁ、竹炭かぁ…炭焼きカマが要りますね」
すかさず、翼が検索をして、図面を引き始めた。
「耐火煉瓦がいりますね」
「大丈夫!エロ賢者様にお強請りすりゅ♪」
って、いろは。困った時のエロ師匠頼みが、いろはの必殺技になりつつある。いろはが願いを込めると、社殿の奥に炭焼き釜が創造されていた。エロ師匠の使い手になりつつある。エロ師匠的には、いろはの成長待ちらしい。
「じゃ、持ち運べる大きさに、切り分ければいいのかな」
駿河が翼に確認をして、竹を斬り刻んで行く。
「枝と葉っぱは、燃料かな?」
など、試行錯誤な毎日である。夏休みの宿題の自由研究の一環になるらしいので、皆、一生懸命取り組んでいる。
今日の作業を終え、ゆらぎ荘へ、少しずつ転移して連れ帰ると、玄関にはどこかで、会った少女がいた。誰だっけ?
「なんで…蘭丸がいるの…」
夏美が呟いた。蘭丸?誰だっけ?九郎丸の親戚か?
「亜樹くぅ~ん…」
俺の名前を叫んで抱きつく少女…この胸の感触、香り…唇が重なった。この味…どこかで…
「探したよ…亜樹君…」
頬を重ねて来た。この肌の感触…記憶の封印が1つ外れた気がする。記憶が勢いよく脳内に流れ込んでいく。そうだ。なんで、忘れていたんだろうか、こんな大切な者を…
「蘭…どうして…」
「一緒にいたいって願った。ダメ?」
「ダメでは無いが…」
玄関先で、こういう行為は、いかがなものだろうか?
◇
夕食時、毛利蘭の自己紹介が為された。響めく一同。俺が一番驚いた。死んでから、まだ1年しか経っていない上、同じ時間軸、同じ世界に送り込まれていたから。以前に、デコからも聞いていたが、その時は夢うつつ状態であったが、記憶のリロードにより、ショックが隠せないでいる。
自分的にはあれから数百年経っていた。地獄で懺悔の毎日…賢者様からお声が掛かるまで、夏美とも逢えずにいた。それが、つらかったのだが…
「じゃ、お姉ちゃんはまだ、生きているの?」
夏美がショックを受けている。姉の暴力から逃げた俺と夏美…なのに、同じ時間軸に存在する恐怖。俺と夏美の中の人達が護ってくれると思うけど、それなりに恐怖を刻まれていたから…
「そんなに恐いの?」
千紗希が声を掛けてきた。
「うん…」
言葉少なげに頷く夏美…基本、ノホホン系の夏美の姿を見て、皆も動揺していた。
「亜樹君も?」
結衣に訊かれた。
「あぁ…恐い。小学生の時、夏美と仲良くしたら、殺すって…俺を塀際に立たせて、俺スレスレにパンチを繰り出して、背後にあったブロック塀を粉々にしたんだよ」
前世において、俺と夏美の距離を広げた元凶である。
「私、乳首を潰されたし…」
って、蘭…たぶん、この場の女子全員の顔から、血の気が引いたことだろう。俺と仲の良い女性には、問答無用の荒くれ技を躊躇無く繰り出すバカ姉である。
どうして、こいつが、地獄へ行かないんだ、って思う程だ。こいつこそが、地獄へ真っ先に行くべきだと思う。
◇
そして、夜…丑三つ時に目が覚めた。何かの気配を感じて…上に載っていたリアスに憑依した幽奈がどかされ、右にいた全裸の狭霧がどかされ、左にいた全裸の千紗希がどかされた。そして、誰かが浴衣を脱ぎ、俺に載って来た。
「亜樹君…」
蘭だ…耳をハムハムして、生前あった傷の箇所を舐めてから、腰をゆっくりと動かし始めた。俺は金縛りに遭っている。女の情念の為せる業か?どかされた三人は寝たままだ。
段々激しくなっていく蘭の腰の動き…
「うん?今日の亜樹君…胸が柔らかいでちゅねぇ~」
って、幽奈が寝ぼけて千紗希の胸を揉み、谷間に顔を埋めている。
「珍しい。今日は誰も刺していないのか」
って、狭霧が千紗希と貝合わせをしている。
グチュグチュ…
貝同士の合わさる音…なんとも淫靡な音で、俺のアレが徐々に反応していく。
「いいよ…亜樹君…」
蘭の内径を超えたらしく、腰の動きが止まり、俺からの刺激を受け入れている蘭。体重を利用して、奥へと押し込んでいる。
「裂けそうだけど…いい…」
蘭の上下の口からは生暖かい唾液が零れている。奥まで入ったのか、蘭は俺の上で前後左右に揺れている。上体が倒すに倒せないくらい、俺のアレが頑丈なようだ。
「ダメ!亜樹君…」
幽奈と狭霧により、千紗希が達したようだ。その艶めかしい声に、更に大きくなる俺のアレ。
「あぁぁぁぁぁぁぁ~!」
蘭が悶えている。そして、果てたようだ。どうすんだよ、これ…温泉に転移したら蘭が溺れちゃうしなぁ。萎えるまで待つかぁ。
◇
明け方…金縛りから抜け出せた。アレも萎えて、蘭を外せた。すかさず、温泉に転移した俺。
明け方の温泉に一人…まったり出来、うたた寝をする。だけど、何かの刺激で目が覚めた。目の前には、いろはがいる。左にが小町、右には火憐が…
「あっ!目が覚めちゃいました?」
「これは、一体?」
「性教育ですよ、先輩」
いろはとは交わっている。
「あの…これは一体?」
「ですから…性教育…え!ちょっと…」
目が覚めると共に、アレが目覚めていく。すでにいろはの内径以上に達しているのだが…
「痛いです…先輩!」
「生理現象だ。俺にコントロールはできない。あきらめろ」
「そんな…」
いろはの下腹部を触ると、俺のアレの形のまま、盛り上がっている。
「痛すぎます」
「まだ、大人になっていないのに、火遊びするからだ。萎えるまで待て!」
「そんな…」
いろはが失神して、暫く経つと、萎えて抜けた…