※この作品はR-18です。

新そっくりなアイツ   作:もっち~!

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夏と言えば、肝試し*

---妃英里---

 

亜樹君は生き返っていた。2歳も若返ってだ。実際に会ったし、蘭からの報告も受けた。事実として受け止めるしか無い。だけど…聖域の賢者を名乗る者の話では、亜樹君の魂は近い将来に、神代亘という人物に引き渡されるそうだ。それは、亜樹君の2度目の死が訪れるってことである。彼は死ぬために生き返ったのか?

 

美和子さんに知らせるべきか?少し悩む。亜樹君に再会すれば、きっと彼女も生きる力を復活出来るだろうけど、事は眉唾な話である。逆に混乱させる要因になりかねないし。どうしよう…

 

お見舞いがてら、様子を見てくるかな。

 

 

 

---雨野紗霧---

 

神代亘に捕まった。亜樹の為だと言うが…コイツの変態行為は留まるところを知らない。もしかすると、あの鬼畜物の作者はコイツで、純愛物の作者が亜樹だったのでは無いのか?そんな疑念が浮かぶくらいに、亘はド変態である。

 

今日は、タコの魔物を召喚して、私を襲わせている。触手が乳房を締め付け、乳首を締め付け、舌を締め付けている。吸盤がクリを吸い、乳首を吸い、膣内部に吸い付いている。なんだ…この気持ち良さは…堕ちる…今後、タコとしか出来ない身体になりそうだ。

 

「いいよ。その表情♪」

 

責めるだけ責めて、亜樹に人格をスイッチした亘。アイツ、鬼だ…

 

スケッチブックに私を描く亜樹。出来れば、亜樹にして欲しいんだけど…うっごぉ!迂闊にもタコで達した私。有り得ない刺激で意識が覚醒していく。膣の中にタコが入ったようだ。ダメ…そこには入らないで…子宮に侵入しようとしているタコ。そんな刺激を感じる。亜樹の前で、イヤらしい身体になっていく。悶え、喘ぎ、痙攣していく。助けて…しかし、真剣にデッサンをしている亜樹には届かなかった。

 

 

優しい刺激で意識が覚醒していく。内風呂で、亜樹が泡立ったスポンジで、私の身体を洗ってくれていた。身体が動かない。声すら出ない。お人形さんのような私。そんな私を綺麗に優しく磨き上げてくれている亜樹。

 

「亜樹…欲しい…」

 

「僕のが欲しいのか?」

 

僕?亘がスイッチしてきた。

 

「亜樹だよ。亘じゃないって…」

 

逃げようとするが身体が動かない。

 

「狭霧はドエムだな。嫌いじゃないよ。ふふふ」

 

蛇に睨まれたカエル…そんな感じかもしれない。

 

 

 

---鳥井亜樹----

 

夏休みの定番の肝試しって何だ?

 

「蘭、肝試しって何だ?」

 

「え!え…っと…恐い場所を巡っての根性試しかな?ねぇ、翼さん」

 

説明に困った蘭が翼に振った。

 

「お墓とか、廃病院とかでの根性試しだよ」

 

なるほど…夏休みの恒例の行事である肝試しが行われると、連絡が来たのだった。

 

「なんで、夏の定番なんだ?」

 

「肝が冷えるから…」

 

「冷えないと思うが…」

 

僕の返答に、苦笑いしている翼と蘭。

 

「そうか。能力が無いと、内臓が冷えるのか」

 

そもそも夏休みの意味がわからない…なんだ、この毎日が山掃除の日々は…まぁ、肉体労働は亜樹の担当だから、問題は少ないけど。

 

「で、白蛇神社で開催って…もう無いんだが…」

 

今は白浪稲荷と白浪神社になっている。

 

「う~ん…主催者が気づいていないのかも。今、千紗希と結衣が確認に行ってくれているよ」

 

あの二人にまかせるか。

 

 

 

---由比ヶ浜結衣----

 

葉山君のカーストに次ぐカーストの頂点である相模南が、今回の主催者だった。私達のクラスは2つのカーストと仲間外れにより構成されているのだ。まぁ、仲間外れって言うのは語弊があるな。亜樹君と仲間達って分類になるのかな。

 

「白蛇神社で開催は決定なのよ。あの廃れた神社…肝試しの為に存在しているのよ」

 

下見をしていないようだ。

 

「だから、もう白蛇神社は無いんだよ」

 

食い下がる私と千紗希。

 

「無い訳無いわよ。鳥居も残っているし」

 

「だから、違う神社が建立されたのよ」

 

って、千紗希。

 

「違う神社?構わないわ。肝試しに最適な場所は、あそこだけだし」

 

聞く耳を持たない南。

 

「神聖な場所で、ダメだって」

 

「心配なら、あんた達のエセゴーストバスターを連れてくれば?」

 

まるで、聞き耳を持たない。ダメだ…千紗希が亜樹君へ連絡をした。

 

『わかった。警察へ連絡だな。阿良々木警部の息子さんの初盆だし…』

 

警察が介入かぁ…大事になりそうだ。

 

 

 

---鳥井亜樹---

 

肝試しの日、阿良々木家、相沢家の初盆の儀を、執り行うことになっていた。神社として、厳戒態勢で臨む。そんな遊び気分で霊域を乱す行為は、悪霊を呼び兼ねないし。助っ人として、コガラシ、龍さん、まゆこ、狭霧に依頼した。悪霊系と雪姫先生は相性が悪いからだ。

 

「一応、夏凜と九郎丸も連れて来た。悪霊以外なら、役立てるはずだ」

 

って、肉弾戦に雪姫先生が参戦するらしい。対人戦要員として、蘭、翼、ひたぎが警備に加わるらしい。まぁ、悪霊より人間の方がタチが悪い気がするからな。

 

当日…阿良々木家所縁の警察関係者も参列し、初盆の儀を執り行い始めた。だけど、儀式途中で、

 

ドド~ン!ヒュ~!パンパンパン

 

って、花火が打ち上げられた。儀式の為の蝋燭の炎が揺らめく。空気の流れが変わり、澱み始めたようだ。

 

「本殿から出ないで下さい。ここなら安全ですから。祭事を続けます」

 

う~ん、結界として張ったしめ縄が切られたようだ。バカなことを…相沢祐一の眠る岩盤地帯に侵入したようだ。相沢祐一の為の灯火が消えた。マズい事態である。

 

「申し訳無い。儀式は中止し、明日改めて、執り行います。ここから出ないでください。悪霊達が侵入したようだ。くそっ!」

 

本殿の外へ出て、退魔の術を掛けようとしたのだが、岩盤地帯から煙が上がっていた。キャンプファイヤーでもしたのか?それとも放火か?

 

「どうしたんだ?焦げ臭いが…」

 

火の手はここまで昇ってきていた。崖に這わしていた蔦に引火したようで、岸壁の上には炎の壁が出来ているようだ。

 

「これは?」

 

唖然としている阿良々木警部。

 

「肝試し集団の花火が着弾したのかもしれない。取り締まりをお願いします。僕はここで退魔の術を行使しますから」

 

「わかった。息子の初盆の儀を…おい!取り締まるぞ!」

 

阿良々木警部達が石段を降りていく。

 

炎の勢いが増して行く。しめ縄を燃やしたのか?バカなことを…

 

 

 

---相模南---

 

鳥居の前に警察車両がいるし…千紗希達、警察に告げ口をしたのか?確か、この辺りから入れたはず。鳥居の脇の竹林に分け入ると、侵入禁止の意味か、縄が張られていた。

 

ジャマなので、ナイフで切り、中に入ると、そこは開けた場所になっていた。真ん中にパイプが通ってはいるけど。

 

「ここをベースにするわ。暗いわね」

 

誰かが何かを壊し、その木材に火を付け、篝のように置き、この場を照らし始めた。

 

うん?『相沢祐一、ここに眠る』と彫られた石碑が1つ置かれている。誰かが、それを倒して、ベンチ代わりにしている。

 

「夏と言えば花火だよな」

 

打ち上げ花火を上げ始める者、爆竹を投げて遊ぶ者、ロケット花火を崖にある穴目がけて撃ち込む者…収拾が付かなくなってきた。

 

「じゃ、クジを引いて、同じ番号同士でペアを組み、上の鳥居がゴールよ」

 

「おぉぉぉぉ~!」

 

1番の者から5分間隔でスタートし始めた。だけど、ロケット花火が何かに当たり、燃え始めた。マズい…こんな場所では消防車は入れない。私はこっそりと、ここから立ち去った。

 

 

 

---雨野紗霧---

 

悪霊がウヨウヨいるし…コガラシが、次々の撃破しているが、数が多すぎる。

 

「なぁなぁ、彼が狭霧の彼氏かぁ?」

 

誅魔忍軍の相棒である浦方うららに訊かれた。

 

「今は退魔に集中しろ!」

 

「中々の男前やなぁ~。狭霧にしては上出来や」

 

手数より口数が多いうらら。

 

「コガラシ…マズいぞ」

 

結界として張ったしめ縄が燃やされている。しめ縄で出禁にされていた悪霊達が、ここぞとばかりに、侵入してきている。

 

「あぁ、マズいなぁ。しめ縄を燃やすとは…ここ、盆地だよな…」

 

悪い物が溜まり易い。そこでは、刑事達が補導を始めている。本殿の儀式は中止したのだろうな。こんな騒ぎでは、儀式なんか出来無いだろう。

 

うっ!何かに叩かれ、崖に激突した。何が来たんだ?

 

「雨野先輩…マズいなぁ」

 

あぁ、マズい。動けない。背骨をやられたようだ。困ったことに、コガラシに回復術が無い。

 

「浦方先輩、ここで止めますよ」

 

「あぁ、お任せや!」

 

うららが式神を呼び出すも、簡単に消されていた。

 

「何?コイツ…」

 

ズドーン!

 

コガラシの渾身のパンチが炸裂したが…

 

「何…効かないだと…雨野先輩、逃げろ!」

 

逃げたくても、身体が動かない。どう逃げろと言うんだ?

 

「ボクが時間を稼ぐ…」

 

真琴が、私の前に立った。だけど、力を持っていない真琴は、はたき飛ばされていく。

 

「真琴、お前の勇気…嫌いじゃ無いよ」

 

飛ばされた真琴を、九尾の狐が受けとめた。

 

「夏美ちゃん…」

 

「うりゃ~!」

 

目の前の魔なる者が避けた。私の前に亜樹が飛び降りてきた。亜樹じゃない…亘だ…

 

「僕の狭霧に何をしているんだ。狭霧を陵辱していいのは、僕だけだ!」

 

いや、亜樹は好きだが、亘はちょっと…

 

「貴様!何者だ!」

 

魔なる者がビビっている。

 

「『捕獲』僕は陰陽師、神代亘だ!『破砕』」

 

「うごっ!」

 

魔なる者が一瞬で粉々になった。これが陰陽師の術か?

 

「コガラシ!祐一の鎮魂碑を戻してくれ!」

 

「あぁ、わかった」

 

「夏美は、祠の修復だ。龍さん、しめ縄をお願いします」

 

指示を出し終えた亘は、私の方を振り向き、何かの術を行使した。緑色の光に包まれていき、手足の感覚が戻っていき、痛みが消えている。回復術のようだ。

 

「『鎮火』『鎮魂』『浄化』『静寂』」

 

次々に術を行使していく亘。空気の澱みが消えていく。風の流れを感じ始めた。

 

「コガラシ、狭霧、明日の夜に延期したから、頼むよ」

 

そう言うと、亘は転移していった。

 

「スゴい…あれが、狭霧のほんまの彼氏か?」

 

「彼氏では無い…私では釣り合いが取れない」

 

亘の彼女は天狐幻流斎である。それも相思相愛…突き入る隙はない。あるとすれば、記憶が封印されていることだけだ。だけど私は、亘では無く、亜樹が好きなんだよ。って、亜樹にはデコちゃんと蘭ちゃんがいるしなぁ。う~ん…

 

「狭霧で釣り合いが取れない?どんだけ、すごいんや、アイツは」

 

「最強の陰陽師だよ」

 

って、コガラシ。

 

「どんなに修行しても、彼には追いつけない。そんな存在だよ」

 

って、龍さん。

 

 

 

---鳥井亜樹---

 

補導者リストが阿良々木警部から送られて来た。神社の受けた損害を、こいつらの両親から受け取る為である。蘭の母親である弁護士の妃英里には依頼済みだ。

 

「首謀者の名前が無いけど…」

 

千紗希と結衣にリストを見せた。

 

「あれ?無いねぇ。逃げたのかな?」

 

「煽るだけ煽って?最悪じゃん」

 

最悪である。損害賠償請求が出来ない。崖に空いた穴にロケット花火を打ち込む大会をしたらしい。消防によると、そのせいで、蔦に引火したらしい。

 

岩盤地帯はゴミと焼け残りの山であった。小町達が掃除をしてくれている。復活した滝壺の底には使用済みの花火が大量に捨ててあって、これは小町達には無理なので、真琴とこゆずが除去してくれている。

 

「まぁ、大きなバケツって言えば、言え無くもないけど…」

 

夏美は静かな怒りを纏っている。窃盗の現行犯で逮捕済みの1番ペアが、夏美の祠から御神体を盗み取ったのだ。人間の触れた御神体は焼却処分となり、また作らないとダメである。

 

「作るのは問題ないけど…祠を開けて、御神体を手にする行為が許せないよ」

 

夏美の中の人は激怒していた。そうだ。今夜の儀式で使う物を、聖域から貰ってこないとなぁ。昨晩の使いかけは、使えないし…

 

「そう思って持って来たよ」

 

って、荷物を抱えて、エロ師匠が転移してきた。

 

「首謀者の相模南は、時の牢獄で禁固刑中だよ。夏休みが終わったら、釈放する」

 

時の牢獄は、リアル世界の1秒が1年に相当する牢獄である。そこの禁固刑は、脳裏へ、犯した罪の映像を、24時間絶え間なく流し込む刑である。目を瞑っても、寝ても、脳裏に流し込まれた映像を見る羽目になる地獄の刑の1つだ。

 

「だいぶ、被害があるようだな。まぁ、悪霊より人間の悪意の方が極悪だ。悪意と思わない悪意は特になぁ」

 

確かに…たぶん、相模的には悪意は無かったんだろうな。だけど、受けた側からすると、とんでもない悪意の塊の人間に見える。

 

スマホの着信音。通話状態にすると、令子だった。

 

「亜樹君、手伝って欲しい案件があるんだけど…」

 

「どんな案件?」

 

「古い洋館絡みなんだけど」

 

霊的なスポットの定番である。古い洋館って…

 

「今夜、儀式があるから、動けるのは明日以降だよ」

 

「まかせるけど、なるべく早くお願いね。資料はメールしておくから」

 

資料がメールで送られてきた。令子が手を焼く案件かぁ…コガラシと狭霧を連れて行くかな。僕はピンポイント除霊は得意では無いから。コガラシと狭霧に資料をメールした。

 

「東京に行けるのか!」

 

「資料によると、東京の物件だな」

 

「東京…行きたい♪」

 

「観光はしないぞ。仕事だけだ。まぁ、コガラシと狭霧で、デートなら、しょうがないけどな」

 

「で、で、デート!」

 

「私…亜樹君一筋だお!」

 

二人とも動揺しているようだ。俺には、男女の問題は解決不能なので、二人にまかせるか。東京か…姉ちゃんに会わないようにしないとなぁ。デコと蘭は、家族へ近況報告をする為に、同行するそうだ。

 

俺としての生前の記憶は、蘇りつつある。だけど、亘としての記憶が無いんだよな…テンコさんって、どんな女性なんだ?

 

 

 

 

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