バニー姿の先輩*
---妃英里---
蘭が近況報告で帰って来た。娘の姿は見違える程に、元気で幸せそうである。
「亜樹君が覚えていてくれたの」
嬉しそうに彼のことを話す娘。
「失ったのは、あの傷跡と、小説を書く能力くらいだって」
こんなに口数が多いのは、いつ以来だろうか。
「どうしたの?ねぇ、お母さん…泣いているの?」
「えぇ、蘭がこんなに元気になるなんて…嬉しくてね」
蘭の中で、亜樹君の存在が大きく占めていたのであろう。喪失感からの脱皮…蘭に生きる力と希望を、与えてくれているのかもしれない。
「困っていることは無いの?」
「う~ん。あの街に住んでいる限りは無いみたい。戸籍が無くても問題無いし」
あの廃人になっていた美和子さんも、地元の警察で働くらしい。デコちゃんは蘭と共に、高校1年からやり直しだという。
「お母さん、心配を掛けてごめんなさい。これからは、心配を掛けないようにするからね」
明るく未来を見ているような蘭。将来、亜樹君との間に孫が出来無いかな…ささやかな私の希望…
---鳥井亜樹---
長い夏休みという期間が終わり、2学期というものになった。これから、平日は毎日、学校へ通わないとダメだという。体内時計が狂いまくっているんだが…
朝、目覚めると、幽奈を憑依したリアスが上にいて、右には美和子、左には蘭がいた。それはそれで新鮮な目覚めであるが、顔の上に狭霧がいる。そこしか入る余地が無かったようだ。まぁ、狭霧だから、問題は無いけど。皆を起こさないように、脱出して朝風呂へ…相変わらず、男湯の意味がわからない状況だった。
「おはようございます、先輩♪」
何故か、いろはがいる。こいつ、自宅通学だったよな…
「やっはろー」
って、結衣が抱きついて来た。コイツも自宅通学のはず。
「なんでいるんだ?」
「朝風呂を入ってから、通学しようと思って、えへへへへ」
って、結衣。自宅通学組は、早起きして、朝風呂を入りに来たそうだ。夏休みの合宿生活で、朝風呂習慣が根付いたらしい。
「美肌の湯だしねぇ」
って、火憐。翼によると、下宿していない朝風呂組は、毎朝150円払っているそうだ。温泉に朝食が付いて…安い。更に、俺の知り合いに限るって条件がついているそうだ。
仲居さん的には、たくさんいて賑やかで嬉しいらいしい。仲居さんが良いならいいかな?って、言うか仲居さんがNGにしている人物は、朝風呂に入れないらしい。例えば、あの魔乳とか…
朝ご飯を食べて、部屋に戻り、学校へ行く準備をする。
「おい!亜樹!起きる時は起こしてって言ってあるだろ?」
準備する音で目覚めた狭霧。蘭と美和子は起きたようで、既に部屋にはいない。リアスは幽奈だけ置いて、部屋に戻ったようだ。狭霧が、風呂場へ走って行く。あれは、遅刻って奴になるのか?
外に出ると、夏美が背中に貼り付いた。さてと、学校だな。
◇
夏休みの宿題…無事に提出した。
「なんだ、亜樹は忘れていなかったのか」
雪姫先生は苦笑している。呼び出す口実は、これで無いなぁ。
「あぁ、亜樹!お前、東京へ行って、女を釣ってきたそうだな」
謂われのないことを言う雪姫先生。濡れ衣だ。出会ったのは、帰りの電車の中だし。
「で、私に土産は無いのか?!」
ホームルームで言うことでは無いだろう。俺を虐めることに時間を費やした雪姫先生は、宿題を忘れたコガラシをスルーしているし。更に、転校生として、紹介し忘れた蘭とデコを、去り際に廊下より引き入れ、紹介する有様である。先生も、夏休みボケだろうか?
放課後、久しぶりの部室へ行く。いや、夏休み中は、毎日部活していたような気がするんだが…後輩組が部屋の掃除をしてくれていた。どうやら、中学生組の方が早く、ホームルームが終わったようだ。
「今日は、お客さんは来ないだろうな」
神社に目安箱を置いているし。
うん?部室に不釣り合いな者がいる。誰だ?その不審人物に、誰も声を掛けない。どうみても不審だろう。バニーガールの恰好をして、部室にいる女。
「夏美、アレは誰だ?」
「誰だろうね?って、私達以外気づいていないみたい」
モブ化の術師か?う~ん、習いたいなぁ。その女に近づき、後から抱きついた。
「え?!」
驚きの声を上げる女。だけど、誰も気づかない。胸に手を掛けた。う~ん、良い形である。脱がせれば、皆気づくのか?バニー衣装を脱がしていく。
「え…止めて…」
恥ずかしそうな声を上げる女。だけど、誰も気づかない。股間に指を這わしていく。
「あっ!」
プチ絶頂を迎えたのか。俺に身体を預けてきた。これ以上は、ここではダメかな?彼女と共に、仙境館の先生の部屋へ転移した。
◇
全裸にして、先生の寝床である棺の上に載せて、拘束してある。全身をくまなく観察して、全身の香りと味を確かめていく。実在するよな。なんで、みんな気づかないのだ?モブ化の術の場合、声を上げると気づかれてしまうのだが、こいつの術は気づかれなかった。
「なんで、見えるの?」
涙目で俺を見る女。未使用なのか、薄ピンク色で、食欲が増す。
ガチャ!
ドアが開き、誰かが入って来た。
「亜樹!何をしているんだ?お前、私の部屋で…」
雪姫先生が帰宅したようだ。
「ソイツは何か、やらかしたのか?」
棺の上の女に気づいた先生。
「声を出したのに、モブ化の術が解けないかったんだよ、コイツ」
「うん?どこも異常は無いし、そいつは能力者では無いぞ」
能力者では無い?じゃ、どうやって?彼女の目は恐怖に染まっているようだ。俺と先生の関係に気づいたのか?
「先生…助けて下さい…」
コイツ、雪姫先生を先生と認識している。生徒なのか?
「この子を知っている?」
先生に訊いた。
「確か…2年の桜島麻衣だったかな」
学校の先輩か。
「亜樹、なんで、突然帰ったんだ?」
先生に続いて夏凜が帰宅したようだ。
「いや、ちょっと気になることがあって」
夏凜には彼女が見えないのか?同級生のはずだが…その事に、先生も気づいたようだ。
「夏凜よ、この部屋には何人いる?」
「えっ!私と雪姫様と亜樹の3名です。それ以外に誰かが、いるのですか?」
先生の問い掛けに、怪訝な表情を浮かべる夏凜。やはり、夏凜には麻衣が見えてないようだ。
「先生、どういうこと?」
能力者の夏凜に見えないって…はて?
「う~ん…怪異絡みとは言えないが…何かしらが起きているようだな」
麻衣の上に載ってみた。割れ目にアレを沿わしてみたら、俺のアレが徐々に大きくなっていく。気持ちいい身体だな。
「亜樹、何一人エッチしているんだ?」
ここまでしても見えないのか?どうすれば、夏凜に可視化できるんだ?
「夏凜よ、お前は桜島麻衣を知らないか?」
「誰ですか?それは?」
夏凜の答えに、何かを考え込む先生。
「亜樹、その女と交われ」
いいのか?先生の指示に固まる麻衣。俺は大きくなった物を、ゆっくりと挿入して、彼女の感触と香りを覚えていく。あぁ、体内も気持ちいい…締まりもいいし…興奮してきたのか、麻衣の乳首が立ってきた。ソレを舐めていく。
「あぁぁぁぁ~」
麻衣は刺激を愉しみ始めた。夏凜は漸く、事態に気づき始めたようだ。
「雪姫様…まさか、亜樹の下に、その女がいるのですか?」
静かに頷く先生。
「まさか…」
僕に近寄り、麻衣の身体を触る夏凜。
「えっ!麻衣…」
触ることで、見えるようになった夏凜。意外なことに、二人は知り合いのようだ。
「夏凜…助けて…あぅ…いい…」
静かに達した麻衣。
「で、先生。これはどういう事態なんだ?」
腰を動かしながら質問した俺。
「すまぬ…わからない」
そうなると、師匠かな?そう思った瞬間、先生の横に転移陣が発現し、師匠が転移してきた。
「雪姫でもわからない事案なのか?あぁ、なるほどな。亜樹、それは思春期症候群だ。彼女の場合、透明人間になっているようだな」
透明人間?思春期症候群?
「思春期症候群は、精神感応術に当たる病気だよ。洗脳とは違うけど、周囲の者達へ影響を与えてしまう病気だ。集団催眠と言えば良いかな?」
彼女は知らず知らずの内に、集団催眠術を掛けて、自分の存在を消し、透明人間化したのか?モブ化では無いのか…残念だ。習おうと思ったのに。
「そんな感じだ。その行為に、彼女の意志は存在していない。だから、戸惑っているんだと思う」
「能力者にも効果が有るんですか?夏凜もそうだし、狭霧もそうだったし」
「絶対視覚能力がないとダメだな。僕とか、亘、雪姫、九重辺りは持っているけど、後は無理だな。能力というより、種族の問題だ。亜樹は亘の能力を引き次いでいるから見えたんだよ」
なるほど…聖域にいた俺達は、人間であって人間では無いからか。夏凜も狭霧もベースは人間だから集団催眠の餌食になったってことか。
「どうすれば、この状況を打破出来るんですか?」
師匠に打開策を効いた。
「彼女をみんなに認識させれば良いだけだ。実際、夏凜も触れるという行為で、その子を再認識出来ただろ?」
なるほど…どうやって、みんなに再認識させるかかぁ?みんなの前で、彼女を公開レイプするのはちょっと気が引けるしなぁ。それに、それでは、俺の人間性を疑われかねない。結衣辺りは、嬉しそうにケダモノ呼ばわりしそうだし。
「まぁ、そこから先は、亜樹と亘にまかせる。じゃ、帰るよ。他の案件があるから」
師匠は転移していった。彼女から離れ、『着衣』を発動した。彼女には、刺激的なバニーガール姿では無く、制服を着せた。拘束も解いてある。
「あなたは何者?」
麻衣に訊かれた。
「雪姫先生の愛人?」
「はぁ?愛人だと?ふざけるなよ!せめて、浮気相手くらいに言え」
「だそうだ」
浮気相手…愛人とどう違うんだ?明日のホームルームの時間に質問するか。
◇
麻衣を先生に預けて、帰宅した。夕食後の温泉タイムで、今日の出来事をみんなに話した。
「そんなことがあったの?あの部室で…」
翼が驚いたように言う。やはり、俺と夏美以外には、見えていなかったようだ。
「思春期症候群かぁ。実体化するのは、珍しいことだと思うわ」
って、翼。あやか市の特殊性が原因かな。
「どう、みんなに認識して貰えば良いかな?」
「存在理由を付けるとかは?」
翼のはじき出した結論。存在理由か。どういう理由がいいのだろうか?
「例えば、私の存在理由は、亜樹君がいるからだよ」
って、翼。俺がいることが存在理由。それは、俺が鍵になればいいのか?
「とりあえず、ここに住まわせてみるか」
温泉から上がり、先生の元へ転移した。
◇
麻衣をゆらぎ荘へ連れ帰ると、温泉にいたメンバーには認識出来ていた。そういうこと?
「たぶん、温泉にいたメンバーは、亜樹君の新しい玩具って存在理由で、認識したんだと思うよ」
って、翼。なるほど…俺の何かであると、みんなに理解させればいいのか?俺の何にするのがいいんだ?さすが、玩具って認識は、学校ではマズいだろう。
「アッキーのセフレでいいんじゃないの?」
って、結衣。それも問題無いか?
「ケダモノ呼びしたいのか?」
「ケダモノなのは確定だし」
それはそうだけど…
「それでいいのか?麻衣は?」
一応、確認する。
「いいの?私で…」
俺を見つめている麻衣。
「この際、一人くらい増えても問題無いし…ねぇ」
みんなに同意を求めると、みんなが頷いているし。
「どうやって、認識して貰うかだな」
「校内放送とか?」
結衣がとんでもないことを言い出した。はぁ?校内放送で宣言しろと…
「ケダモノなんだから、何でも有りでしょ?」
笑顔で俺を見つめる結衣。いや、そうなんだけど…麻衣を見ると、頷いていた。この状況を打破したいのは、麻衣自身であったから。
◇
翌日、昼休み…校内放送をジャックしてみる。翼が作った装置を狭霧が、放送室のマイクの回路に組み込み、遠隔で放送を奪った。
『鳥井亜樹です。桜島麻衣さん、俺のセフレになってください!』
って、叫んでみた。これで、どうだ。その日の放課後、俺は静に呼び出しを喰らった。
「お前、校内放送を何だろ思っているんだ?」
「告白用の…」
「私では不満なのか?」
え?ソッチの理由で呼び出し?今夜、静と共に過ごす事になった。夜は長そうだ。
静の小言責めが終わり、部室に入ると、麻衣が俺に抱きついて来た。
「ありがとう…白い目で見られたけど、私を認識してくれたわ」
あぁ、白い目で見られて、喜ぶって、とんだドエムだな。
「じゃ、麻衣の返答はノーってことにして、振られた俺は、お小言の続きを受けてくるよ」
部室を出た俺だったが、麻衣が背中から抱きついて来た。
「ノーじゃない。お受けします。セフレの件…」
はぁ?なんで?
「初めての相手に尽くそうって思っていたの」
あぁ、初めてを貰ってしまった。あぁ…
◇
翌日…一晩に三人は無理…静と夜を過ごし、帰りに雪姫先生に拉致されて、明け方まで…部屋に戻って、待ち構えていた麻衣と…そして、温泉へ…
「今朝は疲れていますねぇ、先輩」
って、いろは。
「あぁ、今朝はダメだよ…」
「高校生になったら、私も加えて下さいね、先輩」
って、いろは。
「あぁ、体力が残っていれば…」
みんなが思っている程、俺には性欲は無い。性欲があるのは、中の人である亘である。どちらかと言うと、俺は入れているだけでいいのだ。
◇
後日談…夏美が言うには、魔具の『奴隷の首輪』を嵌めれば、俺の物って、認識になったらしい。校内放送で叫ぶことなく、事態は解決したんだよと、夏美の中の人である九重様が笑いながら教えてくれた。
先に言ってくれ…