※この作品はR-18です。

新そっくりなアイツ   作:もっち~!

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エンジェルハートPart2

 

---鳥井亜樹---

 

月宮あゆの季節が到来した。クリスマスの夜が明けるまでがタイムリミットだと言う。ソレを逃すと、翌年のシーズンまで待たないと、あゆは地上に降りてこないらしい。

 

「あゆがいたよ」

 

真琴が商店街で見かけたそうだ。真琴の情報では、大好物のたい焼き屋で、よく食い逃げをしていると言う。

 

翌日から張り込みである。雪姫先生には事情を話し、学校を休んでいる。いつ、来るんだ?いや、どこから来て、どこへ帰るんだ?産まれ育った月宮神社はもうないし。

 

「来た!あの娘が月宮あゆだよ」

 

赤いカチューシャを頭にして、天使の翼を付けたランドセルを背負っている。服装はタートルネックのセータにダッフルコートという出で立ちで目立つ。

 

ここは陸釣りするか?先程買ったたい焼きを、彼女の視線の先に置いてみた。

 

「うわぁ~、今日はラッキーだよ。たい焼きが落ちているし」

 

拾って食べ始めるあゆ。

 

「あゆ、みっけ!」

 

真琴が接触した。

 

「あれ?真琴…じゃ、祐一君はどこ?」

 

「こっちだよ」

 

真琴があゆを誘導する。そして、あの鎮魂の石碑の前に連れて行けた。念話で、石碑を中心に結界を、朱乃、龍さん、まゆこ、狭霧に張ってもらった。これで逃げられないだろう。

 

「これって、どういうこと?」

 

「相沢祐一君は亡くなったんだよ」

 

って、俺があゆに近づく。

 

「なんで?」

 

「事故でだよ」

 

「そんな事無いもん。祐一は奇跡が、起こせるんだからね!」

 

奇跡が起こせる?

 

「ボクは祐一君しか信用しない。真琴、ねぇ、祐一君はどこにいるの?」

 

「天国だよ…鎮魂して、昇華していったから…」

 

「祐一君を呼び戻せばいいんだね。そうだ、天使をみつけなきゃ!」

 

そう言うとあゆは、走り出し、結界を透過していった。うそっ!師匠並の能力者か?

 

真琴とこゆずが追跡を始めた。どこに住んでいるのかを調べる為に。俺も追跡に加わった。だけど、商店街で見失った。真琴とこゆずの追跡を振り切るって、スゴい。この二人は、霊的な追跡をしている。人体が発する霊波動をキャッチして、追跡していたのだ。なのに、追跡が失敗した。そうなると、商店街のどこかにいるのか?

 

『意識体に霊波動は無いに等しいレベルだ』

 

と、亘からアドバイスだ。微弱な波動…何かで打ち消して逃亡か?

 

「こゆず、大きめは波動だと、何を感じる?」

 

「あの大樹かな…」

 

あぁ、師匠が問題は無いと言った空き地か。そこへ、3人で向かった。学習塾だった廃墟を突き破るようにそそり立つ大樹。これって、ご神木か?

 

「あぁ、そうだよ。あれは白浪神社のご神木の子供だ」

 

って、師匠が転移してきた。そうか…白蛇神社と呼ばれていた頃のご神木の子供なのか…

 

「だから、あゆにとって波長が合うんだろうね」

 

「師匠は、居場所を知っていて、探すように言ったのですか?」

 

「あぁ…そうだよ。知らない者の前には、姿を現さないからね。今は、真琴は勿論、亜樹とこゆずを認識出来るはずだ」

 

あれは顔見せの儀だったのかぁ。

 

「さて、行こうか」

 

師匠を先頭に、俺達3名が付いていく。行き着いたのは、屋上だった。

 

「高い処に昇るのが好きなんだよ。そうだろ、真琴」

 

真琴が頷いた。

 

『強奪』

 

師匠があゆを引き寄せた。俺達の前に引き寄せられて、驚いているようだ。

 

「天使の人形を見つけたよ。ここの地下室に埋めていたんだな」

 

師匠があゆに、天使の人形を手渡した。

 

「ねぇ、これで祐一君は甦るの?」

 

「無理だよ」

 

「なんで?天使は奇跡を起こせるんでしょ?」

 

真剣な目で師匠を見るあゆ。

 

「奇跡って、人間が起こすから奇跡なんだよ。あゆも祐一君も、もう人間では無い。だから、奇跡は起こせないんだよ」

 

諭すように優しく語り掛ける師匠。

 

「そんな…ねぇ、あゆの願いは叶わないの?」

 

「叶えてやる。但し、祐一ではなく、そこにいる亜樹に愛情を、注いでくれるかな?」

 

俺に?なんで?

 

「うん、わかった。彼とはいつまでも、一緒にいられる?」

 

「あぁ、いられるよ。妹が付いてくるがね」

 

「妹?私よりもお姉さん?」

 

「そうだよ」

 

「そうか…」

 

あゆの身体が光の分子に分解されて行く。消える前兆である。

 

『手を出すなよ!』

 

師匠から念話が届いた。そして、あゆは俺達の前から消えた。

 

「よし、これでミッション成功だ。明日にはあゆが、押し掛けるからな」

 

って、師匠が消えた。はぁ?どういう意味ですか?

 

 

朝…目覚め…物凄く柔らかい物がいる。こんな大きく柔らかい物ってなんだろうか?上には結衣が載っている。両サイドには真琴と…誰だっけ?この子?はて?

 

「う~ん、小学生だよなぁ?」

 

って、珍しく起きていた狭霧。

 

「小学生?有り得ないだろ?どう見積もりをしてもDかEは有るぞ」

 

って、小学生?部屋の隅にチョコンと置かれた、天使の翼付きの赤いランドセル。え!月宮あゆかぁぁぁぁ~!あのあどけない女の子って、隠れ巨乳だったのか?って、ノーブラにセータって、痒くないのか?ダッフルコートまで着込んで寝ているし。

 

「どういう状況?」

 

「その子に排除されたんだよ」

 

それで目が醒め、あゆを目にして、完全に醒めたらしい狭霧。起こさない様に、寝床から抜け出た俺。

 

小学生でこの胸だと、虐めの対象では無いのか?だから、陽乃は虐めたのか?もしかすると祐一はあゆを庇って、陽乃に盾を付いて…そんなストーリーが頭に浮かんだ。

 

久しぶりに狭霧と朝風呂へ向かう。男湯の前で別れようとすると、一緒に男湯に入った狭霧。おいおい…湯船には既に翼とひたぎと雪乃が待っていた。

 

「新人さんは小学生だってね」

 

って、翼。

 

「そうなんだけど…どうなんだろう。まゆこに相談しないとダメなレベルだよ」

 

実際のあゆのことを話した。

 

「Eカップでノーブラの小学生?」

 

ひたぎが狼狽えている。

 

「あゆの実際年齢は幾つだ?」

 

「見た目は小学生だよな」

 

ドッボ~ン!

 

静寂の時間に、いきなりの落下音。何かが湯船に投げ込まれたのか?

 

「ばぁ~!」

 

って、全裸のあゆが湯面から現れた。股間はツルツルであるが、胸はデカい…さすがの翼も生唾を飲み込んでいた。そこまでインパクトのある胸だった。

 

「ちょっと退いてね」

 

って、固まっている狭霧を排除して、俺の隣に来たあゆ。恥じらいを感じ無いレベルの小学生である。アンダーヘアがまるで無いので、10歳前後か?

 

「あゆちゃん!」

 

結衣があゆを追いかける形で、湯船に入ってきた。

 

「ダメだよ、飛び込んじゃ」

 

「うぐぅ~」

 

どうするよ。俺の手に負えない問題が生じそうだ。

 

「翼、頼めるか?」

 

「え!無理かも…」

 

珍しく弱気な翼。そうなると、アイツだな。女体は駿河に限るか?

 

「先輩、すみません。年齢が低すぎます」

 

って、駿河も拒否。なので。真琴とこゆずに頼んだ。まゆこが来るまでの担当として。いや、適任者がいた。蘭と香さんがいるじゃないか。小さい子でも大丈夫なはずだ。

 

「いいわよ。その代わり、ご褒美はいっぱいね」

 

って、蘭。ご褒美?

 

「まかせなさい。私もご褒美が欲しいな」

 

って、香さん。あゆに見せられるご褒美なのか?それって…

 

 

 

---来生泪---

 

久しぶりに帰国した。鳥井兄妹に頂いたお金を元にして、海外で暮らし始めた私達だったが、妹の瞳が奇病にかかり、記憶を無くしてしまった上、車椅子での生活である。指名手配されているか、心配だったが、そんなことにはなっていなかった。彼は生きているのか?

 

1年前、事故で末の妹である愛の構えた拳銃が暴発して、鳥井亜樹君を撃ってしまった。だけど、彼の機転で、彼の描いた絵画とお金を貰い、海外へと逃亡した。恩返しをしないと…瞳の病気が治ったら。いや、治る兆しが見えたら…

 

だけど、どこの病院へ言っても、原因不明で治療の目処が立たなかった。

 

そこで、最後の賭けに出ることにした。新宿駅の伝言板に、合い言葉を書くと、裏世界に精通した凄腕の便利屋さんと出逢えるって、都市伝説に掛けてみた。

 

待ち合わせのバーで待つ。

 

「お嬢さんに、カクテルXYZを差し上げて」

 

合い言葉である。隣を見ると大柄な男性が座っていた。

 

「ねぇ、どこかに凄腕のお医者さんって、いませんか?あなたへの代金は、私の身体で、お払いします」

 

「金は払えないってことか。病人の治療費に使うからか?」

 

総てを言っていないのに、事情を知っているようだ。どうしてだ。

 

「お金に関しては大丈夫だよ。お前は来生3姉妹の姉だろ?知り合いから、話は聞いている」

 

知り合い?身構える私。

 

「そんなに警戒しないでも、大丈夫だよ。亜樹の関係者には手を出さない」

 

鳥井亜樹君の知り合いなのか?

 

「あやか市にある月野木病院へ転院をさせろ。但し、治療後はあやか市に永住になるが、どうかな?」

 

あやか市?どこにあるんだ?そんな心配を余所に、鉄道の切符を3人分渡してきた。

 

「代金は亜樹から、既に貰っているし、今回の依頼料も既に貰っている。礼は、直接亜樹に言え」

 

そう言うと、バーテンに料金を払って出て行った。

 

 

あやか市駅の改札を出ると、月野木病院の車が待っていてくれた。早速、病院へと向かう。着くと瞳は検査をされて行く。

 

「ウィルス性の脳炎の様だけど、寄生虫みたいね」

 

って、看護師の女性に言われた。寄生虫?

 

「発症して随分と経つみたいね。侵入経路が特定が出来なかったわ」

 

って、虫の入ったガラス瓶を見せてくれた。

 

「治ったんですか?」

 

「失った記憶は、中々戻らないわ。日々、リハビリに専念ね」

 

手術は成功したのか…って?検査していただけでは無いのか?いつ、手術したのだ?

 

「手術代はどの位ですか?」

 

「亜樹君の知り合いだから、お金は要らないんじゃ無いかぁ?むしろ、身体で払って欲しいみたいだし」

 

苦笑いしている看護師の女性。

 

 

無菌室で眠る瞳。瞳と添い寝をしている亜樹君…どういうこと?

 

「執刀医は亜樹君よ。能力を使いすぎて、今寝ているのよ」

 

能力?

 

「能力って?」

 

「あなた達のことは、賢者様から聞いているわ」

 

賢者様?

 

「亜樹君に恩義を感じるなら、隣のあやか温泉駅で、喫茶店を営業してくれないかな?亜樹君も賢者様も、珈琲好きなんだけど、隣の駅には喫茶店が無いのよ」

 

そうだ。亜樹君は珈琲好きだわ。

 

「わかりました。開店させます。で、身体の提供もします」

 

「身体は、彼女の身体が良いみたいよ」

 

って、瞳を指差す看護師さん。確かに、瞳が好きだった亜樹君。

 

「じゃ、開店場所とかは、こちらで用意します。豆とかの仕入れは亜樹君がルートを持っているから、亜樹君に相談してみてね」

 

って。

 

「1年前、亜樹君は大丈夫だったんですか?」

 

一番の心配ごとを訊いてみた。

 

「大丈夫って?あぁ、銃殺した件?気にしていないから、問題無いでしょ」

 

銃殺?だって、彼は生きている…え!脳裏にあの後の映像が流れている。愛にも流れているのか、涙を流している。死んだのか。あの妹さんは後を追うようにして…

 

「でも…彼は生きていますよね?」

 

『生かされているだけだ。期限付きの蘇生だよ。期限が来れば、亜樹も夏美もロストする』

 

耳からでは無く、脳裏に直接響く声…誰の声だ?

 

「ロストって?」

 

『存在そのものが消えるんだよ。亜樹と夏美の魂は、別人が引き継ぐから』

 

魂を抜かれるのか…何で…

 

『そういう契約だ』

 

脳裏に響く声は、そこで途絶えた。

 

「泪姉ちゃん…私はどうしたら良いの?」

 

愛は私に縋り付いてきた。存在が消えるって、どういうこと?

 

 

 

 

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