※この作品はR-18です。

新そっくりなアイツ   作:もっち~!

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大晦日の目覚め

 

---宮崎千紗希---

 

「どこまで想い出したんだ?」

 

どこまで?う~ん、亜樹君の名前しか…でも、もっと傍にいたい!

 

「全部だよ」

 

うそぶく私。

 

「想い出していないんだろ?背伸びはダメだ」

 

バレていた。どうして?

 

「亜樹君…私はなんで、記憶を失ったの?」

 

「知らない方が良いこともあるんだ。想い出さないでもいい記憶だよ」

 

そういうと、彼は目の前から消えた。どこへ行ったの?彼を捜し回る。見た覚えのある風景を見る度に立ち止まり、考え込む。確か、下宿に住んでいたはず…小さい狐…いや、狸だっけ。名前はこゆずちゃん…そう言えば、喫茶店で私を導いてくれた子だっけ。喫茶店へと戻る。そして、あの子を見つけて、抱きついた。

 

「えっ!千紗希ちゃん…」

 

彼女が道しるべに違いない。

 

「こゆずちゃん…私の記憶を…」

 

「ダメだよ。想い出したら、千紗希ちゃんが壊れちゃう…」

 

涙を溢し、私に抱きついて来たこゆずちゃん。私のことを、心配してくれているようだ。

 

「壊れない。だから、私の記憶を取り戻したいの」

 

首を横に振るこゆずちゃん。私の願いを、私の為に拒否してくれているようだ。

 

「あの女が悪いんだ…千紗希ちゃんといろはちゃんに呪いを掛けて…」

 

あの女?

 

「こゆずちゃん、怒らないで。ねぇ、良い子だから」

 

「だって…こゆずは千紗希ちゃんと、仲良くしたいのに…ジャマするから…」

 

脳裏に結衣の顔が浮かぶ。まさか、彼女が呪いを掛けたの?なんで…親友だと思っていたのに…

 

「ねぇ、千紗希ちゃん。私と一緒にウェイトレスしない?」

 

こゆずちゃんが提案をしてくれた。そうだね。亜樹君に逢えるよね、彼、珈琲が大好きだたし…あれ?なんで好みを知っているんだ…仲が良かったのか…結衣が私のポジションを奪う為に呪いを…まさか…

 

 

 

---由比ヶ浜結衣---

 

家に帰ると、門の前で千紗希が待っていた。何しているんだ?

 

「結衣!話があるの…」

 

千紗希の顔は真剣である。

 

「あなた、私に呪いを掛けたの?」

 

マズい…記憶が戻って来たのか…ここはスルーで凌ぐ。

 

「結衣!何か言いなさいよ!」

 

「千紗希が悪いんだよ…」

 

あっ、スルーしようと思ったのに…

 

「私が悪い?どうして?」

 

「私の前に立ちはだかるから…どうして…ジャマするの?やっと、彼と仲良くなってきたのに…」

 

「亜樹君と?どうして?あなたは、嫌っていたでしょ?」

 

「そんなことは…」

 

あれ…千紗希が消えた。

 

 

 

---宮崎千紗希---

 

異形なる者達に陵辱されていく。身体を舐め回され、大事な箇所を交代で突かれていく。そうか…これって、結衣の呪いだったのか…異形なる者の刺激を愉しむ。胸を揉まれ、乳首を吸われ…食べられていく。

 

来世も亜樹君の傍にいたい…

 

 

 

---湯ノ花幽奈---

 

異形なる者達から千紗希ちゃんを助け出した。両乳房は喰われていた。貪欲なオーク達に。その貪欲さは私に向けられ始めた。

 

多勢に無勢…異形なる者達に陵辱の限りを尽くされていた。戦え無い様に、両腕を先ず喰われて、異形なる者達に回されていく。胸を揉まれ、乳首を吸われ、妖力を吸い取られていく。気力が消えていく。亘くん…助けて…

 

異形なる物達が真っ二つに切断されていく。

 

「お姉ちゃんは、僕が護る」

 

 

 

---シュウ---

 

亘がボロボロな姿で、千紗希と天狐を連れ戻った。また呪いを掛けているのか…

 

「治りますか?」

 

「時間は掛かるぞ。エネルギーを使い果たしているから」

 

天狐は持てるエネルギーを総て食われたようで、マインドロスト状態である。千紗希も重症で、心まで喰われているし。ただ魂だけは、天狐が護り抜いたようだ。

 

しかし、結衣の闇は深いなぁ。共存する気は無いのか?結衣、いろは、千紗希、天狐を聖域へ持ち帰ることにした。教育し直しだな

 

 

 

---鳥井亜樹---

 

おかしい。幽奈が帰って来ない。地縛霊で、0時にはこの部屋に引き寄せられるはずが、ここ数日、戻って来ない。何かあったのか?

 

『心配するな、聖域にいる』

 

って、亘。なんで、聖域にいるんだ?何かをやらかしたのか?俺が悪いのか?

 

『お前は悪く無い。だから、落ち着け!』

 

「ダメだよ、変なことを考えちゃ」

 

あゆが抱きついて来た。

 

「ねぇ、一人にしないで…」

 

あゆが俺を押し倒した。

 

『お兄ちゃん…私とあゆを置いていかないでよ…』

 

夏美の声が脳裏で聞こえる。

 

『瞳さんはどうするの?』

 

そうだ。瞳を助けないと…消えるのはいつでも消えられる。

 

「翼さぁ~ん!蘭さぁ~ん!」

 

あゆが叫んだ。翼と蘭、ひたぎ、駿河などが俺の部屋に入って来た。

 

「どうしたのよ、あゆちゃん」

 

あゆの大きな目から涙が大量に溢れていた。

 

「亜樹君が変なことをしようと…私を置いていこうと…」

 

翼に泣き縋ったあゆ。

 

「亜樹君、落ち着いて。ダメだよ。もう自傷とか自殺は止めてね」

 

蘭が抱きついて来た。

 

「しばらくの間、誰かしら亜樹君の傍にいて」

 

蘭がみんなに提案をしている。俺は何をしているんだ。みんなに心配を掛けてばかりだよ。幽奈、早く帰ってきてくれ…

 

 

 

---シュウ---

 

夏美が消え、幽奈が消えたことで、自分に責任を転嫁している亜樹の精神がボロボロになっていく。が、まだ天狐は回復していない。千紗希を護る為に自分を犠牲にしたようだ。亘もボロボロな状態で、亜樹を気遣える状態ではないし。どうしてくれるんだ、この女は!

 

「おい!お前の身勝手な呪いのせいで、周囲のみんながボロボロになっていくんだが、どういう了見だ?」

 

怒りを結衣へ向けて、問い詰める。

 

「知らない。私は呪っていないよ」

 

呪いの亡者達が、女体の味を覚えたのか?頼んでいないのに、暴走しているのか?う~ん…結衣を地獄に堕とせば、事態は安静かするが、結衣がいなくなったことで、新たな問題も生じそうだ。これ以上のキャストのロストは、亜樹に悪影響を与えすぎる。だけど…

 

「悔い改める気は無いか?」

 

「何をさせるの?」

 

「自発的に行わないと意味は無いんだよ」

 

「だから、何をすればいいのよ!」

 

逆キレ君の結衣。

 

「尼僧になって、心を洗うしか無いだろ?呪いを断ち切るにはさぁ」

 

「拒否!頭剃るなんて、出来ない」

 

「じゃ、殺人罪で塀の向こうへ行くか?」

 

「誰も殺していないよ」

 

「千紗希…死んだも同然だよ。心を喰われて…このまま、現世に戻しても、植物人間のままだぞ。いろはも同じ運命を辿るかもしれない」

 

「殺していないもん!」

 

「じゃ、地獄で罪を償ってこい!」

 

結衣を地獄へ強制転移させた。たぶん、地獄で償えば、呪いは消えるはずだ。問題は心を喰われた千紗希だな。

 

取り敢えず、3名の器を月野木病院へ入院させた。聖域に置いておくと、彼女達の両親と亜樹が心配するからだ。器からのリンクを切らないようにして、魂だけを聖域と地獄へ置いている状態である。

 

千紗希との繋がりの強いこゆずを、聖域へ呼び出して、彼女の魂の看病を頼んだ。

 

 

 

---鳥井亜樹---

 

こゆずが聖域へ向かったので、喫茶店の手伝いを、真琴とあゆに頼んだ。俺は瞳の傍に寄り添うが、手を握ってやることしか出来ない。

 

「ねぇ、亜樹君…風邪引くよ…」

 

誰かに身体を揺すられている。誰だっけ…なんか色々あって脳細胞が怠い。思い出せない。

 

「亜樹君…おいで…」

 

温い何かに抱き締められた。なんか安眠出来そうだな。

 

「こんなに冷たくなるまで…看病してくれたんだね。ありがとう…」

 

唇に柔らかな物が重なり、胸に柔らかな刺激を感じる。天使が迎えに来たのかな?俺は昇天したように、意識を落としていった。

 

 

 

---来生泪---

 

「おはよう、姉さん」

 

「あぁ、おはよう、瞳…」

 

えっ?瞳…幻か?もう一度見てみるが、そこに瞳がいた。その表情は生き生きとして、幸せそうに見える。昨日まで眠り姫だった瞳が、慣れないお店のカウンターで、珈琲を淹れていた。どうして…何があったの?

 

「どうしたの?」

 

「うん?亜樹君に珈琲を淹れてあげるの。ずっと看病してくれて、身体が冷え込んでいるから、暖かい珈琲を淹れてあげないと」

 

亜樹君が起こした奇跡か…瞳は昔と変わらない姿であった。カップに入れた珈琲を、瞳の部屋へ持っていく。

 

「はい、珈琲よ」

 

「ありがとう、瞳」

 

久しぶりに見る瞳の笑顔。

 

「えっ!お姉ちゃん…」

 

愛も起き出し、瞳の姿に驚いていた。

 

「どう?」

 

「うん、おいしいよ」

 

この地に来て、正解だった。

 

 

 

---宮崎千紗希---

 

もう誰も相手をしてくれない。路傍に捨てられている私。

 

「千紗希ちゃん、帰ろうよ」

 

こゆずちゃんが迎えに来てくれた。だけど、もう異形なる者すら見向きもしない、ゴミである。

 

「亜樹が大変なんだよ。お願いだから、帰ってきて」

 

亜樹君が大変?どうして?

 

「千紗希ちゃんを助けようとして、幽奈まで汚しちゃって…亜樹が自分のせいって言い出して…どうしていいか、わからないんだよ」

 

こゆずちゃんが、私に泣きすがってくれた。こんな汚れきった私に…

 

「亜樹君、会ってくれるかな?」

 

「当たり前だよ」

 

そう…会ってくれるなら、帰りたい。

 

「絶対に亜樹の元に、連れ戻るからね」

 

こゆずちゃんが大人の姿になって、私を背負ってくれた。

 

 

 

---湯ノ花幽奈---

 

亘君が私を探している。ここにいるよ…目の前にいるのに気づいてくれない。もう、逢えないのかな…必死に探している亘君。目の前にいるんだよ。どうして?どうして、気づいてくれないの?

 

手を差し伸べよとするが、私には手が無かった。そうだ、喰われたんだ。アイツらに…胸も秘部も、総て喰われたんだ。貪欲なオーク達に。昔の私だったら、あんな無様な姿にはならなかったはずだ。自ら命を絶った代償なのだろう。昔の力の半分くらいしか無い。

 

亘君…助けて…

 

『おい、愚かな弟子よ。地縛霊に内臓は無いんだぞ!』

 

師匠の言葉が脳裏に響く。それって、喰われる部分は無いってことだ。あれ?って、ことは、思い込んでいたたけ…精神攻撃を受けたってことか。次の瞬間、地縛の呪いが発動し、あの部屋に戻っていた。あれ?亜樹君がいない…どこへ言ったんだ?

 

 

 

---鳥井亜樹---

 

瞳が目覚めた。冷え切った俺に、暖かい珈琲を飲ませたい一心で、目覚めたようだ。こんな俺の為に…どうして…

 

「そうか、亜樹君が治してくれたのか。このお店を大きくして、亜樹君と住みたいなぁ」

 

夢を語る瞳。嫌なことは忘れたようだ。

 

「ありがとう、亜樹君」

 

泪さんにお礼を言われた。俺は何もしていないんだけど…

 

「おはようございます」

 

蘭と翼がやって来た。ウェイトレスの練習だそうだ。愛さんに習うらしい。

 

「じゃ、そろそろ行きます。瞳、後でな」

 

「はい、いってらっしゃい」

 

笑顔の瞳、蘭、翼に送り出されて、神社へと向かう。今日は大晦日である。除夜の鐘…あれはお寺だっけ?0時になったら、御炊きあげと、新年の祈祷をしないといけない。九重様も稼ぎ時だと力が入っていたし。稲荷堂の横に。稲荷寿司屋のお店をオープンしたそうだ。神社の方は、甘酒を売るらしい。あの発電設備のあった部屋を、室にして麹菌の培養室にしたそうだ。神社を流行らすには名物は必要だと言う。だけど、甘酒といなり寿司って合うのかな?

 

幽奈がいないので、リアスと屋根の掃除をする。アーシアはおみくじ。朱乃さんはお守りの準備をしている。甘酒と稲荷寿司作りは、ひたぎ、グレイフィアさん、小猫ちゃん、香さんが行ってくれている。力仕事は駿河がいるので安心だし。

 

火を起こすかな。かがり火用の火を起こし始める。灯籠には蝋燭をセットしてある。照明器具もあるが、灯火は儀式には必要である。

 

「亜樹くぅぅぅぅぅ~ん」

 

幽奈が帰ってきた。

 

「お帰り、幽奈」

 

必要以上にスキンシップをしてきた幽奈。まるでマーキングをしているようだ。

 

「何すればいいかな?」

 

「九重様の方をお願いします」

 

「うん」

 

後は、千紗希達だけど…

 

 

 

---一色いろは---

 

う~ん…長い夢を見ていた気がする。ケダモノ達に襲われる夢。最初は死にたいくらいにイヤだったのだが、ケダモノいこーる先輩って思い始めると、とても幸せな気分になっていった。で、ここはどこ。ゆっくりと瞼を開くと眩しい光が、目を襲って来た。

 

「いろは!帰ってきたんだね」

 

小町の声…

 

「ここはどこ?」

 

「月野木病院だよ」

 

「今日は何月何日?」

 

「大晦日…」

 

「えっ!行かないと…」

 

「どこへ?」

 

「先輩の神社だよ。巫女さんのバイト…小町と一緒に」

 

「そうだけど…大丈夫?」

 

何が?

 

「大丈夫だよ。行かないと、先輩が心配しちゃうよ~」

 

「わかった。退院の許可を貰ってくるよ」

 

部屋から小町が出て行った。退院?私って、入院していたのか?なんで??

 

 

 

---宮崎千紗希---

 

『着いたよ、千紗希ちゃん』

 

こゆずちゃんの声。目をゆっくり開く。病室のような香りと明るい照明。私の手を握っているこゆずちゃん。

 

「ありがとう、こゆずちゃん」

 

「おかえり、千紗希ちゃん」

 

「亜樹君の元に行かないと…」

 

「退院の許可をもらってくるね」

 

こゆずちゃんが元気そうに部屋を出て行った。

 

 

 

---由比ヶ浜結衣---

 

鬼達にいたぶられる毎日…欲しい時には放置され、欲しく無い時に突きまくられ…ボロボロになっていく。身体も心も魂も…

 

「おい!千紗希達の気持ちが分かったか?」

 

「私は間違っていない。欲しい物はどんなことをしても手に入れる」

 

「親友を蹴落としても?」

 

「それは…」

 

「お前の行いは、亜樹も知っている。お前を殺したい程、憎んでいるはずだぞ」

 

「そんなことは無い。亜樹君は私に優しいよ」

 

「殺すほどの価値も無いのだろ」

 

そんなことは無い。私は…

 

「まぁ、いいや。千紗希もいろはも呪いが断ち切れた。お前を帰してやる」

 

次の瞬間、知らない場所のベッドの上にいた。ここはどこだ?消毒液臭い…病室のようだ。どうして、病室にいるんだ?

 

ドアが開き。医者と両親が入って来た。

 

 

 

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