※この作品はR-18です。

新そっくりなアイツ   作:もっち~!

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そして…
記憶のカギ


 

---毛利蘭---

 

季節は巡って、初夏を迎えた。あの日以来、何も変わらない私達。いや、楽しみが増えたと言うか…

 

新一は、隣の駅に越してきた。探偵仕事もせず、学校にも行かず、喫茶キャッツアイにたむろっている。両親の稼ぎが良いと、子供はダメになる典型では無いのか?

 

「なぁ、蘭…お前の気になる男って、誰なんだ?」

 

迷わず、瞳さんの大きなお腹を指す。

 

「産まれていない男がいいのか?」

 

「うん」

 

「お前、どうしちゃったんだ?」

 

「どうしちゃったんだろうね?」

 

産まれていない男の子に、恋をしている私。まぁ、頭はイカれているかな。でも、美和子さんも、翼ちゃんも、麻衣さんも、恋い焦がれているのだ。まだ産まれていない男の子に…

 

「なぁ、瞳…その子の父親は誰だ?」

 

瞳さんにプロポーズした内海刑事も、美和子さん目当ての高木刑事も、ここに入り浸っている。警察はヒマなのかな?

 

「だから、私の大切な人の忘れ形見なのよ。何度言えばわかるの?ねぇ、俊夫!」

 

「なら、俺が父親になってやる」

 

「要らない。みんなで成長を見守るから、父親は要らないのよ。何度言えば、わかってくれるの?って、仕事はいいの?有休使い果たしたんじゃ無いの?」

 

「そうだぞ、高木君。いい加減、帰りなさい!」

 

美和子さんも、高木刑事に、言い寄られて、キレそうである。

 

「あぁ、そろそろ、バイトの時間だから」

 

お店を出て、自転車に乗り、神社へと向かう。あの想いでの詰まった神社で、巫女のバイトをしている。高校を卒業したら、本格的に巫女になる修行をする予定である。あの同じ時を生きた者、皆である。

 

「おい!蘭、待てよ!」

 

新一も自転車に乗り、追いかけてきた。ストーカー並みのしつこさである。

 

「話す事は無いわよ」

 

「納得出来ない。なぁ、納得出来る理由を教えろよ」

 

あんな非科学的な出来事を、この論理組立型頭脳に納得させる自信は無い。

 

「お告げかな…うん、きっと、そうだよ」

 

「はぁ?バーロー、そんな言い訳で納得できるかよ」

 

冴子さんに言えば、コイツ出入り禁止にしてくれるかな?なんか、うざくなってきたし。

 

 

夏祭りの頃…瞳さんは双子を出産された。男の子と女の子である。名前は、亜樹と夏美に決定していた。

 

「記憶が封印されているのよね。何がキーかな?」

 

二人に母乳を飲ませながら、みんなに訊いて来た。

 

「簡単には封印は解けないですよね?」

 

論理的思考の翼ちゃん。

 

「徐々に思い出すって、言われていたような」

 

女優をし始めた麻衣さん。都会で仕事をしつつ、二人にお土産を買ってくる、餌付け作戦らしい。

 

「記憶が戻るのが待ち遠しいです」

 

狭霧ちゃんは、亜樹くんの顔を見つめていた。授乳中に付き、無理は禁物なので、見つめているだけだ。

 

「取り敢えず、私は夏美ちゃんに空手でも教えようかな」

 

妹さんを手懐ける作戦も有りだと思うし。

 

 

 

---神代亘---

 

亜樹が消えて、監視役だった九重様は聖域にお帰りになった。亜樹にとっての最後の事件以来、幽奈は帰ってこない。どこで何をしているんだ?最後の別れくらいして欲しかった。亜樹はアレで良かったのだろうか?

 

目の前には、生まれ変わった亜樹と夏美がいる。幼稚園と保育園が無いので、神社で預かっている。ここには、生前の彼らを知る巫女がたくさんいるので、問題なく、スクスクと育っている。蘭さんに言わせると、亜樹は幼い時の工藤新一の面影があるそうだ。さすがにソックリさんである。

 

「神主!僕、大きくなったら、巫女さんになりたい」

 

「亜樹…巫女さんは女の子しかなれないんだよ」

 

「むっ!誰が決めたん?」

 

「いにしえからのルールだよ」

 

亜樹は僕のことを神主と呼んでいる。

 

「タル君、私は神主になりた~い」

 

「夏美…勉強を一杯しないとダメだぞ」

 

「タル君、勉強したの?」

 

「少しだけ…」

 

夏美は僕のことをタル君と呼んでいる。神社で育っているせいか、神事に興味を持ち、一緒に神事を執り行ってくれたりもする。残念なことに、二人には特殊能力は無いようだ。感性が研ぎ澄まされれば、見えない物も見えるようになるかな?

 

 

小学校に上がっても、二人の記憶に変化は無いようだ。消えた年齢まではダメかな。

 

「なぁなぁ、神主って、彼女いるの?」

 

亜樹がデリケートな質問をしてきた。

 

「好きな人はいるんだけど…」

 

「うん?蘭姉ちゃん?美和子姉ちゃん?あぁ、麻衣姉ちゃんかな?」

 

まるで、亜樹の好みを聞いている気分なんだが…

 

「ハズレだな」

 

「じゃ、私なのかな?」

 

って、夏美。

 

「ハズレだよ。迷子なんだよ。どこで彷徨っているんだろうな」

 

想い人の顔を思い浮かべる。遠い昔のセピア色の記憶である。僕が僕であるうちに戻って来てくれるかな?少し不安である。年齢的にはお姉ちゃんよりも僕の方が上になっているし。僕を僕と認識してくれるかな?

 

「神主、泣いている?」

 

「泣いていないよ。汗だよ」

 

「目からオシッコ?」

 

「夏美、それは違う」

 

う~ん、誰だ、こんなことを教えたのは…涙は目からオシッコでは無い…

 

 

 

---湯ノ花幽奈---

 

ここはどこだ?しまった。疲れて寝てしまったようだ。ここはどこよ?

 

「おぉ!幽奈、久しぶりだな」

 

えっ?お尻を撫で回されている。この声…亜樹君?夏美ちゃんもいる。あれ、どうして?亘君の気配が感じ無いんだけど…どうして?リミット過ぎちゃったのか…それにしては亘君がロストするはずは無く…

 

「なんで、泣いているんだ?」

 

お尻の割れ目に、顔を突っ込んでいる亜樹君。何故、そこに顔を突っ込んで、泣いているって分かるんだ?

 

「お兄ちゃん、ド変態だよ、それじゃあ」

 

そう思います。って、顔を隠して尻隠さずポーズから脱却して、二人の前に舞い降りた。なんか、部屋の感じが変わった気がするのだが…はて?それよりも、

 

「ねぇ、亘君は?」

 

「えっ?亘君?あぁ、神主は神社だよ」

 

神主?あれ?いつの間に、亜樹君と亘君って、分離したんだ?

 

「亜樹、どうしたんだ?アレ…幽奈?」

 

知らない中年女性が、私の名前を呼んでいる。誰、この人は?

 

「私だよ、狭霧だって」

 

「どうして、こんなに年増なの?」

 

私の知っている狭霧はピチピチの高校生だった。だけど、目の前にいる女性はオバさんといっていい年齢に見える。

 

「おいおい…幽奈、お前こそ、15年も迷子って、どういう地縛霊なんだ?」

 

狭霧の言葉に、唖然とした。はぁ?なんですって…

 

「15年も迷子?えっ…えぇぇぇぇぇぇ~!あれから、15年も経っているの?!」

 

でも、亜樹君達の年齢はそのままなんだけど…なんで?これは夢?

 

「そうだよ。亘がかわいそうだよ。15年もやもめ暮らしで…」

 

そうだ亘君に会えば、事情が分かるかもしれない。神社に行かないと…ゆらぎ荘を出て、神社へと向かう。だけど、忘れていた。地縛霊の私では、神社のしめ縄で弾かれてしまう。マズイ…会えないじゃない。

 

「幽奈、何を泣いているんだ?」

 

しめ縄の前で泣いていた私に、誰かの声が掛かった。このオーラ…懐かしい…

 

「このオーラって、亘君?ねぇ、亘君?」

 

振り返ると、ナイスミドルな神主衣装の男性が私を見つめていた。

 

「15年も…どこをどう迷子になっていたのかな?まぁ、積もる話を訊こうかな。おいでよ、幽奈」

 

亘君の手を握る。亜樹君とは違う手触りの手の平…亘君なんだ。やっと会えた。

 

「天狐お姉さんみっけ!」

 

えっ!見つけてくれたのか…次の瞬間…私は私の身体を、返して貰い、亘君が抱きついて来た。あの…私、全裸なんですけど…師匠…服をください…

 

 

 

---毛利蘭----

 

亜樹君と夏美ちゃんの記憶の封印が解けた。キーは幽奈さんだったようだ。喫茶キャッツアイで、お祝いパーティーである。幽奈さん、亜樹君と夏美ちゃんの帰還を祝うパーティーである。

 

「蘭、みそじでもかわいいなぁ」

 

「ありがとう、亜樹君」

 

「美和子、しそじでもかわいいなぁ」

 

「亜樹君だけだよ、そう言ってくれるのは」

 

「瞳が母さんになっていたとは…」

 

「ダメ?」

 

「ダメじゃない。嬉しいよ」

 

亜樹君は一人一人と言葉を交わしていく。昔を懐かしむように…高校生の彼には、似つかわしくない表現かもしれないけど。

 

「そういえば、蘭。俺にそっくりのアイツはどうしているんだ?」

 

「どこかで、真実を見つける旅でもしているんじゃないの?」

 

亜樹君そっくりなアイツ…亜樹君が歳取ると、あの顔になるのかな…

 

 

 

 

 

 

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