クロエ君誕生日なので、超短編の。

 騎士君はプリコネ主人公でオリ主ではないです。

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超短め。


「ふーん……あんた今晩行くとこないんだ……そしたらさ、うちさ、使ってない部屋あんだけどさ」

 一人の騎士のような恰好をした少年が、飲食店の軒の下で雨止みを待っていた。

 同じように雨止みを待つ人は他にはいない。朝から雨が降っているから道行く人のほとんどが傘を持っている。ならばなぜ、騎士のような恰好をした少年――ひとまず騎士君と呼ぼう――が、こんなところで途方に暮れているのかと言えば、しっかり持ってきたはずの傘がなくなっていたからである。飲食店の傘置きにあったはずの騎士君の傘はどこかへ行ってしまっていた。もちろん盗まれてしまったからなのだが、騎士君はどうして無くなったのか見当もつかず、無くなることがあるのなら戻ってくることもあるのだろうと、店内でずっと立って待っていた。

 

 そうしていたところを邪魔だと追い出され、今は飲食店の軒の下で雨止みを待っているのだが、篠突く雨は一向に弱まる気配すら見せない。一度強行突破を試みたのだが、あまりに激しく打ち付ける雨にたまらず軒下に引き返し、ただすることもなく曇天の空を見上げるばかりである。

 

 とはいえ、ずっとこのままと言うわけにもいかない。騎士君は再度強行突破に挑戦しようと――

 

「ちょーちょー。あんたこんなとこで何やってんの?」

 

 と、突然声をかけられた。声をかけられた騎士君は嬉しそうに微笑んだ。

 

「いや。あ、クロエちゃんだ。ちゃーくて。なんでこんな雨降ってんのに傘もささずに駆けだそうとしてるのかって話。雨ふりの夜に駆けだしたいお年頃ってか? いや、ちょっとわかるけど」

「は? 傘がなくなって、帰ってくるの待ってる……? いや、それどう考えても盗まれてんでしょ」

 

 今更だが、騎士君が今いる場所は、騎士君がいつもお世話になっているサレンディア救護院からかなり離れた場所にある。もちろん普通に歩いて行き来できる程度の距離なのだが、しかしこの雨の中傘を差さずに移動するとなるとかなり不安だ。

 

「ぷー……うちが送ってってやるから、ほら、傘に入り……あ? もう遅いから申し訳ない? いや、まあ確かにあんたんとこ行ってからうちん家まで帰るとなると、遅くはなるだろうけどさ」

 

「いや、でもだったらどうすんの? この雨の中帰ってっても風邪引くの確定でしょ。

 ……そう言えばあんたの身の回りの世話をしてくれている子がいるとかって話あったけど、迎えにきてれたりはーーえ? 本当は泊まり込みの仕事に来たのに結局早く終わって? その子はあんたがこうして困ってることは知らない? なにそのホワイト企業……うらやま。

 は? 最悪ここで一晩明かす? 論外。出直してきな。

 じゃあなに? あんたはここからうちに送っていってもらうのは申し訳なくて嫌で? でもこの雨じゃ帰れないと。

 ふーん……だったらさ、うちさ、使ってない部屋あんだけどさ……今晩うち来る?」

 

 きょとんとしたままの騎士君に対し、クロエは差していた傘で顔を騎士君から見えないように隠しつつ、ほんのり頬を朱に染めつつ言う。

 

「いや、もちろん変な意味とかと違くて……そもそも弟たちもいるのにーーって、なにその純粋な笑顔」

 

 ほんの一瞬沈黙が流れるが、クロエはその一瞬さえも耐え難いといった様子で、言い訳を始めるが、それを聞かずに騎士君は喜んで提案を受け入れた。

 

「お泊りはしたことが無いから楽しみ…………そ、まあいいけどそれで。ん、じゃあ、傘入り」




クロエ君の口調怪しいけど許せ。

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