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(0)---毛利蘭---
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(0)新一はタフだな。私は2,3日入院なのに、アイツは入院しないとは…
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(0)「よぉ!蘭…容体はどうだ?」
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(0)新一がお見舞いに来てくれた。
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(0)「まだ、少しボンヤリするの」
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(0)「そうか…」
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(0)新一が私の手を握ってくれる。心が穏やかになっていく。
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(0)「新一…私、幸せだよ。新一が寄り添ってくれて」
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(0)「そっか。今日の蘭の笑顔は眩しいなぁ」
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(0)そんなに良い笑顔かな?
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(0)コンコン
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(0)ドアをノックして佐藤刑事が入って来た。
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(0)「工藤君、ちょっといいかな?蘭ちゃん、ちょっと、彼を借りるね」
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(0)「えぇ、いいですよ。たまに、人の為に働いてもいいわよ」
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(0)「そうか…じゃ、蘭、またな!」
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(0)佐藤刑事と出ていく新一。たまには、探偵もして欲しい…私のささやかな希望。
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(0)---佐藤美和子---
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(0)車に彼を乗せ、病院へと向かう。苦痛で顔が歪んでいる。
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(0)「亜樹君、大丈夫?」
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(0)「後、10分遅かったら、まずかったよ」
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(0)まだ、傷口が塞がっていない。無理は禁物なのに…仕事として、工藤君の身代わりをしている亜樹君。工藤君が探偵をしている間、工藤君の身代わりになることにした亜樹君。
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(0)「鎮痛剤を入れるわよ」
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(0)志保さんが、亜樹君に鎮痛剤を打った。
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(0)「少し楽かな…うっ…」
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(0)「佐藤刑事、少し急いで…マズいなぁ。」
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(0)少しアクセルを踏み込んだ。
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(0)◇
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(0)チームドクターの病院に、連れ込んだ。銃弾による怪我なんか、普通の病院に連れて行けない。
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(0)「2,3日、安静だな。傷口はくっついたら、退院だ」
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(0)志保さんが、工藤君へ連絡をした。
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(0)『亜樹君が入院するから、明日から当分、見舞いに行きなさいよ!』
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(0)って…
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(0)「大丈夫だよ…はぁ…はぁ…」
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(0)全然、大丈夫に見えない亜樹君。志保さんは、亜樹君に施した化粧を拭き取っていく。顔色が悪いので、メイクをしていたのだ。
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(0)「こんな顔色で…無理はダメよ。いいわね!」
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(0)「無理じゃない…大丈夫だよ」
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(0)麻酔薬で強制的に眠らされた亜樹君。
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(0)「で、容体は?」
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(0)「傷自体は塞がれば問題は無いじゃろ。問題は、心が疲弊しておる。いわゆるノイローゼじゃな。コイツ、弱音を吐かないから…全然大丈夫では無いのにな」
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(0)楽しいことが無いのかな?生きていることが辛いらしい。ただ、工藤君の身代わりをする事に、喜びを感じているようだ。工藤君の身代わりとして産まれたと思い始めているそうだ。そんな彼に、生きる希望…どう教えればいいんだ?
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(0)---鳥井亜樹---
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(0)教授の病院から脱走した。会いたい奴がいるから。死ぬ前に会いたいから…無性に会いたい。追っ手に注意しながら、目的地へ急ぐ。出勤前だ。まだ、アパートにいるはず。
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(0)出勤する為に部屋の外に出て来たソイツを羽交い締めにした。
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(0)「おい!デコに会わせてくれ…」
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(0)「くど…いや亜樹君か?なんで、こんなマネを…」
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(0)高木刑事が声を掛けてきた。
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(0)「見張られているんだ。僕の協力者と思われると、高木刑事が不利な立場になる…だから…」
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(0)小声で理由を説明した。小さく頷き、彼の車に乗り込んだ。
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(0)『ちょっと、いいか?学校?今日は休んでくれ。大切な話があるんだ』
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(0)デコを呼び出してくれた。僕を待ち合わせ場所に置いて、高木刑事は出勤をした。少し待っていると、デコがやって来た。
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(0)「亜樹君…どうして…」
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(0)「会いたかったから、お前の従兄弟に頼んで、呼んでもらった」
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(0)「どうして、私?」
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(0)「無性に会いたかった。それだけだ。傍にいるだけでいい。ダメか?」
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(0)理由は自分でも分からない。ただ、会いたかったのだ。今日で、終わりになってもかまわないくらい。
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(0)「ダメじゃないよ」
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(0)僕の隣にちょこんと座るデコ。そんなデコの肩に腕を回した。
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(0)「ここじゃダメだよ」
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(0)真っ赤な顔で俯くデコ。
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(0)「しない…そこまで体力は無い」
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(0)穏やかな日差しが心地良い。
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(0)「今、どうしているの?」
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(0)「小説を書いて、絵を描いているよ。生活費を稼がないとダメだから」
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(0)「一人で?」
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(0)「紅子が一緒だよ」
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(0)「そう…ねぇ、高校を卒業したら…一緒に…」
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(0)「一緒には住めない。デコにはデコらしく生きて欲しい」
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(0)デコらしくってなんだ?まぁ、いいか。
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(0)「私らしく?亜樹君から見て、どんな感じ?」
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(0)「そうだな…天真爛漫かな…カゴの鳥にはしたくない」
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(0)僕といたら、束縛というカゴに入れちゃいそうだ。
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(0)「亜樹君のカゴならいいよ」
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(0)「僕がダメなんだ。そんなデコは見たく無い」
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(0)なんか、ものすごく理不尽な理由を言っているような…
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(0)「そうなの?」
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(0)真っ直ぐと僕を見つめるデコ。
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(0)「どこか悪いの?」
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(0)顔色が優れないからな。
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(0)「頭と性格かな。後は問題は無い」
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(0)「ふ~ん」
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(0)笑顔を浮かべるデコ。そうだ、その顔だ。
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(0)「そこまでだよ、亜樹君」
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(0)見付かったようだ。
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(0)「病院へ戻るわよ」
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(0)美和子と冴子だ…逃げられない…
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(0)「病院って?」
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(0)デコが泣きそうな顔で僕を見つめている。
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(0)「亜樹君は、あなたに会う為に、病院を脱走したのよ。後、10日くらい入院しないといけないのに」
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(0)「なんで、そこまでして?」
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(0)「会いたかった…それだけだ。一つくらい想い出を作らないと、母さんに話せないから」
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(0)向こうで待っていて欲しい母さんに、想い出話の1つくらいは、持っていきたい。冴子と美和子に抱えられるようにして、デコの前から連れていかれた僕。
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(0)---毛利蘭---
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(0)う~ん、昨日までの新一と何かが違う。何がだろうか?
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(0)「明日、退院出来るみたいだよ」
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(0)「うん?そうか…」
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(0)私のことを上の空?昨日までの新一は、もっと喜んでくれたようだったけど。佐藤刑事とどんな事件に遭遇したんだ?
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(0)「また、探偵稼業にどっぷり?」
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(0)「え?そんなことは無い。蘭が大切だから」
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(0)今日の新一の言葉は妙に軽い。そうだ、私の目を見て話してくれない。私の手を優しく握ってくれない。スマホばかりを見ているし。今日の新一は、私を穏やかにするどころか、ささくれ立たせてくれている。
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(0)「ねぇ、昨日の話は覚えている?」
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(0)「うん?覚えているよ」
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(0)「子供は、やっぱり、二人?」
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(0)「え?!あぁ、そうだな」
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(0)そんな話、昨日していない。カマを掛けてみたのだ。そして、確信をした。昨日までの新一は、亜樹君だったんだ…新一の身代わりで、私の傍にいてくれた。今日、いないってことは、何か遭ったのか?
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(0)「ねぇ亜樹君は?」
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(0)「知らない。忘れろ!アイツのことは…」
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(0)「じゃ、昨日してくれたみたいにして!」
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(0)「へぇ?!」
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(0)驚いた顔をしている新一。亜樹君にアクシデントが有り、行動の擦り合わせが出来ていないようだ。
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(0)「何をしたっけ?」
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(0)「覚えていないの?」
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(0)「いや、覚えているよ。でも、ここじゃ、恥ずかしい…」
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(0)手を優しく握ってくれたことを、恥ずかしい行為と間違えている新一。コイツ、何を想像したんだ?
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(0)「昨日までの新一って、亜樹君なんでしょ?」
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(0)「そ、そ、そんなわけあるか…俺は俺だ。お前、俺とアイツの区別が出来ないのか?」
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(0)「出来なかった…悔しいよ!でも、今は確信している。昨日のアンタは、亜樹君でしょ?!」
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(0)◇
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(0)翌日、退院をした。新一が迎えに来てくれた。コイツは本物だな。
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(0)「どこか、行きたい処はあるか?」
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(0)「亜樹君の所」
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(0)「だから、忘れろ!昔の男のことなんか」
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(0)確かに元カレだよ…だけど…
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(0)「あぁ、ちょっと悪い…トイレ…」
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(0)有り得ない。退院した私を置き去りにしてトイレって…暫くすると新一が戻って来た。
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(0)「悪い。腹の具合が悪くてな」
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(0)え!
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(0)ごく自然に、肩を抱いてくれた。亜樹君だ…指摘すると逃げちゃうかな…ここは新一だと思っているように接するかな。
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(0)「で、どこに連れて行ってくれるの?」
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(0)「う~ん、アイツの所以外で、近場なら」
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(0)相変わらず、スタミナが無いんだろうな。
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(0)「あそこの喫茶店でケーキでも食うか」
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(0)喫茶店?テラス席に、私を置いて、ケーキと飲み物を買いに行った。暫くすると、二人分の飲み物と私の為のケーキをトレイに載せて戻って来た。
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(0)「紅茶とケーキだ」
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(0)珈琲カップを手にして飲み始めた。コイツは新一だ…入れ替わったのか。ずっと一緒にいられないほど、亜樹君は容体が悪いのかな?
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(0)「どうしたんだ?」
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(0)ケーキも紅茶も口にしないので、新一が声を掛けてきた。
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(0)「少し考え事よ」
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(0)「そうか…」
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(0)「ねぇ、亜樹君の容体はどうなの?」
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(0)「え!なんで…アイツの容体の話なんだ?」
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(0)「入れ替わっていたんでしょ?」
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(0)「何の話だ?入院中に夢でも見たのか?」
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(0)少し慌てている新一。ボロは出さないようだ。
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(0)◇
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(0)あの日以来、新一は新一であった。亜樹君が入れ替わることは無い。やはり、何か遭ったんだろうか。
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(0)「蘭…どうしたの?悩みこんで」
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(0)あぁ、お母さんの家に来ていたんだ。忘れていた。退院して、しばらくはお母さんの元で生活することにしたのだった。
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(0)「亜樹君の事…」
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(0)「彼の事は忘れなさい」
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(0)「お母さんは、知っていたんだよね?新一と亜樹君が、入れ替わっていたことに?」
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(0)お母さんの動作が固まった。知っていたようだ。きっと、お父さんもだろう。
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(0)「どうして、そんなことを言うの?」
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(0)「ねぇ、亜樹君に会いたい。会わせて…お願い…」
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(0)再び固まるお母さん…どうしたの?顔を覗き込むと、涙していた。どうして?
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(0)「お願いだから、蘭…彼のことは忘れて。ねぇ、お願い」
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(0)お母さんが、私に身体を預けるようにして泣き崩れた。どうして?
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(0)「ねぇ、何があったの?教えて!ねぇ、お母さん!私、後悔をしたくないの。ねぇ!」
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(0)「そうね…あなたは、そういう子だったわね…でも、忘れなさい。住む世界が違うの。彼と蘭とでは」
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(0)それは、亜樹君の手が汚れているってこと…繰り返しているんだ。まだ…亜樹君と新一の周囲の者達を護る戦いを…
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(0)「それは…亜樹君が何かしたってこと?ねぇ、お母さん!」
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(0)「もう、私では彼を救えないの。だから、忘れなさい、蘭!」
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(0)弁護の余地が無い程に、手を汚しているのか…
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(0)「私も、彼と戦いたいの」
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(0)「ダメ…ダメに決まっているでしょ?」
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(0)お母さんの言葉、それは。彼は今も戦っているって、知っているってことだ。一人で手を汚し続けているんだ。脳裏に閃く物が舞い降りた。
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(0)「ねぇ、お母さん…もしかして、私を…私と新一を助けてくれたのって…」
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(0)「そう…彼よ…解毒剤を投与してくれたのも…」
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(0)そうだったんだ…
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(0)「ゴメンね…蘭…アナタの大切な人を護れないで…」
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(0)「ねぇ、亜樹君は今、どこに?」
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(0)「わからない」
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(0)「亜樹君の罪って?」
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(0)「無いわ…」
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(0)「無いの…なら、問題は…」
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(0)「罪が無いのが問題なのよ。あなた達を殺そうとした奴よ。ソレが消えたの。痕跡も無しにね。死体が無ければ事件にならない。彼は死体すら消し去ったの」
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(0)事件にならないから罪が問えない…
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(0)「それは、知能犯、凶悪犯に分類される。もし、何か1つでも証拠があれば、彼は…」
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(0)うん?
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(0)「でも、佐藤刑事と亜樹君は連れ立っていたけど…」
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(0)「警察が黙認しているの。彼が手を掛けた相手は、警察で裁けない相手だから」
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(0)黙認…それは、証拠を持たれているってことだ。
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(0)「彼は公安にマークされているの。公安の意に沿わない犯罪をすれば、即立件されるわ。私も含めて、そんな彼を弁護する弁護士はいない。だから、蘭…お願いだから、彼に関わらないで」
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(0)私の行く末を心配してくれているお母さん。だけど…そこまでして、私達は亜樹君に護られているのも事実なんだよね。
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(0)---鳥井亜樹---
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(0)脱走不可能な個室に入院中である。う~ん…暇だ…いや、仕事の出来る環境は出来ている。なので、忙しい。胸の怪我なので、女体遊びも禁止されている。う~ん、暇だ…
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(0)「どう?調子は?」
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(0)志保が入って来た。
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(0)「スキンシップしたい…」
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(0)「後、1週間は禁止よ。顔色も良くなっては来ているわね。そうそう、あの組織が和解を申し込んできたそうよ。実行部隊の殆どがやられて、活動に支障が出たとかでね」
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(0)それは、それで良かった。もう新一君と蘭は狙われないのだな。
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(0)「で、亜樹君の処遇が問題になっているそうよ」
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(0)「まぁ、猟奇的な殺人犯だからねぇ」
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(0)「死体は1つも無いから事件にならないし、でも、やったことは残忍だから…」
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(0)「13階段送りかな?」
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(0)「もう!そういうことを、嬉しそうに語らないでね。その死にたがりクセ、治しなさいね」
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(0)「電気椅子?」
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(0)「大丈夫、この国は床が抜けるタイプだから、望む死に方は出来ないわよ」
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(0)そうなのか…ちょっと残念だ。
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(0)「後、あの女が真相に辿り着いたみたいよ」
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(0)「口封じ?」
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(0)「公安はそこまでしないでしょ。それに、彼女に何かすれば、あなたがキバを剥くのがわかっているし、大丈夫よ」
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(0)それなら、それでいいか。
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(0)
(0)---毛利蘭---
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(0)新一がビデオを手渡して来た。私の知りたいことが、そこにあると言う。家に帰り、ビデオを再生してみると、窓の無い真っ白な部屋に亜樹君がいた。ベッドと机がある部屋。そこに亜樹君がウロウロしていた。血色は良さそうであるが、何かをブツブツ呟いている。疲れるとベッドで寝て、起きて机に向かい作品作りをしている。
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(0)これが、亜樹君の現状のようだ。どこかに入院しているように見える、心の病か?
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(0)「新一…亜樹君に会いたい…」
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(0)「それは無理だ。面会を申し込んだら、そのビデオが送られて来た。面会すら出来ない状況だってことだ」
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(0)「亜樹君は壊れたの?」
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(0)「どうだろうな。元々壊れているから、わからないらしい」
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(0)幼少期に辛い目に遭い、少年期にも辛い目に遭った。彼の人生は、何だったんだ?
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(0)「亜樹君と暮らしたい」
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(0)「無理だな。心が直らないと、退院は難しいそうだ」
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(0)「だから、あの場所で…」
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(0)新一が私の目を真っ直ぐに見ている。
(0)
(0)「マジでか?」
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(0)「うん。決めたの」
(0)
(0)「わかった。交渉はしてみるが、期待はするなよ」
(0)
(0)◇
(0)
(0)それから数日後、目隠しをされて、車に載せられた。場所は明かせないらしい。そして、彼の病室に入った。
(0)
(0)「亜樹君…」
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(0)「なんで来たんだ?おい!蘭のお帰りだ!連れていってくれ」
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(0)私を追い返そうとする亜樹君。彼の傍に行き、抱きついた。彼の身体は小さくなった気がする。栄養が足り無いのか?運動不足か?
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(0)「ねぇ、傍に置いて下さい。まだ、プロポーズされていないんです」
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(0)涙が零れていく。こんな身体になってまで、護ってくれたんだ。
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(0)「言っただろ?僕はもう蘭を抱け無い。汚れきっているんだ」
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(0)「ならば、私を汚して下さい」
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(0)唖然とする亜樹君。
(0)
(0)「お前、おかしいだろ?」
(0)
(0)「うん♪」
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(0)亜樹君の唇に自分の唇を重ねた。彼の唇は乾ききっていて、ささくれだっている。彼の心もかな?潤して上げたい。少しずつ…
(0)
(0)それから1週間、毎日2時間ずつ面会をした。亜樹君から私に触れることはしない。でも、私のすることを拒否しない彼。少しずつ、彼に変化が現れていく。
(0)
(0)彼の描く絵がおどろおどろしい物から、女体に変わっていった。それは徐々に女性の裸体へとなっていく。記憶に残る、女体のイメージを見ているようだった。
(0)
(0)「モデルになろうか?」
(0)
(0)「いらない。蘭の身体が汚れるから」
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(0)未だに私に手を掛けない亜樹君。裸も見ようとしない。彼の強い意志…私への拒絶を感じる。でも、私も強い意志で彼に接していく。彼と昔の様になりたいという強い意志だ。
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(0)◇
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(0)1ヶ月後…漸く退院までこぎ着けた。