闘神都市RPG【魔を滅する転生闘】小噺:おっきい事は良い事だ──byユーキ
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姿見の前に立つ、長めな青髪をポニーテールに結わい付けた極めてミニマムな少女──緒方祐希。
何故か素っ裸で……
その瞳には野心の光が灯っていた。
「フッフッフッ。遂に……遂にこの時が来た。そう、このボクの時代が!」
大好きな義兄はラグナード迷宮──3DS版はラグナード遺跡──に行って、スワティは街へと出ている現在、宿屋にはユーキ一人しか居ない。
「今こそボクの野望が成就する時!」
まるで世界征服に乗り出す魔王の如く、両腕を広げながら全てを見下す笑みを浮かべている。
「苦節百年を越え、この時を以てそれは報われる! さあ、それをすぐにも証明しよう!」
ユーキの右手にはハートを象る赤い宝玉の付いている機器、カリスラウザーが握られていた。
カリスラウザー──仮面ライダー剣へと登場する、相川 始の腰に顕れるベルトの事で、本来はハートの部位が緑色のジョーカーラウザーだが、仮面ライダーディケイドでは普通にバックルとして出ている。
ユーキは要するに後者のイメージで、カリスラウザーを造った訳だ。
ブレイド本編の通りで、ラウザーユニットは自由に取り外し可能、カリスアローと合体させる事により、ブレイラウザーやギャレンラウザーと同じ機能を持たせる事も出来る。
ユーキがカリスラウザーを腰に宛がうと、ブレイバックルと同じ様にシャッフルラップが伸び装着され、待機音が鳴り響く。
右腰へと装備をされているホルダーから、ユーキは一枚のラウズカードを取り出すと、その絵柄を満足気に見つめていた。
それは鎖に囚われた人の絵で、ハートスートのカテゴリー2である事がカードの情報から判る。
即ち【SPIRIT】の力を持つ【ヒューマンアンデッド】を封じたカード、【スピリットヒューマン】だった。
とはいえ、このラウズカードはユーキの義兄ユートが【魔獣創造】の亜種禁手──【至高と究極の聖魔獣】で創造したモノであり、本物という訳ではない。
従って、封印されているヒューマンアンデッドの姿も相川 始とは全く異なっていて、ユーキのリクエストに極めて近いモノとなっていた。
先ずを以て男性体ではないのだ。
そもそも相川 始とは、一万年前のバトルファイト──当初はバトルロワイヤルだったが、いつの間にかこうなっていた──に於ける各種生物の五二体の始祖の戦いに混ぜられた異物、どの始祖とも違う五三体目のジョーカーアンデッドが姿を変えた存在。
ジョーカーは、黒と緑を基調色としたカミキリ虫を擬人化したみたいな異形。
そんなジョーカーが解放された後に、最初に斃して封印をしたのが一万年前より活動を続けていたらしいヒューマンアンデッドで、相川 始の姿は全てのアンデッドの姿と能力をコピー出来るジョーカーの特性から〝変身〟したモノだ。
つまり、相川 始の容姿=ヒューマンアンデッドの姿という事になる。
そして、ユーキのカリスラウザーはジョーカーアンデッドのジョーカーラウザーと同じ能力を持つ為に、その気になれば劇中で始がした様な、ドラゴンフライアンデッドやウルフアンデッドに〝変身〟をしたのと同じく、姿を変える事すら可能となっていた。
因みに、仮面ライダーカリスの姿はカテゴリーA、マンティスアンデッドの姿そのもので、名前もマンティスアンデッドの個体名であるらしい。
こうなると、自らの操る仮面ライダーをレンゲルと名乗ったスパイダーアンデッドだが、実はそれこそが彼の個体名だった可能性もあるのかも知れない。
それは兎も角として……
ユーキはカリスラウザーの中央の窪み、カードリーダーへと【スピリットヒューマン】を読み込ませる。
《SPIRIT!》
電子音声が鳴り響いて、ユーキが霧みたいなモノに一瞬包まれると、その姿を変じさせていた。
顔立ちはユーキ自身で、髪型も変わらない。
異なるのは身長だ。
ユーキの希望よりは低いものの、それに近い身長にまで伸びている。
そして何より目を惹くのが胸囲で、明らかに八〇を越えるバストサイズだ。
そう、今のユーキの姿はラウズカードに封じられたヒューマンアンデッドの姿であり、ユーキがユートにリクエストした容姿。
「アーハッハッハッハ! これだ! これなんだよ! これこそボクが長年求めて止まなかった姿だ!」
高笑いするユーキ。
実は胸囲と髪型を除き、容姿は嘗てのユーキ……というかジョゼットの母親、オルレアン夫人と同じ。
体格はシエスタを参考として、容姿的にオルレアン夫人とする事でユートは、ユーキの要望を叶えた。
「遂に成就せり!」
ユーキの容姿は基本的にジョゼットのものであり、一五歳で初登場した頃の姿にまで成ると、完全に成長が止まってしまう。
ギリギリで一四〇センチは越えたが、胸囲は驚異の七〇センチ未満。
しかも、成長の伸び代が無いのが原因なのか、年齢詐称薬を飲んでも容姿が全く変わらなかった。
だからだろう、擬似的にとはいえ大人な姿を手に入れたユーキは大喜びだ。
姿見に写る自分の容姿にうっとり見惚れ、抱き着く様にスリスリと頬擦り。
よっぽど嬉しかったのだろうが、それ故に注意力が散漫になっていた。
鏡に写る背後の人影──ユートとスワティが後退りながら眺めているのに気が付き……
「あ゛!」
振り返ると思い切り目を逸らされてしまった。
「悪いなユーキ、邪魔をしてしまって」
「きゃるん、ごゆっくり」
そそくさと部屋を辞する二人に……
「ちょっ、待って! 兄貴もスワティも、ボクの話を聞いてぇぇぇぇっ!」
ステータス・ウインドウを開き、服を装備で手早く着替えたユーキは二人を慌てて追い掛けるのだった。
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短いから此方に掲載。
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日時:2014年03月09日(日) 00:01
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