牙狼-GARO- 希望を継ぎし者 (究極の闇に焼かれた男)
しおりを挟む

序章-PROLOG-

今度こそ、自分が思い描いた物語を書ける様に頑張ります!


 

 

人の欲望、業…

 

陰我在る所に魔界へのゲートが開き魔獣ホラーはこの世界に現れる。

 

ホラーは陰我を宿した存在に憑依し、ホラーに憑依された存在も又ホラーとなる。

 

だが、古よりホラーを狩る者達が居た。

 

その身に鎧を纏う男達を「魔戒騎士」と言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その記憶は今でも尚、深く刻まれている。

 

大切な家族と交わした約束、己の心に誓った想い。

 

何者にも変えられない想いを胸に、俺は闇に潜む陰我を狩り続ける。

 

例え、どれ程の苦しみの中に居ようとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある街に在る高所。

 

そこに白いロングコートを羽織っている一人の少年が街を見下ろしていた。

 

黒髪藍目の少年は自身の左手の中指に独特な形状をしたスカルリングを嵌めており、その瞳は何かを探るかの様に動いていた。

 

 

「………ザルバ、今のを感じたか?」

 

 

少年がその名を呼ぶと指に嵌めていたスカルリングの口元がカチカチと小気味良い音を響かせながら返事を返し始める。

 

 

〈ああ。どうやら奴が動き出した様だな。気をつけろよ統牙、奴は他のホラーを従える事が出来る〉

 

「つまり一人では無いと言う事だな?」

 

〈そういう事だ〉

 

 

ザルバと呼ばれたスカルリングの言葉に対し少年こと「蒼月統牙」は納得した様子を見せると、視線の先に映る高層ビルへと向かい始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある高層ビルの一室にて、サングラスを着けている男が数人の部活を背後に控えさせながら椅子に腰掛けていた。

 

そしてテーブルを挟む形で座るローズを身に纏っている人物と言葉を交わし始める。

 

 

「それで……例の品物はあるのか?」

 

「安心しろ、約束の品はここにある」

 

 

男が問い掛けると、ローブの人物が銀色のアタッシュケースをテーブルの上に置くと中身を開いた。

 

アタッシュケースの中には一つの短剣が収められており、それを見た男は歓喜の声を上げる。

 

 

「おお! これは確かに良い品だ。約束通りに用意してくれるとはな」

 

「それよりも、其方も用意してるのだろ?」

 

「おっと、そう言い取引だったな……おい!」

 

 

ローブの人物の言葉に男は思い出したかの様に背後で控えている部下に声を掛けると、部下の一人が小さな小箱を手に近付いてくる。

 

 

「これがお前から頼まれてた物だ。それを何に使う気なのかは知らないが、扱いには最新の注意を払えよ」

 

「……フム、確かに本物の様だな。流石はここ一帯を仕切る『ムラド』だ。さてと、私はそろそろこの辺で失礼させてもらうよ。また機会があれば宜しく頼む」

 

 

ローブの人物は小箱を手にすると椅子から立ち上がり虚空へ向けて手を翳すと、空間が歪み禍々しいゲートが出現するとそのままゲートの中へと入って行く。

 

ローブの人物が入った直後にゲートが閉じると、その場にはムラドと数人の部下だけとなった。

 

 

「相変わらず自分自身の目的以外には、とことん関心を持たない奴だな。まあいい、これさえ手に入れば後はこっちのものだ!」

 

 

そう言うとムラドがケースの中に入っている短剣を手にしようとした時だった。

 

 

 

 

 

「ホラーの闇取引の現場に居合わせるとは思いもしなかった。それに、その短剣が何故こんな所にあるのかも気になるな」

 

 

 

 

 

「っ!? だ、誰だ!!」

 

 

突如として聞こえて来た声にムラドは驚愕の声を上げながら周囲を見回し始めると、窓際の壁に一人の少年が寄り掛かりながら立っている事に気が付いた。

 

 

「貴様、何者だ!?」

 

「お前達の天敵だ」

 

 

ムラドの問い掛けに少年、統牙はそう返すとコートの内側から一つのライターを取り出すとムラドと周りに居る部下の顔を照らし出す様にしながら緑色の火を灯しはじめる。

 

するとサングラス越しのムラドの瞳と周りに居た部下の瞳の色が変わり奇妙な刻印が浮かび上がり、統牙はそれを見て鋭い視線をムラドに向けつつライターの火を消してコートの内側に仕舞うとムラドが口を開き始める。

 

 

「貴様、魔戒騎士か」

 

「だからそうだと先程も言ったと思うが?」

 

「何故魔戒騎士がこの街にいやがる!」

 

 

ムラドがそう聞くと統牙は肩を竦めるとコートの内側から赤い鞘に納刀された一振の魔戒剣を取り出す。

 

 

「そんな事はどうだって良いだろう? 俺はお前を狩る為にここに居る、大事なのは今の状況だと思うが?」

 

「貴様ァッ………お前ら、この魔戒騎士を殺せ!!」

 

 

統牙の言葉にムラドは顔を顰めると、直ぐさま部下達に向けて統牙を始末する様に命令を飛ばす。

 

命令を受けたムラドの部下達は一斉に駆け出し、統牙へと襲い掛かり始める。

 

 

「フ、楽しい仕事の時間になりそうだ」

 

 

不敵な笑みを浮かべた統牙は迫り来るムラドの部下達に対して魔戒剣を抜刀すると、次の瞬間には目にも留まらぬ速さで駆け抜けながら次々と切り裂いていく。

 

切り裂かれたムラドの部下達は統牙に切られ地面へと次々と倒れ伏し、統牙が切り終えた後に魔戒剣を鞘に納刀した直後に爆発四散していき邪気が魔戒剣に封印される。

 

 

「魔戒騎士めェ!!」

 

「次はお前の番だが、どうする?」

 

 

統牙がムラドを煽る様に言うと、ムラドは表情を歪めながら統牙へと拳を振り抜き始める。

 

 

「やれやれ……本当にお前たちは血気盛んだよな!」

 

 

ムラドが放った拳を統牙は身体を少しずらす事で回避すると、即座にその手を掴み上げながらムラドの腹部に膝蹴りを叩き込み右手の掌底を顔面へと叩き込む。

 

 

「グボォッ!?」

 

 

掌底を受けてムラドがその場で宙を舞うと統牙は回し蹴りを放ち壁にぶつける様にしながら蹴り飛ばす。

 

 

「く、クソっ!?これ程までに強いとは………貴様、ただの魔戒騎士では無いな!」

 

「一々答えてやる必要は無いな。それより、戦いは未だ終わってないぞ?」

 

「っ、舐めるなァッ!!」

 

 

ムラドに向けて挑発する様な仕草を見せると、ムラドは激怒しながら体当たりを行って来る。

 

それを統牙は軽々と飛び越えて背後に回ると、無防備なムラドの背中に向けて蹴りを入れる。

 

 

「ぐおッ!?」

 

 

背後から蹴られたムラドは顔面から地面に倒れ込んだ所を、統牙はすかさず蹴り上げると連続掌底を放つ。

 

統牙の猛攻の前にムラドは為す術なく、何度も地面に打ち付けられながら倒れ込むも気力を振り絞りながら立ち上がる。

 

 

「ぐうぅ……魔戒騎士、貴様だけはこの手で息の根を止めてやるッ!!」

 

 

そう叫んだ瞬間、ムラドの身体中から黒い瘴気が発生して全身を呑み込んでいく。

 

黒い瘴気に呑み込まれたムラドの身体は次の瞬間にはその姿を変貌させると、刺々しい外観を持つ龍人の様な姿をした全身に刃や鉤爪を備える尻尾を生やしている「ムラドホラー態」へと変わる。

 

 

《もはや貴様に勝ち目は無い。ここで死ね、魔戒騎士がァ!!》

 

 

ムラドはそう叫ぶと、口から鋭い棘をミサイルの如く統牙へと飛ばし始める。

 

 

「生憎俺はここで殺られるつもりは毛頭無い。さて、そろそろ仕事を片付けるとしようか」

 

 

そう言うと統牙は魔戒剣を頭上に翳し円を描く様に振るうと、切っ先が空間を切り裂き魔界へと続く光円を出現させる。

 

眩い光が頭上から統牙を照らし出していると光円から光を帯びた鎧のパーツが召還され統牙の全身へと降り注ぐ様にして装着されムラドの放った棘が消し飛ぶ。

 

その瞬間、室内を眩い光が包み込んでいき余りの眩しさにムラド自身の顔を手で覆う。

 

眩い光が徐々に治まっていくとそこには一人の騎士が立っており、その姿を見たムラドは目を見開きながら驚愕の声を上げていた。

 

 

《ま、まさか……その鎧は!?》

 

 

橙の瞳を持つ狼を模した顔、腰部の中央に赤い三角形の紋章が刻まれた黄金の鎧、携えていた魔戒剣は幅広で両刃・大型の柄と刀身に紋様が描かれた剣へと変わっていた。

 

旧魔界語で希望を意味する言葉を名前に持つ黄金の鎧の騎士、その名は「黄金騎士牙狼」と言う。

 

 

 

《が、牙狼!? 馬鹿な……牙狼の称号を受け継ぐ者は数年前に失踪を遂げたハズだ!? 仮に生きていたとしても、お前の様な餓鬼が何故その鎧を纏っている!? 有り得ない……そんな事がある訳が無い!!》

 

『嘘でもまやかしでも無い……牙狼はここに居る!』

 

 

統牙、否、牙狼はムラドに対してそう答えると形状を変えた魔戒剣「牙狼剣」の切っ先をムラドに向けるとムラドは自身の尻尾を伸ばして牙狼を貫こうとするがそれを牙狼は軽々と躱し、金色へと変わった鞘で尻尾を地面に縫い付ける様に突き刺すと、ゆっくりとした足取りでムラドへと近づいて行く。

 

鞘に縫い付けられた尻尾を必死に引き抜こうとするムラドだったが、鞘は深々と地面へと突き刺さっておりビクともしなかった。

 

その事にムラドが焦りを感じている中、牙狼は徐々に距離を詰めていく。

 

鞘が抜けないと悟ったムラドは自身の口から大量の棘を飛ばして牙狼を攻撃するが、牙狼の鎧に当たった棘は火花の如く散っていき浄化されるだけに終わった。

 

それでも尚、必死に抵抗を試みるムラドだったが既に牙狼は間合いを詰めており上段から下段に掛けて剣を振り下ろし、ムラドの身体を豆腐の如く切り裂く。

 

切り裂かれたムラドは声にならない断末魔の叫びを上げながら爆発四散すると、そのまま消滅し邪気が牙狼剣へと封印される。

 

牙狼は地面に指した鞘を引き抜くとそのまま牙狼剣を納刀すると同時に、全身から光を発しながら牙狼の鎧は解除され魔界へと送還される。

 

 

「ムラドの討滅は完了したな。後はアレを回収して、今夜の仕事はお終いだな」

 

〈統牙、次いでに番犬所に居るアイツに話を聞いてみたらどうだ?〉

 

「確かに………この短剣について、色々と聞く必要が有りそうだ。」

 

 

そう言いながら統牙視線を向ける短剣、それはホラーの邪気が封印された物で、本来なら番犬所で管理され12本揃った瞬間に魔界へと送還させられるハズの代物だった。

 

 

(何故、ムラドがこの短剣を持っていた? それにどうやってこれを手に入れたんだ?)

 

 

ムラドがホラーの邪気が封印されている短剣を持っていた事や、手に入れた経緯について色々と考えてみるも統牙だったが当然の事ながら答えは見つからず溜息を零したくなる気持ちを堪えた統牙は机の上に置かれていたアタッシュケースの中に入っていた短剣を取り出すと、コートの内側へと仕舞いその場から立ち去るのだった。

 

 

 

後にこの日の出来事を切っ掛けに統牙は様々な事件へと巻き込まれるという事を、この時の統牙は未だ知らなかった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

指令-NEW MISSION-

 

 

 

番犬所…

 

魔戒騎士と魔戒法師に様々な指令を送ってくる、所謂役所に近い存在で守りし者は番犬所からの指令を受けて様々な仕事を請負う。

 

東西南北、それぞれの管轄内の各地域に最低でも一つは存在している。

 

その内の東の管轄内に在る番犬所の一つに統牙は所属していた。

 

 

「なるほど……確かにそれは妙ですね?」

 

「法師なら何か御存知ではありませんか?」

 

 

現在、統牙は番犬所内にて神官であり高名な魔戒法師の一人「阿鞍」にムラドが所持していた邪気が封印されている短剣について話をしていた。

 

統牙の問い掛けに阿鞍は深く考え込むと、やがてある事について語り出した。

 

 

「……実は最近になってから、各番犬所で厳重に保管されていた短剣が何者かに盗まれる事件が多発しています」

 

「それは本当ですか!?」

 

「はい。警備を行っていた騎士や法師達はその何者かによって酷い傷を負わされてしまったらしく、現在も目を覚ましていない者が殆どなのです。各管轄の最高議長達はこの事態に近々、各管轄に所属している腕利きの騎士と法師達に事件の犯人を捜索させると言う話が上がっています」

 

「最高議長達が動き出す程の事態とは……それにしても、何故そいつは短剣を盗んでるのですか?」

 

「分かりません。唯一つ分かってるのは、何か良からぬ事をしようとしている事だけは確かです」

 

 

阿鞍から与えられた情報に統牙は深く考え込むと、意を決してある事を聞いた。

 

 

「阿鞍法師。その指令、俺も引き受けても良いでしょうか?」

 

「フフ♪そう言うと思って既に最高議長に貴方を参加させる様、推薦状を手配して起きましたよ。近い内に元老院付きの魔戒法師が貴方を呼びに来るので、それまでの間お待ちしてて下さい」

 

「ありがとうございます」

 

 

統牙の言葉に阿鞍はそう言うと思っていたのか、笑みを向けながら既に推薦していた事を伝えて来た。

 

それを聞いた統牙は深く礼をしながら感謝を告げると番犬所を後にするのだった。

 

 

去って行く統牙の背中を阿鞍は優しい眼差しを向けながら、どこか憂いを帯びた表情をすると小さく呟いていた。

 

 

「統牙……どうか無理だけはしないでください。それこそが『彼』との約束なのですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

統牙と阿鞍が話している時、同じ時刻にてある出来事が起きていた。

 

古びた社に在る祠から奇妙な光が発せられていた。

 

淡い光は社内を照らし出ていると、そこにローブ姿の人物が近付いていた。

 

 

「こんな所に封印されていたのか………随分と手間を掛けさせてくれたな。これでようやく11個目、残るは後1個だけだな」

 

 

ローブの人物はそう言うと祠に収められていた小さな小箱を取り出すと懐へと仕舞う。

 

 

「もう時期だ。もう時期で全てが終わりを告げ迎え、新たな始まりが訪れる………その時こそ、あの御方が再臨なされる」

 

 

ローブの人物は独り呟くと空に浮かぶ月へと視線を向ける。

 

 

「後は……神ノ牙だけだな」

 

 

ローブの下に映る瞳は禍々しい光を発していた。




因みに阿鞍法師の性別は中性的な顔付きの男性です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幻影-SHADOW-

牙狼とクロスさせる作品についてのアンケートを見て、もう一度アンケートの内容を考え直そうと思います。(対象にする作品を少し減らす+変更しようと考えた次第)

ですので、今一度御助力お願いします。

それと今回はオリキャラの話なのと、内容が短めとなっております。


 

 

 

 

東の管轄内に位置するとある森の中を、全身を赤い鱗で覆われた一角獣の様な姿をしたホラーグリムゾーラが駆け抜けていた。

 

そんな魔獣の背後から一人の黒いロングコートを羽織っている魔戒騎士の少年の姿があった。

 

藍色の髪を肩のに掛からない程度の所で切り揃えている白い瞳の少年はコートの内側から手裏剣型の暗器「円参」を取り出すとグリムゾーラの足元に狙いを定めながら投擲する。

 

投擲された円参は高速で回転しながらグリムゾーラの足元を切り裂きながら通り過ぎ、それにより体勢を崩したグリムゾーラ目掛けて少年は飛び蹴りを放つ。

 

蹴りを受けたグリムゾーラはそのまま地面へと倒れ込むと、少年はコートの内側から日本刀に似た形状をしている魔戒剣を取り出して構える。

 

 

「鬼ごっこはお終い……そろそろ、終わりにしようか」

 

 

少年はそう言うと魔戒剣を頭上に翳すと反時計回りに振るいながら空間を切り裂き九字護身法の様な構えを取った直後、光円が出現し頭上から少年の全身を照らしていると光円の先にある魔界から鎧のパーツが召還され降り注ぐ形で全身へと装着される。

 

 

狼を模した顔をしている群青の鎧「幻影騎士吼狼」は日本刀の様な細身の剣「幻影剣」を構えると、目にも留まらぬ速さで駆け出し通り通り過ぎ様にグリムゾーラを切り裂く。

 

 

一瞬の交差と共に振るわれた幻影剣はグリムゾーラの身体を切り裂き、その一太刀を浴びたグリムゾーラは断末魔の叫びを上げながら四散すると邪気が幻影剣へと封印されると吼狼の鎧から光が発せられる全身から解除され魔界へと送還された後、少年は軽く周囲を見回してから口を開く。

 

 

「今夜の仕事はこれにて終了かな?」

 

〈他にホラーの気配は無いからその通りだよ…「シグレ」〉

 

 

少年「天月時雨」がそう呟くと胸部のプロテクターに装着されている女性の横顔を模したをしたカメオの様な見た目をしている魔導具の「オルヴァ」がそう答えた事に、時雨が安堵した様子で小さく笑みを浮かべているとそこに一人の少年が近付いてくる。

 

 

「相変わらず精が出ている様で安心したよ、時雨」

 

「っ、翔流!? 何でここに!!」

 

 

時雨が驚いた様子を見せながら言うと茶髪紫目を少年「鷹神翔流」は笑みを向けながら答える。

 

 

「久しぶりだな時雨……ここに来たのは他でもない、番犬所からの指令を伝えに来たんだ」

 

「番犬所から?」

 

 

翔流の言葉に時雨が疑問符を浮かべていると、翔流は表情を真剣なものに変えて内容を説明し始める。

 

 

「『幻影騎士吼狼並びに邪骨騎士義流の二人に命ずる。各地にて起きている事件の調査及び首謀者の正体を、黄金騎士と共に突き止めよ』との事だ」

 

「黄金騎士……最高位の魔戒騎士と任務に当たるとは、今回の事件はそれ程までに危険な仕事になる可能性がかなり有ると言う事か」

 

「そうらしいな……まぁ、俺達はいつも通りにやれば良いだけだ。あんまり深く考え込むなよ?」

 

「分かってるよ。とりあえず、急いで黄金騎士に会いに行こうか」

 

 

時雨の言葉に翔流が頷き、二人は森を抜けるとそのまま統牙の居る街へと向かうのだった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仲間/TEAM

遅くなりましたが内容が纏まったので投稿します。

アンケートの結果、原作枠は「探偵はもう、死んでいる」に決定致しました。

アンケートにご協力下さった皆様、大変ありがとうございました。

今回も新しいアンケートを実施しますのでご協力お願いします!


 

 

 

街から外れた森の中、そこに統牙は一人で暮らしていた。

 

 

「……」

 

 

自宅内の中庭、辺りが草花と言った自然で溢れ返る中庭にて統牙は椅子に座りながら本を読みながら平和な時間を過ごしていると、左手中指に嵌めていたザルバが口を開き始める。

 

 

〈統牙、どうやら客人が来たようだぞ〉

 

「……分かってる」

 

 

ザルバの言葉に短い返事を返した統牙は本を閉じてテーブルの上に置くと、意識を集中させて周囲の気配を探る。

 

 

(数は一人、動き方からして魔戒法師だな。身軽な身のこなしで陰から陰へと移動してる様子からして、隠密行動が得意な感じだな………阿鞍法師が言っていた魔戒法師か?)

 

 

頭を回転させながらそう考えていると一つの影が統牙の背後に現れると同時に統牙と影が互いに得物を向けあう。

 

統牙の眼前に向けられた一本の魔導筆、黒のコートを羽織っている黒髪黒目の魔戒法師の首元に添えられる魔戒剣。

 

両者は互いに視線を合わせ睨み合いを続けた後、魔戒法師が口を開いてきた。

 

 

「なるほど……黄金騎士牙狼の名に恥じない実力を持ち合わせている様ですね」

 

「お前か、阿鞍法師が言っていた魔戒法師と言うのは?」

 

 

二人は互いの得物を下げると魔戒法師は頭を下げながら話しはじめる。

 

 

「御無礼をお許し下さい黄金騎士。……自分の名前は『叢雨翔真』と言います。元老院からの指示で貴方をお迎えする様にと言われて来ました」

 

「蒼月統牙だ、統牙で構わない。よろしく頼む」

 

 

統牙は自己紹介をした後に魔戒法師こと翔真に手を差し伸べ

ると、翔真はそれを掴み二人は握手を交わす。

 

 

「自分も翔真で構いません。それでは統牙、早速ですが我々の拠点へと急ぎましょう」

 

 

翔真の言葉に頷くと統牙は翔真の案内の元、拠点となる場所へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東の管轄内の街外れに位置する場所に辿り着いた二人は一つの建物の中へと入って行くと、そこはBARにも見える内装と二人以外の魔戒騎士と思われる二人の少年が居た。

 

 

「ん? おお、どうやら真打登場の様だな」

 

「お二人共、大変お待たせしました」

 

 

二人の内の一人が統牙達に気付き声を掛けるとそれに対して翔真は穏和な笑みを向けながら答える。

 

少年達は立ち上がると統牙に近付き手を差し出して来ると、笑みを向けながら挨拶をしてくる。

 

 

「俺の名前は鷹神翔流。こっちは天月時雨、お前と同じ魔戒騎士だ」

 

「よろしく頼みます、黄金騎士」

 

「蒼月統牙だ。こちらこそよろしく頼む、それと統牙で構わない」

 

「時雨で構いません」

 

「俺も翔流で構わない」

 

 

互いに自己紹介をした三人は握手を交わした後、翔真は軽く咳払いをしてから口を開い始める。

 

 

「コホンっ……まだ全員では有りませんが善は急げと議長から仰せつかっておりますので、早速ですが皆様に元老院からの指令を通達します」

 

 

翔真の言葉に三人は気持ちを切り替え真剣な表情をすると、3人の顔を軽く見回してから翔真は内容を話し始める。

 

 

「今回の元老院からの指令は三つ…一つは今回の騒動を引き起こした人物の特定と可能な限り捕縛を。もう一つは盗まれた短剣の回収及びそれの使用用途についての調査を。最後に協力してホラーの討滅を行って下さい。よろしいですね?」

 

「了解した/分かりました/承知した」

 

「ありがとうございます。それでは皆様、暫くの間よろしくお願いしますね」

 

 

翔真の言葉に三人は頷いた瞬間、今回の大規模任務が始まるのだった。




探もしキャラは次回から登場させる予定です。

誰が出るかはアンケートの結果次第となりますのでよろしくお願いします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。