あとがき@けものフレンズ りゆにおん

 家葉テイクです。
 当記事は拙作『けものフレンズ りゆにおん』のあとがきとなっております。未読の方であとがきから作品を読む主義でない方以外は、まずは拙作をお読みになることをお勧めします。本編は全13話一話あたり大体4000字程度と実に読みやすい量になっておりますので。

 ……大丈夫ですか?

 ……大丈夫そうですね。ではここまでお読みいただいたみなさん、ご愛読ありがとうございました。
 今作は二〇一七年の確かぱびりおん発表直後くらいから私の頭の中にあったネタで、まぁかな~~り不遜な想定ですが、『私に描ける新しいけものフレンズ』・ぱびりおんを踏まえた作品というのがテーマとしてありまして。ぱびりおんを踏まえた作品、かつ新しいけものフレンズ──ということで、まず最初に時代背景が決まりました。
 で、文章媒体だからこそできる『新しいけものフレンズ』……というところから、ラノベ的な世界観のけものフレンズ! という連想ゲームを経て舞台も学園に。ちょうどアニメ版が『ジャパリパークという世界観でのロードムービー』だったので、『ジャパリパークという世界観での学園青春物語』をやればそれは『私に描ける新しいけものフレンズ』になるんじゃないかという気持ちもありました。実際にどうだったかは読者の皆様のご判断次第ですけども。
 この時点で『パビリオン後・パーク運営中の時代で学園もの』という世界観の大枠ができました。あ、今にして思うとジャパリ学園(学パロ)の影響も受けてたかもしれませんね。

 次に『けものフレンズ』ならメインキャラはサーバルキャットのフレンズで、でも『あの』サーバルちゃんは既存作品の印象強すぎるよな……ということでEXサーバルちゃんを起用することに。名前が『ルカ』なのもサーバル表記だと『あの』サーバルちゃんを強く想起させすぎてイメージがしづらいかなと思ったためでした。
 性格設定はEXサーバルのヴィジュアルありきですね。ちょっとツンツン系っぽい印象のする子だったので、『サーバルキャットのフレンズ』の基本造詣から外れる・ラノベ的な雰囲気に全体を寄せていくという意味でもああいった感じになりました。

 話の細かい流れ『パビリオンで知り合った二人が再会する物語』を思いついたのはそのあとです。
 具体的に言うと『パビリオンの本来の客層は多分子どもたちだよな』とか『子どもだったらフレンズの観察とかよりたぶんフレンズと友たちになりたくなるよな』とか『そもそもパビリオンの設計思想って作中世界で人権的観点から批判されない?』とか、そういった諸々を考えていった結果、パビリオン計画とリユニオン計画という設定ができました。
 あとは二人が再会する物語の実現に必要なキャラ設定を考えていって……結果誕生したのが激重地雷メンヘラ主人公のセツナでした。
 ちなみにあとがきで白字使って補足説明をしているのですが(私は作品のこぼれ話を白字で隠して書くことがままります)、その補足を読むとセツナという人間の相対化がよりできるのではないかと思いますので興味を持っていただいたらチェックするのもいいかもしれません。
 セツナという人間のこじらせっぷりを書くのは楽しかったのですが、実はコイツを主人公に据えた段階で当初の目的であったはずの『ラノベナイズしたけものフレンズ』というテーマはどこかに吹き飛んでしまった気がします。だってこんなクソコテを主人公に据えたラノベなんてどこにもないですし。
 かくして、最終的に当SSは『心に深い傷を負った社会不適合者一歩手前のメンヘラがジャパリパークで再生する物語』となりました。

 ちなみに、当初かばんちゃんの存在を出すつもりはなかったのですが、
・色々あったのでかばんちゃんを出したくなった
・時系列系の矛盾がちょっと気になるようになった
・今後の展開で矛盾が発生したらちょっとかなしい
・ハッピーエンド後のこととか考えると読後感が悪くなりそう
 などの理由から、りゆにおんの世界線自体を『かばんちゃんによって生まれたセルリアンや例の異変が存在しない平和な世界線』とするアイデアを思いつき、その絡みでかばんちゃんがジャパリアカデミーの理事長になりました。
 それでもそこまで積極的にかばんちゃんを出すつもりはなく、一話でかばんちゃんの存在を示唆する程度にとどめておくつもりだったのですが、話を書いてるうちにルカやセツナの状況をかばんちゃんが把握してない/把握していても何も行動しないというのはなんか嫌だな……と思ってまたちょっと出てしまいました。

 今回反省するべきことがあるとすれば……それはプロットのゆるゆる加減でしょうか。
 当初決まっていたのは全13話にすることとセツナが紆余曲折を経てルカとまた含むところなく友情を育めるようになることだけでした。具体的に内容が決まってたのは一話と最終話だけで、その間のことはなんとプロットを参照すると『適当に学園コメディしつつ』とかしか書いてないんですよ。ふざけんな過去の私。もっとまじめにプロット書け。
 そういうわけで毎週毎週「これ来週の私どうするんだろうな~」と他人事全開で学園コメディしつつセツナにメンヘラムーブさせてました。とはいえ八話を書いた段階あたりでオチの絵図はできていたので、一番つらかったのは『全13話にする』という縛りの方かもしれません。でも毎週更新で12話放送一周年のタイミングで完結するというのは絶対にやりたかったので……。
 上で話したかばんちゃんの出番がちょっと増えたことや、ミライさんの出番がちょいちょいあったこと、ナナとパイセン(アン)の出番がかなり多かったのも、このゆるゆるプロットが原因です。だっていくらなんでもセツナとルカの関係性の変遷だけで13話持たせるのは無理ですよ。そりゃサブキャラの力を借りたくもなりますよ。まぁ、結果としてセツナとルカの関係性と対照関係にできたので、そのへんは怪我の功名でもありますけど。

 そんな感じで、当SSはおそらく普通に小説を書く上では圧倒的準備不足・ネタの熟成不足ではあったのですが、愛と愛と愛で見切り発車した作品でした。無事に毎週定時に更新し、チベスナ招来の舞で他作品連続更新などとふざけたことを挟みつつも完結できたのは感想・評価・お気に入り登録をしてくださった読者の方々と、愛すべきコンテンツを生み出してくださったたつき監督のお陰でございます。ケムリクサ楽しみにしています。あとへんたつ続きください。

 裏話的にはこんな感じでしょうか。ではでは皆さん、拙作をご愛読いただきありがとうございました。
 多分読者層的にはほぼ完全に被ってるので、引き続き畜生道の方もよろしくお願いいたします。

 …………今作で私は週一二作並行更新が可能な作者だと分かったので、畜生道のほかにヒロアカ二次の構想も練り始めています。例によって私色全開ですが。


日時:2018年03月30日(金) 18:21

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