あとがき@禁書短編シリーズ

 というわけでこんばんは。家葉テイクです。
 今回は一〇月九日から(主に私の怠け癖のせいで)四日間にわたって続けてきた禁書短編SS企画のあとがきになります。三作品あるので、三作品分やります。
 あと、同じ企画で書かれた弥宵さんの短編『とある虚構の編纂記録』についての感想もあります。興味を抱かれた方はぜひどうぞ。


 まず、『とある金髪の危機一髪(デンジャラス)』。
 こちら、タイトルはフレンダ憑依オリ主の名作『とある金髪と危険な仲間達』のモロオマージュとなっています。まぁ内容的にも危機一髪になっていると思うので違和感はないと思いますが……。
 テーマ的には、コメディやりつつ『でもこの子死ぬんだよね……』って気持ちにしたいなーという『笑えない笑い話』でした。フレンダの友人関連を強調したり、オチで麦野「ぶち殺す!!」フレンダ「死にたくないー!」なんてことをやらせてるあたりとかですね。
 原作でのフレンダの末路を知ってる方なら、コメディっぽい雰囲気とは裏腹に笑えないネタに「うわぁ……」ってなってくれたんじゃないかなとか。
 悪役令嬢からの没落コンボをキメた元常盤台生ことレイシア=ブラックガード(外の人)はちょっとした小ネタというか、ヴィレイネス読者さんがいたらちょっとニヤリとできるファンサービスというか。
 ヴィレイネス世界ではシレンが中にするっと入ったのでなんとかなりましたが、原作世界におけるレイシアはあのあと精神的ショックにより能力の出力が低下しまして、常盤台にいられずすぐに退学することになります。
 退学するのでGMDWの面々は開発とかで被害を被ることはないんですが、美琴はたぶん一〇月くらいにレイシアの退学を知って、欠片も悪くないのに勝手に罪悪感をおぼえて曇るんじゃないでしょうか。(最悪)
 それでも、レイシアは没落したなりにちょっと性格は歪むものの、あんな感じで彼女なりに前向きに生きていけます。だから、シレンのいない原作世界でも、彼女が救われないわけではないのですよ──みたいな。一年越しのフォローでした。まぁ、それでもシレンのいる世界の方が、レイシアは幸せかなーというのは、読者の皆さんも想ってくれることでしょうけども。
 これじゃヴィレイネスの補足じゃねーか。まぁいいか。


 そして、『未元物質(ダークマター)は夢の万能物質です。』。
 実は白帝督のTSネタ自体はかなり昔から温めておりまして、どっかで短編書きたいなーと思っていたところでこの機会があったため、お出ししました。
 とにかく白帝督をTSさせたいという気持ちしかなかったため、それ以外のネタは急造でしたが……そもそも人的資源編後の自立した(そして襲撃の危機が激減した)フレメアの近くに白帝督を配置する時点で、白帝督自身が『フレメアの隣にいたい』と思ってるってことだよな……という発想からスタートしたような記憶。
 白帝督のキャラが分からなかったため、どこか湿っぽくなりすぎた気もしますが、まぁこのくらいは許容範囲のはず……。
 あと、浜面のSEKKYOUスタイルはちょっと工夫しました。上条さんのそげぶスタイルに比べると、浜面のSEKKYOUってなんか情けないイメージがあるんですよね。アックアさんへの鼓舞もそうですけど、原動力が人間的というか。そこが魅力なんですけど。
 そういうところで浜面らしさを出せたらいいな、とか思ってました。
 あと意外とTSF沼からの評判がよさげな雰囲気を感じ取ってビビっています。最後に戻しちゃったのに。


 で、最後。『覆水盆に返らず』
 テーマ『科学サイド』っつってんのに思いっきり魔術サイドオリ主をかましたという問題作です。でも舞台としてオリジナルの学校出したし、『世界地図』とか出したし、科学っぽい兵器出したし、全体的には科学サイド要素の方が強かったよね……? みたいな。
 今回の話の筋としては、もはや私を作者読みしてくださっている方としてはお約束と化している(かもしれない)感もある主人公の自己犠牲癖を逆用するというか……勝手に落ちようとしてるヒロインを上条さんがぶん殴って考え直させる、みたいな絵図を考えていました。上条さんに『そいつをそげぶしろーッ!』的応援をしながら読んでいただけていれば、とりあえず目論見としては成功でしょうか……。
 一刻も早く完結させたい(ただでさえ締め切りブッチしてるので)関係上、そのへんをしっかり描くことができなかったのは心残りかも。あとインデックスを活躍させられなかったのも心残りかも。かも。
 テーマ的には『覆水盆に返らず』というのが第一にあって、その為の解決策に神祓が選んだのが英語題の『Painful_Relief(痛みを伴う救済)』でした。
 自分の消失という『痛み』と引き換えに、磯焼を魔術という外道から完全に切り離したい……ということですね。馬鹿ですね。
 『覆水』要素としては、そもそもこの事件の発端が『魔術で飼い犬を治した』という取り返しのつかない過去にあるところでしょうか。アレのせいで磯焼は魔術を認識して、出来損ないの魔術を使おうとしてしまい、それが神祓の琴線をブッ千切ってしまいました。
 あとは全体的に、『死者蘇生(覆らない結果を覆そうとする)』とか『上条さんが参戦を決めた建前(失敗を取り戻す)』とか『一〇月九日(取り返しのつかない悲劇)』とか、覆水要素をけっこう散りばめられたかなーと思っております。
 その上で、『確かに取り返しのつかないものはあるけど、でもだからってやる前から諦めるほど絶望的ではないよね』みたいな希望が出せたら……と。
 ただ、短くまとめる都合上、各要素同士の連結がイマイチよくなかったかもしれません。もうちょっと余裕を持って書いていればより面白くできたであろう題材だっただけに、そこはちょっと心残りです。あと、せっかく考えた設定だったので、もうちょっと丁寧に描写してあげたかった……。
 あ、あと口調のわりに外見描写を怠ったせいで、美少女感薄かったかも。そこもちょっと後悔……。


 そして、全体通して。
 実は今回、裏テーマとして過去、現在、未来から見た『一〇月九日』というのがテーマとしてあります。一話完結の短編では提示しましたが、一〇月九日って、暗部大抗争が発生した日なんですね。
 危機一髪は大抗争の前、覆水は大抗争の日、夢の万能物質は大抗争の後から、それぞれ一〇月九日を意識させるような作りにしてみたつもりです。
 読者の皆さんがあの一巻の中で沸き上がり、そして消えていった幾つものキャラクターの魅力に思いを馳せてくれたら、色々頑張った甲斐があったと思います。
 ……まぁ本来、一作品で完結させずにこういう形で色々するのはアレかなーとも思ったのですが、今回のはせっかく企画ということだったので……。
 こういう変則的なやり方も、たまには面白いかなーとか。


 ここからは話題変わって、弥宵さんの短編の紹介と感想です。
 https://syosetu.org/novel/204300/

 あらすじとしては、『傍観者視点から見た上条当麻のお話』を日記形式でやっているわけですが、その『傍観者視点』の切り口が面白く、原作で僧正の方から提示があった『記録員』視点になっています。
 これは口絵とかでよく描かれているはいむら先生のお遊びキャラをかまちーが拾った与太話みたいなもので、実際にはそんな存在はいないのですが、もしそんな存在がいたら……というお話ですね。
 で、上条さんの雄姿を傍で見ていた記録員が堕ちていないはずがなく……みたいな感じで、どんどん客観的な描写が消えていくあたりが面白いです。そのへんは是非本編を読んでみてください。
 禁書が好きな方なら、そういう設定解釈もあるのか~! みたいな楽しみ方もできるかも。


 それでは最後に、設定供養ということで覆水に使った設定でも投げて終わりにしておきます。
 皆さん、最後までお付き合いいただきありがとうございました。畜生道は明日更新します。



名前:神祓(このはら)海繰(みくり)
性別:女
年齢:三〇

性格:
サバサバした俺っ娘に見せかけた激重地雷女。
決断力・思考力はあるが根本的に自罰的すぎるため、
横でサポートする人がいないと早晩自滅する。
また、けっこうなお人好しであり、
悲しむ人間を見捨てられない精神性を持つ。

その他設定:
全海既踏(フェルディナンド)
一〇代で霊装を用いない己の魔術のみで地球を一周した。
魔法名は『恵みの雨は万人に降り注ぐ(pluvia410)』。
魔術を学び始めたのも、誰かの助けになりたいから。
魔術のみで地球を一周した偉業も、それに関係するものと思われる。


魔術:
ルーン魔術を使う。ルーン魔術は文字を刻むことで発動する為、
準備に時間がかかる・効果にムラがあるなどの弱点があるが、
この魔術の場合、事前に用意した文字を刻んだ円盤の上で
水を走らせることですぐに文字を作り、魔術を発動できる。
ルーン魔術の『染色と脱色』は、水によって文字を作り、
文字となった水を蒸発させることで成立させている。

つまり、ルーン文字を作る為の
『手品程度の水を操る魔術』が術式の根幹だったりする。

使用する魔術は主に水を扱うもの。作中で使用したのは以下。
・『太陽』→空気中の水分で光を歪める透明化
・『小舟』→質量増加と硬度強化を重ねた水塊の突撃
・『苦難』→行く手を阻む霧の壁
・『男』→体内の水分を操作することによる筋力の増強

『罪深き香油の聖女《マリアマグダレーナ》』
蒸発したルーン文字の水を利用する儀式魔術。
霧で包んだものを癒す能力。
魔女狩りの王と同じように本体はルーンのため、
幻想殺しで触れたところでルーンを破壊しない限り再生する。
ただしルーンがバラけているわけでもないため、
一度でも円盤に触れればそれで効力が切れる。


名前:磯焼(いそやけ)愛離(あいり)
性別:女
年齢:三〇

性格:
基本的には天真爛漫な、少女みたいに無邪気な性格。
好きなものにはとことんのめり込むタイプであり、
そういうひたむきさが神祓の琴線に触れたものと思われる。
作中では父の急逝によって余裕がなかったが、
本来は芯が強くどっしりと構えていることが多い。

その他設定:
歴オタ。歴史オタクが高じて学園の理事長になったり、
複数の学園を束ねた複合区画を作ったりできるほど商才はある。
魔術を利用しようとするあたり頭も柔らかい。


『世界地図』
第九学区にある、複数の学校を纏めた地区。
世界の都市構造を解析・再構築して、
より先進的な都市構造を発明しようという実験区画。
商業的には『学舎の園』を参考にしており、
複数の学校が集まることで予算の獲得力を上げているほか、
ときたまオープンキャンパスとして開放することで
変わった学園の風景をテーマパークとして利用している。
責任者は磯焼愛離。


『水随方円学園』
『世界地図』の一つ。ヴェネツィア相当。
ヴェネツィアをはじめとした水上都市の都市構造の
解析と再構築を目指した学園で、石造りの学園と無数の水路が特徴。
作中では描写がなかったが、水路は学内を縦横に遮る形のため、
船で移動すると目的の場所まで一気に行くことができる。
また、無人の自動カヌーなんかも運行している。
学園を守るためにHsMS-12『マグナムシャーク』が配備されている。


『マグナムシャーク』
型番はHsMS-12。小型の鮫を模した自動兵器。
コンセプトとしては『どんな狭い水路でも移動可能な防衛兵器』。
そのコンセプトにたがわず、内部の水力発電機構などによって
バッテリーなどの諸装置をカットし、小型化することに成功。
水の中にいさえすれば充電も必要なく、ほぼ無限に動き続ける。
口部分は回転する鋸が内蔵されており、激突するだけで大けがを負う。


日時:2019年10月14日(月) 00:21

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