フロムっぽい文章のかきかた(自分用まとめ)
フロムっぽい文章のかきかたについて。
ついったでちょっぴり反応があったので活動報告にまとめて残します。
ここに言うフロムっぽい文章はいわゆるソウルシリーズにおけるテキストフレーバーのこと。
AC系列とはまた別のやつです。あっちの担当は鍋島さん。
宮崎さんの担当するテキスト類には"宮崎節"とでも言えばいいのか、結構独特なフレーズが見受けられる。
たぶんこれは海外産の古いTRPGのルルブの翻訳文章とかに共通する要素。宮崎さんにとってのファンタジー観のルーツとかそういうものだと予想。
っぽさだけで良いのなら、この宮崎節を文章に散りばめるだけでぐっと近づく。
おなじみなのは『だが』『けれど』といった逆接を文頭ではなく文の中ほどの接続に使う方法。
たとえば引用すると、アルトリウスのソウルより
《深淵狩ったというアルトリウスの伝説は、しかし道半ばで終わっていた》
というようなもの。テキストフレーバーを読み込んでいる人なら、こういう逆接の用法には既視感があると思う。他にも探せばきりが無いくらい出てくる。それぐらい頻発しているフレーズ。
それから、もうひとつ。
それが、代名詞の使い方。『それ』とか『その』という言葉。フレーバーテキストではなくても成立する部分にこの代名詞がよくつかわれている。日本語訳した英文っぽさがあるのもこの代名詞のせいな気がする。
例に挙げるとダークソウル3の欠け月の曲剣。
それは、生まれ変わりを求め旅をした彼が
だが女神の騎士たるを決めたとき
その手に受け継いだものであるという
これなんかは逆接もでてきているし、とても分かりやすい。
この二つを抑えれば、っぽい文章は量産できると思う。
ただ、本番はここから。
いわゆるテキスト芸と呼ばれる魅力が詰まっているところ。
それが、最後の二行あたりにある世界観をぐっと深める文。こっちが滅茶苦茶むずかしい。
文法というよりかは、圧倒的に筆者のセンスに依存している。
テキストフレーバーの真髄はここにあるといっても過言ではない。
短く端的に、だからこそ強烈に印象に残る。無駄を省いた文章はストレートに伝わり余韻を残す。
これにはSEKIROの『纏い切り』のテキストを引用。
(SEKIROのテキストは宮崎さん以外も担当しているらしいけどソースが謎)
まずはこちら。
『殺しの術を重ねた末、男は己が右腕に怨嗟の宿るを察した』
これは私が同じような内容をさくっと考えた文章。5秒くらいで考えました。
そして、こっちが本家の文章。
『極め、殺しすぎた。怨嗟の炎が漏れ出すほどに』
インパクトも余韻も、圧倒的に本家の方が上。ついで声に出した時のリズムもテンポのこちらの方が良い。
難しい言葉や回りくどい言葉もない。けれど、ボディブローのように芯に残り続ける。
言わなくていい文を省き、文面と音とのリズムを追求しなければこうはならない。
こうなるともはや俳句じみてさえ来る。使う言葉の細やかニュアンスを把握して、言葉の順序をも厳選しなくては、真似することはできないように思う。
一朝一夕ではまねできません(こなみかん)
書き殴りですが、誰かの参考になったらいいな。
日時:2020年02月26日(水) 22:08
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返信コメント
トマボ
ほんとに凄いです…。
考察が捗らされる…というか一見しただけではムムっと読み飛ばしになりがちなせいかまたそこが面白い。
勉強になります
日時:2020年02月27日(木) 16:52
添加物20%
これは凄い…フロムの文章は声に出すと分かるリズムみたいなのがありますよね
日時:2020年02月27日(木) 11:26
時守 暦
師匠と呼ばせてほしい妙技…!
日時:2020年02月27日(木) 10:33
アルニレ
読んでる最中は「すげー」で通り過ぎるけど
改めて説明されると文章の重みが凄まじい
このセンス、素晴らしい やっぱいいなぁ!!
日時:2020年02月27日(木) 10:31
上連ヤグネ
世の物書きサマの凄さを感じるとともに、それを理解し説明できる、物書き力に脱帽です。
冗長と言える程長くすれば、齟齬は減るが余韻が無く、
少なに語れば、振れる。
その像の制御にこそ、妙技が光るというものでしょうか
日時:2020年02月27日(木) 09:07
VISP
すげぇ… そして真似できんw
日時:2020年02月27日(木) 00:13
茶狂い眼鏡
わかりみが深い…!!
日時:2020年02月26日(水) 23:15
佐土
凄くグッときました。書けるかは別として…
日時:2020年02月26日(水) 23:04