行別ここすき者数
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履歴はこちら。
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(0)さ~てさてさて、今日はテスト当日
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(0)いやしかし、昨日の午後は何かと大変だった······いや、面倒だったと言うべきかな
(0)文字通りクラス中と敵対する羽目になったし、カルマには煽られるし····
(0)いやはや、ここに来たばっかりの時を思い出すね。 いや、あの時はまだ警戒止まりだったから···· もしかしなくても、敵視されるくらいなら警戒されてる方がマシかもなぁ
(0)一月くらい経って、大分馴染めてきたというのに····何やってんだか
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(0)あ、そういえば岡島はタダ飯最高とか言ってたな。 それを奢ったのは絶賛お前が敵意を向けている相手なんだが、それでいいのか
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(0)·····あー、話を戻そう。 五、六時間目はとにかく基礎知識の記憶と応用の練習を繰り返し、放課後も家で自習
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(0)余談だが、俺がそれはもう煽り散らしたお陰か五、六時間目はみんなそれはもう真剣に取り組んでいたそうで。 よっぽど俺の挑発が癪だったんだろうねぇ
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(0)(おっと、着いたな)
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(0)テスト会場こと本校舎。 我々E組もテストは本校舎で受ける決まりで、まぁつまり今日一日は本校舎の滞在が許可されているワケだ
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(0)「やあやあ皆の衆~! テスト本番、がんばろ~ね!」
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(0)う~む、教室入ったらみ~んな冷たい視線を向けてくるか、そもそもこっちを見ないかで綺麗に反応が別れてるな~····
(0)みんなの緊張をほぐそうと、それはもう明るく話し掛けたというのに····
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(0)(おかしいなぁ、俺ら友達だろ? ····なんて)
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(0)···などと、心にも無いことを思ってみたりする
(0)はぁ、ここまで本校舎の連中は俺見たら怯えながら道開けてきたし、クラスメイトには敵視されるし、蓮霧君は悲しいヨ
(0)····というか、俺ずっと満面の笑みで歩いてたのになんで道譲られるの? おかしくない?
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(0)まぁそれはそれとして、俺も俺で頑張らないと。 失敗したらそれはもう面倒な事になりそうだ
(0)····失うものはなくても、羞恥心ってのはあるんでネ
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(0)(····そろそろ時間か)
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(0)イヤホンを鞄に仕舞い、開始のチャイムを待つ
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(0)テスト用紙が配られ、あとは開始の合図のみ
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(0)「始め!!」
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(0)さあッ! 己のチカラを示す時だ!!
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(0)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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(0)(··イラつく)
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(0)おのれ本校舎教師、さっきから耳障りなんだが?
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(0)「E組だからってカンニングとかするんじゃないぞ~? 俺達本校舎の先生がしっかり見張ってるからな~」
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(0)うん、そういうのは始まる前に言えや
(0)テスト中に言うんじゃないよ、あとコツコツコツコツ教卓叩くな耳障りなんだが
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(0)え? テストの方は大丈夫かって?
(0)順調順調。 我ながら自分の才能が恐ろしいヨ
(0)っととと、す~ぐ調子乗るんだから。 ほらほらもっと頭回せ~?
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(0)····ま、このくらいふざける余裕があるってことでね
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(0)皆も頑張ってるね~。 最初は少し詰まってたけど、今は皆も順調みたいだ。 本校舎教師の困惑と驚愕の混ざった顔は実に滑稽
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(0)(····ん?)
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(0)順調に進めていると、問11に少し違和感
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(0)(コレ、事前に聞いてた範囲にない問題だよね?)
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(0)ササっと斬り捨て、次に進む。 ここも範囲外
(0)一度手を止め、先を確認
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(0)(ほ~ん? これはどうやら、テスト前に範囲が変わったとかカナ?)
(0)(まぁ殺せんせーが先の基礎まで教えてくれてたから、問題なく進められてるけども。 おっと応用問題、ここは才能が試される)
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(0)少し考え、簡潔に纏めて記入する
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(0)周りの音に耳を澄ますと、先刻まで鳴り響いていたペンの音が聞こえなくなっている
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(0)(あ~あ、みんな殺られちゃったか。 コレ、返却された後大丈夫かなぁ····)
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(0)後の事を考えつつ、残った時間で見直しに入る
(0)とりあえず基礎問の方は簡潔に、ケアレスミスのチェックを主として行う
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(0)さて、問題は応用の方だ。 殺せんせーは"9割を安定して取れる"と言っていた
(0)つまり、裏を返せば1割は安定しないということ
(0)しかし使える時間は有限。 元々の範囲内の応用は家で何パターンか試してあるから、あとは屍を切って生死を確認すればいい
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(0)だが範囲外の応用問題は試せていない、というかテスト対策なら範囲外を試すという考えにはまず至らない
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(0)と、いうことで改めてよく考えることに
(0)自分の解答を見ながら、脳内でいくつか別解をシミュレート
(0)それらを照らし合わせ、足りない部分を補いつつ余分な所は削る
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(0)そんな作業···う~ん、もっと他の言い方がありそうだが、まぁいい。 そうして見直しと修正を繰り返していると、チャイムが鳴り響く。 こうして最初のテストは終了した
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(0)周りを見ると、明らかに先程と比べて暗い空気が流れていた。 無理もあるまい
(0)正直、このお通夜ムードはどうしようもないネ。 解けた俺が何か言っても嫌味にしかならないだろう
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(0)(あ~あ、厭だ厭だ。 本当に厭になる)
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(0)こんな空気の中、最大のポテンシャルをあと四時間も維持しないといけないのかと、少々後が憂鬱になってきた
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(0)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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(0)無事(?)にテストも終わり、放課後
(0)皆は暗い表情で帰る支度をしているが、俺はとある人物を探していた
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(0)(さてさて、アイツはどこかな~?)
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(0)そうして数分程度校舎内を歩いていると、目的の人物を発見
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(0)「じ~んちゃん、ちょっといいかい?」
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(0)「む、蓮霧 か。 お前の方から来るとは、珍しいな」
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(0)「ちょいとばかし聞きたいことがあってネ」
(0)「さて、と。 テストの範囲が事前に聞いていたものと異なっていたんだが、どうなってる?」
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(0)一度区切った際、声のトーンを真面目なモードに切り替えて問い掛ける
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(0)「····なるほど」
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(0)「···?」
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(0)「理事長の差し金だ。 一昨日、テストの範囲が大きく変更された。 なんでも"急な詰め込みについていけるか試す"、という名目でな」
(0)「しかも、変更された範囲は全クラスで理事長が直々に教鞭を取るという徹底ぶりだ」
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(0)「一昨日···· つまり集会のあった日か」
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(0)「ああ、あの日はそっちの教師も来ていただろう? その際に通達されたものだと思っていてな」
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(0)「でも、実際は知らされてなかった ····というか、そもそも知らせる気がなかったんだろう。 おかげでこっちは大変なことになりそうだ」
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(0)「そっちの事情は知らないが、どうせお前は大丈夫だったんじゃないか?」
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(0)「まぁ、その通りだが。 ····って、何嬉しそうな表情 してるんだ?」
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(0)「いやなに、お前は大丈夫なのに大変だと言うなら、お前は周りの心配をしているということだろう?」
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(0)「····!」
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(0)俺が、他人の心配····?
(0)いや、違う。 俺はただ地球を滅ぼす超生物の逃走を憂いているだけ···· 待て、そもそも何故俺のような虚無主義者 が地球の未来を憂う必要がある?
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(0)「やはり、お前は他者を思いやる心を持っている。 それが喜ばしくてな」
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(0)違う、そんなはずはない····
(0)狂人は、悪人はいつしか必ず不要になる。 必ず忌み者として排除される
(0)そもそも、周りを心から信頼していない俺が他者を思いやる資格なんてない
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(0)「····目的は果たした。 俺は帰るよ、じゃあな」
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(0)「あぁ、また会おう」
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(0)刃に背を向け、本校舎から去る
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(0)····テストも終わったし、憂さ晴らしがてら今日は不良狩りをしてから帰ろう。 などと考えつつ、帰路に着き始めた
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(0)はい、"椚ヶ丘のパープルシャドウ"こと蓮霧君です。
(0)え? その病的な通り名は何かって?
(0)いやぁ、テストの後に不良狩りしてたんだけども、制服のまま行ったわけでして。 んで、制服と紫の髪色からさっきのクソダサい通り名が付けられたってワケ
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(0)はあぁ~~····(クソデカため息)
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(0)なんだよこの名前···· "パープルシャドウ"単体だったら峠の神様達のチームネームとしてカッコよくなるのに、頭に単語が付くと途端にダサくなる
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(0)そもそも俺は不良達の間だと"紫の剣影"っていういい感じの二つ名があるんだからそっち使えや
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(0)あー、"紫影の天剣"って呼ばれてた頃が懐かしい
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(0)え? お前の一人語りはいいから状況教えろって?
(0)····はいはいわかりましたよ
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(0)さて、今日は運命の日、もといテストの返却日だ。
(0)····だというのに、教室の雰囲気はそれはもう真っ暗。
(0)空気も暗いし、空が曇ってるから物理的にも暗い
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(0)····何故って? テスト直前に範囲変わって、しかもそれが通達されなかったからだヨ
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(0)烏間先生は今本校舎に抗議の電話を行っているが、当然まともに取り合ってもらえてない
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(0)「····先生の責任です。 この学校の仕組みを甘く見ていました。 君達に顔向けできません」
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(0)黒板の方を向きながら、少しうつむいて呟く殺せんせーの声にはいつものギャグ寄りな雰囲気はなく、本心から落ち込んでいるようだ
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(0)あ、カルマがナイフ片手にテストを持って立ち上がった。 そういやアイツも先まで教わってたな····· あっ
(0)よし俺も便乗しようそうしよう
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(0)ということで俺もトランプとテストを持ち立ち上がる
(0)互いに何か言うでもなくタイミングを合わせ、同時に投擲
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(0)「にゅやッ!?」
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(0)むぅ、左に避ける読みで投げたが、二択を外したか。 まぁそもそもまだトランプは対先生コーティングしてないから、当たっても意味ないんだけどね
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(0)「いいの~? 顔向けできなかったら俺等が殺しに来るのもわかんないよ?」
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(0)「そうですよ~? にしても、まさか視覚なしで避けれるとは。 いやまぁ予想通りではありますが」
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(0)「カルマ君! 蓮霧君! 先生は今落ち込んで──」
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(0)殺せんせーの発言を遮るように俺達はテスト用紙を教卓に置く····っておい、お前はなんで放り投げてるんだ。 殺せんせーがちゃんとキャッチしたとはいえ、行儀が悪いな
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(0)「俺らは問題変わっても関係なかったし。 ね?」
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(0)赤羽 業
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(0)国語 98点
(0)数学 100点
(0)社会 99点
(0)理科 99点
(0)英語 98点
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(0)合計 494点・総合四位タイ
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(0)「ま~ね。 ホラ、俺ら天才みたいなもんですカラ」
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(0)速水 蓮霧
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(0)国語 100点
(0)数学 99点
(0)社会 99点
(0)理科 97点
(0)英語 99点
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(0)合計 494点・総合四位タイ
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(0)「マジかよ···」
(0)「すごい···」
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(0)「俺の成績に合わせて、アンタが先の範囲まで教えたからだよ。 蓮霧クンもそうでしょ?」
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(0)「うんうん。 応用は自力である程度できるから先の方まで基礎を固めとこうって言い出した時は驚きましたが、ね」
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(0)「ま、そういうこと。 でも、俺はE組 を出るつもりはないよ。 こっちの方が楽しいし」
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(0)「右に同じく。 下を見下ろしてばかりの烏合の衆といても得られる物は何もないし、それに何より、下剋上の方がよっぽど愉しめる」
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(0)「で、アンタはどーすんの? 全員50位以内に入れなかったからって、尻尾巻いて逃げるワケ?」
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(0)「ククッ、それもまた一興。 地球を滅ぼす超生物が中学生にビビって逃げ出すだなんて、一生ネタにできる笑い話だ」
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(0)俺達がそう言うと、教室に漂っていた重い空気が薄れていくように感じる
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(0)「な~んだ、殺せんせービビってたのか」
(0)「それなら正直に言えばいいのに~」
(0)「ね~! "怖いから逃げたい"って」
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(0)後ろの方から、俺らの言葉に便乗するかのように煽りの言葉が飛び始める
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(0)「にゅやァーッ! 逃げるわけがありません!! 期末テストでアイツらにリベンジです!!!」
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(0)あ、爆発した
(0)····やっぱり殺せんせーはこのくらい賑やかじゃないとね
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(0)事前に懸念していた面倒な事態にならなかったことにひとまず安堵し、再び賑やかになった教室を眺めながら席に戻る。
(0)きっとこの先もまた、こうして壁にぶつかる度にクラスが一丸となって前進していくのだろう。
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(0)····俺も、その一員にカウントされている。 過去のいざこざとは関係なく、ここのメンバーとして過ごす以上避けられないことだ。
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(0)(····俺は、いつまで狂人の仮面を保っていられるかね)
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(0)ここに来てから、少しずつ罅割れていくように感じる狂人の仮面を着け直し、再び紛い物の感情を飾る。 いつか、この仮面は壊れ、また絶望と悲嘆に染まる日が来るのだろう。 その時に差し伸べられるのは救いの手か、はたまた····
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(0)····いや、今は関係ない話か。
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(0)「と・こ・ろ・で、蓮霧ク~ン?」
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(0)····席に戻る途中でカルマに呼び止められた。
(0)····自分でも自覚できるくらい顔が引き攣ってるのがわかる。 振り向きたくねェ~~~!!!
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(0)この話し方は絶対ロクでもないこと考えてる時の声だってコレェ!
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(0)「ナ、ナニカナー? カルマー?」
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(0)歯車の錆び付いた機械のように不自然にカクつきながら後ろを振り向くと、案の定いや~な笑みを浮かべたカルマと目が合った
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(0)うん、今すぐ席に戻りたい。 もう振り向いた瞬間に後悔したもん
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(0)「いやさ、昨日それはもう俺らのこと煽ってくれたじゃん?」
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(0)「あ、あははー···· ちゃんと有言実行しただろー?」
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(0)「そーじゃなくてさ、アレ、わざと皆の敵対心を煽る言い方してたっしょ?」
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(0)····バレテーラ
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(0)「おおお俺は本心を言っただけだがが?」
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(0)「蓮霧~! 声震えてんぞ~!」
(0)「やっぱりあれわざとだったんだ~」
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(0)今度はさっきので調子付いた外野達が騒ぎ始めた
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(0)「~~~ッ!!! ····ええい! うるさいうるさい!! なんでわざわざバラすんだよ!!!」
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(0)「だってこのままだと蓮霧クンが悪人みたいになりそうだったし?」
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(0)「実際そうだが??」
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(0)心外だなぁ、その言い方だとまるで俺が善人みたいじゃないか。 ······そんなことはありえないというのに
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(0)「いやいや、悪人って言うには根がいいヤツすぎるんだよ蓮霧クンは。 さっきのテストの置き方もそーだけどさ、普段から育ちの良さみたいなのが垣間見えてるってゆーか」
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(0)「礼儀礼節を重んじるのは剣士の定めヨ?」
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(0)「にしては随分口悪いよね?」
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(0)「口の悪さに自信あり」
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(0)「「「何故それを誇れる!?」」」
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(0)····何故かクラス中から総ツッコミを食らった、解せぬ
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(0)「······ま、狂人は狂人らしく、今後とも上手くやるさ。 普段は人の良き友人として、時に皆と対立する必要悪として──
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(0)(──それに何より、内に閉じ込めた願いに······、真実 の感情 に気付かれないよう··········気付かないように して──)
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(0)──これからも器用に生きてくヨ」
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(0)◁一方その頃、本校舎にて▷
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(0)「今回も届かないと云うのか·····。 やはり、どれだけ狂ったフリをしていても、お前の本質は変わらないな」
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(0)人の少ない、閑散とした教室の黒板に貼り出された順位表を眺めながら、そう呟く者がいた
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(0)御剣 刃
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(0)国語 94点
(0)数学 100点
(0)社会 99点
(0)理科 99点
(0)英語 95点
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(0)合計 487点・総合7位
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(0)「なぁ、蓮霧 。 お前は自分を虚無主義者 だと思っているんだろうが、本当にそうならこうして自力で上位を維持できるわけがない」
(0)「お前も本当は気付いてるハズだ。 ただ、ずっと目を逸らしているだけで、な。 ····いつかお前が正気に戻れた時、お前は、俺の心を救うことができるのだろうか」
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(0)「····蓮霧 、俺もお前に並ぶ程の狂気と悲嘆に満ちた哀れな存在だ。 お前なら、きっと俺の理解者になりうるだろう。 俺もお前も、求めるモノは同じなのだから── ─」