行別ここすき者数
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(0)田舎の小さな無人駅。
(0)昼下がりの空気の中、ホームに降り立ったとき、偶然にも旧友と出会った。
(0)「今からイオンにあるうどん屋行くんだよ」
(0)そう言って、彼は軽く手を振って去っていった。
(0)自分には別の用があったが、すぐ終わるものだった。後から追いかける形で、イオンへと向かうことにした。
(0)
(0)午後二時半。
(0)陽の高い時間帯のはずなのに、イオンに近づくにつれて周囲が妙に薄暗くなっていく。
(0)気のせいかとも思ったが、空は重く沈み、光はどこかに吸い込まれていくようだった。
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(0)ついには、まるで深夜のような漆黒の世界。
(0)イオンの建物は闇に呑まれ、看板のネオンも、ガラス越しの照明も、一切の光を放っていなかった。
(0)
(0)それでも、なぜか自分の足は中へと進んでいた。
(0)かすかに明かりの漏れる場所を見つけ、恐る恐る近づいてみる。
(0)そこには確かに、うどん屋があった。
(0)しかし、様子は明らかにおかしかった。
(0)
(0)十人ほどの客が、ほとんど動くことなく、無表情でうどんをすすっている。
(0)声はない。音もない。ただ、ぬめるような空気の中に、うどんの湯気だけが揺れていた。
(0)その中の一人、手前の席にいたのは…間違いなく、さきほどの友人だった。
(0)だが、彼は振り向かず、背中は妙に硬直していた。
(0)それを見た瞬間、ぞくりと背筋が凍った。
(0)
(0)逃げ出した。
(0)気がつくと、走っていた。無我夢中でイオンを飛び出し、暗闇の中をかけていた。
(0)走るごとに、世界は明るさを取り戻していく。空は晴れ、風が吹き、人々の気配が戻ってきた。
(0)安堵と共に、懐かしい声が耳に届いた。
(0)
(0)「おーい、ひさしぶり!」
(0)
(0)またしても旧友。今度は、なぜこんな場所に?と不思議に思いながらも、言葉を交わしながら歩いた。
(0)ついさきほどの出来事を話すと、彼は不思議そうな顔をしながらも、黙って聞いてくれていた。
(0)
(0)気づけばまた、イオンの前にいた。
(0)今度は、明るかった。
(0)人の姿もあり、店の看板も灯りをつけ、うどん屋も営業していた。
(0)あれは夢か、幻か——
(0)安心した私は、友人とともに、建物の中へと入っていった。
(0)
(0)エスカレーターに乗り、上の階へ。
(0)その途中、何気ない会話の中で、あの不気味な光景のことを再び語った。
(0)ちょうどエスカレーターの中ほどにさしかかった時だった。
(0)
(0)ふっ——
(0)
(0)突如、視界が黒に染まった。
(0)エスカレーターの音が止まり、空間そのものが静止したかのような錯覚に陥る。
(0)
(0)次の瞬間、隣にいたはずの友人が消えていた。
(0)代わりに、エスカレーターの一段一段、黒い影が立っている。
(0)人の形をしているが、顔は見えない。いや、存在していない。
(0)
(0)囲まれていた。
(0)息が詰まる。声も出ない。
(0)しかし、叫ばなければならなかった。
(0)恐怖に喉を押し潰されながら、なんとか声を絞り出す。
(0)
(0)「やめっ……!!」
(0)
(0)——その瞬間、目が覚めた。
(0)鼓動が耳に響くほど激しく鳴り、冷や汗が首筋を伝っていた。
(0)夢だとわかっていても、体はまだ、あの“黒い世界”に取り残されていた。