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(0) どーも、神楽移です!この小説での俺の一人称視点は初めてかな?
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(0) 豪華客船での『優待者試験』。終わってみれば、俺の手元に残ったのは大量のポイントと、ひよりちゃんに読み聞かせられたミステリー小説の断片的な記憶だけだった。
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(0) 「…で、結局俺たちのクラスが勝ったの?」
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(0) 試験最終日の夜。デッキで夜風に当たりながら、俺は隣に立つひよりちゃんに問いかけた。
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(0) かけるんくんが裏で嘘の情報を流したりと色々やっていたらしいが、正直なところ、俺にはその内容はさっぱりわからなかった。
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(0) 「ええ。移くんが無意識にも一之瀬さんたちの警戒心を解いてくれたおかげで、龍園くんが動きやすくなっていました。あなたは私たちのクラスの『切り札』でしたよ」
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(0) そう語ったひよりちゃんは、どこか楽しげに、そして少しだけ顔を赤らめて微笑みを浮かべた。試験の結果、Cクラスは多額のポイントを手に入れ、Aクラスは大敗した。結果的には大成功したんだなぁ、よかったよかった
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(0) まぁなんやかんかで夏休みも終わり、憂鬱なニ学期が始まった。長ったらしい挨拶を適当に聞き流し、教室に戻る。
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(0) 「志保ちゃん久しぶり〜、この前のプール以来かな」
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(0) 「あっ!移くん、久しぶり。この前は楽しかったよ!」
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(0) 「俺も志保ちゃんの可愛い水着が見れて最高だったよ。また遊ぼうね?」
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(0) 「うん!移くんも…その…カッコよかったよ…」
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(0) 神楽はCクラスの女子の1人、真鍋に話しかけた。元々真鍋は初対面の神楽を見て魅了されていた一人であり、夏休みに神楽からプールに行かない?と誘われ大喜びしていた。
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(0) 真鍋の態度は一学期のそれとは劇的な変化を遂げていた。船内特別試験の折、彼女はDクラスの軽井沢恵への嫌がらせを画策していたが、神楽が放った「暴力的な女の子は苦手だな。可愛いのに魅力が台無しになっちゃうし」という一言で、その攻撃性は霧散した。今の彼女は、神楽という光に魅了された、ただの恋する乙女であった。
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(0) 「おっはー、いしざっきー!夏休み楽しかった?」
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(0) 「あっ、神楽さん、おはようございます…俺は宿題に追われて死にそうでしたよ」
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(0) 石崎は疲弊した表情で愚痴をこぼす。
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(0) 「それは分かる、マジで多すぎるよな。ひよりちゃんにしごかれたわ」
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(0) 「俺も龍園さん『早めにやらねぇと潰す』って言われましたから…てか椎名ってそんな怖いんすか?イメージないんすけど」
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(0) 「マジで怖い。普段は本当に可愛いんだけど、俺の勉強のこととなると鬼が出る。暴走族の双子の弟みたいに」
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(0) 「神楽さん絶対東リべ読みましたよね?」
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(0) そんな軽口を叩きながら、神楽は背後へと視線を移した。
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(0) 山田アルベルト。Cクラス屈指の肉体を誇る男が、無言で神楽を見下ろしていた。
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(0) 「グッモーニンアルベルト!フィニッシュホームワーク?」
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(0) 「No problem. It's already finished.(問題ない。全て終わらせてある)」
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(0) 「なんて言ってるか分かる?いしざっきー」
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(0) 「んーと、多分『もう終わってる』じゃないすか?」
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(0) 「マジかよ。お前もひよりちゃんにしばかれた口か?」
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(0) 「No(しばかれてない)」
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(0) そして翌日。二学期のメインイベントである体育祭。のそれに伴い体育の授業が増えることになった。これにほとんどの男子は歓声を上げたが、女子や一部の運動が苦手な男子は苦しい表情をしていた。神楽は石崎と肩を組んで大喜びしていた。
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(0) 体育祭のルールは、AクラスとDクラスの赤組とBクラスとCクラスの白組の対決となっている。
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(0) 個人の種目は1位が15点、2位が12点とそれ以降は二点ずつ下がり、5位以降は1点ずつ下がっていく。団体戦の場合、勝利した場合は500点である。
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(0) この時点で神楽と石崎の脳はパンクしかけていたが、椎名と金田の説明によりなんとか理解する。
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(0) 続いて推薦の種目だが、個人種目と異なりかなり大きな配分となっている。1位50点、2位30点、3位15点、4位10点、5位以降は2点ずつ下がっていく。最終競技のリレーでは3倍の点数が与えられる。
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(0) 赤組と白組が学年の点数を総合して、負けた組のクラスは100クラスポイント引かれる。学年別の順位は1位が50ポイント加算、2位は変動なし。3位のクラスは50引かれ、4位のクラスは100ポイント引かれる。
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(0) 「うへぇ、えげつねぇっすね」
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(0) 「そう?全部勝てばいいじゃん」
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(0) 「神楽さんならいけそうなのが怖いっすよ」
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(0) そして各個人競技で1位を取った生徒には5000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で3点に相当する点数を与える。2位を取った生徒には3000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で2点に相当する点数を与える。3位を取った生徒には1000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で1点に相当する点数を与える。最下位を取った生徒にはマイナス1000プライベートポイントのペナルティが科せられる。
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(0) 各競技のルールをよく確認すること。違反した者は失格同様の扱いを受ける。悪質な物については退学処分にする場合有り。それまでの獲得点数の剥奪も検討される。
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(0) 全競技で最も高得点を得た生徒には10万プライベートポイントを贈与する。全競技で最も高得点を得た学年別生徒3名には各1万プライベートポイントを贈与する。
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(0) 「今回は私はお役に立てなさそうです…」
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(0) 「僕も同感です。神楽氏や石崎氏が今回ばかりは羨ましいです」
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(0) 運動がお世辞にも得意とは言えない二人はため息をつく。そんな二人をよそに神楽と石崎は無言で立ち上がると、勢い良く握手した。
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(0) 「いしざっきー…」
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(0) 「神楽さん…」
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(0) 「「《b》《big》《font:90》今回の体育祭!!無双するぞ!!《/font》《/big》《/b》」」
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(0) 二人の咆哮が教室に響く中、龍園は冷ややかな目でクラスを見渡していた。
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(0) 「ククッ…神楽。お前には全競技に出てもらう。推薦種目もだ。お前のその馬鹿げた身体能力をこれ以上ない形で学園中に見せつけてやれ」
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(0) 「いいね、やるからには俺が全部かっさらってやるよ」
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(0) 神楽は不敵に笑う。その瞳には、これまでの能天気さとは異なる、闘争本能の火が灯っていた。
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(0) 翌日から始まった合同体育。グラウンドは各クラスの偵察と熱気に満ちていた。
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(0) CクラスとBクラスの合同練習。一之瀬率いるBクラスは、和気藹々としながらも統制の取れた動きを見せる。しかし龍園は一之瀬とは一向に協力しようとする素振りはしなかった。そしてそのまま体育館を後にしてしまった。
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(0) 「あーあ…帆波ちゃん、うちのバカドラゴンくんがごめんね?」
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(0) 「あっ、神楽くん…ううん!神楽くんが謝ることじゃないよ!」
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(0) 「なーんでこんな美少女と仲良くしようとしないのかねー」
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(0) 「にゃっっ!?び、びびび…美少女ぉ!?」
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(0) 「そりゃそうよ、この後俺と一緒に二人三脚でもしなあだあぁぁ!?」
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(0) 神楽が一之瀬の頬に手を添え耳元で囁く。狼狽える一之瀬に近づこうとしたその時、突如神楽の耳に痛みが走った
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(0) 「《b》《font:90》《shake:1》移くん…?私の目を盗んで何をやっているのですか??《/shake》《/font》《/b》」
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(0) そこには普段のお淑やかな彼女ではなく、顔に青筋を浮かべながら耳を引っ張る椎名の姿が。
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(1) 「一之瀬さん、私の移くんがすみません」
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(0) 「ちょひよりちゃん耳!あだだだ!?」
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(0) そして神楽はひよりにズルズルと引き摺られていった。ちなみに一之瀬は神崎に声をかけられるまで顔を真っ赤にして俯いていた。
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(0) 「100メートル走、準備してー」
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(0) Bクラスの合図で、神楽がスタートラインに立つ。隣には石崎、そしてBクラスの神崎と柴田だ。
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(0) 「よろしくな!神楽!俺はBクラスの柴田だ!」
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(0) 「よろよろ、俺は神楽移」
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(0) 「俺もBクラスの神崎だ」
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(0) 「俺は石崎っす!神楽さん、手加減なしでお願いしますよ!」
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(0) 「おう、いしざっきー。ぶっちぎってやるから見てな」
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(0) 各クラスでも運動神経がトップのメンバーなだけに、外野もかなりの注目。そしてスタートの合図が切られた。
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(0) その瞬間、石崎や神崎達の視界から神楽の姿が消えた。
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(0) 「…へ?」
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(0) 石崎が地面を蹴った数秒後、神楽はすでに先にいた。彼の走りは重力を無視したかのような推進力を生んでいた。一歩一歩が爆発的なエネルギーを地面に叩きつけ、風を切り裂く。
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(0) 「8秒…21ぃぃぃぃぃ!!!!????」
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(0) タイムを計測していた生徒が声を裏返らせた。それもそのはず、高校生の記録どころか世界新記録を超えていたのだから。
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(0) とてつもない記録を出した神楽に大盛り上がり。真鍋や伊吹はポカンと顔を開け、遠くで見ていたDクラスの須藤や堀北までもが、信じられないものを見る目で彼を見つめていた。
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(0) 「ありゃ、靴紐解けてた」
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(0) 神楽は息一つ乱さず、首を回しながら戻ってくる。
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(0) 「…神楽さん、あんたマジで人間っすか?」
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(0) 石崎は膝に手を突き、肩で息をしながら戦慄していた。
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(0) 続いて行われた握力測定。
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(0) 平均的な男子が50キロから60キロを記録する中、アルベルトが102kgという驚異的な数値を叩き出し、周囲を圧倒する。しかし、その直後に神楽が測定器を握りしめた。
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(0) ミシミシ、という金属が軋むような音が響くき、デジタル表示に刻まれた数値はみるみる伸びていく。
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(0) 「あ、やっべ」
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(0) 神楽が力を込めていた測定器が不可解な音を出しながらエラー表示になる。周囲の沈黙は深まるばかりだった。Cクラスの女子たちからは感嘆の声が上がり、他クラスも圧倒的な力に警戒の色を強めていた。
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(0) そして放課後。Cクラスの特別会議。
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(0) 龍園は、各生徒の測定データが記されたタブレットを指先で弄びながら、冷酷な微笑を浮かべていた。
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(0) 「神楽。お前は全て埋めろ。個人競技も推奨種目だ。石崎、アルベルト。お前たちは神楽の補佐だ。団体戦では神楽を死ぬ気で補佐しろ」
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(0) 龍園の指示は、神楽という絶対的な戦力を軸に据えた、極めて攻撃的なものだった。
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(0) 「龍園氏、一ついいでしょうか?Dクラスの須藤氏は確かに脅威ですが、それ以上に厄介なのは神楽氏のデータを収集し、対策を練ってくる他クラスです」
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(0) 金田が眼鏡を押し上げながら進言する。
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(0) 「対策だぁ?勝手にやらせておけ。神楽の力は対策してどうこうなるレベルじゃねえ。それにお前ら、忘れるなよ。この体育祭は運動じゃねえ。俺たちがやるのは戦争だ」
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(0) 龍園の指示で、Cクラスの練習は次第に暴力的なものへとシフトしていった。
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(0) それは純粋なスポーツの練習ではない。相手の体勢を崩す方法、審判から見えない位置での接触、そして精神的な揺さぶり。龍園は、神楽の圧倒的な実力に身を隠しつつ、その裏で卑劣な罠を張り巡らせる準備を進めていた。
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(0) 「神楽さん、龍園さんは本当にやるんすか、これ。流石にヤバくないっすか?」
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(0) 石崎が龍園から授けられた戦術のメモを見て顔を引きつらせる。
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(0) 「かけるんくんらしいね。まあ、俺は正々堂々戦えって言われてるけど」
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(0) 「えっ、そうなんですか?でもなんで」
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(0) 「かけるんくん曰く、『お前がそんな器用なことできるわけねぇだろ』だってさ」
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(0) 神楽はそう言って、ひよりが差し出した冷たいタオルを受け取った。
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(0) 「移くん。あまり無茶はしないでくださいね。もし怪我でもしたら…」
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(0) ひよりの言葉に、神楽は首を傾げる。
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(0) 「安心しなよ。俺の辞書に不可能って文字はないから。あ、辞書持ってないけど」
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(0) 神楽の軽口に、ひよりは小さく溜息をつき、けれど慈しむように彼の背中を叩いた。
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(0) 「頼りにしていますよ、移くん」
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(0) そして、体育祭当日がやってきた。