女性サーヴァントしかいないカルデア (北斗七星)
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番外編
『不夜城のキャスター』我が王との寝物語


 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! 俺は玉藻の話を書いていたと思ったら何時の間にか不夜城のキャスターの話を書き上げていた。以下略。

 そういうわけでお久しぶりでス。相変わらずの遅筆で申し訳も。上記の通り、本当は玉藻の話を書いていたはずなのだが、気付いたら何時の間にかこの人の話を書いていた。

 うん、俺、ケモ耳美女も好きなんだけど褐色巨乳お姉さんも大好きなんだ……。

 今回の話は人理救済後のものです。とりあえず、一部以降に出てくるサーヴァントを書く時は番外編として投稿します。

 後、今回の話は当たり前のように真名バレをするので、読む方はそのことを承知でお願いします。

 活動報告のアンケートについては今日から一週間後の19日に締めたいと思います。何のこっちゃと思った方は活動報告を見てね。


 彼女にとって物語とは防具だった。己を殺さんとする毒虫から身を守るための盾であり鎧、それこそが彼女の語る物語。後に魂に、霊基にまで刻み込まれる死の恐怖から逃れ、千の夜を超えて生き延びた彼女の武器。

 

 彼女にとって物語とは生きるための手段だった。一夜を共にした女を次の日の朝に殺す狂王に命を奪われないための生存方法。彼女にとって物語を紡ぐということは誇張表現無しの生き残るための戦いだった。

 

 その筈だった。だが、このカルデアと呼ばれる場所に召喚されてからというもの、彼女が死から逃げるために物語を話すことは一度たりとして無かった。ここには彼女の命を脅かす毒虫はいないからだ。

 

 いるのは若き王。たった一人、世界を救うという宿業を背負わされながらそれでも顔を上げ、前を見据えて歩み続けた強いという言葉だけではとても表現できない男の子。

 

 そんな彼がせがんでくるのだ。物語を聞かせてくれと星のように煌めく瞳を彼女に真っ直ぐ向けて。だから彼女は語って聞かせた。血沸き肉踊り、思わず拳を握り締めてしまう冒険譚。切なさに胸を掻き毟り涙を流さずにはいられない悲劇。腹を抱えて笑い転げてしまう喜劇。若き王は彼女の口から語られる一言一句を聞き逃さず、広がっていく物語の世界に没頭した。身を乗り出し、興奮に頬を赤らめ、時折感嘆の溜め息を漏らしながら彼女の話に聞き入った。若き王の求めに彼女は語ることで応えた。そこに彼女を苛んでいた死の恐怖など無く、あるのは目を輝かせる少年に話を語り聞かせる誇りにも似た喜びだった。

 

 若き王に物語を話している内に彼女はあることに気付く。語り手にとって呼吸をするように当たり前のことに気付いたのだ。物語を語り聞かせることがこんなにも楽しく、そして嬉しいものなのだということに。

 

 今日も彼女は若き王の下に向かう。今宵はどんな物語を語ろうか、どんな顔をしながら聞いてくれるのだろうかと胸を高鳴らせて若き王の部屋へと訪れるのだ。彼女が話した物語がどのようなものであるか、どのようにして語られたのか、それは彼女と若き王にしか分からない。ただ一つ事実として言えることがあるとすれば、ここカルデアにいる彼女が生き延びるために、死なないために物語を語ったことは一度として無いということだけだった。

 

 

 

 

 人理継続保障機関『フィニス・カルデア』の一室。人類最後のマスター、遠野真のマイルーム。今回の話はここで語られていた物語が終わったところから始まる。

 

「今宵は、ここまで」

 

 艶やかな唇が紡いでいた物語が一旦の終わりを迎えた。話に聞き入っていた少年は語り手の終了を告げる言葉にがっかりとした表情を作る。

 

「えぇ~、ここで?」 

 

「はい、ここまでです」

 

 ふふ、と落ち着きのあるしっとりとした声の持ち主、語り手は微笑みながら慣れた様子で広げていた巻物をしゅるりと丸めた。夜の帳のように黒く長い美髪、エメラルドグリーンの瞳、とある戦士に佳いと言わせた豊満且つ美しい女体。金と黒を基調とした様々な装飾品と水着のような衣装に身を包んだ褐色肌の妖艶な美女。不夜城のキャスター、真名をシェヘラザードといった。

 

「お楽しみいただけましたか、マスター?」

 

 椅子に腰かけたまま、シェヘラザードは対面のベッドの上で胡坐をかいている寝間着姿の真に訊ねる。語り手の問いに真は両腕を組み、梅干しでも食べたみたいな渋面を作ってうんうんと唸っていた。

 

「うん、相変わらず楽しかった。凄く楽しかったんだけど……何でこう、毎度毎度本当に良いところで話が終わるかなぁ……!」

 

 渋い表情の中では次回の話への楽しみ、今すぐに続きを聞かせてくれという渇望、こんなんじゃ気になって夜も寝れないよという葛藤などの多様な感情が複雑にひしめき合っていた。真剣になって聞いていた物語がクライマックス一歩手前のところで中断されたら誰だってこうなるだろう。具体的にいうと映画『ホ○ット』二作目のラストを見た時の作者と同じ気持ちになるはずだ。

 

「シェラ~。やっぱ続き話してくれぇ。俺、このままじゃ続きが気になってもう夜も寝れなくなっちまうよ」

 

 真の情けない懇願にシェヘラザードは駄目ですとにべもなく首を振った。ちなみにシェラとは真が彼女に付けた渾名だ。シェヘラザード自身、割と気に入ってたりする。

 

「このまま話を続けては本当に夜が明けてしまいます。私達サーヴァントは睡眠を必要としませんが、マスターには必要不可欠。きちんと体を休ませねばなりません。ご自分の体がどれだけ大切なものなのか、分からないはずはないでしょう?」

 

 そうだけどさぁ、と真はシェヘラザードの正論に頭を抱えた。まるで子供を諭しているようだと思うシェヘラザード。話の続きをせがまれるのは語り手冥利に尽きるというものだが、だからといってマスターに徹夜をさせていたずらに体力を消費させる訳にはいかない。

 

「駄目?」

 

「駄目です」

 

 なので、シェヘラザードは真の我儘を頑として突っぱねる。それに今日は彼女自身やりたいことがあるので、これ以上時間をそのこと以外に消費するのは避けたかった。

 

「どうしても?」

 

「ど、どうしてもです」

 

 突っぱねていたが、珍しく食い下がってくる真に彼女の決意は早くも揺らぎ始めていた。真に話を求められるのは嫌じゃない。寧ろ、もっと語り聞かせたいくらいだ。物語に、そして物語を紡ぐ自分に真が夢中になるのがシェヘラザードにとっては堪らなく嬉しかったし、彼の視線を、意識を、心を一時とはいえ自分一人に独占出来るのは天にも昇る心地だった。

 

 そんなシェヘラザードの心境を知ってか知らずか、真はじぃっと彼女を見詰める。子供が親におやつをねだるように、無言の圧力を放ってシェヘラザードに物語の続きを聞かせてくれと訴えかけた。

 

(あぁ、いけませんマスター。そんなに熱い目で私を見ては……)

 

 自分を求める男の視線にシェヘラザードの体はどんどん熱くなっていった。鼓動がはっきりと分かるほどに早くなり、腹の奥がじゅんと疼く。自制する意識とは裏腹に体は真の求めに応じたいという思いに突き動かされ、閉じた巻物を紐解こうとしていた。

 

「……いけません、いけませんマスター。先も言いました。今宵は、ここまでと。それに、次の物語はどんなものなのか、どのように広がっていくのかを考えながら胸を高鳴らせて眠りにつくのも楽しみの一つだと思いませんか?」

 

 再び物語を紡ぎそうになるが、寸前のところでシェヘラザードは思い留まる。彼女の言葉に真はちぇー、と子供のようにむくれるが、それ以上駄々をこねたりはしなかった。ほっと息を吐くシェヘラザードにじとーっとした目を向けながら真は恨み言をぶつける。

 

「シェラって結構意地悪だよな。毎回毎回、本当に良いところで話終わらせるし。続きが気になって悶々としている俺を見て心の中で愉悦ってるんだな、このドSめ」

 

「……何故、そうするのだと思います?」

 

 恨み言に返ってきた予想外の問いに真はへ、と驚いた顔を作る。口を半開きにしたかなり間抜けな表情をしている真を翠の双眸でじぃっと見据えながらシェヘラザードは腰を上げた。手に持っていた巻物を椅子に置き、真に歩み寄っていく。意図的にそうしているのか、それとも自然とそうなっているのか定かではないが彼女が歩くたび、頼光にも勝るとも劣らぬ圧倒的胸部装甲がゆさっ、ゆさっと揺れていた。

 

「おぉ……って、いかんいかん。あの、シェラさん?」

 

 重量感たっぷりに揺れ動く豊満バストをガン見しそうになるのをどうにか堪え、真は視線を上げてシェヘラザードを見る。さっきまで物語を紡いでいた語り手とは全く別の表情を浮かべた、凄絶な色気を漂わせた美女がそこにいた。小さく笑みを浮かべ、シェヘラザードはベッドに乗ると真へと這い寄っていく。

 

「何故、私がそうするのだと思います?」

 

「えっと、何でかな?」

 

 ゆっくりと、だが確実に迫ってくるシェヘラザードから逃れるように後退りする真。しかし、ベッドの上に逃げ場所など無く、あっという間に退路を断たれてしまう。真を追い詰めたシェヘラザードは体を預けるようにしな垂れかかった。肉感に満ちた柔らかな体を真に押し付け、蠱惑的な声で答えを告げる。

 

「全て語り終えてしまったら、私が貴方の閨に来る理由が無くなってしまうではありませんか」

 

 彼女も楽しみにしているのだ。真が次の物語を心待ちにしているように、彼の部屋に訪れて話を語り聞かせることを。そ、そうなのか、とだけしか真は返せなかった。まぁ、さっきまで語り手だった人がいきなり娼婦になって擦り寄ってきたら誰だって戸惑うだろう。

 

「べ、別に理由とか無くても俺の部屋くらい何時でも来ていいけど……」

 

 実際、真の部屋に特に理由も無く訪れる者達(主にサーヴァント)は大勢いる。別段、シェヘラザードが真に物語を聞かせるため、と部屋に訪れる大義名分を作る必要性は全くと言っていいほど無い。真の言葉にシェヘラザードはシャツに滑らせていた指を止め、まぁと嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

「それは閨への誘いと受け取ってもよろしいのでしょうか?」

 

 ジャージの上から若干膨らんできた真の股間を一撫でする。はぅ、と呻きながら体を小さく痙攣させる真の姿にシェヘラザードの唇に浮かんでいた笑みが妖艶なものになっていった。段々と大きく硬くなっていく感触を掌に感じながらシェヘラザードは小さな吐息を真に吹きかける。甘く、脳が蕩けてしまいそうな味わいの吐息に真の意識はシェヘラザード一色に染まっていった。

 

「マスター、私は貴方の物語が聞いてみたいです。聞かせてもらえないでしょうか?」

 

「そ、んな。聞かせて下さいって、言われても、俺には話せるようなことなんて、何も……」

 

 あるではありませんか、と真の耳元でシェヘラザードは囁く。鼓動を速め、息を荒くする真の興奮を煽るように全身を押し当て、はっきりと形が分かるくらいに大きくなった股間を撫で回す。体を震わせる真に艶めかしい口調で囁きかけた。

 

「幾つもの特異点を旅した貴方の物語が。世界を、人類を救った、私と出会う前の貴方の物語。是非、お聞かせ下さい」

 

「でも、俺、シェラみたいに上手く話したりなんて出来ない……」

 

「言の葉に乗せて紡ぐのだけが語り聞かせる方法ではありません。時には心と心を触れ合わせて、時には肉体と肉体を絡み合わせて。そうして物語を語る方法もあります」

 

 そっと真を押し倒し、シェヘラザードは覆い被さるようにして彼の上に身を横たえる。間近から顔を覗き込んでくるモカ色肌の美女に真の喉が大きく音を鳴らした。さぁ、真様、と全身からむせ返りそうな色香を漂わせてシェヘラザードは語り掛ける。

 

「今宵はたっぷりと、蕩けるように語り合いましょう」

 

 それこそが彼女の今日の目的だった。

 

 

 

 

 ベッドの上、一糸纏わぬ男女が折り重なるようにして抱き締め合っていた。触れ合わない部分が一か所でもあっては耐えられないとばかりに全身を密着させ、互いの体に手を這わせながら舌を絡ませる情熱的なディープキスに没頭している。口内に響く唾液を混ぜ合わせる音、体を撫でていく相手の手の動き、触れ合った肌から伝わる温もりと感触に酔い痴れた真とシェヘラザードはどんどん二人だけの世界に堕ちていった。

 

「はむ、ちゅる、ちゅぱぁ……どうでしょう、真様。私の体はお気に召していただけてますか?」

 

 唾液で唇をテラテラにさせたシェヘラザードが真に訊ねる。見下ろしてくる翠色の双眸を見返して真は素直に答えた。

 

「凄く気持ち良い。ずっと触ってたいくらいだ」

 

「では、お気の済むまで堪能して下さい……んぅ」

 

 言われずともそのつもりだった真は上から包み込むように抱き付いてくるシェヘラザードの体を両手で楽しんでいく。左手はサラサラとした艶のある美髪を梳き、右手は大きく豊かな美尻を揉み撫でていた。掌一杯に感じる女の感触に性欲がどんどん燃え上がっていく。それに比例してヒップを撫で回す手付きが荒々しいものになっていった。

 

「こんなに激しく……もっと、もっと私を感じて……ちゅむぅ」

 

 恍惚に顔を染めてシェヘラザードは口付けを再開する。真の手付き同様に激しく貪欲なキスだった。軟体動物のように蠢く赤い器官が相手の舌に巻き付き、口内の様々な部分を舐め回していく。どっちがどっちの舌なのか、体の境界線が分からなくなりそうな接吻を二人は夢中で続けた。口の中をぬるぬると這い回る感触が気持ち良く、流れ込んでくる唾液が美味だった。

 

 唇と舌を合わせたまま真が体を転がし、体勢の上下を入れ替える。シェヘラザードが驚きに息を止めるが、それも一瞬で伸し掛かってくる真の重さに目元を緩ませて再び呼吸を始めた。真の首筋に両腕を巻き付け、全身で相手を受け入れる姿は夢心地という表現がぴったりだ。

 

 されるがままでいるシェヘラザードの全身を真の両手がまさぐっていく。太腿を優しく擦り、脇腹から脇の下を通り過ぎ、肩のラインをなぞった。薄らと汗の浮かび始めた滑らかな褐色の肌を指先や掌が撫でる度、シェヘラザードは小さく体を揺らす。真の愛撫を受けた女体は疼きを増し、彼女のトロトロになった秘所は既に愛する男を受け入れる準備を終えていた。

 

「時に真様。真様は女性の部位でも特にこれ(・・)が好きだと聞き及んでおりますが」

 

 キスの息継ぎの合間、シェヘラザードは豊かな乳房を下から掬いあげるように持ち上げ、たぷたぷと揺れる様を真に見せつける。女性らしさをこれでもかと誇示する豊乳を前に真は表情を引き締め、一途にシェヘラザードの目を見ながら一言で答えた。

 

「大好きです」

 

 何を恥じることがあろうかと言わんばかりの、非常に漢らしい返答だった。どう考えても漢らしさの使い場所を間違えている真の返事にシェヘラザードは少しばかり呆気に取られるも、くすりと笑って思わず身を縮めてしまいそうになる色っぽい表情を浮かべる。

 

「では、どうぞお楽しみ下さい」

 

 乳房を開いたシェヘラザードに真は何の躊躇いも無く、一瞬でも考える素振りを見せずに広がったモカ色の谷間に顔を埋めた。途端、圧倒的な質量が左右から顔を覆い尽くしてくる。俗にぱふぱふと呼ばれる技(?)だ。微笑みながらシェヘラザードは両手で己の乳房を寄せ上げ、真の顔をふかふかの肉で圧迫していく。むにゅむにゅと形を変えて顔全体を押し潰してくるバストの感触、肌から立ち上る熟成した女の濃厚な芳香に真はあっという間に虜にされてしまった。

 

「ふふっ、こんなに夢中になられて。本当にお好きなのですね……あん♡」

 

 左右から迫るバストに頬擦りしながら胸の中央を舐めると、シェヘラザードがくすぐったそうに身動ぎする。胸骨の形を確かめるような舌先の動きに褐色の美女は愛する男を優しく抱き締めながら身をくねらせた。

 

 徐々に真が舐める位置が上に移動していく。胸の間から左胸、左胸の先端へ。チョコレート色の肌と相反するような綺麗な桜色の乳輪の中央にあるぷっくりと膨らんだ乳首。何度か舌先で硬くなった乳首を転がすと、真は大きく口を開いて左の乳房にかぶりついた。

 

「ひゃああぁぁん♡」

 

 甲高い嬌声を上げ、シェヘラザードは身を反らし上げる。身を捩らせるシェヘラザードの左胸に真は軽く歯を立て、乳肉を甘噛みしながら舌の表と裏を使ってコリコリした乳首を味わった。同字に先端を尖らせている右胸を手で揉みしだけば部屋に響く嬌声がより艶やかになっていく。耳に届くシェヘラザードの甘い啼き声に真はますます興奮していった。

 

 左胸から口を離すと間髪入れずに右胸にむしゃぶりつく。乳房を口に含み、吸い上げながら舌に触れる勃起乳首を弄んだ。勿論、空いた左胸を反対の手で楽しむのも忘れない。真は欲望のまま左右の巨大な乳房を口で、手でたっぷりと愛してシェヘラザードを堪能した。

 

 好き放題されていた胸を漸く解放され、シェヘラザードは息を弾ませて熱に霞む目を真に向ける。涎でべどべとになったバストが、散々弄ばれた乳首がじんじんと熱を帯びていた。自分の体を玩具のように扱われたことにシェヘラザードは不思議と怒りを覚えず、寧ろ目の前の想い人がちゃんと満足出来たのかどうかが心配だった。

 

「どう、でしたか?」

 

「大満足です」

 

 真の返した答えに自然と口角が持ち上がる。自分の体がこの人を満足させられたことが堪らなく嬉しい。それ以外に思いつくことが彼女には無かった。

 

「(あぁ、私はこんなにもこの人に溺れている……)真様」

 

 安全と安心を、何よりも愛を与えてくれる真にシェヘラザードはもうメロメロだった。胸の中で渦巻く真への愛情に突き動かされ、両腕を伸ばして抱擁を求める。真はすぐさまそれに応え、シェヘラザードを抱き締めながら熱烈なベーゼを始めた。生き物のように踊る二本の舌で淫らな音を奏で、肢体を蔓のように相手へと巻き付ける。隙間なく触れさせた肌から感じる相手の存在に二人の官能は鰻上りに高まっていった。

 

 もっと強く真と感じ合いたいとシェヘラザードは褐色の体を押し付ける。彼女が身動ぎすると反り返るほど勃起した肉棒の裏筋が腹部に撫でられ、もどかしい快感が生まれて真を苛んだ。微弱な刺激に我慢出来なくなった真は無意識の内に腰を動かし、シェヘラザードの体に逸物を擦り付け始める。溢れ出る先走りでどろどろにコーティングされた男根がモカ色の肌に透明な体液を塗りたくった。その様はマーキングでもしているかのよう。

 

 灼けた鉄を想起させるほど熱い肉槍が下腹部を汚していく感触にシェヘラザードの胎内がざわつき切なくなる。頭を支配していた真が欲しいという欲求が突風に煽られて燃え広がっていく山火事のように全身へと伝播して気が狂いそうだった。それは真も同じでシェヘラザードの腹部に我慢汁を塗り広げていた逸物がどくどくと脈打ち、早く本来の役目を果たさせろと持ち主をせっつく。

 

「シェラ、いいか?」

 

 上半身を起こし、体を少し離して真は挿入のため肥大し切った剛直を右手で握る。一度、喉を鳴らして唾を飲んでからシェヘラザードはゆっくりと両脚をM字に持ち上げ、中央にある割れ目を両手でそっと開いた。愛液でしとどに濡れた、綺麗なサーモンピンクの肉壺が曝け出させる。内側から流れ出る蜜液が濃密な陰毛を肌にはりつかせ、臀部を伝ってシーツへと落ちて白い生地に大きな染みを作っていた。

 

「私の用意は出来ております。何時でも、どうぞ……」

 

 女の花園の入り口に膨れ上がった亀頭を添える。モカ色とピンクのコントラストに息を荒くした真は期待に満ちた目を向けてくるシェヘラザードを見詰め返し、彼女の太腿を両腕で抱えながら腰を押し出した。みっちりと詰まった媚肉を掻き分け、蜜壺に分身を埋め込んでいく。張り出したカリ首が襞々を巻き込み、蠕動する肉孔を怒張がパツパツに拡げていった。潤沢な愛液が溢れるそこはあっさりと真を受け入れており、その様子は肉孔その物が逸物を吸いこんでいるかのよう。

 

 二人の股間が密着し、同時に亀頭がシェヘラザードの一番奥に到達した。寸分の隙間もなく膣内を一杯にされ、最奥をノックされたシェヘラザードは小さく甘い嬌声を漏らしながらごく浅い絶頂を迎える。胎内で想像を超えた存在感を放つ男の象徴に、全身を駆け抜ける快電流に体が強張った。

 

「大丈夫か?」

 

「い、え。大丈夫では、ありません。挿れられた、だけで、逝ってしまい、ました……♡」

 

 数秒のオルガズムを終え、シェヘラザードの体が弛緩する。軽く息を荒げ、とろんとした瞳を真へと向けた。視界に愛する人の姿が映し出されるのと同時にスパークして真っ白になっていた頭の中が桃色に染まっていく。この人を愛したい、この人に愛されたいという気持ちが爆発的に大きくなっていった。その想いは膣内にも如実に表れ、肉襞が一斉にざわめきだして咥え込んだペニスを刺激し始める。うねうねとうねり始めた膣肉に男根をなぶられる快感に体の芯をくすぐられながらも真は腰を使い始めた。

 

 ぱん、ぱんとリズム良く刻まれる肌を打ち合う音に混じってにぢゅにぢゅと零れた体液が擦れ合ういやらしい音が奏でられる。繋がり合った股間から流れる淫靡な二重奏。そこにシェヘラザードの鼓膜がとろけそうなよがり声が加わった三重奏に真の分身はより大きく硬く勃起し、腰のピストン運動がより荒々しいものになった。体の内部を出入りする長大なモノの存在にシェヘラザードの啼き声は男好きするものになり、彼女の声を聞いた真は生殖欲求を掻き立てられて打ち込みを強くさせる。互いが互いを昂ぶらせていく様は終わりの無い螺旋階段を二人で一緒に上っているかのようだった。

 

「んぅ、くっ、あぁん」

 

 褐色の肌を汗ばませ、色っぽく体をくねらせてシェヘラザードは真に愛される喜びを露わにする。砂漠の夜を思わせる落ち着いた美貌は秘所を蹂躙する肉棒がもたらす肉悦によってエロチックに歪められていた。彼女の淫蕩に染まっていく姿と腰の打ち付けに合わせて揺れる乳房が真の興奮を喚起させる。真は両腕に抱えていたシェヘラザードの両脚を放し、両手を弾む肉の果実へと伸ばしてた。

 

「んぅぅぅぅ♡」

 

 揺れ動くバストを両手でがっちりと鷲掴みにするとシェヘラザードの口から悦びの声が上がる。乳首を掌で押し潰すように動かせばシェヘラザードの嬌声は艶を増し、歓喜に震え上がる膣肉が逸物を締め上げた。カリ首に纏わりつき、肉竿を舐め回しながら逸物を奥に引きずり込もうとする媚肉の動きに真は全身を震え上がらせる。

 

「真様、もっとぉ……」

 

 豊乳を揉みしだく真の両手にシェヘラザードの手が重ねられた。彼女の求めに応じ、真は両手でモカ色の乳房を滅茶苦茶にしていく。下から持ち上げたり、中央に寄せ合わせたり、肌に跡が残るほど指を沈みこませたり、乳首を摘まみ上げたりして女性の柔らかさを楽しんだ。すべすべと触り心地の良い肌とそれに包まれた乳肉の感触は雄の射精欲求を右肩上がりに強くさせていく。

 

「あぁぁ♡ 乳首ぃ、乳首もっとぉ♡ もっとコリコリしてぇ♡」

 

 特に乳首を弄られるのが好きなのか、桜色の突起を刺激される度にシェヘラザードは体を痙攣させた。蜜壺もきゅんきゅんと収縮し、雄との結合を深く強いものにしようとする。男根を呑み込まんばかりに蠢く媚肉を振り払って真は腰を振りたくった。吸い付いてくる子宮口から亀頭を引き抜き、カリ首で肉襞を掻き毟りながら腰を後退させる。逸物が抜けきる直前で再び腰を前進させ、歓迎するように包んでくる媚肉を巻き込んで亀頭を子宮口にめり込ませる。

 

「おぐぅ、おぐぅ、ごりごりしへるぅ♡」

 

 恥骨の硬さが分かるくらい股間を密着させ、腰をぐりぐりと回すように押し付ける。円を描く亀頭に子宮口を押し潰され、シェヘラザードはがくがくと全身を痙攣させながらよがり狂った。開いた口から舌を突き出し、口角からだらだらと涎を垂らして見るも無残なアヘ顔を晒している。物語を語っていた時の姿とはかけ離れたシェヘラザードの乱れた姿に真は巨大な絶頂を予感した。

 

「シェラ、そろそろ出すぞ……!」

 

 シェヘラザードの豊乳を堪能していた両手をベッドに突き、彼女に覆い被さるように身を乗り出す。両手で体を支え、これまで以上の強さと速さで腰を前後させた。がつん、がつんと機関銃を連想させる動きでシェヘラザードを突きまくる。脈動し、膨張する男性器が蜜壺の中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜていった。

 

 嬌声というより最早絶叫と表現した方が相応しい声で啼きながらシェヘラザードは四肢を真に絡みつかせた。燃えるように熱くなった互いの体が我を忘れさせる。真は衝動のまま空気を求めて喘ぐシェヘラザードの唇を無理矢理奪った。相手の吐息で呼吸をするという自殺行為としか言い様のないことをしながら遮二無二腰をシェヘラザードにぶつける。雌の本能に熱された肉襞が男の象徴を食い搾り、絶大な肉悦を両者にもたらした。

 

 玉袋の中から何かが駆け上がるのを感じ、真は強烈な最後の一突きをシェヘラザードの奥に浴びせる。今にも火を噴き出しそうだった亀頭が開いた子宮口に突き立った。シェヘラザードがカッと目を見開くのと同時に精液が間欠泉となって噴き上がる。半固形のゲル状の体液が次々に吐き出されていった。

 

(あぁ、熱い、熱くて濃いのが中で出てる。我が王の子種が私の中一杯に……♡)

 

 愛する男の絶頂の証、白濁した灼熱の奔流を体の奥深くで飲み込んでいく。体を内側から溶かして蕩けさせる快感にシェヘラザードは全身をしならせ、震わせてオルガズムを露わにしていた。それは真のエクスタシー、胎内に収まり切らないほどの体液を吐き出す長い射精が終わるまで続いた。

 

 上体を起こし、腰を引いてシェヘラザードとの結合を解く。あ、とシェヘラザードの口から寂しそうな声が漏れるのと同時に栓を失った膣口からごぼりと白濁液が溢れ出した。膣内を満たしていた逸物が去っていった喪失感に寂しさを覚えながらシェヘラザードは手を伸ばし、秘所から流れ出てきた熱い精液を指で掬う。プルプルとゼリーのように震える白く濁った雄汁を前に表情はすぐさまうっとりしたものに変わる。むせ返りそうな雄の匂いが鼻腔を突いて一度は治まりかけた雌の欲求を再び燃え上がる。無意識の内に舌が伸び、ザーメン塗れの指を舐めていた。

 

(これが真様の味。何て、甘美な。もっと、もっと欲しい)

 

 くちゅくちゅと音を鳴らして精液を舌の上で転がし真の味を堪能する。口内に広がる濃い香りと味わいにシェヘラザードの真を求める欲望が加速度的に強くなっていった。シェヘラザードは意識を熱に霞ませながら目の前の真を、そして今だに隆々としている男根へと視線を飛ばす。精液と愛液で汚れた長大な肉棒に彼女はゆっくりと舌舐めずりした。

 

「真様、次は私が」

 

「え? わ、分かった」

 

 ベッドから身を起こし、短い言葉を伝えて真の両肩に手を置く。優しく、しかし有無を言わせぬ迫力で押し倒した。驚いた顔をする真に艶然と微笑みかけ、シェヘラザードは手を腹部に移動させながらがに股になる。ゼリー状の精液が溢れるほど注がれた秘所を露わにしたとても卑猥な姿。丁度、男根の上に秘部があるためか、勃起したモノにぼたぼたと白く濁った粘液が垂れ落ちていた。

 

「失礼、致します」

 

 ゆっくりとシェヘラザードの腰が落とされていく。触れ合った亀頭と膣口がくちゅりと音を立て、二人の口から呻き声が漏れた。見詰めてくる真に微笑を返し、シェヘラザードはそのまま肉棒全部を己の中に迎える。男と女の混合液で濡れていたそこは拍子抜けするほどあっさりとシェヘラザードの花園へと踏み入った。再び胎内を余すところなく埋め尽くした充足感が彼女に至福をもたらす。

 

 幸福感に包まれて恍惚の表情を浮かべるシェヘラザードの下、真は歯を食い縛って押し寄せる快感の波に耐えていた。肥大した逸物を呑み込んだ肉壺はさっき出した精液が残ってることもあってか、ぬめり気が凄まじく挿れただけでも達してしまいそうな心地良さだった。その上、さっきよりも積極的に蠢動する膣内が男根に絡みついて全体を磨き上げてくる。とろとろぬるぬるの肉襞に性器を揉み転がされる肉悦に真の我慢は水に浮かんだ泥船のように溶けていった。

 

「あぁ、いけません真様。そのような愛らしい顔をされては。私、もっと見たくなってしまいます」

 

 射精をこらえる真に心から溢れんばかりの情愛と体を突き破らんばかりの色欲を宿した目を向け、シェヘラザードはゆったりと腰を揺らし始める。前後に、左右に、円を描くように。時折、くいっ、くいっとしゃくるように腰を踊らせて肉壺の中でペニスを弄んだ。愛する男の体の上、にぢゅにぢゅと体液で濡れた肌を擦り合せながら淫らなダンスを披露する。色んな角度から肉棒を襲う様々な刺激に真の腰がびくびくと跳ねた。

 

「真様、真様♡」

 

 褐色の肌を紅潮させ、頬を赤く染めてシェヘラザードは真の名を呼ぶ。幸せという言葉をそのまま表情にしたような顔の彼女を見て、何時ものどこか憂いを帯びた姿を連想できる者はいないだろう。

 

 上下する腹部に置いていた両手を滑らせ、シーツを皺くちゃにしていた真の手を掴む。指と指を絡み合わせる恋人繋ぎで真の手を握った。そのまま一つになりたいと強く手を繋ぎ、シェヘラザードは一層妖しく腰を暴れさせる。胎内に収まっている真の逸物。腰が動くたびにその大きく硬い先端が子宮口をゴリゴリと抉り、チョコレート色の肢体の中で何十回と法悦の爆発を起こさせていた。

 

「あぁぁ、くぅぅ。我が王、どうか何時までも貴方の傍にいさせてください」

 

 快楽で凄艶な肉体をガクガクと震わせながらシェヘラザードは切羽詰まった声で懇願する。真の顔を覗き込む瞳には薄らと涙が溜まってきらきらと光っていた。

 

「貴方に物語をお聞かせすることしか出来ない女です。貴方に体を捧げることしか出来ない哀れな女です。ですが、どうか捨てないで下さい。貴方と離れ離れになってしまうなんて、私には耐えられません」

 

 そんなことになるくらいなら、とシェヘラザードは一瞬言葉を詰まらせるも、真を一途に見詰めて告げた。

 

「私は、死んだ方がマシです」

 

 カルデアに召喚された当時の彼女を知る者が聞いたら耳を疑うだろう台詞。ただ只管に死を恐れた女が、死ぬ以上に恐怖したことは愛する男から捨てられることだった。

 

「お願いです、私を捨てないで。私が差し出せるものは全て差し出します。貴方の望むことなら何だってします。だから……」

 

 悲壮さすら感じさせる声音でシェヘラザードは哀願を続けながら行為を激しく、より熱の籠ったものにしていく。真に少しでも大きな快楽を味わってもらうため、真にとって佳い女でいられるようにと大きく腰をグラインドさせた。二人の肌に擦られ泡立った体液が一層卑猥な音を立てている。

 

「どうか、どうか……きゃっ」

 

 不意にぐいと抱き寄せられ、シェヘラザードは短い悲鳴を上げた。真の胸にすっぽりと収まるように抱き締められる。頬に熱い吐息がかかり、間近に空色の瞳があった。潤んだ目を向けてくるシェヘラザードをもう一度強く抱き締め、真は彼女の目尻に浮かんだ涙を舐め取り耳元で囁く。

 

「放したりなんてしないさ。お前が俺に愛想尽かさないでいてくれる限りな」

 

 くい、と顎を持ち上げ、頬に軽いキスをする。

 

「お前は俺の女だ。誰にも渡さないし、誰にも殺させない。俺が生きてる限り、死ねるなんて思うなよ?」

 

「真様……!」

 

 感極まり、喜びに涙を流しながらシェヘラザードは真の唇にむしゃぶりつくように口付けする。胸の内に溢れる喜びのまま唇を吸い、舌を挿し込んで真のものと絡めしゃぶり合った。情熱的かつ淫靡なキスの音が部屋に響く。

 

 シェヘラザードの濃厚なディープキスに優しく応じながら真は両手を彼女の臀部に移動させた。大きく形の良いヒップを撫で回し、褐色の皮膚に覆われた尻肉を掌全体で味わう。滑らかな肌、柔らかく弾力に富んだ肉の感触に真の分身が彼女の中で更に太く硬くなった。

 

「ん、ちゅっ、ちゅむぅ。しんさまぁ♡」

 

 恍惚の顔で蕩けた声を上げるシェヘラザード。身も心も多幸感に包まれ、頭の中は溶けかけたアイスのようにドロドロになっていた。視界は真だけを映し、それ以外のものはどうでもいいといった感じだ。媚びた声で真を呼び、体を押し付けて甘えている。

 

 身をすり寄せてくるシェヘラザードの柔らかさを全身で感じながら真は啄むようなキスを何度か続けた。うっとりと目を細めてキスに応じるシェヘラザードに更に口付けをすると真は彼女の臀部を鷲掴みにした。そして腰を浮かせてシェヘラザードを軽く持ち上げる。ん、と小さく喘ぐシェヘラザードに少し余裕を失った声で囁きかけた。

 

「そろそろ我慢出来なくなってきたから、激しくするぞ」

 

 言うや否や、真は猛然と腰を打ち振り始めた。腰を下ろし、シェヘラザードの美尻が落ちてくるタイミングに合わせて思い切り突き上げる。肌と肌が強くぶつかる音を響かせ、猛り立つ極太の逸物を激しく出し入れして肉壺を抉っていった。

 

 突如、始まった真の容赦ないピストンにシェヘラザードは声も上げられずに絶頂を極めた。亀頭に最奥をこじ開けられ、肉傘で胎内を滅茶苦茶にされる快感が瞬く間に全身へと伝播する。意識を真っ白に塗り替えるエクスタシーに体が陸に揚げられた魚のように跳ね回っていた。

 

 シェヘラザードが逝っている間も真は腰の律動を止めない。一突きするごとに潮を噴く肉孔に欲望の限りをぶつけていく。

 

 遠慮も気遣いも無く踏み込んでくる侵入者を蜜壺は全てを使って歓迎した。愛液と精液で濡れた無数の襞が逸物に密着し、奥に引きずり込もうと蠕動している。襞の一つ一つが意思を持っているかのように波打ち、男の象徴を舐め回して射精を促していた。脳天まで痺れてしまう肉悦を味わいながら真は増々力を込めて腰を振りたくる。精を搾り取ろうとする膣内を振り払い、無我夢中で腰をぶつけた。

 

「シェラ、出すからな。お前の中に、思いっきり……!」

 

 射精欲が臨界点を突き抜ける予感に真は声を上擦らせる。既に許容限界を超えた快楽に溺れていたシェヘラザードは何も答えられず、虚ろな表情を浮かべた顔を真の肩に埋めてこくこくと首を縦に振るだけだった。頭の中には幸せの感情以外存在せず、半開きになった口から垂れ落ちた涎が真の肌を汚していく。

 

 輸精管を精液が駆け上がるのを感じ、真は力の限り腰を突き上げた。血管を浮かばせた剛直を根元まで淫裂に捻じ込み、開き切った子宮口に亀頭をめり込ませる。ビクッ、とシェヘラザードの体が大きく跳ねたのと同時に真も性感の頂に達した。

 

 怒張の先端から白濁の塊が噴き出し、ぬかるんだ雌穴に撒き散らされていく。玉袋の中に溜めこんでいた快感を丸ごと放出する解放感に真の視界はちかちかと明滅した。そこに追い打ちをかけるように蜜壺は強く締まって男根から更なる雄汁を搾り取っていく。ざわめく膣襞が竿を揉み回し、子宮口が亀頭を包み込んで精を吸い取る。意図せず腰が浮き上がり、次弾の白濁液をどくどくと撃ち出した。

 

 次から次に子宮の中に流れ込んでくる熱い雄のエキスにシェヘラザードは何度も体を痙攣させる。意識は霞み、だらしなく開いた唇からはだらだらと唾液が零れて真を濡らしていた。男根という大きな栓で塞がれているものの、許容量を超えていた雌孔からは白く濁った粘液が溢れている。

 

 互いに息を弾ませ、汗を浮かばせた体を抱き締め合いながら落ち着くのを待つこと数分。シェヘラザードが顔を上げて真を見詰める。目が合うとにこりと溶けるような笑みを浮かべた。

 

「しん、さまぁ♡」

 

 笑みを返してくる真を見ている内にシェヘラザードの中で新たな欲求が燃え上がる。未だに蜜壺の中で雄々しく屹立している雄のシンボル。これを下だけじゃなく、上の口でも味わいたいと。自覚すると、途端に涎が大量に溢れてくる。こくんと小さく喉を鳴らして唾を飲み、真との結合を解いた。露わになる二人の体液に塗れた極太。どろどろに汚れたそれを見詰めるシェヘラザードの顔は発情した雌犬のそれだった。

 

「こんなに汚れて。口でお清めします。こちらに」

 

ベッドの脇に跪き、縁をポンポンと叩いて真を誘う。真がベッドの縁に腰かけると、シェヘラザードは目を輝かせて真の両脚の間に体を入れた。目の前には精液がべっとりとへばり付いたどくん、どくんと脈動する男の象徴。立ち昇る濃い雄の臭気はシェヘラザードの情欲をこれでもかと揺さぶった。

 

 堪らずペニスにしゃぶりつこうとするシェヘラザードだったが、何か思いついたのか動きを止める。小さく真を見上げた彼女の口元には悪戯っぽい笑みが浮かんでいた。

 

 どうした、と真が訊ねるよりも早くシェヘラザードの顔がベールに覆われる。カルデアに召喚されてからしばらくの間、彼女が顔を隠していた胸元まである大きなものだ。豊満な体に衣服を何一つ着けていないのに、ベールで顔のみを見えないようにしている姿は何だか倒錯的だった。

 

「それどうするんだ?」

 

 真の問いにシェヘラザードは何も言わない。ベールで隠れているため表情も窺えないが、垂れた目元から想像するに微笑を浮かべているようだ。そのまま何も言わず、シェヘラザードは両手でベールを持ち上げて男根に被せる。股間が白い布に覆われて見えなくなった。

 

 不意に真の体がびくんと震える。亀頭にざらついた、湿った暖かい感触が走ったのだ。経験上、舌だと分かるその感触は焦らすように逸物の先端をくすぐる。ぬるぬるの宝冠部から腺液を舐め取っていた。

 

 どの部分にどんな刺激が与えられるか分からないこの状況。ベールに隠された雄の急所を弄ばれる快感はシェヘラザードの優しい舌使いとは裏腹に鮮烈なものだった。見えなくなっただけだというのに性感が何倍にも強くなったような錯覚さえする。何時ぞや、ジャンヌと一緒になってジャンヌ・オルタをイジメ抜いた時、ジャンヌ・オルタが何故あれほど乱れてよがり狂っていたかが分かる気がした。

 

 亀頭を舐っていた舌が目標を変える。グロテスクな色合いの粘膜から大きく拡がるカリ首へと移動した。亀頭と肉竿の境である出っ張りを舌先がなぞっていく。ぬるぬると蛇行しながら這い進んできたかと思えば、舌の先端を縁に引っかけるように舐め上げてくる。不可視の状態で唐突に押し寄せる肉悦に真は目を白黒させて腰を揺らした。

 

「そんなに良いですか? では、もっと……はむ」

 

 真の反応に気を良くしたのか、シェヘラザードの目元は緩んでいた。真を感じさせることがそのまま悦びになっているらしい。もっと真を気持ち良くしようとシェヘラザードは首を横に曲げて逸物を唇で挟んだ。艶のあるリップで左右から肉棒を甘噛みし、間から伸ばした舌で裏筋をチロチロと舐めながら下へとスライドしていく。男根の根元に辿り着くと裏筋を辿って上へと戻る。裏筋を舐めながらシェヘラザードは屹立する肉塊を唇でしごいていった。

 

「うっ、ぐっ……」

 

 蕩けた脳髄が感電したように痺れる感覚に真は声を詰まらせた。くぐもった声で快感を表す真を満足げな笑みで見上げてシェヘラザードはより強く唇を男根に押し付け、裏筋を弄ぶ舌先の動きを激しくさせる。柔らかなリップに竿を擦られ、舌先で裏筋を叩かれた男根は先端の割れ目から玉のようなカウパーを滲みだしていた。

 

「真様のお(つゆ)、とても美味しゅうございます……れるぅ、じゅるる♡」

 

 垂れてくるカウパー液をぺちゃぺちゃと音を立てて舐め取り、吸い上げる。シェヘラザードの口周りは自身の唾液と真の腺液で汚れ、ベールにも大小様々なサイズの滲みが出来ていた。布地へと染み込んだ臭いはシェヘラザードの鼻腔を直撃し、彼女の中の雌を大いにざわめかせた。

 

「次はこの中で……」

 

 言うや否や、シェヘラザードの口が大きく開かれる。時に激しく、時に悲しく物語を紡いでいた上品な唇が雄に奉仕するためだけに使われようとしていた。

 

 ぱくりと長大な分身の半分ほどが咥えられる。ビロードを思わせる粘膜に逸物をすっぽりと包まれる悦楽に真は呻き声を上げた。口に含まれただけなのに快楽電流が背筋を這い上がってくる。声を震わせる真を愛おしげに見詰めながらシェヘラザードは口内に収まったペニスの先っぽを一舐めした。

 

「うぅっ」

 

「んぐぅ!」

 

 鞭打たれたように真の腰が跳ね、美女の口の中に剛直を根元まで捻じ込んでしまう。自分の意思とは関係なしに押し入ってきた極太に喉奥を突かれ、シェヘラザードは美貌を苦しそうに歪ませた。

 

「ご、ごめん。大丈夫か、シェラ?」

 

 咽るシェヘラザードに謝る真だったが、見返してくる瞳に言葉を失う。薄い涙の膜を張った翠の双眸は淫欲の光を宿し、真に妖しい秋波を送っていた。ベールに隠された顔も情欲を浮かばせた瞳に相応しい下品な表情を浮かべているのだろう。知らず、真はごくりと生唾を飲んだ。

 

 んふ、といやらしく微笑み、上目遣いに真を見ながらシェヘラザードは頭を上下に振り始める。美しい黒髪がサラサラと揺れ、真の太腿を撫でていた。

 

 桃色の唇がじゅるじゅると音を立てて肉竿を吸い上げ、呑み込んでいく。グロテスクな肉塊が口腔の中に消えては現れるを繰り返した。濡れた口内粘膜が逸物を擦り立て、蠢く舌が絡みついて這い回る。全身の骨が抜き取られてしまいそうな快感に真は歯を食い縛ることしか出来なかった。

 

 口の中でビクビクと男根が脈動するのを感じたのか、シェヘラザードのご奉仕がより熱を帯びていく。涎を飛び散らせながら肉槍を呑む唇はジュボジュボと卑猥な音を鳴らし、舌がより激しく暴れて感覚器官を刺激してきた。頭の中に火花が踊り、真の思考は真っ白にスパークする。

 

 意識が消し飛びそうな快感に体を引こうとする真の腰にシェヘラザードの両腕が巻き付いた。絶対に逃がさないと目をギラギラ光らせ、狂ったように頭を振ってディープスロートに没頭している。激しく振り乱される黒髪が真の体を叩いていた。

 

「出る、出る……!」

 

 分身が溶け落ちそうな感覚に襲われ、真は思わずシェヘラザードの頭に両手を置く。それを合図にシェヘラザードは両腕で真の腰を抱き寄せ、爆発寸前のペニスを根元まで口の中に収めた。瞬間、真の体がビクンと大きく震え上がり、はち切れんばかりに勃起していた男根が怒涛のような射精を始める。

 

「んぶぅ!? うぐっ、ぐぅ……ごきゅっ、ごきゅっ」

 

 一瞬、シェヘラザードの頬がフグのように膨らんだ。頬を内側から破らんばかりの量の精液を出されて目を見開くが、すぐに喉を大きく鳴らして白濁したゼリーを飲んでいく。舌の上に広がる味と口腔に満ちた臭いにシェヘラザードは目を輝かせ、もっと欲しいと締めた口唇を男根に吸着させてバキュームしていった。

 

 次々に鈴口から噴き出てくる大量の精液を何度も飲み下した。噴水の如く射精を続ける真にうっとりと目を潤ませ、シェヘラザードは終わりの見えない射精を受け入れ続ける。何度出しても変わらない濃厚な味と臭いに頭をぼうっとさせたまま肉棒が鎮まるまでバキュームを続けた。

 

 射精が終わったのを確認し、シェヘラザードは尿道に残った精液を啜り出してペニスを口から引き抜く。シェヘラザードの口腔から解放された唾液塗れの逸物はビクビクと脈打っていた。

 

 射精後の虚脱感に真が大きく息をしているとシェヘラザードに膝を軽く叩かれた。何事かと視線を彼女に向けると、シェヘラザードがゆっくりベールを外しているところだった。真に視線を向けたまま脱いだベールを落とし、大きく口を開く。そこにはたっぷりの白濁液が溜まっていた。舌でゲル状の精液を掬い上げ、落として唾液と混ぜ合わせていく様を見せつけてくる姿は淫魔と呼ぶに相応しい。

 

 射精したばかりの剛直が早くも最大仰角し、鈴口から腺液を滲ませている。淫靡な表情でくすりと笑い、シェヘラザードは口の中で精液と涎を掻き混ぜ続けながら両手で重たい肉球を持ち上げた。まろやかな膨らみがたぷたぷと揺れ、しっとりとした質感を放っている。自らバストを揉みしだくシェヘラザードの姿を真は目を皿のようにして凝視した。

 

「れるぅ……」

 

 胸に視線が固定されている真に妖しく笑いかけるとシェヘラザードは豊乳を寄せ上げて谷間を作る。そしてその上に口の中の粘液を垂らした。艶やかな唇から糸を引いて粘つく白濁液がモカ色の谷間へと落ちる。褐色の肌を白く穢し、谷間の中へと消えていく。その様を真は食い入るように見詰めた。

 

 口の中の粘液を全て出し終えるとシェヘラザードは乳房を左右互い違いに動かし始める。にぢゃにぢゃ、と乳肉の間から鼓膜にへばり付くような音が飛び出てくるのに時間はかからなかった。肉の果実二つを擦り合せ、乳房の間に白濁の潤滑液を馴染ませるとシェヘラザードは膝立ちしながら前のめりになる。精液で汚れた谷間が丁度、そそり立つ男根の真上に位置した。

 

 頬を染め、悩ましい吐息を漏らしながらシェヘラザードは乳房を下ろしていく。肉槍の切っ先が谷間へと埋まり、幾つもの太い血管を浮かべた竿全体が乳肉の中に収まっていった。つん、と桜色の先端を尖らせた双乳の間から精液でぬるぬるになった亀頭が飛び出てくる。

 

「凄い。硬くて、太くて、大きくて、素敵♡」

 

 うっとりと、恍惚の表情を浮かべてシェヘラザードは甘い吐息を顔を覗かせた亀頭に吹きかけた。ピクン、と谷間の中でペニスが揺れたのを感じ、口元にご満悦の笑みを浮かべる。肌に当たる男根の熱、脈動、血管の浮かび具合。一つ一つが奉仕欲を掻き立てる。快感に顔を歪める真を見上げたまま、シェヘラザードは両サイドから乳房を潰すようにして上半身を動かし始めた。

 

 粘ついた音を鳴らしてたぷんたぷんの豊乳が男根を擦り上げていく。きめ細やかな柔肌は滑らかで心地よく、精液のぬめりも合わさって格別の触感だ。豊かな肉の果実は圧倒的な質量をもって逸物を押し潰し、揉みくちゃにする。脳を直撃する肉悦に加え、頬を上気させた褐色の美女が豊満なバストに男性器を挟む光景に真の性感は天井知らずで高まっていった。

 

「あぁ、熱い、熱いです、真様のおちんぽ♡ 胸が灼けてしまいそう……♡」

 

 時折、真の口から漏れる微かな呻き声にシェヘラザードは乳奉仕をますます激しくしていく。抜群の弾力に満ちた乳肉で男根を包み込み、先端から根元まで余すところなく揉み捏ねた。乳肌で肉竿を擦り上げ、乳肉で性器を圧迫して真の官能を燃え上がらせていく。

 

 髪と共に体を揺らしてパイズリに没頭していたシェヘラザードの動きが一度止まった。両手に更に力を込め、乳圧を強めながら豊乳を持ち上げていく。肉竿の半分が露出し、宝冠部が谷間の中に収まる位置で体を固定すると乳房を小刻みに速く、左右別々に上下させ始めた。

 

「う、ぐぅぅ」

 

 言葉にならない衝撃が真の頭を直撃する。すべすべもちもちの乳房がずりゅずりゅと卑猥な音を奏でて亀頭やエラを摩擦していく感触に真は体を震わせて喘いだ。男根でも特に敏感な箇所を重点的に責められ、射精感が瞬く間に強くなっていく。肉の果実の中でペニスはビクビクと脈動し、より太く熱くなりながら我慢汁を谷間に吐き出していた。

 

「真様のおちんぽ、胸の中でどくどくと脈打っています。出したいのですね。何時でも好きな時にお出しください」

 

 淫魔の囁きと言わんばかりのシェヘラザードの甘い誘惑に尻の穴を絞めて耐える真。しかし、彼女の肉丘の中でもみくちゃにされている亀頭は火がついたように火照り、絶えず腺液を漏らしていた。果てるのも時間の問題だ。

 

 あくまでも耐える姿勢を見せる真にシェヘラザードの目が妖しい光を放つ。凄艶な色気を湛えた瞳は見るだけでも射精してしまいそうだ。

 

「胸だけでは満足出来ませんか? では、こちらでも……」

 

 乳房を男根の根元に下ろし、谷間から亀頭を露出させる。顔を覗かせた逸物の先端をかぷりと咥えた。竿を乳肉でしっかりと挟みながら口を窄め、亀頭を思い切り吸い上げる。追撃に鋭敏になった鈴口を舌でつつけば真の全身を鋭い快感が駆け抜けていった。

 

「ずぢゅ、ずぢゅるるる、ぢゅむ、ぢゅぱぁ」

 

 シェヘラザードのパイズリフェラにどうにか踏み止まっていた射精感が爆発する。アクセルべた踏み、ノンブレーキで絶頂へと向かっていった。真の意識は桃色に塗り潰され、もうペニスに溜まった快感を爆発することだけしか考えられなくなる。睾丸の中では精液がマグマとなり、肉棒を通って外に迸ろうとしていた。

 

 射精寸前の真を急き立てるようにシェヘラザードの舌が活発に動き始める。鈴口をくすぐっていた舌は今や小さな穴を穿り返し、亀頭全体を表と裏でべろべろと舐め回した。その上、カリ首の円周に沿って巻き付き、ぬるぬると這い進んでいく。止まらないシェヘラザードの舌技にペニスは電流を浴びたように痙攣し続けた。

 

(出して、出して♡ どろどろザーメン出して♡)

 

 豊乳がひしゃげるほど肉竿を強く押し潰し、頬をくぼませて亀頭を思い切りバキュームする。それが最後の一撃となり、真の射精感が臨界点を突き抜けた。遂に解放の時を迎えた雄の欲望が飛沫となって鈴口から撃ち出されていく。

 

 次々に吐き出される大量の白濁液にシェヘラザードの口が溢れ返る。更に暴れ馬と化した男根が彼女の唇から逃れ、噴き出る子種を端正な顔に浴びせていった。

 

「きゃあ♡ 熱いのが一杯……♡」

 

 顔に、髪に、胸元に白い粘液が着弾していく。肌や髪に貼り付く精液の臭いと熱さにシェヘラザードは至福の表情を浮かべて酔い痴れた。ベッドに身を投げ出して荒い息をしている真から体を離すと、谷間から怒張が糸を引いて抜けた。射精の余韻に震える逸物の先端に出来た精液の玉を舌で舐め取り、ベッドの上で体を跳ねさせる真にシェヘラザードはくすりと笑う。

 

「はむ、ちゅぱ、れろぉ、おいひぃ♡」

 

 顔や胸についた精液を指で掬い取り、しゃぶっていく。その味わいは正に極上の蜜だった。涎を垂らし、シェヘラザードは一心不乱に雄汁を味わった。

 

 シェヘラザードの指をしゃぶる音に真はゆっくりと身を起こす。目に飛び込んできたのは静謐な美貌を汚した白濁液を両手の指で掬い、音を立てて舐め取っていく佳人の姿。シェヘラザードの見せる淫靡な痴態に真は喉を大きく鳴らす。

 

 真の視線に気づいたシェヘラザードは妖艶な笑みを浮かべて真を見返した。翠の瞳をじぃっと真に向けたまま、人差し指にたっぷりの精液を絡めて口に運ぶ。子種にまみれた指を根元までぱくりと咥え、殊更いやらしく音を立ててしゃぶり上げた。目が釘づけになっている真に精飲の一部始終を見せつけていく。

 

「ちゅぱっ……真様。私、何だか体が火照ってしまいました。それにとても、疼いてぇ……♡」

 

 口から指を引き抜いたシェヘラザードは悩ましい息を吐きながら体をくねらせた。乳房を強調するように腕で持ち上げ、汗ばんだ体を抱き締める。真様ぁ、と甘ったるい鼻にかかった声で女は愛する男におねだりした。

 

「真様の太くて逞しいおちんぽで私の体、鎮めて下さい」

 

 頭の中で何かが勢いよくブチ切れる。がたんとベッドを揺らして立ち上がった真は驚くシェヘラザードの腕を掴んでバスルームの中へと連れ込んだ。

 

「わ、我が王、何を、きゃっ」

 

 不意に背中を押され、シェヘラザードは短い悲鳴をバスルームに反響させながら咄嗟に両手を前に出す。タイル張りの壁に両手を突く体勢になった。丁度、鏡の目の前でだ。天井のライトを反射させる鏡には臀部を突き出したシェヘラザードと、今まさに彼女を後ろから犯そうとする真の姿が映っていた。

 

 シェヘラザードの同意を待たず、真は彼女の腰を掴んで勃起を秘所に宛がう。両手に力を込め、肉欲に溺れた一匹の雄となって隆々とした逸物でシェヘラザードを貫いた。ぬるぬるに濡れている柔肉を掻き分け、一息に根元まで捻じ込む。腰がシェヘラザードの美尻にぶつかり、肉が押し潰される様はとてもいやらしかった。

 

「あ、あああ、あぁっ!」

 

 悲鳴じみたシェヘラザードの嬌声をホイッスルに真は腰を振り出す。パンパン、と肌を打ち鳴らす乾いた音を浴室に響かせ、下半身が溶け落ちそうな肉悦に身を委ねて機関銃を思わせる勢いでシェヘラザードを犯した。亀頭やカリ首、竿に肉襞が絡みつく甘美感。シェヘラザードの啼き声を聞きながら味わう快感は真を更なる肉欲の深みへと引きずり込んでいく。肉壺を満たす蜜液を掻き出し、真はシェヘラザードに強烈なストロークを打ち込んでいった。

 

「あ、あぁ、うぅ、うぁ、ひうぅっ!」

 

 真のオナホールでも使っているかのような腰使いをシェヘラザードは受け入れることしか出来なかった。見開かれた目には涙が浮かび、突き出された舌はピクピクと痙攣している。緊張して震える両脚の間からは男根に掻き出された体液と時折噴き出す潮が垂れ落ち、彼女の足元に淫液の水溜りを作っていた。

 

 しかし、彼女の膣内は不躾な侵入者を全霊を以て歓迎し、そして貪っている。侵入と脱出を高速で繰り返す肉棒にうねる膣襞がまとわりつき、動きに合わせて締め付けを強くしていた。粘膜が擦れ合う快感にシェヘラザードは軽い絶頂に至り、真はたまらない心地良さに鳥肌を立てる。

 

「ひゃあぁ!?」

 

 不意にパァン、と大きな音が鳴った。同時に臀部に走った鋭く微かな痛みにシェヘラザードは悲鳴を上げる。鏡に目を向ければ振り上げた片手を落とす真の姿が見えた。再び浴室にパァン、と小気味よいスパンキングの音が響く。二回目の悲鳴がシェヘラザードの口から飛び出した。痛みに思わず出た悲痛の叫びだが、その声音は自覚出来るほどに色を帯びたエロティックなものだった。

 

「これが、いいのか!?」

 

 詰るような問いかけと共に一撃が振り下ろされる。痛みは残らないが、痕と熱は残る絶妙な力加減の平手にシェヘラザードは嬌声を上げた。脳髄に叩き付けられる肉悦に混じって体を走っていく痛み。肉体を苦しめるはずの感覚だが、今の彼女の中では痛覚は悦びに変換されていた。

 

「叩くたびにお前の中、キュンキュン締まるぞ。叩かれながら犯されるのが好きなのか、この淫乱!」

 

 嘲笑を浮かべながら何度もスパンキングを繰り返す。愛する女を有無を言わさず犯し、痛めつけて言葉でいたぶる、普段なら絶対にしない行動に真の精神は未だかつてないほどハイになっていた。胸の内に噴き出るタールのようなどろどろの黒い感情に身を任せ、シェヘラザードをイジメ抜いていく。

 

「わ、わたしは、わらひはぁ……!」

 

 言葉を詰まらせ、涙を零して声を震わせるシェヘラザード。真に犯され、叩かれ、詰られるたびに言い様の無い感覚に全身を包まれていく。痛みと共に皮膚を這い上がっていくそれは決して不快なものではなく、寧ろ彼女を増々悦ばせるものだった。何度もスパンキングを浴びる内、シェヘラザードははっきりと自覚する。自分が尊厳を踏み躙られるような扱いを受けて悦ぶどうしようもない変態だということに。

 

「すきぃ……だいすきれすぅ♡」

 

 そこから先は一瞬だった。自分を変態だと認めたシェヘラザードは嬉々として真の行為を受け入れた。目を煌々と光らせ、自ら腰を揺らして更なる律動とスパンキングをねだる。蜜壺からにじみ出る愛液が量を増やし、男根へと絡みつく。

 

「たたかれるのすきぃ、おかされるのもすきぃ♡ だからもっとぉ、もっとください♡ ちんぽ、もっとぉ♡」

 

 シェヘラザードのリクエストに応え、真は腰の勢いを激しくさせる。張り出たエラが膣襞をえぐり、膨れ上がる亀頭が最奥をがつがつと連打した。そこに加わる臀部への痛みと衝撃。全てを快感に変えてシェヘラザードは半狂乱で啼いて悦びを露わにする。涙を流し、舌を突き出してよがりまくる姿は淫売の名がぴったりだった。

 

 シェヘラザードの啼き声を発奮剤に真は腰を叩き付ける。平手を落とされた褐色の尻肉が大きく揺れ、豊満な女体は汗と色気を飛び散らせていた。背後からでも分かるほどバストが弾む眺めに昂ぶりはデッドゾーンをひた走っていく。衝動のまま真は強烈なストロークをぶつけていった。

 

 ぬるぬるの肉壺が波打ち、収縮を強くする。シェヘラザードの性感と合わせて蠢く膣内に呑み込まれたペニスに電撃に似た快感が駆け抜けた。柔らかい肉襞に亀頭から根元まで締め上げられ、搾り上げられる。もうスパンキングする余裕も無くなり、真は括れた腰を掴んでピストン運動に全神経を集中させた。

 

 長い黒髪を振り乱してシェヘラザードは絶叫する。もう、興奮の頂上に達した体は一突きごとに逝っているような有り様だ。真の若さと力強さに満ちた腰使いで秘所を貫かれ、脳を肉悦に侵されてもう主の子種を受け入れること以外何も考えられなかった。

 

「うっ、ぐっ……出すぞ、中に出すからな!」

 

 意識が射精への秒読みを開始する。腰の抽挿を加速させながら種付けを宣言すると、シェヘラザードがこくこくと頷いた。蜜壺も複雑な蠢動を繰り返し、逸物から雄のエキスを搾り出そうとしている。下半身を支配する快感に従い、真は夢中で腰を振り立てて絶頂へと駆け上っていった。

 

 意識内のカウントダウンが終わるのと同時に法悦が肉棒を満たす。睾丸から噴き上がった白濁液が鈴口から飛び出し、奔流となって子宮の中に解き放たれた。

 

「い、いくぅ♡ あぁ、あああああぁぁぁぁぁ♡」

 

 熟れた体をエビ反りにしてシェヘラザードがアクメ声を浴室に響かせる。真が精液を撃ち出しつづける亀頭を子宮口にぐりぐりと押し付ければ声の艶と震えは大きく濃いものになった。

 

 腰の肉に指を食い込ませ、真は玉袋の中で煮え滾らせていた精液をシェヘラザードの中に次々とぶちまけていく。自分の女に子種を思う存分注ぎ込む支配感に全身が武者震いを起こしていた。

 

 大量の精を吐き出したにも関わらず、真の分身は全く萎える様子を見せない。むしろシェヘラザードの中でより強く硬くいきり立っている。男根の肥大化を感じたのか、エクスタシー後の余韻に浸かっていたシェヘラザードが体をくねらせた。男好きのする豊かで佳い肉体が揺れる姿に真の思考がもっとこの女を犯したいと凶悪な望みを浮かべる。

 

「いっ、ひあぁ……♡」

 

 再び腰が前後に動き始め、小刻みに収縮していた蜜壺を極太ペニスが蹂躙していく。もう悲鳴を上げる余力も残っていないシェヘラザードは声を詰まらせ、胎内を撃ち抜く快感にがくがくと震えていた。

 

 エクスタシーを迎えて敏感になっている体に真の一打ち一打ちが雷鳴のように響き、豊麗な体が大きく激しく跳ね回る。また体をエビ反りにするシェヘラザードに真は後ろから覆い被さり、鏡へと押さえつけた。眼球をくるりと上に向け、半分白目を剥いて意味の無い呻き声を漏らすシェヘラザードを欲望のまま犯し続ける。放出されたばかりの精液がカリに掻き出され、彼女の足元に愛液と混ざった白濁の汁溜まりを作っていた。

 

 逝きっぱなしの膣内が痙攣を繰り返す。その動きは出入りを続ける肉棒にダイレクトに伝わり、真は瞬く間に次の射精に至ろうとしていた。もっと多く、もっと大きな快感を貪りたいと真のピストンが爆発的に速くなる。恥骨に恥骨を叩き付けるように下腹部をシェヘラザードの臀部にぶつけ、衝撃で肉を揺らす赤くなった美尻に何度も何度も獣じみた欲望を打ち込んだ。

 

 ちかちか明滅する意識の中、男根が弾け飛ぶような感覚に襲われる真。精を吐き出そうとするのを菊門を締めて耐え、ずるりとシェヘラザードの秘所から分身を引き抜く。逝き汁や精液でコーティングされてどろどろのペニスを右手で激しくしごきながらシェヘラザードを自分の方に振り向かせた。

 

 一際大きく震えた男の象徴が白いエキスを迸らせる。勢い良く放たれた子種はシェヘラザードの至る所に飛んでいった。太腿、下腹部、胸、顔、髪にまで撃ち上がっていく。真が射精を終え、男根をしごくのを止める頃には彼女の美貌は白濁汁で悲惨なことになっていた。

 

 雄の臭いをむんむんと立ち昇らせる白いの粘液を大量のをぶっかけられたことに反応を示さず、シェヘラザードは目を虚ろにさせたままずるずると座り込んでいく。床に出来た大きな液溜まりの上に女の子座りして荒い呼吸を繰り返していた。

 

 美しい黒髪や褐色の肌を汚す白濁の精液、さっきまでの情事の激しさを物語る焦点の定まらない瞳、頬を紅潮させながら色欲に溺れていた表情を浮かべる顔。見るだけでも射精してしまいそうなシェヘラザードの姿に男根がバキバキに硬くなっていく。

 

「あ、ぁあ……♡」

 

 目の前であっという間に臨戦態勢に入る男性器にシェヘラザードはか細く引き攣った声を上げた。それは恐怖に出るものか、それとも期待に出るものなのか定かではないが、ただ一つ確かなのは真が鎮まるまでの数時間、シェヘラザードが欲望の捌け口にされ続けたことだけだった。

 

 

 

 

「真様、貴方は酷い人です」

 

「はい、返す言葉もございません」

 

「本当に、酷い人。私をあんなも、物のように好き勝手に……」

 

「本当にごめんなさい。シェラが魅力的過ぎて自分を抑えられませんでした」

 

「そ、そんなことを言っても許しません。本当に死んでしまうかと思ったんですから……もう♡」

 

 ぷい、とそっぽを向くも傍らに跪いたシェヘラザードは肌触りのいいタオルで真の体を拭いていく。これ見よがしに全身で私怒ってますアピールをしているが、頬は嬉しさに緩んでいた。

 

 あれから数時間と少し後、死んでしまいますと泣いて懇願するシェヘラザードを犯し抜いて淫楽の時を過ごした真。今はこうして互いの体を洗い流し、シェヘラザードに体を拭いてもらっているところだ。自分からやると言い出しただけのことはあり、真の肌をぬぐう手付きはとても優しく心地良い。

 

「話には聞いていましたが、あれ程の性豪(モノ)とは思いも……他の方々ともあんなに激しくなさっておいでなのですか?」

 

「うん、まぁ。同じくらいだったり、もっと激しかったり」

 

「……何故、皆様が我が王の女関係に不平不満を漏らさないかが分かった気がいたします」

 

 手を止めずにシェヘラザードは納得顔で頷く。身をもって体感した真との情事。あれだけ激しく情熱的に、身も心もたっぷりと愛され満たされれば文句だって出ない。まぁ、それだけされても真を自分だけのものにしたいと思う強欲なサーヴァントは割といるのだが、幸いなことにシェヘラザードは彼女達の側では無かった。

 

「これでよし。どこか拭き残しは」

 

「無いよ。ありがとう、シェラ」

 

 感謝を込めて軽いキスをする。真の唐突な口付けに顔を真っ赤にさせるシェヘラザードだが、嬉しそうに微笑んでいた。見詰め合い、視線を絡ませる二人。胸の内に溢れる愛情に背中を押され、どちらからともなく互いを抱き締め唇を合わせた。

 

「今度はシェラの物語の続きを聞かせて欲しいな」

 

「それはいけません。先ほども言ったではありませんか。今宵はここまで、と」

 

「そっか……なら、体に聞くしかないか」

 

「もう、そんなこと仰って。本当に酷いお人」

 

 真の脅迫として成り立たない脅しに抗議の声を上げるも、シェヘラザードの浮かべる表情は笑顔だった。

 

「では、どんな物語が聞きたいですか? 楽しいお話、悲しいお話、興奮する話」

 

 それとも、と潤んだ翡翠の双眸に零れ落ちそうな情愛を湛えて語り手は言葉を続ける。

 

「死に怯えるサーヴァントを溺れるほどの愛で包んでくれた、強く優しい王のお話?」




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
カルデアに所属する最後のマスターにして人類最後の希望。で、あると同時に子供の心を忘れない男。子供が物語に胸を躍らせるように、彼も物語に夢中になるのだ。今回の話で割りとSだったことが判明。でも、話を書いている作者のその時の気分でMにもなる。

『シェヘラザード』
最終再臨絵がエロくて素敵、大好きです。人理救済後のカルデアに召喚されたサーヴァント。戦いを強いることなく、死にたくないという自分の願いを尊重した上で他のサーヴァント達と変わらず接してくれる真を己の王と定めた。以降、話し相手になったり物語を読み聞かせるようになる。現在は真の優しさと愛情にどっぷり頭まで浸かっており、この人と離れ離れになるくらいなら死んだほうがマシ、とパラダイムシフトレベルの意識変革を起こす。褐色巨乳でエロくて素敵、大好物です。


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本編
『スカサハ』焦がれて求めて


 何をとち狂ったのかR-18なのを書いてみた。童貞の妄想を赤裸々に書いたいわば恥部。正気に戻ったら多分消す。


 ここは人理継続保障機関『カルデア』。何やかんやあって滅びそうな人理をたった一人の人間にどうにかこうにかさせて救わせようとする超絶ブラック機関である。何やかんやとかどうにかこうにかとかふわっとし過ぎだろ、と思ったそこの貴方、早速プレイしてみよう。その際は魔法のカードをお供にすることを忘れずに。

 

 さて、たった一人のマスターこと遠野真(とおやしん)は今日も今日とて元気よく銅、銀、金のリンゴを齧りながら世界を救うため素材や種火集めに奔走していた。

 

 この遠野真という人物、若年であるものの人間の出来た男であり、カルデアにいるスタッフは勿論、自分を先輩と慕う子犬系後輩サーヴァント、マシュ・キリエライトや召喚された様々な時代のサーヴァント達と非常に良好な関係を築いていた。

 

 これはそんな彼の人理を救うための物語……ではなく、人理を救う序に女性サーヴァント達に性的に食べられたり食べたりするお話である。

 

 

 

 

(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

「おい、人がこうやって奉仕してやっているというのに上の空で考え事とはいい度胸だな」

 

 ヂュポン、と音が鳴り、真は背筋を震わせる。軽く息を荒げながら視線を下、股間の辺りに向けた。ベットの上、大きく開いた両脚の間に全裸の美女が一人。

 

「誰のことを考えていたんだ、節操なしめ。こんな凶悪なモノを誠心誠意込めてしゃぶってやっているというのに酷い奴だ。それとも、この程度では不満か? もっと激しくしたほうがいいか?」

 

 自身の唾液でぬらぬらと光る真の逸物を白魚のような指で軽く扱きながら黒髪の美しい女性、スカサハは深紅の双眸で真を見上げていた。

 

「いや、あのですね御師さん。別に他の女のことを考えていた訳ではなくですね」

 

「咄嗟にそんな嘘がつけるとはまだまだ余裕だな。では、もう少しペースを上げるとしよう」

 

 言うや否や、スカサハは目の前にある剛直を吸い付くように頬張った。一分の隙間もなく唇を閉じ、陰毛が顔に当たるのもお構いなしに深く咥えこむ。先端が喉奥を突くが、苦しむ様子も見せず彼女は口内を埋める極太に舌を這わせた。

 

「んぉっ」

 

 陰茎に走った生暖かくソフトな感触に真は軽く背筋を反らす。真の反応に満足げな声を上げ、スカサハは舌をバキバキの逸物に巻き付けたまま頭を前後に激しく動かし始めた。

 

「ぢゅっぼっ、ぢゅっぼっ、ぢゅっぼっ! どうだ、唇と舌の波状攻撃は? これでカリを攻められるのが好きだったな……はあぁんむ、んじゅるるる」

 

 わざと大きく音を立てて真の反応を楽しむスカサハ。上目遣いに真を見る目の奥にはハートマークが浮かんでいた。

 

(愛してる、愛してるぞ真。全部、全部私だけに注ぎ込め。視線も、愛情も精液も何もかも)

 

 心の奥底で燃え上がる、自身の体を焼き尽くしそうな情念の赴くままにスカサハは真の肉棒を吸い立てた。 

 

 ペニスを呑み込みかねない勢いでしゃぶりつき、口内から引き抜くときはたっぷりと時間をかける。裏筋を刺激する舌先を何度も往復させ、カリ部分は舌を絡みつかせ一際吸引を強くする。そうすると笑いたくなるくらいの量の先走りが先端から溢れてきた。

 

「じゅるるるる……こんな融けた氷で薄まったコーラみたいな先走りはいいから早く本命を寄越せ。プリプリドロドロの極濃精液……精液、精液」

 

 熱に浮かされたように顔を赤くしながらスカサハは頬を窄め、肉棒に柔らかくも容赦ない圧をかける。形のいい唇からは止めどなく涎が垂れ落ち、シーツに沁みを作っていく。太い血管がはっきりと浮かび上がり、グロテスクと表現してもいいペニスを一心不乱に舐めしゃぶる様は淫猥としか言い様が無く、スカサハのその様を見るだけでも射精してしまいそうになりそうだ。

 

「スカサハ、そろそろ……」

 

 真が呻く。本当に限界が近いらしく、何時もの呼び方ではなくなっていた。真の呟きにスカサハは蕩けた目を爛々と輝かせる。頭の中はもう目の前にいる男と愛し合うことだけしかなかった。

 

「ちょうだい、一杯ちょうだい。真のザーメン、何時もみたいに溺れるくらい。その次は下の口に……」

 

 無意識の内に片手を自分の秘所へと宛てがい、真を迎え入れるための準備をしようとするが、そこは既に体内から溢れる蜜でびちゃびちゃになっていた。弄る必要はないと判断したスカサハはより一層肉棒への攻勢を強める。口内でびくんびくんと暴れ馬のように跳ねる逸物を舌で無理矢理抑えつけ、歯を立てないで口全体で扱き上げる。

 

「出る……!」

 

 ガチガチに固まった肉棒が一回り大きくなった次の瞬間、先端の割れ目から白濁の液体が噴き出した。その勢いと量は凄まじいの一言に尽き、一瞬でスカサハの口内を満たした。

 

「……!」

 

 口の中を埋め尽くす、むせ返りそうな男の匂いと味に絶頂にも似た感覚を味わいながらスカサハは白いドロドロを喉を大きく鳴らして嚥下する。ゴクリと音を立てて自分の精液を呑む美女の姿は堪らぬもので、真に再びの射精をもたらした。

 

(精液一杯。全部、全部飲む)

 

 ダムの放水のような射精を口で受け止め続けるスカサハ。恐ろしいほどの量の精液に頬がパンパンに膨れ上がる。息が詰まり、目尻に薄らと涙が浮かぶが彼女はペニスを放そうとはせず、逆に催促するように舌で撫で続けていた。

 

 意識が吹き飛びそうな快感に真は歯を食い縛って耐えた。一分以上の時間をかけ、漸く欲望の放出が治まる。荒い呼吸を繰り返す真を上目で見ながらスカサハは出し切れてない残りの精液を吸い上げた。

 

「ずぢゅるるるうぅ……んぽ。ひっひゃひはひはは(一杯出したな)」

 

「えぇ、本当にアホみたいにね。あぁ~、死ぬかと思った」

 

 精液どころか命まで吸い取られそうなスカサハのバキュームに対する真の正直な感想だ。真のぼやきに艶然と微笑みながら美女は彼と視線の高さを合わせ、大きく口を開く。彼女の口内にはまだ大量の白濁が残っており、唾液と混ざって少しだけ粘度が薄まっていた。スカサハは真に見せつけるように舌を動かし、舌の上で精液を弄ぶ。

 

「ひははひはふ(いただきます)。んぐ」

 

 殊更、大きく音を立てて飲み込む。再びスカサハが口を開き、綺麗さっぱり何もなくなった赤い口内を真に見せつけた。

 

「本当好きですね、俺の精液飲むの」

 

「お前が私の愛液を啜るのと何ら違いはないさ……休憩はこの辺で構わないな」

 

 今の一言二言交わしたのが休憩の内に入るのかという突っ込みは彼女に通用しない。普段、表情を浮かべない顔は情欲に塗れ、目にはこの男と愛し合いたいという欲望だけが浮かんでいた。

 

 いつも通り、こちらの都合などお構いなしのスカサハに真は苦笑いするも、既に彼の息子は臨戦態勢に入っていた。眩暈がするほどの美女にここまで求められて応えられなくては男が廃る。スカサハの細い肩を優しく、だが万力のような力で掴み、ゆっくりとベットの上に押し倒して彼女の上に覆い被さる。

 

 あん、と小さく声を上げるスカサハ。期待に濡れた紅の双眸が官能的だ。

 

「月並みな台詞ではありますが……今夜は眠らせないぜ」

 

 カルデアの夜は長く、二人だけの聖杯戦争は朝まで続いた。

 

 

 

 

 そもそも、彼らは如何にしてこんな肉欲を貪るような間柄になったのか。それを知るにはスカサハが召喚された当時にまでさかのぼる必要がある。

 

『影の国よりまかり越した。スカサハだ。マスター、と呼べばいいのだな。お主を?』

 

 そういって彼女は現れた。Dr・ロマンことロマニ・アーキマンやマシュ、ダ・ヴィンチちゃんことレオナルド・ダ・ヴィンチを筆頭としたカルデア職員達はスカサハというビッグネームの召喚に蜂の巣をつついたような騒ぎになっていたが、肝心の召喚者である真が、

 

『あれま。何か凄い美人さんが出てきちゃったよ』

 

 と、とてもマスターとは思えぬような発言をし、スカサハの調子を大いに狂わせた。

 

『っと、驚く前に自己紹介しないとな。俺、遠野真。マスター歴一分くらいの超初心者。サーヴァントの召喚とか初めてだったから、色々と迷惑をかけちゃうかもしれないけど、よろしくしてくれると嬉しいよ』

 

 そういって、人好きのする笑顔で握手を求めてきた真にスカサハははぁと握手に応じるしかなかった。

 

 とまぁ、こんな感じで二人のファーストコンタクトは終わったのだが、その先にスカサハを待っていた生活は想像していたものに比べ斜め四十五度にぶっ飛んだものだった。

 

 戦闘から戻れば、

 

『お疲れさんでした。やっぱ、御師さんは頼りになりますわ。次もマシュ共々よろしくお願いします。じゃ、風呂でも入って疲れを癒して下さ、え、入る必要がない? いやいや、敵さんの血やら砂埃なんかで汚れてるんだから入らなきゃダメでしょ。男ならとかく、御師さん女性なんだし』

 

 と言われ、入ったら入ったで。

 

『何で髪乾かしてないんですか? こんな綺麗な髪してるのに傷んだら勿体ないでしょ。えっと、ドライヤーと櫛はと……』

 

 何故か男に髪を乾かしてもらう羽目に。(余談だが、この時真に髪を梳かして貰ったのが大変気に入ったらしく、スカサハは風呂に入った後は必ず真の下を訪れるようになっていた)

 

 今、挙げたのもほんの一例であり、真は徹頭徹尾スカサハをサーヴァントとしても、影の国の女王としてでもなく、一人の人間、一人の女性として誠意と敬意を以て接した。

 

 本来のサーヴァントとマスターの関係を大きく外れた真の接し方はスカサハを大いに戸惑わせた。まして、女として接されるなど……。

 

 人を超え、神をも殺し、世界の外側という魔境の深淵に身を置いた、異常としか表現できない存在。死すらも失い、世界が消えるその時までただ在り続ける自分をどうして唯の諸人のように扱えるのか。

 

『いや、どうしてって言われましても。俺にとって御師さんは凄い強くて頼りになる美人のお姉さんってだけですからねぇ。影の国の女王とか、死ねないとかって聞いてもふ~んくらいにしか思いませんや。もしかして馴れ馴れしくて嫌でした?』

 

 そんなことはない。当惑こそすれど、人間として扱ってくれたのは素直に嬉しかった。

 

『あぁ、何時ぞやこんなこと聞いてきましたね。お前が求めるのはこの槍なのかそれともってやつ。俺が欲しいのは貴方自身ですよ。ぶっちゃけ、槍だけ貰っても俺使えないですし……って御師さん。聞いてます、もしも~し』

 

 こんな風に言われては一溜りもなかった。戦士としてでなく、師としてでもなく。一人の人間、一人の女性として貴方が欲しい。死を望むだけの彼女にとって、彼女自身を求める声はこの上なく甘美に聞こえた。

 

『私もだ。私もお前が欲しいよ、真』

 

 膨れあがった想いは止められそうになかった。もっとも、彼女に止める気などサラサラないのだが……。

 

 

 

 

 真の貴方が欲しいという爆弾発言の翌日。場所は真のマイルーム。

 

「あの、御師さん?」

 

「ん、どうした?」

 

 悪戯っぽい光を宿した瞳に見詰められ、真はいやそのと言葉を濁らせる。

 

「何か用か? それとも私がお主の部屋にいることに問題が?」

 

「別にそれ自体には何の問題も無いんですが……この現状が問題というか」

 

「なら、いいではないか」

 

 後半の蚊の鳴くようなボヤキを無視し、スカサハは本へと意識を戻した。ちなみに彼女が読んでいるのは真の私物の本である。

 

 スカサハが髪をかき上げ、耳にかける。風呂に入った時、髪を洗うのに使ったシャンプーの匂いだろうか、仄かに清涼感のある香気が真の鼻腔を刺激する。どこか爽やかさを感じさせる匂いだが、その中にはむせ返るほどの『雌』の香りが感じられた。スカサハの薫りに真は脳の奥が痺れてしまいそうだった。

 

(やっぱ、問題大ありだよね。この近すぎる距離感は)

 

 僅かな所作で匂いが感じられるほどの近距離。二人は同じベットの上にいた。といっても、それは男女間の関係を意味するものではなく(この数分後には意味するものになるのだが)、両脚を広げて寛いでいた真を背もたれにしてスカサハが本を読んでいるのだ。

 

 この時点でも事案発生確実といった状況なのだが、それよりも大きな問題があった。スカサハの格好だ。

 

(この人、何で俺のシャツを着てるの? 百歩譲ってそれはいいとしても、何で下はパンツだけなの?)

 

 どこでちょろまかしてきたのか、スカサハは真のシャツを着用していた。シャツの下にブラジャーなどつけておらず、ちょっと頭を動かして覗き込めばはち切れんばかりに自己主張する双山の頂上にある突起がはっきりと見えた。シャツの色が真っ白なためか、綺麗な桜色だと分かる。

 

 パンツも普通のものではなく、明らかに男を誘うためのものだ。黒い布地に花の刺繍がされたそれは辛うじて局部を隠しているだけで、それ以外はほとんど丸見えだった。

 

 格好一つとってもノックアウト寸前だというのに、追い打ちをかけるようにスカサハは真に積極的なボディタッチを仕掛けてくる。肩越しに伸ばしてきた手で顔をくすぐるように撫でたり、惜しげもなく晒した美しい生脚を真の脚に絡めたり。時折、ちらっと振り返っては顔を真っ赤にする真を見て満足げに笑っていた。

 

(何がしたいのか知らないけど、あんまり童貞をからかわないでくれねぇかなぁ。普段は紳士的な俺の愛馬も少し、いやかなり野性的になってきてる)

 

 どうにか両手で押さえつけてばれないようにしているが、時間の問題だろう。早くどいてもらわねば『私の愛馬は凶暴です』的な展開になってしまう。意を決し、真がどいてくれと声をかけようとするよりも早くスカサハが動いた。

 

「ふ~……、おい」

 

 本を閉じながら長い溜息。短い沈黙の後、少しばかり怖い声を出しながら振り返る。紅の瞳が放つ眼力に真は言おうとしていた言葉をあっさりと引っ込めた。

 

「これだけ誘っているというのに何故一向に手を出さない。お主、不能なのか? それとも男色の気が」

 

「はい? 不能、男色? それ以前に誘ってるって?」

 

「……まさかとは思うが、私が伊達や酔狂でこんな娼婦のような格好をして男の部屋に上がり込んだと思っているのか? 女が夜に男の部屋を訪れる理由など一つしかないだろう」

 

 やれやれと首を振り、スカサハは体勢を入れ替えて真に向き直った。ボリューム満点の胸をこれでもかと押し付け、思考が追いつかない真をあたふたさせる。

 

「お前に抱かれに来たんだ」

 

「だだだ抱かれ!? あの、それって抱きしめるって意味」

 

「男女の営みに決まっているだろう? それとも、どストレートにセックスと言おうか」

 

 スカサハは真の耳元に口を寄せ、軽く息を吹きかけながら片手をガードされた股間へと伸ばす。

 

「可哀想になぁ。持ち主がヘタレな所為で窮屈な思いをして。だが、安心しろ。すぐに楽にしてやる」

 

 妖艶に微笑みながら弱めのタッチで真の膨らんだ股間を擦る。おう、と声を上げる真にスカサハは笑みを深めた。

 

「御師さん、ちょっと待って。何で、こんなこと」

 

「決まっているだろう。お前に惚れたからだ」

 

 ちゅっ、ちゅっ、とわざと音を立てながらスカサハは何度も真の耳元に軽いキスをする。

 

「嬉しかったよ。自分で自分を終わらせることも出来ず、ただ世界と共に消え去るのを待っていた私などを求めてくれて。美人だと言ってくれたこと、髪を綺麗だと言ってくれたこと、髪を梳いてくれたこと。お前のしてくれる全てが嬉しくて、胸の中に燃えるような想いが産まれた」

 

 なぁ、教えてくれ、とスカサハは真に潤んだ紅い瞳を向ける。

 

「お前の傍にいたい、お前と共に生きたい。お前の暖かさを感じたい。お前のためならば命の限りを尽くし、魂が枯れ果てても構わない。世界を焼き尽くしてでも骨の髄まで一つになりたいと願う。この気持ちをなんと言うんだ?」

 

 スカサハの告白に真は顔を真っ赤にして沈黙する。彼女のいうその想いを言い表す言葉を彼は一つしか知らないし、その言葉は堂々と口にするには余りに気恥ずかしいものだった。

 

「私はお前にそれだ。いや、余計な言葉は捨てよう。私はただお前が欲しい……今は特に体がな」

 

 大きく股を開いて膝立ちになり、シャツの裾を掴んだ両手をゆっくりと持ち上げていく。露わになっていく極上のウエストラインを真は呼吸を荒くして凝視していた。ズボンの中では人生最大の興奮で肥大化した肉棒が泣いてるみたいに先走りを溢れ出していた。

 

「ん……」

 

 シャツが何かに引っかかるが、構わずにスカサハはシャツを脱ぎ捨てる。すると、窮屈な拘束から解放された豊満なバストがぶるんと音を立てて揺れた。

 

「どうだ、中々のものだろう」

 

 大きな音を立てて生唾を飲み込んだ真に見せつけるようにスカサハは胸を突き出した。支えがなくとも形を崩さない釣鐘型の巨乳。程よい大きさの乳輪の中央には先ほど脱衣の邪魔をした乳首が己の存在をアピールしていた。

 

「これが中々レベルだったら世の女性のほとんどが大したことないってことになりますが」

 

「褒め言葉と受け取ろう。で、どうする? お前が普段視姦していたものが目の前に、それも無防備でぶら下がっているわけだが。見ているだけでいいのか」

 

 視姦? 馬鹿を言うな。俺はただ戦闘中にたゆんたゆんと揺れるけしからんものを見ていただけだ、という愚かとしか言い様のない言い訳は彼方へと消え去り、真は導かれるように手を伸ばしていた。

 

「これが、女性の……」

 

「あん」

 

 おっかなびっくり、壊れ物でも扱うように真の手が乳房に触れる。もっとがっついた反応を期待していたスカサハは拍子抜けするも、愛しい男にやっと触れられた喜びに小さく甘い声を上げた。

 

 母親が赤ん坊を抱き上げるように優しいタッチを繰り返す。指に込める力を少し強くすると面白いように乳房の中に指が埋まっていく。指全体が柔肉に包まれる感触は未体験のものだ。

 

「随分と大人しいな。戦いの時はサーヴァント顔負けの暴れ振りを見せるというのに、閨では借りてきた猫のようだ」

 

 痺れを切らしたスカサハの挑発に真はムッと眉根に皺を寄せた。

 

「し、仕方ないやないですか。こちとら童貞だし。こうやって女の人に触るのなんて初めてなんだし。それに」

 

「それに?」

 

「強く触ったりしたら痛いでしょ。女性ってデリケートなんだし」

 

「……お前という奴は」

 

「むぶぅ」

 

 感極まった様子でスカサハは真を抱きすくめる。顔が綺麗に谷間に埋まり、完全に息が吸えない状態になるがそんなことはお構いなしだ。理性など当の昔にぶっ飛んでいてもおかしくない状況だというのに、真は快楽を求めることよりスカサハの身を案じていた。それが彼女には堪らなく嬉しかった。

 

「む~、む~」

 

「とと、すまんな」

 

 必死なタップに正気を取り戻し、スカサハはやっと両腕の力を緩めた。

 

「ぶはぁ!!」

 

 谷間の中から顔の上半分を出し、どうにか呼吸を確保する。じとっとした目で見上げると、すまんすまんと笑うスカサハの顔があった。

 

「つい、嬉しさに我を忘れてしまった。しかしな、真。私を気遣ってくれているみたいだが、要らぬ心配だ。このスカサハ、女の肌も知らぬ童に遅れは取らんさ」

 

 だから、遠慮などせずに自分がしたいようにしろとスカサハは言う。

 

「したいようにしていいんですか?」

 

「構わんさ」

 

「両手で滅茶苦茶に揉みしだいても」

 

「お前がしたいならな」

 

「舐め回したり」

 

「好きなだけすればいい」

 

「吸ったりとか」

 

「乳が出るまで吸ってみるか?」

 

 鷹揚な微笑が真の理性を破壊した。スカサハの両腕を振り払い、目の前のバストにむしゃぶりつく。

 

「んあぁあん、そうだ、それでいい」

 

 スカサハの嬌声を無視し、真は一切の加減をせずに目の前の巨乳を両手で蹂躙した。掌に感じる柔らかい肉の手触りに我を忘れ、無我夢中で全ての指を動かす。

 

「ひゃあん」

 

 指先にコリっとした独特の固さを感じるのと同時にスカサハが一際甘い声で啼く。見ると、両手の人差し指が左右それぞれの乳首を捏ね繰り回していた。

 

「乳首、弱いんですか?」

 

「ん、別に弱くなど。ただ、いきなりでびっくりしただけあはああぁぁ」

 

 豊かな双山を鷲掴みにし、二つの乳首に同時に吸い付く。面白いようにスカサハの体が跳ねた。

 

「弱くないんならこんな風にしても何の問題もないですよね。んじゅううううう……!」

 

 桜色の突起をしっかりと口に含み、涎と一緒に吸い上げる。舌先で突いたり、乳輪をなぞるように舐めればスカサハの声がより一層大きくなった。びくびくと体を震わせてよがる姿が真の興奮を掻き立てる。

 

 これ以上我慢できない。最後に大きく一吸いし、真は乳首を放した。両脚を膝立ちの状態にしたまま、スカサハは力なくベットに倒れ込む。荒い呼吸に合わせて唾液でてかったバストが上下していた。

 

「御師さん。俺、もう」

 

 床に服が投げ出される。スカサハは待ってましたとばかりに唇を舐め、全裸になった真に視線を向けた。若さ溢れる瑞々しい肌、無駄なく鍛え上げた洗練された肉体。そして雄々しく屹立する剛直。

 

「これがお前の」

 

 己を慰める時、妄想の中で自分を穿った肉棒。実際に目の当たりにしてみると、それはサイズも形もスカサハの理想と寸分違わないものだった。

 

「(あれが私の中に)……なぁ、脱がしてくれないか?」

 

 待ち望んでいた瞬間は目前だ。逸る気持ちを抑え、スカサハは媚びた声で真に呼びかける。声を出す余裕も無いのか、真は赤べこのように首を振りながらスカサハのパンツに手をかける。彼が脱がしやすいよう、スカサハが両脚を真っ直ぐに天井へと向けていたおかげですんなりと脱がすことが出来た。

 

 黒い布地は濡れていない部分がほとんどなく、彼女が真に負けず劣らず興奮していたことが窺えた。愛液塗れのパンツをまじまじと見ていると、スカサハがもどかしそうな声を上げる。

 

「そんなのはいいだろう。本命はこっちじゃないのか?」

 

 両手を膝に添え、恥ずかしげもなく広げる。しなやかだが、程よく肉の付いた太腿の中央、薄い陰毛が生えた秘所が曝け出されていた。割れ目は奥から止めどなく湧き出す蜜で洪水状態になっている。物欲しげに開いたり閉じたりを繰り返し、奥に見えるピンク色の肉が雄を誘っていた。

 

「女の人のそこ、初めて見ました……あの、触ってみても」

 

「余り焦らさないでくれ。指なんかよりも挿れるものがあるだろうが」

 

 先端から雫を垂らす逸物に熱い視線を注ぐ。既に肥大しきっているそれは先走りでべとべとになっていた。

 

「ほら、早くぅ」

 

 普段の言動からは想像もつかない甘えた声でスカサハに急かされ、真はおっかなびっくりしながらもスカサハの両脚の間に体を滑り込ませた。互いの太腿が触れ合う感触に小さく声を上げる二人。それぞれの性器が接合の瞬間を待ちわび、分泌物を垂れ流している。

 

「あの、御師さん。俺、初めてだからどこに挿れればいいのか」

 

「安心しろ、ちゃんと教えてやる。ほら、ここだ」

 

 一旦、腰を引いて距離を取る。ひくつく真の剛直を優しく握り、自身の雌穴に先端を宛がう。

 

「……!!」

 

 まだ触れ合っただけだというのに快感が全身を駆け抜け、真は精を吐き出しそうになった。だが、たったこれだけで出して堪るかときつく歯を食い縛って耐える。童貞丸出しの真にスカサハは頬を上気させながら艶然と微笑みかける。

 

「どうした、イったのか?」

 

 どうにか首を振って答える。一瞬でも気を緩めればぶちまけてしまいそうだ。クスクスと笑い、スカサハは全身の力を抜いて全てを真に委ねた。

 

「構わんぞ。膣内でも、肌でも好きな所に好きなだけぶちまけろ。今この瞬間、この体はその為だけのものだ」

 

 ブヅッ、と真の頭の中で何かが引き千切れる。同時に溜めに溜めていた欲望がマグマのように噴火した。叩きつけるように腰を前に出し、一気に肉槍を奥の奥まで押し込んだ。

 

「あああああぁぁぁぁぁ」

 

 絶叫じみた嬌声。肉襞を押しのけ、膣圧に抗いながら最奥を穿った逸物はスカサハを一瞬で快感の頂へと至らせた。糸を張った弓のように背中を反らし、足の指に力を込める。涎が顔を汚すのも構わずに舌を突き出しながらスカサハは全身を戦慄かせて悦びを露わにする。

 

「出るっ……!」

 

 真も無事では済まなかったようだ。生まれて初めて味わう、ペニス全体が肉襞に包まれる快感。スカサハの一番奥、子宮口に亀頭が当たると同時に彼女の中へ精を吐き出した。

 

「ああぁぁ、出てる、出てりゅうぅぅ」

 

 子宮に広がっていく暖かい感覚がスカサハにオーガズムを味あわせる。再びの絶頂に膣が潮を噴きながらうねる。みっちりと隙間なく密着する襞の蠢きが逸物を襲い、ほとんど間を置かずに真は二度目の射精を迎えた。

 

「だめぇ、壊れひゃう、壊れひゃうのぉ」

 

 迎える三度目の絶頂。首をいやいやと振るスカサハとは真逆に彼女の肉壺は潮を噴き散らし、真の肉棒をしゃぶり上げる。

 

「おあぁぁっ」

 

 二回の射精でただでさえ敏感になっているペニスに極上の名器であるスカサハの膣の蠕動に耐えられる訳もなく、情けない声を出しながら真は三射目を放っていた。

 

 まるで螺旋階段のようだ。スカサハが逝けば真が吐精し、真が射精をすればスカサハの体が快楽の山を登り詰める。終わることなく永久に続く無限廻廊。真の残弾が尽きればそこで終わるのだろうが、元々の体質なのかそれともスカサハが無意識に何かの術を施したのか。何度となく射精したにも関わらず、真の剛直は未だ萎えずに硬さと大きさを保っていた。

 

 このまま終わることのない絶頂合戦が続くかと思われたが、意外にも真のほうが状況に変化をもたらした。小刻みに震えているスカサハの細い腰を掴み、カリが膣内から出るギリギリのところまでペニスを引き抜く。大量の愛液と精液が膣から掻き出され、潮でぐしょぐしょになったシーツに落ちていった。

 

「こらぁ、抜くなぁ。抜いたら、抜いたら、もう許さんぞ」

 

 獲物を逃がしてなるものかと全ての肉襞がペニス全体に絡みついてくるが、十回以上の射精を経て多少の耐性がついた真はどうにか耐えきった。膣内を捲り上げられるような感覚にスカサハは体を跳ねさせる。

 

「お゛ぉっ」

 

 躊躇も気遣いも無い真っ直ぐな一突きにスカサハは獣のような声を上げた。肉と肉がぶつかり合う生々しい音と共にスカサハのバストが揺れる。乳首は見るだけでも分かるくらいに勃起しており、自分も構えと言っているようだった。

 

 真がスカサハに覆い被さる。右手をスカサハの背に回し、引き寄せながら右の乳首を口に含む。残りも放っておかず、乳首を人差し指と中指で挟みながら左胸を揉みしだいた。

 

 背中を這い回る手の感触、弄ばれるバストと乳首。そして膣壁を削るように前後する逸物。全てが快感となり、スカサハの脳内を焼き尽くしていく。

 

 人間のモデル等とは比べものにならないほど美しく均整の取れた手脚を真に絡ませる。与えられる女の悦びに溺れ、より多くの精を絞ろうと逸物を締め上げる。そこにいるのは影の国の女王でも、神を殺した戦士でもなく、ただ男と交わるだけの女だった。

 

「出る、出る出る出る!」

 

 それは男の方も変わりなく、人理救済を託された最後のマスターは己の使命を彼方へと放り投げて女を孕ませたいという本能のまま交尾に没頭する。最大サイズまで膨張させた剛直を更に一回り大きくさせ、組み敷いた女の子宮へと欲望を注ぎ込む。何度となく射したにも関わらず、濃さも量も衰えることは無かった。

 

 数えることすら馬鹿らしくなるくらい回数を重ねた絶頂。イキ過ぎて体を動かすことすら億劫なスカサハの意思とは裏腹に彼女の体は跳ね馬のようにびくつき、口からはあられもない悲鳴が漏れていた。

 

 吐精が続く。先端から白い精を吐き出し続ける中、真は再びペニスを動かし始めた。それは真にとっては勿論、絶頂から脱していないスカサハにとっても未体験の快楽だった。

 

「ま、まっへ。そんなことされたらああああぁぁぁぁ!」

 

 本当に壊れる、と言おうとするも、特に感じる部分を刺激されて悲鳴を上げる。ビクビクと絶え間なく脈動しながら射精を続ける剛直。子宮口に浴びせられる精液に肉襞をこそげていくガチガチに拡がったカリ。二つの刺激にスカサハは部屋中に嬌声を響かせた。壊れた水道のように噴いていた潮は今や噴水のようになり、真の下腹部を濡らしていく。最早、自分がどういう状態で何をしているかも分からないスカサハだったが、真の体に回した両腕両脚は決して放さなかった。むしろ、更に力を込め、全身で密着するように抱き寄せる。

 

 下半身を濡らす生暖かい液体や胸板に押し付けられて形を変えるバスト。そしてコリっとした乳首により一層の興奮を覚え、真は狂ったように腰を振り続けた。ぶじゅ、ぶじゅと卑猥な音を立て、粘膜が擦れ合う。結合部分から聞こえる水音は粘度と激しさを増し、二人の耳を犯していく。

 

 ふと、二人の視線が合わさる。アイコンタクトですらない一瞬の交錯。それだけで二人は申し合わせたかのように互いの唇を貪っていた。

 

「「ん、じゅるぅ、はむ、んちゅ、ふちゅ」」

 

 蛇の交尾のように舌を絡ませる。両者共に受けに回る気は毛ほども無く、相手を屈服させようと舌先を激しく動かして互いの弱点を探した。

 

 一分ほど続いた攻防を制したのは真だった。両手でスカサハの体を撫で回し、特に弱い部分を攻めて彼女の動きを止め、一気呵成に舌を口内へと捻じ込む。歯茎や舌の裏側を舐め回し、彼女の口に唾液を流し込んでいった。どうにか真の侵攻を防ごうとするスカサハだったが、太腿や背中を撫でる手の感触と激しさを増した腰の動きに窮地に追いやられる。先ほどから何度も逝きかけているところを意地で我慢しているため、体の中に快感が溜まりに溜まっている。このまま果てれば、今までとは比べものにならない絶頂を迎えることになるだろう。

 

 快感と幸福感で思考がろくに纏まらない頭の中、年長者として負けてなるものかと、スカサハは最後の抵抗として膣を強く締めた。

 

 びくびくっ、と真の背中が大きく震え、膣内を蹂躙していた亀頭がぴったりと子宮口にキスをする。一拍の間を置き、今までで最多となる精液をスカサハの中へとぶちまけた。

 

「っっっっ!!!!」

 

 唇で塞がれて声を出すことが出来ない口に代わり、下の口が大量の逝き汁を噴き出す。膣内に収まり切らなかった精液が混ざったそれはベットだけでなく、床にまで飛び散っていた。

 

 震えながら精を吐き出す逸物と、もっとと催促するように収縮する肉壺。収まりがつくまで長い時間をかけた。

 

 数分の時間を経て真の射精とスカサハの潮噴きがほぼ同時に終わる。互いに口付けをしたまま、二人はクライマックスの余韻に浸っていた。唾液や汗、果ては精液や愛液といった体液でドロドロの二人だが、洗い落とす気はないらしい。

 

 数分の時間を経て真の射精とスカサハの潮噴きがほぼ同時に終わる。口付けをしたまま、二人はクライマックスの余韻に浸っていた。唾液や汗、果ては精液や愛液といった体液でドロドロの二人だが、洗い落とす気はないらしい。

 

「御師さん、愛してます。ん」

 

「馬鹿者。スカサハと呼ばんか、ムードのない奴め。私もだ。ちゅ」

 

 抱き合ったまま、繋がったまま愛を囁き合う二人。夜の聖杯戦争が再会されたのはそれから数分後だった。

 

 

 

 

「まさか、これ程とはな……初物と甘く見ていたか」

 

 自分を抱きながら眠る男の寝顔を見ながらスカサハは呟いた。よく鍛えられた胸板に頬ずりし、キスを落とす。

 

 あれから数時間後、何十回と続いた夜の性杯戦争はスカサハの辛勝で終結した。そもそも勝ち負けの問題なのかという疑問が出てくるが、彼女としては年上の女性として年下、それも童貞に逝かされ続けるというのは我慢ならなかった。

 

「しかし危なかった。何か一歩でも間違えていれば、私が寝顔を見られる側になっていた」

 

 真が何十回と射精したのと同様にスカサハも数え切れない程の絶頂を味わっていた。今回は真が寝落ちするというある意味最低な幕切れとなったが、次はどうなるか分からない。

 

「精進せねばな」

 

 何のだ。

 

 それにしても、と嬉しそうに微笑みながらスカサハは真の胸板に指を這わせる。乳首を爪で軽く弄ると見る見る内に硬くなり、吸い付くのに丁度いい大きさになった。舌でなめ上げると、真の体がピクリと揺れる。この一夜で二人は互いの体のどこをどう弄れば気持ち良くなれるかをほぼ完璧に把握していた。

 

「我々は余程相性が良いのだろうな。相思相愛、体の関係も完璧。おまけにお前は鍛え甲斐もある。言うことなしだ」

 

 嬉しそうに何度も頷きながらスカサハは真の寝顔を見上げる。深紅の瞳に溢れる愛情の念。愛しい男を慈しむ光を湛えた目だが、その中にどす黒い独占欲があることをスカサハ自身、気付いていなかった。

 

「私はお前のものだ、真。お前がしたいことは何だってしてやる。お前が世界を救うというのなら、救ってやるさ……だからな、真」

 

 私を一人にしないでくれよ?

 

 彼女の意識の奥底からの言葉は本人にも気付かれることなく消えていく。ん、と真の左胸、丁度心臓の上にキスをする。ただ、キスするのではなく、強く強く吸い付いてキスマークを真の体に残した。

 

「後はこれを」

 

 光の灯った指先でキスマークの上に何かを描く。所謂、ルーン魔術というやつだ。彼女が刻んだルーン文字の意味は永遠。つまり、スカサハが消そうとしない限り、真についたキスマークは絶対に無くならない。

 

 これでよい、と満足げに頷き、スカサハは真の胸元から脱して彼の顔が目の前にくるように位置を調節する。穏やかな寝息が顔にかかるほどの距離。

 

「あぁ、幸せだ……」

 

 胸中を満たす幸福感に恍惚とした表情を浮かべ、影の国の女王はゆっくりと微睡みの中へと落ちていく。マスターと共に夢を見れることを願って。




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
所謂ぐだ夫。作者の趣味で変なキャラ付けをされる。名前はある二人の人物の名前を足して二で割った超適当。オリ主らしく、サーヴァントを普通の人扱いする異常な精神性の持ち主であり、おっぱいタイツ師匠に気に入られる程度には強く、そして精力絶倫。

『スカサハ』
真に徹頭徹尾女性として扱われた末に身も心も取り返しのつかないレベルでメロメロになってしまった人。死を求めているのは普通の存在ではなくなったから。だから、普通の女性として扱ってくれる男がいたら割りとコロッと堕ちちゃうんじゃないかな、という作者の妄想がこれでもかと反映されている。若干、というかかなり病んでる。多分、スキル欄に狂化:EXとか追加されてる。


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『マリー』お茶会(意味深)

 凄い勢いでアクセスやらお気に入りやらが増えてってる……そんなにエロいものが好きなのか、あんた達は!?


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

 冬木の地では堕ちた騎士王の汚れた極光を打ち破り、フランスでは邪龍の心臓に紅の魔鎗を叩き込み、その序に壊れた男の妄想から生まれた竜の魔女をぷちっと潰した。

 

 最初の特異点を無事に乗り越え、一息つくカルデア最後のマスター、遠野真。特に目立った損害も無い上、仲間も増やすことが出来た。最良の滑り出しといってもいい結果だろう。今は次なる特異点に備えて英気を養っているところだ。

 

 今回の話は新たに加わった仲間、クリスタルのように輝く笑顔の王妃とのお話である。

 

 

 

 

 

「お茶会。俺と?」

 

「えぇ。貴方のこと、もっと知りたいの」

 

 真の問いに天真爛漫な笑みを浮かべるのはカルデアに新たに加わったサーヴァントの一人、マリー・アントワネットその人だ。国を、人々を、そして全てを愛し、また国民からも愛されたナチュラルボーン・アイドル。どこぞの薔薇の皇帝やドラ娘とは大違いである。

 

 第一特異点で縁を結び、ライダーのクラスでカルデアに召喚された。キャスターとしての特性もあるようで、ライダー時は歌声を魔力弾にして撃つのに対し、キャスターの時はバレーボールを武器にしていた。頭の被り物といい、色々とぶっ飛んだ少女だ。

 

「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、俺なんかでいいのか? そういうお茶会って普通、女の子同士でやるもんじゃ」

 

 例えばジャンヌとか、と真は彼女同様にカルデアの一員になった少女の名を挙げる。彼女もマリー同様に真と結んだ縁によってカルデアにやって来た。さらに言うならもう一人ほど来たりしているのだが、彼女については別の機会に話すとしよう。

 

「ジャンヌとは昨日の夜、わたしの部屋で夜通しお喋りしていたわ」

 

「あぁ、だからさっきジャンヌと挨拶した時、少し眠そうだったのか。楽しかった?」

 

「えぇ!」

 

 星のような瞳、宝石のような笑顔。どこまでも人を惹きつけ、心酔させる存在がそこにいた。

 

「友達と話すのはとても楽しかったわ。だから、伴侶である貴方と話すのもきっと同じくらい楽しいはずよ」

 

 伴侶って、と苦笑する真。確かに彼女は以前にマスターは伴侶のようなものと言っていた。実際のところ、どうなのだろう。

 

「あら。わたし、何か変なことを言ったかしら?」

 

 真の反応にマリーは頬に指を当てながら首を傾げる。所作の一つ一つが可憐であり、そして可憐で、やはり可憐だ。

 

 いや、別にと答えながら真は腰を上げた。自分のことを知りたいと言ってくれた少女(それも相当な美少女)の申し出を断る理由があるだろうか。いや、無い。

 

「そのお誘い、ありがたく受けさせてもらうわ。準備するから、一時間後にまた俺の部屋に来てちょうだい」

 

「そう言ってくれると思っていたわ。ありがとう、マスター。大好きよ」

 

 満面の笑みを浮かべ、マリーは真を抱き締めた。首筋に両腕を絡め、少し背伸びして感謝と愛情のベーゼを頬に施す。

 

「それじゃマスター、後で」

 

 フフフ、と上機嫌に部屋から出ていくマリーの後ろ姿を真はキスを受けた頬を撫でながら見送った。

 

 

 

 

 それからきっかり一時間後、真のマイルームにはマリーのために作られたものが用意されていた。部屋の中央に丸型の白いテーブル。その上には作り立てのお菓子、淹れたばかりの紅茶で満たされたポットが置かれていた。

 

「まぁ、とっても美味しそう!」

 

 漂う甘い匂いに大はしゃぎするマリー。そんな彼女を見て、真も自然とにっこり。こうして二人だけのお茶会が始まる。

 

「……と、こんな感じの高校生活を送ってたよ」

 

「まぁ。予想はしてたけど、随分と破天荒な生き方をしてきたのね」

 

 紅茶とお菓子に舌鼓をしながら他愛のないお喋りを楽しむ。予想通りの、真が頭の中に描いた通りのお茶会が行われていた……ただ一点を除いて。

 

「はい、真。あ~ん」

 

「あ、あ~ん」

 

「どう、美味しい?」

 

「あい。我ながらいい出来ですわ」

 

「本当にね。わたしにも食べさせてくれる? そこのアップルパイがいいわ」

 

「はいな。あ~ん」

 

「あ~ん……うん、とっても美味しい」

 

 第三者が見たら口から砂糖を吐き出してしまいそうな光景がそこにあった。一つのソファに二人の男女。体が密着するほどの距離でお菓子の食べさせっこをしている。

 

(お茶会って普通、向かい合ってするもんじゃないのか? こんな隣でっていうか、くっ付いてするもんなの?)

 

 マリーの特に強い要望で、こうして一つのソファで仲良く、恋人同士のように座ることになった。ちらっと傍らを見てみれば、帽子(?)を外したマリーがにこにこと微笑んでいる。真に寄り添い、肩に頭を乗せてお菓子をねだる姿は王妃には見えないが、それでも人を惹きつけて止まないオーラは健在だ。

 

(近くね? フランスで出会った時から結構フランクだったけど、ここまでじゃなかったような……しかも、いつの間にかマスターじゃなくて名前呼びだし)

 

 別段、そのことについてとやかく言うつもりはないが。真が微かに首を傾げていると、何かに気づいたマリーが小さく声を上げた。

 

「あら。真、口元にクリームが付いているわ」

 

「え、マジで? 子供かよ俺は」

 

 マリーの指摘に真は慌てて口元を拭おうとするが、それよりも早くマリーが動く。

 

「わたしが取ってもいいかしら?」

 

 答えを受け取る前にマリーは体を伸ばす。真の頬に手を添え、傍から見るとキスをするような体勢。

 

「ちょ」

 

「ん……」

 

 小さく可愛らしいピンク色の舌がクリームを掬い上げる。ぬるりとした感触が真の背筋をぞくりとさせた。真が硬直して動かないのをいいことにもう一舐めするマリー。唾液と混り、薄く伸ばされたクリームを綺麗に舐め取っていく。唖然としている真を他所に舐めた箇所にキスをし、顔を離した。普段とは違う、どこか淫靡さを感じさせる表情が浮かんでいた。

 

「綺麗になったわ」

 

「そ、そうだね。あはは……」

 

 顔をまともに見れず、真は動揺を誤魔化すように笑いながら動かせる右手を所在無げに彷徨わせた。

 

「あ」

 

 偶々、手に取ったシュークリームを口に運ぼうとするが、力のコントロールを誤って潰してしまう。破けたシューからホイップクリームとカスタードが溢れ、手を白と黄色に彩った。

 

「あぁ、やっちまった」

 

 あたふたしながらテーブルの上にある布巾を掴もうと手を伸ばす。布巾で汚れた手を拭おうとするが、マリーが許さなかった。

 

「駄目よ。勿体ない」

 

「あの、マリーさん?」

 

「そんな他人行儀な呼び方は嫌よ。いつもみたいにマリーと呼んで……はむ」

 

 クリームに塗れた真の手を眼前に持ち上げ、まずは人差し指を口に含んだ。

 

「ちゅ……んちゅ」

 

 微かな音が唇の間から漏れる。口の中では動き回る舌がにゅるにゅると指に巻き付き、クリームをこそぎ落としていった。感覚鋭い指先がぬめぬめとした感触を敏感に感じ取る。こそばゆく、そして真の指に夢中でしゃぶりつくマリーがエロティックだ。

 

 人差し指を綺麗にしたマリーは続いて中指、薬指、小指と順番に、丹念に口の中で洗っていく。一つ一つに時間をかけ、愛情を込めていた。

 

「あぁ、とっても太い」

 

 最後の親指を口から抜いた際に彼女が呟いた台詞は自然と真の股間を熱くさせた。

 

「はい、綺麗になったわ」

 

「そ、そっしゅね」

 

 思わず、噛む。無事なほうの手で真っ赤に染まった顔を覆う真にクスクス笑いながらしな垂れかかるマリー。何時もの白百合の王妃としての顔は何処かへと消え失せ、男を求める女を全面に押し出した彼女がそこにいた。

 

「ところで話は変わるのだけれど、真。わたし、貴方にお礼がしたいの」

 

「お、お礼っすか?」

 

 脈絡のない話の変化に真は頓狂な声を上げる。

 

「いや、お礼をされるようなことなんてした覚えがないけど」

 

「そんなことないわ。あなたは何度もフランスで私を助けてくれたじゃない」

 

 言われて、漸く合点がいったと真は手を打つ。確かにフランスの特異点では幾度となく彼女の手助けをした。細かいものを挙げればきりがないが、大きなものだとワイバーンの襲撃を受けたフランス市民を彼女と一緒に守ったことだったりとか、彼女が竜の魔女に燃やされそうになった時は魔女をぶっ飛ばして救い出したりとか。

 

「言われてみれば確かに色々とやったな」

 

 改めて考えてみるとお礼の一つや二つ、貰っても別に罰は当たらない気がしてきた。

 

「で、お礼って言っても具体的にどのようなものなのでしょう?」

 

 フランス王妃の頃の彼女ならそれこそ割と何でもくれそうだが、今の彼女は遠野真のサーヴァント。持っている物は無く、あげられるものといえば頭に被っている帽子のような何かくらいだ。

 

「それは……」

 

 一瞬、口籠るも、すぐに意思を固めた顔を作る。彼女は真の手を掴み、ゆっくりと自分の胸元へと誘った。ふにゅ、っと柔らかい手触り。

 

「(小振りだけどしっかり柔らかい……)違う、そうじゃない!」

 

 余りのことに思考がマヒしてとんでもなくアホなことを考えてしまったが、真はすぐに正気を取り戻した。すぐに止めさせようとするが、灼熱を帯びた視線を向けてくるマリーの姿に言葉が出なくなる。

 

「今のわたしにあげられるものはこの体くらい。受け取ってもらえないかしら?」

 

「受け取れないってそんな大切なもの! 俺、そこまでのことして」

 

「してくれたわ。貴方はフランスの市民とフランスという国を竜という圧倒的な脅威から護り抜いてくれた。今のわたしはフランス王妃ではないけれど、かつてはフランス王妃だった。だから、わたしにはフランスを救ってくれた勇者に褒賞を与える義務があるの」

 

 王族としての矜持なのか。マリーの目には絶対に譲らないという強い意志の焔が燃えていた。直向きに見詰めてくるマリーを前に真は右往左往する。

 

(絶対、後に引かないよなこのお姫様。断るとか百パー無理だろ。でも、俺には御師さんが……)

 

 アイドルという言葉を象徴したような少女からの誘い。乗れるものなら乗りたいものだが、真にはスカサハという愛する女性がいる。彼女を裏切るような真似なんて出来ようはずもない。日本人らしい葛藤に胸を焼く真。

 

「あぁ、スカサハさんから許可は貰っていてよ」

 

「……はぁ!?」

 

 ここに来てまさかの爆弾発言。目を剥く真にマリーはことの次第を話す。曰く。

 

『あいつに抱かれたい? 構わん、構わん。好きにしろ』

 

 理由はこうだ。

 

『どんな女を抱こうが、誰に何をされようがあいつの一番が私であることに変わりはないし、私の一番があいつであることに変わりはないからな』

 

 元々のプライドの高さか、それとも真の童貞を奪ったという自信の表れか。彼女は自分こそが真にとって過去現在、未来永劫において最高の女であると信じて疑っていなかった。

 

「御師さん。あんたって人は……」

 

 まさか、己のあずかり知らぬところでそんなやり取りがなされていようとは知らなんだ。そもそも、何で自分とスカサハが男女の関係であることに気が付いたのか。言いたいことは山ほどあるが、それのどれを言えばいいのかか分からず、真は空いている手で顔を覆いながら項垂れる。

 

「真」

 

 しかし、どれだけ狼狽しようが現実は待ってくれない。呼びかけに振り向くと、劣情に染まった面貌のマリー。

 

「お礼なんてもっともらしい建前を口にしてるくせに、本当はただ貴方と愛し合いたいだけのいやらしい女の相手なんてお嫌かしら?」

 

 断られたらどうしようという不安に涙を浮かべる少女。スカサハの言葉、そして彼女のいじらしい姿に真は腹を決める。ゆっくりと少女の小さな体を抱き寄せ、唇を重ねることで彼は応えた。

 

「そのお礼、受け取ってもよろしいでしょうか、王妃様」

 

 

 

「んぅ……ちゅ、ちゅる……素敵よ、真……あむ」

 

 ベットの上、一糸纏わぬ姿の男女が抱き合っている。汗ばんだ体を隙間の一つも見つからないほどに密着させ、互いの体温と柔らかさを感じ合う。火照った体はどこを触っても熱く、その熱が二人の興奮をより一層高めていた。

 

「れろ、ちゅぶ……んちゅ、真、もっと舌を出して」

 

「こ、こうか?」

 

「ふふ、ありがとう……ん」

 

 大きく突き出された真の舌を自身の口に迎え入れてキスを再開する。舌先で軽い刺激を与えてきたかと思えば、口内の奥まで突っ込んできて濃厚な絡み合いを求めてきた。口元から溢れるぐちゅぐちゅという撹拌音が脳髄を蕩かせる。

 

「ふあ……凄く、興奮しているのね。さっきからお腹に当たっているもの」

 

 悪戯っぽく笑いながらマリーは真に体を押し付けた。ギンギンにそそり立ち、二人の体に挟まれている真の剛直が小さく震える。

 

「待っててちょうだい。すぐに気持ちよくしてあげるから。だから、今は」

 

 こっち、と真の唇を奪う。流石はキス魔と言うべきなのか、彼女の口付けは抜群に上手い。時に優しく、時に荒々しく快感を与えてくる。一度、ペースに乗せられると抵抗する間もなくノックアウトさせられそうだ。

 

(こ、このまま俺だけ気持ちよくなる訳には……)

 

 相手を思いやってのことか、それとも男子の下らぬ意地か。マリーが息継ぎに唇を離した一瞬に真は反撃に出た。マリーの全身をまさぐっていた両手を彼女の尻に回し、尻たぶをきゅっと摘まむ。

 

「あん」

 

 突如、臀部に流れた快楽電流にマリーの動きが止まった。その隙に彼女から少しだけ距離を取り、体をある程度自由に動かせるスペースを確保する。

 

「今度は俺の番だ」

 

 マリーの細いウエストを掴み、逸物の先端を彼女の腹部に近づける。玉のような雫を先端に浮かべた亀頭と臍が触れ合った。亀頭の余りの熱さにマリーはピクリと体を震わせる。

 

「凄い……熱くて、硬い。それで、次はどんなことをするの?」

 

 陶酔と興奮を浮かべ、マリーは目を輝かせて訊ねる。言葉で応えず、真はゆっくりと腰を動かし始めた。腰と連動した亀頭がマリーの腹部を滑っていき、沁み一つない白い肌に腺液の痕を残していく。

 

「どうだろ、これ?」

 

「どうって言われても……こんなことされたのは初めてだから」

 

 確かにこんな変態的なことをされたのは今回が初めてだろう。未経験の感覚にマリーは戸惑った。自分の体を紙、真のペニスを筆。そして我慢汁を絵具にして絵を描いているようだ。

 

 何を描いているのかは皆目見当がつかないが、熱心に筆を動かす描き手を見ると不思議と体の奥が熱くなる。自分の体がそれだけ相手を夢中にさせていると考えると、悪い気はしない。むしろ、もっと先走りを肌に塗り込んで欲しいとさえ思えてきた。

 

「わたし、結構好きかもしれないわ」

 

「俺も。これ、悪くない」

 

 敏感な亀頭をマリーの肌に押し付けたまま動かすのはセックスやフェラチオとはまた別の快感が感じられた。マリーの腹部に残った腺液の痕も卑猥で、視覚からも真の興奮を煽っている。

 

 暫しの間、二人は変態的行為に耽った。汚れ一つない肌を汚し、汚される行為は双方の興奮を高めるも、互いに果てるまでには至らない。

 

「次はわたしにやらせてちょうだい」

 

 攻守交替。今度はマリーが上になって真の全身に舌を這わせていった。軽いキスから始まり、蛇が全身をくねらせて進むように舌が下腹部へと移動していく。唇から顎を舐め下ろし、首筋には軽く歯を立てながらちろちろと舌先で喉仏をくすぐる。こそばゆい感触に真は小さく呻き声を漏らした。

 

「ふふ、感じてるのね。もっと、感じさせてあげるわ」

 

 真の反応に気を良くしたマリーは時折キスを混ぜながら胸部に辿り着く。指で鎖骨をねちっこく撫で擦り、ぷっくりと肥大化している乳首を舌で弄んだ。

 

「男の子も興奮するとこんな風になるのね。可愛いわ、ちゅ」

 

 膨らんだ突起物に軽く吸い付き、音を立てて飴玉のように舌でころがす。快感に耐える真の顔をマリーはどこかうっとりとした顔で見上げていた。

 

「好きよ、貴方のその顔……大好き。もっと見せて」

 

 少しばかりサディスティックな一面を覗かせながらマリーは攻める部分を腹部へと移した。

 

 このままやられっ放しではいられない。真はゆっくり、マリーに気付かれないように手を伸ばして彼女の体に触れようとするが、やんわりと払いのけられてしまった。

 

「だぁめ♪ 今はわたしの番。順番が回ってくるまで待ってちょうだい」

 

 さっきのお返しとばかりにマリーは巧みな舌使いで真の腹部に快感を与えていく。割れた腹筋の溝を舐めれば体が小刻みに震え、舌で臍を穿り返すと腰が大きく跳ねた。

 

「ここが良いのね? もっとしてあげる」

 

 臍の周りを重点的に攻める。片手を胸元へとやって乳首を摘まみ、残った手で腹に触れてしまうくらいに反り返った逸物を軽く擦った。掌で亀頭を包み、鈴口から漏れる腺液で滑りを良くする。

 

「このままお臍で気持ちよくなりたい? それとも、こっち?」

 

 臍を舐りつつ、肉棒をゆっくりと上下に扱く。既に先走りでドロドロになっていたマリーの手の動きに合わせてにぢゅにぢゅと卑猥な音を奏でた。

 

「うっ……し、下のほむぐぅ」

 

「ふふ、聞こえませ~ん♪」

 

 乳首を玩具にしていた指を真の口内へ突っ込む。抵抗する舌を指先で押さえ、マリーは真の逸物を弄り回した。鈴口を塞いだ人差し指を亀頭の形に合わせて動かす。残った指で我慢汁を絞り出すように竿全体を揉んでいった。

 

「凄い、噴水みたいよ」

 

 新たに出てきた液を人差し指で掬い、裏筋に塗り込む。四、五回指を天辺から根本まで往復させ、玉袋を優しく握る。散々焦らされ、遊ばれた体が射精を求めているのか、白い濁液を溜めこんだそこはパンパンに腫れ上がっていた。

 

「ぷはっ。マリー、そろそろ出そう……」

 

 やっと、口内からマリーの指を追い出し、真は苦しげな表情で限界を伝える。そう、と答えながらマリーは真の顔を凝視していた。必死で射精を我慢する顔。皮膚を真っ赤に染め、眉間に皺を寄せながら耐える姿がマリーの体の奥をキュンキュンさせる。

 

 もっとイジメたい。そう思ったマリーは無意識の内に真のペニスの根本を輪っかにした人差し指と親指でぎゅっと締めていた。

 

「ふぉうぅ!?」

 

 カルデアに住む謎生物のような声を上げる。余りの情けなさに顔を更に赤くする真の耳元でマリーは囁いた。

 

「出したいなら……出したいって言って」

 

 万人を奮起させ、活気づかせる魅惑の美声が一人の男にだけ向けられる。蠱惑的な声と喋り方は真の脳の奥まで痺れさせた。

 

「だ、出したい」

 

「どうやって?」

 

 マリーの中で加虐心が声を上げる。愛しい男をイジメることにどうしようもない快感と昂ぶりを覚えながらマリーは真の反応を愉しんだ。快楽を求める雄の本能と羞恥心がせめぎ合う、苦悩の顔。

 

「ほら、どうしたいの? 早く言ってくれないと、ずっとこのままよ?」

 

 頬の汗を舐め取り、耳の穴に息を吹きかける。ビクビクと真の体が痙攣し、亀頭が少量の先走りを噴き出した。暴発するのも時間の問題だろう。

 

「……たい」

 

 真の唇から蚊の鳴くような声が漏れる。マリーは聞こえない風を装いながら耳朶を甘噛みした。

 

「なぁに? もっと大きな声で言って」

 

「……マリーの手でちんぽ扱かれてザーメン出したいです!」

 

 ヤケクソの余り敬語になる。よく言えましたと言わんばかりにマリーは羞恥に震える真の頬に口付けし、輪っかにしていた指を上下に激しく動かし始めた。より一層強くなる卑猥な水音が二人の鼓膜を通して脳を犯していく。

 

「出る!」

 

 あっさりと限界を迎え、ダムが壊れたみたいに亀頭から精液が吐き出される。勢いよく飛び出した精液はびちゃびちゃと音を立てて真の腹に落ちていった。

 

「こんなに一杯……」

 

 剛直の震えが止まり、射精が治まった時には真の腹は大量の精液で酷いことになっていた。恍惚に目を光らせてマリーは精液を丁寧に舐め取っていく。夢中で舌を動かす姿は我を忘れてエサにがっつく犬のようだった。

 

「これでよし……あら、あらあらあら。ふふ、あんなに出したのに、まだここは全然満足してないのね」

 

 出てきた精液全部を飲み干したマリーが視線をペニスに向けてみると、全くと言っていいほど萎えていなかった。尿道に残った精液を垂れ流している、臨戦態勢の逸物にマリーは思わず生唾を飲む。自然と自身の秘所に伸びる手。軽く触れてみると、男を迎えるのに十二分なほど潤っていた。

 

 ちらっと真を見る。胸を激しく上下させて息を整えていた。回復するには今しばらくの時が必要だろう。それこそ、今の状態で女一人を押しのけるのは不可能だ。マリーの口元が妖艶に歪む。

 

「はぁ、はぁ……って、ちょっとマリー。次は俺の番じゃ」

 

「『バーサーカーソウル』発動よ。まだ、わたしのバトルフェイズは終わってないわ♪」

 

 慌てる真に跨りながらマリーはどこぞで仕入れたネタを楽しげに披露する。片手を真の胸板に置いて起き上がれないようにしながらもう片方の手で肉棒の先端を陰毛一つない割れ目に挿れる。

 

「んはぁぁ、まだ先っぽが入っただけなのにこんなに気持ちいい……真、貴方ってサーヴァント特攻のスキルでも持ってるんじゃないかしら」

 

 両脚で体を支える体勢。所謂、がに股の状態でマリーはクスクスと笑うが、真に笑い返す余裕は無かった。白百合の王妃が恥ずかしがる様子もなく両脚を開き、今まさに繋がろうとしている男と女の性器を晒している姿は視覚効果が強過ぎた。

 

 ただでさえ勃起していた肉棒が硬度と大きさを増し、放水器よろしくカウパー液を放出する。膣内に暖かい液をかけられ、マリーの体がピクリと揺れた。

 

「あん、焦らないで。もうすぐ、もうすぐだから」

 

 真にではなく、自分に言い聞かせるように何度も頷く。数回の深呼吸の後、一気に腰を落とした。

 

「「あああぁぁぁ……」」

 

 二人の声が重なる。最奥に到達した肉槍に子宮口をノックされ、マリーは容易く絶頂を迎えた。崩れそうになる脚を踏ん張り、口に手を押し当ててどうにか喘ぎ声を堪える。

 

「マリー。もしかして今逝った?」

 

 しかし、声は抑えられても膣の具合まではどうしようもない。ぷるぷると震える媚肉の動きから真はマリーが果てたことを悟った。

 

「ふ、ふふ、何の、ことかしら? わたしはまだまだ大丈夫よ。その証拠に、ほら」

 

 真の問いかけを誤魔化すようにマリーは腰をゆっくりと持ち上げる。肉襞の一枚一枚が剛直を舐め上げていく感触に真は腰を震わせた。マリーも膣内を擦り上げられ、唇から押し殺した嬌声を漏らす。

 

 膣内に入っているのが亀頭だけというところまで腰を持ち上げ、再び一息に肉槍を胎内に呑み込む。肉と肉がぶつかり合う音に混じり、粘膜同士が擦れ合う水音が室内に響いた。

 

「~っ!」

 

 全身を駆け抜ける快楽信号に懸命に抗いながらマリーは腰の上下運動を始めた。さっきまで真をイジメていた時の快感が忘れられないのか、動きの主導権を渡すまいと自分が上位であることを行動で示す。

 

 だが、体は非常に正直で、必死で声を抑えているのに肉棒が膣内を往復する度に甘い声を零している。おまけに膣が小刻みに収縮しているので、何度も軽くイっているのは真にもろバレだった。

 

 沸々と真の胸中に復讐の念が湧き上がってくる。散々玩具にされた羞恥、男の尊厳を弄ばれた怒りが一気に爆発した。この女にも同じ思いを、恥も外聞もなく快楽を求めさせてやろう。この憤怒、生半なことでは治まらぬ……!

 

 目線を上に持ち上げると、揺れる乳房が視界に飛び込んできた。小振りではあるものの、女性らしい丸みを帯びたライン。白い肌にはピンク色の乳首が突き出ていて、彼女の動きに合わせて上下に揺れ動いている。

 

「あはあぁぁぁ……」

 

 二つの乳首に狙いを定め、摘まんで捻るとマリーの口から一際色っぽい声が飛び出した。全身を震わせ、結合部から潮を溢れさせる。肉棒を絞り上げるようにうねる膣内に耐えながら真は人差し指で乳首を執拗に何度も弾く。その都度、マリーは体をくねらせた。

 

「だめぇ、それだめぇ。きもちよすぎるのぉ」

 

 全身を快感に支配され、マリーの動きが完全に止まる。その瞬間を逃さず、真は乳首をイジメていて両手で彼女の腰を掴んだ。マリーの矮躯を両手の力だけで持ち上げ、剛直が抜けきる前に彼女を落として腰を叩き付ける。

 

「ああああぁぁぁぁ」

 

 子宮口に亀頭が食い込む感触はマリーを大きくよがらせた。体中を突き抜けていく快感にマリーは耐えれずにぺたんと女の子座りをする。脚で体を持ち上げていた分がなくなり、より結合が深まった。

 

 浅く速い呼吸を繰り返してマリーは息を整えようとするが、そんな暇は与えないと真の容赦ない二撃目が彼女の肉壺を打ち抜く。再び体を奔った快電流にマリーは寸の間体を硬直させ、くたりと真に体を預けるように倒れ込んだ。目は虚ろになり体が弛緩し切っている。しかし、雌穴はしっかりと機能していて子種を頂戴しようと肉槍を包みながら蠕動していた。

 

「マリー。お前さんのここ、逝ったばっかりなのにぐちゅぐちゅ動いてるぞ。そんなに欲しいのか、淫乱王妃様?」

 

「ち、ちがうのぉ。わたしは、いんらんなんかじゃ」

 

 真の言葉責めを首を振って否定するが、真の分身を奥に誘い込むように蠢く膣内が彼女の言葉から説得力を取り上げていた。

 

「自分の体みたいに正直になれよ」

 

 左腕で背中を、右腕で臀部をホールドし、真はマリーが逃げられないようにしながら腰を緩慢な動きでグラインドさせた。亀頭が円を描いて子宮口を擦り上げ、マリーは背筋が粟立つのを感じた。

 

「俺にどうして欲しいんだ?」

 

 首筋まで真っ赤に染まったマリーの耳元で囁く。言葉自体が快感になっているようで、真が呟くたびに彼女の膣がペニスを締める力を強めた。

 

「……逝きたい」

 

 消え入りそうな声で呟く。しかし、真はん~、聞こえんなと言わんばかりに彼女の背筋を指でなぞり、桃のような尻を撫で回した。

 

「何か言った?」

 

 ニヤニヤと笑う真にマリーはう~、と可愛らしい唸り声を上げる。焦らさされた体は絶頂を求めているが、今膣内を刺激するゆったりとした動きでは果てることが出来ない。フラストレーションが溜まるばかりで、生殺し状態だ。

 

「い、逝きたひぃん」

 

 意を決し、恥も外聞もかなぐり捨てて懇願しようとするマリーの言葉を子宮口への軽い突き上げが妨げる。こつこつと優しく子宮口を突かれ、マリーは言葉を詰まらせた。微弱な快感で舌が上手く動かせない。

 

「ん~、聞こえんなぁ。悪いけどもう一回、言ってくれるか?」

 

「いじわりゅ、しんのいじわりゅう」

 

 涙目で睨み付けるも、特に効果は無い。霞がかかってぼんやりとする頭を必死で動かし、回らない呂律で言葉を紡ぎながら王妃は男に哀願する。

 

「いかしぇて。しんのちんぽでおもいっきりいかしぇてぇ。わたしのにゃかにしろいおしっこいっぱいだしてぇ」

 

 マリーの懇願に真は力強い抽挿で応えた。ベットのスプリングを利用し、思い切り腰をぶつける。子宮口を突き破らんばかりの突き上げにマリーは喉を震わせて悲鳴を上げた。だらしなく開いた口から舌を出し、涎を垂らして嬌声を上げ続ける。

 

「凄い……マリーの中、うねって絡みついてくる」

 

 待ち望んだ刺激に膣全体が悦び震える。熱い肉壺が剛直を余すとこなく覆い、精子を求めて締め付けを強めた。

 

 陰部への刺激もさることながら、火傷してしまうのではと思えるほどに熱い汗ばんだマリーの体の感触。すぐ耳元から聞こえる魅惑の嬌声。様々な要素が合わさり、射精へと性感が急速に高まっていく。

 

 更なる快楽を求め、真はより荒々しく腰を動かす。肉襞を削るようなピストン運動にマリーの声は大きさを増し、真自身も強い快感を覚えた。強まっていく膣圧が加速度的に二人の性感を高めていく。

 

「マリー、中に出すぞ!」

 

「いくぅ、いくいくいぐぅぅ!」

 

 最後の突き上げをトリガーに真は白濁液をマリーの中へと吐き出す。子宮に直に精液を注がれ、マリーは声も無く全身を小刻みに痙攣させて絶頂を迎えた。体が宙に浮いたような解放感が二人を包む。

 

 射精が治まり、二人はベットの上に身を投げ出した。荒い息を繰り返しながら真はマリーを見やる。真同様に大きく呼吸をするマリーと目が合った。熱に浮かされ、快楽に酔いしれた蕩けた瞳。

 

「もう、酷い人……」

 

 意識をぼんやりとさせたまま、マリーは愛しい男と口付けを交わした。

 

 

 

 

「お~い、マリー」

 

「……」

 

「マリーさんや~い」

 

「……つーん」

 

「いや、自分で言うもんじゃないだろ」

 

 ポリポリとこめかみを掻き、真は自分の腕の中にいるマリーの名を呼んだ。返事をせず、私怒ってますと態度で示すマリーに真は困り顔だ。

 

「女の子をあんな風にイジメる人となんて話すことはありません」

 

「いや、それを言ったら貴方も随分と俺に酷いことをしたと思うんだけど」

 

「ぷい」

 

 どうやら、自分に都合の悪いことは一切聞かないつもりのようだ。わざわざ声に出してそっぽを向く。しかし、本気で怒っている訳ではないようだ。その証拠に真の腕の中から出ようとしない。

 

「あ~、うん。分かった、俺が悪かったよ。謝るから機嫌直してくれないか?」

 

「……本当に悪かったと思ってる?」

 

「本当本当」

 

「じゃあ、わたしが良いって言うまでキスしてくれたら許してあげる」

 

「それくらいならお安い御用だ」

 

 体を反転させ、向き合うマリーの後頭部に手を当て、ゆっくりと引き寄せて優しくキスする。真からのキスをマリーは目をうっとりさせて受け入れた。

 

「ん……これで許してくれるか」

 

「だぁめ。これくらいじゃ許してあげない」

 

 じゃあ、もう一回と再びキス。それでもマリーの機嫌は良くならない。というか、満足していない。何度、口付けをしても彼女は駄目と答えて次のキスを催促するだけだった。

 

「マリーさんや。まぁだ許してくれないのか?」

 

 一時間以上もキスをし続け、流石に疑問を抱いた真はマリーに訊ねる。このまま終わりのないキスを続けるのは些かしんどいものがあった。

 

「えぇ、許してあげない。もっと、もっとしてくれなきゃ許さないんだから」

 

 何故なら彼女はマリー・アントワネット。世界で一番、我儘な女の子なのだから。




軽いキャラ紹介

『遠野真』
主人公。口調が安定しない。MでもSでもアブノーマルな性癖じゃない限り割と何でも出来るオールラウンダー。スカサハに操を立てようとするも、魅力的なサーヴァントの誘いにあっさりと陥落。この話の後、スカサハに謝りに言ったが、彼女の『いい男の周りには雌が群がるものだ』という言葉に開き直る。ちなみにお菓子の作り方は冬木に行った際、戦った褐色肌の白髪頭の男の人から貰ったノートを読んで覚えた。

『マリー・アントワネット』
我等がアイドル、マリーちゃん。書いてる内に作者にSっぽくされてしまった人。多分、第一特異点で真にフラグを立てられたと思われる。互いに守ったり守られたりしてるうちに惚れたんじゃないですかねぇ(適当)。ゲーム内ではスキルのせいで無敵要塞と化すが、この話では受けに回ると弱い。ガラスだからね、仕方ないね。


 ちなみにスカサハさん的には真が自分以外の女を抱くのは別に気にしていない。ゲームを知人に貸すようなノリ。心も体も私のものだし、寝取れるもんなら寝取ってみなよぷげらぁと思ってる。尚、この話が二十話くらい続けば危機感を覚えるんじゃないかな。

 感想は時間が出来たら返します……後、こんなこと聞くのもどうかと思うけど、俺の文章って興奮出来ますかね? 書けば書くほど自分の文章に疑問が出てくるし……エロゲのライターさんとか官能小説書ける人って凄いと思いました(小並感)


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『ジャンヌ・ダルク』愛してください

『注意』
 今回は何時にも増してキャラ崩壊の要素があります。具体的に言うとジャンヌが淫乱になります。そんなのジャンヌじゃねぇ! とか俺達のジャンヌを汚すんじゃねぇ! と言う方はブラウザをそっと閉じてください。読んでも文句を言わない、仮に文句が言いたくても自己責任で処理できるかたのみお読みください。それと、この話に出てくるジャンヌは主人公にぞっこんです。ジーク君とのことは遠い世界の自分が経験した出来事程度にしか想ってません。その事も踏まえて読んでくださるようお願い申し上げます。


 この世で最も醜いもの。それは増える評価やお気に入りに釣られて話を書き上げる作者自身なのかもしれない……。


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

『こう、でしょうか、マスター?』

 

『そうそう、上手だ』

 

『えへへ、ありがとうございます』

 

『あ、そこは優しく。デリケートなところなんだから』

 

『す、すみません』

 

『謝ることはないさ。これからたくさん練習するんだから』

 

『そうですね……頑張ります』

 

『うんうん、そうやって素直に言ってくれるお前さんが好きやよ』

 

『そ、そんな好きだなんて……///』

 

『好きなんだから仕方がない。ほら、もう少しで終わるから集中して』

 

『は、はひ』

 

 人理継続保障機関『カルデア』の一室、最後のマスターである遠野真のマイルーム内で怪しげな会話がされていた。状況が分からぬ者が聞けば、会話の主達が艶っぽいことをしていると思うだろう。しかし、実際のところは違う。

 

「……よし。マスター、出来ました」

 

 そう言ってマスター、真にびっしりと文字が書き込まれた紙を差し出したのはサーヴァント、ジャンヌ・ダルク。特殊なクラス、ルーラーのサーヴァントだ。様々な特殊能力を持つサーヴァントだが、この話とは全くと言っていいほど関わりが無いので詳細は省くことにする。気になる人は「Fate/Apocrypha」を買おう(ちなみに作者はFGOのジャンヌしか知らない)。

 

「どらどら、見せてみ」

 

 ジャンヌから紙を受け取った真は紙面に視線を下ろす。紙には綺麗な字であいうえお、かきくけこ、と五十音順で平仮名と片仮名が書かれていた。全て、ジャンヌが書いた字だ。

 

「……うん、全部綺麗に書けてる。文句なしで合格だ」

 

 やった、と小さくガッツポーズを作るジャンヌの姿に真は胸の中が温かくなるのを感じた。彼女に字の書き方を教えてよかったと心から思う。

 

 そもそも、何で真がジャンヌに字を教えることになったのか。理由は簡単、ジャンヌが真に教えて欲しいと頼んだからだ。

 

『マスター……読み書きがしたいです』

 

 怪我が原因で不良へと転落したスリーポイントシューターばりの懇願だった。周囲は普通に字が読めるのに、自分だけ字を読めない上に書けないという状況が生真面目な性質の彼女には耐えられなかったらしい。勉強王に私はなる、とジャンヌは夜空のどこかにある一番星に誓う。

 

 まぁ、ぶっちゃけたことを言ってしまうと、読み書きが出来るようになりたいというのは半分が建前であり、残り半分は真とどうにか二人きりになりたいといういじらしい乙女心の発露と、真の母国語である日本語を覚えたいという健気な女心だった。

 

 そんなこととは露とも思わず、真は先生役を快く引き受けた。その際、真がジャンヌの勤勉さには頭が下がる的なことを言って、ジャンヌに顔が引き攣るほどの後ろめたさを覚えさせたが割愛する。幸い、彼女が知りたがっていたのは日本語の書き方や読み方だったので、何の問題も無く教えることが出来た。

 

「しっかし、大したもんだ。まだ、鉛筆の持ち方やら書き方とか教えて二、三日しか経ってないのに平仮名と片仮名をものにするとは」

 

「毎晩、遅くまで勉強しましたから」

 

 真の賞賛にジャンヌは得意げに胸を張る。たわわに実った二つの果実がたぷんと揺れた。そうかそうか、と頷きながら一瞬、揺れるバストに移りそうになった視線をジャンヌの顔に戻す。ドヤァ、と擬音が付きそうな表情の彼女に申し訳なさそうに現実を突きつけた。

 

「すまんな、ジャンヌ。日本語には平仮名と片仮名だけじゃなくて、漢字というものがあるんだ」

 

 そう言って、真はジャンヌが使っている机の上に大量の漢字ドリルを置いた。小学一年生がやるような簡単なものから、日常生活ではまず使わない難読なものが書かれている専門書まで幅広い範囲を網羅していた。

 

「あうぅ」

 

 さっきまでの威勢を彼方に放り投げ、ジャンヌは情けない声を出しながら机に突っ伏した。これから自分を待ち受けるであろう艱難辛苦の道を想像するだけで頭が痛くなってくる。

 

「あの、マスター。これからもお付き合いしていただけますか?」

 

「勿論、途中で投げ出すような半端をやるくらいなら最初から教えんよ」

 

 真の答えにジャンヌはほっと息を吐いた。この先にどんな困難があろうとも、真と一緒であれば乗り越えていける。例えそれが、無数の漢字であろうとも……!

 

「ま、こんなの出しといてなんだけど、今日はここまでってことで。慣れないことして疲れたろ」

 

「はい。特に手が……」

 

 素直に頷きながらジャンヌはここ最近、ずっと鉛筆を持っていた右手を軽く振った。真の言う通り、鉛筆を持ったり文字を書いたりと、普段やらないことをやっていた右手は疲れが溜まりに溜まっていた。

 

「もし良かったらマッサージでもしようか?」

 

 え、と右手に触れた真の手にびっくりして体を硬直させるジャンヌ。ジャンヌの反応に怪訝な顔を作るも、すぐに何かを察して真は申し訳なさそうに手を引っ込めた。

 

「わ、悪い。いきなりこんなこと言って、嫌だよな」

 

「し、してくれないんですか?」

 

 何とも噛み合わない会話が二人の間でなされる。いいのか、と目で問う真にジャンヌは顔を赤くさせて鉛筆のカスで黒くなった右手を改めて差し出す。

 

「じ、じゃあ、やるぞ」

 

「は、はい」

 

 立て膝の体勢、騎士が守るべき女性に誓いを立てるように彼女の手を取る。壊れ物を扱うような繊細なタッチにジャンヌは体を小さく震わせた。

 

「止めて欲しかったらすぐに言うんだぞ」

 

 そう前置き、真は細心の注意を払って彼女の右手をゆっくりと揉んでいった。優しい指圧に凝り固まった筋を解される心地よい感触にジャンヌは小さく息を漏らす。そこにマイナスの感情は無いのだが、真には彼女が何かに耐えているように見えてならなかった。

 

「なぁ、ジャンヌ。大丈夫か、辛かったりしないか?」

 

 唐突な真の問いにジャンヌはふぇ? と間抜けな声を上げる。真のマッサージが気持ちよく、そして嬉しくて話半分にしか聞いていなかった。手に集中させていた意識を戻してみると、真は申し訳なさそうな、そして訊き辛そうに視線を伏せていた。

 

「いや、そのな、こんな風に男に触られたりして苦痛なんじゃないかって。さっきも身構えさせちまったし……」

 

 ここに来てジャンヌは先ほどから真が懸念していることが何なのかを悟った。

 

 オルレアンの乙女、ジャンヌ・ダルクは悲劇的な最期を迎えたことで有名だ。異端者として裁判にかけられ、そして火炙りにされた。それだけじゃなく、女性としての尊厳を踏み躙られるような扱いも受けた。

 

 彼女にとって、男性に触れられるということは何よりも耐え難い苦痛なのではないだろうか。軽率にジャンヌに触れようとした自分に罵声を浴びせたい思いだった。

 

「そ、そんな、誤解です! 頭を上げてくださいマスター」

 

 手を止め、無言で項垂れる真にジャンヌはあたふたしながら首を振る。実際、彼女は真に触れられることに苦痛など感じていなかった。むしろ、苦痛とは真逆の想いが胸の中を満たしていた。

 

「すみません、誤解させてしまったようで。私は大丈夫です。こうやってマスターに触れてもらえて嬉しいくらいですから」

 

 真に誤解されては嫌だと弁明するジャンヌ。しかし、真は彼女の発言を自分を傷つけないための気遣いだと捉えたようだ。

 

「でも、さっき体を強張らせてたじゃん」

 

「そ、それは……あんな風に男の人に手を握られるのは初めてで、どうすればいいのか分からなくて」

 

 顔を朱に染めながらジャンヌは真から視線を逸らす。まるで恋する乙女のような彼女の仕草と表情に真は胸が高鳴るのを感じた。

 

「マスター、考えてもみてください。もし、仮に貴方の言う通りだとしたら、私が男性の部屋で、それも二人きりですごそうとするはず無いじゃないですか」

 

「……言われてみれば確かに」

 

 沈んだ表情を納得顔に変えた真にジャンヌはホッと息を吐く。触れられることに嫌悪感を覚えるという勘違いを解けたことに安堵すると同時にどうしようもない喜びが彼女の胸中に溢れた。想われ、気遣われる。それの何と嬉しいことか。

 

「私、マスターの手、好きです」

 

 そっと、両手で真の手を包む。大きく、ごつごつとして力強く、そして優しい手。

 

「こうやって触ってもらえると、天にも昇る気持ちになります」

 

 持ち上げた真の手を自身の頬に添える。温もりが触れられた部分から体全体に広がっていき、身も心もポカポカとしてきた。

 

 確かに彼女は凌辱を受けた。ありとあらゆる方法で穢されたのも事実。そして、目の前にいるのは自分を辱めた者と同じ男だ。

 

 しかし、それとこれとはイコールにはならない。自分を陥れるために触れてきた手と、思い遣りと慈愛を以て触れてくれる手をどうして一緒に出来ようか。

 

「手だけじゃありません。貴方の目も、顔も、体も、心も、全てが好き……いえ、愛しています。貴方はどうですか、マスター?」

 

 蒼い瞳が真を映す。そこには溢れ返りそうなほどの愛情、そしてほんの僅かな劣情が湛えられていた。

 

「私のことを、愛してくれますか?」

 

 

 

 

 

「ジャンヌ、そいつは」

 

「うぅ。そうやってまじまじと見られると、凄く恥ずかしいです……」

 

 ベットに腰を下ろした真は目の前に立つ下着姿のジャンヌを穴が開くほど見詰めた。白いレース地のフロントホックのブラジャーと紐で結ぶタイプのショーツ。彼女の体を包むのはそれだけじゃなく、足の指先からむっちりと程よく肉のついた太腿までを覆うストッキング。そして俗にガーターベルトと呼ばれるものだった。

 

「控えめに言って……エロいな」

 

「あうぅ、言わないでください……」

 

 それ以外に言葉が出てこない。下着の煽情的なデザインとジャンヌが元々持つ色香が合わさり、言葉に出来ないほどの淫靡さを醸し出していた。

 

「しかし、何だってそんなエラいものを? もしかして、趣味?」

 

「ち、違います! マリーに相談したら、これを薦められたんです」

 

『これなら真もイチコロよ!』

 

 そう言って、彼女はそれそれはいい笑顔で親指を立てたという。真と一線を越えてから、何か色々とぶっ飛んだ思考になってしまったようだ。それが良いことか悪いことかはともかく、今はこう言わざるを得ないだろう。グッジョブ!

 

「それで、その、どうでしょうマスター。変、じゃありませんか?」

 

「今すぐにでもむしゃぶりつきたいです」

 

 真の返答に耳まで真っ赤になるジャンヌ。実際、真は今すぐにでも彼女をベットに引きずり込みたい衝動に駆られていた。滾る獣欲のままに彼女の体を愉しめば今までにない快感を感じることが出来るだろう。

 

 だからこそ、真は己の中の獣を抑える。そんな行為はジャンヌが望まないし、やったらそれは彼女を汚した連中と同じ存在になり下がることを意味していた。

 

「ジャンヌ、ここ」

 

 彼女の手を取り、隣に座らせる。体をカチコチにしているジャンヌの顎に手を当て、優しく視線を合わせた。

 

「キス、するぞ」

 

「……はい」

 

 目を閉じ、軽く唇を突き出してジャンヌは受け入れの姿勢を見せる。真も瞼を下ろし、ゆっくりと口付けをした。ぴくん、とジャンヌの肩が小さく揺れる。唇を押し付ける、触れるだけのキス。性欲を満たすのではなく、愛を確かめ合うための行為にジャンヌは鼓動を早くさせた。もっと、強く真を感じたいと自分から唇を押し当てていく。

 

「ぷは」

 

「あ……」

 

 顔を離すと、ジャンヌは名残惜しさに声を上げ、寂しそうな顔を作る。優しく微笑みながら真は彼女の美しい金髪を撫でた。元より、たった一度で終わらせる気はない。再び、唇を重ねる。

 

「どうだ、ジャンヌ?」

 

「上手く言えませんけど……幸せです」

 

 彼女の返事に満足げに頷く。何度か、触れ合うだけのキスをした後、真は軽く舌を伸ばしてジャンヌの唇を舐めた。唇に走った感触にジャンヌは目を見開く。

 

「ま、マスター、今何を?」

 

「ジャンヌが可愛くてさ。もっと可愛い反応が見たくて」

 

「も、もう///」

 

「これからもっと可愛い反応をすることやるけど、いいか?」

 

「……はい」

 

 目の中にハートマークを浮かべて頷いた彼女を待っていたのは口内に侵入してくるぬるりとした異物だった。舌を入れられる感覚にジャンヌは体を強張らせるも、優しく肩を擦られゆっくりと体を弛緩させていく。

 

「ちゅ、ちゅる……ましゅたぁ」

 

 甘えた声に応じるように真はジャンヌの舌を自身のもので絡め取り、同時に彼女を愛撫していった。薄い皮膚に覆われた鎖骨を撫で、脇腹、尻、太腿へと触れる場所を移していく。その都度、ジャンヌの体が小さく震え、真の支配欲を掻き立てていった。

 

 舌の動きを徐々に激しくし、太腿への愛撫を強めた。肌触りのいいストッキングの感触、薄いストッキングに覆われたむちむちとした肉感的な太腿。酸素を求めて顔にかかる苦しげな鼻息、全てがジャンヌへの肉欲を燃え上がらせていく。

 

「ぷはぁ!」

 

 数分もの責めの末、漸く解放されたジャンヌは大きく息を吸って肺に空気を送った。肩を上下させてジャンヌは先ほどまで自分がされていた行為を思い返す。肉欲に満ちた口付けと愛撫。自分を穢したものと同じ性質を持ったものなのに、嫌悪感が微塵も湧かないのはそこに含まれた慈愛に気付いているからだろうか。それとも、相手が身も心も許した男だからなのか。

 

「マスター、もう一回してもらってもいいでしょうか?」

 

「一回と言わず、好きなだけやってやるさ」

 

 二度目のディープキスが始まる。今度は受け身ではなく、能動的に快楽を欲するジャンヌ。積極的に舌を絡ませ、どちらのものか分からない唾液を嚥下する。すると、酒でも飲んだかのように体が内側から熱くなっていった。更なる熱を求め、口付けに没頭していく。

 

 呼吸のため、僅かに顔を離す。二人の唇を繋ぐ唾液の橋が切れぬ内に再び激しく求め合う。いつの間にか二人は互いの体に両腕を回してベットの上に倒れ込み、激しく音を立てながら唇を貪り合っていた。

 

「ますたぁ。私、私……」

 

 切なそうに真を見つめるジャンヌ。内腿を擦り合わせるが、先ほどから女の大事な場所を疼かせている熱は一向に収まりそうになかった。秘所を覆うショーツにも大きな染みが出来ている。

 

「脱がすぞ」

 

 小さく、けれどもはっきりとジャンヌが頷いたのを見て、真はショーツの紐をゆっくりと解いた。露わになった、薄らと金色の陰毛が生えたそこは物欲しげにひくひくと動きながら愛液を垂らしていた。じっとりと濡れそぼった女陰を前に真は生唾を呑む。

 

「いやぁ、そんなに見詰めないでぇ」

 

 火が出そうなくらい赤くさせた顔を横に振って、ジャンヌは秘所を隠そうと両手を伸ばした。それよりも早く、真の親指が女陰を撫でる。

 

「ひうぅ!!」

 

 頭から爪先まで駆け抜けた電撃にも似た快感にジャンヌは背筋を弓なりに反らして体を震わせた。動きに合わせ、ブラで隠されたバストが揺れている。更にもう一撫ですると、ジャンヌの反りはより大きくなり、割れ目から粘度の薄い汁がピュッと飛び出してきた。

 

「逝っちゃったか?」

 

「……マスター、後生です。そんなはしたない所、じっくり見ないでください」

 

 真の意地悪い質問には答えず、薄らと目尻に涙を浮かべてジャンヌは懇願した。余りの恥ずかしさに死んでしまいそうだった。

 

「あぁ、大丈夫。俺も似たような感じだから」

 

 笑いながら言うと、真は服を脱ぎ捨てて屹立した己の分身をジャンヌに見せた。太い血管を浮かび上がらせた幹は先走りでぬるぬるになっていて、見せつけるようにカリを張らせた赤黒い亀頭は先端から腺液を止めどなく溢れさせている。

 

 生前、己を穢したものと同じ形状をした逸物のある意味情けない姿にジャンヌはまぁと口を覆った。

 

「ジャンヌが魅力的過ぎてさ。ご覧の有り様よ。触られてもいないのに射精()しちゃいそうだったぜ」

 

「そう、ですか。そうなると、私たちは似た者同士、ということになるんでしょうか」

 

「そういうことでいいんじゃないかな」

 

 顔を見合わせ、思わず吹き出す二人。ムードもへったくれもあったもんではないが、場を仕切りなおすことは出来た。

 

「ジャンヌ、こっちも見せてもらっていいか?」

 

 ジャンヌのブラのホックに指をかける。顔を赤らめながら、ジャンヌは首肯した。

 

 プツッ、と小さな音を立ててホックが外れる。寝転んだ体勢のジャンヌからブラジャーを脱がし、丸みを帯びた柔肉を剥き出しにした。つんと乳首を天井に向けた、重力に逆らって形を崩さないバスト。男の視線を釘付けにする豊満な双山は真を魅了した。

 

 ちらっとジャンヌを見ると、小さく頷いたのが見えた。彼女の許可を得て、真は巨大な果実を両手の中に収めた。

 

 あん、と控えめな嬌声がジャンヌの口から漏れる。その声音に痛みや恐怖といったものは無かったので、真は構わずに彼女のバストを楽しんだ。思う様乳に指を食い込ませて形を変え、女性特有の柔らかさを味わう。たぷたぷと乳房同士を軽くぶつけると張りのある肌が小さく波打ち、乳首と乳首を擦り合わせれば一際甘い声でジャンヌが啼いた。

 

「あぁん、そんな赤ちゃんみたいに」

 

 辛抱堪らず、二つの乳首に一度にしゃぶり付く。汗ばんだ肌から薫る、汗の匂いとどこか甘い女性の香り。舌先を痺れさせる肌の味。五感の全てが興奮を煽ってくる。

 

「ジャンヌ、もう限界だ」

 

 ギンギンにそそり立つペニス。ビクビクと震えながら挿入の時を待ちわびていた。期待と欲望に濡れた目でジャンヌは剛直、そして真を見やる。軽く充血した双眸はお前を抱きたくて仕方がないと語り掛けるようだった。

 

「私を、貴方の女にしてください」

 

 愛する男に求められる喜びが雌の本能を刺激するのか、そんな台詞を口にしながら彼女は全てを委ねるように体から力を抜いた。

 

 理性が灼き切れる。我を忘れた真はジャンヌの脚の間に割って入り、男性器を女性器に合わせた。ストッキングを履いたままの太腿をそれぞれの腕で抱え、男根をジャンヌの中へと突き入れる。

 

「っっっ!!!」

 

 ジャンヌの体が硬直した。同時にぶづっ、と何かを引き千切るような感覚が真を襲い、正気を取り戻させた。

 

「え、今のって……」

 

 冷や水をかけられたように冷静になった真は視線を下ろし、結合部を見る。愛液に混じって流れていく赤い液体。それが何を意味するか知らないほどこの男は朴念仁では無かった。

 

「ジャンヌ、これは……」

 

「さ、サーヴァントは全盛期の姿で召喚されます。それは、私も例外じゃありません。だから、今の私の体は……」

 

 裁判後のものではない、まだ清らかだった時のものだ。彼女の言うことを理解した瞬間、真の頭をハンマーで殴ったような衝撃が襲う。自分は取り返しのつかないことをしてしまったのだと知った。

 

「じゃ、ジャンヌ、俺……」

 

「あげられた……」

 

 罪悪感から泣き出しそうになる真の耳にジャンヌの呟きが届く。その声音に混じった明確な喜びの色に真は戸惑いながら彼女を見た。初めて男を迎えた激痛に涙を流しながら、それでも彼女は心の底から嬉しそうに真を見上げている。

 

「あげられました、私の初めて。貴方と愛し合いたいと思った日からずっと捧げたかったんです」

 

 言葉で言い表せないほどの愛しさが胸の中に溢れ返った。真はジャンヌに覆い被さるようにして彼女を抱き締める。ジャンヌも真の首に両腕を回し、抱擁を返した。

 

「マスター、愛してます。この世で誰より、貴方だけを」

 

「俺も、俺も愛してるよ、ジャンヌ」

 

 繋がり合ったまま何度も接吻を交わす。この時だけ、二人は互いに抱いた肉欲を忘れ、愛だけを酌み交わしていた。

 

「マスター、そろそろ大丈夫です」

 

 十分以上もそうしていただろうか。処女喪失の痛みが引いたジャンヌが真に呼びかける。

 

「大丈夫か?」

 

 真の気遣いの眼差しに嬉しそうに頷いた。

 

「私は、大丈夫です。だからマスター、私を感じてください。私に貴方を感じさせて」

 

 頷き、真はジャンヌの脚を抱え直し、正常位で彼女の膣を突いていった。初めて男を受け入れた膣内は驚くほど狭く、異物を外に追い出そうと圧を強めてくる。膣圧に負けないように腰を突き入れていくと、ジャンヌの唇から声が漏れだした。

 

「痛くないか?」

 

「だい、丈夫、です。ほんのちょっと痛いですけど、でもそれ以上に嬉しいです」

 

 全身を包む幸福感。己の中を割り開かれる度、ジャンヌは体が浮き上がるような感覚を覚えた。

 

「そっか。なら、少しだけ速くするぞ」

 

 宣言通り、真の腰使いが微かに速度を増す。小さな変化だが、ジャンヌに与えられる快感は大きく増したようだ。奥を突かれるごとに口から出てくる嬌声が艶っぽさを増していく。

 

「ますたぁ、わたし、なにかへんなんです。からだがぴくぴくってなってぇ、あたまがふわふわしてぇ♡」

 

 感じ易い体質なのか、あっという間にジャンヌは絶頂を迎えようとしていた。膣内は未だに硬さが残っているが、小刻みな収縮を感じられることから彼女が絶頂を間近に控えていると分かった。

 

「大丈夫、何も変なことはないさ。ただ、逝くだけだから」

 

「いく? これがいくってかんかく。まりーもいってた、いく」

 

 緩慢な抽挿でもジャンヌを高みへと連れていくには十分だったようで、ものの一分としない内にジャンヌは果てた。

 

「いきゅ。いきましゅう♡」

 

 小さく、何度も潮を噴いて絶頂を迎える。頭の中が真っ白になっていくのを感じながら、ジャンヌは本能のままに快楽を享受した。

 

 いきなり膣内の締りがよくなり、真は背筋を震わせるが射精するには至らなかった。くたぁ、と力無く横たわるジャンヌ。頭が異様に熱く、靄がかかったようにはっきりとしない。霞む視界を己を女にした人に向けてみると、何故か彼だけははっきりとクリアに見ることが出来た。

 

「いく……ますたぁ、いま私、いったんですか?」

 

「あぁ。気持ちよかったか?」

 

 真の問いかけに曖昧に頷きながらジャンヌは思った。一人で逝っただけでもあれ程の快楽を得られたのに、もし二人同時に逝くことが出来たらどれだけ気持ちいいのだろうと。

 

 思い至った刹那、火山が噴火するかのように彼女の中に欲望が噴き出してきた。この人と愛し合いたい、この人を感じたい、融けて骨の髄まで一つになりたい。今まで一度として覚えたことのない、自分の何を捨ててでも叶えたいと思えるほどの欲望が彼女の全身に行き渡る。産まれた欲望は洪水となり、人理救済の使命も、自身が主に身を捧げた記憶、自身を取り巻き、縛り付けるもの全てを押し流していく。彼女の中に残ったのは愛する男と睦み合いたいという身を焼くような肉欲だけだった。

 

「ぬおぉ!?」

 

 何の前触れも無しに具合の良くなったジャンヌの膣に真は驚きの声を上げる。さっきまで硬さが残っていたのが嘘のように膣内がうねり、肉棒に纏わりついてきた。ざらざらした肉襞がカリを擦り上げ、子宮口が亀頭に吸い付いてくる。真の感じる部分を的確に攻めてくる様はジャンヌの膣が彼専用になってしまったかのようだった。

 

「ますたぁ♡」

 

 全身に鳥肌が立ちそうな淫蕩で甘ったるい声。声の主を見れば、とろとろに蕩けた顔で抱擁を求めて両腕を伸ばしている。

 

「ぎゅって、ぎゅうってしてください♡」

 

 求められるまま、彼女を抱き上げる。胡坐をかいた真の上にジャンヌが跨る、対面座位の体勢。

 

「ますたぁ、すき、すきぃ、だいすきぃ♡」

 

 全身を押し付けるようにして真に抱き付き、いやらしく腰をくねらせる。完全に彼専用となった膣内が潤沢な愛液を溢れさせ、肉棒に擦り込むように肉襞が蠢いた。粘度の高い蜜液が互いの腰に擦られ、糸を作りながらにぢゅにぢゅと粘ついた卑猥な音を奏でる。

 

「じゃ、じゃんむぶぅ」

 

 余りに劇的な変化についていけず、戸惑う真の口をキスで塞ぐ。犯すように真の口内を舌で蹂躙し、腰のグラインドをより激しくさせた。二人の口からぼたぼたと垂れ落ちる大量の唾液が結合部分にかかり、淫猥な水音をより激しいものにする。

 

「ますたぁ、ますたぁますたぁますたぁ」

 

 熱に浮かされたように真を求める。上の口で唾液を飲み下し、下の口で真の逸物をむしゃぶる。熱く蕩けた雌穴は搾精器となって真の肉棒を攻め立てた。精を吐き出させるために肉襞を蠕動させ、己自身も快感を得るために剛直を奥へと誘う。子宮口を刺激されると、頭の中がスパークしたように痺れた。

 

「ジャン、ヌ、もう、出る……!」

 

「だすんですか? だしてください、わたしのなかにいっぱい。ぜんぶ、ぜんぶだしてくださいぃ!」

 

 真の体が震え、吐精が始まる。ぴったりと子宮口に密着していた亀頭から流れ込んでくる大量の暖かいものをジャンヌは体を震わせ、口角から涎を垂らしながら受け入れた。散々、刺激された剛直が長い射精を続ける。その間もジャンヌの膣は蠢動を繰り返して貪欲に快楽を味わっていた。

 

 一分以上も時間をかけて射精が終わる。ジャンヌの膣内の動きが落ち着き、真はようやく一息ついた。

 

「す、凄い出た……なぁ、ジャンヌ。いきなりどうし」

 

 言葉に詰まる真の前には目を爛々と輝かせる聖処女(元)。彼女の目はまだ自分は満足してないとありありと語っていた。

 

「もっと、もっとほしいです、ますたぁ」

 

 軽く口付けし、膣内から少し小さくなりかけている剛直をずるりと引き抜く。秘所から白い粘液を垂れ流しながらジャンヌは真に背を向け、ベットの上に四つん這いになった。尻を左右に揺らし、情欲に染まった目を肩越しに真に向ける。

 

「ますたぁ、うしろからしてください。わんちゃんみたいに、けものみたいにはげしくおちんぽずぼずぼしてください♡」

 

 普段の彼女であれば絶対に口にしないだろう卑猥な懇願。そして尻を高く突き出した、男を誘い、受け入れるための姿勢は真の萎みそうになっていた性欲を膨れ上がらせた。

 

 一言もかけずにジャンヌの腰を掴み、迸るパトスのままに硬度を取り戻した逸物を彼女の中へと叩き込んだ。

 

「きたぁ♡」

 

 膣壁を掻き分け、奥の奥まで突いてくる男根にジャンヌは舌を突き出し、背筋を反らして悦びを露わにする。震える雌穴から湧き出る精液混じりの淫汁がベットに降り注いでいった。

 

 遠慮も気遣いも無い、ただ快楽を欲するだけの動きが体を熱くさせる。激しく前後して膣内を抉る剛直をジャンヌは嬉々として受け止めていた。口からあられもない嬌声を誰憚ることなく上げ、一突き一突きに体を震わせる。

 

「ひぅっ!」

 

 より高い嬌声を漏らすジャンヌ。金髪の三つ編みに隠されていた背筋を真に舐め上げられたのだ。腰の動きをより激しくしながら真はジャンヌの背に覆い被さって何度も背筋を舐め上げるように舌を這わせ、白いうなじにキスを落とした。両手を二人の交わりに合わせて忙しなく揺れるバストに回し、頂きの突起二つを摘み上げる。

 

「それぇ! ますたぁ、それいいれすぅ!」

 

 限界以上に張ったカリに肉壁をこそがれる感触、うなじに吸い付く唇の感触、乳首を捏ね繰り回す両手の感触。全てが彼女を昂らせ、胎内に快感を溜め込んでいく。

 

 ついに体を支えることが出来なくなり、ジャンヌの上半身が崩れ落ちる。バストに回された真の両手が支えとなって上半身はある程度安定するが、首から上はそうもいかず真の突きに合わせてかくかくと揺れた。

 

「ますたぁ、いっしょに、いっしょにぃ……!」

 

 絶頂の訪れを予感し、ジャンヌは軽く泣きながら真に懇願した。対して、真は腰の力を強めることで応える。返事をする余裕は今の彼にはなかった。真と一緒に果てたいというジャンヌの願いは彼女の体を極上の名器へと変貌させ、剛直を責め立てて射精を促している。

 

 少しでも気を抜けば果ててしまいそうな雌穴の締め付けに耐え、下腹に力を入れてより強いピストン運動でジャンヌを高みへと昇らせていく。

 

「出すぞ、ジャンヌ、中に出すぞ!」

 

「あぁ、ああ、ああああああああ!」

 

 胎内へと撃ち出された白濁液が止めとなり、彼女の中に溜まった快感を爆発させる。絶叫を上げてジャンヌは背筋を反り返し、突き出したバストをブルブルと震わせた。子宮が精液を直飲みしているような感覚。意識が真っ白に塗り潰され、女の悦びが全身に浸透していく。精液を一吐き子宮にかけられる度、ジャンヌは恍惚に顔を輝かせた。

 

 最後の精液を出し切り、長い射精が終わる。人形を操る糸を切ったようにジャンヌは崩れ落ちた。快感でふやけきった頭はまともに働いておらず、ただただ真に愛されたという幸せを噛み締めていた。

 

「しん、あいしてる……」

 

 一言だけ呟き、ジャンヌは意識を放棄して幸せな微睡へと落ちていった。

 

 

 

 

 

「私は貝になりたい……」

 

 消え入りそうな声でジャンヌは囁いた。頭からシーツを被っているため、声が籠って耳を澄まさねば聞き逃してしまいそうな声量だった。

 

 濃密すぎる交わりから一時間が経過した現在。正気を取り戻したジャンヌは碌に真の顔を見ることも出来ずにベットの中へと逃げ込んでいた。男ではあるけど、真も彼女の気持ちは痛いほど分かった。あれ程の痴態を見せてしまったのだ。SAN値を取り戻すには時間が必要だろう。

 

「あんな、あんな淫らに乱れてしまうなんて……主よ、姦淫に溺れた私をどうか罰して下さい」

 

「まぁ、いいんでない?」

 

 祈るジャンヌをシーツの上から撫でる。びくりと体を震わせ、恐る恐るシーツの中から顔を覗かせるジャンヌに真は笑って見せた。

 

「こんな非常事態だ。ちっとくらい羽目外したって神様も怒らんだろ」

 

「あれを少しと言っていいのでしょうか?」

 

「それ言われると首傾げちゃうな……気楽に考えよう、ジャンヌ。今、こうしてお前は普通にしてる。天罰なんか下されてないってこった。つまり、お前は神様に許してもらえたんだよ」

 

 屁理屈としか言い様が無かった。でも、と渋い顔を作るジャンヌに真はベットに腰かけながら少々意地の悪い質問をする。

 

「それとも、お前さんにとって俺と愛し合うことは神様に罰せられなきゃならないような邪悪なことなのか?」

 

「……そんな訳、ないじゃないですか」

 

 少し怒ったような顔を作る。だったらそれでいいじゃん、と気楽に笑う真の姿に真面目に悩むのが馬鹿らしくなり、ジャンヌは考えるのを止めた。

 

 シーツから抜け出し、真に体を預ける。肩に頭を乗せると、優しく力強い手が彼女を撫でた。

 

「また、愛してくれますか?」

 

「勿論、大歓迎だ」

 

「今日みたいに乱れてしまうかもしれませんが……」

 

「美人で可愛くて巨乳で淫乱なお姉さん。うん、控えめに言って最高です」

 

「……もう!」

 

 ぺちっと胸を叩く。なはは、と笑いながら真はジャンヌの肩に腕を回して抱き寄せた。彼女も拒まず、一層体を摺り寄せた。言葉や体を交わさずとも満たされる不思議で、幸せな空気が二人の間を漂っている。

 

「ところでマスター。その、先ほど言い忘れてたことがあるんですが」

 

 と、ここで何かを思い出したのか、おずおずとジャンヌが言葉を切り出した。

 

「ん、どしたの?」

 

「お願い、したいことがあるんです。平仮名と片仮名をきちんとかけた、そのご褒美が欲しくて」

 

 図々しいのは百も承知しています、とジャンヌは不安そうに真を見やる。

 

「ご褒美? 別に構わねぇよぃ。言ってくれ」

 

「では、あの、マスターのことを、真君と呼んでもいいでしょうか?」

 

 吹けば飛びそうな弱々しい声でのお願いに真は目を丸くする。図々しいというくらいなのだからもっと違うものを想像していたのが、ご褒美と言えないようなものを望まれるとは。

 

「勿論」

 

 真の返答にジャンヌの顔が華やぐ。誰が見ても可愛いと答えるだろう、聖処女でも悲劇の乙女でもない、年相応の少女の顔。

 

「ありがとうございます。では、改めて。これからもよろしくお願いします、真君」

 

「こちらこそ。至らぬマスターではあるけど、これからも支えてくれ、ジャンヌ」

 

 はい、とジャンヌは嬉しそうに頷く。交差する視線、通じ合う想い。微笑み合いながら二人は幸せな時間を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

ジャンヌ『ごめんなさい、ジル。私、もう貴方の知っている聖処女(わたし)じゃないの。この人無しじゃ、もう私は生きていけません……』

 

ジル(術)『この、くぉの匹夫めがぁぁぁあ! よくも、よくも、我が聖処女を穢しんくぁzwsぇdcrfvtgbyふjみこlp!!!』

 

真『ジャンヌと一緒にいると、キャスターのジル・ド・レェが勝手に消えてくれるようになりました』




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
関係を持った女の子皆に綺麗だとか愛してるとか言っちゃうクズの中のクズ。俺は皆を愛してるんだ! とか言ってる。豆腐の角に頭ぶつけて死なないかな(真顔)。カルデアが内部分裂を起こしたとしたら多分、ではなく確実にこの男のせい。

『ジャンヌ・ダルク』
付き合った当初は手を握るだけで顔を真っ赤にしてそうだけど、セックスするくらいに関係が深まったら彼氏も死ぬほどビックリするくらいの淫乱お姉さんになりそう、という作者の妄想が反映された結果、どうしてこうなった! と踊りたくなるレベルでどうにかなってしまった人。真に抱かれた経緯はスカサハとほぼ一緒。聖女でも悲劇の乙女でもなく、普通の女の子として扱われ、普通に恋して普通にエロいことをするに到った。頑張ってるんだし主も許してくれるよ、きっと。

『ジル・ド・レェ』
最大の被害者。次回は更なる被害を受けることになる。


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『ジャンヌ・オルタ』私だって愛されたい

 書き終えたものを読んでから抱いた感想。誰、これ?



 後、活動報告にも書きましたが、感想で誰々がいい的なことを書かれてもそのキャラを書くというのはまずないです。作者の好きなキャラを好きなように書いてるだけなので……それと、次回の投稿は物凄く遅れると思います。エクステラ明日発売だから是非も無いよネ!


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

 人理継続保障機関『カルデア』に所属する最後のマスター、遠野真のマイルーム。最近では部屋の主が体を休める場所というより、女を連れ込んで愛し合う場所としての役割の方が強くなってきた今日この頃だ。

 

「ん、ちゅ、ちゅむ……真君、もっろ」

 

 ベットの上、一枚のシーツに包まった真とジャンヌ。ジャンヌが真に後ろから抱き締められる形で口付けを交わしている。

 

「はいはいっと。あむ」

 

 ジャンヌが頬を赤くさせながら舌を出してくる。苦笑いしながら啄むように彼女の舌を咥えると、ジャンヌはとろんとさせた目に恍惚の光を浮かべた。唇と舌でジャンヌを愉しませつつ、真は彼女の体に回した両手を動かす。右手は豊満なバストを揉みながら乳首を弄び、左手は汗でぬるついたジャンヌの下半身を愛撫する。

 

「んっ、はぁ……」

 

 臍から内腿を指先で撫でられ、ジャンヌは官能的な吐息を漏らしながら形のいい臀部を小さく揺らした。尻の割れ目に当たった逸物の硬さと熱さが雌の欲求を刺激する。

 

「ジャンヌ、もう濡れてきたぞ」

 

 太腿を攻めていた左手が秘所に狙いを変えた。くちゅっ、と弄られた女陰がいやらしい音を立てる。ジャンヌは身震いしながら目元を喜悦で緩ませ、己の大事な部分をまさぐる感触に酔い痴れた。

 

「真、君。あの、ご褒美のことなんですけど」

 

 下半身に走る快電流に言葉を途切れさせながらジャンヌは真を見やる。愛する男を映したブルーの瞳は淫らな期待で濡れていた。

 

「さっきのテストで満点だったもんな。どんなご褒美が欲しい?」

 

 机の上を見てみれば、花丸と100点が描かれたテスト用紙が置いてあるのが分かった。ジャンヌが頑張った結果である。ちなみに内容は小学校一年から三年生のものだ。いくら幼年時に学ぶ簡単なものとはいえ、つい先日、平仮名と片仮名を書けるようになったばかりの彼女が満点を取れたということはそれだけ努力したということの証明に他ならない。

 

 彼女の向上心の高さにはマスターである真も敬服せざるを得なかった。もっとも、彼女が努力したのはそれだけが理由ではないのだろうが。

 

「そんなにご褒美欲しかったのか?」

 

「い、言わせないでください……」

 

 にやっと唇を歪める真から目を逸らす。項まで赤くして恥じらうような態度を見せておきながら体を真に押し付ける。言葉ではなく、行動で答えているようなものだった。

 

「今さら恥ずかしがるような関係でもないだろ。したいことがあるんならすぱっと言っちゃえよ」

 

 一旦、愛撫を止めて子供をあやすように彼女の頭を撫でる。頭に置かれた感触に安心感を覚えながら性女(誤字にあらず)は恐る恐る口を開いた。

 

「え、駅弁というものを、やってみたくて……」

 

「はいぃ?」

 

 彼女の口から出てきた余りにも似つかわしくない単語に真は頓狂な声を上げる。ジャンヌ自身、自分が言ったことがどんなものか理解しているのかただでさえ赤かった顔を棗のようにさせた。

 

「駅弁ってあの?」

 

「は、はい」

 

「駅で食べるお弁当じゃなくて?」

 

「た、体位のほうです」

 

「……お前さん、どこでそんなもん覚えたんだ?」

 

「今は空き部屋になっている部屋の一つにスタッフさん達が倉庫代わりに使っているものがあるんです。男性と女性で分けて使われているみたいなんですけど、その、男性スタッフの方達が倉庫にしている部屋の中に……そういう、本が……」

 

 日頃から真やサーヴァント達の活動をサポートすべく、陰日向で仕事をするカルデアスタッフ達。男性陣はまさか自分達のお宝本が女性、それもサーヴァントに読まれたなんて夢にも思わないだろう。まして、読んだのはあのジャンヌ・ダルクだ。

 

「一人で読んだのか?」

 

「違い、ます。マリーに誘われて……」

 

 妙に歯切れが悪い。後ろめたさを感じさせる声音に真はジャンヌが嘘を言っているとすぐに分かった。

 

「嘘はいかんなぁ、ジャンヌくぅん」

 

 ねっとりとした声でジャンヌの耳を責める。止めていた両手を再び動かし、彼女が感じる場所を的確に、そしてねちっこく攻めていった。全身を這い回る感触にジャンヌは艶っぽい声を上げて体をくねらせる。

 

「う、嘘なんてついて」

 

「普段、嘘ついてないからバレバレなんだよ。人を騙そうとするならもう少し悪い子にならないと……しかし、嘘を吐くような悪い子にご褒美は上げられませんなぁ」

 

「ごめんなさいぃ、嘘を言いました。本当は私からマリーを誘ったんですぅ」

 

 人間城塞、あっさりと陥落。それでいいのかと言いたくなるが、男の味を知ってしまった彼女にとってお預けを食らうことは何よりも堪えるのだろう。

 

「よしよし、素直に言えたな。偉いぞ……でも、嘘をつくような悪い子にはお仕置きが必要だと思わないか?」

 

 耳の穴を犯すように舐り、秘所に指を侵入させる。真の攻めに喘ぎながらジャンヌはお仕置きという単語に胸を高鳴らせた。汗を浮かべる尻を一撫でし、真はジャンヌの耳に触れそうなほどの距離で囁く。

 

「後ろってどんな感じがすると思う?」

 

「あ……」

 

 それは恐怖の呻きか、それとも期待の喘ぎか。数十秒後、一際甲高い嬌声が室内に響く。一組の男女は見られていることなど露知らず、背徳的な行為に溺れていった。

 

 

 

 

 

 時間は少し遡る。ある一室で、使い魔を通して真とジャンヌの睦み合いを盗み見ているサーヴァントがいた。

 

「何よ、イチャイチャしちゃって。聖処女様が聞いて呆れるわ……」

 

 名をジャンヌ・ダルク・オルタ。かつて、第一特異点で真達が戦った竜の魔女の記憶を持った復讐者のサーヴァント。ジャンヌ・ダルクと同じ姿、同じ声を持った、似て非なる存在。

 

 贋作である彼女は真作であるジャンヌがマスターの真と愛し合う様を嫉妬と羨望で身を焦がしながら見ていた。

 

「それにこいつもこいつよ。締りのない顔して、獣みたいに盛っちゃって。醜いったらありゃしない……何で、何で、私じゃなくて聖女様なのよ」

 

 憎々しげに歪めていた顔を一変させ、ジャンヌ・オルタは寂しげに映像の中の真を見詰める。何故、そこにいるのは自分ではないのか、何故、愛されているのが自分ではないのか。胸を締め付けるような切なさに耐えられず、ジャンヌ・オルタは自分を慰め始めた。映像の中のジャンヌを自分に置き換え、さも自分が真に愛されているかのように妄想へと没入していく。

 

『お前だけを愛してる』

 

 妄想の中の真が都合のいい台詞を喋る。私も、と頷きながらジャンヌ・オルタは胸元をまさぐる手の力を強め、秘所に突き刺した指を激しく出し入れさせた。体の中に雪が積もるように快感が募っていく。同時に感じるのは言い様のない寂しさと虚しさ。胸の中に寒風を吹かす感情を振り払おうとジャンヌ・オルタはより激しく自慰を続けた。

 

「好き、好きぃ、大好きよ、真」

 

 高まる快感に比例するように胸の中の寂しさが大きくなっていく。心を穿たれたような喪失感を誤魔化すようにジャンヌ・オルタはオナニーを激しくさせる。

 

「私を抱きたいって言って、私が欲しいって言って。貴方が望むならどんなことだってしてあげるのに……」

 

 彼女の言葉に嘘はない。仮に真が世界の破滅を望めば彼女は世界を敵に回すことすら厭わずに戦うだろう。それほど彼女の真に対する愛情は非常に深く、そして重い。スカサハが真に抱いている執着心に比肩しうるほどの依存心をジャンヌ・オルタは持っていた。

 

 彼女が真に対して異常ともいえる依存心を持ったのは偏に彼が自分のことを受け入れてくれたからだ。かつての敵だった自分を、贋作と呼ぶことすらおこがましいジャンヌ・オルタに最後のマスターは笑顔で手を差し伸べた。

 

『召喚されたってことは、俺と一緒に戦ってくれるんだよな? だったら、お前さんは大切な仲間ってことになる。これからよろしくな』

 

 そう言って差し出された手の暖かさを彼女は消え去る最期の時まで忘れることは無いだろう。それ程に彼女の中に産まれた喜びの感情は大きく、そして鮮烈だった。

 

 己を無条件に仲間と認め、力を必要としてくれた真に承認欲求の塊であるジャンヌ・オルタが依存したのはある意味当然の結果だったのかもしれない。

 

 だからこそ、彼女はマスターに戦力としてだけでなく、女性としても求められたいと強く願うようになった。彼に愛されたくて、彼にとって特別な存在になりたくて。しかし、生来(という表現も変だが)の捻くれた性格が災いし、想いを告げられずに悶々とした日々を過ごしている中、親のような存在であるジャンヌに先を越されてしまった。

 

 感じたのは言い様のない敗北感。所詮、贋作が真作に及ぶことなどないのだろうか。一人、悲嘆にくれながら情事を覗き見て自分を慰める。余りにも惨めだった。

 

「真、真、真……!」

 

 呼び声に答えは返ってこない。名前の主は今は別の場所で自分ではない女を愛しているのだから。悔しさと悲しさがごったになった感情に涙を流し、彼女は愛する男の名を呼びながら一人果てを迎える。

 

『え、駅弁というものを、やってみたくて……』

 

『はいぃ?』

 

 耳に入ってくる二人の会話に耐えられず、ジャンヌ・オルタは使い魔であるミニワイバーンとの繋がりを断った。後に残ったのは愛液だけで濡れた手と絶頂を迎えた後の脱力感、そして自分一人だけしかいないという虚無感。頬を濡らす涙を拭う元気もなく、天井を見上げながらジャンヌ・オルタは一人寂しく泣き続けた。

 

「……馬鹿みたい」

 

 一言呟き、起き上がる。乱れた着衣を整え、涙でドロドロになった顔を洗って部屋を出た。気晴らしに何かをしないとまた泣き出してしまいそうだった。

 

「確か、真が何かおやつを作ったって言ってたわね。それでも食べて」

 

「む」

 

「あ、あんたは」

 

 食堂へと向かおうと廊下を歩いていると、ばったりと彼女に出くわした。スカサハ。カルデアに一番最初に召喚されたサーヴァントにして最強戦力。真の初めてを奪い、自分の男だと公言して憚らないいけ好かない女。だが、同時に堂々と自分の男だと言い切る彼女に、自分には無い強かさを持つ女にジャンヌ・オルタは憧れにも似た感情を抱いていた。

 

「何、あんたも真が作ったっていうやつを食べに行くの?」

 

 質問には答えず、スカサハは顎に手を当てながら紅の双眸でジャンヌ・オルタを観察する。上から下まで舐め回すように見られ、ジャンヌ・オルタは後退りながら自分を抱き締めた。

 

「な、何よ?」

 

「いや、何。情事を覗き見て自分を慰めるなんて変わったことをする奴だと思ってな」

 

 なぁ、と言葉を失いながらジャンヌ・オルタは顔を赤くさせる。

 

「な、何で知って」

 

「それだけ濃厚な雌の匂いを垂れ流していればな。少し鼻の利く者なら嫌でも気付くだろうさ」

 

 反射的に両手で股間を覆うジャンヌ・オルタをスカサハは鼻で笑う。からかい甲斐のある玩具を見つけたと言わんばかりに彼女の目は輝いていた。

 

「自分で自分を慰めるくらいなら、さっさと抱いてくれと真に頼めばいいものを……おっと、今あいつは元聖処女の相手で忙しかったか」

 

「……うっさいわね。あんたには関係ないでしょ」

 

「大いにある。あれは私の男だからな」

 

「はっ、だったら何で彼は貴方ではなくてあの聖女様の相手に勤しんでいるのかしら?」

 

「私が貸してやってるからだな」

 

 精一杯の嘲りも彼女には通用せず。さも、当然のことと言わんばかりの態度のスカサハにジャンヌ・オルタは唯々あんぐりと口を開いていた。

 

「あれが誰を抱こうが構わんさ、あれの一番は私だからな。無論、お主に貸してやるのも吝かではないが……本人にその気が無いのではな」

 

「……別に、その気が無いなんて言ってないわよ」

 

 だろうな、としゃあしゃあと言いながらスカサハはジャンヌ・オルタを見る。全てを見透かすような眼光が彼女を捉えていた。

 

「お主の考えを当ててやろうか? 真作であるあの女が自分よりも先に愛する男に抱かれた。所詮、贋作である自分では真作に敵わない。そう思っていても愛されたいと願ってしまう。求められたいと思う心を捨てきれない。愛する男を諦めることが出来ない」

 

「だったら、だったら何だって言うのよ!?」

 

 これでもかと図星を突かれ、反論も出来ずジャンヌ・オルタは泣き叫びながらスカサハを睨む。認めたくない現実を叩き付けられた怒りが彼女の周囲に怒りの黒炎を躍らせた。憤怒をぶつけてくるジャンヌ・オルタを微塵も恐れることなく、ナンセンスとしか言えんなとスカサハは肩を竦めた。

 

「真作も贋作もない。お主はお主だろう」

 

「……へ?」

 

 スカサハの言葉にジャンヌ・オルタは間抜けな声を上げる。

 

「そもそも、真作だの贋作だの言うこと自体が間違っているのだ。お主とあの聖女は違う。そっくりなのはガワと声、それに武器くらいのものだろう。根が真面目で律儀なところもな……相当、捻くれてはいるが。他に似ている要素があるか? 少なくとも私はないと思うが」

 

 比べるという前提からして間違っているとスカサハは言う。ジャンヌ・オルタの生まれた経緯、英霊としての在り方はともかく、今こうしてこのカルデアにいるジャンヌ・オルタは真作でも贋作でもない唯一無二の存在であると。

 

「というか、お主。私に言われるまでも無く、既にあれにそうだと言われていたのではないか? お主はお主だと」

 

「真……」

 

 雷に打たれたような衝撃が抜けきらない中、ジャンヌ・オルタは無意識の内に彼の名を呟く。そして思い出した。スカサハの言う通り、真は一度も彼女をジャンヌ・ダルクの贋作として扱わなかった。どんものであろうとも代えることの出来ない存在としてジャンヌ・オルタを認めてくれていた。

 

「そんな大事なことを忘れていたとはな。お主、痴呆か何かか?」

 

「……お生憎様。私はどこかの誰かさんと違って繊細なんです。彼が聖女様と関係を持ったと知った時、それはそれはショックだったんですから」

 

「随分と神経の細い女だ」

 

「『あれは私の男だ』なんて宣言しちゃう自意識過剰かつ神経の図太い痛々しい誰かさんよりはマシでしょう」

 

「はっはっは、ほざくではないか、小娘」

 

「えぇ、貴方のお蔭よ、お・ば・さ・ん」

 

「「はははははは……」」

 

 威嚇し合う龍虎の幻影を見た、と偶々近くを通りかかったカルデアスタッフは顔を蒼くしながら語ったそうだ。

 

「まぁ、貴方のお蔭で悩む必要はないと気付けました。そのことについてはありがとう、と言わせてもらいます」

 

 本当にそう思っているのか甚だ疑問な態度でジャンヌ・オルタはスカサハにほんのちょっとだけ頭を下げた。礼などいらん、とスカサハは片手を振る。

 

「真と契約したサーヴァントの中に貴様のようにうじうじと悩むナメクジのような輩がいるのが許せなかっただけだ」

 

 ナメクジ、と目を剥くジャンヌ・オルタの肩をスカサハは余裕たっぷりの笑みを浮かべながら叩いた。

 

「精々可愛がってもらうんだな」

 

 そう言い残して去っていくスカサハの後ろ姿をジャンヌ・オルタは忌々しそうに睨み付ける。

 

「あんたに言われなくたってそのつもりよ。たっぷり愛し合って、私に夢中にしてやるんだから。見てなさい、ケルトババぁぁぁ!!!???」

 

 突如、飛来した紅い魔槍に吹き飛ばされるジャンヌ・オルタ。おばさん呼ばわりは自制が出来たが、ババア呼ばわりは我慢ならなかったようだ。

 

 

 

 

「おぉ、オルタ。何か昨日は御師さんが間違って投げたゲイ・ボルグでぶっ飛んだって聞いたけど、大丈夫か?」

 

「うっさい! 全部あんたのせいよ!」

 

 心配したらがなり立てられた。怒声を浴びせてくるジャンヌ・オルタに真は目を白黒させる。ちなみに現在オルタは彼女だけなので、真はそちらの名でジャンヌ・オルタのことを呼んでいた。

 

「いや、その、何かごめん」

 

「ふん、口では何とでも言えるわ。本当に謝罪の気持ちがあるんだったらお願いの一つや二つ、されたって構わないわよね?」

 

 意地悪く唇を歪めるジャンヌ・オルタに真はいいよ、と即答する。基本、この男にサーヴァントからの頼み事を断るという考えはなかった。

 

「何か拍子抜けするほどあっさり受けたわね。まぁ、いいわ。じゃあ、今日は私と一緒にお菓子を作りなさい」

 

「え、お菓子? それはいいけど、お菓子なら昨日俺が作ったやつを食べたんじゃ」

 

「もう食べられてたのよ! あのケルトバb、ケルト女と王妃に!!」

 

 ゲイ・ボルグの直撃から回復したジャンヌ・オルタが食堂に辿り着いた時、真のお手製お菓子は全てマリーとスカサハの腹の中に納まっていた。甘いものは別腹とはよくいったものだ。

 

「そういう訳だから、今日は私のためだけに作りなさい。他の女に食べさせたら許さないから」

 

「へいへい、分かりやしたよっと。そんじゃ、食堂の厨房を使わせてもらうとするか。行くぞ、オルタ」

 

 私のためだけ、というフレーズにニヤニヤしながらトリップしているジャンヌ・オルタを小脇に抱え、真は食堂へと向かう。彼女が正気を取り戻した時、既にお菓子作りの準備が完了していた。

 

「は、何時の間に!?」

 

「いや、今さっきだけど……何か今日変だぞ、大丈夫か?」

 

「べ、別に何でもないわよ!」

 

 ここであんたと二人きりで嬉しい、的なことが言えれば少しは色っぽい展開に持っていけるのだろうが、そんな度胸はジャンヌ・オルタに無かった。巷で噂(になっているかどうか定かではないが)のヘタレ系恋乙女とは彼女のことだ。

 

「それじゃ、楽しく仲良く元気よく、お菓子を作っていきまっしょい」

 

「何よその歌のお兄さんみたいなノリ」

 

 二人仲良くエプロンをつけて厨房に立つ。真はともかく、ジャンヌ・オルタの着ている修道服の上にエプロンをつけるというのは中々シュールな絵だった。

 

 

 

「出来上がったのがこちらになります」

 

「お菓子を作るシーン丸々カットとか壮絶な手抜きね」

 

「まぁ、メインじゃないからね」

 

 ふざけたことを抜かす二人の前には共同して作ったショートケーキが置かれていた。お菓子作りに慣れていないジャンヌ・オルタがいたこともあって、多少歪な形をしているが十分に美味そうと言える出来だった。

 

「ノートに書いてある通りに作ってるだけなんだが、ちゃんと出来るもんだな」

 

「そうね(共同作業、共同作業♪)」

 

 真の言葉も初めての共同作業に浮かれるジャンヌ・オルタの耳に届いていなかった。

 

「じゃ、早速食べてみるとしますか。美味いといいんだが」

 

「私とあんたが作ったんだもの。美味くないわけないじゃない」

 

 フォークを手に取り、いざ実食。ホイップクリームの甘く滑らかな舌触りとフワフワとしたスポンジの食感。クリームとスポンジの間に挟まれたイチゴの酸味が絶妙に合わさっていた。

 

「うん、美味い」

 

「ま、当然ね」

 

 舌鼓を打つ真の隣でジャンヌ・オルタは上機嫌で笑顔を浮かべていた。二人で一つのケーキを分け合い、あっという間に食べ終わる。

 

「もしかして私、お菓子作りの才能あるんじゃないかしら」

 

 上機嫌で手の中のフォークをクルクルと回すジャンヌ・オルタに真は小さく苦笑を浮かべた。さっきまで、初めて使う包丁などの調理器具におっかなびっくりしていた姿を見せてやりたかった。

 

「さ、この調子で作っていきましょ。材料はこの前レイシフト先からちょろまかしてきたのがたっぷりあるんだし」

 

 ご機嫌な所に水を差すものでもないだろう、と真が何も言わないでいると、次のお菓子を作ろうとジャンヌ・オルタは包丁を手に取り、手近にあったイチゴをリズミカルに切っていく。ついさっき同じことをやったお蔭か、幾分か慣れた手つきだ。だが、切られていくイチゴの形は全部不揃いでバラバラだった。

 

「ぐぬぬ……」

 

「なぁにがぐぬぬ、だ。手の動かし方が大雑把過ぎるんだよ」

 

 唸るジャンヌ・オルタを見かね、真は背後に回って彼女の手に自分の両手を添える。

 

「なぁ!? あ、あんた、何して」

 

「いいから、集中して」

 

 集中など出来る訳もなく、ジャンヌ・オルタは顔を真っ赤にさせて自分の手に重ねられた真の手を見る。大きく、力強い。でも優しく暖かな手。触れられた部分が火でもついたかのように熱くなった。

 

(ていうか、今、私抱き締められて……)

 

 見ようによってはジャンヌ・オルタが真に後ろから抱き竦められてるように見えなくもないだろう。早鐘のように鳴る鼓動。触れ合う喜びと自身を包む男の匂い。そして間近に感じる真の存在がジャンヌ・オルタを幸せで満たしていく。同時にもっとという欲望が彼女の中で鎌首をもたげた。もっと触れ合いたい。いや、触れ合うだけでは我慢できない。その先を、男女の交わり合いをジャンヌ・オルタは求めた。

 

「と、こんな感じだ……って、おい、聞いてたか、オルタ?」

 

「……無理に決まってるでしょ。こんな風にされて、それも他の誰でもないあんたに」

 

 質問に返ってきたのは絞り出したような小さな声。訝しげに真が肩越しにジャンヌ・オルタの顔を見ようとすると、丁度振り返ろうとした彼女と目が合った。期待と情欲に濡れた金色の双眸。

 

「真……好き、大好き」

 

 包丁をまな板の上に置き、体勢を反転させて真に抱き付いた。うわ言のように好きと呟きながら彼の体をまさぐる。

 

「い、いきなりどうした?」

 

 情熱的なタッチに戸惑う真。異性の悪友、という風にジャンヌ・オルタを見ていた真にとって彼女の突然の行動と告白は正に青天の霹靂だった。

 

「ずっと、ずっと好きだったの。召喚してくれた時から、仲間だって言ってくれた時からずっと……」

 

 触れ合うだけでは我慢出来なくなったのか、ジャンヌ・オルタは大きく口を開いて真の唇にしゃぶり付いた。驚く真の唇に舌を捻じ込み、強引に口内を蹂躙する。歯茎や頬肉、舌の裏側まで余すとこなく舐め尽くし、激しくはしたない吸引音を上げながら唾液を啜った。

 

 時間を忘れ、ジャンヌ・オルタは真との口吻に没頭した。今この瞬間、いや、これから先も彼女にとって真が世界の全てだった。自分のものだというように真の体に回した腕の力を強め、もっと感じ合いたいと舌の動きを激しくする。

 

「ん、んちゅ、ちゅる……ぷはっ! お、オルタ?」

 

 やっと解放され、真は苦しげに呼吸をしながらジャンヌ・オルタを見た。上気した頬、欲情しきった瞳、唾液でてらてらと光る唇。蓮っ葉な態度で憎まれ口を叩いていた普段の彼女の姿からは想像もつかない女を剥き出しにした彼女の姿に真は自然と生唾を呑んでいた。

 

「貴方は、どう? 私のこと好き? 愛してくれる? 求めてくれる? 必要としてくれる?」

 

 胸の中に溜めこんでいたもの全てをぶち撒けるように気持ちを吐露する。求められたいという望みと拒否されたらどうしようという不安をない交ぜにした瞳が真を映していた。

 

 何時もとはまるで違う、触れれば壊れてしまいそうなジャンヌ・オルタの姿に真はゆっくりと言葉を選びながら口を開いた。

 

「オルタ。俺さ、何というか、お前のこと悪友みたいな感じに思ってたんだ。普段の言動があんま女の子らしくなかったからさ」

 

「っ!」

 

 ショックに身震いするジャンヌ・オルタの頬に手を添える。確かに真は彼女を女としてでなく、友人として見ていたが、彼女の行動が真の中にあったジャンヌ・オルタ像を大きく変えた。

 

「でも、お前って本当はこんなに女の子らしくて可愛い奴だったんだな」

 

「……ふん、今さら気付いたって許してやんないんだから」

 

「どうしたら許してくれる?」

 

「……一杯、愛して」

 

 了解、と答え、今度は真から口付けをする。心の底から嬉しそうに目を細め、ジャンヌ・オルタは真のキスを受け止めた。ゆっくりと、互いを味わうように舌を絡め合う。唾液が舌で撹拌される音が二人の興奮を激しく燃え上がらせた。ふと、ジャンヌ・オルタの目が調理台の上に置かれたプラスチック製のボウルに向けられる。中には先ほど作ったホイップクリームが。

 

「真、これ」

 

 自分の傍に引き寄せ、中のクリームを指で掬い取る。真っ白なクリームを突き出した舌に乗せ、見せつけるように動かした。彼女のしたいことを理解し、真はクリームを乗せたジャンヌ・オルタの舌に自分のものをゆっくりと巻き付けた。甘味と甘い香り。そこに互いの唾液が加わる。脳が溶けてしまいそうな甘美な味わいに二人は無我夢中で、互いの口を汚すのも構わず貪り合った。

 

 口の中のクリームがなくなると、再びジャンヌ・オルタはクリームで指を汚す。今度は自分の舌に乗せるのではなく、真の唇へと塗り付けた。

 

「あむ、じゅる、ちゅぴ、ちゅぱ……ひん、おいひい?」

 

「あぁ、おいひふぎへあはまがへんにはりそうは」

 

 クリームを舐め取った舌を口内に突っ込む。待っていたのは荒々しくも愛情に満ちた歓迎。絡み合う舌は淫靡な踊りを見せながら淫らな音楽を奏でた。

 

 キスをしながら自身の胸元を掴むジャンヌ・オルタ。両手に力を込めると、ぶちぶちと音を立てて服が破けた。重く、それでいて瑞々しい果実が揺れる。豊満な乳房が剥き出しになり、白い柔肉の頂では充血した乳頭が物欲しげにひくひくと動いていた。

 

「貴方、おっぱい大好きよね。こんなのはどう?」

 

 挑発するように笑いながら右の乳首にクリームを塗る。白いクリームに包まれた淡いピンク色の突起はイチゴのように見えた。

 

「最高だ」

 

 言葉短く答え、卑猥なイチゴに吸い付く。あん、とジャンヌ・オルタが甘い声を上げるのも構わずにクリームを舌で落とし、隠れていた乳首を入念に責め立てた。付着したクリームをこそぎ落とそうと乳輪をほじくるように舌を動かせばびくびくとジャンヌ・オルタの体が震えた。

 

「ちゅうううう、ちゅぽん!」

 

「ひぃん!」

 

 頭を後ろに引き、乳首を吸い伸ばす。強烈な刺激に襲われ、ジャンヌ・オルタは小さく悲鳴を上げた。クリームと唾液が混ざった薄い白濁液に覆われた乳首を摘まみ、くりくりと弄り回す。ぴくぴくと体を震わせながらジャンヌ・オルタは口に手を押し当てて声を必死に押し殺した。

 

「もっと、声聞かせてくれ」

 

「駄目ぇ、誰かに聞かれちゃうぅ」

 

「今更だろ」

 

 涙目で首を振るジャンヌ・オルタにサディスティックな笑みを見せ、真は両方の乳頭にクリームをたっぷりと塗り付けていった。双山を左右から寄せ合わせ、白いクリームを乗せた乳首を殊更に強調させる。たぷたぷとバストを弄びながら舌で少しずつクリームを取り、ぴちゃぴちゃと音を立てて軽い刺激を乳首に与えた。

 

「二つ一遍になんてだめぇ」

 

 弱々しい声をあげるジャンヌ・オルタ。駄目と言いつつ、真を押しのけようともせずに行為を受け入れている。瞳を淫らに光らせ、更なる快感を今か今かと待っていた。クリームの山から乳首が見えてきたところで一気に口に銜える。激しい吸引音を鳴らし、クリームと一緒に乳首を吸えばジャンヌ・オルタが頤を反らして嬌声を響かせた。ぷしゃあ、と蜜を潤わせていた秘所が飛沫を噴いてショーツを汚す。

 

 頭を軽く左右に振り、音を立てて乳首を口から引き抜く。びくん、と一際強くジャンヌ・オルタは体を揺らした。

 

「お前も好きなんだな、胸」

 

 からかうように見上げてくる真を恨みがましい目で睨む。やられっ放しは彼女の性に合わない。次は自分の番だと真と体を入れ替えた。真が調理台に手を置き、自分の体を支えるような体勢になった。

 

「そのにやけ面もここまでよ」

 

 口を動かしながらジャンヌ・オルタは跪き、真のズボンを脱がしていく。ベルトのバックルを外し、何かに引っかかる感覚に構わずにパンツごとズボンを下ろした。

 

 ぶるん!

 

「きゃっ!」

 

 拘束から解放された逸物が彼女の頬を叩く。反射的に目を瞑りながら後ろに跳んで立ち上がるジャンヌ・オルタ。恐る恐る目を開くと、長大な剛直が全身を先走りで濡らしながら天に向かってそそり立っていた。予想よりもいくらか大きい肉棒を前にジャンヌ・オルタは目を見開いた。自分の中にこれが挿れられるのかと思うと、僅かな恐怖感が湧いてくる。だが、それを覆い隠してしまうほどの期待が胸中に溢れているのも事実だ。

 

 少し先の未来で行われるだろう男女の交わりに胸を高鳴らせながらジャンヌ・オルタはボウルを手に取った。今は別にやることがある。

 

「今度は私が可愛がってやるんだから」

 

 両手にクリームをたっぷりと乗せ、自身の乳房に塗りたくっていく。乳輪、谷間など乳房全体にクリームをすり込みながら視線を持ち上げてみる。美少女が自分のバストを揉みくちゃにしながらクリームを塗るという光景に興奮しているのか、真は目をギラつかせて鼻息を荒くさせていた。逸物もビクビクと震え、先端から我慢汁を垂らしていた。

 

「もう少しだから待ってなさい」

 

 クスクス笑いながら亀頭に軽く口付けをする。身震いする真に満足げに頷き、ジャンヌ・オルタは準備を完了した。見せつけるように両手でバストを持ち上げ、軽く揺らしながら擦り合わせる。汗とクリームが混じった、ぬちゃぬちゃと卑猥な音が谷間から聞こえた。

 

「パイズリ、って言うんでしょ? 腰が抜けるくらい気持ちよくしてやるんだから、覚悟しなさい」

 

 跪き、ボリュームたっぷりの胸を開く。亀頭の先端を咥え、舌先で鈴口に弱い刺激を与えながら頭を動かして肉棒を胸の中へと導いた。両脇から熱く滾った逸物を挟む。乳房の柔らかさとクリームの滑った感触が同時にペニス全体を包む。剛直を余すところ無く包んだ快感に真は天井を仰ぎながら大きく息を吐いた。

 

「すぐに出したら承知しないから……熱い、おっぱいが火傷しちゃいそう……」

 

 うっとりと目を細めながらジャンヌ・オルタはバストを上下させて逸物を扱いていった。きめ細やかな肌が逸物全体を擦る。まろやかで滑々とした感触に加え、汗とクリーム、そして先走りの滑りがエラを張ったカリを刺激する。ぬちゃっ、ぬちゃっと音が鳴る度、真の官能がくすぐられた。

 

「胸の中でピクピクぅってなってるわよ。気持ちいいのね。もっと気持ちよくしてあげる」

 

 宣言通り、ジャンヌ・オルタは胸の動きを大きくさせる。口内の涎を谷間から顔を覗かせた亀頭に落とすと、びくんと真の体が大きく震えた。乳房を抑える手の力を強くして乳圧を高め、柔肉を押しのけて谷間から出ようとする逸物により強い刺激を与えていく。

 

「オルタ、これ、凄い……」

 

「そう、気持ちいい? 私、ちゃんと貴方のこと気持ちよく出来てる?」

 

 まともに答える余力も無く、真はただ首を上下に振った。我慢すること以外に意識を向ければ、たちどころに果ててしまうだろう。それ程に彼女の行為は強烈だった。真の反応に嬉しそうに頷き、ジャンヌ・オルタはより情熱的に胸の奉仕に没頭していった。さっきまで頭の中にあったやり返してやろうという感情は消え失せ、ただ愛する男に快感を与えることだけに集中していく。

 

 今度は互い違いに胸を動かす。右の胸を上に動かせば、左の胸を下に。次は逆にと動かせば真の呻き声が大きくなり、調理台の縁を掴んだ手に力が籠った。手や口、女性器とも違う動き、違う快感。男を魅了するバストに自分の逸物が挟まれてるという視覚的興奮も合わさり、真の性感は今までにないほど高まっていた。

 

 間断なく与えられる刺激、右肩上がりに増していく快感。一時として引くことのない快楽の波に真の我慢も限界を迎えようとしていた。

 

「オルタ、もう……」

 

「出す、出すのね? いいわ。一杯出して、貴方専用のパイズリオナホールに白いどろどろのザーメンぶち撒けて……!」

 

 頭を茹らせ、卑猥な言葉を口にしながらジャンヌ・オルタは胸を激しく動かす。追撃に亀頭を吸い立てると、真の食い縛った歯の隙間から唸り声が溢れた。弾力に満ちた乳房に捏ね繰り回された逸物が快感を爆発させ、先端から白濁を迸らせる。

 

「あはぁ、出たぁ♡」

 

 天井を見上げるジャンヌ・オルタの顔に舞い上がった精液が降り注いだ。びちゃびちゃと音を立てて落ちてきた白濁液で顔や髪が汚れていく。むせ返りそうな雄の匂いに包まれ、人知れずジャンヌ・オルタは秘所から大量の潮を噴き出した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 長い射精を終え、真は大きい呼吸を繰り返す。とても喋る余力など残っていなかった。閉じた瞼を持ち上げ、跪くジャンヌ・オルタを見る。前髪や顔全体を精液でべとべとにしながら恍惚とした顔をしていた。乳房も例外ではなく、剛直が尚も吐き出している白濁液で濡れていた。

 

「わ、悪い。思いっきりかけちまった。拭くもの、拭くもの……」

 

「拭くなんてダメぇ。全部、私のなのぉ♡」

 

 顔や髪に張り付いた精液を両手の指で絡め取り、口へと運ぶジャンヌ・オルタ。どろどろの白い粘液に塗れた指を一心不乱にしゃぶる。

 

「はむ、じゅるる、ちゅる、ちゅぴ……ずじゅるる……」

 

 生臭く、熱を持った白濁液は発情し切った彼女にとって極上の甘露だった。人差し指、中指と順番に精液を舐め取りながら顔と髪に残ったもの、そして胸に垂れている精液を掬い取っていく。自身を穢した白濁液を夢中で音を立てながら飲み下していく少女の姿に真は射精したばかりの剛直をより熱く滾らせた。

 

「真、私もう、我慢出来ない……」

 

 ジャンヌ・オルタは立ち上がって自身の服の裾を持ち上げて見せる。露わになった下半身。内腿はびちゃびちゃ、ショーツはお漏らしでもしたようにぐちょ濡れで、股から垂れる生暖かい液体が床に潮溜りを作っていた。

 

「もっと、もっと愛してくれるよね?」

 

 頷く以外の選択肢など、この男には無かった。

 

 

 

 

 最低限の片づけ(真は使った調理器具や食材の後始末、そして掃除。ジャンヌ・オルタは体を拭いたり口をゆすいだり等)を終え、二人は真のマイルームへとやって来た。

 

「真……!」

 

「オルタ……!」

 

 扉が閉まるや、濃密なキスを始める二人。口付け合ったまま服を脱ぎ捨て、徐々に全裸になりながらベットの傍まで歩いていく。

 

 もつれるようにベットに倒れ込み、激しい接吻を続ける。シーツをくしゃくしゃにしながら相手の体を撫で回し、生脚を絡め合って互いの官能を高めていった。

 

「真、来て、挿れて……ここが寂しくて、切なくて頭がおかしくなりそうなの」

 

 己を焦がす情欲の熱に薄く涙を流しながら仰向けに倒れ、ジャンヌ・オルタは両手で濡れそぼった女陰を開く。愛液を滴らせたそこは男を求め、綺麗なサーモンピンクの媚肉をひくひくさせていた。無言で小さく頷き、真はジャンヌ・オルタの両脚を抱えて彼女を引き寄せる。屹立した剛直が割れ目に擦り付けられ、くちゅくちゅと音を鳴らした。

 

「挿れるぞ」

 

「うん、思いっきりぶち込んで。最初から激しくしても大丈夫だから」

 

「大丈夫って……初めてなんだろ? 結構、というか相当痛いみたいだぞ?」

 

 ジャンヌの時と同じ轍を踏むまいと真は気遣いの目をジャンヌ・オルタに向ける。真の警告を受けても、彼女の意思は変わらなかった。

 

「本当に大丈夫。だって……自分で破っちゃったし」

 

「……何ですと?」

 

 聞き流すには余りに重大な発言だった。驚きに目を見開く真の視線から逃れるようとジャンヌ・オルタは顔を背ける。完熟トマトもかくやの真っ赤な面貌から察するに真をからかうための冗談ではないようだ。

 

「ま、前に自分で慰めてた時、指だけじゃ物足りなくなって。それで、偶々近くに合った制汗剤のスプレー缶で……」

 

 スプレー缶をペニスに見立て、ヴァギナへと入れた結果、処女膜を失ったという訳だ。その時のことを思い出したのか、彼女は羞恥で今にも死にそうな顔を浮かべていた。ちなみにこの時のことが余程ショックだったらしく、ジャンヌ・オルタは指以外で自分を慰めることはしなくなったそうだ。

 

「その、オナニーも結構、というか毎日何回もしてるから中もかなり解れてると思う。だから、最初から全力でやっても……」

 

 羞恥心で顔を覆いたくなる衝動を抑え、ジャンヌ・オルタは横目で真を見る。当たり前と言うべきか、驚いたような呆れたような表情をしていた。

 

「こんな女の子、嫌? 抱きたくない?」

 

「そんな訳ないさ。お前みたいな魅力的な女の子を抱きたくないなんて言う奴は不能かホモくらいのもんだ。ただまぁ」

 

 胸中に顔を出した加虐心が真の口元を歪める。今まさに膣内へと挿入させようとしていた剛直を引き、女陰の上を滑らせるように往復させ始めた。

 

「何を考えてオナニーしてたかは気になるな」

 

「いやぁ、そんなこと聞かないで、言わせないでぇ」

 

 割れ目を擦られる感覚に身震いしながらジャンヌ・オルタは子供のように首を振る。目尻から大粒の涙が零れていた。しかし、真珠のような彼女の涙は真の加虐心についた火を激しくさせるだけだった。

 

「そんなこと言われると余計に聞きたくなるな。俺、気になります」

 

「い、いじわるぅ」

 

 憤死しそうな恥ずかしさと、男を求める体の疼き。二つを天秤にかけた結果、ジャンヌ・オルタは女としての性を選んだ。

 

「さ、最初は貴方とキスをしてるの。優しく、恋人みたいに」

 

「ほうほう……ちゅ」

 

 舌を絡み合わせるような激しいものじゃなく、触れるだけの軽い口付けをすると、ジャンヌ・オルタが小さく肩を震わせた。

 

「その先は?」

 

「そ、それで、唇だけじゃなくて、頬とか、耳とか、顔の色んな所や鎖骨とかにもキスされて」

 

「ふむふむ」

 

 彼女の言う通り、真は真っ赤になった頬や耳、額などにキスを落としていった。その次に首筋に軽く歯を立てながら喉のラインをなぞるように舌を這わせていく。口が胸元に辿り着いたところで唇を離し、呼吸に合わせて上下する乳房にキスをする。

 

「それから、それからぁ……」

 

 切ない声を上げるジャンヌ・オルタ。キスをし始めてからずっと、真はゆっくりと腰を前後させて彼女の女陰に微弱な快感を与えていた。当の昔に我慢の限界を迎えていた彼女にとって真の動きは拷問に等しかった。灼き切れそうな頭を必死に働かせ、舌足らずになりながらも必死で言葉を紡ぐ。

 

「みみもとで、あいしてるって」

 

「愛してる」

 

 至近距離で囁かれた言葉に子宮が震える。秘所の奥から蜜を溢れさせ、ジャンヌ・オルタは乞うように真を見上げた。

 

「け、結婚、しようって」

 

 真の動きが止まる。女陰に走っていた弱い快感が止まり、首を傾げるジャンヌ・オルタの目に真っ直ぐな瞳が映った。体全体でジャンヌ・オルタの体をベットに押さえつけ、真は口を開く。

 

「俺の子供を産め」

 

 言うと同時に秘所に剛直を突き刺す。待ち望んでいた快感と愛する男の孕めという意味の言葉にジャンヌ・オルタの胎内で燻っていた快感が爆発した。声にならない絶叫が上がる。真っ白になっていく意識とは裏腹に彼女の体はのたうっていた。

 

 快感に激しく体をくねらせるジャンヌ・オルタの動きがダイレクトに全身に伝わってくる感覚が性感を煽る。真はフルスロットルで打ち込んでいた腰のスピードを上げた。男を受け入れたこと自体は初めてなのにも関わらず、彼女の蜜壺は驚くほどに柔らかく、そしてねっとりと男根を包んでいた。

 

 あらん限りの精を搾り取ろうとする膣内の動きに真は歯を食い縛る。むしゃぶりついてくる肉襞を振り払うように逸物を引き、子宮口に亀頭をめり込ませるように腰を叩き込む。媚肉がみっちりと膣道を塞いでいたかと思えば、剛直を奥に向かわせた途端に誘い込むように肉襞が蠢いた。

 

「オルタ、お前の中、絡まってくる……!」

 

 返ってくるのは要領を得ない呻きだけだった。ジャンヌ・オルタは焦点の定まらない瞳で真を見ながら全身を駆け巡る快感に翻弄されていた。ずんずん、と体に衝撃が走る度に雷撃のような快感が脳を直撃する。

 

 周囲の景色が遠ざかっていくような感覚。感じるのは肌を打つ人肌の熱と胎内を貫く快感だけ。ほとんど意識を失ったような状態のジャンヌ・オルタだが、体は貪欲に快楽を求めているようで両腕両脚を真に絡みつかせていた。

 

 体が密着した状況の中、可能な範囲で二人の腰が動く。膣内を抉り、子宮口を突く真の逸物を自ら迎え入れるようにジャンヌ・オルタの腰が揺れていた。完全に息の合った二人の動きはダンスのようで、肌と肌をぶつけ合わせて淫らなリズムを刻んでいるようだった。

 

「オルタ、出すぞ……!」

 

 真の言葉にこくこくと頷く。意識はほぼ無いのに、子種を求めて膣内が激しく蠕動する。剛直に密着した肉襞の動きがトリガーになった。

 

 解き放たれた怒涛のような欲望をジャンヌ・オルタは潮を噴きながら迎えた。子宮に子種を注ぎ込まれていく感覚に背筋が震える。愛しい人の精を初めて胎で受け止められた悦びが全身を包んでいった。

 

「し、ん……す、き」

 

 途切れ途切れの言葉に男は鷹揚な笑みで頷く。にへら、と締りのない笑みを浮かべてジャンヌ・オルタは首に回した腕に力を込め、ゆっくりと真の唇を奪った。

 

 

 

 

「この鬼畜、変態」

 

「悪かったって」

 

「女の子を言葉でイジメて愉しむなんて……将来、碌な男にならないわよ、絶対」

 

「いやぁ、お前さんが物凄く可愛くて」

 

「……ふん、そんな都合のいいこと言って。そうやって女の子を誑かしてきたんでしょ。本当、あんたって最低の屑だわ」

 

「じゃあ、その鬼畜で変態、将来碌な男にならないことが確定している女を誑かす最低の屑と風呂でイチャイチャ抱き合ってるお前は何になるんだ?」

 

「……知らない。毒牙にかかった哀れな小娘ってとこでしょ」

 

 真の問いにそっぽを向きながらジャンヌ・オルタは鍛えられた胸板に体を預ける。ここはマイルームに備え付けられた風呂場だ。人が複数入るには些か小さな湯船の中に二人分の体を無理矢理押し込め、二人は抱き合いながら情事後の余韻に浸かっていた。

 

「いや、別に誑かす気なんてこれっぽっちもないんだぜ。お前を可愛いと思ったのは本当だし」

 

「ふん、騙されないわよ。一緒に寝た女全員に同じこと言ってるんでしょ。ケルト女にも、王妃様にも、後、聖女様にも」

 

「そりゃ、皆愛してますし」

 

「……あんた、何時か絶対刺されるわよ。だって私、今切実に刺したいって思ったもの」

 

 苦笑を浮かべながら目を据わらせたジャンヌ・オルタの頬に手を添える。

 

「そりゃ勘弁だな。それにどっちかっていうと俺は挿す側のほうがいい」

 

「っっっ、明らかに字が違うでしょ、スケベ」

 

 朱に染まった顔を真の胸元に埋める。優しく髪を撫でてやると、ものの数秒でジャンヌ・オルタの機嫌が治った。この子、本当にちょろい。

 

「そういえば……あんた、聖女様と駅弁とかいうのやったみたいじゃない」

 

「おいおい、何で知ってんだ?」

 

「使い魔で覗いたのよ」

 

「ちょっと、オルタさん。今、大変聞き捨てならない言葉が」

 

「はいはい、ごめんなさい。反省シテマス。それで、どんな感じだったのよ?」

 

 興味本位の質問に真は頭を掻きながら答える。もっとも、それはジャンヌ・オルタが望んだような答えではないのだが。

 

「どうも何も、やってないから分かんねぇや。後ろでやっただけでジャンヌ、もう無理って言ってたし」

 

「後ろ……ま、まさか/// こ、この変態!」

 

「褒め言葉と受取っておこう。まぁ、初めてのアナルはジャンヌには刺激が強すぎてな。これ以上は無理ってことで結局やってないのよ」

 

 今度は絶対にしてください、と約束させられたが。と、ここで真はジャンヌ・オルタが口元を邪悪に歪めていることに気付く。絶対に碌でもないことを考えてると万人に察せさせる笑みが浮かんでいた。

 

「へぇ~、聖女様とはやってないのね。ふ~ん、いいこと聞いたわ」

 

 にしし、と笑い、ジャンヌ・オルタは湯船の中で立ち上がった。勢いよくお湯が顔にかかり、真の目や鼻を直撃する。

 

「しましょうよ、その駅弁ってやつ」

 

 ジャンヌ・オルタは湯船から出ながら痛みに咽る真に実に良い笑顔で呼びかけた。真作贋作云々を気にするつもりはもうないようだが、それでもジャンヌが得られなかったものを彼女よりも早く手にするのはジャンヌ・オルタには堪らなく痛快だった。

 

「げほっ、えほっ……あのな、オルタ。そんなしましょうって言われてもな、さっきあんだけ出したんだからそんな簡単に出来な」

 

「えい」

 

 真の目の前で胸を強調させるように両腕を寄せる。眼前に迫った形を変えるたわわな果実に男の性は悲しく、そして情けないくらいにあっさりと燃え上がった。

 

「あはっ。体は随分と正直ね」

 

「くぅ、欲望に素直すぎるぜ、相棒」

 

 ジャンヌ・オルタの背を追うように真も湯船から出た。何だかんだ言ってこの男ノリノリである。

 

「それで、どうすればいいの?」

 

「そうだな。まず、壁に寄りかかってくれるか? 冷たいと思うけど」

 

 真に言われるがまま、ジャンヌ・オルタはタイル張りの壁に背中を預けた。水滴の付いたタイルは冷たく、ジャンヌ・オルタは背中の冷えた感触に体を震わせる。

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫よ、これくらい。すぐに温かくなるわ。次は?」

 

「落ちないように俺の首にしっかり両腕を回してくれ」

 

 落ちないように? と首を傾げるも、ジャンヌ・オルタは言われた通りに真の首に両腕を巻き付けた。互いの胸が触れ合う感触に二人は小さく息を漏らす。

 

「この後は?」

 

「後は大丈夫だ、お前は何もしなくていい。俺に任せてくれ」

 

 彼女の両脚を抱きかかえ、臀部を両手で包んでしっかりと支える。むっちりとした肉厚で柔らかな尻肉は思わず揉みしだきたくなるような魅力に満ちていた。胸板に押し付けられた豊満なバストと両手の指先に感じる尻肉の感触が真の欲望を焚きつけた。

 

 行くぞ、と一言だけ声をかけ、ジャンヌ・オルタの体を持ち上げて秘所を肉槍で一気に穿つ。既にぬかるんでいたそこはあっさりと逸物を飲み込み、雌の本能に従って竿や亀頭に肉襞を絡ませた。

 

「ひぐぅ、深いぃぃ!」

 

 のっけから激しく攻められ、ジャンヌ・オルタは激しい喘ぎ声を上げた。突き上げられた体が重力に従って落ちるタイミングに合わせ、亀頭が子宮口に激しくキスをする。今までにないほど深く繋がり、ジャンヌ・オルタは嬌声を風呂場に響かせて快感を貪った。

 

「こ、これ凄いのぉぉ! おちんちんが、おちんちんが子宮にごちゅごちゅって、キスしてるぅぅぅ!」

 

 余りに強い刺激がジャンヌ・オルタを狂わせる。獣のように悶える彼女を両腕と壁で支え、真は更に抽挿を強くさせた。雌穴は主人の高まる性感に調子を合わせるかのように具合を良くしていく。入り口は吸盤のように剛直へと吸い付き、奥へと至る道は激しくうねってカリや竿を舐めしゃぶる。

 

「あひっ、あふっ、あぁぁぁぁ、とぶ、からだがとんじゃうぅぅ!」

 

 胎内を貫かれる快感は凄まじく、一回突き上げられるごとにジャンヌ・オルタは意識がどこかに吹き飛んでしまいそうだった。子宮を逸物で串刺しにされるのではと錯覚しそうになる激しいピストン運動にジャンヌ・オルタの全身をがくがくと震える。彼女の震えは膣内を通じて剛直にもダイレクトに伝わっており、膣壁の擦りたてるような動きと合わさって真の背筋をぞくぞくさせた。

 

 大きく張り出したカリが吸い立ててくる肉襞を抉り、雌穴の外に淫液を掻き出していく。ボタボタと音を立てて落ちていく粘度のある液体は止めどなく溢れて風呂場の床を汚していった。

 

「オルタ、舌出して」

 

「ん、んぅ。はむ、ちゅ、じゅる、ちゅぱ」

 

 真の要求にジャンヌ・オルタは従順に舌を突き出す。すぐさま銜えれば、歓迎するように絡みついてくる。濃厚な音を立てて上でも下でも交合をする二人。蜜壺は逸物を迎える度にグポグポと淫らな水音を立て、互いの舌を吸い合う口はじゅるじゅると下品な音を上げていた。

 

「あぁ、らめぇ。いく、いくいく、いっちゃうぅぅ!」

 

 一旦、口を離して絶頂を迎えたことを伝えるが、そんなこと知るかと言わんばかりに再び唇を奪われる。真の顔と壁に頭を固定され、逃げ場を失ったジャンヌ・オルタは口内を舐る舌と秘所を掻き回す剛直の感触に酔い痴れた。

 

 激しく突き入れられていた逸物の動きが変化する。子宮口にぴったりと吸着し、円を描くように亀頭で嬲る。方向性が変わった快感にジャンヌ・オルタは美しい肢体を震わせた。子宮口に我慢汁がすり込まれる感触は快感を直に塗り込められるかのようで、ジャンヌ・オルタは真が腰を一回一回グラインドさせるごとに果て続けた。

 

 小刻みに収縮する膣内。何度も強制的に味あわせられた絶頂が少女の脳を蕩かしていく。最早、何も考えることが出来ない。彼女の中にあるのは加速度的に増していく快楽と、自分を気持ち良くしてくれる男に対する愛情だけ。幸せという心地よい海の中を漂っているようだった。

 

「……♡」

 

 目尻から涙を流しながらジャンヌ・オルタは自分の中の愛を伝えるように膣内を締め上げる。カリや裏筋、ペニスの感じる部分を肉襞が的確に捉え、激しく収縮した。ダムが崩壊するように白濁が吐き出される。子宮に温かいものが広がっていくのを感じ、ジャンヌ・オルタは無言で体を震わせた。両足の指をぐっと曲げ、手放しそうになる意識を必死に繋ぎながら吐精を受け入れる。さっき出されたものと合わさり、子宮の中はもうパンパンだった。

 

「……と、お前の要望通りにやってみた訳だが……どうだった?」

 

「……さいこぉ♡」

 

 繋がり合ったまま、再度口付けをする。全身を包むこの上ない多幸感と温もりにジャンヌ・オルタはこの瞬間が永遠に続くことを願った。

 

 

 

 

「真、す~き」

 

「お、おう」

 

「だぁいすき」

 

「それはさっきも聞かせていただきましたが……」

 

「すぅき。好き好き、大好き」

 

 ジャンヌ・オルタの口から出てくる無数の『好き』に真は照れればいいのか困ればいいのか分からないという顔をしていた。困り果てる真のことなどお構いなく、ジャンヌ・オルタは真の腕を枕にして幸せそうに微笑んで好きを連呼する。

 

「あの、オルタさん。何時もとキャラ違い過ぎません? 普段の貴方ならそんなこと絶対しませんよ?」

 

「普段じゃないからいいの」

 

 確かに一枚のシーツの中で全裸の男女が睦言を交わしている状況が普段では色々とまずいだろう。言われてみれば確かに、と納得する真の腕に頬擦りをする。

 

「す~き、好き好き好き好き好きすきすきすきすきすきスキスキスキスキスキ……キス?」

 

 遂に起こるゲシュタルト崩壊。自分が言っているのが好きなのかキスなのか分からなくなったジャンヌ・オルタに苦笑しながら真は空いている手を彼女の頬に添えた。

 

「キス、して欲しいのか?」

 

「……たくさん♡」

 

 赤くなった頬を撫でながら形の整った艶々の唇に口付けをする。もっと、とせがむように唇が突き出されたので何度も唇を触れ合わせた。

 

「ん、しん、ちゅきぃ……」

 

 接吻の最中も彼女は真に想いを伝えるのを止めようとしなかった。幾ら伝えても足りぬというように、胸の内から湧き続ける感情のままに好きと言い続ける。ジャンヌ・オルタの言葉に答えるように真は彼女の気が済むまでキスを続けた。

 

(好き、好き、大好きぃ。貴方のためなら何だってする、どんなことだってする。だから、だから……私ヲ捨テナイデ)

 

 

 

 

オマケ

 

 

ジャンヌ・オルタ『ジャンヌ・オルタです』

 

ジャンヌ・ダルク『じ、ジャンヌ・ダルクです』

 

ダブルジャンヌ『『二人は遠野真専用中出し専門肉便器の竿姉妹でーす』』

 

ジル(術)『あああああぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!』

 

ジャンヌ・オルタ『ここに来る前もたっぷり愛してもらったの。中から溢れ返るくらい注がれて……今もお腹の中がタプタプいってる♡』

 

ジル(術)『おげあぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

ジャンヌ・ダルク『わ、私も一杯、その……お尻に/// 今も少し垂れてきて///』

 

ジル(術)『ぎああああああ!!!!!』

 

ジャンヌ・オルタ『あんたを倒したらご褒美にまた愛してもらえるの。そういう訳でジル、とっととくたばって下さいな』

 

ジャンヌ・ダルク『出来るだけ早く倒されてくれると私も嬉しいです。今度は前と後ろ同時にしてくれるそうなので』

 

ジル(術)『!”#$%&+*‘@(地球の言語分野では理解出来そうにない悲痛な叫び)!!!!!』

 

マシュ『お二人とももう止めてください! ジル元帥の体力はもうマイナスです!』

 

真『こいつぁひでぇ』

 

スカサハ『どの口が言うか、この元凶め』




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
女の子をイジめるのが好きです。女の子にイジめられるのも好きだけど、一番好きなのは女の子とイチャイチャすることです、とかほざいてる。地獄に堕ちればいいのに。

『ジャンヌ・オルタ』
作者に盛大にキャラをぶっ壊された被害者的存在。あれだ、ギャルゲなんかに出てくる、優秀な双子の姉と比べられるヒロイン的な立ち位置なんだよこの子は。そんな劣等感と承認欲求の塊みたいな子がさ、自分を認めてくれた相手にずぶずぶに依存する展開って……最高やん? FGO内のジャンヌ・オルタもマスターに見捨てられたりしたら冗談抜きで闇堕ちしそう。

『ジル・ド・レェ』
ベストオブ被害者。この小説で彼が報われることは永遠にない。


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『スカサハ』お主が主で私がメイドで

 ども、北斗七星です。先日は変なものを投稿してしまい申し訳ありません。ちょっとテンぱってました。感想でアドバイスを下さった方、規約違反だと教えてくださった方、本当にありがとうございます。この前書きを以ってお礼とさせていただきます。では、もう誰だよこれレベルにキャラが崩れたスカサハをお楽しみください。


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

 人理継続保障機関『カルデア』に所属する最後のマスター、遠野真のマイルーム。今日が休養日なのをいいことに部屋の主は時計の針が朝の十時を指しているにも関わらず、ベットの中で穏やかな寝息を立てていた。この至福の時を邪魔する奴は誰であっても許さん、もしいれば滅尽滅相すべし、という半分以上本気の言葉が効いたのか、サーヴァントもカルデアスタッフも誰一人として真を起こそうとはしなかった。といっても、彼の脅しに怯えて何も言えないということはなく、世界の命運を背負うことになってしまった少年に少しでも休んで欲しいという彼らなりの気遣いだ。

 

 そんな彼らの優しさに甘え、更に惰眠を貪ること一時間。そろそろ起きようかな、いや、まだ寝ててもいいような。でもちょっとお腹空いたな、何て贅沢な悩みを微睡みの中でしている時、彼女は現れた。

 

「おい、何時まで寝ている気だこの寝坊助。いくらつい先日に第四特異点を突破したとはいえ、だらけ過ぎだ」

 

 かけられた声と一緒に感じられたのは食欲をそそる美味そうな匂い。薄目を開けてみると、匂いの元となっている料理が置かれているだろう台車があった。台車の傍らには白と黒の服を身に纏った誰か。

 

「まぁ、あのような輩と遭遇したのだ。今まで以上に消耗しているのも頷ける。だからと言って三日も惰眠を貪るなど言語道断。休息日も今日で終わりだ。なに、不満は言わせんさ。私手ずからお前を労ってやるのだからな……いや、この格好の時はこう言うんだったか」

 

 もう一度瞬き。クリアになった視界に映ったのは、

 

「お早うございます、真様」

 

 所謂、メイド服なるものを身に纏ったスカサハがスカートの裾を摘まんで軽く一礼している姿だった。

 

 

 

 

 

「ご馳走様でした」

 

「美味かったか?」

 

「えぇ、とっても」

 

「そうか、口に合ったのなら何よりだ」

 

 スカサハが作ったという料理は非常に美味かった。武術といい魔術といい、本当に多才な人だ。ところで御師さん、と空き皿を乗せた台車を部屋の隅に押していくスカサハに声をかける真。

 

「その格好は一体?」

 

 あぁ、これか、とスカサハはその場で一回転。長いスカートがふわりと膨らみながら揺れる。

 

「メイドさんだ」

 

「いや、そりゃ見れば分かりますがな」

 

 真が聞きたいのは何故メイドさんの格好をしているのかということだ。

 

「さっきも言ったが、お前を労ってやるためだ。日本(お前の国)ではメイドさんに疲れを癒してもらうものなのだろう」

 

「あぁ、うん。まぁ、日本のメイドさんはそんな感じなのかな……?」

 

 本来の意味からかけ離れた場所にある日本のメイド像。本来であれば家庭内労働を行う女性の使用人を指す言葉なのだが、どう間違えたのか日本では(あるじ)に絶対服従の職業なんてことになってたりする。主の性処理は勿論、子供を産むのも当たり前。流石は変態大国日本。日本に目を付けられた結果がKONOZAMA、ご愁傷様としか言えない。

 

「まぁ、日本のメイドさん像はともかく……」

 

 改めてメイド服姿のスカサハに見惚れる。随所にフリルの付いた白黒基調のドレス。くるぶしまであるスカートは中にどんなおみ足があるのか想像力を掻き立てる。胸元を盛り上げる豊かな双山、頭にはメイドさんの象徴ともいうべきヘッドドレス。普段のおっぱいタイツな格好とはまた違った魅力を放つスカサハを真は一言で評する。

 

「えぇですなぁ」

 

「そこまでストレートに言われると照れてしまうな」

 

 薄く頬を紅くしながらスカサハはベットに腰かける。真も彼女の隣に腰を下ろした。腕を伸ばし、スカサハを抱き寄せる。女性特有の甘い匂いと、男の獣性をくすぐる妖しい香りが鼻腔と股間を刺激した。

 

「それで、メイドさんは一体何をしてくれるんですかね?」

 

「分かっているのに聞くな。意地の悪い奴め……たっぷりとご奉仕してやろう」

 

 真に体を預けながらスカサハは早くも膨らみ始めた真の股間を撫でる。特異点の攻略で処理する暇の無かった男のエクスカリバーは真名発動の時を魔力を充填しながら今か今かと待っていた。

 

「こんなに溜め込んで……今すぐに搾り取ってやるからな」

 

 まずは手だ、とスカサハは一旦ベットから腰を上げ、真の前に跪いた。寝間着のジャージに手をかけ、迷いなく下ろして股間を露出させる。半勃ちになった剛直が顔を出した。

 

「あぁ、こんなにも苦しそうに……すぐに楽にして差し上げますね、真様」

 

 カルデア最強の女サーヴァントは普段の凛々しさと聡明さを次元の狭間にぶん投げ、メイドになりきって奉仕を始めようとしていた。うっとりと更に膨張する逸物を見つめながら口内に涎をたくわえ、両手に落とす。上目遣いで真を見上げて両手一杯の唾液を指先まで丁寧に塗り付けていく。にちゅにちゅといやらしい水音が鳴り、真の股間を熱くさせた。

 

「では、触ります」

 

 涎でヌルヌルになった祈るように両手を組んで優しく真の男根を包む。ぬるりとした感触と人肌の温もりに真は細く息を漏らした。

 

「動かしますね」

 

 ゆっくりとスカサハの両手が上下運動を始める。ぴったりと隙間なく密着した掌が張ったカリを、血管を浮かべた肉竿を滑らかな動きで愛撫していく。緩慢な動作ではあるものの、快感を覚えるのには十分なものだ。緩やかに背筋を這い上がっていく快感に真は僅かに体を震わせる。

 

「気持ちいいですか?」

 

 小さく頷いて見せると、スカサハは嬉しそうに微笑んで両手に微かな力を込める。微弱な変化ではあるものの、その変化がもたらす効果は大きかった。僅かばかりに強くなった掌の圧に肉棒が小さく震える。先端にはスカサハの唾液とは違う透明な液体が玉のように溜まっていた。

 

「真様、こういうのは如何でしょうか?」

 

 一旦、手の動きを止めるスカサハ。親指と人差し指の間から覗いた亀頭に軽く息を吹きかけたと思えば、両方の親指で亀頭をゆっくりと撫で始めた。鈴口に浮かんだ先走りを二つの親指で掬い取り、赤黒く充血した亀頭に塗り広げていく。下り坂を下りるように親指を滑らせ、カリ部分を円を描くようになぞった。

 

「うおぉ!?」

 

 鋭い快電流が全身を貫く。敏感になっている部分の特に感じ易い部分を攻められ、真は声を上げながら腰を跳ねさせた。妖艶に微笑みながらスカサハはピクピクと震える逸物を両手で押さえつけ、大きく拡がろうとするカリを親指で刺激していく。ぬちゅぬちゅと音を立てながら親指を上下させてカリを擦ると、先端から我慢汁が湧き水のように湧き出してきた。

 

 漂ってくる雄の匂いに脳内を桃色に染めながらスカサハは再び男根をしごき始める。涎と先走りが混ざった潤滑液で更に滑りが良くなった男根をすっぽりと両手の中に収め、わざと音が出るように掌を互い違いに上下させた。手の中から奏でられる卑猥な音に酔い痴れながら顔を出した亀頭を親指で嬲る。身を震わせて快感に耐える真の姿にスカサハは体の奥を疼かせた。

 

 愛する男に自分の思う様快感を与える悦びと奉仕が上手く出来ているという喜びがスカサハに熱を与え、次なる奉仕へと彼女を進ませた。

 

 一度、両手を解く。間断なく襲い掛かってくる快感から解放されて大きく呼吸をする真に艶然と笑いかけ、スカサハはカバーを被せるように右手で亀頭を覆った。鈴口を掌に当て、全ての指先をカリに引っかけるように添える。蛇口を捻るように手首を回すと、真の体が一段と大きく跳ねた。

 

「それ、すごい……」

 

「気持ちいいんですね? もっと、もっと気持ちよくして差し上げます」

 

 熱の籠った言葉を口にしながらスカサハは空いている左手でパンパンに膨れた真の睾丸を掴んだ。ビクリと痙攣した真を無視し、マッサージでもするように強過ぎない力で揉んでいく。男の一番の急所を優しく掴まれた恐怖に真は背筋を戦慄かせるも、与えられる快感に逆らえず情けなくも男根から腺液を垂れ流していた。

 

「真様、何時でも好きな時にお出しになってください。このスカサハが受け止めますから」

 

 優しげな口調とは裏腹にスカサハの両手は精液を絞り出そうと容赦なく、そして激しく男性器を攻めていた。逸物は火傷してしまうのではないかと思えるほどに熱く硬くなり、捏ね繰り回されている睾丸は今にも破裂しそうなくらいに膨張していた。

 

「……いくっ!」

 

 短い言葉で告げられる限界。今まさに白濁液が吐き出されようとした刹那、スカサハは大きく口を開けて剛直を咥え込んだ。一分の隙も無く唇を閉じると同時に吐精が始まる。数週間、特異点攻略のために放たれることのなかった精。溜めに溜められていた白い粘液は怒涛となってスカサハの体内に流れ込んでいった。

 

「んぶぅ!?」

 

 余りの量にスカサハは大きく開いた目を白黒させる。閉じた唇はおろか、鼻からも溢れてしまうのではないかと思えるほどの精液を必死に嚥下するも、白い欲望は止まることなく噴き出してきた。吐き出しそうになるのを懸命に堪え、喉を大きく鳴らして口内に満ちた生臭い粘液を飲み込んでいく。健気に、そして必死に精を飲み下すスカサハを褒めるように真は彼女を撫でた。

 

「……♡」

 

 涙を浮かべた目尻を嬉しそうに細め、スカサハは際限なく出てくる白濁液を体内へと流し込んでいった。時間が経つにつれて射精も治まり始め、数分をかけて溜めていたものを出し終える。ゆっくりと頭を左右に振ってスカサハは最後の一滴まで精液を搾り取った。

 

 ちゅぽん、と音を立ててスカサハの口から逸物が引き抜かれる。溺れ死ぬのではないかと思わせる量の精液を放ったにも関わらず、真の男根は隆々とそそり立って自分がまだまだやれるとアピールしていた。

 

「はぁ……凄く良かったです、御師さん」

 

 荒い呼吸をしながらスカサハを見てみると、蕩けに蕩けた紅の瞳と視線が合った。上目遣いに真を見ながらスカサハは口を開く。口内を満たす白濁液。口の中一杯に溜めた精を味わうように舌を動かしながらスカサハは真を見詰め続けた。その姿は主の命令を待つ忠犬のように見えなくも無かった。

 

「……あぁ、飲んでいいよ」

 

 真の許可を得てスカサハは精液を一息で飲み干す。良く出来ました、と頭を撫でれば嬉しそうに脚に頬擦りしてくる。今、彼女に尻尾があれば勢いよく左右に揺れていることだろう。

 

「次はどうします?」

 

 真の問いにスカサハは顎に手を当てて考えた。このまま滾る情欲のままに互いの体を貪るのも悪くないだろうが、それでは芸がない。

 

「折角、こんな服装をしているんだ。何か、この服に沿ったシチュエーションが欲しいな」

 

「シチュエーションですか?」

 

「マンネリ化を避けるというのは大事なことだぞ」

 

 数千年もの時を生きてきた彼女が言う言葉には恐ろしいほどの説得力があった。成程、と頷き真もスカサハと一緒に思考を始める。

 

「御師さんの今の格好から考えるに、メイドとその主人というのが一番妥当ではないかと」

 

 俺が主で君がメイド、ということだ。

 

「身分違いの恋というやつか。王道だな」

 

 ふむと一考し、スカサハは頭の中に出来た構想を口に出した。

 

「お主はとある名家の一人息子、そして私はお主に幼いころから仕えている年上のメイド。二人は相思相愛の間柄だが、家の格やら何やら様々なしがらみから想いを遂げられずにいた」

 

「王道のど真ん中ですなぁ」

 

 捻りが無いと言えばそこまでだが、あえてこう言うべきだろう。だがそれがいいと。

 

「ある日、想いを抑えきれずに二人は一線を超える。一時の夢に溺れるも、これではいかんと私はそれ以降お前を拒絶するようになる」

 

「ま、当然俺は納得しないでしょうね」

 

「再び愛し合おうというお前を拒否する私。目に見えて落ち込むお前の姿に心を傷めるも、これでいいのだと自分に言い聞かせる。だが、お前はそうはいかなかった。互いに想い合っているのに何故愛を交わしてはいけないんだと不満と怒りを爆発させて私を無理矢理押し倒す」

 

「無理矢理ですか? それはぁ、ちょっとぉ……」

 

「安心しろ。今のは言葉の綾というやつだ」

 

 実際はノリノリだからな、ととんでもないことを平然という影の国の女王。もう、どこぞの聖処女と同じように後ろに(元)を付けるべきか真剣に悩む今日この頃だ。

 

「獣欲を燃え上がらせるお前を落ち着かせようと私は胸での行為を提案する」

 

「一回出したくらいじゃ落ち着かないです」

 

「知っている。胸での行為は逆にお前を更に興奮させただけだった。迸る性欲のままにお前は私を犯す。中だけは、中だけはと懇願する私を無視してお前は私に精を解き放つ。一度精を吐き出して頭を落ち着かせたお主は誰よりも何よりもお前だけが欲しいと私にいう」

 

 真の情熱的な告白にスカサハの心を縛っていた鎖は砕け散り、二人は身も心も結ばれる。話の流れとしてはそんな感じだろう。

 

「ふむふむ、なるへそなるへそ……いいやないですかぁ」

 

「自分で提案しといてこんなことを言うのも難だが、私も悪くはないと思うぞ。いや、むしろいい」

 

 それにしてもこの二人ノリノリである。類は友を呼ぶとはよく言ったものだ。

 

「じゃあ、どの辺りからします?」

 

「勿論、最初からみっちりと、と言いたいところだが、それだと時間がかかる。お前が私を押し倒す辺りからでいいだろう」

 

「了解です。じゃ、いってみますか。ここから先の文章はこのシチュエーションに則したものになるので読む方はそのつもりで。じゃあ3,2,1、アクション」

 

 

 

 

「いけません、いけません真様!」

 

「何がいけないんだ。あんな風に一方的に拒絶して。俺は納得してないぞ」

 

 部屋の中に一組の男女。メイド服姿の見目麗しい女性を背後から抱きすくめる青少年という完全にあれな光景がそこにはあった。激しく身を捩って腕の中から逃れようとするスカサハを力尽くで拘束し、彼女の豊満な肉体に手を這わせる。服の中に手を滑り込ませ、ブラに覆われたバスト、黒いタイツに覆われた内腿を撫で擦っていった

「スカサハ、愛してる」

 

「そんな……そのような戯れを仰らないでくださいまし」

 

「戯れなんかじゃないさ。今、証明してやる」

 

 顎に手を当て、無理矢理スカサハの顔を自分に向けさせる。喰らい付くような激しい動きで真はスカサハの唇を奪った。

 

「んぅっ!?」

 

 どうにかしてキスから逃れようとするも、力強い抱擁になす術もなく唇を吸われる。そうしている間に真は真一文字に結ばれたスカサハの唇をこじ開け、舌を彼女の口内に侵入させた。奥に引っ込もうとする彼女の舌を自分のもので絡め取り、強引に引きずり出す。荒々しく、そしてねっとりと巻き付いてくる舌の動きは痺れるような快感をスカサハに与え、彼女の思考能力を奪っていった。

 

「んぐ、ちゅ、はむ、ちゅる、ちゅぶ……」

 

 舌が唾液を撹拌する音が要塞のようなスカサハの理性をどろどろに溶かしていく。タイツとショーツの上から秘所を擦る指の感触も彼女の心を隠す鎧を剥ぎ取っていった。

 

「ん、む……どうだ。これでもまだ戯れなんて言うのか?」

 

 真の情熱的な口付けにスカサハの理性は大いに揺れた。このままこの人に身を委ねたい。愛欲の赴くままに交わりたいという衝動が胸の奥から溢れてくるが、彼女は残ったなけなしの理性を振り絞る。

 

「駄目、です、真様。一メイドである私などに、このように執心するなんて。貴方には旦那様がお決めになった婚約者が」

 

「ふざけるな!」

 

 怒りに任せ、再びスカサハに口付けをして強引に彼女を黙らせた。

 

「そんな顔も名前もろくに知らない、親父が勝手に決めた女なんかのために何で自分の気持ちに蓋をしなくちゃならないんだ。俺が愛しているのはお前だけだ、スカサハ」

 

 お前だけ。その言葉にスカサハは天にも昇りそうな幸福感を味わう。私も、と口から出そうになる声を必死で飲み込み、スカサハは弱々しく首を振った。

 

「聞き分けてください。貴方の体は貴方一人だけのものではないんです。貴方には遠野家の跡取りとしての責務が」

 

「責務なんて知ったことか。家がなんだ、跡取りがどうした。俺はお前がいてくれればそれだけで」

 

 言い募ろうとする真の唇に人差し指を当てて黙らせる。これ以上、真の口から自分を求める言葉が出てきたらスカサハは自分を抑えられそうになかった。

 

「ありがとうございます、真様。そのように想っていただけてこのスカサハ、身に余る幸福です。ですが、その想いは私などに向けるべきものではありません。一時の気の迷いで人生を棒に振っては」

 

「一時? 気の迷い?」

 

 幽谷から響くような低音の呟きにスカサハはハッとする。己の言葉が彼の逆鱗に触れたと気付くも時既に遅し。ひょいとお伽噺のお姫様が王子様にされるように抱き上げられ、ベットの上に放り投げられていた。

 

「きゃあ!」

 

 小さく悲鳴を上げたスカサハの体を隠すように真は覆い被さる。何時の間に服を脱いだのか、全裸になっていた。

 

「一時の気の迷い。へぇ、ほぉ、つまりお前さんは俺の気持ちがその程度のもんだと思っていた訳だ。そりゃ、拒絶もするよな。そんな奴に抱かれるのなんて真っ平御免だよな」

 

「ち、違います真様! 私はそのような意味で申した訳では」

 

 顔を青くさせながら弁解をするスカサハを無視し、真は彼女の胸元を両手で掴んだ。力を込めて両手を左右に開くと、音を立ててボタンが弾け飛びブラジャーに包まれた豊乳が現れる。

 

「し、真様、一体何を」

 

「うるさい。言っても分からないなら、体に分からせてやる。俺がどれだけお前のことを想ってるかをな」

 

 力任せにブラジャーを引き千切る。下着としての役割を果たせなくなった布切れを投げ捨て、剥き出しになったバストに視線を注いだ。仰向けの体勢でも重力に負けることなく女性らしい豊かさを主張する双山を鷲掴み、先端の桃色に色づいた二つの突起に吸い付く。

 

「ひぅん!」

 

 痛みにも似た快感に声を上げるスカサハを無視し、真は舌を過激に動かして二つの乳首を味わう。舌先に感じる硬さと柔らかさを両立させた独特の感触を手の中で形を変える柔肉と一緒に楽しんだ。

 

「んぅ、あぁ、ダメぇ、そこは弱いのぉ……」

 

 スカサハの漏らす甘い喘ぎに情欲を掻き立てられ、真は行為に没頭した。大きく吸引音を鳴らしながら乳首を吸い上げ、舌の表面、裏面で何度も執拗に舐め上げる。その度に体を跳ねさせるスカサハの体に先走りを垂らした肉槍を擦り付け、メイド服に大きな染みを作っていった。

 

 一度、口内から乳首を抜く。唾液でぬらぬらと光る乳首が忙しない呼吸に合わせて上下している様は堪らなく官能的だ。更に大きく燃え上がった獣欲のまま、真はスカサハの乳房を頬張った。

 

「あぁ!」

 

 ピン、と体を弓なりに反らしたスカサハに追い打ちをかけるように空いているバストに五指を沈める。極度の興奮に頭を茹らせながらも真は肌を傷つけない絶妙な力加減でスカサハの乳房を揉みしだき、そして甘噛みしていった。口一杯に広がる柔肉の感触と味が真を獣へと変えていく。

 

 荒ぶる欲望に従い、真は反対のバストにもしゃぶり付いた。乳首を舌でねちっこく擦り、口内に入っている乳房を無遠慮に舐め回す。僅かな休息もないまま与えられ続ける快感にスカサハは抑えた嬌声を唇から漏らしながら体の反りを強くさせた。

 

「見ろよ、スカサハ。俺のここ、お前を味わいたくてこんなになってるぜ」

 

 口元の涎を拭いながら真はスカサハに屹立している逸物を見せつけた。猛々しく上を向く男の象徴。天を突かんばかりの威容にスカサハは自然と生唾を飲み込む。目は恍惚に光り、体の奥に強い熱が宿る。求めたい、求められたいという欲望が自分の立場を忘れさせた。

 

 それでも、彼女は鋼の意思で首を横に振る。残りかすのような理性で雌の本能を抑えつけ、主を落ち着かせるためにはどうすればいいかを考えた。

 

「そこは、そこは駄目です、真様。こちらなら、いくらお使いになっても構いませんから」

 

 スカートに手をかける真に大きさを強調するように寄せたバストを示す。今、膣内(なか)に挿れられたら本当に後戻り出来なくなる。だから、膣内以外で満足してもらおうという苦肉の策だった。

 

 手を止め、真はスカサハの双山を凝視する。掌に甦る乳房の柔らかさ。あの感触を今度はペニスで味わう。そう考えると、自然に体が動いていた。スカサハの上半身にのしかかり、両手の中から零れ落ちそうな柔肉をがっちりと掴んで寄せる。出来上がった巨乳のオナホールに息を荒くしながら剛直を挿し込んだ。

 

 皮膚の中にみっちりと詰まった乳肉に押し返されそうになりながらも真は腰を進ませ、根元まで逸物を埋めた。四方八方、全ての方向から感じられる柔肉に真は大きく息を吐く。同時にスカサハもうっとりとしながら谷間から顔を覗かせた亀頭に見入っていた。

 

「動くぞ」

 

「はい、真様のお好きなように」

 

 ゆっくりと腰を動かす。グロテスクな亀頭が豊乳の間に引っ込んでいき、そして頭を出した。また引っ込み、姿を現す。真の涎でぬるぬるになっていたバストはスムーズにペニスを受け入れていた。柔らかく、それでいて肉厚な感触が逸物を刺激する。キノコのようなカリ首が乳肉を割って動く触感が真の背筋を震わせた。

 

「あぁ、真様。胸の中で我慢汁が出てきています。私の胸、気持ちいいですか?」

 

「最高だよ」

 

 言葉短く答え、真は腰の動きを加速させる。男女の交わりのような動作でスカサハの胸を犯す。小さく肉と肉がぶつかり合い、音を響かせた。バストを寄せる両手に力を込めれば乳圧が高まり、必然的に快感も増していく。

 

「ふふ、気持ちいいんですね」

 

 小さく笑って余裕を見せるようなスカサハの態度に真はムッとする。やり返してやろうと親指と人差し指で乳首を摘んだ。真の下でスカサハの体がビクンと跳ね上がる。

 

「気持ちいいんだな」

 

 にやっと笑う真をスカサハは小さく頬を膨らませながら睨んだ。しかし、バストを犯されているためか、迫力は余り無かった。

 

「意地悪な真様ですね。分かりました、それならこちらにも考えがあります」

 

 仰向けの体勢でスカサハは首を持ち上げる。何をするのかと思えば、乳房の間から飛び出してきた亀頭に舌を這わせてきた。正確に鈴口を舐め上げられ、真は思わず声を上げそうになったが歯を食い縛って雷撃のような快感に耐える。

 

 負けてなるものかと乳首を弄る指に力を込めれば、スカサハが快感に体を跳ねさせた。快電流に顔を蕩かせながらスカサハは仕返しに亀頭に喰らい付く。舌で亀頭を舐り、絶対に逃がさないと言わんばかりに唇で逸物をホールドしながら吸い上げて夢中で口淫に耽った。

 

「ぢゅる、ぢゅずぅ、ぢゅぶ、んぐぅ、ぢゅりゅりゅ」

 

「おぉっ!」

 

 腰が震える。竿を包む乳肉の柔さと亀頭とカリを舐め回す舌の動きが真の射精感を爆発的に増大させた。スカサハの口に逸物を捉えられ、腰を動かせなくなった真は最後の意趣返しとばかりにスカサハのバストを滅茶苦茶に揉みしだく。ぐにゅぐにゅと乳房が形を変える感触がダイレクトに肉棒を襲った。

 

「出る、出る!」

 

 真の告白にスカサハは逸物を口の奥深くへと咥える。間髪入れずに吐き出される男の精。どくどくと溢れてくる白濁液をスカサハは只管バキュームしていった。

 

「……ぷは。満足、していただけましたか?」

 

 後から後から出てくる精液を飲み干し、穏やかな声で真に訊ねる。といっても、聞くまでも無く胸の中では今だに硬いままの男根が己の存在をアピールしていた。

 

「素敵……若いって凄いですね」

 

「……もう我慢できない」

 

 え、と声を上げるスカサハを無視し、真は逸物を彼女のバストから引き抜く。体の上からどき、股間の方へと移動する真にスカサハは顔色を変えた。

 

「真様、そこは、そこだけは駄目です……!」

 

 慌てて脚を閉じようとするも、既に真は移動を終えていた。激しく暴れて逃げようとするスカサハを片手で押さえ、スカートを捲り上げる。女陰を覆っているそこはショーツはもとより、タイツまでビショビショに濡れていた。

 

「何が駄目なんだよ。お前だってこんなになるまで我慢してるくせに」

 

 タイツの上から秘所を一撫でする。小さな悲鳴を唇から漏らしてスカサハは体を震わせた。どんな小さな刺激であっても我慢に我慢を重ねた女体には効果絶大だった。

 

「駄目、駄目なんです。お願いですから、真様ぁ」

 

 涙声で懇願するスカサハを無視し、真はタイツを破り、ショーツをずらして女性器を露わにした。駄目と口でいう彼女とはあべこべにそこは蜜を滴らせ、男を求めてひくひくと蠢いている。

 

「挿れるぞ、挿れるからな」

 

「あぁ、だめぇ……」

 

 雌穴に宛てがった剛直を奥に突き挿れる。待ちに待った結合に真は満足げに息を吐き出した。スカサハもまた、喜びの吐息を漏らす。仕えるべき主と交わってしまったことに罪悪感が湧き上がってくるが、それを塗り潰してしまうほどの幸福感を味わっているのも事実だった。

 

「スカサハ、スカサハ!」

 

「ひぐぅ! そんな、激しいぃ!」

 

 最初からフルスロットルで抽挿する真。ギシギシとベットを軋ませ、結合部分から大きく卑猥な音が上がるのも構わずスカサハの膣内に己の分身を出し入れさせる。遠慮も気遣いもない、自分本位な獣の如き動きにスカサハは舌を大きく出しながらあられもない嬌声を出して真を受け入れていた。

 

 機関銃のような腰使いに頭の天辺から爪先まで痺れていく。ガチガチに張ったカリ首に肉襞をこそがれる快感、子宮口に亀頭を突き立てられる衝撃がスカサハを翻弄していった。鈍くなった頭の片隅に止めねばならないという考えが浮かび上がるも、奔流となった快感が全てを押し流していく。

 

 腰を動かす速さを一切緩めず、むしろ加速させて真はスカサハとの交合に溺れていく。自分の動きに合わせて弾むように揺れるバストが真の興奮を煽ってやまない。縦横無尽に動く乳房を跡が残るくらい強く揉みながら腰を叩き付ける。

 

「らめぇ、らめなのぉ……」

 

 最奥を突かれる度、全身が浮き上がるような快感が全身を駆け抜けていく。余程体の相性がいいのか、一突きされるごとに体内で悦楽が爆発していた。これ以上、この快感を体に教え込まれたらもう引き返せなくなってしまう。立場も身分も忘れて真を求めるようになってしまう。そうならないようにするため、スカサハは津波のように押し寄せる快感に唇を噛み締めて耐えた。

 

「出すぞ、膣内に出すぞ!」

 

 無情な真の宣告にスカサハは絶望と喜悦、相反する感情を同時に抱いた。

 

「しんさまぁ、だめぇ、なかはだめですぅ。いまだされたらわたしは……!」

 

 涙を流しながら懇願するスカサハ。彼女の必死の言葉を否定するように彼女の肉壺は膣壁を蠕動させ、肉襞を男根に絡みつかせた。襞の一枚一枚が柔らかく、しかし激しく逸物を擦り上げる。子宮口は精を催促するように亀頭にちゅうちゅうと吸い付いていた。痙攣する雌穴に締め上げられ、限界を迎えた真は亀頭を子宮口に押し付けて精を解き放った。

 

「……っ!」

 

 声を出すことも出来ず、スカサハは胎内に広がっていく灼熱の感触に身を打ち震わせる。川が氾濫を起こすように快感が四肢にまで広がっていった。ビクビクと体を慄かせ、雌穴から潮を噴き出す。下腹部が温かく濡れるのを感じながら真は自分のものだとマーキングするように亀頭を子宮口に擦り付け、精液を馴染ませていった。

 

「こんな、こんな……」

 

 啜り泣きに真は正気を取り戻す。見れば、スカサハが小刻みに肩を震わせながら小さく鼻を鳴らしていた。目尻から流れる涙が悦びのものでないことは明白だった。

 

「スカサハ」

 

「遠野家の跡取りを作るための種を卑賎な身で受けてしまうなんて、あまつさえ喜んでしまうなんて。私を拾ってくださった旦那様や奥様にどうお詫びすれば……恩を仇で返すような真似をして」

 

 声を殺して泣くスカサハの姿に真は呆然とするも、意を決してスカサハの顔に手を伸ばす。頬を濡らす涙を優しく拭いながらスカサハの潤んだ目を覗き込んだ。

 

「スカサハ、教えてくれないか。お前の気持ち。家のこととか、親父やお袋への恩義とか、そういうの全部無くしたお前の想い。教えてくれ」

 

「真様、私、は……」

 

 言葉を詰まらせるスカサハ。答えを急かすでもなく、真は慈しむようにスカサハの頬を撫で続ける。その手つきは彼女の心に巻かれた包帯を解いてるかのようだった。

 

「私は、私は……」

 

「俺はお前が欲しい。心も体も、全部。誰よりも何よりも、お前が欲しい。他の誰でもない、お前だけが」

 

 何とも情熱的な台詞だ。その台詞が向けられているのが自分だということに言い様のない喜びを覚えながらスカサハは口を開いて抑えていた心を曝け出した。

 

「真様、愛しています。貴方だけを、貴方一人を心よりお慕い申し上げております」

 

「俺もだ」

 

 口付け合う二人。本当の意味で身も心も結ばれ、忘我の境に至る。より深く、より強く結びつこうとするように二人は再び愛し合い始めた。

 

「真様、真様ぁ!」

 

 法悦と歓喜に顔を輝かせながらスカサハは自ら腰を振って真と快感を分かち合った。すらりと伸びた両脚を真の腰に巻きつけ、もっと奥へと誘い込むように真を引き寄せる。真もまた彼女の要望に応えるように激しいストロークを打ち込んだ。ジュブ、ジュブと発砲音を奏でながら愛液なのか腺液なのか分からない液体と、白い濁液が混ざった淫汁がベットに飛び散る。

 

 鳥が木の実を啄むように真は揺れ動く乳首を口に含んだ。唇から短く息を零しながらスカサハは夢中で乳房の先端をしゃぶる真の頭を愛おしそうに抱き締めた。赤子が母乳を求めるのとは違った、性欲を満たすための吸い方がスカサハをクラクラさせる。

 

 乳を吸われるお返しとばかりにスカサハは蜜壺を蠢かせた。己の役割と主の意思が合致した肉襞が男根に纏わりつき、可能な限りの精を絞り出そうと貪欲に摩擦してくる。先端から白いものが混じった我慢汁を吐きながら震える肉槍。

 

「スカサハ、四つん這いになって」

 

「は、はい。真様のお望みのままに」

 

 繋がり合ったまま体位を変えようとする。必然、スカサハの動きに合わせて蜜壺も動くことになる。回転しながら擦れ合うという新たな刺激に二人は背筋を粟立たせるが、互いに暴発することもなく体位を変えることが出来た。

 

 自分の要望通り、獣の雌が雄を受け入れる体勢になったスカサハを真は後ろから貫いていく。組み伏せていた時とはまた違った雌穴の感触にぞくぞくしながらスカサハの尻に何度も腰をぶつけた。

 

「お前は、俺のだ。俺だけの女だ。これからさきもずっと……絶対に誰にも渡さない」

 

 依然として腰を勢いよく前後させ、背後からスカサハを抱き締める。自分のものだと示すように綺麗な黒髪に隠れた項にキスマークを残した。

 

「はいぃ、あん、スカサハ、はぁ、貴方だけのものです。だか、らぁ、真様、私に、証を……下さい。ひぅ、貴方のものに、なった、証を」

 

「あぁ、何度でもやるよ。お前が俺の子を孕むまで、何回でも何十回でもな!」

 

 スカサハの体に回していた両手で彼女の腕を掴み、後ろに引っ張りながら肉棒を突き込む。喉を震わせ、スカサハは甲高い嬌声を上げる。背筋が弓なりに反り、バストがぶるんぶるんと音を立てるように上下していた。

 

「ほしいれふ、しんしゃまのあかちゃん。はらみましゅ、なんにんでもうみましゅ。だから、いっぱいたねつけしてくだしゃいぃ♡」

 

 自分が何を言っているのか理解出来ないまま、スカサハはどろどろに蕩けた意識の中に現れた欲求をそのまま言葉にしていた。愛し合い、愛の結晶を作って、産んで育てる。何と幸せな未来予想図なのだろう。男の方も彼女と同じものを頭の中に描き、そして望んだようだ。硬い岩盤に穴を開けるドリルのように膣壁を抉っていた肉槍が一回り膨らむ。胎内を満たす幸福すら覚える圧迫感にスカサハは息を止めた。

 

「孕め、孕め!!」

 

 洪水のように大量の精液が子宮へと流れ込んでくる。言葉にならない悲鳴、そして多幸感。意識が真っ白に塗り潰さる。幸せとすぐ傍にいる愛する男の存在以外何も感じない。赤子を育てる部屋に白濁液を注がれ、スカサハはより大きく体を反らしながらビクンビクンと断続的に体を痙攣させた。

 

「あ、あぁ……」

 

 枯れることを知らないように吐き出されていた精がようやく止まる。同時にスカサハの両腕も解放され、放心状態の彼女は崩れ落ちるようにベットの上に横たわった。真もまた、スカサハの背中に乗るようにして身を投げ出している。

 

(し、幸せ……)

 

 朦朧とする意識の中、スカサハは手に触れていた真の手に指を絡ませた。この指が永遠に解けぬようにと願いながら彼女は意識を暗闇へと落としていった。

 

 

 

 

「気持ちいいか?」

 

「はい、最高です」

 

「そうか。なら、もっとしてやろう」

 

 俺が主で君がメイドなシチュエーションセックスから三十分後の真のマイルーム。シャワーで体を清め、さっぱりとした二人は再びベットの上でイチャイチャしていた(ちなみに色々な体液で酷いことになっていたベットはスカサハがルーン魔術で綺麗にしてくれた。ルーン魔術凄い)。

 

 イチャイチャといっても先ほどのような濃密な交わりではなく、予備のメイド服に着替えたスカサハの膝を枕にした真が彼女に耳掃除をしてもらっているだけだ。おい、そこ代わりやがれください。

 

「それにしても、随分と汚れているな。普段、自分ではしないのか?」

 

「えぇ、まぁ。この前まで特異点に行ってたってのもありますけど、あんまりやりませんねぇ」

 

「そうか。なら、定期的にしてやるとしよう。汚れたままというのもあれだしな」

 

「え、いいんすか?」

 

「このスカサハに二言はない」

 

 わ~い、と無邪気に喜ぶ真をスカサハはやれやれといった笑みを浮かべながら撫でる。体と体を触れ合わせて愛し合うのもいいが、こうした何気ない触れ合いも悪くないと思える今日この頃だった。

 

「一つ気になってたんですが御師さん。このメイド服、どこで仕入れたんですか。肌触りといい何といい一点ものなのは間違いないと思うんですが」

 

 スカサハの膝枕の極上の感触と心地よい肌触りのメイド服が合わさり、何時までも顔を埋めていたくなる。

 

「ダ・ヴィンチに頼んだら一晩で仕上げてくれたぞ。採寸も何もろくにやらなかったというのにピッタリなサイズを用意するとは恐ろしい奴よ」

 

 流石は万能の天才。それとも変態と呼ぶべきなのだろうか。それにしても、と真は横目でスカサハを見上げる。

 

「まさか、御師さんがメイド服なんか着てくるとは夢にも思いませんでしたわ。何かあったんですか」

 

「別段、そんなに深い理由がある訳ではない。そういうものがあると知ったから、やってみたいと思っただけだ……ただまぁ、理由のようなものはあるがな」

 

 なぁ、真、と手を止めることなくスカサハは己の膝を枕にしている男を見下ろす。

 

「お前……あの黒い小娘に随分と情熱的なことを言ったようではないか。俺の子供を産めとか何とか」

 

 はて、何故だろう。いきなり尻の穴に氷柱でもぶち込まれたような悪寒が背筋を駆け上ってくる。僅かに頭を動かし、スカサハを見てみた。

 

「こら、動いてはいかん。耳に傷がついたらどうするんだ」

 

 慈母の如き微笑みを浮かべる女神がそこにいた。そんな素敵な存在がいるのだが、同時に嫉妬に荒れ狂う女がいると感じてしまうのはどうしてなのか。

 

「あの、御師さん。もしかして、怒ってます?」

 

「怒る? 可笑しなことを言う奴だ。何故、私が怒らねばならない。怒ってなどいないぞ、あぁ。私が言われたことのない台詞を小娘が言われたことなんてこれっぽっちも怒っていないぞ」

 

 嘘だ、絶対に怒ってる。それも、真の知る限り、過去最大レベルで……! その証拠に耳の穴を掻く耳かきに力が込められている。痛いと紙一重の気持ち良さに真は身を固めた。

 

「真」

 

「は、はひ、何でしょう?」

 

 ねっとりと、へばりつくような声音。蛇に睨まれた蛙よろしく動けなくなる真の耳元でスカサハの唇が動く。

 

「お前は知らないかもしれないが、私は嫉妬深い女でな。もし、もしもだぞ。お前に限ってそんなことはしないと信じているが、もし私に寂しいなんて気持ちを抱かせるような行いをお前がしたら……私はどうなるか分からないぞ」

 

「き、肝に銘じておきます」

 

 よろしい、と満足げに頷き、スカサハは耳掃除を終わりにする。耳かきをベットの傍らにある小さなテーブルに置き、真の股間を一撫でした。

 

「では、続きといこうか」

 

「へ、続き?」

 

 頓狂な声を上げる真にクスクスと笑ってみせるスカサハ。舌舐めずりしながら真に覆い被さり、彼の頬を両手で挟んだ。

 

「私が孕むまで子種をくれると言ったな? 何回でも、何十回でも。早速、実行してもらおう」

 

「ちょ、ま、御師さん。あれはシチュエーションに沿った、いわゆる演技なわけで、実際にやるってこととは話が別、あ、止めて! 服を脱がさないで! 服を肌蹴ないで! 乳首に舌を這わせないで! いや、止め、あーっ!」

 

 

 

 

 

 

「~♪」

 

 カルデアの廊下を上機嫌で歩く、いつものおっぱいタイツな姿に戻ったスカサハ。あの後、たっぷり十回以上も真と愛し合い、ご満悦の様子だ。最初の方こそスカサハに翻弄されていた真だが、中盤辺りからは勢いを盛り返し、最終的にはノリノリでスカサハを犯していた。

 

「メイド、いや、コスプレか。ふむ、悪くない」

 

 自分の部屋に戻り、ベットの下に隠していた数十冊の本を取り出す。これは第三特異点、オケアノスにて黒髭なるサーヴァントから強奪、もとい略奪、改め拝借(永久)したウ=ス異本なるものだ。

 

「こんなものもあるのか」

 

 ベットに座り、一冊を手に取ってパラパラとめくる。魔境の智慧を得た彼女にとってもその本の内容は新鮮、というよりも難解という他無かった。

 

「ナース、婦警、CA、教師、女騎士……奥が深い」

 

 時間を忘れ、読み耽る影の国の女王。本当に(元)を付けるべきだと思いました(小並感)。




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
スカサハのマスター。スカサハの要望にノリノリで付き合うノリの良い男。他に書くことなし。

『スカサハ』
コスプレに目覚めてしまった影の国の女王(元)。次はどんなコスプレで真に迫ろうか考えている。頭の中が年中桃色お花畑状態。

『エドワード・ティーチ』
第三特異点、オケアノスにて対峙したサーヴァント。後生大事に守っていたお宝、ウ=ス異本を奪われた可哀相な人。真のハーレムを見せ付けられた挙句、スカサハを筆頭とした女性サーヴァント達に袋叩きにされる。いと、哀れ。ちなみに本はサーヴァント間で日にちを決めて回し読みしてる。





 こんな感じに相成りましたが、楽しんでいただければ幸いです。これから先もスカサハはちょくちょく書いていこうと思っています。もし、こんなコスプレ、こんなシチュエーションのスカサハが見たいと言う方は活動報告の方にお願いします。

 エクステラにポケモン。色々あって忙しいので、感想の方は返せそうな時に返します。ごめんね。

後、FGOのデータは無事に元に戻りました。ありがとう、運営さん。回さなきゃ、溶かさなきゃ(目玉グルグル)。


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『ブーディカ』まだまだいけるかな?

 あんまり納得のいく出来ではなかったけど書き上がったので投稿。もしかしたら消して新しいのにするかもしれない。


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

「いい風だね」

 

「そうですなぁ」

 

 頬を撫でていく穏やかな風に心地良さそうな表情を浮かべる一組の男女。片方は人類最後の希望、遠野真。もう一人はカルデアのお母さんことブーディカだ。二人の前には薄い雲を疎らに散らした青い空。白い砂浜、そして澄み渡ったオーシャンブルーの海が広がっている。二人は現在、定礎復元した第三特異点、オケアノスの島の一つにいた。

 

 何故、二人がそんなところにいるのかというと、サーヴァント達からこんな要望が出たのだ。

 

『バカンスがしたい』

 

 日頃、命と魂を削るような戦いをしているのだから偶には遊ばせろというのが彼女たちの言い分だった。まぁ、確かに何時も頑張ってくれてるし、きちんと労わなきゃ罰が当たるよね、とマスターである真と仮のカルデアのトップであるロマニがこれを了承。バカンス先を決めるため、真は手の空いていたブーディカと共に様々な特異点にレイシフトしているところだった。

 

 そんなそうだ、京都に行こうみたいなノリでレイシフトしてもいいのかという疑問があったが、ロマン曰く特に問題はないようだ。というのも、一度定礎復元を為した特異点は小さな揺らぎを起こすことはあっても、基本的には何の問題もないらしい。それこそ、カルデアの職員の力を借りずにレイシフトしても大丈夫なくらいだ。強いて言うなら特異点攻略中にも現れた魔物やら怪物やら、ならず者が変わらずいるというのが問題だろうが、普通にサーヴァントと殺し合いが出来る真にとっては何の障害にもならなかった。

 

 まぁ、襲い掛かってくる連中がいるといっても、今二人がいる島には危険な存在は動植物含めて何一つとしてなかった。ダ・ヴィンチちゃんお手製の危険なものサーチャーを使いながら島の隅から隅まで探索したので何の問題も無いだろう、と二人は結論付けた。

 

 バカンス先も無事に決まり、カルデアに戻るまでまだ時間の余裕があったので、二人は一足先にひと時のバカンスを楽しんでいた。真はブーディカが作ってくれたお弁当に舌鼓を打ち、食べ終わった後は彼女に膝枕をしてもらっている。羨ましい。

 

「気持ちいい?」

 

 膝の上に乗った真の頭を撫でる赤髪の女性、ブーディカ。彼女はカルデア内では珍しい、真を甘やかしたがるサーヴァントだ。

 

「あい、ずっとこうしていたいくらいですわ」

 

「はは、そっか。ずっとは駄目だけど、カルデアに戻るまではいいよ」

 

 う~っす、と答えながら真はブーディカの剥き出しの太腿に頬擦りをする。ブーディカはくすぐったそうに小さく身を捩らせるが、ニコニコと笑顔を浮かべたまま真の髪を手櫛て優しく梳いていた。

 

(にしても)

 

 薄らと目を開け、ブーディカを見上げる。嬉しそうな顔をしながら撫でてくれる様は正に優しいお姉さん、といった風体だが格好がいただけない。カルデア内でも上位に入るだろうたわわな胸、そして丸出しと評しても過言ではないお腹と太腿。最初、召喚した時は彼女の姿に大いにビックリしたものだ。

 

 そんな露出度の高い服装とブーディカ本人が持つ大人の色香。男の欲望を煽るには十二分な代物だった。現に真は頭を撫でられながら軽く勃起している。ブーディカは真を甘やかすのに夢中で気付いて無いようだが。

 

「……よいしょ」

 

 海に向けていた体を回転させ、ブーディカの方へと向ける。目の前には肌を晒した真っ白な腹部。薄らと肉の付いた、しかし決して弛んでいる訳ではない柔らかそうなお腹だ。

 

「ん……どうしたの?」

 

「いや、ちょっとですね」

 

 真が頭を太腿に乗せたまま体勢を変えた感触にブーディカは僅かに身動ぎする。まさか、ムラムラしましたと正直に言えずに真は言葉を濁す。その間も真はブーディカの腹部から視線を外さない。

 

「ひゃっ」

 

 突如、腹部に走ったぬるりとした快感にブーディカは軽く声を上げる。視線を落としてみると、真が犬や猫の動物のように舌を伸ばしてブーディカの腹を舐めていた。

 

 

「真、いきなり何して……もう、変なことしないの」

 

 驚きこそしたが、そこは年上の女性。すぐに落ち着きを取り戻したブーディカは優しい口調で真を窘める。しかし、真は己の変態的行動を止めようとはせず、どんどんエスカレートさせていった。

 

「あ、こらぁ」

 

 ただ、舌を這わせていただけでは飽き足らず、吸い付くようなキスを始めた。薄らとブーディカの柔肌に残るキスの跡。くすぐったいような気持ちいいような感覚にブーディカは身を震わせる。こそばゆい感触に耐えながら眉を寄せているが、真を止めようとはしなかった。

 

 咎められないのをいいことに調子に乗る性少年。今度は口を大きく開き、臍を隠すようにブーディカの腹に歯を立てる。痛くしないよう注意を払いながら甘噛みし、ほじくるように舌を臍へ捻じ込んだ。

 

「んんぅ! こ、こ~ら、めっ!」

 

 ビクンと体を跳ねさせたブーディカが慌てて真の頭を叩く。叩くといっても、ぺちりと軽い音を立てる優しいものだが。

 

「あた」

 

「もう、何やってるの。断りもなく女の人の肌に触るなんて」

 

「触ってないです。舐めたんです」

 

「なお悪い!」

 

 ブーディカの厳しい叱責に真は体を起こし、素直に頭を下げる。

 

「いやぁ、すみません。つい、ムラムラしちまって」

 

「む、ムラムラって/// ……と、とにかく、次からはこんなことしちゃ駄目だよ? 君のことが好きな子だって、いきなりこんなことされたらビックリしちゃうから」

 

「へい、これからは許可を取ってからやります」

 

 腹を舐めることを許可する子なんているんだろうか、と一瞬悩むブーディカだが、カルデアには割と結構な人数いることを思い出す。皆、真の要望に躊躇なく応じ、嬉々としてお腹を差し出すことだろう。

 

「罪作りな奴だなぁ、君は」

 

 どこか呆れたような諦めたような顔のブーディカに頬を突かれ、真はなははと笑った。

 

「そろそろ、戻りますか」

 

「ん、そうだね」

 

 一応は反省の色を見せたので、ブーディカはそれ以上真にとやかく言わずに立ち上がる。真も彼女に倣い、帰り支度を始めた。

 

「……本当、罪作りな子だね」

 

 真に聞こえないほどの声で呟き、ブーディカは熱の残った腹部を撫でていた。

 

 

 

 

「もう、何であんなことしちゃうのかな……」

 

 カルデアに戻ってきたブーディカ。真と別れ、自分の部屋へと戻ってベッドに横になる。頬は薄らと赤く、吐き出す息は妙に色っぽい。 

 

艶のある息を吐きながら腹部を撫でる。レイシフト先で真に舐められた感触が生々しく残っていた。舌で舐め回され、唇で吸い付かれる感覚。思い出すと体の奥が熱くなってくる。その熱はブーディカが普段から抑えつけている情欲に火をつけた。

 

 徐々に息を荒くさせながらブーディカはベッドの横にあるサイドテーブルの上に並べていたものを手に取る。リモコンとコードで繋がった細長い楕円形の小さな装置と男根を模したようなもの。俗にピンクローターやディルドと呼ばれる、いわゆるアダルトグッズというやつだ。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 もどかしそうにパンツを脱ぐ。既に秘所から流れ出ていた愛液でぐしょ濡れになったパンツをベッドに投げ捨て、バイブを割れ目の中へと突き入れる。肉のぬかるみはあっさりと異物を飲み込み、一気に最奥へと迎え入れた。

 

「……!」

 

 肉襞を掻き分けて子宮口を突きあげる無機物の感覚にブーディカは官能的な吐息を漏らす。右手でディルドをゆっくりと動かしながら左手はスイッチを入れたローターを乳首へと当てる。服の上からでも分かるほどに膨らんだ突起に機械的な振動が走った。豊満な体をピクリと痙攣させ、ブーディカは淫らな欲望のままに快楽を享受した。

 

 震えるローターを乳首に擦り付けるように当てながらディルドを肉壺に出し入れする。膣内を穿つ快感と敏感な部分を襲う快感。二つの快楽に喘ぎながらブーディカは己の中の情欲の炎を鎮めるべく行為を激しくさせた。忙しなく動くディルドは愛液に濡れ、秘所へと入る度に淫靡な水音を立てる。段階を飛ばして振動を強くしたローターの快感も合わさり、ブーディカの悦楽は高まっていった。

 

 だが、足りない。

 

 確かに性的快感は感じる。体もどんどんと昂ぶり、絶頂を間近に控えていた。だというのにブーディカは満足していない。正確に言えば彼女の心が満たされない。体は満足しても心が不平不満を募らせる。無機物では駄目だ、血と肉を持った相手が欲しいと心が叫ぶ。例えば、笑顔で名前を呼んでくれるマスターとか……。

 

「だ、め。それは駄目」

 

 心の中に芽生えた不満を取り払おうとブーディカは手の動きを加速させた。快楽を溜め込んでいたブーディカの体は自身の行いに呆気なく果てを迎える。女陰から小さく潮を噴き、体をピンと張りつめさせながらブーディカは天井を仰いだ。短い絶頂を終え、頭をぼんやりとさせながら彼女はディルドやローターの製作者であるダ・ヴィンチとの会話を思い出していた。

 

 

 

 

「はい。ご要望のもの、出来てるよ」

 

「ありがとう。ごめんね、変なモノ作らせちゃって」

 

「はっはっはっ、気にすることはないさ。確かに最初頼まれた時は驚いたけど、作ってみると中々楽しかったからね。未知に挑むってのはいいものだよ」

 

 それがどんな目的で使われるかはともかくね、と少し意地悪く笑うダ・ヴィンチの目から逃れるようにブーディカは視線を逸らした。後ろ手に持った袋には彼女に作ってもらったアダルトグッズが入っている。

 

「作っておいてこんなこというのも難だけど……必要かい、それ? そういうことがしたいなら真に頼めばいいと思うんだけどな」

 

 ダ・ヴィンチの疑問にブーディカは少し弱々しく笑う。

 

「そういう訳にはいかないよ。ただでさえ、特異点の攻略や何やらで忙しいのに、あたしなんかに時間をかけてもらっちゃ悪いしね」

 

 それに、と自虐的な光を宿した目で自分の体を見下ろした。

 

「こんなだらしのない体のおばさんの相手をさせちゃあの子が可哀想だよ」

 

「だらしないとおばさんの定義が乱れる発言だね、それは……そんなことはないと思うよ。ブーディカ、君は十分に魅力的さ」

 

 元男の私が言うんだ、間違いない、と自信にしていいのか首を傾げたくなる発言をするダ・ヴィンチ。彼女の言葉を疑う訳ではないが、如何せん彼女の感覚は独特だ。

 

「それに、彼に年齢は関係ないと思うよ。何せ、カルデア最年長の影の国の女王をおいしく頂いちゃうような奴だからねってぎょわあああああ!!!!!?????」

 

 ケルトイヤーは地獄耳。工房の壁を貫いて飛来した紅の魔槍がダ・ヴィンチを襲う。吹き飛ぶダ・ヴィンチ。投擲者の実力の表れか、槍はサーヴァントを軽くぶっ飛ばすほどの威力を有していたにも関わらず、工房内に何の被害も出していなかった。

 

「ふむ、すまない。手が滑ってな」

 

 余りの事態にブーディカが唖然としていると、工房の扉が開く。中に入ってきたのは影の国の女王その人だった。

 

「む、ブーディカか。悪いな、騒がせてしまって。あの天才はどこだ?」

 

「えっと、そこにいるけど……」

 

 部屋の隅で白目を剥きながら気絶しているダ・ヴィンチを指差す。すまんな、と一言礼を言ってスカサハは迷いのない足取りでダ・ヴィンチに歩み寄り、彼女を麻袋のように肩に担ぎあげた。

 

「こいつを借りていくぞ。少し、相談したいことがあるのでな。お主はもう用件を済ませたか?」

 

 まだなら叩き起こすが、と回収したゲイ・ボルクを掌の中で回転させる。叩き起こすではなく突き殺すの間違いではなかろうか。大丈夫だから、と若干引き気味にブーディカは答えた。そうか、と言って工房から出て行こうとするスカサハの顔をじぃっと見詰める。

 

「……ん、どうした? 私の顔に何かついているか?」

 

「え? あ、いや、ごめん。何でもないよ」

 

 誤魔化すように笑いながらブーディカは今度は気取られぬようにスカサハを見やった。同性でも思わず見惚れてしまう美貌、むしゃぶりつきたくなる肉感的な体。そして蠱惑的な佇まい。

 

(こんな綺麗な人に抱かれてるんだ。私のことなんて眼中にないよね)

 

 自嘲と諦めの嘆息を小さく吐き出す。極力、表に出さないようにしているが、それでも落ち込んでいると分かるブーディカの姿にスカサハは声をかけようとして止めた。本人が何もないと言っている以上、外野の言葉など余計なお世話でしかないだろう。

 

「そうか。ならいいが……迷いがあるなら、思い切って一歩踏み出すのも手だと私は思うぞ」

 

 そう言い残し、スカサハは工房から出ていった。一人残されたブーディカはスカサハの言葉を噛み締めていた。

 

 

 

 

「一歩踏み出す、か。う~ん……」

 

 天井を見上げながらブーディカはスカサハの言葉を思い返す。彼女の言う通り、一歩踏み出して真に抱いてくれと迫るのも一つの手だろう。だが、彼女はどうしても踏ん切りをつけることが出来なかった。

 

 真が今まで抱いてきた女性サーヴァント達。皆(スカサハは例外中の例外として)、見目麗しい、若々しい容姿の持ち主だ。そんな彼女達に対し、ブーディカは劣等感に近いものを感じていた。見た目こそ二十代後半の若き女性の姿だが、ブーディカは晩年までの記憶を有している。精神的にはそれなりの年長者だ。若い者は若い者同士、と見合いを薦めてくるような親戚のおばちゃん的思考を持っているブーディカは若い者である真と肉体的な関係を持つことに躊躇していた。

 

 そして同時に恐れていた。肉体関係を求めて断られたらどうしよう、と。もしそんなことになったら多分、いや確実に彼女はその場で自害するだろう。

 

「これでいいんだよ。真の手を煩わせることなんて出来ないし、寂しくなったらこうやって自分を慰められばいいんだし……いいんだ、これで」

 

 己に言い聞かせるように呟く。頭では理解している。しかし、心が納得していなかった。心が叫ぶ。真が欲しい、彼に愛されたいと。日に日に強くなっていたその声はオケアノスでの真の行動でより強大なものになっていた。

 

「ん……」

 

 鎌首をもたげた性的欲求に従い、ブーディカは自慰を再開した。より強く、より過激に玩具で感じる部分を刺激する。体を焼き尽くさんばかりに燃え上がる情欲の炎。どれだけ快感という水をかけても一向に治まる気配を見せない。この炎を消せるのはカルデアに一人だけ。

 

「真……」

 

 無意識に名を呼びながら頭の中に現れた虚像の真に自分を犯させる。感覚的な違いでしかないのだろうが、ブーディカの感じる快感が爆発的に増幅した。途切れ途切れになる喘ぎ声と共に息をしながらブーディカはローターを持った手を股間へと伸ばす。微かな機動音を立てて振動する装置をぷっくりと肥大した陰核に押し当てた。

 

「あぁ!!」

 

 全身に走る巨大な快感にブーディカは思わず声を上げて体を弓なりにする。ディルドを苛烈に動かして雌穴を抉り、充血した肉豆に震えるローターを擦り付けた。体中を駆け巡る快電流に腰ががくがくと揺れる。ディルドに掻き出された愛液、噴き出す潮がベッドに大きな染みを作っていった。

 

「もっと、もっとしてぇ……」

 

 快楽と熱に頭を蕩かせてブーディカはオナニーに没頭する。故に彼女は気付けなかった。自室の扉をノックする音に。

 

「んぅ、あぁ……そこぉ……」

 

 無我夢中になりながらディルドで膣内を掻き回す。ぐちゅぐちゅと激しい撹拌音を鳴らし、同時に硬くなったクリトリスにローターをより強く押し付けた。雷が体に直接落ちてきたような衝撃にブーディカは両脚をピンと伸ばす。

 

「真、真……!」

 

「あ、はい。呼びました?」

 

 淫汁をベッドにぶち撒けながらブーディカが絶頂を迎えたのと同時に扉が開いた。入ってきたのは申し訳なさそうに頭を掻くカルデアのマスター、遠野真だった。

 

「いやぁ、勝手に入って申し訳ないです。もう部屋に戻ってるってマシュから聞いたんですけど、ノックしても返事がなかったんで、もしかして何かあったかなと思いまして。鍵もかかってなかったし……俺のこと呼んでましたけど、何かよう」

 

 言葉を失う真の視線がベッドの上で痴態を晒していたブーディカを捉える。玩具を咥えこんだ秘所から止めどなく愛液を溢れさせ、汗ばんだ体を呼吸に合わせて上下させていた。呆然と立ち尽くしていると、ブーディカが僅かに頭を持ち上げる。普段の優しいお姉さん然とした姿からは想像もつかない卑猥な表情を浮かべた顔。性欲に染まり切った彼女の姿に真は思わず生唾を飲み込んだ。

 

「あ、真……とりあえず、少し外に出てくれないかな」

 

「り、了解でっす」

 

 回れ右して部屋から出る。ブシュー、と音を立てて閉じた自動扉に背を預けるように廊下に座り込んだ。数秒後、防音処理がバッチリと施されているはずの部屋から悲鳴のようなものが聞こえたような気がした。

 

 

 

 

「は、入っていいよ」

 

 数分後、内側から扉が開く。若干、顔を赤くさせたブーディカが真を部屋の中に招き入れた。し、失礼します、と彼女同様に赤い顔をしながら真は部屋に入った。ちらっとベッドを見る。急いで片付けたのかシーツは新しいものに変わり、自分を慰めるのに使っていた玩具もどこかに行っていた。

 

「とりあえず、座って」

 

「あ、どうも」

 

 ブーディカはベッドに、真は椅子に腰かける。短時間で換気までは出来なかったようで、部屋の中には微かな雌の匂いが漂っていた。顔の赤みを更に濃くする二人。

 

「そ、それで何の用かな?」

 

 気まずい空気を変えようと話題を振るブーディカ。へ、と間抜けな声をあげるも、真は彼女を訪ねにきた理由をすぐに思い出した。

 

「いや、あのですね。さっきのレイシフトの時にお弁当を食べさせてもらったので、そのお礼をしたいなと思いまして……それと、変なこともしちゃったし、お詫びもしなきゃなと」

 

「そんな。別に気にしなくても良かったのに」

 

「そういう訳には。礼には礼で返しませんと」

 

 終わる会話、満ちる沈黙。真の脳裏にはどうしても先ほど見たブーディカの痴態が浮かんでしまい、また彼女も彼に己の行為を見られたことを思い出さずにはいられなかった。居心地が悪そうに二人は視線を互いから外す。

 

 迷子の子犬が道をうろうろするように視線を彷徨わせる。壁や天井を見て極力見ないようにしているはずなのだが、何故か目は自然とブーディカの方に向こうとしていた。ちらりと、一瞬だけ目線を向ける。バッチリと目が合った。上気した頬、口元から漏れる悩ましい吐息。真を映した潤んだ瞳が湧き上がる情欲に揺れている。

 

「あのぉ、聞き間違いだったら申し訳ないんだけど……さっき、俺のこと呼んでましたよね?」

 

 顔を棗のように赤く染めるブーディカ。視線を逸らしながら小さく、無言で頷く。

 

「俺のこと、考えながら……してました?」

 

 さらに小さく、だが確かにブーディカは首肯した。彼女の身振りによる返事に真はさいですか、としか言えなかった。

 

「ごめん、変なもの見せちゃって。気持ち悪いよね、あたしみたいなおばさんがさ……」

 

 申し訳なさそうに、同時に悲しそうに呟くブーディカに真は戸惑いの目を向ける。そこにはでかでかと一つの疑問が浮かんでいた。おばさんって誰よ、と。それもそのはず、彼の目の前にいるのは綺麗なお姉さんなのだから。そしてその綺麗なお姉さんが自分のことを考えて己を慰めていたという現実を認識する。

 

 途端、真の中でむくむくと獣欲が湧いた。目の前にいる女を妄想の中の自分にではなく、現実にいる自分自身で犯したいという欲望がマグマのように噴き上がる。真は椅子から立ち上がると迷いなくブーディカに歩み寄り、彼女の隣に腰を下ろした。二人分の体重にベッドが小さく音を鳴らす。

 

「し、真?」

 

「ブーディカさん。お礼とお詫びのことなんだけど……こういう奴でいいかな?」

 

 戸惑うブーディカの腰に腕を回し、豊満な女体を優しく抱き寄せた。え、え、と状況が飲み込めずにブーディカはあたふたしながら真を見る。腰に回された腕と服越しに伝わる体温、向けられる情欲を宿した瞳が彼女の雌の部分を疼かせた。

 

「そ、んな。あたしみたいなだらしない体の女なんて」

 

「だらしないなんてとんでもない。素敵だよ」

 

 耳元で囁きながらブーディカの剥き出しの腰回りをまさぐる。実際、だらしないなんて思いは微塵も湧かない。あえて表現するとすれば、『熟れた』というのが一番しっくりくるだろう。指先に感じる豊潤な肉の触感に獣欲を滾らせながら真はブーディカの唇を奪った。

 

「っ!」

 

 驚きに目を見開くブーディカ。眼球を零さんばかりに目を開いて驚きを表すが、そんなことしるかと真は彼女の口内に舌を侵入させる。舌を絡め取り、歯茎や口蓋を舐めるとブーディカの体がピクピクと震えた。

 

 暫くそうしていると、ブーディカの両腕が真の首に回される。豊満なバストを押し付けるように真を抱き締め、口内の快感に目をうっとりと細めながら自身も舌を動かして真のキスに応えた。

 

 二人の唇が離れる。透明な唾液の糸が二人の口を繋いでいた。自分の涎と真のものが混ざった液体を飲み下し、ブーディカは両腕に力を込めて真を強く引き寄せた。

 

「こんなことして……もう、あたし我慢出来ないよ?」

 

「我慢はさせませんよ、二度とね」

 

 再びキスをしながら真は体を燃えるように熱くさせたブーディカを押し倒した。

 

 

 

 

 ベッドの上、シーツをくしゃくしゃにしながら一組の男女が絡み合っている。一糸纏わぬ互いの裸体に手を這わせ、唇を貪り合っていた。両者共に長いキスで若干酸欠状態になっているが、口付けを止めようとはしなかった。鼻から苦しげな息を漏らしつつも相手の口内を舌で侵し、唾液を交換し合う。

 

「ぷはぁ」

 

 顔を離す。至近距離で見つめ合う真とブーディカ。

 

「真、もっとぉ」

 

 涎塗れの唇を舌で舐め、ブーディカは甘えた声で口付けを求めた。普段の年上の包容力を見せる彼女からはかけ離れた性欲を剥き出しにした雌の顔。彼女同様に顔を色欲に染め上げ、真はブーディカの唇を吸う。触れ合う唇が、密着した体が、互いをまさぐり合う手が二人の愛欲を急速に高めていった。

 

(あれって)

 

 ふと、真の意識がベッド脇のサイドテーブルに向けられる。僅かに開いた引き出しが妙に気になった。キスを続けながら真は引き出しへと手を伸ばし、中にあるものを手に取ってみた。

 

「こいつは」

 

「し、真、何でそれ出しちゃうの……」

 

 真が手にしたものに気付き、ブーディカは真っ赤になった顔を両手で覆い隠す。真が取り出したのは先ほど彼女が自分を慰めるのに使っていたディルドだった。黒々とした、屹立する男根を模したグロテスクな玩具。

 

「へぇ~、これを使って」

 

「あうぅ、そんなマジマジ見ないでぇ」

 

 手の中のディルドと覆い被さったブーディカを交互に見る。顔を真っ赤に染め上げたブーディカを見ていると加虐心が湧き上がってきた。

 

「これを俺のここだと思って挿れてたんだ?」

 

 ディルドの先端をブーディカの陰裂に当て、なぞるように動かす。ブーディカの体が震え、彼女の口から小さく可愛らしい悲鳴が漏れた。愛液を体外へと溢れ出させたそこはディルドの動きに合わせてくちゅくちゅと音を鳴らしている。真からは見えていないが、膣内では媚肉が逸物の挿入をせがむようにひくひくと蠢いていた。

 

「そういや、俺が部屋に入ってくる時もこれでオナニーしてたよな。結構、盛大に逝ってたみたいだけど、気持ち良かった?」

 

 意地の悪い笑みを浮かべるも、顔を両手で隠してしまっているブーディカには見えなかった。

 

「これで逝けるんなら、俺なんて必要ないんじゃないか?」

 

 真の言葉にブーディカはこの世の終わりを間近に控えたような顔をする。ここまで人の心と体を昂ぶらせておいて何て酷いことを言うのだろうか。ここでお預けを食らわされては本当に頭がおかしくなってしまいそうだ。ブーディカは目尻に薄らと涙を浮かべて言い訳を始める。

 

「違う、違うんだ、真。確かにさっきは体が疼いて自分で慰めてたけど、全然満足出来なかったんだ。どんなにやっても君に抱かれたい、君に愛してほしいって想いがどんどん強くなって……君じゃないと駄目なんだ、君の……おちんぽ挿れて欲しいんだよぉ」

 

 涙目で懇願するブーディカに真は異様なほどの興奮を覚える。同時にもっと彼女をイジメたいという思いがメラメラと燃え上がった。

 

「それじゃ、確かめてみますか」

 

 言うや、真はディルドを雌穴へと突き入れた。潤沢な愛液を潤滑油に玩具は呆気ないほどスムーズに子宮口へと到達する。一際大きくブーディカの体が痙攣する。彼女は突然の衝撃と快感で頭が働かず、突き出した舌を震わせながら浅い呼吸を繰り返していた。

 

「あれま。違うなんて言ってた割には随分と気持ち良さそうやないですか」

 

「ら、らっへ、君がいきなり挿れるからんむぅ」

 

 ブーディカの言葉を遮るため、真は彼女の唇を啄む。ちゅうちゅうと音を立てて唇を吸いながらディルドの出し入れを開始する。わざと音が出るように膣内を掻き混ぜると、ブーディカの呼吸が荒れていった。苦しげな鼻息が更に真の興奮を煽る。空いた手でブーディカの恵体をいやらしく撫で回し、白い肌に覆われたムチムチとした肉の触感を性欲のままに堪能した。

 

 秘所と肌の二か所から襲い来る快感。気を抜けばあっという間に果ててしまいそうな状況をブーディカは必死で耐えていた。もし、ここで絶頂してしまうと真とセックス出来なくなるのではないか。さっきの俺なんて必要ない、という真の発言は想像以上の効果をブーディカにもたらしていた。

 

 ぎゅう、と全身を強張らせてブーディカは脳を溶かしていくような快楽に耐える。そんな彼女をあざ笑うように真はディルドを握る手に力を込め、彼女の膣内を激しく抉った。

 

「気持ち良いんだろ? 逝っちゃえ」

 

 耳元で囁かれる言葉にブーディカは歯を食い縛る。押し寄せる快感の波に耐え忍ぼうとするが、優しく、だが容赦なく敏感な部分を攻めてくる指先に体の力が抜けていく。真はブーディカが脱力した瞬間を狙い、ディルドで子宮口を突き上げた。子宮口にディルドの先端を押し当てたまま、螺子を回すドライバーのように回転させる。

 

「んん、あああぁぁっ!!」

 

 ブーディカの熟れた女体が絶頂を登り詰めた。己の意思とは関係なしにブーディカは嬌声を上げる。足先をぎゅうと曲げて内腿や腹部を震わせていた。明らかにオーガズムを迎えている。だが、真はブーディカが逝ったにも関わらず彼女を責める手を止めようとはしなかった。

 

「あ、しん、まっへ。いま、いっへる。いっへるからぁぁぁ」

 

 舌足らずな呻きがよがり声に変わる。より激しくなった真の手つきにブーディカは涎を垂らしてアクメ顔を晒した。己の秘所から鳴る空気の混ざったような発泡音と脳髄を灼く快感がブーディカの理性を破壊していく。意味を成さない言葉を漏らしながら彼女はより強い快感を求めて異物を迎え入れようと腰をくねらせた。

 

「ほら、逝け、逝っちゃえよ!」

 

 燃え上がる加虐心に従い、真はブーディカを弄ぶ。既に果てに至っていた体は次の絶頂へと辿り着き、また次のエクスタシーを迎えた。数秒ごとに逝き続けるブーディカ。軽く白目を剥きながら言葉にならない喘ぎを上げ、ディルドで突かれる度に雌穴から潮を噴かす。今、ディルドを持つ真の手は水道で洗った時のようにびっしょりと濡れていた。

 

「いく、いく、いくぅぅぅっっ♡」

 

 十数度目の絶頂。高く浮かせた腰をビクビクと震わせ、噴水のような潮で真とベッドを濡らす。蜜壺にディルドを深々と突き入れられながらブーディカはアヘ顔を浮かべていた。

 

 彼女のあられもない姿に一先ず満足したのか、真は秘所からディルドを引き抜く。僅かな抵抗を感じながらディルドを抜くと、糸の切れた人形のようにブーディカはベッドに横たわった。

 

「派手に逝ったなぁ。さて、次はと……」

 

 激しい呼吸で上下に動くブーディカの豊乳を揉みながら真はディルドをサイドテーブルの上に置く。何か別な玩具もあるのではないかと引き出しを開けようとすると、バストに指を沈めていた手を掴まれた。

 

「もう……普段はいい子なのに、ベッドの上だとこんなに悪い子なんだ」

 

 振り返ると、荒い呼吸を続けるブーディカが手首をがっちりと掴んでいた。爛々と輝く、性欲に満ちた双眸。

 

「そんな悪い子には、お仕置きだよ」

 

 ベッドへと引き倒され、組み敷かれる。真の両肩に手を置き、起き上がれないようにしながらブーディカは引き締まった肉体に跨った。舌舐めずりしながら微笑む様は肉食獣のそれだ。

 

「君はどうなの? こんなにおちんぽ硬くしちゃって……君だって凄く興奮してたんじゃないか」

 

 ゆったりと腰をくねらせ、淫唇をいきり立つ剛直に擦り付ける。そこはブーディカの秘所に負けないくらいに我慢汁で竿を濡らしており、真がどれだけ興奮しているかを表していた。ぷっくりとした柔らかな淫唇で肉棒を刺激され、真は小さく呻く。感じている彼の顔に満足そうに頷きながらブーディカは素股を徐々に激しくさせる。混ざり合った愛液と先走りが二人の性器で泡立ちより淫靡な音を奏でる。耳朶にいやらしく染み込んでくる水音が二人の官能を一層強く燃え上がらせた。

 

「熱い……硬くて太い。あんな玩具なんかよりずっと素敵……挿れたい、挿れたいよぉ」

 

 もう我慢出来なかった。熱の籠った息を吐きながらブーディカは両脚で体を支え、男根を挿入するためのスペースを確保する。脈打つペニスを握り、蜜を垂らす雌穴に先端を当てた。

 

「挿れてもいいよね? 挿れるよ、挿れるからね」

 

 真の返答を待たず、ブーディカは腰を下ろして己の中に真の分身を迎え入れた。玩具では決して味わえない熱が膣内を満たす。膣内を隙間なく埋め尽くされ、子宮口に亀頭がぶつかる。声の無い嬌声を上げ、ブーディカは天井を仰ぎながら体を痙攣させた。

 

「ブーディカ、逝ってるのか?」

 

 男根を包む媚肉が震えている。真の問いにブーディカは息を途切れさせながら頷いた。

 

「だって、だって、君のがずっと欲しかったんだもん」

 

 叶わないと思い、諦めていたものが手に入ったのだ。悦ばない訳がない。今、ブーディカの体は溢れ出る悦びで異様なほど敏感になっていた。

 

「真、君の凄く気持ち良い♡ 気持ち良すぎで頭が変になっちゃうよぉ♡」

 

 真と交わる。妄想の中のことが現実になった嬉しさがブーディカの理性を完全に崩壊させた。聞くだけで勃起してしまいそうな声を上げ、ブーディカは腰を激しく振りたくった。ぱちゅんぱちゅんと音を立てながらダイナミックに腰をぶつけ、母親が子供を抱き締めるように媚肉で男根を優しく包み込む。ソフトに、だが容赦なく精を搾り取ろうとする肉襞に逸物が戦慄いた。鈴口から我慢汁が吐き出されると、堪らないと言わんばかりにブーディカの体が小さく震える。だらしなく開いた口から涎と共に喘ぎ声を漏らし、法悦に顔を輝かせながら体を捩る姿がとても卑猥だった。

 

「これぇ、これが欲しかったのぉ♡」

 

 快楽に声を震わせてブーディカはよがる。上下に動く体に合わせて双乳が波打っていた。重々しい肌色の果肉が揺れるさまは凄まじい視覚効果を発揮し、男根の硬度と感度を上昇させる。真が性感に打ち震えるのと同時にブーディカの嬌声がより一層艶っぽくなった。腰を上げては落とし、肌を一つにさせるように前後左右へとグラインドさせてまた上げる。彼女の熟練の腰使いに真は拳を強く握り締めて耐えた。

 

「我慢なんかしなくて、いいんだよ? 一緒に気持ち良くなろう。あたしも、あたしももう逝っちゃうからぁ」

 

 体を後ろに少し倒し、両手を突いて支える。上下に弾むバストを、剛直を呑み込む結合部分を見せつけるように体を開きながら腰を揺らした。絡みつく肉襞が肉竿やカリ、亀頭をしゃぶり尽くす。互いの粘膜に走る快感が二人を高みへと引き上げていった。

 

「出る、出る!」

 

「出してぇ、中に一杯出してぇ♡」

 

 果てへと至り、真はブーディカの胎内へと白濁した欲望を解き放った。絶頂すると同時に精を子宮に注がれ、ブーディカは己の意思とは関係なく下腹部をせり上がらせる。ぐぐっ、と下腹の筋肉が断続的に痙攣し、膣内を締め上げて更なる白濁液を絞り出していた。

 

 たっぷりと時間をかけ、真は全てを出し切る。天井を見上げながら空気を求めて喘いでいると、彼と同じように呼吸を荒くしたブーディカが倒れ込んできた。

 

「お腹がたぷたぷしてるよ。こんなに出るんだね、若いって本当に凄いなぁ……あたし、君のこと気持ちよく出来たかな?」

 

 心の底から満足した笑みを浮かべてブーディカは真に訊ねる。キスをしながら頷くと彼女は相好を崩して真を抱き締めた。

 

「そっか、なら良かった……あのさ、真。その、お願いがあるんだけど」

 

 体をもじもじさせながら視線を逸らす。しかし、真を抱く両腕は決して放そうとはしない。

 

「そんな毎日とか、何時もなんて贅沢なことは言わないからさ。だから、その、偶にはこうやって愛してくれると嬉しいなぁ、なんて……」

 

 不安そうにちらっと真を見る。返ってきたのは鷹揚な笑みと勿論という答え。ぱぁっと顔を輝かせるブーディカを突然の浮遊感が襲う。声を上げる間もなくブーディカは真に押し倒されていた。

 

「え、え?」

 

「じゃあ、早速その偶にはをやりましょうか」

 

 答えは聞いてない、と言うように真は抽挿を開始する。大量の精液を吐き出したにも関わらず、ブーディカと繋がり合ったままの逸物は僅かも硬度を失ってはいなかった。蠕動する肉襞を掻き分けるように蜜壺を穿たれ、ブーディカは頭を仰け反らせる。

 

「あひぃ! あんな、あんなに一杯出したのにまだ硬いぃ!」

 

「今まで我慢させちゃった分、今夜は一晩中たっぷり愛してあげます」

 

「ひ、一晩中?」

 

 震えた声を出す割には期待に瞳を輝かせるブーディカに無言の笑みを見せながら激しく腰をつかう。嬌声を上げ、ブーディカは与えられる快感に溺れていった。

 

 部屋が静かになったのは翌々日の朝だった、とだけ書いておく。




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
ストライクゾーンは揺り篭から墓場まで。年齢なんざ関係ねぇ、大切なのは通報されないような外見、そして愛し合ってるかどうかだけださぁ。

『ブーディカ』
熟れた体を玩具で慰めているところを気になる年下のあの子に見られてしまった若い未亡人、という頭の悪すぎるフレーズから話を書かれたお人。書いてる内に母乳プレイも入れたほうがいいかしらと思ったけど、それは頼光さんの時で。膝枕しながら耳かきして欲しい。優しくして欲しいけど、頑張る時は頑張らなきゃ駄目だよって言って欲しい。

『ダ・ヴィンチちゃん』
この作品で一番の便利キャラ。カルデアのドラえもんとはこの人のことだ。サーヴァントの頼みで色々なものを作っている。

『スカサハ』
地獄耳なケルトイヤーを持つお姉さん。ジャンヌ・オルタの時のように一々口を出さなかったのはブーディカのことを大人だと認めてるから。


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『源頼光』貴方は私の……

 本当はもっと後に書こうと思ってたけど、誰も書いてないみたいなんで書きました。それなりに気合い入れて書いたのでクオリティはそこそこいいような気がする。最後らへんは駆け足で書いちゃったけど。


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

「ようこそ。お待ちしておりました、マスター」

 

「……あの、どういうことこれ?」

 

 老舗の宿屋、といった雰囲気の玄関で一組の男女が対峙している。片方は豊満な肉体を薄藤色の着物に包んだ女性サーヴァント、源頼光。もう一人は人理継続保障機関『カルデア』最後のマスター遠野真。一体、これはどういう状況なのか。簡潔に説明しよう。

 

『小さなものではあるが新たな特異点が観測された。調査のため、マシュ達と一緒にレイシフトする真』

 

『レイシフトしたはいいものの、何故か真以外の面々がカルデアに強制送還される。カルデアと連絡を取ることも出来ず、真は一人特異点に取り残された』

 

『このまま呆然としてても仕方ないと人類最後のマスターは行動開始。とりあえず、目の前に合った宿屋的な建物に足を踏み入れる』

 

『そこには数日前から姿を消していたサーヴァント、源頼光が礼の限りを尽くした姿勢で真を出迎えていた』

 

 

 

 

 こんな感じだ。

 

「あの、頼光さん。これは一体全体どういう状況なのでしょうか?」

 

「その説明は後ほど。今はこちらに」

 

 そう言って頼光は宿屋の奥へと歩いていく。ちょいと、と呼びかけるも足を止める気配が無かったので真は慌てて靴を脱いで彼女の後を追った。

 

「こちらです」

 

 案内されたのは広くも狭くも無い和室。卓袱台や座布団が置かれた正に宿屋の一室といった雰囲気だ。

 

「粗茶ですが」

 

「あ、どもっす」

 

 頭を下げながら卓袱台の上に出された湯呑を手に取る。湯気の立つお茶を一口飲んでホッと一息ついてから真は話を切り出した。

 

「それで、頼光さん。この特異点って何なんですか? レイシフトしてみりゃ俺以外の面子はカルデアに強制送還されるし、連絡はつかない。オマケに暫く姿を見てなかった貴方がこうして特異点にいるし……そもそも何してたんですか。凄ぇ心配したんですけど」

 

「それは……申し訳ございません、マスター。ただ、私にも準備というものがありまして」

 

 準備? と湯呑を置きながら首を傾げる真に頼光は頷く。

 

「最初の疑問に答えましょう。この特異点を作ったのは私です」

 

「……マジすか?」

 

「はい」

 

 んな馬鹿な、と真は振ろうとしていた首を止めた。何せ、彼女には聖杯を使って鬼ヶ島を創ったという前科がある(正確にいえば彼女の中にいる丑御前がやったことだが)。その時のような大規模な特異点はともかく、今回のような小さなものならお茶の子さいさいで創れるのだろう。

 

「それじゃあ、何か聖杯的なものを手に入れて暴走したりとか、強大な力を手に入れて調子に乗った馬鹿が起こした特異点じゃないって訳か」

 

 他には何度も出てきて恥ずかしくないの系ドラ娘アイドルなんかの線があったが、それでも無いようだ。まずは一安心。真は軽く胸を撫で下ろしながら次の質問をする。

 

「さっき、準備って言ってましたけど、何のですか? そもそも、何のためにこんな特異点を」

 

「その質問に答える前に一つお聞きしたいのですがマスター。貴方が私達サーヴァントを労うために『ばかんす』なるものに連れて行ってくださるという話を聞いたのですが、それは本当ですか?」

 

「え? あぁ、本当ですよ。そんなすぐにって訳でもないですけど、近い内に」

 

 真の返答に頼光は嬉しそうな悲しそうな複雑そうな顔を浮かべる。何でそんな顔をするのか分からずに疑問符を浮かべる真の手を頼光は両手でそっと包んだ。

 

「マスター。私達を慮ってくださるそのお気持ち、大変嬉しく思います。ですが、同時に母は怒っています。どうして貴方は自分のことを二の次にするのですか。カルデアで最も多忙なのは貴方なのですよ」

 

 労われるべきはサーヴァントではなく真本人だ、と頼光はぷんぷんしながら主張した。彼女の言う通り、カルデアの中で一番忙しくしているのは遠野真その人だった。サーヴァントと共に特異点へと赴き、定礎復元をなす。どんなに規模が小さく、また発生した理由が下らないものであっても特異点を解決する。サーヴァント達から頼みをされれば、西へ東へ奔走(レイシフト)。そして彼女達との魔力供給(意味深)にも勤しんでいるのだ。忙しくない訳がない(まぁ、最後のものに関しては真自身がウェルカム状態だが)。頼光の言葉に真はあぁ~、と今更ながら納得していた。

 

「そう言われてみると確かに忙しいなぁ、俺」

 

 でしょう、と我が意を得たりと胸を張る頼光。

 

「それはまぁ分かりました。で、その俺が忙しいってのと頼光さんが特異点を創るのにどんな繋がりが?」

 

「母は考えました。貴方を労い、貴方の疲れを取るためにはどうすれば良いのか」

 

 カルデアでは駄目だ。特異点ないし何かしらの問題が発生すれば高確率で真が解決のために駆り出される。何の問題も起こらなかったとしても、真に構って欲しがるサーヴァント(邪魔な虫)が確実に現れる。なら、自分と真以外に誰も来れない場所を創ればいい。それが頼光の出した結論だった。

 

「ここなら何の心配もありません。貴方を苦しめたり、悩ませたりするものは何もないのですから」

 

「はぁ、さいですか……」

 

 頼光に生返事をしながら真は頭を掻く。頼光が自分のことを想って行動してくれたのは素直に嬉しい。嬉しいのだが、これが独断での行いだというのがいただけない。レイシフトする前、カルデアの面々はこの特異点について何も知らなかった。つまり、頼光は誰に何も話さずに計画を練り、真を特異点へと連れ込んだのだ。

 

 サーヴァントだけがカルデアに戻り、特異点に残されたマスターとは通信も繋がらない状況。今頃、カルデアでは上よ下よの大騒ぎになっているはず。労い云々の前にまずは自分は無事だとカルデアに伝えなければならない。

 

「あの、マスター」

 

 腕を組んで考える真の耳に震える声が届く。視線を上げると、今にも泣き出してしまいそうなくらいに目を潤ませた頼光が真を見ていた。

 

「もしかして、ご迷惑でしたか?」

 

「あ、いや、別に迷惑ではないですよ! そんな風に思ってもらえて凄い嬉しいですし……ただまぁ、誰に何も言わなかったっていうのはちょっといただけないですかねぇ」

 

 必死に頼光を宥めながらも苦言を呈する。流石に今回の彼女の行動を全肯定する訳にはいかなかった。戦いとなれば普通にサーヴァント達に混じって暴れる彼も自分が人類最後の希望であることは自覚していた。

 

「それは、ごめんなさい。ここを創るのに夢中ですっかり忘れていました」

 

 嘘だ。忘れていた訳ではない。実際は、

 

(誰かに言ってしまっていたら、確実に邪魔が入りますからね)

 

 頼光の強い独占欲の表れだった。母と子の語り合いを邪魔する者は誰であっても許さない。

 

「カルデアのことは大丈夫です。ちゃんと私の名を書いた書置きを用意しておきましたので」

 

「書置きかぁ。なら、大丈夫か?」

 

 全く大丈夫ではない。書置きを残したという頼光の言葉に嘘はない。ただ、その書置きの内容が『遠野真は私のものだ、フゥ~ハハ』的なものだったため、今度は別の意味でカルデアが地獄絵図と化しているがそれはここにいる二人には関係のないことだ。

 

「そういうことなら、まぁ、いっか。今日は頼光さんの好意に甘えさせてもらいましょう」

 

 ぱぁ、と頼光の顔が華やぐ。

 

「えぇ、えぇ。存分に甘えてください。着替えはこちらに用意してありますので」

 

 浴衣を真の前に置き、頼光は真が着替えるまでの間、和室の外に出て待った。胸中に湧く着替えを覗きたいという思春期かと突っ込みたくなるような欲求を抑える。どうせ、後で好きなだけ見れるのだ。

 

「えぇ、甘えさせてあげますとも……もう、母無しでは生きられないくらいたっぷりと癒して、たっぷりと愛してあげます」

 

 淫靡な微笑みを浮かべながら頼光はゆっくりと舌舐めずりして形のいい唇を濡らした。

 

 

 

 

「癒し、といえばこれですね。マスター、どうぞ」

 

 畳の上に正座した頼光が自身の膝を叩いた。これぞ平安最強の神秘殺しが持つ第二の宝具、源膝枕。効果は絶大であり、一度味わってしまえば忘れぬことの出来ぬ麻薬の如き代物だ。現に真も吸い込まれるように頼光の膝枕に頭を乗せていた。ただ、柔らかくて心地よいというだけではない。こうしていると頼光の持つ包容力というべきか、母性というべきか、そういったオーラ的なものに全身を包まれる感覚を味わうのだ。母に全てを任せるかのような安心感は半端ではない。

 

「あぁ~、癒される~」

 

「ふふ、それは何よりです」

 

 温泉に入った老人のような声を出す真を笑顔で撫でながら頼光は傍らに置いてある小物入れに手を伸ばした。中には耳かきや綿棒といった道具が入っている。

 

「それでは始めます。動いては駄目ですよ」

 

 はい~、と緩み切った真の返答にクスクスと笑い、頼光は耳かきを始めた。優しく感じる部分を擦られる感触が堪らなく気持ちいい。思わず口を半開きにする真とは対照的に頼光は少しばかり不満そうな顔をしていた。

 

「むぅ、余り汚れてはいませんね」

 

「……あぁ、そういや、何日か前に御師さんにしてもらいましたからね」

 

 真が何気なく零した言葉に頼光は一瞬動きを止めた。御師さん、即ちスカサハ。頼光は彼女をいつか討ち果たすべき不倶戴天の敵と認識していた。

 

 真を独り占めしたいという想い(独占欲)一つで特異点を完成させた頼光と彼を自分の男と誰憚ることなく言い切るスカサハ。反りが合う訳がなかった。

 

 想像してみて欲しい。絶世と評されても過言ではない豊満な肉体の美女二人が互いの息がかかるほどの距離で、薄氷のような笑みを浮かべながら言葉の刃を突きつけ合う光景を。

 

 白百合の王妃は輝く笑顔を引き攣らせ、聖処女(元)は仲裁しようとした己を止めた。竜の魔女に至っては痛くなったお腹(ポンポン)をマスターに擦ってもらっていた。

 

『無理です、あれは無理です。絶対に止められない、というか割って入れないです。あれの仲裁とかやるくらいなら薩摩連中の猿叫を一日中聞き続けてた方がマシです』

 

 とは幕末最強美少女剣士(自称)の言だ。とにかく、サーヴァントすらドン引きさせるほどの光景と空間を二人は作り出していた。

 

 この前はとうとうガチの殺し合いをしていた。神殺し対神秘殺しという顔を輝かせればいいのか頭を抱えればいいのか分からない対決は周囲への影響を考えて人はおろか生物すらいない荒野にレイシフトして行われた。

 

 二人の戦いは凄絶を極めた。天が泣き、大地が割れて世界が軋みだす光景は正に原初の地獄。最古の英雄が持つ乖離剣の権能が振るわれたが如きだった。具体的にどれくらい凄かったかというと、何事かと覗きに来た魔術王を戦いの余波でプチっと潰してしまうくらいだ。

 

 もうお前らが原因で人理焼却完了しちゃうんじゃね? と思わず言いたくなるサーヴァント版ゴジラVSガメラな戦いを止めたのはブーディカ(カルデアの母)の拳骨と(マスター)のハグだった。母は強し。そして愛に勝るものなし!

 

 まぁ、そんなこんな色々あって頼光はスカサハに対して並々ならぬ対抗意識を持っていた。

 

「負けません。母がもっと綺麗にしてあげますからね」

 

 思わず、こんなことを言ってしまうくらいに。何に負けないの、と聞きたくなる真だったが、今は耳穴を掻かれる心地よさに身を委ねる。源膝枕と耳かきが合わさり、正に夢心地といった感じだった。意識が半分微睡みに埋まっていく。

 

「はい、終わりましたよ」

 

 気付けばそんな声が聞こえた。

 

「随分と気持ち良さそうに眠っていましたね。いい夢は見れましたか?」

 

 寝ぼけ眼の真を慈しむように撫でる頼光。えぇ、まぁと曖昧な返事をしながら真は目を擦る。余りの心地よさに一眠りしてしまったようだ。勿体ないことしたなぁ、と内心で思いながら天井を見上げる。視界に入ったのは木目の天井、ではなく頼光の豊かすぎるバスト。

 

「Oh……Amazing」

 

 自然と感想が漏れる。眼前の爆乳と表現して差し支えない双山にただただ圧倒された。着物を内側から隆起させる脅威の胸囲。手を伸ばせば触れられる所にある圧巻の膨らみに真は小さく息を呑む。

 

「どうかしましたか?」

 

「へ? あぁ、いや、別に。あはは……」

 

 頼光の問いに要領を得ない返事をしていた真の手に何かが触れる。小物入れに入っている使っていない予備の耳かきだ。

 

「あら、またして欲しいんですか? 駄目ですよ、やり過ぎては耳の中を痛めてしまいますから」

 

 ふと、真の胸中に雄の欲望と悪戯心が生まれる。手の中の耳かきと頼光のバストを見比べた。手の中で耳かきを回し、フワフワした梵天を頼光の胸へと向ける。

 

「?」

 

 可愛らしく小首を傾げる頼光の姿にいや、やっちゃ駄目だろ、と心の中に紳士が現れるが、一瞬で十代の性欲に八つ裂きにされた。こんな素敵なものを目の前に出されて我慢出来るほど彼は人間が出来てはいなかった(相手が嫌がったらしないが)。

 

 ゆっくりとした動きで梵天を頼光の乳首があるだろう部分へと触れさせる。

 

「ひゃっ……もう、何をしているのですか?」

 

 小さく驚きの声を上げるも、頼光は大らかな笑みを崩さない。優しく髪を梳かす手付きは悪戯っ子を宥めるといった感じだ。着物と襦袢の上からでは梵天の刺激が乳首届かなかったらしい。

 

「頼光さん、失礼します」

 

 ならば直接責めるまで、と真は一旦耳かきを置き、手を頼光の着物へと伸ばした。

 

「こ、こら。一体何を」

 

 着物の衿に手をかけられて流石に狼狽したのか、頼光は小さく目尻を上げて真を睨む。しかし、着物にかかった手を払い除けようとはしなかった。真は内側の襦袢にも指をかけ、ゆっくりと着物ごと引き下ろす。

 

「ん……」

 

 艶のある吐息と共に片乳が露わになった。衣服に覆われていない、生の頼光の胸に真は言葉を失う。メロンやスイカと表現しても過分ではない超ド級の膨らみ。母性の象徴でもある半球型の頂点にある桜色の乳輪ではまだ大きくなってない乳首が慎ましやかに鎮座していた。

 

「凄ぇでかい。それに綺麗だ」

 

 真の感想に頼光は頬に薄く紅を差す。マジマジと視姦されている乳首がゆっくりと肥大化し、硬さを増していった。

 

 耳かきを手に取り、血管が浮かぶほどに白い肉の果肉に梵天を触れさせる。ピクン、と頼光の体が揺れた。梵天を当てたまま、真は円を描くように手を動かして白いふわふわをピンク色の頂点へと向かわせていく。時折、体を小さく震わせて頼光は肌を滑るむず痒さに耐えた。

 

「あん」

 

 ついに梵天が頂点に辿り着くと頼光は色っぽい喘ぎを零す。瞳は官能的な光を湛え、さっきまで幼子を見守る母のようだった顔に雌の欲望が浮かび始めていた。

 

 そんな頼光の変化に気付かずに真は夢中で耳かきを動かす。執拗に梵天で乳輪の縁をなぞれば頼光の吐息が更に艶を増した。白いフワフワで乳頭を包み、持ち手を軸にして回転させると豊満な体が艶めかしく揺れる。グラマラスな女人の肢体を己の手で弄ぶような感覚が真の下半身に血流を集めていった。

 

 乳首を弾くように梵天を上下に振る。鉤型に曲げた人差し指を唇に当てて声を抑えようとする頼光に興奮しながら耳かきを動かす内に真はあることに気付いた。梵天のフワフワの白い綿毛が湿り気を帯びている。注意深く見てみると、何か白い液体で濡れているのが分かった。

 

(まさか、これって……いや、いくら大きいからって)

 

 茹った頭が出した答えにまさかと思っていると、額を軽くぺちりと叩かれる。

 

「あた」

 

「悪戯はそこまでですよ。どこでこんな悪いことを覚えてきたのですか」

 

 僅かに柳眉を寄せる頼光。悪戯(というには些か性的過ぎるが)をした子供をやんわりと怒る母のようだ。真の手から耳かきを取り上げ、崩れた着物を直す。

 

「もう、男の子がそのような顔をするものではありません。母はこれから夕餉の準備をしてきますので、その間、貴方は温泉に入ってきてください。自慢ではありませんが、中々上手く出来ていますよ」

 

 残念そうな顔をする真を膝の上からどけて一撫で。小物入れを手に部屋から出ていく頼光の後ろ姿に真は見入った。腰高に揺れる肉付きの良い美尻を思わず視線で追ってしまう姿は年相応の少年といえた。

 

 

 

 

「ご馳走様でした。いやぁ、マジで美味かったです」

 

「お粗末さまでした。お口に合って何よりです」

 

 竹林に囲まれた露天風呂で体を清めてきた真を待っていたのは頼光が腕によりをかけて作った豪勢な夕飯だった。一人で食べれるのかと思ってしまうほどの量だったが、真はペロリと平らげた。健啖に箸を進めていた真の姿に頼光も心底嬉しそうに微笑んでいる。

 

「いやぁ、こんなにゆっくりしたのってカルデアに来てから初めてなんじゃないか」

 

 夕飯を食べ終えた真がそんなことを漏らした。温泉で体を温めて疲れを癒し、美味い料理に舌鼓を打って腹を満たす。こんな贅沢を一人でしていいものかと真は小さな罪悪感を覚えた。

 

(後で頼光さんに頼んでカルデアの皆も来れるようにしてもらおう)

 

 胸中で決心しながら真は大きく息を吐く。食後の一服にお茶が欲しいところだ。

 

「頼光さん。ちょっとお茶持ってきてもらってもいいですかね」

 

 真の頼みに後片付けをしていた頼光の目が一瞬妖しく輝いた。

 

「はい。すぐに持ってきますね」

 

 膳を抱えながら真を振り返った時は既に瞳の中の光は引っ込んでいた。部屋を後にする頼光の背に温めで頼みます、と真は贅沢なことを抜かす。ここまで来たらとことんまで甘えるつもりのようだ。

 

「お待たせしました」

 

 数分後、部屋に手ぶらの頼光が戻ってくる。

 

「あり、頼光さん。お茶は」

 

「心配せずとも、ちゃんと持ってきていますよ……お茶ではありませんが」

 

 どこか艶然と微笑みながら頼光は真の前に正座を組んだ。向けられる艶めかしい微笑とねっとりとした視線に思わず鼓動が高鳴る。真から目を逸らさず、頼光は色気のある吐息を漏らしながら襟に手をかけ、ゆっくりと着物と襦袢を下ろしていった。

 

 薄藤の着物と真っ白な襦袢を脱ぎ、上半身を露わにする。細い肩には不釣り合いなほどに巨大な乳房。巨大でありながら美しい形を描くそれは頼光の呼吸に合わせてゆさっ、ゆさっと揺れていた。

 

「マスター……いえ、真。母の乳で喉を潤してはみませんか?」

 

 ただでさえ大きな爆乳を更に強調させるため、頼光は両腕を寄せる。二の腕に形を変えられる乳房。先端ではピンク色の突起がしこり勃ち、乳輪から白い汁を滲ませていた。

 

「やっぱ、さっきのって母乳だったのか」

 

 呆然と呟きながら真は誘蛾灯に誘われた蛾のように頼光へ歩み寄っていく。子供をあやす母の顔と男を求める女の顔。対極的な感情を同時に顔に浮かべる頼光の膝に頭を乗せると、彼女は笑みを深めて真の頭を撫でた。

 

「思う存分、心行くまで味わってください。そのためのお乳ですから」

 

 真が吸いやすいように位置を調整し、頼光はゆっくりとバストを近づけていく。徐々に迫るド迫力の膨らみに思わず口を開けると、極上の柔らかさを持った乳肉が口腔を満たした。後頭部には源膝枕、そして顔には極大極上の乳。頭部を挟む幸せな圧迫感に真の股間に血流が集まっていく。

 

「吸って、吸ってぇ♡」

 

 頼光の求めに応じるように乳房を甘噛みし、舌で乳首を転がす。すると、蕩けるように甘い液体が溢れてきた。更に一吸いすると驚くほどの量が出てくる。真は口内に注がれる温かい極上の甘露を喉を鳴らしながら夢中で飲んだ。

 

「母の乳は美味しいですか?」

 

 頼光の問いに乳首から口を離さぬまま頷いて答える。しかし、自身の乳で真の顔が見えていない頼光にはたして通じたかどうか。片手で真の頭を変わらず撫でながら頼光は空いている手で手持ち無沙汰に動く真の手をもう片方の乳房へと導いた。

 

「あぁん♡」

 

 掌で乳首を潰されるように乳を鷲掴みにされ、頼光は母乳を噴きながら悦びの声を上げる。掌を汚す母乳を乳肉にすり込むように動いたと思えば、白い液体を滴らせる乳首を人差し指で弾かれた。乳房の芯を痺れさせる甘い電流に頼光は乳の出をより良くさせる。

 

 視線を真の下半身に向けてみれば、浴衣を跳ね除け、下着のトランクスに先走りで染みを作った逸物がそそり立っていた。クスリと笑いながら頼光は手を伸ばし、トランクスを下げて男根を下着の拘束から解放させる。

 

「こんなにも張り詰めさせて、何て雄々しい……」

 

 天を突かんばかりにそびえる真のペニスにうっとりとした吐息が漏れる。妄想の中で何度も自分を絶頂させたものの現物を頼光は愛おしさを込めて撫でた。ビクン、と真の体が小さく痙攣する。

 

「母が気持ち良くしてあげます」

 

 亀頭をテカテカに光らせる先走りを掌と全ての指腹に塗り付け、血管を浮かばせる剛直を握りゆっくりとしごいていく。ぬるついた指がカリを撫でると夢中で乳首を吸い立てていた真の口から微かな呻きが漏れた。

 

「感じてるのですね? もっと、もっと母を感じてください」

 

 色白の頬を朱に染めながら頼光は夢中で逸物をしごき上げる。亀頭の先から根本まで手を往復させ、鈴口から零れる我慢汁で手を汚しながら卑猥な水音を奏でていった。

 

 頼光に負けじと真も母乳を吸い上げる。頬を窄めて吸引力を上げ、スッポンのように喰らい付いていた。空いた乳房を弄る手を止めず、人差し指で乳首を乳肉の中に埋めていく。甘やかな嬌声が上がり、乳肉に包まれた人差し指が母乳で濡れた。指先に感じるコリっとした感触を肉の中に押し込むとよがり声に更なる色気が加わる。

 

 片や相手の乳を口と手で味わい、片や相手の逸物を手で摩擦する。互いの行為がそれぞれの性感を高め合い、両者を絶頂へと導いていった。

 

「震えていますね。果てるのですか?」

 

 肉棒に絡ませた指を激しく滑らせながら頼光は問い質す。答える代わりに真は全ての母乳を搾り出すように乳首を音を鳴らして吸い上げた。頤を反らし、頼光は舌を突き出して体をよがらせる。二人とも、果てはもう目の前だった。そのまま互いに手を取ってオーガズムへと至ろうとした刹那、

 

「っっっ!!!???」

 

 股間に走った痛みに真は目を白黒させる。視線を向けてみると、頼光の親指と人差し指がリング状に逸物の根本を抑えつけていた。今にも精を吐き出そうとしていた逸物がビクビクと震え、精液の代わりに大量のカウパーを放出させている。

 

「ら、頼光さん。何で?」

 

 口内から乳首を引き抜かれながら真は戸惑い気味に訊ねた。返ってくるのは荒く色っぽい呼吸と欲情の籠った目線。頼光も真同様、絶頂を迎える寸前だったようだ。

 

「何で? ふふ、何ででしょうね?」

 

 頼光のからかうような返事に真は頭を熱くさせる。若い性欲を弄ばれた怒りが胸中を急速に満たした。犯してやる、という考えが血の昇った頭に浮かび上がる。目の前で笑みを浮かべる女を犯してやろう。快感に顔をぐちゃぐちゃにしながら泣き喚き、許しを乞うまで犯し抜いてやろう。

 

「……」

 

 どす黒い感情に従い、頼光のまろやかな肩へと手を伸ばした。そのまま押し倒し、胸の中で暴れまわる獣欲を解放しようとした真の耳元で頼光の唇が動く。

 

 ぼそりとした小さな囁きに真は雷に打たれたように動きを止めた。手を伸ばしたままの姿勢で凍り付く真の頬に口付けし、頼光は服装を正しながら立ち上がる。

 

「母はこれから身を清めて参ります。申し訳ないのですが、布団は自分で敷いて下さい……もし、寝てたりなんかしたら母は泣いちゃいますからね」

 

 言い残し、頼光は部屋から出ていく。開いた襖がゆっくりと閉まる音で真は自分を取り戻した。唖然としながら襖を見詰める。耳には頼光の残した呟きがはっきりと残っていた。

 

『夜、忍んで参ります』

 

 

 

 

 明かりを消した和室。組んだ両手を枕の下に潜り込ませながら真は天井を見上げていた。体を包む布団は温かく、瞼を閉じれば心地よい夢の世界へと誘ってくれるようだ……普通であれば。

 

「……夜這い、ってことだよな。どう考えても」

 

 さっきの言葉と一緒に頼光の姿を思い出す。上気した頬、淫蕩に光る双眸。どう見ても仲良く添い寝、という雰囲気では無かった。

 

 それに、と真は僅かに上体を起こして下半身に目を向ける。股間の辺りを見ると、布団の上からでも容易に分かるほど真の分身が勃起していた。夕餉に食べたものは余程精のつくものだったのだろう。限界を超えて膨張するそこは鋼鉄のように硬く、そして熱された火掻き棒のように熱かった。

 

「うっ……」

 

 剥き出しになった亀頭がトランクスで擦れる際に走った快感が真を呻かせる。さっきの夕餉は真の男性機能を増大させただけでなく、彼の感度をも上げたみたいだ。下着が触れる僅かな刺激でも逸物は震え、先走りを溢れさせる。もう、トランクスは吐き出された我慢汁でべちょべちょに汚れ、不快感を覚えるほどになっていた。

 

 また快感だけでなく、五感も研ぎ澄まされているらしい。天井の木目を動物に見立てて気を紛らわせようとしている真の耳が廊下を素足で歩くひた、ひたという足音を捉えた。

 

「来たか」

 

 ゆっくりと視線を廊下に続く襖に向ける。足音の主はすぐそこまで迫っていた。

 

 

 

 

「やっと、やっとこの時が……」

 

 真っ暗な廊下を歩く一つの人影。白い長襦袢を纏ったその女人は男であれば思わず生唾を呑んでしまいそうな淫らな表情を浮かべていた。

 

 床スレスレまで伸びた黒髪は香油に濡れ、美しくも性欲を掻き立てる艶を放っている。また、香油は全身にも塗られており、長襦袢が濡れた肌にぴったりと張り付いていた。透けた薄い布地越しに見える白肌は例えようもなく淫靡であり、全裸でいるよりも男の官能を掻き立てることだろう。支えがなくとも垂れる気配の無い爆乳は頂点を硬く尖らせている。決して肥え太っている訳ではない、肉の付いた量感たっぷりの美尻が歩くたびに悩ましく揺れていた。これら全てが長襦袢の下からくっきりと形を浮かび上がらせている。見ているだけでも射精してしまいそうになりそうな卑猥な光景だ。

 

 整った陰毛が濡れるほどに溢れ返った愛液は内股を湿らせながら廊下へと垂れ落ちていた。頼光が振り返れば、廊下に点々と滴り落ちた秘蜜が見て取れただろう。だが、今の彼女にそんなものを見る気は欠片も無かった。あるのはただ、愛しの息子(マスター)と交わることへの期待と高揚感だけ。

 

「真。今宵は貴方にとって必要なのが誰なのかを教えてあげます」

 

 他の女などいらない。自分だけが真を愛し、また自分だけが真から愛されればいいのだ。己を突き動かす狂った母性愛を微塵も疑うことなく、頼光は真の眠る和室の前へと辿り着く。襖に手をかけるだけで心臓が胸を突き破るのではないかと思えるほどに鼓動を強くさせた。

 

 一度、大きく息を吐いて落ち着き、音を立てぬように襖を開いた。暗闇に慣れた目が部屋の中央にある布団に向けられる。敷居を跨ぎ、入った時と同じように音も無く襖を閉じた。

 

「あぁ、真……」

 

 うっとりと呟きながら畳に四つん這いになる。獲物に狙いを定めるネコ科の肉食獣のような動きで布団へと迫りながら腰紐を解いた。広がった前衿から乳房が飛び出し、重々しく揺れる。

 

「真、母が来ましたよ」

 

 頭まで布団を被っているのか、真の姿は見えない。膨らんだ布団に手をかけ、頼光は優しく揺すった。何の反応も無い。もう一度してみるも、結果は同じだった。

 

「むぅ。まさか眠ってしまったのですか?」

 

 子供のように頬を膨らませ、布団を一気に剥ぎ取る。そこには枕と座布団だけがあり、真の姿は影も形も無かった。

 

「あ、あら?」

 

 頼光が戸惑いの声を上げるのとほぼ同時に和室の隅で何かが動く。ハッとしながら振り返ろうとする頼光の背に覆い被さるようにその何かは抱き付いた。

 

「きゃあっ! い、一体何をしているのです、真!」

 

 驚きながらも頼光は首を捻り、肩越しに背後から抱き付く者に目を向ける。彼女の目に映ったのは瞳から理性の光をなくし、獣のように唸る真の姿だった。頼光の作った夕餉で余程精力がついてしまったらしい。夜這いをかけてきた所を背後から抱き付いて驚かせてやろうという考えは綺麗に押し流され、頭の中には彼女を犯すこと以外何も残っていなかった。

 

 身を捩らせる頼光を片腕で拘束し、長襦袢の裾を掴んで腰まで捲り上げる。外気にさらされたボリューム満点の尻肉はむっちりと張り詰めており、薄らと香油で濡れていた。香油の艶と肉感的な美尻が合わさり、真の欲望はより強く燃え上がる。両手の指が肌に食い込むほどの力で頼光の腰を掴み、真は猛り立つ男根を蜜と熱で蕩け切った女陰に突き挿れた。

 

「あああぁぁぁ」

 

 豊満な女体に雷撃のような快感が奔る。はしたなく開いた口から絶叫のような嬌声を上げ、頼光は上半身を布団に崩し落とした。体重で潰れる乳房がスライムのように左右に広がる。ただ挿れただけで逝ってしまった頼光を気遣うこともせず、真は膨れ上がった我欲のままに腰を動かし始めた。

 

「あぁぁ、あぁ、あうぅ~! は、激しすぎますぅ!」

 

 尻と腰が高速でぶつかり合う。室内に響くパンパンと肉が肉を打つ音は拍手のようだった。長大な逸物で秘所を貫かれるその都度、頼光は涎と共に逝き汁を布団へと撒き散らした。硬く、熱い男根が齎す快感は絶大であり、脳髄を焼かれるような感覚に頼光は自分が狂ってしまうのではという恐怖すら覚える。

 

「ゆ、ゆっくり、もう少しゆっくり……!」

 

 哀切な訴えとは裏腹に彼女の蜜壺は男の精を貪ろうと蠢いていた。突かれる時は最奥まで誘うように肉襞が蠕動し、引き抜かれる時はいかないでと言わんばかりに吸い付いて外側までめくり上がる。張ったカリのエラが吸着してくる媚肉を抉れば、頼光の全身が女の悦びで震えた。

 

 真も頼光同様、快感に背筋を粟立たせていた。複雑にうねり、そして絡みついてくる肉筒は確実に男の性感を刺激してくる。射精を促すようにねっとりと男根を包むそこは正に名器といえた。

 

 最奥まで肉棒を突き入れる。子宮口を押し上げられ、頼光は喘ぎながら体を揺らした。同時に彼女の雌穴が真に凄絶な快感を与えてくる。入り口が男根の根本を締め上げ、肉襞が竿を舐めしゃぶる。カリ首はやわやわと蠢く媚肉に包まれ、子宮口は亀頭にキスをするように吸い付いてきた。極上の四段責めに耐えきれず、真は唸りながら体を打ち震わせて精を解き放った。

 

「くぅぅぅっっ!!!」

 

 奥歯を噛み締め、こみ上げる絶叫を殺しながら頼光は子宮に注がれる白濁液に全身を慄かせる。並の男性なら一度で尽きてしまいそうな量の精液が赤子を宿すための器官に延々と流し込まれていった。子宮内が濁液で白く染められるのに合わせ、頼光の脳内も桃色に塗り潰されていく。多幸感に全身を包まれ、頼光は断続的に吐息を漏らしていた。

 

 長い時間をかけて徐々に男の怒張が治まっていく。精の放出が終わり、頼光は大きく息を吐きながら体を弛緩させた。真も魂を持っていかれそうな射精で疲れたのか、腰を掴んだ体勢のまま荒い息を吐いている。

 

「ふぅ、ふぅ……落ち着きましたか、真?」

 

 薄く涙の膜を張った瞳に情愛の光を湛えながら頼光は真を振り返った。顔が俯き気味のため表情は窺い知れない。何も言わずに肩を上下させて息をしていたが、真は唐突に頼光の腰を掴む手に再び力を入った。

 

 声を上げる間もなく再開された激しい抽挿。一度、精を撃ち出しても萎えなかった肉槍が敏感になった頼光を打ち抜く。

 

「あひいぃぃ!」

 

 何の前触れも無しに始まった交わりに頼光は悲鳴を上げる。絶頂から醒めていない女体は容赦のないピストン運動に翻弄され、口から身も世も無い嬌声を溢れさせた。

 

「だめぇ、だめぇ! こんなことをされたら、母は壊れてしまいますぅ!」

 

 頼光の悲痛な懇願を意に介さず、真は更に力強く腰をつかう。男は亀頭から伝わる奥をゴツンゴツンと突き上げる手応えに征服欲を燃え滾らせ、女は子宮口を執拗に穿ち貫く快感に涙を流しながらよがり狂った。

 

「うぅん、んひぃ、んはあぁぁぁ!」

 

 抑えようとしても全く抑えきれないよがり声が頼光の口から上がる。頼光は咄嗟に布団のシーツを両手で掴み、更に思い切り噛み締めて声を出さないようにした。背後から己を犯す一切の情けも無い動きに押し殺した嬌声が混ざった吐息を漏らす。シーツがくしゃくしゃになるのもお構いなしに両手に力を込め、布を強く強く噛んで声だけは上げるまいと歯を食い縛った。

 

 不意に真の手が頼光の腰から離れる。伸びた両手は頼光の腕を掴み、一際強い腰使いで彼女の蜜壺を抉った。全身に迸った快楽に我慢できず、頼光は口と手からシーツを放した。そのタイミングを逃さずに真は頼光の両腕を思い切り引っ張り、バストを前方に突き出すような体勢を彼女に強要させた。両腕を後ろに引くのに合わせ、腰を前に突き出す。最奥にまで到達していた亀頭が子宮口をこじ開けて更に先へと進み、未踏の高みへと頼光を引き上げた。

 

「あぁ、はあぁ、あ、あ、んぅぅ、んほぉぉ、ひああああ!」

 

 抑えられなくなった嬌声が氾濫した川のように溢れ出した。雷のように全身に叩き付けられる快楽に頼光は溺れ、獣じみた嬌声を恥も外聞もなく上げて真の逸物を受け入れる。雌穴を貫く男根と連動するように巨大なバストが揺れた。迫力満点に揺さぶられる乳房の頂点からは母乳が漏れ出し、前後に動くたびに白い雫を布団に落としていた。

 

 蜜壺への侵入と脱出を繰り返していた肉棒がムクムクと膨れ始める。精の放出が間近に迫っていた。愛液と精液を体外に掻き出していたカリ首もより一層拡がり、肉襞の一枚一枚をこそぎ落とすように前後する。頼光に与えられる快感もより大きくなったが、それは真も同じこと。カリ首とその下にある窪みが絶え間なく柔らかな媚肉に擦られる感触は甘美な痺れとなって真の全身に行き渡っていく。否応なく射精感を高める雌穴をもっと味わおうと男は腰の動きをより速く、そして小刻みにさせた。

 

 汗で美しい黒髪が貼りついた背中に覆い被さり、両腕ごと拘束するように頼光を抱きすくめる。たわわに揺れる二つの乳房に五指を沈ませ、思い切り揉み潰した。甘い悲鳴が上がり、乳輪から母乳が迸る。噴水のように出てくる母乳は大量の飛沫となってシーツに落ちていった。

 

 濡れ羽色の黒髪に鼻を押し付けながら胸一杯に息を吸い込む。微かに香ばしさを感じさせる香油の薫りと女体から放たれる甘い香りが肺に流れ込んできた。もっと感じたいと鼻頭を左右に振れば汗ばんだ項に辿り着く。白磁のような肌に舌を這わせ、汗と香油の味を愉しんだ。

 

 項を舐られ、乳房を揉みしだかれ、秘所を犯される。自分の意思とは関係なく与えられる快感。全身に満ちる喜悦に頼光は大粒の涙を流して逼迫した喘ぎを漏らした。

 

「母は、母はもう……!」

 

 ひっきりなしに収縮する膣内が彼女の限界を物語っていた。自身も性器を膨張させながら真は快楽の階段を無我夢中で駆け上がっていく。頂上はもうすぐそこにあった。

 

 パァン! パァン! と互いの肌が赤くなるほどの勢いで真は頼光の艶めかしい臀部に腰を叩き付ける。大きく引いては力の限り突き込み、また腰を引く。大きく波打つ肌が汗を飛ばし、結合部は泡を出しながら淫らな撹拌音を奏でた。

 

「逝くぅ! イく、イくイく、いっくぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

 項から臀部に至るまでの美しいラインが弓なりに反り上がる。黒髪を振り乱し、嬌声というよりは絶叫を上げて頼光は体を震わせた。真の両手に覆われている乳房から母乳を迸らせ、雌穴から布団に水溜りが出来るほどの潮を噴き出す。

 

 真も同時に絶頂に辿り着いた。急激に締め上げてくる肉壺を押し返すように男根が爆発的に体積を増し、鈴口から飛び出した白濁液で頼光の胎内を汚していく。

 

「あ、あ、あぁぁぁぁ!」

 

 頼光は視界を明滅させながら全身に広がる喜悦を享受していった。未だかつて味わったことのない快感と悦びに神秘殺しは顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら体を震わせる。身も心も溢れ返らんばかりの幸せで満ちていた。

 

 もう彼女は十二分に満足しているのだが、男はそうではないようだ。精を頼光の(なか)にぶち撒けながら硬さを失わない逸物を今まで以上の力強さで蜜壺に捻じ込んでいる。

 

 快楽と苦しさが混じった悲鳴が室内に木霊した。全身をガクガクと震わせながら母乳や潮を噴き散らす頼光を真は脈動しながら射精を続ける男根で犯し続けた。

 

 

 

 

 ポコン。

 

「あだ」

 

 頭に軽く落とされた拳骨に真は小さく声を上げる。頭を擦りながら拳骨を落とした相手、即ち頼光を非難がましい目で見つめた。頼光も頼光で手拭いで顔を拭きながら真を軽く睨んでいる。

 

 真が正気を取り戻したのはあれから十回近くも精を吐き出してからのことだった。現在、二人は新しく引いた布団の上に正座しながら向かい合っている。少し離れたところにある二人の体液で酷いことになっている布団が情事の激しさを物語っていた。

 

「もう、貴方は何て悪い子なのでしょう。あのようにじ、女性を弄ぶ方法なぞどこで覚えてきたのです?」

 

 さっきまで行われていた交合を思い出したのか、頼光は顔を赤らめながらも真に問い質す。対して真は唇をへの字に曲げて頼光を見返していた。

 

「女性を弄ぶも何も、頼光さんが作ってくれた飯食ったから俺あんな風になったんじゃないですか。よっぽど精のつくもんだったみたいですけど、俺に何食べさせたんです?」

 

「そ、それは……」

 

 逆に問い返され、頼光は口元に手を当てて口籠った。答えられないようなもの食わせたのか? と思わず言いたくなってしまうも、毒になるようなものを人に食べさせる人ではないと真は口から出かかった言葉を飲み込む。

 

「お、お黙りなさい! 母は今、貴方の行いについて話しているのです。話をすり替えるんじゃありません!」

 

(どっちがだよ!?)

 

 キッと眦を吊り上げて逆切れする頼光に真は心の中で突っ込んだ。以前、鬼ヶ島で共に戦ったサーヴァント、坂田金時曰く、彼女は悲しいことなんかがあると周囲が困り果てるほどに泣いて喚いて駄々をこねるそうだ。普段は母性の塊のようなのに、変な所で子供っぽい。今がそうだ。己の行動を棚に上げて真の行動を断じようとしている。

 

「よいですか、真。女性というのは繊細なのです。いくら私がサーヴァントだといっても、されては苦しいことや痛いことも……」

 

(そんなこと言ったって頼光さんも結構ノリノリやったやん)

 

 完全に説教モードに入った頼光を真は納得のいかない顔で見ていた。こうなった彼女は話は長い。このままでは朝まで説教コース確実だ。

 

(どうにかして頼光さんの話を止めなければ……それに俺の宝具ももう限界だし)

 

 先ほど、散々頼光の胎に精を注ぎ込んだ逸物は今もなお雄々しさを保っている。今は両手で抑えて頼光から見えないようにしているが、真はこのまま自分の愚息と性欲をコントロール出来る自身はなかった。

 

 更に目の前には一糸纏わぬ裸身の頼光。巨大な乳房の頂点では自身が説教をしているにも関わらずに硬くなった乳首が自己主張している。視線を胸から臍、その下にある女の園へと向ければ、真と頼光の様々な体液で濡れ縺れた陰毛が見て取れた。これを前にして劣情を催すなというほうが無理な話だ。

 

「ですから男の子は女性を大切に、それこそ武器を手入れする時のように繊細に扱わねば……真、母の話を聞いているのですか?」

 

「えぇ、聞いてますよ……あ、御師さん」

 

 何気なく真が呟いた言葉に頼光はギョッとする。自分と真しかいられないはずの場所に何故スカサハがと戦慄しながら背後へと振り返った。

 

(まさか、一日足らずでこの特異点に侵入する方法を見つけたとでも……!)

 

 勢いよく振り返るが、そこには誰もいなかった。あら? と首を傾げる頼光に真は音も無く忍び寄った。

 

「もう、驚かせないでください。スカサハの姿なんてどこにむぅ!」

 

 アメフト選手が相手にタックルをするように鋭く、だが痛みを与えないよう細心の注意を払いながら真は頼光を布団の上に押し倒す。両手で彼女の両手首を布団に押さえつけ、頼光の唇を強引に奪った。

 

「っ……や、止めなさい、真。今、母は貴方にうぅん」

 

 一瞬、頼光の瞳が蕩けるも、すぐに正気を取り戻して真を振り払うが何かを言う前に二回目のキスをされる。唇を舌で強引にこじ開けられ、口内に柔らかく温かい異物が入り込んできた。口内粘膜に触れるぬめった感触が快感に変わり、無意識に体が震える。流し込まれる唾液はとても甘く、天上の美酒となって頼光を酔わせた。

 

「ん、ちゅぅ、はぷ、ちゅぱ……」

 

 数分もすると、頼光は目元を緩ませて真の口付けに応じていた。拘束されていた手もいつの間にか恋人同士がするかのように指を絡ませ合っている。乳房と乳首が真の鍛えられた胸板に押し潰される感触と下腹部に直に触れる男根の熱さが頼光の女を刺激してきた。

 

 唇が離れ、頼光の口元に二人を繋いでいた唾液の糸が落ちる。真がそれを舐め取ると、頼光はぶるりと体を震わせた。

 

「頼光、お願いしたいことがあるんだけど」

 

 情欲に染まった瞳を覗き込みながら真は言う。名前も呼び捨てになっているが、そんなこと気にすることなく頼光は嬉しそうに何度も頷いた。

 

「はい、はい。何でも仰ってください。母は貴方の願いならどんなことでも何でも聞きますよ」

 

 どんなことでも、何でも。このフレーズに真の双眸が煌めいた。

 

「ほう、何でもときましたか。では、早速やってもらいましょう」

 

 数分後。

 

「う~ん。やっぱりエロいなぁ、その格好」

 

「う、うぅ~」

 

 真の目の前に頼光が立っていた。全裸ではない、何時もの戦装束。つまり、あの何の素材で作られたのか皆目見当がつかない謎のピッチリスーツである。乳房や尻たぶの丸み、体のラインは勿論、腹部から太腿にかけてのラインや臍の窪みまでくっきりと浮かび上がっている超絶エロ仕様。誰がどうやって、何の目的で頼光にこの服を着せたのかは知らないし、どうでもいい。この服を着た時の頼光は裸の時よりも扇情的だというのが重要だった。

 

「そ、そんな目で見ないでください……」

 

 今にも消えそうな恥じ入った声で頼光は囁く。しかし、

 

「いや、無理」

 

 と、真は頼光の頼みをバッサリと切り捨てる。大きく開いた頼光を見詰める瞳は皿のようだった。鎧や武具を付けてないだけでこんなに違うのか、と自身の中の劣情を大きくさせながら穴が開くほど頼光(特に胸部や臀部、そして女陰)を凝視する。

 

「あ、腕で体を隠すのなしで」

 

「し、真の鬼畜~」

 

 両腕で胸や股間を隠そうとする頼光に釘をさす。恨みがましい視線を真に向けながら頼光は顔を熟れたトマトのように真っ赤に染め上げた。戦闘時の凛々しさ、普段の母性はどこかへと消え失せた彼女の姿は花も恥じらう乙女としか表現のしようがなかった。

 

「真、母をこのようにイジメて愉しいのですか? 私は泣いてしまいそうです。既にちょっと泣いてますが……」

 

「うん、愉しい。だって、頼光ってばこんなに綺麗でエロくてオマケに可愛いんだもん」

 

 頼光の後ろに回り、背後から彼女を抱き締める。スベスベとしたピッチリスーツに両手を這わせ、頼光の格好でより熱く燃え滾りだした男根を円熟した尻の割れ目に当てる。スーツ越しに伝わる硬さと熱さに頼光は期待の籠った声を上げた。

 

「本当、エロ過ぎだろ。この対○忍スーツ、もとい源氏スーツ」

 

「ん……あの、○魔忍というのは?」

 

「気にしない、気にしない。頼光、太腿閉じて。余り力を込めないで、でも隙間もないように」

 

「は、はいぃ」

 

 全身をまさぐっていた両手が乳房へと移動する。スーツの上からでも分かるほどに硬くなった乳首を摘ままれ、もどかしさを覚える微弱な快楽に苛まれながら頼光は唯々諾々と真の言葉に従った。

 

「そのまま動かないで」

 

 剛直を握り、左右の太腿に挟まるように亀頭の位置を調節する。そしてピッタリと閉じられた太腿の間を女のアソコに見立て、ゆっくりと逸物を埋め込んでいった。男根をべとべとにしていた先走りが潤滑油となり、スムーズに太腿の中を進んでいく。つるつるのスーツとむちむちの太腿の感触に真は気持ちよさそうに吐息を漏らし、頼光はスーツに形をくっきりと浮かばせた女陰を男根に撫でられる快感に小さく喘いだ。

 

「頼光、こっち向いて……ん」

 

「ちゅ、んぷ、ちゅぱぁ」

 

 自身の太腿の間から頭を覗かせた亀頭に官能的なため息をついていた頼光を振り返らせ、唇を奪う。積極的に入り込んできた頼光の舌を絡め取りながら真は根元から搾るように乳房を揉み、腰を前後に動かし始めた。

 

「んぅ、はあぁぁ……」

 

「気持ちいいか?」

 

 真の問いにこくこくと頷き、頼光はせがむように唇を突き出す。再び触れ合った唇と二つの局所から齎せられる快感に頼光は官能を燃え上がらせた。女の悦ばせ方を心得た手付きに乳房は芯から痺れて先端から乳を漏れ出させ、ふっくらとした陰唇の上を滑っていく逸物が頼光を否応なく昂ぶらせていく。

 

「真、もっと、もっと強く口付けてください。このままでは母は貴方にはしたない声を聞かせてしまいます……」

 

「お任せを」

 

 双眸を切なそうに細めながら訴えてくる頼光の要望に応え、真はより強く彼女の唇に吸い付いた。ぴくぴくと体を痙攣させる頼光を絶頂へと誘うため、真は唇を激しく合わせながら手と腰の動きを強める。本音を言えば彼女のはしたない声を聞きたいが、今は彼女の望みを優先させた。

 

 体の中に溜まっていく悦楽に頼光は苦しげな鼻息を漏らす。バストからは母乳が溢れ出し、肉壺は女体の奥からとろりとした蜜を漏らしていた。優しく、だが執拗に襲い来る快感と太腿から発生するにぢゅっ、にぢゅっ、という卑猥な音が彼女を追いこんでいき、遂にその時が訪れる。

 

「ん、んぅぅぅぅ!!!」

 

 絶頂に呑み込まれ、頼光はくぐもった嬌声を塞がれた唇から漏らして女体の至る所を痙攣させた。乳首から母乳が迸り、割れ目から潮が噴き出す。多量に分泌するが、源氏スーツは乳首と股間の部分を僅かに湿らせただけだった。凄まじい耐水性である。源氏スーツ恐るべし。尤も、外に出なかった分中はひどいことになっているのだろうが。

 

 真は腰が抜けそうになる頼光の体を両腕で支える。頬を紅くしながら荒い息を吐く美女の姿は怖気が走るほどに官能的だった。太腿から引き抜いた肉棒が硬度と大きさを増し、快楽を求めて先走りを零れさせる。

 

「頼光、横になって」

 

 真の言葉に頷きながら頼光は導かれるがまま布団の上に横たわる。スーツに支えられ、形を崩すことなくでかでかと存在感を放つ爆乳を軽く揉みながら真は頼光の上半身に跨った。掌から伝わってくるのはスーツの滑らかさと乳肉の柔らかさ。そして何かぬめった液体で滑るような感覚だった。

 

「こん、どは、母の、胸を犯す、のですか?」

 

 頼光の問いに頷きながら真は源氏スーツに手をかける。丁度、谷間の真下に穴が出来るようにスーツを破いた。途端に白い液体がスーツの中から溢れ出す。同時にむせ返りそうな乳臭さが真の鼻腔を刺激し、逸物の角度がより強くなった。

 

 試しにスーツの穴に指を入れてみると、そこは既に汗と母乳でぐちょぐちょのどろどろになっていた。蜜壺と比べても何ら遜色はないくらいに濡れている。軽く目を血走らせながら真は体を進ませ、スーツに包まれた爆乳の間に愚息を侵入させた。何の滞りも無く、そしてみっちりと逸物を包んでくるバストに軽く呻きながら真は腰を前進させる。頼光が濡れた瞳を向けると、谷間の上部分のスーツに亀頭の形が浮かび上がっていた。人差し指で軽く触れてみると、真の体が敏感な反応を返してくる。

 

(あぁ。こんなに昂ぶらせて……母の体がこうしてしまったのですね)

 

 なら、私が解消させねばなるまいと頼光は両手で自身のバストを寄せ上げ、真の逸物を締め付けた。突然高まった乳圧に目を白黒させる真を優しさといやらしさが同居した笑顔で見つめる。

 

「どうぞ、好きなように。母の体は、貴方のものですから……だから、気の済むまで」

 

 こんなことを言われて我慢が利くはずも無い。真は頼光の手に自身の手を重ねながら全開の動きで乳房を犯していった。男根が出入りする度、バストから卑猥な水音が漏れる。母乳や汗を掻き出していく様は本当に性器同士で交わっているかのようだ。

 

 肉棒から伝わってくる快感に真は力の限り歯を食い縛る。猛ったカリ首を常に乳肉で包まれる感覚も去ることながら、ピッタリと竿に吸い付いてくる摩擦を失った柔肌の感触も堪らない。真は貪欲に快楽を味わいながら頼光の乳内に白いものが混じった先走りを吐き出していく。

 

 更なる快楽を求め、真は頼光の手ごと乳房を上下に動かし始めた。激しく前後する腰に合わせるように動かすと、脳内が真っ白になってしまいそうな快感が真を襲う。必死で射精を耐えようとする真を頼光は艶然とした笑みで見上げていた。どうしようもないほどの愛おしさが胸の中に溢れてくる。もっと気持ち良くしてあげたい、もっと必死な顔を見てみたいという想いを彼女は同時に抱いていた。

 

「えい♪」

 

 バストを寄せる両手に力を込め、男根を包む圧を上げる。前触れなしに増大した快感に真は背筋をビクビクと震わせて腰を止めた。食い縛った歯の間から音を立てて息をしていると、クスクスと笑う頼光と目が合った。快楽に染まった脳内に悔しさが浮かび上がる。このまま良い様にされてなるものかと真は頼光の乳首を摘まみ、思いっきり捻り上げた。

 

「んひああああ♡」

 

 乳首から発生した僅かな痛みを伴った快楽電流が頼光の全身を駆け巡る。歓喜の悲鳴を上げながら頼光は両脚を爪先までピンと伸ばし、母乳を噴かした。乳首を右に左に捩じられ、頼光の悲鳴が艶を増していく。腰の動きを再開させた真に合わせ、快感で思考を焼かれながらも頼光はバストを上下させて真を射精へと追い込んでいった。

 

 新たな母乳が谷間に加わり、その生暖かさとぬめりが真の射精感を爆発的に高める。胸に打ち付けるように腰を振りながら真は逸物を膨れ上がらせ、パンパンになった玉袋から欲望をマグマのように噴火させた。

 

 びちゃびちゃと音を立てて精が谷間に放出される。スーツ内に広がっていく粘ついた感触と熱さに頼光は蠱惑的な吐息を漏らした。谷間に溜まった精液から漂ってくる雄の生臭さが『女』を焚きつけて、彼女の中に辛うじて残っていた母の気概を焼き尽くしていく。もう、頼光に残っているのは浅ましく男を求める女の本能だけだった。

 

「私、もう我慢できません……」

 

 射精を終えた真の耳に頼光の呟きが届く。長く美しい睫を震わせながら頼光は媚びに媚びた女の顔で真を見上げていた。谷間から真の男根を引き抜いて立ち上がる。腹部へと垂れてきた大量の精液をぼたぼたと畳に落としながら壁に背を預け、見せつけるようにスーツの股部分を両手で引き破いた。

 

「ここに、ここに注いでください。私の胎を貴方で満たしてください。でないと私、切なくて頭が変になってしまいそうです」

 

 右脚を右手で持ち上げ、蜜を滴らせる性器を露わにする。しとどに濡れたそこは男を誘い込むように開いたり閉じたりを繰り返し、頼光の情欲の強さを表していた。

 

「早く、早くぅ♡」

 

 科を作りながら腰をくねらせる頼光に無言で歩み寄り、真は彼女の豊満なバストを胸板で押し潰すように抱き付いた。上げられた右脚を抱え上げ、濃厚な雌の匂いを放つ女陰に亀頭を宛がう。

 

「行くぞ」

 

「はい」

 

 真の首に両腕を回しながら頼光は頷く。それと同時に真は力の限りに腰を繰り出し、潤み蕩けた雌穴に男根を埋め込んだ。

 

「「あああぁぁぁ!」」

 

 二人の口から喜悦の声が上がる。性器から迸る快感に全身を震わせながら男と女は激しい交合を始めた。

 

「頼光、頼光!」

 

「真、真!」

 

 狂ったように相手の名を呼びながら激しく体をつかう。脳髄を溶かす快楽と燃え上がるような人肌の熱さをもっと感じ合おうと二人は体を一つにさせんばかりに密着させて互いを貪った。媚肉を掻き分けて子宮口を突く男根を頼光は腰を淫靡にグラインドさせて受け入れる。前後左右、そして上下に揺らしてそそり立つ逸物を肉襞で撫で上げていった。

 

 真も頼光に答えるように腰を激しく振りたくる。精を搾り取るように蠢く膣内をカリ首で抉り、亀頭を突き上げて子宮口にキスを何度も浴びせた。カリ首に走り続ける性的快感にくらくらしながらも肉の坩堝と化した秘所を只管に貫き続ける。

 

「一緒に、一緒にぃ……!」

 

 胎内に響く衝撃と快楽に涙を浮かべながら頼光は哀切な声を上げて真を見詰めた。無言で頷き、真はピストン運動とシンクロし始めた頼光の腰により強い抽挿を叩き込む。執拗にカリ絡みつき、極太の竿を捏ね繰り回してくる肉襞を振り払いながら逸物で頼光を責め立てた。真の口から漏れる獣のような唸りと頼光が発する乱れた喘ぎが共鳴し、室内に響き渡る。

 

「出す、出すぞ!」

 

 壊れた機械のように何度も頷く頼光の子宮口へ亀頭をめり込ませ、命を宿すための部屋に白濁液をぶち撒けた。温かいものに胎内を満たされていき、頼光は口を半開きにしながら絶頂し続けるも、波打つように動く腰を止めようとはしなかった。

 

「もっと、もっとくださいぃ!」

 

 悲鳴を上げながら精を求めて肉壺を蠕動させる。子宮口も離れたくないと言わんばかりに亀頭に密着していた。頼光の求めに真は返事ではなく、行動で応える。ぶるぶる震えながら頼光の体を支えていた彼女の左脚を抱え上げ、より深い結合で頼光と繋がった。

 

 喉を震わせて絶叫する頼光を真は容赦なく犯し続ける。肉と肉がぶつかり合う音は一度も途切れることはなく、雌の嬌声と共に部屋の中に響き続けた。

 

 

 

 

 星を散りばめた空に浮かぶ満月。放たれる美しくもどこか妖しい月光に照らされた露天風呂に二人はいた。

 

「はむ、ちゅぱ、真……」

 

「頼光さん、もっと口を大きく開けて……」

 

 竹林に囲まれただけの、柵も何もない温泉。自分達以外誰もいないのをいいことに真と頼光は公序良俗に真っ向から喧嘩を売るような絡み合いをお湯の中でしていた。互いの体を両手でまさぐり合い、片時も離すことなく愛を伝え合うように口付けを続ける。

 

「このまま時が止まればいいのに……そうすれば、ここに二人だけで暮らしていけるのに」

 

「そういう訳にもいかんでしょう」

 

 しな垂れかかってくる頼光の肩に手を回しながら真は朗らかに笑った。

 

「俺達には人理救済っていう使命がある。成し遂げなければならない使命がある以上、一つの時間に留まり続けるってのは無理な話さ」

 

 それは分かってますが、と頼光は寂しげに呟いた。特異点(ここ)を出れば、真は再びカルデアにいる自分以外のサーヴァントの相手をしなければならなくなる。それが頼光には我慢ならなかった。愛する息子には自分だけいればそれでいい、他の女など必要ない。

 

 どうにかして真を独占出来ないかと考えていた頼光だったが、ふとあるものに気付いた。視線を真の胸元、正確には心臓の真上の位置にある何かの跡に注視させる。スカサハが真の童貞を奪った時に作ったキスマークだ。

 

「真、これは?」

 

「へっ!? あ、あぁ、これですか。いや、何か知んないけどいつの間にか出来てたんですよね。痣にしちゃいくら経っても消えないし……まぁ、特に痛かったりとかもしないから放っておいたんですけど」

 

 底冷えするような声音で問われ、ギョッとしながら真は答える。彼はこの跡が何なのか分からないと言うが、頼光はすぐにこれを作ったのが誰なのかを悟った。

 

(あの女……)

 

 ぎりぃ、と音が鳴るほどに奥歯を噛み締める。愛する息子に残された、まるで自分のものだと言わんばかりのキスマーク。頼光は今すぐにでもカルデアに戻り、スカサハをミンチになるまで切り刻んでやりたかった。

 

(しかし、容易く殺せるほどあの女は弱くない。あの女と戦っている間に他のサーヴァントが真を……)

 

 怒りと殺意で茹った頭を無理矢理冷やして平静を取り戻す。スカサハを殺すよりも、真を自分の手許に置いておくことの方が余程重要だ。そして頼光は真を永遠に自分の許に置くための手段を既に持っている。

 

「真」

 

 蠱惑的な声で真を呼びながら頼光は恵体を押し付けるように真の首へ両腕を絡ませた。ゆっくりと頬を舐め上げ、舌先を耳の穴に挿しこむ。ぴちゃぴちゃとわざと音が鳴るように舌を動かすと真の肌に鳥肌が立つのが分かった。

 

「本当に母とここで永遠に過ごしませんか?」

 

 耳元で囁かれた台詞に真は目を見開く。

 

「人理救済の使命など忘れてしまいましょう。元々、貴方が背負うべきものではないのですから」

 

 一個人で背負うには余りに重過ぎるものだ。仮に真がこの使命を投げ捨てたとしても、断じられる者は誰一人としていないはずだ。もしいたら、私が叩き斬ると頼光は言う。

 

「ここに貴方を脅かすものは何もありません。使命を背負う必要もない、命を落としかねない戦いをする必要も無い。ありとあらゆる艱難辛苦から母が貴方を守ってあげます」

 

 例え相手が魔術の王であろうとも、他のグランドを冠するサーヴァントであったとしても。そしてカルデアの仲間達だとしても。

 

「いずれは、金時もここに呼んで」

 

 饒舌に語る頼光の口を口で塞ぐ。突然のキスに頼光は驚きに目を見開くが、すぐに目尻を幸せそうに垂らして自分から唇を押し付けていった。

 

「ここで頼光さんとずっと一緒にいるってのも素敵ですわな」

 

 触れ合うだけのキスを終え、真は満更でもなさそうに呟いた。でしたら、と目を輝かせる頼光に真は首を振って見せる。

 

「でも、そいつぁ駄目だよ、頼光さん。自分の欲望と人類。この二つを秤にかけて、自分の欲望のほうが重いって言えるほど俺は強欲な人間じゃない」

 

 それに、と薄く笑いながら頼光の頬を優しく撫でた。

 

「安全が保障された生活ってのはそれはそれで退屈そうだ……夜は素敵だろうけどね」

 

 まぁ、と顔を赤らめる頼光。頼光の反応に真はケラケラと笑うも、すぐに真剣な表情を作って彼女の手を握った。

 

「全人類のためとか言うつもりはない。見ず知らずの奴を助けたいと思うほど俺聖人君子じゃないし。でも、俺に力を貸してくれる人がいる。俺を信じてくれる人がいる。その人達のために俺は戦うって決めたんだ。だから、頼光さんも力を貸して欲しい」

 

 真摯な目を向けてくる真の姿を見て、頼光は急に自分が恥ずかしくなって思わず目を逸らした。真は覚悟を決めて戦っているというのに自分は……。

 

「……分かりました。この頼光、改めてここに誓います。貴方の覚悟と願いのため、全霊をかけて戦いましょう」

 

 愛する息子が世界を救うと言っているのだ。なら、力を貸すのが母としての務め。居住まいを正した頼光の宣言に真は相好を崩した。

 

「ありがとう、頼光さん」

 

「礼など不要です。私は貴方の刃ですから」

 

 微笑みながらそう返す頼光に真の瞳が光る。

 

「言葉の礼はいりませんか。そうですか」

 

「え? きゃあ!?」

 

 いきなり抱き上げられ、頼光は小さく悲鳴を上げた。背中と膝裏に両腕を回された、いわゆるお姫様抱っこの状態。落ちないように真の首に反射的に両腕を回す。

 

「い、いきなり何を」

 

「言葉の礼がいらないなら体でお礼をしなくちゃなと思いまして」

 

 さっきまでの覚悟を決めた男の顔はどこへやら。好色な笑みを浮かべながらのしのしと露天風呂から出ていく。体も碌に拭かず、水滴を廊下にぽたぽた垂らしながら部屋へと向かっていった。

 

「せ、せめて体を拭かせて」

 

「どうせまた色々と濡れるんだ。今、拭いたって意味ないでしょう」

 

 身を捩らせる頼光を抱きかかえたまま、部屋へと辿り着く。器用に足だけで襖を開き、中に入って布団の上に頼光を押し倒した。

 

「夜もまだ半ば。朝焼けが空を染めるまで楽しみましょう」

 

 

 

 

 下半身から何かが抜けていくような感覚と快感に真は目を覚ました。

 

「朝か……あだだ、何か腰痛いな」

 

 ぼやきながら小さく欠伸をする。何故か理由は分からないが腰が妙にハッていた。

 

「腰、寝違えたかなぁ。にしても、何かよく眠れたな。今までにないほどに快眠だったぜ」

 

 とても心地よく眠ることが出来た。実際の睡眠時間は一、二時間程度だろうが、まるでたっぷり八時間以上も熟睡したかのような爽快感が頭の中に広がっている。

 

「これも全部この抱き枕のお蔭……抱き枕?」

 

 俺そんなの持ってたっけ? 仮に持ってたとしてどこに置いてた? と頭に幾つもの疑問符を浮かべながら真は瞬きを何度も繰り返して寝ぼけ眼をハッキリさせ、そして両腕の中にあるとびきりの柔らかさと抱き心地を持つ抱き枕に目を向けた。

 

「あ……あひぁ……♡」

 

 それは抱き枕などではなく、頼光だった。口から意味の無い呻きを漏らし、快感に蕩け切ったアクメ顔を晒している。

 

「ら、頼光さん?」

 

 まさかと思いつつ真は下半身に目を向けた。予想通り、彼女と繋がり合ったままだった。慌てて逸物を引き抜くと、ゴボゴボと音が出そうな勢いで雌穴から大量の白濁液が噴き出してくる。布団の上に精液溜まりを作るほどの精液を注ぎ込まれた頼光の腹部は薄らと膨らんでいた。

 

「え、ってことは何? 俺、寝ながら頼光さんとやってたの?」

 

 道理で腰が痛いわけだ、と一人納得しながら真は周囲を見回す。布団は二人の体液で濡れていない場所を探すのが困難なほどで、黄色い染みがあることから推察するに頼光に失禁までさせてしまったのだろう。畳にも出来た精液や愛液の染みが二人の行為がどれだけ激しかったのかを物語っていた。

 

「あの、頼光さん。大丈夫?」

 

 恐る恐る声をかけると、亀のようなのろまな動きで頼光の目が真に向けられた。本当に一晩中犯され続けたのだろう。顔には涙や涎、鼻水の跡まで残っていた。急いで真は卓袱台の上に置いてあった綺麗な手拭いで頼光の顔を清める。

 

「えっと、その、すいませんでした」

 

 頭を下げる真に頼光はゆっくりと首を振って見せる。

 

『流石に死ぬかと思いましたが、貴方の愛を溢れるほど注がれて母は幸せです』

 

 上手く言葉を発せられればこう言っていただろう。何度もぺこぺこと謝りながら真は頼光の体を拭っていった。

 

「この埋め合わせは後日必ず。とりあえず、温泉入ってから部屋の掃除して、それからカルデアに戻りましょう」

 

 にへらぁ、と笑いながら頼光は小さく頷いた。




軽いキャラ紹介

『源頼光』
作者がFGOで一番好きなサーヴァント。奇乳とかいう人もいるけど僕は大好きです。おっぱい万歳。真のいるカルデアは女性しかいない。つまり、金時がいないため彼女の狂愛は真一人だけに注がれる。そんな状態であっても頼光以外のサーヴァントと問題なく交流が出来ていたのは偏に真のスペックが化け物じみているため。スカサハに対して抱いていた殺意は真との激しすぎる一夜で綺麗さっぱり無くなった。今は結構仲がいい。

『スカサハ』
真を自分の息子として扱う頼光と激しく火花を散らせていた。殺し合いをする程度に険悪な間柄だったが、殺し合いがいいガス抜きになったのか、上述の通り今は良好な関係を築いている。時折、一緒にお茶を飲んだり真のご飯を作ったりしているそうな。

『坂田金時』
鬼ヶ島で真達と共に戦った漢のサーヴァント。顔色一つ変えずに頼光と接する真に頼光を託せるのはこいつだけだと確信する。『頼光サンのこと頼むぜ、真の大将。いや親友(ダチ公)!』そういって真に頼光を押し付け、もとい任せた。今頃はどこかの特異点でベアー号を転がしながら人助けしてる。

『魔術王』
サーヴァント版ゴジラVSガメラ唯一の被害者。この小説ではこんな形でしか出番はない。本編の方でラスボス頑張ってください。ちなみに頼光とスカサハ、どっちがゴジラでどっちがガメラなのかは読者の想像にお任せする。


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『沖田総司』元病弱少女の恋

 前々から思ってたんですよ。スキルが消せないなら弱くすりゃいいんでね、と。


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

「げほっ、ごほっ……とうとう、お別れの時が来てしまったようです、マスター」

 

 ベッドから覗かせた顔を苦しげに歪める薄い桜色の髪のサーヴァント。彼女の名は沖田総司。幕末最強最美美少女剣士(自称)であり、カルデア最後のマスター、遠野真の懐刀(自称)だ。二つも自称があるのはご愛嬌ということで一つ。

 

「総司。何を言ってるんだ」

 

「ふふ、振り返ってみると碌な人生、もといサーヴァント生じゃありませんでした。肝心な時にスキル『病弱』が発動して血を吐いてぶっ倒れるわ、同じ期間限定星5サーヴァント、同じクイック単体宝具なのにセルランであのおっぱいタイツに負けるわ……胸ですか、胸なんですか? そんなに胸が好きなんですか。私にだって太腿という魅力があるのに……オマケにそのおっぱいタイツは愛しのマスターの初めてを奪った様々な意味での怨敵。ぬえぇぇ、恨めしやぁ……」

 

 可愛らしい声で恐ろしげな呪詛を呟く。しかし、悲しいかな。熱でリンゴのように真っ赤になった顔に加えて額に濡れタオルを置かれた姿でそんなことを言われても怖くとも何ともなかった。

 

「あぁ、目が霞んできました。体も思うように動きません……真さん、真さん」

 

 熱で潤んだ目をベッドの傍らにある椅子に腰かけている真に向ける。弱々しく真の名を呼びながら布団から出した手を伸ばしていた。

 

「もう、貴方と共に最後まで戦い抜くという望みは叶えられそうにありません……結構な確率で病弱を発動させて皆さんの足を引っ張ってしまいましたし、マスターにとって私が良いサーヴァントだったかどうか……でも、これだけは覚えていてください。私の想いは常に貴方と共にあることを……真さん、心より、心の底からお慕い申し上げておりました」

 

 今わの際に想いを告げる総司。万感の気持ちが込められた彼女の告白に真はゆっくりと手を伸ばし、

 

「唯の風邪と筋肉痛なのに何を大袈裟なこと言ってるんだよ」

 

 呆れながら総司の額に乗った濡れタオルをサイドテーブルに置いてある桶の冷水に浸した。

 

「う~、少しくらい乗ってくれてもいいじゃないですかぁ……はぷちゅ」

 

 小さくくしゃみをしながら総司は額に再び冷たくなったタオルを乗せてくる真を恨みがましく見つめていた。一体全体、これはどういう状況なのか。説明するには数日前に遡る必要があるだろう。

 

 

 

 

 発端は真のこの発言だった。

 

『総司の病弱スキルって聖杯でも消せないんだよな? でも、弱めることは出来るんじゃね?』

 

 そも、病弱のスキルとは何か。超簡単に一言で説明するといつ何時発生するか分からない行動不能のデバフである。睡眠中だろうが飯時だろうが時と場所を選ばず問答無用で発動するし、その上、解除方法もない。デバフというよりも呪いと言ったほうが表現的には合ってるかもしれない。

 

 そんな厄介極まりないスキルを己の意思に関わらず持ってしまっている総司。戦闘中に発動してしまい、仲間に迷惑をかけてしまうという場面も何度かあった。流石に何かしらの対策をせねばならんだろう、とカルデア一同首を捻らせていた時に真が言ったのが先の発言である。

 

 真曰く、病弱のスキルは体重みたいなものだそうだ。健康に害が出るほどに体重が増えてしまった。しかし、体重その物を消すことなんて不可能。なら、どうすればいいか。痩せて体重を減らせばいいのだ。この理屈を病弱スキルに当て嵌め、スキルランクを下げればいいというのが真の考えだった。

 

 そんなことが可能なのか、と極当たり前な疑問を上げる者もいたが、物は試しだと真は譲らなかった。

 

『これで病弱スキルがどうにか出来るんなら御の字だろ。色々な特異点解決したから聖杯もアホみたいにあるし、一つや二つ使ったって何の問題も無いっしょ』

 

 世の魔術師が聞けばブチ切れてしまいそうなことを平然と口にしながら真は回収していた聖杯の一つを総司に使用。結果は大成功だった。

 

 

 

 

「さてさて、聖杯は上手く機能してるかな……ドクター、どんな感じ?」

 

「今、確認してるよ……おぉ、凄い! 成功だ! 病弱のランクがAからZにまでダウンしてる!」

 

「マジで!?」

 

 ロマニの言葉に発案者である真もビックリ仰天する。ロマニと共に総司のステータスが映し出された空間ウィンドウを確認してみると、彼の言う通り総司の病弱スキルは最低値までランクを落としていた。

 

「いやしかし、自分で言い出しといてなんだけどこんな上手くいくとは……でも、ZってなんだZって?」

 

「もうこれランクが低すぎて逆に頑強とかその類のスキルに相当する効果があるんじゃないかな……ところで、彼女は何時まで寝てるんだい?」

 

「言われてみれば。おい、総司」

 

 真はベッドの上に横たわっている総司を優しく揺り動かす。聖杯を使用された体勢のまま総司は目を開かない。

 

「あれ、起きないな?」

 

「……まさか、聖杯が彼女の精神に何かしらの影響を及ぼして寝たきりの状態に!?」

 

「はぁ、嘘だろ!? おい、総司! 起きろ!」

 

 再び総司の肩に手をかけ、揺さぶろうとした刹那、彼女の双眸がパッチリと開く。そして寝たままの状態でブラボー! おお・・・ブラボー!! と称賛でもし始めそうな感じに跳び上がった。

 

「「ほぎゃあああああ!!??」」

 

 余りのことに思わず抱き合う真とロマニ。驚き抱き合ったまま固まる二人を他所に総司は空中で一回転を決めて華麗に着地。自分の手や体を信じられないという面持ちで見ていた。

 

「体が軽い。空気が旨い。こんなの、こんなの生まれて初めてです……」

 

 呆然としながらも手を握ったり開いたりを繰り返し、今のこの状況が夢ではなく現実なのだと噛み締める。体の奥底から湧き上がる喜びに全身が震え、震えが最高潮になると同時に総司はピョンピョンとその場で踊るように飛び跳ね始めた。

 

「やった、やりました! 遂に、遂に沖田さんの時代がキター!! もう何も怖くない!」

 

「あぁ~、沖田さん?」

 

 全身を使って喜びを露わにする総司に恐る恐る声をかける真。勢いよく振り返った総司に多少ビビるも、真は総司の体を気遣った。

 

「その、体のほうは大丈夫か? いや、今のを見るに大丈夫だとは思うけどさ」

 

「マスター……」

 

 真の質問に答えず、総司は瞳を潤ませながら真を見ていた。

 

「総司?」

 

「マスター、マスター!!」

 

「ぐぼあぁっ!?」

 

 感極まったのか、総司は縮地を発動させて真へと抱き付いていた。一歩音越え、二歩無間。三歩絶刀。剣技を『魔剣』へと昇華させた速さが頭突きという形でいい具合に真の鳩尾に突き刺さる。当然、こんなものを無防備の状態で喰らった真はただでは済まず、呼吸困難を起こしていた。

 

「ありがとうございます、ありがとうございますマスター! こんな人を斬ることしか出来ない私なんかのために……!」

 

 嬉し涙を流しながら総司は真にグリグリと頭を押し付ける。鳩尾を何度も執拗に抉られるように頬擦りされ、真は白目を剥きながら泡を噴いていた。

 

「分かった、嬉しいのは分かったから一旦落ち着こう! 死んじゃう、死んじゃうから!!」

 

 ロマニの死に物狂いの説得が功を奏し、どうにか総司を落ち着かせることに成功。平静を取り戻した総司は顔を赤くさせながら申し訳なさそうに顔を俯かせている。

 

「その、すみません。みっともない所を見せてしまって……」

 

「まぁ、仕方ないさ。今まで自分を拘束していた枷が無くなったようなものだからね。嬉しくて我を忘れる気持ちも分かるよ。ね、真君?」

 

 ロマニの呼びかけに真は鳩尾を擦りながら頷いた。何はともあれ、総司を苦しめるものを取り払うことが出来たのだ。今はそのことを喜ぶべきだろう。

 

「マスター、そしてドクター。このご恩、沖田さんは絶対に忘れません。必ずや、我が剣にかけて恩義に報いることを誓いましょう」

 

「そいつは頼もしいな。まぁ、恩義云々は気にしなくていいよ。お前がそうやって元気な姿を見せてくれるだけで嬉しいから」

 

 穏やかに微笑む真を総司は顔を真っ赤にさせて見詰めていた。お前の元気な姿が見れるだけで嬉しい、という真の言葉に胸を高鳴らせて総司はうっとりとした表情を浮かべている。あぁ、こうやって彼は女の子を落としていくのかぁ、と真と総司を見比べるロマニはプレイボーイ気質の弟を心配する兄のような心境だった。

 

「こ、こんな人斬りの姿で良ければいくらでも見て下さい。私も、その、マスターに見てもらえるのは嬉しいですから……はは、何を言ってるんでしょう、沖田さんったら」

 

 自分の言ったことが急に恥ずかしくなったのか、総司は頬を染める朱を濃くしながら目を泳がせる。さっきから心拍数は上昇の一途をたどっており、収まる気配を全く見せなかった。

 

「どうした、総司? 凄い顔赤いけど、大丈夫か?」

 

 聖杯の影響か、と心配そうに真は総司に手を伸ばす。真の手が総司の頬に触れた瞬間、ぴあっ! と珍妙な叫びを上げながら総司が飛び退いた。肩で息をしていると、手を伸ばした体勢で固まった真と視線が合う。ちょっとショックを受けた顔をしている真の姿に総司は慌てて弁解を始めた。

 

「え? あ……ち、違いますよマスター! 今のはちょっと驚いてしまっただけでマスターに触られるのが嫌だという訳ではなくて、むしろ触って欲しいといいますか……何を言ってるんですか私は……! でも本当のことだし」

 

 盛大にパニくる総司。少し落ちつけ、という真とロマニの言葉も彼女には届かない。乙女の羞恥心は彼女の思考回路を熱暴走させ、段々と彼女を愉快な方向へと転がしていった。

 

「そうだ。敵を斬ってくればいいんだ」

 

「待て待て、何でそうなる!?」

 

「戦場なら沖田さんも冷静になれる。敵を斬れば素材が手に入ってマスターも嬉しい。正にウィンウィン。うっは、沖田さんマジ天才!」

 

 天啓を得たとばかりに喜ぶ総司だが、彼女が正常な思考を出来ていないのは明白だった。その証拠に彼女の瞳は渦潮のようにぐるぐると回っている。

 

「待っててください、マスター。今、貴方の沖田さんが華麗にシュバッと色々やって来ますから!」

 

「色々って何だ!?」

 

 真の問いに答えず、総司は部屋の中から姿を消した。一拍遅れて部屋のドアに内側から刳り貫かれたような穴が開き、そこから何かが廊下へと飛び出していく。

 

「沖田さん、最っ強ー!」

 

 そんな叫び声が廊下に木霊していった。残された真とロマニは急転する事態についていけずに唖然と口を開いていた。

 

「……俺、どうすればいいかな、ドクター?」

 

「……とりあえず、ドアを直そうか」

 

 

 

 

 三日後、敵を斬りに行くとだけ言い残した総司が大量の素材や種火と共に帰ってきた。精も根も尽き果て、口から魂が抜けかけている姿は正に生ける屍。口元が血で汚れていたのを見るに、最低ランクまで落ちたはずの病弱が発動したようだ。

 

「な、何故、何故病弱が?」

 

「ランクが下がったとはいえ、病弱スキルそのものが無くなった訳じゃないからね。発動する時は発動するもんだよ」

 

 とはロマニの言葉。要はゲームと一緒だ。こちらの命中率が九十九パーセントでも敵に攻撃が当たらないこともある。逆もまた然り。敵の命中率が一パーセントでも当たる時は当たる、それもクリティカルで。

 

「うぅ、沖田さん最強伝説が。今日からバリバリ№1計画が……」

 

「そう落ち込むなよ。聖杯使う前のお前なら血反吐噴いてぶっ倒れてただろうけど、今はこうして軽い風邪と筋肉痛で済んでるんだ。オマケに這ってとはいえ自力でカルデアに戻ってこれた訳だし。何も気にすることなんてねぇさ」

 

 真の慰めが逆に辛い総司だった。

 

 

 

 

「馬鹿は風邪をひかないっていうけど、嘘ねあれ。だって、現にお馬鹿なあんたがこうやって風邪で倒れてるんだもの」

 

「ふえぇ~ん」

 

 ニヤニヤと底意地悪く笑いながらジャンヌ・オルタはベッドに寝ている総司の頬を突いていた。振り払おうにも筋力ランクAには敵わず、総司はジャンヌ・オルタの意地悪な言葉に情けない声を上げることしか出来なかった。

 

 総司が無茶な素材集めから帰ってきた翌日。寝込んでいる総司を見舞おうと、彼女の部屋にはサーヴァント達が代わる代わる訪れていた。ジャンヌ・オルタもその内の一人であり、彼女はブーディカ、スカサハと共に総司の部屋に来ていた。

 

「額に肉って書いていいかしら? もちろん、油性で」

 

「や、止めてください~」

 

 じゃれ合う二人にブーディカは困ったように笑いながら頬を掻き、スカサハは無言で小さく肩を竦める。

 

「これでよし。今日からあんたも立派なキ○肉マンよ」

 

「何で書くんですかぁ。こうなったらお返しです。額に殺って書いてあげます」

 

「あ、ちょ、止めなさい! 私はヘビメタなんてやる気はこれっぽっちも……!」

 

 病人にちょっかいをかけるジャンヌ・オルタを止めるべきなのだろうが、心なしか総司も楽しそうにしているので傍観に徹することに。

 

「二人とも、とりあえずそこまでにしたら?」

 

 互いの顔にネズミや泥棒のような髭を描きだした辺りでブーディカが二人を止める。黒いインクで顔が酷いことになっている二人にスカサハは無言で濡らしてきたタオルを差し出した。武士の情けか、それとも自分も顔に何かを描かれることを想定していたのか、ジャンヌ・オルタの使ったペンが水性だったため濡れタオルで拭くだけでも二人の顔は綺麗になった。

 

「お主は気になる女の子にちょっかいをかける男子小学生か。照れ隠しのつもりなのかは知らんが、さっさと作ってきた差し入れを渡せばいいものを」

 

 差し入れ? と総司がジャンヌ・オルタを見ると、顔を薄らと赤くさせながらベッド脇のサイドテーブルに置かれた小さな白い箱を指差している。

 

「べ、別に差し入れなんかじゃ。ただ、作ってたアイスが偶々余っただけだし」

 

「その割には随分と真剣な顔で作っていたな」

 

 からかうように口元を歪めたスカサハに追従するようにブーディカも優しげに微笑んでいた。

 

「オルタねぇ、凄い頑張ってアイス作ってたんだよ。君が日本出身のサーヴァントだから味はバニラよりも抹茶のほうがいいかなとか色々考えながら」

 

「ちょ、何で知って……! こほん、何か勘違いされても鬱陶しいので先に言っておきますが、別に貴方のために抹茶アイスを作った訳ではありませんから。ただ偶々、何故か抹茶味を作りたくなっただけで……何ニヤニヤしてんのよ?」

 

「「いや、別に」」

 

 睨み付けてくるジャンヌ・オルタに大人組二人は余裕たっぷりに首を振る。優しく生暖かい目で見られ、ジャンヌ・オルタは自分の体温がどんどん上昇していくのを感じた。

 

「そう、ですか。ありがとうございます、オルタさん。態々、沖田さんのために」

 

 何か言い返そうとする前に総司に礼を言われる。告げられた感謝の言葉にジャンヌ・オルタは嬉しいような照れくさいような複雑な表情を浮かべながら頭にちょこんと生えたアホ毛をくるくると指先で弄った。基本、彼女は感謝などの感情を向けられることに慣れていない。

 

「べ、別にお礼なんていいわよ。言って欲しくて作った訳じゃないし……と、とにかく! それ食べて早く元気になりなさいよ! あんたの抜けた穴を埋めるのも楽じゃないんだから!」

 

 顔を真っ赤に染めながら一方的に告げ、返事を待たずにジャンヌ・オルタは足音も荒く部屋から出ていった。

 

「素直じゃないなぁ。ありがとうって言われたらどういたしましてって言えばいいだけなのに」

 

「性分なのだろう、難儀な奴だ。さて、では私もさっさと渡すとしよう。病人の部屋に長々と居座るものではないからな」

 

 そういってスカサハはあるものを総司に向けて突き出す。

 

「飲め」

 

 短い命令形口調と共に突き付けられたのは大振りなガラス製のジョッキ。酒場なんかに行ったら荒くれ者達が冷えたエールの注がれたこれを片手に濁声で歌いながら酒盛りをしていそうなものだが、今現在スカサハの手にあるものはそんな陽気なものではなかった。

 

「あ、あの、何なんでしょうかこれは?」

 

 顔を青ざめさせながら訊ねる総司の眼前でジョッキの中身がゴボリと泡を吹く。ジョッキを満たしている何かドロドロとしたどどめ色の液体は明らかに人間が飲める、というか口に出来る代物ではなかった。サーヴァントであっても無理だろう。悍ましいオーラを放ち、どす黒い煙を吹き出しているというのに何の臭いもしないというのが逆に不気味だ。

 

「私が手ずから調合した秘薬だ。飲めば霊基も月までぶっ飛ぶほどの衝撃を味わうことになるが、効果は保障しよう。体にはとてもいいぞ、体には」

 

 体には、と連呼するスカサハに恐怖心が煽られる。それはつまり、心に何かしらの後遺症を残すということではなかろうか。

 

「ちなみに、一体どんな材料で作って」

 

「それは聞かない方がいいよ。絶対に飲めなくなるから」

 

 真顔のブーディカの警告に総司は情けない声を上げて後ずさった。かつて、幕府を守るために志士をばっさばっさと斬り倒していた新撰組一番隊隊長、沖田総司。英霊として召喚されても振るわれる刃に迷いはなく、速く鋭い剣戟は何度もマスターや仲間の道を切り開いてきた。戦場では凛と、研ぎ澄まされた刀のように戦っていた彼女が今はどうだろう。半泣きになりながら薬を嫌がる姿はもう子供のそれだった。

 

「お、お気持ちだけありがたくいただいておきます。沖田さん的には薬とかに頼らないで自然に治るのを待ったほうがいいかな~、とか思ってたり思わなかったり……」

 

「自然に治るのなど待てるか。後、もう少しでお主の三段突きを再現出来そうなのだ。是非ともあと一回、実際に技を放つところを見せてもらわねば」

 

「ちょっと待って下さい。今、非常に聞き捨てならないことを言ってませんでしたがががが……」

 

 

 

 

「えっと、大丈夫?」

 

 気遣いの眼差しを向けてくるブーディカに総司は無言で頷くことしか出来なかった。両手で口元を押さえ、薄く涙の膜が張った瞳を見開きながら体を震わせている姿はとても大丈夫には見えない。

 

「味の方は……まぁ、言葉に出来ぬほど酷いものだが、薬としての効能はきちんとあるから安心しろ」

 

「これで何の効き目も無かったら唯の拷問だよ……大丈夫、総司? 寝られる?」

 

 ブーディカの助けを借り、総司はゆっくりとベッドの上に横になる。それだけでも激しい吐き気に襲われ、総司は青白い顔からより一層血の気を引かせた。

 

「とりあえず、動けるようになったらオルタのアイス食べなよ。口直しにはなるだろうし。冷凍庫に入れとくね」

 

「真も今日の訓練を終えたら見舞いに来ると言っていた。それまでに少しでも体調を良くしておくことだ」

 

 ぽん、とそれぞれ総司を一撫でし、大人二人は立ち去った。

 

 細く息を吐きながら総司は天井を見上げる。腹の中を直接掻き混ぜられているかのような吐き気を覚えているにも関わらず瞼は重く、不思議とすんなりと寝入ることが出来た。スカサハの言う通り、味に見合うだけの効果はあるようだ。

 

「……ん」

 

 体感時間数分の眠りから目覚める。壁に掛けてある時計を見てみると、およそ一時間ほど寝ていたことが分かった。

 

 体を起こしてみて総司は驚く。体を動かすのが億劫な程だった全身の痛みは嘘のように軽くなっており、頭がぼうっとするような熱も息苦しさも感じない。スカサハの作った秘薬のお蔭だろう。

 

「流石はスカサハさん、凄いものを作りますね……味があれですけど」

 

 感心すると同時に総司は表情を苦くさせながら舌を出す。体調が良くなった反面、舌は酷いことになっていた。苦味とえぐみに殺意を掛け、グロテスクを二乗させたような後味が舌に残っている。控え目に言ってテロい、破壊活動の域だ。喉元を過ぎても味覚を苛む余りの不味さに総司は軽く涙目になりながらえずく。口元を押さえながら総司は急いでベッドから下り、ブーディカが冷凍庫に入れてくれたジャンヌ・オルタお手製のアイス入り箱を取り出した。

 

「いただきます……おいひ~」

 

 ベッドに座り、箱の中に入っていたプラスチック製のスプーンで緑色のアイスを口に運ぶ。口の中に広がる甘味と仄かな苦味。鼻腔を吹き抜けていく抹茶の香りが心と舌を洗い流してくれるかのようだった。目元を幸せそうに緩ませながら総司は夢中でアイスを食べ続けた。

 

「ふぅ、ご馳走様でした。また今度、オルタさんにお礼を言わないと……」

 

 食べた後の後片付けをしていると、軽いノックの音が聞こえてきた。総司が答えるよりも早く、扉を叩いた誰かが呼びかけてくる。

 

『総司、起きてるか?』

 

 真だ。聞こえてきたマスターの声に総司は扉を開けようとしていた手を止めた。心臓は鼓動を速め、胸を突き破らんばかりに強く脈打っている。

 

「ま、マスターですか!?」

 

『あぁ。ちょっくらお見舞いに来たんだが、入っても大丈夫か?』

 

 真の問いに総司は自身を見る。寝間着に使っている布地の薄い桜色の浴衣は汗をたっぷりと吸い込んでおり、軽く匂っていた。下着替わりに胸に巻いていた晒や褌も同様の状態だ。

 

「ちょ、ちょっと待っててもらってもいいでしょうか?」

 

 流石にこの格好で会うのは乙女としてまずい。らしくも無い羞恥心にあたふたしながら総司は着替えるためにクローゼットへと向かう。あいよ~、という真の返事を背で受けつつ新しい服を取り出そうとしていた総司の手がふと止まった。目線の先には来る時のために用意しておいたあるものが。

 

「……よし!」

 

 今がその時と判断。総司は意を決し、そのあるものへと手を伸ばした。

 

「ど、どうぞ」

 

「それじゃ入りますよっと。調子はどうよ?」

 

 部屋の主の許可を得て真は中へと入った。両手で持った盆の上には深皿に盛られたお粥が美味そうな湯気を上げている。

 

「はい、お蔭様で。すみません、ベッドの上から」

 

「気にすんな、気にすんな。お前は病人なんだから」

 

 頭を下げる総司に手を振って見せ、真は盆をベッド脇のサイドテーブルに置いて自身は椅子へと腰かけた。

 

「顔色、随分と良くなったな」

 

「スカサハさんの薬のお蔭です」

 

「薬? ……あぁ、あれってやっぱ薬の材料だったのか」

 

 総司に聞こえないよう小さく呟きながら真は数時間前にスカサハが倉庫から色々と持ち出していたことを思い出す。凶骨、精霊根、竜の逆鱗。虚影の塵、蛮神の心臓、智慧のスカラベ。他にもレイシフト先で狩ってきたのであろうゲイザーの眼球やらキメラの生き胆、その他諸々の何か得体の知れない物を持っていたことも。

 

「(あれ全部が薬の材料だったとしたら……)よく、飲めたな」

 

「えぇ、まぁ。ちょっと酷い味がしましたけど……」

 

 薬の味を思い出したのか、総司は顔を蒼白にさせる。その反応を見るだけでも薬の味がちょっとレベルでは無かったことが窺えた。

 

「そっか。だったら、食欲とか無いか? 腹減ってるかもと思ってお粥作ってきたんだけど」

 

「そのお粥、もしかしてマスターが作ってくださったんですか?」

 

 総司の問いに頷く。

 

「食欲無いなら持って帰るけど」

 

「そんなことありません! ぜひ、いただきます、すぐいただきます!」

 

 食いつくような総司の勢いに驚く真。若干たじたじになりながら深皿とレンゲを渡そうとすると、総司は差し出されたものを受け取ろうとはせずに顔を赤くさせて手をもじもじさせていた。

 

「食べないのか?」

 

「あ、いえ、その、勿論食べたいのですが……マスターに食べさせて欲しいなぁ~、なんて……」

 

 消え入りそうな声で喋りながら総司は上目遣いに真を見る。不安と期待に揺らぐ瞳に見詰められ、多少キョトンとするも真は快く頷いた。

 

「いいぞ。それくらいならお安い御用だ」

 

 レンゲでお粥を一掬い。フー、フーと何回か軽く息を吹きかけて冷まし、総司の口元へと持っていく。満開に花弁を咲き誇らせた桜のように笑顔を華やかせ、総司は嬉しそうにお粥を口に含んだ。

 

「美味いか?」

 

 真の問いに総司はお粥を味わいながら頷く。真が作ってきてくれたことに加え、真が食べさせてくれる状況も相まり、ただのお粥が極上の味わいとなる。一口食べては次をねだるように口を開く総司の姿に真は雛鳥にエサを与える親鳥の気分を味わった。

 

「はい、おしまい。お粗末さん」

 

 永遠に続くものなどこの世には無い。咲き乱れていた美しい花々がやがては枯れるのと同じように幸福も消えゆく運命にある。つまり何が言いたいのかというと、総司がお粥を完食してしまったということだ。

 

「え、もう終わりですか?」

 

 真が頷いたのを見て総司はしょんぼりと俯く。折角、真が料理してくれたものを早々に食べ終えてしまった自分に何故もっと味わわなかったのかと言いたかった。でも、仕方がない。だって、美味しかったから。一人勝手に落ち込む総司の頭にポンと何かが乗る感触。

 

「美味しかったみたいで何よりだ。また作ってやるよ。今度はお粥じゃない普通の料理でな」

 

 微笑みながら真は総司を撫でる。指が優しく髪を梳いていく心地よい感触に総司は悲しげだった表情を一変させ、幸せそうに笑顔を浮かべていた。

 

「じゃ、俺は戻るぞ」

 

 一頻り総司を撫で、真は立ち上がろうと腰を上げる。頭から真の手が遠のいていき、総司はあ、と寂しげな声を出した。

 

(行かないでください)

 

 口が開くよりも早く体が動いた。無意識の内に総司は両手を伸ばし、さっきまで頭を撫でてくれていた真の手をきゅっと掴んでいた。

 

「い、行かないでください」

 

 小さく目を開いた真を総司は風邪の熱とはまた別の熱さで頬を赤くさせながら見詰める。

 

「もっと、撫でて……いえ、もっと私に触ってください」

 

 両手で包んだ真の手を頬へと誘う。じんわりと伝わってくる人肌の温もりに安心感を覚えながら総司は潤んだ瞳を真に向けた。

 

「傍に、いて欲しいんです……」

 

 掛け布団を押しのけ、膝立ちになる。見詰め返してくる真の双眸から目を背けず、総司は顔をおずおずと近づけていった。互いの吐息が肌で感じられるほどの距離。

 

「マスターがたくさんの人から愛されているのは知ってます。その人達が私なんか足元にも及ばないような魅力的な方々だということも」

 

 でも、と少女は己の中に初めて生まれた感情のままに声を震わせながら言葉を紡ぐ。

 

「マスターに、貴方に愛されたいんです」

 

 搾り出すような求愛の告白を受けて真の表情が真剣なものになった。

 

「俺なんかでいいのか?」

 

 真の問いに小さく頷く。

 

「マスターじゃなきゃ、駄目なんです……マスター、大好きです」

 

 総司の返答に真は鷹揚な笑みを浮かべる。総司の頬に添えていた手を後頭部へと回し、ゆっくりと引き寄せた。瞼を下ろし、緊張で体を硬直させる総司を安心させるように撫で、真は彼女と口付けを交わす。

 

「「ん……」」

 

 唇が触れ合い、総司は歓喜に体を震わせる。自分が受け入れられた喜びと安堵感に思わず涙が零れた。涙を親指で拭い、総司を抱き締める。総司もこわごわと伸ばした両手を真の体に回し、幸福に包まれながら触れ合うだけのキスに耽った。

 

「総司、舌出して」

 

 諾々と差し出された可愛らしい舌を唇で咥える。ぴくん、と体を揺らした総司の背を擦りながら真は彼女の舌に優しく自分のものを絡みつかせ、口内へと迎え入れた。唇同士が触れ合う感触と舌と舌が巻き付き合う快感が総司の興奮を煽る。もっと真を味わいたいという衝動に突き動かされ、総司はおっかなびっくりではあるものの自分から舌を動かしていった。

 

「ちゅ、ちゅぱ、ましゅたー」

 

 幸せそうに吐息を漏らす総司を一層強く抱きしめる。総司も両腕に力を込め、真を自分のほうへ引きつけた。より強く感じられるようになった肉体の体温と触感が二人を燃え上がらせる。

 

「ずぢゅ、ぢゅるる、んむ、ぢゅりゅりゅりゅ……」

 

 徐々にキスの激しさが増していく。下品な音を立てるのも構わずに相手から送られる唾液を啜り、のたくる蛇のように動く舌で互いの歯茎、頬肉、口蓋を舐め回していった。舌に押し出されて二人の口から溢れた涎が顎を伝い、滴り落ちて胸元を汚していく。

 

 二人の体が離れる。情欲に濡れた瞳に互いの顔が映っていた。小さく荒い息を吐きながら真は頬を上気させている総司の浴衣の襟に両手を伸ばした。

 

「いいか?」

 

 総司が無言で頷いたのを見て、真は徐に浴衣を脱がしていく。露わになっていく細肩、浮かび上がった鎖骨、そして豊かな乳房を覆う可愛らしくも男の欲望を騒がせるきわどいデザインのブラジャー。

 

「総司、こいつは?」

 

 普段、彼女が晒で胸元を押さえていることを知っている真は微かに驚くが、視線を総司の魅力的な姿から外そうとはしなかった。

 

「こ、これはですね、その、ダ・ヴィンチちゃんに頼んで、作ってもらいました。少しでもマスターに喜んでもらおうと思って……」

 

 容赦なく肌に突き刺さる真の視線に喜びと恥じらいを同時に覚えながら総司は桜色の下着、いわゆる勝負下着を手に入れた経緯を話す。ダ・ヴィンチショップは今日も大繁盛のようだ。

 

「どうでしょう、マスター。興奮します、か? こんな人斬りの体ですけど……で、でも、このぶらじゃーとしょーつは中々のものですよ」

 

 そういって彼女は下着を見せつけるように胸を張る。今に始まったことではないが、総司はどうにも自分を卑下するきらいがあった。碌な恋愛経験もしないで若年の内に死んでしまったせいか、自分が如何に魅力的な女子であるか知らないようだ。

 

「うん、凄い興奮する。でも、それは下着のデザインとか関係なくて」

 

 総司の額に軽くキスをする。

 

「総司が可愛いからだ」

 

「か、可愛い、私が!? そ、そんな私みたいなただの人斬りが」

 

「人斬りとか関係ないさ。お前は魅力的で綺麗な女の子だ。だから俺はお前を抱きたいと思ったんだ」

 

「ま、マスター!」

 

 真の告白に感極まり、総司は薄らと涙を浮かべながら真に抱き付く。たくましい胸元に顔を押し付けてみれば心臓が強く速く鼓動しているのが分かった。服越しでも分かるそれは真の発言を裏付けているかのようだ。

 

「やっぱり、総司は可愛いな。ちょっと汗臭いけど」

 

 へ、と総司の口から間抜けな声が漏れる。着替える前ほどではないが、確かに総司の体は少し汗ばんでいた。スカサハの薬のお蔭で下がった熱が真とのキスでぶり返したらしく、汗が噴き出してきたようだ。

 

「わ、わわ、私はこんな体でマスターに……! す、すみませんマスター! 今すぐに身を清めて」

 

「いいよ、別に」

 

 あわあわと項まで赤くなりながら慌てる総司を抱き留めて真は朗らかに笑う。

 

「どうせこの後、二人で汗まみれになるんだからさ」

 

「はうっ!?」

 

 耳元で囁かれた台詞に総司は頭が爆発したかのような衝撃を味わった。漫画なら耳から煙が漂っているような一コマが描かれているだろう。

 

「まぁ、どうしても気になるなら俺が拭くけど」

 

「……お、お願いします」

 

 真の言う二人で汗まみれになる行為を思い描き、思わず吐血しそうになりながらも総司は返事をする。じゃ、まずは背中からと言われ、総司は真に背を向けながらベッドの上で女の子座りをした。

 

「外すぞ」

 

「は、はひぃ」

 

 背中にあるブラジャーのホックに指をかけられ、総司は情けない声を上げる。一応、了承の返事だったため真は構わずにホックを外した。下着を脱がされ、ただでさえ激しくなった鼓動が更に加速する。ドクドク、と鼓膜に直接響くような拍動を聞きながら総司は素直に両手を上げ、真にされるがままブラジャーを脱がされた。

 

「タオル取ってくるからちょっと待っててくれ。クローゼットにあるよな」

 

 相変わらず顔を赤くさせたまま、剥き出しになったバストを両手で隠して総司は振り返らずに無言で頷く。クローゼットに向かおうと腰を上げかけるが、真は視界の中に入ってきた総司の背中に思わず動きを止めた。

 

 傷はおろか、沁み一つない美肌に目を奪われる。火照り、汗を浮かばせながら薄らと紅くなったきめ細かい白肌はむしゃぶりつきたくなるほどに官能的だった。

 

「あ、あの、マスター。どうかしましひゃうん!」

 

 タオルを取りに行こうとしない真に疑問を覚え、首だけで振り返ろうとした瞬間、総司は背中に当たった感触に小さく悲鳴を上げる。柔らかく、そして湿ったそれは明らかにタオルではない。背中にかかる生暖かい吐息からそれが真の舌なのだと総司は理解した。

 

「マスター、何をして」

 

 質問に答えず、真はゆっくりと総司の背中を舐め上げていく。しょっぱい汗を味わいながら徐々に舌先で背筋を上っていくと総司の口から小さな喘ぎが漏れた。舌が項に触れる寸前で真は取って返し、背中の中央に走る窪みを上から下へと舐っていく。

 

「んぅ、はぁ……」

 

 真が舌を上下に動かして汗を舐め取っていく度、総司は頬を色っぽく染めながら艶めかしい息を吐いた。濡れぬめった感触と共にぞくぞくとした快感が背筋を這い上がってくる。第三者が見たら確実に変態だと叫び出しそうな行為に総司は目を蕩かせ、掌の中で乳首を固くさせていた。

 

「ふ~……ちゅ」

 

 肩甲骨の形を確かめるように皮膚をなぞっていた舌が項に辿り着く。項にかかる薄桜色の髪に軽く息を吹きかけ、露わになった生え際に軽く吸い付いた。総司の体が微かに反り上がり、痙攣する。彼女の興奮を反映するように紅潮した肌は舌に激しい熱を感じさせた。

 

「総司、前もやるぞ」

 

「はい、お願いします……」

 

 一通り背中の汗を舐め取った真は総司をベッドにゆっくりと優しく押し倒す。汗の代わりに涎でべたついた背中にシーツが張り付くがそんなことはどうでも良かった。肉欲の光を湛えた双眸で真を見上げながら総司はこれからされるだろう行為に胸を高鳴らせる。

 

「総司、可愛いよ」

 

 仰向けに横たわる総司に寄り添って真は素直な感想を述べた。胸を両手で隠しながら恥じらう姿は男心をくすぐる。腰に巻かれた帯だけで辛うじて着付けられた浴衣も扇情的だ。褒め言葉に嬉しいような照れたような笑みを浮かべる総司の下半身に手を伸ばし、真は浴衣をはだけさせて美しい脚線美を曝け出させる。

 

(み、見られてる。マスターに)

 

 真の視線が注がれている太腿をもどかしげに擦り合せる総司。キスをした時から疼き出していた秘所が真の熱視線で更なる蜜を零し、桜色のショーツをじっとりと湿らせていた。

 

「こっちも凄い汗だな」

 

「あ、いや、別にそれは汗ではなくて」

 

「じゃあ、何だ?」

 

 真の意地悪い質問に総司はあうぅ、と可憐に呻きながら視線をあらぬ方向に向ける。初々しい反応を見せる総司が堪らなく愛おしくなり、真はリンゴのように赤くなった総司の頬に唇を押し付けた。

 

「マスター……」

 

 肌に唇を押し当てたまま、喉元へとスライドしていく。敏感な肌を滑っていく唇に総司はくすぐったそうに身動ぎしながらも真に熱い視線を送っていた。少し肌から盛り上がった喉仏を唇で挟みながら舐めると、総司の若々しい女体が小さく揺れる。耳朶に沁み込むように聞こえる総司の官能的な吐息に獣欲を煽られながら真は更に下へと唇を移動させていった。

 

 皮膚の下の胸骨を辿るように舌を下ろしていき、ふかふかの谷間に顔を埋めてしっとりと吸い付いてくる乳肌の柔らかさを楽しむように顔を左右に振る。両手で総司の巨乳を中央に寄せるように揉みしだくと顔にかかる乳圧が増し、幸福な圧迫感が真の股間を熱くさせていった。

 

「ん、胸、好きなんですか?」

 

 夢中で乳房を手と舌で味わいながら真は頷く代わりに乳首を摘まみ上げる。バストの先端に痺れるような快感が走り、総司は抑えた嬌声を漏らしつつ体をびくつかせた。一心不乱に乳房を舐め回し、乳首にしゃぶり付く。口元を手で押さえて声を我慢しようとする総司の姿に加虐心を燃やし、真は唇と舌でバストを愛撫するのと一緒に両手で彼女の細腰を掴んだ。

 

 左右の腰骨の辺りからマッサージでもするかのようにゆっくりと両手を上げていく。すべすべとした肌を指腹と掌で軽く揉むと総司の腰が右に左にくねった。両手がキュッとくびれたウエストを通過し、脇腹を登っていく。触れられている部分が性感帯にでもなってしまったかのようだ。真の手と共にぞわぞわと這い上がってくるこそばゆさと快感に総司は切ない溜め息を吐いた。

 

「これだけ拭けば大丈夫だろ。次は……」

 

 両手と入れ替わるように真は再び舌を下半身へと向かわせ始める。むしろ涎で余計にべたついてしまったバストを両手で揉み潰し、いやらしく形を変えながら真は鳩尾と臍を通り過ぎて丁度子宮の上で唇を止めた。

 

「総司、ここだ。これからここにたくさん注いでやるからな」

 

「ここ。ここにマスターのが……」

 

 上体を起こし、下腹部を撫でる真の手に自分の手を重ねる。皮膚と皮下脂肪の下にある命を宿し、育むための部屋。自分を待ち受ける男女の交わりを夢想し、生前、終ぞ使われることの無かった器官が甘く疼いた。

 

「マスター。私、マスターの赤ちゃんが欲しいです。マスターの子供を産みたいです」

 

 哀切に瞳を濡らしながら訴えてくる総司を優しく撫で、口付けをする。

 

「分かってる。でも、まずは」

 

 こっちだ、と湿り気の増したショーツの上から女陰に触れる。くちゅっ、と濡れた感触が指先から伝わってくるのと同時に総司の眉根が苦しそうに寄せられた。秘所からもたらされる快感に耐える総司にもう一度キスをし、真は股間に顔を下ろしていく。

 

「はは、びしょびしょだな」

 

「い、言わないでください」

 

 少しツンとした刺激臭を漂わせながら大きな染みを作ったショーツに素直な感想を漏らす。火が出かねないくらいに赤くなった顔を両手で隠し、総司は恥ずかしさの余り軽く泣きの入った声を上げた。

 

「脱がすぞ、脚上げて」

 

 恥ずかしさで体を熱くさせるも、総司は言われた通りに両脚を持ち上げて真にショーツを脱がされる。太腿や菊門まで濡れるほどの蜜液を溢れさせた股間が真の眼前で露わになった。ごく薄い陰毛で覆われたそこは肉厚でふっくらとしており、とても柔らかそうだ。割れ目の中から覗く肉孔はまだ男を知らないにも関わらず、物欲しげに肉の襞を蠢かせている。

 

「今から綺麗にしてやるからな」

 

 総司の両膝に手を当て、軽く力を込めて脚を広げる。より大きく外気に晒されることになった女陰に羞恥心が募るも、総司は脚を閉じようとはしなかった。ひくひくと動く割れ目に小さく息を吹きかけ、体を戦慄かせる総司の反応を愉しんでから真はまずは太腿へと舌を伸ばしていく。

 

 皮膚の下で内腿の筋肉がピクピクと動くのを舌先に感じながら真は肌に浮かぶ汗と愛液をねっとり丁寧に舐め取っていった。汗のしょっぱさとはまた別の塩辛さを飲み下して自身の興奮を増幅させ、下半身の海綿体に血を集めていく。

 

「あぁ、んぅ……」

 

 予想していた場所とは違うところに触れた舌に一瞬戸惑うも、総司は素直に快感を享受した。優しさと思いやりの感じられる舌使いは総司に甘美な刺激をもたらし、彼女の脳内を桃色に染め上げていく。腿に性的快感が走る度、総司は口から媚びた甘え声を上げていた。

 

 鼠蹊部に舌を這わせると、総司の声と震えが大きくなった。彼女の特に感じる部分を見つけた真は重点的に足の付け根の関節を責めていく。粘度の濃くなった愛液が秘所からどろりと溢れてきた。

 

「あれ~、おかしいな~。拭いてるはずなのに全然綺麗にならないぞ~」

 

 白々しいことを言いながら真は逆側の太腿を舐め始める。ねちっこく焦らすように肌を這っていく舌に総司の喘ぎが徐々に切ないものへと変わっていった。真は周囲を重点的に舐めるだけで、肝心な部分には一切触れようとしない。総司がねだるように腰を押し付けても素知らぬ顔だ。

 

「ま、マスター。その、沖田さん的にはそこもそろそろ触って欲しいなぁ、なんて……」

 

 痺れを切らした総司の控えめなおねだりに真は顔を上げ、薄い笑みを口元に張り付けて総司を見上げた。

 

「そこってどこだ?」

 

「ど、どこって……」

 

 口籠り、目を逸らす総司をサディスティックな笑顔で見詰めたまま、真はちょんと、一瞬だけ親指でしとどに濡れた淫裂に触れる。普段であれば触ったことにすら気づかないほどの微弱なフェザータッチだが、今の総司には相当に刺激的だったようだ。一際大きく体を痙攣させ、濡れ光る雌穴から小さな潮がピュッと噴き出した。

 

「そ、そこです。今、マスターが触ったそこひゅぃん!」

 

「そこじゃ分からないな。ちゃんと言ってくれないと」

 

 スロットを目押しで止めるように親指を何度も総司のラビアに当てる。より敏感になった秘所から起こる快感に総司は息を詰まらせた。走る快電流は鮮烈かつ鋭いものだったが、同時に弱いものだ。燃え上がるように火照った体を絶頂へと押し上げるには至らない。

 

「お、願いです、マスター。沖田、さんの。私、のぉ」

 

 ついに内側から身を焦がす快楽の熱に耐えられなくなり、総司は羞恥に小さく涙を流しながらも己の欲望を真に伝えようとする。声がつっかえつっかえになるも、燃えるような恥ずかしさを押し殺して声を絞り出した。

 

「お、オマンコを可愛がってください……」

 

「よく言えました」

 

 総司の太腿に回した両腕をガッチリと固定し、逃げられないようにしながら真は思い切り陰唇に吸い付いた。

 

「ひあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 全身を貫く凄まじい快感に総司は目を見開いて絶叫する。背筋を弓なりに反らし、腰を高く浮かせながら全身を激しく震えさせた。

 

「ず、じゅるるる! ずじゅじゅじゅじゅ!」

 

 噴き出してくる潮と蜜を音を立てて吸い上げる。総司の大きな嬌声に負けず劣らずの激しく下品な音が部屋中に響いた。口内を満たす塩辛いような苦いような甘いような不思議な味わいの体液を嚥下すると下腹部と男根が炎でもつけられたように熱くなる。膨れ上がる男の欲望に従い、真は総司の秘所を責め続けた。

 

 舌先を尖らせ、肉壺へと捻じ込む。自慰で破いたのか、それとも戦闘の激しい動きで自然とそうなったのか既に処女膜はなかった。限界まで伸ばした舌がうねり蠢く膣内に侵入し、奥から溢れ出てくる蜜を味わいながら締め付けてくる襞の一枚一枚を舐め解していく。

 

「マスター! わたし、わたし怖いです! 気持ち良すぎてぇ、感じ過ぎてぇ、変になっちゃいますぅぅ!」

 

 体を捻って拘束から逃げようとする総司を一層引き寄せ、真は唇を陰唇にあてがってセックスでもするように舌を膣内に出し入れさせた。ビクン、ビクン、と激しく腰を跳ね上げながらあられもない嬌声を上げて感じまくる総司。顔を股間に押し付けているため、総司がどんな顔で、どんな風に痴態を晒しているかは分からないが、逆にそれが真の想像力を掻き立て更なる発奮剤となった。

 

 肉壺に入れた舌を蛇のようにくねらせながら真は顔を動かす。つん、と勃起して自己主張するクリトリスの包皮を器用に鼻先だけで剥いていった。真っ赤な肉豆は膣内よりも敏感になっているようで、鼻息をかけるだけでも総司の体がより大きく震えるのが分かる。狙いを定め、真は小豆のように膨らんだ肉の芽を鼻先で思い切り押し潰した。

 

「~~~っっっ!!!」

 

 声にならない絶叫が総司の細い喉から迸る。大きく目を見開きながら頤を反らし、開いた口から突き出した桃色の舌はぴくぴくと小刻みに震えていた。口角から涎が垂れ、頬を汚していく。脳内を真っ白に焼き尽くしていく余りの快感に総司は目尻に涙が浮かばせて俗にいうアヘ顔を晒していた。

 

「もっろ、もっろしへぇ……!」

 

 皺くちゃになるほどの力でシーツを握り締めていた手がベッドから離れ、真の頭へと添えられる。理性を振り切った雌の本能がより強い快楽を求め、真の顔を股間に押し付けた。総司の求めに応じるように真は舌で熱くぬかるんだ雌穴を犯し、グミのような感触の肉豆を鼻で圧迫する。

 

「でる、でるでるぅ! でちゃう、でちゃうのぉぉぉ!!!」

 

 総司の腰が高く持ち上がり、綺麗なブリッジを作り出した。同時に膣内から間欠泉のように逝き汁が噴き出す。その勢いたるや凄まじく、真の顔は勿論、胸元や腹部まで濡らしていった。

 

「あ、ひあぁ……」

 

 未だかつて体験したことのない絶頂で強張っていた女体から力が抜ける。くたりと力なく横たわる総司の股間から顔を離し、真はベッドの上に立って服を脱いでいった。下着を下ろすと肥大しきった逸物が露わになる。角度、硬さ、大きさを増したそれは先端から腺液を垂らして交わりの時を待ちかねていた。

 

「マスター」

 

 とろんと虚ろになった目を覆い被さってくる真に向ける。総司の潮噴きをもろに浴びたため、真の顔下半分はびっしょりと濡れていた。

 

「も、申し訳ありませんマスター。今すぐ綺麗にしますから……」

 

 両手で真の顔を挟み、潮を滴り落とす頬に舌を伸ばす。子犬のように拙い動きで真の頬や顎を汚した己の潮を舐め取っていった。

 

(マスターの唇……)

 

 自然と意識が真の唇へと向けられる。汚してしまった真の顔を清めていたはずが、いつの間にか貪り付くように真の唇を吸っていた。ちゅうちゅうと音を立てて唇を吸い、舌で舐め上げる。欲望に塗れた総司のキスに真は口を開いて応えた。

 

「ちゅ、ちゅう、だいしゅきれふ、ましゅたー」

 

 自分から舌を絡ませながら想いを打ち明ける。たくましい胸板に押し潰されて形を変えたバストから伝わる鼓動も総司の気持ちを言い表しているようだった。それは真も同じで、強く激しい鼓動が真の想いと共に総司へと送り届けられていた。

 

 激しい口吻をしていた二人の顔が離れる。唇を繋ぐ唾液の橋がぷつりと切れ、総司の頬へと落ちた。頬に張り付いた涎を舐め取り、真は濡れた総司の瞳を覗き込む。

 

「挿れるぞ」

 

「はい。私をマスターの、真さんのものにしてください」

 

 全てを委ねるように体から力を抜く総司にもう一度キスをし、真は上体を起こした。ビクビクと震えながら透明な汁を先端から垂れ流す肉竿を掴み、濡れそぼった割れ目へと当てる。ん、と色っぽい喘ぎを漏らして敏感に反応する総司を慈しむように撫で、真はゆっくりと腰を進ませていった。

 

「あ、あぁ……入ってきます、私の中に、真さんが……」

 

 己の秘所が男の象徴をあっさりと呑み込んでいく光景に総司は背筋をぞくぞくさせる。さっきまで唇や舌で散々イジメられていたそこは熱く潤い、初めてであるにも関わらず勃起した逸物を受け入れていた。

 

「やぁ、んぅ……ひゃん」

 

 窮屈な膣道を押し開きながら進んでいた亀頭が最奥のコリコリとした部分に辿り着く。張ったカリ首に肉襞を抉られる感触と血管の浮かび上がった剛直に膣内が拡げられていく感覚に全身を戦慄かせていた総司は子宮の入り口に走った甘い電流に一際甲高い声を上げた。

 

「真さんのが、全部……」

 

 腹の上から胎内に収まった真の分身を撫でる。膣内に形を覚え込ませるように硬くなった逸物が確かにあった。

 

「動いていいか?」

 

 真の確認に総司は夢見心地のまま頷く。熱に浮かされた顔を幸せそうに微笑ませている総司の腰を掴み、挿れた時と同じようにゆったりとした動作で腰を引いていった。

 

「あ、いやぁ」

 

 みっちりと膣内を埋め尽くしていた剛直が抜けていく感覚に総司は寂しげな声を零す。行かないでと言わんばかりに肉襞が逸物へと絡みつき、胎内に戻そうと柔らかな媚肉を蠕動させた。粘膜がきつく締まる感触は二人に素晴らしい快感を与え、真と総司は互いにうっとりとした溜め息を吐き出す。

 

 根元まで埋まっていた男根がカリが抜ける寸前まで引き出される。体中を駆け巡る官能にどっと汗を噴き出しながら真は総司を見下ろした。情欲に濡れ光る瞳が真を見詰め返している。次はどんな快楽を感じさせてくれるのかと期待の籠った吐息が彼女の艶やかな唇から漏れた。

 

 真は心持ちさっきよりも速く腰を前進させた。ねっとりと肉襞を吸い付かせてくる肉壺を穿ちながら乳房の頂点で小さなサクランボのようになった二つの乳首を両手で摘まみ、掌で乳肉を捏ね繰り回す。総司が甘く呻くのと同時に膣内の締りが強くなり、性器を余すところなくきゅっと包まれた。背筋に鳥肌を立たせながら真は具合の良くなった肉壺に男根を出し入れさせる。

 

 結合部分から聞こえるぬちゃっ、ぬちゃっといういやらしい音が鼓膜を通して総司の脳髄を犯していく。そこに左右の乳首と秘所から伝わってくる悦楽が合わさり、総司の思考はどんどん色欲に染まっていった。桃色に色づいた脳が求めるのは更なる快楽。湧き上がる淫らな欲求が自然と総司に男好きのする表情を浮かばせていた。

 

「真さん。私、もっと激しくして欲しいです」

 

 媚びた目を真へと向けながら情欲を煽るように腰をくいっと揺らす。送られる秋波と誘うような腰つきに男根が痛いくらいに膨張する。

 

「いいのか? 多分、止まらなくなるぞ」

 

「はい、私を滅茶苦茶にして……」

 

 総司の言葉に真の理性が音を立ててブチ切れる。荒い息を吐きながら大きなバストを弄んでいた手で総司の腰を掴み、限界まで後ろに下げた腰を思い切り叩き付けた。

 

「ひゃあああああ♡」

 

 肉と肉がぶつかり合う生々しい音と共に総司は悲鳴のような嬌声を上げる。狂ったように振り立てられる腰と連動した逸物が肉襞を巻き込みながら最奥まで突き込まれ、そして蜜と潮を体外に掻き出していった。

 

 真の獣のような抽挿に総司は自身も婀娜っぽく腰をくねらせることで応える。膨れ上がった亀頭で子宮口を打ち抜かれる度に思考回路が灼き切れそうな快感が全身を駆け巡っていった。体中を激しい肉悦に支配され、要領を得ない言葉が口から飛び出していく。快楽に染まった総司の頭の中に残っているのは真に対する想いだけだった。

 

 これは夢なのではないか。そんな考えが総司の脳裏を過ぎる。余りに幸せすぎる現状がそんな不安を総司に抱かせた。愛する男に想いを伝え、身も心も結ばれる。こんな幸福な出来事がただの人斬りでしかない自分に与えられていいのだろうか。今この瞬間に起こっていることは自分の都合のよい妄想なのではないか。

 

 心臓が握り締められるような感覚。胸を押し潰す恐怖に総司は一瞬声を詰まらせるも、そんなのは唯の杞憂だと気付かされる。

 

 肉と肉が激しくぶつかる感触。己の嬌声と真の獣じみた呼吸。むせ返りそうな濃密な男女の交わりの臭気。そして自分を見詰めてくる愛しい男の瞳。五感の全てが総司に今起こっていることが現実だと伝えていた。

 

「……しゅきぃ、しゅきでしゅ。だいしゅきですぅ!」

 

 一瞬でも感じた不安を振り払いながら総司は思いの丈をぶつける。真は激しいキスで総司の告白に応じた。身も心も一つになった二人は互いに手を取り合って絶頂へと駆け上がっていく。

 

 両腕を首に、両脚を腰に回して総司は真との密着をより強めた。触れ合う肌が全て性感帯になってしまったかのように快感が津波となって襲い掛かってくる。全身を凄まじい多幸感に包まれながら総司は息をするのも忘れて上と下の口での交合に没頭した。

 

 とろとろに蕩けた肉壺の中で逸物が震える。精の放出が間近に迫る中、真は舌と腰を動かして総司とより強い快感を分かち合った。今や総司の膣内は真専用に仕上がり、的確に感じる部分を刺激してくる。きつく、柔らかく、そして激しく肉襞にカリ首や竿をしごかれ、真は白いものの混じった先走りを総司の子宮口に振りかけていた。

 

 逸物がビクンビクンと痙攣し、肉壺が襞を忙しなく収縮させる。二人は限界を目前に控えながらそれでも猛烈に互いを求め合った。

 

「ん、んぅ、んんっ~~~~っっっ!!!」

 

 一足先に絶頂へと至った女体が跳ねる。男にのしかかられた女体が僅かに背筋を反らしあげ、緩い山のようなラインを描いた。同時に肉襞がぴったりと男根に吸着し、心地よい摩擦を最大限に高める。ぶるりと背筋を震わせ、真は総司の胎に勢いよく白い欲望を吐き出した。

 

 ビクビクと二人の体が痙攣する。女は子宮に精を注がれる感覚に身を震わせ、男は精を絞り出すように締め付けてくる膣内の感触に体を戦慄かせた。

 

 子宮を完全に満たすほどの精を放出し、逸物は漸く落ち着きを迎えた。繋がったままの体勢で二人は荒い息をしながら触れ合わせていた唇を離す。互いの呼吸がかかるほどの距離で見つめ合った。

 

「は、はっ……んっ、はぁ」

 

 軽い呼吸困難を起こして上手く言葉が出てこない。浅く速い呼吸で肺に空気を送りながら総司は声を出さず、唇だけを動かして再び己の想いを伝えた。

 

 だ、い、す、き、と。

 

 

 

 

「そういや、俺って病人相手に思いっきりヤっちゃった訳だけど、大丈夫か?」

 

「あ、はい。大丈夫です。というか、寧ろさっきよりも沖田さん元気ですよ?」

 

 マスターの精液で元気になりました、と眩しい笑顔を浮かべる総司を真は何とも言えない表情で撫でていた。

 

 情事を終えた二人は体液で濡れた体をシャワーで洗い流した後、新しいシーツを出して綺麗になったベッドに仲良く横になっていた。裸という訳ではなく、互いに浴衣姿だ。

 

「なぁ、総司。一つ気になるんだが、何でお前の部屋に俺にピッタリのサイズの浴衣があるんだ?」

 

「そ、それは……」

 

 真の問いに総司は恥ずかしそうに目を背ける。構わずに見つめ続けていると、もじもじしながら答えてくれた。

 

「それはですね、あの~、ちょっと期待してたと言いますか。もし万が一、マスターが私に夜這いをかけにこられた時のために用意してたんですが……」

 

「へぇ~。今度実際やってみるか、夜這いプレイ?」

 

「は、はい、それはもうぜひ! で、出来れば私が夜這いをかけられる側でお願いします」

 

 目をキラキラと輝かせながら食いついてくる総司に思わずクスリと笑ってしまう。総司の可愛らしい姿に目元を緩ませていると、不意に大きな欠伸が出てくる。壁に目を向けると、かけられた時計の針が寝るにはいい時間を指し示していた。

 

「もう、こんな時間か。総司、今日はこのままここで寝ていいか? 今から部屋に戻るってのも億劫だし」

 

「あ、はい、勿論。沖田さんは大歓迎です」

 

 嬉しそうに身を寄せてくる総司を優しく抱きしめる。暖かな体が湯たんぽのようで心地よい。甘えるように鼻を鳴らしながら胸元に頬擦りしてくる総司を撫で、真は重くなった瞼を下ろしていった。数分としない内に真は穏やかな寝息を立てていた。

 

「マスター。ずっと、ずっと一緒にいさせて下さいね」

 

 どうか、最期の時まで共に在れるように。祈りながら総司は幸せな温もりにくるまれて眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 翌日の朝、総司の様子を見にやって来たジャンヌに同衾しているところを見られた真がボッコボコにされるのは完全な自業自得だった。




 軽いキャラ紹介

『沖田総司』
スキル消せないんならランクダウンさせればいんじゃね? という真の思いつきの結果、聖杯を使って病弱のランクがZまでダウンした。もう、普通に健康な人よりも健康な状態。でも、調子に乗ると吐血しちゃう。マスター大好き。望みは最後まで真やカルデアの仲間達と共に戦い抜くこと、そして全てが終わった後に受肉して真と幸せな家庭を築くこと。尚、後者の望みに関してはカルデアにいる全てのサーヴァント共通のものであるため、ライバルは多い。

『ジャンヌ・オルタ』
真と一緒にやったお菓子作りが意外に楽しく、今ではすっかり趣味になった。結構な腕前であり、時々マリーにお茶会に出すお菓子を頼まれることも。カルデアにいるサーヴァントのことは真同様に自分を認めてくれた仲間として非常に大切に思ってる。極力、そのことを態度に出さないようにしているが、教科書に書いたようなツンデレなため丸分かり。皆(特にジャンヌ)からは生温かい目で見られている。

『スカサハ』
最近、総司の無明三段突きを再現する事に成功。ゲイ・ボルクの持つ心臓を破壊する因果逆転の呪いと三段突きの事象飽和を同時に起こすという凶悪極まりない技を完成させる。技名は(作者が)考え中。

『ブーディカ』
総司にお粥を作ってあげるつもりだったが、スカサハの煎じる薬を見て断念。先に食べるか後に食べるかはともかく、あの薬と一緒にご飯を食べさせるとか駄目でしょ、とは本人の談。


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『フランケンシュタイン』機械仕掛けの恋乙女

 数日前、第七特異点をクリアしました。クリアした記念にコアトル姉さんが欲しくて五万円ほどぶっ込んでガチャを回したのですが、結果、

ケツァル・コアトル、ゴルゴーン、オジマンディアス、ドレイク、オリオン(四枚目)、アルテラ、ニトクリスが当たりました。ピックアップって何だっけ(哲学)?

 オジマンとオリオンはともかく、他の女性陣に関しては書けって言うことなのかね?


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 

「花を取りに行きたいから付いて来て欲しい?」

 

「ゥゥ」

 

 昼食後のお茶を楽しんでいた人理継続保障機関『カルデア』最後のマスター、遠野真の問い返しに唸り声と共に頷いたのはウェディングドレスのような白い衣装を身に纏ったバーサーカーのサーヴァント、フランケンシュタイン(以下フラン)である。

 

「それは構わないけど、何でまた?」

 

「ゥ~」

 

「総司へのお見舞いか。それで花を」

 

「ウ、ウゥ」

 

 唸り声に秘められたフランの言葉を真はさも当然とばかりに理解していた。彼女の唸り声はただの唸り声ではない、そこにちゃんとした意味が込められている。余人が聞けばただの意味の無い唸りも真の耳には意思疎通を図るための言葉として届いていた。もっとも、最初からそうだったわけではなく、フランのことを理解しようと努力した結果だ。

 

「そっか。フランは優しいな」

 

 真に撫でられ、フランは嬉しそうに目を細める。桃色の髪をくしけずる優しい手つきがとても心地よかった。

 

 ちなみに二人の会話に出てきた総司だが、現在は自室で死んだかのように臥せっていた。というのも、スカサハに自身の技である三段突きを再現されたのが余程悔しかったらしく、地獄の特訓を敢行したのだ。結果、総司の三段突きは三倍の九段突きへと進化を遂げ、その代わりにまた病弱が発動して彼女はぶっ倒れたという訳である。

 

「総司もなぁ、強くなろうとしてくれるのは素直に嬉しいんだけど、もっと自分の体を大事にしてくんねぇかなぁ」

 

 ぼやきながら真はフランと共に花摘みに行くためのレイシフトの許可を求めてロマニを訪ねた。

 

「そういうわけで花を取りに行きたいんだけど、いいかな?」

 

「うん、構わないよ。今日の訓練はもう終わってるし、可及的速やかに解決しなければならない事案もないからね。行っておいで」

 

 ロマニの許しを得た二人は早速ある時代へとレイシフトした。

 

 

 

 

「何事もなく到着っと」

 

 二人がやって来たのは第一特異点に近い時代のフランス。どこか牧歌的な雰囲気を感じさせる草原に二人は立っていた。ポカポカとした日差しが気持ちいい。真が周囲を見回して状況を確認していると、カルデアとの通信が繋がる。

 

『周囲に敵性エネミーの姿は無し。風景通りの平和な所だね』

 

「ですなぁ」

 

 通信越しのロマニの言葉に相槌を打つ。彼の言う通り、周囲にこれといって脅威になりそうな存在はいなかった。

 

『うん、その草原を抜けた先にある道に沿って進んでいけば大きな花畑があるね。そこで摘んでくるといいよ』

 

「いやぁ、お手数おかけします」

 

『これくらいお安い御用さ。ところで真君、一つ確認して欲しいことがあるんだ』

 

 あれですね、と真剣な表情を作るロマニに倣い、顔を引き締めながら真は右手を日除けにして天を仰いだ。白い雲がぽつぽつとまばらに浮かんだ青空には輝く太陽だけが鎮座している。以前まであった太陽を囲む光帯、即ち魔術王の宝具『誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)』は綺麗さっぱり姿かたちもなく消え去っていた。

 

「やっぱ、この時代にもあの光帯は確認できないな」

 

『そうか……一体、どういうことなんだろう? 魔術王がまた何か新しい企みでも始めたんだろうか』

 

「もしくは、他の冠位(グランド)クラスに討ち果たされたか。そうだったら万々歳だけど」

 

 そんな都合のいいこと起こる訳ないか、と肩を竦める真にロマニも頷いて見せる。彼らは知らない。その魔術王が以前のカルデア二大魔獣(スカサハと頼光)の殺し合いの余波で当の昔に死んでいることを。

 

『何にせよ、油断できない状況だということに変わりはない。気を緩めずにいこう』

 

「だね……ん?」

 

 ロマニの言葉に頷いていると、くいくいと袖を引っ張られた。見ると、フランが怒ったような寂しいような表情を浮かべている。

 

「ウゥ……」

 

 どこか悲しさを感じさせる声に真とロマニはやっちまったと頭を抱えそうになった。折角二人だけで出かけてきたというのに、相手の男は難しい顔で自分以外の者と話し込んでいる。女性から見てこれ程面白くないことはないだろう。

 

「ごめんな、フラン。別にお前のことを放っておいた訳じゃないんだ」

 

『僕もごめん。折角のデートの時に振っていい話題じゃなかった』

 

 その後、拗ねてそっぽを向くフランをどうにか宥めながら草原を抜ける。人の足、馬の蹄や馬車の車輪等で踏み固められた道に出る頃にはフランの機嫌も直っていた。

 

『後はその道を歩いていけば、十分くらいで花畑に着くね。敵の姿がないからって油断しないように。晩御飯までには帰ってくるんだよ?』

 

 父親のようなことを言うロマニに二人仲良く返事をし、通信を終える。

 

「じゃ、行こっか」

 

「ウ♪」

 

 手を繋ぎながら二人は空いている手に籠をぶら下げて道を歩いていく。二人を照らす太陽の日差しは暖かく、そして優しかった。

 

 

 

 

 一方その頃、カルデアでは。

 

「頼光じゃない」

 

「あら、オルタさん。こんにちは」

 

 廊下でバッタリと出くわしたジャンヌ・オルタと頼光が挨拶を交わしていた。カルデアという閉ざされた空間で生活している以上、必然的に顔を会わせる機会が多くなる上、共に戦うことも多々あるのでサーヴァント達は会えば世間話をするくらいには仲が良くなっていた。

 

「ところでオルタさん、少し話したいことが」

 

「何? この前言ってた金鍔とかいうお菓子のこと? あれならもうちょっとで作れそうだけど」

 

「本当ですか!? 出来上がった時はぜひ、真も一緒に……はっ!」

 

 ジャンヌ・オルタの言葉に頼光は跳び上がらんばかりに喜びを露わにするも、慌てて年長者としての威厳を取り繕おうとする。頬を薄く赤らめながら咳払いする頼光をジャンヌ・オルタは生暖かい目で見ていた。

 

「その話は後ほど。私が言っているのはスカサハのことです。何でも、ゲイ・ボルク三段突きなる技を会得したとか」

 

「あぁ、そのこと。あれはえぐかったわ」

 

 頼光のいうゲイ・ボルク三段突きをスカサハが披露した時、一緒に戦っていたジャンヌ・オルタはその時の光景を思い出し、僅かに顔を顰める。

 

「いや、えぐいとかそんな生易しいもんじゃなかったわね、あれは。セイバークラスのスプリガンの上半身が蒸発でもしたみたいに消し飛んでたし。相性の概念を何だと思ってるのかしらあいつ……そういえば、総司の奴も何か特訓してたみたいね」

 

「えぇ、三段突きを九段にまで昇華したとか」

 

「それでまたぶっ倒れてるんだから世話無いわ。何かうわ言でヒテンミツルギスタイルとか言ってるみたいだし。この前も似たようなことして寝込んだっていうのに学習しないなんて馬鹿ね、あいつ」

 

 真顔で言い切るジャンヌ・オルタ。流石に擁護の言葉が思いつかず、頼光は曖昧な笑みを浮かべながら視線を逸らした。

 

「にしても、スカサハといい総司といい、勝手にどんどん強くなっていくわね」

 

 種火を注いでレベルアップしてもらったり、スキルのレベルを上げてもらうのを座して待っているだけでは駄目なのだろう。自ら動かなくては何も始まらないということだ。

 

「何か宝具以外の必殺技とか出来るようになったほうがいいのかしら? 邪○炎殺黒龍波とか……でも、大技だけ使えるようになっても駄目よね。槍も剣ももっと上手く使えるようにならなきゃ」

 

「私も雷以外に何か使えるようになったほうが良いのでしょうか……」

 

 無言で互いを見詰め合う二人。先に口を開いたのはジャンヌ・オルタの方だった。

 

「ねぇ、頼光。あんたって刀だけじゃなくて槍とかも使えるのよね?」

 

 えぇ、と頷きながら頼光もジャンヌ・オルタに問うた。

 

「オルタさん。私、思ったのですが、雷と黒炎を同時に撃てるようになったら格好良くありませんか? 男の子はそういうのが大好きだと聞きます」

 

「最高にイカしてるわ、それ」

 

 ここで二人は妄想する。新たなスキルや力を得て強くなった自分を、そして強くなった自分を見た真の反応を。

 

「やっぱりオルタはさいつよでさいかわで最高だって? そんな分かり切ったこと、今更言われるまでも無いわね。でも、あんたがどうしてもって言うなら褒められて上げてもいいわよ。ふ、二人っきりで、ベッドの上で……あぁん、そんな今すぐになんてダメぇ」

 

「どうです、真? 母は貴方のためならこの世の誰よりも強くなれるのです。えぇ、えぇ、そうでしょうとも。私以外の女なんて貴方には必要ないのです。やっと気づいてくれたのですね。貴方は私だけを愛し、私だけを見ていればいいのです」

 

 朱に染めた頬に両手を当て、二人は頭の中に描いた都合のいいピンク色の妄想にいやんいやんと体をくねらせる。もし、第三者がこの光景を見たら何してんだこいつらと目を剥くこと間違いなしだ。

 

「早速、戦闘シミュレーターで訓練しましょう」

 

「えぇ、マスターのためにも。私達のためにも」

 

 自らの欲望を合致させた二人はガッチリと握手を交わした。尚、合致とガッチリをかけたギャグでは決してない。

 

 こうして人知れず、マスターすらあずかり知らぬところでカルデアの戦力は悪魔的な勢いで強化されていくのだった。

 

 

 

 

「~♪ ~♪」

 

「楽しそうだな、フラン。うん、眼福眼福」

 

 抜けるような青空の下、鼻歌を歌いながら美しい花畑で花摘みをする美少女の図。目の保養とは正にこのこと。楽しげなフランの姿に胡坐をかいて休憩していた真は心をほっこりとさせていた。

 

「怪物か……見えねぇな」

 

 ポツリと呟く。

 

『お前は狂った怪物だ』

 

 それは彼女の生みの親、フランケンシュタイン博士から受けた絶対的ともいえる呪詛の言葉だ。生前に受けたこの罵りはフランに取ってトラウマになっており、彼女がバーサーカーでありながら高い思考能力を持っている理由でもある。

 

「あんな可愛い女の子になんて酷いことを……なんて言うのは傲慢以外の何物でもないか」

 

 もし仮にフランが生まれてすぐの、それこそ血や臓物を贈り物として差し出すような感性を持っている頃の彼女を召喚していたら自分はどんな風に接していたのだろうか。一瞬、考え込みそうになり、真はすぐにその思考を無駄だと切り捨てた。

 

「俺達の知ってるフランは怪物なんかじゃない、それが真実だよな」

 

 カルデアに召喚されたサーヴァント、フランケンシュタインは頼りになる仲間であり、そして素敵な乙女であると真は知っている。それだけで十分だ。

 

 一人納得して頷いていると、視線に気づいたフランが歩み寄ってきた。片腕に摘み取った色とりどりの花で一杯になった籠をぶら下げ、何か用かと言いたげに首を傾げている。

 

「ウゥ?」

 

「いや、何でもないよ」

 

 とりあえずフランを隣に座らせ、頭を撫でる。特に撫でられる理由は無いが、フランは拒むことなく嬉しそうに口元を緩ませていた。撫でられるのは嫌いじゃない。むしろ、こうやって普通の女の子のように接してもらえるのは大好きだ。

 

「あぁ、そうだ。ちょっと待っててくれ」

 

 何かを思いついたのか、真は傍らに置いてある自身の籠から花を幾つか取り出す。頭に置かれた暖かい感触が離れていくのにフランは少しだけ不満そうな声を上げるも、器用に花で何かを作っていく真の手許を興味深そうに見ていた。

 

「これでよし。後は枯れたり千切れたりしないようにルーンでちょちょいとやってと……」

 

 数分後、綺麗に出来上がったそれをフランに見せる。差し出されたのは様々な花で作られた色彩豊かな冠。花嫁の装飾に使われそうな可憐な冠をフランは目を輝かせて見詰めていた。

 

「これで完成」

 

 フランの頭に花冠を乗せる。サイズもピッタリで、可愛らしいフランの容姿にとても良く似合っていた。

 

「ウ?」

 

「くれるのかって? 勿論、そのために作ったんだし。要らないならどっかその辺に捨ててくれても構わな」

 

「ウゥ!」

 

 とんでもないと言わんばかりにぶんぶんと首を振る。どうして、大切なマスターから貰った贈り物をそんな風に扱えようか。

 

 一旦、花冠を頭から外して天に掲げる。他の誰も出ない、大好きなマスターがこれを作ってくれたのだ。自分のために、手ずから。そう思うと胸の中に温かな気持ちが溢れてくる。その感情はカルデアに召喚されてから、正確には共に戦う仲間達やマスターである真と出会ってから度々感じるようになっていたもの。所謂、喜びの感情だった。

 

「……ウゥ~♪」

 

 ついに感情を抑えきれなくなったのか、フランは跳びはねるように立ち上がって花畑を駆け回り始めた。喜色満面の笑みを浮かべ、花畑を走っていく姿は正に乙女。怪物性を感じる要素など微塵も無かった。踊るように喜びを露わにするフランに真は自然と微笑んでいた。

 

「ますたー……」

 

 花冠を被ったフランが走り寄ってくる。ズボンの尻に付いた土を払い落としながら立つ真へと飛びつき、ぎゅうっと抱き締めてきた。

 

「ありが、とう。だいす、き」

 

 たたらを踏む真の耳元でたどたどしい言葉で想いを伝える。彼女にとって喋るという行為は非常に疲れるものらしく、滅多にしようとはしない。そんな彼女がこうやってはっきりと言葉にするということは余程嬉しかったのだろう。オーバーにも感じられるフランの喜びように少し驚くも、嬉しく思ってくれたのならそれでよしと抱き返すことで彼女に応えた。

 

「ますたー」

 

 抱擁を解き、真を見詰める。灰色の双眸は磨き抜かれた象牙のように美しく、真に対して好意以上の感情を抱いていることを示していた。瞼を下ろし、小さく唇を突き出すフラン。何を求めているか、考えるまでも無い。フランの要望に応じるべく、真は彼女の後頭部に手を宛がい、そして……。

 

「んぁ」

 

 少し間抜けな声を出した。疑問に思ったフランが目を開いてみると、真の鼻先が僅かに濡れているのが分かった。二人仲良く空を見上げる。さっきまで晴れ渡っていたのが嘘のように分厚い雲が垂れ込み、ぽつぽつと小さな雨粒を降らしていた。

 

「こりゃ、一雨くるな」

 

 数分としない内に真の予想は現実のものになる。突如として降り始めたバケツの底を抜いたような土砂降りの雨に二人は慌てて雨宿り出来そうな場所を探した。

 

「ついてねぇなぁ、おい。まさか、レイシフト先でこんな大雨に会うとはな」

 

 花畑に来るのに歩いてきた道の傍らに生えていた木の下で二人は雨宿りをすることに。花の入った籠は濡れないようにしたため無事だったが、その代わりに二人は弾丸のような雨に散々に身を打ち付けられて濡れ鼠と化していた。

 

「災難だったな、フラン」

 

 苦笑いを浮かべる真に唸り声で返事をしながらフランは灰色に染まった雨空を不機嫌そうに見上げていた。折角のいいところを邪魔した空気を読まない天気にぶつけようのない怒りを募らせる。天候に対して怒っても疲れるだけだが、そこは複雑な乙女心。意中の男とのキスを邪魔されたとあっては、例えその邪魔した相手が自然だとしても心中穏やかではいられないだろう。

 

「しっかし、全然止みそうにないな、この雨……どうする、フラン。花も大体集め終わったことだし、カルデアに帰るか?」

 

 真の問いにふるふると首を振り、フランは蒼い双眸をじっと覗き込んだ。

 

「もうすこし、ますたーと、ふたりで、いたい」

 

 真っ直ぐに好意を伝えてくる、健気な少女の望みに真は思わず相好を崩す。目の前にいる少女のことがとても愛おしくなり、気付けばポンポンと濡れた髪を撫でていた。

 

「じゃ、雨が止むまで待ってるか」

 

「ゥ」

 

 二人で身を寄せ合い、雨雲が通り過ぎるのを待つが、一向にその気配は無かった。それどころか、どんどんどんどん激しくなっていく。濡れた服が肌に張り付き、体温を徐々に、確実に奪っていった。サーヴァントのフランはともかく、人間の真には些か辛いものがあり、知らず知らずの内に真は歯をカチカチと噛み鳴らしていた。

 

「ウゥ……」

 

 心配そうに顔を覗き込んでくるフランを安心させようと笑みを浮かばせた真はふとあることに気付く。視界が悪くなるほどの雨が降り注ぐ中、こちらに向かって何かがやってくるのが見えた。フランも気づいたらしく、近づいてくる小屋ほどの大きさのそれに警戒心の籠った視線を向けている。一分もしない内にそれは二人の前に姿を現した。

 

「お二人さん、こんな雨の中どうしたの?」

 

 それは何の変哲も無い馬車だった。二頭の大きな馬に引かれた、幌に覆われた車の御者台に乗ったいかにも農夫といった感じの恰幅のいい中年男性が二人に声をかける。雨除けの服を着込んだ農夫に真はこんにちはと頭を下げた。

 

「ちょっと、花を取りに来たんです。そしたら、こんな天気になっちゃって」

 

「そいつは災難だったねぇ」

 

 手に持った籠を持ち上げて見せる真に農夫は人の良さそうな顔に同情の色を浮かべる。

 

「オラ、これから家さ帰るとこなんだけど、もし良かったら君たちの家に送っていこうか?」

 

 農夫の申し出に真は申し訳なさそうに手を振った。この馬車ではどう頑張っても真達の家(カルデア)に戻るのは無理だろう。

 

「お気持ちだけありがたく。結構、遠いんで」

 

「そうかぁ。じゃあ、雨宿り出来るとこまで連れてこうか? オラ達農夫が休憩する時とかに使ってる小屋が少し先にあんだけど」

 

 願っても無い提案だった。是非と頷いた真と彼の連れであるフランを農夫は快く馬車の中に迎える。

 

「よくよく見ると、随分変わった格好してるね、君達」

 

 見慣れぬ服装の真とフランを農夫は不思議そうに見ていた。特に花嫁衣裳のようなドレスを纏ったフランは不思議というより最早怪しいと言われても仕方ないレベルなのだが、元来の性格が余程お人よしなのか、農夫はそれ以上何も言わずに手綱を操って馬を歩かせ始める。

 

 世間話をすること数分。農夫のいう小屋へと辿り着いた。建てられてそれなりの年数が経っているのか、雨風を受け続けた壁や屋根はくすんだ色をしているが、造り自体はしっかりとしている。雨宿りするには十二分すぎるくらいだ。

 

「ありがとうございます」

 

「いいって、いいって。困った時はお互い様だよぅ。中にあるものは片付けてくれれば自由に使っていいから」

 

 じゃ、と自分の家に帰る農夫を乗せた馬車に一礼し、二人は小屋の中へと入った。それなりの頻度で使われているのか、木目の床に埃が積もったりゴミが散乱しているということはなく、綺麗に整頓されていた。部屋の中央には長方形のテーブルと四脚の椅子、隅には幾つかの箱があり、中には体を拭くのに使えそうな厚手の布が折り畳んだ状態で収められている。

 

「これで拭けそうだな。ほら、フランも……フラン?」

 

 取り出した布で水滴を垂らす髪を拭いながら真はフランにも布を渡そうとする。しかし、一向に受け取られる気配がない。訝しげに頭にかけた布の間から顔を覗かせると、せっせと服を脱いでいるフランの姿が。既に大半を脱ぎ終えており、控えめな胸の頂点にある綺麗なピンク色の突起を恥ずかしがる様子もなく晒している。

 

「あの、フラン。何してんの?」

 

「ウゥ」

 

「え、こういう時は裸になって人肌で互いを温め合う? いや、確かに間違っちゃいないと思うけど……そもそも、そんなこと誰に教わった?」

 

「だ・う゛ぃんち」

 

「何やってんのあの人!?」

 

 きっと、フランがそういった知識に疎いのをいいことに面白がって色々なことを吹き込んだのだろう。思わず頭を抱える真を他所にフランはパンツも脱ぎ終え、一糸纏わぬ姿になった。唯一、頭には真が作ってくれた花冠が乗せられているが、果たしてそれを服と呼んでいいのかどうか。

 

「ゥ」

 

「え、俺も? ちょっと待った。いきなりそんなこと言われても心の準備ってものが」

 

 戸惑う真の服にフランは容赦なく手をかける。興奮に若干鼻息を荒げながら、何時になく積極的な態度で真の服を脱がしていった。服を破かないよう慎重に、しかし昂ぶる心を抑えきれずにやや乱雑に服を剥ぎ取っていき、空いている椅子の背もたれにかけていく。あっという間に真を素っ裸にし、フランは彼の両肩に手を置くようにしてピッタリと身を寄せた。

 

「ますたー……」

 

 うっとりと頬を赤くしながら真を見詰めるフラン。心地よい感触のきめ細かい肌は温かく、自然と彼女の裸身を抱き締めてしまうくらいに魅力的だ。とても彼女が血管の代わりに体内にケーブルを張り巡らされた人造の生命体とは思えない。触れ合う肌は柔らかく人間的で、小振りな臀部を撫でられぴくんと体を震わせる様はとても女性的だ。

 

 愛する男を見入っていた濡れた瞳が瞼に覆われる。邪魔するものはもう何もない。ゆっくりと真の口元に唇を近づけ、

 

 コツン。

 

「まぁ、こうなるよね」

 

 唇と唇が触れ合う前にフランの額にある角のような装飾具がキスの妨げとなった。苦笑いをしながら真はうぅ~と憤懣やるかたない様子のフランを宥める。どれだけ彼女から感じられるものが人間的なものだとしても、本来耳があるべき場所にある筒状の金属機関や額の角が彼女を人の営みによって生まれた者ではなく、常識の埒外にある方法で造られた存在だということを物語っていた。

 

(だからそれがどうしたって話だけどな)

 

 そんなことは別段気にすることではない。何か別の方法で口付けをしようと真が口を開くよりも前にフランが自身の額の角を掴んだ。キュポッ、と何かが引き抜かれるような音。

 

「あ、自分で取ったり付けたり出来るんだ、それ」

 

 余りに予想外の光景に真はあんぐりと口を開く。自らの角を取り外したフランは特に痛がる素振りも、何かしらの異常を見せたりはしなかった。さっきまで角のあった部分も滑らかな皮膚に覆われており、まるで最初から何もなかったかのように綺麗だった。

 

 三度目の正直。今度こそ、フランは真の唇を奪った。初めてのキスに感極まり、フランはその身を打ち震わせる。ただ、触れ合わせているだけだというのに体が喜悦の余りに溶けてしまいそうだ。

 

 より強く感じ合おうとフランは真の首に両腕を回し、自分の方へと引き寄せて更に唇を押し付ける。顔にフランの幸福そうな鼻息がかかるのを感じながら真も腕に力を込めてフランを抱き寄せた。女体の柔らかさと男体の逞しさがそれぞれの興奮をじわじわと大きくさせていく。

 

 一瞬、唇が離れる。間髪入れず、今度は真の方からフランに口付けをした。さっき言っていた心の準備とやらが出来たらしく、フランの体に両手を這わせて肌の張り艶、そして弾力を指先で愉しむ。フェザータッチで肌の上を滑っていく指の感触にフランは身震いし、無意識の内に口元から快楽に染まった小さな喘ぎを漏らしていた。

 

 真は僅かに唇を開き、舌で小さくフランの唇を舐め上げた。突如、唇に電流のように走った快感に驚いたフランは弾かれたみたいに真から顔を離した。

 

「フラン、舌出して」

 

 優しいが、どこか有無を言わさぬ迫力の籠った真の言葉に従い、フランは恐る恐る開いた口から舌を覗かせる。良い子だ、とフランの額にキスし、真は外気に晒されたフランの舌に彼女同様に伸ばした自分の舌を絡ませた。

 

 自分の舌に真の舌が巻き付いてくる感触に慄き、フランは思わず体を強張らせる。体をカチコチにさせるフランを安心させようと真は舌を絡み合わせたまま彼女の背中を優しく擦った。徐々にフランの体が弛緩していき、舌に感じる快感を素直に享受できるようになっていった。

 

 ねちゃねちゃと湿った音を立てながら舌先、舌腹、舌裏を舐め回される。舌全体に感じる熱く気持ちいい触感にフランの思考や理性は加速的に溶かされていった。熱に浮かされたように瞳をぼうっとさせながらフランも怖々とではあるが、自分から舌を動かし始める。真が舌でリードしていると、見る間にフランの舌は滑らかに動くようになり、数分も経つ頃には淫らな音を奏でて真と舌を搦め合っていた。

 

 フランがこなれてきたのを見て、真は次のステップに進む。フランの舌を巻き込み、捻じ込むようにして彼女の口内に舌を差し入れた。目を大きく見開くフランを両腕で抱き竦め、彼女の口内を舐め回しながら唾液を啜り上げ、同時に自身の涎を流し込んでいく。絶大な刺激と巨大な快感を伴った初めてのディープキスにフランは酩酊に似た状態になり、碌に考えることも出来ぬまま与えられる唾液を嚥下していった。

 

 体が熱くなるのに並行して秘所がじゅんと潤い、そして疼き始める。容赦なく襲い掛かってくるディープキスの快感にフランは生まれたての小鹿のように脚を震わせ、ビクン、ビクンと断続的に体を痙攣させた。

 

 味わい尽くしたフランの口内から舌を引き抜く。カクン、と糸が切れたように俯くフランの顎に指を当て、くいと持ち上げる。涎塗れになった口元、放心したように呆然としている瞳。真の巧みな舌技はフランを体の髄から蕩けさせ、少女を女、そして雌へと変えてしまった。

 

 虚ろだった瞳に欲望の炎が灯る。媚びた目を向けてくるフランの頬を撫でながら真は反対の手を彼女の股間へと下ろしていった。指先が湿り気のある割れ目へと到達する。彼女の中に人差し指を第一関節まで入れてみると、潤沢に蜜を溢れさせた膣内が奥へと誘い込むように蠢いてるのが指先で感じ取れた。

 

「したいか?」

 

 指を引き抜きながら問う真にフランは頷いて見せる。この人と早く一つになりたい。内側から体を焼き尽くさんばかりに燃え上がる肉欲を覚えながら、フランはでもと拙く口を動かした。

 

「ますたーを、きもち、よくして、あげたい」

 

 自分だけじゃなく、相手にも気持ち良くなって欲しい。そんな思いを抱いたフランの表情は気遣いに満ちており、同時にどこか妖艶だった。

 

 

 

 

 床の上に敷いた布の上に膝立ちになったフランの前に仁王立ちする真。少女の眼前には膨れ上がり、凶悪な姿になった男の象徴があった。生で、それも初めて見る長大なサイズの男根に軽く慄きながらフランは指示を求めて目線を真へと向ける。

 

「そうだな。まずは手で軽く扱いてみてくれ」

 

 真の言葉に従い、フランは恐る恐る逸物へと手を伸ばした。指先が血の集まった海綿体に触れる。想像を遥かに超える硬さと熱さに、熱された薬缶に触れたかのようにフランは手を引いた。

 

「無理そうだったらやらなくてもいいからな」

 

 気遣う真に首を振って見せ、フランは再び手を伸ばす。ゆっくりと慎重に、生唾を呑みながら右手の指を逸物に絡ませた。右手に感じる火傷してしまいそうな熱さにほぅと息を吐きながらフランはさっきの真の言葉を思い出し、ゆっくりと右手で剛直を擦り始めた。

 

「そう、そんな感じ。上手だぞ」

 

 獲物に近づく蛇のように緩慢に背筋を這い上がってくる快感に軽く鳥肌を立てながら真はフランの頭を撫でる。褒められ、気分を良くしたフランは徐々に右手の動きを速めていった。逸物を包む手の力を少しづつ強め、肉竿よりも大きく拡がるカリ首に指を引っかけるように手を往復させると真の口から小さなうめき声が漏れる。

 

 しゅっ、しゅっとテンポ良く、リズミカルに手を動かしていると、肉棒が小さく震えだした。充血していた亀頭に更なる血が集まり、赤いを通り越して赤黒くなり出している。亀頭先端の鈴口はパクパクと開き、透明な玉のような雫を吐き出していた。

 

 男根の小さな穴から出てきた透明な液体に興味を惹かれ、フランは手を動かしたまま顔を近づける。どこか生臭いような、でも脳の奥の疼かせるような匂いがフランの嗅覚を刺激する。胸中で鎌首をもたげた興味の赴くまま、フランは味覚でも感じてみようと小さなピンク色の舌で雫を浮かせる鈴口を舐めた。

 

 フランの手淫で敏感になった粘膜に温かく柔らかい、そしてざらついた感触が走る。唾液でぬらつく舌がもたらす快感に真は呻き声を大きくし、一際強い反応を示した。

 

 もう一度、フランは亀頭に舌を這わせる。腰を浮き上がらせながら体を震わせる真を見てフランは悟った。舌でされるのも気持ち良いのだと。そう気付いたフランは再び口を開き、舌と手の二重の奉仕を始めた。

 

 ぺちゃぺちゃと音を立て、子猫がミルクを舐めるようにフランはキノコみたいに膨れた亀頭に舌を絡ませる。赤黒い亀頭粘膜を味わうように舌を滑らせ、カリ首やその下にある窪みににゅるにゅると巻き付けた。

 

「す、ごいな、フラン。凄く気持ち良いよ」

 

 真の言葉に気を良くし、フランは行為に更に熱を込めていく。牛の乳を搾るように男根を擦り上げ、次から次へと溢れてくる先走りを舐め取っていった。お世辞にも美味いとは言えないが、何故かもっと飲みたいと思わせる味わい。どんどんと濃くなっていく我慢汁の味に我を忘れ、気付けばフランは逸物を口内深くまで咥えこんでいた。

 

 両手を真の太腿に当て、頭を大きく前後させて男根をしゃぶり上げる。窄めた唇や頬で肉竿を刺激し、濃い味になっていく我慢汁を搾り取っていった。ペニス全体を口内粘膜に包まれる快感に真は思わず背筋を反らさせる。きゅっと締められた唇が肉棒を擦っていく感触、硬く張り出しカリを頬肉や舌が擦り上げていく快感は凄まじく、真は握り締めた拳を震わせていた。

 

 量を増して溢れ出てくる腺液が真の快楽の度合いを示す。自分の奉仕が確実に愛する男を感じさせていることに興奮しながらフランは口奉仕を激しくさせた。

 

 喉の奥に亀頭が当たるのも構わずに深々と肉棒を吸引する。根本を唇で柔らかく締め付け、頭を振りたくって男根の先端から付け根までピッタリと密着させた口内粘膜で摩擦していった。

 

 人造の存在であるためか、息苦しい様子など微塵も見せずにフランはディープスロートで真を絶頂へと昇らせていく。唇が男根の根元に当たる度、唾液と先走りが混ざった飛沫が飛び散って真の太腿やフランの顔を濡らしていった。

 

「んっ、ぢゅる、ぢゅるる、ぢゅば、ぢゅぼ♡」

 

 派手に下品な音を上げながらフランは舌を肉棒に巻き付け、唾液を硬い肉の塊に擦り込んでいく。過激なフェラチオを続けながらフランは真の太腿に置いていた右手を自身の秘所へと運んだ。弄られた訳でもないのにそこは愛液でしとどに濡れ、洪水状態になっていた。指を割れ目の中へと挿れ、濡れそぼった肉孔を刺激してみると火花が飛び散るかのようにフランの脳内で快楽が弾ける。

 

「ヴゥ……」

 

 快感に腰砕けになりそうになるも、何とか耐え切った。秘所に指を出し入れさせ、己も快楽を味わいながらフランは口淫で真を射精へと追い詰めていく。口内でビクビクと小刻みに脈動する男根は何時発射の時を迎えてもおかしくはなかった。

 

「フラン、そろそろ出る……」

 

 流石に初めてで精液を直飲みさせるのはまずいと思ったのか、真は限界が間近に迫っていることをフランに伝える。しかしそれは完全な逆効果であり、フランは一層頭を苛烈に動かしていく。今や彼女の頭の中は欲望一色に染め上がっており、真と共に気持ち良く果てることしか考えていなかった。

 

 肉壺を弄る指を一本から二本に増やして自身はより大きな快感を貪り、唇を締め上げながら頬を窄めて肉棒を激しく吸い上げることで真の射精感を急増させる。男根を包む強烈かつ甘い圧迫に溜まっていた快感が爆発した。

 

 喉奥に触れるほどに深く咥えられていた亀頭が膨れ上がり、爆発するように白濁液を放ち始めた。大量に精を出しているにも関わらず、もっとと催促する逸物の裏筋を舐める舌や逸物をきつく締める口内の感触に歯を食い縛りながら真は勢いを衰えさせることなく射精を続ける。

 

 腹の中に雄臭い粘液が鉄砲水のように流し込まれていくのを感じ、フランは同時に絶頂して滝のような潮を床の布に噴き出す。ビクンビクンと体が痙攣し、目尻には涙が浮かんでいた。

 

「ちゅうううぅぅぅ……ちゅぽっ」

 

 尿道に残った全ての精液を吸い付くし、漸くフランは男根から口を離した。荒い息をしながら二人は見つめ合う。

 

「きもち、よかった?」

 

 フランの問いに真は撫でることで答えた。ちゃんと奉仕が出来た嬉しさに微笑みながらフランは立ち上がり、頭を撫でていた真の手を自分の秘所へと導く。びちょびちょになったそこを真に触らせながらフランは情欲の光が宿った瞳を鈍く輝かせた。

 

「ますたー……」

 

「分かってる。ちょっと、待っててくれ」

 

 フランの額に軽くキスし、真は準備を始める。箱の中に残っている布を数枚取り出し、テーブルの上に重ねて置いた。軽く体重をかけながら布に手を押し当て、テーブルの硬さが感じられないことを確認する。手早く作業を終えた真はフランをお姫様抱っこし、布を敷いたテーブルの上にゆっくりと横たわらせた。

 

「痛くないか?」

 

 コクリと頷くフラン。少しでも痛くないようにと思って使った布はちゃんと効果を発揮してくれているようだ。指の背でフランの頬を撫でながら真は彼女の裸身を見下ろす。透き通るように白い肌、慎ましやかな胸の先端で美しく桃色に色づく乳首。女性特有の柔らかさを感じさせる体のラインは悩ましく、女性器は陰毛一つ生えていない所謂パイパンだった。

 

「綺麗だよ」

 

 真のお世辞なしの言葉にフランは頬を染めて喜ぶ。もう一度、フランの額にキスし、真は右手でフランの太腿を撫でながら左手で勃起した愚息を握り、秘所へと狙いをつけた。

 

「いいか?」

 

 フランが頷いたのを見て、真は己の分身をフランの中へと埋め込んでいった。熱く蕩けた肉壺は初物であるにも関わらず、肉襞を掻き分けて侵入してくる逸物にぴったりと吸い付いてくる。不規則に動く何重もの襞が男根に柔らかく絡みつき、腰を進めていくごとに二人に甘美な快感を味あわせた。

 

「ゥ、ゥ……」

 

 快楽に顔を染めながら唸るフラン。膣内が肉棒の形に拡げられていく感触に両足の先をぎゅうと丸めながら濡れた瞳を真に向けて更なる挿入を求める。彼女の声の無い要求に応じ、真は締め付けてくる無数の肉襞を逸物で押し広げながらフランと根本まで繋がり合った。

 

 女を自分のものにする満足感、男に膣内を満たされる充足感。交わり合った男女はそれぞれの胸中に産まれた達成感にも似た感情に満足げな吐息を漏らす。見詰め合う二人。互いの瞳の中には相手に対する情欲と確かな愛情の光があった。

 

「動くぞ」

 

 真の言葉にフランは期待に胸を高鳴らせる。初めてではあるものの処女を奪われた痛みは無く、脳が痺れてしまいそうな快感を味わっていた。これから与えられるであろう更なる快楽を考えると鼓動は加速し、膣内は早くとねだるように肉襞を蠢かせた。

 

 ゆっくりとピストン運動を始める真。蜜壺から抜け出そうとする逸物を逃がすまいと纏わりついてくる肉襞の感触に背筋を粟立てながら限界まで腰を引き、膣内へと押し戻す。出っ張ったカリ首に膣粘膜を引っ掻かれ、フランは全身を紅潮させてよがった。半開きになった口から呻き声とも嬌声とも取れる声を上げ、胎内で脈動する男根の熱さに体を震わせる。

 

 やわやわと絡みついてくる肉襞に快感を染み込ませるように真は一定のリズムで腰を前後させる。子宮口をノックされる度、フランは小さく短い悲鳴のような喘ぎを上げ、傍目から見ても分かるくらいに体を痙攣させた。膣内を貫かれる快感に体をしならせ、硬いテーブルに敷かれた布を両手で弱々しく握り締めて絶頂へと向かっていく。

 

 高まる感度に合わせて具合が良くなるフランの膣内に真は下腹に力を込めて耐えた。亀頭や肉竿の快感のツボを的確に責めてくるようになった雌穴はぐちゅぐちゅと音を立てて逸物にしゃぶり付き、肉襞をざわめかせて射精を促している。精を搾り取ろうとする膣内の動きに歯を食い縛り、真はフランの太腿に回した腕に力を込めて体を引き寄せると同時により強い抽挿を叩き込んだ。

 

「ゥゥ、ァゥ……!」

 

 右肩上がりに強くなる性感に乳首を硬く勃たせてフランは体を悩ましく右に左にくねらせる。全身に行き渡る肉悦に薄らと涙を浮かべながら更なる快楽を貪ろうと腰を揺さぶっていた。奥から溢れる蜜でヌメりの強くなった肉襞を蠕動させ、一分の隙間も無く真の分身を締め上げる。逸物が戦慄き、鈴口からとぷとぷと濃厚な先走りを吐き出して膣内の滑りをより良いものにしていた。

 

 募っていく射精感に従い、真は腰の動きを早くしていった。パンパンと音を鳴らして腰をぶつけ、フランの女体を波打たせる。カリに掻き出された淫液がフランの太腿を濡らし、敷かれた布に大きな染みを作っていく。甘い圧迫感を伴って肉棒を押し潰してくる肉孔に興奮を煽られ、肉欲に突き動かされるがままフランを犯していった。一方、フランもだらしなく開いた口から舌を覗かせ、顔が涎で汚れるのも構わずに快感を享受していく。頭の中は快楽で真っ白に染まり、もう自分を犯す雄の精を受け取ることしか残っていなかった。

 

 速く、力強く肉壺を抉っていた男根が大きく膨れ上がる。逸物の形に拡げられていた膣内を更に押し広げられたフランの口からひぅっ、と声が漏れた。同時にピタリと子宮口にキスをした亀頭の先端から白濁液がマグマのように噴き出した。

 

「~~~っっっ♡」

 

 子宮に精液を流し込まれ、フランは声にならない嬌声を上げて体を弓なりに反らせる。背筋でなだらかな山を描き、何度となく体を痙攣させて逝き続けた。真も体をびくつかせ、頭の中がスパークするような絶頂を味わいながら震える女体に欲望を注ぎ込み続けた。子宮内に収まり切らず、膣道を逆流してきた精液が潮と共に溢れてくる。

 

 数分にも及ぶ長い射精を終え、真はどうにか一息ついた。額に浮かんだ玉のような汗を拭い、繋がり合ったままのフランを見下ろす。絶頂を登り切った少女は全身を弛緩させて手足を投げ出し、荒く浅い呼吸をしながらぼんやりとした目で天井を見上げていた。

 

「フラン」

 

 優しく呼びかけながら真は少女に覆い被さる。虚ろになっていた瞳が真の姿を映し、フランは嬉しそうにふにゃりと表情を緩ませた。

 

 唇を突き出し、両腕を伸ばすフランを抱き上げる。啄むようなキスをフランにしながら真は彼女が落ちないように熱く火照った女体を抱き締めた。むせ返るような汗と雌の匂いを胸一杯に吸い込む。

 

「ますたー、だいすき」

 

「俺も。大好きだよ、フラン」

 

 真の返答に目元を緩ませ、フランは今度は自分から口付けをする。最初は互いの舌をゆったりと絡め合っていただけだったが、舌での交合はどんどんと激しさを増していき、ついには二人の情欲の炎を再び燃え上がらせるにまで至った。

 

「ますたー、いっぱい、しよ」

 

 フランの求めに頷き、真は彼女を抱きかかえたままの体勢で腰を振り始める。さっきよりも深い交わりにフランは声を上げて啼き、結合部から精と蜜が混ざった粘液をぼたぼたと床に垂れ落としていた。

 

 外で雨が降り注ぐ中、二人は雨宿りをしていたことなどすっかり忘れ、獣のような声を小屋内に響かせて只管愛し合い続けた。

 

 

 

 

「これで最後、っと。ほい、フラン」

 

「ゥ」

 

 真から洗った布を受け取ったフランは破かないように力加減をしながら布の皺を伸ばし、二本の木の柱の間に張られた紐に布をかけた。十数メートルほどの長さのある紐には何枚かの布がかけられており、そよ風を受けて緩やかに靡いていた。

 

 二、三時間ほど前まで豪雨が降っていたのが嘘のように空は晴れ、太陽は若干西へと傾きながらも燦々とした陽光で世界を照らしている。降り注ぐ日光が洗濯された布を乾かしていく中、真とフランは情事の後の片づけをしていた。

 

 情事を終えた二人は互いの体液で汚れた布や床を見て、流石にこのままにしておくのはまずいと掃除を始めたのだ。幸い、その頃には既に雨は止んでいたので、小屋の外にある井戸で体を洗ったり、濡れていた服を外に干すことが出来た。服が乾くまでの間、二人はまだ使っていない清潔な布を体に巻いて小屋の中を掃除していた。床の上の水溜りのようになった精液と愛液の混ざった粘液を拭き取り、窓を開けて空気を換気する。掃除が終わるころには服も着れる程度に乾いており、今は服を着て外で使った布を洗っていたところだ。それももう終わり、二人は仲良く並んで干した布が風に揺れる様を見ていた。

 

「おぉ~い、お二人さん」

 

 呼び声に振り返る。小屋へと続く道を見覚えのある馬車が進んでいた。さっき、二人をこの小屋まで連れて来てくれた農夫の馬車だ。御者台に乗った農夫が二人に向かって手を振っている。

 

「こんにちは、どうかしたんですか?」

 

「いやね、お二人さんはそんな変なことするような人には見えなかったんだけど、万が一小屋を壊されたり何か盗まれたりしたら嫌だからちょっと様子を見に来たんだけど」

 

 挨拶をする真に笑って見せながら農夫は小屋を、そして干された布を交互に見る。降って湧いたような疑問を解消するべくここまで来たが、完全な杞憂だったようだ。

 

「それにしてもお二人さん、随分仲が良いんだねぇ。遠目から見たら夫婦にしか見えなかったよ。何、そういう関係?」

 

 夫婦。農夫の口から出た単語にフランは爆発でもしたかのように顔を真っ赤にさせた。

 

「はは、ご想像にお任せします」

 

 そこに追い打ちをかけるように真はフランの体に手を回して抱き寄せる。プシュー、と頭から煙を噴きそうなフランと彼女を抱く真に農夫は己の予想が当たったとはしゃいでいた。

 

「やっぱり、そうなんだ。いやぁ、懐かしいなぁ。オラも昔はお二人さんみたいにかあちゃんとイチャイチャしてたもんだよ。毎日元気にハッスルして、今じゃ子供が十人いてね」

 

「そいつは大家族ですね」

 

 農夫と談笑する真の横顔を不満げに見詰めるフラン。自分を放って他人と話をする真に何か物申したそうにしているが、彼の横顔を見る顔はとても幸せそうだった。

 

 

 

 

 余談だが、カルデアに戻ったフランは会う人会う人皆に真から貰った花冠を自慢したらしい。その日から、真はサーヴァント達に私にも何か作れ的な視線を送られることになるが、それは人理修復とは何の関係もないことだ。




 軽いキャラ紹介

『フランケンシュタイン』
マヂ天使。作者はFGOに花嫁フラン『フラン・ブライド』が実装されるのを心より待っています。まぁ、そんなのが実装されたら作者の懐は氷河期を迎えてしまいますが。無理に喋らせようとせず、また喋れないバーサーカーだからと意思疎通を放棄せずに接してくれたマスターのことが大好き。


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『マシュ・キリエライト』ビースト爆誕

『WARNING キャラ崩壊注意』

『WARNING キャラ崩壊注意』

『WARNING キャラ崩壊注意』

『WARNING キャラ崩壊注意』

『WARNING キャラ崩壊注意』


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

「えへへ、先輩」

 

 人理継続保障機関『カルデア』の一室。ベッドの上で抱き締めながら寝るのに丁度いいサイズの縫いぐるみ、カルデア最後のマスター遠野真をモチーフに作られた通称シン君を愛おしそうに頬擦りしている少女の名はマシュ・キリエライト。英霊の依代となるために生み出された存在であり、マスターである真や仲間のサーヴァント達、そして今生き残っているカルデアスタッフ達の尽力によって真っ当な人としての人生を送れるようになった産まれたての『人間』だ。

 

 マシュはとある計画によって作られた試験管ベビーだ。その計画というのが人間にサーヴァントを宿す(ロマニ曰くサーヴァントを人間にする)という非常に無茶なモノであり、そんな出鱈目な計画の産物である彼女がまともな人間であるはずも無かった。英霊を宿すためだけに作られた体は様々な投薬や実験で寿命を擦り減らされており、十八歳までしか生きられないと言われている。

 

 いや、言われていた(・・・・・・)という方が表現としては正しいだろう。というのも、既にマシュの体の問題は解決しているのだ。他ならぬ彼女のマスター、真によって。

 

 ロマニの口から語られたマシュの出生に真は人生初めてのマジ切れ状態となり、人理救済の使命を全て放り投げてマシュの体を正常にすることを自身の最優先事項としたのだ。

 

『人類最後のマスター様がやるって言ってんだよ、文句なんてないよなぁ!?』

 

 と、人生最初で最後の傍若無人っぷりを発揮し、ロマニを筆頭にしたカルデアスタッフは勿論ダ・ヴィンチちゃん、そして当事者であるはずのマシュすら置いてきぼりにして真は事を進めていった。

 

 マシュにもっと生きて欲しい、もっと色んな世界を見て欲しいという真の願いに快く協力してくれたサーヴァント達と共に様々な時代にレイシフトした。例えレイシフト先が神秘に満ちた紀元前であっても、マシュの体を健全な人間と同じものに出来る可能性が極小でもあるのならば無理を通してその時代へと赴いた。

 

 無論、カルデアに残って真達を送り出すスタッフ達の苦労も馬鹿にはならなかった。レイシフトした先で何も見つけられず、カルデアに戻ってきては碌な休憩も取らずに次の時代に向かう真達に付き合い、スタッフ達もほぼ不眠不休で仕事をしていた。

 

 本来の仕事である人理救済とは全く関係ない、それこそ唯の子供の我儘に付き合わされているにも関わらず、不満を漏らす者は誰一人としていなかった。

 

 その我儘が眉を顰めるようななものだったら、例えば世界中の美女を自分のものにするといったような馬鹿げたものだったら誰も協力しようとはしなかっただろう。しかし、真が抱いた願いは共に戦う少女(マシュ)に生きて欲しい、人生を、世界を楽しんで欲しいという無碍にするには余りに尊く、輝かしいものだった。

 

 世界の命運を背負ってしまうことになった、人理救済の使命を押し付けられることになった年下の、下手をすれば自分の子供よりも若い少年の願いを叶えられずに何が大人だ、と奮起し、スタッフ一同は真の無茶に血反吐をぶち撒ける思いで(実際、ロマニは過労で血を吐いてぶっ倒れていた)付き合った。

 

 一か月にも及ぶ、ブラック企業も裸足で逃げだしそうな地獄という表現も生温く感じる強行軍の果てに彼らはやり遂げた。マシュの体を健康なものにすることに成功したのだ。もう、彼女を縛る寿命の問題はなく、無菌室で過ごす必要も無い。理不尽に奪われていた資格を、人生を自分の思うように好きに謳歌できる、人が当たり前に持っている権利を彼女は取り戻したのだ。

 

 正直な話、体が人並みになったと聞いてもマシュは今一ピンと来なかった。何故なら既に彼女は自分の寿命や体の活動限界を悟っており、それを承知で真達と共に戦ってきたのだ。それをいきなり、君もう普通の人間と同じように生きられるから、と言われても実感はビックリするほど湧かなかった。ただ、

 

『それでいいんじゃないか? 実際、お前の体の問題クリア出来たけど、人理救済の旅はまだ続いてるんだし、今は全部が終わった後に何がしたいかくらいに考えておけばいいさ。でも、これだけは覚えておいてくれ。俺も、ドクターや皆も、マシュに生きて欲しいんだよ』

 

 真の言葉が嬉しくて、感謝の言葉を伝えようにも胸に何かが閊えていて、気付けば彼の胸に顔を埋めながら人目も憚らずに大泣きしてしまったことは鮮明に覚えている。マシュ・キリエライトという人間の生存を望む人がいて、生かすために死力を尽くしてくれた人達がいる。何て幸福なのだろうか。マシュは確信を以て断言出来た。この世界で自分は誰よりも幸せな人間であると。

 

「先輩。わたし、全てが終わったら先輩とデートがしたいです。一緒に買い物に行って、先輩に服を選んでもらったり、私が先輩の服を選んだり。一緒にご飯を食べて、一緒に映画を見て。それから……」

 

 今、マシュは以前に真に言われたグランドオーダーが果たされた後にしてみたいことを口に出して列挙していた。顔に嬉々とした表情を浮かべ、ぎゅっと抱き締めたシン君に語り掛けている。

 

「デートの終わりに夜景を見ながら歩いて、いい雰囲気になって、わたしと先輩はキスをして、その後二人はほ、ホテルに……」

 

 頭の中に描いたピンク色の未来予想図にマシュはキャー、と乙女チックな悲鳴を上げ、ベッドに倒れ込んで両脚をぼふぼふとばたつかせた。

 

 顔がにやけて仕方がない。頭の中に思い描いた未来が現実のものになるかどうかはともかくとして、真と一緒に何かをすると考えるだけでマシュは天にも昇る気持ちになっていく。真のことを考えるだけで幸せだった。

 

「先輩……」

 

 ふと、マシュの顔が翳る。さっきまで天上の星のように浮かれていた気分は急転直下し、浮かべられる表情は暗澹たるものになっていた。

 

「わたしはこんなにも強欲な女だったんですね」

 

 自嘲気味に呟く。マシュは自分がこの世で最も幸福な人間だと思っている。身に余る幸せを享受していることも理解しているつもりでいる。だというのに、彼女は更なる幸せを、女としての幸せをも求めるようになっていた。真と生涯を共にし、健やかなる時も病める時も手を取り合って歩いていく未来を彼女は切望していた。彼の周りに何人もの女性がいると知っていながら、だ。

 

 元々、マシュは真と出会った当初から彼に対して淡い想いを抱いていた。しかし、出生の所為で碌な人生経験も積んでいなかったマシュはその感情が恋だということには気付けず、自分が真に恋をしていると自覚した時には既に真は複数の女性と関係を持っていた。誰もが皆、自分など足元にも及ばないような魅力的な女性達だ。

 

 諦めようと思った。自分如きが敵う人達ではないと、何よりもマスターの苦労をこれ以上増やすわけにはいかないと思い、マシュは己の気持ちに蓋をした。しかし、駄目だった。真と共に戦場を、窮地を潜り抜けていく内に想いはどんどんと膨れ上がり、今となっては自制するのが難しいほどに真への恋心は巨大なものになっていた。

 

 自分みたいな小娘が相手にされる訳がないという諦念とマスターに負担をかけてはいけないという自制心がマシュの心を抑えつけ、同時に真に愛されたいと思う願いが大蛇のように胸の中で暴れ狂う。今まではどうにか制御出来ていたが、もう彼女は爆発寸前だった。

 

「先輩、わたしは……」

 

 息苦しさに胸元を押さえる。自制と欲望が板挟みとなって、マシュを葛藤という名の無限回郎へと引きずり込む。悶々と一人悩むマシュ。そんな彼女に近づく一つの影。

 

「フォウ(悩んでいるようだなぁ)」

 

「そ、その声は……!」

 

 突如、聞こえてきた声にマシュはハッと起き上がり、居住まいを正した。ベッドの上でぴしりと背筋を伸ばし、正座を組んだ彼女の前に現れたのは、

 

「フォーウ(なぁにを悩んでいるぅ、ムァシュ・キリエライトォゥ)」

 

 カルデアが誇る不思議生物系マスコット、フォウ君だった。今日もモコモコフワフワ、素敵な毛並みをしている。ちょこんとベッドの上に座ったフォウ君は動物のものとは思えない理知的な光を湛えたアメジスト色の瞳をマシュに向けていた。

 

「フォウ(かぁれの、ことか?)」

 

「それは……はい。フォウさんは何でもお見通しなんですね」

 

 リスなのか何なのかよく分からない謎生物の鳴き声に神妙な面持ちで頷く美少女の図。この上なくシュールだ。

 

「フォフォウ。フォウフォウフォ(ぬぁぜ悩む? もう、答えは出ているのだろう?)」

 

 マシュは表情を曇らせた。フォウ君の言う通り、マシュの中で既に答えは出ている。真に自分も愛して欲しいという我儘を貫くか、それとも真にこれ以上の負担をかけてはいけないと諦めるのか。選択肢はこの二つしかない。

 

「フォーウ、フォッフォウ(お前がそうやって悩んでいる間にも、(あいつ)に想いを寄せている者達はそれぞれの方法でアプローチをかけているぞ。お前はぁ、それを指を銜えて見ているだけなのか、ムァシュ・キリエライトゥ?)」

 

 俯き、握り締めた拳を震わせるマシュにフォウ君は容赦なく言葉を投げつける。言われるまでも無く、マシュは知っていた。自分以外にも真を想う人達がいて、その人達は真のことを諦めるつもりなど更々なく、虎視眈々と愛を交わすチャンスを狙っていることも。

 

「わたしは……先輩の苦労を増やしたくないです……」

 

「フォウ(なら、諦めるのか?)」

 

「それは……それも、嫌です。わたしだって、わたしだって先輩のことが大好きなんですから……!」

 

 主張するようなことではないのだろうが、声に出さずにはいられなかった。

 

「わたしが、わたしが一番最初に先輩を好きになったんです!」

 

 大粒の涙を流し、震える声を絞り出しながら改めてマシュは自覚する。この胸の中で燃え上がる恋の大火を消すことなど不可能だと。もし仮にこの火が消える時が来るとしたら、それはマシュ・キリエライトの命が終わり果てる時だけだとも。

 

 マシュの心の叫びにフォウ君は満足そうに頷く。

 

「フォウフォウ(そぉうだ、それでいい。声を大にして叫べ、想いを伝えろ。お前にはその権利がある、ムァシュ・キリエライトォゥ)」

 

「そ、それは……///」

 

 さっきまでの勢いは何処へやら。途端に顔を真っ赤にさせ、マシュはもじもじと人差し指の先を合わせたり離したりし始めた。

 

「それとこれとは話が別といいますか、いきなり貴方のことが好きですなんて言われても先輩も困るでしょうし、仮に告白をしたとしても先輩がわたしのことを受け入れてくれるかどうか……」

 

「フォウ(何故、そこでヘタレる……)」

 

 深々と嘆息。そんな風に二の足を踏むから他の女の後塵を拝することになるのだというフォウ君の厳しい言葉にマシュはしょんぼりと項垂れた。そもそも、受け入れられるかどうかを心配すること自体が間違っている。蛇蝎のように忌み嫌われているというならとかく、マシュは真が心からの信頼を置く唯一無二のパートナーだ。そんな彼女の告白を拒んだりはしないはずだとフォウ君は断言する。

 

「それは、そうなんでしょうけど」

 

 自分に自信がないのか、煮え切らない態度を取り続けるマシュに業を煮やし、遂にフォウ君は強硬手段に出た。

 

「フォウ、フォウフォウッフォッフォウ(いいか、ムァシュ。お前はもう我慢をしなくていいのだ)」

 

 マシュに気付かれぬよう、目から催眠光線的な何かを放ちながら諭すように語り掛ける。知らず知らずの内に謎の催眠光線的な何かを浴びたマシュは目をトロンとさせ、夢見心地といった状態でフォウ君の言葉を反芻していた。

 

「わたしはもう我慢しなくていい……」

 

「フォーウ。フォフォフォウ(そぉうだ。もっと我儘になっていいのだ。誰が何と言おうと、お前にはその権利があぁる)」

 

 フォウ君は改めて訊ねた。お前はどうしたいのだ、と。フォウ君の問いにマシュは目に絶対の意思を宿しながら答えた。

 

「わたしは先輩と、真先輩と愛し合いたい」

 

 もう、誰に何を言われようと決して曲げないという鋼の決意の籠ったマシュの答えにフォウ君はそれでいいと頷いた。頷いていたのだが……。

 

「先輩に愛して欲しいです。全身がトロトロになるまでキスをして、心も体もぐちゃぐちゃのどろどろになるまでセックスして欲しいです。わたしが上になるのもいいですけど、先輩に押し倒されながらされるのも最高です。ワンちゃんみたいに後ろから激しくしてもらうのも悪くないかも。その前に口やおっぱいでご奉仕するのも忘れちゃ駄目ですよね……」

 

 マシュの口から赤裸々に語られる卑猥な欲望の言葉に思わず後退りするフォウ君。あれ、もしかしなくてもやり過ぎた? と気付いた頃には全てが手遅れだった。

 

「ありがとうございます、フォウさん。わたし、もう迷いません」

 

「フォ、フォウ(お、おう)」

 

 目を爛々と輝かせるマシュにフォウ君はそれ以外何も言えなかった。

 

「まずは先輩の向こう一週間のスケジュールを確認しないと。それからダ・ヴィンチちゃんに先輩誘惑用の衣装やいけないお薬を作ってもらって……忙しくなりそうです。待っててください、先輩」

 

 ベッドに置いたシン君にキスをし、マシュは足取りも軽やかに部屋から出ていった。ただ、呆然としながらマシュを見送ることしか出来なかったフォウ君は後にこう語る。

 

『最初は軽い気持ちでした。マシュが少しでも自分の心に素直になってくれるようにと思って、心の抑えをちょっとだけ緩くする魔術をかけたんです。地の文じゃ催眠光線的な何かとか書かれてますけど、催眠とか洗脳の類じゃ断じてありません。あくまでマシュの理性を少し減らす程度の効果しかなかったはずだったんですけど……まさか、あんなことになってしまうなんて……』

 

 

 

 

 数日後、その日の戦闘訓練などのルーチン全てを終えた真は倒れるようにマイルームのベッドに横になっていた。晩飯も食べ終え、風呂にも入ったためか、少し寝るには早い時間帯であるにも関わらず、瞼は重かった。

 

「今日も元気に頑張ったぞいっと……あぁ~、疲れた」

 

 天井を見上げながらこなれてきた腹を撫で擦る。ブーディカや頼光達が作った晩御飯は頬が落ちるほどに美味しく、幾らでも腹の中に収めることが出来た。多少、食い過ぎではないかと真自身思わないでもなかった。

 

「成長期だからね、仕方ないね。沢山食べる君が好きってどこかの誰かも言ってたし」

 

 自分に言っているのか、わざわざ口にする必要のない言い訳を並べ立てる真。実際、食べ過ぎで肥満になっている暇なんてないのでそこまで気にすることでもないだろう。

 

「さて、寝る前に今日の戦闘訓練のデータでも見ますかね……いや、しかし」

 

 ごろんと寝返りを打ち、真はベッド脇のサイドテーブルに置かれたA4サイズノートと同じくらいの大きさのタブレット型の端末を手に取った。電源を入れ、光りの灯った液晶の画面を指で操作すると数日分の戦闘訓練のデータが表示される。更に指を動かすと向こう一週間分の、どのサーヴァントとどのような訓練をするかが記された予定表が画面に出現した。びっしりと文字が打ち込まれた予定表は製作者がどれだけ生真面目で、そして真摯な人間かを物語っている。

 

予定表(これ)のお蔭で訓練の効率が実感できるくらい跳ね上がったからな。本当、マシュには感謝しないと」

 

 この予定表を作ったのはマシュだ。レイシフトや増えてきたサーヴァントの相手なんかで何かと忙しい真の苦労を少しでも減らしたいと、訓練工程の組み立てなどの細かな作業を買って出てくれたのだ。

 

 それだけじゃない。ブーディカや頼光達に混ざってご飯を作り、栄養面でまで真をサポートしてくれている。戦闘時は勿論、生活面でも自分を支えてくれる相棒に真は感謝の思いで一杯だった。

 

「マシュには感謝してもし切れないな。何か、お礼しないと。何がいいかな……明日あたり、ドクターに相談してみるか。まぁ、その前に何とかしなきゃならんことがあるけど」

 

 端末をサイドテーブルに置き、困り顔で真は視線を股間に向ける。テントを張っているズボンの中では半ば御立派様に成りかけた暴れん棒が自己主張していた。要するに半勃ち状態である。

 

「はぁ、俺はオナニー覚えたての猿かっての」

 

 我慢を知らない愚息に真は呆れと自嘲のため息を吐く。ここ最近、ずっと真の御立派様はこの調子だった。

 

 マシュの体を正常にするために真が敢行した強行軍は過酷を極め、当然性欲を発散する暇などなかった。まして、誰かを抱く時間なんてとてもとても。まぁ、理由はそれだけではないのだが。

 

「これ、半分くらいはマシュの所為でもあるよな」

 

 そう、真の股間がこんな風になっている原因の半分、いや、大部分は彼の相棒、マシュ・キリエライトにあった。何というか最近、マシュが非常に積極的なのだ。後ろから抱き付いて来たり、腕を絡めてきたりと盛んにボディタッチをしてくるようになった。その度に様々な人達からマシュマロと評されたマシュの凶悪なバストが体に当たり、ただでさえ欲求不満な真を悶々とさせる。現にさっきも廊下を歩いている最中に抱き付かれた。こう、マシュっと。

 

 それだけじゃない。誰か、例えばスカサハが真に夜の誘いをかけようとすると、そのタイミングを狙い澄ましたかのようにマシュが何かしらの用事を持ってくるのだ。そんなことが何日も続き、お蔭で真は溜まったものを吐き出すことも出来ずにムラムラする日々を過ごしていた。

 

「どうにかしないと。このままじゃ俺は誰かを無理矢理……いやいや、何を考えているんだ俺は!」

 

 一瞬でも非紳士的なことを考えた己が許せず、手の跡が残る勢いで真は頬を両手でぴしゃりと叩く。無理矢理やったとしても皆、嬉々として受け入れてくれるだろうが、力尽くは駄目絶対という真なりのポリシーがあった。セックスっていうのはね、何というか救われてなきゃあダメなんだ。独り善がりじゃなくて、互いに愛を込めて。

 

 まぁ、流石に理性がぶっち切れてしまうような状況ではその限りではないが。

 

「マシュだってわざとやってる訳じゃないんだ。そもそも、マシュの所為にすること自体が間違いだっつぅの」

 

 ここまでされておいてマシュの行動が意図的じゃないと考える辺り、真がどれだけ彼女を信頼しているかが窺えた。しかし真は知らない。今から数分後にその信頼が裏切られることを。

 

「仕方ない……ここは一回スッキリしとくか。後で皆に無駄撃ちするなって怒られるだろうけど、誰かを無理矢理手籠めにするくらいなら」

 

 最後の手段、オナニーで溜まりに溜まった性欲を少しでも発散させようと立ち上がったその時、何の前触れもなく部屋を照らしていた電灯が消えた。

 

「駄目ですよ、無駄撃ちなんて。そんな悪いことはめっです」

 

 突然のことに驚き固まる真の耳元で誰かが囁く。蠱惑的な、耳にするだけで背筋に鳥肌が立つような色気のある声。うおっ! と声を上げる真に声の主はクスクスと小さな笑い声を残して離れていく。

 

「な、何やってんだ、マシュ?」

 

 姿は見えずとも、真はそこにいるのがマシュだと分かった。聖杯探索の始まりから共に歩んできた少女の声、間違えるはずも無い。ただまぁ、気になる点があるとすれば、彼女らしからぬ色っぽい声音で話しているところだ。聞くだけで股間がズキンと疼き、男根が肥大化していくのが分かる。

 

「何をやっているか、ですか? 勿論、わたしのやりたいことです」

 

「やりたいこと? 何を言って、いや、それ以前にロックかけてたのにどうやって部屋に入って」

 

「ロックは解除させてもらいました。以前、複製した先輩のカードキーで。あぁ、聞かれる前に答えておきますが、先輩の部屋の電気を切ったのもわたしです」

 

「き、キーを複製? それに部屋の電気も切ったって……な、何でそんなことを!?」

 

 戸惑う真の問いに答えず、マシュはクスクスと笑う。気配から察するに真の周りをくるくると円を描くように歩いているようだ。

 

「先輩。わたし、今までずっと我慢してきたんです。先輩に愛して欲しくて、でも迷惑をかける訳にはいかないって何回も自分に言い聞かせて。先輩に抱いてもらえるスカサハさん達のことを本当に羨ましいと思いながら、自分で自分を慰めて耐えてきました」

 

 でも、それも終わりです、と動いていた気配が真の目の前で止まる。決然とした意志が込められたマシュの言葉に真は返事も出来ず、固唾を呑んで突っ立っていた。

 

「もう、我慢も遠慮もしないって決めました。これからは大好きな先輩に一杯我儘を言って構ってもらって、一切遠慮せずに甘えていきます。シールダー(良い子)は今日で卒業です。今のわたしは」

 

 消えていた電灯が点り、室内を照らす光がマシュの姿を露わにする。

 

「今のわたしはクラスビースト(悪い子)、マシュ・D・キリエライト! DはデンジャラスのDです!」

 

 ガオー、と両手を上げて荒ぶる獣のポーズを取るマシュの格好に真は目を皿のようにして見開いた。今の彼女の姿は確かにデンジャラスの名に違わないものだった。

 

 はっきり言って全裸なんて目じゃないほどの卑猥さだ。頭の犬耳、首元のモコモコした襟巻、お尻のフワフワ尻尾、ゴム製の爪がついた二の腕まである手袋はまだいい。しかし、そこから先が問題だ。紫色のファーで誤魔化してこそいるが、バストを隠すブラはマイクロビキニほどの大きさしかないだろう。股間を覆うパンツもブラと同様に辛うじて局部を隠しているだけだ。膝のやや上まであるファー付きのストッキングから覗いた太腿はむっちりと程よく肉付き、臀部に至るまでのラインは思わず手を伸ばしてしまいそうになる。腹部を拘束するようにクロスした黒紐も淫靡過ぎるマシュの魅力を引き立てていた。見も蓋も無い言い方をすると、乳首を隠す毛の部分を除いてほぼ紐だ。

 

「で、デンジャラス・ビースト……」

 

 正にその名が相応しかった。一般的な男性から見ても目の毒だというのに、今の性欲が溜まった状態の真に取ってデンジャラス・ビースト姿のマシュは余りに刺激が強過ぎた。目を血走らせて見詰めてくる真に、そして大きくズボンの中で膨らむ男の象徴にマシュは満足げに頷く。

 

「どうですか、先輩? わたしの格好、エッチな気分になりますか? なりますよね。だって、一か月近くもヌいて無い上に、最近はダ・ヴィンチちゃん特製の精力剤を毎日飲んでたんですから」

 

「いや、その格好を見て興奮しない方が男としておかし、いや、ちょっと待ってくれ。今、君何て言った?」

 

 非常に聞き捨てならないことを言われたので、思わず真は逸らしていた目をマシュに向けた。ダ・ヴィンチちゃん特製精力剤とは一体全体何ぞや。

 

「そのままの意味です。先輩のおちんちんを元気にして、先輩をエッチな気持ちにするためにダ・ヴィンチちゃんに作ってもらったお薬です。四日前から朝昼晩、先輩が食べる全ての料理に盛らせていただきました」

 

 ブーディカ達の目を盗みながら、それも真の料理だけに精力剤を入れるのは中々に苦労したそうな。得意げに語るマシュを真は呆然としながら信じられないものを見る目で見ていた。

 

「何で、何でそんなことを!?」

 

「何でって、そんなの決まってるじゃないですか。先輩のぉ、どろっどろの濃厚ザーメンをわたしのオマンコに溢れるまで注いでもらうためです♡」

 

 二回目の真の問いにマシュは瞳に隠し切れない淫欲の光を宿して答える。ぺろりと舌で唇を舐め上げる仕草は恐ろしいほどに艶めかしく、見ているだけだというのに真の背筋を粟立たせた。

 

「ふふ、先輩のおちんちん、ガチガチのバキバキですね。まぁ、当然ですよね。誰ともセックス出来ないようにスケジュールを調整したり、誰かが先輩を誘おうとしても適当な理由をつけて邪魔してきたんですから」

 

「な、何だと? まさか、訓練の予定を立ててくれたり、狙い澄ましたように皆の夜の誘いに用事を被せてきたのは」

 

「はい。先輩を発情期のお猿さんみたいに欲求不満にするためです。あ、先輩のお仕事の手伝いを申し出たのはこれだけが理由じゃなくて、純粋に先輩の力になりたかったというのもありますのでそこは誤解しないでください……先輩。やっとです。やっと、やっと先輩と一つになれます……」

 

 頬を性的興奮で赤くしながらマシュはほぅと官能的な吐息を漏らす。フォウ君に背中を押されたあの日から始めたこの計画。計画遂行日数は一週間にも満たない短いものだが、マシュは一日一日を一日千秋の思いで過ごしてきた。その思いがこの日、漸く実を結ぶ。マシュの興奮も最高潮に達していた。

 

「さぁ、先輩。観念してビースト(わたし)に食べられてください。既にこの部屋は厳重にロックしています。わたしの声紋、生体反応、そして魔術回路を認証しなければ外からは勿論、中からも開けることは出来ません。逃げ場なんてどこにもありませんよ。先輩はわたしという狼を前に震えることしか出来ない哀れな羊さんなのです」

 

 狼が羊を狩ることなど実に容易い。赤子の手を捻るようなもの、即ちベイビーサブミッション。

 

「……く、くくく。哀れな羊か。言ってくれるじゃないか、マシュ」

 

 マシュの言葉に俯いていた真だが、今は不敵な笑みを顔に浮かべてマシュを真正面から見据える。闘志を宿してごうごうと燃え上がる瞳は羊なんて可愛いものじゃなく、正しく戦士のものだった。

 

「逃げ場なんて無い? 上等、上等。なら、今までそうしてきたように正面から食い破るまでよ!」

 

「先輩、(性的な)絶体絶命のピンチでも絶対に折れないその心……とっても素敵です」

 

 力強く宣言する真をマシュはうっとりとした顔で見詰めていた。もう駄目だこの子。誰でもいいから医者を連れて来てくれ。

 

「この俺を人間と侮るなよ。魔力放出とか瞬間強化みたいな身体的ブーストがあったとはいえ、第三特異点(オケアノス)ではヘラクレスの斧剣を白刃取りで受け止めた俺を、第四特異点(ロンドン)では蒸気王に直下式ブレーンバスターを決めた俺を舐めるな!」

 

 影の国の女王スカサハ、平安時代最強の神秘殺し源頼光を筆頭にしたサーヴァント達に鍛えられる日々を送ることにより、今や真は特異点で出会うはぐれサーヴァント達が真顔でドン引きするほどの戦闘能力を身に付けていた。例え相手が神代の存在であったとしてもそうそう遅れを取ることは無い……!

 

「行くぞ、マシュ! 獲物を前に舌舐めずりなど三流がすることだと教えてやる! うおぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

「ば、馬鹿な。瞬殺だと……!」

 

「捕まえたぁ♡」

 

 勝負は一瞬でついた。いや、勝負と表現することすら烏滸がましい、一方的な決着だった。どちらが勝者なのか。それはいつの間にか全裸に剥かれた真がマシュにベッドに押し倒されている構図を見れば自ずと分かるだろう。

 

 真には何が起こったのか理解すら出来ていなかった。マシュを取り押さえようと床を蹴った瞬間、世界が反転し、気が付けば全裸の状態でマシュにベッドへと組み敷かれていた。何が何だかさっぱり分からない。唯一つ理解できることがあるとすれば、マシュにコンマ数秒で無力化されたということくらいだ。

 

「お、俺の後輩は化け物か……!」

 

「今のわたしは先輩への溢れる想いで全てのステータスが強化されていますから。先輩への愛を抑えなくなったわたしは冠位(グランド)すら凌駕する存在です」

 

 愛とは一体何なのだろうか。一瞬、哲学的な問題に思考を没頭させそうになる真だったが、頬に添えられたマシュの両手に現実に引き戻された。

 

「せ・ん・ぱ・い♡」

 

 淫らな光を灯した双眸が真を見詰める。開いた口から伸びた舌は涎を滴らせ、垂れ落ちた涎が真の唇を汚した。どんどんとマシュの顔が迫ってくる。生暖かい息を獲物へと吐きかけながら口を近づける姿は正に餓狼。

 

「ん……」

 

 唇が触れ合うのに時間はかからなかった。マシュの柔らかい唇の感触に精を溜め込んだ真の体が敏感に反応する。ピクンと体を震わせる真に妖艶な笑みを浮かべ、マシュはチュッ、チュッとわざと音を立てて真の唇に吸い付いていった。

 

 どうにかマシュの下から抜け出そうとする真だが、数日振りの女体との触れ合いに体が痺れたように動かない。オマケに剥き出しになったそそり立つ男根を押し潰すパンツと、その内側にあるふかふかの陰唇の感触で下手に動いたら暴発してしまいそうだった。

 

 真が動けずにいるのをいいことにマシュの口付けはどんどんエスカレートしていく。唇を啄むバードキスは舌を口内に捻じ込むディープキスへと変わり、マシュは顔を真っ赤にして快楽に耐える真の口を一切の容赦なく犯していった。

 

 初めてとはとても思えない舌使いでマシュは真の歯茎を舐め上げ、口蓋を舌先でくすぐる。真が感じるポイントを即座に見つけ、重点的に責めていった。奥に引っ込もうとしている真の舌を引きずり出し、強引に舌を絡める。じゅるじゅるとはしたない音を口から漏らし、マシュは今まで抑えてきた想いを全てぶつけるように真とのキスに没頭していった。

 

 たっぷり十分以上かけて行われた互いの舌が一つに溶けてしまうのではと思える口付けが終わる。真の口内から舌を抜いたマシュは艶然とした笑みで真を見下ろしていた。

 

「先輩。わたしのどこで出したいですか?」

 

 上体を起こし、己の体を真に見せつける。涎で濡れ光る艶やかな唇。卑猥な衣装に包まれた胸元や股間。キュッと括れたウエストに薄く肉の付いた腹部。全てが真の劣情を煽ってやまない。

 

「手でシコシコしますか? それともフェラでジュボジュボ? このマシュマロおっぱいに挟んでドピュドピュするのもいいかもしれませんね。でも、わたしの一番のお勧めは、調子に乗った生意気な後輩を先輩のおちんちんで躾け直す生ハメお仕置きセックスです」

 

 淫らな笑みで笑いかけながらマシュは真の硬く尖った乳首を人差し指で軽く弾いた。

 

「先輩はどれがいいですか?」

 

 マシュの口から次々に出てくる卑猥な提案に真は顔を真っ赤にし、あうあうと呻くことしか出来なかった。自分に馬乗りになっている少女は本当にあのマシュなのかという疑念が湧いてくる。普段の彼女、子犬のように慕ってくれるマシュの姿と、今の淫魔でも取り付いたとしか思えないふしだらな笑みを浮かべるマシュがどうしても結びつかない。しかし、どこからどう見てもこのマシュは本物だった。

 

「ま、マシュ……」

 

「早くぅ、早く決めてくださいよぉ、せんぱぁい。早くしてくれないとわたしぃ……もう我慢出来ませんよ?」

 

 はぁはぁと全力疾走した後の犬のように息をしながらマシュは腰を揺らす。シルク生地のパンツに逸物の裏筋を擦られ、真は小さく体をひくつかせた。蟻みたいに這い上がってくる快感に息を零しながら真は体の動きに合わせて重々しく揺れるマシュの豊満バストに目を奪われる。瑞々しい白肌の内側に柔らかな果肉をたっぷりと詰め込んだたわわな果実が真の視線を独占していた。

 

「おっぱいがいいんですね?」

 

 目敏く真の視線に気づいたマシュはバストを両手で持ち上げ、たぷたぷと揺らした。ごくりと音を立て、真の喉が唾を呑む。返事はそれで十分だった。

 

「分かりました。わたしのマシュマロおっぱい、たっくさん味わってくださいね」

 

 真の肉棒を胸で挟めるようにマシュは体を移動させる。うつ伏せでベッドに横たわり、先走りで濡れる男根を持ち上げた乳房の間にゆっくりと挿し込んでいった。

 

「先輩のおちんちん、硬くて熱い。それに匂いもすっごい……美味しそう、食べちゃいたいです」

 

 谷間から顔を覗かせた亀頭に熱の籠った視線を落としながらマシュはバストから離した両手を背中に回す。一度、ブラを結ぶ紐を解き、思いっきりきつく縛り直した。縛りの強くなった黒紐が肌に食い込み、同時に豊かな乳房を寄せ上げる。急激に高まった逸物を包む乳圧に真はか細い喘ぎを上げた。黒紐にきつく縛られて卑猥に形を変えるバストの視覚効果も合わさり、真の官能はより一層強く燃え上がる。柔らかなバストに拘束された男根が鈴口を開き、湧き水のように我慢汁を溢れさせていた。

 

「もう少し滑りが欲しいですね……」

 

 乳内を濡らす先走りだけでは潤滑液として不足と判断し、マシュは口内に唾を溜め始める。頬をもごもごと動かし、口の中を唾で満たしながらマシュは真を見上げた。

 

「しぇんぴゃい。もらっへもいいれふか?」

 

 んぁ、と半端に涎の溜まった口を開き、真に手助けを頼む。何を求めているのか一目瞭然だったので、真は上半身を上げてマシュの口に狙いをつけて涎を落とした。

 

「はひあほふほはひはふ(ありがとうございます)……」

 

 真の唾液を口で受け止め、恍惚とした顔で目を細めるマシュ。潤滑液にするための唾液を増やすはずが、マシュはすっかり自分の目的を忘れて真の涎を味わっていた。自分のと真のものが混ざった唾液を舌で味わい、同時にぐちゅぐちゅと咀嚼して極上の甘露を楽しむ。ごくん、とマシュの喉が鳴るのに時間はかからなかった。

 

「おい」

 

「……あ」

 

 真の呼び声に目元を蕩かせていたマシュは目的を思い出す。

 

「すみません、先輩。もう一回いいですか?」

 

 呆れながらも真はマシュに付き合った。同じ作業をもう一度繰り返し、今度こそ涎の潤滑液が完成する。

 

「ひひはふへ(いきますね)。んろぉ……」

 

 僅かに開かれたマシュの唇からとろりと粘度の高い唾液が垂れてくる。ゆっくりと、焦らすように時間をかけて落ちていく唾液はマシュの唇と糸で繋がりながら亀頭に落ち、先走りと混ざり合った。唾液はマシュの谷間の中へと徐々に染み込んでいき、乳肉で覆われた逸物が生暖かい液体で包み込まれていく。

 

「準備完了。先輩専用の濡れ濡れトロトロマシュマロおっぱいマンコ、完成です。先輩、意識が跳んじゃうくらい気持ち良くしてあげますから、一杯、わたしが溺れるくらいザーメンピュッピュッして下さいね」

 

 両手を添えられた乳房がゆっくりと上下に動き始める。亀頭が谷間から飛び出し、乳肉の中に埋まっていく度にぬちゃぬちゃといやらしい水音が上がった。ぬるぬると滑り、しっとり吸い付く肌が甘い圧迫感を伴って肉竿をサンドし、カリ首を撫で上げていく。圧倒的な柔らかさで逸物に纏わりついてくる柔肉の感触は電撃のように真の脳髄を打ち、思考を快楽一色に染めていった。

 

「先輩、おっぱいの中でおちんちんがビクビクしてますよ。お漏らしするみたいに亀ちゃんからお汁が出てきてます、可愛い……わたしも先輩のこと言えませんけどね」

 

 最後にぼそりと付け加えながらマシュは太腿をもじもじと擦り合せる。股間を覆うパンツは水分を吸収するのが不可能なほどに濡れており、シーツに愛液の染みが出来るくらいだった。

 

「もっとわたしを感じてくださいね、先輩」

 

 乳奉仕により熱が込もる。左右の乳房を互い違いに動かしたかと思えば、谷間にある男根を押し潰さんばかりにバストを寄せ上げる。次々と襲い来る快感に真はただ喘ぎながら腰を震わすことしか出来なかった。

 

「出ちゃいますか、出ちゃいそうですか、先輩? 出してください。全部、わたしが受け止めますから……!」

 

 マシュは真の腰に押し付けるようにバストを上から押し潰した。ひしゃげて形の変わった乳房の谷間から亀頭が飛び出てくる。涎と我慢汁でテカテカになった亀頭は血が集まり過ぎて破裂してしまうのではと思えるほどに赤黒く膨れ上がっていた。際限なく鈴口から先走りを溢れさせる亀頭に軽く息を吹きかけるマシュ。微かな吐息にも震えるくらいにそこは敏感になっていた。

 

「もう駄目、我慢出来ない……いただきまぁす」

 

 悪戯っ子みたいな表情を浮かべていた顔を一瞬で雌のものへと変え、マシュは亀頭へとしゃぶり付いた。

 

「あぁっ!!」

 

 頭に雷が落ちてきたような衝撃。余りに強い快感に真は一瞬、意識を飛ばしかけた。辛うじて意識を繋げるも、もう彼の体は自分のものではなくなったように勝手に動いていた。股間から駆け上がってくる爆発的な快感に自分の意思とは関係なしに腰が暴れ回っている。

 

「ぢゅる、ぢゅりゅ! ぢゅぞぢゅりゅりゅりゅ!!!」

 

 ロデオの暴れ馬よろしく跳ね上がる真の腰を上半身で抑えつけ、マシュは容赦なくパイズリフェラを続けた。浮かび上がった血管が肌で分かるくらいに勃起した肉竿を乳肉で揉み潰し、噴水のように我慢汁を吐き出す亀頭やエラを張るカリ首に舌を這い回らせる。同時に玉袋から直接精液を吸い取らんばかりに激しい吸引音を立てて亀頭をバキュームしていった。

 

 いくら何人もの女傑と肌を重ね、それなりに経験を積んできた真でもここまで激しい奉仕にはそう長く耐えられなかった。放出の時はあっさりと、そして何の前触れもなく訪れる。

 

「んむぅ!?」

 

 一瞬で口内を満たした生臭い粘液にマシュは大きく目を見開く。頬がパンパンに膨れ上がり、口腔に収まらなかった精液が唇から飛び出てマシュのバストや真の腹部へと落ちていった。目尻に涙を滲ませ、必死で口内の白濁液を飲み下していくマシュ。しかし、噴水みたいに噴き出てくる精液に処理が追いつかず、飲めなかった分が次から次に口外へと零れていく。

 

(わたしの、わたしのザーメン。先輩がわたしのために出してくれたザーメン、全部飲むのぉ!)

 

 ゴキュッ、ゴキュッと何度も喉を鳴らしてマシュは精液を嚥下していった。一度に大量の白濁液を喉に流し込むが、それでも放出を続ける精液はマシュの口に入り切らずに二人の体を汚していく。射精が治まる頃にはマシュの胸部、真の腹部は精液でべちゃべちゃになっていた。

 

「……ちゅぱ。わたしの、全部わたしの」

 

 尿道に残った精液を全て吸い上げ、亀頭を口から引き抜く。夢遊病患者のように目を虚ろにさせながらマシュは乳房にべっとりと張り付いた精液を指で掬い取り、口に運んでしゃぶり取っていった。マシュが無我夢中になって精液を味わっている一方、頭が吹き飛ぶのではと思えるくらいの肉悦を味わった真は放心状態で浅い呼吸を繰り返していた。

 

「れろ、れる。しぇんぱいのしぇええき、おいひい。ちゅ、ちゅるる」

 

 真が意識を取り戻した時には既にマシュが真の腹にかかった精液全てを綺麗に舐め取っていた。何度も、執拗に肌を舐め上げていく舌の感触がくすぐったい。

 

「マシュ、少しは落ち着いたか?」

 

 真の問いにマシュは顔を上げる。己に向けられた瞳に真は背筋を凍り付かせた。マシュの情欲に染まった双眸は更なる淫蕩な光を宿し、妖しくぬらぬらと輝いている。どうやら真から搾り取った精液はマシュの体内の欲望の炎に燃料となって投下されたようだ。

 

「先輩、もっと、もっと欲しいです。先輩のザーメン、今度はこっちに……!」

 

 解く時間ももどかしいとマシュはパンツの紐を引き千切る。ギリギリのサイズで局部を隠していた下着を投げ捨て、真の腰に跨った。秘所から溢れ出る蜜液が舌で清められた真の腹を再び濡らしていく。

 

「先輩、挿れてもいいですか? いいですよね? 駄目って言っても挿れちゃいますから」

 

 真の返答を待たずにマシュは腰を浮かせ、隆々とそそり勃つ男根をびしょびしょになった陰唇へと宛がう。肉壺の入り口はひくひくと蠢き、肉棒の侵入を今か今かと待ちわびていた。

 

「ま、待てマシュ! お前、初めてだろ? 初めてって結構いた」

 

「もう、待てません」

 一息に腰が落される。潤沢な蜜で濡れた雌穴はあっさりと逸物を呑み込み、容易く最奥への到達を許した。

 

「あ、あああああぁぁぁぁぁ♡」

 

 人生で初めての、胎の奥の奥まで突き上げられた感触にマシュは絶叫を部屋に響かせる。天井を仰ぎ、背筋を反らして全身を痙攣させる。初めて男を迎えたとは思えない動きで蠕動するマシュの膣内(なか)に背筋をぞくぞくさせるも、真は急いで上体を起こした。挿入の瞬間、ほんの一瞬だったが確かに何かを破る感触があった。目を結合部に向けてみると、予想通り破瓜を示す赤い血が女性器から流れ出ている。

 

「マシュ、大丈夫か? 痛くないか?」

 

 気遣う真にマシュは真の胸板に両手を突いたまま何も言わない。肩は小刻みに震え、俯いた顔からポタポタと水滴が垂れて真の割れた腹筋へと落ちていった。

 

「な、泣くほど痛いのか? 痛かったら無理して動かなくてもい」

 

「……ちいい」

 

 てっきり初めて男を受け入れた痛みで泣いているのかと思ったが、全く違うようだ。顔を上げ、マシュは瞳をギラギラさせて真を見ていた。瞳に涙は無く、だらしなく開いた口から涎が流れ出ている。さっき落ちた水滴の正体はこっちだったようだ。

 

「気持ち良い。自分でするのよりも全然……セックスってこんなに気持ち良かったんだ……もっと、もっと気持ち良くして下さい!」

 

 うわ言を呟いていたマシュががに股の体勢になる。内腿をぷるぷる震わせ、膣内(なか)に収めた逸物が抜ける寸前まで体を浮かせた。間髪入れずに腰が落ち、再び肉棒が溶けるように熱い媚肉に包まれる。

 

「ひゃあああああ♡」

 

 腰がぶつかり合うバチュンという音と一緒にマシュは嬌声を木霊させた。ゴリュッ、と体内から音が聞こえそうな勢いで亀頭が子宮口にめり込む。胎の中から脳天まで突き抜けていく快感にマシュは視界を明滅させ、男根の根元に陰唇をぐりぐりと押し付けながらアヘ顔を浮かべていた。膣内(なか)の最奥を穿たれる快感も凄まじいが、こうやって繋がり合ったままでいるのも堪らない。己の意思とは無関係に蠢く肉襞が逸物の形を確かめるように絡みついていく感触はマシュのみならず、真にも快感を与えていた。

 

(先輩も気持ち良いんだ)

 

 顔を真っ赤にし、歯を食い縛って快感に耐える真の姿にマシュは冬場の火事みたいな勢いで肉欲を燃え上がらせる。肉壺がきゅうと窄まり、粘膜同士がより強く擦れ合って二人の快楽を増大させた。

 

「先輩、先輩!」

 

 もう、止まらなかった。マシュは猛烈な勢いで腰を振り始め、真の体を、女の悦楽を貪っていく。腰がぶつかり、亀頭と子宮口がキスする度に潮が飛沫となって飛び散った。

 

(わたしってこんなにエッチだったんだ……)

 

 灼熱のような快楽に溺れ、四肢が快感で火をつけられたみたいに熱くなるのを感じながらマシュは頭の片隅でそんなことを考えていた。女性が初めて男性と交わる時は血が出て、凄まじい痛みを覚えるとマシュは本で得た知識で知っていた。一般的にはそうなのだろうが、マシュは違った。男の象徴を受け入れるのが初めてであるにも関わらず、痛みなど丸で感じない。彼女が感じたのは想い人と繋がり合えた多幸感と肉悦の甘美感だけ。

 

 処女であったくせに、痛がりもせずに浅ましく真を求める彼女を世間一般ではこう呼ぶのだろう。淫乱、と。

 

(淫乱。マシュ・キリエライトは淫乱……どうでもいいや)

 

 どうでもいい。己の乱れ振りをマシュはその一言で切って捨て、快楽に耐える真の顔に視線を落とす。愛おしい人とこんなにも気持ち良く愛し合うことが出来るなら、淫乱でも何でも構わなかった。

 

「先輩、好き、大好きぃ! 一緒に、一緒に……!」

 

 狂ったように腰を振りたくる。実際、真への愛で既に頭も心も狂っているのかもしれない。焦点の合っていないマシュの目はもう真しか映していなかった。この世で二人だけしかいないような錯覚が快感を激増させ、マシュの心に狂気じみた真への愛情を刻み込んでいく。

 

 肉襞が逸物の震えを敏感に感じ取る。ビクビクと膣内(なか)で痙攣し、いつ発射してもおかしくない状態だ。それはマシュも同様で、肉壺をひっきりなしに収縮させている。どちらも、何時果てても不思議ではなかった。

 

「なかに、なかに出してぇ!」

 

 じっとりと汗ばみ、肌を紅潮させた美尻をダイナミックに上下させる。ベッドを壊しかねない勢いで動く桃尻は真にぶつかるその都度尻肉を柔らかく波打たせ、バウンドするボールのように跳ね上がった。バスケット選手がドリブルするボールよろしく、マシュは何度も苛烈に真の逸物を己の膣内(なか)に出し入れさせた。

 

 最早真はゴールするまで立ち止まることを許されない競走馬だった。乗り手のマシュが振り下ろす(美尻)に叩かれ、絶頂へとひた走っていく。ゴールはもう目前だ。

 

「あああああ!」

 

 真は狂獣のような咆哮を上げ、マシュのウエストを両手でガッチリと掴んだ。丁度、逸物が引き抜かれる寸前まで浮いていた腰を思い切り引き下ろして自身の体へと叩き付ける。もっちりと弾力に富んだ、トロトロに蕩けた極上の肉襞をカリ首で抉り、女体の最奥に亀頭を突き立てて自身にもマシュにも止めを刺した。

 

「っ……!!!」

 

 男根を膣内(なか)に収めたままでの絶頂にマシュは声も出せず、ただ無言で豊満な女体を反らし上げた。子宮内へと精が注がれる度に全身を派手に痙攣させ、自身が味わっている快感の大きさを表している。

 

 マシュが声も無く逝き極める一方、真も今までに体験したことのない射精に体を震わせる。ダ・ヴィンチ謹製精力剤の効果は凄まじく、普段の数倍の量の精液を一度の射精で吐き出していた。その分、射精時の絶頂は長く続き、真は精と共に魂まで体から出ていくような錯覚を味わう。精の放出が終わる頃、二人は声も出せずに獣じみた呼吸だけを繰り返していた。

 

「ぜぇ、ぜぇっ……マシュ、大丈夫か?」

 

 一分ほど時間をかけて呼吸を整え、真は初めての性交を終えた後輩を気遣う。返ってくるのは荒く激しい呼吸音と、一度逝ったにも関わらず貪欲に男根を締め上げる肉襞の蠢きだけ。

 

「しぇんぱい」

 

 辛抱強く待ち続けていると、ゆっくりとマシュの瞳が真へと向けられる。彼女の目にはもう人としての理性は残っておらず、獣欲だけが爛々と輝いていた。

 

「もっろ、もっろくらしゃい」

 

 腰を掴んでいた真の手を引き剥がし、恋人のように指を絡める。一見、優しげに見える指先は万力のような力を内包しており、絶対に真を放さないというマシュの意思が感じ取れた。

 

「しぇええき、もっろくらしゃい♡」

 

 頭から絶頂の余韻が抜け切らない、呂律も回らない状態でマシュは腰の上下運動を再開する。ねっとりとほぐれた肉襞が逸物に絡みつきながら巻き上がり、腰の落下に連動して硬度を保った逸物が膣内(なか)へと埋まっていく。さっきの絶頂で二人の性器は敏感になっており、幾らもしない内に二人は二度目の果てを味わうことになった。

 

 大きすぎる快楽に苦悶の表情を浮かべる真の男根が精を噴き出す。一度目と変わらない量の精液を撃ち出され、マシュは嬌声を上げて体をびくつかせた。法悦に頭が真っ白に染まり、思考回路が焼き付いていく。ガクガクと両脚が震えて倒れそうになるが、真との交わりを求める欲望を力にマシュは体を支えた。骨の髄まで溶け落ちそうな快感に嬌声を徐々に大きくさせ、マシュは一心不乱に腰をストロークさせ続けた。

 

 三回、四回と連続して絶頂が続く。放たれる精液は既にマシュの胎内に収まり切っておらず、体外へと溢れて二人とシーツを汚していった。

 

 五回目の射精を受け、遂にマシュの体が崩れ落ちる。かくんと体から力が抜け、勢いよく真の上に倒れ込む。真の首元に顔を埋め、要領を得ない言葉が口から漏れ出ていた。既にまともな思考を出来る状態ではないのだが、それでもマシュは真の手を決して放そうとはせず、そして腰のピストンも止めなかった。真に覆い被さった体勢で只管に精を搾り取っていく。

 

(こ、これが服上死ってやつか……)

 

 薄れてゆく意識の中、そんなことを考える。精液と一緒に命まで吸い出されているような感覚だ。苦しみすら覚える快感に恐れを抱くも、そこまで悪い気分にはならなかった。

 

(こんな可愛い女の子が俺のことをこんなにも求めてくれる。男冥利に尽きるってもんだが……流石にこれ以上は無理)

 

 とうとう意識を手放す真。彼が最後に見たのは淫蕩に光るマシュの双眸だった。

 

 

 

 

「……こ、ここは天国か?」

 

 体の前面に最高の柔らかさを感じながら真は目覚める。目の前には穏やかな寝息を立てて眠るマシュの寝顔。天使のような顔を両手と一緒に真の胸板に添え、時折小さく腰を揺らしている。同時に鋭い快感が真を襲った。大量の精液を放っていながら硬いままの男根はマシュと繋がり合ったままの状態であるらしい。

 

 マシュを起こさないように注意して首を傾け、壁の時計へと視線を向ける。針の進み具合から一時間ほど意識を失っていたことが分かった。それだけマシュとの行為が激しかったということだろう。

 

「しかし、マシュがねぇ……」

 

 意識を失う前の、普段の純粋で真っ直ぐなマシュとはかけ離れた、淫魔のように腰を振り乱すマシュの姿を思い返す。行為の前、彼女はもう我慢しないし遠慮もしないと言っていた。つまり、真は今までマシュにあれ程の痴態を晒させてしまう我慢と遠慮をさせていたということだ。

 

「ごめんな、気付いてやれなくて」

 

 謝罪の思いを込めてマシュの頭を撫でる。サラサラとした薄ピンクの髪が指に心地よかった。暫くそうしていると、マシュの瞼が持ち上がる。パチパチと何度か瞬きし、マシュは少し寝惚けたままの瞳を真へと向けた。

 

「あ、先輩。お早うございます」

 

「よっ。お早うって言うにはまだ時間的に早過ぎる気がするけどな」

 

 今は俗にいう深夜だ。お早うと挨拶を交わしあうにはまだ数時間の時が必要だろう。

 

「先輩に撫でられながら目を覚ます……何て幸せなんでしょう。やはり、わたしはこの世で一番幸せな人間です」

 

 大袈裟に喜ぶマシュ。真の体温を感じながら目覚められた喜びに目を細め、子犬みたいに甘え声を出してマシュは真の胸板に頬擦りする。暫しの間、真の逞しい胸板の感触を頬で楽しんでいたマシュだったが、何かを思い出してハッとした表情を作り、そして頬を膨らませた。ジトッとした目が真を見据えている。

 

「先輩、酷いです。一人で勝手に休憩するなんて。休憩するならわたしに一声かけてからして下さい。わたしだけが気持ち良くなっても意味無いんですから」

 

 休憩? と真は目を丸くする。誰がどう見ても気絶だと判断する気の失い方をしたのだが、マシュには真が疲れて休憩しているように見えたようだ。どうやら頭の螺子が数本、いや、かなりの数外れてしまっているらしい。

 

「あ~、その、ゴメンネ?」

 

「いいです。先輩も起きてくれましたし、わたしも休めましたから……これで」

 

 マシュの声音に艶が宿る。瞳には再び淫欲の光が湛えられていた。

 

「これでまた、思う存分先輩とエッチ出来ます」

 

 真に体を預けた体勢のまま、マシュはゆったりと円を描くように腰をグラインドさせ始める。吸盤のように吸い付く蜜壺の入り口や、へばりついてくるとろとろの媚肉に逸物が震え上がった。股間から脳天まで打ち上がる快感に真は小さく息を吐き、マシュはあっ、あっと男を昂ぶらせるいやらしい喘ぎを漏らす。

 

「また一杯、わたしの膣内(なか)に出して下さいね、先輩」

 

 徐々に腰の動きが加速していき、更に上下運動が加わった。結合部から奏でられる水っぽい卑猥な肉擦れ音が激しくなり、二人の体を燃えるように熱くさせていく。

 

 さっきと同じようにマシュのペースで交合が始まろうとしていた。心の枷を外し、理性のブレーキが利かなくなったマシュは欲望のまま、満足するまで真の体を貪ることだろう。また、後輩に翻弄される未来を予感した真の胸中にムラムラと反逆心が湧き上がってきた。

 

 自分を先輩と呼ぶ女の子にされるがままでいられるかと男の意地が叫ぶ。次は自分の番だと真は両腕を伸ばし、上半身を起こそうとするマシュの背中へと回した。

 

「せんぱ、んむぅ!」

 

 強引に抱き寄せられ、唇を奪われる。今まで受け身だった真がいきなり見せる攻めの姿勢にマシュは一瞬目を白黒させるが、すぐに大好きな先輩に求められているということに言い様のない幸福感を覚えていた。喜悦に目尻を下げ、口内へと侵入してきた真の舌に己のものを熱心に絡めていく。

 

 マシュとのディープキスを続けながら真は腰をせり上がらせた。亀頭をコリコリとした子宮口へと押し付け、のの字を書くように擦り付けるとマシュの体が面白いように痙攣する。

 

 自ら腰を落として快楽を味わおうとするマシュの体を這い回っていた両手が彼女の背にあるブラの紐に触れた。蝶々結びになっている紐を摘まみ、思い切り引っ張ると二人の間から紫色のファー付きブラが飛び出してくる。窮屈な拘束から解放されたマシュマロバストが真の鍛えられた胸板に直に押し潰されていた。可愛らしくもしっかりと勃起した二つの乳首が男らしい胸板に擦れる感触にマシュは陶酔し、瞳を潤ませて乳房に走る甘美な痺れに身悶えする。

 

 ブラをベッドの外に落とし、真はマシュとの体勢を入れ替えた。今度は己が上となり、唇を離してマシュの体を見下ろす。呼吸に合わせて上下する乳白色の乳房は頂点の突起を尖らせ、肌に赤い紐の跡を残していた。両腕の手袋や両脚のストッキングが全裸とはまた違った魅力を醸し出している。ぶっちゃけたことを言ってしまうと非常にエロかった。

 

「あぁ。先輩のおちんちん、中でまた硬くなってる。わたしの体で興奮してくれてるんですね」

 

「凄く魅力的だよ」

 

「嬉しい。もっと、もっとわたしを見て下さい。視線でもわたしを犯して……」

 

 マシュは手袋に覆われた両手を自身の体に這わせて真に肉感をアピールする。太腿から胸元へと滑らせてきた両手で乳房を寄せ上げ、固まった乳首をゴムの爪で擦った。鋭敏になった乳首に走るゴムの無機質な触感に甘い声を上げ、きゅっと膣内(なか)を締め付ける。同時に熱い真の視線を全身に感じながら硬度を上げる男根の震えに酔い痴れた。

 

 期待の眼差しを向けてくるマシュに小さく頷いて見せ、真は彼女のウエストを両手で掴んで腰を前後させ始める。膣内(なか)を出入りしだした肉棒にヌラヌラと粘膜が纏わりつき、甘い肉悦を真に齎した。

 

「あぁ、先輩、凄いですぅ。先輩の、硬くて、大きいのがわたしのオマンコ、擦ってぇ……ひゃあん♡」

 

 マシュの口から抑えきれない嬌声が飛び出す。さっきの騎乗位に比べると欠伸が出てしまいそうなスローペースのセックスだが、十分にマシュを感じさせられているようだ。むしろさっきよりも敏感によがっている。肉壺から抜け出し、そして侵入してくる逸物に体を戦慄かせ、亀頭が奥へと押し込まれる度に腰を跳ね上げさせていた。

 

「結構、感じ易いんだな、マシュ。それとも、激しいのよりもゆっくりやる方が好きなのか?」

 

 四方八方から逸物を揉みこんでくる肉襞を亀頭で割り開き、腰を律動させて子宮口へのノックを繰り返す。あっ、あっ、と真の動きに合わせて喘ぎ声を上げながら、マシュは小さく首を振った。

 

「ち、違います。感じ易いんじゃないんです。先輩が、先輩がしてくれるから……」

 

 マシュの言葉に真は動きを止める。向けられる喜悦に潤んだマシュの瞳には真への溢れんばかりの愛情が宿っていた。

 

「先輩が、大好きな先輩がわたしを愛してくれるから感じちゃうんです。ゆっくりされるのも、激しくされるのも全部、声が抑えられないくらい気持ち良くなっちゃうんです。わたしは先輩を、あ、愛してますから」

 

 愛していると実際に言葉にするのは気恥ずかしかったのか、マシュは興奮と快楽で赤くなった頬の赤みを増しながら、それでも目を逸らさずに真っ直ぐ真を見詰める。直向きで一途な好意と恋慕の念が真に向けられいた。

 

「……俺も。愛してるよ、マシュ」

 

 胸がはち切れそうな感激にそれしか言葉が出てこない。こんな自分を真摯に慕ってくれる後輩に少しでも多くの愛情を伝えようと真は上半身を倒し、マシュを抱き締めながら口付けをする。

 

「ん、ちゅ、しぇんぱい……」

 

 マシュも両腕両脚を真の体に回した。一分の隙間も無いくらいに体を触れ合わせ、二人は互いの体を抱き締め合う。

 

「ごめんな、ずっと我慢させて」

 

「いいんです。今、こうやって愛してもらってますから……で、でも、悪いと思ってるなら」

 

「思ってるなら?」

 

「わたしが満足するまで、抱いて下さい」

 

 マシュの要求に真はキョトンとする。言われずとも、元々そうするつもりだ。了解と小さく笑いながら体を起こし、真は改めてマシュを犯すための体勢になった。

 

「泣いても喚いても止めないからな。ぐちゃぐちゃのどろどろになるまで犯してやる」

 

 真の両腕が力強くマシュの太腿を抱え込む。あ、と小さく声を漏らし、マシュはこれからなされる交合に胸を躍らせた。

 

 夜は始まったばかり。二人だけの狂宴はまだまだこれからだ。

 

 

 

 

 今度は一切の休憩を挟まずに何時間もの間、二人は互いを貪り合った。それ以外のことなど知らぬと言わんばかりに只管まぐわい、姦淫に溺れる。ダ・ヴィンチの精力剤で増大された真の性欲は止まることを知らず、精を出しても出しても男の象徴は硬く隆々とそそり立ったままだった。無限に胎内へと注がれる精液にマシュは軽く白目を剥き、ガクガクと体を痙攣させながら気をやり続ける。膣内(なか)から収まり切らなかった白濁液が流れ出て、黄色い液体の混じった潮と一緒にシーツを汚していった。

 

「流石にやり過ぎたか?」

 

 マシュをお姫様抱っこしながら真は寝るスペースもなくなるくらいに濡れ汚れたベッドを見やる。所々に水溜りのように精液が浮かんだシーツは二人の体液で濡れていないところを探すのが困難な有り様で、情事に夢中になっていた二人が体を横たえるのを躊躇するくらいだった。

 

「せ、んぱ、い」

 

 どうすっかと真が悩んでいると、腕の中でマシュがか細い声を搾り出す。

 

「あそこ、で続き、しましょ、う」

 

 マシュが指差したのは以前、ジャンヌ・オルタと交わった風呂場へと繋がる扉だった。

 

「わたし、もっと先輩と、したいです」

 

 快楽に染まり切った顔でマシュはにへらぁと笑う。淫蕩な彼女の笑みに真の欲望がくすぐられた。あいよと頷き、序に洗っておこうと真はベッドからシーツを剥がしてマシュと共にバスルームへと向かう。

 

 浴槽内にシーツやシーツと同じくらい酷いことになっているマシュの衣装を放り込み、シャワーのバルブを捻る。シャワーヘッドから出てくる、温まっていない冷水がマシュに当たらないように注意しながら真は後輩を見やった。

 

「マシュ、立てるか?」

 

「ふ、ふふ、そんな心配が出来るのもここまでですよ、先輩。今度はわたしが先輩の腰が抜けるまで搾り取る番です」

 

 気遣ってくる真に不敵な笑みを浮かべるマシュ。産まれたての小鹿(バンビ)よろしく脚を震わせているが、真の力を借りずに自分だけの力で立っていた。

 

「逃がしませんからね、先輩。覚悟してください」

 

 腕の間に真を挟むようにタイル張りの壁に両手を突く。お互いの乳首が触れ合うように位置を調節し、マシュは獲物を狙う狼よろしく瞳を輝かせて真に身を寄せた。勃起した乳首が擦れ合う感触、真の人肌の温もりに官能的な吐息を漏らし、少女は男と再び一つになろうと腹部に触れる男根を手に取ってその先端を自身の秘所の入り口へと宛がった。

 

「ん……分かりますか、先輩? 先輩のおちんちん、わたしのオマンコに食べられちゃってますよ。オマンコがおちんちんの先っぽをぱっくんしてぇ、はぅん……少しづつ呑み込んでってます」

 

 緩慢な動作でマシュは腰を進ませていき、男の象徴をゆっくりと胎内に迎え入れていく。少し逸物を膣内(なか)に入れては腰を引き、またちょっとずつ腰を前進させる、三歩進んで二歩下がるような動きで真を焦らしていった。

 

「体もおちんちんもピクピクぅって震えてますね。早くわたしの膣内(なか)に入れたいですか? おちんちん、わたしのねっとりオマンコで根本までしゃぶって欲しいですか?」

 

 卑猥な言葉を口にしながらマシュは顔に淫靡な笑みを作り、真に見せつけるように舌舐めずりする。真の首筋に吸い付き、軽く歯を立てて甘噛みし、あくまで自分が捕食者の立場であることを主張した。

 

「だぁめ♡」

 

 嬲るようなマシュの腰使いに業を煮やした真が臀部を掴もうと伸ばしてきた両手を払い除ける。じりじりと下半身から這い上がってくる微弱な、でもはっきりとした快感に眉を寄せる真にマシュは小悪魔チックな笑みを浮かべて見せた。

 

「今はわたしの番。先輩からのお触りは厳禁です。また、お触りしようとしたら今度はお仕置きですからね。こんな風に……えい♡」

 

 きゅっと肉壺の入り口を引き締め、出入りする亀頭を重点的に責め立てる。丁度、カリ首とその下の窪みを強烈に引き絞られ、真は思わず呻き声を零した。鋭い快電流に顔を歪める真の姿にマシュは小さくクスクスと笑う。

 

「あれあれ、もしかして出ちゃいそうですか? いいですよ。何度でも、好きなだけお漏らしして。何回でも出させてあげますから」

 

(こ、こんにゃろう)

 

 サディスティックな態度のマシュに真は歯ぎしりした。強気に出ているマシュだが、実は逝きかけていることを真は知っていた。短いスパンで断続的に収縮する肉襞が何よりの証左。余裕ぶっている姿は演技、真にペースを握られないようにするためのものだ。

 

(その余裕、どうにかして剥ぎ取っちゃる。しかし、どうやって……)

 

 力尽くが無理なのはベッドに押し倒されたことから経験済みだ。何かしらの方法でマシュに隙を作り、その瞬間を突かなくては。今までの戦いで磨き上げてきた観察力、戦術眼を総動員してマシュ攻略の糸口を見つけようとするも、マシュの動きによって齎される快楽に思考が鈍り、考えも上手く纏まらない。

 

「先輩、我慢は体に毒ですよ? 今までずっと我慢(そう)してきたわたしが言うんだから間違いありません。ほら、自分に素直になって、わたしのオマンコに思う存分ザーメンピュッ、ピュッして下さい」

 

 蕩けてしまいそうな甘い声が真の脳を蝕んでいく。このまま良い様に弄ばれてしまうのかと歯噛みする真の視界にシャワーヘッドが飛び込んできた。浴槽に向かって吐き出されていた水はお湯へと変わり、湯気を立ち昇らせている。

 

(これだ!)

 

 伸ばした左手でシャワーヘッドを掴み、マシュの方へと向けた。勢い良く出ていたお湯が頭からかかり、マシュは小さく驚きの声を上げて目を瞑る。その一瞬を逃さず、真はマシュの臀部へと両手を伸ばした。尻肉が指の間からひり出すほどの力で桃尻を掴み、思い切り引き寄せる。

 

「ひぃやあん!」

 

 剛直に肉壺の奥を穿たれ、マシュはあられもない悲鳴を上げた。女体を駆け上る快感に力が抜け、思わず真に縋り付くようにしな垂れかかる。

 

「ほら、我慢は体に毒なんだろ? 好きなだけ逝っちゃえよ」

 

 突然の絶頂に痙攣する肉襞の感触が逸物にダイレクトに伝わって真は背筋に鳥肌を立たせるが、それでも意趣返しとばかりに亀頭で子宮口を押し上げた。ひしとしがみついてくるマシュの体から伝わるオルガズムの震えに真は勝ち誇った笑みを浮かべる。

 

「せん、ぱい。わたし、お触りは厳禁だって、言いました、よね? それなのに、先輩は……お仕置き、しちゃいますから!」

 

 しかし、マシュも負けていなかった。両手で真の頬を挟み、顔をぶつけかねない勢いで唇へとむしゃぶりついたのだ。物理的に真に有無を言わせず舌を口に捻じ込み、同時に腰を振りたくり始める。無遠慮に侵入してきた舌が口蓋や歯茎を舐め回し、戦慄く媚肉が男根を揺さぶった。

 

 負けじと真も舌と手をつかい始める。口内で不躾に動くマシュの舌を舐め返し、ぐにぐにと尻肉が形を変えるくらいの力で桃尻を捏ね繰り回した。舌と舌が触れ合うと二人の体はびくんと揺れ、臀部を揉みくちゃにされてマシュは悩ましい吐息を漏らし、真は加速度的に具合の良くなる肉壺に逸物から溢れ出る先走りを流し込んでいた。

 

 何時しか、二人の動きがシンクロし始める。真を屈服させようと激しく前後に振られていたマシュの細腰は動きを円形に変え、いやらしくグラインドして相手と快感を分かち合おうとしていた。真も両手を使ってマシュの動きをサポートし、より強い快楽を互いの性器に生み出す。一心同体となり、二人は絶頂へと上り詰めていった。

 

 やがて、二人はほぼ同時に果てへと至った。脈動する男根が白濁液を噴き出し、逝き狂う女体に追い打ちをかける。恵体をぶるぶると震わせ、マシュは性器から潮と精液の混合液を滴らせた。

 

「あん、勿体ない」

 

 栓になっていた肉棒が引き抜かれ、雌穴からごぼごぼとラブジュースが溢れ出てくる。マシュは股間に手を伸ばし、掌で床へと落ちる粘液を受け止め、そして口に運んだ。掌一杯に溜まった混合液を音を立てて啜り上げ、喉を鳴らして飲み下していく。とても飲めたような味ではないのに、不思議と口にするのに抵抗感は無かった。それどころかもっと飲みたいとさえ思えてくる。

 

 掌にべっとりと残っていた粘液を舐め取っていたマシュの目に真の逸物が映った。愛液と精液が纏わりついた、硬く勃起している剛直は萎えるどころか、その兆候すら見せていない。

 

「あは♡」

 

 マシュの口角が淫らに持ち上がる。躊躇うことなくマシュはその場に跪き、逸物をしゃぶるのに丁度いい高さに顔を合わせた。

 

「お掃除、しますね……はぁむ」

 

 そんなお題目を口にし、マシュは湯気が出そうなくらいに熱くなった男根をぱくりと咥える。舌の上に広がる雄と雌の味に体の奥が熱くなり、雌穴から蜜が分泌された。

 

「んむ、ぢゅっ、ぢゅる、れる、れろ、ぢゅううううう」

 

 マシュは最初からトップギアで頭を前後させ始める。掃除する気なんてこれっぽっちも無かったようだ。震える肉棒から更なる精を吸い出そうと唇を引き締め、頬を窄め、舌を這い回らせて強制的に快感を叩き込んでいく。

 

「ま、マシュ。今出したばかりだから、そんなに激しくされたら……!」

 

 切羽詰まった真の言葉にマシュは望むところだと言わんばかりにバキュームフェラを続けた。ひょっとこのように顔を歪め、上目遣いに真を見詰める瞳で精液をおねだりする。唇で肉竿をしごかれ、頬肉で亀頭を押し潰された。そこに鈴口を穿り返す舌の動きが加わり、真は瞬く間に射精へと追い詰められていく。

 

「マシュ、顔にかけるぞ!」

 

 不意にそんな言葉が口から飛び出していた。特に理由は無い。何故か、唐突にマシュの顔を精液で汚してみたいという欲望が湧き上がってきたのだ。真の提案にマシュは目を輝かせ、ぢゅぽんと音を立てて口内から剛直を引き抜いた。

 

 舌を突き出し、目を閉じているマシュの顔に射精寸前の男根が向けられる。一拍置いて、水鉄砲のように鈴口から飛び出した精液がマシュを汚していった。床とほぼ水平になる勢いで発射される粘液は瞬く間にマシュの顔を濁った白に染めていく。

 

 前髪にまで及んだ射精が終わる頃、マシュの顔は肌が見えなくなるほどに白濁液で汚されていた。当然、開かれていた口内にも精液は入り込んでおり、マシュは味わうように精液を舌の上で転がしている。顔に張り付いた熱々の白濁液、むせ返るような雄臭さにマシュは軽く逝きかけながら口を閉じ、じっくりと咀嚼して真の精を堪能した。

 

「先輩」

 

 ごっくんと口内の精液を飲み込み、精液で覆われた瞼を薄く開くマシュ。紫色の目に宿した欲望の光をより強く煌めかせ、嬉々として真に訊ねる。

 

「次はどこにぶっかけてくれますか?」

 

「っ!!」

 

 言葉に出来ぬほどの興奮に煽られ、真は無言でマシュを立ち上がらせた。乱暴に回れ右をさせ、壁に両手を突かせる。臀部を高々と持ち上げさせた、立ちバックの体勢だ。

 

「今度は後ろからするんですね。いいですよ、思いっきりパンパンって腰打ち付けて下さい」

 

 若々しい、張りと艶に満ちた臀部を揺らしてマシュは真を誘った。左右に揺れ動く桃尻をがっちりと掴み、真は尻肉を左右に押し開く。女陰の上にある、薄桃色の小穴が曝け出された。

 

(え、まさかお尻に……!)

 

 予想外の展開にマシュは身を強張らせる。そんなことはお構いなしで真は男根を臀部に押し付けた。

 

 尻穴への挿入を想像し、マシュは一層体をカチコチにさせた。しかし、予想していた衝撃は訪れず、代わりに尻肉の間を何かが往復する感触に襲われる。肩越しに振り返ってみると、真が寄せた尻肉で逸物をしごいていた。所謂、尻コキだ。

 

 想像と違う行為にマシュはホッとしたような不満なような複雑な感情を抱くが、すぐにそんな感情は思考の外に放り投げることになる。尻肉を寄せ上げる手の感触は甘い快電流を発生させ、剛直の裏筋でアナルを撫でられる感覚はマシュに新鮮な快感を覚えさせた。

 

「せんぱぁい。わたし、変な感じです。お尻の穴がムズムズしてぇ、オマンコ切なくなっちゃいますぅ」

 

 こそばゆさと気持ち良さの中間のような感覚にマシュはもどかしげに美尻を左右に振った。右に左に動く尻肉の感触が真の射精感を高めていく。マシュの膣内(なか)ほどの刺激は無いが、精を吐き出すには十分な快感が得られていた。シャワーから降り注ぐお湯も敏感な亀頭に当たり、いいアクセントになっている。

 

「……出る!」

 

 言葉短く告げられる放出の時。震える肉棒が撃ち出す精液は勢いを失わず、マシュの腰、背中、項にまで至った。

 

「あぁ、熱い……」

 

 シャワーのお湯よりも熱い真の精液にマシュは恍惚と呟く。やはり、精液を子宮で受け取るのが最高だが、皮膚にぶっかけられるのも中々に悪くない。全身を真にマーキングされているような感覚を味わえる。

 

(でも、やっぱりこっちに欲しいなぁ)

 

 既に満杯になっているにも関わらず、マシュの子宮は真の精を求めてキュンキュンと疼いている。女の悦びに目覚めた少女は際限なく想い人の愛を欲していた。

 

「先輩、来て下さい」

 

 双眸に切なさを宿らせて振り返るマシュ。哀切に訴えかけてくるマシュに頷いて見せ、真は男根を女の割れ目に押し付ける。そして躊躇うことなく熱くぬかるむ肉壺に逸物を挿入させた。

 

「あああぁぁぁ♡ これぇ、これが好きなのぉ♡」

 

 肉の洞を埋め尽くす剛直にマシュは歓喜の声をバスルームに反響させる。続いて肉がぶつかり合う生々しい音が響き、すぐにマシュの喘ぎ声が追加された。拡がるカリ首が蠕動する肉襞を抉り、膨張する亀頭で子宮口へと熱く甘い衝撃を打ち込んでいく。

 

 女体を右に左にくねらせてよがりまくるマシュを真は容赦なく犯していった。腰がぶつかる度にプルプルと震えるマシュの桃尻を揉みしだき、撫で回す。指が尻肉に食い込み、掌が美尻を滑っていくと、マシュの膣内(なか)は言葉に出来ないほどに具合を良くした。媚肉の一枚一枚がしっとりと逸物に絡みつき、根元から先端を余すところなく吸い上げていく。ぴたりと密着し合った粘膜が互いを擦り立てていく快感は真に怖気すら覚えさせた。

 

 背後からの突き込みに合わせ、マシュの乳房がゆさぶられる。はち切れんばかりの果肉を押し込められたマシュマロバストはたぷんたぷんと縦横無尽に揺れ回り、先端で色づいた乳首が薄桜色の軌跡を宙に描いていた。

 

「先輩、わたし、わたしぃ……!」

 

 体の奥に問答無用で送り込まれる肉悦にマシュは涙ぐむ。背後から犯される獣のような交わりに彼女は既に何度か逝きかけていたが、必死に歯を食い縛って絶頂から遠ざかろうとしていた。

 

「いっしょぉ、一緒がいいれふ……!」

 

 果てるなら共に。少女の切なる想いに少年はより過激な抽挿で応じる。彼の男根もビクビクと痙攣し、欲望の解放を間近に控えていた。互いに絶頂へと上る僅かな時間の間、二人は快楽を極めんと我武者羅に腰をぶつけ合わせた。

 

 膣道を押し広げるように亀頭がムクムクと膨れ上がる。一瞬の間が空き、尿道をせり上がってきた精液が亀頭の割れ目から波濤のように噴出した。

 

「逝く、逝く逝く逝く、イっくうぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

 マシュの細い喉から絶叫が迸る。体ごと意識が押し流されてしまうと思える快感にマシュは何か掴むものを求めるが、立てられた爪がバスルームの壁をかりかりと削るだけだった。

 

 ずるりとマシュの両手が壁から滑り落ちる。同時に力が抜けた上半身が腰から曲がり、マシュはストレッチの前屈をするみたいな体勢になった。今にも途切れそうな弱々しい呼吸をしながらマシュは上下が逆転した視界の中に結合部分を映す。膣内(なか)から溢れ返り、ボタボタと垂れ落ちる精液。これだけ大量の精を子宮に注ぎ込まれるほど自分は愛されているのだと思うと、胸を突き破りそうな喜びが生まれてくる。

 

「しぇんぱい、だいしゅきれふ」

 

「奇遇だな。俺もだよ、マシュ」

 

 腹部へと両手が回され、そっと抱き上げられた。振り返ると、大好きな人の顔が眼前にあった。見詰め合っている内に自然と唇が触れ合う。快感だけではなく、愛情にも似た何かが唇を通して伝わってくるようだった。二人は互いの気が済むまで、想いを通じ合わせながら何時までもキスを続けていた。

 

 

 

 

 ギシギシとベッドの軋む音がする。新しいシーツを敷き直したベッドの上で真とマシュは睦み合っていた。舌を交尾する蛇のように絡み合わせ、両手を恋人みたいに繋ぎ合わせて交わりを続ける。

 

 子宮に真上からピストンを打ち込む体勢、俗に種付けプレスといわれる状態で真はマシュの肉壺に逸物を出し入れさせた。腰がぶつかり合う度に太腿に溢れ返った精液がべちゃべちゃと不快な粘着音を奏でたが、それすらも今の二人には興奮を煽るアクセントの一つにしかならなかった。

 

 すらりとした両脚を真の腰に巻きつけ、マシュは動かせる範囲で腰を婀娜っぽく揺らして少しでも多くの快感を真に味わわせようとする。もう、彼女に取って自分の体は真を悦ばせるための、真と肉悦を分かち合うための道具でしかなかった。その証拠に肉襞は完全に真の男根の形を覚え、どんな体位からの挿入でも一番感じる部分を刺激してくるようになっていた。

 

 きゅっ、とマシュは繋いだ手に力を込める。逸物を柔和に包む肉壺内が切なそうに蠢いていた。うるうると潤った双眸が同時に逝きたいと告げている。優しくマシュの手を握り返し、真はラストスパートをかけた。拍手のように響く肉の打つ音、ぐちゃぐちゃと結合部から漏れ出る卑猥な撹拌音。粘膜に走る甘美感、肌から伝わる体温の全てが二人を高めていき、やがてゴールを迎える。

 

「……♡」

 

 命を宿す部屋に精を放出され、マシュは幸せに涙ぐんだ瞳を細めながら背筋を反り返した。多幸感の余り、全身が細かく震える。このまま死んでもいいと思えるほど、今の彼女は幸せだった。

 

「マシュ」

 

「先輩」

 

 射精を終えた真がマシュの目を覗き込む。奥にハートマークが浮かんでいそうなくらいに幸せで蕩けた瞳でマシュも真を見詰め返した。互いの目に最愛の相手しか映らない、甘く溶けてしまいそうな二人だけの世界。行為を始めてから何度目になるか分からないキスをしようと二人の目が閉じられたその時。

 

 ジリリリリ!!

 

 風情も何もあったものではないアラーム音が二人の世界をぶち壊す。現実に引き戻された二人が時計に目を向けると、針が起床時間を指し示していた。

 

「朝、ですね。先輩」

 

「あぁ。夢中で全然気付かなかった」

 

「どう、しますか?」

 

「そだな。とりあえず……体洗おっか」

 

「……はぁい」

 

 こうして、マシュの初体験は何とも締まらない幕引きを迎えたのだった。

 

 

 

 

「いやぁ、まさか一晩中マシュとやりまくる事になるとはな。頼光さんの時も朝までぶっ通しだったけど、あの時は俺寝落ちしたし……これもダ・ヴィンチちゃんの薬のお蔭かね」

 

 男女の体液でドロドロになっていた体をシャワーで清めた真は朝食を食べようと、食堂に続く廊下を歩いていた。朝ご飯に行く前に汚れた二枚目のシーツを洗おうと思ったのだが、

 

『掃除なら任せて下さい。わたしがやっておきますから』

 

 と、半ばマシュに追い出される形で部屋を出てきたのだ。昨日までの真ならマシュの言葉に微塵の疑いも持たなかったのだろうが、ついさっきまで激しく愛し合っていたことを思い出すと、どうしても何かするつもりなのではないかと勘繰らずにはいられなかった。

 

「朝飯食べたら、色々と調べとかないとな」

 

「何を調べるんですか?」

 

 うぉう! と何の前兆も無しに背後に現れたマシュに真は驚き跳び上がる。バクバクと早鐘のように鳴る鼓動を落ち着けつつ、白衣に眼鏡なカルデアスタイルのマシュと向かい合った。

 

「よ、よう、マシュ。随分、早かったな。掃除、もうやってくれたのか?」

 

「はい。ベッドメイクは勿論、床や壁、天井も完璧です。埃一つありません」

 

 マシュマロおっぱいをプルンと揺らし、マシュは誇らしげに胸を張る。真がマイルームを出てまだ五分も経っていないのだが、生真面目かつ実直なマシュが嘘を言うとも思えない。彼女の言葉は紛れも無い真実なのだろう。

 

「そ、そっか。ありがとな、マシュ。じゃ、一緒に朝飯食べに行くか」

 

「はい、お供させてもらいます。その前に」

 

 ゴソゴソとポケットを探り、何かを取り出すマシュ。差し出されたのは一枚のカードだった。

 

「こいつは?」

 

「わたしの部屋のカードキーです。先輩だけしか使えない、先輩だけのカードキー……何時でも、朝昼晩好きな時に使ってくれていいんですよ?」

 

 突如、科を作ったマシュは真の首に両腕を巻き付けた。突然のことに固まる真を見る双眸は獣のような眼光を放っている。

 

「わたしの体は二十四時間、三百六十五日、何時だって何処だって先輩専用ですから。好きな時に、好きな場所で、好きなだけ味わってください。何なら、今からでも」

 

 ちろりと舌で唇を舐め上げるマシュに真は戦慄する。彼女が冗談を口にしている訳ではないと本能で理解したからだ。彼女は本気で、真が望みさえすれば今この場で情事に及ぶことも厭わない……!

 

「よ、よし、一旦落ち着こうか、マシュ。こんな誰かに見られちゃうかもしれない場所でするなんていくら何でもまず」

 

「先輩とわたしのラブラブっぷりを見てもらうのもいいかもしれませんね」

 

「そ、それに今日は素材集めに行かなきゃだし」

 

「さぼっちゃいましょう。仕事を投げ出して溺れる背徳セックス、きっと最高ですよ?」

 

 くすりと小悪魔じみた笑みを浮かべ、マシュは真の手を掴んで自身の臀部へと誘った。スカートを捲り上げ、黒タイツに覆われた美尻を真に撫で回させる。手を尻から離そうにも、重ねられたマシュの手の力が強くて無理だった。

 

(こ、この感触。まさかマシュ、ノーパン……!)

 

「先輩、想像してみて下さい。わたしのことを壁に押さえつけて、タイツをびりびりに破いて後ろから思いっきり犯すんです。マン汁垂れ流して感じちゃってるわたしのとろとろオマンコに先輩のバキバキ勃起おちんちんをじゅぼじゅぼってハメまくるんですよ? きっと、わたしも先輩も頭がぶっ飛んじゃうくらい気持ち良くなっちゃいますね」

 

 はぁ、と艶美な吐息を真の耳元に吐き掛け、マシュは一層強く体を押し付けた。後ろに下り、言葉と体で誘惑してくるマシュから逃れようとする真だったが、すぐに壁際へと追い詰められてしまう。

 

「パンパンって、わたしのお尻が真っ赤になるくらい強く腰をぶつけるんです。そして最後にドロドロ濃厚ザーメンを子宮にドピュドピュって……考えるだけでわたし、妊娠しちゃいそう」

 

 せんぱぁい、と甘ったるい声が真の鼓膜を通して脳を毒していく。見てはいけないと思いながらも真は視線をマシュへと向けずにはいられなかった。秋波を送る眼差しに体が凍り付いたように動かなくなる。ゆっくりと真の耳に唇を近づけ、マシュは艶めかしく言葉を紡いだ。

 

「わたしぃ、先輩の赤ちゃん、産みたいなぁ」

 

 ブヅッ、と真の中で何かが音を立てて引き千切れる。それが理性を振り切った音なのか、それとも本能の抑えが外れた音なのかどちらか分からないが、一つ確実に言えることは真がマシュの誘惑に負けたということだ。

 

「ま、マシュ!」

 

 柔らかな女体を乱暴に掻き抱く。男らしさを超越した、獣性すら感じさせる真の腕にマシュは媚び切った悲鳴を上げた。誰もいない廊下で、野を駆ける獣のような交わりが始まろうとしている。このまま欲望の赴くままに男女が愛し合おうと互いの服に手をかけ、

 

「何をしている、お主ら」

 

 第三者の声に手を止めた。二人が振り向くと、声の主であるスカサハが腕組みをして立っていた。紅の双眸に絶対零度の怒りを宿し、真を睨み付けている。

 

「朝食の時間になっても来ぬから迎えに来てみれば……随分と盛っているみたいだな、真、えぇ?」

 

「あ、いや、御師さん。これはその……」

 

 彼女に浮気現場が見つかった彼氏のように真は顔を青くさせる。実際、状況は限りなくそれに近いものだが、スカサハが怒っている点は別のところにあった。

 

「何故、私に声をかけない? か弱い少女を、それも大切な相棒を手籠めにしかけるくらいに溜まっているなら私で発散すればいいだろうに」

 

 誰もがそこかよ、と突っ込みを入れるだろう。しかし、スカサハにしてみれば大問題だった。一か月以上も真と寝床を共にしていないため欲求不満が募りに募っているというのに、肌を重ねたいと想っている男が自分以外の女に襲い掛かろうとしていたのだ。怒りを覚えるなという方が難しいだろう。

 

「少し、話をするとしようか。マシュ、お主は食堂に行っておれ。私はそこの阿呆と話さねばならんことが」

 

「スカサハさん」

 

 にっこりとほほ笑みながらマシュはスカサハの言葉を遮る。誰かの話に割って入り、自分の意見を主張しようとする今までのマシュなら考えられない行動に真は驚愕で顔を染めた。スカサハも僅かに瞠目し、小さくない驚きを露わにしている。

 

「わたし、スカサハさんに言いたいことがあるんです」

 

「私に、だと?」

 

 はい、と元気良く頷くマシュは相変わらず悪意など欠片も感じられない微笑を浮かべているが、スカサハはすぐに気付いた。柔らかな笑みを作る顔の下で、マシュが自分に対して凄まじいまでの対抗心を燃やしていることに。

 

「スカサハさんは先輩が初めて召喚した、一番最初にカルデアに来られたサーヴァントです」

 

「……あぁ、そうだな」

 

「そしてわたしはスカサハさんが来るよりも前に先輩の傍にいた、先輩の初めてのサーヴァントです」

 

 マシュの言葉にスカサハは能面のような顔を微かに歪める。物理的な威力があったら鉄板を撃ち抜きかねない程に強烈なスカサハの視線を受けても、マシュは平然としながら立っていた。

 

「今はスタートがちょっと遅くなっちゃったから譲ってあげてますけど、忘れないで下さい。先輩の一番はわたし、マシュ・キリエライトです」

 

「それは宣戦布告と受け取っていいのか?」

 

「お好きなように。わたしはただ、事実を言っただけですから。それじゃ先輩、わたしは先に食堂に行ってますね。先輩の分の朝食はちゃんと確保しておきますので、スカサハさんとゆっくり話し合って下さい……わたし、何時でも待ってますから」

 

 去り際に小さく一言残し、マシュは二人を置いて食堂へと向かっていった。

 

「男子三日会わざれば刮目して見よ、なんて言葉があるが、あの子を見てると女にこそ相応しい台詞に思えてならんな。一晩であぁも変わるか……いや、よくよく思い出してみれば何日か前から兆候はあったか? まぁいい」

 

 マシュの後ろ姿を見送っていたスカサハが真に体を向ける。マシュに対する抑え切れない羨望と嫉妬を瞳に湛えながら真へとにじり寄った。

 

「抱いたのか?」

 

「あ、えぇ、まぁ、はい」

 

「ん~そうか、そうかん~……つまりお主は一か月以上もお預けを喰らって絶賛欲求不満だった私を放置して、あのマシュマロ娘と一晩中睦み合っていた訳だ。お前のことを想いながら自分で慰めていた私を放っておいて。そうかそうか……」

 

 だぁん! とカルデア中が震えるほどの威力でスカサハは壁に右手を叩き付けた。天井からパラパラと埃が落ちてくる中、巷で噂の壁ドンで真に迫るスカサハ。小さく吊り上がった口角がひくひくと揺れている。

 

「妬いてしまうなぁ……真、もしお主が私にやきもちを焼かせたいと思っているのなら、その目論見は大成功だぞ。今、嫉妬の炎で私の体は燃え尽きそうだ……!」

 

 ギラギラと嫉妬の大炎を宿した双眸が真をねめつけていた。余りの迫力に思わず目を逸らすが、そんなことは許さないとスカサハは左手で真の顎をくいと持ち上げる。

 

「真、今日の素材回収のノルマは?」

 

「ど、ドクターがデータを持っております」

 

「一時間で戻る。部屋で待っていろ……あぁ、言うまでもないと思うが、一人でな。もし、私が部屋を訪れた時に誰か女がいてみろ。その時は」

 

「そ、その時は?」

 

「その女を殺す。誰であろうと、どんな目的で部屋にいようとな」

 

 紅蓮地獄に放り込まれたのではと思わせる極寒の声でスカサハは断言する。一目見ただけで、彼女が本気であることが分かった。

 

「殺す、心臓を我が魔鎗で貫き、壁に縫い付けて殺す。そしてその死体の前でお前を枯れ果てるまで犯し抜いてやる」

 

 脅しではない。もしそうなったら、この女性は確実に己の言葉を実行に移すだろう。真はただ頭を揺らされた赤べこのようにこくこくと頷くしかなかった。

 

「ではな。朝食を食べてしっかりと精をつけておけ」

 

 それだけ言い残し、スカサハは掻き消えるように走り去っていく。後に一人残された真は深々と息を吐きながら額の汗を拭った。

 

「何だか大変なことになっちゃったなぁ……とりあえず」

 

 携帯端末を取り出し、とある人物との通信回線を開く。数秒後、目の前に空間ウインドウが表示され、目的の人物が現れた。

 

『はぁ~い。皆のダ・ヴィンチちゃんだよ。何か用かな、真君?』

 

「お早う、ダ・ヴィンチちゃん。マシュが色々と世話になったみたいだね」

 

『ふっふ~ん、そんな大したことをした訳ではないよ。私はただ、悩める乙女の背中をちょんと押しただけだからね~♪』

 

 画面の中で楽しげに笑う元凶、もといダ・ヴィンチちゃん。悩める乙女ではなく、ブレーキの壊れたダンプカーと化した少女の間違いではなかろうか。

 

『で、どうだった。マシュと素敵な夜は過ごせたかい?』

 

「えぇ、素敵過ぎて色々と困るくらいにね……マシュに頼まれて作った精力剤ってまだあります?」

 

『そりゃあるけど……え、まさかまだ物足りないのかい? 真君、十代の君にとって溢れ出る性のリビドーを抑えるのは難しいことだってのは分かるけど、流石に節操が無さすぎやしないかい? そんな、ケルトじゃあるま』

 

「ありったけ全部ヨコセ」

 

『あ、はい。ただいま』

 

 マジトーンの真にダ・ヴィンチちゃんは背筋を正し、唯々諾々と彼の言葉に従うのだった。

 

 

 

 

 きっかり一時間後、ノルマの数倍の量の素材を集めてきたスカサハは突風を巻き起こしかねない速さで真の部屋を訪ねた。真もスカサハの言う通り、一人で部屋で待っていた。この後、二人の間でどのようなやり取りが行われたのかは……皆様のご想像に任せるとしよう。

 

 ただ一つの真実は翌日の朝、真の部屋から出てきたスカサハの顔が非常に艶々していたことだけだ。




 軽いキャラ紹介

『マシュ・キリエライト』
皆大好きマシュマロ後輩サーヴァント。僕もマシュのマシュマロマシュってしたいです。誰よりも早く真に恋心を抱いていたが、人生経験の少なさが祟って恋だと気付けなかった。気付いた時には既に真の周りに何人もの女性がおり、諦めて身を引こうとした。しかし諦めきれず、悶々としているところにフォウ君出現。彼の洗脳、もとい説得を受けた結果、忠犬系健気後輩シールダーから超肉食系ど淫乱ビーストへとクラスチェンジする。単純に作者がエッチぃマシュを書きたかっただけ。ごめんね。

『スカサハ』
マシュに宣戦布告にも等しい台詞を言われる。現状、彼女を最も警戒すべき存在だと認識している。ヤンデレ度上昇中。




 そういうわけで皆大好きマシュマロサーヴァントの回でした。まさかの三万字超え。書こうと思ったもの書いてたらこうなった。うん、しかし今更何を言ってんだって感じになるけどこれは酷いキャラ崩壊。でも、普段健気で素直な子が自分の前だとエッチになるっていいよね、と作者は思うのです……はいすみません。

 FGOも最後を迎えましたね。作者も無事に採集(誤字にあらず)決戦に参加できました。で、魔神柱のフリークエストは何時追加されますか? もっとだ、もっと寄越せバルバトス……!

 ドクターはあんなことになっちゃったけど、何時かまた会える日が来ると信じてるよ。そう思った方が浪漫あるしね。

 今年の投稿はこれで最後になります。FGOはエンディングを迎えたけど、この作品はまだまだ続くんじゃ。来年も気が向いたら作者の駄作を読んでやって下さい。では、皆様よいお年を。













 いやしかし、回を進めるにつれて作者の文章力と語彙の無さが露見していくな。うん、頑張ろう。


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『ダブルジャンヌ(上)』報復の時は来た!

 長くなりそうだったので上下に分けました。今回はエロは無いのです、申し訳ない。次回はほぼエロオンリーになると思うけど……何時投稿できるかしら。一月中にはどうにか……。


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

「~♪」

 

 ここは人理継続保障機関『フィニス・カルデア』。食堂へと続く廊下を一人の美少女が長く艶やかな三つ編みの金髪を揺らし、鼻歌を歌いながら歩いていた。誰がどう見ても上機嫌だと思う彼女の名はジャンヌ・ダルク。オルレアンの乙女、クラスルーラーのサーヴァント。そして聖処女(元)だ。

 

 普段は物腰柔らかく、時に厳しく時に優しく、そして理知的に振る舞う彼女だが今日は妙に浮かれ気味。それも無理からぬこと、何故ならあのジャンヌ・オルタにお茶に誘われたのだ。

 

 ジャンヌとジャンヌ・オルタ。第一特異点のフランスでは救国の聖女、竜の魔女として相争った二人だが、ここカルデアでは共に人理を救う仲間として轡を並べて戦っている。とはいっても互いに、特に黒い方は白い方に対して複雑な感情を抱いているようで、関係は幾分かギクシャクしていた。

 

 ジャンヌとしてはジャンヌ・オルタと良好な関係を築きたいと思っており、何か仲良くなる方法や切っ掛けはないかと日々思案に暮れていた。一番手っ取り早いのはマスターである真に仲介なり何なりを頼むことだが、色々と多忙なマスターの手を煩わせてはならないとジャンヌは一人悩む日々を送っていた。

 

 そんな中、何とジャンヌ・オルタの方から話をする切っ掛けを作ってくれたのだ。自分から歩み寄る方法を思いつかなかったジャンヌはジャンヌ・オルタからの誘いを一も二も無く受ける。ジャンヌ・オルタの性格から考えてただ普通にお茶を楽しむ、なんて展開はまずないだろうが、それでもこうして二人で話し合える場が設けられたのがジャンヌには嬉しかった。

 

「あら、随分早かったじゃない。そんなに私とのお茶が楽しみだったのかしら……何です、その締りのない顔は? かの高名な聖女様は頭の中がお花畑にでもなってしまったのかしら」

 

 約束の時間よりも早く食堂にやって来たジャンヌを辛辣な言葉で迎えるジャンヌ・オルタ。しかし、そんな態度は何時ものこと。ジャンヌ・オルタの棘のある言葉にジャンヌは気を悪くするでもなくニコニコと微笑んでいる。

 

「オルタさん。今日はお茶に誘っていただきありがとうございます」

 

「はっ、別に誘った訳じゃないわよ。私は実験台、というか生贄が欲しかっただけだから……何か勘違いされてもうざったいので、今ここではっきりと言っておきましょう」

 

 ビシッ、とジャンヌ・オルタはジャンヌの鼻先に指を突きつける。

 

「私、貴方と仲良くお茶する気なんてこれっぽっちもありませんから。ただ、これから作る料理の味見役が欲しかっただけですので」

 

「味見役に私を?」

 

 首を傾げるジャンヌにジャンヌ・オルタはえぇ、と唇を三日月型に歪めて意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「貴方にだったらどんなに不味く出来上がった失敗作を食べさせても心が微塵も痛みませんから。寧ろ、その姿を肴に美味しく酒、もといお茶が飲めるというもの……いっそ、わざと不味いものを作って食べさせるというのもありね」

 

 どこか誰もいないところで言うならともかく、本人を前にして口に出す言葉ではない。自分から誘っておいて何だそれはと機嫌を損ね、そのまま回れ右して帰っても可笑しくないジャンヌ・オルタの発言にもジャンヌは微笑みを崩さない。この程度の悪態を吐かれることは想定の範囲内だ。

 

「それでも構いません。例えどのようなものを出されたとしても、今日こうして貴方と話せることが私には嬉しいですから」

 

「……ふん、相変わらず吐き気がするほど清廉な女ね。本当、忌々しい」

 

 苦虫を噛み潰したような顔するジャンヌ・オルタだが、どんな暴言を言ってもジャンヌには蚊ほども効かないことは分かり切っていたのでそれ以上は何も言わなかった。

 

「まぁいいわ。じゃあ作ってくるから、そこ座って待ってなさいな」

 

「そういえば聞いてませんでしたが、今日は何を作るんです?」

 

 ジャンヌの問いにパンケーキ、と言葉短く答えるジャンヌ・オルタ。予想外の返答にジャンヌは小さく目を見開く。普段、ジャンヌ・オルタがマリーや頼光、カルデアの女性陣に頼まれて作っているショートケーキ等のお菓子や和菓子類の方が難易度は高いのではなかろうか。

 

「別にどっちの方が作るのが難しいかなんて関係ないわよ。初めて作るものなんだから、練習して当然でしょう」

 

 ジャンヌの疑問を察したのか、エプロンを着ながらジャンヌ・オルタは言った。

 

「それに、真には美味しく出来たの食べて欲しいし」

 

 ぼそりとジャンヌ・オルタが呟いた台詞にジャンヌは思わずクスリと笑う。要は好いた男に美味しいものを食べさせたい、自分が作ったものを美味しいと言って欲しいという彼女の乙女心だ。

 

「な、何よ。その微笑ましいものを見る目は?」

 

「いえ。貴方も真君のことが大好きなんだなと思って」

 

「うっさい! ほっとけ! そのにやけ面を止めなさい! さもなきゃ燃やすわよ!」

 

 うがー! と顔を真っ赤にしてジャンヌ・オルタは脅しをかけるが、ただの照れ隠しであることが丸分かりなので何の効果も無かった。加えて、彼女の着ている黒いエプロン。胸元に施された可愛らしいデフォルメワイバーンの刺繍がジャンヌ・オルタの迫力を無きものにしている。

 

 ちなみにこのエプロンは真がジャンヌ・オルタのために手作りしたものであり、彼女は殊更に大切にしていた。洗濯も人には任せず、アイロンがけから畳むまでの工程を全て自分でするほどだ。そんなことはさて置いて話を戻そう。

 

「ぜぇ、ぜぇ、調理前にこんな怒鳴らせるんじゃないわよ。塩と砂糖、間違えて入れてやろうかしら……」

 

 ぶつぶつと言いながらジャンヌ・オルタは調理場に入っていく。ジャンヌも指示された椅子に座り、料理の到着を待った。

 

 既に下準備を終わらせていたのか、幾らもしない内にジューと生地の焼ける音と甘く香しい匂いが調理場の方から流れ、聴覚と嗅覚を通してジャンヌの食欲をくすぐった。漂う美味そうな匂いに思わず腰を浮かせかけた彼女の腹が可愛らしくきゅるると鳴る。

 

「あぅ///」

 

 一人赤面しながらジャンヌは座り直し、早く食べたいという気持ちを抑えて大人しくしていた。

 

「あら、素直に待ってたのね。意地汚い貴方のことだからつまみ食いしに来るかと思ってましたが」

 

 更に待つこと数分、調理場からジャンヌ・オルタが出てきた。右手には湯気の立つパンケーキを乗せた大皿を持っている。

 

「わ、私はそんなに食い意地を張っていません」

 

 どうだか、とせせら笑いながらジャンヌ・オルタは大皿、ナイフとフォークをジャンヌの前に置いた。皿の上には食欲をそそる香りを放つパンケーキが二枚重ねにされている。たっぷりのメープルシロップがかけられ、長方形のマーガリンがちょこんと乗った定番の味付けだ。

 

 ぱぁ、とジャンヌの顔が輝く。古今東西、例え聖女と余人に謳われた者であったとしても、女の子が甘いもの好きなのは余程の例外を除いて世界共通のようだ。

 

「はっ、何て顔をしているのかしら。丸で、何時間もお預けを喰らった犬のよう……聞いちゃいないわ、この女」

 

 はぁ、と嘆息しながらジャンヌ・オルタは目を閉じて感謝の言葉を呟き始めたジャンヌと向かい合うように椅子に腰かける。

 

「敬虔なのは結構だけど、冷める前に食べなさいよ」

 

「勿論。では、いただきます」

 

 ナイフとフォークを手に取り、パンケーキを切り分けていざ実食。途端にフワフワとしたパンケーキの優しい触感が口の中に広がった。噛むとケーキに滲み込んでいたシロップがじゅわっと溢れ出し、溶けたマーガリンと混ざり濃厚な味わいとなって舌を直撃する。

 

「美味しいです」

 

 一言感想をジャンヌ・オルタに告げ、ジャンヌは食事に没頭した。ナイフでパンケーキを食べ易いサイズに切り、フォークで口元に運ぶという作業を夢中で繰り返す。見てて清々しさすら感じられる食いっぷりだ。

 

「そんなに慌てて食べなくてもいいでしょうに。別にパンケーキは逃げたりしないわよ」

 

 呆れた声音で言うものの、ジャンヌ・オルタの顔は嬉しそうだった。相手が心中複雑な感情を抱いている女だとしても、ここまで美味そうに、そして幸せそうに自分が作ったものを食べてくれる光景は中々悪くない。

 

 ご馳走様でした、とジャンヌが両手を合わせるのに時間はかからなかった。

 

「素晴らしいの一言に尽きます」

 

「そう、それは良かった。これなら真に出しても大丈夫かしら? いや、もう何人かに食べてもらって感想聞いてからの方がいい……何よ?」

 

 顎に手を当てて何やら考え事をしていたジャンヌ・オルタは自身に注がれる視線を無視出来なくなり、ジャンヌへと体を向けた。キラキラと、純真無垢な子供のように輝くジャンヌの双眸に思わずたじろぐ。

 

「な、何ですかその目は?」

 

「……(じぃ~)」

 

 黒い魔女の質問に答えず、白い聖女は唯々期待の籠った眼差しを続けた。

 

「どういうつもりか知らないけど、その目を止めて下さらないかしら? 心底気持ち悪い」

 

「……(じぃ~)」

 

「耳が腐ってしまったの? その目を止めてと言っているでしょう。鳥肌が治まらないわ」

 

「……(じぃ~)」

 

「……人の話を聞いているのかしら? そんな風に私を見詰めていいのはこの世で一人(マスター)だけ」

 

「……(じぃ~)」

 

「……あの、せめて何か言ってくれない?」

 

「……(じぃ~)」

 

「だ、だから、その……」

 

「……(じぃ~)」

 

「……まだパンケーキ作れるけど、食べる?」

 

「是非」

 

 魔女が聖女に屈した瞬間だった。

 

 

 

 

 その後、ジャンヌはジャンヌ・オルタが作ってくれたパンケーキを只管食べ続けた。モッキュモッキュモッキュモッキュモッキュと頬がパンパンになるくらいパンケーキを詰め込んでいく姿はどこかの黒い腹ペコ王が乗り移ったかのよう。出しては消え、作ってはジャンヌの胃袋に収まっていくパンケーキにジャンヌ・オルタはこの世の無常を垣間見たような気がした。

 

「ふぅ……ご馳走様でした。主に感謝を」

 

「そこは作った私に感謝しなさいよ……しっかし、その体のどこにあれだけの量が入ったのかしら。ある材料全部使って作ったのに」

 

 両手を合わせるジャンヌに紅茶のカップを差し出すジャンヌ・オルタ。最初に出した二枚のパンケーキを一人前と仮定して計算すると、ジャンヌは三十人分以上食べたことになる。これには流石のジャンヌ・オルタも嫌味を忘れて唖然とするしかなかった。

 

「こんなに美味しいものをお腹一杯。オルタさん、ありがとうございます」

 

「それは良かったわね。もっと寄越せと言われたらどうしようかと思ったけど……まぁ、満腹になって当然でしょう。何せ、貴方は他の人達の分の食材まで食べ切ってしまったのですから」

 

 へ? とカップを傾けた体勢でジャンヌは固まる。彼女の額からたらりと冷や汗が流れ落ちるのをジャンヌ・オルタは愉悦の表情で眺めていた。

 

「そ、それはどういう意味で……」

 

「そのままの意味よ。もし、美味く出来たら他の人達にも食べてもらって感想を聞くつもりだったのですが……その為に多めに用意した材料も全て今はどこかの誰かさんのお腹の中、という訳です」

 

 顔を青くさせ、ダラダラと汗を流すジャンヌを心底愉しげに眺めながらジャンヌ・オルタは容赦なく言葉の刃を振り翳す。

 

「『私はそんなに食い意地を張っていません』。何て言ってたのはどこのどちら様だったかしら。ねぇ、聖女様?」

 

「はうぅ!!」

 

 言葉の刃は狙い過たずにジャンヌの胸を貫いた。見えない刃物で本当に刺されたように胸元を両手で押さえ、ジャンヌはばたりとテーブルに突っ伏す。角度の問題で顔色や表情は窺えないが、真っ赤になった耳を見れば今彼女がどんな顔をしているか容易に想像出来た。

 

「ま、これ以上は言わないでおきましょう。貴方が食い意地の張った女だというのは今更なこと。パンケーキもまた今度、材料を集めて作ればいいだけですし」

 

 本当はこのネタで延々とジャンヌを弄り倒したいところをぐっと我慢する。ジャンヌが泣き出すまでイジメ続けるのも大変魅力的だが、ジャンヌ・オルタには他にやりたいことがあった。

 

「それに、満足するまで食べさせてあげたんですもの。ここで私が頼みごとの一つや二つしても、断ったりしませんよねぇ?」

 

「頼み事、ですか?」

 

「別に警戒しなくてもいいわよ。今更、真作(あなた)を打ち倒して私が本物のジャンヌ・ダルクに! なんて言う気は無いから……ちょっと、聞きたいことがあるだけで」

 

 いえ、別に警戒はしていませんが、というジャンヌから視線を逸らし、顔を薄らと朱に染めながらジャンヌ・オルタは前髪を指に巻いたりしていた。

 

「ど、どんな感じなのよ? その、真と、ゴニョゴニョする時って?」

 

「え、真君がどうかしましたか?」

 

 真の名前は聞き取ることが出来たが、そこから先が妙に小声で聞こえない。

 

「だ、だから、真とするアレよ、アレ」

 

「アレ?」

 

 ジャンヌ・オルタの言う『アレ』というのが何なのか本気で分からないらしく、ジャンヌは疑問符を頭上に浮かべながら首を傾げる。そんなジャンヌにジャンヌ・オルタは気付けよ、察せよと視線を送るが効果は無かった。

 

「あぁ、もう! 冬のナマズじゃあるまいし何でそんな鈍いのよあんた! 真とのアレって言ったらコレしかないでしょ!」

 

 何時まで経っても『アレ』が何なのか見当のつかないジャンヌに業を煮やし、ジャンヌ・オルタは両手であるジェスチャーをする。左手の親指と人差し指でリングを作り、その中に右手の人差し指を出し入れさせる言葉にするよりもよっぽど卑猥な手振り。

 

「え、えぇ~!?」

 

 事ここに至ってジャンヌはジャンヌ・オルタの聞きたいことが何なのか理解した。早い話、彼女は真との情事について聞こうとしているのだ。

 

「そ、そんなこと言える訳ありません!」

 

「お黙り! あんたに拒否権は無いのよ! あれだけ一杯パンケーキを作ってあげた私に少しでも感謝しているならちゃきちゃき答えなさい!」

 

 顔を真っ赤にさせながら向かい合う二人の姿は服装や髪の色と長さ、双眸の色彩の違いはあれど、鏡に映っているのではないかと思えるほどそっくりだ。

 

「Hurry! Hurry!」

 

 うぅ、と可愛らしく唸りながら目を伏せるジャンヌに容赦ない催促を浴びせるジャンヌ・オルタ。愛する男との秘め事を誰かに語って聞かせるなど気恥ずかしさの極致だが、料理を作ってもらったこともあってジャンヌは断るという選択肢を取ることが出来なかった。あれだけの量を食べさせてもらって、その上で頼み(というより最早脅迫だが)を断るというのは不義理が過ぎる。

 

「えっと、真君に抱いてもらう時はですね、まずご褒美を貰うところから始まります」

 

「ご褒美? あぁ、何か日本の文字の書き方教えてもらってるのよね。ご褒美ってその?」

 

「はい。真君が作ったテストで一定以上の点数が取れたらご褒美が貰えるんです」

 

「……いいなぁ、私も真に教えてもらおうかな。ご褒美ってどんなの?」

 

 羞恥心で顔を余さず紅に染めて語られるジャンヌの話にジャンヌ・オルタは鼻息を荒くしながら聞き入った。

 

「私がして欲しいことを頼めば、真君がご褒美としてしてくれるんです。この前は私のどんな所が好きで、どんな所を愛しているのか耳元で囁やかれながらお、オマンコをクチュクチュしてもらって、その前は優しく抱き締められながら何時間もディープキスして……ほ、他にもシックスナインというものを///」

 

「け、結構過激にやってるのね(確かに前覗いた(第四話の)時も真とベッドの中でイチャついてたけど、その頃より激しくなってない?)」

 

 主に身を捧げたはずの聖女様も、愛する男との睦み合いを覚えてしまった今となっては肉欲を貪らずにはいられないらしい。真との行為を思い出しているのか、どこか幸せな表情をしながらジャンヌは話の内容を前戯から本番へと移していく。

 

「指や口でしてもらった後は真君のおちんぽで/// 抱き合った体勢で愛してもらったり、後ろから犬みたいにハメまくってもらって、色んな体勢で優しく、激しく愛し合うんです。それで、オマンコにたっぷり精液を注いでもらった後は、お、お尻を……///」

 

「お、お尻ってその、後ろの穴よね? そこってそんなにいいの?」

 

 ジャンヌ・オルタの問いに真っ赤になった顔を両手で覆いながらジャンヌは小さく、だがはっきりと頷いた。もし今二人が話している場所が屋内じゃなく、屋外だったらジャンヌの顔から薄らと湯気が立ち昇っていることだろう。

 

「私、もう前も後ろも愛してもらわないと満足出来なくなってしまって……」

 

 真との初体験を終えた後の、姦淫に溺れてしまったと嘆いていた彼女はどこに行ってしまったのだろうか? ここにいるのは聖処女などではなく、肉悦から逃れられなくなった一匹の浅ましい雌だ。

 

「あ、貴方少し乱れ過ぎなんじゃない? 『主よ、この身を委ねます』と言った者の言葉とは思えないわね」

 

「分かっています、分かっているんです。自分がどれだけ許されざる行為に耽っているか。でも」

 

 顔を隠していた両手をゆっくりと開き、ジャンヌは両手の下に浮かべていた表情を曝け出す。

 

「マスターに、あの人に愛されると自分が何者なのか忘れてしまうくらい幸せで、真君以外の何もかもがどうでもよくなるほど気持ち良くなってしまうんです」

 

 現れたのは紛れもない『女』の顔。愛する男と肌を重ねる快楽と、情を交わす悦びを知ってしまった者の表情だ。桃色に染まったままの頬に両手を添え、恍惚に目を光らせてジャンヌは悩ましい吐息を漏らすのだった。

 

(こ、これが噂の快楽堕ちってやつなのね……!)

 

 人間要塞と称しても過言ではない精神力を持った真作(オリジナル)の変わり果てた姿にジャンヌ・オルタはただただ戦慄した。ジャンヌをここまで変えてしまった真のテクニックや愛情が凄かったのか、それとも体の相性が相当良かったのか。どちらにせよ、彼のマスターが相当な誑しであることは確定的に明らか。

 

 とはいえ、快楽堕ちと言っても属性が悪い方向に変わる訳でもなし。人理救済の使命は恙なく遂行しているし、ジャンヌの精神性が歪んでしまったということもない。ただ、彼女が少しばかり、いやかなり、というか物凄く真との魔力供給(意味深)が好きになってしまっただけのことだ。何の問題も無い。ないったら無いのだ。

 

「お、オルタさんはどうなんですか? 真君とはどんな風に?」

 

「うぇっ、わ、私!?」

 

 振った話題を相手から返され、ジャンヌ・オルタは声を裏返らせる。まさか、逆に自分が聞かれる立場になると思っていなかったジャンヌ・オルタは言葉を詰まらせるも、答える義理は無いと強めに鼻を鳴らした。

 

「ふ、ふん! 何で私がそんなことを態々答えてあげなきゃいけないのですか? 男女の秘め事を誰かに話して聞かせるなんては、破廉恥だわ!」

 

「そ、そんなぁ。私だって恥ずかしいのを我慢して話したんですし、オルタさんも話してくれたっていいじゃないですか」

 

「貴方が話したのはあくまでパンケーキのお礼としてでしょうが。私は貴方にお礼を返さなきゃいけないことをしてもらったことはない。だから話す必要なんて無し。はい、論破!」

 

「それは、そうですけど……っ! ま、まさかオルタさん。そんなことを言っていますが貴方、本当は真君にとても口では言えないようなことを強要しているのではないですか? だから何も話そうとしないのでは」

 

「は、はぁ!? お尻で悦んじゃうあんたと一緒にすんなっての! 私とあいつはラブラブよ! 映画化したら全米が号泣しちゃう純愛物語になるくらいね!」

 

 バン、とテーブルを両手で叩き、ジャンヌ・オルタは猜疑の眼差しで見てくるジャンヌに唾を飛ばす勢いでがなり立てる。真に何か望まぬ行為を強いている。そう思われること自体、ジャンヌ・オルタには心外だった。

 

「だったら、話してくれますよね!?」

 

「えぇ、話してやろうじゃない、話してやりますとも。私と真のラブラブっぷりをね! 聞いて嫉妬すんじゃないわよ!」

 

 売り言葉に買い言葉。殆ど勢いでジャンヌ・オルタは真との情事を告白することを了承してしまう。荒げた鼻息を落ち着かせている内に後悔の念に駆られるも、やっぱ今の無しと自分の発言を翻すのはプライドが許さなかった。顔を赤らめ、白金の髪を指先で弄りながら彼女はぽつぽつと語り始める。

 

「私の場合、まず真と一緒にケーキを作るとこから始まるわね」

 

「ケーキですか?」

 

「えぇ。ケーキの種類はその時々で違うけど、二人で食べるのに丁度いい大きさのものを作って、真の部屋で互いに食べさせ合うの。交互にあ~んってして、ちょくちょくキスとかボディタッチとかもしながらムードを高めるのよ。ケーキを食べ終わる頃には二人とも気分が最高潮になって、そのままベッドに……って感じだわ」

 

 恋人と一緒にケーキを作り、二人きりの部屋で互いに食べさせ合う。字面だけ見ると、思春期のカップルがするような健全で甘酸っぱいデートにも思えた。

 

「そ、そうなんですか。私、もっとこう、過激なものを想像してたのですが」

 

「ご期待に添えずごめんなさいね。私、ピュアだから」

 

 字面通りに自分の言葉を受け取ったジャンヌにジャンヌ・オルタは心の中で舌を出す。

 

 嘘は言っていない、嘘は。ケーキを食べさせ合うというのも事実だし、キスやボディタッチをするというのも本当だ。ただ、その内情を語っていないだけ。

 

 食べさせ合う、キスをしてボディタッチをするとジャンヌ・オルタはさらりと言っていたが、実情は肉欲に満ちたものだ。

 

 まず、食べさせ合う時の体勢。一人用の椅子に腰かけた真にジャンヌ・オルタが跨り抱き付く対面座位の状態で二人はケーキを食べさせ合うのだ。一本のフォークを交互に使って切り取ったケーキを相手に食べさせる。一人がケーキを口に運んでくれている間、もう一人は相手の体に両手を這わせて官能を高め合った。

 

 興奮が高まるに連れ、二人の行為も激しさを増していく。フォークを使っての食べさせ合いは口移しに変わり、脳や舌がドロドロに溶けてしまいそうな甘いディープキスを二人は楽しむ。

 

 何回もやって慣れたのか、服を脱がすのもお手の物。体が密着した対面座位の姿勢も関係なしに二人は互いの服を破くこともなく器用に脱がしていく。そうやって裸になった真とジャンヌ・オルタは思う存分相手の体に触れ、自らの手で自身の性欲を煽っていった。

 

 ケーキを食べ終える頃には二人の口元はクリームや涎でべとべとに汚れ、性器も分泌された体液でびちゃびちゃになっており、二人は昂ぶった体が求めるがままベッドへと雪崩れ込んで互いを貪り合う……というのが真とジャンヌ・オルタが肌を重ねる時の流れだ。

 

 そんな事とは露知らず、ジャンヌは自分も真と何か恋人っぽいことをしたいな、と考えてたりする。

 

「ベッドに入った後は……まぁ、言うまでも無いでしょう。気絶するまでひたすら愛されるのよ」

 

「体も頭の中も真っ白になるくらい精液出してもらって、起きた時は真君が腕枕してくれてて」

 

「『目ぇ覚めたか』って言いながら額にキスしてくれるのよね」

 

「そして優しくぎゅうって抱き締められて、耳元で『愛してる』って囁かれて……」

 

「あの時の……何て言うのかしら? 満足感? 心も体も幸せで溢れ返りそうな感覚。あれを味わっちゃったら」

 

「はい。もう、処女の(あの)頃には戻れません」

 

 二人は己の両腕で体を抱き締め、幸福に染まった吐息を零した。喜色満面に蕩けた顔から二人の心と体がどれだけ真の存在で満たされているかが窺える。

 

「「あぁ、真(君)……」」

 

 もう、色ボケ具合MAXだった。

 

「にしても、やっぱりエスっ気強いわね、あいつ。気絶するまでやるとか普通しないでしょ」

 

 色ボケトリップ状態を脱したジャンヌ・オルタは何か考え込んでいた。何のことですか、とジャンヌが訊ねても彼女は何も言わず顎に手を当て、値踏みするようにジャンヌを見据える。そしてジャンヌに聞き取れない声量で何かを呟いた。

 

「こいつも一緒なら……」

 

「何か言いましたか?」

 

「別に……いえ、特別に教えてあげましょう。私、貴方以外の連中にも聞いたのよ。真とのアレについて」

 

 そう言ってジャンヌ・オルタは懐からボイスレコーダーを取り出す。特にこれといった特別な機能もついていない、掌サイズの極一般的な代物だ。

 

「え? 皆さんに聞いたんですか!?」

 

「お菓子で釣ってね」

 

 驚くジャンヌに何でもないことのように答えながらジャンヌ・オルタはレコーダーの再生スイッチを押した。ザ、ザと電子音が鳴り、ジャンヌの良く知る女性の声がスピーカーから流れ始める。

 

「この声は、マリー?」

 

 貴方の体が私のステージ。嬌声絶唱アイドル『マリー・アントワネット』の証言。

 

『オルタ、今日はお茶に誘ってくれてありがとう。貴方とお話し出来てとっても嬉しかったわ。お菓子も美味しくて、ふふ、素敵な一時だったわね』

 

『私に聞きたいこと? 良いわ。何でも聞いてちょうだい』

 

『え、真とのアレ? あの、アレってもしかして……や、やっぱり。た、確かに何でも聞いてとは言ったけれど、そんな恥ずかしいこと……』

 

『お茶とお菓子のお礼? もう、そんな風に言われたら断れないじゃない。意地悪な人』

 

『この前のことなのだけれど私、真とする前にヘッドフォンを渡されたの。何だろうって思って付けてみたら、物凄くはしたない声が聞こえてきて。その声は私が真に抱かれている時の声だったわ』

 

『慌ててヘッドフォンを外そうとしたんだけれど、真が付けたままじゃないと何もしてあげないって言うの。酷いと思わない? 私、恥ずかしいのを我慢してヘッドフォンから流れてくる自分の声を聞き続けたわ』

 

『どんどん、どんどん声は乱れていったわ。抱かれている最中は全然気付かなかったけれど、あんなに大きな声を上げているものなのね。私、自分の声を聞いている内に体の奥が熱くなって、オマンコもびちょびちょに濡れちゃって。怖いくらいに興奮してしまったの』

 

『そんな私を真はイジメてきたわ。私の感じちゃう部分をねっとり、でも絶対に逝けない力加減で弄ってきて。逝きたいのに逝けないのが続くあれはもう拷問の域よ。私が泣きながら逝かせてって言っても、真は酷薄に笑って私を(もてあそ)び続けたの』

 

『何十分、いえ、何時間も焦らされて気が狂ってしまいそうだったわ。だから、あんな淫らに真に懇願してしまったのね。私、思いつく限りの卑猥な言葉で真にお願いしたの。自分の手でオマンコを開いて涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにしながら犯してって』

 

『真はとても愉しそうに笑っていたわ。そして私からヘッドフォンを取ってこう言ったの。もっと凄い声で啼かせてやるって。こ、この先はとても言えないわ。私、あんなに激しく……///』

 

『きっと、その時の声も録られてしまっているのよね。あれ以上イジメられたら本当に変になってしまうかも……でも、それもいいって思ってしまうの。私、真にイジメられるのが病みつきになってるのかしら……』

 

「へ、ヘッドフォンを使って声を……マニアックですね」

 

 マリーの話を聞き終えたジャンヌは顔を真っ赤にしながら、友人が自分の知らない世界へと続く扉を潜っていったことに寂しいような悔しいような羨ましいような非常に複雑な思いを抱いた。

 

「真って普段は優男って感じだけど、ベッドの上だと妙なスイッチ入るわよね。ベッドヤクザって奴なのかしら……それは後で考えるとして、次はブーディカよ」

 

 今度、詳しくマリーに話を聞こうとジャンヌが考えていることなど露知らず、ジャンヌ・オルタは次なる証言を再生する。

 

 熟れた体を持て余す。欲求不満くっ殺系未亡人『ブーディカ』の証言。

 

『ねぇ、この紹介文って何なの? そこはかとない悪意を感じちゃうんだけど。あたしの考え過ぎ? そうかなぁ……』

 

『まぁいっか。それで、真とセックスする時の話だっけ? え、そんなストレートに言うな? そっちから話を振ってきたのに何言ってるのさ。初心というかピュアというか、オルタは純情だね』

 

『でも、こうやって改まって誰かに聞かせるってなると結構恥ずかしいな。あぁ、安心して。美味しいケーキをご馳走になった分、ちゃんと話すからさ』

 

『あたし達はよく玩具を使ってるよ。とは言っても、全面的にあたしは使われる側なんだけどね。玩具ってどんなのかって? そりゃディルドどか、ローターとかバイブとか。もしかして見たことない? 興味があるなら今度ダ・ヴィンチに聞いてみなよ。サンプル持ってるらしいし』

 

『少し話が逸れたね。それであたしは真に玩具を使って気持ち良くしてもらってるんだけど、それがちょっと過激というか苛烈というか。あたしを凄くイジメてくるようになったんだよね。まぁ、割と最初っからどSな所があったけど、最近は特に顕著で』

 

『拘束具って言うの? 手錠とか、目隠しとか。そういうのされてさ。オマケに何か変な息が出来るボールみたいなの咥えさせられるし、あ、脚をM字に固定されちゃうし。何も見えない、喋れない、動けない状態で真に可愛がられたんだ』

 

『本当、死んじゃうかと思ったよ。乳首とクリトリスにローターを貼られて、子宮が潰されちゃうと思うくらいバイブをオマンコに突っ込まれて。それで容赦なくフルパワーで振動させてくるんだもん』

 

『それだけじゃない。性質の悪いことに真ってばあたしが逝きそうになる瞬間を的確に見抜いてくるんだよね。あたしが逝きそうになったらローターとバイブのパワー弱くして、少し落ち着いてきたらまたパワーを上げてって絶妙に緩急つけてくるんだ。戦術眼を発揮するのは戦闘の時だけでいいのに』

 

『一時間くらいそうされてたのかな。ずっと逝かさず、殺さずって感じで焦らされて。頭が変になりそうだった。だから、ボールで碌に喋れもしないのに必死で真に逝かせて、逝かせてって涎だらだら流して泣きながらお願いしたんだ』

 

『そしたら頬がぬるってして。多分、真があたしの涙を舐めたんだろうね。ビックリしてるあたしの耳元で壊れるまで犯してやるって呟かれて、バイブを引き抜かれて代わりにおちんぽをオマンコにぶち込まれたんだ』

 

『そこから先は、正直言ってあんまり覚えてない。真の気が済むまで、オナホールみたいに扱われて、何十回も中出しされて。ちょっと苦しかったけど、頭が沸騰しそうなくらい気持ち良かったんだよね。こんなこと言うのもどうかと思うけど、またして欲しいかな』

 

『と、まぁこんな感じであたしの話は終わり。参考に……はしない方がいいと思う。というか、絶対しちゃ駄目だよ』

 

『それと、これは年長者からのアドバイス。真と変わったプレイを楽しむのもいいけど、もしやるんだったら程々にね? あたしみたいに後戻り出来なくなってからじゃ遅いからさ……』

 

「ぶ、ブーディカさん。貴方も玩具で///」

 

「何よ、玩具って。ちょっと上級者過ぎるでしょ。目隠しって、手錠って……ちょっと待ちなさい、聖女様。あんた今、貴方『も』って言ってなかったかしら?」

 

「次! 次、聞きましょう、ね!」

 

 頭から煙を噴き出して机に突っ伏していたジャンヌ・オルタは聞き捨てならないジャンヌの発言に顔を上げる。金色の双眸が投げつけてくる問い質すような鋭い目線から逃れようと、ジャンヌは慌てて録音を再生させる。

 

 彼女もまたブーディカ同様、真に後戻り出来なくなる所まで堕とされてしまっているのだが、これは後で語るとしよう。

 

 次にレコーダーが流したのは平安最強の神秘殺しの声だった。

 

 黒縄雷霆、無間地獄の母性愛。魔性と悪い虫絶対潰す対○忍系源氏棟梁『源頼光』の証言。

 

『何ですか、無間地獄とは! 母の愛をそのように言われるのは心外です! それに○魔忍というのも止めて下さい! この姿は紛れも無い戦装束。あ、あのような如何わしいものと同列に扱うなど、オルタさんでも許しませんよ!?』

 

『ふぅ、ふぅ……すみません、取り乱しました。それでオルタさん、一体私に何の御用で?』

 

『なっ、し、真との睦言について聞きたい!? そんな、閨でのことを話すなんて出来ません!』

 

『じゃあこれは渡せない? っ! そ、それは金鍔。何時の間に作って……真とのまぐわいを話してくれたらあげるですって? 何て卑劣な……!』

 

『侮らないで下さい。私は真や金時のように子供ではないのです。この源頼光、甘味などに屈したりしませんわ(もぐもぐ)!』

 

『あら。私、何時の間に食べて?』

 

『……』

 

『ごほん! 食べてしまったものは仕方ありません。恥ずかしさで悶絶死してしまいそうですが、話すといたしましょう』

 

『戦装束姿の私と交わるのが気に入ったようで、真と床を共にする時は大抵この姿です。勿論、鎧や具足は外していますが。そしてあの子は無防備になった私の装束を破くのです。ち、乳房や股間だけが露出する絶妙な手付きで。もう、どこであんな悪いことを覚えてきたのでしょう? いえ、今気にすることではありませんね』

 

『あの子はとにかく私の胸が好きでして、最初に必ず胸を揉んできます。両手で遠慮なく揉み潰し、舌で乳首を舐め回し、口付けするように吸い付いてくるんです。恥ずかしいことですが、私、そうされるだけでも果てるようになってしまいました』

 

『それに最近、乳の出も良くなってしまって。あの子に触れられるだけでも乳首からぽたぽたと。まぁ、真が美味しそうに飲んでくれるので何の問題も無い。むしろ、母冥利に尽きるというものですが』

 

『私の乳を味わった後、あの子は胸を犯してくるんです。ぱいずり、というのでしょう。何でも乳と汗が混ざったぬめり具合が格別だそうで、それはもう激しく。大体は真に馬乗りされているのですが、時には私が上になってすることもあります。くす、私にぱいずりされている時のあの子の顔、とても可愛らしいんですよ』

 

『はしたないと承知していますが、私、ぱいずりで真を逝かせるのが大好きなんです。母の胸の中で精を放つあの子の顔も一段と良いのですが、何よりも装束の中が精液で満たされていく感じが堪らないんです。肌にべっとりと白い精が貼りついて、むせ返りそうな雄の匂いに包まれて。あぁ、思い出すだけで潤ってしまいます……』

 

『その後は言うまでもないでしょう。獣のように激しく、でも母子(ははこ)の愛を互いに伝えながら交わるのです。真は母の乳を味わいながら、私は真の精を胎で受け止めながら時を忘れて睦み合う。身も心も満たされていくあの充足感は忘れられません』

 

『あぁ、でも強いて不満を挙げるとすれば、何時も私の方があの子よりも早く意識を失ってしまうことでしょうか。頭を優しく撫でられながら起きる朝は良いものですが、偶には私が真を起こす側になりたいものです』

 

「服を着ながら、ですか。着衣プレイ、というものなのでしょうか?」

 

「いや、頼光の場合もう完全にコスプレでしょ。何よあのピッチリスーツ。あれが戦装束とか馬鹿なんじゃないの。ていうかあれ何で出来てるのよ、何であんなの着させてたのよ。趣味? 頼光の親父の趣味だったのかしら?」

 

 頼光の纏う源氏スーツはサーヴァント達の間でも謎の存在となっていた。様々な憶測、考察がされているがこれが真実だと言えるような結論はまだ出ていない。

 

「ところで、頼光さんの言っていた対○忍って何なんですか?」

 

 純粋な疑問が湛えられた瞳がジャンヌ・オルタに向けられる。私も詳しくは知らないわよ、と首を振りながら彼女は懐から取り出した携帯端末をジャンヌに見せた。ちなみにこの携帯端末、全てのサーヴァントに支給されてたりする。

 

「でも、どんな格好をしてるかだけは分かるわよ。浪漫野郎のHDDってやつにデータが入ってたからすっぱ抜いてやったわ」

 

「浪漫野郎って、ドクターのですか!? ま、拙いですよ」

 

「構わないわよ。別に何か悪用する訳でもないし、知的好奇心を満たすだけだから」

 

 携帯端末の電源を入れ、ジャンヌ・オルタはこっちに来いと手招きする。口では拙いと言いこそしたが、内心では興味津々らしくジャンヌは誘われるがままジャンヌ・オルタの隣へとやって来た。

 

「じゃあ、いくわよ」

 

「は、はい……!」

 

 まるでこれから特異点へとレイシフトするかのような面持ちの二人だが、実際にやっていることは親に隠れてエロ本を見る中学生レベルのこと。身を寄せ合い、こそこそと何かしている姿はパソコンでアダルトサイトにアクセスしようとしている双子姉妹のようだった。

 

 ジャンヌ・オルタが操作する端末が目的の○魔忍画像を空中に投影する。目の前に現れたキャラ画像にジャンヌは顔を真っ赤にしながら口元を両手で覆い、ジャンヌ・オルタもジャンヌほどで無いにしろ顔を朱に染めていた。

 

「こ、こんな格好。何て破廉恥な……」

 

「何度見てもインパクトが凄まじいわ、これ。女の忍ってことは所謂くのいちってやつなのよね、こいつら。何、くのいちってこんな服じゃないと務まらないの? 半端ないわね、日本」

 

 何か日本が凄まじい方向に勘違いされているが、悲しいことにそのことを指摘出来る者はこの場に一人もいなかった。

 

「や、やっぱり真君もこういう格好の女性に興奮するんでしょうか?」

 

「そりゃするんじゃない。だから服着たままの頼光と、その、ヤってるんだろうし……この服、ダ・ヴィンチに頼めば作ってくれるかしら?」

 

「……今度、二人で行ってみましょう」

 

「えぇ。材料、何をどれくらい持っていけばいいのかな」

 

 とんでもない約束を交わす二人だった。

 

 ちょっとばかり話が変な方へと向いたが、気を取り直して再び二人は向かい合う。

 

「じゃ、次いくわよ」

 

 次に再生されたのは江戸は幕末に活躍した美少女剣士のものだった。

 

 私の血で貴方を染めさせて。病弱血噴き人斬り娘『沖田総司』の証言。

 

『ちょっと、この紹介文悪意に満ち過ぎてませんか!? 何ですか私の血で貴方を染めさせてって? そんなサイコでスプラッターな願望、沖田さんは持ってません! それに病弱血噴きっていくら何でも酷過ぎるでしょ! 最美最強人斬り娘と訂正してくだ、え、何ですかこのお団子と金平糖? くれるんですか? やったー!』

 

『いやぁ、大変美味しかったです。オルタさん、和菓子も作れるんですね。凄いなぁ……あ、すいません。ちょっとお茶を一杯いただいても?』

 

『ありがとうござ、あれ、くれないんですか? え、渡してもいいけどその代り真さんとの情事について教えろ?』

 

『ふ、ふふふ。聞いちゃいます、聞いちゃいますか? 沖田さんと真さんのラブラブっぷり! いやぁ、自分でこんなこと言うのもなんだと思いますけど私達の仲はあっつあつですよ。きっと、世界ベストカップル賞とかがあったら、受賞すること間違いなすみませんごめんなさい調子に乗りました。謝りますんで首筋に旗を突きつけないで下さい!』

 

『と、威勢のいいこと言いましたけど、何を話せばいいのでしょう。普段やってること? そりゃ夜這いプレイとかやってますけど』

 

『何それって、言葉通りですよ。皆さんが寝静まった夜に私と真さんのどっちかが互いの部屋に侵入して、ベッドに潜り込んでイチャイチャするんです』

 

『基本、夜這いをかけるのはどっちていうのは決まってないですね。夜這いをかけたくなった方が相手に合図を送って、その日の夜に部屋に忍んでいくって感じです。合図ってどんなのかって? それは教えられません』

 

『他にもお医者さんプレイとかやってます。はい、ご想像の通り、私が患者役で真さんがお医者さん役です。お医者さんの格好した真さんが白いどろどろのお薬を太くて大きい注射でオマンコに一杯注いでくれるんですよ。溢れ返ってあそこがべちゃべちゃになるくらいたくさん』

 

『それだけじゃ終わりません。上からも摂取しないと効果が薄いって言って、私の口に注射、もといおちんちんを突っ込むんです。私、精液で溺れそうになったの初めてですよ……上も下も収まり切らないくらい出してもらっちゃいました』

 

『でもでも、沖田さん的に一番嬉しかったのはその後なんです。プレイが終わった後、真さんが膝枕してくれたんですよ! 横になった私の頭を朝までずっと優しく撫でてくれました。正に至福、それ以外に言葉が見つかりません』

 

『真さんに膝枕をした人は何人かいると思いますけど、真さんに膝枕をしてもらったのはきっと沖田さんが初めてってオルタさん、何故に旗を構えていらっしゃるんでしょうか。オマケに周りに黒炎渦巻かせて。え、羨ましい? いやいやいや、オルタさんも真さんに今度膝枕やってもらえばいいだけの話じゃないですか!? それとこれとは話が別? 何が別なんですかあっつぅぅぅい!!!』

 

「とりあえず、ムカついた(羨ましい)から五百パーセントOC(オーバーチャージ)吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』ぶち込んでやったわ」

 

「だから今日、総司さんは寝込んでたんですね。八つ当たりにしても度が過ぎるのでは?」

 

「はん、心配しなくてもちゃんと手加減はしたわよ。実際、総司のお尻が軽く火傷しただけだし……そんな目で見ないでよ、これでも本気で反省してるんだから。ただ、我を忘れるくらい総司が羨ましくて……」

 

「それでも宝具はやり過ぎです」

 

 ぴしゃりと、厳しい口調でジャンヌはきっぱり言い放つ。羨ましいと思う気持ちは分からないでもないが、それにしたってやることが過激すぎだ。ジャンヌ・オルタも本気で反省しているらしく、ジャンヌの言葉に異を唱えずにこくんと頷いている。

 

 実際今日、ジャンヌ・オルタはジャンヌと会う前、総司に謝りに行っていた。その際、今度お詫びに山ほど団子や饅頭をご馳走するという約束もしている。

 

「そうですか。二人の間で話がついているなら私からはこれ以上何も。ただ、感情に任せて動くのは控えたほうがいいとだけ言っておきます」

 

「はいはい、分かってま~す」

 

 ジャンヌの言葉を遮るジャンヌ・オルタの姿はまんま姉に怒られる妹だった。ポチッと、と話題を変えようとジャンヌ・オルタはボイスレコーダーを操作する。

 

 余り喋らないけどマスターを想う気持ちは人一倍。可憐で一途な機械娘『フランケンシュタイン』の証言。

 

『ゥ? ウゥ~?』

 

『ゥゥ、ウゥゥ!』

 

『ゥ、ゥ、ゥゥゥ』

 

『ゥ~、アウ~』

 

『ゥ! ゥ!』

 

『ウ~///』

 

『わたし、ますたーが、だいすき』

 

「あの、フランさんは一体どんなことを言っていたんでしょう?」

 

「分かる訳ないでしょ。私は真やマシュと違ってバーサーカー言語翻訳技能なんて持ってないもの」

 

 じゃあ何で聞きに行ったのですか? とジャンヌに問われるが、ジャンヌ・オルタは何でかしらね? と恍けた答えしか返せなかった。

 

「とりあえず、真のことが好きで好きで仕方ないってことは嫌ってほど伝わってきたわ。あの子、凄い身振り手振りだったし。それに大好きって言ってるもの」

 

 人の手により創り出されたフランケンシュタイン。己の花婿を定めた彼女は一途に、そして直向きに花婿を愛するのだった。

 

「フランの次はマシュなんだけど……本当に聞く?」

 

「な、何故そのような確認を?」

 

 ジャンヌ・オルタの真剣な眼差しに思わず喉を鳴らすジャンヌ。

 

「あの子の話が一番過激なのよ。私、聞いてて鼻血出しちゃったもの」

 

 頬を紅潮させるジャンヌ・オルタの姿にジャンヌは更に大きく喉を鳴らした。

 

 マシュ・キリエライト。どのサーヴァントよりも早く、人理救済の始まりから真に寄り添っていたデミ・サーヴァント。現在、真への想いを解放させた彼女は人目があろうがなかろうがお構いなしで、以前の彼女なら顔を茹蛸のようにすること間違い無しの行いを平然としていた。

 

 人前で抱き付いたり軽くキスしたりするなど日常茶飯事。共に行動する時は戦闘時でもない限り真の腕に自身の腕を絡め、これでもかと自慢のマシュマロボディを押し付けている。他にも飯時は常に真の隣を陣取り、あ~んしたりと例を挙げればキリが無かった。

 

 最近のトレンドは真の目を見ることらしく、暇さえあれば真の首に両腕を回し、少し唇を突き出せばキスが出来る距離で彼の青い瞳をじっと覗き込んでいる。ちなみにその時二人の間でなされた会話がこれだ。

 

『……(じぃ~)』

 

『なぁ、マシュ。俺の目なんか見てそんなに楽しいか?』

 

『なんかじゃありません。先輩の目は最高水準のダイヤが霞んじゃうくらい素敵ですから。わたし、先輩の目を見てるだけで山盛りご飯十杯食べれちゃいます』

 

『そ、そうなのか。もうちょっと、野菜とか肉とかバランス良く食べた方がいいと思うぞ』

 

『色んな人を食べちゃってる先輩みたいにですか?』

 

『こふぅ』

 

『くす、冗談です。だから、そんなショックを受けた顔しないで下さい。あ、先輩の目に関して冗談は一言も言ってませんよ。わたし、大好きです。空みたいに青く澄んでて、海みたいに深く優しくて……ずっと見ていたいなぁ』

 

 何かもう、口から砂糖が量産出来てしまいそうだった。

 

 こんな感じで最近のマシュは四六時中真と引っ付き、そしてイチャイチャしていた。これにはスカサハ達が黙っていないのではないかとカルデアスタッフ一同は気が気でならなかったが、意外にもサーヴァント面々の反応は大らかなものだった。

 

『あの娘は今まで我慢をし過ぎていた。その反動が出てきたと思えばあの行動も可愛いものだ。やっと素直になれたあの子に嫉妬するような狭量な女、真に抱かれた者の中にはおるまいよ』

 

 とはスカサハの言葉だ。彼女の言う通り、マシュを押しのけて自分が真とイチャつこうとする者は誰もいなかった。ただまぁ嫉妬はしていないが羨ましくはあるらしく、マシュがカルデアの仕事でいない時は我先にと真に甘えてたりする。無論、ジャンヌとジャンヌ・オルタも例外ではない。

 

 と、長々と話したが今その話は何の関係も無い。話を二人に戻すとしよう。

 

「そんなに凄いんですか、マシュさんの話は?」

 

「聞けば分かるわ、聞けば」

 

 わたしが先輩の一番。子犬と侮ったら痛い目を見ますよ? 超肉食ど淫乱(ビースト)『マシュ・キリエライト』の証言。

 

『先輩と? はい、昨日もたっぷり愛してもらいました。寝る前の先輩をわたしの部屋に誘って、お茶にお薬を混ぜて一服盛ったんです』

 

『これがそのお薬です。ダ・ヴィンチちゃん特製の精力剤。と言っても、わたしが使ったのはこれじゃなくて更に効能を強くしたバージョンアップ版ですが』

 

『凄かったですよぉ、先輩。目をギラギラさせながらわたしをベッドに押し倒して、服もびりびりに破いて、わたしのオマンコにバキバキ勃起おちんちんをずぼって。あぁいうのをレイププレイって言うんでしょうか』

 

『もう、ガンガン犯されちゃいました♡ ベロチューされながらベッドに押さえつけられて、勃起おちんちんでオマンコたくさん抉られて……あの時のわたしは先輩が満足するまで中出しされ続ける肉便器でした』

 

『何時間ぶっ通しでヤってたんでしょう? 先輩が正気に戻った時はもう真夜中で、皆さんも寝静まってましたね。先輩、わたしがお薬を使ったことを怒ってましたけど、誠心誠意体で謝ったら許してくれました。本当に先輩は優しい方です』

 

『その後も愛してもらおうと思ったんですけど、ベッドが先輩のザーメンやわたしのマン汁で酷いことになってまして。とても横になれるような状態じゃありませんでした。替えのシーツも無かったので続きは先輩の部屋でということになったのですが、ただ普通に場所を変えるのも面白くないと思ってわたし、先輩を誘ったんです。先輩の部屋に行くまで雌犬プレイしませんかって』

 

『雌犬プレイって何、ですか? 飼い主と飼い犬が部屋から出てすることなんて一つしかありません。散歩ですよ、散歩。まぁ、散歩と言ってもデンジャラス・ビースト(雌犬)の格好をしたわたしを連れた先輩が先輩の部屋に行くだけですけど』

 

『リード? いえ、してませんよ。わたしを繋いでいたのはリードじゃなくて先輩のおちんちんでしたし。どういうことって、言葉通りです。立ちバック、って言うんですか。あの状態でわたしと先輩は廊下を移動してたんです。わたしの部屋を出た辺りは本当に犬みたいに四つん這いになってたのですが、それだと歩き難くて。苦肉の策でした』

 

『やってみてどうだった? とっても、とぉっても素敵でした。一歩進むとおちんちんが子宮にゴチュッ、ゴチュッってキスして……わたし、気持ち良過ぎてて何回も廊下で潮噴きしちゃいました』

 

『逝く度に先輩にお仕置きしてもらったんです。お尻が真っ赤になるくらい叩いてもらって、でもその内痛いのも気持ち良くなっちゃって、もうお仕置きがご褒美になってました。わたし、先輩の部屋に着くまで何回叩かれたんでしょう?』

 

『部屋に着いた後はお仕置きセックスの始まりです。床に四つん這いにされて、耳元で雌犬って罵られながら後ろからあんなに激しく、それも起床時間まで……あ、駄目、思い出すだけで逝っちゃう……!』

 

『……すみません、見苦しい所をお見せしました。わたしの話はこれで終わりです。ところでオルタさん、こんなこと聞いてどうするつも、オルタさん!? 鼻から凄い血が出てますよ、大丈夫ですか!?』

 

「は、はにゃぢが……///」

 

 マシュの録音を聞き終えたジャンヌは鼻を押さえた両手の指の間から赤い血を雨漏りのように滴らせていた。姦淫に溺れていると自覚している彼女でも、マシュの話は余りに刺激が強過ぎた。

 

 鼻腔から血を溢れ出させるジャンヌの姿にジャンヌ・オルタはこれが私も通った道、と妙に感慨深い想いを抱きながら顔と両手を赤く染める彼女にティッシュ箱を差し出す。

 

「は、はひはほふほはひはふ」

 

 待つこと数分。数十枚のティッシュを血染めに仕立て上げ、漸くジャンヌは落ち着きを取り戻した。

 

「ま、マシュさん、貴方は何てことを。へ、部屋でならともかく、廊下でなんて……はふん」

 

 訂正、落ち着くことなんて出来なかった。再び鼻血を噴き出すジャンヌ。急いで鼻の穴にに丸めたティッシュを詰めるジャンヌを嘲笑うことも忘れ、ジャンヌ・オルタは彼女に同意して何度も頷く。

 

「廊下でとかレベル高過ぎでしょ。誰もいない真夜中だったから良かったけど、誰かに見られたらどうするつもりだったのかしら」

 

 見せつけるつもりでした。と、ジャンヌ・オルタの脳裏に姿を現したマシュはそれはそれはいい笑顔をしていた。

 

「そ、そういえばマシュさん、廊下でお漏らしをしたと言ってましたが、それはどうしたんでしょう?」

 

「真がどうにかしたんじゃない? あいつ、そういうとこ結構まめだし……にしても、話を聞く限り真の奴もノリノリね。やっぱ、あいつどSよ」

 

 録音した、真と関係を持った女性達の話を聞いてジャンヌ・オルタは改めて思った。真にはサディストとしての面があると。少なくとも、彼がイジメる側にいるのは確かだ。

 

「オルタさん、一つ聞かせてもらってもいいでしょうか。録音のマシュさんも言っていましたけど、こんなことを聞いて回ってどうするつもりなんです?」

 

「それに答える前に一つ質問するわ。あんた、真としてる時に『上』になったことってある?」

 

「う、上ですか? はい、何度か。下から思いっきり、何回も突いてもらいました///」

 

騎乗位(そっち)じゃねぇわよ、この色ボケ聖女! ……いや、これは私の聞き方も悪かったわね。私が聞きたいのはあいつからベッドの上で主導権を奪ったことがあるかないかってことよ」

 

 ジャンヌ・オルタの質問にジャンヌは考え込む。ジャンヌの場合、快楽で意識がぶっ飛ぶまで責め立てられるのがほとんどだ。主導権を握れたことなど一度としてない。それはジャンヌ・オルタも同じだ。

 

「こちとら復讐者(アヴェンジャー)よ、やられっ放しなんて冗談じゃないわ! (あいつ)をあひんあひん言わせて、気絶するまで搾り取ってやりたいのよ! それで次の日の朝起きたあいつに『目が覚めた? 昨日は可愛かったわよ』とか言いながら額にキスしてやりたいの!」

 

 その為に皆から色々と話を聞いて真の弱点を探したんだから、と息巻くジャンヌ・オルタ。普段、自分がベッドの上で真にイジメられているのと同じように、彼女も真を可愛がりたいらしい。復讐者のクラスであるジャンヌ・オルタらしいといえばらしい願望だ。

 

 ジャンヌ・オルタの告白にどういう顔をすればいいか分からず、ジャンヌは曖昧な表情をしていたがふとある疑問が頭を過った。ジャンヌ・オルタは真の弱点を知りたいと言っていた。なら、何故彼女から話を聞いていないのか?

 

「スカサハさんには話を聞かなかったのですか? マシュさんを除けば、真君と最も長く過ごしているサーヴァントが彼女です。経験も豊富だと聞きますし、彼女なら真君の弱点も主導権の取り方も知っていると思うのですが……」

 

 尻すぼみになっていくジャンヌの声。ついさっきまで拳を握り、どうやって真をイジメるかを語っていたジャンヌ・オルタの顔がスカサハの名前が出てから能面のようになっていた。無表情に見詰めてくるジャンヌ・オルタにたじろぎ、ジャンヌは言葉を詰まらせる。

 

「あの女に話? 聞きましたよ、えぇ聞きましたとも……あいつ絶対いつかぶっ飛ばす」

 

 物騒かつ不穏なことを呟きながらジャンヌ・オルタはレコーダーの再生スイッチを押した。

 

 主のハートに恋のゲイ・ボルク。魅惑のケルトおっぱいタイツ『スカサハ』の証言。

 

『……前々から言おうと思っていたのだが、このおっぱいタイツというのは何とかならんのか? ならない? 最早、正式名称? そうか、そうか、そうなのか……』

 

『まぁいい、呼び名などどうでもいいことだ。それで、真との情事についてだったか? 色々なコスプレをしながらシチュエーションプレイをしているぞ。最近では婦警、チャイナドレス、それに女教師の格好でまぐわったな』

 

『中々悪くないぞ、決まったシチュエーションに沿って愛し合うというのも。獣のように互いを貪るのとはまた違った快感がある』

 

『婦警の格好をした時は取調プレイ、と言えばいいのか? それをやったぞ。無実を主張する真をあの手この手でイジメて、焦らして自白させるのだ。真の必死で快楽に耐えるあの表情、思い出すだけで体が疼いてしまうな』

 

『チャイナドレスの時は逆で、私がイジメられる側でな。設定としては拳法の師匠に勝てない弟子が媚薬を使って、閨での睦み合いで師匠を雌に堕として屈服させるのだ。言うまでも無いと思うが、私が師匠役だぞ? 実際にダ・ヴィンチに作らせた媚薬を用いてみたが、あれはとてもいいものだ///』

 

『女教師の姿でする時のシチュエーションは二パターンあってな。私が真を誘惑するのと、真が私を襲うものの二つだ。このプレイは私も特に気に入っている。ルーンで真の頭を少々弄ってな、女と交わった記憶を全て消してあいつを童貞の頃に戻すのだ……心配せずとも、した後はちゃんと真の記憶を戻している。私との記憶だけを残しておくというのは魅力的だが、己の欲求を優先してカルデアを割るような真似はせんさ』

 

『記憶を消した時のあいつは……いいぞぉ。私の仕草の一つ一つで顔を赤らめる初心さ、童貞丸出しの余裕の無い腰使い。我武者羅にピストンを打ち込まれるあの感覚。本当に堪らない』

 

『他にもやってみたいことは色々とあるのだが、如何せんダ・ヴィンチの奴が忙しそうでな。中々、衣装の製作を頼めんのだ。皆に何かと頼られているようだが、万能の天才というのも考え物だな』

 

『ん、閨での主導権? 私が握る時もあれば、真に身を任す時もあるぞ。どちらか一方が主導権を持ち続けているというのは余り無いな。主導権の奪い方? そんなことを聞いてどうす……あっ(察し)』

 

『ふむ、そうか。そういうことか。お主も大変なのだな……ふっ』

 

「ガッデム!!」

 

 突如、吼えたかと思えば、ジャンヌ・オルタは椅子を蹴倒さんばかりの勢いで立ち上がってボイスレコーダーを床へと叩き付けた。それだけじゃ怒りが治まらなかったようで、ガ~と耳障りな電子音を発し始めた半壊しているレコーダーにこれでもかとストンピングの嵐を浴びせていく。

 

「あぁ、今思い出しても腹が立つ! あの嘲笑、あの可愛らしいものを見るような表情! 影の国の女王だか真の初めての女だか知らないけど、余裕に満ちた顔して……うぎぃぃぃぃぃ!!!!!」

 

 憤怒の暗黒面に堕ちていくジャンヌ・オルタ。歯は竜の牙のように尖り、舌が蛇のようにくねりながら伸びていく。顔は骨格そのものが変わってしまったのか、般若と見紛うばかりの形相を浮かべていた。オマケに彼女の周囲に黒炎が舞い踊り、テーブルやら椅子、床と天井を焦がしていく始末。

 

「オルタさん落ち着いて! 食堂が、食堂が燃えちゃう!」

 

「ジェラララララ!!!!!」

 

 後ろから羽交い絞めにすること数分。話題をスカサハのことから変えることでジャンヌはやっとジャンヌ・オルタの正気を取り戻すことに成功した。

 

「それで、さっき真君のことをあひんあひん言わせたいって言ってましたけど、具体的な方法は考えているんですか?」

 

 正直言って、何をどうやっても返り討ちに会う未来(ヴィジョン)しか見えない。それはジャンヌ・オルタも同じらしく、何か悲壮な決意を固めた顔で拳を握っている。

 

「確かに私一人じゃ真に敵わない。でも、二人なら……!」

 

 ぐわっし、とゴリラもビックリの握力でジャンヌの肩を握る。痛いくらいに肩に指を食い込ませる手と、自分をじぃっと見据える金色の双眸を交互に何度も見比べるジャンヌ。脳をフル回転させてジャンヌ・オルタの理解し難い発言の真意を見抜き、熟した棗のように顔を赤くして目を見開いた。

 

「え、えぇぇぇ!!!??? そ、そんな二人一緒に真君とするなんて破廉恥なこと、ででで出来ません!」

 

「喧しい! あんだけ色々と真とよろしくやっておいて今更純情ぶってんじゃないわよ!」

 

 出来ないと連呼するジャンヌを強引に説得し、ジャンヌ・オルタは最終的に彼女を丸め込むことに成功した。

 

「待ってなさい、真、それにおっぱいタイツ! 真のアヘ顔ダブルピースを写メって、その写メをおっぱいタイツに送り付けてやるわ! 精々、真を寝取られた悲しみに打ちひしがれながら枕を涙で濡らすことね! くっくっく、あっはっはっはげっほ、げっほ!」

 

 悪役じみた高笑いから一転、盛大に咽せるジャンヌ・オルタの背中を優しく擦りながらジャンヌは心の中で溜め息を吐く。やっぱり、どう考えても真から主導権を奪えるとは思えなかった。

 

「それで、具体的な作戦はあるのですか?」

 

「えぇ、とびっきりのやつがね!」

 

 自信満々にドヤ顔を決め、ジャンヌ・オルタは瞳をキラリと煌めかせた。

 

 

 

 

 翌日、真のマイルーム。

 

「よし、これで完成と。どうだ、着心地は?」

 

「フォーウ」

 

「悪くない? それは良かった。じゃ、俺もこれ付けてっと……それではご唱和下さい」

 

「「フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ 」」(V)o¥o(V)

 

「何やってんのよあんたら……」

 

 呆れた声にベッドに座っていた真と、彼の頭の上に乗っていたフォウ君が部屋の扉を見る。そこには黒と白のダブルジャンヌの姿があった。

 

「おぉ、オルタ。それにジャンヌも。何か用か?」

 

「いや、用っちゃ用だけど、マジで何やってんの?」

 

「バルタン星人ごっこ」

 

「ダフォーウ」

 

 両手にザリガニのようなハサミをつけた真に追従するようにセミに見えなくも無い謎の着ぐるみを着たフォウ君が鳴く。

 

「あんた、いい歳してごっこって」

 

「未成年だから問題ないも~ん。で、もっかい聞くけど何の用?」

 

 両手からハサミを外しながら改めて訊ねる。真の問いにジャンヌ・オルタは答えず、代わりに背後にいるジャンヌに前に出るよう顎をしゃくった。

 

「あの、真君。これ、オルタさんと一緒に作ったんです。よければ、食べて下さい」

 

 ジャンヌが両手でフォークと皿を差し出す。皿の上には木の切り株を模したケーキ、ブッシュ・ド・ノエルが乗っていた。

 

「あんた、前にこのケーキ食べたいって言ってたじゃない。だから、態々この聖女様と一緒に作ってあげたのよ」

 

 おぉ、と真は目を輝かせる。確かにそんなようなことを以前ポツリと言ったことがあった。

 

「え、作ってくれたのか? ありがとう。うわ、マジで嬉しい」

 

 何気なく呟いたことを覚えていてくれて、尚且つ本当に作ってくれたことが真にはとても嬉しかった。善意の裏に隠された企みに気付かず、純真無垢に喜びながらフォークと皿を受け取る真。まさか、このケーキに薬が盛られているなんて露ほども思っていないだろう。そんな真の姿がジャンヌの良識をギャリギャリと削っていった。

 

(お、オルタさん。私、罪悪感で胸が押し潰されそうです……!)

 

(我慢しなさい! この後、罪悪感なんかぶっ飛ぶくらい気持ち良いことするんだから!)

 

「ん、二人は食わんのか?」

 

 こそこそと話す二人に声をかける真。机に皿を置き、椅子に腰かける真に二人は首を振って見せた。

 

「あんたのために作ったんだから私達のことは気にしないで食べちゃいなさい」

 

 ジャンヌ・オルタの言葉にジャンヌもこくこくと頷く。

 

「そっか。じゃあ、お言葉に甘えていただきま」

 

「フォーウ!」

 

 早速、食べようとすると、頭の上にいたフォウ君が不満の声を上げた。ひらりと真の頭から飛び降り、てしてしと短い前足で机を叩く。

 

「フォーウ、フォウ、フォーウ!」

 

「えっと、真君。フォウ君は一体何て言ってるんでしょう?」

 

「僕の分のケーキはどうした、だと」

 

「は、ある訳無いでしょそんなの」

 

「フォシャー!」

 

 無慈悲なジャンヌ・オルタの返答にフォウ君は全身の毛を逆立てて怒りを露わにした。どうやら、彼もケーキを食べたいようだ。

 

「フォウ!」

 

「一口、いや、半分を要求する、って言ってるけどどうする?」

 

「駄目に決まってんでしょ。っつか、一口ならまだ分かるけど半分って図々しいわね、この不思議生物(ナマモノ)

 

 ヒョイとフォウ君の首根っこを摘まみ上げるジャンヌ・オルタ。ジタバタと激しく暴れるフォウ君だったが、ジャンヌ・オルタの手から逃れることは出来なかった。

 

「フォウ、フォーウ!」

 

「HA☆NA☆SE! さもないと来週のお茶会に出てくるお菓子を全部、一口ずつ食べてやるぞ! だってさ」

 

「はっ、やってみなさいよ! その自慢のフワフワの毛を私の黒炎でチリッチリにしてやるから」

 

 スタスタとドアまで歩いていき、ジャンヌ・オルタは横にスライドして開いた扉からフォウ君を廊下に投げ捨てる。

 

「フォーウ!」

 

「夢に化けて出てやる! って言ってるけど……まさか俺もじゃないよな?」

 

「出てきたら出てきたで追っ払えばいいだけの話でしょ。ほら、溶ける前に食べちゃいなさいよ」

 

 フォウ君に申し訳ないと思いつつも、ジャンヌ・オルタに促されて真はケーキをフォークで小さく切り分け、口へと運ぶ。ケーキ表面のチョコクリームとスポンジに挟まった生クリーム、生クリームの中にあるチョコチップの味わいが絶妙だった。

 

「うん、美味いよ」

 

 真の言葉に二人はぱぁっと顔を華やかせ、夢中でケーキを食べていく真を嬉しそうに見ている。一人で食べるのに丁度いいサイズだったケーキは数分もしない内に真の腹へと収まっていった。

 

「ご馳走様でした。俺のために作ってくれてありがとな、二人とも……ふあぁ」

 

 不意に大きな欠伸が真の口から漏れ出る。何の前触れもなく、強烈な睡魔が真を襲っていた。

 

「何か、急に眠く……」

 

「きっと疲れてるのよ。ただでさえ色々な時代にレイシフトしているんだから。ほら、ベッドまで連れてってあげるから立ちなさい。聖女様、あんたも手伝って」

 

「は、はい」

 

 ジャンヌ・オルタとジャンヌに左右から支えられ、フワフワとした足取りで真はベッドに向かっていく。ベッドに横たわる頃にはもう瞼を持ち上げているのも億劫だった。

 

「今日はこれといった予定は無いのだし、寝ちゃいなさいよ」

 

「あぁ、そうさせてもらおうかな……」

 

 目を閉じる真。視界が閉じきる寸前、ジャンヌ・オルタの唇が邪悪に歪んだように見えたが、まぁ気のせいだろうと自分に言い聞かせ、真は心地よい暗闇の中に意識を沈めていった。

 

 

 

 

「これでよし。さ、こっちも準備するわよ」

 

「うぅ、騙してごめんなさい、真君。騙してしまった分、一杯気持ち良くしてあげますからね」

 

 果たして真の運命や如何に。後半へ続く。



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『ダブルジャンヌ(中)』私達の玩具(マスター)♡

 どうもこんばんわ、親愛なる読者の皆様。本日は皆様に謝らなければならないことがあります。長くなりそうだから上下に分けると私は言いました。









『あれは嘘だ(CV玄田○章)』

 冗談はともかくとして、構想の半分まで書いた時点で二万文字を超えたのでまた分けました。今回のダブルジャンヌの話は上中下の三本仕立てと相成ります。本当に申し訳ない。いっそのこと、序破Qにするか。


 深海へと潜っていたクジラが呼吸をするため、海面へと上がるように真の意識は覚醒した。

 

「んぁ……よく寝た。今、何時だ」

 

 若干、寝惚けてはっきりしない視界を頭を振ってハッキリさせ、起き上がろうとする真だったが、

 

 ガシャン。

 

 何かに行動を妨げられた。ふぇ? と間抜けな声を出しながらもう一度体を起こそうとするが結果は同じ。ガシャンと音がして動くことが出来なかった。意識が徐々に明瞭になっていくにつれ、左右に広げられた両手が何かで拘束されているのが分かった。

 

「な、何だこりゃ?」

 

 視線を両手へと向ける。左右の手首にはそれぞれ手錠がかけられており、ベッドに繋げられていた。手錠の輪を結ぶ鎖は短く、肘を曲げるのも無理な程だ。足首にも同様に手錠がかかっていて、真はX字の形でベッド上に拘束されていた。

 

「え、何で俺ワッパかけられてんの、何でベッドに繋げられてんの? いや、それ以前にどうしてこうなった? そして何より」

 

 首を持ち上げ、視線を下半身へと向ける。目が覚めたら手錠でベッドに拘束されてたという寝起きドッキリにしては性質の悪い状況だったためすぐには気付けなかったが、股間がえらいことになっていた。

 

「何で俺のグレンラガンは天元突破してんの?」

 

 隆々とそそり立つ真のバベルの塔。特にこれといった刺激を受けたと訳でもないのに限界まで膨れ上がり、何時でも夜の性杯戦争に臨めますと言わんばかりに先端から腺液を溢れさせている。

 

「マジで、どうなってんだこりゃ? オマケに何か体も熱いし……」

 

「フフ、目が覚めたみたいね」

 

 状況が呑み込めずに戸惑う真を嘲笑うかのような声。首を巡らし、真はベッド脇の椅子に腰を下ろしている声の主に視線を向ける。

 

「滑稽かつ無様な格好ね、我がマスター。でも、中々お似合いよ。ねぇ、聖女様?」

 

「あ、いえ、私の口からは何とも……」

 

 脚線美を見せびらかすように脚を組んで椅子に座り、尊大な笑みを浮かべるジャンヌ・オルタ。彼女の傍らには顔を赤く染めながら口籠るジャンヌが立っていた。

 

「おぉ、二人とも。これって、どういう状況……」

 

 なんだ、と言葉を続けようとした口を半開きにし、真は瓜二つの容姿の美少女二人に向けた目をパチクリさせて驚きを露わにさせる。より正確にいうと二人の格好に真は口をあんぐりと開いていた。

 

「早速、目の色変えたわね。男って本当単純なんだから」

 

 太腿まである網タイツを履いた脚を解き、立ち上がったジャンヌ・オルタは所謂ボンテージというものを着ていた。ボディラインを強調するようにピッチリと体に張り付いた黒いレザー素材のそれは電灯から放たれる光を受け、妖しい光沢を放って扇情的な雰囲気を醸し出している。ジャンヌも色違いの白であるものの、彼女と同じボンテージを身に纏っていた。

 

 それだけならスカサハとコスプレプレイをしている真がそこまで驚く(真っ当な感覚の持ち主なら十二分に驚くだろうが)ことも無かったのだろうが、問題は彼女達の着ているボンテージが普通では無かったことだ。何故か二人のボンテージは胸下までしかなく、豊満で円やかな肌色の乳房が無防備に露出していた。可愛らしく美しい桜色の乳首がつんと尖っている。

 

 オマケに臍の下あたりからジッパーが股間を通って尾てい骨の辺りまで伸びていた。明らかにエロい目的で作られたものだということが窺える。股間を覆う部分もハイレグになっており、雄の性欲を掻き立てるのに一役買っていた。

 

「どうだった、薬入りケーキの味は?」

 

 唖然としている真にジャンヌ・オルタがクスクスと笑いかける。二人の肉感的な姿に言葉を失っていた真はジャンヌ・オルタの発言で現実へと戻ってきた。

 

「く、薬入りケーキだと? あのブッシュ・ド・ノエルか、急に眠くなったのも……で、でも何でそんなものを俺に?」

 

「貴方にお礼をするためよ。ベッドの上で私達を気絶するまでたぁっぷり愛してくれたお礼をね」

 

 相変わらず顔を赤くさせたままジャンヌはジャンヌ・オルタの言葉にこくこくと頷く。それってお礼じゃなくてお礼参りじゃね? と喉元まで出かかった声をグッと飲み込み、真は軽く二人を睨み付けた。要はベッドで性的にイジメられたことへの仕返しをこれからするということだろう。

 

「お礼ならもっと穏やかにしてもらいたいもんだな。っていうか、オルタもジャンヌも結構ノリノリだったじゃん」

 

「シャラップ! それはそれ、これはこれよ! 我がクラスは復讐者(アヴェンジャー)、負けっぱなしは性じゃないの!」

 

「私は調停者(ルーラー)のクラスですが、その、そういうの関係なしに真君のことを可愛がってみたいんです」

 

 もとより期待していなかったが、言葉での説得は無理そうだ。ならば、力技でピンチを切り抜けるまでと真は両腕両脚に力を込める。

 

「この程度の束縛で俺をどうこう出来ると思うなよ。その気になればこんな手錠、簡単に引き千切れるんだからな……」

 

「へぇ。なら、早速やってもらおうじゃない」

 

 余裕綽々の笑みでジャンヌ・オルタが見守る中、真は両手首と両足首の手錠を無理矢理外そうとするが、思うように体に力が入らない。魔力による身体強化、魔力放出での強引な脱出も不可能だった。

 

「な、何でだ? 体に、力が……」

 

「私が何時、ケーキに混ぜたのが睡眠薬だけだなんて言ったかしら? 他にも精力剤や媚薬も入れといたのよ。良い具合に体から力が抜けて、頭が壊れない程度に感度が上昇するとびっきりに効く無味無臭のやつをダ・ヴィンチに頼んでね」

 

「何でそんなフワッとした説明でここまで的確な効果を発揮するものを作れるんだあの人……!」

 

 天才ですから。と、親指を立てて笑うダ・ヴィンチちゃんの姿を幻視する真だったが、そこは問題じゃないと頭を振る。今、気にすべきはジャンヌ・オルタの言っていたことだ。

 

「感度が上昇する、って言ったか?」

 

「えぇ。だから貴方のおちんぽ、私達が何もしてないのにそんなビンビンになってるんじゃない。ほら、こうすると」

 

 ベッドに四つん這いになって乗るジャンヌ・オルタ。ぎし、ぎしとベッドを軋ませながら雄々しく天を向く真の男根へと顔を近づける。小鼻を膨らませて鈴口から流れ出る先走りの匂いを楽しんだかと思えば、綿毛でも飛ばすように軽くふぅっと息を亀頭に吹きかけた。

 

「うおぉ!?」

 

 小さく弱い吐息に先端を撫でられただけだというのに鋭い快電流が走り、真の体は面白いくらい跳ね上がった。完全な不意打ちを食らって息を荒くする真にジャンヌ・オルタはサディスティックな笑みを向ける。

 

「こんな弱い刺激で感じちゃうなんて、ザーメンピュッピュッして逝ったばかりみたいに敏感になってるのね……ねぇ、真。このイケないお薬キメちゃった女の子みたいに感じ易くなったおちんぽ、私達の口やオマンコで可愛がったらどんな風になっちゃうのかしら?」

 

 舌で唇を湿らせながらジャンヌ・オルタは真の耳元で囁く。ダ・ヴィンチの薬で全身が性感帯に変えられてしまった真の体は耳にかかる吐息すら快感へと変換していた。そのことに気付いているのか、ジャンヌ・オルタは小さく笑って真の耳に悩ましい吐息を浴びせ続ける。

 

 真が目を閉じて耐えていると、またベッドが軋む音がした。目を開けば、目を情欲で爛々と輝かせたジャンヌが顔を近づけてきているのが見えた。体の左側にジャンヌ・オルタ、右側にジャンヌが寄り添う。両脇腹にレザーボンテージの冷やりとした感触、胸に剥き出しの乳房の柔らかさと温もりを感じ、真の血流が激しくなっていった。

 

「たっぷり可愛がってあげるわ、肉バイブちゃん。天国に連れて行ってあ・げ・る♡」

 

「ご主じ……真君。私達を一杯、一杯感じて下さいね♡」

 

 蠱惑的な声での挟撃。それが開戦の狼煙となった。

 

「「はぁむ……」」

 

 左右の耳が生暖かく湿った感触に包まれる。耳を柔らかで肉厚な唇に挟まれ、濡れた舌に舐め上げられた真は体をびくつかせながらも声を出すまいときつく唇を引き結んだ。

 

 そんな真を嘲笑うようにジャンヌ・オルタは舌を激しく動かす。舌先を耳の溝や穴の周りに這い回らせ、わざとぐちゅぐちゅ音を立てて触覚と聴覚で真を責めていく。顔を赤くして耐えている真をクスリと笑い、ジャンヌ・オルタは過激な舌での愛撫に没頭した。

 

 一方のジャンヌはジャンヌ・オルタと比べて穏やかな舌使いで真を可愛がっていた。耳朶を甘噛みしながら引っ張ったり、耳の裏を舐めたりと責めるというよりあやすといった動きだ。しかし、動きが激しくなくともジャンヌの舌は確実に真を感じさせており、彼の性感を高めていく。

 

 二人の耳責めに歯を食い縛る真。声こそ出さずにいるが、体は正直に反応していた。剛直はピクッ、ピクッと断続的に震えながら鈴口を広げ、透明な露を玉のように溜めている。

 

「あはっ、触っても無いのにおちんぽピクピクぅってなってるわよ。なぁに、私達にお耳イジメられて気持ち良くなっちゃったの? 変・態♡」

 

 愛しい男を言葉で詰ることに言い様のない昂ぶりを覚え、ジャンヌ・オルタは唇を淫蕩に歪めて顔を真っ赤にする真を見下ろす。同時に人差し指で硬くなった真の乳首を何度も弾き、指先で円を描くように押し潰しながらコリコリとした触覚を愉しんでいた。

 

「真君のおちんぽ、あんなに大きくなって……素敵♡」

 

 うっとりと目を潤ませ、ジャンヌは真の逸物に熱い視線を送っている。太い血管を浮かばせる竿が自分の膣内(なか)を埋め尽くし、赤黒く膨らむ亀頭が子宮口にキスする時を想像してジャンヌは秘所から蜜を溢れさせていた。口の中に大量に溜まった唾をごくりと喉を鳴らして飲む姿は彼女の肉欲の大きさを表しているようだ。

 

「聖女様」

 

 真の乳首を弄んでいたジャンヌ・オルタの目がジャンヌに向けられる。色欲の光を湛えた金色の瞳を、何ですかと答えながら同じ光を宿した蒼い目で見詰め返した。

 

「お耳の外側を舐めただけで真のおちんぽ、こんな風になっちゃったんだけど……もし穴の中まで舐めたらどうなっちゃうと思う?」

 

「そうですね……きっと、もっと、もぉっと気持ち良くなって、ザーメンドッピュンってしちゃうと思います」

 

「見てみたくない? お耳を舐められて逝っちゃう私達のマスター」

 

「見てみたいです……」

 

 二人の視線が真にねっとりと絡みつく。目をギラギラと光らせ、唾液を垂らした舌をこれ見よがしに伸ばしながら迫る二人の姿に真は捕食者に仕留められた獲物の気分を味わった。体を強張らせる真にジャンヌとジャンヌ・オルタは笑みを深め、同時に無防備な耳の穴へと舌を挿し込んだ。

 

「っ!!??」

 

 思わず背中が弓なりに反り上げてしまう衝撃が真を襲う。小さく狭い耳穴の奥深くまで温かくぬめぬめとした粘膜に侵入され、真は全身を粟立たせた。真の反応を愉しみながらジャンヌ・オルタは舌をグリグリと回して耳穴を犯し、ジャンヌは耳全体を口に含んで涎を穴の中に流し込んでいく。

 

「ほら、これが気持ち良いんでしょ? 感じちゃうんでしょ? 我慢なんかしてないで声出しちゃいなさいよ」

 

 正常位で交わる時の真の激しい腰使いを再現するかのようにジャンヌ・オルタは舌を過激に穴の中に出し入れさせる。鼓膜に触れるギリギリまで伸ばした舌を何度ものたくらせ、至近距離から卑猥な水音を浴びせた。同時に更に硬くしこった真の左乳首を摘まんだり、軽く爪を立てたりして確実に快感を擦り込んでいく。

 

「顔真っ赤にしながら声我慢して……とっても可愛いです、真君」

 

 風に煽られる火のように苛烈な行為をしてくるジャンヌ・オルタとは対照的にジャンヌの動きは優しいものだった。唾液で満たされた耳穴を舌が這い進み、全体を満遍なく舐めていく様は赤子を慈しむ母の如し。体から力と気が抜けて意識が緩み、左右別々で全く違う動きを見せる二人の舌使いも相まって思わず声が出てしまいそうだ。

 

 声を出して二人を調子づかせまいと真は鋼の心で耳を襲う快楽に耐え忍ぶ。この男こそ、カルデア最後のマスターにして人類最後の希望。その精神力は最早人外の領域に達している。どのような手練手管を使ったとしても、そうそう堕ちることは無い……のだが、女の情念は彼の精神性を容易く凌駕した。

 

 土の中に滲み込んでいく水みたいに真の心の壁をすり抜けていくジャンヌの舌技は彼の弱点を探し出すのに時間をかけなかった。耳穴の半ばを過ぎた辺りの、少し奥の上側。そこを舌先で触れた時、真の口から極微かな呻きが漏れたのをジャンヌは聞き逃さず、淫靡な笑みを口元に浮かべる。

 

「ここが気持ち良いんですね? たっくさん舐め舐めしてあげますから、もっと声聞かせて」

 

 執拗に、容赦なくジャンヌは真の感じる場所を責め立てる。舌先を耳かきのように曲げ、何度も何度も弱点部分を緩急つけて舐め回した。追撃に真の右乳首を指の腹で撫で回し、確実に彼の快感を増幅させていく。

 

 耳を舐られ、乳首を刺激され続けて真は思わず喘ぎ声を上げる。真の声に気を良くした二人は舌の動きを強くし、同時に次のステップへと移った。

 

 真の乳首を弄んでいた二人の手が下半身へと向かっていく。熱く汗ばんだ、一切の余分を取り除いて極限まで鍛え抜かれた肉体を掌と指先で感じていった。ダ・ヴィンチをして「君をモデルに彫刻作っていいかな?」と真顔で言わしめた真の肉体美をジャンヌ・オルタは焦らすような手つきで、ジャンヌは尊ぶような手つきで堪能していく。この逞しい体に抱かれたことを思い出すと胎の中がジュンと疼き、今この体の持ち主を良い様に嬲っているのだと思うと頭が沸騰しそうなくらい興奮した。

 

「お耳舐めながらおちんぽシコシコしてあげる」

 

「玉々が空っぽになるまでピュッピュッして下さい」

 

 二人の手がいきり立つ真の剛直へと辿り着く。蠱惑的に囁き、魔女と聖女は先走りに塗れた肉棒に指を絡ませた。耳責めと薬のお蔭で鋭敏になっていた逸物が人肌の温もりに包まれていく。

 

「もう我慢汁でべちょべちょじゃない。もしかして期待してるの?」

 

「お(つゆ)、先っぽからどんどん溢れてきます。凄い、こんなに一杯……」

 

 ジャンヌ・オルタの指が竿に、ジャンヌの指が亀頭に巻き付く。痛烈な快感が男性器に走り、真はピクッと腰を揺らして反応してしまう。呼吸を速くする真に淫蕩に笑いかけ、二人は手コキと耳責めを開始した。

 

 人差し指と親指で作ったリングを緩慢な動作で上下させ、ジャンヌ・オルタは震える肉竿を搾っていく。根元から指のリングをゆっくりと持ち上げ、カリ首に触れるギリギリで下へと戻って血管の浮いた逸物を扱いていった。ジャンヌ・オルタが指のリングを上下に往復させる度にねちゃねちゃといやらしい音が立ち、男根はピクピクと戦慄きながら新たな我慢汁を割れ目からこぼしている。

 

 その鈴口から溢れ出てきた腺液をジャンヌの人差し指が弄ぶ。ぺちゃぺちゃと粘着質な音を鳴らして指先と亀頭を粘液の糸で繋いだかと思えば、白魚のような指を赤黒く染まった亀頭に押し付けて我慢汁を塗り広げてきた。腺液でぬるぬるになった指先が敏感な亀頭粘膜を走っていく快感は強烈かつ鮮烈で、真は眉を八の字に曲げて身悶えする。

 

「次はカリをくちゅくちゅしちゃいますね」

 

 舌を耳穴から引き抜き、真に聞こえるように淫靡な舌舐めずりをしながらジャンヌはカウパーの付いた人差し指を親指に擦り付ける。数秒としない内に親指も人差し指同様ぬるぬるの状態になった。

 

「私のテクニックで逝かせちゃいますから」

 

 親指と人差し指をカリ首に添え、張り出たエラの形を確かめるみたいになぞっていく。螺子を摘まんで回す時と同じ要領で指を動かし、宣言通りくちゅくちゅと卑猥な音を上げて真に快感を強制的に味わわせた。

 

 ビクビクと体を震わせる真の姿に加虐心を浮かべた笑みを作り、ジャンヌは指の動きを横から縦に変える。速く小刻みに指を交互に上下させ、カリとその下にある窪みを重点的に擦り上げた。我慢汁で摩擦を失った指先がカリを軽く押し潰しながら撫で上げていく感触は快楽の電流となって真を襲う。

 

「玉々パンパンじゃない。こんなにザーメン溜めちゃって、とっても苦しそう……ねぇ、我慢なんてしてるけど、出したいんでしょ? ビュルビュルってザーメン噴き出して、私達のことどろどろにしたいんでしょ?」

 

 逸物を扱いていた指を解き、クスリの効果で精液を大量に作って内側から膨らんだ玉袋を優しく揉みしだくジャンヌ・オルタ。首筋から耳穴までねっとりと舐め上げ、絶妙な力加減で玉袋を弄りながら悪魔の囁きで真の心を陥落させようとする。

 

「意地なんて張るの止めちゃいなさい。マスターとしてのプライドとか、男としての矜持なんか捨てて私達に身を任せて気持ち良くなっちゃえばいいのよ」

 

「オルタさんの言う通りです」

 

 ジャンヌ・オルタに便乗し、ジャンヌも真を快楽に溺れさせようと脳が蕩けてしまいそうな声で呼びかけた。

 

「真君だって本当は出したいんですよね? その証拠に……」

 

 ほら、とジャンヌはたっぷりの先走りで濡らした指先を勃起の裏筋にツゥ~となぞらせる。裏筋を通して下ろしていった指先で男根の根本を突き、再び裏筋を上らせて亀頭の先端をクリクリと転がすようにイジメた。二人の手淫で快感を擦り込まれたペニスが跳ね震え、止め処なく腺液を垂れ流している。

 

「おちんぽ、こんなに震えてます。出したいよぉ、逝きたいよぉって泣いちゃってるじゃないですか。これ以上我慢させたら可哀想ですよ」

 

「本当。こんなびちょびちょになるまで泣かせるなんて、酷い男ね」

 

 まるで真が悪いかのような口振り。真自身もほんの一瞬、快楽に染まりかけた頭で俺が悪いのか、と愉快な結論を出しかけるも、俺の体をどうしようと俺の勝手だろとどうにか正気を取り戻した。

 

 ふん、と鼻を鳴らして真は視線を背け、唇を真一文字に結んで徹底抗戦の構えを見せる。あくまで意地を張ろうとする真に二人は呆れると同時にどこか嬉しそうな表情をしていた。

 

「あっきれた。本当、負けず嫌いね」

 

「本当に……でも、だからこそ、堕とし甲斐があります」

 

 まぁね、と淫蕩な笑みを浮かべるジャンヌに同意し、ジャンヌ・オルタも加虐心の籠った笑顔を作る。二人は顔を見合わせて頷き、真により一層強く体を押し付けた。

 

「いいわよ。男の子の意地だか何だか知らないけど、好きなだけ張りなさいな」

 

「その代り、私達も全力でやっちゃいますから」

 

 それぞれの豊乳で真の胸板をサンドする。呼吸の際に真の胸板が上下するのを乳房で感じながら二人はペニスと玉袋から一度手を離した。そして男根を間に挟み、指と指を絡めて祈りを捧げる時のように手を組んだ。ピッタリと密着する二人の温かい掌が肉棒を優しく包み込む。

 

 嫣然と微笑む二人。その艶やか笑顔はギリシャ神話に登場する彼の三姉妹の長女と次女に勝るとも劣らない魅力的なものだった。二人から放たれる余りの魅力に目線を逸らしていた真も思わず見惚れ、意識を緩めてしまう。そこを二人は逃さなかった。

 

 ずるりと二人の舌が耳穴に入り込み、同時に男根を包む手が猛烈な上下運動を開始する。両耳と下半身から生まれる強烈な快感に真は体を跳ねさせた。耳の内部を温かく濡れぬめった舌に攪拌され蹂躙される。耳穴の奥まで伸ばした真っ赤な舌を激しく蠢かせ、二人はぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てて真の聴覚を犯していった。

 

 舌で耳を塞がれているため真には届いていないが、二人の手で扱かれている逸物からも相当いやらしい音が鳴っている。真の快感の度合いを表すように鈴口から噴き出る先走りが掌に絡まり、にぢゅにぢゅと粘ついた水音が二人の手で奏でられていた。

 

 上に下に動く二人の掌に竿を撫でられ、カリを圧迫され、亀頭を捏ね繰り回される。魔女と聖女から与えられる絶大で甘やかな官能に真は翻弄された。恥も外聞も無く口を半開きにし、涎を垂らして快楽に全身を焼かれていく。二人の舌が、手が敏感な部分を刺激すると彼の体は大きく痙攣し、ベッドに繋がった手錠がガチャガチャと音を立てた。

 

 悶える真の姿と反応に二人は昂ぶりを覚える。愛する男に一方的な、嬲るような快感を与える行為が体の奥底を熱くし、秘所を潤わせた。二人は高まり続ける興奮に従い、舌技と手淫により強い熱を込めていった。

 

 もう無理だ、もう我慢出来ない。真っ白になった頭の中でそんなことを思う。しかし、同時に何も考えられなくなった脳内の片隅でこのままやられて堪るものかと叫ぶ何かがあった。

 

 意地かプライドか、何なのか分からない。だが、男に痩せ我慢をさせるには十分なものだったことは確かなようだ。なけなしの意思を振り絞り、真は二人の性技を耐え忍んでいく。

 

 どれだけそうしていたか。遂に聖女と魔女が先に音を上げる。

 

「……ここまで来るともう呆れるを通り越して尊敬しちゃうわ。どれだけ意地っ張りなのよ」

 

「私も自分が少々強情な所があると自覚していますが、真君のはそれ以上ですね」

 

 顔を上げ、二人はぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返す真を見下ろす。自分達の責めに耐え切った男はトマトのように赤くなった顔に涎を付けた何とも情けない姿を晒していた。その姿に心が高揚するのと同時にジャンヌ・オルタは二人がかりで真を逝かせられなかったことを内心で悔しがる。

 

「ふん。とりあえず、流石は私達のマスターと言ってあげましょう。でも、調子に乗らないことね。私達の快楽責めはまだ始まったばかりなんだから。手の次は……」

 

 次の行為を始めようとするジャンヌ・オルタにジャンヌが待ったをかける。何よ、と威勢を挫かれ少し不満そうな顔をする魔女に聖女は妖しい笑みを見せた。

 

「ザーメンドピュっちゃうのを我慢出来た真君にご褒美をあげませんか?」

 

「ご褒美って、何をやるのよ?」

 

 ジャンヌ・オルタの疑問に言葉で答えず、ジャンヌは軽く起こした上半身を左右に揺らした。彼女の動きに連動し、たわわに実った瑞々しい肉の果実がゆさゆさと重量感たっぷりに揺れる。あぁ、そういうこと、と納得顔で頷くジャンヌ・オルタ。二人の視線が真へと注がれる。二人が話している僅かな間に辛うじて呼吸を整えた真は向けられる情欲に満ちた蒼と金の瞳に警戒の色を浮かべた。

 

「そんな顔しなくても大丈夫よ。これから貴方にあげるのはご褒美なんだから」

 

「真君が大好きなもの、一杯あげちゃいます」

 

 上体を起こし、二人は豊満な乳房を両腕で寄せ上げる。染み一つない美しく白い乳肌に綺麗なピンク色の勃起乳首。豊潤に柔肉を詰め込んだ果実が左右から寄せられた二の腕に合わせて形を変える様に真は生唾を呑んだ。

 

「「はい、召し上がれ♡」」

 

 四つの肉の砲丸が真の顔を直撃する。むにゅう、と幸福な圧迫感に顔面を覆い尽くされ、真は思わず表情を蕩けさせた。

 

 

「絶対今、顔とろっとろにしちゃってるわよ、真の奴。本当、生粋のおっぱい星人よね」

 

「真君はおっぱい触るのも吸うのも好きですから……私も、されるの大好きですけど」

 

 バストを真に密着させながら二人は体を揺らす。柔和な乳肉がスライムのように形を変えて顔を甘く押し潰し、しこった四つの乳首が擦れて男に興奮を、女二人にもどかしい快感を齎した。

 

「んぅ、乳首擦れてるだけなのに感じちゃう……私の体、前はこんなんじゃ無かったのに。どこかの誰かの所為で私、こんなにいやらしくなっちゃった。全く、私の体をこんな風にして、一体どうしてくれるのかしら……はぁ」

 

「大丈夫ですよ、オルタさん。その誰かさんはとってもエッチだけど、同じくらい誠実な人ですから……あん。きっと、ちゃんと、責任を取ってくれます……ひぃん」

 

 意識が蕩けて溶け落ちそうな柔らかい肌触りの中で四つのコリコリした感触が縦横無尽に顔を撫で上げていく。頬や額、目元や鼻先を乳首でなぞられ、真は二人の豊乳でパフパフされている状況も相まって自分でも情けないと思うくらい興奮していた。基本、真は貧乳だろうが巨乳だろうがどちらも貴賤なく愛している。でも強いて言いうなら大きい方が好きだった。だって、男の子だもの。

 

 巨乳で顔を揉みくちゃにされて心がハイになる真。気付けば我を忘れて舌を伸ばして二人の乳房を舐め回し、そして乳首に吸い付いていた。

 

「あぁん、もう、赤ちゃんみたい」

 

「くす、エッチな赤ちゃん。私達のおっぱい、おいちいでちゅか?」

 

 性感帯である胸を舌や唇で弄られる快感にピクンと体を震わせ、二人は目にハートマークを浮かべてバストを尚のこと真に押し付ける。自分達の乳房に夢中でしゃぶり付く真に、愛する人に求められている状況にこの上ない悦びを覚え、二人は真をイジメるという当初の目的を綺麗に忘れて欲望のまま嬌声を上げていた。

 

「吸ってぇ、真君。もっと私のおっぱいチューチューしてぇ♡」

 

「ちょっと、ずるいわよ。真、吸うなら私のにしなさい。私のおっぱいの方が聖女様のなんかよりずっと柔らかくてフカフカで美味しいんだから♡ ……ってそうじゃない!」

 

 ジャンヌと競うように真の口内に乳首を含ませていたジャンヌ・オルタだったが、何のために真を拘束しているかを思い出して体を跳ね上げさせる。丁度、真にしゃぶられていた乳首が彼の唇からちゅぽんと音を立てながら抜け、ジャンヌ・オルタは鋭い快感に短く桃色の喘ぎ声を漏らした。しかし、再び快楽に流されてはならぬと凛とした表情を浮かべてそれに耐える。

 

「どうしたんですか、オルタさん? そうじゃないって何が……もしかして、私に真君を譲ってくれるんですか? そういうことなら遠慮なく」

 

「えぇい、戻って来なさいこの淫乱性女! 後、私があんた、というか他の女に真を譲るとか有り得ないから! 絶対、天地が引っくり返っても!!!」

 

 ひどく淫らな表情を浮かべるジャンヌを強引に真から引き剥がし、正気を取り戻させるためにジャンヌ・オルタは彼女の頬をぺちぺちと軽く叩いた。同時に淫欲の光を湛えた瞳で真を見詰めるジャンヌの肩を掴んで大きく揺さぶる。

 

「思い出しなさい、私達が何のためにここにいるのか。真におっぱい吸わせるためじゃなくてイジメるためでしょ!」

 

「……そういえばそうでした」

 

 ジャンヌの蒼い双眸に理性の光が甦った。相方が一応の落ち着きを取り戻したことにホッとするジャンヌ・オルタ。キッと眦を吊り上げて理不尽な怒りを真へと向ける。

 

「残念だったわね。私達のおっぱい吸って自分のペースに持って行こうとしてたみたいだけど、そうはいかないんだから」

 

「いや、そんなつもり微塵も無いんだが。そもそも、お前達の方から胸を押し付けてきたんじゃな」

 

「お・だ・ま・り!」

 

 鼻先を人差し指で軽く弾かれて強制的に黙らされる。自分達に都合の悪いことは聞かないし、言わせる気も無いようだ。これぞ卑劣と名高いジャンヌルールである。

 

「よくもまぁこんな状況で減らず口が叩けるものだわ。まぁいいわ。精々強がってなさい。そんなことを言っていられるのもここまでなんだから。聖女様、分かってるわよね?」

 

「はい、勿論です」

 

「なら結構」

 

 獲物を前にした蛇のようにジャンヌ・オルタはにたりと邪悪に笑い、野に咲く名も知らぬ花のようにジャンヌはくすりと清楚な笑みを浮かべる。対極な表情を作る二人だが、笑顔の中に隠し切れぬ色情がある点が共通していた。艶笑をそのままに二人は真に顔を近づけ、唇を開いて口腔を見せる。

 

「今度はお口マンコでイジメてあげる。我慢出来るなんて思わないでちょうだい」

 

「私達のおっぱいチューチューしてくれたお礼におちんぽふやけるくらいチュパチュパしてあげますね」

 

 唾液に塗れた粘膜がヌラヌラと淫靡に光沢を放つ。その様は男の精を搾取するための生物が口内で蠢いているかのようだ。甘さすら感じられる官能的な吐息を間近でかけられ、真は喉を鳴らしながら男根をいきり立たせて更に硬度と大きさを増させた。

 

「私達のトロトロお口マンコでおちんぽジュボジュボしゃぶられるとこ、想像しちゃった?」

 

「おちんぽカッチカチ……それだけ期待してくれてるってことですよね。嬉しい」

 

 再び口を大きく開く二人。真の目の前で、見せつけるように舌をチロチロとくねらせる。淫らに踊る赤い舌先は鎌首をもたげる蛇を連想させた。今の真は正に蛇に睨まれた蛙。動けずにいる真に二人は舌を伸ばし、舌腹で掬った唾液を垂らす。トロリとしたガムシロップのような唾液が真の頬にかかり、べったりと張り付いた。

 

「あらら、ごめんなさい。顔、汚しちゃったわ」

 

「すぐに綺麗にしますからね。うふふ……」

 

 恍惚とした面持ちで二人は真の頬にそれぞれ落とした涎を舌で塗り広げていく。まるでマーキングだ。この男は自分達の物だと言わんばかりに唾液を肌に擦り込み、匂いを染み込ませていった。

 

 一頻り涎を塗り終えると二人は舌を這わせたまま下へと向かっていく。頬から顎、首筋に舌先を滑らせて皮膚の下で収縮する筋肉の感触を楽しみ、鎖骨へと吸い付いて真の体にキスマークを残した。

 

 皮膚を舐められる感覚は快感半分、こそばゆさ半分といった感じだ。刺激は余り強いものではなく、真はもどかしさに表情を小さく歪める。目敏く真の微かな変化に気付いた二人は小さく笑い、目標を鎖骨の下にある乳首へと移した。

 

「はむ」

 

 ジャンヌ・オルタが勢い良くしゃぶり付く。硬く勃起した乳首を唇で挟みながら思い切り吸い上げ、激しい吸引を終えると舌で先端を突いて同時に甘噛みしていった。一方、ジャンヌは一見優しげな舌使いで乳首を舐めている。しかし、舌を動かす力はジャンヌ・オルタよりも強く、真のしこった乳首を体の中に埋め込もうとせんばかりだった。押し込んでは元の形に戻る乳首をジャンヌは執拗に何度も舌でプレスしていく。

 

 左右の乳首に与えられる別々の快感に体を揺らす真。ぐっと拳を握って二人の淫行に耐え、ジャンヌ・オルタへと視線を向けた。

 

「お、オルタ。こんな、二人がかりなんて卑怯だぞ。しかも薬なんか使って、恥ずかしくないのか?」

 

「卑怯? 恥ずかしい? はっ、負け犬の戯言ね!」

 

 上げた顔に勝ち誇った笑みを浮かべてジャンヌ・オルタは真の抗議を一蹴する。現状、精神面と肉体面の両方で圧倒的優位に立っている彼女は遥か高みから真を見下ろしていた。

 

「『卑怯な手を使って悔いが残る』とか『恥ずかしくて後ろめたい』なんて下らない考え、そこら辺の野良ワイバーンにでも食わせとけばいいのよ。この私に、復讐者(アヴェンジャー)たるジャンヌ・オルタにそのような惰弱な思想は存在しない。あるのはただ一つ、マスターである貴方を屈服して支配する、それだけよ。その果てに得られる満足感だけが私の求むるもの」

 

 真の顎を人差し指で持ち上げ、残忍な笑顔でジャンヌ・オルタは断言した。

 

「過程や……方法なんて……どうでもいいの!!」

 

「くっ、暗黒面(ダークサイド)に呑まれたか、吐き気を催す邪悪め!」

 

「何とでも言いなさい。どんな手を使おうが、最終的に勝てばよかろうなのよ!」

 

 あっはっはっは、と完全に悪役(ヒール)側のラスボスがするべき哄笑を決めるジャンヌ・オルタ。濡れ場でするものではないが、憧れだった悪役高笑いをすることが出来て結構嬉しいのは内緒だ。

 

「じ、ジャンヌ! お前はどうなんだ? このやり方で納得出来るのか!?」

 

 清廉潔白を絵に描いたようなジャンヌなら説得出来るはず、と真は白い聖女を見るが、

 

「真君のおちんぽ……ガチガチ勃起おちんぽぉ。早く欲しいよぉ。お口でジュボジュボしたいよぉ、オマンコにハメハメしたいよぉ」

 

 完全に聖女から性女へとクラスチェンジしていた。飢えた雌犬と表現するのが相応しい姿で真の胸板に舌を走らせ、発情しきった顔で卑猥な欲望を臆面もなく口にしている。もしこの姿をジル・ド・レェが見たらセイバーキャスターのクラス関係なく発狂すること間違い無しだ。

 

「くく、残念だったわね。もう貴方のおちんぽのことしか頭にないみたいよ、あの淫乱聖女様。あんなに求められるなんて、男冥利に尽きるってものじゃない……私もこれから貴方のこと、たっぷり求めちゃうから」

 

 ジャンヌ・オルタが舌での愛撫を再開したのを皮切りに二人は真の下半身へと移動していく。舌が割れた腹筋を通過し、臍の横を通り過ぎる。そして二人は左右から挟むようにして目的のものと対峙した。

 

「凄い匂い……お汁もピュルピュル出しちゃって。待ちきれないのね」

 

「私達と一緒ですね」

 

 うっとりと表情を緩ませ、二人はそそり立つ男根に見入った。男の欲望を煮詰めて固めて女を悦ばせるための形に作られた器官を前に二人は自分が呆れるほどに欲情し、雌の大事な部分を疼かせているのを感じた。

 

 口から色欲に染まった甘ったるい吐息を漏らし、ジャンヌ・オルタは股間へと手を伸ばす。指先がジッパーの金属質な冷たさに触れると同時にねちゃりとした粘ついた感触を覚えた。それは紛れもなく愛液の感触だ。閉じられたジッパーから溢れ出てきたらしい。それだけ彼女の秘所が蜜を零しているということだろう。

 

 ジッパーの上から秘所を弄るとくちゅくちゅ音が鳴り、快感が女体を駆け上がっていった。更に小さく膨らんだクリトリスをジッパー越しに押し潰し、股間から脳天まで撃ち抜くような快電流に身を震わせる。ジャンヌ・オルタは自分を抑え切れず、あんと媚びた声を上げた。ジャンヌの方を見れば、彼女もジャンヌ・オルタと同様、いや、それ以上に激しく自慰をして顔を官能に染め上げている。性感に染まり切った聖女の顔は同性のジャンヌ・オルタですら思わずぞくりとするほど乱れていた。

 

 ジャンヌ・オルタは全ての元凶、自分達を快楽の坩堝へと引きずり込み、狂わせた男の象徴をとろんとした目で見つめる。処女であった女の花園を突き破り、蜜壺を余すところなく抉り、暴力的な快感を強制的に味わわせて男に抱かれる悦びを女体に覚えさせたグロテスクな形状のそれ。見てるだけだというのに喉は自然と生唾を呑み、秘所から新たな蜜液が染み出てきた。

 

「駄目、もう我慢出来ない……!」

 

「私も……!」

 

 辛抱堪らず、二人は男根へとむしゃぶりつく。左側からジャンヌ・オルタが、右側からジャンヌが極太の肉竿へと吸い付き、ふっくらした唇をずずっとスライドさせた。上下の唇がはむはむと柔らかく肉棒を挟み、舌が浮かぶ血管の形を確かめるように這い回る。これだけでも絶頂ものだというのに、そこに時折ちゅうっと甘い吸引が加わった。

 

「んあぁっ……!」

 

 たまらない三つの刺激を与えてくる唇の極上サンドイッチに思わず声を上げ、真は目を白黒させた。左右別々に動く唇が絶え間なく甘美な感触をもたらし、逸物をわななかせる。パクっと開いた鈴口は水源から流れ出る清水のように透明な先走りを溢れさせ、肉竿を濡らしていった。二人は一心不乱に肉棒に唇を這わせ、伝い落ちてくる腺液を浅ましい音を立てながら啜り上げていく。

 

「もっと。もっとちょうだい。こんな薄いのじゃない、どろっどろの濃厚ザーメン……」

 

「ザーメンゼリー出して。私達のお口マンコ、妊娠しちゃうくらい一杯、ドピュドピュって下さい」

 

 竿を撫でていた唇が天辺へと辿り着く。二人は舌を伸ばし、我慢汁でテカった亀頭にヌルヌルと巻き付けていった。その様は真の男根を間に挟んでディープキスをしているかのようだ。互いの舌を亀頭粘膜に這い回らせ、時に舌同士を絡み合わせて二人は真を快感の渦へと引きずり込んでいく。無意識の内に二人は両手を伸ばし、指と指を絡ませて手を繋いだ。手を通して心が結ばれたかのような見事なコンビネーションで魔女と聖女は想い人を絶頂へと引き上げていく。

 

 亀頭に走る湿った二つの感触に真は腰を痙攣させ続けた。二人が織り成す淫らな舌奉仕に脳漿が煮え滾り、与えられる強烈な快感に真はなす術もなく体を震わせる。そうしている間にも二人の動きは激しさを増し、真の射精を促した。

 

 ジャンヌの舌が亀頭の傘みたいな出っ張りを引っ掻いていく。にゅるん、にゅるんと舌先が何度もカリ首を擦り上げて眩暈を起こしそうな肉悦を紡いでいった。

 

 ジャンヌが肉傘を責める一方、ジャンヌ・オルタは亀頭の先端を舐め回していた。くるくると舌先が鈴口の周りに円を描いたかと思えば、ぱっくりと開いた尿道口に挿し込まれてぐりぐりと穿り返される。頭の中で法悦が何度も爆発し、真は腰を浮かせた。

 

 もう、何時発射してもおかしくない所まで来ているのだが、限界を告げようにも舌が縺れて上手く動かない。そうしている間にも二人の舌技が真を追い詰めていく。流れ出る腺液は味と色を濃くし、真が言葉にせずとも彼女達に限界の訪れを教えていた。

 

「逝くのね、逝っちゃうのね? いいわ、全部ぶち撒けて。私達に思いっきりぶっかけて♡」

 

「早くぅ、早く下さいよぉ。早くくれないと切なくって頭おかしくなっちゃいますぅ♡」

 

 最後の一押しと二人は舌をより過激に蠢かす。ぐちゅぐちゅと唾液と我慢汁が舌で混ぜられる淫音と骨の髄まで痺れるような快楽が同時に真を襲った。その二つがトリガーとなり、遂に崩壊の時が訪れる。

 

 逸物が一回り太くなったように見えた次の瞬間、雄の白い欲望が吐き出された。今の今まで我慢を重ねたこととダ・ヴィンチの薬の効果も相乗して常識では有り得ない量の精液がダムの放水よろしく空中に撃ち上がっていく。

 

 待ちに待った時が訪れ、二人は目を輝かせて天井を見上げた。一拍置いて二人の顔に白濁液が雨みたいに降り注ぐ。液というより半固形状のゼリーのような白く生臭いそれはびちゃびちゃと二人の顔や前髪に張り付いていった。

 

 顔や髪にへばりつく子種の熱さに二人が身震いしている間も射精は続いた。一旦、宙へと舞い上がった精液は重力に従って落下し、魔女と聖女の美貌を濁った白に染め上げていく。真の射精が治まる頃には二人の顔は目や口以外の肌が見えなくなるほど白く汚されていた。

 

(真のザーメン……凄い量。それに匂いも……嗅いでるだけで妊娠しちゃいそう♡)

 

 顔を覆う白濁液の下に恍惚とした表情を浮かべながらジャンヌ・オルタは口の周りに張り付いた精液を舐め取る。濃厚な臭気を放つ粘液を口内でクチュクチュと攪拌し、舌腹で掬って喉の奥へと流し込む。何回、何十回と味わい、嚥下してきた堪らぬ甘露に体を打ち震わせ、同時にボンテージの中で秘所の水気が増した。

 

 ふと、視線を前に向けると自分と同じように口周りの精液を舌で楽しんでいたジャンヌと目が合う。互いの視線がザーメンに塗れた相手の顔に注がれた。淫らな熱を宿した目線を絡ませながら二人は上半身を上げ、申し合わせたかのように顔を近づけ合う。

 

「「ん」」

 

 軽く触れるだけのキスを皮切りに二人は互いの顔を舐め始めた。親猫が子猫に毛繕いをするみたいに丁寧に、そして少しでも多くを味わおうと執着心を燃やして精液を舌で絡め取っていく。相手の目尻や頬、額など顔中に桃色の舌を走らせ、少しの取りこぼしも見逃すまいと熱に浮かされた状態でも目を光らせていた。

 

 数分もしない内に二人の顔は綺麗に舐め清められ、残る白濁液は前髪に付いたものだけとなった。先に動いたのはジャンヌ・オルタで、有無を言わさずにジャンヌの絹のような前髪を口内に含んだ。歯を立ててジャンヌの美しい金髪を傷つけないよう注意しながら吸い上げ、髪に纏わりついた精液を舌で優しく剥ぎ取っていく。

 

 一頻り精を舐め終えたジャンヌ・オルタはちゅぽんと音が聞こえそうな仕草でジャンヌの髪を口から引き抜いた。次は自分の番だとジャンヌは涎に濡れた前髪を額に張り付け、ジャンヌ・オルタの白金色の前髪へと舌を伸ばす。さっき、ジャンヌ・オルタの顔を舐めていた時と変わらず優しく彼女の髪を綺麗にしていった。

 

 数分の時間をかけて互いの顔と髪を清めた二人。女の子同士で顔を舐め合うという異様な状況にあてられたのか、頬を染めて互いを見つめ合っている。ふと、視線が少しだけ下がって相手の唇、真の精液という極上の美酒を溜めた口内へと向けられた。繋げた両手を強く握り直し、再び二人は顔を寄せる。

 

「「んむぅ、ぢゅる、はぶ、ぢゅりゅ、ぢゅろぉ」」

 

 放心状態だった真の耳に激しい音が届いた。まるで、自分が愛するサーヴァント達と口付けする時のような音だと真は思う。ここでナチュラルに愛するサーヴァント『達』と考えてしまう辺り、真の思考も大分現代日本離れしてきたことが窺えた。

 

 動かすのも億劫な体に喝を入れ、真はどうにか頭を持ち上げて音の発生源を見る。そこには信じられない光景があった。

 

 あのジャンヌとジャンヌ・オルタが自分の股間の上でキスをしていた。それも唇が触れるだけの軽いものではなく、舌と舌とを絡めて唾液を泡立てる濃厚なベーゼだ。頬を上気させ、音が立つのも構わず互いの口内に舌を滑り込ませて唾液を啜り、白濁液を貪り合っている。

 

(なにこれ、どういうこと? ケーキ一緒に作ったって言うくらいだから仲良くなったんだなとは思ってたけど、ここまでとは……この遠野真の目をもってしても見抜けなかった!)

 

 真に見られていることには気付かず、二人はキスに没頭していった。真の目には二人が仲良くなったという風に見えているが、実際は互いの口腔に残っている精液を奪い合っているだけだ。より多くの精液を自分のものにするために舌で相手の口内を舐め回し、掬い取った白い極上甘露を飲み下していく。残った精液が少なくなればなるほど舌での応酬はより苛烈になり、その分音も大きくなっていった。

 

 過激という表現も生温く思える二人の口付けに真は自然と生唾を呑む。一度射精した逸物も胴回りを太くし、亀頭を膨らませながら刺激を求めてぴくぴくと震えていた。

 

 舌で相手の口内を探ってザーメンが無くなったのを確認し、二人は漸く顔を離した。最後まで絡み合っていた舌が解け、間に銀色の橋が繋がる。その橋も一秒と経たずにぷつりと切れ、雫となって勃起した男根へと落ちていった。

 

 小さな唾液の玉が丁度鈴口に当たり、真は小さく声を上げる。そこで二人はやっと真に見られていたことに気付いた。さっきまでの痴態を見られていたのかと二人は羞恥心に顔を赤らめるが、真の大きくなった男の象徴を見て今度は性的興奮で頬を染める。

 

「あんなに出したのに、もうこんなに大きくなってます」

 

「流石、底無し性欲の持ち主ね。一回出しただけじゃ満足なんて出来ないか……ふふ、いいわよ。あんたが満足するまで搾り取ってやるから」

 

 口を大きく開くジャンヌ・オルタ。隆々としている男根を口内に迎え入れようと、隣に同じことをしようとしている者がいるとも知らずゆっくりと顔を近づけていく。想い人の精をしゃぶり尽くすことだけしか考えられず、肉棒へと舌を伸ばし、

 

 コツン。

 

「「いたっ」」

 

 額に何かがぶつかった。視線を真の逸物から外すと、ジャンヌと目が合う。

 

「「……」」

 

 沈黙が流れる中、二人は見つめ合う。二人の間でバチバチと火花が散るのを真は幻視した。

 

「何を、してるのかしら、聖女様?」

 

「何をって、真君を口で気持ち良くしてあげようとしてたんですが」

 

「へぇ、奇遇ね。私もよ」

 

「そう、ですか」

 

「「……」」

 

 再び見詰め合う魔女と聖女。女としての勘か、二人は相手が自分に先手を譲る気が無いことを即座に理解した。

 

「ねぇ、聖女様。今回の作戦、考えたのは私よ。私についてきてるだけの貴方は作戦の立案者である私に最初を譲るのが筋ってものじゃない?」

 

「オルタさんがそう言うのでしたら、私はカルデアに先に召喚された先輩サーヴァントとしての権利を主張します。後輩のオルタさんが先輩である私の顔を立てるべきではないでしょうか?」

 

「戦争でしょうが……それを言ったら、戦争でしょうが……!」

 

 さっきまでの息の合いようは綺麗さっぱり消えて無くなり、二人は日向ぼっこの場所を奪い合う猫よろしく相手を威嚇している。恋人のように繋がっていた両手にも力が込められ、今やプロレスの手四つ状態になっていた。

 

「順番にやればいいだろ、順番に!」

 

 見かねた真の提案を二人はそれならと受け入れる。その結果、一分経つごとに交代ということになった。先攻後攻はジャンケンで決められ、勝ったジャンヌ・オルタが先攻の権利を獲得した。

 

「覚悟しなさい。私のフェラチオで腰が抜けるまで逝かせてやるわ」

 

 男根を咥えやすいようにジャンヌ・オルタは真の両脚の間に移動する。ベッドに横たわる真を見上げる体勢で、挑発的な笑みを浮かべながら舌をくねらせて見せた。

 

「真君、簡単に逝ったりしたら駄目ですからね。私の番まで我慢してくれないと、お、怒っちゃいますからね」

 

 ジャンヌ・オルタの淫猥な表情から目を離せなくなっている真にジャンヌは不安そうに声をかける。後攻になったのが余程悔しいのか、目尻には薄らと涙すら浮かんでいた。体の右側にぴったりと、抱き付くように密着してくるジャンヌに真は曖昧な首肯を返すことしか出来なかった。熱く汗ばんだバストが真の胸板にこれでもかと押し付けられ、むにゅんと柔らかく形を変えている。

 

「いいですか。絶対、ぜ~ったいですよ?」

 

「ふふん。残念だけどあんたの出番はないわよ、聖女様。私が最初の一回で真を逝かせちゃうから」

 

 必死に真に自分の時まで我慢しろと念を押すジャンヌを鼻で笑うジャンヌ・オルタ。目を壁に掛けられた時計へと向け、秒針が口淫の開始時間である12の文字を指すのを今か今かと待っていた。ドクンドクンと耳の奥で鼓動が強く轟く。一秒が一時間にも感じられそうな空気の中、秒針が12へと辿り着いた。

 

「はぁぁんむぅ!」

 

 前置きも何もなく、ジャンヌ・オルタは剛直へとむしゃぶりつく。その様は飼い主から受けた待ての命令を長時間忠実に守り、やっとよしと言われておやつへとがっつく犬のようだった。

 

 猛った肉棒を一気に根元まで咥えこみ、とろとろに蕩けた生温かい粘膜で包み込む。亀頭が喉奥に当たっても苦しむ様子を見せずにジャンヌ・オルタは官能的な形の良い唇で男根を括り、ぢゅるぢゅると音を立てて涎と先走りを吸い上げながら頭を激しく上下に振り始めた。

 

「ぢゅぼっ、ぢゅぶぅ、ぢゅろぉ、ぢゅぷぢゅぷっ!」

 

 ジャンヌ・オルタの頭が動くたびに彼女の唇からジュボジュボと卑猥な擦過音が飛び出ていく。頬を窄め、トロトロ粘膜で肉棒を圧迫し、舌を竿部分に巻き付けて舐め擦り、口内にある全てで真の精を搾り取ろうとしていた。

 

 股間から駆け上がってくる暴力的な快感に真は声を出すことも出来なかった。体を震わせて口から吐息とも呻きとも思える声を出し、ただひたすら射精を我慢している。顔を苦しげに歪める真を上目遣いに見ながらジャンヌ・オルタは嬉しそうな笑みを目元に浮かばせ、より過激なフェラで真を忍耐の限界へと追い込んでいった。口内粘膜を痙攣する男根にピッタリと隙間の一つも無いように張り付け、涎が飛び散るのも構わずに扱き立てていく。

 

「真君、頑張って、負けないで……!」

 

 何か掴めるものを求めて忙しなく開いたり閉じたりする真の右手を左手で握り、ジャンヌは真を励ましていた。台詞や行動だけ見ると敵に立ち向かう主人公を応援するヒロインだが、実際は自分の番まで逝くのを我慢しろと言っているエロ性女である。本当にどうしてこうなった。

 

 そうしている間もジャンヌ・オルタの口淫は続く。真の陰毛が顔に触れるのも構わずに逸物を根元までしゃぶり、喉の奥の奥まで呑み込むディープスロート。唾液に塗れてテラテラと光る肉棒は唇や粘膜がもたらす刺激に脈動していた。

 

 残り時間が二十秒を切ると、ジャンヌ・オルタは最後の責めを開始した。亀頭だけを口内に含み、コップに僅かに残った飲み物をストローで啜るように吸引していく。

 

「ずぢゅぢゅぢゅぢゅ、ずぢゅぅ~!!」

 

 睾丸から精液を直接吸い上げんばかりのバキュームフェラだ。更に魔女は追撃に舌先で苦くてしょっぱい腺液を噴き出す鈴口を叩き、拡がるカリ首の円周をなぞり上げる。ビクンビクンと腰を跳ね暴れさせる真を絶頂へと追い立てていった。

 

「あぁ、逝っちゃダメ、逝っちゃダメェ……」

 

 気が気でない様子でジャンヌは眉根を寄せて快感に耐える真と壁の時計を交互に見やる。たった一分経過するのを待つだけの時間が酷く長く感じられた。

 

「五、四、三、二、一……終わりです、一分経ちました! そこまでですよ、オルタさん!」

 

 秒針が再び12を指すのと同時にジャンヌは強い口調でジャンヌ・オルタに呼びかける。むぅ、と男根を咥えたままジャンヌ・オルタは不満そうな声を上げるが、約束は約束だと口内から男根を引き抜いた。

 

「もう、何で逝かないのよ。生意気」

 

 脚の間から体の左側へと移動してきたジャンヌ・オルタの理不尽な物言いに真は何か言い返そうとするが、そんな余裕は無かった。ジャンヌ・オルタの口淫の余韻が抜けきっていないというのもあるが、ジャンヌ・オルタと入れ替わりに脚の間に滑り込んできたジャンヌの存在が一番大きな理由だった。二人のやり取りそっちのけで頬が汚れるのも構わず、愛おしそうに男根に頬擦りしている。

 

「あ、こら! まだ開始時間になってないでしょ! 始まる前から触るの禁止!」

 

「えぇ。ちょっとくらいいいじゃないですかぁ」

 

 鋭い叱責を飛ばすジャンヌ・オルタにジャンヌは不満げに唇を尖らせた。子供のような反応をする白い方に黒い方は思わず頭を抱えそうになる。

 

「子供じゃないんだからそんな顔すんじゃないわよ……さっき、決めたでしょ。私の番が終わったら、一分時間を置いてからあんたの番を始めるって。あんた、一応調停者のサーヴァントでしょ。ルールくらい守りなさい」

 

 むぅ、と可愛らしく唸って難色を示すジャンヌだが、ジャンヌ・オルタの言い分に理があることは分かっていた。彼女の言う通り、開始時間まで待つことにする。コチコチと秒針が進んでいく中、真の息を整える音だけが聞こえた。

 

「それでは、始めますね……ちゅっ」

 

 ジャンヌ・オルタと同じようにジャンヌも秒針が12の文字を指したのを合図に口淫を始める。但し彼女の場合、スタートは非常に穏やかなものだった。軽く亀頭に口付けし、押し付けたままの状態で柔らかく肉厚な唇を亀頭から竿へとスライドさせていく。時折、吸い付くようなキスを混ぜながら男根の根元まで到達すると、今度は舌で裏筋を丁寧に舐め上げていった。

 

 速く容赦なくペニス全体を責めていたジャンヌ・オルタとは違う、真の感じる部分を的確に捉えている動きだ。ゆったりと動くジャンヌの舌先は真の快楽のツボを正確に突いていく。緩慢だが卓越した舌使いが引き起こすもどかしい性感の小波の中、突如として生じる鋭利な快電流に真は体を大きく痙攣させた。

 

「ち、ちょっと。あんな欠伸が出そうな動きで何気持ち良さそうな顔してるのよ」

 

 真の反応に不安げな表情を見せるジャンヌ・オルタ。二人の様子に一瞬、流し目を送るとジャンヌは肉棒の裏筋に何往復かさせた舌先を口内に引っ込め、ぱくりと亀頭を咥えこむ。やわやわと唇で優しく肉竿を締め、優美な動きで口奉仕をやりだした。

 

 精を絞り出そうとしていたジャンヌ・オルタとは打って変わってジャンヌのフェラは真を慈しむかのようだった。粘膜や舌が柔和に逸物をくるみ、緩やかに撫で上げながら悦楽を唾液と一緒に肥大した海綿体の中に沁み込ませてくる。甘い快感がじんわり男根へと行き渡っていく感覚に真は右肩上がりに射精感を強めていった。

 

 口の中でピクピクと逸物が震える感触にジャンヌは目尻を下げ、より熱の籠ったフェラチオで真をエクスタシーへと導いていく。自分の体で、自分の行為で愛する男を気持ち良く出来ることが嬉しくて仕方がないといった様子だ。精液を味わうため、何より愛する男に最高のオルガズムを味わわせるために性女は夢中で口淫に耽った。

 

「はい、一分経った! さっさと止めなさいよ!」

 

 時間を忘れて行為に没頭していたジャンヌに耳障りな怒声が届く。至福の時を邪魔するのは一体誰だとジャンヌは不機嫌そうに視線を持ち上げるが、怒った顔で時計を指差すジャンヌ・オルタを見て一分間のルールを思い出した。

 

「あんた、私が声かけなかったら絶対止めようとしなかったでしょ? 油断も隙も無いわね」

 

 忌々しそうに睨み付けてくるジャンヌ・オルタにそんなことはないと答えようとするが、彼女が言っていることは紛れも無い事実なので何も言い返せないジャンヌだった。

 

「私の番よ。ほら、さっさとどいたどいた」

 

 しっしっ、と野良犬にあっち行けというように手を振り、ジャンヌを追い立てる。今度こそ、自分が真を逝かせるんだという堅固な決意を胸に抱いてジャンヌ・オルタは真の股間に顔を埋め、激しい口淫へと臨んだ。

 

 かくして、魔女と聖女による競い合いが始まる。どちらが先に真を射精させられるかという競争は時間が進むごとに過熱していった。ジャンヌ・オルタはより過激な、ジャンヌは優しくもねっとりとしたフェラチオで真の官能を昂ぶらせていく。

 

 二人の女性からそれぞれ種類の違う快感を与えられる中、真は何故か『北風と太陽』という童話を思い出していた。今の自分が置かれている状況とこの童話の内容、面白いくらいに一致しているなぁ、と。童話の中で北風は旅人の上着を脱がせようと寒風を吹きつけ、逆に太陽は燦々とした日光を当てた。その結果、どうなったかは語るまでも無い。ジャンヌとジャンヌ・オルタ、どっちが北風でどっちが太陽かなんて言うまでもないだろう。

 

「で、出る……!」

 

 それぞれ十回以上、二人の口淫を味わった真の忍耐が堰を切ろうとしていた。小さな呟きを真の傍らで聞いたジャンヌ・オルタはギョッとし、逆に肉棒をしゃぶっていたジャンヌは歓喜に目を輝かせる。

 

「ちょっと、何逝きそうになってんの! 私じゃなくて聖女様の口に出すなんて許さないから! 男の子でしょ、頑張って私の番まで我慢しなさいよ!」

 

「む、無茶言うなや……」

 

 焦った様子で捲し立てるジャンヌ・オルタにか細い返事をしながら真は体が射精へのカウントダウンを刻むのを感じた。カウントは確実に、ジャンヌの口奉仕によって進んでいく。

 

(早く、早くぅ。ザーメン下さい。ぷりぷりザーメンゼリー、お口マンコに一杯出してぇ♡)

 

 射精を間近に控えてひくつく男根をぐっぽりと呑み込み、ジャンヌは最後の追い込みをかける。甘ったるい吐息を鼻から漏らしながら口内で舌を肉竿に絡ませ、顔を上下させて唇と一緒に男の象徴を摩擦していった。

 

「うお、ぉぉっ……」

 

 じゅぼじゅぼと派手な吸引音に聴覚を支配され、唇と舌が竿やカリを擦り上げていく甘美感に下半身が溺れていく。情けない声を出して腰をしゃくる真に止めとジャンヌは肉棒を吸い上げ、膨らんだ睾丸を両手で包んで絶妙な力加減で揉み解した。僅かな鈍痛とそれを霞ませる快感が真を襲い、とうとう決壊の時を迎える。

 

「んぶぅぅぅ!?」

 

 輸精管を通って噴き出してきた膨大な量の精液にジャンヌは目を見開いた。窄められていた頬が瞬く間に内側から膨らみ、白濁液が口内を満たしていくのが一目で分かる。唇から精液が漏れ出そうになるのを必死で抑え、ジャンヌは目尻に薄く涙を浮かばせて生臭い粘液を喉を鳴らして嚥下していった。

 

 吐精は絶え間なく続いた。ダ・ヴィンチの薬の効果で増大した精液はジャンヌの玉揉みによって睾丸から押し出され、蛇口を開き切った水道のように際限なく撃ち出されていく。飲んでも飲んでもキリがない。次々に溢れ出てくる男の精にジャンヌは目元を蕩けさせ、歓迎するように頬肉と唇で逸物を扱いていく。白い粘液を絡ませて粘ついた舌が更なる精を求め、いやらしくくねりながら舌腹で肉棒の根元からカリ首を愛撫していった。

 

 蠢く舌に催促されるがまま真はジャンヌの口に精液を出し続ける。長時間続く精を解放した爽快感とペニスに尚も走る快電流に意識が半ば溶けてしまっているかのようだ。目を虚ろにさせながら天井を見上げて時折引きつけを起こす真と愛する男の白濁液の味わいに陶酔した表情を浮かべるジャンヌ。

 

「あ、あぁ、出てる。ザーメン、出ちゃってる。私も欲しかったのに……」

 

 ジャンヌ・オルタは嫉妬と羨望の両方を浮かべた顔でジャンヌを見詰める。ジャンヌの喉がゴキュッ、ゴキュッと音を鳴らして動く度にその想いは燃料を注がれて燃え盛る焔の如く大きくなっていった。

 

「ぢゅる、んぢゅる……ぢゅるぅぅぅ……ちゅぅ~~~ちゅぽっ。ご馳走様でした。真君、とっても美味しかったですよ。チュッ♡」

 

 射精を終えた男根を口から引き抜き、白い残滓を垂らした鈴口に軽くキスする。頬を桃色に染めて微笑むジャンヌの姿は言葉に出来ぬほどに淫靡だった。

 

「聖女様、終わったんだから早く変わりなさいよ。私、もう……!」

 

「焦らなくても大丈夫ですよ、オルタさん。夜はまだこれからなんですから」

 

 もう一秒たりとも待てないと表情で語るジャンヌ・オルタに余裕の笑みを浮かべるジャンヌだったが、彼女の気持ちを汲んだのか素直に場所を空けた。早速、ジャンヌ・オルタはむっちりした太腿で真の腰を挟むようにして彼に跨る。病的にすら思える白い肌は紅潮し、半開きになった唇から荒い吐息が洩れていた。

 

「ほら、真。見て、私のここ」

 

 膝立ちになりながらジャンヌ・オルタは股間のジッパーへと手を伸ばし、見せつけるようにゆっくりと下ろしていく。ジィー、と小さな音を上げて開いたそこはお漏らしでもしたのかと思えるほどにぐっしょりと濡れ、愛液に塗れた白金色の薄い陰毛は肌に張り付いている。

 

「どう、私の濡れ濡れトロトロオマンコ? 気持ち良さそうでしょ……挿れたい?」

 

 挑発的な笑みを浮かべ、ジャンヌ・オルタは腰を前に突き出して両手で陰唇を左右に開いた。外気に曝け出されたピンクの媚肉は男を求めてひくひくと忙しなく動き、奥から蜜液が止め処なく溢れている。むわぁ、と雌の匂いを放つそこは湯気でも出かねないほどに熱く蕩けていた。

 

 目を皿のように広げて真はジャンヌ・オルタの痴態を凝視する。股間に熱い視線を注がるのを感じ、ジャンヌ・オルタはただでさえ熱くなっていた体温を更に上昇させた。くすりと笑いながら唇を嗜虐的に歪め、腰を戻して挿入のために位置を調節する。

 

「まぁ、あんたの答えなんかどうでもいいんだけど、ね!」

 

 亀頭を蜜壺の入り口に宛がうと同時にジャンヌ・オルタは立てていた膝を曲げ、一気に腰を落とした。震えていた男根が柔らかく、複雑に折り重なった肉襞に一気に根元まで包まれる。硬度と大きさこそ損なっていなかったものの、ジャンヌの口淫で射精したばかりの逸物は敏感になっており、ジャンヌ・オルタの膣内の甘美な感触に呆気なく三度目の放精を始めた。

 

(……き、来たぁ~♡)

 

 亀頭が子宮口を突くと同時に白い欲望のマグマが噴き上がる。ビュービューと音が聞こえそうな勢いで放たれる白濁の波濤を子宮内に注がれ、ジャンヌ・オルタは喉仏を晒しながら天井を仰いで絶頂した。歯を食い縛って口から飛び出そうになる嬌声を堪え、崩れ落ちかけた体を真の胸板に突いた両手で支える。精が放たれるそのつどオルガズムを迎えて全身が痙攣していた。

 

 三度目の射精が終わる。交わり合った男女は絶頂の余韻に浸かりながら肩を大きく上下させて呼吸を整えていた。一足先にジャンヌ・オルタは呼吸を落ち着け、いまだに荒い呼吸をしている真を見下ろす。胸板に置いた右手に激しい鼓動が伝わるのを感じながらにんまりと唇を歪め、腰を前後に揺らして膣内に収まった男根の感触を確かめた。

 

 雄々しく逞しく勃起した男性器は僅かの衰えも見せずに膣内を拡げていた。肉襞を擦られる快感に身震いしながらジャンヌ・オルタは三回も射精したとはとても思えない剛勇さを見せる逸物に酔い痴れた。

 

「ふふ、なぁに? 挿れただけで逝っちゃったの? 私のトロマン、そんなに気持ち良かった? ねぇ、早漏ちんぽ君?」

 

 無理矢理余裕のある表情を浮かべ、真に感じているのを悟られないようにしてジャンヌ・オルタは腰を更に上下に動かし始める。言い返す余裕も無いのか、真はジャンヌ・オルタの嘲りに悔しそうに呻き声を上げるだけだった。真の反応に魔女は更に笑みを深め、きゅぅっと膣内を引き締めて熱々の媚肉で勃起を扱いていく。亀頭を、肉傘を、竿を裏筋を蕩けた肉襞に擦り立てられ、真は快感に喘ぐ情けない姿を晒していた。

 

「こぉんな風に乳首も摘まんじゃって……あぁん♡ 今、おちんぽピクピクぅってなった。乳首、弄られて気持ち良くなっちゃてるのね」

 

 両手の人差し指と中指で真の左右の乳首を摘まむ。二本の指で硬くなった肉豆を挟み、くにゅくにゅ揉み込むと肉棒が小刻みに震えた。蜜壺に響く振動に小さく喘ぎながらジャンヌ・オルタは徐々に腰の動きを加速させていく。

 

 卑猥な音を奏でて男根が雌穴から姿を現し、抜けきる寸前で再び呑み込まれる。熱く、柔らかく蕩けた肉襞が逸物を覆い、竿を舐めしゃぶりカリ首を搾り上げていった。天にも昇りそうな快感は肉棒どころか睾丸にまで浸透していき、真は頭が狂ってしまいそうな錯覚に襲われていた。

 

「オルタさんのオマンコ、あんなに美味しそうに真君のおちんぽ食べてる……私も、私もオマンコに欲しいですぅ」

 

 二人の交わりを横から見ていたジャンヌは切ない声を上げて自分を慰めていた。M字に両脚を広げ、ジッパーを開いて曝け出した秘所に右手の指を三本纏めて出し入れさせ、左手で膨らんだサファイアピンクのクリトリスを弄ってる。チラッとオナニーに溺れるジャンヌを横目で見たジャンヌ・オルタは視線を真に戻し、顔をサディスティックに歪めた。

 

「真、見てみなさいよ。聖女様ったら私達のセックス、オカズにしてオナっちゃってるわ。聖処女が聞いて呆れるわ、何て無様な姿なんでしょう……でも、貴方はもっと無様」

 

 上体を倒し、顔を真に近づける。腰や指の動きを止めず、鼻先に真の苦しげな吐息を感じながらジャンヌ・オルタは至近距離から嘲笑を浴びせた。

 

「ベッドに動けないよう拘束されて女、それも小娘二人にいい様に弄ばれちゃって。ほんと、なっさけな~い」

 

 だらりと舌を伸ばし、透明な粘液の雫を真の顔に垂らす。己の唾液が想い人の顔を汚す光景に背徳的な悦びを覚えながらジャンヌ・オルタは話を続けた。

 

「こんな風に顔に唾かけられても何にも出来ないなんて、恥ずかしくないの? それとも、実は悦んじゃってる? 女の子にイジメられて嬉しいの? 気持ち良くなっちゃってるの? 気持ち悪い、貴方みたいなのを変態っていうのよ。それもただの変態じゃない。救いようのないマゾ変態。こんな奴がマスターとか、本当最悪」

 

 次々とジャンヌ・オルタの口から飛び出す罵詈雑言に真は怒りも露わに顔を真っ赤にさせる。しかし、何か言葉を返そうにも開かれた口から出てくるのは快感に喘ぐ声だけだった。

 

「あはっ、何も言い返せないってことは自分がマゾ変態だってこと認めるってことよね? まぁ、否定なんて出来っこないけどね。だって、私に逆レイプされてるっていうのにこんなに気持ち良さそうにアヘアヘしちゃってるんだもの。違うなんて言われても説得力なんか無いわ」

 

 真を言葉で詰ることに言い様のない昂ぶりを覚え、ジャンヌ・オルタは昂ぶる欲望に従って腰の動きを激しくさせる。パンパンと肉がぶつかり合う小気味よい音がリズミカルに部屋の中に響き、男と女の体液が飛沫となって飛び散っていった。ジャンヌ・オルタの興奮に同調するかのように具合が良くなっていく媚肉に男根を磨き上げられ、真は急速に射精感を募らせていく。屈辱感を顔に浮かばせながら、でも隠し切れない肉悦に苦悶する真の顔を両手で挟み、ジャンヌ・オルタは爛々と目を輝かせた。

 

「そう、その顔! あんたのそういう顔が見たかったの!」

 

 思い切り口付けをし、同時にエクスタシーを迎えて肉壺を締め上げる。収縮し、蠕動する肉襞に弄ばれていたペニスはキスを最後の一撃に白濁液を撃ち上げさせた。ドプドプと大量の精液がジャンヌ・オルタの胎内へと押し寄せていく。さっきの吐精もあわさり、収まり切らなかった粘液が逆流して体外に流れ出ていった。

 

「はむぅ、ちゅる、ちゅぱ、んちゅう♡」

 

 蜜壺から精が漏れだしているのも関わらずにジャンヌ・オルタは肉襞を蠢動させ、更なる白濁を催促していく。円を描くように腰をグラインドさせ、肉棒を蕩ける媚肉で搾り上げながら貪欲に唾液までも啜っていった。

 

 上の口からも下の口からも体液を搾り取られ、真は体をガクガクと痙攣させながら精を吐き出す。長々と続く射精に真は頭の芯まで痺れ、ほとんど意識を失ったような状態になっていた。

 

「ん……ぷはぁ。とりあえず、今はこのくらいで勘弁してあげましょう」

 

 一旦は満足したのか、ジャンヌ・オルタはようやく真の唇を解放する。虚ろな目で天井を見ている真の口元についた泡立った涎を指で掬い、笑みを浮かべる唇の間へと挿し込んだ。

 

「ちゅっ……あんたに休んでる暇なんて無いわよ。次は聖女様の相手をするんだから。朝までたっぷり可愛がって、たっぷり犯し抜いてあげる。精々、楽しみにしてなさい、変態マスターちゃん……ほら、聖女様。あんたの番よ……ん」

 

 男根を膣内から引き抜き、真の上からどきながらジャンヌ・オルタはジャンヌへと視線を向ける。二人よりも少し先に逝っていた性女はベッドから降りて何やら用意をしていた。

 

「はい、すぐに行きます。でも、その前にどうぞ」

 

 ジャンヌが両手に水の入ったコップを持ってくる。片方は自分のものなのか、右手のコップをジャンヌ・オルタに差し出した。

 

「あら、ありがと。気が利くじゃない」

 

 一息に飲み干す。セックスで疲れた体に清涼感のある冷たい水が心地よかった。空になったコップをジャンヌに返す。

 

「真にも持ってきてあげなさいよ。流石に水くらい飲まないと体力持たないでしょうし。さぁ、今度はどうやってたの、しんでやろ……」

 

 不意にジャンヌ・オルタの体から力が抜ける。若干、舌足らずになりながらジャンヌ・オルタはぱたりとベッドの上に倒れ込んだ。状況が理解できずにえっ、えっと戸惑いの声を漏らすジャンヌ・オルタを他所にジャンヌは残ったコップの液体を口に含み、口移しで真に飲ませる。

 

「……どうですか、ご主人様? 動けそうですか?」

 

「ん、あぁ。ちょっと頭がフラフラするけど問題無いな。後はこのワッパを外してくれれば」

 

「はい、お任せください」

 

 ジャンヌはどこからか鍵を取り出すと手際よく真を拘束する四つの手錠を次々に開錠していった。自由になった体を起こし、真は手錠をかけられていた手首や足首を擦っていく。

 

「どうでした、今回の私達に拘束されて襲われるシチュエーション?」

 

「こういうのもありだな……いや、ありっていうか結構良かった。時には受けに回るのも大事だね」

 

 和やかに、何事もないかのように真と話すジャンヌをジャンヌ・オルタは愕然とした顔で見詰め、頭をフル回転させて状況を理解していく。さっき、自分が飲んだのはケーキを作るのに使ったのと同じダ・ヴィンチ謹製の媚薬だろう。そして、ジャンヌが真に飲ませたのは薬の効果を打ち消す解毒薬。予め部屋に用意してあったのだろう薬と手錠の鍵、そして当たり前のようにジャンヌが真と話しているこの状況。全てを合わせると自ずと答えは導き出された。

 

「あんた、あんたまさか……!」

 

「ごめんなさい、オルタさん。私、やっぱり騙すのは良くないと思って、前もって真君に話しちゃいました……それに私、今回で分かっちゃったんです」

 

 薄らと赤くした頬を両手で挟み、恥じ入った表情でジャンヌは言った。

 

「やっぱり私、可愛がるよりも真君に、ご主人様に可愛がられるほうが好きなんだって♡」

 

「こ、この色キチ○イ性女ぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 ジャンヌ・オルタの怒声が虚しく部屋の中に響いていった。




次回予告(ナレーション:マシュ・キリエライト)

 先輩とジャンヌさんの姦計に陥れられるオルタさん。薬で身動きを奪われたオルタさんに二人の魔手が迫ります。このままじゃオルタさんが薄い本みたいな目に……負けないで下さい、オルタさん! 貴方まで快楽堕ちしてしまったら、一体誰が色ボケしたジャンヌさんを止めるんですか? 薬の効果が切れるまで耐え切れば、勝ちの目が出てきます。それまで頑張って……!

 次回、『ダブルジャンヌ(下)』オルタの快楽堕ちをお楽しみに。

 ところでわたしの次の出番は何時なんでしょうか? 水着回まで待て? 何ヶ月先になるか分からないじゃないですか、やだぁーっ!













 城之内死す的な次回予告でお別れです。しかし、どうも文章が長くなっていけない。もっとコンパクトに、それこそ最大でも一万文字くらいに纏めたほうがいいかしら?


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『ダブルジャンヌ(下_前編)』溺れる夜

 すまんね、もう少し続くんじゃ。


「さてさて。こうして見事に形勢逆転した訳だが……人が動けないのをいいことに随分と好き勝手してくれたじゃないか、オルタさんや」

 

 ベッドの上で胡坐をかく真。組まれた両脚の間に臀部を収めるように全裸にひん剥いたジャンヌ・オルタを座らせ、耳元で囁きながら彼女を後ろから抱き締めるようにして豊かなバストをたぷたぷと揉みしだいていた。それに加えてさっきの騎乗位での交わりによって体液でべとべとになった勃起を彼女のぷるんとした臀部に押し当て、沁み一つない柔肌を汚していく。

 

「当然、やり返される覚悟はあるよな?」

 

 伸ばした舌で耳の裏や窪みをねちっこく舐め上げ、乳房を掌で捏ね上げて硬く尖った乳首を指先で弾く。ヒップに逸物を何度も擦り付けて腺液を塗りたくっていく。真の手によって開発されて性感帯となった箇所に走る刺激にジャンヌ・オルタは意図せずに体を震わせ、彼女の反応に真は笑みを深めた。

 

「な、何よ、その気持ち悪い顔。これはただくすぐったいだけで、別に感じてなんかいなひぃん」

 

 薬で体の自由を奪われた上に手錠を後ろ手に嵌められて身動きの取れないジャンヌ・オルタ。頬を赤くしながら強がっていたが、スイッチのオンオフを切り替えるように乳首を摘ままれてあっさりと嬌声を上げてしまう。更に追撃とばかりに真の舌が耳穴へと侵入してきた。

 

「ひゃあ!」

 

 ぬるりと蛇のように入り込んでくる舌にジャンヌ・オルタは小さく悲鳴を上げる。口を半開きにしながら快楽に震えるジャンヌ・オルタの耳穴をのたくる舌が粘着質な音を立てて奥に進んでいった。徐々に大きくなっていく水音と刺激にジャンヌ・オルタは身悶えする。

 

 卑猥な水音を鼓膜に浴びせて耳の中を這い回る舌、右に左に乳首を捻る指先。与えられる電撃的な快感にジャンヌ・オルタはただただ翻弄され、強気だった態度も確実に崩されていった。

 

「だ、だめぇ、ぐちゅぐちゅ音立てないでぇ……乳首もクリクリしちゃいやぁ」

 

 弱々しい声を甘く上擦らせながらジャンヌ・オルタは体の震えを大きくさせる。ぴちゃぴちゃと至近距離から鼓膜に届く水音に背筋がぞくぞくとわななき、乳首を弄られる度に生まれる快電流が脳髄を焼いていった。

 

「……くすぐったかったか?」

 

 一度、手と舌を止めて白く濁った涎に濡れた耳穴に向かって囁く。全然、と虚勢を張ろうとするジャンヌ・オルタだったが、舌で耳穴をねぶられる頭を犯されているかのような感覚がまだ抜け切らず息を整えるので精一杯だった。ただ、彼女持ち前の反骨精神がされるがままであることを許さず、肩越しに顔を覗こうとしてくる真を鋭い目で睨みつけた。

 

 しかし快楽に蕩けた瞳に力は無く、ともすれば更なる快感を真に求めている風に見えなくも無い。にやっ、と口元に人の悪い笑みを浮かべて真は再びジャンヌ・オルタの体を弄び始める。張り艶、弾力に富んだ乳肉に指を沈ませて女性の象徴の柔らかさを楽しみ、同時に今度は反対側の耳へと口を移動させた。耳たぶ、外耳を軽く甘噛みして軟骨の独特の感触を歯で味わい、気の済むまでジャンヌ・オルタをイジメてから耳の穴に舌を突っ込んだ。

 

「あ、あぁ、またはいってくりゅう……やめ、へぇ、それ、やめへぇ……あたま、おかしくなりゅぅ、きもちよく、なっちゃうぅ」

 

 大音響の生々しい水音で鼓膜を犯しながら耳穴をほじくる舌にジャンヌ・オルタはビクンビクンと何度も体を跳ねさせる。生温かく湿った舌が耳の内側に唾液を擦り込んでいく感覚と形を変えるほどに乳房を強く揉み捏ねられる甘美感が合わさり、彼女は声を我慢できずに感じてしまっていた。

 

 嬌声を抑えられずにいるジャンヌ・オルタを真は手加減せずに責め立てていく。断続的に体を痙攣させるジャンヌ・オルタの耳穴に舌を何度も出し入れさせて彼女の自制心をどろどろに溶かしていった。バスト全体を弄っていた手の動きも変わり、特に敏感な乳首へと刺激が集中していく。綺麗なピンク色の乳輪を人差し指で円を描くようになぞり、より硬くしこりだしてきた乳首を乳房の中に押し込んでいった。

 

「らめぇ、それらめぇ。おっぱいで、おっぱいでいっちゃうぅ♡」

 

 いやいやと子供のように首を振るジャンヌ・オルタだが、言動と裏腹に表情は目も当てられないほどに蕩けていた。瞳に淫欲の光を湛え、口角から涎を垂らして悦楽によがる姿は完全に『雌』のそれ。精液が貼り付いた女陰から溢れて真の脚やベッドを濡らしていくトロトロの愛液も彼女の感度がどれだけ高まっているかを表していた。

 

 容赦なく続く真の責めにジャンヌ・オルタは否応なく絶頂へと追いやられていく。真の手付きと舌使いに彼女の腰はせり上がり、忙しなく上下に揺れてやがて来る時に備えていた。そして、

 

「いく、いきゅ♡ みみぐちゅぐちゅおかされていきゅ、ちくびこりこりされていきゅぅぅぅ♡」

 

 訪れた絶頂にジャンヌ・オルタは背筋を反らしながら腰を前に突きだし、薄く精液の混ざった逝き汁をベッドに撒き散らした。濁った潮がシーツへと降り注ぎ、白い布地に大小様々な染みを作っていく。

 

(オルタさん、あんなに声出して逝って……私も早く真君に、ご主人様に可愛がって欲しいです)

 

 ジャンヌ・オルタがベッドの上で真に逝かされている一方、ボンテージを脱いだジャンヌはというとクローゼットの中に入っているある物を探していた。彼女の目的の物は自分が真に可愛がられる時に使っている色々な玩具だ。それをジャンヌ・オルタへのお仕置きに使おうという話である。

 

 既に目的の玩具を全て取り出して足元の箱に入れ終えたジャンヌだが、何故かクローゼットに上半身を突っ込んだ体勢のまま動こうとしなかった。もじもじと内腿を擦り合せ、愛液を湧き出させる秘所を慰めている。背後から聞こえてくるジャンヌ・オルタの嬌声にあてられたのか、女の花園が堪え切れないほどに疼いてしまっていた。

 

「駄目、駄目なのに……」

 

 己を戒める言葉を無視し、右手が股間へと伸びていく。蜜液に濡れたクレバスに指先が触れ、鋭い快電流が発生してジャンヌに声を上げさせた。咄嗟に左手で口元を覆って声を抑えるジャンヌだったが、自分の意思とは関係なしにびしょびしょになった割れ目を撫でていく指先の動きに少しずつ声が漏れていく。駄目、と内心で繰り返すも彼女の手が止まることは無く寧ろどんどん激しくなり、ジャンヌは真と睦み合う時を待ちきれずにオナニーに耽った。

 

「……で、聖女様は一体何をしてるのかしら? 何か一人で盛り上がっちゃってるけど」

 

 くちゅくちゅと激しく音を鳴らしながら秘所を弄るジャンヌを絶頂の余韻から抜け出したジャンヌ・オルタは何とも言えない目で見ていた。

 

「いや、道具取りに行ってもらってたんだけど……」

 

 困り気味の真の言葉にジャンヌ・オルタはハッとする。真の言う道具がどのようなものなのか心当たりがあった。そう、ブーディカの話に出てきたローターやバイブ等の玩具のことなのだろう。これから自分もブーディカと同じように玩具で体を弄ばれるのかと思うと、今までされたことのない行為を真にされるのかと考えると胸が高鳴った。

 

「へ、へぇ、そう。この御立派様で私を犯すだけじゃ飽き足らず、道具まで使って私を辱めようとするつもりなのね……すればいいじゃない」

 

 胸中に湧いた期待と高揚を押し隠し、ジャンヌ・オルタは努めて毅然とした態度を取り繕う。さっきの乱れた逝きっぷりを無かったことにし、ジャンヌ・オルタは肩越しに真を睨み付けた。

 

「思う存分、私を汚せばいいわ。好きなだけ貶めなさいよ。でも、これだけは覚えておきなさい。私の体を好きなように弄べても、心までは奪えないってことをね!」

 

 敢然とした表情で言い切った十数秒後。

 

「ちゅ、ちゅぱ、んちゅ、んむぅ……しん、ちゅき、だいちゅきぃ♡」

 

 そこには夢中で真と濃厚なベーゼを交わすジャンヌ・オルタの姿があった。首を限界まで後ろに曲げるという無理な姿勢をしているのも構わず、蕩け切った表情で背中越しに真と口付けし合っている。興奮と喜びに鼻息を荒くしながらより強く唇を真に押し付けて舌と舌を絡み合わせる快感に酔い痴れていた。

 

 一旦、キスを止めてジャンヌ・オルタから顔を離す真。唇に触れていた幸福な感触が遠ざかり、ジャンヌ・オルタは巨大な喪失感に襲われて表情を悲しげに歪ませる。二人の唇を繋いでいた銀色の唾液の糸がぷつりと切れると、彼女の顔に浮かんだ悲しみの色はより深いものになった。

 

「何で、何で止めちゃうのよぉ」

 

 首に走る痛みを無視してジャンヌ・オルタは真に向かって唇を突き出す。唇が触れるか触れないかギリギリのところにいる真と再びキスしようと必死に首を伸ばすジャンヌ・オルタの姿は溺死寸前の人間が空気を求めているようにも見えた。

 

「もっと、もっとキスしたいの、貴方とチューしたいのぉ」

 

 取り繕っていた強気な態度もプライドも全てかなぐり捨て、ジャンヌ・オルタは瞳に薄らと涙を浮かべて愛しい男に懇願する。そんな懸命な彼女の姿に真はサディスティックな笑みを浮かべていた。

 

「おいおい、さっき心までは奪えないって言ってたのはどこの誰だよ? たった一回のキスでこんなになるなんて即堕ち二コマってレベルじゃないぞ。幾ら何でもちょろすぎないか?」

 

「そ、それは……そうよ、ちょろいわよ。どうせ私はたった一回キスされただけでコロッと堕ちちゃう安い女よ。悪い!?」

 

 真の指摘に顔を薄紅に染めるも、ジャンヌ・オルタは眦を吊り上げて開き直って見せた。目の当たりにした真を思わずおぉ、と唸らせるほどの見事な開き直りっぷりだ。

 

「何、ちょろくていけない!? 好きで好きで堪らない人とキスしてるのよ、心も体もトロトロになっちゃうに決まってるでしょ! それと、さっきの言葉も真に受けてんじゃないっての! 私の心も体もとっくの昔にあんたのものなんだからむぅ!?」

 

 真はジャンヌ・オルタの両肩を掴んで彼女を振り返らせ、強引に口付けをして彼女を黙らせる。顔を真っ赤にしながら好意を言い募る彼女が余りに愛おしくなり、キスをせずにはいられなかった。

 

 突然の口付けにジャンヌ・オルタは一瞬だけ驚いた表情を浮かべるも、すぐに顔をだらしなく緩ませて真とのキスに溺れる。ポタポタと雨垂れのように胸元へ唾液を落としながら腰から上を捻った体勢で互いの口内を舌で舐め回す感触、ぐちょぐちょと唾液が攪拌される音に体を昂ぶらせていった。

 

「むぅ……」

 

 ベッドの上で二人の男女が濃厚なディープキスをしている様子をジャンヌは唇を尖らせて見ていた。自慰を終えてみれば、自分を蚊帳の外に置いて想い人が自分じゃない女と二人だけの世界に浸かっているのだ。面白い訳がない。玩具の入った箱を両手で抱えて二人を、正確には真にキスされているジャンヌ・オルタを見詰めて嫉妬心をメラメラと燃え上がらせていた。

 

 さて、どうしてくれようかと考えるジャンヌの目がある一点に留まる。M字に小さく開かられたすらりとしたジャンヌ・オルタの美脚の中央、しとどに濡れた女の花園。さっきの潮噴きで膣内から逆流してきたのか、雌穴からとろりと精液が愛液と一緒に溢れ出てきている。にたぁ、とジャンヌの唇が淫蕩な弧を描いた。

 

 箱を床に置き、ジャンヌは猫のような仕草で静かにベッドに上がった。四つん這いの姿勢で音を立てないよう、二人に気付かれないように注意して慎重に近づいていく。少し手を伸ばせば触れるほどの距離まで接近したが、二人がジャンヌに気付く様子は無い。夢中でキスに没頭し、激しい吸引音を立てて互いの唾液を啜り合っていた。

 

 ちらっと嫉妬に染まった一瞥をジャンヌ・オルタに送り、ジャンヌは両手を彼女の膝へと伸ばしていく。ゆっくりと、獲物へと忍び寄っていく肉食獣みたいに息を潜め、そして喰らい付いた。両手でジャンヌ・オルタの膝を掴んで脚を押し広げ、蜜液の流れ出る女陰へとしゃぶり付いて思い切り膣内に舌を挿し込んだ。

 

「んぅぅぅぅぅっっっっっ!!!!!!?????」

 

 何の前置きも無く女体を貫いた快感にジャンヌ・オルタはくぐもった悲鳴を上げ、腰を激しく何度も跳ねさせた。女の花園から生まれた性感は瞬く間に拡がり、ジャンヌ・オルタの全身がガクガクと痙攣していく。頭の中を無遠慮に掻き混ぜる快楽の発生源、自分の股間へと視線を下ろして彼女は初めてジャンヌの存在に気付いた。

 

「あ、あんた何やってちゅむぅ」

 

 怒声を浴びせようとするも、声を出す前に真に口を口で塞がれてしまう。互いの舌がドロドロに溶けて一つになったのかと錯覚しそうになる真との濃密な口吻と膣内を舐め解しながら侵していくジャンヌの舌技にジャンヌ・オルタの理性は瞬く間に蒸発していった。二つの快感に女体が素直に反応し、ビクビクと短い間隔で痙攣し続ける。

 

 蜜壺の中でジャンヌの舌が強く締め付けられた。主の性感に呼応して頻りに収縮する襞を押しのけるように舌を進ませ、ジャンヌは膣内に残った真の精液を掬い取っては口内へと運んでいく。更に潤いだしたジャンヌ・オルタの肉孔に満ちた愛液を飲み干さんばかりの勢いで吸いだし、精液諸共に啜り上げていった。

 

「ずぢゅる、ずぢゅぅ、ずぢゅぢゅぢゅぅぅぅ♡」

 

 浅ましく音を鳴らし、味と粘りを濃くする体液を飲み下すジャンヌ。追撃にジャンヌ・オルタの膝に置いていた両手を彼女の太腿、鼠蹊部へと滑らせ、撫で回して官能を煽っていく。ジャンヌのフェザータッチに竜の魔女は体を震わせ、膣壁から愛液を滲み出させていった。新たな愛液と共に流れ出てくる男の精をジャンヌは目元を緩ませ、天上の美酒を味わう気持ちで何度も嚥下する。

 

(やだ、やだぁ。取らないでぇ、真が私のために出してくれたザーメン飲まないでぇ)

 

 秘所内に残った精液を奪われるのを阻止しようとジャンヌ・オルタは体を捩じるが、薬で自由の利かない体では無理だった。オマケに上の口からも下の口からも与えられる快感に思考がぐずぐずに崩れ落ち、意識が朦朧としていく。頭の中が湯気で何も見えなくなった浴室のように真っ白になっていく中、ジャンヌ・オルタは主にご褒美を与えられる飼い犬の気持ちと姉に大切な玩具を奪われる妹の気持ちを同時に味わった。

 

 二つの想いに板挟みになるジャンヌ・オルタを他所に快楽の発生源である二人は舌の動きを過激なものにさせる。口内で絡み合う舌はより淫らな音を奏で、肉壺をのたくる舌は雄と雌両方の味を堪能していた。

 

 休む間もなく責め立てられ、ジャンヌ・オルタは見る見るうちに絶頂へと追い詰められていく。体が弓形になり、前に突き出された白桃のようなバストの頂点で充血した乳首がぷっくりと膨らんでいた。ほとんど間隔のなくなったジャンヌ・オルタの痙攣に合わせ、物欲しげにひくひくと蠢いている。

 

 不意に手持ち無沙汰になっていた真の両手が伸び、ジャンヌ・オルタの乳房をがっちりと掴んだ。五指を柔和な乳肉へと沈みこませ、人差し指と中指でツンと勃起したコリコリの乳首を挟む。胸に走った鮮烈な快電流にジャンヌ・オルタは声にならない悲鳴を上げ、一際強く体を跳ねさせた。

 

 真の乳首責めにジャンヌ・オルタの体は過敏に反応し、それはジャンヌに侵されている膣内にも表れる。蜜肉が小刻みに伸縮し、愛液が多量に溢れて悦楽の爆発が間近に迫っていることを告げていた。ジャンヌは忙しなく蠕動する肉襞に舌をざらざらと擦り付け、ジャンヌ・オルタを逝かせるために内腿を這い回らせていた右手をとある部分へと移動させる。

 

(そこは、そこはだめぇ。いっちゃう、ぜったいいっちゃう)

 

 ジャンヌが何をしようとしているか察してジャンヌ・オルタは腰を右に左にくねらせて逃げようとするが、左腕で太腿を抱え込まれて逃れられなくなってしまった。

 

 滑ってきたジャンヌの手がそこに、大分前から自己主張を始めていたクリトリスへと辿り着く。ジャンヌは親指で勃起した肉豆を包皮の中から解放させた。小さく、可愛らしくもしっかりと膨らんだ突起を指先で軽く触れると、ジャンヌ・オルタの肉壺が切なげに震えあがる。

 

 ジャンヌが小さくクスリと笑う。何度か、焦らすようにクリトリスに触れてジャンヌ・オルタの反応を愉しみ、そして思い切り親指の腹で肉の芽を押し潰した。

 

 ジャンヌ・オルタの金色の双眸が大きく見開かれる。真とジャンヌに前後から挟まれている体が限界まで反り上がり、ぶしゃあと音が聞こえそうな勢いで彼女の秘所から熱い潮が噴き出した。頭の中を真っ白に染め上げ、全身の感覚を奪い去っていく快感に体を反らした体勢のまま硬直させてジャンヌ・オルタは逝き汁を噴水のように漏らしていく。

 

 ジャンヌの口に多量の潮が流れ込み、収まり切らなかったものは彼女の顎と豊乳を濡らしていった。口内に溜まった大量の潮を飲み込み、ジャンヌはゆっくりと舌をジャンヌ・オルタの蜜壺から引き抜く。上半身を起こし、女の子座りの姿勢で顎や胸にかかった生温かい雌汁を指で掬い取って口元へと運んだ。

 

 ちゅっ、ちゅっ、と小さく音を鳴らして指をしゃぶっているとジャンヌ・オルタと視線が合う。逝った直後で力が入らないのか、真の胸板にぐったりと体を預けて涙ぐませた瞳をジャンヌに向けていた。

 

「何で、何で取るのよぉ。私のだったのに、真が私のために出してくれたのに……」

 

 呼吸を整えながらジャンヌ・オルタは非難の視線をジャンヌにぶつける。彼女の視線に込められている怒りや悲しみは相当大きなものだが、ジャンヌはそれをどこ吹く風と受け流して妖艶に微笑んでいた。

 

「そんな怖い顔しちゃ駄目ですよ、オルタさん。折角の綺麗で可愛い顔が台無しです。それに、心配しなくても大丈夫ですよ。これからご主人様が私達のオマンコや子宮が壊れちゃうくらいたっくさんザーメン注いでくれますから」

 

 ね、ご主人様、と真を見詰めるジャンヌに倣い、ジャンヌ・オルタも後ろを振り返る。

 

「まぁ、その前にオルタにお仕置きだけどな」

 

 そういって真が浮かべた薄氷のような笑みにジャンヌ・オルタの背筋がぞくりとした。

 

「お、お仕置きって、何する気なのよ?」

 

「ジャンヌ、あれ」

 

 ジャンヌ・オルタの疑問に答えず、真はジャンヌを見る。具体的な名前を出していないにも関わらず、ジャンヌは真が求めているものをベッドの傍に置いた箱の中から取り出した。以心伝心とはよくいったものだ。

 

「はい、ご主人様」

 

 ジャンヌは笑顔で手に取ったものを真に差し出す。両端に革紐がついた、幾つかの穴が開いた黒いゴム製のボール。咥えるのに丁度いい大きさだ。

 

「(これって前にブーディカが言ってた)……ち、ちょっと、何するのよ。止めなさんうぅ」

 

 背後からネックレスでもつけるような感覚で真はボールギャグをジャンヌ・オルタの口に嵌め込む。顔を左右にそらしてジャンヌ・オルタも抵抗していたが、妙に手慣れた手付きの真から逃れるのは無理だった。

 

 外しなさいよ、と声を出そうとするも、出てくるのは言葉にならない無様な呼吸音と涎だけ。その間にも真とジャンヌはお仕置きとやらの準備を着々と進めていく。

 

 真はジャンヌ・オルタの体を持ち上げ、ベッドのヘッドボードへと凭れさせた。背中が痛くならないように間にクッション替わりの枕を置くのも忘れない。一方、ジャンヌは箱から取り出した玩具をベッド脇のサイドテーブルに置いていく。ピンクローター、バイブ、アイマスクといった見慣れぬものにジャンヌ・オルタは恐怖心と期待感を同時に味わった。

 

「まずは、こ~れ」

 

 バイブを手に取り、ジャンヌは淫猥な笑みを作ってジャンヌ・オルタの前で膝立ちになる。ジャンヌ・オルタに見せつけるように真の男根を模して作られた性玩具に舌を往復させていった。先端から持ち手まで舌を這わせて唾液を塗り込み、そして持ち手から先端まで舐め戻ると亀頭部分をぱくりと咥えこんだ。

 

「んっ、んっ、んぶぅ、ぢゅるぅ、れろぉ、ちゅぶぶぶぅ……ちゅぽ」

 

 ジャンヌ・オルタの眼前でジャンヌは性玩具を相手に口淫を施す。口端から涎が溢れるのも気にせずバイブの握りまでしゃぶり回し、頬を窄めて顔をひょっとこのようにしながらバイブを口から抜き出す。唾液でテラテラと光るバイブを下ろし、ジャンヌは色欲に染まったいやらしい声でジャンヌ・オルタに語りかけた。

 

「これからこれを使って、ご主人様と私がオルタさんのこと一杯気持ち良くさせてあげますからね」

 

 二人でどうやって、と視線で問うジャンヌ・オルタに小さく笑って見せるだけで、ジャンヌは何も言わずに四つん這いになった。上半身をベッドにべたりと寝かせ、程よく脂の乗った若々しさと瑞々しさを兼ね備えた臀部を捧げるように突き上げて左右に振っている。するといつの間にかジャンヌの後ろに回っていた真が撒き餌にひかれる魚みたいに近づいてきた。真が両手で桃尻を撫でるとそれだけで快感が生まれたらしく、ジャンヌはあん、と嬉しそうに小さく喘いだ。

 

「ご主人様ぁ、はやく、はやく下さいよぉ。ご主人様の勃起ちんぽ、ガチガチちんぽ、盛りの付いた小娘マンコにぶっ挿してぇ♡」

 

 臆面も恥じらいもなく卑猥な欲望を言葉にするジャンヌに笑いかけ、真は臀部の滑らかさと柔らかさを楽しんでいた両手を彼女の括れたウエストにすべらせていく。女性らしさを感じさせる肉付きを堪能しながら硬く屹立した肉棒の先端をジャンヌの雌穴に宛がった。とろっと愛液を滴らせる蜜壺に狙いを定め、ゆっくりと腰を前進させて逸物を快楽の坩堝へと侵入させる。

 

「き、たぁ、ご主人様ちんぽ、オマンコに入ってきたぁ♡ 大きくて、ぶっとくて、硬いの……これぇ、これが欲しかったんです♡」

 

 待ちに待った交わりにジャンヌは全身を震わせて悦びを露わにする。充血して硬く膨らんだ亀頭が狭い膣内を男根の形に変えながら進んでいく度、エラを張ったカリ首が肉襞の一枚一枚を引っ掻いていく度にジャンヌの脳内で法悦の泡が生じ、破裂して彼女の意識を白く染めていった。連鎖していく小さな快楽の爆発にジャンヌは臀部を高々と持ち上げた体勢のままシーツに涎が垂れるのも構わず舌を突き出し、何度も何度も軽い絶頂を味わい続ける。

 

 一方の真も男性器に走る快感に呼吸を上ずらせていた。まだ怒張を半分ほどしか入れていないにも関わらず、真に微弱ではあるものの射精感を覚えさせるほどにジャンヌのそこは具合を良くしていた。複雑に蠢く肉襞が意思を持った触手のように逸物へと絡みつき、腰が抜けそうな悦楽を与えてくる。熱く蕩けた甘美な膣粘膜が亀頭を包み、カリを擦り上げながら勃起を奥へと引き込もうと収縮するのも堪らない。オマケに、

 

「奥ぅ、奥まで突いて下さい、ご主人様ぁ♡ ご主人様ちんぽ、もっと激しくハメハメしてぇ♡ ジャンヌのぬれぬれマンコ、めちゃめちゃのぐちゃぐちゃに犯してぇ♡」

 

 極上の美少女が恥じらう様子もなく頬を興奮で桃色に染め、媚びた声で淫らに懇願してくるのだ。彼女のエロティックなな姿と全身からむんむんと立ち上る芳醇な女の色香が雄の生殖欲求をこれでもかと刺激してくる。

 

「濃厚ザーメン、ビュ~って出して下さい♡ 私の子宮、ご主人様専用ザーメン袋、一杯にしてくだしゃい♡」

 

 腰を妖しくくねらせながらジャンヌは卑猥なおねだりを続けた。艶やかな唇から火傷しそうなほどに熱い官能的な吐息を漏らし、薄らと濡れた蒼色の双眸を背後に向けて真を見上げる。普段の凛然と振る舞う彼女からはかけ離れた、雌の欲望を剥き出しにした痴態に真の剛直は痛みすら覚えるほどに疼いた。男の象徴を呑み込もうとする肉襞の蠢きも相まり、真は目の前にいる自ら臀部を突き出した雌の心も体もドロドロになるまで犯したい衝動に駆られる。

 

「まぁ、焦るなよ。偶にはこうしてゆっくりやるのも悪くないだろ」

 

 胸を突き破ろうとする獣欲を無理矢理抑えつけ、真はゆったりとした挿入を続けた。一瞬、ジャンヌは残念そうに顔を歪めるが、それも遅々とした動きで膣内を進む肉棒がもたらす甘い刺激で緩んだ表情に変わる。じわじわと膣内を拡げていく逸物の存在がより明瞭に感じられ、ジャンヌの官能は油を注がれた火のように昂ぶっていった。

 

「ご主人様ちんぽ、素敵ぃ♡ カリがオマンコ肉、抉ってぇ、奥に入ってきますぅ……あっ、あぁん♡」

 

 カリ首が肉襞をめくっていくたび、ジャンヌは蕩けた嬌声を漏らす。すると、彼女の声に合わせて膣内がきゅっ、きゅっと引き締まって真に得も言えぬ法悦を与えてきた。徐々に募っていく射精感を堪え、真はジャンヌの最も深い場所まで男根を侵入させた。子宮口は待ちかねた亀頭にちゅうちゅうと吸い付き、膣壁はざわめくように蠢動して秘所に入ってきた来訪者を歓迎する。

 

「ひゃああん♡」

 

 一際甲高い声でジャンヌが啼く。亀頭が子宮口にキスした快感にぶるりと身震いし、背筋が美しい曲線を描いて反り上がった。口を半開きにしながらジャンヌは涎を垂れ流して待ち望んだ快楽を享受する。

 

「オル、タさん、ご主人様のおちんぽ、私の中に全部入っちゃいました♡ 亀ちゃんが子宮の入り口にチュ~ってしてぇ、とっても気持ち良いですぅ♡」

 

 目を見開き、二人の交わりを見せつけられていたジャンヌ・オルタの耳に快楽に染まった甘ったるいジャンヌの声が届く。目の前で行われる淫らな男女の交合に秘所が疼き、内腿を擦り合せて己を慰めていたが、いつの間にか膝に顎を乗せて見詰めてくるジャンヌの存在に気付いた。蒼い双眸がジャンヌ・オルタの顔を覗き込んでいる。

 

 一瞬、ギョッとするもジャンヌ・オルタは視線をきつくさせてジャンヌを睨んだ。それを涼風のように受け流し、ジャンヌはジャンヌ・オルタの膝から顎をどけて代わりに手を置いて脚を開こうとする。当然、ジャンヌ・オルタは抵抗するが、数秒ほどの時間稼ぎにしかならなかった。大きくM字に開脚させられ、無防備になった股間部分が曝け出される。秘所から蜜のような愛液がトロトロと溢れ、アナルまで濡れている有り様だった。

 

「こんな風に……」

 

 脚を閉じられないよう、両手を内腿まで滑らせる。くすぐったさに顔を歪めるジャンヌ・オルタの反応に小さく笑みを浮かべ、ジャンヌは持っていたバイブをゆっくりと濡れそぼった女の花園に挿入した。

 

「んぅぅ……」

 

 くぐもった声がボールギャグの穴から漏れる。じりじりと、快感と共に大事な箇所に入り込んできた異物を追い出そうとジャンヌ・オルタは膣内を締めるが、多量に湧き出る蜜液とまぶされていた唾液が潤滑液となって奥への侵入を許してしまう。こつん、と無機質な玩具がジャンヌ・オルタの最奥を叩いた。

 

(こ、こんな格好で、玩具で……よりにもよってこいつに弄ばれるなんて……悔しい、でも感じちゃう)

 

 屈辱感に顔が歪むも、性感が表情をとろけたものへと変えてしまう。悔しげに掠れた呻き声を漏らすジャンヌ・オルタをジャンヌは頬を紅潮させ、目を爛々と輝かせながら見据える。その様は獲物を仕留めんとする捕食者のよう。更にジャンヌはバイブの持ち手にあるスイッチをオンにする。起動したバイブの振動に媚肉を揺さぶられ、ジャンヌ・オルタは小さな悲鳴を上げて体を反らした。たぷんと弾むバストの頂点にある乳首が痛いほどに勃起している。

 

「ご主人様と私の実況セックスで一杯気持ち良くなって下さいね……んひゃあ♡ ご主人様ちんぽ、動きましたぁ♡ おちんぽが外に出ようとしてぇ……吸い付いたオマンコ肉が引っ張られるぅ♡」

 

 肉壺から出ようと男根が後進を始める。絶対に逃がさないとばかりに膣内は締め付けを強くして肉襞を絡ませるが、釣り針の返しのようなカリ首に容赦なく抉られていく。それによって生じた快電流にジャンヌの脳内はスパークして何も考えられなくなるが、彼女の手は真の腰の動きに連動してバイブをジャンヌ・オルタの秘所から抜き出そうとしていた。

 

 ジャンヌの口から零れる嬌声、ジャンヌ・オルタの口から溢れる呻き声を聞きながら真は逸物の大部分を秘所の外へと出す。外気に触れた男根はジャンヌの愛液でしとどに濡れ、ビクビクと脈打って先走りを吐き出していた。亀頭が肉壺から抜けきる寸前まで腰を引き、再び肉槍が溶けてしまいそうな魅惑の粘膜壁の中を犯していく。肉傘で襞を巻き込みながら先端を子宮口へとくっつけ、ぐりぐりと押し潰してからまた抜く作業を繰り返した。

 

「あぁぁ、ちんぽぉ、しきゅうえぐってりゅうぅ♡ もっろ、もっろしへぇ♡」

 

 真が腰を前後させる度、ジャンヌの口からあられもないよがり声が飛び出る。ゆっくりとした抽挿はジャンヌの好む獣のような激しさこそないが、その分逸物の大きさや硬さ、真の愛情をより強く感じ取ることが出来た。想い人に愛されているのだという実感が彼女の快楽を絶大なものにし、ジャンヌを幸福と悦びで逝き狂わせる。

 

 一方で真は歯を食い縛って全身に行き渡る性感に耐えていた。主の幸せな気持ちを反映させた膣内は至高の名器となって男根を包み込んでくる。カリ首や竿部分をしゃぶるように擦り立ててくる肉襞の動きもさることながら、特に最奥が堪らない。子宮口が亀頭へと吸い付き、先走りを飲み干さんばかりに吸引してくるのだ。それだけじゃなく腰を引く時、ちゅぽんと亀頭を子宮口から引き剥がす時の快感で腰が砕けそうになる。崩れ落ちそうになる体を叱咤し、真は頭の中で射精へのカウントダウンが始まったのを感じながら腰のピストン運動を続けた。

 

 二人が愛し愛される肉悦を分かち合う中、ジャンヌ・オルタは虚しい快楽を味わっていた。真の男根を模した玩具がもたらす快感は確かに彼女を絶頂へと引き上げている。しかし体が昂ぶっていく反面、心は全くと言っていいほど満たされていなかった。それもそのはず。今、ジャンヌ・オルタの膣内を出入りする玩具には何も無いからだ。愛する人と繋がっているのだと感じられる熱も、心を幸せにしてくれる愛情も。その熱と愛情をくれる人は目の前で自分ではない女と愛し合っている。そしてその女は自分の真作(オリジナル)。ジャンヌ・オルタの胸の奥が軋むように痛んだ。

 

「ごしゅじんしゃまぁ。わらひ、わらひ……」

 

 法悦で舌が縺れ、呂律の回らない状態でジャンヌは哀願する。体も言うことを聞かないのか、バイブを動かす手も覚束ない。具体的に何をして欲しいかは言っていないが、きゅんきゅんと締まって逸物に快美な刺激をもたらす肉壺のざわめきが雄弁に答えていた。一旦、腰を止めて真は切なそうに見つめてくる蒼い双眸を見返す。

 

「そんなに中に出して欲しいのか。この、淫乱女!」

 

 腰を掴んでいた両手を滑らせ、ジャンヌの豊乳を掌に収める。そして力任せに引き寄せると猛然と腰を振り始めた。その際、ジャンヌ・オルタの膣内に収まっていたバイブも勢いで引き抜かれる。

 

「くうぅぅぅぅん。しゅきぃ、これしゅきぃ♡ だいしゅきだいしゅきぃ♡」

 

 背後から抱き締められるような格好で激しく犯され、ジャンヌは歓喜の絶叫を上げる。第三者(ジャンヌ・オルタ)に見られていることも待ちわびた快楽で忘却の彼方へと押し流された。ぐちょぐちょと卑猥な音を立てて胎内を出入りする肉棒、三つ編みにした金髪を挟んで背中に感じる汗ばんだ逞しい胸板や腹筋の感触。豊満な乳房に指が食い込み、硬く屹立した乳頭を捏ね繰り回される快感にジャンヌは我を忘れて部屋に嬌声を響かせた。

 

「ごひゅ、ひんひゃまぁ」

 

 両腕を後ろに回し、首筋に舌を這わせてくる真の頭を引き寄せる。ジャンヌのしたいことを察し、真は身を乗り出して振り返った彼女の唇に吸い付いた。唇に触れる甘い感触にジャンヌの目尻は垂れ下がり、続いて口内に入り込んできた舌の柔らかさと温かさに身震いする。滴り落ちる涎が己の体を汚すのも意に介さずにジャンヌは夢中で想い人の唇にしゃぶり付き、口腔を舐め回す真の舌に自分のものを絡めていった。

 

 口内、乳房、そして膣内。三か所から発生する快感でジャンヌの脳内が真っ白に染まっていく。主への信仰、人理救済の使命すらも白く塗りつぶされていく中、ジャンヌの中に残ったのは真に対する燃えるような肉欲と愛欲だけだった。

 

 ジャンヌが真のことだけしか考えられなくなっていくのと同じように真も意識の全てをジャンヌの存在に占領されていった。思考が蕩けて溶け落ちそうな甘い味と匂い、自分の物だと主張せずにはいられないなめらかな肌触り。肉と肉がぶつかる音と口から漏れ出る抑えられない嬌声、そして快楽で淫蕩に歪む美貌。五感が認知する全てが真の生殖欲求を強くし、腰の動きをより激しいものにさせる。一回り膨らんだ男根に走る快電流で射精感を強めながら真はジャンヌの肉筒を抉っていった。

 

(止めて、止めて。こんなの見せないで、聞かせないでぇ……)

 

 ギュっっと目を瞑り、顔を逸らしてジャンヌ・オルタは眼前に広がる肉欲のままに互いを貪り合う真とジャンヌの交尾を必死で見ないようにしていた。しかし、幾ら強く視覚情報を遮断しても他の感覚が容赦なく二人の営みの激しさを伝えてくる。ペニスで女性器内を抉るいやらしい擦過音に淫らに巻き付き合う舌が奏でる水音。ギシギシとスプリングを軋ませるベッドの揺れ、漂ってくる男女の体液の匂いが嫌でもジャンヌ・オルタの脳裏に愛し合う真とジャンヌの姿を描かせ、彼女の胸中を掻き乱した。

 

 ジャンヌ・オルタが目の前の現実から目を逸らしている間にも真とジャンヌの交わりはより過激になり、それに伴い耳や鼻に伝わる情報も濃密なものになっていく。脳内に映し出された空想の二人の愛し合う姿が生々しさを増し、ジャンヌ・オルタの胸中に産まれた寂寥感と孤独感を大きくさせた。

 

 寂しさを感じる一方でジャンヌ・オルタは女の性も燻らせていた。耳や鼻を犯す二人の交わりの音と匂いが女体を耐え難いほどに疼かせる。その証拠に彼女の秘所からはとろみのある体液が流れ出ていた。

 

 胎内に募る切なさに我慢出来なくなったジャンヌ・オルタは目を薄らと開き、眼前の光景を視界に収めてしまう。そこにはジャンヌ・オルタの存在など忘れ、快楽に溺れて愛し合う真とジャンヌの姿があった。獣の交わりと表現しても遜色ない、只管に快感を求める肉の狂宴をジャンヌ・オルタは目の当たりにしてしまう。

 

 一番最初に目にしたのは結合部。激しい腰使いで抽挿を叩き込まれる度に体液の飛沫がとび散っていた。ぐぽぐぽと淫らな音を立てて出し入れされるペニスが膣内で暴れ回り、暴力的な快感をジャンヌに与えながら大量の体液を掻き出してベッドに落としていく。

 

 視線が持ち上がり、胸部へと移動する。豊潤なバストへと伸びた両手が肌に薄らと跡が残るほどの力で女性の柔らかさを堪能していた。指先を押し返す乳房の弾力を愉しみながら真は豊乳をぐにゅぐにゅと揉み潰し、乳首を転がしてジャンヌを責め立てる。揉み込まれ、目まぐるしく形を変えるジャンヌのバストにジャンヌ・オルタは乳首を硬くしこらせた。

 

 目線は更に上へと移り、深い口付けを交わす唇を見た。間から覗いた舌が淫靡に絡み合い、零れ落ちるのも構わず互いの唾液を交換していく。二人が唾液を飲み下すのに合わせて喉仏が忙しなく何度も動いていた。それを見た途端、ジャンヌ・オルタは灼熱の日差しを放つ太陽に照らされた砂漠に放り出されたような渇きを覚えた。

 

 無意識の内にジャンヌ・オルタは真に犯されるジャンヌに自分を重ねる。彼女は知っていた。嚥下し、臓腑へと染み渡っていく真の唾液がどれだけ甘美か。俺の物だと言わんばかりに乳房を揉みしだかれるのがどれだけ心地よいか。硬く巨大な男根で膣内を貫かれるのがどれだけ気持ち良いか。そして情熱的に求められ、愛されることがどれだけ幸せなのかを。

 

 真と愛し合う己を夢想し、ジャンヌ・オルタはセックスの快楽を思い出して束の間の充足感を得る。しかし、所詮はただの想像。記憶の中から取り出した快感は泡のように消え去り、放置されているという残酷な現実だけが残った。自分を愛していくれているはずの想い人は自分じゃない女とまぐわっている。鏡に映したかのように瓜二つの、自分の真作である聖処女。心臓を氷の手で握り締められたような絶望がジャンヌ・オルタの心に広がっていった。

 

(何で、何で私じゃなくて聖女様なのよ)

 

 何時だったか抱いた疑問が悲しみと共に再燃する。じわじわと心身を蝕んでいく不安を振り払おうとジャンヌ・オルタは必死に念話で真に呼びかけた。私を見てと、私の名を呼んでと。だが、ジャンヌとの獣じみた交わりに溺れた真に彼女の声は届かない。まるで、見えない壁に遮られているようだ。声も出せず、身動きすら出来ない状況で二人の愛し合う姿を見せつけられ、ジャンヌ・オルタの心が恐怖で塗り潰されていく。

 

(やだ、やだ。すてないで、わたしをすてないで)

 

 かつてジャンヌに対して抱いていた劣等感が甦った。聖処女の贋作でしかない自分は必要とされなくなるのではないか、見捨てられるのではないかという絶対に有り得ない未来をジャンヌ・オルタに想起させる。そんなはずはない、そんなこと起こるはずがないとジャンヌ・オルタは自分に言い聞かせるが、一度生まれた怖れは見る見る内に肥大化して彼女を絶望へと駆り立てる。マスターに、自分を愛し、認め共に戦おうと言ってくれた人に切り捨てられるのではという恐怖はただの妄想であるにも関わらず、ジャンヌ・オルタの心の鎧をいとも容易く粉々にした。

 

 魔女の目尻に大粒の涙が浮かび、玩具に塞がれた口から籠った啜り泣きが漏れる。存在しない不安に囚われ、ジャンヌ・オルタは親とはぐれた幼子のように泣きじゃくった。見捨てられる恐怖に怯え、涙を流して孤独に震えるジャンヌ・オルタの声は無情にも、激しさを増す二人の営みの音に掻き消された。

 

 肌が肌を打つ小気味よい音が部屋に響く間隔が短くなっていく。一際早く、強く腰を前後させて真は下腹部をぶつけるようにジャンヌを犯していた。拡がったカリ首が膣内を押し広げ、抉る度に骨の髄までぞくぞくするような快美感が下腹部に溜まっていく。うねうねと蠢く蕩けた肉襞に亀頭や肉竿を甘く責め立てられ、頭の天辺まで痺れてしまいそうだ。急速に高まっていく射精感を押し殺して真は無心にジャンヌの唇を奪い、乳房に指を食い込ませながら腰をピストンさせた。

 

 ジャンヌも夢中になって真の口にしゃぶり付き、与えられる唾液を飲み続けていた。ただの体液でしかないはずの真の涎は媚薬のような効果をジャンヌにもたらし、性感をこれでもかと増大させる。真の長大な逸物が胎内に出入りするのに合わせて全身に走る快感にジャンヌの思考は混濁していった。女体を貫く快楽に聖女は清廉な美貌を淫らに歪ませ、豊満な体をぶるぶると震わせる。

 

(くちびるぅ、おっぱい、おまんこぉ♡ あいされてる、ごしゅじんさまにあいされてる♡ しあわせ、しあわせぇ♡)

 

 浅ましい音を立てて舌を吸われ、微かな痛みが走るほどにバストを揉み潰され、肉壺を滅茶苦茶に蹂躙される。激しさを増す一途の性交にジャンヌはただただ幸福感だけを味わっていた。長時間の口付けで酸欠になりかけるも、その息苦しさすら彼女の法悦を大きくするスパイスにしかならなかった。

 

(いっしょぉ♡ ごしゅじんさま、いっしょにぃ♡)

 

 愛する人と絶頂を共にしようとジャンヌは膣内をきゅうっと引き締める。これまでになく強くなった粘膜同士の摩擦が二人に絶大な快感を味わわせ、そして終わりへと誘った。薄らと赤くなったジャンヌの美尻に腰を押し付け、亀頭を子宮口にめり込ませて真は彼女の胎内に欲望の限りを吐き出した。

 

(きたぁ♡ ごしゅじんさまざーめん、びゅーって、しきゅうにぃ、いっぱい♡)

 

 鈴口から噴き上がる白濁液がジャンヌの子宮内と思考を白く汚していく。子宮に広がっていく熱い粘液にジャンヌは体をビクビク痙攣させ、種付けされた喜びを露わにした。同時にいやらしく蠕動する肉襞で脈動する男根を根元から先端までしごき、貪欲に精液をおねだりする。彼女の求めに応じ、逸物は硬度を保ちながら白い粘液をジャンヌの中に次々と撃ち出していった。

 

 腰が砕けそうな快感に耐え、真は精を出し切る。唇を離し、ジャンヌを見詰めると濡れた蒼い瞳が真を見返した。

 

「とっても気持ち良かったです、ご主人様♡」

 

「俺もだ。凄く良かったよ、ジャンヌ」

 

 嬉しそうに、照れたように小さく笑うジャンヌともう一度キスしようとする真だったが、聞こえてきた啜り泣きに動きを止める。ジャンヌも同じものを感じたようで、真と一緒に声の発生源へと目を向けた。大粒の涙をぼろぼろと零しながら泣きじゃくるジャンヌ・オルタがそこにいた。

 

「お、オルタ?」

 

「お、オルタさん?」

 

 下半身の結合を解き、二人はジャンヌ・オルタの傍に寄る。真が口のボールギャグを外すと、ジャンヌ・オルタは頬を涙で濡らしながら真に縋り付くように寄りかかった。

 

「ごめんな、さい、ごめ、んなさい。もう二度と、薬なんて使ったりしないから、もう、絶対に騙したりなんて、しないから。だから、お願い。捨てないで、置いてかないでぇ」

 

「いや、何言ってるんだよ、オルタ。そんなことする訳ないだろ」

 

 泣き止ませようと真はジャンヌ・オルタを抱き締めるが、彼女はだって、と子供のように鼻を鳴らすばかり。

 

「返事、してくれなかったもん。私のこと、見てくれなかったもん……!」

 

 一層強く泣きじゃくるジャンヌ・オルタに真は困り果てた。まさか『お仕置き』がここまで効果を発揮するとは思っておらず、ただジャンヌ・オルタを撫でて慰めることしか出来なかった。正に泣く子と地頭には勝てぬといった様子だ。

 

「真君」

 

 と、ここでジャンヌが助け舟を出した。困り顔の真に任せて下さいとばかりに小さくウィンクし、ジャンヌ・オルタに呼びかける。

 

「オルタさん」

 

「ひっ……やだ、やらぁ。取らないで、取らないでよぉ。真を、取らないでぇ……」

 

 体を竦ませ、弱々しく首を振るジャンヌ・オルタの頬に手を伸ばす。優しく撫でたかと思うと、いきなりジャンヌ・オルタの唇を奪った。

 

「何ですと!?」

 

 これにはいきなりキスされたジャンヌ・オルタは勿論、女の子同士のキスを目の当たりにした真も目を見開いた。そんなことはお構いなしにジャンヌは巧みな舌技でジャンヌ・オルタの快感を引き出していく。暫くすると驚きに固まっていたジャンヌ・オルタの体が弛緩し、涙の膜が張った瞳もとろんとしだした。

 

「ん、ちゅぅ……ぷは。これでよし」

 

 ショック療法とでもいえばいいのか、ジャンヌはジャンヌ・オルタを泣き止ませることに成功した。唖然とする真にジャンヌは笑顔を見せる。

 

「泣く子と地頭には勝てない? 逆に考えましょう、真君。泣いてる子がいるなら、もうこれ以上啼けないくらいに啼き疲れさせちゃえばいいんですよ」

 

「泣くの字、途中で変わってないですか?」

 

 変わってませんよ、とクスクス笑うジャンヌに真はそれ以上何も言えなかった。

 

「やることはいたってシンプルです。オルタさんが真君に捨てられるとか置いていかれるなんて馬鹿なこと、二度と考えられなくなるくらい愛してあげればいいんです」

 

 にたぁ、とジャンヌは見る者の背筋におぞ気が走るほど淫蕩な笑みを浮かべる。

 

「どろどろのぐちゃぐちゃになるまで、ね」

 

 

 

 

「んんんんんぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

 何度目になるか分からないオルガズムにジャンヌ・オルタは天井を仰ぎながら悲鳴を上げる。アクメを味わい、病的に白い肌を紅潮させながら身悶えするジャンヌ・オルタを真は騎乗位の体勢で犯し、ジャンヌは彼女の背後から両手を回して乳房や腹部を弄んでいた。相変わらずの後ろ手に両手を拘束する手錠、再び咥えさせられたボールギャグ。そして新たに付けられたアイマスクも相まり、ジャンヌ・オルタの姿は無様の一言に尽きた。ボールギャグを嵌められた口から零れる唾液が顎や喉を汚しており、アイマスクに覆われた双眸からはさっきの悲しみとは別種の涙が溢れていた。

 

「凄いな、オルタの中……ぐねぐね動きながら絡みついて……また、逝きそうだ……!」

 

「オルタさん、とっても気持ち良くなってるみたいですね。ご主人様、オルタさんにもっとザーメン出してあげて下さい。ご主人様の愛の証、たくさん、溢れるくらい……もう溢れちゃってますね」

 

 二人がかりでジャンヌ・オルタを快楽漬けにする真とジャンヌ。真は自身に跨らせたジャンヌ・オルタのウエストを両手で掴み、彼女の体を持ち上げては落として下から激しく突き上げていた。ゴチュッ、と音が聞こえそうな威力で逸物に子宮口を串刺しにされ、ジャンヌ・オルタは全身を突き破らんばかりの快感を味わわされる。愛液が止めどなく溢れ出し、男根を突き込まれる度に結合部分から逝き汁が噴き出していた。体が持ち上がると膣内から逆流した精液混じりの逝き汁が何本もの粘ついた糸になって二人の股間を繋ぎ、体が落ちると肌が打ち合う音と共にべちゃりと下品な音が立つ。無意識の内にジャンヌ・オルタは腰をくねらせて陰唇を真の体に押し付け、奏でられるにぢゅにぢゅという卑猥な音とねとつく感触に酔い痴れていた。

 

(むりぃ、こんなのむりぃ♡ はげしすぎてこわれりゅう。きもちよすぎておまんここわれちゃうよぉ♡)

 

 余りに大きな快感に恐怖を覚えるジャンヌ・オルタとは裏腹に彼女の腰は淫らに踊りながら肥大化して包皮から顔を覗かせた肉豆を真に擦り付けて性感を貪り、蜜壺は男の象徴から精を絞り出そうと蠢いていた。真専用の雌穴となったそこは一分の隙間もなく剛直に肉襞を吸い付かせ、雄の欲望を刺激して射精を促してくる。ジャンヌ・オルタの膣内に入れてから既に数回吐精して敏感になっている逸物に電撃のような快感が奔り、真に苦悶の表情を浮かばせた。閉めた巾着袋の口みたいに入り口は引き締まり、ぬるぬると蠢動する肉襞が男根の竿や傘、亀頭にねっとりと絡みつきながら擦り立てていく。下腹部に力を込めて射精こそしなかったが、それでも真は精液の混じった先走りを吐き出さずにはいられなかった。

 

 互いに絶頂へと至る境界線のギリギリに立っている真とジャンヌ・オルタに追い打ちをかけるようにジャンヌは両手を動かした。さっき自分が真にされたようにジャンヌ・オルタの乳房を揉みしだき、充血してコリコリになった乳首を摘まんで引っ張る。乳首に走る痛みと痛みを凌駕する快感から逃れようとジャンヌ・オルタは体を捩るが、ジャンヌの手は彼女の乳房を離さない。ジャンヌ・オルタの意味の無い抵抗にジャンヌは妖艶に微笑むと、摘まんでいた乳頭を思い切り捻った。

 

「んほぉぉぉ!!!」

 

 身も世も無い悲鳴がジャンヌ・オルタの口から飛び出る。真の腰の上で体をビクビクとひくつかせ、潮を派手に噴き散らして果てた。同時に短い間隔で何度も収縮していた膣内が逸物を痛いほどに締め付ける。ぎゅうっ、と肉襞が抱き締めるように男根を搾り、神経が焼き切れそうな甘美感に襲われる。

 

「ぐうぅ!」

 

 眉を寄せながら真はジャンヌ・オルタの腰をがっちりと掴み、亀頭を子宮口にキスさせながら思い切り精を放出した。びちゃびちゃと吐き出された精を子宮内にかけられ、ジャンヌ・オルタは続けざまの絶頂を味わう。甲高いソプラノの嬌声が室内に木霊した。

 

「ふふ、また逝っちゃいましたね、オルタさん。それもご主人様と一緒に……何回もザーメン中出ししてもらって、子宮もタプタプです」

 

 絶頂から抜け出し、ぐったりと脱力しているジャンヌ・オルタの耳元で囁くジャンヌ。舌先で耳穴を舐りながら片手を下げていき、皮膚の上から子宮を押し潰した。ごぼぉ、と胎内から精液が押し出され、ジャンヌ・オルタの内腿や真の腹部を濁った白で汚していく。

 

「こんなにたくさん……ちょっと妬けちゃいます」

 

 だから、とジャンヌ・オルタが倒れないように自分に凭れさせながらジャンヌは傍らに置いていた物を両手に取った。ピンク色の、小さな楕円型の玩具、ローターだ。

 

「意地悪、しちゃいますね」

 

 スイッチを入れ、二つのローターのパワーを最大にまで上げる。ぶ~ん、と鳴りだした微かな駆動音はジャンヌ・オルタの耳にも届いているようで、息を荒げながら不安そうにきょろきょろとしていた。クスクスと笑い、ジャンヌはジャンヌ・オルタの首筋を舐め上げる。ゆっくりと汗ばんだ皮膚の味を楽しみ、小刻みに震えるジャンヌ・オルタの耳穴に息を吹きかけ、

 

「えい」

 

 ローターを勃起した二つの乳首へと押し付けた。再びジャンヌ・オルタは天井を見上げて泣き叫ぶ。全身を食い破らんばかりの暴力的な快感から逃れようと体を右に左に暴れさせるが、ジャンヌの拘束から抜け出せなかった。ジャンヌは微笑みに加虐心を浮かばせ、逃げようとするジャンヌ・オルタのバストの中に押し込むように乳首を更に強く圧迫する。より強くなった快電流がジャンヌ・オルタにアクメを強制させ、激しく体を痙攣させた。彼女の絶頂は繋がっている真にも膨大な快楽を与え、射精を強要させるが肛門を引き締めてどうにか耐える。呼気を荒げ、真は性器が溶け落ちそうな甘美感に歯を食い縛りながらサディスト然としたジャンヌに目を奪われた。

 

「乳首だけじゃありませんよ。さっきから物欲しそうにご主人様に擦り付けてるズル剥け勃起クリちゃんにも」

 

 ジャンヌ・オルタを自分に寄りかからせ、体を後ろへと倒させる。結合部分が大きく曝け出される体勢をジャンヌ・オルタに取らせた。右手のローターを乳首ごと豊乳の中に沈め、左手のローターをゆっくりと下ろしていく。肌を滑っていくローターはジャンヌ・オルタの股間へと向かっていた。

 

「んぅぅ、んぅぅぅっ!」

 

 ジャンヌが何をする気なのか察したジャンヌ・オルタは必死で首を振って止めてと訴えるが、彼女の涙ながらの懇願はジャンヌのサディスティックな笑みを深くさせるだけだった。

 

「ほら、オルタさん。もうちょっとでくっ付いちゃいますよ? こ~んなに膨らんだ敏感クリちゃんにブルブル震えてるローターがぴとって……ただでさえ逝きまくりなのにそんなことしたら、ふふ、どうなっちゃうんでしょうね?」

 

 臍の下辺りで一度手を止め、ジャンヌ・オルタに告げる。ひゅぅっ、と息を呑む音を聞きながらジャンヌは小さく笑って桃色の舌で唇を舐め上げ、ローターでクリトリスを押し潰した。一瞬、ジャンヌ・オルタの全身が硬直する。そして、

 

「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!」

 

 全身を引き裂かれたような絶叫が彼女の細い喉から迸った。しなやかで女性らしい肉付きの体が陸に上がった魚のように跳ね回る。最も敏感な場所で発生した爆発的な快感は瞬く間に全身を駆け巡り、ジャンヌ・オルタの意識を忘我の彼方へと追いやった。思考回路が焼けつき、機能の大半を停止させる。脳内が混濁していく中、ジャンヌ・オルタは自分の中で何かが決壊するのを感じた。体から溢れそうになるものをジャンヌ・オルタは止められず、秘所から噴水のように潮を撒き散らしていた。

 

 腰や腹に勢いよく生温かい体液が降りかかるのを感じながら真も溜めに溜めていた射精欲を爆発させる。吸着していた膣壁が急激に収縮し、甘美な感触に包まれていた男根が内側から破裂するように膨らんで大量の精液をジャンヌ・オルタの膣内へと噴出させた。何度放っても薄くならない濃厚な白濁液は許容限度を超えた胎内に収まり切らず、噴き出る逝き汁と一緒に体外に溢れ返って真の体を汚していく。二人の体液の放出が治まる頃、真の腰や腹部はミルク味のゼリーをぶち撒けたような有り様になっていた。

 

「あは。ご主人様ザーメン、こんなに一杯♡」

 

 口角から涎を零し、ジャンヌは極上のスイーツを前にしたみたいに目を輝かせる。魂が昇天するような快感で茫然自失になっているジャンヌ・オルタの胸に右腕を襷のように通し、抱き締めながら彼女を支えて体を起こした。真の体に左手を伸ばし、腹部に広がる雄と雌の混合液を指にたっぷりと絡めて口元へと運ぶ。スンスンと鼻を鳴らして濃密な体液の匂いを楽しみ、疼く劣情に身を任せてザーメンの滴る指にしゃぶり付いた。

 

「んぢゅぅ、ぢゅる、ぢゅろろぉ、ぢゅぢゅうぅぅぅ……ちゅぱ♡ ご主人様のおちんぽ汁とオルタさんのオマンコ汁、濃厚でとっても美味しい……またザーメン欲しくなっちゃいます」

 

 殊更に下品な音を立ててジャンヌはザーメンゼリーを啜る。聞こえよがしにジャンヌ・オルタの耳元で大きな吸引音を奏で、白濁液を咀嚼して舌で転がし、秘所を熱くさせる雄の味わいを堪能した。

 

 ぐったりと脱力し、傾いていたジャンヌ・オルタの頭がゆっくりと持ち上がる。ふ~、ふ~と荒い息を漏らす姿はおやつを前にして待てを命令される犬のようだ。鼻をクンクンと動かし、ジャンヌ・オルタは首を伸ばしておやつをおねだりする。

 

「欲しいですか、ご主人様のどろどろ孕ませザーメン?」

 

 娼婦のように笑いながら聖女は魔女の唇に指に残っていた白い残滓を塗り付ける。更に息を荒くしながらジャンヌ・オルタは激しく頷いた。もう、羞恥心やプライドを感じるほどの理性も残っていないようだ。

 

「はい、どうぞ」

 

 左手の指に精液を塗しながら右手でジャンヌ・オルタの口からボールギャグを外す。生臭い粘液で濡れた左手を彼女の口元まで持ち上げると、ジャンヌ・オルタは無我夢中でジャンヌの指にしゃぶり付いた。ぺちゃぺちゃと音を鳴らして精液を舌で舐め取り、歯を立ててこそぎ落としていく。見る見る内にジャンヌの指から白濁液が剥ぎ取られていった。

 

「んちゅ、ちゅぱ、ちゅる、ちゅろぉ……んくっ。もっろ、もっろちょうらい。しんのざーめん、もっろ、もっろぉ」

 

 伸ばした舌をレロレロとくねらせ、次の精液を欲しがるジャンヌ・オルタ。普段の捻くれた態度や復讐者(アヴェンジャー)としての在り方を捨て去った、ただ愛する男を求めることだけしか考えられなくなった浅ましい女の姿を曝け出していた。

 

「そんなにがっつかなくても大丈夫ですよ。まだまだたっぷりありますから」

 

 妖美な笑みを浮かべ、ジャンヌは再び精液で汚した指をジャンヌ・オルタの前に持っていく。雛にエサを与える親鳥の気分に浸りながら白い粘液を吸い取ってくるジャンヌ・オルタを見ていたが、そうしている内に自分も精液が欲しくなっていた。胸の内に芽生えた欲求に素直に従い、ジャンヌはジャンヌ・オルタと一緒に指で掬い取った雄汁をしゃぶっていく。

 

 思わず息を呑むほどの美しい姿の少女二人がその美貌を劣情に染めて精液を口にする光景は真の欲望に新たな火をつけた。ジャンヌ・オルタと繋がり合っていたままの男根がピクピクと震えながら我慢汁を吐き出し、彼女の鋭敏になった体にビリビリと快電流が走る。

 

「あん。しんのおちんぽぉ♡ ぴくぴくってしてぇ、がまんじるぴゅーってでてぇ、きもちいいのぉ♡」

 

「こんなにたくさん出したのにまだ……ねぇ、オルタさん。何でご主人様はこんなに一杯射精出来るんだと思います?」

 

 唐突なジャンヌの問いかけにジャンヌ・オルタはへ? と間の抜けた声を上げた。いきなりの質問に戸惑うジャンヌ・オルタをジャンヌは慈愛の籠った微笑で見守る。暫くして、ジャンヌ・オルタはポツリと答えた。

 

「わたしのおまんこ、きもちいいから?」

 

「それはちが……くはないでしょうけど、それだけじゃありません。ご主人様がオルタさんを愛してるからです」

 

「あい、してる」

 

 はい、とジャンヌは優しい笑顔で頷いた。

 

「男の人がザーメンドピュドピュするのってとっても気持ち良いことですけど、物凄く体力を使うんです。いくらご主人様が絶倫ちんぽの持ち主だからって、こんなに体がべちゃべちゃになるくらい射精するのってとても大変なことなんですよ」

 

 ジャンヌの言うことに間違いはない。では、何故、真はそんな大変なことが出来るのか。答えは簡単、愛があるからだ。愛に勝るものは世の中を探せばそれなりにあるだろうが、こと男女が肌を重ね合う閨において愛を上回るものは無い。偉い人も言っている。『富や名声よりも愛だぜ』、『最後に愛は勝つ』、と。

 

「そんな、わたしみたいな、ひねくれたこむすめ……」

 

「オルタさんが捻くれた小娘だったら私は魔女と謗られた田舎娘ですよ。小娘とかそんなこと関係ありません。ご主人様は、真君は私達を愛しているからこうやって傍にいてくれるんです。だから、オルタさん」

 

 捨てられるなんて怖がる必要は無いんです、とジャンヌは不安そうにそわそわしているジャンヌ・オルタの頬を優しく撫でる。姉がすすり泣く妹をあやすようにジャンヌ・オルタを撫でながらジャンヌは手錠へと手を伸ばし、拘束を解いてジャンヌ・オルタの両手を自由にした。

 

 おずおずと前に差し出されたジャンヌ・オルタの両手を真の両手が取る。あ、と嬉しそうに声を上げるジャンヌ・オルタのアイマスクがジャンヌの手で外された。光を取り戻した少女の視界の中に最愛の人が映る。空気を読んでベッドから下りるジャンヌに感謝しつつ、真はジャンヌ・オルタをじっと見つめながら上半身を起こして抱き締めた。びくっ、と両腕の中で震える女性らしく柔らかい、細くて華奢な体を撫でながら囁く。

 

「お前さえ良ければ、俺とずっと一緒にいて欲しい。お前がいてくれないと……うん、寂しいからな」

 

 どこか照れくさそうな真の言葉にジャンヌ・オルタは総身を震わせた。一緒にいて欲しい、お前がいないと寂しい。自分を必要とし、求めてくれる言葉は体が震え上がるほどの歓喜をジャンヌ・オルタにもたらした。

 

「わたしも、私もぉ!」

 

 胸の中で爆発的に膨れ上がった喜びに突き動かされ、ジャンヌ・オルタは真に体当たりするように抱き付き、両腕を彼の首に回して勢いのままベッドに押し倒した。豊満な乳房を分厚い胸板に押しつけ、心から溢れ出てくる愛欲の赴くままに腰を激しく振りたくる。

 

「ずっと一緒にいたいの、貴方がいてくれないと寂しくてどうにかなっちゃいそうなの、貴方無しじゃもう生きていけないの!」

 

 生の感情を叩き付けるように言い募りながらジャンヌ・オルタは遮二無二腰をぶつける。想い人に少しでも自分の体で気持ち良くなって欲しいと少女は己を貫く男根の先端から根本までを膣内で磨いていく。肉傘に襞を絡ませ、竿を入り口で圧迫し、亀頭に子宮口を吸いつかせた。

 

「大好き、大好き大好き大好き大好き!!」

 

 快感に脳内を焼かれながら何度も想いを伝える。滾々と湧き続ける泉の水を桶で汲みだすように、何回言葉にしてもジャンヌ・オルタの中で生まれる想いは枯れることは無かった。

 

「俺も、お前が大好きだ!」

 

 ジャンヌ・オルタの背中に回した両手に力を込めて強く抱きすくめた。腰を強く打ち込み、豊潤な肉壺を男根で掻き分けていく。腹部に走る衝撃に嬌声を上げるジャンヌ・オルタを掻き抱き、切なそうに収縮する粘膜を亀頭で抉って絶頂に上り詰めていく女体をよがらせた。

 

「逝くぅ、逝くのぉ♡ 大好きな貴方に抱かれて逝っちゃうのぉ、大好きな真にザーメン中出しされて逝っちゃうのぉ♡」

 

 麻薬じみた多幸感に思考を蕩かせながらジャンヌ・オルタは限界を告げる。真も腰の突き込みを速くしてビクビクと震える、何時射精してもおかしくない分身を彼女の胎内に何度も出し入れさせた。女性器の中で勃起を揉み抜かれる快感に背筋を粟立たせながら、最後の最後までジャンヌ・オルタと肉悦を分かち合おうとする。両腕の中で体を震わせる少女をどうしようもなく愛おしく想いながら真は己を絶頂へと押し上げた。

 

「逝くぅ、イくぅぅぅ♡」

 

 真に抱かれながらジャンヌ・オルタは背筋を反り上がらせる。胎内で熱いマグマが迸り、己を満たしていくのを感じてジャンヌ・オルタは幸せに体を打ち震わせた。真も目の前が真っ白になりそうな射精感を味わう中、逆流する精液で体が汚れるのも構わず彼女の中に吐精を続けた。

 

 精の放出が終わると、ジャンヌ・オルタは身を投げ出すように真に覆い被さった。絶大なオルガズムを味わった後に訪れる脱力感と幸福感で動くのも億劫な体に鞭打ち、ノロノロとした動きで真にキスをする。優しく頭を撫でる手の感触に陶酔しながらジャンヌ・オルタは焦点の合わない目で真を見詰め、もう一度想いを告げた。

 

「だぁいすきぃ♡」

 

 

 

 

 幸福その物の顔でベッドに横たわるジャンヌ・オルタの額に口付けをする真。応じるだけの気力も残ってないのか、ジャンヌ・オルタは緩んだ笑みを浮かべる。精液が溢れてべちゃべちゃになったジャンヌ・オルタの下半身を拭こうとティッシュ箱に手を伸ばした真の肩にジャンヌは手を置いた。

 

「そっちは私がやります。ご主人様はオルタさんの顔の方をしてあげてください」

 

 ペロッと舌舐めずりしてジャンヌはベッドの上に乗り上がる。四つん這いでジャンヌ・オルタに近寄る姿は女豹のようだ。女性らしいという表現からは程遠い雌の欲望を露わにした笑みでジャンヌ・オルタの両脚を広げ、内腿や下腹部に張り付いた白い粘液を丁寧に舐め取っていく。ジャンヌの舌がジャンヌ・オルタの肌をなぞると魔女はくすぐったそうに体を小さく痙攣させた。

 

 ジャンヌに倣い、真も汗や涙、涎などの体液でべとべとになったジャンヌ・オルタの顔を舌で清めていった。塩気のある体液を味わっていると、小さく突き出された唇に舌が触れる。軽く啄むようにキスをすると、ジャンヌ・オルタは心底嬉しそうに相好を崩した。

 

「これで、綺麗になりました」

 

 次は、と頬を紅潮させたジャンヌの淫欲を湛えた瞳が真に向けられる。淫らに濡れ光る蒼の双眸が真の顔からゆっくり下へと移っていき、太くそそり立つ男根へと辿り着いた。男女の体液でドロドロに汚れたペニスに魅せられたようにジャンヌは恍惚の顔で息を弾ませ、口の中に湧き出る涎を飲み込む。下の口も大量の唾液を滴らせ、太腿を伝い落ちてベッドへと染み込んでいった。

 

「ご主人様のおちんぽ、ドロドロザーメンちんぽ……お掃除してもいいですか?」

 

 んぁ、と開いた口の中で舌をうねらせ、汁気たっぷりの口腔を曝け出す。媚びた目で真を見詰めながらジャンヌは貴方を気持ち良く出来ますと限界まで伸ばした舌を蠢かせてアピールしていた。かつて、余人に聖女と呼ばれた少女の見せる扇情的な姿は男の欲望を掻き立て、男根に血を集めさせた。

 

 真は無言でベッド脇に仁王立ちし、腹に付きかねないほど反り返った長大な男性器を前に突き出す。顔を輝かせてジャンヌはベッドから下り、何ら躊躇することなく真の前に跪いた。目の前にある、白濁液塗れの逸物から立ち昇る匂いに既に潤っていた秘所の水気が更に増す。うっとりと目を細め、ジャンヌは真を見上げた。

 

「まずは周りから綺麗にしますね……」

 

 真の腰に両手を添え、半固形状の精液がべったりと残った下腹部に舌を伸ばす。腹筋の形を確かめるように舌腹を押し付け、舌の上に広がる雄の体液を楽しんだ。見る見る内に真の腹部から雄汁が舐め取られていく。

 

「今度はこっち」

 

 口角に白い残滓を残しながらジャンヌは舐める箇所を下へと下げていく。左右の太腿を交互にねちっこく舐め上げ、こそばゆさに体を震わせる真の姿に笑みを深めていた。両脚を清めると、次に濡れ縺れている陰毛から精液を丁寧に吸い取っていく。

 

「玉々ちゃんも……ふふ、あんなに出したのにまだパンパンです」

 

 大量の精液を内包して膨らんでいる睾丸に熱い吐息を吹きかける。二、三度、舌を遊ばせると、白濁液が付着した玉袋をぱくりと口の中に咥えこんだ。

 

「うあぁ……」

 

 思わずといった様子で真の口から喘ぎ声が溢れた。男の急所を口内で揉み解される快感がじわじわと這い上がり、無意識に腰が震えてしまう。想い人の反応に満足げに鼻を鳴らし、ジャンヌは舌でずっしりと重い睾丸を舐め転がした。ちゅぱちゅぱと音を立てて玉袋をしゃぶり、ちゅうちゅうと吸い上げながら首をゆっくりと引いたり左右に揺らして皮を伸ばすと真の呻きが強くなる。すぅっ、と鼻先で反り上がる男根の裏筋を撫でると、ぴくんと痙攣して先端から透明な腺液が垂れてきた。

 

「ちゅぱ、ちゅぷ、ちゅうぅぅぅ、ちゅぽん。うふ、亀ちゃんからお汁が溢れちゃってますね。これじゃあお掃除してもすぐに汚れちゃいます。私のせい、ですよね?」

 

 鼻先に付いた体液を掬い取った指を口に含みながら興奮に瞳を潤ませてジャンヌは真を見上げる。透き通るように白い肌を薄らと赤く染め、荒く熱い呼気を男根に吐きかける姿は言葉に出来ぬほどに色っぽい。そうだな、と答えながら真は痛いほどに肥大した肉槍をジャンヌに差し出した。

 

「責任、取ってもらわないとな」

 

「はい。任せて下さい」

 

 双眸を淫靡に光らせながらジャンヌは男根の根本に口付けをする。慎ましやかな花弁を思わせる唇から真っ赤な舌が現れ、先端が裏筋に触れた。ピクンと痙攣する逸物を焦らすような動きで、肉竿に付いた白濁液を巻き込みながら舌を上らせていく。肉棒の根元から先端にゆっくりと向かってくる生温かくざらざらした舌の感触に真はもどかしそうに眉を寄せた。

 

 舌先が男根の先端までたどり着く。チロチロと舌先を何度か赤黒く染まった亀頭に擦り付け、鈴口から湧き出す我慢汁の味を楽しんでからジャンヌは大口を開いてぱくりと先端を咥えた。亀頭全体が温かく潤沢な口内に包まれ、張り出たカリ首を唇で締められる。敏感な粘膜を覆う蕩けそうな快美感に真は情けない溜め息を吐いた。んふ、と嬉しそうに目を細め、ジャンヌは肉棒を喉奥へと進ませていった。

 

 ジャンヌの口奉仕は正に呑み込むという表現がぴったりなものだった。彼女の口からじゅるじゅると淫音が発せられる度に怒張が奥へと吸い込まれ、快楽の魔窟へと誘われていく。よく動く舌が裏筋を撫でるのもなんとも心地よい。快感に先走りを垂れ流しながら真は肉棒を覆っていく肉悦に慄いた。

 

 遂にジャンヌの唇が陰毛に触れるほどまで男根が呑み込まれる。男性器の根元に口付けをしながらジャンヌは恍惚と目尻を垂らし、快楽に体を震わせる真を上目遣いで見上げた。何十回と想い人の性器を受け入れてきたジャンヌの喉は入り込んできた異物を吐き出そうとはせず、苦しさを悦びに変えて肥大した肉塊を受け入れていた。

 

「はひへはふへ♡」

 

 もごもごと口を動かすと真が背を反らした。喋る際の口腔、舌の動きが快感となって男根に襲い掛かる。口の中で男性器がピクピク震えるのを感じながらジャンヌはゆっくりと頭を引いていった。逸物にざらざらの舌が擦り付けられ、ちゅるちゅると優しく吸引されながら窄まった唇が肉竿を甘く締め上げていく。特にカリ首を強く吸われ、唇を出っ張りに引っかけるように動かれた時は雷撃のような悦楽を味わわされた。

 

 鋭敏な部分に走る強烈な刺激に真は思わず腰を下げそうになるが、腰に回されたジャンヌの両腕が逃げるのを許さなかった。一見、優しげに巻き付く聖女の細腕は獲物を拘束する大蛇の如き力で真を拘束していた。

 

 逃げようとしたお仕置きとばかりにジャンヌは亀頭粘膜を容赦なくバキュームしていく。両腕から伝わる真の痙攣に心を昂ぶらせ、亀頭の割れ目から噴き零れる先走りを口内に溢れ出る涎と共に嚥下していった。味わいを濃くしていく男の腺液にジャンヌの秘所も湿り気を増していく。

 

 唇から鈴口が離れる寸前でジャンヌは頭を前進させて肉棒を咥えこんでいった。再び先端から温かく柔和な感触に分身をゆるゆると包まれていく。感極まった吐息を漏らしながら真は上げていた視線を下げ、淫らな口奉仕を続けるジャンヌを見た。劣情に染まった蒼い双眸が喜びに細められる。

 

 蒼い双眸の持ち主はその瞳を淫らに光らせ、見せつけるように男根をしゃぶっていた。唇から漏れる吸引音を激しくさせ、頭を左右に振ったりしながら片時も想い人から目を離さずに逸物を口の中に出し入れさせている。濡れた蒼眼に魅入られた真は生唾を飲んだ。ジャンヌから視線を逸らすことが出来ない。大きな窪みを作るほど窄められた頬、ひょっとこのように伸ばされた口元。聖女が美貌を下品に歪める姿に真は狂おしくなるくらいに射精欲をくすぐられた。

 

 ムクムクと男の象徴が一回り膨張する。うふ、と喜びの息を零しながらジャンヌはより熱の籠った奉仕を始めようとするが、頭に置かれた真の両手に動きを止められた。

 

「ジャンヌ、いいか?」

 

 一瞬、ジャンヌは不満げに眉を顰めるが、自分を見つめる真が何を求めているのかを理解すると一転して顔を輝かせた。腰に回していた両腕を解き、身を任せるように脇へと下ろして真に頷いて見せる。

 

 ジャンヌの了承を得た真は彼女の頭に添えた手に微かに力を込め、両足を軽く開いた。体を動かしやすいように体勢を調節すると、思い切り腰を突き出した。半分ほど露出していた男根を喉の奥へと捻じ込む。

 

「んぶぅっ♡」

 

 苦しげにむせる声がジャンヌの口から漏れた。しかし、その声音はどうしようもないほどに蕩け、雄に奉仕する悦びの色に染まっている。彼女の声に興奮を煽られ、真は無心に腰を打ち振り始めた。腰と一緒にジャンヌの顔を前後に激しく揺らし、口内と喉奥を犯すことでジャンヌを支配するような感覚を味わう。その非人道的な思考は肉棒が感じる快楽を激増させ、真は気遣うことを忘れて一方的なオーラルセックスに耽った。

 

「んぅ、んんっ、ふぐっ、んぢゅぅ、んおっ、おうぅ♡」

 

 女性にあるまじき濁った声を唇から溢れさせるが、ジャンヌは暴力じみた行為を嬉々として受け入れていた。真の手によって開発された体は口を塞がれて感じる息苦しさも、喉を突かれて味わう嘔吐感も全て快感に変換していく。性的興奮で火をつけられたように熱くなった女体が更なる悦びを求め、ジャンヌは脇に垂らしていた両手を股間へと伸ばしてオナニーを始めた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ!」

 

 獣じみた形相で真は腰を振りたくる。自分本位なイラマチオを受容するジャンヌに真は我を忘れて快感に溺れた。目尻から大粒の涙を流しながらも幸福一色に染まった表情。苦悶の声に紛れて聞こえる、くちゅくちゅと秘所を掻き混ぜる音が獣欲を肥大化させる。雄々しく巨大な逸物に攪拌され、白く濁った唾液が口内から掻き出されて顎を汚していく光景も堪らない。その唾液が粘ついた白い糸になり、自分の股間とジャンヌの唇を繋ぐ様は絶頂ものだった。

 

 白濁した涎を口角からだらだら垂らしながらジャンヌはもっとしてと言わんばかりに真を見上げている。涙の膜が張った蒼色の瞳が雄のエキスをおねだりしていた。ぎゅうっと唇と頬を窄めて想い人を射精へと誘おうとする。急激に高まった圧力に肉棒が悲鳴を上げるようにわなないた。

 

「出る、出るぅ!!」

 

 真の口から飛び出す情けない悲鳴にジャンヌは目を輝かせる。自慰をしていた両手をするりと真の腰に巻きつけ、逞しい肉体を抱き寄せた。同時に精液が輸精管を駆け巡り、鈴口から白い欲望が吐き出される。

 

「……♡」

 

 胃に直接流し込むような射精にジャンヌはうっとりと鼻息を漏らす。腹の中に白濁液が溜まっていく感覚に陶酔し、秘所からとろみのある蜜液を垂らしていた。最後の一滴まで気持ち良く吐精できるよう、ジャンヌは顔をゆったりと振ったり脈動する逸物を舌であやす。男根を掴んで離さない快楽の渦に真は全身に鳥肌を立たせていた。

 

「んぢゅるるるる……ちゅぽっ♡」

 

 精の放出を終えて鎮まった肉棒を激しく吸い上げるジャンヌ。のろのろと頭を引きながら未だに硬いままの男性器に引き締めた唇を滑らせ、尿道に残った精液の一滴までも搾り出していく。ジャンヌの清廉な容姿には不相応なバキュームに真は脚を小鹿のようにガクガクと震わせた。

 

「ほんはひひっはひ……はひはほうほはひはふ♡」

 

 熱い男の精が収まった胃の腑を肌の上から撫で、ジャンヌは半固形状の白い粘液が残った口を開いた。内頬や口蓋に張り付いた精液を舌で掬い取っては口外に出し、徐々に舌の上に溜まっていく様をいちいち真に見せつけていく。口内にある白濁液を集め終えたジャンヌは舌に白いゼリーを乗せているようだ。

 

 そのまま一息に飲んでくれるのかと真は期待に胸を高鳴らせるが、ジャンヌが取った行動は別の物だった。溜めた精液が落ちないようにへこませた舌を伸ばし、ジャンヌは唾液と新たに出てきたカウパーでテカる亀頭に白濁液を塗り付けていく。性器の先端をくすぐるもどかしい刺激に真が微かに顔を顰めている間にジャンヌは精液を塗り終えた。

 

「ご主人様ぁ♡ ここも、ここも愛してください♡」

 

 立ち上がり、真に背を向けるジャンヌ。背後にあったサイドテーブルに両手を置きながら美しいヒップを突き出す。肩越しに流し目を真に送り、色っぽい息を吐きなが差し出した臀部を悩ましく揺らす。愛液と精液で汚れた陰唇の更にその上、桃色の窄まりがひくひくと動いていた。

 

「そんなに欲しいのか?」

 

 真が両手でジャンヌの美尻を掴む。指の間から瑞々しい柔肌がはみ出ていた。尻肉に指先を沈め、掌で撫で回すとジャンヌは小さく嬌声を上げて悦びを露わにする。いやらしい喜色に染めた笑顔で何度も頷いていた。

 

 尻たぶを左右に開き、恥ずかしい箇所を剥き出しにする。奥の皺まで見えそうなくらい広げられ、外気に触れた菊門が物欲しそうに蠢いた。真がそこに肉竿を添えると、ジャンヌの体がピクンと震えた。裏筋を擦るように押し付けると、痙攣が断続的なものになる。こそばゆい感触に期待感が募るが、いくら待っても男根が菊門に挿入されなかった。

 

「ご主人様、早く早くぅ♡」

 

 焦らすように肉棒をスライドさせ続ける真にジャンヌは声を震わせて嘆願する。哀切な視線を背後に向けるジャンヌが見たのは意地の悪い真の笑顔だった。

 

「どこに欲しいんだ?」

 

 その問いに聖女は顔を茹でられた蛸のように赤くする。教えてやっただろ? という真の言葉にジャンヌは顔に帯びた赤味を濃くさせた。肉欲と姦淫に頭までどっぷりと浸かってしまっているジャンヌだが、それでも一抹の羞恥心が胸の中に残っていた。第三者にしてみれば何を今さら言ってるんだと呆れるかもしれないが、そこは複雑な乙女心である。

 

「だ、だから、ここです……」

 

「ここじゃ分からんなぁ」

 

 是が非でも言わせたいのか、真は底意地の悪い返答をする。

 

「うぅ~っ! い、いじわる、ご主人様のいじわるぅ!」 

 

 羞恥心で流れる涙を目尻に溜めてジャンヌは真を睨み付けた。ベッドの上で肌を重ねていた時に真から教えられたあの言葉。実際に口にするところを想像すると恥ずかしさの余り死んでしまいそうになる。しかし、心も体も昂ぶってしまっているジャンヌに言わないという選択肢は取れなかった。視線を落としながら消え入りそうな声で呟く。

 

「け、けつまんこにください……」

 

「ん、何か言った?」

 

「っっっ~~~……ケツマンコ、ケツマンコぉ。ご主人様のでっかい極太カリ高ちんぽ、淫乱肉便器女のケツマンコにぶち込んで下さい。ご主人様のおちんぽのことしか頭に無い、生ハメラブラブセックス中毒女のケツマンコにどろどろ特濃ザーメンお恵み下さい」

 

 一瞬の逡巡、ジャンヌは顔を棗のようにしながら胸の内にあった欲求を大声で吐露した。満悦の表情を浮かべ、真は桃色の蕾に男性器の先端を当てる。亀頭を覆う精液や涎の粘つきを肛門に感じ、ジャンヌは身を強張らせた。

 

「よく言えまし、た」

 

 腰を進ませ、亀頭を肛門内に差し入れていく。排泄器官をメリメリと押し広げ、侵入してくる異物にジャンヌは背筋を反らしながら目を見開いた。何度味わっても飽きることのない、後ろの穴までも征服される快感に両脚が頼りなく震え、秘所から溢れ出る蜜液が玉になって床へと落ちていく。

 

「ご主人様ちんぽ、来ましたぁ♡ ご主人様ちんぽ、私のケツマンコ犯してるぅ♡」

 

 精液と涎を潤滑剤にし、小さな肉穴を拡張しながら真は男根をジャンヌの直腸内へと沈めていった。何十回、交わっても変わらない初物のような締め付けが心地よく、真の背筋にぞくぞくと官能的な悪寒を走らせる。圧迫してくる腸壁を掻き分け、腸内に肉棒を根元まで埋めた。

 

「あ、あぁ、はあぁぁぁ……♡」

 

 ケツ穴を犯され、喘ぐことしか出来ないジャンヌ。汗ばんだ体が電撃を流されているかのように断続的に痙攣していた。真がゆっくりと腰を動かし始めると喘ぎ声に艶が滲み出し、全身の痙攣もより強いものになっていく。

 

「気持ち良い、気持ち良いよぉ♡ ケツマンコセックス気持ち良いよぉ♡」

 

 排泄器官で交わるどこか後ろ暗いものを感じる背徳的な快楽にジャンヌは狂っていく。喜悦に涙を流しながら腰を上下にいやらしくくねらせ、少しでも得られる快感を大きくしようとしていた。

 

「そんなに犯されるのが好きか、淫乱女?」

 

 声を上擦らせないように努め、真はジャンヌを詰った。言葉責めで感じているのか、アナルの具合が一段と良くなる。逸物を押し潰さんばかりの圧力に思わず腰を止めそうになるが、歯を食い縛って腰骨が浮くような肉悦に耐えた。傘を開いたカリ首で狭隘な腸内を往復し、ジャンヌをよがらせる。

 

「好きぃ、大好きぃ♡ オマンコセックスもケツマンコセックスも大好きぃ♡ 私はご主人様に犯されるのが大好きなオマンコ奴隷ですぅ♡ 四六時中ご主人様のことばっかり考えてる、ご主人様のことだけしか考えられないくらい頭が馬鹿になっちゃった駄目サーヴァントですぅ♡ 私、ご主人様が傍にいてくれないと、ご主人様が愛してくれないと生きていけない体になっちゃいましたぁ♡」

 

 きつく締まりながらも柔らかく伸び広がった腸内粘膜が真の分身を刺激する。膣内とはまた違った快感をもたらす腸内の動きに真の頭が痺れた。もっと強く激しく味わいたいと真はピストン運動を加速させていく。ガン、ガンと腰を叩き付けるようなストロークにジャンヌの桃尻が肉感的に揺れ、ジャンヌは歓喜の絶叫を細い喉から迸らせた。

 

「そう、か。俺が傍にいないと生きていけないか。だったら、お前の体をそんな風にしちゃった責任を一生かけて取らないとな」

 

「ほ、ほんとれすか? うれしい、うれしいれすごしゅじんしゃま♡ わらひも、わらひもごしゅじんしゃまのそばにいましゅ♡ いっしょうそばにいて、わらひがしゃしだせるものぜんぶあげましゅ♡ こころもからだもぜんぶ、ごしゅじんしゃまにしゃしゃげましゅ♡」

 

 力強い腰の打ち込みに女体を波打たせ、ジャンヌは己が真の所有物であると宣言する。彼女の言葉に真は自分でも恐怖を覚えるほどの凶悪は支配欲と達成感を味わった。胸の内に渦巻くどすぐろい感情に身を委ね、一匹の野獣となった真はジャンヌの美しい体を蹂躙していく。下半身をジャンヌの臀部に勢い良くぶつけ、豊潤な尻肉をたぷんたぷんと激しく弾ませた。

 

「あん、あぁん♡ しゅごい、ごしゅじんしゃまちんぽしゅごいのぉ♡ けつまんこごりごりえぐってるぅ♡ けつまんこ、ごしゅじんしゃまのかたちにかえられてりゅう♡」

 

 性器と排泄器官で繋がった二人の下半身を快感の波が呑み込んでいく。寄せては返り、二人を絶頂へと押し上げていった。

 

「いくぅ、いくぅ! いくぅぅぅ!!!」

 

 平手でも打つような激しい音と共にジャンヌのアクメ絶叫が室内に響き渡る。ぎゅうっ、と直腸が逸物を搾り込んだ。爆発寸前の射精感に歯を食い締め、真は男性器を根元まで聖女のアナルに突き刺す。

 

「出すぞぉ!」

 

「だして、だしてぇ!!」

 

 疼いていた睾丸から精液が噴き上がる。脈打つ男根の中を駆け上った糊のような白濁液が鈴口から飛び出してジャンヌの腸内を汚していった。排泄器官でのオルガズムにジャンヌは声を上げることも出来ず、豊満な肢体を跳ねさせた。開きっぱなしになった口から透明な雫が垂れ落ちていた。

 

 精をジャンヌの腸内に出し切り、真は鎮まらずに猛りっぱなしの男根をアナルから抜き出す。元の小さなサイズに戻った菊門から腸液の混じった精液が流れ出ていた。真が両手の親指で小さな穴を広げると、更に奥からどろりと白い粘液が溢れてくる。その様に真がムクムクと性欲を燃え上がらせていると、ぼうっと目を霞ませたジャンヌが締りのない笑みを浮かべながら振り返った。

 

「ごしゅじんしゃまぁ♡ もっろ、もっろほしいれす。おまんこもけつまんこももっろどろどろにおかしてくだしゃぁい♡」

 

 こんどは、と目をベッドへと向ける。

 

「おるたしゃんもいっしょに」

 

 ベッドの上では二人の禁断の交わりをオカズに自分を慰めていたジャンヌ・オルタが顔を真っ赤に染めながら、物欲しそうに潤んだ瞳で真を見詰めていた。




 長らくお待たせして申し訳ない。え、待ってない? ですよね。

 三万文字超えという長文。文字数に見合う質のものを書けたのか、それともただ冗長な駄文を書いたのか。判断は読者の皆様にお任せします。


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『ダブルジャンヌ(下_後編)』溺れる夜

 長かった……これにて完結。うん、もう複数プレイは二度と書かないぞう!


「オルタさん、もっと舌を伸ばして下さい……ん、ちゅう」

 

「ちゅぷ、ちゅぱ……ちょっと、そんなにがっつかないでよ。気持ち悪いったらないわ……んむ、ちゅろぉ」

 

 ベッドの上で聖女と魔女が重なり合っていた。仰向けに横たわったジャンヌに覆い被さる格好でジャンヌ・オルタがまたがっている。二人とも左右に両脚を開き、トロトロになった股間を恥ずかしげもなく曝け出していた。真とのセックスが待ち切れないのか、二人は濃厚なレズキスで互いを慰め合っている。

 

 くちゅくちゅと卑猥な音を奏でて舌を絡ませ合う二人。時折、聞こえる互いの唾液を嚥下するごくっという音に真は愉悦の笑みを浮かべる。向けられた臀部、丸見えになった二人の上下に並んだ美しい秘所。淫靡な音と光景を耳と目で愉しみながら真はどっちから先に味わえばいいのかと贅沢過ぎる悩みに首を捻っていた。どちらの秘所も急かすように開いたり閉じたりを繰り返している。

 

「お願い、真。これ以上焦らさないで」

 

「ご主人様、お願いします。このまま待たされてたら私達おかしくなっちゃいます」

 

 決めあぐねている真に二人が流し目を送る。期待と色欲の光を湛えた金と蒼の双眸が真の生殖欲求を刺激してきた。一刻も早く二人を味わいたいと思う反面、絶品二つを前にして即決も出来なかった。数秒ほど考えた末、真は自ら選ぶ権利を放棄する。

 

「どっちからして欲しい?」

 

 替わりに目の前の二人に決めさせることにした。

 

「欲しいなら、欲しいって言ってくれ」

 

 自分から誘え、と。俺を誘惑してその気にさせろ、と真は言う。その要求にな、とジャンヌ・オルタが言葉を失って顔を朱に染める一方、ジャンヌは顔を淫蕩に輝かせて期待に応えようとする。ジャンヌ・オルタの腰に回されていた両腕が解かれ、彼女の体の下に隠れた。

 

「ちょ、ちょっと。あんた何してるのよ」

 

 くすぐったそうに身動ぎするジャンヌ・オルタ。少しすると、重なった二人の下腹部の間からジャンヌの両手が出てきた。現れた両手は自らの股間へと伸びていき、濡れそぼった秘所を広げる。

 

「ご主人様ちんぽで犯してぇ♡ 淫乱肉便器女の性処理マンコにおちんぽハメハメしてプリプリ精子子宮にぶっかけてぇ♡ ぐちょぐちょマンコザーメン漬けにしてぇ♡」

 

 くぱぁ、と開かれた女の花園が内部を剥き出しにした。湯気を立ち昇らせそうなくらいに熱くなった媚肉が不規則に蠢いて雄を奥へと呑み込もうとしている。ここに逸物を挿れたらどれだけの快感が得られるのかを考えるだけで思わず射精してしまいそうだ。

 

「それじゃ、まずはジャンヌからだな。オルタは欲しくないみたいだし」

 

 何の躊躇いもなく、犯されるために媚びた声と態度で男を誘うジャンヌに言葉を失っていたジャンヌ・オルタは真の声にハッとする。ジャンヌの肉壺を堪能しようと膝立ちになって腰の位置を合わせる真に慌てて待ってと、声をかけていた。

 

「欲しくないなんて馬鹿なこと言わないでよ。私だって、私だって……」

 

 さっきの理性が溶け落ちて淫欲をあらわにしたジャンヌの声を思い出し、頭が沸騰しそうになるくらい体を熱くさせながらジャンヌ・オルタは真を誘惑しようとする。膝を立てて美しく丸みのある臀部を持ち上げて見せ、想い人からの寵愛を得るために小刻みに揺らした。濡れ光る汁だくの秘所が蜜液を垂らしている。

 

「欲しいの、貴方が欲しくて堪らないの。見て、オマンコもこんなに涎垂らしちゃってもう我慢出来ないの。お願い、その大きくて太くて硬いおちんぽ、私に頂戴。貴方で私を一杯にして」

 

 情欲を顕著にさせたジャンヌとは対照的にどこか恥じらいを感じさせながらもジャンヌ・オルタは真からの愛を求めた。美少女二人からの淫らなお誘いに真の男根は天井に向かって雄々しくそそり立った。

 

 甲乙つけられない誘惑に迷うこと数秒。真は聖女を選んだ。

 

「まずは先に言えたジャンヌからだ」

 

 真の言葉にジャンヌの顔がぱぁと華やぐ。対してジャンヌ・オルタはこの世の終わりを間近に控えたような悲観的な表情を浮かべた。小さく笑い、真はジャンヌ・オルタのヒップを一撫ですると身を乗り出し、安心させようと美しい背筋に軽くキスをした。

 

「一回、逝ったら交代な」

 

 手でジャンヌ・オルタの美尻を撫でながらジャンヌの淫裂に狙いを定める。互いに挿入しやすいよう腰の角度を調節し、ベストな位置を見つけて一息に男根をジャンヌの中に侵入させた。

 

「おちんぽ、おちんぽきたぁ♡」

 

 男の象徴を挿れられ、ジャンヌは歓喜の声を上げる。蠢動する膣壁が逸物を歓迎し、快楽のもてなしをしてきた。絡みついてくる肉襞を押し広げ、亀頭を子宮口へと突き刺す。こりっとした感触が快感となって男女の体を貫いた。最奥まで犯され、ジャンヌは満ち足りた表情で悦びを露わにする。

 

「うぅ……早く、早く逝きなさいよぉ。私ももう我慢出来ないんだからぁ」

 

 顔を蕩けさせるジャンヌを心底羨ましそうに見ていたジャンヌ・オルタだったが、突然彼女の唇を奪って濃厚なディープキスを始めた。少しでも多くの快感を与えて一刻も早く逝かせるつもりのようだ。

 

「んぅ、れるぉ、オルタさん、ずるいでちゅむぅ」

 

「逝け、逝っちゃえぇ……じゅるるぅ」

 

 目を丸くさせて抗議してくるジャンヌの口に舌を捻じ込んで強引に黙らせる。奥に引っ込もうとする舌を自分のもので絡め取り、ジャンヌ・オルタは自らの口内へと引きずり込んで激しく吸い立てた。最初は抵抗の意思を見せていたジャンヌだったが、上の口と下の口からもたらされる快感に目をとろんとさせる。

 

 美少女二人が互いの唇を激しく吸い合う音が真の中に新たな興奮を生み出した。キスをしている二人も同様に興奮しているようで、ジャンヌの膣内はより熱くなりながらうねって男根を搾り上げる。ジャンヌ・オルタの秘所からも半濁になった粘液が雨垂れのように零れ落ちていた。

 

「んぅ、んくぅ、んんんぅぅぅ♡」

 

 数回、ジャンヌの中をペニスが往復するとジャンヌは体を反らして絶頂する。ぷしゃあ、と淫裂の中から噴き出した潮が真の体を濡らした。ジャンヌ・オルタが舌を放して覗き込んで見ると、ジャンヌは聖女とは程遠い目も当てられないアヘ顔を浮かべて絶頂の余韻に浸かっていた。

 

 さっき言ったとおりに次はジャンヌ・オルタの番だと真が逸物を引き抜こうとすると行っちゃ嫌とばかりにジャンヌの膣圧が強くなる。肉棒を包み込んでいる強い摩擦が肉悦に変わって真に襲い掛かった。特にカリ首を引き抜く時の締りには思わず射精しそうになったが、どうにか堪えて愛液に塗れた分身を今度はジャンヌ・オルタの秘所へと突き立てる。

 

「真、真♡」

 

 愛する男を胎内に迎え入れた喜びにジャンヌ・オルタは目尻に涙を浮かべてよがった。きゅんきゅんと蠕動する肉壺内が男根をしゃぶり上げ、真に腰骨を撫でられたような快感を覚えさせる。真が腰をまろやかで張りのある美尻にぶつけてパン、パンと乾いた音を奏でるとジャンヌ・オルタはあられもない嬌声と一緒に涎を口から溢れさせた。雫になった体液が垂れ落ち、ジャンヌのアヘ顔へとかかる。

 

「あぁ~、あぁぁ♡」

 

 背後から男根で秘所を串刺しにされているジャンヌ・オルタは暴力的な快楽の波に呑まれ、よがり声を上げることしか出来なかった。長大な肉棒で掻き混ぜられている膣内と同じように思考もぐちゃぐちゃになっていく。そこから数回、子宮口を亀頭でノックするとジャンヌ・オルタの背筋が美しいカーブを描いた。小刻みに膣内が収縮していることから逝ったのだと分かる。再びジャンヌと愛し合おうと真は腰を引こうとするが、

 

「らめぇ、ぬいちゃらめぇ♡ いっれない、わらひいっれないからぁ♡」

 

 ジャンヌ・オルタが臀部を突き出して抜き出すのを阻止してきた。外に出ようとするペニスをまた蜜壺内に呑み込む。男根を捕らえて離さない甘美な襞が肉の塊を撫で回し、腰の抜けそうな法悦を真に味わわせた。思わず動きを止めた真にヒップを押し付け、逸物の根本に恥丘を擦り付けながらジャンヌ・オルタは腰を淫らにくねらせる。擦れ合う部分からにぢゃにぢゃと卑猥で粘着質な淫音が奏でられた。

 

「いっれない、いっれないぃ♡ らからもっろひれぇ♡」

 

 真が動かないのをいいことにジャンヌ・オルタは快楽を貪る。勿論、そんな暴挙が続くのを聖女は許さなかった。

 

「オルタさん、ずるいです! さっきからずっと逝ってるじゃないですか、早く替わって下さい!」

 

「いっれないもん、いっれないもん!」

 

 怒りの表情を浮かべるジャンヌに駄々をこねる子供の様に首を振るジャンヌ・オルタ。表情をトロトロに蕩かせ、発情した雌その物の逝き顔は誰が見てもオルガズムに至っているのは明らかだが、魔女は愛する男を少しでも長く独占しようと頑として認めなかった。

 

 むむむ、と嫉妬心を剥き出しにしてジャンヌは頬を膨らませる。悔しげに眦をきつくしてジャンヌ・オルタを睨み付けていたが、あることに思い至り表情を淫蕩に歪ませた。逝ってないと言うのなら、ぐうの音も出ないほどに激しく逝かせてやればいいのだ。

 

 くすりと微笑し、ジャンヌは人差し指を口に含む。舌をもごもごと動かして指に唾液を塗り付け、ちゅぽっと引き抜いた。口元に浮かべた艶笑をそのままにジャンヌは手を伸ばしていく。向かう先はジャンヌ・オルタの臀部。熱く火照った美尻を一撫でし、涎で濡れテカる白魚のような指先でひくひくと動くアナルを引っ掻いた。

 

「ひぐぅぅぅ!!!」

 

 甲高い悲鳴を上げてジャンヌ・オルタが体を一際大きく跳ねさせる。ジャンヌの指が誰も踏み入ったことのない菊門を撫でる度にジャンヌ・オルタは嬌声を部屋中に響かせた。真の突き込みに合わせてしぶいていた潮が量を増し、びしゃびしゃと真やジャンヌの体、ベッドに降りかかっていく。

 

「あぁ、あうぅぅ、ひゃあああああ♡」

 

 胎内を抉る真の分身がもたらす快感とジャンヌに肛門を弄られる未知の快感。二つの快感にジャンヌ・オルタは半狂乱で啼いて逝き果てた。何度か強く体を痙攣させると、ブリッジを描いていた上半身が崩れ落ちる。高く掲げられたままのヒップから腰を離し、真はジャンヌの膣内へと逸物を埋めた。

 

「んふあああぁ、ご主人様のちんぽぉ♡ おっきい、おっきいよぉ♡」

 

 トロ顔で大きく喘ぎながらもジャンヌはジャンヌ・オルタのアナルを弄るのを止めなかった。膣内を往復し、子宮口を強く叩く極太男根の感触に全身を震わせてよがりながら魔女の菊門を指先で円を描くように押し広げる。

 

「やらぁ、やらぁ。やめへぇ、いじるのやめへぇ。そこちがう、ちがうからぁ」

 

「あっ、あん♡ 違くありませんよ、オルタさん……ひゃん♡ 何も違く、ありません♡」

 

 不浄の穴を弄られて感じていることを認めたくないのか、ジャンヌ・オルタは泣いて懇願する。しかし、彼女のお願いに返ってきたのはより激しく菊門を引っ掻きだした指先の動きと妖絶なジャンヌの笑顔だった。ジャンヌ・オルタの頬を流れ落ちてくる宝石のような涙を舌で舐め取り、蠱惑的な笑みを深める。

 

「違くなんて、ありませんよ……んぅ♡ 前も、後ろも、ご主人様の、ひゃん♡ おちんぽ挿れてもらって、気持ち良くなってもらうための肉穴なんですから、ひぅ♡ 私達のオマンコも、ケツマンコも、ご主人様専用のザーメン便所なんです♡」

 

 オルタさん、と快楽に声を途切らせながらジャンヌは囁いた。

 

「私のぉ、指でこんなに泣くくらい気持ち良くなっちゃって、うぅん♡ これがもし、ご主人様のおちんぽだったら、はぁ♡ どうなっちゃうんでしょう♡」

 

 ジャンヌの言葉に一瞬、ジャンヌ・オルタの脳裏にある情景が浮かぶ。背後から真に組み敷かれ、ケツ穴を犯されてよがり狂う己の姿。後ろの穴での交わりという背徳的な行為に想像の中のジャンヌ・オルタはこれ以上ないほどに乱れた表情を浮かべて快感に溺れていた。

 

「「ひにゃあああ♡」」

 

 聖女と魔女が共に喜悦の声を絶唱する。鼓膜に心地よく響く二人の嬌声に真は己を一段と昂ぶらせ、真は快楽の魔窟になっているジャンヌの肉壺から分身を抜き出し、体液でドロドロにコーティングされたそれでジャンヌ・オルタの秘所を貫いた。

 

 絶頂で頭を茹らせながらジャンヌは想像だけで逝ってしまったジャンヌ・オルタを見詰める。真の熱いストロークに果てたばかりの体が電気を流されているみたいに大きく跳ね回っていた。口からは要領を得ない喘ぎ声が溢れ、ダラダラと流れ出る唾液が口元を汚している。

 

「ふふっ、オルタさん。ご主人様におちんぽ、ケツマンコにぶっ挿して滅茶苦茶にされるところを想像しちゃいましたね。それで逝っちゃったんだ。この淫・乱♡」

 

 ジャンヌ・オルタの涎を舐め取り、サディスティックに笑ってジャンヌは止めていたアナル弄りを再開した。魔女の悲鳴に一段と艶が増し、前と後ろの穴に奔る快楽に思考を灼き尽くされていく。

 

「いんらんじゃないもん、わらひいんらんじゃ、にゃひぃぃぃ♡ いきゅ、いきゅう♡ わらひいっへる、ずっろいっへるのぉ♡ しんのおちんぽ、おまんこぐちゅぐちゅえぐっへぇ、しきゅうじゅんじゅんちゅいてりゅうぅ♡ おかしくなりゅう、あらまおかしくなっひゃうよぉぉぉ♡」

 

 脳が姦淫に汚染される。ジャンヌ・オルタは自分が自分では無くなってしまいそうな快感に恐怖と、それを遥かに上回る悦びに己を見失っていった。気が狂いそうな肉悦と想い人に愛される歓喜に板挟みにされたジャンヌ・オルタは今まで以上の深みへと滑り落ちていく。

 

「なっちゃいましょう、オルタさん。もっと、もっとおかしくなって私と一緒にご主人様のオマンコ奴隷になっちゃいましょう。心も体も全部ご主人様に奪ってもらって、私達の全部ご主人様の物にしてもらうんでひゅぅぅぅ♡」

 

 再度、真とのセックスが始まりジャンヌは軽く白目を剥き、ジャンヌ・オルタの体を持ち上げるほどに全身をしならせた。狭く柔らかな肉孔を男根で蹂躙される悦びと快感で意識が一瞬で忘我の境地へと達する。泣き叫ぶような嬌声が部屋の中を反響し、声と共鳴した蜜壺が逸物を甘く激しく揉み潰す。蠢きうねる膣壁がタフなペニスを奥へと誘い、肉襞の一枚一枚がカリ首を撫で上げ亀頭を舐め回した。男根に浸透し、内側から溶解させんばかりの快美な刺激に真は身震いし、射精と変わらない大量の先走りをジャンヌの胎内に吐き出す。

 

「ひゃううぅ。がまんじるぅ、びちゃびちゃっへなかにでへるぅ♡ しきゅうちゃぷちゃぷになっへぇ、おぼれひゅう♡」

 

 ただただ与えられる快感に溺れ、ジャンヌは享楽に耽って悦びを露わにした。涙と涎で汚れた顔は目も当てられないほどに色欲で染まり切っている。商売女ですらしないだろう、男の欲望を猛り狂わせるアヘ顔を浮かべるジャンヌをジャンヌ・オルタは熱で霞んだ瞳でぼうっと見ていた。思考能力が壊滅的になってしまった頭の中ではさっきジャンヌの言っていたことがメリーゴーランドよろしくぐるぐると回っている。

 

『もっと、もっとおかしくなって私と一緒にご主人様のオマンコ奴隷になっちゃいましょう。心も体も全部ご主人様に奪ってもらって、私達の全部ご主人様の物にしてもらう』

 

 己の心と体、全てを奪われて愛する男の物にされる。何と甘美な響きなのだろう。想像するだけで子宮が痺れ、女の性がのたうち回りたくなるほどに疼いた。己の全てを愛する人に捧げ、心も体も貪られる。互いに愛という甘やかな蜜を注ぎ合って心と体、全てを満たし合う。それは何と素晴らしく、そして幸福なことなのだろうか。気付けばジャンヌ・オルタは舌足らずになりながら、震える声で宣言していた。

 

「なりゅ、なりゅぅ♡ わらひ、おまんこどれいになりゅぅ♡ しんの、ごひゅじんひゃまのおまんこどれいになっへいっぱいあいひへもらうの♡ ごひゅじんひゃまのこと、いっぱいあいひへあへるのぉ♡」

 

 互いに嬉し涙を流し、抱き締め合う聖女と魔女。夢中で口付けを交わし、それぞれの唾液を啜り合っている。

 

「いっしょ、いっしょれすおるたしゃん♡」

 

「うん、いっしょ、いっしょ♡」

 

 共に愛する男に抱かれる悦びを共有し、分かち合うように二人は濃厚なキスを続ける。パンパンと鳴る肌が打ち合う乾いた音と共に聞こえる口付け音に煽られて肥大化する獣欲に従い、真はジャンヌとジャンヌ・オルタをかわるがわる犯していった。剛勇な男根で二人の秘所を何十回と貫き、媚肉を掻き回して潮を噴かせ、快楽を叩き込んで嬌声を響かせる。己を満たすペニスの逞しさに二人は声を上げて啼き喚き、狂い死にしそうになる肉悦の海の中で溺れていく。

 

 一方、二人の美少女を何度も絶頂させた逸物が限界を迎えようとしていた。体内に積み重なってきた快感に真は逞しい肉体を震わせ、男根を戦慄かせる。彼女達の膣内で肉棒を滑らせる度に白く濁った腺液が鈴口から溢れ出てきた。神経に直に快感を流し込まれているような快美感に男性器は激しく痙攣し、射精と変わらない量の我慢汁を二人の胎内に吐き出す。

 

「そろそろ、出るぞ!」

 

 真の切羽詰まったような言葉に男の象徴を蜜壺に嵌め込まれているジャンヌは目を輝かせ、ジャンヌ・オルタは切なそうに顔を歪めた。

 

「らひてぇ、らひてくらひゃいごひゅじんひゃまぁ♡ じゃんぬのおまんこ、ごひゅじんひゃまざーめんでたねつけしへぇ♡」

 

「らめ、ぜったいらめぇ♡ ごひゅじんひゃまはわらひにらすの♡ ごひゅじんひゃまざーめん、おるたまんこにだすのぉ♡」

 

 二人の求めに射精欲求が爆発し、性器の根本から先端に稲妻のような快感が駆け抜ける。真は恥骨を押し付けるように腰を突き出し、ジャンヌの奥深くに思い切り精を放出した。

 

「ひゃああああ♡ ざーめん、ざーめんいっぱいきたぁ♡」

 

 白目を剥き、舌を突き出して絶頂するジャンヌ。子宮内に白濁液を撃ち出され、喉を震わせて嬌声を迸らせる。ジャンヌの膣内に男根を突き刺したまま二度、三度と射精すると真は急いで腰を引いた。絶頂で急激に収縮する蜜壺に精を搾り出されるが、残弾は十分に残っている。脈動して先端から白い粘液を吐き出すペニスを今度はジャンヌ・オルタの秘所へと突き立てた。

 

 突然の挿入にジャンヌ・オルタの体が硬直するが、それも束の間。次の瞬間には全身を痙攣させてアクメ声を部屋中に響かせていた。ジャンヌ・オルタが体を震わせて逝っている最中にも真は射精を続け、容赦なく彼女の胎内を白濁で染め上げていく。何時までも終わらないオルガズムにジャンヌ・オルタは意識を真っ白に塗り潰され、ただ体を突き上げる快感のままに喘いでいた。

 

「あぁ、あぅぅ、んうぅ、いぐぅ、いぐぅぅぅぅぅ♡」

 

 二人の嬌声をBGMにして真は精を放ち続ける。白濁液が秘所から溢れてもお構いなしで射精を続け、二人の美少女をドロドロに汚していった。真の剛直が猛りを静める頃には二人の下半身は至る所が白濁の粘液でコーティングされていた。

 

 真が獣のように荒くなった呼吸を整えようとしていると、のろのろとした動きでジャンヌ・オルタが横に転がるようにしてジャンヌの体から下りた。蕩けて溶けた蒼と金の双眸が真をじぃっと見詰める。頬を紅潮させ、艶のある息を吐きながら聖女と魔女はうっとりと真に魅入っていた。

 

「「ごしゅじんさまぁ♡」」

 

 同じ声で同じことを言い、全く同じ動作で真に近づいてくる。四つん這いになった二人は真に擦り寄ると、左右から抱き付いた。むにゅぅと挟み込んでくる柔らかく豊満な女体を抱き締めると、二人は快楽で締まらなくなった顔で愛おしそうに笑顔を浮かべる。

 

「「あいしてます♡」」

 

 そう言って、彼女達は想い人の頬に口付けをするのだった。

 

 

 

 

「痛くないか?」

 

「いえ、全然。とっても気持ち良いです」

 

 浴室に真とジャンヌの声が小さく響いた。お湯で濡れた床の上、小さな台形の椅子に座った二人が並んでいる。ジャンヌは真に背を向け、真はジャンヌの美しい金髪を洗っている真っ最中だ。

 

 床に落ちたり傷つけないよう細心の注意を払い、真は泡で一杯にした両手で絹みたいに滑らかな金色の髪を清めていった。髪の間に指を通し、指先に愛情を込めて丁寧に梳いていく。髪を洗う真の優しい手付きにジャンヌはうっとりと、幸福その物の表情を浮かべていた。愛しい男の指が泡を纏って髪を滑っていく心地良さにジャンヌは桃色の吐息を漏らす。

 

「……ムカつく」

 

 恍惚と、幸せそうに顔を緩ませて真に身を任せているジャンヌを一人湯船に浸かりながら嫉妬の目で見据えるジャンヌ・オルタ。両腕を湯船の外に出して浴槽に凭れかかり、ぶすっとした顔でジャンヌを羨望の目で見ていた。何時の間に持ち込んだのか、小さなプラスチック製の水鉄砲を右手で器用にクルクルと回している。

 

「何よ、ガキじゃあるまいし髪くらい自分で洗えるでしょ。長いからって調子に乗ってんじゃないっての」

 

 ぶつぶつとジャンヌ・オルタが唱える恨み言に真は苦笑いを浮かべる。当事者であるジャンヌはすまし顔で聞き流し、真の指先の動きに神経を集中させていた。

 

(うぎぎ……落ち着け、落ち着きなさい私。別に何も聖女様が特別なことされてる訳じゃないし。ただ、髪を洗ってもらってるだけだし。普通のことだし、私も後でしてもらえばいいだけの話だし。羨ましくなんか……無い訳ないでしょうが!)

 

 心象風景を焼け野原にせんばかりの嫉妬の炎を胸中で燃え上がらせ、ジャンヌ・オルタは百面相を浮かべる。悶々としているジャンヌ・オルタを他所にジャンヌの髪を洗い終えた真はシャワーを手に取り、緩い勢いのお湯をかけて泡を洗い流していく。温水と一緒に泡が体を流れ落ちていく感覚にジャンヌはこそばゆそうに身動ぎした。

 

「これでよし、と。うん、綺麗だ」

 

 泡を流し終え、真はジャンヌの髪を手に取る。浴室の電灯の光を浴びて放たれる金色の輝きは見る者を魅了した。真も思わず顔を近づけ、鼻先で髪の匂いと感触を楽しんでいた。濡れた艶々とした肌触り、柑橘系シャンプーの爽やかな香りが男を夢中にさせる。真は金髪に鼻先を押し付けたまま、心地良い感触を辿って顔を持ち上げていった。

 

「ん……真君、くすぐったいです」

 

 髪を押しのけて触れてきた鼻先に背筋や項を撫で上げられ、ジャンヌはむず痒さに身をくねらせる。ごめん、と謝る真にジャンヌは鷹揚な笑みで首を振って見せた。別段、咎める気は無いようで、むしろもっと触って欲しそうだ。

 

「触りたかったら、もっと触ってもいいんですよ?」

 

「いいのか? じゃ、遠慮なく」

 

 ジャンヌから許しをもらった真は大胆に両手を伸ばし、ジャンヌの豊乳をがっしりと鷲掴みにする。大きく豊かな乳房に指を沈めて押し返してくる弾力を愉しみ、変幻自在に形を変える女性の象徴の柔らかさを堪能した。

 

「あん♡ もう、確かに触ってもいいって言いましたけど、いきなりおっぱいだなんて。真君のエッチ♡」

 

 桃色の嬌声を零し、ジャンヌは肩越しに真を見る。台詞だけ見ると非難しているように思えるが、声音には隠すつもりも無い女の悦びの色があった。真に向けられた蒼い双眸も淫らな光を宿しており、愛する男に秋波を送って誘っている。

 

「嫌か?」

 

「ううん。真君なら、大歓迎です♡」

 

 バストを揉みしだく真の両手に己の手を重ね、一層強く揉ませながらジャンヌは真へと寄りかかるように体を摺り寄せた。科を作って豊満な女体を真に押し付け、自ら真の指を乳輪へと誘導して触れるように仕向ける。ジャンヌの誘いにほいほいと乗ってしまった真は彼女の思惑通りに指先で数回乳輪をなぞり、ぷっくりと膨らんだ乳首を弾いた。

 

「ひゃあん♡」

 

 艶めかしい、色っぽい喘ぎ声で雄の琴線にくすぐる。官能的な息を至近距離から真に浴びせ、濡れた瞳で愛して欲しいと訴えかけた。

 

「真君……」

 

 陶酔した様子で真の名を呼びながら目を閉じ、小さく唇を突き出す。そのまま愛する男の唇が触れるのを待つこと数秒。ジャンヌに与えられたのはキスではなく勢い良く噴きかかってくる温水だった。

 

「このどスケベ女! 私の目の前で真とイチャついてんじゃないわよ、このこの!!」

 

 真を誘惑するジャンヌに堪忍袋の緒を切らしたジャンヌ・オルタが柳眉を吊り上げ、物凄い勢いで水鉄砲のトリガーを引きまくっていた。銃口から一直前に飛び出した温水が的確にジャンヌの顔に命中していく。きゃっ、と小さく悲鳴を上げるも、ジャンヌは素早く傍らに置いていた風呂桶でジャンヌ・オルタの射撃を防いだ。

 

「もう、折角、いい雰囲気だったのに! 邪魔しないで下さい!」

 

「するに決まってんでしょうが! 髪洗ってもらった上にキスまでしてもらおうなんてどんだけ欲張りなのよ、強欲女!! そんな羨ましいこと、私の目が黒い内は断じてさせてたまるかっての!!」

 

 激しい口調で口論を交わす二人を見て、これは口じゃ止められそうにないと一瞬で判断を下し、真は椅子ごと一歩下がって避難する。真が見守る中、魔女と聖女の攻防と口論は激しさを増していった。

 

「大体、あんたは存在そのものがあざといのよ。何よ、その長い髪! 髪を洗ってもらったり、乾かしたり梳かしたりしてもらう時の手間を増やして、少しでも長く真とくっ付いていようって浅はかな魂胆が見え見えなのよ!」

 

「ああああざとい!? 私は断じてあざとくなんてありませんし、そもそもこの髪は自前です! それに羨ましいならオルタさんも髪を伸ばせばいいじゃないですか!」

 

「そんなイメチェンしようみたいな軽いノリでそこまで伸ばせるわけないでしょうがぁ! そもそも、あんたと同じ髪型なんて死んでもごめんよ!!」

 

 二人の低レベルな争いが激化していく中、水鉄砲の弾が切れる。小さく舌打ちし、ジャンヌ・オルタは次弾装填のために水鉄砲を浴槽の中へと沈めた。

 

「(守ってたら負ける、攻めないと!)真君、ちょっとお借りします!」

 

「あ、はい。どぞ」

 

 奪い取るように真の手からシャワーを受け取り、ジャンヌは反対の手を伸ばしてバルブへと伸ばして限界まで開く。ジャアー、と中々の威力で温水を噴き出し始めたシャワーをジャンヌ・オルタへと向けた。丁度、水鉄砲にお湯を溜め終えて狙いを定めようとしていたジャンヌ・オルタの顔に温水が直撃する。

 

「わっぷ! ちょ、ちょっと! それは幾ら何でもずるいでしょ!」

 

 顔に向かって飛び出てくる温水を両腕でガードしながらジャンヌ・オルタは抗議の声を上げる。それに対し、ジャンヌは敢然とした表情で言い放った。

 

「ずるくなんてありません! これはジャンヌルールその一、『使えるものは何を使っても勝て』です!」

 

「私の十八番(ジャンヌルール)を、よりにもよってあんたがパクるなぁぁぁ!!!」

 

 両腕を解き、水鉄砲の銃口をジャンヌへと向けてジャンヌ・オルタはお湯を乱射し始める。元々、守りに入る性格ではない。相手がジャンヌ・ダルクともなれば尚更だ。防御を捨て、魔女はただただ攻撃に徹した。

 

 ジャンヌ・オルタの猛攻に一瞬たじろぐも、ジャンヌはシャワーを持つ手を震わせることなく温水を相手に浴びせ続ける。ここで怯んで攻撃の手を緩めるような柔な精神の持ち主ならそもそも英霊になどなっていない。二人はノーガードの殴り合い、もといお湯のかけ合いを続けた。

 

 数分後、濛々と湯気が立ち昇る浴室の中、聖女と魔女は頭からずぶ濡れになっていた。小さく肩で息をしながら形の良い鼻や耳から水滴を垂らし、ビショビショになって束になった前髪を額に張り付けている。

 

「ぜぇ、ぜぇ……このまま続けても、勝負はつかなさそうね」

 

「はぁ、はぁ……そう、ですね。ここは公正な第三者の方に決めてもらうとしましょう」

 

 二人の視線が同時に一人の男へと向けられた。

 

「「真(君)、あんた(貴方)は長いのと短いのどっちがいいの(いいんですか)!?」」

 

「そこで俺に振るのかよ。うん、まぁ何となくそんな気はしてたけど」

 

 それ以前に長い髪と短い髪どっちがいいかなんて話だったけか? と真は首を傾げるが、特に隠し立てすることでもないので正直に答える。

 

「俺は別にどっちもいいと思うけど」

 

 強いて言えば髪の長い人は乾かしたり梳かしたりするのが大変だなぁと思っているくらいだ。実際、真は風呂上りの髪の長いサーヴァント達の相手を何度もしているので身に染みて理解している。これが真の偽らざる本音なのだが、そんな玉虫色の回答で心を昂ぶらせた少女達が納得する訳も無い。

 

「そんなどっちつかずな答え、聞きたくありません! 男の子ならスパッと言って下さい!」

 

「男でしょ、白黒はっきり付けろっての!」

 

 立ち上がった二人は真へと詰め寄る。じりじりと迫ってくる聖女と魔女の迫力に真は思わず腰を浮かせて後退った。しかし、ここは狭い浴室内。逃げ場などなく、すぐに壁際へと追い詰められる。水滴の浮かんだひんやりとしたタイルの壁に背中を付けて逃げ道を失った真に二人は体を密着させた。豊かで美しい肉の山脈が程よく鍛えられた胸板に押し付けられ、むにゅんといやらしく形を変えている。

 

「さぁ、教えてください真君! 私とオルタさん、どっちがいいんですか!?」

 

「私と聖女様、どっちが好きなのよ!?」

 

「そんな話だったか!?」

 

 ハイになった精神が話をあらぬ方向へと飛躍させ、何時の間にか二人の問いかけはどっちの方が魅力的な女なのかというものにすり替わっていた。逃げることも適当に誤魔化すことも許さないと、聖女と魔女は真っ直ぐに真を見詰める。こいつにだけは負けたくないと、瞳の中で競争心の炎をメラメラと燃え上がらせていた。

 

 今だかつて感じたことのない巨大なプレッシャーに流石の真も圧倒される。オルレアンでファヴニールと、オケアノスでヘラクレスと対峙した時。いや、ロンドンで魔術王と遭遇した時でもここまでの圧力は感じなかった。

 

 委縮してたじたじになる真だが、彼の体は押し付けられるたわやかな女体にこれ以上ないほど素直に反応していた。二人が体を押し付ける度に胸板でむにゅむにゅとひしゃげる乳房の柔らかさと、肌に擦れる乳首のコリコリとした独特の硬さ。睫の長さも確かめられるほど近くにあるジャンヌとジャンヌ・オルタの美貌も相まって下半身に血液が集まり、ムクムクと勃起し始めた逸物が丁度ジャンヌとジャンヌ・オルタの間でそびえ立つ。

 

「真君!」

 

「真!」

 

 答えを急かす二人の美少女、そして返答に窮する情けない男。傍から見りゃ完全に浮気現場である。そんな色んな意味で身の破滅一歩手前の状況、真は強引な手段で脱出を試みた。

 

「答えてくださむぅ」

 

「ち、ちょっと、あんた何してんぅ」

 

 二人の腰にそれぞれ片腕を回して力尽くで抱き寄せ、順々に唇を奪ったのだ。頭に血を上らせた二人の納得出来る答えを用意できそうも無いので、キスで誤魔化そうという魂胆である。今の真を誰かが言葉を飾らずに表現したら最低のくそ野郎と答えるだろう。

 

 突然の口付けに面喰い、そして表情を蕩けさせるジャンヌとジャンヌ・オルタ。各々、両手を真の胸板に添えてうっとりと陶酔しているが、真が誤魔化そうとしていることに気付いて眦を吊り上げる。

 

「キスで私達を煙に巻こうとしたってそうはいきません。誤魔化さないでちゃんと言ってんちゅう、ちゅっ、ちゅろぉ」

 

「何時までもキスだけでどうこう出来るチョロい女だと思わないでちょうだい! いやそれより、キスするならまずは私にしてんむぅ、ちゅぱ、ちゅるぅ」

 

 二人が糾弾しようとしてくる度、真は唇で唇を塞いで強引に黙らせていく。舌を吸い、唾液を啜る淫靡な水音が浴室に木霊していた。

 

 何度、口付けされて言葉を遮られてもめげずに二人は真を非難しようとするも、繰り返される濃厚なキスに言葉を失っていく。侵入してきた舌に口腔を舐め回される刺激に体を震わせ、天上の美酒にも思える唾液に酔い痴れていった。舌を絡め取られ、涎を飲まされ続けること数分、聖女と魔女はさっきまで抱いていた問いかけをどぶに投げ捨て、顔をトロトロにさせながら愛する男にしな垂れかかっていた。

 

「真君、もっとぉ、もっとキスして下さい♡」

 

「私も、私もぉ。一杯チューしてぇ♡」

 

 瞳の奥にハートを浮かべるジャンヌとジャンヌ・オルタのおねだりに応えながら真は二人の美尻を撫で回す。健康的かつ蠱惑的な肉付きの良いヒップに指を沈めると、プリプリの尻肉が指の間からひり出てきた。臀部を堪能する真の指使いにジャンヌは情欲に満ちた吐息を漏らし、口付け真っ最中のジャンヌ・オルタは嬉しそうに鼻息を強くさせる。

 

「俺は髪の長いのも短いのもどっちも好きだし、勿論ジャンヌとオルタのことを愛してる。それじゃ駄目か?」

 

 二人とのキスをひと段落させ、真は訊ねた。普通の良識ある人はこう言う。良い訳あるかこの女の敵が! と。しかし、真無しではもう生きていけられない体にされてしまった二人は抗議の声を上げようとはせず、こくんと頷いていた。

 

「はい。どっちが好きかなんて聞こうとしていた私達が愚かでした」

 

「そもそも、あんたみたいな精力絶倫ハーレム野郎にそんなこと聞く方が間違いだったわ……私達はあんたを愛してるし、あんたも私達を愛してる。それで十分ね」

 

 そういうことになった。

 

「お前達を抱きたい」

 

 欲情した声で真は聖女と魔女に囁きかける。二人の美しく括れた腰に回して両腕に力を込め、もっと体を密着させて勃ち上がった性器を太腿へと押し付けた。焼かれた鉄棒のような熱さを肌に感じ、二人は視線を下ろして猛々しくなった真の怒張に気付く。あっ、と二人の口から悦びの呟きが零れた。

 

 視線を持ち上げる二人。紅潮していた頬は更に赤みが増し、双眸にはさっきまでなかったねっとりとした色欲の光が浮かんでいた。

 

「抱くぞ」

 

 言葉短い真の宣言に反対の声が上がるはずも無かった。

 

 

 

 

「さっきはジャンヌからだったから、今回はオルタからだな」

 

 ぱぁ、とジャンヌ・オルタの笑顔が華やぐ。それは咲き誇る花の如く、男を惹きつける魅力に満ちていた。喜ぶジャンヌ・オルタの隣でジャンヌが少しだけ残念そうにしゅんとなる。一分一秒でも早く愛する男と睦み合いたいと胸の中で欲求が騒ぎ立てるが、己を抑えてジャンヌは一歩下がった。折角、自分を愛してくれると想い人が言ってくれているのに、それを第三者が横からしゃしゃり出てきて口を挟んできたら誰だって嫌だろうと思ったからだ。自分がされて嫌なことは人にしない、である。

 

 二人の邪魔にならないようジャンヌは浴槽へと移動する。両脚の膝辺りまでお湯に浸かりながら浴室の中央で真の首に両腕を巻き付け、情熱的に舌を絡め合うジャンヌ・オルタを羨ましそうに見詰めていた。

 

「ちゅっ、ちゅう、ちゅぱ、ちゅろぉ……真、好きよ、大好き」

 

 直向きな愛情が込められた目が真へと向けられている。二人の唾液で濡れ、テラテラと光る唇でジャンヌ・オルタは自分の内にある好意と情愛を言葉にして紡いで真に伝えた。何度目になるか分からないジャンヌ・オルタの告白に真は照れ臭さ三割、嬉しさ七割といった笑みを浮かべる。

 

「知ってるよ。お前の声が余裕で脳内再生出来るくらい言ってもらったからな」

 

 ジャンヌ・オルタの体に回していた両手で彼女の背中を撫で擦った。あん、とくすぐったさに艶めいた声で啼きながらジャンヌ・オルタは小悪魔チックな笑みを口元に浮かべる。

 

「ふふ、じゃあもっとクリアに再生出来るようにしてあげるわ。好き好き好き好き好き好き好き好きぃんぅ♡」

 

 魔女の止まることのない好きのエンドレスワルツをキスで強制終了させる。強引な口付けに怒る気配を微塵も見せず、ジャンヌ・オルタは心地良さそうに目を細めて嬉しさを露わにしていた。

 

「オルタ、挿れるからな」

 

 更に数分、ジャンヌ・オルタとの濃厚なディープキスを楽しんだ真は左手を彼女の右脚へと伸ばし、膝裏に引っかけるようにしてすらりとした美脚を抱え上げた。むっちりとした男好きのする肉感的な太腿が持ち上げられ、濡れそぼっている秘所が曝け出される。そこはさっきまで入っていた浴槽のお湯や室内に籠った湯気とは別の水気を帯びていた。

 

「うん、挿れて。私で一杯気持ち良くなって、私を一杯気持ち良くして」

 

 女の大事な場所を見せつけるような体勢に頬を赤く染めながらも、ジャンヌ・オルタは真から目を背けずに結合の時を待つ。真もジャンヌ・オルタの金色の目を見返しながら腰の位置を合わせ、膨らみ切った男性器を涎を垂らす雌穴へと宛がった。亀頭に触れる、体温以上に熱く思える女体の温度に身震いし、真は蜜液の溢れ返った肉壺へと男の象徴を侵入させる。

 

「あ、あぁっ、あぁん♡」

 

 胎内で生まれる快電流がジャンヌ・オルタを喘がせた。真の首に絡ませた両腕に力が入り、愛する男の体をぎゅっと抱き寄せる。みっちりと閉じた肉筒を押し開き、膣壁を抉って快感を発生させる男根の形と大きさ、硬さと熱さにジャンヌ・オルタは濡れた吐息を零した。

 

 こつん、と亀頭が最奥に当たったのと同時に真はジャンヌ・オルタの唇を奪う。唇を甘噛みし、舌を啜りながら子宮口に押し付けた亀頭で円を描いた。硬く肥大化した勃起に膣奥をぐりぐりと押し潰され、ジャンヌ・オルタは頭の芯まで痺れてしまう。上も下も想い人の器官で満たされる彼女の顔は正しく幸せの絶頂という表現がぴったりだ。真もまた亀頭へとちゅうちゅう吸い付く子宮口の感触に体を戦慄かせた。震える肉棒から我慢汁が放たれ、ジャンヌ・オルタの子宮内に溜まっていく。

 

 逸物を溶かし、全部飲み干してしまうのではと思える蜜壺の甘美感に戦慄しながら真はゆったりとしたピストンを始める。ぬちゅっ、ぬちゅっといやらしい音を立てて男根がジャンヌ・オルタの膣内を出入りしだした。たん、たんと一定のリズムで肉がぶつかる音が浴室に反響し、その度に唇を塞がれたジャンヌ・オルタは鼻から幸福そうな息を漏らしていた。

 

(真君のおちんぽが根本までずっぽりオルタさんのオマンコに……それにキスまでされて、オルタさん凄く嬉しそう。欲しい、真君のおちんぽ、早く欲しいよぉ)

 

 二人の世界を邪魔しないよう息を殺すも、ジャンヌは己の中で急速に募っていく肉欲に逆らえずにオナニーを始める。右手を股間へと伸ばし、とろりと愛液を纏った陰唇を擦り始めた。しかし、彼女の体は秘所に触れるだけの淡い快感ではもう満足できないものになってしまっている。ジャンヌはすぐに我慢出来なくなり、人差し指と中指を一遍に膣内へと挿し込んだ。愛する男のために熱く蕩け、ねっとりとほぐれた己の中に二本の指を激しく出し入れし、聖女は自分が愛される時を心待ちにする。

 

 ジャンヌ・オルタの口内を舐っていた真の舌が引き抜かれた。後を追おうとしてくる魔女の唇から逃れ、真は口角や頬を舐め上げていく。白金の髪も味わった舌がジャンヌ・オルタの耳元へと辿り着いた。耳穴に軽く息を吹きかけるとジャンヌ・オルタの体がぶるりと震える。更に数回、耳責めを続けた真は感情をたっぷりと込めて彼女に囁いた。

 

「愛してる」

 

「~~~っっっ♡♡♡」

 

 言葉に出来ないほどの歓喜がジャンヌ・オルタの全身に行き渡る。愛してるという唯一つの言葉に彼女は体や心、魂までも昇天しそうな喜びを味わった。生まれた喜びは瞬く間に四肢の末端まで伝播し、肉壺内の動きも変化させる。膣壁はきゅんきゅんと程よく締まって男根を抱き締め、竿やカリをしゃぶっていた肉襞がよりぬるぬると絡みつきながら蠕動を始めた。想い人を気持ち良くさせ、その精を己の胎で受け止めようとする雌穴の動きに真は思わず大量の白濁液をぶち撒けそうになる。

 

「うっく……愛してる、愛してるぞオルタ」

 

「私も、私もよ」

 

 腹に力を入れて射精を堪え、真は小さく呻きながらジャンヌ・オルタの耳元で愛を囁き続けた。こうやって愛や想いを伝えられるのが何よりも好きなジャンヌ・オルタは全身を包む多幸感に涎を垂らし、縋り付くように真を掻き抱いた。真の動きに合わせて腰をくねらせ、共に絶頂へと登っていく。

 

「もっと、もっと言って。愛してるって言って」

 

 ジャンヌ・オルタの要望に応え、真は何回も甘い愛の言葉を囁いた。愛してると言われる度、ジャンヌ・オルタは嬌声に抑えられない喜びを滲ませ、表情を濃厚な恍惚の色に染め上げていく。

 

 同時に肉壺の具合もどんどんと良くなっていった。膣内全体が精を搾り取ろうと蠢動し、肉棒を包み込んでくる。襞々が優しく、しかし強く男根の敏感な部分を的確に揉み込み、擦り上げてきた。奥へと引き込むような動きも相まり、真の中で欲望がマグマみたいに熱く滾る。高まる射精欲求に突き動かされ、真は段々と腰使いを早くしていった。

 

(真君、真君。早く、早く私のことも犯して♡ その逞しくてぶっといおちんぽで私のオマンコぐちゃぐちゃに掻き混ぜて♡)

 

 甘さと激しさを増していく二人の情交を前にジャンヌは我慢出来なくなっていく。蜜壺を埋めていた指は今や三本に増え、ぐちょぐちょと体液を撹拌する音を鳴らしていた。秘所から溢れた白濁してトロみの増した愛液が指を伝い、雫となって湯船の中に落ちていく。胸中で鎌首をもたげる性欲と愛欲を抑えられず、ジャンヌはオナニーを激しくしていった。

 

「はむ、ちゅっ、ちゅう、れるぅ、れろぉ♡」

 

 空いていた左手で乳房を下から掬うように持ち上げ、既に大きく勃起していた乳首に吸い付いた。つん、と膨らんで自己主張する乳首を己の口内で吸い上げ、舌で舐め転がし、軽く歯を立てて甘噛みする。自ら行う秘所と乳頭への二点責めにジャンヌの体はビクつき、湯船に落ちる愛液の水滴は量を増していった。

 

「真、真……愛してる、貴方を愛してるのぉ」

 

 聖女が一人で昂ぶっている中、二人は二人三脚で絶頂へと向かっていく。加速する腰のピストン運動にジャンヌ・オルタは表情を陶酔させながら媚びた嬌声を上げ、逸物を強く引き締める膣壁と複雑にうねり蠢く肉襞に真は射精感を高まらせた。吐精が近くなった兆しにジャンヌ・オルタの蜜壺に出入りする男根が一回り膨れ、狭隘な肉筒を更に押し広げる。胎内の幸せな圧迫感にジャンヌ・オルタは一際強い快感を覚え、切ない喘ぎ声を漏らした。

 

「一緒に、一緒に逝きましょう。二人で、一緒、にぃ」

 

 潤んだ瞳が切実に訴えかけてくる。ジャンヌ・オルタの求めに真は力強い抽挿で応えた。肌を打ち合う音と肉壺を逸物で抉る水音が大きく浴室に響く。ジャンヌ・オルタの膣内が小刻みな収縮を繰り返し、真の男根が脈動して先走りを吐き出す。快楽の果てへと共に走りながら二人は互いの汗ばみ熱くなった体をひしと抱き締め合った。

 

 皮膚に感じる愛する者の体温と感触が心地良い。皮膚が融けあい、体の境界線が無くなって一つになっていくような幸福な感覚に包まれて二人は絶頂へと達した。穏やかだが絶大なオルガズムに真は子宮に津波のような精液を注ぎ込み、ジャンヌ・オルタは胎内に広がっていく灼熱の快感に声の無い嬌声を上げる。体が起こす痙攣すらシンクロさせ、二人は快楽の海の中を漂っていった。

 

 射精を終えた真はジャンヌ・オルタの右脚を下ろし、秘所から男根を引き抜く。真の首に回した両腕を引っかけ、ジャンヌ・オルタは逞しい胸板へと凭れかかった。絶頂の余韻が抜けていない両脚はガクガクと震え、一人で立つのも覚束ない様子だ。

 

「大丈夫か?」

 

 気遣ってくれる真にジャンヌ・オルタは嬉しさに顔を綻ばせて頷く。金色の双眸で真を見詰め、真も蒼い瞳にジャンヌ・オルタを映した。互いの鼓動を感じられるほどに近くにいられること、想いを通じさせて愛し合えること。そう出来ることが何よりも喜ばしく、そして幸せだと思う。じぃっと愛する者を見詰めながら二人は同じタイミングで唇を動かし、同じ言葉を伝え合った。

 

「「愛してる」」

 

 

 

 

(このまま真を独り占めしたいけど、流石にそれは駄目よね)

 

 一人で立てられるまで回復したジャンヌ・オルタは一歩下がって真から離れた。プルプルと震える両脚は頼りなく、ふらふらと右に左に体が揺れる。

 

「おいおい」

 

「心配、しなくても大丈夫よ。それより、そっちの相手をしてあげなさい。飢えた獣のね」

 

 真に首を振って見せ、ジャンヌ・オルタは椅子へと座ってドアへと寄りかかった。曇りガラスの嵌めこまれたドアに背中を預け、浴槽を指差す。真がジャンヌ・オルタの示す方を見るよりも早く、ざばりと湯船から誰かが出る音。

 

「真君♡」

 

 真が向き直ると、目の前にジャンヌの顔があった。赤く上気した頬、奥にハートを浮かべた蒼い瞳、忙しなく吐き出される悩ましい吐息。雌の欲望を剥き出しにした発情顔を作ったジャンヌは真に抱き付き、彼の唇を奪う。

 

「真君、あむ、ぢゅう、ぢゅむ、ぢゅろぉ、ぢゅるるる……しんくぅん♡」

 

 欲情のままに真の唇を吸い、舌諸共に唾液を啜る。時折、うっとりと甘ったるい声で真の名を呼びながらジャンヌは真をタイルの壁へと押し付けた。首に巻き付けていた両腕を素早く解き、両手首を掴んでこれも壁へと押さえつける。己の体を使って真を拘束し、ジャンヌは彼の唇を味わい続けた。

 

 ジャンヌにされるがまま貪られる真。何の前触れなしに始まったアグレッシブなディープキスに頭がくらくらする。口内をぬるぬるとまさぐる濡れた舌の感触と体の全面に感じる女体の柔らかさが背中に当たったタイル壁の冷たさを忘れさせた。

 

 寸の間、驚きに身を固めていた真だったが、幾らもしない内に口の中を這い回るジャンヌの舌に自分のものを絡め始めた。肉と肉を捏ねるように触れ合わせ、相手の舌腹や舌裏を舐め合う。舌同士を擦り合せる甘美な肉感と、互いの唾液が攪拌される淫靡な水音に二人の性的欲求は強くなっていった。

 

(しんくん、しんくん♡)

 

 真の手首を掴んでいた片手を放し、腹部へと下げていく。二人の腹の間に手を滑り込ませると、二人に挟まれた反り返る長大な男根がジャンヌの指先に触れた。再三の射精にも萎えず、雄々しいままの逸物の硬さを確かめるようにジャンヌは指を滑らせる。真の精液とジャンヌ・オルタの本気汁で汚れた肉塊は火傷しそうなくらいに熱く、鋼みたいに屈強だ。女の花園に招待すれば、素晴らしい剛勇さと精悍さを見せてくれるだろう。

 

 真に密着させていた腰を浮かせ、ジャンヌは怒張した男性器を掴む。それでジャンヌが何をする気なのか察したのか、キスをされたままの状態で真は膝を微かに曲げて体勢を低くさせた。丁度、ジャンヌがペニスを挿入し易いように位置を調節する。目元をにこりと緩ませて感謝を伝えると、ジャンヌは赤黒い亀頭を己の秘所へと浅く侵入させた。軽く腰を前後させて逸物が外れないのを確認し、ジャンヌは男根を一気に膣内へと呑み込んだ。

 

 一息で最深部まで繋がった二人は体を大きく跳ねさせる。互いの性器に走った快感に二人は軽い絶頂を味わった。ジャンヌは秘所から小さく潮を噴かせ、真は射精の代わりに大量のカウパー液を放出する。二人は少しの間、互いを抱き締め合って体が落ち着くのを待った。

 

「ちゅっ、ちゅぱ……私には、言ってくれないんですか?」

 

 暫くして体が落ち着くと、ジャンヌがキスを中断してそんなことを訊ねてきた。拗ねたように唇を尖らせ、小さく頬を膨らませている。戸惑う真にむぅ、と怒った表情を取り繕いながらジャンヌは唇が触れるギリギリの距離まで顔を近づけさせた。

 

「オルタさんには言ったのに私には愛してるって言ってくれないんですか?」

 

 ジャンヌ・オルタに対する嫉妬の籠ったジャンヌの言葉に真は思わず口角を持ち上げた。彼女が自分だけに見せる、聖女ではない年頃の女の子らしい姿が堪らなく愛おしい。むくれるジャンヌに愛してると伝えようと口を開いた瞬間、柔らかな唇に言葉を物理的に遮られた。さっき、二人を強引に説得した時と同じ手法で真はジャンヌに黙らされる。言葉を発しようと動いていた舌を絡め取られ、激しく吸い立てられた。頬を窄めながらジャンヌは艶のある唇を括って真の舌を扱いていく。

 

「ちゅぽ、ちゅぽっ……やっぱり、私には言ってくれないんですね。酷いです」

 

 気の済むまで舌フェラを楽しむと、ジャンヌは非難の言葉を真に投げつけた。しかし、彼女の口調はどこか色っぽく、瞳には明らかな愉悦の色が浮かんでいる。淫靡に歪められた表情からも真を糾弾する気が無いことが丸分かりだ。嗜虐的な雰囲気を漂わせて妖しく微笑むジャンヌに真は生唾を呑みながら愛を伝えようとするが、再び濃厚なキスで口を閉ざされる。捻じ込まれた舌に口内を蹂躙され、快楽と引き換えに言葉を奪われていった。

 

「んぢゅぅ、ぢゅろぉ、ぢゅりゅりゅりゅ……ぢゅぱっ♡ 真君の意地悪。私はこんなに真君を愛してるのに、私には愛してるって一回も言ってくれないなんて」

 

 艶美な笑みを浮かべ、ジャンヌは真が何か言うよりも早く彼の唇を奪う。真に愛してると言ってと要求しながら自分で想い人の口を塞ぐという何とも矛盾した行動をするジャンヌ。こうやって真を悪者にして、自分の願いを叶えてくれるまで放さないで独占しようという魂胆である。真はジャンヌの真意に気付くも、その頃には既に彼女のペースに呑まれていた。ジャンヌの肩を掴んで押し返そうとするが、先に動いたジャンヌの手に手首を掴まれて再び壁へと押さえつけられてしまう。

 

「んうぅ、ちゅぅ、ちゅるぅ、ちゅむぅ、れるぅ……ぷはっ♡ もう私、怒っちゃいましたから♡ こうなったら真君が愛してるって言ってくれるまで、絶対に許してあげません♡ 真君が私を愛してるって言ってくれるまで絶対、ぜ~ったいに放してあげません♡」

 

 端正な顔を淫らに歪ませ、ジャンヌは豊満な肢体で真を磔にしながら腰を揺らし始めた。真はジャンヌのやり方に抗議の声を上げようとするも、熱烈な口付けが喋ることを許さない。くぐもった声を出す真に蠱惑的に笑いかけ、ジャンヌは腰の動きを徐々に早くしていった。

 

 豊潤な愛液に満ちた肉壺が逸物の根元から先端を余すところなく揉み込んでいく。蠢く肉襞が男根に隙間なく密着し、ねっとりと搾り上げてきた。襞の一枚一枚が意思を持つ動物のように活動し、竿を撫で上げカリ首を細やかにくすぐる。我慢汁を漏らす亀頭には子宮口が吸い付き、精液を寄越せと手加減の無いバキュームで真を絶頂へと引きずり上げていく。真は男根に浸透していく快感に思わず鈴口から大量の先走りを吐き出した。

 

(我慢汁ぅ、子宮に入ってくるぅ♡ もっと、もっとちょうだい♡ 我慢汁もザーメンも、エッチなお汁、一杯下さい♡)

 

 ぞくぞくと背筋を上る官能的な寒気に身を震わせ、ジャンヌは殊更にいやらしい動きで腰をくねらせる。娼婦も目を丸くして驚く変幻自在の腰使いで真を快楽の底へと引きずり込んでいった。腰を前後に揺らして逸物を媚肉で磨いていたかと思えば、根元まで咥えこんでいきり立つ男根を蜜壺全体で捏ね上げていく。美しい臀部が円を描き、粘つく体液で濡れた股間同士が擦れてにぢゃにぢゃと鳥肌が立ちそうな音を奏でた。

 

 好色な笑みを浮かべるジャンヌにされるがまま、真は抵抗も出来ずに体を貪られていった。一度、掴まれたペースを奪い返せず、上も下も好き勝手に犯されていく。時折、無尽蔵に与えられる快感に体がビクンと痙攣している。正に逆レイプという表現がぴったりの光景を体力を回復させたジャンヌ・オルタは食い入るように見ていた。

 

(うわ、うわぁ。聖女様、あんなに激しく腰振って、オマケにキスも。すご……)

 

 顔を真っ赤にさせて、目を皿にして真とジャンヌの交わりを観察する。終始、受け身だった自分とは真逆の超能動的なセックス。性交と言うよりも捕食という表現の方がしっくりくる。人の身の丈を遥かに超える巨大な大蛇がその長身で獲物を捉え、今正に丸呑みにしていく様を連想させた。

 

(私も、あんな風に真と……)

 

 ごくりと喉が鳴った。さっき、絶頂に至った体が早くも愛する男を求め始める。はぁ、はぁ、と熱い吐息を唇から零しながらジャンヌ・オルタは両手を秘所へと伸ばし、真と愛し合うための準備を始めた。

 

(息、出来な……頭、ぼんやりして……)

 

 長時間のキスで碌に呼吸も出来ず、真は酸素を脳に送れず意識を朦朧とさせていく。体が自分のものじゃなくなってしまったみたいに動かない。そんな状態であるにも関わらず、真はジャンヌの体がもたらす快感に素直に反応していた。口腔や男性器、ジャンヌと触れ合っている皮膚の全てから感じられる肉悦に何度も体を跳ねさせる。我慢が決壊するのも時間の問題だ。

 

 何十回と肌を重ねて愛し合い、求め合ったことから真の体のことを熟知しているジャンヌは射精が間近に迫っていることを目敏く感じ取った。心の中で見る者におぞ気を覚えさせる淫蕩な笑みを浮かべ、より力強いセックスで真を虜にしていく。合わせた唇から魂を吸い出さんばかりに激しくキスし、体ごとぶつけるように腰を振りたくった。自身も快感に体をビクつかせ、酸欠気味になりながらジャンヌは己の全てを使って愛する男の精を搾取しようとする。

 

 しかし、どれだけジャンヌが巧みに真の性感を刺激しても真が射精をすることは無かった。むしろ、ジャンヌの膣内に収まっているペニスが大きさと硬さを増し、より熱くなって彼女を灼いていく。媚肉を通して伝わる熱がジャンヌの悦楽を膨張させていった。

 

(まだ、おおきく、かたくなるなんて……ずるい、ずるい♡ こんなのはんそくですぅ♡)

 

 真よりも先に逝きそうになり、ジャンヌは腰の動きを遅くさせる。これだけ快楽漬けにしたのだから真もすぐには動けないだろうと、ゆったりとした腰使いで上げ過ぎたペースを落としていく。その油断が彼女の致命的な隙となった。

 

 ジャンヌが男根の抜けるギリギリまで腰を引き、また進ませてくるタイミングを狙って真は思い切り彼女を突き上げた。震える肉襞を掻き分けて逸物を押し込み、一番奥の子宮口を亀頭でこじ開ける。

 

 真の突然の反撃にジャンヌは大きく目を見開いた。一拍遅れて目の奥に星が舞い飛ぶほどの快感が彼女の全身を貫く。声にならない絶叫を上げ、ジャンヌは体をのたくらせながら逝き汁を噴き出した。ガクガクと震える両脚の間を滝のような潮が落ち、二人の足元に湯気を上らせるいやらしい水溜りが出来上がる。ジャンヌが逝き極める中、真は一切の情けをかけずに彼女の肉壺を蹂躙していった。

 

(……♡)

 

 何かを考える余裕も奪い去るほどの快楽がジャンヌを支配していく。両脚だけでは立っていられなくなり、咄嗟にジャンヌは真の手首を掴んでいた両手を彼の首に引っかけてどうにか体を支えた。蕩けた意識が全身の毛穴から流れ落ちているかのように体に力が入らない。今の彼女は男に好きに犯されるだけの人間オナホールだった。だが、そんな状態でもジャンヌの情念は衰えず、ほとんど意識を失いながらもスッポンのように唇に喰らい付いていた。意地でも真の唇を吸い、彼の舌を捉えて放さない。真も負けじと舌をくねらせる。二人の舌での応酬はさながらフェンシングのようだった。

 

 両手を解放された真は本格的に反撃を開始する。素早く、獲物へと飛びかかる捕食者よろしく両手を伸ばし、ジャンヌのヒップを鷲掴みにした。柔らかく弾性があり、それでいて肉厚な極上の美尻に指を食い込ませて強引にジャンヌを持ち上げる。駅弁と呼ばれる体勢で腰を前後させ、ジャンヌの膣内を逸物で掻き乱した。

 

(おちんぽ、おくぅ、ごぢゅぅって……ぐちゃぐちゃ、おまんこ、かきまぜて……♡)

 

 体が落ちないようにとジャンヌは反射的に両脚を真の腰に回す。すらりとしながら品良く脂肪の乗った美脚が絡みつき、必然的に二人の密着具合と性器の結合を強くさせた。打ち込まれる亀頭が子宮口の更に先、子宮内部に衝撃を伝播させてジャンヌの内部を激しく揺さぶる。バキバキに勃起した男根が蜜壺内を掻き毟りながら進み、引く時は大きく傘を拡げたカリ首が肉襞をもぎ取るように引っ掻いていった。

 

(……♡♡♡)

 

 頭の天辺から爪先まで行き渡る快楽にジャンヌの頭はもう真っ白、いや、真っピンクに染まり切っていた。与えられる快感という名の蜜にジャンヌは抵抗する気も起こさず、全身をどっぷりと浸からせていく。真の腰がピストンする度、脱力した体が上下に跳ね回った。目尻から喜悦の涙がぽろぽろと零れ、蕩けた瞳は幸福の光を灯している。

 

 もう、体を痙攣させることしか出来なくなったジャンヌを一層強く抱き寄せ、真は酸欠を物ともせずにラストスパートをかけ始めた。指先を押し返そうとする尻肉の弾力を強く感じながら両手に力を込め、腰に巻き付いて動きを制限するジャンヌの脚を物ともせずに熱いストロークを打ち込んでいく。自ら舌を挿し込んでジャンヌの口腔を舐め回し、きゅんきゅんと締まる肉壺を剛直で押し広げていった。圧の強くなった膣内に肉棒が擦り立てられ、快感で全身がぞくぞくと戦慄く。真は襲い来る射精感を肛門を引き締めて耐え、怒張をジャンヌの中で暴れ回らせた。

 

 不意にジャンヌの両腕両脚の力が強くなる。ギュッと豊満な肢体に抱き締められた真が次に感じたのは絶大な肉悦だった。軽い絶頂を繰り返していたジャンヌが最大級のオルガズムを迎え、膣内がこれまでにないほど激しく収縮する。アクメへと至った肉壺の蠕動が男根にダイレクトに伝わり、真を限界へと導いた。雄は全身を食い破らんばかりの快感と欲望に従い、腰を思い切り突き出しながら雌の胎内に子種をぶち撒けた。

 

 滝のような射精を子宮に撃ち出され、ジャンヌの女体がガクガクと震える。愛する男に種付けされる喜び、女として幸せを味わいながら総身を打ち震わせていた。全身を満たす多幸感を少しでも多く、長く感じていたいとジャンヌの蜜壺が蠢いて男の象徴に耽美な悦びを味わわせる。肉棒は膣内の催促に応じ、太く硬い竿を脈打たせて白濁液を吐き出し続けた。

 

 やがて、長い射精が終わるとジャンヌの口が真を漸く解放した。自由になった口は荒い呼吸音を立て、大量の酸素を求める肺に空気を運ぶ。数回、深呼吸を繰り返して息を落ち着かせ、真はジャンヌを見詰めた。霞がかった蒼い瞳がぼんやりと真を見詰め返す。もう一度、軽く深呼吸して真はジャンヌの耳元で囁いた。

 

「愛してる」

 

「……はひぃ♡ わらひもれひゅう♡」

 

 真の言葉に絶頂で緩んだ顔を幸せで綻ばせ、ジャンヌは締りの無い表情で笑った。

 

 

 

 

「ねぇ、真……」

 

 ジャンヌとの交合を終えた真に遠慮がちな声がかけられる。そっちを見ると、ジャンヌ・オルタが太腿をもじもじと擦り合せながら真に熱い視線を送っていた。

 

「次は、私の番よね? 今度は私としてくれるわよね? ね、ね」

 

 金色の双眸が淫らな欲求を宿し、爛々と輝いている。己一人での自慰では全く満足出来なかったようだ。もう一秒でも我慢したくない、と目で語り掛けてくるジャンヌ・オルタに少し休んでからなと真が答えようとするが、

 

「だぁめ♡」

 

 答えるよりも早く横槍を入れられた。真に凭れかかって息を整えていたジャンヌが雌の顔で、ジャンヌ・オルタに見せつけるように真とキスする。

 

「真君はぁ、また私とするんです♡ もっと、もぉっと、私とらぁぶらぶするんです♡」

 

「は、はぁ!? 何よそれ、二回連続とかずる過ぎるわよ! ふざけんじゃないっての!」

 

 語気を荒げて詰め寄ってくるジャンヌ・オルタにジャンヌは妖艶な表情を崩さない。小さく伸ばした舌で真の頬をチロチロとくすぐり、にんまりと微笑んでいた。

 

「ずるくなんてありません。これはお姉ちゃん特権です。だから、私の番が終わるまでオルタさんはもう少し大人しくしててください」

 

「誰がお姉ちゃんよ! あんたをお姉ちゃんだなんて私は絶対に認めないわよ!! いや、というかそれ以前によしんばあんたがお姉ちゃんだって言うなら妹に恋人を譲りやがれってぇの!!」

 

「妹のものはお姉ちゃんのもの、お姉ちゃんのものはお姉ちゃんのものです」

 

「どこのジャイアンよ、あんた!?」

 

 やいのやいのと口論する二人に真は内心で溜め息を吐く。美少女二人が自分を巡って争う光景は男冥利に尽きるというものだが、やはり仲良くしてくれたほうが嬉しい。こうやってじゃれ合ってるのもある意味仲が良いのではないかと思えるがそれはそれだ。よし、と心の中で気合いを入れ、真は口を開いた。

 

「おい」

 

 妙にドスの利いた声に二人は言い争うのを止め、驚きながら真を見る。威圧的な雰囲気を纏った真が二人を睥睨していた。

 

「二人とも可愛がってやるから黙って尻出せ」

 

 真らしからぬ、有無を言わせぬ命令口調。お前達の意見は聞いていないと言わんばかりの台詞に二人はぞくりと全身を疼かせた。雄に隷属した雌の欲求が聖女と魔女を浅ましい淫売へと堕としていく。

 

「「はい、ご主人様♡」」

 

 異論など口にすることなく、二人は真の言葉に従った。仲良く並んで浴槽を掴み、従順に臀部を突き出す。肉感的な桃尻をフリフリと揺らし、媚びた笑みを浮かべて犯される時を今か今かと待っていた。何の躊躇もすることなく雄を受け入れる姿勢になった二人の尻たぶをねちっこく撫で回しながら真は告げる。

 

「今日は寝れるなんて思うなよ?」

 

 数秒後、浴室内に二人分の嬌声が木霊し始める。いやらしい交わりの音は日付が変わっても終わることは無かった。

 

 

 

 

「遂に、遂にこの日が……!」

 

 感無量。そんな表現がピッタリな表情でカルデアの廊下を歩く人影。濁った黒色のローブを身に纏った、目が異様に突き出た長身痩躯の異相だ。手には苦しみ悶える人の表情が浮かんだ、人の皮膚で装丁された異形の本。服装、面貌、持ち物、全てにおいて誰もが異常と言うだろう男の名はジル・ド・レェ、キャスターのサーヴァントである。

 

 サーヴァントといっても、この男は正式な手順を踏んでカルデアに召喚された人物ではない。むしろ、正規に召喚されたサーヴァント達とは真逆の目的をもってここカルデアに侵入を果たしたのだ。

 

「匹夫め、貴様の冒涜が続くのも今日までだ。待っていてください、ジャンヌよ。今、このジル・ド・レェが貴方を救いに参りますぞ……!」

 

 そう、人類最後のマスターである遠野真を殺害するため。もっとも、ジルが真を殺そうとしているのは彼の人理救済の旅を終わらせるためとかそういうのではなく、真がジャンヌと恋仲になっているからだ。

 

 真と相思相愛の、男女の関係(と簡単に表現するには些か爛れ過ぎている気もするがそれは置いておく)になったジャンヌの姿、愛する男と睦み合う喜びを知ったジャンヌの顔。それらは高ランクの精神汚染スキルを持っているジルを更に狂わせるには十二分なものであり、自身が敬愛するジャンヌをそんな風にさせた真に激烈な殺意を抱かせるものだった。それだけじゃない。真は彼の娘とも言うべきジャンヌ・オルタまでもその毒牙にかけている(ジル視点)。もう、殺意の満漢全席が出来るレベルでジルは真に対してヘイトを溜め込んでいた。

 

「簡単に死ねるとは思わないことだ。海魔に指先と爪先からじわじわと貪られる苦痛にのたうち回るがいい。己の体が少しずつ消えていく感覚に恐怖し、その顔を絶望で凍り付かせるのだ……」

 

 無論、彼一人でカルデアに侵入してきた訳ではない。キャスターのクラスのくせに厳密には魔術師ではないジルはある人物の力を借りてカルデアへと忍び込んだのだ。その人物の名は魔術王。霊基を失いながらも燃え滾る真への憎悪が目に留まり魔術王はジルを拾い上げた。そしてジルに真を殺すためのチャンスを与える。

 

「魔術王には感謝せねばなりませぬな。しかし、最近ぱったりと連絡が取れなくなったのは一体……」

 

 真実など露知らず、ジルは首を傾げた。だが、向こうは向こうで忙しいのだろうと己の中で疑問を完結させる。今の彼はそんな疑問よりも余程重大なことを目前に控えていた。音を立てぬように廊下を歩いていたジルはある部屋の前で足を止める。

 

「この部屋にあの匹夫が。分際を弁えぬ痴れ者め、裁きの時だ……!」

 

 魔術王から借りた何か不思議な魔術パワーで扉のロックを解除。そして彼は真を、聖処女を穢した畜生をこの世から消すために部屋の中へと足を踏み入れた……そこに地獄が待っていることも知らずに。

 

 まず、部屋の中に入ったジルを襲ったのは反射的に口元を手で覆ってしまう臭いだった。性臭とでも呼べばいいのか、むせ返るような臭いが充満している。

 

「あぁ、うぅん、ひゃあぁ♡ しゅごい、しゅごいぃ♡」

 

 そして臭いに混ざって耳に届くだらしのないアヘ声とパンパンと肉を打ち鳴らす乾いた音、ギシギシと何かが忙しなく軋む音。三重奏の一つとなっている声にジルは聞き覚えがあった。否、聞き覚えがあるとかそんな生易しいものではない。未だかつて、一度として忘れたことの無い声にジルは視線を向けてしまう。そして見てしまった。

 

「ケツマンコ、ケツマンコ気持ちいいのぉ♡ 真のデカチンポ、私のお尻の穴広げてぇ……あ、ああ、あああぁぁぁっっっ♡」

 

 ベッドの上、一糸纏わぬ姿で四つん這いになって真に犯されるジャンヌ・オルタの姿を。両手でシーツを掴み、くしゃくしゃにしながら汗が噴き出る体を断続的に痙攣させている。顔は乱れに乱れ、だらだらと涎と涙を流してよがり狂っていた。

 

 目の前の光景に目を見開くジルに追い打ちをかけるのはジャンヌ・オルタとアナルセックスをしている真に横から抱き付き、舌を絡み合わせる濃厚なベーゼをするジャンヌだった。口元を唾液で汚すのも構わずに真と互いの口腔を舌で愛撫する行為に耽っている。舌と舌が絡む音に混じって聞こえる唾液を啜り嚥下する音がジルには妙に大きく聞こえた。

 

「こ、これは……こんな……」

 

 およそ、彼には現実として受け入れられない光景だった。二人の聖処女が娼婦のように盛り、男と睦み合っている光景など。

 

「これは、これは何かの間違いだ……」

 

 掠れる声で自分に言い聞かせる。しかし、目の前の光景は無くならない。それどころかよりリアルさと生々しさを増してジルへと迫ってきた。思わず後退るジルの背中が無情にも閉じられたドアにぶつかる。逃げ出すことも叶わず、ジルは眼前の現実と対峙せざるを得なかった。

 

「真。好きぃ、大好きぃ。もう復讐なんてどうでもいい、フランスなんてどうでもいい。貴方が傍にいてくれればそれでいいの、それだけで幸せなの」

 

「ちゅぱっ……はい、オルタさんの言う通りです。貴方が傍にいてくれれば、他に何もいりません。これからも私達を愛して下さい、これからもずっと私達を貴方に溺れさせて下さい」

 

 プツン、とジルの中で何かが切れる。手から魔導書がポトリと落ちた。掴むものを失った彼の手は光の粒へと変わり、するすると霊基がほどけていく。ジルの全身が光の粒子となり、段々と姿が薄れていった。

 

(私は、一体何のためにここへ……)

 

 疑問に答えるものは誰もおらず、返ってくるのは極まっていくジャンヌ・オルタの喘ぎ声だけだ。

 

「いくぅ、いっちゃうぅ♡ おちんぽでおしりのあなずぼずぼされていっちゃうぅ♡ けつまんこせっくすでわたしいっちゃうぅぅぅ♡」

 

 背筋を反り返し、真に潮を噴きかけて絶頂するジャンヌ・オルタ。それがジルの見た最後の光景だった。足元に転がった魔導書と一緒に青髭は何も出来ず、誰に気付かれるでもなくただただ現実に打ちのめされてカルデアから姿を消した。

 

「はぁ、はぁ……なぁ、さっきドアが開いた音が聞こえたような気がしたんだけど、もしかして誰か来たんじゃないのくわぁ!?」

 

 ドアに視線を向けようとした真を聖女と魔女が押し倒す。真が自分達から少しでも目を逸らしたのが気に入らないのか、かわるがわるキスの雨を浴びせて視線を自分達に向けさせた。

 

「そんなの知らない♡ アンタは私とお姉ちゃんだけ見てればいいの♡ 私達のことだけを感じてればいいの♡」

 

「今は、今だけは私達だけの真君なんですから♡ 余所見はめっ、です♡」

 

 そう言って、今度は二人が真の体を味わい始めるのだった。

 

 

 

 

 体が爛れるように熱く、骨の髄まで溶けてしまいそうな夜はまだまだ終わりそうになかった。




 軽いキャラ紹介

『ジャンヌ・ダルク』
もう聖女としての面影は残っていない。自分で自分を聖女と思ったことは無いので何の問題も無いだろう。『どちらかというと聖女ではなく性女ですね』とは本人の言葉。それでいいのか。一時期、『やだ。私とマスターの関係、爛れ過ぎ?』と悩んだこともあるが、『別に主への信仰が無くなった訳じゃないし、それに真君(マスター)とはちゃんと愛し合ってるから何の問題も無いよね♪』と開き直る。ちなみに悩むのに使った時間はコンマ五秒。後ろから思い切り突かれたり、イラマチオされたり激しくされるのが好き。その後にイチャラブセックスするのはもっと好き。

『ジャンヌ・オルタ』
マスター大好きっ子。最近、自分の復讐者(アヴェンジャー)としてのキャラが音を立てて崩れているのではないかと悩んでいたが、『真が傍にいてくれるからどうでもいいか♪』と開き直っている。ちなみに彼女が悩むのに使った時間もコンマ五秒だ。とにかく好意を言葉にして真に伝えるのが好き、真から好意を伝えられるのはもっと大好き。セックスの最中、耳元で愛してるなんて言われた日にはもうそれだけで逝っちゃう。時折、ジャンヌにお姉ちゃんと呼んでと言われてはその度にデュへってる。でも極稀にお姉ちゃんと呼んであげる良い子。どうでもいいけどニーアオートマタの2Bのコスプレさせたい。それであの白レオタードにうっひょっひょなことしたい。

『ジル・ド・レェ』
もし、皆に慈悲があるならば彼に黙祷を。しめやかに合掌(-人-)。













どうでもいいけど、今回の話ってジルから二人を寝取ったってことになるのか? 俺は寝取りと陵辱が死ぬほど嫌いなのに。


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『メドゥーサ』マスター捕食計画

 遅れて申し訳ないっす。イベントで色々と忙しかったんや。



 感想はこの話を投稿した次の日くらいに返信します。わざわざ、書いてもらってるのに碌に返事も出来ずに本当に申し訳ないです。


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

「ご注文の品、お届けに参りましたぁん」

 

 人理継続保障機関『フィニス・カルデア』のとある一室。シュイン、と微かな音を立てて開いたドアを人類最後のマスター、遠野真がくぐる。頭の上、両肩には数冊の本。更に両肘、両手にも十冊近い本を重ねて持ち、計五十冊近い本をピクリとも揺らさずに運ぶというお前はどこの大道芸人だと突っ込みを入れたくなる技を披露しての入室だ。

 

 そんな上○雑技団もビックリな真の芸当に特に驚く様子も見せず、ベッドの上で本を読んでいた部屋の主は視線を上げて軽く頭を下げる。美しく長い紫の髪がサラリと揺れた。

 

「相変わらず貴方は仕事が早いですね。ありがとうございます、真」

 

 ベッドの上半分に広がるほどの長くボリュームたっぷりな紫髪を持った眼鏡美人の正体は女怪メドゥーサ。ギリシア神話に登場するゴルゴン三姉妹の末っ子である。カルデアにいるサーヴァントの中でも一番の古参で、スカサハの次に召喚されたのが彼女だ。

 

 眼鏡のフレームをキラリと光らせて微笑むメドゥーサにここ置いておくぞ、と一言断ってから真はいつも通りに運んできた大量の本を机の上へと乗せた。

 

「すみません。私の我儘に何度も付きあわせてしまって」

 

「いや、別に気にしないでいいよ。俺と一緒に戦ってくれるお礼みたいなもんだしな」

 

 ケラケラと笑う真にメドゥーサは嬉しそうに顔を綻ばせる。真が持ってきた多くの本は読書が趣味であるメドゥーサが彼に頼んで買ってきてもらったものだ。無論、人理焼却完了一歩手前の状況で本が買える場所、というか買い物が出来る場所などないので、安全な時代にレイシフトして購入してきたのである。ちなみにメドゥーサ、カルデアにある蔵書は全て読破済みだ。

 

「それにしても、よくこんだけ読んだもんだなぁ」

 

 感心したように呟きながら真は部屋のある部分へ目を向ける。他のサーヴァントやカルデアスタッフ達が使っている部屋と変わらぬ構造でありながら致命的に違う箇所。それは壁一面を占領する幾つもの本棚だ。天井から床まである巨大なそれは半数以上が隙間も見つからないほどに本で埋まっており、本を読まない人種が見たらそれだけで眩暈を起こしそうな光景を作り出していた。その本の量から真がメドゥーサのために何度もレイシフトし、本を買いに行っていたことが窺える。

 

「また、読み終わったものを片付けるのを手伝ってもらっても?」

 

「あいあい、お安い御用で……とと、やっぱこれだけ数あると結構重いな」

 

 メドゥーサが両腕一杯に抱える本の小山を受け取り、中々の重量によたつきながら真は本棚に本をジャンルごとに分けて置いていった。

 

「漫画はここでラノベはここ。伝奇物、時代小説、純文学は……こことこことここ。でもって……メドゥーサ、推理小説はどこに置けばいいんだっけ……」

 

 本の置場を訊ねようとメドゥーサに視線を向けた真の声が尻すぼみに小さくなっていく。背を向け、机の上に置かれた新しい本を吟味しているメドゥーサの後ろ姿に真の目は釘づけだ。

 

 ここが自室ということもあり、今のメドゥーサは非常にラフな格好をしている。普段、戦闘時に着ているボンテージっぽい女子プロ風な(有体に言ってエロい)ものではなく、黒いセーターに黒いレースのショーツという男にとってかなり刺激的な装いをしていた。メドゥーサのグラマラスなボディラインも相まって股間をビンビンと刺激してくる。真が部屋に来る時、彼女は大抵この格好で真を迎えるため、彼は目のやり場に毎度困っていた。

 

 しかし、目のやり場に困るとは言っても所詮はティーンエイジャー(雄)。性的欲求には非常に正直で、真の視線は自然とメドゥーサの美脚を舐め回していた。特にスラリとしながら色っぽく脂の乗った太腿は見ているだけで股間の暴れん棒がムクムクと大きくなってくる。太腿から臀部にかけてのラインも堪らない。皺の一つも見当たらない豊潤な美尻は見ているだけでは飽き足らず、両手で直に揉みしだきたくなる魔性の代物だ。この美尻を鷲掴みにしながら後背位で交わったらどれだけ気持ち良いのか、考えるだけで鈴口から先走りが溢れてくる。

 

(と、いかんいかん!)

 

 メドゥーサの脚に見惚れていた真だったが、正気を取り戻すとぶんぶんと首を振った。いくら魅力的だとしても、女性の体を許可も無くじろじろと見るなんて無礼が過ぎる。相手が見て欲しい、触って欲しいと態度や雰囲気で示しているならともかく、男の方が獣欲を剥き出しにして女体を見詰めるなど言語道断。

 

(恥を知れ、この俗物め!)

 

 でも、許可さえあれば見るんでしょ?

 

(そりゃもうじっくりねっとりメドゥーサのエロボディを視姦しますが何か?)

 

 足の小指をタンスの角にぶつけてしまえ。

 

「どうかしましたか、真?」

 

「え、あ、いや、何でもないよ、うん。思い出した、推理小説はここだったな」

 

 視線に気づいたメドゥーサの問いを愛想笑いで誤魔化す。慌てて意識を本棚に戻し、本を置く作業を再開した真をメドゥーサは可笑しな人、と小さく笑った。一瞬、彼女の笑みに妖しい色気が浮かぶが、本を整理するのに没頭している真は気付かない。

 

「これでよし、と。あぁ~、疲れた」

 

 数分後、真はメドゥーサに渡された本を全て本棚に入れ終えた。妙に疲労の残る体を捻って軽くストレッチをしていると、メドゥーサがお疲れ様ですとココアが注がれたコップを差し出してくる。ありがと、とコップを受け取りながら真は椅子に座り、ベッドに腰を下ろしたメドゥーサを見やった。

 

「前に買ってきた本は全部読み終わったみたいだけど、当たりはあったか?」

 

「はい。中々、豊作でした」

 

 ココアを一口飲む真にメドゥーサは微かに笑みを浮かべて頷く。こうやって真がメドゥーサに本の感想を聞くのも彼女の部屋を訪れた時の恒例となっていた。この時ばかりは普段余り喋るタイプではないメドゥーサも幾分か饒舌になる。どうでもいい余人ならいさ知らず、マスターである真に話を聞いてもらえるのは嬉しいみたいだ。

 

「特に今日で全巻を読み終わった『僕と彼女とあの人と』が素晴らしかったです」

 

「それって……あぁ、あの官能小説ね」

 

 メドゥーサの口から出てきた本のタイトルに真は遠い目をした。確かにエッチィ内容の本も何度か買った記憶がある。

 

「ふふ、店員の目にビクビクしながらエロ本を買う中学生の気分を味わったぜ」

 

 エロとは無縁の、何の関係も無い絶対に読まないだろう小難しそうな本をカモフラージュで一緒に買うというのも定番だ。妙にノスタルジックな雰囲気を漂わせる真をメドゥーサは悪戯っぽい目で見詰める。

 

「おや、貴方にもそのような可愛らしい経験があるのですか?」

 

「ノーコメントデ」

 

 能面のように無表情で、機械のように答える真の姿が面白かったのか、メドゥーサは手の甲を口元に当ててからかうようにクスクスと笑った。

 

「と、ところでその本てどういう話なんだ?」

 

 若干、顔を赤くさせながら話題を変えようと話を振る。余りにも分かり易い話題の変え方にメドゥーサは手で隠した口元の笑みを深めるが、あえて真の話に乗ってあげることにした。

 

「そうですね。ジャンルでいえば所謂『寝取られ』になるのでしょうか」

 

「へぇ、『寝取られ』……『寝取られ』?」

 

「はい、『寝取られ』です」

 

 思わず二度見してきた真にしれっと答えるメドゥーサ。そ、そうなんだと予想してたものの斜め上を行く返答に驚きを隠しきれない真に構わずメドゥーサは話を続ける。

 

「恋人同士の主人公の男子高校生とヒロインの女子高校生の間に主人公に横恋慕した若い女教師が割って入ってくる話です」

 

「ん、てことは寝取られるのって主人公じゃなくてヒロイン?」

 

「そうですね。正確には『寝取られ』ではなく、『逆寝取られ』というべきでしょうか」

 

 この女教師が中々に狡猾でして、とメドゥーサは語りだした。

 

「主人公の頭がかなり良いことを利用して本人の志望校よりも何ランクか上の大学を目指さないかと言葉巧みに誘うんです。そして口車に乗ってしまった主人公をマンツーマンで指導しながら徐々に距離を詰めていくんです」

 

「怪しいとは思わんのかね?」

 

「この主人公はよくいる恋愛的なことや下心には疎いタイプですから。描写を見る限り、親身になってくれる熱意のある先生くらいにしか思ってなかったみたいですし」

 

「まぁ、余程のナルシストでも無い限り教師が自分に懸想してるなんて思わないよなぁ、普通。で、女教師の思惑通りに動いた主人公はその後美味しくいただかれちゃうのか?」

 

「それは少し話が進んでからですね。この女教師がまずしたのは周囲の人間に自分と主人公が一緒にいる状況を普通だと認知させることですから」

 

 教師が生徒に個人授業をする、別に何ら咎められることではない。寧ろ、感心されるべきことだろう。そうやって真摯に生徒と向き合う教師という仮面で周囲を騙し、女教師は怜悧狡猾に計画を進めていくのだ。

 

「話が進むと、放課後の個人授業は女教師が一人暮らししている自宅で行われるようになります」

 

「『放課後』、『個人授業』、『女教師』、『一人暮らし』、『自宅』。あらやだ素敵」

 

 思春期男子特有の暴走する妄想と青臭い性欲を炸裂させる何故かいやらしく聞こえる言葉の五段活用完成である。しみじみと呟く真に貴方も好きですね、とメドゥーサは微笑んだ。

 

「主人公を自宅に連れ込むことに成功した女教師は真綿で首を締めるように主人公を誘惑していきます。時に意味ありげな言葉と態度で、時に無防備な姿で主人公の性欲をこれでもかと煽るんです」

 

 幾ら生真面目、温厚、頭の良い者でも十代の男の子なんて所詮腰を振ることしか考えていない発情期の猿みたいなものだ。手を伸ばせば触れられる距離に瑞々しい女体があれば、誰であろうと誘蛾灯へと飛んでいく蛾のように誘われてしまうだろう。

 

「主人公は女教師の誘いに乗っちゃうわけ?」

 

「いえ。この主人公は非常に一途ですから。ヒロインを裏切ってはならないと鋼の精神で女教師の誘惑に対抗します……まぁ、精神的に耐えた後に物理的に押し倒されてしまうのですが」

 

 何時までたっても自分に靡かない主人公に業を煮やし、女教師は強硬手段を取る。色々と溜まりに溜まって限界だった主人公に一服盛り、人喰いワニとなった女教師はベッドという名の底なし沼に薬で動けなくなった主人公を引きずり込んで必殺のデスロールを喰らわせるのだった。女って怖ぇ、と妙に主人公に対して親近感を覚えながら真はココアを再び啜る。

 

「にしても、そんな露骨に誘われたりしてるのにまた女教師の家に行っちゃうって主人公警戒心薄すぎじゃね?」

 

「……ぷっ、ふふふふふ! あ、貴方がそれを言うのですか? 警戒心が、薄いだなんて」

 

 何気なく真の口から出てきた台詞にメドゥーサは心底可笑しいと声と体を震わせる。え、俺なんか変なこと言った? と間の抜けた顔をする真に答えを返せず、メドゥーサは笑いが治まるまで両腕で体を抱き締めていた。

 

「……ふぅ。本当に貴方は変わっていますね。私のようなものを前にそんな警戒心が薄いと言えるなんて……ふふ」

 

 一頻り笑って気が済んだのか、メドゥーサは眼鏡を持ち上げて目尻に浮かんだ涙を拭う。そんな涙が出るほど笑うようなこと俺言ったか? と首を傾げる真にメドゥーサの呼び声が届いた。顔を向けると、強い熱を孕んだアメジスト色の瞳と視線がかち合う。じぃ、と真を見詰めるメドゥーサの唇が小さく弧を描いた。浮かべられた挑発的な笑みは彼女の美貌と薄ら上気した頬が相乗効果を起こし、妖しく美しい色気を醸し出している。

 

「えっと、何ですかな?」

 

「実はこの格好、女教師が主人公を誘惑する時と同じものなんですよ」

 

「でゅわぁっ!?」

 

 メドゥーサの口から出てきたとんでもない言葉に真は驚きの余り宇宙の平和を守る光の巨人みたいな声を上げた。

 

「おや、どうかしましたか?」

 

 白々しく、何でそんな反応をするのか分からないとばかりに恍けるメドゥーサを半目で睨む真だが、彼女の口元に浮かぶ艶笑に思わずドキリとしてしまう。何故か、体も妙に熱を持っていた。若干、顔を赤くしだした真に蠱惑的な笑みを投げかけながらメドゥーサは立てた右膝を両腕で抱きかかえる。肉感的な太腿と見えそうで見えない股間に目を向けそうになるのを誤魔化すように真はココアを一息に煽った。にぃ、とメドゥーサの笑みが深くなるのが真の視界にちらりと映る。

 

「な、何だよ? そんな笑って……」

 

「はて、何の事だか……そうそう。言い忘れてましたが、女教師が主人公に薬を盛るのに使ったのはココアなんですよ」

 

「ぶふぉっ!?」

 

 盛大に咽るも、出てくるのは口の中に残ったココアで薄く茶色に染まった唾だけ。既に真はココアのほとんどを飲んでしまっていた。げほげほと激しく咳き込む真に流し目を送るメドゥーサ。普段の気怠そうな、退廃した雰囲気が払拭された姿は非常に扇情的で、小さく首を傾げる細かな仕草すら妖艶なものにして真の目を放さない。じっと、穴が開くほどメドゥーサを凝視しながら真は自分の体がどんどん熱くなっていくのを感じた。強くなる拍動、荒くなる呼吸。そして急速に血が集まって勃起し始めた男の象徴。ズボンを押し上げ、見事なテントを作っていた。

 

「……ココアに何か仕込んだのか?」

 

 真の問いに答えず、代わりにメドゥーサは艶然とした微笑みと見せつけるような舌舐めずりを返す。唾液で濡れた唇が淫靡な光沢を浮かばせていた。真の顔に向いていた視線がゆっくりと下に移っていき、テントを張った股間へと止まる。

 

 にたぁ。

 

(あ、食われる)

 

 メドゥーサが口角を吊り上げる瞬間を見た真は確信する。今のメドゥーサは動けなくなった獲物へと大口を開いて飛びかからんとする蛇だ。このまま何もせずにいれば色んな意味で美味しくいただからること間違い無しである。

 

(逃げよう)

 

 判断を下した真の行動はとても素早かった。あ、この後用事があったんだ、と大根役者もビックリの棒読みでメドゥーサの意表を突き、そそくさと部屋から出て行こうとする。が、足が妙に重くてドアへと向かっていくのがとても億劫だった。体が重い。否、体に力が入らない。まるで、体に見えない穴を開けられ、そこから体力を吸い取られているかのようだ。

 

「どこに、行こうというのです?」

 

 部屋の中央で一歩も進めなくなった真にするりと蛇のように忍び寄り、メドゥーサは彼を背後から抱き締める。一見、優しく巻き付けられた両腕は華奢な外見からは想像もつかない力で真を拘束していた。服の上から真の体をまさぐりながらメドゥーサは豊満なバストを強く押し付ける。服越しの感触から今のメドゥーサがノーブラだと分かった。背中に感じる大きくふっくらとした感触と背中をつつく小さく硬いものに男根が更に硬度と大きさを増す。

 

「体に力が入らないんだが、俺に何したの君?」

 

 服の上を滑っていくメドゥーサのフェザータッチに小さく身動ぎしながら訊ねる。真の問いにメドゥーサは答えに艶めいた忍び笑いと官能的な吐息を添えて返した。

 

「部屋の中に『他者封印・鮮血神殿(ブラッドフォート・アンドロメダ)』を少々。それとココアの中にダ・ヴィンチから頂いた媚薬をたっぷりと」

 

 真の体から力が抜けていく原因はメドゥーサが展開した結界型宝具にあったようだ。本が妙に重かったのもこれの所為だろう。体に力が入らず、真が逃げ出せないのをいいことにメドゥーサはボディタッチをどんどんとエスカレートさせていった。服の上から真の体をまさぐっていた右手は裾から内部へと侵入し、直に皮膚を撫で回している。左手は下半身へと伸びていき、肥大した男根をズボン越しにしごいていた。衣服で隔てられていても分かる肉棒の熱さと巨大さにメドゥーサは目元を蕩かせる。

 

「話には聞いていましたが、ここまでとは……ふふ、こんなに可愛らしい顔をしているくせに、随分と凶悪なモノをお持ちですね」

 

 限界まで伸ばした舌で真の顔を舐め回しながらメドゥーサは両手の動きを徐々に激しくさせた。右手は硬くせり出した乳首を執拗に弄び、左手は男の象徴をしごく速さを上げていく。ピクピクと体を震わし、掠れた喘ぎ声を漏らす真を見るメドゥーサの顔はこれ以上ないほどに興奮していた。

 

「貴方が、悪いのですよ、真。何の防衛策も無く、警戒心も無く、こんなにも無防備に反英霊である私の寝床にやってくる貴方が。あんなの、私に襲って下さいと言っているようなものじゃないですか」

 

 目の前に極上の料理を、それも食器類まで添えられて出されたら誰だって口にしてしまうだろう。その料理が己の嗜好に合致したものなら尚更だ。頬を赤く染め、呼吸を激しくしながらメドゥーサは真の首筋に何度も吸い付き、幾つものキスマークを付けていく。

 

「本当に、救えないマスターです。正当な英霊でもない私のような怪物に信を置き、あまつさえ交流を図り絆を深めるなんて。何て愚かで、考えなしで……愛おしい私のマスター」

 

 真の首に唇を当て、一際強く吸引して顔を離す。残ったキスマークに満足げに吐息を漏らすとメドゥーサは真の服を剥ぎ取っていった。女の情欲が服を脱がす手付きを妙に手慣れたものにさせ、愛する男をあっという間に全裸にさせる。惚れ惚れしてしまう肉体と最大仰角する男根を前にメドゥーサは秘所がじゅんと濡れるのを感じた。もう溢れ出る愛液でショーツもぐちょぐちょだ。

 

「真……」

 

 ベッドに真を押し倒し、腹部に跨る。湿ったショーツの感触に驚きながら真はメドゥーサを見上げた。強い情欲を湛えた紫の瞳が背筋をぞくりとさせる。両手を真の胸板に置き、人差し指で勃起した二つの乳首を捏ね繰り回しながらメドゥーサは真の顔を間近に覗き込んだ。滝のように流れ落ちた美しい紫髪がカーテンの役割を果たし、二人だけの空間を作り出す。

 

「メドゥーサ、何でこんなことを」

 

「さっきも言いましたよ。貴方が、悪いんです。こうやって男好きのしそうな格好をして誘っているのに貴方は一向に私に手を出してくれない。それどころか、後から来た方々と仲睦まじく(しとね)を共にする始末……いい加減、私も我慢の限界です」

 

 メドゥーサは真が初めてレイシフトした時、即ち冬木の狂った聖杯戦争を正すあの戦いの時から共に戦っている。以降、メドゥーサは真と共に様々な戦場を駆け抜けてきた。まぁ、その道中幾つかの特異点でゴルゴン三姉妹の一番目と二番目、即ちメドゥーサの姉二人と会ったりして色々酷い目にあったり醜態を晒したりもしたが。それでも彼女には長い間マスターを支え続け、絆を深め合ったという自負がある。真の為であれば姉達の地獄の如き無茶振りにも恐れず立ち向かう覚悟があった。

 

 だというのにだ。この男は自分よりも後から召喚された聖処女やら竜の魔女やら白百合の王妃やら様々な女性達と仲良くなり、挙句の果てに肌を重ねて愛を囁き合う始末。それ自体が悪いという気は毛ほども無い。が、自分よりも先に彼女達が抱かれたことに納得する気も毛頭なく、メドゥーサは怒った。今風にいうなら激おこプンプン丸、もとい激おこゴルゴン丸である。真の行動はメドゥーサに強硬手段を取らせるには十分だった。

 

「ですので、実力行使することにしました。いくら効果を弱めてるとはいえ『他者封印・鮮血神殿』の中でこれほど長時間行動できるのは少々予想外でしたが、どうでもいいことです。今の貴方は翼をもがれた鳥。忍び寄る蛇から逃げられずに食べられるのを待つしかない哀れなご馳走……なんて、美味しそう」

 

 はぁ、と悩ましい吐息が艶めく唇から吐き出される。爛々と輝く瞳が真を見据えていた。思わず真が体を強張らせると、メドゥーサは嫣然とした笑みを浮かべて彼に囁きかける。

 

「そんなに怖がらなくとも大丈夫ですよ。痛いことや苦しいことはしませんので」

 

 ただ、とメドゥーサは娼婦のような色香の漂う笑顔の中に捕食者の凄味を滲ませた。

 

「私無しでは生きていけないくらい、貴方の身も心も虜にするだけですから」

 

 この瞬間、真は生きたまま蛇に丸呑みされる蛙の気分を味わった。

 

「ま、待ってくれメドゥーサ! 俺にも心の準備というものがあってだな……」

 

 追い詰められた男の情けない懇願。必死の形相を見ると思わず同情してしまいそうになるが、

 

「今、してください♡」

 

 このメドゥーサ、容赦せん。真の頼みを一蹴し、メドゥーサは貪るような口付けを始めた。強く押し付けられた瑞々しい唇が真の口を押し開け、長い舌がぬるりと口内に侵入してくる。ビクン、と体を震わせた真に追撃をかけるようにメドゥーサは舌をのたくらせて口の中を舐め回し始めた。くちゅくちゅと舌同士が絡み合う音が口内に響き、頭の芯まで痺れるような陶酔を真にもたらす。

 

「んぅ、ちゅっ、れるぅ、ちゅる♡」

 

 所せましと暴れる舌先が口内の至る所をぬるぬると這い回っていく。唇や顎の裏側、歯茎の裏表に口蓋。濡れた舌が粘膜をくすぐる快感に真は鼻息を強くさせた。硬くなった乳首を撫で回す指先の動きも合わさり、薬で敏感になった体が何度も小さな痙攣を繰り返す。真の反応にメドゥーサは愉しげに目元を細め、舌と指の動きを強く激しいものにして真を責め立てた。

 

 このままでは()られると頭を茹らせながら真は反撃を試みる。無遠慮に口内を侵略してくるメドゥーサを捉えようと舌を伸ばした。行動権を奪い、己のペースに持ち込もうとする。が、あっさりとかわされた。それだけじゃなく、舌をメドゥーサの口内に引き込まれてしまう。

 

「ぢゅうぅぅぅ、ぢゅるるぅ、ぢゅろろろ♡」

 

 すぐに苛烈な舌フェラが真を襲った。美しい紫髪を大きく揺らし、頭を上下させてメドゥーサは真の舌を唇でしごいていく。婀娜っぽく、光沢のある唇が舌腹と舌裏を滑らかに滑っていく感触は甘美なもので、真を忘我の域へと誘った。

 

「ぢゅうううぅぅぅ……ちゅぽっ。ご馳走様でした。とても美味しかったですよ、貴方の味」

 

 口元に付いた唾液を舐め取り、メドゥーサは目をとろんとさせた真を見下ろす。見返してくる力の無い視線に背筋がぞくぞくとした。もっとイジメてやりたいと胸の中で加虐心が膨らんでいく。抑えきれぬ高揚に呼吸を荒くしながらメドゥーサはベッドの上で立ち上がり、ゆっくりとショーツを脱いでいく様を真に見せつける。愛液の染み込んだ下着はべったりと彼女の股間に張り付き、脱ぐ際に糸を引くほどに濡れていた。

 

「貴方とキスしただけでこんなに濡れてしまいました。我ながらなんてはしたない……いえ、これも全部真の所為です。私をこんな風になるまで我慢させた貴方の責任……責任を、取ってもらわないといけませんね」

 

 大きな滲みを作ったショーツを床に投げ捨て、真の顔の真上に立つ。丁度、女性の割れ目が丸見えになる位置だ。ばっちりと見えるメドゥーサの秘所に真は生唾を呑む。内腿は割れ目から溢れる透明な愛液が滴り、綺麗に生え揃った陰毛も縺れて肌にへばり付いていた。小さな艶笑を浮かべ、メドゥーサは両手を股間に伸ばして秘所を開いて見せる。露わになった女の花園に男は胸を大きく上下させた。

 

「まずは己の愚かさをたっぷりと味わっていただきましょうか」

 

 両脚をM字に開いて座り込んでいく。がに股の、女性の大切な場所を開けっ広げにする下品極まりない体勢。嬉々とした顔で淫猥な姿勢を取ってメドゥーサは愛する男の顔に秘所を近づけていく。徐々に強くなっていく芳醇な雌の匂いと熱を感じ、真の鼓動が早鐘を打ち出した。やがて、濡れた熱い感触が真の口元を覆った。

 

「ん……」

 

 小さく喉を反らしたメドゥーサの唇から微かな喘ぎ声が零れる。(マスター)を動けなくし、あまつさえその顔に跨るという反逆的な行為がメドゥーサを恍惚とさせ、彼女の胸中を危ない愉悦で満たしていった。

 

「どう、ですか。サーヴァントに跨られる気分は?」

 

 軽く腰を前後に揺らしながらメドゥーサは真を見下ろす。苦しげに歪められる表情に辛抱堪らないと熱の籠った息を吐き出した。陰唇に真の唇が擦れて生まれる淡い快感も彼女の性的欲求を大きくするのに一役買っていた。

 

 もごもごと、返事をしようと真は口を開こうとするが、顔面騎乗された状態でまともに声を出せる訳も無く、メドゥーサに更なる快感を与えるだけだった。

 

「あん……もっと、もっとして下さい……」

 

 小さく喘ぎながらメドゥーサは股間を真に押し付け、口周りに愛液を塗りたくっていく。秘所から滲み出る濁りだした体液はどんどん真の顔を汚していった。

 

 塗り広げられていくぬらついた感触と濃さを増していく女の匂い。息苦しさも相まって真の思考を段々と溶けていく。無意識の内に唇を半開きにすると愛液が口の中に流れてきた。舌で受け止めて味わい、飲み込むと体がカッと熱くなる。性欲を暴走させる、獣じみた熱さだ。もっと飲みたい、もっと熱くなりたいと真は頭をぼうっとさせたまま舌を伸ばす。アワビにも思える女性器を一舐めすると、ピクンとメドゥーサの女体が軽く跳ねた。

 

「そう、です。もっと私を味わって下さい」

 

 メドゥーサに言われるがまま陰唇に舌を這わせ、溢れてくる蜜液を舐め取っていく。性器に舌が走る度、メドゥーサはんっ、と官能的な呻きを漏らして体をくねらせた。身動ぎするメドゥーサの淫裂に吸い付き、真は濃厚になっていく半濁汁を舌鼓しながら嚥下していく。甘美な味わいの雌汁は真を夢中にさせた。

 

 更なる蜜液を求めて真は舌を突き出す。ぬぷっ、熱く蕩けた秘所の中に真っ赤な舌が入り込んでいった。ひくひくと蠢く肉襞に舌を擦り付けて白く濁った甘露を催促する。

 

「あぁ……!」

 

 一際大きくメドゥーサの体が揺れ、眉が八の字を描いた。膣内の浅い箇所を刺激する舌のざらざらとした感触がメドゥーサを高まらせる。きめの細かい白肌には薄らと汗が浮かび、彼女の昂ぶり具合を表していた。セーターの中では乳首が勃起し、服の上からでも分かるほど硬くなっている。メドゥーサは遊ばせていた両手で乳房を掬い上げるように持ち上げ、軽く揉みながらセーター越しに乳首を摘んだ。

 

「んぅっ!?」

 

 全身を突き抜ける快電流に美しい肢体がしなる。同時に膣内の圧も増し、舌との摩擦が大きくなって快感も右肩上がりに強くなっていった。メドゥーサは自分で乳首を弄りながら段々と腰の前後運動を速くさせて貪欲に快楽を貪っていく。

 

 一方で真も火の点いた欲望のままに溢れ出てくる愛液を飲み干していった。舌をぬかるむ肉壺に出し入れさせ、肉襞を舌先でくすぐると奥からたっぷりの蜜が湧き出してくる。口の中に注ぎ込まれる愛液を喉を鳴らして飲み干し、再び舌を汁気に満ちた雌穴に差し入れた。小刻みに、素早く舌をのたくらせて粘膜壁を叩くとメドゥーサが小さな嬌声を漏らして身震いする。肉悦が気を緩ませるのか、平時は冷たさすら感じさせる美貌を崩して淫蕩な表情を浮かべていた。

 

 忙しなく痙攣する膣内がメドゥーサの感じる快感と限界を物語る。汗を浮かばせた、引き締まった肉感的な太腿もぷるぷると震え、絶頂が間近に迫っていることを示していた。膣内の収縮からメドゥーサの昂ぶりを察した真は彼女が気持ち良く逝けるようにと最後の追い込みをかける。猛然と舌をうねらせ、締め上げてくる熱々の媚肉を舐め回した。

 

「ひゃうっ! そんな、だ、め……!」

 

 一度、甲高い悲鳴を上げるメドゥーサだったが、咄嗟に人差し指を咥えて声を抑える。柳眉を折り曲げ、指に歯を立てながら快感に耐えるメドゥーサを真は容赦なく責め立てた。激しい舌使いに限界間近だった女体はあっさりと陥落し、女の悦びを爆発させる。

 

「っ……!!」

 

 ビクン! とメドゥーサは体を硬直させ、きつく唇を結びながら天井を見上げた。同時に真の舌を包んでいた肉壺も入り込んでいた異物を追い出さんばかりに狭隘になる。奥から噴き出してきた熱い潮が真の顔に浴びせられた。

 

 顔、特に口周りを愛液と潮でべたべたにさせた真は蜜壺から一度舌を引き抜き、口を大きく開けて濡れた割れ目へと吸い付く。味わいと粘りを増した蜜を音を立てて吸い上げるとメドゥーサの腰がくねくねと揺れた。

 

「はぁ、はぁ……上手い、ものですね。皆から聞いていましたが、これ程とは」

 

 普段、サーヴァント達の間でどんなガールズトークがされているのか気になってしまう台詞だ。絶頂を抜け出したメドゥーサを見上げる真。鼻で呼吸しているとはいえ、口を塞がれたままなので息苦しさは相変わらずだ。どいて欲しいと口を動かすが、言葉が出てこないので伝わらない。

 

「ん、はあぁ……もう二回目を始めるつもりなんですか、私は逝ったばかりだというのに。聞きしに勝るどS振りですね」

 

 伝わるどころか、変な方向に勘違いされる始末。そうじゃないと唸ったり目をパチクリさせて否定するが、メドゥーサには届かなかった。

 

「いえ、どMの間違いでしょうか」

 

 そう言ってメドゥーサは背後を振り返る。視線の先には天井を突き穿つのではと思えてしまうほどに肥大化した勃起ペニスが存在をアピールしていた。我慢汁に塗れてテカテカになった肉棒はぴく、ぴくと断続的に痙攣している。先端には玉のような腺液が浮かび、雄の匂いをこれでもかと放ってメドゥーサを誘っていた。

 

「顔に跨られた挙句に潮までかけられて。それでこんなにしてしまうなんて、貴方も中々の好き者ですね。それにしても、何て凶悪な……」

 

 想像を超える男根の大きさ、形状にメドゥーサは喉を鳴らす。見ているだけだというのに胎の奥が疼き、オマンコが切なくなって仕方ない。皆が夢中になるのも頷ける、とメドゥーサは納得した。これを己の中に咥え込んだらどうなってしまうのか。考えただけで頭の奥が痺れ、メドゥーサは辛抱堪らないと官能たっぷりの吐息を漏らす。

 

「私だけ気持ち良くしてもらうのも悪いですし、今度は私がしてあげます」

 

 今すぐにでも真を犯して枯れるまで貪りたいという衝動をぐっと堪え、メドゥーサは腰を浮かせた。息苦しさと物理的な重みから解放された真は抗議しようとするが、メドゥーサに唇を押さえられて強制的に黙らされる。舌を伸ばし、見せつけるようにくねらせながらメドゥーサは真に妖しく微笑みかけた。

 

「真のザーメンミルク、口マンコで搾り取りますね」

 

 体を反転させ、真の顔を間に置くように膝を突いて臀部を浮かせる。更にベッドに置いた両手で体を支えてメドゥーサは顔を男根へと近づけ、深呼吸をするように匂いを嗅いだ。途端、立ち昇る濃縮された雄の臭気が鼻腔の奥を直撃する。メドゥーサの我慢メーターは一瞬でレッドゾーンを振り切った。

 

「はぁむぅ♡」

 

 大口を開け、メドゥーサは真の怒張を喉の奥まで咥えこむ。唇に当たる陰毛のむず痒さも、喉奥を突く亀頭の圧迫感も意に介さない。メドゥーサの頭の中にあるのは真の精液を大量に搾り取ることだけだった。頬を窄めて口内の粘膜を太い血管の浮かぶ逸物に吸い付かせ、舌を竿に絡みつかせながらメドゥーサは頭を上下させて口淫を開始した。

 

 人肌よりも熱い、ぬるぬるの粘膜が男根に唾液を塗り込んでいく。一定のリズムで上に下にスライドする刺激が強烈な快感となって真へと襲い掛かった。体が蕩けそうな感触から解放されるのかと思えば、息つく暇もなく魂まで溶けてしまいそうな快楽の魔窟に分身が呑み込まれる。繰り返し己を巻き込んでいく法悦の渦に真は食い縛った歯から唸り声を漏らした。

 

「んぅ、ちゅぶぅ、ちゅぼぉ」

 

 軽く引き締めた唇をカリに引っ掻けるように頭を上げると面白いくらい真の腰が跳ねた。その反応に目元を微かに笑わせてメドゥーサは艶やかなリップで赤黒く染まった亀頭を弄ぶ。食べ頃のキノコのように傘を拡げたカリ首に唇を執拗に擦り付け、亀頭粘膜を唇ではむはむと甘噛みする。時折、不意打ち気味に舌で鈴口をほじくると体の下で真が痙攣するのが分かった。

 

「ここが弱いんですね。だったら……ちゅうぅぅぅ」

 

 亀頭の先端にキスをし、ゆっくりとカリまで口に収めてから容赦ないバキュームを喰らわせる。尿道口の周りに円を描くように舌先を滑らせると大量の我慢汁が溢れ出てきた。

 

「ずっ、ずじゅじゅ、ずじゅるぅぅぅ」

 

 ストローで飲み物を口に含む要領で粘っこい透明な先走りを吸い上げる。部屋中に響く下品な吸引音を強調しながらメドゥーサは口淫を更に激しくさせ、吸っても吸っても枯れずに流れ出てくる腺液を堪能した。舌の上に広がる甘美な味わい、掠れた声を上げながら身悶えする真の反応にメドゥーサの目尻が愉悦に垂れ下がる。ただでさえ濡れ濡れになっていた秘所も奥から溢れる愛液でぐちょぐちょだった。

 

 局部を包み込む快感にただ耐えることしか出来ない真。吸引に合わせて、亀頭を舐めて腰がぞくりとする快感を生んでいた舌がカリ首に触れる。張り出したカリと肉竿との間に出来た段差、その窪みにぴったりと密着した舌先が肉傘の縁をぬるりとなぞった。強めに押し付けられた舌にカリを刺激される快感は爆発的で、真の体が飛び跳ねるように痙攣する。淫猥な音を立てるバキュームも合わさり、真の射精欲は段階を飛ばして上昇していった。

 

 されるがまま、何の抵抗も出来ずに弄ばれる悔しさに真は唸る。ぽたぽたと、淫裂から滴となって落ちてくる愛液に顔を打たれるのは屈辱だ。せめてもの反抗に射精を我慢しようとするが、媚薬で増大された精力と敏感になった体が許してくれない。

 

(ていうか、最近こんなんばっかじゃね、俺?)

 

 快楽に茹った頭で益体もないことを考える真だったが、ふとあることに気付く。非常に億劫ではあるものの、体が動かせるようになっていた。メドゥーサを体の上からどかすのは無理そうだが、両腕を動かしたり上半身を少し起こすくらいは出来そうだ。

 

 真の男根をしゃぶるのに夢中になったメドゥーサの制御が甘くなったのか、『他者封印・鮮血神殿』の効果が薄れてきたらしい。兎にも角にも反撃のチャンス到来、真は気付かれないように両手をメドゥーサの臀部に伸ばす。亀頭への吸引からペニス全部を呑み込むディープスロートへと責め方を変えたメドゥーサは余程興奮しているのか、真の動きに気付かなかった。

 

「んぢゅぅ、んぶぅ、んぼぉ」

 

 自身の口周りに唾液が飛び散るのも構わず、激しいフェラチオに没頭している。もし、二人の体勢がシックスナインでは無く普通のものだったら真はメドゥーサのいやらしいひょっとこ顔を見ることが出来ただろう。

 

 股間から打ち上がってくる快電流に体を小刻みに震わせるも、真は腕を伸ばしてターゲットを捉えた。今一度、両手を軽く握ったり閉じたりして腕が動くのを確認。メドゥーサのヒップを鷲掴みにして一気に抱き寄せ、蜜液を滴らせる秘所へと思い切りしゃぶり付いた。

 

「んうぅっ!?」

 

 予想だにしなかった真の行動にメドゥーサは肉棒を咥えたままくぐもった悲鳴を上げる。突如として体の中心を貫いた快感に動きが止まった。真は今までのお返しにとメドゥーサの大事な場所を舐め回す。濡れそぼり、陰毛の張り付いた陰唇に舌腹を擦り付ける。首を伸ばして愛液の伝っていた太腿、鼠蹊部に舌先を何度も往復させた。

 

(何で、動け……『他者封印・鮮血神殿』はまだ解除してな……い)

 

 思考の纏まらない茹った頭で答えを出そうとするが、触手のように淫裂を這い回る舌がメドゥーサの意識を混濁させていく。快感に内腿を震わせるメドゥーサの膣内に舌を潜り込ませ、真は動きを止めた女怪に追い打ちをかけた。膣壁に触れたざらついた舌の感触にメドゥーサの細腰がビクンと跳ね上がる。

 

「んっ、んぅ……」

 

 真の舌から逃れようとメドゥーサは臀部を持ち上げようとするが、ヒップにがっちりと指を食い込ませた両手が許さない。張りのある美肌に包まれた尻肉の感触を楽しみながら揉みしだく十本の指がもたらす甘美感にメドゥーサは体の震えを止められなかった。真の我慢汁を啜って出来上がっていたのか、女体の内に燃え上がった官能の炎は収まりそうにない。

 

 左右に忙しなく揺れるメドゥーサの美尻。その度に肉厚な太腿の感触と芳醇な雌の匂いが真の顔面を包み込む。男の興奮を煽るには十分以上であり、メドゥーサの口内で極太の男根が硬度と体積を増した。更に猛々しさを増した男の象徴に思わずたじろぐが、同時にもっとこの肉棒を味わいたいと彼女の中で欲望が暴れ出す。メドゥーサは体をビクつかせながら再びも口淫を開始した。

 

 お互いの性器を口で刺激し合う快感に両者の昂ぶりは加速度的に大きくなっていく。淫裂はとろみと味を増した愛液を真に飲ませ、男根は脈動しメドゥーサの口に我慢汁を吐き出していた。どちらもフィニッシュ間近なのは明らかだ。

 

「んぅ、じゅぶぅ、じゅぞぞぞぞ!」

 

 メドゥーサがラストスパートに入る。喉奥まで勃起を咥え込み、これまで以上に浅ましい音を立てて男根を吸引し始めた。体を支えていた両手はパンパンに膨れた睾丸を掴み、ほっそりとした指先で精液を押し出すようにやんわりと揉み潰す。鈍い痛みが急所を貫き、同時にぬるぬるとした感触が肉棒に絡みつき、纏わりついた。男性器の先端から根本まで余さず包み込んだ肉悦がトリガーとなる。射精時に覚える爆発的な解放感を真は迎えようとしていた。

 

 射精を予感した真はメドゥーサを逝かせるべく彼女の性感帯を責め立てる。肉壺に挿し込んだ舌を小刻みに動かし、肉襞を涎で揉み洗いするように舐め回した。豊満なヒップを楽しんでいた右手を包皮から顔を出したクリトリスに、左手をひくひくと震えるアナルへと伸ばす。ぐちゅぐちゅと派手に音を鳴らして膣内を掻き混ぜながら肉豆を摘まみ上げ、菊門を撫で上げた。神経の集中した箇所への三点責めにメドゥーサは一瞬、体を硬直させた。

 

 二人が絶頂に行きついたのは殆ど同時だった。それぞれの性器から体液を噴き出させ、幾度味わっても飽きることない解放感に身を浸らせる。陶酔に耽る二人を互いの体液が汚していく。真は浴びせられた潮で顔中をべたべたになり、メドゥーサは口内どころか喉奥まで満たす勢いの精液を唇から溢れさせた。

 

(勢いが、凄い。量も。それに、味も匂いも……♡)

 

 立ち昇る濃密な雄の臭気が脳に直撃し、思考を麻痺させる。頭に霧がかかって考えも纏まらない状況でメドゥーサは口一杯に溜まった雄汁を嚥下し続けた。極太の逸物が力強く脈動する度、先端から白濁液が噴き出す。睾丸を優しく指で揉めばおかわりが次から次へと出てきてメドゥーサを満たしていった。

 

 男の急所を弄られながらの吐精に真の視界はチカチカと明滅を繰り返す。閃光にも似た快感が骨髄を駆け巡り、真に危険な昂ぶりを覚えさせた。精液を啜られながらのフェラチオに真の興奮は未踏の域へと昇っていく。敏感になっている肉竿を窄められた頬で、大きく張り出したカリ首を引き結ばれた唇でしごかれる。大量の唾液と白濁液でぬるぬるになった粘膜に性感を煽られ、意識が消えてしまいそうな快楽を強制的に味わわされて真は何度も射精を繰り返した。

 

 十回近く精を吐き出した辺りで真は漸く解放された。ぢゅぽっ、と音を立てた最後のバキュームに尿道に残った精液を啜り出され、肉悦地獄から抜け出した真は胸を大きく上下させる。体の下で荒い呼吸をしている主を他所にメドゥーサは零してしまったザーメンを口へと運んでいた。真の下半身に張り付いた、もしくはベッドに落ちた白く熱い粘液を指で掬い取っては味わっていく。ゼリー状の精液にまみれた指を口に含む度にメドゥーサは体が芯から熱くなるのを感じた。その熱は幾らもしない内に堪え切れない衝動へと変わり、メドゥーサは突き動かされるがまま体を起こす。

 

「真、まだ出来ますよね? 出来ますね。まだこんなに元気なんだから」

 

 呼吸を整える暇も無い。呼吸に合わせて動く胸板に両手を突き、両脚をM字に開いて一つになろうとするメドゥーサを真は見詰め返すことしか出来なかった。彼女の目は爛々と輝き、普段の物憂げな姿からは想像もつかない熱意と狂気が垣間見えた。興奮に息を弾ませてメドゥーサは片手で肉棒を掴み、涎を垂らしている膣口に先端を宛がう。唾液でテカテカになっていた剛直はギンギンに屹立し、再三の射精にも構わず挿入するのに十分以上の硬さと大きさを保っていた。

 

「優しく、犯してあげますぅっ……!?」

 

 言い切るのと同時にメドゥーサの腰が下ろされ、熱の籠った肉壺の中に男根が呑み込まれた。カリ首が肉襞を掻き毟り、亀頭が子宮口に強烈なキスをする。その感触は凄まじく、メドゥーサに脳天まで貫いたような快感をもたらした。想像を超えた衝撃に息を詰まらせ、言葉を失うメドゥーサ。顔は胎内に収まった肉棒が生み出す喜悦に緩んでいる。唇も半開きになり、口角から涎が垂れ落ちていた。

 

(これ、凄い。挿れただけで、軽く逝って……これ、無理。こんなの、一度でも味わったら、他のじゃ絶対満足出来ない……)

 

 今だかつて味わったことの無い充足感に沸騰する思考が二度目の納得をする。魂までトロトロになってしまう快楽を味わえる上に、想い人から愛を囁いてもらえるのだ。骨抜きになっても仕方ないだろう。加えて、真が相手しているのは一癖どころか十癖はある様々な時代のサーヴァント達。激動の人生を歩んできた彼女達に向けられる下心も邪気もない愛情(時に多分な性欲が含まれていることがある)に溺れるなという方が無理だ。

 

「(もっと、もっと欲しい。マスターが、この人が……)真、真……♡」

 

 湧き起こる衝動に突き動かされ、体が快楽を貪りだす。ギシギシとベットを軋ませながらメドゥーサはヒップをバウンドさせて真を犯し始めた。肌と肌がぶつかり合う音とじゅぼじゅぼと行為の激しさを物語るような卑猥な擦過音が部屋に響き始める。

 

「あぁ、んぅ、くぅん♡ ひゃあん♡」

 

 婀娜っぽい嬌声を上げながらメドゥーサは腰の上下運動を繰り返した。膣内から勃起が抜ける寸前まで腰を引き上げ、一息に腰を落として極太を根元まで咥え込む。ずりゅう、と音を立てて肉壺に滑り込んできた亀頭が子宮口にめり込み、メドゥーサは体を一直線に撃ち抜く快電流に小さく背筋を反らして天井を仰いだ。膣内をパツパツに拡げる男根の感触。亀頭の膨らみ、カリ首の張り出し具合、血管の浮き出たガチガチの肉竿、全てがメドゥーサの悦びを大きくしていく。逸物が出入りするその都度、胎内に奔る快感が彼女の貌を雌その物へと変えていった。

 

 太く長大な男根に淫液で濡れた媚肉が絡みついてくる。ピッタリと吸着してくるビロードのみたいに滑らかでありながら複雑な襞を持つ粘膜に肉棒をしごかれるのは堪らなく甘美だった。精液を搾り取るように蠕動する媚肉とメドゥーサの激しい腰使いに真は頭の奥まで痺れてしまう。

 

「んっ、ふぅ。乳首をこんなに硬くさせて、弄って欲しいんですね」

 

 流れ出た唾液で濡れた唇で弧を描いたメドゥーサは淫蕩に染めた美貌で真を見詰めながら指先で勃起した乳首を弾いた。小さく突き出ている乳首を指の腹で執拗に擦り、親指と人差し指で摘まんでクリクリと捏ね繰り回す。ビクンと体を跳ねさせた真にメドゥーサは一層息を荒くし、腰の動かし方をダイナミックにしていった。

 

「う、ぐぅ……」

 

「逝く、んですね? いいですよ、私の中に、たっぷり出して下さい。一番奥で、ビュ~って……あぁん♡ また、大きくなってるぅ♡」

 

 メドゥーサの表情が歓喜に輝く。ビクンビクンと脈動する男根を膣肉で揉み転がし、繰り返し臀部を打ち下ろして真の高まった射精欲を更に煽った。早く精を寄越せとばかりに肉襞が小刻みに蠕動し、肥大化する逸物を甘美に鞭打つ。容赦ない刺激を受け続けた男性器は熱した鉄のようであり、じんじんと疼いて睾丸から白濁が噴き上がろうとしていた。

 

「逝っくぅ……!」

 

 その熱と疼きを鋭敏になった秘所で感じ取ったメドゥーサは一足先に絶頂を迎える。肉をぶつけ合う乾いた音と淫らな擦過音を奏でていた腰が止まり、震えていた蜜壺が根元まで咥え込んだ肉棒をぎゅうっと引き絞った。たっぷりの愛液で濡れた肉襞に締められた男根に痛烈な快感が流れ、真の射精欲は限界の先へと押し出される。一際大きく脈打った肉竿からゼリー状の白い塊が迸り、メドゥーサの胎内に流れ込んでいった。

 

「っっっ♡ 出てるぅ♡ 熱いの、真の一杯出てるぅ♡ お腹、焼けちゃうぅぅぅ♡」

 

 平時の彼女を知っている者なら想像だにしないだろう甲高いソプラノ声を響かせ、メドゥーサは紫髪を振り乱して二度目のオルガズムへと至る。性的快感が最高潮に達したことと愛する男の精を受け止められたことがこの上ない相乗効果を起こし、視界がぼやけるほどの多幸感がメドゥーサを包み込む。ふわふわと霊基が昇天するような感覚の中、甘く蕩けた嬌声で啼き続けた。

 

 数回脈動した後、たっぷりの精液をメドゥーサの中に吐き出した逸物が落ち着きを取り戻す。射精こそ終わったが、相変わらず硬く太く長大なままだ。

 

 アクメから脱したメドゥーサを脱力感が襲う。ふらりと倒れそうになるが、慌てて真の胸に両手を突いて体を支えた。すると、掌から様々なものが伝わってくる。汗ばみ火照った肌、呼吸と連動して上下する胸板、ドクドクと激しく鳴る鼓動。それが全て真の、想い人の物だと認識すると、途端にメドゥーサの胸に愛しさが溢れ出てきた。真と繋がったままの蜜壺がキュッと締り、敏感になっている男根に追い打ちをかける。苦しげな小さい呻き声が真の口から漏れ、メドゥーサの愛欲を大きくさせた。

 

「可愛い声……もっと聞かせて下さい。それに、貴方の可愛い顔も、もっと見せて下さい」

 

 ゆっくりと腰を前後に揺らして男根を刺激し、両手を滑らせて真の顔を挟んで自分の方へと向かせる。小さく笑みを浮かべながら真を覗き込もうとするメドゥーサ。この時、彼女は自分が相手を犯す側だと思っていたため、反撃されるなど想像もしていなかった。だから、さっきまでベッドに投げ出されていた真の両手がセーターの裾から中に入り込み、自分の腰をがっちりと掴んだことに対応出来なかった。

 

 一瞬の浮遊感。手の力だけで持ち上げられたのだとメドゥーサが理解したのとほぼ同時に真の腰が浮き上がり、最大サイズを維持した肉棒が蜜壺を突き上げる。内臓を叩き上げられるような衝撃と頭が内側から破裂してしまいそうな快感にメドゥーサは言葉にならない悲鳴を上げて背筋を反らした。目を見開いて硬直するメドゥーサの下で真はロデオの馬のように暴れ回る。力任せの乱暴な抽挿に圧倒され、メドゥーサはぺたりと座り込んで突き上げられるがまま豊満な肉体を弾ませた。

 

「あっ、あうぅっ、んあぁぁぁ♡」

 

 極太の逸物に胎内を蹂躙される痛いほどの快感にメドゥーサの美貌は崩れ、口からは抑え切れない喘ぎ声が氾濫した河のように溢れ出ている。暴力的なピストンに乱れた姿を晒すメドゥーサに真は腰を浮かせて更に強い律動をぶつけた。大きく張ったカリ首で震える肉襞を抉り、腺液を流す亀頭で子宮口を押し潰さんばかりにノックする。体の中心に一本の線を通すように走る余りに強い快電流にメドゥーサは喉を震わせ、悲鳴にも聞こえる嬌声を迸らせた。

 

不意にメドゥーサの視界に映る景色がぐるりと入れ替わった。背中に柔らかなベッドが当たり、さっきまで見下ろしていた真を今度は自分が見上げている。押し倒されたのか、と頭の片隅で他人事のように思いながらメドゥーサはより力強くなった真の腰使いに啼き続けた。

 

 白い肌を紅潮させ、色めいた声で喘ぎながら身悶えするメドゥーサに真の興奮のボルテージは上昇の一途をたどる。無尽蔵に与えられる快楽から逃れるように身を捩らせる姿はこれ以上ないほど雄の生殖願望を刺激した。氷のようにクールな美女が顔を淫靡に歪ませる様に真は欲望を滾らせ、力を込めて腰を前後させる。結合部から聞こえる粘膜の擦れる音が激しさを増し、それに伴いメドゥーサの嬌声もより大きく艶っぽくなっていった。

 

 胸中に生まれた獣欲をメドゥーサにぶつける中、真は視線を彼女の顔から胸へと移す。豊かに実った肉の果実はセーターの上からでも容易に分かるくらいダイナミックに揺れていた。メドゥーサの細越を掴んでいた右手が伸び、セーターの裾を持ち上げる。

 

「そ、そこはぁ……」

 

 切なげな声を出すメドゥーサを無視し、真は彼女のセーターを胸元まで一気に捲り上げた。布地に隠れていた汗ばんだ女体が露わになり、たぷんたぷんと弾んでいた巨乳が飛び出てくる。解放された乳房は容器から出したばかりのゼリーのようにぷるぷると震え、綺麗な乳輪の中心ではぷっくりと勃起した乳首が自己主張していた。

 

「何だ、触って欲しいのか、ここ?」

 

「んくぅぅぅ♡」

 

 揺れ動く桜色の突起二つを一遍に摘まれ、メドゥーサは喜悦に染まった悲鳴を上げて体を大きく弓なりに反らす。男根に絡みついていた膣肉が締りを一層強くし、精液を搾り出そうとうねうねと蠢いた。潤沢な蜜液に濡れた肉襞が逸物を揉み捏ねる甘美感に真の射精欲は急上昇していく。蠕動する膣内に亀頭を出し入れさせる、粘膜を触れ合わせる肉悦に真の我慢の枷は次々に壊れていった。

 

「どこに出して欲しい?」

 

 両手で豊満なバストを滅茶苦茶に揉み回し、ガンガンと腰をぶつけながらメドゥーサに訊ねる。快感に翻弄され、あられもないアヘ顔を晒しながらメドゥーサは美脚を真の腰に巻き付けて意思表示をした。

 

「中ぁ♡ 中に出してぇ♡ ドロドロザーメンで孕ませてぇ♡」

 

 ぐいっと脚で真を引き寄せ、股間を密着させる。がつ、と子宮口に亀頭が深々と突き刺さり、メドゥーサを一気に絶頂へと登り詰めさせた。同時に肉壺が痛いほどに収縮し、男根をこれでもかと食い締める。快楽神経をそのまま刺激されるような痺れに耐え切れず、真は思い切り精の奔流をメドゥーサの子宮へと撃ち出した。

 

「あああぁぁぁ♡」

 

 美しく豊かな肢体をしならせ、メドゥーサは部屋にオルガズムの悲鳴を木霊させる。汗の浮かんだ体は息を呑むほど艶やかで、膣内が更に締め付けを強くしたこともあって真は何度もペニスから精液を吐き出させた。次々に精を放出する開放感に真の意識は真っ白な恍惚に染まっていく。メドゥーサも愛する男の子種を受け止められる喜びに忘我の境地に至っていた。

 

 長時間、雄のエキスを美女の胎内に撒き散らしていた逸物もようやく落ち着きを取り戻す。放精後の脱力感に襲われ、真はメドゥーサに覆い被さるように倒れ込んだ。メドゥーサは四肢をベッドに投げ出し、ぐったりとしている。少しの間、部屋の中には二人の荒い呼吸音だけが流れた。

 

「メドゥーサ」

 

 暫くして体力を回復させた真がメドゥーサに声をかける。名を呼ばれた美女は幸せそうに笑みを浮かばせ、想い人をアメジストのような瞳で見詰めた。

 

 上体を起こし、メドゥーサに両腕を回して抱き上げる。たわわに実った乳房を押し付けながらメドゥーサも真を抱き返し、目を閉じて小さく唇を突き出した。何をして欲しいのか一目瞭然のメドゥーサの行動に真はキスで応える。メドゥーサの目尻が嬉しさに緩んだ。

 

 暫しの間、二人は触れ合うだけの口付けを楽しんでいたが、互いの体の感触を堪能している内に性欲が勢い良く燃え上がってきた。唇を合わせるだけのキスは舌と舌を絡み合わせる濃厚なベーゼに変わり、互いを抱き締めていた両腕は相手の至る所を撫で回して官能の炎を強くさせている。蜜壺に入ったままの男根も再び交合時の雄々しさを取り戻し、メドゥーサを軽く啼かせた。

 

「んぅ。あれだけ出したのにまだこんなに大きく硬いなんて。どれだけ盛んなんですか、このスケベマスター」

 

「そりゃこんなに綺麗で美人なお姉さんと愛のあるセックスが出来るんだ。一回二回出したくらいじゃ収まらないって」

 

「ふふ、そうやって上手いことを言って皆をその気にさせているのでしょう。全く、碌でもない男ですね、私のマスターは」

 

 咎めるようなことを言うメドゥーサだが、口元は嬉しそうに綻んでいた。まぁいいでしょう、とメドゥーサは再び真に軽い口付けをする。

 

「私は貴方のサーヴァントですから、貴方がしたいと言えば拒むつもりはありません。どうぞ好きなように、如何様にも私を楽しんでください」

 

「ほぉ、好きなようにと言いましたか。では、遠慮なく」

 

 キュピーン、と真の目が鋭く輝いた。

 

 

 

 

「確かに好きなようにとは言いましたが、まさかこの格好の私としたいだなんて……」

 

 どこか呆れた風に、どこか恥ずかしそうにベッドの傍らに立つメドゥーサ。そんな彼女の格好は肩や二の腕、胸元、脇腹、太腿を大胆に露出させたボディライン丸出しのピッチリスーツ。ハッキリ言ってイメ○ラとしか思えないエロ衣装、マスクも眼鏡もつけない霊基再臨第三段階の姿だ。ちなみに下着は上も下も着けていない。なので乳首はスーツの上からでも勃起していると分かるし、辛うじて隠れている大事な場所も丸出しだ。まぁ、上を着てないのは元からだろうが。

 

「うん、何時見ても素敵」

 

 落ち着きなくもじもじするメドゥーサを上から下に舐めるように視姦する性欲絶倫魔人、もといマスターの真。目の前のスタイル抜群極上美女のセックスアピールたっぷりの格好に心も体もギンギンだ。

 

「何時見てもって、何時も私をいやらしい目で見ていたんですか?」

 

 基本、特異点にレイシフトする時のメドゥーサの格好はこのピチピチスーツだ。そうすると、必然的に特異点にいる間はこの姿のメドゥーサ行動を共にすることになる。そっと正面から抱き締めてくる真に胡乱げな目を向けて訊ねた。メドゥーサの問いに真はまぁね、と言葉を濁しながら答える。

 

「戦闘の時とかは指示出したり相手をぶっ飛ばすのに集中しててそうでもないけど、戦うのが終わった時とかは割と……いや、すんごいムラムラする」

 

 訂正。物凄くどストレートに答えた。実際問題、ダイナマイトボディ美人のこんな素敵(意味深)な格好を見て興奮するなというほうが無理な話だ。健全な思春期男子にそれは余りに酷というもの。別に誘惑するための姿ではないのですが、と呆れた様子で嘆息を一つ吐くと、表情を濃艶なものに変えて真にしな垂れかかる。

 

「そんなに興奮しているのですか、私に?」

 

「こんな綺麗でスタイルのいいお姉さんに興奮しない男なんていません」

 

 耳元で囁かれる熱く甘い声音にぞくっとしなが真は答えた。すると、艶笑が浮かんでいたメドゥーサの顔が翳った。視線を下に向け、ポツリと呟く。

 

「私は綺麗、なんでしょうか?」

 

 メドゥーサに取って美しさの基準は彼女の姉二人、ステンノやエウリュアレのように小さく可愛らしいことである。故に彼女は自身の大人びたスタイルにコンプレックスを抱いていた。どれだけ他人がメドゥーサのことを美しい、綺麗だと言っても彼女には今一実感が湧かず、その賛辞を信じることが出来なかった。

 

「メドゥーサ」

 

 俯くメドゥーサに呼びかけ、顔を上げさせる。どこかしょんぼりとした表情を浮かべるメドゥーサの額、蛇のような紋様があるそこにキスを落として真は彼女の目を見詰めて思ってることを真っ直ぐ伝えた。

 

「綺麗だよ。この髪も、目も、体も、心も。凄く綺麗だ」

 

左手を彼女の腰に当て、右手で艶やかな紫髪を梳きながら真はもう一度額に口付けをして飾り気のない心が剥き出しの言葉をメドゥーサに贈る。対してメドゥーサは耳まで真っ赤になるほど赤面していた。まさか、これ程ストレートに言われるとは思っておらず、あの、その、と暫くの間、顔を茹蛸みたいにしながら口をもごもごさせる。そのまま真がじぃっと見ていると、観念したようにはにかんだ。

 

「ありがとう、ございます。貴方にそう言ってもらえて、嬉しいです。本当に、嬉しい」

 

 どこかの有象無象共に綺麗と言われても何も感じないがマスター、好いた男の綺麗だという言葉は驚くほど心に響いた。想い人が綺麗だと言ってくれるなら、コンプレックスである自分の体も好きになることが出来そうだった。

 

「そっか、良かった」

 

 見詰め合う二人。互いの唇が触れ合うのに時間はかからず、幾らもしない内に舌が絡み合う淫靡で情熱的な音が奏でられ始めた。唇を合わせ、舌をいやらしく踊らせながら真はメドゥーサの恵体を撫で回す。男の欲求剥き出しの手付きで肉感的な太腿に手を這わせ、引き締まったボリュームたっぷりの美尻に指を沈ませた。

 

 メドゥーサも負けじと真にやり返す。細いがひ弱ではない、鍛えられた真の体つきを確かめるように指を滑らせ、性感帯を見つけだして重点的にくすぐった。ぴくっと体を揺らして反応する真に心の中でにんまりと笑い、舌を積極的に動かして真との愛撫を楽しんだ。

 

「ん、ちゅぷ……ぷはっ。ふふ、さっきあれだけ出したのにまだこんなに……どうやら満足のまの字もしてないみたいですね」

 

 真の口腔から舌を引き抜き、からかうように微笑むメドゥーサ。尻肉を揉み回す男らしく大きい両手に小さく喘ぎながら腰を揺らし、さっきから腹部に当たっていたバキバキの肉棒を擦った。

 

「メドゥーサこそ」

 

 スーツに包まれた腹部が分身を撫でる感触に耐え、真は臀部を鷲掴みにしていた右手を彼女の股間へと移動させる。外気に曝け出されていたそこは既にぐちょぐちょに濡れていた。そっと割れ目を開けば中からとろりと白い精液の混ざった温かい蜜液が垂れ落ちてくる。人差し指を浅く割れ目の中に入れながら真はメドゥーサに意地悪く訊ねた。

 

「ここ、凄いことになってるけど」

 

「んっ、くぅ。仕方、ありません。貴方と一つになりたくて、ひっ、仕方がなかったんぅ、ですか、ら」

 

 メドゥーサの途切れ途切れの返答に薄く笑い、真は軽くバードキスをした。

 

「ベッドに手を突いて」

 

「はい」

 

 真の言葉にメドゥーサは表情を蕩かせて諾々と従った。くるりと回れ右して真に背を向け、ベッドに両手を置いて体を支えながら真に捧げるように美しいヒップを突き出す。肩越しに真を振り返ったメドゥーサの双眸には情欲の光が宿っていた。表情に妖艶な色気を漂わせ、メドゥーサは美尻をふりふりと振って雄の性欲を煽った。

 

「どうぞ、マスター。貴方専用の、貴方だけの性処理オマンコです。好きなように、如何様にも使って下さい」

 

 メドゥーサの言葉に答える代りに真は彼女の臀部を鷲掴みし、洪水状態の秘所に亀頭を押し当てた。そのまま腰を突き出し、肉壺の中に男性器をゆっくりと挿し込んでいく。さっきの交わりの残滓が乾いてない上、膣内が愛液で潤沢に濡れていたこともあって男根は吸い込まれるようにメドゥーサの胎内に埋まっていった。みっちりと閉じていた肉襞が蠢動して押し入ってきた逸物を奥へと誘い、やがて先端にこつんと子宮口が当たる。メドゥーサの口からうっとりとした吐息が溢れ出した。

 

 たん、たんと一定の間隔をあけて肉の打つ音が鳴り始める。真の下腹部がメドゥーサの臀部を叩き、豊麗な女体が衝撃で波打っていた。スーツに包まれたバストも真の突き込みに合わせてたぷんたぷんと弾み、その大きさと柔らかさをアピールしている。全身から汗を滲ませてメドゥーサは半開きにした口から善がり声を漏らし、秘所に出入りする男性器の熱さと硬さに陶酔していった。

 

「あっ、んぅ、あん、あぁん♡」

 

 メドゥーサの嬌声に共鳴するように肉壺がきゅんきゅんと収縮し、溶け落ちそうな甘美な感触となって逸物を抱き締めてくる。幾つもの肉襞が竿を撫で回し、カリ首を揉み上げ亀頭をくすぐっていった。先端には下りてきた子宮口が吸い付き、雄のエキスを啜り出そうとしている。性器を通して伝わってくる快感に全身を熱くさせながら真は腰を打ち込み続けた。汗を浮かばせた肌に紫髪を張り付け、男好きのする声で喘ぐメドゥーサに若い性欲が際限なく上昇していく。

 

「んっ、くふぅ♡ はげ、し♡ おく、ついてるぅ♡」

 

 加速していく真のピストン運動にメドゥーサの口から歓喜の声が上がった。熱烈な愛情の籠った抽挿が成熟した肉体に殊更快美に響く。人には見せられない恍惚に染まった顔で舌を突き出し、四肢をブルブルと震わせてメドゥーサは女の幸せを享受した。衣装越しに尻肉をぐにぐにと揉み潰す手付きも彼女を悦ばせるスパイスになっていた。高まっていく雌の悦びに逆らうことなくメドゥーサは蕩けた声で啼き続ける。

 

 真の両手がメドゥーサの体を昇っていく。たっぷりと肉の詰まった形の良いヒップからキュッと縊れた細腰に。美しい曲線を描くウエストを堪能した両手は次に腹部へと移り、そして大きく揺れ動く乳房を包み込んだ。スーツの上からでも分かる柔らかさ、乳首の勃起具合。掌の中で乳肉を転がし、乳首を弾いて刺激するとただでさえ艶のあったメドゥーサの喘ぎ声に更なる色気が生まれる。婀娜(あだ)めいたメドゥーサの艶姿(あですがた)に真は射精欲求は限界を超えて高まっていった。

 

「んむぅ♡」

 

 ベッドに両手を突いていたメドゥーサを抱き寄せ、振り向かせて肩越しに強引なキスをする。天にも昇るような快感に何度も肉体を貫かれて思考が殆ど麻痺していたメドゥーサは唇に触れた感触に無意識に反応して舌を伸ばしていた。二人の舌がぬるぬると絡み合い、唾液を混ぜ合わせる。上でも下でも交わり合う喜びに二人は一気にエクスタシーへと辿り着いた。

 

 玉袋から駆け上がった精液が膨れ上がった逸物から撃ち出され、精を受け入れる準備を済ませていた胎内の隅々まで白濁で染め上げていく。愛する男の種に大事な場所を、命を宿す部屋を満たされていく充足感にメドゥーサは全身を震わせて絶頂を繰り返した。真も女に精を注ぎ込む達成感に酔い痴れながら愛液と先走りを擦り込んだ肉壺にたっぷりの精液を延々と吐き出し続ける。

 

 長い射精が終わり、二人の唇が離れた。しかし、互いの唇を繋いでいた唾液の橋が切れるよりも早く再び口付けをする。更に一回、また一回と人間とサーヴァントの番いは気の済むまで相手の唇を味わい続けた。

 

「また、たくさん。連続で出したとはとても思えませんね。こんなに濃いのを注がれてしまうと、サーヴァントでも孕んでしまいそう」

 

「試してみるか?」

 

 腹の上から子宮の辺りを撫でるメドゥーサの手をそっと握る。肩越しに真を振り返ったメドゥーサの紫の瞳には期待と高揚が渦巻いていた。

 

「是非♡」

 

 何度目になるか分からないキスを交わす二人。暫くの間、部屋には唇を吸い合う音が響いた。

 

「ところで知っていますか、マスター?」

 

 新体操の選手よろしく脚を大きく開いて体を反転させ、真と向き合いながらメドゥーサは問いかけた。何を、問い返す真にメドゥーサは妖艶に微笑む。

 

「蛇の交尾はとても激しいんですよ。あの長い体を紐で結ぶように巻き付け合って、絡み合わせるんです。傍から見れば暴れ回っているようにも見える行為。それが何日も続くこともあったり……」

 

 意味深な笑みを浮かべ、真の首に両腕を回して舌舐めずりして見せた。

 

「当分、寝るどころか休むことも出来なさそうですね。私も、貴方も……あぁん♡」

 

 メドゥーサを抱き締めていた真が彼女の両脚を抱え上げる。両手で張りのあるヒップを支え、大きく音を鳴らすほどのピストンを始めた。駅弁の体位で始まった激しいセックスにメドゥーサの顔はあっという間に蕩け、発情した雌その物へと変わる。

 

「真、真♡」

 

 歓喜に彩られた表情で名を呼ぶメドゥーサに真は情熱的なキスで応えた。男と女の欲望は消えることは無く、体内で大きな炎となって燃え盛っている。二人の蜜月は朝になるまで終わらず、それこそ蛇の交尾のように激しく続けられた。




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
毎度おなじみカルデア最後のマスター。主な仕事はサーヴァント達との円滑なコミュニケーション(意味深)、カルデアスタッフのお手伝い、荷物運びや調理などの雑務全般。後、序に人理救済。

『メドゥーサ』
スカサハの次に召喚された最古参サーヴァント。真との付き合いはマシュ、スカサハに次いで長い。反英霊である自分を信頼し、正面から向き合ってくれる真のことを滅茶苦茶気に入っている。どこか別の次元の彼女の言葉を借りるなら「アナタは良識があり、勇気があり、才気は控えめですが将来性がある」だ。ちなみにクールで大人びたスタイル抜群の美人という作者の好みどストライクだったりする。













どうも、前書きでも書いたとおり遅れてすみません。イベントで忙しかったとかって書いたけど、実際は純粋に筆が進まなかっただけなんだけどね。本当は二万文字越えた辺りでもう終わらせていいかなって思ったんだけど、第三再臨姿のメドゥーサとの立ちバックを書かなければという謎の使命感に突き動かされた結果です。反省も後悔もしない。

















使命感を覚えるくらいならもっと上手い文章書け? ご尤も。


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『玉藻の前』良妻狐は諦めない

Q,何でこんな遅かったの?

A,恐竜だらけの無人島でサバイバルしたりデジタルでモンスターな仲間と電脳世界で便利屋やってたりしました。

Q,それにしたって遅すぎない?

A,思うように書けなかったりしまして。

Q,今後の予定は?

A,モンハンワールド出るし、もっと遅くなるんじゃないかなぁ。

Q,JK玉藻は?

A,ま、その内追々と。


(俺の名前は遠野真。十八歳の誕生日、たまたま見つけた胡散臭いチラシに応募したらカルデアとかいう場所に拉致され、何故かマスターと呼ばれる何かになっていたごく普通の男の子だ。色々あって滅びそうになってる人類の歴史を救済するため何やかんやと頑張っている。人類最後のマスターとして行動している俺だが、実は二つの大きな問題を抱えている。一つはこのカルデアに召喚されるサーヴァント(何か凄い人たち)が何故か女性しかいないということ、そしてもう一つは女性サーヴァントたちとの距離が物理的にも精神的にも近いということだ)

 

 

 

 

 人理継続保障機関『フィニス・カルデア』。ここに召喚されたサーヴァント達には基本的に一人一部屋与えられている。元はスタッフ、マスター達のために用意されていたものなのだが、レフ・ライノールのテロのために使用する者がほとんどいなくなったため空き部屋になっているものをサーヴァントが使っているのだ。

 

 

 部屋の内装はほぼ一緒、ベッドなどの生活に必要なものが最低限あるだけだ。なので、サーヴァント達は調度品を自力で調達していた。マスターである真に頼んで作ってもらったり、一緒に作ったりすることもある。時にはレイシフトして家具そのものを買ってくることもしばしばあったりなかったり。真の協力もあってサーヴァント達は部屋を自分好みのものにしていた。

 

 中には部屋の内装をまるっと変えてしまう者もいる。狐耳のサーヴァント、キャスターがそうだ。驚くなかれ、彼女はあの和風のわの字もなかった部屋を見事な四畳半の和室に変えてしまったのだ(尚、物理法則は休暇を取って白川郷に行っているご様子)。床に敷かれた畳にどこから持ってきたのか卓袱台に分厚い白黒テレビ。そして何故か二組ある布団。何というか、昭和の稼ぎのまだ少ない新婚さんの住む安アパートといった風情だ。

 

「さてさて、画面の前の皆々さまこんにちは。私、キャスター、玉藻の前と申します。ここカルデアでは遠野真様の、遠野真様のサーヴァントをさせてもらっております。最近、如何お過ごしでしょうか」

 

 と、訳の分からないことをのたまうのは四畳半の中心で正座する狐の耳に尻尾を持った妖艶な美女。良妻願望とそれに伴った愛する人との幸せな新婚生活を夢見る頭の中を表すようなピンク色の髪、諸人に露出強と言わしめた肩出し、太腿がん見せの蒼い巫女服(?)。遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。彼女こそカルデアが誇る淫乱巫女狐、玉藻の前(以下玉藻)その人である。

 

「どぅあれが淫乱ですか! 人をどこぞのスーパーケルトビッチみたいに言ってんじゃねぇですよ! 私が全てを尽くして奉仕するのはこの世に一人だけ、愛するご主人様だ~け~で~す~!! ……あら、嫌だ。私ったらこんな大声ではしたない。タマモちゃん反・省☆」

 

 軽く舌を出し、片目を閉じながら自分の頭をポコッと叩く。リアルで見たら確実に殺意が湧くだろう行為も彼女のような見目麗しい美女がすれば不思議と絵になった。こほん、と一つ咳払いをしてから玉藻は謎の一人語りを続けるのだった。

 

「何の脈絡もない質問を致しますが皆々様、月を見上げて何か思うことがおありでしょうか? 何というかこう、素敵な巡り合いの予感がするとか。もしくは運命の殿方とDramatic&Loveromanceな出会いをしちゃいそうとか」

 

 私はするのです、と妙に発音のいい英語を口にしながらふわふわの耳をピコピコと揺らす玉藻。君の出身地どこよ?

 

「言葉では上手く言えないのですが、お腹に風穴が出来ても体が軽くなった、で済ませてしまうとか、四つん這いの犬のようなポーズを強制させられる暗闇の中で諦めずに進み続ける。そんな方との出会いを予感するのです」

 

 上手く言えないと言った割には偉く具体的な人物像を出すものだ。

 

「いえ、予感と言いましたがこれは誤りですね。月を見上げる度、私は確信するのです。何があっても、それこそ人類滅亡レベルの災厄が起ころうとも決して諦めず、仲間と共に歩み続ける人と出会うと。そんなイケタマな殿方と出会うことが出来たら幸せでしょうねぇ……まぁ、タマモちゃんには一切合財関係の無い話ですけどね~!」

 

 しみじみと呟いていた玉藻の表情が一変、目がくわっと大きく見開かれる。教本に乗せたくなるほど綺麗で美しい正座を崩し、拳をぐっと握り締めて天井を見上げた。

 

「どこのどなたか存じ上げませんが、その殿方と出会うのは別の世界の私! カルデアに召喚された私には小指の爪の甘皮ほどの関係もありません。だってぇ、私はもう出会っているんですから。魂を誓ったお方、運命のお人、愛しの愛しのご主人様、遠野真様に♡」

 

 再び正座し、居住まいを正して玉藻は懐から一枚の写真を取り出す。つい先日、行われたお茶会で撮られた真の写真だ。不意を突いた、自然体の彼を映した至高の一枚である。撮影者はカルデアが誇る万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼女が写真に付けた値段は一枚一千万QPぽっきり。飛ぶように売れたことは言うまでもない。

 

「あぁ、ご主人様。何て凛々しいお顔。何時見てもす・て・き♡」

 

 うっとりと吐息を零し、頬を桃色に染めながら玉藻は写真の中の真を見詰める。食べかけのシュークリームを片手に唇にクリームを付けた真がそこにいた。これのどこが凛々しいんだ、という突っ込みに関しては感性は人それぞれとだけ言っておく。ちなみに写真に映っている真以外の人物、主にサーヴァント達の顔は黒い油性マジックで綺麗に塗り潰されていたりする。彼女の独占欲、及び触れちゃいけない心の闇が窺い知れる一枚になっていた。

 

「本来であれば貴方様のような清き魂の持ち主に大化生たる私が仕えるなど、ましてや寄り添い尽くそうとするなんて言語道断、あってはならないこと……だというのに貴方様は私に力を貸して欲しいと言って下さった。反英霊である私を必要として下さいました」

 

 その喜びは言葉に出来ぬものであった。かつて愛する者達から恐れられ、決別され、裏切られ、追われ、討たれた玉藻に取って彼女を必要としてくれる遠野真という存在は太陽のように輝かしいものだった。一緒に戦ってくれと差し出された大きな手の温かさ、手を取り合えた喜びは玉藻の霊基に深々と刻み込まれている。

 

「『別に反英霊だからって世界を救っちゃいけないなんてことはないべ。俺達と一緒に人類の未来を取り戻してみない? ミコッてな』……こんなこと、こんなこと言われてしまったら……もうメロメロになるしかないじゃないですかぁ~」

 

 何時だったか、私如きが貴方と共に戦っていいのでしょうか、という呟きに返された言葉を思い出し、嬉しさの余りごろごろと畳の上を転げ回り出す玉藻。その際、すぐ横に置いてあった卓袱台に脛を強かにぶつけて悶絶したのは内緒だ。いたたた、と涙目になりながら玉藻は再び真を映した写真を見て相好を崩す。途轍もない切り替えの早さだ。

 

「うへへぇ。未来~、ご主人様との未来かぁ。子供は何人くらいがいいかな~。やっぱりぃ、皆で野球が出来るくらい?」

 

 一人で何人産む気なのだろう。耳をピコピコ、尻尾をフリフリと揺らし、玉藻はいずれ現実になるだろうと微塵も疑っていないピンク色の未来予想図に思いを馳せた。彼女の頭の中に人理救済の文字は無い。人という漢字の一画目くらいはあるのかもしれないが、大部分は真と送る幸せ四畳半の新婚生活(予定)が占めていた。うにゃにゃにゃにゃ、と緩んだ顔で珍妙な声を漏らしながら玉藻は自分に都合のいい妄想を赤裸々に誰に聞かせるでもなく垂れ流していく。

 

「朝ご飯ではあ~ん、なんてしちゃうんでしょうねぇ。それでご主人様が美味しいと言いながら私を撫でてくれて……はふぅ、考えるだけで体が蕩けちゃいます。そしてご主人様を仕事へと送り出した私は拙いながらも炊事掃除洗濯家事全般をこなしていく。良妻、りょ・う・さ・いですもの。下手っぴでも一生懸命頑張ります。夜には帰ってきたご主人様を温かいご飯と最高の笑顔でお出迎え。今日もお仕事ご苦労様です、とご主人様を労い夕飯を共に。お風呂ではご主人様のお背中をお流しして、その後一つの布団に入った二人は燃えるような一夜を……きゃ~、ご主人様ってば大胆☆」

 

 写真を胸に抱きしめ、再び玉藻は畳の上を転がり始める。今回は脛を卓袱台にぶつけるような無様な真似はしなかった。

 

「ぐへへ、こりゃたまらん。ヨダレずびっ! ってなもんですよ。人理救済なんて些末事にかまけてる暇はありません。魔術王だなんてどこの誰だかとんと存じ上げませんし、興味も恨みもありませんが、私とご主人様の幸せのために加速的速やかに黄泉送りしなければなりませんねぇ。そして、私はご主人様とラブラブ幸せ新婚生活を送り、送り……」

 

 何恥じることがあろうかと言わんばかりの饒舌な語り口で欲望を曝け出していた玉藻の表情が翳る。頭の中には真との新婚生活を送るのに邪魔になる障害(女達)の顔が浮かんでいた。

 

「送りたいのにぃぃぃ! 何で、何で既に大勢の方を侍らせているんですか、ご主人様!? 既にハーレム構築済みってどういうことですか!? しかも皆さん今の関係に超満足してるし、不満とか何一つ持ってないし! どれだけ絶倫なんですか、どれだけテクニシャンなんですか! でもでもぉ、そんな性豪なところもす・て・き♡ ……じゃねぇです! ご主人様、何故私を一番最初に召喚して下さらなかったのですか? そうすれば『他の女なんてもう要らない。玉藻がいてくれればそれだけでいい(キリッ』と言わせる程のご奉仕をしてみせましたのに、私無しじゃ生きられないくらいご主人様を骨抜きにしたのに~!!」

 

 うわ~ん、と今度は畳の上に蹲って泣き始める。締りの無い笑みを浮かべたり号泣し始めたりと、ころころ表情を変えてとても忙しそうだ。傍から見たら情緒不安定のかなり危険で相当ヤバいぶっちぎりでイカれた女にしか見えないだろう。

 

「酷いです、こんなのってあんまりです。やっと、やっと運命の方に出会えましたのに……」

 

 暫くの間、部屋の中には玉藻がめそめそと鼻を鳴らす音だけが流れていた。が、それも大体一分ほどで治まる。ぐい、と涙を着物の袖で拭った玉藻の顔には敢然とした表情が浮かんでいた。片手に真の写真を持ち、もう片方の手で力強く拳を握りながら両目に決意の炎をメラメラと燃やしている。

 

「惚れた殿方に女がいるからって諦める私ではありません! 既にハーレム構築済みだぁ? だったらそのハーレムからご主人様を寝取って私だけの虜にすればいいだけの話です! 今に見てやがれお邪魔虫達!」

 

 召喚された順番的にいえばお邪魔虫なのはどちらかというと玉藻のほうなのだが、彼女はそんなこと気にしない。全ては愛するご主人様を己が手中に収めるため。諦めません、奪い取って独占するまでは。

 

「タマモ、ファイト!」

 

 

 

 

 

 後日、玉藻のトラップハウス、もとい彼女の自室に真は訪れていた。ちょっと世間話でもどうでしょう、という下心ありありかつ主婦友達かと突っ込みたくなるような玉藻の誘いに微塵の疑問も抱かずホイホイやってきたのだ。この男、メドゥーサに襲われた時から何も成長していない。

 

「いえまぁ、そこがご主人様の良い所ではあるのですけれど……」

 

 まるで自分がお菓子で幼子を釣る不審者にでもなった気分になり、胸中複雑な玉藻だった。実際、茶請けに饅頭や煎餅などを用意していたので、気分も何も事実じゃないかと言われても仕方がなかったりする。

 

 玉藻が不審者かどうかはさて置き、卓袱台を挟んで世間話を交わす二人は和やかな、楽しい時間を過ごしていた。他愛のないことで笑い合う、今や世界から失われてしまったささやかな当たり前がそこにあった。

 

 魔術王に焼却された人理を救う大業、それを成すための時空を超えた戦い。非日常の極致が日常となってしまった世界の中で一人、星の命運を背負わされた少年がいる。彼の肩にのしかかる責任の重さは如何ほどか他人は勿論、本人すら分からないだろう。一瞬でも気を抜けば心も体もまとめて磨り潰される重圧の中で少年は戦っていた。

 

 だが、今この時、この場所では彼は与えられた使命から解放されていた。束の間の夢であっても、刹那の瞬きであっても彼は安らぎの中で過ごしていた。

 

 と、無駄にシリアス調に書いたが早い話、二人ともこの時間を楽しんでいるということだ。

 

「そしたら何て返ってきたと思います? 『安珍様に近づく不埒な輩共など、鐘に閉じ込めた上で蒸し殺してしまえば良いのです』ですって。大変あの人らしいと申しますか、流石想いだけで幻想種に到っただけのことはあると申しますか」

 

「過激だなぁ、玉藻のメル友は……いや、でも確かにフランスで初めて会った時からそんな感じはしてたけど、あの子。何というか、召喚なんて一っつもした覚え無いのに何時の間にかカルデアに来てそうな雰囲気あったからな」

 

「やりかねませんねぇ、清姫さんなら。ご主人様、ゆめゆめお気を付け下さいましね。もし、まかり間違ってあの人を召喚してしまったらカルデア大炎上待った無しですので」

 

「いや、でも大丈夫じゃないか。俺、別にその安珍って人じゃないんだし……あの、玉藻さん、何で目を背けるの?」

 

 会話の中身は幾分か不穏当だが。ちなみに何の話をしているのかというと、玉藻がメル友の清姫に『私の愛しい旦那様の周りにお邪魔虫がたくさんいるんですけどどうすればいいと思います?』というニュアンスの相談メールを送った時の返信についてだった。無論、真にはメールの内容を『皆さん、マスターのことが好き過ぎてタマモ困っちゃいます』みたいな感じでマイルドにぼかして伝えている。

 

「ま、清姫ちゃんがカルデアに来た時は普通にいつも通り歓迎するべ。仲間が増えるのはいいことだ」

 

(私としてはこれ以上お邪魔虫を増やして欲しくないんですがねぇ……)

 

 玉藻がそんなことを考えているとは露知らず、真は呑気にお茶の最後の一口を啜っていた。サーヴァントの心マスター知らず、である。どうでもいいが恐ろしく語呂が悪い。

 

「ところでご主人様」

 

 脳裏に浮かんだ、清姫が召喚されたカルデアという空恐ろしい未来を振り払おうと玉藻は話題を変える。え、何? ととある所を見ていた真は慌てて視線を玉藻に戻した。

 

「先ほどから視線がチラチラとあらぬ方に向いていますが、そんなに気になります?」

 

 こてん、と小首を傾げて流し目を送る玉藻。彼女の言葉と仕草にドキリとしながらも真は誤魔化しの笑みを浮かべた。

 

「何、何のこと? 俺にはさっぱり」

 

「誤魔化そうとしたって駄目ですよ、ご主人様。殿方の視線に女の子は人一倍敏感なんですから(それが好いた方のものだったら特に、です)」

 

 化かし合いで人が狐に勝てる訳も無い。あっさりと嘘を見破られて真はバツが悪そうな顔を浮かべる。対して玉藻はクスクスと笑い、さっきから真の目を奪っていた豊かなものをゆっくりと揺らした。その様は捕食者が自前の疑似餌で獲物を誘い出そうとしているかのよう。頭では玉藻の思惑を分かっているのに真は視線でそれを追うのを止められなかった。

 

「そんなに気になっちゃいます? 玉藻の尻尾」

 

 豊かに実った稲穂を想起させるふっくらとした尻尾。ゆらゆらと風に靡いているかのように動く狐色のそれは実にモフり甲斐があるだろう。常日頃、マシュと一緒にフォウ君という極上のモフモフを堪能している特級モフリスト(自称)の真にとっても垂涎のモフモフだった。

 

「分かりますよ、ご主人様。ご主人様の熱い眼差しが玉藻の尻尾(これ)に注がれているのが。一挙一動を見逃すまいとするその視線、まるで野獣みたいですねぇ」

 

 野獣の如き目をしているのは寧ろ玉藻の方だったりする。

 

「そ、そんなことは……」

 

 首を振って野獣みたいだという評価を否定する真だが、悲しいことに彼の目が玉藻の尻尾から逸らされることは無い。今、真の頭にあるのはあのモフモフをどうすればモフれるかだけだった。

 

「触ってみます?」

 

 ギュンギュンとF1じみた音を立てて巡っていた真の思考がたった一言で強制的に停止させられる。何、と戸惑いながらも瞳を鋭く光らせる真に玉藻は余裕と挑発の笑みを浮かべ、見せつけるように自身の尾を撫でていた。

 

「私の尻尾、お触りになりたいのでしょう? どうぞご自由に、好きなだけお触り下さいませ。私の体はこの耳の先から尻尾の先端まで余さず全てご主人様のものなのですから」

 

 玉藻の言葉にモフリストの魂が燃え滾り、興奮が一気にスパークする。空気はホルンのように肺を流れ、ドラムのように鼓動する心臓。そして流れ踊る熱い血潮。真の体はエイトビートに満ち溢れていた。

 

 しかし、遠野真は動かない……! 胸の内に爆現した衝動に突き動かされようとする体を、理性を以て制した……! 何故なら彼には見えていた……! 男を蕩かせ、骨抜きにする魔性の笑みを浮かべる玉藻の背後に広がる虚ろな暗闇……! 黄泉の国へと魂を引きずり込む大穴が……! 一歩でも彼女に近づけば呑まれるのは必至、脱出は不可能……!

 

「ふ、ふふふ、何を企んでいるのか知らんが、その手には乗らんぞ、玉藻。邪気が全身から漏れ出て」

 

 尻尾フリフリ。

 

「ひゃあぁ、我慢出来ねぇ、モフらせろぉ!!!」

 

 男には 行かねばならぬ 時がある

                     遠野真 心の一句

 

 突発性モフモフ欠乏症に罹った真は膝だけの跳躍で高々と舞い上がり、卓袱台を超えて玉藻にル○ンダイブ(服は脱がない)を決める。大きな着地音が上がるのと同時に卓袱台や空になった盆や湯呑が部屋の隅へと転がっていった。

 

「あぁ~ん、ご主人様ぁ~♡」

 

 これ以上ないほどの笑顔を浮かべて黄色い悲鳴を上げる玉藻を無視し、真はモフモフ尻尾に顔と両手を埋めてモフり倒す。もふもふモフモフ藻富母婦MOHUMOHU、うおォン、俺はまるで人間モフモフ発電所だ。知性と理性、人が人たらしめるもの全てをかなぐり捨てて遠野真という男はただのモフモフ機関へと堕ちていく。

「あぁん、そんな、ご主人様激しすぎますぅ♡」

 

 真に尻尾をモフられながら玉藻はいやんいやんと体をくねらせて嬌声を上げていた。常日頃フォウ君を撫で回して鍛えた『モフり倒し(スキルランク:A)』と恋人たちを愛でることで培った『愛撫(スキルランク:EX)』を一身(というか一尾)に浴び、ビクンビクンと体を震わせてよがりまくっている。快楽に溺れたその姿は正に淫乱巫女狐の呼び名に相応しい。

 

「ふぃ~、えがったえがった」

 

 それからたっぷり一時間、玉藻の尻尾を堪能していた真が漸く顔を上げる。さっきまでモフモフに埋没していた顔はいい笑顔を作り、妙にツヤツヤとしながらどことなくやり切った感を漂わせていた。

 

「あ、はぁ……♡」

 

 一方、玉藻はというと体を畳の上に力なく横たわらせていた。その体勢で荒く息を吐く姿は余人に彼女が悲惨な目に会ったのではないかと思わせるだろうが、だらしなく緩んだ笑みに涎という発禁ものの表情を作ってうへへと笑っているため違うのだと分かる。そんな傍から見たら何があったのこの人状態の玉藻は時折、体を痙攣させて真のモフり倒しの余韻に浸かっていた。

 

「見事なモフモフだった。ご馳走様」

 

「それは、良う、ございました。楽しんでいただけたようで、何よりでございます……しかし、主人様」

 

 ん、と玉藻の呼びかけに満足げな笑みをそのままに振り返った真の顔が驚きに固まる。一歩でも近寄れば触れられるほどの距離に横たわった玉藻が上体を起こし、潤んだ瞳を真に向けていた。何時の間にそうしたのか、露出強と呼ばれた格好を更に着崩して肌色の割合を増やしている。

 

「味わうのは尻尾(これ)だけで良いのでございますか?」

 

 何時もの高めのテンションは鳴りを潜め、しっとりと艶のある声が真に問いかけてきた。真が小さく喉を鳴らせば玉藻のほっそりとした指先が長い足袋の上を滑って彼女自身を登っていく。自然と真の視線は玉藻の指の動きを追い、彼女の抜群のプロポーションと扇情的な仕草を目に焼き付けていった。

 

「先ほども申し上げました通り私の体は耳の先から尻尾の先端まで余さず全てご主人様のものなのですから……勿論、この脚も、この胸も。どうぞ、如何様にもお使いくださいませ」

 

 艶めかしく体を這い上がっていた指先が唇で止まる。瑞々しく張りがある唇に指先を当て、玉藻は黄金色の瞳でじぃっと真を見詰めていた。今まで秘めていた情欲を全身から溢れさせ、色香をむんむんと立ち昇らせて真に極濃の秋波を送っている。ほぅ、と悩ましい吐息を零しながら玉藻は媚びた声音で真を誘った。

 

「玉藻ぉ、もっとご主人様に私のこと味わって欲しきゃん」

 

 玉藻が誘い文句の全てを言い切るよりも先に真は彼女を押し倒す。自分以外には決して聞かされることの無い蕩けた甘え声に理性はどろどろに溶け落ちていた。頭の中に残ったのは目の前の雌を骨の髄までしゃぶり尽くしたいという雄の欲求だけだった。

 

 両脚の間に割って入るように玉藻に覆い被さりながら真は彼女の顔に視線を注ぐ。国を傾けるほどと称された美貌は朱に染まっており、瞳を切なそうに潤ませる姿は恋を知らぬ初心な生娘にも見えた。しかし、纏い漂わせる雰囲気は魔性そのもので、濃艶な匂いを漂わせて男を自分に溺れさせようとしている。それは数々の魅力的な美女美少女を抱いてきた真にとっても抗い難いものだった。

 

 そうしようと考えるよりも、そうしたいと思うよりも早く真は玉藻の唇にむしゃぶりついていた。プルプルとした弾力と滑らかな肌触りを唇で感じながら玉藻をきつく抱き締める。隙間から舌を捻じ込み、ぬるぬると動かして口内の温かさとぬめり、そして甘美な玉藻の味わいを堪能した。

 

「(凄い、激しいぃ。普段の紳士的で快活なご主人様も素敵ですけど、今の荒々しくて獣みたいなご主人様も素敵ぃ)ん、れるぅ、ごしゅじんしゃまぁ、もっろぉ」

 

 真の首に両腕を回し、甘えた声でおねだりすれば情熱的なディープキスが激しさを増す。口の中でのたうっていた二人の舌が絡み合い、ぐちょぐちょと淫靡な音を奏でて踊り狂っていた。溢れ出た唾液が口元を濡らすのも気にせず二人は互いを抱き締めキスに没頭する。部屋の中には二つの荒い息遣いとキスの湿った音が途切れることなく続いた。

 

 一旦、真は玉藻から唇を離し、次に首筋へと吸い付く。降り積もったばかりの雪のように白い肌に軽く歯を立てると玉藻の口から小さな喘ぎ声が漏れた。甘噛みして肉の感触を楽しみ、喉仏に舌を這わせる。ぴくっ、ぴくっ、と玉藻の体が敏感に反応し、真は笑みを深めた。

 

「ご主人様。もっと、玉藻をもっと味わって下さいまし」

 

 時折、体を痙攣させながら玉藻は首筋に顔を埋める真の頭を愛おしそうに撫でる。肌に感じる真の生温かい吐息が飢えた獣を思わせた。無心になって玉藻の肌を味わう姿にこのまま肉を食い千切られてしまいそうな予感を抱かせる。

 

(私の体がご主人様の血肉に……それはそれであ、いや、ねぇですね)

 

 一瞬、危険な思考を巡らせる玉藻だったが、それはないと考え直す。やはり、愛を交わすなら体と体、心と心を触れ合せながらでなければ。想い人に肉を喰らわせて愛を染み込ませるなど倒錯的に過ぎる。

 

 そんなことを考えている内に真の舌が玉藻の首筋を上り、形の良い唇を一舐めした。軽く口を開くと舌が蛇のようにするりと中に入り込んで口内を這い回っていく。真の両手が玉藻の太腿や臀部を撫で回せば寒気にも似た快感が彼女を身震いさせた。ぞくぞくと全身を走る快感にうっとりしながら玉藻は我を忘れていやらしい音を鳴らす口での交合に没頭する。

 

「んぅ、んふぅ、んぁ……ご主人様、大変窮屈になっておられるご様子」

 

 下穿き越しに感じる硬い感触。玉藻の指摘に真が上半身を起こすと、見事にテントを作ったズボンが見えた。その威容たるや、ズボンの生地を突き破らんばかりだった。直に見なくてもどれだけ逞しく隆々としているかが分かる。感嘆と期待の吐息を漏らし、玉藻は唾を飲んだ。

 

「とても、苦しそうですねぇ。玉藻がお鎮めいたします」

 

 真を立たせ、その前に跪く。獣のような浅く速い呼吸を繰り返し、玉藻はもどかしげにベルトやホックを外していった。十秒と経たぬ内に後は脱がすだけの状態になる。玉藻はズボンを掴むと、パンツごと一息に下ろした。

 

「きゃあ」

 

 途端、ズボンと下着に抑えられていた逸物が解き放たれ、弾ける勢いで飛び出し玉藻の顔を叩く。目の前に現れた御立派という表現でも足りない威容の男性器に玉藻は悲鳴とも歓声とも取れる声を上げた。

 

「あぁ、ご主人様のおちんぽ。何て勇ましい……♡」

 

 打たれた顔を片手で擦りながら玉藻はうっとりとそそり立つ真の肉棒に魅入る。男性の基準を大きく超えたそれは太い血管を幾つも浮かばせ、先端を膨らませていた。赤黒い亀頭はテラテラと濡れ光り、鈴口からは露が溢れて玉が出来ている。つんと鼻を突く匂いを漂わせ、玉藻の劣情を急激に煽っていた。

 

「大変素晴らしいモノをお持ちのようで。ご奉仕のし甲斐があります……では、失礼しまして」

 

 一度、舌で唇を湿らせる。玉藻は両手を真の腰に添えると、天を衝く逸物に顔を近づけていく。強くなる雄の匂いで頭の中に桃色の靄がかかっていった。夢見心地の表情で玉藻は小さく唇を突き出し、大きな腺液の粒を浮かばせた亀頭に口付けをした。

 

「ちゅ、ちゅう、ちゅる」

 

 先端の割れ目を吸い上げ、次々に湧く腺液の味を楽しむ。時折、舌を伸ばして我慢汁が出てくる小さな穴を舐め上げ、先端でほじくり返した。肉棒がピクンと揺れ、頭上から真の抑えた声が聞こえてくる。目元を細めて喜びを表し、玉藻は次の口奉仕へと移った。

 

 一度、亀頭から顔を離す。伸びた腺液が糸のようになり、玉藻と逸物を繋ぐが数秒と経たぬ内にぷつりと切れて玉藻の唇に張り付いた。くすりと笑って唇についた腺液を舐め取り、再び玉藻は肉棒の先端にキスをする。そのままゆっくりと顔を進め、亀頭の形を唇で確かめるように徐々に徐々に口内に呑み込んでいった。

 

瑞々しく弾力のあるリップが亀頭粘膜を滑り、心地良い温もりと湿り気が敏感な場所を包んでいく。おぞ気と快感がゆるゆると真の背中を登っていった。そこに追い打ちをかけるように舌腹で半分ほど咥えられた亀頭をべろりと舐められる。鋭い快電流が体を駆け上がり、真の体が一瞬だけ揺れた。

 

「んふ。ぢゅるるる……」

 

 真の反応に笑みを零し、上目遣いに見上げながら玉藻は顔の前進を再開する。肥大したカリを音を立てて吸い上げ、太い肉竿を涎を垂らして口内に収めていく。口の中では舌が自由気ままに踊り、亀頭を中心に舐め回していた。舌先が浮かび上がった血管に沿いながら肉竿を這い、舌腹は張り出たエラに巻き付き亀頭を愛撫する。途切れることの無い肉悦に真は体を震わせた。

 

 たっぷりと時間をかけて玉藻は男根を根本まで呑み込んだ。陰毛が形の良い鼻先をくすぐり、逸物は口腔を通り越して喉奥にまで達している。しかし、玉藻は特に苦しがる様子も見せず、奉仕する喜びに目を細めていた。頬を窄め、肉棒に内頬を擦り付けながら頭を揺らしたり、舌を片時も休まず動かして裏筋を刺激したりと口奉仕に余念がない。

 

「ぢゅるるぅ」

 

 いやらしい吸引音を鳴らして玉藻は頭を引いていく。鼻の下を伸ばし、頬をへこむほど窄めて怒張をしゃぶる。およそ淑女とは呼べぬ下品な顔を浮かべていた。そんな品の無い顔をする玉藻と彼女の口から涎でぬらぬらと光るペニスが現れる光景を真は食い入るように見詰める。どれほど卑猥に歪めても彼女の美貌は全く崩れていなかった。

 

 ちゅぽっ、と音を立てて玉藻の口から極太男根が引き抜かれる。玉藻の強烈なバキュームから解放された真は思わず腰が砕けそうになるのをどうにか堪えた。荒い息を吐きながら下を見れば頬を朱に染めて淫靡な表情を浮かべる玉藻と目が合う。半開きになった口の周りを唾液でべとべとに汚し、舌を垂らして呼吸をする姿は犬同然。こんな顔を自分のためにしてくれていると考えると真の興奮は何十倍にも膨れ上がった。

 

「ご主人様。出したくなったら玉藻に構わず好きなだけお出し下さいましね」

 

 次の口奉仕を催促するようにビクビクと跳ねるペニスに笑みを深め、玉藻はねっとりとした視線を真に向ける。反り返った極太に生暖かい息を吹きかけ、口の中で舌をくねらせて真の獣欲を煽った。

 

「ご主人様の濃厚ザーメン、いただきまぁす♡」

 

 今度は口を大きく開き、玉藻は長大な逸物を根本まで一気に呑み込む。男根を口一杯に頬張り、頭を前後に揺らして唇と口内粘膜で扱いていく。粘ついた唾液をボタボタと畳に落としながら玉藻は激しい口淫で真の性感を高めていった。

 

 快感の波が次々に真に襲い掛かる。意識が攫われそうになるのを懸命に堪えるも、止まらない玉藻の口奉仕とそれに伴い上がる吸引音が容赦なく射精感を駆り立てていった。締められた唇が竿を撫で、カリを引っ掻く。肉棒に絡みついた舌は片時も休まず敏感な部分を責め立てる。真の体は本人の意思とは関係なく、押し寄せる肉悦で何度も痙攣した。

 

 キツツキのように頭を振りたくり、淫らな音を立てて口淫を続ける玉藻。真の腰に添えていた両手をそっと離し、裾からシャツの中へと侵入させる。汗ばんだ肌を指先でなぞり、男らしい筋肉質なごつごつとした感触を楽しみながら目的の場所に登っていく。普段なら少しくすぐったいくらいにしか思わない行為だが、敏感になっている今の真には刺激がかなり強かった。

 

 皮膚の内側で筋肉が忙しなくピクピク動くのを感じながら玉藻の指先は目的地に辿り着いた。黄金の双眸が湛えていた妖しい光を強くさせる。頭の狐耳を愉しげに揺らしながら玉藻はそこ、硬くなった真の乳首をキュッと摘まんだ。

 

 鮮烈な快電流が走り、鞭打たれたように真の体が跳ねる。根本まで咥えられていた肉棒が喉奥の更に先へと至り、玉藻は小さくえずいた。

 

「ご、ごめん」

 

 謝る真に玉藻は何も言わない。代わりに思わずどきりとしてしまう色っぽい流し目を送り、一層熱を込めて指を使いだした。乳首を爪で弾き、指先で円を描きながら押し潰す。指の腹で焦らすように嬲ると真が切ない声を漏らした。普段なら見ることも出来ない真の弱々しい反応に情欲を掻き立てられ、玉藻は鼻息を荒くさせて淫行に耽る。フェラチオ奉仕にも熱が入り、大きな音を鳴らし唾を飛び散らせた。

 

 終わらない肉悦に真も限界を迎えようとしていた。乳首と局部への三点責めにこのままでは腰が抜けてしまいそうだ。何か掴めるものは無いかと両手を所在無げに彷徨わせ、そして股間に顔を埋める玉藻の頭にそっと両手を置いた。桃色の髪のサラサラとした感触が心地良く、ピコピコ動く狐耳が可愛らしい。無意識に頭を優しく撫でると玉藻の双眸がこれ以上ない喜びで爛々と輝き始めた。

 

「ぢゅっぼ、ぢゅっぶ、ぢゅっぱ♡」

 

 卑猥な口淫の音を部屋に響かせる玉藻。傾国の美貌を淫蕩に染め、ふしだらに歪めてただ一人の男に奉仕する一匹の雌になって真を絶頂へと引き上げていく。口の中ではペニスが断続的に痙攣し、最後が近いことを告げていた。

 真の吐精が間近に迫っているのを察した玉藻は最後の追い込みをかけ始める。愛する男の精を口で受け止めるため、何より愛する男に最高の快感と共に果ててもらうために極太を唇と舌で愛撫した。口内で震える剛直を強烈なバキューム音を立ててしゃぶり上げ、舌を巻き付かせて我慢汁を搾っていく。指先は小刻みに動き、しこった乳首を執拗に弄んでいた。

 

「た、まも。で……る……!」

 

 真の逼迫した声に玉藻はいよいよ目の輝きを強め、脈動するペニスを唇で磨いていく。泡立った玉藻の涎を全体に塗り込まれた剛直は更に大きく硬くなり、発射の準備を着々と進めていた。

 

「ぢゅうううぅぅぅ♡」

 

 男根を体から引き抜くつもりなのではと思わせる玉藻の吸引に真は腰をがくがくと震わせる。快感に次ぐ快感でもう頭の中はぐちゃぐちゃだった。真の反応に満足げに目を細め、玉藻は最後に鈴口まで吸い上げていた唇を落とし、肉棒を根本まで一息に頬張った。唇から喉奥まで余すところなく使って男根を締め上げ、イジメて大きくさせた乳首を力を込めて摘む。

 

 無駄なく鍛えられた肉体が硬直し、玉藻の頭に置かれた両手に力が入る。一拍遅れ、鈴口から大量の精液が迸った。濃密な雄臭さを放つ粘ついた白濁液があっという間に玉藻の口内を満たしていく。待ちに待った真の味に玉藻はうっとりと目元を緩め、恍惚の表情を浮かべて酔い痴れた。尻尾を振り、喉を大きく鳴らして半ゼリー状の精液を嚥下していく。

 

 若い雄のエキスは延々と撃ち出され、玉藻の頬を空気を詰めた袋のように膨らませた。飲んでも飲んでも即座に次が出され続ける状態。表情を恍惚に輝かせて玉藻は枯れることの無い極上の美酒を腹に収めていった。

 

 次第に肉棒の痙攣も小さくなり、放たれる精の量も少なくなっていく。玉藻は時に頭を揺らし、舌をくねらせて男根を刺激して真が最後まで気持ち良く射精できるように尽くした。

 

 長く続いた欲望の噴出が終わる。精液が出て来なくなったのを確認すると、玉藻はゆっくりと頭を引いていった。Oの字型に広がった唇を強く引き結び、ペニスを啜り尿道に残った精液を搾り出す。更に肉竿に貼り付いた精の残滓も舌で綺麗にしていく。射精を終えた直後で敏感になっている性器に玉藻の『お掃除』は刺激が強く、真の意識は彼方に吹き飛びそうだった。

 

 わななく肉槍の先端を念入りに、重点的に『お掃除』し、漸く玉藻の口奉仕が終わる。解放された瞬間、玉藻が出し切れなかった微量の精液が噴き出し、彼女の顔を汚した。顔に張り付いた白濁液の熱さと匂い、舌の上で転がす真の味に陶酔しながら玉藻は荒く息を吐く真を見上げる。

 

 くいくいと服の裾を引っ張って視線を向けさせ、大きく口を開いた。伸ばした舌をくねらせ、口内に満ちた雄臭い白濁粘液を掻き混ぜる。じっくりと味わいながら、少しずつ飲んで口の中を空にしていく様を真に見せつけた。蕩けた発情顔で口の中の精液を掻き混ぜる玉藻を真は穴が開くほど凝視する。彼女の痴態に性欲を煽られ、怒張がはち切れんばかりに漲っていく。

 

(こんなに一杯出したのに全然萎えてない。逞し過ぎです、ご主人様)

 

 ゆっくりと口の中を空にしながら玉藻は視線をちらっと目の前のモノに移す。泡立った涎で濡れ、テラテラと光るそれは初めて見た時と変わらぬ威容を放っていた。むしろより猛々しく、えげつない外見になっている。微かに鼻息を荒くさせ、玉藻は自身の秘所へと指を忍ばせた。ぐちゅりと指先に湿りぬめった感触。玉藻の蜜壺は既に真とまぐわうための準備を終えていた。

 

(私、とうとうご主人様と一つに)

 

 くんずほぐれつ激しく真と愛し合う姿を想像し、玉藻は全身の血が沸騰したような熱を感じる。自分の中の野生が暴れ出し、もう一秒たりとも辛抱出来なくなっていた。半分ほど残っていた精液を一息で飲み干し、玉藻は腕を軽く一振りする。すると畳の上で引っくり返っていた卓袱台や転がっていた湯呑が霞のように消え、代わりに一組の布団が敷かれていた。

 

「続きはこちらで」

 

 真の手を取り、布団まで導く。その間に上の服も脱がせて全裸にした。何人もの武闘派サーヴントに鍛えに鍛えられた肉体美の極致ともいえる姿を目の当たりにし、玉藻は熱く艶めかしい息を漏らす。今すぐにでも愛する男を布団に押し倒し、精根尽きるまでしゃぶり尽くしたい衝動に駆られた。

 

 しかし玉藻、この欲求を我慢。今回の彼女はあくまで『受け』。目的は真に肉体も魂もぐずぐずに蕩けるまで愛してもらうことだ。まぁ、我慢出来ずにちょっとつまみ食いしちゃったが、真の精力が常人の枠を超越しているため何の問題も無い。心の中で涎をじゅるりと啜り、玉藻は布団に仰向けに寝転んだ。愛液を吸って重くなった下穿きを脱ぎ捨て、熱に浮かされた瞳で真を見詰める。

 

「ご覧下さいませ、ご主人様。私のここ、こんなにはしたなくなってしまいました」

 

 両手で脚を支え、大きく開いて玉藻は己の恥ずかしい場所を曝け出した。愛液でしとどに濡れた、綺麗に整えられた髪と同じ色の陰毛が張り付いた秘所。開いた割れ目からは現在進行形で蜜液が溢れ、太腿を伝って布団へと滲み込んでいく。

 

「ご主人様。どうかこの淫乱発情狐にお情けを下さいまし」

 

 くいっ、くいっと腰をしゃくらせ、玉藻は両手で秘所を広げた。ごぽりと更なる蜜が溢れ出す。露わになった蜜壺は内部を蠢動させ、滾りに滾った雄の欲望をぶち込まれるのを文字通り涎を垂らして待ちわびていた。

 

「タマモのぐちょ濡れマンコ、ご主人様のぶっとい凶悪ちんぽで滅茶苦茶に、ひぃん♡」

 

 みなまで言わせず、真は玉藻へと飛びかかるように覆い被さる。玉藻の白い太腿を両腕で抱えて引き寄せ、腰の位置を合わせるや肥大した肉棒を蜜壺の最深部まで突き立てた。

 

「んぅっ、あぁっ」

 

 ごつんと内臓諸共に体を打ち上げられたような衝撃。同時に疼いていた胎内で悦びが爆発し全身に伝播していく。玉藻は真に組み敷かれながら足の爪先をぎゅうっと曲げ、体を弓なりに反らして一度目の絶頂を迎えた。舌をだらりと伸ばしてアクメに浸かる姿は発情した雌といった風体た。

 

「玉藻、玉藻……!」

 

 玉藻の姿、表情、纏う空気に理性を毒された真は雄の本能に突き動かされるがまま、狂ったように腰を振り出す。眼前の極上の雌を孕ませるための種付け運動を始めた。肉と肉がぶつかり合う音と逸物が肉壺を出入りするいやらしい音が部屋に響き始める。

 

「んぅ、あぁ、ごしゅじんしゃま、ごしゅじんしゃまぁ♡」

 

 絶頂冷めやらぬ体で、舌っ足らずになりながら玉藻は真の種付けを受け入れた。膣内を波打つように蠢かせ、中を押し進む怒張を搾り上げている。肉襞の凹凸が竿を揉み上げ、カリ首に絡みつく快感が電流さながらに全身を走り、真は息を荒げて射精欲を高めていった。

 

「しゅごい、ごしゅじんしゃまちんぽしゅごいぃ。おく、おくごつごつしへぇ……ひゃあああ」

 

 蕩けた声を上擦らせ、体をビクビクと痙攣させて玉藻は二度目、三度目のエクスタシーへと至る。半開きになった口からあられもない嬌声を上げ、逃れられない肉悦に溺れていった。挿し込まれる時は常人の域を超えた極太の竿に蜜壺をぱつぱつに押し広げ、大きく膨らんだ亀頭で子宮口を叩かれる。引き抜かれる時は肉棒の太さに比例して凶悪に張り出したカリが柔らかな襞の一枚一枚を引っ掻き、擦り上げていく。

 

「だめぇ、いくぅ、いっくぅっ♡」

 

 雌穴から白く濁った潮を噴き出し、再び玉藻は絶頂を極めた。目尻に涙を浮かべ、突き出した舌から涎を垂らして女の悦びを味わっている。思考が吹き飛び、意識を桃色に染める多幸感に陶酔するが、すぐに乱暴なピストンで現実へと引き戻されて快楽の坩堝へと引きずり込まれた。

 

「らめぇ、らめれすごしゅじんしゃま。このままじゃたまもしんじゃいますぅ♡ いきすぎてしんじゃうぅぅぅ♡」

 

 いやいやと子供のように首を振って懇願する玉藻。しかし顔は言っていることと正反対の淫猥な表情を浮かべ、力任せに犯される状況を嬉々として受け入れている。下半身も両脚を動きの邪魔にならない程度の力で真に巻き付け、自ら腰を妖しくくねらせて淫裂に男の象徴を咥え込んでいた。雄を悦ばせるための、子種を搾り取るための性具と化した蜜壺は内部を生き物みたいに動かして逸物への奉仕を続けている。

 

「こんな、エロ顔してるくせに何言ってんのよ……! じゃあ、抜いていいのか?」

 

「らめぇ、ぜったいらめぇれすぅ! なかに、なかにくださいぃ。ごしゅじんしゃまのおなさけ、おこだねをたまものなかに」

 

 男根を逃すまいと肉壺が急激に締りを強くした。震える肉棒をうねる膣襞が這いずり回るように撫で上げ、奥へと呑み込みながら雄のエキスを催促してくる。大量の蜜液を纏ってぬかるむ媚肉が怒張に巻き付いて放さそうとしない。密着しながら収縮を繰り返し、蕩けて溶けて性器が一つになってしまうのではと錯覚させる危険な甘美感を覚えさせた。

 

「ぐ、うっ……」

 

 無意識に腰が砕けそうになる肉悦。射精欲が限りなく頂点へと登っていく。頭の中が真っ白になる衝撃的な快楽に真は意識を手放しそうになるが、次の瞬間には目をギラつかせて猛然と腰を前後させ始めた。少しでも長く魔性の蜜壺を味わうため、何よりこの雌を完全に自分のものにするため玉藻を全力で堕としにかかる。濃厚な蜜を溢れさせる極上濡れ肉に長大極太な肉の杭をめり込ませ、淫液を噴き散らす雌穴を繰り返し犯した。

 

 玉藻の絶叫が部屋に木霊する。全身を一直線に貫く快感がいく度も脳を直撃し、ただでさえ崩れかけていた理性を粉々にしていった。右手で枕を、左手で布団をぎゅっと掴みながら玉藻は身悶えし、容赦なく襲い来る快楽の波に啼き叫んでいた。女の園に打ち込まれた雄の象徴に翻弄される玉藻の姿が真の昂ぶりを危ないくらいに煽る。

 

 前のめりに体を倒し、真は玉藻の脇に両手を突く。腰を浮かせてより動きやすく、より交尾しやすい体勢で組み敷いた発情女狐を徹底的に犯した。無数の襞をうねらせ絡みついてくる肉路を突き出たカリで蹂躙し、掻き毟るのを何度も繰り返す。擦れるというより最早抉ると表現したほうが相応しい粘膜接触に玉藻は全身どころか耳から尻尾の先までがくがくと震わせて感じる官能の大きさを表していた。

 

 強烈なピストンを続けていた腰がにわかに動きを止める。いきり立つ分身を玉藻の奥まで突き立てた状態で真は更に体を前に倒し、華奢な体に覆い被さり体重をかけて腰を突き出した。ドーナッツ状のコリコリした子宮口に肉の穂先が深々と食い込んでいく。密着させた下半身をグラインドさせ、命の部屋の入り口を念入りにじっくりと押し潰して肉厚な独特の弾力を敏感になった先端で愉しんだ。背筋が反り上がりそうな快電流が腰を撃ち抜く。

 

「あぁ、いぐ、いぐ、まだいぐぅ♡ おちんぽぐりぐりされていぐぅぅぅ♡」

 

 濁った嬌声を細い喉から搾り出し、玉藻は四肢を自分を犯す男に巻き付けて法悦にむせび泣いた。焦点の定まらない瞳は大粒の涙を零し、要領を得ない言葉を啼き叫ぶ口は溢れた涎でべとべとに汚れている。傾国の美女が己の美貌を自分自身で汚す姿は臨界点に達していた男の昂ぶりを未踏の域にまで登り詰めさせた。肥大した逸物を欲望でより硬く太く漲らせ、真は種付けの最終段階へと突入する。

 

「あっ、あはぁ、ごしゅじ、んしゃまぁ♡」

 

 濡れた目尻を火照らせ、玉藻は曇った双眸を真に向けて甘ったるい声を上げた。ぬかるんだとろとろの肉壺の中で愛する男のモノが今まで以上に膨らみ、忙しなく痙攣してるのが分かる。心底惚れ込んだ人が自分に精を注ぎ込もうとしている。意識を攫って行こうとする快楽に女としての至福が融け込み、かつてない絶頂が玉藻を出迎えた。真に絡ませた四肢がぎゅうっと緊張し、逞しい体を抱き寄せる。

 

「あ、あああぁぁぁあああ♡」

 

 叫びすぎて掠れた喉から尚も歓喜の嬌声を迸らせ、玉藻は全身をのたうたせて逝き極めた。ただでさえ甘美だった肉壺がざわめく幾重もの襞でペニスを余すところなく包み込む。根本、竿、カリ、亀頭全てを締め付けられ、ついに真も精の引き金を引いた。

 

 白いマグマが塊となって撃ち出され、突き刺さった子宮口から中へと直に注ぎ込まれていく。胎内を満たしていく白濁液の熱が麻薬のように玉藻を毒した。指先、爪先の隅々にまで行き渡り全身を焼く淫悦が玉藻を呑み込み、彼女を終わらないオルガズムの連鎖へと堕とす。かっ、ひゅっ、ととっくに空気を吐き切った肺を尚も絞り、玉藻は軽く白目を剥いた瞳から大粒の涙を流した。

 

「うっ、また、出るっ……!」

 

 持ち主の意識など無いも同然の状態だが、雌穴はまだまだ満たされないと肉棒からエキスを啜り出そうとする。熟れた媚肉は絶頂の余波で小刻みに震えながらも蠢動を繰り返し、脈打って精液を放つ剛直に膣襞をぬるぬると絡みつかせていた。続けざまのおねだりに耐えることは出来ず、第二波が未だに出し切れずに尿道に残っていた粘液を押し流して子宮へと突き抜けていく。

 

「あっ、あへぁ♡」

 

 言葉なのか喘ぎなのか判断がつかない音を漏らし、とっくに快楽の臨界点を越えていた体をビクつかせる玉藻。失神していると言われてもすんなり納得してしまう虚ろな表情を顔に張り付けているが、両腕両脚はがっちりと愛する男に巻き付けていた。何があっても、例え世界の終わりがすぐそこまで迫っていたとしても絶対に放さないという意思が感じられる。

 

 首と腰にかかった感触を愛おしく思いながら真も玉藻を抱き締めた。肌に感じる玉藻の温もりにほっとし、同時に汗に混じって立ち昇る妖しい香りに本能を揺さぶられる。一際太くなった肉の杭が変わらぬ濃度と勢いで雄汁を雌の奥底に注ぎ込んでいく。許容量は既に限界を超えており、二人の股間は漏れ出てきた体液でべちゃべちゃになっていた。

 

 尿道ごとバキュームされるような快感に身震いし、真は最後の一射を鈴口からひり出す。一度短く、大きく体をバウンドさせ、玉藻は真に絡ませていた四肢を投げ出した。虚ろな顔で天井を見上げ、意識を法悦の海に彷徨わせている。肌蹴て露わになった乳房が浅く不規則な呼吸に合わせて上下していた。

 

 上半身を起こし、真は片手を玉藻の顔に伸ばす。火照った肌に浮かぶ汗や涙、涎や精液を指で拭き取っていった。半ば意識の無い状態だが、玉藻はほんのりと嬉しそうに頬を緩めて肌を清めていく真の手に頬擦りする。

 

「……っ、ん」

 

 暫くしてある程度顔が綺麗になると玉藻の目の焦点が定まってきた。

 

「お~い、大丈夫か?」

 

 かけられた言葉に視線を向け、真と目と目が合う。青色の瞳に魅入りながら玉藻は口元に笑みを浮かべた。少しの間、玉藻はとろんとした目でぼんやりと幸せそうに真を見詰めていたが、自分の置かれている状況を思い出したのか視線をゆっくりと下半身に向ける。まだ繋がったままの結合部分を見た途端、玉藻の笑みがにぃっと深まった。姦淫を存分に貪ってもなお翳らない淫靡な微笑。

 

「ご主人様」

 

 甘ったるい、思わず身震いしてしまう声が真の耳朶に溶け込んでいく。雄を骨抜きにし、己に溺れさせて二度と離れられないようにしてしまう毒蜜の声。声の主は三日月を描く唇をゆっくりと舌舐めずりし、肉欲と淫欲の光を湛えた双眸を雄へと向けた。見るだけで魂まで抜き取られそうな妖艶さが秋波と共に送られてくる。自然と真の喉が大きく鳴った。

 

 微かに息を荒げながら真は色んな体液で汚れた指を玉藻の唇へと運ぶ。

 

「はぷっ」

 

 何の躊躇もなく玉藻はどろどろに汚れた指にしゃぶりついた。体液に塗れた指先を啄み、舌を這わせて唇でしごく。ぬるま湯に浸かっているようなむず痒く心地良い、ふやけてしまいそうな熱烈な指フェラだ。ちゅぱちゅぱ、ぺちゃぺちゃ音を立て、真に流し目を送るのも忘れない。

 

「ちゅ、ちゅっ、ちゅ~~~ぱっ。あぁん。ご主人様。今、ご主人様のおちんぽが私の中でぴくんて跳ねましたよ。こんなに出したのに、まだまだ元気万倍ですねぇ」

 

 再び舌で唇を清めながら玉藻は嬉しそうに真の逸物が収まっている腹部を見やる。女体を貫く肉槍は萎える気配など欠片も無く、雄々しく反り返ったまま玉藻の膣内を押し広げていた。

 

「私も、まだし足りないと思っていたところでございます」

 

 悩ましく吐息を漏らしながら緩やかに腰を波打たせ、玉藻は濡れた陰部を真に押し付ける。肌で擦れた粘液がにぢゃにぢゃと音を立て、蜜壺がやわやわと怒張を締め上げた。溢れるほどに子種を注がれたにも関わらず、玉藻の心と体は真の寵愛を求めて耐え難いほどに疼き出していた。

 

「タマモぉ、もぉっとご主人様に愛して欲しいですぅ♡」

 

 貪欲に愛を求め、玉藻は科を作った体をくねらせ真を誘う。その媚態は射精後に残る気怠さを消し飛ばし、雄の欲求に火を点けた。

 

 甘えたおねだりに真は言葉でなく行動で応える。両手で和服の上から玉藻のウエストを掴み、落ち着いた一定のペースで抽挿を始めた。体液で濡れた肌が触れ合うとべちゃ、ねちゃと粘質な淫音が立つ。世にも卑猥な音は愛し合う男と女に淫らな睦言に溺れていることを自覚させ、背徳的な気分が二人の官能を昂ぶらせて性感も敏感にさせる。

 

「んっ、、くぅ、ふぅ、あっ、あん、ひゃぁん♡ ご主人様ぁ、ご主人様のおちんぽとっても熱いですぅ♡ オマンコ焼けちゃんぅぅぅ♡」

 

 目元を緩ませ、蕩けた甘い嬌声を上げながら玉藻は己の中に出入りを繰り返すペニスの硬さと熱さに酔い痴れていた。えげつないほどに傘を拡げたカリが媚肉を掘り進んで奥への肉路を押し広げ、膣襞をめくり上がらせんばかりに引っ掻いていく。高低差の激しい逸物のくびれが濡れた粘膜を悦ばせ、玉藻の体を快楽で燃え上がらせた。

 

「ご主人様、こちらにも触れて下さいませ」

 

 途切れることの無い肉悦が欲求を膨らませる。玉藻はそっと真の手を取り、胸元へと導いた。豊かでまろやかな肉の果実が突き込みに合わせてたぷんたぷんと弾んでいる。白い肌の頂点にある突起が痛ましいほどに勃起していた。彼女の望み通り、真は掌に収まり切らないボリュームの乳房を鷲掴みにする。すべすべとした吸い付くような肌触りとふかふかの柔らかい感触が若い性欲を強く喚起させた。

 

 一切の遠慮なしに真は玉藻の豊乳を揉みしだく。十本ある指を美しいバストに沈ませ、形を変えていく様に鼻息を荒くしてより興奮していった。肉壺を穿つ剛直を一層太くさせ、玉藻に濃艶な啼き声を上げさせながら確実に射精欲を高めていく。

 

「んっうぅぅぅ」

 

 玉藻の甲高い嬌声が部屋に響く。真が充血してぷっくりと大きくなった乳首にしゃぶりついたのだ。右乳首を音を立てて吸い上げ、舌で舐め回して唾液を塗り込む。左の乳首は指で摘み弾いて弄んでいた。乳首と陰部への三点責めに玉藻は軽い絶頂に到り、肉壺がきゅんと引き締まる。密集した肉襞に男根の先端から根本まで愛撫され、真の射精感ががくんと跳ね上がった。

 

「ご主人様、ご主人様」

 

 艶の増したよがり声で両方の乳首を交互にしゃぶる真に呼びかける。両手を伸ばし、真の顔に添えて自分へと視線を向けさせた。射精を間近に控え、逼迫した表情を浮かべる真に胎の底を震わせる。少しでも長く玉藻と快楽を分かち合おうとしようとする姿が堪らなく愛おしく、同時に堪らなくそそった。

 

「ご主人様、一緒に逝きましょう……逝って、逝ってぇ♡ タマモの逝き顔見てぇ、ご主人様の逝き顔見せてぇ♡」

 

 自ら腰を娼婦のようにくねらせ、膣内に呑み込んだペニスをしごいて真と共にオルガズムを迎えようとする。積極的な玉藻の痴態に真の我慢の糸がちりちりと焼かれていった。身も心も溶け合うような快感に二人の心は白く濁り、何も考えられなくなる。残るのは原始的な愛情表現による肉悦だけ。本能に従う獣の番いとなった二人はひたすら互いを貪っていく。そして同時に終わりを迎えた。

 

 断続的に痙攣していた肉棒の芯を熱い精の奔流が駆け抜けていく。ビクビクと震える男根を再び女体の奥底に捻じ込み、真は鈴口から欲望を噴き出させた。量と勢い、濃さが全く衰えない白濁液が既に満杯の子宮へと注ぎ入れられる。

 

 声を上げることも出来ず、玉藻は白い喉仏を晒して体を硬直させた。淡いエクスタシーによって体に溜まっていた快楽が一斉に爆発し、意識を真っ白にしていく。喜悦の涙を零し、玉藻は潮をしぶかせて絶頂に身を委ねた。

 

 長い吐精を終えた真の体を気怠さと脱力感が捉える。一つに繋がったまま、真は堪能し、犯し、愉しんだ女体へと倒れ込んだ。触れ合う汗ばんだ肌が火を放たれたように熱い。特に言葉を交わすことも無く、二人は示し合わせたみたいに互いを抱き締めた。早鐘のようになった鼓動、温もり、存在を感じ合う。

 

「玉藻」

 

 彼方に飛ばしていた意識を一足早く戻した真が玉藻を呼んだ。僅かに抱き締める腕の力を強くする、未だに半分意識の無い状態の玉藻の耳元でそっと囁く。

 

「もっと愛してもいいか?」

 

 真の問いに意識を一気に覚醒させる。また愛してもらえることに無上の喜びを覚えながら玉藻はこれ以上ないほどの笑顔で答えた。

 

「はい♡」

 

 

 

 

 あれから何十回と愛し合った二人。情事の後、仲良く風呂で互いの体を綺麗にした二人は新たに敷いた布団の中で生まれた姿のまま身を寄せ合っていた。

 

「ご主人様」

 

「ん、どした?」

 

 肩を抱かれながら玉藻は夢見心地の表情で真の胸に頭をもたれさせる。真の温もりと鼓動が伝わり、これ以上ないほどのやすらぎと幸福を感じた。

 

「私、とても幸せです」

 

「そっか、良かった」

 

 はにかむ真に微笑み返すと玉藻は静かに目を閉じる。眠りに落ちたという訳ではなく、何やら期待した様子で小さく唇を突き出していた。何を求めているのか言わずとも分かったので、真も特に言葉にせず桜色の唇に口付けをした。

 

 

 

 

 

「こうして二人は幸せなキスをして終了……じゃねぇぇぇ!!! いや、これはこれで大いにありなのですが、というかもう最高なのですが……」

 

 翌日、一人自室で反省会を行う玉藻。自身の魅力と手練手管を以て真を籠絡するはずが、逆に自分が真にメロメロのデロデロになってしまっている。そこ、最初からそうだっただろとか言わない。

 

「今日も今日とてご主人様は私以外の女とキャッキャ、ウフフ、ニャンニャンと……今日はスカサハさんと鍛錬する予定だと仰っておりましたが、一体何の鍛錬なんですかねぇ」

 

 無論、昼は戦闘とルーンの鍛錬、夜は夜で二人きりの影の大運動会(性的)だ。戦闘技術も閨の技術もメキメキ上達させる弟子(という名の恋人)に師匠も大満足。

 

「きぃぃぃ、妬ましいぃーっ!!!」

 

 袖から取り出したハンカチをこれでもかと噛み伸ばす。サーヴァントの力でそんなことをすればあっという間にハンカチが無惨に八つ裂きになってしまうが、そうならないのを見るに理性はきちんと残っているようだ。

 

「やはり受けに回ったのが下策でしたねぇ。どこぞの殿方も守ったら負ける、攻めろと言っていますし」

 

 求めよ、さらば与えられん。与えられるのをただ待つ家畜に真なる幸福など訪れんのだ……!

 

「今度は私がご主人様を攻める番。搾って搾って搾り取って、私以外の女性ではもうイケない体に……ぐへへ」

 

 淑女が口にするには少々はしたない声を漏らしながらずびび、と垂れそうになる涎を啜る玉藻。彼女の周りに何やら邪悪なオーラが渦巻いてるのが見えた。

 

「タマモ、ファイト!」

 

 玉藻の前は諦めない。

 

 

 

 

「ようこそお越し下さいました、ご主人様」

 

「ヤッピー、お誘いにホイホイ乗って遊びに来た……よって、どこだ此処?」

 

 数日後、玉藻の誘いに応じて再び彼女の部屋にやって来た真。シュインと微かな音を立ててスライドした扉を潜った真を出迎えたのはあの四畳半、ではなかった。

 

 天井があるはずのそこには抜けるように青い空が広がっており、頂には燦々と輝く太陽が座している。足元には真っ白なビーチ。部屋の奥に視線を向ければ目が痛くなるくらいのオーシャンブルーが視界に飛び込んでくる。カルデアの一室だったはずの部屋に何故だか常夏リゾートが展開されていた。

 

「あの、玉藻さん。これは一体どういう……」

 

 潮騒の音と匂いを感じながら真は戸惑い気味に部屋の中央に立つ玉藻を見やる。簡素な白いベットの傍らに立つ部屋の主である彼女も普段の露出強の巫女服ではなく、この部屋の状態に相応しい水着姿だった。どういう構造なのか狐耳がぴょこんと飛び出した麦わら帽子が夏らしい。

 

「どういうことかって? こういうことでございます、ご主人様。ようこそ、タマモちゃんビーチへ!」

 

 状況を全く飲み込めていない真を他所に玉藻は満面の笑みを浮かべて両腕を広げる。何時の間に用意したのか、彼女の背後では『ご主人様、大歓迎!!』とでかでか書かれた旗が風で翻っていた。

 

「どうでございますか、私の水着姿?」

 

 ころころとした笑顔を引っ込め、挑発的な笑みを浮かべた玉藻はくねっと科を作る。豊満なバストとヒップを強調した扇情的なポーズ。薄手の白シャツから青いビキニが透けて見え、男子垂涎の健康的かつ蠱惑的なプロポーションも相まって非常に魅力的だ。

 

「いいね、真夏のビーチに繰り出して遊んでる皆に自慢したい。俺の恋人美人過ぎねって」

 

「もぉ~う、ご主人様ってばそんな調子のいいこと仰ってぇ。そんなこと言っても明日の朝ご飯のおかずが二品増えるだけだぞ♪」

 

 相当な高評価に狐耳をピコピコ揺らして喜ぶ明日の朝ご飯担当の玉藻だった。

 

「いえですね。ご主人様が私達サーヴァントの日頃の労をねぎらうためにオケアノスへの慰安旅行的なものを計画していると小耳に挟みまして」

 

 改めてどうゆうこと? と訊ねる真に玉藻は事の次第を説明する。

 

「あぁ、あの話ね。話自体が出てきてもう一年以上経ってる訳だけど、何時になったら行けるのかn」

 

「ご主人様、それ以上はめっ、でございます♪」

 

「あっ、はい」

 

 玉藻の謎の威圧感を放つ笑顔に少し気圧されるも、咳払い一つをして真は先を促した。

 

「私、どうしてもご主人様とのバカンスを皆様よりも一足早く満喫したくなりまして。せめて気分だけでも味わおうと部屋をこの様に模様替えした次第でございます」

 

「断じて模様替えってレベルじゃないだろ」

 

 匠もビックリ、ジェバンニだってこれほどの荒業はしないだろう。ちなみに玉藻はこの滅茶苦茶な模様替えを陣地作成のスキルで行ったそうな。スキルって凄い。

 

「まぁ、再現できたのはあくまでも音や匂い、風景だけですので部屋の間取りはそのままですが……」

 

 言われてみれば確かに何も無い、海へと続いているはずの空間に硬い壁の感触がある。心なしか耳をしょんぼりとさせる玉藻にいや、十分じゃねと真は笑顔を向けた。

 

「気分を味わうならこれで十二分でしょ。で、何するんだ、砂遊び?」

 

「いえ、そういうレジャーは本番まで取っておきましょう。今回は気分だけ味わいつつ、ご主人様を按摩で癒して差し上げようかと。ご主人様、ここしばらくの間、働きづめでしたし」

 

 玉藻の言う通り、真はこの数日の間レイシフトしたりシミュレーターで種火を稼いだり、色んな相手と夜の鍛錬(意味深)に勤しんだりと過密なスケジュールをこなしていた。現カルデアの最高責任者であるロマニに次いで忙しいのが人類最後のマスター、遠野真だ。

 

「そういう訳でご主人様、こちらにお着替えください。お早く、さぁ、さぁ、さぁ!」

 

 どこからともなく水着を取り出し、真に着替えろと迫る玉藻。

 

「え、今すぐ着替えるのか? それはちょっと恥ずかしいような」

 

「私とあんなことやそんなことしておいて今更何を言ってやがる、四の五の言わずに脱ぎやがれぇ!」

 

「あ~れ~。およしになってぇ~」

 

「ぬはは、よいではないかよいではないか!」

 

 玉藻との悪代官ごっこにノリノリで興じつつ、真は水着に着替えた。トランクス型の水着のサイズが何故かぴったりなのが空恐ろしい。ビーチ(幻だが)に相応しい姿になった真を前に玉藻は微かに息を荒げて興奮を隠しきれないでいる。

 

「何度見ても惚れ惚れする体をしていますねぇ。はぁ、はぁ、堪らねぇぜ、じゅるり……おっと、いけないいけない。まだ本能覚醒の時じゃないぞ、鎮まれ~、私の中の獣……よし。ではではぁ、ご主人様。このベッドにころ~んとうつ伏せに寝ちゃって下さいませ」

 

 己の中で暴れる欲望をどうにか抑えつけ、玉藻は笑顔で傍らのベッドを叩いた。飢えた肉欲獣、もとい肉食獣の檻に入っていく気持ちになるも、真は玉藻の言う通りベッドにうつ伏せで横になる。はぁ、はぁ、と妙に荒い息遣いを背中に感じるのは気のせいだと自分に言い聞かせながら。

 

「それではお背中押させていただきます。まずはこれを」

 

 水着の時同様にどこからともなく玉藻はオイルのたっぷり詰まったボトルを取り出した。掌に適量落とし、擦り合せながら温める。手短に準備を終えると玉藻はオイルの馴染んだ両手を真の背中に伸ばした。

 

「失礼いたします」

 

「ふぉっ?」

 

 予想だにしなかったオイルの感触に戸惑いの声を上げる真だったが、幾らもしない内に心地良さそうな吐息を漏らし始める。玉藻の繊細な手付きとオイルの滑りが合わさって非常に気持ちが良い。癒して差し上げますと豪語しただけあって腕は本物で、玉藻の指が皮膚をなぞると固くなった筋肉がほどけていくようだった。

 

「う~ん、中々凝っていますねぇ。やはり、ここ数日の激務が祟って疲れが溜まっているのでは?」

 

「そう、なのかね? あんまし自覚は無いんだけど」

 

「ご自愛くださいましね? 気付かない内に疲労が蓄積して、ある日限界を超えてそのままお陀仏、なんてことになったら目も当てられませんので」

 

「その死に方は勘弁だなぁ……あぁ~、そこいい~」

 

「うふっ、ここでございますか?」

 

「あふぅん」

 

「ご主人様、私に全てお任せください。私に身を委ねていただければ、疲労の一欠片も残すことなく抜き取ってみせますので」

 

 ぐっ、と力を入れて指を押し込めばぴくっと真の体が揺れ、唇からうっとりとした吐息が漏れだす。指先一つで真をどうとでも出来るこの状況。まるで自分が真を支配しているかのような感覚に玉藻の背筋を言い表し難い快感が走る。

 

「はぁ、はぁ、無防備なご主人様、私に全てを任せ身を委ねたご主人様。いけない、見ているだけで私の中の野生がムクムクと。はぁはぁ…… 落ち着けぇ、私。大丈夫、私はやれば出来る良妻狐。我慢だってお手の物」

 

 時折、隠し切れぬ欲求を零しながら玉藻は真の全身を丹念に揉み解していく。その手付きは労わる心七割、抑え切れぬ肉欲三割といったところか。腕、肩、背中、腰、下半身と玉藻は己の中の野生と格闘しながら順々に施術していく(時々、妙にねちっこい触り方で体を撫でてくることもあったが)。

 

 ちなみに真の体の部位で最も張っていたのは腰だった。常日頃酷使しているからね、是非も無いね。

 

(この感じ、昨夜も随分とハッスルしたようですね、ご主人様。相手は誰なんですかね。ぬえぇ、恨めしやぁ、妬ましやぁぁぁ……)

 

 心の中で呪詛を唱えつつも体の後ろへの施術を終える。

 

「次は仰向けでございます。はい、ご主人様。ころ~ん」

 

「ころ~ん」

 

 この男、もう完全にされるがままだった。体を起こすでもなく、玉藻に仰向けにしてもらった真の顔は正しく極楽気分の表情だ。力もすっかりと抜け、身も心もリラックスしている。

 

「ではでは~、次はお腹やお胸を触らさせていただきます。よっこいしょっと」

 

 きしりとベッドが増えた重みで小さく音を立てる。続けて股間の上に何かが乗った。瞼を持ち上げ、とろんとした目を向ければ馬乗りになった玉藻がたっぷりのオイルを両手に絡めている光景が見えた。視線が合えば玉藻は小さく、だが妖艶に微笑む。

 

「あの、玉藻さん。マッサージをするのにこの体勢は些か、いやかなり相応しくないと思うんだけど」

 

「いえいえ、そんなことはございません。この体勢こそ、マッサージをするのに最も適したものなのです。私はご主人様の肌を、温もりを、存在を直に感じられますし、ご主人様は美人過ぎるタマモちゃんが目の前にいるぜヒャッハーと大喜び。Win-Winとは正にこのこと」

 

「間違ってる。絶対意味間違って」

 

「は~い、始めますね~」

 

 尚も言い募ろうとする真だったが、臍の脇に置かれたオイルに塗れた玉藻の両手の感触に言葉を詰まらせた。掌の熱とぬるりとした感触が何とも心地良い。んふっ、と小さく笑い、玉藻はゆっくりと両手を真の腹部に滑らせていく。じっくり、それこそ焦らすような手付きでオイルを塗り広げていった。

 

「気持ち良いですか?」

 

 玉藻の問いに無言の首肯で応える真だったが、時折くすぐったそうに身動ぎしている。脇腹を触られている時は特に激しい。にぃ、と愉悦を含んだ笑みを深め、玉藻は脇腹へと手を伸ばし、掌全体で掴むようにきゅっと揉み込む。一際強く真の体が玉藻の下で跳ねた。

 

「た~ま~も~」

 

「こ~んこんこん♪ 申し訳ございません。ご主人様が余りにも可愛らしかったもので、ついムラムラと悪戯心が」

 

 非難の目を向けるも、ころころとした笑顔にはぐらかさらてそれ以上は何も言えず、真はされるがままマッサージを受け続けた。

 

 笑みを絶やさずに施術を続ける玉藻の両手が上へと移動していく。割れた腹筋を通り過ぎ、肋骨の形を指先に感じながら胸へと辿り着いた。黄金色の双眸を細め、小さく舌舐めずり。親指で段々と勃ってきていた乳首をそっと撫でた。

 

「んっく」

 

 敏感になりつつある箇所への刺激に真は身を揺らしながら息を詰まらせる。真の反応に玉藻は笑顔に加虐心を浮かばせ、玉藻はねっとりとした指使いで硬くなっていく乳首を弄び始めた。一応、掌で胸全体にマッサージをしているが、それはあくまでオマケでしかない。すべらせる五本の指先で突き立つ乳首を執拗に嬲る。

 

 指先が乳首を撫でる度、真は切なそうな、もどかしそうな呻きを漏らした。耳朶に滲み込む主の弱々しい声に玉藻の中の情欲が昂ぶっていく。上気した額に汗が浮かび、呼吸が加速していった。興奮に茹っていく体が狂おしいほどに愛する男を求め、子宮が痛いくらいに疼く。玉藻は今すぐにでも身に纏ったものを脱ぎ捨て、暴れ出そうとする本能のまま真をしゃぶり尽くしたかった。

 

(でも、まだ駄目です。まずはご主人様の大好きなここで下準備してから、完全に堕として、私だけのご主人様に……くふふふ)

 

 心の中で玉藻はほくそ笑む。気に入った男を我が物にせんと考えを巡らせる姿は正に傾国の美女、魔性の女。目を付けられたのが運の尽きだ。

 

「あら、あらあらあら。ふふ、ご主人様。ここも随分と凝ってらっしゃるようですね」

 

 わざとらしく声を上げながら玉藻は腰を前後にゆったりと揺らす。随分と前から乳首同様に勃起し始めていた逸物が水着越しに潤い始めた秘裂を擦った。あん、と玉藻の唇から甘い声が零れる。

 

「いや、凝ってるっていうか、こうなったの君のせいだかr」

 

「ちょっとやそっとじゃほぐせそうにありませんねぇ、これ。仕方ありません。ここは一つ、タマモちゃんスペシャルマッサージサマーVerを披露するといたしましょう」

 

「す、スペシャルマッサージ? それはどんなことを?」

 

 緊張の面持ちの真に婀娜やかな、意味深な艶笑を見せる玉藻。さっきまで真の乳首を弄っていた両手を自身の胸へと運び、もったいぶった手付きで揺らす。ごくりと真の喉が鳴った。おっぱい星人の健全な十代男子には堪らぬ光景だ。

 

「まずは準備を。少々お待ちくださいまし」

 

 再びオイルのボトルを手に取り、片手で器用に蓋を取り外す。空いている手の人差し指を襟に引っかけ、前へと引き伸ばした。小さなシャツの中にみっちりと詰まった乳肉。玉藻はその間にボトルを挿し込んだ。重力に従って落ちてきたオイルが谷間の中に流れ込んでいく。

 

「ご主人様の大好きなここで、揉み解して差し上げます」

 

 艶美に笑いながら指でボトルを潰す。押し出された大量のオイルが隙間なく密着した乳肌を濡らしていった。谷間が十分に潤っても玉藻はオイルを流すのを止めず、収まり切らなかったオイルが下から溢れていく。溢れたオイルはゆっくりと流れ落ち、濡れて透けたシャツが肌に貼りついていった。鳩尾、お腹、臍と濡れ透ける範囲が徐々に広がっていくのを真は食い入るように凝視する。生地の薄いシャツ一枚隔てて露わになる肌がエロチックだ。

 

「勿論、外にもたっぷり」

 

 谷間からボトルを引き抜き、今度はシャツの上からオイルを振りかける。見る見る内に胸元がオイルに塗れ、スケスケになったシャツに青い水着がより鮮明に浮かび上がった。ここまでなると最早着衣としての意味を成していない。

 

「後はオイルを馴染ませて……はい♪ これで準備完了でひゃぁん♡ ご主人様、どんどん硬くなってきてますよ? これは入念に解して差し上げねばいけませんねぇ」

 

 空になったボトルを投げ捨て、好色に目を輝かせて玉藻は腰を上げる。抑えつけるものが無くなった男根が途端に隆々とそそり立ち、水着を突き破らんばかりの自己主張を始めた。玉藻の目に宿った淫蕩な輝きが増々強くなる。

 

「ご主人様も待ち切れないご様子。早速、始めるといたしましょう」

 

 こちらに、とベッドの傍らに跪き、ポンポンと真に目の前に来るようにジェスチャー。異を唱えることなく移動してきた真の水着を澱みない動きで脱がした。

 

「はふぅ。ご主人様は本当に女啼かせの女狂わせでございます。こんなに御立派なモノをお持ちの上に魂までイケメンだなんて、す・て・き♡」

 

現れた天を突く剛直に恍然と見詰めながら玉藻は真の脚の間に入り込む。濡れ透けのバストが真上にやってくると肉棒が期待で跳ねた。一瞬だけ妖しい笑みを真に向け、玉藻は爪を立ててシャツの一部を小さく斬り裂く。丁度、谷間の下部分にぎりぎり亀頭の通れるサイズの穴が出来た。

 

「これをこうして……」

 

 横から両手を添えた乳房をゆっくりと下ろしていく。亀頭がシャツの間から覗いたオイルを滴らせる谷間に触れた。既にカウパーを滲ませていた赤黒い先端が質感たっぷりの乳肉に包まれる。

 

「う、おぉ」

 

 思わずと言った感じに上がった真の呻き声に一層笑みを深め、玉藻はぬるぬるの谷間にペニスを呑み込んでいく。シャツに抑えつけられていることもあってもう異物が入り込む余地など無いが、オイルの助けもあって肉槍は肥大化した穂先で乳肉を掻き分けていった。吸い付くような乳肌と揉み込んでくる乳肉の感触。更にオイルのすべりが逸物を襲い、真は細く喉を震わせた。

 

「ご主人様のバキバキ勃起おちんぽ、硬ぁい。大きくて、太くてぇ、血管の形まで分かっちゃいますぅ」

 

 視線を落とせば亀頭が谷間から飛び出し、シャツの一部が卑猥に盛り上がっている。頬を朱に染めながら玉藻はその盛り上がりを指先で優しく撫でた。丁度そこが鈴口の場所で、乳房の柔らかさに大きく息を吐いていた真は突然の刺激に腰をバウンドさせる。

 

「ふふ。パイズリマッサージ、始めさせていただきます」

 

 再びバストに両手を添え、玉藻は体を上下に揺らし始めた。玉藻の動きに連動したバストが男根をしごき始める。窮屈なシャツに押し込めれた豊乳はぴったりと竿に密着し、きめ細かく心地良い肌で男根全体を撫で上げていった。甘く強烈な肉悦が生まれ、逸物は震えて開いた尿道口から我慢汁が溢れ出る。

 

 谷間から立ち上る、段々と強くなっていく性臭に息を荒くさせながらも玉藻は肉欲で痛いほどに疼く体を制して丁寧な乳奉仕を続けた。ぎゅっと寄せた谷間で男根を擦り上げ、亀頭が抜ける寸前で撫で下ろす。大きく傘を張るカリが乳肉に食い込み、この凶悪な部分が蜜壺を掘削する快感を思い出した玉藻の秘所は潤いを増していった。

 

 真も強さの段階を上げていく肉悦に更なる腺液を漏らしていく。乳肌とその内側の柔肉に性器を揉みくちゃにされ、駆け抜ける快感で背筋がぞくぞくと震えた。甘い痺れが肉棒を貫いて呻き声が上がる。次から次に迫ってくる官能の波に真は着々と射精へと向かっていった。

 

「さっきからビクビクしっぱなしですね、ご主人様のおちんぽ。そんなに良いですか、タマモのオイル乳マンコ……うふ、聞くまでも無いですねぇ」

 

 くつくつと笑う玉藻。空撃ちを続けるペニスを乳内で捏ね繰り回しながら真の顔に視線を注ぐ。微かに顎を上げ、眉根を寄せて快楽に耐える苦悶の表情。見ているだけで子宮が下りてくる。肉壺の入り口はくぱくぱと開閉を繰り返し、流れ出る愛液が水着に濃い滲みを作っていた。

 

「ご主人様ぁ。もし、ご主人様がタマモを何時もお傍に置いて下さるのであれば、タマモはきっとご主人様の欲望を受け入れて見せますよ。ご主人様の望むことでしたらなぁんだって。もっと凄いことも」

 

「すごい、こと……?」

 

 肉悦で思考を鈍らせながらも玉藻の囁きを耳聡く聞き逃さなかった真。ピンク色の靄がかかった頭で訊ねるも返答は無く、替わりに玉藻の言うところのもっと凄いことが始まった。

 

 妖艶に微笑む玉藻のバストがゆっくりと持ち上げられる。男根が半分ほど谷間から露出したあたりで動きを止めた。ちらっと真を一瞥し笑みを深めると、玉藻は左右から乳房を思い切り寄せ上げてペニスを柔肉で押し潰した。そして重々しく瑞々しい肉の果実二つを猛烈な勢いで、左右互い違いに揺らしてカリを中心に逸物を揉み上げていく。ずりゅずりゅ、にちゃにぢゃと聞くだけで全身が粟立つ卑猥な音を鳴らして玉藻は怒張を嬲り擦った。

 

 豊満な乳房に肉棒を情熱的に抱擁された真は固く歯を食い縛って煽られる射精感を耐える。一瞬でも気を抜けば絶頂してしまう快感が射精願望をくすぐり、誘惑してきた。ベッドの縁を掴んで我慢する真を嘲笑うようにたわわな果実は上下動を繰り返し、艶やかな乳肌でペニスを摩擦する。上下左右、前も後ろも圧倒的な肉の塊に囲まれ、搾られる男性器は精子の混ざった我慢汁を谷間の中に撒き散らした。

 

「あはっ。ご主人様のおちんぽ、お馬さんみたいに暴れてますよ。逝きたいんですね? ザーメンドピュドピュぶち撒けて最高の快楽を味わいたいんですね? どうぞ、遠慮することはありません。タマモの乳マンコに中出し、たっぷりキメちゃって下さい」

 

 淫蕩の笑みを浮かべ、玉藻はピッチを上げて男根を挟む豊乳を揺り動かす。肉棒に吸い付いた肌が竿を撫で回し、ずり上げる。快感に快感が次々に乗算されていき、耐えることもままならなくなってきた。逸物の芯を焦がしていた肉悦の熱が勢いを増し、遂に全身を焼く法悦の炎となる。止めとばかりに左右から圧迫され、真は突き上げるように腰を浮かせた。

 

「あぁん、出たぁ♡」

 

 谷間の中で爆発が起こった。玉袋から噴き上がった濁液が鈴口から飛び出し、玉藻の乳マンコにぶち撒けられていく。歓喜の嬌声を上げ、玉藻は乳房を揺さぶりペニスを搾り立てた。追い打ちに男根は増々威勢よく雄の証を撃ち出していく。谷間はあっさりと許容限界を迎え、溢れ返った精液でシャツの中がべちゃべちゃに濡れていった。

 

「はぁ、ご主人様のお子種、凄い匂い。体中が熱くなってぇ、子宮まできゅんきゅんしちゃいますぅ」

 

 胸は勿論、腹部まで濃厚な、黄ばんですらいる白濁ゼリーに汚されながら玉藻は桃源郷に到ったような顔をしていた。肌に貼り付く熱々のザーメンと全身を包んでいく真のどぎつい性臭にどんどんと発情し、辛うじて繋がっていた理性の糸が焼き切られていく。その糸は脈動を終え、射精を終えても微塵も萎えないペニスによって完全に切られてしまった。

 

 ぬるりと谷間から男根を引き抜く。シャツの挿入穴からゼリーじみた精液をぼたぼたと落としながら玉藻は腰の横にある水着の紐を引っ張った。

 

「ご主人様、次のマッサージに移らせていただきますので、ベッドに横になって下さいまし。可及的速やかに、なるはやで」

 

 若干、目が血走っている玉藻に急かされ、真はノロノロとベッドに仰向けで横になる。快楽の霧で何も考えられなくなった頭の中に玉藻の言葉に逆らうという考えすら浮かばなかった。

 

 大量の愛液でぐっしょり濡れて変色した水着を投げ捨て、玉藻は真を跨ぐ形でベッドの上に立つ。奥にハートマークを浮かべた瞳で愛する男を見据え、両手で汁だくの秘所を開いた。露わになった花園から溢れる愛液が太腿を伝い、滴となって垂れ落ちていく。オイルと精液でコーティングされた逸物が入り口を広げた快楽の壺に飛び込みたがっているかのようにびくんびくんと跳ね回った。

 

「続いては、オマンコマッサージです。ガチガチに凝り固まったままのご主人様のおちんぽ、私のオマンコでじぃっくり、ねぇっとり、誠心誠意愛を込めて揉み解させていただきます」

 

 声音、態度、目線の全てから濃縮された色気を振りまき、雄の生殖欲求を湧き立たせる。力強く先端を天に突き上げる逸物は触れれば弾けそうなくらいに肥大化し、雌と一つになる瞬間を待っていた。淫裂の奥から卵白のような濁り汁を溢れさせ、玉藻は入り口を開いた体勢のまま脚を広げて腰を下ろしていく。

 

 ぐちゅ、と粘質な水音が触れ合った性器から上がる。両手で男根の位置を調節し、幸福そうに微笑むと玉藻は魅惑のヒップを一息に落とした。ナカが十分すぎるくらいに潤っていたこと、男根が粘液でぬるぬるだったことも相まって二人は深々と繋がり合う。

 

 ぬぶっ、ぬぶぬぶぅ。

 

「あ、あああぁぁぁ」

 

 極悪勃起に膣道を穿たれ、子宮口を打ち上げられた玉藻は偽物の空を映した天井を仰いで歓喜の嬌声を上げる。がに股に開かれた両脚を忙しなく痙攣させ、口端から涎を垂らして内部を満たされた悦びに打ち震えていた。彼女の心情を投影した肉壺は無数の襞を波打たせ、三百六十度全ての方向からペニスを搾り上げる。

 

「入ってるぅ、奥まで入ってるぅ♡ おっきぃ、ふといぃ、かたいぃ、ご主人様のおちんぽ凄過ぎぃ♡」

 

 胎の奥底まで呑み込んだ怒張を蜜壺で食い締める。膣圧をはじき返す岩のような硬さ、鍛えられる鉄のような熱さが生々しい刺激となって玉藻の官能を燃え上がらせた。瞳の奥に獣欲の炎を灯した玉藻はマッサージという建前をかなぐり捨て、愛欲と性欲に突き動かされるがまま真を貪り始める。

 

「ご主人様。ご主人様、ご主人様、ご主人様ぁ♡」

 

 両手を真の腹部に置いて体を支え、狂ったように腰を上下に振りたくる。ぬめり蠢く媚肉で逸物をしごき、揉み潰した。力強く傘を拡げたカリの凶悪な返しに膣の凹凸を抉られる快感に、硬く膨張した亀頭で子宮口を突き上げられる肉悦に神経を焼かれながら玉藻は猛る肉棒を搾り込み、原初の愛情表現に溺れていく。

 

「う、ぉ、ぅ、ぐっぅ」

 

 性器を咥え込まれた真はひたすら歯を食い締めて射精を堪えていた。玉藻の桃尻が弾む度、狭隘な蜜壺に包まれた逸物を電撃が撃ち抜いていく。うねり蠕動する肉襞をペニスに絡みつかせ、蜜液と快楽を滲み込ませていく玉藻の肉壺は魔性の名器だ。内部が緩急をつけて締まり、媚肉を勃起に巻き付けしゃぶり回してくる。本人の意志とは関係なく、鈴口から精液の混じった我慢汁が噴き出ていた。

 

「ご主人様ぁ、もっと、もっと下さいまし。ご主人様のどろどろ孕ませ汁、ご主人様の愛の証を私の孕み袋にたっぷり注いでぇ♡」

 

 獣じみた上下運動に前後左右、円を描くダンスが加わる。前に後ろ、右に左に性器を捏ね繰り回され、溜まっていた快感が狂おしいほどに大きくなっていった。

 

「私だけのご主人様になって下さいまし。私だけを見て、私だけを愛して。私以外の女のことはお忘れください」

 

 肉悦で思考が曇り、判断力も鈍った真に蠱惑的な囁きが届く。声の主は腰を淫らに踊らせながら体を傾け、オイルとザーメンに塗れた乳房を胸板に押し付けた。潰れた豊乳でずりゅずりゅと乳首を撫で回し、両手で真の顔を優しく包んで黄金の双眸で青色の瞳を覗き込む。

 

「そうしていただければ、私は極上の快楽を味わわせて差し上げます。この五体、足の先から耳の毛の先まで全てを用いてご主人様を癒して差し上げます。ありとあらゆる雄の悦びを貴方に……だから、タマモだけのものになって下さい、真様」

 

 甘く艶めかしい吐息を至近距離から浴びせ、真を更に前後不覚に堕としていく。蜜壺で、胸で性感神経を絶えず刺激し、快楽の波で真の理性を壊していった。体の動き一つ一つが容赦なく男を快楽漬けにし、玉藻がどれだけ本気で真を堕としにかかっているかが窺える。そんなにハーレムが嫌なのか。

 

「さぁ、真様。一言仰って下さい。タマモのものになると」

 

 琴を爪弾くような声音で囁き誘う。その声は聞いた男の骨どころか魂すら抜き出してしまう心地良いものだ。音に聞こえし魔性魔貌の美女、玉藻の前。彼女が本気になって堕とせない男がいるだろうか。いや、いない。実際、真も陥落一歩前といった状態だ。しかし、そのあと一歩を玉藻は押し切れなかった。そう、彼女は一つ忘れていたのだ。

 

「やなこった。お前が俺のものになれ」

 

 この男が持つ英霊級の負けん気の強さを。そう言うや真は片腕を玉藻の背中に回し、反対の手で弾む美尻を鷲掴みにする。指の間から尻肉が溢れるほど強く握り、腰を勢い良く突き上げて剛直を淫裂の奥底に捻じ込んだ。

 

「いっ、く、ひゃあぁぁぁ」

 

 亀頭の痛烈な一撃を胎の奥に受け、玉藻は身も心も全て白濁に染め上げられてしまう。体の芯を撃ち抜く快感がさっきまで胸中で渦巻いていた真への独占欲をも焼き払っていった。

 

 目を大きく開き、息を詰まらせ快感に喘ぐ玉藻を全力のピストンが襲う。一瞬、体が浮くほどの衝撃で打ち上げられ、重力に従って真の股間へと落ちる。既に開いていた子宮口に亀頭がこれでもかと嵌り込み、玉藻は悲鳴、というより断末魔の声を上げて全身を震わせた。

 

 震え悶えて絶頂に涙を零す玉藻を激しい腰使いで攻め立てる真。熟れた肉孔が膣襞をむしゃぶりつかせて逸物をしごいてくる感触も堪らないが、腕の中で顔をぐちゃぐちゃにしながらよがりまくる玉藻の姿が何より最高だ。魔貌の美女を己の体一つで啼かせて狂わせる優越感と征服感はどんな美酒にも勝る。燃え上がる興奮に任せて真は滅茶苦茶に玉藻を突き上げた。

 

「あ、やぁ、だめぇ、動いちゃ。タマモがしたいの、にぃ、私がしなきゃ、いけない、んぐ、ぢゅるぅ」

 

 玉藻の独白がキスで奪われる。暴力的に動く下半身とは正反対なたっぷりの愛情を伝えてくる密着感のある動きで舌が玉藻の口内を這い回っていく。優しく舐め上げられ、気持ち良い箇所をくすぐられていく内に玉藻の思考は蕩け、体から力が抜けていった。真を自分だけのモノにしたいという欲求も逆らえない甘い陶酔に溶け落ちていく。

 

「んぅぅ。ちゅぷぅ。ちゃぷ、ちゅろぉ」

 

 弛緩した女体に容赦ないストロークが打ち込まれ、玉藻の性感が極限まで高められていく。舌が絡み合う度、肉棒の圧力を胎の奥に受ける度に感じるオルガズムで玉藻は何度も何度も官能を上り詰めさせた。真の両腕に抱かれた肢体がびくっ、びくっと派手な痙攣を繰り返す。

 

「ぷはぁ。ご主人様、タマモ逝っちゃいますぅ。ご主人様ちんぽでオマンコアクメ来ちゃいますぅ。あ、くる、くるくるぅ♡」

 

「逝け、逝っちまえ!」

 

 喜悦で瞳を爛々と輝かせる玉藻。目尻から大粒の涙を流し、エンストを起こした車のように体をがくがくと弾ませて今までで最大の絶頂を待ちわびた。玉藻の期待に応え、真は一層強く腰を振り立てて男根の抜き差し運動を繰り返す。蠕動する肉襞をカリ首が掻き混ぜ、硬い亀頭が子宮の入り口をノックする。

 

「ああぁぁあ、ひぃいぃぃ、逝く、逝くぅぅぅ♡」

 

 桃色の悲鳴が限界を迎えた牡欲の引き金を引いた。ごりぃ、と子宮口にペニスの先端をめり込ませ、真は玉袋の中で渦巻く欲望を爆発させる。尿道を遡った孕ませ汁が広がる鈴口から奔流となって噴き出し、玉藻の胎内を濁った白に染め上げていった。

 

「くひぃぃぃ♡」

 

 全身に汗を浮かばせた女体が極大のオルガズムでのたうち回り、両腕の拘束を振り解こうとする。真は暴れる玉藻を力の限り抱き締め、艶ヒップを鷲掴んで亀頭を子宮口に押し付けて収まらない雄の滾りを孕み袋に注ぎ込んでいった。法悦の絶唱を響かせ、玉藻は歓喜に媚肉を蠢かせて逸物を搾り子宮で子種を呑み干していく。性器を通して子宮が精液を呑んでいく音が聞こえるようだった。

 

 大量の白濁液を長時間撃ち出していた男根が漸く落ち着いてきた。吐精が治まり、腕の中で強張っていた女体がふにゃりと崩れ落ちる。優しく抱き締めると、のろのろと伸びてきた玉藻の両腕が真の首に絡みついた。髪を撫でれば正に至福、といった緩んだ笑顔が返ってくる。

 

「ご主人様ぁ♡」

 

「可愛いよ、玉藻」

 

 抱き締め合い、口付け合う二人。互いの体液でどろどろになった二人は拭くこともせず、バードキスからディープキスまで色んなキスを気の済むまで続けた。

 

 無論、その後も肌を離すことなく何十回と愛し合ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

「まだだぁ! まだ終わらんよ!」

 

 玉藻の前は諦めない。愛しのご主人様を手に入れるその時まで。

 

 頑張れ、玉藻。負けるな、僕らのラブリーフォックス! 何時か彼女の(私欲塗れの)献身が報われる日が来ることを信じて。




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
見知らぬ人に対しては人並みの警戒心を抱くが、相手が信頼する知己だと無条件かつ全面的に信じてしまう。その結果、悪巧みをするサーヴァントにホイホイついていって毒牙にかけられるが、最終的には逆に喰い返すタフな男。

『玉藻の前』
真の良妻を自称する腹黒キャスター。召喚された当初から魂レベルで真に惚れ、それからはどうにかして真を自分だけのものにしようと画策する。真と愛し合う前は一夫多妻去勢拳の打ち込みを百回ほどして自分に喝と気合を入れるが、勝率は0パーセントから変わらない。尚、月の聖杯戦争を経験していないifの存在である。月の聖杯戦争を経験していないifの存在である。月の聖杯戦争を経験していないifの存在である。


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『スカサハ』欲求不満系バニー

やあ (´・ω・`)
ようこそ、女性サーヴァントしかいないカルデアへ。
この前書きはサービスだから、まず読んで落ち着いて欲しい。

うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。













そして私は謝らない。


「何だこれ?」

 

 諸々の所用を終えてマイルームへと戻ってきた人類最後のマスター、遠野真。机の上に一枚の手紙が置いてあることに気付いた。

 

 首を傾げながら手に取る。紙面には一文の問題が書かれていた。

 

『寂しいと死んでしまう動物とは何ぞや?』

 

「……うさぎさん?」

 

「その回答では満点はやれぬな」

 

 誰もいないはずの部屋で背後から自分以外の声。慣れ親しんだ声音と雰囲気に振り返ってみれば、

 

「正解はスカサハバニーだ」

 

 バニーガール姿のスカサハが腕組みをして真をジトッとした目で見詰めていた。長い脚線美を臀部まで包んだ網タイツに際どいハイレグ&肩出しが扇情的な紫色のバニー衣装。右腰に添えられた紫の花、両手首を守る白いカバーのアクセサリー。そして頭に冠したバニーの象徴であるウサ耳カチューシャ。名乗った通りのスカサハバニーがそこに立っていた。控えめに言って健全な青少年にはとても刺激の強い格好だ。

 

 ちなみにどこかの平行世界から

 

『うわキツ』

 

『無理すんなババア』

 

『年考えろ』

 

『下らん』

 

 などの全く同じCV(一名除き)の野次が飛んできたが、スカサハはそれぞれに魔鎗を投擲することで応えた。どこかの世界でランサー×2とキャスター、バーサーカーが死んだ!

 

「随分と忙しいようだな」

 

 紅の双眸が非難の眼差しを向けてくる。えぇまぁ、と曖昧な笑みを浮かべながら真は頬を掻いた。

 

 彼女の言う通り、ここ最近の真は多忙を極めていた。主な理由は真の呼びかけに応じてカルデアに召喚されたサーヴァント達だ。ちなみに全員女性である。

 

 彼女達が召喚されたことによってカルデアの戦力は増々拡大、充実していったがそれに比例して真がサーヴァント一人一人と向き合える時間も少なくなっていた。霊基を強化するための種火や素材集めを始め、サーヴァントの性格や能力、誰との連携が効果的か把握するための戦闘訓練。交流を深めるためのコミュニケーションなどやることは山とあった。

 

 無論、真も新しく来た者達だけに構って既にカルデアにいる彼女達を蔑ろにしたことは一度も無い。作業の合間を縫い、時間を作って最低限以上の触れ合いはしてきたと自負している。実際、スカサハとも数日前に互いの体が融けるくらいに肌を合わせた。が、

 

「他にすべきことがあるのではないか?」

 

 目の前の寂しがりバニーにはまるで足りなかったようだ。不満を宿した視線を絶えず真に飛ばしている。

 

「と言われましても、俺も結構やること一杯あるし……」

 

 スカサハの言いたいことは分かる。自分にもっと構えと、自分をもっと愛せと。彼女の言い分はそれに尽きた。真だって想いは同じ、スカサハと思う存分イチャつきたい。しかし、時間は有限で真の体は一つだけ。触れ合う時間が短くなるのは致し方の無いことだった。

 

「……ふむ、そうかそうか。つまりお前は私に飽きたということだな?」

 

 ここでスカサハ、とんでもなく面倒くさい拗ね方をし始める。拗ねた振り、と言った方が正しいか。困り顔を浮かべる真に背を向け、ぷいとそっぽを向いた。全身から見せかけの怒りオーラを漂わせ、お前には愛想が尽きたというポーズ。腰から上の生地が無い、ざっくりと覗いた背中部分がエロティックだ。

 

「それならそれで構わんさ。何処へなりとも、私を放って好きな女の下に行けばいい」

 

 心に微塵も思ってないことを言う。この男ならそんなことはするまいと信頼した上での発言だ。本当の気持ちは真に構って欲しくて構って欲しくてうずうずしている。その証拠に肩越しにチラチラと真を振り返り、彼が次に取る行動を今か今かと待っていた。

 

 困り顔で頬を掻いていた真だったが、すぐに表情を引き締めスカサハへと歩み寄っていく。彼女にこんな面倒な拗ね方をさせたのは偏に己が至らなかった所為。それだけ寂しい思いをさせてしまったのだから、責任を取らねばなるまいと。バカだこいつ。

 

 幸い、今日これからの予定は無い。愛し合うための時間はたっぷりとあった。

 

「俺が御師さんに飽きるとか、そんなことある訳無いじゃないですか」

 

 優しく、後ろから抱き締める。予めこうなると予想して香り付けしてきたのか、スカサハの漂わせる甘く妖しい匂いが真を包んだ。柔らかな女体と人肌の心地良い温もりも合わさって鼓動が速くなっていく。

 

「ふん、言葉など幾らでも言い繕える。真実だというなら証を示せ」

 

 内心で活動を始めた火山よろしく噴き上がる喜びを顔に一切出さず、スカサハは次なる要求を突き付けた。キスの一つでもすれば済む話だが、真はそれ以上のモノで応じる。スカサハのヒップに当たる硬い感触。ズボン越しでも分かる、熱く大きくそそり立ち始めた男性器の感触だった。

 

「あ……♡」

 

 スカサハの唇から期待に濡れた声が漏れる。瞬時に火照る体が交合の準備を始め、昂ぶる意識が息を荒くさせた。心と体を一つにして愛し合う喜びと快楽が脳裏を掠め、喉がごくりと鳴る。

 

 スカサハの興奮を煽るように真は背後から彼女の体を愛撫し始めた。二つの掌がゆっくりとバニースーツ越しに白絹の肌を撫でていく。微かに光沢のある革の肌触りが指先を楽しませた。

 

「何これ、触ってるだけなのに気持ちいい」

 

「ふ、当然だろう。このスカサハが魔力で直々に編み上げたのだ。最高の仕上がり以外有り得まい」

 

「それに着てる人が最美の御師さんだから……マジで滾る」

 

 スカサハの左耳に軽く口付ける。不意打ちにスカサハはくぐもった呻きを漏らしながら体を小さく揺らした。可愛らしい反応に真の口角が自然と持ち上がる。啄むようなキスを繰り返して耳を可愛がり、愛撫の場所を下腹部から上へと移動させた。

 

 真の両手が豊かな双丘を包み込む。衣装越しに感じる肉の柔らかさが情欲を掻き立てた。肥大化する欲望と股間に従って真は指先を乳肉に沈ませ、体を震わせるスカサハの反応を愉しみながら双丘を揉みしだく。

 

「んっ、相変わらず、胸が好きな奴だな」

 

 呆れるスカサハを他所に真の手付きはエスカレートしていった。指を押し返す肉の弾力、スカサハの唇から漏れる小さく甘い嬌声。女体から立ち上る濃厚な雌の匂いとフェロモン。全てが真を熱中させ狂わせていく。ついに真の指先がスーツの胸部分を小さく押し上げていた二つの突起に辿り着いた。そうするのが当然とばかりに突起を摘まむ。

 

「あぁん♡」

 

 一際蕩けた雌の声が興奮を大きく煽った。辛抱堪らず指先で扱き、弾き押し潰せばスカサハが艶やかに喘ぎ、全身を右に左にくねらせる。思うがままに美女の嬌声を爪弾く征服感が真の欲求を強くさせた。

 

「可愛いよ、スカサハ」

 

 耳元で名を呼び、首筋に舌を這わせ吸い付く。この女は俺の物だと、その証とばかりにキスマークを幾つも残す。スカサハの美しい肌に赤い斑点が散りばめられていった。

 

 真の行為をスカサハ目を輝かせ、頬を赤くさせて嬉々と受け入れた。愛する男に所有権を示されるのが嬉しくて仕方がないといった表情だ。

 

「真、こっちも、ここも可愛がってくれ」

 

 両腕を後ろに回し、真の顔を引き寄せる。振り返り、艶美な唇を突き出してキスをねだった。

 

 磁力で惹き合うかのように二人の唇が重なる。すぐさま伸びた舌同士が絡みつき、淫靡な音を立てて踊り始めた。唾液を撹拌し掻き混ぜ、快感と愛情を分け合う行為に二人はあっという間に没頭していく。部屋の中には二人分の荒い息と粘膜が擦れる猥音だけが響いていた。

 

 スカサハとの蕩けるようなキスを続けたまま、真は両手をバニースーツの背中部分から内側に侵入させていた。豊潤で、しっとりと吸い付いてくる感触に息を弾ませ、右手を頂点を勃たせた乳房に、左手を物欲しそうに擦り合わせていた太腿の間へと向かわせる。肌に直に触れる想い人の手がもたらすこそばゆさと喜悦がスカサハの体を震わせた。

 

 ダイレクトな絹肌の感触に忽ち真は夢中になり、豊満な乳房に五指を食い込ませる。肉のふくらみは指の動きに合わせて柔軟に形を変化させ、真の愛撫を受け入れていた。きめ細かい肌を纏わりつかせ、柔らかさと弾力で雄の欲望を湧き立たせる。

 

 乳肉を堪能した指が乳首へと狙いを変える。硬く勃起した肉突起をピンと弾けばスカサハの細越がビクンと跳ねた。しこり尖った乳首を指先で優しく撫で転がし、腹で押し潰すと跳ねていた腰の動きが小さな痙攣へと変わる。切ない吐息を漏らして目を潤ませるスカサハを真は嗜虐嗜好全開で攻め立てた。

 

「んんぅぅ!!」

 

 今までになく大きな嬌声が唇で塞がれた口から飛び出す。真の左手がついにスカサハの秘所に触れたのだ。くちゅっと割れ目から溢れる愛液で湿った感触、濡れた陰毛が指先に纏わりつく。出所である淫裂に指を這わせれば溢れる蜜が量を増し、スーツの内側をじっとり湿らせていった。

 

「んぅ、あぁ、真、お前が、くぅん、欲しいぃ」

 

 乳房と秘所を弄ばれる快感に声を詰まらせながらスカサハは本心を告げる。紅の双眸が放つ情欲の視線を真っ直ぐに受け止め、真はスカサハの要望に応えるため彼女をベッドに連れて行こうとするが、

 

「でも、まだだ」

 

 他ならぬスカサハの手で止められた。

 

「舌の根の乾かぬ内って言葉知ってます?」

 

「まぁ待て。私とお主が愛し合うんだぞ? もっと相応しいムードというものがあるだろう」

 

 既にもう十分出来上がっていると思うのだが、スカサハがそう言うのであれば異論はない。真はスカサハに導かれるがまま、ソファに腰かけた。その左隣に座るスカサハ。ウットリとした顔で真にしな垂れかかっている。

 

「長い夜になる。心行くまで楽しむぞ」

 

 淡い光が左手から放たれたように見えた刹那、スカサハの手に一本のボトルが握られていた。見覚えのあるそれはバレンタインの時、彼女からゲイボルクの突き刺さったチョコと共に貰ったチョコレートリキュールにそっくりだった。

 

「御師さん。俺の記憶が正しければ貴方がこれをくれた時、年齢制限がどうのと言ってたような気がするのですが」

 

「少しばかり早い大人の階段というやつだ、勇んで上るがいい。心配するな、酒精はそこまで強くは無い……酒精はな」

 

 小さく嫣然と微笑むスカサハの指がボトルの注ぎ口を一撫でする。何かの魔術が発動したのか、ポンと小気味良い音を立てて蓋のコルクが勢い良く放たれた。そのまま天井で跳弾し、見事にゴミ箱の中に飛び込んでいく。

 

「まずは一口」

 

「あ、はい、いただきます……って、グラスが無いですけど」

 

 にたぁ、とスカサハの口角が持ち上がった。常世に生きる女には到底望むべくも無い、影の国という魔境に身を置いた彼女だからこそ浮かべられる妖絶な笑み。何度見ても心どころか魂、命すら奪われそうな魔貌を至近距離で眺めた真は息をすることも出来ずに魅入られた。

 

 ボトルに直接口をつけてスカサハはリキュールを一口呷る。そのまま飲まず、口内に含んだまま唇を真に寄せていった。スカサハの意図を察するのに一拍遅れ、瑞々しい唇が押し付けられる。触れ合った部分を僅かに開けば途端に唾液とリキュールで出来た極上のカクテルが流れ込んできた。甘露が喉を滑り降りると臓腑から全身に活力と精力が漲っていった。

 

 酒精を薄めた代わりに媚薬成分をたっぷりと注いだのだろう。飲んだ途端に体は異様な熱を持ち、高まっていたスカサハへの欲情が秒単位で抑え切れなくなっていった。それはスカサハも同じらしく、沁みどころか傷一つない絹肌に薄らと汗を浮かべている。口の中の酒が無くなったのを合図に二人はより深く激しく口付けに没頭していった。

 

 空になった口腔を埋めるように互いの舌を伸ばし、舐め合い絡め合う。舌を筆に、唾液を絵具に、粘膜をスケッチブックにして相手を自分色に染め上げていく。ただの雄と雌になった番いの興奮と性的欲求は限界を知らず暴走していった。

 

 貪り合っていた唇が離れ、涎の糸がぷつりと途切れる。荒い息を吐く二人の視線が交差した。スカサハは何も言わず、酒瓶を真に突きつける。真も何も答えず酒瓶を受け取り、中身を一口含んだ。酒瓶をソファ横にあるテーブルに置き、スカサハを両腕で抱き締めて二度目の口移しを始める。

 

 じゅるじゅると浅ましい音が部屋に大きく響いた。零れた酒がソファに落ちるのも、首を伝い落ちて体を濡らしていくのも構わず二人は相手の唇を、舌を吸い合う。両手で互いの体をまさぐり、撫で回して燃え盛る官能の炎を強くさせていった。

 

 真の両手がスカサハの臀部を弄ぶ。豊かに実りながらも引き締まった、網タイツに包まれた美しいヒップに五指を食い込ませて卑猥な形に歪ませた。スカサハの苦し気な吐息に乗る隠し切れない快楽の色が真を虜にしていく。息を弾ませ、夢中になってタイツ越しの尻肉を楽しんだ。

 

 スカサハも負けじと真の股間に両手を伸ばす。突き出るように変形したズボンの前部分を指で突いた。服の上から少し触っただけでもはっきりと形が分かるくらいガチガチに勃起している。裏筋、カリ、亀頭、鈴口と順々に感じ易い部分を指で引っ掻いて真にやり返していた。

 

 唇を合わせたまま、相手の体を愛撫してイチャつく二人。ヒップを堪能していた真は両手をスカサハの上半身に滑らせていく。真っ直ぐ、迷いの無い手付きで移動させた先は、

 

「んちゅ、ちゅる……ぷは。全く、この乳狂いめ」

 

 下から持ち上げるようにバストを揉み込む、どこまでも自分の欲望に正直な真をスカサハは何とも言えない目で見ていた。これだから男はと呆れる反面、これほど自分の体に夢中になってくれるのは悪い気はしないと胸中複雑だった。

 

 ここで何か思いついたのか、スカサハは愉快気に頬を吊り上げる。テーブルの上の酒瓶に手を伸ばし、言葉も無く乳房を捏ね回す真に呼びかけた。

 

「真、良い物をやろう。そのまま私の乳を寄せ上げろ、隙間なくな」

 

 突然の指示に戸惑うも、言われた通りにする真。待ての命令を忠実に待つ飼い犬みたいだ。くすりと挑発的に、艶やかに笑ってスカサハは酒瓶を一口呷る。小さく頬を膨らませた顔を真に向け、目元を細めた。

 

 そのまま顔を下に向け、小さく唇に隙間を空ける。重力に従い口内から零れた酒が谷間へと落ちていった。真の手で左右から寄せ上げられた乳肉の盃にチョコ色の液体が溜まっていく。鼻息も荒く、目を皿のようにして真はスカサハの谷間が酒で満たされていくのを見ていた。

 

「そら、スカサハの谷間酒だ。心して味わうがいい」

 

 スカサハのお許しが出るのとほぼ同時に真は弾かれたように谷間へと顔を突っ込んだ。飛び散るリキュール。顔が濡れるのも意に介さず、ずるずると下品な音を立てて谷間酒を啜る。甘いアルコールの匂いとスカサハの芳醇な香りに文字通り酔い痴れていった。

 

「夢中になりおって。私の乳がそんなに好きか、可愛い奴め。それとも、谷間酒が気に入ったのか?」

 

 酒を全部啜り出してもまだ谷間に顔を埋め、乳肌を濡らす残滓を舐め取る真を優しく撫でる。というより、後頭部を押さえつけるような手付きは撫でるというより獲物を捕らえる動きだった。

 

「なら、もう一杯振る舞ってやるとしよう。どれ」

 

 くすぐったそうに身動ぎしながらスカサハは再びリキュールを口に含もうとする。が、それよりも速く伸びた真の手が彼女から酒瓶をひったくった。

 

「自分でやります」

 

 スカサハの返事を待たず、空いてる手で肩を掴みソファへ強引に押し倒す。軽い悲鳴を聞き流し、バニースーツの胸元に指をかけて一気に引き下げた。

 

 ぶるん、とたわわな肉の砲丸が二つまろび出る。艶のある白肌はうっすらピンクに染まり、頂点にある桜色の突起は服越しの時よりも存在感を増してそそり勃っていた。思わず生唾を呑み、真はシェフが料理に調味料を振りかけるようにスカサハの豊乳をリキュールで濡らしていく。

 

「この、人の胸を何だと思って……」

 

 若干怒ったような口調だが、止めようとする気配はない。疼き火照る体を昂ぶらせながら自身のバストがチョコ色に彩られていくのを見ていた。

 

 酒瓶をテーブルに戻し、リキュールに塗れた乳房を見下ろす。薄桃色の美肌とチョコ色のミスマッチなコントラストが不思議と性欲をそそった。加えて官能的に頬を赤らめて見詰めてくるスカサハの蕩けた表情が情欲に油を注ぐ。辛抱堪らず真は肉の双丘を絞るように寄せ上げ、膨らんだ先端二つに纏めてしゃぶりついた。スカサハの甘い悲鳴が部屋に木霊する。

 

「ああぁぁ♡ んっ、この欲張りめぇ♡」

 

 コリコリの乳首を舐め回し、吸い立てる。ふかふかの乳肉はリキュールの味付けも加わり最高の美食だった。夢中で片方を限界まで頬張り、残った乳房を空いてる手で滅茶苦茶に捏ね回す。舌と口腔、指と掌でバスト全体を刺激するとスカサハが上げる嬌声は増々色っぽくなり、女体はびくびくと跳ねた。

 

「はあぁ、熱い。お前の口も、手も……胸が溶けてしまいそうだ」

 

 乳房で味わう快電流にスカサハは恍然と身を震わせる。真への愛おしさから手が自然と伸び、彼の後頭部をよしよしと撫でていた。

 

 甘やかされるのをいいことに真の愛撫は過激になり、再び纏めて咥えた乳首二つを思い切り吸い伸ばしていた。唇に引っ張られた豊乳がいやらしく形を変え、スカサハは桃色の声を上げて全身を婀娜っぽくくねらせる。

 

 真の唇から乳首がちゅぽんと音を立てて抜け出た。豊かな双乳がぷるんと弾む。息つく暇もなく真はバストへ吸い付き、キャンディーのように舐め回した。美しい肢体が反り返り、スーツの中で淫裂が小さく潮を噴き出す。髪を振り乱し、スカサハは真の執拗な乳責めに体をのたうたせた。

 

 たっぷり吸い上げ、舐め回して一先ず満足したのか漸く真の口が乳房から離れる。解放されたスカサハは紅潮した肌に汗を浮かばながら全身を弛緩させていた。虚ろな瞳で荒い呼吸を繰り返す姿が扇情的だ。加えて涎で濡れ光る乳首はすっかり充血し、綺麗なピンクに染まって乳輪から起き上がっている。ひくひくと揺れ、誘っているようにさえ見えた。

 

 スカサハへの性欲が再び沸騰し始める。沸き上がる欲望に従い、スカサハのバストへと手を伸ばそうとするが、それよりも速く体を起こしたスカサハに肩を押された。ドミノのようにあっさりと真はソファに倒れ、その上にスカサハが覆い被さる。いとも容易く立場は逆転した。

 

「随分と好き勝手してくれたな、んん~?」

 

 サディスティックに唇を歪めながら真の服を脱がしていく。手慣れたもので上半身を剥くのに数秒とかからなかった。脱がした服を投げ捨て、目をパチクリさせる真の顎を掴み息がはっきりと感じられるくらい近くまで顔を寄せる。

 

「今度は私の番だ、エロ弟子」

 

 頬を一舐めして顔を離し、テーブルの酒瓶を掴んだ。半分ほど中身が残っている酒瓶を逆さにし、真の胸にリキュールをかける。瓶の口から落ちていくチョコ色の液体が真を汚していく光景にスカサハは情欲で光る目をギラつかせた。

 

「これでよし。では、いただくとしよう。れるぅ」

 

 酒瓶を置き、胸板に顔を近づける。アルコールと混ざった雄の匂いが胎の奥を疼かせた。ふー、ふーと息を荒げ、挑発的な目で真を見上げたままスカサハは真っ赤な舌を酒塗れの肌に這わせる。くすぐったそうに逞しい体が小さく揺れた。

 

「どうした、少し舐めただけだぞ? 生娘のような反応をしおって、感じ易い奴め」

 

 歪な笑みを深め、限界まで伸ばした舌を熱い肌に滑らせていく。唾液のぬめりも合わさったザラザラの感触がもどかしい快感を生みだす。小刻みな身動ぎを繰り返す真に熱い吐息を吐きかけながらリキュールを舐め取っていった。舌の上に広がる酒の味に、視線の先で切なそうな表情を浮かべる真に酔っていく。

 

「堪らぬ顔で誘う奴だ。それに、こっちも可愛がって欲しくて仕方ないらしい」

 

 にんまり笑い、ぷっくりと膨らむ乳首を人差し指で軽く弾いた。ぴくん、と押し倒した体が僅かに痙攣し、真の口から微かな喘ぎが漏れる。可愛らしい反応に思わずスカサハは大きく吐息を零した。情欲の肥大化は留まることを知らず、愛情は限界を無視して昇華していく。

 

「お望み通り、可愛がってやるとしよう」

 

 年上としての余裕を笑みに浮かべ、美しい黒髪を耳にかき上げスカサハは乳首を優しく咥えた。艶やかな柔らかい唇が乳首を上下から挟み込む。こそばゆいような快感に真が呻くと、スカサハの目元が意地悪く細まった。

 

 鍛えられた腹筋や脇腹を滑るように撫でていた指を胸板へと登らせた。呼吸で上下する胸に指先を這わせ、吸っているのとは逆の突起に近づける。小さな乳輪をなぞり、爪で優しく引っ掻く。舌先で小刻みに舐め回し、指先で押し潰して口と手で真の性感を突き劣情を煽った。

 

「さて、こっちはどうだ?」

 

 余裕たっぷりの声で真を笑いながら強靭な肉体を撫で下ろしていく。さっきまで胸を弄んでいた手がするりとズボン、パンツへと侵入した。下着の中を異様な熱気が支配している。発生源は指をピクリとでも動かしたら触れられる距離にあった。

 

「相も変わらず凶悪だな」

 

 手に全神経を集中させ、圧倒的な存在感を放つそれを撫でていく。火傷してしまいそうな熱を持つ亀頭、深い溝を作るカリ、太い血管の浮かぶ竿、パンパンに膨らんだ睾丸。今、スカサハの頭を一杯にしている真の、雌殺しの男根だ。

 

「子を為すためと言うより、女を雌に堕とすためにあるようだ。この御立派様で何人堕とした? 何人の女を自分専用の雌に仕立て上げたんだ、ん?」

 

 若干(なのかは疑問だが)の嫉妬を込めた声を真の耳元で囁きながら逸物にそっと触れる。一瞬、寄り添う体が震えた。

 

「この硬く膨らんだ先端を私の奥の奥まで突き立てたいのだろう?」

 

 パンツに大きな染みを作っていた、鈴口から溢れていた我慢汁の玉を亀頭全体に塗り広げる。

 

「この高く張り出したカリで私の中をぐちゃぐちゃに引っ掻き回したいか?」

 

 大量の腺液でぬるぬるの指を輪の形にしてカリを執拗に擦り上げる。

 

「いきり立ったガチガチちんぽで私の中を広げたいか?」

 

 指先を裏筋に滑らせ、根元をぐりぐりと中に押し込む。

 

「溜まりに溜まったザーメンを私の胎に注ぎたいのだろう? 滅茶苦茶に犯したくて、孕ませたくて仕方ないのだろう? お前は俺のものだと、俺の女だと霊基に刻み込みたいのだろう?」

 

 やれるものならやってみろ、と勝ち気な笑みでスカサハは真を挑発した。

 

「生娘共ならいざ知らず、このスカサハを簡単にモノに出来ると思わぬことだ。影の国の女王を見縊るなよ」

 

 見縊るも何もあんた既に身も心も堕ちるところまで堕とされとるやん、という突っ込みはしないでいただきたい。プレイって役になり切るのが大切だし。

 

 何時になく挑発的な態度のスカサハに逸物を弄られながらも真は彼女がどうしたいのか大よその見当をつけていた。こういうアグレッシブに迫ってくる時、スカサハは決まって、

 

「して欲しいなら、して欲しいって素直に言いなよ、スカサハ」

 

 真に滅茶苦茶に犯されるのを望んでいた。その指摘に自信に満ちた笑顔を一変させ、スカサハは頬を朱に染めながら真に向けていた目を逸らす。

 

「な、何を言って」

 

「今言ったの、全部俺にして欲しいことだろ?」

 

 的確に図星を突かれ、唯でさえ赤くなっていたスカサハの顔が完熟トマトばりの色合いへと変わった。真の言う通り、さっきのスカサハの発言は全て彼女自身の願望の表れだ。

 

「そこまで分かっているなら、これ以上何も言わせるな。早く私を愛してくれ……」

 

 火が出んばかりの顔色でスカサハはか細く囁く。弱々しい懇願に真は一瞬思案の表情を浮かべ、にんまりと笑った。加虐心マックスのどSスマイル。

 

「スカサハ。俺、さっきも言ったぞ。して欲しいならして欲しいって素直に言わないと」

 

「な、何だと?」

 

「単刀直入に言おう。おねだりして見せてくれ」

 

 狼狽の余り言葉を失うスカサハだが、すぐに気を立て直してきっと真を睨み付ける。しかし、目線に力は無く迫力不足なのは否めなかった。

 

「私に恥を晒せと言うのか?」

 

「して欲しいことをして欲しいって言うのは恥ずかしいことでも何でもないと思うぜ?」

 

 語気を強めるスカサハの睨みをさらりと受け流し、真は飄々と笑う。

 

「まぁ、恥ずかしいから嫌だっていうなら別にいいけど、いいのか?」

 

 秘かに伸ばしていた両手でスカサハのヒップを鷲掴みにする。意識の外から突然襲ってきた衝撃にスカサハは可愛らしい悲鳴を上げた。

 

 瑞々しい肌に指を食い込ませて押し返してくる尻肉の感触を楽しみながら真はスカサハの下半身を移動させる。互いの股間が向かい合う位置に場所を調節した。服越しに雄と雌の性器が触れ合う。微弱ではあるが確かな快感がスカサハの脳天まで突き抜けていった。

 

「あぁ、これ、これぇ♡」

 

 頭、理性で抑える間もなく、スカサハは無心で腰をくねらせスーツに覆われた淫裂をズボンの盛り上がりに擦り付ける。微かな肉悦が奔るが、到底満足できる訳ない。逆に情欲の炎に大量の油を注ぎ、欲求を燃え上がらせるだけだった。

 

「欲しいんだろ?」

 

 問いかけるというより確認するといった言い方。我慢出来るはずがないと確信した声音だった。頭の片隅に残った幾ばくも無い理性を総動員して頷くのを堪え、スカサハは怒りの眼差しを真に向ける。

 

「随分な物言いだな。そういうお前はどうなのだ? お前のモノはさっきから物欲しそうに震えているぞ」

 

 服を通して淫裂に伝わる剛直の脈動。真もスカサハを欲しがっている何よりの証拠だ。実際、服越しとはいえ性器を擦り合せる行為に逸物は我慢汁がだだ漏れになっている。

 

「じゃあ、我慢比べでもする?」

 

 眦を吊り上げる紅色の双眸を青色の瞳が見返す。沈黙が流れること数秒、陥落したのは女王だった。

 

「嫌だ、我慢なんて。お前が欲しくて欲しくて頭がおかしくなりそうだ……!」

 

 体の疼きと心の渇きはもう限界に達している。今のスカサハには触れ合っているだけの一分一秒が耐え難い拷問のように思えた。

 

「じゃあ、続きはベッドの上でってことで。早速どうぞ」

 

 ベッドの上でおねだりをしろということらしい。目尻に薄ら涙を浮かべ、スカサハは真をジト目で睨んだ。

 

「そ、そんなに私を辱めたいのかお前は?」

 

「武勇叡智兼ね備えた美人が誇りも羞恥心もかなぐり捨てて媚びてくる姿とか控え目に言って絶頂レベルで滾るよね」

 

「この、鬼畜めぇ♡」

 

 背筋を這い上る悪寒にも似た悦びに声を震わせながらスカサハはベッドに向かう。ちらっと振り返り、ついてくる真を見やった。一糸纏わぬ上半身。スカサハを筆頭に様々なサーヴァント達に鍛えられ、最早常人では及ばぬ域に達した体は何度見ても惚れ惚れする。

 

 これからこの男に抱かれる。犯され、物にされる。全身を覆い尽くす言い様の無い高揚感と胸を破らんばかりに膨らむ期待にスカサハは恍惚と熱い息を零した。この瞬間、抱かれる寸前に味わうはち切れそうな高鳴りと興奮は何度味わっても飽きない。彼女の歩く後にはじゅくじゅくに湿ったスーツから滲み出した淫液が点々と残っていた。

 

 ベッドに乗ったスカサハがシーツの上で仰向けになる。両腿を広げ、引っくり返った蛙のような姿で秘部を無防備に曝け出した。鼠蹊部から膝にかけては滴った淫液の跡が残り、スーツの股部分は蜜の吸い過ぎで妖しい光沢を帯びている。部屋の灯りも手伝い、淫靡な輝きを放っていた。

 

「すご、びっちゃびちゃだ」

 

「誰の、所為だと思って……駄目だ、もう耐えられん」

 

 自らの指を股間へと伸ばし、革の衣装に爪を立てる。すっ、と一撫でするとさっきまで無かった切れ目が出来上がり、中から女の花園が顔を覗かせた。湧き過ぎた愛液で薄い陰毛を貼り付かせた、ふっくらとした肉の割れ目。スカサハは更に切れ目を大きくし、真が良く見えるようにと腰を軽く上げて淫裂を晒した。

 

「ほら、見ろ。お前の所為でこんなに濡れてしまった……責任を、取ってもらうぞ。影の国の女王をこんな風にした責任を。早くお前の太くて熱いモノで私を一杯にしてくれ」

 

 そのまま赤熱して燃え上がるのではないかと思える顔のスカサハをじっと見つめる真。値踏みするような、非礼と言っても過言ではない目をスカサハに向けて何か考えていた。

 

 不意に真がズボンを脱ぎだす。パンツも一緒に脱ぎ捨て、全裸の姿に。当然、スカサハが欲しくて仕方がないものも曝け出された。天井に向かっていきり立つ極太の逸物。女の理性を溶かし、雌の欲望を剥き出しにする魔性の肉棒。その威容はスカサハの尊厳を一瞬にして溶解させた。

 

「スカサハ。俺のこれでどうして欲しいんだ?」

 

 その問いにスカサハは今度こそ戦士としての矜持も、女王としての誇りもかなぐり捨て、今にも涎を垂らさんばかりの顔で本音をぶちまけた。

 

「ぶち込んで、ぐちゃぐちゃマンコに凶悪ちんぽぶち込んで。涎だらだらの欲しがりマンコ、どろどろのとろとろになるまで捏ね繰り回して。がちがちちんぽで奥の奥までハメ犯して、先っぽで子宮にキスして。ぷりぷりの濃いの溢れるくらい注いで。私をお前のザーメン袋にしてくれ」

 

 恥も外聞も無くし懇願するスカサハに真の獣欲が心の檻をぶち破る。大きくスプリングを軋ませベッドに飛び乗り、準備万端の女体に覆い被さった。肉欲の光を湛えた紅の瞳が期待で一層強い輝きを宿す。何百回と繰り返して慣れた動きで腰の位置を調節し、ぐしょ濡れの肉壺に猛り切った男根を突き込んだ。大量の蜜液を押し出し、肉襞を掻き分けて赤黒い先端が開いた子宮口を叩く。

 

「あぁぁ♡」

 

 感極まった嬌声を上げ、極上の女体が反り上がる。子宮を突き上げる、神経を飛び越えて脳に直接叩き込まれるような快感。全身を震わせ、スカサハは意識を白痴に染める肉悦を露わにしていた。

 

 すぐさま荒々しい、獣じみたピストンが始まる。スカサハのむっちりとした両腿を腕に抱え、真は力強く腰を打ち付けた。部屋に響く肉を打つ音に混じり、極悪勃起が肉のぬかるみを挿し貫く淫靡な濡れ音が結合部から上がる。一突きされる度にスカサハは喘ぎ、大きなバストを揺らして軽いアクメを迎えていた。

 

「もっと、もっとぉ♡ 太くて硬いのでオマンコ滅茶苦茶にしてぇ♡」

 

 艶めかしく喘ぎながらスカサハは自ら腰をくねらせおねだりする。要望通り、下腹部をぶつけて逸物を胎の奥底までねじ入れた。熟れた蜜壺が怒張を食い搾り、襞の一つ一つを絡みつかせてくる。たっぷりの蜜に濡れた媚肉で先端から根本まで包み込み、快感を湧き上がらせ劣情を爆発させようとした。

 

 体が蕩けそうな快美感に耐え、真は剛直が淫裂から抜けるギリギリまで腰を引く。エラを張ったカリが膣道を抉り、密集する襞の細部まで引っ掻いていった。ソプラノの嬌声を上げ、スカサハは一際大きく体を痙攣させる。ピンクの靄で満ちた頭の中で幾つもの快楽の火花が炸裂した。真の腰使いと圧倒的な肉悦が昂ぶる女体を揺さぶっていく。甘美な悦びにスカサハは豊麗な体を反らして身悶えした。

 

「相当、欲しかったみたいだな。さっきから凄い吸い付いて放してくれないし……他にはどんなことして欲しいんだ、スカサハ?」

 

 一度腰を止め、汗ばみ火照った肌に両手を這わせて訊ねる。律動を求めて蠕動する膣内が性感をくすぐるが、文字通りケツの穴を閉めて耐えた。胎の中を一杯にして尚も大きく硬くなる肉の感触にスカサハは艶めかしい声を零す。太腿や腰回りに感じるフェザータッチに自然と体が震え、雌の欲求が肥大化していった。

 

「意地の悪いことを、聞くな。それならさっき、もう言ったではないか。それに、私が何をして欲しいかくらい、お前なら分かるだろう?」

 

「これとか?」

 

 弱々しい懇願を受け、真は女性らしくも引き締まったウエストを引っ張る。膨らんだ肉の穂先が奥にあるコリコリした環状の入り口にめり込んだ。吸い付いてくる子宮口を押し潰すように腰を突き出す。白い背筋がエビ反りに持ち上がった。

 

「これぇ、これもっとぉ♡」

 

 普段の落ち着いた、耳に心地よい声は掻き消え、何オクターブも高い嬌声を出してスカサハは股間を真に擦り付ける。肌を濡らす愛液が淫音を奏でるのも構わず卑猥な腰つきで行為の続きを求めた。口角に泡を浮かべ、盛りのついた媚声で懇願する姿に女王としての威厳は微塵も残っていない。

 

「もっとって何を?」

 

「ちんぽキス、ちんぽキスもっと♡ 深くて激しいのもっとぉ♡ オマンコ全部とろとろになっちゃうディープなのちょうだい♡」

 

 頭を茹らせる熱に浮かされ、美貌が淫蕩に崩れる。最深部を赤くどす黒い亀頭に潰された雌は涎を垂らして欲望を吐露した。女の懇願を聞いた男はにぃっと口元に弧を浮かべて、

 

「了解」

 

 スカサハの脇に両手を突いた体重をかけやすい体勢で、肉の穂先を環状の入り口に侵入させた。紅い瞳がかっと見開き、舌の突き出た唇から音にならない声が溢れ出る。顔色を変えたスカサハをもっと乱そうと、真は腰を乱暴にグラインドさせ始めた。亀頭が子宮口を様々な方向に押し広げ、脳天を貫く快感に翻弄されるスカサハは息も絶え絶えになりながら絶頂を訴えた。

 

「あっ、あぁ♡ だめ、いくぅ、いっぐぅぅぅ♡」

 

 肉感的な肢体を波打つように痙攣させ、目尻から涙を零してさっきまで感じていた淡いオルガズムより強いエクスタシーへと達する。結合部から生暖かい淫液が噴き出し、真の下半身を濡らした。

 

 全身を震わせ肉悦に翻弄されるスカサハを真は容赦なく責め立てる。わななく女体に更なる体重を乗せ、剛直の切っ先で開きつつある胎の最奥を挿し犯した。重みで軋むベッドのスプリング音がスカサハの悲鳴で掻き消される。端正な顔が溢れる涙と涎で濡れていった。

 

「こっち、こっちにもキスんむぅ」

 

 唾液でぬらぬらと光る紅唇を同じ部分で塞ぐ。伸びた互いの舌が相手の口内を舐め回し、くすぐった。上も下も繋がった、四肢の隅々まで行き渡る充溢感に目尻を下げ、スカサハはしなやかな手足を真に絡みつかせる。膨れ上がった肉棒に押し広げられた蜜壺が内部を蠕動させ、竿を擦り上げ肉悦を重ねがけして肥大化させていった。

 

「ちゅう、んちゅ、れるぅ、ちゅぱ♡」

 

 舌を丸ごと搦め取るキスをしながらスカサハは真の首に回した両腕に力を込める。胸板に潰された豊乳が殊更に押し付けられ、しこり立つ乳首が強く擦れ合う。甘美な刺激に真の抉るような腰使いが加わり、スカサハの脳内でスパークが何度も発生した。

 

 喜悦に震える蜜壺は複雑な内部をうねらせ、極太勃起肉に熟れた膣襞を巻き付けていく。竿やカリをトロトロの媚肉で練り捏ねられていく感触は脳天まで痺れそうだった。亀頭に吸い付く子宮口の動きも合わさり、真の射精欲は加速度的に上昇していく。

 

 吐精を間近に感じた真は腰の動きを円から上下へと変えた。ベッドに突いていた両手でスカサハを抱きすくめ、打ち下ろすように腰を落とし始める。肌が激しくぶつかる音に混じり、剛直が肉のぬかるみを貫く淫音が部屋に響いた。潤み切った肉壺に猛った逸物を抜き挿しされる度、女王は息を詰まらせ体を強張らせる。

 

 男根の太さと硬さが増していく。忙しない脈動からスカサハも真の限界が近いことを悟った。同時に精液を子宮で受け止めることしか考えられなくなり、華奢な四肢を一層絡ませる。その様は美しく繊細ながら獲物をくびり殺す蛇のようでもあった。

 

 腰の中で膨れ上がっていたモノが弾けた次の瞬間、精の濁流となってスカサハの中へと注がれていく。白濁流と化したエキスが子宮へと殺到し、満たしていった。内部を押し流さんばかりの凄まじい勢いの精を受けたスカサハは骨が折れんばかりに背筋を反らして絶頂する。塞がった口からはくぐもった嬌声が漏れ出た。

 

 文字通り、自分の下でエクスタシーに体を暴れさせる美女。ペニスを食い搾る熱い膣内の蠢きも合わさり、真は二度、三度と大量の精をスカサハの中にぶち撒けた。溢れ出そうな精液を子宮奥で飲み干しながら魔性の女体は悶えて逝き乱れる。彼女が力尽きたのはそれから十数秒後だった。

 

 浮かばせていた背筋をベッドに下ろし、スカサハは全身を弛緩させた。真が身を起こすと、申し訳程度にかかっていた腕と脚がするりと落ちる。今だオルガズムの只中にいるスカサハは茫然自失の顔に力の無い笑みを浮かべて時折体を痙攣させていた。

 

 紅潮した肌に浮かぶ汗と一緒にフェロモンも噴き出しているのか、堪らなく劣情を覚えさせられる。スカサハの着るバニースーツも合わさり、射精して早々であるにも関わらず真の肉棒はさっき以上に猛り大きくなっていた。胎内を押し広げる圧迫感にスカサハの笑みが期待に深まる。

 

 しかし、スカサハの意に反して彼女を満たしていた存在はずるりと引き抜かれた。突然の喪失感にスカサハの表情が翳る。

 

「やだ、まだ抜くな」

 

 思わずそんな言葉が零れた。満足なんて微塵もしていない。もっと、もっと愛してもらって、注いでもらわねば体を焼き焦がす情欲の炎は治まらない。縋るように手が伸びる。その手を掴まれたと気付いた時にはスカサハはベッドから引っ張り上げられていた。

 

「な、何を」

 

 逝ったばかりで力が上手く入らない足腰でよたよたとよろめきながらベッド脇に立たされる。支えを求めて目の前の壁に両手を突いた。背後には真が回る気配。振り返るよりも早く後ろから抱き締められ、滾った肉塊で下半身を串刺しにされていた。

 

 体を脳天まで一本刺しにする衝撃と喜悦がスカサハを貫く。背筋を仰け反らせ、スカサハは逝き汁を噴き出させた。無数の肉襞が長大な逸物をきつく甘く締め上げる。鈴口から精液の混じった先走りを漏らしながら真は荒々しい律動をスカサハに打ち込み始めた。

 

 目の細かなタイツに包まれた臀部へ下腹部をぶつける度、乾いた音とスカサハのあられもない嬌声が真の耳朶を撫でる。汗ばみ火照った人肌の熱さ、濃艶な雌の芳香も動力にして真は増々激しいピストンでスカサハを犯した。衝撃を受け止めるムチムチの尻肉が嫋やかに波打つ。

 

「犯して、犯してくれぇ。もっと、もっと激しく。私がお前のものだと、骨の髄まで刻み込んでくれ」

 

 求めに応じ、腰使いを加速させる。尻が赤く染まる勢いで腰を叩きつけ、剛直を蜜壺の奥底に捻じ込んだ。飛び散る汗、噴き出す愛液が床に点々と水滴を残していく。力強いストロークにスカサハは悦び啼いた。

 

 大きな両手が逝き狂う女体をまさぐっていく。右手はたわわな膨らみを掌に収めて捏ね回し、左手は背中からスーツの中に侵入していた。ビクビクとダイレクトに感じる震えを掌で愉しみながら汗でぬらつく肌を撫で回す。募り積もる快感にスカサハはますます身悶えして細腰を右に左にくねらせた。

 

「いく、またいく♡ んんぅぅ♡」

 

 淡いアクメに襲われた肢体が痙攣を繰り返す。スカサハの艶めかしい逝き声が真の脳内をぐちゃぐちゃにし、燃え盛る劣情に油を注いだ。勢いを増す性欲に背を押され、真は乙女の柔肌に舌を這わせ指を食い込ませる。何度味わっても飽きない格別の感覚に心も体も滾った。

 

「すごい、お前のちんぽすごすぎるぅ♡ ああぁぁ♡」

 

 何度目になるか分からない絶頂に薄く涙を浮かべながらスカサハは自ら臀部を突き出して真の極悪勃起を胎の奥底まで呑み込む。たっぷりの蜜で潤った媚肉が怒張を搾り上げ、精液を啜り出そうとしていた。深まる密着感と一体感が生み出す肉悦に真の射精欲が跳ね上がる。

 

 負けじと真も腰を振りたくり、両手でスカサハの豊乳をイジメた。指と指の間から肉がはみ出るほど強く乳房を揉み潰し、起き上がったコリコリの乳首を摘まみ上げる。腰の突き込みも合わさり、スカサハは無様なよがり声で叫びながらオルガズムに達した。

 

 同時に肉棒を貪っていた蜜壺が収縮し、根元まで捻じ込まれていた異物を無数の襞で食い締める。湧き上がる巨大な快感が津波となって真の我慢を押し潰し、エクスタシーが脳天を貫いた。粘膜同士の甘美な交わりに肥大化していた性欲が爆発してスカサハの中へと雪崩れ込んでいく。

 

 子宮を染め上げる灼熱の感触に四肢を硬直させてスカサハは細身を打ち震わせた。白濁のゼリー粘液が子宮へと注がれる度に極大のアクメを強制的に味わわされる。伸ばした舌から涎が滴り、床には絶頂で噴き出した潮と精液の混ざった逝き汁が小さな水溜りを作っていた。

 

 二度、三度と白いマグマを噴き上げたところでやっと射精が治まりを見せる。大量の精液を子宮口に浴びせられ、種付けされたスカサハは恍惚の表情で真の腕に体を預けていた。彼女同様に荒い息を零しながら真はスカサハの耳元に口を近づける。

 

「次は、どうしたい?」

 

「……お前とキスしたい」

 

「どっちで」

 

「上と下、両方でだ」

 

 獣じみた欲望を剥き出しの雌顔でスカサハは行為の続きを望んだ。了解と答え、真は一旦逸物を肉壺から引き抜く。栓を失った淫裂からどろりと粘度の高い液体が滴り落ちた。網タイツに包まれた太腿にもそのいやらしい粘液が流れ出し、なんとも淫らにスカサハの脚線美を彩っている。

 

 体を反転させ、スカサハは壁に背を預けながら想い人と向き合う。獣欲にギラつく蒼い双眸が荒い呼吸で上下する胸元へと向けられた。真の右手が導かれるように伸びていく。

 

「この、乳揉み魔め」

 

 掌が大振りな膨らみを包み込み、五指が乳肉に沈み込んでいく。指先に吸い付く瑞々しい肌とその内側にある弾力が心地良い。掌をくすぐる勃起乳首の感触も格別だ。乳房を揉みしだく手付きに熱が入り、スカサハの官能をじれったく突く。

 

「んっ……どうした、他に何もせんのか? お主は乳を弄り回すだけで満足するほど淡白な男でもないd」

 

 挑発の言葉を言い切るよりも早くキスで唇を塞がれた。更に手持ち無沙汰だった左手が引き締まった美尻を撫で回す。唇から口の中隅々まで舐め回し、乳肉と尻肉をパン生地を捏ねるように揉み潰す。熱烈なキスと愛撫にスカサハは目元を蕩けさせ、自ら積極的に舌を伸ばしながら真の首に両腕を巻き付けた。

 

「ぢゅる、れる、んぢゅ、ぢゅぱ♡」

 

 口内で響く舌が絡み合う淫音に思考が呑まれる。この男にもっと愛されたい、犯されたいという欲望に体の端々まで疼いていく。特に下腹部の中、子宮が更なる子種を求めていた。腰を揺らして淫液の溢れる股間を真に擦り付け、自身を慰めながら欲情も伝える。

 

 隙間なく塞がれていた唇から舌が抜き出された。二人を繋いでいた唾液の糸が切れるよりも早く、スカサハは真に体を預け耳元で込み上げる雌欲を囁く。

 

「お・か・し・て♡」

 

 昂ぶりを暴発させるような直情且つ扇情的な誘い。いまだに下腹部につかんばかりに勃起していた肉棒が更に猛々しく屹立していく。スカサハのヒップを揉み回していた手が彼女の脚を持ち上げた。晒され、無防備になった淫裂に極太が捻じ込まれるのに時間はかからなかった。

 

「あぁん♡」

 

 喜悦の嬌声はすぐに口付けで遮られ、かわりに肉を打ち鳴らす音が部屋に響き始める。舌を絡ませ性器を交わらせ、二人は肉悦を貪り淫欲に溺れていった。

 

 狂ったように腰を振り立て、スカサハの蜜壺に力強い抽挿を咥える。根元まで打ち込まれた剛直が最奥を叩き、引き出されるカリが肉襞を掻き毟った。痛烈なピストンに堪らずアクメを迎えた女体が痙攣を始める。構わず、真は舌をうねらせ腰を打ち振りながらスカサハの上も下も犯していった。

 

 何度目になるか分からない絶頂に到り、スカサハの全身がビクビクと跳ね回る。肉壺は内部を一層強く引き締め、出入りする怒張を吸いしゃぶった。蠢動する膣襞が震える剛直に絡みつき、一枚一枚で扱き上げていく。肉槍を蜜壺の奥へと誘い、搾り上げる膣奉仕に真は腰の奥から込み上げる物を感じた。

 

 右に左に体をくねらせ悶えるスカサハを壁に押さえつけ、太く屹立する肉塊を淫裂に挿し入れる。ざわめく媚肉に分身を搦め取られる快美感が射精欲を叩き上げていった。鈴口から溢れ出す先走りに白く濃い濁りが混じり始める。互いの絶頂、同時に果てる最大級の快楽と悦びを予感したスカサハは縋るように真に抱き付いた。胸板へと更に強く押し付けられた乳房は燃えるように熱く、二人の肌が融け落ちてしまいそうだ。

 

 今にも先端から火を噴きそうな男根で蜜壺を滅茶苦茶に掻き回す。拡がる肉傘で蠢く膣襞を抉り、溢れる愛液を掻き出してスカサハに雌の悦びを刻み込んだ。唇で塞がれた口から飛び出る嬌声はかなり前から悲鳴へと変わり、見開かれた双眸からは喜悦の涙が零れ落ちている。

 

「んぅ、うぅ、んんんんんぅぅぅぅぅっ♡」

 

 忘我の絶叫が部屋に反響する。美しい肉体を反り返らせ、魔貌の女王は逝き果てた。結合部から愛液を噴き出し、肉壺を激しく収縮させる。根元から先端まで、トロトロの蜜液を滲み出させた粘膜に男根を磨き上げられ、真もほぼ同時に欲望を解放した。

 

 鈴口から飛び出すゲル状の子種が肉壺を白濁一色に染め上げ、奥底目がけて撒き散らされる。入り口を広げた子宮は歓喜の様相で流れ込んでくる雄のエキスを貪欲に呑み干していった。

 

 逝き乱れて身悶えする美しい女体の中へ極濃の精液が繰り返し注ぎ込まれる。精の放出を胎内に感じる度、スカサハは殊更激しく肢体を痙攣させた。度重なる絶頂で崩れた美貌は蕩けた表情を浮かべ、紅の瞳は焦点が定まっていない。自分一人では立てられないほど彼女は茫然自失になっていた。

 

 射精が治まり、真はスカサハから舌とペニスを抜き出す。栓を失った淫裂から溢れた白濁液が滴り落ち、粘質な音を立てて床に広がっていった。

 

 支えを失ったスカサハは暫くふらふらとしていたが、やがて崩れ落ちるように床にへたり込んだ。べちゃりと音を立て、精液溜まりに女の子座りをする。視線を床に落とし、肩を上下させて乱れた息を整えようとしていた。

 

「少し休むか?」

 

 投げかけられた気遣いに答えようと顔を上げる。目を合わせて真と話す、よりも早くそれが視界に入り込んできた。萎える気配を微塵も感じさせない、ザーメンと愛液でコーティングされた極太ペニス。途端、虚ろだったスカサハの瞳が淫蕩な光に溢れる。一旦は鎮火した肉欲の炎が瞬く間に巨大化し、肢体を焼き焦がす火災となった。

 

 細くしなやかな両腕が真の腰を捉える。巻き付け、逃げられないようにするや否や、スカサハは大きく開いた口で精の残滓を垂らす先端をかぷりと咥え込んだ。温かく、ぬるぬるとした甘美な感触に亀頭が包まれる。走る鮮烈な快電流に真は思わず呻いた。

 

「んふっ♡」

 

 真の反応に愉しげに目元を笑わせ、スカサハは口内に咥えた先端にねっとりと舌を這わせ始めた。ミルクを舐め取るように精液を舌で掬い、張り詰めた亀頭粘膜を小刻みにくすぐる。傘を張るカリを舌先でなぞると面白いくらい真の両脚が震えた。鈴口をほじり、亀頭を舐め回し、カリを叩く。瞳に愉悦の輝きを浮かべ、スカサハは口の中で男根を弄んだ。

 

 一頻り真の反応を堪能したスカサハはゆっくりとした動きでペニスを呑み込んでいく。上目遣いで、見せつけるように顔を進めて真の性欲を視覚から煽った。

 

「ずぢゅ、ずぢゅる、ぢゅるるぅ、おいひぃ♡」

 

 竿に付着している精液を浅ましい音を鳴らして啜り、膨張する肉塊を喉奥まで導く。その間、彼女の舌は休むことなく蠢き、脈打つ男根の裏筋や浮かぶ血管をなぞっていた。

 

 口腔の温かさ、巧みな舌使いがもたらす快感に身震いする真の股間にスカサハの顔が埋まり切る。根本を形良い鼻先がつつき、ぬらつく真っ赤な口唇が陰毛にくすぐられた。満足げに鼻を鳴らし、スカサハは口一杯に広がる雄の味を堪能する。触手のように動き回る舌が肉棒に巻き付き、唾液と一緒に官能を染み込ませていった。

 

「まら、おおきく、なるな。ふふふ」

 

 紅玉のような瞳が妖しく、艶めかしく輝く。スカサハは頬を窄め、柔らかな唇をキュッと引き締めて顔を前後させ始めた。滑らかなリップと温かい口内粘膜でペニスを先端から根本まで扱いていく二段口撃。生殖器官全体、余すところなく刺激が走り、見る見る内に肉悦が溜まり、欲望の飛沫が充填されていく。

 

 息を押し殺し、快感に耐えながら真は掴むものを求め、ウサ耳が揺れるスカサハの頭に手を置いた。サラサラとした黒髪が指先に気持ち良く、無意識の内に彼女を撫でていた。紅の双眸が目元を嬉しそうに、だらしなく蕩けさせる。

 

 それを合図にスカサハは口奉仕を激しくさせ始めた。髪を振り乱しながら喉の奥の奥まで使ったディープスロート。じゅぼっ、じゅぼっと卑猥な音を鳴らし、口端から泡立った唾液を垂れ流して男根をおしゃぶりした。

 

 快感のツボを満遍なく刺激され、真の腰と両脚ががくがくと震える。はち切れんばかりに膨張した男根は先端から濃い我慢汁を漏らしていた。スカサハは頭を一層強く揺らし、舌をくねらせて射精を催促する。舌先が鈴口をくすぐり、カリ首へと纏わりついてざらざらと擦り上げた。

 

 スカサハの口内粘膜と舌が男根に触れる湿った感触が射精欲を限界に近づけていく。快電流が走り続ける怒張は芯から溶けてしまいそうだった。その感覚は股間から下半身、全身へと伝播し脳髄まで行き届き意識を真っ白に染め上げる。

 

「いけ、いけ。おまえのザーメン、ぜんぶのまへろ。んぅむ、ぢゅろろろろ」

 

 いやらしく、淫らに顔を歪めてスカサハは男根を付け根まで深々と呑み、強烈なバキュームフェラで止めを刺した。射精欲が頂点を突き破り、睾丸で煮え滾っていた白いマグマが噴火する。

 

「んぶぅ♡」

 

 鈴口から噴き出した濁流のような白濁液でスカサハの口が溢れ返る。余りの量に息が詰まった。吐き出してしまいそうになるのを懸命に堪え、スカサハは尚も放出され続ける精液を飲み下す。ごきゅっ、ごきゅっと音に合わせて喉仏が上下し、雄のエキスがスカサハの臓腑に染み渡っていった。

 

 むせ返りそうな雄の匂いと味にうっとりと目を潤ませるスカサハ。射精が終わっても怒張を放そうとはせず、彼女が顔を離したのは数分も経ってからだ。

 

「まだまだ、硬いな」

 

 開口一番、スカサハは目の前で今だに雄々しく勃起するペニスを確認する。無尽蔵にも思えるほどの量の精を吐き出す雄の象徴は萎える様子も無く隆々としていた。立ち上がりながらスカサハは自身の秘部へと指を伸ばす。ぐちゅりと濡れた肉の感触。それは明らかにさっきよりも潤いを増している。口で楽しんだ雄の匂いと味が彼女の雌を飢え乾かせていた。

 

「まだまだ治まりそうにないな、私もお前も」

 

 つぅ、と震える逸物を指で撫で、真の脇を抜ける。目で追うとスカサハはベッドの上に仰向けに寝転んだ。視線を真に向けながら両脚を持ち上げ、濡れた淫裂を広げる。とろとろの泡立った蜜液と精液で白く染まった媚肉は愛する男を求めてひくひくと動いていた。

 

「真」

 

 女が男の名を呼ぶ。美しいという言葉をそのまま氷像にした、背筋の凍り付くような麗人。それが今、美貌を淫蕩に崩し、自分に犯されるために心から媚びた表情を浮かべている。

 

「来て♡」

 

 我慢も迷いもなく、男はベッドに横たわる極上の女体に飛び込んだ。

 

 

 

 

「ちんぽ、ちんぽもっとぉ♡」

 

 人肌がぶつかり合う乾いた音、粘膜の擦れる淫靡な音に混ざり、スカサハの身も世も無い嬌声が部屋に響く。高々と持ち上げられた、きめ細かな網タイツに覆われた魅惑的な臀部。汗、精液、愛液、もうどちらの物か分からない体液でどろどろに汚れたヒップに真は一心不乱に股間を打ち込み続けた。凶悪な反りとカリ、大きさを持つ逸物がラブジュースの溢れ出る蜜壺を串刺しにする。

 

「逝く、逝きっぱなしマンコ、デカチンポでズボズボされてまたいくぅぅぅ♡♡♡」

 

 四つん這いの姿勢でスカサハは今日何度迎えたか分からないエクスタシーを味わった。淫靡な光沢と立体感を放つバニースーツに包まれた体がビクビクと派手な痙攣を繰り返す。頭も意識も灼き払う快楽に震えるスカサハを真はお構いなしに犯し続けた。彼女の細腰を掴み直し、がっちりと固定して雄の象徴を淫裂へとねじ入れる。

 

 絶頂の余韻から強引に引きずり出されたスカサハは再び快楽によがり啼く雌へと成り果てた。己の体を捧げ、愛する男に貪ってもらうことに至上の幸福を覚える女その物へと。

 

 蕩けた媚肉を掻き分け、膨らんだ亀頭が子宮口にキスをする。内部を埋め尽くすペニスを歓迎するように膣襞がざわめいた。出入りを繰り返す逸物に蜜塗れの粘膜を絡みつかせてくる。亀頭、カリ、竿にもたらされる快美な感覚に真の背筋がぶるりと震えた。下半身を溶かす肉悦に射精欲が一気に高まる。

 

 欲望の爆発を誤魔化そうとするように真は乱暴にスカサハを犯しだす。腰をホールドしていた両手が彼女の手首を掴み、無理矢理後ろへと引き寄せる。豊かな双丘を突き出す体勢をとらされたスカサハは桃色の悲鳴を上げた。

 

「おくぅ♡ ぶっとくてがちがちなのおくごりごりしへるぅ♡」

 

 引っ張られ、より強く深くなった結合に蜜壺が悦び蠢く。うねる膣肉が男性器を奥へと呑み込み、締め上げた。堪らなく気持ちいい、吐精を促される動きに真の我慢が削り取られる。挿れたままでも果ててしまいそうな雌孔の動きを振り払うように真は滅茶苦茶なピストンを始めた。

 

「あぁん、はあぁ、んひぃぃぃ♡」

 

 されるがまま、犯されるがまま無様な嬌声を上げるスカサハ。激しく獣じみたストロークに体を揺さぶられ、突き出された豊乳がブルンブルンと音を立てるように跳ね回る。大きく膨れた桜色の勃起乳首が宙で踊っていた。衝撃で飛び散った汗がシーツに降り注ぐ。

 

 蜜孔を挿し貫く男根から我慢汁が漏れだす。それすらも逃さないとばかりに蠕動する媚肉が我慢汁を奥へと呑み込み、射精を求めてペニスを無数の襞で揉み解した。細かな肉襞のうねりと蜜壺の締め付けに包まれ、震える男性器が我慢汁に白濁を混ぜていく。屹立する怒張の脈動は間隔を短くし、今か今かと解放の時を待っていた。

 

 スカサハの桃尻に真の腰が何度も打ち付けられる。部屋に響く拍手のような乾いた音を追いかけ、スカサハの口から嬌声が飛び出した。深い官能に焦がれた女体は震え、愛の証が貰える時を只管に待ち続けている。真もスカサハの望みに応えるべく、動きを大きくさせた。本気で身悶え、わななく雌にペニスを根本まで突き立てる。艶めかしいラインを描く尻肉を下腹部で押し潰し、口を開いた子宮の入り口に切っ先を入り込ませた。

 

「いく、いくいくいく! いくぅぅぅ!!!」

 

 肉傘が弾けるような衝撃を伴い、溜まりに溜まった欲望が弾け飛ぶ。噴き出した白いマグマはむしゃぶりつく子宮口を叩き、既に満杯状態の子宮へと流れ込んでいった。

 

 細い喉から歓喜の絶叫を迸らせ、弓なりになっていた背筋を更に反らしてスカサハは逝き果てる。繋がったままの結合部からは勢いのまま逆流し、溢れ出した精液が滴っていた。

 

 尚もキツく咥え込もうとしてくる肉壺から分身を引き抜く。ごぼっ、とゼリーのような粘液が塊となってシーツへと落ちていった。

 

 掴んでいた両手首を離すとスカサハは臀部を持ち上げたまま、上半身をベッドへと投げ出す。息も絶え絶えで体を震わせ、空気を求めて喘いでいた。大量の汗を浮かべた背中に美しい黒髪がべったりと貼り付いている。

 

 秘所から精液を垂れ流してベッドに突っ伏し、枕に顔を埋めるスカサハ。何度、精を受け止めても満たされないのか、全身から雌の色香を漂わせて真を誘っていた。ゆらゆらと挑発的に揺れる肉感的なヒップが獣欲をそそる。股間の勃起を硬くさせ、真はスカサハの蜜尻を鷲掴みにした。網タイツ越しの肌が燃えるように熱い。

 

 熱さと柔らかさを掌で堪能しながら高角度に勃起している男根を淫裂、ではなくその上の桃色の窄まりに向ける。蜜壺同様スーツを引き裂き、何度も欲望をぶち撒けたそこは流れ出る精液と腸液でぬるぬるになっていた。

 

 先端を菊門に宛がう。ビクッとスカサハは体を震わし、悩ましく吐息を漏らした。肩越しに真を顧みる瞳は淫らな期待に光っている。彼女に応えるべく、真は強引に腰を突き出した。

 

 僅かな抵抗。しかし、既に何度も逸物を受け入れていたアヌスはほぐれ切っており、あっさりと伸び広がって真の侵入を許した。硬直する肢体に肉の凶器がゆっくりと沈んでいく。唾液や汗でべとべとの枕を抱き締め、スカサハは菊門を通して伝わる背徳の悦びに耐えた。

 

 割れた腹筋が浮かぶ下腹部がスカサハのヒップが描く魅惑的な曲線を押し潰す。根本まで挿入された男根を入り口が激しく締め上げた。腸内の温かさも加わり、吐精して間もない敏感な状態ではそう長く愉しめそうになかった。

 

 汗で黒髪をべっとりとはり付かせた背中に覆い被さる。熱い汗と濃い色気を立ち昇らせる肌に顔を押し付け、興奮を加速させた。伸ばした両手はベッドに押し付けられた豊乳を捉え、ツンとしこり立つ乳首を弄んでスカサハを啼かせる。半開きになった唇から唾液が零れ、枕を濡らした。

 

 両手に感じる乳肉を鷲掴みにし、真は最初からトップギアで抽挿を始めた。ぬかるみ広がった菊門を凶悪な勃起ペニスで抉っていく。アヌスが強烈に締め付けてくるが、既に出していた精液と中から漏れ出る腸液が潤滑油となり驚くほどスムーズにピストン出来た。真の動きは勢いと速さを増し、小さな穴を攻め立てていく。

 

「ひ、ぐぅ、んぅぅぅぅ」

 

 がつがつと後ろから打ち込まれる力強いストロークに百戦錬磨の女体が打ち震えた。何度味わっても慣れないアナルセックスの快感がスカサハを官能に染め上げ、狂わせ乱していく。なす術もなく犯され、肉悦に身を震わす女傑の姿に真の支配欲と征服感が満たされていった。

 

 言い表せぬ高揚を胸の中で噛み締めながら真は早々にラストスパートに入る。キュッと窄まるアヌスの収縮と腸内粘膜の締め付けに腰が痺れていた。後ろでの交わりを始めてそう時間は経っていないが、もう肉欲の炎が耐え切れぬほどに大きくなってる。排泄器官に収まったペニスから欲望が噴き出そうとしていた。

 

「あつい、おしりあつい♡ くる、すごいのくるぅ♡」

 

 悲鳴を上げて絶頂を極めた肢体が跳ね回る。若い雄がもたらす衝撃に熟れた美貌が溶け崩れていった。同時に菊門の痛烈な食い締めを受けた肉竿が衝動を暴発させる。

 

「またきた、すごいのきた♡ いく、いっくぅ♡」

 

 痙攣する艶美な肉体に雄のエキスが迸る。放たれた白濁液が津波となって腸内を汚していった。下半身に広がっていく熱にスカサハはオルガズムを迎えて逝き狂う。髪を振り乱しながらの絶叫梁成を消失したかのようで、普段の誇り高い王の気風は欠片も感じられなかった。

 

 精を撃ち終えた男根を食い千切らんばかりに収縮する菊門から抜き出す。下半身を串刺しにしていた支えを失った体が今度こそ崩れ落ちた。小さく尻を持ち上げたような体勢で、枕も放したスカサハは四肢を投げ出し、曖昧な笑みを浮かべて快感の残り火を味わっていた。

 

 見目麗しい女性が淫裂からも菊門からも濁った精液をぼたぼたと垂れ流す凄惨な光景は大人数の男にレイプされたかのようだ。光りを失った力無い虚ろな目も相まってより悲愴さが増している。しかし、当の本人は幸福に満ちた表情で体を震わせ、絶頂の余韻が残した火照りを堪能していた。

 

 

 

 

 

「では、私の番だな」

 

「あはは、この人元気一杯だぁ」

 

 一糸纏わぬ、生まれたままの姿で馬乗りしてくるスカサハに真は渇いた笑みを浮かべた。軽くシャワーを浴びて、ベッドのシーツを変えて。さて、情事の後のピロートークでもしようかと思った矢先である。スカサハは強引に真の唇を奪い、そのままベッドへと押し倒していた。

 

「次は私がお主を犯す番であろう」

 

 ぺろりと真っ赤な舌が光沢のある唇を舐める。紅の双眸の奥には静かな、だがギラつく捕食者の光が輝いていた。

 

「いや、それは別に全然構わないんですけど、せめて少し休憩しません?」

 

「じじいでもあるまいに、何を情けないことを言っている。それに、休憩ならさっき取っただろう」

 

 数分程度のシャワータイムを休憩と言い張るのは些か以上に苦しいのではなかろうか。疑問を呈そうとするも、押し付けられる豊麗な乳房が反論を許さない。薄い笑みを浮かべ、スカサハは体を右に左に捻って真の顔を乳肉で挟み込んでいく。自他共に認めるおっぱい星人の男はあっさりと性欲を滾らせ、下半身の分身を隆々とさせた。女の紅眼が宿した情念の光を強くする。

 

「お主のここは休憩など必要ないそうだぞ?」

 

 クスクスと笑い、天に向かって突き上がる男根にしなやかな指を絡ませる。カニのように広げた両脚で体を持ち上げ、蜜を纏った肉の割れ目に切っ先を押し付けた。

 

「足りぬ、まるで足りぬ。もっと、もっとだ」

 

 真にすら聞こえない声で呟き、スカサハは一息に腰を落とした。芳醇な愛液に満ちた肉孔に逸物が呑み込まれていく。胎の底深くまで怒張を咥え込み、スカサハは恍惚の吐息を零した。

 

「真♡」

 

 体を倒し、愛する男を抱き締める。情熱的且つ力尽くのディープキスと同時に腰を降り出した。唾液を喉の奥へと注ぎ、ぬめる蜜肉でペニスを扱きながら両腕の中の男に全身を押し付けていく。

 

(足りない、もっと、もっと)

 

 幸福と快楽で染め上げられた脳内の片隅、浮かび上がるほの暗い影。

 

(私の匂いを、私の存在をもっともっと染み込ませなければ)

 

 他の雌共にこの男が誰の物か知らしめるために。この男が最も愛している女は誰なのかを示すために。何をしようが、どれだけ愛そうと拭いきれない証を残すために。

 

(唯一無二の我がマスター。絶対に手放さぬ、誰にも渡さない……誰にも、だ)

 

 消えかけのようでありながら、決して燃え尽きない昏い火を宿し、スカサハは真との行為に耽っていった。




 軽いキャラ紹介

『遠野真』
増え続ける女性サーヴァントととの時間をどうやって確保すべきか試行錯誤中。最近、レイシフトしている時間より、サーヴァント達といちゃついている時間の方が多くなってきてるんじゃね? といった具合になっている。本末転倒。でも、召喚は止めない。

『スカサハ』
病み病みゲージ増加中。カルデアに召喚されるサーヴァントの数に比例して病み度が増えていく。当初では現代もので近所の綺麗なお姉さんのスカサハと家庭教師プレイする感じの話を考えていたけど、あのバニースカサハの絵を見て急遽内容変更。こんな感じになった。最後らへんでちろっと髪コキ書こうかなと思ったけど、それはいずれまた。













第二章をやった感想。

『カドックに対して』
最初から最後まで死に損なってた役立たずが何言ってん? でも、色々と同情するわ、末路的に考えて。

『オフェリアに対して』
あの魔眼発動の一枚絵がキラッにしか見えないです、ごめんなさい。貴方、マシュ、ぺぺさんの女子会(?)が見たかった。


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