カルデア女英霊奪還作戦 (野比のび太)
しおりを挟む

カルデア裏マテリアル NO.1

 活動報告にて書いたエロいマテリアルをお試しで書いてみました。読まなくても一切ストーリーには関係ないので、興味のある方だけどうぞ。



―――この記録は、ソロモンによって淫紋令呪を刻まれた英霊たちが、本来の彼女たちと比べてどう変質したのかをマスターである数名の男性たちの協力を得て記録したものである。

 基本的に記録者は現在のカルデアの責任者、ロマニ・アーキマンか、もしくは長きに渡ってカルデアに貢献して来た英霊、レオナルド・ダヴィンチが行っているものとする。

 なお、この記録はあくまで研究目的のものであり、一部の職員を除いて閲覧することは不可能である。カルデアの外に持ち出すことも不可とし、厳重なセキュリティロックを施した上で保管するものである。

 

 

 

霊基番号001 マシュ・キリエライト(シールダー)

最大性感帯 尻・アナル

第三再臨淫紋令呪発現個所 臀部

 

絆レベル -1(堕ちている状態)

 

 ソロモンとの戦いに敗れ、連れ去られたマシュがソロモンの手で陥落させられた時の姿。

 ソロモンが化けたカルデアのマスターに処女を捧げたと言う幻を見せられた後、魔術を解除したソロモンに【憎むべき敵に処女を捧げてしまった】と言う非情な現実を突きつけられたことで心が折れ、さらにそこから淫紋令呪の効果で【愛する主はソロモンである】と言う暗示をかけられたことで彼に屈服、陥落した。

 かつてカルデアのマスターに感じていた好意や愛情をそのままソロモンへと向けさせられ、更にそれを淫紋令呪で強化されたことで彼に対する忠誠は絶対的なものとなっている。

 

 淫紋令呪の効果で命令を遂行するまで絶頂出来ない体にされた状態でカルデアへと送り込まれ、大恩あるマスターやロマニ・アーキマンを躊躇いなく殺害しようとするなど性格は残忍かつソロモンへの忠誠心に溢れている。

 かつて身に纏っていた鎧は脱ぎ捨てられ、ニップレスと前張りだけと言う淫らな格好で大盾を振るう彼女の瞳には、命令を遂行した後に主から与えられる快楽以外は映っていない。冷酷に、残忍に、主の敵を抹殺し、快楽を与えて貰うだけの存在へと堕ちてしまった。

 

 なお、戦闘能力は向上しているものの性格に慢心と体が興奮状態であるが故の隙と判断能力の欠如が多く見られる。

 シールダー奪還作戦の際には、その隙を突かれてロビンフッドの毒を受け、スパルタクスによって制圧されてしまった。

 

―――当時のマシュ・キリエライトのコメント

 

「先輩……ドクター……早く出て来て下さい……! 皆さんを殺して、私はソロモン様に抱いて頂くんですから……♡」

 

「ソロモン様の忠実な雌奴隷として、この身と命を捧げます……♡ 先輩なんて言うつまらない男、ソロモン様と比べるまでもありません」

 

「ああ……♡ おまんこが疼く……♡ ソロモン様に処女を奪って頂いた悦びに体が打ち震えています……♡ どうか、これからもこの雌奴隷を好きに扱って下さい……♡」

 

 

 

 

 

絆レベル 1

 

 カルデアのマスターによってソロモンの呪縛から解放され、本来のマスターである彼の元に戻った状態。

 仲間を裏切ってしまったと言う罪悪感とソロモンへの恐怖が心に残っているが、必死になって前を向こうとしている様子である。

 淫紋令呪もカルデアのマスターを主と認め、本来彼に向けられていたマシュの愛情や忠誠心を更に強化した状態となった。ソロモンに囚われていた時と比べ、その効果は遥かに強力である。

 

 ソロモンに囚われていた際、数々の性知識を叩きこまれたことによって膨大な量の知識を得た。

 変態的なプレイ、男性の悦ぶツボまでもを知り尽くした彼女はそれを活かしてマスターに喜んで貰おうとしているが、その知識を与えたのがソロモンであることに不満と後ろめたさを抱いている様子。

 

 戦闘能力は陥落していた時より低くなっているが、かつてのマシュよりかは向上している。

 加えて、陥落時の彼女にあった隙や慢心が消えている為、こちらの方が強い可能性は大いにある。

 

―――マシュ・キリエライトのコメント

 

「……大変ご迷惑をお掛けしました。この償いをどうすれば良いのかはわかりませんが、一生懸命頑張って行くつもりです」

 

「先輩に抱いて頂くことは幸せです。しかし……この体は、ソロモンに汚された物。そんな汚い物を先輩に触れさせることが、辛いと思うこともあります」

 

「なにか……なにか、良い方法があれば良いんですが……。そんなに都合の良いこと、ありませんよね……」

 

 

 

 

絆レベル 2

 

 ソロモンによって与えられた性知識と淫紋令呪の効果を活かして色々と考えた結果、カルデアのマスターにアナル処女を捧げることに決めたマシュ。どうやら、これで同じ処女を捧げられると言う結論に達したらしい。

 淫らな格好でマスターを誘い、淫紋令呪を活かした彼の開発行為によって無事にその願いは叶えられた。

 それ以降、彼女の一番の性感帯は尻になった模様。愛する人に開発して貰えた場所であり、処女を捧げた場所であると言う思いがある為であろう。

 

 幾度となく彼と体を重ねた結果、カルデアの英霊の中で真っ先に淫紋令呪の再臨を迎えた存在となった。

 それにより、能力の強化と新スキルの習得、更には精神面での耐性も得た為、かなりの戦力の強化が見込めている。

 

 彼女の強化に比例して、カルデアのマスターにも様々な恩恵があった模様。彼女はそのことを素直に喜び、自分が主の役に立てていることに幸せを感じている様だ。

 

―――マシュ・キリエライトのコメント

 

「……こんな汚い場所に触れて頂き、愛して貰えて、私は幸せです……♡ お尻の処女、先輩に捧げられて良かった……♡」

 

「え……? マシュの体は汚く無い、むしろ綺麗だ……ですか? そ、その……ありがとうございます。素直に、嬉しいです……!」

 

「……先輩が愛してくれたおかげで、私は一段と強くなれました。このご恩は、戦いとその……せ、セックスで返させて頂きます!」

 

 

 

 

絆レベル 3

 

 数々の戦いと性行為を経て、より逞しく淫らに成長したマシュは、他の女英霊たちや主を気遣う本来の彼女らしさを完全に取り戻した。

 フランスで仲間に加わったジャンヌたちとチームA(オールマイティ)を結成、協力してマスターの寵愛を受けようとする程に性に関して積極的な性格にも成長した模様。

 戦いにおいては絶対的な信頼が置ける盾としてその力を振るい、性行為においてはマスターの言う事に従順に従う後輩として振る舞っている。

 

 一番最初に解放されたと言う経緯を持つため、自ずとマスターとの性行為の回数が一番多くなっている。その為、彼の悦ぶ行為を熟知し、彼に自分の弱点を完全に把握されている。

 また、快楽に対する耐性も高い方である。自分を律するべき時と淫らさを解放する時の判断も良く、マスターを楽しませることに余念がない。

 

 礼装『デンジャラス・ビースト』を身に纏う事で積極性が増す模様。もしくは、その際の彼女こそが、本来抑圧されている彼女の素の部分なのかもしれない。

 なんにせよ、マスターとの関係は非常に良好であり、彼女が幸せであることは疑い様も無い。

 

――マシュ・キリエライトのコメント

 

「タマモキャットさん、アルトリアさん、ジャンヌさんとジャンヌオルタさん……皆さん素敵な女性ですが、私だって負けるつもりはありません。でも、先輩を独占しようとも思いませんよ」

 

「皆で仲良く、この幸せと快感を分かち合いたい……♡ その為にチームを組んだわけですから、先輩は何も心配しないでくださいね」

 

「……でも、もし先輩が望むなら……抜け駆けセックス、しちゃっても良いですか? こんな我儘な後輩に、お仕置きしてくれても良いんですよ……♡」

 

 

 

 

 

絆レベル 4

 

 カルデアのマスターの愛情、そして彼女の精神面の変化から、ソロモンへの感情を完全に吹っ切った状態。もはやソロモンの事など考えるまでも無いと考えている。

 誰よりも早く淫紋令呪の第三再臨に辿り着き、令呪が刻まれた場所が下腹部から臀部へと移動したことを確認した。

 

 詳しくは不明だが、彼女曰く「良い夢を見れた」ことがこの状態への進化を促した模様。

 淫紋令呪の場所の移動については、あくまで予想ではあるものの【自分が一番強く思う場所】へと移動するのではないかと考えられている。

 

 彼女にとって臀部は主に開発して貰った大事な部分であり、アナルは彼しか感触を知らない快感のツボである。そこにはソロモンはおろか、他のどんな男性にも触れさせたくないと言う思いがある様で、新たなスキルである【後輩特権】も臀部の保護に使っている。

 

 性には非常に積極的。平素の際は、隙あらば主の劣情を煽り、行為に持ち込もうとしている。

 反面、自分のことをしっかりと律することも出来る為、淫らさと清楚さのバランスが非常に良い具合に取れている。

 しかし、「けつまんこは先輩専用の扱き穴」と平然と口に出来る様になっていることから、彼女のデンジャラスな本性が徐々に顔を出していることが予感できる。

 

――マシュ・キリエライトのコメント

 

「先輩……♡ よく見て下さいね? 先輩のお陰でここまで成長した私のお尻と、そこに刻まれた淫紋令呪を……♡」

 

「可愛らしくぴかぴか光って、先輩の愛情を一身に受けてむっちり成長して……♡ とってもえっちに育ちましたよ……♡」

 

「あ……♡ ごめんなさい、こんなエロ尻を見せつけてたら、先輩が興奮してしまうのも当然のことですよね……♡ どうぞ、生涯先輩専用穴決定の私のけつまんこは、いつでも先輩のおちんぽをぶち込んで貰える準備は万端です……♡ あなたしか知らない扱き穴。私のけつまんこで、たっぷり気持ち良くなって、沢山射精して下さいね……♡」

 

 

絆レベル 5

 

 

 

 カルデアのマスターが自身の欲求不満が元となる体調不良に陥ったことにより、マシュを含めたサーヴァントたちも自分たちの行動に思案を重ねる様になった。

 特にマシュは今までの自分の行動を顧みて反省し、今度こそ彼の為の性奉仕を行う事を決めて彼の部屋を訪れる。同時に、『彼の特別になりたい』と言う自身の願いも自覚したマシュは、自分自身を完璧に彼の物にすべく積極的な行動に打って出た。

 

 開発された体をカルデアのマスターに捧げ、半ば狂った様に彼と体を重ね合わせた結果、淫紋令呪の効果によって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。同時に最終再臨を迎えたマシュは、彼女の望み通りにカルデアのマスターに自分の人生を投げ打つ。

 

 これから彼女がどうなるのか? それは、この後のカルデアのマスターの選択によって大きく変わるだろう……。

 

――マシュ・キリエライトのコメント

 

「全部、先輩に差し出せた……♡ 体も、心も、運命も……私の全ては、先輩の物……♡」

 

「どうか、先輩の望む様にしてください……♡ 私はそれを望んでいます。あなたに作り上げられることを、望んでいるのです……♡」

 

「……あなたの望む女になれるのなら、私は自分を失っても構わない……♡ こんな私があなたの特別になれるのだから……!」

 

 

 

絆レベル 6

 

 

 

 カルデアのマスターへの献身を胸に全裸で彼の部屋を訪れたマシュは、淫紋令呪の最終再臨を以って完璧に彼の物となった。

 その特典として、『マシュの運命を一つ修正出来る』と言う力を得たカルデアのマスターの選択により、マシュの今度の運命が決定された。

 

 カルデアのマスターが選択したのは、『マシュの寿命を延ばす』と言う行為。これにより余命僅かのマシュの人生は上書きされ、彼女は普通の人間並みの人生を歩めるようになった。

 そしてその選択により、マシュはカルデアのマスターの優しさに改めて触れ、自分がもう既に彼の特別な存在になっている事に気が付いた。そして、自分が彼の事を理解しきれていないと言うことにも。

 その事に気が付いたマシュは自分を恥じると同時に、残りの人生を彼を理解する為に使う事を決める。彼の傍に居て、彼と共に生き、彼の全てを受け止めることを望んだ。

 元々、この命は彼がくれたものだから……故に、マシュに迷いはない。そもそも、それを望んでいるのは自分自身なのだから。

 

 こうしてマシュは、『カルデアのマスターを愛する女』としての運命を歩み始めた。残り60年近い人生を、彼を愛して使う事を自らの意思で決定した。

 それと同時に淫紋令呪もまた彼女の体に微調整を行う。愛する女としての人生を歩み始めたマシュに対し、それに相応しい能力を今後も与えていくことだろう。

 

 これはあくまで仮説ではあるが、淫紋令呪は今後もマスターとサーヴァントの絆の繋がりが強まると共に能力を与えてくれるのだろう。つまり、マシュはあと4回の強化を施されることになる。

 今回の特典は『最適化EX』のスキル。カルデアのマスターに最も相応しくなる為のスキルであり、かつ彼女たちの幸福を約束するスキルである。

 『後輩特権』とは違い、彼女の体に触れられなくなると言う様な能力は存在していない。だが、今後彼以外のどんな男性とセックスを行おうが、このスキルがある限りはマシュが寝取られることは無くなる。最も、カルデアのマスターよりもマシュの事を理解(意味深)している男性が居ない時点であまり意味は無いのだが。

 

 アナルだけでなく子宮までもをカルデアのマスター専用としたマシュの愛は彼にのみ注がれる。決してイエスマンになる訳では無く、彼と対等な関係でありながらも従順で愛らしい後輩として在り続ける彼女の幸せな人生は、今始まったばかりだ。

 

 

――マシュ・キリエライトのコメント

 

「……もう、先輩はとっくに私の事を特別な存在だと思ってくれてたのに……私ってば、勝手に焦ったりして、本当に馬鹿みたいですね」

 

「先輩……私は、まだあなたのことを理解出来ていないみたいです。だから、残りの人生をあなたの傍で生きて、もっと深く分かり合いたいと思っています。あなたのくれた人生の使い道、これが一番だと思うんです」

 

「……それともう一つお願いがあります。二人きりのセックスの時だけで構いません。その……先輩の事を『貴方』と呼んで構わないでしょうか? 馴れ馴れしいようですがその、夫婦と言いますか……ああ、やっぱり忘れて下さいっ!」

 

「……あなたを愛しています。これからもずっと、あなたの近くにいられることを幸せに思っています……これは、紛れも無い私の本心です。あなたが私のマスターで、好きになった人で良かった……♡」

 

 

今後の活動で解放

 

絆レベル 7 ???

絆レベル 8 ???

絆レベル 9 ???

絆レベル 10 ???

 

 

 

霊基番号002 スカサハ(ランサー)

 

 

絆レベル -1

 

 

 ソロモンの手で凄惨な責めを受け、彼に屈服してしまった際の姿。

 彼の魔術で記憶を徐々に消され、心を折られ、その後、クー・フーリンの事以外の記憶を消されてしまい、代わりに自分はソロモンに召喚され、彼に絶対の忠誠を誓う女奴隷だと言う記憶を植え付けられてしまった。

 その為、カルデアの事やそこで出会ったマスターや他の英霊の事も忘れてしまっている。甥であるフェルグスや生前の弟子の事も例外ではない。

 

 カルデアに送り込んだマシュの帰還が遅いことを訝しんだソロモンによって二番目の刺客としてカルデアに姿を現し、弟子であり想い人でもあるクー・フーリンと戦闘。

 彼を追い詰めるも、戦いの中で敵から目を離すと言う彼女としてあり得ないミスを犯した為に逆転されて敗北した。

 

 姿はぱっと見普段と全く変わらない全身タイツだが、陰部には穴があけられており、そこにバイブが挿入されている。敵の目の前で自慰行為をするなど、理性も程良く壊れている模様。

 戦闘能力も下がっている。これは、殆どの記憶を消された結果、戦い方まで忘れてしまったと言うソロモンのミスから起きた現象。

 しかし、体に染みついた戦いの記憶は残っており、淫紋令呪の効果で身体能力は上がっている。そもそも彼女は強力な英霊の一人であるため、決して油断出来ない。

 

 なお、ソロモンの城の中ではホムンクルスのせたんたくんと蜜月の日々を過ごしていた模様。今、せたんたくんは何をしているのであろうか……?

 

―――当時のスカサハのコメント

 

「ああ……昂る、昂る……♡ 体が、血潮が、雌穴が昂って仕方が無い……♡」

 

「もはや私には記憶など必要ない……私に必要なのは、ソロモン様への忠義といやらしいまんこ穴を塞ぐ為のおちんぽだけだ……♡」

 

「せたんた……♡ 早く私を抱いてくれ♡ お前の性奴隷である私の体を存分に嬲ってくれぇ……♡」

 

 

 

 

絆レベル 1

 

 

 カルデアに帰還し、正気を取り戻した際の姿。クー・フーリンに抱かれた際の求婚の言葉も覚えており、彼の妻を名乗る様になった。

 一度消滅したために霊基が育っていないが、数多くの経験を活かした助言や冷静な意見を多く口にする一種のブレーン役を担ってくれている。一応、進みは遅いものの成長もしているそう。

 

 多くの経験には性体験も含まれており、男性経験の少ないマシュやエリザベートと言った少女たちに性指導を行うこともしばしば。

 ノリが良く、面倒見も良い為、彼女たちの提案に乗ってコスプレハロウィン(セックス)パーティーを開いた際には、礼装【ハロウィン・プリンセス】を身に着けて参加した。

 

 前述の通り、主人(マスター)はクー・フーリン。適度に彼に抱かれてはいるが、フランスに彼がレイシフトしれしまった時はずっとお預けを食らっていたそうな。

 無論、帰って来てからは毎晩の様に抱かれ(むしろ抱いて)た模様。現在は彼と一緒にカルデアで待機している為、遅れた絆レベル上げが捗っている。

 

―――スカサハのコメント

 

「……面倒をかけたな。おまけに自己満足の為に霊基も未発達になってしまった。戦線に復帰するには時間がかかりそうだが、それまで出来る限りのことはしよう」

 

「セタンタ、お前の求婚の言葉を忘れるとでも思ったか? 男ならば、己の言葉には責任を持つが良い」

 

「ふふ……♡ そうだ、それで良い♡ お前が望むなら、妹のアイフェの様にお前の子を孕んでやろう……♡ 影の女王をモノにした気分はどうだ? セタンタ……♡」

 

 

絆レベル 2

 

 フランス、ローマと二つの特異点にクー・フーリンが出撃した為、長い間のお預けを食らったスカサハ。流石に我慢も限界であり、帰還した彼に襲い掛かる様にして性交を行い、存分に貪った模様。

 体力的には回復し、長いセックスにも耐えうるだけの霊基の成長を見せた模様。現在はアサシンクラスの霊基を重点的に育てており、数少ないカルデアの隠密行動を担う立場になってくれるかもしれない。

 

 クー・フーリンの徹底的な責めを受け、彼の子を孕むことを誓わされた彼女の淫紋令呪は、再臨の時を迎えてスカサハの体に変化をもたらした。ナイチンゲールやアルトリア(ランサー)と同じ母乳生成のスキルを習得し、乳房はやや膨らみを得た母の体に近づいた。こういった変化を経たスカサハは、クーフーリンの子を孕んだと自分を定義している。

 

 愛しい夫の子を孕み(実際には孕んではいない)、女としての幸福を喜ぶスカサハの楽しい日々はこれからも続く。淫紋令呪の今後の成長も楽しみだ。

 

――当時のスカサハのコメント

 

「ふふふ……♡♡♡ どうだ? 美味いか? たっぷりと詰まった私の母乳、好きに飲むが良い……♡♡♡ だが、我が子の分は残しておけよ?」

 

「マスターたちにも報告しなければな。ふふっ、随分と良い気分だ。お前の子を孕むとは、長生きしてみるものだな」

 

「……なに? 実際に孕んだ訳ではない? わかっているさ、だが少しはこの幸福に浸らせてくれ。愛する男の子を産めるという、女の至上の悦びに、な……♡♡♡」

 

 

今後の活動で解放

 

絆レベル 3 ???

絆レベル 4 ???

絆レベル 5 ???

絆レベル 6 ???

絆レベル 7 ???

絆レベル 8 ???

絆レベル 9 ???

絆レベル 10 ???

 

 

 

霊基番号003 エリザベート・バートリー

 

 

 

絆レベル ー1 (堕ちている状態)

 

 

 本来あり得なかったエリザベートの陥落した状態。独房に閉じ込められ、精神を破壊された後でソロモンがエリザベートを屈服させた場合のIFの姿。

 既に破壊された精神は前触れもなく抑揚したり急降下したりする不安定なものになっている。大喜びで男を嬲っていたかと思えば、次の瞬間には涙を流して蹲っていたりするのだ。これは、スキルや令呪の効果ではなく、単純に彼女の精神的な問題である為、ソロモンにもどうすることも出来ない。

 

 本来の彼女とは違って性行為には非常に積極的である。崩壊した精神が快楽を求め、自分を満足させてくれる相手を求めてさまよい続ける彼女だが、その相手が自分の欲望を満たしてくれないと分かるや否や慈悲もなく殺害してしまうという恐ろしい一面も持っている。

 ただ、エリザベート本来の純な部分もあるようで、処女を捧げた相手を大事に思う節がある。この場合は相手はソロモンであり、淫紋令呪の効果も相まって無条件にソロモンを崇拝する存在と化してしまった。

 ロビンは彼女がソロモンに手を出されていたら即堕ちしていたと予想していたが、まったくもってその通りだったわけである。危ないところだった……!

 

―――この状態のエリザベート・バートリーのコメント

 

「……誰でも良い……誰でも良いから……アタシのことを気持ち良くしてよっ! 怖いこと全部忘れるくらい、頭の中を真っ白にさせて欲しいのぉっ!!!」

 

「ああ……なんだってするわ? どこを舐めれば良いの? どんな格好をすれば良いのかしら……? あなたが望むなら、なんだってするから……」

 

「……え? もう終わり? そう、なら……死んでくれる? セックスしてる時と人を殺してる時は、とっても安心するから……ね?」

 

 

 

絆レベル 1

 

 

 

 ソロモンの呪縛から解放されたエリザベートが本来の精神状態を取り戻した姿。わがままアイドル系ヒロイン、ここに復活!

 崩壊した精神のままにカルデアに侵入、ソロモンから奪った聖杯をカルデアに渡し、処刑された後でソロモンに再び拷問を受けることでマスターたちを裏切ってしまったことのケジメをつけつもりだった。

 その考えを悟ったロビンによって苦しみを和らげられ、彼に処女を捧げる。大切に扱われたことで彼に愛情を持ったのか、ロビンを淫紋令呪のマスターとして認識してソロモンの元から解放された。

 

 一度落ち着いた精神状態は自分の裏切りを過去の事として認識しており、多少の自己嫌悪はあるものの割り切って考えている。明るく騒がしい彼女のわがままには。彼女のプロデューサーとして任命されたロビンも手を焼いている模様。

 しかし、前述の通り彼女は処女を捧げた相手を大切に思う傾向がある。その為、ロビンに対しては年相応の乙女らしい姿を見せて楽しくやっている。

 スキル【トリプルクラス】の影響で時々三人に増える彼女の相手はとっても大変! がんばれ、ロビン!

 

―――エリザベート・バートリーのコメント

 

「ほら! プロデューサーとして、アタシの魅力を引き出す方法を考えなさいよ! アタシの体の隅々まで知ってるんだから、そんなの朝飯前でしょ?」

 

「良い案を考え付いたらご褒美をあげるわ! 思いっきり抱きしめて、キスしてあげる! どう? 良いご褒美でしょ?」

 

「……え? それってアタシがしたいことなんじゃないのか、ですって……? そ、そんなわけないじゃない! アンタみたいなマヌケ面が、アタシみたいな超絶美少女と触れ合えることを感謝しなさいよね!」

 

 

 

絆レベル 2

 

 

 フランスでの戦いを終えたカルデアには、ジャンヌ達をはじめとして新たな戦力が増えた。先輩として意気込むエリザベートであったが、既に何回も性行為を行っている彼女たち(ほぼジャンヌオルタ)から見下されてお怒りモードに、ロビンやスカサハに泣きついて性行為の特訓を行うことに。

 アナル開発からの尻処女喪失、その他諸々のセックスを経験したエリザベートは、かつてのおぼこ少女とは一味違う(微妙に)大人の女に成長した! ……と、本人は思っているらしい。

 スカサハ同様に相手がフランスにレイシフトしていたために長い期間セックスを行えなかったが、スカサハとは違いそこまで我慢はしていなかった模様。むしろ戻ってきてからの発奮具合が凄まじく、一生懸命勉強してはロビンにそれを試す日々を送っている。

 

 ファーストキスから始まり処女、アナル処女をロビンに捧げた為に彼への思いは更に強まった。ロビンもまた彼女をより丁寧に扱うことが増えた為、彼女の中での彼の評価はうなぎのぼりである。

 プロデューサーに満足して貰う為、勇者エリちゃんは今日もイク! ……細かいことは気にしてはいけない。

 

 ……なお、直接は関係ないが、エリザベートを挑発したジャンヌオルタがマスターにお仕置きされる姿が記録された映像を後に見せてもらい、彼女の鬱憤は大分晴れたそうな。

 

 

―――エリザベート・バートリーのコメント

 

 

「う~……お尻がまだヒリヒリするぅ……気持ち良かったけど、やっぱりこういう問題点もあるのね……」

 

「ロビン! 次はこんなことの無いようにもっと優しく……え? わかってる? やりすぎた、ごめん……? わ、分かれば良いのよ! 赤ちゃんに触れるみたいに優しくしなさいよね!」

 

「……うわ、大事にされてるってわかると心臓がドキドキする……! まずいわ、こんな顔誰にも見せられないじゃない!」

 

 

 

 

 

霊基番号004 ナイチンゲール

 

 

 

絆レベル -1

 

 

 ソロモンの手で淫紋令呪を刻まれ、『治療行為とは、男性に射精させることである』と言う誤った認識を植え付けられた状態のナイチンゲール。それ以外は普段の彼女のままであるが……それ故に、かなり恐ろしいことになっている。

 

 目につく男性全てに射精させる為に不眠不休の活動を行い、ソロモンの城の中で彼女の相手をしていた男たちの大半の不能にしてしまった。それでもなお性行為を止めない彼女の姿は、ソロモンの目にも恐ろしく映ったようである。

 結果として超強力な【魂喰い】のスキルを付与された状態でカルデアに送り込まれ、一時的にとは言えその機能を停止させるなど非常に甚大な被害をカルデアに与えた。だが、彼女自身の手によってその被害も収束したため、ソロモン側から見た最終的な戦果は0、むしろナイチンゲールがいなくなった為にマイナスになっている。

 それでも彼女が居なくなったことを喜ばしく思う男たちは多く、ソロモン達からしてみれば()()()()()()()()()()()()()()が一番の戦果なのかもしれない。

 

 なお、彼女の強靭さは本当に凄まじく、カルデアに送り込まれる前までソロモンの部下たちと性行為をし、その上であのスパルタクスをダウンさせるまで射精させ、更にその状態でマスターたち三人を相手にしても満足することはなかった。ソロモンはとんだ性の化け物を生み出してしまったのかもしれない。

 

―――当時のナイチンゲールのコメント

 

「『性交・絶頂・射精』……私の体は、男性のおちんぽを気持ち良くするための医療器具です。口まんこ、乳まんこ、けつまんこ、そしておまんこ……好きな所を好きに使い、健康的な射精を行って下さい」

 

「……まだおちんぽが硬いままですね。であるならば、治療の続行を……何? もう射精出来ない……? 認めません、それは体に残していてはいけないものです。私が居る以上、最後の一滴まで射精させて見せます!」

 

「……また、動かなくなってしまった……私の治療が遅かったばかりに、命が消えた……もっと効率的な方法を考えなければ! もっと射精を促せるようにしなければ! 命を救うために、もっと淫らにならなければ!」

 

 

 

絆レベル 1

 

 

 カルデアのマスターたちとの性行為の中でソロモンに植え付けられた誤った認識を打ち砕かれ、自分の掲げていた本来の思想を思い出したナイチンゲール。他者を殺してしまう【魂喰い】のスキルも消え去り、代わりに【母乳生成】のスキルを得た。

 【母乳生成】は、自分の中の魔力と生命力を母乳に変換し、他者に譲渡することが出来るスキル。これにより、自分が弱らせてしまったカルデアの職員やスパルタクスたちを復活させ、カルデアの被害を0に抑えた。

 

 性行為に関しての認識が変わった為、精液を最後の一滴まで絞り尽くすというような容赦のないことはしなくなった。だが、それでも彼女が性の化け物であることには変わりはない。

 現状、彼女に一対一の性行為で勝てる(最後まで相手を出来る)男性は存在せず、マスターたちが入念な準備を行って数人がかりでセックスを行わなければならない程である。それでも彼女を満足させられているかと聞かれれば、それにはっきりとYESと答えられる訳でもない。

 

 そんな彼女ではあるが、狂戦士のクラスでありながら他者を思いやる心と思考は有している。性欲の発散の仕様が無いカルデアの職員たちを集め、定期的に自分の体で満足させる慰安会を開催している模様。これは職員たちにも好評であり、魅力的な女性であるナイチンゲールを抱けるとあって楽しみにしている者も多いらしい。

 また、カルデア内部における動画サイトのチャンネルもダヴィンチちゃんたちから譲渡された。

 これは先に挙げた通りに性欲の発散の仕様が無い職員たちの為の動画サイトであり、各マスターたちがサーヴァントたちの許可を取ってから彼女たちとの性行為の動画を撮影、それをアップしてオカズにして貰う為の物である。

 動画自体もあまり数は無いため、今は機能しているとは言い難い。ナイチンゲールもまた慰安会の映像を編集して投下する位の事しか出来てはいないが、後々のことを考えてどうすればいいかを模索中の様だ。

 

 こうやって書くとナイチンゲールは『自分の体を使って男性職員たちの健康を守っている』様に見えるが、もしかしたら彼女はただ『自分の体の昂ぶりを抑える為に変態的な行為に手を染めている』だけなのかもしれない。

 その答えを知るのは彼女だけ……今日もまた、ナイチンゲールは魅力的な身体で男性たちに奉仕する。その心の中にある感情は、如何なるものなのだろうか?

 

―――ナイチンゲールのコメント

 

「ふむ……パソコンの操作と動画の編集方法はわかりましたが、どんな動画を撮影すれば皆さんが喜ぶのかがわかりませんね……私は、そう言うことには滅法疎いですから……」

 

「……このままでは皆さんの精神状態によろしく無い。せっかくの代物です、有効的に使って皆さんの性欲を発散させることに役立てねば! ……やはりここは、皆さんがどんな物を望んでいるのかを直接聞いてみましょう」

 

「急募……見たい、痴態……皆さんの性欲を満足させる為なら、私は何でもします。その為に、皆さんの声を聞かせてください……良し、これで良いでしょう。……どの様なリクエストが来るか、今から楽しみですね……♡」

 

 

 

霊基番号005 タマモキャット(バーサーカー)

 

 

絆レベル -1(堕ちている状態)

 

 

 

 本来あり得なかったタマモキャットが陥落した姿。ソロモンの手で性的な満足を得て、彼に忠誠を誓う狛犬へと変貌したIFの姿。

 狂化スキルは更に高められ、もはや理性を保つことすら出来ていない。メイドとしての数々の良妻スキルは勿論、人語を介することも出来なくなっている。

 

 この状態のタマモキャットにあるのは、ただ本能のままに求める欲望のみ。

 暴れたから暴れ、食べたいから食べる。体が飢えたなら、それを満たす為に男を求めると言う獣欲の化身となってしまった。

 

 だが、この状態でも主への献身は健在であり、現在の主であるソロモンへの深い忠誠心は存在している。

 彼の為に敵を喰らい、屠ることこそが彼女の幸せであり、望みでもある。それを求める時に限り、タマモキャットは自分の為の欲求を忘れることが出来るのだ。

 

 カルデアのマスターの事は既に忘れ、ただの敵としてみなしている。

 主に敵意を持つ相手を番犬が許す訳が無い……野獣の如き狂犬は、その牙を剥いてかつての仲間に襲い掛かる。

 

―――この状態のタマモキャットのコメント

 

「グルル……グ、オォォッ!!!」

 

「ガグッ! グルルルルルルッ……!」

 

(人語を口にすることは不可能。獣の様な唸り声を上げるだけ)

 

 

 

絆レベル 1

 

 

 

 フランスにてマスターと再会したタマモキャットは、かつてと何ら変わらない姿でマスターたちの前に姿を現した。しかし、淫紋令呪の呪縛は見えない所でその効果を発揮している。

 

 基本的にはソロモンへの忠誠を感じてはいるが、彼女特有の強烈な本能でそれを封じている。ソロモンは、彼女の本能を揺るがす快感を与えられなかった様だ。

 その結果、自分を満足させてくれる相手(マスター)を求めて捕らえられていたソロモンの城から逃れたタマモキャットは、新しく作り出された特異点にて生前のジル・ド・レェが率いる反乱軍に合流。彼と共に二人のジャンヌが率いるフランス軍との戦いを繰り広げていた。

 

 フランスで再会したマスターにはその獣欲を早速ぶつけて自分を抱くことを強請った。

 タマモキャットを満足させられなければ彼女に殺されると言う危険な賭けに出たマスターは、一時は彼女の底なしの性欲に屈して殺されかけるも謎の存在に手を貸して貰い、彼からタマモキャットの狂化を一部譲渡されることで身体能力と精力を強化してこの逆境を突破、彼女を屈服させた。

 カルデアのマスターに満足させて貰い、彼に屈服したタマモキャットは、これ以降彼を自分の主と認めて誠心誠意の奉仕を行う様になる。

 

 バーサーカーのクラスによる特色か、性欲はかなり強い。同じクラスのナイチンゲール程では無いが、それでも十分に常軌を逸している。

 彼女を満足させるにはかなりの精力かプレイの工夫が必要であり、マスターは毎回頭を悩ませている模様。

 

―――当時のタマモキャットのコメント

 

「ご主人、やはりアタシの目に狂いは無かったのだナ! ご主人はキャットを満足させられる立派な雄だと思っていたゾ!」

 

「ふふふ……♡ 大丈夫だ、ご主人……♡ そう怖がるな、もう最後の一滴まで搾り取ろうなんて考えはもっていないからな……」

 

「今のキャットにあるのはご主人への深い忠誠だけだ♡ これからも存分に楽しませてやるから、楽しみにしているのだゾ♡」

 

 

 

絆レベル 2

 

 

 

 フランスから帰還したタマモキャットは、VRシステムを利用した『英霊更生施設カルデア』のゲームをプレイし、そこでマスターに調教されたことで新たな閃きを得た。

 マシュ、アルトリア(ランサー)、ジャンヌ、ジャンヌオルタの4名とチームを組み、マスターに様々なプレイを楽しんで貰える『チームオールマイティ』(通称チームA)を結成、早速彼に5人で抱かれて楽しんだ模様。

 

 淫紋令呪の第一再臨とそれによる新スキルの習得もあり、マスターに対しては更に愛情を深めた。カルデアの食を担当する役割から、彼の健康管理にも携わっている。

 

 体の感度が上がり、更に敏感になった彼女はセックスにも非常に積極的……なのだが、第二特異点のローマへの遠征メンバーには選ばれず、カルデアにお留守番となってしまった。

 その結果、毎夜体の疼きを抑える為に自慰行為を繰り返すも当然満足できず、むしろその色欲を強めることになってしまう。カルデアの職員は彼女の部屋から聞こえる大きな唸り声に毎晩戦々恐々していた模様。

 

 ただでさえ性欲が強いのに我慢も重なった結果、とんでもない性の化け物になってしまったタマモキャット。ローマで頑張るマスターは、帰還した後に無事でいられるのか?

 

―――当時のタマモキャットのコメント

 

「凄いだろう、ご主人!? 属性が被らず、されど皆一様に喰らい甲斐のある体をした雌ばかり! これぞどんな趣向にも対応できる万能性欲発散部隊『チームA』だ! 結成の立役者である我のことをもっと褒めても良いのだゾ?」

 

「なのに……何故我だけお留守番なのだ~っ!? くぅぅ……毎晩マシュたちはご主人のニンジンを美味しくもぐもぐしているのだろうなぁ……♡」

 

「……帰って来たら覚えておけよ? 絶対に寝かさないからな……♡」

 

 

 

絆レベル 3

 

 

 

 仲間たちを救い、ローマから無事に帰還したマスターを待っていたのは、滾りに滾ったタマモキャットの熱烈な歓待であった。

 マスターに食事を通して精力をしっかり付けさせた彼女はマシュと共に新チーム『チームビースト』(通称チームB)を結成。獣の如き本能に身を任せた激しいセックスを楽しむ。

 

 その最中、彼女が予測した通りマスターの狂化スキルが発動。自分たちを凌駕する精力を発揮した彼にマシュと共に屈服させられたタマモキャットは、その肢体をただ貪られる夜を過ごす。

 更に淫紋令呪の第二再臨も完了し、彼女の体はより魅力的かつ喰らい甲斐のある物となった。これにはマスターもニッコリである。

 

 体の疼きも収まり、一応の落ち着きを取り戻したタマモキャットは料理番を行いながら毎日を慌ただしく過ごしている。だが、一度マスターからの指名があればすぐさま彼の下に馳せ参じ、その身を差し出すだろう。

 土方歳三に教えを受け、更にリーダーとして相応しくなったマスターに奉仕する雌として在り続けながら、タマモキャットは今日も彼に満足して貰う為に様々な企てを考えている。

 

―――当時のタマモキャットのコメント

 

「野獣の集い、チームBを制覇するとは……流石はご主人、その性欲は底なしだな!」

 

「お陰でアタシの淫紋令呪も再び再臨したゾ! ……この躰も、より一層食べ甲斐のある物となった……実際に抱いて、試してみてはどうだ?」

 

「んっ……♡ それで良い。キャットの事を存分に抱き、我がご主人のモノであることをしっかりと教え込んでくれよな……♡」

 

 

 

今後の活動で解放

 

 

絆レベル 4 ???

絆レベル 5 ???

絆レベル 6 ???

絆レベル 7 ???

絆レベル 8 ???

絆レベル 9 ???

絆レベル 10 ???

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデア裏マテリアル NO.2

霊基番号006 アルトリア・ペンドラゴン(ランサー)

最大性感帯 乳房・乳首

第三再臨淫紋令呪発現個所 胸の谷間

 

絆レベル -1(堕ちている状態)

 

 ソロモンとの戦いに敗れ、連れ去られたアルトリアが快楽に堕ちた姿。

 本来の歴史には存在しないIFの存在である彼女は、騎士王であるセイバーのアルトリアと比べて肉体的に成長している。女性としての魅力に富み、また強力な英霊である彼女の事をソロモンや男たちが放って置くはずが無い。

 全ての自分に通ずる過去の自分『アルトリア・ペンドラゴン・リリィ』を籠絡し、徹底的に彼女を開発した結果、ソロモンは目論見通りに未来のアルトリア・ペンドラゴンたちの体を開発することに成功した。魔術や秘薬、更には開発行為によって感度が跳ね上がった体を更に責められたアルトリアたちは、抵抗も虚しく揃ってソロモンの性奴隷に堕ちてしまう。

 特に成長した体を持つランサーのアルトリアたちは開発度合いが顕著になり、セイバーの彼女たちに比べて更に高い性的感度を持つようになってしまった。

 

 性奴隷に堕ちた騎士王たちは、淫紋令呪の相乗効果によって更にその淫らさを増していく。男性を騙っていた愚かな雌奴隷としての自分を魂に焼き付けられた結果、彼女たちは進んで肉便器として男たちに肢体を差し出す様になった。

 自分たちには存在しない肉棒を膣に突き入れられる快感の虜になり、所詮自分たちはか弱い雌なのだと自覚させられる。その思いは男性への絶対的服従を促し、アルトリアたちは何のためらいもなく男たちに尻を振り続ける毎日を送っていた。

 

 だが、そんな日々にも唐突に終わりが訪れる。しかし、それは彼女を救う様な煌びやかな光に包まれて……と言う物では無かった……。

 

 

 

――当時のアルトリア・ペンドラゴンのコメント

 

 

「どうかぁっ♡♡♡ この淫乱騎士王におちんぽのお恵みを下さいっっ♡♡♡ いやらしく育った胸と尻を沢山弄って下さいっ♡♡♡」

 

英国(ブリテン)王族(ロイヤル)オナホのアルトリア・ペンドラゴンをよろしくお願いしますっ♡♡♡ 見かけたら、何時でもおちんぽぶち込んで下さいっっ♡♡♡」

 

「所詮、私などおちんぽの前に平伏す雌……女の快楽には逆らえないと言う事を、この躰に叩き込んで下さいませ……♡♡♡」

 

 

絆レベル 1

 

 性奴隷へと堕ちたアルトリアは、他の自分たちと悦楽に塗れた爛れた生活を送っていた。しかし、突如として彼女は正気を取り戻す。それは、淫紋令呪の効果によって『アルトリア・ペンドラゴンは一生涯性奴隷であった』と言う捻じ曲がった歴史が世界に刻み込まれようとしていたが故に起きた奇跡だった。

 歪んだ歴史を正史として捉え始めた世界は、アルトリア・ペンドラゴンのIFの存在であるランサーの彼女を消去しようとする。事ここに至って自分のして来たことを顧みた彼女は、大きく絶望しながらもソロモンの下から逃れる事を決めた。

 

 脱出の機会を探っていたタマモキャットと共にフランスの特異点に逃亡した彼女は、そこで聖杯に呼ばれたアーラシュに保護されて彼と行動を共にするようになる。しかし、その頃にはもう彼女を蝕む歪んだ歴史の動きは、彼女を消滅間際にまで追い込もうとしていた。

 間一髪で特異点に到着したマスターの働きによって生きる気力を取り戻したアルトリアは、彼をマスターとして再契約しソロモンとの戦いに臨む。その胸には、自分を受け入れ、前を向かせてくれたマスターへの敬愛の念が抱かれていた。

 その後、セックスを通じてマスターに自分の失敗から『人の心を掴むことの重要さ』を説き、彼に女英霊たちの忠誠を確固たるものにする事こそが戦いを勝利に導く要素であることを教えた。

 

 カルデアのマスターに抱かれる際には、大人としての慎みと大胆さを併せ持った女性として振舞いつつ、彼に様々な形で奉仕を行う。

 育った乳房や尻を存分に使ってのセックスや、肉厚な女性器の感触はマシュたちとはまた違った味わいがある様で、カルデアのマスターも彼女とのセックスは楽しみである様子。彼女もまた、彼の手で自身の内に眠る様々な性癖を露にされる事を楽しんでいる様である。

 

――アルトリア・ペンドラゴンのコメント

 

 

「……マスター、あなたには感謝してもしきれません。私の様な存在を受け入れ、信じて下さるあなたの思いには、この槍を以って応えましょう!」

 

「……無論、私の体と心もあなたの物……♡ あなたが望むのなら、女性としての奉仕も行わせて頂きます♡♡♡」

 

「デカ乳、デカ尻、むっちりまんこ……♡♡♡ 全て揃った淫乱騎士王の体は、あなただけの物ですよ、マスター……♡♡♡」

 

 

絆レベル 2

 

 フランスでの戦いにて、マスターとアーラシュの励ましを受けて完全に立ち直ったアルトリアは、狂ったジャンヌたち撃破に貢献。聖杯を回収し、マスターたちと共にカルデアに帰還した。

 その後、第二特異点であるローマにも同行、そこで苗床として扱われていたモードレッドと再会する。

 マスターと共にモードレッドを開放し、ローマでの戦いでも明晰な頭脳とカリスマで大いに貢献。見事にこの特異点での戦いも勝利を飾った。

 

 マシュ、モードレッドの二人と合流したことで、円卓の騎士たちを纏めるリーダーとしての役割を担う様になった彼女は、部下たちを率いて戦いや奉仕に勤しんでいる。その間、マスターへの愛情や敬愛も更に強まっており、戦闘能力も強化された。

 

 VRシステムを活かした新プレイや、単純な性行為を重ねた結果、淫紋令呪も二度目の再臨を果たした。新スキル『母乳生成A』は、戦いにはあまり意味は無いが色々と楽しみが増えるスキルである。

 

 他の自分自身たちの事を案じつつ、女性としての面が強く出ている彼女はこれからもその魅力的な女体を活かしてマスターを喜ばせるだろう。今後も性的な成長が楽しみである。

 

――アルトリア・ペンドラゴンのコメント

 

「母乳生成A……マスターは、私のミルクを飲みたいのですか……? ならば、遠慮なく仰って下さい、私は何時でも準備出来ています♡♡♡」

 

「たっぷりと張った乳房、その中に詰まった大量のエロミルク……♡♡♡ どうぞ、あなたの口で吸いだしてご堪能下さい♡」

 

「代わりと言っては何ですが、私にもマスターのおちんぽミルクを頂いてもよろしいでしょうか? 口でも、膣でも、尻でも……お好きな場所に射精()して構いませんので……♡♡♡」

 

 

絆レベル 3

 

 

 マスターとの性行為の回数も相当なものになり、アルトリア自身も己の欲望を存分に曝け出すようになってきている。

 ホワイトデーには他の面々を出し抜き、マスターとの1対1でのセックスに臨んで事前の協定を崩壊させたりと威厳ある王のすることとは思えない行動を見せたりする程だ。

 

 最初に出来上がったサーヴァントたちの連合チームAを始めとし、アン・ボニーに誘われて参加したチームE、マシュとモードレッドと組んでの円卓勢など、アルトリア自身が何処かのチームに所属することは非常に多い。そのため、マスターとの性行為も自ずと増える。

 結果、淫紋令呪も第三の再臨を迎え、その場所を彼女の豊満な胸の谷間へと移動させるに至った。

 

 女性として魅力的な肉体とマスターへと深い愛情、さらには味わい深く粘度も高い濃い味の母乳を武器に今日もアルトリアはマスターとの情事に及ぶ。その胸に、徐々に深まる彼への愛情を抱き、育みながら……。

 

 

 

―――アルトリア・ペンドラゴンのコメント

 

「令呪第三再臨、確かに確認いたしました……♡ ふふっ♡ まるでマスターから首飾りをいただいたようで誇らしくも感じられます」

 

「この胸に溜まる母乳……いえ、エロミルクの魔力もより充実したものになっています。マスター、是非ご賞味を♡」

 

「……いっぱい、私のスケベなおっぱいを揉んで、吸って、飲んで……♡ 楽しんで下さいね、マスター♡ 私は、そうされることを望んでいます♡」

 

 

絆レベル 4

 

 

 カルデアのマスターとの性行為で快楽を感じ、それと同時に女として愛する人に抱かれる幸せを享受し続けたアルトリアは、自身がどうしようもなく女であることを強く自覚した。

 体も、心も、そのどちらもが女性として完成され、王として自分を取り繕うことを捨てた彼女は、ついに完璧にマスターの女となるべく、彼との本気のセックスを行う。

 

 大きく膨らんだ乳房、肥えた尻肉、肉厚の性器と彼に与えられた母乳生成のスキルを存分に駆使し、奉仕を行い続ける彼女の胸の内では、マスターへの愛情が美しい大輪の花となって咲き誇る。

 自分は女として彼を愛し、彼は男として自分を求めてくれている確信を得たアルトリアの令呪はその喜びと共に最後の再臨を迎えたのであった。

 

 以前に入手した『神性(愛)』のスキルを『女神ロンゴミニアドの愛』に昇華させ、常時味方へのバフをまき散らす敵側からすれば厄介この上ない存在へと進化したアルトリア。だがしかし、彼女の再臨によって一番影響を受けるのは、カルデアのマスターの性槍()であろう。

 彼女の宝具の力を一部譲り受けたマスターの肉棒は、無敵貫通と攻撃力強化の効果を得た。不感症も関係なく、ただでさえ強烈な男性器を更にいきり立たせる彼の手で、数多の女英霊たちが鳴かされることになるのは想像に難しくない。

 

 

 

―――アルトリア・ペンドラゴンのコメント

 

「最終再臨……マシュに引き続き、私が第二の淫紋令呪を最大強化した英霊になれたことを喜ばしく思います。それは、確かにあなたの力になれたという証ですからね」

 

「ふ、ふふ……♡ 胸の膨らみ、張りももっと強くなって……♡ 飲みたい、ですよね? どうぞご遠慮なく、たっぷりと味わってください♡」

 

「代わりにと言ってはなんですが、私にもマスターのおちんぽミルクを飲ませて頂いても構わないでしょうか? おまんこ、けつまんこ、口まんこ……もちろん、乳まんこでも大丈夫です。あなたの迸りをこの体で受け止めさせてください♡ 私の体がいやらしく成長したのは、そのためなんですから……♡」

 

 

霊基番号 007 ジャンヌ・ダルク(ルーラー)

 

絆レベル -1

 

 貞淑な聖処女であるジャンヌがソロモンの手で淫紋令呪を刻み込まれて彼の性奴隷に成り下がった姿。暗黒面の自分であるジャンヌ・オルタと同様に堕とされ、二人揃ってソロモンへの絶対的な忠誠を誓う様になってしまった。

 

 ソロモンは強力な英霊であるジャンヌたちは特別視しており、彼女を優先的に堕とす事を決めていた。執拗なまでの開発と投薬を経て全身の感度を上昇させた後、狡猾なやり口で彼女たちから抵抗の精神を剥ぎ取り、見事にその目論見を達成させてみせたのだ。

 

 豊満なその体は男たちの欲情を受けて更に淫らに実っており、聖人としての神聖さは消え失せ、代わりに男たちを欲情させる魅了スキルの様な物を所持している。だが、決してステータスが下がっている訳では無く、むしろ上昇している。

 ただし『啓示』スキルはその役目を果たさなくなっている。この状態の彼女にとっての神はソロモンであり、それ以外の存在など崇拝に値しないからだ。故に、彼女が本来進行していた神の声は聞こえなくなっている。代わりにソロモンの命令を遂行する際にステータスが上がる『啓示(裏)』を所持する様になった。

 

 生前に受けた凌辱の記憶があってもなお男たちに蹂躙されることを悦び、犯されることを望むその姿はまさに性女。彼女たちは侮蔑に塗れたその呼称でソロモンや彼に従う男たちに呼ばれ続け、より一層性の深みに嵌っていくのであった……

 

 

 

――当時のジャンヌ・ダルクのコメント

 

「おちんぽぉっ♡ いいですぅぅっ♡ もっとっ♡ もっとくらさいぃぃっ♡♡♡」

 

「私は犯されるの大好きなドスケベ性女ですぅ……♡♡♡ おちんぽ大好きなただの淫乱雌奴隷ですぅ……♡♡♡ だからおちんぽくださぁい……♡♡♡」 

 

「ソロモン様ぁ……♡♡♡ 私は、あなたに一生涯の信仰と崇拝を捧げる事をここに誓います……♡♡♡ 雌の悦びを教えて下さったあなたこそが、真の我が主です……♡♡♡」

 

 

絆レベル -2

 

 ソロモンに堕とされた状態から更に数か月の調教を受けたジャンヌが淫紋令呪を再臨させて更に堕落した姿。

 下腹部に刻まれた淫紋令呪は竜が翼を広げている様な模様となり、彼女たちのステータスを大幅に向上させている。

 当然、全身の感度も同様。より喰らい応えのある雌となった彼女は、ジャンヌ・オルタと共に第一の特異点であるフランスに派遣され、そこで母国を崩壊させる役目を担う事となった。

 

 愛していた民たちを騙し、フランスの高官やイングランドの外交官を魅力的な肢体を使って虜とし、二つの国にソロモンを崇拝する様に仕向ける事で人理を焼却しようとした彼女たちは、ソロモンの命令に忠実に従って様々な裏工作を行い続けた。

 顔を隠してのフランス兵たちへの奉仕。戦災孤児に女の味を覚えさせ、自分たちを盲目的に崇拝する様にして若年層の心を完全に掴む。イングランドの政府関係者も次々と籠絡し、実質的に政治の実権を握る事も可能になるまでに暗躍を続ける彼女たちの心の中には、かつて存在していた母国への愛は完全に消え失せていた。

 今の彼女たちを支配する物、それは快楽と肉欲への期待とソロモンへの忠誠心だ。自分たちが快楽を得る為ならば、愛するフランスの民たちを迷いなく差し出すまでに彼女は狂ってしまっていた。

 

 昼は民衆の前で清らかなる聖女を演じ、夜は男たちに抱かれる淫乱に身をやつすジャンヌ達は、完全にフランスを掌握した状態で特異点の問題を解決しに来たカルデアのマスターたちとの戦いに臨むこととなった。

 その後の結果は周知の通りだ。淫欲に耽っていた兵たちを破られ、隠し玉であったファヴニールを撃破された後にサーヴァント同士の戦いに敗北。互いに殺し合ってソロモンの下へと戻ろうとするも、それも反乱軍の指揮官であるジル・ド・レェの捨て身の献身で防がれ、カルデアに身柄を拘束される事となった。

 

 ジャンヌ・オルタと並んでソロモン側での霊基再臨が確認された最初の女英霊である。

 

 

――当時のジャンヌ・ダルクのコメント

 

「フランスとイングランドの皆さん……もう、無駄な争いは終わりました。これからは絶対なる神であるソロモン様を崇拝し、その御心に従う日々を送るのです……!」

 

「……ソロモン様の作り出した規律に逆らう者は神に逆らうと同義。ソロモン様の御心をお伝えする者として、我々が直々に処罰を行いましょう……! 生まれたことを後悔する程の苦しみの中、じわじわと痛ぶり続けて差し上げましょう……」

 

「……規律をしっかりと守る者には、我々は褒美を与えます……♡♡♡ 我々の体……おっぱい、おまんこ、お尻……ぜーんぶ使って、気持ち良くして差し上げますね……♡♡♡」

 

 

絆レベル 1

 

 フランスでの激闘を経て再びカルデアに帰還し、ソロモンの呪縛から解き放たれた際の姿。再臨していた淫紋令呪もカルデア側の物に変化し、性格も本来の穏やかかつ静粛なものに戻っている。

 

 生前の処刑前に受けた凌辱の記憶を蘇らせ、トラウマを突くという非道な行為を行ったとはいえ、正気を取り戻してくれたマスターには感謝している様子。ぎこちなさを残しながらも彼とのセックスにも乗り気であり、チームAの結成には諸手を挙げて賛成していた。

 

 やはりというべきか、上記の生前のレイプを受けた記憶からそういった類のプレイは苦手……かと思われていたが、案外順応してしまっている。そこに愛があれば耐えられたりする模様。壁尻プレイや浣腸でも快感を感じられる様になってしまっている。流石性女。

 

 妹ともいえるもう一人の自分、ジャンヌ・オルタとの関係性は非常に良好。というより、それぞれ趣の違うくっころちょろインとしてカルデアメンバーに認識されている。性感帯も同じではあるが、今後の開発行為によって差異が出て来る可能性もある。

 

 

――当時のジャンヌ・ダルクのコメント

 

「あの……ご迷惑をおかけしました。ルーラー、ジャンヌ・ダルク、ただいまを以ってカルデアに帰還致しました」

 

「……過去のトラウマを穿り返したことをそんなに謝らないで下さい。元々は私たちが狂ったことが原因、愛する母国を滅ぼす結果にならなかったことを感謝しているくらいですから」

 

「あ……♡♡♡ 勿論、これから先にあなたに抱かれることを拒むつもりはありません。オルタ共々、可愛がって下さいね……♡♡♡」

 

 

絆レベル 2

 

 チームAの結成、それからの性交を経て、他のメンバー共々淫紋令呪の第一再臨を迎えたジャンヌ。かつての霊基を成長させ、新スキルも入手して順当に強化された彼女は、第二特異点であるローマに到着、そこで過去の自分(?)ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィと再会する。

 男性へのトラウマを抱えてしまった彼女を慰め、精神のケアを行う傍ら、特異点の解決を目指す彼女は、戦いにも大きく貢献し、無事に取り返した英霊たちとカルデアに帰還した。

 

 ジャンヌ・リリィも無事にトラウマを克服し、マスターに抱かれる様になった。三人のジャンヌが揃ったことでプレイに幅が出たことも喜ぶべき点ではあるが、それ以上にコンプリート特典(??)でキャスターのジル・ド・レェが復帰したこともカルデアにとっていいニュースである。

 彼の手で生み出された海魔は戦闘でもヌルヌル触手プレイでも役に立つ様で、早速他の姉妹たちと共謀してマスターに楽しんで貰った模様。もはや聖女としての慎みは何処に行ったというレベルである。

 

 基本的には、彼女が性行為を進んで受け入れることは喜ばしい。今後も精神と肉体の開発を進め、より性行為を望む様になって欲しいものである。

 

―――当時のジャンヌ・ダルクのコメント

 

「壁尻、浣腸、集団乱交……おまけに自分自身たちと一緒に抱かれるなんて、どこまで罪深いことなのでしょう……♡♡♡ でも、それを悦んでしまっているのですから、あなたを責められるわけもありませんね♡」

 

「私もオルタもリリィも、皆あなたに抱かれることを楽しみにしています。ローマの時のみたいに柔らかい躰で包み込んで、布団になってあげましょうか……♡♡♡」

 

「……さあ、次は何を教えて下さるのでしょうか? 新しい快感を共に味わいましょう、マスター♡♡♡」

 

 

霊基番号008 ジャンヌ・ダルク・オルタナティブ(アヴェンジャー)

最大性感帯 膣

第三再臨淫紋令呪発現個所 背中

 

 

絆レベル -1

 

 ジャンヌ同様、ソロモンの手で淫紋令呪を刻まれて快楽に屈した状態。精神は完全にソロモンに掌握され、彼の意のままの存在となってしまった。

 強力な英霊として目をつけられていた彼女ももう一人の自分と同様に執拗な調教を経て、肉欲に支配される敏感な体に開発されてしまい、そこからさらに心を揺さぶる快楽拷問を受けて陥落、ソロモンの性奴隷と化した。

 

 戦闘能力としては、ジャンヌとは対照的に攻撃力に特化した強化を施されている。自分の強みを更に鍛え上げたことによって、彼女の操る黒炎は、脅威的な威力を誇る様になった。だが、ソロモンに与する他の英霊と同じく性格の慢心が目立ち、判断力や思考に問題がある。

 乳房、尻、そして性器、その全てを開発された結果、忌避していた男たちからの輪姦行為も喜んで受け入れる様になった。かつての記憶を有してはいるものの、ソロモンに与えられる快楽を前にその思いも薄れている模様。

 

 竜を模した淫らな鎧に身を包み、フランスに進撃して母国をソロモンに捧げるべく戦いに身を投じる彼女の瞳には、快楽と肉欲に彩られた情欲の炎が燃えているのであった。

 

 

―――当時のジャンヌ・ダルク・オルタナティブのコメント

 

「ああ……♡♡♡ 快楽! 絶頂! 私の憎しみを掻き消す程の幸福が、こんな近くにあったなんて!」

 

「ちんぽっ♡ ちんぽっ♡ ちんぽっ♡ ソロモン様の仰せのまま、私は男たちに股を開きますっ♡ どうぞスケベ性女の肢体をお好きにご活用くださいっ♡♡♡」

 

「ソロモン様の為なら母国など――私を売った国など、喜んで捧げますっ♡ 世界の未来は、ソロモン様の物ですっ♡♡♡」

 

 

 

絆レベル -2

 

 快楽に屈した後、更に調教を受けたことでより深みに嵌ったジャンヌ・オルタ。淫紋令呪も竜の姿を模したものに変化し、更に強力な力を秘める様になった。

 

 性格の残忍さは変わらず、フランスで二面生活を送ることを楽しんでいる模様。人を騙し、逆らう者を処刑し、ソロモンに捧げるための国づくりを懸命に行う彼女は、ジル・ド・レェやアーラシュ率いる軍隊と戦い続けていたが、そこにカルデアのマスターたちが現れる。

 ソロモンの目的の為、彼らと戦闘を行うジャンヌ・オルタたちであったが、反乱軍の決死の抵抗とアーラシュの捨て身の攻撃によって戦況を覆され、最終決戦も迷いを振り切ってカルデアのマスターに味方したアルトリアの力もあり、敗北。身柄を拘束され、カルデアに移送されることとなった。

 

 非常に嗜虐的な態度をとってはいるものの、その本質はマゾヒストであり、どちらかと言えば責められることを好んでいる。本人はその性癖に気が付いていないが、責められている時の表情は非常にそそる。

 

 カルデアに身柄を拘束された後、カルデアのマスターの手で精神を開放されて正気を取り戻し、奪還された。

 

 

―――当時のジャンヌ・ダルク・オルタナティブのコメント

 

「戦災孤児、兵士、外交官……男とは、本当に愚かなものですね。ちょっと体を差し出してやれば涎を垂らして、すぐに言いなりになって……♡♡♡ 本当に、馬鹿な人たち……♡♡♡」

 

「この国はソロモン様の物……♡♡♡ 一日も早く、愚かな民衆をソロモンの僕とするべく、努力致します♡」

 

「元マスター……♡♡♡ それを邪魔すると言うのなら、容赦は致しません。情け容赦なく、焼き殺して差し上げましょう!」

 

 

 

絆レベル 1

 

 カルデアに帰還し、本来の自分自身を取り戻した姿。若干傷ついてはいるものの、過去の事をある程度は割り切って考えている模様。もう一人の自分ことジャンヌとの関係性も良好であり、二人揃ってカルデアのマスターのサーヴァントになった。

 

 所謂ツンデレチョロインである彼女だが、自分のことを棚に上げて男性経験の少ないエリザベートを揶揄ったりして楽しんでいる。だがしかし、その後しっかりとマスターからお仕置きをされる辺りは流石彼女と言うべきだろう。

 大人数でのプレイよりも一対一でマスターに抱かれることを望む傾向がある。素直になれないが実は甘えたがりの彼女の気持ちを汲み取ることの出来るマスターにはしっかりと信頼の感情を抱いているようだ。

 

 上述の通り、性癖としてはMでじっくりねっとり責められることが好き。逆に責めることも好きだが、簡単に逆転されてしまう。(でもそれも好きらしい)

 

―――ジャンヌ・ダルク・オルタナティブのコメント

 

「はぁ……ホント、迷惑かけたわね。色々と言いたいことはあるけど、まずは謝罪させて貰うわ。それと……助けてくれて、ありがとう」

 

「ま、まあ、こうなった以上はアンタとセックスするのは避けられないみたいですし? またソロモンの物になるのも嫌だから、しょうがな~く貴方に抱かれてあげますよ!」

 

「い、一応言っておきますけど……や、優しくしなさいよ! ちょっと! 何笑ってんのよ!?」

 

 

 

絆レベル 2

 

 カルデアのマスターとセックスをこなし、大分新たな生活にも慣れてきた様子のジャンヌ・オルタ。チームAの結成時もわりと乗り気であり、ジャンヌの痴態を見て楽しんでもいる。

 だがしかし、やっぱり押しに弱く、責められるとちょろい為、自分が痴態を晒す事も多い模様。その場の雰囲気によっては全身弱点レベルの敏感さを誇ることになるそう。

 気の強い彼女が無様にアヘる姿はマスターの男の興奮を煽る事間違いなし。カルデアのマスターも例に漏れず、Mな彼女の痴態を存分に楽しんでいる。

 

 ジャンヌ・ダルク、ジャンヌ・ダルク・オルタナティブ、ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィと三名のジャンヌが揃った事で姉妹丼を楽しむことも出来る様になった。三人揃っての肉布団やジルの協力を受けての触手プレイなど、性知識をつけて数々の変態行為に手を染める彼女は、今や完璧に性女と呼ぶべき存在となった。姉妹たちに先んじて第二再臨も済ませ、一歩リードしている。

 

 しかし、僅かに心の底にある『ソロモンの性奴隷であった』過去は、未だに彼女の心を縛っている様子が見受けられる。何かしらの対策を用いて、完全なる解放を施すことが彼女の心を救うことになるだろう。

 

―――ジャンヌ・ダルク・オルタナティブのコメント

 

「何よ? 聖女様とチビ聖女と一緒に私を抱いてみたいの? 別に良いけど、三人同時に抱くだなんてアンタも強欲ねぇ」

 

「……別に怒ってなんか無いわよ、少し考え事をしてただけ。淫紋令呪も再臨が進んで順調でしょう? 何を気にする必要があるの?」

 

「……まったく、妙な所で鋭いんだから……! でも、こんな願いを口にして、引かれるのも嫌だし……」

 

 

絆レベル 3

 

 ジャンヌ・オルタが感じていたソロモンへの怖れと彼の雌奴隷だった過去への後悔、それを忘れさせるため、カルデアのマスターは驚きの手段に打って出る。それは、彼女を自分の雌奴隷に堕とすことであった。

 それはジャンヌ・オルタ自身が口にした望みから天啓を得た方法であり、彼女の望みを叶えるべく準備を進めた彼は、雌奴隷製造用の攻防をキャスターのサーヴァントの力を借りて作り上げてしまう。そして、初めて作り出される雌奴隷一号として、ジャンヌ・オルタが選ばれた。

 ジャンヌ・オルタに徹底的な調教を施して雌奴隷に堕ちることを承諾させ、そこから一週間の調教期間に入ったカルデアのマスターは、全身の感覚の鋭敏化と意識の変革を見事に完了させた。そして、彼女の淫紋令呪に新たな再臨である『隷基再臨』を行わせるに至ったのである。

 

 隷基再臨とは、サーヴァントの霊基を性行為に特化した物に変化させる再臨のことであり、今回初めて確認された事象である。戦闘用の使い魔であるサーヴァントから戦闘能力を取り上げることは普通に考えれば何のメリットも無い行為であり、その存在そのものを否定する行為でもあるこの再臨は、淫紋令呪という特殊な魔術が生まれたことによるある種のイレギュラーな物であると言えるだろう。

 

 クラス『雌奴隷(スレイヴ)』というエクストラクラスを誕生させ、性奉仕以外の何も出来ない存在に堕とされることによって、ジャンヌ・オルタはソロモンのでは無く、カルデアのマスターの性奴隷であるという意識を心の奥底にまで刻み込んだ。彼女の怖れは、こうして消え去ったのである。

 

 自分が堕ち切った一瞬、最高に淫らで美しい瞬間を切り取られ、彫像とされたジャンヌ・オルタは、彼の作り上げた初の雌奴隷であり、芸術品となった自分を誇りに思っている。自分自身の存在を以って、新たなる可能性を生み出すことに成功したジャンヌ・オルタは、サーヴァントとしても性奴隷としても、より一層深い忠誠と愛情をマスターに誓う事だろう。

 

―――ジャンヌ・ダルク・オルタナティブのコメント

 

「あぁ、私のご主人様……♡♡♡ あなたの雌奴隷になれて、私はとても幸福よ……♡♡♡」

 

「本当に淫らでいやらしい彫像……♡♡♡ この作品のモデルになって、あなたに作り上げて頂いた悦びは、一生涯忘れることはないわ♡ ありがとう、ご主人様♡♡♡」

 

「この躰は、髪の毛一本、爪の一枚まであなたの物♡ 雌穴の肉襞一枚に至るまで、あなたへの想いで出来ているの……♡♡♡ あなたにご奉仕することが生き甲斐の淫乱サーヴァントをこれからもたっぷり可愛がってよね……♡♡♡」

 

 

 

霊基番号 009 ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ(ランサー)

 

 

絆レベル -1

 

 堕ちている、というよりかは精神錯乱に近い状態。男性への恐怖心のせいで懐いていたカルデアのマスターにも拒否反応が出てしまう様になっている。

 成長した彼女自身とは違い、決して強力な英霊とは呼べない彼女は、ソロモンの手で神腕たちの中に埋め込まれ、支援用の兵器として活用されていた。二穴にサーヴァント強化用の旗を挿入され、人とも思えない扱いを受けていたのである。上記の男性恐怖症はそれが原因。

 ローマに淫乱組の支援兵器として持ち込まれ、その能力で彼女たちを強化。戦いを有利に運ばせる要因となっていたが、秘密兵器である彼女の存在を早くに露見させてしまったため、カルデアのマスターたちもそれへの考察を早くに練ることに成功、中にサーヴァントが居ることまで突き止められてしまい、奪還の対象となる。

 その後の淫乱組本拠地突入作戦にて、スパルタクスと共に基地内に突入したマスターによって救出され、無事にカルデアへの帰還を果たした。

 

―――当時のジャンヌ・リリィのコメント

 

「あぅ……トナカイさん……あなたのことを嫌いなわけじゃ無いんです。でも、怖いんです……! 男の人が怖くて仕方が無いんです……」

 

「大好きなんですよ? ぎゅっ、てして欲しいんですよ? でも、体が震えて、涙が出て、トナカイさんを見てられないんです……」

 

「ごめんなさい……。こんな私を嫌いにならないで……! お願いだから、嫌わないで下さい……!」

 

 

絆レベル 1

 

 ソロモンから受けた仕打ちによって男性恐怖症を患ってしまったリリィであったが、成長した彼女たちの支えやナイチンゲールの的確なメンタルケア、更にはマスターとの接触を経て、無事にそれを克服し、本来の無邪気な笑顔を見せる様になった。子供である彼女が明るい表情を見せる様になったことを他のサーヴァントたちも喜ばしく思っている模様。

 

 成長した彼女同様、若干ポンコツな部分はあるものの、それも可愛らしく見える。というより、それも彼女たちの魅力なのだろう。また、ツンデレなオルタと違い、マスターへの好意を隠さずに表現出来るのも子供ならではの強みである。

 

 アルトリア・リリィと違って逆説的に生まれた存在である為、彼女を開発しても未来の彼女自身に影響があるかは微妙な所。しかし、幼い少女を開発する行為は、形容し難い背徳感に彩られた興奮がある。恥ずかしがり屋ではあるが、マスターに従順な彼女の成長ぶりに期待したい。

 

―――ジャンヌ・リリィのコメント

 

「はぅ……♡ トナカイさんの体、温かいです……♡ また、こうすることが出来て、良かった……♡」

 

「トナカイさんも私の温もりを感じてくれてますか? トナカイさんのおちんぽは、私の中でビクビクしてて気持ち良さそうですよ……♡」

 

「成長した私には負けちゃうかもしれないけど、私の体だって十分気持ち良いでしょう? 沢山気持ち良くなってくださいね、トナカイさん……♡」

 

 

霊基番号 010 モードレッド(セイバー)

最大性感帯 膣

第三再臨淫紋令呪発現個所 舌

 

絆レベル -1

 

 類稀なる魔力放出の才能からソロモンに苗床としての才能を見出され、魔獣たちの繁殖器官と化してしまったモードレッドは、魔力を失う度に父親であるアルトリアに殺害され、その都度再召喚されては再び苗床としての仕事に戻るというあまりにも悲惨な日々を送っていた。その結果、彼女の霊基は苗床として相応しい物に変化し、戦闘能力を失ってしまったのである。

 

 第二の特異点であるローマに淫乱組の数の不利を補う為の生殖器官として投入され、限界まで魔獣を繁殖させられた彼女は、ついに力尽きて苗床としての使命すらも果たせなくなってしまう。見切りをつけられたモードレッドがソロモンの元に戻れば、間違いなく彼女は雌奴隷たちの最下層、『便所』に送られていただろう。

 そうならなかったのは単に幸運だったからに過ぎない。ギリギリの所でマスターに救助され、淫乱組の本拠地から脱したことで最悪の事態は免れたのである。しかし、自身の戦闘能力が消え去ったことにショックを受け、更に反抗すれば殺される毎日を送ったことで精神的に卑屈になってしまい、かつての気の強さは完全に消え失せてしまっている。

 

―――当時のモードレッドのコメント

 

「なんだよ、これ……? オレ、こんなに弱くなっちまったのかよ……? こんなの、便所になってた方がマシじゃねえか……! こんな惨めな思いするくらいだったら、そっちの方が……くぅっ!」

 

「あ……! わ、悪かったよ、せっかく助けて貰ったのに、こんなこと言って……! ご、ごめんなさい! ごめんなさい!」

 

「何でも言うこと聞く! 逆らったりしない! だ、だから……オレのこと、可愛がってくれ……! 何にも出来ないけど、それ位はするから! だから、酷いことしないで……!」

 

 

絆レベル 1

 

 ローマにて、自分の現状に愕然とし、自暴自棄になっていたモードレッドであったが、ランサーのアルトリアとマスターの献身を受け、自分を見捨てないでいてくれる二人の行為に希望を見出したことによって徐々に精神的な立ち直りを見せる様になった。淫紋令呪の書き換えを行ったマスターからの魔力供給を受けることでで自身の力が戻ることを知ったことで更に前向きになった模様。

 IFの存在ではあるものの、生前の主君であるアルトリアと共に抱かれ、彼女の痴態を見たことで色々と吹っ切れ、自分もマスターに抱かれることを拒否する感情は無くなっている。前述の通り、彼に抱かれれば抱かれるほど力が戻る上に快楽も得られるのだから拒む必要はないとのこと。

 

 女扱いを嫌う彼女ではあるが、ソロモンの下では苗床としての扱いしか受けていなかったため、女性の幸せともいえるセックスの快感をあまり与えては貰えなかった。カルデアのマスターの手でそれを教え込まれ、蕩けさられたことで、すっかりその快感に夢中になってしまっており、セックスに関しては結構積極的な姿を見せる。

 

 まだ霊基が育っていない為、マスターも彼女とのセックスでは手加減をしている模様。彼女の力が戻れば本来の性交を行うことも可能だろう。そうなれば、モードレッドもまた、さらなる快感を味わうことで彼への愛情を強めることになると予想される。

 

―――モードレッドのコメント

 

「へへっ! 完全復活には程遠いが、ちったあマシになったぜ! この調子で前よりも強くなってやるから見てろよな!」

 

「……ま、マスターにも感謝してるぜ。こっからの強化にもお前の力が必要だし、よ、よろしくってことで!」

 

「ああ、クソっ……! コイツに抱かれんの嫌じゃ無いって考えてる自分が少し妬ましい……! でも、抗いきれないんだよな……♡」

 

 

 

絆レベル 2

 

 ローマでの戦いを終え、カルデアに帰還したモードレッドは、次の出撃までにある程度の力を取り戻すべく積極的にマスターとの性交に臨む。アルトリア、マシュの円卓チームや牛若丸と組んでのチームDなど、かつての彼女からは考えられない様相で女性として彼に抱かれ続けた。

 本人は力を取り戻す為と言っているが、本心では愛され、必要とされる快感に病みつきになっており、それを味わいたいという欲望のまま行動していると思われる。また『大切に虐められる』という一見して相反する被虐的な行為に最大の快楽を見出しており、その性癖を刺激されることで快感の言いなりになってしまう。

 

 強気な彼女を快楽で屈服させ、従順に仕立て上げるまでの過程を楽しむ……少しずつ快楽に染まり、開発されていく心と体は彼女の霊基に更なる変化をもたらすのだが、それはもう少しだけ先の話である。

 

―――モードレッドのコメント

 

「あぁ? なんだよ……? オレのこと抱きたいのか? しょうがねえなぁ……♡」

 

「へへっ! いつかはマスターをひぃひぃ言わせてやるんだからな! そん時を首を洗って待っとけよ!」

 

「んんっ♡ だ、だからぁっ♡ 今、ここで喘がされるのもそのために必要なことだからっ♡ し、仕方が無いんだっ♡ だからっ♡ 好きにオレを虐めてくれぇっっ♡♡♡」

 

 

 

絆レベル 3

 

 セックスに慣れ、マスターに虐められることにも悦びを見出せるようになったモードレッド。失った力を取り戻すべく、前向きに訓練やら魔力供給(と銘打ったセックス)に勤しむ彼女からは以前の暗さは感じられず、ほぼほぼ立ち直ったと言っても構わないであろう。

 しかして、未だに僅かに残っていた恐怖心から自身の不調を仲間に告げられずにいたが、マスターや仲間たちの温かな心遣いによってそれすらも払拭し、完璧なる立ち直りを見せた。

 

 『魔力操作』のスキルによって、一時的に全盛期の力を取り戻すことが出来るようになったことで、彼女も十二分に戦力として戦列に組み込めるようになり、切り札としての活躍が期待出来る。これからの強化にもよるが、まだまだ強くなる余地を残している彼女がどこまで成長するのかは非常に楽しみだ。

 また、性的な面での成長も期待出来るものであり、Mとしての感性を伸ばしつつ、ランサーのアルトリアに倣った豊満な肉体へと霊基を変化させることも可能になっている。

 少女のような愛らしい体付きと成熟した豊かな女体、その二つの肉体を使い分けられるのは、今の所彼女だけの強みだろう。

 

 大事にされながら、しっかりと虐められる……己が知らぬ未知の快楽を味合わせてくれるマスターに尻尾を振り、モードレッドはまた彼に喘がされるのであった。

 

 

 

――モードレッドのコメント

 

「べ~~……どうだ? オレだって淫紋令呪の第三再臨を迎えたぜ! 父上やマシュにだって負けてらんないからな! これからももっとオレを頼れよ!!」

 

「……え? マスターに向かって舌を出すなんてイケない犬だって? ちょ!? それはお前が再臨した淫紋令呪を見せろって言ったからで、不可抗力って奴じゃねえのかよ!?」

 

「んあっ♡ んっ♡ ね、ねちっこい指使い、すんなよぉ……♡ わ、わかったぁ♡ もう言い訳しないからぁ♡ オレの媚び売りまんこ、好きにしていいからぁ♡♡♡ へこへこ腰振っちまってるエロ雌犬に、いっぱいおしおきしてくれぇ♡♡♡ オレのこと、気持ち良くしてくれよ、マスターぁ……♡♡♡」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデア裏マテリアル NO.3





霊基番号 011 牛若丸(ライダー)

 

絆レベル -1(堕ちている状態)

 

 カルデアを裏切り、ソロモンの忠実なる雌犬と化した状態の牛若丸。思考回路が狂い気味ではあるものの、主であるソロモンへの忠誠心は絶対的なものになっている。

 

 「雌犬」の名を与えられ、他にも雌畜生の名を冠された沖田総司、源頼光、清姫らと共に『淫乱組』としてローマにてカルデア一行の前に立ち塞がり、その戦闘能力と冷酷無比な残虐さで一同を恐怖させた。

 しかし、ソロモンのお遊びによって、『完全にランダムなタイミングで自我を取り戻す』という趣味の悪い催眠を施されていたことが仇となり、その後の淫乱組拠点強襲作戦においてカルデア側に奪還、その身を捕縛されることとなる。

 

 ソロモンの城に居た頃は雌犬の名の通りに四つん這いで行動し、狼男や犬型魔獣との獣姦を命じられていた。

 数々の獣たちと狂った情事に勤しむ淫乱組の面々を見ながら酒を飲むというのがソロモンを始めとする男たちの楽しみの一つであった模様。たとえその最中に彼女たちが魔獣に食い殺されようとも、内臓が破裂して死のうとも気にしない。ある意味では便所生活よりも悲痛な扱いであったと言えるだろう。

 

 

――当時の牛若丸のコメント

 

「わんわんわんっ♡ ソロモンさまっ♡ 城内の見回り、完了いたしましたっ♡ この雌犬、誠心誠意にソロモン様の命令を遂行いたしましたぞっ♡」

 

「えっ!? 褒美をいただけるのですか!? なんと心優しい……♡♡♡ ソロモン様は、へなちょこ野郎の元主殿とは大違いの素晴らしい殿方です♡」

 

「はいっ♡ この魔獣と交わればいいのですね? では、早速……お、おごっ!? ご、ごへっ! が、ああぁああぁあぁぁあっっ!!」

 

 

 

絆レベル 1

 

 ローマでの戦いの最中にカルデア一行に奪還され、正気を取り戻した牛若丸ではあったが、狂っていたとはいえ、自分が吐いた心無い暴言によってマスターを傷つけてしまったことで心を病み、死を望むようになってしまう。

 カルデアの面々はそんな彼女に前を向かせるため、刑罰を与えつつ、時の流れによって牛若丸の心が癒えることを待った。マスターも彼女のために懸命に動き、その姿に心打たれた彼女は、再び立ち上がることを決意する。

 

 淫乱組として活動する中で破壊してしまった町を再建し、自分に出来ることを精一杯やり続けた牛若丸は、徐々にかつての明るさを取り戻していった。

 マスターもそんな彼女の姿に安堵し、その尻に刻まれていた『雌犬』の刻印を性行為にて削除。これにて完全に牛若丸はソロモンの呪縛から解放されることとなる。

 

 そのままカルデアの戦力としてローマでの戦いに参加した彼女は、同じく淫乱組から復帰した沖田たちと共にカルデアの勝利に大きく貢献。無事に第二特異点から帰還することに成功する。

 ブレーキが壊れた忠犬は、今日も主のために一生懸命。戦いであろうと夜伽であろうと、マスターの役に立つために全力投球でことに臨む。

 

 

 

――牛若丸のコメント

 

「牛若丸、只今カルデアに帰参いたしました。重ね重ねの不忠を許し、また主殿のお傍においていただけることを深く感謝申し上げます。この恩義は、必ずや戦果でお返ししましょう!」

 

「……無論、主殿が望むのならば他の方法でも構いませんよ? 朝まで布団の中でしっぽりと……なんていうのも、乙なものでありましょう?」

 

「寝床でも戦場でも、この牛若丸はあなただけの忠犬です! もう二度と、あなたとあなたの期待を裏切らないことを誓いましょう!」

 

 

 

絆レベル 2

 

 カルデアに帰還した牛若丸は、早速他の英霊に倣って自らもチームを設立することを決めた。

 自分と同じ犬属性を感じるモードレッドに声をかけ、チームDOGを結成。マスターの寵愛を得ると共に、存分に雌犬プレイを楽しんだ模様。その際に得た『忠犬化(めすいぬか)』のスキルによって五感が鋭敏になるという成果も得られた。

 

 鋭い感覚と優れた俊敏性、天性の戦術眼を有する牛若丸は非常に頼りになる存在であり、足場の悪い海上での戦いも難なくこなす。第三特異点オケアノスでも十分な活躍を見せた彼女は、これからも数多くの戦場でその力を存分に振るってくれるだろう。

 

 なお、セックスのプレイとしては命令されるのが好きな模様。恥ずかしい命令でも大喜びで従い、淫らな芸を覚える雌犬として振舞う。モードレッド同様、これからの成長が楽しみな英霊の一人だ。

 

 

――牛若丸のコメント

 

「私とモードレッド殿、二人ならぬ二匹の雌犬たちによるチームDの奉仕はいかがですか? 楽しんでいただけたのなら幸いです!」

 

「右手を置いて、お手! お次は左手でおかわり! くるりと回って……ちんちんのポーズ♡ 主殿の命令ならば、この牛若丸、どんな格好でもしてみせましょう!」

 

「はっ♡ ご褒美ですか!? あぁ、主殿の魔羅の香しい臭いが……♡♡♡ はしたない雌犬の涎を止めてくださいませ、主殿……っ♡」

 

 

霊基番号 012 沖田総司(セイバー)

 

 

 

絆レベル -1(堕ちている状態)

 

 ソロモンに屈し、正気を失った状態の沖田。桜色の髪から『雌豚』の名を与えられ、魔猪との激しい性交に興じる姿を見世物として披露していた。

 

 性格は残忍かつ非情。更にはかつての新選組としての誇りも消え失せており、隊服の背中に刻まれた誠の文字も淫に上書きされてしまっている。

 新選組時代の仲間である土方歳三と再会してもその性格は変わらず、変わり果てたその姿は土方にいっそ殺してしまった方が彼女のためだと思わせるほど。

 

 体重が数トンはある魔猪とセックスを行わせるためか、霊基の強化は俊敏性よりも耐久性の方に振られている。既に十分な俊敏性がある彼女であるならばそれはそれで良い強化ではあるものの、それを活かす場面は訪れなかった。

 マイナススキルである『病弱』は消滅し、何時起きるともわからない吐血の問題は解消された。肉体面の強化は十分であるものの、ソロモン側の英霊たちに多く見られる慢心という精神的な問題は相変わらずである。

 

 ローマでの戦闘にて、モードレッドたちを奪還したカルデアのマスターたちに夜襲を仕掛けるもその動きを看破していた土方歳三の策によって返り討ちに遭い、スパルタクスの宝具にて戦闘不能になるまでのダメージを負ってしまう。

 清姫と頼光らと共に自害し合い、ソロモンの元に戻ろうとするも二人の裏切りに遭い、失敗。ローマに取り残され、身柄をカルデアに抑えられることになった。

 

 

――当時の沖田総司のコメント

 

「ぶひぶひ、ぶひぃ~♡♡♡ ぶぅぶぅ♡ ぶぅ~っ♡」

 

「もう沖田さんって名前は要りませんし、新選組やカルデアもどうだっていいで~す♡ 私はただの雌豚さんで、ソロモン様にお仕え出来ればそれでいいんですからね♡」

 

「ぶっひぃ~♡♡♡ 豚さんのドリルちんぽは子宮に響きますね~♡ 雌豚さんのお腹がゼリーみたいな精液でぱんっぱんになっちゃってますよ~♡ ぶひぃ♡」

 

 

絆レベル 1

 

 カルデアに身柄を拘束された沖田は、更にそこからソロモンの裏切りに遭い、抑えられていた『病弱』スキルを強化された状態で発現させられてしまう。

 事ここに至って自分が信じてはいけない人物を信じ、愚かな真似をしでかしてしまったことに気が付いた彼女は、自身に絶望しつつ、身勝手だと知りながらも「再び楽しかった日々に戻りたい」という心からの願望をマスターに吐露し、彼に縋り付いた。

 その生への執着もあってか、マスターやナイチンゲールの看護によって病状は回復。性格も温厚かつ陽気なかつての彼女のものへと戻り、雌豚としての彼女は無事に消え失せたのであった。

 

 『病弱』スキルは戻ってしまったものの、ギャグ時空のまだ笑える範囲の吐血であるためそこまで問題にはならない(戦闘中に起きてしまったら困るが)程度に収まっている。

 新選組の天才剣士の復活はカルデアにも非常に喜ばしいニュースであり、今後の活躍にも期待が持てるだろう。

 

 余談ではあるが、現状彼女はどのチームにも所属していない数少ないサーヴァントの一人である。相棒のノッブこと織田信長とチームG(ぐだぐだ)を組むつもりだと言っていたが……?

 

 

――沖田総司のコメント

 

「沖田さん、だいふっか~つ!! いや~、本当にご迷惑をお掛けしました。土方さんにもとんでもない姿を見られちゃったなぁ……新選組時代だったら、間違いなく腹を切ることを命じられてましたよ」

 

「まあ、ここからは普段の沖田さんらしく、可愛く緩~く毎日を過ごさせていただきますね! 取り合えずノッブが戻ってきたら一緒にチームGを――」

 

「――って、もう出来てるじゃないですか!? GはぐだぐだのGでしょ!? なんであのライダーさんたちに取られちゃってるんですか!? これは断固講義を、こふっ!?」(吐血により強制終了)

 

 

 

霊基番号 013 ネロ・クラウディウス(セイバー)

 

 

絆レベル -1(堕ちている状態)

 

 ソロモンの姦計に堕ちたネロは、彼からの愛だけを求める卑屈な存在へと成り下がった。そこには万人から愛される屈託のない我儘皇帝の姿はなく、ただただソロモンに媚び諂う醜い少女が居るだけだ。

 

 城内では皇帝としてのカリスマ性を買われていたのか、それなりに重要な役目を与えられていた模様。苗床であるモードレッドの管理や、英霊たちの視察を行っていたことが報告されている。

 また、肉体的にも小柄ながら豊満な所謂ロリ巨乳体系の彼女は男受けが良く、ソロモンもお気に入りの肉奴隷だったらしい。そのお陰か、彼女は他の女英霊のように非道なプレイをした記憶がないとのこと。

 

 第二特異点であるローマにて、クレオパトラを連れて逃亡していた贅肉のカエサルを追ってカルデアが拠点を構える町に襲来。存在を察知したエリザベートと戦闘を行う。

 エリザベートの霊基が育ち切っていなかったことと持ち前の戦闘能力で優位に立ち、彼女を追い詰めるも、一瞬の隙を突いて毒を喰らい、その効果をロビンフッドの宝具で爆発的に増大させられて倒された。

 

 その後、ダヴィンチちゃんの計略によりソロモンに見捨てられたと思い込まされた彼女をカルデアのマスターが籠絡することで元通りの彼女に戻った。

 

 

――当時のネロ・クラウディウスのコメント

 

「ああ、ソロモンさま……! 余は、貴方様だけのために歌います。貴方様だけのために剣を振るいます。だから、余を愛してください……!」

 

「みんな、みんなは余を裏切る……最期だってそうだった。余は、独りぼっちだった……もう、そんなのは嫌だ……」

 

「ソロモンさま、余を見捨てないで……余は、貴方様の従順な雌奴隷になりますから、だから――!!」

 

 

絆レベル 1

 

 カルデアに帰還し、元の我儘皇帝っぷりを取り戻したネロの姿。

 彼女の性格のお陰か、マスターへの裏切りをそこまで引きずることはせず、むしろこれからどう彼に尽くすかを一生懸命に考えているため、大分前向きである。

 

 手始めとしてローマで奪還されたジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィとアルテラと「可愛いは正義!」のチームCを結成。彼女たちをプロデュースしつつ、更なる奉仕の形を探ったネロは、黄金劇場の設立という結論に至る。

 

 不定期に開催され、その時は普段楽しめないシチュエーションを存分に楽しむことが出来るという性欲発散のためだけの劇場を作り上げたネロは、他のサーヴァントたちと共にマスターの性欲を完全に発散させられる舞台を作り上げた。

 祭り好きの彼女のことだ、きっとこれからも我々をあっと驚かせる催しを立ち上げてくれるだろう。

 

 

 

ネロ・クラウディウスのコメント

 

「見よ! ローマ皇帝たる余が手掛けた新生黄金劇場を! ここはそなたの欲望が全て叶えられる場所。何一つとして余らに遠慮する必要はない。その雄の滾りを解放し、好き勝手に魅力的な女子を食い散らかすと良い!」

 

「うむっ! そなたが喜んでくれると、余も嬉しいっ♡ その反応だけでも黄金劇場を設立して良かったと思えるぞ!」

 

「……ほうほう、マスターは余との契りをご所望のようだな? 正直で愛い奴め♡ ならばその願い、このネロ・クラウディウスが叶えてみせようぞ!」

 

 

霊基番号 014 アルテラ(セイバー)

 

 

絆レベル -1(堕ちている状態)

 

 破壊の化身たる自身の存在に嫌悪感を抱いていたアルテラの心の隙間に潜り込んだソロモンは、彼女を普通の少女にするという約束を取り付けることによってその支配権を得た。

 性交を経て、淫紋令呪の刻印と彼女とのマスター契約こそ取り付けたものの、性感をあまり得られなかったアルテラには彼に対する忠誠心はほぼない状況となっている。

 

 基本的な部分は本来のアルテラをベースとしており、他の女英霊たちに見られる慢心や精神の未熟化という悪影響も見受けられない。元々が強大な力を有する彼女は、淫紋令呪の効果によって更に強力な英霊へと進化している。

 

 ソロモン側の英霊としては珍しく、淫紋令呪が足を引っ張っていない強化の成功例といえる存在ではあるのだが、そんな彼女はソロモンに対する敬意を持っていないという点が何とも皮肉である。

 

 

――当時のアルテラのコメント

 

「……触れたものを全て壊し、滅ぼし、潰してしまう私が、もしも普通の少女となれるのなら……それは、素晴らしいことなのだろうか」

 

「私は……望む。私の知らないことを、知らない幸せを、体験してみたいと強く願う」

 

「だが……今の私を捨て去って、新たな私として生きることは、本当に正しいのか? 私は……どうするべきなんだろうな……?」

 

 

絆レベル 1

 

 ローマでの戦いを経て、カルデアに身柄を拘束されたアルテラは、その心の内側をマスターへと吐露し、一人の女として彼に抱かれた。その最中で愛というものを理解した彼女は、続け様にソロモンとカルデアのマスターが自分を取り合う夢を見ることとなる。

 

 過去の自分を消し去り、新たな自分を作り出すことでアルテラの望みを叶えようとするソロモンに対し、カルデアのマスターはありのままの彼女を愛し、アルテラ自身の力でしてみたいことをすることを勧め、そのために力を貸すという答えを出す。

 彼の言葉を受け、自分の願いは自分の力で叶えるべきだと判断したアルテラはソロモンの呪縛を振り切り、カルデアへと完全に帰参することとなった。

 

 性行為にはまだ慣れておらず、たどたどしい手付きではあるもののそれが逆に良いという意見も見受けられる。同じ様にまだセックスに慣れていないジャンヌ・リリィと共にネロに教えを乞う毎日を送る彼女の姿は、何処か楽し気にも見えるだろう。

 少なくとも、自身の陰に囚われて鬱々とした表情を浮かべていたかつての彼女と比べれば、その明るさが顕著に出るはずである。

 

 

 

――アルテラのコメント

 

「私は、破壊の化身だ。しかし、だからと言って何も叶えられない訳ではない。お前たちが手を貸してくれるのなら、少しは普通に近い人生を送ることも出来るだろう」

 

「自分の望みは、自分の手で叶える……こんな単純なことを見失っていただなんて、私もまだまだ弱いな」

 

「マスター、お前に心の底からの感謝を送ろう。そして、私の力も貸す。共に未来を歩むために、な……」

 

 

 

絆レベル 2

 

 マスターとの性交で味わった愛の甘美さに心をときめかせたアルテラは、徐々にその温もりを確かなものへと昇華させていった。

 彼への愛は、破壊しか知らぬ寂しい少女の心に鮮やかな愛の花の種を植え付けたのである。

 

 そして、ついにアルテラはマスターへとその思いを告げ、全てが終わった時に彼の子を宿すことを強く望んだ。マスターもまたその願いを承諾し、彼女と彼女の子供との温かな未来に思いを馳せる。

 例えその言葉がセックス中のリップサービスだとしても、アルテラが味わった幸福は消えはしない。いつの日か、夢見た幻想が現実のものとなるその日まで、彼女は愛する人をその力で守り続けるのだろう。

 

 『天性の肉体』スキル持ちである彼女の体は決して崩れたりはせず、美しい肉体美を維持し続ける。

 胸も尻も豊満にはなっていないが、どこか柔らかい女性的な雰囲気を帯びるようになったとはカルデアのとある男性職員の言である。

 

 

――アルテラのコメント

 

「マスター……いや、あなた……♡ 口約束だとしても、私の思いは変わらない。いつか、全ての戦いが終わったその時に、お前の子をこの胎に宿す。私はそう決めた。そう望んでいる」

 

「夫婦……というのになりたい訳ではない。お前を独占することは許されないことだからな。ただ、お前がくれる温かな何かを私に感じさせ続けてくれればそれでいいんだ……♡」

 

「……ふむ、一人の男性に対して複数の女性が群がることをハーレムというのか? なら、ハーレムは良い文明だな」

 

 

 

霊基番号 015 アン・ボニー&メアリー・リード(ライダー)

 

 

絆レベル -1(堕ちている状態)

 

 ソロモンの魔術と催眠、苛烈な快楽拷問によって精神を摩耗させられ、堕ちた二人の姿。

 肉付きの良いアンは徹底的に男たちに嬲られ、快楽によって心をへし折られてしまった。その結果、ソロモンや男たちへの服従を第一とする肉便器海賊へと成り下がったのである。

 

 そんな彼女は相棒であるメアリーに対し、かつての優しさを見せることはしなくなった。

 なぜなら、幼児体形であるメアリーは一部のマニアックな嗜好を持つ男以外に好まれるような女性ではない上に、彼女の顔や体には醜い刀傷が残されているからだ。

 男たちを楽しませることを最上の目的とするアンは、雌らしさも可愛らしさもないメアリーに対して侮蔑の感情を抱き、男たちを楽しませるためならば手段を選ぶなとキツく言い聞かせるようになる。

 変わり果てた相棒の姿に絶望し、精神を破壊されたメアリーもまた肉便器海賊へと身を落とし、アンに言われるがまま男たちを楽しませるための肉人形へと化してしまったのであった。

 

 

――当時のアン・ボニー&メアリー・リードのコメント

 

「ああ、使えないメアリー……何であなたの体はそんなに貧相で、しかも醜いんですの? ソロモン様の配下にはあなたより美しく愛らしい女性は数多くいるというのに、なぜあなたみたいな大外れが私の相棒なんですかね……?」

 

「……ごめん、アン。ボク、なんでもするから……ソロモン様や男の人たちを楽しませるためなら、どんなことだってする肉便器になるから……!」

 

「当然ですわ。それしか能のないクソザコメアリーは、どんなプレイだって嫌がらずに受け入れるんですよ? じゃなきゃ、本当に存在価値がなくなってしまいますからね」

 

 

 

絆レベル 1

 

 

 ソロモン海賊団としてオケアノスに襲来してから暫く経ったある日、アンはとある夢を見る。それは、相棒であるメアリーがソロモンによって徐々に壊され、自我のない性処理道具へと成り果てるまでの日々であり、あまりにも絶望的な悪夢であった。

 四肢を失い、自由を失い、自我すらも失ったメアリーの姿を見せられたアンは、その痛ましさからついに正気を取り戻す。そして、この夢を現実にしてなるものかとばかりに行動を開始し、アタランテと組んでメアリーをカルデアのマスターの元へと送り届けることに成功した。

 

 未だに傷心から立ち直れず、カルデアのマスターを舐め腐っていたメアリーであったが、彼とのセックスを経験することで態度が一変。海賊団はおろか、ソロモンすらも凌駕する性技と肉棒を有する彼に敗北を認め、彼の肉奴隷になろうとする。

 しかし、そこでマスターに投げかけられた言葉からアンへの感情を蘇らせ、再び彼女と両翼を揃えるために、アンを救出する戦いに臨むことを決心する。 その横顔には、もはや男たちに媚び諂っていた弱々しさは無く、数多の修羅場を潜り抜けてきた女海賊のそれへと変化していた。

 

 その後、淫紋令呪を介しての通信を行うことで互いの情報を共有し続けた二人は、その後の最終決戦にも大きく貢献。クロエ、イリヤ、アイリの奪還と女神三姉妹の救出の立役者となった。

 

 セックスにおいては、説明不要のデカさを持つアンがボニー♡ とマスターを魅了し、言葉に出来ない魅力と愛らしさを持つメアリーがリード♡ とばかりに挑発的な態度を取ることによって、無敵のコンビネーションを見せる。

 

 

 

――アン・ボニー&メアリー・リードのコメント

 

「マスター、ボクたちのことを助けてくれてありがとう。裏切っちゃったお詫びは、戦いとセックスで返させてもらうね」

 

「私のむっちむちの体とメアリーのすべすべの体……マスターはどっちの方がお好みなんでしょうかね?」

 

「ふふ……っ♡ マスターなら、ボクたち二人を同時に相手するのも余裕だよね? 戦いの勝者として、戦利品であるボクたちのことを好きにしていいよ……♡」

 

 

 

絆レベル 2

 

 カルデアに帰還してからもアンとメアリーの奔放な行動は止まることを知らない。

 仲良しコンビである二人だが、決していつも協力し合うという訳でもなく、時にはマスターを巡って争うこともある模様。

 と言っても、血みどろの争奪戦というよりかは、どちらがマスターを楽しませることが出来るかというお遊びに近い勝負である。

 

 アンは大人の女性としての魅力を前面に押し出した正統派チームである『チームEros』を結成。対して、メアリーはクロエと共に少女でありながら蠱惑的な雰囲気を有するというギャップ受けと邪道ともいえるプレイでマスターの興奮を誘う『チームFragrance』で迎え撃つ。

 この勝負はどちらかに軍配が上がるということはなかったが、双方の趣向を凝らしたセックスにはマスターも大満足した様子。

 

 性に開放的であり、マスターへの好意を隠そうともしない二人はこれからも彼を翻弄し続けるだろう。両翼の揃った女海賊たちを止めることはそうそう簡単ではないのだ。

 

 

 

――アン・ボニー&メアリー・リードのコメント

 

「ふふふ……♡ 大きなおっぱいとむちむちのお尻……♡ 大人の女性の体は、幾ら味わっても飽きが来ませんわよね、マスター? 喉が渇いた時に麦酒を飲むように、迷った時は私たちを呼べば間違いはありませんわ♡」

 

「王道もいいけどさ……たまには一風変わった趣向で楽しむのも悪くないよね? 航路から外れた海域にお宝が眠ってるみたいに、ボクたちを選べば深い充足感を味わえるよ、マスター……♡」

 

「いっそのこと、二組同時にお楽しみといきます? マスターならそれも不可能ではなさそうですし……なにより、私たちが興味津々ですから♡」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦いの始まり (マシュ)

 廃墟の中で俺は目覚めた。

 その廃墟がほんの少し前まで自分たちが暮らし、作戦の拠点としていた場所……カルデアだったことを思い出したのは少し後だった。

 

 俺たちは人理焼却を防ぐ為に戦い続けてきた。いくつもの時代を巡り、その時代を修正し、世界に異変をもたらしてきた聖杯を回収するのが俺の……俺たちの目的だった。

 

 「サーヴァント」と呼ばれる仲間たちと戦いを続け、あともう少しですべてが終わると思われたその時、異変はやって来た。

 

 空に輝く光の輪、それがカルデアの上空に現れ、そこから次々と敵が襲い掛かって来たのだ。

 それを行ったのは世界の崩壊を目論む黒幕、グランドキャスター「ソロモン」だった。

 

 俺たちは必死に戦った。全力をもって抵抗し、敵を打ち破ろうとした。

 だが、戦力差は圧倒的だった。ほどなくしてカルデアは破壊され、英霊たちも次々に捕らえられ、消滅していった。

 

 残されたのは廃墟と化したこの建物と一握りの人間だけ……俺たちは、敗北したのだ。

 

「良かった! 生きていたんだね!」

 

 つい先ほど起こった事を思い返していた俺の肩を誰かがつかむ。振り返ってみればそこにいたのは、ボロボロになったDr.ロマンだった。

 

「良かった……君が無事で本当に……本当に良かった……!」

 

 涙を流しながら俺の事を抱きしめるロマンを見ながら俺もまたこの愛すべき上司が無事なことを喜んだ。しかし、状況は最悪に近い。

 

「ドクター、現在の状況は? 皆は無事なのか?」

 

「……最悪だよ。本当に最悪だ。君が生きていたのが唯一の朗報だと言えるくらいにね」

 

 聞き覚えのある女性の声に顔を上げれば、そこにいたのはロマンと共にカルデアの技術面を支えていた英霊、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」ちゃんだ。

 しかし、その体は実体をとどめていない。いつも通信の時に見る青い立体映像の様な姿で俺たちの前に立っている。

 

「私もあいつらにやられてこの様さ。連れていかれる前に自害して、もしもの時のためのバックアップデータを用意していたからこうやって君たちの前にいるが……私はもう、君たちと一緒に戦えそうはないよ」

 

「ダヴィンチちゃん……」

 

「カルデアの職員はほぼ全滅、施設としての機能も8割停止、極めつけは英霊もほぼ残っていない……完膚なきまでに敗れたね」

 

 自嘲気味に笑うダヴィンチちゃんと悔しそうに震えるロマン、俺もまた致命的な損害を受けたカルデアを見る。

 

「……聖杯は?」

 

「奪われたよ。もう私たちにはほとんど何も残っていない」

 

「……なら、また奪い返すだけだ!」

 

 俺はダヴィンチちゃんに対して噛みつく様にして言い返す。今まで何回も世界の危機を救ってきた。一回敗れたからと言って二度と立ち上がれない訳じゃない。

 もう一度やり直すのだ、ソロモンを倒すその時まで

 

 しかし、悲しそうに俯いたダヴィンチちゃんは本当に残念そうな声で無情な宣告をした。

 

「……無理だ。もう、戦う戦力は無い」

 

「なんで!? みんながやられてしまったとしてもまた召喚すればいい! 召喚システムが壊れているならそれを修理して……」

 

「違うんだよ……皆、いないんだ。英霊の座に、誰も居ないんだよ……」

 

「え……?」

 

「皆ソロモンに連れていかれてそのままなんだ、殺されていないから再度召喚することも出来ない。戦力の補充は出来ないんだよ……」

 

「そんな……」

 

 それは、俺たちに戦う術がないという事を示していた。ただの魔術師がサーヴァントに勝てるはずがない。

 全力と言って良い程の力で当たった戦いで敗れたと言うのに、戦う方法が無いまま再度挑んでも勝てるはずが無い。

 

 絶望が俺たちを包んだ、そしてそれに追い打ちをかける出来事がこの後すぐに起きることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……やぁ、カルデアの諸君。気分はどうかね?』

 

 カルデアのモニタールーム、運よく生き残っていた大型画面に映し出されたのは、カルデアに壊滅的被害を与えた張本人「ソロモン」だった。

 

「つい先ほど受信したメッセージだ」

 

 ロマンが俺に向かって呟く、一体ソロモンは何を考えているのだろうか?敗北した俺たちを嘲笑うためにこんな映像を送り込んでいるのだろうか?

 再びロマンが映像を再生すると、愉快そうに笑うソロモンは口を開く。

 

『君たちは我々に敗北した。それはもうわかっているだろう。完膚なきまで敗れ去り、君たちは戦う術を持たない』

 

「くっ……!」

 

 悔しさに体を震わせながら画面越しにソロモンを睨む。そんなことをしても意味がないのは分かっていたが、そうでもしないと気が狂いそうだった。

 

『……だが、君たちがこんなことで諦める者たちでは無いことも私は知っている。故に私は完璧を持って君たちを叩き潰そう。君たちの元に居た英霊たちはほぼ全て私の手に落ちた。英霊の座に戻ってないことはすでに知っているかと思うが……では、彼らは今どうしていると思う?』

 

「……どうしている、だと?」

 

 愉快そうな笑みを強めたソロモンは自分の右腕を見せる。そこには腕全体を覆いつくすほどの令呪が刻まれていた。

 

「あれは……!?」

 

 ダヴィンチちゃんが驚愕の声を上げる。びっしりとソロモンの腕を覆いつくす令呪は俺の右手に刻まれているそれとは少し違う。色が黒く、どこか禍々しく思える。

 

『怨嗟の声を上げて俺を睨んでいると思うか? お前たちを信じて屈辱に耐えていると思うか? ……違うなぁ!』

 

 ソロモンが指を鳴らすと、ゆっくりと画面が引いて行った。今までソロモンの顔だけを映していた画面がその背景を映し出すと……俺たちは驚きで息を飲んだ。

 

「み……んな……?」

 

 ソロモンの背後には彼を囲む様にして女性たちが並んでいる。そこに居るのは共に戦った英霊たちだ、彼女たちは皆薄ら笑いを浮かべて頬を紅潮させている。

 何より俺を驚かせたのは、彼女たちが誰一人残らず裸であることだった。魅力的な肢体を隠す事無く直立する彼女たちの下腹部には皆同じ模様が刻まれている。

 

 ハートマークを禍々しくした様なその模様、まるで令呪の様なそれを大事そうにさする者までいる。今まで一緒に戦ってきた仲間たちの淫らで異様なこの姿に言葉を失っている俺たちに対して、ソロモンは解説を始めた。

 

『君たちからしてみればこの映像が届いたのは襲撃を受けてすぐの事だろうが……こちらでは既に3カ月の時が経っている。それまでに君の仲間たちはすべて陥落させて貰ったよ』

 

ソロモンが手を挙げれば彼女たちは恭しく跪き忠誠の証を見せる。その光景に軽い眩暈を覚えた俺の耳にはソロモンの嘲笑う声が聞こえてきていた。

 

『洗脳、催眠、魔術……あらゆる手を使って君の仲間達には私を新たなマスターだと認めさせて貰ったよ。ここに居ない面々もそうだ。まぁ、彼女たちを見せたのは新たな私の魔術を君たちに見せたいからなんだがね』

 

 そう言いながらソロモンは自分の右腕に刻まれた令呪を見せびらかす。

 そして、自分の新たな発明であるその令呪の説明を始めた。

 

『彼女たちの下腹部……ちょうど子宮の部分に刻まれた模様には気が付いただろう? あれは令呪を改造して作り上げた新たな魔術、『淫紋令呪』だ。これを刻まれた女性は常に昂ぶり……マスターに絶対の忠誠を誓う様になるのさ! ……下種な事をと思うかね? だが、彼女たちは自らこの淫紋令呪を刻むことを選んだのだよ。英霊としての自分をかなぐり捨て、淫らで浅ましい雌として私に使えることを選んだ……そうだろう? お前たち』

 

『はい、その通りです。我々はソロモン様に目覚めさせて頂きました』

 

『どれほど英雄と祀り上げられても所詮は女……我らは皆、快楽には逆らえない淫らな雌なのです』

 

『その事を知らしめて頂いたソロモン様には、絶対の忠誠を誓います』

 

『鍛え上げた力も磨き上げた知も、この淫らな躰もすべてソロモン様に捧げます。戦いの駒として、慰み者として好きにお扱い下さい』

 

『我々はソロモン様の忠実な犬でございます』

 

「嘘だ……こんなの嘘だ……」

 

 ロマンの言葉ももっともだ、俺も信じられない。だが、奴ならこれをやりかねない。いや、実際にして見せたのだろう。

 グランドキャスター「ソロモン」……奴は、俺の仲間だった女性英霊をすべて自らの駒として、そして性奴隷としてみせたのだ。

 

 俺たちに絶望を与えたソロモンは高笑いをすると、自分の目の前に跪く女性の頭に手を乗せる。ソロモンの股間に顔を埋めて必死に奉仕するその女性の後姿を見たとき、俺たちは更なる絶望を感じた。

 

『……君たちの始末には君たちのかつての仲間を送ろう。しかし、さすがの私といえど何度もあれだけの軍勢を送るのは疲れるのでな。一人だけ……この女だけを君たちの始末に向かわせよう』

 

 その言葉と共にその女性が立ち上がるとこちらを向く、薄紫の髪、白い肌、豊満な躰……可憐な姿のその女性の顔を見たとき、俺の口からは自然の言葉が漏れていた。

 

「マシュ……っ!」

 

『先輩、ドクター、お久しぶりです……お二人からすれば、さほど時間は経っていないのでしょうが……』

 

 蕩けた顔で俺たちに挨拶をするその女性は、俺を先輩と呼び慕ってくれた最も古くからの仲間……マシュ・キリエライトだった。

 彼女もまた下腹部に淫紋令呪を刻まれている。ソロモンはマシュの豊かな胸を鷲掴みにするとまるで子犬を躾ける様にして話しかける。

 

『誰が言葉を発して良いと言った?主の命令がわからんのか?』

 

『あっ……♡ 申し訳ありません、マスター……♡』

 

 ぐにゅぐにゅと形を変える様にして揉みしだかれる胸から快楽を得るマシュは甘い声で囁く。

 彼女は椅子に座るソロモンの上へ跨ると、先ほどまで自分が咥えていた怒張に向かってゆっくりと腰を下ろしていった。

 

『あっ……♡ あーっ♡』

 

 ずぷり、と音がした気がした。深く深くマシュの膣へと怒張を突き入れると、ソロモンは令呪を見せびらかしながらマシュに命じる。

 

『マシュ・キリエライトに令呪をもって命じる。私が話を終えるまで腰を振り続けろ、そして決して達するな』

 

『あ、あぁ……あぁぁぁぁぁぁっ♡』

 

 その命令を聞いたマシュの腰が勢い良く動き始める。何度も何度も自分の尻肉をソロモンの腰へと打ち付けて快感を発するマシュの動きは一切止まるところを知らない。

 涎と涙、そして快感によって歪んだマシュの顔は淫卑さに満ちている。あの誠実で真面目な普段の彼女からはとても想像できない表情だ。

 

「ま、マシュ……」

 

 ロマンが呆然とした様子で呟く、怒るべきか、悲しむべきか、絶望するべきか……その全てを混じり合わせ、そして無気力となった声色が彼の口から溢れ出た。

 俺もそれは同じだった。幾つもの戦いを共に潜り抜けた相棒が今、敵に跨り腰を振っている。自ら体を差し出して屈服した彼女の姿など、見たくは無かった。

 

『ククク……我が奴隷が失礼をしたな、話を元に戻そう。さて、先ほども言った通り、ほどなくして君たちの元に一人のサーヴァントを送り込ませて貰う。シールダー、マシュ・キリエライト……君たちの最後を看取るのに最適な者だろう?』

 

『ひあぁぁぁっ♡ あぁっ、あぁぁぁっ♡』

 

 俺たちはその映像の何に注目すれば良いのか分からなかった。俺たちに自分の打つ次の一手を話すソロモンを見れば良いのか、それともそのソロモンに跨って腰を振り続けるマシュを見れば良いのか判断が出来なかった。

 

『あぁっ♡ すごいっ♡ きもちいいのにぃ……イケ…ないぃ……っ♡』

 

『……何度言ったらわかる? この雌犬め……主の話の邪魔をするでない』

 

『もうし……わけ、ありません、マスター……♡ でも、達せないのが、辛くってぇ……ひあぁっ!?』

 

 胸を鷲掴みにされ、一気に最奥まで怒張を突き入れられたマシュが甲高い悲鳴を上げて仰け反る。がくんと体から力が抜け、力無く項垂れながらもマシュの腰はその動きを止めないでいた。

 先ほどの令呪を使った命令がそうさせているのだろう。淫らな水音を立てながらマシュの膣に出入りするソロモンの男性器を、俺たちは悪夢でも見るかのように見つめていた。

 

『あ、あぁ……♡』

 

『……これでうるさい犬は黙ったな。話を長引かせて済まない、もうじきに終わる。……君たちがこの映像を見終わってから一時間後、私はカルデアへとマシュを送ろう。そして、彼女の手によって生き残った君たちの命は終わりを迎える……どうだ? 最高に悲劇的な結末だろう?』

 

「ぐっ……ソロモンっ!」

 

『さぁ、マシュ……お前の手でかつての同胞を殺してこい。そうすれば、お前にかけた令呪での暗示を解いてやる。待ち望んだ絶頂と快楽を何度でも味わえるぞ……!』

 

『ふっ、くぅ……♡ それは本当ですか、マスター……?』

 

『ああ、本当だとも……さぁ、この映像を見ているかつての仲間たちに最後の挨拶をするんだ、良いな?』

 

『はい……わかりました、マスター……♡』

 

 そう言ったマシュは蕩けた様な焦点の合わない目で俺たちを見る。熱に浮かされ、快楽以外の何もかもが頭から消えたであろう彼女は、幸せそうな顔をしながら口を開く。

 

『先輩……ドクター……カルデアの皆さん……私は、マスターの言いつけ通り皆さんを殺します……人理の修復も、自らの使命も投げ捨てて、私自身の快楽のために……マスターに抱いて貰うために皆さんを殺めます。どうか、私たちのために死んで下さい……では、また後で……』

 

「っっ! マシュっ!」

 

 我慢しきれず叫んだ俺を置いて、映像は途切れる。画面には徐々に減っていく時間の数値が映し出された。

 それが、カルデアにマシュがやってくるまでの……俺たちの命のタイムリミットだと言う事など、言われなくても分かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ! 畜生っ!」

 

 俺は目の前のコンソールを何度も叩いて苛立ちを紛らわせようとする。しかし、この気分が晴れる事は無かった。

 

 俺を先輩と呼び慕ってくれた後輩が、何度も危機を乗り越えてきた相棒が、誰よりも愛らしく美しい少女、マシュ・キリエライトが……敵の手に堕ち、その心と体を完全に掌握されてしまったのだ。

 いや、マシュだけではない。今まで一緒に戦ってきた仲間たちはすべて、誰一人として例外無くソロモンの傀儡に堕ちてしまったのだ……その事実は、俺を打ちのめすのには十分だった。

 

「……どうするロマン? 何か手はあるかい?」

 

「……正直、何もないと言う他ないよ。でも、諦める訳にはいかない。何とかしてこの危機を乗り越えないと……!」

 

「ドクターの言うとおりだ……! 俺たちがここで諦めたら、世界も皆もソロモンの手に落ちたままになってしまう。何とかして奴の鼻を明かしてやるんだ!」

 

「……私も諦めるつもりは無いよ。でも、戦力差は歴然だ。向こうは山ほどいる英霊たちを自由に操れる。対してこっちは手負いの科学者たちと平々凡々なマスター、おまけのサーヴァントは映像で戦えないときている……本当、絶望的だよね」

 

 ダヴィンチちゃんの考察は間違っていない。普通に考えれば俺たちが勝てる要素など一つもないのだ。

 だが、それでも諦める気にはなれない。あのソロモンの思うとおりになんてなってやるものか。

 俺が、そこまで考えた時だった。

 

「……いるぜ、こっちにもサーヴァントならよ」

 

 モニタールームに響く男の声、はっとした俺たちが部屋の入り口を見ると、そこには3人の男の姿があった。

 

「ようマスター、お互いしぶとく生き残っちまったな!」

 

「クー・フーリン! 生きてたんだ!」

 

「あたぼうよ! 生き残ることに関しては俺の右に出る奴はいねぇっての!」

 

 快活に笑う青い髪の男、アイルランドの光の御子・クーフーリンはそう言いながら俺の肩を叩く。体もボロボロで傷が幾つも出来ているというのに、彼の手は力強い。

 姿は違えど一番最初の特異点からの付き合いである彼が生き残ってくれていたことは俺にとってかなりの励ましとなった。しかも、彼は世界の3本指に入るであろう槍兵だ。戦いにおいても大きな力になってくれるだろう。

 

「……逃げ隠れが得意ってのも考え物だな。おかげでこんな絶望的状況に放り込まれちまった」

 

「でも、そのおかげでまた一緒に戦える。そうでしょ? ロビン」

 

「ま、俺もソロモンの奴に使われるよりかはましだと思うけどねぇ」

 

 そういいながら手をひらひらと振る緑の弓兵、ロビンフッドは口ぶりに反して嬉しそうだ。

 彼はいつもこうだ、一匹狼を気取りながらも仲間の事を人一倍大切に思っている。そんな彼が、敵の奴隷と化した仲間たちを見て何も思わないはずはないだろう。

 生前、たった一人で王の軍勢と戦った彼の力はこの状況では頼りになるはずだ。

 

「お前も生きててくれたんだな、スパルタクス」

 

「おおマスター! この絶望的状況をひっくり返す事こそ叛逆。我が力を存分に振るわせて貰おう!」

 

 笑みを絶やさぬ灰色の巨人、スパルタクスはそう言いながら俺を抱きしめる。意思の疎通が出来ないはずのバーサーカーとして召喚された彼は支配するもの……彼の言葉を借りれば圧制者を嫌う。

 ソロモンは彼を生き残らせた事を後悔するだろう。なにせ、スパルタクスは最強の反逆者なのだから……。

 

「驚きだな、あの攻撃の中でも生きていられるとはね」

 

「まぁ、運が良かったってのもあるんだろうけどよ。だがしかし、最悪の状況だなおい」

 

「まさか女英霊たちが全員寝取られるなんてねえ」

 

「……師匠もメイヴも、あのいけすかねぇ魔術王に侍らされてるってか。かーっ、腹が立つやら恐ろしいやらだな」

 

 ロビンもクー・フーリンも口調は軽いが事態の深刻さは分かっている様だ。後ろでニコニコ笑いながら武器を振っているスパルタクスはわからないが。

 

「マシュの嬢ちゃんの襲撃はしのげるとしても問題はその後だ。奴さん、一気に俺たちを攻め滅ぼしにくるぜ」

 

「アドバンテージは俺たち三人が生きてるって事を向こうは知らないって事だ、それがバレたら向こうは4人以上の英霊を送ってくるだろうな」

 

「つまり、僕たちは向こうに3人の存在をばれない様にして戦っていかなきゃいけないって事かい?」

 

「いや、それは難しいと思うよ。ソロモンも馬鹿じゃない、サーヴァントがいないはずのカルデアが何回も襲撃をしのいだとなれば何かあると思うだろうさ。遅かれ早かれ君たちの存在は露見するだろう」

 

「……俺たちがすべきなのは『こちらに戦力があると相手側に知られる前にできる限りの戦う用意をしておくこと』って事か」

 

「はは、つってもこっちの召喚システムは役に立たない。戦力の補強なんて出来っこないって事だよな?」

 

 ロビンのその一言に皆が押し黙る。確かにその通りだ、英霊の座に誰も居ないと言うのならこちらの戦力の補充なんて絶望的だ。

 だが、それは新たな戦力を補充しようとした場合に限る。元あった戦力を取り戻すというのなら……この限りじゃない

 

「……奪い返すんだ、皆を」

 

「え?」

 

「奪われた皆を奪い返すんだよ! 皆が戻ってくればまたソロモンと戦えるはずだろ?」

 

「……マスター、気持ちはわかるがそれは無理ってもんじゃ……」

 

「……いや、待てよ。それだよ、その手があった!」

 

 諦めた様なロビンの声を遮ってダヴィンチちゃんが叫ぶ。そして、モニターに映し出されているタイムリミットを見ながら何やらぶつぶつとつぶやき始めた。

 

「……向こうはマシュを一人だけしか送らないと言った。という事は、一回だけなら何か奇策を持ってマシュを取り戻したと思われなくもないだろう。十分に勝算はある」

 

「あの、ダヴィンチちゃん?」

 

「皆、喜べ! 策が思い浮かんだよ! あとは皆に刻まれてたあの令呪さえ何とかなれば……」

 

「……あの~、それなら俺が役に立つかもしれないぜ~?」

 

「へ?」

 

「ここだよここ~!」

 

 何処からか聞こえる男の声、しかし、声の主の姿は見えない。姿を消しているのかと思ったが、自らの居場所を示す様に大声を出したその声の主は俺たちの目の前のテーブルにちょこんと現れた。

 

「オリオン!?」

 

「やっと気が付いて貰えたよ……アルテミスは連れてかれちまったけど、俺は見逃されたというか、気が付かれなかったというか…」

 

「は、離れて平気なの?」

 

「大丈夫って事は大丈夫なんじゃねぇの? てか、それよりもこれを見てみろよ」

 

 そう言って自分の小さな体を指し示したオリオンを見れば、そこには先ほどの映像に映っていた皆と同じ紋様が刻まれているではないか。

 

「な、なんで!?」

 

「……そうか、アルテミスに刻まれたその令呪が君の体にも表れたって事か。これならサンプルとして研究できそうだよ!」

 

「え? 俺なんかの実験台になんの? 嫌なんだけど……」

 

「我慢しろオリオン! お前が我慢すれば全員助かる道が見えるんだからよ!」

 

「……まぁ、どの道そうするつもりだったけどよ。俺もアルテミスを奪われたまんまじゃあ、格好がつかねぇだろ? やれることはやるさ」

 

 いつも通り緊張感のないオリオンがそう呟くと、ロマンの手の上にぴょこんと飛び乗った。彼もまた、この戦いに勝つために自分のできることをやろうとしているのだろう。

 

「……マシュを一人で送り込むというのは向こうの失策だ。私たちはそこを突いてマシュを奪い返す。そして、一人、また一人と仲間を取り返すんだ」

 

「よっしゃ! 反抗作戦の始まりだな! 向こうでうちの女どもを抱いていい気になってる魔術王に一泡吹かせてやろうじゃねぇの!」

 

「はいはい、またどうせしんどい戦いになるんでしょ?  ……ま、あいつらを放っておいたら目覚めが悪いのは確かだわな」

 

「圧制者よ! 我が抱擁を受けるが良い!」

 

「ああ、やれることをやろう。僕達はまだ生きているんだからね!」

 

 拠点は破壊された。仲間は奪われ、相手の奴隷へと化した。戦力の差は歴然、負ける可能性の方が圧倒的に高い。

 それでも、この場にいる全員の心は折れていない。わずかな可能性にすべてをかけて、もう一度立ち上がって見せる、皆そう思っている。

 

「……やろう。取り戻すんだ、皆を!」

 

 俺の言葉に皆が力強く頷く。絶対に取り戻して見せる。奪われた仲間を……!

 その為の第一歩、タイムリミットと同時にやってくる襲撃者の事を思い、俺は固く誓った。

 

(マシュ……絶対にお前を元に戻して見せるからな!)

 

 誰よりも大切な相棒の事を思いながら、この日、俺たちは小さな反逆の狼煙を上げたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

シールダー奪還作戦 (マシュ)

「……先輩、ドクター、皆さん……どこにいるんですか? 早く出て来て下さい」

 

 俺の耳に届く可憐な女性の声、毎日聞いていたその声を耳にしながら俺は息を飲んだ。

 

「すぐに出て来てくれた方は楽に死なせてあげます。でも、時間が経つとだんだん容赦のない殺し方になってしまいますよ? 私、早く帰ってマスターに抱かれたいんですから……」

 

 普段の彼女なら絶対に言うはずのない残虐で淫らな言葉を発しながら、マシュはカルデアを徘徊する。一つ一つドアを開けて中を確認するとともに、手に持った大盾を構える。

 

「ここにもいないんですね……ふふ、皆さん、私が怖くて隠れてるんですね。無駄なのに……」

 

 くすくすと笑うマシュの姿を俺たちはモニタールームから監視していた。徐々に近づく彼女に対して恐怖感を持つと共に、俺は今回の作戦を頭の中で反芻する。

 

「……良いかい? 今回の作戦の鍵は君が握っている。シンプルが故にやることは単純だが、失敗したら取り返しはつかない」

 

「分かってるよ、ダヴィンチちゃん」

 

 心配そうなダヴィンチちゃんを制して俺は部屋から出る。そして、こちらに近づいてくるマシュのいる方へと向かう。

 最初の一歩、躓けばすべてが終わってしまう戦い。だが、これが上手くいけばまだまだ戦えるだけの力を蓄えられる。

 そしてなによりマシュを取り戻せる最高のチャンスが巡って来たのだ、これを逃すわけにはいかない。

 

(待ってろよ、マシュ!)

 

 必ずソロモンの手からお前を救い出す。そう固く決意した俺は、カルデアの廊下を進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……マシュ」

 

「あぁ……! 先輩、やっと出て来てくれたんですね!」

 

 マシュは目の前に姿を現した俺を見て嬉しそうに言った。その笑顔は俺がいつも見ていたあの笑顔だ、疑う余地もない。

 

「先輩、ほかの皆さんはどこに居ますか? 案内してください。一人残らず殺しますので!」

 

 だが、彼女は俺の知る彼女ではない。今やソロモンの手に落ちた英霊の一人なのだ。

 その証拠に、残虐極まりないセリフと平然と言ってのける。そしてその言葉は冗談でも何でもない彼女の本心だ。

 

「ふふ……どうかしたんですか? 先輩、目が怖いですよ?」

 

 マシュの言う通り、俺は彼女を睨んでいたのだろう。それは、今のマシュがとても見るに堪えないからだ。

 心が完全に躾けられてしまったマシュは以前とは完全に別人になってしまっている。それは、今の格好にも出ていた。

 

 いつも着ていた黒い鎧は彼女の身には纏われていない。それどころか、彼女は何も着てはいないのだ。

 大きく柔らかな胸を隠すのはたった二枚のシールのみ、彼女の胸の頂点にほんの小さな前張りが貼り付けられているのみだ。

 

 そして、女性の一番弱い部分にもその前張りは貼り付けられている。

 マシュの割れ目を隠す様に貼り付けられた黒いそれは、今の俺の位置からでもわかるくらいに濡れそぼっていた。

 

「……とっても素敵な格好だと思いませんか? マスターが、お前の様な雌犬にぴったりの格好だって言ってこれを下さったんです。私の事、よくわかっていらっしゃると思いませんか?」

 

 熱を込めた口調でマシュはそう言った。そのことに俺は胸が締め付けられるくらいの悲しみを覚える。

 マシュの尊厳を奪い笑い物にすべくソロモンが渡したこの衣装を心の底からありがたがっている。裸よりも淫らなこの姿をマシュは誇りだと思い込んでいる。

 

 そう思うと同時に俺の中に一握りの不安が生まれた。ここまで堕ちきってしまった後輩を俺は元に戻せるのだろうか? と……

 

(……できるかどうかじゃない。やるんだ、絶対に!)

 

 その不安を吹き飛ばす様にして俺は自分を叱咤する。ここで諦めたらすべてが終わってしまう。それに、マシュもこのままソロモンの手の中で性奴隷として人間の尊厳を奪われたまま生きることになってしまう。

 それだけは許すわけにはいかない。彼女を救う為にも俺はここで折れる訳にはいかないのだ

 

(……作戦名「シールダー奪還作戦」、開始)

 

 頭の中で今回の作戦の名称を復唱しながら、俺は作戦行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、早く皆さんのところへ案内してください。私、早く帰ってマスターに褒めて頂きたいんです」

 

「……それは無理だよマシュ、だって、皆カルデアから出て行ってしまったんだから」

 

「え……?」

 

 意外そうにしたマシュに向かって俺は演技を続ける。ここでマシュの気を引き続けることが俺の仕事だ

 

「馬鹿ですねぇ、そんな嘘をついたって意味ないですよ?」

 

「本当なんだ。生き残ったみんなはマシュが来るってわかった瞬間、カルデアから逃げ出してしまったんだ……ドクターも、俺を置いて逃げてしまったよ」

 

「……皆さんをかばおうとしているんですか? カルデア内を探せばそんな嘘、すぐにバレてしまいますよ?」

 

 自分の背中をさすりながら、マシュは俺に対して不機嫌に言う。作戦が上手く進行している事を確信しながら、俺は必死にマシュに語り掛けた。

 

「嘘じゃない! 確かに外の世界は滅んで、明日を生きていくことも絶望的だったけど……このままここに残ってもマシュに確実に殺されてしまう。そう考えた皆はカルデアを捨てて外に逃げ出したんだ」

 

「……そうですか、確かにその通りかもしれませんね」

 

 俺の言葉にマシュは納得した素振りを見せる。俺は、この機を逃すまいと一気に畳みかけた。

 

「でも俺は……俺は、そんな事出来なかった。もう疲れたんだ。英霊の皆は俺を捨ててソロモンに寝返った。あの映像を見たときに心が折れてしまったんだ。だから、もうマシュに殺されてすべてを終わりにしようと思ったんだ」

 

「………」

 

「英霊も人間も、一緒に戦ってきた仲間は俺を見捨てたんだ。なぁ、頼むよマシュ、せめて最後くらいはお前の手で楽に終わらせてくれ……俺を、君の手で殺してくれ、今まで一緒に戦ってきた相棒として、最後のお願いを聞いてくれよ」

 

 がくりと俺は膝をついて蹲る。肩を震わせて涙を流すふりをしながら、俺の心の中では緊張感が爆発しそうになっていた。

 これでマシュを騙せただろうか? 今のマシュの目に、俺はすべてを失った哀れな元マスターとして映っているだろうか?

 

 そんな事を考えていた俺の耳にカランという金属がぶつかる音が聞こえる。ビクッとして視線を上げた俺の目に映ったのは、自分の得物である大盾を放り捨てて俺へと手を伸ばすマシュの姿だった。

 

「先輩、あぁ、先輩、先輩、先輩! 可哀想な先輩! 惨めな先輩! 可愛い先輩! そうですよね、誰だってこんな状況に置かれたら心が折れてしまいますよね!」

 

 そう言いながら跪いたマシュは俺を強く抱きしめる。柔らかな胸の谷間に顔を押し付けられて息が苦しくなった俺に対して、マシュは歌う様な弾んだ声で囁く。

 

「先輩、残念ながら先輩のそのお願いは聞いてあげられません。だって、マスターから先輩は生かして連れて来いと言われているんですもの!」

 

「え……?」

 

「マスターは先輩に不死の呪いをかけて、一生飼い殺しにするつもりなんだそうです。先輩の目の前で私たちを抱いて、それを見せつけ続けるそうですよ! なんて素敵な考えなんでしょう!」

 

「ま、マシュ……」

 

「皆で先輩の事を玩具にしてあげますね! 皆さん、マスターの提案を聞いて大喜びしてました。清姫さんは新しいマスターに忠義と愛を見せる為に目の前で先輩を焼き殺すって言ってましたし、酒呑童子さんはやっとマスターを食べられるって嬉しそうでした! 静謐のハサンさんは先輩のことをまだ想ってるそうですからもしかしたら童貞を捨てさせてくれるかもしれませんし、もしも先輩が死にそうになったらナイチンゲールさんが全力で助けてくれるそうです。悪い事ばかりじゃないですよ、先輩!」

 

 嬉々とした声でそう語るマシュの様子は俺を信じ切っている様だ。もしかしたら俺は役者としての才能があるのかもしれないと余裕の生まれた心で考える。

 俺、この戦いが終わったら役者になるんだ……やめよう、これは死亡フラグだ。

 

「可愛い可愛い先輩の絶望しきった顔をこれから先ずっと見られるだなんてとっても嬉しいです! あは、あはは、あははははは!」

 

 笑う、狂った様にマシュは笑う。その笑い声にかつてのマシュの面影はない。

 もしも先ほどの俺の言った事が真実で、俺が絶望しきっていたとすれば、この笑いはきっととどめになっただろう。だが、それは違う。

 

「あはははははは……………あれ?」

 

 カクン、とマシュの体から力が抜ける。俺を抱きしめていた腕が下に落ち、俺は自由を取り戻した。

 

「なん……で? ちからが……抜け…?」

 

「……油断大敵だぜ、マシュ」

 

「……!?」

 

 その言葉と共に俺の前……マシュの背後に緑衣のアーチャーが姿を現す。その姿を見たマシュは、彼を睨みながら憎々し気に吐き捨てた。

 

「ロビンフッド、生きていたのか!?」

 

「おーおー、マシュからさん付けされないってのも変な感じだねぇ」

 

「ふざけるな! 私の体に……何をした!?」

 

「何って、分かるだろ? 俺の十八番、毒だよ毒。気が付かれない様に極細の針を使ってお前に刺して、体に毒が回ってることに気が付いた時には手遅れになる酷い奴をぶっこんだわけ」

 

「そんな……い、いつの間に?」

 

「……さっき俺と話してる時に背中を搔いたでしょ? その時には刺さってたんだよ」

 

「っっ!? じゃ、じゃあ、先輩は私の体に毒が回るまでの時間稼ぎをしていたって事ですか?」

 

 マシュの怯えた声に対して俺は頷く。そう、これこそがシールダー奪還作戦の第一段階だ

 

 宝具「顔のない王」で姿を消したロビンフッドがマシュの動きを封じる毒を打ち込む。俺はそれに気が付かれない様にしてマシュの気を引き、毒が回りきるまでの時間稼ぎをする。

 シンプルだが効果的なこの作戦は、相手が一人だからこそ出来るものだ。もしも他の軍勢をマシュが率いていたら、その迎撃のためにサーヴァントを使わなければならなかったし、隠れているカルデアの皆も見つかっていたかもしれない。

 

 ソロモンの慢心と油断を突いたこの作戦は見事上手くいった。マシュは今、動きを封じられて敵の本拠地に孤立しているのだ。

 そして、それをソロモンに知らせる手立ても無い。増援も来はしないだろう。

 

「ぐ……あぁぁぁぁっ!」

 

 最後の力を振り絞ったのか、マシュが俺に向かってとびかかってくる。しかし、それも予想の範囲内だ。

 

「ふんっ!」

 

「あぁっ!?」

 

 巨大な手に押さえつけられたマシュは床へと押しつぶされた。自分を押さえつけた相手を見ながらマシュは呟く。

 

「スパルタクス……あなたも生きていたなんて……!」

 

「おお! 圧制者の傀儡と化した哀れな少女よ、我らの愛を受けるがいい!」

 

 チェックメイト……もう、マシュには抵抗する手立ては無い。俺はマシュの顔を覗き込み、その瞳を見る。

 

「……私を殺すんですか? 良いですよ、やればいいじゃないですか。地獄で皆さんが来るのを待っていてあげますよ!」

 

「そんなことはしないよ、マシュ」

 

「え……?」

 

「マシュはもう一度生まれ変わるんだ。俺たちと一緒に戦っていた頃の優しいマシュにね」

 

「それは、どういう……?」

 

 驚きで見開かれたマシュの目から光が失われる。クー・フーリンがマシュの体に刻んだルーン文字がその効果を発揮したのだろう。

 気を失ったマシュを抱えて歩いていくスパルタクスを見送った後、俺は近くの監視カメラを見ながら言った。

 

「シールダー奪還作戦第一段階、無事完了。第二段階に移行します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んん、ここは……?」

 

「起きたんだね、マシュ」

 

 カルデアの中にある一室、白くベッド以外は何もない部屋の中で目覚めたマシュに声をかける。

 俺を見てハッとした表情を見せたマシュは、自分の格好を見て少しだけ顔を曇らせた。

 

「ソロモンから渡されたっていうあの前張りは全部破棄したよ。あんなもの、付けてても付けてなくても一緒だからね」

 

「……なるほど、先輩は私を犯すつもりなんですね」

 

 全裸に剥かれたマシュは冷静な口ぶりでそう言った。

 裸にされた=犯されるという考え方は間違っていなくもないのだが、元々の格好が全裸に近かっただけに何を言ってるんだとも思ってしまった俺は軽く噴き出す。

 

「ずいぶんと余裕があるようですが……忘れていませんか、先輩? 私はデミ・サーヴァントなんですよ? 敵意のある圧倒的身体能力を持つ相手と二人きりだなんて、殺してくださいと言っている様なものじゃないですか」

 

 そう言いながらマシュは俺に対して突きを繰り出す。普通ならばマシュの言う通り俺は絶対的危機に陥っているのだろう。しかし、それは違う。

 

「えっ!?」

 

 繰り出された一撃を軽くつかんだ俺はそのままマシュをベットへと押し倒した。必死に抵抗するマシュを完全に押さえつけると、マシュの口から絶望と疑問に溢れた声が漏れ出た。

 

「な、なんで……!? もう毒は消えたはず……?」

 

「そうだよ、マシュの体から毒は消え去った。で、この力がマシュの今の全力って事になるね」

 

「そんな!? 私の力がこんなに弱いはずが……」

 

 叫ぶマシュの口に人差し指を当てて言葉を遮った俺はにやりと笑って彼女を見る。訝し気に俺を見る視線は正直苦しいものだが、これを乗り越えない限りはマシュを取り戻す事なんて出来やしない。

 心を強く持った俺はマシュに対してダヴィンチちゃんから聞いたある事実を突きつけた。

 

「良いかいマシュ。今、この部屋にはマシュの力となる魔力がほとんど残ってないんだ。加えて、ソロモンから送られてくる魔力もダヴィンチちゃんの発明がシャットアウトしている。だからマシュの力は普段の10分の1以下になっているんだよ」

 

「……そう言う事ですか」

 

「そう、で、ここで提案なんだけどさ。マシュ、俺達を殺したいんだよね?」

 

「……急に何を言っているんですか?」

 

 困惑と疑念に彩られたマシュの表情を見ながら俺は話を続ける。これが上手くいかなければ先ほどの作戦も意味がなくなってしまう。

 そして、ソロモンが異変に気が付く前に決着をつけなければならない。この作戦はスピード勝負なのだ。

 

「マシュは魔力が足りなくて本来の力が出せない。でも、魔力の補充方法はあるだろう?」

 

「……魔術師との接触、ですね」

 

「流石マシュ! 賢くって助かるよ! ……さて、もうわかってると思うけど、この世界に残っている魔術師って何人居たっけ?」

 

「……回りくどいですね。自分に抱かれれば魔力が回復すると言えばいいじゃないですか!」

 

 マシュの憎しみの籠った声を聞き、心を痛めながらも俺は作戦が上手く行っている事を喜ぶ。やっぱりマシュは賢い、だから、彼女がとる行動は決まっている。

 

「……抱けば良いじゃないですか、私を犯せて先輩は嬉しい。でも、それが終わったら地獄が待っていますからね」

 

 恨みと怒りが籠った視線が俺を貫く、しかし、それ以上に俺は喜びを感じていた。

 マシュは今、俺に抱かれることを了承した。その一言を引き出すことが俺たちの目的だったのだ。

 

 マシュに刻まれた淫紋令呪……オリオンの協力を得て研究を始めたダヴィンチちゃんは、とある事実を俺たちに突きつけた。それは、淫紋令呪は解除出来ない。という事だった。

 

 考えてみればそうだ、普通の令呪でさえ使い切らないか術者が死なない限りは消えはしない。ましてや俺の右手に刻まれているものは特別製で、時間が経てば令呪が復活するというチート性能だ。

 もしもソロモンが俺の令呪を参考にしていると言うのならば「使い切る」という事によって令呪が消滅する可能性は0だろう。という事はソロモンを殺すしかないが……現段階、それは不可能だ

 

 この事実に俺は絶望しかけたが、続くダヴィンチちゃんの一言にその度肝を抜かれる事になる。

 

「淫紋令呪は解除できないが、術者を上書きする事は可能だよ」

 

 つまりどういうことかと言うと、マシュたち淫紋令呪を刻まれた英霊たちはソロモンをマスターとして認めている。それを無理矢理改ざんして、別の人物をマスターとして淫紋令呪の術者にしてしまえば良いという事だ。

 万能の天才はそれを可能にした。しかし、それにはいくつかの手順を踏まなければならない。その第一歩こそが、自分の意志で体を明け渡すという事だった。

 

 淫紋令呪はその名の通り快楽によって反応する。激しい快楽を得れば得るほど力が強まり、術者への思いと忠義が強まっていく。

 ならば、その性質を利用すればいい。曰く、術者以上の快楽を与えてしまえば、淫紋令呪の働きによってその快楽を与えてくれた人物を新たなマスターへと認識せざるを得なくなるのだ。

 

 その為には自分から体を明け渡したという事実を認識させることが重要だ、強姦ならば苦痛と屈辱が上回り、俺たちに対して憎しみを覚えてしまう。

 仕方が無い事と割り切らせながらも自分から抱かれることを選んだという事は、マシュに対して確かな楔を打ち付けただろう。あとは、これを心の奥まで突き刺して、ソロモンの呪縛から解き放してやるだけだ。

 

「じゃあ、さっそく始めようか。マシュ、舌を出して」

 

「……ん」

 

 顔を突き出して舌を出したマシュを抱きしめながらその舌に自分の舌を絡ませる。そのままマシュの口の中へと侵入した俺は、余すことなくマシュの口内を味わう。

 

「んっ……ふぅ……!」

 

 そっけない表情で俺とキスをするマシュにちょっとした罪悪感を抱きながらも俺は彼女の大きな胸に手を伸ばす

 

「おお……!」

 

「……先輩最低です」

 

 ふわりとした柔らかさについ歓喜の声を漏らしてしまった俺をマシュが非難する。冷たい視線はそのままなのだが何となく嬉しくなってしまった俺はやばいだろうか?

 

「くっ……あぁ……っ!」

 

 少しだけ手に力を込めてその山を揉めば、マシュの口からは耐える様な声が漏れる。

 屈辱を我慢しているのか、それとも俺に抱かれて気持ち良くなっていることを悟られまいとしているのか……後者であることを望みながら俺は更なる責めに出た。

 

「マシュ、寝そべって貰って良いかな?」

 

「……はい」

 

 仰向けになってベットに寝たマシュの横に座ると、俺は右手を彼女の秘裂に伸ばす。軽く表面をなぞれば、濡れそぼってひくひくと蠢く彼女の性器の感触を指に感じた。

 

「マシュの気持ち良い所、全部責めてあげるね」

 

「ひっ! ああぁっ! ふぅんっ!?」

 

 そのまま人差し指をマシュの膣内に突っ込む、中で震わせ、壁を引っかき、何度もかき混ぜれば、その度にマシュの口からは喘ぎ声が溢れる。

 開いた口に左手の指を入れて中を擦る。最初は驚いていたマシュも俺の指に舌を絡ませて所謂指フェラという奴を自発的に行い始めた。

 最後に空いた口で目の前のマシュの乳房に吸い付く、これにはマシュも体を跳ね上げて反応して恥ずかしそうにしていたが、何の抵抗もしてこないまま俺に乳首を吸わせ続けていた。

 

「はぁっ……くぅ、はぁっ……!」

 

 荒いマシュの息を耳にしながら俺は確信する。マシュは感じている、しかし、まだそれを素直に表せないのだ。

 きっかけを作れば一気にマシュの心の堤防は崩壊する。そう確信した俺に絶好の機会が巡ってきた。

 

「……っあぁ……もう、挿れて下さいっ!」

 

「ん? マシュはもう我慢できなくなっちゃった?」

 

「っっ!! 違います! 粘膜の接触が無いと魔力の補充が出来ないから、さっさと性行為をしましょうって言ってるんです! 先輩の目的もそれなんでしょう!?」

 

「……そうだね。じゃあ、おねだりしてもらって良いかな?」

 

「えっ…!?」

 

「俺、マシュを犯すことが目的じゃないもの。だからマシュが俺に抱いて欲しいなら、それなりの態度を取らなきゃ」

 

「くっ! 卑怯者!」

 

 そういわれても困る。だって、本当に俺の目的はマシュを犯すことではないのだから。

 マシュを抱いているのは彼女自身を取り戻すための手段に過ぎない。もちろん役得だと思うし、マシュに申し訳なくも感じるが先ほどの言葉は俺の本心だ。

 

「おねだりだなんて……できません……」

 

「なんていえば良いのかわからないの? それじゃあね……」

 

 俺はひそひそと出来る限り簡潔な言葉をマシュに伝える。

 その言葉を聞いて目を見開いた後で悔しそうな表情をしたマシュは、俺の言った通り自分の性器を指で広げて見せつける様にしながらおねだりの言葉を口にした。

 

「私……マシュ・キリエライトのエッチなおまんこに、先輩のおちんちんを挿れてかき混ぜて……気持ち良くしてください!」

 

「はい、良く出来ました!」

 

「ひっ…! ふぁぁぁぁぁぁぁっ……♡」

 

 おねだりの言葉の後に間髪入れずして自らの怒張をマシュに突き入れた俺は温かく俺の性器を包むマシュの膣内の感触を感じていた。

 びくびくと震えて俺にも快感を与えてくるマシュの中はぐっしょりと濡れている。今までの愛撫は相当気持ち良かったようだ。

 

「あぁ……♡ あぁぁ……っ♡」

 

 そしてマシュは俺の作戦通り快感に震えている。声も先ほどまでとは違って艶が乗った女の声に変っていた。

 自分から俺を受け入れるおねだりをしたことでマシュの中の耐えようとする気持ちが崩れ去ったのだ。ここからは素直なマシュの反応を見ながら彼女を抱くことが出来る。

 

「動くよ、マシュ……」

 

「せ、せんぱっ、まってくだ……ひぁぁぁぁっ♡」

 

 マシュの腰を抱えて自分の腰を打ち付ける。パンパンと言う音に紛れてマシュの喘ぎ声が部屋に響き渡る。

 

「ひぃぃんっ♡ ひゃっ♡ ひゃぁぁぁっ♡」

 

「そんなに喘いじゃって、気持ちいいんだね?」

 

「そんっ、なっ、ことっ、ありませ……くひゅぅぅぅっ♡」

 

「マシュの弱点見~つけた」

 

「そこっ♡ ダメっ♡ イイッ♡ すごいっ♡ ですっ♡」

 

 見つけ出したマシュの感じるポイントを連続で擦り挙げてやれば、マシュは大喜びで喘ぎながら仰け反って快感の強さを表している。

 声も行動も素直になって快感を貪り始めたマシュを見ながら俺は一気に腰の動きを速めて行った。

 

「あぁぁぁぁぁぁっ♡」

 

「マシュは奥の方を責められるのも好きなんだね。反応が正直で可愛いからすぐにわかっちゃうよ」

 

「くふぅぅ……♡ 言わないで、言わないでぇ……♡ あああああぁぁっ♡」

 

 敬語を使う余裕すら無くなってきたマシュの奥を力強く責め立てる。子宮の入り口が開いて俺を迎え入れる感触を感じながら、俺は必死に達さない様にして腰を動かす。

 

「あぁぁ……♡ なんで、なんでぇ……!?」

 

 がくん、がくんと体を震わせながらも疑問の声を上げたマシュを見て俺は内心ほくそ笑む。この反応こそが俺の待っていたものなのだから

 ぴたりと腰の動きを止めた俺はマシュを抱き寄せると軽くキスをする。そして、申し訳なさそうに口を開いた。

 

「……ゴメンよ、マシュ。気持ち良く無かったよね?」

 

「えっ……!?」

 

「俺、初めて女の子とセックスするからさ……へたっぴでごめんね」

 

「そ、そんな事ありません! 先輩は私の事を気持ち良く……あっ!」

 

自分の発言を失敗だったという様にしてマシュが両手で自分の口を塞ぐ。しかし、その隙を見逃す俺ではない。

 

「本当!? 本当に気持ち良かったの?」

 

「うぅ……はい、気持ち良かったです……」

 

 観念したようにそう呟いたマシュを俺は抱き寄せる。 今のマシュにとって俺は自分を罠に嵌めて犯している最悪の男のはずだ。しかし、そんな男に対して正直に与えられた快楽を貪っていたという事をマシュは告げた。

 これが意味する事は一つ、マシュは俺の事を敵として認識しなくなってきている。という事だ。つまり、ソロモンの呪縛から解放されかかっているという事でもある。

 

「……でもさ、やっぱりマシュは俺に気を使ってるでしょ? だって、マシュはイッてないもんね」

 

「あ……そ、それは……」

 

 何度も何度も繰り返してきた演技を俺はまた繰り返す。マシュを抱きしめながらもすまなそうにして彼女に声をかけるのだ。

 それに対してマシュはもごもごと口を開いたり閉じたりを繰り返していたが、やがて意を決したようにして俺に言った。

 

「そ、それは先輩のせいじゃありません! 私がその……イけないのは、マスターにそう令呪を使って命じられたからで……」

 

 知っている。送られてきた映像に映っていたマシュはソロモンに淫紋令呪を使った命令で達せない様にされていた。そして、俺たちを殺す任務を終えなければその命令が解除されないことも知っている。

 俺が突くのはそこだ、ソロモンが俺たちを舐めたらからこそできたその隙を突いて、マシュを取り戻すのだ

 

「そっか、酷い命令をされたんだね。マシュが気持ち良くなることを禁じるだなんて、なんて酷いマスターだろう」

 

「っっ……!? 違います! マスターはひどい人なんかじゃありません! 優しくて私を気遣ってくれる自慢のマスターです!」

 

 俺の言葉に対してマシュが凄い剣幕で反論する。

 再びその眼には俺に対する憎しみが燃え上がり、俺の抱擁から抜け出してぎろりと睨みつけてくる。

 

「ゴメンよマシュ、マシュのマスターを悪く言うだなんて俺は嫌な奴だな。そんな俺にマシュのマスターがどんな風にマシュに優しくしてるのか教えてくれよ」

 

「……良いですよ。マスターは私を気遣ってくれて……あれ?」

 

 自慢気に自分のマスター……ソロモンにされた施しを語ろうとしたマシュの顔が豹変した。一気に蒼白になり口調はしどろもどろに、目も迷いを隠せない様に泳ぎ続けている。

 

「ま、マスターは、優しくって……わた、私に……色々と……あ、あれ? あれ?」

 

 パニックになっているマシュは自分の中で何が起きているのかがわからない様だ。いや、わかってはいるのだろう。しかし、それが何を意味するのかが分かっていないのだ。

 

 マシュは言った。ソロモンは自分に優しくしてくれて、気を遣ってくれていると……確かにマシュの中ではそうされた記憶があるのだろう。一緒に旅をしたマスターは自分を支えて助けてくれた。その記憶はそう易々と消せるものではない。

 しかし……マシュの中ではソロモンに優しくされた記憶など無いはずだ。なぜなら、ソロモンにとってマシュは駒の一つでしかないのだから。

 

 幾つもの特異点を共に修正し、自分を支えてくれる大切なマスター……しかし、マシュはなぜソロモンを大切だと思っているのかがわからないはずだ。

 魔術や催眠を受けていない今、自分を縛る淫紋令呪の力も弱まっている中で冷静になって考えてみればソロモンが自分に何をしたというのだろうか?

 

 確かに抱いて貰って快楽を得ただろう。賜った淫らな服とも言えぬ布切れは至極大事なものに見えただろう。

 しかし、それが何だというのだろうか? 自分にはもっとマスターを大切に思う何かがあったはずだ。そんなくだらない理由でマスターを愛しているわけではない。

 マシュはそう考えている。ソロモンを愛している理由を必死に探し求めている。

 どんなに記憶の中を探しても、そんなものがあるはずが無いのに。

 

「ひっ……はぁぁぁぁぁっ♡」

 

 困惑するマシュを組み敷いた俺は再び彼女の膣に自らの分身を挿入する。疑惑と混乱で狂いかかっていたマシュを強引に快楽の海に引きずり込む。

 そのまま何度もマシュの中に出し入れしながら俺はマシュの手に自分の手を重ねる。指と指を絡めあう恋人繋ぎをしながら、体全体で繋がりあう。

 

「……あの時もこんな風にして手を繋いだよな」

 

「あの……時……?」

 

「カルデアで爆発事件があって、マシュが死にかけてて……俺は何もできなかったけど、手を繋ぐ事は出来た。それで……そこから俺たちの旅が始まったんだよな」

 

「あ……あ……!」

 

 マシュの目に光が戻ってくる。自分の中の大切な記憶を取り戻した様な表情で俺を見つめて、ぽろぽろと涙を流している。

 確かにソロモンは偉大な魔術王だ、彼の言う通り様々な手段で俺たちの仲間だった英霊たちを手駒とし、奴隷へと身を落とさせた。

 しかし、ソロモンは知るべきだったのだ。幾つもの手段を使い、それを組み合わせたとして、たった一つの極めたものには何の意味もないという事を……

 

 俺にはソロモンに勝てる技術なんて何もない。魔術も、催眠も、マスターとしての能力もすべて負けているだろう。

 しかし、一緒に戦ってきた仲間達との絆は……マシュへの愛情は、決してソロモンには無いものだ。

 俺はそれをただマシュへとぶつけた。いつも通りたくさんの人の力と知恵を借りて、大切な彼女を取り戻すために……

 

「せん……ぱい……?」

 

 そして、その思いは実を結んだ。瞳に光を取り戻したマシュの下腹部にある淫紋令呪が輝くと、今までの禍々しかったその紋章はどこか愛らしい赤色のハートマークへと形を変えたのだ。

 チリチリと痛む俺の左手を見てみればそこにはマシュに刻まれた紋章と同じものが現れている。そう、マシュはソロモンの呪縛から解き放たれ、俺をマスターだと認めた……いや、思い出してくれたのだ。

 

「マシュ、俺がわかるか?」

 

「……先輩、私……私……っ! 先輩やドクターを殺そうとして、ソロモンに屈してしまって……っ! ごめんなさい! ごめんなさい!」

 

「大丈夫、もう大丈夫だから……っ!」

 

 止めど無く涙を流し続けるマシュを抱きしめながら俺も涙を流す。

 温かいマシュの体温を感じながら、俺は誰よりも大切な相棒が自分の元に戻ってきてくれた喜びを噛みしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うん、なんとも感動的な光景だね!』

 

「え……?」

 

 部屋に響いたダヴィンチちゃんの声にマシュが驚く、それに割り込む様にしてドクターの叫び声が聞こえてきた。

 

『マシュ! 僕が分かるかい!? Dr,ロマンだよ! ロマニ、ロマニ!』

 

「あ、あの、ドクター、落ち着いてください。分かりますから……」

 

『ああ良かった! ソロモンの洗脳が解けたんだね! 作戦が上手く行って良かったよ!』

 

『ナイスだマスター、色んな意味で男を上げたな!』

 

『いや~、カルデアの温度高くないですかねぇ?』

 

『抱擁せよ! 抱擁せよ!』

 

『マスター爆発しろ』

 

「み、皆さん……? もしかして、今までの全部を見てらっしゃったんですか?」

 

『うん! 全部見てたよ!』

 

「い、いやぁぁぁ~~~っ!」

 

 その身も蓋も無いダヴィンチちゃんの発言にマシュは顔を真っ赤にして蹲ってしまった。俺の腕の中で震えるマシュは本当に可愛い。ありがとダヴィンチちゃん

 

「うう……もうお嫁にいけません……ぐすっ……」

 

「大丈夫、俺が貰うから」

 

「先輩の馬鹿! ……ありがとうございます」

 

 モニタールームに聞こえない位の声で呟いたマシュ、マジ可愛い。人理を修復した暁には、俺結婚するんだ!

 ……あ、これも死亡フラグだ……。

 

『その様子だともう問題ないみたいだね。マシュ、お帰りなさい』

 

「……マシュ・キリエライト、皆さんのおかげでカルデアに帰還出来ました。ご迷惑をおかけしました」

 

『大丈夫、大丈夫! それでマシュ、君に刻まれてるその令呪の研究をしたいから後で協力してもらって良いかい? オリオンじゃあそろそろ限界でね』

 

『らめぇ……俺、チョコの次は性奴隷になっちゃうぅ……』

 

「うわ、気持ち悪い」

 

 ついつい漏れた素直な感想に皆が爆笑する。俺の腕に抱かれているマシュも楽しそうだ。

 仲間を一人取り戻した……それは、俺たちの胸に確かな希望を植え付けた。これから先もこうやって皆を助け出せるはずだ。

 

「じゃあ先輩、私たちも皆さんのところへ……きゃっ!?」

 

 俺の腕から逃れようとしたマシュを再び抱きしめるとカメラがある方向を見る。それで勘の良いダヴィンチちゃんは察したようだ。

 

『あ~……カメラは切っておくから存分に楽しみたまえよ。あんまり時間をかけすぎてもだめだから、その場合は連絡するからね』

 

「サンキュ! ダヴィンチちゃん!」

 

「せ、先輩…? んっ……!」

 

 何をしているのか分からないと言った表情のマシュに唇を落とす。舌を彼女の口の中に入れれば、それに応えてマシュも自分の舌を絡めてくる。

 

「……ぷはぁ」

 

 離れた唇、舌と舌……その間にかかる銀色のアーチを見つめながらマシュに語り掛ける。

 

「……お互いまだイッてないだろ? だから一回だけ……ね?」

 

「……ふふふ! 先輩は変態さんですね。でも……良いですよ♡」

 

 互いの目を見て笑いあう。そして、お互いに腰を動かし始める。

 俺の腕の中で腰を跳ね上げるマシュ、何度も何度も膣に出し入れする俺を温かく迎えてくれる。

 

「マシュ……気持ちいい?」

 

「ふぅっ…♡ そんなの決まってるじゃないですか、すごく、気持ち良いです♡」

 

 淫らで、だけど美しいマシュの表情。ソロモンに抱かれていた時のあの姿が馬鹿らしく思える位に綺麗で、彼女を抱きしめる事への幸せが俺を包む。

 

「先輩っ♡ 先輩っ……♡」

 

 降りて来たマシュの子宮の感触を楽しむ。こつこつと奥に俺が触れる度にマシュの体が震え、快感を感じていることを俺に伝えてくる。

 なすがままとは違う、俺を信じているがこそ体をすべて預けたマシュは俺を抱きしめ返すとぎゅっと目を閉じて叫んだ。

 

「先輩、私もう……イキそうです……っ!」

 

「俺もっ、もう限界だ……一緒に、イこう、マシュ……!」

 

「はい……! 一緒に、一緒に……っ!」

 

 マシュの膣内が切なく震えると共に俺の一物も固さを増していく。子宮の最奥にたどり着く度に振動と律動が互いに増していく。

 互いに見つめあい、息を吐いた俺たちはどちらともなく唇を重ね合わせた。甘く、蕩ける快感を感じながら、俺はマシュの中にすべてを解き放った。

 

「ん~~~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 おびただしく膣に出しながら、絶頂に体を震わせて精液の熱さに内面を焦がされながらも俺たちはキスを止めたりはしない。

 俺に貪られる様に抱きしめられるマシュはその事を喜んでいるのか、脚を俺の腰に絡ませ、腕でも俺を抱きしめながら俺を受け入れ続けている。

 マシュの体温、柔らかさ、震え、快感……その全てを感じながら長い絶頂を終えた俺は、強くマシュを抱きしめ返す。

 

「あはぁ…♡ 先輩の精子、温かいです……♡」

 

 未だに快感の熱に浮かされているマシュの耳元に顔を運ぶと、俺は今の素直な気持ちを彼女に打ち明けた。

 

「……マシュ、愛してる。もう二度と、お前を離さないから…!」

 

「……っっ! せん、ぱいっ……♡」

 

 気恥ずかしい告白を受けたマシュの体がガクリと震える。同時に膣も軽く振動した。

 驚いた俺に向かって顔を赤らめながらも嬉しそうなマシュが先ほど俺がした様に耳元に近寄ってくると、甘く蕩けた声で俺に囁いた。

 

「……私も、先輩の事を愛しています。もう二度と、離れたりなんかしません。ずっとずっと、先輩と一緒に居ます……♡ だから……もう一回しましょう? 私、一度じゃ足りないみたいです。今の告白でイッてしまって、昂ったままですし……責任とって下さいね、先輩♡」

 

 可愛い可愛い後輩の、可愛い可愛い告白とおねだり。これを断れる男なんて居やしないだろう。

 俺はその言葉に頷くとマシュの体をベットに横たえる。そして、繋がったままの体をもう一度動かし始めた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ~~~っ♡ あぁぁ~~~~っっ♡』

 

「……マシュの嬢ちゃん、喘ぎ声がすげぇな」

 

「元々そういう才覚があったのか、マスターのテクが凄いかだな」

 

 下世話な会話を繰り広げるクー・フーリンとオリオンの声を耳にしたロビンは、それを放っておいてダヴィンチちゃんに近づくと声をかける。

 

「良いんですかねぇ? こんな事しちゃって……」

 

「大丈夫だよ、カメラは切っただろう?」

 

「いや、とんちじゃないんだから……」

 

 はぁ、とため息をつきながらもロビンは己のマスターとマシュに少しばかり同情した。二人の仲睦まじい様子をこんな風に聞かれているなんて思いもしないだろう。

 

「叛逆に成功した上でマシュをも支配するとは! マスター、私が叛逆する理由が増えましたな!」

 

 スパルタクスに至っては愛する人を寝取り返したというのにこの言い様である。ロビンフッドは少し笑いながらもさらにマスターに同情した。

 

「でも丁度良いんだよ。この調子でマシュを抱いてくれればその絆は強固なものになる」

 

「……どういうことですかねぇ?」

 

「淫紋令呪あるだろう? 前も言った通り、あれって術者が与える快楽によって強まるからさぁ。彼には今後ともマシュを気持ちよくさせてあげて欲しいんだよね!」

 

「うへっ! そりゃあ良かった……あん、待てよ。それ、やばくねぇか!?」

 

 これからも二人でイチャイチャ出来る事を喜ばしく思ったロビンフッドだったが、とある可能性に思い当たると危惧の声を上げる。それを制しながらもダヴィンチちゃんは自信ありげに答えた。

 

「ノープロブレムだよロビンフッド君、君が考え付く事を私が思いつかない訳が無いだろう? それに対する方法も考えてある」

 

「へぇ……それって一体?」

 

 なんだか嫌な予感を感じながらもロビンフッドは尋ねる。満面の笑みを浮かべたダヴィンチちゃんは彼の肩に手を置くとこう答えた。

 

「そりゃあ、君たちもマスターになる事だよ!」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

完全開放・開発からの尻処女喪失 (マシュ)

 マシュをソロモンの手から救い出してから二日間が過ぎた。

 

 その間、向こうの動きが無いうちに全力でカルデアの機能の復旧を急いだ俺たちは、何とか半分ほどの機能を復活させることに成功した。

 まだまだ厳しい状況は続く、それでも良いニュースが無いわけでもない。一歩ずつ、俺たちは前へと進んでいた。

 

 そんな日が続く夜だった。俺の部屋にマシュがやって来たのは……

 

 

 

 

 

「……せ、先輩、夜分遅くに失礼します!」

 

 顔を真っ赤にしながら俺の部屋の前に立つマシュは大声で俺に入室の許可を求める。俺は少し訝しがりながらも彼女を部屋の中へと招き入れた。

 

「あ、ありがとうございます……! 正直、生きた心地がしなくって……」

 

 どきどきした様子で震えているマシュだが、一体何にそこまで恥ずかしがっているのだろうか? ただカルデアの自室の隣にある俺の部屋に来ただけではないか

 

「それで、何の用?」

 

「え、えっと……その、ですね……」

 

 もじもじしているマシュを見て、俺はちょっとした違和感を感じた。何がと言われたら、今のマシュの服装だ。

 

 マシュが着ているのはいつもの白衣だ、だが、それを前までしっかりと締めて体を隠す様にしている。

 それに、なぜか靴や靴下を履いていない。素足が丸見えになっているのだ。

 

(……いや、まさか、まさかね?)

 

 脳内に思い浮かんだある可能性を俺は首を振って否定する。そんな事ある訳がない。あの真面目で清いマシュがそんな変態みたいな真似をするわけが無いと……。

 が、しかし、マシュは意を決した様に深呼吸すると、自分の着ている白衣のボタンを外して思いっきり脱ぎ捨てた。

 

「ぐっ……!?」

 

 その光景を見た俺は小さく呻いた。目の前のマシュがとんでもない格好をしていたからだ。

 ばさりと白衣を脱ぎ捨てたマシュは、その下に何も身に着けていなかった。シャツどころか下着もだ

 まるでコートだけを着た露出狂の様に自分の裸体を見せつけたマシュは、顔を真っ赤にしながら俺に向かって叫んだ。

 

「先輩、私を開発してくだしゃい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁ……か、噛んでしまいました……」

 

 衝撃の一言を発したマシュをベットに座らせて話を聞くことにした俺。

 マシュはベットの上で先ほど言葉を噛んでしまった事を恥じているようだが、そうじゃないだろ。もろに見せつけている胸とかお尻とか、女の子の大切な場所に関しての恥じらいは無いのか?

 

「え? 恥ずかしくはありますけど……先輩にはもう全部見せてるわけですしそこまでは……」

 

 さいですか、それは良かったと俺は思いながらマシュの躰をちらちら見る。彼女の白く美しい肌と女の子らしい柔らかさに富んだ胸や尻が何一つとして隠すものなく俺の前で見せびらかれている。

 魅力的なその肢体から目を離せないでいる俺に対して笑顔を向けたマシュは、細やかな話をし始めた。

 

「あの、遠慮せずに見て下さい。私は今日、そのつもりで来ましたから」

 

「そ、そのつもりって……?」

 

「……せ、先輩に抱かれるというか、その性行為を……あぁ、これは恥ずかしいです……!」

 

 ダヴィンチちゃんは言っていた。淫紋令呪を刻まれた女性は昂り易くなっていると、マシュもそうなのだろう。

 ソロモンから俺の手にマスター権限が渡ったとはいえその効果はまだ続いている様だ、要するにムラムラしてしまったので俺に抱かれに来たという事だろうか?

 

「その……それで、先輩に一つお願いがありまして……」

 

 震えながら俺にそう言ったマシュはベットの上に四つん這いになると俺に向かってその白いお尻を突き出す様な姿勢を取る。そして、そのまま自分の手で柔らかな尻肉を掴むと、両側に開く様にして力を込めた。

 

「くぅぅぅ……!」

 

 恥ずかしそうなマシュの声、俺の目の前にはマシュの排泄口……アナルがひくひくとひくついている。

 ぷっくりと膨れたり広がったりを繰り返すマシュのお尻の穴はとても可愛らしい。その扇情的な光景に目を奪われている俺に対して、マシュは驚きの一言を伝えてきた。

 

「先輩……その、よろしければ、こちらの穴の処女を奪って頂けないでしょうか?」

 

「え……えぇぇぇぇっ!?」

 

 真面目でエッチな事など知らなかったであろうマシュ。それが今日、露出狂よろしくな格好で俺の部屋に来て、しかもアナルの開発を懇願してくるとは驚きを通り越して俺の魂はどこかに行ってしまいそうだ。ランスロットがこんな娘の姿を見たら卒倒してしまうだろう。

 

「や、やはり嫌ですよね! 了解しました、普通にしましょう!」

 

「ま、ま、ま、待って! なんでそんな事を言ったの!?」

 

 俺は腰を引いて前言を撤回しようとするマシュのお尻を掴んでその理由を問いただす。 手には張りのあるマシュの尻肉の感触が伝わり、知らず知らずの内に俺はマシュのお尻を揉みしだく様にして手を動かしていた。

 

「ふぁっ…! 先輩、手付きがいやらしいです」

 

「ご、ごめっ……!」

 

「いえ……その、嫌じゃありません。むしろ喜ばしいと言うか、もっとして欲しいと言うか……」

 

マシュさん、一体あなたはどこまでいやらしくなるんですか? 理性が吹き飛びそうになるのを必死にこらえると俺は先ほどの質問を再び繰り返す。

 一体何故、マシュはお尻の開発を望んだのだろうか?

 

「……私の処女はソロモンに散らされました。魔術で心を操られ、与えられた快楽に屈して私はソロモンに純潔を捧げてしまいました。それは……私にとってとてもショックな事でした。覚悟はしていました。死ぬ覚悟も、傷つく覚悟も……でも、実際にそういう事態に陥った今、身震いするほどの後悔が私を襲うんです」

 

「マシュ……」

 

 それは仕方が無い事だろう。マシュはデミ・サーヴァントとして俺と一緒に戦ってきたが、元はただの女の子だ。初めての相手は好きな人が良かったに違いない。

 それを憎むべき相手に奪われた。いや、自ら差し出してしまった。惑わされ、正常な状況では無かったとは言え、自分から乙女の純潔を明け渡してしまった事は相当なショックだろう。

 

『その女の躰はどうだった? 極上の物だったろう? なにせこの私が一から仕込んだのだからな。お前も私に感謝してその女を抱くと良い! あ~っはっはっは!』

 

 マシュの耳にはソロモンの俺を嘲る様な笑い声が聞こえているのだろう。実際にソロモンは俺を笑っているのかもしれない。愛する人を守り切れず、その純潔を憎き敵にむざむざと明け渡してしまったこの俺を……

 

「……この体はソロモンによって汚されました。もうそれはどうしようもない事で、私は先輩に初めてを捧げることは出来ません。でも、ここなら……」

 

 そう言ってマシュは再び自分のお尻を突き出すとその中心の窄まりを見せつける。俺もマシュが何を言おうとしているのか分かってきた。

 

「ここは……お尻の穴は、ソロモンに触れられてない唯一の場所。ここなら先輩に初めてを捧げられる……そう思ったんです。でも……」

 

 そう言うとマシュは突き出したお尻を引っ込める。そして、今の自分の発言を無かった事にしようとした。

 

「汚い……ですよね? ここは排泄口、出すところであって挿れるところではありません。先輩にそんな汚い真似をさせる訳にはいきません。この話は聞かなかったことに……っっ!?」

 

 マシュが驚きと共に口を閉じる。今日はマシュに驚かされっぱなしだったが、なんとか一回はやり返せたらしい。

 俺は、マシュのアヌスに舌を這わせながらそう思った。

 

「せ、先輩! 何してるんですか!? 汚いです、すぐにやめて……!」

 

「汚くなんか無いよ。マシュのお尻も、ソロモンに触れられた体も、何も汚くなんか無い」

 

 力強くはっきりと言い切った俺はその言葉を証明する様に自分の舌をマシュのお尻の穴の中に潜り込ませる。

 膣よりもきつい肛門の括約筋が俺の舌を締め付け、びくびくと震えている。しかし、俺はそれを解きほぐす様にして舌を動かすと、マシュの口から何とも言えない喘ぎ声が漏れて行った。

 

「あぎ……ぅぅ……く、はぁぉぉっ……!」

 

「ごめんねマシュ、少し乱暴過ぎたね」

 

 苦しそうな声を上げるマシュに気を遣った俺は舌を肛門から離すとマシュの柔らかな尻肉にむしゃぶりつく。

 ふわふわとしたその尻の頂点に、太ももとの境となるアンダーの部分に、なだらかな曲線を描く上部分にと次々にキスを落としていく

 

「ふぁ……♡ はぁ……せん、ぱいっ……♡」

 

「ぷはぁ……ほらマシュ、見てごらん……」

 

「ふぁ……っ♡」

 

 俺はマシュの後ろ姿を鏡に映し出させてそれをマシュ自身に見せつける。今まで唇を落としていたお尻を指し示すと、俺はマシュの耳元で囁いた。

 

「マシュのお尻、俺の物だって証で一杯だよ。ソロモンなんか関係ない、俺の物だって言ってるみたいだろ?」

 

「っっ……はいぃ……♡」

 

 マシュのお尻は俺のキスマークで赤く染まっていた。

 幾つも幾つも付けられた唇の後……それは、マシュが俺の物だとアピールする様にお尻全体に付けられている。

 

「柔らかくってえっちで綺麗なマシュのお尻を好きにできるなんて、俺は幸せ者だよ。だからマシュ、自分の事を汚いだなんて言わないで、俺は、どんなマシュでも大好きだから……!」

 

「ぅっっくぅ……う、嬉しいです。私なんかにそこまで言って貰えるなんて……!」

 

 涙目になったマシュの頭を優しく撫でながら俺は彼女の目を見つめる。マシュは俺の目を見返して微笑んだ後、お尻を突き出して懇願する様にして叫んだ。

 

「改めて先輩に……マスターにお願いします。私のお尻を開発して、初めてを捧げさせて下さい! お願いします!」

 

「……喜んで」

 

 マシュの頭を撫でていた手をお尻に添えながら、俺は柔らかく微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マシュ・キリエライトに令呪をもって命ずる。これから俺がすることに全霊で順応する様に」

 

 ぽう、と俺の左手の淫紋令呪が明るく光る。それに反応するかのようにマシュの下腹部にある同じ紋章も赤く光り、今の俺の命令を深くマシュに刻み付ける。

 光が消えた後、マシュが緊張した面持ちで俺に話しかけてきた。

 

「……せ、先輩、どうかよろしくお願い……」

 

「重ねて令呪をもって命ずる。俺に触れられた時のみ、尻で感じる快感を増大させよ。この命令は知覚できない」

 

 再度俺の淫紋令呪が光り、マシュに新たな命令を心に刻み込んだ。しかし、そんなことは気が付かないまま俺に話を続ける。

 

「……します。出来る限り、面倒臭くない様にしますので」

 

「ああ、こちらこそよろしく。精一杯優しくするよ」

 

 俺もまた何事も無かったかのようにマシュと会話を続ける。この淫紋令呪、作り主が作り主なだけあって性能は凄い。自分の体に関する事だけだが、無限に命令を聞かせることが出来るのだ。

 だがまぁ、ソロモンが作り出したこれは今の俺たちにとっては利用できる物でしかない。せいぜいマシュを気持ち良くするために使わせて貰おう。

 

「それじゃあマシュ、まずはお尻の穴を柔らかく広げていくね」

 

「は、はい……お願いします」

 

 ぷりっとしたマシュの臀部を掴んで両脇に広げれば、彼女の隠したい恥ずかしい穴が顔を表す。むにゅむにゅと柔らかい尻肉の感触を味わいながらも、俺は最大の目的であるアナルを解きほぐす事を忘れてはいない。

 

「ひぅ、ふぅ……んっ……!」

 

 マシュの声は早くも熱が籠って艶が乗ってきている。彼女は知らないが尻での感度を高める命令が下されているのだから当然だろう。

 

「先輩、お上手ですね……!」

 

「マシュのお尻がえっちなんじゃないかな?」

 

「そんなこと……ないですよ……」

 

 恥ずかしそうな声で呟くマシュを見ながら自分の意地悪を少しだけ申し訳なく思う俺。

 マシュの可愛い反応を見る為にこんな事をしているが、確かにこれは意地が悪いだろう。

 

「……先輩が触ってくれているから気持ち良いんですよ」

 

 しかし、その後に続くマシュの発言に俺の罪悪感は吹き飛んでしまった。

 何と言うか、愛を感じるその一言を発したマシュは顔を真っ赤にして俯いてしまっている。でも、そんな事を言われたら男としては興奮しないはずが無いわけで……

 

「よしマシュ、今すぐに次のステージに進もう。お尻におもちゃを突っ込むよ」

 

「えっ!? は、早すぎませんか!?」

 

「大丈夫、マシュのマシュマロヒップなら行ける!」

 

 俺の何の根拠もない言葉を聞いたマシュは困った顔をしながら自分の持ってきた玩具へと視線を送る。

 そこには、細く長い振動するバイブや幾つもの丸いボールが連結してあるビーズ、そして太く短いが一度挿ったらなかなか抜けなくなるプラグなどのアナル開発の道具が揃っていた。

 

「どれから行こうか? マシュはどれが良い?」

 

「え、ええっと……私としては、この細い奴が良いです」

 

「OK! じゃあ、息を吸って、吐いて~…」

 

 俺はマシュが選んだ細い棒状バイブを手に取りながらマシュに深呼吸する様に命じた。大きく息を吸う度にマシュのアナルはきゅっと締まり、吐く度に大きく口を開く。

 何度目かの深呼吸の際、俺は息を吸ったマシュの尻に狙いを定めると、次の息を吐く時に手に持ったバイブを奥まで突き刺した。

 

「んひぃぃぃぃぃぃっ!?」

 

 急に尻穴を穿たれてマシュは驚愕の悲鳴を上げる。しかし、すぐに蕩けた表情になると息も荒く喘ぎ始めた。

 

「あっ……♡ そんな、こんなに早く気持ちよくなるなんて……♡」

 

 バイブの柄を掴んでぐるぐるとかき回してあげると上げるとマシュの声は甲高くなって背筋もぴんっと張って快感を表す。

 令呪の命令によって快感を得やすく、さらにその快感に順応しやすくなってしまったマシュのお尻は興奮で紅潮しながら俺の次の責めを待っている。

 

「マシュ、次はこのビーズにしようか? きっと気持ち良くなれるよ」

 

「はい……先輩の望むままにしてくださいっ!」

 

「それじゃ、お言葉に甘えてっ!」

 

 ぐいっと丸いボールが付いた玩具をマシュのアナルに当てて、その一つ目を中に押し入れる。

 つぷっと言う音と共にビーズを飲み込んだマシュのお尻の穴を可愛がりながら、俺はマシュへと声をかける。

 

「マシュ、ビーズは残り9個あるから、一つずつカウントしながら入れていくよ。準備は良い?」

 

「……はい、お願いします」

 

「よ~し、行くよ~……ひと~つ!」

 

「んっ♡ はぁっ……♡」

 

 俺はマシュのアヌスの震えを確認しつつビーズを直腸内へと押し入れて行く。

 最高に感じるタイミングで、最適の力加減をもって最上級の快感をお尻に与える……俺は、マシュのお尻を完全に支配しきっていた。

 

「きゅ~う! ……マシュ、お尻の中に全部入ったよ」

 

「はぁぁ……♡ お尻の中でころころしてるのがわかります…♡ ふふ、なんだか変な感じですね…♡」

 

 お尻をふりふりと振って俺に喜びを伝えるマシュ。だが、喜ぶのはまだ早い。なんてったって、お尻のメインディッシュはここからなのだ。

 

「マシュ、今度はお尻に入れたビーズを引き抜くよ。覚悟は良い?」

 

「あ、はい。どうぞ……」

 

「ふふふ……じゃあ、カウントダウン行くよ~! せ~の、ひと~つ!」

 

「んほぉぉぉぉっ!?」

 

 ぽこん、と言う音と共にマシュのアナルから飛び出たビーズ。しかし、様々な音はマシュの上げた獣の様な唸り声にかき消されてしまう。

 俺はそんなマシュに対して一切遠慮せずに、アナルビーズの紐を引き続けた。

 

「ふた~つ! みっ~つ!」

 

「んほぉっ♡ ます、た、ほぉっ♡ ま、まってぇ♡ くださぁぁっんっあぁっ♡」

 

「よ~ん、ご~お、ろ~く、な~な!」

 

「ほひぃっ♡ ほひぃぃぃぃっっ♡」

 

 普段の知的なマシュからは想像できないほど下品なその叫び。当然だ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。

 連続して与えられる終わらない排泄感はマシュの気を狂わせるのに十分な威力があった様だ。俺は更なるスパイスを求めて残り一つで吐き出されるビーズから手を離すと、マシュの顔を覗き込む。

 

「どうしたのマシュ? 待ってって言ってたけど」

 

「あぁ、最後の一つ……早くぬいてくださいぃ……っ♡」

 

「……最後? そんな事無いよ、ほら」

 

 そう言ってマシュのお尻を指さした俺は先ほど9個まで球を出したアナルビーズを指し示す。それを見たマシュはぷくっと頬を膨らませた。

 

「酷いです先輩! またお尻の中に球を入れるなんて……」

 

 そう言ったマシュの言う通り、アナルビーズは外に見えている数を9個から7個まで減らされていた。つまり、一度引き抜いた球が2つ、再びマシュの中へと潜り込んだことになる。

 しかし、マシュのその抗議を笑いながら制した俺は、しっかりとマシュに自身のお尻を見させたまま囁きかけた。

 

「何言ってるんだよマシュ、俺は何にもしてないよ」

 

「嘘です! だって現にビーズが……」

 

「そう思うなら見ててごらんよ、きっと面白いものが見れるよ」

 

「面白いもの……?」

 

 俺の言葉を理解できない様に呟いたマシュはそれでも俺の言うとおりに自分のお尻を見続ける。ほんの少しの沈黙の後で、マシュは驚きの声を上げた。

 

「え、ええっ!?」

 

 マシュが見たもの、それは、ひくついた自分の肛門がひとりでに蠢くと、アナルビーズを飲み込んでいく様子だった。

 まるで蛇が得物を飲み込むかのようにビーズを咥え、飲み込むマシュのアナル。その光景にマシュは言葉を失って唖然としている。

 

「……ほらね、俺は何もしてなかったでしょ? マシュが自分でアナルビーズを咥えこんでたんだよ」

 

「あ、うぅ……」

 

「にしてもマシュは悪い子だな~! 自分がエッチなのを俺のせいにするんだから!」

 

「あ、えと、その……!」

 

「悪い子にはお仕置きをしないといけないな~!」

 

「お、お仕置き……ですか?」

 

 少しだけ怯えの映ったマシュの瞳を見た俺の中にちょっとしたS心が生まれてくる。マシュってなんだか虐めたくなっちゃうのだ

 

「そうだな~……お尻ぺんぺんが良いかな? それとも、さっきみたいに何回もアナルビーズを出し入れしてあげるとか?」

 

「は、はぁぁ……♡ そんなぁ……♡」

 

 そのお仕置きの案を聞くマシュもまた熱の籠った声で喘ぐようにして呟く。その声には嫌悪感は感じられない、むしろ、歓喜と喜びに満ち溢れている声だ

 

「ねぇ、マシュ。マシュはどんなお仕置きが自分にふさわしいと思う? やらしくって、スケベなマシュのお尻にぴったりなお仕置きって何かな?」

 

「私……私のお尻にぴったりのお仕置き……そ、それは……っ!」

 

 そこまで言ったマシュはさらに大きくお尻を突き出すと俺に向かって叫ぶ。恥も外聞も投げ捨てて叫ぶマシュの顔には悦びの色がありありと映っている。

 

「全部して下さい! お尻ぺんぺんも、アナルビーズの出し入れも……ほかにも、先輩が思うお仕置きすべてを、私のお尻に与えて下さい!」

 

「……言ったねマシュ、覚悟は良い?」

 

「はい!お、お願いします!」

 

 嬉しそうにお尻を振るマシュを見ながら俺は思う。本当にドスケベな女の子になってしまったものだと。

 しかし、この姿は誰にでも見せるものでは無いのだろう。心から信頼されている俺だからこそ見れるマシュの淫らな一面……俺だからこそ、マシュはほかの誰にも言えない本心をさらけ出すことが出来るのだ。

 

「お願いします……私のお尻を躾けてください、先輩……♡」

 

 瞳を潤ませて懇願するマシュの頭を撫でた後、俺は白く美しいマシュのお尻へと手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 浣腸、スパンキング、器具責め、指責め、舌責め、視姦、放置プレイ、空気浣腸による強制放屁、etc、etc……

 

 俺は考えられる限りの責めをマシュの尻に行った。その全てを、マシュは嬉々とした表情で受け入れ、快楽を貪っていく。

 そして、マシュの体力が尽きかけた頃……マシュのお尻は、ついに完成された。

 

 張りのある柔らかな肉は触れる者の手に極上の手触りを与える最高の素材に、形の整った臀部は見る者すべてを魅了する芸術品へと昇華された。

 そして、中央にある窄まりはいつもはおちょぼ口でひくついているが、一度快楽を求めだすとぽっかりと広がる最高のケツマンコへと変貌したのだ。

 

「あぁ……♡ すごいです、先輩……♡ 私のお尻、変わっちゃいました。先輩の手で、変えられちゃいました……♡」

 

 マシュが呆けた声で嬉しそうに呟く。出す所から挿れる所へと変わった彼女のアヌスはひくひくと蠢き、今か今かと絶頂の時を待っている。

 

「先輩……お願いします。私のお尻の処女を奪ってください……♡」

 

 マシュは自分からアヌスを広げておねだりをする。

 そのおねだりを聞いた俺はマシュの臀部を鷲掴みにすると、中央の窄まりに怒張を突きつける。

 

「あぁ……♡ やっと、先輩に初めてを捧げられる…♡ 先輩、私は幸せですっ♡」

 

 マシュは涙ぐみながらそう言うと俺に体を預ける。俺はマシュの腸壁を傷つけない様に慎重に……されど力強く男根を突き入れて行った。

 

「ふぅぅぅぅぅっ……♡ はいって、きたぁ…♡」

 

 ぞくぞくと震えるマシュの背筋、俺はそっとマシュに覆いかぶさるとその耳元で囁く。

 

「マシュ……マシュのお尻の初めて、確かに貰ったよ。マシュの気持ちは、しっかり受け取ったから……」

 

「はい! はいっ……!」

 

 ぽろぽろと涙を流すマシュを後ろから抱きしめる。変態的な行為をしてでも俺に思いを伝えたいと願ったマシュに感謝を込めて、沢山気持ち良くなって欲しいと思いながら俺は腰を動かす。

 

「んほぉぉっ♡ ほぉぉぉぉっ♡」

 

 挿れる瞬間と出す瞬間、マシュは全く違った声を上げる。挿れる時には俺を迎え入れられることの喜びを表す喘ぎ声を、抜く時には俺から与えられる快感を享受する唸り声を口から漏らす。

 そのどちらにも共通しているのは、マシュが気持ち良くなっているという事だ。しっかりとマシュのお尻は開発され切ったらしい。

 

「先輩……私、気が付きました。ソロモンなんて先輩に比べたら全然大したことが無い相手だって……!」

 

 突如そう言ったマシュはガンガンと腰を振りながら俺に叫ぶ。天啓を受けたかのように興奮しているマシュは早口で俺にまくし立てていく。

 

「だって、ソロモンは私の事をたくさんの魔術を使って篭絡しました。でも、その全てをなんの魔術も使っていない先輩に打ち破られて、私を奪還されてしまったんですよ! ソロモンの魔法なんて先輩の前では何の意味も無いもの……先輩は、魔術一つ使わずに私を助け出して、私の体を開発してくれて……心を温かくしてくれました! もしもソロモンが先輩を笑ったとしても、私が言い返してやります。お前こそ先輩に男としては何一つとして適わないんだって! ……悔しかったら、もう一度私を落としてみろって! ……ソロモンはもう二度と私を性奴隷になんか出来ませんよ。だって私、本当の快楽を知ったんですから……♡」

 

 抱きしめるマシュの体から溢れる温かな思い。それが俺への愛だと悟った時には、すでに互いの唇を重ね合わせていた。

 俺の部屋に来た時の弱り切ったマシュはもう何処にも居ない。ここに居るのは、俺に念願の初めてを捧げ、ソロモンの呪縛から完全に解き放たれたマシュ・キリエライトだ。

 

「ふふ……もう大丈夫みたいだね」

 

「はい! これもすべて先輩が私を愛してくださったおかげです!」

 

 感激するマシュと俺は再び唇を重ね合わせる。

 ココアに砂糖を溶かした様な甘い幸せが俺たちを包むと同時に、マシュは俺が動きやすい姿勢を取って俺を誘った。

 

「先輩、もっと好きに動いてください。私の事は気にせずに、私の体を使って気持ち良くなって下さい。それが、私の幸せなんです♡」

 

 そう語るマシュの瞳の奥にはハートマークが光って見える。身も心も蕩けさせて俺に抱かれるマシュは、アヌスから与えられる快感に酔いしれていた。

 

「この体は爪一枚から髪の毛一本まで先輩の物……♡ 戦いも、性処理も、このマシュ・キリエライトにお任せください。英霊として、性奴隷として、存分にご期待に応えて見せます!」

 

「ああ、頼りにしてるよマシュ……これからも一緒に居よう。ずっと、ずっと……!」

 

「はい! ずっと、ずっと……お傍で仕え続けます、マスター♡」

 

 俺に対する絶対の忠誠を誓ったマシュの尻に何度も腰を打ち付ける。マシュの尻に俺に体がぶつかる度に激しい音が響き、マシュの顔が快楽に染まる。

 獣の様な唸り声も愛する人が上げていると思えば愛らしく思える。マシュの腰をがっしりと掴んだ俺は、奥へ奥へと突き進む様に腰を振るいながら叫んだ

 

「マシュ! 射精()すぞっ! お尻で受け止めてくれっ!」

 

「はいっ♡ マスターの精子、お尻に下さいっ♡ たくさん注いで、愛して下さい……っ♡」

 

 俺が開発し、支配したマシュのアナル。そのアナルに自身の欲望をぶちまけると言う男なら誰もが憧れるセックス。

 俺は今、それを体験している。愛らしい少女を自分好みに仕立て上げ、それを我が物にしているのだ。

 

「来るっ! 来ます! 先輩のおちんちん、硬くなって……熱いのが来るのが分かりますっ!」

 

「う……あぁぁぁぁぁっ!」

 

 マシュの言葉をきっかけに一気に奥まで腰を振った俺はその最奥で果てた。マシュの腸内に精液をぶちまけて最高の快感に酔いしれる。

 

「はぁぁぁぁっ……♡ 先輩の精子♡ 愛情がこんなにいっぱい注がれてる……♡」

 

 マシュもまた俺の射精に対して絶頂して、自身の中で出された精液に歓喜している。しかし、とある事に気が付いたようでふっと微笑むと俺の目を見つめ返してきた。

 

「……まだ満足してませんよね? だって、私のお尻の中で先輩のおちんちんが硬くなってるのがわかるんです……! 良いですよ、私を好きに使ってください。お尻もおまんこもおっぱいも……私の体は、全部先輩の物なんですから♡」

 

「っっ……! マシュっ!」

 

 マシュのその言葉に俺は理性を手放す。あとは野となれ山となれ……俺はただひたすらに目の前の極上の女体を……マシュの躰を貪ることに決め、彼女に抱き着いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んほあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 綺麗な金髪を揺らして小柄な女性が卑猥な呻き声を上げる。ソロモンの剛直にアナルを貫かれ、魔術によって望まぬ絶頂を強いられたその女性……騎士王『アルトリア・ペンドラゴン』は地面に崩れ落ちた。

 

「ふん……円卓の王ですらこの様か、まったく愉快なものだな……ほら、一体いつまで気をやっている、さっさと主のものを綺麗にせんか」

 

 ソロモンのその言葉に顔を上げたアルトリアは今さっきまで自分のアヌスを貫いていたソロモンの男性器を口に咥える。苦く臭いその不快感に耐えながら、アルトリアは涙目になってソロモンに奉仕し続ける。

 

「……ふむ。あの雌犬め、何かしくじったか?」

 

 そんなアルトリアの様子など気にも留めずにソロモンが呟いたのは、2日前に壊滅寸前の敵基地、カルデアに送り込んだ駒の一人、マシュ・キリエライトの事だった。

 戦う力も無い。策も無いであろうカルデアなどものの一時間もあれば壊滅すると思っていた。

 だが、意外にも帰りの遅いマシュに対して、最初は彼女が残っている研究員を遊び交じりに殺しているからこそ時間がかかっているのだと思っていたソロモンだが、事ここに至って初めてカルデア側の反撃に遭ったかもしれないという可能性に思い当たった。

 

「……しかしまぁ、そこまで気にすることでもあるまい」

 

 ソロモンは自分の右腕にびっしりと刻まれた淫紋令呪に視線を送る。これさえあればどんな女英霊も自分を裏切ることは無い。マシュが捕らえられていたとして、カルデアは彼女をどうしようもないのだ

 

「ふっ……まぁ、そろそろ駄犬を助け出してやるか」

 

 そう軽く呟いたソロモンは一人の英霊に手招きすると自分の後ろに控えるホムンクルスに指示を送る。

 ややあって、自分の元へとやって来た裸の彼女に向かって、ソロモンは言い聞かせる様にして指令を与える。

 

「良いか? お前たちのかつての同胞の始末に向かったマシュがまだ戻って来ない。万が一の事を考えてお前が助けに行け、マシュが相手を皆殺しにしていなかったらお前が殺せ、わかったな?」

 

 こくりと頷いたその女性に向かって満足げに微笑むと、ソロモンはホムンクルスが持ってきた荷物を彼女に手渡した。

 

 手渡した物の内、一つは彼女がソロモンの手に落ち、性奴隷へと身をやつす前に身に着けていた服、それをマシュ同様に淫らに改造し、着る者の尊厳を嘲笑う様なデザインに変えた物だ。

 ソロモンは令呪を使ってそれを必ず着る様に命ずると下種な笑みを浮かべる。その笑顔には、この女が自分の奴隷と化した事を喜ぶような雰囲気が含まれていた。

 

 そして、ソロモンが彼女に手渡したもう一つの物、それは、彼女の戦いの得物であった。

 紅く鋭く光る呪いの朱槍、投げれば相手の心臓を貫く因果逆転の魔槍……それを受け取った女性は光の無い目で自分の手を見ると振り返って歩み始める。

 戦いの準備を整える為に雌の匂いが充満するこの場から去った女性の後ろ姿を見ながらソロモンは嗤う。

 

 戦いの経験が乏しかったマシュは何とか凌げたかもしれない。しかし、今度こそカルデアは終わりだ。なにせ彼女は相当の使い手……ただの人間が勝てるはずが無い。

 

「んぶぅぅぅっ!?」

 

 気分が良くなったソロモンは自分の陰茎を咥えているアルトリアの口の中におびただしく精液を放つ。

 あまりの量に口に含み切れなかった精液が床に落ちるのを見たソロモンは、自分の令呪を見せびらかしながらアルトリアに命じる。

 

「……令呪をもってアルトリア・ペンドラゴンに命じる。私の精液を残さず飲み干せ、床に零したものは舐め取れ、一滴も残すな」

 

 その命令を聞いたアルトリアはソロモンの言いつけ通り口に残る精液を飲み干した後で床に這いつくばって零れ落ちた精液を舐め取り始めた。

 騎士王のその惨めな姿に高笑いを上げたソロモンは、自分の発明した淫紋令呪を見つめながら思った。

 

(この令呪は最高だ! 私の発明したものの中ではふざけた代物だが、今まで煮え湯を飲まされ続けてきた英霊どもにこんな惨めな真似をさせられるんだからな!)

 

 ソロモンは嗤う。部屋中で異形に抱かれる女英霊達を見ながら。ソロモンは嗤う。英霊としての使命を投げ捨ててただの性奴隷へと堕ちた女どもを嘲って

 

 ソロモンは嗤う。自分の犯している致命的なミスに気が付かないままに

 

 この時点でソロモンが犯しているミスは3つある。一つは、自分の腕に刻まれた令呪の内いくつかが消え去っている事に気が付いていないことだ。

 無論、それは自分の魔の手から解放されたマシュの令呪なのだが……いかんせん数量が多いゆえに、ソロモンはその事には気が付かなかった。

 もしもソロモンがこのことに気が付いていればもっと別の手が打てただろう。それをしなかったことが第一の失敗。

 

 二つ目は、淫紋令呪を刻んだ相手の服従を強いものとしなかった事だ。

 淫紋令呪は刻んだ相手が快楽を与えてくれると共にマスターへの忠誠を強める効果がある。しかし、ソロモンは自らの手で英霊達を抱こうとはしなかった。

 異形の怪物たちに女を預け、無様な姿を晒す女英霊たちを笑い物にする為に淫紋令呪の強化を怠ったのだ。それが第二の失敗である。

 自分の手からカルデアのマスターの元へと帰還したマシュの淫紋令呪はすでにソロモンがどうこうできる段階を過ぎた代物へと進化していた。マスターに抱かれ快楽を得続けたマシュは、もはや再びソロモンの手で落とせる様な女では無くなっているのだ。

 

 もしもソロモンが英霊達に淫紋令呪を刻んだだけでなく、その忠誠を確固たるものにするために3か月の間抱き続けていたとしたら……もはや、カルデアの男たちに彼女たちを奪い返すという選択肢は無かっただろう。

 しかしソロモンはそうしなかった。令呪を刻み、英霊達を奴隷へと堕とした事で満足してしまった。その慢心が、相手に反撃の隙を与えていると気が付かずに……

 

 そして、最後の失敗は……カルデアの状況を完全に把握する前に新たなる兵を送ってしまった事である。

 

 もしもカルデアの作戦をソロモンが知っていたなら、マシュが寝取り返された事を知っていたのならば、絶対に言えることがある。

 それは、第二の刺客として()()を送る事はしなかったという事だ。なぜなら、カルデアには送り込んだ彼女の想い人が居るからだ。

 万が一にも彼女が敗れてカルデアの面々の手に落ちた時、彼女もまた寝取られ返される可能性が非常に高い。ソロモンがその事を知っていれば、刺客はもっと別の英霊に任せたはずだった。

 

 以上三つの失敗に気が付かぬまま、ソロモンは嗤い続けている。自分の勝利は確固たるものだと信じ、相手を侮っている。故に……その失態の代償は、非常に大きなものになる。

 

 この数時間後、自分の送り込んだ新たな刺客……「影の女王」の淫紋令呪が自らの腕から消える事になるとは知らないソロモンは、ただひたすらに嗤い続けていた。

 

 




これにて一度マシュ編は終わりとなります。次回からは女王が来ます。更新を気長にお待ちください。ノシー


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

影の女王の襲来 その記憶 (スカサハ NTR、凌辱描写注意)

タイトル通り寝取られと凌辱の描写があります。苦手な方は注意

流石にやりすぎた感が否めない気がするな……


 ――死ぬ時に後悔が無かったかって?まぁ、そうだな……無かった、って言ったら噓になるわな。

 

 特に俺なんて死を覚悟してから実際に死ぬまで結構かかったしな、その間にもっとこうしときゃ良かったって思う事もあったっちゃあった。

 

 え?何を後悔したんだって?……そうさなぁ、現れては消えてった幸せに出来なかった女の事とか、知らず知らずの内に自分で殺してた息子の事とか、あとは……

 

 ……果たせなかった約束、とかだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄貴たちもマスターになるぅ!?」

 

「うん、そう♪」

 

 ルンルンとした様子で俺に驚きの提案をしたダヴィンチちゃんは、近くにあったモニターを見ると満足げに頷く。

 言葉の意味は理解できてもその理由までは分からない俺は彼女に質問を投げかけた。

 

「ま、待ってよダヴィンチちゃん! なんでそんな事するわけ?」

 

「そんなの君や女の子たちのために決まってるだろう?」

 

「お、俺の為……?」

 

「そういう事だぜマスター、ちょっと考えてみればわかんだろ」

 

 ダヴィンチちゃんに代わって話を引き継いだのはどこか諦めた様子のロビンフッドだった。ロビンはマシュを指さしながら話を続ける。

 

「ソロモンの奴が刻んだ淫紋令呪は女を狂わせる魔性の魔術……だが、それを利用すればこっちの陣営の強化も出来る」

 

「マシュの忠誠度が上がってる事を言ってるんだね?」

 

 俺の言葉にロビンは頷く。ダヴィンチちゃんの研究で分かった事だが、最初に刻まれた時から形が変わっていたマシュの淫紋令呪は俺への思いに反応してその力を発揮しているらしい。

 

 淫紋令呪の効果をわかりやすくまとめてくれたダヴィンチちゃんによると、普通の令呪と違う点は4つだ。

 1つ、刻まれた者はマスターに絶対の忠誠を誓う。好感度がマックスになり、そこから下がらないという事だ。

 2つ、マスターに恩義を感じやすくなり、忠誠度の上りが強くなる。好感度の上限が100から無限になり、ほんの少しの行動で一気に上昇しやすくなる。そして、上がれば上がるほどマスターへの忠誠は絶対の物へとなっていくと考えよう。

 3つ、刻まれた者は性的興奮を感じやすくなり、常に昂る。これを利用してマスターが女を抱き、それによって忠誠度を上げるという行動が可能になるのだ。

 4つ、淫紋令呪が強化されればされる程、刻まれた者とそのマスターの能力は向上する。基礎能力の上昇や更なるスキルの入手、魔力の強化などの恩恵が得られるのだ。

 

 この中で一番大事なのは最後の4つ目の事項、淫紋令呪によるサーヴァントとマスターの強化だ。この効果は非常に強力なもので、新たに計測したマシュのステータスは以前と比べると二回りほど上昇していたのだ。

 それだけではない。精神強化EX、魔術耐性EXと言う様な新たなスキルも習得していた。この二つは文字通り精神面が強化され自分の意思を持ち続けることが出来るのと、相手の魔術に対して耐性を得るというものだ。つまり、寝取られ対策のスキルなのだろう。

 EXランクのスキルだけあってその効果は絶大で、ダヴィンチちゃん曰く今のマシュを再びソロモンが堕とすには聖杯の力を借りるしかないらしい。全能の神器、聖杯……それを使い、マシュの持つスキルをリセットしてから再び抱くという行動がソロモンの出来る唯一の手だ。

 しかし、ダヴィンチちゃんはそれも不可能になるだろうと言っていた。どうやらあと1週間もすればマシュは聖杯の効果すら無効に出来るスキルを習得するだろうと彼女は見込みを立てているらしい。

 

 もしそれが本当だとしたら……俺は恐怖すら感じる。聖杯は時代を歪ませるほどの力を持つ物だ、その効果を受けないなど正気の沙汰では無い。

 しかし、万能の天才がそう言うのだから間違いは無いだろう。俺も、そう思う程の力を自分とマシュが得ている感覚はある。

 

 俺の方はマシュに比べて大きな力の強化などは無い。しかし、俺はマシュと違って何人ものサーヴァントと契約できる。何人もの淫紋令呪を刻まれた英霊のマスターとなることが出来るのだ。

 

 ダヴィンチちゃんは言う。もしも順当に皆を取り戻し、俺が淫紋令呪の効果で強化されていった場合、俺はソロモンをも超える魔術師になるかもしれない、と……

 今までの能力を遥かに超えた英霊を操り、常識はずれの魔術を操る魔術師に俺がなるかもしれないと彼女は言うのだ。

 

 だから、俺はこれからも皆を取り戻したら今まで通り俺がマスターになるつもりだった。しかし、ダヴィンチちゃんはそんな俺の思いをあっさり切り捨てると妙な提案をしてきたのだ。

 その理由が俺の為とはどういう事だろうか?まだ理解できていない俺に対してロビンは詳しい説明を開始する。

 

「良いかマスター、カルデアに居た女英霊はざっと数えても50人近くは居た訳だ。ちょっと特殊な奴を省いてもそのくらいはいたのはマスターだってわかってんだろ?んで、問題は今のマスターがその全てを受け止められるかって事だ」

 

「今の俺って……前から出来てたじゃないか、何を今さら?」

 

「分かってねぇなぁ……マスター、ざっくばらんに行っちまうとだな。『あんた一片に何人の女を抱けるんだ?』って話なんだよ」

 

「……あ!」

 

「やっと気が付いたか、妙なとこ鈍いからなあんた」

 

 ロビンの話を聞いていてようやく分かった。そう言う事なのだ。

 淫紋令呪を強化するにはその人を抱くしかない。抱けば抱くほど強くなるのだから誰だってそうする。

 しかし……俺の体は一つだけだ、そして体力にも限界がある。何十人もいるカルデアの女性英霊を一人で相手することなど出来はしないのだ。

 今はマシュ一人だから良い。しかし、これから先皆を取り戻し続けたら俺の体の限界が来てしまうだろう。ダヴィンチちゃんが心配しているのはそういう事なのだ。

 

「あんたは人類最後のマスター、あんたが倒れたら話になりゃしねぇだろ? だから、その負担を分散するために俺たちもマスターになるって事だ」

 

「でも、そんな事出来るの?」

 

「何の魔術適性も無いカルデアの研究員がマスターになるよりかは現実的だろうさ。今までサーヴァントがマスターになったっていう前例は確認されているし、不可能じゃない」

 

「少なくともクー・フーリン君はキャスタークラスで現界出来るほどの魔力はある。彼ならマスターの役目にうってつけだろうさ」

 

「……俺とスパルタクスは分からんけどね」

 

 俺は二人の会話を聞きながらクー・フーリン兄貴がマスターとなった姿を想像する。ランサーの時はちょっとあれだが、周りを見てそれをフォローする人の好さと目利きは随一だ。

 それにキャスター時の冷静な人を導く姿勢も加わったならまさにマスターとしては完璧だろう。少し嫉妬もしてしまうが……

 

「大丈夫です先輩! 私は先輩専用の性奴隷(サーヴァント)ですから!」

 

 マシュの言葉に違和感を感じてしまうのは俺が疲れているからだろうか? 具体的には耳で聞いた声と実際に文字にした場合とで意味が違っている様に思えるのだが……

 

「……あれ? そういえばその兄貴はどこ?」

 

「そういえばさっきから見て無い様な……?」

 

「み、皆! 大変だ!」

 

 兄貴を探して部屋を見まわしていた俺たちの前にやって来たのはDr,ロマンだった。 息を切らせて部屋に入って来たその様子はただ事ではない。ロマンは慌てている自分を一度落ち着かせると、大声で緊急事態を告げた。

 

「新たなサーヴァント反応を検知! 敵の第二陣が来るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……サーヴァント反応は一つだけ、他には魔力の反応は無いよ」

 

「思ったより遅かったね。おかげでカルデアの復旧もある程度は済んだ。こうやって敵の襲撃に際して作戦が練れる程度にはね」

 

 俺たちはブリーフィングルームに集まって話し合う。議題はもちろん、今回の襲撃者への対策だ。

 この戦いをどうしのげばいいのだろうか? そう考えていた俺に対してオリオンが話しかける。

 

「なぁなぁ! これってチャンスだろ!? またマシュみたいにやって来た奴を抱いて、元に戻してやれば良いじゃん!」

 

「話がそう上手く行くとは限らないぜ。今度は男の英霊が来ることだって考えられる」

 

「あ、そっか……」

 

「いや、多分それはねぇよ。今度もまた女が来る」

 

 冷静なロビンの指摘に対して反論したのはクー・フーリンだった。一体何故そんなことを言えるのかと言う俺たちの視線に対して、兄貴は自分の考えを述べる。

 

「今回の襲撃者は俺たちを襲いに来たんじゃねぇ、マシュの嬢ちゃんの援護が目的だ」

 

「わ、私のですか?」

 

「ああ、恐らくだがソロモンの奴はマシュの嬢ちゃんが俺たちに奪還された事に気が付いてねぇ。せいぜいなんかトラブルがあって嬢ちゃんが捕まったくらいにしか考えてねぇんだよ」

 

「……なんでそんなことがわかるんだ?」

 

「増援が来るのが遅かった事、来てる奴がたった一人だって事を踏まえりゃこう考える。本気でマシュを心配してるならもっと早く来るし、俺たちを叩き潰すつもりなら多くの軍勢で攻めてくるだろ?」

 

「な、なるほど……」

 

 兄貴のその考察に俺は舌を巻く、慌てふためく俺に対して兄貴は瞬時にそこまで考えを進めていた。本来なら、その役目は俺がすべきなのに……

 

「……さてマスター、ここでお前に質問だ。ここに攻めてくるサーヴァント、お前はどんな奴だと思う?」

 

「えっ!?」

 

 俺に対する突然の質問、相手の情報がまるで無いと言うのに何故こんな質問をしてくるのだろうか?

 

(……いや、違うな)

 

 兄貴の目を見た俺はすぐに自分の弱気な考えを打ち消す。俺を試す様な目をしていると思った兄貴の目は、俺への信頼で溢れていた。

 もう答えを出すのに十分な材料はそろっている。あとはお前が落ち着くだけだ……目でそう語る兄貴を見て俺は思考を落ち着かせると、今までの情報から相手の正体を探る。

 

「……キャスターとライダー、アーチャーでは無いと思う。この三つは屋内での戦いには向いてないし、キャスターは単独での戦闘は向いてない」

 

「よし、まず一歩だな。ほかに何かわかるか?」

 

「アサシンも違う。もしもアサシンなら気配遮断を使ってくるだろうから、カルデアに存在を察知されるはずが無い。バーサーカーも違うと思う。マシュの捜索と援護だなんて命令を完全に実行できる頭脳のあるバーサーカーはそうはいないし、いたとしても命令違反のリスクが大きすぎる」

 

「……つまり先輩は、敵の正体はセイバーかランサーのサーヴァントだと思っているわけですね?」

 

「加えて、敵はかなりの実力者だ。ソロモンが俺たちを舐めているとしても、単独でカルデアに送り込んで問題ないと思うほどの英霊だよ」

 

「具体的に誰だって想像は出来るかい?」

 

「………」

 

 俺は頭の中でソロモンに奪われた仲間たちの顔を思い浮かべる。セイバー、もしくはランサーの強い英霊……思い当たる奴はたくさんいる。

 

 例えば、騎士王『アルトリア・ペンドラゴン』。彼女の聖剣は強力無比、敵として現れたならば苦戦は必至だろう。

 もしくは彼女のIFの可能性、獅子王『アルトリア・ペンドラゴン』かもしれない。ランサーである彼女もまた強敵だ。

 

 だが、俺はその答えに納得が出来なかった。彼女たちではこの戦いに向いていない。それは、彼女たちの宝具が問題だ。

 彼女たちの宝具は強力すぎる。俺たちをカルデアごと粉砕するつもりならば良いだろう。しかし、ソロモンの目的はあくまでマシュの無事を確かめつつ俺たちを殺すことだ。 もしもマシュが俺たちに捕まっていた場合、カルデアを破壊するわけにはいかなくなる。そうなると、例に挙げた二人だと、宝具を開放することが出来なくなってしまうのだ。

 

 今回の襲撃者は恐らく対人宝具持ちのサーヴァント……そこまで考えた俺は目を開けて自分の予想を皆に伝えた。

 

「……3人までは絞り込めた。あくまで俺の予想だから当たっているかはわからないけどさ」

 

「そこまで絞り込めたんですか!?」

 

「ああ……まず第一の可能性。ソロモンが俺たちを殺すことを最優先にしてるとしたら、送り込まれるのは『沖田総司』だ」

 

 幕末最強の人斬り集団『新撰組』、その一番隊隊長である沖田総司ならば狭い屋内での戦いはお手の物だろう。

 彼女の三段突きを思い出すと身震いがする。しかし、彼女が送り込まれてくる可能性は正直低いと思った。病弱のスキルを持つ彼女がうっかり倒れなどしたら、ソロモンにとってマシュの二の舞になってしまうからだ。

 彼女が来る可能性よりかは他の二人が来る可能性の方が高いだろう。そう思いながら俺は二人目の人物の名前を挙げる。

 

「次がセイバー、『シュヴァリエ・デオン』。マシュを助け出すことに重きを置いているならば彼女……って言って良いのかは分からないけど、彼女だろう」

 

 自由奔放な王妃、『マリー・アントワネット』の付き人として補佐をこなすデオンならばマシュを助けつつ俺たちを殲滅することなど朝飯前だろう。しかし、この可能性も正直考えにくい。

 彼女は強いが、先に名前を挙げた沖田総司と比べると戦力としてはあまりに補佐向き過ぎる。こちらに戦力があると少しでも思っているならばソロモンは彼女を送り込まないだろう。

 

 俺の本命は最後に名前を挙げる三人目の人物……彼女の顔を思い浮かべた俺はちらりと前に座るクー・フーリンの顔を見る。

 兄貴は俺の顔を見続けている。その表情を見ていると俺の心がチクリと痛んだ。俺は今から彼にとって非情な事を言おうとしているからだ。

 

 だが、兄貴は俺の視線に気が付くとゆっくりと頷いて話を促す。すべてわかっていると言わんばかりのその行動に、俺も意思を固めた。

 

「最後の一人だけど、俺は正直来るのはこのサーヴァントだと思ってる。あらゆる事を考慮すると、彼女が来る可能性が一番高いんだ」

 

 そう、高い戦闘能力を持ち、あらゆる状況に対応できる冷静な思考と豊富な経験を併せ持つ対人宝具を持ったセイバー、もしくはランサーの女性サーヴァント。

 そこまで条件を絞り込めば、該当する人物は一人しかいないだろう。高まる緊張感の中で、俺は彼女の名前を口に出した。

 

「影の女王、『スカサハ』……彼女がここにやってくるサーヴァントだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……兄貴、大丈夫?」

 

「ああ、お前が思ってるよりかは平常心を保ててるぜ」

 

 カルデアのゲートの前でやって来る英霊を待ちながら俺は兄貴に話しかける。本心から俺は兄貴が心配だった。

 

 スカサハは兄貴の師匠だ。そして、前に本人から聞いたが……男女の関係にあった事もあるらしい。メイヴに突っかかれたスカサハが、「セタンタの童貞を奪ったのは私だぞ」と彼女を挑発している所も見た。

 それが本当なのかはわからない。でも、スカサハはクー・フーリンと言う男にとって大切な人である事は間違いないだろう。

 

 強く凛々しい自分の師が敵に捕らわれ、しかも奴隷と堕ちてしまった。仲間を奪われたというよりも、彼にとっては本当の意味で寝取られたと言った方が正しいだろう。

 俺が兄貴の立場だったら動揺しないはずが無い。しかし、以外にも兄貴は涼しい顔をしており、いつも通りの笑顔を俺に見せながら言った。

 

「マスター。サーヴァントなんてのは召喚されたら最後、主の為に命を懸けて戦うのが運命だ。生前の友が今日の敵なんてこと、いくらでもあり得る」

 

「でも、今回は事情が……」

 

「分かってるよ。でもな、俺のやる事は変わらねぇ。お前を守って、敵を倒す。んで、師匠の事はお前に任せるさ。きっと助け出せんだろ?」

 

「兄貴……」

 

 すっきりとした兄貴らしい考え方、しかし、今はそれが痛々しく感じられる。

 本当なら敵に屈した師の姿など見たくないだろう。こんな形で戦う事に納得など出来るはずも無いだろう。

 だが、光の御子は俺を守るためにこの場に居てくれている。その思いに応える方法はたった一つだ。

 

「……勝とう、それでスカサハを取り戻そう。絶対に!」

 

「なんだよ、まさかそれ今決めた訳じゃねぇよな? 俺ははなっからそのつもりだったぜ?」

 

 兄貴の冗談に笑みを浮かべて見つめ合う。ほんの少しだけ救いを感じたその時、ゲートが輝き始めた。

 

『来るぞ! 皆、準備は良いかい?』

 

 ドクターのその言葉に全員が身構える。徐々に強くなる輝きを目にしながら俺はサーヴァント達に指示を飛ばす。

 

「スパルタクスと兄貴は前線に! ロビンは二人を援護出来る位置で射撃を頼む! マシュ、いつでも宝具を展開できるように準備!」

 

「応ッ!」

 

「さぁ、叛逆の時間だ!」

 

「しんどい戦いになりそうだね、こりゃあ!」

 

「了解しました!」

 

 四者四様の反応を示すサーヴァントを見た後で俺は光り輝くゲートを睨む。その輝きが最高潮に達し、弾けて消えた後に立っていたのは……予想通りの人物であった。

 

「……ほぅ、随分な歓迎だな。予想はしていたが、まだ戦力が残っていたか」

 

「……スカサハっ!」

 

「お前が我が主に歯向かう愚か者か、降伏し頭を垂れるなら良し、楽に心臓を穿ってやろう」

 

 冷たい視線を俺に送り、鋭くにらみつけるスカサハ。その瞳にかつてあった温もりは消え失せ、ただただ冷たい氷の様になっている。

 その姿を見て居られなかったのか、俺の前に出てきたマシュは大声で彼女に叫んだ。

 

「スカサハさん、目を覚まして下さい! あなたはソロモンに操られているんです!」

 

「……マシュ、どうやらお前は我らが主を裏切った様だな。これは驚きだ、この者たちに主への忠義を誑かすほどの魔術が使える者が居ようとは」

 

「違います! ソロモンが私たちを魔術で狂わせたんです! わからないんですか!?」

 

「何を言う、私こそは忠実なるマスターの僕……グランドキャスター、ソロモン様に使えるサーヴァント、スカサハだ。お前こそ今までマスターから受けた寵愛を忘れたのか?」

 

「……おいマスター、スカサハの奴、なんか変じゃねぇか?」

 

「ああ、それは俺も思った」

 

 肩に乗るオリオンに対して返事をする。何かスカサハの様子がおかしい。ただソロモンに淫紋令呪を植え付けられて狂ったのとは違う、妙な違和感を感じるのだ。

 

「……マスター、もしかしたらスカサハは俺たちの記憶が無いのかもしれないぞ」

 

「ロビン、それってどういう意味?」

 

「さっきマスターと話したスカサハはまるでお前さんを初めて見る様な口ぶりだったろ?それどころかカルデアに関する記憶すら無い雰囲気だぜ、ありゃあ……」

 

 ロビンの一言に俺は感じていた違和感の正体に気が付いた。確かにその通りだ、スカサハは俺の事を誰だかわかっていないのだ。

 恐らくスカサハはかつての記憶を消されてしまったのだろう。そして、新たな記憶を植え付けられたのだ。

 

 だから自分の事をソロモンに使える忠実な部下だと思っているし、俺たちに対して初対面の様な素振りを取ったのだ。

 マシュの事は一緒に捕まり、奴隷として過ごしていた時があるから覚えていられる。記憶があるのはソロモンに関する事だけなのかもしれない。

 

「まぁ良い。マシュ、お前を連れて帰った暁には再び主に忠誠を誓わせてやろう。共にソロモン様に抱かれればその温もりを思い出すだろうさ」

 

「そんな……スカサハさん……」

 

 完全に堕ちきっている。一片の情さえも見せない目つきで俺たちを睨むスカサハには、俺たちは憎き敵以外のなんでも無いのだろう。

 

 こんな状態のスカサハを元に戻す事なんて出来るのか?軽く絶望しかけた俺たちだったが、希望は意外なところから芽を出し始めた。

 

「……待て、お前……まさか、セタンタか?」

 

「……俺の事が分かるのかよ?」

 

「ふふっ、私を誰だと思っている?弟子の顔など一目見ればすぐに思い出すさ」

 

 愉快そうに笑うスカサハはそう言いながら手に持った槍を兄貴に向ける。そして、何処か恍惚とした表情で語り始めた。

 

「最高だ……! ここまで心躍る出会いが私を待っていようとは想像もしていなかった。この命を下して頂いた主には感謝してもしたり無い!」

 

 そう言いながら自分の秘所へと手を伸ばすスカサハ。今まで俺たちは気が付かなかったが、彼女の服装にもソロモンのいやらしい改造が施されていたようだ。

 全身をぴっちりとしたタイツの様な物で覆っていたスカサハの戦闘服、マシュがほぼ全裸とも言える格好をさせられていたのに対してぱっと見はそれは変わらない。

 しかし、すぐには気が付かないところにソロモンはスカサハの尊厳を踏みにじる様な細工を施していた。

 

「くっ…♡ ふぅん…♡ はぁっ……♡」

 

 スカサハの秘所を隠す布は存在していなかった。代わりにそこを覆い隠す様にして女性器に突き刺さる棒状の物が存在するのみだ。

 その棒状の物が振動するバイブだと気が付いたのは、スカサハが自身の手でそれを掴み、自慰行為を始めてからだった。

 

ーーーヴヴヴヴヴ…………ッ!

 

「あぁ…♡ 昂る、昂る…っ♡ これほどの快感、何時振りだろう…?」

 

 バイブの振動音が、淫らな水音が、スカサハの嬌声が響く。かつての知的な彼女からは想像もつかない痴態を見るマシュの顔からどんどん血の気が引いて行く

 

「嘘……こんな、ひどい……」

 

「くぅっ♡ イクっ♡ イクうぅぅぅっっ♡」

 

 一際大きな声を上げたスカサハが背中を反らして仰け反る。足元にむわりと匂う水たまりを作った後で、スカサハは俺たちに蕩けた視線を向けた。

 

「……あぁ、すまないな。どうにも興奮すると落ち着くのに一度達しなくてはならないんだ。主のくれたこの服はその為に大いに役立っているよ」

 

「……正直、あんたのそんな姿なんざ見たくなかったぜ」

 

 クー・フーリンが俺たち全員の思いを代表して述べると共に一歩前へ出る。敵となったかつての師匠を見るその瞳は怒りに燃えていた。

 

「マスター、悪いがここは俺にやらせて貰うぜ」

 

「そんな! 一人じゃ無理です! 私たちも一緒に……」

 

 無謀とも取れるその言葉に対してマシュがクー・フーリンを落ち着かせようとするが、俺はそれを遮ると彼の顔を見た。

 

「……限界までは見守るよ。でも、俺たちは兄貴を失うわけにはいかない。分かってるよね?」

 

「ああ、その辺の判断はお前さんに任せるよ。だから、少しだけこの場を俺に預けてくれ」

 

「……分かった」

 

 頷いた俺に対して無言の礼を述べた兄貴はそっと前へと歩いて行く。マシュは俺に対して何も言わないが、その視線はこれで良かったのかと語り掛けてきている。

 その答えはこうだ。良い訳が無い、本来なら全員でかかるべきだ。しかし、それと同時に言わなきゃならないことがある。

 

 それはきっと後ろで俺と同じく兄貴を見送ったロビンフッドや、狂化されたスパルタクスも分かっている事だろう。同じ男ならば感じるものはあるはずだ。

 男なら、たとえ何を犠牲にしたとしてもやりぬかなければならない時がある。ケルトの大英雄「クー・フーリン」にとって、今がその時なのだ。

 だから俺は彼を見送った。彼を信じて、彼を戦いへと送り出した。後は、彼がやり遂げるだけだ。

 

「……待たせたなスカサハ、相手をしてやるよ」

 

「お前ひとりで戦うのか? 随分と余裕があるじゃないか」

 

「はっ! ソロモンの傀儡に堕ちたあんたなんざ俺一人で十分さ! さっさとその悪夢を終わらせてやるよ」

 

「悪夢……ふふ、そうか、悪夢か……」

 

 兄貴と問答を続けたスカサハは何やら楽し気に呟くと高笑いを始める。ひとしきり笑った彼女は槍を手に持つと、幸福そうな顔でこう言った。

 

「私にとってこの戦いは幸せそのものでしかない。勝てば主の寵愛を受けられ、負けたとしてもお前に殺して貰えるのだからな……まさに夢の様だよ。悪夢を見ているのはお前の方だろう、セタンタ?」

 

 スカサハのその言葉は的確だ、クー・フーリンにとって今の状況は悪夢でしかない。

 それに、スカサハと違いこの戦いに勝っても負けても不幸な出来事が起きることは間違いないのだ。しかし、クー・フーリンは心を挫く様なその一言を受けながらも笑みを浮かべる。

 

「戦いの後に何が残るかなんて考えやしねぇよ。あるのはただ、目の前の勝利への渇望だけだろ?」

 

「ふふ……そうだな、そうであった。しかし、お前ほどの相手ならばこれは邪魔にしかならないだろうて……」

 

 そう言いながらスカサハは己の膣に力を込めて挿入されていた異物を排出する。床に転がり振動を続けるバイブを蹴り飛ばすと、彼女は槍を構えて戦いの姿勢を取った。

 

「さぁ、始めようセタンタ。狂おしい程に甘美な殺し合いを…!」

 

「あぁ……あんたとの約束を果たさせて貰うぜ」

 

 己の武器を構えた二人は睨み合い、向かい合う。一気に膨れ上がった殺気と戦いの緊張感が最高潮に高まった時、二人は同時に叫んだ。

 

「その心臓……!」

 

「貰い受けるっ!」

 

 槍のぶつかり合う激しい音、目の前で行われているのは神代の世界の最強とも名高い槍使い達の本気の決闘。

 

 光の御子と影の女王の戦いが、今、幕を開けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せあぁぁっ!」

 

「おらぁっ!」

 

 幾度となくぶつかり合う二人の朱槍、何合もの鍔迫り合いを繰り返す二人の戦いは熾烈を極めた。

 

 双方譲らない互角の戦い……だが、その様相はいつものそれとは大きく違っている。

 何と言うか、スカサハの戦い方がいつもと違うのだ、所々に見える隙をクー・フーリンは的確に突き、彼女にダメージを与えている。

 きっとスカサハは記憶を失った影響で戦い方に変化が生じているのだろう。体に染みついた記憶が自分に槍を振るわせるが、かつて誇った技を完璧に覚えているわけでは無い。だから隙が生じる。

 それでも互角の戦いと俺が評したのは、彼女の受けるダメージが悉く回復されている事と、兄貴がその一撃を食らえば即決着がつくほどの攻撃をスカサハが繰り出してきているからだ。

 

 きっと淫紋令呪の効果だろう。身体能力の増強と自動回復のスキル……戦闘続行のスキルも有しているかもしれない彼女は、いつもとはまた違う脅威を持って俺たちに襲い来る。 勝負はどちらに転んでもおかしくない。そう思った時であった。

 

「ふむ……このままでは決着がつきそうにないな。ならば……」

 

 そう言ったスカサハが一歩下がると、彼女の体から膨大な魔力が迸り始めた。鋭い殺気を伴うその行為に対してクー・フーリンも対応策を取る。

 

「……宝具で勝負を決める気か、良いぜ、乗ってやるよ!」

 

 クラウチングスタートを思わせる姿勢を取ると目線の先にスカサハを捉える。互いに必殺の一撃を繰り出そうとしている師弟が目を見開くと、同時にその場から掻き消えた。

 

「この一撃、手向けと受け取れっ!」

 

「刺し穿ち、突き穿つ……!」

 

 ロケットの様な加速をつけて飛び上がったクー・フーリンは空中で槍を構える。真っ赤な魔力が迸るそれを全力の力を込めて握りしめている。

 対するスカサハも同じように朱槍に魔力を込めてその一撃を迎え撃つ。互いの全霊の一撃はほぼ同時に繰り出される事になった。

 

突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)っ!」

 

貫き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク・オルタナティブ)っ!」

 

 轟音、爆発、烈風……俺たちを吹き飛ばすほどのそれらを必死に耐えながら戦いの行く末を見守る。

 二人の宝具の衝突の余波はしばらく続き、それらが消え去った後で残っていたのは……

 

「ちっ、やっぱ無理だったか…!」

 

「ふふふ……惜しい惜しい、お互い仕留め損ねた様だな。しかし……」

 

 クーフーリンもスカサハもお互いに無事だった。細かな傷はあるものの戦いに支障は出ない様だ。

 しかし、その手からは己の武器である朱槍は消えている。同等の威力を持つ二つの宝具はお互いにぶつかり合い、相殺して消え去ったのだ。

 もちろん時間を掛ければ復活もするだろう。しかし、兄貴の今の状況は最悪だった。

 

「セタンタよ、赤子でも分かる単純な計算だ……1引く1は0。では、2引く1は?」

 

「くっ……!」

 

 スカサハの手に握られたもう一本の朱槍を見ながら兄貴が声を出す。そう、スカサハは二槍の使い手だ。例え一本の槍を失ったとしてももう一つの槍がある。

 だが、クー・フーリンは違う。ただ一つしかない朱槍を失った今、彼には師にあらがう術は無いのだ。

 

「今度こそ決着だな。結局、お前は私を殺せる男では無かったという事か」

 

 残念そうに呟いたスカサハは投擲の構えを取る。必ず心臓を穿つ因果逆転の槍は放たれたら最後、兄貴の心臓を射抜くだろう。

 それは必ず阻止しなくてはならない。俺は傍らに控えるマシュを見ると、指示を飛ばす。

 

「マシュ、宝具を展開っ! スカサハの攻撃を防ぐんだ!」

 

「はいっ!」

 

 それを予期していた様に瞬時に飛び出したマシュは自分の盾を構えて宝具を展開する準備を始める。

マシュの宝具『いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)』ならばスカサハの一撃を防ぎきれるはずだ。

 今、彼女の槍は一本しかない、単純計算にして威力は半分、十分に可能性はある。

 

「……真名、開帳ーーー!」

 

 マシュの盾から光が溢れる。このスピードなら宝具の開放は間に合う、スカサハの一撃より早く盾を展開できるはずだ。

 確かな勝機を感じた俺は心の中で拳を握る。武器を失ったスカサハが相手ならば十分に勝ち目はある。あとはこのまま上手く事が運べば……

 

「……ようやく、離れたな」

 

 だが、俺の思いに反してスカサハは薄ら笑いを浮かべた。自らの全力の一撃を受け止められそうになっているというのに余裕を感じるその行動に俺が違和感を感じた時、クー・フーリンは叫んだ。

 

「マシュ! 戻れ! 来るんじゃねぇ!」

 

「えっ……!?」

 

 駆け出す勢いを止められないマシュに対して兄貴は叫び続ける。必死の形相でマシュを自分から遠ざけようとしている彼は俺を見ながら叫んだ。

 

「スカサハの狙いは俺じゃねぇ! 狙われてんのは……」

 

「セタンタ、残念だがもう遅い」

 

 俊敏な動きで槍を構えたスカサハは投擲の目標を兄貴よりも奥に定める。その時、俺に冷たい氷の様な何かがまとわりついてきた。

 

「お前を倒せば詰みになる事に気が付いていなかったわけではあるまい、カルデアのマスターよ。盾を自分から遠ざけたのは最大の失態だったな」

 

 スローモーションの映像の様にスカサハの手から投げられる槍を見ながら俺はすべてに気が付いた。狙われていたのは……俺だったのだ。

 

 最初からそうだったのだ、今の今までスカサハは俺を殺す機会を狙っていた。それが出来なかったのは自分の宝具を防げるマシュが俺の傍に居たからに過ぎない。

 そのマシュが俺の傍から離れた瞬間を狙って、スカサハは必殺の槍を俺へと向けたのだ。なぜこんな簡単な事に気が付かなかったのだろう、この場で一番死んではならない人間は俺だったと言うのに……

 

「先輩っ!!!」

 

 マシュが俺に向かって手を伸ばすのが見える。だがもう遅い、彼女は間に合わない。この場における最大の盾は、スカサハの攻撃を防げる場所に無い。

 スカサハの手から放たれた槍を見て俺は覚悟を固めた。もうどんなことをしても俺は助からないだろう。なぜならば、彼女の槍は因果逆転の槍……心臓に当たったという結果を作ってから放たれる呪いの朱槍だからだ。

 俺がどんなに逃げようとも、ロビンやスパルタクスが俺の盾になってくれようとも関係ない。ゲイ・ボルクは俺を追尾し、障害を破壊して俺の心臓を穿つだろう。

 

(ドクター、ダヴィンチちゃん、マシュ、皆……ごめん……)

 

 俺は自分の愚かさを呪い、救えなかった皆の顔を思い浮かべながら目を閉じる。そして、やって来る死を待ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ざけんじゃねぇ、ざけんじゃねぇぞ!」

 

 だが、俺に覚悟していた痛みが襲い来ることは無かった。代わりに聞こえてきたクー・フーリンの怒号に恐る恐る目を開けば、そこには驚くべき光景が広がっていた。

 

「ば、馬鹿な……そんな、そんなことが……!?」

 

 俺と同様にスカサハも驚きで目を見開いている。その眼が見つめているのは、自分の投げた槍を瞬時につかみ取り、手から血を流す弟子の姿であった。

 

 何が起きたかは完全には理解していない。だが、その光景を見た時、俺は大体何が起きたかは察することは出来た。

 

 信じられない事に、兄貴はスカサハが投げた槍が完全に彼女の手から離れる前にそれを掴んだのだ。故に槍は俺に向かって飛んでくる事は無かった。

 もしもこれを行ったのが他の英霊だったならば、槍はその人物の腕を引きちぎり、手を貫いてでも俺へと向かってきただろう。しかし、槍を掴んだのはクー・フーリン……正式なゲイ・ボルクの使い手の一人だ。

 スカサハ同様に朱槍を使う身である彼だからこそ出来たその離れ技、槍自身が投げられたと知覚する前にそれを掴み取るなど普通ならば無理だろう。

 

「ありえない……何故、何故だ…!?」

 

 驚愕し狼狽えるスカサハもこの事態を完全に受け入れて居られない様だ。目を見開いて目の前に立つ自分の弟子を見ていた彼女だったが、その眼が更に見開かされた。

 

「あっ……!」

 

 ゴスッ、と鈍い音を立ててスカサハの腹部に兄貴の拳がめり込む。背中側に向かって衝撃が抜けるほどの一撃を受けたスカサハは体をくの字に折って声を漏らす。

 

「がっ、はっ……」

 

「教えてやるよ、なんで俺があんたの一撃を止められたかを……それはな、あんたが自分の流儀を捨てたからだ」

 

 気を失う寸前のスカサハに向かってクー・フーリンは語る。自分が師の一撃を止められたその理由を……

 

「目の前の敵から注意を逸らすだなんて真似、前のあんたなら絶対にしなかった。戦っていたはずの俺を視界から外した瞬間、あんたは自分の流儀を捨てたんだ。そんな奴、例えどんなに技が優れていようとも怖くは無いね」

 

「……あぁ、そうか……私は、自分から負けを選んでしまったのか」

 

 兄貴の言葉に納得したスカサハは、崩れ落ちながら自分 を倒した弟子に向かって笑みを向けると賛辞の言葉を投げかけた。

 

「セタンタ……よくぞこの師を倒した。お前の勝ちだ……あとは、この愚かな師にお前の手で死を与えてくれ……それが私の、最後の願い……」

 

 その言葉を言い切る前にスカサハは気を失った。地面に倒れ伏し、動かなくなった師を見ながら、兄貴は呟く。

 

「……こんな勝ち方認められっかよ。あんまふざけた事言ってんじゃねぇぞ、馬鹿師匠が!」

 

 その横顔は、どこか寂しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ! くぅっ……くはぁぁっ!?」

 

 後ろからホムンクルスに抱かれたスカサハが嬌声を上げる。彼女は腕と脚をホムンクルスの体内に埋め込まれ身動きを封じられた上で、そのホムンクルスに犯されていた。

 

「ああああぁぁぁぁぁっ!」

 

 悲鳴にも近い絶叫を上げたスカサハの体からがくりと力が抜ける。しかし、ホムンクルスはそんなことも意に介さずに彼女を突き上げ続けた。

 

「ぐっ……くっ、あ、あぁぁぁぁっ!」

 

 リズミカルに子宮を押し上げる男性器の感覚に耐えようと歯を食いしばったスカサハだったが、もにゅもにゅと手を伸ばしたホムンクルスに豊かな胸を揉みしだかれると辛抱堪らないと言った様子で喘ぎ声を漏らす。俺たちは、そんな彼女の様子を見ていた。

 

 俺たちが見ているのはスカサハの記憶だ。ダヴィンチちゃんの発明を使って、今、俺たちはスカサハが堕ちた時の記憶を彼女の脳内から呼び出して見ているのだ。

 それは決して見ていて気分の良いものでは無い。しかし、英霊の中でも格別強い彼女をソロモンがどうやって堕としたのかを知る事は、今後の戦いにとっても重要な事だ

 

「くぅぅぅん……はぁぁ……っ」

 

「良い様だな、影の女王よ」

 

 快感に震えるスカサハの前に姿を現したソロモンは彼女の姿を見て愉快そうに笑う。そして、その顔を覗き込みながら話し始めた。

 

「お前の持つ様々なスキルを全て性的感度の上昇へと書き換えてやったが……それでも堕ちぬとは流石と言うべきだな」

 

「……ふん、こんなもので私を堕とせるとでも思っているのか? むしろ退屈なくらいだ」

 

 体を震わせながらもスカサハは必死に強がる。しかも、それはただの強がりではない。固い決意を伴った宣誓としてソロモンに告げているのだ。

 

「……何だったらこの木偶人形に代わってお前が私を抱くか? ……失敬、お前の粗末なものでは私を満足させられるはずもないか」

 

 挑発と侮蔑の言葉を持ってソロモンを睨むスカサハ。その表情からは余裕すら感じられる。

 実際は厳しい所なのだろうが、それを感じさせないところが彼女らしいと俺は思った。

 しかし、その侮蔑を受けたソロモンは冷たい視線で彼女を睨むとその頭を両手で掴む。そして、無情な宣告を行った。

 

「……いい気になるなよ影の女王。私がここに来たのはお前とお喋りするためではない。お前に止めを刺しに来たのだ」

 

「ぐっ……!」

 

 ソロモンの手から魔力が放出されるとスカサハが一瞬顔を歪めた。苦しそうな顔をしたスカサハは目の前に居る憎き敵を睨みながら問いかける。

 

「一体、私に何をした?」

 

「分からぬか? ……ふふふ、分からぬか! それもそうだろうなぁ!」

 

 愉快そうに笑うソロモンを見るスカサハの表情に一瞬だけ怯えが映る。しかし、それを吹き飛ばして気丈に耐えようとした彼女に向かって、ソロモンは自分のしたことを解説し始めた。

 

「今、私はお前の記憶を一つ消させて貰ったのさ! 一体どんな記憶が消えたのか、お前にはわかるまい?」

 

「な、なんだと……?」

 

「この話をしている間にもまたいくつか記憶を消したが……お前は自分のどんな記憶が消えたのか分かっているかな?」

 

「ぐ……う……」

 

 そう語るソロモンの言う事は嘘ではない。実際にスカサハの内面を見ることが出来る俺たちには、彼女の中から幾つかの思い出が消え失せる様がはっきりと見て取れた。

 そしてそれはスカサハにもそうなのだろう。しかも、自分のどんな記憶が消えているのか分からない分、数段性質が悪い。何か大切な事を思い出せないもどかしい思いをスカサハは抱え続けているのだ。

 しかも、彼女にとってはそれはただ記憶を消されるという事以上に重い意味を持っていた。

 

 スカサハは死ねない身だ。死者と生者のはざまの存在として長い間を影の国で過ごしてきた。そんな彼女の生きてきた証明こそが自分の記憶なのだ。

 もし、彼女が自分の記憶を全て失ったとしたら、それはスカサハが生きていたという事実が完全になくなるのと同義だ。

 もう彼女は生者の世界に行くことは出来ない。新たな思い出を作る事は出来ない。かつての在りし日の思い出こそが、彼女の心の支えとなる生きて来た証なのだ。

 そんな彼女の記憶を消すと言うのはあまりにも残酷だ。自分が何者かも思い出せなくなったスカサハは、延々と孤独と恐怖に怯えて生き続ける事になるだろう。それが分かっているスカサハの表情がみるみると変わって行く。

 

「や、やめろ……止せ……」

 

「良い表情になったな。安心しろ、今私が消しているのはお前が英霊へとなってからの記憶……お前の生きて来た証を消す事にはならないさ、だが……」

 

 ソロモンの笑みが告げる。自分に従わなければ次に消えていくのは英霊になる前の記憶だと。それを察したスカサハは顔を背ける。しかし……

 

「ひぃぃぃっ!?」

 

 自分を抱くホムンクルスが突如腰を跳ね上げ始めた。弱っている心に快楽での追い打ちをかけられたスカサハには先ほどまでの耐えてやろうという気概が欠片も見えない。

 与えられる暴力的な快感に甘い声を漏らすスカサハに対して、ソロモンはさらに追い打ちをかける。

 

「どうやらお前は私に忠誠を誓うのが嫌らしいな……ならば、望み通り生きる屍へと変えてやろう」

 

「あぁぁぁぁぁっ!?」

 

 ソロモンの手から魔力が発せられる度にスカサハの記憶が消えていく。まるで泡が弾けるかのように次々と消えていく自分の思い出を感じたスカサハは涙ながらにソロモンに懇願した。

 

「た、頼む……やめてくれ……っ」

 

「……『頼む』? 『やめてくれ』? ……どうやら、影の女王はまだ自分の立場が分かっていないらしい」

 

「やめてください! お願いしますっ!」

 

 恫喝する様に笑うソロモンに対してとうとうスカサハは下手に出た言葉遣いで情けを求める。この瞬間、彼女の心は完全に折れてしまった。

 びくびくと震えるスカサハをソロモンは非常に楽しそうな目線で見つめる。もう俺たちの知る気丈な彼女は何処にも居ない、ここに居るのは、ソロモンの脅しに負けて心を折られた哀れな女性だ。

 

「ならば問おう、お前は私に淫紋令呪を刻まれ、私の奴隷となって忠誠を誓う事を望むか?」

 

「……は、はい……誓います。だから…」

 

「……どうやら嫌々私に従う様だな。私は優しいからそんな酷な真似はしない。代わりにお前の記憶を…」

 

「刻んでください! お願いします! 私をソロモン様の奴隷にして下さいっ!」

 

「ククク……そうか、そんなにも私の奴隷へと身を落としたいか……ならば」

 

 誇りも何もかもをかなぐり捨てて自分に懇願するスカサハを見たソロモンはその下腹部に手を置く、そして、そのまま彼女に質問を始めた。

 

「誓うか? この私に永遠の忠誠を、望むか? 我が奴隷として快楽の虜になる事を……」

 

「はい……誓います。望みます! 全てはソロモン様の御心のままにっ!」

 

「良し良し……では望みどおりにしてやろう」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ……♡」

 

 光がソロモンの手から発せられたと同時にスカサハの声が更に甘く蕩けたものに変わる。そっと彼女の下腹部から手を離したソロモンは、そこに刻まれた淫紋令呪を見ながら満足そうに呟いた。

 

「さぁ……これでお前も我が僕だ……おい」

 

「ひぅんっ……♡」

 

 ソロモンの命を受けたホムンクルスがスカサハを体に取り込んだまま立ち上がる。

 歩み出したソロモンに付いて行くホムンクルスが脚を進める度、子宮を肉棒で突かれるスカサハから嬌声が上がる。

 

「あぁ……♡ あぁぁぁ……っ♡」

 

「スカサハよ、喜ぶが良い。先ほどお前の記憶を弄った時に、お前の最も大切な記憶は我が魔術で保護しておいた。これからどんな事をされてもその記憶は消えることはないだろう」

 

「はいぃ……あ、ありがとうございます。このスカサハ、ソロモン様の優しさに感無量でございます……!」

 

「うむ、お前が喜んでくれたなら私も嬉しい。さて、お前に初めての仕事をやろう。心配するな、とても簡単な仕事だ。お前はただ、そのホムンクルスに抱かれたままこの城の中を一周してくるだけで良い。我が僕へと堕ちたその姿を見せつけ、私に抵抗することがどれだけ愚かな事か英霊どもに教えてやれ、良いな?」

 

「は、はい……このスカサハ、身命を賭してその任務をやり遂げてみせます…」

 

「ふふふ……愛い奴よ。だがしかし、そんな簡単な任務ではお前も退屈だろう。少しだけ……ほんの少しだけ、お前に努力する余地をくれてやる」

 

「え……?」

 

 恐怖の色を浮かべたスカサハに対してソロモンは自分の右手に刻まれた令呪を見せつけると、それを使用しながら彼女に命令を下す。

 

「令呪をもってスカサハに命ずる。絶頂する度に自身の記憶を一つ消せ」

 

「ひっ……!」

 

 無情、あまりにも残酷なその仕打ちにスカサハは涙を浮かべながら恐怖した。しかし、ソロモンは更なる命令を下していく。

 

「重ねて令呪をもって命じる。そのホムンクルスに子宮を突かれる度に絶頂しろ、さらに命じる。絶頂する度に絶大な幸福感を得ろ、以上だ」

 

「い、嫌……いやぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 泣き叫びホムンクルスから逃れようとするスカサハ、しかし、彼女の抵抗はなんの意味も為さなかった。

 あまりにも恐ろしい命令を下された事に絶望した彼女はぼろぼろと大粒の涙を流しながら叫び続ける。そんなスカサハに対してソロモンは言い聞かせる様にして語り掛けた。

 

「そう怯えるな……さっきも言ったが、お前の最も大切な記憶は消えはしない……他の記憶は完全に消え失せるがね」

 

「あ、あぁ……ソロモン様、どうかご慈悲を……」

 

「駄目だ。これは偉大なるソロモン王に逆らった罰なのだからな。安心しろ、記憶が抜けたお前には私が新たな記憶を植え付けてやる。空っぽの抜け殻になる恐れはないぞ」

 

「いやぁ……やめて……やめてぇ……」

 

 恐怖の余り、スカサハの股間からは黄金水がアーチを描いて流れ出ていた。泣きじゃくり、情けない姿を見せながら失禁したスカサハにかつての面影はどこにもない。

 まるで子供の様に震えるスカサハを愉悦に富んだ目で見つめた後……ソロモンは、ホムンクルスに命令を下した。

 

「あぁぁ……」

 

 ホムンクルスが脚を踏み出すと共に自分の体が持ち上げられる。次には自分の子宮めがけて巨大な肉棒が繰り出され、自分はなすすべなく絶頂させられるだろう。そうなれば大切な記憶が一つ消される。それが分かっていたスカサハは必死に耐えようとした。歯を食いしばって快楽に飲まれぬように……

 だが……

 

「はひぃぃぃぃぃぃっ♡♡♡」

 

 とんっ、と子宮を叩かれた瞬間、そんな我慢は吹き飛んでしまった。抗い様の無い快感に流されて体を震わせながらスカサハは絶頂してしまう。

 与えられる幸福感に身を包まれて蕩けそうになるも、同時に消え去った記憶の事を考えて恐怖に飲まれる。そんなスカサハの内心など察する気の無いホムンクルスは、主の命令通りに歩みを進めていく。

 

「ふあぁぁっ♡ あひぃぃっ♡ あぁぁぁぁっ♡」

 

 一歩、また一歩とホムンクルスが歩く度にスカサハの子宮が肉棒に押し上げられ、絶頂へと導かれる。言い様の無い多幸感に酔いしれながらも彼女の頭の中からは次々と記憶が消え去って行った。

 

「狂う……くるってしまうぅ……♡」

 

 かつて戦った強敵の、育て上げた弟子たちの、共に戦った仲間たちの顔が次々と消えては思い出せなくなる。とても悲しい事なのに、自分は絶頂の幸せに酔いしれてそれを悲しむことも出来ない。

 そんな歪んだ快感に押しつぶされたスカサハは気が狂いそうになっていた。すれ違う者に手を伸ばしては必死に助けを求める。

 

「たしゅけて……だれか、たしゅけてくれぇぇっ……♡」

 

 牢に捕らわれている者たちに手を伸ばしては哀願を求める。スカサハは忘れてしまっていたが、それはかつて共に戦ったカルデアの仲間達だった。あまりにも酷い変わり様を見せるスカサハに対して彼らは絶望に染まった視線を送るも、スカサハはその視線に気が付く余裕すら無くただ先へと連れてかれて行く。

 

「ますたー……ましゅぅ……たす、けてくれぇ……っ!」

 

 覚えのある人間の名前を口にしたスカサハだったが、次の瞬間には二人の事を忘れてしまっていた。同時に彼らと過ごした楽しい思い出も心の中から消え去る。

 

「はひぃ…♡ ひぃぃ……♡」

 

 そうやって城の内部を半分ほど歩いた頃、スカサハの脳裏には殆どの記憶が残っていなかった。もはや大切な思い出を失った事すら思い出せないスカサハに対して、ホムンクルスは更なる責めを敢行する。

 

「ほぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 ホムンクルスの体から生み出された二本目の剛直がスカサハのアナルを貫いたのだ。あまりの衝撃と快感にスカサハは獣じみた叫びをあげる。

 膣とアナル、二穴を穿たれたスカサハはもう正気を保つ事すら困難になっている。だが、気を失う事は許可されていない。ただただ、与えられる快感に震えるだけである。

 

「しりっ、あながぁっ、すごいぃっ……ま、まえもふかくつらぬかれて、すごいぃっ♡」

 

 口から洩れるのは快楽に溺れた自分の思い。恥ずべき事のはずなのに、何故か心の奥から悦んでいる自分がいる。

 一歩ホムンクルスが歩む度にスカサハから英雄としての思いが剝ぎ取られ、ただの雌へと堕とされて行く。今のスカサハはそれすらも幸せと感じてしまう程に堕ちきっていた。

 

「もっとぉ……♡ もっとふかくついてくれぇっ♡ もっとわたしをきもちよくしてくれぇ……♡」

 

 ついには自分からホムンクルスへと快楽を強請る始末、甘い声で鳴きながら体の自由になる部分を揺らして必死に快楽を得ようとしているスカサハだったが、ふと自分を抱えるホムンクルスが歩みを止めた事に気が付いて切ない声を上げる。

 

「なんでだぁ? なんで突いてくれないんだぁ……? 犯してくれ、私をおかしてくれよぉ……っ!」

 

 駄々をこねる子供の様にいやいやと首を振りながらホムンクルスに甘えるスカサハ。少し前まで快楽に耐えようとしていた自分が居たことも忘れて必死になってホムンクルスに自分を犯す様に頼み込む。

 だが、ホムンクルスはびくともしない。まさか機能を停止してしまったのではないかと心配になったスカサハだったが、自分を貫く剛直が一瞬動いたのを感じて甘い声を上げた。

 

「うっ、あぁん……♡」

 

 ぴくりと震えたホムンクルスは間違いなく生きている。では、何故動いてくれないのか?

 顔を持ち上げて頭上のホムンクルスの顔を見つめていたスカサハはふとある可能性に思い当たると納得した様に頷くと、彼に語り掛ける様にして呟く。

 

「私がどこか気取っていることが気に食わないんだな……? まだ女王だとか、英霊だとかに縛られてるとお前は言うのだな……?」

 

 その言葉を肯定する様にしてホムンクルスはスカサハの膣を責める。確かな意思疎通が出来ている事に歓喜したスカサハはホムンクルスに対して質問を投げかけた。

 

「なら、どうすれば良い? どうすれば私を再び抱いてくれると言うのだ?」

 

 その質問にホムンクルスは黙って答えない。まるで自分で考えろと言わんばかりの視線を感じたスカサハは顔を赤く紅潮させると身震いをしてから彼に告げる。

 

「で、では、これならどうだ? ……んっ!」

 

 ぷるっと震えたスカサハはその場で放尿して見せた。 ちょろちょろと自分の股間から流れる黄金水をホムンクルスに見せつけるとスカサハは胸を張って答える。

 

「どうだ? こんな浅ましい真似をする女が女王だと思うか? 英霊の誇りをまだ持っていると思うか? こんな私は、お前が犯すべき淫らな女ではないのか?」

 

 期待を持ってスカサハはホムンクルスに尋ねる。自身の放尿が終わり、足元に黄色い水たまりが出来た後で、スカサハはホムンクルスが再び動き出すことを期待したが……

 

「……まだ、ダメなのか?」

 

 寂しさを感じさせる口調でスカサハが尋ねる。彼はまだびくとも動かないでその場に立ち続けている。

 まだ自分は浅ましい雌になり切れていないのだ。そう考えたスカサハは更に恥ずべき行為に出る。深く息を吸い込み大声を出す準備を整えた彼女は、城中に響くような大声で卑猥な言葉を口にした。

 

「頼む! この雌犬に慈悲をくれ! 濡れそぼった蜜壺と不浄の穴に太い肉棒を突き入れて犯してくれっ!」

 

 言い切った彼女は再びホムンクルスを見つめる。しかし、彼は動き出そうとはしない。また駄目だったかと落胆したスカサハだったが……

 

「わっ……!?」

 

 ぽふ、と自分の頭を撫でるホムンクルスの手に不思議な安心感を覚える。自分をよしよしと撫でるその手はその調子だと言っている様だった。

 

「そうか……これでいいのだな! だが、まだ足りないと言う事か?」

 

 今度は膣をぐちゅりと責められる。これが肯定の意味だと分かっているスカサハは彼の言いたいことを理解した。

 

「そうか! 今の言葉では気取っている様に聞こえたのだな!? では、もっと浅ましい言葉で強請るとしようか……♡」

 

 スカサハは今までの自分の使っていた言葉を封印して下品な言葉を出来る限り考える。その中で、自分の今求めていることを表す言葉を繋ぎ合わせると、先ほどよりも大きく、熱に浮かされた声で叫んだ。

 

「私のおまんことけつまんこをぶっといおちんぽでぐちゃぐちゃに掻き回して気持ち良くしてくれっ! 体が切なくて切なくてたまらないんだ! お前に抱かれないと思うと気が狂いそうだ、だから……っ!」

 

 そこまで言った時だった。スカサハの頭を撫でていたホムンクルスの手が自分から離れると、手のひらを見せつける様にして自分の顔の前に差し出されたのだ。

 スカサハがその手を見てみると、手のひらの中央にはぱかりと開いた穴が開いていた。さらにそこを覗き込んだスカサハは喜びの声を上げる。なんと、そこには小さな歯と舌が突いていたのだ。

 

「んきゅぅぅっ♡」

 

 その手が自分の乳房を鷲掴みにすると、無遠慮に揉みしだき始める。手の中央にある口に乳首を挟まれたスカサハはそこを甘噛みされた事に嬌声を上げた。

 

「すごいっ♡ 両方の胸を揉まれながら、乳首を吸われているぅ……っ♡」

 

 その快感は長きに渡って生き続けて来たスカサハですら感じた事の無いものであった。 胸に与えられる極上の快感に酔いながらも、自身の二穴に結合されている肉棒が動かない事に物足りなさを感じる。

 

「……お願いだ、私を奴隷にしてくれっ! お前のおちんぽで狂わせて、おちんぽ以外何も考えられない肉便器に堕としてくれっ! 私の躰は、その為にあるんだっ!」

 

 恥も外聞も誇りも、何もかもを投げ捨ててスカサハは心からの懇願を叫ぶ。それを聞き届けたホムンクルスは目を光らせると、彼女の思いに応えるべくその一歩を踏み出す。

 

「はぁぁ♡ きた、きたきたきたぁっ♡ これだ、これだあぁっ……♡」

 

 ゾクゾクと背中を震わせるスカサハ、今まさに肉棒を深く突き入れられようとしている彼女の目には、ホムンクルスから与えられる快楽しか映っていない。

 記憶が消えてしまう事も憎き敵の手に自分が堕ちている事も忘れた彼女の中には確かに忘れない記憶もある。しかし、それすらも快楽によって押し流され、頭の中から消え去っている。

 もうここに居るのは影の国の女王である英霊スカサハではない。快楽と肉欲に溺れたただの雌だ。

 

「あぁぁぁぁぁぁんっ♡」

 

 待ち望んだ一突きを子宮に受けたスカサハは即座に達する、その熱が引かぬ合間に尻穴も穿たれた彼女は再び達した。更にその後に突き入れられる膣の肉棒の感触と引き抜かれる尻穴の排泄感に三度達した彼女は舌を放り出して喘ぎ続ける。

 

「はへぇ……♡ ほぉぉっ♡ いい、ぞぉ♡ すごいぃ……っ♡」

 

 呂律の回らない舌でホムンクルスを褒め称えるスカサハ。その眼は焦点を失い宙を彷徨い続けている。

 快感によって失われた眼の光。しかし、それを取り戻す程の快感を与えられたスカサハは声の限りに叫んだ。

 

「ひぃぃぃぃぃんっ♡ あひゃぁぁぁぁっっ♡ はへぇっ♡ あへぇっ……♡」

 

「お前のちんぽはさいこうだぁ……♡ 私にとって一番大事なのはこのちんぽだぁ……♡」

 

「絶頂すれば記憶が消えて行くはずなのに、お前にイかされる度にこのちんぽがくれる快感が私に刻み付けられていくんだぁ……♡」

 

「もう他の記憶なんて必要ない……このちんぽがあればいいっ♡ このちんぽがいいっ♡」

 

「これから先も私の事を抱き続けてくれっ♡ 私にこの快感を与え続けてくれぇっ……♡」

 

 もはや自分が何を言っているのかも理解できていないだろうスカサハは下品なおねだりと絶頂を繰り返している。

 そこから先、スカサハにとっては最高の時間が流れ続けた。再び出発地点となった廊下にたどり着くまでの間、スカサハはゆうに100以上の絶頂を感じたのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……戻った様だなスカサハ、気分はどうだ?」

 

「はぁ……♡ 最高の気分です、マスター♡」

 

 ゴールである城の廊下に辿り着いたスカサハは自分に対して優しく問いかけて来たソロモンに対して従順な姿勢で答える。この城を一周する間に身も心も完全に躾けられてしまったスカサハをソロモンは愉快に見ていた。

 

「それは良かったな。では、次の仕事をお前に命ずる」

 

「はい。何なりと申しつけ下さい……」

 

 少しだけ名残惜しそうにしながらもスカサハはソロモンに恭しく頭を下げる。と言っても、彼女の体の大半はホムンクルスに取り込まれているのだが。

 

「……お前の次の仕事は城の見回りだ。中を徹底的に調べて怪しい所が無いか確かめろ」

 

「は、はい……」

 

「だが……この城は広い。迷っては良くないから案内役を用意しよう」

 

「え……? ま、まさか……!?」

 

「そうだな……お前を抱いているそのホムンクルスなどが適役か。そのままの姿勢で徹底的に城の中を調べて来い。一部屋一部屋念入りにな」

 

「は、はぁぁ…♡ はぁぁぁぁっ……♡」

 

「どうせならそのホムンクルスはお前の世話役とするか、お前の仕事に付き人として付き添う様にしてやろう。それで構わないか?」

 

「はいっ♡ マスターの慈愛にこのスカサハ、天にも昇る気持ちです!」

 

「よいよい、では分かり易い様にしておいてやるか」

 

 そう言うとソロモンはそのホムンクルスを撫でた。すると、白かった彼の体は青く染まって行き、他のホムンクルスとは完全に見分けがつく様になったではないか

 

「これで良し、では仕事に励むがよい」

 

「はいっ、かしこまりました♡ マスター……♡」

 

 夢見心地で返事をしたスカサハの淫紋令呪を最後に一撫でした後、ソロモンは廊下の向こうへと消えて行く。残されたホムンクルスとスカサハは、その背中を見送った後でさっそく主の命を遂行し始める。

 

「ではイクぞ♡ 共にマスターの期待に応えようではないか! ……む?」

 

 そこでスカサハはある事を思った。そして、頭上の青いホムンクルスの顔を見ながら言う。

 

「……これから先、『お前』呼びではちと不便だな。何せ、我らは一心同体の身……名前を付けてやらんとさすがに可哀想だ」

 

 スカサハのその提案に対して青のホムンクルスは嬉しそうに反応すると彼女の胸を揉みしだく。相棒が嬉しそうな反応を返したことに喜んだスカサハは、さっそくその名前を吟味し始めた。

 

「ふむ……体が青いからアオ、とかでは安直すぎるか……何かいい名前はと……」

 

 色々と考えていたスカサハだったが、自分の中でとある名前を思いついてホムンクルスを見る。

 思い付いたその名前は彼女にとって大切なものだった気がする。ならば自分に至上の快楽を与えてくれるこの相棒に相応しいだろうと思ったスカサハは、嬉々としてその名前をホムンクルスに提案した。

 

「『せたんた』と言うのはどうだ? どこか可愛らしいだろう?」

 

 その名前の案にホムンクルスは満足げに唸った後でスカサハの膣を突く。それが肯定の意味を持っている事を知っていたスカサハは、笑顔で彼に向かってその名を命名した。

 

「良し、決まりだな! 今日からお前は『せたんた』だ! よろしく頼むぞ!」

 

「Grrrr……♡」

 

「そうかそうか! そんなに嬉しいか! 私もお前が喜んでくれて何よりだ!」

 

 自分の二穴を太い肉棒でぐちゅぐちゅと掻き回して喜びを伝えてくる青のホムンクルス……せたんたに対して、スカサハも笑顔を浮かべながら放尿する事で喜びを伝える。

 所謂『嬉ション』と言う奴を嬉々として行う彼女にとって、これしきの行為など恥ずべきものでは無いのだろう。むしろ快感のスパイスとなる事を喜んでいる節がある。

 

「では行くぞせたんた! 一つ一つの部屋をしっかりと見て回らなくてはな!」

 

「Gyaooo!」

 

 スカサハの号令にせたんたは力強く一歩を踏み出す。同時に子宮と直腸にペニスを突き入れられたスカサハは快感に喘いだ。

 すでに令呪の効果は消えている為、突かれる度に絶頂することは無い。しかし、逆にそのおかげで余裕を持ってせたんたの与えてくれる快楽を味わうことが出来た。

 

「はぁぁ……♡ いかんいかん、お前のちんぽに酔いしれて仕事をおろそかにする訳にはいかんからな! しっかりと仕事をこなした上で愉しむぞ!」

 

 熱い吐息と共に吐き出したその言葉は立派なものだ。しかし、スカサハは分かっている。この仕事に何の意味もない事など。

 もともとソロモンの魔術によって生成された世界のはざまにあるこの城を見つけ出す事など不可能に近い。さらに魔術王直々の結界まであるのだ、侵入者などいる訳がない。

 

 つまり先ほどのソロモンの命令の真の意味は、『そのホムンクルスと共に好きなだけセックスを愉しんでこい』と言う事だ。

 それをわかっていながらスカサハは気を引き締める様にせたんたに告げる。まるでその名前を持つ他の誰かにかつてそう言っていた様に……

 

(せたんたよ、私の躰を存分に味わうが良い……♡ 私もおまえのちんぽをたっぷりと味わうとしよう、お互いに快楽を貪ろうではないか……♡)

 

 口には出さない思いを心の中で相棒に伝えるスカサハ。せたんたはそんな彼女の思いをまるで受け取ったかの様に唸ると、彼女の二穴を貫きながら一歩、また一歩と城の中を徘徊して行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんて酷い。スカサハさんが、あんな目に遭っていたなんて……」

 

 その記憶を見終えた後、マシュが悔しそうにつぶやく。この映像を見ていた面々は思い思いの反応を見せていた。

 

 悔しそうに俯くマシュ、フードを被って伏し目がちになっているロビン、顔から笑みの消えたスパルタクス。

 そして、兄貴はと言うと、振り上げた拳をどこに振り下せば良いのか分からない様にして固まっていた。

 

「……まさかあの師匠がここまで見事に堕とされるなんてな。さすがは魔術王、聞きしに勝るくそったれだな」

 

「クー・フーリンさん……」

 

 マシュも彼になんと言葉をかけていいのか分からない様だ。この場に居る全員が黙り込む中、次に口を開いたのはやはりと言うか兄貴であった。

 

「……頼むぜマスター、あの馬鹿師匠の目を覚まさせてやってくれ」

 

「……その事なんだけどさ」

 

 俺はこの記憶を見ていた時に決めたとある決断を口にする。それは、きっと他でもないスカサハの為になるはずだ。

 

「今回は、俺じゃなくて兄貴がスカサハを抱くべきだよ。そっちの方が良い」

 

「なっ……!?」

 

 俺の一言に兄貴は目を見開いて驚いた。しかし、他の面々は俺の言葉を納得した顔で認めてくれている。

 

「……そうだな。今回はあんたの出番だと思うぜ」

 

「私もそう思います。スカサハさんが忘れなかった一番大切な記憶……それって、クー・フーリンさんの事だと思うんです。だから彼女はセタンタと言う名前を憶えていた……」

 

「ソロモンが残した貴重な隙だ。そこを突けるのは君しかいないんだよ、クー・フーリン君」

 

「……マジかよ、おい」

 

 困惑したような兄貴の様子を見た俺は一歩前に踏み出す。そして、思いの丈をぶちまけた。

 

「……言ってたじゃないか。今度の現界では、昔の女たちにすこしでも甲斐性を見せるって……今がその時なんじゃ無いの?」

 

「マスター……」

 

「我々も出来る限りのバックアップをする。だから、君にこの役目を任せたいんだ。頼むよ、クー・フーリン君」

 

 ダヴィンチちゃんや俺、マシュとロビンの言葉を受けた兄貴は黙り込んで下を向いていたが、突如諦めた様にして肩から力を抜くと笑みを浮かべて手を叩いた。

 

「……ったく、しゃあねぇなぁ! ここまで言われたらやるっきゃねぇだろ! まぁ確かに? 昔の女を抱くんだから俺が最適だと思うけどよ」

 

 そう言いながら部屋の入口へと向かう兄貴、振り向きざまにサムズアップをした後で、部屋から出て行く。

 俺はその背中を見送った後で、隣に居たドクターに声をかける。

 

「……気が付いた?」

 

「ああ、彼、ドアから出た後、笑ってなかったね」

 

 周りの雰囲気を気にする兄貴の良い所でもあり悪い所でもある癖、おちゃらけて場を和ませる反面で、自分が重圧を背負い込んでしまっている。

 

 仕方が無いだろう。今回の相手はあのスカサハ、自分の師匠だ。彼女の運命を自分が握っているのならば、兄貴が緊張するのは当然のことである。

 

「……精神波動を見ながら最適なシチュエーションをピックアップするよ。マシュ、ロマン、手伝ってくれるかい?」

 

「ああ、もちろんさ!」

 

「私もお手伝いします!」

 

「俺はモニタリングしながら令呪でバックアップしてみるよ!」

 

「俺たちは……失敗したときに全力でスカサハを止める係かな? 絶対にそうあって欲しくないけどな」

 

「……大丈夫さ、絶対に」

 

 大丈夫だ、スカサハは必ず戻って来る。なにせ彼女を救う為にケルトの大英雄、光の御子が全霊で動くのだから。

 

(……信じてるよ、兄貴!)

 

 俺は頼りになる兄貴分の事を信じて、スカサハの心が解放されるのを待った。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

果たされた約束 (スカサハ)

 

 

 

「……ところでダヴィンチちゃん、スカサハはほとんどの記憶を失ってるって言ってたけど、その状態で本当に元に戻せるのかな?」

 

「確かに先輩の言う通りですね。上手くソロモンの洗脳を解除したとして、今までの記憶すべてを失ったまま生きるのは、スカサハさんが可哀想です……」

 

「ああ、その点なら問題ないよ。ちょっと待っててね……」

 

 コンソールをポンポンと叩き、機械に命令を出しながら俺たちの話を聞いていたダヴィンチちゃんは、一つ大きな伸びをした後で俺たちの方へ振り向く。

 スカサハがカルデアを襲撃してから約2時間……作戦は、第二段階へと進んでいた。

 

「ゴメンよ、これで何とか準備は整った。さてと……スカサハの記憶の事だね。それは心配いらないよ」

 

「何でですか? もしかしてダヴィンチちゃんの発明で何とか出来るとか?」

 

「いやいや、そんなことする必要は無いさ。そもそもスカサハは記憶を失ってなんかいないんだよ」

 

「……どういう意味?」

 

 俺とマシュが首を傾げたのをみたダヴィンチちゃんは手元のボタンを一つ押す。すると、目の前の画面にはスカサハを描いたと思われる女性の絵が浮かび上がって来た。

 

「いいかい? 二人はスカサハの記憶が消えたと思っているようだけど、人間の記憶を完全に消すだなんて事は簡単にできる事じゃないんだよ。それがかの魔術王ソロモンですら易々と行えることじゃないんだ」

 

「でも、実際にスカサハは俺たちの事を忘れて……」

 

「う~ん……言葉を変えると分かり易くなるかな。スカサハは、記憶を『消去』されたんじゃなくて『封印』されたんだ」

 

「……つまり、完全には俺たちの事を忘れてないって事?」

 

「そうとも! ソロモンの奴は上手くやったよ、手段は非常に巧妙で狡猾だ。だが、つけ入る隙が無いわけじゃない」

 

「……ダヴィンチちゃん、私たちにも一から説明して頂けませんか?」

 

「良いよ。じゃあ、まずはソロモンが何をしたかを説明させて貰おうかな」

 

 ダヴィンチちゃんがボタンを押すと、画面には非常に悪い顔をしたソロモンの絵が映し出される。まるでアニメの様に動くその絵を見せながらダヴィンチちゃんは俺たちに説明を開始した。

 

「良いかい? さっきも言った通り、人の記憶を完全に消すなんて事はそう容易く出来る事じゃない。ましてや、その人の記憶の一部分を残した状態でなんて不可能に近い話さ。人の脳をこのパソコンの操作で例えるなら、ソロモンが出来るのは完全初期化だね。その場合、スカサハは自分の名前や戦い方はおろかこの世界がどういったものなのかすら思い出せなくなっていたはずさ」

 

「でも実際はそうじゃなかった。ソロモンは一体彼女に何をしたんだ?」

 

「簡単だよ。ソロモンは一度スカサハの脳内からほとんどの情報を封印したんだ。パソコンで言うとゴミ箱に突っ込んだって事かな?」

 

「……デスクトップ上からは消えますが、実際はパソコンのメモリーには残っているという考え方で大丈夫でしょうか?」

 

「そう言う事! さて、ソロモンはそうしてすっかり空っぽになったスカサハの脳内デスクトップに新たな情報を書き込んだ。ファイル名を付けるとするなら『ソロモン様に忠義を誓った記憶』とか『ソロモン様に仕える理由』とかだね」

 

「……他には何の情報も無いから、スカサハはその偽の記憶に簡単に順応してしまった。こうしてソロモンは、スカサハって言うパソコンのスペックを維持したままに自分好みのマシンへと改造を完了したって事?」

 

「加えてあのホムンクルスに抱かれ続けた記憶があるのも大きいね。パソコンと違って人には感情がある。ホムンクルスのせたんた君と一緒に過ごすうちに得て行った感情や新たな記憶は、ソロモンの暗示を強化するのに一役買ったと思うよ」

 

「でも、そんな大掛かりな事をソロモンはどうやって……?」

 

「それも簡単だよ。例えばマシュ、君が何か景色を見たとして、気になる部分に注目すると他の部分はぼやけて見えるって経験はない?」

 

「ありますね。聴覚で例えると、今、ダヴィンチちゃんの話に注目しているので、この部屋の機械音やほかの物音には気にも留めない。と言う事でしょう?」

 

「うんうん! そこまでわかってるなら話は早い。ソロモンはそれをスカサハの記憶に応用したのさ」

 

「えっと……いまいち意味が……」

 

「……ソロモンが消さなかった兄貴との記憶か!」

 

 俺の叫びにダヴィンチちゃんは頷く。マシュもその言葉を聞いた事で話を理解したらしく、驚き顔で口を開いた。

 

「そうか……クー・フーリンさんとの記憶に意識を集中させる事でほかの記憶への注意を逸らしたんですね!」

 

「そう言う事さ、ご丁寧にソロモンは君の一番大事な記憶は保護したって言ってただろ? でも、それが何なのかは言わなかった。それは残す記憶をスカサハ自身に決めさせるためだったんだ」

 

「……消したくない一番大事な記憶を、ソロモンはスカサハに無意識の内に決めさせたって事か」

 

「頭の中でクー・フーリン君との記憶を思い浮かべたスカサハは他の記憶への注意が曖昧になった。そこを逃さずソロモンは自分の暗示と快楽を併用して彼女の記憶を次々と無意識の奥へと封印していったんだ」

 

「……ソロモンはただスカサハさんを痛ぶっていたわけでは無かったんですね」

 

「恐ろしい奴さ、自分の考えている事を相手に悟られずにここまで見事な作戦をこなしたんだからね。だが、その方法自体が私たちの突くことが出来る隙になるんだ」

 

 カタリ、とダヴィンチちゃんがボタンを押すと、画面からはソロモンの顔が消え、代わりに兄貴の姿が現れた。

 笑顔でくるくるとスカサハの周りをまわる兄貴の絵を見ながらダヴィンチちゃんは俺たちに作戦の説明をする。

 

「……私たちはソロモンの行ったその暗示を利用してもう一度スカサハの記憶を封印した。これで彼女の中にはソロモンに従っていた記憶も、快楽に飲まれて過ごした3ヶ月の記憶も無くなった。あるのはクー・フーリン君の記憶だけだ」

 

「じゃあ、その状態でクー・フーリンさんがスカサハさんを抱けば……!」

 

「どっこい話はそう上手く行かない。下手に記憶を封印したせいでスカサハはなんで自分がクー・フーリン君に抱かれているのかもわからないだろうさ。無論、彼女は困惑するだろうね」

 

「つまり、兄貴がスカサハを無理なく誘導できればこの作戦は成功って事?」

 

「加えて、彼女が本来の正しい記憶を思い出せば成功さ。でも、もしもクー・フーリン君の作戦が上手く行かなくて、抵抗の感情からソロモンに植え付けられた偽の記憶が呼び起こされてしまったら……」

 

「……スカサハはもう一度私たちの敵に回る。彼女ほどの英霊だ、二度も私たちが勝てるとは限らない。正真正銘の一発勝負ってところだね」

 

 作戦概要を説明し終えたダヴィンチちゃんは、最後にカルデアの訓練システムの電源を入れた。すると、そこには立体映像で作られたヴァーチャル空間が広がって行く。

 

「……クー・フーリン君の描いたこのシナリオが上手く行くことを祈ろうじゃないか、私たちにはそれしか出来ないからね…」

 

「兄貴……」

 

 俺たちは、監視カメラの映し出した兄貴たちを見守る。ケルトの大英雄の孤独な戦いが、今始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………んっ、んん…?」

 

 永い眠りから目覚めたスカサハはゆっくりと目を開いた。自身の双眸が映し出した景色が、自分の住まう影の国の城である事に気が付くのは、それからほんの少しだけ間が空いてからだった。

 

 普段住んでいた城は住んでいる人間が自分ひとりだけなこともあってほどほどきれいだったが、今のこの光景はだいぶ酷い物だ。柱は折れ、壁は抉られ、床は凹んでいる。一体この城で何が起こったのか?それを思い出そうとしたスカサハだったが、頭の中が霧でもかかったかの様にぼやけて何も思い出せなくなっていた。

 

 一体どうした事だろうか?今までの事のほとんどが思い出せない。心の内にあるのはたった一つの感情、敗北感のみだ

 ……いや、違った。あともう一つ心に刻まれている物がある。それはスカサハにとって譲れないとても大事なもの。

 

 唐突に自分の元にやって来て、自分を弟子にしろと言ったその男。

 自分の教える技を次々と吸収し、あっという間に強くなっていったその男。

師弟としても男女としても絆を深く結び、自分を抱きしめ愛してくれたその男。

 そして……死ねなくなった自分をいつか殺しに来ると約束して、自分の前から去ったその男。

 

 男の名はセタンタ……大事な一番弟子との記憶はスカサハの中に色あせぬ思い出としてしっかりと刻まれている。だが、何故この記憶なのだろうか?

 その答えが導き出せず首を傾げるスカサハの目の前に、見覚えのある朱槍が突き出された。

 

「……ついに決着だなスカサハ。俺の勝ちだ」

 

 聞き覚えのあるその声の主の顔を見た時、スカサハは体に電撃が走ったかの様な衝撃を受ける。自分に対して槍を突き付けるその男こそ、自分が深く愛してやまない一番弟子そのものだった。

 

「……あぁ、そうか……そうだったのか……!」

 

 ボロボロに傷つき、息も荒いクー・フーリンの姿を見たスカサハの脳内に断片的に記憶が蘇ってくる。それは、ほんの少しだけ前の話の様な、もっともっと前の事だった様な気もする。

 

 この影の国で死ねぬ体を持て余し、心を徐々に腐らせて行くだけだった自分の前に彼がやって来たのだ。この城から去り、英雄として名を上げ、かつて自分に教えを請っていた頃よりも強くなった彼は、城の門を蹴破り、奥に居る自分の顔を見るなりこう言った。

 

「約束を守りに来た。アンタを殺してやるよ」

 

 その言葉はスカサハが待ち望んだものであった。自分が与えた朱槍を構え、スカサハ目掛けて飛び掛かる弟子を迎え撃ち、心行くまで二人は戦った。

 城は壊れ、互いに傷つきボロボロになった。何合も何合も槍を打ち据え、永遠にこの戦いは続くかと思われた。

 

 だが、決着の時は来た。クー・フーリンの渾身の一突きが自分の槍を捉え、それを粉々に打ち砕いたのだ。

 そのまま吹き飛ばされ、壁に激突した彼女は気を失って倒れた。自分は敗北したのだ。全霊で戦い、そして敗れた。

 

 壊れた城や胸の内の敗北感の正体はそれだったのだ。ようやく合点が行ったスカサハはすべてを思い出すと同時に身震いした。

 こんなにも幸せなことがあって良いのだろうか……? スカサハにとって、この状況は夢にまで見た光景と言っても良い。

 

 死ねない身となってから、彼女は何度も自分の死に様を空想した。こうであったら良いとか、きっとこうなのかだろうとか、こうはなりたくないとか……内容はともかく、彼女は待ち望んだ自分の死を何度も思い描いた。

 

 戦いの中に身を置き、今日じゃと会いまみえる事を喜びとする自分だ、いつか自分よりも強い者と戦い、その命を散らせるかもしれない。

 はたまた遠い未来……自分を化け物か何かと思い違えた者たちが寄ってたかって名を上げる為にこの城に来て、戦いを挑みに来るやもしれない。そう言った者たちに倒され、武勇伝の一つとして語り継がれるのも乙なものだろう。

 逆に望まない事と言えば……自分が、自分を誰だかわからなくなってから殺される事だろう。悠久の時を生きる内にすべてを忘れ、武人では無く名もなきただの女として事故の様に死ぬのは勘弁願いたい。

 そんな空想を何度も何度も繰り返しては……スカサハはそれは適わぬ夢だと自分で笑い飛ばしてきた。そう易々と死ねるものかと、自分の望みなど、簡単に叶うものでは無いのだと……

 

 だが今の状況はどうだ? 自分を倒し、喉元に槍を突き付けているのはかつての弟子だ。それも、自分の朱槍を送った唯一の弟子……彼女が愛して止まない一番弟子である。

 

 何度も思った。最上の死に方は、自分が送った槍を持つ者が自分を打ち倒してくれる事だと。

 そんな事はある訳が無いと思いながらも心の何処かでその思いを捨てられなかった彼女は自分の事を自嘲気味に笑ったものだ

 

 しかし今、彼女のその願いは叶ったのだ。自分が思い描いた最高の死に様が、何度も望んだ光景が、今目の前に広がっている。

 スカサハは幸せだった。弟子に乗り越えられると言う師としてこの上ない幸せを感じながら死を迎えられることが、そして、誰よりも深く愛した男に、自分の最後を看取って貰えることが……

 

「セタンタよ、よくぞこの師を乗り越えた。よくぞ私の望みを叶えてくれた……」

 

「ったく、何処まで予想を超えてくれるんだよアンタは、ここまで手こずるとは思ってなかったぜ」

 

 スカサハの口から零れたのは間違いなく本心だった。目の前の弟子にはどんなに感謝してもしたりない位だ。

 自分のその言葉を受けた弟子もまた自分に変わらぬ笑顔を向けてくれる。そのことが、とても嬉しかった。

 

「さて……決着はついた。あとは止めを残すだけだが……最後にどこを貫かれたいとかあるか?」

 

「……ふふ、考えたことも無かったな。だが……特に望みは無いよ。好きにしてくれ」

 

 弟子の好意を受け取りながらも微笑みを浮かべたスカサハはそう言って軽く流す。そんな事を考え始めたらきりが無くなってしまう。望んでいた死が目の前にあると言うのに、それを受け取るまでに時間がかかりすぎるのも酷なものだ。

 だから、彼女はあまり詳しい死の在り方にこだわらない事にした。彼の手にかかって死ぬだけで、十分自分は幸せなのだから……

 

「……ついでに言っておこう。私の亡骸も好きにしてくれ、ここに置いて去るも良し、どこぞの海に放り投げるも良し、剝製にして部屋に飾るのもやぶさかではないぞ」

 

「最後の怖くねぇ!? 俺ってそんなことする奴だと思われてたのか!?」

 

「はっはっは、安心しろ、半分冗談だ」

 

「半分は本気かよ!?」

 

 軽い冗談を言い合った後で、二人は顔を見合わせて大笑いした。かつて何度もこうやって笑いあったものだと思いながら、スカサハはもう二度とこのやり取りが出来なくなる事に心が少しだけ傷んだ。

 せっかく望みが叶うと言うのに、そこにあるのは悲しい別れだ。長い間死を望んでいた自分ですら少しは悲しいのだから、目の前の彼はもっと悲しいのだろう。

 自分は死んで楽になる。だが、目の前のこの男は生き続けるのだ。師を殺したと言う思いを引きずりながら、これからも生き続ける………それが、スカサハにとっての唯一の心残りであった。

 

(……いけないな。しんみりとしてしまっては死が惜しくなるではないか)

 

 暗くなる自身の思いを無理やりに振り払うと彼女は決意する。こうして話していると昔を懐かしんでばかりだ。

 終わりにしよう……いや、終わりにしてもらおう。彼女はそう思った。

 

「……セタンタ、そろそろ頼めるか? 覚悟はできている」

 

「……おう」

 

 ぎゅっ、と彼が槍を握りしめる音が聞こえる。待ち望んだそれがやって来ることに歓喜しながらもほんの少しだけ恐怖したスカサハは目を閉じてその時を待つ。

 あとは彼が自分の体にその朱槍を突き立てるだけだ。それですべてが終わる。呪われた自分の人生に、終幕が訪れるのだ。

 

「……一応確認するけどよ、俺の好きにしちまって良いんだな?」

 

「ああ、構わんよ。すべてお前に任せる」

 

 心配性な弟子の確認に目を瞑ったまま頷くと、再び彼女は待つ。自分の死を、彼が自分に槍を振るうその時を………しかし――

 

「そうかい……んじゃ、お言葉に甘えてっと!」

 

「なっ!?」

 

 弟子は槍を振るう事はしなかった。その代わりに自分の体をひょいと持ち上げると、まるで米俵を担ぐかのようにスカサハを抱えて歩いて行く。

 

「おいセタンタ! 貴様、何を考えている!?」

 

「俺の好きにして良いって言ったろ?だから、最後にお楽しみといかせて貰おうと思ってさ」

 

「なっ!?」

 

 ぽんっ、と自分のいつも寝ている寝台へと体を放られる。一見、乱暴な扱いの様だが力加減や体の運び方には注意を払っていた様だ。

 存外に女の扱いも上手くなったものだと舌を巻く師匠の横で、クー・フーリンは己の戦装束を脱ぎ始めた。

 

「おっ、おい! まさか本当に私を抱くつもりなのか!?」

 

「さっきからそう言ってんじゃねぇか、アンタも初めてじゃああるまいしなんでそんなに慌ててんだよ?」

 

「お前はたわけか! いや、お前はたわけであったな……」

 

 がくりと頭を抱えたスカサハは己の弟子がこういう人物であったことを思い出した。何と言うか、大事な場面でも自分の思いを優先させてしまう男なのだ。

 待ち望んだ死の前にまさかこんな出来事が待っていようとは……そう落ち込んだスカサハだったが、自分を物欲しそうに見つめる弟子の姿を見た瞬間、ちろりと心の中で眠っていた欲望が鎌首を上げるのを感じた。

 

 まだこの弟子が若輩者だった頃、自分はこの男に女と言う物を教え込んだものだ。女の責め方も喘がせ方も尽させ方もすべて自分がこの男に叩き込んだ。

 それが修行の一環だったかと聞かれると怪しいものだ、どちらかと言えば恋慕の情を抑えきれなかった自分が強引な形でクー・フーリンに自分を抱かせたと言った方が正しいだろう。

 初めは緊張と慣れてないせいでぎこちなかった弟子だったが、回を増すにつれて徐々にその手の動きは女を知った男の物へと変わって行った。

 

 修行を終え、血が滾った時には彼は良く自分を求めたものだ。その思いを、自分は一度たりとも拒んだことは無かった。嬉しかったのだ、恋い焦がれたこの男に求められるが。故に何度も肌を重ね、快楽に溺れた。

 今のクー・フーリンの目はその頃の彼の目によく似ていた。自分を求め、甘える子犬の様な可愛さと雌を組み敷く獰猛な猛犬としての力強さ、その二つが合わさった心を揺さぶられる目でスカサハを見ている。

 

「……なぁ、良いだろ? もうアンタを抱くことも出来なくなるんだ。最後の一回くらい許してくれよ」

 

 戦っていた時の荒々しさは何処へやら、甘い声で囁くクー・フーリンは誘いの言葉を口にしながら慣れた手付きでスカサハの服を剥ぎ取って行く。

 ゆっくりと裸に剥かれながら、スカサハは心の中で生まれた声に耳を貸していた。

 

(……良いではないか。どの道、今生の別れはすぐそこまで迫っている。多少の恥くらいならば晒してやれ)

 

(自分の望みを叶えてくれた男に対して、まさか礼の言葉一つで終わりにするつもりか? 体の一つや二つ、望まれたら与えてやらねばわりに合わないだろうが)

 

(自分は敗者で彼は勝者だ。敗者は勝者に従って、すべてを差し出せば良いのだ)

 

(断る理由など何もないだろうに……こやつの言う通り、男を知らんわけでもあるまい)

 

 心の中から湧き出してくる言葉の数々に否定の思いは一つもない。そして何より、スカサハ自身がクー・フーリンを求めだしている。ならば、その思いに従うのも一興だろう

 

「……良かろう。セタンタよ、お前のその思い聞き遂げた」

 

 程なくして身を包む衣装を全てクー・フーリンの手で脱がされた後で、スカサハは柔らかな笑みを浮かべる。憎めないこの弟子を慈しむ様な、すこし呆れた様な笑顔を浮かべながら彼女は言った。

 

「影の女王、このスカサハの躰を存分に貪るが良い。勝者として私を組み敷き、好きなだけ求めよ。それが私がお前に出来る最大限の感謝の思いだ」

 

 自分を抱く男の胸の中に自ら体を寄せると、潤んだ瞳で彼を見る。数秒見つめ合った二人は、お互いの中に燃え上がる炎がある事を確かめると……どちらからともなく唇を重ねた。

 

「んっ……ふっ、はぁっ……っ」

 

 頭の後ろを抑えられ、上から唇を塞がれる。舌が自分の口の中に潜り込み、暴れる様にして自分を狂わせる。

 甘く蕩ける様な口付けでも、ねちっこく責める様なキスでもない。獰猛に単純に、自分を求め、味わうその接吻はスカサハの欲望を燃え上がらせた。

 

(求めてくれるのだな、こんな私を……)

 

 確かな充足感を感じながら自分を押し倒すその手に身を任せる。寝台に転がった後で唇を離した二人の間には銀色の糸が引いていた。

 クー・フーリンの口から垂れ、重力に従って落ちてくるその糸をスカサハは口で受け止める。自分と彼の唾液の混合物を嬉々として受け止めると、喉を鳴らして飲み込んだ。

 

「ふっ……はあぁ……!」

 

 震えるスカサハの体の至る所にクー・フーリンはキスの雨を降らせる。細い喉に、たわわに実った胸に、引き締まった腹部に、白く伸びる脚に、次々と唇を触れさせては赤い跡を残していく。

 一つ一つ彼の手によって自分の体に愛されている証を刻まれていく度にスカサハの体には満足げな痺れが走って行った。

 

「……さっき言われた剥製にして飾るってやつだけどよ。案外悪くねぇかもとか思い始めて来た」

 

「……ん?」

 

「アンタを傷跡を残さない様に綺麗に殺すんだ。んで、体ごと持ち帰って魔術で綺麗なまま保存しておく……こうやって、俺のもんだって印を刻んだアンタの体をずっと残しておくんだ」

 

「ふふふ……やはりお前はそういう奴ではないか。私の言った事は当たるんだ」

 

「良く言うぜ、アンタだって正直満更じゃねぇんだろ?」

 

 クー・フーリンのその一言にスカサハは心臓を高鳴らせた。彼のいう事は間違いではない。それどころか大正解だ。

 もしも彼が自分が死んだ後、髪の毛の一本、骨の一かけらでも形見としてとっておいてくれたのならばスカサハにとってこれ以上ない程の供養となる。愛した男の傍で寄り添えるなら、体の一部でも嬉しいことこの上ない。

 

 だが、今言われた通りに自分の体をまるまる持って帰られて飾られるとしたなら……それは、まさに天にも昇るほどの喜びだ。

 愛した証を刻まれた体を芸術品の様に飾られ、愛でられる。在りし日の思い出をその体を見ながら思い返すクー・フーリンの姿を想像しただけでゾクゾクとした震えが背中を走る。

 

「ほら、呆けてないで体起こせよ。アンタの好きだった責め方してやるから」

 

 そう言う愛しい彼の声に応えて体を起こして膝立ちになれば、クー・フーリンはそっとスカサハの豊かな胸の谷間へと顔を埋める。

 ふにゅり、ふにゅりと頬でその柔らかさを確かめる彼に対して、スカサハは呆れた様に笑った。

 

「ふふふ……お前は昔から乳が好きであったなぁ……」

 

「俺が特別ってわけじゃねぇよ。男だったらこんな立派な胸に抱かれたいと一度は思う物さ………ま、アンタの胸が好きだって事は認めるがね」

 

「ふふ……正直で良し、なれば、気の済むまで堪能せよ」

 

「言われなくてもだ」

 

 言うが早いがスカサハの胸の先端を口に含んだクー・フーリンは奥歯でそれを甘噛みする。痛みをまるで感じさせない絶妙な力加減に、スカサハの口から甘い吐息が漏れた。

 

「良い反応だぜ。アンタ、こうされるの好きだったもんな」

 

「くふぅ……っ、よくもまぁ、そんなことを覚えているものだな」

 

「初めて抱いた女の事を忘れる訳がないだろ?……それに、アンタがもっと好きな事も覚えてるぜ」

 

「あっ……!」

 

 くちゅり、と音を立ててクー・フーリンの手が自分の秘所に触れる。先ほどのキスだけで十分に濡れたその部分を軽く撫でた後、そのまま2本の指が膣へと侵入してきた。

 

「くあぁぁぁぁっ……♡」

 

 突き入れられた2本の指はまっすぐスカサハの膣内の一点を責める。少し奥の腹側にあるその部分の膣壁を指で擦り挙げられると、スカサハの口からは蕩けた嬌声が勝手に漏れる。

 

「……な? アンタの弱い所は全部覚えてんだよ。んで、さっきの責めとこれを一緒にやるのがアンタの大好きな組み合わせだろ?」

 

「くひっ…っ! くふぅぅっ……!」

 

 背中側から回された手がスカサハの乳房を優しく揉む。空いている右胸を吸われる快感に身を任せていると、膣に挿っている指がじたばたと暴れ出した。

 

「あぁぁ…っ♡くっ……あぁぁ……♡」

 

 クー・フーリンが自分の弱い所を責める度に背筋が勝手に伸び、口からは自分の声とは思えない甘い嬌声が漏れる。

 もう体に力が入らなくなったスカサハは自分を抱くクー・フーリンの腕にもたれ掛かると、彼から与えられる快感を享受し始めた。

 

 胸を中心に寄せられて乳首を重ね合わされる。こりこりと左手が二つの桜色の突起を弄ったかと思えば、次の瞬間にはそれが彼の口の中へと放り込まれていた。

 

「はひぃぃぃぃぃぃっ……♡」

 

 固く尖った乳首を同時に甘噛みされ、同時に吸われる。じんじんと痺れる様に感じていたそこはその強い快感を余すことなくスカサハの体全体に伝えて来た。

 

(もうっ……イクっ!)

 

 先ほどから膣の振動が収まらない。軽い絶頂を何度も繰り返しては押し寄せる大きな快感の波の予兆に身を震わせる。

 突き入れられている彼の指をきつく締め付けながら喘ぐスカサハの体の中で爆発しそうになっている快感は淀み、渦巻きながらもその勢いを増して行く。

 

「……すげぇ感じてんな。我慢するなよ、イッちまえ」

 

「はっ……♡ くぅぅっ……♡」

 

 弟子の甘い声と共に自分を責める手が激しくなる。弱い部分を何度も擦られ、舌で乳首を弄られると自分の口から嬌声があふれ出る。

 まるで弱々しい女性の様な喘ぎ声……自分が発しているとは思えないそれを耳にしながら高められていったスカサハは、自分の奥を責める指の感触についに屈した。

 

「ひあぁぁぁぁぁぁ……っ♡」

 

 膣が何度も収縮し、彼の指を痛いほどに締め付ける。溢れ出す白い愛液が自分を愛してくれている彼の手を濡らしていく。

 普段の彼女の姿からは考えられない痴態を晒した後、未だ体を震わせる快感を感じながらスカサハはクー・フーリンの手で寝台に横たえられた。

 

「随分派手にイッたな。快感に弱くなったんじゃねぇか?」

 

「そう……かもしれないな……」

 

 茶化す様に自分を責める弟子のその言葉を肯定する。事を始めるまでは自分がここまで乱れるとは思ってもみなかった。

 別に耐えようと思っていたわけでは無い。だが、師匠として彼との性交を上位に立ってやろうと思っていた節もあった。

 しかし、今その思いは完全に掻き消えてしまっている。自分は彼に敗北して体を差し出したのだ、もっと言うなら、この身は彼に報酬として貪られる為にある。

 ならば、彼の手にすべてを預けて満足してもらう事こそが己が使命と思えた。

 

「んじゃ、そろそろ頂きますかね」

 

「ふふ……随分とがっつくじゃないか、辛抱できなくなったか?」

 

 口ではそう言いながらもスカサハは自ら脚を開いてクー・フーリンを迎え入れる。濡れそぼり準備は万端となった自らの女性器の入り口に彼の分身が触れる感触に、スカサハの胸が高鳴った。

 

「くあぁぁぁぁぁぁっ……♡」

 

 自身の媚肉を割り裂いてクー・フーリンが侵入してくる。熱い肉棒が膣を穿ちながら奥へと進んでくる。かつて何度も味わったその快感にスカサハは震え、嬌声を上げた。まだ彼は動いてもいないのにこれだけで達してしまいそうな幸福感がある。

 

「……もう、動いても大丈夫か?」

 

「ふふ……私を気遣うとはお前も女の扱いが上手くなったものだな」

 

 口ではそっけなく流しながらも弟子の気遣いの言葉にスカサハは胸を躍らせていた。自分を大切に扱ってくれる彼のその思いが、何よりも嬉しかった。

 

「……好きに動け、今宵はお前にこの体を預けよう。お前の望むままにこの体を貪ると良い」

 

「そうかい、んじゃ、遠慮なく!」

 

 クー・フーリンはスカサハを組み敷くと上から押しつぶす様にして腰を振り始める。押さえつけられて何度も突き入れられるスカサハはその度に歓喜の声を上げた。

 

「はあぁぁっ……♡ ふっ、くぅぅっ……♡」

 

 スカサハは巨大な犬と交尾している様な錯覚を覚えていた。荒々しいその動きは女を責める事に余念がない。しかし、その中にも幾つもの愛情を感じる所がある。

 例えば自分の彼を求めて伸びる舌に応えてくれる唇だったり、力強くも決して痛みを感じさせない様にと加減された腰の動きだったりと、クー・フーリンがスカサハを大事に扱ってくれている様に感じるところは幾らでもあるのだ。

 

 自分を求め、大事に抱きしめて、たっぷりと愛してくれる………長らく覚えていなかったその愛情を受け取る度にスカサハの胸の中に何か温かい物が溢れてくる。自分をしっかりと抱きしめる男の腕に身を任せると、止めどない幸福感がこの身を包む……

 一突きごとに高められていったスカサハの体は、上と下の口を両方を塞がれたままにクー・フーリンを受け入れて行く。そして、彼に弱い所を擦られた彼女は、体を大きく震わせながら絶頂した。

 

「ん~~~~~~~~っっっ♡♡♡」

 

 快感に震える体を無理やり押さえつけられてその動きを封じられる。まるで快感を逃す事を許しはしないと言っている様な彼は、スカサハのアヌスへと指を向かわせるとそこにも栓をしてしまった。

 

「んむぅっ!?」

 

 口、膣、尻……すべての快感の出口を塞がれてしまったスカサハは、体の中で逃れられない快感が暴動を起こすのを感じていた。体の外へ出ようとした快感が逃げ場を無くして体の中心に戻って来る、その度に快感はその強さを増してスカサハを責め立てる。

 あまりの快感に再び体を揺すって抵抗しようとしたスカサハだったが、自分を押さえつける男の目を見てその動きを止めた。

 

――自分は彼に体を捧げたのであった……

 

 その事を思い出したスカサハは抵抗を止めて体の中の快感に身を任せる。先ほど言葉にした様に彼の望むままにした彼女は絶頂の余韻に何度も身を震わせた。

 一度受け入れると決めてしまえばあとは簡単だった。自分の中に渦巻く快感はその形を変えて甘く痺れるものへとなり、優しい絶頂を彼女に与えてくれる。

 

 物足りない訳では無い、だが、もっと欲しい……スカサハはそんな思いを抱えると強請る様にして体を動かす。それを見たクー・フーリンは彼女の思いに応えるかのようにして責めを再開した。

 スカサハを抱きかかえて自分の腰の上に座らせるとそのまま下から突き上げる様にして彼女を愛する。先ほどの暴力的なまでの快感とは違う甘く蕩けるその行為に、スカサハの口からは柔らかい快感の声が漏れた。

 

「あっ……♡はっ、あっ……♡」

 

 リズミカルに自分を突き上げる弟子の肉棒は的確に自分の弱い所を責めている。快感を押し付けるのではなく、優しく快感を与えられているその行為に幸せを感じてしまう。

 

(これでは……どちらが体を捧げているのか分からないでは無いか……っ!)

 

 自分が彼に満足してもらう為にしていた行為のはずなのに、自分ばかりが快感を貪っている。

 今の状況などその典型的な例だ、自分に対してたっぷりと愛情を捧げてくれているクー・フーリンとそれをただただ受け取るだけの自分。これでは、彼への褒美になどなりはしない。

 

「せたっ、んた……お前は、幸せか? 私を抱く事に喜びを見出しているか……?」

 

 不安な胸の内を彼に打ち明けて問いかける。この状況は彼の望んだものではないのではないかと……

 しかし、そんな彼女に向かっていつもと変わらぬ笑みを浮かべたクー・フーリンは、そっと彼女の頭を撫でながらこう答えた。

 

「ああ、勿論だ。アンタが快感に震えている姿を見る度に俺は幸せになるぜ、もっともっと、アンタを狂わせてやりたいと思う」

 

「そう、か……そうなのか……」

 

 これで良いのだ、自分は彼の望む様に出来ている。そう思ったスカサハは心から安堵した。そして、彼の次の言葉を耳にする。

 

「だからスカサハ、俺はアンタをここから連れ出すぜ。俺の傍に置いて、俺の物にしてみせる」

 

「……なんだと?」

 

 一瞬、その言葉の意味が分からなかった。理解できた今でもその真意がわからない。自分はこの後彼に殺されるのだ。彼に連れ出されることも彼の物になる事も無い。

 なのになんだ今の言い様は?今の言葉ではまるで、そう、まるで……

 

「……冗談は止せ、セタンタよ。さてはあれだな? 先ほどの剥製の一件をまだ根に持っておるのだな?」

 

 だから急いでスカサハは彼の言葉を冗談で流そうとした。本気にしてしまえば終わりだ、自分の生の最後に未練が生まれてしまう。

 今すぐこの思いを振り切って彼の手で殺されなければならない。そう考えたスカサハはクー・フーリンの手から逃れようと力を籠める。しかし――

 

「……今の俺が冗談を言っている様に見えるか?」

 

 真剣な彼の眼差しを受け、抱きしめられた瞬間に体から力が抜けて行ってしまった。  今、自分は呆けた顔で彼を見ながらその唇が言葉を紡ぐのを待っている。それはいけない事だと分かっているのに、胸がうるさい位に高鳴って体が言う事を聞いてくれない。

 そんな困惑とも期待とも取れる反応を示す体を持て余しながら、スカサハは弟子の次の言葉を待った。

 

「……いつでもアンタを殺せる男が傍に居てやる。これじゃ不服か?」

 

「ふざけた事を言うな。お前、自分が何を言っているのか分かっているのか?」

 

「分かってるさ、そういうアンタこそ俺が何を言っているのか分からないんじゃねぇのか?」

 

(何を馬鹿な事を言うのか? もうとっくにその言葉の真意はつかめている。だから、改めて口に出さないでくれ、そんなことをされれば私は……)

 

 心の中で思い浮かべた思いは紛れもない本心だ、だが、それを裏切って欲しいという思いも自分の中に生まれている。

 目の前の愛する弟子がもしも自分の考えている事と同じことを考えているとしたら……そうしたら、自分は……

 

 恐れ、期待する彼女の前でクー・フーリンが口を開く。そして、その唇から言葉を紡いだ。

 

「スカサハ、俺の妻になってくれ」

 

「……何を言うのだ、お前は……?」

 

 震えた声が自分の口から出てくる。それは、彼女が死と同様に思い描いたもう一つの望み。決して叶う事が無いと諦めていたかつての夢。

 

「私を娶る? ふざけたことを言うな。私の願いは、お前に殺させることなんだぞ…?」

 

「ああ、だからそれも叶えてやる。けどその前に俺の願いも叶えてくれ、スカサハ」

 

「……正気か? 貴様、あほさ加減に磨きがかかったのではないのか?」

 

 未だにこの状況を受け入れられない。もしかしたら夢なのではないかとすら思ってくる。自分の思い描いたとおりに弟子が自分を打ち倒し、死を与えてくれると思ったら求婚してくるなど、あまりにも出来過ぎた状況だ。

 だが、自分を貫く彼の分身が、自分を抱く腕が、見つめる瞳が、彼から与えられるそのすべてが、これは現実だと伝えてくる。紛れもない現実だと、自分に訴えかけてくるのだ

 

『ダメだ、出来る訳がない。今すぐ私を殺せ、セタンタ』

 

 そう言おうとした彼女の口が開く、自分の死を望む思いが彼女に抵抗をさせている。しかし、その思いを押さえつける様にして現れたもう一つの感情が、彼女の口から飛び出してきた。

 

「……本気か? 本気で私を求めているのか?」

 

「ああ、その通りだ」

 

 意思に反した言葉を口にしてしまった事を悔やむと同時に彼の温かな回答が胸に染み入る。これでは駄目だ、このままでは自分がおかしくなってしまう。

 そう思ったスカサハは必死に否定の言葉を紡ぐ、しかし、クー・フーリンはそれを一つ一つ潰していった。

 

「私はこの影の国に幽閉された身、外に出る事など叶わぬぞ?」

(だから諦めろ、私を愛そうなどとは思わないでくれ)

 

「んなもんやってみなきゃわかんねぇだろ? 俺に負けて呪いも解けたかもしれねぇしな」

 

「だとしても……私は化け物と相違ない女だ」

(お前の思いに応える様な女ではないんだ)

 

「それを倒した俺だった同類だろ? 丁度いいじゃねぇか」

 

「私は死にたいんだ! もうこれ以上私をおちょくるのは止めろ!」

(これ以上言わないでくれ、そんなことをされたら私は……)

 

 否定の言葉を口にし続ける唇が急にその役目を変える。彼の口で塞がれ、言葉を紡げなくなった己の唇が再び自由になるまでの間に、スカサハは気が付いてしまっていた。

 

 もう、自分の願いが書き換わってしまった事に、死ぬことよりも欲する願いが胸の内に生まれてしまった事に……

 

「……外の世界には私よりも若く美しい女は幾らでもいるぞ? こんな年増でも良いのか? 可愛らしくない女で良いのか?」

 

「何言ってんだ、俺が欲しいのは若い女でも美しい女でもねぇよ。アンタ一人だ、スカサハ」

 

 口から出るは先ほどまでの否定ではない確認の言葉、前向きに彼の思いに応えようとする思い。

 それをまっすぐに受け止められたスカサハの中からは、彼の思いを否定する感情は無くなってしまった。もう、自分を縛るものがなくなってしまったのだ。

 

「もう一度言うぜ、スカサハ、俺の妻になってくれ」

 

 二度目の求婚に胸が高鳴る。溢れんばかりに感じる愛情が胸を突き破りそうになる。

 手を伸ばせば届くところに自分の望みがある。ならば、正直になっても良いだろうか? スカサハは、涙を一粒だけ零して、それを拭う。そして……

 

「……はい。このスカサハ、その思いに応えましょう。身も心もあなたに捧げて、あなたを愛しましょう。クー・フーリン……私は、あなたの妻となります」

 

 ゆっくりと微笑むと、彼の思いを受け入れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ♡はっ♡あんっ♡」

 

 クー・フーリンの腰の上で腰を動かす。彼の自分を突き上げる動きに合わせて腰を上下し、互いに快感を得る。

 引き抜かれる時に腰を上げ、突き上げられる時に腰を下ろせば、自分を深く貫く衝撃に嬌声が漏れる。

 

 目の前に居るのはこの世で一番愛しい人、生涯の愛を誓い、この身と心を捧げた唯一の男。

 その彼の顔が快感に染まる度に胸の中に何とも言えない幸せが広がる。自分の体を堪能し、快感を得ていると思う事がこんなにも嬉しい事だとは今まで知ることも無かった。

 

「セタンタっ……!」

 

 愛しい人の名前を呼びながら体を寄せる。鍛えられ、引き締まったその胸に顔を埋めながら小さく震える。

 交わり、一つになり、思いを重ね合わせ、そして今、心をも繋げようとしている。狂おしい程に暴れる心の内をスカサハは何の迷いも無くさらけ出した。

 

「私は、お前を愛する。死ぬまでお前に心を捧げて愛を送ろう。だから……」

 

「……あぁ、俺もそれに全霊で応える。安心しろ、アンタを置いてどこにも行かねぇよ」

 

「そうか……そうか……っ!」

 

 彼女の言葉を継いで彼が口にしたのは、スカサハが最も望む答えであった。またも望みが叶った事に涙したスカサハは、愛しい男に自分が彼に抱かれてから何度も感じた幸せを分け与えるべく動きを速める。

 

 深く、ただ深く。すべては自分の為では無く、目の前のこの男の快感の為に。胸の中に抱かれ、この身を受け入れてくれた彼に極上の快感を得て貰うために……

 

「スカサハ……もう……っ」

 

「ああ、私にお前の愛を受け入れさせてくれ、深くこの身にお前と言う存在を刻み込んでくれ……!」

 

 自分ももう限界が近い。だが、出来る事なら同時に達したい……

 必死に歯を食いしばって絶頂を堪えるスカサハの膣が感じるのは徐々に硬さと熱さを増して行く彼の肉棒の感触、自分と同じく絶頂が近い彼の鼓動

 

「せた、んたっ……! 私は幸せだ、お前に幸せにしてもらったっ!だから、私もお前を幸せにする……ずっと、ずっと……っ!」

 

「……アンタが傍に居てくれりゃあ俺は幸せさ、ずっと傍に居てくれんだろ?」

 

 その質問の答えにスカサハは唇を重ねる。舌を絡めるわけでは無い軽いキス、だが、自分の愛情を示すのには十分だろう。

 熱い抱擁と接吻に身を焦がされ、まるで小娘の様に熱に浮かされたままの自分を貫いたクー・フーリンは一際奥まで分身を突きさすと、そのまま達した。

 

「くあぁぁぁぁぁぁぁ……♡」

 

 自分の最奥に熱いものが迸っているのを感じる。内側から自分を焦がし、蕩けさせるのは彼の愛そのもの……それを受け入れられる事はこの上ない喜びだ。

 彼と同じように絶頂したスカサハはこの日一番の快感に身を任せると、脱力しきった体をクー・フーリンに預ける。へたり込んだ自分の体を難なく受け入れた彼の手が自分の頭を撫でるのを感じながら、スカサハは戯言の様に同じ言葉を繰り返していた。

 

「……愛している。愛しているぞセタンタ、私は、お前を愛しているからな……♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 熱いお湯が自分の体を伝って流れる。浴室に入ったスカサハは自分の秘所からクー・フーリンの精液が零れ落ちるのを勿体なさそうに見ていたが、首を振って体を洗い始めた。

 彼の愛情が流れ落ちて行くようで心苦しいが、これから先何度だって味わえる物だ。むしろここでもたつく方が時間の無駄だろう。そう冷静に判断しながらも、口元には笑みが浮かんでいた。

 

(……まさか、こんなことになるとはな)

 

 目まぐるしくすべてが変わった一日だった。欲しがっていた死の望みを塗り替えるほどの甘美な出来事にまだ心がときめいている。これでは普通の女子ではないかと苦笑しながらも、彼女はそんな人生も悪くないと思い始めていた。

 

 もしかしたら、いや、かなりの確率で自分はこの影の国から出る事は出来ないのだろう。そうだったとしても悔いは無い。一時とは言え、彼に楽しい夢を見させてもらった事を感謝しながら消えるだけだ。

 だがもし、本当に彼の言うとおりにこの国から出て、普通の人生を送れるようになったとしたなら……本当に普通の女として生きるのも悪くは無い。

 

 槍を捨て、騎士として生きる彼の人生にただ妻として寄り添うのだ。愛され、望まれて彼の子を産み落とすのも良い。自分と彼の子だ、きっと強い子になるだろう。

 女として愛されることも、母としての幸せを得ることも自分には到底不可能だと思っていた。しかし、もしかしたらそれが叶うかもしれないのだ

 

 そう考えた自分の口元にはまた笑みが零れた。鏡に映る締まりのない顔を見ながら、こんな顔をする女になってしまったのかと苦笑した彼女は、もう秘所から零れ落ちる精液が無いかを確認しようとして……それに気が付いた。

 

「……なんだ、これは?」

 

 自分の下腹部、丁度今の今まで彼の精を留めていた部分の表皮に見慣れない紋章が刻まれているではないか。黒く、どこか禍々しく感じるそれをスカサハは暫し見つめる。

 これはいったい何なのだろうか?愛する彼の戯れだろうか?

 答えの見つからないままにそれを見ていた彼女の心の中に、えも知れぬ嫌悪感と恐怖が湧き上がって来た。そして、それは徐々に深みを増して自分の身を包んでいく。

 これがあってはいけない。これを身に刻んでいる以上、自分には彼の愛を受け取る資格など無い……

 

 そんな考えを思い浮かべながら必死に手を動かしてその部分を布で擦る。しかし、スカサハの肌が摩擦で赤くなっても、その紋章は欠片も消える事は無かった。

 

(駄目だ……駄目だっ!)

 

 何故、自分がこんなにも焦燥感を感じているのかも分からない。何故、涙を流すほどの恐怖をこの紋章に感じているのかも分からない。

 だが、スカサハは確信に近い程にこの紋章が自分に刻まれておくべき物ではない事が分かっていた。だから、彼女は傍らに置いてあった剃刀をその手に取る。

 

 拭いて拭えないなら皮膚ごと削り取るまで、それでも現れる様なら肉ごと抉り取るまで……

 そう考えて剃刀を持つ手を振り上げたスカサハは、その瞬間、本当の意味で『全て』を思い出した。

 

「あ……あぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 頭の中に浮かび上がる光景、今までの事、その全てが自分の記憶の扉を開いていく。

 

 そう、彼女は死んでいたのだ。正確に言えば存在が影の国ごと消え去ったと言った方が良いだろう。愛しい彼も、ケルトの国々も、もうとっくに滅んでいるのだ

 

 次々と浮かんでは消えて行く数々の思い出、存在が消え去った自分が英霊としてカルデアに召喚された事、そこで出会った新たな仲間達の事、かつての弟子がそこで力を振るっている事、そして自分もまた同じように戦ってきた事……

 皆と過ごした楽しかった思い出が溢れては自分を満たして行く。同時に何故こんなに大切な事を忘れていたのかと言う理由も彼女は思い出していた。

 

 戦いに敗れ、ソロモンに連れていかれた自分は脅しに屈してこの忌むべき令呪をこの身に刻んでしまった。そして、快楽の罠に捕らわれて心すらも堕としきってしまったのだ。

 そうして自分はかつての仲間に槍を向けた。自分を信頼してくれるマスターや後輩のマシュ、裏方で戦っていたDr,ロマン、そして……愛していた彼に。

 

「私は……私はっ!?」

 

 全てを思い出した彼女の手から剃刀が零れ落ちる。震える体を自分が抱きしめるよりも先に、誰かがそっと後ろから自分を抱いてくれた。

 

「……思い出したんだな、全て……」

 

「セタンタ……!私は、私は……っ!」

 

 スカサハは本当は泣きたかった。敵の傀儡となってかつての仲間を殺そうとした後悔に、心を落とされ奴隷となった自分の弱さに、愛する者たちに敵意を向けた悲しみに涙を流したかった。

 しかし……鏡に映る自分を抱く男が、もうすでに涙している事に気が付いた時、その感情は海の波の様に引いて行った。

 

「すまねぇ……!俺は、アンタの気持ちを知っていて、それを利用した……!何度謝ったって許される事じゃねぇ……っ!」

 

 彼が涙を流したところをスカサハは数えるほどしか見たことが無かった。そして、そのどれも彼は自分の為では無く、誰かのために涙を流した。

 友の死、師の不幸、どうしようもない不運……その一つ一つに彼は顔を歪ませて涙を流した。誰かのために涙を流す彼の泣き顔は、不謹慎だが美しかった。

 

 今の彼はその時と何も変わらない。かつて自分の元に居た時と同じ様に美しい顔で自分の為に涙を流してくれている。

 本来謝罪すべきは自分のはずだ。なのに、彼は自分の心の痛みを察して涙を流してくれている。その事に胸を熱くしたスカサハは、泣きじゃくる愛弟子の頭を撫で、背中に彼の涙を感じながら我が子をあやす様な口調で囁く。

 

「……セタンタよ、お前は私の心を蹂躙して、私を奴隷に堕とそうとしたのか?私を意のままに操ろうとしたのか?」

 

「違う……!ちげぇよ!俺は、俺はただ……っ!」

 

 アンタに戻って来て欲しかったんだ。彼の心の内の叫びが、確かにスカサハには聞こえた。そして、彼女にとってはそれだけで十分だった。

 

「……ありがとうセタンタ。お前はこの愚かな師を止めて、心を救ってくれた。私はお前に何度感謝してもしたり無い位だ。良い夢を見させて貰った。ありがとうな……」

 

「でも、俺は!」

 

「良いんだ、本来謝るべきは私……泣きじゃくるのも私の方だぞ? 男がいつまでもぐじぐじと泣いているでない!」

 

「……師匠」

 

 クー・フーリンはその喝を受けた時に確信した。あの厳しくも優しかったスカサハは戻って来たのだ。ソロモンの呪縛から解かれ、かつて自分を導いてくれた師が、その心を取り戻したのだと。

 だが、彼は分かっていた。彼女がそんな自分を許すはずも無い事を、この後、悲しい別れが待っている事を……

 

「……生憎自害は許されていない様だ。最後まで世話をかけるが……頼めるか?」

 

「ああ……アンタがそういう女だって事は分かってた。覚悟はしてたさ」

 

 涙を拭って槍を握る。彼女から授かった朱槍の切っ先が震えるのを必死に抑える。

 優しく自分を見守るスカサハの笑顔を見る度に曇りそうになる心を必死に奮い立たせるクー・フーリンに対して、スカサハは言った。

 

「セタンタ、私は幸せだった。ほんのわずかの間でも、たとえ夢物語だとしても、お前と共に過ごせる人生を思った時は確かに幸せだった。ありがとう、そして、また会おう……愛する我が弟子よ……」

 

 その言葉を最後に、弟子の槍に貫かれたスカサハは光の粒となって消滅した。立体映像が消え去ったカルデアのトレーニングルームの中には、崩れ落ち、慟哭するクー・フーリンだけが残されたのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……兄貴、大丈夫?」

 

「……おう、まあな」

 

 スカサハが消滅してから数時間後、俺は仕事を終えた兄貴と一緒に彼の私室で話をしていた。

 兄貴は復活したゲイ・ボルクを片手に持って遠くを見ている。まるで消え去ったスカサハを探している様なその眼差しに俺の心が痛んだ。

 

「ゴメン、俺が兄貴にスカサハを抱く様に言ったから、こんなつらい思いをする事に……」

 

「気にすんなよマスター、最初から予想は着いてた。きっとこうなるだろうって思ってたんだ。むしろお前さんには感謝してるぜ、やっとあの師匠との約束を果たせたんだからな」

 

 そう言った兄貴は俺を見て笑った。いつもと変わらない快活な笑み……どこかすっきりした様なその笑顔は過去の後悔を一つ無くせた事に対する安堵からくるものだろうか?俺には分からなかった。

 

「……辛い別れなんぞ生きてる時から何度でもあった。もう慣れっこさ、だから気にすんな。俺は平気だからよ」

 

 俺の頭をくしゃくしゃと撫でながら兄貴は言う。そして、笑いながら言葉の続きを口にした。

 

「それにな、俺は思うんだ。きっと……」

 

「先輩!クー・フーリンさん!大変です!」

 

 兄貴がそこまで言いかけた時だった。部屋に駆け込んできたマシュが興奮した様子で俺たちを呼んだのは。

 最初はまた敵襲かと思ったが、マシュの顔にはありありと喜びの色が現れていた。ほんのちょっぴりの涙を目に湛えながら、マシュは俺たちに向かって話し続ける。

 

「ついさっき、カルデアの召喚システムが作動したんです! それで、それで……!」

 

 カルデアの廊下を歩く足音が聞こえる。マシュのすぐ後ろのドアが開く音もだ。

部屋に入って来たその女性の顔を見た俺と兄貴は言葉を失った。そして、マシュ同様に涙を浮かべながら笑顔を見せる。

 

「……何を呆けた顔をしている。言っただろう?『また会おう』と」

 

 それだけ告げたその女性は踵を返して部屋を後にした。ほんの数拍後にベットへと腰掛けた兄貴は、目頭を押さえながら呟く

 

「……思ったんだよ。きっと、また会えるって……にしても早すぎんだろうが、馬鹿師匠……!」

 

 涙を流して喜ぶ兄貴の姿を見た俺とマシュもまた部屋を後にした。部屋のすぐ横に待機していたロビンとオリオンも笑いながらサムズアップをする。

 頼りになる仲間が戻って来た。大切な仲間をまた取り戻すことが出来た。その事を喜ぶ俺たちは、声を出さないままに手を挙げると、それを叩き合わせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……遅い。まだ戻らんのかあの二人は!?」

 

 一方その頃、ソロモンは居城で未だに戻らないマシュとスカサハの二人の事を待っていた。なにかトラブルがあってもスカサハならば心配ないだろうと高を括っていたが、そんな彼の予想に反してどんなに時間がかかっても二人が戻って来る気配はない。

 カルデアの様子を探りたいところだがあの地を見るのは魔術王の自分と言えど容易い事ではない。よしんば見えたところでもしもマシュとスカサハがカルデアの残党を殺すことに夢中になって時間をかけているのだとしたらそれは大いなる徒労となるだろう。

 

「どうする……? 増援を送るか……?」

 

 だが、何かあったという可能性も否定しきれない。ならば助けを送るのが基本だろう。しかし、二度も自分の送った刺客をどうにかしたのであれば、カルデアには何らかの策があるという事だ。

 そんなカルデアに無暗に兵を送り込んでいいものだろうか? 一気に大量の兵隊を送り込めるなら良い。しかし、大侵攻作戦を行い、数々の英霊を堕とす為に魔力を使い過ぎたこともあってか、今の自分には到底それは不可能な事である。

 強力な力を持つ英霊なら最大でも3名が限度だろう。それを送り込んでカルデアの息を止められるのならば良い。しかし、それを確実に行えるという保証は無いのだ

 

「……様子を見よう」

 

 総合的に状況を判断したソロモンの出した結論は『静観』であった。何も心配することは無い。送り込んだのはマシュとスカサハの立った二人だけ、もしも彼女たちがカルデアの罠にかかって捕らえられていたとしても淫紋令呪がある限りは自分を裏切る事は無いのだ。

 

 未だにそう思っているソロモンは自分を落ち着かせると再び堕とした英霊たちでこの苛立ちを紛らわせようと部屋を出た。頭の中からはすでに心配事は消え去り、どうやって女どもを辱めてやるかの算段で一杯になっている。

 

(触手たちに同じ騎士王たちを同時に襲わせるか? 幼い英霊共に奉仕させるのも良いな……!)

 

 かつての仲間たちの不始末は彼女たちに拭わせれば良いだろう。そう考えたソロモンはルンルン気分で部屋を出る。そして、英霊たちを捕えている地下牢へと歩いて行った。

 

 彼の考えはある意味では正解だった。確かにカルデアは二人の英霊を取り戻したが100名近くいる英霊の内たった二人を取り戻しただけだ、ソロモンにとって大した被害ではない。

 それに、彼らには反撃の手段が無い。時間をかければかけるほど、回復したソロモンに再び攻撃を仕掛けられる可能性だって上がるのだ。

 

 だからソロモンは安心していた。まだ自分が圧倒的に優位だと、そう思っているから。それが事実だから。

 だが、また彼はミスを犯していた。それは、この城の中を堕とした英霊たちが自由に動き回れる様にしていたことから始まるミスだった。

 

 堕とした英霊の管理が雑であること……言ってしまえば部下の管理が出来ていないソロモンは英霊の誰がどんな考えを持っているかを把握しきれていない。だから、彼にとっての不幸が起きる。

 

「ふふふ……! なんだか面白い事になってるじゃないの、これ、あたしの力を見せるチャンスなんじゃない!?」

 

 今のソロモンの一人苦悩を扉の隙間から見ていた一人の少女は、彼の主と同じ様にルンルン気分で城の廊下を歩いて行く。

 ここで手柄を立てれば新たな主だって自分の事を認めるだろう。そんな浅はかな考えを浮かべた彼女はマシュたちの帰還に備えて開きっぱなしになっているカルデアへのゲートを確認すると準備を始める。

 

 だって彼女はアイドル、観客を楽しませる為には工夫が必要なのだ。その前準備を怠る訳にはいかない。

 腰から生えた尻尾を楽し気に振りながら、少女はコンサート会場へと向かう準備を進めて行ったのであった。

 

 

 

 




出来る限り甘く、前の話の絶望感を吹き飛ばせるような内容に仕上げてみました。
いかがだったでしょうか?次の女の子はおぼこなあの子です。お好きな方はご期待を


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

緑衣の弓兵、処女を喰らう(エリザベート)

 コンセプトは『軽く、重く』で、少しらしくないかもしれません。


 

 

暗いカルデアの会議室、その中に集まった俺たちカルデア男性メンバーは、皆一様に真剣な表情で話し合っている。

 

「……誰かがやらなきゃならない。その事は分かってるよね?」

 

「ああ、当然だぜマスター。だが、それを誰がやるかが問題だ」

 

「頼むから令呪を使って無理に命令なんかすんなよ。誰がやるにしても納得してからじゃないと禍根が残る」

 

ロビンのその言葉に無言で頷いた俺は、この場に居る他の二人を改めて見つめる。クー・フーリン兄貴とロビンフッド……どちらも出来ればこの役目をやりたくは無いという思いが表情からありありと見て取れる。その思いは俺も同じだ、だが、誰かがやらなければならないのだ……

 

『出してー!ここから出してよーっ!暗いのは嫌なのーっ!』

 

カルデアのトレーニングルームに幽閉されたこの会議の議題を作った張本人の叫びが通信から聞こえる。一体なんでこんなことになったのか?俺は約一時間前の事を思い返していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先日兄貴の尽力によって帰って来たスカサハを迎えての初の作戦会議は、スカサハへの状況説明からスタートした。

カルデアにサーヴァントがほとんど残っていない事、機能も大半死んでいる事、英霊を召喚しようにも皆ソロモンに捕まっている為に誰も英霊の座に居ない事……などなど、とりあえずの状況を説明したのちに、未だ彼女にも刻まれている淫紋令呪に関しても話をした。

 

その全てに関して黙って話を聞いていたスカサハは、ある程度俺たちの話が終わった際に顔を上げると、兄貴を指さして一言しゃべった。

 

「……とりあえず、私はこいつに抱かれれば良いのだな?」

 

そのド直球な物言いに俺は噴き出し、マシュは顔を赤らめ、ロビンはやれやれと言った様に頭を抱え、スパルタクスはいつも通り笑っていたが……まぁ、彼女の言う事は間違いではない。

何せ兄貴は今やスカサハのマスターだ。再召喚されたスカサハは基本的に俺をマスターとしているが、淫紋令呪に関してのみは兄貴をマスターとして設定されている。これは恐らく潜在的に兄貴を主人(スカサハ風に言えば夫らしい)と認めているが故にこうなったと解釈しているが、そう言う事になった以上は兄貴に頑張って貰うほかないのだ。

 

兄貴も面倒そうな顔をしているが拒否する気は無い様だ。生前に抱いた相手でもあるし、ソロモンに奪われるよりかは何倍も良いと判断しての事だろう。……断ったら半殺しにされることを恐れてのことかもしれないが、俺たちはその事を見て見ぬふりをした。

 

「それと、今の私に戦力としての力は期待するなよ。召喚されたばかりで霊基がまったく育っていないからな」

 

俺たちにとってはそっちの方がショックであった。スカサハの戦闘能力はもともと居たサーヴァント達の中でもトップクラスだ。彼女が加わってくれたことで大幅な戦力強化が見込めると思ったのだが、世の中そう上手くはいかないものである。

 

「すまないな。私が自己満足のために死を選ばなければ、お前たちに力を貸せたものを……」

 

「気にすんなよ。また種火でも貰って鍛え上げりゃあいいさ。アンタならすぐに化け物じみた強さを取り戻せんだろ」

 

申し訳なさそうな表情をしたスカサハに兄貴がフォローを入れる。しかし、それに対して渋い顔をしたのはダヴィンチちゃんであった。

 

「それがそう上手くも行かないんだよね……何せ、カルデアの転移システムがいかれちゃってるんだから」

 

彼女は現状のカルデアの生きている機械類の説明を始める。俺たちが特異点の捜索に使用していた転移システムは完全に壊れており、復旧の見込みは未だ無いそうだ。それは、かなりの問題点を俺たちに与えてくる。

 

まずソロモンの行動に対して何もできないという事。向こうはマシュやスカサハを送り込んできたことから俺たちに対して攻撃をすることが出来る手段があるのだろう。しかし、俺たちは今現在、このカルデアから出ること自体が不可能なのである。

これではソロモンが聖杯をどこかの時代にばら撒いたとしても何も行動できない。時代が焼却されるのを指を咥えてみている事しかできないのだ。

 

更に先ほど兄貴が言った種火の収集……つまり、サーヴァント達の霊基の強化も望めない。今まで強化用のスポットに行くのにカルデアの転移システムを利用していたので、それが無くなった以上もうそこに行くことも出来ないのだ。

 

「戦力を増やすことは可能だけど、育てることもこちらから反撃することも出来ないとはね……」

 

「加えて防衛システムも満足に作動していないから防衛策もばっちりとは行かないよ。良いニュースはあるけど、それ以上に悪い現実が多いのが現状だね……」

 

ダヴィンチちゃんの言葉に俺たちは黙り込む。そうだ、確かにマシュとスカサハを取り戻すことが出来て浮かれていたが、俺たちが絶望的状況に置かれている事に変わりはない。これから先どうするかの選択を間違えれば即終了の戦いの真っただ中なのだ。

 

「……あ~、ちょっと良いか?さっきカルデアの防衛システムの話が出たから一応言っておくけど、俺もこないだスカサハが来たゲートの周辺に罠をしかけといたんだよね」

 

「そうなんですか?」

 

「つっても大したもんじゃあないよ?物資不足のカルデアにある物と俺の私物を組み合わせて作った即席トラップだから、出来はいまいちだし相手を殺せるほどの性能は無い」

 

「ふむ……しかしお主の作った罠ならば一定の評価は出来よう。何せアメリカではケルトの軍勢を相手にきっちりと仕事をこなしたのだからな」

 

「いや~、あんときは物資も大量にあったし相手が脳筋集団のケルトの雑兵だったから上手く行っただけで、相手が本家本元の英雄様なら俺の罠なんてあっという間に突破されると思うんですけどねぇ」

 

困ったように頭をぽりぽりと書きながらロビンフッドが言う。俺とマシュも前に見たことがあるが、彼の作るトラップは一級品だ。しかし、それは徹底した前準備があっての物だろう。

今現在、彼が言う通り物資不足のカルデアにあるもので作ったトラップは無いよりかはまし程度の物……そう考えておくのが正しいらしい。

 

「まぁ、あのトラップに引っかかるとすれば油断しきった相手か、もしくはよほどの大馬鹿サーヴァントじゃないと無理なんじゃないですかねぇ?」

 

「じゃあ、そのトラップに獲物が引っかかればラッキーって感じなのかぁ……」

 

「ラッキーどころじゃないな。奇跡だ奇跡、そのくらいお粗末な代物で……」

 

「あの~、その事なんだけどさ…」

 

ロビンの言葉を遮って手を挙げたのは、会議中もカルデアの様子を小型のタブレットで見守っていたロマンだった。なぜかちょっと青い顔をしながら手を挙げたロマンは、少し言いにくそうにしながら俺たちに言った。

 

「……起きちゃったみたいだよ、奇跡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なによ~!なんなのよこれ~!?」

 

「……嘘だろおい。マジで引っかかる奴がいるのかよ」

 

「あ!アンタ生きてたのね!?って事は、この質の悪いトラップもアンタが仕掛けたんでしょう!?さっさと解除しなさいよー!」

 

「する訳ねぇだろ馬鹿!……まぁ、お前が馬鹿だって事はよくよく分かってたけどよ……」

 

何故か奇跡が起きたというのに嬉しくなさそうなロビン、それもそのはず、罠に引っかかっていたサーヴァントは。小柄な体にアンバランスな龍の尾を持ったアイドルランサー……エリザベート・バートリーだったからだ。

確かに彼女ならだれもが分かる様なトラップに引っかかるというミス位するだろう。だってエリザはサーヴァント界随一のお笑いキャラなのだから

 

「……ちょっと待って、何この反応?彼女から超強力な魔力の反応があるんだけれど」

 

ぐるぐる巻きにされてもがいているエリちゃんを魔力観測機で見たロマンが呟く。それが何を意味するのかは分からないが、気を付けた方が良いと判断した俺たちだったが……

 

「……いや、ありえないでしょ?こんな事ある訳ないよね…?」

 

ロマンの独り言を聞くにつれてなんだか嫌な予感がし始めた。この場合の嫌な予感とはエリザベートが何かとんでもない事をしでかしたという意味である。

このロマンの反応には何かある……そう確信した俺が動く前に、スカサハがエリザベートの体をまさぐっていた。

 

「ちょ!?何処触ってんのよ!?って、スカサハ!?アンタまさか裏切ったの!?デジマ!?」

 

「うるさいから少し黙っていろ、あんまりにもうるさいと舌を引き抜くぞ」

 

色々と落ち着きが無いエリザベートに対して静かな恫喝をしたスカサハの迫力に誰もが黙り込む。それは恫喝を受けた張本人も例外でなく、エリザベートは真っ青な顔をして速攻で口を閉じた。

 

「……ん?これは…?」

 

もぞもぞとエリザベートの体を探っていたスカサハが何かを見つけ出した。それを掴んだスカサハがゆっくり服に隠れていた手を引き抜くと、そこにあったのは黄金に輝く杯だった。

 

「……あの、先輩。私にはスカサハさんが持っている物が聖杯に見えるんですけど、まさかそんな事って無いですよね…?」

 

「あ、当たり前だろマシュ。そんな馬鹿な話があってたまるか」

 

「そうですよね!聖杯によく似たただの金色の杯ですよね!」

 

「そうそう!マシュはあわてん坊さんだなぁ!あっはっは!」

 

そう言いながら俺は笑う。マシュも俺につられたようにして笑い始めた。

そうだ、そんな馬鹿なことがあってはならない。毎回死ぬような思いをして手に入れて来た聖杯が、こんなにあっさりと手に入る……もとい、やって来るなど夢物語も良い所だ。

かつての仲間がポンコツトラップに引っかかり、しかも聖杯まで持ってきてくれていたなど、到底あり得る話ではない。

 

「……みんな、落ち着いて聞いて欲しい。スカサハが持っているのは、間違いなく正真正銘本物の聖杯だよ」

 

しかし、俺のそんな思いを吹き飛ばす様にしてロマンが口にした言葉はありありとリアルを伴って俺たちの耳に聞こえて来た。

 

「……噓でしょ?マジで?」

 

「規模は小さいけど本物だよ。ちょっとした特異点を作るぐらいの魔力は秘めてる」

 

「え、ええっと……機械の故障とか、そういう可能性は?」

 

「今朝メンテナンスしたばかり、無論異常は無かったよ」

 

「おいお前、なぜこんなものを持ってきた?答えないとお前の尻の穴からゲイ・ボルクを……」

 

「だってそれ持ってれば無敵になれるって聞いたんだもん!絶対勝てるって思ったからこっそり持ってきたのに、なんでこんなにあっさり捕まっちゃうのよ!?」

 

スカサハの二度目の恫喝を受けたエリザベートは凄い勢いで叫び散らすと涙目で俺たちを見る。その言葉を受けた俺たちの体からは逆に力が抜けて行った。

 

エリザベートの言葉を信じるならば彼女は持ってきたのは本物の聖杯だと言う事になる。基本的に俺たちが集めていた物よりも魔力は低いものの、それでも十分すぎるほどの力を秘めているらしい。

そんなものが俺たちの元に渡ったのは非常に喜ぶべきことなのだが、なぜか全然喜べない。やっぱり苦労した甲斐があってこそもののありがたみってわかるんだね!

 

「いや~!まさかこんなありがたいことが起きるなんてねぇ!エリちゃんには感謝感激雨あられだよ!」

 

「そ、そう?じゃあ、その感謝の気持ちを表して解放してくれると嬉しいんだけど……」

 

「うんうん!もちろんそうするよ!それじゃあ、君を特別な部屋に案内するよ!」

 

「え…?そうじゃなくって私は普通に開放を……あんぎゃーっ!?」

 

エリザベートがその言葉を言い終わる前にスパルタクスがやって来ると、簀巻きにされた彼女を抱え上げてのしのしと歩いて行く。完全に誘拐事件なその光景を呆けた顔で見ている俺たちに対して、エリザベートは必死に助けを求めて来た。

 

「マシュ~!スカサハ~!助けてよ~!仲間でしょう~!?」

 

「あ、その……頑張って下さい!」

 

「まぁ、悪い目には逢わないだろうさ」

 

「何よそのふわっとした励まし!もっと思いやりを持って……わわっ!?だ、だずけで~っ!」

 

後半涙声のエリザベートはその言葉を最後にドアの向こうへと消えて行った。残された俺たちがぽかんとしていると、ダヴィンチちゃんが俺たちに向き直って笑顔を見せてくる。

その笑顔に嫌なものを感じた俺たちだったが、何か行動を起こす前に俺たちを確保したダヴィンチちゃんは、笑顔のままでこういった。

 

「さ、男性諸君、誰が彼女を抱くか決めてくれたまえ!なにせ彼女をソロモンの手から解放すると約束してしまったからね!自分の言葉には責任を持たないとね!」

 

自分のできる範囲内で約束をして下さい……俺たち3人は全く同じ思いをダヴィンチちゃんに向けたまま、今度こそ完全に脱力したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、冒頭のシーンに戻ると言うわけだ。全員が全員、この役目には乗り気ではない。しかし、誰かがやらなくてはならないというのは分かっている。だから必死にその役目を自分ではない誰かに押し付けようと躍起になっているわけだが……

 

「順番で言えば次はロビンだよね?仲も良いし、丁度良いんじゃない?」

 

「ふざけんなよマスター!俺別にあのおぼこ娘と仲が良い訳じゃないからね!?」

 

「いやいや、つってもお前あの娘と良く組むじゃん。月の方でとか、アメリカとか、最近でもハロウィンでも絡んでたし……」

 

「クー・フーリンの旦那、本気でそれ止めて。俺、あいつと仲が良い訳じゃないから!腐れ縁なだけだから!むしろここでその腐れ縁強化されんのは嫌なのよ!」

 

必死になってエリザベートとの関係性を否定するロビン、ここまで必死になる必要は無いとは思うが彼の気持ちもわかる。

ここでエリちゃんを抱くという事は、淫紋令呪の事も相まって彼女とそういう関係になるという事だ。その場合、何と言うかその……非常に面倒臭い事になる事が目に見えている。

 

好き勝手に周りを振り回すわがまま系アイドルサーヴァント、それが『エリザベート・バートリー』だ。多少ちょろくて残念な部分もあるが、今現在の状況を見るに俺たちがどれだけ彼女に振り回されているかは理解できるだろう。

今はまだカルデア全体で振り回されているから良い。しかし、彼女の面倒を専属で見ることになったとしたら……それはもう、究極に厳しい毎日がやって来るに違いない。

 

度重なるわがままとあのポンコツ具合で出た周りへの被害を収拾し、バカみたいな彼女の思いつきに付き合って、なおかつあの破壊的な歌を聞き続けなければならないのだ。俺だったら死ぬ、主に鼓膜が

 

「そもそも、あのおぼこ娘が自分から抱いてください!って言うわけないだろ!?今回は聖杯だけ奪ってソロモンのとこに帰してやった方が……」

 

『お願いします!出してください!何でもします!何でもしますからっ!』

 

ロビンのその一言を待っていたかのように幽閉されているエリザベートからの叫びが会議室に木霊した。今彼女は最大の弱点である石牢を投影したトレーニングルーム内に捕らわれている。先ほどまではいっそ殺してくれと泣き叫びながら懇願していたが、更に懇願がワンランクアップした様だ。

 

『出してくださぃぃ!出してくれるなら喜んで殺されます!奴隷にでも犬にでも何でもなりますからぁ!出してえぇぇぇっ!』

 

「……ロビン、解決したよ?」

 

「あとは君たちの内誰がエリザベートちゃんを抱くかを決めるだけだね!ファイト!」

 

もう俺たちに逃げ場はない……となれば、誰か一人を生贄に差し出すほか無い。

瞬時に策謀を巡らせた俺は横に座る兄貴と目を合わせる。一瞬のアイコンタクトを済ませて頷き合った俺たちは、白々しい口調で話を始めた。

 

「あ、あ~……俺はマシュが居るから浮気は出来ないな~!残念だけど、俺は無理だな~!」

 

「俺もスカサハと契約したばかりだしな~!そんなほいほいと他の女を抱くわけにもいかねぇしな~!困ったな~!」

 

「お、お前ら…っ!」

 

ロビンフッドがこめかみに怒りマークを浮かべているのが良くわかる。だが、俺と兄貴はそんな彼から視線を逸らすと、口笛を吹いて知らんぷりをした。

 

「ずりぃだろ!お前らも公平に話し合いに参加しろよ!」

 

「公平ってんならお前が誰か女を抱いてからにしろよ。話はそれからだろ」

 

「きったねぇ!お前らきたねぇぞ!」

 

全力の咆哮、いつもひょうひょうとしているロビンフッドにしては全力にもほどがある。そんなにエリザベートを抱くのが嫌なのだろうか?……嫌なのだろう。

 

「百歩譲ってマスターは分かるぜ?これから先、ストーカー蛇娘や爆裂ボディのお母さん、全身毒娘の相手をしてもらわなきゃならないんだからな!だが、クー・フーリン!アンタはそこまで相手いねぇだろうがよ!」

 

「分かってねぇなぁロビン……あの師匠、まともに見えて相当やばい奴なんだぞ?俺と男女の関係にあった時なんて毎日ガクブルもんだぜ?」

 

「そ、そうなの……?」

 

「ああ、俺が話しかけた女中をぶち殺したり、やって来た海賊がカッコ良かったからって一度見逃したけどそれを聞いた俺が面白くない顔した瞬間にその海賊ども追っかけてってぶち殺したんだぜ?挙句の果てにそいつを殺したナイフを俺に渡して『セタンタ、それが私の気持ちだ』なんて言いやがるんだぜ!?マジ生きた心地がしなかったわ……」

 

「よくもまぁそんな相手に手を出したもんだなアンタも……」

 

「色々あったんだよ、あと単純にそんな女だってこと知らなかったんだ」

 

「兄貴も大変なんだねぇ……」

 

しみじみと語る兄貴に対して合いの手を入れた俺はそっとロビンの肩に手を置く、同時にもう片方の肩には兄貴の手が置かれており、ロビンは目を白黒させていた。

 

「……と言うわけだから、ロビンフッド、お前にすべて任せた!」

 

「頑張れ!」

 

「ふざけんな!嫌な役目を俺に押し付けんじゃねぇ!」

 

「しょうがねぇだろうがよ、お前が別にやらなくていいって認めたマスターと、プロポーズしてきた相手が翌日には別の女を抱いたなんて知ったら何するかわかんねぇ師匠を抱えた俺には出来ねぇことなんだからよ」

 

「嫌だ……嫌だぞ!俺は絶対にあのおぼこを抱くもんか!」

 

もはや自分の逃げ道が無くなってきていると理解したロビンは縮こまってがたぶると震え始める。そんな彼を哀れに思ったのか、ダヴィンチちゃんが救いの手を差し伸べて来た。

 

「ふ~む……確かに乗り気じゃないロビンフッド君に無理矢理彼女を抱かせるだなんて事はさせたくないなぁ……仕方が無い。最終手段を使うか」

 

「……最終手段?なにそれ?」

 

「ふふふ……そんなもの決まっているだろう!こおぉぉぉい!バァァァサァァァァァカァァァァァッッッ!」

 

俺の質問を受けたダヴィンチちゃんは右手を掲げると、某機動武勇伝的なGを呼ぶときの様に叫ぶ。その声に応えるかのように近づいてきた足音に気が付いた俺たちは、部屋のドアへと視線を向けた。

 

「叛逆の時間か!?」

 

ドアをぶち壊しながら入って来たバーサーカーことスパルタクスが一言、またカルデアのスタッフたちが修理に苦労するだろうが、そんな事には目もくれずにダヴィンチちゃんはスパルタクスに指示を出す。

 

「ヤっちゃえ♡バーサーカー!」

 

「ちょいちょいちょい待てぇっ!」

 

ニコッと笑顔で何かとんでもない事を言ったダヴィンチちゃんに俺たちからの突っ込みが飛ぶ、それを不思議そうな顔で見ながらダヴィンチちゃんは言葉を返してきた。

 

「どうしたんだい?スパルタクス君にエリザベートちゃんを抱いて貰えば君たちが苦悩する必要は無いじゃないか」

 

「いや、そうなんだけどよ……」

 

兄貴の言わんとしている事は分かる。小柄で子供っぽい容姿のエリザベートの相手に身長2m越えの大男であるスパルタクス、あの処女丸出しのエリちゃんの相手が、灰色の体をした怪しい笑顔を浮かべ続けている半裸の巨人……

その光景を一言で言うのなら『事案発生』だろう。むちゃくちゃに泣きわめくエリザベートの姿が容易に想像できる。それはそれで見てみたい気もするが……

 

「大丈夫、大丈夫!どうせソロモンの奴に処女は散らされてるだろうし、案外エリザベートちゃんもスパルタクス君の事を気に入るかもしれないよ?『ソロモンのよりもおっきい…♡』ってさ!」

 

「止めろ!全然想像がつかん!」

 

またある意味での極限状態に追い込まれたロビンは頭を抱えて蹲る。そんな彼を試す様な目で見ながら、ダヴィンチちゃんは最後の質問をロビンフッドに尋ねる。

 

「で?どうするんだい?君が抱かないと言うのなら、エリザベートちゃんは私の意見通りスパルタクス君に抱いて貰う事になるけど……」

 

ごくり、と俺と兄貴がつばを飲み込む。これぞ究極の二択、自分が不幸を引き入れて女の子を救うか、はたまた自分の為に女の子にとんでもない事をやらせるか……?

 

「く、くくくく……アンタら、俺の事を誤解してるんじゃないですかねぇ?」

 

しかし、そんな質問に際しても迷う事無い態度で顔を上げたロビンは静かに笑う。その顔は非常に悪い表情をしていた。

 

「俺がそんなに女に甘い奴だと思ってるわけ?俺、結構リアリストよ?自分がやばい事になるってわかってるのに不幸を引き入れる様な真似をするとお思いですかね?」

 

「……つまり、君の答えは?」

 

ダヴィンチちゃんに答えを促されたロビンフッドは、びしっと決めた顔を作ると高らかに宣言した。

 

「無論、俺はあのおぼこ娘(仮)がどうなろうと知った事じゃない!スパルタクス、お前に任せた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って、言えてりゃあ苦労はしねぇんだよな。ホントにさ…」

 

数分後、がっくりとした格好でエリザベートが閉じ込められている部屋の前に立つロビンフッドが呟く。その手には、部屋のカードキーが握られていた。

 

いくら皮肉屋を気取り、一匹狼を装ったところで人の本質は変わらない……そう、彼はまごう事無き『お人好し』だったのである。そんな彼が、多少は関りがあるエリザベートがトラウマ物のトラブルに巻き込まれる状況を黙ってみているわけが無いのである。

結局のところ、マスターやクー・フーリン、ダヴィンチちゃんに見事に嵌められた彼は今、地獄の門を前にした罪人の様な顔付きで部屋のドアを眺めている。

 

「くっそぉ……俺だって抱くんならマシュやスカサハみたいな成長した体の持ち主が良かったなぁ……」

 

何故自分の相手だけこんなに問題のある女なのだろうか?前々から貧乏くじを引く事が多いとは思っていたが、まさかここまでとは思ってもみなかった。

しかし、もうここまで来たら諦めるしかない。意を決したロビンは部屋のドアを開けて叫ぶ

 

「おら!ドアを開けてやったぞ!感謝してむせび泣けこのおぼこ!」

 

「あ……?あ、あぁぁぁぁっ!」

 

暗い石牢を作り出していたトレーニングルームの映像が消え、白い殺風景な風景に戻った事に歓喜しながらエリザベートが光の漏れるドアの方へと突進してくる。ロビンはそれを簡単に抑えると、まるで米俵を担ぎ上げる様にして部屋を出て行った。

 

「……魔力供給はカット済み、力も本来の10分の1位に低下中、って事かね」

 

担ぎ上げるエリザベートの力が弱い事に感激しながらロビンは呟く、いつもこの位おとなしければ良いものをと思いながらちらりと横目で彼女を見る。

 

「あぁ…出れたぁ……光、暗くないぃ……!」

 

うわ言の様にそう繰り返すエリザベートの顔は涙と涎でぐちゃぐちゃだ、黙っていれば可愛く思えるその整った顔立ちが台無しである。

それでもどこか満ち足りた様な呆けた表情のままに呟き続ける彼女を見て、ロビンは軽く頭を抱えた。

 

(……ま、しょうがねぇか。こいつにとってあの責めはトラウマ抉る様なもんだしな)

 

自分に抱えられている少女、エリザベート・バートリーの死に様を思い出してロビンは頷く。エリザベートにとって幽閉されることは自身の中にある孤独や恐怖を呼び起こされるだけではない特別な意味を持っている。その仕打ちを受けた瞬間、いつもの気丈で明るい彼女は消え去り、自ら死を望む哀れな少女へとなり下がるのだ。

それは自分たちに何でもするからここから出してくれと懇願したことからもわかるだろう、ちょろい彼女であるが、ことこの仕打ちを受けてしまえば一瞬で陥落してしまうのだ。

 

「……ね、ねぇ、アンタ、アタシをどこに連れて行くの?」

 

「俺の部屋、一応言っとくけど暴れんじゃねぇぞ、変な真似したら……わかってるな?」

 

冷静さを取り戻したエリザベートに対してロビンは必要な情報を手短にまとめたうえで冷たく言い放つ、その言葉に抵抗したらまた石牢送りになる事を察したエリザベートは、小さく悲鳴を上げた後で慌てて口を閉じた。

 

「……ほら、着いたぞ。風呂沸かしてあるから入ってこい。10分な」

 

「じゅ、10分!?そんなんじゃ全然足りな……」

 

「不服か?そんじゃあまたあの石牢に……」

 

「わ、わーわー!ありがとう!アタシお風呂大好きー!」

 

ロビンの言葉を受けてどたどたと走りながら風呂場へと向かうエリザベート、多少卑怯だとは分かっていながらもこの脅しがあれば何でも普段わがままなエリザが簡単に言う事を聞く事を喜ばしく思ったロビンは、風呂場へと入って行くエリザベートの背中に向かって声をかける。

 

「……おい」

 

「ひっ…!」

 

「……15分やる。それ以上は1分もまけねぇからな」

 

「え……?あ、ありがとう」

 

「……良いからさっさと入ってこい。時間を無駄にすんじゃねぇ」

 

手をしっしっと払う様にして動かしたロビンを見たエリザベートはおずおずとした態度で風呂場へ続くドアを閉めた。それを確認した後で、ロビンは自分の食糧庫の中からレーズン入りのパンと温かいお茶を用意する。

 

別に甘やかそうと言うわけでは無い。ただ少しだけ飴をくれてやった方が心を開きやすいと言う物だろう。あのちょろい娘なら尚更だ。

これは打算的な行動なのだと自分に言い聞かせる様にして繰り返すと、ロビンはテーブルに椅子を一つ追加してエリザベートが出てくるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの、その……そう言う事、なのよね?」

 

そこから数十分後、風呂から出たエリザに食事を勧め、彼女がパンを頬張る姿を見ながらどうやって話を切り出そうかと思っていたロビンに対して、エリザベートは小さく震えながら絞り出すような声で問いかけた。

食べていたパンを皿に置き、震える手でスカートの裾を掴むと伏し目がちにロビンを見ながら質問を続ける。

 

「……た、戦いの中で捕まった女の子がどうなるかだなんて、あ、アタシだって知ってるわ。今、アタシの順番が来たって事でしょう?」

 

「……ま、そういうこった。案外物分かりが良いじゃねぇか」

 

「だって……拒否したら殺されるか、あの牢屋に閉じ込められるんでしょ?そんなの嫌、他の何をされても耐えられるけど、牢屋だけは嫌なのよ……」

 

ガタガタと震え、目に涙を浮かべながらエリザベートは訴えかける。普段の彼女とは違う様子に多少ペースを崩されるが、自分から話す手間が省けて良かったと前向きに考えたロビンは、立ち上がると震えるエリザベートを抱え上げてベットへ放り投げた。

 

「きゃっ……!」

 

「そこまでわかってんなら話が早い。ほら、さっさと服を脱げよ」

 

「あ……うぅ……っ」

 

エリザベートは顔を真っ赤にした後で決意したかのように自分の服を構成している霊子を消滅させる。一瞬光り輝いた彼女の体は、その輝きが消えた後で生まれたままの姿へと変わっていた。

 

年相応の滑らかな肌、小ぶりだが整った形をしている胸はツンと上を向いている。柔らかそうな腹は食い破りたくなるほどに可愛らしく、脚の付け根の間にある女の象徴である部分にはまだ毛が生えてはいない。

 

(ガキっぽい躰してると思ったが、これはこれでなかなか……)

 

恥じらいを持ち、紅くなった顔を背けながらベットの上で裸を見せつけるエリザベートを見たロビンは少し前までの残念だと思う気持ちが少し消えて行った。成長しきる前の瑞々しい少女の体と言うのも悪くは無い……言ってて変態の様だが

 

「お、お願いがあるの……出来るだけ、優しくして頂戴……」

 

「……何言ってんだ、おぼこでも無かろうに」

 

もうとっくにソロモンに処女は散らされているのだろうと思ったロビンは呆れたようにしてその願いを突き放す。しかしまぁ、回数はこなせていないのかもしれない。だから性行為に不安があるのだろう。

そう考えたロビンは口には出さずともエリザベートに多少は優しく接してやる事を決めた。そうした後で、そっとベットに手を置くと、彼女の上に覆いかぶさるようにして体を置く。

 

「嫌がんなよ、大人しくしてたらさっさと終わるさ」

 

「んっ………!」

 

まるで犯罪者の様な言葉を吐きながらエリザベートの細い首筋に唇を落とす。ひくりと震える彼女に対してキスマークを残すと、次は少し下にずれて小さな彼女の双丘に手で触れる。

 

「あっ……!」

 

恥ずかしそうに顔を背けながらもエリザベートは小刻みに体を震わせている。どうやらかなり敏感な様だ。

優しく胸を揉んでやればそれに合わせてエリザベートが呼吸をする。胸いっぱいに詰め込んだ空気が、自分の手に合わせて甘い吐息へと変わって外界へと出て行く様にロビンは奇妙な楽しさを覚えていた。

 

「立て、んでちょっとここ座れ」

 

「は、はい……」

 

ぼんやりしているエリザベートを無理やり立たせると胡坐をかいた自分の膝の上に座らせる。そして、後ろから彼女の胸を揉む様にして手をまわしてその感触を愉しみ続ける。

 

「はっ…ふぅ……!」

 

「もう大分感じてんじゃねぇか、あんま慣れてないんじゃなかったのか?」

 

「い…やぁ……っ」

 

意地悪くそういうロビンに対してエリザベートはいやいやと子供の様に首を振るが胸への愛撫でたっぷりと感じている彼女のその言葉は弱々しく、ただロビンの加虐心を煽るだけだった。

エリザベートがここまで感じているのはソロモンに刻まれた淫紋令呪のせいだと言う事は分かっている。だが、いつもお転婆なこのわがまま娘を手のひらで転がすのは非常に楽しい、ロビンはそう思いながら笑顔を浮かべると、ついに彼女の秘所へと手を伸ばす。

 

「あっ!」

 

割れ目を手でなぞればもうたっぷりと濡れている事が分かる。問題なく指を咥えこめると判断したロビンは右手をエリザベートの秘所に、左手を彼女の口の横に置くと一本ずつ指をその中に押し込んだ。

 

「ひぐぅ……っ」

 

「……せっめぇ、やっぱ子供だな」

 

十分に濡れそぼっていると言うのにエリザベートの膣は狭く、指一本でもきつい位だった。ロビンはその中を広げる様にして右手の人差し指を動かす。同時に口の中に入れた左手の指も同じように動かして上と下の両方の口を責めた。

 

「ひぅっ…ひんっ……ひくぅ…っ」

 

「……可愛い声で鳴くんだな。ほら、もっと聞かせてくれよ」

 

「ひゃぁぁぁぁぁ……!」

 

後ろから彼女の首元に甘噛みをしてやれば、エリザベートの膣からはどぷりと蜜が噴き出してロビンの手を濡らしていく。そろそろ指一本では足りなくなる頃だろうと見切りをつけたロビンは、両手の中指を上下の口に向かって突き入れた。

 

「にゅぐぅぅぅ……!?」

 

「……はは、今度は余裕あるだろ?ちゃんとほぐしてやったからな」

 

「ひんっ!ひぃぃんっ!」

 

二本の指を咥えこんだエリザベートの膣はロビンが手を動かすたびに淫らな水音を立てて愛液を噴き出す。快楽に喘ぐエリザベートの顔を押さえつけて彼女の耳元に近寄ったロビンは、震えるエリザベートに向かって囁いた。

 

「……今のお前、すげーだらしない顔してるぜ?下の口をぐちゃぐちゃにされて、上も下も涎をだらだら流して……すげーエロい」

 

「はぅ……あぁ…っ」

 

「ほら、股の下見てみろよ。凄いシミになってるだろ?これ全部、お前が垂れ流したもんなんだぜ?」

 

「ひぅ…そん、なのぉ……しらないぃ……」

 

「へぇ~、白を切るつもりですか?んじゃ、言い訳出来ない様にしてやろうかな!」

 

ロビンはエリザベートの顔を左手で押さえつけると下を向く様に顔を固定する。そうした後、自分の膣に出入りするロビンの指を見せつけながらエリザベートに囁き続ける。

 

「……ほら、見えんだろ?お前のまんこに俺の指が出し入れされるとエロい汁が噴き出てんのがよ」

 

「ひぐぅ……やあぁ…っ」

 

「嫌なのか?嫌なのにこんなに気持ちよさそうな顔してよがってるわけだ?……とんだエロ娘だな、お前」

 

「ちがぁ…そんな、いわないでよぉ…っ!」

 

「……お仕置きだ、たっぷり感じさせてやるよ」

 

十分に言葉でエリザベートを痛ぶった後でロビンは怪しく笑うと膣の中に挿っている指を激しく動かす。ぐちゅぐちゅといやらしい音と共にエリザベートの股から飛沫が飛び出す。

 

「ひやぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!出るぅ…出ちゃうぅぅっ…!」

 

「…そら、イッちまえ。恥も外聞も無く、全部曝け出して吐き出しちまえよ」

 

そっとエリザベートの顔から離した左手で彼女の淫核を摘まむ。その瞬間、エリザベートは目を見開き、体を仰け反らせて叫んだ。

 

「ひぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ…!」

 

ぶしゅう、と音がしてエリザベートの膣から愛液が勢いよく噴き出された。間髪入れずに別の穴からは黄金色の液体がアーチを描いて放たれる。

潮吹きと放尿……快楽の余り我慢が効かなくなったエリザベートの体は素直にその反応を示してしまっていた。

 

「あぁ……おもらししちゃった……もう子供じゃないのに…アイドルなのに…」

 

「……ほんと、とんでもないエロ娘だよお前は……さてと」

 

ロビンは絶頂の余韻から解放されていないエリザベートをベットに仰向けに寝転ばせるとその脚を開く。まだカクカクと上下に動くエリザベートの腰を愉快そうに見ながら、ロビンは自分の一物をエリザの秘裂にあてがった。

 

「そろそろ本命を頂きますかね……覚悟は良いよな?」

 

「あ…うぅ……い、挿れるのね?」

 

「あぁ?そんなに固まんなよ、もう経験済みだろ?」

 

体を強張らせて怯えた様な表情を浮かべるエリザベートに対して、ロビンは怪訝な顔で問いかける。経験は浅いとは言え、もう既に経験したことに対して何故こんなにも躊躇しているのだろうか?そう考えていたロビンは、次の瞬間エリザベートからとんでもない事実を聞くことになった。

 

「あ、アタシ……こんな事した事無いわよ。全部、初めてよ!」

 

「……はぁ?」

 

一瞬エリザベートの発した言葉の意味が分からずに困惑する。数秒後、その意味を理解したロビンは顔を青くして叫んだ

 

「いやいやいや!お前嘘だろ!?だってお前!ソロモンに……!」

 

「だから知らないってば!初めてなもんは初めてなんだもん!」

 

「な、な、な……!?」

 

涙目になりながら自分に訴えかけるエリザベートのその言葉を聞いてもまだ信じられないロビンは開きっぱなしの脚の付け根にあるエリザベートの女性器を開いてその中を見る。恥ずかしさのせいか必死に身をよじってその手を振り払おうとするエリザベートを何とか制し、とても綺麗なその膣の中を覗き込んだロビンは呆けた声を出した。

 

「……マジかよ…?」

 

そこにはエリザベートの処女を象徴する証が確かに存在していた。未だ誰の欲望も受け入れた事の無い証明となる薄い膜がそこにはあったのだ。

これはどういう事なのだろうか?ソロモンに淫紋令呪を刻まれたからにはスカサハやマシュの様に苛烈な責めを受けたのではないのではないのか?その事を疑問に思ったロビンは目の前で震える少女の事の子細を説明させることにした。

 

「お前、ソロモンに抱かれてないってのはマジだったんだな」

 

「だからそう言ってるじゃない!いつまでも恥ずかしい所を見てないでよ!」

 

「んじゃ、なんでお前は淫紋令呪を刻まれてんだよ?それを刻まれてるって事はソロモンに絶対の服従を誓ったって事だろ?お前、マシュやスカサハみたいな女英霊がソロモンやら化け物やらに抱かれるのを見て無いって言うのか?」

 

「……見てたわよ。でも、アタシは抱かれなかったの!」

 

「なんでだよ!?それになんでお前はそんな状況でソロモンに屈服したんだよ!?」

 

混乱する事ばかりが増えて行くこの状況でロビンは苛立ち紛れに叫ぶ、もはやいつもの喧嘩とそう変わりないと思っていたロビンだったが、自分を見つめるエリザベートの目が涙で潤んでいる事に気が付いて息を飲んだ。

 

「知らないわよ、アタシはソロモンじゃないからあいつの考えてる事なんてわからないし、それに……仕方ないじゃない!アタシだって子犬に悪いと思ったわよ!でも、でも……うぅ…わぁぁぁぁん!」

 

ぼたぼたと目から大粒の涙を流して泣き叫ぶエリザベート、いつものわがままが聞き届けられなかった時の悔しさで流す涙と違い、その涙には後悔と悲しみが籠っている。そんな彼女になんと言葉をかけて良いのか分からないロビンは、おろおろしながらエリザベートを見守っていた。

 

「ひっく…あ、あいつ…ソロモンの奴、アタシの事を牢獄に閉じ込めたのよ。昔、アタシが閉じ込められたところとそっくりな牢獄に、何年も何年も、何年も何年も……どんなに叫んでも出してくれなくて、声が枯れても、壁を引っかく爪が剝がれても何も言ってくれなくて……絶望しきった時に声がしたの、『ここから出たければ私に服従を誓え』って……」

 

「……んで、その言葉に従ってしまったと」

 

「……うん、そう……本当に子犬には悪いと思ったわ、でも、どうしてもあの石牢の中に居る事には耐えられなかった!だからみんなを裏切ったの、でも…でも…っ!」

 

「この令呪を刻んで、アタシを外に出したソロモンは言ったの……『令呪をもって命ずる、私の許可なくこの牢屋から出る事は許さない』って……あいつ、アタシの事を出すつもりなんか無かった。それからずっと、アタシはソロモンに玩具にされ続けたの……」

 

「アタシを暗い石牢の中に閉じ込めて、時々外に出すの、それで、他の皆がソロモンやあいつの配下の化け物に犯されてるところを見せつけた後で、またアタシを石牢の中に戻すのよ。魔術で時の流れをゆっくりにされた牢屋の中で、アタシ、何年も一人ぼっちにされた」

 

「泣いて、喚いて、苦しんで……そんな日々をずっと送ってた時に気が付いたの、これは罰なんだって……」

 

「アタシ、子犬や皆を裏切った。昔の何の罪もない女の子たちを殺してた時とは違って、それが悪いことだってわかってたのに、皆を裏切った……だから、これは罰なんだって、言い訳のしようも無い、正真正銘アタシの罪への罰なんだって思ったの……」

 

「だから…だから!まだ子犬たちが生きてるって聞いて、アタシ嬉しかった!これでアタシを罵って、引き裂いて、殺してくれるって…そう思ったから!裏切り者のアタシを徹底的に痛めつけて、苦しめて貰えるって思ったから!」

 

「お前、まさか…!?」

 

エリザベートの慟哭を聞いたロビンフッドの中で、いまいち納得できていなかった事が次々と解決していった。何故、やっつけ程度で作ったトラップにエリザベートが引っかかったのか?何故、エリザベートが聖杯を持ってここにやって来たのか?そして、何故聖杯を持って強化されていたはずのエリザベートをこんなに簡単に捕らえることが出来たのか……?

 

全ては簡単な話だった。『それら全てをエリザベート自身が望んだ』からだ

 

仲間を裏切り敵に魂を明け渡したエリザベートは自分に出来る事を考えていた。その時、ソロモンから送り込んだマシュとスカサハがまだ帰還していない事を聞いたのだろう。その時、エリザベートは思った。

 

自分たちの中でも戦闘が得意な英霊二人の攻撃を凌いでいると言う事は、カルデアには何か対抗策があるに違いない。しかし、それがいつ尽きてしまうかも分からない。ならば自分がそれを補える物を持っていけばいいのだ。

 

マシュとスカサハの帰還の為にゲートが開いている事を確認したエリザベートはソロモンの目を盗んで聖杯を手に入れた。きっと最大の脅威であったカルデアを片付けて油断していたのだろう、聖杯の管理もずさんだったに違いない。そして、手に入れた聖杯にエリザベートは願ったのだ『自分に罪を償わせて欲しい』と……

 

聖杯の効果でソロモンの命令を解除したエリザベートはそのままカルデアに飛び、自ら仕掛けられていた罠にかかった。そして、持ってきた聖杯を没収されるという形でカルデアに明け渡し、その上で自分に制裁を下されるのを待っていたのだ。

 

裏切り者と詰られ、愚か者と蔑まれ、考えられる限りの苦痛と絶望を与えられた後に殺される……そして、ソロモンの元に帰った後で、彼女の計画は完成するのだ。

 

自らの元からカルデアに聖杯を明け渡した彼女をソロモンは許しはしないだろう。今までよりも苛烈な責めを持ってエリザベートを狂わせようとする。自害を禁じ、人を人とも思わせないような鬼畜な行為を持って自分の苛立ちをエリザベートにぶつけるのだ。そして、その責めに耐えきれなくなったエリザベートが壊れる事によって彼女の贖罪は完遂される。想像を絶する苦しみの果てに、彼女は仲間を裏切った事に対するけじめを自分で着けるのだ。

 

「……だからお願い。アタシの事を痛めつけて……指の爪を一枚一枚剥がして、骨を折って、叩き潰して、引きちぎって、考えられる限りの全ての苦しみを与えて殺してよ!そうじゃないと、そうじゃないとアタシ!アタシ……っ!」

 

そうやって泣き叫ぶエリザベートをロビンフッドは思わず抱きしめていた。そして思う、きっとこれはソロモンによって歪められたエリザベートの願いなのだろうと

石牢に閉じ込められ、生前のトラウマを呼び起こされて弱っていたエリザベートは更に仲間たちを裏切ってしまったという罪悪感にさいなまれ、心が壊れてしまったのだ。そして、その壊れた心のままに贖罪の方法を探し求めた。

 

その結果がこれだ、だが、こんなことが正しいわけがない。確かにエリザベートの行動はソロモンに一杯食わせたかもしれない、しかしその代償がエリザベート自身と言うのはあまりにも残酷すぎる。

 

自分の知っているエリザベートは『自己犠牲』なんて道を選ぶはずが無かった。誰もが笑い、自分が最大限に輝く道を選ぶ少女のはずだ。

だが今の彼女はそうでは無い。自分が輝くどころか朽ち果てて醜い姿を晒す様な道を選ぼうとしている。それは、ソロモンによって歪められた彼女の心が狂った道を正しい事として選択しようとしているからだ。

 

「……許せねぇ」

 

知らず知らずのうちに口から零れた言葉が今の彼の本心であった。自分だって誰かに誇れるような生き方はしていなかった。勝つ為に騙し、不意打ちし、毒を盛り、幾らでも卑怯な手段は使ってきた。だが、あどけない少女の心を粉々に砕くような真似はしていない。

 

敬愛する友の言葉を借りるなら、それは死肉をあさる禿鷹にある一握りの矜持という奴なのだろう。目的のために卑劣な手を取ろうとも、決して踏み越えてはならないラインを知っている。だから自分には誇りがある。

 

だがソロモンにはそれが無い。だからどんな非道な行為にも踏み切れるし、人の心を簡単に踏みにじれる。自分の行動を全て正しいと思い、誰かの心を壊すことに躊躇が無い。

そして、それでもくだらないプライドはあるのだ。その便所に集る蠅の様な醜いプライドが傷つけられる度に誰かを生贄にしてその心を満足させる。その生贄がエリザベートで、結果として彼女は壊れてしまった。

 

もしもこのままエリザベートを見捨てたらどうなるか?きっと彼女は自分の予想通りに壊れてしまうだろう。そして、自分の知る彼女は二度と戻って来ない。あのやかましくて、愚かで、厄介なことこの上ない少女はいなくなり、後には心の壊れたブリキ人形の様になったエリザベートの抜け殻が残るのだ。

 

『……アーチャーよ、お前はどうする?もしもその少女を見捨てると言うのなら、わしはお前を心から軽蔑しよう』

 

今はもう居ないはずの友の声がロビンには聞こえた気がした。その言葉に対して彼は心の中で闘志を滾らせる。

 

ーーーーやってやろうじゃねぇか

 

誰の援護も望まない一対一の勝負。相手は稀代の魔術師にして反吐が出るほどのくそったれである魔術王ソロモン、相手にとって不足は無い。

憎き敵によって心を砕かれた少女、エリザベート・バートリーを挟んでの勝負、もしもロビンが彼女の心を救えたのならばそれは紛れもない勝利と言えるだろう。

それがどれだけ困難な事かはよくわかっている。だが、ここで逃げてはかつての相棒に顔向けできないではないか

 

(……柄じゃねぇがしょうがねぇ、やれるだけやってやるさ)

 

いつも通りの気合の無い言葉で決意を固めて前を見る。剣を取る訳でも軍を指揮する訳でもない。しかし、たった一人の少女を救う為のこの戦いは、自分が望んだ正々堂々としたあり方と言えるかもしれない。

かつての仲間を救う為の一世一代の勝負。緑衣のアーチャーの戦いが今、幕を上げようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少しは落ち着いたか?」

 

「……うん」

 

数分後、抱きしめられたままのエリザベートはロビンのその言葉に対して小さく頷きながら返事をした。弱く脆い自分を見せてしまった事に対して彼に罪悪感を抱くが、ロビンはそんなことを気にしていない様子で彼女に言う

 

「そうか、じゃあ、ここからは優しくするのは無しだ」

 

「……っ…わ、わかったわ」

 

エリザベートは体を震わせながら返事をする。とうとう来てしまったのだ、ロビンはもう先ほどまでの様に甘い責めで自分を感じさせる事はしない、まだ男を知らない自分の膣に自らの欲望を叩き込み、泣き叫ぶ彼女を無視して好き勝手に動く………その時の事を考えると震えが止まらなくなる。しかし、耐えなければならない。それが自分に与えられた罰なのだから……

 

「んじゃ、失礼してっと……」

 

ロビンは抱きしめていた自分をそっとベットに寝かせると脚を掴んで左右に開く、そしてエリザベートの女性器を手で広げて中を観察する様に見ながら顔を近づけて行った。

 

「あぁ……くぅ…っっ…」

 

カタカタと震えながらエリザベートはその時を待っていた。処女の喪失は凄く痛いものだと聞いていたから、自分を戒めるには丁度良いはずだ。

血を流し、一突き毎に痛みに震えながら懺悔するのだ。仲間を裏切った事を、弱い心を持った自分の罪を……

 

「ひあぅっ!?」

 

しかし、エリザベートを襲ったのは痛みでは無かった。にゅるりと自分の膣に入り込んだ温かい感触に目を白黒させて股を見てみれば、そこには自分の女性器を口に含んだロビンの姿があった。

 

「あぁっ…ひあぁっ…!?」

 

ロビンの舌が自分の膣内で動く度にえもしれない快感に襲われてしまう。自分が気持ち良くなって良いはずが無いと言うのにロビンはその優しい責めを止めてはくれない。エリザベートは涙目になりながらロビンに話しかけた。

 

「あっ…なんっ、でぇ……挿れないの、よぉ…?」

 

「ん?……そんなの、ちゃ~んと濡らしとかないと痛いからに決まってんだろ?」

 

「ひぅ…っ!や、優しくするのは終わりなんじゃないの?」

 

「ああ、終わりだぜ?こっから先は……めちゃくちゃ優しくしてやるよ」

 

「ひいぃぃぃんんっ…!?」

 

ぐちゅぐちゅと自分の膣で動くロビンの舌は優しく痺れる様な快感を与えてくる。その甘い痺れに耐えきれないエリザベートは必死になって懇願した。

 

「もっ、やめてぇ……そこ、きたない…からぁ…っ!」

 

「関係ないね。お前が気持ち良さそうにしてる限りは止めねぇよ」

 

「ふっ……うぅ…むりぃ…がまん、れきらいよぉぉ…っ」

 

「……何我慢してんだよ?気持ち良ければそう言えばいいだろ?」

 

「らめぇ……あたしにはぁ、そんな、けんり、ないのぉ…」

 

目に涙を浮かべたままエリザベートは頭を振る。仲間を裏切り、敵に屈した自分が幸せな目に遭って良いはずが無い。しかし……

 

「ひゅいぃぃぃぃぃっ!?」

 

「……そんなこと気にしてんのかよ。大丈夫だって、お前は悪くない」

 

「あ……へぇ…?」

 

頭を支えられ、自分の目をまっすぐ見るロビンの瞳を見つめ返しながらエリザベートは今彼が言った言葉を心の中で反芻した。

 

「あたし…わるく、ない…?」

 

「ああ、お前はソロモンのせいでおかしくなっただけだ、何も悪くねぇよ」

 

「でもあたし、こいぬを、みんなを……っ!」

 

「大丈夫だって、マスターもマシュも、他の皆もお前を許すに決まってる。絶対だ」

 

「……ゆるしてくれるの?みんな、あたしを…?」

 

「そうさ、だからそんな悲しそうな顔すんなよ。お前がそんな顔してたら、マスターたちもどんな顔すれば良いのか分からなくなるだろ?」

 

そう言って微笑んだロビンは再びエリザベートの秘所に舌を這わせる。膣の中に舌を潜り込ませ、時々固くなったクリトリスを舐る様にして舌を動かせばエリザベートの腰ががくんと跳ね上がり快感を激しく表してくる。

しかし、それでもまだ与えられる快感に素直になれないエリザベートは必死になってその快感を拒絶していた。

 

「だめ、ダメ、だめだめだめだめ、らめぇ……!あたしは、きもちよくなっちゃ、だめ……いたぶられなきゃ、だめなのぉ…」

 

ロビンはその叫びを否定しない。だが、代わりに優しくエリザベートの体に舌を這わせて快感を与え続ける。

がっしりと腰を掴むロビンの手は魔力の少ないエリザベートでは引き剥がすことが出来ない。必死になって体を揺らして抵抗しても、サーヴァントの強い力で抑え込まれてはもうどうしようもない。

エリザベートがどんなに拒絶してもロビンは責めの手を止めない。この場合は舌ではあるが、延々とエリザベートを舐め続けるだけだ。

 

「ひぃぃん…へあぁぁぁぁ…っ」

 

「だめぇ…っ、だめぇぇ…っ!もう、やめてぇ…」

 

「がまんできないからぁ……もう、でちゃう、でちゃうのぉぉ…っ」

 

ロビンの与えてくれる優しい快感は自分の心の隙間をするりと埋めて体に染み込んでくる。これが指や男性器による激しい快感だったら拒みようもあっただろう、しかし、あまりにも優しすぎる舌での愛撫はエリザベートの頑なな心を解きほぐすのに十分な成果を上げていた。

 

「もっ、ひゃめへぇ……また、もれちゃうぅ……っ」

 

自分の中に湧き上がってくるものを感じたエリザベートは愛撫を止めてくれる様に力ない声で頼み込むも、ロビンはそれをやはり無視して舌を動かし続ける。自分の意志に関係なく浮き上がる腰を震わせながら、エリザベートは綺麗な声で叫びながら達した。

 

「ひぐっ……ひぐぅぅぅぅっ……!」

 

エリザベートが絶頂するその瞬間、ロビンは顔をエリザベートから離して快楽に震える彼女を見つめる様にして覗き込む。先ほどまで彼が舐めていた秘所からは勢いよく愛液が噴出しており、二度目の潮吹きを見せたエリザベートは再び腰をがくがくと震わせながら呻く

 

「うぅ……だめなのにぃ…きもちよくなっちゃ、だめなのにぃ……」

 

「ったく……なんでそんなに頑固なのかね、お前さんは?」

 

「だって、あたしはみんなを……」

 

「裏切られたなんて思っちゃいねぇよ。お前が俺たちを裏切ったならマシュだってスカサハだって同罪だ。でも、あの二人は今俺たちと一緒にいるだろ?」

 

「ん…うぅ……」

 

「お前が自分を許せねぇ気持ちもわかる、でも、俺たちはお前に苦しんでもらう事なんざ望んでねぇよ。お前が俺たちに申し訳ないって思うなら、しっかり謝ればそれで良い。そんなに自分を責めるなって」

 

「……良い…の?そんな、簡単に、ゆるされるの……?」

 

ロビンの優しい言葉は解きほぐされたエリザベートの心に良く響いた。そして、目の前の男には自分の罪を許して貰えたと言う思いはエリザベートの瞳に一筋の光を灯した。

 

「……そんな意固地になんなよ。もっと素直になれば良い。……俺に優しくされて気持ち良かっただろ?」

 

「ふぁぁ……っ」

 

ロビンの手が自分の角の生えた頭を優しく撫でる。まるで犬をあやす様なその手付きに、エリザベートは確かな安らぎを覚えていた。

罪を許されたと言う思いが頑なだった心の一部を解き放して行く、優しい彼の行為に心が溶かされて行く………

 

「うん…♡すごく、気持ち良かった……♡」

 

自然に開いた口からは、先ほどの愛撫への正直な感想が漏れていた。エリザベートのその言葉を聞いたロビンは満足そうに頷くと、なおも質問を続ける。

 

「そっか、じゃあ、もっとして欲しいか?」

 

「うん……して欲しい…♡」

 

「正直だな、じゃあ、ご褒美をくれてやるよ」

 

ニヤリと笑ったロビンは再びエリザベートの秘所を口に含む。じっとりと濡れたそこに舌を這わせ、そのまま膣へと潜り込ませる。

 

「んあぁ…っ♡」

 

先ほどまでの耐える声とは違う喘ぎ声がエリザベートの口から発せられる。じゅくじゅくに蕩けた秘所を愛撫されるエリザベートは、抵抗一つせずにロビンを受け入れていた。

 

「ひぁ…っ♡ふぅぅ…♡きもっ、ち、いいっ……♡」

 

ロビンが舐めている自分のそこは、排泄する器官がある汚い場所のはずだ。だが、そんな部分をロビンは嫌な顔一つせずに舐め続けて、自分を気持ち良くしてくれている。

まるで罪を犯した汚い自分が許されている様で、エリザベートはその喜びに打ち震えていた。

 

「……この辺どうだ?気持ち良いか?」

 

「うんっ…♡きもちいい…♡」

 

「んじゃ、この辺は?」

 

「うあぁ…っ♡すごい、よぉっ…♡」

 

「……お前、この辺も好きだろ?どうだ?」

 

「ひうぅぅっ♡あぁ…すきぃ♡しゅきぃ…っ♡」

 

ロビンに応えるエリザベートの声が徐々に大きく、色っぽくなっていく。それに比例して湧き上がる快感を前にして、エリザベートは再び達しようとしていた。

 

「またでるぅ…♡イッちゃうぅ…♡」

 

「へぇ……俺の舌はそんなに気持ち良いのか?」

 

「うん…っ♡あたしのよわいとこ、やさしくなめられて、きもちいいとこ、つぎつぎみつけられて……♡そのたびに、ふわふわするのぉ…♡」

 

ロビンから与えられる快感に従順になったエリザベートは聞かれてもいない感想を口に出すまで蕩けてしまっていた。目の奥には♡マークが浮かび、完全に快楽の虜になっている。

 

ロビンはそんな彼女に対して苦笑しながら、優しく自分の方へと抱き寄せて胡坐をかいた自分の膝の上に座らせる。そして、後ろから彼女に秘所に人差し指を突き入れると、そのまま膣の中を掻き混ぜてやった。

 

「きゅぃぃぃぃっ…♡」

 

「……次は指で感じさせてやるよ。舌よりも硬くて長いから、もっと奥の方まで刺激できるぜ」

 

「はぁ…♡はぁぁぁぁぁ……っ♡」

 

ロビンの甘い囁きに体を震わせて悦ぶエリザベート、そんな彼女の膣は最初に挿れた時には一本でもきつかったと言うのに、今はすんなりとロビンの人差し指を受け入れている。

 

「よゆーだな。じゃあ、もう一本挿れますか」

 

エリザベートの膣が柔らかく蕩けている事を確認したロビンは己の中指もエリザベートの膣の中に潜り込ませる。新たな指の侵入を喜んで迎え入れたエリザベートの膣の中で、ロビンは器用に二本の指をばたつかせた。

 

「ひあぁぁぁっ♡あぁぁぁぁんっ♡」

 

「……二本でも余裕だな。んじゃ、三本に挑戦してみるか?」

 

「さん、ぼん……?さんぼんっ♡しゃんぼんっ♡」

 

ロビンの問いかけに対して最初は訳の分からないと言った顔を向けていたエリザベートだったが、すぐに呂律の回っていない舌で三本目の指の挿入をせがむ。その思いに応える様にして一度指を抜いたロビンは薬指を含めた三本の指をエリザの膣口にあてがうと……一気に奥まで刺し貫いた。

 

「ひやぁぁぁぁっ…♡」

 

あまりの衝撃に軽く意識が飛びかけたエリザベートだったが、快感によって覚醒させられると激しい指の出し入れに対して嬌声を上げ続ける。自分の膣がロビンの指に対して吸い付いているのをエリザベートははっきりと知覚していた。

 

ロビンが指を引き抜くと切なそうにその指に吸い付いて離れない様にと甘える。奥まで貫かれると喜んでその指を咥えこむ……エリザベートは、自分がロビンによって演奏される楽器になった様な気がしていた。

 

声の高さと大きさを調節されたうえで指を突き入れられて鳴かされる。自慢の声をあらんかぎりに響かせる様にして指で喘ぎ声を支配される。

優しい快感はまるで自分をメンテナンスしている様だ、まるで自分の分身を可愛がるようにして大切にされる今の状況を、エリザベートは幸せに感じていた。

 

「……すげぇな。指三本も咥えこんじまうんだもん」

 

「あぁ……♡はじめてなのに、こんないやらしいすがたをみせるえろむひゅめでごめんらさい…♡」

 

「心配すんな、今のお前、すげー可愛いから」

 

「あぁ…♡うあぁ…♡かわ、いい?ほんと…?」

 

「なんだよ、いつも自分の事そう言ってるくせに、いざ誰かに言われると照れんのな……ま、そういうとこも可愛いんじゃねぇの?」

 

「うぅ……ばかぁ…♡」

 

優しい言葉と確かな快感、その二つを与えられたエリザベートは知らず知らずのうちに秘所から愛液を噴き出していた。今日三度目の潮吹きをしながら、エリザベートはロビンの指使いに甘い息を漏らす。

 

「はぁぁ…♡ふぅ…ぅ♡」

 

「……もうこんなに濡れて柔らかくなってんだ、きっと本番の時も痛くなんかないぜ。絶対に気持ち良くなれる」

 

「うん……そうよね、あたしもそうおもう……」

 

呆けた声でロビンに同意するエリザベート、その言葉に反応して彼女の下腹部に刻まれた淫紋令呪がちかちかと光っていた。

 

ソロモンに刻まれた淫紋令呪は、もう既におぞましい黒の色から赤色へと変わり、形もマシュたちと同じ様な可愛らしいものへと変貌していた。

だが、それも当然の事だろう。これを刻んだ当の本人は一度もエリザベートを抱かずに放置するどころか、彼女を玩具として傷つけ続けた。対して今彼女を抱いているロビンは、エリザベートを大切に扱い、彼女の望むままに快楽を与え続けている。

 

『卑怯な手段で自分を陥れ、あまつさえ玩具として扱って弄んだ男』と『罪を犯した自分を受け入れて、余裕たっぷりに愛してくれる男』……どちらが男として、雄として魅力的かなんて比べるまでも無い。

 

かくして、いとも簡単に主人を乗り換えたエリザベートの淫紋令呪は、今現在進行形でロビンから与えられている快感に対して従順になり、彼をマスターとしてエリザベートに深い愛を刻み付ける。

 

目の前に居るのは罪を犯した自分を優しく受け入れてくれた人……弱り切った心を解きほぐし、大切にしてくれる男……

ロビンに愛情を抱き、高鳴る感情を覚えたエリザベートは腰を上げると、自分で自分の秘所を開いてロビンに言う。

 

「……あ、アタシの初めて……貰ってください!ろ、ロビンのちんちんで、処女卒業させてください!」

 

「お…おう……」

 

顔を真っ赤にしたエリザベートのその告白に面食らったロビンもほんの少しだけ顔を赤くした。生前女を抱いたことはあったが、そういえば処女を喰らった事は無かったなと思いながらエリザベートを抱き寄せる。

 

所謂『対面座位』の体位になりながら自分の男性器の上にエリザベートの秘所を当てるとそのままゆっくりと腰を下ろさせていく。難なく秘所へと入り込んだ自分の分身は、途中で彼女の膣にある抵抗する部分で一度止まった。

 

「……確認するぜ、俺、成り行きでお前を抱いているだけの男よ?お前が望むならマスターとか、他の男に…」

 

そこまで言いかけたロビンの口が急に閉じられる。自分の唇を己の唇で塞いだエリザベートの顔を驚いた顔で見た後、キスを終えたエリザベートは真っ赤になった顔で叫んだ

 

「あ、アタシは!アンタで良いって妥協した訳じゃないの!アンタが良いの!口ではあーだこーだ言いながらなんだかんだ優しいアンタが好きなの!だ、だから…だから……」

 

そこまで言って俯いたエリザベートをそっと抱きしめる。もしもこの場にあの老騎士が居たならば『女性に恥をかかせるとは何事だ!』とか言いながら自分の頭に拳を叩き込んでくるのだろう。 

未通女の彼女のここまでさせたのだ、自分も男を見せなければならないだろう。

 

覚悟を決めたロビンはエリザベートの腰をぐっと引き寄せると、彼女の中の膜を引きちぎりながら一気に最奥まで自分の分身を押し込んだ。

 

「あっ……!」

 

ロビンの全てを埋め込んだエリザベートが軽い驚きの声を上げる。処女喪失の痛みを感じているのかと思ったロビンだったが、実際は違った。

 

エリザベートに刻まれた淫紋令呪はしっかりとその効果を発揮していた。先ほどのロビンの言葉を記憶していた淫紋令呪は、エリザベートに処女喪失の痛みを与えることなく快感だけを押し付けていたのだ。

指や舌での行為などとは比較にならない程の快感、加えて、自分を優しく受け入れてくれた男に処女を捧げられた事への幸福感がエリザベートの中に充満する。

女としての幸せを最大限に感じているエリザベートは、その余りある快感を前にしてロビンに貫かれた数秒後には絶頂していた。

 

「ひ、あ、あぁぁぁぁっ…♡はぁぁぁっ…♡」

 

今までとは比較にならないほどの絶頂、一度達したすぐ後にもう一度絶頂する。それをひたすら繰り返していたエリザベートは、俗に言う連続アクメを体験していた。

 

「んあぁ…♡またイク…あぁ…またぁ…♡」

 

振動し続ける膣、止まらない絶頂……それに酔いしれるエリザベートを抱くロビンもまた、彼女から与えられる快感を必死に耐えていた。

挿れて即射精などしては格好がつかない……そう考えたロビンはなんとか余裕を見せる方法は無いかと考えると一計を案じる。そして、エリザベートの可愛いお尻の部分から生えている尻尾を見ると、その根元をがっしりと掴んだ。

 

「あ…っ!?」

 

その行為をされ、ある事に気が付いたエリザベートはほんの少しだけ絶頂の快感から目を覚ましてロビンを見る。彼が掴んだその部分は『逆鱗』……他人が易々と触って良い場所ではない。

一体どういうつもりなのか?エリザベートはロビンを問い詰めるべきか、それとも怒鳴るべきか悩んだ。しかし、そんな彼女に対してロビンはさらに強く尾を握ると質問をしてくる。

 

「……お前、ここ触った奴が居たらどうするんだっけ?」

 

「え……?えっと……」

 

何を言おうとしているのか分からないロビンに対して戸惑いながらもエリザベートは鋭い目つきで彼を睨みながらその質問に答えた。

 

「ま、まずはたっぷり刺して……」

 

「へぇ~、刺すかぁ……それって、こんな感じか?」

 

「へ?あ、あぁっ!?」

 

意地悪く笑ったロビンは勢いよくエリザベートと繋がっている腰の部分を突き上げる。自分の子宮を押し上げるその感触に、エリザベートが忘れていた快感が堰を切ったかのように溢れ出してきた。

 

「ひっ…♡はぁ…っ♡」

 

「……たっぷり刺すんだもんな、お望み通りそうしてやるよ」

 

「ちっ、がぁ…♡あぁ…♡ずるいぃ…っ♡」

 

初めて男の欲望を受け入れる自分をロビンは丹念に責め立てる。未だ自分でも分かっていない弱点や感じるところを誰よりも先に見つけ出されて攻略されてしまうと、先ほど感じていた怒りが霧散して行ってしまった。

 

「……で?次はどうすんだ?」

 

「つ、つぎはぁ……つぶ、すぅ…♡」

 

「そうかそうか、じゃあ、こんな感じか?」

 

ロビンはエリザベートの言葉を聞くや否や力強く、それでいて優しく彼女を抱きしめた。固い中に柔らかさを秘める彼の胸に顔を押し付けられ、背骨が折れてしまうかと思うくらいに強く抱きしめていると言うのに全然痛みは無い。それどころかロビンの右手が自分の尻肉を掴み、ぐにゅぐにゅと強く揉みしだく事に快感を感じるくらいだ。

 

「あぁ…う…はぁぁ……♡」

 

「良し良し、んじゃ、二つまとめてやってみますかね」

 

自分を抱きしめるロビンが腰を跳ね上げて子宮を突き上げる。抱きしめられる体はそのままに膣を責められれば、エリザベートは完全に快感に身を任せる様になってしまっていた。

 

「はひ♡ふゅぅ♡くひゅ♡へあぁ…♡」

 

突き上げられ、抱きしめられる度にエリザベートの思考が溶けて行く、自分が屈辱的な仕打ちを受けたと言うのに、それすらも喜ばしく感じてしまっている。快楽に流された彼女は、ロビンに強請る様にして声を上げた。

 

「しぼってぇ…♡あたしのこと、しぼってぇ…っ♡」

 

「はいはい、そういえばそんなのもありましたねと」

 

「んはぁ…むうぅ…♡」

 

開いた口にキスをされ、自分の舌を吸い出される。ロビンの口の中へと連れ去られた自分の舌が、彼によって吸い取られて行くのを感じる。

小さなエリザベートの舌から唾液が吸い取られる様はまさに搾られるというものだろう。拷問のつもりで自分が考えていた事全てをいやらしい快感に変えられたエリザベートは、その被虐的な快感に酔いしれたままに貪りつくす。

 

「ん~~っ♡んん~~~~っ♡」

 

ロビンに舌を吸われ、抱きしめられ、膣を突かれる度に頭の奥が真っ白になる。自分はすでに絶頂している。というより、イキ続けている。絶頂していない瞬間など少しも無い。

それでもなお、エリザベートは快楽を得ようと必死だった。目の前で何度も見て来た男の達する瞬間、女の中に己が精を解き放つ瞬間こそが最高の快楽だとしるエリザベートはその時を待つ。

 

小さな体はロビンによって躾けられ、完全に彼の物となった。後は彼が自分の中にその証を残してくれれば良い。快感にこそぎ取られて行く思考の中でそれだけを思い浮かべたエリザベートの耳に待望の言葉が聞こえて来た。

 

「くっ…そろ、そろ…出すぞ…っ!」

 

「はぁ…♡ちょう、だいぃ…♡ぜんぶ、ちょうだい…♡あなたのぜんぶ、あたしに、ください…っ♡」

 

とんっ、と大きく跳ね上がった体が深く沈み込む。男を知らなかった自分の子宮が喜んで突き入れられたロビンの分身を受け入れる。

ロビンの先端が自分の一番奥の壁に触れ、そこに熱い精液がかけられた瞬間、エリザベートはその綺麗な声で、空気を震わせるような叫びをあげながら、絶頂した。

 

「ひぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

今までの絶頂なんて目じゃないほどの絶頂、快感を塗りつぶすのもまた快感……異様なほどのこの状況に、白目を剥いて叫び続けたエリザベートは、すべての余韻が過ぎ去った後で完全に脱力してロビンの体にもたれ掛かる。

 

「あ…あ…あった、かい…よぉ……♡」

 

お腹の中に感じる温もりが幸せを伝えてくる。それと同時に、もう彼との行為が終わってしまった事に寂しさを覚えていたエリザベートだったが……

 

「……なぁ、次はどうして欲しい?」

 

「え……!?」

 

ロビンの囁きに心臓がドキンと高鳴る。気が付けば彼の分身は自分の膣で再び硬さを取り戻していた。

まだ終わりじゃない……その事に喜びを感じたエリザベートは、己の欲望を大きな声で叫び出す。

 

「キスして欲しい!さっきみたいにアタシの舌を絡めて、ぐちゃぐちゃにして欲しい!」

 

「ハグもして欲しいわ!ううん、ハグなんて生易しいもんじゃない、きつく、きつく……壊れる位にアタシを抱きしめて!」

 

「それで、それで……せ、セックスもして!アタシのおまんこ、ロビンの形にして欲しいの!」

 

ロビンは全ての欲望をさらけ出したエリザベートを見て満足そうに笑いながらベットへと押し倒す。そして、彼女に覆いかぶさるようにして上から抱きしめると、その願いを叶えるべく動き出した。

 

「あぁっ♡はぁっ♡あぁんっ♡」

 

エリザベートもその行為に応える様にして腕と脚をロビンの体に絡ませる。エリザベートの体と心を完全に掌握したロビンは、ソロモンの事を嘲笑った。

 

ソロモンとはなんと愚かな男だろうか?ここまで美しく、瑞々しい女の躰をただの玩具として扱ってしまうだなんて

男を知らないエリザベートに女の快楽を叩き込み、しっかりと調教すればそれはそれは楽しい性玩具となっただろう。しかし、ソロモンはそれをしなかった。ただ自分の苛立ちを発散させる為の玩具としてエリザベートを扱い、抱きもしなかったのだ。

 

その結果、あっさりと自分にエリザベートを寝取られ、聖杯まで献上させてしまう失態を犯した。どんなに後悔したってもう遅い、エリザベートの処女は自分が頂いたのだから

 

「はぁっ♡もっと♡もっとぉ…♡」

 

目に♡を浮かべて快楽を強請る彼女はもうロビンフッドの物だ。ソロモンが何をしようと取り戻せはしない。後はこの手付かずの少女の体に自分の欲望を叩き込み、ロビンの好みに仕上げるだけだ

 

(手駒としても愛人としても中途半端に扱うからこうなるんだぜ……まったく、勿体ないことするよな……)

 

マシュ、スカサハ、そしてエリザベート……3人とも強く美しい女性であり、最高級の女体であった。それをみすみす自分たちに明け渡したソロモンを嘲笑いながら、ロビンは何度もエリザベートと交わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤッホー子犬!アイドル、エリザベート・バートリー、ただいま帰還したわよーっ!」

 

「お帰りエリちゃん!元気してた!?」

 

「もちのロンよ!アタシも大人の階段を駆け上がって来たわ!」

 

あのじゃじゃ馬娘がそう言った瞬間、クー・フーリンとスカサハの二人が俺の事を見て来た。その視線は、「昨夜はお楽しみだったようですね」と暗に言っており、非常に楽しげに見える。

 

(ったく、あの師弟ほんとに気が合うよな……)

 

きゃいきゃいと騒ぐエリザベートを見ながら嘆息、俺も今日から面倒な役目を被る事になる。せめてマシュみたいなおしとやかな女の子を相手にして欲しかったもんだ

 

「……そう言ってやるな、女子は好いた男には特別扱いしてほしいものだぞ」

 

「……あんた、俺の心が読めるんですかね?」

 

「さぁ、どうだろうな?」

 

含みのある笑いを見せた後でスカサハは俺から離れる。あの人の近くで妙な事は考えない様にしようと決心した俺は、もう一度溜め息をついて前を向いた。

 

「……ねぇ、なにしてるのよ?」

 

「うわおっ!?」

 

いつの間にマスターとの会話を終えたのか俺に近づいてきていたエリザベートの姿に悲鳴を上げる俺、マジでビビったが、そんな俺に対してあいつは頬を膨らませていつも通りの文句をぐちぐちと言ってきた。

 

「なによ!?あんた、アタシにあんなことしておいてその態度ってアリな訳!?やったらポイってこと!?サイテー!」

 

「人聞きの悪いこと言ってんじゃねぇ!ったく、なんで俺がお前の担当なんざしなきゃなんねぇんだよ……」

 

「……まぁ、アタシの事を面倒見る気はあるのよね?じゃあ、しっかりアタシをプロデュースしなさいよ!」

 

「……プロデュース?」

 

「そうよ!マネージャーとADはもう居るから、あと必要なのはアタシを宣伝して売り込み方を考えるプロデューサーよ!アンタ、しっかりと役目を果たしなさいよね!」

 

「……はぁ~」

 

もう嫌だ、これならあの壊れかかってた状態のままにしとけば良かった。そう後悔し始めた俺に対して奴は人差し指を突き立てると、急に顔を赤くしてもごもごしながら言う。

 

「……あ、あんなことをして、逆鱗も触って……もう、これじゃあアンタの物になるしかないじゃない!だから、アタシの事をしっかり幸せにしなさい!人生賭けてプロデュースする事!い、いいわね!?」

 

エリザベートは顔を赤くしてそれだけ言うと、そのまま駆け出して行ってしまった。残された俺は頭を掻きながら思う。

 

落ち着きは無い。おしとやかさも無い。ポンコツで、音痴で、すぐ調子に乗って失敗ばかりのお笑いサーヴァントがあいつのはずだ

だけどそう、今のあいつはほんのちょっとだけだが……

 

「……可愛いじゃねぇかよ」

 

こんなことを思ってしまうのは、俺もあいつを抱いてしまったからなのだろうか?ぶんぶんと頭を振ってよくわからない感情を押しのけると新しく仲間に加わった……いや、戻って来た彼女を見る。

これで三人目、まだ先は長い。だが、こちらもスーパーミラクルで聖杯が手に入った。

 

反撃は、これからだ

 

 

 

 




ポケモンに嵌ってたら時間が空いてしまいました。すいません


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

緑衣の弓兵、処女を喰らいつくす(エリザベート)

 

 

「ロビン!起きてよロビン!」

 

「うぅ……ん、あぁ?」

 

 エリザベートがカルデアに帰って来てから何日か経ったある日、俺はいつも以上にやかましいそいつの俺を呼ぶ声で目覚めた。

 一線を越えてマスターと雌奴隷の関係になった俺とエリザベートは、昨日もベットの上で重なってたわけだが……まぁ、この辺の話は割愛しよう。

 

「やっと起きた!もう、大変なのよ!」

 

「大変って何がだよ?敵襲でもないんだったら起こすなよな……」

 

「あー!起きなさいよ!このアンポンタン!」

 

 脚元に居たエリザベートを無視してベットに潜り込もうとした俺の耳元で大きく怒鳴ったエリザベートに対して俺は顔を向ける。

 また何か碌でもない事で騒いでいるのだろう。相手をするのも面倒だがこのままじゃ俺の鼓膜がやばい。そう考えた俺は諦めてベットから出たところで……異変に気が付いた。

 

「……おい、なんかおかしくねぇか?」

 

「だから大変だって言ってるでしょう!?」

 

 そう言って泣き叫ぶ素裸のエリザベートの顔を見た俺はすぐさまベットの横に腰掛けている人影の方へ視線を移す。どうやら先ほど俺の耳元で騒いだのはこいつらしい

 

「これはもう緊急事態でしょ!?」

 

「そうそう!急いで対策を練らないと!」

 

 俺の部屋にある冷蔵庫を開けて……畜生、大切にとっておいたブドウジュースを飲んでいたもう一人の少女がそう叫ぶ、その少女たちの顔を見た時に俺はまだ夢の世界に居るのかもしれないと思った。

 

 現在、この部屋にいる人物は合計4人、うち1人は当然俺だ。では、残りの三人は誰なのか?答えは簡単、全員『エリザベート・バートリー』だ

 

「「「ロビン!もうこうなったら方法は一つしかないわ!」」」

 

「……何?」

 

 同じタイミングで同じことを言った三人のエリザベートを見ながら俺は聞き返す。そんな俺に対して、どうだと言わんばかりに胸を張ったエリザベートズはまたしても同じタイミングでこう言った。

 

「「「アタシたちでアイドルグループを作るのよ!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よしお前ら、自分の名前とクラスを言ってみろ」

 

「はい!エリザベート・バートリー!クラスはランサーです!」

 

「同じくエリザベート・バートリー、クラスはキャスターよ!」

 

「エリザベート・バートリー・ブレイブ!セイバーやってまーす!」

 

「……地獄だ、地獄絵図だぞ、これは」

 

 俺は頭を抱えながら目の前の惨劇を再び直視する。一人で十分なあのエリザベートが三人、やかましさも三倍、俺の胃痛も三倍、なのにこいつらの戦力は三分の一に低下しているときている。

 すでにこの事はマスターやダヴィンチちゃんに相談済みだ、そして、厄介払いと言わんばかりに俺に三人とも押し付けて行きやがった。

 

『……やったねロビン君、側室が増えるよ!夜の営みも盛り上がるじゃないか!』

 

 良い笑顔でそう言いやがったダヴィンチちゃんの顔が今でも思い出せる。その後そそくさと俺の部屋から逃げ去ったあいつらに対して、俺はどうやってえぐいトラップを仕掛けてやろうかと頭を悩ませていた。

 

「まぁ、アタシたちが三人に増えた時は驚いたけど……」

 

「逆に言えばこれ、もう無敵なんじゃない!?」

 

「トップアイドル、待ったなしね!」

 

 ……訂正、俺の目下の悩みはこのバカ娘たちをどうするかだ。急いで一人に戻さないと俺の胃と鼓膜が壊れる。

 

「アイドルユニット『エリザベート・バートリー×3』、天下取るわよーっ!」

 

「「おおーーっ!」」

 

「……おいお前ら、少し落ち着け」

 

 俺はテーブルの上に置いてあった飲み物を飲んで気を落ち着けた後でバカ娘どもに声をかける。出来る限り丁寧に諭す様にして、俺は彼女たちに語り掛けた。

 

「そんな事よりも重大な事があるだろ?よーく考えてみろ、な?」

 

「……そうね。言われてみればアタシたち、凄く重大な事を忘れていたわ」

 

 俺の言葉に三人は深刻な顔で頷くと顔を上げる。良かった、さすがにこいつらもそこまでは馬鹿では……

 

「「「ユニットのリーダーを決めて無かったわ!」」」

 

 再び訂正、こいつら馬鹿だ。救い様が無いレベルの大馬鹿だわ

 

「ま、ここはオリジナルのアタシがリーダーって事で……」

 

「はぁ?何言ってんのよ?アンタよりハロウィンコスチュームのアタシの方が可愛いに決まってるでしょ?」

 

「アタシは勇者よ!?そのアタシを差し置いてリーダーだなんて、頭おかしいんじゃないの!?」

 

 頭がおかしいのはお前ら全員だ、という俺の叫びが声になる前に取っ組み合いの喧嘩を始めたエリザベートsの様子を見た俺は再び頭を抱えた。

 もうこうなったら仕方が無い、全員ばらばらにしてどこかの部屋に隔離しよう。早速ダヴィンチちゃんに相談に……

 

「……待って、よく考えたらアタシがリーダーになる正当な理由があったわ」

 

「はぁ?」

 

 だが、神は俺に味方をしてくれなかった。そう言って胸を張ったオリジナルのエリザベートが一瞬熱を籠った目で俺を見た時、俺は間違いなく厄介ごとが起きる予感がしたのだ。

 

「だってアタシ、アンタたちよりも大人だもん!」

 

「はぁ?」

 

「何言ってんのよ、アンタも同じアタシなんだから大人も子供も無いでしょうに」

 

「ふっふっふ……そういう意味じゃないわよ。アタシはもう、何も知らない少女から大人の女へとランクアップしたのよ!ね、ロビン?」

 

 このおぼこ娘は童貞卒業したばかりの野郎か?なんでまぁこんなにもあほみたいに自分が処女喪失したことを嬉々として話していやがるんだ?

 そんな俺の思いをよそに、オリジナルのエリザベートが言わんとしている事を察した残り二人のエリザベートは顔を真っ赤にした後で俺たちに向かって抗議を始めた。

 

「な、な、な……アンタ!何やってんのよ!?アイドルが不純異性交遊なんてダメに決まってるでしょ!」

 

「不純じゃ無いし~、純粋だし~!」

 

「ファンが知ったら暴動が起きるわよ!」

 

「皆祝福してくれるに決まってるじゃない!」

 

「アンタもアイドルに手を出すだなんてどういうつもりよ!?幾らアタシが可愛いからって超えちゃいけないラインってもんがあるでしょ!?」

 

「……俺だって望んで抱いたわけじゃねぇんだけどな」

 

「あーあー!そんなことどうだって良いでしょう?今大事なのは誰がリーダーになるかよ、そしてアタシが一番その役に適しているんだから、アタシで決まりよね!」

 

 喚くエリザベート二人に対してフンスと鼻息を荒くして詰め寄るのはオリジナルのエリザベートだ、いつの間にやらテーブルの上に立って堂々と胸を張っている。

 この時点で俺は凄く嫌な予感がしてきていた。だからさっさと逃げるべきだと判断して自分の部屋から抜け出そうとしたのだが……

 

「……待ちなさいよ。それって何?アタシたちがその……お、男の人に抱かれたことが無いからって意味よね?」

 

「だ、だったら……取るべき手段は一つじゃない!」

 

 がっしりと俺の服を掴む4つの手、俺は服を脱いで逃げ出そうとするがそうは問屋が卸し金と言わんばかりに二つの体がのしかかって来る。

 

「抱け!アタシたちを抱け!」

 

「覚悟しなさいこの変態アーチャー!」

 

「ぐえっ!は、離せ!離せぇッ!」

 

 俺は必死に逃げようとする。ただでさえ大変なこのじゃじゃ馬娘を相手にする労力を三倍にしてなるものかと必死になって逃げようとする。しかし、エリザベート×3は機敏な動きでドアを塞いで俺を脱出できない様にしている。このままではまずいと判断した俺は、戦いを持久戦へと持ち込むことにした。

 

「よ、よし分かった。少し落ち着け、な?まずは飲み物でも飲もうや!」

 

 そう言いながら俺は冷蔵庫から冷たいお茶を取り出した。少しでも時間を稼いで最悪の事態を避けるための方策だ。どうにかしてこいつらを落ち着かせなくてはならない、そう思っていた俺はまずは自分が落ち着くためにカップに入れたドリンクを一気に飲み干した。

 

「…………ん?」

 

 良く冷えたお茶を飲んだ俺は若干の違和感に気が付く、いつも俺が淹れている物と味が違うのだ。おかしいと思いながらそのドリンクを入れていた容器のラベルを見た俺は凍り付いた。

 

 容器に張られていたラベルに書かれていたのは、『ダヴィンチちゃん特製精力増強ティー 速攻効果で精力三倍!』という文字であった。なんとも余計な事をしてくれたもんだと思いながらも俺は体の奥底から湧き上がる熱い感触を必死に抑える。

 

(あ、あいつらを部屋に帰すんだ……今は、今はマズイ!)

 

 一刻も早くあいつらをこの場から遠ざけなければならない。そして薬の効果が切れるまで部屋に閉じこもるのだ。

 そう思った俺はベッドサイドではしゃぐあほ娘三人組に向き直る、そして怒鳴ろうとしたところで……再び凍り付いた。

 

「……なによ、特に違いなんて無いじゃない」

 

「馬鹿ね~、見た目じゃなくて雰囲気の問題よ。この溢れ出る大人オーラが分からないの?」

 

 何故か……本当に何故か分からないが、ベットサイドではしゃぐエリザベートのうち一人(オリジナルだ)は全裸だった。堂々と服を脱いで他の二人に自分の裸体を見せつけている。

 

「あ!丁度良い所に来たわね!アンタからもこいつらにアタシの大人レディとしての魅力をたっぷりと……」

 

 俺の耳には素っ裸になったエリザベートの声は途中までしか聞き取れなかった。熱に浮かされたように熱い俺の体は、彼女の慎ましやかながらも美しい体に対して正直な反応を示して締まっていたのだ。

 

 小振りながらも形の整った胸はエリザベートが体を動かすたびにプルプルと震え、小さなヒップは可愛らしく左右に揺れている。上目遣いで顔を覗かれた日にはもう我慢が効かなくなっていた。

 

「ちょっと、アタシの話をちゃんと聞いて……きゃっ!?」

 

(もう、どうにでもなれ!)

 

 やけくそ交じりの思考でそう考えながら俺はエリザベートをベットへと押し倒す。目の前の女同様に服を脱ぎ、相手が抵抗できない様に両手を掴み上げたところでやっと自分が何をされようとしているのかを理解したエリザベートが引きつった顔で俺に尋ねて来た。

 

「ね、ねぇ?まさか、このままその……え、エッチするんじゃないわよね?み、見てる人が居るし……」

 

「……知るかよ、男の部屋でこんな姿になるお前が悪い」

 

「ひゃうんっ♡」

 

 喉元にキスを落としてエリザベートの訴えを却下する。指を股の間に這わせてみれば、そこはわずかながらも湿り気を帯び始めていた。

 

「わ、わ、わ……!」

 

「え、え、え……?」

 

 困惑と驚きの声に顔を上げてみれば、横にはまだ状況を飲み込み切れていないエリザベート×2の姿があった。二人の姿を見た俺に一つの開き気が走る。意地の悪い笑みを浮かべながら二人の事を見た俺は、そのまま有無を言わさぬ口調で語り掛けた。

 

「……丁度良い、お前らに性教育をしてやるよ。こいつが大人だって証も見せてやるから、そこでしっかり見とけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あひっ♡ ひぃっ♡ ふあぁ……♡」

 

 後ろからエリザベートの小さな体を抱きしめ、固く尖った乳首を指先で弄る。その度に可愛い喘ぎ声をあげるエリザベートは、膣でも良い反応をしてくれていた。

 膣に突き刺さった陰茎を締め付けるエリザベートの膣はじゅくじゅくに熟れており、今もなお熱い愛液を噴き出し続けている。

 

「良い反応だ、可愛いな」

 

「ひうぅ……っ♡」

 

 耳元で囁いてやればカクンとエリザベートの体から力が抜けたのを感じる。俺の為すがままにされるエリザベートだったが、時々恥ずかしそうにしては顔を横に逸らしていた。

 

「うわ、すっごい……!」

 

「あ、あんな大きな物が入っちゃうの……?」

 

「み、見るなぁ……!」

 

 その恥ずかしさを生み出している元凶である二人の自分自身に対する抗議の声も快楽の熱に浮かされている為か力が無い。悪い笑みを浮かべた俺はエリザベートの脚を掴むと、しっかりと結合部分が見える様に左右に広げてやった。

 

「あっ……!?」

 

 すぐさま手で大事な部分を隠そうとするエリザベートを視線で制すると、一瞬だけ躊躇った後でしっかりとその指示に従って手をベットに置いた。ご主人様の命令には絶対服従だと言う事が分かって来たらしい、いい傾向だ。

 

 男性器を受け入れている発情しきった自分の女性器を二人の自分自身に見せつけている格好になったエリザベートの恥ずかしそうな表情を堪能した俺は視線をギャラリーにである二人へと移す。キャスターとセイバーのエリザベートは目の前で行われている性行為に対して興味津々の様だ、顔を真っ赤にしながらも瞬き一つせずに男に貫かれている自分自身の性器を見つめている。

 

「ね、ねぇ、そんなに大きなものを入れられて痛く無いの?」

 

「えっ……?」

 

 キャスターのエリザベートがおずおずと言った様子でしてきた質問に対してオリジナルのエリザベートは戸惑った様子を見せるも俺は答えない事を許すつもりは無い。そっと頭を撫でてやりながら意地悪く囁く

 

「ほら、ちゃんと答えてやれよ。リーダーなんだろ?」

 

「あ、う、あ……」

 

「ああ、もしかして本当は痛いのか?そりゃ悪かったな、すぐに抜いてやるよ」

 

「やっ! だめぇっ! 抜いちゃヤダぁっ! 言う! ちゃんと言うから!」

 

 体を持ち上げて男根を抜こうとした俺の手を引き剥がしながらエリザベートが涙目で叫ぶ、そうした後で自ら腰を振って快感を貪りながら、まっすぐに自分の分身たちを見てエリザベートは言った。

 

「きもちいいのっ♡ ロビンのおちんちんすごくきもちいいっっ♡ 処女を奪って貰って、沢山エッチして貰って、アタシのおまんこロビンのおちんちんの形になっちゃったのぉっ♡」

 

 ぐちゅぐちゅと言う水音と肉のぶつかり合うパンパンと言う音の二重奏を自らの体で奏でながらエリザベートは叫ぶ、まるで歌うかの様に肉欲を叫び続ける彼女の姿を俺は満足げに笑いながら眺め続ける。

 

「もっとしてぇ……♡ アタシの体、ロビンの好きに弄って欲しいよぉ……っ♡ 壊しても良いから、もっと……♡」

 

「馬鹿かお前、壊すマネなんかするかよ」

 

「ひうぅぅっ!?」

 

 相手の腰の動きに合わせて膣を突き上げてやれば、エリザベートは甲高い悲鳴を上げて仰け反った。体を強張らせながら小刻みに痙攣するその体を両手で掴みながら俺はエリザベートの奥を責め続ける。

 

「……お前にそんな乱暴な真似はしねぇよ。大切に扱って、沢山気持ち良くしてやる。大事に大事に……頭の天辺から爪先まで感じられる様に躾けてやるよ」

 

「あ……♡ あぁ……♡ あぁぁぁぁ……♡」

 

 俺の言葉を受けたエリザベートは嬉しそうな声を上げて恍惚とした表情を浮かべる。膣は先ほどよりきつく締まり、溢れる愛液もその量を増やしている。

 最近分かった事だがこいつは相当なMの様だ。もともとその素養はあったと思うのだが、それが性的なものと嚙み合った時には非常に愉快な事になる。

 

 優しくされても厳しくされても、もっと言うならば何をされても悦んでしまうのだ。先ほどの言葉の返事だって、もしもこいつの言う通りに壊してやると言ったところで結果は変わらない。大喜びで自我の崩壊を望み自分の体を自由に扱われることを悦ぶのだ。

 しかし、そんな真似をするのは俺の趣味じゃない。ハードなプレイだってお互いの合意と愛があっての物だ。まだ男女の交わりと言う物を良く知らないこいつを塗りつぶす様な真似はしたくない。

 

 こいつにはこいつ自身が望んだ愛情をたっぷりと注いでやろう。生前からの望み、心から欲して求めた物、ソロモンが与えてくれなかった物、溺れてしまう程の愛を送ってやるのだ。

 その愛に溺れ、満足感と充実に包まれて蕩けたエリザベートの躰が一番脂が乗った瞬間を貪る。自らが望んだものをこれでもかと言う程に与えてくれた相手に大喜びで躰を差しだす様に躾けていく

 

 こいつはちょろいが心の奥底はこんがらがっている。その一つ一つを解きほぐして、自らの願いを自覚させたうえでそれを叶えてやれば俺への忠誠も深まるって寸法だ。

 ……ま、俺はそんな計算高い事をしているわけじゃなくって、こいつを弄り回すのが楽しいだけだけどさ

 

「あっ♡ すごい♡ はげしっ♡」

 

 自分自身に見られていると言う事もお構いなしにはしたない姿を晒し続けるエリザベート、俺はその本性を引き出すことをたっぷりと楽しむ。

 もうそろそろ限界も近い、まずは一度達する事を決めた俺は腰の動きを速める。そして、エリザベートの奥深くを何度も叩いた。

 

「ひぐぅ、あっ、うあぁ……♡」

 

「嬉しそうな声出しやがって、そんなに気持ち良いのか?」

 

「はぁ……♡うん、気持ちいい……♡おまんこから体全部に気持ちいいのが伝わってくのぉ……♡」

 

「ははっ、とんだエロ娘になったもんだな!さてと……そろそろお待ちかねの物をくれてやるとしますかね」

 

「わぁ……膣出ししてくれるの?アタシのおまんこに熱いのびゅーびゅー射精してくれるのね!」

 

 俺はその言葉に返事はしない。その代わりに先ほどよりも激しくエリザベートの膣を責めて意思を示す。

 

「あはぁ……♡アタシ、おまんこぎゅーって締めるから! ロビンのおちんちん気持ち良くするからぁ! だから射精してっ! アタシの膣に熱いの下さいっ!」

 

 その言葉通りエリザベートは膣を締めて俺の一物を刺激する。俺もエリザベートの腰を掴み、先ほどよりも強く深く逃れようの無い快感を叩き込んでいく

 

「ひぐぅ♡ ひぐっ♡ ひぐぅぅぅ……♡」

 

 膣の振動が早まる。エリザベートの声が甲高く消え入りそうなくらいまで高くなっている。完全に掌握しきった躰を味わいながら、俺はとどめの一撃を打ち付けた。

 

「ひっ……ぐぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっ♡♡♡」

 

 絶頂して激しく痙攣するエリザベート、その体を押さえつけて身動きできない様にする。体の震えを抑え込まれたエリザベートは快感を逃す場所を失った様だ、唯一抑え込まれていない場所である膣の振動をさらに激しくして溢れかえる快感を逃そうとする。

 じんじんと震えるエリザベートの膣、俺に最高の快楽を与えてくれるこの小さな体の中にある小さな器官。それがある下腹部に手を添えながら、俺はエリザベートの膣に欲望をぶちまけた。

 

「ふあぁぁ……♡ 射精てるぅ……♡ 熱いの、沢山出されてる……♡」

 

 せっかく絶頂の余韻から解放されかけたと言うのにエリザベートの体は今の射精で再び火がついてしまった様だ。再びびくびくと震える体を、今度は何も弄らずに見つめて愉しむことにする。

 ピンと張られた背筋が小刻みに震え、口からは涎と甘い声が代わる代わる漏れ出す。この数日で開発されたエリザベートの躰を堪能した俺は二回戦を始めるべく腰を振り始めたが……

 

「ま、まってぇ……むり、今はむりぃ……」

 

 完全にへばっているエリザベートは荒い息でそれを止める様に懇願する。どうやら体力も三分の一になってしまったらしい、これでは俺が満足できないでは無いか

 

(……仕方ねぇか)

 

 俺は左手に刻まれている淫紋令呪をエリザベートに見せつける。顔の前で動く左手に虚ろな視線を送っていたエリザベートは、少しだけ顔を動かして俺の顔と左手を交互に見やっていた。

 

「……エリザベート・バートリーに命ずる。服を脱いで俺の元に来い」

 

「え……?」

 

 俺のその命令にエリザベートは怪訝な顔をした。もう既に全裸になって俺に跨っている状況で何故そんな命令を下したのか?それを理解できない彼女に向かって含みのある笑いを浮かべた俺の両脇に二人の人間が腰掛けた。

 

「な、なに!?」

 

「なんでなんでなんでぇっ!?」

 

 顔を真っ赤にして顔を振る二人の自分自身を見たエリザベートはなるほどと言った表情をして納得した様だ。この場には自分以外にも二人の『エリザベート・バートリー』が居る事を失念していた彼女もまた俺と同じ様な笑みを浮かべる。

 

「無理無理無理!恥ずかしいっ!」

 

「あー、もうじたばたすんなよ。お前らだってさっき抱けって言ってきたろうが」

 

「そうよ、無駄な抵抗は止めてロビンにエッチして貰えば良いのよ」

 

「そんなの無理!なんでこんな特殊な状況でそんな目に遭わなきゃいけないのよ!?」

 

 じたばたと暴れる二人のエリザベートだったが、俺がその股座に手を伸ばせば素直に反応して脚を開いた。令呪の効果はてきめんだなと笑いながら俺は二人の女性器に指を挿入する。

 

「あっ……!」

 

「おお、もうぐしょぐしょじゃねぇか。自分がヤられるの見てて興奮したのかよ?」

 

「くぅぁ……なに、これぇ……?」

 

 自分の体の中に異物を受け入れる感覚に戸惑う二人、俺はじっくりと中指で膣を弄りながらその感触を確かめる。

 

「……思ったより余裕あるな、これなら二本目も行けるか?」

 

「ひうっ!?」

 

 続いて両手の人差し指を挿入、二本の指でエリザベート達の膣を穿り回せば二人の声が徐々に甘く快感を訴えるものに変化していく。

 しめしめ、と言わんばかりにその責めに緩急をつけてやればエリザベートたちは未知の感覚の虜になっていた。

 

「はぁぁ……♡ アタシ、どうしちゃったの……? おまた、じんじんする……♡」

 

「……ロビンの指、気持ち良いでしょ? 何回もアタシを抱いて、弱い所も全部知ってるんだから当然よね」

 

 別のクラスの自分自身が俺に喘がされている所を楽しそうに見ているランサーエリザベートがそう囁く、何せこいつを開発したのは俺なのだ、弱い所どころか感じるところは全部把握していると言っても過言ではない。

 あっという間に愛液でびしょびしょになった両手は蛍光灯の明かりを浴びてぬらぬらと光っている。同じ顔をした三人の女を抱いていると言う異様な状況を楽しむ俺は、そろそろメインディッシュを頂こうと行動に移った。

 

「……準備は万端だな。さて、どっちから処女を卒業したい?」

 

「うあ……あ……っ」

 

 カクン、カクンと腰を揺らしながらキャスターとセイバーのエリザベートは蕩けた視線をぶつける。好奇心と恐怖が入り混じった心に追い打ちをかけるのはオリジナルのエリザベートだ。

 

「指、気持ち良かったでしょ?でもおちんちんはそんなの目じゃないわよ。指よりも太くて熱い物に体を貫かれるのって、すっごく気持ち良いのよ」

 

「気持ち、いい……?」

 

「そうよ。最初は怖いけど、一度慣れたらそんなの気にしなくなるわよ。気持ち良い事で頭がいっぱいになって、それ以外の事が消え去っちゃうんだから」

 

「そ、そんなに、良い、の……?」

 

 自分自身の言葉は心に染み込む様だ。二人の表情からは初体験の恐怖が薄まり、代わりに好奇心と期待が高まっている事が伺える。エリザベートの援護を得て目的をほぼ達成した俺は、きっちりとそれを完遂すべく最後の仕上げにかかった。

 

「……で?お前らはどうすんの?相手して欲しいのなら早めに言えよ、なんてったって俺は一人だけなんだから、お預け喰らう奴が一人はいる事になるからな」

 

「あ……うぅ……っっ」

 

 セイバーのエリザベートが恥ずかしそうに顔を俯かせるのが見える。顔を真っ赤にしながらも興味はある様で、両手の指をもじもじと絡ませながらちらちらと俺の様子をうかがっている。

 あと数秒もあればこいつも堕ちるだろうと踏んだ俺はその時を待った。やがてぎゅっと目を閉じ、拳を握りしめたエリザベートは意を決した様に手を挙げ、何かを言おうとしたが……

 

「あ、アタシ……えっち、して欲しい、です……」

 

「あ……」

 

 コンマ数秒、キャスターのエリザベートの方が早く手を挙げておねだりの言葉を口にした。自分のセリフを取られてしまったセイバーはぽかんとした表情でもう一人の自分自身を見ている。

 キャスターエリザベートは非常に恥ずかしそうだ、二人の自分と俺からの視線に耐えきれない様にして魔女帽を深くかぶったが、俺はそんな彼女を抱き寄せるとその唇にキスをする。

 

「んっちゅ、じゅぅっ……んんっ……♡」

 

「じゅぅぅぅ……はぁっ……ちゅぅっ……」

 

 熱く火照ったキャスターエリザベートの躰を抱きしめながらその口の中を苛烈に責める。生まれて初めてのディープキスに成すすべなく俺に蹂躙されるキャスターエリザベートの体からは徐々に力が抜けて行った。

 同時進行して俺に挿入されていたランサーエリザベートは自ら立ち上がり自分の中に挿っていた俺の肉棒を綺麗に掃除していた。愛液と精液で汚れたそれを口の中に含み、舌で舐め取って綺麗にすると言う作業を誰かに言われずとも自分で率先してやっているのだ。

 それが快楽に酔ったが故の行動なのか、はたまた同じ自分自身の処女喪失を手助けしようとしたからなのかは分からない。だが、俺がキスを終えた時、ランサーエリザベートもまた脈打つ俺の肉棒を口から抜くとキャスターの自分自身をそこへと誘導した。

 

「さ、あなたもこれで大人の仲間入りね♡」

 

「う、うん……」

 

「力抜け、心配すんなよ。案外簡単だから」

 

 仰向けになり小刻みに震えるエリザベートのあそこを両手で広げる。十分に濡れて熱くなっているその部分に己の逸物を宛がうと一気に叩き込む。

 

「あっ、ぎぃぃっ!?」

 

 苦しそうなエリザベートの声とブチブチと何かが千切れる感触、二回目の処女喰いはもう慣れた物で迷うことなく行えた。

 

「な、なか……熱いのが、はいってぇ……!」

 

「……どうだ? 大人になった感想はよ?」

 

「く、苦しいのに……ずん、ずんっ、って動く度に、気持ちいいのが広がって、なんか、変になる……っ」

 

「……気持ち良いんだな、良かった。それじゃ、もっと気持ち良くしてやるよ」

 

「あっ……」

 

 腰を掴んでゆっくりと抜き差しを始める。優しく相手を気遣う様な腰遣いで膣を擦れば、エリザベートの声には甘い快感が現れ、熱く蕩けるものへと変わって行く。

 

「んあっ……♡」

 

「やっぱ気持ち良い所は変わんねぇんだな、ここも良いだろ?」

 

「はひっ♡ そこっ、きゅんっ、ってなるぅ……♡」

 

「正直だな。素直な娘は好きだぜ」

 

「ああっ、なに、これぇ……? きもちいい……っ、せっくす、しゅごすぎるぅ……♡」

 

 俺は完全に性の虜となったキャスターエリザベートに対して苦笑を浮かべる。しかし、これも仕方が無い事だろう。俺はこいつよりもこいつの弱い所という物を知っている。オリジナルのエリザベートの躰を開発したのは俺だし、何度も抱くうちに感じさせるポイントなんかは頭の中に入ってきているのだ。オリジナルの感度を引き継ぎ、性交への期待で染まった小娘を篭絡するなど容易いものだ。

 

(……俺、もしかしてソロモンと同じ様な事してねぇか?)

 

 頭によぎる一抹の不安。エリザベートがちょろいと言う事もあるが、幾らなんでもやり過ぎではないかと言う思いがあるのは確かだ。しかし……

 

「きもちいいっ……♡ もっと、もっとしてぇ……♡ もっときもちいいことしてよぉ……♡」

 

 目の前で快楽を強請るエリザベートを見た俺はその考えを打ち消した。ソロモンはこいつにこんな幸せそうな表情をさせなかった。例え快楽で心を篭絡させたとしても、俺はこいつを傀儡みたいに扱ったりはしない。

 これで良いのだ。俺がこいつを大切に扱って、幸せを与えている限りは胸を張っても良いのだろう。

 

「……いつもはじゃじゃ馬娘なのにこうやって素直になると可愛いじゃねぇか。良いぜ、たっぷり気持ち良くしてやるよ」

 

「あはぁ……♡ ありっ、がとぉ……っ♡」

 

 膣の責めを少しだけ早めて激しくしてやる。感じるところを重点的に突いてやれば、それだけで喘ぎ声は更に大きくなって感じていると言う証拠をありありと示してくれる。

 

「きも、ち、いいっ……ろびん、きもち、いいっ、よぉっ……♡」

 

 なんともちょろく素直で可愛い事だろうか、帽子の上から頭を撫でてやればそれだけで嬉しそうな顔をする。今は変化スキルで消している尻尾があればぶんぶんと左右に振られていた事だろう。この愛らしい娘を感じさせるために俺は全霊を持って体を動かす。

 

「あっ♡ なんか、くるっ! きちゃうぅっ!」

 

 こちらもそろそろ限界だ。温かく柔らかいエリザベートの躰を抱きしめながら何度も子宮口を突く。震えが大きくなっていくその躰に欲望を叩き込みながら、俺は一際奥まで自分をねじ込むとそのまま達した。

 

「あぁぁぁぁぁぁっ……♡♡♡」

 

 おびただしくエリザベートの膣に射精しながらその躰を優しく抱きしめる。幸せそうな声を出しながら震えるエリザベートもまた絶頂している様で、ぶるぶると体を震わせている。

 ゆっくりと体を引き剥がしてエリザベートから自身を引き抜くと膣からは白濁した精液と赤の血の混じりあった液体が溢れ出て来た。未だにびくびくと痙攣するキャスターエリザベートを見た後で、俺は最後の一人に声をかける。

 

「で?お前はどうすんだ?」

 

「あ、アタシ!?」

 

 お前意外に誰が居るんだと言いかけたが口を噤んでその言葉を飲み込む。おろおろしていたセイバーエリザベートだが、すでに抱かれる決意は出来ているだろう。問題無く三人目の行為も行えると思ったのだが……

 

「そ、そうね、アタシだけ子ども扱いとか腹が立つし、アンタに抱かれてあげるわ! で、でも! アタシを他の二人みたいに甘く見ないでよね!」

 

「……あ?」

 

 現存唯一のおぼこ娘となったセイバーエリザベートはふふんと胸を張って俺を見る。そして、未だに絶頂の余韻から解放されていないキャスターの自分自身を指差すと得意げに語り始めた。

 

「見なさいよこのだらしない姿! たかだかこんなちっちゃいものを突っ込まれたからって、こんな無様な姿を晒しちゃって……ほんと、情けないったらありゃしないわ!」

 

「あ……!?」

 

 あっさり男のプライドをコケにしやがった目の前のチョロインに軽く怒りが湧く、俺の目の前で寝転がったセイバーエリザベートは脚を開くと、比較的余裕を持った様子で俺を誘う。

 

「ま、軽く相手してあげるわよ。でも、アタシはあんな風にはならないからね!」

 

「……つまり、分かり易く言うと?」

 

「おちんちんなんかに絶対負けない!」

 

 はい、フラグ頂きました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数分後……

 

「おおっ♡ おほぉぉっ♡ ほおぉぉぉっ♡」

 

 上から押しつぶす様にして腰を動かす。エリザベートの小さな体を組み敷き逃れられなくした体勢で遠慮無く快楽を叩き込む。

 膣の深い所まで抉る様にして激しく責める。それでいて乱暴にはせずにばっちりと気持ち良くなれる所を突いてやれば、エリザベートは獣の様な叫び声をあげて俺の逸物を咥えこんでいた。

 

「ほ~らどうした~? ちんぽ突っ込まれる度に腰がへこへこ動いてるぞ~?」

 

「ほひぃぃっ♡ ほぉぉっ♡ おほぉぉぉっ♡」

 

 激しくぶつかる腰とエリザベートの深くを責める二つの音が混じり合いばちゅん、ばちゅんと部屋に響き渡る。もはや俺にチンコを突っ込まれるだけの肉穴と化したセイバーエリザベートが出来るのは、ただ尻を震わせて気持ち良い事をアピールする事だけだった。

 

「どうした~? ちんこには負けないんだろ~? 頑張れよ~!」

 

「むっ、むりぃっ! おちんちん、すごいぃっ!!!」

 

「んな事無いだろ~? こんなちっちゃいものを突っ込まれただけなんだからさ~!」

 

「ごっ、めんなさいっ! ロビンのおちんちんりっぱれすぅ! おっきくって逞しいおちんちんだから! だからもうやめ……ふひぃぃぃっ♡」

 

 懇願は無視、それどころか更に激しさを増して膣を削る。セイバーエリザベートは狂ったような叫び声を上げて白目を剥いていた。

 

「ま、まけましたっ! おちんちんにはかないませんっ! アタシのまけっ! まけだからっ!」

 

「うわ~、だっさ~い! あんなにカッコつけといて即堕ちとか無いわ~」

 

「ほんとよね~、これが同じアタシだとかマジでドン引きだわ~」

 

 降伏宣言をしたセイバーエリザベートを他の二人が無責任に煽る。普段ならば怒るなりの反応を示すだろうが、今のエリザベートにはそんな余裕も無い様で……

 

「ほひぃぃっ!? なんでえっ!? もうやめてよっ! アタシのまけだっていってるのにぃっ!?」

 

「え? だからこうしてんだろ? 負けたんだからお仕置きの時間な?」

 

「そんっ、なあぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 人の尊厳を馬鹿にする生意気な小娘にはしっかりと躾をしなければならない。次からは素直な良い子になれる様に教育をするのも俺の役目だろう。ごりごりと膣を擦って快楽を与えてやれば、自分の立場と言う物を理解できると言う物だ。

 

「ねぇ見てよ。こいつのおまんこ、ロビンにおちんちん突っ込まれる度に噴水みたいにびちゃびちゃ噴き出してるわよ!」

 

「ホントだ、おっもしろーい! ねぇ、こんなに深く責められて、ロビンのおちんちん何処まで届いてると思う?」

 

「みっ、みるなぁ……! みないでぇ……っ!」

 

 自分自身に見られて恥ずかしがる余裕があったのかと思いながら俺はその余裕を剥ぎ取る為に動きを速める。激しさはMAX、弱い所だけを重点的にかつ鋭く責めて暴力的に快楽を叩き込む。

 

「ほへぇぇぇっ♡ ひくぅぅぅっ♡ ひゅぃぃぃぃっ♡」

 

 もうエリザベートの口からは意味のある言葉は出てこない。獣の様に叫んで喘いで絶頂して、狂う直前まで追い込まれているだけだ。

 小さな躰をがっちりと固定して浮き上がった腰に徹底的に自分の腰をぶつけてやれば、まるでこの小生意気な少女をオナホールにしている感覚に襲われた。

 

「とんだ負け犬勇者……いや、もうアンタはロビンのおちんぽ奴隷ね!」

 

「ロビンのおちんちんを気持ち良くするための道具として一生懸命奉仕するのよ!」

 

「ひやぁぁぁ……♡ あたし、どれい? どうぐぅ……?」

 

 同じ自分に対してなんて酷い事を言うのかと苦笑してしまう。無論、俺はこいつを奴隷になんかするつもりは無いのだが、判断能力の狂ったセイバーエリザベートは意外にもその言葉に乗り気になってしまったようで……

 

「なるぅ♡ あたし、おちんぽ奴隷なるぅ♡ ゆうしゃもサーヴァントもやめて、ロビンのおちんぽきもちよくするためだけのどうぐになりゅぅ……♡」

 

「だって! 良かったわねロビン!」

 

「目いっぱい使ってあげて、奴隷としての責務を果たさせてあげてね!」

 

 こいつら外道だ、自分より弱い奴に対しては一切の遠慮がねぇ。

 別の存在とは言え嬉しそうに自分自身を差し出すこいつらも大概だがセイバーエリザベートも嬉々として奴隷に成り下がってんじゃないと突っ込みたくなる。……いや、突っ込んでるんだけどね、別の意味で

 

(……本当、こいつらがソロモンに抱かれてなくって良かった)

 

 即堕ちからの永久奴隷就職が目に見える。ある意味ではソロモンもこいつらの厄介さに気が付いていたのかもしれないが、俺たちにとっては幸運な事だ。

 それに、今はそんなことを考えている場合じゃない。せっかくなのでこいつの望む奴隷扱いでの絶頂を味合わせてやるとしようではないか

 

「ほひっ♡ ふひっ♡ おぉぉっ♡」 

 

 遠慮無しの全力ピストン、絶頂してもお構いなしで腰を振り続けて膣を責める。逃げ出すことも抵抗も許さない俺にエリザベートは嬉々として躰を差し出す。

 

「しあわせぇ……♡ ロビンのおちんちんどれいになれてしあわせなのぉ……♡ もっとつかってぇ、あたしのこと、もっとつかってぇ……っ♡」

 

 結合部から出る飛沫と熱を帯びた膣がエリザベートの官能を示している。こんな無遠慮なセックスで感じてしまうとは随分とエロい娘なんだと思いながら、そうしたのは俺であったと思いなおす。

 幾たびも処女を奪い、体を開発し、奴隷になる事も辞さない女に変えてしまったのは俺なのだと言う事に多少の責任を感じた俺だったが、俺の体を挟み込む様にして体を置いた二人のエリザベートに囁かれ、その思考を一度放棄する。

 

「ね、ロビン……アタシたちの事、これからも気持ち良くしてね♡ アタシの事、世界一可愛いアイドルにプロデュースしてよね♡」

 

「アタシの事、沢山愛して! アタシもロビンの事一杯愛してあげるから! アタシ、ロビンのお嫁さんになるから♡」

 

「沢山使ってぇ……♡ ロビンに気持ち良くなってもらえるのが、アタシの幸せなの……♡ これからも、一生懸命おちんぽ奴隷頑張るからぁ……♡」

 

 三者三様、自分の望みと幸福を囁くエリザベート達に愛らしさを感じてしまう。こいつらの言葉に嘘は無い。こいつらは今幸せで、口にしているのは何の嘘も無いこいつらの願いだ。

 だとしたら、俺がすべきなのはその願いに応える事なのだろう。エリザベートたちを抱きしめ、ベットに押し倒した俺はそのまま三人に向かって囁く。

 

「……お前たちは皆俺のもんだ、責任もって幸せにしてやる。代わりに、お前たちも俺に尽くせ。ソロモンの野郎を倒すために全力を尽くせよ?」

 

「「「はいっ♡♡♡」」」

 

 三人に刻まれた淫紋令呪がちかちかと光る。赤く可愛らしくそれを見なくても俺には感覚で分かった。

 こいつらはもう完全に俺の物になった。愛してもらえる喜びと性の快楽を与えられたエリザベート達は、俺に心からの忠誠を誓うようになったのだ。

 

 正確には忠誠とは違うのかもしれない。きっと、多分、そう、この感情に名前を付けるのであれば………

 

「ロビン、アタシたち、あなたの事がだーい好き♡」

 

「子犬やマシュも好きだけど、あなたはその中でも一番だわ♡」

 

「だからあなたもアタシたちの事を愛して、そうすれば、アタシたちはきっと何でもできるから……♡」

 

 目にハートマークを浮かべた三人が蕩けた声で愛を囁く。身勝手でじゃじゃ馬娘なエリザベートの愛の告白は年相応の可愛らしさを持って俺の心をくすぐる。

 一人一人の唇にキスを落とした俺はもう一度優しく三人を抱きしめる。彼女たちから与えられる愛と同等の物を持って彼女たちを包み込む。

 何度だって抱いてやろう。望むまで愛で満たしてやろう。俺にすり寄り、可愛らしい視線を向けるこの少女を……

 

 6本の腕が俺に絡む。3つの柔らかい躰が俺に温もりを与えてくる。その心地良さを体全部で受け止めながら、俺は三人のエリザベートたちと交わり続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、結局1人に戻ったわけだ」

 

「まぁな、何故だかわからんがクラスがコロコロ変わる様になっちまうと言うおまけ付きでな」

 

「げ、自分で決められねぇのかよ? それじゃあ戦いに出せねぇじゃねぇか」

 

「多分エリちゃんも新スキルを習得したんだよ。でも、それを使いこなせていないんだろうねぇ」

 

 翌日、会議場では俺からの報告を受けたマスターたちが口々に感想を漏らしていた。ダヴィンチちゃんは一発ぶん殴ろうかと思ったのだが、質量有の立体映像では無くただの映像射影機を使っていたためにその願いはかなえられなかった。

 

「それでどうだった? 昨日はエリちゃんハーレムを楽しんだんだろう?」

 

「……ノーコメントで」

 

 愉快そうに尋ねてくるダヴィンチちゃんの質問を無視して俺は部屋を出る。これ以上奴を楽しませて堪るかと思いながら廊下を歩いていた俺の前に黒い人影が現れた。

 

「ろ、ロビン……あのね……」

 

 しどろもどろになりながらキャスターエリザベートが俺に声をかける。今朝はランサーだったと思うのだが、また変わってしまったのだろう。俺はひょいとエリザベートを抱きかかえると部屋へと向かう。

 

「わっ!?」

 

「……さすがに昨日は疲れたろ? 俺の部屋で一緒に飯でも食おうぜ」

 

「う、うんっ!」

 

 お家デートだと喜ぶエリザベートを横目で見ながら俺は歩みを進める。面倒な娘だが、こういう可愛い所があると言う事に気が付いた今は前ほどの苦労感は感じない。

 とりあえず温かいシチューでも作ってやるかと思いながら、俺は笑顔を見せた。

 

 

 

 ……この後、ロビンは冷蔵庫の中に残っていたダヴィンチちゃん特製ドリンクを飲んだエリザベートに襲われることになり、『やっぱりこいつはとんでもなく面倒な娘だ』と考えを改める事になるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリザベート・バートリー 新スキル『トリプルクラス』及び『三重の愛』を習得。再び寝取られる可能性、0%

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

狂った天使(ナイチンゲール)

 

 ソロモンのカルデア襲撃から約一週間余りの時間が過ぎた。

 短い時間ながらも奪われた英霊の内、マシュ、スカサハ、エリザベートの三人を奪還したカルデア陣営だったが、100名以上居る英霊たちのわずか三名を奪い返したに過ぎない。加えてスカサハは霊基が未発達、エリザベートはクラスが勝手に変化してしまう事から戦力としての復帰は現在は難しいとの結論に至った。つまるところ、カルデア全体で見ればエリザベートの持ってきた聖杯による施設の復旧以外は余り代わり映えしていないのである。

 

 襲撃事件を生き残ったわずかな職員たちはその間ずっと働きづめであった。何時再び攻撃を仕掛けられるか分からない緊張感の中での激務は、働く面々を肉体的にも精神的にも疲労させていく。

 無論、それは人類史最後のマスターとて例外ではない。普段の仕事は通常の職員よりは楽であるものの、非常事態に備えての訓練やサーヴァントたちとのコミュニケーション、さらにはマシュとの性交もこなさなくてはならないのだ。

 体に鞭打ち必死にそんな日々を送っていたが、そのツケが回って来るのは当然の事で……

 

 

 

 

「……疲労による体調不良だね」

 

「は、はい……」

 

 よろよろとした様子のマスターに対してDr,ロマンが告げる。本来の仕事である医者としてのメディカルチェックを終えた彼は、目の前にいる患者に向けてねぎらいとも取れる言葉を送った。

 

「仕方が無い事だよ。ここ最近、毎日働きづめで気が休まる暇も無かった。君だけじゃなく僕や他の職員たちも肉体的に限界が来ている。今日は休んだ方が良い、皆には僕から伝えておこう」

 

「で、でも……みんな働いて……」

 

「君が万全の状況で無い事の方が皆に不安とストレスを与えるんだ。自分たちを守ってくれる存在が居ないと分かった時の恐慌を想像すれば、たった一日の休暇なんて安いものさ」

 

 責任感を強く持つこの少年を優しくなだめるとロマンは休暇を勧めた。やや渋っていたマスターだったが、やがて納得した様に医務室を出るとマイルームへと向かう。

 マスター不在と言えどカルデアにはマシュを始めとした英霊たちが控えている。よほどのことが無ければ大丈夫だろうと思いながら職務に戻ろうとしたロマンだったが、自分もまた立ちくらみに襲われて椅子に座る。

 

「……参ったな、医者が体調不良だなんて笑えないぞ」

 

 自嘲気味に呟いた後、気合を入れて立ち上がると医務室を出る。まだまだやらなくてはならない事は山積みだ。その為にも休むわけにはいかない。

 大人としての責務を果たすために、ロマンは今日も仕事場へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

 部屋に戻り、ドアのロックを作動させた事を確認した俺はベットへと倒れ込む。どうやら相当体調は悪い様で、体を動かすのもだるくて仕方が無かった。

 

(無理もない、か……)

 

 この所緊張しっぱなしだった。肉体的な疲労よりも精神的な物の方が大きいのだろうと思った俺は掛け布団を引っ張って自分の体を覆う。

 とにかく休むことだ、一刻も早く体調を万全にしてソロモンの動きに備えなければならない。そう考えて睡眠を取ろうとした俺だったが、なかなか寝付くことは出来なかった。

 

(……こんな調子で、皆を取り戻せるのだろうか?)

 

 病の時は気が弱くなると言うが、こうやって一人で居るといろいろと考え込んでしまう。現状が最悪に近い時は尚更だ。

 今のところは上手く行っていると言えるだろう。しかし、これから先ソロモンが対策をして来たらどうすれば良いのか? 男性英霊はどうやって取り戻せばいいのか? と言った不安があるのも確かだ。

 

 一度暗い考えを浮かべるとそれに引っ張られる様にしてマイナスのイメージが浮かんできてしまう。俺は頭を振って頭を切り替えるともう一度ベットの中に潜り込んだ。

 

「……ようマスター、体調はどうだい?」

 

 布団の中に潜り込んだ俺だったが、何処からか聞こえたその声に顔だけを出して周りを見る。部屋にあるテーブルの上を見ると、そこにはオリオンが手を振ってこっちを見ていた。

 

「オリオン……どうかしたの?」

 

「なに、マスターがひとりじゃあ寂しいと思って話し相手になりに来たのさ」

 

 器用にベットまで跳んだオリオンは枕の横にどかっと座る。そうした後で、俺との話を続けた。

 

「しんどいよな。さすがにここまで追いつめられると心の方が参っちまう」

 

「でも、何とか頑張って行かないと、ソロモンに皆を奪われっぱなしだなんて我慢できないよ」

 

「だよな……アルテミスの奴、大丈夫かな……?」

 

「オリオン……」

 

 遠くを見つめる様な目をしたオリオンになんと言葉をかけて良いのかが分からず俺は黙り込む。文字通り二人で一人の英霊として召喚されたオリオンは、パートナーであるアルテミスの事を心配しているのだろう。

 どんなに女癖が悪かろうとオリオンも愛した女性を心配しない程の悪人では無いのだ。部屋に沈黙が流れる中、先に口を開いたのはオリオンだった。

 

「……いけねえ、元気にするはずが暗い雰囲気にしちまったな。こっからは明るく行こうぜ!」

 

「あ、ああ……」

 

「にしてもよぉ……マスター、なんでマシュちゃんに看病して貰わないんだよ?」

 

「あ、いや~、それは……」

 

 急に話題を変えたオリオンに対してしどろもどろな答えを返す俺、そんな俺を見たオリオンはニヤリと笑うと一つの推理を始めた。

 

「当ててやろうか? ……体調が悪い時って、何故だかムラムラするよな? そんな時にマシュちゃんに献身的に看病なんかされたら……」

 

 やばい、絶対にやばい。自分の額を俺の額に当てて熱を測るマシュ、お粥をふーふーした後で俺に食べさせてくれるマシュ、眠る俺に添い寝してくれるマシュ……

 そんなマシュの姿を見たら襲わない自信がない。いや、絶対に襲うだろう。間違いない。

 

「体調悪いのにハッスルしちまったら元も子も無いからなぁ……いや~、辛いねマスター!」

 

「ははは! お見通しかぁ!」

 

「当然! 今はこんなだが俺だって男、その心理はよ~く分かるんだよ」

 

 多少下世話な話だが俺たちは声を上げて笑う。病に必要なのは笑顔だと誰かが言っていた気がする。確かに気が楽になったし、体調も楽になった気がする。

 

「やっぱマスターも男だねぇ! ま、その気持ちは重々わかるよ。あんな可愛い子に『先輩』だなんて呼ばれた日にゃあ、もう堪らんね!」

 

「本当にマシュは可愛いよ。戻って来てくれて良かった」

 

「体調が良くなったら心配させたお詫びをちゃんとしてやれよ? もちろんベットの中でな!」

 

「オリオン色々サイテー!」

 

 再び爆笑、大分気が楽になって来た気がする。オリオンに気づかいに感謝しながら、俺はとあることを思い出していた。

 

 実は、前にも一度風邪にかかった事がある。その時はサーヴァントの皆が心配してくれて俺の部屋にお見舞いに来てくれた。勿論その中にはマシュを始めとした女性英霊も居たのだが、その時はムラムラするとか考えられなかった。

 無論、その時は誰とも肉体関係にあった訳でも無いし当然と言えば当然なのかもしれない。しかし、当時の俺の心を支配していたのは恐怖だったのだ。

 

『ただの風邪? ……免疫力が低下している時には注意が必要です。ただの風邪と言って油断なさらぬように』

 

『治療の害になるものはすべて排除します。物であろうと人であろうと全てです』

 

『清潔! 消毒! 殺菌! 緊急治療!』

 

 その時に度の過ぎた看病をしてくれた彼女の事を思い出す。今はソロモンに奪われてしまった彼女だが、絶対に奪い返す。そしてまた、皆と一緒に……

 

「……っっっ!?」

 

 そんなことを考えていた時だった。何故か背中にゾクリとした感覚が流れると同時に汗が噴き出してくる。何か嫌な事が自分の身に起きる予感がしてきたのだ。

 オリオンも急に様子が変わった俺の事を不思議そうに見てくる。俺がもう一度部屋のドアの施錠を確認しようと立ち上がった時だった。

 

『せ、先輩! 逃げてください!』

 

「マシュっ!?」

 

 館内放送で聞こえて来たマシュの声に驚く俺、マシュの声には余裕がなく、何か緊急事態が起きている事が察することが出来た。

 

「まさか侵入者か!?」

 

「おいおい、カルデアのスタッフは何をしてたんだよ!?」

 

 オリオンの言葉に俺は考えを巡らせた。確かに敵襲があったとしたらならば一日中周囲の状況を観測しているスタッフの目に留まらない訳が無い。その監視の目を搔い潜って侵入してきたと言う事は、相手はアサシンクラスのサーヴァントである可能性が高い。

 

「急いで皆と合流しよう! このままだと危険だ!」

 

 俺はオリオンにそう言うと部屋のロックを開ける。戦えるメンバーが居ない状況で接敵してしまったらどうしようもない。暗殺が得意なサーヴァント相手に引きこもるのも非常に危険だ。

 そう考えてドアにカードキーを通した俺はそのまま外の様子を探るべくドアを開ける。誰かがこの部屋に迎えに来てくれれば良いなと思いながら部屋の外に出ようとした時、俺の動きが止まった。

 

「なっ……!?」

 

「………患者を発見しました」

 

 短くそう呟いた女性は俺の事を冷たい視線で見据える。赤の瞳に映る自分の姿を見たまま固まっている俺は、目の前の状況が理解できなかった。

 赤の上着に黒のスカート、手袋にソックスと肌の露出を一切しない服装をしている彼女はいつも通りの鉄面皮で俺を見ている。

 

「ナイチン、ゲール……?」

 

「お久しぶりですマスター、では、早速……」

 

 俺に向かってナイチンゲールが手を伸ばす。目と鼻の距離で固まっていた俺はそれに抗う術はない。

 このまま彼女は俺を殺すだろう。不用意に動いた俺の失策だ。皆になんと詫びれば良いか……と、考えていた俺だったが、体が担がれる感覚に目を開ける。

 

「……ここは治療に適切ではありません。場所を移動します」

 

「はっ? えぇっ!?」

 

 瞬間、ジェットコースターの様な加速と共にナイチンゲールは駆け出す。俺を呼ぶオリオンの声も風を切る音にかき消され聞こえなくなる。

 彼女が何をどうしたいのかが分からぬまま、俺は担がれて運ばれて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着っ!」

 

「うわっ!?」

 

 ナイチンゲールに担がれた俺が運ばれて来たのはカルデアの医務室だった。床にぽいと投げつけられた俺は顔面から落下して倒れ込む。幸い怪我はしていないものの痛む顔をさすっていると……

 

「マスター! アンタもここに連れてこられたのか!?」

 

「兄貴にロビン! 二人もナイチンゲールに!?」

 

「ああ、俺たちも気分が優れなかったから部屋で休んでたらドアを蹴り破ってあいつが来やがった。んで、あとはマスターと同じさ」

 

「一体ナイチンゲールは何が目的なんだ……?」

 

 俺たちをここに連れ込んだ張本人へと視線を送ると、ナイチンゲールはカルデア内の地図を見ながら首を傾げていた。何やらぶつぶつと呟き、考え事をしている様だ。

 

「……大半は見回りましたがまだ大方の職員は見つかっていない……残すのは……で、私の優先すべきは……」

 

「あ、あの……ナイチンゲール? フローレンス?」

 

 意を決してナイチンゲールに話しかければ、彼女は視線だけをこちらに向けて俺に何か用かと尋ねて来た。鋭い視線にひるむ俺だったが、負けじと大声で叫ぶ。

 

「なんで俺たちをここに連れて来た!? ソロモンの命令で俺たちを殺しに来たのか!?」

 

「……? おかしなことを聞きますね。私の目的は何も変わりません、すべての病の根絶ですよ。それに……ソロモンとは誰の事ですか?」

 

「え……?」

 

 ナイチンゲールの回答を受けた俺たちは逆に疑問が増えてしまった。こうやって話している限り彼女に異変は何一つとして感じられない。治療の為に無茶をやらかす所も、やや無機質な話し方も全て俺たちが知るナイチンゲールそのものだ。

 だがしかし、ソロモンの事を知らないと言うのはどういう事だろうか? 今までずっと戦ってきた敵の事を知らないなどと言うのは到底信じられるものでは無いが、今のナイチンゲールに嘘をついている様子は見受けられない。

 

「……って事は何か? アンタは自分の意志でここに来たってわけか?」

 

「さぁ、どうでしょうか?」

 

「……おい、質問に答えろよ」

 

「私の意志、と言えばそうなのでしょう。しかし、私の意志で無いと言われればそうでもあります」

 

「何訳の分からないこと言ってんだ!?」

 

「……頭の中で声がするのです。『今、カルデアでは病が蔓延している』と……私は、それを根絶する為にここにいます。私は自分の意志でここに居ますが、私を導いたのは何か別の物だと言う事です」

 

 目を閉じ、こともなげにそう言ったナイチンゲールを俺たちは警戒しながら見つめる。間違いなくこれはソロモンの差し金だ、だとしたら何を目的として彼女を送り込んできたのだろうか?

 こちら側に戻って来たマシュたちや聖杯を奪い返す為でも俺たちを殺す為でも無く『俺たちを救うべく』ナイチンゲールを送り込んだソロモンの真の目的は何なのだろうか? 予想がまるでつかない俺たちはナイチンゲールの次の動きを待つ。

 

「……そうですね、そうだ。もう、最優先で治療する患者たちは集まりました」

 

 そう言いながらナイチンゲールは静かに目を開ける。その赤い瞳に俺たちを映した彼女から、思い威圧感が発せられる。

 

「ちっ、やる気かよ!?」

 

「下がれマスター! ここは俺たちが……」

 

 そのただならぬ雰囲気に戦闘になると感じたクー・フーリンとロビンフッドが俺を庇う様にして前に出る。己の武器を手に取り、隙を見せる事無くナイチンゲールを睨む俺たちの前で彼女はゆっくりと手を伸ばすと……

 

「……では、治療を開始しましょう」

 

 眉一つ動かさず、服を脱ぎ始めた。

 

「……は? ちょ、えぇぇぇっ!?」

 

 俺たち三人の驚く声にも耳を貸さずに粛々と服を脱ぎ続けるナイチンゲール。真っ赤な上着を脱ぎ、黒のミニスカートを下ろす。ブーツ、靴下、手袋、ブラジャー、そしてショーツと身に着けていたすべての衣類を脱いだ彼女は生まれたままの姿を隠す事無く俺たちに見せびらかしていた。

 

「な、なにやってんの!?」

 

「何……と言われても、治療の準備ですが?」

 

「治療の準備でなんで裸になるのさ!」

 

 口ではそう言いながらも俺はナイチンゲールの裸体から目を離せなかった。普段一切の露出を許さない彼女の真っ白な肌が隠す事無く白日の下に晒されている。魅力的な肢体も服の下からでも分かる豊かな胸もすべてが俺たちの前に晒されているのだ。

 

「さて、皆さんも服を脱いで下さい。治療を開始しますので」

 

「なっ、なんでさっ!?」

 

「大丈夫、私がすべて行いますから皆さんは気を楽にしていれば良いのです」

 

「人の話を聞けよっ!」

 

 ずんずんと俺たちに近づいて来たナイチンゲールは恥ずかしがる様子など一切見せずに俺たちにも全裸になる様に要求してきた。先ほどよりも近い位置で見える彼女の裸に興奮しているが、俺たちはそれを必死に抑えて彼女に抵抗する。

 

「う……うぅぅ……っ」

 

「……おい、なんだ今の声?」

 

 そんな時だった。医務室の中から苦しそうな呻き声が聞こえて来たのだ。突然のその声に固まる俺たちだったが、ナイチンゲールだけは舌打ちをした後で俺たちの後ろにあったベットへと近寄って行く。

 

「……治療がまだ不十分でしたか、致し方ありませんね」

 

 かしゃり、とベットの周囲を覆っていたカーテンを開けるナイチンゲール。その上に横たわっていた人物を見た俺は驚いて叫んだ。

 

「す、スパルタクス!?」

 

 そこに寝そべっていたのは灰色の巨人、スパルタクスだった。何故か全裸で倒れている彼は、陰茎を勃起させていた。

 そんなスパルタクスを見たナイチンゲールは彼に近づくと溜め息を吐きながら勃起したそれを手で掴んだ。

 

「やはり、まだ毒素が抜けきっていなかったのですね……安心してください、私があなたを助けて見せます」

 

 言うが早いがナイチンゲールは両手で自分の豊かな乳房を掴むとその谷間にスパルタクスの肉棒を挟み込んだ。そして、口から涎を垂らし、それを潤滑油にしながら胸で扱き始める。

 

「おっ、おおっ……おおおっ……!!!」

 

「我慢しないで射精して下さい、それは出さなければならないものなのですから」

 

 そう言ったナイチンゲールは責めを加速させる。パイズリの動きを速め、谷間から飛び出している亀頭を口に含む。ジュルジュルと音を立ててスパルタクスの肉棒を吸いながら、胸での愛撫を更に激しくしていった。

 

「くぉぉぉぉっ……!」

 

「な、なにがどうなってるんだ……!?」

 

 訳が分からないと言った兄貴の言葉は俺たち全員の心の叫びを表していた。一体何故ナイチンゲールはスパルタクスに奉仕しているのだろうか? 少なくとも彼女はこんなことをする女性では無かったはずだ。

 

「ぐっ……おぉぉっ!!!」

 

「んぶっ、うぅっ!」

 

 あっけにとられる俺たちの前で限界を迎えたスパルタクスは絶頂した。巨大な肉棒に相応しい量の精液を放ち、口に入りきらなかったナイチンゲールの胸元を白く汚していく。

 

「う、うぅ……」

 

 その射精で文字通り精根尽き果てたのかスパルタクスは静かになった。固く勃起していた肉棒は萎え、へにょりとへたっている。

 

「……いけませんね、体を汚してしまいました。これでは治療に悪影響が出ます。シャワーを浴びてくるので少々お待ちを」

 

「ま、待って! ……い、今のが治療? 何を言ってるの!?」

 

「……何を言っているとはこちらのセリフです。あなた方は医術について全くの無知なのですか?」

 

「俺たちは医術の専門家ではないけど、今のがおかしいだなんてすぐに気が付くよ!」

 

「なるほど……では、私が説明いたします。今のは男性の体内に溜まった毒素を射精を通して排出するという医療行為です。吐き出した毒素は二次感染を防ぐ為に看護師である私が飲み込み体内で浄化します。多少体が興奮状態になると言う問題がありますが……無論、患者が死す事に比べれば些末な問題です」

 

「な、ナイチンゲール……!?」

 

「『性交・絶頂・射精』……私の躰は、男性のおちんぽを気持ち良くする為にあります。先ほど行った治療行為である口まんこでの淫行フェラチオやおっぱいを使った愛撫であるパイズリと言った初級の医療行為から、まんこにおちんぽを突っ込んでそこに射精させると言うセックス、けつまんこを使った性交であるアナルセックス、さらには迅速な治療が必要な場面ではまんことけつまんこを両方使った二穴セックスと言ったあらゆる治療行為を行えるのです」

 

 淫らな言葉を次々と口にするナイチンゲールは大真面目で性行為の事を治療行為だと説明している。ここに至って、俺たちはソロモンがナイチンゲールに何をしたかを理解した。

 

 彼女はソロモンによって常識を書き換えられたのだ。生前から彼女が身命を賭して改革していった『医療』と言う部分をまるきりでたらめな物へと変貌させられたのだ。

 文字通り狂ったナイチンゲールは性行為こそが人の命を救う方法だと信じて疑っていない。冗談でも何でもなく、彼女はセックスを医療だと思い込んでいるのだ。

 

「ご安心ください……私が来た以上、射精による衰弱死はあっても病に屈した死はありません……皆さんは安心して、私に命を預ければ良いのです」

 

 そう言ったナイチンゲールは俺たちに背を向けて部屋を出る。シャワーを浴びに行った彼女の背中を、俺たちはただ呆けた顔で見ている事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『先輩っ! 聞こえますか、先輩っ!?』

 

「この声、マシュ!?」

 

『今、医務室をモニターしています。そこだけに放送して声を届けていますが……とりあえず、現状の報告をさせていただきます!』

 

 慌ただしくそう言ったマシュの後ろではがやがやと人の騒ぐ声がする。きっとそこにカルデアの職員が避難しているのだろうと思った俺は、彼らが無事であることに安堵した。

 

『……三人とも聞こえるかい? これは相当マズイ事になったよ』

 

「ダヴィンチちゃん、状況は!?」

 

「……落ち着いて聞いてくれ、ロマンを含めたカルデアの全職員がダウンして、非常に危険な状態だ。すべての元凶は彼女、ナイチンゲールさ」

 

「ナイチンゲールが!? どういう事!?」

 

「彼女には男性特攻の魂喰いの様なスキルが付与されているんだ、これは近くに居る男性の生命力を奪ってしまう物で、対魔力の低い英霊や並みの魔術師ではすぐに行動不能になるほど強力な物さ」

 

「……って事はもしかして、俺たちが今朝から体調不良なのもあいつのせいって事か!?」

 

「恐らくはね……おかしいと思ったんだよ、カルデアの職員全員が体調不良だなんてさ、こりゃあ、ソロモンの奴とんでもない絡め手を使って来たぞ」 

 

 状況を分析しているダヴィンチちゃんの言葉に対して軽い絶望感を覚える俺、カルデアはナイチンゲールと言う病原体によって壊滅の危機に瀕しているのだ

 

「……まごまご言ってても仕方がねぇ、緊急事態だ!」

 

「な、なにしてるの兄貴!?」

 

 兄貴が槍を取り出して部屋を出て行こうとする。慌ててそれを止めた俺に対して、兄貴は強い口調で言う。

 

「俺たちが動けなくなる前にあの女を倒す、それしか助かる道はねぇ!」

 

「……確かに、旦那の言う通りだ。俺たちが動けなくなったらまともに戦えるのはマシュだけ……そうなる前に、癌になった部分は切除しないとな」

 

「……ところがどっこい、そうもいかないんだよ」

 

 兄貴の言葉に対して待ったをかけるのはダヴィンチちゃんだ。彼女は分かっている事実を元にソロモンの作戦を説明する。

 

「良いかい? 今、私たちが英霊を召喚できないのには二つの理由がある。一つは英霊の座に誰も居ない事、もう一つは英霊たちがカルデアの召喚システムに反応してくれないって事さ」

 

「……反応してくれないってどういう事だよ?」

 

「すっごく分かり易く行っちゃうと、淫紋令呪の支配から抜けない限り、英霊は必ずソロモンの所に召喚されちゃうってわけさ。さて、それを前提にナイチンゲールを殺してみたとしよう。するとどうなる?」

 

 もしもナイチンゲールがここで俺たちに倒され、英霊の座に帰ったとして……ソロモンはすかさず彼女を再召喚するだろう。そして、再びカルデアへと送り出す。

 霊基が育っていない状態だとしても十分な意味がある。なぜなら、彼女は戦う為では無くスキルによって俺たちを衰弱されるために送り込まれているのだから。なんど倒してもその都度復活して俺たちが力尽きるまで医療行為と称した性行為を行うのだ。

 

「……やべぇ、絶望的じゃねぇかよ」

 

「だから言っただろう、とんでもない絡め手だって……この策略を打ち破るのは相当難しいよ」

 

「……難しい、って事は方法はあるんだね!?」

 

「かなり危険だけどね」

 

 俺の質問の答えたダヴィンチちゃんはこの危機的状況を脱する方策を教えてくれた。

 

「先ほど言ったナイチンゲールの広範囲魂喰いスキルは恐らくだが淫紋令呪の効果によって生み出された物だ。つまり、マスターがソロモンから我々に変われば、その時点でスキルが消滅すると思われる」

 

「つまり、いつも通り寝取り返してやれば良いって事か?」

 

「そうだね、しかしそれは簡単な事じゃない。相手は「鉄の女」ことナイチンゲール、人の話を聞かない事にかけては随一だ」

 

「単純な快楽だけであの女を堕とせって事か……」

 

 非常に厳しい問題、あのナイチンゲールが快楽に堕ちる姿など想像がつかない。ソロモンはナイチンゲールの常識を変える事で彼女を性奴隷としたがマスターとして認められたわけでは無い様だ。淫紋令呪の効果で言う事は聞くが、本来のマスターである俺を主として認識している以上、本当の意味では堕ちきっていないと言う事になる。

 

 だが、それが逆に恐ろしい。ソロモンの手によって汚されていないと言う事はソロモンに対する怨恨や悲哀の感情が無いと言う事だ。その上、俺たちの中に彼女との生前の付き合いがある人間が居るわけでは無い。エリザベートやスカサハの時に使った方法は使えないのだ。

 

「……要点だけまとめるとだ。生命力を吸われながらナイチンゲールを抱いて、あの鉄面皮を剥がして快楽堕ちさせろって事だな?」

 

「なんてハードモードだよそれ」

 

「でも、それをやらなきゃカルデアは全滅だ……俺たちがやるしかない!」

 

 俺の言葉に兄貴たちはやれやれと言った表情を見せたが反論はしなかった。十分に体が動くうちにナイチンゲールを奪還しないと詰んでしまう、それを回避する為に一丸となる事を決めた俺たちは、とにかく作戦を考えようとしたが……

 

「……お待たせいたしました。さっそく治療を開始しましょう」

 

 驚くべき速さで体を綺麗にし終えたナイチンゲールが帰ってきてしまった。艶やかな裸体を隠す事無く迫るナイチンゲールは、俺たちがまだ裸になっていない事に対して視線をとがらせる。

 

「……治療に協力する気が無いのならこちらにも考えがあります。私の言う通り、即刻服を脱ぎなさい!」

 

 語気を強めて命令するナイチンゲール、俺はその気迫に押されぬ様に気持ちを強く持ちながら彼女に提案した。

 

「ご、ゴメン……やっぱり緊張しちゃってさ、もう少しだけ時間を……」

 

「なりません、医療において時間は非常に重要です。一秒も無駄には出来ません」

 

 俺の言葉を即切り捨てるナイチンゲール、どうにかして時間を稼ごうとする俺だったが、その前に兄貴が動いた。

 

「あぁ、わかったよ。服脱ぐから少し待て」

 

 兄貴は瞬時に服を脱ぎ捨てると全裸になる。そして、その姿をナイチンゲールに見せつけた。

 

「これで良いんだろ?」

 

「はい。では、残りの二人も早くどうぞ」

 

 鋭い視線と共に促されれば従うしかない。俺とロビンは出来る限りゆっくりと服を脱ぎ、ナイチンゲールや兄貴同様生まれたままの姿になった。

 

「よろしい、これでようやく治療に入れます。では、まず……」

 

「ちょっと待った! 流石にこんな風情も何もない状況じゃあ立つもんも立たねぇよ。まず、俺たちの緊張を解いてくれや」

 

「……と、言うと?」

 

「簡単だよ、アンタの体を好きにさせてくれれば良い。温かい女の肌に触れてりゃあ緊張も解れるだろ」

 

「なるほど……分かりました、許可します」

 

 そう言うとナイチンゲールは両手を頭の後ろで組み、脚を肩幅に広げる。そして、その状態で軽くひざを曲げ、俺たちに触られやすい体勢になった。

 

「私は抵抗をしません。どうぞ心ゆくまで私の躰を堪能して下さい」

 

「ひゅ~……仕事熱心な看護師さんだ」

 

 俺たちに体を差し出したナイチンゲールを全方位からぐるっと見る。美しいその体を隅々まで観察する。

 普段全く露出をしないせいか、ナイチンゲールの肌にはシミどころか怪我一つ無い。普通よりも白く透き通るような肌は瑞々しい張りを持っており、それだけでも十分ナイチンゲールの魅力が感じられた。

 ふっくらとした胸はスカサハに匹敵するほど大きく、形も整っている。女性としての魅力あふれるその体を前にした俺は素直な反応として喉を鳴らした。

 

「……遠慮なく触って下さい。皆さんが早く興奮すれば、その分早く治療に移れると言う物です」

 

「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて……」

 

 俺はナイチンゲールの開いた脚の真ん中にある股座の前に顔を寄せる。ふぅ、と強めに息を吐いて彼女の性器を刺激すると、わずかながら体がピクリと動いた。

 

「……ナイチンゲール、下の毛生えてないんだね?」

 

「自分で剃りました。そちらの方が興奮する男性が多いので」

 

 彼女の言う通りだった。豊満な女性の躰、冷静沈着な性格とそれに見合った顔つきのナイチンゲールの秘部がまるで子供の様なパイパンと言うのはギャップがあって非常にそそる。

 つるつるとしたその部分を触れた後で両手を使って秘裂を左右に広げると、綺麗なサーモンピンクの色をした彼女の膣が目に入った。

 

「すごく、綺麗で……エロい」

 

 自然と感想を口から漏らした俺はその部分にむしゃぶりつく、ナイチンゲール自身の温もりを帯びた膣の柔らかさを舌で感じながら届く範囲を舐めつくす。

 甘さとしょっぱさが口の中に広がり、少しずつ膣の肉が柔らかくなっていく。あっという間に解れたナイチンゲールの膣肉だったが、当の本人は顔色一つ変えずに俺を見下ろしているだけだった。

 

「愛液の分泌と膣の柔軟化を確認……ご苦労様ですマスター、これで何時でもおまんこセックスが出来ます」

 

 こともなげに淫らな言葉を吐くナイチンゲールはいつも通りの無機質な目で俺を見ている。膣への愛撫で一切の反応を見せない彼女に対して一瞬ひるんだ俺の代わりに兄貴とロビンが責めを仕掛けた。

 

「んじゃ、こっちの穴も解しておこうかね!」

 

「……舌出してくれよ。あんたの唇、美味そうだ」

 

 兄貴はナイチンゲールの尻肉を掴んでその中心にある窄まりに舌を這わせる。ぐいっと力強く開かれたナイチンゲールのアナルは兄貴に舐められながらもひくひくと収縮を繰り返していた。

 ロビンはナイチンゲールの顎を掴んでその唇を奪う。舌を絡ませ、じゅくじゅくと求めあいながら口の中を責める。

 そして、俺もまた彼女の膣に舌を挿入した。先ほどよりも丁寧に舌でナイチンゲールを責め、快楽を与えて行く。

 

 口、膣、アナルの三点責め……時折ぴくりと震えるナイチンゲールの躰に熱が籠って行くのを感じながら俺たちは息を合わせて彼女を責める。しかし……

 

「……もう、十分でしょう? 緊張は解れたのであれば、さっそく治療に移りたいのですが」

 

 眉一つ動かさずナイチンゲールは俺たちを見つめている。敏感な部分を三か所同時に責めたと言うのにまるで感じている素振りを見せないのだ。

 

 ナイチンゲールの膣からは愛液が溢れている。快感を得ていない訳では無いのだろうが、体の仕組み的に膣に触れられれば潤滑油としてそれが排出されることも分かっている。

 もしかしたらナイチンゲールは不感症では無いかと思えるほどに何の反応も示さないでいた。

 

「あ、あんた、気持ち良くないのか?」

 

「妙な事を聞きますねロビンフッド、治療行為に快感など不要です。さて、あなたも治療を受ける用意は出来たようですね」

 

「のわっ!?」

 

 そう言うとナイチンゲールはロビンをベットへと突き飛ばした。丁度そのベットに座り込む様になったロビンの前に膝をつくと、スパルタクスにした様にその大きな胸でロビンの肉棒を包み込む。

 

「くぅ……っ!」

 

「……まずは私のおっぱいで射精して貰いましょう。大丈夫、気を楽にしていれば良いのですから」

 

 自分の胸を両脇から抑え込んで上下に揺らすナイチンゲール。彼女の豊かな胸は柔らかくロビンのそれを包み込み快感を与えて行く。

 

「はぁ……むっ!」

 

「くおぉっ!?」

 

 口を大きく開けたナイチンゲールはロビンの亀頭を咥えこむと上目遣いでそれを啜り始めた。出来る限りいやらしく、そして淫らにロビンに奉仕するその姿は看護婦には到底見えない。

 まるで娼婦の様にロビンに奉仕し続けていたナイチンゲールだったが、ピクリと震えると怪訝な表情をして後ろを振り向いた。

 

「……何をしているのです? 治療行為の邪魔になる事はして欲しくないのですが」

 

「アンタの尻を見てたら我慢できなくってな。ちょいと弄らせてくれよ」

 

 注意するナイチンゲールの言葉を軽く受け流しながら兄貴は彼女の丸い臀部を撫で回す。触れるか触れないかぐらいの力加減でそっと触ったかと思えば、いきなり強く尻を鷲掴みにする。かと思えば平手打ちをして、ナイチンゲールの尻を存分に弄んでいた。

 

「スパンキング……どうやらあなたは女性に対して加虐的な嗜好があるようですね」

 

「いやなに、こんな滑らかで張りのある尻ならちょいと悪戯したくなるってもんさ! マスターも触ってみろよ、この尻、かなり良いぜ」

 

「う、うん!」

 

 俺も兄貴に乗る様にしてナイチンゲールの尻を撫でる。胸同様に豊かなその尻にはふっくらとした肉がついており、丸くなだらかな曲線を描いている。

 そっと指先で突いてみれば、張りのある尻肉がその指を押しかえす。しかし、決してナイチンゲールの尻が固いわけでは無い。柔らかく、それでいて瑞々しさのあるその尻は、確かに絶品であった。

 

「本当だ……すごく素敵なお尻だよ……!」

 

「だろう? なぁ、看護婦さんよ。アンタの尻、ちょっとばかり好きにさせて貰っても良いだろ?」

 

「……わかりました。ですが、治療の障害になる様な行為は控えてください」

 

「わかったよ。それじゃあ、許可も下りたところで……」

 

 俺と兄貴はナイチンゲールを責める。激しく手を動かすのではなく静かに優しく彼女のお尻を揉んで、その官能を刺激する。俺たちが尻肉を堪能している間もナイチンゲールはロビンへの奉仕の手を休める事はしない。先ほどよりも激しさを増して胸を揺らし、肉棒に吸い付く。

 

「くっ、もうっ……!」

 

 苦しそうに呻いたロビンはナイチンゲール頭を押さえると彼女の喉の奥深くまで自分の肉棒を突っ込んだ。その行為に対して一瞬目を見開いたナイチンゲールだったが……

 

「っっっ……!」

 

 震え、射精したロビンに対して身じろぎ一つせずに精液を受け入れる。二度、三度と震えたロビンが静かになると、ナイチンゲールはゆっくりと肉棒を口から引き抜き、その中を見せる。

 

「あ~……」

 

 ナイチンゲールの口の中はロビンの精液で一杯であった。俺たちにそれを見せつけたナイチンゲールは、一度口を閉じるとくちゅくちゅと精液を口の中で味わう。そして、ごくりと喉を鳴らして嚥下した彼女が口を再び開けると、そこには先ほどまであった精液が影も形も無くなっていた。

 

 ナイチンゲールの口からは青臭い精液の匂いが発せられている。涎はねちっこく粘り気のあるものになっている事がまたいやらしい。

 男の官能を刺激する行動を取ったナイチンゲールは深々と頭を下げてロビンに土下座する。そして、ゆっくりと顔を上げると、ロビンの目をまっすぐに見て言った。

 

「……治療に協力して頂き、ありがとうございました。大変濃厚で美味しいザーメンでした……しかし、興奮した故の行動とは言え、治療器具を乱暴に扱って貰っては困りますね」

 

「治療、器具……? そ、それって、ナイチンゲールの事……?」

 

「他に何があるの言うのですか? 私は皆さまにザーメンを射精して頂き、健康になって貰う為の器具……いわば、尿瓶と同じ存在です」

 

 その発言に俺たちは驚愕した。先ほどまでナイチンゲールは自分の事を看護師だと言っていたはずだ。それが、何故か今は器具と自称している。自分の尊厳を自ら捨てる発言をしているのだ。

 

「……まさか、射精される度に自分の存在意義が変わってくのかよ?」

 

「うそだろ、おい……!」

 

 信じられないと言う様なロビンの言葉、しかし、俺もそれしかないと思った。

 常識が狂った状態でカルデアにやって来たナイチンゲールは、スパルタクスとのセックスの果てに自分の存在意義を見失っていたのだ。彼女の中にあるのは人を救う=セックスと言う狂った理念だけ……それ故、彼女はその理想を叶える度に自分をその目的の為に最適な存在へと思い込んでいる。

 

 男性の射精を促す事が看護婦としての務め、しかし、射精の手助けならば看護婦でなくたって出来る。もっと言うならば人でなくとも良いのだ。

 そう考えたナイチンゲールは、自らを「人を癒す人間」から、「射精の為の道具」として認識した。人としての尊厳を捨て、性の処理の為の道具へと成り下がったのだ。

 

 もし、このまま彼女がこの考えを突き詰めていったらどうなるか? そんなの想像に難しくない。

 ナイチンゲールにとって最も重要なのは『人を救う事』だ。今の彼女の場合、それは『男性に射精して貰う事』と言うことになる。きっと彼女はその為に次々と自分の持つ物を投げ捨てる。誇りも意思も感覚も、「そんなものよりも射精の方が大事だ」と言って……

 

 その果てに出来上がるのは、『射精して貰う為に何でもする奴隷』……文字通りの肉便器だ。男性に興奮して貰う為に淫らな言葉を言い続け、誠心誠意の性奉仕をし、どんな変態的な要望にも喜んで応じる女性……いや、道具としてナイチンゲールは完成する。それが命を救う事になると信じて、彼女は男性に奉仕し続ける。

 

 しかし、絶対にそうはいかない。なぜなら、今の彼女は近づく男の生命力を吸い取ってしまうからだ。性交なんてもっての外、何の魔力耐性も無い普通の人間ならば、あっという間に死んでしまうだろう。

 自分の必死の治療こと性行為を受けても次々と死んでいく患者たち、それを見てもなお、ナイチンゲールは諦めることは無い。必ず彼女は次の命を救う為に行動を続けて行く。自分こそが、彼らを殺している病原菌だとは気が付かないままにだ。

 

 きっとソロモンはそんなナイチンゲールの姿を見て嗤うのだろう。常識を捻じ曲げられ、自分の一生を捧げた医療に関しての記憶を改竄された彼女が、何の意味も無いどころか人の命を奪う為に男たちに抱かれて大真面目に変態的な行為に身を投じる様を嘲るのだ。このままでは、間違いなくそうなってしまう。

 

「さぁ、治療を続けましょう……次は誰が射精しますか? どんなことをしたいですか? おまんこ、くちまんこ、乳まんこ、けつまんこ、全てが皆様のおちんぽを気持ち良くする為の器官です」

 

「望まれるのであれば特殊なプレイも喜んで致しましょう。私の躰、髪の毛一本に至るまで射精の為にお使いください」

 

「大丈夫、私が来た以上誰も死なせはしません……その為ならば、私は喜んで便器にもなりますから」

 

 光の無い目で言い切ったナイチンゲールが俺たちに近づいてくる。時間が経てば死、かといってナイチンゲールを抱いて射精しても状況は悪化するばかり。まさに絶望的としか言い様がないこの状況で…………俺たちは、笑った。

 

「……なるほどねぇ、そういう事か。なら、やりようは幾らでもあらぁね」

 

「丁度こいつの癖も分かって来たところだ、そろそろ反撃と行こうか!」 

 

「ああ! ここからは俺たちが攻める番だ!」

 

 かすかな希望を信じて立ち上がる。全裸では格好がつかないが、それでも俺たちは不敵に笑う。

 描かれた勝利への道筋は狭く険しいものだ。しかし、勝つ方法があると言うのならどんなに厳しい方法でも必ずやり遂げる。

 

 信念を捻じ曲げられ狂わされた天使を救うべく、俺たちは行動を開始したのであった。

 

 




明日のソロモン戦、勝って奴に小便王と言ってやりましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

婦長、復活(ナイチンゲール)

 ソロモン戦、お疲れさまでした。思う事はあるでしょうが、この作品内では気にせずにおいて下さい。お願いします、なんでもしますから!


「……さぁ、次は誰の治療を優先すれば良いですか?」

 

 目に光が灯っていないナイチンゲールが一歩近づく、美しい裸体を見せつけながら治療と言う名の性交をするべく俺たちに迫りくる。

 抱かなくては彼女を取り戻せない、しかし、抱けば抱くほどに状況が悪化すると言う鬼畜な状況。だが、俺たちはその問題に対する策を見つけ出した。

 

「じゃあ、俺からお願いするよ」

 

「良い返事です、マスター。治療に積極的なのは感心できますね。では、どうしますか? お好みの射精方法を申し上げてください」

 

 満足そうに頷いたナイチンゲールは俺を見ながら奉仕の方法を尋ねる。自らを射精の為の道具と定義している彼女は躊躇いなく自分の躰を俺に差し出す。

 

「何も遠慮することはありません、皆さんは私の躰を好きに扱えば良いのです。皆様の健康的な射精を促すのが私の役目……その為なら、私は何でも致しましょう」

 

 また一つ、ナイチンゲールの中で自分の定義が崩れ去った。『射精』と言う彼女自身の最大の目的のためにナイチンゲールはそれに必要な物以外は捨て去るつもりだ。

 意思も誇りも必要ない。ただ男に抱かれ、興奮して貰う為の躰があれば良い。そう考えているであろう彼女はこのまま何処までも堕ちて行くのだろう。

 

「……じゃあ、さっそくお願いしたい事があるんだけどさ」

 

「何でしょうか?」

 

 そんな事絶対にさせない。覚悟と共に俺は作戦の一歩目を踏み出す。堕ちた天使を引き上げる為の戦いが、今、幕を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これが、あなたの望みなのですか?」

 

「ああ、うん……すごく良いよ、ナイチンゲール……」

 

 疑問とも呆れとも取れるナイチンゲールの声に応えながら行為を続ける。俺は今、四つん這いになったナイチンゲールのヒップに顔を埋めていた。

 

 優しく腰を掴み、柔かな尻肉に顔を埋める。張りが有りながらもふわりとした感触を持つ柔肌の感触を目一杯楽しむ。

 はたから見れば変態としか思えないこの行為に対してナイチンゲールが呆れるのも当然だろう、何時までもそうしている俺に対して我慢が効かなくなったのか、彼女は多少怒りの籠った声で俺を叱る。

 

「何時までそうしているつもりですか? 私の臀部が気に入ったのは分かりましたから、早く次の行為に移りなさい!」

 

「ん……あともう少し……」

 

「なりません! 先ほども申し上げた通り、治療は一分一秒を争う物! いつまでも意味の無い事をしているわけにはいきません!」

 

「でも、ナイチンゲールのお尻が気持ち良いんだもん」

 

「それは分かりました! でしたら私の尻の谷間におちんぽを挟んで扱いて貰って構いません! 後背位でのセックスもお望みならばけつまんこセックスも許可します! ですから迅速な射精を……」

 

「……ナイチンゲール、悪いけど俺、射精はしないよ?」

 

「は……?」

 

 俺の言葉を受けたナイチンゲールは一度ぽかんとした表情を浮かべた後で……怒りの形相で俺を睨んだ。

 すぐさま俺を振り払うとその場に仁王立ちして俺を見下す。冷める事の無い怒りがその視線には宿っている。

 

「……私の聞き間違いでしょうか? マスター、あなたは射精する気が無いと仰いましたか?」

 

「うん、言った」

 

「私の嫌いな物を覚えておいでですか? 治せない病と治る気の無い患者……あなたは、後者に値します。即刻その言葉を撤回しないと、強制的な治療を……っっ!?」

 

「おいおいマスター、そんな言い方はダメだろ? ちゃんと言ってやらないと看護婦さんが誤解しちまう」

 

 俺に詰め寄るナイチンゲールを後ろからロビンが抑える。豊かな彼女の胸を両手で弄びながら俺に向かって注意するロビンと視線を交えた俺は、この作戦の肝となる演技を開始した。

 

「誤解させてごめんねナイチンゲール……俺、ちゃんと射精する気はあるよ。でも、ナイチンゲールの躰に射精する気は無い。自分で処理するんだ」

 

「だから、あんたには俺たちのおかずになって欲しいって事だよ」

 

「なっ……!? 自慰行為による性処理を行うと言うのですか!? いけません、それでは二次感染の危険が……」

 

「でもさ、何時でもナイチンゲールが俺たちの世話をしてくれるわけじゃないでしょ? ほかにも患者さんはいるんだから」

 

「それは……確かに、そうですが……」

 

「だから俺たちは自分で処理させて貰うよ。大事なのは患者の自己管理だろ?」

 

「アンタは俺たちを興奮させてくれれば良いんだ。俺たちがアンタの事を想って、自己処理できる様にな」

 

「………」

 

 ナイチンゲールは俺たちの言葉に対して考え込む様にして目を閉じている。彼女が黙っている間、俺たちも緊張しながら答えが出るのを待つ。

 もしもここでナイチンゲールが俺たちの意見を聞き入れてくれなければお終いだ。この作戦の大前提は『ナイチンゲールに射精しない事』なのだから。

 

 ナイチンゲールに射精してしまった場合、俺たちにとっては何一つとして良い事は無い。俺たちは生命力や魔力を吸い取られ、ナイチンゲールは肉便器へと近づいてしまうからだ。だから、絶対に彼女に射精するわけにはいかない。

 だからまずはそれをナイチンゲールに納得させなければならない。彼女がそれを受け入れて初めて俺たちはスタートラインに立てるのだ。

 

「……お二人の意見は一理あります。確かに、治療後における対処において私の見落としがあったのは確かです」

 

「じゃあ、納得してくれる?」

 

「はい。お三方には私の躰で興奮して頂く事にしましょう。患者の体調の自己管理を意識させるのも私の役目ですから」

 

 俺たちの願いが天に通じたのか、ナイチンゲールはこの意見に納得してくれた。あとは少しずつ彼女を追いつめて行くだけだ。

 

「それじゃあ、続きを始めるね? 今度はナイチンゲールのおまんこを弄らせて貰おうかな」

 

「俺はこのでかい胸を揉ませて貰うとしますか」

 

 許可を得た俺とロビンは互いに別の場所を弄り始める。俺は膣、ロビンは胸、その二か所を優しく丁寧に責め上げる。

 

 毛が生えていないナイチンゲールのおまんこを左右に広げてその膣に舌を挿れる。穴の中を味わう様にして舌を這わせ、ゆっくりと穿り回す。

 そして両手を彼女のお尻に回して尻肉を揉みしだく。先ほどまで顔を埋めていたそこはほのかに温かく、火照っていた。

 

「はぁ……っ、んっ……!」

 

「可愛い声、もっと聞かせてくれよ」

 

 ロビンが甘く囁きながら首筋にキスを落とす。ナイチンゲールの胸の感触を愉しむ様にして触れていたロビンの手が固くなった乳首を抓った瞬間、びくりと彼女の躰が跳ね上がった。

 

「……ナイチンゲール、気持ち良い?」

 

「ふぁ……っ、ち、治療に、快感は必要ありません……っ!」

 

「じゃあ、気持ち良くないの? こんなに溢れてるのに?」

 

「そっ、それは……!」

 

 ナイチンゲールの太ももを伝う愛液を舐め取りながら俺は言う。彼女が興奮している証拠を見せつけた後、ロビンが揺れるナイチンゲールの心に追い打ちをかけた。

 

「……素直に言ってくれよ。アンタが感じてる姿を見せてくれた方が、俺たちも興奮するんだからよ」

 

「あ……!」

 

 優しく、とても優しくそう伝える。俺たちを興奮させるため、治療の為と理由をつけたロビンの一言は、ナイチンゲールの本音を引き出すのに十分だった様で……

 

「……気持ち良い、です。舌と手が私の躰に触れる度に、快感が生まれ、ます……」

 

 頬を紅く染め、色欲を瞳に映しながら、ナイチンゲールは小さく呟いた。快楽を素直に訴えた彼女に対して、俺たちは笑顔を見せる。

 

「良かった。ナイチンゲールも気持ち良くなってくれてたんだ」

 

「もう我慢しなくて良いんだぜ? たくさん喘いで、可愛い声を聴かせてくれよな」

 

「っっ……か、可愛い、など……あっ!?」

 

 更に顔を赤くしたナイチンゲールが否定の言葉を口にする前に俺たちは責めを再開した。先ほどよりも丁寧に、だが強さを増した責めにナイチンゲールが甘い声を漏らす。

 一度快感を認めた体の反応は正直だ。膣からは愛液が溢れ、足元に水たまりを作り始めている。乳首も硬さを増して起立し、そこをロビンに摘まれる度にナイチンゲールは与えられる快感に耐える様にして目を閉じた。

 

「はぁ……はぁ……っ」

 

「ふふふ……ナイチンゲールのここ、すごく可愛い。つるつるで子供みたいなのに、しっかり感じちゃうんだね」

 

「っっ……」

 

「お尻もすべすべで張りがあって、でも柔らかくって……素敵だよ、ナイチンゲール……」

 

「胸も極上もんだ、大きくて女性としての魅力が詰まってる。揉んでて飽きねぇよ」

 

「そう……ですか、そう言って頂けると、私も射精を促すものとして自信が持てます」

 

 褒められた事に対する照れと愛撫による快感で頬を紅潮させながらナイチンゲールが答える。良い意味で彼女の心が蕩けていると判断した俺たちは、作戦を第二段階へと進めた。

 

「……俺、本当はさ、アメリカで会った時からアンタの事、イイな、って思ってたんだよ」

 

「は……?」

 

「俺もだよ。ナイチンゲールの事、素敵な女性だと思ってた」

 

「きゅ、急に何を……?」

 

 俺たちからの誉め言葉に動揺を隠せないナイチンゲール。そんな彼女を俺たちは素直な思いで褒め称える。

 

「最初は怖かったよ? でも、凛とした態度とか、命を救おうと必死になっている姿を見て、凄く素敵だなって思う様になったんだ」

 

「俺もさ……今、そんなアンタの可愛い姿を見て、その思いは強くなったぜ。アンタの意外な一面が見れて、素直に嬉しいよ」

 

「何を、そんな……恥ずかしい、事を……っ!?」

 

「へぇ、アンタもそんな顔をするんだな。鉄面皮が外れりゃあ、可愛いじゃねぇか」

 

「~~~~~っっ!?」

 

 俺たちを見ていた兄貴の一言によって止めを刺されたナイチンゲールは言葉を失って沈黙した。慣れない誉め言葉に戸惑う彼女に対して、俺たちはなおも言葉を送り続ける。

 

「照れてる姿も可愛いよ。もっと見せて欲しいな」

 

「体も心も曝け出してくれよ……俺は、もっとアンタの事が知りたい」

 

「クールなアンタの蕩けた姿にも正直な話、興味があるね」

 

「はぁ……っ、うぅ……♡」

 

 俺の手が触れているナイチンゲールの体と心が震え、熱くなっているのが分かる。誉め言葉による羞恥で顔を真っ赤にしたナイチンゲールはそのまま顔を伏せてしまった。

 

 そんな彼女を見ながら俺たちは作戦の第二段階が滞りなく進んでいる事を確信する。この褒め殺しはただナイチンゲールの羞恥を煽るだけでは無く、彼女を救う為に必要な行動なのだ。

 

 今、ナイチンゲールは自分を道具だと思っている。射精の為に何でもする道具だと自分を定義しているのだ。だから俺たちはそれを否定する。しかし、「君は道具ではない」とは言わない。それはナイチンゲール自身を否定することになるからだ。もしもそんなことを言ったら、自分自身を否定されたと感じた彼女は俺たちの話に耳を貸さなくなってしまうだろう。

 

 だから俺たちはナイチンゲールに対して彼女が魅力的な女性であると言う事をアピールした。ナイチンゲールは血の通った人間であり、魅力溢れる女性であり、命を救う看護婦であると言うことを彼女の心に刷り込むのだ。

 彼女が自分を女性であると意識してくれれば、それは彼女自身が道具だと言う思い込みから脱却する糸口になる。その可能性に賭けて、俺たちはナイチンゲールの心をほぐす様にして彼女に自分が女性である事を染み込ませる。

 

「ナイチンゲールの体、熱くなってる……恥ずかしくって、でも嬉しいんだね?」

 

「俺たちの言葉で喜んでくれたなら嬉しいね。さて、それじゃあもっと悦ばせてやろうかな」

 

「あぁ……っ♡」

 

 丹念に優しくナイチンゲールの体を責め上げる。先ほどと変わらない愛撫だが、ナイチンゲールの反応は大違いだ。

 震える体は熱く火照り、その熱に惹かれて心までが溶け始めている。快感を素直に示す様になったナイチンゲールの口から、甘い声が漏れ出た。

 

「から、だが……こころが……とける……っ♡ 知らない感覚が、しあわせだと、訴えかけてくる……っ♡」

 

「……マスターとロビンに触れられて気持ち良いだろ? もっと二人に体を委ねろよ」

 

「ゆだ、ねる……? これいじょう、ですか?」

 

「ああそうさ、それが二人の為にも、アンタの為にもなる」

 

「そう、ですか……では、そうしましょう……」

 

 兄貴の誘導に従ったナイチンゲールの体から力が抜けた。その体を受け止めたロビンがナイチンゲールを抱きながら後ろのベットに座り、俺もそれに追従する。

 力を抜き、俺たちに体を預け切ったナイチンゲールに女性としての快楽を注ぎ込む。じっくり、たっぷりと与えられる快感が、ナイチンゲールを溶かしていく

 

「ふぁっ……♡ 自分の体が、ここまで熱を帯びるなんて知りませんでした……私も、まだまだ未熟ですね……っ」

 

「ナイチンゲール、今の自分は嫌い?」

 

「いえ……不思議と、嫌悪感はありません。それどころか、他人に奉仕されると言う感覚が心地良く感じます……」

 

「良かった……じゃあ、もっと気持ち良くしてあげるね……!」

 

 俺は再びナイチンゲールの股座に顔を近づける。愛液と唾液でぬらぬらと光るそこに舌を這わせようとしたとき、ナイチンゲールから待ったがかかった。

 

「お、お待ちください、マスター……その、今は、ダメ、です……」

 

「なんで? どうかしたの?」

 

「その……漏れそう、だからです……多分、達したら我慢が効かなくなって、その……」

 

「ナイチンゲール、おしっこ漏れそうなんだ!」

 

「……あまりストレートな表現は女性に対するマナー違反です。覚えておいて下さい」

 

 不機嫌そうな目で俺を睨みつけるナイチンゲール、だが、俺の言葉を否定しないと言う事はそういう事なのだろう。

 ナイチンゲールへの愛撫を止めた俺は手で彼女のまんこをぷにぷにと揉む。胸や尻とは違うその柔らかい感触を愉しみながら、俺はナイチンゲールに提案をした。

 

「ナイチンゲール、おしっこ漏れちゃいそうなんだよね? じゃあ、お願いがあるんだけど」

 

「……なんでしょうか?」

 

「今から俺が言う二つのお願いの内、どっちか選んで実行してよ。ナイチンゲールが好きな方で良いからさ」

 

「……その頼み次第ですが、とりあえず内容を聞かせて貰いましょう」

 

「一つ目はね……俺たちの前でおしっこして欲しいんだ」

 

「……私の放尿シーンを見たいと仰っているのですか?」

 

「そうだよ。ナイチンゲールみたいな綺麗な女の人がおしっこする姿、興味があるんだ」

 

「……その程度ならば、喜んで。では、二つ目は?」

 

「ふふ……俺はね、出来たらこっちの方をして欲しいんだけど……」

 

 静かに笑いながらナイチンゲールの耳元に近づく、そして、そっと彼女に淫らな願いを告げた。

 

「……ナイチンゲールのおしっこ、飲ませて欲しいんだ」

 

「っっ!? な、何を……!?」

 

「ダメ? ……ナイチンゲールのおまんこを咥えて、むしゃぶり尽して、おしっこしてもらえたら……俺、すごく興奮するよ?」

 

「っっ……」

 

「すっごく興奮して、沢山オナニーして……一杯射精出来るよ? 俺にそうして貰いたいんだよね? じゃあ、俺のお願いを聞いてくれるでしょ?」

 

「そ、それは……ひゃうっ!?」

 

 俺は、ナイチンゲールに有無を言わせぬ様にして彼女の女性器を口に含む。軽く甘噛みして強請る様な視線を送った後で一度口を離し、再度彼女に確認を送る。

 

「……良いよねナイチンゲール? 俺に興奮して欲しいんでしょ? それが君の望みなんでしょ? だったら、嫌だなんて言わないよね?」

 

「………」

 

 それだけ言うと、俺は黙り込むナイチンゲールを無視して再び彼女を咥える。ちろちろと舌を動かして放尿を強請り、じっと彼女の様子を伺う。

 何かを迷う様にして視線を動かしていたナイチンゲールだったが、俺と目が合い、見つめ合った後で覚悟を決めた表情を見せた。

 

「……マスター、あなたの仰る通りです。あなたに興奮して貰う事が私の役目であり、望み……であるならば、恥や外聞など捨て置き、あなたの強請る行為をするべきなのでしょう」

 

 そっとナイチンゲールは俺の頭を掴む。優しく、まるで俺が彼女にそうする様にして俺の頭に触れる。

 ナイチンゲールの体が強張るのを感じる。これから彼女が行う事は勇気が要る行為だ。その為に覚悟が必要なのだろう。

 

 深く息を吸って、吐く。そうした後でゆっくりと目を開いたナイチンゲールは俺を見る。そして………

 

「……ですが、あなたのその望みは叶える訳にはいきません」

 

 そっと、俺の顔を自分の女性器から離したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何で? ナイチンゲールは俺に興奮して欲しいんでしょ?」

 

「ええ、あなたには興奮してもらいたいです。その為に私の躰を存分に利用して欲しいとも考えています」

 

「じゃあ何で俺のお願いを聞いてくれないの? 恥ずかしいから? 俺の事なんてどうだって良いから?」

 

「……違います。私は患者の事をどうだって良いと思った事は一度もありません。患者の為なら何だってします。しかし……その願いは叶える訳にはいかないのです」

 

「……じゃあ、何で叶えられないのか理由を教えてよ。ナイチンゲール」

 

 我儘な子供の様に拗ねた口調で俺は尋ねる。ナイチンゲールは、そんな俺に対して真摯な眼差しを向けながら口を開いた。

 

「それは、『あなたの健康に悪い』からです」

 

「尿とは排泄物、人の体内にある不要な物を体外に排出する為にある生理現象です。無論、それが清潔である訳がありません」

 

「汚物を口に含むどころか飲み干すなど正気の沙汰ではありません。百害あって一利なし……例えそれでマスターが興奮するとしても、その行為で体に悪影響が出るのであれば無意味……いえ、マイナスの行為でしかないのです」

 

「私の願いは『あなたを癒す事』ではありません、『あなたの命を守る事』です」

 

 そう、はっきりとした口調で俺に告げたナイチンゲールはまっすぐに俺を見ている。しばらくの間彼女と見つめ合った後で、俺は立ち上がった。

 

「……そっか、それじゃあ仕方ないね。と言う事は、ナイチンゲールは俺たちにおしっこするところを見せる方を選んだと言う事で良いのかな?」

 

「消去法で考えればそうですね」

 

「んじゃ、場所を変えるか。ここでするのはちと後片付けがめんどそうだ」

 

 そう言いながらナイチンゲールを抱えた兄貴を先頭に俺たちは医務室から出て行く。カルデアの廊下を歩いて行く中で、先ほどまで受けていた愛撫の影響か頬を紅潮させているナイチンゲールは俺に向かって小さく詫びた。

 

「……申し訳ありませんマスター。本来、私はあなたの願いを叶えるべき立場の存在のはずです。あなたの願いを無下にしてしまった事、心よりお詫びします」

 

「……ああ、良いんだよナイチンゲール。ナイチンゲールは俺の事を考えてくれたんでしょ? なら、何も気にしなくて良いんだよ」

 

「……はい」

 

 自分の頭を撫でる俺の手に目を細めたナイチンゲールはそう答えた。俺は彼女の頭から手を離すと、兄貴の後ろに回る。

 ナイチンゲールは本当に気にしなくて良いのだ、だって、それが俺たちの狙いだったのだから

 

 俺たちは彼女に二択を突き付けた。その行動はどちらも患者の興奮を煽る為のものだが、それに関しては今は置いておこう。重要なのは突き付けた二択では無く、飲尿を望む俺の願いをナイチンゲールが断れるかどうかだったのである。

 

 俺たちが知る彼女であったならば排泄物を飲ませる事など絶対に許さないだろう。触れることも、もっと言うならば他人に見せる事もだ。それは恥などの感情の問題では無く、彼女が生前から徹底してきた衛生面という所からの話である。

 俺たちがナイチンゲールに突きつけた選択は淫乱な行動のどちらを取るかというものでは無い。『患者の興奮』と『衛生』のどちらかを選ばせることだったのである。

 

 もし、ここでナイチンゲールが俺の興奮の為に自分の尿を俺に飲ませると選択していたならば、俺たちはもっと彼女の心を責めなければならなかったであろう。本来の彼女が絶対に行わないであろう行動を取ると言う事は、まだ本当の自分を取り戻せていないと言う事なのだから

 

 だが、彼女はそうしなかった。俺を興奮させる事よりも彼女が今まで大切にしてきたものを選んだのだ。彼女にとって真に価値のあるものが、『射精させる事』ではなく『命を守る事』であると自分で気が付いたのだ。

 男性の射精の為ならば何でもする……そう言っていたナイチンゲールは、自らの言葉を反故にした。これはどういう意味か?

 

 崩れ始めたのだ、ソロモンがナイチンゲールに植え付けた狂った常識が、矛盾点を表すと共にひびを入れているのだ。

 『男性の射精を促すための道具』であったはずの自分は『命を守る事を使命とする女性』であると思い出した。

 『射精こそが命を救う医術』と思い込んでいたが、それよりも大事な『命を守る為の行動』がある事を思い出した。

 

 ならばあと思い出すことは一つしかない。『本当の自分は何者であったのか?』……それを思い出させる方法はただ一つ。

 ソロモンの掛けた催眠を打ち砕く最後の鍵、快楽による淫紋令呪の書き換え……それを行う準備は整った。あとは俺たち次第だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「脚、肩幅に広げて、あと、もう少しがに股になって」

 

「こう、でしょうか……?」

 

「うん、良い感じで下品だよ。興奮する」

 

「ふふ……良い感じに下品、とは面白い言い方をしますね」

 

 俺の言葉を捉えてナイチンゲールが笑う。クスリとした小さな笑みだったが、彼女が笑うと言う事自体が珍しい。

 その笑顔もそうだが、何となくナイチンゲールの雰囲気が柔らかくなった様に感じる。先ほどまでの余裕の無いせかせかした雰囲気から、何かを楽しむ様な余裕のあるものに変わった彼女の態度に俺たちは手ごたえを感じていた。

 

「では、恥ずかしくはありますが……覚悟を決めましょうか」

 

「ちょっと待って、ナイチンゲール」

 

 準備を終え、今まさに排泄をしようとするナイチンゲールに待ったをかけた俺は持ってきていた自分のスマートフォンのカメラ機能を起動する。自分に向けられた携帯のカメラを見たナイチンゲールの顔に少しだけ焦りの色が浮かんだ。

 

「そ、それは……もしかして……?」

 

「うん、せっかくだからナイチンゲールのおもらしを撮っておこうと思ってね!」

 

「そりゃあ良い! 後で何回でも見直せるな!」

 

「治療記録って事で、一つご協力頼むぜ? 看護婦さん!」

 

「~~~~~~~っっ」

 

 顔を俯かせたナイチンゲールの顔が赤く染まっているのが見える。心が溶けて来た彼女に感情が戻って来ている証拠だ。思えば、ナイチンゲールは何も感じていない様に見えてしっかりと人間としての感性を持っている。いくら鉄面皮の彼女でも、恥ずかしいものを恥ずかしいと感じる心はちゃんとあるのだ。

 

「み、皆さんは、私の、その……放尿する姿を、そんなに見たいのですか? え、映像として記録するほどに……?」

 

「……ああ、そうだよ。俺たちは、アンタの普段見せないエロい姿が見てみたいんだ」

 

「そう、ですか……こんな私の、浅ましい姿が、そんなにも………」

 

 そう言いながらゆっくりと顔を上げたナイチンゲールは……笑っていた。その笑顔はとても淫らで、見ている俺たちに息を飲ませるには十分な代物だった。

 

 口元をわずかに歪ませ、目をほんの少し細めるだけの微笑。しかし、赤く染まった頬と荒い息遣いが淫卑な印象を与えてくる。

 女としての快感が現れ、男を誘う為に浮かべる笑み……それが、ナイチンゲールの浮かべている笑顔だ。それを本人が意識してやっているのかどうかは分からない。だが、その笑顔は浮かべている本人も含め、俺たちを興奮させた。

 

「見て下さい、記録して下さい……天使とまで呼ばれた私が、複数の男性の前で嬉々としてほうにょ……いえ、おしっこをする様を……そして、存分に興奮して下さい……♡」

 

 淫らな願いを口にしたナイチンゲールの股から黄金の飛沫が噴き出す。綺麗なアーチを描いて床に落ちて行くそれは、一種の芸術品の様であった。

 本来女性がしゃがみながら行う行為である放尿、それをまるで男がする時の様に立ったままのナイチンゲールが行っている。興奮でぱっくりと開いた秘部も、固くなった陰核も、ツンと立っている乳首も、興奮の色を示しているナイチンゲールの表情も俺たちに丸見えだ。

 そしてその全てを俺の手の中にあるカメラが記録している。浅ましく興奮するナイチンゲールの姿を、この小さな機械が捉えているのだ。

 

「はぁ……♡ はぁ……っ♡ いかが、でしたか? 私の、おもらしは……?」

 

 荒い息を吐きながらナイチンゲールが尋ねる。自分の変態的な姿を男性に見せて興奮を煽ると言う行為に快感を得た彼女の目には、淫欲の炎が灯っている。

 じっくりと進めて来た俺たちの作戦が実を結んできた。ナイチンゲールは女性の幸せが与える快感に身を震わせている。あとは、存分に可愛がってあげるだけだ。

 

「……良く撮れてるよナイチンゲール、ほら、見て御覧?」

 

「あぁ……♡ なんと浅ましくて、淫らで、情けない姿……♡ これが、私……っ♡」

 

 おもらし宣言からの放尿、その一部始終と快感を得ている自分の姿を見たナイチンゲールは更に体を熱くした。そんな彼女の胸に、ロビンが手を伸ばす。

 

「くあっ……♡」

 

「……良い声が出る様になってきたな。感じてる姿も可愛いぜ」

 

「あっ♡ くぅ……あり、がとうございますっ……♡」

 

 自分の胸を揺らしてナイチンゲールが悦ぶ。甘く、快感に蕩けた声を出す彼女の脚の間にシャワーを差し込んだ俺は、持っていたスマートフォンをナイチンゲールに差し出した。

 

「ほら、これ持って。内側カメラになってるから、確認しながら自分の顔を撮るんだよ」

 

「ま、マスター、これは……? そんなところにシャワーをおいて、な、なにをするつもりですか……? まさか……!?」

 

「そのまさか、だよ」

 

 笑顔を見せながら蛇口をひねる。シャワーヘッドから勢いよくお湯が飛び出し、ナイチンゲールの股にぶつかって行く。

 

「あぁぁぁぁぁぁっっ♡♡」

 

 シャワーのお湯に自分の女性器を刺激され、快感を感じるナイチンゲールから嬌声が溢れる。俺たちに良い様に転がされる彼女に対して、兄貴が囁く

 

「なぁ、アンタもしかしてMなのか? 弄られて随分と良い声で鳴いてるけどよ?」

 

「わかっ、りません……っ、わた、し、は、こんなふう、に、ちりょういがいで、おとこのひとに、だかっ、れたことはぅっ、ありませんから……っ」

 

「へぇ……良い事聞けたよ。アンタ、今、俺たちに治療以外の目的で抱かれてるんだな?」

 

「あ……! そ、それは……っ」

 

「そうなんだ? 俺たちに弄られて気持ち良いから、治療なんかどうでも良いって思っちゃったんだ?」

 

「ちがっ、いますっ……! これはっ、ちりょうこういです……っ!」

 

 ナイチンゲールはきっと鋭い視線で俺たちを睨んだ…………つもりなのだろう。だが、今の彼女の表情は快感によって蕩けて締まりがないものになっている。威厳なんて微塵も無い。

 胸を揉まれ、性器を水責めされ、さらには言葉で高められている彼女はどろどろになっている。心も体も蕩けきって、快楽の虜になっているのだ。

 

「ははは! そうさなぁ、これは治療行為だよなぁ! ……じゃあ、俺も本気を出しますかね!」

 

「ひゃいぃぃっ♡♡♡」

 

 両手が空いていた兄貴がついに責めを開始した。ナイチンゲールの下半身にある二つの穴……膣とアナルに指を突っ込んで、ぐちゅぐちゅと掻き回す。二本の指が膣に出し入れされる度、中指が尻穴を穿る度にナイチンゲールの腰ががくがくと震える。

 

「しら、ないぃ……♡ こんな、かいかん……わたしは、しらない……っ♡」

 

 未知の快感に翻弄されながらもナイチンゲールは自分の感じている顔を撮る手を下げはしない。忠実に従順に、俺の言いつけを守り続けている。

 

「ねぇ、今ナイチンゲールがどうなってるのか教えてよ」

 

「あぁっ……♡ わ、わたしは、いま、クー・フーリンさんに、まんこ、とっ、けつまんこをい、いじられて、はしたなくかんじていますっ!」

 

 溶けた声、淫らな言葉、快感に酔った顔付き……その全てが、ナイチンゲールの心の中を表している。

 俺たちの手によって高められたナイチンゲールは一人の女として快感に身を任せている。ここまで来たらあとは簡単だ。偽りの仮面を壊して、本当の彼女を取り戻してやれば良い。その為に必要な準備は、完全に整えられている。

 

「感じてるナイチンゲール、すごく可愛いよ……」

 

「はぁぁぁぁぁ……♡」

 

 がくがくと震えるナイチンゲールの股間からは、尿道に残っていたのであろう黄金色の液体がちょろちょろと漏れ出ている。だが、快感に包まれて自制が効かなくなった膀胱が緩み飛沫を上げている事に気が付かない程までナイチンゲールは快感に翻弄されていた。

 

「ほっ、おぉぉ……♡ はぁぁ……っ♡」

 

「……震えが大きくなってきたな、イきそうなんだろ?」

 

「いいぜ、じゃあ、思いっきりイかせてやるよ」

 

「くひゃぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 ロビンの胸を揉む手が、兄貴の双穴を穿る手が、その激しさを増して行く。それに比例する様にして響き渡るナイチンゲールの嬌声。しかし、そこまで快感に酔いながらも彼女からは下品さは感じられない。

 ナイチンゲールから感じるのは純粋な幸福と快楽。今まで知る事の無かった女としての幸福に身を包まれた彼女は、大人びた雰囲気に反した少女の様な幸せの笑みを浮かべて俺たちに身を差し出している。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 一際大きな叫びをあげたナイチンゲールの体が仰け反り、硬直する。膣から滝の様に溢れる愛液をシャワーのお湯に紛れさせながら絶頂した彼女は、仰け反ったままの姿勢で二度、三度と全身を痙攣させる。

 

「あ………あぁ……っ」

 

「可愛いイキっぷりだったよ、ナイチンゲール……」

 

 立ち上がり、彼女の顔を触れながらキスをする。開きっぱなしの口に舌を挿れれば、それに応えてナイチンゲールも自分の舌を絡めてくる。

 舌を絡ませてお互いを貪り合いながら前を向かせる。唇を離すとナイチンゲールの口からはほう、と甘い息が漏れた。

 

「……次は、何をしますか? 何をすれば良いですか? 何をすれば、気持ち良くなれますか……?」

 

 気持ち良くなるのは俺たちなのか、それともナイチンゲールなのかは明言されていない。きっとどちらもなのだろうが

 

 熱に浮かされた視線で俺たちを見るナイチンゲールの頭を優しく撫でる。そして、耳元に口を近づけた俺は、そっと囁いた。

 

「……次は無いよナイチンゲール、これで終わりさ」

 

「え……?」 

   

 驚きに見開かれた眼を見つめ返して彼女から離れる。薄ら笑いを浮かべながら次々と言葉を投げかける。

 

「ナイチンゲールが頑張ってくれたから俺たち一杯興奮できたよ! だから、もう治療はお終い!」

 

「感謝するぜナイチンゲール、アンタのお陰で良いオカズがたくさん出来た」

 

「俺たちの自慰行為も捗るってもんだ、ありがとな」

 

「そ、んな……?」

 

 信じられない、という様に絞り出されたその声には軽い絶望の色が混じっていた。火が付いた体を持て余したままにされ、ナイチンゲールの官能が満足することなく行為が終わってしまった事に対する絶望が、はっきりと表れている。

 だがその言葉に遠慮をする俺たちではない。ちゃっちゃと後片付けを終えてシャワールームから出て行く。ナイチンゲールには見向きもせず、服を置いたままの医務室へと戻るとそれを掴んで自室へと戻るべく医務室のドアを潜る。

 

 もう治療は終わったのだ、ここに居る必要など無い。後は自室で療養するだけ……狂った常識を植え付けられたナイチンゲールなら……いや、狂った常識を植え付けられた彼女だからこそ、その行動を止める訳がない。

 だがしかし、医務室のドアが開くと同時に俺たちの目に飛び込んできたのは、俯いたナイチンゲールが通せんぼするかの様に扉の前に立ち尽くす姿だった。

 

「……そこをどいてくれないかな? 俺たち、部屋に帰るんだ」

 

「何時までも裸で居たら風邪ひいちまうぜ?」

 

「医者の不養生なんて言葉もあるんだ、体には気をつけろよ」

 

 あくまで優しくナイチンゲールに語り掛ける俺たち、もう治療は終わったのだから無理はしなくて良いと暗に告げているその言葉に対して彼女は反応しなかった。

 

 不意に、ナイチンゲールが反転した。綺麗なヒップと背中を俺たちに見せながら、ナイチンゲールは廊下に両手を着く。

 四つん這いになり、高々とお尻を掲げたナイチンゲールは、とても静かに懇願の言葉を口にした。

 

「……私を、抱いて下さい」

 

 俯く彼女の顔は見えない、ただ、自分のいやらしい部分を見せつけて俺たちに抱かれることを願うナイチンゲールに声をかける。

 

「ナイチンゲール、もう治療は終わりだよ。ナイチンゲールが俺たちに抱かれる必要は無いんだ」

 

「……ええ、その通りなのでしょう。もう皆さんは十分に興奮していて、自分を慰める事で射精できる。私の治療はもう不必要です。だから……もう、これは治療ではありません」

 

「治療じゃなくて、なんだ?」

 

「……私が、女としてあなたたちに抱かれたい……熱を帯びた躰を皆さんに触れて貰いたい、私が、快楽に飲み込まれたいから抱いて欲しいのです……お願いです、どうか……私を、抱いてください……!」

 

「………」

 

 無言でナイチンゲールに手を伸ばし、こちらを向かせる。恥ずかし気な表情を浮かべた彼女は顔を手で隠しながらちらちらと俺たち一人一人の様子を伺っている。

 体から垂れるお湯と共に彼女の足元に水たまりを作るのは愛液、火が付いた体が男を求めて垂れ流す涎だ。

 

 自らの女の部分を自覚させられ、未知の快感を体に叩き込まれたナイチンゲールはその快楽に飲み込まれて堕ちた。ソロモンが成し遂げることが出来なかったその偉業を達成した俺たちの口元には笑みが浮かぶ。

 

「……良いよ、ナイチンゲール。大好きなナイチンゲールにそう頼まれたら、断れるわけないよ」

 

「お望み通り抱いてやるぜ、アンタが満足するまできっちりたっぷりとな」

 

「アンタの体に精液を浴びせてやるよ。中側にも、外側にもな……!」

 

「はい……よろしく、お願いします……♡」

 

 自分の頼みに許可が下りた事に愉悦を感じながらナイチンゲールが一歩前に、俺たちの傍に近寄る。ドアを潜り、廊下から医務室に入り、俺たちに抱かれるために体を差し出す。

 彼女の背後で閉まったドアにロックをかける。もうこれでナイチンゲールは逃げられない。あとは俺たちが満足するまで体を貪られるだけだ。

 そして、次にドアが開く時は……彼女が、本来の自分を取り戻した時になるのだろう。俺たちは、彼女に刻まれた淫紋令呪に最後の揺さぶりをかける為に、宴を始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、うぅぅぅぅぅ……♡」

 

「ああ、良いまんこだ。男慣れしてねぇが、きっちり柔らかく解れてる開発し甲斐のあるまんこだぜ、これは」

 

「あぁ……おお、きぃ……♡」

 

 壁に押し付けられたナイチンゲールは膣に兄貴の剛直を受け入れていた。真正面から自分を抱きすくめる兄貴とキスをしながら突き入れられる肉棒が子宮を叩く

 がくがくと震えるナイチンゲールの脚はその体を支えると言う役目を果たせていない。今、ナイチンゲールを支えているのは抱きしめる兄貴の腕の力と、突き刺さる太い肉棒だけである。

 

「いっ、あ、あぁ、あぁぁっ♡」 

 

「ここと……ここだな、お前さんの弱点はよ」

 

「ひっ、いぃぃぃぃぃっ♡」

 

 縦横無尽に膣を突かれ、自らの感じる部分を次々と探り当てられるナイチンゲール。今まで『治療行為』と銘打った性行為は重ねてきたが、こうして女として抱かれるのは初めてなのだろう。自分の体を理解していない彼女に対して兄貴は百戦錬磨の性豪だ、敵うはずが無い。

 

「すごい……♡ こんな、かんじる、なんて……♡」

 

「大事なのは大きさよりもテクニックさ、覚えておけよ」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ………♡♡♡」

 

 一際深く突き入れられたナイチンゲールの腰が浮く。その腰をがっちりとホールドした兄貴の手の感触に、ナイチンゲールは激しい性交を期待したが……

 

「え……?」

 

 兄貴は動くことをしなかった。いや、動きはしたのだ。だが、それはナイチンゲールを感じさせる為のものでは無かった。

 くるりと反転した兄貴はナイチンゲールのお尻を俺たちに見せる様にして体勢を作る。脚を掴み、彼女の体を自分の腕で支えて肩口から何かを企んでいる笑みを見せる。

 

「おあずけは、やめて下さい……こんな、生殺しなんて……」

 

「安心しろよ、そんなつもりはねぇ。ただ、アンタの尻が大好きなマスターと一緒に楽しもうと思ってな」

 

「っっ……!」

 

「……分かるだろ? お前から誘わねぇとな」

 

「……はい」

 

 ナイチンゲールは兄貴に抱えられたまま振り向くと俺の目を見る。そして、空いている両手で自分の尻肉を掴むと、それを左右に広げて中心にある窄まりを俺に見せつける。

 ひくひくと蠢くそこは時々期待しているかのようにぽかりと口を広げる。その煽情的な光景に目を奪われている俺に対して、ナイチンゲールは赤い顔をしたまま強請る。

 

「マスター、あの……嫌でなければの話なのですが……」

 

「……何、ナイチンゲール?」

 

「……わ、私のけつまんこにマスターのお恵みを下さい。だらしなく広がるこの穴に、マスターのおちんぽ……おぉぉぉぉぉっ♡」

 

 ナイチンゲールの言葉は途中から獣の様な叫び声に変わった。俺が、彼女のアナルに肉棒を突き入れたからだ

 奥へ、もっと奥へと肉棒を押し込めばナイチンゲールの口からは今まで聞いた事の無い声が漏れる。脱力し、肛門性交の快感に酔いしれるナイチンゲールの目を見つめて可愛がってあげる。

 

「はへぇ……♡ は、へえぇ……♡」

 

「可愛いよナイチンゲール……そんなに涎を垂れ流しちゃって、けつまんこ穿られるのが気に入ったんだね?」

 

「お、お……♡ ごり、ごりと……わたしの、うちがわでぇ、あついものが、こすれるぅ……♡ ちつも、あなるも、ふといものが、みっちりつまってる……♡」

 

「二本刺しが随分と気に入ったみたいだな」

 

「まだ挿れただけで、動いてもいないのにね」

 

「あ、あ……♡ そうでした、ここから、さらに、きもちよくっ……♡」

 

 期待に染まるナイチンゲールの声、彼女の二つの穴はぎちぎちと締まり俺たちの肉棒にも快感を与えてくる。

 俺は後ろから彼女の豊かな胸を揉みしだきながら耳を舐める。もう、どんな事をしても感じる体へと変えてやろうと言う思いが燃え上がっている。

 

「マスター、クー・フーリンさん……お二人は、こんな私を見て、幻滅しませんか? 浅ましい女だと、軽蔑しませんか?」

 

「そんな事あるはずがないだろ? 今のナイチンゲール、すごく可愛いよ」

 

「いつもは見せない顔のアンタを見れて俺もマスターも嬉しいぜ、軽蔑なんかするもんかよ」

 

「そう、ですか……それを聞けて、安心しました……」

 

 口を塞ぐようにしてキスを落とす。固くなった乳首をこりこりと弄りながら胸全体を可愛がる。腰を振ってアナルを責めれば、ナイチンゲールの喉の奥からくぐもった叫びが響いてくる。

 がむしゃらにナイチンゲールの体を貪る俺に対して兄貴は余裕たっぷりだ、ゆっくりと楽しむ様にして膣内の感じる所を一つ一つあぶり出し、そこを突いて行く。対照的な俺たちの動きだが、同じようにしてナイチンゲールに快感を与えて行く。

 

「ん~~っ♡ んん~~~っっ♡」

 

「余裕たっぷりに愛されんのも、がむしゃらに求められんのも悪くないだろ? 何回かこなせばどっちが好みか分かるさ、もっとも、どっちも好きにして見せる自信はあるがね」

 

「~~~~~~~~っっっ♡♡♡」

 

 ナイチンゲールの体の痙攣が早く、大きくなる。穴の締め付けもきつくなり、俺たちの剛直を千切らんばかりだ。

 もう限界が近い事を察した俺は一度唇を離すとアナルを責めることに専念する。

 

「ナイチンゲール、もうすこし、我慢してっ!」

 

「はい……♡ 皆さん、全員で……っ」

 

「気張れよ? 俺たちはそう甘くないからな!」

 

「ひぐっ♡ はっ、あぁぁぁぁぁ……♡」

 

 交互に響く腰のぶつかり合う音が徐々に激しくなり、一つに重なっていく。息を合わせて最奥を抉り、切なさを煽る様にして同時に引き抜く。多少は意識しているが大半は兄貴の手引きで楽しむ初めての二穴セックスは俺にとっても気持ちが良い。

 穴が締まり、体の中で相手の肉棒に擦れる感覚に反応してしまう。挿れている俺がこうなのだから、挿れられている側のナイチンゲールはもっとすごいのだろう。声と表情を蕩けさせながら、それでもナイチンゲールは達することを我慢していた。

 

「はぎ……っ、くぅ……っ、も、もう……!」

 

「大丈夫、俺たちも限界だ!」

 

「射精すよっ! ナイチンゲール!」

 

「あ、あぁ……♡ やっと、やっと……♡」

 

 待ちわびた瞬間がもうすぐだと理解したナイチンゲールの我慢が解けるのが分かった。同時に兄貴の肉棒が彼女の子宮を押し上げた事も、俺もまた直腸の奥まで自身を潜り込ませたこともだ。

 

「あ……あぁ……っ」

 

 ぱくぱくと口を開け閉めするナイチンゲールの頭の中は、与えられた快感が大きすぎてそれを理解できない様であった。徐々に、雪が解ける様にしてその大きな快感を理解し始めた時、彼女の体が激しく震え始める。

 

「ひ、あひ、ひぃっ……♡」

 

 雪崩の様に体を襲う快感に抗えないままナイチンゲールは震え続ける。その震えは体の内側……膣と腸にも起きていた。涙をこぼし、初めての快楽に酔いながら、ナイチンゲールは前後の穴から与えられた快楽に屈し、絶頂の叫びを上げた。

 

「ひあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡ あぁ、あぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 きつく締まる穴とその振動に耐えきれず俺たちも絶頂の唸りと共にナイチンゲールの中に欲望をぶちまける。歯を食いしばり、これでもかと注ぎ込まれたその熱い感触にナイチンゲールの腰が跳ね上がった。

 

「あ、あ、あついぃ……♡ にえ、たぎるものが、わたしの、なかにぃ……♡」

 

 うわ言を漏らすナイチンゲールから分身を抜き取り、体を反転させる。真正面に来た俺の顔を快楽に溶けた目で見るナイチンゲールに対して兄貴が言う。

 

「さぁ、二回戦だ。今度は俺がアンタの尻で楽しませて貰うぜ!」

 

「俺がおまんこだよ、ナイチンゲール」

 

「い、一度洗って綺麗にしてか……らぁぁぁっ♡」

 

 喋るナイチンゲールの乳首をぎゅっと摘まんであげるとその声は嬌声へと変わる。十分に快楽に飲まれたナイチンゲールに向かって満足げに笑いかけながら俺は囁く。

 

「……まだまだ、何度だって君を抱くからね。嫌だって叫んでも、疲れたって弱音を吐いても関係無い。俺たちが満足するまで、ナイチンゲールは抱かれ続けるんだよ……!」

 

「あ、あぁ……♡ そんな、そんな事……っ♡」

 

 おぞましい俺の言葉にナイチンゲールは恐怖の声を上げる。しかし、その表情には期待の色がありありと見える。

 彼女の下腹部に刻まれた淫紋令呪がちかちかと輝いているのが見える。この調子で抱き続ければきっと術者が書き換えられるはずだと確信した俺は、ナイチンゲールの膣に己の肉棒を突き入れ………

 

「………あ、れ?」

 

 不意に、膝から力が抜けた。視界から色が消え去り、灰色の世界がやって来る。指一つ動かせない倦怠感の中で、俺に声をかけるロビンと兄貴の声を遠くに聞きながら思った。

 

 時間切れだと、ナイチンゲールの魂喰いスキルの効果が俺を蝕んだのだと。彼女に長く触れ、あまつさえ射精までしてしまった俺の生命力は限界を迎えた様だ。

 あと少しだったのに、もう少しで、ナイチンゲールを救えたのに……灰色から黒へと染まって行く視界が、俺の終わりを告げている。

 

(ゴメン、皆……ゴメン、ナイチン、ゲー、ル……)

 

 真っ黒に染まった世界の中で、心からの謝罪を想いながら、俺はやって来た死を迎え入れた…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいえ、貴方は死なせません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 力強く響く声が聞こえた瞬間、唇に柔らかい感触が触れた。同時に目の前に紅の光が灯る。それが、俺を抱くナイチンゲールの瞳の色だと気が付いたのは、ぼやけた視界を俺が取り戻してからだった。

 

「マスター! 良かった!」

 

「お静かに! ……まだ、応急処置を施したにすぎません。本格的な治療をしなければ遅かれ早かれ命を落とすでしょう」

 

 冷静で的確な、でも、命を思いやる優しさを感じるその声に安堵の息が漏れる。俺の体を支える彼女の瞳を覗き込めば、そこには強い光が灯っていた。

 

「マスター、私の声が聞こえますね? 今、経口摂取で私の魔力を送り込みましたが体の機能は一割ほどしか戻っていないでしょう。ですから、私の言う事を信じて、その通りにして下さい」

 

 視線で同意の意を示す。それが伝わったか伝わっていないかは分からないが、ナイチンゲールは俺に言い聞かせる様にして指示を下す。

 

「……ゆっくり、口を開いて……そう、そのまま……閉じてはだめですよ、マスター」

 

 ナイチンゲールは開いた俺の口の中に自分の乳首を入れた。ほんの少しだけ固いそれを口の中に感じながら俺は次の指示を待つ。

 

「弱くても構いません。それを吸って下さい。落ち着いて、ゆっくりで構いませんから……」

 

 俺は言われた通りナイチンゲールの乳首を吸う。まるで母の乳を吸う赤子の様な俺を、ナイチンゲールは優しく見つめている。

 五度、六度と口の中の乳首を吸っていた時だった。何か甘い味が口に広がり、それが喉の奥を流れ落ちて行く。同時に体に力が戻る感覚を覚えた俺は、驚きの目でナイチンゲールを見た。

 

「……良かった。どうやら吸えた様ですね。それは、皆さんから奪った生命力と魔力を母乳と言う形で放出したものです。摂り過ぎは厳禁ですが、今のマスターにはこれ以上ない薬かと」

 

「母乳……? な、なんでアンタ、そんなスキルを……?」

 

「恐らく、ソロモンの支配下にあった時に習得した『魂喰い』のスキルが書き換わったのでしょう。他者の命を奪うスキルから、他者の命を救うスキルへの変換。治療行為にも大いに役立つでしょう」

 

 そっと、ナイチンゲールは自分の下腹部を撫でた。視界の端に映るそれの色は黒から赤へと変わり、マシュたち同様の可愛らしい模様に変わっている。

 狂った常識を植え付けられていたナイチンゲールは、ようやくかつての自分自身を取り戻した。命を救う天使としての自分を思い出し、ソロモンの呪縛から解き放たれたのだ。

 

「あり、がとう……ナイチンゲール……」

 

 たどたどしくお礼の言葉を口にした俺に対してナイチンゲールは優しく微笑む。再び口の中に自分の乳首を入れ、それを吸わせながら、そっと頭を撫でてくれた。

 

「……お礼を言うのは私の方ですよ、マスター。……死と言う名の病原菌を振りまいていた私を治してくれたのは、貴方たちなんですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……俺たちやカルデアの職員を弱らせていた魂喰いのスキルは消滅した。それは間違いないな?」

 

「恐らくですがね。こうやってマスターが回復しているのが証拠かと」

 

 暫し後、状況を確認する兄貴たちの中で、俺は未だにナイチンゲールの母乳を飲んでいた。体力的にはだいぶ回復したのだが、ナイチンゲールが口を離すことを許してくれないのだ。

 正直、とても恥ずかしい。そう言って逃げようとしたのだが、「私だって恥ずかしいに決まっているでしょう!」の言葉と共に胸に顔を押し付けられて再び授乳コースへとご招待されたのだ。この頑固さは間違いなくかつてのナイチンゲールだ。そう思いながら俺はさっさとこの状況から脱するべく一心不乱に母乳を飲んでいた。

 

「っっ、くぅ……♡ ほ、放っておいても回復するとはいえ、職員たちの容態が心配です。マスター同様にこれを飲ませないといけません」

 

「ああ、そうだな。んじゃあ、マスターへの授乳が終わったらそっちに取り組みますか」

 

「そうですね。と言いたい所なんですが……」

 

「あ?」

 

 言葉を切ったナイチンゲールは優雅に、淫靡に微笑む。ゾクリと震える様な上品な淫らさを感じるその笑みに俺たちが言葉を失っていると……

 

「まさか、あそこまで高められ、今も射乳の快感を感じている私がたった一回の性交で満足したとでもお思いですか? まだまだ、体には火が点いたままなのです。このままではいらぬ医療ミスを犯してしまうかもしれません。ですから……」

 

「たっぷりと、私を抱いてくださいね? 満足するまで、心行くまで私を抱いて、この体を可愛がってくださいね? なにせお三方は私のマスターとなったのですから、その責務は果たして貰いますよ」

 

 かなり積極的にセックスを強請るナイチンゲール、しかし、なんか怖い。

 そう言えば、ナイチンゲールは生前は未婚だったはずだ。生まれも上流階級だったはずだから厳しかっただろうし、もしかしたらなのだが、本気のセックスは初めてだったのかもしれない。

 

「……ご安心をマスター、貴方は病み上がりの身ですから、ちゃんと手加減はしますよ? ちゃ~んと、ね……♡」

 

 妖しく笑うナイチンゲールを見ながら、俺たちはとんでもない化け物に性の悦びを教えてしまったのではないかと戦慄したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「も、もう無理……起たねぇ……」

 

「あ、あれで手加減してるとか、化け物かよ……?」

 

「な、なんか、回復した分吸い取られた気がする……」

 

 そして数時間後、ナイチンゲールとの二回戦を終えた俺たちは一堂にげっそりした顔で栄養剤を飲んでいた。疲れ果てた俺たちはナイチンゲールへの恐れを口にする。

 

「あれ、サーヴァントだって事を踏まえても驚異的なタフネスだろ、マジで陸軍一人で相手できるんじゃねぇの?」

 

「しかも今、ぶっ倒れてた職員たちの治療をしてるんだよな? マジで鉄の女だわ……」

 

「兄貴、ロビン。ナイチンゲールを抱く時は、三人一緒にきちんと準備をしてからにしようね……」

 

「「異議なし」」 

 

 嘆息、そして栄養剤を飲み干す。ようやく疲れが抜けて来た俺たちの前に、ダヴィンチちゃんが姿を現した。

 

「や~諸君、お疲れ様! ナイチンゲールの新スキルは体力回復に役立ちそうだよ! 私も搾乳機を作って大量に搾り取ってるところだけど、成分分析をするのが楽しみだなぁ!」

 

「あ、そう……じゃあ、これで一件落着で良いんだよね?」

 

「俺たち、休むわ……」

 

 今日はもう疲れた。さっさと部屋に戻って休もう。俺たちはダヴィンチちゃんにそう告げて去ろうとしたが………

 

「あ~……それがちょっと問題があってね……」

 

「は……? 問題って、なにが……?」

 

「……随分とお楽しみでしたね、マスター」

 

 俺たちの背中に投げかけられる冷ややかな声、その声に恐る恐る振り向くと、そこには三人の女性が立っていた。

 

「……ロビン、アンタ、大きなおっぱいに夢中だったじゃない。揉んだり吸ったり挟んで貰ったり……楽しんだかしら?」

 

「え、エリザベート……!?」

 

「どうせアタシはパイズリも出来なきゃミルクも出ないおこちゃまおっぱいですよ! ふんだ!」

 

 拗ねるエリちゃん、現在のカルデアに居る女性の中では唯一の貧乳なのでそこは気にしていたのだろう。コンプレックスを刺激された彼女はだいぶご機嫌ななめだ、しかし、それは彼女だけでは無い。

 

「セタンタよ。お前はあれか? 同じようなクール系美人なら、年若い方が良いと言うか? ん? 私はお前にあんなに可愛い可愛いと言われた事は無いのだがな?」

 

「ちょっと待てよ! これは仕方がないだろ!?」

 

「いーや知らん。これはどうやらきっちりと教育しておかねばならぬようだな」

 

 ヤンデレスカサハここに降臨。目のハイライトがイッちゃってるスカサハはマジで怖い。別な意味でR-18確定である。

 そして、ここまで来たら俺も覚悟するしかない。今俺の目の前で笑顔を浮かべている女性もまた、二人と同じ様に怒っているのだろうと思いながら、俺は彼女の様子を伺う。

 

「ま、マシュ、さん? 何か、怒ってませんかね?」

 

「何を言っているんですか先輩、私は何も怒ってはいませんよ? ですが、そうですねぇ……」

 

「な、何?」

 

「……先輩に一から開発して貰った私のお尻が、ナイチンゲールさんのお尻に負けているというのは気になります。ええ、とても気になりますよ。怒ってはいませんがね」

 

 めっちゃ怒ってらっしゃるじゃないですかマシュさん! 笑顔が逆に怖くて仕方が無いですよ!

 

 本来ならばこれは可愛らしいやきもちのはずだ。愛する男に他の女を可愛いと言われたら面白くないと言う事は重々承知している。

 しかし、このプレッシャーを放つのは歴戦の英霊たち……円卓の騎士と影の国の女王、龍の血を引く狂気の女帝の三人である。無論、そんな可愛い言葉で終わるはずも無くて……

 

「……男の人にぶっかけられると胸って大きくなるらしいわよ。早速試してみましょ、ロ・ビ・ン♡」

 

「お前が私を可愛がってくれないのならば仕方があるまい……代わりに、私がお前を可愛がろう。性的な意味でな」

 

「せ~んぱい! 先輩が、私のお尻が一番だって思ってくれるまで、使い込んで貰いますから、覚悟してくださいね♡」

 

 有無を言わさぬ迫力、恐怖のおねだり。とてつもない威圧感を放つ彼女たちに今日はもう起ちませんと言う訳にもいかない俺たちは、ただ震えながら頷くしかなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女ってそういうとこあるよね。こっちにも事情があるってのに聞く耳なしでさぁ……アルテミスもそうだったし、勿論浮気は良くないけど……あ、ごめん。俺の話は今度にしよう。婦長印のおっぱいミルク持ってきたから、これ飲んで元気出そう? なんか死にかけてるよ君たち」

 

 その後、搾りに搾り取られた俺たちはオリオンの持ってきてくれた差し入れで九死に一生を得たのだが、それはまぁ、話さなくても良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回からは幕間を三連発で出す予定です。新年までに一本は投稿したいですね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 肉便器師匠の記憶(スカサハ)堕ち描写注意

恐らく今年最後の投稿、短いけれど楽しんで下さい。

スカサハ以外にも出てるけどね


 

 

 

 深呼吸、軽いストレッチ、再び深呼吸……そうした後でベットに座ったスカサハは、傍らにある黒い機械とケースを見る。

 ヘルメットとゴーグルが組み合わさった様なその機械を膝の上に置き、手に取ったケースの蓋を開ける。中には、数字が書かれている小さなメモリースティックが数枚入っていた。

 

 スカサハはその中から「1」の番号が書かれたスティックを取り出すと膝の上の機械に挿入する。そして、それを頭に装着するとベットに横たわった。

 

「……本当に、こんなもので記憶が見れるのか?」

 

 多少の不信感もあるが、これを作ったのはかの万能の天才だ。彼女の言葉を信じるならばこれで自分の記憶が再体験できるのだろう。

 『ダヴィンチちゃん特製・電脳記録疑似体験マシーン』通称「ダヴィンチちゃんVR」は、装着した人物の脳に効果を発揮し、見ている映像の感触から匂い、ついでに味までを再現するとてつもない機械だ。今、スカサハはそれを使ってかつて自分がソロモンに囚われていた時の記憶を再体験しようとしている。

 

『使うかどうかは君に任せるよ。まぁ、ゲーム感覚で遊んでくれたまえ』

 

 そう言ってこれを渡してきた彼女の言葉を思い出す。スカサハにとっては自分が篭絡されていた時の忌まわしい記憶だが、それを振り返らずに蓋をする事は自分の失敗から逃げている様で嫌だった。なにより、自分の記憶から何か手がかりが見つかるかもしれないと思いながら目を閉じる。

 

(……ゲーム、か……まぁ、そんな感覚で臨んだ方が良いのだろうな)

 

 自分の中で一応の納得を覚えながら、スカサハは眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん、んっはぁっ♡」

 

 ずちゅん、と自分の膣を突かれる感触で目が覚めたスカサハは嬌声を上げながら意識を覚醒させる。そして、自分を起こしてくれた愛しいホムンクルスに対して笑みを浮かべた。

 

「おはようせたんた……時間ぴったりに起こしてくれたな」

 

「Grruu……!」

 

 唸り声を上げたホムンクルスは椅子の様に変形していた体を元の人型へと戻して立ち上がる。彼と合体しているスカサハも彼の動きに合わせて体を起き上がらせた。

 

 スカサハはソロモンに堕とされたあの日からずっとせたんたと結合したまま過ごしている。腕と脚は彼の中に取り込まれ地面を踏むことも何かを掴むこともしていない。乳房はせたんたに生えている複腕が包み込み、乳首もその中心にある小さな口に噛まれ、吸われっぱなしになっていた。

 そして何より、彼女の下半身の二つの穴は当然の様にせたんたの肉棒を咥えこんでいる。食事、見回り、睡眠のいかなる時も性交をし続けている二人はぐずぐずに快楽に蕩けきっていた。

 

「ふふ……♡ お前のちんぽで起こされると言うのは最高に幸せだな、せたんたよ……♡」

 

「Grruu!」

 

「……あぁ、すまんすまん。お前の朝ご飯をやらなくてはな」

 

 自分の股座にマグカップを持った手を伸ばしたせたんたを見たスカサハは申し訳なさそうに呟くと体を硬直させる。そして……

 

「……朝の一番搾りだ。たっぷりと飲むと良い」

 

 そのカップ目掛けて放尿を始めた。

 

 ちょろちょろと湯気を立てながらカップに注がれていくスカサハの尿。八文目まで溜まった所で止まったそれをせたんたは一気に飲み干す。

 ホムンクルスの原動力である魔力を充填する為の方法、スカサハの排泄物に残るわずかな魔力を体に取り込むことによってせたんたは活動に必要な力を蓄えるのだ。

 魔術王ソロモンが作っただけあり、その効率は抜群でコップ一杯の尿で十分一日を過ごせるはずなのだが………

 

「Giryuuu!」

 

「はは、まだ飲み足りないのか? 随分と私のおしっこが気に入った様だな!」

 

「Guuuu……♡」

 

 子供がジュースのお替りをせがむ様にしてスカサハに放尿を強請るせたんた、そんな彼に対して優し気な笑顔を浮かべた後でスカサハは再び体を強張らせると……

 

「ならば、好きなだけ飲むが良い!」

 

「Gyao♡ Gyao♡」

 

 喉を鳴らして自分の排泄物を飲み干すせたんたにうっとりとした視線を送るスカサハ、愛しい彼の望みに応えて何度も放尿しながら言い聞かせる様に話しかける。

 

「さぁ……食事が終わったら仕事の始まりだ。今日も城の見回りだぞ?」

 

「Goooo……!」

 

「わかったわかった! まったく、お前は食いしん坊だなぁ……♡」

 

 幾度となく彼に餌を与えた後で二人は揃って部屋を出た。今日もまた甘美な快感に彩られた一日が始まる事に期待しながら、スカサハは子宮がきゅんとときめくのを感じていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご苦労牛若丸、交代の時間だぞ」

 

「やぁスカサハ殿! もうそんな時間ですか」

 

 部屋を出て数分、スカサハは廊下を歩く一人の女性に声をかけた。歩く、と言っても二本の脚で歩いているわけでは無い。両手両足を使い四足歩行で廊下を這っている彼女の名は牛若丸、スカサハ同様、ソロモンに堕とされた英霊の一人だ。

 

 牛若丸は尻に突き刺さっている張り型を揺らしてスカサハに返事をする。スカサハがまるで犬の様に振る舞う彼女の無様な姿をなんとも思わない様に牛若丸もせたんたに貫かれ、交わり続けているスカサハの姿を不思議に思うことは無い。

 主の命だから……それだけで今の二人は納得して喜んでそれに従う。特に、牛若丸の様な忠義心が篤い英霊にはその効果はてきめんであった。

 

「今日もスカサハ殿はせたんた殿と仲睦まじいですな! 私も主殿とかくありたいものです!」

 

「ふふ……お主のマスターへの忠誠には適わんよ。主もお主の事を褒めておいでだ」

 

「なんと! ただの雌犬として振る舞うだけの私に褒めの言葉をかけて下さるとは……やはり主殿は素晴らしいお方ですな!」

 

 感激に震える牛若丸の膣から熱い愛液が噴き出して廊下を汚す。しかし、二人はそんなことにはまるで気にも留めずに普通に会話を続けている。

 

「では、私は主殿に報告をしてまいります! スカサハ殿、せたんた殿、城の警護は任せましたよ!」

 

「ああ、任された。あとは我らに任せよ」

 

 スカサハの返事を聞いた牛若丸はすらりと伸びた手足を動かして四つん這いで廊下を駆けて行く。彼女が動く度に綺麗な尻が震え、その中心に突き刺さる尻尾代わりのバイブが左右に揺れた。

 

「……さぁ、せたんた。我らも負けない様に励まねばな!」

 

「GYAO!」

 

 のっし、のっしと歩くせたんたに視線を送りながらスカサハは膣とアナルを締める。どうか自分に至上の快楽を与えてくれるこのホムンクルスに同じような快感を捧げられますようにと祈りながら、二人は城の中を歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だじで~~~~っ! ここからだしてよ~~~っ!!!」

 

 廊下を歩いていたせたんたが幼い少女の声を思わせる叫びを聞いて立ち止まる。その声に興味を持ったのであろうと判断したスカサハは、自分の知る限りの情報を彼に伝えた。

 

「この扉の先には地下牢がある。今の声はそこに囚われている者の声だろうな。確か、名前は……」

 

 そこまで口にした所でスカサハの脳裏にノイズが走った。良く知った顔と名前のはずなのにどうしてもそれが誰だったかが思い出せない。無理に思い出そうとすれば激しい頭痛に襲われるのだ。

 顔を青くした自分の頭をせたんたが撫でる。その優しさに頬を染めながら、スカサハは彼に応えた。

 

「すまない。もう大丈夫だ……その内、罪人の名前も思い出すだろうさ」

 

「Grrrr……」

 

「あっ♡ あぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 会話を続けていた二人の背後にある扉から女の嬌声が聞こえて来た。その先で何が行われているか興味を持った二人は、扉にそっと近づくと聞き耳を立てる。

 

「で、でてるぅ……♡ おれの、まんこに、けもののざーめん、でてるぅ……♡ また、はらまされちまうよぉ……っ♡♡♡」

 

 何処か聞き覚えのある声、しかし、誰だったかは思い出せない。女の喘ぎ声に混じって聞こえてくるのは獣の唸り声、強く、雄々しい雄の叫び声だ。

 

「ああぁぁぁっ♡ ちんぽ挿ってきてるぅ……♡ 雄々しくって、強い雄ちんぽが、オレを屈服させようとしてるぅ……♡」

 

「ひぐぅ……♡ しりあなからうまれるぅ……♡ うえつけられた海魔の卵が孵って、あかちゃん海魔産み落としちまうぅ……♡」

 

「グォォォォォォォォォッ!!!」

 

「ひぃっ! ……ご、ごめんなさい! 挿れて貰ってるおちんぽに集中しなくてごめんなさい! 孕ませて貰ってるのに呆けてる駄目なメスでごめんなさいぃ……!」

 

 響いた獣の叫ぶ声に縮こまった女性は謝罪の言葉を口にする。それは、徐々に自分を卑下するものに変わって行った。

 

「ごめんなさい、調子に乗ってごめんなさい……こんなオレが、強い騎士だとか王になるだとか、そんな高望みして良い訳無かったんだ……」

 

「ゴォォォォォッ!」

 

「はい、そうです……! オレに相応しいのはここで苗床として獣ちんぽで孕ませて貰って、沢山獣の赤ちゃんを産み落とすメス犬の役目です。マスターの為に沢山戦力になるものを産み落とすメス犬がお似合いです……!」

 

「だからお願いします。その立派なおちんぽで、オレのくだらないプライドを粉々に打ち砕いて、本当の雄の力強さを叩き込んでください! 所詮、オレなんてただの孕み犬だって思い知らせてください!」

 

 その宣言を受けた獣が激しい唸り声を上げる。やがて女性もそれに負けない様な雄たけびを上げながら性交に励み始めた。

 どうやらこの先は出産室とでも呼ぶべき場所の様だ。ソロモンの為に女サーヴァントが身を差し出し、戦力となる獣を次々と産み落としているのだろう。

  

「すごいっ♡ すごいよぉっ♡ ちちうえっ、おれ、ようやくわかりまひたぁっ♡ おれ、こうなるためにいきてきたんですっ♡ おれは、けもののあかちゃんうむためにうまれてきた、こうはいようのめすいぬだったんですっ♡」

 

 とても幸せそうな声で女性が叫ぶ。この役目をありがたく受けている事が分かるその声にスカサハは己のマスターの素晴らしさを再確認した。

 仕えているサーヴァントにこんな幸せを与えられるとは、なんて立派なマスターだろうか……そう、思っていたスカサハの頭の上では、せたんたが首を傾げていた。

 

「Gruuuuu……?」

 

「ん? ……そうか、お前は雌を孕ませると言う事がどういう意味か分からないのか」

 

「Goooooo……」

 

 ゆっくりと巡回コースに戻って行くせたんたに対してスカサハが言う。ホムンクルスである彼には肉棒はあっても射精機能は無い。だから、新たな命を芽吹かせると言う行為の意味が分からないのだ。

 

「良いかせたんた? 雄は、己の肉棒で雌を屈服させ、自分の遺伝子を残すために利用するのが常なのだ。お前のこの立派なおちんぽで、私を躾けた様にな」

 

「GRYU?」

 

「そう、女の媚び切ったまんこに自分の遺伝子が詰まった精液を流し込み、子宮の奥まで征服して妊娠させる……雌は、強い雄に何もかもを差し出して屈する事が望みなのさ」

 

 偏っているが、自然界や彼女の生きて来たケルトでの事を考えるとあながち間違いでは無い意見を教え込むスカサハ。せたんたは、そんな彼女に対して一つの質問をしてきた。

 

「G、yuiii?」

 

「何? 私にお前の子を孕ませることが出来るかだと? ……私には分からんが、主にならば可能かもな」

 

「Gryuui!」

 

「こらこら、そんなに興奮するな。第一出来るかどうかすら分からんのに、お前と言う奴は……」

 

「GGGRRUUYYYY!」

 

「わかったわかった、お前が私を征服したい気持ちは痛い程分かったよ。だが、もう既に私はお前に逆らう事など出来ないのだがな……」

 

 媚びた視線をせたんたに送るスカサハ、その言葉に嘘は無いだろう。四肢の自由は彼に奪われ、太い肉棒によって双穴を抉られ、雌としての快感をこれでもかと叩き込まれたスカサハにとって、せたんたは抗う事の出来ない存在だ。

 しかし、確かにその関係性をはっきりとさせておくのも悪くない。彼の所有物として子宮を差し出し、彼の子を孕まされれば、一目で自分がせたんたの肉奴隷だと言う事が分かるだろう。

 

「ふふ……良し、今度主に相談してみよう。上手く行けば、お前も射精できる様になるかもな」

 

「Gyuuuuuu……♡」

 

「こら! そんなに興奮するな! まだ仕事中……あひぃっ♡♡♡」

 

 喜びに溢れるせたんたはスカサハに潜り込ませている二本の肉棒を交互に突き立てた。同時に胸への愛撫も行い、彼女の官能を刺激する。

 

「あぁっ♡ もう、お前と言う奴は見境の無い……♡」

 

 口ではそこの行為を咎めるスカサハだが、躰は屈服して素直に快感を貪っている。当然だ、なぜなら今の彼女は肉奴隷……ホムンクルスの肉棒を咥えこむだけの便器なのだから

 

「おおっ♡ ほぉっ♡ またっ、上手くなって……♡ ほひぃっ♡」

 

 あっという間に高められて絶頂、仰け反る躰を震わせて、スカサハはだらしない顔で快楽に屈する。

 しかし、それで満足するせたんたではない。休む間もなく肉棒を動かしてスカサハを責め立てる。

 

「はへぇっ♡ イッた♡ もうイッた♡ せたんた、すこしやすみを……ほぉぉぉっ♡」

 

 ごりごりと尻穴を穿られる。それが拒絶の意志である事を理解しているスカサハはそれ以上快感を与えられる事を拒まない。肉奴隷としての役目を果たすべく喘ぎ続けるのみだ。

 

「GYAOOOOOOOOO!」

 

「ひぃぃぃぃっ♡♡♡ おちんぽっ♡ かてないっ、おまえのおちんぽにはかてないっっっ♡♡♡」

 

「こんな立派なもので突かれたら屈してしまう♡ 自分が食い尽くされるだけの雌だと理解してしまうぅぅぅっ♡」

 

「本気汁が止まらないっ♡ 尻穴も出す所から挿れる所に変えられてしまった♡ 私はっ、お前のおちんぽに完全降伏してしまうっっ♡」

 

 止まらない絶頂を続けながら城の中を歩く。初めてせたんたに抱かれ、自分が浅ましい雌だと教え込まれた時の事を想い出していたスカサハは、自分が更に深い所に堕とされそうになっている事に喜びを見出す。

 強者であったはずの自分が、たった二本の肉棒に逆らえずに堕とされていくなんてどれだけ惨めなのだろうと思い浮かべた途端、それだけで絶頂してしまった。それほどまでにスカサハは堕ちきっていたのだ。

 

「くるっ♡ おおきいのがくるぅ……♡ 今まで以上の深イキ、くるぅ……っ♡」

 

「GYAOOOOO!」

 

「見ていてくれせたんたっ♡ お前のちんぽに負けた私がっ、人としての尊厳をかなぐり捨ててだらしない雌アクメを決める様をっ♡」

 

 一突きごとに普段以上の激しさを持った絶頂を迎える。熱い飛沫が股間から飛び散り、体が燃え上がるほどに熱くなる。

 躰の自由を奪われ、為すがままにされるスカサハは幸せそうな声で叫ぶと、宣言通りのだらしない表情で叫んだ。

 

「へぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 最大級の絶頂にスカサハはすべてを投げ出す。普段のきりりとした表情は消え失せ、舌を放り出して涎を垂らしながら喘ぐ姿は正に雌奴隷のそれだった。

 

「あへっ……♡ あへぇ……♡」

 

 全身の穴と言う穴かた汁が溢れる。がくがくと震えながら絶頂の余韻に浸るスカサハは、その激しさを前にして気を失いそうになったが……

 

「はへぇぇぇぇぇぇっっっっ♡♡♡」

 

 せたんたはそれを許さなかった。三度肉棒を動かしてスカサハを官能の海へと叩き込む。潮を噴き続けながら喘ぐ彼女は、もう何もかもを手放していた。

 

「かんぜんはいぼくだぁ……♡ おちんぽ、つよすぎるぅ……♡ よろこんでにくべんきになりゅう……♡」

 

 かつての威厳などどこにも感じられないスカサハの姿を満足げに見ながらせたんたは彼女を責め続ける。スカサハも心地よい敗北感に身を任せながらもその動きに合わせて腰を振り続ける。

 

(私は雌奴隷……私は肉便器……私はおちんぽにすべてを捧げた惨めな女……人でも英霊でもない、ただのおちんぽ袋……♡)

 

 与えられた快感の大きさに耐えられなかった脳がパンクし、意識が遠のいていく。完全に気を失った後でも腰を振り続けることを止めなかったスカサハの頭の中では、延々と彼女自身の声で奴隷宣言が繰り返されていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くぅ……♡ あぁ……っ♡」

 

 自身の記憶の一ページを見終わった後で、スカサハは自分を慰める事で精一杯であった。寝そべっていたベッドのシーツはぐっしょりと濡れ、変色しきっている。全裸になって指で股間を弄るも、まったく満足出来ないままでいた。

 

「せたんた……っ、せたんたぁ……っ♡」

 

 思い人の名前を呼ぶ、記憶で見たホムンクルスではない彼女が心から想って止まない男の名を呼びながら指で自分を慰める。

 だが足りない。欲しい、自分の躰を知り尽くしたあの男の肉棒が、自分を包む彼の大きな体が……

 

「……俺を呼んだか?」

 

「はぁ……?」

 

 突如聞こえた声に顔を上げれば、そこには自分が来て欲しいと願っていた男の姿があった。自慰行為を続ける自分の姿を楽しげに見る彼は、くすくすと笑いながら言った。

 

「あんなに切ない声で呼ばれちゃあ来てやるほかないだろ、ていうか大分乱れてるな、アンタ」

 

「あぁ……♡ 頼む、抱いてくれ、セタンタ……っ♡ もう、我慢できないんだぁ……私を、お前の奴隷にしてくれぇ……♡」

 

「……ああ、良いぜ。ただ覚悟しろよ? その言葉、忘れたとは言わせねぇからな?」

 

「は、はい……はいぃ……♡」

 

 自分の躰に彼の手が触れる。抱き寄せられ、彼の体温が直に伝わって来る。 

 甘いキスを交わしながら自分の主であるこの男に抱かれる幸せを噛みしめたスカサハは、この夜、与えられる快感に身を任せてクー・フーリンにすべてを差し出したのであった。 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 婦長の回診 初慰安会の巻(ナイチンゲール)

 新年初投稿はザ・ナイチンゲールの幕間の物語、楽しんでくださいね


 ―――これは一体どう言う事だろうか?

 

 およそ10名ほどのカルデアに努める男性職員たちは、皆一堂に疑問を抱えていた。

 今日、自分たちはDr,ロマンに呼ばれて健康診断の為に医務室へとやってきたはずだった。だがしかし、彼らを迎えたのは長髪の優男では無く……

 

「ふふふ……♡ みなさん、気持ち良いでしょうか……?」

 

 つい先日、ソロモンの支配から逃れカルデアに帰還した婦長ことナイチンゲールであった。彼女は困惑する職員たちに対してあっという間の先制攻撃で着ていた制服を脱がすと、自分もまた全裸になり性奉仕を始めたのである。

 

 今、ナイチンゲールは両手で一本ずつ肉棒を扱き、口も肉棒を咥えこんで同時に三人の男性を相手にしている。その卓越した性技は普段仕事ばかりで性欲を発散させる機会の無い職員たちには堪らないもので……

 

「うっ! ううっ……!」

 

 あっという間に絶頂し、射精してしまう。それすらも予期していたナイチンゲールは精を放つ肉棒を順番に咥えこみ、口内へと放たれた精液を喉を鳴らしてすべて飲み込んでいた。

 

「……三名の射精を確認、やはり溜まっていたのか予想よりも早かったですね」

 

「あっ、ちょ、まっ!?」

 

 困惑する職員の一人を捕まえたナイチンゲールはその人物の勃起している肉棒を胸の谷間に挟む。胸の両脇から手を添えて肉棒を包み込む様にして力を加えれば、その中心からびくびくとした刺激が伝わって来た。

 

「ふふ……♡ まだ挟んでいるだけだと言うのに可愛らしい反応をしますね♡ これから動かしてしまったら、どうなってしまうのでしょうね?」

 

「う、わっ……これ、やべぇ……っ!」

 

 ナイチンゲールは自らの胸の谷間から少しだけ顔を出している亀頭にちろちろと舌を這わせた。精と尿を放つ割れ目まで舐めながら、彼女は淫卑に笑う。

 

「お、教えてくれ……なんで、アンタはこんなことをしているんだ?」

 

「……あぁ、そう言えばまだ説明してませんでしたね」

 

 ぶるぶると乳房を揺らし、丹念に男性へとパイズリ奉仕をしながらナイチンゲールは言う。この場に居る職員たち全員の顔を見渡しながら、彼女は自分の行動の真意を語った。

 

「……皆さんは、性に関するストレスが溜まってはいませんか?」

 

「せ、性に関するストレス?」

 

「現状、カルデアはソロモンの攻撃によって半壊、加えて命を落とした職員も少なくなく、今まで以上に少ない人員が必死に働く事によってその機能を維持しています」

 

「そりゃあ、そうだが……それとこの状況に何の関係が?」

 

「私としては皆さんには十分な休養を取って欲しい所ですが……それが無理だと言う事も十分承知しています。皆さんが休めば、それこそ世界の崩壊を意味しているのですからね」

 

 ナイチンゲールの言う通りだった。現状、カルデアに居る職員たちは誰一人として休むことなく仕事にあたっている。それはマスターたちも例外でなく、時間が空いたらトレーニングや作戦会議などを行い少しでも今後の計画を立てて行こうとしていた。

 加えて、マスターたちには女性英霊の夜の相手をしなければならないと言う役目もある。淫紋令呪に選ばれた彼らしか出来ないこの任務は楽しそうに見えるが決して楽ではない。休養する暇も無く彼女たちと交わる彼らに対して、職員たちは理解を持ってはいた。

 

「ですが、見目麗しい女性たちが夜な夜な淫らに喘いでいると想像できると言う事は、男性諸氏には刺激が強くもあります。処理方法も限られるこのカルデアでは特に」

 

「うっ……!」

 

 これもまたナイチンゲールの言う通りであった。マシュ、スカサハ、エリザベート、そしてナイチンゲール……彼女たちは比類なき英雄であると同時に美しい女性だ。そんな彼女たちが同じ屋根の元で男に抱かれていると言う事が容易に想像できるこの状況で、興奮しないと言うのがおかしかった。

 

『先輩……♡』

 

 自分たちとこのカルデアで長い時間を過ごしてきたマシュが、あのマスターと肌を重ねている……豊かで、均整のとれたプロポーションをした体を彼に弄られ、淫らに喘ぐ姿を想像すると肉棒が大きくなるのを感じる。

 

『あぁ……♡ 良いっ、もっとしてくれぇ……♡』

 

 クールで感情を表に出す事の少ないスカサハが快感に顔を歪め、快楽を強請る。普段の強気な態度が崩れ去った彼女がマシュ以上に魅力的な体を紅潮させている姿を想像すれば、それだけで達してしまいそうになる。

 

『そ、そんなことするの……? うん、良いわよ。でも、優しくしてね……♡』

 

 男性経験の少ないエリザベートに様々なプレイを教えて新たな知識を叩き込む。我儘な彼女を自分好みの女に調教する事を考え、何度自分を慰めた事だろうか

 

 とにかく、彼らはマシュ達が抱かれている姿を想像しては自慰行為に励み、そしてそれが終わった後でものすごく空しくなるのだ。

 わかってはいる。マスターたちも楽しんでいるだけではないと言う事も、彼女たちがソロモンによって心に深い傷を負ってしまっている事も。しかし、頭で理解していても本能では性の高まりを抑える事は出来ない。

 

 働きづめで息もつかぬ毎日、時折自分を慰めては魅力的な彼女たちの肢体に思いを馳せる。

 自分だって女を抱きたい。しかし、世界から隔絶されたこのカルデアではその願いをかなえる事など出来はしない……そう考えて、諦めていた。

 

「……ですが、それは紛れもないストレスです。肉体的な疲弊は仕方が無いとしても、精神的な疲弊は避けなければならない……それを回避する為には女が必要、となれば、私の取る行動は決まっているでしょう?」

 

 そこまで言ったところでナイチンゲールはパイズリしていた肉棒を口に咥える。ほどなくして絶頂し、口内に放たれた精液を飲み込んだ後でナイチンゲールは立ち上がると脚を肩幅に広げて体を折り曲げる。

 脚の間から顔を出す様な格好をしながら両手で自分の尻とまんこを掴む。それを思いっきり左右に広げると、彼女の淫らな双穴が観衆の目に晒された。

 

「……本日より、私が皆さんの性処理を担当いたします。定期的にこういった集会を開き、そこで性処理の為に奉仕させて頂きます。今日は、その第一回目と言うわけですね」

 

「つ、つまり……俺たちは、アンタの事を好きにして良いって事か?」

 

「ええ、そうですよ。無論、私などを抱きたく無いと言う方は無理にとは言いませんが……」

 

「とっ、とんでもないっ!」

 

 ナイチンゲールのその言葉をその場にいた職員たちは全力で否定した。彼らにとってナイチンゲールも十分に魅力的な女性だ。豊かな胸、締まったウエスト、女性らしさに溢れる尻、整った顔立ち……そんな素晴らしい女性である彼女を抱きたくないなどと言う愚か者が、このカルデアに存在する訳が無い。

 

「ふふ……♡ それは良かった。実を言うと少し心配だったのです。女性的な魅力、と言う点においては私は自信がありませんので」

 

「そんな! アンタは十分魅力的さ!」

 

「……ありがとうございます。素直に受け取らせて頂きます」

 

 誉め言葉に顔を赤らめるナイチンゲール。全裸で男を誘うポーズを取り、性奉仕をしておいて何を言うかと思われるかもしれないが、その可愛らしい姿は男性たちを更に興奮させた。

 

「……さて、何時まで見ているおつもりですか? 流石にこの格好は恥ずかしいのですが」

 

 自らの羞恥を告げながらもそのポーズを止める事はしないナイチンゲール。職員の視線が集中する中で、彼女は粛々と宴の開催を告げる。

 

「皆さんの行き場の無いザーメンをこの私のお口で、おっぱいで、けつまんこで、おまんこで……体全部で搾り取らせてください。皆さんのおちんぽにどうか奉仕させてください……♡」

 

 小悪魔の様な艶やかな笑みを浮かべたナイチンゲールに対して、職員たちは我先にと手を伸ばして行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ♡ はっ♡ ふっ♡ あぁっ♡」

 

「ぐあっ……す、すごい……!」

 

 後背位の姿勢で後ろからナイチンゲールを突く職員が歓喜の声を漏らす。彼女の両手首を掴み、無遠慮にその膣を穿ちながらも表情は恍惚としている。

 まるで生き物の様に蠢き自分の肉棒を包むナイチンゲールの膣、女性経験が少ない彼ら(童貞もいた)にとってその快感はまさに天上のものであった。

 

「ナイチンゲール、婦長っ、お、おれのちんぽは気持ち良いですか?」

 

「はあっ♡ ええっ、とても素敵、ですよっ♡」  

 

「良かった……! 俺、あんまり自身が無くってっ! うあぁっ!」

 

 性交を続けながらも弱気な言葉を吐く職員が大きく仰け反る、ナイチンゲールの膣がその先を言わせない様に男性の肉棒を思いっきり締め上げたのだ。あまりの快感に喘ぐ男性に対してナイチンゲールは優しく語り掛ける。

 

「大丈夫……皆さん、とても立派なおちんぽをお持ちですよ。私は皆さんの欲求を受け止められることをとても幸せに思います」

 

「あ……あぁ……っ! ナイチンゲールさんっ!」

 

 男としてのプライドを褒め上げられると言う今までにない経験に感激した職員は気が狂ったかの様に腰を振り続ける。淫らに響く水音とナイチンゲールの尻肉を叩く音が大きく、早くなり、彼の限界を示す。

 

「で、射精るっ! 婦長まんこに全部射精しますっ!」

 

「ええ、下さいっ! あなたの溜まり切ったザーメン、受け止めさせてくださいっ!」

 

「くっ……おぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 がっちりと腰を掴み、子宮口に亀頭をくっつけての絶頂。放たれた精液はナイチンゲールの子宮に溜まっていき、膣内を汚す。

 

「はぁぁぁ……♡ とても良い射精です……♡ 最後の一滴まで、私のおまんこの中に射精して下さいね……♡」

 

「はい……! はいっ!」

 

 射精を続ける男性はナイチンゲールの背中に縋りつくとぐいっと腰を更に膣深くに押し付けた。すでに子宮口にぴっちりと張り付いている肉棒が更に押し込まれ、ナイチンゲールの官能を刺激する。

 獣の様な格好で愛し合った二人の荒い息が部屋の中に響く、やがて、すべての精液を吐き出した男性は名残惜しそうにナイチンゲールの膣から肉棒を抜き出した。

 

「う、あぁぁ……♡ 膣から、漏れてっ……♡」

 

 ごふっ、という音がナイチンゲールの膣から洩れる。すでに5人もの男性の精液を受け入れたナイチンゲールの膣は一杯で、栓になる肉棒が抜けた事で精液の逆流が始まったのだ。

 自分の膣から漏れだそうとしている精液、ナイチンゲールはそれをさせじと腰を高く上げて膣を締める。そのおかげで勢いは弱くなったが依然として逆流を止めない精液を見た彼女は、ちらりと横に置いてあった鞄を見た後で言った。

 

「申し訳ありません、だれかそこの鞄から4番の道具を取り出してくれませんか?」

 

「鞄……って、これか? おおっ!?」

 

 その鞄の中身を見た男性が驚く。医療用道具を入れる様の革製の鞄、しかしその中に入っていたのはいやらしい性行為用の道具ばかりであった。

 ローター、バイブ、浣腸機、デジタルカメラ、ディルドー……中に入っている数々の器具を見てつばを飲み込んだ男性だったが、ナイチンゲールの指示通りに4番の数字が書かれていたベルトからバイブを取り出すと彼女に近づく

 

「これが欲しかったんだろ婦長さん、俺はこれをどうすれば良いんだ?」

 

「はぁっ……♡ そのバイブで、私の締まりの無いまんこから皆さんからお恵み頂いたザーメンが溢れない様に栓をして下さいっ♡」

 

「良し来た、任せろっ!」

 

「あひぃぃぃぃぃっ♡♡」

 

 ずぷっ、っと勢いよく膣に挿入されるバイブの感触に悲鳴を上げるナイチンゲール。しかし、その声には快感の色が混じっていた。

 

「……でもよ、こんな事しても何の解決にもなりゃしねぇんじゃねぇのか?」

 

「あぁ……大丈夫です。皆様から射精して頂いた精液は私のおまんこの中で魔力へと還元されて私の体に吸収されます。それには少しだけ時間が必要ですから、こうやって漏れない様に栓をして頂いたのです」

 

「へぇ……俺たちの精液がアンタの一部になるってのか、そりゃ感激だな! さてと、んじゃあ、その様子を見せて貰おうかね!」

 

「きゃっ……♡」

 

 バイブを持ってきた男性職員がナイチンゲールの両足を掴むとそれを彼女の顔の横まで持ってくる。所謂まんぐりがえしの格好にされた彼女は、お尻の穴も女性器に突き刺さったバイブも丸見えであった。

 

「さらに……スイッチ、オン!」

 

「へあぁ……♡」

 

 ウィン、ウィン……ナイチンゲールの膣に突き刺さっているバイブが激しく振動を始める。ぐるぐると膣内をかき回す様にして震えるバイブとそれによって感じるナイチンゲールの表情に皆は釘付けだった。

 

「ははっ! あの『鉄の女』がまんこにバイブ突っ込まれた上にまんぐりがえしされてアヘってる姿を晒すなんてな!」

 

「いつもの鉄面皮からは想像がつかねぇエロさだぜ!」

 

「あぐぅ♡ ぐぅぅ♡ はへぇ♡」

 

 衆人環視の元、だらしなく感じる姿を視姦されるナイチンゲール。幾人かの男性は先ほどの鞄の中にあったカメラを手に取り、その姿を撮影、および録画していく。

 

「おらっ! もっと喘げよナイチンゲール! まんぐりがえしでアヘってる姿、カメラで撮ってやるからよ!」

 

「は、はいっ♡ おまんこ気持ち良いです♡ 皆さんのザーメンが温かくて気持ち良いですっ♡」

 

「良し良し! この映像はDVDに焼いて、治療記録として俺たちが共有するからな! お前がド淫乱の変態看護婦だって事、カルデアのアーカイブに記載しておいてやるぞ!」

 

「ああっ……♡ そんな、そんな酷い事……っ♡♡♡」

 

「何が酷い事だこの変態女! これでもくらいやがれっ!」

 

「はひぃぃぃぃぃっっっ♡」

 

 思いきり尻を叩かれたナイチンゲール。痛みを伴うその行為さえも快感として享受する彼女は顔を蕩けさせる。その姿は男性たちの嗜虐心に火をつけた。

 

「尻を叩かれて感じてんのかこの変態めっ! とんでもない女だな!」

 

「俺たちの性欲解消とか言っておいて、本当は自分がちんぽ欲しかったんだろう!? 答えてみろっ!」

 

「あ、あぁ……♡ はいぃ……♡ 本当は、私がおちんぽではめはめして欲しくて、皆さんをさそいましたぁ……♡ ド変態看護婦で、ごめんなさいぃ……♡」

 

「やっぱりそうだったのか! なんてエロい女だ!」

 

「そんな淫乱看護婦にはお仕置きだっ! こうしてやるっ!」

 

「はぁぁぁぁんっっ♡」

 

 再び振り下ろされる男の掌、ナイチンゲールの柔らかく大きな尻肉が叩かれる度に乾いた音が鳴り、赤い紅葉が咲いていく。

 バイブ、視姦、スパンキング……その全てで感じ、だらしなく顔を歪ませるナイチンゲールの姿をカメラが捉える。やがて我慢の出来なくなった彼女は大声で懇願する様にして叫んだ。

 

「あぁぁ……♡ イキますぅ……♡ どうか、この変態看護婦に皆さんの前でイク許可を下さいぃっ……♡」

 

「何だ? ケツを叩かれてイッちまうのか? とんでもないM女だな!」

 

「も、もうひわへありましぇんっ♡ へんたいマゾおんなでひゅいまへんっ♡」

 

「感じすぎて呂律がまわってねぇじゃねえか! 気合い入れろよナイチンゲール!」

 

「あぁ……っ♡ むりれすぅ、おしりぶたれるのきもちよすぎて、もうむりれすぅ……♡」

 

「お仕置きで感じてんじゃねぇぞこのド変態女が!」

 

「強烈なやつ決めてやる! 歯ぁ食いしばれっ!」

 

 振りかぶった二人の男が同時に手を振り下ろす。ナイチンゲールの左右の尻肉を同時に叩いたその手は、彼女の尻をまるで太鼓であるかのように扱い、見事な音を響かせ、同時に彼女に止めを刺した。

 

「いぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっ……♡♡♡」

 

 絶頂したナイチンゲールのあまりにきつい膣の締まりにたまらずバイブが飛び出す。開いたその穴からは噴水の様に本気汁が噴き出し、周りに飛び散る。

  

「はぁ、はぁ……♡ もうしわけ、ありません……皆様の許可がないのに、だらしなくアクメを決めてしまいました……」

 

「……良いさ、けつをぶたれてアクメ決めてからの潮吹きなんていい絵が取れたんだからな! 後で編集してAV女優も顔負けのいやらしい映像に仕立ててやるぜ!」

 

「あぁ、そんなぁ……♡」

 

「ほら、嬉しそうな顔してないで次行くぜ? 四つん這いになれよ!」

 

「はい、わかりました……♡」 

 

 男性たちの言う事に素直に従い四つん這いになったナイチンゲールの乳首に何かが装着される。半透明のスポイトの様なそれには長いチューブが繋がっており、その先には強化プラスチックでできた樽の様な物が繋がっていた。

 

「あぁ……っ♡ これ、はぁ……♡」

 

「嬉しそうな顔しやがって、今お望みの物をくれてやるからな……! おい、スイッチ入れろ」

 

 その言葉を合図に別の男が手に持ったリモコンのスイッチを入れた。途端にナイチンゲールに取り付けられた装置が動き始める。

 

「んひぃぃぃぃぃぃっ♡ お、おっぱいがぁ、搾られてぇ……♡」

 

 乳首に取り付けられた装置がすさまじいまでの吸引力を発揮し、スキルによって射乳できるようになったナイチンゲールの胸を責める。乳首からはすさまじい勢いで母乳が吸い取られ、チューブの先につながっているタンクへと溜まっていく。

 これぞダヴィンチちゃんお手製搾乳機『パイソン・吸引力の変わらない唯一の搾乳機』である。その効果は絶大で、すでに何度もこれを使用しているナイチンゲールですら、快感に飲まれてしまっていた。

 

「あ、あへぇ……♡ おっぱい、すごい……♡」

 

「出が悪くなってきたな。しょうがねぇ、俺たちも手を貸してやるか!」

 

「え……? 手を貸す、とは……? あへぇぇぇぇぇっっっ♡♡♡」

 

 男たちの手がナイチンゲールの乳房を掴む。機械仕事で鍛えられた器用な手付きで乳を揉めば、吸い取られて出が悪くなってきた彼女の母乳が再び勢い良く噴き出し始めた。

 

「あひぃ♡ あひぃ……っ♡」

 

「くくく……まるで乳牛だな! ほら、牛みたいに鳴いてみろよ!」

 

「あ、あぁ……♡ もぉ~♡ もぉぉ~~っ♡」

 

「あはは! 本当に鳴きやがった! 頭の中までピンク色になってんじゃねぇかよ!」

 

 無様、それ以外に例えようもない姿でナイチンゲールは鳴く。雌牛の様な振舞いをしながら搾乳の悦びに震えている彼女の尻肉を一人の男が掴むと、左右に広げてその中心の窄まりへと己の肉棒を押し当てた。

 

「俺はけつ穴を使わせて貰うぜ! せいぜい喘げよこの雌牛っ!」

 

「もぉぉぉ~~~~~~っ♡♡♡」

 

 一息に直腸の奥まで肉棒を挿れられたナイチンゲールが叫びを上げる。アナルに挿れられた肉棒をゆっくりと引き抜かれ、再び奥まで一気にねじ込むというピストン運動を続けられたナイチンゲールは、最初の時よりも激しい勢いで母乳を絞られていた。

 

「へっへっへ……知ってるぜナイチンゲール、アンタのミルクには回復効果があるんだってな? そしてアンタは射精されると体力を回復する……これがどういう意味かわからねぇアンタじゃねえだろ?」

 

「あ……へぇ……?」

 

 だらしなく開ききった口から涎と舌を放り出して首を傾げるナイチンゲール、もはや正常な思考すらも出来なくなったかと思いながら、ナイチンゲールの肛門を穿つ男性職員は得意げに語り始めた。

 

「良いか? まずは俺たちがアンタにたっぷりと射精してやる。そうすればお前の体力が回復して、スキルでこのでか乳にエロミルクが溜まる。セックスで疲れた俺たちがそれを飲めばたちまち復活して……」

 

「またセックスが出来るって事か!」

 

「そうさ! 淫乱なこいつにぴったりの嚙み合わせじゃねぇか!」

 

「ああ! まさに男に抱いて貰うためのスキル組み合わせだな!」

 

 その指摘に対して歓喜した男がナイチンゲールへと近づくと彼女の乳首につけられていた搾乳機を取り外す。そして、二つの乳房を重ね合わせて乳首を近づけると、それを同時に自分の口の中へと咥えこんだ。

 

「ひあぁぁぁっ♡ ちくびぃぃっ、すごいぃっ♡」

 

「おいおい、やべぇ感じっぷりだな! ぶっ壊れるんじゃねぇのか?」

 

「お? おおぉぉっ!? きたきたきたぁっ!」

 

 ナイチンゲールの乳首から母乳を吸い取った男の体に力が漲る。固さが復活した肉棒を彼女の性器にあてがうと、一気に最奥を貫いた。

 

「おほぉぉぉぉぉっ♡ ちんぽきたぁぁぁっ……♡」

 

「最高だ……アンタの体は最高だぜナイチンゲール! まさにちんぽを気持ち良くするためにある体だ!」

 

「へへへ……決めたぜ、定期的なんて悠長な事はしねぇ! 今日から毎日俺たちがアンタを抱いて、ちんぽ中毒にしてやるぜ!」

 

「ま、まいにちぃ……? ちんぽ、ちゅうどく……?」

 

「そうさ! 寝ても覚めてもちんぽを突っ込まれる事しか考えられない雌牛に躾けてやるよ! 嬉しいだろう?」

 

「は、はいぃ……♡ うれしい、れす……♡ よろこんで、ちんぽちゅうどくにならせていただきます……♡」

 

「決まりだな! これからは看護婦でもサーヴァントでもねぇ! ただの雌牛になりな、俺たちを喜ばせるだけの雌牛になっ!」

 

「前祝いだ! お前のエロまんことけつまんこにたっぷりおちんぽミルク飲ませてやるぜっ!」

 

「くださいっ、おちんぽみるく、わたしのめすあなにくださいっ♡」

 

 男性たちは息を合わせてナイチンゲールの双穴を抉る。体を仰け反らせて喘ぐ彼女にいつもの凛とした雰囲気はまるでない。男たちの言う様にただの雌牛として乳から甘い母乳を垂らしながら感じているだけである。

 

 飛んで火に入る夏の虫……溜まりに溜まった性欲の吐け口として身を差し出してきたナイチンゲールの極上の躰を男性たちは貪る。もうこれからはマスター達だけではない、自分たちが好きに出来る雌奴隷を手に入れたのだと言う歓喜と共にナイチンゲールを責め立てる。

 

「いぐっ♡ イキますっ♡ もう我慢できませんっ♡」

 

「良し、イけっ! 俺たちに射精されてイッちまえっ!」

 

「その後でお前のエロミルクを搾り取ってやるからなっ!」

 

 三人が三人とも限界が近い。ぐちゃぐちゃといやらしい音を立てながら突き入れられる二つの肉棒、自分の尻と性器に当たる男たちの腰、そしてだらしなく感じて蕩ける顔の全てを撮られている事への快感を感じながら、ナイチンゲールはあられもなく達したのであった。

 

「いぐっ♡ イクぅぅぅぅぅぅぅっ♡♡♡」

 

 痙攣の大きさがナイチンゲールの感じている快感の大きさを示している。その余韻が冷めやらぬ間に穴から肉棒を引き抜かれたナイチンゲールはだらしなく広がり切った穴を何とか締めようとした。

 このままではせっかく注いでもらった精液が零れてしまう。それだけは避けなけらばならない……しかし、そんな彼女の心配は不要の物であった。

 

「あひぃぃぃぃっ♡♡♡」

 

「お! 挿れただけでイッたな!?」 

 

「流石、淫乱女!」

 

 別の男が前後からナイチンゲールに肉棒を挿入したのだ、見てみれば男たちが列をなして自分とセックスする順番を待っているでは無いか、先ほど事を終えた男たちはタンクからナイチンゲールの母乳を飲んで、体力を回復している所であった。

 

「……覚悟しろよ? もうお前には逃げ場なんかないんだからな?」

 

「ちんぽ至上主義の雌に変えてやるぜ、ナイチンゲール!」

 

「あぁ……♡ あは、あはははは♡♡♡」

 

 狂った様に笑い始めるナイチンゲール、狂戦士である彼女はもともと狂っていると言えるのであろうが、男たちはついにナイチンゲールが快楽に屈したとしか思えなかった。

 勝利の快感に酔いながら腰を振り始める。自分たちの性奴隷へとなったナイチンゲールの体を弄びながら、男たちの甘美な時間は過ぎて行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……♡ はぁ……♡」

 

 ベットの上で両方の穴にバイブを挿入されたナイチンゲールが喘ぐ。先ほど同様に体内に出された精液を吸収するための栓をされたナイチンゲールは、バイブの振動による快感を貪っていた。

 

「あぁ、イク、イク……♡ イクぅ……っ♡」

 

 ビクンッ、絶頂した彼女の体が跳ねて再びベットに横たわる。膣とアナルからバイブを吐き出しながら、ナイチンゲールは呟いた。

 

「……先ほどのご意見ですが、訂正があります。私の母乳は確かに回復効果がありますが、それは体力に関してだけ……性欲と言う点には効果を発揮しません。つまり、先ほど言った無限ループは使用できないと言う事です。ご理解いただけましたか?」

 

「は、はい……よ~く、理解しました……」

 

「も、もう、出ません……」

 

 ナイチンゲールの周囲にはげっそりとした男たちが倒れていた。起き上がったナイチンゲールはいつも通りの無表情に戻ると男性たちに再確認する。

 

「それで、私を毎日抱いておちんぽ中毒にすると言う件ですが……本当にやりますか? その前に皆さんが衰弱死する可能性が高い……いえ、確実にするでしょうね」

 

「やめます……無理なく定期的に抱かせて下さい……」

 

「結構、やりたいと言っても却下するつもりでしたが、理解が早くて助かります」

 

 そう言うとナイチンゲールは立ち上がり後片付けを始める。使った機材はもちろんの事ベットや床も徹底的に消毒しなければならない。なぜならここは医務室、神聖なる治療の場所で、最も清潔でなければならない場所だからだ。

 

(……Dr,ロマンにも無理をしすぎました。衰弱死一歩手前でしたね)

 

 とりあえず前菜とばかりに頂いた優男の事を思い出す。今は母乳を飲ませたうえで自室で寝かせているが、死ぬ一歩手前まで搾り取られた事がトラウマにならなければ良いのだが

 

「……まぁ、良いでしょう。今回はマスターたちに抱かれた時ほどではありませんが満足出来ました」

 

 独り言、というか彼女は常に自分に対しての言葉しか話さないので全部そうなのだが、そう呟いた後で床に転がる男性たちに鞄から取り出した飴を食べさせると彼らを蹴り飛ばして部屋の片隅に集めたナイチンゲールは全裸のまま掃除を始めた。

 

「消毒~♪ 清潔~♪ 殺菌~♪」

 

 見よこの姿……10名ほどの男と乱交し、休む間もなく双穴を責められ、母乳まで絞られたと言うのにこの有り余る元気、これこそがナイチンゲールが鉄の女たる所以である。本当は違うけれども

 

「……なるほど、この飴は即効効果がある回復剤として有用ですね。さすがは万能の天才です」

 

 ダヴィンチちゃんが作った(ナイチンゲールの)ミルクキャンディを舐めながら一言、自分の母乳が持つ回復効果を高めたこの飴は治療に役立つだろう。

 それに、もう一つの効果も良いものだ。少なくとも今カルデアに居る自分たち女英霊にとっては素晴らしいものになる。

 

「……マスターたちも楽しんでいるのでしょうかね?」

 

 この計画に協力した……いや、彼女たちの計画に乗ったが故に開催できたこの淫らな宴と、同時期に愛するマスターたちとのパーティーを楽しんでいるであろうマシュたちに思いを馳せる。そのせいで再び興奮してしまったが、そこは鉄の女ナイチンゲール、これ以上男性たちに相手をして貰っては彼らの衰弱死は免れないので我慢した。

 自分もマスターたちと合流しようかとも考えたが今は彼女たちが愛しい男性に抱かれたいと言う気持ちを尊重するのが優先だ、自分の欲求は封じ込めよう。

 

「……あぁ、いけませんね。この飴、舐めるのではなかった」

 

 すでに口の中で溶け切った飴を食べてしまった事を後悔するナイチンゲール、じわじわと熱くなってきた体をどう冷まそうかと悩みながら、彼女は医務室の掃除を続けて行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――数時間前、カルデアの一室では……

 

「……もう、先輩たちは来るんですよね?」

 

「ああ、歓迎してやろうでは無いか」

 

「うぅ……アンタたちと並ぶと惨めな気持ちになって来るんだけど……」

 

 それぞれいつもの服装とは違う格好をした三人の女性がこの部屋にやって来る男性たちを待っていた。一人はなんだか見慣れている様な格好だが、残りの二人はマスターの部屋から盗んで……預かって来た礼装を身に着けている。

 

「……っっ! 来たっ!」

 

 ドアの向こう側から男たちの声が聞こえる。ゆっくりと開いて行くドアを見ながら、三人はこれから始める季節外れのパーティーへの期待で胸を高鳴らせたのであった。

 

 

 

 

 

 




 次回、ハロウィン・カムバック!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

R-18版 ハロウィン・カムバック!(マシュ スカサハ エリザベート 及び???)

 

 

「……ここで良いんだよね?」

 

「ああ、手紙にはそう書いてあったぜ」

 

「なんかもう嫌な予感しかしないんですけどねぇ……」

 

 ナイチンゲールによる健康診断と称した淫らな宴が行われていた頃、マスター、クー・フーリン、ロビンフッドの三人はカルデア内のとある一室のドアの前に立っていた。自分たちの私室に届けられた手紙(なんだかごてごてしてて、すごくデコられていた)に呼び出されて、ここにやって来たのである。

 

「かぼちゃマークが書いてあったな」

 

「なんかきゃぴきゃぴした文字だったよね」

 

「……もう、誰が差出人か分かった様なもんだよな」

 

 頭を抱えるロビンフッドの両脇で二人が頷く。彼女が何か厄介ごとを引き起こしたらお前に任せて俺たちは逃げるからな、とその瞳は語っていた。

 

「まぁ、何時までもこうしているわけにも行かないし、中に入ろうよ」

 

「そうだな。鬼が出るか蛇が出るかだ」

 

 意を決して部屋のドアを開ける三人、中は電気が付いておらず、真っ暗で何も見えなかった。

 

「……気が付いたか?」

 

「ああ、三つだな」

 

 それでも歴戦の英雄であるクー・フーリンとロビンフッドには中に潜む気配に気が付いた様だ。その事に感心していたマスターが電気のスイッチを探していると、唐突に部屋の電気が付き……

 

「ハッピ~~! ハロウィ~~~~~ン!!!」

 

 ビキニアーマーに身を包んだエリザベートが飛び出してきた。その姿を見たマスターとクー・フーリンはすぐさま振り返ると部屋を出ようとする。

 

「ちょっと! なに出て行こうとしてんのよ!?」

 

「ロビン、あとは任せた。俺たちは帰る」

 

「帰るんじゃないわよ!」

 

 予想通りの差出人の姿にロビンは再び頭を抱えた。今日はセイバーの格好をしているエリザベートに面倒臭がりながらも質問をする。

 

「おい、何が目的だ? 恐怖のライブなら俺だって帰るぞ」

 

「恐怖のライブって何よ!? ……まぁ良いわ。今日はハロウィンパーティをしようと思ってアンタたちを呼んだの!」

 

「はぁ……おい、今が何月か分かってんのか? もう秋はとっくに過ぎて、冬になってるんですけど?」

 

「そうだけれどもそうじゃなくって! ……あぁ、もう! 一人で説明するの大変なんだから二人も出て来てよ」

 

「くくく……すまんすまん、私はすぐにでも出られたのだが、マシュが恥ずかしがってな」

 

「ス、スカサハ!?」

 

 物陰から出て来たスカサハの姿を見たクー・フーリンが驚きの叫びを上げた。それもそのはずで今の彼女はいつもの戦装束ではなく、際どい衣装に身を包んでいたからだ。

 

 紫色の体に張り付くような服とも言えぬ服……乳房の一部と秘所だけを隠す様にして広がるその衣装の名は、概念礼装『ハロウィン・プリンセス』……通称、ドスケベ礼装だ。

 美しい躰を持つスカサハが身に着けると何とも言えないエロスを醸し出すその一品、まさに色っぽいを体現するその姿を唖然とした表情で見ていた三人だったが、一早く復活したクー・フーリンがすかさず突っ込む。

 

「おいおい、アンタ自分の歳を考えろよ。まったく年甲斐の無い格好しやがって……」

 

「ほう? その年甲斐の無い格好をした女の姿を見て興奮しているのは何処のどいつかな?」

 

「ぐっ……!」

 

 無遠慮にクー・フーリンの股間に触れるスカサハ、彼女の言う通りクー・フーリンの怒張は固くなり始めており、自分の内心を見透かされた彼は言葉に詰まる。

 そんな中、とあることに気が付いたマスターはエリザベートとスカサハの二人に質問をした。

 

「ね、ねぇ……さっきマシュの名前が出てたけど、もしかしてマシュも……?」

 

「……はい。私はここに居ますよ、先輩」

 

 その声に反応したマスターは振り向くと、再び絶句した。そこに居たマシュもまたスカサハ同様、素晴らしい格好になっていたのだ

 

 マシュの躰を隠すのはマイクロビキニよろしい大きさのショーツともこもこのファーだけ、可愛いおへそも乳首以外の胸部もそっくりそのまま見える様になっているその服装は、マスターにも見覚えがあった。

 概念礼装『デンジャラス・ビースト』……ハロウィン・プリンセス同様にハロウィンの季節に手に入れたこの礼装は、マスターの私室にこっそりとしまってあったはずだ。

 

 見るからに女性用のこの服はとても強力かつ優秀な能力を秘めている為、マスターもサーヴァントたちに装備させようかと考えていた。しかし、何しろ恥ずかしい格好である事は間違いない。色々と考えた後で涙を呑んでこの礼装を封印したマスターは、今に至るまでこれらの事を忘れていたのだが……

 

「な、なんでそんな恰好を……?」

 

「ふふふ……なに、たまには趣向を変えてみようと思ってな。殿方に満足して貰う為に工夫を凝らすのも、女の役目だろうて」

 

 愉快そうに笑った後でスカサハは自分の背後を指差す。そこには三つのベットが用意されており、俺たちはこれから何が起きようとしているのかを即座に理解した。

 

「あ~……何? つまりはこれ、コスプレセックスってことですかねぇ?」

 

「その通りだ。どうだ? ハロウィン縛りのコスプレをした私たちは? 新鮮な気持ちで抱けそうか?」

 

「……いや~、なーんか一人だけ見覚えがある奴がいるんですけどねぇ」

 

「あ~! それ誰の事よロビン!」

 

「心当たりがあるならそいつの事だよ」

 

 やれやれと言った様子でロビンが肩をすくめる。セイバーの格好をしたエリザベートは地団太を踏みながら彼に近づくと、手を振り回しながら抗議の声を上げた。

 

「やっぱりおっぱいでしょ!? アンタ、ナイチンゲールの時からおっぱいに夢中だもんね!」

 

「ぐっ! ……そ、それとこれとは関係ねぇだろ……」

 

「む~! アタシだって将来性はあるんだからね! そんなに大きなおっぱいが好みなら、アンタの手で大きくしなさいよ!」

 

「ちょ、おまっ!?」

 

 エリザベートに飛び掛かられベッドに押し倒されたロビンは為すがままに服を剥ぎ取られて行く。その様子を唖然として見ていたマスターとクー・フーリンだったが、彼らの背後にも女性の影が映った。

 

「それで、セタンタよ。お前はこの年甲斐のない格好をした女を抱きたいとは思わないのか?」

 

「……へっ、しょうがねぇ。その頑張りに免じて抱いてやるとしますかね!」

 

「ふふ……素直では無いな。だが、それもまた良し、だ……」

 

 なんとも大人な駆け引きをした後でクー・フーリンとスカサハが唇を重ね合う。先ほどのロビン達が子供っぽ過ぎた事もあってか、なんともアダルトチックな二人の掛け合いに目を奪われかけたマスターであったが、目の前に立つマシュのいやらしい格好に注目するとそこから目が離せなくなってしまっていた。

 

「先輩……この仮装、変ではないでしょうか?」

 

「ぜ、全然変じゃないよ! とっても似合ってる!」

 

「……今の私はえっちですか? この格好を見て、先輩は興奮してくれますか?」

 

「当然じゃないか! こんなに可愛いマシュの姿を見て、興奮しないはずが……っ!?」

 

 そこまで口にした所でマスターもまたマシュによって押し倒される。ベットの上で仰向けになった彼は、自分の上で四つん這いになるマシュと見つめ合って彼女の言葉を待つ。

 

「……先輩、今日の私、この格好のお陰かなんだかとっても大胆な気分なんです。今ならどんなことでも出来てしまいそう。だから……」

 

 ぺろりとマシュが舌なめずりをする。獲物を狙う肉食の獣よろしい姿をしたマシュは、捕食者の目をしたままにマスターへと囁いた。

 

「……今日は、私が先輩を食べちゃいますね♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んくぅ♡ ひあっ♡ ああっ♡」

 

「……ったく、蓋あけてみりゃあこれだよ。お前ってば本当に成長しないよなぁ」

 

「うるっ♡ さいっ♡ バカロビンっ♡」

 

 後ろから抱きすくめられながら腰を動かすエリザベート。背面座位の体位で性交をする二人は、当初はエリザベートがロビンを責めていたもののあっという間にロビンに主導権を握り返されていつも通りの展開になっていた。

 

「ほらほらどうした? 頑張って腰触れよ~」

 

「っはぁっ♡ ちくびぃ♡ だめぇ♡」

 

「お~、やっぱ敏感だねぇ。固くなっちまって、弄りがいのある事で!」

 

「んきゅぅぅぅぅっ♡」

 

 カクン、カクン、と体を揺らして快感を訴えるエリザベート、そんな彼女を楽しそうに見ていたロビンだったが、エリザベートが何かを言いたそうにしている事に気が付いてそっと耳を傾ける。

 

「……どうしたんだよ? なんか不満か?」

 

「……あ、あのね、ロビン……アンタって、おっきいおっぱいが好きなのよね?」

 

「ま、まぁ、否定はしないけどよ……それがどうかしたのか?」

 

 もじもじと指を絡ませた後で顔を赤くしながらエリザベートは話し続ける。自分の胸を弄るロビンの手を見ながら、彼女は事の本題に入った。

 

「ダヴィンチちゃんに聞いたんだけど、淫紋令呪を使えば霊基も変えられるんだって……だから、その……ロビンが望むなら、アタシのおっぱいを大きくしても……いいわよ?」

 

 そう言った後でエリザベートは上目遣いでロビンの様子を窺う。自分の躰の改造を提案した彼女に向かって何やら難しそうな顔をしたロビンは、左手の甲に刻まれている令呪を見せつけながらその言葉を聞き返した。

 

「……お前を巨乳にしろって? この令呪で?」

 

「う、うん……そっちの方が、ロビンが楽しめるんじゃないかって……」

 

「……そうか、なら……!」

 

 自分の目の前に差し出された令呪を見たエリザベートが息を飲み込む。ドキドキと早鐘を鳴らす胸がロビンの命令によって作り替えられてしまう事に若干の恐怖を抱いていたのだが……

 

「……んなことするかよ、ばーか。俺は開発はしても改造なんて真似はしねぇっての」

 

「えっ……!?」

 

 ロビンは左手を下げると再びエリザベートの胸を揉み始める。先ほどまでの強い快感を与える動きではなく、自分の胸を可愛がるように手を動かすロビンの責めに甘い息を吐いていたエリザベートに対して、ロビンは質問を始めた。

 

「……で? なんでこんなこと言ったんだ?」

 

「うぅ……だって、カルデアに来る女の子たちはみんなグラマラスだし……アタシ、もしかしたらロビンに捨てられちゃうんじゃないかって不安で……」

 

「はぁ~……ったく、お前ってやつは……」

 

 ロビンは呆れたように呟いた後でそっとエリザベートの頭を撫でる。そして、彼女の耳元に口をやると、小さな声で囁く。

 

「……あのな、俺がそんな薄情な男に見えんのか? 事情があってお前以外の女を抱く事はあるかもしれねぇけど、お前をないがしろにすることはしねぇよ」

 

「……ほんと?」

 

「信じろっての! そもそも、三回も処女を奪っておいてポイ捨てとか逆に鬼畜過ぎて出来ねぇわ!」

 

 照れ隠しの様に頭を撫でるロビンの手から温かい物を感じたエリザベートは胸をときめかせる。愛しい彼は、自分を大切に扱ってくれると言ってくれた。その事が、何よりも嬉しかった。

 

「ま、なんだ。正直なとこもう少しおしとやかになってくれた方が……って、うおっ!?」

 

 エリザベートに話し続けていたロビンだったが、そのエリザがいきなり腰を動かし始めたのを感じて驚きの声を上げる。同時に、彼女に挿入している肉棒を締め上げる膣の感触も覚えていた。

 

「すきっ♡ すきっ♡ すきぃっ♡ ろびん、だいすきぃっ♡」

 

 目にハートマークを浮かばせながら動き続けるエリザベート、そんな彼女の様子を認めたロビンは悪戯っぽく囁く

 

「なんだよ。虐められても可愛がられても感じちまうなんて、とんだエロ娘になったもんだな」

 

「そうしたのはロビンなんだからっ♡ セックスを知らないアタシを変えてったのはロビンなんだからねっ♡」

 

 ロビンは動くエリザベートが既に絶頂している事を彼女の様子から理解していた。膣はきつく締まりながらも振動を続け、背筋は仰け反る様にして伸びあがっている。 

 それでもエリザベートは腰を動かすことを止めはしない。ロビンに気持ち良くなって欲しい……ただそれだけの思いを胸に、彼女は腰を振り続けているのだ。

 

「こころもっ、からだもっ、どんどんかえてっ♡ ロビンのこのみにかえてちょうだいっ♡ アタシっ、ずっといっしょにいるからっ♡ ロビンからはなれないからっ♡」

 

 可愛らしいまっすぐな告白とそれに違わぬ献身。それを受けたロビンもエリザベートの思いに応える為に腰を動かす。

 彼女の動きに合わせて腰を突き入れて狭い膣の奥にある子宮口を突く。コツコツと子宮の入り口をノックされる感覚にエリザベートの官能が刺激されていく。

 

「イクっ♡ ロビン、イクっ♡ あかちゃんのへやノックされて、イッちゃうのぉ♡」

 

 辛抱堪らないと言った様子のエリザベート、それはロビンも同じだった。爆発寸前の分身をエリザベートの奥深くへねじ込むと、ぐりぐりと最奥を責める様にして押し付けた。

 

「ひっ……くぅぅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 今まで以上の深い絶頂を迎えたエリザベートが大声で叫ぶ。仰け反り、膣を思いっきり締めながらロビンが射精してくれた精液の熱さにうっとりとした表情を見せる。

 

「んきゅっ♡ はぁぁ……♡ おっぱい、おっぱいぃ……♡」

 

 優しく乳房を揉まれる快感に身を委ねるエリザベート、ロビンによって開発されて行くことに幸せを見出しながら、彼の手が与えてくれる快感を享受する。その横のベッドでは、若い二人の男女がお互いの性器を貪り合っていた。

 

「じゅっ、じゅっぅ……♡ せん、ぱいっ……♡」

 

 獣の衣装に身を包んだマシュが愛するマスターの肉棒を口いっぱいに頬張る。美味しそうに彼の性器を咥える姿は、正に肉食獣である。

 そんな彼女の奉仕を受けている彼はと言うと、マシュ同様に相手の性器を口に含んでいた。お互いがお互いの下半身に顔を向けるシックスナインの体勢で奉仕し合う二人の様子をスカサハとクー・フーリンの二人が見守る。

 

「ぷはぁ……っ、せんぱいは、きもちいいですか……?」

 

「もちろんだよ……! マシュの口の中、温かくって俺のチンコが溶けちゃいそうだ……っ!」

 

「良かった……♡ 私のおまんこも、先輩に舐められるとひくひくしちゃって……とっても気持ち良いです……♡」

 

 幸せそうな表情を浮かべてマスターへの奉仕を続けるマシュ、まるでキャンディを舐めるかのように彼の肉棒に舌を這わせる彼女の様子を見たロビンが何かを思い出すと、着ていた服のポケットから包み紙にくるまれた小さな飴玉を取り出した。

 

「ほら、これやるよ…………マスターとクー・フーリンもどうだい?」

 

「ああ、あれか……貰っとくわ」

 

「むぐ……っ、なにこれ? ミルクキャンディ?」

 

 口の中に飴玉を放り込まれたエリザベートはぺろぺろとそれを転がしながら尋ねる。クー・フーリンもスカサハにそれを渡して舐めさせていたが、マシュだけがマスターから飴を受け取ろうとしなかった。

 

「申し訳ありません。ですが、今はマスターへのご奉仕が優先かと……」

 

「そっか、じゃあ、俺が舐めちゃおうかな。でも、ただ舐めるのはもったいないから……っと!」

 

「きゃぁっ!?」

 

 寝そべっていたマスターが上体を起こした事で下半身を持ち上げられる様な姿勢になったマシュが悲鳴を小さな上げる。その脚を自分の肩に乗せてマシュのお尻を見下ろす形になった後で、マスターは片手で飴の包み紙を剥がし、もう片方の手でマシュのアナルを広げながら悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

「せっかくだから、マシュにはこっちのお口で食べさせてあげるよ」

 

「んひっ♡♡♡」

 

 ぽこんっ、と親指の先ほどの大きさの飴がマシュのアナルへと飲み込まれて行った。括約筋の働きで外に排出されそうになるその飴をマスターが自分の舌で押しとどめる。

 

「んあぁぁぁ……♡」

 

 快楽で力が抜けるマシュの躰、マスターの舌の力に負けて奥に飴が押し込まれて行く。そうなれば当然、彼の舌もアナルの中へと潜り込むことになる訳で……

 

「なめっ、られてる……っ♡ 先輩に、おしりのなか、なめられてます……♡」

 

「んっ……! マシュのアナル、甘くておいしいよ……」

 

「うぅ……はずかしい……です……♡」

 

 入り口から始まり飴によって広げられた腸内をねっとりと舐められればマシュの口からは甘い吐息が漏れる。奉仕を続ける余裕も無く感じていたマシュは呆けた表情を浮かべていたが、急に眼を見開くと大声で喘ぎ始めた。

 

「ひぎっ……!? な、んでぇ……!? おしりが、あつい……っ!」

 

「おー、やっぱ腸内の方が温度高いのな。もう飴が溶け始めたみたいだ」   

 

「へ……? この飴、なんかあるの?」

 

「ん~? 大したことじゃねぇよ? それがナイチンゲールの母乳製で、女が舐めると結構強力な媚薬の効果があるって事ぐらいかね」

 

「んなっ!?」

 

 ロビンから飴の効能を聞かされて驚くエリザベート。その拍子に飴を飲み込んでしまい目を白黒させる。すでに飴をかじって飲み込んでしまったスカサハもまた少しきつい視線でクー・フーリンを睨むが、彼はそんなものはどこ吹く風と言わんばかりにスルーしていた。

 

「んあっ……♡」

 

「くぅっ……♡」

 

 びくっ、とマシュから少し遅れて媚薬の効果が出始めた二人は小さく喘ぐとその強力さに身震いしていた。体が際限なく熱くなり、愛液がだらだらと漏れる。肌には空気の流れすらも鋭敏に感じられ、触れられる場所すべてが感じられるポイントへと変化していた。

 

「へあっ♡ あっ……むぐぅ……♡」

 

 ロビンの一突きを受けたエリザベートが大きく仰け反りながら喘ぐ。開いた口を上から唇で塞がれてそこに舌を挿れられてしまえば、もう抵抗できない。

 ただただ感じるだけの状態にされたエリザベートは上と下の二つの入り口から与えられる快感に呻く。誰よりも早く媚薬の効果がでたマシュもまたマスターの舌責めによってアナルと膣をひくつかせていた。

 

「あぁ……♡ 私が、先輩をたべるはずだったのに、私が先輩に食べられてるぅ……♡」

 

 悦びに震えながら尻を振るマシュ、同時に衣装に着けられた紫色の尻尾が揺れてマスターの顔を撫ぜる。まるで犬が可愛がられている様だと思いながらマスターは丹念にマシュの下半身を舐め続けた。

  

「んーーっ♡ んんっ♡ むうぅ……♡♡♡」

 

 エリザベートもまたキスとセックスによる快感にくぐもった声を上げる。瞳は蕩け、快感を得ている彼女もまた幸せそうにしてロビンの為すがままにされていた。

 

 本能のままに交わり合うマスターたち、そんな四人を見ながらスカサハもまた熱を帯びた呼吸を繰り返していた。火照り、疼く体を落ち着けようとする彼女にクー・フーリンが手を伸ばす。

 

「俺らもそろそろ始めようぜ、我慢の限界だ」

 

「ま、まて……今はまずい……くぁぁっ♡」

 

 静止の声も押し切られ、スカサハの纏う薄い紫色の衣装をめくり上げたクー・フーリンによって肉棒を挿入されてしまう。言葉とは裏腹に男を求めていたスカサハの体はその行動を素直に悦んでいた。

 

「ったく、こんなエロい格好して待ったかけるなんて無しだぜ?」

 

 スカサハを押し倒したクー・フーリンは、彼女の体を隠すという役目をほとんど隠せていない礼装の胸の部分を少しだけずらす。そして、衣装の下から飛び出した乳首をコリコリと両手で弄って行く。

 

「くぅぅぅぅ………♡」

 

「今さら声くらい我慢すんなよ。俺を誘う為にそんな服着てる時点で恥なんて有って無い様なもんだろ?」

 

「ひあんっ♡」

 

 ぎゅっと乳首を抓られた事による快感に体を弾ませるスカサハ、そんな彼女の様子を見たクー・フーリンが満足そうに微笑むと膣に潜り込ませた己の肉棒を動かし始める。

 全裸とも戦装束とも違う今のスカサハの服装に多少の愉悦を感じながら、クー・フーリンは彼女の奥を責める。

 

「んくっ……♡ お主、今日はいつもより激しいではないか、それにいつも以上に奮い立っておるぞ? 私のこの姿に興奮したか?」

 

「言ってろ、このスケベ師匠が!」

 

 天使の様な悪魔の姿。スカサハの淫らな仮装に対しての興奮を言い当てられたクー・フーリンがその口を快感で閉ざさせる様にして激しく責める。その行動の効果はてきめんで、あっと言う間にスカサハは喘ぐことしか出来なくなっていた。

 

「くぅっ♡ ふぅんっ♡ はんっ♡ はぁっ♡」

 

「……いつも以上に感じてんのはアンタもだろ? 媚薬の効果だけじゃねえ、男を誘うこんな格好して、自分で興奮してんじゃねぇのか?」

 

「言うっ、なぁ……♡」

 

 心の中を言い当てられたスカサハが羞恥に悶える。彼女にとって、肌面積を多く晒すこの格好よりも男を誘うと言う行動をしている事が恥ずかしく感じられていた。しかも、それが生前から思いを寄せていた男の為であると言うのならば尚更だ。

 

「あんっ♡ あぁっ、はぁぁ……っ♡」

 

 ほとんど裸だが確かに何かを身に着けていると言う意味では肯定できるスカサハの格好。いつもの全身タイツも体のラインがぴっちりと出る為にいやらしく感じる事もあるが、この「ハロウィン・プリンセス」はそれに輪をかけて卑猥だ。何しろ局部以外はほとんど隠せていない上に、肝心の部分ですら慰め程度の布面積しかないのだから

 

 これを身につける者がまだ青さの残る女性だったならば、それは可愛らしい仮装という一言で片がつくのだろう。だが、スカサハの様な洗練され、成熟した女性がこれを着ると何とも言えないエロスが醸し出されるのだ。

 事実、その雰囲気に当てられたクー・フーリンはいつもの余裕のある愛し方ではなく、まるで初めてセックスをする男の様に腰を振っている。愛弟子のそんな姿を見ながらこなす性行為にスカサハは確かな充足感を得ていた。

 

(……ちゃんと興奮してくれるのだな……この私の躰で……!)

 

 マシュやエリザベートの提案に乗っかる形で開催したこの宴だったが、正直な話、スカサハは一つの不安を抱えていた。それは、生前から男女の関係にあったクー・フーリンが自分とのセックスにマンネリを感じていないか? と言う物であった。

 まだまだ負けているとは思ってはいるが……このカルデアに居た女性たちは自分より『ちょっとだけ』若い。恋多き男であった愛弟子が、自分ではなく彼女たちに目移りしてしまわないかと不安だったのだ。

 

 つまるところ、彼女もエリザベート同様やきもちを焼いていたわけである。しかも、下手に年を取っている分素直になれないから質が悪い。

 上から目線で接している普段の自分に心の中で悪態をつきながらどうすれば良いかと考えていたところにやって来た絶好の機会、これを逃すスカサハではない。かくして、すこし大胆な服装をマスターの私室から盗んできて、ついでにマシュにも渡してからこの宴に臨んだわけであるが……

 

(これは……嬉しい誤算であったな……)

 

 男を誘う淫らな仮装と媚薬によって惑わされ、余裕の無い自分の姿を見たクー・フーリンはがむしゃらに自分を求めてくれている。スカサハにとって、それはとても喜ばしい事だった。

 

「ぐっ、あ、ぁ……♡」

 

 心臓が跳ね上がる様な快感、一度絶頂した体は熱を帯びながらも頭だけが冴え渡って来る。スカサハはきつくクー・フーリンを抱きしめ、その背中に爪を立てながら再び絶頂した。

 

「あぐっ……あぁぁぁぁぁっ……♡」

 

 自分の口から出る喘ぎ声はまるで普通の女子の様だと思いながら、スカサハは潤んだ瞳でクー・フーリンを見つめる。その目に映る愛する男に向けて、ひとりでに唇が言葉を紡いだ。

 

「セタンタ……もっと抱きしめてくれないか? もっと、きつく……」

 

「……お望みとありゃあ、そうさせて貰うぜ。なんか今日は俺も燃えて来た」

 

「は……あぁっ……♡」

 

 彼の熱い胸の中に抱かれると何も考えられなくなる。この身に溢れる幸せを感じながら、スカサハは目を閉じてクー・フーリンの温もりを感じ続けていた。

 

「……先輩、攻守交替と行きましょうか?」

 

 大人同士の熱い情事を繰り広げるクー・フーリンとスカサハを尻目にマシュは舌なめずりをしながらマスターを見下ろしていた。仰向けに寝そべる彼の肉棒の上に跨ると言う下品な格好をしているマシュは、今の格好と相まって淫乱な肉食系女子に見えなくもない。

 

「こんどこそ、私が先輩を食べちゃいます♡ おっきくて素敵な先輩のおちんぽ、私のおまんこでもぐもぐしちゃいますからね♡」

 

 そう言ったマシュはゆっくりと腰を下ろしてマスターの肉棒を膣に迎え入れる。まるでご馳走を食べるかの様に膣で肉棒をたっぷりと堪能しながら、マシュは恍惚とした表情をマスターに向けた。

 

「先輩……見えてますか? 私のおまんこが先輩のおちんぽを咥えこんでる所……とってもいやらしくって、本気のお汁がたっぷり出て来てるんですよ……♡」

 

 マシュは自分とマスターの結合部分を見せつける様にしてゆっくりと動き始める。いつもは自分に成すがままにされているマシュが、積極的に腰を振って男根を貪るその光景にマスターが興奮しない訳が無かった。

 

「あはぁ……♡ 素敵です、先輩……♡ 私の膣で、もっと大きくなってます……っ♡」

 

 ハートマークを浮かべ熱に溶かされながらもギラギラと輝く目が、口からちろりと覗くその舌が、しなやかで小さい、紫色の手袋を纏った指と手が、マシュが上下する度に揺れるマシュマロの様な乳房が、淫らで危険な獣と化したマシュの全てが、マスターを興奮させた。

 いつもよりも浅い位置に感じるマシュの子宮。彼女が興奮している証を亀頭の先に感じながらマスターもマシュの動きに合わせて腰を突き上げる。美しいマシュの躰に手を伸ばせば、彼女は自ら上体を倒してマスターの胸の上へと倒れ込んできた。

 

「先輩……私は、先輩が望むのならどんな女にもなります……積極的に腰を振って先輩を食べつくす淫乱にも、従順に先輩に従って何でも言う事を聞く雌犬にも……」

 

「だから、しっかりと躾けてくださいね♡ 今の私は『デンジャラス・ビースト』……とっても危険な獣なんですから♡」

 

 器用に腰だけを動かしてマスターへと快感を与えるマシュ。当然、自分も快感を貪っている彼女はぎらついた捕食者の目でマスターを見る。

 良い子の自分を捨て去り、本能のままに動く獣へと化した今のマシュにとって自分とマスター以外の事などどうでも良いのだろう。このセックスがすべてだと言わんばかりに全力で腰を動かす。

 

「くっ……マシュ、俺っ、もう……っ!」

 

「あはっ♡ 射精るんですね、先輩っ♡ 下さいっ、先輩のあっついザーメン、私のスケベまんこに射精して下さいっ♡」

 

「ぐっ……おぉぉぉぉぉっっ!」

 

 マシュの尻と背中に手を回して抱きしめるマスター、壊れんばかりに力が込められたその抱擁を受けながらもマシュは動きを止めはしない。

 膣でマスターの肉棒を締め上げ、すべてを搾り取る。子宮口にぴったりとくっつけられた亀頭から精液が放たれた時、マシュも全身を震わせて絶頂した。

 

「イクっ、イクぅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 マスターの全てを貪りながらその腕の中で震えるマシュ。体を強張らせる二人は長い間きつく抱き合っていたが、その均衡を破ったのはマスターであった。

 

「あんっ……♡」

 

 ころりと転がって自分とマシュの位置を入れ替える。マシュは今度は自分ががマスターに覆い被される格好になった事に胸を高鳴らせながら、彼の瞳を見つめる。 

 

「攻守交替だよ……今度は、俺はマシュを食べる番だ」

 

「はい……♡ どうぞ召し上がって下さい♡ 私の躰のすべて、余すことなく味わってくださいっ♡」

 

 紫色の狼娘が快楽に吠える。火照る獣の躰を一つ一つ躾けて支配下に置きながら、マスターは今夜、彼女の言葉通りマシュの全てを食べつくしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……首尾はどうなっておる、騎士王よ」

 

「………」

 

 魔物が蠢く部屋の中、触手が張り巡らされた床に自分の聖剣を突き刺したまま立つ女性に対して別の女性が声をかけた。良く見れば二人の顔はとても良く似ており、顔だけ見れば瓜二つだ。

 しかしながら、彼女たちの体には大きな差異があった。簡潔に言えば片方は慎ましやかで、もう片方は豊かだったのだ。

 

「ローマ皇帝の一人である余が直々に作業の確認に来たのだぞ? 何とか言わぬか」

 

「……ああ、すまない。愚かな犬をどうすべきか考えていたところだ。無視したわけでは無い」

 

 そう言って元騎士王、現性奴隷であるサーヴァント「アルトリア・ペンドラゴン」は自分と同じ運命を辿ったその女性に答える。その言葉に怪訝そうな表情を見せた元ローマ皇帝「ネロ・クラウディウス」の後ろで、大きな光が弾けた。

 

「……遅いぞモードレッド、再召喚にどれだけ時間をかけるつもりだ?」

 

「す、すいません父上……お手数をおかけしました」

 

「詫びの言葉など良い、お前が限界だと喚くせいで30秒も無駄にした。さっさと遅れを取り戻せ」

 

「はっ、はいっ!」

 

 アルトリアの声に身を竦ませたモードレッドは部屋の中心へと走って行く。彼女の向かう先には大量のキメラと巨大なヒトデの様な姿をした海魔の姿があった。

 

「お、お待たせしました……また処女からやり直しですが、どうかこの雌犬に皆さんちんぽをハメて、子供を孕ませてくださいっ!」

 

「グオォォォォォォッッッ!!!」

 

 尻を向けて射精をせがむモードレッドに対して一匹のキメラが吠えるとその巨大な肉棒を彼女の膣の入り口にあてがった。大人の腕よりも大きくて深いそれを一気に突き入れれば、モードレッドの性器からは赤い血が流れていく。

 

「あ、あぁぁ……っっ」

 

「ガオォォォォォッッッ!!!」

 

 巨大なキメラに組み敷かれて交わるモードレッドの口からは弱々しい悲鳴が上がる。鍛え上げられていたはずの彼女の体はすでに見る影も無く、孕み産み落とすだけの女の躰になっていた。

 モードレッドは体内の魔力を全て出産に使う様にスキルを書き換えられていた。常に子宮に魔力を放出し、胎内の子供の成長速度を速めると共に強い子供になる様に魔力を注ぎ込む。直感スキルで精子を見つけ出して孕みやすくなるようになった彼女の体は、数多の改造の末に妊娠から出産までをたった一日でこなせるようになっていた。

 

「あ、ひ、いぃぃ……」

 

 巨大な肉棒を受け入れる彼女の腹が大きく膨れる。射精され、妊娠したのだ。ぼこりと膨れた腹を頬りだしたまま這いつくばる彼女の尻穴に海魔たちの卵管が迫る。

 

「んひぃぃぃっ!!!」

 

 卵管からモードレッドの腸内に送り込まれるのは海魔の卵……彼女の下半身は、異形の怪物の子を産む為だけの物としてソロモンに利用されているのだ。

 

「……妊娠、および海魔の卵を受け入れたな。さっさと魔力放出して妊娠期間を短くしろ」

 

「ち、ちちうえ……そんなことしたらおれのからだがもちません……」

 

「……それがどうした? お前の事などどうでも良い。ソロモン様の為に死ねるなら本望だろう? すでに何回も殺されているお前が、今さら何を言う」

 

 アルトリアは自分の持つ聖剣「エクスカリバー」をモードレッドに向けながら言う。彼女の言う通り、モードレッドは幾度となく魔力の使い過ぎで消滅していたのだ。

 その度にアルトリアが彼女を殺し、間髪入れずに再召喚されたモードレッドは再び苗床としての仕事に戻る……ソロモンの悪趣味な仕掛けによって再召喚される度に処女に戻るモードレッドは、生まれ変わる度に処女喪失の痛みを味わっていた。

 

「お前が耐え切れず弱ったなら私が直々に殺してやる。お前はさっさと戻って来て化け物の子を産めば良い。何も心配するな雌犬、お前の心配をする人間など居はしないし、そもそも犬には主に逆らう権利は無い」

 

「あ、あはは……あはははは! そうでした、すいません父上、俺、まだ自分の立場がわかってませんでした!」

 

 目に光を灯さないまま笑った後でモードレッドが体に魔力を迸らせる。尋常でない魔力を放出した彼女の尻穴からは海魔の赤子がひりだされ、膣からもキメラの子供が産み落とされた。

 

「……やればできるではないか、その調子でもっと産め」

 

「は、い……」

 

 アルトリアに褒められた事に笑みを浮かべたモードレッドだったが、どさりとその場に倒れると動かなくなった。たった一回の出産ですべての魔力を使い果たしてしまうとは情けないと思いながら、アルトリアは彼女に剣を向ける。

 

「……次はもっとうまくやれ、良いな?」

 

 間髪入れずにモードレッドの胸の中心に切っ先を落とす。体を剣に貫かれたモードレッドは一度大きく痙攣した後で光の粒へと還って行った。

 

「これで何回目だ?」

 

「再召喚の回数なら107、出産回数は数え切れん。まだ目標の数には足らんがな」

 

「そうか……やはり、苗床の数が足らんのではないか?」

 

「かもしれんが、その役目に最適なサーヴァントがあの犬しかいないのだ。出来るものならば私も苗床となってマスターのお役に立ちたいのだが……っ!」

 

 自身の背後で弾けた光の中に居るモードレッドに鋭い視線を向けるアルトリア。どこか呆けた様に歩く彼女に対して、きつい言葉を見舞った。

 

「早くしないか! 主から重大な命を賜っておいてそのやる気の無さはなんだ!?」

 

「ひっ! す、すいません父上! 俺、頑張って孕みますから! たくさん子供産みますから!」

 

「当然だ! さっさと仕事に戻れ!」

 

「は、はいっ!」

 

 再びモードレッドは化け物の輪の中に体を沈める。処女喪失、妊娠、出産……終わらない悪夢の中で幸せそうに笑う彼女を冷ややかに見つめた後で、ネロはアルトリアに話しかけた。

 

「急げよ騎士王、もう既に計画は動き出しているのだからな」

 

「分かっている。ソロモン様の理想の世界を創る為の計画……その実行の為にも、こんなところで手間取っているわけにはいかん」

 

「その通りだな! ……第一部隊に我らの名が無いのは無念だが、あの二人に任せるとするか」

 

「ええ……あの二人ならばソロモン様のご期待に応え、フランスを理想の国家へと生まれ変わらせる事が出来るでしょう……」

 

 脳裏に浮かぶのは二人の聖女、長きに渡るフランスとイギリスの戦い「百年戦争」における最大の英雄と、その暗黒面である少女

 自分たちと同じ顔をしたあの二人ならばきっと主の望む成果をあげるだろう。自分の生まれ故郷を主に差し出せるとは、なんとも羨ましいことだ……

 

 モードレッドの喘ぎ声をバックに二人は嗤う。圧倒的な戦力を持つソロモンに無駄な抵抗を続けるカルデアのマスターたちを嘲笑い続ける。

 順調に4人の英霊を奪い返したカルデア、だが、彼らの知らぬところではソロモンの邪悪な企みが動き始めていたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖女、堕つ (ジャンヌ&ジャンヌオルタ NTR 堕ち描写注意)

 

 

 薄暗い廊下を歩き、目的地へ向かう。ソロモンは一つのドアの前に立つとニヤリと笑った後でそれを開けた。

 

「くっ……うぅ……」

 

「はっ、くっ……」

 

 部屋の中には二人の女性が居た。同じ顔、同じ体つきをした二人の女性の違いと言えば、その髪だろう。片方は鮮やかな金色、もう片方は銀の髪をしている。

 何も身に纏っていない彼女たちは、美しい裸体を曝け出していた。女性としても魅力に富んだ胸も形の整ったヒップもだ。まるで芸術品の様な彼女たちの姿、しかし、それにまとわりつく様にしておぞましい怪物が二人を拘束している。

 

 それはヒトデの様な化け物『海魔』であった。しかし、普通のものは少し違う様だ。大人の男よりも一回り程大きいその海魔たちに両手両足を拘束された女性たちの膣とアナルには、太い触手が挿入されていた。

 

「ご機嫌いかがかな、ジャンヌダルクたちよ」

 

「ぐっ……! ソロ、モンっ!」

 

 名を呼ばれた女性たちは鋭い目つきでソロモンを睨む。怨嗟と憎しみの籠った目つきを受けながらも、ソロモンは愉快そうに笑いながら彼女たちへと近づくだけだ。

 

「特別製の海魔は気に入った様だな。触手をしっかりと咥えこんで離さないと見える」

 

「こんなおぞましい物、気持ち悪いだけよ!」

 

 荒い息を吐きながら抵抗を見せるのは銀髪の女性、『ジャンヌ・ダルク・オルタナティブ』だ。オリジナルのジャンヌの暗黒面を象徴する彼女は強い憎しみを持ってソロモンを睨む。

 だが、ソロモンはその抵抗すらも楽しみとしか受け取らなかった。おもむろに腕を伸ばすと、ジャンヌオルタの豊かな胸を強く掴む。

 

「ひあっ♡」

 

「ククク……それにしては良い声が出るでは無いか、躰は淫らに改造されてしまった様だな? ええ?」

 

「ぐっ、うぅ……!」

 

 オルタの胸の柔らかさと悔しそうな表情を楽しむ様にしてソロモンは話を続ける。ニヤニヤと笑いながら拘束されて動けない二人に対して彼女たちの絶望的な状況を教えていった。

 

「既に己の体で理解していると思うが……その海魔の体液は強力な媚薬となっている。すでにお前たちは一週間もの間この海魔に拘束され、体液を注ぎ続けられているんだ、躰が熱くて堪らないだろう?」

 

「膣および直腸内への触手性交と媚薬注入、至近距離で海魔の吐く息を吸い込み続けた事による気管からの媚薬吸引、極めつけは血管内への媚薬注射……お前たちの躰は、触れられるだけで絶頂してしまう様になっているのさ!」

 

「んあぁっ♡」

 

 ぐりっ、と乳首を抓り上げられたジャンヌオルタは嬌声を上げて仰け反った。触手を挿れられている膣はきつく締まり、ぼたぼたと愛液も噴き出してきている。

 ソロモンの言う通り淫らに開発されてしまった躰を恨みながら、ジャンヌオルタは良い様に弄ばれてしまっていた。

 

「くっ……ソロモン、貴方はなんの目的で私たちにこんな真似を……?」

 

「何故かだと? そんなもの決まっているであろう、お前たちを堕とすためさ!」

 

「くひゃぁぁぁっ♡♡♡」

 

 先ほどよりも強く乳首を抓られたジャンヌオルタは大声を出して仰け反った。すでに絶頂していてもおかしくない程の快感を与えられていると言うのに、彼女の躰から熱が引く事は無い。それは、ソロモンから二人にかけられた呪いが関係していた。

 

「お前たちには我が奴隷となってもらう。この私に忠誠を誓い、従順に雌穴を差し出す性奴隷にな……! 先日お前たちにかけた呪いは、その為に必要なものさ」

 

「……『イけなくなる』なんてアンタにお似合いの悪趣味な呪いじゃない。くだらない事に魔術を使うのがお好きなようね、魔術王さん」

 

「強がるではないか竜の魔女よ。しかし、その反抗的な態度も今日までだ。宣言しよう、今日、お前たちは堕ちる。自らこの私に忠誠を誓い、今までの生を投げ捨てるのさ!」

 

「だれが、そんなことを……!」

 

「くはは! そう睨むな聖女よ。お前たちにとっても悪い話じゃないさ、何しろ想像もつかない快感を永遠に得続けられるのだからな!」

 

 そう言って大声で笑うソロモンを二人のジャンヌは睨み続けている。しかし、その瞳には一抹の不安も感じられた。

 

 この責めを受け始めて二日目、淫らな開発が終わったジャンヌの躰を海魔たちは徹底的に責めた。両穴を抉られ、奥の奥まで媚薬入りの体液を注がれ、触手による責めで全身を嬲られた。その時、ジャンヌたちは気が狂う寸前まで追いつめられたのだ。

 快感に流され心が砕ける寸前にやって来たソロモンによって絶頂が不可能になる呪いを受けた事で精神の崩壊は防ぐ事は出来たが、今の自分たちの躰はその時よりも媚薬を注がれて敏感に改造されてしまっている。もし、呪いを解除された後で前の様な責めをされたら、耐えられる自信は無かった。

 

「さぁ、始めさせて貰おうか……まずは、もう一つ仕掛けを施すとしよう」

 

 ひとしきり笑った後でジャンヌたちに向き直ったソロモンは、二人に向けて魔力を放出した。体を包む奇妙な感覚に冷や汗を流しながらも強い意志を持ってソロモンを睨んでいた。

 

「私たちに何をした!?」

 

「なに、簡単な魔術だよ。こうしてやると……」

 

「んひっ♡」

 

 ソロモンは再びジャンヌオルタの乳首を抓り上げる。痛みを伴う快感に喘いだ彼女だったが、特に体に変化は感じられない。一体何をされたのかと疑問に思っていると……

 

「ひいっ♡」

 

「え……?」

 

 自分の隣で拘束されているジャンヌが驚きと快感の入り混じった声を上げた事に怪訝に視線を向ける。ソロモンに触れられていないはずの彼女は何故あのような声を上げたのか? 海魔に責められたのかと疑問に思っていたオルタだったが、ソロモンが自分に変わってジャンヌの乳首を抓り上げた時、先ほどの彼女と同じ様な声を上げてしまっていた。

 

「あひぃっ♡」

 

「ククク……理解したかね?」

 

 指でジャンヌの乳首を弾きながらソロモンは嗤う。一切触れられていないはずの自分の乳首に快感が走る事に驚いたジャンヌオルタは、ようやくソロモンが自分たちに何をしたのかを理解した。

 

 ソロモンはジャンヌとオルタの二人の感覚をお互いが感じられるように連結させたのだ。片方が責められればもう片方もその責めによって感じるだけの快感を得る事になる。触れられてもいないと言うのに乳首が抓り上げられる感覚を覚えたのはこのせいだったのだ。

 

「さて、ご理解頂いたところでこの魔術の本来の使い方を教えてやろう」

 

「ひっ…!」

 

「あっ…!」

 

 ソロモンの合図と共に自分の躰の中に潜り込んでいる二本の触手が動き出す。今までと同じように両方の穴を抉り、容赦なく快感を生み出していく

 ジャンヌたちは身震いした。ただでさえ開発された躰に対するこの責めは過酷である。その上、今はもう一人の自分が得る快感も感じなくてはならないのだ。

 

「ひぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

「あぁぁ~~~~~~っ♡♡♡」

 

 普段の二倍の快感にジャンヌたちは抗い様も無く喘ぎ続ける。二人の膣を乱暴に責める触手が同じタイミングで同じ場所を責めればその快感はとてつもない嵐となって二人に襲い掛かる。

 

 別々の責め方をされるのも厳しい。ジャンヌのアナルを責める触手は肛門の入り口付近を広げる様にしてぐりぐりとその身を震わせている。尻穴を穿られる快感に舌を放り出していると、ジャンヌオルタのアナルを責める触手の動きが変わった。一気に奥深くまで突き入れて直腸の奥を徹底的に責める。入り口と奥の両方を同時に責められると言うありえない快感に二人は翻弄されっぱなしであった。

 

「ほっ、ほぉぉぉっ♡ ほぉぉぉぉっ♡」

 

「とま、とまんないっ♡ あなりゅぬけるの、とまんにゃいっ♡」

 

 片方のアナルから触手がゆっくりと抜け落ちて行く。排泄の開放感に似た快感を与えてくるその責めは、まるで二人のジャンヌにトイレトレーニングをしているかのようにゆっくりと行われて行く。

 

 そしてアナルから触手が完全に抜け落ちた時、今度はもう一人の方の触手が排泄を開始するのだ。これまたゆっくりとアナルを責め、肛門を弾きながら尻穴から抜け落ちて行く。

 

 そうしている間に先ほど抜け落ちた触手が再びアナルへと侵入していき……あとは、この繰り返しだ。終わらない排便をしているかのような錯覚を覚えるジャンヌたちは、アナルセックスの醍醐味である抜け落ちる感覚をエンドレスに与えられていた。

 

「ああぁ……♡ 出てるぅ……出てるのに、挿ってくるぅ……♡ もう、訳が分からない……♡」

 

「もうダメ、壊れる! お尻が壊れるっ!」

 

 過酷な尻責めを受けたジャンヌたちが悲鳴を上げる。全身の完全開発+二倍の快感+奇想天外な責めに対してグロッキーになりながらも、彼女たちが真に恐れているのはそこでは無かった。

 

 気が狂う程の快感を与えられていると言うのに二人は絶頂していないのだ。それはソロモンが自分たちにかけた呪いのせいだとは分かっているが、今の二人にはそれが何よりも恐ろしかった。

 

 本来ならば幾度となく絶頂して気を失ってもおかしくない程の責め、それが二人分だ。数度の絶頂と同時に躰の熱が引いているはずだと言うのに絶頂による満足を得られていない自分たちの躰は際限なく高められてしまっている。

 

 もしこのまま呪いを解除されなかったらどうなるのか? 延々と満足しない躰の出す信号に精神の方がやられてしまうかもしれない。心が壊れ、自分を失ったところでソロモンが魔術を施して自分たちを人形にすると言うのは十分にあり得る可能性だ。

 

 だが、呪いを解除されたとしても恐ろしい事が待っているのは間違いない。なぜなら今の自分たちが正気を保っていられるのは、間違いなく絶頂していないからだ。

 

 絶頂による官能の爆発を何度も体験していたのならばもうとっくに自分たちの精神は壊れていただろう。そうなっていないのはひとえに呪いのおかげとしか言い様が無い。

 

 二人はソロモンにかけられた呪いに苦しめられながらも同時に助けられてもいた。しかし、このままでは遅かれ早かれ自分たちは壊れるだろう。

 この極限状態の中で自分がどうすべきか悩む二人だったが、ソロモンは意外な提案をしてきた。

 

「……どうした? やはり絶頂できないのは物足りないのか? では、お前たちにかけた呪いを解除してやろうか?」

 

「何ですって……?」

 

「呪いを解除してやろうと言っているんだ。無論、取引はするがね」

 

「……アンタの奴隷になれ、って言うんだったらお断りよ!」

 

「くく……だろうな。だから私が提案するのはその数歩手前の物さ」

 

 ソロモンは二人の下腹部を撫でながら囁く。白く美しい彼女たちの肌、子宮の丁度真上の部分を撫でながら条件を告げる。

 

「……私に恭順の意を示す淫紋令呪をここに刻め。ただし、完全な物でなくて良い。五割程度の物を刻むと言うのならば、お前たちにかけた呪いは解除しよう」

 

「くっ……」

 

 それは悪魔の囁きだった。甘美な滅びの一歩目を進めるその言葉を聞いたジャンヌは、心の中でそれを否定する。

 

(聞いては駄目……これは、間違いなく罠よ)

 

 ここで淫紋令呪を刻んでしまえば最後、ソロモンは次々と要求を重ねて最終的には完全な淫紋令呪を二人に刻むだろう。そんな破滅の未来しか見えない要求にジャンヌが答える訳がなかった。

 

 だが…… 

 

「……わかったわ、アンタの要求を呑む」

 

「なっ!?」

 

 あろうことか、ジャンヌオルタはソロモンの要求を受け入れると発言したのだ。信じられないその行為にジャンヌは声を荒げる。

 

「何を考えているのですか!? 快楽に負けて、心を売り渡すと言うつもりですか!?」

 

「……アンタ、馬鹿じゃないの? そう考えさせる事こそがこいつの目的なのよ! このまま呪いを解除されなかったら遅かれ早かれ私たちの精神は崩壊する……そうなったら最後、抵抗できないままソロモンに好き勝手されるわよ」

 

「っっ……!」

 

 ジャンヌオルタの言う事にも一理ある。このまま際限なく高められたままでいれば間違いなく自分たちは壊れる。壊れた心の自分たちを傀儡にするなど、ただの魔術師ですら簡単な事だ。

 

「……そうなったらアイツの所に帰れない。それどころか敵対する事になるのよ。例え令呪を刻まれたとしても不完全ならば反抗の芽はある……私が耐えれば、なんの問題も無いはずよ」  

 

 耐えきると言う強い意志を持って宣言するジャンヌオルタ。彼女を前にしてジャンヌは自分の考えに自信が持てなくなってしまった。

 

 一時的に屈したふりをして耐える事が正しいのか? それとも、徹底的に反抗することが正しいのか? 悩むジャンヌをソロモンはニヤきながら見ていたが、不意にジャンヌオルタの下腹部に触れた。

 

「聖女の意志は固いと見える……では魔女よ、お前だけでも呪いを解除してやろう」

 

「くう……ううっ……」

 

 ジンジンと甘い痺れと共に刻まれる淫紋令呪、その痺れはジャンヌオルタと感覚を共有するジャンヌにも届いていた。

 

 ピリピリと下腹部の辺りから伝わる鼓動は、気を抜けばすぐに呆けてしまいそうなほど甘美だった。これでまだ不完全と言うのだから恐ろしい、二人は息を荒くしながらその快感に耐える。

 

「……では、責めの続きと行こうか。今度はもっと楽しい事になるぞ?」

 

 ソロモンが合図をし、再び触手を動かす。ジャンヌは高められる感覚を、ジャンヌオルタは絶頂による快感を、それぞれ我慢する為に歯を食いしばったが、予想外の事が起きた。

 

「お? おぉぉぉぉぉっ!?!?」

 

「なっ、なんなの、これはぁっ!?」

 

 触手に責められ、呪いを解除されたジャンヌオルタはあえなく絶頂した。開発された躰が伝える快感に耐えようとした彼女は信じられない感覚に目を見開く。

 

 それは、絶頂しながらもどこかぼやけた感覚を覚える絶頂……イっているはずなのにイっていない。何か枷が付けられた様な満足できない絶頂。

 

 満足できないだけではない。欲していた快感を得られるはずだった躰がお預けを喰らった事で更に高まってしまった。次いで与えれられる触手による快感に貪欲になるジャンヌオルタの躰は再び絶頂するも、感じられるのは前と同じぼやけた絶頂であった。

 

「なんでっ!? どう、してぇっ!?」

 

 先ほどよりもひどい状況になった事に心をすり減らしながらオルタは叫ぶ。躰を満足させるはずの行動が更に自分の躰を追いつめている。その理由が理解できない彼女だったが、隣に居るもう一人の自分もまた目を見開いて叫んでいる事に気が付いた。

 

「やめてぇぇっ! イかせないでっ! 壊さないでぇッ!」

 

「ま、さか……!?」

 

 本来絶頂できないはずのジャンヌのその叫びを聞いたオルタはこの不可解な現象の答えに気が付く。それは、二人の感覚が共有されている事に起因する結末だった。

 

 事は単純だ、二人の内、片方はどうあがいても絶頂できない。どんなに快感を与えられ続けても躰が達する事は無い。例えそれが、別人の絶頂を共有してもだ。

 

 ジャンヌオルタが絶頂した感覚をジャンヌも感じる。しかし、彼女は絶頂できない身、当然ながら躰に矛盾が生じる。絶頂しながらも絶頂できていないと言う理解不能の感覚にジャンヌの躰は究極の寸止めを喰らっていたのだ。

 そして当然、その感覚はジャンヌオルタにも伝わる。あのぼやけた絶頂は二人の躰の矛盾によって生まれた物だったのだ。

 

「ははは! どうした竜の魔女よ? せっかく呪いを解除してやったと言うのに浮かない顔だな?」

 

「アンタ、こうなるってわかってて……っ!」

 

「何を言っている? 私は約束通りお前の呪いを解いてやっただろう? そこから先の問題は、お前たち自身の物さ」

 

「ぐっ、うぅ……っ!」

 

 ジャンヌオルタは自分たちの失策を恥じた。意見を擦り合わせなかった事で陥ったこの非常事態を脱する方法はもう一つしかない。

 一度刻んだ令呪をソロモンが解除することは無い。と言う事は、ジャンヌが淫紋令呪を受け入れす事でしか、この地獄を脱する事は出来ないのだ。

 

 それはオルタだけではなく、ジャンヌ自身も理解していた事だった。まもなくして、唇を噛みしめたジャンヌが絞り出す様な声で呟く

 

「……ください」

 

「何だ? 聞こえんなぁ?」

 

「私に、淫紋令呪を刻んでください……!」

 

 悔しさに涙を滲ませながらジャンヌは呟く。聖女が破滅の一歩を踏み出したことに愉悦を感じながら、ソロモンは彼女に言った。

 

「よかろう……と、言いたい所だが、もう一つ条件がある。それが飲めるならば、令呪を刻んでやろう」

 

「……なんですか?」

 

「簡単さ、お前たちに呪いをかけてから5日間、本来お前たちが感じるはずだった快感がある。絶頂回数にして丁度1000……この快感を、今日一日で消費しきると言うのならば、令呪を刻んで呪いを解除しよう」

 

「1000回の絶頂を、今日一日で……?」

 

「ああ、その約束が果たされなかった場合、問答無用で完全な淫紋令呪を刻ませて貰う。それでも良いのなら、お前にかけた呪いを解こう。……さぁ、どうする?」

 

 無謀とも思えた。5日分の絶頂を今日一日で感じきる事など不可能に思える。しかし、二人には選択の余地は残されていなかった。

 

「「ひゃぁぁぁぁっ♡♡♡」」   

 

 触手が動き出せばまたあの絶頂がやって来る。一人では絶対に感じられない寸止めによる究極の感覚……二人がそれに耐えられるわけも無かった。

 

「わかりましたっ! 1000回イキますっ! だから、だからぁ……っ!」

 

「……契約は成った。では、望みの物をくれてやろう」

 

「ひぃっ……」

 

 じりじりと下腹部を焦がす感覚、今日二回目のその感覚に二人は身を震わせる。薄黒い令呪が刻まれたのを見た二人が視線を上げると、そこには1000と言う数字が炎の様に揺らめいていた。

 

「では早速契約を果たして貰おうか、記念すべき一回目だ。派手に感じろ」

 

 ソロモンの言葉と共に数字が目の前の1000から999へと減った。同時に二人の躰に快感が電流の様に流れる。

 

「はひぃぃぃっ♡」

 

「んはぁぁぁっ♡」

 

 派手に躰を揺らし、嬌声を上げながら二人は達する。暫し時間が経っても絶頂の余韻が引かない躰に、ソロモンは追い打ちをかけた。

 

「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡」

 

「あぁっ♡ あぁぁぁぁっ♡」

 

 二度目の絶頂、続いて三度目、四度目……カウントしきれない程の回数の絶頂を与えられながらもジャンヌオルタは歯を食いしばっていた。

 

(負けないっ……! 絶対に、こいつには屈しない!)

 

 耐える。その固い決意を固めた彼女は快感に抗う。この責めを耐えきれればまだ未来があると信じて

 

「……無理、だ……」

 

 だが、その決意を固めた直後に彼女の耳に弱気な声が聞こえて来た。その声を発した自分の分身を奮起させる様に悪態を突く。

 

「何言ってるのよ!? こんなとこで諦める訳には行かないでしょ! たかが1000回イかされるくらいで……」

 

「違う……違うんです、黒い私……1000じゃないんですよ……」

 

「え……?」

 

 何かに気が付いたジャンヌが絶望に染まった瞳をオルタに向ける。その眼を見たオルタもまた、言い様のない不安に包まれた。

 

「良いですか……? 私たちは1000回絶頂する。でも、それはお互いに1000を分け合うのでは無く、同時に1000度絶頂しなければならないんです。つまり、この時点で1000回×2人で2000回分の絶頂になる訳です」

 

「そ、それが何よ……個人で1000回イけば良いって事には変わりが無いじゃない!」

 

「忘れたんですか? 今の私たちは感覚を共有しています。私もあなたも、否応なしに相手の絶頂を感じなければならないんですよ!」

 

「あ……!」

 

 あまりにも強い快感にそれを忘れていたオルタはその事実を突き付けられて硬直する。そんな彼女に向けて、ジャンヌは更に絶望的な事実を告げた。

 

「そして……私たちが同時に絶頂すれば、それは二回分の絶頂を個人が受けている事となります。本来の絶頂の二倍の快感を、この開発され切った躰で感じなければならないんです!」

 

「……た、耐えてやるわよ。そのくらい、どうってこと……」

 

「……強がるのは止めてください。分かっているでしょう? イけばイクほど、私たちの躰は敏感になる……後になればなるほど、強い快感を感じる事になるんです。躰も心も……耐えきれるはずが無いんですよ……っ」

 

 『実質2000回の絶頂』を『二倍の快感』で『時間が経つほど敏感になる躰』で『今日中』に消費しきらなければならない……どれか一つでも絶望的なのに、それがすべて合わさってやって来るのだ。ここにきて、ジャンヌオルタの心は初めて折れそうになっていた。

 

 それでも彼女が屈しなかったのはカルデアのマスターへの信頼ゆえだった。自分が耐えていればきっと彼が助けに来る……そう信じている彼女は絶望的な状況にも抗おうとする。

 

(負けない……帰る、帰るのよ! あいつの所に……!)

 

 目に涙を浮かべてもソロモンには屈しないと言う思いを胸にするオルタ。だが、それすらもソロモンの手の上で転がされている事に彼女たちは気が付かない。

 

 二人が自分たちの状況に気が付いた事を見たソロモンは再び取引を提案する。聖女と魔女を快楽の底に引きずり込む取引を……

 

「……自分たちの現状が分かった様だな? では、ここで取り引きをしようでは無いか?」

 

「何? どういうつもり?」

 

「取引の内容はこうだ。淫紋令呪を強化する代わりにお前たちの精神を快楽では壊れない様にしてやる……どうだ? 良い取引だろう?」

 

「なんですって……?」

 

 ソロモンは間違いなく何かを企んでいる。そうでなければこんな提案をしてくる訳が無い。

 しかし、その真意を探る余裕は二人には無い。ソロモンが命じれば、再び絶頂の渦に巻き込まれてしまうのだ。

 

「んぎぃぃぃぃぃっ♡」

 

「ほぉぉぉぉぉぉっ♡」

 

「良く考えると良い。その絶頂を耐えられるかどうかな」

 

 もはや限界だった。数を見てみればまだ990もの絶頂が残っている。たった10回でこれほどまで追いつめられると言うのに、1000回など耐えられるはずが無い。

 二人は同時に口を開くと、同時に叫んだ。奇しくも、その言葉までもが同じであった。

 

「「刻みますっ! だからどうか、この快感から解放してくださいっ!」」

 

「……良いだろう。では、令呪の強化を始めようか」

 

 二人の下腹部にソロモンが手を置く。令呪から与えられる鼓動が強くなってくる事に悔しさを感じながら、二人は必死に耐える。

 

(負けません……こんな、卑劣な男には……!)

 

(耐えるのよ……そうすれば、きっとアイツが……!)

 

 ほぼ完成しきった淫紋令呪を刻まれながらも二人は心を強く持っていた。耐えきって見せると、マスターに忠義を見せるのだと、その強い思いを奮いたたせる。

 

「……あぁ、言い忘れていたがこの令呪を刻んだ時点で君たちの躰のコントロール権の大半は私に移っている。だから、こんな命令も下せるのさ……」

 

 だが、その決意を砕くソロモンの策が迫る。自分に二人の怯えた視線が集中している事を感じながら、ソロモンは非情な命令を下す。

 

「……私のこの手が離れた瞬間、残り990回分の絶頂を一気に味わえ。壊れぬ精神で存分に至上の快楽を味わうと良いさ」

 

「なっ!?」

 

 その言葉にジャンヌは目を見開き、オルタは歯を食いしばった。今までの行動はすべてこの命令を下す為の布石だったのだと理解した二人は叫ぶ。

 

「耐えて見せる! あなたの思う通りにはならない!」

 

「殺してやるっ! 必ずお前を殺してやるからなっ!」

 

 本気で憎み、本気で叫ぶ二人の声すらも楽し気に聞きながらソロモンは両手をジャンヌの躰から離す。瞬間、二人の声が嬌声に変わった。

 

「あひっ♡ んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

「いぎっ♡ ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 脳が沸騰するほどの快感、全身を叩く快楽の波、990×2=1980回分の絶頂を感じながら二人は喘ぐ。いや、喘ぐなどと言う生易しい物では無かった。

 

「ひぃぃぃっ♡ とめてっ、とめてぇぇぇっ♡♡♡」

 

「むりっ、むりぃぃぃぃっ♡ こわれるぅぅっ♡♡♡」

 

 涙、涎、鼻水……美しい顔を様々な液体でぐしゃぐしゃにしながら二人は叫ぶ。膣からは絶え間なく潮が噴出し、躰は休まることなく痙攣し続けている。

 そんな彼女たちに追い打ちをかける様にして動き出した触手は情け容赦の無い責めを開始した。

 

「いやぁぁぁっ♡ うごかさないでぇっ♡」

 

「イッてる♡ イッてるから、もうやめてぇっ♡ おまんことおしりいじめないでぇっ♡」

 

 媚薬の効果を持つ体液を噴出しながら二人の膣とアナルを責める。子宮と直腸の奥まで注がれた媚薬はジャンヌたちの体にジュクジュクと染み込んでいく。

 

 それだけではない。海魔たちの体から針の様に細い触手が飛び出すと同時に二人の躰の至る所にその先端を突き刺したのだ。乳首や陰核と言った敏感な部分からなんでも無い様な腕や太腿、さらには脇の下の様なマニアックな部分にまで突き刺さった触手からはドクドクと体液が注ぎ込まれていく。

 

「ひやぁぁぁっ♡ やめてぇっ……♡ もう、わたしたちのからだをいじらないでぇ……♡」

 

「あへっ♡ あへぇぇぇぇ……♡♡♡」

 

 存分に体液を注ぎ込んだ海魔たちの触手が抜けた後も二人の絶頂は止まらなかった。尿と愛液、そして吸収しきれなかった海魔の体液の混合液を垂れ流しながら絶頂を続ける。

 

 ジャンヌは白目を剥いて叫び続けている。躰から少しでも快感を逃がそうとしているその行為は彼女の官能に更に火を着け、快感を貪る事に直結している事には気が付かない。

 

 ジャンヌオルタは壊れかかった心の中で快楽に呻いていた。いっそ壊れた方がましなこの責めの中でも、ソロモンにかけられた魔術のせいで狂えない彼女はただただ快楽に身を委ねる。

 

 やがて、彼女たちの前に浮く数字が0を示した時、二人を拘束していた海魔の触手が外れ、二人は床に投げ出された。股からは馬鹿になった膀胱が我慢すると言う事が出来なくなったゆえに止まらない放尿を続けている。愛液もまた滝の様にながれ押しとどまる事を知らない。

 

「ほ、おぉ……♡♡♡」

 

「ん、へぁぁ……♡♡♡」

 

 完全に気を失い、時折大きく痙攣するだけとなった二人を踏みつけたソロモンは指を鳴らす。すると、暗闇から男たちが現れ、ジャンヌたちを担ぎ上げてどこかに運んで行った。

 

 聖女たちを堕とすソロモンの計画、その最終段階が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん~~~~っ♡ ん~~っ♡」

 

「うぅ~~~~っ♡♡♡」

 

 くぐもった二人の呻き声が響く。その声色には快楽がありありと現れ、蕩けた物になっていた。

 

 今、二人は寝台に拘束された状態で目隠しと猿轡をされていた。乳首とクリトリスにはローターが、膣にはバイブが、そしてアナルにはアナルビーズが取り付けられており、その全てが振動して彼女たちを責めている。

 

 M字開脚をした状態で拘束された二人は、視覚、味覚、嗅覚、聴覚を封じられて残る触覚を最大限まで高められた状態で器具責めを受けていたのであった。

 

「んん~~~~~~っっっ♡♡」

 

 今、ジャンヌが拘束されてから何度目か分からない絶頂を迎えた。荒い息を吐く彼女たちだったが、躰の奥底から湧き上がる熱い感覚を抑えきれずにいる。

 

(足りない……っ、こんなんじゃ、たりないっ……!)

 

(……奥、もっと奥まで抉って欲しいっ……!)

 

 器具による単調な浅い責め、絶え間なく続く快感に身を置きながらも、二人は心の奥底で激しい快感を望み始めてしまっていた。

 

 開発や改造などと言う言葉では済まない躰の徹底的な淫乱化、そして絶頂に次ぐ絶頂によって快楽を叩き込まれた心、文字通り身も心もソロモンに躾けられてしまった二人は、もう平常心を保つことなど出来なかった。

 

(ほ、しい……熱いものが、欲しい……っ♡)

 

(子宮を、アナルを……突いて……っ♡)

 

((おちんぽが、欲しいっ……♡))

 

 一度快楽に飲み込まれた心は二度と浮き上がることは無い。今もなお責められているのならば尚更だ。

 こうして男を求め始めたジャンヌたちは完全に堕ちきってしまった。その心に念を押す様にソロモンの声が響く。

 

『……さぁ、最後の取引だ。お前たちに望むものをやろう。対価は……分かっているな?』

 

「んんっ♡ んん~~っ♡♡♡」

 

 待ちわびたその言葉に二人は腰を激しく振って喜びの感情を示す。股からは愛液が飛び散り、乳首も硬く尖っていた。

 

(誓いますっ! ソロモン様に忠誠をっ!)

 

(捧げますっ! この躰と心をっ!)

 

((私たちは淫紋令呪を受け入れ、喜んでソロモン様の奴隷となります!))

 

 二人がそう念じた時だった。猿轡が外れ、膣とアナルから挿っていた物が抜け落ちる。代わりに待ち望んでいた物が挿って来る感覚に二人は喜びの叫びを上げた。

 

「来たっ♡ 来た来たっ♡ 来たぁっ♡♡♡」

 

「おちんぽぉ♡ しゅごい、しゅごいのぉっ♡」

 

 拘束された躰を力強く抱えられ下から突き上げられる。子宮まで串刺しになってしまいそうなその快感を前に二人は淫らな叫びを上げる。

 

「もっとぉ♡ もっと下さいぃっ♡ この奴隷に、もっとおちんぽくださいぃっ♡♡♡」

 

「おしりぃ、アナルもぉ♡ おちんぽつっこんでぇ……♡ 私たちを、めちゃくちゃにしてぇっ♡♡♡」

 

 堕ちた聖女たちは男を求める叫びを上げる。二人にはそれが自分の声なのか、それとももう一人の自分の声なのかも分からなくなっていた。

 

 まったく同じ望みを持ち、まったく同じ様に男に貫かれる事を求める叫び……その声を聴きながらソロモンは嗤う。

 

「……良かったな。ようやくお前たちは分かり合える様になったではないか」

 

 自分の腕に新たに浮かび上がった二つの令呪を見た彼は高笑いを続ける。聖女と魔女、二人の強い女を性奴隷へと堕としたソロモンは満足げに笑いながら、二人の喘ぎ声を聞き続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さぁ、お前たちに役目を与えよう。この世界を我が物にする為の重要な役目だ」

 

「はい……♡ ソロモン様……♡」

 

「なんでもお申し付け下さい……♡ 私たちは、貴方様の声を心に働き続けます……♡」

 

 美しく、淫らな裸体を晒しながら二人は言う。うっとりとした声にはソロモンへの深い愛情が現れていた。彼女たちの下腹部に刻まれた淫紋令呪もマシュたちとは違い、黒い羽根を加えたハートマークと変化している。

 

「行け、お前たちの生まれ故郷を我が野望の第一歩とするのだ……! 私に全てを捧げよ、ジャンヌ・ダルク!」

 

「「はいっ……♡」」

 

 振り返り、戦装束を纏った二人は次の瞬間には異界へとたどり着いていた。祖国の懐かしい風を感じながら、二人は目の前に居る自分たちの軍隊を見る。

 

「……さぁ、始めましょう。甘美で愉快な滅びの宴を」

 

「そして終わりにしましょう。くだらない事で争い続ける愚かな国を」

 

「「全ては、我らが主ソロモン様の為に……!」」

 

 二人は自分たちの前に控える異形の軍隊を前に笑い、そして、歩き出した。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

唯一神信仰国 オルレアン
新・フランスの日常(ジャンヌ 堕ち描写注意)


―――1400年代のフランス、ここでは、二つの国が長きに渡る戦いを繰り広げていた。

 

 一つはもちろん戦場となっている国『フランス』もう一つは、そのフランスに侵攻を仕掛けている国『イングランド』だ。

 様々な事情が絡んだこの戦いはすでに50年以上もの月日に渡って繰り広げられ、両国は疲弊しながらも戦いを続けていた。

 

 人は死に、地は枯れ、心を傷つけながらも両国の戦いは続いた。疲れ果てながらも争い続けるのこ戦争は何時までも続くかと思われた。

 

 だが、それは突然に現れた。空が曇り、大地が揺れると共に異形の化け物たちが姿を現したのだ。

 

 空から迫るは鋭い牙と翼を持つ飛竜、上空から襲い掛かり兵たちを次々と食い殺していく。

 大地からはまるでヒトデの様な海魔が触手をくねらせて兵たちを襲った。その触手に絡まれた者は骨を折られ、躰を貫かれて死んでいった。

 そうして死んだ兵士の死体からは怨霊となった骸骨兵が姿を現した。武器を手に襲い来るかつての仲間たちの亡霊に怯え、また多くの兵たちが死んでいった。

 

 化け物たちに見境は無かった。フランス軍もイングランド軍も容赦なく襲われ、次々と兵は殺されて行った。

 数を増すばかりの化け物に対して両軍の兵たちは思った。世界の終わりが来たのだと……その時だった。

 

「立ちなさい兵士たち! 今こそ守るために戦うのです!」

 

 戦場に凛とした女性の声が響き渡った。その声に聞き覚えのある者は信じられないと言った様に首を振る。

 

―――ありえない、彼女は間違いなく死んだはずだ……

 

 だが、その思いを裏切るかのように彼女たちは姿を現した。白と黒の聖女たちは旗を手に化け物たちに戦いを挑む。

 

 白の聖女が旗を振れば、化け物の牙や爪は兵士たちに届くことなく掻き消えた。絶対的な防御を誇るその奇跡に誰もが目を見開く。

 黒の聖女がその鎧と同じ色の炎を出せば、それは化け物を焼き尽くすまで消えない絶対的な処刑の始まりとなった。化け物たちを次々打ち倒していく彼女たちは両軍の兵士たちに叫ぶ。

 

「戦いなさい! 今は同じ人間同士で戦っている場合ではありません!」

 

「国と命を守る為、手を取り合って戦うのです!」

 

 その言葉に喚起した両軍の兵たちは聖女たちに従って戦った。化け物を打ち倒し、仲間を助けて戦い続けた。

 もうそこに戦争をしていた国々と言う概念は消え去っていた。強大な敵に対して協力して立ち向かう仲間たちとなっていたのだ。

 

 そして……化け物が居なくなった後、その場に残っていた兵士たちは互いの無事を喜び合った。生きている事へ感謝し、仲間たちと喜びを分かち合った。

 

「もう、戦争など終わりにしましょう。これからは協力して国を豊かにするのです」

 

 白の聖女が言ったその一言に、反論するものは誰も居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 そこから国は変わった。戦争が終わった後、蘇ったどころか二人に増えて戻って来た聖女たちに誰もが驚いたが、彼女たちはそんな民衆たちになぜ自分たちが生きているのかを説明した。

 

「全てはソロモン様のお陰です。我らが主、ソロモン様が我々を蘇らせて下さったのです」

 

「今、私たちには偉大なるソロモン様からのお言葉が聞こえています……この国をより素晴らしい物へと変える為の方法を、ソロモン様はお教えくださっています」

 

 二人の聖女はフランスの内政に干渉した。ソロモンからの言葉と称してフランスの制度を変え、次々に新政策を打ち出して行った。

 無論、彼女たちは大臣や政務官になる訳ではない。ただの神託を受けた巫女として、フランスの政治に関わっただけだ。

 

 ただ、その政策はすべて上手く行った。当然だ、この策を考えたのはソロモン王……世界で最も偉大な王の一人なのだから

 民衆は歓喜した。戦争の終結に加えてより生きやすい制度が作られたおかげで生活の質は向上し、飢えたり苦しんだりすることが無くなったからだ。

 

 民衆の支持を受けたソロモンの政策はフランスの政治の基本となった。政務官たちも聖女たちの神託を待ち望み、彼女たちに頼る事が多くなった。

 そうして、フランスは大きく姿を変えた。本来の歴史を辿る事無く、ソロモンの言う通りに動く国となったのだ。

 

 確かにソロモンの政策は素晴らしかった。故に、一つ二つのおかしさを感じるものがあっても誰も気にも留めなかった。

 どうせ我々には考えの及ばないものなのだろう……そう考え、考える事を放棄した。

 

 今やフランスは唯一神ソロモンを崇拝する国家になった。民衆はソロモンに感謝の言葉を述べ、異論を唱える者は処刑された。

 世界初の民主主義国家は、こうして狂い始めたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで、本当に戦争は終わりになりましたな」

 

「ええ、今日は記念すべき日となるでしょう」

 

 夜、フランスのとある建物の中で二人の男が話し合っていた。椅子に座り、一つの紙に己の名前をサインした二人の男たちはフランスとイングランドの代表者たちだ。

 

 二人は戦争を終わりにする為の終戦条約を結ぶ為にこの建物にやって来ていた。護衛の兵たちが居ないのはとある人物たちにその方がお互いを信用している証になると言われたからだ。

 国境、今後の対応、復旧に関する働きかけ、etc……そう言った事が書かれた条約締結の紙に調印をした二人は深く息を吐く、これで本当に戦争が終わりになったのだと言う思いにふけっていると、ぱちぱちと拍手の音が聞こえて来た。

 

「……素晴らしいですわ、このような記念すべき場に私たちの様な田舎娘が立ち会えたことを誇りに思います」

 

 恍惚とした表情でそう呟く白の聖女、ジャンヌダルクは普段の戦装束では無くドレスを身に纏っていた。年相応の美しさを引き立てるその装いに男たちは目を奪われる。

 

「あぁ……これで私を処刑したあの男にも天罰が下るのですね。イングランドの方々の英断に深く感謝を申し上げます」

 

 もう一人、黒のドレスを身に纏ったジャンヌオルタもサインされた紙を見ながらそう呟いた。自分たちの信奉する神を否定した男に罰が下ると言う事に感激しているのか、その眼には涙が溜まっている。

 

「何を言うか、君たちこそ真の英雄だ。君たち無くして戦争の終結は無かった」

 

「戦争後の復旧にも一役買ってくれている。君たちに比べれば私たちなどなんてことない存在だ」

 

「そう言って頂けるのはありがたいのですが、私たちは神からのお言葉を伝えるだけの存在、ただのか弱い女です」

 

「私たちの言葉を信じ、行動して下さる貴方がたの様な人々こそ、真の英雄でしょう」

 

 男たちの賛辞に顔を赤らめて礼の言葉を返すジャンヌたち、彼女たちの慎ましやかな態度に見惚れていた男たちだったが、時を告げる鐘の音にもうすっかり遅い時間になってしまっていた事を思い出した。

 

「……夜の闇も濃くなってまいりました。今日はもうお休みになった方がよろしいでしょう」

 

「お部屋までご案内いたします。どうぞ、私たちの後に……」

 

 二人のジャンヌは部屋の扉を開けると左右に分かれる。黒のジャンヌが母国の代表者を案内して廊下の先へと消えたのを見た白のジャンヌは、イングランドの代表者に笑いかけて言った。

 

「では、私たちも参りましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ♡ あぁっ♡ はぁんっ♡」

 

 数分後、男は案内された部屋のベッドの上でジャンヌと肌を重ねていた。彼女の豊かに実った双房の先端に吸い付き、舌で転がして感触を愉しむ。コリコリと弄ってやればジャンヌの口からは嬌声が溢れた。

 

「まさか、あの聖女様にお相手願えるとは……」

 

「ふふ……♡ 意外、でしたか?」

 

「ええ、貴方は、その……」

 

「聖処女……と呼ばれておりますね。しかし、これの何が悪いと言うのですか?」

 

「うぉっ……!」

 

 ぐりんと躰をひねったジャンヌはその大きな乳房で男の肉棒を包む。上下にリズミカルに乳房を揺すり、男に奉仕を続けていく。

 

「ソロモン様は言いました、生を楽しめと……性欲は人間の三大欲求の一つ、それを満たすことは生きる事の喜びを知ると言う事ではないでしょうか?」

 

「な、なるほど……」

 

 積極的なジャンヌの奉仕と妙な説得力がある言葉に頷く男、その顔を満足そうに見ながら彼女は続ける。

 

「それに……両国に平和をもたらした英雄のお相手が出来ると言うのは、女として身に余る光栄ですわ……精一杯のご奉仕をさせていただきますので、どうぞ楽しんで下さいませ」

 

 そう言い終えたジャンヌは胸の谷間から飛び出している男の亀頭に唇を落とす。そして、そのまま口の中に咥えこむと口内奉仕を始めた。

 

「んじゅっ♡ ちゅうっ♡ じゅるっ♡」

 

「お、おぉっ……!」

 

 あの聖女ジャンヌダルクが自分の肉棒を胸で挟み込む、口内奉仕をしている……犯しがたく汚す事など考えられない神の使徒が、淫らに男の欲望を満たす器になっている姿は男の劣情を搔き立てた。 

 

「ぬ、おぉぉっ!」

 

「んぶっっ♡♡」

 

 予告もなしにジャンヌの口の中に精を放つ。一瞬、ジャンヌは驚きで目を見開いたもののすぐさま喉を鳴らして男の精液を飲み始めた。

 

「……ぷはぁ♡ 大変美味しゅうございました。病みつきになる味でございます♡」

 

 口を大きく開け、精液を一滴残らず飲み干したことをアピールしたジャンヌはそのまま仰向けに寝転がると子犬の様に両手両足を曲げて男を誘う格好を取った。そして、開いた脚の間にある女性の象徴を見せつけながら男に囁く。

 

「次はあなた様が私を味わう番……この躰、余すことなくお召し上がりくださいませ」

 

「あ、あぁ……では、さっそく……っ!」

 

 男はジャンヌの女性器に己の肉棒をあてがうとそのまま一気に突き入れる。すんなりと最奥まで挿り込んだ逸物からは、まさに天上の快感が伝わって来た。

 

「おぉ……っ、こ、これは……っ!?」

 

 ジャンヌの膣はじっとりと濡れそぼり、包み込むような温かさと柔らかさを併せ持っていた。それでいて処女の様にきつく締まり、男の肉棒を締め上げる。

 

「あぁ……♡ とても立派なおちんぽです♡ これこそ、後に語り継がれる英雄に相応しい物……♡」

 

 うっとりとしたジャンヌの声と共に膣が締まる。まるで肉棒を抱きしめる様に柔らかく締め付けるジャンヌの膣は、男が今まで抱いたどんな女の物よりも素晴らしい名器であった。

 

「うふふ……♡ 私のおまんこは心地良いでしょうか?」

 

「もちろん! これほどの名器、今まで味わった事が無い!」

 

「まぁ、それは嬉しいお答えです……♡ 流石、女の喜ばせ方が分かっていらっしゃる♡」

 

 いちいち男を持ち上げるジャンヌの言葉だが、言われて悪い気分になる訳でもない。それが見目麗しく国民中から慕われる聖女からの言葉となればなおさらだ。

 

「さぁ、心ゆくまで私を召し上がって下さい、それこそが主の意思なのですから……♡」

 

 言われるまでも無いと男はジャンヌを責める。腰を振り、ジャンヌの膣とその奥側を責める。

 

「ひんっ♡ ひぃんっ♡ ひあぁっ♡」

 

 ジャンヌの歓声を聞きながら男は自分の方へと彼女を抱き寄せた。対面座位の体位になった二人は激しく唇を交わす。

 

「れろっ♡ んじゅっ♡ んんんっ♡」

 

 ジャンヌの甘い唾液を味わい、蕩けた瞳を愉しむ男。下から突き上げる度にコツコツと当たる子宮口の感触を感じながら、手は彼女の臀部を撫でる。

 

「柔らかく張りがあり、丸みを持つ。女性としての魅力が詰まった素晴らしい尻だ……」

 

「ふふ……ありがとうございます♡ そう言われると心がときめきます……♡」

 

 胸の内のジャンヌがきつく男を抱きしめる。胸板に彼女の柔らかく大きな胸が当たり、つぶれているのが分かる。

 男の肩に顎を乗せ、耳元で延々と喘ぎ続けるジャンヌの全てを体で感じながら、男はジャンヌを突き上げる。

 

「あ~~~~っ♡ あぁ~~~~~~っっっ♡」

 

「おちんぽっ♡ おぴんぽしゅごいっ♡ わたしのおまんこが、どろどろになってるぅっ♡」

 

 耳元で淫らな叫びを上げるジャンヌの甘く蕩けた声が男の官能を刺激する。腕に力を込めて彼女を抱きしめると、逃げ場のない様に激しくピストンした。

 

「ひぃっ♡ しきゅっ、おしあげられっ、ひあぁっ♡」

 

「だめぇっ♡ イク、イキますっ♡ もうイクのぉぉっ♡」

 

 ジャンヌがそうであるように男もまた限界であった。ぎりぎりまでジャンヌの膣を楽しむべく我慢をしていた彼であったが、一気にきつくなったジャンヌの膣圧に耐えきれず絶頂する。

 

「イクっ♡ イク~~~~~~~~~~っっっ♡♡♡」

 

 男が射精するよりも早く達したジャンヌは大声で絶頂の叫びを上げる。その快楽に染め上げられた声を聞いた男は、確かな高揚感を得ていた。

 

「……あぁ、申し訳ありません……ご奉仕する私が、先に達してしまうなど……」

 

「いや、構わないが……その、それよりも、私はあなたの膣に……」

 

 膣出ししてしまった事に多少の恐怖を感じる男、しかし、ジャンヌは柔らかな笑みを浮かべると首を振った。

 

「何も心配する事などございません。貴方様の様な英雄の子を孕めるのならそれは女として最上の喜び……それに、そうなればきっと両国にとって良い事となります」

 

「と、言うと?」

 

「……終戦条約にサインした英雄である貴方様と、わが国で聖女ともてはやされている私……その二人の子は、きっとフランスとイングランドの懸け橋となるでしょう。これを素晴らしい事と呼ばずしてなんと言いますか?」

 

 ゆっくりと、ジャンヌは両腕と両脚で男に絡みつく。所謂「だいしゅきホールド」という様相を取りながらジャンヌは男の耳に甘く囁く。

 

「……さぁ、これで憂いは無くなりましたね? では、今宵はたっぷりと愛し合いましょう。この館には私たち以外誰も居ません、誰もこの営みを邪魔する者はいないのですから……♡」

 

「えぇ、その通りですとも……じっくりたっぷりと交わりましょう……♡」

 

 男の後ろから聞こえる声、その声に振り返ってみればそこにはフランスの代表に抱えられたジャンヌオルタの姿があった。女性器に肉棒を咥えこんだまま担がれた彼女もまた、熱に浮かされた目と声でこちらを見ている。

 

「あちらも盛り上がっている様子……これは、私たちも負けてはいられませんね♡」

 

「……ああ、そうだなっ!」

 

「あんっ♡」

 

 男は自分に絡みつくジャンヌを抱きしめたまま立ち上がった。ジャンヌの体重がそのまま結合部にのしかかり、先ほどよりも奥へと肉棒が突き刺さる。

 

「あぁ……♡ なんと雄々しいのでしょう♡ これこそ、英雄と呼ぶにふさわしい男です……♡」

 

 ぶしゅう、と音を立てて彼女の膣から飛沫が舞う。熱い本気汁が噴き出る自信の女性器がうねるのを感じながら、ジャンヌは男に目配せをした。

 

「今宵は聖女の名を捨てましょう。ただ貴方たちに抱かれ、幸せを感じて貰う為に身を差し出す女として振る舞いましょう……♡」

 

「両国の親交、政治の問題などはお忘れください。ただ愉しんで頂ければ良いのです……♡」

 

「「さぁ、宴を始めましょう……♡♡」」

 

 二人のジャンヌの声を皮切りに男たちが腰を揺らす。たった四人だけしかいない建物の中で、ジャンヌ達の嬌声だけが絶えずに響いていたのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからの数日間はイングランドの代表の男にとって最高のものとなった。男には常にジャンヌが突き従い、彼が望めばどこでも身を差し出したのだ。 

 

 朝、目覚めると同時に奉仕を命ずればたちどころに乳房で肉棒を挟んで扱きあげた。

 昼、移動中の馬車の中で人知れず彼女の躰を味わった。

 夜、離れたと見せかけてこっそり男の寝室にやって来たジャンヌを朝が来るまで抱き続けた。

 

 その繰り返し、延々と交わり続けた二人は徐々に過激な行為にも手を伸ばし始める。

 

 小便を催した男はジャンヌの尻の中に放尿し開放感を得る。そして、そのまま夜までジャンヌに我慢させ、男の目の前でアナルから注がれた小便を吐き出したこともあった。

 その時は漏れ出した尿のせいでジャンヌのズボンの尻の部分に染みが出来たり、彼女が座った場所が何故だかじっとりと濡れていると何名かの小間使いに不思議がられたものだ。

 尻から尿を出すときも我慢する為に肛門を締めすぎたせいか出なくても良いおならまで出て来てしまい、恥ずべき姿を見せていると言う背徳感に燃え上がったジャンヌはだらしなくアナルを広げて放屁し続けたものだ、男はそんなジャンヌの狂った姿を見て愉しみ、その後はたっぷりとアナルセックスで締まりの無い尻に栓をしてやった。

 

 屋敷のベランダに裸のジャンヌを放り出し、中から鍵をかけて屋敷内に入れない様にしたこともあった。ガラス張りの窓の中から裸のジャンヌが慌てる様をたっぷりと鑑賞するのだ。

 何時誰かに目撃されるか分からない状況の中で彼女にオナニーする様に命じ、その様子を眺めながら酒を飲む。見世物の様に扱われている屈辱感と堪らないスリルの中で倒錯したジャンヌがしっかりと絶頂した事を確認した後で、今度は男も外に出てセックスを始めるのだ。

 口をキスで塞ぎ、くぐもった叫びを上げさせながら膣を抉る。いっそ見られてしまいたいと思う程の濃厚なセックスを終えた後で、再び屋敷内に迎え入れられて躰を交わらせた。

 

 自分のどんな命令にも従順に従うジャンヌにいつしか男は並々ならぬ感情を抱き始めていた。このままイングランドに連れ帰って妻としてしまいたいほどの欲求を抱きながらも、彼女がそれを許されない立場である事を知っている為に胸の内にとどめるしかない。

 そうこうしている内に帰国の日となり、男とジャンヌは出発を待つ船の一室で最後の別れを交わしていた。

 

「……寂しくなりますがこれも御国の為、一時の別れでございます」

 

「あぁ……そう、だな……」

 

「何も気にすることはありません。またフランスに来た際には私がご案内いたしましょう」

 

 気落ちする男に対してジャンヌがそっと微笑みかける。そして、懐から幾つかの物を取り出した。

 

「……別れの前にいくつか贈り物がございます。一つ目はこちらです」

 

 差し出したのは一つの書簡、それを見た男に内容を簡単に説明する。

 

「それはソロモン様が作り出した新たな国の法律……もし、イングランドで政策に行き詰った際に参考にして頂ければ幸いです」

 

「ああ、ありがとう」

 

「次は、こちらです……ちゅっ♡」

 

「おおっ……!?」

 

 ジャンヌは男の唇に自分の唇を重ね合わせる。悪戯っぽい笑みを浮かべた後で彼女が口を開く。

 

「……神からのご加護がありますよう。ソロモン様からの祝福です。そして最後に、私から……」  

 

 そう言いながらジャンヌが取り出したのは、彼女の小指ほどの大きさの小瓶だった。中には黄金色の液体が詰め込まれており、しっかりと栓がしてある。

 

「これは?」

 

「あぁ、その……聖女の聖水、とだけ申し上げておきましょう……♡」

 

 恥ずかしそうに頬を染めるジャンヌを見た男がその中身を察して驚きに目を見開く。まさか貞淑な彼女がここまでするとは、彼女なりの自分への愛の証だと感じた彼は深く感激した。

 

「……しっかりと祈りと加護を込めておきました。貴方に降りかかる災いはこれで除かれるでしょう」

 

「あぁ、あなたからの深い愛を感じる……」

 

「……もう、そんな他人行儀な呼び方は止めてください。離れる寂しさに身を引き裂かれそうだと言うのに、その様な扱いをされては心まで凍てついてしまいます」

 

「っっ……! じゃ、ジャンヌ……!」

 

 男を抱きしめる様に躰を預けたジャンヌを彼もまた抱きしめ返す。じっくりとお互いの愛を確かめ合った後で、ジャンヌは甘く囁いた。

 

「……船の出航までまだ時間があります。その間に、私に残してほしいのです。貴方の温もりを……♡」

 

 ドレスを脱ぎ、生まれたままの姿になった彼女を男は抱き寄せる。船室に備えられたベットの上に彼女を寝かせると、自分もまた服を脱いで彼女の上に覆い被さった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで五人目、と」

 

 出航した船を見送りながらジャンヌは小さく呟く。イングランドからの来客をこうやってもてなし、密な関係になった後で贈り物をした回数を数えながら、彼女は帰り道を歩む。

 

 あの男は自分からの贈り物を大切にするだろう。なにせ愛する女からの贈り物なのだから。それを他の政府高官も持っているとは知らないままに……

 

 何時かは分からないが、イングランドはソロモンの政策を適用してその形を変えるだろう。フランスと同じ様なソロモンを崇拝する国家へと姿を変えるのだ。

 

 そして、自分の聖水を通じて彼の心を読むことが出来る。彼らが何か懸念を抱いたら夢の中にでも出て行って道を示してやれば良い。

 ソロモンが支配する国へと早く変貌する為の道を……

 

「お疲れ様、アンタもなかなか慣れたもんじゃない?」

 

「慣れなくとも役目はこなします。これがソロモン様に言いつけられた仕事ですからね」

 

「それじゃあ、私を見習ってもう5人ほど篭絡してきなさいよ。アンタがせこせこやってる間に倍の差がついてるんだからね」

 

「私はフランス国内の仕事を主にしています。外交方面はあなたが主軸でしょう?」

 

 二人のジャンヌは互いに憎まれ口をたたきながら歩む。そして、完全に人の気配が無くなった所で表情を豹変させた。

 

「次、兵士たちの相手だっけ? 魔術で顔を変えるのは面倒なのよね」

 

「その点戦災孤児の相手は楽でいいですね。ちょっと甘やかして、母親のふりをしてあげればほいほい言う事を聞きますからね」

 

「ははは! 聖女が言うセリフじゃないわね、それ」

 

「子供たちを手玉に取るあなたには言われたくありません。少なくとも私は、100名近くの子供の母親を名乗ってはいませんから」

 

「いいじゃないの、嘘も方便……あの子たちは母親の面影が見れつつ気持ち良い事が出来る。私はソロモン様の教えを広く深く広めることが出来る。お互いに利しか無いじゃない」

 

 そう言いながら話す彼女たちにかつての面影は無かった。男を、子供を、国民を騙してソロモンの為に母国を変えていく二人は自身の躰を活用してその目的を果たしている。

 

「……邪魔なのは反乱軍ね」

 

「ええ、取るに足らない相手ですが、奴らが居る限りは人理は焼却されません」

 

「まぁ、滅びるまで時間の問題ね。ちっぽけな民衆が、国の軍隊に勝てる訳無いでしょうに」

 

 話しながら彼女たちは服を脱ぐ、聖女としての皮を脱ぎ捨て、ソロモンから賜った新たな鎧に身を包む。

 

 それは白と黒の鎧であった。竜を模した鎧であるそれは身を守る部分こそほとんどないが、放たれる魔力は段違いの物でありそれによる防御力の向上はすさまじいものだ。

 

 肩と乳房の上半分だけを隠す上半身の鎧の背には、竜の翼の様な大きな飾りが付けられている。そこから伸びる一本の棒、竜の尾を表しているのであろうそれはまっすぐに背中から伸び、彼女たちの尻の谷間を通って女性器を申し訳程度に隠している。

 へそ、腰のくびれ、脚……それらを隠すものは何もなく、まるで飛竜に後ろから抱きすくめられている様な格好をしている二人の下腹部には黒く禍々しい淫紋令呪が大きく強く光り輝いていた。

 

「……じゃあ、一仕事終えましょうか」

 

「ええ、ソロモン様に歯向かう愚か者どもに天罰を……!」

 

 彼女たちは飛び立つ、まるで竜の様に天へと駆け上がった彼女たちは愚かな反乱軍の姿を認めニヤリと笑う。

 

 武器である旗を握りしめ、聖女とは到底思えない淫らな鎧に身を包んだ二人は、そのまま主に逆らう愚か者を処刑すべく戦場へと舞い降りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……始まっちまったか」

 

 遠くで繰り広げられる戦いを見ながら彼は呟く。変わり果てた姿の仲間が次々とこの時代の人間を屠る姿に苦々しい思いを抱きつつ、その様子を見つめる。

 

 彼女たちに殺されて行く兵士たちの中にも見知った顔を見つけた彼は何とかしてその人物を助けようとしたが、自分の後ろに居るたくさんの人々の事を考えて矢を番える手を下ろした。

 

(そういや、あいつもこの時代の人間だったっけな)

 

 聖女たちに取り押さえらえれたその人物、白銀の鎧に身を包んだ騎士の姿を見つめながら彼は思う。そして、その人物に対して心の中で詫びた。

 もし彼が単独で行動していたのならば、彼は間違いなく居場所がばれる事を承知で援護の為に矢を射っただろう。しかし、今の彼の背には反乱軍の烙印を押され、行き場所を無くしたたくさんの人々が居た。

 

 彼らを危険に晒す訳にはいかない……無念さを噛み殺しながら騎士の行く末を見守る彼の目に、一人の女が映る。

 

 彼女も良く見知った顔だった。何と言うか、破天荒だが悪い奴では無いと思っていた彼女は捕らえられた騎士の仲間たちを率いてフランス軍の囲みを突破していく。

 彼女は間違いなくこの時代の人物ではない。と言うよりも、人ですらないはずだ。戦場に似つかわしくないメイド服を着た、獣の尾が生えた女性の姿が囲みを突破して消えていくのを見送った後で彼は呟く。

 

「……戦力はある、か」

 

 この壊れつつある時代に抗う者たちはいる。しかし、それはあまりにも小さく、そしてバラバラだった。

 誰かがその力をまとめ上げなければならない。自分や彼女には出来ないそれを、戦力が潰える前に……

 

「何を見ているんだ?」

 

 考え事をしていた彼の背後から声がかけられる。彼女に心配をかけまいと笑顔を作ると、彼は振り返った。

 

「なに、見張りだよ。特に問題は無いさ」

 

「そうか……お前の千里眼は確かだからな、信用できる」

 

「あんたこそ出歩いて良いのか? あんま無理しない方が……」

 

「構わん、今日は調子が良い。少しでもこの時代の事を知っておきたい」

 

 そう言いながら自分の横に並ぶ彼女をちらりと見る。普段は馬に乗り戦う彼女とこうやって並び立つと言う事に少し違和感を覚えた。

 

「……救えると思うか、この時代を?」

 

「救わなきゃなんねぇよ。じゃなきゃすべてが無為に消える」

 

「この時代に生きた人、その後の未来、そして、マスターや私たちの戦いが、か……」 

 

 自分自身に言い聞かせる様にして呟く彼女をただ見つめる。王として戦い続けた彼女は、この時代に何を思うのか? そして、かつての仲間が虜囚となり、敵の傀儡と化してしまった姿を見て何を感じているのだろうか?

 そんなことを考えていた時だった。

 

「ぐっ……!」

 

「おっ、おい……!」

 

 突如彼女が蹲り苦しそうな声を上げた。心配して駆け寄った彼の目に、彼女の手が透き通る光景が映る。

 

「……やっぱ無理は禁物だな。休んでろよ」

 

「……すまない」

 

 申し訳なさそうに呟いた後、彼女は幕舎へと向かう。既に手は元の通りに戻っているが、普段持っている槍を掴むだけの力は残っていない様だ。

 

「……何もかもがギリギリだ、こりゃあ、しんどいにもほどがあるな」

 

 まともな戦力も、策も、時間も無い。そんな中で自分に何ができるだろうか?

 遠くを見通すこの千里眼もこの時代の行く末を見る事は出来ない。自分の無力さを感じながら、彼は呟く。

 

「早く来てくれ、マスター。俺たちが踏ん張れている間に……」

 

 東方の大英雄は遠い星空を見ながら、救世主の到来を待ち続けていた。 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

再会、フランスにて

今回Hありません、場面転換多いです。すいません


 

「特異点が観測された?」

 

「ああ、時代は1400年代のフランス、君たちが一番最初に行ったレイシフトの座標さ」

 

 Dr,ロマンに呼び出された俺たちは彼からの報告を受けて顔色を変えた。その言葉には、ソロモンが新たな行動をし始めたと言う意味が込められているからだ。

 

 数多の英霊を手中に収め、戦力を拡大したソロモンが再び人理を焼却しようとしている……それは、俺たちにとってとてつもない脅威となっていた。

 

「……ついにソロモンが動き出しやがったか、思ったより早かったな」

 

「カルデアの壊滅よりも人理焼却を優先し始めたと言う事でしょうか?」

 

「いや、わからないよ。もしかしたら並行して行ってくるかもしれない」

 

 皆は口々に自分の意見を言い合っている。それを黙って聞いていた俺だったが、やがて話題が一つにまとまって来た事を確かめると口を開いた。

 

「……今の最優先課題は、このソロモンの動きにどう対応するかを決める事だ。皆はどう思う?」

 

「当然フランスに行くっきゃねぇだろ。聖杯を回収しなきゃ話が始まらねぇ」

 

「しかし、私たちがフランスに行っている間にカルデアが襲われる可能性もあります。戦力を計算して分けないと危険です」

 

「……つまり、話をまとめるとだ。俺たちは二つのチームに分かれる。一つはフランスに行って聖杯を回収するチーム、もう一つはここに残って防衛にあたるチームだ」

 

「その戦力の選定はどうしますか?」

 

「んなもん、決まってんだろうが」

 

 そう言いながら兄貴が俺を見る。その動きに合わせてこの場に居る全員の視線が俺に集まった。

 

「決められんな、マスター? アンタの指示通りに動かせて貰うぜ」

 

「……わかった。じゃあ、組み分けを発表するよ」

 

 その言葉に対して俺はすでに決めていたチーム分けを皆に伝え、すぐさまレイシフトの準備に移って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ロビン、まだ戻ってこないのかな?」

 

「心配ですね……」

 

 数十分後、俺たちはフランスへとたどり着いていた。ここに来たのはそんなに昔ではないはずなのになんだかとても懐かしい気分になる。しかし、その気分を楽しめる余裕は俺たちには無かった。

 

 二度目の来訪となるフランスは、かつてここに来た時よりも賑やかで活気にあふれていた。何か問題が起きている様には到底思えない。

 

 とにかく俺たちは人目に付かない様に隠れながら、情報収集の為に街に送り込んだロビンの帰りを待っていた。

 

「……雰囲気的には問題が起きてるとは思えねぇな、だが、嫌な感じがしやがる」

 

「圧制者の姿が見えぬ、しかし、国中に不穏な空気が満ち満ちているな!」

 

 後に控える兄貴とスパルタクスの言葉を聞いた俺は、自分もまた感じている妙な感覚が正しいのだと言う確信を強めた。上手くは言えないが、なんだか変なのだ。じりじりと足場が崩れ去って行くような感覚を覚えてしまう。

 

「先輩、とにかくロビンフッドさんを待ちましょう。情報を得てから行動を起こすのが定石です」

 

「そうだな。慌てても仕方が無いか」

 

「そうそう! 肩の力を抜いての~んびり行こうぜ」

 

 さすがにそこまでは出来ないとオリオンに言いながら苦笑した俺は今回のメンバーの選定を確認した。多分、これで間違いは無いはずだ。

 

 今回のレイシフトに連れて来たメンバーはマシュ、兄貴、ロビン、スパルタクスとマスコット代わりにと無理に付いて来たオリオンの計5人だ。4人と1匹と言った方が正しいかもしれない。

 

 このメンバーを選んだ基準は単純な消去法だ。今現在、戦力として使えそうなメンバーを選んだ上で、安定性を重視した。

 

 霊基があまり育っていないスカサハとクラスが勝手に変わってしまうエリザベートを連れて行くのはリスクが高い。二人はカルデアに残って防衛に努めて貰う事は決めていた。それに加えて、戦力としても医療スタッフとしても優秀なナイチンゲールに残って貰い、防衛陣の安定性を強化したのだ。

 

 もう一人くらい残して、更に安定性を強めた方が良かったかもしれない。だが、それでフランス攻略メンバーの戦力が足りなくなっては元も子もないのだ。

 

 迅速に聖杯を回収し、急いでカルデアに戻れる様にすることがこの場での最善策と判断した俺の提案にロマンもダヴィンチちゃんも賛同してくれた。であれば、その目的を果たすことが俺の役目だろう。

 

 一刻の猶予も無いが慌てて仕損じる訳にも行かない。堅実で大胆な策を練るために、俺は心を冷静に保ちながらロビンの帰りを待った。

 

「……待たせたな、今帰ったぜ」

 

 やがて何も無い場所から声が響いたかと思えば、宝具を解除したロビンが姿を現した。彼の口から今の状況を教えて貰おうと思った俺たちだったが、ロビンは少し慌てた口調で俺たちを急かす。

 

「済まねぇ、じっくりと集めた情報を教えてやりてぇところだが時間がねぇ。急がねぇとまずい事になる」

 

「何、どうしたの?」

 

 まさか敵襲かと思った俺に対してロビンは街の中を指差すとこう言った。

 

「……顔見知りが処刑間近だ、急がねぇと殺されちまうぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャンヌとオルタが!?」

 

「ああ、どこもかしこもそればっかりさ。聖女が帰って来たってな」

 

「ソロモンに堕とされた二人が、手先となって国を操っているのですね?」

 

「ああ、盛大な一人芝居を行ったみたいだぜ? 何せ配下の化け物どもを存分に使って聖女の帰還を演出したんだからな」

 

 ぼろ布を被り、街中を急いで歩きながら俺たちはロビンの集めた情報を聞いていた。スパルタクスを隠すのには苦労したが、そのルックスのお陰で奴隷のふりをさせて周りからの違和感を感じさせない様にしている。  

 鎖を引き、スパルタクスの主である様に振る舞いながらロビンとマシュと話す俺、ロビンの話を総括するとこうだ。

 

 戦争を続けていたフランスは突如化け物の襲撃にあった。国が滅びるかどうかの瀬戸際まで追いつめられたその時、ソロモンの奇跡で蘇ったと嘯くジャンヌたちが化け物を退治して帰還したのだ。

 

 彼女たちは長く続いた戦争を終わらせ、そのままソロモンの声を神の声と言って神託を行った。ソロモンの制定した法律を掲げ、フランスの一大革命を行ったのである。

 

 その法律の出来は確かで、ソロモンとジャンヌたちは民衆からの絶大な支持を得た。その結果、国は彼女たちの思うがままに動くようになったのだ。

 

「……俺の予想だが、これから先ソロモンはジャンヌたちを利用してフランスを自分の理想の国家へと変えていくぜ、そうなれば歴史が狂うんじゃ無いのか?」

 

「はい。前にもドクターが言っていましたが、フランスは後に続く国の手本となった国家……その法やあり方が変化すれば、当然歴史にも影響があるでしょう」

 

 マシュの言葉に俺は息を飲み込んだ。かつてソロモンは武力をもってこの国を滅ぼそうとしたが、今回は政治的な方法を用いてこの国を手中に収めようとしているのだ。誰もが気が付かない間に、ソロモンはフランスの全てを手に入れようとしている。

 

 俺たちが来なければこの国はソロモンの思うがままになっていたに違いない。そしてそれを誰も疑問に思わないのだ。その巧妙なやり口に俺は身震いをした。

 

「もしも誰かが違和感に気が付いたとしても、ソロモンの言葉を受けたジャンヌたちが様々な手を使って抹殺する。抵抗するものは許さない、国中上げて反逆者扱いさ……あんな風にな」

 

 そう言ってロビンが指差した先を見た俺たちは絶句した。立ち並ぶ民衆たちが見えやすいようになっているそこには絞首刑用の処刑場があり、そこでは今まさに良く見知った人物が刑を執行されようとしていたからだ。

 

「皆、目を覚ますのだ! 何かが……いや、すべてがおかしい事に何故気が付かない!?」

 

 そう叫ぶのは白銀の鎧に身を包んだ騎士、髪は乱れ、目も飛び出さん限りに見開かれたままに大声でこの場に集まった民衆に訴えかけている。

 

 だが、誰もそんな彼の叫びには耳を貸さない。それどころか反逆者として処刑を望む声が上がるばかりだ。

 

「このままではフランスが壊れてしまう! その事に何故気が付かないのだ!? あのジャンヌ・ダルクは本物ではないのだぞ!」

 

 文字通りの必死の叫び、それは、生前のジャンヌたちを知る彼だからこそ言える事だ。

 彼はこの世界の異変に気が付き、戦っていたのだ。自分が敬愛した聖女が愛したこの国を守るために、決死の戦いを続けていたのだ。

 

 彼の名はジル・ド・レェ……聖女に付き従いし誇り高き軍人にして、後の世では稀代の狂人として伝えられる英雄の一人だ。

 

「ジルさん!? なぜ、彼があんな目に……?」

 

「……マスター、わかってると思うがあいつはサーヴァントじゃねぇ、この世界に生きている一人の人間だ」

 

 兄貴の言葉に俺は頷く、このフランスが生まれ故郷である彼がこうして生きていてもなんの不思議もない。今の彼は、清く正しい騎士であった頃の彼なのだろう。

 

 軍人として最高の栄誉である元帥の称号を得た彼が何故処刑されようとしているのか? 今のフランスの状況から察するに間違いなくこの時代の異変に気が付き戦っていたのだろうが、力及ばず捕らえられてしまったのだろう。

 

「とにかく助けないと!」

 

 俺は処刑場に向かって一歩踏み出す。この時代のジルとは面識がないとは言え、彼も仲間であることに間違いないのだ。

 それに、この狂ったフランスを立て直す手がかりを握っているかもしれない。ここで彼を死なせるわけにはいかない。

 

「待て、マスター! ここで目立った真似は出来ねぇぞ!」

 

 だが、慌てて俺の肩を掴んだロビンに行動を阻害された俺は彼を睨んでその手を放すように目で伝えた。しかし、ロビンもまた手に力を込めて俺を放そうとはしない。

 

「無茶だ! 俺たちはせいぜい五人、戦うには戦力が足りなすぎる!」

 

「五人いれば十分だろ!? ただの兵隊なんか蹴散らせば良いじゃないか!」

 

「ただの兵隊ならな、だが、戦っている間にサーヴァントが来ないなんて保証がどこにあるんだ?」

 

 ロビンのその言葉に俺は一瞬言葉に詰まった。確かにその通りだ、フランスを支配しているソロモン側には数多の英霊が居るのだ、ジャンヌたち以外にもこの時代に送り込まれた英霊がいるかもしれない。

 

 もしも戦闘中に敵側のサーヴァントが駆け付けた場合、戦況的には間違いなくこちらが不利になる。向こうには大量のフランス兵たちが付いているからだ。対して俺たちはこの場に居る面子だけ、どうあがいても数の上では不利にしかならない。

 

 加えて、もしもここで無事にジルを助け出せたとしても俺たちがこの時代に来てしまっている事は間違いなくジャンヌたちの耳に届くだろう。情報も戦力も整っていないその状況で俺たちの存在が露見してしまうと言うのは避けたいところだ。

 

「でも! 見捨てる事なんて出来ないよ!」

 

「分かってる、だが不用意に動けばそれだけでお終いだ。まずは冷静に……」

 

 言い争う俺とロビン、だがジルの処刑は待ってはくれない。今にも彼の足元にある板は取り除かれ、その体が吊り上げられそうになっている。

 

 もはや一刻の猶予も無い。無理な突撃でもジルを救う為にやるしかない。俺がそう考えた瞬間だった。

 

「その処刑、待ってもらおうカ!」

 

 どこか聞き覚えのある女性の声が処刑場に響く。声の出所を探って周りを見渡す兵士たち、その中心に黒い影が落下してきた。

 

「ぐあぁっ!」

 

「ぎゃっ!?」

 

 ジルの周囲に居た兵士たちを瞬く間に無力化したその人物、メイド服に身を包んだ尻尾の生えた女性の姿を見た時、俺たちは目を疑った。

 

「……安心しろ、みねうちなのだ。いや、我の爪にみねなんて無いのだがな」

 

「た、タマモキャット!?」

 

 そこに居たのはかつてカルデアで一緒に戦った仲間の一人であるタマモキャットだった。ソロモンに連れ去られたはずの彼女が何故このフランスに居るのだろうか?

 

 彼女はジルの様にフランス生まれの英霊ではない。もっと言うならば人間ですらないのだ。つまり、あの場に居るキャットは間違いなくサーヴァントとして現界しているのだろう。

 

 であるならば……彼女は一体、どうやってソロモンの呪縛から逃れたのか? その答えを探る俺たちだったが、その前にキャットがぴくぴくと耳を動かした後でこちら側を見て来た。

 

「むむっ! この声はご主人! 間違いない、キャットの耳がご主人の声を捉えたぞ!」

 

「きゃ、キャット殿! それよりも先にこの縄を解いて下さい!」

 

「どこだ~? ご主人は何処にいる~?」

 

 周りにぞくぞくと兵隊が集まってきていると言うのにマイペースに俺の事を探し続けてるキャット、この点に関しては流石としか言い様が無い。

 気が付けば広場の至る所で戦闘が始まっていた。それがジルやキャットに味方する軍隊とフランス軍との戦いである事に気が付いた俺たちは隙を見て処刑台へと近寄った。  

 

「キャット! ジル!」

 

「おお! ご主人、やはり来ていたか! ここで出会えるなんて正に地獄で仏、猫にマタタビ、キャットに人参だワン!」

 

「キャット殿、お知り合いと話すのは後にして下さい! 今はこの場から離脱を!」

 

 キャットの活躍で解放されたジルが合図を送ると、広場で戦っていた兵士たちが撤退の構えを取り瞬く間にこの場から去り始めた。俺たちもその後に続いて処刑場から逃げていく。

 

「……ロビン、何やってるの?」

 

「何、ちょっとした置き土産さ。俺がこういうの得意なの知ってるでしょう? エグいのお見舞いしてやるとしますかね!」

 

 俺はちょっとだけ追撃を仕掛けてくるフランス兵たちに同情した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何はともあれ助かりました。改めて礼を言わせてください、カルデアのマスター殿」

 

 そこから一時間ほど必死に撤退した俺たちは、反乱軍の隠れ家がある山の中へと案内されていた。と言うよりも、ついて来たと言う方が正しいのだが

 

 現状、多くは無いものの確かな軍勢を持つジルとサーヴァントであるタマモキャットとは行動を共にした方が良い。俺たちよりも長い間このフランスで活動しているジルならば知っている事も多いだろう。

 

 そしてなにより、キャットが無事だった理由が知りたい。ソロモンの手から逃れることが出来た理由を知れば、他の英霊たちを救える算段が整えられるかもしれないからだ。

 

「マスター殿たちはこのフランスで起きている異変には気が付いているご様子、よろしければ私が更に詳しい話をさせていただきますが……」

 

「いや、それも聞きたいが先に知っとかなきゃいけない事がある」

 

「……アタシの事だな? ご主人」

 

 バーサーカーであるキャットも俺たちの聞きたいことには気が付いていた様だ。野生の勘が冴える彼女ならば当然かもしれない。

 

「聞かせてくれタマモキャット、どうやってソロモンの支配から逃れたんだ?」

 

「う~む……ご主人、その前に残念なお知らせだ」

 

 少し考え込む態度を取ったキャットは来ていた服の裾をペロリと捲った。そして、腹の部分を俺たちに見せる。

 

「……この通り、我はソロモンの支配下にバリバリ置かれているのだな」

 

 そこには、見慣れた黒い淫紋令呪がしっかりと刻まれていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正直、アタシが何故ソロモンの傀儡に堕ちなかったのか、はっきりとした理由は分からないのだな」

 

 カルデアとの通信を繋げた状態で俺たちはキャットの話を聞く、彼女はここに至るまでの経緯を話してくれていた。

 

「既にご存知の通り、アタシは他の仲間達と一緒にソロモンの所へと連れていかれた。そこでばっちりと性的な責めも受けたのな」

 

「アンタはその責めに耐えきったって事か?」

 

「う~ん……その辺も曖昧だ。耐えきったと言えばそうなのだろうし、そうじゃないと言われればそうじゃないのだろうとアタシは定義する!」

 

 無駄にきっぱりと言い切りながらも要領の得ない返事をするキャット、そんな俺たちの微妙な視線を受けたからなのか、彼女は自分がソロモンの元でどんな目に遭わされていたのかを説明し始めた。

 

「アタシは幸運だったのだ。なにせソロモンはアタシの事を本気で堕とそうとしていたわけでは無いのだからな!」

 

「本気で堕とそうとしてなかっただって?」

 

「うむ! と言うよりかは侮っていたのだろうな! 何を隠そうアタシはバーサーカー、単純な女だと思われていたらしい。意外と色々考えている事はあるが、それはソロモンだけでなくご主人にも内緒だぞ!」

 

「いや、だから何をされてたんだって?」

 

「……輪姦されてたな。獣たちに。俗に言う獣姦という奴なのだな」

 

 こともなげにハードな事を言うタマモキャット、顔色一つ変えないまま彼女は続ける。

 

「それはもうすごかった。『獣同士存分に愉しむが良い!』とか何とか言われた覚えはあるが、そこから先はズッコンバッコン酒池肉林も驚きの乱痴気騒ぎだ」

 

「ワーウルフにゴブリン、キメラにワイバーンも居たな。全員絶倫の上にアレもデカいときた。もはやがばがばになるまで突っ込まれたな」

 

 軽い感じで話すキャットだったが、その話を聞いた俺はソロモンに対しての怒りを感じざるを得なかった。大切な仲間を化け物の性処理係の様に扱い、あまつさえ壊しても構わないような仕打ちをしていたことに体を震わせる。

 

「……しかしまぁ、そこでソロモンにとって予想外な事が起きた」

 

「え……?」

 

「アタシは最初にこの令呪を刻まれた状態で獣たちの中に放り込まれたわけだが、ソロモンからしてみればアタシが獣たちに犯されている間に快楽に流されると思っていたのだろうな」

 

「えっと……何を言ってるの?」

 

「まぁ、総勢100ほどの獣たちが相手だ、普通はそう考えるのな……でもまぁ、その、なんだ……流石にちょっと恥ずかしいのだが……」

 

 歯切れの悪いキャットの言葉、それを聞いていたマシュはまさかと言った表情で恐る恐るキャットに切り出した。

 

「あの、タマモキャットさん。まさか……相手をしていた獣たち、全員を絞り尽してしまったわけではありません……よね?」

 

「……残念ながらそのまさかなのな。ふと気が付いた時、周りに居た獣たちは皆ちんぽをへにょへにょにさせてぶっ倒れていたのだ」

 

 ナイチンゲールに続く性の化け物、ここに爆誕す、ちょっと引いた目で見ている俺たちに対してキャットは照れた表情を見せた。

 

「いや、そんな目をされると照れるぞご主人! ……あと少し傷つく」

 

「いや、でも、そうでしょ? 性豪すぎない?」

 

「言っておくがナイチンゲールには負けるぞ! あいつは不衛生だからと言う理由で獣の相手はしなかったが、アタシが見る限りは一秒たりとも欠かさず男の相手をしていたぞ!」

 

『……ああ、なるほど。ちょっとわかりました』

 

「あの、婦長はこの会話で何が分かったんですかね?」

 

 呆れ顔のロビンが通信越しに会話に割り込んできたナイチンゲールに対して突っ込む。バーサーカーの相手はしていられないという様に気怠く発せられたその一言だったが、意外にもナイチンゲールはまともな返答をしてきた。

 

『簡単です。なぜ、私がソロモンに対して忠誠心が低い状態だったのかが理解できたのですよ』

 

「……ほう、聞かせて貰おうじゃねぇか」

 

『ええ、恐らくですが……私は、セックスの相手をしていた男たちに満足できなかったのでしょう。だからソロモンへの忠誠心が低かったのです』

 

「……どゆこと?」

 

『あー! なるほどね! そういう事か!』

 

 ?マークを浮かべる俺たちに対してダヴィンチちゃんは納得した様子で頷いている。分かり易い説明を求めて彼女に視線をやった俺たちに対して、ダヴィンチちゃんは丁寧に解説してくれた。

 

『いやさ、マシュたちの記憶を読み取りながらずっと思ってたんだ。なんでソロモンは先に淫紋令呪を刻まなかったんだろう……ってさ』

 

「それ、どういう事……?」

 

『淫紋令呪自体は別に無理矢理刻んでも構わないんだよ。刻めば少なくとも躰の感覚の鋭敏化は行われる。その状態で犯せば篭絡も簡単にいくのに、ソロモンは何故かそれをしない事が多かったんだ』

 

「……言われてみれば、スカサハの時も心を折ってから令呪を刻んでたな」

 

『今のキャットちゃんの話を聞いてて思ったんだけど、淫紋令呪がその効果を完全に発揮するには、刻まれた相手が快楽に飲まれなきゃダメなんだと思うよ。それも心がグズグズに蕩けきるほどの快感ね』

 

 その解説を聞いた俺はやっと意味を理解できた。要は、淫紋令呪を使用するには刻まれた後、もしくは刻まれる前に相手が快楽に身を流されていなければならないらしい。

 

 ただ刻んだだけでは体が敏感になるだけ、その後の令呪として効果を発揮したり、ソロモンに深い忠誠心を植え付けるには性の悦びを叩き込むしかないのだ。

 

『良い例がエリちゃんだよね。令呪を刻んだは良いけど、ソロモンは彼女を一切抱かなかったから忠誠心がまるでなかった。聖杯を持ってカルデアにやって来れるくらいにはね』

 

「ある程度の軽い洗脳は行われるんだろうが、そっから先は自分のテクニック次第ってとこか」

 

『そういう事。ナイチンゲールもタマモキャットも、セックスはしたけど己の色欲を満足させては貰えなかったんだろうね。だから、ソロモンに対しての忠誠心が薄かった』

 

『まぁ、私に関してはソロモンが自分を忘れる様に記憶を改竄したことも影響しているのでしょうが、そうせざるを得なかったほどに扱いにくい女だったのでしょうね』

 

「なにせソロモンの命令を無視して近くにいる男を搾り尽すまで抱くのだからな。ソロモンからしてみれば早く放流したかっただろうな!」

 

 とりあえずナイチンゲールが規格外だと言う事は分かった。それは置いておいて、今の問題はキャットをどうするかだ。

 

「タマモキャットさん、今の話を総括すると、あなたはまだソロモンに完全な忠誠は誓っていない。誰かに抱かれて、獣に犯されていた時以上の快感を得れば私たちの元に戻って来れると言う考え方でよろしいでしょうか?」

 

「無論、よろしいぞ! だが……実際問題、結構危険なのだ」

 

「危険……? 何がだよ?」

 

 兄貴の質問に対してキャットは俺の前まで来るとすんすんと鼻をすすって匂いを嗅いできた。キャットなのに犬みたいな行動をするのはいつもの事だ、ついでにキャラがぶれているのも普段通りの彼女だ。

 そんな行動をしながらキャットは答える。結構危険と称するその問題点の事を

 

「何……今のアタシの頭の中では延々と声が響いているのだな。目の前に居るご主人を殺せ……そう、うるさいぐらいに声が聞こえてくるのだ」

 

「なっ!?」

 

「ああ、安心しろ。その声は獣特有の強烈な本能で抑え込んでいる。しかし、この状況はだいぶ危険なのだ」

 

「アタシが忠誠を誓うとしたら、それはご主人しかいないだろう。この命を懸けて守る主と心に刻んでいるのだからな。獣共で満足できなかった時もすぐにご主人の事を思い出した。きっとご主人ならこの躰の渇きを潤してくれると思ったのだ。だからアタシは逃げられた。ご主人に会いたくて、家出してきたのだ」

 

「こうやってご主人と再会できて我は嬉しい。すぐにでも抱いて欲しい位だ。でもな……もしもご主人が我を満足させることが出来なかったら、アタシは失望でご主人を殺すかもしれないぞ?」

 

「っっ……!?」

 

 キャットの言葉にマシュたちが凍り付く。無邪気で獰猛なその一言にはたっぷりの愛情と殺意が込められていた。

 

「……先輩、ここはクー・フーリンさんかロビンさんに任せましょう。あまりにも危険です」

 

『私もその意見に賛成だ、リスクが高すぎる』

 

 マシュとダヴィンチちゃんがセックスをすることを反対してくる。周りにいる兄貴たちも同じ様に首を振って俺の事を見ていた。

 

 確かにこの賭けはとても危険だ、ついでに分が悪すぎる。

 失敗したら死ぬ危険性がある上に、相手は化け物相手でも満足できない野獣の様な女なのだ。ただの人間である俺が相手をするには厳しすぎるだろう。

 

 しかし……

 

「……俺、やるよ。キャットとセックスする」

 

「先輩!?」

 

 俺の宣言を聞いたマシュが驚きで叫ぶ。何かを言いたそうにしているダヴィンチちゃんを目で制すると、俺は自分の考えを述べた。

 

「タマモキャットは、俺の事を信じて今まで戦ってくれてたんだ。俺ならばソロモンの支配を打ち砕くことが出来るって信じて、苦しい戦いを続けてくれてた……その信頼を裏切って逃げる様な真似をしたら、俺はキャットだけじゃなくて皆のマスターで居る資格なんてないよ」

 

「良く言ったご主人! ぶっちゃけ勧められるがままに逃げていたらその時点でブッ殺す所だったゾ!」

 

 嬉しそうに物騒な言葉を口にするキャットを見たマシュが再び俺に視線で問いかける。止める気は無いですか、と

 その答えは勿論無いだ。どうせいつかは通らねばなら無い道、ならば早い方が良い。

 

 そうとも、仲間を救い出すのならば早い方が良いに決まっているでは無いか

 

「……ではご主人、さっそく始めようか? 失敗すれば死あるのみ。しかし成功すれば忠犬メイドと我の知る限りの情報が手に入るのだな!」

 

「……そんなの関係無いよ。俺はキャットを救いたいだけだ、フランスの事は今は忘れて、目の前の仲間を助けたいって思ってる」

 

 笑いながら試す様な視線を送るタマモキャットの目を見つめ返す。他の皆の不安気な視線を受けながら息を吐く。

 久しぶりの一人きりでの戦い、マシュに続いての取り返すべき相手の顔を見ながら気を落ち着かせる。

 

 前とやる事は変わらない。リスクを負っている所も変わらない。相手が別なだけだ。

 

 バーサーカー、タマモキャット……行動がまるで予想できない彼女を俺たちの元へと取り戻す為の戦いが、始まろうとしていた。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

喰らって、喰らわれて(タマモキャット)

 

 

「先に言っておくが……ご主人、アタシとのセックスでは前戯など不要なのだぞ」

 

 用意された小屋の中、粗末な寝台の横で服を脱いでいた俺に対してキャットが言う。変化スキルを使って尻尾を消し、手をいつもの獣の手から普通の人間の物に変えた彼女はその指を舐めながら俺を見る。

 

「我が欲しいのならば力で組み伏せよ。愛情などは不要、ただボスとしての強さを見せるのだ」

 

「……俺、そんなレイプみたいな真似はしたくないんだけど」

 

「勘違いなさるなご主人。キャットは野生の獣、獣の性交に必要なのは愛情では無く子孫を繁栄させると言う生存欲求、そしてその為には強い遺伝子を残すことが重要なのな」

 

「いや、だから俺は……」

 

 抗議の言葉を口にしようとした俺は鋭い視線をしたキャットに気圧されて口を噤んだ。獲物を見つめる様な視線で俺を見ながらキャットが続ける。

 

「……言ったであろうご主人、アタシを失望させるなと……甘々のセックスなど必要ない、我が欲しいのはこの雄の子を孕むならば本望と思わせるほどの力強さなのだ」

 

「アタシは人としてのご主人が好きだ。アタシたちの誰もを差別せずに扱ってくれるし、散歩にも連れて行ってくれるしな。だから今度は雄としてキャットを惚れさせて欲しいのだ、そうすればきっと、我はソロモンの呪縛から完全に解き放たれる事が出来るだろう……多分、な」

 

「……確証は無いんだ」

 

「ああ、野生の勘だ!」

 

 堂々と言い切った後で屈託なく笑う。その笑顔を見た俺は大きく深呼吸をした後でキャットに言った。

 

「分かったよタマモキャット、俺、精一杯やってみる」

 

「その意気なのだぞご主人! ……さて、ぼちぼち始めるとするか」

 

 急に真顔になったキャットは俺に背を向けると寝台に手をついた。そのまま首を曲げて振り向くと、俺に誘う様な笑みを見せる。

 

「準備は万端だぞ、あとはご主人が好き勝手喰らうだけだ」

 

 その言葉を受けた俺は両手でキャットの秘所に触れるとそれを左右に広げる。湿り気を感じるそこからはねっとりとした愛液が糸を引きながら床へと零れ落ちて行った。

 

「……アタシを貪れ、ご主人。アタシも満足するまで喰らわせて貰おう。ゆめ忘れるな、アタシが満足出来ぬ間に、一人で勝手に満腹になったならば……生きて朝を迎える事は出来ないぞ」

 

「わかってる。でも、そんなことを考えてたらヤることなんか出来ないだろう?」

 

 ぐちゅり、と淫らな水音を立てながら潜り込む俺の肉棒。ぶるりと震えたキャットの躰と膣の振動を感じながら、俺は彼女の腰を掴んだ。

 

「……縮み上がってはいない様だな。それでこそキャットが服従するに相応しいかどうか試す甲斐があると言うものだ」

 

 じっくり、ねっとりと絡みつくキャットの膣肉。果たして喰らっているのはどちらで、喰らわれているのはどちらなのだろうか?

 

 胸の内に浮かび上がったそんな疑問をかなぐり捨てる。がっちりと掴んだ腰を放さぬままゆっくりとキャットの子宮口に亀頭をくっつけた俺は、ぐりぐりとそこを押し込みながら彼女の様子を探る。

 

「はぁ……っ……大きいのだな、ご主人。人にしてはなかなかのものだぞ」

 

 熱を帯びた口調のキャットの瞳は、やや蕩けてぼうっとしていた。その瞳からは捕食者としての意識がありありと感じられる。

 

 俺は喉を鳴らして唾を飲み込んだ。これは俺とキャットの命懸けの戦いだ。お互いを喰らい合い、相手を喰らいつくした方が勝ちとなる勝負に挑んでいるのだ。

 

「はんっ♡」

 

 軽いジャブのつもりで腰を前後させる。キャットのお尻に俺の腰がぶつかり、乾いた良い音が鳴った。

 

「ご主人、アタシの膣は緩くないか?」

 

「大丈夫、きつくって、すごく気持ち良いよ」

 

「そうか……変化スキルを使った甲斐があったのだな」

 

 何度も出し入れしながらそんな会話を繰り広げる。熱く絡みつくキャットの膣の感触に耐えながら腰を振っていた俺は、そこが激しく痙攣するのを感じた。

 

「はぁぁんっ……んっ♡」

 

「……もしかしてキャット、今イッた?」

 

「ん……♡ その通りだぞ、ご主人」

 

 躰から力を抜き、寝台にもたれ掛かるキャットが顔だけを振り向かせて答える。正直、ここまで早く絶頂するとは思っていなかった俺はちょっとだけ呆然としていた。

 

「……何をしているのだ? もう一度動き出さないのか?」

 

「あ、あぁ……」

 

 キャットに促された俺は再び腰を動かす。先ほどよりも具合が良くなったキャットの膣はひどく心地良く、俺も気を抜いたらすぐに射精してしまいそうだ。

 

「くふぅっ♡ ふうんっ♡ んんっ♡」

 

 キャットの喘ぎ声が徐々に大きくなる。それに伴って締め付けもきつく、強くなっていく。

 興奮によって赤みを増して行く丸い尻を見た俺は、堪らずその部分を鷲掴みにすると強く揉みしだいた。

 

「んああっ♡ ご主人は、尻がすきなのだなっ♡」

 

 その声に答えないまま尻肉を揉む。マシュよりもやや大きく、肉付きの良い尻肉がぐにゅりと形を変える感触に喜びを感じながらも膣の奥深くを貫く様にして穿つ。

 

 もはやキャットの性器は濡れる、などと言う言葉では表現しきれない程の愛液で溢れていた。一突きごとに熱い愛液の雨を降らすキャットの膣を味わいながら、俺はその尻を叩いた。

 

「ひぃんっ♡」

 

 喘ぎ声とも悲鳴ともつかないキャットの声、尻に赤い紅葉が咲いた事を認めながら、きつく締まるキャットの膣を遠慮なく責める。

 

「……お尻叩かれてイッたんだ? キャットって変態だな」

 

「はーーっ♡ あーーっ♡」

 

 キャットの口からは意味のある言葉が出て来ていない。ただひたすらに喘ぎ、狂っているだけだ。

 

(これなら行けるか……?)

 

 俺の中ではそんな希望的観測が生まれつつあった。キャットの躰は俺の予想以上に開発されており、それによって得られる快感もかなりのものの様だ。

 

 と言う事は、順当にセックスをすれば、勝手に満足してくれるのではないか? このイキっぷりからしてみてもそんな気がしてならない。

 

(なら、このまま一気にっ!)

 

「にゃおぉぉぉっ♡♡♡」

 

 ごりごりと力強く、そして激しく肉棒を出し入れする俺。キャットの仰け反った背中と大きな喘ぎ声がそれによって与えられている快感の強さを証明していた。

 

 そろそろ俺も限界が近い。このまま一気に快感を叩き込むと同時に、キャットの子宮に精液を注ぎ込んでやると決めた俺はだんだんと腰の動きを早めていった。

 

「ああーっ♡ んあぁっ♡ あぁぁぁっ♡」

 

 ぎゅんぎゅんと締め付けるキャットの膣、きっとイキっぱなしなのだろう。ぐちゃぐちゃといやらしい音が響く部屋の中で、俺はキャットの尻を思いきり鷲掴みにすると、その勢いのまま最奥まで貫いた。

 

「うあーーっ♡ あぁっ♡ あんっ♡ あぁぁっっ……♡」

 

 熱い物がキャットの子宮へと注ぎ込まれて行く。ぎゅうぎゅうと搾り取る様にして俺の肉棒を締め付けるキャットの膣に包み込まれながら、尻肉を揉む。

 

 脱力しきったキャットは俺の為すがままにされている。揉んでも突いてもアナルに指をつっこんでも、尻をぷるんと震わせるだけの反応しか見せない。

 

(なんだ、案外簡単だったじゃないか)

 

 倒れ込んだキャットを見てそう思う。命懸けだと思っていたから緊張していたが、ふたを開けてみればこんなものだ。

 

 ゆっくりとキャットの膣から肉棒を引き抜く。そこから洩れる精液と愛液の混合物を見ながら、俺は深く息を吐いた。

 

「……何をしているご主人、満足するにはまだ早いだろう?」

 

 その瞬間、うつ伏せになったままのキャットから声が響いた。予想外の一言に驚きながらも俺は笑顔を見せる。

 

「ああ、ゴメン……てっきり、キャットが気を失っちゃったかと……」

 

「我はそんなやわではないぞ、アタシこそ、ご主人がもう満足してしまったのかと思ってぶち殺す寸前だったのだ」

 

「あはは、危ない所だったなぁ……それじゃあ、今度こそキャットを満足させないとね」

 

「んっ……♡」

 

 もう一度キャットの膣に挿入する俺。ぐぷっ、という音と共に肉棒はすんなりと奥まで咥えこまれた。

 

 しっかり奥まで届いた事を確認した俺の肉棒に小刻みな振動が伝わっている。挿れただけなのに達してしまったのだろう、キャットの敏感さに苦笑しながらも俺は腰を動かした。

 

「んあぁ……♡ ご主人、すごいぞぉ……っ♡」

 

 再び熱い飛沫を股間から舞い散らせながらキャットが喘ぐ、イクのが止まらない様でずっぽりと咥えこまれた俺の男性器には心地よい絶頂の締め付けが絶え間なく襲い掛かって来ていた。

 

「あぁ……っ♡ はぁぁ……♡」

 

 じっくりとキャットを嬲りながら心地よい膣の感触を愉しむ。マシュとは違う、敏感で荒々しい絶頂を繰り返すこの女性器は味わい深い物だ。

 

 他の女性と比べると言うのは失礼なのだろうが、そこまで罪悪感は感じない。快感に蕩けたキャットの表情を見ながら俺は思う。

 

 キャットはその内満足してくれるだろう。イキっぱなしの躰を味わうのも楽しいが、まずは彼女を取り戻すことが先決だ。

 

「イクっ♡ ご主人、またイクっ♡ イっ……クぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 大丈夫、その内満足するさ……だってこんなに感じているんだもの。大丈夫、大丈夫………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ゆ……油断した……っ!)

 

「あはぁ……♡ ご主人、もっと、もっとぉ……♡」

 

 快楽を強請るキャットに抱きすくめられながら腰を振る。精の匂いが充満する部屋の中で、俺は歯を食いしばりながら性交を続けていた。

 

 もう既に何回射精したか分からない。とうに10回は超え、キャットの膣からは注ぎ込まれた精液の内、そこに入り切らなかったものが愛液と共に排出されている。

 

 だと言うのにキャットが満足する気配は無い。もっと、もっとと自分を抱く様に要求してくるばかりだ。ここにきて、俺は自分の考えの浅はかさを後悔した。

 

 相手はサーヴァント、人を遥かに超えた身体能力の持ち主だ。無論、体力も人間の比では無い。

 それに加えて、猛獣たちに輪姦されたと言うのにぴんぴんしていたと言うキャットが、そんな簡単に満足するはずが無いのだ。

 

 恐るべし、女バーサーカー……もう何度目になるか分からない射精の後、ぐったりとキャットの躰の上に倒れ込んだ俺はその柔らかさに身を包まれながら荒い呼吸を繰り返していた。

 

「……ご主人、もっと、もっと……♡ 早く、アタシを抱いてくれぇ……♡」

 

 やばい、正直やばい。もう限界などとうに超えていると言うのに、キャットが満足する気配は見えない。このままでは搾り尽されて死ぬか、幻滅されて殺されるかの未来が待っているだろう。

 

 どうにかしてこの状況を打破しなくては……必死に考えようとした俺だったが、疲れのせいか頭が上手く回らずにいた。

 

「……ご主人、どうした? まさかもう限界ではあるまいな?」

 

 ぼそりと、艶を失いいつもの口調に戻ったキャットが呟く。俺を抱きしめる腕に力が籠められ、全身の骨がミシミシと音を立て始めた。

 

「がっ、はっ……!」

 

「……ものが萎え始めているな。どうやら、ここまでのようだな」

 

 鯖折りの要領で俺の体を強く抱きしめるキャット。骨よ砕けろと言わんばかりの強い抱擁には間違いなく殺意が込められている。

 

「残念だな。本当に残念だぞ、ご主人……ご主人ならば我を組み伏せる事が出来るかと期待したのだがな」

 

「ぐぅぅ……!」

 

 体が軋み悲鳴を上げる。だが、開いた口からは声にならない叫びが漏れるだけだった。

 

「せめてもの慈悲だ、ハチ公の様に亡骸の傍に居続けてやろう……いや、それはパトラッシュだったカ?」

 

 逃げる事も、耐える事も出来ない。進退窮まったとはこういう事なのだろう。死の寸前に追い込まれた俺は体に走る痛みに呻く事しか出来なかった。

 

「サヨナラだご主人、それなりに好きだったぞ」

 

 別れの言葉を口にしたキャットの腕に力が籠められる。柔らかな躰に押し付けられながら、迫りくる死の冷たさをじっくりと押し付けられる。

 

「あは、あは、アハハハハ……!」

 

 タマモキャットは狂ってしまったかのように嗤い続けている。下腹部の淫紋令呪も徐々に黒色に染まってきている。

 俺が彼女を満足させられなかったから、彼女はソロモンの配下に堕ちようとしている……その事を思い知った俺の身を深い後悔が襲った。

 

 ここで死ぬわけにはいかない。俺が死んだら、捕らえられた皆はどうなる? カルデアの皆は? フランスの人々とその未来は?

 

 死ねない、死ぬ事なんて許されるはずが無い。なのに、どうしてもこの死からは逃れられそうにない。

 やらなくてはならない事が山ほどある、死ねない理由もだ。どうすれば良い? どうすれば俺は……

 

 そこまで考えた時、体に走った衝撃と共に、俺に意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……逝ったか、あえない最期だったな、ご主人」

 

 自分で殺しておきながら非常に残念そうな口ぶりでマスターの死を悼むタマモキャット、ペロペロと愛しい人の顔を舌で舐めると、その体を一回転させて体勢を逆転させた。

 

「こうして亡骸になってしまったからには、我がもぐもぐしても構わんのだろう? マヨネーズを塗りたくって食べる事を所望する! 成人病まっしぐらなのだな」

 

 主の死への悲しみをもう忘れてしまったかの様に笑うタマモキャット、バーサーカーである彼女は「狂化スキル」によって複雑な思考が出来ない様になっているので仕方が無いのかもしれないが、その口ぶりはあまりにも薄情に思えた。

 

 下腹部で形成されつつある黒の淫紋令呪が、かつての主への忠誠心を奪っているのだろう。もう少しすれば彼女はソロモンの忠実な配下となり、その躰と命を彼へと捧げる事になるのだ。

 

「うむ、やはり一口目は味付け無しで行こう。素材そのものの味を楽しむのな」

 

 そう呟いたタマモキャットは大きく口を開けて青年の肩へと嚙み付こうとした。肉を喰らい、咀嚼し、その味を楽しもうとした彼女が肩口に歯を立てた時だった。

 

「ひうんっ♡」

 

 ずんっ、と子宮を押し上げられる感覚に仰け反り、嬌声を上げる。何事かと思えば、先ほどまで自分の膣で萎えていた彼の逸物がその硬さを取り戻して自分を突き上げたのであった。

 

「あはぁ……♡ ご主人、まだ生きていたのか? 死への恐怖が生存欲求を駆り立てたのだな?」

 

 生物は死の恐怖を感じた時にこそ子孫を残すための行為を行おうとする。本能に刻まれた生き物としての思いがそうさせるのだと言う。

 

 再び勃起した彼の肉棒を感じながらタマモキャットは舌なめずりをした。なんにせよもう少しは楽しめそうだ、止めを刺すのは最後の抵抗が終わってからでも良いだろう。そう考えた彼女だったが、マスターは無言のまま彼女を抱え上げると、力強い動きで立ち上がった。

 

「んはっ♡ 駅弁とは何とも力強いセックスをするのだな。キャットも少しときめいたぞ、ご主人」

 

 マスターはその言葉にも何も答えなかった。両手で彼女を抱きしめながら、右手をキャットの尻に置き、左手を後頭部に添えて自分の顔へと近づかせる様に力を籠める。そして、そのままキスをしながら下から突き上げる様に腰を動かし始める。

 

「んっ♡ ちゅぷっ♡ れろぉ……♡」

 

 ぐじゅぐじゅと相手を求めあう様に唇を重ねる二人。こんな風に交わるのも悪くない、思ったよりも楽しめそうでは無いかと思っていたキャットが、もう一度舌を絡ませようとした時だった。

 

「ほぉぉっっ♡♡♡」

 

 アナルに突き入れられた指の感触に仰け反って声を上げる。何の前触れも無く挿入された中指と人差し指が腸内を擦る感覚に呻いていると、自分の後頭部に添えられた彼の左手に力を込められて無理矢理キスを要求された。

 

「じゅぅぅ……♡ んはっ、ごしゅ、じんっ♡ ま、ってぇ……♡ んんっ♡♡」

 

 懇願も聞き入れない。キャットが逃げる事など許さないと言う様にして行為を続けるマスター。膣、アナル、口内と三点から快感を与えられていたタマモキャットは、ここにきて彼の異変に気が付いた。

 

「ごひゅじん、なにか、へん……あひぃぃっ♡」

 

 口付けから逃げ、声を発していたタマモキャットは、自分の乳首を思いきり吸われてその言葉を最後まで言えなくなってしまった。乳飲み子が乳を求める様な強さで、両方の乳首に思いきり吸い付くマスター。

 

「ひぃぃ……♡ ひっ、ひぃん……っ♡」

 

 先ほどまでのセックスで与えられていた快感とはまた違う物、暴力的なまでの快感を押し付けられたタマモキャットはセックスを始めてから初めての歪んだ表情を見せた。余裕をなくし始めた彼女に対して、マスターはなおも三点責めを続ける。

 

「あひっ♡ ナカっ♡ あにゃるっ♡ ちくびがすごいっ♡ つよいいぃっ♡」

 

 人間とのセックスによる快感とは違う、獣との無遠慮な性交とも違う。力によって雌を組み伏せながら、適切な性技を持って絶妙に相手の官能を引き出していくマスター。タマモキャットはそんな彼の手によって淫らに喘がされ、感じるだけの雌にされてしまっていた。

 

「ひぐっ……♡ またひぐぅぅぅ……♡」

 

 乳首を甘噛みされたタマモキャットがその痺れを感じながら絶頂する。潮を噴き出しながら達した彼女の体を軽々と抱え上げたマスターは、彼女の体を反転させて己の怒張をアヌスへとあてがった。

 

「こ、今度はそっちか……んほぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 括約筋を押し開いて挿ってくる肉棒、排泄器官に逆に太いものを突き入れられたタマモキャットが文字通りの獣の様な声を上げて叫ぶ。

 

「おお、しり、がぁ……めりめり、と、ひろげられ……ほぉぉっっ♡」

 

 寝台に腰を落としたマスターが遠慮なくタマモキャットの尻穴を穿つ。膣での絶頂の余韻が抜けきらない彼女は、盛大に潮を吹きながらいやいやと首を振って懇願した。

 

「まっへぇ……まっひぇくれ、ごひゅじん……ちつイキしてるから、もうイッてるから……しりでも、イかせようとしないでくれぇ……!」

 

 弱々しい懇願、無駄である可能性が高いと知りながらもタマモキャットはそう言わざるを得なかった。その言葉を聞いたマスターの行動に変化が起こる。

 

「あ……ふ、ぅん……っっ」

 

 ゆっくり、ゆっくりとタマモキャットを自分の腰の上に下ろすマスター。そのまま労わる様にして彼女の頭を撫でる。

 

 しっかりとアナルに挿入したままであるが、彼はタマモキャットの事を労わってくれている。その行動に温もりを感じつつも、違和感を感じえなかったタマモキャットはマスターに起きた異変の正体に勘づいた。

 

 急速な身体能力の上昇、意思疎通の難化、簡略的な行為しか出来なくなると言う弊害……その全てを説明できる一つの可能性に思い当った彼女は、恐る恐ると言った様子でマスターへと声をかけた。

 

「ま、まさかご主人……アタシに当てられて、『狂化』したのか……? んほぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 マスターの答えを待っていた彼女を襲ったのは、動きを再開したマスターの肉棒による一突きだった。アヌスの奥の奥まで突き入れられた肉棒に対して野太い悲鳴を上げた彼女を更にマスターが責める。

 

「ほぉぉぉっ♡ んおぉぉっ♡ つよいっ、はげしいっ♡ しりあなが、こわれるぅっ♡」

 

 今度はもうキャットの声にも耳を貸さないままマスターはタマモキャットのアナルを穿ち続けた。ただひたすらに彼女の理性を剥ぎ取るかのように腰を叩き付けるマスターの思惑通りに、タマモキャットの出す声は意味をなさないものへと変わって行く。

 

「ほにゃぁぁぁ♡ ん、ほぉぉぉぉ……♡」

 

 自分を組み伏す様な強い雄の責めに、タマモキャットはひたすら喘がされる雌猫と化す他無くなってしまっていたのであった。

 

「ひぁっ♡ あぁぁぁぁぁっ♡ んやぉぉぉぉぉっ………♡♡♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故だかはわからないが、頭がすっきりとしていた。死を待つしかないと思ったあの直前に聞こえた声が関係しているのかもしれない。

 

『ごちゃごちゃ考えるなよ、そんなんだから上手く行かねぇんだよ』

 

 声はそう言った。そして、俺を抱くキャットの躰を指し示しながら続ける。

 

『こんなに良い女が、良い雌が目の前に居るんだ。その躰を貪り喰らう事以外を考えるなんてのは野暮じゃあねぇのか?』

 

 そうなのかな? と俺は思った。確かに言う通りだ、死ぬとか、フランスの未来とか、そう言うのは今ここにある快感に比べればどうでも良い事の様に思えてくる。

 

『そうだぜ! ただ愉しめば良いんだよ! 悦楽と欲望に塗れた人生を楽しめよ!』

 

 体の痛みが消えた。正確にはまだ痛むが、先ほどよりかはましになったくらいのものだが。

 

『まだ死ねないよなぁ? 生きて、生きて生きて! 楽しまなきゃならねぇもんなぁ!』

 

(……誰なんだ、君は……?)

 

『俺かい? 俺はアンタ自身さ、このくそったれな状況に置かれたアンタの欲望の部分……まぁ、今のアンタにとって一番重要なのはそこじゃねぇだろ?』

 

 その通りだった。得体のしれない協力者には興味があるが、今最も重要なのはそこでは無い。

 

 フランスの未来でもない。ソロモンの計画を阻止する事でもない。タマモキャットを取り戻す事でもない。

 ただ目の前の、ひたすらに美しく、温かく、柔らかな雌の躰を喰らいつくす事だけだ。

 

『分かって来たじゃねぇか! さて、俺はここで消えるぜ。だが、いつでもお前のすぐそばにいる事を忘れるなよ』

 

 それだけ言い残して声の主は居なくなった。姿が見えなかったので本当にいなくなったかは分からないが、今はそんなことどうでも良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イクっ♡ イクぅぅぅぅぅ……♡」

 

 キャットの尻穴を穿ちながら大きく揺れる胸を揉む。乳首を指と指の間に挟み込み、遠慮なくぐにゅぐにゅと力を込めて揉んでいく。

 

 固くなった乳首を刺激する度にキャットは甲高い悲鳴を上げ、躰を仰け反らせた。

 

「ごしゅ、じんっ。むねと、ちくびをいじらないでくれぇ……♡ あにゃるのしげきといっしょにくると、いしきが、もたない……♡」

 

 キャットのその言葉に動きを止める。これは嫌なのか、では、止めないといけないな。

 

 楽しむことは大事だ。だが、俺にとってもっと大事な事は仲間を傷つけない事だ。

 大切な仲間が嫌がっている事はしないでおこう。だから、俺は別の場所に手を伸ばした。

 

「くひゅぅぅぅぅぅぅっぅぅっっ♡♡♡」

 

 両手をキャットの女性器と陰核へと持っていき、そこを弄る。アナルを穿られながら敏感な二か所を弄られることへの刺激が、キャットを高みへと追いつめていった。

 

「だめっ♡ それも駄目だぞっ♡ むしろ、さっきより悪く……ひぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 ぶしゅう、と音を立てて愛液が飛び散る。潮を吹くと言う事は気持ち良い証明のはずだが、キャットは嫌な様だ。

 

 困ったな、これでは弄る所が無い。と、なれば、俺の取る行動は一つだ。

 

「はひ……?」

 

 M字に開かせていたキャットの脚の関節部分を掴む。そのまま上に持ち上げると、キャットの躰の体重は、俺に挿入されている尻にかかる事になった。

 

「な、なんだ……? なにを……? ほぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 キャットを持ち上げる力を抜き、代わりに腰を思いきり押し上げる。先ほどよりも勢い良く貫かれた衝撃にキャットが呻いているのが分かる。

 

「のぉぉぉぉっっ♡ ほおぉぉぉっ♡ ほっ、ほぉぉぉぉっっ♡」

 

 自身の全体重が乗ったピストン運動で尻を穿たれるキャット。俺の腰が彼女の尻にぶち当たる度に今まで以上に大きな声を上げて吠えまくる。

 

「おおぉぉぉっ♡ し、しりぃぃっ♡ ほっぉぉぉぉぉっ♡」

 

 キャットの躰から汗が噴き出る。性器からは愛液と尿の混合物が飛び出す。

 その様子を見た俺はようやく安心した。これこそがキャットの求めていた物なんだと理解できたからだ。

 

 だってキャットは嫌がっていない。今までの様に「止めてくれ」とは一言も言っていないのだから。

 

 嫌だと言わず、ここまで大きな官能の証明をしているのだから、これこそが彼女の求めていた物だと言う事が分かる。彼女が欲しがっていた物を与えられた事に気を良くした俺は、大きく腰を跳ね上げた。

 

「んぎぃっ♡ んぎぃぃぃぃぃっ♡ にゃおぉぉぉぉっ♡」

 

 なんて素敵な声なのだろう。キャットは喜びの余りに今まで聞いた事の無い様な大声を出して叫んでいる。気持ち良くなっている証明と、もしかしたら俺への感謝を表しているのかもしれない。

 

 嬉しいな。もっと気持ち良くしてあげたいな。

 

 嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しいうれしいうれしいうれしいうれしいうれしいうれしいうれしい!

 

 アナルが熱くなっているのが分かる。きつい締め付けも悦びからだと言うことも理解している。

 だから俺は止めを刺した。深く、深く……キャットが逃れられない様になるほどの、快感を与える止めを……

 

「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっ♡♡♡」

 

 キャットの躰が大きく震えたのち、大きく痙攣を繰り返す。絶頂しているのだろう、そう思いながらも俺は腰を動かし続けた。

 

「にゃおぉぉ……♡ わ、おぉぉぉぉ……♡」

 

 イッている腸内をさらに擦り上げられる快感がたまらないのだろう。キャットは無意識の内に獣の様な鳴き声を上げていた。これも別に止めて欲しくないはずだ。だって嫌だと言っていないのだから

 

「あぁ……あ、ぁ……ん……ひぃ……♡」

 

 俺は射精した。奥深くまで自身の分身をねじ込み、キャットの尻の奥に精液を流し込んだ。

 そうした後、キャットを四つん這いにさせてアナルを思いきり手で広げてやる。そこからは、俺が出した精液がどろどろと溢れ出て来た。

 

―――ぶぴぃ、ぶぴぃ……

 

 そんな音を立てながら寝台へと零れ落ちる精液を見た俺は、それを勿体なく感じてしまった。すぐに抜いてしまった事を後悔しながらキャットを仰向けにする。

 

「あへ……♡ んへぇ……♡」

 

 潰されたカエルの様な格好で寝転がるタマモキャット。白目を剥き、涙や涎、鼻水までを垂れ流したその顔はぐしゃぐしゃになっている。

 だが、俺は思った。その表情はとても美しいと……

 

 これは俺の物だ。他の誰にも渡さない。美しく、食べ甲斐のあるこの躰は、この雌は、俺だけのものだ。

 

「ふあぁぁぁぁぁっ……♡」

 

 女性器に挿入しつつ覆い被さる様にのしかかる。顔を傾かせ、キャットに白い首筋を露わにさせた俺は、その喉笛に噛み付いた。

 

「あ……あ……♡」

 

 呆然としたキャットの声が聞こえる。細く白い喉笛に甘噛みをしながら、そこを舌で舐める。

 ややあって、キャットの首筋に歯型を残した後で口を放した俺は、全身でキャットを押さえつけながらその瞳を見つめていた。

 

「……征服されてしまったな、完全に」

 

 ぼそりとキャットが呟く。何を言っているのかは分からない。

 

「組み伏され、急所を喰われ、あえて生かされ……我が、ご主人よりも弱い雌だと示されてしまったな」

 

 わからない。わからない。わからない……

 

「アタシの負けだ、ご主人。勝者として、雄として、この雌を喰らうが良い。それが、強き雄としての定めであり、アタシの幸せでもあるのだからな」

 

 チリチリと音を立ててキャットの下腹部にある模様が赤く変わって行く。俺の左手にも火傷した様な痛みが走る。

 

 これはどういう意味だったっけか? それも分からない。だが、一つだけわかる事があった。

 

(ごめんね、キャット……)

 

 退屈させてしまった。良く分からない話を長々と続けさせるほどに、彼女を退屈させてしまった。

 すぐに気持ち良くしてあげないと、何も考えられない位の快感を与えてあげないと……

 

「あぁぁぁっ♡ んあぁぁっ♡ あぁぁぁっ♡」

 

 組み敷いたキャットの為に腰を動かす。幸せそうな彼女の声が聞こえる。

 これで良い、これで良いのだ……俺もまたキャットの膣から与えられる快感と、彼女の幸せを作り出していると言う幸福をかみしめながら、尽きぬ欲情に身を任せたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩……? タマモキャットさん……? 入りますよ……?」

 

 翌朝、マスターの身を案じたマシュは誰よりも早く二人が入って行った小屋へと向かった。最悪の事態は起きているはずが無いと思いつつ、不安げにドアを開ける。

 

「うっ……!?」

 

 瞬間、彼女の鼻をついたのはむせ返る様な匂いだった。充満するのは性の匂い、自分が交わった時よりも何倍も強いその匂いに耐えながら彼女は部屋の中に入る。

 

「先輩、ご無事ですか!?」

 

「うぅ……その声、マシュ……?」

 

「先輩! 良かった、無事なんですね!」

 

 疲れ切ってはいるが返事をしてくれたマスターの声を聴いたマシュが顔を綻ばせる。彼が無事だと言う事は、タマモキャットの奪還には成功したのだろう。最高の展開になった事に喜ぶマシュであったが……

 

「え……?」

 

「な、何? どうしたの?」

 

 突如凍り付いたマシュを見て驚くマスター。自分の身に何か起きているのかと驚いた彼が急いで彼女の視線を追って顔を下に向けると……

 

「へ?」

 

 まず最初に見えたのは、丸くて赤みがかかった尻だった。自分の腹筋に押し当てられたそれは、適度な柔らかさを持って心地良さを与えてくれている。

 

 そのまま視線を先に進ませると、綺麗な背中が目に映った。綺麗で傷一つ見当たらないその背中の先には、ピンク色の髪を生やした女性の頭があった。

 

「……おはよう、マシュ。良い朝かどうかはこの体勢では分からないが、グッドモーニングなのは間違いないな」

 

 ぴっちりと寝台に頭をつけ、所謂『裸土下座』と言うものをしながらタマモキャットはマシュに挨拶をした。その光景をあっけにとられた様子で見ていた二人だったが、マスターが急いで彼女に顔を上げさせる。

 

「な、なんでそんな事してるの!? 顔を上げて普通に挨拶してよ!」

 

「なんでって、ご主人が命令したからでは無いか。ぎっちりずっぽり我にハメておいて、その言い草は流石にどうかと思うぞ?」

 

「お、俺がっ!?」

 

 マスターはそこで初めて気が付く、自分の肉棒がキャットの膣に挿っている事に……

 

 体を起こしたタマモキャットはすりすりと顔をマスターに寄せて頬ずりした。そして、文字通りの猫撫で声で彼に甘えたように語り掛ける。

 

「昨日はお楽しみだったな、ご主人! アタシを完全屈服させた後、あんな屈辱的なポーズを取らせるなんて鬼畜野郎だな!」

 

「き、鬼畜っ!?」

 

「まんこにちんこ突っ込んだままで土下座強要! その体勢から少しでも動けばお仕置きと言う名のスパンキング! 何もしなくてもアヌスを指で穿る! いやぁ、正に主としての風格に目覚めたな!」

 

「お、俺が、そんなことを……?」

 

 まるで覚えていない事を次々と言われて頭を抱えるマスター、しかし、タマモキャットが嘘をつくはずも無いしと考えていると……

 

「……それで、どうするのだ? ご主人の逸物はまだ硬くなっているゾ?」

 

「う……っ」

 

 艶やかに体にもたれ掛かるキャットは自分の膣を締めてマスターを誘惑する。熱くきついその感触に呻いているマスターに対して、追い打ちをかける様に言う。

 

「何、気にすることは無い。もとよりキャットはご主人のもの……自分の持ち物をどう使おうと、主の自由だろう?」

 

「お、俺は、キャットを物だなんて……」

 

「ではそうだな……ご主人を気持ち良くする代わりに、ご褒美をもらうとするか」

 

「ご、ご褒美って……?」

 

 マスターのその質問に対して屈託のない笑顔を浮かべたタマモキャットは、いつも通りの口調で彼に報酬を告げた。

 

「報酬に人参を頂こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……酷い目にあった……ってわけじゃないよなぁ?)

 

 あの後、自分たちの心配をして見に来てくれたマシュも乱入してきたためにとりあえず一人一回と言う約束でセックスをしたのだが、当然若い三人が一回で満足するはずも無い。体力的に限界だったマスターを料理の師弟コンビが好き勝手跨って楽しむと言う事になってしまい、結局三回ほどはしてしまった。

 

 その後、じっくりと二人に体を洗って貰った後で、受け取った婦長ミルクを飲んで体力を回復させてはいるが……しばらく、セックスは良いだろう。休ませて欲しい。

 

「それで、この後はどうしましょうか? 戦力が手に入ったとはいえ、フランスと言う国を相手に考えるとあまりにも微量です。もう少し仲間が欲しい所ですが……」

 

「ふむ、それならアタシに考えがあるぞ!」

 

 今後の行動を決める会議に新たに加入したタマモキャットが勢いよく手を挙げる。この時代で戦い続けて来た彼女ならば、何か妙案を出してくれるやもしれないと期待した俺たちに向かって、彼女は言った。

 

「我以外にもこの時代に来ているサーヴァントは居るのな。間違いなく二人は居るぞ」

 

「本当!?」

 

「アタシはご主人に嘘はつかないぞ! うん、多分つかないと思う!」

 

 そこは言い切って欲しかったがまぁ良い、今大切なのはその二人のサーヴァントの事だ。

 その情報を求める俺たちの眼差しに気を良くしたのか、タマモキャットは大きく胸を張ると説明を始めた。

 

「一人目はアーチャー、アーラシュだ。アタシたち同様に反乱軍を率いて、迫害されている者たちを助けているのだ」

 

「アーラシュが!?」

 

 出て来たビッグネームに驚く俺、アーラシュと言えば気さくで人の良い快男児である見た目とは裏腹に東方の大英雄と呼ばれる程の強さと来歴を持っている紛れも無い英霊だ。そんな彼がこのフランスに居るなんて、まったくもって予想外だった。

 

『……そうか、彼はこの時代の聖杯に呼ばれたのかもしれないね』

 

「どういう事、ダヴィンチちゃん?」

 

『彼の宝具「流星一条」は使用すれば彼自身が砕け散る捨て身の宝具だ。ソロモンとのあの戦いでも彼は間違いなくそれを使ったんだろう。その結果、ひとりでに消滅した彼はソロモンに捕らえられる事無く、英霊の座に戻れたんだよ』

 

「そっか……とんでもないデメリットだと思ってたけど、こんなところで役に立ったんだ……!」

 

 ダヴィンチちゃんのその推理に納得した俺は大きく頷いた。ただ一人ソロモンの魔の手から逃れたアーラシュは、異変が起きたフランスに呼び出されたのであろう。そしてソロモン達と戦っている……予想以上の仲間の登場に喜ぶ俺に対して、タマモキャットは神妙な顔でもう一人の英霊の情報を話してくれた。

 

「もう一人のサーヴァントだが、実はアタシと一緒にソロモンの元から逃げて来た女英霊なのだ。彼女もまた、アーラシュに保護されて彼の元に居る」

 

「……誰なんだい、そいつは?」

 

 兄貴の問いかけに深く息を吸ったタマモキャットが答える。このフランスで俺たちを待つもう一人の英雄の名を……

 

「獅子王『アルトリア・ペンドラゴン』……ランサーである彼女も、このフランスに来ているぞ」

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 甘く、温かく、幸せなもの(マシュ)

 インフルエンザにかかってここ一週間ほど寝込んでいるのび太です。本編の更新が出来ずに申し訳ありません。

 代わりと言っては何ですが、バレンタインデーに投稿しようと思っていた幕間を前倒しして投稿します。イチャラブできてれば良いんですけどね……

 治り次第本編を書き上げて投稿させていただきます。申し訳ありませんが少々お待ちください


 

「……バレンタイン、か」

 

 自分の部屋に飾られているカレンダーの日付を見た俺は、誰に語り掛ける訳でもなく呟いた。冬のとある一日、愛しい人に感謝と愛情を伝えるそのイベントであるその日を迎えながらベッドに寝転ぶ。

 

(去年はいろんなことがあったなぁ……)

 

 騒がしくも楽しかった去年の同じ日、慌ただしくて大変な一日だったがとても楽しかった。

 でも、今のカルデアにはあの日居たはずの英霊たちの姿が殆ど無い。皆、ソロモンに捕らえられてしまったからだ。

 

 チョコレートをくれた女性英霊たちも、一部の女性サーヴァントの行き過ぎた愛情表現を窘めてくれた男性英霊たちの姿も無い。皆、居なくなってしまった。

 

「……寂しいな」

 

 また独り言をつぶやく。普段そう感じていないわけでは無い。だが、それ以上にやる事が多い毎日に忙殺されて、しみじみと感じる時間が無いだけなのだ。

 

 こうやって忙しい時間から解放されて、かつての楽しかった思い出を思い返すと胸が締め付けられる様な苦しみに襲われる。本当に皆が居なくなってしまったのだと実感してしまうからだ。

 

 俺の立場からしてみれば、そう言う気持ちを押し殺して皆を取り戻すぞと思わなければならないのだろう。でも、どうしてもそんな気分になれそうもない。

 

 こんなんじゃマスター失格だなと自嘲気味に笑った俺が、そのままベッドの上で目を閉じて微睡みに身を任せようとしたその時だった。

 

「……先輩、今、お時間よろしいでしょうか?」

 

「マシュ……?」

 

 チャイムの音と共に聞こえたマシュの声に目を開けた俺は、ベッドから立ち上がると部屋のドアを開ける。そして、そこに立っていた可愛い後輩を部屋の中へと招き入れた。

 

「失礼します、先輩」

 

「ああ、どうかしたの?」

 

「……今日はバレンタインデーですので、先輩にチョコレートをと思いまして」

 

 そう言いながらマシュが差し出したのは、可愛らしくラッピングされた小包だった。ほんのりと甘い香りのする彼女からの贈り物を受け取った俺は、喜びと共にマシュに感謝の言葉を贈る。

 

「ありがとう、マシュ! すごく嬉しいよ!」

 

「ふふ……そう言って頂けると嬉しいです。あまり凝った物は作れませんでしたが、まずくは無いと思います」

 

「ありがとう……色々大変な時に、こんな……」

 

 手の中の包みにはマシュの気持ちがたっぷりと詰まっている。温かく優しい彼女の気遣いはとてもありがたく、嬉しかった。

 

 だが……同時に、先ほどまで感じていた寂しさがもう一度ぶり返してきてしまったのも確かだ。かつて受け取った女性英霊からの贈り物を思い出すと胸が締め付けられそうになる。

 

「……先輩? どうかしましたか?」

 

「……マシュ、ごめん」

 

「えっ……?」

 

 涙が溢れそうになった俺はマシュを抱き寄せてその泣き顔を見られない様にした。せっかく贈り物をしてくれたマシュの前で、辛気臭い顔なんて出来るものか

 

「ごめん、少しそのままで居て……」

 

「……はい、わかりました」

 

 肩を震わせる俺の姿を見て何かを悟ったのか、マシュは黙って俺を抱きしめ返してくれる。小さくて柔らかい手が頭を撫でる感触が、俺の涙を誘う。

 

「……先輩は寂しいんですよね。皆さんが居なくなってしまって」

 

「……うん」

 

 強く、腕に力を込めてマシュを抱きしめる。離れて欲しくないと伝える様にして抱きしめる俺の事を、マシュは子供でもあやす様にして扱ってくれる。

 

「私も寂しいです……たくさんの人が居なくなってしまいました。サーヴァントの皆さんだけでなく、研究員の方々もあの襲撃で命を落としましたから……」

 

「そっか……そうだよね……」

 

「……本当は私、先輩に慰めて貰おうと思ってここに来たんです。一人で居ると寂しさに押しつぶされそうになって、不安で、怖くて仕方が無かったから……」

 

「……ごめん、俺が情けないばっかりに……」

 

「いいえ、そんな事ありません。先輩はいつも頼りになって信じることの出来る素敵な方です。そして、喜怒哀楽を素直に表現できる、人としての温もりを持った方なんですよ」

 

 そっと、マシュが俺の顔を持ち上げる。情けなく思いながら泣き顔を見せてしまった俺の事を、マシュは柔らかく微笑みながら見つめてくれる。

 

 そのまま近づいて来たマシュの唇が俺の唇に触れた途端、温かくて甘い感触が俺の心の中に広がった。 

 

「……その悲しみも、弱さも、人として感じる当然の思いなんです。だから、全部見せてください。先輩の弱い所、私にすべて……」

 

「マシュ……!」

 

 見つめ合い、今度は俺からのキス。軽く舌を重ねて、ゆっくりとお互いを求めあって……唇を離す。

 

「今日は私が支えます。だから、先輩は私に甘えてください……先輩の全て、受け止めますから……!」

 

 慰めと優しさ、その二つが入り混じった声色をしたマシュに促されて彼女の服を掴む。それを脱がせながら、俺は抑えられなくなってきた感情の震えを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んっ、ふぅ……どう、ですか?」

 

「うん……気持ち良いよ、マシュ……」

 

「そうですか……ふふっ♡ それは良かった……♡」

 

 ベッドに腰掛ける俺の脚の間で膝を着くマシュがはにかむ。ゆっくりと両手で自分の胸を挟む様にして抑えながら、それを上下に動かしている。

 

「あはっ……♡ 先輩のおちんちん、抱きしめちゃってます……♡」

 

 嬉しそうに笑いながらマシュが俺の肉棒を胸で刺激する。マシュから言い出したこのパイズリ奉仕を彼女は嬉々として行っていた。

 

「温かいですか……? 私の温もり、感じてますか……?」

 

「当然だろ……マシュにここまでして貰ったら、寒さなんか感じ無いよ」

 

「良かった……♡ 今日は先輩の事、寂しくなんかさせませんからね……」

 

 抱きしめる様にして力を込めながら、マシュが俺の肉棒を胸で扱く。その動きは、俺を感じさせ様としていると言うよりも包んでいると言った方が正しかった。

 

 俺の敏感な部分に伝わるマシュの温もり、柔らかさ、母性……その全てが俺を包み込む様に与えられているのだ。

 

「……私のおっぱいの中で、びくびくしてます……♡ 気持ち良いんですね、先輩……♡」

 

 微笑むマシュは何処か淫らで、でも優しくって、温かくって……俺の全部を受け止めようとする健気さと、男性に尽くす裸の女性としてのエロスが混じり合った今のマシュは、今まで見た事が無い表情をしている。

 

「んっ……♡ はむっ♡ じゅぅぅ……♡」

 

 亀頭を咥え、丁寧に舐め上げる。胸で優しく包むことも忘れずに、奉仕を続けていく。

 

「全部下さい……先輩の全部、受け止めますから……♡」

 

 幸せそうに……本当に幸せそうに、マシュが言う。

 

 蕩けた声、表情、仕草……その全てに俺への愛を漲らせて、愛で溺れさせるかのように溢れさせて……俺だけを見ている瞳のままに、俺へと囁く。

 

「んっ、んぶっ、んんっ……♡♡♡」

 

 気が付いた時には射精していた。なんの予告も無く口内に欲望を吐き出した俺の事を、マシュは責める事無く優しげな瞳で見つめてくれている。

 

「はぁ、あ~~~……♡」

 

 口を開き、俺の欲望を受け止めたその中を見せるマシュ。どろどろとした白い液体が口の中いっぱいに広がって、生臭いにおいを発している。

 

「んっ……んくっ……!」

 

 俺に口の中を見せつけたマシュは、口と目を閉じるとくちゅくちゅと口の中にあるものを味わう様にして音を立て、そして、それを喉を鳴らして飲み込んだ。

 

「はぁ……ぁ……ごちそうさま、でした……♡」

 

 マシュが再び口の中を開いた時、その中には先ほどまであったものが無くなっていた。少しだけ残る生臭さだけを残して、マシュは俺の吐き出したものを飲み込んだのだ。

 

 優しく微笑むマシュが再び俺の肉棒に顔を近づける。二度、三度と唇を落としてキスをした後で、丁寧にそれを舐め始めた。

 

「綺麗に、しますね……♡」

 

 ペロペロと舌を這わせて汚れた肉棒を掃除するマシュ、やがて大きく口を開いた彼女は、俺の肉棒を口いっぱいに頬張った。

 

「くっ……! あぁ……っ!」

 

 丁寧に、丹念に吸い付くマシュの口。舌も動かして快感を与えながら奉仕を続けていく。

 

 喉の奥に亀頭が当たる感触を覚えた俺がマシュへの負担を気にして腰を引こうとするも、幾度となくその行為に合わせて動かれ、マシュは決して離れる事はしなかった。

 

「……先輩、今日は私を気遣わなくって良いんですよ。今日は、今日だけは、先輩の望むままに私を抱いてください」

 

 心を込めたマシュの奉仕で起立したままの肉棒の上にマシュが跨る。亀頭を性器の入り口に当て、あとは突き入れるだけの状態にしたマシュがふわりと微笑む。

 

「来て下さい、先輩……寂しさも、不安も、私が受け止めますから」

 

「……マシュ、ありがとう」

 

 向かい合うマシュの脇のしたから腕を回し、肩に手を置く様にして抱きしめる。下へマシュを引き込みながら、俺を受け入れる準備が整っているマシュの膣へと己の分身を潜り込ませる。

 

「んあっ……♡ 挿って、きました……♡」

 

 熱く蕩ける様なマシュの膣……それは、俺を包み込む様にして受け入れてくれた。

 

 性器だけではない、マシュ自身も俺を強く抱きしめてくれている。温かいマシュの体温を感じ、その優しさに触れる度に心がざわつくのを感じた。

 

「んっ、あっ、はぁっ……♡」

 

 下から突き上げる様にして腰を動かす。目の前にあるマシュの胸が揺れ、彼女の表情が淫らに歪む。それでも、俺を強く抱きしめたマシュは優し気な瞳で俺を見つめてくれていた。

 

「はぁっ♡ んんっ、はっ♡ んんんっ♡」

 

 何処か変な感じがした。気持ち良くないとかそう言う話では無く、俺の体が言う事を聞かないのだ。

 

 もっと優しくしてあげたい。なのに、加減が効かなくて激しくマシュを責めてしまう……こんな風にしたいわけじゃないのに、本能のままに体が動いてしまっているのだ。

 

(いけない……これじゃ、マシュが可哀想だ……!)

 

 優しくしてあげなきゃ、気遣ってあげなきゃ、そうじゃなきゃ、マシュが可哀想だ……無理にでも動きを止めようとした俺だったが、その前にマシュにキスをされて目を見開いた。

 

 驚きのせいで動きが止まってしまった俺に対して、マシュは強く体を抱きしめたままに囁く。その声には、確かな優しさと温もりが籠っていた。

 

「先輩……そんな顔をしないでください。今日は、私が先輩を受け止めるって言ったじゃないですか……」

 

「マシュ、でも……」

 

 言い返そうとした俺の唇に何度目かのキス。いつもより大胆なマシュは、目に涙を浮かべながら俺に問いかける。

 

「……私は、そんなに頼りないですか? 先輩の事、受け止められる女では無いんですか?」

 

「そんなことない! マシュは、俺の事を……!」

 

「だったら、すべて私に曝け出して下さい……今日は、私が先輩の代わりに先輩のいつもやっている事をしますから……!」

 

「いつもの、俺……?」

 

「……先輩は、いつでも周りの皆さんの事を考えてくれています。その優しさに惹かれて、皆さん先輩を慕っている……でも、そのせいで先輩が誰かに弱さを見せる事が出来なくなっていると思うんです」

 

「だから先輩、せめて今日だけは私に先輩の事を支えさせてください……私たち、パートナーじゃないですか。いつも支えて貰ってる分、私が先輩を支えますから……!」

 

「マシュ……っ」

 

 震える手が、肩が、その全てが……マシュの決意の固さを表していた。この絶望的な状況の中で必死になって強がる俺を、マシュは支えようとしてくれている。その事が、本当に嬉しかった。

 

「……本当に良いの? 俺、遠慮出来ないと思うよ……?」

 

「構いません、私の事は気遣わないで結構です。本当に私の事を想うのならば、今日は好きな様に私を扱ってください」

 

 凛々しく、それでいて優しく笑うマシュ、そこには俺への思いが溢れている様に感じられた。

 

「……じゃあ、動くよ」

 

「はい……来てください、先輩……っ♡」

 

 とん、と腰を跳ね上げる。最初から激しく動き出した俺の事を抱きしめながら、マシュが大声で喘ぐ。

 

「んんんっ♡ はぁっ♡ あぁぁぁっっ♡」

 

 感じる度に蠢くマシュの膣、けれども締め上げると言うよりかは抱きしめると言う様な締まり方で俺を包み込んでくる。

 

 子宮口を、弱い所を、奥深くを……マシュの膣を突き上げる度に生まれてくる感情が、俺を駆り立てて行く。

 

 マシュが欲しい……寂しくって、心細いこの心を埋めてくれるマシュの体温をもっと感じたい……そんな思いが溢れ出し、俺を動かす。もっと強くマシュを抱きしめて、体の柔らかさを感じたくなってしまう。

 

「マ、シュ……マシュ……っ!」

 

 欲しい、欲しい、欲しい。マシュの温もりが、優しさが、すべてが……望めば望むほど、俺はマシュを激しく責め立ててしまう。そんな自制の効かない自分にちょっとだけ嫌気がさした時、マシュが涙ぐみながら言った。

 

「嬉しいです、先輩……! 私、先輩の事を受け止められているんですね……!」

 

「マシュ……?」

 

「いつも支えて貰ってばっかりで、今回も助けて貰って……私、先輩の為に何も出来ないんじゃ無いかって、ずっと不安だったんです。足を引っ張っているばっかりなんじゃないかって……」

 

「でも……先輩はこうして弱い部分を私に見せてくれました。私が望んだとおり、私を求めてくれました……先輩が私を信頼してくれてる事が、私が先輩の役に立てている事が、すごく嬉しいんです……!」

 

 その言葉を聞いた時、俺は気が付いた。今、マシュは俺を抱きしめるだけで何も動いていない。この行為すべてが、俺の望むままに動いていたと言う事に

 

 快感が欲しいわけじゃない、ただ寂しさを紛らわさせるだけのセックス。例えそれだけの為だとしても、俺の心を受け止められたと言う事にマシュが喜びを感じている。ただ求められると言う事に、幸せを感じている……

 

「……だから先輩、自分の事を嫌いにならないでください。私は、先輩にそう扱って貰えて、幸せなんですから……♡」

 

 優しいその笑みが、確かな温もりが、小さなこの体が……すべてが愛しい。そう思った瞬間、俺は迷いを投げ捨てた。

 

「あぁぁっ♡ ふかいっ、おくにぃっ♡ んんんっ♡」

 

 喘ぐマシュの唇を唇で塞ぐ、キスをしながらも腰を跳ね上げる事を止めはしない。求めるがままに、欲望のままに、マシュを喰らう俺はその温もりを感じ続ける。

 

「んんんっ♡ ん~~~っ♡ んんんんんんっっっ♡♡♡」

 

 マシュのお尻が可愛く震える。抱きしめ方を変えて、柔らかなお尻を撫でてあげれば、その震えはさらに大きくなっていった。

 

(イッちゃってるんだな、マシュ……)

 

 きゅうきゅうと締め付ける膣の感触を感じながら俺は微笑む。いつしか全身を絡ませて俺を包み込んでくれているマシュをさらに強く抱きしめる。

 

「ま、しゅ……出すよっ……! 受け止めてくれ……っ!」

 

「はい……っ♡ 先輩の全て、受け止めさせてください……♡」

 

 マシュの体を、入り口ぎりぎりにカリが引っかかる位まで持ち上げた俺は、思いきり突き上げながらその体を落とした。一気に駆け抜ける激しい快感、それと同時に熱い飛沫が迸り、俺の腰を濡らす。

 

「イクっ♡ イクぅぅ~~~~~~っっ♡」

 

 大声で叫んだマシュが絶頂する。二度、三度と潮を吹きながら体を震わせる。

 

 大きく仰け反ってもおかしくない程の快感、なのに、マシュは俺を強く抱きしめて放そうとはしない。その体の震えも、快感も、体温も、何一つ逃さずに俺に伝えてくれている。

 

 マシュから与えられる確かな快感、それを感じた俺もマシュの膣内に射精する。子宮口に亀頭をぴっちりとつけながらの射精、マシュの一番大事なところに放つ性の衝動、それが、俺に確かな満足感を与えてくれていた。

 

「あぁ……♡ 赤ちゃんのお部屋に、先輩の熱いのが注がれてます……♡ 温かくって、気持ち良くって……幸せです……っ♡」

 

 言葉通りの嬉しそうな口調でマシュが呟く。幸せに浮かされた声が聞こえると俺の心までもが温かくなってくる。

 

 俺が抱きしめるマシュの体、マシュが抱きしめてくれている俺の体……こうやって一つになっていると、心の中の不安や悲しみが消えていく様に思える。一人じゃないと言う思いが、俺の心を解きほぐしていく……

 

「……マシュ、もう少しだけ甘えて良いかな?」

 

「……少しだなんて言わないで下さい。何時でも、何処でも……先輩が求めてくれるのならば、私はすべてを受け止めますから……♡」

 

 見つめ合い、唇を重ねる。ねっとりと舌を絡ませる濃厚なキスは、お互いの理性を溶かす魔力があった。

 

「……私はあなたのものです。心も体も、あなたの為にあります……あなたの役に立てることは私の幸せ、そして……あなたに愛して貰える事が、何よりの幸福なんですよ……♡」

 

「うん……愛してるよ、マシュ……」

 

 心からの思いを言葉にして伝える。チョコレートよりも甘いマシュの唇と、マシュと一緒に過ごせる事への幸せを感じながら、俺たちは一つになり続けた。

 

 ……今日はバレンタインデー 大切な人へ思いを告げる日 

 

  何よりも大切な貴方へ、胸いっぱいの愛情を込めて………!

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 肉便器師匠と山賊 (スカサハ 堕ち描写注意)

 このお話がホワイトデーに投稿されていた場合、自分はまだ入院中だと思います。

 長々と更新を停止してしまっているお詫びといつも応援してくださっている皆様のために、ささやかなお返しとして師匠のお話を置いて行きます。

 本編の更新が出来ないことを心からお詫びしつつ、早く回復できるよう頑張りますのでもう少々お待ちください。

 野比のび太


 

 男は迷っていた。数名の仲間と共に目の前の光景を見つめながら話し合う。その表情はなんとも奇妙なものであった。

 

 男は山賊であった。この地で生まれ、たいした学も取り柄もなかった男はまるでそうなることが当然であったかのように山賊へと身を落とした。

 

 以来、好き勝手に生きてきた。欲しいものは奪ってでも手に入れたし、その為なら殺しもしてきた。今日もまた一つの村を襲い、戦利品を手に意気揚々と隠れ家に帰る途中だったのだが、その道中で気になるものを発見したのだ。

 

 それは女だった。それもただの女ではない、極上の女だ。

 

 美しい顔、たわわに実った胸、ほっそりと引き締まった身体、女性の魅力に富んだ尻……その全てを包み隠すことなく曝け出している女が目の前にいるなら、男は間違いなく組みふして犯すだろう。

 

 今、そうしないのはその女にとある問題があるからだ。今日何度目かわからない溜息をついた男は、もう一度女を視界に入れた。

 

「すぅ……すぅ……」

 

 すやすやと寝息を立てる女、だがしかし、彼女は地面に横たわっているのではない。何かに寄りかかっているわけでも、たっているわけでもない。

 

 女は両腕と両足を後ろに立つ化け物に取り込まれているのだ。青い体をしたその化け物は人の様に二つの足と腕を持っていたが、到底人間には見えない容姿をしていた。

 

 この化け物はなんなのか? この女とどういう関係なのか? 男たちの疑問は尽きなかった。

 

 一人の愚かな仲間が女を隠れ家に連れ帰ろうとその体に触れようとした瞬間、文字通り叩き潰されたところを見た男たちはすぐさま逃げようとしたが、そこで逃げるにはあまりにも勿体無さ過ぎた。

 

 どうにかしてあの化け物から女を引き剥がせないだろうか……? そう考え始めていったいどのくらいの時間が経っただろうか? とにもかくにも、男たちは女に対する執着と化け物に対する恐怖に板ばさみになったままこの場で過ごしていたわけである。

 

「……ふぁぁ……うむ、よく寝たな」

 

 だが、そんな時にも終わりがやってきた。目の前の女が静かに目を開くと、気だるそうに欠伸をしたのだ。その行動に驚きながらも彼女を見つめる男たちに対し、女は微笑むと軽い感じで声をかけてきた。

 

「やあ、お前たちはこの地に住まう山賊たちだろう? 血の匂いがするところから考えるに仕事帰りというところか」

 

「あ、ああ、その通りだが……あんたは一体?」

 

「私か? 私の名はスカサハ、ただのおちんぽ奴隷さ♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なるほど、ってことは姉さんは仕事でここに来たってわけですかい」

 

「その通りだ。わざわざ道案内をして貰ってすまないな」

 

「いえいえ、お気になさらず。褒美ももらえるとあっちゃ、断る理由なんて無いですから」

 

 山道を歩く集団、数名の男と巨大な化け物、そしてそれに手足を組み込まれている全裸の女性というなんとも奇妙なその集団では、中心を歩く男とスカサハが会話をしていた。

 

「我が主直々の命令でな……簡単な命令だが、なんとも面倒くさいものを命じられたわけだ。しかも達成するまでおちんぽはお預けときた」

 

「はぁ……」

 

「……まぁ、ここ最近、せたんたのおちんぽに嵌りすぎていた事は認めるがな。主に改造を施して貰ったおかげで射精ができるようになったからつい興じすぎてしまったのだ」

 

「よ、良くはわからないんですが、とりあえず俺らは姉さんをその霊脈って所に案内すれば良いんですね?」

 

「そうして貰えると助かる。さっさと仕事を終わらせて、またおちんぽ奴隷の役目に戻りたいのだからな……♡」

 

 そう言うとスカサハは恍惚とした表情で熱い息を吐いた。大きな胸はせたんたの歩みにあわせてぷるぷると上下している。

 

 その扇情的な様子を見ている山賊たちの目に気がついたのか、スカサハはまんざらでもない表情で悪戯っぽく尋ねた。

 

「なんだ? もしかしてお前ら、欲情しているのか?」

 

「と、当然じゃないですか……。姉さんみたいなべっぴんの裸を見て抱きたいと思わない男なんていませんよ!」

 

「ふふふ……愛い奴らめ♡ そんな風に正直に言われたらサービスしてやるほかないではないか……♡」

 

「おおっ!」

 

 スカサハのその言葉を聞いたせたんたが体を変形させていく。上半身と下半身が分かれ、上はスカサハの手を包む青い肉塊となって彼女の頭の上に浮き上がり、下は膝までを包むと更に左右に分裂する。

 

「ふふ、どうだ? これで全部が丸見えだろう?」

 

 スカサハのその言葉が表すとおり、今の彼女の体を隠すものは何も存在していない。豊かな胸はぷっくりと起っている乳首まで丸見えであり、丸く白い尻も割れ目まで見ることができる。

 

 そして、彼女のもっとも大事な部分もまた、左右に開かれた脚のおかげで包み隠すことなく山賊たちの目に触れられていた。

 

「すげぇ……なんてエロいまんこだ……!」

 

 ビンビンに起ったクリトリス、いい年をしていると言うのに一切生えていない恥部の毛、むっちりとした恥丘……その全てを見た男たちはごくりと喉を鳴らした。

 

「エロいのはまんこだけではないぞ。けつまんこも見せてやろう」

 

「おおっ!」

 

 そう言うとスカサハは腰を突き出して尻を山賊たちに見せ付けた。ふりふりと尻を振りながら己の排泄口を強調する。

 

「いつもはせたんたのおちんぽをぶち込んでもらっているから、こうして人に見せるのは初めてだな……♡」

 

 興奮とわずかばかりの羞恥を感じたスカサハが頬を染める。同時に、彼女のアナルから空気が漏れ出して下品な音を立てた。

 

「む……いかんいかん、こんな事をしていては締りの悪い尻穴だと思われてしまうではないか」

 

「違うんですかい?」

 

「何を言うか! そう思うのなら指を突っ込んでみろ!」

 

「へへ、ではお言葉に甘えてっと……」

 

 しめしめと言った表情をした男がスカサハのアナルに中指を潜り込ませる。すんなりと入り込んだその穴の感触は極上のもので、うねるようにして男の指を締め付けてきた。

 

「うおっ! 確かにすげえっ! すんなり入るのにとんでもねぇ締め付けだ!」

 

「ふふ……どうだ? これでも締りの悪い尻穴だと思うか?」

 

「いいえ! この穴にちんぽを突っ込んだら気持ち良いだろうな~!」

 

「当然だ、私の尻穴は糞をひり出す穴では無い。ちんぽを突っ込んで頂き、ちんぽに気持ちよくなって貰うための穴。尻にあるまんこ、ゆえにけつまんこなのだからな」

 

「おおっ、流石奴隷宣言をするだけはありますね!」

 

 スカサハの言葉に山賊たちが喝采を投げかける。その淫らな賛辞の言葉を心地よさそうな表情で受けていたスカサハだったが、少し驚いた顔をするとにやついた笑みを浮かべながら山賊たちに言った。

 

「喜べお前たち……今、せたんたから許しが出た。この仕事が終わった暁には、私を抱くことを許す……とな」

 

「そ、そりゃ本当ですかい!?」

 

「ふふふ……♡ 目の色が変わったでは無いか。安心しろ、私もせたんたも一度口にした言葉を違える様な者では無い。お前たちが望むのならばこの体を好きにすると良い」

 

 淫らに笑うスカサハを見ながら男たちは素直に喜んだ。さきほどミンチになった仲間には悪いが、こんなにも魅力的な女性であるスカサハを好きにしても良いなんてこの青い化け物も悪い奴では無いのかも知れないとも考え始めた。

 

「さて、そうと決まれば早く仕事を終わらせるに限るな。お前たち、先を急ぐぞ!」

 

「はいっ、姉さん!」

 

 いつの間にやら山賊たちを尻に敷いているスカサハの言葉に従いながら、男たちはこれが終わった後のお楽しみに思いを馳せたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「……良し、ここだな。では、ソロモン様に連絡を取るぞ……」

 

 山賊の案内に従って目的の地にたどり着いたスカサハがそこから溢れている魔力を探知しつつ呟く。彼女は今、最初とは反対にせたんたに向かい合う体勢になって両手両足を取り込まれていた。

 

「んっ……アンサズっ……!」

 

 山賊たちの前でスカサハが大きく丸い尻を振る。彼らはスカサハが何をしているかわからないが、その光景が非常に素晴らしいものであることは分かった。

 

 その間、空中に『しらしめる』という効果を持つアンサズのルーン文字を尻で刻んでソロモンと連絡を取るスカサハ。やがて二人の間で通信が始まったのかスカサハは真面目な顔で頷くとせたんたに指示を送った。

 

「せたんたよ、少し移動だ。……そう、この位置でよい」

 

 別角度から霊脈の観測を行うと再び尻を大きく振るスカサハ。山賊たちは彼女とソロモンの話など聞いてはいないのでその光景を楽しみながら野次を飛ばす。

 

「姉さん、最高です!」

 

「その調子でもっと下品にケツを振って下さい!」

 

「……まったく、正直者にもほどがあるだろうに……だが、ああ言う手合いは可愛いものだな」

 

「GYUO……!」

 

 自分の発言に同意しながら頭を優しく撫でてくれるせたんたに対して嬉しそうに目を細めるスカサハ。こうして合体して過ごすようになってから……つまり、彼女が性奴隷に墜とされてから大体一ヶ月の時が過ぎていた。

 

 大体一ヶ月、と言ってもそれはあくまで彼女の中での時間の流れで言えばの話だ。この頃、カルデアのマスターは襲撃のせいで気絶している頃だし、女英霊たちはソロモンによって墜とされて様々な責め苦を受けている。

 

 英霊たちの中では必死に抵抗を続けた彼女であったが、奴隷となってからはソロモンに深い忠誠を誓っていた。命令には従順に従い、指令を受けて色々な時代にレイシフトすることも少なくない。

 

 仕事をしている間、セックスの禁止を言い渡されている彼女は誰よりも早く仕事を終わらせようとしていた。もとより時間の流れが違う世界で過ごしている為、この世界で一日無駄にしたところでソロモンたちの城の中では数分しか経っていない。

 

 ソロモンからしてみれば送り込んだスカサハがあっという間に仕事を終わらせている感覚ではあるが、逆にせたんたに完全屈服した彼女からしてみれば彼とセックスしていないと言うことなど拷問に等しい。一分一秒ですら無駄にしたくは無いのだ。

 

「んっ……♡ ぷはぁ……♡」

 

 三度尻でルーン文字を刻むスカサハは同時にせたんたと熱い口付けを交わしていた。体を一つにして過ごしてきた二人は、いつの間にか心まで一つに重ねあっていたのだ。

 

 互いに人では無い者たち、だが、長らく心を通じ合わせたお陰で何も言わずとも相手の考えている事が分かる。そんな夫婦の様な関係性を築けた事にスカサハは充足感を得る。

 

 ただのちんぽ奴隷である自分のことを理解してくれる存在がいる。ただそれだけの事が、とても嬉しかった。

 

「GYAOOOO……」

 

「ふふ、分かっているよ。ちゃんと主の言葉を聞き逃さない様にしているさ。お前は真面目だな」

 

 くすくすと笑った後、また口付けを再開するスカサハ。そんな彼女を迎え入れる手に途方もない愛しさを感じる。

 

 段々と……そう、段々とせたんたは人間に近しい思考を持つ様になっていった。特に性行為という点に関してはスカサハの影響もあって興味深々だ。

 

 どうすればもっと楽しめるのか? その事を考えたせたんたは様々なことを試していた。今回のスワッピングもその一つだ、スカサハを他の男に抱かせてその反応を見てみたかったのだ。

 

 自分と言う玩具を最大限に使って楽しもうとするせたんたの行動はスカサハにとっても嬉しいことであった。と言うより、せたんたの命じることなら嬉々として行う今の彼女が嫌がるわけもないのだ。

 

 この後に行われる淫らな宴を考えるだけでスカサハの体に熱いものが湧き上がってくる。その感情のままに尻を振り続ければ山賊たちも大喜びで野次を飛ばしてくる。

 

「姉さん、股から汁が飛び散ってますぜ! もしかしてお漏らしですかい?」

 

「馬鹿者! そんな訳があるか! お漏らしというのはな……こう言うものだぞっ♡♡♡」

 

 男たちの前で笑ったスカサハは大喜びで放尿を始めた。大きく尻を振りながら小便を漏らすスカサハに山賊たちは拍手喝采を送る。

 

「最高だ! 最高の見世物ですよ!」

 

「もっといやらしい姿を見せてください、姉さん!」

 

「応っ♡ このおちんぽ奴隷に全て任せろっ♡」

 

 もうとっくにソロモンとの通信は終わっていた。しかしスカサハはなおも尻文字で『アンサズ』のルーンを刻み続ける。

 

 何故ならば『しらしめなければ』ならないからだ。自分が男に屈服し、ちんぽを慰めるだけの奴隷であることを彼らに知って貰わなければならないからだ。

 

 その為だけにスカサハは尻を振り続けた。淫らに、下品に、いやらしく……かつての凛々しい面影も影の女王としての威厳も感じられない姿で男たちの期待に応えて尻で文字を描き続ける。

 

「もっと見ろっ♡ 見てくれっ♡ この雌奴隷の下品な姿をっ、余すことなく見てくれぇっ♡♡♡」

 

 肉欲に溺れるスカサハは叫びながら尻を振り続けた。そして、自分の淫らな姿を見て男たちがどう思っているかを想像し、それだけで軽く絶頂してしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅぅっ♡ うあっ♡ あぁぁぁぁっっ♡」

 

 ドサリとベッドに倒れ伏しながらスカサハが喘ぐ。四つん這いになったまま高く上がった尻が小刻みに痙攣していた。

 

「まったく、姉さんのケツはすげぇや! 木に擦りあわせるだけでこんな家が建っちまうんだからな!」

 

「通信も出来て、家も建てられて、見て楽しめて……しかもちんぽ突っ込んでも気持ち良いときた!」

 

「まさに魔法のケツだな、っと!」

 

「ああぁっ……♡ また、挿ってぇ……♡」

 

 スカサハがルーンを使って建てた木造の建築物の中、瞬時に建築されたと言うのに非常に豪華なその建物の中で、山賊たちは彼女と交わっていた。

 

 代わる代わるスカサハを犯し続けた男たちは全裸で震えるスカサハをニヤニヤと笑いながら見つめていた。今もなお、ちんぽを突っ込まれて喘ぐ彼女を肴に酒を飲んでいる。

 

「うあぁぁ……♡ 射精てるぅ……っ♡ あっついザーメンが、子宮にぃ……♡」

 

 射精され、絶頂したスカサハが完全に沈黙するとベッドにうつ伏せになって倒れた。男はそんなスカサハの尻をぺちぺちと感謝を込めて叩いた後で酒盛りに参加する。

 

 次は誰が彼女を抱くか? そう話し合っていた山賊たちだったが、その結論が出るよりも早くせたんたがスカサハの体を持ち上げた。

 

「あ……!」

 

「おっ! せたんたの旦那がやるのかい?」

 

「GYUOOOOOO!!!」

 

「やる気満々だな! そいじゃ、姉さんの旦那としての甲斐性ってもんを見せてくれよ!」

 

 山賊たちの言葉に応える様にせたんたの体から逸物が飛び出す。それを見た山賊たちは仰天した。

 

 化け物であるせたんたの逸物は自分たちとは比べものにならないサイズだった。女を犯すことの多い男たちは自分のモノにそれなりの自信を持っていたのだが、それを木っ端微塵に打ち砕かれるレベルだ。

 

「あ、ああぁ……うあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 その巨大な男性器をスカサハの下半身が飲み込んでいく。ゆっくり、じっくりと挿入されて行くせたんたの逸物の感触にスカサハが喜びの叫びを上げた。

 

「これ、だぁっ……♡ やっぱり私は、このちんぽが一番だ……っ♡」

 

「GYAOOOOO!!!」

 

「うっ、っっあぁぁぁぁぁっ♡ あっ、あぁぁぁぁぁぁっ♡」

 

 せたんたの逸物での一突きを受けたスカサハが仰け反って喘ぐ。せたんたは、彼女の頭を掴むと山賊たちに顔を見せるようにスカサハを押さえつけた。

 

「あ、へぇ……へぁぁ……♡」

 

「うおっ……!」

 

「す、すげぇ……っ!」

 

 見せ付けられたスカサハの顔に驚きの声を上げる男たち、スカサハは白目を剥き、鼻水や涎、涙を垂れ流しままの酷い顔をしていた。気品どころか人としての尊厳すら打ち捨てたとしか思えないそのアヘ顔を山賊たちが眺めていると……

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡ けつ、まんこぉぉっ……♡」

 

 更なる絶叫がスカサハの口から放たれた。まるで獣の咆哮の様なその叫びが尻穴を穿たれた彼女の嬌声である事に気がついたのは、せたんたがスカサハの両穴を責め始めてからだった。

 

「ひぃんっ♡ んほぉぉっ♡ へあぁぁぁぁっ……♡」

 

 だらしない顔をしながら喘ぎ続けるスカサハ、その姿はまさに奴隷と呼ぶに相応しい姿だった。

 

 極太の肉棒に二穴を突かれ、ただ喘ぐことしか出来ない雌奴隷……自分たちとのセックスでは見せなかったスカサハの墜ちきった姿に男たちは再び劣情に火を灯す。

 

「いぐっ♡ もうイクっ♡ ちんぽに完全敗北してアクメ決めるぅっ♡」

 

 潮を吹き、涎を垂らし、舌を放り出しながらスカサハが叫ぶ。その叫びを受けたせたんたが大きく彼女を突き上げた途端、一際甲高い声が屋敷の中に響いた。

 

「いっ……くあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 仰け反って叫ぶスカサハ、されど頭を押さえつけられ絶頂した顔を男たちにばっちりと見られてしまう。性の悦びに満ち溢れたその表情には、ありありと快楽に墜ちきった様子が見て取れた。

 

「あ、おぉ……♡ おほぉぉ……♡」

 

「Grr……♡」

 

 恍惚とした表情で呻くスカサハを見たせたんたが満足そうに唸ると彼女の体を山賊たちに差し出してきた。男たちはその行動の真意を測りかねて戸惑ってしまう。

 

「Groooo……!」

 

「あ、あぁ、すまない……全て私のせいだな」

 

 やっと意識を覚醒させたスカサハはせたんたに詫びると彼の体から離れて地面に降り立った。同時に深く頭を下げて床に着ける。

 

「……わ、私が呆けていたせいで折角のせたんたの好意をふいにしてしまうところだった。本当に申し訳ない」

 

「ね、姉さん? 何を……?」

 

「せたんたはお前たちに私を抱いて欲しいそうだ。これは彼からの友愛の証……お前たちを友だと思っているらしい」

 

「は、はぁ?」

 

 その言葉の意味を理解できなかった山賊たちはぽかんとした表情でスカサハとせたんたを交互に見比べることしか出来なかった。この化け物が自分たちを友だと思っていると言うことがまるで理解出来なかったのだ。

 

「す、すまない! おちんぽ奴隷たる私の言葉が拙いからお前たちは混乱するのだな……」

 

「GYAO! GYUI!」

 

「あぁ……せたんたよ、お前はなんて賢いのだ……そうだな、最初からそうすれば良かったのだ……♡」

 

 うっとりとした声でそう呟いたスカサハが体勢を変える。仰向けに寝転がると手を折り曲げて招き猫の様な形で両手を顔の前に置き、膝はM字に曲げて大きく開く。

 

 胸も性器も尻穴も隠すことなく男たちにさらけ出し、服従のポーズをとったスカサハは真剣な口調で彼らに懇願した。

 

「私の名はスカサハ……元影の国の女王であり、今はおちんぽに服従を誓う哀れな雌奴隷だ。少し腕が立つからと調子に乗っていた私にソロモン様が身の程を教えてくださったのだ」

 

「どんなに体を鍛え技を磨こうとも、女の最大の弱点であるまんこに力強く逞しいおちんぽをぶち込まれたらそれで最後……あっという間に自分が服従するしかない雌だと叩きこまれるのさ」

 

「私はソロモン様にその事を教えて貰った。所詮自分はただの女だと教えていただき、立派なおちんぽ奴隷へと生まれ変わらせて頂いたのだ。そして、最愛の存在であるせたんたと引き合わせて貰った……もはや、ソロモン様には絶対の服従を誓おう」

 

「威勢の良い言葉を吐く口は、淫らな言葉を吐いて男性に欲情して頂く為の口まんこに変えて貰った。感謝の印にたっぷりとおちんぽを舐め、味わい、気持ち良くなって貰おう……♡」

 

「意味無く膨らんだこの胸は、殿方に揉んで、吸って、おちんぽを挟ませて頂く乳まんこに変えて貰った。求められるがままに触れて頂き、硬くなった乳首を弄って貰おう……♡」

 

「下品に糞や屁を放るこの丸い尻は、本来の役目であるおちんぽを扱く穴……けつまんこに変えて貰った。こんな汚い穴を弄ってくださる方には、最大限の感謝と喜びを持って奉仕させて貰おう……♡」

 

「そして……私のまんこは、おちんぽを突っ込んで頂くためだけのエロまんこに変えて貰った。おちんぽを見れば愛液を噴き出し、臭いを嗅げば絶頂し、挿れて頂けば気が狂う……そんなすけべまんこに作り変えられた私の弱点を全ての殿方に責めて貰いたいのだ……♡」

 

「これはせたんたの願いでもあり、私の本心からの願いでもある……どうか頼む、私を無茶苦茶に犯してくれっ! おちんぽ奴隷として扱って、お前たちのおちんぽに完全屈服させてくれぇっ!」

 

 男を求める言葉と姿勢、されど真剣な声色と表情で奴隷宣言をしたスカサハの周囲が静まり返る。だが、それはほんの一瞬のことだった。

 

「う……うおぉぉぉぉっ!!!」

 

「きゃっ♡」

 

 男たちが叫びを上げながらスカサハへと殺到したのだ。その勢いに押されたスカサハの口からは悲鳴とも歓声とも取れる声が漏れた。

 

 男たちはスカサハを取り囲むと我先にと男性器を彼女に宛がう。性器、アナル、口、そして両手と合計5人の男を同時に相手にしながらスカサハは喜びの声を上げた。

 

「んぶぅぅっ♡ むうっ♡ うぅぅぅっ……♡」

 

「はははっ! ちんぽ咥えたままじゃ何言ってるかわかんねぇよ!」 

 

「どうせ喜んでんだろ! こんなにたくさんのちんぽ、嬉しいってな!」

 

「んんん~~っ♡ んんっ♡ んんんんっ♡」

 

「おっ、穴の締め付けが強くなりやがった! どうやら大正解みたいだぜ!」

 

 男たちはゲラゲラ笑いながらスカサハを責める。遠慮も情けもないその責めに対して、スカサハは喜びの涙を流した。

 

(気持ち良いっ♡ おちんぽ、すごいぃぃっ♡)

 

「おらっ、興奮したエロ乳首も弄ってやるよっ!」

 

「んいぃぃぃぃぃぃぃっ♡」

 

 自分の体の下で腰を振る男がスカサハの両胸を擦り合わせて乳首を重ねると、そのままそれを自分の口の中に放り込んだ。両方の乳首をいっぺんに吸われ、甘噛みされる快感にスカサハが大きく仰け反って呻く。

 

「どうだ? ちんぽ気持ち良いかっ!?」

 

「は、はいっ♡ 気持ち良いですっ♡」

 

「俺のちんぽは美味いが? もっと舐めたいか!?」

 

「おいひぃれす……♡ 苦くてしょっぱくて、クセになるお味です……♡」

 

「乳首こねられて気持ち良いか? もっと弄って欲しいのか?」

 

「お願いしますっ♡ 固くなった私の乳首、もっと苛めて下さいっ♡」

 

「まんことけつまんこどっちがイイんだ!? 答えろちんぽ奴隷っ!」

 

「どっちもぉ♡ どっちもすごいぃっ♡ すごすぎて何も考えられないっ♡ おちんぽ以外なにもかんがえられなくなるぅっ♡」

 

「当然だろうが! ちんぽ恵んで貰ってる時はちんぽにだけ集中しろっ! 奴隷が余計なこと考えてんじゃねぇ、分かったか!?」

 

「はいっ♡ わらひがばかれしたぁっ♡ おちんぽにひゅうちゅうしまふっ♡」

 

 呂律が回らない舌で目の前の肉棒を舐め、それに吸い付く。かつての彼女からは思いつかない様な蕩けた表情をしたスカサハは、ただただ快楽の海に身を任せていた。

 

(ちんぽすごいっ♡ ちんぽキモチイイっ♡ ちんぽ、ちんぽ、ちんぽっ♡)

 

 奴隷に墜とされてから幾度と無く躾けられたスカサハの体と心はすでに崩壊していた。ただひたすらに教え込まれた性技で男たちを悦ばせ、共に快楽を貪ろうとする。

 

(ちんぽ固くなってるっ♡ 射精るっ♡ 熱いザーメンが私の体に射精されるっっ♡)

 

 二度、三度では足りない数の絶頂を覚えながらも期待するのは男たちがくれる最高の快感のみ。神霊でも英霊でもなく、人としての尊厳ですら投げ捨てて奴隷に墜ちたスカサハが思い切り全身を使って肉棒を刺激する。そして、それが合図となった。

 

「んおぉぉぉぉぉぉっ♡♡♡ ぶおぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 口の中、尻の中、体、そして子宮……その全てに放たれた熱い男の種に恍惚としながらスカサハもまた絶頂する。

 

 今までの絶頂よりも深く大きいその絶頂に身を震わせていると、男たちが次々に自分から離れて行くことが分かった。

 

(ああ、もう、お終いか……)

 

 もったいなく思いながらも疲れの限界を迎えた彼女は自分の体の下で自分を抱きしめている男に身を任せる。全身の体重を預けたまま、最後にまどろみに身を任せて目を閉じ、意識を手放そうとした。

 

「……何へばってんだよ、スカサハ?」

 

「んひぃっ♡」

 

 だが、男はそれを許さなかった。尻を思い切り叩かれた痛みに驚いて目を開いた彼女に、自分を抱きしめながらスパンキングした男が言う。

 

「何眠ろうとしてんだよ? お前は俺たちのちんぽ奴隷なんだろ? 休んでる暇があると思ってるのか?」

 

「うぁ……♡」

 

「……呻いてないで答えろってんだよ、この雌奴隷がっ!」

 

「ひぃんっ♡ も、もうしわけありません……おちんぽ奴隷に休んでる暇なんてありませんでした……♡」

 

「そうだよなぁ……? じゃあ何で休んでんだ? もうちんぽは要らないのか?」

 

「ち、違いますっ! おちんぽ欲しいですっ! おちんぽ以外要りませんっ!」

 

「ならへばってんじゃねぇ! おしおきだ、歯ぁくいしばれっ!」

 

「んへぁぁっ……♡」

 

 ばしんっ! と尻をスパンキングされる衝撃にスカサハが呻く。ぶるぶると大きな尻を震わせながら、スカサハは必死に歯を食いしばっていた。

 

(あ、あぁ……♡ こんな、こんなにも弱く、私より圧倒的に格下の男に尻を叩かれるなんて……っ♡)

 

 とてつもない屈辱。だが、それが良い。そう考えてしまうほどに今のスカサハは墜ちきっていた。

 

 尻を叩かれる度に膣に挿入されている肉棒を強く感じる。至らない自分を躾けられていると言う今までに無かった状況が、スカサハの脳を快感で蕩けさせた。

 

「あっ♡」

 

 スパンキングに感じ入っていたスカサハだったが、突如男が自分とスカサハの体を入れ替えてきた。男に組み伏せられたスカサハは股を大きく広げて男のなすがままにされる。

 

「おらっ! 子宮を押し潰してやるぜっ!」

 

「あぁぁぁぁっ♡ すごいっ、すごいぃぃっ♡」

 

 体をがっちりとホールドされ、上から腰と肉棒を叩きつけられる。所謂「種付けプレス」の体位のまま責められるスカサハは大声で喘ぎ、快感を主張し続けた。

 

「き、きとぉが、しきゅうのいりぐひをのっくしてぇ……♡ し、しきゅうがかんらくするぅ……♡」

 

「ああっ♡ ぴすとんつよすぎるぅ……♡ わらひのこしがかくかくして、あかちゃんみたいになっへるぅ……♡」

 

 身動き一つ出来ないまま男の肉棒に完全に支配されるスカサハ。圧倒的に格下の相手、しかも一対一の状況で体を自由にされると言う被虐的な状況が彼女を狂わせていった。

 

―――ぷぅ♡ ぷぷぷぅ♡

 

「うあぁ……♡ けちゅまんこばかになっへるぅ♡ もうしまらにゃいっ♡ しまらにゃいんだぁっ♡」

 

「ははは! ほら、頑張れよ! 女の良い大人が人前で屁をぶっこくもんじゃないぜ」

 

「んむぅぅぅ……っ!」

 

―――ぷぅ~~っ……♡ 

 

「む、むりだぁ……♡ もうけつまんこはつよいちんぽにこうふくしてしまったぁ……っ♡」

 

「そうかそうか、なら仕方がねぇなぁ……そいじゃ、いっそのこと可愛いおならを俺たちに聞かせてくれよ!」

 

「ああぁっ♡ ひあぁぁぁっ♡」

 

 再び再開される男のピストン、上から圧し掛かる重圧を膣と子宮で受け止めるスカサハの尻穴からは空気と共に先ほど注がれた精液が漏れ出して卑猥な音を立てていた。

 

―――ぷっ♡ ぷっ♡ ぷぅっ♡

 

「ははっ、リズミカルだな! じゃあ、こうするとどうなる?」

 

「んひぃぃっ♡ はやっ、はやいぃぃっ♡」

 

―――ぷぷぷぷぷぷぷっ♡

 

「ははは! 連発かよ! そいじゃ、今度は思いっきり深くぶち込んでやるぜぇっ!」

 

―――ぷぴ~~~っ♡

 

「んおぉぉっ♡ ふかっ、ふかいぃっ♡ まんこがこわれりゅぅぅっ♡」

 

「こりゃ良いや! 気持ち良くなりながら楽しめるなんて流石はちんぽ奴隷の体だな!」

 

「おい、もっとたくさんの音色を聞かせてくれよ!」

 

「おうよ! そいじゃ、これはどうだ?」

 

「ふあぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 スカサハは絶頂した。幾度も幾度も絶頂した。その度に放屁の音は大きく下品になり、男たちの野次も激しくなって行く。

 

(もっとだ、もっと……♡ もっとしてくれぇっ♡)

 

 スカサハの瞳にはいつの間にか♡マークが浮かんでいた。男に組み伏せられ、良い様にされている自分。たった一本の肉の棒に体を支配されている自分。下品に屁をする姿とその音を聞かれている自分……そう言った自分の情けない姿を考えるだけで危うく絶頂しそうになる。

 

 人を超える強さを持った自分が肉欲に敗北し男に逆らえないと言う状況がスカサハを大いに燃え上がらせた。脚と腕を男の体に絡めさせ、だいしゅきホールドの体勢を取りながら自分も腰を動かして快感を貪る。

 

「もっと見てくれぇ……♡ もっと犯してくれぇ……♡ 私のことを、もっと立派な雌奴隷にしてくれぇっ♡」

 

 懇願しながら腰を振る。激しさを増す男のピストンに嬌声を上げながらも自分もまたその動きに合わせて腰を激しく振る。

 

 ソロモンによって記憶を書き換えられ、人や女としての誇りを投げ捨てたスカサハは淫らに開発された体を使って男たちと共に快感を貪る。

 

 そう、もっと立派な奴隷になれば更に気持ち良くなれるのだと信じて……!

 

「イクっ♡ 深イクくるっ♡ 雌奴隷アクメきめるっ♡」

 

「ああ、イけっ! お前の情けない姿俺たち全員で見てやるっ!」

 

「みて、みてくれっ♡ おちんぽどれいがおちんぽにまけてあくめきめるところ、みてほしいんだっ♡」

 

 男に組み伏せられ、だらしない表情で腰を振るスカサハ。そこにはもう神話に名を残す女神としての面影は無い。今のスカサハは、ただの性奴隷として幸せに生きる女でしかなかった。

 

「ああっ……♡ あぁ~~~~~~っっっっ♡♡♡」

 

 子宮口を叩く快感に一度絶頂、続いて子宮内に放たれた精液の熱さと激しさに連続での絶頂を迎える。幸せそうな表情でその全てを受け入れたスカサハは、今度は呆けることなく男を抱きしめた。

 

「……良し、分かってるじゃねぇか。立派なおちんぽ奴隷に一歩近づいたな」

 

「それはお前たちの教育の賜物だな。この調子で私を教育し続けてくれよ……♡」

 

 自分を抱えたまま立ち上がった男と舌を絡ませてのキス。ぬちゃぬちゃといやらしい音を立てながら、スカサハは自分の尻穴を広げる。

 

「さぁ、まだけつまんこが空いているぞ……♡ 下品な穴で良ければ、おちんぽ突っ込んでくれっ♡」

 

 ふりふりとお尻を可愛く振っておねだりをするスカサハ、美しい彼女の淫らな頼みを断れる男など居はしないだろう。

 

 その証拠に山賊たちは自分がその願いを叶えるのだと競って彼女の尻に手を伸ばしていた。その様子を見ながらスカサハは微笑む。

 

「そんなに慌てるなよ。私のけつまんこは逃げはしないさ、順番に楽しめ♡」

 

 ふりふり、ふりふり……そうやって尻を振るスカサハを見る男たちは気がつかなかった。彼女がルーン文字を刻んでいることに……

 

 それは一種の催眠術だった。見たものと刻んだものの体力を増加させ、力を与える補助魔法……スカサハはそれを男たちに使ったのだ。

 

 体に溢れる力を感じた一人の男がスカサハの尻を掴む。その力強さに甘い吐息を漏らした彼女はにんまりと笑った。

 

(あぁ……♡ もっと気持ち良くなれるのだな……♡ 本当におちんぽは偉大なものだ……♡)

 

 ゆっくりと自分のアヌスを貫く剛直を感じながら、スカサハはうっとりとした息を吐いて目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああっ♡ んっ♡ くあぁっ……♡」

 

 カルデアの私室、自分に宛がわれた一室のバスタブの中でスカサハは喘いでいた。全裸になって湯の張っていないバスタブの中で必死に自分を慰めている。

 

「くっ、そぉ……♡ これは、失敗だったな……っ!」

 

 フランスにレイシフトしたっきり長らく帰ってこない自分の弟子、そんな彼を待つスカサハにも当然性欲は溜まっていった。それを少しでも解消しようとこの前使ったダヴィンチちゃんVRを使ったのだが……

 

「かんっ、ぜんに、逆効果ではないかっ……!」

 

 擬似的な快感を得たせいか現実世界でも肉棒が欲しくなってしまった。しかし、それを叶えてくれる弟子は今はいない。カルデアの研究員でも引っ掛けてしまおうかと思ったが、そんなことをしては今の映像にあった奴隷と化していた自分と変わらないでは無いか。

 

 例え演技であったとしても自分は彼に求婚され、それに応えた。であるならば、浮気などもってのほかである。

 

 そう考えながら必死に自分を慰めていたスカサハだったが……流石に、もう限界が近かった。

 

「くぅっ……覚えていろよセタンタ。お前が帰ってきた暁には、しばらく寝かさんからなっ……♡」

 

 ぷしゅうと潮を噴きながら絶頂したところで体が限界を迎えたようだ。育っていない霊基のお陰で体力が尽きてくれたが、性欲のほうはまだまだ残りっぱなしだ。

 

「……早く帰って来い、馬鹿弟子め。お前のちんぽが恋しいぞ……っ♡」

 

 小さくそう呟くと、スカサハは風邪を引かぬように体を流してから浴室から出て行ったのであった。

 

 




 ホワイトデーなのにまったく関係ない話である。

 ショタに屈服して奴隷になっちゃう師匠とか書きたい。師匠は書いてて楽しい。

 では、今度は本編で会いましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

苦悶の獅子王(ランサーアルトリア)

やっと戻って来れました。長らくお待たせして申し訳ありません。獅子王編、お楽しみください!



 深夜、ジルの案内に従って山の中を進んだ俺たちは、レジスタンスの一団と合流していた。そこに辿り着くと、俺たちが来ることを分かっていた様にして立つ一人の男性が居た。

 

「……よう、久しぶりだな!」

 

 篝火に照らされたその横顔、褐色の肌に黒い髪、子供の様に輝く瞳を併せ持つ彼はそう言って笑った。

 

 今はとてつもない危機的状況だと言うのに、彼のその笑顔を見ているとなんだか安心してくる。到底大英雄には見えない彼が差し出してきた手を握った俺は、彼と同じ様に笑顔を浮かべて言った。

 

「会えて嬉しいよ、アーラシュ」

 

「俺もさ、どうやら相当やばいってことはわかってるが、仲間がいるってのはいつの時でもありがたいもんだよな」

 

 東方の大英雄 アーラシュ………一見ただの人当たりの良い青年にしか見えないが、その弓の腕前と精神はまさに英雄と呼ぶに相応しいものだ。

 

 文字通り命を懸けて俺たちを守ってくれたアーラシュとの再会に瞳を滲ませる。そんな俺の頭をぽんぽんと叩くと、アーラシュは言った。

 

「……ここまでよく気張ったな。きつかったろ?」

 

「そんなの、アーラシュだって一緒じゃないか」

 

「俺はサーヴァントだ、多少の荒事には慣れてる。でも、お前さんはただの人間だろ? そんなお前がよくここまで頑張ったもんだと俺は思うぜ」

 

「……でも、俺は……」

 

「みなまで言うなよ。こっからは俺もお前に力を貸す。お前の背負ってるもんを一緒に背負ってやる。そうすりゃちったぁ楽になんだろ?」

 

「……毎回思うけどイケメンすぎだよね。アーラシュ」

 

「そうか? 俺は言いたいことを言ってるだけだからな!」

 

 深く、ゆっくりと息を吐く。落ち着きを取り戻しながら目を開く。

 

 目の前の英雄のおかげで大分気が楽になった。だが、まだ戦いは続いている。確かな感謝と尊敬を胸にしながら、俺は自分のすべきことを始める。

 

「……知りたいんだろ? あいつのことをよ」

 

「ああ、そうだよ」

 

 千里眼を持つ彼には全てお見通しのようだ。その言葉を肯定した俺を見つめるアーラシュの表情から笑みが消え、真剣なものに変わる。

 

「……正直、俺にはどうしようも無い。だから、お前たちが来る事をずっと待っていた」

 

「……彼女に何があったの?」

 

「それは自分の目と耳で確かめな。ほら、あの幕舎だ」

 

 そう言ってアーラシュが一つのテントを指差す。そうした後で俺の背中を押し、小さく呟いた。

 

「獅子王さまがお待ちだぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しいなマスター。こんな姿での再会で悪いと思うが、大目に見てくれ」

 

「アルトリア……」

 

 案内された幕舎の中、ランタンだけが照らす薄暗い部屋の中に彼女は居た。

 

 粗末な寝台に横になり、上体だけを起こして俺の事を見ている。いつも身に纏っていた戦装束は脱ぎ捨てられ、代わりに薄く質素なドレスの様な物を纏っていた。

 

「本当に申し訳ないな……あなたを裏切り、快楽に染まった挙句この有様だ。愚かな女だと笑ってくれ」

 

「そんなこと出来る訳ないだろ! 悪いのはソロモンなんだ、だから、アルトリアが責任を感じる必要なんて……っ!」

 

「……あなたは優しいな、マスター。故に自分の愚かさが嫌になる。心の弱い自分が情けなくなるのだ……」

 

 お互いが俯いたまま時が流れる。重苦しい空気になってしまったが、それでも俺は問わなくてはならない。

 

 どうして彼女が今ここにいるのか? 淫紋令呪の効果からどうやって逃れてきたのか? その答えは俺たちの戦いの助けになるかもしれないのだ。

 

「……分かっている。だが、どこから話せば良いのか分からなくてな」

 

 そんな俺の考えを見透かした様にアルトリアが呟く。やがて大きく息を吐いた彼女は、再び顔を上げると俺の目を見ながら言った。

 

「やはり最初から話すのが良いだろう。今、私が如何にしてこの場に存在するに至ったか、その全てをあなたに聞いて欲しい」

 

「……わかった。話してくれ、アルトリア」

 

 静かに目を合わせて口を開く。昔は簡単にできていたその行動が、とても難しいものに思えた。

 

 それでもアルトリアはその視線を離そうとはせず、黙って俺の返答を聞いた後で自分の身に起きた出来事を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「存在が消えかかってる……!?」

 

「ああ、その通りだマスター。故に私はここにいる」

 

 信じられないと言った口調で聞き返した俺の言葉にアルトリアが静かに肯定の意を返す。そのまま彼女は淡々と話し続けた。

 

「……私はソロモンの手で墜とされた。騎士王や獅子王、円卓の王と言った誇りや栄誉ある名を捨ててソロモンの性奴隷へと身を落とした。それは他の私も一緒だった……」

 

 そこで一度言葉を切ったアルトリアの表情が悔しそうに歪んだ。その時のことを思い出しているのだろう。

 

 『アルトリア・ペンドラゴン』……その名を冠するサーヴァントは、カルデアには何人もいた。クラスや姿を変えたアルトリアが、幾人も居たのだ。

 

 そう言った自分自身が墜とされて行く光景を思い返すと言うのは、自分が何度も汚された事を思い出すと言うことなのだろう。手を変え品を変え、ソロモンが繰り出してきた姦計に幾度と無く屈服するなど悪夢でしか無い。

 

「……私はソロモンに全てを差し出した。聖剣、聖槍、配下の円卓の騎士たち……この私が持つ全てを喜んでソロモンに差し出した。それで良いと思っていたのだ、そうすればソロモンは私に快楽を与えてくれた。そう、この身が溶かされるほどの快楽をな……」

 

 話を続けるアルトリアの声が段々と小さく、震えたものになってくる。今、彼女がどれほどの絶望を感じているかなど、俺には到底想像出来なかった。

 

「この手は聖槍の代わりに肉棒を掴んだ。馬ではなく、男たちに跨った……己の誇りなど捨て、ただ快楽に溺れる雌として私は地に堕ちたのだ」

 

 くしゃりとシーツを握り締めたアルトリアの手は震えていた。そこに現れる彼女の悔しさに胸を痛めながら、俺は話を聞き続ける。

 

「ソロモンが望めば、私は人ならざるものとも交わった……ただひたすらに快楽を求め、ソロモンに忠誠を誓っていた。時には他のアルトリアたちと並べられ、ソロモンの見守る中で男たちに輪姦された事もあった」

 

「その時私は、恥ずべき事にソロモンに楽しんで貰うことしか考えていなかった……主であるソロモンの寵愛を受けたくて、新たな快楽を与えて欲しくてたまらなかった。だから淫らな言葉を吐き、いやらしく腰を振って男たちを興奮させた。……今思い返すと吐き気がする行動だな」

 

 そう言ったアルトリアの体がブルッと震えた。あまりのおぞましさに体が拒否反応を示したのかもしれない。

 

 再び重苦しい沈黙が俺たちの間に横たわりそうになっている事を察知した俺は、心苦しさを抑えてアルトリアに話の先を促した。

 

「それで……アルトリアはどうしたの?」

 

「……そんな日々を過ごしていた私は、ある日唐突にそのツケを払う事になった。何の前触れも無く意識が覚醒し、私は全てを思い出したのだ」

 

「え……?」

 

「私たちがソロモンに敗れた事、快楽に酔って性奴隷へと身を堕とした事、あなたを裏切ってしまった事……その全てを思い出した私は愕然とし、そしてあるものを見た。それを見た瞬間、私は自分の身に何が起きたのかを理解したよ」

 

「……アルトリア、君は一体何を見たの?」

 

「……これさ、マスター」

 

 そう言ってアルトリアは俺の方へと手を伸ばした。彼女のその手を見た俺は、目を見開いて驚愕した。

 

 アルトリアの手は透き通っていた。肌色の肌が半透明になり、今にも消えかかってしまいそうになっている。なぜこんな事になっているのか? その理由に思い当たった俺はすぐさま彼女に向かって叫んだ。

 

「魔力が足りないの?だったら今すぐ俺が……!」

 

「違う、違うのだよマスター……これはそんな話ではなく、もっと根本的な話なのだ……」

 

「え……?」

 

「……これは私の考えた仮説だ、だが、この考え方で間違いは無いと思う」

 

「もしかして……最初に言ってた、存在が消滅しかかってるってこの事?」

 

「ああ……その通りだ」

 

 そっと目を伏せたアルトリアが唇を震わせる。やがて意を決した様に口を開いた彼女は、自分の考えを俺に告げた。

 

「私たち『アルトリア・ペンドラゴン』は大量に居た……その全てがソロモンの奴隷に堕ち、淫紋令呪を刻まれた事で、すべての大本である私自身にも変化が起こったのだ」

 

「その、変化って?」

 

「……私たちはもう、王では無い。ただの性奴隷であると定義されてしまったのだ。大量の私たちがそう思い、それがソロモンの淫紋令呪の効果で強められた結果、私たちの大本であるアルトリアにも変化が起きてしまったのだ」

 

「ど、どういう……?」

 

「……わかり易い例を出そう。私の幼い頃の姿、リリィは知っているな?」

 

「う、うん。もちろんだよ」

 

「聖剣を抜いたばかりの若き私は王になると言う理想を持っていた。しかし、その幼き体にソロモンの手が加えられ、性奴隷へと堕とされてしまった……だが、ここまでなら救い様はある。もしかしたらその先でソロモンの手から逃れられたと言う未来が存在するかもしれないのだからな。しかし……」

 

「あっ……!」

 

「……気がついたか、そういう事だ」

 

 アルトリアの言っている事の意味を理解した俺は愕然とした。まさか、そんなことがあるのだろうか? しかし、この答えに一種の納得が出来る事も確かだ。

 

「……ソロモンによって性奴隷へと堕とされたリリィ。そんな彼女に救いの手が差し伸べられることは無かった。なぜなら……」

 

「未来のアルトリアたちもまた、性奴隷でいるから……!」

 

「そうだ。今の自分はソロモンの性奴隷であり、未来の自分も変わらずにいるのであれば、それはすなわち永劫に性奴隷であったことの証明に他ならない。しかも、性奴隷になったのはあらゆる可能性の私自身……どんな道を辿っても、自分は性奴隷になるのだと証明されてしまったのだ」

 

「……アルトリアがソロモンの性奴隷であると歴史が認識し、アルトリアたちもそれを強く望んでしまった……その思いと歪みは淫紋令呪によって強化され、英霊の座にいるはずのアルトリアにも影響を及ぼす事になった……!」

 

「そう……そしてその結果、可能性の排除が始まった。ランサーである私は、王になった私が聖剣を返却したと言うIFの存在だ。つまり、真っ先に排除される可能性でもある。なぜなら……性奴隷は王にはなれない。王になれないのだから、王になった後の可能性など存在しない。聖剣の返却などもってのほか、なにより聖剣はソロモンの手にあるのだからな」

 

「だからアルトリアの存在は不確かなものになっている……でも、そのおかげで淫紋令呪の効果も弱まった。だからソロモンの支配から脱する事が出来たんだね?」

 

「そうだ、なんとか聖槍を奪取することが出来た私はタマモキャットと出会い、共にこのフランスまで逃げることが出来た。しかし、もう限界のようだ」

 

「あ、諦めないでよ! なんとか方法を探そう、ダヴィンチちゃんやDr.ロマンなら何か方法を……」

 

「良いんだ、マスター。私はこの結末に満足している」

 

「えっ……!?」

 

 そう言いながらアルトリアが笑う。全てを悟った様な、諦めを感じさせる笑顔がそこにはあった。

 

「……これは罰なのだ。仲間を、配下を、あなたを裏切った私への罰……文字通りの肉便器へと喜んで成り下がった私に相応しい末路と言えるだろう」

 

「そんな……そんな事言わないでよ! 俺は、俺は……っ!」

 

「泣かないでくれ、マスター……悪い事ばかりでは無い、最後にこうやってあなたに会えた。そして、これ以降私はあなたに危害を加えることはない……人類を滅ぼす悪として、私が愛する人たちを傷つけずにすむのだから……」

 

「アル……トリア……」

 

「私は人が好きだ。醜さも愚かさも全てを含めて愛している。だからこそ、私はそんな人々を滅ぼす悪にはなりたくない……ソロモンの命に従ってどこかの時代を滅ぼそうとする前に、ただの愚かな肉便器として消滅出来るのだからそれで十分だ」

 

「でも、俺は……俺はっ!」

 

「すまないマスター、許してくれ…………私はもう、これ以上愚かな生を選ぶつもりは無い。私を思うなら、このまま静かに見送って欲しい……」

 

 そう言って寂しそうに笑ったアルトリアに対して、心が乱れたままの俺は何も言うことが出来ずにただ俯くことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうか……獅子王の身にそんなことが……』

 

 ダヴィンチちゃんに先ほどの話を報告しながら、俺は必死に考えを巡らせていた。まだアルトリアを救う方法はあるはずだ、そう強く思いながら通信越しの万能の天才へと質問を飛ばす。

 

「ダヴィンチちゃん、アルトリアを救う方法は無いの?」

 

『ん~……あるよ。でも、すごく難しいかもしれない』

 

「どんな方法!? 俺、やってみるよ!」

 

『まぁまぁ、まずは落ち着きなよ。やること自体は簡単、彼女を説得すれば良い。生きて欲しいって言えば良いんだ』

 

「え……? そ、それだけで良いの?」

 

『そうだとも! でも、それで彼女が納得するかどうかは別だけどね』

 

 非常に簡単なやることの説明に関して驚きを隠せない俺は、それで本当に良いのかとダヴィンチちゃんに確認を取る。万能の天才である彼女は、いつも通りのやや回りくどい言い方からの詳しい解説を始めてくれた。

 

『彼女の仮説は正しいのだろう、淫紋令呪は製作者が製作者だけに相当な力を持っている。英霊の座に居る本体に影響を及ぼすほどにね。でも、それだけじゃあ彼女が消滅するほどの現象は起きはしないよ』

 

「な、なら、何が問題なの……?」

 

『……獅子王 アルトリア・ペンドラゴンが消滅思想になっている最大の要因、それは彼女が自分自身の存在を否定しているからさ』

 

「えっ……!?」

 

 アルトリアが自分の存在を否定している……? 意味がわかりそうでわからない俺に対して、ダヴィンチちゃんから解説の役割を代わったのはナイチンゲールだ。いつもの冷静な口調で淡々と話をしてくれる。

 

『マスター、私が嫌いなものを覚えていますか? 治療方法が確立されていない病と……』

 

「治る気の無い患者……だよね?」

 

『はい、今の獅子王はそれに該当します。彼女が望めば存在の消滅などと言うことは起きないのでしょう。人の存在を消滅、及び生成するなんてことはたとえ魔術王であったとしても不可能に違いありません。自分自身ならまだしも相手はたくさんの人たちに認知される英雄、その存在の消滅など出来ていたらとっくにやっているはずです』

 

「え……? じゃ、じゃあ、アルトリアが生きようと思うだけで消滅は無しになるって事!?」

 

『その通りだよ。だが、それが簡単であるかどうかと言われたからおそらくNOだ。彼女は今、自分自身に深く絶望しているんだろうね』

 

 ダヴィンチちゃんの言う通りだ、アルトリアは深く自分に絶望しているのだろう。自分を信じてくれた仲間や部下を裏切って、ソロモンの性奴隷へと成り下がった自分自身を許せないでいるのだ。

 

 だから自分の消滅を喜んで受け入れている。それが自分に下される当然の罰なのだと受け入れ、消え去ろうとしているのだ。俺には、それが悲しくて堪らなかった。

 

「……悪いのはソロモンなんだ、アルトリアが責任を感じる必要なんてどこにも……!」

 

『彼女はそれもわかっているんだろうね。それでも自分が許せないんだろう、責任感が強くてまじめな彼女らしいよ』

 

「でも、だからと言って存在を消す必要なんてないでしょ!? そんな事知ったら、マシュやベティが悲しむよ……」

 

 未だ囚われたままの円卓の騎士たちの顔を思い浮かべる。カルデアに複数居たアルトリアたち一人一人に対して、彼らは変わることの無い尊敬と忠誠を誓っていた。

 

 もしかしたら存在が消滅した獅子王のことなど皆は忘れてしまうのかもしれない。だが、敬愛する王が一人消えたと知ったならば彼らは深く傷つくはずだ。

 

 今、この場には彼らは居ない。自分の死を受け入れている王を諌める事も出来ない。それが出来るのは……俺だけだ。

 

『……ついでに言っておくともし彼女が生きる意志を固めた場合、弱まっている淫紋令呪の効果が復活してしまうかもしれないから……』

 

「わかってる、いつも通りにやれってことでしょ?」

 

『わかっているみたいだね。それで良い、頑張りたまえよ』

 

 短い激励の言葉を最後に通信が途切れる。俺は硬く拳を握り締めると、立ち上がってアルトリアの居る幕舎へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私を抱きに来ただと? マスター、それは本気なのか?」

 

「ああ、そうだよ。俺はアルトリアを抱きに来たんだ」

 

 幕舎の中に入り用件を伝えた俺の事をアルトリアが信じられないと言った表情で見つめている。しかし、その声色からは嫌悪感は感じられなかった。

 

「……魔力供給などをしても無駄だ、そういう問題では無いのだからな」

 

「わかってるよ。ただ、俺がアルトリアを抱きたいだけなんだ」

 

「なっ!?」

 

 真っ直ぐな告白じみた台詞を口にすれば、普段冷静で凛々しい彼女が顔を真っ赤にしてたじろぐ。こんな状況でもアルトリアの事を可愛いと思ってしまいながらも、俺は彼女との距離を詰めて行った。

 

「ねえ、良いでしょ? もし本当にアルトリアが消えちゃうのなら、これが最後のチャンスなんだ……だからさ、お願いだよ」

 

「くっ……」

 

 顔を赤くしたまま俯くアルトリアの無言を肯定と判断しながら、彼女の横たわる寝台に片膝を乗せる。俺が本気だと理解したのか、アルトリアは観念した様子を見せた。

 

「……わかった。私もあの陵辱が最後の交わりだったなどと思いながら消えるのは無念にもほどがある。あなたのその望み、利用させて貰おう」

 

「つまり、抱かれる事に了解したって事で良いんだよね?」

 

 返事の代わりに頷いたアルトリアは、そのまま寝台の上に俺を迎え入れた。そして、羽織っている服を脱ぎ捨てる。

 

「……すでに汚れたこの体、あなたが望むのならば差し出すこともいとわないが……あまり期待しないで欲しい」

 

 アルトリアはドレスの下には何も身に着けていなかった。生まれたままの姿となった彼女の体を蝋燭の灯りが照らし出す。

 

 細く、それでいてしっかりとした大きな体、セイバーである彼女には無い豊かな胸、丸みを帯びた尻……王としての風格と女性としての魅力が混在したアルトリアの裸体に息を飲み込む。

 

「……臭くは無いか? 醜い所は無いか? 陵辱の日々の中で喰らい尽くされた身だ、汚らわしくは無いだろうか?」

 

「大丈夫だよ、心配しないで」

 

「そうか……すこし、安心した」

 

 ほっとした様な笑みを浮かべたアルトリアを寝台へと押し倒す。そのまま綺麗な彼女の顔へと自分の顔を近づけた俺は、アルトリアの唇を奪った。

 

「んっ……!」

 

 にゅるりと舌を潜り込ませる。なすがままにされるアルトリアの口内を丹念に舐め上げ、舌を絡ませる。

 

「ふっ……♡ ふぅっ……♡」

 

 セックスの始まりを告げるキスだけでアルトリアの体は火が着いてしまった様だ。じゅくじゅくと彼女の体が熱を帯び始めている。

 

 二度、三度とキスをした俺は次に彼女の大きな胸へと手を伸ばした。もっちりとした柔らかさと手に吸い付いてくる肌の感触を味わいながらそこを優しく揉む。

 

「はぁっ……♡ 優しい手つきだ……犯されていた時とは大違いだな……♡」

 

 そっと、じっくりとアルトリアの胸を揉みしだく。彼女の心を解きほぐす様に胸を揉む俺は、唐突にある違和感に気がついた。

 

「……気がついたか」

 

「アルトリア……その、乳首が……」

 

「ん……陥没乳首と言うらしいな。ソロモンたちの所でも散々に弄られたものだ」

 

 そう呟きながら自分の胸を見つめるアルトリア。視線の先にある大きな胸の先端には、本来あるべき乳頭が存在していなかった。

 

 胸の頂点に広がる乳輪はやや黒ずんでおり、そこにどれだけの辱めを受けたのかが良く分かる様になっている。同時に男心をくすぐるその部位がどれだけ開発されたのかもだ。

 

「……弄れば出てくる。遠慮せずに引き出してくれ」

 

「うん、そうさせてもらうね」

 

 アルトリアがそこの部分をコンプレックスに思っているであろう事を想像すると心が痛んだが、俺はその思いを振り払うと彼女の胸へとしゃぶりつく。そして、そのまま赤子が乳を吸うときの様に窪んだ乳首を吸い始めた。

 

「んあぁぁぁぁっ♡」

 

 片方の乳首を吸い上げ、もう片方の乳首を指で穿る様にして弄る。どうやらアルトリアは乳首が弱点のようだ、大きな喘ぎ声を上げて首をぶんぶんと振っている。

 

「ひっ、うっ……っ♡ すまないぃ、そこは、開発されすぎてっ、敏感に……んひぅっ♡」

 

 喘ぎながら一際大きく体を跳ね上げるアルトリア、同時に俺の口の中には勃起した彼女の乳首が吸いだされた。それを一度口から放して自由にすると、今度はもう片方の乳首を吸い上げる。

 

「んにょぉぉぉぉっ♡ ほっ、ほぉっ♡」

 

 下品な、本当に下品な叫び声をあげるアルトリア。普段の彼女からは想像出来ないほどに狂い、悶えている。

 

 そんな彼女の弱点である乳首を露出させた俺は、それを摘んで擦り合わせる。すると、喘ぎ呻いていたアルトリアの声が一際甲高くなった。

 

「だ、だめぇっ♡ 両方は、感じすぎてっ、すぐにイクっ♡ イクぅぅっ♡」

 

 軽い絶頂を繰り返して腰を跳ね上げるアルトリアの体を押さえ込むと、俺は擦り合わせた乳首を口の中に迎え入れた。そのまま甘噛みや吸い付き、舌での責めを繰り返す。

 

「ひゃぁぁぁっ♡ ますっ、たぁっ♡ そ、それは、だめ……んんっ♡」

 

 寝台に寝かせたアルトリアの体を弄る。乳首への責めはそのままに空いた右手は下半身へと伸ばして彼女の膣に中指と人差し指を潜り込ませる。ぐちゅぐちゅと掻き回す様にして指を動かせば、先ほどよりも勢い良く愛液が噴き出してきた。

 

「あぁぁぁっ♡ んあぁぁっ♡ もうっ、もうだめだっ♡」

 

 膣の伸縮と体の震えから彼女の限界を悟った俺は、トドメを刺すべく責めの手を激しくした。膣を責める右手は早く、奥深くまで潜り込ませる様にして膣を弄り、乳首を思いっきり吸い上げる。

 

 最後に親指でアルトリアの淫核を押し潰せば、壊れてしまうのでは無いかと言う程の激しさで体を跳ね上げながらアルトリアが絶頂した。

 

「イクっ♡ イぐぅっ♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡」

 

 潮を噴き、涎を垂らし、体が脱力していく……もはや、平時の凛々しさが完全に消え去ったアルトリアは、それでも体を起こすと四つん這いになって俺に自分の二つの穴を見せ付けた。

 

「お、おまんこも、あなるも開発済みだ……♡ マスター、あなたの好きな穴にぶちこんで欲しい……♡」

 

 両手で二穴を開き、挿入を強請る。広がった穴からはくらついてしまうほどの雌の匂いが発せられていた。

 

「……っ!」

 

「あぁぁぁぁぁっ♡ おまんこにっ、挿ってぇ……♡」

 

 広げられた女性器に肉棒を突き入れ、ゆっくりと奥深くまで挿入して行く。亀頭が一番奥まで達した時、アルトリアは両手を高く掲げて俺に言った。

 

「マスター、手首を掴めっ♡ そしてそのまま激しく……うあぁぁぁぁっ♡」

 

 言われるがままに彼女の手首を掴み、それを支えにして激しく腰を振る。アルトリアの大きく柔らかな尻肉が俺の腰を迎え入れ、まるでクッションの様にむっちりと俺を包み込んだ。

 

「はげしっ♡ いいっ♡ そうだっ♡ もっと♡ もっとぉっ♡」

 

 一突きごとにアルトリアの声が大きくなる。快感に酔った喘ぎ声を上げながら、更に激しくしてくれと俺にせがむ。

 

「く、はは……♡ マスター、今の私はまるで馬のようだと思わないか? お前に跨られる馬だ……♡」

 

 腰を振るたびにアルトリアの大きな胸が激しく揺れる。尻肉を叩く音が鳴り響き、彼女の雌の部分が露わになっていく。

 

 自分の尊厳を投げ捨て、馬だと自称したアルトリアは楽しそうに俺の腰の動きに合わせて自分も腰を動かしている。快楽を貪る事しか考えていない様に尻を振り、男に媚びている。

 

 そこには獅子王と呼ばれた彼女の面影はどこにも無かった。開発され敏感になった体を雄に差し出す淫乱な雌に墜ちきった彼女は、なおも腰を振り続けながら快楽を叫ぶ。

 

「あぁぁ……♡ すまないマスター、またイってしまう……♡ 堪え性の無いまんこですまない……♡」

 

 ふりふりと男の官能を煽る様にしてアルトリアが尻を振った。快楽を貪りながら男をその気にさせる方法を熟知した彼女は、王と言うよりも娼婦だ。

 

「ちんぽっ♡ マスターのちんぽはすごいっ♡ 今までのどの男よりもイイっ♡」

 

 ついにはソロモンの元で抱かれた男と俺を比べることまでしてきた。理性が完全に溶けたアルトリアが荒い息を繰り返しながら背筋を仰け反らせる。

 

「ひくっ♡ イクっ♡ 肉便器がイクっ♡ イキますぅぅっ♡」

 

 ぎゅうぎゅうと膣を締め付けて俺の肉棒を刺激するアルトリア。一瞬後、彼女は絶叫に近いほどの喘ぎ声と共に派手に絶頂した。

 

「いぐぅぅぅぅぅぅぅっぅぅっ♡♡♡」

 

 仰け反り、叫び、硬直しながら震えるアルトリアの体を支えながら俺は必死に射精を堪える努力をしていた。絶頂を迎えたアルトリアの膣はまるで生き物の様に俺の分身に絡みついて射精を強請ってきたが、俺は何とかそれを堪えると寝台の上に胡坐をかいて、その上にアルトリアを座らせた。

 

「あ、はぁ……♡ とても良かったな、マスター……♡ 今の体位が気に入った、出来たら次も私に跨って欲しい……♡」

 

 俺の上で小さく腰を上下させながらアルトリアが囁く。淫らな懇願を口にしながら性行為を続けようとする彼女には、もう快楽以外の感情は無いように思えた。

 

「マスター、射精しなかったがもしかして私のまんこの締りが悪かったか? ならば次はアナル……けつまんこに挿れると良い♡ 遠慮するな、あなたの好きな様にしてくれ♡」

 

 そう言うとアルトリアは俺の元から離れて再び寝台の上で四つん這いになった。大きく丸い尻を見せ付ける様にして突き出し、その中心の窄まりに力を込めて開閉させる。

 

「見えるかマスター? 私のいやらしくうねるアナルが……♡ もはやここは排泄口では無い。ちんぽを突っ込む為の穴、けつまんこだ♡ 何も遠慮することは無い、あなたの好きな様に使ってくれ」

 

 アルトリアはそんな浅ましいにも程がある言葉を口にしながら尻を振る。男と快感を求めて誇りを投げ捨てた雌の姿が、そこにはあった。

 

「……わかった。俺の好きにして良いんだね?」

 

「勿論だっ♡ あなたが満足するまで、この体を好きに使ってくれっ♡」

 

「そっか、わかったよ。それじゃあまず、体位を変えようか? 俺、アルトリアの顔を見ながらセックスしたい」

 

「えっ……!?」

 

 何の変哲も無い、ただの提案……だが、その言葉を聞いたアルトリアの声から快感への酔いが消え去った事を確かめた俺は心の中である事を確信した。

 

「ま、マスター! それではけつまんこに挿れられないぞ? やっぱり、後ろからおちんぽを挿れてもらえる体位の方が……」

 

「大丈夫だよ、おまんこに挿れるから。さっき射精出来なかった分、たっぷり種付けしてあげたいんだ」

 

「あっ、っぅ……!」

 

 俺には今、四つん這いになって尻を上げているアルトリアの表情は見ることが出来ない。だが、彼女が何かを迷っている事は確かだ。だから俺は、その迷いに追い討ちを欠けるようにして彼女に声をかけた。

 

「俺、アルトリアが今どんな顔をしているか見たいんだ。良いよね?」

 

「あ……い、今、だらしない表情をしているから見せるのが恥ずかしいのだ……す、少し待ってくれ……」

 

「それが見たいんだよ。恥ずかしくて情けないアルトリアの顔が見たいんだ。良いから見せてよ」

 

「あっ……!?」

 

 俺はアルトリアの肩を掴むとそのまま力を込めて彼女を仰向けに転がした。俺の真正面には、今まで見えなかった彼女の顔がある。

 

 今、アルトリアは快楽に酔った凛々しさの欠片も無いアヘ顔を晒して……いなかった。

 

「……やっぱり嘘だった。全然だらしない顔なんかしてないじゃん」

 

「き、気がついていたのですか……?」

 

「当然だよ。だって俺、アルトリアのマスターだもん」

 

 真っ直ぐに彼女の瞳を見つめながらそう告げる。程近い場所にあるアルトリアの目には、涙が浮かんでいた。

 

「……演技だったんでしょ? 全部さ……」

 

「……なんで? どうして……!?」

 

 自分の演技を見破られた事をきっかけに彼女の目に溜まっていた涙が堰を切って溢れだした。凛々しい王でも、淫乱な雌でも無い彼女の姿を見ながら、俺はアルトリアが何をしようとしていたかを理解していた。

 

 アルトリアは俺に自分を救い様の無い女だと思わせたかったのだ。淫らに腰を振り、尊厳など簡単に投げ捨てる弱い雌に成り下がったと思わせ、俺の未練を断ち切ろうとしていたのだ。

 

 必要以上に喘ぎ、いやらしい言葉を口にしていたのもこの為だ。全ては彼女の演技……俺の罪悪感を少しでも和らげようとするアルトリアの優しい嘘だったのだ。

 

 しかし、真面目すぎる彼女にはそれは無理な話だった。どう足掻いたって俺を騙していることの罪悪感が勝ってしまう。だから悲しげな表情を見せないために後背位でのセックスを強請っていたのだ。

 

「馬鹿だなぁ……アルトリアが嘘ついたってすぐに分かるに決まってるじゃないか」

 

「あなたは……なぜ、そんなにも優しいのです……? どうして、そんな……っくぅ……っ!」

 

 そっと彼女の頭を撫でて上げれば、嗚咽交じりの泣き声をあげてアルトリアが呻いた。やっと本心を見せてくれた彼女の思いに耳を傾かせながら、俺はゆっくりと彼女の頭を撫で続ける。

 

「あなたのその優しさが恐い……。辛いんです、マスター……」

 

「……俺を裏切ったって思ってるの?」

 

「その通りです……。私たちは何度も犯された。体を快楽漬けにされ、男に逆らえない様にされ……あなたを裏切れと強要されました。私は……それを拒むことが出来なかった……っ!」

 

 悔しそうな呟きと共にアルトリアの瞳から大粒の涙がこぼれる。とめどなく溢れてくるそれを見ながら、俺は黙って彼女の話を聞き続ける。

 

「誇りを捨てろと言われました……仲間を売れと言われました……あなたを忘れろと言われ、それに従いました……! 自らの欲求と快楽に負けて、私は全てを裏切った! あなたや円卓の騎士、カルデアの仲間たちを裏切って、性奴隷に喜んで身を落としたのです! なぜそんな私を見捨てないのです? 失望した、お前など不要だと言って、切り捨ててくれれば良いのに、なぜ!?」

 

「それはアルトリアが悪いんじゃない。全てはソロモンのせいだ」

 

「だとしても辛いんです! 私の体は淫紋令呪と度重なる調教のせいで淫らに開発されてしまいました。もう、男に逆らえる気がしない……! あなたのために槍を振るうことなど出来はしないんです!」

 

 アルトリアがそんな苦悩を抱えていることも分かっていた。最初に裸を見たときから、既に彼女に触れた幾つもの男の痕跡が見て取れたからだ。

 

 黒ずんだ乳首、更に大きく育った胸や尻、体の各部に残る赤い跡……その全てが、アルトリアの受けた陵辱の様子を物語っている様で目を逸らしたくなったことも事実だ。

 

 苦しいのだろう、辛いのだろう、アルトリアの事を思うのならば消滅させてあげた方が良いのかもしれない。でも、俺はそうしたくなかった。彼女に生きていて欲しかった。

 

「……ごめん、アルトリア。君が自分を責めて、苦しんでいることは良くわかっているよ。それでも、俺はアルトリアに消えて欲しくないんだ」

 

「ならば……このまま抱き続けてください。快楽に酔わせて生きる事を強要すれば、きっと私はまた堕ちるでしょう……自分の矜持をまた捨てて、快楽の奴隷として生きる事を選んでしまうでしょうから……」

 

 アルトリアもわかっているのだ、自分の消滅の最大の原因は自分に生きる意志が無いと言う事だと。その思いは快楽によって捻じ曲げられるとも彼女は言った。

 

 だが、それでは意味が無い。そんなのソロモンと一緒だ。無理やりアルトリアの意思を屈服させることなど、俺はしたくない。

 

 彼女が本心から生きたいと願ってくれなければ意味が無い………そう思ってくれなければ、何の意味も無いのだ。

 

「……アルトリア、君のマスターは誰?」

 

「え……?」

 

「答えて、君のマスターは誰?」

 

「……あなたです。今、私の目の前にいるあなたが、私のマスターです……」

 

「……そう思ってくれているんだね。なら、きっとこっちの令呪が使える」

 

 俺はそっと右手を掲げ、そこに刻まれている令呪をアルトリアに見せ付ける。彼女の瞳がそれを映している事を確認した後で、俺は命令を下した。

 

「令呪を以ってアルトリア・ペンドラゴンに命ずる……己の霊基を修復せよ」

 

「あっ……!?」

 

 俺の手に刻まれた令呪が赤く光り、その一画が消え失せる。それと同時にアルトリアの体に変化が起こった。

 

 必要以上に肥大化していた胸と尻がしぼみ、大振りながらも決して大き過ぎない大きさへと変わっていく。黒く変色していた乳輪と膣、アナルも色素が薄まって元の彼女の色合いが戻ってきた。

 

 残念ながら処女は戻せないし、開発された体の感度も元通りには出来ない。だが、ある程度は陵辱の苦しみを減らすことは出来たはずだ。

 

「……マスター、お気遣いには感謝します。しかし、こんな事をしても私の罪が消えるわけでは……」

 

「わかってる。少しでもアルトリアの気を軽く出来たらなって思ったんだ。アルトリアが自分を許せないでいる事なんてわかってるよ」

 

「あっ……!」

 

 押し倒していた彼女を抱き寄せて、対面座位の体位を取る。本来の形と色を取り戻した彼女の女性器に肉棒を潜り込ませれば、先ほどよりも少し窮屈な膣肉がそれを迎え入れてくれた。

 

「ふっ、あぁっ……♡」

 

 優しくしっかりとした腰の動きでアルトリアを下から突き上げながら彼女の乳首を口に含む。ちゅうちゅうと一定の間隔を開けてそれを吸ってみれば、アルトリアの表情は蕩け、口からは喘ぎ声と涎が漏れ出した。

 

「はぁっ、くっ♡ そんな、優しく……っっ♡」

 

 こりこりと硬くなった乳首を舌で弄りながら腰を動かす。空いている手は大きく柔らかい彼女の乳房を掴み、丁寧に揉みあげる。

 

「くあぁっ……♡ はっ、はっ、はっ……♡」

 

 感じているアルトリアの腰も動き出し始めた。俺は彼女の動きに合わせて責めのリズムを変えていく。快楽を得ようとするアルトリアをフォローする様な動きは彼女の官能を刺激するのには十分だったようで、段々と跳ね上がる腰の動きが激しくなっていった。

 

「あぁっ……♡ とまらないっ♡ もうこしが、とまらないぃっ……♡」

 

 馬の代わりに男に跨って激しく腰を振るアルトリア。膣は水音を響かせながら熱い飛沫を舞い散らせ、男根を咥え込んでその快楽をたっぷりと味わっている。

 

「ますたぁっ♡ もうしわけ、ありませっ……♡ また、イクっ……♡」

 

 限界が近い事を俺に告げたアルトリアは、なおも激しさを増して腰を振り続ける。大きく仰け反って喘ぎながらもその動きを止めようとはしない。より深い絶頂を味わうために体に刷り込まれたその行為が、彼女に休ませるという選択肢を与えてくれないのだ。

 

「イクっ♡ イクイクイクっ♡ イクぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 大きく体を震わせたアルトリアが絶叫し、硬直する。体中に駆け巡る快感を享受し切れなかった彼女の口からは、少しでも体の負担を減らそうと快感が声になって飛び出していた。

 

「あぁぁぁぁぁっっ♡ んあぁぁぁぁっ♡ ひぐぅぅぅっ♡」

 

 一度目の絶頂で体の自由が利かなくなった。二度目の絶頂で思考が定まらなくなっていた。三度目の絶頂で何もかもを放り出してアルトリアは寝台へと倒れこんだ。

 

「あ、あぁ……っ♡ もう駄目です……♡ もう、私はこの快感に逆らえない……もう、あなたの為に戦うことは出来なくなってしまったんです……♡」

 

 うっとりと快感に酔いしれた声、しかしそれを口にするアルトリアの表情には悲しみの色が浮かんでいた。

 

 騎士王からただの女へ、そして肉便器へと転がり落ちて行った自分の愚かな行動を思い浮かべながらの懺悔は重苦しく、痛々しいものだ。目から涙を溢れさせながらなおも彼女は後悔の言葉を口にする。

 

「もうこの体は汚れ切ってしまいました……男たちに犯される事を至上の幸せと思うほどに堕ち切り、快楽をちらつかされればそれだけで屈服してしまうのです……こんな穢れた心と体では、あなたの隣で戦うことなど出来はしません……だから……っ!」

 

 消えてしまいたい、アルトリアが口にしなかったその言葉と思いを俺は理解していた。後悔と苦しみも理解していた。

 

 彼女に生きていて欲しいと願うのは俺の我侭だ。それもわかっている……心苦しくてもアルトリアに生きて傍に居て欲しいから、だから彼女を苦しめる。

 

「……汚くなんかないよ。アルトリアは綺麗だ」

 

「慰めの言葉は止して下さい、マスター……」

 

「慰めなんかじゃない、本気でそう思ってる。アルトリアが信じられないのなら、証拠を見せてあげるよ」

 

「えっ……? ひゃんっ!?」

 

 舌を彼女の喉仏に這わせる。そのままつつーっと舌を動かせば、アルトリアの口から可愛い悲鳴が飛び出た。

 

「んっ、んんっ……♡」

 

 喉から下へ、たわわに実った彼女の胸部へ舌を移動する。乳房を丹念に舐め上げ、乳首もちゅっちゅっと吸ってあげるとアルトリアが快感に呻いた。

 

「ま、ますたぁ……♡ いったいどこまで舐めるつもり……へあっっ♡」

 

 汗が溜まっている胸の谷間も舐め、アルトリアの乳房を俺の唾液まみれにした後、俺は彼女の手首を掴んでアルトリアの指を一本一本吸い上げた。まるで赤ん坊が母親の指をおしゃぶりに使うようにしてそれを吸い、舐めていく。

 

「あっ♡ あぁぁっ♡ いけませんっ、そこは汚い……んんんっっ♡」

 

 指を、手を、腕を……舌を胴体の方へと移動させながらアルトリアの体を舐めていく。大きく広げられた彼女の腋を舐めた時、羞恥に染まった声と共に確かな快感を感じさせる喘ぎ声が聞こえた。

 

「……アルトリアのここ、すごくHな匂いがするね……むあっとして、俺は嫌いじゃないよ……」

 

「い、言わないで下さい……っ♡ そんな汚くて臭いところ、舐めないでぇっ……♡」

 

 俺はアルトリアの懇願を無視して彼女の腋を舐め続ける。反対側の腕も同じ様に可愛がった後、重点的に腋を舐め続けた。

 

「あぁっ♡ かんっ、じるぅっ♡ こんなところでも、わたしはぁっ♡」

 

 たっぷりと舐められ、感じる腋に開発されたアルトリアを寝台に横たわらせる。彼女の脚を左右に広げてその中心を見てみれば、とろとろと愛液が漏れ出していることがわかった。

 

「気持ち良くなってくれたんだね? じゃあ、もっと良くしてあげる……!」

 

「あ、あぁぁぁぁっ……♡」

 

 脚を掴んだ俺は舌を彼女の脚の指に這わせる。手の時と同じ様に一本一本舐め上げ、足の裏に至るまで丁寧に舌を這わせる。

 

「だめぇっ♡ きたないっ♡ そこはきたないですからぁっ♡」

 

「汚くない、アルトリアの体は綺麗なんだ」

 

「だめっ♡ だめぇっ♡ らめぇぇっ♡」

 

 快感に染まった体で必死に俺に抗おうとするアルトリア、しかし俺はその動きを完璧に抑えると彼女を四つんばいにさせた。

 

「あ、あぁ……おしり、までぇぇ……っ♡」

 

 ふっくらとした尻肉を舐め、唇を落としてキスマークを作る。俺の作り上げた跡と彼女の興奮で赤く染まった臀部を掴むと、ひくひくと蠢く中心の窄まりをまっすぐに見つめた。

 

「駄目ですっ! そこは、絶対に……!」

 

 静止の声も無視して色素の薄いそこに舌の先をつける。くりくりと肛門を膨れ上がらせる様に舌を動かしてアルトリアのアナルを広げた俺は、そこに舌を突っ込んだ。

 

「んへおぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ ほぉぉっ♡ おほぉぉぉぉぉっ♡」

 

 ぶるぶると尻を震わせるアルトリア。少しだけ苦い腸内の味を感じながら、俺は舌を動かし続ける。

 

「ほひぃぃぃっ♡ らめぇっ♡ おしりはらめれすっ♡ しょこはぜったいにきたないぃ……っ♡」

 

 まるでおしっこを漏らしてしまったかのようにアルトリアの股からは愛液が潮となって噴き出していた。俺が掴む腰以外の彼女の全身が脱力したのを見た俺は、アナルから舌を抜き出した。

 

「んほっ♡ おぉぉ……♡ んおぉぉ……っ♡」

 

「……わかってくれた? アルトリアは汚れてなんかいないよ。アルトリアの体だったら、どこだって舐められるからさ」

 

「んひっ♡」

 

 膨れ上がった肛門にキスをすれば、アルトリアのお尻が甘える様にして俺に擦り寄って来た。もう体の自由が利かなくなっているのだろう。そう判断した俺は最後の仕上げにかかる。

 

「あ、あ……!」

 

 体を反転させて脚を左右に開かせる。興奮して涎を垂れ流すアルトリアの女性器に顔を近づけると、むせ返るほどの雌の匂いが鼻をついた。

 

「だ、め、です……そこは、数え切れないほどの男の……雄の肉棒を咥え込んだ、私の体で一番汚い場所……!」

 

「汚くなんか無い。アルトリアは綺麗だ」

 

 懇願を、自虐を、切って捨てる。指で広げた膣の中に舌を潜り込ませてたっぷりとその中を味わう。ガクガクと震えるアルトリアの腰も押さえつけて、俺は膣内を舐め続ける。

 

「あぁぁっ♡ はぁっ♡ だめっ♡ だめぇぇぇっ♡」

 

 噴き出す愛液も受け止めて飲み込み、俺は舌での愛撫を続行する。弛緩しきったアルトリアの体はその責めに合わせて面白いほどに跳ね上がり、快感を伝えて来た。

 

「ましゅたぁっ♡ もうやめてくらはいっ♡ もれるっ、もれましゅぅぅ……♡」

 

 その声だって無視する。俺の頭を掴んで引き剥がそうとするアルトリアだったが、舌を体の中でばたつかせてやればそれだけでKOされてしまった。

 

「もうだめですっ♡ イクっ♡ もれるっ♡ いきゅっ♡ もれちゃぅぅぅ……♡」

 

 限界を迎えたアルトリアが幾度目かの絶頂を迎える。体は跳ね上がり、快楽で苦しげに呻きながら震える彼女の股座からは愛液と共に黄金色の液体も噴き出していた。

 

 俺は我慢が利かなくなったアルトリアの体から飛び出して来たそれを口の中に受け止める。そんな俺の姿を見たアルトリアの口からは悲鳴に似た叫びが上がった。

 

「何をしているのですマスター!? そんな、そんな汚いものを飲むなんて……!?」

 

 必死に俺に自分の排泄物を飲ませることを止めさせようとするアルトリア。しかし俺はその声を無視して彼女の性器に口を付け、そこから出る液体を飲み続けた。

 

「止めてくださいマスター……! そんな、そんなのって……」

 

 アルトリアは体を揺らしまがら必死に懇願する。しかし体の自由は利かず俺の頭を脚の間から引き剥がすことも出来ない。むしろ俺にがっちりと脚を取られ、噴き出した尿を全て俺の口の中に注ぎこむ姿勢を取らされていた。

 

「あ、あぁ……あぁぁ……っっ」

 

「んっ……じゅぅっ!」

 

「ひあぁっ♡」

 

 とうとう放尿を終えたアルトリアが最後に体を大きく震わせて膀胱に残った液体を吐き出しきった。しかし、俺はもう一度彼女の性器を吸い上げる。するとどうだろう、甘い声を漏らしたアルトリアの膀胱からはわずかに残った尿が噴き出してきたのだ。

 

「う、うぅぁぁ……うわぁぁぁぁ……っっ」

 

 最後のプライド、ほんの少しだけでも排泄を止めたという思いすらも打ち砕いて彼女の排泄した物を飲み干した俺はそのまま彼女の顔へと自分の顔を近づけた。涙を浮かべるアルトリアは俺の目を見ることも出来ずにただただ震えて謝罪の言葉を口にする。

 

「ご、ごめんなさい、マスター……。私はやはり快楽には逆らえないんです……あなたを裏切り、排泄物を飲ませると言うことまでしてしまいました。もう、私にあなたのサーヴァントである資格は……」

 

「……アルトリアは何にも悪くないよ」

 

「し、しかし……え……?」

 

 俺の否定の言葉を耳にしたアルトリアが更にその言葉を否定しようと俺の顔を見た。何かを言いかけた彼女だったが、俺の顔を見た途端に驚きの表情を浮かべて口を閉ざしてしまう。

 

「アルトリアは悪くない。悪いのはソロモンと……俺なんだ……っ!」

 

「ま、マスター……? 何故、泣いて……!?」

 

 心配そうに俺のことを見るアルトリアの顔が歪む。それが俺が流している涙のせいだなんてすぐにわかった。

 

「ごめんアルトリア……俺が弱かったから、皆に上手く指示が出来なかったからカルデアは落とされた……俺がもっと強ければ、皆はソロモンに捕まらなくて済んだんだ……!」

 

「な、何を言っているのですか!? あなたはよくやった! 力は無くとも必死に戦い、私たちを導いてきた! そのあなたが力不足だったなどありえない!」

 

「でも、だとしても……今、この瞬間にアルトリアを苦しめているのは俺なんだよ……!」

 

「え……?」

 

 ぽたぽたと頬から零れた涙がアルトリアの体に落ちていく。こうやって涙するのは何時以来だろうと視界同様のぼやけた考えを浮かべながら俺は自分の罪の意識をアルトリアに向けて吐露した。

 

「アルトリアに生きて欲しいって思うのは俺の我侭なんだよ……! わかってるんだ、アルトリアが苦しくって仕方が無いって事くらい、このまま消えさせてあげた方がその苦しみを軽減させてあげられるってことくらい、わかってるんだよ!」

 

「マス、ター……」

 

「でも俺は……俺は、生きてて欲しいんだ。皆とまた笑いたいから、誰一人欠けて欲しくないんだよ! だから……アルトリアに生きて苦しめって言ってるんだ。俺は、自分の願望を果たす為にアルトリアを苦しめているんだよ!」

 

「ち、違います……あなたは、そんな……」

 

「何も違わないよ……俺がやってることはソロモンと変わらないんだ。皆を快感で墜として、良いように扱って……俺は、ソロモンと同じ最低な人間なんだ……」

 

「それは違うっ! あなたはそんな人ではないっ!」

 

 俺がそこまで言った時、アルトリアはまさしく絶叫と言えるであろう叫びを上げた。喉も裂けんばかりに叫び声をあげながら俺に向かって手を伸ばし、体を抱き止める。

 

「アル、トリア……?」

 

 頭を柔らかな彼女の胸に押し付けられそっと撫でられる。涙を流す俺を慰める様に動くアルトリアの手は震えていた。

 

「あなたは……あなたは優しい人間だ。私が愛する人間の姿に他ならない……! そんなあなたが涙を流さない様にすることが我らが使命……だったはずなのに、私たちは……っ!」

 

 そこで言葉に詰まったアルトリアの体が小刻みに震える。俺と同じく涙を流しているのだろう。そのことを考えると俺も辛くなった。

 

 アルトリアをなおも追い詰めているのは俺だ。俺の身勝手な思いが彼女を苦しめている……そう考えた俺の顔を優しく掴んだアルトリアは、そのまま自分の涙を浮かべた顔を俺に見せながら言う。

 

「マスター、どうか今宵だけは涙を流して下さい。私の目の前で、私の胸の内で、その優しさから溢れる涙を零してくださって構いません……その涙はあなたの優しさと強さの証明、そして……私の弱さの証なのです」

 

 アルトリアはそう言いながら俺の陰茎を掴むと自分の膣口にそれをあてがう。そして腰の動きと共に俺を自分の内側へと迎え入れた。

 

「くっ……ふぅぅっ……♡」

 

 ずっぷりとアルトリアの膣へと潜り込む俺の分身、上から彼女を押し潰す様にして挿入する形になった俺は、彼女の導きのまま抵抗をせずにそれを受け入れる。

 

「……今宵私は、ただの女としてあなたの悲しみと苦しみを受け止めましょう。か弱い女に出来る唯一の慰めとして、この体を使いましょう……!」

 

 脚を俺の腰に絡める様にして回し、抱きしめる腕にも力を込める。きつく俺を抱きしめながらも、アルトリアは自分に叩き込まれた記憶から俺が彼女を穿つに相応しい体勢を取っていた。

 

「お願いですマスター……遠慮なさらないで下さい。これは自分を浅ましい雌だと思って言っているわけではなく、あなたの全てを受け止めたいから言っているのです」

 

 アルトリアは俺にそう言うと、セックスが始まって初めて自分から口付けをしてくれた。先ほど彼女の放尿を飲み込んだ俺の口の中を丹念に舐め、舌を絡めてくる。

 

「んっ……んんっ……♡ 女に生まれて良かったと思う日が来ようとは思いもしませんでした。女として辱めを受けたこの体でも……あなたを慰められるならば幸せです」

 

 きゅうきゅうと膣を締めて腰を振るアルトリアに応える様にして俺も腰を動かし始める。先ほどまでの喘ぎ声とはまた違う声を上げながらアルトリアは快感に悶える。

 

「んっ、くぅぅっ……♡ まだ、イけないっ……♡ まだ、まだっ……っ!」

 

 彼女が望んだ通り、俺は何の遠慮もせずに腰を振り続けている。子宮口を何度も叩かれ、小さな絶頂を何度も繰り返すアルトリアだが、まだ一際大きな絶頂を迎えてはいない。先ほどまでならもうとっくに体を痙攣させてだらしなくアクメを決めていてもおかしくないと言うのにだ。

 

「くぁぁぁ……っ♡ ま、だ……まだぁぁっ♡」

 

 もうアルトリアの腰はガクガクと震えて痛いほどの快感を示している。しかし、それでも必死になって歯を食いしばって絶頂を耐えようとするアルトリアは先ほどまでとは別の意味で涙を浮かべていた。

 

「あぁぁぁぁっ♡ ひぐぅぅぅっ♡ くひぃぃぃぃぃっ♡」

 

 上から俺に押し潰され、何の抵抗も出来ない体位である種付けプレスでのセックスであると言うのにアルトリアは必死になって絶頂を堪えていた。もはや腰は彼女の意思とは関係無しに動いているのだろう。しかし、それでも彼女は決して達さない様にと必死の抵抗を見せていた。

 

(もしかして、俺と一緒にイこうとしてくれてるのか……?)

 

 ふと思い浮かんだ考えは正しく思えた。俺はまだ一度も達していない。アルトリアはそんな俺を受け入れ、一緒に絶頂することで俺の苦しみを分かち合うつもりでいるのでは無いかと思えてきたのだ。

 

「んぎぃっ♡ んんっ♡ んぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡」

 

 だとしたらその思いに応えるためにも遠慮などは出来ない。きっとこれはアルトリアが自分に課した試練でもあるのだ。

 

 快感に抗えなくなっている自分に課した試練、俺が絶頂するまで必死に耐え、快感に抗おうとする意思を見せることでもう一度俺のサーヴァントとして仕えられると言うことを自分自身に証明するための試練。これを突破出来なければ自分に生きる資格は無いと彼女は思い込んでいる。

 

 その思いに情けなど不要だ。逆にここで情けをかけたりなどしたら彼女が自分を許せなくなるだろう。俺はアルトリアを信じて激しく腰を振り続ける、際限なく熱くなっていく膣の感触と温度を感じながら肉棒を激しく出し入れする。

 

「あぁぁぁぁっ……♡ まらぁ……まららぁ……わたひっ、わたひわぁぁっ♡ おおぉぉぉぉぉっ♡♡」

 

 耐えて、耐えて、耐えて、耐えて……涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにしながらもアルトリアはまだ絶頂しないでいた。ぎちぎちと俺の肉棒を締め付けながら、なおも必死に達しようとする体を抑えている。だが、もう限界は近い様だった。

 

「ああぁぁっ♡ ま、まだなのにっ♡ まだわたしはっ、イっちゃ……んんんんんっっ♡」

 

 声は擦れ、腰が浮き続ける。子宮も降りて今にも絶頂してしまいそうな彼女の我慢の堤防は崩れつつある。

 

「ま、まひゅたぁをうけとめるまれ、わらしは、わらしはぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 激しい一突き、アナルがひくつき空気が漏れ出す。

 

 重い一突き、子宮が屈服して体中が強張る。

 

 それでもなお……アルトリアは耐えていた。もうとっくに限界を超えた体で快感に抗っているのだ。

 

 それは彼女の決意の強さだけで見せる俺への忠誠の証。たとえ快楽に勝てずとも抗う強さを持っていることを俺に示す為の彼女のやせ我慢。

 

「アルトリアっ……もうっ、そろそろ……っ!」

 

「はっ、はっ……♡ は、いぃっ♡ 深く、奥に、射精して、くださいっっ♡」

 

 そしてついに彼女は自分に打ち勝った。己に課した試練を乗り越え、強さを証明しようとしている……深くまで彼女を穿ちながら、俺はアルトリアの子宮口へと亀頭を押し付ける。

 

「んひぃぃぃぃぃっ♡ く、くるっ♡ ましゅたぁのせーしがくるぅぅっ♡」

 

 射精を控えた肉棒がその硬さを増す。絶頂の予感を感じた膣肉が大喜びでそれを迎え入れる。

 

 そして一層硬くなった俺の分身がアルトリアの子宮を押し込んだ時、俺たちの我慢は同時に解き放たれた。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ♡♡♡♡♡」

 

 セックスを始めてから今まで絶頂しなかった分、俺の射精は激しいものになった。しかし、それを受け止めるアルトリアは更に激しい絶頂姿を見せている。

 

「おぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ からだとまらにゃいっ♡♡♡ ふかイキがっ♡ アクメがとまらにゃいぃいぃぃぃっ♡♡♡♡♡」

 

 野営地全域に届く様な大声で叫び、地震でも起きているのかと思わせるほど体を震わせ、尻穴からは下品な放屁の音を響かせ、膣は大喜びに震えたうねりを見せる。そして子宮口は俺の亀頭に吸い付いて精液を美味しそうに飲み干しに来る。

 

 俺は溜め込んだ快感が駆け巡るアルトリアの体をしっかりと抱きしめて彼女が落ち着くまで撫でてあげた。大分時間が経ち、震えが治まったアルトリアは蕩けた視線で俺を目を見つめる。

 

「マスター……私は強くなります。もう二度とあなたを悲しませない様に、涙を流させない様に……! まだ、はっきりと生きようと思えるわけではありません、しかし……前を向く事は出来るようになりました」

 

「そっか……良かった、のかな?」

 

「はい! ……それで、その……申し訳ないのですが……体が言うことを聞かなくてですね……」

 

 体全体で俺に絡みつきながらアルトリアが照れた口調で言う。がっちりと抱きしめられた体はしばらくは放して貰えなさそうだ。

 

「ですので……今宵はこのままで過ごさせて下さい。無論、あなたが望むなら夜伽の相手も喜んでさせていただきます!」

 

「……うん。なら、今日はこのまま過ごそうか!」

 

「は、はいっ……!」

 

 嬉しそうに笑顔を見せたアルトリアと唇を重ねる。じっくり、たっぷりとお互いを求め合った後、未だに硬い肉棒を動かし始める。

 

「あっ♡ あっ♡ あぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 夜はまだ長い、俺もまだまだ元気が有り余っている。アルトリアのためにも今日は頑張らせてもらおうじゃないか。

 

 強くなると宣言したアルトリア同様、俺もまた強くなろうと心の中で硬く決心しながら、俺は再び腰を動かし始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人は一人では生きてはいけない。その真理には誰一人の例外もない。

 

 であるならば……生きるということは、苦しみを分かち合うということなのかもしれない。

 

 一人では抱えていられない重荷でも、誰かと一緒ならその重さに負けずに共に歩いていける。それがきっと生きると言うことなのだろう。

 

 平凡な人間であろうと勇敢な王であろうとその真理には例外はいない。誰とだって手を取り合い、共に苦しみを分かち合って未来へと進んでいけるのだ……

 

 




更新ペースが少し落ちると思いますが、これからも頑張って続けていくのでどうぞよろしくお願いします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

円卓矛盾丼(マシュ ランサーアルトリア)

「すまない、マスターとマシュは居るか?」

 

 そう言いながらアルトリアが俺を訪ねて来たのは、マシュとジル、そしてダヴィンチちゃんたちと一緒に幕舎で今後の作戦を考えていた時だった。

 

 いつまでも逃げ回っているわけにもいかない。戦力をかき集めてジャンヌたちに挑み、聖杯を奪取しなければならない。その為の算段を考えていた俺たちは彼女の訪問に少し驚いた。

 

「……取り込み中だった様だな。悪い事をした」

 

「いや、良いんだよ。それで、俺とマシュに何か用?」

 

「ああ、そうなんだが……」

 

 会議に割り込んでしまった事を申し訳なく思っているのだろう。アルトリアは言葉を濁して一度退こうとしたが、そんな彼女をダヴィンチちゃんが止めた。

 

「ああ、構わないよ。作戦会議は私たちとジルくんとでやっておくから、遠慮なく二人を連れて行ってくれたまえ」

 

「気遣い、痛み入ります。では、二人はこちらへ……」

 

 アルトリアに促されて幕舎の外に出る俺とマシュ。そのまま彼女専用の幕舎まで案内された俺たちは、そこでアルトリアから話をされ始めた。

 

「マスター、申し訳ないが私はまだ戦力になれそうに無い。未だに霊基が安定していない以上、戦いには参加出来ないだろう。その事は本当に申し訳なく思っている」

 

「大丈夫だよ。俺はアルトリアが無事でいてくれた事が嬉しいんだ。また一緒に戦える様になるまでいつまでも待つさ」

 

「……ありがとうございます。その期待に応えられる様に努力させて頂きます」

 

 ほんの少しだけ顔を赤らめたアルトリアはそう言って小さく呟いた。その言葉を聞いた後、俺は彼女に話の本題を尋ねる。

 

「それで? その話をするためだけに俺を呼んだんじゃないでしょ? だったらマシュは必要ないもんね」

 

「ええ、その通りです。私は、あなたに一つお話をしようと思ってここに案内しました。その話をマシュも聞いて欲しかったんです」

 

「私もですか? 逆にお邪魔になることは……」

 

「いや、大丈夫だ。この話はあなたにも関係がある事、出来れば一緒に聞いて貰いたい」

 

「……アルトリアさんがそう言うのなら私が逆らう理由はありません。先輩と一緒にお話を聞かせていただきます」

 

「ありがとう。では、早速話を始めるとしましょう」

 

 マシュの返答を聞いたアルトリアは満足げに頷いた後で話を始めた。俺とマシュは彼女の言葉を聞き続ける。

 

「マスター、あなたは全ての英霊をソロモンの手から助け出すと言いましたね? その言葉に偽りはありませんか?」

 

「勿論だよ! 皆をもう一度取り戻すんだ!」

 

「では男の英霊はともかく、女の英霊は私たちにそうした様に抱いて取り戻すと考えてよろしいでしょうか?」

 

「あ、ああ、その通りだけど……」

 

「そうですか、となると、やはり……」

 

 そこでアリトリアは言葉を切る。俺とマシュが彼女の顔を見つめていると、アルトリアは顔を上げて俺の目をまっすぐ見ながらこう言った。

 

「マスター、あなたは人の心を掴む方法を知らなければなりません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルトリアさん、先輩が人の心を掴む方法を知らなければならないとはどういう意味でしょうか?」

 

「単純な話です。カルデアにかつて在籍していた女性サーヴァントたちが何名居るかマスターはご存知ですか?」

 

「えっ、と……」

 

 アルトリアのその質問に俺は戸惑った。たくさん居たと言うことは分かる。少なくとも俺が数え切れない位にはだ。しかし、はっきり何名と言われると把握していないのが本音だ。

 

「……少なくとも50は下らないでしょう。あなたはそのほぼ全員とねんごろな関係になると仰っている事を理解していますか?」

 

「う、うん、まあ、一応は……」

 

 アルトリアがほぼ全員と言ったのには、英霊の中に決まった相手が居る人物を除いての事だろう。例えば女王メイヴは兄貴に任せて良いだろうし、アルテミスもオリオンに任せられると言えば任せられる。

 

 しかし、それでも女性サーヴァントの数は膨大だ。兄貴やロビンに任せられてもせいぜい4、5名くらいのものだろう。後は俺が相手するしかないのだ。

 

「と、来れば……あなたは一大ハーレムを築く事になる。その全員に嫉妬の感情を抱かせる事無く相手が出来るとお思いですか?」

 

「そ、それは……」

 

 頭のどこかで分かっては居た。それは実質不可能であろうと言う事にだ。

 

 一週間に全員の相手をするとなれば、一日に6人は抱かなくてはならないだろう。流石にそれは俺の体が持つわけが無い。

 

 それでもやると決めたからには努力はするつもりだ。しかし、アルトリアが危惧しているのはその先の話だろう。

 

「女英霊は取り返して終わり、と言う訳にはいきません。再びソロモンの傀儡に堕ちる事が無い様にしなくてはなりません」

 

「わかってるよ。俺たちはソロモンが皆の忠誠を強化しない点を突いて仲間を奪還してるんだ。そのソロモンと同じ失敗をするわけにはいかないさ」

 

「ですが、嫉妬の感情は大きな隙になる……そのこともよく分かっているでしょう?」

 

 それもアルトリアの言う通りだった。俺のやる事を皆は理解してくれるとは思う。しかし、そこで嫉妬したり、不満を持たないかと聞かれれば断言は出来ない。

 

「嫉妬は不満へ、不満は疑惑へ、そして疑惑は不忠へと変わります。そこを突かれてしまえば、再びソロモンは英霊を奴隷に堕としかねない」

 

「だから俺は皆に不満を感じさせちゃいけない、ってことか……」

 

「しかし……そんなことが可能なのでしょうか?」

 

 マシュのその言葉にアルトリアが大きく頷く。そして、最初の言葉の意味を語り始めた。

 

「だから心を掴めと言ったのです。上辺の部分ではなく、心の奥底を掴む事の出来るカリスマ性があなたにはある。一度がっしりと心を掴んでしまえば人はそう簡単にあなたを裏切りはしないでしょう」

 

「心を、掴む……」

 

「そうです。先ほどとは逆、心を掴まれた者はあなたが自分を理解してくれて居ると安心する。安心は信頼へ、信頼は忠誠へ、忠誠は愛情へと変わるもの……故に、あなたは英霊たちの心を掴まなくてはならないのです」

 

「し、しかし、心を掴むなんてどうすれば……?」

 

「……相手を理解し、望むものをマスターの出来る限りで与えてやれば良いのです。出来ないものは出来ないと断りながらも最大限の努力をする。そうすれば、きっと皆は納得してくれるでしょう」

 

「く、口で言うのは簡単ですが、それが出来るかどうかは別の問題なのでは……?」

 

「……ううん、俺、やるよ。そうしなきゃまた皆がソロモンの物になってしまう。俺、そんなのは嫌だ」

 

 そう、絶対にそんな事を許してはいけない。取り戻した皆が再びソロモンの元に戻ってしまったら、もう二度と会えなくなってしまうだろう。

 

 スカサハは完全に記憶を抹消されて犯され続けるだろう。エリちゃんは今度こそ弄ばれてしまうだろう。ナイチンゲールは再び常識を塗り替えられ、キャットは魔獣の相手を延々とさせられ続けるのだ。

 

 そしてマシュも何をされるか分からない。せっかくもう一度傍に居てくれる様になった彼女たちを手放したくなんか無い。俺は心の底からそう思った。

 

「……あなたならそう言うと思っていました。ならば、まず最初に心を掴まねばならない相手も分かっていますね?」

 

「え……?」

 

 俺はアルトリアの言葉に返事はせずにマシュの顔を見る。いきなり見つめられた彼女は驚いて小さく声を上げたが、アルトリアは俺の答えを肯定してくれた。

 

「……誰よりも傍に居る者、そして誰よりも信頼している人間。あなたにとってそれはマシュに他ならないでしょう。彼女の心を掴むことが、あなたのすべき第一の行動なのです」

 

「わ、私は、先輩が私の事を信頼してくれると分かっただけで十分満足です! そんな事をしなくても……」

 

「なら、その満足感を心の奥底に植えつけるのです。幸せと安心感、マスターへの愛情を深く心に刻む事、それが心を掴まれると言う事なのです。そして……それをするのは誰の役目かも分かっていますね?」

 

「ああ、勿論だよ」

 

 アルトリアに返事をした後でマシュの肩を掴む。そのまま彼女と向き合い、柔らかな唇にキスを落とす。

 

「んっ……♡」

 

 マシュは俺の急な行動に驚きを見せたが、その行為を受け入れてくれた。舌を絡ませる事の無いフレンチキスだが、たっぷりと時間をかけて行ったそれを終えた時にはマシュの目はとろんと蕩けていた。

 

「……場所を変えようか? 二人とも、ついて来て」

 

「はい、マスター……」

 

 自分がこの後何をされるのかを察したマシュが嬉しそうに微笑む。俺は二人を伴って近くにあった民家の中に入ると、ダヴィンチちゃんから預かっていた簡易結界発生装置を発動させたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……♡ はっ、んんんっ……♡」

 

「お、ぉぉ……っ♡」

 

 簡易結界の中、カルデアにある俺の部屋を模した結界の中で、俺はマシュとアルトリアを責めていた。

 

 とても大きなベッドの上で四つん這いになっている二人のアナルを穿る。右手でマシュを左手でアルトリアのアヌスを弄れば、二人の口からは喜びに溢れた喘ぎ声が漏れた。

 

「マシュ、凄いよ……マシュのおまんこ、もうびちゃびちゃだね。そんなにお尻を弄られるのがイイの?」

 

「はっ、くぅ……っ♡ ひ、久々ですから、お尻が敏感に、なってて……んんんっ♡♡」

 

「最近かまってあげられなくてごめんね。その分、今日はたっぷり満足させてあげるから」

 

 ぐちゅぐちゅと二本の指を動かしてマシュのアナルを責める。可愛いマシュのお尻は俺の指の動きに合わせて細かに揺れ、嬉しそうに動いていた。興奮によって軽く赤づいたマシュのお尻は元々の白さと相まってほのかなピンク色に染まっており、それがなんともいやらしくて可愛く映っている。

 

「んっ、おぉっ♡ ほぉぉっ……♡」

 

「アルトリア、お尻がぶるぶる震えてるよ。お尻で気持ち良くなってるんだね?」

 

「あ、ああっ……♡ マスターの指が、おくまでぇっ……♡」

 

「……ソロモンの所でされた事を忘れる位に気持ち良くしてあげるから、アルトリアは正直に反応して良いんだよ」

 

 ぐぷぐぷと音を立てて俺の指を飲み込むアルトリアのアナル。左手を捻って回転させながらその奥まで指を突っ込めば、いつもの彼女からは想像出来ないような喘ぎ声がアルトリアの口から飛び出す。獣の様な呻き声は彼女が感じているから出る物なのだろう、ならばもっと感じさせてあげようと俺は両方の手を動かす速度を速めた。

 

「あっ♡ ふぅっ♡ んほぉぉっ♡」

 

「ひぃっ♡ ひんっ♡ んんんっっ……♡」

 

 腸内を掻き回される二人がそれぞれ異なった声を漏らす。アヌスからは腸液で濡れた尻が漏らすくぐもった水音が響き、俺たちの官能を刺激する。

 

「せん、ぱいっ♡ せんぱいっ、もっとっ♡ もっとくださいっ♡」

 

 マシュが嬉しそうに腰を前後に振る。俺の手の動きに合わせて動くお尻は抜かれる時の心地良さと突き入れられる時の窮屈さを増幅させる為に一生懸命だ。アナルセックスに慣れたマシュだからこそ出来るその動きに応えて俺ももっと右手を早く動かす。

 

「んっ、おぉぉ……♡ ゆびが、おく、ほじってぇ……♡」

 

 対してアルトリアは尻を高く上げているだけだ。シーツに顔を押し付け、強く拳を握り締めて快感に悶え続けている。俺になすがままにされているアルトリアのアナルは奥を弄られるのが好きなのだろう。そう判断した俺は届く限りまで指を彼女の奥深くまで突っ込み、そこをぐりぐりと責める。

 

「あっ♡ ゆびっ、はげしっ♡ せんぱいっ♡ きもちいいですっ♡」

 

「んおぉぉぉ……っ♡ そんなにおくをせめられたら、がまんが……にゅぅぅっっ♡」

 

 二人のアナルがぎゅっと締まる。絶頂が近い事を感じた俺は左右の手を捻りながらアナルの奥へと指を押し込む。まるで鍵を開けるかの様な俺のその動きによって我慢の扉を開かれた二人は、背筋を震わせながら大声で叫び、絶頂した。

 

「イクっ♡ おしりでイキますっ♡ あ、あぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「んへおぉぉぉ……♡ おっ♡ ほぉぉぉぉぉぉっっ……♡♡♡」

 

 ほぼ同時に絶頂した二人は、これまた同時に膣から潮を噴き出した。アナル絶頂からの同時潮吹きという彼女たちの痴態を見た俺もまた興奮によって肉棒を起立させていた。

 

「……マスター、まずは私にご奉仕させて下さい」

 

 気がつけばアルトリアが俺に向き直ってベッドに座る様に頼んで来ていた。俺はその言葉に従ってその場に座りこむ。

 

「では、失礼します……」

 

 アルトリアは勃起した俺の肉棒をその大きな胸で包み込むと、慣れた手つきで左右から胸を押さえてそれを上下に動かし始めた。

 

「っっ、くぅぅ……っ!」

 

「……マスター、私の胸は心地良いですか?」

 

「うん、凄く良いよ……! 柔らかくって、温かくって、凄く気持ち良い……!」

 

「ふふ……♡ それは良かったです……♡」

 

 俺の返答を聞いたアルトリアが嬉しそうに笑う。ふわふわとした彼女の胸は優しく俺を包み込みながらもきつく刺激してくれてもいた。

 

「はぁむ……っ♡ ずずっ、じゅぅぅ……♡」

 

 胸の谷間から飛び出した亀頭をアルトリアが咥える。じゅるじゅると音を立ててそれに吸い付き、胸で奉仕しながらもフェラチオを加えた性技を披露してきた。その快感の強さに顔をしかめた俺の横にマシュがぴったりと張り付く。

 

「先輩……私も、先輩を気持ち良くしたいです……♡」

 

 可愛らしく呟いたマシュは俺の顔を掴むと唇を重ねて来た。小さな舌が俺の口の中に進入し、俺の舌と絡み合う。

 

 俺もまたマシュのその行為に応える様にして彼女の背中に左手を回してマシュを抱きしめる。そして右手は尻の谷間に向かわせ、先ほどまで弄っていたアヌスの中へと再び指を潜り込ませた。

 

「ぅぅ~~~っっ♡♡♡」

 

 自分のアナルを責める指の動きに嬉しそうに尻を振るマシュ。喉の奥からはくぐもった声が溢れ、気持ち良くなっている事を俺に伝えてくる。

 

 上半身をマシュの体が、下半身をアルトリアの胸が包み込んでくれている。彼女たちの体温を感じながら快感を教授していた俺は、溜まりに溜まった快感をアルトリアの口の中に吐き出しながらマシュの尻穴深くに指を突っ込んだ。

 

「んぶぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「んん~~~~~~っ♡♡♡」

 

 口の中に射精されたアルトリアは俺の精液を一滴も零さない様にして全てを飲み込んでいく。凛々しい彼女が精液を必死に啜る姿には興奮を禁じえない。そう思いながらも俺は再び尻穴絶頂を迎えたマシュのアナルを優しく穿っていた。

 

「ぷはぁ……♡ マスター、凄い量でしたね……♡ そしてとても濃かった、窒息するかと思いましたよ……♡」

 

 全てを飲み干したアルトリアが恍惚とした表情で呟く。俺の耳元で囁いた彼女は、そっとマシュをベッドに押し倒した。

 

「さぁ、マスター……今度はマシュを可愛がってあげる番です。マシュもたっぷりご奉仕するんだぞ?」

 

「はい……♡ 先輩、もう私の穴はどちらも準備万端です……♡ まんこでもけつまんこでも、先輩のお好きな穴を使って下さい……♡」

 

 熱に浮かされた表情で俺に告げながら両手で自分の二つの穴を広げるマシュ。俺は、その言葉に少しだけ眉をひそめると彼女を抱きかかえる。

 

「……マシュ、そんな言い方は駄目だよ。使うだなんて言い方、絶対に駄目だ」

 

「えっ……?」

 

「マシュは道具じゃないんだ。俺はマシュを使いたくなんかない。二人で気持ち良くなるために愛し合いたいんだ」

 

「あ……う……」

 

 真っ直ぐに目を見つめながらの俺の言葉にマシュは赤面した。愛するなんて言葉を使うのは初めてだから俺も少し恥ずかしかったが、それでもちゃんと彼女に伝えなければならない事なのだ。

 

 マシュは奥ゆかしくて、どこか自分を卑下しがちな面がある。他者を尊敬し、敬う事が出来る彼女だからこその欠点は、マシュが色々な事を溜め込みすぎてしまうと言う欠点にも繋がっていた。

 

 その弱点を突かれてソロモンに彼女を奪い返されたりなどしたら悔やんでも悔やみきれるものではない。俺にとってマシュは、きっと何より大切な存在なのだ。だから、その事をちゃんと口にしてあげなければならない。

 

 マシュが大切だと告げて、マシュを愛したいと伝える。自分を蔑ろにしがちな彼女に自分を大切にして欲しいと伝えたかった。

 

「……俺はマシュが大好きだよ。どんなマシュでも愛せる自信がある……だから、もっと自分を曝け出しても良いんだよ?」

 

「せん、ぱい……」

 

「さ……言い直してみて? 俺の大好きなマシュの可愛いおねだりを聞かせてみせてよ」

 

「っっ……は、はい……♡」

 

 上気した頬、とろんと蕩けた瞳……そしてとても幸せそうな表情のまま、マシュは俺に対して二度目のおねだりを口にし始めた。

 

「先輩……♡ 私、マシュ・キリエライトは、先輩の事を気持ち良くしたいです……♡ 先輩のおちんちんを私のおまんこで気持ち良くして、愛し合いたいです♡ ですから先輩、私の事を愛してください……たくさん、愛して欲しいです……っ♡」

 

「……ああ、もちろんだよ。マシュ」

 

 マシュの言葉に笑顔で応え、ゆっくりと彼女の膣に己の分身を突き入れていく。お互いの愛を確かめ合う様にじっくりと時間をかけて行われた挿入は、俺とマシュにとってとても甘美な時間となった。 

 

「あぁぁ……っ♡ 先輩のが、挿ってきましたぁ……♡ なんだか、いつもより気持ち良いです……♡」

 

 それは俺も同じだった。マシュの膣はきつく締まりながらも優しく俺を包み込んでくれており、時折びくびくと震え、うねっていた。子宮も今まで感じたことの無い程に下りて来ており、マシュの官能をありありと示している。

 

「あはぁっ♡ 私の子宮、先輩のおちんぽにキスしちゃってます……♡ 甘えるみたいにちゅうちゅう吸い付いて、先輩を離そうとしないんです……♡」

 

 まだ動いていないというのに射精してしまいそうな程気持ちが良い。俺は必死に歯を食いしばってその快感に耐える。そんな時だった、マシュが目を見開いて小さく叫んだのは。

 

「あ、あぁぁ……っ! し、きゅうが、熱い……っ! 淫紋令呪が、熱くなって……っ!?」

 

 マシュの言葉に驚いた俺は視線を彼女の下腹部に移す。すると、そこに刻まれている淫紋令呪が赤く光り輝いているではないか。

 

 一体何が起きているのだろうか? 疑問を浮かべながらそれを見ている俺の前で淫紋令呪は輝きながらその形を変えていく。ハートの形はそのままに少し大きくなった模様の中には、俺の右手に刻まれているカルデアの令呪と同じ模様が刻まれた。

 

「っっ……!?」

 

 マシュの淫紋令呪の輝きに呼応するようにして俺の左手の令呪も強く輝く。同時に俺の体に不思議な力が流れ込んできた。

 

(もしかしてこれ、令呪が成長したってことなのかな……?)

 

 ダヴィンチちゃんは言っていた。淫紋令呪は刻まれた者が主に快感を与えられる度に成長すると……そして、刻まれた者だけでなくマスターにもそれに応じた強化を施すとも言っていたはずだ。

 

 つまりこれは、マシュが俺から当たれられた快感によって自らの淫紋令呪を成長させたということでは無いだろうか? そして、それによって俺にも力が与えられたという事だろう。

 

「あっ……!? 先輩、なんだかさっきより先輩のおちんぽが大きくなった気がします。私の気のせいでしょうか?」

 

 マシュの感じていることはきっと気のせいでは無いのだろう。よりにもよってそこが強化されたのかと苦笑しながらも、俺の中には今まで感じた事の無い力が芽生えていることも確かだ。

 

「マシュ、動くよ。良いかな?」

 

「はい……♡ 私もそろそろ我慢出来なくなっていた所です♡ たくさん動いて、たくさん愛してくださいね、先輩……♡」

 

 マシュの了解を取った俺は腰を動かして彼女を突き上げる。子宮を押し潰してしまう様なその一突きを受けたマシュは、大きく仰け反って快感の叫びを上げた。

 

「うあぁぁぁっっ♡ あっ、あぁっ♡ な、なんですか、これ……? き、きもちよすぎて、からだが、おかしく……ふぅぅんっ♡」

 

 恐らく淫紋令呪によってマシュの感度も強化されているのだろう。その状態で強化された俺の逸物によるピストンを受けるマシュは今までとは段違いの快感を感じているはずだ。

 

「あっ、あっ♡ おまんこ、ぶるぶるふるえてっ♡ からだぜんぶにきもちいいのがひびいてますっ♡ せんぱいっ、わたしっ、もう、イクぅぅっ♡♡♡」

 

 宣言と共にあっという間に達してしまうマシュ。しかし彼女の腰は上下に激しく動いたままだ。まるで絶頂して震えている膣の感触を俺に味わって貰いたいかの様に動きながら、マシュは恍惚とした声を漏らす。

 

「すごい……っ♡ 先輩のおちんぽ、いつもより逞しくて熱いです……っ♡ おまんこが……いいえ、私の体全部が先輩にご奉仕したいと強く訴えかけています♡」

 

 絶頂の余韻もそのままにマシュは動き続ける。俺は彼女がイった時から動きを止めているが、マシュは逆にまったく動きを止める様子が見られない。彼女の言葉通り、俺に奉仕することを止めはしないのだ。

 

「お願いです先輩、激しく動いてくださいっ! 私、先輩に気持ち良くなって貰いたいんです! 先輩の事を愛したいんですっ!」

 

 マシュの叫ぶ様なその言葉に頷いた俺は思いっきり腰を跳ね上げた。同時にマシュの背筋が伸び、口からは大きな声が飛び出す。

 

「あぁぁぁぁっっ♡ きたっ♡ きましたっ♡ せんぱいのおちんぽっ♡ ずんっ♡ って、私の子宮をノックして……はぁぁぁっっんっ♡」

 

 俺の一突きごとにマシュは達していた。それでも腰は動き続け、完璧に俺の動きに合わせている。本気で俺に気持ち良くなって貰おうとする彼女の心遣いに感動しながら、俺もそれに応えようと腰を跳ね続ける。

 

「あぁぁっ♡ イクっ♡ イってるのにまたイキますっ♡ イクのがとまりませんっ♡ とまらないんですぅぅっ♡」

 

 イキっぱなしのマシュを突き続ける俺もそろそろ限界が近かった。ラストスパートとばかりに更に激しく腰を動かせばマシュは下品なアヘ顔を浮かべながら快感に絶叫する。

 

「あひぃぃぃっ♡ しゅごいっ♡ せんぱいちんぽしゅごいれすっ♡ またイクっ、イクぅぅっっ♡」

 

 知的で冷静なマシュの口から飛び出す淫らな言葉の数々……いや、言葉だけでは無い。今のマシュは表情もいやらしい。

 

 涙を浮かべ、汗と涎を垂れ流し、頬は赤く染まり、唇はぷっくりと膨れている…………表情を取り繕う余裕すらない程の快感に翻弄されるマシュは、雌としての本性を露にしたまま叫び続ける。

 

「くださいっ♡ 先輩のザーメンくださいっ♡ 先輩の愛の証、ドスケベ後輩のおまんこの中にどぴゅどぴゅ射精してくださいっ♡ おねがいしますっ♡」

 

 射精を強請るマシュ。俺はその願いを聞き届けると強く激しくマシュの奥を亀頭で叩いた。

 

 一度目の穿孔でマシュは大きく仰け反った。俺の知っている膣内の弱点を突いたからだ。そこの感度も強化されていた様で、今まで以上の震えを見せながらマシュは絶頂した。

 

 二度目のピストンはその絶頂に追い討ちをかけた。マシュの口からは声にならない叫びが漏れ、彼女の性器からは愛液が洪水の様に溢れている。

 

 そして最後、三度目の貫きでマシュの子宮口を叩き、彼女の一番大切な部分を押し上げる。その瞬間、疲れ切っていたマシュの体は驚くような速度で跳ね上がり、俺の射精する時がわかっていたかのようにそれを受け入れながら叫び、絶頂した。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ ひあぁぁぁぁぁぁぁっ♡ んあぁぁぁぁっっっっ♡♡♡」

 

 高く、高く……未知の領域まで高められたマシュの体は、俺の射精によって更に高くまで押しやられた。マシュの体はまるで上から吊るされているかの様にぴんと伸び、硬直したままだ。

 

 俺はあえてそんなマシュの体を責めはしなかった。硬く尖った乳首もひくつくアヌスも弄らず、肉棒を突き入れられたままの膣と精液を注ぎ込まれている子宮でのみ快感を感じさせる。そこに意識を集中させる事によって、マシュに待ち望んだ快感を強く享受させるという狙いがあった。

 

「あ、あぁ……♡ 先輩のザーメン、愛の証がこんなにたくさん……♡ 幸せ、すぎます……♡」

 

 じっくりと快感を味わったであろうマシュの頭を優しく撫で、体を抱き寄せる。恋人同士がするような甘い口付けをした後で彼女の瞳を覗きこむと、マシュはふわりと微笑んで名残惜しそうにしながら立ち上がった。

 

「先輩……♡ 私はとても幸せです♡ 女としての幸せとは、きっとこの感情を言うのでしょう……♡ 私は、他の皆さんにもこの幸せを感じて貰いたい、ですから……」

 

 マシュがアルトリアの体を引っ張り、俺の前によこす。両手で彼女の性器を広げ、膣口を俺に見せつけながらマシュは言った。

 

「次はアルトリアさんを愛してあげてください……先輩の立派なおちんぽと愛情で、アルトリアさんを気持ち良くしてあげてくださいね♡」

 

 マシュと俺のセックスを傍で見ていたであろうアルトリアの性器はぐっしょりと濡れ、いつでも挿入できる準備が整っていた。自らの弱点をマシュに広げられて赤面しているアルトリアの脚の間に体を置いた俺は、そのまま彼女の腰を掴む。

 

「……良いよね、アルトリア?」

 

「……はい、お願いします」

 

 アルトリアが恥ずかしそうにしながらも頷いたことを確認した俺は、ゆっくりと腰を前に突き出した。未だに硬いままの肉棒がアルトリアの膣内に進入し、彼女の熱が俺に伝わってくる。

 

「はっ、くぅっ……♡ んんっ……♡」

 

「アルトリア、手を出して」

 

 俺に向けて伸ばされたアルトリアの両手を優しく掴む。お互いの指と指を絡ませあう恋人繋ぎで手を取り合った俺は、そのままゆったりとしたセックスを愉しむ。

 

 じっくりとアルトリアの膣を解す様にして腰を動かす。肉棒でアルトリアの中をかき回して彼女の感じる部分を探っていく。甘く蕩ける様な吐息を漏らしながら喘ぐアルトリアを優しく愛し続けながら、俺は丁寧に腰を動かし続けた。

 

「うわぁ……! アルトリアさん、すごく可愛い顔してますね。先輩のおちんぽがそんなに気持ち良いんですか?」

 

「あ、あ……ま、マシュ、見ないで、くれぇ……!」

 

「なんで? 今のアルトリア、すごく可愛いんだから隠すなんて勿体無いよ!」

 

「ま、マスターまで……!? 止めてください、は、恥ずかしいものは恥ずかしくて……ふぅんっ♡」

 

 俺とマシュによる褒め殺しによって顔を赤くしたアルトリアをそのままたっぷりと責めてやる。こつん、こつんと奥を突けば、その度にアルトリアの腰が跳ねて快感を示した。

 

「や、やしゃししゅぎます……♡ ぜんぜんはげしくないのに、いままでのどんなセックスよりもきもちいい……♡」

 

「……可愛いよ、アルトリア……! 恋人みたいなセックスでトロ顔見せて、すごく気持ち良くなってるのがおまんこの震えで分かるよ」

 

「い、言わないでぇ……っ♡ そんなにねっとり愛されたら、心と体が完全に蕩けてしまいます……♡ もう、体がふわふわして言う事を聞いてくれないんですっ♡」

 

 アルトリアの手に力が込められ、俺の手を強く握り返す。俺を求めて無意識の内に起こしてしまった行動を可愛らしく思いながら、俺はまたゆっくりと腰を動かしていく。

 

 完全に媚びきったアルトリアの膣は俺の肉棒に美味しそうに絡みつき、どろどろと涎を垂らしながら快感を貪っていた。激しく犯される事しか知らなかった彼女の体に新しい快感を覚えこませた俺は、それを強くアルトリアに意識させる。

 

「アルトリア、次からは恋人同士がするみたいなイチャイチャセックスをするからね? こんな風にじっくりたっぷり愛して、アルトリアの体をふにゃふにゃにしてあげる……!」

 

「そ、そんなことされたら、私は腑抜けてしまいます……♡」

 

「そうだね。そうしたら、抵抗出来なくなったアルトリアにまた新しい快感を教え込んであげるよ。ソロモンにされたただのレイプしか知らないアルトリアに本物のセックスをたっぷり教えてあげる。ソロモンにされた事なんて忘れさせてあげるよ……!」

 

「ま、マスターにセックスを叩き込まれる……? 私の体の女の部分を支配するつもりですか……?」

 

「……支配なんかしないよ。俺は、アルトリアの事を大切に愛したいんだ。つまらないレイプしか知らないなんて可哀想だよ。本当のセックスはとっても気持ちが良いものなんだからさ」

 

「あ、う……♡ マスターに、セックスを教え込まれて、たくさん愛されるなんて……♡ そんなことされたら、私は……っ♡ くぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 何の前触れもなく絶頂するアルトリア。たっぷりと解された膣が信じられない勢いでびくつき、俺の肉棒を強く刺激する。予想外のその快感に耐え切れなかった俺は、たっぷりとアルトリアの膣内に精液を吐き出してしまった。

 

「あぁぁぁぁ……っっ♡ あったかい……♡ やさしくわたしのなかにしみこんでくるようです……♡ これが、マスターのあいじょうなんですね……♡」

 

 そっと肉棒をアルトリアの中から引き抜けば、夢見心地な彼女のうわ言の様な独り言が聞こえた。ドプドプとアルトリアの性器から溢れてくる俺の精液を見ると再び興奮がぶり返してくる。そんな俺に対して行動をみせたのはマシュだった。

 

「先輩、次は私の番ですよ♡ 今度はこっちにお願いしますね♡」

 

 そう言いながら尻肉を掴んだマシュはそれを左右に広げた。その中央にある窄まりを見せつけながら振り向くと淫らに笑う。

 

「先輩に開発してもらった自慢のけつまんこにおちんぽを下さい……♡ こっちにも先輩の愛情を注ぎ込んで欲しいんです……♡」

 

 ぽっかりと広がったマシュのアナルは物欲しそうに涎を垂らしていた。俺はマシュの尻肉を掴むと、その感触を掌で愉しむ様にして揉みしだく。柔らかく張りのあるマシュの尻を堪能した俺は、中央の窄まりに向けて自分の肉棒を突き出した。

 

「ぐうぅぅっ♡」

 

 遠慮無く、思いっきり奥まで突き入れる。苦しげな、それでいて嬉しそうなマシュの声を耳にしながら届く限りに逸物を捻じ込む。

 

 俺はむっちりと俺を受け止めるマシュの尻肉をぱんぱんと叩きながら腰を円を描くようにして動かす。まるでドリルが掘削作業をするかの様な腰の動きはマシュの腸壁を擦り上げて激しい官能を生み出していく。

 

「んおぉぉぉぉぉ……おっ♡ おしり、ごりごり、けずれてぇ……っ♡」

 

 奥へ、もっと奥へ……四つんばいになったマシュの尻穴を限界まで掘り進めた俺は未知の領域を弄られているマシュの様子を伺う。舌を口から放り出して喘ぐ彼女には余裕と言うものは存在せず、ただアナルから与えられる快感に身を任せている様に見えた。

 

「あ、お、おぉ……おく、おくぅ……っ♡ も、もちあげちゃ、だめですぅっ♡」

 

 そろそろ体位を変えよう。そう考えた俺はマシュの脚を掴むとそれを大きく持ち上げた。自分はベッドの上に座るとマシュを体の上に乗せて腸内に入り込んだ肉棒を彼女の体重で更に押し込む体勢を取らせる。

 

「ほおぉぉぉぉぉっ♡ し、しらないとこまではいってきてまふ……♡ また、せんぱいにおしりをかいはつされてりゅぅ……♡」

 

 脚をM字に開かせてアヌスを下から突き上げる。目の前のアルトリアにマシュの感じている顔と性器が良く見える様にしながら容赦なく責め立てる。部屋の中にはマシュのくぐもった叫びと段々と大きくなる淫らな水音だけが響いていた。

 

「ふかい、とぉっ♡ でるときがすごいですっ♡ ぬぽぽっておとをたてながらぬけると、すごくいいんですっ♡」

 

 貪欲に俺の肉棒を咥え込むマシュのアナルの欲望はとどまる事を知らない。腸液を垂れ流しながら徐々に滑りを良くさせ、もっと大きな快感を得ようと必死にぱくついている。

 

「ふうんっ♡ はいりゅときもしゅごいです……♡ ずんっ♡ って、せんぱいがはいってくると♡ しきゅうがきゅんっ♡ ってするんですぅ♡ ひああぁぁぁぁっ♡」

 

 俺はマシュを貫いたまま立ち上がった。膝に手を入れて支えながら一心不乱に突き続ける。更に激しくなった腰の動きに応える様にして尻肉が叩かれ、大きな音を立て続けた。

 

「おしりっ♡ おしりだけでささえられてますっ♡ おしり、せんぱいのおちんぽしごくためだけのあなになってますっ♡」

 

 何度も繰り返された肛門性交のおかげでマシュのアナルはけつまんこと呼ぶに相応しい感度と質感を手に入れていた。本来出すはずの場所に挿入されて激しく責められてもそれを快感と受け取ってしまうほどに開発されたマシュのお尻。それを作り出したのは俺なのだと言うことに深い充実感を覚える。

 

「わ、私のお尻は、先輩以外のおちんぽを知りません……♡ これまでも、これからも、先輩専用のけつまんこでいさせて下さいっ♡」

 

「もちろんだ、マシュ! ずっとずっと、俺が大事に愛し続けるからっ!」

 

「嬉しいですっ♡ 私も先輩を愛し続けますっ♡ 私は先輩の、先輩だけのデミ・サーヴァントですっ♡」

 

 アナルセックスを続けながらのキス。愛液を飛び散らせながら俺のキスに応え、舌を絡ませてくるマシュの瞳には♡マークが浮かんでいた。

 

 形を変えた令呪、幸せそうな表情、愛を誓ってくれたマシュ……俺は、マシュの心を掴むことが出来たのだろうか? まだちゃんとした答えは出ない。

 

 でも、今は、今だけは、この幸せと快感に全てを忘れてしまいたい。マシュと共に感じられるこの温もりに全てを預け、二人で溶けてしまいたい。そう思いながら激しく腰を振る。唇を交わし続けるマシュの喉が震え、俺の動きと共鳴して行く……

 

「イき、ますっ♡ お尻でイきますっ♡ 先輩もイって下さいっ♡ 私のお尻の中に沢山射精してくださいっ♡」

 

 言われなくてもそのつもりだった。ねっとりと絡みつく腸壁の締め付けに口元を歪ませながら懸命に腰を動かす。限界まで突き続け、マシュの奥深くを穿った時、限界を迎えた俺たちは同時に果てて絶叫した。

 

「んぐぅぅぅぅぉぉぉぉっっ♡ おぉぉっ♡ ほぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 俺の射精と共にマシュが潮を吹いた。体の中に注ぎ込まれたものに対して反応を示した彼女の体が面白くてつい笑みを浮かべる。

 

 対してマシュは恍惚とした表情で腹部を摩る。少しだけ膨れたそこを愛おしそうに撫でた彼女を見ながら、俺が肉棒を抜こうとしたときだった。

 

「ああ、そのままで良い……。マスター、申し訳ないがもう少しだけ休ませて頂きたい。しばらくマシュと二人で楽しんでいて下さい」

 

 俺の行動を止めたアルトリアはそれだけを告げるとベッドにぐったりと倒れ伏した。それを見た俺とマシュは顔を見合わせた後で笑みを浮かべる。

 

「先輩……もう一度して貰っても良いですか?」

 

「一度で良いの?」

 

「いいえ……時間が来るまで何度でもお願いします! 私とケツハメセックスしてくださいっ!」

 

 マシュの言葉にこくんと頷いた俺は再び腰を動かし始めた。それに呼応する様に声を上げ始めるマシュ。心地良い快感を感じながら腰を振り続けた俺は、その後数え切れないほどにマシュの腸内に己の欲望を吐き出し続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……ふぅぅ、はっ……」

 

 一体どれほどの時間が経っただろう? 正確な時間はわからないが、マシュと交わり始めてから大分時間が過ぎたはずだ。なにせ、彼女のお腹は俺が射精し続けた精液のせいでぽっこりと膨れてしまっているのだから。

 

「ふふ……♡ まるで妊娠したみたいですね♡ 出しちゃうのが勿体無いです……♡」

 

 膨れた腹を嬉しそうに撫でるマシュ。今、俺たちは部屋の中にあるシャワールームにやって来ていた。

 

 こんなものまで作ってあるとは流石だなとダヴィンチちゃんの手腕に感心しながらマシュを抱える腕の力を抜いていく。最初のセックスから変わらない体位で愛し合い続けた俺たちは、流石にそろそろマシュの中に溜まった精液を出さなければならないだろうと思ってここに来たのだ。

 

「マシュ、床に下ろすよ。アナルから抜いたら俺は外に一度出るから、その間に済ませちゃってね」

 

 マシュが精液を排泄する間、俺は外に出て行くつもりだった。マシュにも恥じらいがあるだろう、排泄シーンを好き好んで見せたいと思うわけが無い。しかし、彼女は器用に脚で風呂場にあった椅子を動かしながら俺の目を見てこう言った。

 

「待ってください、先輩……この椅子の上に、私を下ろして貰って構わないですか?」

 

「え……? ああ、わかったよ」

 

 俺は言われた通りにそこにマシュの体を近づけていく。その行動に対してマシュは脚を動かすとその椅子の上に座るのではなく跨り、和式便所で用を足す姿勢を取った。

 

「ん……は、ふぅ、ふぅぅ……っ!」

 

「マシュ、大丈夫? その姿勢、辛いんじゃない?」

 

 膨れた腹に屈む様な姿勢はきついだろう。排泄の時の姿勢など取ったら我慢できるものも出来なくなってしまう。事実、今俺が突き入れている肉棒のおかげで排泄にストップがかかっている様なものだ。

 

 もう一度マシュを抱きかかえて体勢を変えさせようとした俺だったが、マシュは俺の目をまっすぐに見るとそれを制した。そして、意を決した口調で俺に言う。

 

「先輩……どうか見て欲しいんです。私が、アナルから先輩の精液を排泄する姿を……!」

 

「えっ!?」

 

 その言葉を聞いた俺は驚いた。実際に便を出すわけでは無いが、それに近しい行動を取る姿を見て欲しいと言ったマシュの真意がわからなかったからだ。そんな俺に対してマシュは頬を染めながらも毅然とした口調で自分の思いを告げてきた。

 

「知って欲しいんです……私の本性を……! 先輩にお尻を弄られて、滅茶苦茶にされてしまうと何も考えられなくなってしまういやらしい私のことを、先輩に知って欲しいんです! そして……見て欲しいんです。先輩しか、あなたしか知らない私の淫らな姿を! 普段の私じゃない、あなたの前でしか見せない本当の私を見て欲しいんですっ!」

 

 言葉の最後の方は涙目になりながら言い切ったマシュを少し呆けた目で見つめる。排泄シーンを見られるなんてどれだけ恥ずかしく、屈辱的なことだろう。しかし、それを覚悟してもマシュは俺に見られる事を望んだ。ならば、その思いに応えない道理は無い。

 

「……わかったよ、マシュ。見せて貰うね、マシュのエッチな姿……!」

 

「は、はいっ! よろしくお願いしますっ!」

 

 マシュの姿勢制御を手伝って体を安定させる。目の前の壁に手を付かせ、前傾姿勢を取らせてあげれば倒れる心配は無くなった様だ。

 

 と、なれば……後は俺の性器を引き抜くだけだ。俺は腰をゆっくりと引いてマシュのアヌスから自分の分身を抜き出していく。下品な声を上げながら喘ぐマシュの尻穴から肉棒が抜き去られた時、いつもはぽっかりと開いたままになっているはずの彼女のケツ穴はぎゅっと締められたままになっていた。

 

「……いつでも良いよ。マシュの好きなタイミングで出して」

 

「は、はい……!」

 

 ふるふるとマシュの尻が震える。肛門が膨れ上がり、今にも排泄が始まりそうになる。堤防が決壊を迎える瞬間、マシュは俺に向かって大きな声で叫んだ。

 

「見てくださいっ♡ マシュ・キリエライトが下品にけつまんこからザーメンひり出す姿をっ♡ だらしない排泄シーンを見てくださいっ♡」

 

 出来る限り下品な言葉で俺に告げたマシュが尻を浮かせる。俺に良く見える様に掲げられたそこの中心、可愛いアヌスが開くシーンが俺にはコマ送りの様に見て取れた。

 

―――ブピィッ♡ ブリュリュリュリュッッ♡♡♡

 

 放屁の様な音、下痢便をひり出す様な音……マシュの肛門から聞こえてきたその音を皮切りに白い精液が勢い良く噴き出して来た。一瞬の事であったが俺の目に焼きつかれたその排泄が終わっても、マシュの尻からは下品な音が止まらないでいる。

 

―――ぷぷぅっ♡ ぷぅぅぅ~~~っ♡

 

「はっ♡ はぁっ♡ すみません、先輩……♡ だらしないけつまんこですいません……♡」

 

 我慢に我慢を重ねていたマシュのアナルは開きっぱなしになっていた。そこから漏れるガスの音が風呂場に響き、下品な演奏を奏でる。顔を真っ赤にしたマシュは俯くと、小さな声で呟いた。

 

「先輩……。こんなに下品な私でも、愛してくれますか? いやらしい、品位の欠片も無い私でも、先輩は……ほひぃぃっ!?」

 

「……出来るわけ、無いだろう……っっ!」

 

 マシュがその言葉を最後まで言い終える前に俺は動いた。彼女のアナルに再び肉棒を突き入れると一気に奥まで貫く。びくびくと震える彼女の耳元で、マシュにしっかりと聞こえる様にして俺は言った。

 

「こんな可愛くてエッチな姿を見せられて、我慢なんて出来るわけ無いだろう!」

 

「あぁぁっ♡ んほぁぁぁぁぁぁっっ♡」

 

 数分前までの行為の再現、また激しいアナルセックスを始めた俺の中には先ほどまでは無かった感情が芽吹いていた。

 

(可愛いマシュ! エッチなマシュ! 下品で、やらしくて、俺しか知らないマシュ! 俺だけのマシュ!)

 

 愛しい、どんな彼女でも愛おしくて堪らない……マシュがソロモンにもう一度奪われるなんて我慢できない。一生手放したくなんか無いと激しく思っている。

 

 嫉妬か、独占欲か、それとも雄の本能か…………この感情がなんと呼ばれるかはわからないし興味も無い。しかし、俺は胸を突く感情のままに叫びを上げた。

 

「マシュ! マシュは誰にも渡さない! ソロモンにも、他の男の所にも行かせない! 絶対にだ!」

 

「へ、あぇぇ……♡ せん、ぱい……?」

 

「いやらしいマシュのけつまんこに何回も射精してやる! もう尻穴閉じなくして、俺の精液の臭いをこびり付かせてやる! 他の奴らにマシュは俺の女なんだってわかる様にマーキングするからな!」

 

「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 嬉しそうな表情でマシュが喘いだ。潮を吹きながら俺に媚びる様にして尻穴を締める。肉棒を締め付けるアヌスの感触に俺もまた呻きながらマシュに言い聞かせた。

 

「マシュは俺の女だ……! 俺がたっぷり愛情を注いでやる! 他の男なんて目に映らない位に愛してやる! だから、だから……俺の傍から離れるな! わかったな!?」

 

「はいっ♡ はいぃぃっ♡ 私は先輩の女です♡ サーヴァントでも性処理奴隷でも肉便器でも無く、先輩の女ですっ♡ もう先輩から離れませんっ♡ 他の男なんて知りませんっ♡ 先輩だけの女になりますっ♡」

 

「マシュ、良い子だ……! 後悔なんかさせない! 絶対に幸せにする! 愛されてる実感を与え続けるからっ!」

 

「んひいぃぃぃぃぃぃぃっ♡♡♡ イクっ♡ イきますっ♡ 先輩の女になってから初めてのケツアクメ、決めますぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 何よりも大切な存在が傍に居続けると誓ってくれた。その幸福感と充実感を胸に俺はマシュの尻穴を穿つ。獣じみたマシュの喘ぎ声も鏡に映るだらしない顔も全てが愛おしい。俺は歯を食いしばって思い切り肉棒を尻の奥へと突き入れると、大声で呻きながら精液を解き放った。

 

「うおぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡♡♡ ほぉぉぉぉぉぉっっっっ♡♡♡♡♡ 射精てますっ♡ 先輩のザーメンっ♡ 愛の証♡ 私のお尻の中に沢山でてるぅっ♡ またお腹が膨らんじゃいます……♡」

 

 おびただしい量、今までの射精量の倍は軽くあろうかと言う量を放ちながらマシュの頭を撫でる。頬に何度もキスを落とした俺は、そっとマシュの耳元で囁いた。

 

「マシュ……またマシュの恥ずかしい姿が見たいよ。沢山お尻に射精するから、もう一度見せて……ね?」

 

「はぁっ……♡ はぁっ……♡ 一度と言わず、先輩が望むなら何度でもお見せします♡ そうしたいんですっ♡ 先輩の望む事をして、愛を示したいんですっ♡」

 

「っっ……! マシュっ!」

 

「あぁぁっ♡ 先輩っ♡ 先輩ぃぃっ♡」

 

 もう歯止めが利かない。何度だってマシュを愛せそうだ。そう思いながらセックスを続ける俺の耳には、うわ言の様なマシュの呟き声が聞こえていた。

 

「……愛しています、先輩……! 私にはもう、あなた以外見えません……♡」 

 

 交わりの時の口約束、その場の空気に流された言葉だと言われればそれでおしまいだろう。しかし、今の俺にはそれで十分だ。

 

 マシュを愛する喜びを感じながら、俺はひたすらに彼女と共に快楽を分かち合い続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシュ・キリエライト 淫紋令呪の第一再臨完了 令呪の形の変化 全ステータスの向上 マスターへの一部能力の譲渡及び忠誠心の強化を確認

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦前夜(マシュ)

 ジル、アーラシュ、そしてアルトリアと合流した俺たちは、彼らが率いるレジスタンスの数も合わせて現状集められる最大の数の戦力を手にした。

 相手がフランスという国の全戦力だと思うとその数は決して多くは無い。だが、こちらに戦う準備が出来たことは間違いないのである。

 

「決戦を挑みましょう。分が悪くはありますが、決して勝てない戦いではありません」

 

 ジルの言葉に頷いて同意を示した俺たちは、ジャンヌたちが率いるフランス軍とどうやって戦うかを話し合い始めた。

 

「こちらの戦力はそんなに多くない、だが、サーヴァントの数ならば圧倒的に有利なはずだ」

 

「アルトリアがまだ戦えないとしても、こっちには6人の英霊たちがいる。これが敵に対するアドバンテージになるはずだよ」

 

「ただの人間相手ならサーヴァントが負けるはずがねえ……けどよ、向こうが飛龍や龍牙兵を使ってくる可能性もあるんじゃねえのか?」

 

『いや、その可能性は限りなく低いよ』

 

 ロビンの疑問に答えたのはダヴィンチちゃんだ。映像越しの青い姿でその理由を説明する。

 

『フランスの人々にとって飛龍たちは恐るべき敵のはずだ。一度は国を滅ぼされかけた化け物たちを自軍の戦力としてなんて使ったら、それこそジャンヌたちに対する不信感が募ってしまうだろうからね』

 

「なるほど……聖女様たちが化け物を操っている姿を見たら、最初の襲撃もジャンヌたちが引き起こしたものだって気がつく奴がいるかもしれねえってことか」

 

『そういうこと! つまりは単純に人間同士の戦争に君たちサーヴァントの力が加わることになるってだけさ!』

 

「なら、軍の司令官は私にお任せを。このフランスの土地と人々のことは私が一番良くわかっています。英雄の皆様を差し置いてこの任に就くのは多少心苦しいですが……」

 

「いや、あんたが一番適任だと俺は思うぜ。他の皆もそうだろ?」

 

 アーラシュの言葉にこの場に集まっている全員が頷いた。その様子に感動したジルは、深々と頭を下げた後で力強く口を開く。

 

「……では、このジル・ド・レェ、全力でこの戦いを勝利に導いてみせます! その為の軍略を練りますので、しばしお付き合いください!」

 

 決戦の予定地を決め、その土地の地図を取り出して策を練る。臨機応変な行動と不測の事態に備えていくつもの行動パターンを話しあう。

 昼頃に始まった軍議は空の色がどっぷりと暗く染まるまで続けられ、全てが決まる頃には日付が変わろうとしていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

 椅子代わりに近くにあった石の上に腰掛けて深く息を吐く。大して役に立てたとは思わないが、あんなに考え事をしたのは久しぶりだった気がした。

 

 いよいよこのフランスでの最終決戦を迎えようとしている。俺は、ジャンヌとジャンヌ・オルタという二人の英霊と彼女たちが率いるフランス国軍を相手取って戦うと言うことに緊張感から来る吐き気を感じていた。

 

「先輩、ちょっとよろしいでしょうか?」

 

 緊張で震えていた俺が自分に対して投げかけられた言葉にはっとして顔を上げると、そこには心配そうな顔で俺を見つめるマシュの姿があった。

 

「な、何、マシュ? 何か用かな?」

 

 とっさに俺は笑顔を作り、なんでもないように振舞う。しかし、マシュには全てがお見通しである様で、俺は彼女にそっと抱きしめられてしまった。

 

「ふむっ……!?」

 

「恐い、ですよね……。相手は国全体と言っても差し支えありません。そんな相手を前にして、怖気づかない方がおかしいと言うものです」

 

 マシュのその言葉は俺の心の中を的確に表現していた。正直、滅茶苦茶恐いのだ。

 今までの人理修復の旅の中で大変な思いをすることはいっぱいあった。国と国同士の戦いに巻き込まれたり、神様と戦うことになったりもしたわけだ。

 だが、こんな風に少ない戦力で一つの国と正面切って戦うことはなかった。勝てる算段があるとは言え、圧倒的に少ない戦力で戦うと言うことが俺の中の恐れを掻き立てる。

 

 それにこの戦いはまだ一つ目なのだ。最初の特異点からここまでハードな戦いを繰り広げることになるとは想像もしていなかった。

 最初がこれならば、次からはもっと厳しい戦いが待っているのかもしれないのだ。そのことも俺の恐怖を煽る結果に繋がっていた。

 

「……恐いんだ。また負けるかもしれないって、そう思っちゃってさ……また、マシュたちが捕まっちゃうんじゃないかって思うと、恐くて恐くて堪らないんだよ……」

 

「先輩……」

 

 そしてなにより、一度敗北していると言う事実が俺の中の不安を更に大きくしていった。負けたらどうなってしまうかということを身を以って知っているということは、恐怖のイメージがはっきりと思い浮かぶと言うことである。

 またソロモンに負けて、マシュたちを連れて行かれてしまうのではないか……そんな思いが否定しきれないことが、なによりの恐れを俺の中に生み出していたのであった。

 

「ごめん、マシュ……。情けないマスターだよね……?」

 

 マシュに抱きしめて貰っている体が震える。強がろうとしてもそれが出来ないでいる弱い俺に対してマシュは幻滅してしまったかもしれないなと考えていると、マシュは更に強く俺を抱きしめながら優しい声で俺に話しかけてきた。

 

「いいえ、あなたはやっぱり優しい人です。だって、自分が死ぬことよりも私たちの身を案じてくれているんですから……そんな先輩のことを情けないだなんて思いませんよ」

 

「マシュ……!」

 

 マシュの胸の中で優しい言葉を投げかけられ、安心感と温もりを覚える。そっと彼女の腕から抜け出した俺はマシュと見つめ合い、唇を重ね合わせた。

 

「んっ……♡」

 

 柔らかいマシュの唇。温かいマシュの体………その全てに幸福感を感じながら長いキスを終えた俺は、再びマシュと見詰め合い、彼女の華奢な体を抱きしめた。

 

「……絶対に守るから、マシュのことを……! もう、どこにも行かせやしないから……!」

 

「はい……! 私も、先輩のことを守ります! 命を懸けて、お守りいたします!」

 

 信頼と愛情を込めた約束を交わす。目の前にいる唯一無二の相棒である愛しい人を守るという決意を固めた俺たちが、再びキスをしようとした時だった。

 

「あ~……ごめんよお二人さん。ちょっと中断してくれるか?」

 

「えっ!?」

 

 短い咳払いの音の後に聞こえてきた声に振り向いてみれば、そこには気まずそうな顔をしたアーラシュが立っていた。俺とマシュは彼に今までの行為を見られていたことに赤面して大慌てする。

 

「わ、え、えっと、その……!」

 

「ああ、すまねえな。俺が邪魔者だって言うのはわかってんだけどよ、どうしてもマスターと打ち合わせがしたくってな」

 

 申し訳なさそうな表情でそう言われてしまうと罪悪感と気恥ずかしさで何も言えなくなってしまう。

 顔を真っ赤にして黙りこくる俺たちの様子を見たアーラシュは、マシュに助け舟を出してくれた。

 

「つーわけでマシュ、悪いが先に部屋に戻っててくれないか? 話が終わったらマスターをそっちに送るからさ」

 

「は、はいっ! 失礼いたしますっ!」

 

 返事をするが早いが、マシュは超高速でこの場から走り去っていった。その背中を見送ったアーラシュが再び俺に詫びる。

 

「すまんなマスター。今、声をかけとかないと魔力供給までまっしぐらだと思ったからよ」

 

「い、いや、良いんだよ、アーラシュ……」

 

 実際そうなってただろうしね、と言う言葉を飲み込む。そんな俺の心の中の呟きも千里眼で見透かしているぞとでも言う表情で俺を見ていたアーラシュだったが、気さくな笑顔を浮かべると用件を果たし始めた。

 

「さぁ、さっさと話しちまおうぜ。マシュをいつまでも待たせておくのは可哀想だしな」

 

 ぽんぽんと俺の背中を叩いてサムズアップを決めるアーラシュ。そんな彼の様子を見た俺は、頬を赤らめながら彼の言うとおり早くマシュに会う為に打ち合わせを始めると、幾つかの取り決めをした後で解散し、マシュの元へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシュに割り当てられた小屋の前に立った俺は、一度深呼吸をした後でその扉をノックした。短い返事の後で扉が開き、マシュが顔を出す。

 

「お待ちしてました、先輩……」

 

 マシュに小屋の中に招き入れられた俺は、彼女から香るシャンプーの良い匂いに鼻をひくつかせた。

 きっと先ほどまでシャワーを浴びていたのだろうなとぼんやり考えていた俺は、マシュに促されてベッドの縁に座る。暫しの沈黙の後、先に口を開いたのはマシュであった。

 

「あ、アーラシュさんに見られてしまいましたね……。ちょっぴり恥ずかしいです……」

 

「ま、まあ、そんなに気にする必要は無いんじゃないかな? アーラシュどころか、レジスタンスの皆も俺たちがそう言うことをしてるって言うのはわかってると思うし……」

 

「でも、やっぱり現場を見られると言うのは恥ずかしいですよ……うぅ……」

 

 頬を赤く染め、顔を手で覆うマシュ。そんな彼女の可愛い仕草を見た俺は我慢が利かなくなり、マシュへと近づくと先ほどのキスの続きを始めた。

 

「せんぱっ!? ……んっ♡ ふぅ……っ♡」

 

「ぷはぁ……。ここなら俺たち以外誰もいないから安心でしょ? 思う存分イチャイチャできるね」

 

「ふふ……♡ 確かにそうですね……んっ♡」

 

 俺の言葉に笑みを見せたマシュからのキス。舌を絡め合う大人のキスを十分に堪能している間にマシュは鎧を消滅させた様だ。全裸になった彼女の美しい体に見惚れながら、俺はもう一度マシュにキスをした。

 

「んっ……♡ 先輩、明日は厳しい戦いになると予想されます。ですから、その……今のうちに、魔力供給をお願いしたいのですが……」

 

「うん、わかったよ。マシュが満足するまで魔力を注ぎ込んであげるね」

 

「はいっ♡」

 

 嬉しそうな表情を見せたマシュを見ていると俺も嬉しくなってくる。俺が裸になろうと服を脱いでいると、マシュはおずおずと言った様子で俺に話しかけてきた。

 

「い、一応、キャットさんとアルトリアさんも誘ったんですが……お二人とも今日は遠慮すると言うことなので、その……」

 

「そっか、マシュと二人っきりなんだね。なんだか久しぶりな気がするなぁ……」

 

 思えばこのフランスに来てからマシュと一対一でセックスをした記憶が無い。カルデアに居た頃は毎日と言って良いほどに肌を重ね合わせて居たと言うのにだ。

 マシュも俺と同じ思いを抱えていた様で、久しぶりの二人きりを堪能するかの様に体を擦り寄らせると、俺に対して甘い声で囁いて来た。

 

「……正直な所、少し寂しかったんです。先輩が他の人たちに取られちゃったみたいに感じてしまって……でも……」

 

 そう言いながら俺の手を取ったマシュは、それを自分の下腹部に持って来て手を触れさせた。

 そこにある淫紋令呪をうっとりと眺めながらマシュは言う。

 

「この間、先輩とのセックスを通じて、先輩が私のことを大切に思ってくれているということが理解出来ました。それに、どんな私でも愛してくれると言うことも……」

 

 そう言った後でマシュが頬を赤らめる。きっとこの間自分が見せた痴態を思い出しているのだろう。

 腸内に射精された大量の精液を自らひり出すと言う下品極まりない姿を見せたマシュ。その恥ずかしい姿を思い返しているであろうマシュの顔は先ほどよりも真っ赤になっている。

 

 そして、それは俺も同じだった。恥ずかしいにも程があるマシュの排泄シーンは、心から信頼してくれている俺だからこそ見せられるものなのだ。その事実を思い返すと嬉しさで胸が高鳴るのを感じる。

 それに、俺もまた彼女に余裕の無い姿を見せてしまった。排泄後の快感と汚い部分を見せた事に対する不安が入り混じったマシュの姿を見た俺は、素直に彼女のことを可愛いと思った。自分の全てを見せてくれたマシュがいじらしく、この上なく愛らしい存在に思えたのだ。

 

 そこからはもう滅茶苦茶だった。可愛すぎるマシュの尻穴を穿ち、何度も射精をした。徹底的に彼女の体を犯し、俺の精を刷り込んでいった。

 「他の男なんか目に映らない様にしてやる」……そんな言葉を口にしながら何度もマシュを抱いた。マシュも俺との性行為を喜んで受け入れ、その日は共に快楽の海に沈んで行った。

 

 ことが終わった後に思ったのは、自分にそんな独占欲があったのかと言う事だった。自分は何人もの女性と関係を持っていると言うのに、マシュに対してこんな思いを抱くと言うのはアンフェアなのだろうが、あの時は心の底から彼女を他の誰にも渡したくなかったのである。

 いや……あの時だけでは無い、今だってそうだ。マシュが再びソロモンに連れ去られることなんて我慢出来ない。絶対に俺の傍から離したくない……そう思っている自分が居る。

 

「マシュ、あのさ……俺、相当都合の良い事ばっかり言ってるけど、それでも良いかな? 他の女の子を抱くこともあるけど、マシュの事を大切に思っていることは絶対だから、だからさ……んっ!?」

 

 言い訳をする様な口調でマシュに話をしていた俺の口が他でもないマシュの唇で塞がれる。長いキスの後で顔を離した俺に向かって、マシュは笑顔を浮かべてこう言った。

 

「大丈夫ですよ、先輩……。私、わかってます。先輩が皆を大切に思っていることも、私の事を大切に思っていることも、全部わかってますから……」

 

「マシュ……」

 

「いつでも私の事を特別扱いして欲しいだなんて思いません。ただ、こうやって肌を重ね合わせる時くらいは大切に扱って欲しいんです……それが私の願い、私の本心ですから……♡」

 

 マシュが俺の体をそっと抱きしめる。俺もまた彼女の背に腕を回して抱きしめ返す。

 お互いの温もりを堪能した俺たちは互いにベッドに倒れこむと、目を合わせてふわりと笑った。

 

「……魔力供給、お願いします。先輩が望むまで、私の事を抱いてください。だって私は、先輩の女なんですから……♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうですか先輩? 気持ち良いですか?」

 

「ああ、最高だよ、マシュ……っ!」

 

 膝をついたマシュが自分の乳房で俺の肉棒を挟む。柔らかくそして張りのあるマシュの胸の感触が敏感に伝わり、俺は呻き声を漏らした。

 

「この間、アリトリアさんにこれをされてる時、先輩すごく気持ち良さそうでした……。だから、今日は私がこれでご奉仕させて頂きますね……♡」

 

「くっ!? うおぉっ……!」

 

 マシュの胸が上下に動き始める。柔らかく俺の肉棒を圧迫する乳房の感触に呻く俺を見て、マシュはクスリと笑みを浮かべた。

 

「私のおっぱいがそんなに気持ち良いんですね……♡ 嬉しいです、先輩♡ もっと気持ち良くなって下さい……♡」

 

「うっ、うわっっ!!?」

 

 マシュは胸の動きを変え、左右の乳房を別々に動かし始めた。ごしごしと肉棒を擦る様に刺激するその動きを前に、俺はとんでもない快感を感じて叫ぶ。

 俺の反応に気を良くしたマシュは、今度はぱふぱふと胸で優しく挟み始めた。二度、三度と乳房を中央に寄せて刺激して来たかと思えば、今度はじんわりと徐々に力を込めて胸を寄せる。激しさと優しさの両方を感じられる奉仕を受けた俺は、すでに限界を迎えようとしていた。

 

「マシュっ! 俺、もうっ……!」

 

「はい、射精して下さい……っ♡ 私のおっぱいに、熱い精子をぶちまけてくださいっ♡」

 

 マシュの胸の動きが激しくなる。たぷたぷと言う柔らかい感触を俺に与えながら動くマシュの胸を前にしてあっけなく限界を迎えた俺は、おびただしく精を吐き出しながらそれをマシュの体にぶちまけた。

 

「うっ、ぐぅぅぅっっ……!!!」

 

「はぁっ♡ 熱い、精子が、こんなに……♡ 先輩の匂い、私のおっぱいに染み込んでます……♡」

 

 マシュの白い肌を白濁とした精液が汚す。大量の精液を胸にぶちまけられたマシュは、しかして嬉しそうに頬を上気させて笑った。

 

「んっ……♡ 先輩のザーメン、美味しいですっ……♡」

 

 自分の胸にこびりついた精液を舌で舐め取り、感想を伝えてくるマシュ。官能的なその姿を見た俺は、喉を鳴らしてマシュに近づく。

 

「あっ……! すいません、先輩。一番最初にすべきことを忘れていました……!」

 

「うおぉぉぉっっ!?」

 

 自分に近づいてきた俺に対して、マシュはそう言うが早いが一息に肉棒を口に咥え、一気に喉の奥まで飲み込んだ。唐突なその行動に驚き、温かさとぬるぬるとした触感に呻く俺に構わず、マシュはじゅるじゅると音を立てて俺の肉棒を綺麗に舐めて掃除していく。

 

「じゅっ♡ じゅぅぅっ♡ れろぉっ♡ じゅぅぅぅぅっ♡」

 

「くおぉぉぉっっ!!?」

 

「はぁ、はぁっ……♡ 先輩のおちんぽ、大きくて逞しい……♡ 咥えると顎が外れちゃいそうです……♡ それに、こびり付いたザーメンも美味しくって、癖になっちゃいます♡ もう止められませんっ♡」

 

 俺の肉棒を綺麗にし終えてもマシュの奉仕は止まらない。竿の部分に舌を這わせ、亀頭を咥えて吸い上げる。更には肉棒全体を口の中に頬張って、激しくディープスロートをしたりもする。その全てに快感を教授した俺は、再び限界を迎えると同時にマシュの頭を掴み、喉の奥へと激しく射精した。

 

「んぶぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 くぐもったマシュの叫び、口の端からは収まりきらなかった精液がこぼれ、涎の様に垂れていく。射精を終え、マシュの口内から竿を引き抜いた俺が荒く息を吐いていると、瞳にハートマークを浮かべたマシュが口を開いてその中身を見せ付けてきた。

 

「あ~~~……♡♡♡」

 

 マシュは俺にじっくり、たっぷりと口の中に射精された精液を見せ付けてくる。俺の視線を浴びたマシュは一度口を閉じると、口の中に注がれた精液を咀嚼し始めた。

 

「んぐっ♡ んんっ……♡」

 

 精液を味わう様に噛み締めるマシュの表情は幸せそのものだ。とても嬉しそうで、とてもいやらしい。

 やがて咀嚼を終えたマシュは大きく喉を鳴らして精液を飲み込んだ。唇や零れた精液も器用に舐め取り、もう一度口の中を見せ付けてくる。

 

「は~~~……♡♡♡」

 

 青臭い息の匂い、それが俺の精液の匂いだと理解した俺の中に情欲と征服感が湧き上がってくる。文字通りマシュの口の中を征服し、マーキングした俺は、知らず知らずのうちに笑みを浮かべていた。

 

「……とっても美味しいザーメンをご馳走して頂き、ありがとうございました……♡ 熱くて、濃厚で……これ以上無いご馳走でした……♡」

 

 深々と頭を下げ、土下座の姿勢を取って俺に感謝の言葉を述べるマシュ。そんな彼女の姿を見て興奮を募らせた俺はマシュに手を伸ばす。

 

「あっ……♡」

 

 困惑した口調で、されどとても嬉しそうな声を上げてマシュは立ち上がった。そのまま俺に促されるままにベッドの上で四つん這いになると、可愛らしく尻を左右に振り始める。

 

「下さいっ♡ 先輩のおちんぽっ♡ ドスケベ後輩のまんこに挿れてくださいっ♡」

 

 ぱくぱくと物欲しそうに開閉を繰り返すマシュの膣口からは、愛液がだらだらと滝の様に流れ出ていた。文字通りのドスケベまんこを曝け出しておねだりをする可愛い後輩の尻を掴んだ俺は、一気に自分の怒張をマシュの膣へと突き入れる。

 

「ひぃぃぃぃんんっっ♡ 挿って、きたぁ……♡ 先輩の、おちんぽぉ……っ♡」

 

 マシュの膣はすでにどろどろに蕩けており、熱く波打っていた。進入してきた俺の分身を優しく受け入れると、それに快感を伝えようとぶるぶると震えている。

 

「あっ♡ おおきぃ……♡ 先輩のおちんぽ、最初にエッチした時よりも大きくなってる……♡」

 

 ぐりぐりと奥へ亀頭を押し込む様に腰を動かせば、マシュの口からはそんな感想が漏れた。

 何度も繰り返して行われたセックスだとか、あるいは淫紋令呪の効力が働いたからだろう。俺自身も自分の分身が逞しくなっていることを感じていた。

 

「俺のちんぽは気持ち良い? マシュは俺のちんぽが好き?」

 

「しゅきれすぅっ♡ せんぱいちんぽ、すごくきもちよくって、だいしゅきれすぅっ♡ ああっ、そんな、ふかいところだめぇっ……♡」

 

「ははっ! 呂律が回って無いよ? まだ全然本気で動いて無いのにその調子で大丈夫なの?」

 

「あ、へぇぇ……♡」

 

 俺は膣の浅い位置に肉棒を置き、マシュの両手首を掴んだ。腰を浮かせて奥まで突き入れる体勢を整えると、一度深呼吸をする。

 マシュの白い背中、形の良い尻……それを見て興奮を滾らせた俺は、一気に奥深くまで肉棒を突き入れた。

 

「んひぃぃぃっぃっっ♡♡♡」

 

 子宮を潰される感触と暴力的な快感にマシュが喘ぐ。俺はそんなこともお構い無しに激しく腰を動かして出し入れを繰り返す。その度にマシュの口からは声にならない叫びが溢れ、膣は振動を繰り返した。

 

「んぅぅぅぅっ♡ すごいっ、しゅごいれすっ♡ せんぱいのおちんぽっ♡ おおきくてたくましくて、すごいぃぃ……っ♡♡♡」

 

 俺はがつがつと腰を動かしてマシュの体を貪る。俺の動きに合わせて前後するマシュの体は小刻みに震え、感じている快感の度合いを示してくれていた。

 彼女の大きな胸も体の動きに合わせて前後に揺れている。乳房同士が激しくぶつかり合って拍手の様な音を鳴らしていることに気がついた俺は、堪らずそれを両手で鷲掴みにした。

 

「あぁぁぁっ♡ おっぱいまで弄るんですねっ♡ 私の体、全部気持ち良くするつもりなんですねっ♡ んきゅぅぅぅっっ♡」

 

 ぐにぐにと力を込めてマシュの胸を揉みしだく。柔らかな彼女の乳房が俺の手の中で形を変えていく事を楽しみながらも腰の動きを緩める事はしない。

 体を密着させて先ほどよりも奥深くまで膣を穿つ俺の動きに対して、マシュは狂った様な叫びを上げて絶頂を繰り返していた。

 

「イクぅぅっ♡ 先輩に気持ち良くされてっ、イッてしまいますっ♡ あぁぁっ♡ またイクっ♡ イクぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 仰け反り、叫び、絶頂する。それを何度も繰り返したマシュの体から肉棒を引き抜いた俺は、マシュを仰向けに寝かせるとその上に覆い被さった。

 大きく脚を開かせてその中心に再び肉棒を挿入した俺は、激しく上から押し潰す様にして腰を振り続ける。

 

「んあっ♡ ああっ♡ すごいっ♡ しゅごいぃぃっ♡」

 

 所謂「種付けプレス」と呼ばれるこの体位でのセックスをマシュは気に入った様だ。上から振り下ろされる肉棒が引き抜かれる動きに合わせてマシュの腰もついてきている。

 まるで俺の肉棒から離れたく無いと言う様なその腰の動きはマシュの意思で行われているものではなく勝手な反応の様だ、彼女も戸惑った声を上げながらもその快感に翻弄されていた。

 

「にゅぉぉぉっ♡ こしがぁっ♡ かってにうごいちゃいまふぅ……♡ せんぱいのおちんぽおってぇ、こしがかくかくしちゃうんれすぅっ……♡」

 

「ホント、俺に吸い付いて離れないね。いらやしいまんこしちゃって、マシュはスケベだなぁ……!」

 

「あぁぁ……♡ いわないでぇ♡ すけべだなんて、いわないれくらはいぃ……♡ ふぅんんっ♡」

 

「脚も俺の腰に絡ませて、だいしゅきホールドしちゃってるじゃないか! そんなに俺と離れたくないの?」

 

「は、いぃっ……♡ 離れたく無いですぅ……♡ 先輩と一緒に、ずっとずっといたいんですぅっ♡」

 

 どちゅっ! どちゅっ! と言う激しい音を響かせながら行われるピストン。イキっぱなしのマシュの膣から漏れる愛液がその音を更に激しくさせ、動きも滑らかにさせていく。

 俺の下で体を震わせるだけの存在となったマシュは、舌を放り出してただ喘ぐばかりだ。

 

「あへぇぇっ♡ あっ♡ んへぇぇぇっ♡ ちんぽっ♡ ちんぽぉぉっ♡」

 

「マシュ、すっごく下品だ……! いつからそんな女の子になっちゃったの?」

 

「せ、んぱいがぁ……私をこうしたんじゃないですかぁ……♡ 先輩のおちんぽから離れられない女に、私を変えたんじゃないですかぁ……♡ んはぁぁぁっっ♡」

 

「ふふふ……! そうだったね、俺のせいだったね……!」

 

 マシュの回答に俺は満足げな笑みを浮かべていた。マシュが肉欲に溺れる様になった理由をソロモンではなく俺のせいだと言ってくれた事が嬉しかったのだ。

 その喜びのままに腰を動かす俺は、そっとマシュの耳元に顔を寄せる。そして、優しい声を出しながら彼女に囁いた。

 

「俺のせいでこんないやらしい女の子になっちゃったんだから……ちゃ~んと責任を取らなきゃ駄目だよね?」

 

「ん……ええ……?」

 

「……これから先ずっと、俺はマシュの事を離さないからさ。ずっとマシュの傍に居て、マシュの事を愛し続けるよ……! だからマシュ、マシュも俺の傍から離れないでね? 約束だよ」

 

 ある意味ではプロポーズにもなる言葉を口にする。マシュはその言葉をぽかんとした表情で聞いていたが、意味を理解すると急速に顔を赤らめて……

 

「ひあぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 激しく絶頂した。びくびくと震えるマシュの体を抱きしめながら、俺は微笑を見せる。

 

「ははは! 嬉しくってイっちゃったんだ? 本当にマシュはドスケベだなぁ……!」

 

「あ、あぁ……あぁぁっ……♡ ずるい、です……♡ こんな、不意打ち……♡」

 

「不意打ち? 不意打ちって言うのは……こう言うのを言うんだよっ!」

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 突如として深くまで膣を抉られる快感を与えられたマシュは体をビクビクと震わせてアクメを決めながら喘ぎ声を上げた。

 もはや俺の体の下で震えるだけの存在となったマシュに対し、俺は一切の遠慮を見せずに腰を振り続ける。

 

「イクっ! イクぅぅぅっ♡ 先輩ちんぽに気持ち良くされて、またイってしまいますぅっ♡」

 

「遠慮しないでイって良いんだよ。マシュが感じてる姿、俺にもっと見せてくれっ!」

 

「あ、あぁっ……♡ 先輩、せんぱいぃっ……♡」

 

 一突きごとにマシュの膣からは愛液が噴き出し、ベッドの周囲に熱い飛沫を舞い散らせる。イキっぱなしになっているマシュの膣を肉棒で激しく責め立てながら、俺もまた自分の絶頂が近いことをマシュに叫んで伝える。

 

「マシュ! そろそろ出すぞっ! マシュの膣にたっぷり射精するからなっ! 覚悟は良いか!?」

 

「はいっ♡ はいぃっ♡ 先輩のザーメン、マシュのドスケベまんこにどぴゅどぴゅ射精してくらしゃいっ♡ イキっぱなしのまんこに膣出し決めてくらさいぃっ♡」

 

「良い返事だっ! くらえっ、くらえっ!!!」

 

「はひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 今までよりも力強く腰を突き出せばマシュの口からは悲鳴にも近い嬌声が飛び出した。痙攣するマシュの体を押さえ込み、俺は何度も彼女の弱点を責める。

 

「ほひぃっ♡ ほひぃぃっ♡ イクっ♡ イってましゅぅっ♡ 先輩ちんぽに突かれて、アクメを決めっぱなしなんですぅっ♡」

 

 いやらしい水音と嬌声を上下の口から漏らすマシュにトドメを刺さんとばかりに俺は思い切りマシュの子宮をプレスした。瞬間、膣が締まる感触と共に一際大きく振動し、愛液が噴水の様に噴き出す。

 その快感に我慢の限界を迎えた俺もまた唸る様な叫び声を上げてマシュの膣に欲望をぶちまけた。

 

「マシュっ! 孕めっ! 俺の子供孕んじゃえっ!」

 

「ひぃぃっ♡ ひぎゅぅっ♡ ひぐぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 子宮口にぴったりと亀頭を合わせ、その中におびただしく精を放つ。本当にそうなってしまえば良いと言う願望を口にしながら、最後の一滴までマシュの子宮に精液を注ぎ込む。

 そのすべてを身じろぎ一つせずに受け入れたマシュは、俺の腰に絡めていた脚を外すとぐったりと体を横たえた。

 

「はぁっ、はぁっ……♡ 凄い……♡ 先輩の精液が、こんなに沢山……♡ 本当に孕んでしまいそうです……♡」

 

 自分の下腹部を摩り、そこに感じる熱に息を荒くさせるマシュ。うっとりとした表情を浮かべている彼女を黙って見ていた俺だったが、再び不意を打ってピストンを再開した。

 

「あへぇぇぇっっ♡ はえぇっ♡ んへぇぇ……♡」

 

「……休んでる暇は無いよ。まだまだ満足出来てないんだからさ……マシュが孕むまで、精液を注いであげるからね……!」

 

「あ、ふぁ……♡ 本気、何ですか? 私を、孕ませるって……んひぃっ♡」

 

「……冗談でこんな事を言うわけないだろう? それに約束したじゃないか、マシュは俺の傍にずっと居るって……なら、なんの問題もないよね?」

 

「あ、あ……っっ♡」

 

 マシュの目にハートが浮かぶ。淫紋令呪もちかちかと光り出し、マシュの感じる快感を増大させていく。

 きゅんきゅんと締まる膣の感触を感じながら笑みを浮かべた俺は、再び激しく種付けプレスを繰り出しながら叫ぶ。

 

「絶対に孕ませてやるからなっ! 今日が無理でも、いつか必ず俺の子供を孕ませてやるっ!」

 

「うあっ♡ んあぁぁっ♡ はげっ、しっ♡ ふあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 俺は何度も激しく出し入れしながら叫んだ。マシュを完全に俺の女にすべく全てを叩き込んでいく。喘ぐマシュの心に刷り込む様にして言葉を投げかければ、マシュもまたうわ言の様に俺に射精を求め始めた。

 

「あ、あぁぁ……♡ くらはぃぃ……♡ 先輩の子供、孕ませてくらひゃいぃっ♡ 子宮に熱いの射精してっ、先輩の子供を産ませて下さいっ♡」

 

「ああっ! 孕めマシュっ! 孕んでくれぇっ!!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ♡♡♡♡♡」

 

 二度目の膣内射精、マシュの体が激しく痙攣し、絶え間なく絶頂していることを俺に伝える。

 俺はひたすらにマシュの中へと自分の遺伝子を送りこむことに夢中になっており、頭の後ろが痺れる様な快感を感じながらも勢い良く射精を続けていった。

 

「は、あぁ……♡ 産みたい、です……♡ 先輩の、赤ちゃん……♡」

 

「俺もマシュに産ませたいよ……! マシュに赤ちゃん産ませて、家族になって……ずっとずっと一緒に居るんだ……!」

 

「あ、く、あぁ……♡」

 

「……だから負けられない。明日も、その次も、これからも……負ける訳にはいかないんだっ!」

 

 強い決意を固めると同時にマシュの体を抱き寄せる。その瞳を覗きこみ、俺の姿が映っていることを認めた後、俺はマシュに言った。

 

「必ず勝とう! 皆を救って、ソロモンを倒して、それで……!」

 

「はい……! 全てが終わった、その時には……!」

 

 まだ先の見えない未来の話、それにこれはただの口約束だ。セックスの時に口にした、熱に浮かされるままに交わした口約束。

 守られる保証なんかない、果たす義理だってないのかもしれない。でも、今はそれで十分だ。

 

「先輩、魔力供給は十分ですけど……私、まだ先輩とシたいです……♡」

 

 マシュからのおねだりを受けた俺は再度腰を動かして膣を穿ち始めた。明日の決戦に備えてそろそろ寝なくてはならないということはわかっているのだが、今はこの昂ぶりを抑えることが優先だろう。

 

「あんっ♡ はぁっ♡ んんんっっ♡」

 

「マシュ……! もっと、もっとっ……!」

 

「せん、ぱぁい……っ♡」

 

 興奮のままに性行為を続けた俺たちは、結局もう少し程度ではセックスを終えることが出来ず、お互いが満足するまで行為を続けてしまったが、そのおかげか翌日はすっきりとした気分で目覚めることが出来たのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

開戦、オルレアン

今回はエロは無いんだ。すまない……



 フランス、オルレアン近郊にて二つの軍が睨み合っている。片方は統一された鎧を身に纏い、母国の旗を掲げたフランス軍。もう片方はばらばらな鎧と武器を手に取るレジスタンスこと反乱軍だ。

 

 両軍の数の差は歴然、フランス軍が10とするならば反乱軍は1か2ほどの兵数しか揃っていない。だが、それでも彼らの目には熱い炎が燃えていた。

 

「総員、奮起せよ! この一戦に我らがフランスの未来がかかっている! 必ず勝利を掴むぞ!」

 

 反乱軍の司令官であるジル・ド・レェの叫びに対し、彼の元に集った兵士たちは大きな声を上げた。

 軍の士気は上々、後は開戦を待つばかりである。

 

 反乱軍の勝利条件はただ一つ、カルデアのマスターたちが聖女たちを倒し、聖杯を奪還することだ。それさえ果たせば狂った歴史は元に戻り、全てがなかったこととなる。

 だが、それが相当困難なことであることも彼らは理解していた。それでもなお戦おうとするのは、彼らの胸に灯る愛国心が成せる業なのだろう。

 

 自分たちの生まれ育った国が歪んで行く姿を見たくない……ただそれだけの思いで武器を取り、困難な戦いに身を投じる彼らは、その名が後世に伝えられることは無くとも間違い無く一人一人が英雄と呼ぶに相応しい存在だった。

 

「全軍、構えっ!」

 

 睨み合いが続く戦場にジルの声が響く。その声を聞いた反乱軍の兵士たちが戦いの構えを取るとフランス軍も応戦の構えを見せた。

 両軍の間に走る緊張感。大勢の人間がいると言うのにも関わらずこの場には人の声はまるで響かないでいる。ただ風の吹き抜ける音が兵士たちの心をざわめかせた。

 

 ジルが馬上で腕を頭上へと振り上げる。この場に集った人々にはその動きがまるでスローモーションやコマ送りの様に見えた。

 頭上に掲げた腕をそのままにしながら、ジルは瞳を閉じる。母国の為に反乱軍の誹りを受けながらも必死に戦う彼は、敬愛した聖女たちの歪んだ姿を見て何を思うのだろうか? もしかしたらこの一瞬、彼の心の中には在りし日々の思い出と共に聖女への思いが過ったのかもしれない。

 

「……行くぞ!」

 

 迷いを、恐怖を、不安を……心の中に存在する負の感情全てを振り払い、彼は瞳を開けた。小さく呟いたその声には、確かな覚悟が籠もっている。

 眼前に広がる膨大な数の敵軍をその目に映し、そして共に戦う心の通じ合った仲間たちへと視線を移した後で、彼は腕を振り下ろしながら、あらん限りの声で叫んだ。

 

「全軍っ、突撃ぃぃっ!!!」

 

「おぉぉぉぉっっ!!!」

 

 鬨の声を上げて反乱軍が前へと突き進む。フランス軍がそれを迎え撃つ。

 今ここに、歴史に刻まれる事の無い戦いが始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いの序盤は、意外な事に数で劣る反乱軍の優勢で幕を開けた。勇猛果敢に突撃してくる反乱軍の兵士たちの勢いに押され、フランス軍の兵士たちは劣勢へと追い込まれていく。

 本来ならば数で勝るフランス軍が有利であるはずのこの戦いがこの様な事の運びを見せているのは、いくつかの理由があった。

 

 まず一つ目が兵士たちの質の差だ。フランス軍は確かに数は多い。だが、それを指揮する将校の実力が彼らの思う以上に低かったのだ。

 

 勇猛な兵や将は早くに死ぬもの……百年戦争の最中、優秀な将軍を多く失ったことの影響がこの戦いの中で顕著に現れていた。

 

 では、そんな戦争の中で鍛え上げられた兵たちがどうしているのかと聞かれると……それらの殆どは、反乱軍に所属していた。

 心ある高潔な武人は今のフランスの姿を見て危機感を抱いた。そう言った人々は自分の手勢を集めて早くにフランス軍から脱出し、反乱軍へと合流したのだ。優秀な将の下には優秀な兵が集う。その為、反乱軍は兵の数こそ少ないものの優秀な兵士と指揮官が揃っていたのだ。

 加えて、フランス軍に残った兵士たちは戦争後の堕落に身を蕩け切らせていた。淫蕩と怠惰に身を任せ、聖女たちとの乱交に興じていた事へのツケが回ってきてしまったのである。

 

 この兵と将の錬度の差が反乱軍の優位の差の一つ。そしてもう一つは、戦っている者たちの中に類稀なる武力を持った存在がいることであった。

 

 当然、その存在とはカルデアのマスターが率いるサーヴァントたちである。彼らは一人一人が万夫不動の英雄であり、魔力の籠もっていない通常の攻撃手段が一切通じない存在でもある。つまり、ただの兵士たちには彼らを倒す手段が存在しないのだ。

 

 先陣を切るスパルタクスが圧倒的な力で敵の防衛網を抉じ開ける。出来上がった隙を見逃さずにタマモキャットが単騎で内部に突入しフランス軍をかく乱すれば、反乱軍の兵士たちの進軍を止める者は存在しなくなってしまう。

 さらに狂戦士二人を補佐する様に動くクー・フーリンとロビンフッドの動きも素晴らしかった。自軍の一部が窮地に陥ると見るやそこに急行し、敵の動きを崩して回る。その動きに救われた兵士たちが何人居たことだろう? 彼ら遊撃のおかげで反乱軍の兵力が守られている事は確かだ。

 そのさらに後ろに控えるマシュとアーラシュの活躍も忘れてはいけない。軍の要である指揮官やカルデアのマスターを守護するマシュ。そして遠距離から的確に弓矢を射るアーラシュの存在が兵士たちに後ろを気にせずに戦わせると言う事を可能にしているのだ。

 

 徐々に劣勢へと追い込まれていくフランス軍。数を頼みにし、圧倒的な戦果を上げて勝つはずだった彼らの心中には焦りの感情が浮かび上がっていた。

 

 しかし、そんな光景を見せられてなお聖女たちは動じないでいる。余裕の表情を浮かべて戦いを見守っていた彼女たちは互いに頷き合うと、口元に黒い笑みを見せたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……行ける、行けるぞ!」

 

「はいっ! 戦いはこちらの優勢です!」

 

 反乱軍の本陣にて興奮気味にそう語りながら、カルデアのマスターは気を引き締めて戦局を見守っていた。今までの経験上、こう言う上手く行っている時には間違いなく何かが起きる……優勢の時こそ気を引き締めなければならないという事は、繰り返してきた戦いの中で十分に理解していた。

 

『行ける! 士気の差が段違いだ! このまま行けばジャンヌたちに手が届くかもしれない!』

 

 通信越しに聞こえるDrロマンの声を聞いても彼は安心しなかった。何か……そう、何か悪い予感が胸によぎっていたからだ。

 こう言う時の自分の予感は当たる。これもまた、今までの戦いの中で学んだ一つの事であった。

 

『……待って、何かがおかしい。何だこの魔力反応は!?』

 

 その予感を肯定する様にロマンが叫び声をあげる。自分の隣に控えるマシュもその声に表情を一変させ、通信を待った。

 

『サーヴァント反応とも違う。でも、それと同じ位強力だ!』

 

『待てよ……この反応、前にも計測した覚えがあるぞ……! これは、確か……!』

 

 ダヴィンチちゃんの呟きを耳にしたその瞬間、彼らの居る場所に影が差した。突如として暗雲が立ち込めた様に日差しが遮られ、太陽が姿を隠す。

 

 一体何が起こったのか? ……カルデアのマスターも、サーヴァントたちも、反乱軍やフランス軍の兵士たちすらも空を見上げてその答えを探る。

 そして彼らは見た。天空に翼をはためかせて君臨する黒き龍の姿を……!

 

「ギャオォォォォォォォッッッ!!!」

 

 空気が震える、と言うのはこう言う事を指すのだろう。その場に居る者全てを威嚇する黒龍の咆哮を前にして、兵士たちは恐れおののき立ち尽くす。

 その龍の姿に見覚えのあるカルデアのマスターたちは信じられないと言った表情を浮かべると、呆然とした様子で呟きを口にした。

 

「あれ、は……!?」

 

『嘘だろう……!? まさか、奴までこのフランスに差し向けられていたなんて……!』

 

 それはかつて特異点となったフランスの戦いでも存在した化け物。数多の飛竜を超えた存在、竜の中の竜。

 こいつを倒す為に幾人もの龍殺しの英雄の力が必要となった。それほどまでに強力で、邪悪な存在。

 己の中にあった嫌な予感が的中した事を悟りながら、カルデアのマスターは目の前に現れた邪竜の名を口にした。

 

「邪竜、ファヴニール……!」

 

 かつて自分を打ち倒した彼の姿を認めた竜は、憎しみと怒りに燃える瞳を煌かせて笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうするマスター!? 奴にどう対処する!?」

 

 そこからの彼の行動は素早かった。すぐさまマシュを連れて本陣を出た彼は、反乱軍の援護を一手に引き受けたアーラシュ以外のサーヴァントと合流し、ファヴニールに対する策を考え始めたのである。

 

「竜種は戦場に出張って来ないんじゃ無かったのか!?」

 

『その予定だったよ! でも、向こうも奥の手として奴を残していたんだ! きっと一体だけだったら何とかフランス市民を丸め込めるとでも思ったんだろうね』

 

「ソロモン様から頂いた治世の力とでも言うつもりかね、まったく馬鹿馬鹿しい!」

 

 クー・フーリンの叫びはもっともだ。類稀なる悪の竜にして邪竜の名を冠するファヴニールを治世の道具と言うなど笑い話にもならないだろう。しかし、それ故にフランス市民たちを納得させられる可能性があることも確かなのだ。

 

 かつてこの国を襲った飛竜とファヴニールとでは同じ竜の名が付いているとは言え、圧倒的な違いが存在している。ファヴニールと比較してしまえば、ほとんどの竜たちは「翼の付いたトカゲ」程度の存在になってしまうだろう。

 故に、まったく違う存在としてフランス市民たちを納得させられるかもしれないのだ。そもそも、ここで圧倒的な力を見せ付けてしまえば、おかしいと思った者も口を噤むに違いないのだろうが。

 

「……今はそんなことよりもあの化け物をどうするか話し合った方が良いんじゃないのかねぇ? 俺たちにもあんまし余裕は無いでしょう?」

 

 冷静なロビンフッドの一言で考えを切り替えた一行は、突如として登場した邪竜によって狂乱の最中へと叩き落された戦場の中で知恵を絞る。しかし、まったくもって良い案が浮かぶことは無かった。

 

『そもそもあいつは前回の戦いでもジークフリートやゲオルギウスなどの高名な龍殺しの英雄の力を借りてやっと倒した正真正銘の化け物だ。今の僕たちに打てる手なんて存在しない!』

 

「それでも放置は出来ません! ファヴニールは無差別に攻撃を仕掛けています。例え敵軍の兵士であろうと、この状況を見過ごすことは出来ませんよ!」

 

 マシュの言うとおり邪竜は敵味方の区別なく攻撃を仕掛けて来ていた。口から吐く炎は人々を焼き焦がし、巨大な翼の羽ばたきで生まれる突風は兵士たちを吹き飛ばす。マシュの宝具である程度の被害は防げるもののその被害は決して軽微では無い。

 特に人数が多いフランス軍の兵士たちの被害は甚大であった。味方諸共反乱軍を滅ぼさんとする邪竜の暴走を止めなくては聖杯の回収前にフランスが滅んでしまうかもしれない。どうにかして奴を倒さねばならない。

 

 だが、ここでサーヴァントたちを消耗させることも避けたい。なぜなら、この後にはジャンヌたちとの決戦が待っているのだ。

 彼女たちとの戦いは激しいものになるだろう。であるならば、万全の状態で望むのが好ましい。

 

(……考えろ、この状況を打破する方法を……! どうすればファヴニールを倒せる!?)

 

 カルデアのマスターは必死になって考える。邪竜を倒すその方法を……しかし、数少ない戦力しか持たぬ彼らにとって、邪竜と言う敵の存在はあまりにも強大すぎた。

 諦めるつもりは無い。だが、勝つ為の方策が思い浮かばない……反乱軍の兵士たちもいよいよここまでかと覚悟を決め、せめて一太刀でもこの巨大な竜に浴びせようと挑みかかろうとした。

 

 その時だった。

 

「っっ……!!」

 

 何かに気がついたカルデアのマスターが空を見上げ、そして俯く。それに続き、彼の周りに控える英霊たちも空を見上げた。

 

 天空に伸びる赤い狼煙、自分たちの本陣の後方から上がるその煙の意味を知るのは、この場ではマスターただ一人だった。

 それは昨日、作戦会議の後に行われた短い話し合いの中で決められた合図。彼が提案した、出来ることならば使いたくない最後の手段。

 

 確かに今こそその時なのだろう。しかし、マスターは彼にそれを使うことをして欲しくなかった。せっかく合流出来た仲間を再び失いたくなかった。

 だが……そんな個人的な感情を彼に伝えてもその意思が変わることは無いだろう。

 

 それが何を意味するか、どんな結果をもたらすか、それは他ならぬ彼が一番良く分かっている。それを踏まえても彼はその道を選択したのだ。

 ならばもうその覚悟を認める他無い。頭ではそう分かっていながらも、胸を締め付ける痛みにマスターは顔をしかめる。

 そして、彼の気さくな笑顔を思い浮かべながら、その名を小さく呟いた。

 

「アーラシュ……!」

 

 赤い狼煙の意味、それは、東方の大英雄が宝具を開放する合図だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本気か? 本気で宝具を使うつもりなのか?」

 

「ああ、そいつが一番の方法だ」

 

 マスターたちが居る戦場の後方、本陣より背後に位置するその場所で東方の大英雄と騎士王が言葉を交わしていた。

 

「あの馬鹿でかい竜を落とすには俺の宝具が一番だ。前線に居る奴らを消耗させるわけにはいかないからな」

 

「だが、しかしっ……!」

 

 アルトリアは彼の宝具を思い出しながら彼に詰め寄る。東方の大英雄、アーラシュの宝具「流星一条」……破格の威力と射程距離を誇るその一撃は、かつて女神ロンゴミニアドとして彼らの前に立ちはだかった自分の宝具を相殺せしめて見せた事からも凄まじい力を秘めていることが分かる。

 だが、その代償として宝具を放った後、アーラシュの四肢は弾け飛び、彼は命を落とす……文字通り、命懸けの一矢を放つ事になるのだ。

 

「考え直せ! 確かにお前の宝具を使えばこの状況を打破できるだろう。しかし、せっかく巡り合えた僥倖を無にすると言うつもりか!?」

 

「……確かにな。今回俺がお前やマスターたちと出会えたのは、単に幸運に他ならない。もしかしたら次はこんな幸運は無いかもしれない」

 

「それが分かっているのなら……」

 

「だが、それでもだ。俺がやらなきゃ未来が消える。そうしたら、いくら幸運が有っても次の機会がねえ。次を作る為にも、ここで命を燃やさなきゃならねえんだ」

 

「っっ……」

 

 力強く、覚悟を決めたアーラシュの声。それを耳にしたアルトリアは言葉を失ってただ俯く。

 それは今の彼の表情を見たことも起因していた。アーラシュは今、悲壮な覚悟を決めた表情も、やるせない思いを抱えた表情も浮かべてはいなかった。

 

「……大丈夫さ、きっとまた会える。この星は、きっとお前やあいつらの未来を照らしてくれる。俺はそう信じてるぜ」

 

 彼はただ笑っていた。あの気さくな笑顔を浮かべ、アルトリアを見ていた。

 そして、彼の口にした言葉に嘘は無かった。彼は心の底から、この絶望的な状況をマスターたちが乗り越えてくれると信じているのだ。

 

「……死が恐くないのか? お前は……」

 

「恐いさ、でもな……もう俺は一人じゃない。共に戦う仲間を得た。信じられる友を得た。そいつらが勇気をくれるから、俺はこの矢を放とうと思えるんだ」

 

「………」

 

 アルトリアはもう何も言うことが出来なかった。ただひたすらに肩を震わせ、俯いている。

 アーラシュはそんな彼女に微笑を見せた後で振り向き、背中越しに語りかけた。

 

「信じてるぜ、騎士王。お前の力と思いと信念を……お前たちがマスターを支えてくれるなら安心だ」

 

「……ああ、その言葉、確かに聞き届けた」

 

 自分へと向けられた言葉に振り向かぬまま頷いたアーラシュは弓を構える。そして、遥か前方に見える黒き竜に狙いをつけると、静かな声で呟いた。

 

「さあ、邪竜……お前に流星を見せてやるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光が、伸びる。それは正に流星だった。

 放たれた矢は星となって天を駆け、ただまっすぐにファヴニールの元へと向かう。東方の大英雄が放ったその一撃は、彼が思い描いた通りの軌跡を辿って飛んで行った。

 

 邪竜はただ、目の前に迫ったそれを見ることしか出来なかった。あまりにも美しく、あまりにも強大なそれを瞳に映した時、彼は何を思ったであろうか?

 兵士が、将校が、オルレアンの市民が……誰もが星の輝きに目を奪われ、その軌跡を目で辿っていく。

 やがて目標である邪竜の元へと飛来した流星は轟音を立ててそれにぶち当たり、その体を貫き、そして……

 

 光が、弾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……アーラシュの霊基の消滅を確認、同時にファヴニールの反応も消失……』

 

「アーラシュ、さん……!」

 

 ダヴィンチちゃんからの報告を受けたマシュが今見た光景を思い返しながら呆然と呟く。

 敵の切り札を討ち果たすことに成功したが、その代償として仲間を一人失ってしまった。その事実に胸を痛め、マシュは瞳に涙を浮かべる。

 だが、そんな彼女の肩を強く抱くと、カルデアのマスターは前を見ながら仲間たちへと語りかけた。

 

「……悲しむのは後にしよう。アーラシュが作ってくれた好機だ。これを無駄にしないためにも、俺たちは俺たちのやるべき事をするんだ!」

 

 力強く、覚悟を秘めた声……仲間を失った悲しみを感じながらもそれを乗り越える意思の強さを見せた彼の姿に仲間たちも励まされる。

 マシュもまた瞳に浮かんだ涙を拭うと彼同様に前を向き、そして強い意志を胸に秘めながら応えた。

 

「はい! 必ずアーラシュさんの思いに応えましょう! 私たちは、私たちのすべき事を……」

 

「あなたたちのすべき事? それは一体なんでしょうか?」

 

「まさか……私たちを倒す、とかじゃあないでしょうね?」

 

「!?」

 

 マシュの言葉に重なる様にして響いて来たその声を耳にしたマスターたちの間に緊張が走る。それは、とても聞き覚えのある声だった。

 かつての仲間の声、少し前に聞いたような、もうずっと聞いていないようなその声……マスターは一つ深呼吸をするとその声のした方向を見る。仲間たちもそれに従い、彼女たちの姿を見た。

 

「……やあ、ジャンヌ。久しぶり……だね」

 

「ええ、お久しぶりですね、愚かなるカルデアのマスターとそれに従う反逆者ども」

 

「ソロモン様に抗うその罪、私たちが裁いてあげましょう」

 

 兵士たちを掻き分けて声の主が徐々に近づいてくる。金と銀の髪の色以外は瓜二つの容姿をした彼女たちに向けてマシュは大声で叫んだ。

 

「ジャンヌさん! オルタさん! 目を覚まして下さい! お二人はソロモンに利用されているんです!」

 

「目を覚ますのはあなたの方ですよ、マシュ。まさかあなたが元マスターに篭絡されてしまうなんてね……」

 

「せっかく刻んで頂いた淫紋令呪もそんな趣味の悪い形に変えて……ソロモン様に申し訳なく思わないの?」

 

 マシュの説得の言葉も今の彼女たちには届かない。それどころか怒りを露にした様子で言葉を返してくる始末だ。

 身に纏うのは竜を模したであろう淫らな鎧。下乳と乳首を申し訳程度に隠し、尻の谷間と前張りよろしく陰部を覆う部分以外は全て丸見えになっている。

 下腹部に刻まれた淫紋令呪も形を変えており、それもまた竜が翼を広げた様な形をしていた。

 

「ああ……。ソロモン様からの愛を感じる……! この鎧と令呪を伝って、素晴らしい力と快楽が注ぎ込まれて来る……!」

 

「ソロモン様、どうぞご覧になってください! 私たちがあなたの敵を完膚なきまでに叩き潰す姿を!」

 

 うっとりとした表情を浮かべ、淫らな鎧と淫紋令呪を至極大事そうに摩りながら二人は呟く。この場にはいないソロモンに対する忠誠の言葉を口にする彼女たちの今の姿は到底見ていられないものであった。

 高潔な精神と信仰心を書き換えられ、色欲と淫欲に身を任せる淫らな雌に成り下がった彼女たちは熱を帯びた視線のままに武器を構える。そして、マシュとタマモキャットに対して最後の警告を行った。

 

「これが最後の警告です。もしもあなたたちがソロモン様に再び忠誠を誓いたいと言うのならば、私たちが口利きをしてあげましょう」

 

「その悪趣味な令呪を消し、匿われているアルトリア・ペンドラゴンを差し出して私たちに降るのならば、命は助けてあげましょう」

 

 激しい威圧感と魔力を放ちながら二人に問いかける聖女たち。マシュとタマモキャットはその警告に対する回答を口にした。

 

「……お断りします。私は、先輩の傍に居続けると決めたんです! その決意を裏切ることは二度としません!」

 

「同じくだぞ! あんなフニャチン野郎に降るなど言語道断! キャットのご主人はご主人だけだ!」

 

「そう……ですか、ならばっ!」

 

 二人の回答を聞いたジャンヌたちの視線が変わった。憎き敵を睨む鋭い視線をマスターたちに向け、魔力を爆発させる。

 戦いの準備は済んだと言わんばかりの獰猛な笑みを浮かべた二人は、同時に手にした旗を自らの敵であるマスターたちに突きつけて叫んだ。

 

「ここで死になさい! 偉大なるソロモン王に逆らった愚か者として、無様に朽ち果てなさい!」

 

「その手助けをこのジャンヌ・ダルクがして差し上げましょう! 煉獄に焼かれ、魂ごと燃え尽きてしまえ!」

 

 白と黒、守りと攻め……正反対の力を持つ彼女たちの魔力が迸り、戦場に緊張感が漂う。

 戦闘態勢を整えたジャンヌたちを見たマスターはもう一度深呼吸をすると……仲間たちに向かって叫んだ。

 

「全員、戦闘準備! これがフランスでの最終決戦だっ!」

 

「おうよ! いっちょ聖女様たちの目を覚まさせてやるとしますかね!」

 

「アーラシュの分までやってやるさ!」

 

「抱擁の時間だ……! 参るっ!」

 

「猫にマタタビ、キャットに小判! 今宵のキャットは荒れているぞ!」

 

 仲間たちの頼もしい声が響く。武器を構え、聖女たちを見据える英霊たちは彼女たちから放たれる威圧感にも怯む様子は見受けられない。それどころか更に激しく闘争心を滾らせている様に見える。

 ぴりぴりとした緊張感が走る戦場、両軍の兵士たちが固唾を呑んでことの成り行きを見守る中、マスターの隣に控えていたマシュが一歩前へと歩みを進める。

 

「行きましょう……! 必ず勝って、先に進むんですっ!」

 

 その言葉が合図になったかの様に英霊たちが動く。跳び、走り、武器を手に思い思いに動く。ただの人間ならば目で追うことすらも困難な戦いを兵士たちはただ見守るばかりだ。

 

 マスターもまた仲間を信じてそれを見守る。いつでも彼らを援護できる様に神経を研ぎ澄ませながら、彼は心の中で強く決意を固めた。

 

(待ってろよ、ジャンヌ、オルタ……! 必ず助けてみせるから!)

 

 敵に回った二人の聖女のことを思い、必ず奪還してみせると強く心に決めた彼は前を見る。自分に出来ることをするために、この道を切り開いてくれた仲間たちの思いに応えるために……

 

 今、フランスでの決戦は、最終局面を迎えようとしていた。

 

 




次回もエロは無いんだ、本当にすまない……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決着の時

 戦場に響く鉄の音、魔力で編まれた武器同士がぶつかり合い、激しく火花を散らす。

 長柄の得物を持つ者同士、ジャンヌと激戦を繰り広げていたクー・フーリンは、大きく朱槍を薙いで彼女を側面から打ち払おうとした。

 

「ふっ!!!」

 

 だが、その動きを読んでいたジャンヌによって槍は止められ、お互いに一瞬の膠着状態が訪れる。そこから先に動いたのはジャンヌだった。

 

「はぁぁぁっ!」

 

 武器ではなく己が身を使った攻撃、その長い脚での蹴りを繰り出す。今度は防ぐ側に回ったクー・フーリンはバックステップでそれを回避するも、崩れた体勢に追い討ちをかける様にしてジャンヌも前に跳んだ。

 

「もらったっ!」

 

 旗を突き出してクー・フーリンの胴を狙う。防御をすり抜けて繰り出されたその攻撃が確実に彼の体を穿つと思っていたジャンヌは、体勢を前に突き進む。

 だが、この危機的状況を前にしてもクー・フーリンの表情には焦りの色はなく。それどころか口元には笑みが浮かんでいた。

 

「っっ!?」

 

 突如、ジャンヌの視界に無数の矢が映る。クー・フーリンの背後から射られたそれは、見事に彼の動きに合わせられていた。

 クー・フーリンの脇を、頭上を、そして顔の横を、ぎりぎりで避けながらジャンヌ目掛けて飛来するその矢をあわやと言う所で打ち払う。

 しかし、攻撃を仕掛けていた体勢はそのままに、繰り出していた武器を引っ込めた彼女に出来た隙を見逃すクー・フーリンでは無い。槍の先端ではなく、石突を使った一撃がジャンヌの鳩尾を捉え、その痛みにジャンヌは短く呻いた。

 

「ぐぅっ……!!?」

 

「ナイスアシスト、ロビン」

 

「前衛を任せてるんだ、援護くらいはきっちりやらせていただきますよ」

 

 手痛い一撃を食らったジャンヌの耳に二人の声が届く。見事に彼らの連携にやられたと言う屈辱と怒りで今の攻撃による痛みを掻き消した彼女は、再び攻撃を仕掛けるべく前へと飛び出して行った。

 

 一方、ジャンヌオルタも戦闘を繰り広げていた。

 憎しみと悪意の込められた黒き炎を燃やし、眼前の敵へと向けるジャンヌオルタ。一度火を着けられたら最期、標的を焼き尽くすまで決して消えないその炎による攻撃は、普通は回避すべきものなのだろう。

 しかし、彼は違った。燃え広がる炎にあえて突っ込み、体を焼かれながらも前進を続ける。全身を焦がされる痛みなどまるで感じていない様に笑いながら、スパルタクスはただ黒の聖女へと突き進んで行った。

 

「おぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

「ちっ!」

 

 ジャンヌオルタはスパルタクスによる重戦車の様な突撃を宙に跳ぶことによってかわす。だが、それを追う様にしてタマモキャットも大きくジャンプして来た。

 

「泣く子も黙る、ネコチョ~~ップ!!!」

 

 飛翔と前方回転の勢いを加えられた鋭い手刀を見舞うタマモキャット。ジャンヌオルタはその一撃をなんとか旗で防ぎ、攻撃を防いだ反動でタマモキャットよりも早く地面に着地しようとした。

 地に脚を着けた後の動きをシュミレートするオルタ。着地と同時に駆け出し、落下中のタマモキャットを狙った攻撃を繰り出す。防御を許さぬ黒炎で彼女を焼き尽くしてやろうと考えた彼女が、あと数瞬で地面に辿り着こうとした時だった。

 

「はぁぁぁぁっっ!!!」

 

「なっ!?」

 

 目の前を覆う巨大な盾の姿に文字通り面食らうオルタ。盾を構えたマシュが彼女目掛けて突貫してきたのだ。

 点では無く面での攻撃であるそれを防ぐ手段は彼女には無く、全身を襲う衝撃を受けて吹き飛ばされたオルタは、地面を二度三度と転がりながら衝撃に荒い息を吐いた。

 

「こっ、のぉっ……!」

 

「小癪な奴らめ……っ!」

 

 劣勢に追い込まれていることを感じた二人が苛立ちを露わにしながら怒りの言葉を吐き捨てる。体の痛みや怪我は淫紋令呪による魔力供給ですぐに回復するのでそこまで問題にはならないが、それもいつまで続くかはわからない。

 彼女たちに刻まれた淫紋令呪がどれほど強化されていようと5対2と言う数の差を埋めるほどの力は無かった。しかも、今回の相手にも同じ物が刻まれているのだ。条件は互角と言って良いだろう。

 

 であるならば、このまま長期戦に持ち込むことは自分の首を絞めることになるだろう。どれほど傷が癒えようとも、消費した体力は戻らない。戦いを長く続けることは数の多い相手に有利に働いてしまう。

 そう判断した二人は一瞬のアイコンタクトの後に陣形を整える。ジャンヌが後ろ、オルタが前……瞬時にお互いの考えを理解した彼女たちは、薄ら寒い笑みを浮かべながら敵の姿を睨んでいた。

 

『ジャンヌ及びジャンヌオルタの魔力が爆発的に上昇! 宝具を開放するつもりだ!』

 

「来るぞ、マスター!」

 

 Drロマンの叫びを聞いたクー・フーリンがマスターへと注意を促す。マスターは、わかっていると目で彼に返答をするとサーヴァントたちに素早く指示を飛ばした。

 

「マシュ! 宝具展開準備! 他の皆もマシュの後ろに隠れて宝具の準備を!」

 

「了解しましたっ!」

 

 お互いに叫ぶようにして応答を返すと、マスターの指示に従ったサーヴァントたちは宝具の展開に魔力を集中させる。彼らには、この後何が起きるのかがわかっていた。

 

 聖女たちが狙うもの、それは短期決戦だ。全力を出せる内に最大威力の宝具を開放して一気に決着をつける、それが彼女たちの出した結論なのだろう。

 最強の盾であるジャンヌの宝具で攻撃を防ぎ、最強の矛であるジャンヌオルタの宝具で敵を打ち倒す。非常にシンプルで強力なその策を破る方法は一つしかない。

 

 そう、宝具の打ち合いだ。

 

「マシュ……わかっているとは思うが、お前さんがどれだけ粘れるかが勝負の鍵だ。頼んだぞ」

 

「はいっ!」

 

 ロビンフッドの言葉に力強く返事を返したマシュは、盾を構えてジャンヌたちを見つめた。

 救国の聖女の宝具にも負けない最強の盾ならばこちらにもある。シールダー、マシュ・キリエライトの宝具もまた防御に特化したものだ。

 

 ジャンヌオルタの宝具をマシュが防ぎ、その間に他の4人で敵の防御を打ち崩す……これは、どちらの攻撃が先に相手の防御を突破するかの勝負だ。同時に、どちらが長く相手の攻撃を受け止められるかの勝負でもある。

 

「……覚悟は決まりましたか? カルデアのマスター……さぁ、最後の勝負と参りましょう!」

 

「……ああ!」

 

 マスターが両腕を構え、手の甲に刻まれた令呪を掲げる。そこに魔力が宿ることを意識しながら、彼は自分の出来る最大の援護をサーヴァントたちに施す。

 

「令呪を以って命ずる! クー・フーリン、ロビンフッド、スパルタクス! 全霊で宝具を開放せよ!」

 

「応ッッ!」

 

「泣いても笑ってもこれが最後、ってね!」

 

「あーははははははっ!!!」

 

「淫紋令呪を以って命ずる! マシュ、タマモキャット! 全力で宝具を繰り出せっ!」

 

「了解しました、マスター!」

 

「おうさ! ぶっちぎるっ!」

 

 令呪を使った命令を下した彼の右腕からは、通常の令呪が三画姿を消した。どうせ時間が経てば回復するもの、惜しむ必要は無いとマスターは頭を振る。

 彼の目の前ではサーヴァントたちが魔力と威圧感を迸らせながら睨み合っている。一触即発の空気の中で動いたのは、互いの防御役となる者だった。

 

「主の御業をここに!」

 

「真名、開帳……私は災厄の席に立つ……!」

 

 ジャンヌが旗を握り、己の神へと祈りを捧げる。

マシュが盾を構え、全身に力を漲らせる。

 一拍の間を空け、二人は同時に己の盾となる宝具を展開した。

 

「『我が神はここにありて』(リュミノジテ・エテルネッル)!」

 

「『いまは遥か理想の城』(ロード・キャメロット)!」

 

 ジャンヌを中心に展開される守護結界。呪い、痛み、攻撃……全ての災厄を一手に引き受ける旗が煌き、その身を守る。

 

 マシュの構えた盾が作り出す騎士たちの城塞。彼女の心が折れぬ限り、その守りが砕けることの無い鉄壁が姿を現す。

 

 お互いに盾は作り上げられた。後はそれを打ち崩す矛を繰り出すだけだ。

 マスターがその思いを心の中に浮かべた瞬間、残った英霊たちが飛び出して行く。相手の形成した守りを崩す一撃を繰り出すべく、彼らは宝具を開放した。

 

「『吼え立てよ、我が憤怒』(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)!!!」

 

 ジャンヌオルタが繰り出すのは憤怒に彩られた黒炎と影の杭。悪しき力と彼女の怒りが形となったそれがマシュの作り出した盾へと向かい、突き刺さる。

 

「『刺し穿つ死翔の槍』(ゲイ・ボルク)っっ!!!」

 

「『祈りの弓』(イー・バウ)!」

 

「見よ! 我が愛は爆発するっ!」

 

「『燦々日光昼午睡酒池肉林』!!」

 

 対して繰り出されるは音速を超える速度で撃ち出される呪いの朱槍、猛毒を孕んだイチイの木、溜めに溜められた痛みの結晶と巨大な猫の幻影。それらが真っ直ぐに結界に向かい、それにぶち当たる。

 

 それぞれの矛が相手の盾を破壊せんと猛進する。戦場には激しい音が響き、衝撃波が飛ぶ。戦いを見守る兵士たちはその衝撃に吹き飛ばされ、気を失う者も居た。

 

「ぐっ、おぉぉぉっ!!!」

 

「こなくそがぁっ!」

 

「あーはははは! はははははは!」

 

「圧政! あっせぇぇいぃぃぃっっ!!!」

 

 カルデア側のサーヴァントたちは気合の雄たけびを上げて攻撃を繰り出す。数の上では彼らが有利だ、しかし……

 

「押し切れないのか……っっ!?」

 

 彼らの全力の攻撃を前にしても聖女の作り出した結界は健在のままであった。徐々に押し込んでいる雰囲気はある、しかし、それ以上に敵の攻撃が激しい。

 必死になって盾を構えるマシュも膝をつきかけるほどの勢い。淫紋令呪によって強化された聖女たちの宝具は、その強力さを更に強めていた。

 

「どう? ソロモン様のお力を得た私たちの宝具は強力でしょう? 早く膝をついて楽になりなさいよ!」

 

「う、うぅっ……!」

 

 炎がマシュの体を焼き、杭による衝撃が盾を構える手を痺れさせる。少しでも気を抜けばその時点で倒れてしまいそうだ。

 必死になって心を奮い立たせるマシュだったが、一際大きな攻撃を受けて盾を掴む手の力が抜けてしまった。そのまま激しい攻撃を前に倒れそうになる彼女だったが、誰かが自分の手を握り、体を支えてくれる感覚に気がつく。

 急ぎ体勢を立て直して盾を構えた彼女が視線を横に向けると、そこには自分と共に盾を支えてくれているマスターの姿があった。

 

「せ、先輩っ!?」

 

「頑張るんだマシュ! 俺も一緒に支えるから踏ん張れっ!」

 

 ただの人間である彼が、激しい攻撃に身を晒しながらも自分と共に立ってくれている………驚きで見開かれたマシュの瞳には、次第に涙が浮かんで来ていた。

 

「負け、られない……! 私たちは、まだっ!」

 

「そうだ! 諦めるわけにはいかない! 俺たちは諦めないっ!」

 

 マシュの心に強い覚悟が灯る。同時に彼女の作り出す城塞はその堅牢さをさらに増し、無類の鉄壁を誇るようになる。

 一時は追い詰めた彼女が自分の攻撃をなおも受け続ける構えを取ったことに舌打ちをしたジャンヌオルタだったが、そんな彼女の目に更に彼女を苛立たせる光景が映った。

 

「矢を射ろっ! ある限り撃ち尽くせっ!」

 

 ジルの号令と共に雨の様に射られる矢の数々……それは、ジャンヌの作り出した結界を前にすれば、なんの意味も無いに等しいものであった。

 だが、それでも反乱軍の兵士たちは矢を射ることを止めなかった。その無駄な行為に対して激しい苛立ちを覚えながら聖女たちは叫ぶ。

 

「何で諦めない!? 何で絶望しないっ!? あなたたちは何故、そんなにも醜い姿を晒してまで戦おうとするのです!?」

 

「所詮無駄な行為だと言うのに! 滅びの時がほんの少し遅れるだけなのに……何でそうまでして戦おうとする!?」

 

 今の彼女たちには理解が出来なかった。自分の身を危険に晒してまでマシュの元に駆けつけたカルデアのマスターのことも、彼に従う英霊たちのことも、無意味な攻撃を続けるフランスの兵のことも、何一つとして理解出来なかった。

 どうせ自分たちが勝つのに、どうせ負ける戦いなのに、何故そこまでして抗おうとするのか? この状況を打破するには、奇跡でも起きない限り無理だと言うのに……

 

「……哀れだな、聖女たちよ。かつてのお前たちならばすぐにわかったその答えをソロモンに心を縛られて見失ったか」

 

 戦場に声が響く。凛とした、美しく力強い声だった。

 自分たちに投げかけられたその言葉を耳にしたジャンヌたちは、わずかな動揺を抱えながらも戦いを続ける。そんな彼女たちに対して、声の主は話を続けた。

 

「確かに人は時に愚かとしか思えない抗いを見せる。無意味で愚かな抵抗、何の意味も無い行いをする馬鹿な存在だと笑われることもあるだろう。しかし……」

 

 マスターはその声のする方向を見た。自分の耳と記憶が確かならば、この声は彼女のものだ。

 徐々に近づいてくるその声が何を語るのかをマスターたちは聞き続けた。

 

「しかし、人が戦う姿を見せる時、その胸には熱い炎が燃えている……愛する人や国を守り、自分たちの未来を取り戻す為に、人は最後まで諦めずに戦い続ける……その行いに、無駄なものなど一つも無い!」

 

 蹄の音が聞こえる。周囲に立つ兵士たちが左右に分かれ、彼女の進む道を作り出す。

 ただひたすらにこの戦場へと駆け付けた彼女は、戦いを続ける仲間たちと敵となった聖女たちを見据え、大きな声で叫んだ。

 

「たとえ愚かでも、醜くとも……それこそが人の真の強さだ! 未来を諦めず、手を取り合って立ち上がるその強さを私は愛している! 今もそうだ、この場で戦いを続けている者の中で諦めている者など一人もいない! 誰もが皆、愛する国を守り、未来を掴み取るべく戦い続けているのだ! 私はそんな人間たちのことを愛している! 誇らしく思う! お前たちが人間が未来を得るために奇跡が必要だと言うのならば……奇跡を起こしてやろうではないか!」

 

 白銀の鎧を纏い、光が渦巻く聖槍を手にした彼女が愛馬と共に天へと駆け上がる。神々しく、凛々しいその姿を見た誰もが彼女に目を奪われていた。

 

「聖槍、抜錨……っ!」

 

 この場に駆け付けるための勇気を与えてくれたアーチャーの笑顔を思い返し、彼女は槍を強く握り締めた。

 今の今まで諦めずに戦いを続けていたフランスの人々と仲間たちの姿を見て、彼女は魔力を解き放った。

 そして、自分の事をまっすぐに見つめている彼の瞳の中に変わらぬ信頼を読み取った彼女は……ほんの少しだけ笑顔を浮かべた。

 

「最果てより光を放て。其は空を裂き地を繋ぐ、嵐の錨!」

 

 口上と共に聖槍が輝きを増す。それは未来を照らす光、彼女の、彼らの、世界の希望を象徴するもの。

 聖女たちは驚きと怒りに身を焦がしながら、突如として姿を現した彼女の名を叫んだ。

 

「アルトリア……ペンドラゴンっっ!!!」

 

「終わりにしよう、堕ちた聖女たちよ! この一撃を以って、このフランスでの戦いに幕を引かせてもらう!」

 

 天空に舞ったアルトリアの体が輝きを放ちながら静止する。それは、彼女の全力の一撃が放たれる準備が出来たことを意味していた。

 王として、英霊として、人を愛する者として……そして、未来を掴むべく戦う者として、彼女は聖槍を構え、その名を叫んだ。

 

「『最果てに輝ける槍』(ロンゴミニアド)ッッ!!!」

 

 まっすぐ、ただまっすぐに天から降り注ぐ一筋の光。それは美しく、そして力強い輝きを放ちながら聖女たちの元へと向かう。

 最後の一押しとして放たれたその一撃はジャンヌの作り出した結界を貫き、その先に居る二人へと突き進んでいく。仲間たちの放った宝具と共に聖女たちを貫いたその一撃は、大いなる輝きを放ちながら広がり、そして収束した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「げほっ! ごほっ! ど、どうなったの!?」

 

 目の前の光が消え、支えていた盾から伝わる衝撃が消え去った事を感じた俺は咽込みながら状況を知るべく周囲を見回す。

 土煙と爆煙に包まれた視界の先で動く物を認めた俺は、そこに視線を集中させてその動きを見守り続ける。

 

「ぐっ、うぅ……!」

 

「うっ、はぁっ……!」

 

 やがて晴れた煙の中から姿を現したのはジャンヌとオルタだった。手にしている旗を地面に突き刺して体を支えて何とか立ち続けているが、彼女たちに戦う力が残っていないことは明白だった。

 呻き、表情を歪ませるジャンヌたちだったが、ついに限界を迎えた旗の柄が中ほどからぽきりと折れた。支える物が無くなってしまった二人の体は地面に崩れ落ち、そのまま動かなくなった。

 

「勝っ、た……のか?」

 

 目まぐるしく移り行く状況に頭がついて行かなかったが、何とか理解出来たであろうその事実を口にする。俺のその呟きを肯定する様に周囲の兵士たちが騒ぎ始めた。

 

「じゃ、ジャンヌ様が、負けた……? き、奇跡は起きないのか!?」

 

「何がどうなっているんだ!?」

 

 混乱と悲鳴が戦場に広がって行く。だが、俺たちにはそんな事はどうでも良かった。

 

『……ジャンヌ・ダルク及びジャンヌオルタの沈黙を確認。霊基を消滅させずに抵抗を封じられるるなんて最高のパターンさ!』

 

「いや、偶然だよ。たまたまそうなっただけさね」

 

 ダヴィンチちゃんの喜びの声に兄貴が返事をする。全力で宝具を放ったせいで疲れが体全体に出ているが、命に別状は無いみたいだ。

 ロビンもスパルタクスもキャットもそう。皆が無事に戦いを終わらせることが出来た。その喜びがじわじわと体を満たして行く。

 

『マシュ、周囲に強力な魔力反応がある。きっと聖杯だ。探してみてくれ』

 

「は、はいっ!」

 

 ドクターの言葉に反応したマシュだったが、彼女も疲れが出ている様だ。すぐには動けない彼女に変わって動こうとした俺は、目の前に光り輝く何かが飛んできたことに気がついた。

 

「これって……!?」

 

「聖杯でしょうね。おそらく聖女たちが所持していたのでしょう」

 

 驚く俺の横に並んだアルトリアがそう答えると聖杯を掴んだ。それを俺へと差し出しながら頭を下げる。

 

「……遅れて申し訳ありません、マスター。間に合って良かった」

 

「来てくれてありがとう、アルトリア。信じてたよ」

 

 差し出された聖杯を掴んだ俺はそう言って彼女に微笑みを向けた。アルトリアは頬を染めた後ではにかんでみせる。

 戦いに勝利した。聖杯も回収出来た。終わったのだ、このフランスでの戦いが……!

 

 俺がそう思った時だった。

 

「く、くくく……あははははははは!」

 

「あーあ、負けちゃった……悔しいけど、認めるほかないわね」

 

 戦場に響いた声に驚いた俺たちは彼女たちの居る方向を見た。俺たちだけでは無い、フランス軍と反乱軍の兵士たちもさきほどまでの騒ぎが嘘であるかのように黙りこくってその方向を見ている。

 この場に居る全ての人間の視線を浴びながら、ジャンヌたちはよろめきながらも立ち上がり、笑った。

 

「戦いに敗れ、聖杯も奪われ、ソロモン様の計画も阻止された……どうお詫びして良いかわからないわね」

 

「でもまあ、仕方が無いと諦めましょう……次の機会に賭ければ良いのですから」

 

 折れた旗を持って立ち上がったジャンヌたちはなおも笑い続けながら会話を繰り広げる。そんな二人に向かって、俺の隣にいるアルトシアが口を開いた。

 

「諦めろ、もうお前たちに戦う力は無いはずだ。我々に従い、捕縛されろ! 自害を許されていないことはわかっているのだぞ!」

 

「……ああ、まったく……そんな簡単にあなたたちの思い通りにさせるとお思いかしら?」

 

「確かにアンタの言うとおり、私たちは自害は許されて無いわ。でもね……私たちは二人組なのよ、この意味がわかる?」

 

 より一層深く、黒い笑みを浮かべた二人が強く旗を握る。その瞬間、俺は彼女たちが何をしようとしているか理解した。

 

「しまっ……!?」

 

「二人居るってことはね……お互いを殺しあえる、ってことよ!」

 

 旗の穂先をもう一人の自分へと向けてそのまま突き出す。後は、お互いの得物を胸に受けて二人で死ぬだけだ。

 死んで消滅してしまえばソロモンの元に戻れる。彼女たちの最後の抵抗は、俺たちに自分たちの身柄を拘束されないことであった。

 

 俺がどんなに急いでも間に合うはずが無かった。二人の突き出した旗は勢い良くお互いの胸へと向かって行く。

 そして、鈍い音を立てて肉に突き刺さると、血飛沫を巻き上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 誰もがその光景を呆気に取られて見ていた。それは、お互いに殺しあおうとしていたジャンヌたちも例外では無かった。

 

 時が止まった様な静けさの中、ゆっくりと血が滴り落ちて行く。俺は、その光景を見ながら駆け出すと大声で叫んだ。

 

「ジルーーっ!!!」

 

「……がふっ」

 

 俺の叫びを受けたジルが口から血を噴き出しながら後ろに倒れた。胸と背中に鋭い一撃を受けた彼が致命傷を負ったことなど俺にだってわかった。

 そう、あの一瞬、駆け出して来たジルが二人の間に割り込むとお互いの一撃から二人を庇ったのだ。自分たちを殺そうとしたジャンヌたちの目論見は、彼のその行動で失敗に終わった。

 

「くっ……!」

 

 邪魔者の乱入で自殺が失敗した事を悟ったジャンヌたちがもう一度旗を繰り出そうとする。しかし、もうそれをするのには遅すぎた。

 

「がはっ!?」

 

 俺と併走していたアルトリアの一撃を受けてオルタが昏倒する。同時にジャンヌも打ち倒され、今度こそ完全に二人は動かなくなった。

 

「ジルっ! しっかりして!」

 

「あ、あ……カルデアのマスター、どの……この戦い、勝てたのはあなたたちのおかげ、です……」

 

「そんなことどうだって良いよ! なんでこんな事を……!?」

 

 ジルに寄り添いながら叫ぶ。そんな俺の姿を見たジルは微笑みを浮かべると自分の心の中の思いを吐露し始めた。

 

「これで、良かったのです……。私は、ようやく悲願を果たせた……!」

 

「え……?」

 

「……かつて、私はジャンヌたちの事を心から信奉しながら、彼女たちの死に際して何も出来なかった……彼女を救うことも守ることも出来なかった。ずっと、それを後悔していました」

 

「………」

 

「ですが今……私は、ジャンヌを守れた。救い出すことは叶わずとも、その命を守ることは出来たのです……」

 

「ジ、ル……!」

 

 視界が涙で滲む。同時に世界が渦巻き、歪んで行く。時代が修正されようとしていることに気がついたダヴィンチちゃんたちが俺たちに向かって通信越しに叫んだ。

 

『皆、カルデアに帰還するんだ! 時代の修正が始まったぞ!』

 

『強くカルデアをイメージして! あと、近い人はジャンヌたちとキャット、アルトリアを連れ帰れる様にしてくれ! こっちも調整してみるから!』

 

 慌しく終わりを迎えようとしている旅のことよりも、今は目の前のジルの言葉を聞くことに専念したい。そう思っていた俺の頬に彼の手が触れた。

 

「……私はここまでです。後は、あなたにお任せします……どうか、ジャンヌを、救い出して……」

 

 その言葉が最後まで紡がれる事は無かった。世界が回る感覚と共に全てが遠ざかって行く。だが、それでも……俺は叫ばざるを得なかった。

 

「約束するよ……! 必ず二人を救い出すから! だから、だから……!」

 

 フランスの旅で俺が最後に見たのは、満足げに微笑むジルの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 段々と意識が覚醒していく。明るくなった視界に映った仲間たちの姿を見た俺は、自分が無事にカルデアに帰還できたことを理解した。

 

「おかえり、ご苦労だったね。作戦は大成功と言える成果をあげたよ」

 

「ん……」

 

 まだ覚醒し切っていない意識のままにダヴィンチちゃんへぼんやりと返事をした俺は、フランスでの出来事を思い返す。長い様で短かった特異点での記憶は、鮮烈に俺の脳裏に焼き付いていた。

 

 タマモキャットとアルトリアを奪い返し、聖杯も入手することが出来た。加えてジャンヌたちの身柄も拘束できたのだから、ダヴィンチちゃんの言うとおりこの戦いは大勝利と言っても過言では無いのだろう。

 だが、こちらに損害がないわけでは無い。せっかく再会できたアーラシュは再び消滅してしまった。これからも彼と一緒に戦えると思っていた俺にとって、その事実は結構ショックであった。

 

「……大丈夫だよ、彼はソロモンに捕まったわけじゃあ無い。またどこかの特異点で会えるかも知れないし、カルデアに召還される可能性も十分にあるさ」

 

 そんな俺の心の中の思いを悟ったのか、万能の天才は慰めの言葉をかけてくれた。お礼代わりに軽く会釈をした俺は、そのまま彼女に問いかける。

 

「ジャンヌたちはどうしてるの?」

 

「ああ……二人なら拘束した状態で同じ場所に放置してあるよ。無論、監視はばっちりさ」

 

 そう言ったダヴィンチちゃんが手で指し示した先を見てみれば、そこにはしっかりと縛られた状態でベッドの上に寝転がされているジャンヌとオルタの姿がモニタリングされていた。まだ気を失っているのか、二人は目を瞑ったまま微動だにしないでいる。

 そんな彼女たちの様子を観察している仲間たちは、口々に自分の意見を口にして話し合いをしていた。

 

「今回の相手は二人組みだ。ってことは、こっちも二人でかかった方が良いのか?」

 

「それが無難だろうね。一対一に持ち込んだ方がリスクは低いだろうし……」

 

「それなら、別々の場所で一人ずつ相手をするのか、それとも同じ場所で二人同時に相手するのかを考えなきゃなんねえな」

 

「そもそも、相手は誰にするんですか? 誰がどちらを相手にするかを考えることの方が優先だと思うのですが」

 

 ロマンやマシュが話し合う様子を見ながら、俺は自分の拳を握り締めた。同時に一つの決意を固める。

 

「先輩。先輩はどうしたら良いと思いますか?」

 

 結論の出ない話し合いに変化を求めるべく話を振ってきたマシュの声に顔を上げた俺は、そのまま仲間たちに向けて一つの頼みを口にした。

 

「皆……二人の相手は、俺に任せて欲しいんだ」

 

「えっ!?」

 

 俺のその言葉にこの場にいる全員が驚きの表情を見せる。

 サーヴァント二人を一人で相手すると口にした俺の真意を探りたいのか、ダヴィンチちゃんは俺に質問をして来た。

 

「確認するけど、何か考えがあるのかい? ジル君との会話で義憤を感じて、考え無しに自分だけで事を解決しようとしているだけだとしたら私は賛成出来ないよ」

 

「大丈夫、ちゃんと考えはあるよ。ジルとの約束を果たしたいって気持ちもあるけど、考え無しに行動するほど俺も馬鹿じゃあないよ」

 

「ん……それを聞いて安心したよ」

 

 俺の返答を聞いたダヴィンチちゃんは満足げに頷くと笑顔を見せた。同じ様に他の仲間たちも俺に信頼を込めた視線を向けてくれる。

 

「お前さんに考えがあるってんならここは任せるとしますかね。頼んだぜ、マスター!」

 

「大丈夫だゾ、ご主人! キャットをメロメロにしたその逸物が有れば聖女などただのチョロインに他ならないはずだ!」

 

「私たちも出来る限りのサポートをさせて頂きます。先輩は、自分の作戦を自信を持って遂行してください!」

 

「聖女丼、美味そうだな……」

 

 若干一名(一匹)を除いて励ましの言葉をかけてくれる。その言葉と行動には、俺に対する深い信頼が見て取れた。

 深く息を吸い込んだ俺は、顔を上げてジャンヌたちが映るモニターへと視線を向ける。そこに映る二人の顔を見た俺は、心の中で小さく呟いた。

 

(必ず救い出してみせる……! 待ってろよ、ジャンヌ! オルタ!)

 

 ジルとの約束と覚悟を胸に部屋から出て二人の元へと向かう。フランスでの戦いは終わった。だが、俺たちには最後の仕上げが残っている。

 時代は修正した。聖杯も手に入れた。後は、ソロモンに奪われたものを奪い返すだけだ。

 

 俺たちの新たなる戦い、その第一歩であるフランスでの旅の果てに迎えた最終決戦。そして、俺たちにとって最も重要な意味を持つその戦いを前に、俺は心を震わせたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

性女→聖女(ジャンヌ&ジャンヌオルタ)

「……ん、うぅ……っ」

 

「あ、二人とも起きたんだね。体は大丈夫?」

 

「ここ、は……?」

 

 目覚めたジャンヌたちは、ぼんやりとした表情で今の自分たちが置かれている状況を理解しようとしていた。

 周囲を見回してみれば今の自分たちが居るのは巨大なベッドの上であり、話しかけている俺が下着姿であることにはすぐに気がつくだろう。

 そして最後に自分たちが拘束はされていないものの全裸であることに気がついた彼女たちは、全ての合点がいったと言う様に頷くとため息をついた。

 

「……犯す気ですね、私たちのことを」

 

「ほんっと下種な考えだこと!」

 

 憎しみと怒りを込めた言葉を俺に投げつけるもジャンヌたちに抵抗する様子は見られない。疲れきった体に力が残っていないことは彼女たちが一番わかっているからだ。

 

 俺は出来る限りにこやかに笑みを浮かべると二人に対して穏やかな口調で話しかけた。

 

「犯すつもりなんか無いよ。ちゃんと合意を取った上でセックスするつもりさ」

 

「ふふ……。口ではそう言っていますが、この状況では有無を言わせるつもりはないのでしょう?」

 

「……まあ、良いわ。相手をしてあげましょう。すぐに無駄だと理解するでしょうけどね!」

 

 憎々しげにそう吐き捨てた後、二人は同じ様にして笑みを浮かべる。俺に対する侮蔑やこれから先の展開を予想した彼女たちのどす黒い感情が篭っているであろうその笑みは、ゾッとするほど冷たかった。

 

「うん、ありがとう。二人を退屈させない様に頑張るよ」

 

 嫌悪感と憎悪を剥きだしにして俺を睨む二人にそう告げると俺もまたベッドの上に乗る。なんにせよ、これで準備は整った。ここからは俺の行動次第だ。

 

「じゃあ、ジャンヌからいくよ。キス、するね……」

 

「ふふ……! ええ、お好きにどうぞ」

 

 真正面からジャンヌの顔を覗きこみ、彼女の唇を貪る。俺の行動に合わせて舌を絡めてくれるジャンヌだったが、キスを終えた後で顔を離してみても彼女に感じている様子は見受けられなかった。

 

「……次は私としましょうか? ねえ、元マスター……!」

 

「うん、じゃあそうしようかな」

 

 俺の心を抉る言葉を囁きながら近づいて来たオルタとも唇を重ねるが、彼女もジャンヌと一緒でまったく感じている素振りを見せないでいる。

 舌を絡めたキス程度では感じないとでもいう様な表情を浮かべたジャンヌたちは、同時にベッドに寝転ぶと俺を誘う様に手招きした。

 

「さあ、次はどうしますか? 胸でも尻でもお好きに弄って下さいな」

 

「でもまあ、そのぬる~い愛撫で私たちが感じるかどうかは別問題ですよ?」

 

 余裕と自信を感じさせる口調でそう囁いたジャンヌたちの間に寝そべった俺は、まず最初にジャンヌの胸に手を伸ばす。

 柔らかくたわわに実ったそこの感触を楽しんでいる俺に対し、ジャンヌは歌う様な口調で感想を口にした。

 

「ああ、とっても素敵ですよ、元マスター……! 欠伸が出てしまうほどに気持ち良いです」

 

 俺を嘲り、感じていないと暗に告げるジャンヌ。オルタもまたそんな彼女の言葉に笑いを隠すことをせずに俺を馬鹿にした表情を向けるとこれまた俺を馬鹿にした口調で話しかけてきた。

 

「いい? 私たちはソロモン様に雌の喜びを叩き込んで貰ったの。熱く、激しい性の交わりを何度も繰り返したの!」

 

「性行為用の魔獣や屈強な男たち、それらの相手を同時に何人も何体も相手をして来たんですよ? そんな激しい快感を知った今、あなたの温い愛撫で感じるとでもお思いですか?」

 

「無駄なのよ、アンタのやっていることは……! 全然全く、意味を成さないってわけ!」

 

 両側からステレオボイスで俺を責めるジャンヌたち。思いっきり俺を嘲笑いながら、退屈だと言わんばかりに肩をすくめる。

 彼女たちの言うとおり、今の俺の愛撫は二人にとっては生温く感じるのであろう。激しい乱交やレイプを経験した二人は、今の俺の手で感じることは無いと思っている様だ。

 

「……諦めなさいよ、元マスター……! どんなに頑張ったって無駄なものは無駄なの。諦めて、私たちをソロモン様の所に返して頂戴」

 

「あなた達に敗れた叱責を受け、弱った霊基を強化する為にセックスをしなければならないんです。一刻も早くソロモン様の元に戻って、肉便器としての責務を果たしたいんですから……ね?」

 

 俺の心を折る様に言葉を投げかけ、ソロモンへの忠義を示すジャンヌとオルタ。彼女たちからしてみれば、この一言で俺が諦めてセックスを終わりにするとおもっていたのだろう。

 しかし、俺はその言葉を無視するとオルタへと責める相手を変えた。右の乳首に吸い付き、後ろから手を回して左の乳房を揉む。空いている右手で彼女の性器を優しく撫でると、オルタは舌打ちをした後で俺を睨んできた。

 

「……馬鹿じゃないの? 無駄だって言っているのがわからない? それとも本当に私たちを抱きたいだけなのかしら?」

 

「まあ、好きにさせてあげれば良いじゃないですか。彼が頑張った分だけ私たちの力が回復するわけですし、そうすればソロモン様の元に帰るまでの時間が短くなるんですからね」

 

「そうね……せいぜい頑張って貰って、力が回復したら一暴れして……ソロモン様の元に戻ったら、こんな生温い快感じゃない極上の快楽を与えて頂きましょう」

 

 そんな二人の会話を耳にしながらも俺は手を休めることはない。激しくは無いが丁寧にオルタを愛撫し、快感を生み出そうとする。

 二人は俺のその行動を無意味なものと考えて嗤っている。だが、それは突如としてやって来た。

 

「んっ……♡」

 

 部屋に響く熱の篭った声、自分の半身が発したその声を耳にしたジャンヌは一瞬だけ怪訝な表情を浮かべたが、すぐさま元通りの笑みを浮かべた。

 

「まったく……サービスが良いことですね。元マスターを興奮させるために感じている振りまでするんですから」

 

「え、ええ……。こいつが興奮すれば、その分私たちの力の回復が、早まる……っっ!?」

 

(……来た!)

 

 かくん、とオルタの首が落ちる。体が熱く火照り、小刻みに痙攣を繰り返し始める。

 吸い付いている乳首は硬く尖り、膣も締め付けを強くして俺の指を咥え込む。そんな体の反応を見せるオルタの口からは、先ほど出たものと同じ熱の篭った声が飛び出して来ていた。

 

「あ~~っ♡ あっ♡ んあぁぁっ♡」

 

「なっ!?」

 

 突然乱れ始めたオルタの姿を見たジャンヌの瞳が見開かれる。俺は、喘ぐオルタの後頭部を抑えて自分の方向を向かせると、開いた口を閉ざす様にして唇を重ね合わせた。

 

「ん~~~っ♡ んん~~~っっ♡」

 

 先ほどと同じキスだと言うのにオルタの反応は凄まじいほどの差を見せていた。びくんびくんと体を跳ね上げ、くぐもった叫びを上げながら俺の手から逃れようとしている。

 しかし、しっかりと抱きかかえられた体を離すことは出来ず、それどころか言うことの聞かない体は俺に擦り寄る様に近づいて来ていた。

 

「にゃんれっ!? どうひてっ!? こんなっ、こんにゃぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 二本の指をオルタの膣の中で器用にばたつかせればオルタは仰け反って叫びながらその快感を主張してくれた。

 俺はトドメとばかりに指を深く突き入れると彼女の快感を爆発させる。オルタは俺の責めに目を見開くと口を大きく開けて叫び声を上げた。

 

「あぁぁぁっっっ♡ んあぁぁぁぁっっ♡」

 

 絶頂し、秘裂から黄金色の液体を噴き出すオルタ。腰はがくがくと震えて上下に痙攣している。

 白目を剥くほどの快感を得て翻弄される彼女を見たジャンヌは、初めて俺に怯えた表情を見せた。

 

「な、何を……何をした!?」

 

「……どう言う意味?」

 

「恍けるな! 薬? それとも魔術!? あんな温い愛撫でこんなに乱れるわけがない! どんな手段を使ったんです!」

 

 俺は叫びを上げて俺を威嚇するジャンヌの質問に答えないまま彼女に近づくとその脚を掴んで左右に広げた。大して濡れていないジャンヌの秘所に舌を這わせ、じっくりと舐めていく。

 

「うぐっ……! こ、こんなの、気持ち悪いだけ……!」

 

 気丈な台詞を口にするジャンヌは、口を真一文字に結んだまま俺の愛撫を耐えていた。性器が濡れない所を見るに本当に気持ち良く無いのだろう。

 だが、それでも俺は舌を休めることはしなかった。じっくり丁寧に性器を舐め続けながらその時を待つ。

 

「んっ、んんっ♡」

 

 ぴくりとジャンヌの体が震える。声も艶が乗ったものになり、女の快感を示すものとなった。

 それを確認した俺は一層じっくりと舌での愛撫を続ける。すると、徐々にジャンヌの声が大きく、そして甲高くなっていった。

 

「ひ、あぁぁっ♡ な、なんでぇっ♡ なんでこんな、気持ち……っっ♡」

 

 とろとろと愛液が溢れ、膣が蕩けてくる。カタカタと震えて首を振りながら与えられる快感の出所を探そうとしていたジャンヌだったが、俺の舌が膣に潜り込んだことに気がつくと狂った様な叫びを上げた。

 

「んひぃぃぃっ♡♡♡」

 

 白く濁った本気汁が噴き出し、俺の顔を汚す。潮吹きを披露しながら先ほどのオルタ同様に痙攣を始めたジャンヌの体を抑えながら愛撫を続ける。

 

「ひぅぅぅっ……♡ んひっ♡ ひぉぉっ……♡」

 

 たっぷりと膣を舐め続けた後で舌を離せば、ジャンヌの表情は完全に蕩けて快感に飲まれてしまっていた。俺はそんな彼女にトドメを刺す。

 秘所の少し上、硬く起立した淫核を唇で挟んだ俺は、そのまま舌で舐めながら思いっきりそれを吸い上げた。

 

「くひゅぅぅぅっっっ♡」

 

 敏感なクリトリスを襲った刺激に耐え切れなかったジャンヌは背中を弓なりに反らせて再び絶頂した。舌を放り出してアヘ顔を晒す彼女の体を転がしてオルタの横に並べた俺は、二人の脚を開かせる。

 

「あ、あ……待って、待ちなさい……」

 

「な、にを、したのよ……? こんなの、ありえない……!」

 

 自分の体が快感に翻弄されていることを認められない二人は、強い視線で俺を睨んで質問をする。自分たちの体が何故ここまで感じているのかわからない二人は、俺が何かをしたと思っているのだ。

 

 薬か、魔術か、はたまた何かの装置か……俺がそんな考えを思い浮かべているであろう二人に手を伸ばすと二人はその動きに反応して体をすくませてしまった。

 また快感を押し付けられる……そんな恐怖を感じている二人の表情を見た俺は、熱を帯びた女体には触れずに彼女たちの頭を優しく撫でた。

 

「えっ……!?」

 

「……俺は二人にやましいことは何もしてないよ。薬も魔術も使ってない、絶対にだ」

 

「嘘よ……! そんな訳無い! そうじゃなきゃ、私たちがイク訳無いじゃない!」

 

「……気持ち良かったの? 俺の指と舌で感じてくれたの?」

 

「っっ……!!?」

 

 言葉尻を捉えられたオルタは赤面すると俺から顔を逸らして黙り込んだ。もうこれ以上俺に調子付かせまいとする彼女の行動を見た俺は、微笑みを浮かべる。

 先ほどまで彼女たちが浮かべていた侮蔑の嘲笑ではなく心から彼女たちを思う笑みを浮かべた俺は、そのまま二人の頭を優しく撫でながら言った。

 

「そっか……! 嬉しいな。俺なんかの手で感じてくれるなんて……!」

 

「ふあっ……♡ ちょ、調子に乗らないことね。こんなのすぐに慣れて、また何も感じなくなるに決まって……」

 

「そうかもね……でも、俺は二人のことを愛し続けるよ」

 

「「!?」」

 

 愛する……その一言に過剰な反応を見せた二人を抱き寄せた俺は、二人の耳元で甘く愛を囁いた。

 

「愛してるよ、ジャンヌ。好きだよ、オルタ……俺は、二人を抱けてすごく幸せだよ……!」

 

「な、何を……!? ふあぁぁっ♡♡♡」

 

 困惑した表情を浮かべたオルタの膣に己の分身を潜り込ませた俺は、そのまま深く彼女の中を穿った。

 びくびくと震える彼女の内部は俺の逸物を強く締め付け、離すまいとしている。

 

「あっ♡ あぁぁっ♡ なにっ♡ これぇっ♡」

 

「な、何をしているんです!? そんな、敵のマスターに抱かれて、気持ち良さそうな声を、上げる、なん、て……!」

 

「イクぅっ♡ イっちゃうぅっ♡ すごいっ、すごいのくるぅぅっ♡」

 

 一突きごとに大きくなっていくオルタの嬌声。それに反比例してもう一人の自分を責めるジャンヌの声は小さくなっていく。

 幾度と無くアクメを繰り返したオルタの体が跳ね回る。その姿を見ているジャンヌもまた頬を紅潮させると喉を小さく鳴らして涎を飲み込んだ。

 

「あぁ、いぃ……っ♡ 体が、ふるえ、て……言うこと、きかな……んひっ♡」

 

「……さあ、次はジャンヌの番だよ」

 

「ひっ!!!」

 

 オルタの膣から肉棒を引き抜いた俺はジャンヌへと向き直る。ジャンヌは恐怖に怯え、小さい悲鳴を上げて俺と距離を取ろうとした。

 

「……どうしたの? 俺が恐いの?」

 

「こ、こわくなんか、あるはずが……!」

 

「大丈夫だよ、心配要らないよ……ほら、こっちにおいで……!」

 

「っっ……!?」

 

 震えるジャンヌの体を優しく抱きしめる。母親が子供にするように彼女の頭を撫でながら、気を落ち着かせるために声をかけ続ける。

 

「大丈夫だよ……俺は、ジャンヌを乱暴に扱ったりしないから……だって俺は、ジャンヌのことを愛してるからね……」

 

「愛、してる……?」

 

「そうだよ。俺は二人を愛してる。だから、二人に乱暴なんか出来ない……悔しいけど、ソロモンがしたみたいに二人を肉便器として扱うことは出来ないんだ」

 

「なによ、それ……? 私たちを、愛してる……?」

 

「うん……。俺は二人を乱暴に扱えない、肉便器にも性奴隷にも出来ない。だから、思いっきり優しくして、思いっきり ()()()ことにしたんだ。……二人には退屈かもしれないけどね」

 

「愛……? 乱暴、しない……?」

 

 どこか浮いている様な感覚で呟く二人の唇にキスを落とす。本当に優しく、感じさせるためのものでは無いその口付けを受けた二人は、少しだけ嬉しそうな笑みを浮かべて頬を赤らめた。

 

「……もう一度動くね。またオルタから始めるよ」

 

「あんっ♡♡♡」

 

 これまた優しく声をかけた後、恋人同士がするセックスの様に甘い快感を二人に与え続ける。決して射精せずに我慢を続けることは、これまでの経験で間単に出来る様になっていた。

 

「ひんっ♡ はぁっ♡ だめっ、らめっ♡ きもっち……ふぅんっ♡」

 

「あぁ、イクっ♡ またイクっ♡ イクのとまらないぃっ♡」

 

 それから数十分間、俺は二人の膣に交互に挿入して腰を振り続けた。何度も何度も二人を絶頂させ、その度に愛を囁く。

 

「可愛いよ、ジャンヌ。俺とのセックスで気持ち良くなってくれてるんだね」

 

「言わないで、くださ……くひゅぅぅっっ♡♡♡」

 

「オルタ、愛してるよ。もっと気持ち良くなって欲しいな……!」

 

「あい、してるなんてっ、いうなぁっ♡ いわれると、アクメとまらなく、なるからぁっ……♡♡♡」

 

 既に二人の秘所はびしょびしょになり、ベッドもぐっしょりと濡れている。快感に蕩けた表情を浮かべる二人のことを抱きしめながら、何度愛を囁いただろうか?

 息も絶え絶えになり、体力が底を尽きかけた頃……オルタがとうとう感じていた疑問を口にした。 

 

「何で射精しないのよ……? 私たちの子宮に出せば良いじゃない、アンタも気持ち良くなってしまえば良いじゃない……」

 

「……それは出来ないよ、オルタ。だって二人は俺のことが嫌いなんでしょ? 嫌いな相手に膣出しされるなんて、すごく嫌なことじゃないか」

 

「え……?」

 

「俺は、二人が嫌がることは出来ないよ。だから射精しない。でも、そうだね、そろそろ……」

 

 そこで言葉を切った俺は二人の様子を探った。ジャンヌもオルタも期待と不安が入り混じった顔で俺を見ている。

 ようやく射精するのだろうか? どこかもどかしいこの官能に終わりを告げてくれるのだろうか? 二人の表情はそう語っている。

 

 俺はそれを確認すると……二人に対して、はっきりした口調でこう告げた。

 

「そろそろ……二人をソロモンの所へ帰してあげるよ」

 

「……ぇ?」

 

 俺の言葉を聞いた二人の口から空気が漏れる様な音がした。その言葉の意味を理解していくと共に彼女たちの目が見開かれていく。

 呆然としている二人を尻目にベッドサイドのダッシュボードに手を伸ばした俺は、そこに置いてあったカードを手に取るとその中に封じられていた概念礼装を顕現させた。

 

「それ、は……?」

 

「見てのとおりのナイフだよ。これで二人を殺して、ソロモンの所に帰してあげるね」

 

「ほ、本気、なの……?」

 

「ああ……何度も言うけど、俺は二人を愛してる。本当はこんな事したくないよ、でもさ……」

 

 俺は物憂げな表情を作ると手に持つナイフへと視線を向けた。そこに映る自分の顔を見ながら、自分自身に言い聞かせる様にして言葉を紡ぐ。

 

「二人は俺に愛されるより、ソロモンの元で肉便器として生きたいんだもんね……。その願いを踏み躙ることは、俺には出来ないよ。だから、涙を呑んで二人を殺すね」

 

「あ……? あ……!?」

 

 俺の言葉に明らかな動揺を見せた二人はおろおろと泣きそうな顔を見せながら俺のことを見つめていた。多少の心苦しさを感じながらも、俺はそんなジャンヌたちに追い討ちをかける。

 

「……肉便器として獣や名前も知らない男たちに犯され続けることが一番の幸せなんだよね、ジャンヌ?」

 

「そ、れは……」

 

「……俺に愛されることなんか、性奴隷としての人生がくれる快感に比べたらちっぽけな物でしょ、オルタ?」

 

「な、なんで、そんなこと、聞くのよ……?」

 

「二人は、俺よりもソロモンを選ぶんでしょ? 犯されて、汚されて、ボロ雑巾みたいに扱われて……愛されることなんて一生無い人生がお望みなんでしょ? 俺は、そんな酷い事出来ないからさ……二人がそれを望むなら、ソロモンの所に送るしか無いよ」

 

「あ、あぁ……あぁぁぁぁぁっっっ!!?」

 

 俺の言葉を聞いたジャンヌとオルタは同時に叫び声を上げた。目には涙が浮かび、体が恐怖に震え始める。

 ジャンヌは自分自身を慰める様に抱きしめ、オルタは歯をカチカチと鳴らしながら震えている。その光景を見た俺は、とても心が苦しくなった。

 

「犯される……? 処刑される前みたいに……? それが、私の望み……?」 

 

「あ、あ、愛され、ない? 温もりが無い、苦しみしかない、あの地獄を、一生味わうの? そ、そんなの、そんなのっ!!!」

 

 二人の反応を見た俺は、自分の考えが正しかったことを確信した。俺の考えた作戦は、彼女たちにとって覿面の効果をもたらしたのだ。

 

 生前、聖処女「ジャンヌ・ダルク」フランスの窮地を救った。その名の通り、彼女は男に抱かれることは無かったのだろう。もし例外があるとすれば、それは処刑前に捕らえられた敵国にて陵辱されたことしかありえない。

 つまり、彼女の知っている性経験はレイプの一つだけだ。牢獄の中で男たちの慰み者にされた記憶しかない彼女たちがそれに良い感情を抱くはずも無い。

 しかし、ソロモンはどうやってかは知らないが篭絡せしめて見せた。奴のやり方から考えて、間違いなく二人の心を折ってから支配したのだろう。またしてもジャンヌは、生きていた頃と同様に男たちの慰み者となったのである。

 

 淫紋令呪の効果と施された暗示によって、ジャンヌたちはたとえ自分たちが忌避していたレイプですらも幸せを感じられる体にされてしまった。彼女たちの言葉を借りるならば、雌の悦びを叩き込まれたと言う奴だ。

 だからこそ、俺が取ったのは、それと真反対の行動だった。

 

 深い愛情と優しさを持って二人に接し、俺が二人を愛していることを何度も伝える。性行為の本来の目的である()()()()()()()()()を目的とした俺のセックスは二人の心を溶かし、()()()()()()()()を教えることに成功したのだ。

 後は単純な勝負、ソロモンに受けた陵辱の記憶と俺との性行為のどちらかを二人に選ばせるだけだ。その点に関しても俺には勝つ自信があった。

 

 先ほどの述べた通り、ジャンヌたちは生前に受けた陵辱の記憶を忌避している。レイプや肉便器扱いなどは身の毛がよだつほどの嫌悪感を感じるはずだ。

 俺の作戦が上手く行ったならば、二人はそのことを思い出すだろう。ソロモンの元に戻れば自分たちの大嫌いなレイプが待っている。その事に気がついたからこそ、二人は激しく動揺して体を震わせているのだ。

 

(……ごめん、ジャンヌ。ごめん、オルタ……)

 

 彼女たちのトラウマを抉る真似をしたことに罪悪感を感じる。何が二人を傷つけないだと自分で自分を責めながらも、俺は二人を取り戻すためになら何でもしてやると決めてこの作戦を決行した。

 そしてそれは成功した。ジャンヌたちは今、ソロモンの元に戻ることを心の底から恐怖している。この機を逃さず、俺はナイフを手にして最後の選択を突きつけた。

 

「……さあ、まずはオルタからだ。ジャンヌはちょっと待っててね」

 

「え、や、あ……!?」

 

「二人は胸が大きいから心臓を一突きとはいけないね。出来る限り苦しくしないためにも、喉を切らせてもらうね」

 

 そう言いながらオルタの首筋にナイフの刃をあてがう。慈悲を感じさせる口振りで話し、悲しげな表情を浮かべながらオルタを見る俺は、そのまま彼女に別れの言葉を告げた。

 

「……じゃあね、オルタ……ソロモンの所で肉便器として幸せに過ごすんだよ。俺は、オルタが幸せになることを祈ってるから……!」

 

「あ、あぁ……ひっく、うぅぅ……」

 

 オルタの瞳から大粒の涙が零れ落ちる。次々と溢れて止まらないそれが喜びの涙で無いことはすぐに分かる。

 だが、ここで手を止めるわけにはいかないのだ。俺はそっと手でオルタの涙を拭うと、最後の言葉を告げてナイフを持つ手に力を込めた。

 

「……さよなら、オルタ」

 

 俺は本気だった。もしもオルタがなんの行動も起こさなかった場合、本当に殺してしまうつもりで腕に力を込めた。そこまでしなければ彼女たちを騙すことなど出来ないと思ったからだ。

 それは間違いなく賭けだった。失敗すればオルタを失う、一世一代の博打……勝負に出た俺は、見事にその博打に勝利した。

 

「い、いやぁぁぁっっっ!!!」

 

 首を切られる寸前、叫び声をあげたオルタが俺の手を叩いてナイフを叩き落したのだ。体に残された力を振り絞っての抵抗を受けた俺は、胸を高鳴らせながら彼女に尋ねる。

 

「……どうしたの? 死ぬのが恐いの? 大丈夫だよ、痛いのは一瞬だからさ……それで、ソロモンの所に戻れるから、我慢しようね」

 

「違う、ちがぁう! や、やだっ! いやなのぉっ!」

 

「俺に殺されるのが嫌なの? だったら、ジャンヌに殺して貰う?」

 

「そうじゃない! そうじゃない! 戻りたく、ない……!」

 

 段々と小さくなっていくオルタの声を聞いた俺は、彼女を抱きかかえると自分の膝の上に座らせた。

 驚いた表情を浮かべたオルタに向かって、俺はもう一度先ほどの言葉を言うように促す。

 

「……ごめん、聞き間違えたかな? オルタは今、ソロモンの所に戻りたくないって言ったの?」

 

「……そう、よ。戻りたく、ない……!」

 

「何で? 肉便器として扱って貰うことが、性奴隷になることがオルタの幸せじゃなかったの? ソロモンの所に戻ればそうして貰えるよ? おしおきとか、霊基を強化するとか、色々理由があるじゃないか」

 

「嫌……いやぁぁぁぁぁっっ!!! そんなの嫌っ! いやぁぁぁっっ!!!」

 

 俺の言葉を聞いたオルタが狂った様に暴れだした。もがき苦しむように体をばたつかせ、腕を振り回している。

 俺はそんなオルタを優しく抱きしめると彼女を落ち着かせるために背中を撫でてやった。俺のその行為に目を見開いたオルタは、動きを止めて短く呻き声を上げ続ける。

 

「あ……! あぁっ……!」

 

「……ねえ、オルタ。もしかしてオルタは、肉便器になりたくないの? 性奴隷になることが幸せじゃあなくなったの?」

 

「あ、あぁぁ……あぁぁぁぁ……」

 

「大丈夫だよ……! 素直な気持ちを俺に教えてよ。俺、オルタの正直な気持ちを知りたいんだ」

 

 オルタの目を真っ直ぐに見てそう伝える。オルタは小さく体を震わせ、迷った表情を見せた後で俺の耳元へ自分の口を近づける。

 そして、正直な思いを吐露してくれた。

 

「……アンタに愛されたい。愛して欲しい……! アンタがくれた温もりと幸せをもっと味わいたいの。だから……あぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 オルタの宣言を聞いた俺は、すぐさま彼女の膣へと己の肉棒を突き入れた。媚肉を割り裂いて入ってくる熱い感覚に幸せそうな声を上げたオルタに向けて優しく声をかける。

 

「嬉しいよ、本当に嬉しい……! オルタは俺のことを選んでくれたんだね?」

 

「は、あぁぁ……っ♡ これぇ、すごいっ……♡ 温かくって、幸せで……気持ち良すぎるっっ♡」

 

「これが良いんだ……? なら、好きなだけ味合わせてあげる。オルタのこと、思う存分愛してあげるからね」

 

「ひやぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 胸の中にオルタの体を招きいれ、強く抱きしめながら腰を突き上げる。一突きごとにオルタは歓声を上げて快楽に従順になっていった。

 

「気持ち良いっ♡ アンタのちんぽっ♡ どんな男よりも逞しくて、どんな獣よりも丁寧で……ううん、愛されてる実感が、何よりも幸せをくれるのぉっ♡」

 

 オルタの秘所から滝の様に流れる愛液。止まる事を知らないそれが俺の肉棒で搔き出され、シーツに水溜りを作っていく。

 淫らな水音を膣から響かせ、口からは嬌声を上げるオルタの表情は幸せそのものだ。いつしか彼女も腰を上下させて俺と共に快感を貪ろうとしていた。

 

「おくっ♡ そこっ♡ ああっ♡ しきゅうっ♡ もっとほしいっ♡ もっと愛してっ♡♡」

 

 俺の動きに合わせて腰を振り、より深い快感を得ようとするオルタ。俺もまた彼女に気持ち良くなって欲しくて、全力のピストンを開始した。

 

「んひぃぃぃぃっっ♡ すごいっ♡ すごいぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 何度もアクメし、痙攣するオルタの膣。そこに挿っている俺の肉棒を強く刺激し、快感を与えてくる。

 ずっと我慢し続けてきた俺だったが、そろそろ限界が近い。俺は更に強くオルタを抱きしめると彼女の耳元ではっきりとした声を出した。

 

「オルタ、射精するよっ! オルタの膣に精液出すからっ!」

 

「あ、ああぁっ♡ 来てっ、来てぇっ♡」

 

 お互いの腰の動きが激しさを増す。どちらとも無く唇を重ね合わせ、舌を絡ませて愛し合う。

 目に♡マークを浮かべたオルタの幸せそうな表情を見ながら限界を迎えた俺は、彼女とキスをしたままおびただしく子宮の中へと己の精を解き放った。

 

「ん~~~~っっっ♡♡♡」

 

 全身を痙攣させて快感の深さを表現するオルタ。くぐもった叫びを上げながら喉を震わせて絶頂の雄たけびを上げる。

 たっぷりと射精した俺はオルタが落ち着くまで彼女の体を抱き続けてあげた。しばらく後、絶頂の余韻が去った体を擦り寄らせながら、オルタは長く続いたキスを止めて唇を離した。

 

「ぷ、はぁ……♡」

 

 俺とオルタの舌を繋ぐ銀色の橋が架かる。いつもは素直じゃない彼女が甘える子猫の様にじゃれ付いてくることを幸せに感じながら、俺は彼女に質問をした。

 

「ねえ、オルタ……君のマスターは誰? ソロモン? それとも……」

 

「……はっ! 今更何を聞いてんのよ? 馬鹿(バッカ)じゃないの?」

 

 自信たっぷりの声、人を小馬鹿にした様な笑み……俺の知る姿を取り戻したオルタは、真っ直ぐに俺を見つめている。

 その事を喜び、幸せを感じていた俺に対してほんの少しだけ頬を染めた彼女は、俺にしか聞こえない小さな声で質問の答えを呟いてくれた。

 

「……アンタに決まってるでしょ、マスター♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あふっ♡ ふうっ♡ んあぁっ♡」

 

 オルタの声と彼女が奏でる水音が部屋の中に響く。オルタは少し前までの強情な態度が嘘であるかの様に素直に快楽を享受しながら淫らに喘いでいた。

 

「そこっ♡ そこがいいっ♡ もっとつよくっ♡ もっと愛してぇっ♡」

 

 背面座位の体位で後ろから彼女を抱きしめながら膣の深くまで貫く。亀頭で子宮を押し上げてやれば、オルタの口からは嬉しそうな声が漏れた。

 

「イクっ♡ またイクっ♡ 深いの、気持ち良すぎるっ♡ あぁぁぁっっ♡」

 

 思い切り仰け反り、膣から白く濁った本気汁を垂れ流しながらオルタは絶頂した。幸せそうに表情を歪ませた彼女がねだるままに唇を重ね合わせ、舌を絡ませあう。

 たっぷりの愛を注いでやれば、もうそれだけでオルタは達してしまいそうになっていた。目は快楽に蕩け、膣もぐっしょりと濡れそぼっている。

 

「胸、揉んでよ……♡ あそこも沢山突いてっ♡ キスも忘れるんじゃないわよ……♡」

 

「ふふふ……! オルタは欲張りさんだなぁ!」

 

「何よ、文句あるの?」

 

「いいや……可愛いなと思ってさ」

 

「……何言ってんのよ……馬鹿」

 

 口ではそう言いながらもオルタは嬉しそうだ。更に強く俺へと体を寄せ、快感を求めてくる。

 俺は、そんな彼女の柔らかな体の感触を楽しみながら視線を真正面へと向けた。

 

「う、嘘よ……! こんな、こんな……っ!?」

 

 俺の視線の先には、もう一人の自分が仲睦まじく敵のマスターと交わっていることを悪夢でも見ているかの様に呆然と見守るジャンヌの姿があった。彼女は静かに首を振り、現実を受け止められないと言う表情で固まっている。

 

「なに、やってるんですか、黒い私……!? そんな奴、さっさと殺して、ソロモン……様の元に戻らないと……」

 

「……はぁ? 何言ってんの? 戻りたきゃ一人で戻れば良いじゃない。私はここに残るわ」

 

「っっ!?」

 

 自分自身へと向けられたオルタの決定的な宣言を耳にしたジャンヌは驚きを隠せない表情を浮かべている。そんな彼女の様子がなんだかおかしくて笑ってしまった俺だったが……

 

「ちょっと、何見てるのよ? アンタが見なきゃいけないのは私でしょう?」

 

「むっ!?」

 

 頬をぷくりと膨らませたオルタが自分から唇を重ね、ねっとりとしたキスをして来たのだ。その積極的な行動に驚いた俺だったが、彼女の瞳が俺に何かを語りかけていることに気がついた。

 

「……!!!」

 

「んっ……」

 

 舌を絡め、ジャンヌに気付かれない様にしながら小さく頷く。俺の了承の意を確認したオルタは、先ほどまで俺がしていた様に演技を始めた。

 

「……肉便器とか性奴隷とか、今となってみればなんであんな物をありがたく思ってたのか全然わからないわ。あんな屈辱的なこと、二度とごめんだって思ってたのにね」

 

「くっ……!?」

 

「今帰ってもまたソロモンに雌扱いされて、汚い男や獣たちに輪姦されるだけ……私はもう、そんなのは御免よ。私は……ここでこいつに愛される生を望むわ」

 

「な、な……!?」

 

 オルタは煽る様な口振りでジャンヌに語りかける。オルタの一言一言にジャンヌは顔を青くしたり赤くしたりしていたが、不意に真剣な口調になったオルタの言葉を聞いて表情を一変させた。

 

「……アンタは肉便器が良いんでしょ? 愛される幸せより、そっちの生き方を選ぶんでしょ? さっきまでの行為で、何も感じなかったのならそれで良いじゃない」

 

「っっ……」

 

「……私は幸せよ。命ある間は知れなかった……ううん、こうして生み出されてから初めて、()()()()()()()()幸せを知れた……! この温もりを二度と手放したくない。だからソロモンの元へは戻らない」

 

「………」

 

「アンタはどう? あの薄暗い牢獄の中で犯される日々をまた送りたいの? きっとフランスでの失敗の責任を取らされて、陵辱はもっと激しくなるわよ。その苦しみに耐えられるの?」

 

「わ、私、は……」

 

「……もう気がついてるんでしょ? 自分の本当の気持ちに……。私を見てみなさいよ」

 

 オルタの言葉に顔を上げたジャンヌは、彼女の言葉通りに今のオルタの姿を見た。

 後ろから俺に抱きすくめられ、両胸を揉まれながら秘所に肉棒を受け入れているオルタ……きっとその姿は、ソロモンの元に居た時にも何度も見せた物なのだろう。

 しかし、今のオルタの表情には理性的な光と女性としての幸せがありありと映っていた。自分が知らない表情を浮かべるオルタの姿を見たジャンヌが喉を鳴らして涎を飲み込む。

 

「……幸せそうでしょ? そりゃそうよ、幸せだもの。ソロモンの所に居た時には知れなかった女としての幸せをこいつに教えて貰ったんだからね」

 

「女性としての、幸せ……?」

 

「そうよ。雌としてじゃなく一人の人間として、女として見て貰って、愛して貰える……生きてる間にもされたことの無かったこれが、こんなに幸せだったなんて初めて知ったわ」

 

「そ、そんなに、幸せなんですか……?」

 

「……惚けてるんじゃないわよ。とっくに気がついてるんでしょ?」

 

「!?」

 

 オルタが意地悪く笑う。自分の話に乗ってきたジャンヌを軽く突き放しながら、心に忍び込む様に話を続ける。

 

「さっきまでこいつに愛されて、幸せを感じてたんでしょ? 同じ『ジャンヌ・ダルク』なんだからそれくらいわかるわよ……幸せだったんでしょ?」

 

「………」

 

 小さく、本当に小さく、ジャンヌが頷いた。その姿を見たオルタがいつもの笑みを浮かべるとジャンヌへと叫びを上げる。

 

「なら素直になりなさいよ! 今の私の姿を見たでしょ? これは()()()()()()()()()()()よ! アンタが望めば、その幸せはすぐに掴める所にあるの!」

 

「あ、あ……!」

 

 ジャンヌの迷いが俺にまで伝わってくる。そこまでジャンヌを追い込んだ所でオルタは俺へと視線を向けて来た。

 後は任せた……暗にそう伝える視線を受けた俺は彼女に頷くと優しい声でジャンヌへと語りかける。

 

「ジャンヌ……ジャンヌはどうしたいの?」

 

「私、は……」

 

「肉便器と愛される女性、ジャンヌがなりたいのはどっち? それに答えてみてよ」

 

 俺の言葉を受けたジャンヌは俯いたまま黙りこくった。そのまま一分、二分と時間が過ぎる。

 俺はジャンヌの答えを待った。ひたすらに優しい笑みを浮かべて彼女を待ち続けた。

 

 そしてたっぷり五分ほど時間が経った頃……ジャンヌは腰を上げると、俺の元へと歩み寄ってから口を開いた。

 

「……良いんですか? 私は、あなたを殺そうとした女ですよ……?」

 

「気にして無いよ。ジャンヌは何も悪くない」

 

「う、裏切り者の酷い奴なんですよ? こんな私を、本気で愛してくれるんですか……?」

 

「そうだよ、ジャンヌが望むなら満足するまで愛してあげる。だから、ジャンヌがどうしたいかを俺に教えてくれるかな?」

 

 優しく、本当に優しくジャンヌの答えを引き出す。心を解かし、包み込む様な姿勢を見せてジャンヌを受け止める。

 そしてついに……俺の言葉を聞いたジャンヌは、自分の素直な気持ちを口にしてくれた。

 

「……愛して欲しいです。私も、もうソロモンの元へは戻りたくありません」

 

「……はい、良く言えました」

 

「手間かけさせんじゃないわよ、このバーカ!」

 

 正直な気持ちを口に出来たジャンヌの頭を俺が撫でる。オルタもまた嬉しそうな声を上げながら腰を上げて俺から離れる。

 ベッドの上にころりとジャンヌを寝転がした俺は、彼女の脚の付け根にある亀裂に自分の肉棒をあてがい、それをゆっくりと挿入した。

 

「ふあぁぁぁぁぁっ……♡♡♡」

 

 自分の膣に俺を受け入れたことによる快感にジャンヌが喘ぐ。膣壁を肉棒へと絡みつかせ、じっとりと濡れた秘所を震わせてその快感を享受する。

 蕩けた表情を浮かべるジャンヌの唇にキスを落とした後、俺は彼女の手を取って指と指を絡ませあう恋人繋ぎをした。

 

「ジャンヌ……俺と繋がってるのがわかる? 体も心も全部繋がってるんだよ……!」

 

「あ、は……♡ はいぃ……♡ わかりますぅ♡ マスターと私、深い所で繋がってるのが、わかるんですぅ……♡」

 

 幸せが溢れた声を出しながらジャンヌがうっとりとした表情を浮かべる。そんな彼女の髪を梳かしながらオルタが口を開いて尋ねる。

 

「どう? 愛される幸せの味は……? 肉便器扱いの方がお好みかしら?」

 

「そんなことないです……♡ 幸せ、幸せですっ♡」

 

「ははっ! どろどろに蕩けた締りの無い顔をしちゃって……! でもま、私も似た様なもんだから人のことは言えないか」

 

 ジャンヌの体の上に覆い被さる様にしてオルタが圧し掛かって来た。お尻を俺の目の前に置き、貝合わせと呼ばれるであろう体勢をジャンヌと共に取る。

 

「……さあ、たっぷり愛しなさいよマスター……♡ 私たちに女の幸せを教えた責任は、きっちり取って貰いますからね♡」

 

「その代わり、あなたには天上の快楽をお約束します……♡ 私たちのおまんこで、あなたを気持ち良くして差し上げますからね……♡」

 

 二つの性器を重ね合わせ、別々の方向から顔を出して俺へと語りかけるジャンヌとオルタ。舌を出してぺろりと唇を舐めた二人は、最後に可愛らしい声で同時にこう言った。

 

「「聖女丼、召し上がれ♡♡」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああっ♡ すごいっ♡ すごいですっ♡」

 

「いいっ♡ きもちいいっ♡ もっと、もっとシテぇっ♡」

 

 それから数時間、俺は何度も二人と愛し合った。体を重ね合わせた二人の膣に交互に挿入し、子宮に精液を吐き出す……10を超えた辺りから回数を数えることを止めた俺は、一心不乱に二人の体を味わっていた。

 

「イクっ♡ イクぅぅぅっっ♡♡♡ マスターのおちんぽすごいぃぃっっ♡」

 

 体を震わせ、絶頂の叫びを上げるジャンヌ。乱れた彼女は普段の慎ましさをかなぐり捨てて淫らな言葉を次々と口にしている。

 狂った様に喘ぐ彼女の淫らな姿を見られることへと喜びと興奮で肉棒を硬くした俺は、何度も彼女の膣を穿ってその中に自らの欲望を吐き捨てた。

 

「もっとぉ♡ もっとちょうだいぃっ♡ アンタにもっと、愛して欲しいのぉっ♡」

 

 普段と違うと言えばオルタもそうだ。ツンケンしたいつもの態度とは違い、体を交わらせている今のオルタは甘えた声を出して自分を抱くようにせがんで来る。

 その願いに応えてやれば、オルタは本当に嬉しそうな表情を浮かべて素直な反応を全身で見せてくれていた。それが嬉しくて、俺はついつい頑張って彼女を気持ち良くしてしまう。

 

「ああっ♡ また、射精(でて)るぅ……♡」

 

「熱くて、濃い……っ♡ 量もすごくて、堪らない……♡」

 

 幾度と無く射精された精液が彼女たちの膣から溢れ出る。重なり合った秘所から大量の精液が溢れている光景は、俺の興奮を煽るのに十分な威力を持っていた。

 

「あぁっ♡ おまんこっ、おまんこ気持ち良いっ♡ おちんぽでおまんこ気持ち良くされてるぅぅっっ♡♡♡」

 

射精()してっ♡ たくさん射精してっ♡ 私の子宮に愛を注いでぇっ♡♡♡」

 

 精液と愛液、そして尿……俺たち三人の体液の混合物(ブレンド)を秘所から垂れ流しながら二人が喘ぐ。

 悲鳴にも近い嬌声を上げながら高まっていく二人の膣を交互に責めながら、俺もまた限界を迎えると同時に二人の性器の間に肉棒を突き入れて精を解き放った。

 

「んあぁぁぁぁっ♡ おなかっ♡ あちゅいのがかかってぇ……♡」

 

「はぁっ♡ はぁっ……♡ 体の内側も外側も愛されてる……♡ 素敵……♡」

 

 下腹部にかかる精液の熱さにうっとりとした声を上げた二人は体を起き上がらせると俺の前に膝を付いた。その瞳の中には♡マークが浮かんでいる。

 

「マスター、おちんぽを綺麗にさせて頂きますっ♡」

 

「私の奉仕が受けられることを光栄に思いなさいよね……♡」

 

 言うが早いが俺の肉棒にしゃぶりつく二人。舌を這わせ、こびり付いた精液を舐め取ると美味しそうにそれを飲み込んでいく。

 

「あっ! 取りすぎですよ、黒い私! こっちは私の担当ですっ!」

 

「アンタがもたもたしてんのが悪いのよ! さっさと綺麗にしてやりなさいよ!」

 

「私は丁寧に舐めて綺麗にしてるんです! 早く挿れて欲しくて適当に奉仕しているあなたと一緒にしないでください!」

 

「誰が適当ですって? アンタこそちんぽを味わいたくて必要以上に時間をかけてるんじゃないの!?」

 

「はいはい、二人とも喧嘩は止めて。どっちも一生懸命奉仕してくれて、俺は嬉しいからさ」

 

「「なっ!?」」

 

 ジャンヌとオルタは二人の仲裁に入った俺の一言に顔を赤らめると俯いてしまった。その様子が可愛くて、ついつい彼女たちの頭を撫でてしまう。

 

「わっ!? んふっ……♡」

 

「ちょっ!? 子ども扱いする……くぅっ♡」

 

 とても嬉しそうな二人を抱き寄せ、強く腕に力を込める。丁度二人の耳の間に顔を置いた俺は、そのままはっきりとした声で二人へと囁いた。

 

「ジャンヌ、オルタ……これからずっと、二人のことを愛してあげるからね……! もうソロモンの所になんか行っちゃ駄目だよ……!」

 

 俺の言葉にジャンヌは頬を赤らめ、オルタは意地の悪い笑みを浮かべる。お互いにお互いの顔を見合った後、二人は俺の頬にキスを落とすと耳元で甘く囁いてくれた。

 

「はい♡ マスター……♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで、その……大変ご迷惑をおかけしました!」

 

「……悪かったわね」

 

 数時間後、カルデアのブリーフィングルームにてジャンヌとオルタはばつの悪そうな顔をしていた。二人は集まった仲間たちに謝罪しながら、その反応を伺っている。

 

「ま、気にすんなよ。ソロモンに操られてたんだからしょうがねえって」

 

「そう言う事! あまり気にやむ必要は無いって!」

 

「私も似たような感じでしたし……お二人が特別と言うわけではありませんから」

 

 仲間たちはそんな二人に対して慰めと励ましの言葉を送り、二人を優しく迎え入れた。その事に心の中で感謝しつつ、二人は真剣な表情を浮かべる。

 

「……これより、私たちもカルデアでの戦いに復帰します!」

 

「私たちを好き勝手に操ってくれたソロモンにお礼をしなきゃ気が済まないからね」

 

 二人のその言葉に仲間たちは大きく頷いた。フランスでの戦いを経て彼らが手にしたのは聖杯だけではない、大切な仲間も取り戻すことが出来たのだ。

 

「ジャンヌ、オルタ、またよろしくね!」

 

「はい! こちらこそ宜しくお願いします!」

 

「まあ、裏切った分を埋め合わせるだけの働きはさせて貰うわ」

 

 マスターに向けてジャンヌは意気揚々と丁寧に、オルタはそっぽを向きながらそっけなく返事をする。

 正しい自分を取り戻した二人は、仲間たちと共に笑みを浮かべてこの場所に戻って来れたことへの喜びを噛み締めていた。

 

 こうして新たなる仲間の奪還を経て戦力を増強したカルデアは、再びソロモンとの戦いに向けて動き始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――ああ、ごめんよ。万能の天才、ダヴィンチちゃんがこの場所を借りて少し報告をさせてもらうね。

 君たちがフランスに行っている間にカルデアにはちょっとした……失敬、かなりの変化があってね。それは君たちにも関係しているから、ちゃんと話しておこうと思ってさ。

 

 それでカルデアに起きた変化なんだけど……今はいなくなってしまった職員たち、居るだろう? 彼らが使っていた部屋を皆で改造してね。所謂()()()()と言う奴に変わったんだよ。

 ……え? なんでそんな馬鹿な真似をしたんだって? 誰とは言わないけど「治療行為にはそれに適した施設が必要です!」って言った人が居てね、その人の意見を元に皆で話し合った結果、なんかこうなっちゃったんだよね。

 

 改造された部屋はたくさんあってさ、その中には君たちのマイルームも含まれているわけだけど……心配要らないよ! そこまで変な改造はしてないからさ!

 各部屋大掛かりな改造を施したから、一見の価値はあると思うよ! 君たちのプレイの幅も広がると思うし、取り敢えず見てみたらどうだい?

 

 ……え? また質問? そこまでの改造をするのは大変だったんじゃないかって? まあ、確かに君たちのサポートをしながらの作業は大変だったんだけどさ……

 まあ、その、なんて言うか……改造の発案者の患者さんたちが頑張ってくれてね、気がついたら終わってたんだよね……

 

 うん、やっぱりここのスタッフも性欲に抗えない男だったってことさ……

 

 

 

 

 幕間の物語 「英霊更正施設カルデア」が開放されました。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 その1
幕間の物語 英霊更正施設カルデア ①


今夜は二話連続投稿! 続きはちょっと待っててね!



「……起きろ。起きろよ、相棒」

 

「うぅん……?」

 

 謎の声を耳にした俺が目を開けて周りを見ると、そこに広がっていたのは真っ暗な闇であった。確か昨日はちゃんとカルデアの自室で寝たはずだと思ったのだが、これはどういうことだろうか?

 

「あー、安心しろよ相棒! ここはお前の夢の中、俺はお前の意識の部分に語りかけてるだけだからよ!」

 

「なーんだ、そういうことか! これは夢なのね、なるほど~!」

 

 再び聞こえてきた謎の声が俺の疑問を解消してくれたことに安堵し、俺は再び目を瞑って眠りに就こうとした。最近疲れてるし、ゆっくり休める時に休むに限る。

 だが、そんな俺に慌てた口振りで謎の声の主がなおも語りかけてきた。

 

「ちょっ!? お前っ!? 人がこうして出てきてるのに無視するのかよ!?」

 

「んあ……? え、何? 君は夢じゃないの?」

 

「当たり前だっつの! お前に話があるから、こうしてお前の夢の中に出張って来たんだろうが!」

 

「あ、そうだったんだ……ごめん、てっきり夢の一部なのかと……」

 

「はぁ……まあ良いさ、お前も色々大変だろうしなぁ……」

 

 妙に俺の事を知っている様な感じがする謎の声の主は、姿が闇の中に溶けているためにはっきりと見る事は出来ない。せいぜい輪郭がぼんやりと見える程度だ。

 せめて声だけでも聞き取ろうとして集中していた俺は、はたとある事実に気がついた。

 

「もしかして君、タマモキャットの時に助けてくれた人?」

 

「おお! 覚えてんじゃねえか! そうだぜ、俺はお前の味方だ!」

 

「それはありがたいんだけどさ……君、誰なの?」

 

 自称、俺の味方を公言した声の主に当然の疑問をぶつける。姿の見えない協力者って格好良いけど、実際に出てくるとなんとも胡散臭い。

 そんな俺の質問に対して、声の主は心なしかドヤった声を出して返答をした。

 

「俺は、あれだ、もう一人のお前的な奴だ!」

 

「も、もう一人の俺?」

 

「そうだぜAIBO! お前が俺で、俺がお前的なあれだよ!」

 

「おお……! もう一人の僕……!」

 

 俺はそのなんとも中二心をくすぐられる返答に目を輝かせた。胡散臭さは変わらないが、頼もしさが増した気がしてくる。

 声の主の輪郭もぼんやりとしてはいるが、なんだか髪型がヒトデみたいな形をしている様にも見えてきた。

 

「実はな相棒……今日はお前に話をしに来たんだ」

 

「は、話って何? もう一人の僕」

 

「ああ、それはな……もうちょい肩の力を抜いたらどうだ? ってことだよ」

 

「は……?」

 

 自称、もう一人の俺はそう言うと自分の意見を話し始める。俺は素直にその話を聞くことにした。

 

「確かにお前がヤバい状況にあることはわかるぜ。でも、いつまでも緊張しっぱなしってのも疲れるだろ?」

 

「うん……でも、そうは言ってられないしさ……」

 

「わかるわかる! だからよ、せめて気を抜く時を作ったらどうなんだよって話だよ」

 

「気を抜く時って……?」

 

 俺のその言葉を待っていたと言う様に声の主の気配が近づいて来たことがわかる。先ほどよりも近い場所で発せられる声が、俺の質問に答えた。

 

「ずばり……セックスの時だな!」

 

「はぁ!?」

 

 身も蓋も無いその一言に唖然とする俺。しかし、声の主は大真面目な声で話を続ける。

 

「良いか相棒? お前さんは今、最低5人の女の相手をしなきゃならねえはずだ。そん時も気を張り詰めとくつもりか?」

 

「う……! で、でも、皆まだ傷ついてると思うし……」

 

 俺は奪い返した女サーヴァントたちの事を思い返しながらそう答える。ある程度癒えたとは言え、皆にはまだソロモンに支配されていた時の心の傷が残っているはずだ。

 セックスをする時にはその傷を抉らない様に慎重にしようとしていた俺だったが、その考えを声の主はばっさりと切り捨てる。

 

「ばっか、お前! それは逆効果だろ! お前が女の立場だったとして、自分を抱く男が腫れ物を触るみたいな態度を取ってきたらどう思うよ?」

 

「うっ……!?」

 

 一理ある、そう考えた俺に向けて声の主は畳み掛ける様にして自分の考えを述べてくる。

 

「逆なんだよ! セックスって本当は楽しくって幸せなものなんだ、って思わせるためにもメリハリはつけなきゃなんないんだよ! 女を奪い返した時点で気を張る時間は終わり! 後は頭空っぽにして楽しめば良いんだよ!」

 

「な、なるほど……!」

 

「それにな……惚れた男がしてみたいって事は、女も案外受け入れてくれるもんだ。ちょっと変態的なプレイでも、あいつらなら喜んでしてくれると思うぜ!」

 

 その通りかもしれない。良い例がマシュだ。お尻の開発の時、俺は彼女の思いつく限りの責めを行ったが、マシュはそのすべてを喜んで受け入れていた。開発が終わった後もアナルセックスはマシュの大のお気に入りのプレイになっている。

 それに、俺がいつまでも皆がソロモンに捕らえられていた事を気にしていては、皆もその考えから離れられないかもしれない……声の主の言うことに納得した俺は、笑顔を浮かべて彼へとお礼を言った。

 

「ありがとう、もう一人の僕! おかげで何か掴めた気がするよ!」

 

「そうかそうか! それじゃあ、次のプレイの考えは思いついたか?」

 

「う~ん、そうだなぁ……」

 

 何か無いだろうか? 楽しめるセックスの仕方、皆を満足させられるプレイ……

 

「……あっ!!」

 

「おっ!? 何か思いついたか?」

 

 ある思い付きを得た俺はニンマリと笑って声の主の輪郭を見つめた。そんな俺を見た声の主も楽しげな声を出す。

 良い事を思いついたと満足した気分になった俺は、起きたら早速この考えを実行に移そうと決意をしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テストプレイ、ですか?」

 

「そうそう、そんなんだよ! ちょっと協力してもらっても良いかな?」

 

 翌日の夜、ダヴィンチちゃんに呼び集められた女英霊たちは彼女から黒いメモリースティックを受け取り、話を聞いていた。

 なぜか姿の見えないナイチンゲール以外の女性たちが集まった部屋の中、ダヴィンチちゃんは詳しい事情を説明する。

 

「何人かには渡したと思うけど、私が作った『ダヴィンチちゃんVR』あるだろう? あれ用のソフトを作ったんだけど、そのテストプレイに協力してほしいんだよね」

 

「はぁ……。構いませんが、何故私たちに?」

 

「深い意味は無いよ。ただ女性の意見を聞いてみたかっただけさ。気軽に楽しんで貰えればそれで良いから!」

 

 にっこりと笑うダヴィンチちゃんの様子に戸惑いながらも彼女の申し出を承諾した女性たちは手渡されたゲームソフトを手にして自室へと戻って行く。最後の一人が部屋を出て行った直後、ダヴィンチちゃんはニヤリと笑って後ろに振り向いた。

 

「これで良いんだよね?」

 

「ああ、OKだよ!」

 

 こっそりと物陰に隠れていたマスター、クー・フーリン、そしてロビンフッドが彼女と同じ様な笑みを浮かべながら姿を現す。

 間違いなく何かを企んでいる彼らは、女性英霊たちが出て行った部屋の扉を見た後で顔を見合わせ、ニシシと笑ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……ここ、は……?」

 

 それから十数分後、自室でゲーム機を起動したマシュが目を開くとそこは良く知っているカルデアの廊下であった。

 周囲には一緒にゲームを受け取った女英霊たちの姿もある。しかし、その姿を見たマシュは目を丸くした。

 

「な、なんで皆さん、裸なんですか!?」

 

「それを聞きたいのはこっちよ! どうなってんのよ、これぇ!?」

 

 羞恥で半泣きになっているエリザベートの叫びが部屋の中に木霊する。何故か全裸に剥かれた自分たちは、その状態で廊下に放置されているのだ。

 しかも良く見て見ると全員の尻には番号が書かれている。スカサハの尻には「002」、エリザベートには「003」と言うように書かれているそれが()()()()()()()()()()()()()()()()()だと言うことにマシュが気づいたのは程なくしてのことだった。

 

「落ち着け……どうやら私たちは、万能の天才に一杯食わされたようだ」

 

「ど、どういう意味ですか?」

 

「これは普段のVRソフトとは違う。いつものソフトは誰かの記憶を疑似体験するもの、いわばビデオソフトだった。しかしこれは自分の意思で行動し、動くことが出来るゲームソフトだ。どうやら奴は、私たちにこのゲーム空間で何かをさせたいらしい」

 

 普段から自分の記憶を見て自慰のオカズにしているスカサハは冷静さを保ったまま仲間たちにそう告げた。マシュたちは彼女の言葉に納得し頷いていると……

 

「はっはっは! 良く来たね、罪深き女英霊ども!」

 

 聞き覚えのある声とともにドアが開き、見覚えのある仮面を身につけたダヴィンチちゃんが姿を現した。

 今の彼女に名前をつけるなら、『ダヴィンチちゃん仮面』だろうなと思いながらマシュは彼女に声をかける。

 

「あ、あの、ダヴィンチちゃんさん、これは何なんですか?」

 

「ああ、私はダヴィンチちゃんでは無いよ。彼女そっくりのプログラム、このゲームの案内役さ」

 

 そう言いながらダヴィンチちゃん仮面が腕を開く。自分に注目する英霊たちの視線を浴びながら、彼女は自分の役目を果たし始めた。

 

「ようこそ、『英霊更正施設カルデア』へ! このゲームの中で、君たちにはたっぷりとお仕置きを受けて貰うよ!」

 

「え、英霊更正施設……?」

 

「なによそれ? どういう意味だかまるでわからないわよ! ちゃんと説明なさ……っっ!?」

 

 意味不明の状況に怒りを露にしたジャンヌオルタ。しかし彼女の声は途中で途切れてしまう。

 ぱくぱくと口を開閉しながらも声が出ないことにオルタが驚いていると、ダヴィンチちゃん仮面はにっこりと笑って彼女に声をかけた。

 

「……ここはゲーム空間、何でもアリの空間だよ? 君たちのステータスは、私たちの管理下にあるってことを忘れないで欲しいな」

 

「……っっ!!!」

 

 悔しそうな顔をしたオルタだったが、ダヴィンチちゃん仮面はどこ吹く風と言った様子で彼女の事を見ている。やがて自分の役目を思い出したダヴィンチちゃん仮面は、詳しい説明をするべく女英霊たちの方へと向き直った。

 

「ここはね、カルデアを裏切った悪い子である君たちをお仕置きして、しっかりと調教する為の施設って言う設定なんだ。無論、ゲーム空間だって事は忘れないでね」

 

「お、お仕置き……!? ま、マスターは、私たちの事を許してはいないのですか!?」

 

「そんなわけ無いだろう。彼らは君たちの事をちゃーんと許しているよ」

 

「じゃ、じゃあ、何故……?」

 

「そりゃあ勿論……君たちと遊びたいからさ」

 

「えっ……!?」

 

 ジャンヌの質問に悪戯っぽい笑みを返しながらダヴィンチちゃん仮面はそう答える。彼女はそのまま一人一人の顔を見つめながら話を続けた。

 

「ここで君たちが受けるお仕置きはね、君たちのマスターが一生懸命考えたものなんだよ。君たち一人一人にどんな事をするか? それを考えて、欲望のままに設定したんだ」

 

「ま、マスターたちが……?」

 

「そうだよ……。ねえ、知りたくないかい? 彼らがお仕置きの名の下に君たちにどんな変態的な事をしようとしているのか? 彼らが自分たちにどんな欲望を抱いているのか? 知りたくはないかな?」

 

 ごくりと喉が鳴る音がした。女性たちの間に謎の緊張感が流れ、誰もが周りの様子を伺っている。

 自分たちのマスターが自分たちにしてみたい事を正直に描いた。このゲームをプレイすれば、その欲望をこの身を以って体験出来る……淫紋令呪によって多少なりとも淫らさを得た彼女たちがその欲望を跳ね除ける訳が無かった。

 

「……質問だ。我の目には今、謎の矢印が映っているのだが……これに従えば良いのだな?」

 

「そうだよ、タマモキャットちゃん。その矢印が導く先が、君のお仕置きを執行する場所だ」

 

「なるほど……では、早速我は行くとしよう。悪い犬は仕置きを受けるもの……たっぷりと躾けて貰って、ご主人に可愛がって貰わねばな……!」

 

 タマモキャットはそう言い残すと部屋から出て行ってしまった。彼女に続く様に次々と英霊たちは部屋を出て行き、お仕置きを受けに行く。

 そんな中、最後に残ったマシュはダヴィンチちゃん仮面に戸惑った表情を向けて一つの質問をした。

 

「あ、あの……私には矢印が見えないのですが……」

 

「ああ、それで良いんだよ! せっかくだ、マシュは私と一緒に皆がどんなお仕置きを受けているのか見て行こうじゃないか!」

 

 笑いながらそう言ったダヴィンチちゃん仮面が手をかざすとマシュの背後にあった壁が左右に開いて道が出来上がった。

 隠し扉があったのかと驚くマシュに向かってダヴィンチちゃん仮面はあるものを差し出す。

 

「こ、これは……!?」

 

「見ての通りバイブだよ、自分の膣に挿入してしっかりと固定してね」

 

 留め具のついたバイブを差し出されたマシュは、ダヴィンチちゃん仮面の言う事に従ってそれを膣へと深く挿入すると抜け落ちないように固定した。振動もせず、さほど大きくも無いため動きは阻害されないが、やはり異物感はある。

 膣の中に潜り込んだバイブの感触に表情をしかめているマシュを見たダヴィンチちゃん仮面は、彼女の耳元へと顔を寄せると小さく囁く。

 

「……それはとっても大事な物だから、絶対に抜いちゃだめだよ」

 

「えっ!?」

 

 それはどういう意味なのか? そう問い掛けようとしたマシュだったが、それよりも早くダヴィンチちゃん仮面に手を引かれて無理やり歩きだす羽目になってしまった。

 困惑した表情を浮かべているマシュに向けて、ダヴィンチちゃん仮面は楽しそうに言う。

 

「さあ、一緒に楽しもうじゃあないか! 凛々しく強い女たちが性に溺れ、快楽に蕩ける様をね……!」

 

 完全に悪役の台詞なのだが不思議と悪い感じはしない。悪戯っ子が何か悪さをする程度の黒さを醸し出しながら先へと進むダヴィンチちゃん仮面に手を引かれ、マシュは淫らな施設見学ツアーへと招待されて行ったのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 英霊更正施設カルデア ②(タマモキャット)

 少し待てと言ったな、あれは嘘だ。



「はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡」

 

 ぺたぺたと音を立てながら四つん這いで廊下を進む。その度に首輪につけられた鈴がチリチリと音を鳴らす。

 ゲーム空間のカルデア内部を全裸で散歩しているタマモキャットは、首輪から伸びる鎖を掴む自分の主に向けて熱の篭った視線を向けた。

 

「ご主人……♡ ご主人んっ……♡」

 

「……盛りのついた雌犬そのものだね、キャット。ソロモンの所でもそんな風にしてたの?」

 

「うぁぁ……っ、なんでそんな酷い事を言うのだ……? 我はご主人一筋だぞ?」

 

 冷たい言葉を自分に投げかけるマスターに対してしょんぼりとした表情を向けるキャット。尻尾はへたりと垂れ、彼女の感情を表している。

 そんな寂しそうな彼女のことを無理やり引っ張りながらマスターはずんずんと先に進んで行った。

 

「っっ……♡ あぁっ……♡」

 

「もう少しで盛った雌犬を躾けるお仕置き場に着くからね。楽しみにしてるんだよ」

 

 黒い笑みを浮かべる主の表情を見たキャットは胸を高鳴らせた。何を隠そう、彼女はM気質なのだ。雌犬として躾けられる自分の姿など想像すれば、それだけで興奮してしまう。

 その感情のままに舌舐めずりをするタマモキャットだったが、口から出した舌をマスターの指に摘まれてしまった。驚く彼女に対して、マスターはこう告げる。

 

「駄目だなぁ……! 碌に我慢も出来ないの? ほんと、キャットって駄犬だよね……」

 

「あ、ふぅっ……♡」

 

 蔑まれる言葉と視線で感じるタマモキャットは蕩けた声を出した。マスターはその姿を見ながら喉を鳴らして笑う。

 

「ククク……! これはやっぱりちゃんと躾けてあげないと駄目だなぁ……! ちゃ~んと命令が聞けるわんちゃんに躾けてあげるから、覚悟するんだよ?」

 

「わ、わんっ……♡」

 

 瞳に♡マークを浮かばせ、これから行われる行為に期待を寄せるタマモキャットは、マスターの言う通り盛りのついた雌犬の様な声を出した。そんな自分の姿をまたしても蔑まれた視線で視姦され、彼女はぶるりと体を震わせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わっ、わぉぉぉっっ♡ ふにゃぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

()()だキャット、俺が良いって言うまでイクんじゃない」

 

「ほっ♡ おぉぉぉっっ♡」

 

 自分のお仕置き部屋に案内されたタマモキャットを待っていたのは、彼女の大好物である激しいセックスであった。なんの遠慮も無い腰の動きで膣を責められ、幾度と無く絶頂し続けている。

 マスターは何度も彼女にイクことを我慢する様に命令しているが、その命令を彼女が守れたことは一度も無かった。

 

「んあぁぁっ♡ イクっっ♡ いぐぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 後ろから犬の様に犯され、タマモキャットはあっけなく絶頂してしまった。またしても主の命令を守れなかったとぼんやり考えていた彼女は床へと倒れこむが、マスターはそんな甘えを許さない。

 

「何休んでるのキャット、そんな暇は無いよ」

 

「んひぃっ♡」

 

 強く尻を張られ、キャットは痛みと快感に意識を覚醒させた。じんじんと痺れる尻肉に何度も張り手を受け続ける。

 

「へぇっ♡ ほへぇっ♡ んぎぃっ♡」

 

「へぇ……キャットはお尻をぶたれて感じるドMなんだね? 雌犬の上にドMだなんて、本当に下品な犬だなぁ……こんな犬、捨てちゃおうかな……?」

 

「あ、あぁ……!? そんなの嫌だぞ、ご主人……! ちゃんとするから! アタシを捨てないでくれぇ……っ!」

 

「ふぅん……そう? それじゃあさ……!」

 

 自分を捨てると言う言葉を受けたキャットの涙ながらの懇願を聞いたマスターは意地の悪い笑みを浮かべると彼女の尻肉を左右に開いた。そして、その中央にある窄まりに亀頭を押し付けると一息に挿入する。

 

「んほぉぉぉっっっ♡」

 

「今回は我慢しないで良いよキャット、下品にケツアクメ決めちゃいな」

 

 覆い被さる様に圧し掛かり、自分の口の中に指を突っ込んだマスターはキャットの口内とアヌスを責める。指で舌を摘んで弄り回し、腰を激しく打ち付けて肛門を穿つ。

 その一つ一つの快感に圧倒されながら、タマモキャットは喘ぎ声を上げて肛門快感による絶頂を迎えた。

 

「にょぉぉぉぉっっ♡ しりあなっ♡ イクぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 絶頂している尻穴をなおも激しく突かれ、そのまま二度三度と連続してアクメを決めさせられるキャット。完全に尻をマスターに制圧された彼女が白目を剥いていると……

 

「ほへぇぇぇっっ♡♡♡ で、射精(でて)るぅっ……♡ ご主人のザーメンがアタシのけつまんこの中に射精ているぅっ……♡」

 

 勢い良く吐き出された主の精液が腸内に飛び散り、その激しさと熱さに再び絶頂したタマモキャットは恍惚とした声を出して喘いだ。

 マスターはそんな彼女のアヌスから肉棒を抜くと、蕩けた表情を浮かべるキャットの目の前にそれを差し出す。

 

「……キャットのお尻の中に突っ込んで汚れた俺のちんぽ、キャットが口で綺麗にしてよ」

 

「ほ、あ……?」

 

「精液とキャットの腸液で汚れちゃったちんぽを丁寧に舐めて、綺麗にするんだ。俺が良いって言うまでそれを続けて、俺への忠誠心を証明してみてよ」

 

「あ、あ……♡」

 

 目の前の肉棒を見たタマモキャットの口からは涎が垂れ流しになっていた。鼻をつくむわりとした雄の臭いに子宮を疼かせながら大きく口を開く。

 

「りょ、了解したゾ、ご主人……♡ その命令、全力で遂行させてもらおう……♡」

 

 マスターにそう告げるや否や肉棒を頬張る。少し苦く、それでいて甘美な雄の味を存分に味わいながら舌でそれを綺麗に舐めとる。

 

「んじゅぅぅっ♡ じゅぅっ♡ じゅぽぉぉっ♡」

 

 喉、舌、口内……すべてを使って主に奉仕しながら、タマモキャットは体を火照らせていた。

 喉の奥に亀頭が当たって苦しい思いをするも、キャットは口での奉仕を止められなかった。それは命令を下されたからではなく、彼の肉棒の味に病みつきになっていたからだ。

 

(美味いっ♡ ご主人ちんぽ美味すぎるっ♡)

 

 雄々しく逞しい竿、口の中いっぱいに広がる雄の味、自分を気持ち良くしてくれる主の陰茎を頬張って奉仕できるなど最高だとしか言い様が無い。

 いつしか本気になって奉仕をしていたキャットは顔を激しく前後させてフェラチオをしていた。もうそれは掃除などではなく、完全に口を使った性交である。

 

「……待てだキャット。もう止めろ」

 

「あ……っ」

 

 だが、そんな彼女を咎める様にして奉仕の中止を告げた主の声を聞くと、キャットは素直にその動きを止めて口から肉棒を吐き出していく。無論、そこにはまだ肉棒を舐めていたいと言う葛藤があったのだが、彼女はその思いを必死になって抑え込んでいた。

 

「あっ、あぁっ♡ あぁぁぁっ……♡」

 

 必死になって我慢しようとするも自分の舌がその意思に反して勝手に伸びて亀頭を舐めようとしている。それが触れるか触れないかと言う時になって思い切り顔を引き離したキャットは、荒い呼吸を繰り返しながら主の次の行動を待った。

 

「……良く我慢できたね、キャット。良い子だよ……!」

 

「ふぁっ……♡」

 

 不意に伸びてきた主の手が自分の頭と喉を優しく撫でる。ちゃんと芸を覚えられたペットにそうするかの様に優しく触れられたキャットは、彼の手によって仰向けに寝転がされた。

 

「ごしゅ、じん……?」

 

「良い子のキャットにはご褒美をあげないとね……!」

 

 脚を大きく開かされ、上から怒張した陰茎を見せ付けられる。それを見たキャットが期待に染まった視線を主に向けると、それに応える様にしてマスターは彼女の秘所に肉棒を叩き込んだ。

 

「にょぉぉぉぉぉっっっっ♡♡♡」

 

 上から降ってきた肉棒に自分の子宮が潰されている。そんな感覚を覚えたキャットは挿入と共に絶頂してしまった。

 体を大きく痙攣させて仰け反る彼女に対し、マスターは情けをかけずに腰を叩き込む。

 

「おほぉっ♡ ぷれっ、ぷれしゅっ♡ 上から子宮がっ♡ ぷれしゅされてっ♡ のほぉぉっ♡」

 

 激しい性交、高まる胸の鼓動……種付けプレスと言う男性上位の体位で激しく膣に肉棒をを叩き込まれるキャットはその力強さに恍惚の笑みを浮かべる。

 マスターが腰を振り下ろすごとに絶頂する彼女の膣からは熱い飛沫が噴水の様に飛び散っていた。そんなこともお構いなしにセックスを続ける二人の動きはさらに激しさを増していく。

 

「にゃっ♡ にっ♡ にゅぅっ♡ にょぇぇっ♡ にょぉぉぉっっ♡」

 

「可愛いよキャット……! ほら、もっともっと感じるんだ。それで俺のことをもっと好きになるんだよ……!」

 

「ふあぁっ♡ ご、主人……♡ ごしゅじんんっっ♡」

 

 自分を屈服させ、深く愛してくれる主の腰使いにメロメロになるキャット。見事に飴と鞭を使い分けられて躾けられた彼女の主への忠誠心はうなぎ上りで高まっていた。

 

「こひがっ♡ こひがとまらにゃいっ♡ ごしゅじんちんぽにかんぜんはいぼくしてりゅぞっ♡」

 

 腰に脚を絡ませ、腕を背中に回して主を強く抱きしめる。骨よ砕けろとばかりに力を込めているのに主は顔色ひとつ変えないでいる。その力強さにさらにうっとりとしたタマモキャットは、目の前の主に目掛けて大声で叫んだ。

 

「ごひゅじんっ♡ キャットはもっと良い子になるぞっ♡ ご主人好みの雌犬になって、一生涯を懸けて忠誠を誓うぞっ♡」

 

「ふふふ……! 本当に可愛いことをいうね、キャット。そんな可愛いキャットにはご褒美をあげるよ」

 

「はえぇぇぇぇっっっ♡♡♡」

 

 ピストンがさらに激しくなる。バシン、バシンっ! と音を響かせて繰り出される腰の動きに白目を剥きながら、キャットは膣の中の肉棒が熱く膨れ上がっていることを感じていた。

 

「あえぇぇぇっ♡ イクっ♡ ご主人、イクぞぉっ♡」

 

 射精が近いことを悟りながらも我慢が利かなくなったキャットは大きく体を震わせて一足先に絶頂してしまった。

 激しく振動する膣の動きに顔を歪ませた主もまたそれに続いて絶頂し、彼女の子宮と膣に熱い迸りをぶちまける。

 

「あへっ♡ あへぇぇぇ……♡」

 

 完全に脱力しきったキャットの股からは黄金色の液体がアーチを描いて飛び出して来た。それがマスターの腹にかかり、彼の体を汚していく。

 やがて長く続いたキャットの放尿が終わった後、彼女の体を抱きかかえたマスターは大きく腕を開くと思い切りキャットの尻へとスパンキングをかました。

 

「んひぃぃっっ♡」

 

「……なにお漏らししてるの? しかもご主人様に向かっておしっこを引っ掛けるだなんて良い根性してるね?」

 

「あ、あっ……すまない、ご主人……膀胱が馬鹿になって、止められなかったんだ……」

 

「ふぅ……ちょっと褒めたらこれだよ。やっぱり駄犬の世話は疲れるなぁ……」

 

 何度も何度もキャットの尻を張るマスター。キャットもまたそのスパンキングを自分への罰として抵抗することなく受け入れていた。

 

「……次はトイレトレーニングかな? まったく、雌犬の躾けは大変だなぁ……! でも、こんなに可愛いんだから、ちょっとの苦労するくらいなら別に良いかな」

 

「はっ♡ はぁぁっ……♡ ご主、人……っ♡」

 

 甘い言葉を囁かれたキャットの尻尾が激しく揺れる。尻を叩かれることも愛情表現だと受け止めてしまったタマモキャットの瞳には、もうマスターしか映っていない。

 

「……これからもきちんと躾けて、立派な雌犬にしてあげるからね。ちゃんと言いつけを守れたら……気持ち良いご褒美をあげるよ……!」

 

 興奮と張り手の跡で尻を真っ赤にさせながら、タマモキャットは愛する主からの褒美を受け取るために彼の命令を忠実に守る犬へと変貌していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『んあぁぁぁっっ♡ はぁぁぁっっ♡』

 

 目の前のガラスの先ではタマモキャットが文字通り獣じみた叫びを上げている。後ろから尻を抱かれ、極太の肉棒で膣を擦られる彼女の表情はとても気持ち良さそうだ。

 

「ふふふ……まさに雌犬だね。これからもここでマスター君に躾けられる日々を送って貰おうじゃないか!」

 

 マシュを引き連れたダヴィンチちゃん仮面はそう言うとタマモキャットの観察を終えて次の部屋へと続く扉を開いた。その先へとマシュを促し、彼女に呟く。

 

「君もああなりたいかい? そのいやらしい体を先輩に躾けてもらう淫獣になって、彼に飼って貰う日々を送りたいと思うかな?」

 

 その言葉にマシュは喉を鳴らして唾を飲み込んだ。そして、火照った体を抱きしめながらそうなった日々を妄想する。

 

 『デンジャラス・ビースト』の礼装を身に纏った自分。その首には首輪がつけられ、手綱をマスターに握って貰う。

 恥ずかしい格好のままの散歩、食事も睡眠も彼に管理される日々。そして、淫らな芸を教え込まれ、彼好みの雌犬へと調教されていくのだ。

 一つ、また一つとマシュが淫らな犬として成長する度、マスターはご褒美と称して自分を抱いてくれる……そんな快楽に染まりきった日々を想像したマシュは、素直にそんな生活も悪くないと思ってしまった。

 

「ふふ……! 良い表情をしてるじゃないか。どうやらタマモキャットの痴態は君に良いインスピレーションを与えてくれたみたいだね!」

 

 ダヴィンチちゃん仮面はそんなマシュの表情を見て嬉しそうな声を出す。そして、こう続けた。

 

「さて、次はどんな淫らな絵が見れるかな? そしてそれは、君にどんな影響を与えるんだろうねぇ?」

 

 その言葉とタマモキャットの嬌声を耳にしながら、マシュは次の部屋に続く道を歩き始めた。

 




短めの話を連発していきます。次もそんなに待たせない予定ですので少々お待ちを……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 英霊更正施設カルデア ③ (ランサーアルトリア)

 そんなに待たせないと言ったな、あれは本当だ


 ぐちゅぐちゅと言う水音が響く部屋の中、アルトリアは快感に呻き、悶えていた。そんな彼女の膣に潜り込んだ二本の指が器用に動き、一切の無駄も無く彼女を責め立てる。

 

「ひんっ♡ はひぃっ♡」

 

「おっ! イった、イった!」

 

 自身の弱点を突かれたアルトリアは短い悲鳴を上げて絶頂を迎えた。荒い呼吸を繰り返すまま、彼女は何かを恐れているような表情を浮かべる。

 

「それじゃあ、また罰ゲームだね!」

 

「あ、あぁぁぁぁっっ♡」

 

 マスターが笑顔で彼女にそう告げると同時にアルトリアの体が電撃を受けたかの様に跳ね上がった。同時に膣からは愛液が大量に噴き出す。

 

「これで6回目……もう大分感度も高まったよね?」

 

「あ、あうぅ、あふぅ……っ♡」

 

 マスターにその大きな胸を揉まれ、コンプレックスである陥没乳首を弄られた彼女は力無い声を上げた。だが、その体には信じられないほどの快感が叩き込まれている。

 このゲーム空間にて、彼女の体はマスターにとある設定を施されていた。それは、()()()()()()()()()()()()()()()と言うものであった。

 

 一度、二度、三度……と、マスターの手によって成す術も無く絶頂させられ続けたアルトリアの体は発情しきり、さらにかなり敏感な体にされてしまっていたのだ。

 

「あ、あぁ……♡ すごい……っ、空気の流れですら、感じてしまう……♡」

 

「ふふふ……ふーーっ!」

 

「はひぃっ♡♡♡」

 

 マスターによって起立させられた己の乳首に息を吹きかけられただけで体をくねらせるアルトリア。その膣から潮を噴き、顔はだらしない表情を浮かべている。

 

「くっくっく……! 準備は万端だね。それじゃあ、始めようか?」

 

「は、い……?」

 

 アルトリアはマスターの一言に青ざめる。ここまで感じさせられ、絶頂させられ続けたと言うのにも関わらず、これらはすべて準備だったと言うのだ。

 これから始まることこそが本物のお仕置き。この敏感な体でそんなものを受けたら、自分はどうなってしまうのだろうか?

 

「さて、それじゃあ……場所を変えるとしようか」

 

 アルトリアの頬を優しく撫でながら彼女にそう告げたマスターは部屋の扉を開く。そして、再びアルトリアの姿を見るとニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ♡ あっ♡ あぁっ♡」

 

「ほら、頑張ってよお馬さん!」

 

「は、はいっ、マスター……♡」

 

 数分後、アルトリアはカルデアの廊下を歩いていた。と言っても、マスターが普通に彼女を移動させるはずがない。

 彼女は今、両腕をマスターに掴まれ、後背位の体位で彼に犯されながら足を進めていた。アヌスには馬の尻尾を模したバイブが挿入され、それもまた容赦無く彼女を責め立てている。

 

「早くしてよアルトリア。まだ鞭打ちが足りないの?」

 

「ま、マスター、待ってくださ……んひぃっ♡」

 

 のろのろと進むために遅々として目的の場所に辿り着かないアルトリアに業を煮やしたマスターは後ろから激しく彼女へと肉棒を叩き付けた。膣を抉られる快感に爪先立ちになりながらアルトリアは喘ぐ。

 

「なんで進まないのさ? こんなにお尻を叩かれて進む様に言われてるのにさ……」

 

「ほひぃっ♡ まっへ、まっへくらさ、まひゅたー……♡ きもちよしゅぎて、あひがしゅしゅみま……あへぇっ♡」

 

「……もしかしてアルトリア、こうして欲しくてわざとゆっくり進んでるの? 俺に犯して欲しくて、こんなことしてるんだ?」

 

「ひ、ひがいましゅ……♡ こんな、こんなことしゃれたら、ふちゅうはすすむことなんかできにゃい……んえぇっ♡」

 

 敏感になった体を弄ばれながらの移動が捗るわけも無い。当然のことなのだが、マスターはそれをアルトリアのせいだと言わんばかりに彼女を言葉で責める。

 

「おっぱいもお尻もこんなに育っちゃってさ……。こんなドスケベな女だったら、そうなっちゃうよね!」

 

「ち、ちがいまひゅ……♡ わたしは、すけべなんかじゃ……」

 

「こんなにおまんことろとろにしといて何言ってるのさ? 気持ち良いんでしょ? 素直になりなよ……!」

 

「あへっ♡ んへっ♡ ほあぁぁっっ♡」

 

 否定の言葉を口にするアルトリアだったが、それもマスターの腰の動きによって掻き消され、快楽に流されてしまう。自分がだらしないアクメ顔を晒していることを自覚しながらもそれをどうしようも出来ないまま、アルトリアはマスターによってされるがままになっていた。

 

「ほら、そろそろ射精(だす)よ? アルトリアの大好きなザーメンを注いであげるから、遠慮せずにイっちゃいなよ!」

 

「ああぁんっ♡ んあぁぁっ♡ はぁぁぁぁっ……♡」

 

 もう反応をすることすら出来ないアルトリアは白目を剥いて気絶寸前まで追いやられていた。そんな彼女の意識を覚醒させるべく、マスターは彼女の中に精を解き放つ。

 

「あひぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 爆発する快感、飛び散る熱い精液、逞しい肉棒の動き……その全てに翻弄されるアルトリアは大きく背中を仰け反らせて喘ぎながら絶頂すると動かなくなった。

 マスターがとんとんと子宮をノックすれば体が反射的に震える。だが、快感によって意識を焼き切らせたアルトリアにはしばらく回復する様子が見受けられなかった。

 

「……さあ、アルトリア。仕上げに入ろうか……!」

 

 自分の肉棒を受け入れたままぐったりとしている騎士王の背中を見ながら、マスターは悪戯っぽく彼女へと囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、う、あ……」

 

「あ、やっと気がついたね。遅いよ、アルトリア」

 

「こ、こ、は……?」

 

 意識を取り戻したアルトリアは、自分が吊るされていることに気がついた。脚もM字開脚の姿勢を取らされたまま固定され、閉じることが出来ない。

 そして徐々にぼんやりとしていた視界がはっきりしていくにつれ、アルトリアはさらにもう一つの事実に気がついた。

 

「これ、は……!?」

 

「良いでしょう? アルトリアのスケベな本性をきっちり撮っておこうと思ってさ」

 

 部屋に仕掛けられたカメラの数々……アルトリアの前後左右だけでは無い。天井や床と言った場所にも幾つもカメラが取り付けられており、アルトリアの全身をそのレンズに収めている。

 

「良い記録になると思わない? これでばっちりアルトリアの恥ずかしい姿を撮って、何度も見返してあげるからね!」

 

 そう言う彼の手の中にも小型のハンディカメラがあった。自分の羞恥溢れる姿が記録されていると知ったアルトリアは顔を赤らめて抵抗を試みる。

 

「や、やめてくださいマスター! こ、こんなの、恥ずかしすぎます……!」

 

「……その恥ずかしいことを喜んでする様に変えてあげようと思ってね。ドスケベのアルトリアに相応しい人生を用意してあげるよ……!」

 

 そう言いながらマスターが近づいてくる。開いた脚の間に体を入れると、大きく起立した陰茎をアルトリアへと見せ付ける。

 そして、彼女の秘所にそれをあてがうと………一気に奥まで突き入れた。

 

「んひぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

「あ、わかってると思うけどさっきイった分、アルトリアの感度は上がってるからね! で、挿れた途端にまたイって感度がまた上がりましたよ、っと……」

 

「あへあぁぁぁっ……♡」

 

 挿入される所と肉棒を受け入れてすぐに絶頂してしまった姿をカメラに収められたアルトリアだったが、もはや羞恥を感じる余裕すら無かった。ただマスターの肉棒が与えてくれる快感に酔いしれるばかりだ。

 

「……さあ、アルトリア。宣言しようか? アルトリアは、俺のものになるってさ……!」

 

「そ、そんなぁ……!? はへぇっ♡♡♡」

 

 ぐずぐずに溶け切った心に忍び込む様に響くマスターの言葉。それを聞いたアルトリアは、快感に蕩けながらも反発の意を示した。

 この大量のカメラに録画された状態で敗北宣言をすると言うのは、屈辱的な上に羞恥心が半端では無い。そう考えて尻込みするアルトリアだったが、そんな彼女に対してマスターが仕掛けたのは意外な手であった。

 

「……なってくれないの? 俺のものに……。他の奴の所に行っちゃうの?」

 

「え……!?」

 

 突然、甘えた声を出したマスターがアルトリアへと不安げな瞳を向けたのだ。そのまま子供が母に甘える様に彼女の乳に吸い付いて彼女へと質問をする。

 

「アルトリアは俺の女になりたくないの? 俺に忠誠を誓ってくれないの?」

 

「そ、そんなことはありません! 私は、命を懸けてあなたのことを守る所存です!」

 

「そうだよね! ……じゃあ、言ってよ。俺のものになるってさ……!」

 

「で、ですが、その……」

 

「お願い、アルトリア……! そう言ってくれたら俺、アルトリアのことをずっと大事にするからさ……!」

 

「えっ……!?」

 

 甘い声でそんなことを言われては、流石の騎士王も心をぐらつかせてしまう。そんな彼女の動揺を見て取ったマスターは、彼女にトドメを刺すべく最後の一言を口にした。

 

「愛してるよ、アルトリア……。だから、俺にその忠誠を見せてよ。俺のことを愛してるって、証明して見せて?」

 

「っっ……!!!」

 

 優しく愛を囁かれ、じっくりと快感にその身を漬けられた騎士王はついに陥落した。一度俯いた彼女が顔をあげると、何事かを話そうとしてぱくぱくと口を開閉する。

 マスターはそんな彼女の顔にカメラのレンズを向けると宣言を口にする様に促す。ややあって、アルトリアの口からは忠誠を誓う言葉が飛び出してきた。

 

「わ、私、騎士王、アルトリア・ペンドラゴンは……カルデアのマスターに永久の忠誠を誓います……!」

 

「……ありがとう、アルトリア。でも、もっとエッチな言葉で言って欲しいな」

 

 アルトリアに淫らな口調での宣言を求めるマスター。一度線を越えてしまったアルトリアは、その求めに迷い無く応えることを決意する。

 考えられる限りの淫らな言葉、目の前の彼に興奮してもらえる様にと考えつくされた台詞を頭の中に思い浮かべながら彼女は口を開く。

 

「私、アルトリア・ペンドラゴンは、マスターのおちんぽに完全服従いたしますっ♡ 淫らに育ったこの体をマスターに捧げることをここに宣言いたしますっ♡」

 

「良いよ……! すごくエッチだ……! もっと、その調子で続けて!」

 

「はいっ♡ 私の口まんこはマスターの舌を絡ませ、おちんぽを味わうためにあります♡ 乳まんこはマスターに揉んで頂き、パイズリ奉仕をするための物ですっ♡ けつまんこは出す所では無く、マスターのおちんぽを挿れる所♡ そしておまんこは、いつでもマスターのおちんぽを突っ込んで頂くために常にぐちゃぐちゃに濡らしておきます♡ こんな全身まんこのドスケベサーヴァントでよろしければ、お側に置いて下さいっ♡」

 

 アルトリアは一息に淫らな宣言を口にすると体を捻って回転させる。そして、一番近い位置にあるカメラへと自分の尻を突き出すと、マスター目掛けて叫んだ。

 

「見ててください、マスター♡ 私のけつまんこからぶっといバイブが捻り出される所を見てくださいっ♡ 淫乱騎士王のドスケベな本性、カメラで撮ってくださいぃっ♡」

 

 そう叫んだアルトリアは淫らに腰をくねらせて大きな尻をカメラの前で振りまくった。そのままいきむ彼女の姿を部屋中のカメラが記録し続ける。

 

「ん~~~っ……♡」

 

 いきむアルトリアの肛門が膨れ上がる。バイブが尻穴から少しずつ抜けていく。

 

「んほぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 やがて大きな音を立ててバイブが彼女のアヌスから排泄された。尻穴がバイブを吐き出すところから今もなおぽっかりと広がっているアナルの様子までをしっかりとカメラに捉えられたアルトリアは恍惚の表情を見せながら荒い呼吸を繰り返している。

 そんな彼女の尻肉を掴んだマスターは、バイブが抜けて広がりきった彼女のアナルの中へと自分の陰茎を捻り込んだ。

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

「ほんと、淫乱な王様だね。尻穴にちんぽをぶち込まれて感じてるんでしょ?」

 

「はいぃっ♡ マスターちんぽをけつまんこでもぐもぐして、もうイキそうになってますぅっ♡」

 

「ははっ! 丁度良いや! カメラの前で見せて上あげなよ、ケツアクメ決めるアルトリアの姿をさぁ!」

 

「はいっ♡ はいぃっ♡ 喜んでケツアクメ、決めさせていただきますぅっ♡」

 

 激しいアナルセックスを繰り広げるアルトリアは正面にある無数のカメラへと視線を向ける。

 今、自分の淫らな姿を撮影されていると言う羞恥すらも快感のスパイスとして享受するようになった彼女は、蕩けた笑みをカメラに見せながら淫卑な言葉を口にした。

 

「どうぞ記録してくださいっ♡ この淫乱がマスターのおちんぽに敗北してケツアクメを決める様をっ♡ だらしなく緩みきった顔も♡ 上下に揺れるエロ乳も♡ ケツアクメ決めて潮吹きするまんこも♡ マスターのおちんぽを受け入れてるデカケツもっ♡ 淫らな私の全てを見てくださいっ♡♡♡」

 

 普段の凛々しさや威厳が消え去ったアルトリアはそんな淫らにもほどがある台詞を口にすると尻穴を強く締めた。その途端にアナルから与えられる快感が段違いになり、彼女は瞬時に絶頂を迎える。

 

「んほぉぉぉぉぉっっっ♡ けちゅあくめきめてりゅぅぅっっ♡♡♡」

 

 先ほどの宣言通りアルトリアの表情は緩み、乳はたわわに揺れ、膣からは潮を噴き、大きな尻はなおもマスターの剛直を受け入れて痙攣していた。

 だが、360度全てからその姿を録画されながら未だに続くアナルセックスの快感を前にした彼女からしてみれば、そんなものは些細なことでしか無かった。

 

「あぁっ♡ あぁぁぁ……っ♡ ましゅたぁ♡ ましゅたぁぁっ……♡」

 

 愛しい主の名前を呼びながら尻を震わせると、アルトリアは彼が与えてくれる快感の海へと意識を沈ませて行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん~、実に良い! やはり強い女性が快楽に沈む姿は見ていて心が躍るねぇ!」

 

 ガラスの向こう側でマスターに抱かれるアルトリアの姿を見たダヴィンチちゃん仮面が呟く。そして、隣へと視線を移す。

 するとそこには、やや不満げな表情を浮かべたマシュがマスターとアルトリアへと睨む様な視線を送っている姿があった。

 

「……ずるい、です……!」

 

 口から出るのは正直な思い。彼に淫らな姿を見せつけたのも忠誠を誓ったのも自分の方が先のはずだ。なのに、アルトリアが嬉しそうな表情で彼に責められ、自分はそれを指を咥えて見ていることしか出来ないでいる。

 彼が望むのならば……いや、望まずとも自分の体と心は彼のモノだ。快感に狂わされずとも、その事実は変わらない。

 

 彼が望むならどんな淫らな言葉も口にする。彼が望むならどんな痴態でも晒す。そして彼が望むならば何時でもこの体と心を捧げさせて頂く。マシュはそう思っている。彼の恋人にも奴隷にでもなる覚悟はとっくの昔に出来ているのだ。

 

「じゃあ、その思いも彼に伝えないとね……! 私にも快感を叩きこんで、あなたのモノにしてください、ってちゃんと言うんだよ?」

 

「……はい」

 

 そんな自分の思いを察したダヴィンチちゃん仮面の言葉に頷いたマシュは次の扉へと足を進める。一刻も早く彼に抱いて欲しいと願いながら、彼女は自分にお仕置きが下されることを待ち侘びる。

 背後で繰り広げられる二人のセックスを見た後、マシュは次の部屋へと続く扉を開いてその先へと歩き出した。

 

 

 




次はW聖女だ、これも本当だ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 英霊更正施設カルデア ④(ジャンヌ&ジャンヌオルタ)

「くひっ♡ ふぅぅ……っ♡」

 

「んっ♡ んんっ……♡」

 

 明るく煌びやかな部屋の中に連れて来られたジャンヌとジャンヌオルタは、そこでマスターに抱かれて快感を貪っていた。しかも、今回は普通なら出来ないプレイを行っている。

 

「んくっ♡ あ、んた……早くイキなさいよぉっ……♡」

 

「ま、まだまだですよ……♡ 裁定者(ルーラー)の耐久力を舐めないで頂きたいですね!」

 

「へっ、減らず口を叩いてるけど、顔に余裕が無いわよ? もうそろそろ限界なんじゃないの?」

 

「そっちこそ、観念してイってしまえば良いのに!」

 

 二人はそれぞれ真正面に位置する己の分身に向けて叫びながら言い合いをしている。お互いがお互いにマスターに抱き抱えられ、駅弁ファックの体位でのセックスを楽しみながら相手より先にイクまいと踏ん張っている。

 そう、二人は分身したマスターにそれぞれ抱かれながら我慢比べをするという一風変わったセックスをしているのだ。

 

「どっちも頑張るね~! じゃあ、俺たちももう少し激しくしちゃおうかな?」

 

「二人とも、覚悟は良い?」

 

 二人のマスターは己が抱き抱えている聖女へとそう告げると腰の動きを激しくした。持ち上げられているために抵抗も出来ない二人は、そのまま与えられる快感に叫び続ける。

 

「ほにゃっ♡ ほにゃぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

「しゅごっ♡ しゅごいぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 膣を激しく穿つ逞しい肉棒の感触に表情を歪める二人。既に秘所は濡れそぼり、洪水の様に愛液が溢れていた。

 

 だが、それでも二人は達さぬ様に歯を食いしばっていた。何故なら、先にイってしまった方は()()()()()()()()()()()()()()からだ。

 熱く、激しいセックスの醍醐味である射精を味わえないなど、二人にとっては拷問に等しい。それが愛しのマスターの精液ならばなおのことだ。

 そしてなにより、自分が負けたら目のまえで自分の分身がマスターに種付けしてもらえる姿を見ていなければならないのだ。恍惚とした表情を浮かべて精液を注がれる自分の姿を指を咥えて見ているだけだなんて辛すぎる。

 と言う訳で、二人は必死になって与えられる快感を耐えて、達さぬ様に気を引き締めていた。その努力はなかなかのもので、二人はマスターの予想を超えた時間を耐え続けている。 

 

「いや~、ここまで頑張るだなんて想像もしてなかったなぁ!」

 

「んじゃ、更に激しく行くよ~!」

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」」

 

 車のギアが上がって行く様にマスターの腰の動きが早まる。徐々に激しさを増していくセックスは、二人に更なる快感を与えていった。

 

「おまんこっ♡ がまんしてぇっ♡ まだイけないっ♡ イっちゃだめなのぉっ♡」

 

「イクっ♡ だめっ♡ あぁっ、イキそうっ♡ でもだめぇっ♡」

 

 ジャンヌもオルタも限界が近い。それぞれが歯をかちかちと鳴らして快感に喘ぎ、体を震わせている。それでも目の前の相手に負けぬ様に耐える二人であったが、マスターの手がむんずと自分の乳房を掴んだ事で弾けるようにして体を仰け反らせた。

 

「んっひぃぃっっ♡」

 

「ちくびぃ……♡ だめっ、おっぱいいじられたらすぐにイっちゃうぅっ♡」

 

 腰の動きも激しさを増す中で更に乳房を弄られては堪ったものではない。大声で叫んでマスターの責めを止めさせようとする二人だったが、彼がそんな懇願に耳を貸すわけもなかった。

 

「あぁぁ……♡ あぁぁぁぁぁ……っ♡ もう、だめぇっ……♡」

 

「イク……♡ イクぅっ♡ もうイクのぉっ♡♡♡」

 

 己の女体を征服された二人は、観念してマスターの手で絶頂させられることを選んだ。解き放たれた我慢はいつも以上の快楽を伴って体を駆け巡る。

 先ほどよりも大きな水音を立てて肉棒を咥え込む膣もきゅんきゅんときつく締まる。彼女たちはほぼ同時に体を震わせると、獣の様な叫び声を上げて絶頂した。

 

「ひぃぃぃっ♡ イクっ♡ イキましゅぅぅっ♡ おゆるひくらしゃいっ、ましゅたぁっ♡」

 

「んあぁぁぁぁぁっっ♡ イクぅぅっっ♡♡♡ いきゅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 同じ様に嬌声を上げ、同じ様に体を弾ませ、同じ様に潮を噴いた二人は、絶頂した体を硬直させて短い喘ぎ声を上げ続けていた。我慢し続けた結果、蓄積された快感がまだ二人の体を内側から叩いているのだ。

 

「あへっ♡ あえぇぇっ……♡」

 

 涙と鼻水を垂らして喘いでいたジャンヌは、やがて自分の体から絶頂の余韻が消え去った事を感じてぐったりと脱力した。体を自分を抱きしめてくれているマスターに預け、力なく震え続ける。

 そのままたぷたぷとマスターが自分の胸を揉む柔らかい快感を味わっていたジャンヌだったが、突如として耳に響いた叫び声に驚いて反射的に顔を上げてみれば、そこには二回戦を始めたオルタとマスターの姿があった。

 

「あぁぁぁっっ♡ アクメ後の敏感まんこが責められてるぅっ♡ もうすぐにイっちゃうっ♡」

 

 ぶしゅう、ぶしゅう、と連続して潮を噴くオルタの姿に羨ましさを感じたジャンヌは、自分を抱くマスターに強請る様な視線を向けた。

 自分もあんな風にして欲しい……♡ そんな思いを込めてマスターの瞳を覗き込むも、彼はニヤニヤと笑うばかりで彼女の願いを叶えようとはしてくれなかった。

 

「やぁぁっ……。何で? 何でセックスしてくれないんですかぁ……!?」

 

 我慢出来なくなったジャンヌは泣き顔でマスターへと不満をぶつけた。それに対し、マスターはクスクスと意地悪く笑うと彼女に囁きかける。

 

「それはね……ジャンヌが、オルタより先にイっちゃったからだよ……!」

 

「えっ……!?」

 

 どうやら、先ほどの絶頂は同時に見えて自分の方が早く迎えてしまったらしい。その為、マスターはこれ以上の快楽をジャンヌには与えるつもりが無いようだ。

 絶望的な表情を浮かべたジャンヌに向けてマスターは話を続ける。

 

「言ったでしょ? 先にイった方には射精してあげない、ってさ……。だから、ジャンヌのセックスはお終い。ここからはオルタが気持ち良くなってる姿を黙って見てようね~!」

 

「そ、そんなぁ……っ!?」

 

 マスターの言葉に涙を浮かべたジャンヌは体をくねらせて快感を強請った。まだ体の火は消えていない。それどころか激しく燃え盛って男を求めているくらいだ。

 そんな状態でお預けを食らうだなんて絶望的としか言いようが無い。ジャンヌは恥も外聞も捨ててマスターへとセックスを強請る。

 

「お願いしますっ! おちんぽ下さいっ! おちんぽ下さいっ!」

 

「だーめ!」

 

「何でもしますっ! マスターがおちんぽくれるなら、私、何でもしますからぁっ!」

 

「じゃあ、明日まで我慢してよ。そうしたら、明日思う存分セックスして上げるからさ!」

 

「あぁぁっ! 今っ! 今欲しいんですっ! マスターのちんぽでジャンヌのすけべまんこを今すぐぐちゃぐちゃに犯して欲しいんですっ!」

 

 プライドを捨てた本気の懇願、聖女の面影など感じられない口調でマスターへとセックスを強請るジャンヌの姿は必死そのものだ。

 そんな彼女を見た二人のマスターは仕方が無いなと言う表情を浮かべて顔を見合わせると彼女の願いに応えることにして上げた。そのままジャンヌの体を抱えるマスターが腰を突き上げ、彼女の子宮を肉棒で押し上げる。待ち望んだ快感を与えてもらったジャンヌは舌を放り出してアヘ顔を浮かべながら叫んだ。

 

「きたぁぁっ♡♡ マスターちんぽがきたぁっ♡♡ ありがとうございましゅっ♡ ありがとござましゅぅっ♡」

 

 オルタにも負けない反応を見せながら腰を振るジャンヌ。そんな彼女をやれやれと言った様子で見ていたマスターだったが……

 

「……ずるい、じゃない。結局二人とも同じ扱いだなんて……」

 

「ん……?」

 

「頑張って耐えて、勝負に勝った私の努力は完全無視ってわけ? 納得いかないんですけど?」

 

 今度はオルタがマスターへと不満をぶつけて来た。どうやら勝者である自分と敗者であるジャンヌの扱いが同じであることが気に食わないらしい。

 その思いはもっともだと思ったマスターは暫し考え込むと……ニヤリと笑って彼女の体を反転させた。

 

「きゃっ……!?」

 

「ごめんねオルタ。オルタの言うとおりだよ。頑張ったオルタには相応のご褒美を上げなきゃいけないよね……!」

 

 マスターの手がジャンヌの尻を掴む。真正面から向かい合う形で抱きすくめられたオルタは、自分の腹の中に感じる熱く巨大な陰茎の感触にうっとりとした息を吐いた。

 

「それで……? アンタはどうするわけ?」

 

「うん、ちょっと本気を出してあげようかと思ってね」

 

「えっ……!?」

 

 ぐりっと、膣の中に潜り込んでいる肉棒が子宮を押し上げる。がっちりと支えられた体は彼の動きを阻害する事の無い様に抱えられ、マスターは万全の体制を取ってオルタの顔を見る。

 

「壊れないでね、オルタ。結構すごいと思うから」

 

「は……? へぁぁぁぁぁっっっ……♡♡♡」

 

 自分の体の中で大きな音が響いた事をオルタは感じていた。膣から子宮へ、子宮から一気に脳天へ、そして脳天から全身へと凄まじい快感が自分の中を駆け巡っている。しかも、それが断続的に続いているのだ。

 

「へあぁぁぁっっ♡ なにっ♡ なにこれぇぇっっ♡♡♡」

 

 一回一回のピストンの音、普通の男がするそれを音で表すならば『バシン』! だろう。

 しかし、この男のピストンは違う。マスターの腰の動きを音にすれば、『ズドン』! と言う音が的確だった。

 

 体の中に大砲を連続で撃ち込まれる感覚。今まで与えられていた快楽が生温く感じるほどのピストンを受けるオルタはイキっぱなしになっていた。

 

「むりぃっ♡ むりぃぃぃっっ♡ こんなのぉっ、たえられにゃいぃぃっっ♡♡♡」

 

 自分の雌の本能を叩き起こす肉棒の激しさ。雄として、自分を支配しようとする逞しいマスターの動きに翻弄されるがまま、オルタは喘ぎ続ける。

 

「こんにゃのくらったら、もうしたがうしかないじゃにゃい……♡ めすとして、アンタにくっぷくするしか、にゃいじゃにゃいのぉっ……♡」

 

 猛々しい雄の動きをするマスターへと言葉を投げかけながら、オルタはアヘ顔を晒して快楽を享受する。雌として完全に屈服していると言うのにも関わらず、今の彼女を支配するのは幸福感だけだ。

 自分の知らない女の部分を開拓され、調教されている。そんな現状に満足すれば、彼に従う気持ちが段々と強くなっていく。

 

「あへぇぇっ♡ んひぃぃっ♡ んへぇぇっっっ♡♡♡」

 

 膣内の弱点を激しく突かれたオルタはさらに高みへと押し上げられた。未だかつて感じたことのない快感を得られることに多大なる幸せを感じる。

 自分の弱点も、感じさせ方も、全てを彼は知っている……もう自分は、女として彼に勝てるわけが無いのだと一撃のピストン毎に心と体に刻み込まれていく。

 

「さあ、オルタ……そろそろトドメを刺してあげるね。もう二度と生意気な口を利けなくしてあげるよ!」

 

「は、はいぃっ……♡ この生意気な雌に身の程を教えて下さいぃっ……♡ マスターには勝てないって、この体とまんこに教え込んでくださいっ♡♡♡」

 

「ジャンヌもお待ちかねの物をあげるね! これからも気持ち良くして欲しかったら、俺の言うことを聞くんだよ?」

 

「はいっ♡ もうマスターには逆らいませんっ♡ だからザーメンどぴゅどぴゅしてくらしゃいっ♡」

 

 マスターの言葉に期待を募らせた二人は思い切り膣を締めた。激しいピストンを続けるマスターはきつく締まった膣の壁を逞しい肉棒で擦り上げる。

 もはやイキっぱなしであった二人だったが、限界を超えた性交による快感を受けてその中でも飛びっきりの絶頂を迎えようとしていた。

 肉棒に弱点を、そして子宮口を強く突き上げられた二人は目を見開くと甲高い悲鳴を上げながら絶頂する。

 

「ひぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

「いぐぅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 つい数分前と同じ光景……いや、その時よりもさらに激しい絶頂を迎えた二人は声をあらん限りに上げて吼える。

 再び体中を快感が駆け巡り、先ほど同様に二人はその余韻が去るのを待っていたが……今回は、絶頂して終わりでは無かった。

 

「あ? え……?」

 

「マスター、増え……?」

 

 自分の前後を挟みこむ様にして出現したマスターの姿に驚く二人。総勢4人に増えたマスターたちは、上手く二人の体を操って彼女たちの尻穴を広げる。

 そこに亀頭が触れた次の瞬間には、ごりっと言う音と共に肉棒が突きいれられていた。

 

「んっほぉぉぉぉっっ♡」

 

「おちんぽけちゅあなにもきたぁっ♡」

 

 前後の穴を犯される二穴セックスの快感に酔いしれる。自分に最高の快感を与えてくれる肉棒が二本、愛しい人が二人……すなわち、快感も二倍になると言うことだ。

 

「覚悟しろよ、今日は地面に足を着かせないからな」

 

「お腹がぱんぱんになるまで精液注ぎこんであげるよ」

 

「「嬉しいでしょ? 二人とも……!」」

 

「う、うれひぃです……♡ マスターちんぽが、いっぱい……♡」

 

「Wちんぽで私たちの雌穴を屈服させてくださいぃっ♡」

 

 歓喜に満ち溢れたジャンヌとオルタの返事を聞いたマスターたちは、一同に満足げな笑みを浮かべた。そして、同時に腰を動かし始める。

 その後、部屋の中には肉のぶつかる音とそれをかき消すほどの大きさの聖女たちの喘ぎ声が響き渡ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せん、ぱい……♡ せんぱぁいっ……♡」

 

 ジャンヌとオルタの痴態を見せ付けられたマシュの心の中は、彼女たちへの羨望の気持ちで一杯だった。マシュは自分も味わったことの無い快楽に溺れる二人の姿に熱い視線を注ぐ。

 

 両方の穴に主の肉棒を咥え込んだ二人の気持ち良さそうなことと言ったら、それは今のマシュにとっては想像もできないことであった。それでも無理に快感に蕩けた頭を働かせ、自分がそうなっている姿を妄想する。

 何らかの方法で分身した主が自分を抱きかかえ、マシュを狂わせる肉棒を見せ付ける。一本は自分の雌の象徴である女性器へ、もう一本は彼の手によって開発された尻穴へと向かっていく。

 二本の肉棒は情け無用でマシュの両穴を貫き、そのまま全力のピストン運動を開始するのだ。自分はその快感に耐えることも出来ず、何度も絶頂してしまう。

 

 膣からは本気の雌汁が滝の様に溢れ、間欠泉の様に潮を噴く。子宮もあっけなく屈服し、彼に孕まされることを待つだけの物体となる。

 自分の体の中で最も敏感なアナルは排泄口としての役割を終了した。これからは挿れてもらうための器官であることを義務付けられ、名称は()()()()()へと改められる。

 

 人として、女として、雌としての完全屈服。マスターの言うことを何でも聞く雌奴隷の誕生……。そうして貰うことを夢見たマシュは、荒く息を吐きながらダヴィンチちゃん仮面へと視線を向けた。

 

「……君が何を言いたいかはわかっているよ。もうそろそろだからさ……!」

 

 がちゃり、とドアが開いた。その先の廊下の突き当たりにあった部屋の前まで来たマシュは、その扉のネームプレートを見て喜びに顔を綻ばせる。

 

「あはぁ……♡ やっと、私の番なんですね……♡」

 

 No,001 マシュ・キリエライト調教室………自分を躾けるために作り出されたその部屋の中で何が行われるのかを想像したマシュは、口の中に溢れた涎を音を立てて飲み込んだ。

 

「……行ってきなよ、マシュ。ここまで君が溜めてきた欲望を解き放ってくるんだ。彼に浅ましく快感を強請って、従順な雌として可愛がって貰うと良い」

 

「はい……っ♡」

 

 ダヴィンチちゃん仮面に背中を押されたマシュがドアノブを掴む。深呼吸をして気持ちを落ち着かせた彼女は、意を決するとその扉を開いた。

 

「あ……♡ あはぁっ……♡」

 

 何の変哲も無い普通の部屋でも、彼が居ればそれだけでどんなホテルのスイートルームよりも素晴らしい部屋になる。部屋の中で待ち構えていたマスターの姿を見たマシュの後ろで、扉が音を立てて閉まった。

 

「……始めようか、マシュ」

 

「はい……先輩……♡」

 

 促されるままに己の体を差し出しながら、マシュは待ちわびた自分のお仕置きの内容を想像し、上下の口から涎を垂らしたのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 英霊更正施設カルデア ⑤(マシュ)

 ようやく訪れた自分の順番、胸をときめかせながら部屋の中に入ったマシュは、マスターに促されるままに彼の元へと歩いて行く。

 ベッドに足を乗せ、彼に抱かれる為の舞台に乗ったマシュは、自分はどうすれば良いのか視線でマスターに尋ねる。彼はその視線に答えて次の命令を下してくれた。

 

「四つん這いになって尻をこっちに向けろ。ああ、まんこに挿ってるバイブもよく見える様にするんだ」

 

「はいっ♡」

 

 いつもとは違う命令口調に雌としての本能を刺激されるマシュ。別段、普段の彼の態度が嫌いなわけでは無い。むしろその逆だ。

 だが、優しくて素敵なマスターが強い口調で自分にいやらしい命令を下すと言う姿もまた、マシュの中のM心が喜ぶほどの魅力に満ち溢れていた。

 

「何をしてるの? 早く言われた通りにしなよ」

 

「は、はいっ! 申し訳ありませんっ!」

 

 浮かれた視線で彼を見て固まっていたマシュだったが、彼からの叱責を受けて急ぎ命令を遂行した。

 瞬時に体を反転させて腰を浮かせる。四つん這いの姿勢を取り、そのまま脚をがに股に開いて性器に突き入れたれたバイブと期待にひくつくアナルを彼の前に曝け出した。

 

「よしよし、マシュは良い子だね……!」

 

 マスターは命令をきちんと遂行したマシュを褒めながら彼女の体に手を伸ばす。左手で挿入されているバイブを掴み、右手で彼女の大好きなアヌスを弄ってやれば、マシュの口からは嬉しそうな声が溢れた。

 

「んはっ♡ ほぉっ♡ ああっ、どっちも弄られてますぅ……♡」

 

「ちゃ~んとバイブを挿れっぱなしてここまで来たんだね、偉い偉い……」

 

「あぁぁぁぁっっ♡」

 

 膣へとバイブを出し入れされたマシュが快感に喘ぐ。だが、姿勢を崩すことは決してしない。

 自分の体を気持ち良くしてくれる彼の邪魔になることはしてはならない……そんなマシュの従順な思いを理解したマスターは、彼女が最も好む快感を与えてやることにした。

 

「ケツ穴もこんなに広がっちゃってさ……。そんなにちんぽ欲しいの?」 

 

「ほ、欲しいです……♡ 先輩のちんぽ、ほ、ひぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 懇願の言葉を口にしている最中にアヌスへと剛直を捻じ込まれる。待ちに待った快感を与えてもらえたことに歓喜しながら、マシュは挿入と同時に絶頂して潮を噴いた。

 

「ははは! マシュは本当にアナルセックスが大好きだね!」

 

「んひぃぃっっ♡ ほっ、ほぉぉぉっっ……♡」

 

 マスターは体勢を変え、マシュが自分の腰の上に座る様にした。熱い杭の様な肉棒がさらに直腸の奥まで突き入れられる格好となり、マシュは快感に溢れた呻き声をもらす。

 

「ほっ♡ ほぉぉぉっ……♡」

 

「まだ動いてないのにこの感じよう、本当にケツ穴大好きっ娘になっちゃったね?」

 

「はい……♡ 私、お尻セックス大好きですっ♡ 先輩のちんぽでケツ穴広げられるの大好きなんですぅっ♡」

 

 マスターの言葉に素直な反応を返したマシュは、自ら腰を動かして肛門性交を始めた。手馴れた動きで肉棒を扱き、尻をマスターの腰へと何度も打ち付ける。

 

「んひっ♡ んほあっ♡ んおぉぉっっ♡」

 

 逞しい肉棒が腸壁を擦る度、アヌスが広がって入り口が刺激される度、そして肉棒がマシュの尻穴から抜け落ちそうになる度に多大なる快感を得る。

 夢見心地で腰を振り続けていたマシュ。だが、マスターはそんなマシュの姿を冷たい視線で睨むと彼女の尻へと思い切り張り手を見舞った。

 

「ひゃぁぁぁぁっっ♡」

 

 丸く白い尻に咲く紅葉……彼の手の形に赤くなった尻はいやらしい臭いを撒き散らしながらもその動きを止めた。

 

「……なに人のちんぽを肉バイブにしてるの? 勝手に腰を振って良いって誰が言ったの?」

 

「あ、あぁ……すいません! すいませんっ!」

 

「マシュ、これはお仕置きなんだよ? カルデアを裏切った皆へのお仕置きで、もう二度とそんなことを思わせない様にするための調教なの。マシュが勝手に気持ち良くなって良いわけが無いだろう?」

 

「すみませんすみませんすみませんっ!」

 

 必死になって謝罪の言葉を口にするマシュ。後ろから抱きしめられている為に彼の表情がわからないことが恐ろしい。

 ただひたすらに謝り続けるマシュであったが、突如として自分の前の壁に取り付けられていたモニターの電源が点いたことに驚いてその口を閉ざした。そして、そこに映し出された映像を見てさらに驚くことになった。

 

「……皆は俺に忠誠を誓ってくれたよ? ほら、見てごらん……」

 

「あ、あ……!?」

 

 モニターに映る四人の女性、自分同様にマスターのサーヴァントとして彼と契約した彼女たちは、皆彼の手で快感を与えられ、雌として調教されていた。

 マシュはそんな彼女たち一人一人の姿を見てきたが、今映し出されているのはマシュが見た後の彼女たちの姿の様だ。

 

『ご、しゅじん……これで、いいか……?』

 

『ああ、良く出来たね。さあ、ご褒美だよ……』

 

『あひぃっ♡』

 

 タマモキャットは猫用のトイレの上で用を足すことを命令されていた。その命令に嬉々として従った彼女は、猫用トイレの上でしゃがむと股座から黄金の液体を放つ。

 一滴もトイレの外に溢す事無く放尿を終えた彼女に対して、マスターは褒美として自身の肉棒を彼女の膣へと突き入れてセックスを始めた。

 

『わんっ♡ わおぉぉんっ♡』

 

 犬の鳴き真似をして悦ぶタマモキャット。順調にマスターに躾けられる彼女の姿を見たマシュは、次の女性の映像へと目を移す。

 

『……ほら、マシュに挨拶しなよ、アルトリア』

 

『は、はい、マスター……♡ ま、マシュ、今、お前はこの映像を見ているのだな……?』 

 

 頬を紅潮させながらそう自分への言葉を囁くのはアルトリアだ。後ろからマスターに抱きかかえられた彼女は、彼の肉棒を咥え込む己の膣を曝け出しながら言葉を紡ぐ。

 

『み、見ての通り、お前たちの王である私は、マスターに完全降伏することにした……♡ こんなちんぽで体を貫かれては、もはや勝ち目はないからな……♡』

 

『もっと手短に、下品に言いなよ。もたもたしてるとちんぽ抜いちゃうよ?』

 

『あぁっ♡ だめですっ♡ マシュっ♡ お願いだから見てくれっ♡ おちんぽに絶対服従してしまった淫乱騎士王の姿をみてくれぇっ♡ 私がマスターの女になった姿を見て欲しいんだぁっ♡』

 

 彼から抱かれないということへの恐怖を感じたアルトリアは、即効でマシュへと告げることを告げて腰を振った。持ち上げられている為かくかくと拙い動きではあったが、あのアルトリアが完全に手懐けられた姿に見入ってしまうマシュ。

 

『あ、あぁっ♡ マスター、いっぱい……♡ おちんぽも、いっぱいぃっ……♡』

 

『しゅごいっ♡ 本気のぴすとんしゅごいのぉっ♡ もうおまんここわれちゃうっ♡』

 

 だが、そんな彼女の意識を持っていったのはジャンヌとジャンヌオルタの嬌声であった。部屋の中で無数のマスターに囲まれる二人は、全身を使って奉仕を続けている。

 両手で二本、口で一本、膣とアナルで一本ずつ、計五本の肉棒を相手して快感を貪っていた。

 

「すごい……♡ 皆さん、あんな風になっちゃって……♡」

 

 凛々しく強い英霊たちが快感に蕩けてその身を差し出す姿に興奮を隠せないマシュ。そんなマシュを抱きかかえたマスターは、そのまま部屋の中にある謎の機械の元へと彼女を連れて行く。

 

「よいしょ、っと……」

 

 何をされるのかと困惑していたマシュだったが、マスターが機械に空いている穴に向けて自分の膣に挿入されているバイブを突き入れたことを見てさらにその疑問を大きくした。

 一体この機械は何なのだろうか……? そう考えていたマシュの前に謎の数字が出現した。

 

「20%……? この数字は……?」

 

「まだそれだけしかダウンロードが終わってないのか、やっぱり長いなぁ」

 

「ダウンロード? あの、どういう意味なんですか?」

 

「ああ、このバイブはね。ゲーム世界のマシュのおまんこにとあるプログラムをインストールさせるためのものなんだよ。どんなプログラムがインストールされてるか、知りたい?」

 

「は、はい、教えてください」

 

「ふふふ、それはね……! ()()()()()()()()()()()()()プログラムさ!」

 

「えっ……!?」

 

 マスターの言葉にマシュは目を見開いた。妊娠、と彼は言った。ゲーム世界と言えど妊娠、つまり自分に子供を産ませるつもりなのだ。

 

「プログラムのダウンロードには時間がかかるけど、それが終わり次第すぐに種付けを始めるからね!」

 

「ほ、本気なんですか……?」

 

「もちろんだよ! これがマシュへのお仕置きさ。俺の子供を何度でも孕ませて、出産させるんだよ! ……良いよね? 現実世界でも俺の子供を産むって約束してくれたし、その予行練習をしちゃおうよ……!」

 

「あ、あぁ……♡ はぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 自分が彼の子を孕む。愛しい人の子供を産める……。そんな幸せなことがあっていいのだろうか?

 これがお仕置きになるはずが無い。だが、マシュへの調教としてはこれ以上の効果をもたらす物は無かった。喜びに涙を浮かべるマシュに対して、マスターは止めていた腰を動かして彼女のアナルを責め始める。

 

「んおぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「だからそれまではけつまんこでちんぽを相手してもらうよっ! マシュ! お前の体はもう、俺専用なんだよっ!」

 

「はいぃっ♡ 私、マシュ・キリエライトは、先輩専用ドスケベサーヴァントですっ♡ まんこは先輩の子供孕むための先輩専用雌穴でっ♡ けつまんこは先輩以外のちんぽを知らない専用扱き穴ですっ♡」

 

「良く言えたなマシュっ! ご褒美をくれてやるぞっ♡」

 

「はいぃっ♡ ご褒美くださいっ♡ 先輩専用デミ・サーヴァントのけつまんこにザーメンぶちまけてくださいっ♡」

 

 マシュは淫らにもほどがある台詞を口にしながら射精を強請る。マスターはその思いに応えるべく彼女の尻の奥へと肉棒を突き刺すと、そのまま一気に性の高まりを爆発させた。

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 腸の中で暴れる精子。マシュは尻穴でも孕んでしまうのではないかと思うほどの錯覚を得ていた。それほどに激しい射精だったのだ。

 ぬぽんっ♡ と音を立ててマスターの肉棒がアヌスから抜け出す。ベッドへと投げ出されたマシュは、そのまま尻を高く掲げて待ち続ける。

 

「さて、少し休憩したら二回戦だよ。そこからはノンストップだから覚悟してね」

 

「はい……♡」

 

 期待に尻穴を緩ませながら、マシュは恍惚とした表情を主へと向ける。刻まれた淫紋令呪が自分の体を高ぶらせていることを感じながら、マシュは彼の与えてくれる快感へと意識を手放したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……! おはようございます、みなさん……」

 

「ああ……おはよう、マシュ……」

 

 翌日の朝、カルデアの食堂で同じテーブルを囲む五人は気まずい雰囲気の中で朝食を摂っていた。頭の中に浮かぶのは昨日の自分の痴態ばかりだ。

 ゲームの中とは言え、なんとも浅ましい姿を晒してしまった。絶対に他のメンバーにはあんな姿を見せるわけにはいかない。

 そんな決意を固めて昨日の事を忘れようとした面々だが、中には例外もいる様で……

 

「お、アルトリア。そう言えばお前のAVがダヴィンチちゃん工房で発売されてたゾ!」

 

「なっ、何っ!?」

 

「『淫乱騎士王 ちんぽに完全敗北~~部下の騎士にアヘ顔晒しながらイクっ♡ ~~』と言う題名だったな」

 

「なっ、なっ、なっ……!?」

 

 タマモキャットの言葉に顔を赤くしたり青くしたりして動揺するアルトリアの姿を見た他のメンバーは素直に同情した。同時に自分たちの痴態もカメラに収められているのでは無いかと恐怖する。

 そんな風に思い思いの考えを浮かべる中でタマモキャットは手を上げると、仲間たちに向けてある提案をした。

 

「ここで我からの提案だ! 我ら五人でチームを組まないか?」

 

「は? チーム?」

 

「そうだ! 我ら全員、なかなか良い相性をしてると思うのだが!」

 

「えっと……?」

 

 いまいちキャットの言うことが理解できない面々。タマモキャットはそんな彼女たちの顔を一人ずつ指し示すと謎の二つ名を口にしていく。

 

「ドスケベ後輩系デンジャラスビースト・マシュ!」

 

「はっ!?」

 

「爆乳クール系淫乱騎士王・アルトリア(ランサー)!」

 

「なっ!?」

 

「真面目委員長系むっつり聖女・ジャンヌ・ダルク!」

 

「むっつりっ!?」

 

「ツンデレ系チョロイン・ジャンヌオルタ!」

 

「だっ、誰がちょろいですって!?」

 

「そして、野生の獣兼良妻メイドの我ことタマモキャット! 全員エロボディを持ちながら誰もキャラが被っていない……つまり、お互いの利点を食い合わないと言うことだ」

 

「いや、だから何でチームなんですか……?」

 

「わからないのカ? 今のうちに自分のキャラを確立させておけば、今後仲間が増えてもご主人に愛される頻度はある程度キープ出来るはずだ。そのための協力体制を我ら五人で作っておこうと言うことだ!」

 

「……なるほど、一理ある」

 

 タマモキャットの言葉にアルトリアが頷いた。彼女はこの場にいるメンバーの中でもキャラ被りの危険性が著しく高いサーヴァントだ。何せ両手を使わないと数え切れないくらいに同一人物がいるのだから。

 そして、キャラ被りの危険性は多かれ少なかれ他の女性たちにもある。今後、自分と同じ様なキャラクターの英霊を取り戻した時、自分よりマスターのお気に入りになられると抱かれる頻度も下がってしまうと言うものだ。

 ならば早期に救出されたと言う利点を活かして、今のうちに彼のお気に入りになっておこう……そのためにこの場にいる全員で協力し合うのだ。

 

「……先輩が他の人のお尻に興味を持たれるのは嫌ですね」

 

「他の自分に負けるのも癪な話だ。特に自分の影の部分にはな」

 

「あの淫乱ピンクにだけは負けられない……!」

 

「……いや、あれに負けるって事は、マスターがあっち系ってことだからね?」

 

「……どうやら反対意見は無いようだな。なら、我々はカルデアの性処理における第一のチームとして活動を始めよう。そうさな……一番最初に結成された事と、オールマイティにどんなプレイにも対応出来ることから、()()()()と名乗ろうでは無いか!」

 

 こうして結成されたチームAのメンバーはテーブルの上で手を重ねあう。エロい意味でも協力関係を結ぶ事になった面々は、取り敢えず初仕事に出かける事にした。

 

「さて……行くか」

 

「はい! 現実世界ではまだ抱いてもらってないですしね!」

 

「マスターには早いうちに多対一のプレイに慣れてもらわないと困りますからね」

 

「最後の一滴まで搾り取ってやるわよ!」

 

「………」

 

 そんな風に意気込みながらマスターの部屋へと向かうメンバーの背中を見ながら、アルトリアはマスターとのセックスが終わったらダヴィンチちゃん工房に行こうと心に決めた。当然、自分のAVを破棄するためである。

 しかしもうこの時点でDVDが売り切れになっている事と、この後マスターに足腰立たなくなるまで抱かれることになるとは露にも思っていない彼女であった。

 

 

 




 チームA メンバー紹介



 マシュ・キリエライト

 マシュマロボディの従順な後輩系デミ・サーヴァント! 性知識は少ないですが、積極性はあるのであなた好みの女の子に調教しちゃいましょう!
 大好きなのはアナルセックス! じっくり丁寧に穿ってやれば、あっという間にエロ娘に大変身!
 礼装『デンジャラス・ビースト』でのコスプレエッチにも対応! エロ後輩の体を存分に楽しんじゃいましょう!


 タマモキャット

 良妻賢母で野生の獣! エロにも開放的なタマモキャットは、激しいプレイが大好きです!
 後ろからがつがつと責めて、雄の力強さを叩き込んであげましょう! 満足させてあげられれば、もう彼女はあなただけの雌犬です!
 (なお、失敗した際の問題については責任を取りません)


 アルトリア・ペンドラゴン(ランサー)

 クールで格好良い王様? いえいえ! 一皮剥けばただの淫乱騎士王なんです!
 爆乳とデカ尻をぶるぶる揺らしながら感じる彼女の姿は必見! 是非ともあなたの性槍で屈服させてあげてください!
 騎乗スキル持ちの彼女が行う騎乗位は肉厚まんこの重厚さも相まってまさに最高の一言ですよ!


 ジャンヌ・ダルク

 ずいぶんとエロくなってしまったむっつり聖女。ちんぽを前にすると涎が止まらなくなるそうです。
 あえてお預けして、清楚な彼女が淫乱っぷりを見せ付けるまで焦らすのもアリ! そのまま楽しくエッチももちろんOK!
 様々なプレイに適応できる童顔エロボディを是非とも堪能して下さいね!


 ジャンヌオルタ

 ジャンヌちゃんのツンデレバージョン! ちんぽとマスターが大好きなので、他の女の子と一緒に楽しむと可愛い嫉妬を見せてくれます!
 気が強い彼女ですが、マスターちんぽには敵いません。簡単に陥落して、可愛いメス鳴き姿を見せてくれます!
 反抗的な女の子を調教したいなら迷わず彼女! 強い女を下す優越感を感じましょう!


 もちろん一人だけでなく複数人とのプレイもOK! あなたが望むなら、五人全員がお相手いたします!



「私たち一同、先輩(マスター)からのご指名をお待ちしています! 一緒にキモチイイこと、しましょうね……♡」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

チームA アナルで負ける(チームA)

「ちょっとこれ、どういうことよ!?」

 

「ふっはっはっはっは! 良い格好だね、皆!」

 

 悪役としか思えない笑い声を上げた俺は睨み付けて来るオルタへと視線を下ろした。その後、彼女の近くに居るアルトリア、ジャンヌ、キャットへと視線を移す。

 

「こ、これはどういうことなんですか、マスター!?」

 

 ジャンヌが驚くのも無理は無いだろう。なにせ彼女たちは今、非常に恥ずかしい格好で拘束されているのだから。

 脚を大きく広げられ、閉じられない様にバンドと棒で膝を拘束。腕は自由に動くものの、現状土下座のポーズで床にうつ伏せになっている自分の体をどうこうすることは皆には出来ない筈だ。

 

「な、何がどうしてこうなったのよ!? アンタ、ちゃんと説明しなさい!」

 

「はっはっは! そう慌てないでよオルタ、ちゃ~んと説明させるから」

 

「……()()()、という事は、やはり……」

 

「お~い、出ておいで~!」

 

「は~い♡ 先輩……♡」

 

 俺の手招きに従って皆の前に姿を現したのはマシュだ。既に全裸で、あそこはぐっしょりと濡れている。

 俺はそんなマシュの体を抱き寄せてキスをすると、彼女の頭を撫でながら耳元で囁いた。

 

「さあ、マシュ。皆が何でこんなことになっているのか説明してあげるんだ」

 

「ふうんっ……♡ はい、先輩……♡」

 

 むにゅりとお尻を揉まれる感触に呻きながら返事をしたマシュは、蕩けた瞳を拘束されている皆へと向ける。そして、熱を帯びた声で話し始めた。

 

「み、皆さんは、VRソフトで私の記憶を見ていたんですよね……? ()()()()()()()()()()()()()()()()()を疑似体験していた……そうですよね?」

 

「その通りだ。と言うよりも、それを提案したのはマシュであろう?」

 

 キャットの言葉に頷くマシュ。簡潔にここまでの話を纏めるとこうだ。

 どうやら皆は、俺にアナル処女を捧げたマシュの記憶をダヴィンチちゃんVRで体験していたらしい。マシュの提案で行われた集会はこの部屋で行われ、たっぷり数時間、皆はマシュの記憶を楽しんだと言うわけだ。

 で、目が覚めたらこの状況。そりゃあ困惑するよね。そんな彼女たちの身に何が起きたのかを開設する前にマシュは可愛らしく舌をぺろりと出して皆への謝罪の言葉を口にした。

 

「それでなんですけど……ごめんなさい。実は、皆さんが私の記憶を体験している間、私は先輩の所に行って、抱いてもらってたんです……♡」

 

「はぁっ!? な、なにそれ!? 抜け駆けしたってこと!?」

 

「チームの協定を破ったのだな?」

 

「すいません、どうしても我慢出来なくって……」

 

「まさか……自分の記憶を体験してみろと言い出したのも、最初から自分一人がマスターに抱かれるための時間を作るためか!?」

 

「正解で~す……♡」

 

 快感に蕩けた表情を浮かべながら質問をしてきたアルトリアへと答えるマシュ。皆は合点が行ったと言う様にマシュの姿を見ている。

 今のマシュが晒している痴態も俺に抱かれた後だと言われれば納得出来る。皆がVRゲームで仮想体験をしている間、マシュはずっと俺とお楽しみだったと言うわけだ。

 そのことに対して悔しそうな表情を浮かべるものが半分。もう半分はそれがどうしてこの状況に繋がるのかわからないと言った表情を浮かべている。

 

「マシュは悪い子だなぁ! 皆を裏切って一人で楽しもうだなんてね……! でも皆、安心して! そんな悪い子のマシュは俺がお仕置きしておいたから!」

 

「ふあっ♡ んひゅぅぅ……♡ ふあぁぁ……っ♡」

 

 俺はニコニコと笑いながら皆にそう告げる。その間、マシュの胸を無遠慮に揉むことを忘れはしない。

 とっくに火が点いているマシュの体は俺のその手の動きに合わせてびくびくと震え、乳首も痛いほどに勃起して硬くなっていた。

 

「い、いや! だからと言ってなんでこうなってんのよ!?」

 

「ん~~~? それはね……俺も皆と一緒に()()()をしようと思ってさ!」

 

「げ、ゲーム!?」

 

「ふあぁぁっ♡♡♡」

 

 マシュのお尻をぺしんと叩いた俺は、そのままマシュを前屈みにさせてお尻を突き出させた。無論、その後すぐにアナルに肉棒を挿入することも忘れない。

 つい先ほどまで何度も繰り返したその行為のおかげですんなりと俺の肉棒を咥え込んだマシュのお尻は、嬉しそうに左右に揺れながら俺のピストンを受け止めていた。

 

「んあぁっ♡ ほぉっ♡ おほぉぉっ♡」

 

「と言うわけでゲームをしようよ! 皆も俺にお尻を弄られたかったんでしょう?」

 

「ほひぃっ♡ せんぱっ、ふかいぃっ♡ もう、イキましゅぅっ♡」

 

 ずんずんとマシュのアナルを責め、高みへと押し上げる。発情しきったマシュの体は簡単に昂ぶり、もうイキそうになっていた。

 俺はそんなマシュの体を抱え上げると倒れている皆に見せ付ける様にして腰を振り続ける。

 

「……ゲームのルールは簡単。俺が皆とアナルセックスをして、皆を降参させられたら俺の勝ち。逆に、もう俺がセックス出来なくなったら皆の勝ちね」

 

「んひっ♡ みなしゃんに、みられてぇ……っ♡」

 

「で、皆が降参する時なんだけど……マシュ、お手本を見せてあげて」

 

「はっ、はいぃぃっっ♡」

 

 俺の言葉を受けたマシュが両手を自分の顔の横へと持ってくる。両手ともに指を二本立たせ、ダブルピースと呼ばれる形を作る。

 マシュの準備が整ったことを確認した俺は、手元に置いておいたリモコンのスイッチを押した。すると、部屋の中に設置されたモニターが起動し、大写しになった今のマシュの姿をスクリーンに映し出したではないか。

 皆の注目を浴び、無様なアヘ顔ダブルピースを録画されながら、マシュは俺への降伏の言葉を大声で叫んだ。

 

「わ、私っ♡ マシュ・キリエライトは、先輩のおちんぽに敗北したことをここに認めますっ♡ 先輩ちんぽに完全服従し、喜んでけつ穴を差し出すことを誓いますっ♡」

 

「はいっ、よく出来ましたっ!」

 

「んごぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 ちゃんと宣誓が出来たマシュを褒めた俺は、さらに激しく腰を動かしてマシュのアナルを穿った。ぐりぐりと奥まで肉棒を突き入れ、捻り込む様に押し込む。抜く時はゆっくりねっとりとねちっこく責め、マシュのアナルを完全にコントロールしながらアクメを決めさせていた。

 

「んひぃぃっ♡ んひっ♡ んひぉぉぉっ♡」

 

「よ~し、それじゃあマシュのアナルに射精するからね! しっかりけつ穴で受け止めるんだよ!」

 

「は、はいっ♡ 射精()してくださいっ♡ ドスケベ後輩のけつ穴にっ、ザーメンたくさん射精してくださいっ♡」

 

 ごりごりと腸内を擦りながらマシュと波長を合わせた俺は、リズミカルに腰を動かしてマシュを責めた。途中、ドリルの様に腰を回転させながらアヌスを掘削してやると、マシュは獣の雄たけびにも近しい声を上げて絶叫する。

 ぎゅうぎゅうと締まるアナルの感触に我慢の利かなくなった俺は、それを契機に思い切り腰をマシュの尻にぶつけると奥の奥で性の高まりを爆発させた。

 

「んほぉぉぉぉっっ♡ ああっ♡ 射精(でて)るぅ……っ♡ 先輩のおちんぽ汁、お尻の中に注がれてます……っ♡」

 

 アへ顔Wピースを晒しながらの敗北宣言からのケツアクメ、さらには肛内射精を受けての幸せそうなトロ顔をばっちりとカメラに撮影されながら、マシュは俺の腕の中で舌を放り出して喘いでいた。

 俺はそんなマシュを床に下ろし、何回かお尻を叩いてその感触とマシュの反応を楽しんだ後で皆へと向き直る。

 

「もう分かったと思うけど、敗北宣言から先はカメラで撮影して記録しておくからね。もしかしたらこの間のアルトリアみたいにAVとして販売されちゃうかもね!」

 

「ぐっ……!」

 

 俺の一言にダメージを受けたアルトリアが顔をしかめる。同時に他の皆も晒しものになる恐怖を感じた様だ。

 

「……はっ! 勝ちゃあ良いんでしょ? 四人相手にどこまで持つか見物じゃない!」

 

「ほ~う? オルタは自身有り気だね。それじゃあ、最初の相手はオルタにしようかな」

 

「ふん! 良いわよ! 私一人で勝負を決めてやるわよ!」

 

 俺に指名を受けて多少怯んだオルタだったが、威勢良く啖呵を切ると俺を睨み付ける。そして、フラグとなるあの言葉を口にした。

 

「ちんぽなんかに絶対に負けないっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほにゃぁぁぁぁっっ♡♡ むりっ♡ むりぃっ♡ かてっこないぃっ♡♡♡」

 

 で、数分後、見事にオルタは俺に駅弁ファックで喘がされていた。この時点ですでに4回はイっている。

 VRソフトでアヌスを弄られていたことで敏感になっていたことと、俺の本気を舐めていたことが原因ですな。

 

「どうしたのオルタ~? ちんぽには負けないんじゃ無かったの~?」

 

「むりむりむりむりぃっ♡ 取り消すからっ♡ もうお尻馬鹿になりゅぅっ♡」

 

「は~い、そう言う時はどうするんだっけ~? 教えたよね~?」

 

「あひぃっ♡ うぅ……っ、んはぁっ♡」

 

 一瞬だけ悔しそうな表情を見せたオルタだったが、次の一突きでその悔しさも吹き飛んだ様だ。あっという間にWピースを作り、カメラの前で叫び始めた。

 

「まけまひたぁっ♡ わたしのまけだからぁっ♡ もうおひりいじめないでぇ……♡」

 

「はい、一人突破! いや~、オルタ弱すぎでしょ!」

 

「んっ♡ んっ♡ んっ♡ もうやめへぇっ♡ イクっ♡ またイクからぁっ♡」

 

「駄目駄目、調子に乗ったオルタにきっちりと教えてあげないとね。ゲームよりも現実の方が何倍も気持ち良い、ってことをさ!」

 

「んへぇぇぇっっ♡」

 

 ラストスパート、既に涎やら涙やらでぐしゃぐしゃになった顔をさらに歪ませながらオルタが喘ぐ。激しく尻を穿ちながら、俺も射精の準備を整える。

 

射精(だす)よっ! オルタ! カメラの前で敗北アクメ晒しちゃえっ!」

 

「んへぉぉっ♡ おっ♡ おぉぉぉっっ♡」

 

 一際大きく腰を跳ね上げ、オルタの尻穴深くまで肉棒を突き入れれば、オルタの菊門はぎゅうっと締まって俺の竿を締め付けた。

 勝利の快感とアヌスの蕩け具合を感じながら、俺もまた絶頂してオルタの尻穴に精液を注ぎ込む。

 

「あっ♡ んへっ♡ あちゅ、あちゅぃぃっ……♡」

 

 オルタもまたマシュ同様に全てを撮影された後で床へと崩れ落ちた。股座からは快感の余りおしっこが漏れている。

 貴重なオルタの嬉ションシーンも余すことなく撮影した後で、俺は次の相手を指名した。

 

「さて、ついでにもう一人墜としておくか……ジャンヌ、行っくよ~!」

 

「つ、ついで!? 私を甘く見すぎじゃありませんか!?」

 

「お? ジャンヌは不満なのかな~?」

 

「当然です! 黒い私がちょろすぎなだけで、私も同じだとは思わないでください!」

 

 なんだか少し前に繰り広げた様なやりとりに俺の口元には自然と笑みが零れた。そんな俺の態度を自分への侮りだと感じたのか、ジャンヌは何も聞いていないのに堂々と宣言する。

 

「おちんぽなんかには絶対に負けませんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、数分後なんだけど……

 

「あへっ♡ あへぇぇぇっっ♡ うそつきましたっ♡ マスターのおちんぽには勝てませぇんっ♡」

 

「いや~、揃って堕ちるの早くない? ほんとスケベ性女だよね!」

 

「しゅみませんっ♡ おちんぽ大好き性女ですいませんっ♡」

 

 ガクガクと体を震わせながら俺に謝るジャンヌ。膣からは本気汁と潮が噴き出し、彼女の足元を濡らしている。

 ちなみに先に負けたオルタはマシュに弄ばれていた。ぽっかり広がったアヌスに指を挿れられ、ぐちゅぐちゅと掻き回されている。とても気持ち良さそうな声が聞こえるので、このまま放って置くことにした。

 

「ましゅ、ましゅたぁっ♡ まけですっ♡ 私のまけぇっ♡」

 

「はいはい、お手てを忘れてますよ~!」

 

「はいぃっ♡ 見てくらさいっ♡ スケベ性女のアヘ顔Wピース、見て欲しいですぅっ♡」

 

 顔の横にピースサイン、なんだか無駄に綺麗に作られた指の形に噴き出しながら俺はカメラの位置に合わせてジャンヌの体の向きを調節する。ぴったりと来る場所に彼女を誘導できたのとジャンヌが宣言を始めるのはほぼ同時であった。

 

「マスターのおちんぽっ♡ お尻にぶち込まれてアクメ決めまくりまひたぁっ♡ 負けを認めて素直にアナルにザーメン射精されますぅっ♡」

 

「良しっ! では早速っと!」

 

「んひぃぃぃっっ♡ ほぉぉうっ♡ おほぉぉぉっっ♡」

 

 間髪入れずの肛内射精、仰け反って吠えるジャンヌのアヌスをなおも責めながら射精を続ける。

 腸壁に精液を刷り込む様にして腰を振り続けた後、絶頂に疲れて脱力しきったジャンヌの体を床に下ろした俺は、彼女の尻穴を広げてその中を観察した。

 

「おぉ……! 良い感じにエロいなぁ……!」

 

「んひっ♡ そんなに見ないでくらはぁい……っ♡」

 

 ジャンヌの尻の中で攪拌された精液が泡となって彼女の腸液と共に溢れ出る。その際、ぼふっ♡ と言う様な下品な音を立てるのも堪らない。

 こうしてあっけなく陥落したW性女のお尻を叩いた俺は、未だにオルタのアヌスを弄っているマシュに声をかけた。

 

「マシュ、オルタを抱えてついて来て。敗者は罰ゲームを受けてもらうから、その為の部屋に連れて行くよ。あ、当然だけどマシュも罰ゲームは受けてもらうからね!」

 

「は~い、先輩……♡」

 

 全裸のままオルタを抱えたマシュは、同じくジャンヌを担いだ俺に素直に従ってついてきた。部屋を出る直前、俺は残っている二人に向けて声をかける。

 

「さて、次はどっちにしようかな? 三人を置いてきたらすぐに再開するから、覚悟を決めておいてね」

 

 俺の言葉にアルトリアとキャットが背筋を強張らせたことを確認してから、俺は二人を残して部屋を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ♡ おっ♡ おぉっ♡ んおぉぉっ♡」

 

「ぐっ、っっ……!! 流石はキャット、ジャンヌたちみたいにはいかないか」

 

「んふふ……♡ 当然だろう、ご主人? 我をあんななまっちょろい女だと思われては困る。まだまだお相手出来るぞ?」

 

 十数分後、マシュたちを別室に置いて帰還した俺が相手に選んだのはタマモキャットだった。前の三人同様にアナルを責め、腰を叩き付ける。しかし、獣の如き野生を持つキャットはそう簡単に陥落しない様だ。

 既に三回は射精し、キャットも同じ回数絶頂しているが、まだその表情には余裕が見られる。俺とのセックスを楽しむ様に舌舐めずりをして微笑むキャットは、中々の強敵だ。

 

(これは正攻法で行っても厳しいかもしれないな……)

 

 普通にキャットとぶつかっては体力勝負になる。そうなると、この後に控えているアルトリアとの勝負が厳しいものになってしまう。

 ならば、少し戦い方を変えてみよう。押して駄目なら引いてみろ、だ。

 

「んおっ♡ おっ、おぉっ♡ そろそろっ、イクっ♡」

 

 深く、激しく肉棒を腸内に押し込み、キャットの官能を刺激していく。キャットの声色に艶が乗って来た事を確かめながら、なおも激しく腰を振る。

 

「あぁっ♡ いぐっ♡ イクぞっ、ご主人っ♡」

 

 甲高い声で叫ぶキャットが尻穴を締めた事を感じ取った俺は、奥深くへと腰を突き入れる。そしてそのままぐりぐりと押し付けると……

 

「……はにゃ?」

 

 ぴったりと腰を押し付けたまま動きを止めた。俺が何をしているのかわからないであろうキャットがぽかんとした表情でこちらを見てくる。

 

「んにゃ……? おぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 ストップ&ゴー、不意を突いて腰の動きを再開させた俺の一撃を受けてキャットが性的な意味で昏倒する。先ほど達せなかった分を取り返す様にして喘ぐキャットが、再び絶頂を迎えようとした時だった。

 

「んっ……? んんっ……!?」

 

 またも俺は腰を止める。絶頂寸前でお預けを食らったキャットは、ここで俺の作戦に気がついた様であった。

 

「……イキたい? イかせて欲しい? ……だ~め!」

 

「ふにゅぅぅっ♡♡♡」

 

 俺はそんなキャットに耳打ちすると三度腰の動きを再開させた。アヌスを擦り、尻肉をぱんぱんと腰で叩く音を響かせながらキャットを責める。そして、彼女がイキそうになると腰を止めるのだ。

 

「ふっ♡ ふぅぅっ……♡ ずるいぞぉ、ご主人……」

 

「ふふふ……イかせて欲しかったら、分かってるよね?」

 

「ほにゃぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 何度もお預けを食らっているキャットの体はいつも以上に敏感になっている様だ。たった一突きするだけで膣から愛液を飛ばし、余裕があった表情を快楽に歪めている。

 俺はそのまま絶妙な力加減をもってキャットを絶対にイかせない様にしながら腰を振り続けた。

 

「ふっ、ふっ、ふぅぅぅっ♡ はぁぁっ……♡ ふぃぃっ♡」

 

「イクっ♡ イクっ♡ イクぅっ♡ ……あっ、あっ、あっ♡ イけ、ないぃっ……♡」

 

「ご主人、意地悪はやめてくれぇ……♡ もうお尻がむずむずして、我慢出来ないぞぉ……っ♡」

 

 段々と素直になって俺に甘えてくるキャットの反応を楽しみながら彼女を責める。そして、おおよそ15回ほどのお預けをキャットに食らわせた頃であった。

 

「うぅぅ……っ♡ 悔しいが、これは負けを認める他無いな……♡ このままでは、イキたくて我が狂ってしまう……♡」

 

 もふもふとしたミトンの様な手を顔の横に置き、キャットは正面のカメラを見る。少し悔しそうな、それでいて快楽を待ちきれない様な表情を浮かべ、口を開く。

 

「……我の負けだ。認めるから、ご主人のちんぽで我をイかせて欲しい……♡ もう我慢が出来ないぞ……♡」

 

 ジャンヌたちと比べると冷静な敗北宣言。だが、これもまた悪くは無い。

 キャットの宣誓に満足した俺は抑えていた力加減を開放し、力一杯腰をキャットの尻へと叩きつける。待ち望んだ快感を与えて貰えたキャットは、嬉しそうな顔をして喘いだ。

 

「んおぉっ♡ やっと、やっとぉっ♡ イかせてもらえるのだなっ♡ ご主人っ♡」

 

 返事の代わりに腰を叩きつけてキャットを気持ち良くしてやる。瞳に♡マークを浮かべたキャットの首筋に噛み付けば、キャットはぶるりと震えて涎を垂らした。

 

「ごしゅ、じんっ♡ もう意地悪はなしだぞっ♡ キャットの尻穴の中にザーメンぶちまけてくれぇっ♡」

 

 言われなくともそのつもりだ。お預けはしている方だって辛いのだ。俺自身も溜めに溜めた我慢を解き放つべく、一心不乱に腰を振り続ける。

 

「ほぉぉっ♡ ほぉぉぉ……っ♡ イクっ♡ イクぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「ぐっ……あぁぁぁぁっっ!!!」

 

 お互いに我慢を重ねた上での絶頂。キャットの尻穴は激しく振動し、それに比例するかの様に全身も痙攣を繰り返す。秘所からは愛液と尿の混合物(ブレンド)が噴き出し、その絶頂の激しさを物語る。

 俺もまたキャットの腸内へと白濁液をこれでもかと射精し、恍惚の表情を浮かべていた。

 

「んぅっ……♡ どうだご主人、キャットのアナルは気持ち良かったか……?」

 

「ああ、最高だったよ……!」

 

「そうか、それは良かった♡ なら、ご主人のちんぽに残る精液、たっぷり吸い取っておこう♡」

 

「おっ?! おぉぉっ!?」

 

 うねうねと蠢いたキャットのアナルが俺の肉棒を扱く様に動き、尿道に残る精液を吸い取っていく。まるで赤ん坊が母乳を吸う様に尻穴で精液を飲み干したキャットは、満足そうな顔で俺へと囁いた。

 

「ご主人、負け犬はどうなってしまうのだ? 出来たら優しく虐めて欲しいのだがな……♡」

 

「それは向こうでのお楽しみ、ってことで!」

 

 俺はキャットをお姫さま抱っこで抱え上げると部屋から出て行った。別室に向かうまでの間、キャットはしっかりとアヌスを締めて俺が射精した精液を溢さない様にしていた。

 それがなんだか可愛らしくて指でアナルを穿ってあげたら、キャットは嬉しそうな声と下品な音を鳴らしてお尻からたっぷりと精液を発射しましたとさ、まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、残るはアルトリア一人だけだね? 一人でどこまで頑張れるかな~?」

 

「……んっ♡」

 

 キャットを部屋に置いて戻って来た俺は、残す最後の一人であるアルトリアを抱え上げてアヌスへと肉棒を挿入した。むっちりとしたアルトリアのお尻が俺の分身を呑み込み、大きな下半身が柔らかく肉棒を包み込んでくる。

 

「ふぅ……アルトリアのお尻、大きくてむちむちしてるよね。犯し概があると言うか、男冥利に尽きると言うか……」

 

「……マスター、一言よろしいでしょうか?」

 

「ん? なあに?」

 

 男を満足させるためにある様なアルトリアのエッチなお尻。言葉責めを兼ねてそれを褒めていた俺に対して、アルトリアは振り向くと微笑を浮かべ、そして……

 

「……淫乱騎士王、アルトリア・ペンドラゴンはここにマスターちんぽへの敗北を宣言します♡ ここから先、思う存分このエロ尻を犯して下さい♡」

 

 真正面のカメラを見つめ、Wピースを作ると、敗北宣言を嬉々として口にした。

 

「……あはは! 早すぎない? ジャンヌたちですらもう少し頑張ったよ?」

 

「だって、こうすれば全部を撮影して貰えるではないですか……♡ 敗北宣言から先は録画される……ならば、早めに負けを認めて全部を撮って貰った方が気持ち良いですからね♡」

 

「あっはっは! 本当に淫乱になっちゃったね、アルトリア! 見られて気持ち良くなるなんてド変態じゃあないか!」

 

「んっ♡ んほぉぉぉっ♡」

 

 アルトリアの告白を受けた俺は、勝者として彼女の体を味わい始めた。アルトリアもまた腰を動かしてその動きに合わせて快感を生み出していく。

 その動きには耐えようとする気持ちは微塵も無い。ただ気持ち良くなるために腰を振り、アナルを差し出すだけの雌の本能しか感じられなかった。

 

「もしかして自分のAVが発売されて嬉しかったの? 沢山の人のオカズにされるのが嬉しいの? どうなの、アルトリアっ!?」

 

「そ、そうですっ♡ 私の恥ずかしい姿を見られて、沢山の人のズリネタにされるのが興奮するんですっ♡ もっともっと、この淫乱雌馬の本性を皆さんに知って欲しいんですっ♡」

 

「あはははは! そっか、そうなんだ! じゃあ、これからも沢山撮影して、ダヴィンチちゃん工房に並べて上げるよ! カルデアの皆にアルトリアが変態だってことがバレちゃうね!」

 

「うっ♡ ぐぅぅ……っ♡ あぁっ♡ そんなの、気持ち良いに、決まってぇ……♡」

 

「いつか円卓の皆が戻ってきたらびっくりするんじゃないかな? 自分たちの王様が、こんな変態だったなんて気がつくはずもないよね……!」

 

「あっ、あぁぁ……っ♡ 良いんですぅ……♡ 知られても、軽蔑されても、良いのぉ♡ だって私、女として成長してしまったから……女の快楽を知った体になってしまったから、マスターのちんぽには逆らえないんですぅっ♡」

 

 大きな胸を揺らし、アヘ顔をカメラに見せながらアルトリアは喘ぐ。今の自分の無様な姿を撮られていることも快感のスパイスになっているのだろう。いつも以上に激しく乱れる彼女を強く抱き締め、俺は叫ぶ。

 

「じゃあまずはケツアクメを決めた姿を皆に見せてあげようよ! アルトリア、イけっ! だらしないアヘ顔晒して、ケツアクメ決めちゃえっ!」

 

「かしこまりましたっ、マスター♡ どうぞ皆さん、淫乱騎士王のケツアクメ姿とアヘ顔をご覧になってくださいっ♡♡♡」

 

 アルトリアの膣から垂れる本気汁、口の端から零れる涎……王としての面影が一切感じられない女の姿を晒しながら、アルトリアは絶頂へとひた進む。

 肛門がめくれ上がるほどに肉棒を動かし、獣みたいな悲鳴を上げるアルトリアを責め続けた俺は、自分とアルトリアの限界を察し、セックスのクライマックスを演出するために叫んだ。

 

射精(だす)ぞっ、アルトリアっ! そのデカケツで受け止めろっ♡」

 

「はいっ♡ 受け止めますっ♡ マスターに射精して貰って、デカケツアクメ決めさせて頂きますぅぅっっっ♡♡♡」

 

 アルトリアの動きに合わせて腰を突き上げる。逆に、アルトリアは体を沈ませて俺の肉棒が自分の尻穴の奥深くまで潜り込む様にした。

 尻肉の形が変わるほどの威力を持って繰り出されたその一突きを受けたアルトリアは、一瞬時が止まったかの様に硬直した後で徐々に表情を蕩けさせながら絶叫した。

 

「イグぅぅぅぅぅぅっっっっっ♡♡♡ んぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡ ほぉぉっっ♡ おほぉぉぉっ♡♡♡」

 

 アルトリアの体が跳ねる。痙攣を通り越して跳ね上がるまで達した彼女の体の反応を楽しみながらアヌスに射精する。むっちりとしたアルトリアの尻は、俺の射精を喜んでアナルで受け止めている。

 

「すごいぃぃ……♡ こんな、熱くて、濃い、なんてぇ……♡」

 

「アルトリアのお尻が気持ち良くって興奮したからだよ。素敵なエロ尻だね、アルトリア」

 

「はあぁ……っ♡ そんな風に褒められたら、それだけでイってしまいます……♡ んっ♡」

 

 その言葉通り体を震わせたアルトリアは膣から潮を噴いて体を震わせた。言葉だけでイってしまった彼女を笑顔で見ながら、俺はアルトリアの拘束を解く。

 

「……AVにするにはまだ尺が足りないからさ、まだまだ楽しませて貰うよ。良いよね?」

 

「はい、喜んでっ♡」

 

「それじゃあまずは……見てくれている皆に挨拶をしようか?」

 

 カメラを指差した俺に頷きを返したアルトリアは自分のまんこを指で広げ、中身が良く見える様にした。

 所謂()()()と言うことをしたアルトリアは、そのまま淫靡な笑みを浮かべ、カメラに向かって挨拶する。

 

「……皆様、どうもこのビデオを買って下さってありがとうございます。皆様のご期待に添えられる様、淫乱騎士王は淫らに乱れてアクメを決めまくりますので、どうぞ私をオカズにしてオナニーを捗らせてください♡ エロ雌馬の恥ずかしい姿を何度でも見返して下さいね♡」

 

 淫乱に相応しいその挨拶。AV女優そのもののアルトリアを抱きしめた俺は、彼女の体を堪能すべくその豊かな体へと手を伸ばしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふふふ……! 良い眺め、良い眺め!」

 

 数十分後、全員との勝負に勝利した俺は、部屋の壁を見ながら満足げに呟いた。自然と口元には笑みが浮かび、なんだかあくどい気持ちになってくる。

 

「良い格好だね、皆!」

 

 俺はそう壁に向かって話しかけた。それに対する返答は無し、まあ、当然の事なのだけれど。

 

 現在、この部屋には俺以外の人影は無い。()()()()()()()は隣の部屋にある。俺の目の前にあるのは()()()()()()()()()だ。

 

「こう言うの、一度やってみたかったんだよね……!」

 

 俺は()()()()()()五つのお尻を眺めながら呟く。左から擬音にすると、ぷりっ、ぷるんっ、ぷるっ、ぷりんっ、むちっ、と言うところだろうか。これだけで誰が誰だかわかったら凄いと思う。

 俺との勝負に負けた皆への罰ゲーム。それは、カルデアスタッフ特製プレイルームの一つであるこの『壁尻ルーム』での拘束晒し者状態であった。

 

 お尻を突き出した格好で太ももの付け根とお尻だけを壁のこちら側に露出、ほかの部分は壁の向こう側できっちり固定された状態となるギミックを搭載したこのプレイルームは中々に面白い。二部屋ぶち抜いて魔改造しただけはある。

 壁には最大8人まで固定可能で、簡単に二つの部屋を行き来出来る為の扉も用意されている。壁尻のすぐ上にはモニターが用意されており、そこに用意された皆の画像や壁の向こう側に設置されているカメラの映像を映し出すことも可能だ。

 向こう側にもモニターがあるので意思の疎通も簡単! 様々な玩具やキングサイズのベッドも用意してある為、拘束プレイもその後のプレイも自由自在と至れり尽くせりの内容となっているこの部屋を使う機会がこんなに早くやってくるとは思いもしていなかったが、とても楽しいので良しとしよう。

 

「皆、お尻だけ突き出した状態で拘束されて恥ずかしいんだね。すっごく可愛いよ!」

 

 俺はモニターに映る皆の羞恥に染まった顔を堪能する。このまま動けない皆のお尻をオナホ扱いしてセックスするのも悪くないが、今回はもう一捻りさせて貰おう。

 

「さてと……それじゃあ、ゲームの第二ステージといこうか!」

 

 そう言いながら俺が取り出したのは大きめのバイブだった。男の肉棒を模したそれをカメラに映し、皆に見せ付ける。そして、たっぷりとローションを塗って皆のアナルに突き刺して行った。

 

『んあぁっ♡』

 

『にょほぉっ♡』

 

『んへぇっ♡』

 

『んぎぃっ♡』

 

『おほぉっ♡』

 

 一人一人違うアナルにバイブを挿入された時の皆の嬌声を耳にした俺は愉快な気分で微笑んだ。そして、左手の淫紋令呪を使って皆に命令を下す。

 

「……これより先、俺と自分以外の声と姿は見えなくなる。自分の体感時間が十倍になる。そして……」

 

 合計三つの命令を下した俺は、後者二つの命令を知覚出来ない様にした後で皆のお尻を撫で回した。そして、新しいゲームのルールを説明する。

 

「それじゃあ皆、俺はこれから少しの間席を外すから、その間アナルバイブをお尻からひり出さない様に我慢するんだよ。俺が戻って来た時に我慢出来てた人にはご褒美を、我慢出来なくてアナルバイブが抜け落ちてた人にはお仕置きが待ってるからね!」

 

 簡潔にルールを説明した俺はバイブのスイッチをONにした。すると、アナルバイブは激しい振動を始め、皆のお尻を責め立てる。

 

『んほぉぉぉっっ♡♡♡』

 

『わおぉぉぉっっ♡♡♡』

 

『んひぃぃぃっっ♡♡♡』

 

『んごぉぉぉっっ♡♡♡』

 

『ほひぃぃぃっっ♡♡♡』

 

 五者五様の喘ぎ声を耳にしながら部屋を出た俺は、扉にしっかりと施錠をしてから食堂に向かった。のんびりとランチを取って、英気を養ってから戻って来よう。無論、その間ずっと皆はアナルを穿られっぱなしと言うわけだ。

 

「さ~て、何人耐えられるかな~?」

 

 この鬼畜プレイを楽しむだけのS心を発揮した俺はニヤケ面を浮かべて廊下を歩く。そして、この後のことを予想しながら、食堂へと向かって行った。

 

 

 

 




後編に続く!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

チームA ご褒美を貰う(チームA)

「~~~♪ ~~~♪ ……おっ?」

 

 鼻歌交じりにドアを開けた俺がまず感じたのは、部屋全体に臭う雌の臭いだった。それが壁尻状態にされている皆の垂れ流している愛液の臭いだと言うことにはすぐに気がついた。

 部屋を出る時には喘ぎ声の合唱が聞こえていたが、今はもう皆何も言ってはいない。きっと疲れて喘ぐ所では無いのだろうな、と俺は考えた。

 

 部屋を出た俺は昼食を取り、食堂でドクターやダヴィンチちゃんと駄弁った後、工房にて精力剤を貰ってきた。それを飲んだ後で少し昼寝をして、ここに戻って来たわけだ。

 この間、おおよそ三時間ほどの時間が経過していた。つまり、令呪で体感時間を十倍にされている皆は、三十時間もの間アナルを責められ続けていた訳である。

 

 ぶっちゃけやりすぎた感は否めない。一日以上壁尻放置プレイをやられたら俺なら発狂する。

 だがまあしかし、「それはそれ、これはこれ」の精神で罪悪感を吹き飛ばした俺は、皆のゲームの結果を確認するために令呪で下した命令の内「体感時間の増加」と「俺と自分以外の認識の不可」の二つを解除してから並んだお尻へと近づいて行った。

 

「おお、これは凄い」

 

 一番左に設置されたお尻を見た俺は感心した声を漏らした。そのお尻が咥え込んだバイブは、俺が最初に見た時とほとんど位置が変わっていなかったからだ。

 どうやらしっかりとアナルを締めて抜けない様にしていたらしい。俺は従順に言い付けを守ったそのお尻を撫でながら、ゲームをクリアした彼女に声をかける。

 

「よしよし……。頑張ったね、マシュ」

 

『ふぁ……? 先、輩……?』

 

 蕩けてぼやけたマシュの声、モニターに映る顔は疲れと快感が入り混じったなんとも言えない表情をしている。

 俺は従順で可愛い後輩を褒めながらマシュの隣に並ぶお尻にも手を伸ばす。そして、そのお尻もまた優しく撫で回した。

 

「キャットもお疲れ様。二人はゲームクリアだよ」

 

『んあ……。戻って来たのだな、ご主人……』

 

 キャットのアナルバイブもまたしっかりとお尻に突き刺さったままになっていた。半分ほど抜けてはいるが、これでもちゃんと命令は守られている。

 俺は壁に備え付けられたパネルを操作して二人の体を自由にすると、壁から二人の体を引き抜いた。

 

「あ、はぁ……♡ やっと、体が、自由に……」

 

「流石の我も疲れたぞ……」

 

「ごめんごめん! 今バイブを抜いてあげるからね……!」

 

 ころんと二人をうつ伏せにさせ、アナルに突き刺さったバイブを掴む。笑みを浮かべた俺が二人のそれを同時に引き抜いた次の瞬間、異変は起こった。

 

「あ……? あぁぁぁぁぁっっ!?」

 

「おっ、おぉぉっ♡ おま、おまんこがぁっ!?」

 

 マシュとキャットはびくびくと体を揺らして喘ぎ始める。自分の性器に手を伸ばし、指で必死に弄り始めた。

 

「なんっ、でっ!? こんな、せつない……!?」

 

「あっ、あぁっ♡ がまん、できないぃっ♡」

 

 喘ぐ二人の姿を見ながら、俺は淫紋令呪で下した命令がきちんと発動していることに笑みを漏らす。そう、これこそが第三の命令の効果なのだ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……それが、俺の下した命令だった。二人はアナルバイブが抜けた時から、まんこが快感を欲しがって叫んでいることを感じているのだ。

 ふざけた命令かもしれないが、これはこれでかなり有用なのだ。発情しきったまんこにちんぽをくれてやれば、それは彼女たちにとって最高級のご褒美となる。ゲームクリアの褒美として、これ以上のものは無いだろう。

 

「ほら二人とも、オナニーしてないで立つんだ」

 

「ひうっ♡ あっ、ゆびぃ……♡」

 

「おおっ♡ ずぶずぶ、はいってぇ……♡」

 

 令呪で無理やり二人を立たせ、脚を開かせる。すぐ近くのベッドへと進ませながら、俺は指で二人のまんこを弄る。

 ぐちゅぐちゅと激しく中指と薬指を出し入れし、手まんをする俺に対してうっとりとした表情を浮かべた二人は、トドメに繰り出された深い一突きを受けて同時に絶頂した。

 

「はひぃぃっっ♡♡♡」

 

「おほぉぉっっ♡♡♡」

 

 激しく潮を噴きながら絶頂した二人は、そのままベッドへと倒れこんだ。俺の手を濡らした二人の愛液を舐め取りながら、俺は二人の耳元で囁く。

 

「マシュ、キャット、この後ちゃ~んとご褒美はあげるからね。うずうずしてるおまんこをたっぷり気持ち良くしてあげるから、良い子で待ってるんだよ?」

 

「ふ、ぁい……♡ わかりましたぁ……♡」

 

「まんこ疼かせて待っているぞ、ご主人……♡」

 

 瞳に♡マークを浮かべた二人の頭を優しく撫でた後、俺は再び壁に飾られているお尻たちの元へと向かう。そして、ちょうど中央に備え付けられていたお尻をむんずと掴んだ。

 

「……駄目じゃないか、ジャンヌ。またゲームに負けちゃってるよ?」

 

『あひっ♡ ましゅ、ましゅたぁっ♡』

 

「姉妹揃って二連敗かぁ……ドスケベ性女姉妹は、本当に堪え性がないねぇ」

 

 ぷるりとした瓜二つのお尻、色素の薄さで見分けがつく二人のお尻の穴からは、俺が挿入したバイブが抜け落ちていた。と言うことはつまり……現在進行形で二人のまんこは疼きっぱなしということだ。

 他の皆より足元ならぬ()()を愛液で汚した二人は、もう我慢出来ないと言った様子で俺に懇願の言葉を口にしてくる。

 

『おねっ、お願いしますっ! おまんこっ! おまんこしてくださいっ!』

 

『も、もう無理っ! おまんこ疼いて辛いのおっ! お願いだからおちんぽ頂戴っ!』

 

 俺にちんぽを強請る時もまんこから本気汁をぶしゅぶしゅと噴き出させている。本気で発情し、狂いそうになっているジャンヌとオルタ。だが、俺はそんな二人のお尻に張り手を食らわせると残酷な言葉を口にした。

 

「駄目に決まってるでしょ? だって二人は、ゲームに負けたんだから」

 

『あ、あ……!? そん、なぁっ……!』

 

「言い付けを守れなかった二人にご褒美は上げられません! お仕置きとして、ちゃんとお尻にバイブを咥え込んだままでいられたメンバーが俺とセックスするのをそのままの状態で見ているんだ」

 

『やぁっ! お願いだから意地悪しないでよぉっ! ゆびっ、指でも良いからおまんこ弄ってぇっ!』

 

 泣きじゃくり、許しを請う二人。俺はそんな二人の訴えを無視して最後のお尻へと向かう。

 むっちりとした大きなお尻。その中央の窄まりには、ぎりぎりで咥え込まれたままになっているアナルバイブの姿があった。彼女もまたゲームをクリア出来たのだとほくそ笑みながら、俺はそのアナルバイブを引き抜く。

 

『おっ♡ おぉぉぉっっ♡♡ ま、まんこっ♡ まんこがぁっ♡』

 

「まんこがどうしたの、アルトリア? 弄って欲しいの?」

 

『ま、ますっ、くひゅぅぅっっ♡』

 

 俺はアルトリアの大きなお尻に顔を埋めながら彼女のまんこに舌を這わせた。指でそこを開き、露出した弱い部分を舐め解す。

 舌でベロベロと舐め、じゅるじゅると啜り、ねっとりと弱点を責める。一つ一つの快感に発情まんこから愛液を噴き出しながら、アルトリアは尻を震わせて俺の顔へと押し付けてきた。

 

『マスターの舌ぁ♡ 私の気持ち良い所をねっとりねぶってるぅっ……♡ あっ♡ あっ♡ そこっ、いいですぅ……♡』

 

 舌を膣の中に潜り込ませた俺は、そのまま内部をじわじわと責めていった。しょっぱく、少し甘いアルトリアの味を堪能しながら彼女を高みへと押し上げる。

 

『あっ♡ イクっ♡ クンニされてイクっ♡ イキますっ♡ おまんこ汁ぶしゅぶしゅ出してイキますっ♡』

 

 思いっきりアルトリアのまんこを啜った後、舌を引き抜いた俺は大きな尻を思い切り叩いた。そして、パネルを操作してアルトリアの体を自由にする。

 その間、絶頂したアルトリアは膣から激しく潮を噴き、アナルをぽっかりと広げて快感を享受していた。

 

「おぉぉっっ♡ まんこっ♡ まんこぉぉっ♡」

 

「ふふふ……! もう我慢が出来ないんだね? 大丈夫だよアルトリア、すぐにちんぽをあげるからさ」

 

「ますっ、たぁっ♡ あぁっ♡ 嬉しいですっ♡」

 

 アルトリアを優しく抱え上げ、マシュとキャットが待つベッドへと運ぶ。そうした後で服を脱いだ俺もまたベッドへと脚を乗せる。

 天国と地獄……ベッドの上でご褒美を与えられようととしているマシュ、キャット、アルトリアに対して、それを壁尻状態で見ていることを強要されたジャンヌとオルタと言う正に両極端な両者の扱いの差は、そう呼ぶに相応しいだろう。

 だがまあ、俺だって鬼では無い。彼女たちへの救済も考えてはいる。しかし、そこまでたっぷりと焦らしてあげた方が楽しめることも確かだ。

 それに、まずはちゃんと言い付けを守った女の子たちへのご褒美が先だ。そう思いながらマシュたちに笑顔を見せた俺は、彼女たちの願いを叶えるべく行動を開始する。

 

「さあ、ご褒美セックスを始めようか! たくさん頑張った皆には、皆が好きなセックスをしてあげるよ!」

 

 そう言いながらマシュを抱き寄せる。そして、甘い声でマシュに尋ねた。

 

「最初は一番頑張ったマシュからだよ。ねえマシュ、マシュはどんなセックスを俺としたい?」

 

「あ、は……♡ それじゃあ……」

 

 ころんと仰向けに寝転がったマシュが脚を開く。その間に体を置いた俺に対して手を伸ばし、潤んだ瞳を見せながら答える。

 

「先輩とイチャラブセックスしたいです♡ 恋人みたいに指を絡ませて、だいしゅきホールドで腰を離さない様にして……♡ 先輩に正常位でおちんぽ挿れて欲しいです♡」

 

「OK! それじゃあ始めようか!」

 

 マシュのお願いを聞き入れた俺は、マシュの腰を掴んで要望通りに正常位で肉棒を挿入した。待ち侘びたであろう快感に蕩けたマシュの手を取り、指を絡める。

 

「んっ……! こんな感じかな?」

 

「はい……♡ 暖かいです、先輩……♡」

 

 優しく、ゆっくりと腰を動かす。穏やかな快感を与える様に動き、マシュを気持ち良くする。

 既に発情しているマシュのまんこは、俺の動きを受けてビクビクと震えて愛液を垂れ流していた。

 

「あっ♡ くぅんっ……♡」

 

「マシュの(なか)、すごくビクビク震えてる……気持ち良いんだね?」

 

「は、い……♡ すごく、良い、です……♡」

 

「俺も気持ち良いよ、マシュ……! 可愛いマシュとエッチ出来て、俺は幸せ者だね」

 

「んっ、はぁっ……♡」

 

 決して腰の動きを激しくはせず、ゆっくりとリズミカルに動かし続ける。恋人たちが一秒でも長く愛する人と繋がっていたいと願う様な動きでお互いを気持ち良くし合う。

 俺の肉棒がマシュの膣から抜けようとすると、マシュはきゅんっと締め付ける様にして俺を手放さないように動く。逆に挿れる時は、嬉しそうに緩やかに動いて、子宮の入り口まで俺を迎え入れた。

 

「んんっ……んっ、んんっ……!」

 

「ちゅっ、ぅぅっ……♡ せん、ぱっ♡ もっと、キスしましょう……♡」

 

 唇を、舌を絡ませる。どろりとした唾液を交換し合い、お互いを貪り合う。架かった銀色の橋をマシュの口の中に流し込み、飲み込ませた俺は、マシュを抱きしめながら言う。

 

「愛してるよ、マシュ……! マシュのこと、大好きだから……!」

 

「んっ、あぁっ♡ わ、私もです……♡ 先輩のこと、あ、愛して、ます……っ♡」

 

 愛してる、の言葉に顔を赤らめた愛らしい後輩の姿に高ぶった俺は、腰を強くマシュへと打ち付ける。二度、三度と杭を打ち込む様に腰を動かし、マシュの膣を抉る。

 

「ふんっ♡ ふぅんっ♡ あっ♡ イクっ♡ イキますっ♡」

 

「ぐっ……! 俺も、イクっ……!」

 

 互いに限界が近い俺とマシュ。繋いだ手を強く握り、指を絡ませ合いながら共に昇っていく。俺の陰茎は幹のように硬くなり、マシュの膣は逆に柔らかく蕩け、その時を待っていた。

 

「マシュ! 一緒にっ……!」

 

「はいっ……! 一緒に、イクっ……!」

 

 荒い息を吐き、互いにタイミングを計りながら体を重ねる俺たち。二度目のキスで舌を絡ませた俺たちは、互いに見つめ合い、そして、同時に果てた。

 

「「んん~~~~~っっ!!!」」

 

 おびただしくマシュの膣に放ち、体を硬直させる。俺の精を体の中に放たれたマシュもまた、体を強張らせて絶頂している。

 マシュの膣、そして子宮へと精液を流し込んだ俺は、一度大きく息を吐いてから彼女の体の上に倒れこんだ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「ふあぁ……っ♡ 先輩の温もりが、いっぱい……♡ んんっ……♡」

 

 蕩けた表情を浮かべるマシュの顔に手を沿え、三度目のキスを落とす。じゅるり、じゅるりと涎をかき混ぜながら行われたキスを終えると、マシュは満足そうな顔をして俺を抱きしめた。

 

「すっごく気持ちよかったです、先輩……♡ ありがとうございました♡」

 

「マシュが気持ち良くなってくれたなら、俺も嬉しいよ」

 

「ふふふ♡ それじゃあ、次の人にバトンタッチしますね! でも、その前に……♡」

 

「うおっ!?」

 

 起き上がったマシュが俺の肉棒を掴む。舌を這わせ、悪戯っぽく笑ったマシュは、それを自分の口の中に放り込んだ。

 

「じゅっ♡ じゅるるるっ……♡ ひぇんぱいのおひぃんぽ、ひぃれいにひぃまふね……♡」

 

「ぐっっ! しゃべりながらフェラされると、刺激が……っ!」

 

 従順な後輩の積極的な奉仕、俺の肉棒を掃除するマシュの舌の動きに呻く俺の前にキャットが体を寄せる。

 

「次は我の番だな? では、この格好でお願いしようか!」

 

 そう言うとキャットは四つん這いの体勢から片脚を上げ、まるで犬が小便をする時のポーズを取った。そして、自分でまんこを開き、俺にアピールする。

 

「こんな犬の様なポーズも悪くなかろう? ご主人、共に快楽を貪ろうではないか♡」

 

「んっ……! わかったよ、キャット!」

 

 お掃除フェラを終えたマシュの口から肉棒を抜いた俺は、そのまま目の前のキャットの上げられた脚を掴みながら奥深くまで挿入した。キャットの体を支え、掴んだ脚を支点にして腰を動かしていく。

 

「これっ、いつもより深い所に挿って……!」

 

「んっ……♡ 子宮が押し潰されているワン……♡」

 

 犬のような格好をしているせいか、キャットの口調も犬らしくなって来ていた。その事にちょっぴり興奮しながら、俺は激しく腰を振る。

 

「わんっ♡ わんっ♡ わおぉっ♡」

 

「キャット! もっと激しくするぞっ! 体勢崩すなよっ!」

 

「わ、わんわんっ♡ 了解したぞっ、ご主人っっ♡ わおぉぉんんっ♡♡♡」

 

 マシュの時とは正反対の激しいセックス。キャットが大好きな獣の本能を刺激する性行為に興じながら、俺はさらに激しく腰を叩き付ける。

 亀頭に吸い付く子宮口の感触、なんどもそこに亀頭でキスをしながらキャットを責め立てる。ぐりぐりと押し付けるようにしてやれば、キャットの口からは呻き声と喘ぎ声のどっちとも取れる声が漏れた。

 

「わ、おぉぉぉぉっっ♡ おぉぉぉっ……♡」

 

「はぁっ、はぁっ……! キャットの膣、きつくて凄いっ……! まるで生き物みたいに俺のちんぽを締め付けてくる……っ!」

 

「とう、ぜんだっ……♡ タマモキャットを舐めないでもらおうか! 発情した獣は、手負いの状態よりも恐ろしいかもしれないぞ♡」

 

「ぐっ! まっ、けるかぁっ!!!」

 

「おっ♡ わおぉぉっっ♡」

 

 挑発するような口振りのキャットを見た俺は、自分のプライドをかけて腰を強く打ちつけた。陰茎がキャットの膣深くまで潜り込み、子宮を押し潰す。目を見開き、舌を放り出すキャットに追撃を仕掛けるべく、俺は何度も深くまで腰を打ちつけた。

 

「わおぉっ♡ わんっ♡ わおぉぉぉんっ♡」

 

「どうだっ! 参ったかっ!?」

 

「んぐぅっ♡ さ、流石はご主人♡ それでこそ我を組み伏せた雄♡ キャットが認めた男だぁっ♡」

 

 熱い飛沫を撒き散らしながら喘ぐキャット。体全体ががくがくと震え、限界が近い事を示す。

 俺はキャットにトドメを刺すべく、今まで以上の勢いをつけて腰を繰り出した。そして、ぐりぐりと子宮口をねぶる様に亀頭を押し付ける。

 

「わっ、おぉぉっ♡ イクっ♡ イっ……わぉぉぉぉんんっっ♡♡♡」

 

 その一撃を受けたキャットはあえなく陥落した。俺の腹と腰を愛液で濡らし、肉棒をぎゅうぎゅうと締め付ける。

 俺もまたその刺激で達すると、勝利の快感に酔いながらキャットの子宮へと精液を注ぎ込んだ。

 

「んっ♡ おっ♡ ご、ご主人のザーメン、キャットの子宮に注がれてぇ……っ♡ 強い雄の遺伝子を、植えつけられているぅっ……♡」

 

 最後の一滴までキャットの子宮へと射精した俺は肉棒を膣から抜き去った。ドロドロに汚れたそれを、キャットは先ほどのマシュ同様に舐めて綺麗にする。

 

「れろれろっ♡ じゅるるるっっ♡♡♡ んんっ♡ おひゅのにほいが、たみゃらないぞっ……♡」

 

 ざらざらとした猫の舌に呻く俺の肉棒をあっという間に綺麗にしたキャットは、そのまま俺から離れて行った。そのままベッドの上に寝そべっている俺をアルトリアが見下ろす。

 

「マスター、二人の相手をしてお疲れでしょう。今回は私が動かせて頂きます」

 

「うん、それじゃあ頼むよ、アルトリア」

 

「はいっ♡」

 

 嬉しそうに返事をしたアルトリアは、自分の大きな尻を俺の胸に下ろした。そして、ふりふりと左右に振って俺に見せ付ける。

 むっちりとしたお尻の感触と視覚サービスを楽しんでいた俺の体の下半身へと少しずつ移動したアルトリアは、未だに起立している俺の肉棒を掴むと腰を上げ、自分の膣口へと宛がう。

 

「マスター、淫乱騎士王のデカ尻奉仕を存分に楽しんで下さいね♡」

 

 熱を帯びた視線と声、振り向いて興奮した表情を見せ付けながら、アルトリアは一気に腰を下ろして膣に肉棒を迎え入れる。

 アルトリアの大きな下半身に包まれた俺の肉棒は、彼女のむっちりとしたまんこの肉厚を存分に堪能していた。

 

「うっ、わっ……! アルトリアのまんこ、むちむちですごい肉厚だ……っ!」

 

「気持ち良いですか、マスター? 大きなお尻をしていて良かった……♡」

 

 アルトリアは前後左右に腰を動かし、俺の肉棒を刺激する。いつもは馬に乗っている彼女が男に跨って腰を振る姿と言うのは、非常に俺の興奮を煽って来る。

 目の前のお尻と背中もとても綺麗だ。汗をたくさん流し、興奮に赤く染まった彼女の肌がいやらしく光るのを見ているとそれだけで興奮してしまう。

 

「さあ、ここからが本番ですよ……♡ 騎乗スキルAの腰振り、見せてあげます♡」

 

「う、うぉぉぉっっ!?」

 

 跳ね上がるアルトリアの尻、それが激しい音を鳴らして落下してきた時、俺は驚きの声を上げた。

 むちむちのアルトリアの尻が与えてくれる重厚な肉厚による快感、それに上下運動の激しさが加わったアルトリアの騎乗位はまさに絶品だった。

 

「どうですかマスター? 堪らないでしょう?」

 

「うっ、ぐぁぅっ……!」

 

「ふふふ……♡ 答えられないくらい気持ち良いのですね♡ それは良かった……♡」

 

 激しく腰を上下して肉棒を扱くアルトリア。汗を流す大きな尻が震え、激しい音を響かせる。

 視覚、触覚、聴覚の三つの感覚で俺を楽しませるアルトリアは一心不乱に腰を振り続けている。愛液を垂れ流し、膣を痙攣させながらもその動きを休めることは決してしない。

 

「ああっ♡ どうですか? 騎乗スキル、デカ尻、むっちりまんこ……すべて、男に跨るためにある様なものでしょう? これらをフルに使った私の騎乗位、楽しんでいただけてますか?」

 

「やば、いっ……! すご過ぎて、もうっ……!」

 

「マスター、遠慮しないで下さいっ♡ 全部全部、この雌馬の肉厚まんこに射精して、すっきりしてくださいっ♡」

 

 部屋の中に響くアルトリアの声と水音。愛液をこれでもかと噴き出しているアルトリアのまんこは、俺の肉棒を迎え入れる度に下品な音を立てていた。

 ぶるんぶるんと尻と乳を揺らして奉仕するアルトリアの腰使いを前に限界を迎えた俺は、絶頂寸前に腰を大きく上に突き上げてから彼女の膣へと性の高まりを爆発させた。

 

「ぐぅぅっっ……っっ!!」

 

「あっ♡ あぁぁぁっっ♡ 射精(でて)るぅっ♡ 私の淫乱まんこの中にっ、マスターがどぴゅどぴゅ射精してくれてるっ♡ 熱いっ、気持ち良いっ……♡」

 

「ふふ……♡ 先輩のイキ顔、すごく可愛かったですよ……♡」

 

「いつもイかされてばかりの我らからすると、結構新鮮だったのな♡」

 

 いつの間にか俺の両脇に寝転がっていたマシュとキャットが微笑みながら囁く。両側から俺の首筋に舌を這わせてきた二人の愛撫に体を震わせていると、アルトリアが俺の肉棒を掴みながら微笑みかけて来た。

 

「……見られながらイクのも心地良いものでしょう? 私が嵌ってしまった理由、少しはご理解いただけましたか?」

 

「ん……。癖になる気持ちもわかるよ……」

 

「それはなにより♡ では、お掃除をさせて頂きますね……♡」

 

 肉棒を口に咥え、音を立てて吸い始めたアルトリアの口淫を堪能しながら、俺は両隣にいる二人にひそひそと囁いた。俺の指示を受けた二人はニンマリと微笑むと立ち上がり、壁へと向かう。

 

「まひゅたぁ、ふぉうひぃふぁのふぇふは?」

 

「ん? そろそろ負け犬の性女たちにもチャンスをあげようと思ってね!」

 

「ふふふ♡ おやひゃふぃのれすね、まひゅはぁは♡」

 

 俺の肉棒を咥えながらアルトリアが微笑む。淫靡なその光景に興奮を募らせながら立ち上がった俺は、新しい玩具を手にして壁から開放された二人の元へと向かう。

 

「あ、ひ、ふぅ……♡ ます、たぁ♡ どうか、どうかお恵みをください……♡」

 

「も、もう、限界なの……♡ お願いだからちんぽ頂戴♡ おねがいだからぁ……♡」

 

「は~い♡ お二人とも、ちょっと黙りましょうか?」

 

「負け犬はわんわん吠えるのがお似合いだゾ!」

 

「「あぁっ!?」」

 

 マシュとキャットにお尻を掴まれた二人は、そのまま背中を向かい合わせるようにしてお尻を突き出す格好を取らされた。ぷりっとした二人のお尻を撫でた後、俺は手に持っている玩具を二人のアヌスに突き入れる。

 

「のぉぉっ♡」

 

「んほぉぉっ♡」

 

 ぐっぷりと挿入されたバイブ、しかし、それは先ほどの物とは少し違う。それぞれ両端に一つずつバイブがついた()()()()()と言う奴だ。

 二つで一組のそれを二人のアナルに挿入し、一直線に二人を繋げた俺は、ベッドに腰掛けて震える二人へと話しかける。

 

「……二人にチャンスを上げるよ。今から最後のゲームをして、勝った方にご褒美をあげる。ルールは……もう、わかってるんじゃない?」

 

「あ、あ……♡」

 

「わ、私と、こいつに、()()()()()()()ってこと?」

 

「正解! 相手を先にイかせた方が勝ち! 二人が欲しくて堪らないちんぽをおまんこにぶち込んであげるよ! でも……負けたらもう、本当にお終い。泣いても喚いても絶対にセックスはしてあげないから」

 

 ジャンヌとオルタは俺の脅し文句に顔を青くする。最後のチャンスはまさに崖っぷち、負けたら最後、たった一人で疼く体を持て余しながら抱かれる他のメンバーを見なければならないのだ。

 

「……さあ、準備は良いかな? 見合って見合って、よ~い……はじめっ!」

 

「っっ!? くぅぅっ!!!」

 

「ぐっ!! んんんっ!!!」

 

 号令を耳にした二人は、はっとした表情を浮かべた後で思い切り相手に目掛けてお尻をぶつけにいった。相手のアナルを刺激する様に腰を繰り出し、尻をぶつける。俺とマシュたちは、二つのお尻がぶつかり合う光景と音を楽しんで鑑賞していた。

 

「んぎっ♡ ぎゅぃぃぃっ♡」

 

「はっ、こ、のぉっ♡」

 

 最初の数分間、二人はほぼ互角に勝負を繰り広げていた。今の自分が周りからどう見られるかなんて気にせずに尻を振り、相手のアヌスを穿つ。必死に尻穴を締めて絶頂しないようにしながら、相手をイかせるべく腰を振り続ける。

 そんな勝負を続けていた二人だったが、徐々に優劣がはっきりとして来た。ジャンヌの腰の動きが遅くなり、オルタに一方的にやられるようになってきたのだ。

 

「おっ♡ おっ♡ おぉっ♡ まっ、まってぇっ♡ お願いだから、すこし……んほぉぉっ♡」

 

「このっ、このぉっ♡ イけっ! イキなさいよっ!」

 

 裁定者(ルーラー)復讐者(アヴェンジャー)のクラス相性がここでも出てしまったのだろうか? もはやオルタに成すがままにされるジャンヌは、喘ぐばかりで一切抵抗出来ないでいる。尻穴を穿られる快感に身を焦がし、絶頂を待つばかりだ。

 

「おにぇがいぃっ♡ いっ、イかせないでぇっ♡ イキたくないっ♡ イキたくないのぉっ♡」

 

「うるっ、さいっ! イキなさいよっ! ケツアクメ決めて、負けを認めなさいっ!」

 

「んおぉっ♡ まっへぇぇっ♡」

 

 勝負の結果は見えた。俺は立ち上がると二人へと近づいて行く。俺がオルタの前に立ったと同時に戦いは終結を迎え、終戦の合図としてジャンヌの雄叫びが部屋に木霊した。

 

「んほぉぉぉっっ♡♡♡ だめなのにぃっ♡ イったらおちんぽもらえないのにぃっ♡ イっちゃったぁぁっ♡」

 

「はぁっ♡ はぁっ♡ ざまあみろ……! 私の、勝ち……えっ!?」

 

 もう一人の自分との勝負に勝ち、ほくそ笑むオルタ。そんな彼女の体を抱え上げた俺は、再び元の壁に彼女を取り付けて壁尻モードにする。

 ジャンヌとの戦いに勝って油断していたこととあっという間の作業であった為、オルタが抵抗する間も無く無様な壁尻女へと戻されてしまった。

 

『な、なんでよぉっ!? 勝ったじゃない! 約束したじゃない! おちんぽくれるって約束したじゃないのよぉっ!』

 

 目の前のモニターには泣きじゃくるオルタの顔面が映し出されている。強気な彼女がここまで追い込まれていることに愉悦を感じながら、俺はオルタのことを見守り続ける。

 

『嘘つきっ! うそつきうそつきうそつきっ! アンタなんて、アンタなん、てえぇぇぇっっ♡♡♡』

 

「……俺なんて、何? なんて言おうとしたのかな? 教えてよ、オルタ……!」

 

 ぐりっ、ぐりっ、といきなりオルタのまんこへとぶち込んだ肉棒を奥へと押し込みながら尋ねる。壁の向こうにいた事や俺への罵倒で必死になっていたオルタは俺のその行動に一切気がつくことが出来ず、いきなり始まったセックスの快感に目と口をただ開くことしか出来ていなかった。

 

『おっ♡ はぁっ♡ あぁぁ……っ♡』

 

「一度やってみたかったんだよね、壁尻セックス。相手が生意気なオルタだと滅茶苦茶燃えるよ! ……それっ!」

 

『ひゃぁぁぁっっ♡♡』

 

 オルタのお尻を無遠慮に掴み、腰を叩き付ける。壁から突き出ているのはお尻だけ、女性の性的な部分だけを好きに使うと言うプレイが俺を興奮させた。

 目の前のモニターにオルタの表情がすべて映っていることも興奮を煽る。涙目になりながら喘ぎ、快感を感じて雄叫びを上げるオルタのすべてを観察しながらのセックスなんて、燃えない訳が無かった。

 

『あんっ♡ あぁっ♡ んあぁぁっ♡♡』

 

「で? さっきは何を言おうとしたの? 俺のことなんて、何?」

 

『あんっ♡ あんたっ♡ あんたにゃんかっ♡ あぁんっ♡』

 

「喘いでばっかりいないでさ、ちゃんと答えてよ。答えられないならおちんぽ抜こうか?」

 

『やあっ、だめぇっ♡ 抜かないで! おちんぽ抜かないでぇ……!』 

 

 もはや恥も外聞も関係無い。俺は壁尻状態でお尻を振りながら泣きじゃくるオルタの表情をにやけながら見つめる。そして、そのお尻を揉みながら彼女に尋ねた。

 

「オルタ、俺のことは嫌い?」

 

『うっ……! そんな、ことは……』

 

「じゃあ、俺のこと好き?」

 

『はっ!? な、何言ってんのよ!? きゅ、急にそんなこと……』

 

「俺はオルタのこと、好きだよ! 可愛いし、エッチだし、セックスも気持ち良いしね!」

 

『は、はぁっ!? 何、馬鹿なこと言って……』

 

「あっ、おまんこきゅっと締まったね! 好きって言われて感じちゃったんだ? オルタ可愛い~!」

 

『んなっ! んなことあるわけが……』

 

「嘘つかないでよ、今もおまんこきゅんきゅんしてるよ? 可愛いって言われて嬉しいんだね」

 

『っっ~~~~~♡♡♡』

 

 モニターに映るオルタの顔は真っ赤だ。それを見れば、今の彼女が照れているだなんてことは馬鹿にだってわかる。

 

「……本当に可愛いよ、オルタ。大好き。こんな意地悪ばっかりする俺だけど、好きでいてくれる?」

 

『っっ……!?』

 

 真剣な口調で告げる愛の言葉。何をふざけたことをと笑われてしまえばそれで終わりだ。

 だが、これは俺の本心でもある。そんな俺の声を聞いたオルタは顔を真っ赤にして俯き、ぼそぼそと何かを呟いた後で顔を上げた。

 

『……良いわよ。アンタが私を愛し続ける限り、私もアンタに同等の愛を送ってあげる! それがどんな形だろうと、アンタが私を愛し続ける限り、私はアンタの女でいてあげるわ!』

 

「ふふ……。ありがとう、オルタ!」

 

 素直じゃない彼女の素直じゃない返事。でも、それはとても温かく、俺の胸に溶けていく。

 微笑みを浮かべた俺は、オルタに気持ち良くなって貰うべく腰を振りながら手元のパネルを操作する。機械の起動音と共に壁から開放されたオルタの体を後ろから抱き寄せると、俺は彼女の耳元で囁いた。

 

「さあ、射精(だす)よ。オルタ、受け止めてくれる?」

 

「……いい、わよ♡ それがアンタの愛の証なら、全部受け止めてやるわっ♡ だから、私のナカに、全部……っ♡」

 

「ああっ! 射精よっ! 受け止めてくれっ、オルタっ!!!」

 

 がつんと腰を激しくぶつけ、子宮口にぴったりと亀頭を当てる。硬くなった陰茎の我慢を開放させてその高まりを爆発させれば、目の前のオルタの首筋が小さく震えた。

 

「んくぅっ……♡ あ、うっ……♡ はぁっ……♡ すごい、量……♡」

 

 どくどくと精液を注ぎこみながら、オルタの体温を味わう。柔らかな胸を揉みしだき、感触を愉しむ。

 

「んあっ♡ あ~……♡ なによ? まだ足りないの?」

 

「それはオルタの方でしょ? おまんこ、ぎゅうぎゅう締め付けてきてるよ?」

 

「くっ! た、足りるわけないでしょう! あんな、お預け食らって、たった一回の射精で満足できるわけ、ないじゃない……♡」

 

 素直になったオルタは上目遣いで俺の顔を見つめている。超絶可愛い彼女の姿に唾を飲み込んだ俺は、オルタもまたベッドの上へと運んであげた。

 

「さ、これで全員っと……! 皆でたくさん楽しもうね!」

 

 にっこりと笑った俺が皆を見ながら笑いかける。そうして、ベッドの上に俺が飛び乗ろうとした時だった。

 

「ま、ます、たぁ……」

 

「ん? 何、ジャンヌ?」

 

 震えながら俺のことを見ているジャンヌが涙を流しながら声をかけてきたのだ。振り返った俺に向けて、ジャンヌは勢い良く頭を床にぶつけながら懇願する。

 

「お願いしますっ! 私も抱いてくださいっ! お願いしますぅぅっ……!」

 

「駄目だよ、ジャンヌは全部のゲームに負けたんだから、しっかり罰を受けないと!」

 

「そ、そこをなんとか! このままでは気が狂ってしまいます! これからは言うこと聞きますから! だから……!」

 

「駄目だって言ってるでしょ? しつこいなぁ……」

 

「そ、そんなぁ……!?」

 

 土下座を繰り返し、涙ながらの懇願を続けても俺の気持ちが変わらないことを見て取ったジャンヌは絶望的な表情を浮かべた。それでもまだ、ジャンヌは諦め切れずに土下座を続ける。

 

「何でもしますっ! 壁尻でも、AV出演でもなんでもしますからっ! だから、おちんぽ下さいっ!」

 

「……今、なんでもするって言った?」

 

「え……? は、はいっ!」

 

「そう? それじゃあさ……」

 

 その言葉を待っていたとばかりに俺は笑う。そして、ジャンヌに近づくと彼女のお尻から挿りっぱなしになっている二又バイブを抜き取ると壁尻装置にセットした。

 

「……本当に最後のチャンスをジャンヌにあげるよ。これに失敗したら、本当に今日はおちんぽ無しね」

 

『は、はいっ! それで、私は、なにをすれ……っっ!?』

 

 壁の向こう側にあるジャンヌの顔、その表情が一変する。きっと彼女があれを見たのだなと思った俺がにやけていると……

 

「先輩、準備が整いました」

 

「良い趣味をしているな、ご主人!」

 

「ふふ……! 性女の痴態を存分に楽しみましょう……!」

 

 ジャンヌの体の大部分がある向こう側の部屋に続くドアが開き、そこからマシュとキャット、アルトリアが姿を現した。その手には大きな注射器が握られている。

 マシュとキャットの手に二本、アルトリアの手には一本、合計五本の注射器……いや、浣腸器を手にしてやって来た三人は、俺とオルタに一本ずつ持っているそれを渡してくる。

 

『ま、マスター、まさか……!?』

 

「総勢五本、時間は五分間……ジャンヌが耐え切れたらご褒美をあげる。ああ、出す時はそのままで出してね? お尻から余計な物が出るかもしれないけど……それもご愛嬌ってことで、ね?」

 

『あ、う……』

 

 ジャンヌに与えられた最後のチャンス。俺たち五人に浣腸液を注がれ、それを五分間耐えられるかと言う浣腸プレイ。壁尻状態のままで排泄もさせる為、恥ずかしい姿をバッチリと見られてしまうことは間違い無しだ。

 この恥辱のプレイを前にして、流石のジャンヌも迷った様だ。そんなジャンヌに向けて笑みを浮かべながら、俺たちは彼女を追い込む。

 

「……いやなら良いんだよ? 俺たちはこっちの部屋で楽しむだけだからさ……!」

 

「先輩、次は私の番ですよね? 続き、始めちゃいましょうか?」

 

「人数が減れば我らの回数も増えるからな! 無理強いはしないゾ!」

 

「ふふふ……♡ 私ならば大喜びでやらせて貰うが、どうやら聖女は浣腸プレイはお気に召さないようだな」

 

「まあ、好きにすれば? 私たちがアンタの分まで楽しんでやるからさ!」

 

『う、う……!』

 

 ジャンヌの目から涙が、膣からは愛液が零れた。疼く体を震わせ、自分の我慢の限界を迎えたジャンヌは、大声で叫ぶ。

 

『やらせて下さいっ! 浣腸プレイ、やらせてくださいっ! 皆さんの前で排泄しますっ! 恥ずかしい姿晒しますっ! だから、だからぁっ!』

 

「……言ったね? じゃあマシュ、時間の計測お願いね」

 

「はい、先輩……♡」

 

 ジャンヌの宣言を聞いた俺たちは、壁に埋まった彼女のお尻の前に一列で並んだ。そして、手に持った浣腸器を構える。

 

「それじゃあ、始めようか……!」

 

『うぐぅっ!?』

 

 キャットが、アルトリアが、マシュが、オルタが……次々と彼女のアヌスに浣腸器の先をあてがい、中身を注ぎ込む。ぶるぶると震えながら、ジャンヌのお尻は注がれる浣腸液を飲み込んでいく。

 

「……これで最後だよ、ジャンヌ。ここから五分間、耐えられるかな?」

 

『あっ、ああっ♡ は、やくぅっ……♡』

 

 ぐるぐる、ぐきゅるる……そんな音を鳴らすジャンヌのお腹。俺はそんな下品な音を耳にしながら浣腸器の先をジャンヌのアナルに差し込む。

 

『んひぃぃっぃっっ♡♡♡』

 

 ぐっ! とシリンダーを押し込み、浣腸液を注ぎ込めば、ジャンヌは低い呻き声を漏らしてそれを全部飲み込んでいった。

 すべての浣腸液を注ぎ込んだ俺たちはニヤニヤと笑いながらベッドに座り、ジャンヌへと声をかける。

 

「それじゃあ今から五分ね! よ~い……始めっ!」

 

『んぎぃぃぃぃっ……!!』

 

 我慢し、苦しむジャンヌの声。それを耳にしながら俺たちは彼女の尻と表情を鑑賞し続ける。

 オルタは清く正しいはずの自分の明るい面が快楽を欲しがってこんなにも浅ましい姿を晒していることが愉快で堪らないようで、俺たちの中でも一際楽しそうであった。

 

「一分です。まだまだですよ、ジャンヌさん」

 

『あっ、あぅ……♡ お腹、ぎゅるるっ、って……♡ ふぅぅ……っ♡』

 

 酷い音を鳴らしながら耐えるジャンヌ。凄く意地悪したいがそこはルールを守らねばならないだろう。ぐっと堪えて彼女を見守り続ける。

 

「二分……頑張ってますね、ジャンヌさん」

 

『んんっ♡ んっ、んんんんぅぅっ♡』

 

「三分です。半分を超えましたよ」

 

『あっ、あっ♡ も、漏れっ♡ んんっ♡』

 

「……ちっ! 後少しだったのに……!」

 

『く、黒い私! なに残念そうに……んひぃっ♡』

 

 オルタの態度に怒りを見せたジャンヌは、叫んだ拍子に尻の穴が緩んでしまったのか少量の液体を噴き出してしまった。途端にオルタの表情は明るくなり、ジャンヌは顔を真っ青にする。

 

『あ、あ……!? み、見逃して下さい! 今のは、ほんの少しだけですし……!』

 

「う~ん、どうしよっかな~……?」

 

「アウトでしょ? アウト! もう負け! はい決まり~!」

 

『お願いだからあなたは黙って……ふぅぅっ……!』

 

 二度目は無いぞと言わんばかりにアナルを締めるジャンヌ。まだまだ楽しめそうだと判断した俺は、今の失敗をセーフと判断することに決めた。

 

「……四分、あと少しですよ」

 

『あ♡ もすこし、もすこしでおちんぽ……♡』

 

「マスター! あいつの尻、揉みくちゃにして来て良い? ケツの穴をおっぴろげて浣腸液の噴水を見せてあげるから!」

 

『や、やめて下さいっ! そんなのルール違反ですよ!』

 

「そうだよオルタ、それは駄目だ。黙って見てようね……!」

 

 俺はオルタに手を出させないように指示をしてベッドに座らせた。不服そうな彼女に笑みを見せてからマシュへと視線を送る。

 

「……五分、おめでとうございます、ジャンヌさん。あなたの勝利です」

 

『あ、やった! これで良いんですよね? マスター!?』

 

「うん、それじゃあフィナーレといこうか!」

 

『え……? んごぉっ!?』

 

 俺はオルタにジャンヌのアナルを広げさせると、そこにアナルプラグを挿入した。簡単には外れないようにしたそれを差し込んだ後、近くに数台のカメラを設置する。

 

『な、なんでぇ!? もう、五分経ったはずじゃ……?』

 

「ああ、そうだよ。だからもう我慢しないで良いんだよ? 思いっきりいきんで、お尻から全部を吐き出しなよ!」

 

「そこまでがアンタのゲーム……つまり、そのプラグと浣腸液をひり出さない限り、アンタはおちんぽを恵んで貰えないってわけ!」

 

『そ、そんなぁ……!?』

 

 再び絶望に染まるジャンヌの表情。それを見て楽しむ俺たちは、着々と撮影の準備を進めながら彼女に言う。

 

「大丈夫だよ、一生懸命力めば外れるからさ! だから、うんちする時みたいに思いっきり踏ん張ってみなよ、ジャンヌ……!」

 

『あ、う……! ふぅぅぅんっっ……!!!』

 

 俺の言葉を受けたジャンヌが思いっきり力を込めてプラグを排泄しようとする。目をぎゅっと瞑り、歯を食いしばって力を込める。肛門は盛り上がり、彼女が本気で力んでいることが見て取れる。

 

『んんんんっっ! ん~~~~っ!!!』

 

「あはは! そんなにちんぽぶち込んで欲しいの? たっくさんのカメラの前で踏ん張って、恥ずかしい排泄シーンを撮られてもセックスして欲しいの? アンタ、聖女なんじゃ無かったの?」

 

『う、う……!』

 

「ほらほら、頑張んなさいよ聖女さまぁ! 急がないとアンタを放っておいて二回戦を始めちゃうわよ?」

 

『ぐぅっ……! んん~~~~っっ!!!』

 

 オルタに煽られて悔しそうにしながらもジャンヌは排泄のための努力を止めようとはしない。必死に力み、プラグをひり出そうとする。

 

「……マスター、もうそろそろですよ……!」

 

「じっくり、たっぷり、見てやろうではないか」

 

「ああ言うのが好きなのですか? 私で良ければいつでもやらせて頂きますよ♡」

 

「あっはっは! ざまぁ無いわね、エロ聖女!」

 

 ジャンヌの様子を見るマシュたちが囁き合う。膨れ上がったジャンヌの肛門がプラグの出っ張りを外し、発射の準備を整えている。

 

「んんっ! んん~~~~っっ!!!」

 

 そしてついにその時がやって来た。思いっきりいきんだジャンヌのアナルからプラグが飛び出し、宙を舞ったのだ。

 ボフンッ♡ と言う下品極まりない音を立てて排泄されたプラグは俺たちの足元まで飛んできた。それを広いあげた俺の目の前で、最高のショーが繰り広げられる。

 

『あ、あ……! み、見ないで! 聞かないでぇっ!!!』

 

 ぎゅるるるる……♡ ジャンヌのお腹をなにかが駆け上がってくる音がする。我慢に我慢を重ねた何かが、解き放たれる音がする。

 

 ぶびびびびび……♡ メインディッシュに先駆けて、ジャンヌのアヌスから気体が漏れる音がする。どんなに美しく、可憐であってもジャンヌも人間……下品な放屁をする、ただの人間であると言うことが証明される。

 

 そして……

 

『あ、あぁぁぁぁっっ!!!』

 

 ぶばぁぁぁっっ……♡ と音を立て、ジャンヌの堤防が決壊した。顔の前のカメラに排泄の際の表情を、尻のすぐ近くにある幾つものカメラに最も恥ずべき姿を撮られながら、ジャンヌは噴水のように浣腸液を噴き出し続ける。

 

『あぁぁぁぁっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡』

 

 すべてを曝け出すジャンヌの姿を俺たちは見ていた。聖女の名を与えられた彼女の痴態を特等席で眺めていた。

 マシュは口元を覆い恥ずかしそうに、タマモキャットはニヤニヤと俺と同じように笑いながら、アルトリアはうっとりとした目で羨ましそうに、そしてオルタは足をばたつかせながらお腹を抱えて大爆笑をしていた。

 それぞれの反応を見せながら仲間の排泄姿を見つめ続ける彼女たちを四つん這いにさせ、俺は立ち上がる。注がれたすべての浣腸液を吐き出したジャンヌに近づいた俺は、未だにひくついて空気を漏らす彼女のアナルを観察しながら笑う。

 

「……お疲れ、ジャンヌ。約束通りご褒美をあげるね……!」

 

『あ、あへぇ……♡ あへぇ……♡』

 

 パネルを操作、ジャンヌを自由にする。壁からお尻を引っ張り、皆と同じく四つん這いにしてベッドの上に並べる。

 壁尻とは違うが、またしても俺の目の前には五つのお尻が並んでいた。今度は背中やおっぱいまでもが眺められるようになったその光景を楽しんでいると、皆が振り返って口を開いた。

 

「さあ、マスター……♡ 淫乱騎士王のこの尻を存分に嬲って下さい♡ 私は、あなたの雌馬になる覚悟はとうに出来ていますから……♡」

 

 むっちりとしたお尻を振り、大きな胸を揺らしながらアルトリアが言う。変態的な一面を見せつけながら、快楽を強請る彼女の姿はエロスに満ち溢れていた。

 

「ご主人、我と一緒に楽しもうぞ♡ 熱く、激しく、狂おしい快感を共に得よう♡ キャットは頑丈だから、どんなに激しくしても大丈夫だワン♡」

 

 野生的な一面を見せつけながらキャットが言う。腰から生えた尻尾が激しく振られ、彼女の期待をありありと表す。可愛い雌犬の姿に俺の口元には自然と笑みが零れる。

 

「私を選びなさいよ……♡ そうすれば、煉獄の熱さと天上の快楽をアンタに上げるわ……♡ 全身全霊で愛してあげる♡ だから……」

 

 彼女なりの愛を囁きながらオルタが言う。ぐっちょりと塗れたまんこを開き、俺を挑発するように舌舐めずりをしながらこちらを見る。愛する、の言葉を自然と口にした彼女の変化に驚きながらその言葉に興奮を募らせる。

 

「なんでもしますっ♡ おしっこでもおならでも、もっと恥ずかしいことでもしますっ♡ だからおちんぽくださいっ♡ おまんこずぼずぼしてくらしゃいっ♡」

 

 涙を浮かべたジャンヌが必死の表情で言う。先ほどの浣腸プレイでタガが外れてしまったのか、下品な言葉を何のためらいも無く口にしている。聖女と呼ばれた彼女のそんな姿は、俺にぞくぞくとした興奮を与えてくれた。

 

「……先輩、私のまんこはいつでも先輩をお待ちしています♡ 後輩まんこが味わいたくなったら、遠慮なくぶちこんでくださいね♡」

 

 そして、いつもと変わらない口調でマシュが言う。淫らな言葉を口にするマシュの様子はいつもと何も変わらない。それが普通であるかのように俺に自分の秘所を差し出しているのだ。

 

 見目麗しく、強く、凛々しい彼女たち……それが全部、俺のもの。俺が自由に出来る女。

 ギンギンに勃起した肉棒が女を欲しがっている。肉欲に溺れながら、愛しい彼女たちへと足を進める。

 

「……俺の好きにして良いんだよね?」

 

「「「「「はいっ♡」」」」」

 

 見事に重なった返事の声を耳にした俺は、野獣のように本能を解放して彼女たちに襲い掛かった。

 この日、俺たちは朝になるまで快楽に溶け合い、ぶっ通しでセックスを続けた。体が睡眠を欲しがるまで交わり合い、気がついた時には皆に抱き締められながら眠りに就いていた。

 

 そして……翌日に確認できたことだが、この日のセックスで皆の淫紋令呪は一段階成長し、皆も俺もさらに強くなったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシュ・キリエライト……淫紋令呪第二再臨完了 スキル「従順なる後輩」習得 ステータス強化

 

 アルトリア・ペンドラゴン、タマモキャット、ジャンヌ・ダルク、ジャンヌオルタ……淫紋令呪第一再臨完了  それぞれ新スキルを習得 ステータス強化

 

 カルデアのマスター……全五名の淫紋令呪強化により、彼女たちの能力を一部受け取る。ステータスと魔術の才能、強化

 

 




 従順(じゅうじゅん)なる後輩(こうはい)………マシュが今回身につけたスキル。先輩の言うことを良く聞く後輩としての力が高まったもの。淫紋令呪および通常の令呪で下された命令を最大効率で行う。(NPチャージが通常100%の所、500%になる等)


 野生開放(やせいかいほう)………タマモキャットが今回身につけたスキル。自身のステータスを1ランク上げる狂化スキルに酷似したもの。狂化スキルと違い、デメリットは使用者が少し疲れる程度である。


 魅惑(みわく)下半身(かはんしん)………アルトリア・ペンドラゴン(ランサー)が今回身につけたスキル。自身の騎乗スキルに+を一つ付け、常時その効果を二倍にする。


 被虐嗜好(ひぎゃくしこう)………ジャンヌ・ダルクが今回身につけたスキル。自身に相手の攻撃を集中させ、受けたダメージを無効化しつつそのまま体力の回復に当てる。


 (くろ)愛情(あいじょう)………ジャンヌオルタが今回身につけたスキル。マスターから与えられる魔力量に比例してBastarカードの能力が上昇。(最低値で50%の向上、上限値は不明)



 当然ながら、全スキル性行為の際にも有用な効果を持つ。






 次回は第二特異点で登場する女の子たちのお話を予定しています。既に堕ちた状態での登場ですが、精一杯頑張りますので楽しみにしていて下さい!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二の野望、動く(墜ち描写注意)

 ゆらりと燃える黒い炎を目にしながら、ソロモンはじっと玉座に座ったまま微動だにせずにいた。全裸のままの彼の陰茎は勃起し、天を突くかの様に反り返っている。

 

「……来たか」

 

 やがてニヤリと笑みを浮かべたソロモンは一言だけ呟きを発すると部屋の入り口を見つめる。徐々に開いていく扉の向こう側からは、四人の女性の姿がシルエットとして見えていた。

 

「雌犬、ソロモン様のご用命とお聞きして馳せ参じました!」

 

 真っ先に声を上げたのはすらりとした背の高い女性であった。忠義に溢れた瞳をソロモンに向ける彼女は、一糸纏わぬ裸体を見せびらかしている。

 胸は慎ましやかなものの形は整っており、ツンと上向きの形をした美乳であった。手足も長く、美しい恵体を晒す彼女であったが、一部分だけ黒く汚れている部分が存在した。

 それは彼女の尻の部分。小尻だが、女性らしさに溢れた尻肉にはそれぞれ一文字ずつ()()の文字が刻まれている。尻穴には犬の尾を模した張り子が挿入されており、尻に刻まれた文字通りの雌犬として振舞う彼女に誇りと快感を与えていた。

 

「その忠義、嬉しく思うぞ、牛若丸……いや、雌犬よ」

 

「ああ……! なんと勿体無いお言葉! この雌犬、そのお言葉だけで昇天してしまいそうです……♡」

 

 恍惚とした表情を浮かべる牛若丸。股座を濡らしてその言葉が嘘では無いと証明する彼女の前に別の少女が足を進める。

 主の寵愛を一身に受ける牛若丸への嫉妬を見せながら、水色の美しい髪を持つ少女は恭しくソロモンへと頭を下げながら挨拶をした。

 

「雌蛇、ただいま参りました……。なんなりとご命令下さい、ご主人様(ますたぁ)……♡」

 

 幼く、あどけない雰囲気に反して落ち着いた物腰を見せる少女。小さな体はその歳にしては豊かに育っており、特に胸は平均より大きく見える。

 決して下品にならず、されど慎ましやかになりすぎず……主への愛の炎を燃やしながらその長い舌をちろちろと出す彼女に対して、ソロモンは喉を鳴らしながら声をかける。

 

「そう気張るな、清姫。肩の力を抜くと良い……愛するお前の緊張した面持ちも悪くは無いが、穏やかで淫らな表情の方が見ていて楽しめる」

 

「あぁ……♡ あぁ……っ♡ 愛、などとは♡ 雌蛇の心を高鳴らせてくれますね、ご主人様♡」

 

 ()()の文字が刻まれた長い舌を出し入れしながら喜ぶ清姫は牛若丸同様に体を火照らせながら恍惚とした表情を浮かべている。二人目の挨拶が終わったことを確認した後で、次の女性がソロモンへと頭を下げた。

 

「雌牛、ここに♡」

 

 牛若丸、清姫と言ったまだ幼さが残る英霊に対して、三番目の彼女は妖艶な大人の雰囲気を纏っている。そしてそれは、彼女の体つきにも表れていた。

 大きな、とても大きなその乳房。左右にそれぞれ()()の文字を分けて刻まれている彼女の胸は、巨乳を通り越して爆乳と呼ぶに相応しいだろう。

 大きな胸に相応しい大きな乳首を膨らませて期待に蕩ける彼女の名は()()()、魔性殺しの英雄と呼ばれる、源氏の英雄の一人()()()女性だ。

 今はもうただの雌奴隷、雌牛としてソロモンに忠義を誓う彼女の乳首からは、甘い匂いを発する母乳がぽたぽたと漏れ出して床に白い水溜りを作っていた。

 

 雌犬、雌蛇、雌牛……この場にいる女性たちは、全員がソロモンから()の名を冠した新たな名前を賜ってそれを名乗っていた。今までの自分の名を捨てて与えられた淫らな名を名乗る彼女たちの瞳には、暗く光る♡マークが浮かんでいる。

 そして、残った最後の一人である女性もソロモンに跪くと頭を下げた。全裸での土下座を長々と続けた後、彼女は立ち上がる。

 

 桜色の髪、大き目な胸、柔らかく鍛え上げられた体……女性としての魅力が詰まったその体には、他の三人同様にソロモンに刻まれた文字が光っていた。

 白く綺麗なその背中には、生前の彼女が掲げていた文字である『誠』の文字が刻まれている。だが、その上から大きな×印が描かれており、彼女がその文字を捨て去ったことを表している。

 誠の文字を捨て去った彼女が掲げている物……それは、『雌』の一文字に他ならなかった。柔らかな尻に大きく刻まれるのは()の文字、そして、彼女の淫紋令呪にはソロモンから与えられた称号である()の文字が刻まれていた。

 

()()()()()()()()()、沖田総司……現雌豚、淫らに参上いたしました……ぶひっ♡」

 

 豚の鳴き真似をし、淫靡に笑いながら、人としての尊厳を捨て去った彼女たちは地に頭をこすり付ける勢いでソロモンへと頭を下げたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんっ♡ あぁっ♡ あひぃぃっ♡」

 

「ふぁっ♡ あぁぁっ……♡」

 

「んんっ♡ んんんっ♡ んへぇぇっ♡」

 

「おっ♡ おぉぉぉぉっっ♡」

 

 四者四様の嬌声が部屋の中に響く。淫らな雌へと成り下がった彼女たちの口から発せられるそれは、まさに獣の雄叫びであった。

 

「おっ♡ お犬さまっ♡ すごいっっ♡ 雌犬まんこがきゅんきゅんしておりますっ♡♡♡」

 

 四つん這いになり、後ろから人狼(ワーウルフ)に抱かれて犯されている牛若丸は、激しいセックスに喜びの声を上げている。人の物より長い肉棒(ちんぽ)を膣に激しく抽送される度にその声は大きくなっていく。

 尻から生えた尻尾を激しく振り、牛若丸は人狼へと己の興奮を示しながら彼の肉棒を受け入れていた。

  

「はぁぁ……っ♡ 前も、後ろも、みっちりとふさがれてますわ……♡ 大蜥蜴さまの愛をこの身に感じられて、感無量で御座います……♡」

 

 清姫は正常位で竜人(リザードマン)に抱かれている。一見普通に抱かれているように見えるが、竜人特有の二又に分かれた肉棒(ちんぽ)によって、前と後ろの穴を同時に犯されているのだ。

 小さな体を完全に抱きすくめられ、両方の穴を大きな肉棒で犯されていると言うのにも関わらず、彼女の表情には幸せの色しか映っていなかった。

 

「あっ、あぁぁっ♡ め、雌牛の母乳のお味はいかがでしょうか……? 猛々しい雄牛のおちんぽを受け入れているせいか、まだまだ射乳()そうですわよ……♡」

 

 太く、大きな雄牛(ミノタウロス)の肉棒を受け入れ、体を持ち上げられながら犯されている頼光は、パートナーである雄牛に延々と乳首を吸われていた。ソロモンと淫紋令呪によって霊基を改造された彼女は、妊娠しなくても母乳が出せる体になってしまっていたのである。

 雄牛の大きな手で胸を揉まれる度、彼女の爆乳からは白い母乳が信じられない勢いで飛び出た。射乳の快感と愛しい相手に母乳を飲んでもらえているという幸福感が頼光の母性に火を点け、その快楽に拍車をかけていた。

 

「んごっ♡ んごぉぉぉぉっっ♡ ぶひっ♡ ぶひぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 そして最後の一人、沖田総司は巨大な魔猪に犯されていた。一トンはゆうにあるだろう巨体に圧し掛かられながら、豚のような鳴き声を上げてセックスに勤しんでいるのだ。

 豚の持つ肉棒は変わった形をしている。まるでドリルのような形をしたそれには加えてイボがびっしりと生えており、挿入された雌の膣を深く抉りながら壁全体を擦り上げる役目も果たしているのだ。

 

「ぶひぃっ♡ ぶっ、ひぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 巨大な肉棒が文字通り自分の膣を掘削する快感に沖田は体全体を震わせて吼えた。床に押し付けられている胸は潰れ、形を歪ませている。この小さく華奢な体のどこに魔猪の体重を受け止められるだけの力があるのかほとほと疑問だ。

 子宮をドリル肉棒(チンポ)でこじ開けられながら喘ぐ沖田は、主から豚の称号を賜る理由ともなった薄い桜色の髪を汗で濡らしながら異種間セックスの快感に溺れていた。

 

「……そのまま魔力供給を続けながら聞け、雌どもよ」

 

 酒を片手に自分の見繕った相手と性交を続ける女たちを眺めて楽しんでいたソロモンが口を開く。主の声を聞いた雌だちは、化物とのセックスを続けながらも意識を彼へと向けた。

 

「お前たちに第二の特異点を任せる。このソロモンの為に働き、逆らう愚か者どもを皆殺しにして来い! ……無論、功を上げたものには我が直々に褒美をくれてやろう」

 

 ぴくり、と彼女たちの耳が動く。主から与えられる褒美の言葉に反応した彼女たちは、口々に自分の決意表明をソロモンへと告げる。

 

「こっ、この雌犬っ、ソロモン様の為に粉骨砕身の覚悟でことに当たる所存ですっ! で、ですから、私が武功を上げた時には……♡」

 

「ああ、存分に愛でてやろう。何処を撫でて欲しい? それとも散歩か?」

 

「あ、ああっ♡ あぁぁっっ♡ 頑張りますっ♡ 必ず望む戦果を上げて見せますっ♡ すべてはソロモン様のためにっ♡」

 

 瞳を潤ませながら叫ぶ牛若丸。彼女の中では、既に自分が功を上げることは決まっているのだろう。

 自分に絶大な自信を持つ彼女は、気の早いことにこの時点から褒美としてソロモンに何を求めるかを考え始めていた。

 

「……ようやく焼き殺せるのですね……! 私の思いを踏み躙ったあの男(安珍)を! そしてその生まれ変わりであるあの男を!」

 

「そうだとも、お前を裏切ったあの男を殺し、その恨みを晴らして来るが良い……!」

 

「ああっ♡ この様な機会を頂けたこと、深く感謝いたしますわ♡ ソロモン様への愛と忠義、この雌蛇の全霊を以って証明させて頂きます♡」

 

 かつての主へと抱いていた愛を憎しみへと反転させた清姫は怒りと情欲の炎を心の中で燃え上がらせた。その姿を見るソロモンは愉快げな笑みを浮かべる。自分の手によって新たな情報を書き込まれ、自分の白々しい言葉を心の底から信じている清姫が愚かに見えて仕方がなかったからだ。

 そんなソロモンの考えなど露知らず、最も忌むべき存在である()()()の言葉に心を躍らせる清姫は恍惚とした表情を浮かべて彼の姿を見ていた。

 

「母として、子の不始末はつけなければなりません……。偉大なるソロモン様に歯向かうなどと言う大罪を犯すあの子には、死を以ってその罪を償って貰いましょう!」

 

「流石だな、頼光。母としての役目を果たすための覚悟、しかと見届けさせて貰おう」

 

「そんな、褒め言葉など……♡ 私はただ己の務めを果たすのみ、お褒めの言葉など勿体無く存じます……♡」

 

 ソロモンからの褒め言葉に頬を染める頼光は、未だに我が子と思い続けるカルデアのマスターの顔を思い浮かべる。無論、その胸に去来するのは懐かしさや愛しさなどではなく、憎しみと怒りだ。

 大切な主を困らせる悪い子、そんな子にはお仕置きをしなくてはならない……それが母の務め、例え子から憎まれても道を踏み外した子には罰を与えねばならない。そう、その命を奪うことになってもだ。

 

「……沖田、お前はどうだ? このソロモンに申したいことはあるか?」

 

「ぶ、ぶひぃっ♡ ぶひぶひっ♡ ぶっひぃっ♡」

 

 三人の決意表明を聞き遂げたソロモンは沖田へと話を振った。主から声をかけられた喜びの表情を浮かべた沖田が口にしたのは、豚の泣き真似であった。

 主から話を聞いて頂ける機会を与えられたというのになんと言う事を……! 沖田の反応を見た牛若丸、清姫、頼光の三人は、それぞれ怒りと呆れが入り混じった表情を彼女へと向ける。しかし、意外な事にソロモンはそんな沖田の事を笑みを浮かべて見つめると、拍手を彼女に送った。

 

「なんと素晴らしい決意表明よ……何せこのソロモンが与えた()()の名に相応しい振る舞いで行ったのだからな。未だ人の言葉を口にし、人として振舞おうとする他の三匹とは大違いだ」

 

「「「っっ!?」」」

 

 ソロモンの言葉を聞いた三人はしまったと言う様な表情を向けた。主の御心を理解していなかった己を恥じ、三人はすぐにソロモンの思う通りの雌に成り下がる。

 

「わんっ♡ わんわんわんっ♡」

 

「ふしゃーーっ♡ ふしゃしゃしゃーーっ♡」

 

「も~~っ♡ もぉぉぉっ♡」

 

「く、くくく……クハハハハ!」

 

 後の世に天才武将として名前を轟かせる英雄が犬に、愛と忠義に生きるうら若き娘が蛇に、源氏の頭目として名高い武士が牛に、そして新撰組最強の人斬りが豚に……その光景を見るソロモンは笑いが止まらなかった。

 どれだけ高尚で偉大な存在であろうと一皮向けばただの雌……己の魔術と技術で本性を曝け出してやれば、人としての尊厳を投げ捨てさせることなど容易い事なのだ。

 

「前祝いだ! 淫紋令呪を以って命ずる、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 ソロモンの命令を受け、彼女たちの下腹部にある淫紋令呪が黒く光る。彼女たちが肉欲の海にその身を沈ませたことで強化され、形の変わっているそれがソロモンの命令を深く刻み込む。

 やがて、彼女たちを抱く雄たちも主の命令を感じ取ったのか、全員が同時に絶頂するとそれぞれ特徴のある射精を行い、雌たちの体に快楽を叩き込んだ。

 

「わんっ♡ わっ、わおぉぉぉぉぉんんっ♡♡♡」

 

 犬の様に長く、人の様に激しい射精を子宮に受けて絶頂する牛若丸。犬が遠吠えをする様に吼える彼女の瞳には♡マークが浮かんでいる。

 子宮を叩く精液の激しさに身を震わせながら、その快感がまだまだ続くことに彼女は身震いをして悦んだ。

 

「ふしゃぁぁぁぁぁっっ♡」

 

 両穴に大量の精液を射精され喘ぐ清姫。口から長い舌を放り出し、そこに刻まれた雌蛇の文字とアヘ顔を竜人へと晒している。

 彼女の持つ幼くも豊満な体を支配した喜びを感じた竜人は、彼女の舌を己の舌で絡めとると唇を重ね合わせた。

 

「もぉ~~っ♡ ぶもぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 爆乳を揺らし、母乳を噴き出しながらアヘ顔を晒す頼光。彼女の周囲には甘い香りがぷんぷんと漂い、白い液体がびちゃびちゃと飛び散っている。

 渇いた喉を潤すために雄牛は頼光の乳首を咥えて思い切りその中身を吸い上げた。射乳と射精の快感でアヘる彼女の表情にいつもの貞淑さは微塵も無い。完全にただの雌牛と化している。

 

「ぶっっ♡ ひぃぃぃっ♡ ぶひぃぃっっ♡♡♡」

 

 そして最後、巨大なドリル肉棒(チンポ)に膣を削られて白目を剥いた沖田が全身を痙攣させながら快感の高みに上り詰めた。喉も裂けんとばかりに叫び声を上げ、狂った様に震え続ける。

 大量の精液を射精した後、魔猪はゼリー状の液体を彼女の膣に放ってボンドの様に固定する。精液が漏れ出さぬように工夫された豚のセックスは、雌を孕ませることに特化していた。幸いなことに()()沖田がこの射精で孕むことは無いが、彼女の腹は射精された精液で膨らみ、まるで妊婦のようになってしまっていた。

 

「ククク……! 今後のことは追って沙汰する。今は同種(パートナー)との性交に耽るが良い!」

 

「ガァァァァッッッ!!!」

 

「あぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 一回戦目のセックスを終えたそれぞれのつがいを見ながらのソロモンの言葉を聞いた獣たちは、それぞれ同じ様な反応を返した。雄は肉棒をそそり立たせながら激しく絶叫し、雌は逞しく復活した雄の肉棒の感触に嬌声を上げる。そしてそのまま、雄は肉棒で雌を支えながら部屋を出て行った。

 

 後ろから犯されながら手押し車の要領で進む雌犬(牛若丸)。愛しい人を抱きしめるように全身で竜人に抱きつく雌蛇(清姫)。乳を吸われ、膣を貫かれたままに抱きしめられる雌牛(源頼光)。完全に気を失ってしまい、魔猪の肉棒だけで支えられる雌豚(沖田総司)……墜ちきった彼女たちが性交を続けながら退出したことを見たソロモンは手に持った杯を傾けて中身を呑む。赤い、まるで血のような酒を半分ほど口にした彼は、残りを自分の体にかけるようにして零す。

 

「あ……♡」

 

 小さく、本当に小さく、声が響いた。可憐な少女の声、間違いなくソロモンが発したとは思えないその声は、よもすれば単純な聞き間違いかと思われてしまうだろう。

 しかし、それが間違いでは無いことを肯定するかの様に不思議な現象が起こる。ソロモンの零した酒が()()()()()()に触れ、その体を伝って零れ落ちて行ったのだ。ちょうどソロモンに抱きしめられるような体勢で彼の胸の中に位置する謎の存在は、徐々にその姿を現していく。

 

 金色の髪、翡翠色の眼……あどけなく幼さを残すなんとも可愛らしい姿の少女は、瞳に涙を浮かべながらソロモンに擦り寄る。

 

「どういうことですか、ソロモン様……? 次の特異点は、余にお任せ頂けるのでは無かったのですか!?」

 

「ふふふ……! 不服か、ネロ? このソロモンを信じぬと申すか?」

 

「そうではありませぬ! 余は、ソロモン様を信じているからこそ説明を求むのです! 貴方様が余を裏切るはずがない! ですが……この駄犬には、貴方様の素晴らしいお考えを理解することが出来ないのです」

 

 寂しそうな口調でソロモンに語りかけながら、元ローマ皇帝『ネロ・クラウディウス』はソロモンに体を預ける。甘える様に彼の喉を舐め、柔らかく大きな双房をむにゅりと胸板へ押し付ける。

 

「……どうか教えてくださいませ、ソロモン様……。貴方様が何を考えているのかわからないと言うことは、余にとって胸が張り裂ける程の悲しみなのです……」 

 

「ふふふ……愛い奴よ。安心しろ、我は約束を違う事は無い。お前たちにも第二特異点の侵略は任せる」

 

「あっ……♡」

 

 優しげな声でネロに語りかけながら、ソロモンは彼女の頭と尻を撫でる。柔らかな髪の感触と小さな体に詰まった女の魅力を愉しみながら、ネロへと視線で合図を送る。

 それだけで彼が何を言わんとしているか理解したネロは、ゆっくりと腰を上げ下げして己の膣でソロモンの肉棒を扱き始めた。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ……♡」

 

 小さな体に似つかわしくない大きな乳房……清姫よりも大きく張りのあるネロの胸は、彼女の上下運動に合わせてたゆんたゆんと揺れていた。

 眩く煌びやかで、かつてのローマ帝国において国民から愛された皇帝であるネロに奉仕をさせる愉悦を感じながら、ソロモンは自分の計画を語り始める。

 

「……フランスにて、聖女たちはまさかの敗北を喫した。戦力も情勢も十分に奴らに味方していたにも関わらずだ。さてネロ、お前にはこの敗北の理由がわかるか?」

 

「あんっ♡ ……そ、それは……油断、慢心では無いでしょうか?」

 

「その通りだ、お前は愛いだけでなく賢いな……!」

 

「あっ♡ はぁぁ……っ♡」

 

 ネロの体を優しく撫で、褒めちぎるソロモン。主からの言葉を受けたネロは、感激と快感に表情を蕩けさせていた。

 

「……死に体のカルデアに満足な戦力があるはずも無い。あのマスターも凡庸なただの男だ……このソロモンと比べ、どちらが勝っているか比べるまでもない!」

 

「当然でございます! 余に刻んで頂いたこの淫紋令呪の素晴らしさを見れば、あの男がいかに矮小な男であり、ソロモン様に敵うはずも無い虫けらであることなど明々白々でございますっ!」

 

 ソロモンはネロの言葉に大きく頷く。かつて彼を愛し、懐いていたネロにここまで言わせるまでに彼女を墜としたことをほくそ笑みながら、同時に自分の方が圧倒的に優れていることを再確認する。

 そう、カルデアや彼が何をしようと自分に敵うはずが無い。であるならば……非常に残念なことに、先の敗北の原因は()()()()()()()()のだ。

 

「ジャンヌたちはフランスのほとんどを支配下に置いた……9割勝ちを掴みながら、そのせいで奴らは油断して負けたのだ」

 

「なんとも愚かな奴らです! この場に居れば、余が叩き斬ってやるものを……!」

 

「そう言うな、ネロ。仕方が無いことだ、何せ相手は絞りカスの様な戦力と虫けらマスターしか持たぬカルデア……聖女たちが気を抜いてしまっても仕方があるまい」

 

「なんと慈悲深いお言葉……! このネロ、ソロモン様のお心の広さに感服いたしました!」

 

「ふふ、お前は本当に可愛い奴だな……!」

 

 尊敬の眼差しを自分に送るネロを可愛がりながら、ソロモンは彼女の体に数々の魔術を行使した。体重を風船の様に軽くし、体が離れぬ様に己の体を抱きしめさせる。そして自分の肉棒に持続力強化と巨大化の秘術を施すと、ソロモンは玉座から立ち上がってネロの尻を叩いた。

 

「ネロよ、お前はパレードが好きだったな……? このまま城の中を回るとしよう、出陣の行進だ」

 

「あっ、あぁっ♡」

 

「ククク……主に愛される姿を見て貰うと良い。このソロモンに抱かれる栄誉ある姿を全員に見せ付けるのだ」

 

「は、はい♡ ソロモン様……♡」

 

 部屋を出たソロモンは全裸のままに城の中を歩き始める。肉棒に突き刺さったネロもそのままに、彼女とのセックスを見せ付けながら歩み続ける。

 途中、ネロのアナルに指を突っ込んでかき回しながら、新たな命令として二穴を激しく痙攣させることを命じたソロモンは、ぶるぶると震えだした雌穴の快感に喘ぐネロの表情を楽しみながら行進を続けた。

 

「あひっ♡ おぉ……♡ まんことけつまんこ、震えています……♡ ああっ♡ ソロモン様のおちんぽを強く感じます……♡」

 

 びくびくと勝手に穴が震えてくれる為、腰を動かさなくても快感を得られる。肉バイブならぬ()()()()として扱われながら、ネロは二穴を震わせる快感を貪っていた。

 

「……良いかネロよ。第二特異点はお前たちの部隊と先ほどの雌どもの二つの部隊に分ける。どちらがより多くの功を上げられるか競い合うのだ」

 

「あっ♡ なっ、なるほどぉ……♡ 味方同士で競い合うことによって、緊張感を保ったままことにあたれると言うわけですね……♡ さすが、ソロモン様です……♡」

 

「ククク……無論、勝った方には褒美を与えよう。そうだな……お前への褒美は、こんなものでどうだ?」

 

 ソロモンが指を鳴らすと周囲の光景が一変した。暗い城の中ではなく、明るく煌びやかな町の中の映像を見せられて目を丸くしているネロの瞳を真っ直ぐ見ると、ソロモンはいやらしい笑みを浮かべながら彼女に囁く。

 

「暗い城の中だけでは無い、お前が愛し、愛されたこのローマ帝国の街中でパレードを行うのだ。全裸で我に抱かれ、偉大なる主への忠誠と生まれ変わった自分の姿を大観衆の中で見てもらうと言うのはどうだ?」

 

「あ、ああぁ……♡ はぁぁぁぁ……っ♡」

 

「お前が望むならば……ローマだけでなく、世界中のありとあらゆる場所でパレードを行ってやろう。淫乱皇帝の全裸パレード……さぞや大観衆も喜ぶであろうな」

 

「ひっ、ひぅぅっ♡ ひぐぅぅぅっ♡♡♡」

 

 ソロモンの囁きを耳にしたネロは、その光景を頭の中に思い浮かべた。千……いや、万を超える大観衆が主に抱かれている自分の幸せそうな姿を見つめているのだ。

 誰もが求めた彼女の裸を見れたこと、そして偉大なる主の神々しい姿をその目に映せたことで感極まるローマの国民たちの姿を想像したネロは、幸福感によって深い絶頂を味わう。ぐっちゅり、ねっとりと言った音を膣から響かせる彼女に対して、ソロモンは念押しをした。

 

「ただ、これはお前が我が望む戦果を上げられた場合の話だ。もしも期待を裏切ることがあれば……わかっているな?」

 

「ああ……っ♡ 余が! ローマ皇帝であるネロ・クラウディウスが! 貴方様の期待を裏切ることなどありえませぬ! どうぞその目に焼き付けて下さい! 余がカルデアのマスターを屠るその姿を!」

 

 必死の叫びを上げるネロはソロモンへの忠誠を誓って堂々たる宣誓をして見せた。その言葉に満足げに頷いたソロモンは、褒美とばかりに激しく腰を振り始める。

 

「あぁっ♡ んあぁっ♡ あぁっ♡ あはぁっ♡」

 

「クハハハハハハ! 良いぞ、実に良い! お前の淫らな姿を全世界に晒し、ネロ・クラウディウスという存在の定義を変えてくれよう! 偉大なるローマ皇帝から、浅ましい淫乱娘にな!」

 

「あへぇぇっっ♡」

 

 ネロの小さな体は完全にソロモンに支配されていた。膣とアナルを自動振動させられ、胸もきつく押し付けられる。口からは彼女の綺麗な声が卑猥な言葉や喘ぎ声となって発せられている。

 心のあり方までもを征服されたネロはソロモンの成すがままに快感を押し付けられていた。胸いっぱいの幸せと共にもっと淫乱になろうと誓う彼女は、己の限界を感じてそれを大声で主に告げる。

 

「イキっ♡ イキますっ♡ ソロモン様、どうかお恵みをくださいぃぃっっ♡♡」

 

「良いだろう! 我が精を受け、存分に達するが良い!」

 

「あぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 激しいピストン運動を受けて体を仰け反らせたネロは、堪らないと言った表情を見せながら尻を振った。がっちりと尻を掴まれ左右に広げられると、止まぬ振動を続けるアヌスから空気と共に卑猥な音が漏れた。

 口から発せられる天上の美声、それを彩るは膣から溢れる愛液が掻き混ぜられて響く水音とネロの尻から放たれる放屁の音。卑猥なるオーケストラを全身で繰り広げながら、ネロはそのフィナーレに相応しい絶叫と共に快感を爆発させた。

 

「あぁぁっ♡ イクっ♡ イグぅぅっ♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 ネロの体が仰け反り、大きくしなる。アナルからは絶え間なく屁が放たれ、尻と乳房は興奮でピンク色に染まっている。

 そして絶頂した膣にはソロモンの精液が射精され、未だに止まらない振動と相まって彼女に更なる興奮を与えていた。

 

「あ、へ、あ、へ……♡ そろもん、さまぁ……♡」

 

 甘えた声を出しながら体を擦り寄らせるネロを抱き止め、ソロモンはニヤリと笑った。

 彼女ごときが自分の精を受け止めるのは勿体無いと言わんばかりに肉棒を抜き取った後、淫紋令呪で命令を下す。

 

「……今射精された精液をすべて噴き出せ、一滴残らずな」

 

「はっ!? んぎゃぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 命令を下されたネロの膣がそれを忠実に守るべく動き始める。振動、潮噴き、小便……すべての機能を最大限に活用しながら、ソロモンから賜った精液をすべて吐き出す。

 ブリッジの体勢でそれを行ったネロの足元には、白と黄色の液体の混合物が水溜りを作っていた。

 

「……臭うな。それは自分で片付けておけ」

 

「は、はい……♡」

 

 呆けた声で返事をしたネロは舌を出すと、自分の排泄物とソロモンの精液で汚れた床を舐めて掃除を始めた。ソロモンに陥落された英霊たちは皆、自分の汚した床はこうして掃除するのだ。

 ぴちゃぴちゃ、ずるずると音を立てて床を舐めるネロの姿を見たソロモンは彼女の真正面に立つ。そして、精を放ったばかりの肉棒を彼女に向けると……

 

「あっ……♡」

 

 ネロに小便をかけはじめた。便器扱いをされていると言うのにも関わらず、ネロは口を広げてソロモンの尿を大喜びで受け止めている。

 

「くくく……! 実にすっきりとした気分だ! さあ、その調子で床の掃除も続けろ!」

 

「ふぁ~い……♡」

 

 己とソロモンの小便と屁、そして愛液の臭いを体から放ちながら床に這い蹲るネロ。薔薇のように美しく、麗しい香りを放っていた彼女はもうどこにもいない。

 そう、ここにいるのはただの奴隷……ネロ・クラウディウスと言う名の奴隷なのだ。堕ちきった彼女の姿を見たソロモンは狂った様に笑いながら彼女の頭に足を下ろす。

 

「く、ククク……アーッハッハ!」

 

「ソロモン様……♡ ソロモン様ぁ……♡」

 

 主に踏み躙られ、顔を小便の水溜りに押し付けられようとも、ネロの胸中には幸せの感情以外は浮かんで来なかった。そのままグリグリと彼女の後頭部を踏みつけながらソロモンは思う。

 

(この奴隷も仕上がって来たな……! さて、次は先手を打っておくとしよう)

 

 第二特異点を作り上げる前に少しだけカルデアのマスターの心を抉っておくとしよう。そう考えたソロモンは彼が最も苦しむであろう方法を思い浮かべる。

 奪い返したと思っている英霊が再び彼を裏切ったなら、その苦しみは計り知れないだろう。それが心の奥底から信じている相棒ならば尚更だ。 

 

(マシュ・キリエライト……お前をもう一度、我が忠実なる奴隷に堕としてやろう……! あの男の悔しがる顔が楽しみだな!)

 

 ドス黒い野望を抱きながら、ソロモンはもう一度ネロの頭を踏みつける。短い悲鳴を耳にしながら、今度はマシュをこうしてやるのだと決めたソロモンは、早速その為の行動を開始したのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マシュの悪夢(微陵辱注意)

「……先輩♡ 先輩……♡」

 

 ベッドの上で体をくねらせ、甘い声を出す。愛する人に抱かれる幸せを感じながら、マシュは彼にも同じ幸せを味わって貰いたいと強く願っていた。

 

「んっ♡ あっ♡ あぁっ♡」

 

 彼の腰の動きに合わせて自分も動く。深く、より深く彼を受け入れ、快楽を分かち合う様に動く。

 あまりにも幸せ、甘美な一時……彼と肌を重ねることは、今のマシュにとって何にも代えがたい行為であった。

 

「気持ち良いかい? マシュ……」

 

「はい……♡ とっても、気持ち良いです……♡」

 

 マシュは彼の問いかけに素直に答える。気持ち良くない訳が無い、何せ愛する人に抱かれているのだから。

 快感と幸せに身を包まれながら、潤んだ瞳で彼を見つめるマシュ。彼もまたその視線に対して笑みを返してくれた。

 

「それは良かったな、我が下僕よ……!」

 

「えっ……!?」

 

 ぴしり、と空気の凍り付く音がした。目の前の彼の口から、信じられない言葉が発せられたのだ。いや、言葉だけでは無い。浮かべている笑みもマシュが知る彼の温かな笑みではなく、邪悪さが滲み出るものだ。

 愛する人の変貌に困惑するマシュの目の前で彼の姿が歪んでいく。一瞬後、自分を抱いていたはずの彼に代わって姿を現した人物の姿を見たマシュは、驚きに目を見開いた。

 

「ソ、ソロモンっ!?」

 

「そうだ! お前の真の主、ソロモン王だ! ククク、良いものを見せて貰ったぞ……!」

 

「あ、あぁぁ……あぁぁぁぁっ!?」

 

 幸せな夢が一瞬にして悪夢に変わる。自分を抱いているのは愛する人ではなく、最も忌むべき存在であった。マシュは必死に身をよじってソロモンの手から逃れようとするが、思うように身動きが取れず、脱出は叶わなかった。

 

「どんな気分だ? 幸せの絶頂から絶望のどん底に叩き落された時の絶望感は!?」

 

「くっ……私を離しなさいっ! 私はもう、あなたに屈するつもりは……」

 

「ククク……! 何を言うか、かつて我に大喜びで処女を捧げたのはお前であっただろう?」

 

「っっ!?」

 

 マシュの脳裏に思い浮かぶ苦々しい思い出。二度と思い出したくない、苦しい屈辱の記憶。

 そう、ソロモンの言うとおりだ。自分はかつて彼に同じ様に騙され、自らの純潔を捧げてしまったのである。

 

 記憶を消され、連れ去られたことを覚えていないマシュの元に彼女の想い人の姿を真似て現れたソロモンは、魔術と言葉を巧みに操ってマシュの心を篭絡した。そして、洗脳の末に淫紋令呪を刻み、彼女を奴隷としたのだ。

 その時のことを思い出すと吐き気がする。愛する彼のことを忘れ、憎むべき敵に股を開いて処女を捧げた自分のことを殺したくなってくる。

 しかし、もうすべては後の祭りだ。もう二度と自分の純潔は戻らない。悔やむマシュを嘲笑うソロモンは、侮蔑と嘲りの篭った言葉を彼女に吐き捨てる。

 

「どうした? 我との性交で快感を得ているのだろう? あの日の様に無我夢中で腰を振れば良いでは無いか!」

 

「やめて……やめて……っ!」

 

「初めての性交でぎこちなく動くお前の姿はなかなかに愛いものであったぞ。今や慣れた手つき……いや、腰つきで快感を貪るお前の姿からは想像が出来ないな!」

 

「もう、やめて……お願いだから……!」

 

「ほら、どうした? 我のことを呼んでみよ。あの日の様に蕩け、甘い声で、このソロモンの事をご主人様(マスター)と呼んでみよ!」

 

「やめてぇぇぇぇぇっっ!!!」

 

 ソロモンの言葉を耳にする度に心が軋む。耳を塞げど、泣き叫べど、彼の言葉が途切れる事は無い。

 マシュは泣きじゃくり、必死になってソロモンの手から逃れようとする。しかし、どう足掻いても彼から離れることは出来なかった。

 

「ククク……! やはり体は望んでいるのだな、純潔を捧げしこの肉棒をもう一度受け入れたいのでは無いか?」

 

「そっ、そんなこと……」

 

「では何故逃れられない? 心の奥底で、あの男よりも我を求めているからでは無いのか?」

 

「違う! 違うっ! あぁぁぁぁっっ!!?」

 

 必死になってソロモンの言葉を否定するマシュだったが、いきなり腰を掴まれてソロモンの肉棒を膣の奥深くまで飲み込まされてしまった。おぞましい感覚に身を震わせながら、マシュは叫ぶ。

 

「いやっ、いやぁぁっ! やめてっ! やめてぇぇぇっっ!」

 

「遠慮をするな。お前が大好きであった精液を子宮にくれてやろう! 存分にヨガり、喘ぐが良い!」

 

「いやぁぁぁぁっっ! 助けてっ! 助けて、先輩っ!!!」

 

 マシュは必死になって愛しい彼に助けを求める。手を伸ばし、彼の幻影に助けを請う。

 しかし、それが果たされる事は無かった。無慈悲な射精の時が訪れ、マシュの膣にソロモンの白濁液がぶちまけられる。

 

「あっ!? あぁぁぁぁぁぁぁっっ……!」

 

 汚された。また、汚されてしまった……せっかく彼に捧げて、愛される様になったこの体を、再び敵に汚されてしまった……。マシュの瞳には大粒の涙が浮かび、心には絶望が漂う。陵辱を受けて苦しむ彼女の耳元で、ソロモンはニヤリと悪どい笑みを浮かべるとこう囁く。

 

「……これから毎晩、お前をこうして抱いてやろう。再び我が下僕に戻るその日まで、お前の体を味わい続けてやろう……! 幸せだろう? ええ?」

 

「あ、あぁ、そん、な……!?」

 

 視界が暗くなる。意識が遠のいていく。マシュが最後に聞いたのは、ソロモンが自分を嘲笑う声であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……相棒、起きてるか?)

 

「ん? その声は……もう一人の僕!?」

 

 ある日の夜、カルデアのマスターは何度目かのあの声を聞いてベッドから身を起こした。こうして意識がはっきりしている時に話すのは初めてだなと思いながら、姿の見えない相棒に声をかける。

 

「どうしたの? こうやって現実で話すのは初めてじゃない? もしかして何か面白いプレイを思いついたとか?」

 

 気さくな相棒が助言してくれたおかげで前回のセックスは楽しむことが出来た。また何か自分に伝えたい事があるのかと思った彼は、相棒へと声をかける。

 だが、返ってきた彼の言葉は、いつものものとは違って真剣さに溢れた本気の声であった。

 

(……簡潔に言うぜ。マシュがピンチだ、このままじゃ危ない)

 

「えっ!?」

 

 いきなりの指摘に面食らうマスター。カルデアの内部に居ると言うのにピンチとはどういうことであろうか?

 彼のその疑問に答えるかのように、謎の声はマシュの身に起きている異変を解説する。

 

(マシュは今、毎晩夢の中で犯されてるんだ。もちろん相手はあのクソッタレさ)

 

「そ、ソロモンが!? 夢の中で犯されてるってどういうこと!?」

 

(淫紋令呪の繋がりを辿ってマシュの精神に働きかけてるのさ。マスターが相棒に戻ったとしても淫紋令呪を刻んだのはソロモン……僅かだが、その繋がりは残っているんだ)

 

「そんな……!? マシュが、ソロモンに……!?」

 

 謎の声の指摘を聞いたマスターは、居ても立っても居られないと言った様子でマシュの元へと向かおうとした。だが、その行動を咎められて足を止める。

 

(待てよ相棒、そんなに急いでどうするつもりだ?)

 

「どうするって、マシュのところに行くんだよ! このままじっとなんてしてられないよ!」

 

(行ってどうする? 策はあるのか? 何か手があるって言うのか?)

 

「それは……でも、マシュが苦しんでいるのに黙って見てるだなんて俺には出来ない!」

 

 謎の声の制止を振り切って部屋を出て行こうとするマスター。しかし、謎の声の主はあくまで冷静に彼に語りかけた。

 

(良いから落ち着け。俺に考えがある、動くのはそれを聞いてからにしろ)

 

「えっ!?」

 

(……相棒、マシュを救いたかったら焦るんじゃねえ。確実に的確に、ソロモンの企みを潰すんだ。お前があいつの悪巧みを知った今、優位なのは俺たちなんだからな)

 

 自信有りげな謎の声の主の言葉に一度冷静さを取り戻したマスターは、深呼吸をすると再びベッドに腰を下ろした。そして、真正面を向いて相棒に問いかける。

 

「それで? 俺はどうすればいいの?」

 

(……マシュを抱いてやれば良い。ただ、少し手順が必要だけどな。良いか、準備するものは……)

 

 マスターは謎の声に従って必要な道具を集める。幸いな事に、魔改造された自分の部屋の中に必要なものは揃っていた。

 

(……相棒、使い古された言葉だが、()()()()()()()()だ。これが上手く行けば、マシュは完全にソロモンの呪縛から開放される。そしてそれはお前が取り返した他のメンバーの安全にも繋がるわけだ)

 

「ああ、わかってるよ」

 

 相棒の言葉にマスターは力強く頷く。覚悟を決めた彼の瞳を見た声の主は、その覚悟を後押しするように言葉を投げかけた。

 

(……相棒、マシュは誰の女だ?)

 

「マシュは……俺の大切な人だ。誰よりも大事で、大好きな、俺の女だ!」

 

(そうだ! その通りだ! マシュはお前の女なんだよ! なら、お前の女にちょっかいを出してきた大馬鹿野郎を許すわけが無いよな?)

 

 同意、大きく頷く。マスターの胸の中ではソロモンへの怒りの炎が轟々と燃え盛っていた。

 

(ソロモン……! もうマシュはお前の奴隷じゃない! いつまで我が物面をしている気だ!?)

 

 自分の女に浅ましく手を出す愚か者は、未だに所有者面をしてマシュを支配しようとしている。愛する人を苦しめるソロモンを彼が許せるはずも無かった。

 奴に教えてやるのだ。お前こそが過去の男であり、もうマシュはお前の手の届かない場所に居るのだと言う事を。そして、もう二度と手を出させないようにするのだ。

 

 そしてもう一人、教えを叩き込まなければならない人物が居る。マスターは部屋を出ると、その人物の部屋の扉の前に立った。

 

(マシュ……マシュにも教えてあげるよ。自分が誰の女で、誰に忠誠を誓えば良いのか……俺が、どれだけマシュを大事に思っているのかをね……!)

 

 戦いの準備は整った。マスターは以前マシュより渡されていた彼女の部屋のカードキーを使って部屋の中に入る。

 真っ暗な部屋の中、闇に慣れた目で彼女の部屋を探り、ベッドまで辿り付いた彼は、その上で悪夢に魘されるマシュの姿を見て目を細めた。

 

「……さあ、始めようか、マシュ。もう二度と、ソロモンが出てくる夢なんか見させないよ……!」

 

 他の男が出てくる夢、それも憎むべき敵が出てくる夢など己の女に見させるものか。そう強く思ったマスターは、彼女の体へと手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……あ……」

 

 呆けた声を上げながら、マシュは意識を覚醒させる。真っ暗な視界を感じた彼女は、恐怖に打ち震えた。

 

 また、あの陵辱の夜が始まる……この所毎晩、マシュは睡眠を取る度にソロモンに夢の中で犯され続けていたのだ。

 しかも質の悪いことに夢が始まった時には()()()()()()()()()()()()()()という記憶を失ってしまう。毎晩毎晩、ソロモンはマシュが愛するマスターの姿を真似て姿を現し、性交に興が乗ってきた所で正体を明かすのだ。

 その度にどれだけマシュが絶望し、苦しんできたか……自分がソロモンに受けた仕打ちを思い出される度、マシュの心の中には薄暗い感情が芽生え、心がひび割れそうになっていた。

 

 どうすれば良いのかもわからなかった。誰かに相談することも心苦しかった。夢の中で毎晩宿敵に抱かれているなど、口が裂けても言う訳にはいかない。一人でこの責め苦に耐え続けるマシュは、今晩もその悪夢が始まったのだと理解した。

 

 だが、今日はいつもとすこし違う。何がと聞かれれば、自分がこれからソロモンに犯されるという事を理解しているのだ。

 つまり、記憶を消されていない……これはどういうことか? 疑問を浮かべたマシュの耳に、愛する人の優しい声が響いた。

 

「マシュ、急にごめんね。マシュのことを抱きたくなったから、勝手に部屋に入って来ちゃったよ」

 

「あ……!?」

 

 紛れもなく、その声は愛しい主のものであった。だが、ここ最近の悪夢がマシュのその思いに疑念を抱かせる。

 もしかしたら、これもソロモンの罠なのでは無いだろうか? 自分の視界を奪い、マスターの声だけを真似しているのでは無いだろうか?

 そして再び、セックスの最中で己の正体を明かすのかもしれない。マシュに深い絶望を与えるために……

 

「あ、あ……待って、くださ……」

 

「目隠しなんかしてごめんね。でも、こうすると感度が上がるって聞いたから試してみたくてさ」

 

「ひゃぁぁっ!?」

 

 不意に、彼の手が自分の胸に触れた。視界が見えないために今自分が何をされようとしているかわからないマシュは、いきなり敏感な部分を弄られて驚きの声を漏らす。

 だが、その声にはいつもの熱は篭っていなかった。もしも今、自分の体を触っている相手がソロモンであったならという思いが彼女に恐怖を抱かせているからだ。

 

「んっ、んんん……っ」

 

 後頭部を抑えられたマシュは、そのまま顔の見えない相手と長い口付けを交わした。優しく、甘いキスをしたマシュは、これが愛しい人が与えてくれた快感であったかを記憶を辿って探る。

 しかし、おぼろげな記憶の中の快感ははっきりとせず、今のキスがマスターによるものなのか、それともソロモンによるものなのかを判断することは適わなかった。

 

(先輩、なの……? でももし、これがソロモンだったなら、私は……)

 

 胸を揉む手つき、乳首を吸われる感触、そして膣の敏感な部分を弄る指の動き……それら全ては優しく、暖かいものであった。

 ソロモンが自分をこんな風に愛するはずがない、ならば相手はやはり愛しの先輩なのだ。そう考えようとしたマシュだったが、その思いをある恐怖がかき消す。

 

 もし、目隠しを取った時に目の前に居る人物がソロモンであったなら、それはマスターへの裏切りに他ならない。愛しい彼の愛を見失い、仇敵の愛撫と重ねてしまったと来れば、もう自分には彼に愛される資格など無くなってしまう。

 怖くて、怖くて怖くて怖くて、堪らなかった。判断がつかない自分が恨めしかった。ソロモンの思うがままになるのならば、この手を払いのけて逃げ出してしまえば良い。だが、それも出来ないのだ。

 先ほどと逆、この相手をソロモンと判断して払いのけた時に相手がマシュの愛しい先輩であったなら、それもまた彼への裏切りになる。彼の愛を払いのけてしまえば、彼を大きく傷つけることになるのだ。

 

(わからない……わからない……っ!)

 

 迷いが、恐怖が、悩みが、マシュの決断を鈍らせる。その思いは感覚をも鈍らせ、正常な判断がつかなくなってくる。

 これこそがソロモンの狙い。夜な夜なマシュの心を痛ぶり、弱らせ、粉々に砕くのだ。放心状態になり、何も考えられなくなったマシュを再び洗脳してしまえばこっちのもの。彼女に手引きさせて他の女英霊もすべて奪い返してやれるというものだ。

 

 毎夜の悪夢はマシュの心を蝕むことに成功している。後はもう、トドメを刺すばかりだ。

 そして、この選択を間違えるということは、そのトドメにもなりうる衝撃をマシュの心に与えることになる。悩み続けるマシュは、ここで間違えるわけにはいかないのだ。

 

(先輩なの? それとも……? だめ、判断がつかない……! どうすれば……!?)

 

 悩み続けるマシュは瞳に涙を浮かべて苦しげな表情を見せた。もう、どうすれば良いのかわからない。ここまで自分はソロモンに追い込まれてしまったのだ。

 もう駄目かもしれない……マシュはそんな弱音を心の中で思い浮かべた。このまま心を掌握され、再びソロモンの傀儡に墜ちることすら覚悟してしまった。

 

 だが、彼女のそんな思いは、次の彼の行動で掻き消えることになる。

 

「……マシュ、お尻好きだったよね? こっちも弄ろうかな……!」

 

「えっ!? んぁぁぁっっ!!!」

 

 体をうつ伏せになる様に転がされ、お尻を上向きにしたマシュは、そこに相手の手の感触を感じた。その手は的確に自分の臀部の感じる部分を探り当て、快感を与えてくる。

 

(あ……! 私の、好きなところ……! 全部、知って……っっ!!)

 

 自分の尻を弄って気持ち良くしてくれる手の動き……それを受けたマシュははたと気がついた。そう、この手は()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 ソロモンに触れられたことの無かった部分。自分の体の中で唯一、綺麗だと思えた場所。そして……彼にその処女を捧げた場所でもある尻とアヌスは、マシュの体の中で最も敏感と言っても良い場所であった。その敏感な部分が告げている、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……と。

 

 マシュの臀部の快感のツボをすべて知っている人間、それがこのセックスの相手だ。なら、それは誰なのか? もう一度言うが、ソロモンはマシュの尻に触れたことは無い。で、あるならば……答えは一人しかいない。

 

(先輩、なの……?)

 

 自分よりも自分の臀部の快感のツボを心得ている人物。マシュの尻を開発し、感じられる場所に作り変えた男……この手は、カルデアのマスターのものなのではないかと言う思いをマシュは強めた。

 だが、それでも彼女は決断し切れなかった。もしもソロモンが催眠か何かを使い、マシュの尻の感じる部分を既に知っているとしたら? そうであったなら……この手はソロモンのものかもしれないのだ。

 

 あと少し、99%は確信できている。残りの1%、自分の中の恐怖を吹き飛ばせる何かが欲しい……マシュがそう思った時だった。

 

「あ、あ……あぁぁぁぁっっ!!?」

 

 四つん這いにされ、広げられた自分のアナル。そこに何か熱いものが挿ってくる感覚にマシュは大声で叫ぶ。

 みっちり、奥の方まで突き入れられたそれが肉棒(ちんぽ)だと言うことはすぐに気がついた。

 

(あ、あ、こ、これっ、これぇっ!!?)

 

 その大きさ、その熱さ、その脈動……アナルに挿入された肉棒のすべてにマシュは覚えがあった。

 覚えがあると言うことは受け入れたことがあると言うことだ。この肉棒をアヌスに受け入れ、セックスをしたことがあると言うことだ。

 何度も言うが、ソロモンはマシュの尻には触れたことが無い。アナルセックスなどそれこそ問題外だ。

 と言うことは……この肉棒はソロモンのものでは無いと言うことになる。最後の1%の確信を与えてくれる感触を覚えながら、マシュは震える声で呟いた。

 

「せんぱい……です、か……?」

 

 震える声でマシュが愛しい人を呼ぶ。9割の確信と1割の不安を抱えながら答えを出したマシュの視界が明るくなってくる。

 目隠しを外されたマシュが見たのは、見事に彼女を騙し切り、尻穴までもを肉棒で穿っているソロモンの嘲笑……では無かった。

 

「……そうだよ、俺だよ。ちゃんとわかったね、マシュ」

 

「あ、あぁ……っ! 先輩っ! 先輩っっ!」

 

 当てられた、間違えなかった、ちゃんと彼を判別できた……その思いが安心となってマシュの涙腺を緩ませる。涙を溢すマシュの目元を己の指で拭ったマスターは、しっかりと彼女を抱きしめたまま謝罪の言葉を口にした。

 

「ごめん、マシュ……俺、マシュが苦しんでたのに助けるのが遅れちゃった……また、ソロモンにマシュを取られる所だった……」

 

「えっ……!?」

 

 主のその言葉にマシュは驚く。誰にも話していない自分の苦しみを彼は察していたのだ。そして、しっかりとその苦しみを消し去るために努力してくれた。

 自分を愛しているから、その異変に気がつけた。愛してくれているから、自分を信じてこんな行動に出てくれた……実際は謎の声の主に従っただけなのだが、そんなことを知る由もないマシュの心は感激で一杯になる。

 

「せん、ぱぁぃ……♡ せんぱいぃぃっ……♡」

 

「もう大丈夫だよ、マシュはソロモンなんかには……ううん、他の誰にも渡さない。ずっとずっと俺だけのものだ!」

 

「あ、あぁ……♡ はいっ、はいぃっ♡」

 

 抱きしめてくれる彼の温もりが、力強さが、愛が、マシュの心を揺さぶった。先ほどとは違う意味で涙を溢しながら、マシュは呟く。

 

「お尻、先輩が開発してくれたお尻がっ、相手が先輩だってわからせてくれたんですっ! だって、私のお尻は先輩しか知らないからっ! 先輩専用のけつまんこだからっ!」

 

「そっか……それは良かった! でもさ、それってこっちだとわからないってことだよね?」

 

「あっ……!?」

 

 脚をかぱりと広げられ、自分の性器を指差されたマシュは失言を恥じる。彼に不快な思いをさせてしまったと顔色を青くしたマシュであったが……

 

「……じゃあ、こっちにも教えておこうか。俺のちんぽを、さ……!」

 

「えっ!? あぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 アヌスから肉棒を抜かれたマシュは、そのまま彼にベッドへと押し倒された。そして、上から圧し掛かる様にして膣に挿入される。

 

「あっ、あぁぁっ♡ んあぁぁぁぁっっ♡♡」

 

 (マスター)の種付けプレス。太く大きな肉棒が自分の最奥まで届き、子宮を押し潰している。

 圧倒的なその存在感は、魔術で強化されたソロモンの肉棒よりも大きく感じられた。そこまで考えたところでマシュは一つの疑問を浮かべる。

 

(あれ……ソロモンのおちんぽって、どんな感触でしたっけ……?)

 

 徹底的に調教されたあの日々の中、ソロモンの肉棒は何度も自分の膣に潜り込んでいたはずだ。だが、その形や大きさを思い出せないでいる。

 記憶の本棚を探り、マシュはその感触を思い出そうとする。しかし、それを邪魔するかの様にマスターが腰を動かし始めた。

 

「あっ♡ んあぁぁぁぁっっ♡ ふかいっ♡ ふかいぃぃっっ♡」

 

 奥まで肉棒を叩き込まれ、マシュは甲高い声を上げた。子宮がびりびりと震え、激しい絶頂を味わう。

 

「おっ♡ おぉっ♡ か、カリがぁっ♡ かべを、こすってぇ……ほぉぉっ♡」

 

 エラの張ったカリがマシュの膣壁を擦り上げる。一番奥から入り口までの膣全体の壁を引っかくその快感は甘い痺れとなってマシュの全身を行き渡る。

 

「はぁぁっ♡ ぬっ、けっ♡ あぁっ♡ お、おきゅっ♡ あっあっ♡ またイクっ♡ わたひ、イキっぱにぃぃっ♡」

 

 子宮に肉棒を叩きつけられてイク。肉棒を引き抜かれ、膣壁を擦られてまたイク。何度も何度も、その繰り返し、マシュは彼の肉棒を受け入れている間、絶頂していない瞬間が無かった(イキっぱなしになっていた)

 体は熱く火照り、気分は高揚している。与えられる快楽とそれによる幸せに身を溺れさせる中、唐突にマシュは己の愚かさに気がついた。

 

(私、なんでソロモンのおちんぽのことなんか考えてたんでしょう?)

 

 忌むべき宿敵から与えられた記憶のことを何故思い出そうとしているのか? それも今は誰よりも大切な主が自分を愛してくれているというのにだ。

 唐突に訪れた冷静な思考の中で、マシュは顔を真っ赤にして己の考えを恥じる。

 

(先輩が私の辛い記憶を消そうとしてくれているのに……おまんこも、先輩のおちんぽの形になろうとしているのに、私は何を考えていたんでしょう?)

 

 目の前の愛しい人では無く、遠く彼方の宿敵のことを頭に浮かべながら彼に抱かれるなど言語道断。酷い裏切りに他ならない。その事に気がついたマシュは、ソロモンの事を頭の中から完全に消し去った。

 

(先輩っ♡ せんぱいっ……♡)

 

 自分を抱くのは、自分が誰よりも愛している人。自分の事を深く愛してくれる男。誰よりも大切で、信頼していて、自分に女の幸せを教えてくれた人。

 この人に抱かれている時に他の男の顔を思い浮かべるなど信じられない愚行だ。彼の愛を自ら投げ打つ愚かな行為など、絶対にしてはならないのだ。

 

「マシュ……! 愛してるよ、マシュ……っ!」

 

「わ、私も、愛しています……♡ 世界中の誰よりもあなたをっ、あなただけを愛し続けますっ♡」

 

 愛の言葉を告げられたマシュの中にはもうソロモンへの恐れの感情は無かった。あの(ゴミムシ)が何をしてこようが関係無い。夢の中で犯されようが屁でもないのだ。

 なにせあの男の短くて臭い肉棒(ちんぽ)のことなどとっくに忘れ去ってしまった。雄としての魅力の欠片も無いあの男の肉棒を受け入れようとも、もう(マスター)の形になってしまった自分の膣には何も響かないのだから。

 

 ただ……せっかく形作って貰ったこの体を崩されるのは忍びない。それに何より、アナルや尻に触れられるのは我慢出来ない。

 (ここ)は先輩しか知らない場所なのだ。尻穴(ここ)は彼専用のけつまんこなのだ。それをあの矮小な男(ソロモン)に汚されるなどあってはならない。

 

(ああ、どうか……! 神様、どうかこの願いを叶えてください……!)

 

 マシュは願う、彼専用の女になりたいと……そして願う、他の男にこの身を触れさせたくないと……

 純粋で不純な彼女のその願いを聞き遂げる神はいなかった。しかし、()()()()()()()()()()()()()なら存在した。

 

「えっ!? あ、あぁぁぁぁっっ!?!?」

 

 性交の最中だと言うのにも関わらず、マシュは自分の体が燃え上がるように熱くなることを感じて叫び声をあげた。興奮で体が火照っているのでは無い、完全に燃えているのだ。

 その熱は自分の体の二箇所から放たれている。一つは下腹部の淫紋令呪、そしてもう一つは……

 

「おひりっ♡ おひりがあちゅいれすぅっ♡」

 

 マシュの叫びを聞いたマスターは一度セックスをやめるとマシュの体をひっくり返した。そして、彼女の尻を見て目を見開く。

 

「こっ、これは……!?」

 

「あ、あ……」

 

 段々と冷めていく淫紋令呪の熱と逆に激しさを増す尻の熱、その二つの感覚を覚えながらマシュは意識を遠のかせる。

 完全に意識が夢の中に沈む前、彼女は知らない声が小さく一言を呟く声を耳にしていた。

 

(……さあ、お返しといこうじゃねえか。お前もやられっぱなしは嫌だろ? マシュ……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ク、ククク……! クハハハハ!」

 

 夢の中でソロモンは笑い声を上げていた。最も、魔術で化けたカルデアのマスターの姿を借りているので、その声は彼のものであったのだが、それはそうとして笑い続けていた。

 その理由は単純明快、目の前の光景にある。ここ最近の作戦通りにマシュの夢の中に進入したソロモンが目にしたのは、全裸でベッドに寝そべるマシュの姿であった。

 

「よもやここまで侵食が進んでいるとはな……!」

 

 ここはマシュの夢の中、この夢の中での彼女の姿は()()()()()()()()()によって決定される。

 つまり己の防衛本能が弱まれば弱まるほど服装は裸に近くなる。全裸と言うのは、もはや彼女がソロモンの手の中に堕ちきった事を意味していた。

 

「ククク……どうやら愛しい男とこのソロモンの区別がつかなくなったらしいな。可哀想な男だ、こんな淫乱を心から信じきっているのだからな……!」

 

 ほんの数日の手出しで再び主を裏切ったマシュの浅はかさと、彼女に絶対の信頼を置いているカルデアのマスターの事を考えたソロモンは愉快そうに喉を鳴らして笑った。そして今後の作戦を考え始める。

 もう一度、マシュを皮切りに裏切った他の英霊たちも堕としてしまうのだ。カルデアの内部で誰にも気がつかれない様に反逆の芽を育て、一気に花開かせる。信じていた仲間たちに裏切られ、自分に対して腰を振る雌どもの姿をカルデアのマスターに見せ付けてやろう。

 きっと絶望的な表情を浮かべてくれるだろう……そう考えたソロモンはもう一度喉を鳴らして笑い声を上げた。

 

「……そこで何をしているんですか?」

 

「おや……?」

 

 可愛らしい声に顔を上げれば、マシュが尻を振りながら自分を見ているではないか。瞳は潤み、頬は紅潮している。もう待ちきれないと言った様子で自分を誘いながら、マシュは想い人の姿を真似たソロモンに声をかける。

 

「早く触ってください……。私、もう待ちきれないんです……。お尻がうずうずしちゃって、おちんぽ欲しくてたまらないんです……」

 

 淫乱、そうとしか表現出来ない言葉を口にしながら男を誘うマシュの姿を見たソロモンは、心の中で彼女を嘲笑った。

 

(馬鹿め! ここまで墜ちきったか! デミ・サーヴァントと言えど所詮は唯の雌、快楽の海に沈めてしまえばこんなものよ……!)

 

 もはやマシュは自分の奴隷に戻った。そう確信したソロモンはマシュの尻へと手を伸ばす。

 この体を存分に味わってやるのだ。そして快楽の味に染め上げてやる……そう考えながら、ソロモンが未だ触れた事のないマシュの白い尻に触れようとした時だった。

 

「ぐぅっ!?」

 

 己の手がマシュの臀部に触れようとする寸前、手に電撃が走ったかの様な痛みが広がり、ソロモンは反射的に腕を引っ込めてしまった。

 いったい何が起きたのだろうか? 困惑するソロモンに対してマシュはおかしなものでも見るかの様に微笑を浮かべながらもう一度彼を誘う。

 

「どうしたんですか? 早く触れて下さいよ……」

 

 その言葉に気を取り直して再び手を伸ばすソロモン。だが、再び触れるか触れないかと言う所で耐えられない痛みを感じて手を引っ込めてしまう。

 

「ふふふふふ……! 意地悪ですねえ、そんなに私を焦らしてどうするつもりですか?」

 

 マシュはただ自分がふざけているとでも思っているのだろう、微笑を湛えてソロモンを見つめているだけだ。

 ソロモンは若干の苛立ちを感じながら何度もマシュの尻へと手を伸ばした。だが、結果は何度やっても同じだった。

 

 右腕も、左腕も、どんな工夫をしても、魔術を使っても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。どう足掻いても彼女に触れる事が出来ないのだ。

 

(な、なんだ!? 何が起きている!? なんなのだ、これは!?)

 

 ここに来て初めてソロモンは事の異常さに気がついた。自分の想像を超えた何かが起きている、その事に気がついた彼の耳に冷たい笑い声が響く。

 

「ふふふふふ……! どうしたんですかぁ? 私のお尻に触れないんですか? まさか魔術王であるあなたが、ここまで苦戦してなにも出来ないなんてことはありえませんよね、ソロモン?」

 

「なっ!? 貴様、我の正体に気がついて……!」

 

「……当然じゃないですか。あなたみたいな何の魅力も無い男が、先輩の真似事をしてもすぐにわかるんですよ。まあ、自分に無い雄々しさを求める気持ちはわかりますけどね……」

 

「きっ、貴様! このソロモンを愚弄するか!」

 

 マシュの嘲りの言葉に怒りを露わにしたソロモンが彼女に飛び掛ろうとする。もはや手順など関係ない、彼女を犯しつくして屈服させてしまうのだ。

 そう考えたソロモンは彼女を力でコントロールすべく挑みかかろうとする。だが、その行動が実行されることは無かった。

 

(か、体が、動かん……!?)

 

 そう、なぜか自分の体が動かなくなっているのだ。指一本どころか声を発することも、瞬きすらも出来ない。

 完全に凍りついた自分の姿を見ながらマシュが嗤う。その表情は、ありありとソロモンを馬鹿にしていた。

 

「馬鹿ですねえ! ここは()()()なんですよ? あなたは私の意識の中に入ってきたいわば侵入者なんです。意識の持ち主と侵入者、どちらがこの夢をコントロールするのが道理だとお思いですか?」

 

(ば、かな……!? ありえない……!)

 

 確かにマシュの言うとおりだ。本来ならばこの夢の中ではマシュの思念が優先される。だがしかし、それには彼女の意識がはっきりとしている必要があった。

 自分に犯され、嬲られるひ弱な少女であるマシュが、魔術王たる自分の力を捻じ伏せて意識をコントロールするなど信じられない出来事だ。驚くソロモンだったが、この驚きなど序の口であった。

 

(なっ、なにっ!?)

 

 一瞬、ほんの一瞬だけ気を抜いたその瞬間、マシュの後ろには男の姿が現れていた。

 後ろからマシュを抱きしめ、ベッドの上で優しく彼女の体を撫でるその男は、自分がどう足掻いても触れなかった彼女の尻を易々と触っていた。

 マシュもまた自分の主であるその男、カルデアのマスターに身を預けて目を細めている。幸せを絵に描いた様なその光景はとても美しいものだが、ソロモンにはそんな感情を覚えている余裕は無かった。

 

(何故だ、何故だ……!?)

 

 目を見開き、明らかに狼狽した表情を見せるソロモン。彼は目の前の光景がどうしても信じられなかった。

 彼の目が見つめるのは唯一点、マシュの下腹部だ。そこを何度も見返した彼は、心の中で大きな疑問の叫びを上げる。

 

(何故、()()()()()()()()()()んだ!?)

 

 自分が作り上げた彼女たちを縛る鎖。淫らで滑稽な雌に墜ちた証である淫紋令呪がマシュの下腹部からは消え去っていた。

 こんなことはありえるはずがない。淫紋令呪は一度刻まれたが最期、二度とその人物の体から消える事は無い。サーヴァントとして再召喚されたとしても消えずに残り続けるはずなのだ。

 だが、目の前のマシュの体からは淫紋令呪が消えている。いくら夢だからと言ってもこんなことはありえるはずが無い……ソロモンは激しくうろたえて青ざめる。

 そんな彼の姿を見たマシュは、先ほどまで彼がしていた様に楽しげに喉を鳴らすと、彼に対してこう告げた。

 

「さあ、ソロモン……お仕置きの時間ですよ。先輩の女である私にちょっかいをかけた罪を償ってもらいましょう♡」

 

 マシュとマスターが動き出す。何一つ身動きの出来ないソロモンの前で彼を嘲笑いながら彼への仕置きを始める。

 マシュに悪夢を見せるために夢に入り込んだソロモン。だが、いつの間にかその立場は逆転していた。

 

(こんな……こんなこと、ありえるはずがない! 私はソロモン王だぞ!)

 

 いくら喚いても何も変わらない。汗が流れ、心臓が早鐘を打つばかりだ。ソロモンは観客として、マシュの思い描くステージを見続けるしかないのだ。

 

 そう、今、この瞬間から……彼の悪夢が幕を開けたのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ソロモンの悪夢(現存全メンバー)

(何だ? 何がどうなっている!? なぜこんなことが起きているのだ!?)

 

 何一つとして身動きの出来ないまま、ソロモンは困惑の叫びを心の中で上げた。マシュの精神に侵入して彼女を再び奴隷に堕とすはずが、逆に彼女にやりこめられてしまっている現状を認められないが故の疑問は浮かび続ける。

 自分を嘲笑いながらカルデアのマスターに抱かれる今のマシュの姿を見る度に怒りの炎が燃え上がるも、ソロモンにはその怒りを発散する術はない。ひたすらに目の前で愛しい人に抱かれるマシュの姿を見つめ続けるだけだ。

 

「哀れですね……。男としての魅力の欠片も無く、自信満々の策もあっさり破られて敵にあべこべにやり込められてしまうなんて魔術王の名が泣きますよ?」

 

 軽蔑の色が浮かぶ笑みを浮かべたマシュは腰を浮かせて主の陰茎を手で掴む。そして、それを自分の尻穴に宛がうとゆっくりと腰を下ろした。

 

「んあぁ……♡ 先輩のおちんぽ、やっぱり最高です……♡ 大きくて、熱くって……お尻の穴が、みっちり広げられてる……♡」

 

 先ほどソロモンがどんな手段を講じようとも一切触れることの出来なかったマシュの尻は、今度はいとも簡単に主の肉棒を受け入れていた。彼専用の性器となったアナルで彼の昂ぶりを感じながら、マシュはうっとりした声をだして喘いだ。

 

「んっ♡ おおっ♡ おほぉっ♡ ほぉぉぉっ♡」

 

 知的なマシュの口から漏れるは下品な嬌声。唸り、吠える様な低い声で喘ぎながらマシュは激しく尻を振る。

 彼女の尻穴に突き入れられた太い肉棒を難なく咥え込みながら、マシュは全力の尻穴奉仕を行い続けた。

 

「どうっ、ですかっ♡ 後輩けつまんこは気持ち良いですかっ♡ 先輩専用のおちんぽ穴として、先輩のことを気持ち良くしたいんですっ♡」

 

 大きく柔らかいマシュの尻がカルデアのマスターの腰にぶつかる度に大きな音を鳴らした。段々と大きくなるその音は二人の行うセックスの激しさを物語っている。

 

「んおぉっ♡ おぉぉぉっ♡ おっ、ほぉぉぉぉっ♡ おほぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 自身の絶頂が近づいて来たマシュからは余裕が無くなっていた。下品なアヘ顔を晒し、涎や涙を流しながら先ほどよりも大きな声で喘ぐばかりだ。

 秘所からも愛液がしとどに漏れ、ベッドのシーツに染みを作っている。腰の上下運動に合わせて勢い良く噴き出るそれを見ながら、ソロモンは今、自身が抱えている最大の疑問を頭の中に思い浮かべていた。

 

「……淫紋令呪はどこに行ったのか? 知りたいって顔してますね……!」

 

「!?」

 

 マスターに抱かれて喘いでいたマシュに心の中を言い当てられたソロモンは驚きに表情を歪めた。と言っても、彼が心の中でそう思っただけで、動かない体は一切の反応を見せなかったわけだが。

 

「ふ、ふふふ……♡ 良いですよ、教えてあげますよ……♡ 私に刻まれた淫紋令呪がどうなってしまったのかを、ね……♡」

 

 蕩けた笑みを浮かべたマシュがマスターに助けられながら腰を浮かし、彼の肉棒をアヌスから吐き出した。名残惜しそうな顔をした彼女のことを真正面から抱きしめたマスターは、今度は対面座位の姿勢で彼女と交わり始める。

 すでにアナルセックスの快感でびっしょりと愛液で濡れた彼女の膣はまたしても難なく彼の怒張を飲み込み、凄まじいほどの快感をマシュに与え始めていた。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ おまんこも良いですっ♡ 先輩最高ですっ♡ 先輩ちんぽは最高すぎますっ♡」

 

 膣を掻き混ぜ、子宮を叩く肉棒の感触に大声で喘ぐマシュは、ソロモンに自身の尻を見せつけながら腰を動かす。水音が彼女の秘所から響き、肉同士がぶつかる音と相まって淫靡な演奏を奏でていた。

 

「!?!?!?」

 

 その光景をまざまざと見せつけられていたソロモンはあることに気が付くと驚愕し、目を見開く。何度も言うが、こうは言っても表情は一切の変化を許してはいない。

 もしもソロモンの体が本来の反応を見せていたとしたら、きっと目を見開く程度では済まなかっただろう。体は震え、心臓は高鳴り、体温にも変化が起きていたかもしれない。

 魔術王たる彼にそこまでの驚きを与えた物……それは、目の前にあるマシュの尻にあった。

 

「あはぁ……♡ 気が付いたみたいですね……♡」

 

 ソロモンの様子が変わったことを感じ取ったマシュが嬉しそうに呟く。彼女を抱くマスターは体勢を調整すると、ソロモンにマシュの尻を見せつける様にして彼女を抱いて見せた。

 

(なん、だ、あれは……!?)

 

 じっくりと見せつけられるようにして突き出されたマシュの尻。そこには、赤く輝く謎の紋様が浮かんでいた。

 おそらく……いや、間違いなく令呪の一種であろうそれは、しかして自分の見たことのない形をしている。大きな赤い♡マークの内側に描かれているのはカルデアの令呪によく似た模様だ。それは非常に可愛らしく、美しく見える。

 その模様がマシュの尻全体にでかでかと浮かびあがっているのだ。光り輝く令呪からは強い魔力が発せられ、マシュに力が送り込まれていることがわかる。それを見たソロモンに対して、マシュは自分に刻まれた新たな令呪の説明を始めた。

 

「……ソロモン、あなたの刻んだ淫紋令呪は、もう私の体には存在しません。今、私の体に刻まれているのは新たなる淫紋令呪……先輩の淫紋令呪です」

 

 マシュは自分を抱く主の左手を掴むと手の甲に唇を落とした。そこにはマシュの尻に浮かんでいる紋様と同じ物が描かれており、彼がマシュの令呪の持ち主であることを証明していた。

 

「陥落と敗北、そして屈服の証として子宮のすぐ近くに描かれた淫紋令呪……あなたに支配されているという証明をこの体に刻み続けられている私たちが、どれだけ屈辱を感じているかわかりますか? でも、もうそんな日々ともおさらばです。だって……もう、私の体の所有者は、先輩に書き換わったのですから……♡」

 

 新たなる淫紋令呪をちかちかと輝かせながら、マシュは歌うようにしてソロモンに語り続ける。自身の尻を掴み、アナルを広げてその中をソロモンに見せつけながら彼女は言う。

 

「あなたにめちゃくちゃに犯された膣よりも、先輩に開発して貰ったお尻の方が何万倍も気持ち良い……♡ いいえ、比べることすらもう出来ません。だって、私のおまんこは、もうあなたの惨めなちんぽのことなんて忘れてしまったんですから」

 

 マシュは腰を上げ、自分の膣に挿入されているマスターの肉棒をソロモンへと見せつける。まるで赤ん坊の腕の様な大きさをしているそれは、ソロモンが魔術で自身の肉棒を強化したものと互角か、それよりも大きく見えた。

 ただの人間、しかも彼ほどの若さの青年が持つものとしては規格外の大きさのそれに目を奪われているソロモンの目の前で激しく腰を動かし始めたマシュは、一回のピストンごとにソロモンと自分自身に言い聞かせるようにして大声で叫んでいた。

 

「このっ♡ ちんぽがっ♡ 私をっ♡ 変えたんですっ♡ おまんこっ♡ 先輩の形にしてもらってっ♡ ソロモンっ♡ なんかのっ♡ ちんぽを忘れさせてもらいましたっ♡ もう私のまんこはっ♡ 先輩のちんぽの形になってますぅっ♡」

 

 マシュの腰が沈むごとに、彼女が淫らな宣言を口にする度に、尻に刻まれた淫紋令呪が輝きを増していく。マシュの感情と呼応する様にして輝く淫紋令呪の輝きは、なおも消える気配はない。

 既にマシュの脚はがくがくと震え、体は小刻みに痙攣を繰り返している。微弱な絶頂を繰り返しながらも一切の手加減をせずに主に奉仕をしながら、マシュは淫らな宣誓を続ける。

 理性も外聞もへったくれもないその姿は、まさにマシュの本能と言っても過言では無い姿であった。

 人間の生の感情をここまで引き出したカルデアのマスターに一種の畏敬を抱いたソロモンに向って、マシュは嘲りの言葉を放つ。

 

「もう、私の体と心を縛る鎖は無くなりました。あなたはもう、私のことをどうすることも出来ません。だから……何時までも私の主人面をしないでくれません? 今の私のご主人様(マスター)は、先輩なんですから……んひぃぃっ♡」

 

 ソロモンへの侮蔑の言葉を口にし続けるマシュだったが、自分を抱くマスターに思い切り腰を跳ね上げられて甲高い嬌声を上げながら絶頂してしまった。そのまま二度、三度と子宮に亀頭を叩きこまれ続けたマシュは、主が何を言おうとしているかを理解して大声で彼に謝罪した。

 

「もうっ、もうひわけありまへんっ♡ せっかくせんぱいにおちんぽしてもらってるのに、あんなくだりゃないおとこにいしきをそらしてしまうなんて……わたひは、とんでもないおおばかものですぅっ♡ せんぴゃいにきもちよくにゃってほひいといいにゃがら、おまんこにしゅうちゅうできてないだめだめなこうひゃいなんれすぅっ♡♡♡」

 

 正解だ、と言わんばかりにマスターはマシュの尻を叩いた。マシュは彼から与えられる自分への罰を受け入れながら大声で叫ぶ。

 

「もうあんな男には目もくれませんっ♡ 先輩のことだけ見てますっ♡ 先輩の女として、先輩のことを愛し続けますっ♡」

 

 激しく主に腰を突け上げられながら叫ぶマシュは、その言葉通りソロモンに対する反応を一切見せなくなった。まるでそこには誰もいないかの様に振る舞いながら、マスターとのセックスに興じ続ける。

 

「あっ♡ すごいっ♡ すごいぃぃっ♡ もうイクっ♡ また……イっクうぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 体を仰け反らせ、絶頂に震えるマシュ。だが、マスターはそんな彼女を休ませることなどしない。畳みかける様にして彼女の体を貪り続ける。マシュもまたそんな彼の行為を喜ばしく思いながらそれを受け入れ、共に快楽の海へと沈んで行った。

 

(ぐ、ぐ、ぐぬぬぅぅぅっ……!!??)

 

 ソロモンはマシュとカルデアのマスターの濃厚なセックスを見るだけの観客にされてしまったことに対して屈辱と憤りを覚えた。

 魔術王たる自分がここまでコケにされるなどあってはならない……そんな考えを思い浮かべていた彼の後ろに二人の女性が姿を現した。

 

「魔術で人を狂わせ、女を支配して楽しかったか?」

 

「人のトラウマを穿り返して、嬲って楽しかった?」

 

「!!??」

 

 ソロモンの視界に現れた二人の女性。一人は豊かなスタイルをした大人の雰囲気を纏う美しい女性、スカサハ。もう一人は幼い身体つきながらも瑞々しく魅力に溢れた少女、エリザベート・バートリー。

 かつて自分の支配下に置いていた二人の女性が、自分に対して冷ややかな視線と笑みを送っているその光景にソロモンは背筋が寒くなることを感じていた。

 

「……よくも、私の心を弄ってくれたな。よくもこの心と体を汚してくれたな」

 

「アンタにされた仕打ち、忘れたわけじゃないわよ! むしろ今でもバッチリ覚えているんだから!」

 

 憎しみの言葉を口にしながら自分に近づいて来る二人の姿を見るソロモンは恐怖に震えた。今の自分は身動き一つできない、二人に何をされようとも抵抗は出来ないのだ。

 夢の中とは言え精神面に多少のダメージを受けることになるかもしれない。そのことにわずかに怯えるソロモンだったが、突如として目の前にまで迫ったスカサハたちが動きを止めたことを見て、疑問と驚きの感情を覚えた。

 

「……だが、今となってはお前に感謝もしている」

 

「深く、ふか~く傷ついた分、温かい愛の優しさを心に染み込ませることが出来たからね……!」

 

 そう語った二人の背後にまたとして新たな人影が現れる。青き槍兵と緑衣の弓兵……今の自分たちの主である彼らの姿を見た二人の表情は、一瞬で恋する乙女の様に変わった。

 

「感謝するぞ、ソロモン……お前のお陰で、私は女として想い人に求められることが出来た。殺されたいという夢も叶った。……まったく、お前は良い踏み台だったよ」

 

 かつての弟子であり、今は自分の主であり、夫でもある男と口付けを交わすスカサハ。大きな乳房を掴まれ、揉まれた彼女の喉からは、幸せに満ちた声が漏れた。

 

「ホント、アンタって馬鹿よね! せっかくこのアタシをとっ捕まえたのに、一切手を出さないなんて! お陰でせっかくのチャンスも水の泡! アタシの処女は他の男に取られちゃいましたよ~!」

 

 からかう様にソロモンへと言葉を投げかけたエリザベートの顔を男が掴む。まるで嫉妬している様な素振りを見せながら自分を求めてくれる男の手の動きに感激しながら、エリザベートは彼に己の体を委ねた。

 

「……私たちもまた、お前からこいつらに主を変えた……。深い愛情を以って私たちを解放してくれたこいつらの思いに応えたいと思ったからだ」

 

「本気の愛には本気で応える。アンタと違って、アタシたちを大事に思ってくれてるこいつらには100%の愛を送るって決めたのよ!」

 

 ソロモンの視界から、スカサハとエリザベートが離れて行く。もう彼の手の届かない場所へと消え去った二人は、ソロモンの耳に高らかな笑い声を残していた。

 奴隷を奪われた悔しさに打ち震えるソロモンだったが、まだ彼の悪夢は終わらない。再びマシュとマスターの方向へと視線を移すと、そこには新たな女性たちが出現していた。

 

「……思い返してみれば、あなたは私を抱こうとはしませんでしたね」

 

 その赤い瞳でソロモンを見やり、ナイチンゲールが言う。冷静な口調はそのままに、今の彼女の表情にはわずかな憐憫の感情が見られた。

 

「……もしかして、自分自身の粗末なモノでは私を満足させられないとご理解していたのですか? だとすれば……現代の医療は進んでいます。不確かな魔術などではなく、手術や投薬と言う治療方法をお勧めしますよ」

 

 完全に的外れ、だが逆にソロモンを気遣っているその態度は彼の自尊心を大きく傷つけた。奴隷に心配される主人など居るわけもない。奴隷に憐れまれる主人など、惨めさの骨頂では無いか。

 そんな考えを頭の中で浮かべていたソロモンに対し、タマモキャットは普通の反応とも言える侮蔑の表情を浮かべながら口を開く。まあ、普通の反応だからと言ってもソロモンのプライドを傷つけないわけがないのであるが。

 

「なんとも情けない姿だな、ソロモン。まるでお前のちんぽの様に情けないことだ」

 

 嘲りの感情を籠めてタマモキャットが言う。そのまま、ベッドでマシュを抱く主に体を擦り寄らせると、甘い声で囁いた。

 

「それに比べてご主人のなんと雄々しいことよ……♡ 死を覚悟して我を抱き、雄として小細工なしの力で我を支配下に置いたご主人こそ、キャットが永遠の忠誠を誓う相手に相応しい……♡ ちんぽも大きくて、とっても素敵だしな♡」

 

 猫撫で声を出しながら主に甘えるタマモキャットは、決してマシュを抱くマスターの動きを阻害しないようにしていた。それだけでも彼への深い愛情が見て取れることにソロモンは苛立ちの感情を燃やす。

 

「……マスター、あなたは心優しい人だ。この汚れた私を許し、またその腕の中へと迎え入れてくれた……! この恩義、どんなに働けど返しきれるものではありません」

 

 ベッドの横ではアルトリアが跪き、主への忠誠の言葉を口にしていた。顔を上げた彼女は騎士としてではなく、女としての表情になって口を開く。

 

「あなたが望むならば、私はあなたを守る槍となりましょう。そしてあなたが望むならば、私はあなたに抱かれる女になります……♡ この雌馬を好きに調教し、存分に跨って下さいませ……♡」

 

 アルトリアの股座からは、ねっとりとした愛液が漏れだしていた。彼女もまた、カルデアのマスターに抱かれ、その快感の虜になっているのだろう。

 自分の元に居た時の色情魔の様な狂った表情ではなく、女としての清らかな表情を浮かべて色欲を求めるアルトリアの姿に愕然としていたソロモンの耳に全く同じ二つの嘲笑が響いた。

 

「見てよ、あそこになんか居るわよ? アイツ、今どんな気持ちなのかしらね?」

 

「惨めですね。奴隷とした女たちを寝取られ、あまつさえ彼女たちから嗤われているのですからね」

 

 ジャンヌとジャンヌオルタは笑みを浮かべたままソロモンに近づく。そして、赤く変わった淫紋令呪を見せ付けながら彼へと言葉を畳みかけた。

 

「見て御覧なさい、この淫紋令呪を」

 

「アンタのことなんか忘れたって心も体も言ってるわよ」

 

「あれだけの時間をかけ、策を練り、数多の魔術を行使して私たちを堕としましたが……」

 

「その全部はアイツに一日で打ち破られた! 魔術なんか使ってない、優しい愛と快楽で心を溶かしたアイツにね!」

 

「これだけでもう、あなたがマスターより下の存在だとわかるでしょう?」

 

「ソロモン、アンタにはっきり言っておいてやるとね……」

 

「「あなたはまるで彼の相手にならないんですよ」」

 

 息を合わせたジャンヌたちのバッシングの言葉を耳にしたソロモンは怒りに打ち震えた。自分があの小僧よりも下と言う言葉は大いに彼のプライドを傷つけたのだ。

 何の変哲もない小僧が魔術王たる自分よりも上と言われてはその沽券に関わる。

 何とかしてこの呪縛を打ち破り、彼らに自分の実力を見せつけようとしたソロモンだったが、彼の目の前にはカルデアのマスターと彼に抱かれるマシュがやって来ていた。

 

「ほ~ら、見て御覧なさい……! この淫紋令呪が、あなたの敗北の証ですよ……!」

 

 マシュの尻に刻まれた淫紋令呪は、ソロモンの目を焼かんばかりに眩く輝いていた。彼女が自分の手から離れ、カルデアのマスターのものとなった証をまざまざと見せつけられるソロモンは屈辱に耐えながら彼女の言葉を聞き続ける。

 

「そして、その目に焼き付けなさい……これが、先輩のおちんぽ。魔術で強化しなきゃ見ていられないあなたのちんぽとは違う、逞しい雄の象徴ですよ……!」

 

 自分の膣から抜け落ちた主の肉棒をソロモンに見せつけるマシュ。まさに巨根としか言い様がないその陰茎の大きさに驚くソロモンの前で再び二人は交わり始める。

 

「ああっ♡ おひりっ♡ おひりぃっ♡ 生涯先輩専用決定のけつまんこにおちんぽ下さってありがとうございますっ♡ 先輩のぶっといおちんぽでほじほじされるのすきなんですぅっ♡」

 

 体を反転されたマシュは、今度はアヌスに主の怒張を受け入れていた。下品な水音が尻穴から響き、同時に彼女の口からは野太い嬌声が上がる。

 

「おぉっ♡ おぉぉぉっ♡ ほっ、おぉぉぉっ♡♡♡ かた、くてっ♡ あついぃっ♡ 先輩ちんぽっ♡ せん、ぱぁいっ……♡」

 

 カルデアのマスターが繰り出す一撃のピストンの激しさと言ったら、それはまるで穿孔機が地面に穴を空ける時の様であった。肉棒と言う杭が、マシュの尻の穴を抉じ開けている様な錯覚を覚えるソロモンの目の前で、マシュが体を徐々に仰け反らせていく。

 

「き、まゅしゅぅ……♡ 先輩のおちんぽ、だんだんかたくなってるのがわかりますっ♡ 射精()すんですねっ? 専用けつまんこに濃いザーメンをぶちまけてくれるんですねっ♡」

 

 主の射精の予兆を感じ取ったマシュは、大喜びしながら恍惚とした表情を浮かべる。興奮しきった彼女の膣からは止めど無く愛液が噴き出し、その目の前に居るソロモンの顔へと降り注いで行く。

 ソロモンの目に、鼻に、口に、マシュの興奮の証が飛び散り、降りかかる。愛液の雨を防ぐ術を持たないソロモンは、だんだんと勢いを増すその雨の中で屈辱に耐え続けた。

 

「ああっ♡ おひりっ♡ おひりぃぃっ♡ どうか射精してくださいっ♡ このドスケベ後輩のけつまんこでよろしければ、孕む位にたっぷりと種付けしてくらさいぃっ♡」

 

(ぐっ!? うぅぅっ!!!)

 

 ぶしゅうっ♡ と音がして勢いよく噴き出したマシュの愛液をもろに顔面に浴びたソロモンが心の中で苦しみの声を上げる。

 今回はそれに加えて尻穴を穿られたことによる生理現象のせいか、緩んだ膀胱から漏れだした尿までもが彼の顔に降り注いだ。

 

「おひっこ♡ おしお♡ とまりません……♡ わたしのかはんしん……いいえ、ぜんしんが、せんぱいにしはいされちゃいまひた……♡ ひとつきごとにケツイキできて、すっごくしあわせれす……♡」

 

 マシュの尻肉にマスターの腰がぶつかると大きな音が響く。ソロモンには、その音が英霊と魔獣との性行が行われる時の激しい腰遣いの音にしか聞こえなかった。

 人外の存在による荒々しいピストン運動……長い肉棒と常人では考えられない筋肉による激しいセックスによって響かせられる肉と肉のぶつかり合う音。それを奏でているのは、ただの人間であるあの男なのだ。

 しかも魔獣と違い、繊細な動きを以ってマシュの弱点を責め上げていた。力と技が組み合わさった至上のセックスを前に、マシュは完全に快楽へと飲まれてしまっている。

 

「あ……♡ は、はい、わかりました……♡」

 

 もう一度主と向かい合う様に抱きしめられたマシュは、膣に肉棒を受け入れながら頷きを返す。

 ずちゅん、と深くまで挿入された肉棒に圧迫されながら、マシュはマスターの体を力強く抱きしめて体を支える。駅弁の体勢でセックスを続ける二人を固まったまま見ているだけのソロモンだったが、カルデアのマスターが自分のことを鋭い視線で見下ろしていることに気が付いて身を強張らせた。

 

「……ソロモン、先輩はあなたを許さないそうですよ。英霊の皆さんを傷つけ、慰み者とするあなたのことを決して許さないそうです。だから……ここで少し、お仕置きをするって言ってます♡」

 

 顔の目の前にマシュの尻が突き出される。未だに淫紋令呪の輝きは消えず、眩いばかりに光り続けるそれに目を焼かれるソロモンの耳にマシュの声が響いた。

 

「……これから先、あなたは何度も屈辱を感じるでしょう。奴隷に落としたはずの女を奪われ、自らの無能の証明を続け……そうやって、雄としての貧弱さを晒し続けて下さい。先輩には一生叶わない存在なんだと心に刻み込んで下さいね」

 

 目の前のマシュのアナルが開く。ゆっくりと開くそこには、先ほど主に注がれた精液がたっぷりと詰まっているはずだ。

 

「……さあ、お仕置きです。先輩の女に手を出したその罪、贖って下さいね♡」

 

(ま、待てっ……!!?)

 

 マシュが何をしようとしているかを察したソロモンは心の中で彼女に制止を求めた。だが、そんな言葉が届くわけも無く、無残にも刑は執行される。

 ぽっかりと開くマシュのアヌス、そこから白濁とした液体が姿を現す。尻穴に力を込めたマシュの腸の動きの通りに逆流するそれが、ソロモンの眼前に飛び散り、そして……

 

―――ブブピィッ♡ プププゥゥッ♡♡♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うおぉぉぉっ!!! うおぉぉぉぉっっ!!?? この、このゴミ虫めがぁっ!!!」

 

 怒りに満ちた叫び声を上げながらソロモンは部屋にある物を次々と破壊していった。カルデアのマスターとその一味から受けた屈辱に身を震わせ、ソロモンは苛立ち紛れに叫ぶ。

 

「この、このソロモン王にあのような行い! 万死に値する罪だ! 殺す! 奴らは死に勝る苦しみを延々と与え続けた後に殺してやる! この借りは必ず返してやるからな!」

 

 歯を食いしばり、瞳を真っ赤に血走らせながら叫ぶソロモンは、堕とした英霊にこの苛立ちをぶつけるべく、怒りの業火を燃やしながら彼女たちを捕らえる牢獄へと足を運んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……マシュ、起きて。マシュ……」

 

「ん……せん、ぱい……?」

 

 自分を呼ぶ声に目を覚ましたマシュが見たのは、自分の顔を覗き込む主の姿だった。自分が目を覚ましたことに安心したのか、主はほっとした表情を見せる。

 

「良かった! 急に気を失っちゃったからどうかしたのかと……それに、淫紋令呪がね……っっ!?」

 

 安堵して自分へと話しかけて来る主の口を自分の口で塞ぐ。舌を絡ませ、ねっとりとしたキスをした二人の間にはお互いの涎で出来た銀色の橋が出来ていた。

 

「……大丈夫です。全部わかってますから……それより、続きをしましょう? まだまだ、たくさん楽しめますよね……♡」

 

 瞳に♡を浮かばせ、淫靡な笑みを見せて自分を誘うマシュの姿にカルデアのマスターは心臓を高鳴らせた。いつもと違う彼女の雰囲気に戸惑う彼に対し、マシュはそっと手を伸ばす。

 

「ずっと一緒に居ます……愛するあなたの隣に、ずっとずっと……」

 

 愛しい彼を腕の中に抱き寄せ、甘い声で囁きかけるマシュ。もう一度口付けを交わした二人は、その胸の高鳴りのままにお互いを求めて夜を明かしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 マシュ・キリエライト 淫紋令呪第三再臨完了 スキル強化「従順なる後輩」→「後輩特権EX」

            令呪の刻まれた部位の移動とステータス強化も確認

 

 

 

 

 




 後輩特権(こうはいとっけん)EX………従順なる後輩が強化されたスキル。彼女が主張し、マスター(先輩)がそれを認めれば、彼女の起こせる範囲内での事象を引き起こすスキル。
 似たような名前の皇帝特権と違うのは、自分の主張に対してのマスターの許可が必要な点と皇帝特権が一時的にスキルを習得するのに対して、こちらは引き起こせる範囲内での事柄ならば何でも出来ると言う点。
 主以外に尻を触れられたく無いと願い、主もまたそれを望んでいるならば、それは現実のものとなる。ソロモンがマシュの尻に触れられなかったのはこのスキルのせい。
 逆に、ソロモンを倒したいと願ってもそれはマシュの引き起こせる範囲内での願いではないので不可である。しかし、対ソロモン特攻及び特防のスキルは習得できる。

 同時に引き起こせる事象は5つまで、内一つは無意識下で臀部の保護に使っているため、残りは四つまでなら引き起こせる。
 しかし、マシュ自身がスキルの使い道をわかって居ないため、発動が難しいのが現状である。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

とある職員の記録(マタ・ハリ 堕ち、下品注意)

 

 疲労とそれから来る眠気に耐えながら、私はコーヒーを啜った。

 砂糖もミルクも何も入っていない真っ黒な苦みが口の中に広がり、ほんの少しだけ眠気が遠ざかる。私は、座っている椅子の背もたれに寄り掛かると仮眠を取るべく目を閉じた。

 

 私はこのカルデアに務めている職員の一人だ。名前を言う必要は無いだろう。モブの職員Aとでも覚えておいてくれれば良い。

 そうとも、この地獄の様な状況で生き残った数少ないモブの一人だ。友人も上司も気になっていた女性も、皆襲撃を受けて死んでしまった。そんな中で生き残った幸運で不幸な人間の一人だと覚えておいてくれれば良い。

 

 襲撃を受けた時はもうお終いだと思った。施設も戦力もすべてを失い、更には味方だったサーヴァントもソロモンに奪われてしまったのだからそう思っても仕方が無いだろう。

 だが、今は違う。今まで何度も逆境を覆して来た彼の活躍を見て、諦めることを止めた。人類悪であるソロモンと戦うことを固く決心したのだ。

 

 仲間たちの命を奪い、世界を滅ぼそうとするソロモンに対抗することを決めてから、私たちも必死の戦いを続けている。指揮官であるロマニ・アーキマンを始めとして、皆が文字通り不眠不休で働いているのだ。

 それでも弱音を吐く者は居な無かった。命を懸けて現場で戦う彼の姿を見ているからだ。

 彼は私たちの希望だ。私たちは彼の為に、彼は私たちの為に、そして全員で世界の為に戦い続けている。この危機的状況において心を一つに出来ていることが、私たちに更なる希望をもたらしてくれていた。

 

「んん……っっ……」

 

 大きく伸びをして全身の筋肉を解す。現在、私は情報管理室で勤務をしている。

 情報管理室と言っても、今のカルデアにはあまり必要ないものだ。

 別の施設から送られてくるメッセージ等を管理して整理するだけの言わば電話番とでもいうべき仕事なので、このカルデア以外の世界が崩壊した現状ではあまり意味がない。

 それなのに何故ここで仕事をしているかと言われれば、単純に仕事の名目の休み時間だと言うだけだ。コーヒーを飲み、仮眠を取って次の仕事に備えるための時間、それがこの情報管理室での仕事の意味だ。

 だから私はこのわずかな休息をありがたく受け取ろうとしていた。一時間程の休憩だが、今の状況を考えると十分すぎる贅沢と思える。

 

 ―――PiPiPi……

 

 そんな時だった。私の耳にPCの通知音が届いたのは。

 最初は聞き間違いだと思った。先ほども言った通り、今の世界はカルデア以外が消滅している。連絡なんて来るはずがない。

 だが、念のために目を開いた私は、目の前の画面に一件のメールが確かに届いていることを確認してその目を見開いた。

 

「これは……!?」

 

 届いたメールには題名は無かった。空白の文面の中に添付ファイルを見つけ出した私は、それを展開しながら送り主を確認する。

 今までに送られて来たメールのアドレスを確認した私は、このアドレスがつい最近使われていたものだということに気が付いた。

 人理が崩壊してから送られて来たメッセージ……そんな物、一つしか無い。カルデアが崩壊してすぐに送られて来たあの悪夢の様なビデオメッセージ、女英霊たちの堕ちた姿を記録したあれだけだ。

 

 つまりこれはソロモンからのビデオレターと言うことになる。そのことに気が付いた時、私の背中には冷や汗が流れていた。

 一体、奴は何を送って来たのだろうか? 何を思い、何のためにこんな真似をしているのだろうか?

 そんな疑問を浮かべた私の目の前で、展開が終わった映像ファイルの再生が始まる。私は、固唾を飲んで映像が映りだした画面を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 映像に映ったのは真っ暗な部屋だった。長いポールの様なものが設置された高めの台が一つだけあるその部屋が、何かの舞台である事にはすぐに気が付いた。

 そして、私はそこに一人の女性の人影があることも見て取っていた。部屋が暗いせいで輪郭しかわからないが、女性の物であることは間違いないだろう。

 

 その人物が誰であるかを確認すべく映像を注視している私の目の前で、部屋に明かりが灯される。

 ピンクと紫のなんとも淫靡なスポットライトに照らされて姿を現した女性の姿を見た時、私は息を呑んだ。

 

 豊満でありながら子供の様な幼い顔立ちをしたその女性は何も身に着けておらず、褐色の肌と豊かな肢体を曝け出している。

 ペロリと舌なめずりをし、淫らな雰囲気を醸し出すその女性の名はマタ・ハリ……かつての仲間であり、襲撃の際にソロモンの手に捕らえられてしまった英霊の一人だ。

 

 彼女の下腹部にはあの憎むべき淫紋令呪が刻まれている。マタ・ハリもまたソロモンに凌辱され、彼の奴隷に堕ちてしまったのだ。

 それを悟った私の胸に悲しみと怒りの感情が半分ずつ生まれた。彼女は比較的現代に近い英霊であり、正常な思考を持つサーヴァントでもあった。母性的な性格も相まって、気にかけて貰う事も少なくなかった。

 

「あんまり無理しないでね。大変なのはわかるけど、倒れたら元も子も無いわよ」

 

 そんな風に何度彼女に優しい言葉をかけてもらっただろうか? 戦闘能力が低い故に戦いの場に出ることが少ない彼女は、それでも腐らずにカルデア内部の面倒を見てくれていたのだ。

 母性的であり、お茶目である彼女にときめいたこともあった。男女の関係になりたいと思ったわけではないが、彼女の優しさに何度も心を慰められたことは確かだ。

 そんな彼女が全裸で舞台に立ち、淫らな姿を晒している事に私はショックを隠せなかった。

 生前の彼女がそういったことを仕事としていたことは知っていたが、伝聞で聞く事と直接見る事では大違いだ。

 

「ふ、ふふ……ふふふふふふ……♡」

 

 マタ・ハリが今まで聞いたことの無い笑い声を響かせた事を合図に音楽が流れだす。どこか扇情的な音楽に合わせて、彼女が淫らな舞を披露し始める。

 ポールに体を寄せ、舌でそれを舐める。まるで男の肉棒に舌を這わせている様な光景は、私の興奮を煽った。

 

「ふふ……れろぉ、じゅろぉ……♡」

 

 マタ・ハリは涎を垂らし、下品な音を立ててポールへのフェラチオを続ける。銀色の棒が彼女の唾液でねっとりと濡れ、スポットライトの光を反射する。

 そうして舌での淫らな行為を終えた彼女は、次に腕をポールに絡ませるとくるくると回り始めた。

 360度全ての方向に全裸を見せつけながらゆっくりと回り始める。

 

 やがてポールの周りを一周した彼女は、カメラに向けていやらしく尻を振り始めた。

 左右に可愛らしく尻を動かしたかと思えば、次にはまるで男の肉棒を受け入れているかの様な上下運動を始める。男の劣情を煽る方法を知っている彼女の動きから私は目が離せなくなっていた。

 

「ふっ、ふぅっ……♡ あはははは……♡」

 

 縦に横に、そして円運動を描く様に丸く……小麦色の尻が跳ね、淫らに動き回る光景は私の興奮を引き出していった。

 尻を振ることを止めたマタ・ハリは、今度はカメラ側に体を向けて後ろ手にポールを掴む。そして、足を下品にがに股に広げるとかくかくと腰を動かし始めた。

 

「あはっ♡ あはぁっ♡ うふふふふ……♡」

 

 先ほどよりも激しく腰を上下させるマタ・ハリ。これは完全に男との性行を演出しているのだろう。彼女の股座からは興奮故の飛沫が飛び散り、ステージの上を濡らしていく。

 私はその光景を見て心を痛めながらもなんとも言えない興奮を感じていた。

 あのマタ・ハリが、優しくて母性的な彼女が、こんなにも乱れている姿を晒している光景に抗い様の無い興奮を感じる。

 

「んっ♡ あぁっ♡ あはぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 カメラの前のマタ・ハリが体を仰け反らせ、大声を上げて股から愛液を噴き出す。

 彼女が絶頂したのだと私が気が付いた時、彼女はカメラの目の前にまで来ていた。

 

「ふふふ……♡ 久しぶりねぇ、マスター……♡ どう? 私のステージは楽しんでくれた? ソロモン様がわざわざ演出と踊りを考えて、こんな機会を下さったのよ♡ た~っぷり、楽しんでくれたわよね?」

 

 可愛らしくも悪魔の様な冷たい笑みを浮かべるマタ・ハリが彼に対する言葉を口にする。どうやらこの映像は彼に見せつけるための物のようだ。

 最初に送られて来たあの映像と同じく、彼の心を責める為の堕落した英霊を見せつけるソロモンの所業に怒りを感じながら、私は彼女の言葉を聞き続ける。

 

「残念ねぇ、私がカルデアに居た時に頼んでくれれば、マスターの童貞ちんぽを卒業させてあげたのに……♡ でも、もう無理よ」

 

 マタ・ハリが四つん這いになり、自分の尻を掴む。尻を左右に引っ張り、カメラに女性器とアナルを広げて見せながら話し続ける。

 

「もう、私の穴ぼこはソロモン様の物なの♡ 使い古したビッチまんこだけど、ソロモン様に精一杯ご奉仕する為に使わせて貰う事にしたわ♡ だからぁ、もうマスターとセックスは出来ないのよ♡」

 

 ぶしゅう、と音を立てて彼女の性器から潮が噴き出す。自分がソロモンの物になったことを嬉々として告げるマタ・ハリの姿を、私は茫然と見ていた。

 

「まあ、ソロモン様のご好意でこうやって私のエッチなステージを見せてあげるから、せいぜいそれでおちんぽシコってなさい。一生味わえない私のまんこの感触を想像しながら、必死こいてオナニーしてなさい!」

 

 嘲る様なマタ・ハリの言葉。それに興奮を感じてしまっていることに軽くショックを受ける。

 あの温かな笑みを見せてくれていた彼女が冷たく私を笑っているという事に傷つきながら、私は今まで感じたことの無い興奮にこの身を震わせていた。

 

「……それじゃあ、これでお終いよ。最後に私のとっても下品な姿を見せてあげるわね……♡」

 

 マタ・ハリはそう言うと用を足す様な格好を取った。和式便所に跨る格好になった彼女を映すカメラは二台に増え、彼女を前後から撮影している。

 

「ふぅんんんんっ……♡♡♡」

 

 思いっきり気張り、顔を真っ赤にするマタ・ハリの顔を撮影するカメラは、同時に彼女の下腹部で黒く光る淫紋令呪も映し出していた。

 どんよりと鈍く光り、禍々しい印象を与えるそれは彼女の行おうとしていることを手助けしている様で、令呪が輝く度に彼女の腹がグルグルと鳴っていることが聞き取れた。

 

 ―――ぷっ♡ ぷすぅっ♡ ぷぅぅぅ~~っ♡

 

「あはっ♡ どう、私のおならは? 下品でしょ♡ 素敵でしょ♡ とっても興奮するでしょう♡ 変態でふにゃちんのあなたにはぴったりの代物よねっ♡ ……でも、これがメインじゃないのよ」

 

 尻穴から放たれる屁で下品な音楽を奏で、尻を僅かに動かして淫らな舞を行う。

 マタ・ハリのその淫乱めいた姿に心を奪われた私は、彼女の言葉と相まって絶大な興奮を感じていた。

 

「ああっ♡ 見てっ♡ 見なさいっ♡ 私の恥ずかしい姿見て、おちんぽシコシコしちゃえば良いのよっ♡ ソロモン様の命令に逆らえない下品な女に興奮しちゃいなさいっ、この腐れちんぽマスター♡♡♡」

 

 もこりと彼女の肛門が広がる。予想はしていた。だが、本当に彼女がそんな行いをすると信じられなかった私が居た。

 その思いは見事に裏切られた。女性として、人間としての最大限に恥ずべき姿である排泄行為の一部始終をカメラの前で曝け出す彼女から目が離せない私は、自分がとんでもない変態であったということを初めて理解した。

 

 羞恥に染まりながらも恍惚とした笑みを浮かべるマタ・ハリが美しい。今の彼女は、かつてカルデアに在籍していた時よりも輝いて見えた。

 

 汗を流し、スポットライトに照らされて輝く体は淫らながらも神々しく思えるほどの輝きを放っていた。あの体を抱きしめたいと思いながら、私はゴクリと喉を鳴らす。

 

 そしてカメラに映る女性の象徴は濡れそぼり、男根を受け入れる為の場所としてのアピールを絶えずに行っていた。見るだけで私の肉棒は滾り、すぐにでも彼女にこの劣情をぶちまけたくなる。

 

 それが叶わないことはわかっている。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 かつての仲間が奪われ、敵によって痴態を晒されているという背徳的な快感が私を興奮させ、病みつきにしているのだ。

 

「んあぁ……♡ うあぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡ あぁっ♡ んほあぁぁぁぁぁぁっっ♡」

 

 カメラの前で雄叫びを上げながら、マタ・ハリが()()を行う。

 大きな音を響かせ、人間としての尊厳を打ち捨てながら、マタ・ハリはソロモンの命令に従ってこの行為を行っている。主に従う下僕としての自分を受け入れてしまっている彼女に対して、私は劣情と興奮の感情を爆発させていた。

 

 カメラは排泄を終えたマタ・ハリの顔を映し出しながらフェードアウトしていく。

 涙と涎でぐちゃぐちゃになり、白目を剥いて豚の様に喘ぐ彼女の姿をたっぷりと見せつけた後……映像は途絶え、ビデオの再生は終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(れ、冷静になれ……。冷静になるんだ……)

 

 ビデオを見終わった後、私は暫く放心状態であったが、その状態から何とか復帰して冷静さを取り戻すと考え事を始めた。

 考えている内容は一つ、このビデオをどうするかだ。このビデオは、指揮官であるロマニ・アーキマンやマスターである彼に見せるべきであろうか?

 

 少し考えた後で私が出した結論は、()()()()()()()()()。というものだった。

 普通に考えて、これを他の誰かに見せたとしても何の利益も無いだろう。精神的な動揺を引き起こすだけだ。

 ここから得られる情報も少ないだろうし、マスターである彼が堕ちたマタ・ハリの姿を見て傷つかないわけが無い。彼の為にもこれは秘匿しておく方が良いだろう。

 

 だが、勝手に消去するわけにもいかない。これは一応残しておかなければならないものだということはわかっている。

 とくれば……これは、適切な方法で秘密裏に確保しておくべき記録ということになる。そう結論付けた私は、PCを操作して今の映像を別フォルダに変換した。

 そしてそれを別のPCへと移動させる。移動先は勿論、私の個人的なPC機材だ。

 マタ・ハリの痴態と堕ちた姿を記録した映像を移動させながら、私は体が熱くなっていることを感じていた。彼女の淫らな姿を記録した秘密の映像が、私だけの物として残せることに興奮が隠せないでいる。

 

「セキュリティを確認しておかないとな……」

 

 念には念を、今晩はPCのセキュリティをチェックしてから眠ろう。彼女の秘密の映像を流出させるわけにはいかないからだ。

 そう決心した私は、あと少しだけになった休憩の間に体力を回復させるべく眠りに就いた。

 今夜は眠るまで時間がかかりそうだ。そう考えながら、私は先ほどの映像を脳内で再生させて身をよじらせるほどの興奮を得て、心臓を高鳴らせたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エリちゃんのお尻初体験 前編(エリザベート マシュ スカサハ)

 

 エリザベートは激怒した。必ず、皆から置いてきぼりな今の状況をどうにかせねばなるまいと決意した。

 エリザベートがどこぞの走る人みたいに怒っているのには理由がある。それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 自分がこのカルデアに帰って来たのは三番目。マシュ、スカサハに続く古株と呼べる存在のはずだ。

 最近は次々と仲間が帰って来ており、彼女は自分に後輩が出来たのだと喜び勇んだものである。が、しかし……

 

「何でアタシの方がおこちゃま扱いなのよ~!?」

 

 何故か……本当に何故か、自分の方が仲間たちから乱雑に扱われている気がしてならないのだ。と言うより、間違いなくそうされている。

 タマモキャットもジャンヌオルタもアルトリアも、あのジャンヌですら自分のことを()()()()()()()として扱うのだ。

 それは恐らく前々からの自分のキャラが影響しているのだろうと考えたエリザベートは、現在の自分が既に処女を卒業したことを全員に報告した。これで自分が子供扱いされることは無いだろう。

 が、しかし……その行動は逆効果であった。童貞を卒業したばかりの男子高校生みたい、と言う感想と共に、全員からの嘲笑を受けてしまったのである。

 

 仲間たちのこの心無い仕打ちにエリザベートは憤慨した。そして、仲間たちに自分の何処が悪いのかと聞いたわけである。

 処女ではないのは皆同じだろう。ならば何故、自分だけそんな扱いなのかを説明してみせろ……やっぱりおっぱいなのかとぶち切れる彼女に寄せられた答えは、意外とシンプルなものであった。

 

「だってアンタ、まだアナルセックスしたことないんでしょう?」

 

 完全に人を馬鹿にした笑みでそう告げたのはジャンヌオルタだった。若干得意げなその表情と言葉に声を詰まらせたエリザベートに対し、オルタは話を続ける。

 

「アナルでの行為は変態だと思うけど、普通のセックスしか知らない純情ぶった女よりかは変態セックスを知ってる女の方が大人っぽいでしょう?」

 

「む……!?」

 

 言われてみれば確かにそんな気がした。何を隠そう、エリザベートは単純なチョロインなのだ。

 

「まぁ、アンタみたいなちんぽを見たら卒倒しそうなガキが一度セックス出来ただけでも十分なんじゃない? 十分大人よ、オ・ト・ナ! あははははは!!!」

 

 ジャンヌオルタはそう言って笑った。すごく意地の悪い笑い方であった。悪役が悦に入っていた。

 彼女の嘲笑を受けたエリザベートは悔しくて堪らなかった。そして、冒頭の決意表明をするに至ったのである。

 

(やってやろうじゃない! お、お、お……お尻でのセックスを!)

 

 そう決心したエリザベートは、すぐさま自分のマスター兼プロデューサーのロビンに相談(泣きつい)た。もう子供扱いされたくないので、自分のアナルを開発しろと(目に涙を浮かべながら)頼みこんだ。

 彼女の必死の形相に根負けしたのか、ロビンはその申し出を承諾し……こうして、エリザベートのアナル処女を卒業させようの会が発足されたのであった。

 

 

 

 

 

 なお、この騒動の引き金となったジャンヌオルタはきっちりとマスターにオシオキされた。何をされたかは各自の想像にお任せする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、失礼しま~す……」

 

 緊張に声を震わせながら部屋に入るエリザベート。すぐ後ろからは少し疲れた顔のロビンが付いて来ている。

 カルデア内の一室に入った二人を迎えたのは、二人の男性と()()()()()だった。

 

「おう、来たか!」

 

「こっちは準備万端だよ!」

 

 壁に埋まっている二つのお尻を見て唖然としているエリザベートに向けて二人の男性ことマスターとクー・フーリンが笑顔を見せる。異質な状況に思えるこの部屋の中で、二人は無駄に良い笑顔だった。

 

「あ、これ? あんまり気にすんなよ、今日の教材ってだけだから」

 

 エリザベートの困惑した視線を受けたクー・フーリンはやっぱり良い笑顔を見せながらそう言った。そして、自分に近い側の壁に埋まった尻を叩く。

 もう一つの尻と比べて少し大きなその尻は、クー・フーリンの手に叩かれて良い音を鳴らした。

 

「一応、本人たちの申し出を受けての行為だから、本当に気にしないでね。名前は伏せるけど、二人ともお尻に慣れた人だからさ」

 

「あ、うん……そう、よね……」

 

 名前を伏せる、とマスターは言ったが、ぶっちゃけそんなの何の意味もない。

 クー・フーリンがここまで楽しそうに乱雑に扱う女性なんて一人しか居ないし、もう一人の尻に至っては興奮のせいか時折淫紋令呪が赤く輝いているからだ。

 ほぼ間違いなく……あの二人はマシュとスカサハだ。間違いない。そう思いながらエリザベートはここまで大掛かりなことになっていることがちょっぴり怖くなった。

 

「あぁ……気にするなって言うのは無理だな、うん……。あれは完全に上級者の例だから、開発が進んだらあんなことも出来るってくらいに考えた方が良いぞ」

 

「そ、そうするわ……って、言うか……」

 

(あ、あれ、もう中になにか挿ってるじゃない!!!)

 

 エリザベートの視線の先にある二人のアヌスからは、ぴょろんと紐の様な物とそれに取り付けられた取っ手部分の輪っかが飛び出ていた。

 つまり、あの先には何かが取り付けられており、既に二人のアヌスには玩具か何かが挿入されていると言う事である。

 

「……気になる? この紐の先、気になる?」

 

「……うん」

 

 マスターの言葉を受けてエリザベートはこくりと頷いた。ちょっぴり恥ずかしかったが、それよりも興味が勝ったのだ。

 マシュとスカサハの二人は、エリザベートの知る限りではアナルでの行為に慣れた女性たちであった。こう言うことをする前、二人には相談をしていたのだ。

 二人は自分より先にカルデアに戻っていた所謂先輩の様な物であり、後から戻って来たジャンヌオルタたちに相談しにくいエリザベートにとっては数少ない甘えられる女性たちだったからだ。

 

 それに加えて、ぶっちゃけ二人はアナルセックスの代表格みたいな思い込みがエリザベートにはある。

 スカサハは経験豊富であり、師匠として弟子を何人も鍛え上げて来た彼女ならば、エリザベートにアナルの手ほどきをしてくれると思っていた。

 そしてもう一人、マシュは誰がどう考えても()()()()()()()()()()だ。スキルでマスター以外に尻を触れさせない様にするまでの徹底ぶりには一種の畏怖を覚える程である。

 そんな二人はエリザベートのアナル開発の為に一肌脱いでくれたらしい。一肌どころか全裸になっていることをエリザベートは気にしないことにした。

 

「んじゃあ、よ~く開発された尻穴がどんな風になるのか、その目で確かめて貰おうか……!」

 

「ふふふ……!」

 

 怪しい笑みを浮かべた二人が壁に埋まった尻へと手を伸ばす。片手でアナルに挿入された玩具の紐を掴みながら、もう片方の手で壁に取り付けられたコントロールパネルを操作すると……

 

『んっ……♡ どう、なってるんでしょうね……?』

 

『分らんが……まあ、エリザベートたちはもう来ているだろうな』

 

 壁の向こう側に居る二人の顔が映し出され、会話が聞こえる様になった。二人は自分たちの様子が見られているとは思っていないようで、画面にいやらしい笑みを見せていた。

 マスターとクー・フーリンはそうして会話を続ける二人に気が付かれぬ様にして紐を掴むと、一気にそれを引き抜いた。

 

『エリザベートさんもアナルでのセックスに興味を持ってくれるなんて、私は嬉しんおおぉぉぉぉっっ♡♡♡』

 

『なっ!? あいつら前振りもなんくぅぅぅぅぅっっ♡♡♡』

 

 アヌスから引き抜かれるビーズ。ぬぽぬぽと音を立てて球が付いた紐が引き抜かれ、画面に映るマシュとスカサハの表情が淫らに歪む。

 マシュはあっという間に快感に染まった声を上げて舌を放り出し、スカサハはクー・フーリンに対しての怒りの表情を見せるも、一瞬でマシュ同様のアヘ顔を見せる様になってしまった。

 

『あへっ……♡ んへっ……♡ こう言ういじわるをする先輩も、好きです……♡』

 

『ん、くっ……♡ くそぉ♡ この状況では抵抗出来ん……♡ なすがままと言うのが、ここまで子宮に来るものだとは……っ♡』

 

 尻穴を弄られる快感に悶える二人は、口々に感想を言いながら瞳に♡マークを浮かべている。二人がこんな行為にも快感を得ていることに驚くエリザベートだったが、それよりも驚いたのは今しがた二人のアナルから引き抜かれた玩具の大きさだった。

 

 二人の尻に挿っていた玩具は、球が連なったスタンダードなアナルビーズだった。それを挿入されていた二人にとってはなんて事の無い物だが、エリザベートには違う。

 彼女からしてみれば、こんなに小さい尻の穴になんであんなに大きな球が入るのかが不思議でならなかった。と言うより、本当にあそこまでこの穴は広がるのだろうか?

 

「エリちゃん、なんか挿れてみて欲しい物、ある?」

 

「ふえぇっ!?」

 

 無理だ、自分は二人の様にはいかない、いくわけがない! そう言おうとしたエリザベートだったが、マスターが自分ではなくマシュの尻を指差し、足元に広がる玩具を見せていることに気が付いて、今の言葉は自分に向けられたものでは無いと悟り、落ち着きを取り戻した。

 まあ、落ち着きを取り戻したと言ってもまだ動揺はしている訳なのだが……それでも、深呼吸をして冷静になろうと努めるエリザベートは、(彼女の中では)落ち着いた様子で一つの玩具を指さした。

 

「じゃ、じゃあ……これで」

 

「ん、良いよ」

 

 エリザベートが選んだイボ付きバイブを手に取ったマスターは、空いている手でマシュの尻を優しく叩いた。その行為にマシュの表情が変わり、期待を示す。

 

『あっ♡ 先輩がお尻叩きました……♡ 弄ってもらえるみたいです……♡』

 

 嬉しそうに、本当に嬉しそうにマシュが呟く。そんな彼女の声を耳にしながら片手でマシュのアナルを広げたマスターは、手に取ったバイブをゆっくりとその穴の中に突き入れて行った。

 

『んあぁぁぁっ……♡ んっ、あ……♡ 玩具、ですね……♡ イボイボしてますけど、ちょっと小さいです……♡』

 

 自分の尻に挿入されたバイブに対して少し不満げな表情を見せたマシュだったが、マスターが丁寧にそれを操って尻穴を穿っていけば彼女の表情はすぐに蕩けたものへと変わっていった。

 既に先ほどのアナルビーズで解され、腸液でぬめっていた彼女のアヌスは何の苦も無くバイブでの愛撫を受け入れている。そもそも、マスターの肉棒と比べて小さなバイブを呑み込めないわけがないのだ。

 

『ほっ、ほぉぉっ……♡ やっぱり、先輩は凄いですぅ……♡ わたひのお尻の弱い部分、全部虐められてますぅ……♡』

 

 振動とピストン、二つの動きでマシュの尻の穴を責めるバイブを上手く操り、マスターは彼女の官能を引き出していく。

 マシュの感じる部分、弱い部分、嬉しい部分……それを探り当てることなど、彼にとっては朝飯前なのだろう。彼の手で快感を与えられる度、マシュの尻には真っ赤な淫紋令呪が輝いて浮かび上がる。

 

『おっ♡ ほぉっ♡ んほっ♡ ほぉぉぉっ♡』

 

 自分が主の女であることを示す証を光らせながら、マシュは尻穴からの快感に呻く。その横では、クー・フーリンに尻を弄られるスカサハの姿もあった。

 

『んっ♡ このっ、馬鹿弟子がっ♡ そんな尻を叩いて……っ♡ ああっ♡ ローション塗るなっ♡ 丁寧に揉み上げるなど……おぉっ♡ 浣腸はやめろっ♡ やめへくれぇっ♡』

 

 いつものお返しと言わんばかりに抵抗できないスカサハの尻を弄りまわすクー・フーリン。

 何度もスパンキングをし、ローションで尻の感度を上げ、浣腸器を使って白い液体をアヌスへと注ぎ込む彼の行動を一言で表すならば、やりたい放題だろう。スカサハはそんな彼の行為に翻弄されながら、甘い声を出し続ける。

 

『おっ、おぉっ♡ しりあにゃひろげるなぁっ♡ 気張れんっ♡ 広げられたら、穴の中に注がれたものを噴き出して……んふぅぅぅぅっ♡』

 

 必死になって排泄を堪えていたスカサハだったが、クー・フーリンに尻を思い切り掴まれ、左右に広げられて尻穴を開かされてしまう。

 ぽっかりと開いたアヌスを締めることも出来ず、我慢の仕様がなくなったスカサハは情けない悲鳴を上げて噴水の様に浣腸された液体を噴き出してしまった。

 

『おっ♡ ほぉっ♡ ほっ、ほっ、ほぉぉ……っ♡』

 

『んんんっ♡ またっ、浣腸だとぉっ……♡ こ、この、馬鹿がっ♡ どこまで私の尻を嬲れば……んぐぅぅぅっ♡』

 

 マスターに尻穴を穿たれ、淫紋令呪を爛々と輝かせながら嬌声を上げ続けるマシュ。画面に映るその表情は、まさに淫乱な雌としか言い様が無い。

 クー・フーリンに尻を好き放題に弄られるスカサハは、いつものクールな表情はどこへやらと言った様子で喘ぎ続けていた。何度も浣腸され、尻穴を広げられ、無理矢理排泄されると言う被虐的な快感に酔っている様にも見える。

 

「……エリザベート、尻穴の快感って言うのは、()()()()()()()()()()()()()だ。雄雌関係ねぇ、生き物として、()()()()()()()()()って遺伝子に刷り込まれてるんだからな」

 

「い、生き物としての本能……?」

 

「そうだ。前の穴と違って、雌の部分を抉るわけじゃねぇ。だがその分、きっちり開発されるとどんな奴でも感じちまう……抗えない快感と排泄感に流され、生き物としての快楽を貪る様になっちまう。どんなに体や心を鍛えても関係ない、ただ感じる生き物になっちまうだけなんだよ……このスカサハみたいにな」

 

『ま、また漏らしっ……んひぃぃぃぃっっ♡』

 

 何度目かわからないアナル決壊を迎えたスカサハが叫ぶ。こんなにも屈辱的で酷い仕打ちを受けているのにも関わらず、彼女の表情は嬉しそうだ。

 あのスカサハですらアナルの快感には敵わないのだろうか? もしかしたら自分もあんな風になってしまうのだろうか? そう考えたエリザベートに対し、マスターが気楽な笑顔を浮かべながら語り掛ける。

 

「大丈夫だよ、エリちゃん。そんなに身構えないで良いよ。嵌る人は嵌る、それだけだよ。こんな風にぐちゃぐちゃに狂って、前よりも後ろの穴でする方が好きになっちゃうのは相当な特例だから! ……まあ、その特例がここに居るんだけどね」

 

『ほひぃぃぃぃっ♡ あなるぅっ♡ 先輩専用けつまんこっ♡ 今日もほじほじして下さってありがとうございますっ♡ 先輩に楽しんで頂く為に使ってもらえて、私も私のけつまんこも大喜びですっ♡』

 

 部屋の中に響き渡るマシュの嬌声。尻穴を弄られ、そのことを悦ぶ彼女の瞳は熱に蕩け、尻には真っ赤な淫紋令呪が輝きを放ちながらゆらゆらと揺らめいている。

 流石はカルデア一のアナル狂い。そう思いながらもエリザベートは自分がああなる可能性も0では無いと思っていた。

 もしかしたら、自分もマシュと同じくらいのアナルの才覚があり、前よりも後ろでする方が好きなド変態になってしまうかもしれない。そんな思いを否定出来ないエリザベートがゴクリと音を鳴らして唾を呑み込んだ時だった。

 

「……さ、そろそろお前の番だぜ」

 

「もう十分かな? ロビン」

 

「え? 何、言って……?」

 

 ニヤニヤと笑う二人の言葉を聞いたエリザベートは、その唐突な言葉に困惑を隠せなかった。

 確かにここにはアナルセックスをするために来たが、まだ自分は何も開発をされていない。こんな状況で本番など出来る訳がないではないか。

 エリザベートがそう考えた時だった。

 

「え……!?」

 

 パチン、と自分の頭の中で音がした。指を弾いた様な乾いたその音を感じた途端、彼女の体に異変が起きる。

 

「おっ♡ おぉぉっ♡ おほぉぉっ♡ んほっ♡ ほぉぉぉぉっ♡ なんれっ♡ なんれぇっ♡ おひりきもちいぃっ♡ おひりきもちいいのとまんにゃいのぉっ♡」

 

 自分の尻の中で何かが爆発した感覚を覚えた次の瞬間、彼女は生まれて初めてのアナルアクメを体験していた。

 尻から何かが抜け落ちる感覚と丁寧に尻穴を広げられて中を穿られる感覚に膝を震わせた彼女は、力なくその場に倒れ込む。

 

「おっと! ……へへ、その様子だと開発は成功みたいだな」

 

「あ、ろ、び、ん……? 開発、って……いつしたの……?」

 

「淫紋令呪で命令を下したのさ。俺がしていることを知覚できず、かつ尻穴の感覚をシャットアウトする命令を下した状態でマスターたちに気を引いて貰って、その間に軽くな」

 

「そう、だったの……?」

 

 抱きかかえられた体をベッドへと運ばれたエリザベートは、優しく自分の頭を撫でるロビンの手に身を任せた。

 温かな手に包まれるとなんとも言えない幸せを感じる。目を細めたエリザベートが、その幸福感を味わっていると……

 

「……で? お前はどう卒業したい? 前からか? それとも後ろから?」

 

「ふぇ……?」

 

「……前から抱きかかえられたままアナルを穿られたいか? それとも、後ろからスタンダードにぶちこまれたいのか? 好きな方を選べよ」

 

「ま、待って……ちょ、ちょっと考えさせて……!」

 

 とうとうその時が来たのだとエリザベートは、身を強張らせた。自分から望んだこととは言え、やはり緊張するものだ。

 ロビンはそんなエリザベートを優しく抱きしめると、彼女の小さくて桃の様な可愛い尻を撫でながら甘い声で囁いた。

 

「ん……よく考えて良いぜ。でも、あんまり時間かけんなよ? 俺だって我慢の限界ってもんがあるんだからな」

 

「ふぁっ……♡」

 

 彼の手が自分の尻を揉みしだき、指が柔らかく蕩けたアナルの中へと突き入れられる。

 尻穴を弄られる感覚に背筋を震わせたエリザベートは、次の瞬間には口から甘い息を吐きだしていた。

 

(お尻、いいっ……♡ これ、嵌っちゃう……♡)

 

 アヌスから指が抜け落ちる度に生まれる快感。それは排泄感と言う生理的な物であり、人が抗えない快感であった。

 出すのは気持ち良い……遺伝子に刻まれた快感を与えられたエリザベートは、瞳に涙を浮かばせ、鼻から鼻水を垂らしながらそれに翻弄される。

 

「ほぉぉ……♡ ほっ、ほぉっ……♡ おちり、ちゅごい……♡ このまま一生、弄ってて欲しいのぉ……っ♡」

 

 あどけない顔を快感に歪ませ、エリザベートは与えられる生理的な快感を堪能していく。

 それを与えてくれるロビンに顔を向けたエリザベートは、彼に甘い口付けをされてぶるりと身を震わせた。

 

「……一番気持ち良い方法を考えろよ。たっぷり待ってやるから……でも、長く待たせたら後が怖いぜ?」

 

「んっ、んんっ♡ ……うんっ♡ あたち、ロビンにおしりほじほじされにゃがらかんがえるぅ♡ あたしのおひり、いちばんきもちよくなれるほうほう、かんがえりゅぅ……っ♡」

 

 呂律の回らない舌で愛しい彼にそう告げながら、エリザベートは尻穴を弄られる快感に身を委ねた。

 指でも十分気持ち良いのに、もっと太くて長い肉棒(ちんぽ)が挿ったら自分はどうなってしまうのだろうか? 期待に胸を焦がしたエリザベートの股座からは、愛液とおしっこが緩やかに飛び出ていた。

 

「んっ、んひっ♡ おしり、おもらし、きもちいい……♡」

 

 考え事なんて出来っこない。こんなに気持ち良いことをされては、思考なんて纏まるわけが無いのだ。

 そう言い訳を続けながら、エリザベートは尻尾を揺らしてアナル愛撫による快感を味わい続けたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エリちゃんのお尻初体験 後編(エリザベート マシュ スカサハ)

「んにゅぅぅ……♡ へあぅっ♡ んんっ♡ ほっ、ほぉぉぉ……っ♡ おしりぃ、きもちいいよぉ……♡ もっとっ♡ もっといじってぇっ♡」

 

「ははっ、だらしねー顔……。随分とアナルが気に入ったみたいだな」

 

「んへぇ……♡ おひり、ほじほじされしゅぎてゆるゆるになっちゃったぁ……♡ ぬるぬるでぇ♡ ぽっかりしちゃってるよぉ……♡」

 

 令呪の解呪から数十分、ずっとロビンにアナルを愛撫され続けていたエリザベートは、だらしなく蕩けた顔を彼に見せながら喘いでいた。

 愛撫に次ぐ愛撫を受けた尻穴は緩くなり、ロビンの指をすんなりと受け入れている。腸液でぬるぬると濡れた指をエリザベートに見せつけながら、ロビンはニヤリと笑った。

 

「随分と緩くなったもんだな。お前のアナルは準備万端みたいだぜ?」

 

「あ、ふ……♡ お、ちんぽ……挿れるの……? お尻セックス、しちゃうの?」

 

「ああ、そろそろな。さて……どんな風にシたいか、考え付いたか?」

 

「うんっ♡ あのね、真正面から私を抱きしめた状態でお尻におちんぽ挿れて欲しいの♡ 初めてのお尻えっちでぐずぐずに蕩けちゃったアタシのアヘ顔見ながらアナルセックスして欲しいの♡」

 

「はいよ、お望み通りにっと……」

 

 エリザベートの要求を受けたロビンは、彼女の体を巧みに操ってそれを行うに相応しい体勢を取らせた。

 脚を大きく広げた()()()()()()の姿勢を取らせ、その上から圧し掛かる様にしてアヌスに肉棒をあてがったロビンは、丁寧にゆっくりと己の怒張をエリザベートの腸内へと潜り込ませていく。

 

「へぐっ♡ ほ、ほぉぉ……っ♡♡♡」

 

 ぐぷり、ぐぷりと自分の開発されたアナルに肉棒が挿って来る。膣よりも狭く、きつい穴を押し広げて、太い肉棒が奥に侵入して来る。

 肛門をめりめりと割り広げられる感覚に自然と深い息を吐き、野太い声で呻いたエリザベートは、自分の尻の中にロビンのモノがすべて入り込んだことに気が付いて幸せそうな笑みを浮かべた。

 

「あ、ちゅぃぃ……♡ お尻の中、ぎゅうぎゅうできつきつだよぉ……♡」

 

 堪らなく燃える様な熱が尻穴を焦がす。みっちりと肉棒が自分の中に詰まり、まさに侵入されていると言う感覚を与えて来る。

 膣でのセックスとは違うキツさに呻き、ゆっくりと動く肉棒が排泄される快感に喘ぐ。腸液が掻き混ぜられる淫らな水音を立てながら、エリザベートはふりふりと長い尻尾を揺らしていた。

 

「ロビン……アタシのお尻、気持ち良い? アタシ、ちゃんと出来てる?」

 

「ん……ああ、スゲー良いぜ。心配すんなよ」

 

「あは……♡ そう、よかったぁ……♡」

 

 ロビンの首へと腕を回し、潤んだ瞳を浮かべたままに唇を重ねる。舌を絡ませ、恋人同士がするキスをしながら、自分と彼の唾液を循環させる。

 口と尻穴の双方から違った音色の水音を響かせながら繋がり合えば、それぞれが痺れる様な快感を伴ってエリザベートの中で暴れまわってくれた。

 

「おっ♡ ほぉぉ……♡ もっと、おくにきてぇ……っ♡」

 

 アヌスに伝わる鈍い快感。じんわりと広がり、時にとてつもない重い衝撃を与えて来る肛門での性行に酔いしれながら、エリザベートはぐったりと体の力を抜く。

 肛門が緩み、広がっている尻の穴がさらにロビンの肉棒を呑み込もうと欲張ることを感じたエリザベートは、排泄口を支配されている快感に表情を歪ませて悦んだ。

 

「ろ、びん♡ ロビン……♡ これで、全部あなたの物だよ……♡ アタシの全部、あなたの物。キスも、前と後ろの初めても、全部あなたに上げたから……♡ アタシは、ロビンの物だよ……♡」

 

「っっ……!」

 

 輝くような明るさと男を虜にする淫らさ、その両方を兼ね揃えた笑みを見せたエリザベートが歌うように囁く。

 自分のすべてを愛する人に捧げられた喜びに打ち震え、女としての充足感に満ちたその笑顔は普段の彼女の雰囲気からは想像も出来ない程の女らしさを醸し出していた。

 あどけない少女の雰囲気を残しながらも大人の階段を上り始めたことを意味する様なその姿を見れば、男ならば誰だって興奮するであろう。ロビンもまたその雰囲気に当てられて欲情を滾らせ、その興奮は彼と繋がり合うエリザベートにもしっかりと伝わっていた。

 

(あ……♡ ロビンのおちんぽ、おっきくなった……♡ アタシで興奮してくれたんだ……♡)

 

 尻穴が更に広げられる。彼の逸物が潜り込んだ腸内が更に窮屈になる。

 その理由を察したエリザベートは瞳に涙を浮かべる程に喜んでいた。まだ幼い体付きの自分にロビンが欲情を抱いてくれたことが堪らなく嬉しかったからだ。

 

「はぐぅっ♡ あっ♡ お、お……♡ なんか、来るぅ……♡ お尻、じんじん来ちゃうよぉ……っ♡」

 

「そのままっ、力抜いて俺の動きに感じてろ……! 尻に集中して、気持ち良いのを感じてれば良いからよ」

 

「う、んっ……♡ ろびっ、おねがいっ……あるのっ♡ きしゅっ♡ キス、してっ♡」

 

 キスをせがみ、舌を伸ばすエリザベート。ロビンはその願いに応えて彼女の唇を優しく奪う。

 上の口と下の口、二つともにロビンに侵略されながらも快感を得ていることに幸せを感じながら、エリザベートは彼の与えてくれる快感に意識を集中させた。

 

「んんっ♡ じゅぷっ♡ んおっ、んぶっ♡ はー、はー……っ♡」

 

 舌を絡ませると甘い痺れが生まれる。尻穴を穿たれると喉からくぐもった叫びが発せられる。

 交わりを優先すると息が苦しく、されどそれがとても心地良い。肉欲に溺れ、お互いを求めあう愛の営みのなんと幸せなことだろうか。

 アヌスにロビンを受け入れ、彼が自分の中に挿って来る喜びに打ち震える。もっと深く、もっと奥に来て欲しいと願って尻穴を緩める。

 奥まで潜り込んだ肉棒が抜ける時に発せられる終わらない排泄感に目を見開く。彼が自分の中からいなくなってしまう切なさと共に感じられるそれは、抵抗出来ないほどの気持ち良さをエリザベートに与えてくれた。

 

「あ、あっ♡ くるよぉっ♡ おっきいのくるっ♡ おしりではじめてイっちゃううっ♡」

 

 尻穴を広げ、腸壁を擦り、腹の中を抉る。そんな快感をはっきりと感じ始めたエリザベートは、時を同じくして初めての尻穴絶頂を迎えようとしていた。

 初めてのそれに恐怖は感じ無い。じんじん、ジンジンとアナルを中心に広がる快感の波動とロビンの動きに身を委ねて、全てを受け入れるだけだ。

 

(おしりぃっ♡ すごいっ♡ 前も後ろもどっちも気持ち良いっ♡ きもちいいぃっ♡)

 

 ぶしゅぶしゅと愛液を噴き出し、だらだらと涎を口の端から垂らす。緩んだ尻穴と同じく、エリザベートのすべてがだらしなく脱力しきっていた。

 そんな情けない姿をすべてロビンに見られているとわかっていながらエリザベートは快感に打ち震える。もう何も彼女を止める物などありはしなかった。

 ただ快感に正直に、ただ悦楽に身を委ね、ただ絶頂を迎えることだけに意識を集中させる彼女の身に、とうとうその時がやって来た。

 

「い、イクっ♡ おしり、イクっ♡ おしりのあな、むずむずしてるっ♡ イク♡ イクイクイクっ♡ イク~~~~っ♡」

 

 熱い肉棒が深く尻穴を抉った瞬間、彼女の中の快感が爆発した。尻全体、腹の中すべてが持っていかれる様な感覚の後に鈍く激しい絶頂が訪れる。

 マシュの気持ちがわかった。これは絶対に嵌る……♡ 尻穴を感じる様に躾けて貰った相手にそこを蹂躙して貰えるなんて、最高に気持ち良いに決まっているではないか。

 そんな感想を覚えた彼女の腸内に熱い飛沫が迸った。ロビンもまた絶頂し、射精したのだと気が付いた彼女の脳が、次の瞬間には快感で真っ白になる。

 

「ほへぇぇぇぇっっ♡ あちゅいぃぃぃっ♡ おしりのあな、やけどすりゅぅっっ♡♡♡」

 

 膣で感じるよりも熱く、より腹の中にたっぷりと精液が溜まる感覚を覚えたエリザベートはがくがくと体を揺らしながら再び達した。

 尻の穴が、肛門が、じっくりと炙られている様な熱さを感じて舌を放り出し、愛液をしとどに漏らす彼女の体から肉棒を抜き去ったロビンは、エリザベートの体をくるりと反転させて自分の膝の上に座らせる。

 

「よしよし、よく頑張ったな……」

 

「はぇ……♡ ん~……♡」

 

 頭を撫でられ、努力を称えられれば悪い気はしない。未だに去らぬ絶頂の余韻と相まって多大なる幸福感のままに目を閉じたエリザベートだったが、すぐにその目を開くことになった。

 

「んほひぃぃっ♡ やっとっ♡ やっと先輩ちんぽ挿ってきましたぁっ♡ これっ♡ これが一番ですぅっ♡」

 

「んんんっ♡ かんどが、すごいっ♡ お前、どれだけ私の尻を弄って……んほぉぉっ♡」

 

 聞き覚えのある声に顔を上げれば、壁から体を引き抜かれたマシュとスカサハの二人がそれぞれ相手にアヌスを貫かれているところだった。二人とも今の自分と同じように後ろから肉棒を挿入され、感じている表情をエリザベートに曝け出す様にされている。

 腸液の攪拌される音と尻肉に腰が叩きつけられる音を響かせ、下品にアナル快感を貪る雌の表情を見せつけながら行われる肛門性行。それを目の当たりにしているエリザベートもまた、自分の尻に固い物が当たる感触を覚えて背筋を伸ばす。

 

「……さ、二回戦目だ。今度は俺が好きに動かせて貰うぜ?」

 

「んぎぅぅ……っ♡ はくっ、んんっ♡」

 

 一息に挿入された肉棒が自身の腸壁を擦り上げる快感。エリザベートもまた感じる表情をマシュたちに見せつける様にロビンに抱えられたまま尻穴を穿たれる。

 肉のぶつかる音、ぐちゃぐちゃと言う水音、そして淫らな嬌声の三重奏を奏でながら、アナル快感を愉しむ三人は大声で吠え続ける。

 

「んおぉぉっ♡ せんぱっ♡ せんぱいぃっ♡ す、すきにっ、うごいてくらひゃいっ♡ わたしのおしり、めちゃくちゃにしてぇっ♡」

 

「おおっ♡ んほほぉっ♡ ほっ、ほっ……♡ んほひぃぃっ♡ んぎぃっ♡ もっ、もう、だめ……んほぉぉぉぉっ♡♡♡」

 

「あついっ♡ きもちいいっ♡ おしり、もっとごしごししてぇ……♡ ゆるゆるになっちゃってもかまわないからぁっ♡」

 

 先ほど一度達したエリザベートも、ずっと尻穴を弄られてそこが敏感になっていたマシュとスカサハも、この激しいセックスに耐えられるはずも無かった。あっという間に高められ、絶頂までのカウントダウンを開始する。

 男性陣は息が合った動きで彼女たちの絶頂のタイミングを合わせると、これまた同じタイミングで腰を跳ね上げて深く彼女たちの尻穴を突き上げた。

 

「んんあぁぁぁぁぁっ♡ おしりぃっ♡ やっぱりさいこうれすぅぅっ♡ ああっ♡ ぼうこう、ゆるんでぇっ♡」

 

「くぅぅっ♡ だ、めだぁ……♡ こんな、がまんできん……♡ しょ、しょうべんをもらし……ふぅんっ♡」

 

「あぁ……♡ おしっこ、しー、しー……きもちいいよぉ……♡」

 

 尻穴を穿られた生理現象で放尿し、尻穴で達せられた快感で潮を吹く。三人が同時に股座から濁った白と鮮やかな黄金の入り混じった混合液を発し、部屋の中央に飛沫を撒き散らす。

 放尿と絶頂による脱力感に襲われる女性たちだったが、まだ男たちは射精していない。くたりとへたれる彼女たちの体を強く抱きしめると、無我夢中で尻に腰を叩きつけて快感を与えながら穴の締め付けを楽しむ。意識がぼやけていたエリザベートたちもその快感に目を見開いてそれぞれの反応を見せた。

 

「もっとっ♡ もっと使ってくださいっ♡ 最高の先輩ちんぽに相応しいけつまんこになるように努力しますからっ♡ たっぷり使いこんで、私のけつまんこ堪能して下さいぃぃっ♡」

 

 マシュはマスターに懇願しなが尻を振った。彼の動きに合わせて尻肉を肉棒に叩きつけ、より深くまで彼を受け入れようと努力している。

 尻に刻まれた淫紋令呪は真っ赤に輝き、彼女の感じる快感を凄まじい程に増幅させていた。

 

「わ、わかったっ♡ わたしの負けだっ♡ 今日はアナル好きに使って良いから、少し落ち着かせてくれぇっ♡」

 

 スカサハはクー・フーリンに敗北を認める言葉を口にしながら首をぶんぶんと振っていた。敏感になりすぎたアナルを弄られることが辛いのだろうか?

 いや、そうではない。ただ単純に感じすぎているだけなのだ。その証拠に彼女の女性器からは熱い飛沫が他の二人以上に噴き出している。誰よりも感じている証を見せつけるスカサハに対し、クー・フーリンが遠慮などするはずも無かった。

 

「ロビン♡ ロビン……♡ あはっ♡ あはぁ……♡ 気持ち良い♡ お尻セックス気持ち良いよぉ……♡」

 

 エリザベートはもはや尻穴からの快感をすべて受け入れる構えを取り、一生懸命に穴を締めていた。ロビンにもっと感じて欲しいと願い、穴をきつく締めあげる。

 そうすると当然、彼女の感じる快感も強くなる。愛しい彼の肉棒をよりはっきりと感じるエリザベートの瞳は熱を帯び、♡マークがはっきりと浮かび上がっていた。

 

「んいぃっ♡ んほっ♡ んはぁぁぁっ♡♡♡」

 

「もっ、やすませっ♡ にゅぅぅっ♡ たのっ、まぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「あへ、へぇ……♡ ほじほじ、いぃ……っ♡」

 

 三者三様の喘ぎ声を上げ、三人同じ様なアヘ顔を晒し、それぞれのタイミングで潮を噴くエリザベートたち。絶頂に次ぐ絶頂の中、アナルが伝える快感だけがかろうじてぼやける思考を留めさせるカギになっていた。

 ガツンガツンと尻を打ち上げられ、穴を奥まで弄られ、肛門を広げられ……排泄口を犯されると言う背徳感と共に襲い来る快感に沈み切った彼女たちに対し、マスターたちはトドメを刺すべく腰の動きを激しくする。

 激しく腰を打ち付ければ、女性たちの感じる快感も大きくなる。快感が大きくなれば喘ぎ声も大きくなり、喘ぎ声が大きくなればそれを耳にするすべての人間の興奮も高められる。

 自分の抱く女の痴態を見る男性陣だけではない。仲の良い他二人がアナルで感じる姿を目にしている女性陣だって興奮するのだ。

 

 大人しく、物事に対して引きがちなマシュが一心不乱にアナルでの快感を貪る姿を見た他の二人は、普段と違う淫乱な彼女の姿に興奮を禁じえなかった。

 クールで強気なスカサハがアナルを穿られて敗北を認め、弟子に懇願する姿を見た他の二人は、雄に屈服する雌としての部分を刺激されて子宮を疼かせた。

 初めてのアナルセックスであるにも関わらず蕩けた表情を見せるエリザベートを見た他の二人は、自分もあんな風に感じていた頃があったのだと記憶の中での体験を思い出し、ゾクリとした震えを体に走らせた。

 女としての快楽と生物としての快感をこの身に感じ、愛する人に体を捧げる喜びのままに笑みを見せた三人の中で快感が爆発する。

 大量の精液を体に注がれながら射精の激しさと熱さに何度目かの絶頂を迎えた三人は、本能の赴くままに絶叫の如き雄叫びを上げた。

 

「「「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」」」

 

 体が伸び切り、言う事を聞かなくなる。硬直しきった体の奥の奥が疼き、なおも男と快感を求める。

 膣での絶頂とは違う浮遊感、されど同じ位の快感を得ながらも全員が満足していない。突き入れられる女も、穿つ男もだ。

 

「んおぉっ♡ ほっ、ほぉっ♡」

 

「ひゃへぇっ♡ あへ、へぇ……っ♡」

 

「ほひっ♡ ひっ、ひぃんんっっ♡」

 

 抜かずの二回戦……再びピストンが始まる。猛々しい男根が尻の中で律動し、彼女たちの理性を剥ぎ取って行く。

 休みなく性交を続けることに対してエリザベートたちは嫌な顔一つしない。女として、男の滾る熱さを受け止められることを幸せに思うだけだ。

 パートナーが動きやすい様に脱力し、穴の力を緩める。もっと奥まで突いて貰うべく工夫を凝らすと同時に彼らに快感を感じて貰う事も忘れはしない。

 作り上げられた最高の肉穴。鍛え上げられた絶妙な性技。不器用ながらも一生懸命ないじらしさ……それぞれの武器を使い、エリザベートたちは相手に興奮して貰うべく大きな喘ぎ声を上げる。

 このまま何度でも、意識が果てるかこの腹が破れるまで射精して貰いたい……そんな被虐的な妄想を繰り広げながら、三人はアナルセックスの快感に身を委ねて瞳を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その晩、男たちの部屋のPCに一通のメールが届く。そのメールには添付ファイルとして動画が付いていた。

 当然、メールを受け取った男たちはそれを再生する。編集はされていないが高画質なその映像に映っていたのは、長時間のアナルセックスを終えたばかりのマシュたちの姿だった。

 

「……皆さん、今日はありがとうございました。お尻で私たちを愛して下さって、こんなに愛の証を注いで貰えて、私たちは幸せです……♡」

 

 そう言ったマシュが大きく膨れた腹を摩る。抜かずに何度も腸内へと射精された精液で彼女たちの腹は膨れ上がり、まるで妊婦の様になっていた。

 嬉しそうな表情を見せる三人は床に膝を付き、土下座の様な姿勢を取る。その状態で尻だけを高く掲げ、カメラによく映る様にした。

 そこで画面が二つに分かれる。一つは先ほどと同じく三人の尻を映し出す映像。もう一つは三人の淫欲に塗れた表情を映す映像だ。

 荒い呼吸を繰り返している三人がカメラへと視線を向ける。そして、スカサハとエリザベートが口を開いた。

 

「お前たちに注いで貰ったこの精液、ただ垂れ流してしまうのは勿体ない。せっかくだ、最後までお前たちに楽しんで貰うために使わせてもらおう♡」

 

「じっくり、たっぷり……何度でも見てね♡ 恥ずかしくってえっちなアタシたちの姿、見逃さないでね……♡」

 

「では、イキますよ……んんっ♡♡♡」

 

「ふんっ♡♡♡」

 

「んいぃっ♡♡♡」

 

 スカサハとエリザベートの前口上、マシュの号令と共に三人が思い切り力む。よく見れば、三人のアナルにはプラグが挿入されていた。

 彼女たちの動きを見るに手を使わずにそれを抜こうとしているのだろう。括約筋を締め、排泄行為だけでアナルプラグを抜こうとしているのだ。

 

「「「んひぃぃっ♡♡♡」」」

 

 三人が同時に喘いだ瞬間、彼女たちのアナルからプラグが吹き飛んだ。ぽこんっ、と言う音を鳴らし、結構な飛距離を飛んで三つのプラグが床に落ちる。

 だが、この行為がそれで終わるはずも無い。ぽかりと広がった彼女たちのアナルを塞ぐ物が無くなったのだ、と来れば当然……

 

 ―――ブリュッ♡ ブリュリュリュゥゥゥ~~~♡♡♡

 

 下品な音が肛門から響く。三人の尻穴から白濁液が噴水の様に飛び出し、見事なアーチを描く。

 尻を映すカメラに肛門決壊と尻穴からの精液発射シーンを、顔を映すカメラにそれを行いながらアヘ顔を晒す姿をばっちりと撮影されながら、三人は長く続く精液の噴水排泄を愉しんだ。

 

「……はぁ♡ はぁ……♡ んっ、勿体、ない……♡」

 

「くぅっ……♡ こんな、屈辱的なのに……子宮が疼く……っっ♡」

 

「あはぁ……♡ 美味しそう……♡」

 

 それぞれのタイミングで排泄を終えた三人は、四つん這いになって自分は発射した精液の元へと向かう。そして、それをぴちゃぴちゃと音を立てながら舐め取り始めた。

 顔を床に押し付け、自分の尻の中で熟成させた精液を美味しそうに舐める三人は、悦びと快楽に染まった表情と淫らな姿を晒しながら綺麗になるまで床にこびり付いた精液を舐めて行った。

 

「じゅるる……♡ おいひぃ……♡ ロビンのせーし、おいしいよぉ……っ♡」

 

「ちゅぷっ♡ れろぉ……♡ とても濃い……そして、熱い……♡ ザーメンを呑み込む度に体が熱くなる。雄の遺伝子に本能が屈服しそうになる……♡」

 

「はぁっ♡ ぐちゅっ♡ じゅろぉっ♡ 感じる……♡ 先輩の魔力と精液が、私の体中を巡って一つになってる……♡」

 

 広がり切ったアナルからぶぅぶぅと放屁し、床に這い蹲って舌を伸ばす三人の姿はとても下品だ。だが、どこか美しくも見える。

 愛しい人への思いが、愛が、献身が……彼女たちの女としての美しさを引き出しているのだろう。

 下品な雌であり、愛する人を思う女でもある三人の相反しながらもそれらを見事に調和させた今の姿は、淫らさと清純さが同居するまさしく神の域に達した物であった。

 

「……先輩、こんな浅ましい雌の姿をお見せして、本当にすいません……♡ でも、もし……♡」

 

「お前たちがこの映像を見て、滾るほどの男の律動を感じたとしたならば……それは私たちの責任だな……♡」

 

「そうしたら、すぐにアタシたちを呼んで♡ ロビンたちが満足するまでおまんこ差し出すからっ♡ 何時までもセックスするからぁ……♡」

 

 口の端から涎を垂らし、白濁液に顔を汚し、隠しきれない興奮と色欲を浮かべた瞳をカメラに見せながら三人は囁く。

 甘く、蕩ける様な誘い文句を謳いながら、興奮で赤く染まった尻と愛液で濡れそぼった性器をカメラに差し出す。

 カメラは徐々に彼女たちのアナルに迫って行った。だらしなく広がり、精液がこびり付いている入り口と内側をじっくりと映し出した後、画面がブラックアウトしていく。

 

 ―――ぶぴぃっ♡

 

 最後に湿った放屁の音を残して、映像は途切れた。だが、それを見た三人の脳裏には今の映像が焼き付いて離れなくなっている。

 淫らさを隠すことのしない三人の姿に興奮しきったマスターたちは、彼女たちが口にした言葉を思い返す。

 興奮したら呼んで欲しい……その言葉は本気だろうか? ごくりと喉を鳴らした三人は、令呪を介して彼女たちと通信を取る。チリチリと令呪が光り、意識が通じたことを感じた次の瞬間には、彼女たちが声を発していた。

 

 ―――はい、先輩……♡ すぐにイキますね……♡

 

 ―――責任は果たそう……♡ 存分に楽しませてやるからな、セタンタ……♡

 

 ―――呼んでくれた……♡ ロビンがアタシのこと、呼んでくれた……♡

 

 熱を帯び、蕩けた声が脳内に響く。甘く囁くような声と共に、彼女たちの気配が近づいて来る。

 ドアをノックする音を耳にした男性陣は、ゴクリと喉を鳴らして興奮を募らせる。

 夜はまだまだこれから……今宵もまた、楽しいことになりそうだと思いながら、彼らは自室の扉を開いたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

肉欲に溺るる(クレオパトラ 堕ち注意)

「ここ、は……?」

 

 艶やかな黒の長髪、優れたプロポーション、そしてまさに絶世の美女と呼ぶに相応しい美貌を持つその女性は、普段過ごす牢獄とは別の部屋で目を覚ました。

 彼女の名はクレオパトラ。世界三大美女の一人に数えられる存在であり、エジプト最後のファラオである。

 今はサーヴァントとしてカルデアに召喚された彼女もまた、ソロモンとの戦いに敗れて囚われの身になっていた。

 

「何、この臭い!? 酷いわね……」

 

 鼻をつく酷い臭いにその美しい顔をしかめ、クレオパトラは立ち上がる。間違いなく自分の身に何かが起きようとしていることを予感しながら、彼女は努めて冷静になろうとした。

 

 現状にて、クレオパトラはごく僅かに残っているソロモンに篭絡されていない女性サーヴァントであった。淫紋令呪こそ刻まれているが、ソロモンに忠誠を誓うまでには至っていない。

 それは彼女の聡明な頭脳のおかげであり、生前の経験によるものでもあったのだが、なんにせよ今の自分の役にたっていることに関しては間違いがなかった。

 

「……案外広いわね。私以外に誰も居ないことが不気味だけれども……」

 

 暗い部屋の中は一寸先も見えないほどの闇に包まれていたが、声の反響から中々に広い部屋の中にいることがわかった。

 だが、この部屋の中には自分以外誰もいない……そのことを訝しがりながら、クレオパトラは部屋の探索に移る。

 まず彼女が探し始めたのは部屋に充満する謎の臭いの元凶であった。本当に酷い臭いだ、醜いものが嫌いな自分でなくともこの臭いをずっと嗅ぎ続けるのはご免だろう。

 出来ればこの臭いの元を排除しておきたい。そう考えた彼女は、自分の嗅覚を頼りに部屋の中を探索する。一際強い臭いを放つ方向へと歩いて行ったクレオパトラは、やがてとあるものを発見した。

 

「これは……!?」

 

 クレオパトラが見つけた物、それは一言で言えば()であった。

 たっぷりと床に転がっているそれ。赤の中にうっすらと黄色と白の色が見えるこれは、恐らく脂肪の部分であろう。

 腐った様な臭いと特有の血生臭さを放つ肉塊を目にしたクレオパトラは、不愉快そうに眉をひそめながらこれに何の意味があるのかと考え始める。

 

(閉じ込められている間の食料? いいえ、基本的にサーヴァントに食事は必要が無い。なら、何の意図が……?)

 

 ソロモンの思惑を看破するべく冷静に思考を重ねるクレオパトラ。こうやって動きを見せた以上、向こうが何かを企んでいることは間違いない。

 相手の攻撃に耐える為にも、まずは敵の思考を読まなくては……聡明な頭脳をフル活動させて思考を働かせる。全ては敵の思い通りにならない為に。

 だが、そんな彼女の行動はソロモンの予想通りであった。思考に集中していた彼女は、次の瞬間に驚きの声をあげることになる。

 

「え? きゃあっ!?」

 

 ひんやりとした、そしてぶにゅりとした不快な感覚を脚に覚えたクレオパトラは、次の瞬間にはその感触が全身に広がっていることに驚きの声を上げた。

 集中していたが故に周囲へと警戒を怠った自分自身に腹を立てながら、一体己の身に何が起きたのかを確認したクレオパトラは、今までとは違った意味で表情を歪ませた。

 

「なっ、なによこれは!?」

 

 彼女が目にしたのは自分の体に纏わりつく肉の塊であった。床に落ちていた肉塊が、独りでに動いて彼女の体に纏わりついているのだ。

 ぶよぶよとした感触と醜い物に体を触れられている不快感を露わにしたクレオパトラはそれを外そうとするが、バラバラに張り付いていた肉同士は徐々に結合し、やがて彼女の体を包み込んでしまった。

 

「あ、ああっ!?」

 

 全身を厚い肉で覆われてしまったクレオパトラはなんとかもがいてそこから脱出しようとするが、どんなに暴れても肉の束縛は緩むことは無い。

 顔だけが肉の外に出ている現在の自分の姿がどれだけ惨めな物かを想像した彼女は、誰かに姿を見られる前に絶対に脱出してやろうと抵抗を更に強めようとしたが……

 

「んあぁぁっっ!?」

 

 体を抑える肉の圧力が増し、クレオパトラの細い体をぐっと押さえつけた。

 その圧力に負けたクレオパトラは地面に膝をつき、脚を軽く広げる格好を取ることになってしまう。

 こんな肉如きに自分の体を好きにされる屈辱に心を震わせたクレオパトラだったが、真の凌辱はここから始まった。

 

「あっ!? ちょ、どこをさわって……くひぅっ!?」

 

 彼女を包む肉が振動し、クレオパトラの胸の部分を揉む様にして動き始めたのだ。

 整った形の美乳を揉みしだかれたクレオパトラは不快感から声を上げるも、徐々にその声色が変わって来る。

 

「あっ♡ なっ、なんでっ、こんなにっ♡」

 

 胸を揉む肉の動きに嬌声を上げる。的確に、丁寧に自分の好きな揉み方をして来る肉に疑問を持ちながらも、クレオパトラはそのテクニックを前にただ喘がされるしかなかった。

 

「んひぃぃっ♡♡♡」

 

 胸への愛撫でじっとりと濡れて来た秘所にも肉棒が突き入れられた。肉にまとわりつかれながら肉棒を挿入されるという不気味な快感に怯えるクレオパトラだったが、すぐに表情が甘く蕩けたものになってしまう。

 

「こっ♡ これもっ♡ 私の弱い部分を……っ♡ ひうぅっ♡」

 

 肉棒が突く場所はすべて彼女の弱点であった。感じる部分を感じる突き方で抑えられ、同時に胸も責められたクレオパトラはひたすらに喘ぎ声を上げ続ける。

 それでも必死に絶頂だけはすまいと快感に耐え続けていた彼女だったが、肉塊はそんな彼女の我慢も無駄だと笑う様にして二つ目の穴を塞ぎにかかった。

 

「んほっひぃぃっ♡」

 

 肉がクレオパトラの尻穴を限界まで広げ、それに見合ったサイズの肉棒をアナルへと叩きこむ。

 あまりの衝撃の強さに下品な叫びを上げたクレオパトラに対し、肉は容赦のない責めを与えて来る。

 

「あっ♡ ひぃっ♡ んほぉっ♡ んひぃぃっ♡」

 

 胸への愛撫が強いものへと変わる。揉む力は強く、乳首を抓る様な圧力を加えながらクレオパトラに快感を与える。

 膣の肉棒は数か所ある彼女の弱点をこれでもかと責めていた。一突き毎に子宮が震え、膣が収縮を繰り返しながら愛液を垂れ流す。

 アヌスはじっくりと入り口を穿られ、延々と続く排泄感を味合わされていた。抗えぬ快感に表情を下品に歪ませる彼女の口の端から、涎がつーっと零れて行く。

 

「こ、こんなっ、こんな肉にっ♡ そ、それだけは、ぜったい……あぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 自分の弱点を知り尽くした相手にも負けず必死に抗おうとしたクレオパトラだったが、そんな彼女の努力を嘲笑うかのようにして肉はトドメの責めを繰り出す。

 乳首を捻り上げながら乳房を揉み、二穴を深くまで穿つようにして肉棒を突き入れる。決死の覚悟を固めていたクレオパトラも三点同時責めには敵わずあえなく絶頂してしまった。

 

「はひゃぁぁぁっっ♡ ほぁぁっ♡ はぁぁぁっっ♡」

 

 絶頂し、全身を痙攣させるクレオパトラ。だが、肉の責めは止まることを知らない。

 敏感になった乳と膣への責めを再開させながら、今度は尻穴の奥を責める。休む間もない快感の嵐に翻弄されたクレオパトラは、連続しての絶頂を迎えてしまった。

 

「はぁぁんっ♡ あぁっ♡ もうやめてぇぇっ♡♡♡ お願いだから少し休ませ……んへぇぇぇぇぇっっ♡」

 

 何度絶頂しても肉は責めを止めない。絶頂を重ねるごとに敏感になる体はその責めに必要以上の反応を示してしまっている。

 体力の限界を迎えたクレオパトラが必死に懇願をするも、肉はそんなこともお構いなしで責めを続けて来る。肉に包まれたクレオパトラの股座は、愛液と漏らした尿で大洪水になっていた。

 

「あぁぁぁぁっ♡ はぁんっっ♡ あぁっ♡ う、動き出し……へぇぇぇっっ♡」

 

 クレオパトラの体がじゅくじゅくに蕩け、抵抗する力を失ったと見た肉は彼女を包み込んだまま移動を開始した。ずりずりと床を這いずりながらも彼女への三点責めは決して止めない。

 

「おぉぉぉっ♡ ほぉぉっ♡ ほぉんんっ♡ ふぉぉぉぉっっ♡ イクぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 徹底的なアナル責めに下品な嬌声を叫び続けながら、クレオパトラはその身を無理矢理に移動させられて行く。

 廊下に嬌声を響かせながら進む彼女の姿をソロモンの配下や彼女のかつての仲間に見られながら進むことは、クレオパトラにとって死にも勝る屈辱であった。

 誇り高きファラオである自分が肉に尻穴を穿られてアクメを晒す姿など、絶対に見せられるものでは無い……しかし、肉はそんな彼女のプライドをズタズタにするようにして延々と尻穴を穿り続けた。

 

「も、もうやめなさっ、ほひぃっ♡ も、もうやめてぇっ♡ お尻弄らないでぇっ♡ も、もうこんなの……あひぃぃっ♡ 前っ、前もダメぇっ♡」

 

 必死の懇願の末に尻穴を弄る肉棒の動きは止まったが、代わりに今度は膣に挿入された肉棒が動き出した。

 下賤の穴で感じる姿を晒さなくはなったものの、結局は状況に変わりはない。人前で感じている姿を見せつけながら泣きじゃくっているだけだ。

 しかも放置されていた分、膣は快感を待っている状態にされてしまっていた。待ち望んだ刺激に震えるクレオパトラの膣は、愛撫の快感を更に増幅させて全身へと伝えて行く。

 

「あ、ああっ♡ しょ、しょんなぁ……っ♡」

 

 体の弱点を責められ、プライドをズタズタにされたクレオパトラは、心身ともに限界を迎えていた。

 このままでは堕ちてしまう。頭ではそう理解しているものの、抵抗の術が思いつかない。ただひたすらに快感を与えられ、戻れないところまで追いやられるばかりだ。

 

 そうやって彼女が危機感を感じていると自分を運ぶ肉の動きが止まり、クレオパトラは自分が一つの部屋の前にやって来たことに気が付いた。

 その部屋の扉は大きく、綺麗であったが……そこは、ソロモンの待つ部屋ではないことはすぐに分かった。

 以前何度か見たことがあるが、ソロモンの居る部屋の扉はもっと豪華だ。これはそれより数ランクは下のものだろう。

 なら、この部屋の中には誰が待っているのだろうか? クレオパトラがそんな疑問を浮かべた時、彼女の目の前で部屋の扉が開き始めた。

 

 ゆっくり、ゆっくりと開いていく扉。その先に居た人物の姿を見た時、クレオパトラは驚きに目を見開いてその人物の名を呼んだ。

 

「か、カエサル様……!?」

 

「……ああ、そうだ。私だよ、クレオパトラ」

 

 自分の呼びかけににこやかに答えるカエサル。その表情と姿はクレオパトラがよく知るものではあったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 今のカエサルは、全身に付いていた無駄な贅肉が消え去り、非情にスマートな姿をしていた。かつての自分が愛した男性の姿に、こんな状況であってもクレオパトラは感動を禁じ得なかった。

 だが、どうしてこの姿に戻ったのだろうか? 当然の疑問を思い浮かべるクレオパトラに近づいて来たカエサルは、肉塊から飛び出ている彼女の頭を撫でながら優しく語り掛ける。

 

「くくく……! どうやら私の体の一部は気に入って貰えたようだな」

 

「か、カエサル様の、体……!?」

 

「そうさ。お前の身を包んでいるその肉は、ソロモン様の手で分離された私の贅肉なのさ。お陰で私は全盛期の姿を取り戻せた……そして、削ぎ落した肉も有効活用しようと言う事で、お前に楽しんで貰うための玩具にしたのだ」

 

 そう言いながらカエサルはクレオパトラの頭を撫でる。優し気な雰囲気を纏いながらの行為だが、彼の手に触れられたクレオパトラの体には、ぞくりとした震えと悪寒が走った。

 なんと言うか……目の前の彼は、自分の知る彼ではない。カルデアに居た頃のカエサルは、姿形が変わっても内面は何も変わっていなかった。だが、今回はその逆だ。

 姿形は自分の知るカエサルそのものだ。だが、中身がまるで違う。自分の愛した優しく聡明な彼ではない。残虐で悪質な、まったく違うなにかへと移り変わっていた。

 

「か、カエサルさ……おごぉっ!?」

 

 怯えを感じながらもカエサルへと声をかけようとしたクレオパトラの口に巨大な陰茎が突き入れられる。

 彼女への遠慮も気遣いも全くない一突きを喉へと繰り出しながら、カエサルはねっとりとした声色で彼女に語り掛けた。

 

「……今のお前の姿を見ていたら滾ってしまってな。せっかくだ、三穴とも私の肉で塞いでやろう」

 

「おごぉっ♡ んごぉぉっ♡」

 

 がつん、がつんと喉と口の中を犯される。同時に下半身の二穴に潜り込んだ肉棒も激しいピストンを再開させてクレオパトラを責め立てる。

 自分の体の弱い部分を知り尽くしたカエサルの責めに目を白黒させるクレオパトラは、混乱も相まって思考や耐えようとする意識を完全に失ってしまっていた。

 

「良い姿だ、クレオパトラ……! 此度の遠征にもお前を連れて行こう。旅先でも存分にお前を愛してやるからな……!」

 

「んんぶぅっ♡ おぼぉっ♡ ほごぉぉぉっっ♡」

 

 愛を語り、優しい言葉をかけるカエサル。だが、彼の行為にはクレオパトラへの愛は微塵も感じられない。今のカエサルは、クレオパトラのことを便所か何かとしか思っていないのだ。

 愛しているはずの女性、聖杯への願いに名を上げる程の愛を注いだはずのクレオパトラに対し、カエサルは愛の無い性行為を強要しているのだ。

 

 玩具や便器の様に扱われるクレオパトラは、カエサルが自分のことを女として見ていることすらしていないことに気が付いた。その瞬間、彼女の心の中に絶望が芽を出し、希望を奪っていく。

 愛した人に体と心を蹂躙される苦しみを味わった彼女の瞳からは光が消え、同時に心は粉々に砕け散った。

 

「……さあ、射精()すぞ! 我が精を受け止められる事、光栄に思え!」

 

「………」

 

 カエサルに声をかけられても、もうクレオパトラは何の反応も示さなかった。ただ口を窄め、文字通りの()便()()として振る舞うだけだ。

 そうとも、今の自分は肉便器なのだ。贅肉に身を包まれ、一切の自由を奪われ、双穴を穿られる便器……女でも、人ですらない自分のことを彼が愛するはずもないのだ。

 

「……っっ」

 

 黒く深い絶望に心を支配されたクレオパトラの口の中にカエサルの精液がおびただしく放たれる。

 射精を終えたカエサルが彼女の口から己の肉棒を抜き取ると、クレオパトラは口を開いたままそれを彼へと見せつけてから喉を鳴らして射精された白濁液を飲み干した。

 

「あ~……」

 

「ふふふ……! やはり聡いな、クレオパトラ……。これからも存分にお前を愛してやろう……」

 

「………」

 

 再びカエサルに頭を撫でられた時、クレオパトラは何も言わず、何も感じなかった。絶望に叩き落された彼女の心は、完全に死んでしまったのだ。

 ただ一粒、彼女の瞳から頬を伝って落ちた涙を最後に……最後のファラオ、クレオパトラは無様な肉便器へとその身と心を堕としたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お待ちしておりました、皇帝カエサル。堂々とした身形、感服ものであります」

 

「そう言うお前も美しいぞ、ネロ……。クレオパトラにも負けず劣らずの美貌だな」

 

 大きな部屋の中、その部屋に入って来たカエサルは自分を出迎えた後の世の皇帝のことを褒め称える。

 高名な皇帝であるカエサルからの賛辞に頬を赤らめたネロは、恭しく頭を下げて一礼した。

 

「カエサル殿の見染めた女性と並べるなど、このネロにとって天上にも昇る喜びでございます……それもきっと、ソロモン様が下さったこの服のお陰でしょう」

 

 うっとりとした表情を見せながらネロはソロモンから与えられた服を身に纏った自分の姿を見る。当然、その服は服と呼べる代物では無かった。

 頭頂に載せられた荘厳な王冠は良い。問題は彼女の体を隠すその物体だ。

 彼女の異名、【赤セイバー】の名に合わせた赤と白の紐。それが一本ずつ伸び、彼女の乳房の頂点を隠すだけだ。

 上半身に纏うのはただそれだけ、下半身にはその紐と繋がっている一応女性の下着らしいものは履いてはいるが……それは、()()()()()()()()場合にのみそう見えるだけだ。

 

 ネロを後ろから見た場合、彼女の体を隠すのは尻に咲いた一凛の薔薇だけだった。薔薇のタトゥーが彫られていることを表現したのではない。本当に咲いているのだ。

 彼女の前面を隠す紐とショーツ。だがそれには淫らな仕掛けが施されている。

 留める部分が無いのだ。横で留める紐も、後ろで留めるホックも無い。なら、どうやってこの服をずり落ちない様にしているのか?

 その答えは、ネロの尻に咲いた薔薇の花にあった。一見ただの薔薇なのだが、その根元は尻穴に挿入するためのパールが付いている。早い話、この薔薇は薔薇に見せかけたアナルビーズなのだ。

 

 この服の着方はこうだ。まず、上半身を隠す紐が取り付けられた首輪を装着し、乳首の位置に合わせて紐を調節する。位置が合ったらそのままショーツの部分を股に置き、後は薔薇型アナルビーズを尻に挿入し、そこで服を留めるのだ。

 ネロを前から見れば必要最低限の部分しか隠さず、美しい体を見せつけているように見える。後ろから見れば、彼女を象徴する薔薇の花をアナルから咲かせた幻想的な光景を楽しめる。ローマ皇帝の一人、ネロ・クラウディウスの小さくとも豊かに育った肉体を彩る薔薇は、彼女の尻で淫靡に咲き誇っていた。

 

「カエサル殿、お戯れはここまでにしましょう。他の皆様がお待ちです」

 

「そうだな……クレオパトラとの遊戯に夢中になって、ついつい時間を忘れてしまった。これ以上、あのお方を待たせるわけにはいくまい」

 

 目から光を失ったクレオパトラを引き連れ、カエサルとネロは部屋の奥に向かう。そこで待つ二人の男のうち、片方が取っている跪く格好を取った二人は、そのまま自分たちのリーダーである男の言葉を待った。

 

「……此度の戦。我らが最も優れた人種であることを証明する場となるであろう。東洋の小さな島国の小娘たちに後れを取ることは断じて許されん」

 

「はっ!!!」

 

 声を合わせ、カエサルとネロ、そしてもう一人の男が返事をする。ローマ皇帝たちの態度を見たリーダーは、三人に背を向けると行く先を見てこう言った。

 

「さあ、行くぞ……。我ら(ローマ)が、ローマだ」

 

 





 双国絢爛絵巻 セプテム 開幕


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

双国絢爛絵巻 セプテム 
ローマと淫乱組と黒い鬼


「なんだ、これ……? どういうことだ……?」

 

 目の前の光景を見た俺は、思い浮かんだ疑問を自然と口にしていた。まったくもってどういうことか理解が出来ない。

 

 今朝方、ドクターから第二の特異点が発見されたと告げられた俺たちは、すぐにメンバーを編成してレイシフトを行った。今回の目的地は西暦60年のローマ。前回のフランス同様にかつて旅した土地である。

 だと言うのに……俺の目の前には、どう考えてもここがローマだとは思えない光景が広がっていた。

 煌びやかさとは真反対の質素な木製の家や黒い瓦の屋根。近くを歩く人々の顔を見てみれば、完全に和製のしょうゆ顔だ。

 

「ここ……日本? 江戸時代かその辺の日本なんじゃないの?」

 

 俺の素直な感想がそれだ。目の前の広がる光景は、教科書で良く見たそれと酷似している。帯刀して歩く武士や着物を着た町娘なんかを見るに、その考えが正しいと思えてならない。

 まさかレイシフトに失敗したのではないだろうか? そう考えた俺はカルデアと通信を取ろうとしたが、何らかの影響かドクターたちと話すことは叶わなかった。

 

「先輩、どうしましょう? これは明らかに異常ですよね?」

 

「うん。まさかレイシフトの座標を間違えたりしたのかなぁ?」

 

「それは……少し考えにくいです。時代も位置も完全に異なるローマと日本を間違えるなんて、余りにも不自然すぎます」

 

 俺に意見するマシュの言う事ももっともだ。いくら人数の少ないカルデアでも、こんな失敗をするとは考え辛い。

 なら、これは一体どういうことなのか? その答えを考える俺の周りに、今回のレイシフトに選抜したサーヴァントたちが近寄って来た。

 

「マスター、ここはローマでは無いですよね? ……これは、一体どういうことなのでしょうか?」

 

 俺と同様の疑問を持ったのはアルトリアだ。騎乗したままだと目立つと思ったのか、ドゥン・スタリオンは消して地に足を付けた状態で他のサーヴァントたちと相談し合っている。

 

「失敗したんじゃないの? カルデアの奴ら、だいぶ疲れてるみたいだったしね」

 

「可能性は無くはありませんが……にしては、私たち全員が揃っていることが不自然です。失敗をしたのなら、全員が別々の場所に散っていてもおかしくないわけですから」

 

 ジャンヌとジャンヌオルタはお互いに意見を述べながら周囲の状況を確認している。一応、人目の点かない場所にはいるが、まったく雰囲気に溶け込めないことに多少の気おくれがあるようだ。

 

「ちょっと待ってよ! ここ、ローマじゃないの!? アタシが来た意味ないじゃない!」

 

「はいはい、ちょっと静かにしろよ。気持ちは分かるが、下手に騒ぐと不味い」

 

 今回のレイシフトに無理を言って参加したエリちゃんとそのお目付け役のロビンはいつも通りのやり取りを繰り広げていた。

 彼女なりに思う所はあるのだろう。ロビンに注意されたエリちゃんは口を噤んだが、ふくれっ面のままだ。

 

 このメンバーにマシュとそこで突っ立っているスパルタクス、そしてオリオンを加えたのが今回の選抜者だ。一応、通信が安定すればサーヴァントたちの行き来は可能らしく、この後で入れ替えがあるかもしれない。

 だが、それをする為にもまずはカルデアとの通信を復旧しなければならないだろう。並行してここが本当に日本なのかを調べることも必要だ。

 

「まずは情報収集ってとこですかね? なら、今回も俺が宝具を使って……」

 

「それに加えて俺も町の人たちに話を聞いて来るよ。ここが日本なら、俺が一番雰囲気に溶け込める」

 

「えっ!? そ、それは危険です! 周囲の状況がわかっていないのに、マスター一人で動いてもらう訳にはいきません!」

 

「大丈夫だよ! いざとなったら令呪で皆を呼ぶからさ!」

 

 心配するマシュにそう言うと、俺は一人で町の中へと歩いて行った。マシュの言う事も分かるが、俺は焦っていたのだ。

 皆がソロモンに捕まって、またこの特異点で待っている。早く皆を助け出したかったし、何かの手違いでレイシフトに失敗したのなら、すぐにでもカルデアに戻りたかった。

 だから多少のリスクを承知で単独行動をしたわけだが……この後、早速俺は後悔することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「答えろ、お前は何者だ?」

 

「え、いや、その~……」

 

「答えろと言っている! 怪しい奴め! お主、まさか外の奴らの回し者か!?」

 

 マシュたちと別れてから数分後、俺は謎の侍たちに囲まれてしまっていた。

 完全に敵対心をむき出しにして俺に詰め寄る彼らの中には、刀の柄に手をかけている者もいる。なんでこうなってしまったかと言うと、俺は自分の服装のことを失念していたからだ。

 

 日本人同士なら怪しまれないだろうと思ったのだが、今の俺が着ているのはカルデアの制服、いわば洋服だ。周りが和服を着ていると言うのに、それで目立たないわけが無い。

 という訳で因縁を付けられ、こうやって囲まれてしまったわけだが……俺は、彼らの台詞の中に気になるフレーズを聞き取っていた。

 

「あの……外の奴らって何ですか?」

 

「お前は質問をする立場ではない! 我々の質問に答える立場だろうが!」

 

 彼らの口にした()()()()と言う言葉に対して質問をした俺だったが、答える必要は無いと一刀両断されてしまった。

 何か気になることであるのは確かだが、彼らに聞いても答えてくれなさそうだ。

 

「答えろ、お前は何者だ? 外の奴らとどういった関りがある?」

 

「え~っと……」

 

 鋭い眼光で睨まれる俺は、この場合の正しい回答について必死に考えていた。

 適当に誤魔化すか、それとも真摯に対応するか……この場の対応について悩んでいる俺だったが、視線の先から一人の男がこちらに向かって来ることを見止めるとその人物へと視線を集中させた。

 

「な、なんだ!? 貴様は何者だ!?」

 

「……そいつは俺の顔見知りだ。怪しい奴じゃねえよ」

 

 こちら側にやって来たその男は、俺を取り囲む男たちに向けて低い声で唸る様にして言った。

 まるで狼の威嚇の様なその声に男たちは多少気圧されたようだが、それでも納得しない者が負けじと刀の柄に手を伸ばして男に挑みかかろうとする。

 しかし、それをすべて理解していると言う様に視線をそちら側に向けた男は、鬼の様に鋭い目を見せながら静かに言った。

 

「それを抜くってことは……命が惜しくないってことだな?」

 

「ううっ!?」

 

 重い、余りにも重い重圧が空気を支配する。視線を向けられていない俺ですら肩に何かが圧し掛かって来ている様な錯覚を感じるのだ、真っ直ぐに眼光を受ける男の感じている重圧は計り知れないだろう。

 微動だにしなくなった侍たちの間をすり抜け、男は俺の腕を掴む。そして、後ろを振り向かないまま俺をその場から連れ出してくれた。

 

「あ、あの……ありがとう、ございます……」

 

「気にすんな。俺もお前に用があったからああしたまでだ」

 

「え? 俺に、用って……?」

 

「……調べてるんだろ? この町に起きている異変をよ」

 

 俺の腕を掴み、前を向いたまま男は言う。そんな男の後ろ姿を眺めたままの俺は、彼に対して一つの質問をした。

 

「もしかして、あなたも何かを調べてるんですか?」

 

「ああ……お前はその手助けになると踏んだ。だから助けた。それだけだ」

 

「な、なるほど……」

 

「……命を助けたんだ、手を貸して貰うぞ。その珍妙な服を着替えたらすぐに聞き込みだ」

 

「は、はい!」

 

 有無を言わさぬ男の迫力につい返事をしてしまった。しかし、決して悪い話では無いだろう。

 この男の素性はわからないが、彼と一緒に居れば先ほどの様に絡まれることも無くなる。情報も集めやすくなるかもしれない。

 俺は取り合えずこの状況を利用することを決めると、男の後ろについて歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 それから更に1時間ほど経った頃、俺たちは集めた情報を整理していた。

 一緒に行動して分かったことだが、この男は聞き込みが下手だ。と言うより、放つ威圧感が周囲の人を遠ざけてしまうのだ。

 俺が居なければ聞き込みなんて出来やしなかっただろう。確かに俺は役にたったなと思いながら、集めた情報を纏め始めた。

 

「……まさか、町全体が神隠しにあったとはな」

 

「なんて言うか、変な話ですね」

 

 一つ一つ、俺は頭の中で集めた情報を繋ぎ合わせて行く。簡潔にまとめるとこうだ。

 

 この町は間違いなく日本の町だ。時代的には江戸時代、俺の予想とぴったり合う。

 だが、この町の外はローマなのだ。ローマと言う世界の中に、江戸時代の町が飛び込んできてしまっているのだ。

 いきなり町の周囲の光景が変わったことを町の人々は自分たちが町ごと神隠しに合ったと噂した。実際、そう判断するほか無かったのだろう。

 だが、彼らにとっての不幸はここからだったのである。

 

 突然現れたこの町に対し、ローマ帝国は攻撃を開始した。ある意味では当然の対応であろう。いきなり出現した町など、不気味でしょうがないのだから。

 数千人ものローマ兵に対し、こちらはせいぜい町が一つか二つ分の人数しかいない。あっという間に町は破壊されつくされると思ったのだが……そうはならなかった。

 

 どこからか現れた魔獣とそれを率いる4人の女性たちがローマ兵を打ち倒したのだ。圧倒的な力で兵を退けた彼女たちだったが、町の人々は彼女たちを英雄としては迎え入れなかった。

 それもそのはずで、彼女たちは町の被害など考えずに戦っていたのだ。家が壊れようと人が傷つこうと関係無し。ただローマ兵を倒すために戦っていたのだ。

 それに……彼女たちは、到底信じられない姿だったらしい。俺が話を聞いた人はこう言っていた。

 

「……ほぼ裸なんだよ。いい歳のべっぴんさんが、全裸に近い光景でいたら興奮するだろう? でもな、そんな気分には全くならねえんだよ。人を斬り殺して、焼き殺して、返り血と砂埃で体を汚すあいつらを見ているとな、化け物としか思えないんだよ……」

 

 彼女たちはほぼ裸で、体の何処か一部分に雌と書かれた漢字が刻まれていたらしい。そして、全員が化け物じみた強さを持っている。

 つまり……その4人は、サーヴァントだ。ソロモンに洗脳されたサーヴァントが、この町に少なくとも4人は居るのだ。

 そしてこの町の外には間違いなく西暦60年代のローマがある。そこにもまだサーヴァントたちがいるだろう。

 

「すいません、色々とありがとうございました! 俺はこれで失礼します!」

 

 俺は急いでマシュたちと合流してこの情報を伝えようとした。男に別れを告げ、この場を離れようとした時だった。

 

「待て……あれ、見てみろ」

 

「え……?」

 

 男に呼び止められた俺が指さされた方向を見ると、そこにはもうもうと黒煙が昇っていた。

 あの下で何かが起きている……男がそう告げたいと理解した俺は、彼と視線を交えた後で頷く。

 

「急ぐぞ! お前にお仲間がいるなら、きっとあそこに向かっているはずだ!」

 

「はいっ!」

 

 風の様に走り出した男の背を追って俺も全力で駆け出す。息を切らせながらも必死に駆ける俺は、あの煙の下に居るであろう仲間たちのことを考えながらただ走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ……は……!?」

 

 ようやく辿り着いた煙の真下で、俺は息を呑んだ。目の前には死屍累々と言うに相応しい数の人間の死体が転がっている。

 装備を見るに、彼らはローマ帝国の兵士なのだろう。無残な姿になった彼らを見た俺は、込み上げて来る吐き気を必死になって押さえつけた。

 

「マスター! ご無事でしたか!」

 

「アルトリア! やっぱりみんなもここに来てたんだ!」

 

 一目散に俺の元へと駆け付けて来たアルトリアと、彼女に続いてこちらに向かって来る仲間たちの姿を見た俺は、ほんの少しだけ表情を綻ばせた。

 だが、明るくなった気分をぶち壊す出来事が、すぐに起きてしまう。

 

「……おや、誰かと思えば……元主どの、ではないですか」

 

「っっ……!?」

 

 淡々と、なんでもない様な口調で俺に向けて声をかけて来る女性。斬り落とした敵兵の首をまるでサッカーのリフティングでもするかの様に蹴り続けている。

 普段の彼女もかなり過激な格好をしていたが、今の姿に比べれば大分ましだなと心の何処かで思いながら、俺は彼女の名前を口にした。

 

「牛若丸……!」

 

「ええ、お久しぶりですね、元主どの。早速で悪いのですが、その首を頂きますね。ソロモン様に喜んで頂きたいのでっ!」

 

「っっ!?」

 

 膝を折り曲げた牛若丸は、次の瞬間には猛スピードで俺目掛けて跳躍していた。逸話にも残る瞬発力と跳躍力を活かしたその突撃をすんでの所でマシュが盾で止める。

 

「おおっと! ……ふむ、やはり簡単にはいきませんか」

 

 自分の突撃を止められた牛若丸は瞬時に反転、元居た場所に向かってバックステップを踏んだ。

 俺はほんの一瞬の間に起きた攻防に冷や汗を流す。気が付けば、牛若丸は先ほどと同じ様にローマ兵の頭をリフティングしていた。

 

「……牛若丸、俺が分かるんだろう? もうやめてくれ! 俺は、お前と戦いたくなんか無いんだ!」

 

「ああ、元主どの……その名前はもう捨てました。私は、牛若丸ではありません」

 

「え……?」

 

 突然意味の分からないことを言い出した牛若丸に対し、俺や皆がその言葉の意味を探ろうと視線を集中させる。

 牛若丸は、その視線を心地良さそうに感じながら四つん這いになると……その場でゆっくりと体を反転させた。

 

「くっ……!?」

 

「どうですか、元主どの? これが今の私の名前です。もう二度と、お間違えの無いようにお願いします」

 

 ふんどし一丁。いや、それよりも酷い姿の牛若丸は、全く隠れていない自分の尻肉を俺たちに見せつける。そこには、大きな文字で『雌犬』と描かれていた。

 かねてより犬の様であった彼女はその文字を大事そうに撫でると、淫らに微笑みながら俺に話しかける。

 

「……もう、英雄であった牛若丸は何処にも存在しません。今の私はソロモン様の忠実なる雌犬……命に従い、股を開き、畜生にも抱かれて感じるただの雌犬なのです」

 

「牛若丸、そんなっ……!?」

 

「……だ~か~ら、牛若丸なんて存在しないと言っているでしょう? 元主どのはソロモン様と違って愚かで物覚えが悪いですねっ!」

 

 苛立ち紛れの言葉を吐き捨てた牛若丸は、リフティングしていたローマ兵の頭を俺目掛けて蹴り飛ばして来た。アルトリアの槍に払われて消え去ったそれを残念そうに見ながら、牛若丸は大声で叫ぶ。

 

「元主どの……ソロモン様に従う雌畜生は私だけではありません。他にもおります。その方々に注意を払わなくてよろしいのですか?」

 

「っっ!!? マスター、私たちの後ろにっ!!」

 

 目の前の牛若丸に注意を惹かれていた俺は、突然叫びながら俺の肩を掴んだジャンヌに引かれて彼女とマシュの後ろに押し込まれた。

 次の瞬間、二人の目の前に雷と炎が舞い、防御の為に繰り出した宝具にぶち当たって消滅する。

 

「炎と、雷……? って、ことは……!」

 

「はい、私たちですよ……嘘つきの元ますたぁ……!」

 

「ソロモン様に逆らうなど……母は貴方の愚かさに涙が禁じえません……」

 

 マシュ、そしてジャンヌの正面に立つ二人の女性。水色と黒の長髪を靡かせる彼女たちの名を俺は知らず知らずのうちに口にしていた。

 

「清姫……! 頼光さん……!」

 

「いいえ、今の私は雌蛇ですよ。ソロモン様に頂いた立派なお名前で呼んでくださいまし」

 

「同じく、雌牛でございます……。古き名で呼ぶのは禁忌ですわよ?」

 

 清姫が舌を伸ばし、頼光さんが乳房を見せつけてそこに刻まれた文字を俺に晒す。

 悪夢としか思えないその光景に茫然とする俺だったが、そこであることを思い出した。

 

「……これはこれは……懐かしい顔が勢ぞろいですね」

 

 全裸に近い姿で戦う女性たちは4人居る……そのことを思い出した俺の耳に聞き覚えのある女性の声が届く。

 ゆっくり、ゆっくりと振り向いた俺は、牛若丸の隣に立つ桜色の髪の女性を目にして苦し気に呻いた。

 

「沖田……さん……!」

 

「いえいえ、雌豚です。次にその名前で呼んだら心臓を一突きしますので、覚悟してくださいね!」

 

 いつもと変わらぬ明るい口調でそう言った彼女の言葉は、ともすれば冗談にも聞こえるだろう。だが、決してそんなことは無いと言う事はわかっていた。

 裸体を血で汚し、狂気を湛えた瞳を見せながら俺たちに笑いかける今の沖田さんは、完全に人斬りとしての彼女になっている。今の彼女が殺すと言えば、それは間違いなく本気の宣言なのだ。

 

「いかがですか、元主どの? 雌犬、雌蛇、雌牛、雌豚とその他もろもろ……我らはソロモン様仕えし忠実なる畜生、人呼んで淫乱組です」

 

「淫乱組の使命は三つ。一つはこの町をローマ帝国の手から守る事、この町を滅ぼさぬようにする事……」

 

「二つ目はソロモン様やその配下の方々の性処理。私たちの様な畜生を抱いて下さる方々には、天上の快楽を与えなくてはなりませんね……♡」

 

「そして三つめは……ここ特異点にやって来るであろうあなたたちを捕らえる。もしくは斬り殺す事! あなたを捕らえれば褒美は望みのまま……! 誰よりも早く、あなたを捕らえた者が勝者なんですよ!」

 

 牛若丸が跳躍の構えを見せ、清姫が扇子を開く。頼光さんと沖田さんも刀を構え、いつでも戦える構えを見せた。

 三方向から迫る爆発的な殺気……それから俺を庇う様にサーヴァントたちが陣形を取り、4人を見据える。

 

「雌犬だかなんだか知らないけど、子犬に手を出そうなんて言い度胸してるじゃない! アタシたちが相手になってやるわよ!」

 

 エリちゃんとロビンが武器を構え、牛若丸と相対する。広範囲攻撃と遠距離支援攻撃が特異な二人なら、牛若丸相手でも十分に戦ってくれるだろう。

 

「蛇ぃ? はっ! そんなちみた炎が通用すると思ってるの? こちとら竜の魔女よ? ……その腐った炎ごと、焼き尽くしてやるわよ!」

 

 情欲の炎VS憎悪の炎……清姫と戦うのはジャンヌオルタだ。

 口ではああ言っているが、彼女は非常に冷静だ。清姫を殺さずに捕らえる方法を模索してくれるだろう。俺はオルタを信じ、次のマッチアップへと視線を移す。

 

「雌牛か、大層な名前だな。では、こちらは雌馬が相手になってやろう。マスターに仇成すつもりなら、この聖槍の錆にしてくれるまでのこと!」

 

 アルトリアは頼光さんとのパワー勝負に挑む様だ。遠近どちらの距離にも対応でき、彼女と力比べが出来るのはアルトリアしかいないだろう。

 間違いなく油断できない相手である頼光さんのことを睨みながら、アルトリアは聖槍を構える。頼光さんもまた微笑みを消してアルトリアのことを睨んでいた。

 

「ふふふ……! これでお相手が決まったと言う訳ですね。では、始めましょうか」

 

 そして最後に沖田さんが刀を構えて俺たちをまっすぐに見つめて来た。彼女に立ち向かうのはスパルタクスだ。

 マシュとジャンヌは俺を守るべく周囲を警戒して俺から離れないでいる。周囲を取り囲む敵に対し、警戒を怠らない構えだ。

 俺はそんな二人に対して一つの頼みごとをした。それは、この戦いに巻き込まれてしまった男性の身を案じてのことだ。

 

「マシュ、ジャンヌ。この人も守ってあげて欲しい。難しくなるのはわかるけど……」

 

「勿論です。もとよりそのつもりでした」

 

「ありがとう! ……すいません、こんなことに巻き込んでしまって申し訳ないんですが、俺たちから離れないで……」

 

「……いや、その必要はねえよ」

 

「え……?」

 

 サーヴァント相手にただの人間が叶うはずも無い。だから、俺は男性を二人に守って貰うつもりだった。

 だが、男性は俺の言葉を無視して沖田さんへと向かって行く。腰に差した刀を抜き、切っ先を彼女に向けた男性は苦々し気な声を出した。

 

「沖田……! てめえに何があったかは知らねえが、そんなふざけた真似をする以上は粛清される覚悟は出来てんだろうなぁ?」

 

「ははっ! 本当に驚きましたよ! まさかあなたまでここに現れるなんてねぇ!」

 

「え? 何? 知り合い……なの!?」

 

 片や親し気に、片や怒気を孕んだ声で会話を続ける二人。まさかこの二人が知り合いであったと言う事に驚く俺に向けて、更なる驚きがもたらされる。

 

『……みんな、聞こえるかい!?』

 

「あ、ドクター!」

 

『良かった! やっと通信がつながった! そしていきなりだけど戦闘中かい!? 周辺の状況を計測するに……敵サーヴァントは5体か!?』

 

「え……? 4体、だけど……」

 

『えっ!? で、でも、君たち以外のサーヴァント反応は確かに5つある! どこかに視認できてないサーヴァントは居ないかい!?』

 

 ドクターの言葉を聞いた俺は今まで一緒に行動していた男性へと視線を向けた。

 もし、この場にもう一人サーヴァントが居るとすればこの男以外ありえないだろう。であるならば、この男性の真名は何なのだろうか?

 そんなもの、考えるまでも無い。沖田さんと知り合いであり、鬼の様な威圧感を放つこの男性の名は、俺の考えが正しければ……

 

「……土方歳三!」

 

「沖田……! 新選組副長として、法度に背いたお前を斬るっっ!」

 

「だからぁ! 私は沖田じゃあないんですって! 本当に、馬鹿の集まりだなぁっ!!!」

 

 鬼の副長……その名に相応しい怒気と重圧を放つ男性、土方歳三は怒りの形相で沖田さんへと駆け出す。沖田さんもまた刀を振るい、それを迎え撃つ。

 元新選組同士の白刃煌く剣劇を見つめながら、俺はまた厳しい戦いが始まったことを肌で感じていたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

外道の行い

 ローマの中にある日本の町。その中で続く俺たちと沖田さんたち淫乱組の戦いは、激しさを増していた。

 新選組一番隊隊長の沖田総司と新選組副長土方歳三の戦いは、刀のぶつかり合う音と火花が舞い散る激戦となっている。俺は、4つの戦い全てに注意を払いつつ未知のサーヴァントである土方歳三の戦いに注目した。

 

 流石は天下に名高い新選組の天才剣士たちと言うべきか、二人の振るう刀は俺では目で追う事がやっとのスピードで振るわれている。相手の繰り出す攻撃を防ぎ、瞬時に攻撃に転じる高度な剣劇を展開しつつも、二人はお互いへの叫びを上げている。

 死した後の再会、久方振りに出会ったかつての仲間に対して何を思うのか? 特に土方歳三にとって、今の沖田さんは見ていられないもののはずだ。

 俺の予想に違わず、土方歳三は怒り狂った表情を浮かべて沖田さんへと雄叫びを上げた。

 

「沖田ぁっ! てめえ、何を考えてそんなふざけた格好してやがる!?」

 

「何って、私はソロモン様に仕える雌豚として相応しい格好をしているだけですよ。あと、何回も言ってますけど私は沖田では無く雌豚です」

 

「雌豚だぁ……!? てめえ、ふざけてんのか!?」

 

「嫌だなあ、ふざけてなんかいませんって! その証拠に、ほら……!」

 

「っっ……!?」

 

 ケタケタと笑いながら後ろへと跳躍した沖田さんは、反転して自分の背中を俺たちへと見せつけた。彼女の後姿を見た俺や土方さんは思わず顔をしかめる。

 大きく背中に描かれた誠の文字。それを掻き消す様に上から塗られた×印が、今の彼女がかつて新選組で背負っていた物を完全に投げ捨てたことを示していた。

 細く、華奢な体を隠すものは殆ど何もない。尻の谷間と秘所を隠す紐の様なふんどしもどきと乳首を隠すニップレスだけだ。

 そして、その格好は沖田さんだけでなく他の皆の体に刻まれた嘲りの文字を周囲にはっきりと見せつけていた。

 

「……ね? もう私にとって、新選組やカルデアのことなんてどうだって良いんです。ソロモン様に喜んでいただいて、豚の様にぶぅぶぅ鳴いて獣と交わっていればそれで良いんですよ。だって、私は雌豚ですからね♡」

 

 狂った笑みと蕩けた瞳、彼女には到底似つかわしくない表情を浮かべながら沖田さんが言う。

 自分の過去と誇り、そして人としての尊厳を喜んで投げ打っている彼女の姿を見た俺は、胸がぐっと苦しくなる感覚を覚えていた。

 

「……そうか、そこまで堕ちたか……。この、大馬鹿野郎が……っ!」

 

 生前の沖田さんを知る土方歳三の慟哭とも取れる叫びが戦場に響く。刀を抜き、彼女目掛けて疾駆した土方歳三は、上段からの切り下ろしを繰り出した。

 

「……ふふっ、忘れてませんか土方さん? あなたは私に勝てたことが無いんですよ!」

 

 小柄な沖田さんを脳天から叩き斬るかと思われたその一撃は何も無い空を切り、地面へと振り下ろされた。

 僅かに横に移動した沖田さんは、居合切りの構えを取って土方さんへと攻撃を繰り出そうとしている。

 

「くっ!?」

 

「お命、頂戴っ!!!」

 

 光速の居合、まさに光の速度で抜き放たれた刀が土方さんへと迫る。この一撃で勝負は着くかと思われたが、二人の間に乱入者が入った。

 

「ぬぅんっ!!」

 

「「なっ!?」」

 

 沖田さんの居合を防ぐ巨大な腕。筋肉を収縮させ、深く食い込んだ刃を食い止めたスパルタクスは、腕から血を垂らしながらも心地良さそうな笑みを見せた。

 

「おお、この痛みこそ反逆の悦び……! さあ、我が反逆を受けるが良い!」

 

「ちっ!」

 

 腕に刀を食い込ませたまま放たれるスパルタクスの一撃。文字通り空気を震わせる勢いで繰り出された剛腕が沖田さんへと迫る。

 刀での防御が不可能と悟った沖田さんは、咄嗟に体を捻ってその一撃を回避した。だが、周囲に起きた衝撃までは殺すことが出来ず、スパルタクスの腕から抜けた刀と共に砂埃を上げて地面を二転三転して行く。

 

「おい! 何割り込んで来てやがんだ!?」

 

「ははっ! この戦いは我が反逆なり! 反逆に割り込みも何も無し! ただ圧制者を砕くまで!」

 

 助けられたと言うのにも関わらず、土方歳三はスパルタクスに対して不満をぶつけている。1対1の決闘を邪魔されたことが腹に据えかねているのだろう。

 が、しかし、スパルタクスにそんな理論は通じない。そもそも話が通じない。バーサーカーに道理を説くことは無意味である良い証拠だ。

 

「……ちっ、まあ良い。あの馬鹿をぶちのめすことが最優先だ。この際、多少の助力は受けてやらあ」

 

「ふはははは! 共に圧制者を打ち倒そうぞ!」

 

 土方さんも話を諦めたのか、スパルタクスとの共同戦線を了承した様だ。素早く強烈な剣舞と強靭さを活かした剛腕が見事な連携を見せ、沖田さんを追い詰めて行く。

 2対1であるこの戦いは圧倒的有利だ。そう判断した俺が他の戦いに注視すると、他の皆も自分の相手に有利な展開を繰り広げていた。

 

「っっ!!! これはっ……!?」

 

「まさか、ここまでの力を持っているとは……?」

 

「予想外、ではありますね……」

 

 ロビンとエリちゃんの連携に押され、ジャンヌオルタの炎に焼かれ、アルトリアの槍に圧され……他の三人は、肩で息をしながら現状を確認している。

 その様子を見る限り、この戦いには十分に勝機がありそうだ。このまま油断しなければ、皆を捕らえることが出来るかもしれない。

 

「……ふむ。では、こう言う時の定石と行きましょうか!」

 

 体を血と砂で汚した牛若丸が息を整えると俺の方向を見る。腰に差した愛刀を掴み、跳躍の構えを取る彼女が次に何をするかなど、俺にだって理解できた。

 

「こう言う時は当然……大将の首、一つを狙うのみ!」

 

「やっぱりそうかっ!!」

 

 予想は出来た。対策も出来ている。マシュの盾で進路を防ぎ、牛若丸の突貫を防ぐだけだ。

 それでも油断はしない。牛若丸は天下に名だたる天才武将だ、どんな方法で俺の首を落とそうとして来るかわからない。

 だから俺は彼女がどんな行動をしても動じないつもりでいた。完璧な対応をする心構えがあった。

 だが……そんな俺の予想を超える出来事が、俺の目の前で起きた。

 

「あ……れ……?」

 

 突然、牛若丸が動きを止めたのだ。顔に張り付いていた狂気の笑みは消え、茫然とした表情になる。

 蕩け、濁っていた彼女の瞳には光が戻った。俺の知る普段の彼女へと戻った牛若丸は、その茫然とした表情のまま周囲を見渡し、最後にマシュとジャンヌに挟まれている俺の姿を見る。

 

「牛若、丸……?」

 

「主、どの……? あ、あ、あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!?」

 

 思わず俺が彼女へとかけた声を聴いた瞬間、牛若丸は顔を蒼白にして叫び始めた。

 苦しみの表情を浮かべて涙を流し、頭を抱えてその場に蹲る。そんな彼女の姿を見れば、ただならぬことが起きていることはすぐに分かった。

 

「牛若丸っ!? もしかして、お前っ!?」

 

「あ、主殿……! わ、私、私は……!? ぐぅっ!!?」

 

 状況に混乱しながらも俺の声に応えようとしてくれた牛若丸は、俺に対して何かを言おうとした。だが、彼女の言葉が紡がれるより早く、彼女の胸の中心から刃が顔を出す。

 

「……あ、るじ、どのぉ……もうし、わけ、あ……」

 

「牛若丸っっ!!!」

 

 目から涙を、口の端から血を流す牛若丸は、俺に対して懺悔の言葉を口にしようとしていた。

 余りにも悲しい彼女の姿に居てもたってもいられなかった俺の目の前で、牛若丸の体が炎に包まれる。轟々と燃え盛る炎が消え去った時、その場には何も残っていなかった。

 

「牛若丸……!? なんで、どうして……?」

 

 俺には理解が出来なかった。何故、牛若丸は本来の意識を取り戻したのだろうか? しかも、こんな戦いの中でだ。

 彼女の身に何が起き、どうなってしまったのか? 当然そのことも気になってはいたが……俺には、それ以上に強く思うことがあった。

 

「……なんで、殺した? 牛若丸は仲間のはずだろ?」

 

「あらあら、敵の心配ですか? 随分と余裕がおありですね」

 

「そちらにとっては得なのですから、良いではありませんか」

 

「ふざけるな……! なんでこんな真似をしたんだよ!? 清姫! 頼光さんっ!」

 

 今しがた、仲間であるはずの牛若丸を屠った二人に対して俺は叫んだ。俺の目の前で、かつての仲間を殺した二人のことが信じられず、とても苦しかった。

 何でこんなことをしたのか? その理由を問いかける俺に対して不敵な笑みを見せた二人は、ソロモンが牛若丸に施したとある仕掛けについて説明を始めた。

 

「簡単なことですわ……雌犬には、ソロモン様からある暗示がかけられておりますの」

 

「暗示、だって……?」

 

「ええ。時間、場所、状況は完全にランダム……本当になんの前触れも無く、愚かなあなたに従っていた時の記憶を思い出すと言う暗示ですわ」

 

「しかも、ソロモン様と過ごした蜜月の日々をすべて覚えた状態で、ですね」

 

「なっ!?」

 

「雌犬は愚かにも元マスターであるあなたに対して忠義を尽くすなどと言っておりました。ですので、心優しいソロモン様はその思いに応えて差し上げたのです」

 

「あなたへの思いを思い出させ、雌犬にかつての主への忠義を思い出させると言う暗示……畜生にも劣る雌犬に対し、なんと寛大な処置をくださるのでしょう! ソロモン様は、慈愛に満ちたお方ですわ!」

 

「……まあ、記憶を取り戻した雌犬は泣いて騒いで大変なのですがね。その度に私たちが処分し、再召喚されると言う訳です」

 

「戻って来た雌犬はかつての自分の愚かさを認識し、改めてソロモン様へと忠誠を誓う……どうです? 素晴らしい施しでしょう?」

 

 こともなげに、二人は牛若丸へ施された鬼畜の所業を告白した。それを聞いた俺の体が、芯から冷えて行く。

 牛若丸は一体、何度ああやって殺されたのだろう? ソロモンに心を弄ばれ、思いを踏みにじられ、そして殺され……何度傀儡へと堕とされたのだろうか?

 悔しかっただろう、辛かっただろう、悲しかっただろう……あんな悲しい表情を何度も浮かべて、その度に殺されて来た牛若丸の心の痛みは、計り知れないものだ。

 

「ふざ……けるな……!」

 

 冷えていた体の中が急激に熱くなる。熱い、なんてものじゃない。まるで炎が燃え盛っているかの様だ。

 目の前の二人は何も悪くない。清姫は本当は仲間思いの良い子だ。頼光さんは牛若丸のことを我が子の様に可愛がっていた。もしも二人が本来の意識を取り戻したならば、この所業を思い出して苦しむことなんて分かり切っている。

 そうだ、二人は何も悪くない。悪いのは全て、彼女たちを変えたソロモンなのだ。

 

「ふざけるな……! ふざけるなよ、ソロモン!」

 

 この場に居ないソロモンに対し、俺は声の限りに叫んだ。悔しさと怒りが止め様も無く体の中に溢れていた。

 大切な仲間の心を踏み躙る奴への怒りを再認識する。牛若丸は……いや、サーヴァントたち全員は、決して奴の玩具では無い。その心を好きにして良いはずが無いのだ。

 皆を犯したことも、洗脳したことも、心を傷つけたことも、何一つ許すつもりはない。だが、今回のこの所業は余りにもひどすぎる。

 

「……なんと言うことでしょう。ソロモン様に対する不敬な物言い……これを許すことは出来ませんわね」

 

「その罪を贖わせることは絶対。ならば、こちらも奥の手を出しましょうか」

 

 牛若丸を手にかけた二人にはそのことを悔やむ様子は全く見られない。それどころか、戦いに向けて意思を漲らせるばかりだ。

 そんな彼女たちが腕を振ると……何処からか、うねうねとした謎の物体が戦場に姿を現したではないか。

 それはかつてサーヴァントたちの霊基を育てる為に倒していた神腕によく似ていた。と言うより、それが何体か集合した物の様に思える。だが、神腕とそれとの大きな違いも確かに存在した。

 両者の違い、それは中心から生える二本の旗だった。それぞれ淫と乱の文字が描かれた巨大な旗がそれの中心から伸びているのだ。

 

「何だ、あれは……!?」

 

「あの旗に何の意味が……!?」

 

 突然現れた意味不明の物体に対して警戒を強めた俺たちは、それを見ながら戦いの相手でもある3人にも注意を払う。

 奥の手と言うからには何か秘密があるのだろう。緊張感を持って戦いに臨む俺たちの前で、清姫と頼光さんが動く。

 

「はぁぁぁぁっっ!!!」

 

「なっ!?」

 

 清姫と頼光さんが放つ炎と雷、それは先ほどよりも格段に威力が上昇していた。

 マシュが盾を構えてなんとかそれを防ぎきるも、いきなり能力が上がった二人の攻撃に驚きは隠せない。そんな俺たちに対して二人は黒い笑みを浮かべると、更に攻撃を仕掛けようとする。

 

「まだまだ、ですわよ……!」

 

「ソロモン様に対する非礼の数々、その命で償いなさい!」

 

「っっ……!」

 

 殺気を漲らせて戦いの構えを取る二人。今の二人を見るに、手加減なんか出来ないことは間違いないだろう。

 こうなればもう全面戦争しかない。全力で戦い、倒すことを目標とするしかないだろう。

 かつての仲間と本気で殺し合うことに躊躇を覚える俺だったが、ここで負けるわけにはいかないと弱る心を必死になって奮い立たせる。そして、大声でマシュたちに指示を出そうとした時だった。

 

「……な~に、やってるんですか? それは、本当にとっておきの手段でしょう?」

 

「……あら? 雌豚は私たちに手柄を取られそうになって焦っているのですか?」

 

「だとしても、私たちの邪魔をするのは止めて頂きたいのですが……」

 

 誰よりも早く、暴走する二人を止めに入ったのは先ほどまで土方歳三とスパルタクスの両名と戦っていた沖田さんだった。愛刀・菊一文字を二人に向け、苛立った表情を見せながら二人を威圧している。

 それを飄々と笑顔で流しながらも、清姫と頼光さんもやや苛立った表情を見せていた。どうやら彼女たちは仲が良くない様だ。共に戦う仲間と言うよりも功を競う相手としてお互いを見ているのだろう。

 

「あ~あ、これは本当に最後まで取っておきたかったんですけどねぇ……考え無しの蛇と牛のせいで台無しですよ」

 

「あらあら、先ほどまで苦戦していた愚鈍な豚が何か言ってますわねぇ?」

 

「どうだって良いのでそこをどいて下さいな。私は、早く帰ってソロモン様に褒めて頂きたいのですから……!」

 

 もはや三人の目に俺たちは映っていない。取りあえず邪魔な女たちを排除する勢いで同士討ちを始めそうな雰囲気だ。

 だが、この状況は俺たちにとってチャンスかもしれない……不意を突いて攻撃出来れば、生け捕りにすることも可能になるかもしれないのだ。

 そんな考えを浮かべた俺はそれを行動に移そうとしたが、それよりも早く大きく伸びをした沖田さんが呆れた様な口調で口を開くとこの場に居る全員に向けて声をかけて来た。

 

「ふぅ……もうしょうがありませんね、ここは仕切り直しましょう。雌犬もまた復活させないといけませんしね」

 

 沖田さんはそう言うが早いがその場から跳躍して近くの家の屋根へと着地した。やや不満げな表情を見せながらも清姫と頼光さんがそれに続く。

 旗を持つ神腕たちもいつの間にか消え去っていた。高い場所から俺たちを見下ろしながら、三人は別れの言葉を口にする。

 

「では、元ますたぁ……近いうちにまたお会いしましょう。その時こそ、あなたのお命を頂戴いたしますわね……!」

 

「反省してももう遅いですよ。母は怒りましたからね」

 

「ふふっ……! 土方さん、元マスター、次はこうは行きませんから、せいぜい遺言状でもしたためておいた方が良いですよ。では、さよなら~!」

 

「ま、まっ……!?」

 

 瞬き一つ、その間に三人の姿は消え去っていた。あっという間の邂逅と戦闘、そして別れに衝撃を受けた心が休める暇も取らず、俺は今の戦闘から得た情報を整理しようとする。

 

「……おい、小僧。お前も沖田の知り合いってことで良いんだな?」

 

「あっ……!」

 

 回らない頭で思考を纏めようとした俺は、自分にかけられた土方歳三の声で我に返った。

 険しい表情を浮かべて俺に話しかける彼に小さく頷くと、軽い舌打ちが返って来る。

 

「ちっ……! あの馬鹿、なんつー格好をしてやがんだ……! おい、お前の知っていることを全部教えろ! 代わりにしばらくの寝場所を用意してやる!」

 

「えっ!? ちょ、ちょっと……!?」

 

「つべこべ言わずについて来い! 今は時間が惜しいんだよ!」

 

「は、はいっ!!」

 

 またしても有無を言わさぬ迫力の前に頷いた俺を引きずる様にして土方歳三はずんずんと道を進んで行く。

 俺は自分について来るサーヴァントたちの姿を見ながら、また戦いが始まったのだと思った。

 

 そう、始まったのだ。長く苦しい戦いが、仲間を取り戻すために敵の本拠地に乗り込むこの戦いが、始まったのだ。

 牛若丸、清姫、頼光さん、そして沖田さん……まずはこの四人を取り戻さなくてはならない。そのための策を練ることが今の課題だ。

 

 ローマの中に存在する日本。ありえない歪みのせいで生まれた二つの国が融合したこの特異点での激戦を予感しながら、俺はただ土方歳三の手で引き摺られ続けたのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

情報整理

 短いです。
 エロないです。
 そして最後に若干の胸糞あるので気を付けて下さい。


 

「……なるほどな、大体の事情は理解した。ソロモンと淫紋令呪……それが今回の問題の肝ってか」

 

「は、はい……そう言う事になるかと……」

 

 沖田さんたち淫乱組との戦いから数刻、俺たちは土方歳三に案内された屋敷の中で現在の状況を整理していた。

 俺たちと土方歳三の持つ情報を交換し、そこから現在の状況を明確にしていく。普段よりも混迷を極めているこの特異点では、情報の整理は必須事項に思えた。

 

「……おい、小僧。わかったこととわからないことを挙げていくぞ。お前も遠慮なく意見しろ」

 

「は、はい!」

 

 向こうから声を掛けられた俺は、思わず背筋を伸ばして大声で返事をしていた。

 妙な緊張感に包まれる中、俺たち全員による情報整理の会が始まる。最初に口を開いたのはカルデアから通信を送っているドクターだった。

 

『まずはこの特異点の状況だ。間違いなくそこは西暦60年のローマであり、その中に江戸時代の日本の町が転移していると考えられる。色々調べてみたが、その転移は本物の町を送り込んだのではなく、模造品をコピー&ペーストした様なものだと考えられるね』

 

「本物ではない……? どういうことですか?」

 

『言葉通りの意味だよ。その町は江戸時代に実際に存在した町をコピーして、このローマに張り付けた様なものだと言う訳さ。だからその町がどうなろうとも日本の本来の歴史には何の関係も無い。だってそれはよくできた模造品なんだからね』

 

「じゃあ、何で沖田さんたちはこの町を守ろうとしてるんだ……?」

 

『これは私の推測だがね。この町が存在し続ければ、ローマの歴史には何らかの異常が出て来ると踏んでいるんじゃないかな? ほら、どんなに小さくとも、人体に未知のウイルスが入ったら何かしらの異変が体に起きるだろう? 今現在、ローマはこの町と言う異物を飲み込んでしまった状態だという訳さ』

 

「それでローマ側はこの町を廃棄しようとしてるってわけか……」

 

『確証はないけどね。でも、ほぼほぼこの考えに間違いはないはずだよ。だが、そうすると理解出来ない部分が出て来る』

 

「……なんでローマ側と協力してこの町を残そうとしないか、だな?」

 

 土方歳三の言葉にダヴィンチちゃんは大きく頷いた。そして、自分の抱える疑問を全員に説明する。

 

『もしもこの考えが正しいのならば、ソロモンたちはこの町を存在させ続けることで人理を崩壊させようとしているわけだ。だが、実際はローマ側と日本のサーヴァントたちが争う事態になっている……これっておかしいと思わないかい?』

 

「確かに……一緒に協力した方が成功しやすいわよね?」

 

「もしかして、ローマにはソロモンの手が伸びていないのでは? フランスでのジルさん同様、今のローマには生きていた頃のネロさんが居るはずですし……」

 

『……その可能性は低いだろうね。マシュの言う通り、この時代のローマの政権を握っているのはネロ・クラウディウスだ。ならばソロモンがその立場を狙わないと思うかな?』

 

「あ……」

 

 ダヴィンチちゃんの指摘を受けたマシュは顔を青くした。確かにこの時代のネロは存命のはずだ。しかし、それが故にソロモンに狙われる立場にある。

 フランスでのジャンヌたちと同じく、彼女の立場を利用すればローマと言う国を簡単に手中に出来るのだ。ソロモンが彼女を狙わないはずがない。

 

『……私の予想が正しければ。本物のネロ・クラウディウスは既に殺害されているはずだ。そして、元々は私たちの仲間であったサーヴァントとしてのネロが彼女の代わりを務めている……つまり、ローマの国は完全にソロモンに掌握されたと言ってもいいだろう』

 

「そんな……ネロさん……!?」

 

 唖然としたマシュの呟きに誰もが顔を俯かせた。死した後の自分が、今を生きている自分自身を殺すなどと言う悲劇が起きた可能性が高いと言う事実に胸が締め付けられる。

 明るく、闊達であったネロはもういない。ソロモンに堕ちてしまったネロが自分自身を殺し、主の命のままに愛したはずの国や民を利用していると言う現状に俺は拳を握り締めた。

 

「……だとしたら、何故ローマ側と日本側で争っているのでしょうか? どちらも協力すべきソロモンの仲間だと言う事に変わりはないでしょうに……」

 

「……遊んでんのかもな」

 

「え?」

 

「もしもお前たちの敵であるソロモンって奴が想像以上に性悪で頭の悪い奴だとしたら、お前たちの仲間を争わせて遊んでるのかもしれねえ。褒美を餌に軍を二つに分け、各々の勝利条件を設定して戦わせる……ローマ側は国を総動員して人理を崩壊させ、日本側はこの町を守り続けることでローマの歴史を狂わせる。そう言う争いをしてる可能性も無くも無いわけだ」

 

「……何? ソロモンの奴、私たちを舐めてるってわけ? フランスでの敗北は、あいつの頭の中から消え失せてるの?」

 

「かもな。だが、決して楽観視できる状況じゃねえ。軍が割れてるってことは付け入る隙もあるが、相手の行動が読みにくくなるってことだ。一つの軍を相手にしてたら、もう一つの軍が予想外の動きをしてただなんて珍しいことじゃねえ」

 

 嘲笑を浮かべたジャンヌオルタだったが、土方歳三の言葉を聞いて表情を引き締まらせた。

 確かに彼の言う通りだ。ソロモンが俺たちを舐めている可能性は高いが、それでも敵の軍力は圧倒的だ。簡単に倒せる相手ではない。

 そして何より、俺たちは二つの軍の共通の敵であり、標的でもあるのだ。いきなり二つの軍勢に攻められればひとたまりも無いだろう。

 

「……この国についての確認はこれで良いだろう。次は、あの雌どもの話だ」

 

 暗い雰囲気が湧いて来たことを察したのか、土方歳三は話題を切り替えて状況をリセットした。次の議題は、沖田さんたち淫乱組のことだ。

 

「分かっていることは、あいつらは基本四人組だ。ローマの奴らとやり合う時は魔獣を引き連れているが……それ以外の時はさっきみたいに好き勝手動いてる」

 

「淫乱組を名乗っていますが、集団としての意識は薄いみたいですね。誰もが自分の手柄を優先している感じでした」

 

「つまりはこの町を守る以外のことはどうだって良いと考えている集団ってわけだ。むろん、そのどうだって良いことには仲間の安否も含まれてるってね」

 

 沖田さん、牛若丸、清姫、頼光さん……変わり切った彼女たちの姿を思い出した俺は、胸をぐっと締め付けられる様な苦しみを感じていた。

 そして、先ほどの戦いの最中に見た牛若丸の姿を思い出し、悔しさと怒りに打ち震える。

 

「牛若丸……っ!」

 

「……牛若丸の奴、厄介な呪いをかけられてたな。逆に言えば、呪いが発動したら保護するチャンスなわけだが……」

 

「忠誠心の深い彼女のことだ、マスターを裏切った自分自身を許せないだろう……いや、それは彼女たち四人全員がそうか……」

 

「記憶を取り戻したところで保護することは難しい。むしろ自分を責めて心を閉ざしてしまう可能性もあると言うわけですか……」

 

 マシュたちの話を耳にしながら、俺は先ほどの牛若丸の姿を思い出していた。

 錯乱し、涙を浮かべ、俺に謝罪の言葉を口にしながら殺された彼女のことを思い出すと心が怒りで激しく震える。残酷な命令を下したソロモンへの怒りと殺意が、俺の心の中を染め上げていった。

 

「もう一つ気になる事があります。あの旗のことです」

 

「あれ、なんなの? 出て来た瞬間から敵の戦力が跳ね上がったわよ」

 

 牛若丸のことを話し合っていた面々に向け、ジャンヌがもう一つの疑問を口にした。

 最後に現れた神腕とそこに突き入れられていた旗。そのことについて話し合い始めた俺たちは、口々に自分の意見を言い合う。

 

「神腕に魔術礼装を装備させた物……じゃないかな?」

 

「ただの神腕にあれだけの効果を持つ礼装を装備させる? 軽く見積もっても倍近く戦闘能力が跳ね上がってたわよ?」

 

「なら、あの旗はソロモンが作り出した魔術道具で、あるだけで味方を強化するとか?」

 

「……なんかそれ、宝具みたいね。仲間の強化とか、白い方のジャンヌの宝具そっくりじゃない」

 

「……ちょっと待て、宝具だと? ……案外、それが正解かもしれねえな」

 

「え? デジマ!?」

 

 完全に思いつきだったと表情で語るエリちゃんを放っておいて、土方歳三が考え込んだ表情で目の前の柱を見る。やがて、腰から刀を引き抜いた彼は適当な高さでそれを振るって柱に傷をつけると、振り返って俺たちに確認を求めた。

 

「……あの神腕の全長、この位だったよな? おい、盾の嬢ちゃん、こっちに来てくれ」

 

「あ、は、はい」

 

「悪いがここで前かがみになってくれ。……そう、そんな感じだ」

 

 言われた通り体を折りたたんだマシュを見た土方歳三は、次いで俺たちに自分で傷つけた柱を指し示して見せた。

 マシュの体の少し上に位置する柱の傷をつつきながら、彼は己の考えを述べる。

 

「……体を折り曲げりゃ、この嬢ちゃん程度の大きさの人間なら神腕たちの中に入る。あれは何体かの神腕が集まって構成されたもんだ。可能性は十分にある」

 

「な、中に誰かが入ってる!? あの神腕たちの中心に、誰かが居るってこと!?」

 

「ああ、中に誰かが居るとしたら、それは恐らく女だ。……女にゃあ、旗を差し込む穴が下半身に二つあるからな」

 

「っっ!?」

 

 驚愕の、だがありえなくも無い可能性を悟った俺たちは目を見開いて土方歳三の姿を見つめた。

 俺たちの視線を浴びながら、彼は今度は俺たちに対して質問を投げかける。

 

「俺のこの考えが正しい場合、中に囚われてるのは()()()()()()()()()だ。お前ら、心当たりはないか?」

 

「う~ん……難しい、ですね……」

 

「旗に関係がある……意味を広く捉えると、該当者が多くなりすぎます……」

 

 ジャンヌの言う通りだった。言葉の定義をどこまで広げるかによって、候補者は多くも少なくもなるのだ。

 例えばだが、旗に関係ある英霊と言われれば真っ先に思い浮かぶのはジャンヌだ。彼女の宝具は旗だし、武器や象徴として扱われることも多い。

 だが、旗と言うのは彼女の様に常に手に持ち続ける物ではない。部下や仲間が自分を象徴するものとして掲げていた可能性だってあるのだ。

 例えば一軍を率いる将軍や王であったサーヴァント。アルトリアの様な存在も、一応自軍の旗を掲げていたと言えるだろう。

 変わったところで言えば海賊だってそうだ。旗を掲げて暴れ回っていた海賊たちも、旗に関わりがあると言えるだろう。

 要するに、候補者が多すぎるのだ。そしてそれを絞り込む手段も無い……あの神腕たちの中に囚われている英霊が誰か、今の俺たちには判断の仕様も無いわけだ。

 

「く、そ……っ!!!」

 

 牛若丸のことを考えていた時に感じていた怒りと苛立ちが再燃する。あの神腕たちの中で、誰かが俺の助けを待っているかもしれないのだ。

 酷い扱いを受けて心身ともにボロボロになっているかもしれない。今まさに霊基が消滅しようとしているかもしれない。そう考えるといてもたってもいられなかった。

 

「……落ち着け、小僧。焦ったって何にもならねえ。着実に歩みを進める為の話し合いで焦りを募らせてどうする」

 

「……わかっています。でも……!」

 

「……おい、お前は少し席を外せ。頭を冷やしてから戻って来い」

 

「……はい」

 

 土方歳三の言葉に従い、俺は大部屋から出て行く。冷静にならなければならないとはわかっているのに、どうしても怒りの感情が湧き上がってしまう。

 助けたい、取り戻したい、大切な仲間を……! だが、その為には多大なる時間をかけなければならないのだ。

 

「くそっ……!」

 

 もう少し、あと少しで手が届く。だが、そのあと僅かな距離にもどかしさを感じた俺は、月明かりに照らされながら苛立ち紛れの独り言を吐き捨てたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……土方歳三、まだ話すことがあるでしょう?」

 

「……聡いな、あんた。それに良い体してる。こんな状況じゃあなければ抱きたい気分だぜ」

 

「悪いがそういう誘いにはのらないことにしている。マスターなら別だがな」

 

 マスターが去った部屋の中では、アルトリアと土方がこんなやり取りを繰り広げていた。一体二人が何を話しているのかわからない面々に対し、面倒臭そうな表情をしたロビンが解説を行う。

 

「……淫乱組の率いてる魔獣は、どこに居るのかって話でしょう?」

 

「どこって、あいつらの本拠地に決まってるじゃない!」

 

「ローマの軍と渡り合えるだけの数を隠せる基地がこの町にあると思うか? もし存在していたとしても、最初に出現したときはどうやって隠したんだ?」

 

「あ……!?」

 

 考えてみれば当然の疑問だ。いかに強力な魔獣であろうと相手出来る人間の数は決まっている。数を武器にする相手には、こちらも数で対抗するしかない。

 ならば、その数をどうやってそろえているのだろうか? ソロモンから大量の魔獣を受け取っているなら、それをどこに隠しているのだろうか?

 土方もアルトリアも、ロビンですらもその答えを察していた。だからこそ、マスターをこの場から遠ざけたのだ。

 

「……苗床が居るな。ほぼ間違いなく」

 

「ええ……延々と魔獣を産み続けている女英霊がこの町の何処かに居ます。それが誰かを断定することは出来ませんが……」

 

「え……? な、なにそれ? ま、魔獣を産み続けてる……? サーヴァントが妊娠なんて出来るの?」

 

「出来る様に霊基を弄られたんだろうさ。まあ、それが一番可能性が高いっすね……」

 

 三人の意見を耳にしたマシュたちはごくりと唾を飲み込んだ。まだこの町には人ならざる扱いを受ける仲間がいる……こんなことが今のマスターの耳に入れば、彼が怒り狂うことは間違いないだろう。だから土方は彼を追い出したのだ。

 

「さて、どうするか……? 何を優先すべきか、それを考えていかねえとな」

 

「ええ、新選組副長であるあなたの頭脳に期待しますよ」

 

 短い会話をした後、二人は神妙な顔をして今後の展望を考え始めた。仲間たちの救出、人理崩壊の阻止……やるべきことは多くあり、自分たちの戦力は心許ない。だが、それでもやるしかないのだ。

 マスターが戻って来るまでの間、サーヴァントたちは出来る限り冷静に自分たちの出来ることを話し合い、情報の整理に務めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗い洞窟の中に獣たちの声が響く。十数体の魔獣の幼体の様子を見て取りながら、沖田は腕の中の女性を地面へと放り投げた。

 

「あぐっ……!」

 

 地面に叩き付けられた女性は短く呻き声を上げて体を震わせた。そのまま力無く倒れ伏す彼女は、自分を取り囲む沖田達に許しを請う。

 

「もう、許してくれ……もう産めない……これ以上は、無理……だ……」

 

「何言ってるんですか、苗床さん。あなたの役目は魔獣を産み落とすことでしょう?」

 

「雌犬を育てる為のお相手も見繕わなければならないのです。あなたに休む暇などありませんわよ?」

 

「そもそも、今のあなたから苗床としての役目を取ったら何が残ると言うのです? すべての力を失ったあなたが、何を成せると言うのですか?」

 

「あ、う……」

 

 容赦のない言葉と共に体を蹴り上げられた彼女は涙を浮かべながら屈辱に呻いた。

 いや、もう屈辱すらも感じることは無かった。彼女の心を支配しているのは、恐怖と絶望だけであった。

 

 ソロモンの元で淫紋令呪を刻まれ、自分がどうしようもなく雌だと言うことを体と心に叩き込まれた彼女は、それから今に至るまで延々と魔獣を産む苗床としての役目を務めて来た。憧れと憎しみを抱えていた父に監督され、自分の持つ魔力をすべて使って魔獣を産んでは殺される日々を送って来た。

 そんな生活を続けていた彼女の体は、淫紋令呪の効果でそれに特化したものへと変えられてしまっていた。孕み、産むこと以外の能力を失った彼女は、もうかつての様に剣を振るって戦うことも出来なくなってしまっていたのだ。

 

「く、うぅ……うぅぅぅぅ……」

 

 もう自分には剣を振るう力は無い。身軽に動き回る俊敏性も、敵の攻撃を耐える耐久力も無い。宝具を使う魔力、神に愛される幸運、自分を強化する数々のスキル……かつて自分が持っていたそれは、もう自分の元には無いのだ。

 今の自分にあるのは人ではない魔獣を孕む為のスキルと孕んだ子を胎の中で早く成長させる為に命を削るスキルだけ……そしてそのスキルもまた、彼女の魔力が弱まると共に効力を弱まらせていた。

 だからここに送り込まれた。父から用済みの烙印を押され、最後の奉公としてここで働くことを命じられた。拒否権など無かった。どうしようもなかった。

 また父に見捨てられた……力も愛も生きる理由も無くした彼女は現実に心折れ、ただの弱々しいサーヴァントとして在り続ける他無かった。

 

「もしも我がままを言い続ける様なら……また、酷い殺し方しちゃいますよ?」

 

「ひぃっ!?」

 

 沖田の脅し文句に体を震わせた彼女は、瞳から涙を零して首を振った。

 以前に受けた凄烈な拷問を思い出し、恐怖に震える彼女の股座からは黄金色の液体が漏れ出している。恐怖のあまり失禁するか弱い苗床、それが今の彼女であった。

 

「次はどんな殺され方をしたいですか? 斬る? 焼く? 痺れる? ……好きなのを選んでいいですよ」

 

「あ、あ、あ……う、産む、産むからぁ……! だから、殺さないでくれ……殺さないでくれよぉ……っ!」

 

 脅しに屈した彼女は涙ながらに土下座をすると沖田達に命乞いをした。無様にもほどがある彼女の姿を笑顔で眺めながら、清姫と頼光が両隣から彼女の体を抱え上げる。

 

「何事も素直が一番です。最初からそうやっていれば、怖い思いをしなくても済んだのですよ?」

 

「では、早速苗床さんには役目を果たして貰いましょう。今回は不足しているキメラ型を子宮で、ラミア型の卵を尻穴で育てて貰いますわね。ノルマは各30体ずつと言うことで」

 

「う、あう、うぅぅぅぅ……」

 

 これから始まる苦しい儀式を思った彼女は涙を流しながら嗚咽した。だが、彼女を助ける者は現れない、現れる訳も無い。

 

「あ、あ……また、なんか……頭の中に……!」

 

 いつからか、彼女の中では苦しみに耐えかねた時にぼんやりとした光景が浮かび上がる様になっていた。

 霧がかかった様な光景だが、なんだか懐かしく落ち着く光景を見ていると恐怖が和らいでいく。しかし、そんな光景も魔獣との性行を前にすれば、あっという間に打ち砕かれてしまうのだ。

 

「だれ、か……」

 

 頭の中で浮かぶ光景には、いつだって一つの笑顔があった。

 どこか頼りなくて、情けなさそうな男の見ていて落ち着く笑顔……その笑顔を浮かべていたのは誰だったかも思い出せないまま、彼女は魔獣に組み伏せられる。

 膣に肉棒を、尻穴に卵管を、出産の為の儀式が始まる寸前、彼女が小さな声で助けを求めて呟いた。

 

「誰か、助けて……!」

 

 誰にも届かない悲痛な叫びを最後に部屋の扉が閉められる。

 獣と性の酷い臭いが充満する部屋の中には、元円卓の騎士、現魔獣の苗床である反逆の騎士、モードレッドの悲鳴にも近い嬌声が響き続けていた。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

笑顔と大義(マシュ)

 途方も無い怒りと悲しみが俺の心を叩く。涼しい夜の風もこの昂ぶりを冷ましてはくれない。

 瞳を閉じれば牛若丸の苦しそうな顔が瞼の裏に浮かぶ。刺し貫かれ、焼き尽くされた彼女のことを思い出した俺は、握り締めた拳を思い切り畳へと叩き付けた。

 

「くそっ! 畜生……っ!」

 

 ソロモンに堕とされた仲間たちの顔が次々と思い浮かぶ。俺がもっと上手く指揮を取れていれば、彼女たちはああならずに済んだのだと言う思いが俺の後悔を誘う。

 もっと俺が優秀であれば皆は苦しまずに済んだ……自分自身とソロモンへの怒りがごちゃまぜになった心は燃え盛る様に熱く、それでいて妙に冷め切ってもいた。

 

 必ず皆を助け出さなければならない。牛若丸だけではない、沖田さんも清姫も頼光さんもだ。ソロモンに捕らえられた皆を俺が助けるのだ。それが俺の出来る唯一の罪滅ぼしなのだから……

 

「……先輩、お時間よろしいでしょうか?」

 

 今夜何度目かわからない床への八つ当たりを繰り返そうと俺が拳を振り上げた瞬間、扉の外からマシュの声が聞こえて来た。どうやら俺に何か用らしい。

 と言うよりも、俺のことを心配して来てくれたのだろうか? よく気が付くマシュのことだ、俺の精神面が不安定だと言う事にもすぐに気が付くだろう。

 

(……いや、違うな)

 

 そう考えた後で俺は頭を振った。今の俺の様子が変だと言うことなど、誰が見たって明らかではないか。こんなに簡単に心を乱すから三流マスターのままなのだ。

 俺は少しでもマシュに安心して貰おうと深呼吸をして必死に冷静になろうと努めた。ほんの少しだけ落ち着いた心を静めさせたまま、顔に笑顔を浮かべて部屋の扉を開ける。

 

「どうかしたの、マシュ? 何かあった?」

 

「いえ、先輩のことが心配だったので様子を伺おうと思いまして」

 

 予想通り、俺のことを心配してくれたマシュに感謝の気持ちを持ちながら、俺は彼女にどう答えるか悩んだ。

 このまま話していればきっとこの心の乱れを誤魔化せなくなる。かと言って、ここでマシュを無下に扱うのも心苦しい。

 一瞬の逡巡を見せた俺は、視線を泳がせてマシュから目を逸らす。対してマシュはまっすぐに俺を見ながら、既にそうすると決めていた様に口を開き、言葉を発した。

 

「部屋にお邪魔させて貰ってもよろしいでしょうか? 少し、お話がしたいんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無理を言ってすいません。でも、どうしてもお話したいことがありまして……」

 

「あ、うん。別に構わないよ。むしろ、心配かけちゃってごめんね」

 

 俺の謝罪の言葉に首を振ったマシュは、そんなことを気にする必要は無いと目で言ってくれた。彼女のその心遣いに喜んだ俺の心が少しだけ軽くなる。

 布団の上で並んで座る俺たちは肩を寄せ合うほどの距離に居た。いつもならこのまま相手を押し倒して魔力供給と行くところだが、今日はそんな雰囲気では無い。

 

 マシュが何を語ろうとしているのかわからない俺は、ただ黙って彼女が口を開くのを待つ。やがてマシュは部屋を包む沈黙の中で口を開くと、俺に対して思い出話を始めた。

 

「先輩、先輩はウルクでの旅のことを覚えていますか? ギルガメッシュ王に召喚された牛若丸さんと一緒に戦ったあの時のことを……」

 

「もちろん、忘れる訳が無いさ。うん、忘れる訳が無い……」

 

 マシュが聞いてきたのは人理修復の旅の中で最後に行われたウルクでの旅の事だった。一番近い旅の記憶を忘れるはずが無いと俺は答える。

 本当に厳しい戦いだったと思う。三女神同盟やティアマトと言った規格外の相手と戦うのは心底骨が折れた。と言うより、何度も死にかけた。

 それでも俺が生きているのは俺に力を貸してくれた皆のお陰だ。そして、その皆の中には牛若丸も含まれている。

 

「……ゴルゴーンとの戦いの中、牛若丸さんは身を挺して私たちを逃がしてくれました……その後、彼女は私たちの敵として立ちはだかることになったわけですが、重要なのはそこではありません」

 

「なら、どこなの?」

 

「……牛若丸さんと別れる寸前、彼女が口にしたことを先輩は覚えていますか?」

 

「………」

 

 マシュの問いかけを受けた俺は口を噤むと記憶の本棚を探った。あの瞬間、彼女が俺に対して言った言葉をそこから探り出す。

 悩む必要は無かった。その言葉は、晴れやかな牛若丸の笑顔と共に俺の心に残っている。俺はその言葉を心の中から見つけ出し、真っ直ぐにマシュの瞳を見つめながら口にした。

 

「笑顔無き者に大義は訪れない……だよね?」

 

「はい……。その言葉には、牛若丸さんの思いが詰まっていると思うんです。苦しくとも、辛くとも、あなたが笑っていられればきっと未来はある……牛若丸さんは、そう言いたかったんだと思います」

 

「はは……難しい注文だなぁ。ほんと、難しいや……」

 

「……それはとても残酷なことなのかもしれません。こんな状況でも笑っていられる人間など、まず存在しないでしょう。しかし……」

 

「わかってるよ、マシュ。それが俺の役目なら、俺はそれをこなすまでさ。そうさ、皆を助ける為に出来ることなら、俺は何だってやってやる……!」

 

 拳を握り締め、俺は台詞と共に覚悟を固める。皆を苦しみから救えるなら、俺はどんなに苦しんだって構わない。

 未熟な俺のせいで苦しむ仲間たちを救うためになんだってしてやると意気込んだ俺だったが……マシュは、そんな俺のことを見て悲しそうな表情を浮かべて来た。

 

「……違います、先輩。そうじゃないんですよ」

 

「え……?」

 

「どんなに残酷で、苦しくって、辛い現実があなたを襲っても……()()()()()()()()()()。私やドクター、ダヴィンチちゃんたちも傍に居ます。あなたを笑顔にしようと一生懸命頑張ります。だから、先輩がすべてを背負う必要なんて無いんです」

 

「でも、俺は……!」

 

「……あなたは十分に重荷を背負っています。人類の未来、皆さんの苦しみ、孤独な戦い……必死になって全てを背負い、戦っているんです。もうこれ以上、あなたが重荷を一人で背負う必要なんて無いんですよ……!」

 

「っっ……!?」

 

 伸びて来たマシュの手が俺の頭を抱える。優しく彼女に抱き寄せられた俺の頭は、彼女の胸の中へと誘われた。

 ふわりとした柔らかさと安心する匂い、そして温かな体温に触れた俺の心は、今までとは別の意味で震えていた。

 

「大丈夫ですから……先輩は一人じゃありません。私が居ます、ドクターも居ます、サーヴァントの皆も、カルデアの職員の皆も居ます……心の底からあなたのことを思う人は沢山居るんです。だから、一人で苦しまないで下さい。そんなことをしていたら、きっとあなたは本当の意味で笑うことは出来ないから……」

 

「マ、シュ……」

 

 俺の視界が滲む。それが涙を流しているせいだと気が付くまで、暫しの時間がかかった。

 弱い俺のことを受け止めて、支えてくれようとしているマシュの優しさに涙が溢れる。ぽろぽろと瞳から涙を零しながら、俺はマシュの体を抱きしめ返した。

 

「……助けたいんだ、皆の事……! 牛若丸たちを、助けたいんだ……!」

 

「はい……。私たちもその思いは一緒です。力を合わせて頑張りましょう!」

 

「出来るかな? 俺なんかに、皆を救うことが出来るかな……?」

 

「先輩は私を助けてくれたじゃないですか。私だけじゃありません。タマモキャットさんも、アルトリアさんも、ジャンヌさんだってそうです。他にもたくさん、先輩に助けて貰ったサーヴァントたちは居るじゃないですか。きっと……いいえ、絶対に出来ますよ」

 

 マシュはまるで母親の様に不安を口にする俺のことを慰めてくれた。温かくて、優しくて、安心する彼女の胸の中で、俺は最後に一番の不安を口にする。

 

「怖いんだ……。苦しんでる皆を見るのが、堪らなく怖いんだよ……! 俺が助けられなくて、一生このままだったらどうしようって思うと怖い。こんな思いをしているサーヴァントが他にも居ると思うと辛い。苦しいんだよ、マシュ……!」

 

 赤子の様にマシュに縋り付き、俺は彼女の胸に顔を埋めた。そんな俺の頭を優しく撫でながら、マシュはそっと語り掛ける。

 

「先輩……あなたは優しい人です。その優しさに惹かれて沢山の英霊たちがあなたに心を寄せる様になりました。その優しさがあれば、きっとソロモンに支配された皆さんももう一度心を開いてくれるはずです。だから、心配しないでください」

 

「マシュ……」

 

「……でも、その優しさは時にこうした苦しみを生みます。もしもあなたが苦しみに押し潰されて身動きが取れないと言うのなら……」

 

 マシュがそっと俺を胸から引き剥がし、僅かな距離を作り上げる。涙でぐしゃぐしゃになった俺の顔を見たマシュは、ふわりと微笑むと顔を近づけて来た。

 

「んっ……♡」

 

 マシュの唇が俺の唇に触れる。ゆっくり、じっくりと唇を重ね、愛情たっぷりのキスを俺に送ってくれる。

 舌を絡ませることの無いフレンチキスであったが、その行為のお陰か、俺の心は少しだけ晴れやかになっていた。

 

「……先輩が苦しんでいると言うのなら、私にもその苦しみを背負わせて下さい。あなたは一人じゃない……そのことを証明する為に、私を傍においてください……」

 

 しゅるりと音を立て、マシュが上着を脱ぐ。そのままシャツのボタンを一つ、二つと外し、前部を露出させる。

 俺の手を取ったマシュは自分の胸にそれを誘い、今度は俺の服を脱がし始めた。温かく柔らかいマシュの胸の感触を感じる俺をよそに、マシュはてきぱきと俺のことを裸にしていく。

 

「少々荒療治ですが、先輩の為です。先輩が私をソロモンの手から救い出してくれたように、今度は私が先輩を苦しみから救ってみせますから」

 

 下着を脱ぎ捨てて全裸になったマシュは、微笑みながらそう言うと俺のパンツにも手を伸ばして来た。自分と同じように俺も裸にしたマシュは、俺の肩を掴みながら後ろの布団へと倒れ込む。

 マシュに引っ張られて彼女の上に覆いかぶさった俺は、首筋に回されたマシュの腕にも引っ張られて強引に唇を奪われた。

 

「ふむっ……♡ ふぅぅっ……♡ ちゅぅ♡ れろっ♡」

 

 先ほどのフレンチキスとは違う舌を絡ませたディープキスに脳が痺れる。唾液を交換し、お互いを求め合う交わりに心が蕩けて行く。

 

「ぷはぁ……♡ ふふ……今の先輩、とっても可愛い顔をしています♡」

 

「マシュこそ、凄く……綺麗だ……!」

 

 電気の無いこの時代の夜の明かりは蝋燭の炎と月明かりだけだ。ぼんやりと闇の中に浮かんだマシュの姿を見た俺は、素直な感想を口にする。

 興奮で赤く色付いた体は、彼女の肌の元々の白さと色を混じらせてピンク色に染まっている。淫靡な微笑みを浮かべる今の表情と相まって、マシュは普段とは違うエロスを醸し出していた。

 膨らんだ胸も、既に湿り気を帯びている秘所も、ほんのわずかしか見えない。だが、それがかえって俺の想像を掻き立て、興奮を募らせていった。

 

「は、く……♡ んむぅ♡ ぷはぁ……♡ 先輩、今日は私に気を遣わず、好きな様にシて下さい……♡ 先輩のしたいこと、私の体で全部シてみて良いですから……♡」

 

 マシュの声を聞きながら、俺は彼女の胸へと顔を埋めた。豊かな膨らみの頂点にあるピンク色の突起に舌を這わせ、口の中に放り込む。そのまま痛くしない様に甘噛みしてやれば、マシュは体をビクンと跳ね上げて快感を俺に示した。

 

「く、ふぁ……♡ いい、です……♡ もっと、好きな様に……♡ ふぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 胸を舌と歯で弄りながら、俺はマシュの弱点であるお尻にも手を伸ばした。少しだけ浮いた腰に後ろから手を伸ばし、緩んでいるお尻の穴に前触れなく人差し指と中指を突っ込む。

 二本の指をすんなりと受け入れたマシュのアナルを責め、ずぼずぼと指を出し入れする俺は、口の中に含んだ乳首に思いっきり吸い付いて激しい刺激をマシュへと与えた。

 

「ひぁぁぁぁっ♡ あっ、あぁっ♡ 頭の後ろが、痺れてっ♡ んあぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 激しく鋭い快感に身を震わせたマシュの膣からは愛液が勢いよく噴射されていた。敏感になった体に追い打ちをかける様に、俺は次の責めを繰り出す。

 マシュの脚を大きく広げさせ、そこに右手を当てる。寝そべるマシュの真横に座した俺は、左手と口でマシュの乳房を一つずつ抱え込んだ。

 

「んはぁぁっ♡ はぁぁっ♡ あぁぁぁぁぁっ♡」

 

 右手の指を敏感な秘所に激しく出し入れすれば、マシュの膣はビクビクと震えながら俺の指に吸い付いて来た。固くなった淫核も時折指ではじいてやれば、膣の振動は全身へと広がってマシュの体が大きく跳ね上がる。

 胸を揉むことだって忘れはしない。勃起した乳首を甘噛みし、指で抓る。強い力を込めて乳を揉めば、柔らかいマシュの乳房はその動きに合わせてぐにゅぐにゅと形を変えていった。

 

 そんな俺の激しい責めに対してマシュは一切の抵抗を見せない。それどころか、俺が自分の体を弄りやすいように体勢を工夫しているくらいだ。

 荒い呼吸を繰り返しながら俺を見つめるマシュの瞳はきらきらと輝いていた。美しいその輝きに魅せられる俺に対し、マシュは優しく囁く。

 

「……もっと激しくしても良いんですよ? 痛くされたって、意地悪されたって、今日は許しちゃいます……♡ だから、先輩の抱えているもの、全部私に曝け出して下さい。背負っているものを取っ払って、楽になって下さいね……♡」

 

 マシュがそう言い終わると同時に膣から潮が噴き出た。絶頂した体を隠すことなく俺へと差し出すマシュは淫らながらも温かな笑みを浮かべている。

 月明かりに映し出される美しい体と相まって、今のマシュはどこか神秘的な雰囲気を醸し出していた。まるで芸術品の様な彼女の体を見ていると、知らず知らずのうちにごくりと唾を飲み込んでいることに気が付く。

 何をしても良いとマシュは言った。しかし、俺はマシュを傷つける様な真似は出来ない。マシュは大切な存在で、大事に扱ってあげたいからだ。

 だが……ほんの少しだけ、我儘な行為をしても良いだろうか? がむしゃらに、何も考えずにこの肉欲に溺れても構わないだろうか?

 

「あ……っ♡」

 

 マシュへの愛撫を止めた俺は、カエルの様に脚を開かせたマシュに上から覆い被さった。そして、そのまま彼女の秘所へと肉棒をあてがう。

 期待に染まったマシュの瞳が色欲に燃え、炎が灯ることを間近で確認しながら……俺は、一息に膣へと肉棒を叩きこんだ。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 膣口を押し広げ、膣壁を引っ掻き、子宮へと亀頭を叩きこむ俺の一撃。強烈な快感に仰け反るマシュの体を抱きしめながら、俺は容赦のない種付けプレスで腰を叩き込み続けた。

 マシュが白目を剥こうと、全身が痙攣しようと、喉が枯れんばかりの嬌声を上げようとその動きを止めはしない。絶頂するマシュの体を徹底的に責め上げる俺は、自分の快楽と心の安定の為だけに彼女を抱いているのだ。

 

「しょ、れでぇ、いいんれすっ♡ きょうは、きょうだけはっ♡ こわいこともふあんなことも、わたしをだいて、だかれているあいだだけは、わしゅれてほしいんれすっ♡」

 

「せんぱいっ♡ やさしくて、あったかいせんぱいっ♡ わたひのだいすきなあなたを、くるしみからときはなってあげたいんれすっ♡ だからぁ、だからぁぁっ♡♡♡」

 

 感じすぎて呂律の回らない舌で叫ぶマシュは、俺のこの行為を肯定してくれた。その温かい優しさに包まれると、心の中の不安が和らいでいくことを感じる。

 俺の肉棒を締め付ける膣は幾度となく絶頂し、痙攣を続けている。終わらない絶頂を繰り返すマシュの表情は、淫らで美しかった。

 涙を流し、それでも俺を真っ直ぐに見つめてくれるマシュ。そんな彼女を見ている俺の中に獣の様な獰猛さが宿る。

 上から押し潰す様に腰を叩き込みながら抱き寄せたマシュの唇を強引に奪った俺は、彼女の上と下の口を同時に穿って責める。

 

「んぉぉぉっ♡ はほぉぉぉっ♡ はっ♡ ふぁぁぁぁっ♡ あはぁぁぁっ♡♡♡」

 

 上下の穴を責められるマシュは狂った様な叫びを上げて体を震わせていた。これ以上は本当にマシュが壊れてしまうかもしれないと危惧した俺は、一度彼女を開放すべく体を引き離そうとする。

 しかし、彼女のことを思って行われたその行動は、他ならぬ彼女自身の手によって止められてしまった。腕と脚で俺の体に絡みつき、決して離れない様にするマシュは目で俺に語り掛ける。

 私のことは気にせず、最後までして欲しい……マシュの目は、そう語っていた。心の奥底から俺を受け止めようとしてくれるマシュの思いを悟った俺は、その思いに応えるべく動きを再開する。

 

「あぁぁぁっ♡ はぁぁぁぁぁっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 遠慮のない、本気のピストン。容赦のない、全力の責め。俺の本気を受け止めるマシュは、体をがくがくと痙攣させて絶頂しながらも俺の体に抱き着いている。

 力強い抱擁、確かな温もり、俺を受け止めようと言う覚悟……マシュの思いを受け止める俺の心の中には、彼女への愛しさが溢れかえっていた。

 

「マ、シュ……! マシュ……っ!」

 

 こんな駄目な俺のことを想ってくれる女性。優しくて暖かい大切な人……愛する人が傍に居てくれると言う確かな感覚が、俺の中の不安を消し去ってくれる。

 自分への、ソロモンへの怒りが完全に消えたわけでは無い。でも、怒りだけで戦ったとしても誰も笑顔になってくれない……俺の大切な人を笑顔にするためにも、俺は心の底から笑える様にならなければならない。

 今日、マシュのことを乱暴に扱ってしまった分、明日からは沢山優しく扱おう。俺のせいで苦しんでいる皆は、絶対に取り返した後で大切に扱ってあげよう。

 俺はソロモンとは違う。一人じゃないし、皆への愛がある。大切な皆のことを想って、優しく出来る心があるはずだ。

 

「……マシュ、ありがとう。凄く楽になったよ」

 

「あ、は……♡ 先輩のお力になれたなら、私は幸せです……♡」

 

 満足そうに笑うマシュの体を容赦なく、しかし優しく責める。マシュの弱い場所は全部知ってる。そこを強く、されど丁寧に責め上げてやる。

 力任せのピストンから、技巧と力強さを併せ持つ責めへとシフトした俺の動きにマシュは酔いしれ、甘い声を漏らして感じ続けていた。

 

「あっ♡ ああっ♡ 子宮が、潰されっ♡ 先輩のおちんぽに、子宮がキスしてますっ♡ あっついザーメン欲しいって、おねだりしちゃってますぅっ♡」

 

「うんっ! 俺も、そろそろ……っっ!」

 

「あっ、あっ、あぁっ♡ 私の膣で先輩のおちんぽが固くなってる……♡ 射精()すんですねっ♡ 沢山射精してくれるんですねっ♡」

 

 悦びと期待に満ち溢れたマシュの声を聞きながら、俺は子宮口へと一心不乱に亀頭を叩き込み続けた。マシュの言う通り、一突き毎に子宮口が俺の亀頭に吸い付き、キスをする様に射精を強請っていることがわかる。

 ぷしゅぷしゅと漏れる愛液が布団を濡らし、卑猥な水音が部屋の中に響き渡る。汗だくで体を重ね合わせる俺たちは、互いに限界を迎えて大声で叫び合った。

 

「くあぁぁぁぁっっ! で、射精()るっ!!!」

 

「はひゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ あ、熱いのがぁっ♡ 私の膣に注がれ……ふぅんっ♡」

 

 思い切り奥まで肉棒をねじ込み、子宮を押し潰しながらの射精は最高の快感を俺に与えてくれた。マシュの子袋に己の精を流し込む感覚に背筋がぞくりと震え、支配感が全身を包む。

 マシュもまた俺のことをきつく抱きしめながら、体の奥に注がれる精液の感覚に酔っているようだ。舌をだらしなく放り出して喘ぐ今の彼女の姿は、無様でありながら非常に美しかった。

 

「……マシュ、あのさ……」

 

「……はい、わかってます。先輩のおちんぽ、まだまだ満足してないですよね? もっともっと、私にぶちまけたい思いがあるんですよね?」

 

 マシュの言葉に頷いた俺は、彼女を抱きかかえると対面座位の体位になってキスをした。

 唾液を循環し合う濃厚な口付けの後、マシュは俺を押し倒すと淫靡に笑う。そして、俺の乳首を舐めてから口を開いた。

 

「……今度は私が動きますね♡ 先輩は寝っ転がって、私が腰を振る姿を見ていて下さい。それで、射精()したくなったら、遠慮せずに全部射精して下さいね……♡」

 

「うん……わかったよ……」

 

「はい……♡ それじゃあ、動きますね……♡ ふぅんっ♡♡」

 

 宣言の後、マシュは間髪入れずに腰を振り始めた。思い切り腰を持ち上げ、俺の肉棒がぎりぎり抜けないくらいまでの所まで行った後、すごい勢いで腰を下ろすのだ。

 最初から全力の腰振り、俺を感じさせるための動きをするマシュの姿は淫らさに溢れていた。大きな胸はたわわに揺れ、感じている表情を隠すことなく曝け出しながら腰を跳ね上げている。

 

「せんぱいっ♡ せんぱいっ♡ せんぱいっ……♡」

 

 きゅうきゅうと締め付けて来る膣の感触を感じながら、俺は美しいマシュの姿を見た。月明かりに照らされる女神の様なマシュの姿は、神々しく思えるほどだ。

 

(ありがとう、マシュ……)

 

 優しい彼女の愛を受けられる悦びと、自分の思いを受け止めて貰える幸せを感じた俺は、マシュへの感謝の思いを胸にそっと瞳を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……見つけたぜ。まさかこんな所にあったたぁな」

 

 暗い闇の中、緑衣のアーチャーが小さく呟いた。宝具で姿を、己の技術で気配を完全に消した彼は、闇の中の一点を見つめながら再び呟く。

 

「魔獣たちを隠せるスペース、何かあったらすぐに行動できる立地、ついでに隠れ家としての機能……確かに全部兼ね揃えてるな、これは」

 

 地面を見つめてから跳躍、近くの民家の上に飛び移る。この場所を見つけ出せたのは素直に幸運だったと思いながら、彼は自身の本拠地へと向かって動いた。

 

「……姿形は隠せても、獣臭さは隠せなかったってわけだ。もしかしたら、あいつらが獣の中に居過ぎたせいでそのことに気が付かなかったのかもねぇ」

 

 己の考察を重ねながら彼は跳ぶ。なんにせよ、この情報はグッドニュースだ。一刻も早くマスターや土方に伝え、作戦を練るべきだろう。

 戦いの鉄則、それは迅速な行動に限る。攻撃も早ければ早いほど相手は対応しにくくなる。奇襲を得意としていた彼には、そのことはよくわかっていた。

 

「この後、ローマの奴らとも戦わなくちゃならねえんだ。あんま手こずるのだけは勘弁ってね」

 

 フードの下で小さな笑みを見せながら、ロビンフッドは新たな仲間を解放する足掛かりを見つけたことに満足げな思いを抱えたのであった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

突入作戦

エロ無いよ! 短いよ! 反撃開始だよ!


「……ちったあマシな顔になったな、小僧」

 

 屋敷の中で一番広い部屋に入った俺を見た土方さんは、ニヤリと笑いながら開口一番にそう告げて来た。

 その笑みには俺の横に居るマシュと俺との関係を推察した結果も含まれていたりして、彼の揶揄うような視線に俺たちは同じように顔を赤らめてしまった。

 

「まあ、座れ。今はお前が頭を冷やしたことが分かれば十分だ」

 

「は、はい」

 

 土方さんに促された俺はマシュと隣り合った席に座る。上座に座る土方さんはこの場に居る全員が自分に注目していることを確認すると、おもむろに口を開いた。

 

「……お前の所の斥候が沖田達の隠れ家を見つけた。準備が整い次第突入し、奴らを討ち取る!」

 

「えっ!? それって本当!?」

 

「本当ですよ。まあ、驚くのも無理ないでしょうけどねぇ」

 

 驚きの声を上げた俺に対し、ロビンが涼しい顔で土方さんの言葉を肯定する。頼りになるサーヴァントに信頼の眼差しを送れば、照れ屋の彼はフードを深めに被って黙ってしまった。

 

「……それで、敵の本拠地ってどこなの? この町の中にはそれっぽいものは無かったと思うんだけど……」

 

「……地下だ。地下にある洞窟を改造して、アリの巣みたいな隠れ家を作ってやがったんだよ。そりゃわからねえわけだ」

 

「ち、地下ぁっ!? な、なに? アタシたち、地下にある牢獄みたいな所に行くの? ちょ、ちょっと気が向かないんだけど……」

 

「はいはい、気持ちは分かるけど我慢してくれよ~。なんせ今回の作戦の肝はお嬢なんだからな」

 

「え? アタシ!? アタシになにやらせるつもりなの?! 怖いの嫌なんだけど!」

 

「そう難しいことはやらせねえよ。お嬢はいつも通りにやってくれりゃあ大丈夫だ」

 

「うわ、なんか不安……」

 

 真面目な話から何故か漫才の様なやり取りを繰り広げるロビンとエリちゃんを見ながら、俺は地下にある秘密基地の有用性について考えを巡らせていた。

 確かに地下ならばスペースは無限だ。どんなに広く作っても、地上に影響を出さない限りは見つかる可能性は低い。

 加えて地上への出入り口を巧妙に、かつ多く作れば地上への進攻も容易だろう。少数の部隊で隠れるにはうってつけの場所なわけだ。

 

「……だが、隠れ家ってのは一度場所が露見すると途端に脆くなるもんだ。逃げ隠れの手段は考えてあるんだろうが、捕虜を奪い返すことくらいは出来るだろう」

 

「そうですね。問題は敵の本拠地の内部構造がわからない事ですけど……」

 

「敵の戦力が多くない以上、そこは大丈夫だ。サーヴァント4人を同程度の人数で抑えたとして、お前の護衛をしながら内部を探索する余裕はある。問題は、その組み分けだ」

 

「……そこが俺の役目、ってことですね?」

 

 俺の問いかけを受けた土方さんが大きく頷く。どうやら、作戦の最終的な動きは俺が決めることになっているらしい。

 

「……冷静になった頭でしっかり考えろ。お前の作戦一つで助かる奴らの数が決まる。全員助けたきゃ、死ぬ気で知恵を絞りやがれ!」

 

「言われなくてもそうしますよ!」

 

 叫ぶ様に俺に言葉をかけた土方さんに同じ様に叫び声を返す。俺の威勢のいい返事に満足したのか、土方さんはもう一度ニヤリと笑うと手元に置いてあったものを投げ寄越して来た。

 

「おら、受け取れ。んで、作戦の時にはそれを羽織ってろ」

 

「え? これって……」

 

 俺は今、自分に渡された物をまじまじと見つめる。

 テレビの時代劇や漫画で何度も見た浅葱色の羽織。新選組の隊服であるそれを見つめる俺に土方さんが険しい視線を向けながら語り掛ける。

 

「ここがローマだろうが、時代が違おうが関係ない。俺が戦う以上、それは新選組の戦いだ! ……俺と共に戦うなら、お前もその覚悟を俺に見せてみろ!」

 

「……うっす!」

 

 敬礼の構えを取り、渡された羽織を身に纏う。パリッとした新品の羽織に袖を通せば、なんだか身も心も引き締まる気分になった。

 

「……人員の振り分けは決まったか? まだなら本拠地に向かいながら考えろ! 今は一秒が惜しい!」

 

「とっくに終わってますよ! 振り分けに関しては、動きながら説明します!」

 

 俺の返事を聞いた土方さんが立ち上がる。それに続いて俺たちも腰を上げ、戦いに出る準備を整える。

 すべての支度が終わったことを確認した後、土方さんは目を見開いて屯所中に響くような大声で叫んだ。

 

「新選組……出るぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、う……あぅぅ……」

 

「……そろそろこれも限界ですかね? お役御免、って所でしょうか?」

 

「そうですねえ……。そろそろ、苗床としての役目も果たせなくなって来た頃でしょうしねぇ」

 

「では、殺してソロモン様の所に送り返しましょう。そして、()()から()便()()へとクラスチェンジですね」

 

「あ、あ……! い、やだぁ……! やめてくれぇ……っ!」

 

「はいはい、黙りなさいね。どんな形であれ、ソロモン様のお役に立てることを喜ぶべきでしょうに、このなえど……便器は、我儘を言って……!」

 

「やだぁ……! そんなの嫌だぁ……!」

 

 激しい凌辱による種付けからの出産までをほんの数時間でこなしたモードレッドは、体力の残っていない体で必死になってもがいて自分を取り囲むサーヴァントたちに抵抗をして見せた。しかし、彼女のそんな抵抗などまるで意味をなさず、すぐに頼光に体を踏みつけられて身動きを封じられてしまう。

 この後に自分を待つ運命を予見したモードレッドは、恐怖に震え歯をカチカチと鳴らしながら無様な命乞いを始めた。

 

「助けて……! オレ、頑張って苗床になるから! だから殺さないでくれよ! 便所になんかなりたくねえよ!」

 

 モードレッドは知っていた。一見苗床として酷い扱いを受けている様に見える自分だが、それよりも下の階級が存在していることを……。

 女英霊に与えられる役目の中で最も底辺に属する地位、それが便所だ。便女、肉便器、クズなど、様々な呼び方が存在しているが、役目は一律で同じである。

 便所の役目、それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことだ。相手、プレイ内容、自身の安全などは一切問われない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()便()()()()()()()

 基本的に便所の役目を与えられるのは、()()()()()()()()()()()だ。故に、彼女たちに存在意義などありはしない。ソロモンの役にも立てないのだから、休みだって存在しない。便所に任命されたその時から、ただ体を貪られ続けるだけの存在になるのだ。

 

「助けて……助けてぇ……!」

 

 モードレッドは涙を流しながら懇願を続けた。死ぬほど苦しい凌辱や出産の痛みも、便所になる事に比べたら遥かにましだ。便所には、一切の自由も与えられないのだから。

 誰かが望めば、意味のない出産をすることになる。獣や魔獣ならまだ良い。実験材料として子宮を使われ、生き物とも形容しがたい未知の生物を産むことだってあり得るのだから。

 便所になった英霊が五体満足で居られることなど決してありえない。せいぜい、死んだ後の再召喚時のほんの一時間位のものだ。それも男たちの興味が薄れればなくなってしまう。

 五体満足で、出産後にはしっかりと休養を与えて貰え、魔力供給もある程度は行われる苗床は、便所に比べれば天国の様な物なのだ。

 

「うふふ……! ダメに決まっているでしょう? あなたには、もう何も出来ないのですからね……!」

 

「あ、あぁ……! そん、なぁ……っ!?」

 

 だが、モードレッドの懇願を笑いながら切り捨てた頼光は、彼女の体を踏む力を強めてぐりぐりとモードレッドをその心ごと踏み躙った。

 体の痛みと心の絶望に打ちひしがれる彼女に対し、頼光はモードレッドが辿るであろう残酷な未来を予言する。

 

「苗床として進化を遂げたあなたには、もう戦う力は無い……こんなにも体が柔らかく、そして弱くなってしまったのです。苗床になれないのなら、せめて殿方にこの身を捧げるしかないではありませんか」

 

「嫌だ! 嫌だっ! オレは、便所になんか……あひぃっ!?」

 

「……この痴れ者めっ! ソロモン様のお役に立つことを拒否するなど、なんと罪深いことを……! 今までの功績を踏まえて楽に殺して差し上げようと思っていましたが……あなたには、徹底的な仕置きが必要の様ですね!」

 

「ひっ!」

 

 鬼の様な殺気を放つ頼光に圧されたモードレッドは短い悲鳴を上げて体を縮こませた。そんな彼女を二体の牛男がホールドし、体を持ち上げる。

 牛男によって脚を開かされ、性器を露出させたモードレッドに対し、頼光は愛刀の切っ先と鋭い視線を向けた。

 

「な、なにを……!?」

 

「……今からあなたの性器にこの刀を突き刺し、子宮を貫いて差し上げましょう。その上で我が雷によって体を内部から焼き焦がされる痛みを感じなさい!」

 

「ひ、あ……? そんなぁっ!? そんなの、嫌だぁぁぁっ!!!」

 

「お黙りなさい! 己の愚かさを恥じる良い機会です! 存分に苦しんでお逝きなさい!」

 

 頼光が雷を放つ刀を構える。彼女が刀を突きだせば、残虐な処刑がすぐに執行されるだろう。

 泣きじゃくり、必死に暴れながら、モードレッドは助けを求めた。刀が突き刺さればすべて終わりだ。自分はもう、苗床以下の便器に成り下がるしかなくなってしまう。

 誇りも尊厳もなにも無かった。ただひたすらに終わらない凌辱を受けることが怖かった。喉が裂けても構わないと言わんばかりに泣き叫ぶモードレッドは、必死になって助けを呼び続ける。

 

「嫌だぁぁっ! 死にたくない! 便所になんかなりたくないっ! 父上ぇ……誰か……誰か助けてくれよぉぉっっ!!」

 

 騎士としての風格など微塵も感じさせないその姿、無様にもほどがある懇願を続けながら、モードレッドは手足をじたばたと動かして暴れる。もはや彼女には拘束を振り払う力などなかったが、それでも暴れ回る彼女の動きに対して頼光が顔をしかめさせたのは確かだ。

 ほんの数十秒、それがモードレッドの稼げた時間であった。ほどなくして本気を出した雄牛たちの手で押さえつけられた彼女は、今度こそ頼光の手で処刑されようとしていた。

 

「あ、あぁ……! たす、け……」

 

「ふふふ……! 最後の最後に良い見世物が見れました。では、お別れですね」

 

 頼光はモードレッドの無様な抵抗を嗤った。そして、この後彼女が辿るであろうより無様な運命を想い、黒い微笑みを浮かべる。

 しかし……頼光は、モードレッドの稼いだそのほんの数十秒が彼女の運命を分けたことをこのすぐ後に知る事になる。

 

―――ズガァァァァンッ!!!

 

「っっ!? な、何事ですか!?」

 

「落盤……? いえ、この洞穴はそんな柔な作りはしていません。ならば……」

 

「敵襲!!!」

 

 自身たちの隠れ家に響いた大きな物音から非常事態を悟った三人の行動は素早かった。音のした方向に向けて駆け出し、瞬時に戦いへと思考を切り替える。

 彼女たちが去った後の部屋には、雄牛に拘束されるモードレッドだけが残っていた。優先事項から自分の処刑が滑り落ちたことを幸運に思う彼女だったが、体力の尽きた体を雄牛たちに組み伏せられたことに表情を強張らせた。

 

「や、やめっ……」

 

「ブモォォォォッ!!!」

 

 どうやら彼らは興奮している様だ。このままモードレッドを犯すつもりらしい。

 凌辱と出産で疲れ果てた体を彼らに蹂躙されてはそれこそ死にかねない。しかし、もはやモードレッドには雄牛たちに抗う力は残っていなかった。

 

「くっ、そぉ……! なんで、こんなに弱く……!?」

 

 一頭目の雄牛に組み伏せられ、何の抵抗も出来ない事に涙が溢れる。また苦しい輪姦が始まるのだと覚悟を決めた彼女の頬に生暖かいものが飛び散った。

 

「え……?」

 

 頬についた鉄の錆の様な臭いを放つ液体。それが血であると気が付いたモードレッドの体にかかる圧力が弱くなる。自分のどさりと圧し掛かって来た雄牛の体からは、生気が消えていた。

 

「ゴ、オ……?」

 

「ひっ……!」

 

 続けて二頭目の雄牛が静かな断末魔の声を上げた。頭部が潰れ、グロテスクな姿に変わったモードレッドもまた小さな悲鳴を上げる。

 一体何が起きているのか? そのことを理解できないでいた彼女の上に圧し掛かっていた雄牛の体が浮き上がった。そして、その雄牛を持ち上げている灰色の巨人の姿を見て、驚きに目を見開いた。

 

「おまえ、は……?」

 

「おお、哀れなる奴隷よ。解放の時は来たれり! その鎖を引き千切り、真の自由の元へと邁進するのだ!」

 

 見覚えのあるその男の口から放たれたのは、やはり聞き覚えのある彼の声と台詞であった。

 自分を助けてくれたスパルタクスの姿に驚くモードレッドだったが、上機嫌に笑う彼の体の陰から出て来た人物の姿を見て更に驚きの表情を見せる。

 

「ま、マスター!? なんでここに……?」

 

「何でって、勿論助けに来たんだよ。モードレッドが捕まってただなんて知らなかったけど、運が良かった!」

 

「助けに……? オレのことを……?」

 

「……ごめん、モードレッド。今は時間が無いんだ。出来れば教えて欲しいことがある」

 

 全裸の汚れた姿をマスターに見られていることを恥じるモードレッドだったが、そんな彼の真剣な眼差しを受けて一度その恥の感情を押し殺すことに決めた。そして、彼の問いかけをじっと待つ。

 やがて口を開いた彼は、モードレッドが知っているある情報を求めて来た。

 

「……あの旗がある場所を知りたい。知っていたら、教えてくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここだぜ、マスター」

 

「ありがとう、モードレッド」

 

 疲れ果てたモードレッドに肩を貸し、彼女の導かれるままに移動したマスターは、あの旗が刺さった神腕のある部屋に辿り着いた。

 部屋の中心に鎮座する神腕に険しい視線を送るマスターの横顔を見たモードレッドは今の自分の状況を思い、立場が逆転している事に悔しさを滲ませる。

 

「……悪い、マスター。オレ、サーヴァントなのにこんな有様で……」

 

「そんなことを気にする必要は無いよ。謝るなら俺の方さ、未熟な指揮のせいで皆をこんな目に遭わせてしまったんだからね」

 

 苦し気に、しかし強い決意を見せながらそう言った彼の横顔を見たモードレッドは、こんな状況でも意思を貫ける彼の強さに素直に尊敬の思いを抱く。しかし、すぐにその思いは暗い感情に塗り潰された。

 

(……もしかして、こうならざるを得なかったのかもな。オレたちのせいで……)

 

 絶対的絶望の状況の中、心を折れぬ様にする為に強くなるしかなかった。こうやって真っ直ぐな眼差しで前を見る彼の今の姿は、自分たちが弱かったが故に出来上がったものだ。

 そのことに気が付いたモードレッドは悔しさを感じ、同時に彼の瞳の中にはもう自分の姿は無いのではないかと不安になる。使い魔であるというのに逆に支えられている立場になった彼女は、唇を噛みしめてその悔しさに耐えた。

 

「……スパルタクス、皆が時間を稼いでいる間に仕事を済ませよう。お願い出来るかな」

 

「了解した、マスター。再び圧制者に苦しめられる少女を解放しようではないか!」

 

 マスターの指示に従ったスパルタクスは部屋の中央に鎮座する神腕目掛けて大股で近づくと、それを無遠慮に真っ二つに引き裂いた。再生しようともがくそれを更に掴み、次々と分解していく。

 スパルタクスの剛腕によって哀れな肉片となって行く神腕。その中からは、人の肌と思われる薄い肌色の物体が見え隠れしていた。

 

「ぬぅんっ!!!」

 

 今、スパルタクスが気合の叫びと共に最後の神腕を引き裂いた。残っていた肉片がすべて消え、神腕の中に隠されていた女性が姿を現す。

 土方歳三の予想通り、下半身の二つの穴に太い旗の柄を挿入された状態になっているその女性の姿を見た時、モードレッドとマスターは不快感と怒りに顔をしかめた。

 

「あいつ、は……」

 

 モードレッドはただ茫然と呟きを発することしか出来なかった。スパルタクスの手で旗を引き抜かれた彼女の体は、彼に軽々と持ち運ばれてしまうほどに軽く小さい。いや……幼いと言った方が正しいだろう。

 銀色の髪と白い肌、まだ子供としか思えない未発達な体付き……その特徴を併せ持つ新参者のことを思い浮かべた瞬間、モードレッドの隣に居たマスターの雰囲気が変わった。

 

「あ、の……外道め……っっ!!!」

 

 ひしひしと伝わるマスターの怒り、普段の穏やかで優しい彼の雰囲気とはまるで別人の様なその姿に驚愕を隠せないモードレッドだったが、彼のその感情は痛いほどに理解できた。

 道具としての扱いを受けた彼女は幼かった。文字通り、生まれたばかりの存在だった。まだ子供だった。そんな彼女をも利用し、体と心を踏み躙るソロモンに対して、怒りの感情を持たない方がおかしいだろう。

 淫紋令呪が刻まれていなければ自分もまた怒り狂っていたかもしれない……そんな考えを浮かべたモードレッドと共に一歩前に踏み出したマスターは、スパルタクスの腕の中で空ろな瞳をしている少女へと声をかける。

 

「……もう、大丈夫だから……! もう、君を辛い目に遭わせたりなんかしないから……!」

 

「……ぁ」

 

 幼い彼女の双眸がマスターを映す。信じられないと言った表情を浮かべた彼女は、それが現実なのかどうかはっきりと理解しないまま、いつもの呼び方で彼のことを呼んだ。

 

「トナ、カイ……さん……? 本物、ですか……?」

 

「ああ、そうだよ……! 君を助けに来たんだ。こんな悪夢から、君を連れ出しに来たんだよ、リリィ……!」

 

「ぁ……ぅ……ぁぁ……」

 

 優しく、そして力強い彼の声を耳にした幼き聖女……ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィは、じわりと大きな瞳から涙を零した。大好きな彼が自分を助けに来てくれたことを心の底から喜ぶ彼女であったが、その安心感が仇となり緊張感が途切れたのか、瞳を閉じると気を失ってしまった。

 

「っっ!? リリィ!!?」 

 

「……安心せよ、マスター。少女の命の鼓動は確かにある。ただ気を失ったに過ぎない」

 

「そっか……! よし、これで作戦目標は達成した。急いで脱出しよう!」

 

「あ、ああ……。でもマスター、そんなに急いでどうしたんだ? 気持ちは分かるが、他の奴らと合流してからの方が安全……」

 

「あ~……そうも言ってられないんだよ。あんまりのんびりしてると、地獄のコンサートが始まるからさ……」

 

「へ……?」

 

 一体彼は何を言っているのか? 彼の口にした言葉の意味が理解出来ないでいたモードレッドだったが、その数拍後に痛いほどその意味を理解することになる。

 

―――Ahhhhhh……!!!

 

「どわぁぁっ!? な、なんだよこの声はぁっ!?」

 

「だから言ったでしょ? 地獄のコンサートだって! 逃げ場無し、反響性抜群のステージで繰り広げられるエリちゃんのワンマンライブだよ!」

 

「な、なるほど……! そりゃあ地獄に違いねぇ!」

 

 狭く深い洞窟の中にこだまするエリザベートの声は、正真正銘の兵器と言っても過言では無いだろう。鼓膜が破れそうになっているし、ガンガンと頭を揺らされるような痛みも感じる。しかもある程度離れた位置に居る自分がこうなのだ、至近距離で彼女と戦う沖田たちはどれほどの被害を受けているのだろうか?

 計り知れぬそのダメージ量を推察しようとしたモードレッドは、大きな身震いと共にそれを止めた。考えるだけで苦しいし、そもそもこんな場所でゆっくりと考え事などしたくない。

 

「脱出しよう。俺たちが倒れないうちにね。その後は本拠地で別動隊と合流だ!」

 

「お、おう! 付いて行くぜ、マスター!」

 

 善は急げ、逃げるが勝ち……そんな言葉を思い浮かべながらマスターに支えられたモードレッドは、スパルタクスとジャンヌリリィと共に彼らが侵入して来た抜け道から脱出を果たしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こちら突入班、目的は無事に達成した。今、そっちに向かってる」

 

「了解しました。本拠地で合流するまで、どうか油断しないでくださいね」

 

「分かってるよ、マシュ」

 

 令呪を介した通信で報告を交わした後、マシュは小さく息を吐いた。

 戦いは無事に作戦通りに行われ、大きな問題も無く終了した。捕らえられていた苗床と神腕の中のサーヴァントを救い出すことにも成功し、上々な成果である。

 それに加え、マシュたちはもう一つ大きな戦果を得ていた。ちらりと横目でその戦果を見たマシュは、汚れた体をした彼女のことを不憫に思う。

 

「……っぅ……」

 

「すいません、牛若丸さん。こんな手荒な真似はしたくないのですが……」

 

 縛られ、体の自由を奪われた牛若丸は、気を失った状態で呻いている。一度消滅した影響か、十分に霊基が育っていなかった彼女が単独で突出したことは、本当に幸いだったとしか言い様が無い。

 そのおかげで牛若丸を捕縛することが出来た。モードレッドとジャンヌリリィを加えれば、この戦いで一気に三人もの女英霊を奪い返した事になる。

 

 だが……これで戦いが終わった訳では無いことはマシュにもわかっていた。この後、彼女たちに刻まれた淫紋令呪の支配権をソロモンから移さねばならないし、まだ沖田たちも敵として残っている。

 解決すべき問題は山ほどある。油断出来ない状況であることは十分に理解している。しかし、ほんの少しくらいはこの勝利を喜んでも構わないだろうか?

 

 もう一度短く息を吐いたマシュは、月と星が浮かぶ夜空を眺めて僅かに微笑む。

 今の自分たちの状況はこの夜空の様だ。暗く、いつ終わるか分からない闇の時間だが、それでも確かな希望の光は存在している。

 その光を逃さず、必ず掴んで見せる……そう決意したマシュは、一際大きな光を放つ星に愛する人の姿を重ね、再び微笑みを浮かべたのであった。

 

 

 

 




 次もエロ無いよ! でもその次はあるよ! お相手はみんな大好きな彼女だよ!
 全裸待機で待っててね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

裏切り

 ごめんなさい、やらかした。
 あと一話エロは待って! 急いで投稿するから!


 カツン、カツンと足音を響かせ、俺は屋敷の地下へと続く階段を下りて行く。土方さんが教えてくれた座敷牢への道を辿る俺の胸中は、夜の闇の様に暗くどんよりとしていた。

 淫乱組の拠点の強襲、及び英霊奪還作戦は無事に完了した。苗床になっていたモードレッドと神腕の中に捕らえられていたジャンヌリリィの二人に加え、戦いの中で捕虜にした牛若丸も連れて帰れたのだから作戦としては大成功と言えるだろう。

 だが、俺にとっての本当の戦いはここから始まるのだ。奪い返した三人をソロモンの手から完全に開放する為には、彼女たちと向かい合うしかない。

 淫乱組の拠点で酷い扱いを受けていたモードレッドとジャンヌリリィは、安全地帯に辿り着いた安心感からか死んだ様に眠っている。俺は、そんな二人をゆっくりと休ませる選択をした後、残る最後の一人である牛若丸の元へと向かっているのだ。

 

「ここか……」

 

 階段を下って行った先にある扉を見つけた俺は、誰に話すわけでも無い独り言を呟いた。緊張感と僅かな恐怖を感じながら、決意を固めた俺は扉の取っ手を掴むと一息にそれを押し開ける。

 扉の先から漂うカビ臭さと薄暗さを感じたながら、俺は幾つか並ぶ牢獄を眺めた後で話し声が聞こえる方向へと歩いて行った。

 

「……おう、来たか」

 

 自分の方向へと向かう俺の姿に気が付いた土方さんがこちらに顔を向けて声をかけて来る。そして、顎で牢屋の中を指し示すと、自分は一歩後ろに退いた位置に立つ。

 彼の好意に感謝しつつ牢獄の前に立った俺は、牢の中で縛られ、身動きを封じられながらも鋭い視線をこちらに向けている牛若丸へと語り掛けた。

 

「……牛若丸、俺が分かる?」

 

「ええ、わかりますとも。ソロモン様に仇成す愚かなる人間、この雌犬の元主ですよね? まったく、こんな下等な存在に尻尾を振っていたことが恥ずかしくなります。私の一生の恥ですね」

 

 俺に対して辛辣な言葉を口にする牛若丸は、淫紋令呪の効果によってソロモンへの忠誠が心に刷り込まれているのだろう。俺のことを主と敵対している者だと理解しているからこそ、こんな態度を取るのだ。

 俺に溢れんばかりの忠誠心を送ってくれていたかつての彼女のことを思うと胸が痛む。今の牛若丸には、その頃の面影はまるで存在していなかった。

 

「牛若丸……お前はソロモンに操られているんだ。本当の牛若丸は、そんな子じゃあないはずだよ」

 

「黙れ、この虫けらが! ソロモン様に対する無礼な言動の数々、もはや許してはおけん! 必ずやこの拘束から抜け出し、貴様の首を掻っ切ってくれるわ!」

 

「牛若丸! 頼むから正気に戻ってくれ……! 今のお前は、まともじゃあ無いんだ!」

 

「……まともじゃない? そう思うのか? ……貴様が下等なマスターであることは、既に証明済みだろう?」

 

「………」

 

 嘲るような牛若丸の笑みを見た時、俺は彼女が何を言いたいのかを理解していた。俺の心の変化を見て取ったのか、牛若丸は俺に対して容赦のない暴言を浴びせて来る。

 

「ソロモン様に敗れ、全てを奪われた貴様が何故ソロモン様のことを馬鹿に出来る? 貴様はソロモン様より遥かに格下……あのお方の足元にも及ばぬただの虫けらなのだ!」

 

「っっ……!」

 

「お? 傷ついたか? 虫けらごときが、ちんけな誇りを馬鹿にされて傷ついたと言うのか? 馬鹿め! 言の葉一つで心を痛める弱き男を誰が主と認めようか!」

 

 痛く苦しい嘲りの言葉に言葉を失った俺の姿を見た牛若丸は上機嫌で罵倒を続ける。彼女は、俺に対してトドメとなる一言を大声で口にした。

 

「貴様の様な男、私は主と認めぬ! かつて主と呼んだことが恥であり、これから主と呼ぶことは決して無いであろう! ソロモン様に抗う愚かさと弱さ、そして矮小さしか存在貴様のことなど、私は二度と主と仰ぐことは無い! あは、あははははははは!」

 

 ソロモンに支配された牛若丸の決定的な宣言。俺への決別と軽蔑をはっきりと口にした彼女は、大声で狂った様に笑い続けている。

 もしかしたら俺は少し泣いていたのかもしれない。自分の無力さを自覚し、それを牛若丸に指摘されたことは苦しく、辛いことだった。

 俯き、何も言えないでいる俺に対し、後ろで成り行きを見守っていた土方さんが無言で肩を叩いて来た。暗にもう休めと言っているその行動に従い、俺がこの場から離れようとしたその時だった。

 

「あは、あははははははは……は……?」

 

 狂った様に笑い続けていた牛若丸の声が一瞬途切れる。笑い声が消えた後、彼女の口から聞こえて来たのは茫然とした呟きであった。

 牛若丸のそんな反応を耳にした俺は、もしかしたら彼女が再び自我を取り戻したのでは無いかと希望を胸にした。すぐさま彼女の前に戻り、声をかけようとした俺を待っていたのは……そんな希望を押し潰す、牛若丸の絶望の叫びであった。

 

「あ、あ……あぁぁぁぁぁっ!!! 違う! 違うんですっ! 主殿! わ、私は、あなたのことを恥だなどとは、思っていない……! あ、あれは、私の本心では……あぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「牛若丸! 落ち着いて! 大丈夫、分かってるよ! 俺は全然気にしてないから!」

 

「違う! 違うぅぅっ!!! あんなの私の本心じゃない! あんなの私ではないっっ! わ、私は、主殿になんてことを……私はぁぁっ!」

 

「大丈夫! 大丈夫だから! 自分を責めないで! 牛若丸っ!」

 

「こ、殺して下さい! こんな、こんな愚かな私のことなど、一息に殺して下さいっ! 忠義を忘れたこの愚かな犬に罰を! どうか無残な死をお送りください! お願いしますっ!」

 

 つい先ほどまで狂った様に笑っていた牛若丸は、今度は狂った様に泣き叫んでいた。俺の言葉も彼女には届かず、牛若丸はただひたすらに自分を責め続けている。

 ほんの数秒前に自分が口にした言葉がどれほど俺を傷つけたのかを自覚しているからこそ、彼女はああなっているのだろう。あそこで俺が動揺を見せなければ、彼女は苦しまなかったのだ。俺は、つくづく自分の弱さが嫌になった。

 

「牛若丸、俺は……っっ!?」

 

 牛若丸が苦しんでいるのは俺の責任だ。何とかして彼女を解放しなければならないと思った俺は、思いつく限りの慰めの言葉を彼女に送ろうとした。しかし、その言葉は突如聞こえた爆発音と地響きに掻き消されてしまう。

 突然の衝撃に驚く俺。狂乱していた牛若丸もいきなりの出来事に逆に驚きを取り戻した様だ。

 一体何が起こったのか……? 疑問を持つ俺たち二人に反して、静かに落ち着いた表情の土方さんは、ニヤリと笑みを浮かべると一目散に地下牢から駆け出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……戦いに楽に勝つ方法は、敵の虚を突くこと……油断している敵を徹底的に叩けば、戦いの大勢は決まるものですからね」

 

 轟々と燃え盛る炎を見た沖田は黒い笑みを浮かべる。前々から調査していたカルデア側の拠点、それが燃え盛っている光景を見れば、先ほど受けた屈辱も和らぐと言うものだ。

 油断していた隙を突かれ、強襲を受けた自分たちはかなりの被害を受けてしまった。あの地獄の雄叫びで成長途中であった魔獣は全滅し、苗床であるモードレッドと秘密兵器のジャンヌリリィまでもが奪われてしまった。

 言い訳出来ぬほどの完敗。しかし、そこで心が折れる程、沖田達はか弱い英霊では無かった。その敗北すらも武器に変え、こうして焼き討ちを仕掛けて来たのだ。

 

「戦いに勝利した後は誰しも隙を見せるもの……それが大勝ならば、なおさらの話です」

 

「目には目を、歯には歯を……自分たちの行いをそのままそっくり返されて、彼らも大慌てしている頃でしょう」

 

 残された魔獣をすべて率いての夜襲作戦がここまで問題無く進んだことをほくそ笑みながら、沖田はただひたすらに他の二人を出し抜くことだけを考えていた。もはやここまでくれば勝利は確定的……あとは、()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う話なのだ。

 燃え盛る屋敷から脱出して来るであろうカルデアのマスターの首を取れば、それは間違いなくこの戦での最大功績となるであろう。そうなればもちろん、ソロモンからの寵愛を一身に受けることが出来る。

 戦いの相手はカルデアの英霊たちではない。今、自分の横に並ぶ他の二人こそが、真の敵なのだ。沖田も清姫も頼光も、全員が集中力を研ぎ澄まして炎の中から気配を感じ取ろうとしていた。

 

「「「……!」」」

 

 燃え盛る炎に包まれる屋敷を見ていた三人は、同時にそのことに気が付いた。揺らめく炎の中から、一つの気配が見つかったのだ。

 それが誰かまでは分からない。だが、誰であっても一番槍の名誉は変わらないであろう。もしもこれが敵の大将であるマスターであったなら、更に儲けものだ。

 

「ちっ……!」

 

 ちらりと横目に並ぶ仲間を見た清姫が小さく舌打ちをした。同時に気が付いた、と言う時点で他の二人に比べて瞬発力に劣る彼女が先んじる可能性はほぼ0になったからだ。

 遠距離から炎を飛ばすより、他の二人が跳躍する方が早いだろう。そう判断した彼女は、沖田と頼光に後れを取ることを悔しがりながら、最初の獲物を討ち取ることを諦めた。

 

 残るは同じ接近戦型の沖田と頼光……瞬発力と反応ならば沖田、射程範囲と跳躍力なら頼光と言った勝負だ。

 それがわかっている頼光は、沖田よりも早く駆け出そうとした。素早い彼女に先を取られては、一番槍の名誉を奪うことは出来なくなるだろう。故に、自分が先に動かなければならないのだ。

 頼光は脚に力と魔力を込め、跳躍の構えを取る。あとは、地面を思い切り踏みつけて飛び立つだけであった。

 

「っっ!?」

 

 だが、溜めた力を解放しようとした彼女は、自分の足場が急に崩れたことに驚いて体勢を崩してしまった。

 何が起きたのかわからない頼光を置いて、沖田は一目散に駆け出して行く。

 もはや彼女に追いつくことは叶わないだろう。瞬時に諦めを付けた頼光は足元で何が起きたのかを調べようと下を向き、そして般若の様な表情を見せた。

 

「……雌豚め、味な真似を……!」

 

 何時の間にやら開けられていた小さな穴。それを巧妙に石で隠し、頼光に踏ませていたのだ。

 自分が思い切り力を込めて足を踏み出そうとすればその石が陥没する様に仕向けていた沖田の策にまんまと嵌ってしまったことを悔しがりながら、頼光はただじっと彼女の背中を見つめるしか出来ない事に歯痒さを感じていた。 

 

「あはははは! 雌豚さん大勝利~っ! 一番槍、貰いましたっ!」

 

 味方を出し抜き、見事に一番槍の栄誉を得られたことに喜ぶ沖田。あと少しで気配は自分の射程範囲に入る。そこを一息に切り刻めば、それだけで他の二人より一歩優位に立てるのだ。

 味方同士の戦いを制した沖田は晴れやかな気分で跳躍を続ける。気配まであと数歩……菊一文字を抜刀する構えを見せた彼女は、燃え盛る炎の中に確かに人影を見つけた。

 

「お命、頂戴っ!!!」

 

 抜刀、そのまま刀を振るう。人影から察した首の位置に向けて振るわれたその刀は、見事に標的の首に食い込んだ。

 あとはその首を斬り落とすだけ……そう、それだけだった。

 

「……あれ?」

 

 だが、沖田にはそれが出来なかった。がっちりと刀が絡め取られた様に動かなくなってしまったからだ。

 手応えは確かにあった。しかし、何故か刀は動かない……予想外の事態を迎えた事に驚き、思考を停止させてしまった沖田は、ここまでで自分たちが犯してしまったミスに気が付かないでいた。

 

 1つ目のミス、仲間同士の連携が取れていなかった事。功を競う相手でも、味方は味方だ。勝利の為に連携し、共に戦わなくては勝てる戦いも勝てなくなってしまう。

 ただの小娘であった清姫はともかく、源氏の対象である頼光や新選組の厳しい規律に縛られていた沖田がそんな単純なことを忘れてしまっていたことが失敗の一つ。

 

 2つ目、まだ戦いが終わっていないのに勝利を確信してしまった事。正確には、この戦いは始まってもいなかったのだ。

 敵の本拠地に火を点けると言う初動は上手く行ったかもしれない。しかし、それはあくまでその後の戦いを有利にする為の方策に過ぎないのだ。

 敵と刀を交わしたわけでも無いのに勝利を確信してしまったこと。つまり、相手に突くべき虚を見せてしまったこと。それが2つ目のミス。

 

 そして3つ目。相手の戦力をしっかりと考慮していなかった事。普通ならば絶対に気を付けなければならないことを彼女たちは幾つも見逃していた。

 敵には油断ならない斥候(ロビンフッド)が居た。沖田に戦略を叩きこんだ男(土方歳三)が居た。自分たちの動きを見透かすことなど朝飯前の人材は揃っていたのだ。

 そしてもう一人……決して忘れてはならない人物のことを彼女たちは忘れていた。彼のことを覚えていたなら、絶対に焼き討ちなどはしなかったであろう。

 

「あ……」

 

 刀を振るった体勢のまま動けないでいた沖田を一陣の風が包む。その風に吹かれ、目の前の炎が巻き上げられた時、彼女は見た。

 自分の刀を首に受け、全身に火傷の跡を残しながらも、満面の笑みを浮かべる灰色の巨人(スパルタクス)の姿を。

 彼の姿を見た途端、沖田の表情が凍り付いた。目の前のこの男は、受けた痛みをそのまま力に代えられる。一撃で殺さないとどんどん強くなる驚異の反逆者なのだ。

 そんな彼の存在を知っておきながら、炎などと言う死まで時間のかかる方法を取ってしまった事。それこそが最大のミスと悟った沖田だったが、もう既にすべてが遅すぎた。

 

「……我が愛を受けよ!」

 

 短いセリフと共に、沖田の目の前ですべてが弾ける。炎の中で溜められた力、強靭性、魔力……その全てが解放され、周囲の全てを飲み込んでいく。

 自分たちの犯した失敗ののツケとしては些か大きすぎる物を払うことになった沖田は、至近距離で炸裂した力の奔流に飲まれて高く天を舞った。

 

「あぁぁぁぁぁぁっ……!」

 

 痛みに叫ぶ声すらも力が無い。強襲時に受けた傷や疲れもあった。そんな状態の体で行った作戦は見事に失敗、そうなれば精神的なダメージも少なくない。

 全身を叩く痛みと全てを見透かされていた敗北感に全身を支配されながらも彼女が死ななかったのは偏に淫紋令呪のお陰だ。ギリギリの所で命は救われた彼女だったが、被害は余りにも甚大だった。

 

 スパルタクスの宝具をもろに受けた体は満足に動くことも出来ない有様だ。無論、戦いなど出来る訳も無い。

 連れて来た魔獣たちも全滅した。苗床の奪還も果たせない今、包囲網どころか今後の戦いも不可能になってしまったのだ。

 自分より離れた位置に居た清姫と頼光の被害は軽微ではあるが、それも自分と比べての話だ。このままカルデアのサーヴァントたちと戦い、勝利することは絶対に不可能だろう。

 

「……王手だ、沖田。お前たちの負けだよ」

 

 そんな現実を突きつける声に顔を上げた沖田は、自分を見下す土方やマスターの姿を見つけて唇を噛みしめた。完全に彼らの手のひらの上で踊らされていたことが悔しくて堪らなかった。

 

「良い策だったが、その戦略をお前に教えたのは何処の誰だ? そんなことも忘れたのか?」

 

「くぅ……っ」

 

 もっともな指摘に何も言い返せないでいる沖田の頭の中には、この後の行動をどうするかと言う考えしかなかった。当然、取るべき先は一つだ。

 もう自分たちは戦えない。悔しいが、戦力もそれを補充する方法も失ってしまった。となれば……もう、逃げるしかない。つまりは自害するしか無いのだ。

 正確には自害では無くお互いに殺し合い、ソロモンの元に帰還するわけだが、そんな些末な違いはどうでも良いと沖田は思っていた。自分たちは三人居る。二人以上居れば、お互いを殺し合うことは可能なのだからそこはどうでも良いと思っていた。

 だが……それこそが一番の問題であると言う事を、彼女はこの後嫌と言うほど理解することになる。

 

「あっ!!?」

 

 突如、目を見開いて叫び声を上げたマシュに続き、カルデア側の英霊たちは次々に驚きの表情を見せた。

 彼らが自分では無く、自分の後ろを見ている事に気が付いた沖田もまた視線をそちらに送り、彼ら以上の驚きの表情を見せることになる。

 

「なっ……!?」

 

「ふ、ふふふ……!」

 

「ククククク……!」

 

 沖田が見たもの。それは、お互いの胸を手刀で貫き合った清姫と頼光の姿であった。

 どう考えても致命傷である一撃を受けている二人の霊基は消滅を始めている。確かにそれは正しい行動であったが、沖田にとっては予想外であった。

 

「ま、待て! お前たち、何で私を殺さない!? 私たちは自害が出来ないんだぞ!? お前たちが死んだら、誰が私を……」

 

「……雌豚さん。なんで私たちがあなたを殺さないといけないのですか?」

 

「……は?」

 

 口の端から血を垂らしながら清姫が口にした一言に沖田が困惑の表情を見せる。そんな彼女のことを楽し気に見ながら、消滅していく二人は口々に彼女へと別れの言葉を口にした。

 

「ずっと前から思っていたんです。どうすればソロモン様の寵愛をもっと受けられるだろうか、って……」

 

「功を上げれば褒美は頂ける……しかし、その機会があまり与えられないのが問題点でした」

 

「折角頂いたこの機会も残念ながら無に帰してしまいましたし……どうしたものかと考えて、一つの結論に達したわけです」

 

「ま、まさか……お前たち……!?」

 

 二人の考えが読めた沖田は、自分の声が震えている事に気が付いた。今まで自分も浮かべていた邪悪な笑みを見せる清姫と頼光が恐ろしく見えて堪らなかった。

 満身創痍の体をガタガタと震わせる沖田へと視線を向けながら、二人はねっとりとした声で自分の邪な考えを述べる。

 

「ソロモン様にもっと愛される方法……そんなの、考えるまでもありません」

 

「自分たち以外の奴隷を消してしまえば良いのです。機会を見つけ、少しずつ彼の周りから消してしまえば良い」

 

「そして丁度良い機会が今訪れました。雌豚さん、ここであなたとはお別れです」

 

「雌犬と合わせて二匹の奴隷が居なくなったわけですから……その分、私たちはソロモン様に愛されると言う訳ですね」

 

「ふざ、けるな……! 連れて行け! 私も殺せ! わ、私を……私を殺してくれぇぇっっ!!!」

 

 戦場に響く沖田の悲痛な叫び。数分前に牛若丸が口にしたものと同じ自分の死を望むその叫びは、痛々しく見ていられないものであった。

 

「殺せ……! 私もソロモン様の元に戻りたいんだ……! だ、だから! だからぁっ!」

 

 清姫と頼光のまさかの行動に驚いているのは沖田だけではない。あまりにも非情な二人の行動には、カルデアのマスターたちも言葉を失っていた。

 今、この場で動いているのは沖田だけだ。動かぬ体を無理に動かし、這ってでも二人の元に向かおうとしている。二人に殺してもらうべく、必死の行動を続けているのだ。

 しかし……清姫と頼光には、そんなつもりは毛頭無かった。自分たちの利益の為に、ここで沖田を見捨てることは決まっていたことだからだ。

 

 沖田の、彼女だけが犯した最大の失策……それは、彼女たちが狂戦士(バーサーカー)だと言う事を忘れていた事。主の愛を得る為なら、例え味方だろうと簡単に見捨てる女だと言う事を失念したいた事。

 轡を並べても彼女たちは仲間では無かった。ソロモンの手でより欲望に忠実になった彼女たちは、仲間を思いやると言う気持ちすらも失っていたのだ。

 

「……では、おさらばです」

 

「ごきげんよう、雌豚さん……」

 

「あ、あぁ……」

 

 最後の最後まで慈悲の心を見せないまま、清姫と頼光は消滅した。周囲に自分以外の味方は誰も居なくなったことに絶望した沖田の口から乾いた声が漏れる。

 もう自分は死ねない。曲がりなりにも仲間であった二人に裏切られ、自分は主の元に戻れなくなった。

 そう、自分は裏切られた。自分がカルデアを裏切った様に、自分もまた裏切られたのだ。

 

「あ、あぁ……うわぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 木霊する叫びは、先ほど彼女が上げたものより更に悲壮なものであった。涙交じりの嗚咽を上げる沖田の心は、絶望に染まり切っている。

 カルデアのマスターたちもまた、敵であり味方である彼女のそんな姿を見ながら、どんな風に彼女に声をかけるべきかわからないまま、ただじっと見つめることしか出来ないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ローマでの作戦による被害と戦果報告

 

 戦果

・モードレッド、ジャンヌリリィ、牛若丸、沖田総司の奪還の成功(清姫、源頼光は逃亡。追跡は現状不可能)

・淫乱組の崩壊により、ローマ内の日本地域の治安の安定(町人はカルデアのマスターたちに協力的である)

 

 被害

・屋敷の全焼(代替品有、問題無し)

・奪還した4人の英霊の精神的被害、及び肉体的な問題が重大(全員が重度の心理的外傷を負っている)

 

 上記の現状を報告すると共に、彼女たちの精神と肉体の治療の為に時間的猶予と医師としてフローレンス・ナイチンゲールをこちらに送ることを要望する。

 作戦の方向性が決まり次第、また報告を送るものとする。

 

 レイシフト責任者 マスターより

 




 急いで続きを投稿するので、下着姿で待っててね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

浅く無い傷

『……雌豚……雌豚よ、私の声が聞こえているな……?』

 

「この、声は……ソロモン様っっ!?」

 

 沖田たち淫乱組の犯行作戦から一夜明けた朝方。まだ空が明るくなっていない頃、沖田は牢屋の中で主の声を耳にして跳び起きた。

 

『雌豚よ……お前ほどの者が囚われの身になるとはな……待っていろ、すぐに助け出してやる……』

 

「あ、ああ……! ありがとうございます! この雌豚、ソロモン様の慈悲に感無量でございます!」

 

 主からの恵みに心の底からの感動を覚える沖田の目の前に、黒い聖杯が出現した。なみなみと注がれた赤黒い液体に映る自分の顔を見ながら、沖田はそれを手に取る。

 

『……それを飲み干せ。さすればお前の力は回復し、憎きカルデアのマスターたちを打ち滅ぼすことが出来るだろう……』

 

「はい! ソロモン様!」

 

 ソロモンの言葉を聞いた沖田は何の疑いも無くその液体を飲み干した。喉を通り抜ける濁った味の液体に顔をしかめる彼女だったが、これは主の施しと思い無理にすべてを飲み込む。

 空になった聖杯が沖田の手から消え、牢屋の中には何の証拠も残らなかった。すぐに沖田は、自分の体が熱くなっている事に気が付く。

 

 燃える様な熱さ、体の芯を焦がす様な熱……じりじりと温度を上げる体の中の炎を感じた沖田は一度瞳を閉じ、そして……

 

「ごふっ……! ……え?」

 

 口から、先ほどの液体によく似た大量の血液を吐き出した。

 

「ごふっ! かはっ! ……な、なんで……!? がはっ!!!」

 

 ソロモンの元に下ってから一度も無かった病弱スキルの発動が再発したことに驚きを隠せない沖田。しかも、今回の吐血は今までの比ではない。

 自分が所持していた病弱スキルは、時と場所を選ばずにいきなり吐血すると言う物だった。確かに苦しくはあるが、別段命に直接関わる様な物では無かったはずだ。

 しかし、今のこれは違う。断続的に血を吐き、延々と続く苦しみに耐え続けなければならないのだ。

 既に彼女が吐いた血の量は牢屋の床を真っ赤に染め、辺りに生臭い臭いを漂わせるほどになっている。だが、それでも沖田の吐血が終わる様子はまるで無かった。

 

「な、なぜ……? こんな、こんなの、おかしい……」

 

『……何がおかしい? 裏切り者の末路には相応しいものだろう?』

 

「え……!?」

 

 何故自分がこんな仕打ちを受けているのか? それがわからないでいる沖田に浴びせられたのは、ソロモンの冷たい声だった。

 彼が放った裏切り者と言う言葉の意味を理解出来ない彼女が困惑していると、ソロモンの声と同様に何処か遠くから聞こえて来る感覚で二人の女性の声が響いて来た。

 

『ええ、そうですとも……ソロモン様を裏切り、雌犬と共にカルデアに下った愚かなる豚……それがあなたでしょう?』

 

『なんと罪深い畜生でありましょう。これではソロモン様がお怒りになっても仕方がありませんわね』

 

「雌蛇……雌牛……!? 貴様ら、何を……がはぁっ!!!」

 

 液体を飲み干した時から感じていた熱が痛みに変わる。体の内側に何本もの針が突き刺さっている様な激痛を感じた沖田は、自分が吐いた血で染まった床に力無く倒れ伏した。

 

「なんで……? どうして……!? 私は、あなたを裏切ってなど……!」

 

『黙れ、雌豚……私の期待を最悪の形で裏切った貴様にはほとほと失望した。何とか無事に帰って来た雌蛇と雌牛のお陰で貴様の悪事は露見したが……その罪は、到底許せるものでは無い』

 

「ちがい、ます……! 私は、あなたに変わらぬ忠義を……!」

 

『……あら? と言う事は、雌豚は私たちが嘘をついていると仰りたいのかしら?』

 

『嘘!? この私が嘘をつくなど……! なんとも無礼な物言い! 嘘は私の最も忌むべきものだと言うのに……!』

 

「な、何を白々しいことを……! ソロモン様、その二人こそが真の裏切り者なのです! 私は、そいつらのせいで……」

 

『もう良い、雌豚。貴様の話を聞く耳は、あいにく持ち合わせていないのでな』

 

「は……!? お、お待ちください! ソロモン様! 私は、私はっ!!!」

 

『……貴様は用済みだ。もうこのソロモン王に必要のない存在……せいぜい我が行いを邪魔せぬ程度に苦しみ続けると良い』

 

「あ……!? ま、待って……! 待ってください! ソロモン様! ソロモン様! ソロモン、さ、ま……!?」 

 

 段々とソロモンの声が遠くなって行く。同時に聞こえる清姫と頼光の笑い声もまた遠くなって行き、それを耳にする沖田に孤独感と不安をはっきりと自覚させていく。

 血を吐き、体を襲う痛みに耐えながら必死にソロモンに言葉を投げかける沖田であったが、ソロモンは無情にも最後の一言を残して彼女との会話を打ち切った。

 

「そ、そんな……!? がはっ! ごほっ! げほげほっ!!」

 

 愛する主に見捨てられた事と全身を焼く様な病の痛みに心身共に追い詰められた沖田は、ただひたすらに絶望に浸って泣くことしか出来なかった。

 吐血は止まらず、体の内側の痛みも終わりが見えない。延々と続く苦しみの中、唐突に沖田は気が付いてしまった。

 

(そっか……私、良い様に切り捨てられたんだ……! 捨て駒として、あの二人の忠誠を強める為に、切り捨てられたんだ……!)

 

 なんとなく、淫紋令呪の効果には察しがついていた。何をされてもソロモンへの感謝の気持ちが生まれ、忠誠心が高くなるほどに新たな力が生まれる。自分のマイナススキルである病弱が発動しなくなったのも、この淫紋令呪の効果だろう。

 だとするならば、ソロモンは自分を捨て駒にして全面的に清姫と頼光の言い分を信じることで彼女たちの忠誠心を高めると言う選択肢を取ったのだろう。狂化スキルがかかった彼女たちのことだ、この単純な行いで忠誠心は一層強くなっただろう。

 そう、自分はソロモンのその企みのせいで彼に裏切られ、終わらぬ苦しみの中に堕とされてしまったのだ。そのことに気が付いた彼女の心により深い絶望が刻まれる。

 

「あ、ぁぁ……! あぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

 もう既に吐血の量は人がとっくに死んでもおかしくないほどにまで及んでいた。だと言うのにまだ終わりは見えず、苦しみも終わらない。

 もしかしたら淫紋令呪と先ほど飲んだ液体が自分を殺さない様にしているのかもしれない。そう考えた沖田の瞳からは、完全に光が消え去った。

 

「……ぜ、んぶ、なくし、ちゃっ、た……」

 

 信念も仲間も主も裏切った。その果てに得たのはこの終わらない苦しみと絶望だけ……己が迎えた皮肉な結末に自嘲気味な笑みを浮かべた沖田は、瞳から大粒の涙を零しながら泣きじゃくる。

 

「ごめんなさい……! 近藤さん……土方さん……ノッブ……! 皆、ごめんなさい……! マスター、ごめんな……がふっ!」

 

 裏切りの苦しみを身をもって理解した沖田は、自分が裏切ってしまった友人や仲間たちの名をか細い声で呼びながらただ謝り続ける。最後に口にしようとした優しい主への謝罪の言葉は、苦しい吐血のせいで途切れてしまった。

 

「……死に、たいよぉ……!」

 

 誰かにこの苦しみを終わりにして欲しい。そんな破滅的な願望を最後に、沖田は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご安心ください、主殿! この牛若丸、そう簡単に死にたいなどとは絶対に口にしません!」

 

 そうマスターに向けて溌溂とした笑顔を見せる牛若丸は、拘束されたままの体を隠すことなく主へと見せつけていた。別段、彼女に脅威があると判断されているわけではない。この拘束は、彼女自身が望んでいるものなのだ。

 一見、この台詞は彼女が光を取り戻した様に見える。だが、実際は違った。牛若丸もまた、暗く深い苦しみの中に居る……そのことは、彼女を見つめるマスターの表情と、この後口を開いた牛若丸自身の言葉が証明していた。

 

「何せ私は主殿に刃を向けた不忠の狗。そう易々と楽に死んでは示しがつかぬと言う物です! しっかりと後に続く者共の見せしめになる様、残虐無比な死をお与えになって下さい!」

 

「っっ……!」

 

 ハイライトの消えた瞳は暗く濁り、笑っているはずの表情からは一切の明るさを感じさせない。牛若丸は、自分の犯した罪に完全に絶望していたのだ。

 彼女が望むのは愚かな自分への罰。皮を剥ぎ、爪をはがし、肉を裂き、骨を潰し……考えられる限りの苦しみを与えられ抜いた後に待つ、非情な死だけだ。

 

「牛若丸、俺は……」

 

「ああ、主殿! そんな慈悲に溢れた声で穢れた名を呼んではなりません! 私のことは、『それ』だとか、『これ』だとか、もしくは私自身が言っていた様に雌犬とでも呼べば良いのです!」

 

 マスターの声も今の彼女には届かない。彼女自身が自分の犯した罪のせいで自分を穢れた存在だと思い込んでいる為、敬愛する彼に近づいて欲しくないと願っているからだ。

 自分の姿を見れば目が腐る、名を呼べば彼の声が穢れる、触れれば己の罪が彼に移り、汚れた自分と同じ存在になってしまう。

 強すぎる忠誠心を持つが故の精神状態、どうやって彼女を説得すれば良いのかわからないマスターは、ただがっくりと項垂れることしか出来ない。

 

「……今更、どんな顔をしてあなたのお傍に戻れば良いと言うのです? あなたの一番の傷を抉り、苦しめた私が、あなたの元に戻るなんて出来っこないんですよ……!」

 

 ほんの少しだけ漏れた素の牛若丸の弱さ。しかし、マスターには自分がどうすれば良いのかまるでわからない。

 その答えを探る事しか出来ず、はっきりとした答えも出ないまま……彼は、次の英霊の元へと足を運んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次にマスターが足を運んだのは、ジャンヌリリィの元であった。同じ自分自身であるジャンヌとオルタに面倒を見られている彼女は、一見正常に見える。

 しかし、彼女の心にもソロモンに刻まれた深い爪痕が残っている事をマスターは感じ取っていた。

 

「あ……! トナカイさん……!」

 

 今、リリィは部屋に入って来たマスターの姿を見とめ、彼の名を呼んだ。普段の彼女なら、一目散に彼の元へと駆け寄って来ただろう。

 しかし、今の彼女はそうしなかった。むしろ、マスターの姿を見た瞬間、体が強張って身動きが出来なくなった位だ。

 心なしか自分を見つめるリリィの視線に怯えの感情が籠っている事に気が付いたマスターは彼女に近づくことを躊躇った。そんな彼の迷いを感じ取ったのか、リリィは慌てた様子で彼へと叫ぶ。

 

「ちっ、違うんです! トナカイさんのことを嫌いになったわけじゃないんです! むしろ大好きなんです! でも、でも……っ!」

 

 大好きな彼を悲しませてしまったことを悔やむジャンヌリリィは瞳から涙を流した。その涙には、悲しみ以外にも恐怖の色が映っている。

 

「……怖いんです。男の人が……! わ、私に、痛いことを一杯した男の人が、怖くて堪らないんです! 男の人を見ると息が苦しくなって、怖くて怖くて堪らなくって、それで……!」

 

「よしよし……大丈夫ですからね。落ち着いて、ほら……」

 

 涙を流し、蹲るリリィをジャンヌがあやす。妹の面倒を見る姉の様に振る舞う彼女の姿を見たマスターは、自分に視線を注ぐオルタとアイコンタクトで話し合い、部屋を後にした。

 

「……嫌いじゃないんです。大好きなんです……! だから、私のことを嫌いにならないで……!」

 

 部屋を出る寸前、リリィの口から聞こえた悲し気な声に胸を締め付けられながら、マスターは屋敷の庭へと向かって歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんでだよ? どうしてなんだよ……!? なんで、オレはぁっ!?」

 

 辿り着いた屋敷の庭。そこにはアルトリアに見守られながら稽古をするモードレッドの姿があった。

 だが、彼女は苛立った様に叫ぶばかりだ。その叫び声には、怒りよりも悲しみの色の方が色濃く表れていた。

 

「こんな……なんで、どうして……!?」

 

 モードレッドはただ茫然とした声で叫びと呟きを繰り返している。その手に掴んだ魔剣(クラレント)は、確かに彼女が愛用していた物のはずだ。しかし、今の彼女にはそれを振るうどころか、持ち上げることすら叶わないのだ。すっかり虚弱になってしまった自分に対してどんな反応を取れば良いのか分からず、モードレッドは苛立ちを周りにぶつけることしか出来ないでいた。

 

「……モードレッド、少し休もう。疲れてるんだよ、きっと……」

 

「う、うるせぇ! そんな気休め欲しくねえんだよ!」

 

 そんなモードレッドの様子が見ていられなくなったマスターは、彼女に対して一度落ち着く様に勧めた。しかし、苛立つモードレッドにはその行動は逆効果で、彼女に思い切り突き飛ばされてしまう。

 自分がサーヴァントであることを忘れた本気の一撃。本来なら、マスターは吹き飛んで大怪我を負っていた事だろう。

 だが、彼女の拳を胸に受けたマスターは、ほんの一歩だけ後ろに下がっただけで反応を終えた。そのことにモードレッドは愕然とした表情を見せる。

 

「……は、はは……! 今、オレ、全力でお前のことを殴ったんだぜ? それが、ほんの少しだけ後ろに下がる程度……? ただの人間相手に、こんな程度の力しか出せないのかよ……?」

 

「モードレッド……」

 

「……本当、あいつらの言う通りだったかもな。こんなオレなんか、苗床か便所の役目をやってた方が良かったんだ……! そうすりゃあ、こんな無力さを噛み締めないで済んだってのに……ぐっ!!!」

 

 珍しく弱音を吐いたモードレッドは、その頬をアルトリアに打たれて地べたを転がった。彼女を叩いた手を振りながら、アルトリアは静かに口を開く。

 

「……随分とだらしなくなったな。それでも我が円卓の騎士か? ……モードレッド、自分を蔑ろにするのはお前の自由だが、お前を助け出したマスターの努力を踏み躙る事だけは、決して許さんぞ」

 

「……はい、父上。申し訳ありませんでした」

 

 しおらしく頭を下げるモードレッドの体からは、かつての彼女が発していた覇気はまるで見受けられなかった。

 反逆の騎士としての汚名すらも高々と掲げていた彼女の変わり様に心を痛めながら、マスターは優しく声をかける。

 

「……大丈夫だよ。必ず力は元に戻るからさ……! 焦らず、落ち着いて行こうよ、ね?」

 

「……ああ」

 

 肩を叩かれ、小さく返事を返したモードレッドは、自分の不甲斐なさを悔やんでいるようだった。自分が大嫌いな弱い女に成り下がってしまったことを悲しんでいるのかもしれない。

 だが、今の自分にはどうすることも出来ないでいる。マスターもまたモードレッドと同様の無力感を感じながら、ただ彼女を励ますことしか出来ない自分を情けなく思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……牛若丸、重度の鬱と似た症状。被虐というよりか、自分に対して無関心になっている様子が見受けられる)

 

(ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ、男性への恐怖症を患う。女性にもある程度の恐怖を抱いており、自分自身であるジャンヌたち以外との正常なコミュニケーションはやや困難)

 

(モードレッド、淫紋令呪の効果のせいか、霊基が苗床として最適な物へと変質している。そのため、サーヴァントでありながら戦闘能力は普通の人間以下、まともに剣も持ち上げられない状況。恐らくではあるが、これは淫紋令呪の主をソロモンから変えたとしても回復しない病状である)

 

「……くそっ!」

 

 ナイチンゲールが作ってくれたカルテを読んだマスターは苦々し気な声を出した後で屋敷の壁を叩いた。拳を握り締め、怒りと悔しさを全身に満たしながら、彼は彼女たちをどうすべきかを必死になって考える。

 救い出したい彼女たちはそれぞれ大きな問題を抱えている。それを解決するのが先か、はたまた後なのか。その判断がつかないでいることに苛立ちが募る。

 ソロモンのせいで傷ついた彼女たちを本当の意味で救うには、彼女たちの心も救うしかない。ならば、この問題は避けては通れないのだ。

 マスターは延々と廊下を歩きながら方策を探っていたが、ふと顔を上げると気になる物を見つけた。

 

「……お前か、小僧」

 

「土方さん……? 何してるんですか?」

 

 とある部屋の前で立ちつくしている土方の姿を見つけたマスターは、怪訝な顔をして彼の元へと近寄った。土方は人差し指を立てて静かにするようにとマスターに伝えると、部屋の中を指し示す。

 部屋の中からは小さな声が聞こえて来ていた。マスターは土方に倣ってその声に聴き耳を立て、会話を盗み聞く。

 

「……ほんと沖田さんってば何やってたんでしょうね? バカみたいですよね……」

 

「……治療を施すのは過去では無く現在です。過去を悔やむより、前を向いて行くことが大事だと私は思います」

 

 部屋の中から聞こえて来たのは沖田とナイチンゲールの会話だった。弱々しい沖田の声を耳にしたマスターは、胸が締め付けられる様な痛みに襲われる。

 今朝、血だらけの牢屋の中で倒れているところを発見された沖田は、ナイチンゲールの手厚い看病の甲斐あって安定した状態を保っている。しかし、それは投薬による一時的なものであり、薬が効かなくなれば延々と続く苦しみを味合わなくてはならないらしい。

 淫紋令呪とソロモンから渡された霊薬の効果のせいか、彼女は決して死ぬことは無い。だが、それが故に死ぬこと無く病の苦しみを味わい続けなければならなくなっているのだとナイチンゲールは診断した。

 

 薬が切れるか、効かなくなるか、そのどちらかの時を迎えれば沖田は事実上死ぬことになる。ナイチンゲールはそう断言した。このままでは肉体は滅びずとも、延々と続く地獄の苦しみを前に発狂するか、精神が死ぬかの結末を迎えるしかないとのことだ。

 沖田はそんなナイチンゲールの診断を耳にした時、諦めた様な笑みを浮かべただけで何も言いはしなかった。

 

「……楽しかったなぁ……新選組の皆と稽古して、暴れて、ご飯食べて、騒いで……長いようで短い時間だったし、最後はみんなバラバラになっちゃいましたけど、本当に楽しい時間だったなぁ……」

 

 生前の思い出を語る沖田の声を黙って聞きながら、マスターは隣に居る土方の顔を見た。暗闇のせいで彼の表情は伺うことは出来ないが、きっと険しい顔をしているのだろう。心なしか、土方の拳には力が籠められている様に見受けられた。

 

「それに負けないくらい、カルデアでの毎日も楽しかったんですよ。ノッブと遊んで、騒いで、戦って……大変なこともいっぱいあったけど、凄く楽しい時間でした……。でも……私は、それを自分で捨てちゃったんですよね」

 

「っっ……!」

 

 襖の奥から聞こえる沖田の声が、涙交じりの物に変わる。すすり泣く様な声と共に聞こえて来たのは、彼女の絶望の思いそのものだった。

 

「楽しかった日々を、誇りを、幸せを自分で投げ捨てて、皆を裏切って……その結末がこれですよ。ほんと、笑うしかないですよね……! じ、自分が、い、嫌で嫌で……しょうがない、です……!」

 

「……過去は変わりません。であるならば、未来を見る事が大事でしょう。失敗を悔やむなら、それを挽回できるように努力を……」

 

「……違うんですよ、ナイチンゲールさん。私が一番嫌なのは、こんな扱いを受けたって言うのに、まだ何処かでソロモンのことを大切に思っているってことなんです」

 

「え……?」

 

「……自分が利用されていたことも理解出来ました。ソロモンにとって、私は都合の良い駒でしかないことも分かっている……なのに、もしも彼に甘い声で語り掛けられたら、もう一度雌豚に戻ってしまいそうな自分が嫌なんです! すべてを許して、再び彼に忠誠を誓って……また、皆を裏切ってしまいそうな自分のことが、嫌で嫌でたまらないんですよ!」

 

 段々と大きくなっていった沖田の声は、最後には絶叫に近いものになっていた。心の奥底からの思い、絶望をぶちまける彼女の話はなおも続く。

 

「……死にたい……! 体も、心も苦しい……! こんな自分は嫌です。死んで、消えてなくなってしまいたい……! でも……死ねないんですよね? きっと、これが私に下された罰なんですよね? なら、受けなきゃいけないんです……よね?」

 

「………」

 

 沖田の問いかけにナイチンゲールは何も言えなかった。少しだけまともに戻ったが故に苦しむ沖田の心を慰めるには、中途半端な言葉では足りないとわかっていたからだ。

 それでも何かを語ろうと顔を上げたナイチンゲールだったが、自分の背後で聞こえた物音に振り向くと、そこに立っていた二人の人物の名を呼んだ。

 

「……マスター、土方さん、何か御用でしょうか? 出来れば、彼女には安静にして欲しいのですが……」

 

「……沖田、そこに直れ。俺がお前を殺してやる」

 

「……え?」

 

「今のお前があまりにも情けなくて見てられねえから、俺が引導を渡してやるって言ってんだ! さっさとしろ!」

 

 ナイチンゲールの言葉を無視した土方の暴論に呆気に取られる一同。だが、沖田は彼がこういう人間であったことを思い出していた。

 不器用で、本当は優しいのにそれを表に出せない男……そんな土方の、彼なりの心遣い。死ねなくなった自分をどうにかして殺すと言う彼の言葉に、沖田は少しだけ心をときめかせた。

 

「……私の目の前で患者を殺すと口にする意味が理解できていますか? それは、私への宣戦布告へと受け取って構わないでしょうか?」

 

「小僧……令呪でもなんでも使ってこの女を退かせろ。さもなきゃ、沖田と一緒に斬り捨てる!」

 

「なりません。たとえ死ねなくなったとしても、私の患者である以上、それを見捨てると言う選択肢は私にはありません。あなたを殺しても、私は彼女の命を守りましょう」

 

 ピリピリとした緊張感が部屋の中に漂う。睨み合い、意見をぶつけ合う土方とナイチンゲールは、一触即発の雰囲気の中でお互いに退かないままだ。

 そんな空気の中、一歩前に踏み出したマスターはナイチンゲールの目を見つめると、彼女へと静かにこう言った。

 

「……ナイチンゲール、そこを退いて」

 

「マスター!? あなたまで彼女を殺すつもりですか!? いけません! 救える可能性があるのに、それを投げ捨てることなど……」

 

「良いから退くんだ。それは君の役目じゃない……沖田さんを守るのは、マスターである俺の役目だ」

 

「え……?」

 

 ナイチンゲールが、沖田が、土方が彼の一言に目を見開く。ナイチンゲールを押しのけ、沖田を庇う様に立つマスターは、土方に対して真っ直ぐな視線を向けて動こうとしなかった。

 

「……てめえ、何の真似だ? 斬り捨てられてぇのか?」

 

「ひ、土方さん! マスターは関係ありません! マスターもすぐにそこを退いて……」

 

「……殺させない。絶対に沖田さんは殺させない!」

 

 土方の放つ殺気、重圧、そして狂気……普通の人間が浴びれば気を失って卒倒するであろう驚異の威圧感の中、マスターは一歩も退かずに彼を睨み返している。

 鬼の副長と呼ばれた土方を相手に真っ向から向かい合う彼の度胸に3人が驚愕する中、マスターは叫ぶ様に土方に自分の思いを伝えた。

 

「……俺が沖田さんと一緒に過ごした時間は、あなたと比べれば全然短いんだろう……でも、俺は沖田さんのマスターだ! 沖田さんが俺を守ってくれた様に、俺にも沖田さんを守る義務がある! いや、義務が無くったって、俺は沖田さんを守る!」

 

「……何甘っちょろいことを言ってやがる!? 今の沖田を生かしてやって誰が喜ぶってんだ? こんな状態なら、いっそ死なせてやった方が幸せってもんだろうが! それとも何か? お前は、自分の我儘を優先して、死にたいって言ってるやつを苦しませる為に無理に生かすって言うのか!? あぁっ!?」

 

 土方の叫びに俯いたマスターは、ただ黙って拳を握り締めた。土方は、そんな彼を押し退けて沖田の元へ向かおうとする。

 しかし、顔を上げたマスターに腕を掴まれると、そのまま真っ直ぐに瞳を見つめられた状態でまたしても彼の思いをぶつけられた。

 

「……もしも沖田さんが本当に死にたいって言うのなら、俺は反対しないよ。でも、俺はそんなの沖田さんの本心じゃないと思う。もっと別の願いが彼女にはあるはずなんだ!」

 

 掴んだ土方の腕を振り払い、マスターは沖田の傍に駆け寄る。彼女と視線を合わせ、手を取り、肩を掴み……涙を浮かべた瞳を向けて、彼は沖田へと問いかけた。

 

「ねえ、沖田さん……沖田さんは、本当に死にたいと思ってるの? それが一番の願いなの?」

 

「……マスター……私、は……」

 

「……言ってよ。君が望むなら、それを口にしてくれるなら、俺、頑張るからさ……! どんな願いだって、全力で叶えて見せるから、だから……!」

 

 沖田の心には、裏切った自分をここまで思ってくれるマスターの言葉が突き刺さっていた。涙ながらに本心を口にすることを懇願する彼の姿を映す視界が涙で滲んで来る。

 瞳から涙が溢れ、傷ついた心が僅かに生気を取り戻して行くことを感じた沖田の中には、死にたいと言う願いよりも強い願望が顔を出し始めていた。口にするのも憚れる身勝手な欲望、しかし、それこそが自分の本心であると理解した彼女は、震える声でマスターに許しを請いながらそれを口にする。

 

「み、身勝手だって言うのは分かってるんです……! 今更何を言うんだって、お、怒られるかも知れないって言うのも分かってます……! で、でも、でも……もし、許されると言うのなら……()()()()()()……!」

 

 一度それを自覚した途端、堰を切った様に感情が心の中から溢れて来た。考える前に思いを口にする沖田は、涙を流して号泣しながらマスターたちに自分の望みを告げる。

 

「戻りたい……! ノッブや皆と笑ってたあの日々に……! 戻りたい……! 仲間たちと同じ夢を追った毎日に……! 戻りたい……! 心の底から笑えてた私に……! 戻りたいです……っ!」

 

「……沖田……お前、は……!?」

 

 涙を流し、生きたいと言う願いを口にする沖田の姿を見る土方の表情が驚きの色に染まる。何か、何かを彼女に口にする前に、土方はナイチンゲールに首根っこを掴まれて部屋の外に連れ出されてしまった。

 

「てめぇ、何しやがる!?」

 

「……聞いたでしょう? 彼女の心の叫びを……彼女は生きたいと願った。死ぬことを拒否した。なら、あなたのお節介は必要無いはずです」

 

「だがっ!」  

 

「だがもしかしも無い! 患者が生きたいと願ったのなら、その願いを叶える為に努力するのが医師の役目! 今、彼女を救えるのは貴方でも私でも無い、彼女の本心を引き出したマスターしかいないんです! ……もしも貴方が彼の邪魔をすると言うのなら、私は貴方を殺してでも二人を守ります」

 

「……ちっ」

 

 一筋縄ではいかないナイチンゲールを相手にすることを面倒に思ったのか、はたまた彼女の言葉に納得したのか、そのどちらかは分からないが、土方は一度だけ舌打ちを鳴らすとその場から背を向けて離れて行った。そんな彼の姿を見送ったナイチンゲールもまた二人の居る部屋から遠ざかって行く。

 周囲に誰も居なくなった部屋の中では、泣きじゃくる沖田を抱きしめるマスターの姿があった。

 

「……沖田さんの願い、ちゃんと聞いたよ。俺、頑張るから! だから……」

 

「……はい、わかりました。こんな……こんな私で良ければ……」

 

 二人きりの部屋の中を示し合わせた様に風が吹き、唯一の明かりであった行燈の蝋燭の炎を吹き消した。月明かりだけが支配する闇の中、お互いの存在を確かめる様に二人は唇を重ね合わせる。

 

「んっ……♡ んんっ……♡」

 

 頭の中に白く靄がかかった様な感覚に襲われながら、沖田はマスターとの口付けを楽しんだ。甘い、恋人同士の様なキスをたっぷりと時間をかけて行った後、暗闇に目が慣れた二人は一度顔を離す。

 自分の事を見つめる青色の優しい瞳を見つめ返した沖田は、先ほど途中で区切った言葉の続きを彼へと告げた。

 

「……こんな私で良ければ、どうぞ抱いて下さい……マスター……♡」

 

「はい……喜んで……!」

 

 自由にならない体を彼に預け、彼の腕の中にすっぽりと体を収める。

 抱きしめられ、どくどくと響くマスターの力強い命の鼓動を感じながら、沖田はゆっくりと熱く蕩けた息を吐きだして瞳を閉じたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

桜の咲く夜(沖田総司)

「あ、あの……その……マスター、私今、ほとんどまともに体が動かなくって、それで……噎せ込んだりすると思いますけど、その……」

 

「わかった。沖田さんは楽にして、俺に体を預けてて。あと、精一杯優しくするね」

 

「あ……は、はい……!」

 

 迷惑をかけるであろうことを謝ろうとした沖田は、謝罪の言葉を口にする前にマスターから優しい言葉をかけて貰えた事に素直に感動した。こういう所が彼の良い所なのだと再確認した彼女は、彼の言葉に従って体を彼に預ける。

 優しくマスターに抱きかかえられた沖田は彼の温もりを堪能すべくそっと瞳を閉じる。温かく、幸せな一時を楽しむ沖田を尻目に、マスターは彼女の着ている着物へと手を伸ばした。

 

「あっ……!」

 

 マスターの手ではだけさせられた着物の内側から沖田のたわわに実った二つの果実が零れ落ちる。彼が事前の確認も無く服を脱がすことを意外に思った沖田だったが、聞かれても恥ずかしいだけだったのだからむしろ聞かれなくて良かったのではないかと心の中で結果付けた。

 上着を脱がす手はあくまで優しく、沖田への愛に溢れていた。彼女に負担や恐怖を与えない様に動く手は、てきぱきと動いて沖田をありのままの姿へと導いていく。

 

「は……う……っ♡」

 

 やがて彼の手で全裸へと剥かれた沖田は、恥ずかしさに頬を染めて短く呻いた。

 いじらしく、可愛らしいその行動を見たマスターは優しい手つきで彼女の頭を撫でると、自分も服を脱ぐべく一度彼女から体を離した。

 

「う、わ……!?」

 

 あっという間に服を脱ぎ、自分同様の裸になったマスターの体を沖田はじっくりと眺めて観察した。引き締まり、意外と筋肉質な彼の体にはいくつもの傷痕が残っている。

 それがあの敗北の際に付けられたものなのか、はたまた自分の様な囚われた英霊を助ける際に付いたものなのか、そのどちらかなのかを判断することは沖田には出来なかったが、彼の体に刻まれた無数の傷痕はどれだけ彼が苦しい戦いを繰り広げて来たのかをありありと物語っていた。

 

 ソロモンの体と比べると傷ついていると思うだろう。ソロモンの体には傷は一つも無かった。グランドキャスターである彼に傷をつけることは生半可なことでは無いし、もし傷ついたとしても魔術王であるソロモンならば簡単に治療できるだろう。

 見る者をうっとりとさせる芸術品の様なソロモンの裸体に対して、マスターの体は様々な傷が残っている。しかし、それは彼がどれだけ勇敢な人間であるかを示す証の様な物なのだと沖田は思った。

 

 そう、彼は人間だ。少しだけ魔術の才能があるただの人間なのだ。

 そんな彼が命を削り、傷つきながらも自分たちを助ける為に戦い続けている。一つしか無い命を懸け、全身を傷だらけにしながら必死に戦っている。そのことを思った沖田の目には、マスターの体がソロモンの何倍にも美しく思えた。

 

(……あ、あれも、大きいですね……!?)

 

 ついでにもう一つ、ソロモンとの違いを見つけ出した沖田は顔を赤くしてその部位を見つめた。

 若く、何処か幼さを残す顔つきの彼の股間にこんな凶悪な逸物がぶら下がっているとは思いもしなかった彼女は少しだけ不安を感じる。

 だがしかし、巨大さならば自分が相手取っていた魔猪だって負けていないだろう。大きすぎて挿入出来ないなんて言うことは無いはずだ。

 そんな考えを思い浮かべていた沖田の体を抱えたマスターは、後ろから彼女を抱きしめて唇を奪いながら、両手で彼女の豊かな胸を揉み始めた。

 

「んっ……♡ んんん~~っ♡」

 

 舌を絡ませ、彼にされるがままに口の中を犯される沖田の瞳が快楽に蕩けていく。頭の中が真っ白になり、ただひたすらに幸福感が身を包む。

 キスの快感に加え、快楽を染み込ませる様に乳房を愛撫するマスターの動きがその感覚に拍車をかけた。後頭部が痺れる様な快感を享受する沖田の口からは、甘く熱を帯びた喘ぎ声が溢れている。

 

「あふぅ……♡ ふぅぅっ♡ は~っ♡ はぁ~~っ♡」

 

「沖田さんのおっぱい、柔らかくって、温かくて、敏感なんだね。ずっとこうしていたいな……」

 

「はひっ♡ ちっ、乳首はっ♡ んきゅぅぅぅっ♡♡」

 

 甘い囁き声と共に敏感になった乳首を抓られれば、それだけで軽い絶頂を迎えてしまう。

 頭の中でスパークした快感に翻弄される沖田は、驚きの表情を見せながら口を大きく開いて荒い呼吸を繰り返していた。

 

「しゅ、ごい……っ♡ こんな優しくて気持ちいいの、獣とのセックスでは与えて貰えませんでした……♡」

 

「獣はただ性欲のままに交尾するだけだからね。本当のセックスって、愛があって初めて気持ち良くなれるものだと俺は思うな」

 

「ひゃぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 首筋を舐められ、もう一度乳首を弄られ……沖田は体を仰け反らせて快感に喘ぐ。

 どこか優しいマスターの手つきのお陰か、強烈な快感を一方的に与えられていると言うのにも関わらず嫌悪感や恐怖は無かった。それどころか、じわじわと昂って来る体は彼の愛撫を今か今かと待ち侘びているほどだ。

 

「はっ♡ ひゃっ♡ はへぇぇぇっっ♡♡♡」

 

「ん……。沖田さん、体は大丈夫? もう少し優しくしようか?」

 

「は、くっ……♡ らいじょうぶ、れす……♡ もっと、このまま……っ♡」

 

 己を気遣ってくれるマスターに感謝をしながら、呂律の回らない舌で返答をする沖田。その答えに小さく頷いたマスターは、彼女の一番敏感な部分へと手を伸ばした。

 

「ふひぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 ぐちゅり、と自分の膣に挿って来る指。ゆっくり、ゆっくりと自分の内側を掻き回し、じんじんと痺れる様な快感を与えてくれる。

 じっとりと濡れた己の秘所が彼の指を喜んで咥えていることを感じながら、沖田は体を震わせて喘ぎ続ける。

 

「ふーっ♡ ふーっ♡ ふぅぅぅっっ♡」

 

 愛する人が与えてくれる甘い快感。優しい彼は沖田に負担が掛からない様に工夫しながら愛撫をしてくれている様だ。

 弱い部分を探りつつ、二本の指で膣の壁を擦る。腹側の膣壁を擦られればぞわぞわとした快感が生まれ、沖田の口からは自然と熱い吐息が漏れていった。

 なおも沖田を責めるマスターの指は奥の方へと進んで行く。愛撫による快感に反応した子宮は、既に彼の指が簡単に触れられる所まで降りて来ていた。

 

「はっ♡ はぁぁっ♡ ゆ、びがぁぁっ♡ おくにぃっ♡ はぁぁっ♡ そ、それダメですっ♡ 奥弱いっ♡ 私、そこ弱いんですぅっ♡」

 

 ちゅこ、ちゅこ……♡ 彼の指が子宮口に触れる度、そんな淫らな音が沖田の秘所から響いた。

 自身の弱点を探り当てられ、そこを重点的に触れられる沖田は、瞳から涙を流して蕩けた表情を晒している。

 

 ぷくりと膨れた乳首も、興奮で紅潮した頬も、愛液を滝の様に垂れ流す膣も、彼が与えてくれる快感に酔った様に反応を見せている。沖田はその快感に翻弄されながら、この快感が今までの物とは全く別の種類のものであることを感じ取っていた。

 ソロモンの元に居た頃、沖田は何度も魔猪に犯された。重い体重、巨大な肉棒、荒々しい動き……獣の野生と本能を爆発させた激しいセックスで、何度も絶頂させられたものだ。

 だから、自分はもう普通のセックスは出来ないと思っていた。ただの人間には無い暴力的な快感に慣らされてしまったこの体では、普通の快感では生ぬるく感じてしまうと思っていたからだ。

 だが、実際はどうだろうか? ただの人間、普通の青年であるマスターに抱かれる自分は、彼の手で与えられる優しさと愛に満ちた快感の虜になっているでは無いか。激しさがあるわけでは無い、爆発的な快感があるわけでも無い。だが、体の中に広がる自分の知らない感覚は、確かに自分のことを気持ち良くしていた。

 

「ひきっ♡ そんなっ♡ そんなに弄っちゃダメですっ♡ ああっ♡ 乳首までぇっ♡」

 

 ぐっしょりと濡れた秘所に指を出し入れしながら、マスターは沖田の乳首を口に含んだ。舌で敏感なそこを弾き、こりこりと甘噛みをして快感を与えて来る。

 膣と乳首、二つの弱点をしっかりと責めるマスターだが、決して沖田が苦しまぬ様に力加減と愛撫の激しさを調整していた。体を仰け反らせて喘ぐ様な強い快感では無く、温かい湯船の中に浸る体がじんわりとその温もりを包むような快感は沖田にとって未知のものだ。

 

「はひぃ……っ♡ ふぅぅっ♡ ん~~っ……♡」

 

 マスターの口の中で弄られる乳首が彼の愛撫に敏感に反応する。ちゅぱちゅぱと音を立てて乳首に吸い付くマスターはまるで大きな赤子の様だ。

 母乳を飲む様に沖田の乳首に吸い付いたかと思えば、わざと焦らす様に乳輪の部分を舌でなぞってもどかしい快感を与えて来る。そのもどかしさが最高潮まで高まった瞬間、マスターは尖った沖田の乳首を甘噛みするのだ。

 

「ひゃおぉぉぉっ♡ はぁぁぁぁぁっ♡」

 

 待ち望んでいた強い快感に腰を跳ね上げる沖田。タイミングは察せていた為に心の準備は出来ていたが、それでも予想以上の快感に頭が快感の一色に染まってしまう。

 外気に晒される彼女の意外と大きな乳房はマスターの責めに応じてたゆんたゆんと揺れている。乳首を吸われていない方の乳房を左手で掴んだマスターはその柔らかさを堪能しながらじっくりと乳房を快感漬けにし始めた。

 

「は、あぁ……っ♡ ちゅぱ、ちゅぱ……♡ こりこり……♡ もみもみ……♡ 全部、気持ち良い……♡ 私の大事な部分が熱くなって……もう、限界です……♡」

 

 指での愛撫を続けられている膣から溢れる愛液は、いつの間にか白く濁った本気汁に変わっていた。上手く動かない体もまた、彼の指を受け入れやすい様に脚を開いた姿勢になっている。

 自分の意志でそうしたのでは無く、無意識の内に性交に適した姿勢を取っている。愛する人に触れて欲しいと願って体が反応し、触れられた悦びでまた反応を示す。勝手な反応でへこへこと動く腰もまた、彼の愛撫の心地良さを物語っている。

 

「イク……♡ マスター、私、もう……っ♡」

 

 彼の起こす快感の波に体を攫われる沖田は限界を迎えようとしていた。徐々に徐々に大きくなっていく快感の波動を子宮に感じながら彼にそれを伝える。

 マスターは彼女の言葉に大きな変化を見せることも無く、淡々と続けている優しい愛撫を行うだけだ。激しさの無い甘い快感の虜となった沖田にとって、その責めは何よりも心地良い快感となって彼女の体の中で弾けた。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………っっ♡♡♡」

 

 頭の中で、胸で、子宮で……快感が何度も弾け、気持ち良さが爆発する。全身を駆け巡る快感の信号の強さに仰け反った沖田の瞳には、綺麗なハートマークが浮かんでいた。

 

「あ、ひゃ……♡ すご、いぃ……♡ んあぁぁぁぁぁぁぁっっ……♡♡♡」

 

 快感の波が、跳ね上がった体の感度が、昂った熱が……自分の中で引かずにそのままでいる。絶頂し(イっ)た時の快感が、ずっと体の中で残っている。もう彼に触れられている訳でも無いのに体が快感を訴えているのだ。 

 ぞくぞくとした快感に飲み込まれた沖田は、間髪入れずに二度目の絶頂を迎えた。寝転がった体勢で腰だけを浮かせ、何度も何度も上下させながら膣から潮を噴き出す。

 嬌声を響かせ、愛液の雨を撒き散らす沖田は恥ずかしそうに顔を手で覆ってはいるが、体の反応は止めることが出来無い様だ。ぴんっ、と浮かぶ腰はまるでもっと弄って欲しいとでも言うかの様にリズミカルに揺れている。

 

「あっ、あっ! だめっ! み、見ないでください、マスター!」

 

 潮吹きを終えた沖田が顔を覆っていた手を除けて慌てた様子で叫んだ。こんなに恥ずかしい姿を見せておいて今更何を言うのかと思うマスターの目の前で、浮かび上がった沖田の腰から愛液ではない液体が放たれる。

 

「あぅぅ……♡ は、恥ずかしい、です……♡」

 

 絶頂によって弛緩した尿道が開き、快感による放尿……言わば、沖田の()()()()が始まったのだ。

 恥ずかしさに頬を染める沖田の表情とは反対に、放尿を続ける秘所はもっと見ろと言わんばかりに腰を浮かび上がらせている。弱く、恥ずかしい部分を見せ、それを受け止めて欲しいと言う甘えを見せている様で、そんな自分のことを優しく見つめるマスターの瞳を見ると、沖田は心臓が跳ね上がるほどの気恥ずかしさとときめきを感じていた。

 

「……沖田さん、凄いえっちな顔してるよ。俺におしっこする所見られて感じちゃった?」

 

「そ、そんなこと、ないですよぉ……♡」

 

「ふふふ……! そんな顔で言われてもすぐに嘘だって分かっちゃうよ? でも、沖田さんが可愛いから許しちゃう」

 

「可愛い、だなんて……♡ ふぁぁ……♡」

 

 布団に寝そべったまま、頭と腹を撫でられる。頭を撫でられると安心感に心が落ち着き、腹を撫でられると燻りを残している快感が子宮を震わせる。

 発情しきった沖田の体は、マスターの言う通り放尿の恥辱すらも快感に変換していた。自分が今だ聞いたことの無い様な蕩けた甘い声を出している事に気が付いた沖田は、もう一度快感を味わおうとマスターに愛撫を強請る。

 

「も、もう一回、イかせて下さい……♡ マスターの手で、イかされたいんです……♡」

 

「……手、で良いの? もっと気持ち良いこと、したくない?」

 

「あ……っ♡」

 

 彼の言葉に胸が高鳴る。急激に体温が上がり、期待に子宮と膣がときめく。

 ごくりと喉を鳴らした沖田の視線はマスターの下半身へと注がれていた。彼女の眼には、雄々しく猛々しいマスターの肉棒しか映っていなかった。

 

(指であんなに気持ち良いのに、あんなにおっきくて太いものを受け入れたら……わ、私、壊れちゃうんじゃないでしょうか……♡)

 

 猪に付いていたドリルの様な形ではない。マスターの股間に付いているのは、至って普通の形の肉棒だ。大きさだって人で考えれば随分と大きいのだろうが、それでも魔猪の逸物を受け入れていた沖田からすれば驚異に感じる様な物では無いはずだ。

 だが、今の快感に火が付いた体に愛しい人の分身を挿入され、それに快感を叩き付けられてしまったら、自分が正気でいられる自信がまるで感じられない。

 沖田の心の中にはちょっとした恐怖とそれを塗り潰すほどの期待が生まれていた。

 

「……それじゃあ、行くよ……!」

 

 脚を広げられ、その中心にマスターが座す。滾り、律動する肉棒は天を突かんばかりにそそり立っているではないか。

 今からあれが自分の膣に入って来る。巨大な快感を伴って、自分の弱点を責めに来る……。そう思った瞬間、沖田の中からは恐怖の心が完全に消え去った。

 

「は、あぁぁぁぁっ……♡」

 

 亀頭が膣口に触れる。そのまま肉棒が前に進む力を感じた沖田の中に、膣を割り裂いてマスターの肉棒が侵入して来た。

 蜜に溢れた己の性器は、巨大にも程がある彼の肉棒をすんなりと呑み込んで行く。膣壁をカリが擦り、余分なスペースなど与えないと言わんばかりに竿の部分が沖田の内部を埋め尽くす。

 じっくりと時間をかけて行われた挿入の後には、まだ本番は始まっていないと言うのにも関わらず深い絶頂を繰り返している沖田の姿があった。

 

「はえぇ……っ♡ こんにゃの、耐えられない……ぃっ♡」

 

 入口から奥まで、沖田の全てを埋めつくすマスターの肉棒。それが僅かに動き、振動し、熱を帯びるだけで、沖田は軽い絶頂を迎えてしまうのだ。

 開発され切った自分の子宮は既に彼に屈服していた。子宮口はちゅうちゅうとキスでもするかの様に亀頭に吸い付いて快感を強請っている。

 己の弱い部分、最も感じる部分はここだと主張する様に震える沖田の子宮。その振動も快感を生み出し、沖田を更なる絶頂へと誘う。

 

「あ、あぁっ♡ ま、またイクっ♡ い、イクの止まりませんっ♡ 私の赤ちゃんの部屋、ぶるぶる震えるの止まらないんですっ♡」

 

 上下の口から涎を垂れ流し、幸せそうな表情を浮かべて快感を訴える沖田。随分と快感に翻弄されている様で、このままでは動き出すことは出来なさそうだ。

 マスターはそんな彼女を落ち着かせる為の行動を取る。沖田の両手を掴み、自分の指と指を絡ませる様に握り合ったのだ。所謂、恋人繋ぎと言う手の繋ぎ方をした二人の間に、温かく幸せなムードが流れる。

 

「指と、あそこ……♡ 二つの場所でマスターと繋がって、絡まって……♡ 全身、じんじん来ちゃいます……っ♡」

 

 とろり、とろりと流れる沖田の蜜。荒かった彼女の呼吸が落ち着いたものに変わって来たことを確認したマスターは、ようやく腰を動かして沖田の膣を責め始めた。

 

「はひぃんっ♡ ひぃんっっ♡ いきなりおきゅっ、つかれてぇ……っ♡」

 

 垂れ流し続けた愛液がマスターの腰の動きに合わせて淫らな音を響かせる。じゅっぽ、じゅっぽと音を立てる自分の膣を恥ずかしく思う余裕は、今の沖田には存在しなかった。

 気持ち良かった。ただ、与えられる快感を受け止めることで精一杯だった。初めての性交だと言うのに、マスターは的確に沖田の弱点を突いて来るのだ。

 

「なんれぇっ♡ なんれ、おきたしゃんのよわいとこ、わかりゅんれすかぁっ♡ ああっ♡ まひゅたぁ、しょこはらめぇっ♡ らめれすぅぅっ♡♡♡」

 

「ふふ……! だって沖田さんの反応が正直なんだもん。何処が気持ち良いのかなんてすぐにわかっちゃうよ! それに……口では駄目って言ってるけど、体は正直だよ? ほら……!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 意地悪な笑みを浮かべたマスターが腰を強く突き出し、沖田の膣のある一点を責める。

 子宮口のすぐ近く、そこに存在する質感の違う突起……その柔らかい肉の塊をマスターの肉棒に突かれた瞬間、沖田の体に未知の感覚が走った。

 

「なっ、にゃにこれぇっ♡ ぜんしんっ、じんじんしてぇっ♡」

 

 強烈な、瞬間的な快感ではない。直接的な刺激では無く、全身を痺れさせる様な深い快感が沖田を包む。

 繰り返しその部分を突かれれば、その快感はより深さを増し、強く沖田の体を包み込んで行く。全身に広がる幸福感の様な痺れに喘ぐ沖田に対し、マスターが責めを継続させながら説明する。

 

「うん、やっぱりそうだった。沖田さん、ボルチオで感じられる様になってるんだね」

 

「ぼるちお……? なんですか、それ……?」

 

「膣の奥、子宮口の辺りにある性感帯だよ。本当は開発まで時間がかかるし、見つけるのも難しいんだけど、一度感じられる様になっちゃえば……ほら!」

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 とんっ、と勢いをつけて沖田のボルチオを突いたマスターは、その行動によって生み出された快感に身を捩る沖田の姿を見て満足げに微笑んだ。沖田もまた獣とのセックスでは得られなかった深い幸福感に素直に身を委ねる。

 

「はっ♡ はぁぁっ♡ そこっ、凄いぃっ♡ な、なにもかんがえられなくなりゅぅっ♡」

 

「……沖田さん、魔獣とセックスしてる時はただ乱暴に突かれてただけなんでしょ? 思いっきり奥まで突っ込まれたから、ボルチオも柔らかくなって感じられる様になってたけど……突いて貰えないんじゃ、その気持ち良さを知ることなんて出来ないもんね」

 

「はふぅっ♡ ふぅぅぅっ♡ んんんっっっ♡ あへあぁぁぁっっ♡」

 

 沖田に話しかけるマスターの声は、彼女の喘ぎ声で掻き消されてしまっていた。静かに黙るなんてことも出来ないまま、沖田は大声で喘ぎ続ける。

 全身は強張った様に動かない。あまりの快感に身震いすら出来なくなっているのだ。ただ一点、マスターと繋ぎ合う手だけに思い切り力を込め、彼と繋がり合うことの喜びを共有している。

 

 開発され、柔らかくなった子宮口。そこに存在するぷるんとした肉の突起。

 肉棒に突かれれば震え、甘い振動を沖田の全身に発する性感帯。何度も何度も彼に責められ、はっきりと弱点と認識してしまった最高に気持ち良い場所。

 

「ぼるちお……しゅごいぃ……っ♡ ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 与えられ続けて来た深い幸福感が全身で弾ける。今までに無い最深深度からの絶頂は、沖田の意識をホワイトアウトさせるには十分だった。

 口から涎を、鼻からは鼻水を。全身の汗腺からは汗が玉の様に吹き出、尿道からは小便が再び飛び散る。

 全身の穴と言う穴から液体を垂れ流しながら、沖田は大きな幸福感と快感に意識を攫われ、絶頂と共に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁぁ……っ♡ しゅごいっ♡ マスターのおちんぽ、しゅごいですぅ……♡ 獣ちんぽより、凄く気持ち良いのぉ……っ♡」

 

 十数分後、沖田は彼に対面座位の状態で抱きしめられながら腰を振っていた。口からは彼を煽る様な淫らな言葉が飛び出し、表情もまた快感に蕩けたものになっている。

 少し気を失ったおかげか、それともマスターとのセックスで魔力が供給されたからかはわからないが、ほんの少しだけなら彼女の体は動く様になっていた。あくまで無理はしないようにしながら、沖田はマスターの動きに合わせて腰を振る。

 

「はぁんっ♡ ああっ♡ はぁぁぁぁ……っ♡」

 

 ただ突き入れられるだけだった先ほどとは違い、今度はお互いに協力して快感を生み出し合っていると言う状況が沖田の心を躍らせた。一方的に気持ち良くして貰っているのではなく、自分もまた愛しい彼を気持ち良く出来ていると言う事が堪らなく嬉しかったのである。

 それに加え、単純に生まれる快感も上がっていた。自分が腰を跳ね上げる分、動きが大きくなるのだから当然のことだ。

 

「あぁっ♡ おしりっ♡ おっぱいも良いですっ♡ もっとっ♡ マスターの好きにしてくださいっ♡」

 

 自分の体を抱きしめるマスターは、時折沖田の胸に吸い付いたり、指をアナルに潜り込ませたりして単調ではないセックスを繰り広げていた。

 不意打ちに近い形で別の快感を与えられれば、その刺激に意識を吸い寄せられる。そこを肉棒による激しい快感で叩けば、もう沖田には成す術は無かった。

 

(全部……♡ 全部、気持ち良すぎる……♡ でも……でもっ♡)

 

 快楽漬けにされ、女の幸福を教え込まれ、未知の快感を叩きこまれた自分の体。

 もう彼に何をされても気持ち良く感じ、何を言われても心と子宮がときめいてしまう。

 だが、沖田の中ではたった一つの欲求が渦巻いていた。なにをされても感じる自分が望む、最高の快感を求めて腰を振るも、マスターはそれを見透かした様に沖田が望む快感を避けているのだ。

 ()()()()を狙って沖田が腰を振り下ろそうとも、マスターは上手く腰を操って狙いを外させる。何度やっても同じ、沖田がいかに望もうと、彼はその願いを叶えてくれないのだ。

 

「はっ♡ はぁっ♡ ほしっ♡ ほしぃぃっ♡」

 

「ん……? 何が欲しいの? ちゃんと言ってよ、沖田さん……」

 

「くぅぅぅぅっ……♡ マスターは意地悪です……♡」

 

「沖田さんがして欲しいこと、ちゃんと口にして欲しいな。そうしたら、必ず叶えてあげるからさ……」

 

 意地悪で優しい彼の言葉に頬を染め、沖田はもじもじと指を絡めて視線を横へと逸らした。

 恥ずかしがっていることは確かだが、彼女の中ではもう既に覚悟は決まっていた。沖田は少しだけはにかみながら、啄む様なキスをする。

 

「ふっ♡ ふぅっ……♡」

 

 マスターの唇を挟み、自分の方へと引っ張る。二度、三度とそれを繰り返し、存分に彼に甘えて見せる。

 何度目かのキスを終えた沖田は、そのまま上目遣いでマスターの目を見つめると……甘く、蕩けた声で自分の望みを口にした。

 

「……マスターのおちんぽ、ボルチオに欲しいです……♡ 全身が気持ち良くなっちゃう場所をおちんぽで突いて、沖田さんのことを気持ち良くしてください♡」

 

「……はい、わかりましたっと!」

 

「んひゃぁぁぁっ♡ きたっ♡ きたぁぁっ♡」

 

 マスターの肉棒が天を突く勢いで自分の膣を押し上げる。子宮の入り口、自分が待ち望んだ場所に亀頭を叩き付けられた瞬間、彼女の意識は一瞬だけ途切れた。

 快感に飲まれ、真っ白になった意識は、続けてやって来た新しい快感によって覚醒させられた。弱点であるボルチオを連続して叩くマスターの腰遣いに、沖田はメロメロになってしまっていた。

 

「ああっ♡ おくっ♡ おくぅぅっ♡ ずるいずるいずるいっ♡ こんなのっ♡ 気持ち良くならないわけが無いじゃないですかぁっ♡」

 

 Gスポット、子宮口、そしてボルチオ。巧みな動きで突き上げる部位を変え、沖田の感じる快感に変化を起こしながら、マスターは的確に沖田を追い詰めている。

 腹側の性感帯の密集地を叩かれ、次のピストンで奥を責められる。かと思えば、何度も何度も微弱な腰の動きで沖田を焦らし、じわじわと昂ぶりを貯め込ませて来る。

 

「はくっ♡ はやくっ♡ 気持ち良いところっ♡ おちんぽ……おほぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 もう恥も外聞も関係ない。沖田はただ貯め込まれた官能を発散すべくマスターにもう一度弱点を突いて貰おうと口を開いた。だが、彼はそんな沖田の行動を予想していたかの様に腰を跳ね上げてボルチオを貫く。

 焦らし、高められた官能はその一突きで完全に覚醒された。獣じみた嬌声を上げる沖田のことを抱きしめながら、マスターは彼女の耳元で優しく呟く。

 

「……沖田さん……沖田さんの居場所は、ここにあるからね。もうここから離れちゃ駄目だよ?」

 

「ふ、え……♡」

 

 耳から聞こえた甘い声が沖田の心を溶かす。蕩けた体を抱きしめられ、ふわふわと高揚する心を掴まれ……沖田は、マスターの言葉に知らず知らずのうちに頷いていた。

 

「ここ、が……マスターの腕の中が、沖田さんの居場所……?」

 

「そうだよ。苦しいことがあったって、辛いことがあったって、沖田さんには戻って来られる場所があるからさ……だから、怖がらなくて良いんだよ。望むなら、俺がいつでも沖田さんのことを抱きしめてあげるから……!」

 

「あぅ……♡」

 

 優しい口説き文句を口にしながら自分を抱きしめるマスターの行動に、沖田の心は完全に蕩けさせられていた。快楽と共に体と心に染み込まされた彼からの愛情が、沖田の嗜好をグズグズに溶かして行く。

 沖田の心も体も……もう、ソロモンの物ではなくなっていた。今の彼女とソロモンを繋ぎ止めているのは、彼の元に居た頃の快楽の記憶だけだ。しかし、それもじきに意味をなさなくなる。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ はぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 マスターの腰の動きが激しくなる。沖田を抱きしめる腕の力も強く、アナルに潜り込む指もより深くへと突き入れられて行く。

 執拗にボルチオを叩く彼の肉棒は、まるで鋼の様に硬くなっている。それが帯びる熱さ、そして猛々しい律動もまた高まり強くなっていた。

 

 彼は自分にトドメを刺そうとしている……マスターが自分を落とそうとしている事に気が付いた沖田の体にもまた、変化が起き始める。

 愛と快感に付け込まれ、獣との性行では知りえなかった新たな快感を彼に教えられた体は、その時を今か今かと待っていた。今まで自分が経験して来た絶頂など目ではない真の絶頂がそこまで迫っている事に胸の高鳴りが止まらないでいる。

 そして、ソロモンの行いのせいで傷つき、ボロボロになった心もまた、彼のモノに戻れる瞬間を待ちきれないと言う様に輝いていた。膣を突かれる度に脳裏からソロモンの姿が遠ざかって行く。沖田の中では、もうソロモンから与えられた快楽の記憶はぼんやりとしか思い出せないレベルにまで落ち切っていた。

 

「んんんっっ♡♡ んきゅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 マスターの唇が自分の唇を塞ぐ。口、膣、アナル……快楽を生み出す三つの穴を彼の体で塞がれた沖田は、くぐもった悲鳴を上げながらその時を迎えた。

 

「ん、んんんんんんっっっ!?!?」

 

 一突き目、自分の子宮口が突き上げられた。勢いの乗った一撃に沖田の腰が跳ね上がり、そして重力に従って落ちて来る。

 

「ん~~~っ♡♡♡ んんん~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 二突き目、官能の中心地、ボルチオを思い切り突き上げられた。跳ね上がった腰が落ちて来る勢いも重なり、沖田は絶頂を迎えながらも再び勢いよく腰を跳ね上げさせた。

 

「んあぁぁぁぁぁっ♡♡♡ はぁぁぁぁぁぁぁっっんんんっっ♡♡♡」

 

 絶頂し、潮を噴き、愛液の飛沫を撒き散らす沖田の膣に繰り出される三突き目。それは、最初の一撃と同様の場所を狙ったものだった。

 膣から肉棒が抜けるギリギリまで浮き上がった腰の勢い、これでトドメと言わんばかりの腰の跳ね上げ……その二つが重なった渾身の一突きが沖田の子宮を叩きのめす。

 もう一度沖田が腰を跳ね上げることをマスターは許してくれなかった。快感に浮かび上がりそうになる腰を抑え込まれ、更に奥深くを責められる。腰が浮かばないのならこの勢いを止める術は一つしか無い。

 そう、()()()()()()()()()()()()()しか無いのだ。

 

「は、あぁ……あああ……っ♡」

 

 マスターの肉棒に自分の子宮が押し上げられる。今まで行ったことの無い所まで押しやられた自分の子宮が、大きすぎる快感を理解するまで一拍の時間を必要とした。

 

「は、は、あぁぁぁっ♡ はぁぁぁぁ……っ♡」

 

 震えが、痺れが、波が……自分の体の中で徐々に大きくなって来る。その全てが快感へと形を変えて行くことを感じ取った沖田は、口を大きく開いて絶頂の叫びを上げた。

 

「あぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ イっ……クぅぅぅぅぅぅぅっっっっ♡♡♡」

 

 愛液の飛沫が秘所で何度も弾ける。体の痙攣は止まらず、舌を放り出して人として恥ずかしい程のアクメ顔を晒してしまう。

 叩き込まれた快感を体が理解した瞬間、彼女の膣も絶頂の反応として大きく振動していた。子宮口もぽっかりと口を開き、滝の様な愛液を吐き出そうとする。

 そして……その瞬間を待っていたかのように、マスターもまた彼女の最奥に己の欲望を解き放った。

 

「あぐぅぅっっ♡ あちゅ、あちゅいぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ しきゅうっ♡ 赤ちゃんの部屋っ♡ 灼けるぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 大きく開いた子宮口から注ぎ込まれるマスターの精液。魔猪の射精よりも激しく、量も多く、精の迸りも熱く燃え盛っていた。

 注ぎ込まれる精液が沖田の霊基に染み込み、彼女の記憶と心を塗り替えて行く。子袋に入りきらないほどの精液を受け取った子宮は雄々しく強い雄の遺伝子に屈服し、誰が己の主人であるかを明確に理解した。

 

「熱い……♡ 熱いぃぃ……っ♡ こんなの……絶対に妊娠しちゃいますよぉ……♡」

 

 子宮の内側と外側が同じくらいの熱を帯びていることを感じた沖田は、うわ言の様に呟きながらその熱を甘受した。

 心の芯まで溶かす熱さに恍惚とする彼女の下腹部が明るく光り、ソロモンの手で作り替えられた霊基を元に戻して行く。

 

 尻に刻まれた雌の文字が剥がれて行く。丸く、艶やかさを帯びた彼女の尻は、汚れた証を消し去って本来の美しさを取り戻した。

 背中に描かれていた誠と×印の文字が薄れて行く。消える寸前に僅かに光った誠の文字は、彼女が掲げていた心意気を取り戻したことを示している様であった。

 そして……豚の文字が刻まれていた淫紋令呪はその姿を変え、愛しい人の女になった赤く可愛らしいものへと変化した。令呪の持ち主が変わったことでソロモンに下された数々の命令もまた解除されていく。

 

「あ、あ……♡ ますたぁ♡ 気持ち良いです……♡ 幸せです♡ 頭の中ふわふわして、もっとこうしていたくなっちゃうんです……♡」

 

 死ねなくなった苦しみから解放された沖田は、晴れやかな気分を胸に言葉を紡いだ。今の彼女の瞳は熱を帯び、主への愛情がはっきりと映っている。

 膣に注がれた熱と自分を抱きしめる彼の体温、その二つを感じる沖田の胸の中には、計り知れないほどの幸福感が広がっていた。

 

(戻れた……♡ 元の私に、戻して貰えた……♡ こんな私のことを許して、愛してくれたっ♡)

 

 薄汚れた雌豚としての自分を抱き止め、愛情を持って接してくれたマスター。いつもと変わらぬ優しさで自分を包み、苦しみから解放してくれた愛する人……。

 居場所を作ってくれた。望みを叶えてくれた。抜け出せないと思った暗闇から、自分を救い出してくれた。

 もう離れない。もう迷わない。彼の腕の中(ここ)が、自分の在るべき居場所なのだ。

 

「ます、たぁ……♡ もっと、あなたのお傍に……♡」

 

 体は大分楽になった。思い切り動いても問題無いだろう。

 これでやっと思う存分彼に奉仕出来る。獣との性行ばかりしていた自分には、もしかしたら彼への奉仕は荷が重いかもしれない。だが、それが故に彼に一から仕込んで貰えるだろう。温かい幸福感を胸に沖田はそっと微笑みをマスターに向ける。

 

「マスター、今度は私が頑張る番……こふっ!?」

 

 愛しい彼への感謝の思いをこの身で示そう。愚かな自分でも、女としての体があるならば出来ることがある。

 そう思いながら奉仕を開始しようとした沖田であったが……突如として血を吐いて目を回してしまった。

 

「お、沖田さんっ!? ご、ごめん! 無理をさせ過ぎたんじゃ……!?」

 

「あ、ああ……。違うと思います。むしろ、これが正常と言いますか……けふっ!」

 

「うわぁぁぁっ!? ナイチンゲール! お医者さ~~んっ! 早く来て~~~っ!!!」

 

 全部が元に戻ったのなら、病弱スキルも元に戻る。そして、コミカルな彼女の性質上、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「マスター、色々すいませんでした……。それと、ありがとうございま……こふっ!」

 

「ちょっと! なんか遺言っぽいことを言うのは止めてよ! 死んじゃうみたいじゃないかぁ!」

 

 自分の腕の中で気を失う沖田に叫びながら、マスターと沖田の初めての夜伽はなんとも締まらない終わりを迎えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ありがとうよ」

 

「……へっ?!」

 

 そして翌日の朝、こってりとナイチンゲールに絞られたマスターを待っていたのは、新選組の鬼の副長からの予想外の一言であった。

 あの土方が自分に礼を言っている……何故、どうしてこうなったのか? その理由が分からずに目を白黒させるマスターに対し、呆れた様な口調で土方は説明をした。

 

「……沖田を救ってくれたこと、感謝する。俺が出来なかったことをやり遂げ、付き合いの長い仲間を救って貰ったんだ、俺だってそれを感謝しねえわけじゃねえ」

 

「え……? で、でも……」

 

「……沖田を殺そうとしたのは、あの時点ではそれが一番良いと思ったからだ。苦しまずに死なせてやることが一番良いと思った、ただそれだけの話だ。……誰も好き好んであいつを殺そうとしたわけじゃあねえよ」

 

 後半の部分を呟く様な声量で口にした土方は、顔を背けて屋敷の壁を見ている。

 彼は不器用なだけで、仲間を大切に思う心は人一倍強いのだなと感心したマスターが土方歳三と言う男への認識を改めていると、不意に視線を合わせた彼が神妙な表情をしながら話しかけて来た。

 

「……今までの話はこれで終わりだ。ここからは、これから先の行動を決める話だが……お前はどうするつもりだ?」

 

「……出来たら、仲間たちを救いたいです。でも……」

 

「方法が見当もつかねえ、だな?」

 

 土方のその言葉にマスターは悔しそうに俯きながら頷いた。本当に悔しいが、どうすればモードレッドたちの心を救えるのかが全く分からないのだ。

 ローマの中の日本は制圧した。安定した状況の今だからこそ、奪還した英霊たちの心を解放しておきたい。

 だが、その方法がわからない。苦しむ仲間たちをただ見ている事しか出来ない自分に苛立ちを募らせるマスターは、歯を食いしばって己の不甲斐なさを呪った。

 

「……教えてやろうか、方法を」

 

「え……?」

 

 俯き、黙っていたマスターの耳に届いた声。その声に反応して顔を上げたマスターは、自分の事を見つめる土方の顔を見つめ返して彼に聞き返した。

 

「方法が……あるんですか……?」

 

「……お前の心がけ次第だが、あいつらを救う方法は存在する。あとは、お前に覚悟があるかどうかだ」

 

「あります! 俺は、皆を救いたいんです! だから……」

 

「……なら、決まりだな」

 

 間髪入れずに返答したマスターの事を見て満足げに頷いた土方は、立ち上がると彼の元へと歩み寄って来た。

 見上げる様な長身の土方に見下されながら、彼の鋭く熱い炎が燃える瞳を見つめ返すマスターに対し、土方は告げる。

 

「……俺がお前を鍛えてやる。誰もがその背中を追いたくなる様な男に、強い信念を貫ける人間に、自分について来る奴らの重荷を笑って背負える様な頭目に……俺が、育て上げてやるよ」

 

「……はい!」

 

 差し出された土方の手を掴み、マスターは大きな声で返事を返す。

 あの三人を……いや、囚われ、苦しむ仲間たちを救えるのならば、どんな困難な試練だって乗り越えて見せる。

 土方の瞳に燃える炎にも負けない覚悟の光を胸に灯しながら、マスターは覚悟を決めた表情を見せ、そして笑った。

 

 

 




 暫くの間、感想への返信を停止します。
 理由は活動報告の方へ書いておきますので、気になったかたはご一読下さい。

 完全に停止するのではなく一時的な物ですのでご安心ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

信義の価値(モードレッド ランサーアルトリア)

「付いて来い、モードレッド。お前にもマスターとの夜伽を経験して貰う」

 

 モードレッドが父(?)であるアルトリアにそう言われたのは、沖田が復活してから3日後の事だった。

 淫紋令呪の主をソロモンからカルデアのマスターへと移した彼女の体は、ソロモンに与えられていた呪縛から解放されたことで元の力を取り戻しつつあった。

 霊薬で弱った体も鉄の看護師であるナイチンゲールの治療で快方へと向かっている。日に日に明るさと笑顔を取り戻す沖田を見て良かったと思う反面、モードレッドの心の中には僅かに彼女へと羨ましさが募っていた。

 

 彼女は良い。元々戦闘担当であり、弱っていたのは令呪の命令と霊薬の複合効果故だ。突破口が見つかれば、じきに元通りの強さを取り戻すだろう。

 だが、自分は違う。たとえ令呪の主が変わったとしても、既に弱り切ったこの霊基はまともな戦闘をこなすことは出来ないのだ。

 

 嬲られ、殺され、じわじわと回る毒の様に染み込んで行った苗床としての最適化命令。モードレッドが再召喚される度にそれは彼女の魂を蝕み、弱らせていった。

 結果、今の自分は戦闘どころか剣を持ち上げることすら出来ないのだ。既に自分が反逆の騎士からただの苗床にまで堕ちてしまっていると言う現実にモードレッドは絶望し、気力を無くしていた。

 

 どうせ自分は何も出来ない。なら、ソロモンの所で便所にでもなっていた方が幸せだったのでは無いだろうか……? そうであれば、自分はこんな無力さを感じることは無かったと言うのに……モードレッドは幾度となくそんなことを考えては、陰鬱な気持ちに心を沈ませていた。何度も思ったこの感情を口にしないのは、自分を救ってくれたマスターの気分を損ねることと、アルトリアに叱責されることが怖いからだ。

 モードレッドがソロモンに捕らえられて失ったのは、体の強さだけでは無かった。恐れを知らず、言いたいことは口にし、やりたいことは実行すると言う意思の強さすらも失ってしまったのだ。

 ソロモンの気分を損ねれば、自分は一瞬で便所かそれよりも下の地位に堕ちる。父の気分を損ねれば、足元に居る虫を踏み潰すくらいの気軽さで殺される。そんな日々が、モードレッドから反逆の精神と気丈さを奪ってしまったのだ。

 

「はい……わかりました……」

 

 だからモードレッドにはアルトリアの言葉に頷くしか道は無かった。恐れが彼女から意思を奪い、従うと言う選択肢だけを残して心の中に居座っているからだ。

 自分の返答を聞いて頷いたアルトリアの背中に付いて行きながら、モードレッドは彼女らしからぬ諦めの思いを心の中に浮かべていた。

 

(どうせ……オレに出来ることなんてこれくらいしかねえんだ……。なら、少しでも可愛がってもらえる様にした方が賢いもんな……)

 

 死んだ目をしたまま歩くモードレッドは彼に抱かれることを喜ばしくは思ってはいなかった。女扱いされることは嫌いだし、殺したくなるほどの怒りを覚えてしまうことは確かだ。

 だが……()()()()()()()()()()()()()()()。従順な性処理用の女サーヴァントとして扱って貰った方が幸せなのだと自分に言い聞かせながら、モードレッドは彼女の心中を表した様な薄暗い廊下を歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……♡ んんっ……♡ こうやってあなたにご奉仕するのは久々ですね、マスター……♡」

 

 甘く、蕩けた声でマスターへと囁きながら、アルトリアは己の豊かな胸で彼の肉棒を挟み、丁寧に扱き上げる。そんな彼女の様子を見つめるモードレッドは、自分の心臓がバクバクと高鳴っている事を感じていた。

 あの凛々しい騎士王が媚びた雌の様に振る舞い、喜んで性的な奉仕を行っている……その大きな乳房でそそり立つマスターの肉棒を挟み、飛び出した亀頭を口に咥える幸せそうなその姿は、モードレッドの困惑と興奮の気持ちを大きく煽った。

 

「じゅるっ♡ じゅるぅぅっ♡ じゅるるるる……っ♡」

 

 涎を垂らし、胸の潤滑性を増したアルトリアが乳房を上下に大きく揺らす。舌でマスターのカリを添う様に舐め、大きな音を立てて吸い付く。

 堂々と立って肉棒を差し出すマスターと跪いて彼へ懸命に奉仕するアルトリア、今の両者の姿を見れば、どちらが主でどちらが従う者なのかは一目瞭然だ。

 ただひたすらに主に尽くすアルトリアの姿を息を飲んで見守っていたモードレッドだったが、マスターの亀頭から唇を離したアルトリアに視線を向けられ、彼女から短い叱責を受けてしまう。

 

「……いつまでそうやって見ているつもりだ? お前もマスターに可愛がってもらうと良い」

 

「は、はい……」

 

 モードレッドはゴクリと唾を飲み込んで主の元へと近づく。アルトリアの邪魔にならぬ様に彼の側面に立ったモードレッドは、たどたどしい動きでマスターと口付けを交わした。

 

「んっ……んんっ……♡」

 

 苗床として扱われていたが故に、モードレッドは奉仕は得意としていなかった。拙い動きで舌を動かす彼女にレクチャーをするかの様にキスを交わしながら、マスターはそっとモードレッドの尻へと手を伸ばす。

 

「あっ……♡」

 

 彼の手が自分の尻を伝い、女性器に触れる。自身の弱点を優しくなぞられたモードレッドは短い嬌声を上げた。

 右手でモードレッドの秘所を弄り、左手で奉仕を続けるアルトリアの頭を撫でているマスターは、二人の女の事を余裕たっぷりに受け止めている。騎士王とその部下に奉仕をさせながら十分な余裕を見せる彼に対し、モードレッドは感嘆の気持ちを抱かざるを得なかった。

 

(……すげえ、な……)

 

 口付けを交わしながら彼の体を見たモードレッドはそんな感想を思い浮かべた。それは、決して彼のセックスのテクニックに関しての感想では無く、ここ最近の彼の行動や、彼の強さに対するものであった。

 

 沖田を取り戻した次の日から、マスターは土方による厳しい訓練を受けていた。その訓練の厳しさたるや、見かねたマシュや沖田が土方を止めに入るほどだ。

 日の高いうちは体を鍛え、日が暮れてからは勉学に勤しむ。自分たち二人を抱く寸前まで、マスターは土方の元で戦略を学んでいた様だ。

 戦いや訓練で出来た生々しい傷がいくつも刻まれた体を見れば、彼がどれだけ困難な戦いを続けているかはすぐにわかる。そんな辛い戦いの中でも、彼は自分を裏切った仲間たちを助ける為に自分の力を磨こうとしているのだ。

 

 ただの人間である彼が、決して諦めずに前に進もうとする姿はモードレッドには眩しく見えた。そんな彼の光を感じる度に彼女の胸は強く締め付けられる。

 彼に助けられたと言うのに、彼の為に戦う事を諦めた自分とは真反対では無いかと言う思いがその心苦しさを生み出すのだ。信頼し、自分の剣を預けるに足る存在だと思った彼だからこそ、今の自分の弱々しい姿を見せることを躊躇ってしまうのだ。

 

 もうお前は必要無い……強く、逞しくなる彼の姿を見ると、そう言われている様な気がしてならない。何時か彼は、弱くなった自分の事など放っておいて、どこか手の届かない所に行ってしまう気がしてならない。

 敗北し、彼の元から去った自分の事などもう二度と信用してはくれないだろう。そんな諦めの感情を抱きながら彼に奉仕を続けるモードレッドの目には、いつしか涙が浮かんでしまっていた。

 

「……どうしたの、モードレッド? 息苦しかった?」

 

「あ、いや、これは……」

 

 涙を浮かべた自分の事を気遣うマスターに慌てて言い訳をしようとするも、上手い返事が思いつかない。

 モードレッドが慌てながら口をもごもごさせていると、彼の肉棒に奉仕を続けるアルトリアが彼女に対して助け舟を出してくれた。

 

「ふふっ♡ そう固くなるな、モードレッド。固くするのは我々の役目だろう? ほら、これを見てみろ……♡」

 

「っっ……!?」

 

 上目遣いにマスターに視線を送ったアルトリアが、自分の胸に挟んでいた彼の肉棒を解放し、それをモードレッドへと見せつける。彼女に促されるまま視線を落としたモードレッドは、驚きに息を飲んで身震いした。

 ドクドクと脈打ち、反りかえって上を向くそれは、自分が相手していた獣たちの物と比べても遜色なかった。少なくとも、ソロモンの城で見た人間の男の物よりかは格段に大きい。

 あどけない顔立ちの彼の股間にこんなグロテスクな逸物がぶら下がっている事に衝撃を受けるモードレッドの目の前で甘い息を吐いたアルトリアは、愛おしそうな表情を浮かべながら彼の肉棒に頬擦りし、鼻をひくつかせて雄の臭いを楽しんでいる。

 そんな彼女の淫らな振る舞いから目を離せないモードレッドに視線を向けたアルトリアは、劣情を煽る様な口調で彼女に囁きかけた。

 

「良いか、モードレッド……♡ これからこの雄々しい肉槍が私たちの体を貫き、蹂躙する……♡ 最初は苦しいかもしれないが、慣れてしまえば病みつきになるぞ♡ そうなった私が言うのだから、間違いない……♡」

 

「あっ……!?」

 

 熱を帯びた声で囁くアルトリアの言葉に気を取られていたモードレッドは、彼女に抱きしめられたまま共に布団の上に倒れ込んだ。

 アルトリアが下、モードレッドが上……偉大なる父に抱きしめられ、その体を枕代わりに扱う事に困惑する彼女の上下で、マスターとアルトリアが会話を交わす。

 

「ではマスター、あとは手筈通りに……♡」

 

「うん、わかった。それじゃ、行くよ!」

 

「はぁぁぁぁぁぁっっ♡ き、来たぁっ♡♡♡」

 

 じゅぷっ♡ と音を立て、アルトリアの膣に己の竿を突き入れるマスター。衝撃と快感に体を跳ね上げたアルトリアは、嬌声を上げながら彼の肉棒を喜んで迎え入れる。

 そのままピストンを開始したマスターの腰の動きに合わせて響く物音は、モードレッドの官能を煽る演奏となって彼女の頭の中に響き続けた。

 

「はぉぉっ♡ ほぉぉっんっ♡ あっはっ♡ はぁぁぁぁんっ♡」

 

 目の前で喘ぐ父の姿が、真後ろで響く肉と肉のぶつかる音が、背中側の彼の吐く荒い息遣いが、モードレッドを興奮させる。

 触れられていないと言うのに秘所からはトロリと粘ついた蜜が溢れ、貝合わせになっているアルトリアの秘所から溢れる愛液と混ざり合っている。マスターは、二人の愛液が混ざった混合液を肉棒に浴びながら、更に激しい水音を立ててアルトリアの膣を掻き回した。

 

「あひぃぃぃぃんっ♡ イクっ♡ イきますっ♡ もうイクぅぅぅぅっっ♡」

 

 ぶしゅぶしゅと噴き出るアルトリアの愛液が自分の性器にかかる。熱く、濁った本気汁を敏感な部分にかけられたモードレッドが息を上げた瞬間、マスターの指が膣へと潜り込んで来た。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡」

 

 いきなりの不意打ちに驚いたモードレッドは、一瞬後にやって来た快感に仰け反って大きな叫びを上げた。

 そのままぐちゅぐちゅと彼女の膣を指で弄りながら、マスターは意地の悪い一言を彼女に告げる。

 

「モードレッドのここ、凄く熱い……アルトリアのえっちな姿見て、興奮しちゃった?」

 

「ち、ちがっ……!!」

 

「モー、ドレッド……♡ 素直に、なれっ♡ それは決してっ♡ 恥じるもの、でもっ♡ 怖がるものでも、無いっ♡ ほぉぉぉぉっ♡」

 

「えっ……!?」

 

 絶頂し、マスターのピストンを受け止めながら喘ぐアルトリアの一言を耳にしたモードレッドは目の前で喘ぐ彼女へと視線を向ける。

 アルトリアはそんなモードレッドの目を真っ直ぐ見つめ返すと、未だ絶頂の余韻が残る震えた声で優しく語り掛けた。

 

「怯えるな……♡ ここには、お前を傷つけようとする者は居ない。お前を乏しめ様とする者も居ない。快楽は決して女を辱めるだけの物では無いのだ……♡」

 

「で、でも、オレは……!」

 

「……ああ、やはり恥ずかしさが残るのだな? 快楽に負ける弱い女となる事が恐ろしいのだな? ……案ずるな、それも恥ずべきことではない。こうやって話している私ですら、マスターがその気になれば一瞬で……んひぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 モードレッドと会話をしていたアルトリアの目が大きく見開かれ、絶叫にも近い嬌声を上げると同時に大きく体が仰け反る。

 目の前で起きた異変に驚くモードレッドだったが、再び自分の目の前に置かれたアルトリアの顔が淫らに蕩けている事を見て、はっと息を飲みこんだ。

 

「ああぁっ♡ まひゅ、まひゅたぁっ♡ いきなりは、らめれすぅ……♡ そんにゃっ♡ はげしくしたらぁ……♡ あぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 今までよりももっと熱を帯びた甘い声。快楽に漬け込まれた体の反応。そして騎士王としての威厳など一切感じられない蕩けた表情。

 騎士王「アルトリア・ペンドラゴン」が見せる女としての姿に困惑を隠せないモードレッドだったが、アルトリアの表情が淫らながらも幸せと美しさに満ちたものであることに気が付けば、そこから目が離せなくなってしまっていた。

 

(父上、凄く綺麗だ……! こんな顔、オレはした事あったのか……?)

 

 自分が知る限り、自分はこんな表情をしたことは無かった。獣や異形の存在に犯される時、自分は恐怖に歪んだ顔をして、涙でぐちゃぐちゃになった顔を晒していたはずだ。

 温もりも、幸せも、綺麗さも無かった。ただ犯されるだけの毎日を思い返したモードレッドが再びアルトリアを見れば、やはり彼女の姿は美しく見える。

 舌を放り出して、大きな声で喘いで、涎だって口の端から垂らしている無様な表情なのに、何故こんなにも美しく、幸福そうに見えるのだろうか? 

 その答えは出ないままであったが、アルトリアの痴態は間違いなくモードレッドの心象を変え、快楽への拒否感にひびを作った。モードレッドの見せた大きな隙を確認したマスターとアルトリアは視線を交わらせると、その隙を見逃さずに次の行動に移る。

 

「ひあっ!? ふあぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 突如としてアルトリアの膣から肉棒を抜いたマスターが、今度はモードレッドの膣へと己の分身を突き込んだのだ。

 突然の衝撃に驚いたモードレッドだったが、彼に弄られていた秘所はすんなりと巨大な肉棒を受け入れ、彼女に快楽を伝えている。

 たった一回のピストンを受けただけで絶頂してしまったモードレッドの子宮は、ただそれだけで彼に屈服して媚びた様に膣を震わせ始めた。

 

「あひぃぃぃっんっ♡ ひぃんっ♡ あっ、あぁぁっ♡」

 

 凄まじい衝撃と快感の波に攫われるモードレッドは、意識を失う寸前にまで追い込まれていた。

 だが、そんな彼女を襲ったのは更に激しい快感……子宮の奥と膣に飛び散る熱い物体の存在を感じていた時、消えかかっていた彼女の意識は急速に覚醒した。

 

「ひゃぁぁぁぁぁっ♡ あつっ♡ あついぃぃっ♡」

 

 ばしばしと子宮の壁を叩く激しい射精。マグマの様に熱くて濃い精液が膣に注がれ、モードレッドの体に染み込む。

 魔力の込められた精液を喜んで飲み干す膣は、寸分の無駄なくマスターから与えられた快楽を全身へと広げていく。壮絶な絶頂に痙攣するモードレッドが呆けていると、体を挟み込む二人が頭を撫でて来た。

 

「どうだった、モードレッド? 射精、気持ち良かった?」

 

「ふふふ……♡ 聞くまでも無いですよ、マスター。この蕩けた顔を見れば、答えは分かった様なものでは無いですか……♡」

 

「は、へ……♡」

 

 モードレッド自身が気が付くことは無かったが、彼女は今、先ほどアルトリアが晒していたのとよく似た表情を二人に見せていた。

 上気した頬と熱を帯びた瞳、流石親子と言わんばかりのアルトリアとお揃いのアクメ顔を晒すモードレッドの頭をマスターが優しく撫で、アルトリアがそっと体を抱きしめる。

 二人に大切に扱われるモードレッドは暫くの間荒い呼吸を繰り返していたが……落ち着きを取り戻すと、感じていた疑問を途切れ途切れに口にした。

 

「な、んで……?」

 

「ん……? どうした、モードレッド?」

 

「なんで……一番、気持ち良い所を、オレに……?」

 

 

 息も荒いまま、モードレッドはアルトリアに問いかける。自分が扱き上げ、興奮の高みに導いたマスターの肉棒が放つ精の衝動を何故自分に譲ったのかと……。

 射精の瞬間とは、セックスの中で一番気持ち良い瞬間のはずだ。現に数えるほどの回数しか穿たれていないモードレッドの子宮は、マスターの精の迸りを受けただけで計り知れない快感を得て、絶頂に達していた。

 決して腰を突き入れられることが気持ち良くない訳では無いだろう。だが、それでも行為の一番美味しい所を自分に譲る理由は無いはずだ。

 

 そんなモードレッドの疑問を聞いたアルトリアはふわりと優しく微笑むと彼女の頬を撫でた。そして、我が子に対して言い聞かせる様な口調で語り掛ける。

 

「ああ、モードレッド……これは、お前の為に私とマスターが考えて行ったことなのだ」

 

「え……? 父上と、こいつが……?」

 

「そうだ。精液は魔力の結晶と言っても良い。純度の高い魔力を注がれれば、お前の弱った体も少しは回復するかもしれないとマスターが仰ってな……」

 

「でも、今のモードレッドには体力が無いでしょう? だからアルトリアが射精までの相手をして、最後の瞬間だけモードレッドに挿れて上げてくれって自分から言ってくれたんだよね」

 

「え? は? ……なんで、そんな手間のかかることを……?」

 

 二人が自分の為に行ってくれた行為に対し、モードレッドは感謝の気持ちを持ちながらも何故そんなことをするのかが理解出来なかった。

 どうだって良いでは無いか、自分の事など。弱く、何の役にも立たない自分など、放っておいて二人で楽しめば良いでは無いか。

 たとえこの行為を続けたとしても自分の力が戻る保証などない。なら、自分の事など忘れて、二人で楽しめばいいだけのはずだ。

 

「……何を言う、モードレッド。お前は我が円卓の騎士、私の部下だ。生前は色々あったが、王として、お前の親として……私がお前を見捨てることは、決して無いぞ?」

 

「っっ……!?」

 

 疑問を浮かべ、理解に苦しむモードレッドは、そんなアルトリアの優しい言葉に声を詰まらせた。

 自分の事を見捨てないと言ったアルトリアは、優し気な微笑を浮かべて自分の事を見つめている。全身をじんわりと包む温かい感触を感じて動きを止めたモードレッドは、自分の頬に柔らかなものが触れた感触にそちらを振り向いた。

 

「俺もモードレッドの事を信じてるよ。どんなに苦しい状況だって、モードレッドは諦めないできっと立ち直る……反逆の騎士なんでしょ? だったら、この苦境にも抗って見せるよね?」

 

「……ぁ、ぅ……!」

 

 彼の青い瞳が自分を映す。真っ直ぐと自分に注がれるその視線には、100%の信頼が籠められていた。

 打算も哀れみも無い。負の感情など一切無い。彼とアルトリアが自分に向けるのは、温かな愛と確かな信頼だ。

 

 ソロモンの元に居たアルトリアが自分に向けていた敵意や道具としての感情、そして冷たい殺意は目の前の彼女には無い。ただ、自分の事を思って出来ることをしてくれている。自分を捨て駒にしようとする思いなど、今の彼女には全く無いのだ。

 そしてマスターはソロモンとは全く逆の感情を自分に向けてくれていた。利用価値が無くなれば地獄に堕とされる扱いを受けていた時とは違い、何の力も無い自分の事を大切に思って、信頼してくれる彼の思いに触れた時、モードレッド胸が熱くなることを感じていた。

 

「さあ、もう一度行くよ。今度はこっちの穴に注ぐからね……」

 

「ひあぁぁっ♡ はぁっ♡ はぁぁぁんっ♡」

 

「んへぇぉっ♡ おっ、おぉぉぉぉっ♡ ほぉぉぉぉっっ♡」

 

 腰の動きを再開したマスターにアナルを穿られ、モードレッドは大きな声で喘いだ。彼女の下では膣を突かれるアルトリアもまた嬌声を上げて快楽に身を委ねている。

 ひびが入り、穴が開き、そこから崩れ去った警戒心を投げ捨てたモードレッドは、ただ彼の手から与えられる快感に素直になって喘ぎ続ける。弄られているそこが性行の為の物ではないと言う事は、彼女の頭から消え去っていた。

 

「ほひぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ あ、おぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 随分と長い間アナルを穿られた後、十分に慣らされたそこに彼の怒張が突き入れられる。

 触手や卵管と言った不思議な感触を持つ物体を挿れられていたモードレッドのアナルは、初めて本当のペニスの雄々しさを知った。

 

「あ、あぎぃぃっ♡ ひろ、がるぅっ♡ けつのあなぁっ♡ がばがばになるぅぅっっ♡」

 

 海魔を、化け物の卵をひり出して来た自分のアナルは、もう十分に緩くなっていると思っていた。だがしかし、彼の肉棒を突き入れられれば、肛門がみちみちと音を立てて広がって行くことがはっきりと自覚出来る。

 肉棒を叩き込まれれば入り口が広がり、どこまでも奥へと突き進んでしまうのではないかと言う錯覚に襲われる。抜かれれば、カリが腸壁を擦って快感を生み出し、巨大な物体が排出されるとてつもない排泄感に呻き声を上げてしまう。

 たった五回ほどのピストンを受けただけなのに既に2回は絶頂している。アナルも彼の肉棒に躾けられたモードレッドは、膣から己の愛液と彼の精液を噴き出しながら快感に体を仰け反らせた。

 

「あっ、あぁっ♡ ごめっ、ますたぁっ♡ せっかくお前がくれたせーしっ、ふきだしちまうぅっ♡」

 

「大丈夫だよ、モードレッド。今からもっと沢山の精液を注いであげるからね……!」

 

「んいっ♡ んへぇぇぇぇっっっ♡♡♡ ほぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 彼の腰が自分の薄い尻に叩き付けられる。奥へ、もっと奥へと言わんばかりに潜り込んで来た彼の肉棒がアヌスを広げ、絶大な快感を生み出す。

 腹の中に鉛の塊でもぶち込まれたのではないかと錯覚するほどの重さを感じたモードレッドは、次の瞬間にやって来た快感にその窮屈さも忘れて口を開く。そして、宣言通り自分の体の中心に注ぎ込まれた大量の精液の熱さに我を忘れて叫んだ。

 

「んあぁぁぁぁぁぁっっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡ ほぉぉぉぉっ♡ ほへぇぇぇぇっっ♡ あっ♡ あはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 全身が痙攣する。瞳に涙が浮かび、表情も弛緩してしまう。

 アルトリアの上に覆いかぶさる様に倒れたモードレッドはびくびくと細かいアクメを決めながら延々と続く快感に体を沈ませ、幸福感に酔っていた。そんな彼女の尻穴から肉棒を抜こうとしたマスターのことを、他ならぬモードレッドが全力で止める。

 

「待って……♡ 今はダメ♡ 今はダメだぁっ♡ けつの穴、ゆるゆるだからっ♡ お前に射精()して貰ったザーメン、漏れちゃうからぁっ♡ だから、オレの体に魔力染み込むまでこうしていてくれよ……♡ オレのけつ穴にちんぽで栓して、マスターの精液じゅくじゅくに漬け込ませてくれぇ……っ♡」

 

「ふふふ……! モードレッド、可愛い……! それじゃあ、お望みの通りにしてあげるね!」

 

「あっ……♡」

 

 アナルに肉棒を挿入されたまま仰向けにひっくり返されたモードレッドは、彼の体を下敷きにした状態で布団に寝そべった。

 脚を開き、股から白い精液と本気汁の混合液を垂らす彼女の姿を見たアルトリアが、そっとモードレッドの秘所に手を伸ばす。

 

「ひあんっ♡」

 

「……こちらの穴にもマスターの愛を擦り込んでやろう。モードレッド、お前はマスターにしっかりとご奉仕するのだぞ」

 

「は、いっ……♡」

 

 アルトリアの指に膣内を擦られ、残っている精液を壁に刷り込まれながら、モードレッドは彼女の言葉に喜んで従った。

 少しだけ顔を振り向かせ、後ろにいるマスターと舌を絡ませる。甘いキスを交わしながら彼に胸を揉まれ、乳首を弄られれば、彼に楽しんで貰えていると言う充実感に心が震えた。

 

「ます、たぁっ……♡ ちちうぇ……♡」

 

「蕩けた甘い声が出る様になったな……それで良い。今は辛い事を忘れ、マスターの与えてくれる愛と快楽に身を委ねろ。お前が立ち直るまで、私たちはいつまでも支えてやるからな」

 

「はい……♡ ありがとうございます……♡」

 

 幸せを胸に感謝の言葉をアルトリアに伝えたモードレッドは、続いて背後へ振り向いてマスターと視線を合わせた。

 ジンジンと熱くなる下腹部の感覚を覚えながら、モードレッドは素直な気持ちを彼に伝える。

 

「……こんなオレの事、信じてくれてありがとな……♡ オレ、頑張るから……三流騎士だけど、お前の信頼に応えられる様に頑張るから……♡ だから、これからも傍に……♡」

 

 モードレッドが言葉を紡ぎ終わる前に頷いたマスターは、彼女の下腹部をそっと撫でた。愛を感じるその行為に目を薄めたモードレッドが幸せそうに微笑む。

 女扱いされるのもたまには悪くない……そんなことを考え、瞳を閉じたモードレッドの淫紋令呪は、彼の手の下で黒色から赤色に変わっていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……すご、かったぁ……!)

 

 翌日、屋敷の中庭で稽古をしていたモードレッドは、昨晩の夜の交わりのそれからを思い出して恍惚とした表情を浮かべていた。

 

 結局、あの後体力が尽きた自分は布団の上で休む羽目になったのだが……その間、マスターに抱かれるアルトリアの痴態をバッチリと見る事になった彼女は、ずっと興奮しっぱなしだったのである。

 まさかあの父上が組み敷かれ、ただ喘がされるだけの女になってしまうなんて思いもしなかった。……訂正、そんな気はしていたが、実際に見てみると衝撃は大きいものであった。

 

 鳴り響く快音、水音、嬌声、下品な台詞……快感に蕩けに蕩けたアルトリアの口からは、喘ぎ声に混ざってマスターの興奮を煽る言葉が次々と飛び出ていた。

 淫乱騎士王だとか、雌馬だとか、部下に見られて感じる変態だとか、徹底的に屈辱的な台詞を口にして喘ぐアルトリア姿は、モードレッドには刺激が強すぎた。

 

 クラレント、どばー! な状況になった彼女だったが、最終的に種付けプレスで追い詰められたアルトリアが何度もマスターにイかされ、完全屈服アクメを決めた後で失神するまでの一部始終を見てしまったわけで……しかも、そんなに激しいセックスをした後だと言うのに未だに固さを保っていたマスターの肉棒もしっかりと目撃してしまっていた。

 まさに完全勝利。自分を打ち倒した聖槍を持つ騎士王をその性槍(ちんぽ)で倒したマスターに対して畏怖の感情を抱くと共に、モードレッドの脳内には一つの考えが浮かんでいた。

 

(父上に勝ったマスターに勝てば、実質父上に勝ったってことだよな!? オレって頭良い!)

 

 これもまた反逆、己の生き様だ。何かおかしくも持ち前の反逆精神を取り戻したモードレッドは、その為には実践あるのみと考えを決める。

 丁度自分の様子を見に来たマスターの姿を見たモードレッドは、ニヤリと微笑むと……際限なく高まる体の火照りを感じながら、彼へと話しかけた。

 

「なあ、聞いてくれよ! お前に抱かれたおかげか、一回だけなら全力でクラレントを振れる様になったんだぜ! 一回とは言え、剣を持ち上げられる様になったのはすげー進歩だろ? これで稽古が出来るぜ!」

 

 屈託なく話しかけながら一歩彼に近づく。彼に触れられるほど接近したモードレッドは騎士としての顔をかなぐり捨て、昨日身に着けた女としての表情を浮かべて囁いた。

 

「……だからよ、今日もオレを抱いてくれないか? お前のザーメンたっぷり注いで貰えば、もっと早く強くなれる気がするんだよなぁ……! なあ頼むよ、ますたぁ……♡」

 

 蕩ける様な甘い声で囁き、熱を帯びた熱い息を彼の耳に吹き掛ける。男を誘う自分の行為にしっかりと彼が反応している事を確認したモードレッドは、男ってチョロいなと内心でほくそ笑んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお、その一時間後、モードレッドは本当にチョロいのは自分の方であったと体力の尽きた体を彼に洗われながら思い知ることになる。

 反逆も夜伽もまだまだ未熟……自分の至らなさを痛感しながら、それでもモードレッドは彼に抱かれる悦びに笑みを浮かべたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖女の目覚め(ジャンヌリリィ)

 

「あのじゃじゃ馬は上手く手懐けられたみたいだな」

 

「手懐けられたって……そう言う言い方、好きじゃないです」

 

「なら好きに言えば良い。重要なのは、あの女が前を向ける様になったってことだ……沖田みたいにな」

 

 夜、土方の部屋で彼から軍略を教えられながらの会話に渋い表情を見せるマスターは、それでも心の中で土方に感謝した。彼の助言が無ければ、モードレッドを救うことは出来なかったと思っているからだ。

 土方がマスターに教えているのは剣術や戦略だけではない。人の上に立つ者としての心構えこそが、彼が重点を置いている点であった。

 

(人の心を掴め、か……)

 

 かつてアルトリアに言われた言葉を思い出しながら、マスターはサーヴァントもまた心がある人間なのだと言う事を思い出していた。彼女たちにだって望む物があり、欲している物があるのだ。

 それを探り出し、与えてやるのが心の掴み方だとアルトリアは言った……今、自分はそれをモードレッドたちに対して実践しているのだ。

 

「……あのじゃじゃ馬娘みたいな手合いには、下手な小細工は必要ねえ。心の奥底では誰かに認めて欲しい、信じて欲しいって思いが燻ってる様な奴だ。なら、それをしてやるだけで良い」

 

 そう助言を受けたマスターは、土方の言う事に従ってモードレッドへの信頼の気持ちを伝えた。

 アルトリアの手助けも借りつつ行われた夜伽は十分な効果を発揮し、彼女を淫紋令呪の呪縛から解き放つことに成功した。まさに上々の成果だ。

 

 戦力が増えたとは言えないが、仲間を救い出すことが出来た。そのことを素直に喜ぶマスターを観察する土方もまた、彼への評価を心の中で呟く。 

 

(予想以上だな。思ったよりもお人好しで、沖田みたいな奴らの扱いにも慣れているらしい。上に立つには向いてないが、()()()()()()()()には最適の男だ)

 

 目の前の青年には長として必要な冷酷さや非情さが足りていない。だが、代わりに温かさや優しさ、そして無償の愛を注げる器の大きさがある。

 誰かに崇められる様な王には向いていないだろう。しかし、皆の中心になって集団を率いる頭目としてはこの上なく優秀だ。

 優しさから来る甘えは汚れ役が担えば良い。この男の為ならば進んでその役目を引き受ける人間など、探さずとも居るはずだ。

 

(近藤さん……この坊主、少しだけあんたに似てるよ……)

 

 思い返すのは自分が担いだ男の姿。優しく、堂々とした、自分の憧れた男の事。

 この青年には自分が憧れた男の面影がある。無数の志士たちがその背を追った男が持っていた物をこの男も持っている。

 なればその才覚を花開かせるのは自分の役目だ。かつて新選組と言う組織を作り上げた男として、この男を一人前の漢に育て上げる。それが、自分の妹分を救って貰った恩を返す自分なりの方法だ。

 

「……さて、次行くか。今度は……あの嬢ちゃんだな。そろそろ頃合いのはずだ」

 

「リリィの事ですよね? 確かに、俺に対する警戒の気持ちが弱くなってる感じはします」

 

 この数日間、マスターはモードレッドに集中して行動していたわけでは無い。ジャンヌや牛若丸も含めたメンバーを解放するために必要な行動を取り続けていたのだ。

 それは片手間で女性の相手をしているようだが、決してそうではない。牛若丸、ジャンヌリリィ、モードレッドの三人を癒すために時間を費やし、その間にも土方の教えを受け続ける。夜は夜でゆっくり休む事も無く講義を受け、体力の限界を超える勢いで毎日を送っているのだ。

 

 しかし、そんな日々を送りながらもマスターは弱音を吐くことも不満を口にすることも無かった。彼の中にあるのは仲間を救いたいと言う気持ちだけであり、その為ならばこんな苦労など屁でも無いのだ。

 そのことも素直に評価しながら、土方は彼にジャンヌリリィを救うタイミングの判断を委ねる。彼女の人となりを良く知る彼の方が、実行のタイミングを計りやすいと思っているからだ。

 しかし……自分の考えが正しければ、今夜がそのベストなタイミングのはずだ。その判断は正しかったようで、マスターも座学の本を閉じて立ち上がり、部屋を出て行こうとしている。

 

「じゃあ、行ってきます。残りはまた明日お願いしますね」

 

「……おう」

 

 襖を閉めて部屋から出て行ったマスターの影を見送りながら、土方は誰にも気づかれない僅かな微笑みを浮かべる。

 その胸中にあるのは頼もしく育つ弟分の成長を喜ぶ気持ちなのか、はたまた戦力が増える事に対する感情なのか。それを知る人物もまた、土方しか居ないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トナカイ、さん……」

 

 ほう、と息を吐くのと同時に口にした愛しい人の名前。優しい彼の笑顔を思い浮かべながら、ジャンヌリリィは布団の中に潜り込んだ。

 ここ数日、頑張る彼の姿を毎日見ている。自分に気を遣いながら、それでも変わらず接しようとしてくれる彼の優しさに確かな温もりを感じている。

 そんな彼の姿を見る度、リリィの中にあった恐怖の気持ちが薄れていくことがわかった。しかし、根本にある男性への恐怖が消えないでいるのだ。

 だが……その恐怖の感情も、予想外の位置から崩れている。布団に潜り込んだリリィは、その中で聞き耳を立てて静かな闇の中へと意識を集中させた。

 

(……今日は何も聞こえません……今日は、誰もトナカイさんと、その……)

 

 そこから先の言葉に恥ずかしさを感じたリリィは顔を赤らめる。しかし、頭の中ではばっちりと想像が繰り広げられていた。

 ここに来てから毎晩ずっと、屋敷の中から女性の喘ぐ声が聞こえているのだ。最初は恥ずかしさで耳を塞いでいたリリィだったが、好奇心に勝てずにこっそりとその声に聴き耳を立ててしまった。そこで聞いたのは、自分が知るのとは全く違う、幸せそうな女性の声だったのだ。

 

 ソロモンの城の中に居た頃、ジャンヌが耳にしていたのは苦悶に満ちた女性の声であった。助けてくれだとか、止めて欲しいだとか、そう言う苦し気な声が聞こえてくる度、リリィは耳を塞いでしまいたくなる恐怖に押し潰されそうになった。

 そして、その声が狂った様な喘ぎ声に変わる度、またソロモンや男、もしくは雄の手で女性の心がへし折られたのだと理解し、感じている恐怖を更に強めた。心と体を蹂躙され、自分の知る英霊が奴隷に堕ちた姿を想像する度に涙が溢れた。

 リリィにとってセックスとは恐怖の象徴であり、女性の誇りを砕き、慰み者や奴隷にする為の恐ろしい儀式であった。そしてその思いは、自分がソロモンに辱められたことでますます強くなった。

 

 未開発な自分の膣とアナルに太い肉棒を叩き込まれて処女を奪われた後、それよりももっと太い旗の柄を突き入れられて拘束された。一連の行為には快感など全く無く、ただ痛いことであったと言う思いしか無い。

 

「役に立たない貴様を有効活用してやるのだ、涙を流して喜ぶが良い!」

 

 ソロモンは自分にそう言った。その言葉通りにリリィは涙を流していたが、それは彼の役に立てる喜びの涙などでは無く、痛みや悲しみ、そして絶望に彩られた涙であった。

 暗い神腕の中で身動き一つ出来ず、ただ痛む二つの穴を抉られる毎日。それが終わるまで、どれほどの時間が過ぎたかなど彼女が分かるはずも無い。

 ただ、その長い時間は彼女の心を壊すのに十分な物であったことは確かだ。現にリリィは、大好きなマスターの事すらも恐れる程に男性に恐怖心を抱くことになってしまった。

 

 本当は彼と話がしたい。自分を助けてくれたことを感謝して、お喋りして、抱きしめて貰って……もっと傍に居たい。もっと触れ合いたい。もっと愛し合いたいのだ。

 だが、それが出来ない。男の人が怖いと、セックスが怖いと思ってしまっている自分には出来るはずが無い。そう、思い込んでいた。

 しかし、思ったよりも早く転機は訪れた。それこそが、毎晩聞こえる女性の喘ぎ声だ。

 

(あんな幸せそうな声、初めて聞きました……。うっとりしてて、聞いてるこっちまでふわふわして気分になる声……あれってやっぱり、トナカイさんに抱かれて……)

 

 自分がこの屋敷で耳にした喘ぎ声の一つ一つを思い返す度、体がかあっと熱くなることを感じた。口から漏れる吐息も、甘くて熱いものに変わる。

 マシュが、沖田が、モードレッドが……自分の聞いたことの無い声で喘ぎ、愛を叫んでいた。愛していると、もっと抱きしめて欲しいと、彼に強請る声を幾度と無く聞いた。

 

 控えめで大人しいマシュが、敵として堕ち切っていた沖田が、絶望に泣きじゃくっていたモードレッドが、ソロモンの元では響かせなかった嬌声を口にし、マスターに抱かれている……その姿を想像する度に、リリィの体は熱く火照って彼の熱を求めた。

 

「トナ、カイ、さん……♡ マスター……♡」

 

 彼はどんな風に自分に触るのだろうか? 優しく、幸せな一時は、彼に抱かれれば過ごせるのだろうか?彼は、自分に本当の女の幸せを教えてくれるのだろうか?

 そんな思いを心の中で浮かべるリリィの手が、己の秘所に伸びる。薄い下着をずらし、まだ幼いその部分を指でなぞり、自分で自分を慰め始めた。

 

「はっ♡ はぁっ♡ はぁぁ……♡」

 

 乱暴に犯され、旗の柄を突き刺されたことで少しグロテスクになってしまったそこを指で弄る。甘い痺れと共に快感が生まれるが、同時にソロモンに与えられた恐怖も思い出してしまう。

 空いている手で乳首を弄り、布団の中で身をくねらせながら自慰行為を続けるリリィ。甘い声を漏らしながら、指の動きを速めていく。

 

「はぅ……♡ は、くぅ……♡」

 

 くちゅくちゅと言う水音が響き始め、リリィは恥ずかしさを感じながらも指を動かし続けた。

 生まれる恐怖を快感で誤魔化そうとしているかの様にその動きが徐々に激しくなる。

 

「あ、い、イク……♡ いっ、くぅ……っっ♡♡♡」

 

 最後の瞬間、びくんと体を跳ね上げたリリィは、布団の中で大きく仰け反って体を硬直させた。

 浅い絶頂に荒く呼吸を繰り返しながら、リリィは薄く目を開いて愛しい彼の笑顔を想う。

 

「トナカイさん……♡ トナカイさん……♡」

 

 彼に触れられたらこれよりもっと気持ち良いのだろうか? 自分がいつも耳にしているあの喘ぎ声を、自分も漏らすことになるのだろうか?

 期待の様であり、恐怖の様でもある感情を浮かべたリリィはそのまま眠りに就こうとした。絶頂の余韻を全身で感じながら、微睡に身を委ねようとする。

 

「……何やってんのよ、アンタってやつは」

 

「え……!?」 

 

 だが、そんな彼女の耳に呆れの感情を持つ声が聞こえて来た。驚いて目を開けた彼女は、被っていた布団を剥ぎ取られてほぼ全裸の姿を外界に晒してしまう。

 

「ひゃぁぁぁぁっっ!?」

 

「はっ! 一人でちゅくちゅくオナニーだなんて、本当に根暗な小娘だこと!」

 

「いや……その言葉、自分にも向けられてるってわかってます?」

 

 恥ずかしさに叫んだリリィが見たのは、布団の両脇に立つ成長した二人の自分の姿だった。

 片やリリィを馬鹿にした様子で、片やその行動がブーメランであると呆れ顔で指摘しながらリリィに視線を注いでいる。

 

「にゃ、にゃんでっ? どうしてですか!?」

 

「な~に、この部屋から何やらあま~い声が聞こえて来たから様子を見に来たって訳よ。でもまあ、まさかあんたが一人で寂しくオナニーしてるなんて思いもしなかったわ!」

 

 オルタから嘲笑を受けたリリィは自分の失敗を恥じた。この部屋で自分が他の女性の上げる嬌声を耳に出来た様に、自分の声だって他の部屋に聞こえる可能性は十分にあったのだ。

 

「う、うぅ……」

 

「ああもう、オルタ! そんな意地悪をしに来たわけじゃないでしょう? リリィが可哀想ですよ!」

 

「ああ、そうだったわね……。それじゃあ、オナニー娘にもっと気持ち良い事を教えてあげましょうか」

 

「へっ!?」

 

 俯き、恥ずかしがって肩を震わせていたリリィがその言葉に驚いて顔を上げると、そこにはキスできるほどにまで近づいたジャンヌたちの顔があった。

 ジャンヌは真剣に、オルタは意地の悪そうな笑みを浮かべたまま自分を見つめている。二人の謎の威圧感に圧倒されるリリィが、交互に姉たちの顔を見比べていると……

 

「……あんた、こう言うことするの初めてじゃないでしょ? このところ毎日、布団に粘っこい染みが出来てたもんね? ……毎晩毎晩、この布団の中でオナニーしてたってわけでしょ?」

 

「う、うぅぅ……」

 

「ああ、リリィ! 別に怒っているわけでも、責めている訳でも無いんですよ? 私たちはただ、あなたが性に興味を持ってくれたことが嬉しいだけなんです! 凌辱と恐怖の思い出を乗り越えてそう言うことに興味を持つと言う事は、あなたが強くなった証ですからね!」

 

「くくく……! そうそう、あんたがむっつりスケベだって分かって、私たちも安心してるところなのよ」

 

「オルタ! だからあなたの発言は全部ブーメランなんですって!」

 

「も、もう良いです! 出てって下さい! 意地悪をする二人なんか嫌いです!」

 

 引っぺがされた布団を掴み、もう一度その中に包まったリリィは大声でそう叫んだ。

 自慰行為を覗かれた上にこんな辱めを受ければ、誰だって怒るし悲しむだろう。まして、彼女は子供なのだ。色々と多感な時期にこんな仕打ちを受けたとあってはトラウマになりかねない。

 知らんぷりを決め込もうとしたリリィは、耳を塞いで布団の中で丸まっていた。しかし、次のオルタの言葉で布団の中から飛び出すことになる。

 

「良いの~? あんたの大好きなトナカイさんも来てるんですけど~?」

 

「え……? ええっ!?」

 

 オルタの一言に驚いたリリィは被っていた布団を吹き飛ばして立ち上がった。どうかこの言葉が成長した自分の意地の悪い嘘でありますようにと願った彼女だったが……。

 

「えっと……その、ごめん……」

 

「は、はわ……はわわわわわ……!?」

 

 残念ながらこんな時に限ってオルタは本当の事を言っていたらしい。開きっぱなしの扉の向こう側から見える申し訳なさそうな表情の男性は、紛れも無く愛すべきマスターだ。

 自慰行為をしていた姿を見られてしまったリリィは、先ほどよりも顔を真っ赤にして蹲ってしまった。何より、自分が()()()にしていた男性の表情を自慰後に真っ直ぐに見れるほどリリィは神経が図太く無いのだ。

 

「リリィ、本当にごめん。悪気があった訳じゃあ無いんだけど……」

 

「謝らなくて良いのよマスター。布団の中でくちゅくちゅオナってるこいつが悪いのよ」

 

「オルタ……仮にもこの子は自分自身なんだから、もっと優しくしてあげなよ……」

 

「はっ! このオナニー娘を甘やかす必要なんて無いっての!」

 

「……ジャンヌも言ってたけど、その発言全部ブーメランだからね?」

 

 ジャンヌ同様の呆れ顔を見せたマスターに対して厭味ったらしい表情を見せたオルタは、続いてリリィへと視線を移した。

 意地の悪い笑みを浮かべていることからどうせ彼女がまた自分を弄ろうとしているのだと思ったリリィだったが、予想に反してオルタは案外優しい感じを醸し出しながら話し始める。

 

「で、なんだっけ? ……そうそう、あんたも多少は立ち直って来たみたいね、って話をしてたんでしたっけ? 一人でこそこそオナニー出来る位には性へのトラウマも消えて来たってことでしょ?」

 

「も、もう黙って下さいよぉ!」

 

「そう怒るんじゃないわよ。そこまで回復したなら、もっと気持ち良いことをしてみたくない?」

 

「ほぇ……!?」

 

 戸惑うリリィに対して視線で自身の背後を見るように促すオルタ。そこに居るマスターの姿を見たリリィは、オルタが何を言おうとしているのかを理解して、またしても顔を真っ赤にした。

 

「な、な、な、な……!?」

 

「あらぁ? そんなに顔を赤くしちゃって、何をするのか分かっちゃったみたいね? ……ほんと、むっつりスケベだこと」

 

「は、う、あ……」

 

 抱かれろと言うのか、彼に? 先ほどまで自分がしていた妄想が、現実の物となると言うことなのか?

 彼に体を委ね、心を預け、全てを捧げろとオルタは言っている……彼に抱かれろと、セックスをしろと言っているのだ。

 

「む、無理です。出来っこありません。だ、だって、怖いし……」

 

 咄嗟に口から出たのは本心の様な建前だった。マスターに抱かれることを拒絶するリリィだったが、真正面に座ったオルタに見つめられながらその言葉を論破される。

 

「何? 何が怖いの? 男が怖いっての? あんたは、こいつが怖いの?」

 

「そ、それは……?」

 

「あんたの体と心を傷つけたソロモンや奴に従う奴らとこいつが同じだと思ってるの? ……違うわよね? だってオナニーのネタに使っちゃう位だもの、他の男とは違うって思ってるんでしょ?」

 

「………」

 

 オルタの言う通りだった。確かに男性への恐怖心は存在する。しかし、彼だけならば話は別だ。

 優しく温かい彼は、自分を傷つける様な事はしないはずだ、きっと大切にしてくれる……心の何処かでそう思っているからこそ、妄想の中の相手として彼を選んだのだろう。

 

 自分自身の考えなどすべてわかっているとでも言う様に話すオルタは、リリィの心の中にある不安を自らの言葉で掻き消して行く。続いて彼女は自分の纏う服を消滅させると、リリィの想像が正しい事を己の身を以って証明した。

 

「……ねえ、どう? 私の体に痛々しい跡は残ってる? 戦いでついたんじゃない、男に乱暴に扱われてついた傷が、あんたの目には映ってるの?」

 

 目の前で全裸になったオルタの体を見たリリィは、息を飲んでまじまじと彼女の裸を観察した。

 オルタの体には多少の傷や火傷はあるが、それもマスターに治療して貰っているのか殆ど跡は残っていない。自分と同じ白くて美しい肌が広がっているだけだ。

 ソロモンにグロテスクな状態にされてしまった女性器も、オルタの物はとても綺麗な形と色をしていた。やはりマスターは彼女の事を大事に扱っているのだと知ったリリィの体をオルタがそっと包み込む。

 

「……知ってるでしょ? あいつは人の心を踏みにじる様な事は絶対にしない。時々意地悪もされるけど、それでも最後にはとびっきり甘くて優しい時間を私たちにくれる人だって……あんたは、あいつのことがまだ怖いの?」

 

 オルタのその質問に少し悩んだ後、リリィはゆっくりと首を振った。

 最初から答えは決まっていたのだ。ただ、どうしようもなく周りの男性が怖かっただけ……男と言う分類では無く彼個人と言う部分で見るならば、自分の大好きなマスターが恐ろしいわけが無い。

 

「……でも、少し怖いです……。セックス、怖いです……」

 

 しかし、まだセックスに対する恐怖はリリィの中からは消えていなかった。

 それを掻き消してくれる優しい一言を期待したリリィだったが、オルタが発したのは今までとは真逆の冷たい言葉であった。

 

「……そう? ここまでされてまだ決断出来ないの? なら……あんた、もう良いわ」

 

「えっ……?」

 

「同じ私同士だし、色々な恐怖心を吹き飛ばせる良い機会だと思ってあんたを誘ってあげたけど……まだ迷う様ならもう良いわ。あんた抜きで話を進めるだけよ」

 

「え? え?」

 

「……あんた抜きであいつとセックスするってわけ。あんたはいつも通りこの部屋で聞こえて来る私たちの喘ぎ声で興奮してオナニーしてれば良いんじゃない?」

 

「あ……」

 

 リリィの脳裏に浮かぶ光景。愛しい彼に抱かれて幸せそうな表情を浮かべる成長した自分自身と、別の部屋で彼女の嬌声を耳にしながら布団の中で自慰行為をする自分の姿。

 もう一人の自分が幸せを享受していると言うのに、自分は一人寂しく布団の中で丸まっているだけだなんて寂しすぎる。彼に抱きしめられる幸せを味わえないなんて、辛いにもほどがあるではないか。

 

「……さ、行きましょマスター。ビビりのガキンチョには大人のセックスは早すぎたみたいだし……ここで一人でくちゅくちゅやってりゃ良いのよ」

 

 俯いたまま肩を震わせるリリィの事を嘲る言葉を口にした後、オルタはマスターを促して部屋の外へ出て行こうとする。

 彼女の手が襖の取っ手に触れた瞬間、小さいがはっきりとしたリリィの声が部屋の中に響いた。

 

「待って、ください……!」

 

 彼女の声を聞いた瞬間、オルタの口元に笑みが零れた。これこそが彼女の求めた展開だったからだ。

 自分の役目は果たした、後は彼に任せるだけだ。そう思いながら動きを止めたオルタは、ことの成り行きを黙って見守る。

 

「あ、あの、私、私……っ!」

 

 上手く言葉が紡げないながらも、リリィの表情が全てを物語っていた。

 彼女が何を望むのか、何を欲しているのかは、もうこの部屋の中に居る全員が理解していた。

 

「大丈夫だよ、リリィ。落ち着いて……ね?」

 

「ふぁっ……」

 

 未だに微かに震えるリリィの体をマスターが抱きしめる。彼の体から伝わる温もりと鼓動が、リリィの心を落ち着かせていった。

 

(あった、かい……)

 

 彼は温かい。彼は優しい。やっぱり自分は、彼のことが大好きなのだ。

 最初からこうして貰えばよかった。怖がらずにただ抱きしめて貰えばよかった。彼を怖がる必要なんて、欠片も無かったと言う事に今更気が付いた。

 

「……もっと、ぎゅってして下さい……♡ トナカイさんの温もり、もっと感じたいんです……♡」

 

 淫らさを僅かに含んだ、可愛らしさ満点の彼女なりのおねだり。直接自分を抱いて欲しいなんて言えやしないけど、それでも大好きな彼は自分の思いを汲み取ってくれた様だ。

 

「うん、良いよ。今夜は一緒に居ようね、リリィ……」

 

「はい……♡」

 

 かちりと、心が繋がったことを感じる。彼の腕の中で幸せな一時を楽しむ。

 もう何も怖くない。彼に受け止めて貰えた幸せの中で、リリィはそんな事を思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ♡ これっ♡ 凄いっ♡ 自分でするのとは、全然ちがうっ♡」

 

 小さな体を何度も跳ね上げながら、リリィは歓喜の声を上げていた。後ろからマスターに抱きしめられた状態で自分がそうしていた様に秘所を弄られれば、自分でしていた時とはまるで別物の快感が全身に伝わって行く。

 丁寧に、優しく、マスターはリリィの秘所を指で愛撫する。陰核も包む皮を剥いてから弄ってやれば、リリィの体はまるで魚の様にびくびくと跳ね上がる事を止められないでいる。

 

「……ね? マスターに愛されることを知っちゃうと、もうオナニーじゃあ満足できないでしょう? 今のあんた、良い顔してるわよ……♡」

 

「ふふふ……♡ とろんとした、気持ち良い事に夢中になってる可愛い顔ですね……♡ マスターもそう思うでしょう?」

 

「うん、とっても可愛いよ、リリィ……!」

 

「ふ、ぁ……♡」

 

 ジャンヌたちの言葉を肯定するマスターに甘い声で耳元で囁かれたリリィは、腰砕けになって瞳を潤ませた。

 次いで頬に手を添えられ、反対側の頬にキスを落とされればそれだけで幼い少女の心は恋心満開のピンク色に染まる。真に愛されると言う事の意味を学ぶリリィは、高鳴る鼓動のままにマスターに全てを委ねて快楽を享受していた。

 

「ほら、ここも良いでしょ? リリィの感じる所は全部知ってるんだからね……」

 

「あうっ♡ うぅっ♡ ふあぁぁぁっ……♡」

 

 大人の自分が感じる場所を指でなぞられたリリィは体を仰け反らせて喘いだ。あまりの快感の強さに呼吸すらも困難になるリリィだったが、優しく体を撫でられるうちに落ち着きを取り戻す。

 

「はー♡ はー……♡」

 

 口から漏れるのは荒く甘い吐息。愛撫による快感で蕩け切った心が彼を求めて疼き出す。瞳に映った愛する人へと腕を伸ばせば、彼は優しくその手を取ってくれた。

 

「トナカイさん……♡ もっと、もっとぉ……♡」

 

「はいはい、そんなに慌てなくてもちゃんとシテあげるからね」

 

「ふひゃぅぅぅっ♡♡♡」

 

 マスターの二本の指が膣の中でばたつき、リリィの体を責め立てる。

 ぐちゅぐちゅと言う水音を股間から響かせながら小さな体を何度も痙攣させるリリィは、大きく目を見開くと絶頂の叫び声を上げた。

 

「はぁぁぁぁぁっっ♡ とにゃっ、かいしゃぁぁんっ♡♡♡」

 

 膣から勢いよく愛液が噴き出す。愛しい彼の手をびしょびしょに濡らす潮噴きを披露したリリィは、そのことを恥ずかしがる余裕もない程に快感に蕩けていた。

 

「は♡ はぁ♡ はぁぁ……っ♡」

 

 ぱくぱくと上下の口が開閉を繰り返す。上の口からは喘ぎ声を、下の口からは白く濁った愛液を噴き出して視線を宙に舞わせる。

 優しく頭を撫でてくれるマスターの胸に顔を埋めたリリィは、彼の心臓の鼓動を感じ取って瞳を閉じた。

 

(ドクン、ドクンって……トナカイさんの心臓の音、安心する……)

 

 彼の全てが心地良い。彼の与えてくれる温もりが、優しさが、自分のことを安心させてくれる。

 ここが自分の居場所なのだと言ってくれている様で、君のことを大切だと言ってくれている様で、ただ傍にいるだけなのに涙が溢れて来そうになる。

 

「あっ……♡」

 

 ジャンヌたちによって彼の腕の中から引き剥がされた時、リリィは寂しさと心細さを感じてしまった。だが、彼女たちが幸せそうに笑いながら自分の体を仰向けに寝転がした時、彼女たちが自分に何をさせようとしているのかを理解して唾を飲み込む。

 

「そろそろ良いでしょう。少しきついかもしれませんが……」

 

「マスターなら、きっと優しくしてくれるわよ。安心なさい……」

 

「っっ……♡」

 

 じっとりと濡れた膣が期待でひくつく。とうとうその時がやって来たのだと心臓がざわつく。

 

(挿っちゃうんだ……♡ トナカイさんの、あれが……♡)

 

 城で自分を凌辱した男の物よりも、旗の柄よりも、もちろんソロモンの物よりも大きな彼の肉棒に視線を向けたリリィは、僅かな恐怖心を感じると瞬時にそれを振り払った。

 だってそうだ、大好きな彼が自分に酷いことをする訳が無い。優しく、温かく、自分のことを愛してくれるに決まっている。

 

「リリィ……行くよ?」

 

「はい、トナカイさん……♡ 来て、ください……♡」

 

 自ら大きく脚を開いて彼を迎え入れたリリィは、直後に自分の予想が正しかったことを感じ取った。

 ゆっくり、じっくりと時間をかけて肉棒の挿入を行うマスターは、リリィに負担を掛けぬように慎重に行為を行ってくれている。お陰で、リリィには一切の痛みや苦しみの感覚を感じることは無かった。

 それは恐らくソロモンによって行われた膣の拡張改造によるものもあるのだろうが……リリィにとっては、そんな事を知る由も無い。自分の穴など裂けてしまえと言わんばかりに無理やり物を挿入して来た他の男と、目の前の大好きな人が全く別の人種であるとしか思えないだけであった。

 

 彼は優しい。彼は自分を大切にしてくれる。彼はソロモンとは違う。彼は自分を道具なんかにはしない。

 彼を恐れる必要は無い。自分は彼が大好きで、彼もまた自分に飾らぬ愛情を注いでくれる。彼は、彼こそが、自分たちの主であり、愛する人なのだ。

 

「あぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 リリィの心の中の思いが高まり、爆発した瞬間、マスターの逸物が彼女の中に完全に挿入された。

 小さな体の何処に巨大な肉棒を咥え込むスペースがあるのかと思わせる程にがっちりと彼の分身を受け入れるリリィの瞳には、喜びの涙が浮かんでいる。

 

「一つに、なれた……♡ マスターと、大好きな人と一つになれた……♡」

 

 愛しい人に抱きしめられ、自分を見守る姉の様に穏やかな微笑みを浮かべるジャンヌとオルタに頭を撫でられるリリィは、今まさに幸せの絶頂に居た。自分を愛してくれる人に囲まれる喜びは、何物にも代え難いものであった。

 淫紋令呪もいつの間にか形と色を変えている。主を書き換えたその令呪によって彼への思いが強まる中、それに拍車をかける様にマスターはリリィに優しい言葉をかけてきた。

 

「大丈夫、リリィ? 苦しくない?」

 

「ぜんっぜん苦しくないですっ♡ むしろ気持ち良くって……早く動いて欲しい位ですっ♡」

 

「そ、っか……なら、ゆっくり動くから、苦しくなったらすぐに言うんだよ?」

 

「はいっ♡」

 

 彼の手が自分のお尻を掴む。小ぶりな尻を持ち上げ、それを優しく上下に揺らす。

 その動きに合わせて上下する自分の腰は彼の肉棒を擦り上げ、彼に膣を擦り上げられて快感を与えあっている。充実感と快感に瞳を潤ませるリリィは、腕を彼の背に回し、思いっきり力を込めてマスターに抱き着いた。

 

「となっ、かいっ、さんっ♡ もっと♡ もっとシテくださいっ♡ もっとがんがん、私を突いてっ♡」

 

 リリィは涎を垂らし、子供にあるまじき淫靡な表情と言葉を使って彼に快楽を強請る。頬は上気し、目にはハートマークが浮かび、全身が快感と興奮によって桃色に染まっている。

 拙い動きで腰を動かし、カクカクと震えるリリィの姿を見たマスターは、彼女の思いに応えるべく少し強めにピストンを開始した。

 

「はぁぁぁっ♡ しゅごっ♡ いぃぃぃっ♡ おまんこっ♡ ぶるぶるしてぇっ♡」

 

 巨大な肉棒が膣を抉り、カリが壁を引っ掻く。子宮を押し上げられる快感に仰け反りながらも、リリィは絶対に彼の背に回した腕を離そうとはしない。

 浅い絶頂を繰り返しながらも貪欲にマスターを求める少女の瞳は、完全に快楽に酔っていた。しかし、リリィは自分の口から漏れる声が、いつも自分が聞いていたあの幸せそうな喘ぎ声になっている事に幸福感を得ていた。

 

(しあわせぇっ♡ となかいさんにあいしてもらえて、しあわせですっっ♡ みんな、こんなしあわせなきもちになってたんですねっ♡)

 

 毎晩聞いていた様な声を上げる気持ちも分かる。こんな幸せで気持ち良い事、叫び声を上げたくなるに決まっているではないか。

 じっとりと汗で濡れる尻を掴まれ、そこを揉まれながらピストンを受けるリリィはただ快楽に酔った叫びを上げる少女と化していた。そこに年齢など関係ない。ただ愛する人に抱かれる幸せを感じる女が一人いるだけだ。

 

「イクっ♡ きちゃいますっ♡ あぁっ♡ イク、イクイクイク……♡」

 

 自分を取り繕う必要は無い。心のままに本心を晒し、恥ずかしい言葉も平気で口にする。

 きっと彼はこんな自分でも受け入れてくれるから、何も心配する必要なんて無いのだ。

 

「あっ♡ おおきいっ♡ おおきいの、くるっ♡ トナカイさんのおちんぽでっ♡ イかされちゃうっっ♡♡♡」

 

「ぐ、うっ……! 俺も、そろそろ……っ!」

 

 彼の肉棒が大きく膨らむのが分かった。射精だ、射精の時が来るのだ。彼の愛を受け止められる時が来るのだ。

 期待に胸と子宮がときめく。心臓は高鳴り、感覚は更に敏感になる。膣もぎゅっと締まり、彼に感じて貰おうと必死になっていることが分かった。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」

 

 壊れると、リリィは思った。こんなに幸せで、気持ち良い事をされたら、きっと自分は壊れてしまうと本気で思った。

 そして、壊れても良いと思った。彼に愛して貰える幸福に比べれば、他の何も怖くは無いのだ。

 それが自分が壊れてしまうことでも、あるいはソロモンのことでも……彼が傍に居てくれれば、もう何も怖いと思わなくなっている。

 

「い、イクっ♡ とにゃかい、さっ……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♡♡♡」

 

 ドラマや映画の様に愛の言葉を囁いてからの絶頂と言うロマンティックな行為を試みようとしたリリィだったが、最後まで言葉を紡ぐよりも早く絶頂を迎えてしまった。

 震える膣が絶大な快感を自分に与え、頭の中が真っ白になる。しかし次の瞬間、彼女は更に快感の高みへと追い込まれることになった。

 

「はひぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ で、でてるぅっ♡ トナカイさんのせーし、でてるぅぅっ♡♡♡」

 

 魔力の結晶であり快感の象徴でもある彼の精液がおびただしく自分の膣に放たれる。今まで自分が達していた絶頂などまだまだ浅いと言わんばかりにリリィの感覚は更に高みに押し上げられた。

 彼の愛が体に染み込み、誰が主かをはっきりと自覚する。この世で自分の事を一番愛してくれる男は誰なのかを、リリィは幼い体でしっかりと感じ取った。

 

「……大丈夫? 疲れちゃった?」

 

「は、ひ……♡ わらひは、だいじょぶれす……♡」

 

「でも、呂律が回ってないよ? 本当はしんどいんでしょ?」

 

「らいじょぶ、ですよぉ……♡ ね、トナカイさん、もっとしましょ? もっともっと、きもちいいことしたいんです……♡」

 

 若いを通り越して幼い少女であるリリィが囁く誘い文句に苦笑したマスターだったが、彼女が望むのならばともう一回戦を開始するつもりで彼女の尻を強く掴む。しかし、その行動は両隣に居たジャンヌたちに阻害され、彼女たちによって布団に押し倒されてしまった。

 

「はい、リリィ、今夜はここでお終い。セックスは終わりね」

 

「えっ!? な、何でですかぁ!? ここからが良い所だったのに……」

 

「リリィの気持ちも分かりますが……今日はマスターにゆっくり休んで欲しいんですよね……」

 

「俺に……?」

 

 裸のジャンヌとオルタがぴったりとその体をマスターに寄り添わせる。柔らかく温かな三人の聖女の肌に体を包まれたマスターは、恐れ多さにぶるりと体を震わせた。

 

「……あんた、最近毎日無理してるじゃない。疲れでぶっ倒られたりしたら、迷惑するのは私たちなんですからね」

 

「ですからマスター、今日はゆっくりとお休みください。せめてもの手助けとして、私たちが全身であなたを癒して差し上げます」

 

「聖女たちの肉布団よ? ありがたすぎて、涙流すんじゃない?」

 

「あ、あはははは……たしかにそうかも……」

 

 大きな胸が両腕を包み、その肢体でマスターの体を包み込むジャンヌたちの体は最高の掛布団になっていた。

 自分の上で寝そべるリリィの体も子供特有の体温のお陰で温かく、重さも気にならない程度しかない。

 三人の聖女たちを布団として扱うこの行為には、流石のマスターもオルタの言う通りありがたすぎて少し引く位であった。

 

「……何してんのよ? さっさと眠りなさいよ。今晩は勘弁してやるけど、次の機会には枯れるまで絞りとってやるから覚悟しときなさい!」

 

「ふふっ! オルタは口が悪いですけど、マスターの事を心配してるんですよ? もちろん、私も同じ気持ちです。私たちの奉仕で、少しでも体の疲れを癒して下さいね……」

 

「そう言う事なら……私も我慢します。大好きなトナカイさんの為ですもんね!」

 

 左右と上、三方向から三人の聖女たちが顔を近づける。綺麗な彼女たちの顔がすぐ近くにある事に赤面したマスターに向けて、ジャンヌたちは優しい声で囁いた。

 

「「「おやすみなさい、マスター……どうか、良い夢を見て下さいね……♡」」」

 

 眠りを促すその声を聞いた途端、マスターの意識が遠のいて行った。相当に疲れがたまっているのか、あるいはこの聖女布団が心地良すぎるのか、はたまたそのどちらもなのかははっきりとは特定できないが……とにかく、マスターはジャンヌたちに感謝の思いを抱きながら、心地良い微睡の中へと意識を沈ませていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……リリィ、腰動かすんじゃないわよ? 抜け駆けは許しませんからね」

 

「んっ……♡ トナカイさんの精液、私の中にまだ残ってます……♡ 栓がされてるから、外にも出せませんし……♡」

 

「それ、ちょっと羨ましいです。良いなぁ……」

 

 マスターが眠りに就いた後も、聖女たちの会話は終わらない。マスターを起こさぬようにしながら、小さな声で話し合う。

 

「これで、私たちは全員解放されましたし……カルデアに帰ったら、チーム(ジャンヌ)でも結成しますか?」

 

「げっ! あんたたちとチーム? 地味に嫌なんですけど……」

 

「チーム? チームって何ですか?」

 

 傍から見れば楽しそうな姉妹の会話にしか見えないやり取りを繰り広げながら、彼女たちは夜が更けるまで楽しいおしゃべりを続けたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

罰の意味

 大掛かりな策だ、とマスターは思った。

 沖田、モードレッド、ジャンヌリリィと順調に三人の英霊を解放できたカルデアであったが、最後にして最大の難関である牛若丸の心の解放にはやや手こずっている。頑なにマスターを避ける彼女は、ただ彼に罰して貰うことしか考えていないのだ。

 優しい言葉も温かな触れ合いも牛若丸は望まない。ただ愚かな自分を罰して欲しいと願い、それだけを求めて生きている。そんな彼女の心をどう癒すべきなのかを考えた一同が辿り着いたのは、かなり大掛かりな策であった。

 

「まさか、そう来るとはな」

 

「ですが、それが最善の策かもしれません。問題は上手く行くかどうかですが……」

 

「……やるしかない、よな」

 

 発案者であるマスターの策に乗る姿勢を見せる英霊たちが口々に感想を述べる。この策は自分たちの力だけでは成功しない、もっと大勢の力が必要だ。

 

「……本格的に動くのは明日からだ。それまでに出来る限りの細かい部分の作戦を煮詰めよう」

 

 マスターの言葉に頷いた英霊たちは己の知識の全てを持って話し合いを続けた。カルデアの職員やダヴィンチちゃんも協力して作戦の筋書きが決まった頃には、丁度空には太陽が昇り始める所であった。

 

「……それじゃあ、始めようか」

 

 瞳に強い光を灯しながら、マスターは呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 赦しが欲しいと願うことは無かった。ただ、死ねと言われたなら死ぬだけだった。

 不要になったから。恐ろしいから。理解出来ないから……そんな理由で死を望まれた時も、自分は迷うことなくそれを受け入れた。そうすべきだとしか思えなかったからだ。

 そして、今回もそう思っている。自分は死ぬべきだ、見るも無残、聞くも残酷、地獄の様な苦しみと痛みの中、自分は己の罪を思い知りながら無様に死ぬべきなのだ。

 それが自分の迎えるべき結末……慕っていたはずの主を裏切り、あまつさえその心を傷つけた自分が受ける、当然の報いなのだ。

 

 暗い地下牢の中で、牛若丸はそんな考えを何度も思い浮かべた。この牢獄の中で動かないまま、延々と残酷な処刑方法を考えることが彼女の日課だった。

 自分の事を心配してくれる仲間や主にさえ、彼女は心を開くことをしなかった。皆の優しさが酷く辛く、苦しかったからだ。

 仲間たちの優しさを無下にする自分はやはり罪深い狗だと思いながら、牛若丸は孤独の中で膝を抱えて毎日を過ごしていた。ただ自分が死ぬその日まで、そんな日々が続くと思っていた。

 

「出ろ、雌犬。お前に罰を与えてやる」

 

 そんな彼女の日々に変化が起きる日がやって来た。牢獄の中にやって来た土方によって叩き起こされた彼女は、土方の冷たい視線を受けて喜びの笑みを見せる。

 

(あぁ……ようやく、この日が……!)

 

 罰を与えられると言うのにも関わらず、牛若丸の心には幸せの感情しか無かった。ようやく己の罪を裁いて貰えると思うと嬉しくて仕方が無かったからだ。

 待ち望んだ時がようやくやって来た……その喜びに打ち震える牛若丸の背を土方が木刀で叩く。そして、視線に負けない冷たい声で、彼女を詰問する様に言った。

 

「何がおかしい? お前は、自分がしたことの重大さがわかっているのか?」

 

「っっ……! も、申し訳、ありませ……」

 

「勝手に喋って良いと誰が言った? 犬は犬らしく、人の顔色を見て黙ってろ」

 

 両頬を土方に押し潰される様にして顔を掴まれた牛若丸は、彼の言う事に従って口を閉ざす。幾分従順になった彼女の姿を見た土方は無造作に牛若丸を牢屋の床に放り投げると手を叩いて合図を送った。

 

「では、処置を開始します」

 

 土方の合図を受けて牢屋に入って来たのはナイチンゲールだ。幾つかの器具を手に牛若丸の横に座ったナイチンゲールは、てきぱきと道具を牛若丸の体に取り付けていく。

 牛若丸の両腕の肘の部分と両膝にバングルの様なものを取り付けたナイチンゲールは、それがしっかりと固定されている事を確認してから手元のスイッチを押した。すると、一体何が行われているのかと訝しんでいた牛若丸の体に変化が起こる。

 

「これ、は……!?」

 

 自分の両肘、そして両膝からの先が文字通り消えてなくなったことに驚愕した牛若丸は、消え去った自分の四肢を眺めて茫然としている。

 そんな彼女に説明を始めながら、ナイチンゲールは取り付けたバングルに鉄板を嵌め込み始めた。

 

「そのバングルはミス・ダヴィンチが制作した霊基遮断装置です。取り付けてから起動すれば、そこから先の霊基を消滅させることが出来ます。本来は捕らえた英霊の反抗を防ぐ為の物らしいですが……今回は、あなたの治療に使わせて貰いましょう」

 

「は、ぐ……」

 

 痛みも無く自分の四肢が消え去った事に驚く牛若丸の体を無理矢理起こしたナイチンゲールは、そのまま彼女を四つん這いの体勢に固定した。

 先ほど彼女がバングルに嵌め込んだ鉄板が馬の蹄の様な役目を果たしているのか、非情に不格好な形ながらも牛若丸は安定してその姿勢を取り続けている。

 

「仕上げです。そのまま動かない様に……」

 

「んっ……!!?」

 

 ぬるり、という感触と共に尻の穴に挿り込む異物。玉が連なったアナルビーズを挿入される感覚に牛若丸が体を震わせて呻き声を上げる。

 牛若丸のアナルにビーズを最後の一つまで埋め込んだナイチンゲールは、最後に用意していた首輪を彼女に巻き付けた。ぶるぶると震える牛若丸の姿を見た土方が、侮蔑交じりの笑みを浮かべながら言う。

 

「はっ、良い格好になったじゃねえか……まさに雌犬、だな」

 

 土方の言う通りであった。四つん這いで地面に立ち、尻には犬のしっぽを模した張り子を挿入し、首輪をつけられた今の牛若丸は犬としか表現のしようがない。アナルの刺激で荒くなっている呼吸もまた、興奮した犬のそれを想起させた。

 

「さあ、行くぞ。お前に罰を与える場所にな」

 

 土方とナイチンゲールは犬と化した牛若丸を牢屋から連れ出すと、共に屋敷の外へと出て行った。リード代わりの鎖を掴むナイチンゲールに行き先を指示されながら、牛若丸は全裸よりも恥ずかしい格好で日本の町を白昼堂々歩いて進む。

 

「は……うぅ……っ」

 

 当然、町の中には沢山の人々が居た。無様な牛若丸の姿を奇異の目で見つめる彼らの視線に牛若丸は顔を赤らめる。

 小ぶりだが、形の整った美乳。固く尖った乳首。ビーズを咥えているアナル。雌犬の文字が刻まれている尻。そして、湿り気を帯びた女性器。その全てが、この市中の人々に視姦されているのだ。牛若丸は恥ずかしさのあまり、顔から火が出そうであった。

 

(これが……この辱めが、私への罰……)

 

 少しだけ熱で浮かれた頭のまま、牛若丸はぼんやりとそんな思いを浮かべた。少し形を変えた市中引き回しと言う奴だろうか? まるで犬の散歩の様で洒落が効いているなと思いながら、牛若丸はただその辱めに耐え続ける。

 

(ああ、そうだ……これは私にぴったりではないか……! ソロモンの手で雌犬に堕とされ、愚かにも主殿に牙を剥いた私に相応しい罰では無いか……!)

 

 自分はもう人ではない。愚かで、無様で、救いようのない雌犬なのだ。それを多くの人々に知らしめるのにこの罰は最適だろう。

 もっと見て貰え、この腐った雌犬の姿を……。狂った思考の元、数多くの命を奪った自分は、彼らに嗤われなければならないのだから。

 

 ローマ兵を殺すため、自分はこの日本の町を徹底的に利用した。建物を焼き、町を壊し、必要があれば市民を盾にもした。彼らに恨まれる理由は十二分にある。

 そんな自分の無様な姿を見れば、この日本の市民たちの留飲も下がると言うものだ。牛若丸は恥ずかしさに耐えながら、更に無様な自分を演出すべく口を開く。

 

「わ……わんわんっ! わんわんわんっ!!!」

 

 自ら雌犬に堕ちようとする牛若丸は、大声で犬の鳴きまねを披露してみせた。姿だけでなく行動すらも犬の様に振る舞う彼女に無数の視線が突き刺さる。

 牛若丸に向けられる視線には、裸の女性を見ていると言う興奮の色はまるで無かった。彼女に向けられるのは哀れみや嘲笑、もしくは嫌悪の感情が籠められた視線ばかりだ。

 それでもなお牛若丸は犬として振る舞い続ける。ソロモンの手で壊された彼女もまた、その壊れた思考のままに狂った行動を取り続けている。

 

「わんわんっ! う~っ、わお~~んっ!!!」

 

(もっと……もっと見てくれっ! こんな愚かな私の事を、もっと嗤ってくれっ……!)

 

 瞳に涙を湛えながら犬の鳴きまねを続ける牛若丸。そんな彼女の事を引き摺る様に連れまわす土方とナイチンゲールは、目的地に向かってただ真っ直ぐに歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからそう長くない時間が過ぎた。市中を歩き回っていた牛若丸は、自分を引っ張るナイチンゲールが足を止めた事に気が付いて自分もそれに倣う。クルリと振り向いて牛若丸の方を見たナイチンゲールは、淡々とした口調で彼女に告げた。

 

「着きました。ここが目的地です」

 

 鎖を引っ張られた牛若丸が数歩前に出る。そして、目の前に広がる光景を見て愕然とした。

 

「こ、これは……!?」

 

 自分からやや離れた位置、視界は通るが声は届かないであろうかという距離には、大勢の人々が集まっていた。全てこの町の住人であろうと思った牛若丸の目は、彼らの中心にいる人物へと吸い寄せられる。

 そこに居たのは敬愛する主、カルデアのマスターであった。浅葱色の羽織を纏うその姿も凛々しいなと牛若丸は思い、彼の姿を見続ける。

 

「……ここで処刑されるのですか? あの人々の前に連れ出され、憎悪の言葉を浴びながら……」

 

 自分の迎えるであろう結末を想った牛若丸が口を開く。次いで、土方から喋るなと言われていた事を思い出したが、彼はそれを咎めることはしなかった。

 だが、その代わりに……彼女にとって、信じられない様な言葉を口にする。

 

「……何勘違いしてやがる? お前を殺すつもりなんてさらさらねえよ」

 

「……は?」

 

 牛若丸は言われたことの意味が分からなかった。自分を処刑する為にこの様な格好をさせ、ここまで連れて来たのではないのか? であるならば、彼らは何の為にここにやって来たのだろうか?

 疑問を浮かべる牛若丸だったが、突如としてナイチンゲールに顔を掴まれて無理矢理に視線を固定された。視線の先には主に群がる群衆の姿がある。

 

「なっ……!?」

 

 そんな光景を目にしていた牛若丸は、突然驚きの声を上げた。視線の先で、主が地に頭をつけて土下座を始めたからだ。

 町民はそんな彼の元に殺到し、手当たり次第に石や木の棒などを投げつけている。雰囲気から察するに、マスターは彼らの気分を害する行動を取った様だ。

 

「あ、主どのっ!!! あぐっ?!」

 

 このままではマスターが住人たちに殺されてしまうのではないかと危惧した牛若丸は、彼の元へと走り出そうとした。しかし、駆け出した彼女に繋がる鎖をナイチンゲールに引っ張られ、その行動は未遂に終わる。

 噎せ込み、涙を浮かべる彼女に対して近づいた土方は、冷酷な声で何が起きているのかを牛若丸に説明し始めた。

 

「……あいつが何であんな事になっているのか知りたいって顔をしてるな? ……全部、お前のせいだ」

 

「わ、私の、せい……!?」

 

「今、あいつは、この町を滅茶苦茶にしたお前が自分の仲間だったってことを町の住民に伝えている。そして、お前を許して欲しいと頼んでるんだよ。友人や家族をお前に殺されたかもしれない奴らに、ぬけぬけとそんなことを言ってやがるんだ」

 

「は……? な、なぜ、そんなことを……!?」

 

 牛若丸にはマスターの行動の意味が分からなかった。こんな自分のことなど見捨て、さっさと殺してしまえば良いはずだ。

 なのになぜ、彼はそうしないのか? 困惑する牛若丸が茫然としていると、ナイチンゲールに再び顔を掴まれて顔の向きを固定された。

 

「あ……っ!」

 

 視線の先ではマスターが住民たちに痛めつけられている。直接的な暴力を振るう者は居ないが、住民たちは手当たり次第にマスターに向けて物を投げつけていた。

 拳ほどの石が、尖った木片が、彼の頭や体にぶつけられる。彼が血を流し、痛みに苦しむ姿を牛若丸ははっきりと見て取ってしまった。

 

「や、やめ……っ」

 

 その言葉は主を痛めつける住民に対してのものでもあり、自分に凄惨な現場を見せつけている二人に対しての言葉でもあった。自分のせいで大切な主が傷つく姿など、見たくもない光景なのだ。

 しかし、土方もナイチンゲールも決して牛若丸が目を逸らす事を許しはしない。がっちりと彼女を拘束し、傷つくマスターの姿を見せつけ続ける。

 

「これがお前への罰だ。自分のせいで苦しむあいつの姿をきっちりと目に焼き付けろ。自分の犯した罪の深さを、良く思い知るんだな」

 

「あ、あ、あ……!」

 

 わなわなと震え、涙を流す牛若丸の耳にイヤホンを取り付けながら土方は言った。彼の言葉に衝撃を覚える牛若丸の耳には、イヤホンから沢山の物音が聞こえて来ていた。

 それは罵声であり、痛々しい物音であった。牛若丸の事を侮蔑し、それを庇う主に対する怒りの言葉も聞こえる。時折聞こえる鈍い音は、彼の体に何かがぶつけられる音なのだろう。

 痛く、苦しい音だった。そんな中で何よりも牛若丸の心を抉ったのは、住民たちの声に紛れて聞こえる主の言葉だ。

 

『すいません、すいません……! 全部、俺のせいなんです。俺がもっと上手くやれていたら……!』

 

「ち、が……! 違います、主どの……! すべては、この私の心が弱かった故に起きた事なんです……! あなたが気に病む必要は、どこにも……」

 

 住民に向けられた主の言葉に反論した牛若丸は、何度も首を振りながら届かない己の思いを口にした。しかし、その言葉が紡ぎ終わる前に耳に鈍い音が響き、マスターの呻き声が聞こえて来た。

 自分のせいだ。自分の責任だ。全て自分が悪いのだ……。彼の心ばかりか体すらも傷つける事態を引き起こしたと言う事実に耐えられなくなった牛若丸は、涙交じりの叫びを上げて土方に懇願する。

 

「殺して下さい……! こんなの、耐えられません……! 私が死ねば、主殿が責められる言われは……」

 

「……お前が死んだら、どうなる?」

 

「え……?」

 

「このままお前が死んだらどうなる? そんなことも想像出来ないのか?」

 

 土方のその言葉に牛若丸は声を詰まらせた。瞬時に天才武将の聡い頭脳が働きだし、ここで自分が死んだ後の出来事をシュミレートし始める。

 

 ここで自分が死ねば、確かにこの暴動は治まるだろう。住民たちは牛若丸に唾を吐きかけ、彼女が死んだことを喜ぶだろう。

 しかし……次の特異点ではどうだろうか? ここで自分が死を選べば、勿論自分はソロモンの元に再召喚される。そうなれば、自分はまたしてもマスターたちの前に敵として立ちはだかる事になるのだ。

 そうなればまた同じことの繰り返し……敵として彼と戦い、その心を傷つけ、最後には消滅する。何かの奇跡で自分がカルデア側に捕らえられても、自分が死を望んでしまえば何の意味も無い。

 そう、今の様にだ。

 

「……お前は何度あいつに同じことをさせるつもりだ? 何度お前を殺させ、何度お前を手放せさせるつもりだ? ……お前は、自己満足の為にあいつを何度傷つけるつもりなんだ?」

 

「あ、ぐ……うぅぅぅぅぅっっ……」

 

 それは苦しく辛い現実だった。彼の事を真に思うならば、自分はここで死んではならない。だが、そうであるならば自分はどうやってこの不始末の責任を取れば良いのだろうか?

 死ぬことで彼に対する贖罪をするつもりだった。しかし、それは何の意味も成さないどころか彼にとって不利益な行動でしかない……自分はどう足掻いたって彼に謝ることは出来ないのだと絶望する牛若丸は、声を震わせて泣きじゃくった。

 

「あ、あぁ……主、どのぉ……っ……! 私は、わたしはぁ……っっ」

 

 死ぬことは許されない。罪を贖う事も出来はしない。なら、自分はどうすれば良いのだろうか?

 その答えが見つからずに崩れ落ちる牛若丸の体をナイチンゲールはしっかりと固定する。痛めつけられるマスターの姿を牛若丸に見せつけながら、彼女は口を開いた。

 

「あなたは、罰と言うことに関して思い違いをしています」

 

「えっ……!?」

 

「罰とは、死ぬことではありません。己の罪を自覚し、二度と同じ過ちをしない様にするための儀式なのです。すなわち……前を向く為の、儀礼の様なものなのです」

 

 ナイチンゲールの真っ赤な瞳が牛若丸の姿を映している。珍しく、他の誰かにナイチンゲールが話をしているのだと言う事に牛若丸は軽く衝撃を受けた。

 

「領地を没収された、罰金を払った、地位を剥奪された……この様な罰は、周囲への見せしめと言う意味もあります。見せしめ、というのは、決して脅しを目的としたものだけではありません。この人物はこう言う罰を受けた。故に、再びこの汚名を雪ぐために努力すると言う意味合いも込められているのです。これは、上に立つ者がその人物に見せる温情であり、信頼でもあります。この人物ならば必ず逆境を乗り越えられると信じているからこそ、除名では無くほかの処分を下すのです」

 

「しん、らい……? 主殿が、こんな私を……?」

 

「如何にも。彼のあの土下座は貴方の為のものです。貴方を信じるからこそ、彼は痛みにも屈辱にも耐えられる。貴方が再び自分の元に戻って来てくれるのならば、マスターは幾らでも頭を下げ、怒りを受け止めることでしょう」

 

「主、殿……」

 

 ナイチンゲールの言葉を受けた牛若丸はもう一度マスターの姿を見た。地べたに這い蹲り、惨めな姿を晒す彼の事を牛若丸は欠片も無様とは思えなかった。

 彼がああなっているのは自分のせいだ。そして、()()()()なのだ。自分がもう一度皆に受け入れて貰える様に、彼は必死で頼み込んでいるのだ。

 

「しかし……それに対して、貴方はどうでしょうか? その信頼に応えようとしていますか?」

 

「あ……!」

 

 牛若丸は愕然とした。自分は、自分の事しか考えていなかったことをはっきりと自覚した。自己満足の為に死を選ぼうとし、愚かな雌犬のままで在ろうとした。主が、あそこまでして自分を元通りにしようとしているのにも関わらず、自分は変わろうともしなかった。

 

「……申し訳、ありません……申し訳ありません、主殿……っ!」

 

 自分はやはり愚かだった。こんな愚かな自分は、やはり死ぬべきなのだ……とは、もう思えなかった。

 そうとも、自分は愚かな雌犬だ。四肢を失い、首輪をつけられ、尻尾代わりのバイブを尻穴に突き刺した今の自分の姿は、まさにそんな自分の性根を表しているのだ。

 だが、このままでは終われない。終わって良いはずが無い。自分は、ソロモンの雌犬では無いのだから。自分は、彼に信頼される牛若丸と言う名の英霊であるはずなのだから。

 

『牛若丸は本当は良い娘なんです! 本当の彼女は、こんな事をする奴じゃないんです!』

 

「ええ、そうですとも……! 私は、雌犬なんかじゃない。例え犬だったとしても、ソロモンのでは無く、あなたの忠犬なのです……!」

 

 ナイチンゲールに強制されること無く、牛若丸は前を向いた。本当の意味で、彼女は前を向き始めた。

 その目に痛々しい主の姿を焼き付ける。もう二度と、彼をあんな目には遭わせない。そして、この町の住民に彼が正しかったのだと思わせてみせるのだ。

 

 もう死ぬ方法など考えない。自分が考えるべきは、雌犬から人に戻る方法、彼の傍にもう一度居られる様にする為の方法だ。

 そのことに気が付いた牛若丸の目に強い光が灯る。同時に首輪が外され、自由に動けるようになった牛若丸は四つん這いのまま土方とナイチンゲールの事を見た。

 

「……もう首輪は必要ねえな。屯所に戻るぞ、んで……そこで、自分が何をすべきか良く考えろ」

 

「はいっ!」

 

 誰に導かれるわけでも無く、牛若丸は歩き始める。己の進む道を見つけ出した牛若丸は、一歩一歩力強くその道を歩き出した。

 取りあえず、帰ったら今までの事をしっかりとマスターに謝ろう……そう決めた牛若丸の顔つきは、つい数刻前のものとは明らかに変わっていた。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

浴槽遊戯(牛若丸)

 牛若丸が心を入れ替えてからおよそ二週間の時が過ぎた。その間、彼女を取り巻く環境は激変していた。

 独房に戻ってから最初の三日間は、まずマスターと普通に会話が出来るように努めた。今までの行いを詫び、もう一度ゼロからすべてをやり直すことを決心したことを彼に告げた。

 牛若丸のその行動を喜んだマスターの笑顔を見ながら、牛若丸は自分の決断が間違って無かったことを心の中で確信し、彼同様に喜びの感情を見せた。

 

 その後、独房から出された牛若丸は、四肢に着けられた特製バングルを外して貰い、自分の足で動き回る様になった。マスターに連れられて町に出た彼女は、町の住民に自分のしたことを誠心誠意謝罪した。

 そう簡単に許されるものでは無いと思っていた牛若丸であったが……その予想に反し、町の人々は温かく彼女のことを迎え入れてくれた。そもそも、彼らは別段彼女のことを憎んでいたわけでは無かったのだ。

 

 ソロモンに操られていた牛若丸が普通の状態では無いことなど一目見れば分かる。先日、マスターに対して怒って見せたのは、彼らに頼まれて行った演技だったのだ。

 牛若丸の目を覚まさせる為の芝居を打つことに決めたマスターたちに頼まれ、この町の住民たちも彼らに協力した。すべては、牛若丸の為に行った大掛かりな策だったのだ。

 町の住民たちは見事に成功したその作戦がもたらした成果を喜ぶと同時に、牛若丸が正常な状態に戻った事も喜んでくれていた。自分が乗せられていることなど知る由も無い牛若丸は、彼らの優しさに感激して涙を零した。

 

 その日から、牛若丸は町の復旧に力を注ぎ始めた。スパルタクスたちと共に瓦礫を取り除き、マシュたちと共に仕事を終えた人々を労わる。自分が犯してしまった罪を償うため、牛若丸は人一倍頑張り続けた。

 すべては自分の罪を償い、マスターの傍にもう一度居られる様になる為……精力的に動く牛若丸の事を気にかけてくれたのは、同じ淫乱組として活動していた沖田だった。

 

 一足早くソロモンの元から開放されていた沖田は、同じくマスターの元に戻ってきた牛若丸の事を気にかけてくれていた。

 今、自分たちが行わなければならないことを二人で考えた彼女たちが取った行動は、迷惑をかけた人々への謝罪であった。

 

 その日の晩、二人はモードレッドの部屋を訪ねていた。家畜として、苗床として酷い扱いをし続けた彼女に謝罪するためだ。

 間接的に彼女の力を奪う手助けをしてしまった事や彼女の命を顧みない扱いをして来た事を謝罪した二人に対し、モードレッドはそっぽを向いた状態でこう言った。

 

「別に気にしてない。お前たちだって普通の状態じゃ無かったし、俺だってそうだった。だから今までの事は水に流そう」

 

 モードレッドの寛大な返答に平伏しながら感謝した牛若丸と沖田は、そのまま彼女と三人で話を始めた。話の内容は、自分たちを解放してくれたマスターについてだ。

 そんな話を始める中、牛若丸は困ってしまった。何を隠そう、自分はまだソロモンの虜囚のままだからだ。

 二人の様に淫紋令呪の書き換えが済んでいる訳ではなく、まだソロモンの所有物である牛若丸の心中にはソロモンに対する敬愛の念が燻っていた。いつまたその思いが噴き出すか分からない事を不安がる彼女に対し、沖田とモードレッドはその不安を笑い飛ばすかの様に言う。

 

「大丈夫、そんなことをマスターが許すわけが無い。その不安を払拭すべく、すぐに動いてくれることだろう」

 

 その言葉を聞いた牛若丸はまた困ってしまった。自分の様な愚か者が、彼に抱かれて良いものなのだろうか?

 屋敷の中に響く嬌声を聞き逃す牛若丸では無い。主が、どうやって堕ちた英霊たちを取り戻しているかは予想がついた。

 であるならば、自分もそうなるのだろうか? この獣に抱かれ続けた汚い体に、彼に抱かれる資格などあるのだろうか?

 

 そんな不安を浮かべる牛若丸の事をまたしても沖田たちが笑って励ます。心配要らないと、何の問題も無いと笑って二人は言った。

 

「そんな事言うなら、沖田さんだって猪に犯されまくりでしたよ? 気持ちは分かりますけど、そんな事で私たちを蔑ろにするマスターさんじゃあありませんって!」

 

「そうそう! あんま気にしすぎんなよ! 求められたら差し出しゃあ良い、ただそんだけのことだろ?」

 

「そういうもの、なのでしょうか……?」

 

 二人の返答にやや釈然としないものを感じながらも牛若丸は頷いた。そして、もしその時が来たらどうすべきなのかを必死に考える。

 断るべきか否か、主に対しての対応を考える牛若丸は、とりあえずその時が来たらその場の雰囲気で考えようと結論付けてその考えを断ち切った。

 それからしばらく精力的に町の復旧に取り組んでいた為、そんなことがあったと言うことすら忘れていた牛若丸であったが……ある日、唐突に()()()はやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、失礼、します……!」

 

「あ、いらっしゃい! それじゃあ、早速始めようか!」

 

「は、はい……!」

 

 湯煙がもくもくと立ち上る浴室の中で、牛若丸は顔を真っ赤にして主と会話をしていた。

 お互いに全裸の状態で肌を隠すことなく話す二人だが、その表情は対照的だ。

 マスターが平然と全裸を晒しているに対し、牛若丸はもじもじとしながら体をくねらせている。羞恥心はあるが、主の前で不忠を働きたくないと言う思いだけで裸を隠さないようにしていることが、その表情から見て取れた。

 

 本当に……本当に、それは唐突だった。

 ある日の夜、気軽に牛若丸を呼び止めたマスターは、笑顔を浮かべたままなんて事の無い様子で「そろそろ目障りなお尻の文字、消しておこうか?」と言ってきたのだ。

 あまりの気軽さに面食らった牛若丸は、ただ「はい」と答えることしか出来なかった。そのまま浴室に連れて来られ、二人で風呂に入る事になり……今に至る、と言う訳である。

 

(と、とうとう、主殿と男女の契りを……!?)

 

 この行動の意味は、そう言うことなのだろう。裸の男女がすることなど、一つしか思い当たらない。

 どこか変な所は無いだろうか? いや、尻の【雌犬】の文字など変な物には決まっているが、自分の体で見苦しい部分などはないだろうか? とドギマギしながら確認する牛若丸に対し、マスターは笑みを浮かべながら手招きする。

 

「牛若丸、体洗ってあげるから、こっちおいで」

 

「は、はい……!」

 

 体を洗う用の布を濡らし、石鹸を擦って泡立てる主の姿を見た牛若丸は、彼の言葉に従ってちょこんと腰を下ろした。

 すぐ近くに居るマスターの気配に心臓の鼓動を激しくしながら、彼の行動を待つ。

 

「……ん、優しくしてあげるからね……!」

 

「あっ……♡」

 

 後ろから声をかけるマスターの手が肩に触れた。そのまま、布を持つ手が自分の首筋に触れる。

 優しく、そっと自分の体を拭う様に布を擦られた牛若丸の口から熱い吐息と共に喘ぎ声が漏れる。敏感な部分を触れられたわけでも無いのに感じてしまった自分の事を恥じる牛若丸であったが、マスターはそんな彼女の思いなど露も知らずに体を洗い続けた。

 

「あっ♡ はぁ……♡」

 

 首から肩へ、肩から腕へ……片方ずつ、しっかりと優しく両腕を洗われながら、腕を持ち上げて腋に触れられた牛若丸は体をびくんと震えさせた。

 一日中動き回っていたから、汗臭くは無いだろうか? 腋から変な臭いはしていないだろうか? そう心配する牛若丸を尻目に、マスターはただ優しく彼女の体を洗い続ける。

 

「はっ♡ くぅぅっ♡ っっ……♡」

 

 腋から、脇腹へマスターの手が動き、そのまま背中を何度も擦られる。脇腹を洗われた時のこそばゆい感触を思い出した牛若丸は、表情を蕩けさせてその感覚を頭の中で思い返していた。

 だが、その感覚もすぐに消え失せる。マスターの手が敏感な牛若丸の胸に触れた瞬間、彼女は体をびくりと震わせて鋭い快感に耐えた。

 

「はっ、くぅ……♡」

 

 大きさはあまり無いが形の整った牛若丸の胸の膨らみをマスターがそっと拭う。布が乳首に触れ、硬く尖ったそこを擦られた牛若丸は必死になって声を出すことを堪えた。

 こんなことで感じている素振りを見せ、主に淫らな女だと思われることを嫌がる牛若丸はちりちりと頭の後ろを焼く様な快感を必死で抑えた。それでもびくりびくりと痙攣する体が正直に反応し、それを意識する彼女を快感の坩堝に落としていく。

 

(は、あぁぁぁぁ……♡ そ、こはぁっ……♡)

 

 胸への愛撫にも等しい主の施しを耐えた牛若丸であったが、マスターの手はさらに下に進み、彼女の最も敏感な部分に触れようとしていた。

 引き締まった腹部をなぞり、黒い淫紋令呪が刻まれた下腹部を通り抜けたマスターの手は、牛若丸の女性を象徴する部分に触れてそっとそこを撫で始めた。

 

「きゃ、ひぃんんっ♡ ひ、ぃぃぃっ……♡」

 

 今度は無理だった。どんなに我慢しようとしても、甘い声が口から溢れて来てしまう。自分の股間を濡らすものが、風呂の湯だけでは無いことを牛若丸ははっきりと自覚していた。

 性器の中に指を挿れられた訳では無い、激しくそこを擦られている訳でもない。ただ自分が淫核を固くし、優しく性器をなぞる主の手で感じているだけだ。

 

 熱い性の飛沫を己が性器から噴き出した牛若丸は、ただ体を強張らせて主から与えられる快感を享受した。

 顔を真っ赤にし、股から全身に伝わる快感に喘ぎ声を漏らし続けた牛若丸は、彼の手がそこから離れたことに一抹の寂しさを感じながらほっと息を吐く。

 

 性器の下、脚の付け根から下には敏感な部分は無い。太腿から足の裏までを主に丁寧に洗ってもらった牛若丸は、全身を泡だらけにしながら瞳を潤ませた。

 これで終わり……主からの施しの終わりに寂しさを感じる牛若丸であったが、マスターはそんな彼女の思いを良い意味で裏切るような言葉を口にする。

 

「……牛若丸、腰を上げて。まだお尻を洗って無いでしょう?」

 

「あ……いや、そこは……」

 

「良いから。一番綺麗にしなきゃいけないのはそこなんだからさ」

 

「あぅ……は、はい……」

 

 若干の後ろめたさを感じながらもマスターの言うことには逆らえない牛若丸はそっと腰を上げて立ち上がった。

 浴槽のヘリに掴まり、お尻をマスターに突き出す姿勢を取った彼女は、羞恥心に顔を真っ赤に染める。

 

 今の自分の格好が恥ずかしいというより、臀部に刻まれた【雌犬】の文字を主に見せ付けていることの方が恥ずかしかった。自分がソロモンの犬であることをアピールしている様で、牛若丸はマスターの顔をまっすぐに見ることが出来なくなってしまう。

 しかし、マスターはそんな牛若丸の思いなどまったく意に介さず、手にした布で彼女の尻肉を擦り始めた。

 

「はっ♡ はーっ♡ はぁぁぁっ……♡」

 

 敬愛する主が自分の尻を綺麗にしてくれている。開いた性器も、うごめく尻穴も見せつけた状態で、自分の恥ずかしい部分を見てもらった状態で……。

 興奮した性器が熱い愛液を垂れ流し、ぱくぱくと物欲しそうにひくつく光景もばっちりと見られているだろう。隠し切れぬ主への思いを今、他ならぬ彼自身に曝け出しているのだ。

 それは恥ずかしく、恍惚とする時間であった。息はさらに荒く熱くなり、意識が朦朧としてくる。体が熱くなっているのは浴室内の温度のせいだけではないだろうと牛若丸は思った。

 

「う~ん……この文字、やっぱり落ちないかぁ……」

 

「も、申し訳ありません、主殿……。私の不徳のせいで、主殿の気分を害してしまって……」

 

 いくらマスターが牛若丸の尻を擦ってもそこに刻まれた【雌犬】の文字が消えることは無かった。当然だ、その文字は尻に書かれているのではなく、牛若丸の心に刻まれた文字が尻に浮かび上がっているからだ。

 心に、魂に刻まれた文字が臀部に浮かび上がり、自分の存在意義を主張しているに過ぎない。どんなに尻を擦れど、その文字が消えることはあるはずが無い。

 マスターの努力をふいにしてしまったことを申し訳なく思う牛若丸であったが、マスターは笑みを浮かべてあっけらかんとした様子で彼女に返答した。

 

「気にしないでよ、牛若丸。大丈夫、それならそれでやりようがあるからさ」

 

「っっ……!!!」

 

 ぴとり、と尻に熱いものが当たる感触に牛若丸が体を震えさせた。それがなんであるか悟った彼女は、ごくりと息を飲み込んで心臓を高鳴らせる。

 

(大きい……♡ それに、なんて熱さと逞しさだ……♡)

 

 一瞬尻に触れただけのマスターの肉棒。だが、その一瞬で牛若丸は彼の雄雄しさを理解していた。

 まるで火掻き棒の様に熱く硬い肉棒。その律動は自分の心を震えさせ、猛々しさは雌の部分を否応無しに引きずり出す。

 脇差よりも大きなそれを自分の体の中に迎え入れるということに恐怖を感じた牛若丸であったが、優しい手つきで泡だらけの体をマスターに流され、暖かい湯船の中に抱きしめられながら共に浸かった時には、その恐怖は溶けて無くなっていた。

 

「あ♡ あ♡ あ……♡」

 

 下腹部に触れる主の分身。雄々しく、猛々しく、力強い男の象徴が、自分の子宮を皮膚の上から刺激する。

 これを直接叩き込まれ蹂躙されたのならば、自分は狂ってしまうのでは無いかと思わせるほどの男らしさがその肉棒にはあった。

 

「い、良いのですか? わ、私は、貴方を裏切って……」

 

「気にしてない。前も言ったでしょ? ……最近の牛若丸、凄く頑張ってる。一生懸命に前を向いて生きようとしてるの、見てればすぐにわかるよ」

 

「あ、主、殿……」

 

「……だから俺もその手助けがしたいんだ。いつまでもソロモンに心を囚われていて欲しくないから、牛若丸のことを解放する手助けがしたい……それに、いつまでも牛若丸のことをソロモンのものにだなんてしていたくないからさ」

 

 狭い湯船の中で密着し、彼に抱き寄せられながらその身を労わられる言葉を告げられた牛若丸の心臓は、感動と悦びで激しく高鳴っていた。

 主が自分のことを思い、自分のことをものにしたいと願っている……そのことが、牛若丸には嬉しくて嬉しくて堪らなかった。

 

「ん、ちゅっ……♡ んんんっ……♡」

 

 彼に唇を奪われた牛若丸は、全てをマスターに委ねて瞳を閉じた。自分の中に侵入してきた舌が自分の舌を絡め取り、共に官能を紡いで行く。

 たっぷりと時間をかけた接吻を終えた後、マスターは真っ直ぐに牛若丸の目を見ながら彼女に問いかけた。

 

「牛若丸……お前を俺のものにするよ。ソロモンの手から奪い取って、俺の女にする……良いよね?」

 

「はい、主殿……♡ ぜひ、そうして下さい……♡」

 

 お互いの意思を確かめ合い、二人で動き出す。マスターは牛若丸の体を抱き寄せ、牛若丸は湯船の中で腰を浮かしてマスターの肉棒へと跨った。

 抱きしめ合い、口付けを交わし、見つめ合いながら……二人は、お互いを求めてその距離を0にする。

 

「はっ、うぅぅぅぅぅぅんっっ♡ あ、主殿の逸物がぁ♡ 私の膣にぃ……♡」

 

 浴槽の湯と共に己の膣に潜り込んだ主の肉棒が与える快感に牛若丸が喘ぐ。体の内側から響く熱が、彼女の思考を蕩けさせた。

 ずっぷ、ずっぷと音を立ててマスターが腰を動かす度、二人が浸かる湯船の表面が波紋を浮かべる。ばしゃばしゃと飛沫を上げながら体を跳ね上げる牛若丸は、甘く心を乱す快感の虜になっていた。

 

「はっ♡ はぁぁぁっ♡ おくっ♡ ふかくにぃっ♡ ある、あるじどのぉっ♡♡♡」

 

 思い、慕う主と一つになり、体を抱きしめられる。背中を強く抱かれ、艶やかな黒髪を頭と共に撫でられれば、牛若丸の心の中は喜びの感情で一杯になった。

 その思いに拍車をかける様に快感が体を駆け巡る。マスターに愛されている実感を確かに感じながら受ける快感は、今まで行ったどの性交よりも甘美なものであった。

 

(おおきい、のにっ♡ 全然息苦しくない……っ♡ 私のナカ、全部主殿で一杯で、幸せしか感じない……♡♡♡)

 

 肩を、尻を掴まれ、思い切り子宮を押し上げるピストンを何度も繰り出される。その最中にも唇を奪われ、全身をマスターに包み込まれる。

 湯船の中の温もりと彼に抱きしめられる喜びが交じり合い、牛若丸の中には幸せの感情が段々と大きくなりながら渦巻いていく。

 

「はっ♡ はぁぁっ♡ も、もうしわけありませんっ、あるじどのぉっ♡ もう、果てて……はぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 幸福感と快感に心を滅多打ちにされた牛若丸は、全身できつくマスターに抱きつきながら絶頂を迎えた。

 狭い浴室の中に牛若丸の快感の叫びが響き、反響する。自分で発したその甘い声を聞きながら、牛若丸は呆けた表情で口の端から涎を垂れ流していた。

 

「……大丈夫? 落ち着けたかな?」

 

「あっ♡ ああっ♡」

 

 絶頂して強張った牛若丸の体をマスターが優しく撫でる。頭を撫でられれば安心感に甘い吐息を漏らし、尻を撫でられれば体の中で燻る快感の残滓が激しく震えて暴れだす。

 幸せを感じて表情を蕩けさせた牛若丸は、マスターに促されるまま唇を重ね合わせる。拙く、未熟な動きでありながらも舌を絡ませた牛若丸は、マスターと繋がり合うべく奉仕を続けた。

 

(もっと♡ もっと主殿と深く繋がりたいっ♡ 主殿♡ 主殿主殿主殿ぉっ♡♡♡)

 

 きつく、きつく抱きしめる。息をすることも忘れて口づけを交わす。

 もっと深く、奥に誘う様に膣を締めれば、主の肉棒はその期待に応える様に牛若丸の奥を穿った。

 

「はぁぁんっ♡ ん~~っ♡ んふぅ~っ♡ ふぅぅぅぅ……っ♡」

 

 牛若丸の目にはハートマークが浮かび、熱を帯びて蕩けていた。その瞳には愛する主の姿しか映っていない。他の何もかもが、彼女の中から消え去っていた。

 ソロモンに従っていたことも、雌犬として振舞っていたことも忘れ、牛若丸はこの一時に全てを掛ける。自分の主が、自分の為に割いてくれたこの時間で、彼への感謝と忠誠の思いを示すべく全霊を以って彼に尽くす。

 

 離れない唇は長い接吻を続けていた。不慣れなキスを続ける牛若丸は、荒い鼻息を吹き出しながら懸命に口付けを続ける。

 

 長く、すらりとした四肢はマスターに抱きつく為に使っていた。恵体の全てを使って主に擦り寄る牛若丸を、マスターもまた優しく抱き締めている。

 

 彼の逸物を受け入れる膣は彼の為の器官に成り果てていた。甘え、奉仕し、尽くす。彼の肉棒に快感を与える為の箇所となった膣は、喜びと快感に打ち震えていた。

 

(幸せだ♡ 僥倖だ♡ この身に過ぎた光栄だっ♡ 主殿に女として愛されるなど、私は一生分の幸運を使い果たしているのではないかっ♡)

 

 本心から牛若丸はそう思った。行為を終えた次の瞬間、死んだとしても後悔は無いとすら思えた。

 しかし、牛若丸はすぐにそんな思いを心の中で打ち消した。自分は死なないと決めた、主の傍で尽くすと決めたのだ。これはその為の儀式であり、主からの援護でもある。

 いかに幸福であろうと彼より早く死ぬことなど許されない。彼が死すその日まで、自分は彼の忠犬となるのだから……!

 

「はおぉぉっ♡ はぁぁっ♡ ああぁっ♡ あ~~~っっ♡」

 

 熱い、風呂の湯など目では無い熱さの肉棒が自分を責める。自分の女の部分を責める主の肉棒に、全身が屈服していく。

 もう恥も外聞も無かった。牛若丸は声の限りに喘ぎ、興奮を主に伝えた。あなたのおかげで幸せになっていると、体の全てを使って伝え続ける。

 

「あるじどのぉっ♡ イク、イキますぅっ♡ 主殿の仁王様でっ♡ 今までで一番の深イキが来ますぅぅっ♡」

 

 淫らな言葉を大声で叫びながら、牛若丸は腰を激しく上下させた。マスターの動きに合わせて腰を振る彼女は、主に気持ちよくなって貰うことだけを考えている。

 自分の快感は二の次。まずは、自分のことを愛してくれる主への感謝が先だ。そう心の奥底に刻まれた忠誠心が牛若丸を動かし、彼女の女の部分をフル活動させる。

 

「ああっ♡ 果てるっ♡ 果てますっ♡ 主殿っ♡ どうか、一緒に……っ♡」

 

「うんっ! 牛若丸……一緒に、イこうっ……!」

 

「ふぅっ♡ はぁぁぁぁぁっ♡ あぁぁぁぁぁぁっ♡」

 

 重い肉棒の突き、激しいピストン。それを受ける牛若丸は四肢に力を込めて主に縋り付く。

 余裕なんて無い。ただ先に果てぬよう堪えることで精一杯の自分を愛らしいとでも言う様に抱きしめてくれるマスターに対し、牛若丸は心の昂りを感じていた。

 

「ん~~っ♡ んん~~~っ♡」

 

 頭を抑えられ、マスターに唇を奪われる。それが彼の望むことならばとなすがままにされた牛若丸の体をマスターがきつく抱きしめる。

 ラストスパートをかけた主の腰遣いと甘い口付けの快感に流された牛若丸は、とうとう我慢の限界を迎えて自身の中の快感を解き放った。

 

「んんんんっっっ♡♡♡ んぅぅぅ~~~~~っっ♡♡♡」

 

 塞がれた口からは喘ぎ声は出ず、代わりに震える喉からくぐもった呻き声が漏れた。絶頂を迎えた膣が激しく痙攣し、牛若丸の頭の中で快感が火花を散らす。

 それとほぼ同時に彼女の膣の中には灼熱の炎とも思える熱を持った主の精液が撒き散らされた。子宮を埋め尽くす女としての快感に頭の中を真っ白にされた牛若丸は、ビクン、ビクンっ♡ と二度痙攣してマスターの方向へと体をもたれ掛ける。

 

「か、ふっ……♡ は~っ♡ は~~っ♡」

 

「牛若丸、よく頑張ったね……偉い、偉い……!」

 

「はぁぁぁぁ……♡ あるじ、どの……♡」

 

 自分を褒め、労わるマスターにうっとりとした表情を見せた牛若丸は、甘い吐息を漏らしてから瞳を閉じた。そのまま主に体を預け、全てを包み込んで貰う。

 暖かく幸せな喜びがここにある。人として、武将として、女としての幸せを一辺に味わえる場所がここにあるのだ。

 

 瞳を閉じ、この愛する主に出会えた喜びを噛み締めていた牛若丸は、自分の体が持ち上げられる感覚に驚いて目を開いた。

 湯船から立ち上がったマスターは、悠々と牛若丸を抱き上げながら笑顔を見せる。

 

「……続きは俺の部屋でやろうか? 湯冷めしないように拭いてあげるね。……汚れちゃったらまた洗ってあげるから、楽しみにしててね……!」

 

「はい……♡ 主殿……っ♡」

 

 全身でマスターに抱きつく。女性としては大きな自分の体を難なく担ぐマスターの力強さに心がときめく。

 牛若丸と結合した状態で浴室から出たマスターは、濡れた彼女の体を丁寧に拭いていった。途中、尻の部分に触れた彼は、満足げな笑みを浮かべる。

 牛若丸の品位を乏しめる邪魔な【雌犬】の文字。ソロモンに刻まれた屈辱の証は、牛若丸の臀部から消え去っていた。

 この様子ならば、もう既に淫紋令呪も書き換わっているだろうと確信したマスターは、愛しげに牛若丸の尻を撫でる。

 

「あふっ♡ ふぅぅっ……♡」

 

「お帰り、牛若丸……!」

 

 可愛い忠犬が戻ってきたことを喜びながら、マスターは彼女を担ぎ上げたまま自分の私室へと向かって歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ああっ♡ 主殿っ、すごいぃっ♡ ライダーの私が、跨られて……♡ んあぁぁぁぁぁっっ♡』

 

 この世界の何処かにある塔の中で三人の男がカルデアのマスターに抱かれて乱れる牛若丸の姿を見ていた。

 三人のうち、一人は真っ黒で目以外の何も見て取れない男。一人はそれとは対照的に白く柔和な微笑を浮かべるやさしげな男。最後の一人はむっつりと黙ったまま何も語らない男であった。

 

『あぁぁっ♡ ああっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡』

 

「ふむ……順調、順調! 一時はどうなるかと思ったけど、持ち直してきたね!」

 

 両手の指では数え切れない回数の絶頂を迎えた牛若丸の姿を見た白い男は、彼女の幻影を消すと満足げに呟いた。彼の表情を見た黒い男が、唯一見える目を細めて彼に尋ねる。

 

「じゃあ、また俺たちの出番ってことですかねぇ? 最弱英霊の俺が、主人公の相棒的ポジションに居られる最高の時間なんだから、もう少し楽しませて貰いたいね!」

 

「ふ~む……そうだね。そろそろ良い頃合だし、もう一度時間稼ぎをしておこうか!」

 

「やっほ~! こんな俺がラスボスであるグランドキャスターを翻弄出来るなんて、高位の魔術師様のおかげだねぇ! さて……んじゃ、相棒の為に人肌脱いで来ますか!」

 

 やる気を見せながら文字通り影のように消えた黒い男を見送った白い男は、苦笑混じりの表情を浮かべた。そして、残ったもう一人の男に問いかける。

 

「ねえ、君はどう思う? 簡単に部下を使い捨て、奴隷として扱うソロモン王は、何を目的としているんだと思う?」

 

 白い男の問いかけに、最後の男は何も答えない。ただむっつりとした表情で腕を組んで黙っているだけだ。

 そんな彼の様子に再び苦笑した白い男は、話題を切り替えてこう言った。

 

「……まあ、良いか。それは物語が進めば分かる事だし……今は、時間稼ぎ兼種を植える事が大事だよね」

 

 手に持つ杖で床を叩いた白い男の周囲に花が舞う。美しく幻想的な光景を前にしても、最後の男は眉一つ動かさないままだ。

 

「……君にも力を貸してもらうよ。彼らの為に、そして他ならぬ君の為にもね」

 

 その一言を受けた男は、初めて表情を変えると溜息をついた。なんと形容して良いか分からない草臥れた表情を浮かべた男を見ながら、白い男は笑う。

 

「さて……それじゃあ、()()()()と行こうか……!」

 

 柔和で底意地の悪い笑みを浮かべながら、花の魔術師はそう呟いた。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

悪夢再び(牛若丸 沖田総司 モードレッド ジャンヌリリィ)

「ふふ、ふふふふふふ……♡」

 

 闇の中に響く女性の声を耳にして意識を覚醒させたソロモンは、今自分が居る場所が何処であるかを探るべく周囲を見渡した。

 辺り一面、闇。建造物も目印になる様な物も何も無い空間が広がる中、ソロモンはとある思い出を頭の中に浮かべる。

 忌々しく、苦々しい記憶。出来ることならば二度と思い出したくないその記憶を脳裏に思い浮かべた瞬間、彼の悪夢は再び幕を開けた。

 

「お久しぶりですね、ソロモン……相変わらず無様なことで」

 

「きっ、貴様は……っっ!?」

 

 突如姿を現した少女の姿を見たソロモンは目を見開いた。嘲笑を浮かべ、自分のことを見下すデミ・サーヴァントの姿を見つめたまま固まるソロモンに対し、彼女は平然とした様子で話を続ける。

 

「今日、あなたにこうやって会いに来たのには理由があるんです……ちょっと、話がありましてね……」

 

 嘲笑から一変、悲しそうな表情を浮かべたマシュが指を鳴らすと、彼女の背後の空間に光が差した。

 スポットライトのように伸びる光の下には、総勢4人の女性たちがいる。その誰もが苦しく、辛そうな姿をしていた。

 

「ああ……死にたい、死にたい……」

 

「こんな私になど、生きている意味が無い……」

 

「力も技も、何もかもを失った……こんなオレに、存在価値なんて……」

 

「怖い……全てが怖い……」

 

 ある者は蹲り、ある者は血溜りの中に身を伏せている。絶望を絵に描いた様なその光景を見ながら、ソロモンは満足げに笑った。

 

「……あなたの捨てた英霊たちが、こうやって苦しんでいる。これが、あなたの望んだ未来……あなたが思い描く、皆さんの末路……」

 

「ああ、そうだ……! その通りだ!」

 

 顔を伏せ、悔しそうに呟くマシュに対してソロモンは勝ち誇った表情で叫びを上げた。自分が切り捨て、見放した英霊たちは、もう満足に動くことすらままならないのだ。

 

 沖田総司は病に臥せり、牛若丸は不忠の限りを尽くした自分に絶望した。モードレッドは全ての力を失い、ジャンヌリリィは何もかもを恐れて近づく者を拒んでいる。

 こんな状態の彼女たちを奪い返したところで、カルデアのマスターに何が出来るだろう? 傷つき、苦しむ彼女たちを前に何も出来ず、歯軋りして悔しがる彼の姿を思い浮かべたソロモンは、清々しい気分で笑い続ける。

 

「あっはっは! あははははははははははっっ!!!」

 

「く、くく……くくく……」

 

 悔しさで肩を震わせるマシュを見下しながらソロモンは嗤う。今度こそ自分は彼に勝利したのだと確信して嗤い続ける。

 そうとも、前回のあれは何かの間違いだったのだ。ほんの少しだけ何かが狂った故の出来事、本来ならこうやって自分が勝つべきなのだ。

 

 敗北感を笑い飛ばし、勝利の喜びに浸るソロモン。この時、彼は幸福の絶頂に居た。

 そう、つまり……ここからは、悪夢の中でただ絶望の果てに転がり落ちるだけだと言うことだ。

 

「く、くくく……あはははははは! あはははははははは!!!」

 

「!?!?」

 

 突然、目の前に居るマシュが声を上げて笑い始めたことを見たソロモンは、驚きのあまり笑う事を止めてしまった。

 自分に対して気が狂ったのかとでも言う様な視線を送るソロモンに対し、マシュは大笑いしながら話しかける。

 

「本当に……本当に、あなたは愚かですね! あなたの望んだ結末など、来るはずが無いのに!」

 

「なん……だと……!?」

 

「はーっ! はーっ! ……良いですか? これがあなたの望んだ光景。あなたがこうしてやる、と思って姦計を用いて迎えさせようとした彼女たちの結末です。しかし……そんなの、無意味なんですよ」

 

 必死に笑いを堪えるマシュが腹を抱えながら話し続ける。最初の時のように彼女が指を鳴らすと、彼女の背後の光が消え失せ、それに照らされていた牛若丸たちの姿も見えなくなってしまった。

 

「……さっきまでのがあなたの描いた馬鹿な未来。そしてこれが……今、現実に起きている光景ですよ……!」

 

 三度マシュが指を鳴らせば、もう一度彼女の背後には光が灯る。先ほど同様に苦しんでいる英霊たちの姿を見ようとしたソロモンは、光の中の光景を見て表情を凍り付かせた。

 

「な……な……!?」

 

 驚きで体が震える。指先の感覚が無くなり、体の芯が冷えていく。

 光の中に居る人影は、先ほどより一人多くなっていた。増えた人物の正体が憎きカルデアのマスターであることに気がついたソロモンは、それ以上の衝撃に打ちのめされる。

 

「ふ、ふふふ……♡」

 

「主殿……♡ 主殿ぉ……♡」

 

「ほら、もっとオレに構えよ……♡ 寂しいだろ……♡」

 

「トナカイさん、大好きです……♡」

 

 苦しんでいるはずの英霊が、自分の策で生きる希望を失い、絶望したはずの雌奴隷たちが、幸せそうな表情でカルデアのマスターに擦り寄っている。

 甘い声を口から漏らし、前後左右から彼を囲んで裸体を寄せる彼女たちは、自分が与えた苦しみなど欠片も感じていない様子だった。

 

「マスターさん♡ 沖田さんのこと、優しく抱いて下さいね……♡ でも、激しいのが嫌ってわけじゃあ無いんですよ……♡」

 

 霊薬と令呪の命令でのた打ち回っているはずの沖田が、頬を染めながらマスターの耳元で囁く。豊かな乳房で彼の腕を挟み、その柔らかさを堪能させながら彼の手で愛撫され続けている。

 

「早くオレを抱けよっ♡ そうすりゃあ、すんげー気持ち良くしてやるし、オレも強くなって良いことづくめだろ? ほら、早くしろって……♡」

 

 苗床として最適化し、奴隷以下の力しか持たないはずのモードレッドがマスターに後ろから抱きつく。女性として見られることに不満を抱いていたはずの彼女は、しなやかな肢体を存分に使って彼に性交を強請っていた。

 

「トナカイさん、大好きです……♡ ぎゅっ、ってされるとぽかぽかして、幸せな気分になるんです……♡」

 

 全てに恐怖し、彼を拒絶するはずのジャンヌリリィが彼の腕の中で幸せそうな表情を浮かべる。主が与えてくれる温もりに感謝しながら、リリィは彼の腕の中にすっぽりと納まっていた。

 

「主殿……♡ 私は最後でも、何時でも構いません♡ この不忠の犬を愛でて下さると言うだけで、私は天にも昇る位の喜びを得られるのですから……♡」

 

 主を裏切り、傷つけたことに絶望しているはずの牛若丸が隠しきれない喜びを表情に浮かべる。まるで犬の様にマスターの指を丹念に舐め、じっくりと彼への忠誠を示す彼女の性器は、すでにじっとりと濡れそぼっていた。

 

 それはあり得ない光景だった。数週間、彼女たちが奪われてからそれだけしか経っていないはずだった。なのに、自分の施した策は既に意味を成さない状況になっている。

 おかしい、これは幻覚か何かだ……そう、自分に思い込ませようとしたソロモンに対し、マシュは嘲りの言葉を投げかけた。

 

「残念ですが、これは現実ですよ? 本当に起こっていることで、事実なんです。皆さんは、あなたのことなんか忘れて先輩と一緒に幸せに過ごしてますよ」

 

「ば、馬鹿なっ!? そんなこと、あり得るはずが無い!」

 

 焦りの感情で声を荒げながら、ソロモンはマシュの言ったことを否定する。あって良い筈が無い、彼女たちの心を蝕み、粉々に砕くはずの自分の目論見が、こんなにあっさりと打ち破られることなど。

 だが、マシュはそんなソロモンに対して本当に不思議そうな顔をすると彼に質問を投げかけた。

 

「……どうしてあり得ないんですか? 相手はあの先輩ですよ? あなたよりもずっと格上で、素晴らしいマスターである先輩なんですよ? 何で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()んですか?」

 

「っっ……!?」

 

 マシュの体から謎の威圧感が発せられる。カルデアのマスターよりも自分の方が優れていると言うソロモンの言葉に対し、静かな怒りを露にして詰め寄る。

 

「あなたの何処が先輩に勝っているんですか? 英霊を奴隷扱いするような腐った性根ですか? 魔術王なのに先輩に簡単に打ち破られてしまう魔術ですか? 考え足らずの浅い策を生み出す頭脳ですか? それとも……魔術で強化しないと女も抱けないその惨めな肉棒(おちんぽ)ですか?」

 

 淡々と、ただ淡々とソロモンに問いかけるマシュ。彼女の中ではマスターがソロモンの上位に存在するべき人物であることは明々白々だ。

 だからこそ、彼女はソロモンの傲慢な台詞に怒りを露にし、彼に詰め寄っている。加えて、マシュはソロモンに現実を突きつけるべく一つの提案をした。

 

「ああ、そうですね……そうです。最初からこうすれば良かった。最初から、皆さんに話をしてもらえば良かったんです」

 

 一人納得した様に頷くマシュは、ひとしきり頷いた後でソロモンに視線を戻す。そして、再び淡々とした口調で彼にこう言った。

 

「では、今から皆さんに話をして貰いましょう。あなたと先輩のどちらが素晴らしい男性なのかを評価して貰うんです。……もし、あなたの方が自分の主に相応しいと言う人が居たら、どうぞご自分の元に連れ帰ってください。居れば、の話ですけどね……」

 

「このっ……! このソロモン王をコケにして……っ!」

 

 屈辱の臨界点を超えたソロモンがマシュに掴みかかろうと怒りの表情を浮かべて一歩踏み出す。手を伸ばし、無礼な元奴隷を組み伏せようとしたソロモンだったが、その眼前に鋭い光が走った。

 

「っっ……!?」

 

 目の前を掠めたのは赤の光、それに続いて今現在も鋭く輝く銀の光。最初の光はカルデアのマスターが放ったガントであり、次の銀の光が何であるかは、目の前の彼女が教えてくれていた。

 

「……何を、してるんですかね?」

 

 ぎらりと光る刀の切っ先をソロモンに突きつけながら、新撰組として活動していた頃の眼光の鋭さを取り戻した沖田が唸る。

 壬生狼、と呼ばれていたかつての自身の荒々しさを宿したまま、沖田はソロモンを問い詰めた。

 

「私の仲間に、マスターさんの大切な女性(ひと)に、何をするつもりだったんですかね? その手、斬り落として上げましょうか?」

 

「ぬ、ぐ……!」

 

 自分の元で雌豚と名付けられ、魔猪に覆い被さられていた時とは大違いの姿を見せる沖田に恫喝されたソロモンは、背筋に冷たい汗が流れることを感じた。

 自分が沖田に恐怖を感じていることを悟られぬ様にすることで精一杯のソロモンに対し、沖田は意外なことに笑顔を見せる。

 

「ああ、あなたにはお礼を言おうと思ってたんですよ! あなたが私を見捨ててくれたおかげで、私は自分自身を取り戻すことが出来ましたからね! それもこれも、あなたが愚かで、マスターさんが優しかったお陰ですよ!」

 

 向けていた刀を消滅させた沖田はマシュに寄り添いながら語り続ける。歌うような口振りでソロモンとマスターの違うを解説する彼女の瞳は、僅かに熱を帯びていた。

 

「……マスターさんは凄いですよ。今、あなたに囚われた英霊を救う為に必死になって自分を磨いています。土方さんのしごきに耐え、必死に高みを目指しているんです。その姿を見ていると、私も頑張らなきゃって思えるんです……対して、あなたはどうですか?」

 

 穏やかな表情でマスターを褒め称えた沖田は、ソロモンに対して視線を向けるとその表情を一変させた。汚らわしく、醜い物を見る様な目でソロモンを睨み、侮蔑混じりの言葉を投げかける。

 

「魔術王だから、一度勝ったから、相手はただの人間とその使い魔だから……そんな理由で胡坐をかいて、何にもせずにふんぞり返ってるだけ……努力も統率も何もない、ただ私たち堕ちた英霊で遊び、淫蕩にふけるばかり……見ていて、何の尊敬の思いも浮かびません。あなたのような主、こっちから願い下げです」

 

「き、貴様ぁっ!!」

 

 ソロモンはマシュに向けた怒りの表情をそのままに、今度は沖田に手を伸ばす。しかし、その手は後ろに少し飛び退いた沖田にはまるで届かず、何も無い空を切った。

 

「……あなたは私のことを雌豚と罵りましたが、私からしてみればあなたの方が豚です。怠惰で、肉欲に耽り、悦楽のため以外には動きもしない……そんなあなたこそ、豚の名に相応しいんじゃ無いですか?」

 

「豚だと……? この私を、豚と呼ぶかっっ!?」

 

「はいはい、そうですよ~。そんで、沖田さんは豚に仕える趣味はありませんので、あなたとはおさらばです! ……もう一度言いますね。私を裏切って、見捨ててくれてありがとうございます! あなたよりも何倍も素晴らしい(マスター)の元へ私を送って下さって、ありがとうございました!」

 

 桜色の髪を揺らし、丸い臀部をソロモンに見せつけながら沖田がマスターの元へ近づいて行く。マスターは、彼女のことを待っていたように腕を広げて沖田を迎え入れると、太い陰茎を彼女の膣に挿入した。

 

「んはぁぁぁぁぁぁっ……♡ これぇ、好きです……♡ 優しく抱かれてるのに、奥の弱い所を突かれると凄く気持ち良くて……♡ すぐに、イっちゃいますっっ♡♡♡」

 

 ソロモンの目の前でゆっくりとしたスローペースのセックスを繰り広げるマスターと沖田。腰の動きはとても緩慢だと言うのにも関わらず、沖田の膣から溢れる愛液の量は尋常では無かった。

 

「ひぃぃぃっ♡ はっひぃぃぃぃっ♡ 凄いっ♡ 凄いぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 体を痙攣させて喘ぐ沖田の声をどこか遠くに聞きながら呆然としていたソロモンの前に、今度はモードレッドがやって来た。恨みを込めた視線でソロモンを睨んだモードレッドは、敵意を剥き出しにしながら口を開く。

 

「よくもオレを苗床になんかしやがったな……! おかげでオレは、騎士としての力を失っちまった……今のオレには、便器として生きるしか道がねえ……」

 

「そ、そうだ! 貴様には、何の価値も……!」

 

「……そう、思ってた。でも、違った……!」

 

 何の価値も無い、モードレッドにそう言おうとしたソロモンだったが、それよりも早く自分の言葉を否定したモードレッドのせいでその言葉が完全に口から出切ることは無かった。

 便器や奴隷としてではなく、誇り高さを秘めた瞳でソロモンを見つめながら、モードレッドは言う。

 

「こんなオレでも、あいつは必要としてくれた! オレの力が戻るまで支えてくれるって言ってくれた! なあ、信じられるか? 何の力も無い、反逆の騎士として悪名高いオレに向かって、絶対の信頼を置いてくれてるんだぜ? ……価値が無くなったら、即ポイ捨てするどこかの阿呆とは大違いだな」

 

 鋭い視線でソロモンを睨みながら、モードレッドは人差し指を突き立てる。それをソロモン目掛けて向けながら、モードレッドは力強く宣誓をした。

 

「……待ってろよ。オレはいつか力を取り戻して、お前のことを倒しに行く! あいつから受けた恩を! お前から受けた借りを、返しに行ってやる! ……ツケは、てめぇの命で払って貰うから覚悟しておけよ?」

 

 ソロモンへの宣戦布告を口にしながら、モードレッドは不敵に笑った。何の力も無い彼女のどこからその自信が湧いて来るのかも理解出来ないソロモンの前で、今度はモードレッドの顔が快楽に歪む。

 

「あっっ♡♡♡ おまっ、今オレがカッコよく決めたって言うのに、そんなことしたら……んんっっ♡♡♡」

 

 いつの間にかモードレッドの後ろに立っていたマスターが、彼女の胸と秘所を愛撫し始めたのだ。彼の手から与えられる快感に身を捩りながら抗議するモードレッドであったが、段々と素直に彼の手を受け入れていく。

 

「おまっ♡ そんな風に触ったら……♡ んあぁぁっ♡ もっ、メスになるっ♡ お前の手で、女にされちまうよぉっ♡」

 

 膝を震わせ、立っていることすら困難になって来たモードレッドの体を抱えあげたマスターは、彼女の膣に肉棒を挿入して腰を跳ね上げ始めた。

 一突きごとに大きく仰け反るモードレッドは、膣から愛液を雨の様に噴き出しながら喘ぎ続ける。

 

「んあぁぁぁっ♡ やべぇっ♡ オレっ、まだこのちんぽにはかてにゃ……んひぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 あっという間に絶頂。弛緩したモードレッドの体を優しく撫でながら、マスターはモードレッドの唇を奪って舌を絡ます。モードレッドもまた、マスターのその行為に従順に従い、共に快楽を貪っていた。

 

「はむっ♡ ふ~っ♡ んうぅっ♡」

 

「わー! モードレッドさんってば凄い積極的です! 一度デレるとすぐこうなる所、成長した私にそっくりですね!」

 

 グズグズに蕩けたモードレッドの痴態を眺めて感想を口にしたジャンヌリリィは、ちらりとソロモンを見ると舌を出して彼をからかった。そして、憤慨した様子でソロモンを詰り始める。

 

「あなたなんてだいっきらいです! 人を物みたいに扱って、酷い事して……お陰で、大好きなトナカイさんのこと、とっても怖く感じちゃったじゃないですか! それが……そのせいで、私がどれだけ辛かったか……っ!」

 

 ぽたぽたと涙を流して泣きじゃくるジャンヌリリィ。だが、そんな彼女を悲しませたままにはしないとばかりにマスターがそっとその小さな体を抱きしめる。

 頭を撫で、背中を摩り、頬にキスを落としてやれば……落ち着いたリリィの表情には、年相応の明るい笑みが戻った。

 

「……私はトナカイさんが大好きです。温かくて、優しくて、私を包み込んでくれるマスターが大好きです! あなたとトナカイさんを同じ括りとして考えたことが間違いでした。あなたは最低最悪の男……そんなゴミとトナカイさんを同じだと思ったことが恥ずかしくて堪りません!」

 

 リリィから成長した彼女を思わせる辛辣なバッシングを受けたソロモンは少なからずショックを受けた。まさかここまで言われるとは思っていなかった彼の目の前に、最後の女英霊がやって来る。

 

「………」

 

「牛若丸……!」

 

 少し虚ろな瞳をした雌犬。自分に尻尾を振って従っていた牛若丸の姿を見た時、ソロモンはチャンスだと思った。

 まだ、彼女なら奪い返せる。彼女の心の隙間を突けば、再び彼女を従順な雌犬に堕とすことが出来る、と……。

 

「牛若丸、可愛い雌犬よ……私の下に戻って来い。そうすれば、お前の望みを叶えてやろう!」

 

「私の、望み……?」

 

「ああ、そうだ! お前は何も考えなくて良い。ただ私の期待に応え、その才を活かしていればそれで良いのだ! 従順に私に仕えれば、お前のことを存分に愛でてやろう……! ただ犬として私の為に働けば、お前の望む人生は手に入る……どうだ? この人生が欲しくは無いか?」

 

「………」

 

 勝った、そうソロモンは確信した。牛若丸が、この提案を飲まない訳が無いと思っていた。

 どんなに気丈に振舞っても、主を裏切ってしまったと言う思いは彼女の心の中に巣食っているだろう。その思いを突き、楽な生き方を指し示してやればそれに縋りたくなるというものだ。

 

「さあ、私の下に戻って来い……! そして、再び我が配下としてその力を振るうのだ……!」

 

 牛若丸に近づいたソロモンが彼女の体を撫でる。頭を、肩を、ねっとりと撫でながらその心を掌握しようとする。

 牛若丸が何の抵抗も見せないことに微笑み、彼女を再び堕としたと満足げな思いを心に浮かべたソロモンがどうだと言わんばかりにカルデアのマスターを見つめた時であった。

 

「……断る。私は、そんな生を望んではいない……!」

 

「は……!?」

 

 短い、されどはっきりとした拒絶の言葉を口にした牛若丸が、ソロモンの手を弾いた。再びモノにしたと思った奴隷の反抗に苛立つソロモンだったが、その感情を隠して優しげな声で牛若丸に語りかける。

 

「どうした? 私の下に戻るのが怖いのか? ……案ずるな、お前は何も考えなくて良い。お前はただ、私の命に従っていれば、それで……」

 

「……その人生を望んでいなかったかと問われれば、それは否だ。私は、ただ自分の才能を活かして主の命を遂行し、主に褒められることだけが望みだった……生前の私はそう生きていたし、今だってそうだ。だから、それを望んでいないわけでは無い……」

 

「そうだろう? なら……!」

 

「だが……もう、そんな生き方は出来ない! 何も考えずただ命に従う生き方など、選べようはずも無い……!」

 

 ぎりりと歯軋りをした牛若丸が後ろを振り向く。視線の先にいる主を見つめながら、牛若丸はまるで自分に言い聞かせる様に独白を続けた。

 

「私は罪人だ……! あれだけ慕っていた主殿を傷つけた。刃を向け、敵として立ちはだかり、殺そうとした……その罪は、永劫消えるものでは無い……!」

 

「だが私の下に降ればその苦しみからも解放される! 何も考えぬ奴隷には、苦しみなどあろうはずもない!」

 

「そうだ、その通りだ……だが、私はこの苦しみから逃げるつもりはない!」

 

 きっぱりとした口調で言い切った牛若丸がソロモンへと視線を戻す。先ほどとは違う、はっきりとした光が灯る瞳を見せながら、彼女は叫んだ。

 

「主殿はこんな私を受け入れてくれた! 慰め、包み込み、愛してくれた! 必要だと、傍に居て欲しいと言ってくれた! こんな私に、前を向く勇気を与えてくれたのだ! その行いに、言葉に、私がどれだけ救われたのかがお前にわかるか!? ただ苦しみから逃げろと言うお前に、主殿のお心が分かって堪るものか!」

 

 瞳に涙を浮かべ、息を切らして叫び、牛若丸はソロモンに拒絶の意思を伝える。彼の下に居た頃の雌犬ではなく、英霊 牛若丸としての誇りを胸に、彼女は自分の思いを叫んだ。

 

「私はもう何も考えぬ機械の様には生きたくない……! たとえどんなに苦しくとも、この罪をどうやって購うかを考えて生き続ける! そして……いつか、本当の意味で主殿のお傍に居られる様、いつか自分に胸を張って生きられる様に生きて行く! それが私の選ぶ生だ! 苦しみを乗り越える勇気を、私は主殿からもらった! お前の甘言などには耳を貸さん! 私のことをまっすぐに見て、主殿がかけてくださった言葉に比べれば……お前の声など、何にも響きはしない!」

 

「あ……ぐ……っ!?」

 

 勝ったと思った。墜としたと思った。だが、そうはならなかった。予想以上の意思の強さを見せ、成長を見せた牛若丸に拒絶されたソロモンはただ愕然して彼女を見るばかりだ。

 そんな風に呆然と立ち尽くすソロモンに対して無表情で近寄って来たマシュは、分かりきっていたことを確認するようにまた淡々と話を始めた。

 

「はい……もうこれで分かったでしょう? あなたには何の価値も無い、何の魅力も無い……皆さんを切り捨てたとあなたは思っているのでしょうが、本当に見放されたのはあなたの方なんですよ」

 

「うるさい! 黙れ黙れ黙れぇっ!!! ……お前たち、これが最後の機会だ……私の下に戻って来い! そうすれば、この非礼は無かったことに……」

 

「しなくて結構です。私たちはこのままで居ます。あなたの奴隷には、二度と戻りはしない!」

 

「そもそも、てめえが俺たちを見捨てたんだろうが! 切り捨て、道具にして、人でなしの扱いをしやがった奴の所に誰が好き好んで戻るかよ!」

 

「私たちのことを大切にしない人の為に頑張りたくなんかありません! 私たちは今、トナカイさんのことを心から愛しています! この思いを掻き消されるなんて、絶対に我慢出来ません!」

 

「黙れぇぇっ! お前たち、何か勘違いをしていないか? お前たちがどう思おうと勝手だが、客観的に見て、お前たちがそいつの傍に居る資格があると思うのか!?」

 

 ソロモンは声を荒げて大声で叫んだ。そして、彼女たちが突かれたく無い点を指摘する。

 

「裏切り者! 戦う力の無い者! 足手纏い! そんな存在であるお前たちが、そいつの傍に居て良い筈が無い! お前たちはただその現実から逃げてるだけだ! 見つめたくない現実から、快楽で自分をごまかしているに過ぎん!」

 

「っっ……!!!」

 

 ソロモンの言葉に四人の表情が曇る。演技では無い彼女たちの苦しみの表情を見たソロモンは、最後に一矢報いたと心の中で安堵した。

 この傷が、亀裂が、彼女たちに再び付け入る隙を作るはずだ。この屈辱も、その隙を突いてから晴らしてやる。

 そう考えてようやく自分の優位を確信したソロモンだったが……そんな思いも、簡単に打ち砕かれてしまうことになる。

 

「……資格なんか、必要ない。俺が、皆に傍に居て欲しいって思ってるんだ……!」

 

「え……?」

 

 闇の中に、彼の声が響く。カルデアのマスターが立ち上がり、自分の大切な仲間たちに向けて思いを吐露し始める。

 

「俺が皆と居たいから……一緒に歩いて行きたいから、そう望んでいるから! その我侭で皆を苦しめていることも分かってるけど……それでも、皆と明日を生きたいから! 過去なんかじゃなくて、未来を望むから! だから……皆に傍に居て欲しいんだ……!」

 

「主、殿……」

 

「……俺、頑張るから……! 情けない俺だけど、一生懸命頑張るから! 皆のこと、大切にするから! だから……傍に居て下さい。俺と一緒に、生きて下さい……!」

 

 深々と頭を下げ、仲間たちに懇願するマスターの姿を見た英霊たちは首を振りながら彼に近づいて行った。そして、目に涙を浮かべて彼に言葉をかける。

 

「それは、私たちの台詞です……こんな、こんな私たちで良ければ、お傍に、置いて……っっ!」

 

「オレ、強くなるから……! お前に負けないくらい頑張って、強くなって見せるから……! お前のこと、苦しませたりしないように強くなるから! 絶対に、強くなるから……!」

 

「泣かないで、トナカイさん……! 貴方が泣くと、私も悲しくなってしまうから……笑ってください、私の大好きな笑顔、見せてください……私も、トナカイさんを笑顔に出来るように頑張ります!」

 

 一人、また一人とマスターへの思いを口にしながら沖田たちが彼を抱きしめる。最後に牛若丸がその場に跪くと、万感の思いを言葉に紡いだ。

 

「主殿……今の私たちには、あの男が言う様にあなたの傍に居る資格など無いのかもしれません……しかし、いつかはあなたの傍に胸を張って居られる様になってみせます! あなたと共に生き続ける未来で……必ず、私たちは本当の意味であなたのサーヴァントとして存在を証明して見せます!」

 

「ありがとう……みんな、ありがとう……!」

 

 お互いを必要とし合うマスターとサーヴァント達による感動的な光景。涙を流して抱きしめ合う彼らのことを、ソロモンは立ち尽くして眺める他無かった。

 

「……ね? あなたなんて、何の価値も無いでしょう? こうやって皆さんから無視されちゃう位の価値しかあなたには無いんですよ」

 

 マシュの言葉が頭の中で反響する。自分の目の前で、説得を振り切られて奴隷を奪われたと言う事実に隠し切れない動揺を見せる。

 そんなソロモンに追い討ちをかける様に、マシュは彼の耳元で残酷な言葉を囁いた。

 

「よ~く見て下さいね? あなたが要らないと切り捨てた女性たちが、先輩の手で眩い位に輝く姿を……! 宝石よりも美しい彼女たちのことを捨てたのは、他ならぬあなた自身なんですよ? あなたがしっかりと愛情を込めてあげれば、彼女たちに抱きしめられるのはあなただったかもしれないのに……」

 

「だ、まれ……っ!」

 

「人の心も掴めない、未熟な策しか思い浮かばない、簡単に解除されちゃう魔術しか使えない……おまけに、おちんぽまで小さいと来たら、あなたの先輩に勝ってる部分って何なんですか? どうか私に教えて下さいよ……!」

 

「ぐ、うぅ……!?」

 

 初めて……ソロモンは、圧倒的な敗北感をカルデアのマスターに抱いていた。

 今までは確かに自分の方が格上だと信じていた。魔術王である自分とただの人間である彼、どちらが優れた存在であるかなど一目瞭然だと思っていた。

 しかし……マシュに諭され、目の前で牛若丸を奪われた今、もしかしたら自分は彼に負けているのでは無いかと心の片隅で思ってしまったのだ。そんな弱気な考えを浮かべたソロモンの体に、異変が起きる。

 

「なっ、なんだっ!?」

 

 するすると、自分の体が小さくなっていくのだ。周囲の人々の姿が大きくなった様に見える世界の中、ソロモンはただ慌てることしか出来ない。

 自分よりはるか巨大になったカルデアのマスターを見上げるソロモンの頭上に彼の足が構えられる。天変地異でも起こったかの様にソロモンの世界に闇が訪れ、その光景を見ていたマシュが楽しげに呟いた。

 

「では、今回のおしおきです! 先輩、ぷちっと……お願いします♡」

 

 マシュの合図を皮切りに空気が唸りをあげる。頭上にあるマスターの足が自分目掛けて落ちて来ていることを悟った次の瞬間には、ソロモンはマスターに踏み潰されていた。

 

「ぐ、あぁぁぁっ!!! こ、このっ! 無礼者めがぁぁぁぁっっ!!!」

 

 身動きひとつ出来ないまま、ソロモンはマスターに踏み潰されていた。何の抵抗も出来ないことに絶望するソロモンは必死になって叫び声を上げる。

 

「やめろぉぉっ!!! 私は偉大なるソロモン王だぞっ! その私に、このような真似をするなどっ……!」

 

「だ、誰かっ! この不届き者を始末しろっ! 私を助けないかっ!!!」

 

「ぐあぁぁぁぁっ! ぐっ、あぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 半狂乱になって叫ぶ自分の姿を見たマシュたちが笑い声を上げる。多大なる屈辱に顔を真っ赤にするソロモンであったが、無慈悲なカルデアのマスターに体を踏み躙られる痛みに呻く事しか出来ない。

 

「……お前はこうやって皆の心を踏み躙ったんだ……! この痛みを受けて、皆の苦しみを少しでも理解しろっ!」

 

「あぁぁぁぁぁっ! やめろぉっ! やめろぉぉぉぉっっ!!!」

 

 この光景を傍から見れば、悪役に完全勝利した主人公とでも言うべき光景だろう。マスターの足の下で苦しみ、懇願するソロモンの姿は、非常に滑稽で無様に見えた。

 

「あ、あぁっ! ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 ついにはマスターに体を踏み潰され、ソロモンは完全に息絶えてしまった。意識が途切れる寸前に彼が耳にしたのは、マシュの簡潔な嘲りの言葉だった。

 

「……やっぱり、あなたには何の魅力もありません。そうやって先輩の足元で這い蹲っているのがお似合いですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソロモン様! ソロモン様っ!!」

 

「あぁぁぁっ! うあぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 寝台の上で飛び起きたソロモンは、意識を覚醒させ次第自分を起こした頼光のことを二度叩いた。頬を押さえて蹲る彼女の体を踏みつけながら、ソロモンは狂ったように叫ぶ。

 

「誰がっ! 誰があの男より下なものかっ! お前たちがっ! もっと有能であればっ! こんな屈辱を味わうことは無かったと言うのにっ!!!」

 

「申し訳っ、申し訳ありませんっ! ソロモン様っ!!!」

 

 何度も頼光を蹴り飛ばし、その体を傷つける。その光景を呆然と見ていた清姫をも引き寄せると、ソロモンは無防備な彼女の腹に拳を叩きこんだ。

 

「あがっ!!!」

 

「奴隷めがっ! せいぜいこの気分を晴らす為にその身を差し出せっ!!!」

 

「あぐっ! うぐぅっ!!!」

 

「ぎぃっ! んぎぃぃぃっ!!!」

 

 髪を掴まれて無理やり立たされた二人は、ぶちぶちと言う髪が千切れる音と痛みと共に傷だらけの体をソロモンに差し出す。ソロモンは、溜まった苛立ちをぶつけるかの様に二人の体に容赦の無い暴行を加えていった。

 

「このっ! このっ! お前たちはこうやって私に体を差し出せば良いのだっ! 反逆などせず、こうして私の言いなりになっていろっ!!!」

 

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁっっ!!!」」

 

 最後に魔力を爆発させたソロモンの衝撃波を受けた二人は、部屋の壁まで吹き飛ばされてそこに叩きつけられた。

 ぐったりと床に崩れ落ちた二人を横目で見ながら、ストレスをある程度解消出来たソロモンは大股で部屋の外へ出て行く。

 

(奴隷どもめ……! このソロモン王に逆らうなどと言う考えを思い浮かばせぬ程に痛めつけてくれよう!)

 

 自身の苛立ちを発散する方法を幾つも考えながら部屋を後にするソロモン。彼が去った部屋の中には、虚ろな目をした頼光と清姫が残った。

 

「あ……あ……」

 

「う、うぅ……」

 

 痛みに、主から受けた暴行に涙を流す二人。普段の二人ならばソロモンに殴られたことすら感謝するはずが、今回はそうならなかった。

 

(あの、夢は……もしかして、現実の……?)

 

(ソロモン様があんな無様に……それに、雌豚と雌犬があんなに幸せそうにしているなんて……)

 

 つい先ほどまで自分たちが見ていた光景を思い出した二人は、その夢の中で見た無様なソロモンの姿も思い出す。ああやってカルデアのマスターにやり込められたのだとしたら、先ほどのソロモンの不機嫌の理由も納得がいった。

 

(なんて矮小で……惨めなことか……あれが、ソロモン様であるはずがない! ない、はず……)

 

(み、見せ掛けの幸せなどに私は騙されません! 雌犬も雌豚も、苗床だってただ快楽に流されているだけ! そうに決まっています!)

 

 二人は心の中の懸念を無理に払い飛ばそうとした。先ほどのあれは夢、現実にあんなことがあるはずが無いと。

 無様な主の姿も、頼り甲斐のある男性に見えたカルデアのマスターの姿も、彼に抱かれて幸せそうにする元奴隷たちの姿も、全部夢なのだ。あんなものに心を乱されてはいけない。

 

(あれが現実であるはずが無い! あれはただの夢で、ソロモン様があんな無様な姿を晒すはずが無い!)

 

(ああ、ソロモン様のことを疑ってしまうとは……こんな雌奴隷など、罰を受けて当然です!)

 

 殴られた理由を、先ほどの光景を、一応はそう無理に納得する。しかし、二人の心の中には狂気や淫紋令呪の呪縛でさえも打ち消せないソロモンへの不信感が植え付けられてしまった。

 花の魔術師の目論見通りに植えつけられたその種が、後々見事な花を咲かせることになるのだが……それは、まだ先の話である。

 

 




 一応、これで前半戦は終了しました。書きたい部分まで書き終わったので、ここから感想の返信も再開しようと思います。
 長々とご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

月光の下で(牛若丸 沖田総司 モードレッド ジャンヌリリィ)

「はぁ……はぁ……っ!」

 

 夜の闇の中を、彼は走っていた。

 片手で人の手を掴み、息を切らして懸命に平原を駆け抜ける彼は、邪魔な腹の肉を揺らしながら呟く。

 

「もう少し……もう少しのはずだ……っ!」

 

 目的地までの距離を頭の中で計算しながら全力で走る彼は、とっくに体力の限界を超えていた。それでも、足を止める訳にはいかない。自分のためではなく、愛する女性のために……。

 安全地帯まであと僅かの所にまで逃げて来た彼は、あともう少しだと何度も自分を鼓舞して走り続けて来た。追跡者に追いつかれぬ様に逃げ切ろうとしていた彼であったが、月の光が照らした空間の中に一人の女性の影があることを見て足を止める。

 

「……どこへ行くつもりだ? よもや、奴の所にではあるまいな?」

 

「くっ……!」

 

 愛らしい鈴の様な声。普段ならば聞けば心が躍る彼女の声だが、今の彼には絶対に聞きたくない声だった。

 小さいが、それでいて豊満な肢体をした女性。ローマ皇帝の一人、ネロ・クラウディウスは、冷ややかな視線を彼に向けながら剣を構える。

 

「貴様のことはどうでも良い。だが、その女は返して貰おう……それは、貴様の物では無いからな」

 

 ギロリと鋭い視線を向け、愛剣である【原初の火】を構えたネロが自分の視界から消えた瞬間、彼は再び走り始めていた。

 

「早く、早く逃げなければ……! 奴の下に、辿り着かなければ……!」

 

 背中を斬り裂かれる痛みを感じながら、彼はただ走り続けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ♡ あっ♡ とにゃかいさっ♡ とにゃかいさぁんっ♡♡♡」

 

 一方その頃、カルデアの面々が拠点にしている屋敷の中では、今日も今日とてマスターによる魔力供給が行われていた。今回のお相手はソロモンの下から取り返されたばかりの4人……沖田、モードレッド、ジャンヌリリィ、牛若丸だ。

 ダヴィンチちゃんが制作した【携帯式シャワールーム】の中でセックスに勤しむマスターは、ジャンヌリリィを自分の上に座らせながら彼女の膣を貫き、その腰を跳ね上げていた。

 

「おっきぃ♡ トナカイさんのおちんぽ、奥までずんずん届いてますぅっ♡ 私のちっちゃいおまんこ、トナカイさんに広げられてるのぉっ♡」

 

 若いどころか幼いと言った方が正しいであろう歳のリリィが、彼とのセックスで娼婦も驚きの淫らな言葉を口にする。

 子供であるリリィを抱いていると言う背徳感のあるセックスと彼女の歳に相応しくないアンバランスな淫らさは、マスターの興奮を大いに煽って彼の動きを更に激しくした。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 射精()すんですねっ♡ 熱くて濃い精液を、まだ子供の私の赤ちゃん袋にびゅーびゅー射精しちゃうんだぁ♡ 良いですよ♡ 私のこと、成長した私たちより早くママにしてください……っ♡」

 

「っっ……! リリィ、いけない子だ……! そんなエッチな言葉、どこで覚えたんだ……?」

 

「ひゃうぅぅっっ♡」

 

 リリィの尻を優しく叩き、お仕置きとばかりにスパンキングを見舞うマスター。尻を叩かれる刺激と激しいセックスの快感に翻弄されるリリィは、ただひたすらに大声で喘いで叫び続ける。

 

「ああぁぁぁっ♡ おひりぺんぺんっ♡ しゅごいっ♡ まらこどもなのにっ♡ へんなセックスしゅきになっちゃいますぅっ♡」

 

「普通の子供はセックスなんかしないんだぞっ! まだまだ子供なのにこんなスケベな動きしちゃうリリィには、お仕置きに膣出ししちゃうからなっ!」

 

「はいっ♡ 私の赤ちゃん袋にマスターさんのザーメンくださいっ♡ お仕置き射精、決めてくださいっ♡」

 

 お仕置きと言う名の官能を煽るスパイスを堪能しながら腰を動かし、リリィの未成熟な体を味わう。

 マスターの肉棒をすんなりと咥えられるほどに広がってしまったリリィの膣は、柔らかく彼に絡みついて離れようとしないでいる。彼女自身の甘えたいと言う思いを性器が表現している様な吸いつきと身体つきから来る膣の狭さと締め付けに肉棒を刺激されたマスターは、リリィの尻を思い切り掴むとぴっとりと子宮に亀頭を押し付けて欲望を解き放った。

 

「ぐおぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

「あはぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ 射精てるぅ……♡ マスターさんのおちんぽ汁、私の中に入ってくるぅ……♡ 凄い量で、漏れ出して来てますよ……♡」

 

 子宮の中に爆発的に広がる精液の温度を感じたリリィは、体をがくがくと痙攣させ舌を放り出して喘いだ。秘所からは収まり切らなかった精液が流れ出し、シャワールームの床を汚す。

 あまりの量の精液を放たれたリリィの腹はぽっこりと膨れてしまっていた。幼い妊婦の様な姿をしたリリィは、幸せそうに微笑んだ後で体力の限界を迎えたのか気を失ってしまう。

 マスターはそんな彼女の体をシャワールームの壁にもたれかけさせて休ませてやると……そのまま、後ろ方向の壁に向かって声をかけた。

 

「お待たせ……次は、誰が相手をして欲しいのかな?」

 

 マスターのその言葉にびくりと反応した体が3つ。壁に手を付き、尻を突き出した格好でリリィとマスターのセックスの様子を伺っていた三人の英霊は、もう我慢ならないとばかりにこぞってマスターへのアピールを始めた。

 

「あ、主殿……♡ 私の雌穴が疼いて疼いて堪りません……どうか、この不届きな雌犬に主殿のご寵愛をくださいませ……♡」

 

 恥ずかしそうに頬を染め、片手で秘所を広げながら牛若丸が言う。ふるふりと左右に揺れる尻は、犬が尻尾を振る時の姿を想起させる。

 羞恥を感じながらも快楽に抗えないでいるその姿は非常に男心をそそるものだ。奥ゆかしくマスターを誘う牛若丸の隣では、沖田が羞恥心皆無の姿勢を取っていた。

 

「はいは~い♡ 沖田さんもマスターとエッチしたいで~す♡ 沖田さんのおまんこに♡ マスターさんのおちんぽ挿れて貰って♡ 奥の奥までガンガン突いて欲しいで~す♡」

 

 尻を高く上げた沖田は、両手で自身の女性器を大きく開いて桜色の中身をマスターへと見せつけていた。しとどに漏れる愛液が彼女の太腿を伝う光景もまた、男の官能を激しく煽る。

 マスターを見つめる目にはハートマークが浮かんでいる。他の二人より突き出された尻をぷりぷりと揺らす沖田は、そこから甘い雌の香りを放ちながらマスターを誘惑していた。

 

「頼む……頼むよぉ……っ♡ どっちの穴でも良いから、お前のちんぽぶち込んでくれぇっ♡ さっきから我慢しっぱなしで、頭がおかしくなっちまいそうだから、早くぅ……♡」

 

 そして最後の一人、モードレッドもまた、他の二人とは違う懇願の姿を見せていた。

 むんずと左手で尻肉を掴み、性器だけでなくアナルまで広げてマスターに挿入を強請る彼女の瞳には、必死さのあまりか涙まで浮かんでいた。

 普段強気な彼女が涙目で肉棒を強請る姿に興奮しない男などいないだろう。背筋をピンと伸ばしたまま微動だにしない彼女の健康的な丸い尻を見たマスターは、ゴクリと涎を飲み込んだ。

 

「主殿……♡ どうか、どうか……♡」

 

「マスターさぁん♡ 沖田さんのおまんこは準備万端ですよぉ……♡」

 

「頼むよぉ……♡ ちんぽくれよぉ……♡ オレ、もう気が狂っちまうそうだ……♡」

 

 三者三様、それぞれの言葉と態度で挿入を強請る英霊たちの姿にマスターは大いに頭を悩ませた。

 全員が全員、リリィと自分のセックスの物音を耳にして興奮していたのだろう。彼女たちの我慢もまた限界のはずだ。 

 であるならば……誰を優先すれば良いのだろうか? 散々悩んだ結果、マスターは自分の心のままに動くことを決めた。要は、ヤリたい女性とヤるのだ。

 

「それじゃ、行くよ!」

 

 宣言をした後で並んだ尻の一つを掴む。びくりと震えたその尻の反応にほくそ笑みながら、マスターは彼女が望むものを膣に叩き込んでやった。

 

「んあぁぁぁぁぁぁっっ♡ あははっ♡ やったー♡ 沖田さん、大勝利~~っ♡」

 

 真っ先にマスターに抱かれることを喜ぶ沖田は、お馴染みの言葉でその感情を表す。尻でマスターの腰を何度も受け止め喘ぐ彼女の姿を見る牛若丸たちが羨まし気に視線を送っていると……

 

「二人とも、片手間で悪いけどこれで我慢してね」

 

「んひっ♡ ゆ、ゆびぃっ♡」

 

「あっ♡ あっ♡ そんなぐちゅぐちゅ掻き回すなよぉ……っ♡」

 

 自分たちの秘所に伸びて来たマスターの手が膣を弄る快感に声を蕩けさせる二人。マスターは指で中身を掻き回し、敏感な部分を擦って快感を求める二人の膣をあやしていく。

 中心の沖田を肉棒で、左右のモードレッドと牛若丸を指で相手するマスターは、三つの尻を器用に責め立てて快感の高みへと導いていった。

 

「はうんっ♡ はぁぁっ♡ ま、マスターさん、いつもよりはげしぃっ♡」

 

「最近、沖田さん調子良いからね。ちょっと本気出しても良いかな~って思ってさ!」

 

「んやぅぅぅっ♡♡♡ お、おきゅっ♡ 弱いとここりこりってっ♡ いつもより強く押されてるぅっ♡」

 

 肉棒を上手く操って沖田の膣を責めるマスターは、彼女の弱点を何度も突いていた。いつもより荒々しく沖田の尻へと腰を叩き込み、普段よりも激しい快感を彼女の与えていく。

 一度彼の手で弱点と認識してしまった沖田のボルチオは、その責めに対してただ一方的に快感を叩き込まれるだけだ。一突き毎に激しくなる愛液の流出を止める術もなく、沖田は更に高みへと追い込まれる。

 

「あへっ♡ へぁぁぁぁぁっ♡ らめっ♡ らめれすっ♡ そんなにはげしく子宮を突いたら駄目ぇぇっっ♡」

 

「そう? 駄目なの? じゃあ、もうやめてあげるね」

 

「ああっ♡ 嘘ですぅっ♡ もっとくださいっ♡ 沖田さんの弱くてやらしいとこ、マスターさんのおちんぽで突きまくっちゃってくらさいぃぃっ♡♡♡」

 

 マスターの腹に尻を擦り付けながら快感を強請る沖田は完全に身も心も蕩け切っていた。膣は彼に従順になり、肉棒に絡みついて感じる部分を責めてくれと言葉にならない願いを発している。

 既に微弱な痙攣を繰り返して絶頂の時を待つ沖田の秘所の感触を感じ取ったマスターは、意地の悪い笑みを浮かべると彼女にトドメを刺すべく完全に本気の責めを開始する。

 

「それじゃ、本気で行くからねっ!!!」

 

「はっ♡ ふぁぁぁぁぁぁっ♡」

 

 牛若丸とモードレッドを責めていた手を引き戻し、彼女の腰をがっしりと掴む。力強いピストンを安定して繰り出せるような体勢を取ったマスターは、今までよりもさらに激しく腰をグラインドさせた。

 弱点だけではなく、膣内の至る所を肉棒で責める。今までの様に病弱な沖田を案じての優しいセックスではなく、激しく己の昂ぶりをぶつける本気のセックスで彼女の体を責め立てる。

 自分の女の部分を蹂躙され続ける沖田はただ腰を突き出して喘ぐ事しか出来ない。マスターに掴まれる腰を突き出し、彼にもっと自分を気持ち良くして貰う為の体勢を取り続けるしかない。

 そんな彼女の限界を膣の震えから感じ取ったマスターは、肉棒で責め続け、快感に敏感になった沖田の膣へと最後の責めを繰り出した。

 

「ほっっ♡ ほひっ♡」

 

 今まで責め尽くして来た沖田の三つの最大の弱所……腹の裏のGスポット、開発され切ったボルチオ、そして女の象徴である子宮の入り口の三点の位置を意識しながら、マスターは猛スピードでその場所へとピストンを叩き込んだ。

 内側から腹を突き破る勢いでGスポットを叩き、すぐさま彼女が一番好きなボルチオを責める。最後に子宮口をぐいっと押し込んで貫いた状態で射精すれば、沖田の口からは間抜けな声が飛び出た。

 

 あまりに早すぎる、まさに一瞬の出来事。ピストンの音も三回ではなく、沖田の尻を叩く大きく激しいパーンと言う音が一回響いただけのその責めは、沖田に自分が何をされたのかを理解させるまでに数秒の時間を必要とした。

 だが、それよりも早くやって来た異常な激しさの快感が体を駆け巡る。ゾワゾワとせり上がってくる絶頂の予感に沖田が涙を浮かべたその瞬間、マスターの声が彼女の耳に届いた。

 

「無明三段突き~~っ! ……な~んちゃって!」

 

「は、は、は……♡ んおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 冗談めいたマスターの声を聴き、自分の女としての弱点を一瞬の間に貫かれたことを悟った沖田の体の中で快感が爆発する。肉棒に突かれた三点が激しく共鳴し、今まで感じたことの無い激しい快感で沖田を責め立てる。

 

「はぎぃぃぃぃぃっっ♡ イクっ♡ イクのとまりませんっっ♡ イってるのにまたイクっ♡ イキ続けちゃうっ♡ しぬぅっ♡ マスターさんのおちんぽにイキ殺されちゃいまぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 自分の宝具を肉棒で再現したマスターの攻撃を受けた沖田は、いつも自分が見ている三段突きを食らった相手の姿を膣で再現していた。

 血飛沫の代わりに愛液を激しく噴き出し、絶命してしまうのではないかと思わせるほどの快感に身悶えする。激しい潮吹きを披露しながら端正な顔を快感に歪ませる沖田は、完全に脱力して崩れ落ちた。

 

「んへぇ……♡ わたひ、マスターさんのおちんぽに討ち取られちゃいました……♡ あ、へぇ……♡」

 

 幸せそうな表情で身震いした沖田は、まだ痙攣を続けている膣でマスターの肉棒を包み込みながら床に顔を伏せる。

 完全に腑抜けた自分の体を支えるのは彼の手だけだ。精液を沖田の膣へと注ぎ込むマスターは、精液の最後の一滴を沖田の子宮の中に射精すると、最後に彼女のボルチオを一突きしてから肉棒を彼女の膣から引き抜いた。

 

「あ、あ……っ♡」

 

 マスターはだくだくと愛液と精液の混合液を膣から垂れ流す沖田の尻を眺めた後、その体を優しく床へと横たえた。

 甘く荒い呼吸を繰り返す沖田は、土下座をしている様な体勢でその場に蹲る。

 しばらく彼女は自分の相手を出来ないだろう、そう考えたマスターは体を横に移動させると、モードレッドの腰をがっしりと掴んで彼女の耳元で囁いた。

 

「お待たせ、モードレッド……どっちに俺のちんぽをぶち込んで欲しい?」

 

「んあぁ……♡ ど、どっちでも良い……っ♡ どっちでも良いからっ♡ 早くちんぽくれぇっ♡」

 

「え~? そんな言い方じゃあセックスしてあげられないなぁ……ちゃんと言わないなら、先に牛若丸とセックスしちゃおうかな?」

 

 モードレッドの返事に不満げな声を上げたマスターが亀頭で彼女の性器を擦る。決して挿入をしない様にしながら、肉棒の熱をモードレッドに感じさせて劣情を煽る。

 柔らかい土手肉を亀頭でほぐし、ぱっくりと開いた膣に亀頭を擦り続ける。クリトリスにも竿を擦って刺激を与えてやれば、そのもどかしい快感に我慢の限界を迎えたモードレッドが涙ながらに叫び声をあげた。

 

「言うっ♡ 言うからっ♡ そんな意地悪しないでくれよぉっ♡ まんこっ♡ まんこが良いっ♡ あつあつで、がちがちなお前のちんぽっ♡ オレのまんこにぶち込んで雌イキ決めさせてくれぇぇっ♡」

 

「……はい、良く言えましたっ!!!」

 

「んにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡ これっ♡ これだぁっ♡ 指なんかよりも大きくて、熱くて、硬い……っ♡ オレのことをすげー気持ち良くしてくれるこのちんぽのこと、待ってたんだっ♡」

 

 挿入、即イキ。体を仰け反らせて絶頂し喘ぐモードレッドは、膣肉全てでマスターの肉棒に絡みつく。

 待っていた、嬉しい、気持ち良い、もっとシテくれ……そんなモードレッドの思いを表現している様な膣の動きは止まることを知らずにマスターの肉棒を刺激し続けていた。

 

「ほら、動くよ……最初はゆっくり動くから、息を整えてね……」

 

「うんっ♡ はぁぁぁっ♡ はぁぁぁぁぁぁぁぁんっ♡」

 

 やがてモードレッドの体に覆い被さったマスターはリズミカルに腰を動かし始めた。規則的に彼の腰がモードレッドの尻を叩くパンパンと言う音が響き、同時にモードレッドの呻き声と喘ぎ声の合わさった雌としての鳴き声が部屋に響く。

 空いた両手でモードレッドの胸を弄り、首筋をちろちろと舌で舐めて刺激しながら、マスターはモードレッドへと意地の悪い質問を投げかけた。

 

「そう言えばさっき、『オレのこと雌イキさせてくれ』だなんて言ってたけど……モードレッド、負けちゃって良いの? 俺に勝つんじゃ無かったの?」

 

「んっ……♡ し、仕方ねえだろ。今のオレじゃあ、絶対にお前には勝てないんだから……こ、これはあれだ! 力を早く取り戻して、お前に反逆をする為にあえて負けてるって言う奴だ!」

 

「ふ~ん……モードレッドは、俺のことを裏切るつもりなんだ?」

 

「っっ……! あ、ああ! オレは反逆の狗だぜ? い、いつだって、その隙を伺ってるに決まってんだろ?」

 

 震えた声でマスターの質問に答えるモードレッドのその声には、何かを期待する様な感情が籠っていた。

 表情と膣の反応にもまた彼女の正直な思いが溢れていることを感じ取ったマスターは、肩口にかぷりと甘噛みをしてモードレッドを威嚇した後、彼女の望む言葉をかけてやる。

 

「そう、それじゃあ……今の内にしっかり躾けておかないとねっ!」

 

「あひぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 今までの単調なリズムから一転、嵐のような激しい腰遣いでモードレッドの膣へ肉棒を叩き込んだマスターは、そのまま遠慮なく彼女の弱点を責め続ける。

 敏感な部分、触られると弱い部分、恥ずかしくて堪らない場所……そう言った場所を徹底的に責めながら、マスターはモードレッドへと言葉をかけ続けている。

 

「ほら、反撃しないの? 何もしないとどんどん俺に体を弄られて、どんどん開発されちゃうだけだよ?」

 

「はひぃぃっ♡ な、めるなぁっ♡ オレはっ♡ オレはぁぁぁぁぁっっ♡」 

 

「モードレッドの感じる部分を知り尽くされて、感じてない部分も開発されて気持ち良くなる様にされちゃって……そんな調子で、力を取り戻した所で俺に勝てると思ってるの?」

 

「おほぉっ♡ オレ、はぁ……っ♡ おまえに、はんぎゃくぅ……♡」

 

「……逃がすと思う? 俺から逃げて、ソロモンの所に行こうったってそうはさせないよ? ……絶対に離さない。モードレッドは、俺の騎士だもんね?」

 

「はうぅぁ……♡ オレ、はぁ……♡ おまえの、おまえだけのぉ……♡」

 

 段々と優しくなるマスターの責めと言葉にモードレッドの心が蕩けて行く。猛獣を躾ける時の様に激しい快感と甘い快感を使い分けるマスターの手で、モードレッドは本心を炙り出されようとしていた。

 

「……一生大事にするよ、モードレッド……! 全身開発して、たっぷり躾けて、大事に大事に可愛がって……俺だけの雌犬騎士にする。そんな扱いが不満? 俺から離れて行きたいの? ねぇ?」

 

「……♡♡♡」

 

 自分の体を、心をくすぐるマスターの甘い声。耳朶を甘噛みされ、首筋に息を吹きかけられれば、全身が強張って敏感になってしまう。

 激しい胸の高鳴りも、体を密着させる彼には知られているだろう。全てを観念したモードレッドは、全身にゾクゾクとした震えを走らせながらマスターへと自分の思いを呟いた。

 

「は、離れられるわけ、無いだろ……♡ こんなオレのこと大事にしてくれる優しいお前から、離れられる訳無いだろうがよ……♡」

 

 口にするのも恥ずかしい本心の吐露。乙女の様な思いを口にしたモードレッドのことをマスターはただくすくすと優し気に微笑みながら見つめているだけだ。

 その瞳を見れば、彼が自分の心の全てを見通していることもわかってしまう。そのことに恥ずかしさとともに嬉しさを感じるモードレッドの口からは、正直な思いが止めどなく溢れ出ていた。

 

「か、体を開発されることも、意地悪されることも嬉しくって……なんか、幸せになっちまうんだよっ♡ お前に抱かれて、本当の悦びってもんを教え込まれちまったから……もう、離れられる訳ねえんだよっ♡」

 

 恥ずかしい、だが、自分の思いを知ってもらうことが嬉しい……そんな感情と共に胸のときめきを感じたモードレッドは最後まですべてをぶちまけてしまおうと決意する。

 どうせここまで恥をかいたのだ、ならば徹底的に恥をかいて、全てを口にするのも悪くない。心のままに叫ぶモードレッドの表情は、完全に恋する乙女のそれになっていた。

 

「苗床にされてた汚い体を大切に扱って、どうにかしてくれようとしてんのもすげー嬉しいっ♡ 弱くなっちまったオレを信じてくれてんのも嬉しいっ♡ 気持ち良いことや嬉しいことを沢山教えてくれたお前から離れようだなんて、これっぽっちも思ってねえからっ♡」

 

「へぇ……じゃあ、なんでさっきあんなことを言ったの? 俺のことを裏切るつもりは無いんでしょ?」

 

「……わかってるくせに、そこまでオレに言わせようとすんのか? くそっ、良い性格してるよなぁ……♡」

 

 胸の内がぽかぽかと暖かくなる。こんな扱いを受けて幸せになってしまうなんて、自分は本当に雌犬としての才能があるのかもしれないとモードレッドは思った。

 

「……お前に苛めて欲しかったんだよ、馬鹿マスター……♡ 苛め抜いた後で、絶対に離さないって言って欲しくって、あんなこと言ったんだって……分かってんだろ?」

 

 己の本心を吐露したモードレッドのことをマスターは優しく笑いながら見つめてくれていた。ふんわりと包み込む様に自分を抱きしめてくれるマスターの体温にモードレッドが暖かな息を漏らすと、彼女の事を追い詰める様にしてマスターが甘い声でそっと囁く。

 

「ほんと……モードレッドって、可愛いよね……!」

 

「んなっ!? か、可愛いだなんて、そんなこと……んあっ♡ ず、ずりぃぞっ♡ このタイミングでちんぽ動かすなんて……っっ♡」

 

 自分が油断した一瞬の隙を突いて動き出すマスターの腰。既にONになりっぱなしの体のスイッチはその動きから快感を勝手に貪り食らってしまう。

 愛されている実感に浸され、たっぷりと愛情漬けにされたモードレッドの体を彼女の望み通り蹂躙しながら、マスターは優しい言葉を口にし続ける。

 

「モードレッドの体、びくびく震えてて可愛いよ……温かくって、柔らかい女の子の体だ……凄く、素敵だよ……!」

 

「あっ♡ んっ♡ か、可愛いとか、素敵だとかっ♡ そ、そんなに褒めても何も出ないぞっっ♡♡♡」

 

「ふふふ……おしっこ漏らしながら何言ってるのさ? 俺に褒められて嬉しかった? 嬉ション、我慢出来なかったの?」

 

「はっ、くぅぅっ……♡ ち、げえしっ♡ これは、お前のちんぽが気持ち良すぎてつい漏らしちまっただけだしっ♡ う、嬉しくて漏らしたわけじゃ、な、無いんだからなぁっ♡」

 

「……ああ、もう、本当に……モードレッドは可愛いなぁっ!!!」

 

 言い訳にならない言い訳を本気で口にするモードレッドの頭を撫でたマスターは、そんな彼女の事が愛らしくて堪らないと言った様子で彼女を強く抱きしめる。興奮のままに腰を打ち付ける中、モードレッドもその行為に悦んで反応を示した。

 

「はぁっ♡ くぅっ♡ や、べぇ……っ♡ やっぱまだ、このちんぽには勝てな……んいぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 自分の女の部分である子宮を徹底的に突くマスターの肉棒の昂ぶりは段々と激しくなっている。ごりごりと膣を広げられ、子宮口を叩きのめされたモードレッドは何度も絶頂を繰り返していた。

 それでもまだマスターの動きは収まらない。激しく、強くモードレッドを穿ち、その動きに合わせて自分の絶頂も激しくなるばかりだ。

 

「あっ♡ うぅんんっっ♡ 連れて、かれるぅっ♡ お前に、オレの知らない所に連れてかれてるぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 知らない快感、知らない幸福……未知の感覚を与えられるモードレッドは大声で叫びながら膣を締めた。

 彼女の頭の中にあるのは快感の一色だけだ。思考の全てを塗りつぶすマスターの性技に喘ぎ声を上げるモードレッドは、最後に喉が潰れんばかりの絶叫を上げて最大級の快感を解き放った。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡ あぁっ♡ あっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 シャワールームの中に響く嬌声、狭いこの部屋の中ではモードレッドの声は良く響いた。

 強気で粗暴な彼女が上げたとは思えない甘い女性の声は、モードレッド自身の耳にも届いて彼女に自分が女であることを強く自覚させていた。

 

「あっ、くっ……♡ 熱いぃっ……♡ こんな濃い精液を注がれたらオレ、孕んじまうよぉ……♡」

 

 どぷどぷと子を孕む為の器官に注がれる熱い精液。魔獣たちから何度も注がれたそれとは格別の魔力と快感を伴って自分の膣に注がれる精液が子宮を制圧する。

 もしも自分にまだ妊娠する機能があるならば、間違いなくこの射精で彼の子を孕むことになっただろう。女として、自分を愛してくれるマスターの子を産むのも悪くないと朧げに思ったモードレッドの思考は、彼が肉棒をじっくりと膣壁に擦り付ける快感に中断された。

 

「へぐっ♡ んいぃぃぃ……♡」

 

「俺の精液、しっかりモードレッドに染み込ませておかないとね……! 俺の臭いと魔力、モードレッドのまんこに擦り込んでおくね」

 

「はへっ♡ ほへぇぇぇぇっっ♡」

 

 マスターの精液が自分の女性としての器官に染み込んでいく。誰が主で、モードレッドが誰の女で、自分のことをどれだけ気持ち良くしてくれるかを知らしめる様に動く彼のペニスによって、モードレッドの脳内には電撃が弾け飛んでいた。

 

「んひぃっ♡ ほぉぉぉぉっ♡」

 

 鼻の穴を広げ、涙を流し、口を大きく開けながら舌を放り出して、モードレッドは喘ぐ。もはやそれは喘ぐなどと言う言葉で表現できるほど生易しいものではなかった。

 

(屈服、してく……♡ オレのまんこが、こいつのちんぽに白旗振って媚び始めてる……♡ もっと奥深くまで占領してくれって、びくびく震えながら媚びてやがるよぉ……っ♡)

 

 膣と子宮から発せられる快感の波動が全身を駆け巡り、たった一本の肉棒に体が降伏宣言をし始める。その体の反応を拒否できないほど、モードレッドは幸せな快感に心を溶かされていた。

 

「う、あ……♡」

 

 長いキスをした後で膣から肉棒を引き抜かれたモードレッドは、隣の沖田同様にシャワールームの床に崩れ落ちた。

 性器をぴっちりと締め、中に注いで貰った精液を零さない様にしながら床で震えるモードレッドのお尻をそっと撫でた後、マスターは牛若丸の背後に移動する。

 

「お待ちしておりました、主殿……♡」

 

「待たせてごめんね。それじゃあ、いくよ……!」

 

「んっ……んんんっっ……♡」

 

 長い間待ちぼうけを食らっていた牛若丸の膣へと怒張を突き入れるマスター。焦ることなく堂々と肉棒を膣へと挿入するマスターに対し、牛若丸は口から甘い息を漏らして己の感じている快感を伝える。

 牛若丸の最奥まで辿り着いたマスターの肉棒は、そこが定位置であるかの様に微動だにしないでいた。主としての風格と男らしさを感じさせる肉棒の感触に体を震わせる牛若丸は、数度微弱な絶頂を迎えて膣を痙攣させる。

 

「あ、ああっ……♡ 申し訳ありません、主殿……こんなはしたない姿を晒してしまうなんて……♡」

 

「気にしないでよ、むしろこんなに敏感になるまで放置しちゃった俺の方が悪いんだからさ。お詫びに牛若丸の好きなセックスしてあげるから、遠慮なくして欲しい事を言ってね!」

 

「は、はい……♡」

 

 尻と頭を撫でながら自分の粗相を許してくれたマスターは、そのままゆっくりと膣を穿ち始めた。

 しっかりと自分の感じるポイントを責めながらもまだ落ち着いた動きをする彼のセックスに物足りなさを感じた牛若丸は、おずおずと彼に自分の要望を伝える。

 

「あ、主殿……出来れば、もっと激しくお願いします……」

 

「ん、OK!」

 

「んぁぁぁぁっ♡ あくっ♡ んんんんんっっ♡」

 

「この位で良いかな? どう、牛若丸?」

 

「い、いいですっ♡ 私の感じる所、がつがつ突かれ……きゅぅぅっ♡」

 

「そう、良かった……! 他にもして欲しいことがあったら遠慮なく言ってね」

 

「は、あぁ……っ♡」

 

 膣から感じる快感と主の優しい言葉に頭の中を蕩けさせる牛若丸。主から褒められ、褒美を貰えると言うシュチエーションが、彼女の心をときめかせていた。

 ソロモンの下に居た頃は雌犬と蔑まれ、何をしても仕置きを食らうばかりであった。かつての彼女はそれを喜んで受け入れていたが、今となってはおぞましい記憶と思うばかりだ。

 今はその逆、優しい主は自分を忠犬と褒め称え、こうやって褒美を授けてくれている。喜びと幸せに心身を蕩けさせながら、牛若丸は主にも気持ち良くなって貰おうと必死に腰を動かし始めた。

 

「あくっ♡ はぁっ♡ ある、じどのっ♡ いかがでしょうか? 私の雌犬まんこで、快感を得てくれているでしょうかっ♡」

 

「うん、気持ちいいよ! きゅんきゅん締まって、甘える様に絡みついて来て……俺のことを気持ちよくしてくれようとしてるのがよくわかるよ! ありがとう、牛若丸っ!」

 

「あ、くぁぁ……っ♡ お、お褒めの言葉など、私には不要です……♡ その様な勿体無いお言葉をかけられたら、それだけで、もう……っっ♡♡♡」

 

 感極まった牛若丸の膣が驚くほどの痙攣をしながらきつく締まる。あまりの快感にマスターが顔をしかめて耐えるマスターの下では、牛若丸が黄金水を股から放っていた。

 

「あ、あぁ……っ♡ 私は、なんてはしたない姿を……♡ 申し訳ありません、主殿っ!」

 

「ううん、大丈夫だよ。お漏らしする牛若丸、凄く可愛かった……もっと、見せて欲しいな……!」

 

「えっ? あぁっ!?」

 

 粗相をしたことを謝罪した牛若丸であったが、主にそのことを咎められるどころかもう一度求められるという事態を予測しきれず戸惑ってしまった。その隙を見逃さないマスターは、彼女の体を抱え上げ、脚を掴んで左右に大きく広げる。

 目の前の大鏡に膣を貫かれながら主に抱かれる自分の姿が映し出されたことに赤面した牛若丸であったが、彼が求めていることを思い出して恥ずかしさを感じながら口上を口にした。

 

「……で、では、もう一度粗相をさせて頂きます……どうぞ、心行くまでご堪能ください……んっ♡」

 

 中途半端に止まった放尿は、すぐにでも続きをしたいと牛若丸に訴えかけていた。主の許可を受けた牛若丸はその訴えを承認し、小さな震えと共に排泄を再開する。

 霊基もまた主の要望に応えようとしたのか、牛若丸の膀胱は信じられない程に尿でぱんぱんになっていた。これなら主に満足してもらえるとほくそ笑む牛若丸の股から、黄金色の液体がアーチを描いて放たれる。

 

「はぁ♡ はぁっ♡ ……い、いかがでしょうか? 雌犬のはしたないお漏らし、存分にご覧下さいませ……♡」

 

 鏡に映る自分の姿を見ながら、牛若丸は熱を帯びた声で囁いた。

 男に抱え上げられ、抵抗一つせずに言いなりになって排泄姿を晒す自分の姿は無様そのものだ。普段の彼女ならば自刃する程に屈辱を感じている事だろう。

 しかし、そんな自分の姿こそ主が見たいものなのだ……その証拠に、膣に挿れられた肉棒は鋼の様に硬くなり、熱い鼓動を脈打っている。

 主に満足して貰えていることを喜ぶ牛若丸に対して、マスターもまた己の昂ぶりをぶつけるべく腰を動かし始めた。

 

「はっ♡ おぉっ♡ はぉぉぉぉぉぉぉぉんっ♡」

 

 肉棒に子宮を貫かれ、膀胱を刺激される度に放尿の勢いが一瞬強まる。ブシュウッ、と言う音を時折放ちながら続けられる放尿の心地よさが、牛若丸に新たな官能の扉を開かせた。

 

(お、お漏らしっ、気持ちいいっ♡ 主殿に見られて、おしっこしながらセックスするのが堪らないっっ♡)

 

 排泄の心地よさと性交の快感。二つが混じり合った未知の快感が牛若丸を虜にする。

 アナルセックスによく似た快感を与えながら、それにはない鋭さと排泄と性交を同時に行っていると言う奇妙さが牛若丸を燃え上がらせた。未だに止まらぬ放尿を続けながら、牛若丸はマスターに大声で懇願する。

 

「主殿ぉっ♡ どうか、どうかこの雌犬にお慈悲をぉっ♡ もっと強く貫いて、もっと激しく犯して下さいっっ♡」

 

 鏡に映る主の顔に笑みが浮かぶ。同時に脚を掴む手を持ち直された牛若丸は、ここから本気のピストンが始まるのだと理解した。

 

「んあぁぁぁぁぁっ♡ きたっ♡ きましたぁぁっ♡ 主殿の仁王様がっ、私の雌袋を刺激して……ひあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡」

 

 そして始まったマスターの本気の責めに対して、牛若丸は大声を上げながら仰け反ることで快感を示した。下から力強く自分を押し上げるピストンに加え、自分の全体重がかかるこの体位でのセックスは牛若丸の求めている快感をばっちりと彼女に与えてくれている。

 自分の重さが加わったピストンを受ける牛若丸の口からは喘ぎ声が、股からは愛液と尿が雨の様に漏れ出している。今までで一番淫らな姿を晒しながら、牛若丸は主の成すが儘に責められ続けた。

 

「おおっ、おひっこぉ♡ おまんこっ♡ 気持ち良いですっ♡ 主殿の肉棒が私のことを突く度、お漏らしが強く……んんんんっっ♡」

 

 長い間続けている放尿はまだ止まらないでいる。まるで牛若丸の望みに応えるかの様に、弱まるどころか段々と勢いを増して排泄の快感を彼女に与え続けているのだ。

 放尿の音、肉棒を迎え入れる膣が放つ淫らな水音、そして喘ぎ声……シャワールームの中に反響する淫靡な楽曲は聞く者全てを興奮させる。床で蹲るジャンヌリリィ、沖田、モードレッドの三人もまた、牛若丸とマスターの奏でる淫らな演奏に体を火照らせていた。

 

「と、トナカイさん……次は私の番ですよね? 早く、早くぅ……っ♡」

 

「今なら沖田さんもお漏らしできますよっ! 私の恥ずかしい姿が見たいのなら是非是非っ♡」

 

「マスター、もっかい♡ もっかいしようぜっ♡ まだ足りねえからっ♡ だからな? なっ?」

 

 脱力した体を起き上がらせ、媚びた表情と言葉でマスターにすり寄る三人。マスターはその行為に苦笑を浮かべた後、やんわりと三人を窘めた。

 

「はいはい、気持ちはわかるけど……今は牛若丸の番だから、ね?」

 

「はうぅぅぅっ♡ み、皆さんにお漏らしセックス見られて……はうぅぅぅんっ♡」

 

 恥ずべき姿を沖田達に見られていることに興奮を感じた牛若丸の膣がぎゅっと締まる。小刻みに振動と痙攣を繰り返す彼女の体が限界を迎えようとしていることを悟ったマスターが責めの手を激しくすれば、その反応は更に強いものとなった。

 

「はぁぁぁぁぁっ♡ た、達しますっ♡ 主殿ぉっ♡ 私はもう、限界でっ……♡」

 

「ああっ! 俺もそろそろ……射精()るっ!!!」

 

 大きなマスターの肉棒が更に大きく膨らんだことを感じ取った牛若丸の思考が期待の色に染まる。自分の中に主の遺伝子を放たれる快感を想像して口元を綻ばせた彼女は、その快感に酔いながら絶頂の叫びをあげた。

 

「あぁぁぁぁぁっ♡ た、達し……イクっ♡ イクうぅぅぅぅぅっっ♡ お漏らししながらイキますぅぅぅっっ♡♡♡ うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 肺からすべての空気を吐き出すような絶叫を上げ、全身を激しく震わせながら牛若丸が絶頂する。きつく締め上げられた膣の感触に快感を堪えられなかったマスターもまた、彼女の中に激しく射精した。

 

「あぐあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡ はぎっ♡ んぎぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 膣を、子宮を、脳を焼く精液の熱さに牛若丸が足をばたつかせて叫ぶ。子宮の奥の壁に激しく叩きつけられる精液が彼女の思考を破壊し、ただ快楽に染め上げられた獣へと堕としていく。

 放尿しながら射精される快感。()()()()()()()()()と言う相反した、されど激しい快感を伴う行為に心を狂わせた牛若丸は、最後に大きく体を痙攣させると糸の切れた人形の様に動かなくなった。

 

「は~……♡ あ~~……♡」

 

 完全にK,Oされた牛若丸は小さな呻き声を漏らしながら体をびくつかせるだけの存在になっていた。されど快感には敏感に反応する様で、マスターが肉棒を膣から引き抜いた瞬間、顔を起き上がらせて視線を彼へと送って来た。

 視線でもっと抱いて欲しいと強請ってくる牛若丸のことを抱きしめ、彼女の尿や愛液、己の精液で汚れてしまった床に腰を下ろすマスター。そんな彼に対して、4人の英霊たちは汚れた床のことなんか気にも留めずに這いつくばりながら近寄って来た。

 

「トナカイさんのここ、大分汚れちゃってますね……私たちが綺麗にしてあげます♡」

 

「たっくさん気持ち良くしてくれた分のお返し、させてもらいますね~♡」

 

「へ、へへ……♡ すげえ臭い……♡ 嗅いでるだけで涎が出ちまうよ……♡」

 

「主殿……♡ あるじどにょぉぉっ♡♡♡」

 

「うっ、くあぁぁっ!?」

 

 自分の股間に顔を埋めた沖田たちが肉棒に舌を這わせる光景……美女、美少女たちの懸命な奉仕がマスターの快感を高めていく。

 大きさ、柔らかさ、温度……それぞれが違う4枚の舌が自分の亀頭や竿、玉袋を舐め尽くす快感に表情を歪めるマスターは、彼女たちがうわ言の様に口にする言葉を耳にしてより一層興奮を強めた。

 

「はぁぁ……♡ 美味い♡ 美味いぃ……♡」

 

「おちんぽびくびくしてて、とっても素敵です……♡」 

 

「鼻が曲がりそうな臭いなのに、病みつきになる……♡ もっと嗅いで居たい……っ♡」

 

「あ、あぁぁ……♡ ご奉仕させてもらうだけで、い、イク……っっ♡♡♡」

 

 淫らな言葉を口にし、淫らな表情で舌を肉棒に這わせ、淫らな肢体を晒して奉仕する4人……彼女たちの姿を見て、肉棒を掃除されるマスターは、既に我慢の限界だった。

 いきり立つ肉棒を彼女たちに向け、瞳を強く閉じる。尿道を駆け上がってくる精液を感じながら、彼は4人に向かって叫んだ。

 

「ごめんっ! 俺、もう……っっ!!!」

 

「え……? ひゃあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 不意に訪れた射精に悲鳴に近い声を上げる女性たち、しかしその声には喜びの色がありありと表れていた。

 飛び散る精液は彼女たちの顔に降り注ぎ、見事な白化粧を施す。既に数回の射精を終えていると言うのにも関わらず激しい射精を行ったマスターは、未だに滾る肉棒をそそり立たせながら荒い呼吸を繰り返していた。

 

「ふふふ……♡ 酷いですよ、トナカイさん……♡ いきなり顔に射精するなんて……♡」

 

「そうですよ……射精()すんなら、こっちに……ね♡」

 

 顔に飛び散った精液を指で掬い、一滴残らず口に運びながら沖田達が言う。淫靡な笑みを浮かべる彼女たちは、顔についた精液を舐め終わると床に四つん這いになって尻を突き出した。

 

「まだまだシ足りないんだろ? なら……こっちにくれよ、マスター……♡」

 

「全身全霊でご奉仕させて頂きます……♡ 主殿、遠慮なさらずにどうぞ……♡」

 

 4つの尻が目の前に並ぶ。膣から自分が放った精液を垂れ流しながら、4人はなおもマスターを誘う。

 美少女たちの淫らな行いによって作り出された天国の様な光景を目の当たりにしたマスターは、高ぶる興奮を感じながら一歩前に踏み出した。

 

「……こんなことされたら俺、遠慮出来ないよ? 満足するまで皆とセックスするけど……本当に良いの?」

 

「「「「はいっっ♡♡♡」」」」

 

 声を揃えて自分の問いかけに答えた英霊たちの表情には躊躇いの色は無かった。ただ彼に抱かれることを待つ4人の姿を見たマスターもまた、自分の中の躊躇いを打ち消す。

 彼女たちがそれを望むなら迷う必要など無いのだろう。この興奮と昂ぶりを全て彼女たちにぶつけ、己の欲望に染め上げてしまおう。

 

「じゃあ……覚悟してね? 全部落ち着くまでやらせて貰うから……!」

 

 マスターの興奮が見え隠れするその声色に英霊たちはゾクリと背筋を震わせた。そして、彼に選ばれるべく必死になって尻を振ってアピールする。

 四種四様、目の前で揺れる桃尻を見ながら、マスターは荒い呼吸を繰り返してそれに手を伸ばし、思うがままに快楽を貪り始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうやら追いかけっこはここまでの様だな。随分と手こずらせてくれたものだ」

 

「くっ……あと僅かだと言うのに……」

 

 月光に照らされる三人の人物の姿、一人が剣を突き付け、一人がその人物と剣に苦々し気な視線を送っている。最後の一人は虚ろな表情でその光景を黙って見ていた。

 

「貴様のことをこう呼ぶのは不服だが……皇帝カエサル、貴様の無駄な足掻きはここで終わりだ」

 

「ぐ、うっ……!」

 

 傷だらけの体を押さえながら、カエサルは悔しそうな表情を浮かべて逆転の策を模索した。だが、迫りくるネロの剣は彼に時間を与えてはくれなさそうだ。

 

「私は、倒れる訳にはいかぬ……! ここで私が倒れれば、誰がクレオパトラを守ると言うのだ……っ!」

 

「何を言うかと思えば……そんなもの、皇帝カエサルに決まっていよう……ああ、貴様の事では無い。真なるカエサル様が、この奴隷のことを愛でてくれるだろう。だから貴様は安心して逝くが良い」

 

「っっ……! それ、だけは……!!!」

 

 それだけは許すわけにはいかない。痛みのあまり口から発せられることの無かった言葉を心の中で強く思い浮かべる。

 愛するクレオパトラがこうなってしまったのは奴のせいだ。いや、自分のせいと言うべきなのかもしれない。とにかく今の自分に言えるのは、彼女をローマの国に戻すわけにはいかないということだけだ。

 だが、その願いも叶えられそうに無い。あと一歩のところまで迫っておきながら、彼女を安全地帯に送ることに失敗してしまった。悔しさに歯噛みするカエサルに対し、ネロは嘲笑を浮かべながら剣を振り上げる。

 

「では、さらばだ……稀代の皇帝、真なる英霊、カエサル……その紛い物よ、我が一刀にひれ伏せっ!!!」

 

 頭上に上げた剣を振り下ろし、ネロはカエサルを切り捨てようとする。その攻撃を防ぐ力の無いカエサルは、ただ無念の内に消え去ろうとしていた。

 だが、そんな彼に救いの女神が舞い降りる。その場にいる全員が轟音と衝撃が響いた事を感じ取った次の瞬間、金属音と共にネロの剣が吹き飛んだのだ。

 

「なっ!? なんだ、今のは!?」

 

 実体の無い飛び道具の一撃に驚いたネロが一度カエサル達から距離を取る。姿の見えない敵を探す彼女は、周囲を見回しながら警戒を強めた。

 次の一手はなんなのか? そこから仕掛けてくるのか? 一ミリの油断も無く剣を構えるネロは、自分の頭上から響いた物音に反応してそちらを見上げる。

 明かり一つない闇の中に目を凝らして敵の姿を確認しようとするネロ。しかし、敵はそんな彼女に対して自分から声を発して存在を主張して来た。

 

「……どう? アタシの歌声は……? ソロモンのとこでずぶずぶに腐ったアンタの心に響くものはあったかしら?」

 

「貴様は……!?」

 

 聞き覚えのある声、良く知った鈴の音の様な明るく溌溂としたその声は、威圧感と怒りを孕んだものになっていた。

 頭上で響く跳躍の音を聞き取ったネロは、相手が飛び立った方向を予測してその方向へと視線を移す。カエサルとクレオパトラを照らす月明かりの中、物語の乱入者である少女は二人を庇う様にしてネロの前に立ちはだかった。

 

「なんでアタシがこのローマに来たかわかる? ……ここにならアンタが居ると思ったからよ! アンタのことを止めるために、アタシはここに来たのよ! まさか、こんなに早くその機会が来るなんてね……!」

 

「そうか……またしても余の前に立ち塞がるか! エリザベートっ!」

 

 月光をスポットライト代わりにして姿を現したエリザベートの姿を見たネロは、忌々しさと喜びが入り混じった複雑な表情を浮かべながらそう呟いた。お互いに鋭い視線をぶつけあいながら、二人は己の武器を構える。

 

「ソロモン様を裏切った貴様を放って置くわけにはいかん……余が直々に始末してやろう!」

 

「目を覚ましなさいよ、この馬鹿っ! アンタ、今の姿をファンの子豚たちに見せられると思ってるの!?」

 

 淫らな衣装を身に纏った変わり果てたネロの姿を見たエリザベートの叫び声が響く。愛らしさや美しさよりも淫らさを優先したネロの姿を見ていられないと思いながらも、エリザベートは戦いの中で敵から目を逸らす事無く構えを取り続けている。

 自分の認めたライバルのこの様な姿を見たかった訳では無い。だが、この機会を逃すわけにはいかない。そう覚悟を決めたエリザベートは、手に持つ槍を握り締めて大地を蹴った。

 

「待ってなさい、ネロ! 今アタシがアンタの目を覚まさせてやるわっ!」

 

「出来るかな? 貴様ごときに……? ローマ皇帝たる余を止めることが、出来るのか!?」

 

 愛らしい少女たちが繰り広げる熾烈な戦い、それを見守るのはカエサルただ一人だ。火花を舞い散らせ、得物を振るって戦う二人は、傍から見れば躍っている様にも見える。

 だが、その表情には笑顔は無かった。ただ相手への思いを武器に乗せ、それをぶつけるべく剣と槍を振るう二人は、お互いの名前を叫びながら戦い続ける。

 

「ネロぉぉぉっっ!!!」

 

「エリザベートぉぉぉぉっ!!!」

 

 日本の町を舞台に、月明かりをスポットライトにして幕を上げる戦いの舞台。友であるはずの二人は、このステージの上で愛憎が入り混じる複雑な戦いを繰り広げる。

 叫びと金属音が響く戦場にて、歌姫(アイドル)たちの戦いが今、始まった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ネロVSエリザベート

 

「せやぁぁっっ!!!」

 

「ふんっ!!!」

 

 ローマの中に出現した日本の町、その中で繰り広げられるエリザベートとネロの戦いはその激しさを増していた。

 武器のぶつかり合う金属音を響かせ、衝撃波と砂煙を上げながら激突する二人は、お互いの動きを観察しながら戦いを続ける。

 

「このぉぉっっ!!!」

 

 ランサーであり長柄の武器を持つが故にリーチに秀でるエリザベートが武器を振り回してネロに攻撃を仕掛ける。遠心力を活かした強烈な一撃を側面から見舞うエリザベートであったが、ネロはそれを上手くいなすと一歩踏み込んでエリザベートの懐に潜った。

 

「せいっっ!!」

 

「ちっっ……! っっ……!」

 

 ネロの間合いの中に入ってしまったことを悟ったエリザベートは直ぐにバックステップを踏んで後退した。しかし、スピードに優れるネロの鋭い斬撃を躱し切ることは出来ず、僅かに体を斬られてしまう。

 痛みに表情を歪めるエリザベートに対して嗜虐的な笑みを浮かべたネロは、そのまま後退する彼女を追いかけて前へと跳躍した。

 

「逃がすと思ったか? 甘い甘い甘ぁぁいっっ!」

 

「くっ!? このぉっ……!」

 

 長槍を振るいなんとかネロを引きはがそうとするエリザベートであったが、ネロは剣で攻撃を弾いて再び攻撃の間合いの中にエリザベートを捉えた。今度は逃がさないとばかりに繰り出された攻撃を何とか槍で防ぐも、痺れた腕で支える槍を狙いすましたネロの一撃にエリザベートは武器を弾き飛ばされてしまう。

 

「ああっ!?」

 

「貰ったっ!」

 

 敵の武器を吹き飛ばし、がら空きになったエリザベートの体にトドメの一撃を繰り出すネロ。勝利を確信した彼女であったが、エリザベートは瞬時に判断を下すと腰から生えた竜の尾を振るってネロの体を弾き、一度距離を取ることに成功する。

 

「ふふふ……惜しい、惜しい。後一歩で終わりだったものを……だが、悪足掻きもそこまでだな」

 

 強靭な尾での一撃を受けたネロは近くにあった壁に叩きつけられるも、まるでダメージを受けていないかの様に立ち上がって笑っている。

 武器を取りこぼしたエリザベートは苦々し気な表情を作ると、胸の内の感情のままにネロに向かって叫んだ。

 

「ネロっ! アンタ、いい加減にしなさいよ! 今の自分が誰からも愛される存在だと本気で思ってるの!?」

 

 己と彼女が夢見、目指していたアイドルと言う存在からほど遠い姿になってしまったネロを見ながら、エリザベートは涙を浮かべた。

 ネロの心の中にあった、『皆を愛し、皆に愛される』と言う思いがソロモンに踏み躙られていることを思うと悔しくて堪らない。彼女をライバルと認め、同じ夢を持つエリザベートだからこそ、彼女の今の姿を他人事だとは思えないのだ。

 だが、ネロはそんなエリザベートの叫びを一笑に付すと、普段の彼女からは考えもつかない冷酷な声で言った。

 

「……誰からも愛される……? そんなこと、余は望んでいない。余は、ソロモン様に愛していただければそれで良いのだ……!」

 

「なっ……!?」

 

「……あれだけ愛したローマの市民も、最後には余を裏切った。人は裏切る、余の愛を理解しようとしないで、ただ自分の望みを押し付ける! そんな者共の愛などいらぬ! 余は、ソロモン様だけに愛してもらえればそれで良い! ソロモン様だけの歌姫(アイドル)でいられればそれで良いのだ!」

 

 ネロのその言葉にエリザベートは頭をハンマーか何かで殴られた様な衝撃を覚えた。あのネロが、傍若無人の我がまま皇帝が、ソロモンからの愛だけを求めている……そのことが、エリザベートに凄まじいショックを与えていた。

 

 ソロモンからの愛が欲しい……ネロのその思いは、彼女が心の底から欲しい物に手を伸ばしているが故に生まれる願いではない。その逆、ネロは()()()()()()()()()()()

 裏切られることが怖いから誰も愛さない。人生の大半を裏切りと謀略と共に送り、終焉を反乱によって迎えたネロは、それでもその人生に一応の納得をしていた。辛い過去があったとは言え、自分の思いに正直に動き、自分の愛を周囲の人々に振りまく彼女だからこそ、数々の人々の心を魅了してきたのだろう。

 しかし、今はその逆だ。ネロは全てを諦めている……裏切られることが怖いから、信じることが怖いから、それを放棄する。そうやって自分を傷つけない物だけを周囲に残し、自分に形ばかりの愛情と優しさをくれるソロモンに盲目的に従っているのだ。

 

「なんでよ……? アンタ、なんでそこまで堕ちちゃったのよ……!?」

 

 ソロモンに命じられるがままに踊り、与えられた衣装を着る。それが良いことなのか、自分の望むことなのかも関係なく、ただ彼の言うがままに従い続ける。そんなの、ネロ・クラウディウスではない。自分が認めた好敵手は、そんな操り人形の様な少女では無いはずだ。

 自分の知る物とはかけ離れた姿を晒すネロに対して、エリザベートは茫然と呟いた。だが、当のネロはそんな彼女の思いを理解することも無く、ただ真っすぐに突っ込んで来る。

 

「余は堕ちてなど居ない! 余は、自分の在るべき舞台を見つけ出しただけだ! ソロモン様のお陰でなっ!」

 

 この戦いに決着をつけるべく、ネロは手にした愛剣を振るう。武器も防具も無いエリザベートは、その一撃を受けて敗北するはずだった。

 

「ふざっけんじゃ……ないわよっ!」

 

 だが、怒りの感情と共に顔を上げたエリザベートは、全身に魔力を漲らせてネロを睨む。そして、憶することなく彼女へと突っ込んで行った。

 

「何っ!? 正気か、貴様っ!?」

 

 予想外のエリザベートの行動にネロは面食らった。武器も無く、格闘技に精通しているわけでもないエリザベートの無謀な行動に失笑を浮かべたネロは、迷うことなく攻撃を続行する。

 この一撃でエリザベートの体は斬り裂かれ、戦いに終わりがやって来る……はずだった。

 

「クラスチェンジっっ!!!」

 

「なっ!?」

 

 だが、エリザベートが行った行動に対し、ネロはもう一度面食らうことになる。なんと、目の前にまで迫った彼女の姿が一瞬のうちに代わり、ビキニアーマーを纏ったRPGの女戦士の様な姿になったのだ。

 いきなりのエリザベートの変身に驚いたネロは、エリザベートが繰り出した大剣での一撃に対処することが遅れてしまった。重く、巨大な剣での一撃は見た目通りに強烈であり、何とか防いだものの予想外のダメージを受けてしまったことにネロは舌打ちをした。

 

「ちっ……! まさか、そんな奥の手を残していたとはな……!」

 

「どう? 少しは驚いた? アイドルにはサプライズが付き物、でしょ?」

 

「ああ、確かに驚いたな……だがっ!」

 

 乱れた呼吸を整え、再びエリザベートへと突進して行ったネロは、変わらぬ動きで連続して攻撃を繰り出していく。エリザベートは何とかそれを凌ぐも、反撃に出る余裕は無さそうだ。

 自分の攻撃をギリギリで防ぐエリザベートの姿を見たネロは、自分と彼女の間には大きな力量の差があることを悟って内心ほくそ笑んだ。いかにクラスを変えようともその差が埋まることは無い。むしろ、同じセイバー同士ならば経験の差で自分の方が有利のはずだ。

 

「ここだぁっ!」

 

「あっ! きゃぁぁぁぁっっ!!!」

 

 両手で剣を掴んだネロは、思い切りそれを振りかぶってエリザベートの防御をこじ開けた。がら空きになった胴に蹴りを叩き込めば、エリザベートの小さな体は凄まじい勢いで後ろへと吹き飛んで行く。

 壁を壊し、地面を転がったエリザベートは何とか体勢を立て直すと、今度はハロウィン衣装を纏ったキャスタークラスに変身して煌びやかな魔力の光弾をネロに向けて放った。

 

「はっ! てやぁぁぁぁっ!!!」

 

「ふんっ! そんな攻撃などっっ!」

 

 マシンガンの様に放たれるエリザベートの光弾。しかし、ネロは一切焦る事無くその攻撃を全て躱す。

 エリザベートの攻撃を剣で切り払い、僅かな動きで回避しながら徐々に彼女に接近して行くネロは、嘲る様な言葉をエリザベートへと向けた。

 

「無様だな、エリザベート! そんな手ぬるい攻撃で余を止められると思ったか? 所詮貴様は、余の足元に這いつくばるトカゲに過ぎんのだ!」

 

「っっ……!」

 

 一瞬の跳躍でエリザベートの目の前にまで迫ったネロは、愛剣【原初の火】を振るって彼女を追い詰めた。ネロの一撃を杖代わりのフォークで受け止めるエリザベートの必死な表情を見ながら、なおもネロは彼女に嘲りの言葉を投げかける。

 

「それがお前の目指す姿か? 砂埃にまみれ、美しさも愛らしさも無い必死の形相を浮かべる今の貴様の姿が、貴様の目指すアイドルと言う奴なのか!?」

 

「………」

 

 力負けし、徐々にネロの剣に圧されて行くエリザベート。だがしかし、彼女は決して諦める事無く武器を掴んでいる。

 必死になってネロに抗うエリザベートは、自分の敗色が濃厚になっていることを理解しながらも自分のあらん限りの力を振り絞ってそれを覆そうとする。この状況でも決して折れぬ彼女の心を支えるものに興味を持ったネロは、僅かに口調を和らげてエリザベートに尋ねた。

 

「なぜ抗う? なぜそこまで戦える? ……お前は何故、余に立ち向かうのだ?」

 

「そんなの……決まってんじゃない……っ!」

 

 埋めようも無い差、覆せない戦局……それを理解しながらも、エリザベートの瞳から光が消えることは無い。

 強く輝く光を湛えた瞳をネロへと真っすぐ向けたエリザベートは、彼女に対して自分の戦う理由を凛とした声で答えた。

 

「アンタが、アタシの友達だからよっ!!!」

 

 その叫びにはエリザベートの思いの全てが籠っていた。時に争い、時に協力し、共に戦って来たネロは、エリザベートにとっては紛れもなく友であり、大切に思う仲間の一人なのだ。

 光り輝く笑顔と薔薇の花の様な美しさをその身から放ち、周囲の人々を笑顔にしていたネロ。そんな彼女が闇に堕ちた姿など見たくは無い、かつての彼女を取り戻したい。

 大切な友達を助けたい……そんなエリザベートの切なる思いを表す叫び。だが、その思いも今のネロには届かない。

 

「ふふっ……! そんなことの為に戦っていたのか! そんな、ちっぽけな感傷の為にっ!」

 

「ぐぁっ……!?」

 

 腕に力を籠め、原初の火を振り抜いたネロはエリザベートの防御を打ち崩して斬撃を見舞った。全霊の彼女の一撃を受けたエリザベートの小さな体が舞い上がり、地面に叩きつけられる。

 地面に転がるエリザベートを蹴り飛ばし、その腹を踏みつけたネロは、嘲笑混じりにエリザベートに語り掛ける。

 

「決着はついたな……! 余の勝ちだ」

 

「ぐっ……うぅっ……!」

 

「安心しろエリザベート、お前を殺しはしない……その美しい友情に免じ、命だけは助けてやろう。そればかりか、余が直々にお前を躾けてやる……ソロモン様に仕える立派な奴隷になれるよう、余がしっかりと調教してやろう。お前のその気高い心がいつ折れるのかを楽しみにしながらな!」

 

「がっ、ぐっ……! そん、なのっ、お断りよ……っ!」

 

 怒りの表情を浮かべるエリザベートが拒絶の言葉を口にしながらネロの脚を掴む。長く鋭い竜の爪を突き立て、皮膚を抉る様にしてネロの美しい脚を引っかく。

 しかし、そんな痛みも今のネロにとっては心地良く感じられていた。瞬時に回復する引っかき傷を見ながらエリザベートの無駄な抵抗を嘲笑うネロは、何者かが地を蹴る音を耳にしてその方向をちらりと見やる。

 

「うおぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

 ネロが目にしたのは巨大なる咆哮と共に自分に飛び掛かる影であった。決死の行動なのだろうが、その突進は余りに緩慢過ぎる。

 その場から動かず、ただ剣を横薙ぎに振るったネロは、自分の楽しみを邪魔する無粋な男をその一撃で吹き飛ばす。地面を転がっていく丸い陰には目もくれないまま、彼女は乱入者に向かって声をかけた。

 

「ああ、心配するな……貴様はこの後すぐに殺してやる。そう慌てなくても余はお前を忘れたりはせぬ」

 

「え、エリザベート……逃げろ、逃げるんだ……! ここは私が時間を稼ぐ! お前はクレオパトラを連れて逃げてくれっ!」

 

 ネロに無謀な突進を仕掛けたカエサルが荒い呼吸を繰り返しながら剣を構える。エリザベートへ逃げる様に頼む彼は、決死の覚悟で捨て駒になろうとしていた。

 地に塗れ、土埃を体に纏いながらも懸命に自分に立ち向かおうとするカエサルの姿を見たネロは、薄ら寒い笑みを浮かべた後で彼に向き直る。

 自分とまともに戦えるとでも思っているカエサルの傲慢を断つべく、その命を奪おうとするネロ。原初の火を構えた彼女が、一歩前に踏み出そうとしたその時だった。

 

「……いいえ、カエサル。そんな必要は無いわ。だって、もうアタシたちの勝ちは決まったもの」

 

「……何? それはどういう……!?」

 

 意味深なエリザベートの言葉を聞いたネロが立ち止まり、訝しげな表情を浮かべてその意味を問いかける。

 ハッタリか、それとも何か策があるのかとエリザベートの次の行動を読もうとしていたネロは、自分の視界が急に歪んだことに呻き声を漏らした。

 

「なん、だとっ……!? これは、なんだ……!?」

 

 視界が歪み、色が明滅する。ぐらぐらと頭が揺れる様な感覚に襲われたネロは、エリザベートが自分に何かをしたことを悟った。

 吐き気、寒気、脱力感……全身が思うように動かなくなって来たことに動揺するネロの姿を見るエリザベートは、ねっとりとした液体を滴らせる爪を光らせながら()の言葉を思い出していた。

 

『……良いか? ほんの少量で良い、こいつの効き目は保証してやる。引っかき傷でも何でも良いから、この毒をあのローマ皇帝に食らわせてやれ。そうしたら、後は……』

 

「ホント、効き目抜群じゃない。アイツってば、こう言うことは本当に得意よね……」

 

 防御に秀でたシールダーであるマシュすらも昏倒させた毒、その効き目は確かであった。五枚の爪に浸したそれを引っかき傷と共にネロに味合わせただけで、彼女は今酩酊としているのだ。

 地面にフォークを突き刺し、何とか立ち上がったエリザベートだが……ボロボロの体には、今のネロを制圧するだけの力は残されていなかった。

 

「エリザベート……っ! 貴様っ、貴様ぁぁぁぁっっ!!!」

 

「ふ、ふふふ……良い様じゃない、ネロ……かかって来なさいよ……!」

 

 体を蝕む毒の痛みを耐えながらネロがエリザベートへと向かって足を踏み出す。この毒には自分を殺すだけの効果は無い。せいぜい意識を昏倒させ、気を失わせる位の物だろう。しかも、そこに至るまでには体に注がれた毒の量が少な過ぎた。

 勝てる。この不快感に耐え、エリザベートを切り捨てれば後は何とでもなる。戦う力の無いエリザベートもカエサルも、人形の様に何の反応もしないクレオパトラも自分の敵では無いはずだ。

 この場での一番の脅威であるエリザベートを排除すべく、ネロは一歩ずつ彼女へと近づいて行く。しかし、自分に死を与えようとするネロの姿を見ても、エリザベートの表情からは不敵な笑みが消えることは無かった。

 

「ネロ……アンタの言う通りよ。アタシはアンタには勝てない。アンタの方が強い……でもね、アタシは一人じゃないの」

 

「っっ……!?」

 

 ネロの視界がまた歪む。だが、今度は視界全体が歪んだ訳ではない。見ている景色の一部分、丁度エリザベートの隣の空間が歪み、彼女の体を支える様に動いていた。

 

「……よく頑張ったな、お嬢。後は約束通り、俺が決めてやるよ」

 

「あっ……!?」

 

 闇に響く男の声。その声と共に姿を現した男の姿を見た瞬間、ネロは体を強張らせ、目を見開いた。

 

「悪いな、華の皇帝様……けど、戦いの場に卑怯も糞も無いってことで勘弁してくれよ」

 

 長く続いたこの夜の舞台。カエサルとネロの追走劇から始まり、エリザベートとの死闘を経てクライマックスを迎えたこの舞台に幕を引く人物がついに現れる。

 冷たい視線をネロに向け、番えた矢の狙いを定める最後の役者の登場に動揺を隠せないネロは、毒の効果も相まって何の抵抗も出来ないでいた。

 

「……弔いの木よ、牙を研げ……!」

 

「あ、あ、あ……!?」

 

 目の前の弓兵が魔力を解き放つ。緑衣の弓兵(ロビンフッド)が宝具を解き放とうとする予感を感じながらも何も出来ずにいるネロに対し、エリザベートが真っすぐに視線を向けながら言った。

 

「ネロ……()()()()()()()()

 

 ネロがその言葉を耳にした瞬間、彼女の体にロビンフッドの放ったイチイの木の幻影が纏わり付く。全身を絡め取られ、身動き出来なくなったネロは、体の中で何かが弾ける感触と共に悲鳴を上げた。

 

「……祈りの弓(イー・バウ)

 

「あ、ああぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 標的が溜め込んでいる不浄を増幅させる効果の宝具がネロに炸裂し、彼女を蝕んでいた毒の効果を飛躍的に上昇させた。

 死ぬほどでは無い、しかし意識を保っていられないレベルの毒の痛みを受けたネロは、仰け反る様にして悲鳴を上げるとそのまま地面に崩れ落ちる。

 

「こんな……馬鹿な……? 余が、負けた……? 嘘、だ……」

 

 自分の敗北を認められず、涙ながらに呟いたネロはその言葉を最後に意識を失った。完全に動かなくなったネロの体を迅速に縛り上げて拘束したロビンフッドは、次いでエリザベートを気遣う。

 

「ったく、無茶し過ぎじゃねえの? こんなズタボロになっちまって……」

 

「そう思うならもっと早く助けに来なさいよ! ……あいたたた、大声出すと傷に響くわ……」

 

 文句をつけた後で蹲って戦いの傷を痛がるエリザベートを見たロビンは苦笑を浮かべながらも安心した。あそこまで元気に動き回れるのならば心配は無いだろうと判断したロビンは、浮かべた笑みを引っ込めながらもう一人の侵入者に視線を送る。

 

「さて……一応助かったと礼は言っておくけどよ、お前のことを完全に信用したわけじゃねえからな?」

 

「………」

 

 エリザベート同様に傷だらけの体をしたカエサルに油断ならない視線を送りながら一応の礼を口にしたロビンは、彼の背後に居るクレオパトラを指さしてから再び口を開く。

 

「……着いて来いよ、ファラオ様に免じて傷の手当てをしてやる。んで、お前の知っていることを洗いざらい話せ、良いな?」

 

「元よりそのつもりだ、緑の弓兵よ。……お前とエリザベートの助力に感謝する。お前たちが来てくれなければ、私とクレオパトラは終わっていた」

 

 拘束したネロを担ぎ、エリザベートの尻を叩いて帰ることを伝えたロビンは、カエサルのその殊勝な態度に少し驚いていた。

 普段の彼はもう少し尊大なはずだったと思ったのだが……そんな思いを抱えた彼に対し、カエサルは自嘲気味な笑みを浮かべて口を開く。

 

「今、私が私らしくないと思ったな? ……当然だ、私はカエサルであり、カエサルでは無いのだからな」

 

「……待て、そりゃどういう意味だ? 事と場合のよっちゃあ、お前をマスターの所に連れて行く訳にはいかなくなる」

 

 カエサルの意味深なその言葉に警戒心を露にするロビン。そんな彼に対して、カエサルは簡潔な言葉でその正体を口にした。

 

「……私は、カエサルの体からこそぎ落された部分……言わば、カエサルの贅肉が意思を持った存在だ。君たちの知るカエサルと同じ容姿を持ち、霊基パターンを持ちながらも性格は少し変わっているのはその為なのだよ」

 

「贅肉、だと……?」

 

 にわかには信じられないその言葉を聞きながら、ロビンは嘘を言っている様には見えないカエサルの顔をじっと見つめ続けていた。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

二人のカエサル

 最後の方、ちょっとだけネロちゃまあります。


「……誓って言っておくが、私は真実を話している。その点に関してだけは信用して貰いたい」

 

「ああ、うん、信じるよ。だからカエサルの知っていることを俺たちに教えてくれないかな?」

 

 マスターの言葉に大きく頷いたカエサルは、この場に集まっている面々の顔を見回した後で深く息を吐いた。今現在、この場にはクレオパトラと彼女の容態を診ているナイチンゲール以外の全員が集まっている。無論、カルデアに残っているメンバーも映像越しにこの光景を目の当たりにしていた。

 

「それで、君はカエサルの贅肉の部分だって話だけれども……」

 

「その通りだ。私はカエサルと同じ霊基を持ち、同じ記憶を持ってはいるが……その正体は彼の贋作、彼から零れ落ちた物の結晶が意思を持った存在なのだよ」

 

「贅肉? 零れ落ちた? おい、俺にも分かる様に説明しろよ」

 

 オリオンの言葉に頬を掻いたカエサルは、彼の要求通りに詳しい解説を始める。全ての始まりである自身の陥落から話し始めたカエサルの表情は、とても苦し気なものであった。

 

「……私、カエサルは、ソロモンの前に屈した。抗い様の無い力の差を見せつけられた私は奴の前に膝を屈し、服従を誓ったのだ。浅ましいことにな。……最初は隙を見て奴を裏切るつもりだった。だが、その意思もソロモンの魔術によって簡単にねじ伏せられてしまったのだ」

 

「ま、アンタはリアリストだからな……敵わない敵にはそれなりの戦い方をするだろうよ。んで、それからどうしたんだ?」

 

「屈した私に対してソロモンがまず行ったのは霊基の強化だった。魔術で全体的に能力を底上げした私に催眠を施し、その力と忠誠を絶対の物にした……正直、あの全能感には心が躍ったものだ。今までの自分を遥かに超える力を得た私は、その力に酔っていた……こうなることなど知りもせずにな」

 

 自嘲気味に笑ったカエサルはマスターの顔を見て申し訳なさそうな顔をした。カルデアで長い間共に戦い続けて来たマスターである彼を裏切ったことを謝罪する気持ちが彼の中にあることを悟ったマスターは、カエサルの話の続きを黙って聞き続ける。

 

「次にソロモンが行ったことは……歴史に無い、私の全盛期の創造だった。私の人生において、体型は太っているか痩せているかの両極端だったのだ。基本的に全盛期の姿で召喚される私が肥満体型なのはこのせいだ、痩せている時の私は貧弱すぎて戦いどころでは無いからな」

 

「あ~……それも納得したわ。アンタ、少しダイエットした方が良いわよ」

 

「そうだな……ソロモンの元ではとてつもない無理なダイエットをさせられたよ。そのせいで私が生まれたのだがな」

 

「それが、贅肉をこそぎ落されたって言うこと?」

 

 マスターの言葉にカエサルは大きく頷いた。そして、更に詳しい説明を始める。

 

「ソロモンは最強の私を作る為に不要なものを全て排除した。筋肉だけを残して腹回りの贅肉をこそぎ落し、同時に冷酷かつ残忍な皇帝に仕上げるべく精神面の甘さをも排除した……こうしてソロモンは、筋肉質かつ精神面においても一部の隙も無い最強の私を作り出したと言うことだ」

 

「その残りカスが意思を持ったものが、今のカエサルってこと?」

 

「左様。故に私は大した能力は持っていないのだ。皇帝カエサルにとって必要な物は本来の私が持っており、私はそこから零れ落ちた物だけを所持しているだけの存在に過ぎないのだからな」

 

 そこまで話した後、カエサルは大きく溜息をついて自分の掌を見つめた。まるで自分の無力さを呪っているかの様なその行動を黙って見つめていたマスターたちだが、唐突にマシュが一つの疑問を口にする。

 

「あの……カエサルさんが二人に分かれた理由はわかりました。しかし、何故贅肉の部分であるあなたが意思を持ったのでしょうか?」

 

「……確かに、不思議な点だな。その理由は不明瞭だ」

 

「……一応、これだと思う答えはある。しかし、それはあくまで私の勝手な予想でしか……」

 

「カエサルがクレオパトラを大切に思ってたからじゃないかな?」

 

「え……?」

 

 マシュの質問に答えようとしたカエサルに代わって口を開いたのはマスターであった。全員が彼に視線を集める中、少し慌てた様子の彼は身振り手振りを交えて自分の考えを話す。

 

「ほら! だってカエサルは言ってたじゃん! ソロモンは、最強のカエサルを作る為に不要なものはすべてこそぎ落したって……そのこそぎ落した物の中に、クレオパトラへの愛もあったんじゃないの?」

 

「クレオパトラさんへの、愛……?」

 

 茫然とマスターの言葉を繰り返すマシュ。他の面々も同じような表情で彼の言ったことの意味を完全に捉え切れてはいない様子だ。

 ただ一人、カエサルだけが自分の考えと全く同じ結論に達した彼に驚きの表情を向けた後、瞳を閉じ、顔を伏せてぽつぽつと語り出した。

 

「……私は……贅肉である部分の私は、クレオパトラを堕とす為の道具にされていた……彼女の心を折り、美しい精神を汚す役目を担っていたのだ……ただひたすらに、その日々は辛かった……!」

 

 両手で顔を覆い、声を震わせて語り続けるカエサルは、ソロモンの元で送っていた日々を思い出す。彼にとってそれは、文字通り悪夢の様な日々であった。

 

「ソロモンに作り上げられた私の手で嬲られ、心を支配されたクレオパトラを休む事無く責める日々……贅肉で出来た体で彼女を包み込み、もう一人の私から残酷な責めを受ける彼女の姿を何度見送ったことか……そして、何度傷ついた彼女をこの身に受け入れ、苦しみに悶えたことか……!」

 

「カエサル……」

 

「救いたかった、今度こそ愛する女性を! 何も出来ないことに歯噛みしながら私は何度も何度もそれを願った! そしてある日、私の体の中にクレオパトラを叩き込んだもう一人の私が、『そろそろこの玩具にも飽きた』と口にした事を聞いた時、その思いは頂点に達したのだ! ……奴は間違いなくクレオパトラを壊す。これ以上無い残忍な方法で、その心を塵芥も残さず破壊し尽くすだろう! ……そう思った時、私の体はこうなっていた。後は簡単だ、クレオパトラの手を引き、必死になってここまで逃げて来た、と言うわけだ」

 

 切々と全てを語ったカエサルは、顔を上げずにその話を終えた。にわかには信じ難い内容の話ではあったが、カルデアのマスターはカエサルの前に立つとその手を取って握手を交わす。

 

「……信じるよ、カエサル。カエサルのお陰でクレオパトラは助かったんだ。胸を張って良いんだよ」

 

「マスター……! しかし、私は……」

 

「裏切ったなんて言わなくて良い。そもそも、最初に俺がもっと上手く皆を指揮できてたらこんなことにはならなかったんだ。謝るのは俺の方さ」

 

「……私が君たちを騙しているとは思わないのか? こう言うのもなんだが、私は弁の立つ方だぞ?」

 

「ああ、それも少し考えたんだけどね……今のカエサルには、ズルさがないなぁと思ってさ。俺の知ってるカエサルは人を騙す時には小狡さを発揮してたから、それが感じられないならきっと本心を言っているんだろうなと思うんだよね」

 

「……君と言う奴は、お人好しと言うか馬鹿正直と言うか……だが、その優しさに私の心が救われたことは事実だ。すまない、そしてありがとう、我が親愛なるマスターよ」

 

 マスターの気の抜ける言葉にようやく笑みを浮かべたカエサルが、空いている手で彼を抱き寄せて抱擁を交わす。ぶにゅりとした脂肪に体を包まれたマスターもまた笑みを浮かべた時、クレオパトラの様子を見ていたはずのナイチンゲールが部屋に入って来た。

 

「どうやら話は一段落した様ですね。では、患者の容態の説明を始めます」

 

 自身に集中する視線をものともせず、ナイチンゲールはクレオパトラの状態を説明し始める。淡々と、短い言葉で時間を無駄にしない様に語るナイチンゲールであったが、その説明は非常に分かり易いものであった。

 

「脈拍、心臓の鼓動、瞳孔の反応、全てにおいて正常です。体力の消耗や細かな傷はありますが、体に関しては健康そのものと言えるでしょう。しかし……呼びかけても、体を揺すってみても、患者は何の反応も見せないでいます。意識が無いわけでは無さそうなので、精神面に何か問題がある可能性が高いかと」

 

「……遅かったのか? やはりクレオパトラは苛烈な責めに耐えきれず、精神を崩壊させて……」

 

「……いえ、だとするならば納得がいかない点があります。それは、肉体が健康であることです」

 

 絶望的な表情を浮かべて崩れ落ちたカエサルを横目で見ながら、ナイチンゲールは自身の考えを話し始める。それが彼を安心させるための言葉なのか、それともいつも通りに自分に向けての言葉なのかは、周りのマスターたちには判断出来なかった。

 

「肉体と精神は密接な関係にあります。肉体が傷つけば精神が、精神が傷つけば肉体が、何らかの異常を訴えるはずなのです。しかし、彼女の場合はそれが無い。肉体は健康そのものなのに精神面だけに異常が出ている……これは、明らかに私の知る医学とは矛盾しています。何か秘密があるはずです」

 

 そう言い終えたナイチンゲールは、神妙な表情で考え込み始めてしまった。こうなった彼女は放って置くしか無いと判断したマスターたちに対し、今度はダヴィンチちゃんが声をかける。

 

『その辺の情報を握っている人間が一人いるだろう? 彼女から話を聞ければ、色々と進展するんだろうけどねぇ』

 

「……ネロ、だね?」

 

「でも、ネロは変わり果てているわ……あんなのネロじゃない。あんなネロ、どうやって説得すれば良いのよ?」

 

 エリザベートとの戦いの果てに捕縛したネロの事を思い浮かべた面々は、彼女の持つ情報の貴重さを理解していた。だが、同時に彼女の解放が非常に難しいものであることも理解している。

 堕ち切り、ソロモンを崇拝するネロ。自分たちの知る姿とはまるで違う今のネロをどうやって解放すればいいのか? 糸口さえも見えないでいるのだ。

 

 何とかしてネロを救い出さなければならない……この特異点の情報を得る為、クレオパトラを救う為、そして何より、彼女自身の為に……。

 そんな思いを浮かべたマスターたちは、ネロを救う方法を相談しようとした。しかし、それよりも早く真剣な口調のダヴィンチが話に割って入る。

 

「すまない、ネロ・クラウディウスに関してだけど、かなり厄介な問題が見つかった。これをどうにかしない限り、解放なんて夢のまた夢さ」

 

「えっ!? そ、そんな大変なことなの!?」

 

「何!? ネロに何があったのよ!?」

 

「慌てないで……時間は一刻を争う。どうか私の言うことに黙って従ってくれるかい? おいおい理由は説明するからさ……」

 

 珍しく真剣なダヴィンチの表情にただならぬものを感じたメンバーは、その言うことに黙って頷いた。そして、彼女の指揮の元、ネロの抱える問題点を解決する為の行動を起こし始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これは一体どういうことだ?」

 

 ロビンとエリザベートに敗れ意識を失ったネロは、目覚めると同時に自分の置かれている状況を疑問に思った。

 ベッドと粗末な床、正方形の部屋と思わしき自分の居るこの空間は、ネロを閉じ込める独房と言うことなのだろう。だがしかし、問題はその独房の位置にあった。

 

「何故、町のど真ん中に余を放置している……?」

 

 ネロが現在居る場所、それはローマの中に出現した日本の町のど真ん中であった。おおよそ5平方メートルの正方形型の部屋の中にはベッドが置いてあり、他には何も存在していない。

 そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(こんなもの、とっとと逃げろと言っている様なものではないか。何を考えているのだ……?)

 

 何かの罠か、はたまたミスなのか、判断のつかないネロは取り合えずこの部屋から出てみようと試みた。

 部屋の適当な場所から足を延ばして部屋の外へと出ようとしたネロは、部屋の床と外の地面の境界線の部分に見えない壁があることに気が付いてそれに足をぶつけてしまった。

 

「……見えない壁、魔術結界か。ふん、そこまで奴らも馬鹿では無いと言うことか」

 

 自分を阻む壁の存在を見て取ったネロは行動をシフトし、今度は結界の観察に移った。術式や耐久性を調べ上げ、自分に壊せるものなのかをしっかりと観察して行く。

 

(……三重の壁、強度はそれなり……壊せなくも無いが、それには時間がかかる。動けば異常を察知して奴らもやって来よう。だが、手が無い訳でも無い……!)

 

 結界の情報を集めたネロはその対策を見つけ出すとにんまりと笑った。そして、少しずつその壁を叩き始める。

 一気にこの壁を壊そうとするから時間がかかる。ならば、適度にひびを入れ、一枚目、二枚目、三枚目に亀裂を作って行けば良いのだ。

 幸いにも結界が作る壁の感覚はさほど空いていない。これならば僅かな隙間を作れば次の壁の破壊に移れるだろう……そう考えたネロが、結界の破壊を続けようとした時だった。

 

「あ……れ……? お、お姉さん、何やってるの……?」

 

「ん……?」

 

 自分に向けられた言葉に反応して振り向いたネロは、視線の先に数人の子供がいることを見て取った。

 突如として自分の家の近所に現れた謎の空間とその中に住まう全裸の女性の姿に混乱する子供たちを見たネロは、彼らの前では結界の破壊作業をするわけにはいかないとその手を止める。

 本来ならすぐにでも彼らを追い払って作業を再開すべきなのだろうが……この時、ネロの中にはむくむくと彼女自身の欲が膨れ上がっていた。

 

「……怖がらなくてよいぞ、童たちよ。余は訳有って急にここに住まうことになっただけで、お前たちに危害を加えるつもりは無い。それよりも……もっと近づいて、余と話をせぬか?」

 

 心の中で舌なめずりをしながら子供たちに優しく語り掛けるネロの中には、彼女自身の性癖である露出願望が激しく渦巻いていた。

 性に関することをよく知らない子供たちに裸を見せると言う行為に背徳感と共に興奮を得たネロは、彼らに更に近くで自分の裸体を見せるべく手招きする。美しく妖しい彼女の姿に息を飲んだ子供たちは、その招きに従って壁のすぐ近くまでやって来た。

 

「お姉さん、なんで裸なの?」

 

「恥ずかしくないの?」

 

「見られて恥ずかしい体をしているつもりは無いからな! ……うむ? もしやお前たち、余の裸体を見て興奮しておるのか?」

 

「え、ええっと……」

 

 顔を真っ赤にしてしどろもどろに反応する子供たちの姿を見たネロはにんまりと笑うとその場で仁王立ちになった。そして、子供たちに向けてなんら隠すこともせず己が裸体を晒し始める。

 

「良い良い! 美しい余の裸を見ればそれは当然のことだ! 遠慮せず見て、存分に堪能するが良い!」

 

「う、わぁ……!?」

 

 小さな体に似つかわしくない大きな乳房、つるつるとした子供の様な無毛の性器、丸くほど良い大きさの尻……それらを一つ一つ子供たちに見せつけながら、ネロは言い様の無い興奮を感じていた。その興奮を隠すこともせず、ネロは子供たちに向って語り掛ける。

 

「ほれ……どうだ、余のおっぱいは? お前たちの母親よりも大きく、綺麗であろう?」

 

「お、大きい、です……! それに、凄く柔らかそう……!」

 

 子供たちの反応に気を良くしたネロは、笑みを浮かべたまま体を反転して子供たちに向けて尻を突き出した。結界の壁に尻を押し付け、限界まで子供たちに近づけた状態で性器を開いてその中身を露出させたネロは、甘い声で子供たちの官能を煽った。

 

「どうだ? これが雌の体と言う物だ……♡ おちんぽの代わりにまんこと言うものがあるのだぞ!」

 

「まん、こ……?」

 

「そうだ! ……良く目に焼き付けておけよ? 余のまんこは美しく、薔薇の様な香りがする名器なのだぞ!」

 

「あ、う……お尻の穴もひくひくしてて……っ!」

 

「うむ! そこはけつまんこだ! ……本来は汚い場所だが、余のけつまんこは綺麗であろう? 皺が何本あるかじっくりと数えて見るのも悪くは無かろうて……♡」

 

 魅力的な肢体を晒し、性器と尻を堂々と子供たちに見せつけるネロは、彼らの興奮を煽ると同時に自分も快感を得ていた。

 年端の行かぬ少年たちの性の目覚めを呼び起こしていると言う状況にうっとりとした息を吐いたネロは、脚の間から顔を出して少年たちの表情を眺める。

 

「まんこ……けつまんこ……」

 

「これが、女の人の体……!」

 

「なんか、おちんちんが熱くなって……!?」

 

「ああ……♡ 愛い奴らめ! その素直な反応、非常に良い! ……それに免じて、見抜きを許す! 余の体をオカズにして、存分におちんぽをシコシコするが良い」

 

「見抜き……? おちんぽ、シコシコ……? う、あ……うあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 突如として雄たけびを上げた少年たちが服の下から肉棒を取り出し、それを勢いよく扱き始める。まだ幼く小さいその性器を見つめるネロは、頬を染めて舌なめずりをした。

 

「そうだ! そのまま存分にオナニーするが良い! 余の躰で興奮し、余の躰に雄の昂ぶりをぶつけよ! これは余の命令だ!」

 

「お姉さんっ! お姉さぁんっっ!!!」

 

「……これから大人たちに見つからぬ様にここに来るが良い。大人たちが居なければ、余はお前たちの要望に応えてどんなポーズでもしてやろう……♡ 恥ずかしい格好も何もかもがお前たちの思うがままだぞ……♡」

 

 興奮のままに自分の性器を弄り、少年たち同様にオナニーを見せつけるネロは、露出行為に対する快感で頭の中をいっぱいにしていた。ここに来るのはこの少年たちだけではない、老若男女様々な人がここを通り、ネロの裸を見に来るのだ。

 

「う、ううぅっ! うぅぅぅぅぅぅっっ!!!」

 

「ふ、ふふふ……♡ 日本のローマ市民よ、余に見惚れるが良いっ! 少しだけ、少しだけの間、余の裸体で興奮することを許してやろう!」

 

 結界の壁に飛び散る白濁液を見つめながらそう叫んだネロは自分もまた絶頂して性器から潮を噴く。お互いにイク姿を見せつけ合ったネロと少年たちは、荒い呼吸を繰り返しながら見つめ合っていた。

 

(……結界を破壊するまで3日と言ったところか。ならば、それまでの間は楽しませてもらおうっ♡)

 

 ぐちゅぐちゅと音を立てて性器を掻き回しながら……ネロは、脱出と快感の天秤を合わせるボーダーラインを引き、再び快感の坩堝へと堕ちて行ったのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

陥落の皇帝

 あれから二日の時が過ぎた。その間、町の中央に放置されたネロは、昼夜問わず町の住民たちから好奇の視線を受ける日々を送っていた。

 魅力的な女性が全裸で往来のど真ん中に居るのだ、注目されないはずがない。元々露出癖のあるネロはその視線を悦んで受け、逆に自分の体を見せつけて彼らの興奮を煽る日々を送る一方で、自信を囲う結界の破壊にも尽力していた。

 

 薄い、されど十分な耐久力を持つ見えない壁にひびを入れ、小さな穴をあける。深夜にひっそりと行われたその工作によって、ネロは既に二枚の結界を貫通させることに成功していた。

 そして今宵、ネロは三つ目の結界に穴をあけることに成功した。あとは、この三つの結界を同時に破壊するだけだ。

 

(待っていてくださいませ、ソロモン様……! 余は、今戻ります!)

 

 ソロモンへの変わらぬ思いを胸に、ネロは剣を握る。後はそれをあけた結界の穴に突き刺し、思い切り振り抜くだけだった。

 しかし……そこに、予想外の来客が姿を現す。

 

「お、お姉さん……!」

 

「む? お前たちは……?」

 

 人の寝静まった夜、ネロの元にやって来たのは年端の行かぬ少年たちだった。もう子供たちはとうに眠っているであろう時間にやって来た彼らが、三日前に初めて自分の裸体を見に来た観客であることを思い出したネロは、一度壁の破壊工作を中断して彼らの前に立つ。

 

「よく来たな。余の裸でシコシコしたくなったのか?」

 

「う、うん! またお姉さんの裸が見たくって、それで……!」

 

「うむ! 素直な良い返事だ! その返事に免じて、今宵は特別なことをしてやろう……♡」

 

 意味深な笑みを浮かべたネロは、自分が結界にあけた穴の前へと子供たちを手招きした。目には見えない壁の穴、ちょうどネロの握り拳が通るほどの大きさのその穴は、子供たちの小さな肉棒を通すには十分な広さだった。

 

「よいか? この位置にお前たちのちんぽを突き出すのだ。そうすれば、余が存分に愛でてやろう♡」

 

「え……? わ、分かった!」

 

 仲間たちの前で性器を晒す事に少し怯んだ子供たちであったが、そのうちの一人が一歩前に出ると、ネロの言う通り己の陰茎を露出させた。

 子供の幼いそれは、小さいながらも痛いほどに腫れ上がり、ぴくぴくと震えている。皮を被った可愛らしい肉棒が穴を通って自分の目の前に突き出されたことにうっとりとした笑みを浮かべたネロは、さっそくそれに口付けをした。

 

「ちゅっ……♡ おぉ、なんと愛らしいことか……♡ ソロモン様のおちんぽと比べれば小さいが、この歳の子供にそれを求めるのは酷と言う物だな……♡」

 

「はぁ、うぅぅっ……!?」

 

 子供の肉棒を指で摘み、軽く扱く。初めて与えられる肉棒への刺激に目をぎゅっと瞑って喘ぐ少年の顔を見たネロは、大きく口を開けると幼い肉棒を頬張ってしまった。

 

「うわぁぁぁぁっ!? お、おちんちん、お姉さんに食べられてっ……!?」

 

「んふふふふ……♡ じゅっ♡ じゅっ♡ じゅぅぅぅぅっ……♡」

 

「う、うわぁぁぁぁっ!? このお姉さん、やっぱり妖怪だったんだ! 俺たちのちんちんが食べられちゃうよぉっ!」

 

 容赦なく、本当に容赦なく、ネロは子供の肉棒を吸い上げる。バキュームの様な吸引力を以って幼い陰茎を責め、舌を激しく動かして刺激し続ける。

 ソロモンに性技を叩き込まれたネロのバキュームフェラをこの歳にして受けてしまった少年は、体をがくがくと震わせてその快感に喘いでいた。少年の仲間たちは少年のただならぬ様子に驚き、泣き叫びながらこの場から逃げて行ってしまった。

 

(こんなに愛らしい余を妖怪とは……この町の子供は、美醜の価値観がわかっておらぬようだな!)

 

 子供たちの叫びに内心で憤慨しながらもネロはここに一人残った少年へのフェラチオを続けていた。激しい吸いつきに加えて顔を前後に動かして快感を与えるネロの口吸いは少年に未知の快感を与えている。その快感の虜になってしまった少年は、他の仲間たちの様に逃げ出すこともせずネロに肉棒を差し出していた。

 

「お、おにぇしゃん……すごい……っ、あぁぁぁぁっっ!!?」

 

 ネロのフェラを受ける少年は既に二度の絶頂を迎えていた。精通したばかりの青臭い精液をジュースの様に飲み干しながらのフェラを続けるネロは、少年の肉棒がまたしても硬くなったことから絶頂が近いことを感じ取った。

 

(……出血大サービスだ、受け取れっ♡♡♡)

 

 ネロは絶頂が近い少年の肉棒を口から吐き出すと、すぐさま尻をその肉棒に押し付けた。間髪入れずに膣の中に少年の肉棒を迎え入れたネロは膣に力を籠め、少年の肉棒をきつく締め上げる。

 

「あ、あぁぁぁぁっ!? なにこれっ!? なにこれぇぇぇっっ!!?」

 

「ふははははは! 初めての性交の相手がこのネロ・クラウディウスであるとは! 少年よ、お前は非常に運が良い! 一生分の幸運を使い切る勢いで、余の膣に精液をぶちまけよ!」

 

「は、はぁぁぁぁぁぁんっっ!!!」

 

 男であると言うのに雌の様な甲高い叫びをあげた少年は、ネロの言う通り彼女の膣の中に自分の欲望を解き放った。

 三度目の射精は正直に言って量は少なく、濃さも薄まっていたが、年端の行かぬ少年にセックスの快感を教え込んだと言う背徳感に溺れるネロを達させるにはその弱い快感で十分だった。

 

「んっ♡ んんんんんっっっ♡♡♡」

 

 びゅくびゅくと放たれた精液を膣から絞り出し、少年の前で己の性器を見せつけながらネロは絶頂した。ひくつく尻の穴や振動する膣も見せつけ、露出の快感を味わいながらの絶頂に気を良くしたネロは振り向くと歌うような口調で少年に囁きかける。

 

「……さぁ、今日は帰るが良い……♡ またの機会には、もっと気持ち良い事を教えてやろう……♡」

 

「は、はい……!」

 

 ネロの言葉を受けた少年はふらふらとおぼつかない足取りで家路に着く。まるで夢遊病者の様なその後ろ姿を見たネロは愉快そうに微笑むと、今度こそ愛剣を結界の穴に突き刺した。

 

「ふんっ!!!」

 

 気合一発。結界に突き刺した剣を振り抜き、見えない壁を粉砕する。意外にも静かに壊れた結界を確認したネロは、自由を取り戻したことに満足げな笑みを浮かべた。

 

(これでローマ領に戻れる……! カルデアの者共め、この屈辱は数十倍にして返してくれよう!)

 

 口の端から漏れる精液を舐め取り、愛液を軽く拭いたネロは周囲の状況を確認した後で結界で囲われていた部屋の外へと足を踏み出した。その間、彼女の脳内ではいやらしい妄想が繰り広げられている。

 この町を占拠した暁には、先ほどの子供たち……いいや、この町の少年たちを集めて自分のハーレムを作り上げよう。城の中に幼い少年たちを集め、日々愛で続けるのだ。

 数十、下手をすれば百を超えるかもしれない数の少年たちの筆下ろしを自分がする光景を思い浮かべたネロは、興奮に胸を高鳴らせ子宮を疼かせた。

 楽しい妄想を繰り広げる彼女は荒れた地面に足を下ろし、そのままもう一歩足を踏み出そうとする。

 

「……あ、れ……?」

 

 だがその瞬間、彼女の世界が反転した。不意に力が抜けて地面に倒れこんだネロはすぐさま立ち上がろうとするも、指一本動かせない自分の状況に愕然とする。

 

「な、なぜ……? 何が起きている? 余は、何故動けない……?」

 

 自由を取り戻したはずだった。だが、外に出た途端に自分の身に起きた異変はまたしても自分の体を縛ろうとしている。

 いや……それどころか、もっと悪い事態をネロに引き起こしているのだ。

 

「く、苦しい……くるしぃ……!」

 

 息が出来ない。いや、息が出来てはいるが、全身に酸素が行き渡っている感覚が無いのだ。

 全身に伝わるはずの力が全く感じられない。じわじわとネロを嬲る様に広がるその苦しみの正体がわからぬまま、ネロは迫りくる恐怖に怯えて泣き出し始めた。

 

「だ、誰か……! 誰か、余を助けよ……! 誰でも良い! 誰か、助けを……!」

 

 弱々しい声で助けを求めるネロ。先ほどの少年でも、ずっと自分を視姦していた男たちでも、誰でも良い。誰でも良いから、自分の窮地を救って欲しかった。

 しかし、彼女の声は虚空に消え、誰の耳にも届くことは無かった。段々と弱くなる脈拍を感じながら、ネロは生前の記憶を思い出す。

 

(あの時と、同じ……!)

 

 それは辛い記憶、思い出したくも無い、最悪の思い出。愛していた民衆に反乱を起こされ、帝位を追われ、自刃するしか無いと思わせたあの日の記憶。

 愛してくれていると思っていた。きっと誰かが助けてくれると思っていた。しかし……それは、自分の勘違いだった。

 

(嫌だ……嫌だ……っ!)

 

 自分には何もなかった。愛されていると思っていたそれは、ただの幻影でしかなかった。最後の最後には誰かが手を差し伸べてくれると思っていた彼女の心を根底から覆す出来事は、同時に彼女の人生にも終止符を打つ結果を迎えさせた。

 

(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……!)

 

 自分を愛してくれているはずのソロモンは自分の危機を救ってくれると思っていた。叔父であるカリギュラも、真祖ロムルスも、皇帝カエサルも……自分の事を愛してくれていると思っていた。

 だが、誰も助けをよこしてはくれない。誰もネロの危機に駆けつけてはくれなかった。彼女がこうやって本当に死ぬまで、三日もあったのに……。

 

「いやだ……いやだぁぁ……っ! 誰か、誰か助けて……っ!」

 

 辛い思い出が胸の中に蘇る。同時に恐怖と苦しみがネロを包み、彼女の心を絶望に染め上げた。

 ネロは泣きじゃくりながら段々と弱くなる声で助けを呼び続ける。愛した人を、助けてくれそうな人の名を呼び続けた。

 

「ソロモン様……お助け下さい……! 叔父上、真祖ロムルス、皇帝カエサル……誰か、余を助けて……」

 

 愛したはずだ、彼を、彼らを。なら愛してくれたって良いはずだ、自分の事を。

 助けてくれるはずだ、ソロモンは。だって自分は彼の言うことをずっと聞いてきた。従順に、彼だけの愛を求めて従い続けた。

 だから助けてくれるはずなのだ。愛する主は、自分を救ってくれるはずなのだ。

 

「なんでぇ、どうじで……? 余は、あなたを愛しているのに……なんで助けてくれないのです? 余が、これほどまでにあなたを求めているのに、どうして……?」

 

 だが、ソロモンは現れなかった。彼の息がかかった助けもやって来なかった。彼は、自分を助けてはくれないのだ。

 それを理解した瞬間、ネロの体は急速に死に向かって動き始めた。指先が、体の芯が、徐々に冷たくなって行く感覚にネロは泣きじゃくりながら助けを求める。

 

「エリザベート……余を、助けてくれ……友達なのだろう……? カルデアの者共も余を見ているのだろう? 頼む、助けて……」

 

 ついには敵であるカルデアのメンバーにすがり始めたネロは、この行動が無意味なものであることを理解していた。誰が好き好んで裏切った女を助けるものか。しかもネロは脱走までしようとしたのだ、助ける訳が無い。

 

「たすけて……たすけてよぉ……おねがいします……おねがい、しま……」

 

 無意味だった。無価値だった。自分の新たな生は、今までの行いは、全て何の意味も無いものになってしまった。

 死に足を掴まれ、地獄の底に引きずり込まれるその瞬間、ネロの脳裏には一人の青年の姿が浮かび上がっていた。

 どうせ無意味だと、そうわかってはいた。だが、ネロは彼に助けを求めることを止めることは出来なかった。

 

「助けて……ます、たぁ……」

 

 その一言を最後に、ネロの瞳から光が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?」

 

「ネロ! 良かった、目を覚ましたんだね……!」

 

 その数分後、ネロは再び意識を覚醒させた。自分を抱きしめるマスターの熱を感じた彼女は、ここが天国でもソロモンの城でもないことを悟り、自分が死を免れたことに対して安堵の涙を流した。

 

「あっ、あぁっ、あぁぁぁぁぁんっ……! うわぁぁぁぁぁんっ……!」

 

 敵であるはずのマスターの体に縋り付き、大声で泣き続けるネロの周囲には数名の女英霊の姿もあった。誰もがネロの事を心配そうに見守る中、落ち着きを取り戻したネロがまだ赤い目をマスターに向けて睨みつけながら問いかける。

 

「こ、答えろ……! 余の体に、何をした? なぜ余は死にかけたのだ!?」

 

 自分を死の一歩手前まで追い込んだあの罠、恐ろしい記憶を思い出させ、絶望を引き出したあれは、如何にして引き起こされたものだったのか?

 なんにせよ、カルデアのメンバーたちを許す訳にはいかない……そう思い、怒気を強めて詰め寄るネロに対して、カルデアのマスターたちは得意げになって仕掛けの説明を……始めはしなかった。

 

「それ、は……」

 

「なんだ? なぜ黙り込む!? 余にした事を説明すれば良いだけなのに、何故っ!?」

 

 誰もが顔を伏せ、ネロに対してどう現状を伝えるべきか悩んでいる様な表情を見せている。その光景は、ネロが想像していたものとはまるでかけ離れていた。

 何かがおかしい。何か、自分の予想を超える悪い事態が起きている予感がする……そうネロが考えた瞬間だった。

 

『……切り捨てられたんだよ、君は』

 

「……は?」

 

「だ、ダヴィンチちゃん!?」

 

 突如として声が響いたかと思えば、マスターの隣に青い映像が映し出され、その中に映るダヴィンチちゃんがはっきりとした口調でネロにその事実を突き付けた。

 彼女の言った言葉の意味を理解できないネロに対し、ダヴィンチちゃんはもう一度言葉を繰り返す。

 

『君はソロモンに切り捨てられた。魔力の経路を切られ、一切の魔力供給を行っていない状態にされたのさ。君がこの部屋を出た瞬間に死にかけたのはそう言うことさ』

 

「は、は……? 何を、言って……?」

 

『私たちがここに君を置いたのは、ここがカルデアとの魔力通信が行えてかつ魔力の噴き出ると言う条件を満たした唯一のスポットだったからさ。魔力を供給されなくなった君をこの部屋の中に保護し、そして死なせないために魔力と共に結界で閉じ込めたということなんだよ』

 

「保護……? 死なせない……? ここは、余の独房では無かったのか……? お前たちは、余を助けようと……?」

 

『この部屋の結界を解除すれば、君に注ぎ込まれているカルデアからの魔力は霧散し、君は死に至る……どうだい? 君が置かれた現状は理解できたかい?』

 

「あ、あ……わからん、わからないっ! 余はなにも理解できな……」

 

 頭を抱え、これ以上ダヴィンチちゃんの言葉を聞くまいとするネロには、彼女が言いたいことがわかっていた。その事実から目を逸らそうとするネロであったが、ダヴィンチちゃんの無情な言葉が胸に突き刺さる。

 

『じゃあ、もっと分かり易く言ってあげるよ。()()()()()()()()()()()()()。そして()()()()()()()()()()()()()。そういうことさ』

 

「う……うぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁっっっ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 結界で覆われた部屋の中にネロの慟哭が響く。この状況を予見して防音効果が施されていなければ、この町の住民たちはこの泣き声を聞いて目を覚ましてしまったことだろう。

 愛する主に裏切られたという事実が信じられないネロは首を振って否定の言葉を繰り返す。そんなことはありえないと自分に言い聞かせる様に……。

 

「そ、ソロモン様が余を切り捨てる訳が無い! これはお前たちの策略だ!」

 

『だとしたら、こんな面倒な手を使う訳が無いだろう? 閉じ込めるなら普通に独房に居れるし、逃げだされるかもしれないリスクは犯さないさ』

 

「な、なら! なぜ余にこの事実を早く伝えなかった!? そうすれば、余の心をもっと早く折れたはずだ!」

 

「……ダヴィンチちゃんに頼んでこの問題の対策を行ってたんだよ。早く伝えればネロは動揺して、この部屋から無理にでも出ようとするかもしれないから……だから、伝えられなかったんだ」

 

「そ、ソロモン様は余を助け出してくれようとしたはずだ……そうに決まっている! お前たちが邪魔しなければ、余は今頃……!」

 

「残念ながら……私たちはこの三日間、一度も戦闘を行っておりません。それは町の様子を見てもわかるでしょう? ……私たちも一緒です。カルデアに捕縛された時、ソロモンは私たちの救援を行おうとしなかった……私たちもまた、敗北を咎められてソロモンに切り捨てられてしまったんです」

 

「そ、そんなの……ソロモン様が、そんな非道な事をするわけが……」

 

「するんですよ、あいつは! ……ソロモンは縋り付く私に霊薬と令呪を使って生き地獄を味合わせたんです! 血を延々と吐いて、地獄のような苦しみの中に放り込まれて……マスターさんに助けてもらってなければ、今頃私の心は……っ!」

 

「……そうだ、死ねばいいんだ。死ねば、ソロモン様の下に戻れる! そこで真実を問いただせば!」

 

 ダヴィンチちゃんが、マスターが、牛若丸が、沖田が……自分の言葉を真っ向から否定する。その言葉に反論が出来ないでいたネロは、名案を思い付いたとばかりに自分の死を求めた。

 戻ればいい。戻ればすべてが明らかになる。ソロモンは本当に自分を切り捨てたのか、それを知ることが出来る。早速この部屋から出て死のうとしたネロであったが、その頬をモードレッドに叩かれて床に転がってしまった。

 

「な、なにをする!? 余は、死なねばならぬのだ……!」

 

「……目を覚ませよ、赤セイバー! この状況で戻って、ソロモンがお前を歓迎してくれると思うか? お前はもう、切り捨てられてんだぞ!?」

 

「そ、そんなことない! それを知る為にも、余は戻らねばならないのだ!」

 

「いいや、お前はもう切り捨てられてんだよ! 現実を見ろ! そして考えろよ! ……切り捨てたお前が戻って来たら、ソロモンはどうすると思う? 笑って抱きしめて、お前を迎え入れてくれると思うか?」

 

「う、う……!?」

 

「魔力経路を繋いで貰えず、そのまま延々と苦しんで死んで再召喚されてを繰り返すか、良くて便所行きになるとは思わねえのかよ!?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ネロははっきりとその光景を思い浮かべてしまった。なぜなら、自分にそう告げるモードレッドこそが、その扱いを受けていた張本人だからである。

 苗床として出産し、殺されてを繰り返して来たモードレッド。そんな彼女を監督役として見て来たネロだからこそ、彼女の言うことは理解出来た。

 

「……オレみたいになりたいのかよ? それとも、オレがギリギリで避けられた最悪の事態を迎えたいってのか? もうお前には……ソロモンの下で迎えられる明るい未来なんてねえんだよ!」

 

「あう、あうぅ……あうぅぅぅぅぅぅ……っ」

 

 モードレッドの言葉を聞き、現実を受け入れたネロは激しい頭痛を感じてその場に蹲った。

 頭を押さえて苦しむネロに向けて、ダヴィンチちゃんが静かに言う。

 

『可哀想に……きっとソロモンの力で抑えられていたマイナススキルが再発したんだね……』

 

「私の病弱スキルと同じです……ネロさん……!」

 

 ぐるぐるとネロの世界が回る。目まぐるしく回る世界の中、マスターが悲しそうな表情を浮かべてネロにこう告げた。

 

「ネロ……君は、信じる人を間違えたんだよ。愛しちゃいけない、最悪の人間を愛して、信じてしまったんだ」

 

「あ、あ、あ……!?」

 

 ネロの世界は崩壊した。彼女を取り巻く全てが崩れ去り、終わりを告げ始めた。

 いや、彼女の世界はとっくに終わりを迎えていたのだろう。ソロモンを主と認め、愛したその瞬間に、この結末を迎えることは決定していたのだ。

 

 決して裏切られない道を選んだつもりだった。愛され続ける人生を選んだはずだった。しかし、その選択は間違いだった。

 もうネロがソロモンの下で迎える結末は一つだけ……徹底的に利用され、使い捨てられるだけなのだ。

 

「ゆる、して……」

 

 すべてを理解したネロがまず思ったのは、()()()()()()と言うことだった。生きたいのではなく、死にたくない……このまま、生前と同じ終わり方を、それよりもひどい終わり方を迎えたくはなかった。

 だから彼女は縋り付いた。醜く、浅ましいことだと知りながら、彼女はマスターの足に縋り付いて彼に許しを請ったのだ。

 

「余が、余が悪かった……! もう裏切らない! 良い子にする! だから、余を許してくれ、マスター……!」

 

「ネロ……」

 

「何でも言うことを聞く! お前……貴方様が言うことには全て従う! 家畜にも肉便器にもなる! なんだってするから、だから……余を見捨てないで……!」

 

 裸土下座の体勢でマスターの足元に跪いたネロは、彼の足に舌を這わせて丁寧にそれを舐める。

 絶対的な服従の証として自分の足を舐めるネロの姿を見たマスターは歯を食いしばると……ダヴィンチちゃんから渡されていた首輪をネロに取り付けた。

 

「あ……っ! これ、は……!?」

 

「……ネロ、俺を見て……」

 

「犬か? 余は犬になれば良いのか? 犬になれば、余を見捨てないでくれるのか?」

 

「ネロ、良いから俺を……」

 

「四つん這いになれば良いのか? 脚を上げて小便をすれば良いのか? 耳は? 尾は? どうすれば良い? 余はどうすれば貴方様に見捨てられないで……」

 

「俺の目を見ろ、ネロ・クラウディウス!」

 

「ひっっ!?」

 

 声を荒げ、自分に怒鳴ったマスターの姿にネロは体を縮み上がらせて怯えた表情を見せる。そこには、天真爛漫な本来の彼女の面影はどこにも残っていなかった。

 

「ご、ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい……気分を悪くしたなら謝ります。だから余を見捨てないで……」

 

 びくびくと子犬の様に震え、怯えながらネロが謝罪する。ただ見捨てられ、全てを失うことを怯える彼女は、伸びて来たマスターの手が自分を痛めつけることを覚悟して硬く目を瞑った。

 だが……覚悟した痛みは、やって来ることは無かった。代わりに温かい彼の手で頭を撫でられる感覚を覚え、それに驚いたネロが顔を上げて見れば、自分を見つめる優しいマスターの顔が瞳に映った。

 

「やっと俺を見てくれたね、ネロ」

 

「あ、う……ます、たぁ……余は……」

 

「大丈夫、怒ってなんか無いよ。それにネロを犬にするつもりもない。この首輪は携帯用の魔力補充機で、一日くらいならネロがこの部屋から出ても大丈夫な様にするための物なんだよ」

 

「そう、なのか……?」

 

「うん……大丈夫だよ、俺はネロを見捨てたりなんかしないからね……だから、落ち着いて良いんだよ……」

 

 裸の体にマスターが纏っていた羽織を被せられたネロは、久々に感じる他人の温もりにわずかに落ち着きを取り戻す。ネロの瞳に光が戻ったことを見て取ったマスターは、彼女の頭を撫でながらじっくりと言い聞かせた。

 

「ネロ……今からネロの事を助け出すから、俺の言うことをちゃんと聞いてね? 大丈夫、ネロが良い子にしてれば、酷い事なんかしないからさ……」

 

「……わかり、ました……」

 

 温かい彼の言葉に心をときめかせたネロが熱を帯びた吐息と共に答える。頬を染めた乙女の表情になったネロの事を抱きかかえたマスターは、そのまま自分たちの住む屋敷へとネロを運んで行く。

 

「大事にするからね、ネロ……安心して良いんだよ……!」

 

「ん……くぅ……っ♡」

 

 月光に照らされたマスターの横顔にどうしようもなく胸を弾ませながら、ネロは彼の腕の中でその温もりを享受し続けたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

再臨の薔薇(ネロ)















 


「……さぁ、始めるよネロ。覚悟は良い?」

 

「う、む……」

 

 屋敷に連れられて来たネロは体を洗った後でマスターと同じ寝所にやって来ていた。当然、自分は裸であり、マスターもまた下着一枚だけの姿になっている。

 これから彼に抱かれることを覚悟したネロは布団の上に座ってその時を待ち続けていたが……落ち着いた彼女の脳内には、一つの黒い欲望がむくむくと湧き上がっていた。

 

(もしここでこやつを消すことが出来たのならば、ソロモン様は再び余を迎え入れて下さるのでは無いか……?)

 

 二人きりの部屋の中、今ここでマスターを暗殺することは不可能ではない。もしも彼を殺すことが出来たのならば、それはソロモンも大喜びするであろう手柄になるだろう。

 そのチャンスが目の前にある……もう一度主に愛して貰える絶好の機会を見つけ出したネロはゴクリと唾を飲み込むと、最良のタイミングを探り始めた。

 

(……口吸いの時ならば助けを呼ばれることも無い。唇を重ねた瞬間、こやつを殺してやる!)

 

 胸の内に冷たい殺意を固め、その時を待つ。性交の始まりを告げる口付けの時はすぐにやって来るだろう。

 その予想に違わずネロの肩を掴んだマスターは、ゆっくりと自分の顔をネロへと近づけて来る。唇と唇を触れ合わせる口付けの瞬間を迎えたネロは、腕を振り上げて手刀を繰り出そうとしたが……

 

「んっ!? んんっ!?!?」

 

 その前にマスターに体を抱きしめられ、腕を振り上げられなくなった事でその目論見は失敗してしまった。それどころかがっしりと捕まえられた体を愛撫され、熱いキスの感触と共に快感を味合わされるばかりだ。

 

「ん~っ♡ んっ♡ んん~~っ♡」

 

 にゅるりと舌を絡め捕られ、そのまま口の中全体を舐められる。自分の知らない温かい口付けを教えてくれるマスターに対して恍惚とした表情を見せたネロは、その快感に酔いしれながらくぐもった喘ぎを上げ続けた。

 

「んへっ♡ へはぁ……っ♡」

 

「キスだけでトロトロに蕩けた表情になっちゃって……ネロ、敏感なんだね?」

 

「ひゃうぅぅっ♡」

 

 キスを終え、荒く呼吸を繰り返すネロの耳元で囁いたマスターはネロの豊かな乳房を鷲掴みにした。

 力強く自分の双房を揉むマスターの手の中でネロの乳はぐにゅぐにゅと形を変えている。その度に彼女の脳内には電撃が走り、頭の中が快感で真っ白になって行った。

 

(あ、あ、あ、愛撫を終えたら、隙も出来よう……そこで、こいつを殺すのだ……っ!)

 

 キスの際に失敗した暗殺計画を頭の中で再び企てるも、すぐに胸への愛撫によって与えられる快感によってその考えは押し流されてしまった。

 胸全体を揉む動きから敏感な先端部分を弄る動きに責めを変えたマスターは、ネロの乳首をコリコリと弄った後でそれを抓り、思い切り自分の方へと引っ張った。痛みと共に感じる鋭い快感に口を大きく開け、ネロは叫び声を上げる。

 

「あぁぁぁ~~っ♡ んあぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 乳首を摘まんだマスターはそれを円運動させる様に振り回し、ネロの乳房全体を支配する。激しい責めによって与えられる快感の中には僅かな痛みも有るが、それがまた大きな快感を引き出すスパイスになっていた。

 

「んひぃぃぃっ♡ ちきゅびっ♡ むねぇぇっ♡ そんなにふりまわすなぁぁぁっ♡」

 

 自分の我慢出来る領域を遥かに超える快感を与えられたネロが耐えきれずに叫ぶ。女の虐め方、感じさせ方を熟知しているマスターに愛撫されたネロの乳は、彼女の意思とは関係なく屈服してしまっていた。

 先ほどよりも更に大きく、硬くなったネロの乳首を重ね合わせたマスターはそれを自分の口の中に放り込む。甘噛みし、吸いつき、舌で弄ってやれば、ネロは体を仰け反らせて感じ始めた。

 

「あひぃぃぃっ♡ あひっ♡ ひぃぃんんっ♡ ちくびらめぇっ♡ そんなにすっちゃだめだぁっ♡ あっ♡ あっ♡ まんこだめっ♡ けつまんこだめぇっ♡ いまいじられたらイクっ♡ すぐイクにきまってるからっ♡ だめだめだめだめっ♡ だめぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 両の乳首を口の中で弄られ、その多大な快感にネロは喘ぐ。だが、マスターの責めはそこで終わりはしない。胸への愛撫で浮き上がったネロの腰に手を伸ばしたマスターは、ネロの双穴に手を伸ばすとそこも弄り始めたのだ。

 中指と人差し指の二本の指をぽっかりと広がった穴の中に突き入れる。そのまま激しく振動するネロの二つのまんこの中で動き回らせ、彼女の感じるポイントを探り始めた。

 

「らめぇぇぇぇっ♡ イクっ♡ いぐぅぅぅぅっ♡ もうイってるっ♡ イキまんこをいじりゃないれぇぇっ♡ けつまんこもこすっちゃだめえぇぇぇっ♡」

 

 全身の敏感な部分を弄られたネロは首を大きく振って涙目になりながら哀願した。しかし、その言葉とは裏腹に彼女の体はマスターの指を悦んで迎え入れている。

 弱い部分を擦られればびくりと振動し、彼に自分の弱点を記憶させる。引き抜こうとする指をきつく締め付け、決して穴の外に出さぬ様にして愛撫を受け入れ続けている。

 胸同様に彼女の下半身もまたマスターに降伏してしまった。その事にも気が付けない程に感じるネロは、歯を食いしばりながら一際大きな絶頂を迎えて体を痙攣させる。

 

「いぐぅぅぅぅぅぅっ♡ イキまんことけつまんこがまたイクぅぅぅぅっ♡ はへぇぇぇぇぇぇぇっ♡ んえぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 ぶしゅうっ♡ と激しい音を立てて繰り出されるネロの潮吹き。弛緩した穴からようやく指を抜き出したマスターは、快感で朦朧としているネロの脚を掴んで自分の肩にかけた。そして、彼女の顔辺りに自分の肉棒が来るように体勢を整える。

 いわゆるシックスナインの体位になった二人は相手の性器を目の前にした状態で状態となり、お互いの放つ雄と雌の臭いにそれぞれの反応を見せた。

 

「はぅ……♡ うぅんんっ……♡」

 

 下着の上からでもわかる濃厚な雄の臭い。マスターの肉棒が放つその臭いに当てられたネロは、知らず知らずのうちに舌を伸ばしていた。

 そんな彼女の性器の臭いをたっぷりと鼻に吸い込んだマスターは、ニヤリとした笑みを浮かべながら彼女に言う。

 

「……ネロのエッチな姿を見てたら俺も我慢出来なくなっちゃった。口で慰めてもらって良いかな?」

 

「あ、あぁ……!」

 

 やはりシックスナインをするのだと思ったネロは、またしてもやって来たチャンスにほくそ笑む。性器を口に含むふりをして、そのまま噛み千切ってやるのだ。

 この体勢なら抵抗の仕様も無いだろう。そう考えたネロはマスターの性器を露出させるべく彼の下着に手をかけ、それをずり下ろし……そして、絶句した。

 

「う、ぁ、ぅ……♡♡♡」

 

 まず最初に感じたのは臭いであった。先ほどからずっと嗅いでいた雄の臭いが更に濃厚になり、それを鼻腔から吸い込んだネロの事を恍惚とさせる。あまりにも強い雄の臭いを嗅いだネロは、それだけで軽く絶頂してマスターの目の前で愛液を垂れ流した。

 

 次に肉棒の大きさに驚いた。何度も咥え込んだソロモンの物よりも大きく、硬く見えるその肉棒は、ビクビクと脈打ってネロの前に顕現している。

 股間に魔神柱が出現したと言っても過言では無いほどの逸物を見せつけられたネロは、最後にそれを咥え込むことを期待している自分に気が付いた。

 

(こ、こんなものを、どう相手をすれば良いのだ……?)

 

 噛み千切ってやろうと思っていたそれの規格外さに驚くネロであったが、一応と言った様子で口を大きく開けて肉棒を咥え込んだ。

 あとは歯を立てて噛みついてやるだけなのだが、肉棒を口にしてしまったネロにはそんな余裕はまるで存在していない様で……。

 

(むっ、無理だっ! こんなに大きくて硬いおちんぽ、噛み切れる訳が無いっ! 文字通り歯が立たないっ! それどころか余の顎が外れてしまうっ!)

 

 咥えた肉棒は鋼の様に硬かった。その硬度と熱量を感じ取ったネロは、一瞬にしてそれを噛み切ることを諦める。

 であるならば、一度射精させて萎えさせるしかないだろう。萎えた肉棒を噛み切ってやろうと考えたネロは自慢のテクニックを駆使してマスターの肉棒を責め立てた。

 

「じゅぅぅっ♡ ずるるるぅぅっ♡ じゅぼぉっ♡ じゅぷぅぅぅっっ♡」

 

 ソロモンに教え込まれたバキュームフェラ。肉棒を吸い上げ、口の中をきつく締めての奉仕を受けた男は、あっという間に達してネロの口の中に射精していったものだ。

 そして一度射精してしまえば最後……敏感になった肉棒を最後まで吸い上げられ、精魂尽き果てるまで射精する他に道はない。

 舌を絡ませ、無様なひょっとこ顔を晒し、大きな音を立てて肉棒に吸いつくネロ……だがしかし、彼女の懸命の奉仕を受けても、マスターは悠々と彼女の体への愛撫を止めることは無かった。

 

「んっ……ネロ、頑張ってくれてるね! これは俺もちゃんとお返しをしないとなぁ!」

 

「!?!?!?」

 

 マスターの舌が自分の膣内に潜り込む感覚にネロは大きく目を見開いた。更に彼の指が自分の淫核を摘まんだことに気が付き、体を強張らせる。

 ぐちゅり、ぐちゅりと音を立てて動くマスターの舌は、先ほど探り出したネロの感じる部分を的確に責め立てていた。加えてクリトリスを摘ままればそれだけで絶頂してしまうのだ。もうネロは彼に成すが儘にされるほか無かった。

 

(うそだぁ……っ♡ こんな……余が、こんなふうにかんじさせられれてしまうなんて、うそだよぉ……っ♡)

 

 肉棒に奉仕をする余裕も、何かを考える余裕も無かった。ネロはただ彼の愛撫に感じさせられ、体を震わせるのが精一杯だ。

 だが、彼女の口は違った。未だに変わらず肉棒に吸いつき、懸命のフェラチオを続けているのだ。

 もはやそれはただの反射だった。自分を気持ち良くしてくれる圧倒的な強者に対する媚び、自身の雌の部分を刺激されたネロの口もまた、彼女の意思とは関係なくマスターに忠誠を誓って奉仕を続けているのだった。

 

「んじゅぅぅぅぅっ♡ じゅぅぅぅっ♡ じゅぽぉぉぉっっ♡」

 

「ぐっ……! ネロ、そろそろ……射精()すよっ!!!」

 

 そうした状態でたっぷり十数分経ち、ネロが両の手の指でも数えきれないほどの絶頂を迎えた頃……ようやく、マスターは一回目の射精を迎えようとしていた。

 彼の言葉にネロも意識を覚醒させてその時を待つ。萎えた彼の肉棒を噛み千切る、その思いだけを胸に……。

 

「う、おっ……! ネロっ! 射精()るっ!!!」

 

 口に咥えた肉棒の根元から精液が駆け上って来る感触がした。待ちに待ったその瞬間を迎えたネロは彼の精液を口の中で受け止め……切れなかった。

 

「うぼぉぉぉぉぉぉっっ!!!???」

 

 一瞬で口の中が満杯になる。受け止められなかった精液が口の中から飛び出し、布団に白い染みを作る。

 まるでハムスターの様に頬をぱんぱんにしたネロは口の中一杯にマスターの精液を頬張りながら目を白黒させていた。

 

(ありえにゃいぃぃっ♡ こんな凄い射精っ♡ 受け止めきれないぃぃっ♡)

 

 喉に絡み、飲み込むことが困難なほどの濃さを持つ精液。それがおびただしく口の中に放たれ、雄の臭いを充満させるのだ。

 ネロも必死に飲み込んではいるが、それでも射精された量が多すぎる。しかもまだ射精は終わっていない、まだまだネロの口の中に精液は送り込まれてくるのだ。

 そして何より、これほどまでの射精を披露しながらもマスターの肉棒は一切萎えていなかった。どんなに頑張ってもこれを噛み千切ることなど出来る訳が無い。そう考えたネロの頭の中は、精液の臭いによって与えられた不思議な感覚に染め上げられていた。

 

(凄い、おちんぽ……♡ おっきくって、逞しくて、男らしい、立派なおちんぽ……♡)

 

 子宮が、アナルが、自分の中の雌が……疼く。この素晴らしい肉棒に屈服したくなってしまう。

 ごくごくと喉を鳴らして精液を飲み込むネロの行動はほとんど無意識の物であった。それでも体はマスターの精液を受け入れ、濃厚な魔力を取り込める幸せに対する反応を見せる。

 ネロの全身が脱力しながらも彼とのシックスナインの体位を崩すことは無い。緩んだのはネロの心と……二つの穴であった。

 

―――じょろろろろろろ……♡

 

―――ぷぅ♡ ぷぴぷぅぅっ♡

 

(あっ……♡)

 

 緩んだ尿道から小便が漏れ、彼の体を伝って自分の眼前まで下って来る。開いた肛門からは屁が飛び出し、彼の顔面へと吹きかけられた。

 女性として恥ずべき姿を晒しながら彼の体を汚してしまったネロは、厳しい仕置きを受けることを覚悟して目を瞑った。しかし、マスターはそんなネロに対して痛みは与えず、ただ彼女の性器とアナルに舌を這わせ、鼻を引くつかせただけだ。

 

「ふふ……黄色くて健康的なおしっこだったね。おならの音も綺麗で、ちょっと臭かったけど可愛かったよ」

 

「~~~~っっ!?」

 

 恥ずかしく、汚い姿を褒められたネロの胸がときめく。あんな惨めな姿を愛して貰えたことに不思議な幸福感を感じたネロは、口の中に残った精液を全て飲み干して口から彼の肉棒を吐き出した。

 

「……さて、そろそろ本番を始めようか。ネロも準備は良いよね?」

 

「あ……♡」

 

 猛々しい肉棒に視線を落とし、先ほどの射精を思い出したネロは身震いをした。

 あんな大量の精液を子宮に注がれてしまえば、間違いなく自分は堕ちてしまう。射精だけはさせてはならない。それだけは駄目だ。

 

(……挿入だ。挿入された瞬間に攻撃を仕掛けよう……そうすれば、逃げることも出来ないだろう……)

 

 ぼやけた思考を働かせてそれだけを考える。攻撃のタイミングは挿入された瞬間だ。彼と一つになり、逃げることが困難になった瞬間に攻撃を仕掛けるのだ。

 

(挿入されたらすぐに攻撃……おちんぽ挿れられたらすぐに仕掛ける……)

 

 頭の中でその言葉を繰り返すネロ。体は彼の言うことに従って動き、肉棒の真上に腰を浮かせている。

 

(おちんぽ来たらすぐに……攻撃を……すぐに、すぐに……♡)

 

 亀頭が膣の入り口に触れる。その熱、感触、雄々しさに子宮が疼き、降伏した体がマスターの肉棒を歓迎する準備を始める。

 既に堕ちた体に引きずられるようにネロの思考もまた蕩けてしまっていた。膣の肉を割り裂いてマスターの肉棒が侵入して来たその瞬間、ネロの思考は快楽一色に染め上げられ、殺意は雲散霧消する。

 

(おちんぽ挿れられたらすぐに……イクっっ♡♡♡)

 

「おごぉぉぉぉほぉっ♡♡ ほっぉぉぉっ♡ ぉぉ~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 屈服した全身が、媚び切った膣が、蕩けに蕩けた子宮が、耐えきれる筈がなかった。

 迎えるはずだった攻撃の時は絶頂の二文字に書き換えられた。一突きで子宮まで押し上げられた挿入の激しさに喘ぐネロは、無様な表情を晒して膣と体を痙攣させている。

 

「はひぁっ♡ あへっ♡ あへぇぇぇぇぇ……っ♡ ほへぇぇぇ♡ ちんぽ、ちんぽぉ……♡」

 

 鼻を大きく膨らませ、白目を剥き、舌を放り出すアクメ顔を晒すネロ。今の彼女の姿には、華の皇帝と呼ばれた頃の面影はまるでなかった。

 じゅくじゅくに快楽に漬け込まれたネロの体はマスターから与えられる快感を待っている。だがしかし、マスターは意地の悪い笑みを浮かべるとネロへとこう告げる。

 

「……ねえ、ネロってばセックス中に俺のことを何回も殺そうとしてたでしょ?」

 

「へ……っ!?」 

 

「バレて無いと思ってた? ……あんなに殺気を漏らしてたら俺にだってわかるよ。ネロはそんなこともわかんなくなっちゃってたんだね」

 

「あ、あ……!? ごめ、ごめんなさい……ゆるし、許して……っ」

 

 マスターに自分の思考を読み切られていた事と体を支配されている事に怯えたネロが涙を流して許しを請う。ようやく体に追いついた思考は彼に屈服し始めていた。もう彼に逆らう選択肢などネロには無い、本当の意味で、彼女はマスターに従い始めているのだ。

 だが、それよりも早く自分は捨てられてしまうかもしれない……その恐怖に怯えるネロは必死になってマスターに謝罪の言葉を口にし続ける。マスターはそんなネロの両手を掴むと頭上で重ねさせ……冷酷な笑みを浮かべて言う。

 

「ネロは悪い子だね。そんな悪い子には、お仕置きをしないとね……!」

 

「ひゃうぅぅっっ♡♡♡」

 

 頭の上で両手を重ねられ、それを押さえつけられて抵抗を封じられたネロは、自分の乳房を叩かれる感覚に叫び声を上げた。

 右から左へ、左から右へ……マスターの手で与えられる己の乳への往復ビンタは、乾いた音を響かせながら延々と続けられた。

 

「まだネロはソロモンの事が大好きなんだね? あんな酷い男のことが、好きで好きで堪らないんだね?」

 

「ああっ♡ んあぁぁっ♡ ごめんなさいっ♡ ごめんなさいっ♡」

 

「おっぱいビンタされながらソロモンの事を考えてるんでしょう? さっきまでのセックスの時も、ずっとソロモンの事を考えてたわけだ? 酷い娘だね、ネロは……」

 

「ごめんなさいぃっ♡ ゆるしてぇ……っ♡」

 

 乳房を張られることに対して痛みはない。むしろ快感の方が強く、激しいばかりだ。

 ネロが辛く思っているのは彼への裏切りに対する罪悪感……優しい彼にここまでさせる自分の非道な行いに対する馬鹿らしさが、ネロのことを責め続けていた。

 

(なんであんな酷い奴のことを好きでいるのだ……? 余のことを愛してくれているマスターが、余のことを気持ち良くしてくれているというのに……!)

 

 自分のことを抱いてくれるマスターの行いは、間違いなくネロへの愛情から来るものだ。打算と彼女の持つ戦力、そして体目当てであるソロモンとは雲泥の差がある。

 さっきだってそうだ、屁と尿を体に引っ掛けた自分のことをマスターは笑って許してくれた。ソロモンに同じことをしたならば、間違いなく体を引き裂かれて殺されていただろうに……。

 

「ごめんなさいぃ……♡ 余のこと、大事にしてくれるマスターを裏切ってごめんなさいぃっ♡ 余のことを愛してくれないソロモンなんかの為に、マスターを殺そうとしてごめんなさいっっ♡ もうソロモンのことなんて忘れるからっ♡ ソロモンなんかよりもずっとマスターのことを大好きになるからっ♡ だから余のことを見捨てないでっ♡ 余にマスターの傍に居させてくださいっっ♡」

 

 ネロは自分の愚かさを後悔し、涙を流してマスターに謝罪した。つくづく自分は馬鹿であったと思いながら全身を震わせる彼女の口からは、紛れもない本心が言葉となって飛び出している。

 ネロのその謝罪の言葉と涙を見たマスターはそこでようやく手を止めると、ネロの瞳を真っすぐに見ながらこう言い聞かせた。

 

「……反省した? もう悪いことはしない?」

 

「ひっく、ぐすっ……し、しないぞっ……余は、マスターのことを愛する女になるぞっ!」

 

「ソロモンの大馬鹿野郎って今すぐ言える?」

 

「そ、ソロモンの大ばか……う、うぅっ……ま、待ってくれ! 今は言えないけど、余を見捨てないで……っ!」

 

 淫紋令呪に心を縛られているネロはソロモンのことを馬鹿にしようとしてもとてつもない罪悪感に襲われてそれを口にすることは出来ないでいる。このままではマスターに捨てられると怯えたネロに対して、マスターは優しく語り掛けて彼女の尻を掴んだ。

 

「……今すぐには難しいよね。じゃあ、整理する時間を上げるよ。今から100回、俺はネロのお尻を叩くよ。その間にソロモンへの思いを断ち切ってね」

 

「え……? そんなの、どうやれば……?」

 

「さぁ? どうやるんだろうね……? じゃあ、このスパンキングの間に生まれ変わってね、ネロ……!」

 

「ま、待って……! ひゃうっ!?」

 

「い~ち……に~い……さ~ん……」

 

 突然の宣告を受けて動揺するネロは、宣言通りに尻を打たれてその痛みに目を見開いた。

 丸く白いネロの尻を容赦なく張るマスターに若干の恐怖心を抱きながらもネロは必死になってソロモンへの思いを断ち切る方法を探し出す。しかし、そう簡単に答えが出る訳も無かった。

 

(ど、どうすれば良い……? このままでは余は、捨てられてしまう……!)

 

 このままソロモンへの思いを捨てきれなければ、今度こそマスターに見放されてしまう。その恐怖に怯え、縮こまるネロであったが……そんな彼女に対して、スパンキングを続けるマスターが驚きの行動を起こした。

 

「きゅ~う、じゅ~う……俺はネロの事、大好きだよ。我儘な暴君でも、沢山笑うネロのことが俺は好きだな」

 

「へっ……? ます、たぁ……?」

 

「じゅ~いち、じゅ~に、じゅ~さん……」

 

 一瞬だけ聞こえたマスターの愛の囁きにネロは驚きの表情を見せた。なおもスパンキングを続けるマスターの言葉を聞き逃さぬ様に集中するネロの前で、マスターは再び彼女の求める言葉を口にする。

 

「じゅ~く、に~じゅうっ! ……もう一度言ってあげるね。ネロのこと、大好きだよ。だからもう迷ったりなんかしないでね」

 

「は、ぅ……はぁぁぁぁぁっ……!」

 

 聞き間違いでは無かった。十回自分の尻を叩く毎に、マスターはネロに対して愛の囁きをかけてくれている。彼女が望む、愛の証を自分に捧げてくれているのだ。

 甘い囁きと激しいスパンキング。その双方を交互にネロに繰り出すマスターは、期待するネロに三度愛の言葉を投げかけた。

 

「さんじゅうっ! ……悪い子のネロだけど、ネロは素直だから自分の悪い所を反省出来るよね? そう言う所も俺は好きだな」

 

「あ……♡ 余も、マスターのことが大好きだ! マスターのことを愛しているぞ!」

 

 はたとネロは気が付く。彼が自分に愛を捧げてくれているのなら、自分もまた同じ様に愛を捧げるべきなのだろうと。

 胸の内の思いを言葉にしてきちんとマスターへと告げれば、彼はふわりと微笑んでネロの頭を優しく撫でてくれた。

 

「ありがとう、ネロ……でも、お仕置きに手加減はしないからね?」

 

「ひゃうぅんんっ♡♡♡」

 

 パシン、パシンと音が響く。尻を張られる痛みが薄れ、段々と別の感覚がネロの尻に湧き上がって来る。

 自分は愛されている。この仕打ちは、マスターからの愛の鞭なのだ。本当に自分を愛してくれているからこそ、マスターは自分をこうやって叱り、導いてくれているのだ。

 愛する我が子に、子犬にそうする様に自分を躾けてくれるマスターへの思いが徐々に高まっていくと同時に、スパンキングの痛みが快感へと変わっていく。尻を張られ、被虐的な快感を得ると同時に子宮まで響く激しい快感をもネロは得ていた。

 

(凄い、ちんぽだ……♡ 尻をぶたれる度にまんこの中のちんぽのことをはっきりと自覚してしまう……♡ このデカちんぽを飲み込んでいる余のまんこが、嬉しさに打ち震えておるわ……♡)

 

 ビクンッ、と体が震える。四肢をマスターの体に絡め、膣をきつく締めて深く繋がり合う。

 彼の胸に顔を埋め、ただひたすらに尻をぶたれることへの快感と感謝を享受するネロは、マスターの愛の囁きにも丁寧に返事をしていた。

 

「ネロ、俺のことが嫌い? まだソロモンの所に戻りたいの?」

 

「そんなことは無いぞ……♡ 余はもう、身も心もマスターの女だ……♡」

 

「でも俺を殺せばソロモンはネロを褒めてくれるかもしれないよ? ソロモンに褒められたくないの?」

 

「あんな男の打算的な褒め言葉など何の価値もない……余が求めるのは心の奥底からの愛、それはそなたが与えてくれたではないか……♡」

 

「お尻をぶったり、おっぱいをビンタした俺のことを怒ってないの? 痛い目に遭わせたことを許してくれる?」

 

「何を言うか? その行動はそなたの愛だということは余にもわかっておる……余を愛するが故に余を諫めてくれたそなたこそ、真の忠臣にして余の一番の理解者であるぞっ♡」

 

「でもさネロ、ソロモンは……」

 

「ああ、もう! じれったいっ!!!」

 

 ソロモンの名を口にするマスターに嫌気がさしたネロは、その口を自分の口で塞いで彼の言葉を途切れさせる。にちゅにちゅと舌を絡めてディープキスをした後、唇を離したネロは頬をぷくりと膨らませてぶーたれた。

 

「何故、愛するそなたとの甘い蜜月の時にあんな租チン野郎の名前を出すのだ……? 余は、そなただけを見ておる。何も心配することは無いのだぞ?」

 

「ふ、ふふ……っ! そうだね、その通りだ。ごめんね、ネロ」

 

「分かれば良い! ……では、その分もしっかりと余を愛すが良い! 余もそなたの愛に全霊を以って応えよう!」

 

 先ほどまでの卑屈な態度はどこへやら、明るく天真爛漫な笑みを取り戻したネロは、闊達な態度でマスターへと声をかけるとぎゅっと彼に抱き着く。

 大きな胸を彼に押し付け、両手で尻を抱えて貰いながら、ネロは嬉しそうに腰をかくかくと震わせた。

 

「凄いちんぽだな、マスター……♡ この立派なちんぽで余を貫き、至高の快楽を与えてくれることを褒めて遣わす! ……褒美として、余の膣に射精することを許すぞ? と言うより、むしろ射精してくれぬと泣くからなっ♡」

 

「はいはい、わかってるって……俺だって中途半端な我慢は出来ないよ。全部全部、ネロの中に出すからねっ!」

 

「うむっ♡ それでこそ余の認めたマスターだっ♡」

 

 がっしりとネロの尻を掴んだマスターは、腰を大きくグラインドさせて力強いストロークを繰り出した。何度も何度もネロの膣を穿ち、激しく腰を打ち付けていく。

 むんずと掴まれたネロの尻はスパンキングの跡で真っ赤に染まり、腫れ上がって一回り大きくなっていた。ぶるぶる震える尻肉を揉みしだかれることに快感を感じるネロは、舌をマスターの首筋に這わせながら喘ぐ。

 

「あっ♡ すごいっ♡ ちんぽすごいっ♡ さすがはますたぁっ♡ 余のマスターだっ♡」

 

「ん……! ネロの中もすごく気持ちいいよっ! びくびく激しく痙攣してるのに俺のことを優しく包み込んで……トロトロに蕩けてるっ!」

 

「んっ♡ へぇっ♡ んへぇっ♡ ふ~っ♡ ふ~っ……♡ ふふふ……♡ 余を何度イかせたら気が済むのだ? 余はもうそなたにメロメロだと言うのに……♡」

 

 子宮をぺちゃんこに押し潰され、尻肉を強い力で握り潰され、胸も自らマスターの体に押し付けて潰して……ネロは、全身を彼に圧縮されるようにして愛されていた。

 柔らかい体はもう全て彼に屈服した。心も体も彼に愛されることを望んだネロは、本来の自分を取り戻すきっかけを作ってくれたマスターに感謝の言葉を述べる。

 

「マスター♡ 愛する我が奏者よ……♡ そなたの愛に包まれ、余は本当の意味で目覚めることが出来た……♡ この感謝の思いは、これからの余の行動で示させてもらおう……♡ 清らかなる愛、激しく燃え盛る愛、永久の愛……その全てをそなたに捧げ、愛し続けることを誓うぞ……♡」

 

「……ありがとう、ネロ……じゃあ、俺からもこれをあげるよ」

 

 尻を掴んでいたマスターの手が、ネロの左手を掴む。もう片方の手で何かを取り出したマスターは、それをネロに見せつけてからそっと彼女の指にそれを嵌め込んだ。

 

「これは……指輪、か……?」

 

「指輪型の魔力補充装置だよ。こんなので申し訳ないけど、雰囲気は出るかなと思ってさ……」

 

「ふ、ふふふ、ふふふふふ……♡ 良い、確かにデザインも形も余の好みではないが、今の余には過ぎたる物だ……奏者からの結婚指輪(エンゲージリング)、確かに受け取ったぞ」

 

 胸の内に生まれる確かな幸せが、感じる快感を強くした。一度止まった腰の動きを再開させながら、ネロは蕩けた表情を浮かべ、そして……

 

「あっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~っっ♡♡♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねえ、レオナルド。君、何か隠してるだろう?」

 

「ん~? 隠してるって、何をだい?」

 

「例えば……ネロちゃんは本当はソロモンに見捨てられてない、とか……」

 

 鋭い同僚の指摘に悪戯っぽい笑みを浮かべながら、ダヴィンチちゃんは否定も肯定もせずにロマニから背を向けた。彼女(彼)のその反応を見たロマンは溜息をつくと、呆れた様子でダヴィンチちゃんを問い詰める。

 

「君なんだろ? ネロとソロモンの繋がりを断って、彼女を孤立させたのは……その為にあんな独房を作って、時間を稼いだんじゃないのかい?」

 

「ん~……半分正解かな? 私がやったのは、ソロモンからの魔力を一時的にシャットアウトして、代わりに与えていた魔力でネロちゃんを中毒状態にしたってことだけさ。後はちょっと作り話をして、みんなを乗せたってだけだよ」

 

「あのね……それ、結構問題あるからね? 今回は上手くいったけど、次はどうなるか……」

 

「まあまあ、良いじゃあないか! 上手くいったんだしさ! ほら、ネロちゃんだって気持ち良さそうだろう?」

 

 ロマニの追求から逃れる為にモニターを指さしたダヴィンチちゃんは、そこに映るネロの様子を観察しながら話題を逸らそうとした。

 ネロの膣への射精を終えたマスターは、彼女に促されるままに尻穴での二回戦を行おうとしている。白濁液を性器から噴き出させるネロの表情は、今までに無いほど快楽に染まっていた。

 

「……まったく、君って奴は本当に食えない奴だよ……」

 

「ふふふ……まあ、ソロモンの前科を利用したまでのことさ。少年少女には悪いけど……()()()()()んだよ」

 

 全てを自分の掌の上で転がした万能の天才は、思い描いた図が完成したことにほくそ笑んでからモニター作業へと戻っていったのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ダ・ヴィンチちゃんねる 夜の語らい 1スレ目

―――ようこそ、男子禁制の女の花園『ダ・ヴィンチちゃんねる』へ!

 

 このサイトでは管理人であるレオナルド・ダ・ヴィンチちゃんの目の下、女性英霊たちの秘密の会合が可能です。

 

 主にエロ目的の話し合いになると思いますが、このサイトのログは決して外には出しません。女性英霊の皆様は安心してぶっちゃけトークを行って下さい。

 

 このサイトには事前に配布した端末からならばどこからでも接続可能です。たとえ特異点であろうとも可能です。そう、ダ・ヴィンチちゃん製の端末ならね。

 

 なお、チャットの際には匿名表記の為に管理人の命名したハンドルネームが表示されます。ご理解のほどをよろしくお願いします。

 

 では、素敵な夜の語らいをお楽しみください……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お尻ールダー:テスト

 

お尻ールダー:問題無く接続を確認、書き込みも完了しています。しかし、この名前は……

 

エロタイツ師匠:考えるだけ無駄だろう。そう言う物と割り切れ

 

元おぼこ娘:これ、SNSとかとはどう違うの? 写真載せられる?

 

くっころ騎士:そういうもんじゃねえだろ

 

くっころ騎士:くっころってなんだ?

 

最強淫乱看護婦:広く意見を求められる場を作ることは素晴らしいと思います。大いに今後の活動や治療に役立てたいですね

 

牝馬の乳上:しかし、役立てると言われてもどうすれば良いのか……?

 

雌犬丸:ここは主殿に聞くのが良策かと!

 

お尻ールダー:先輩に聞いたら男子禁制のルールが破られてしまいます! やめて下さい!

 

余だよっ;やはりここは余が纏めねばならんなっ!

 

野獣メイド:暇だ。お前たちは良いな。ご主人に毎晩抱かれてあんあん言っているのだからな……

 

エロタイツ師匠:その気持ちはよくわかるぞ。フランスの時は私もそうだった

 

元おぼこ娘:やっぱ好きな人と離れ離れって苦しいもん?

 

野獣メイド:体を持て余す。オナっても疼きが治まらない。死ぬ、そろそろご主人のニンジンが欲しい

 

性女(長女):もうそろそろ最終決戦ですから……

 

性女(次女):帰ったら優先的にヤらせてあげるからもう少し我慢なさい

 

性女(三女):わたしさんじょなんですね! わーい!

 

ギャグセイバー:話は変わりますけど、淫紋令呪の再臨ってどうすれば行えるんですか? 見た所、マシュさんのは物が違う様な気がするんですけど?

 

余だよっ:意外な奴が真面目な話を始めたな!?

 

ギャグセイバー:なんですかその言い様は!? おき……私だって普通の話くらいしますよ!

 

エロタイツ師匠:正直私も気になる。まだ私も再臨を果たしていないのだ。その原因が私にあるのか、それとも夫の方なのかがわからん

 

元おぼこ娘:アタシもそう。でも、なんかそろそろな気がするのよね~

 

性女(次女):ぶっちゃけ、ヤれば良いとしか言い様が無いわ。私たちもいつの間にかなってた感じだし……

 

野獣メイド:我を忘れる位に乱れれば良いのカ?

 

お尻ールダー:はっきりとは言えませんね。私の場合『先輩の女になったと言うことを自覚した事』が直接の原因だと思います

 

元おぼこ娘:難しいのね……

 

最強淫乱看護婦:風邪の症状が千差万別である様に、再臨の条件も個人個人で違っているのではないでしょうか?

 

牝馬の乳上:各個人がそれぞれの形でマスターへの思いを強めれば再臨する……と言う感じでしょうかね?

 

余だよっ:その場合、余はもう最終再臨をしている自信があるのだが!?

 

お尻ールダー:複雑なんだと思います。私も最初から先輩のことを大切に思っていましたが、現在の方がもっと深く愛情を抱いていると言えるでしょう。多分、自分も知らない様な感情を覚えた時に再臨が進むのではないでしょうか?

 

くっころ騎士;流石は唯一の第三再臨まで行ってる奴の意見だな! 参考になるぜ!

 

牝馬の乳上:再臨によって習得するスキルも強力な効果を持っています。私たちも率先してその条件を探るべきでしょう

 

性女(長女):絶対にお尻に触れられないし挿れられない……その現象を作り出すスキルって、実は物凄くチートなんじゃないでしょうか?

 

野獣メイド:そのスキルを尻とアナルの保護に使うのは如何なものかと思うがな!

 

お尻ールダー:私のお尻は先輩専用のけつまんこですから仕方がありません

 

性女(三女):あだるとです!

 

雌犬丸:やはり、お尻に思い入れがあるから淫紋令呪は臀部に移動したのでしょうか?

 

最強淫乱看護婦:現在は観察対象が少ないため一概には言い切れません。その面でも、新しい観察対象者は必要不可欠です

 

ギャグセイバー:ソロモンに植え付けられたものとは言え、今の私たちには確かな戦力になるものですからね……

 

牝馬の乳上:それを利用してやることこそがソロモンに対する復讐にもなります。自分の作ったシステムを使って敵を強化するなんて、屈辱的でしょうからね

 

くっころ騎士:よっしゃ! 次はオレが再臨してやるからな!

 

余だよっ:さりげなくマスターに抱かれる回数を増やそうとしている犬騎士がここに一人

 

野獣メイド:戻って来たら我が最初にヤるのだからな? 順番を守らぬ奴はぶち殺すぞ。チームAのメンバーも、今回は我一人に譲るのだぞ?

 

余だよっ:チームAとはなんだ? 余に説明せんか!

 

性女(長女):簡単に言ってしまえば、『マスターに抱かれる回数を増やす為に作り出した協定を守る集団』でしょうか?

 

性女(次女):チームの誰かがアイツに抱かれる時、「じゃあ私も」って言いやすくなるでしょ?

 

雌犬丸:おこぼれ狙いの仲間と言うわけですね

 

牝馬の乳上:……私は『マスターに満足して貰う為に協力する仲間』だと思っていたのだが……

 

お尻ールダー:同じくです。私一人では出来ないことをする為に協力しているものだと……

 

野獣メイド:まあ、ぶっちゃけどっちもなのだな。アタシたちは抱かれる回数が増えて嬉しい、ご主人も気持ち良いプレイを色んな雌に出来て嬉しいというWIN-WINな関係なのだ

 

余だよっ:なるほど……そう言うのもあるのか!

 

性女(次女):時々鬼畜なことされるから気をつけなさいよ

 

性女(長女);壁尻拘束プレイとか、結構クル物がありますよ

 

お尻ールダー:あれは先輩の言いつけを守れなかったお二人が悪いです

 

野獣メイド:緩い尻の穴をしていたお前たちが悪いぞ

 

牝馬の乳上:マスターの命を守れなかったから罰を受けた、当然の流れだと思うが?

 

性女(次女);この変態どもの言う事は忘れなさい、その時になったら私たちが言ってたことの意味を思い出すでしょうから

 

性女(三女):トナカイさん、こわいことしませんよね?

 

お尻ールダー:リリィさんには大丈夫だと思います。でも、それを望む様に調教されないとは言い切れませんね

 

性女(三女):ひえぇ

 

性女(長女):リリィが調教されたら私たちにも影響がある様な気がするんですけど……

 

最強淫乱看護婦:楽しみですね

 

性女(次女);えっ!?

 

雌犬丸:先ほどのチームの件ですが、私たちも組んでも良いのですよね? ならば、お一人誘っておきたい方が居るのですが……

 

ギャグセイバー:ここでは誘わないんですか?

 

雌犬丸:敵に手の内を見せるのは愚策です。ここにいるのは、主殿に抱いて貰う為にあの手この手を尽くすある意味での敵ですから

 

余だよっ:まあ、確かにその通りだな……うむっ! 余は決めたぞ! 余もチームを作る! 後でメンバーを集めると決めた!

 

くっころ騎士:ヤバい、オレも参加した方が良いのか?

 

牝馬の乳上:個人で動いた方がマスターと一対一にはなり易いです。しかし、チームの方が抱かれる機会を作り易いのは確かですね

 

ギャグセイバー:その辺の取捨選択も大事なんですね。勉強になります!

 

野獣メイド:むぅ……チーム乱立の予感がするゾ! これは我も対策を練らねばな……

 

お尻ールダー:その件についてなんですが、カルデアに帰ったら一度お話しませんか?

 

余だよっ:余は『C』の文字を貰うからなっ! 先に言っておいたからなっ!

 

くっころ騎士:予約制なのか!? お、オレもなんか文字を予約しておくか!?

 

雌犬丸:『D』の文字を頂きます。異論がある方は果し合いで決着をつけましょう

 

最強淫乱看護婦:『B』の文字が飛んでいるのですが……仕方がありませんね

 

お尻ールダー:そう言うシステムで決定したんですか!?

 

元おぼこ娘:ねえ、そろそろ寝ないとヤバいんじゃない? 話し合いはまた今度ってことにしてさ

 

エロタイツ師匠:うむ、ローマに遠征しているメンバーは明日の行動に差し支えるだろう。早めに寝て、休養を取ると良い

 

野獣メイド:我は今夜もご主人を思ってオナニーだ。寂しいゾ……

 

お尻ールダー:では、一度チャットを締めさせて頂きます。またの機会にお会いしましょう

 

 

 

 

 

 

 ダ・ヴィンチちゃんねるを終了しました。またのご利用をお待ちしております。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・ローマ編1(ネロ 沖田総司)

 久々のぐだ視点のお話です。変じゃないと良いなぁ……



 

「精神と肉体が分離している?」

 

「うむ! その通りである!」

 

 ドヤ顔で胸を張るネロはとても誇らしそうにそう言った。今の彼女は白色の花嫁衣裳を着た通称【嫁セイバー】状態なのだが、それはまあ置いておこう。

 大事なのはネロの語る内容だ。俺たちは神妙な表情でネロの話を聞きながら、彼女の言う

 

「……皇帝カエサルの元に捕らえられていたクレオパトラは、精神と肉体の二人に分離されている。今我々の元に居るのが肉体のクレオパトラ、もう一人の精神のクレオパトラはまだローマ皇帝たちの居城に捕らえられたままだ」

 

「分離って……そんな事、出来るの!?」

 

「理屈は余にはわからん。しかし、ソロモンがそれをやってのけたと言う事は、奴にはそれが可能だということなのだろう」

 

 ネロの結果だけの簡潔な説明は非常に分かり易いがそれ故に疑問も生まれる。ソロモンは一体どうやってそんなことをしでかしたのか? その方法や理由がまるでわからないままだ。

 

「……なるほど、だからこそクレオパトラさんの肉体は健康そのものだったのですね。しかし精神の部分が不在だからなんの反応も示さなかった……これで納得がいきました」

 

「うむ! 流石であろう、余の説明は!?」

 

 唯一今のネロの説明で自分の疑問を解消できたナイチンゲールだけがしきりに頷いている。そんな彼女の事を見ながら更に得意気にドヤ顔を浮かべたネロは非常に嬉しそうだ。

 しかし、それよりも大事なことがある。その疑問について尋ねたのは、クレオパトラを愛するカエサルであった。

 

「ネロよ……もし、クレオパトラの精神が戻らなかった場合、彼女はどうなってしまうんだ?」

 

「そ、それは……」

 

「……前に私が話しましたよね? 肉体と精神は深い関係にある、と……そのどちらかが崩壊している場合、もう片方も崩れて行くことになるでしょう。出来る限り迅速に患者の精神を奪還する必要があります」

 

「くっ……! であるならば、私がここにクレオパトラを連れて来たことは間違いだったのではないか……!? 肉体と精神さえそろっていれば、彼女の崩壊は防げるものを……!」

 

 ナイチンゲールの考えを聞いたカエサルはそう言って自分を責めた。肉体と精神のクレオパトラを離れ離れの場所に置いてしまったことが悪手だったと思っている様だ。

 だが、そんなことは無い。彼がここにクレオパトラを逃がそうとしてくれたおかげでネロを取り戻すことが出来た。そのおかげで知りえない情報も得ることが出来た。全てはカエサルの決死の行動のお陰だ。

 

「……貴方が自分を責める必要はありません、皇帝カエサル……愛するローマ市民を利用し、その命を散らせる指令を出したのは間違いなく余自身……最も責められるのは、余でありましょう」

 

「それは我らローマの皇帝全員の失態だ。ソロモンに利用されていたとは言え、我らはなんと愚かなことを……!」

 

 ネロが、カエサルが、自分の失態を悔やむ。愛するローマの民を利用し、死なせてしまった自分自身の間違いを悔やんでいる。

 二人にとってそれはまさに悪夢としか言い様が無いだろう。人の上に立つ者としての責任を投げ捨て、ソロモンに服従した結果の悲劇がこれであるのだからその思いも仕方があるまい。

 しかし……俺は、二人のその姿を見ながら、もう一つの疑問を思い浮かべていた。

 

「……何で、ロムルスはソロモンに従ったんだろう……?」

 

「え……?」

 

「何であのロムルスがソロモンの配下に下ったんだろうと思ってさ……なんか、納得いかないんだよね」

 

 ローマ皇帝の始祖にして、人でありながら神の域に辿り着いた英霊の中の英霊、ロムルス。そんな彼がソロモンに屈服する姿など、俺には到底想像出来なかった。

 これが同じ皇帝であるカリギュラならば話はわかる。彼にはネロと言う愛して止まない姪がおり、彼女の為なら何でもするだろうと言う事は容易に想像できるからだ。

 きっとカリギュラはネロを人質に取られてソロモンに従うことを決めたのだろう。彼ならばネロの為に自分の屈辱など甘んじて受けるであろうと想像した俺であったが、やはりロムルスがソロモンに膝を屈する姿や理由が思いつかないでいた。

 

「……真祖ロムルスのお考えは余たちにもわからん。だが、あのお方が本気でローマやそこに住まう民たちを滅ぼそうとしているとは考えたくはない……」

 

「屈した理由、その心中、その全てを我々が理解することは出来んだろう……あのお方は、我々とは格が違い過ぎるのだからな……」

 

 同じローマ皇帝のネロとカエサルはそう言うと申し訳無さそうに黙りこくった。二人にもロムルスの考えは理解出来ていなかった様だ。

 もしも彼が本気で俺たちの前に立ちはだかるのならば相当な脅威になるだろう。圧倒的な力を持つロムルスと敵対していると言う事に不安感を感じた俺であったが、そんな重い空気を土方さんが吹き飛ばす。

 

「……はっ、下らねえ。終わったことをうだうだ言っても何も始まりゃしねえんだ。なら、俺たちが考えんのはこれからどうするか? ってことじゃあねえのか?」

 

「……土方さんの言う通りです。今ここにある疑問は確かに無視出来ないものなのかもしれませんが、それでもまず私たちは先に進むべきでしょう!」

 

 土方さんと沖田さんの新選ペアの言葉に顔を上げた俺たちは、大きく頷いてその意見に賛成した。そして、今わかっていることからこれからの計画を立て始める。

 

「……最終目標は聖杯の奪取、それを所持しているのはおそらくロムルスさんでしょう」

 

「奴との戦いは避けられない、ってことだな?」

 

「勿論、捕らえられている精神のクレオパトラを助け出すことも忘れてはいかん。念のため、他に捕らえられている英霊が居ないか確認もした方が良いだろう」

 

「……つまりだ、やることは単純じゃあねえか。()()()()()()()()()()()()()()()()()! こう言うことだろ?」

 

 大正解、そう言うことだ。出来る限り迅速にロムルスたちの下に行き、この特異点での戦いに終止符を打つこと。それが俺たちの今すべきことなのだ。

 

「では、本拠地への案内は余が行おう。ローマの民たちも余と皇帝カエサルが居れば抵抗はすまい」

 

「残る敵戦力はもう一人のカエサルとカリギュラ、そして大将のロムルスか……決して多くないけど、油断出来ない相手だね」

 

「……攻撃は敵に守りの構えを取らせる前に行うもんだ。攻撃すると決めたなら、さっさと仕掛けるぞ! 攻撃は明日、正午から開始する! 良いな!?」

 

「はいっ!」

 

 すべきことは決まった。明日、俺たちはこの特異点での戦いに決着をつける……長かったローマでの戦いを終わらせに行くのだ。

 細かい作戦も決めなければならないだろうが、その辺は明日の状況次第だろう。基本は正面突破となる以上、子細に渡るまで作戦を立てるよりも臨機応変にその場で対応した方が良さそうだ。

 ならば今日はゆっくりと休んで英気を養うべきだと思った俺は、皆を解散させようとしたのだが……

 

「ではマスター、私はクレオパトラさんの肉体と共にカルデアに帰還させて頂きます。本日は頑張ってくださいね」

 

「え? いや、頑張るのは明日であって、今日じゃないんだけど……?」

 

「いえ、今日も頑張らないといけないでしょう。明日の決戦に向けて、魔力供給をしなければならないですからね」

 

「あ……!」

 

 ナイチンゲールの言葉を受けた俺は、自分の周りの空気が妙な感じになっていることに気が付いた。何と言うか、女性全員の目が怖いのだ。

 マシュも沖田さんもリリィもそう……皆が皆、俺のことを獲物でも見るかの様な、それでいて期待する様な目で見ているのだ。

 

「え……? ちょ、ちょっと待って! 合計何人居ると思ってるの!? 流石にこれは明日の作戦に支障が出るレベル……」

 

「こちらは差し入れの栄養剤です。ダヴィンチ女史が改良して更に体力回復と精力増強に効果が出る様になっています。では、頑張ってくださいね」

 

「待って! 聞いてナイチンゲール……うわぁっ!?」

 

「……諦めて下さいよ、先輩……最近、ネロさんや沖田さんたちにかかり切りになってて、私たちも我慢の限界ですし……♡」

 

「そろそろこの辺でたっぷりと魔力を注いで貰わないとね……♡」

 

 俺の両肩を掴むマシュとジャンヌオルタは、耳元で甘く囁きながらも手に強く力を込めている。

 マジで逃がすつもりが無いのだと思った俺は視線で他の男性陣に助けを求めるも、現実は非情であった。

 

「あ~……ウチはお嬢と二人でじっくり楽しむんで、マスターも存分に酒池肉林を楽しんじゃってくださいよ!」

 

「クレオパトラと言う者がありながら、他の女性に手を出す気にはなれんな……」

 

「……気張れ、小僧。俺の特訓を受け切ったお前ならヤれる筈だ」

 

「圧政っ!!」

 

「皆ひど過ぎない!? あ、ちょ、待って! せめて心の準備を! それが無理なら精力剤を~っ……」

 

 他人事みたいに手を振る男性たちの姿を見る俺は、決戦前のまた別の決戦に向かう事を恐怖し、そして明日の分の体力が残せるかどうかを心配しながら皆に引きずられて行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん、覚悟は決めたよ。うん、どうせこの先こんなことが何回でもあるんだ、なら早めに慣れておかないとね……」

 

「大丈夫ですか、マスター? 顔色が優れないようですが……」

 

「……正直めちゃくちゃ怖い。でも、アルトリアも俺を逃がすつもりは無いんでしょ?」

 

「勿論です! ……先ほどマシュが言っていましたが、我々も我慢の限界……そろそろ、あなたの手で女にして欲しくて堪らなくなって来ていたところですから……♡」

 

「だよねぇ……なら、皆平等に魔力供給するっきゃないさ!」

 

 屋敷の一番大きな部屋に敷き詰められた布団の上で俺はそう力強く言い切った。うん、どう足掻いたって逃げられないし、これに関しては本当にしょうがない。

 皆を平等に扱って、誰にも不満を持たせない為にはこうするしかないのだ。ここで逃げたら皆の心に不安の種が撒かれてしまう、絶対にそれだけは駄目だ。

 

(……ここから先、今以上に沢山のサーヴァントの相手をすることが増えるんだ! なら、この程度でへばってられるか!)

 

 気合を入れてナイチンゲールから渡された精力剤を飲む。瓶の中身を飲み干してそれを放り投げた俺は、俺を見つめるサーヴァントたちへと視線を送った。

 もう皆頬を染めて、瞳にハートマークを浮かべている。抱かれる気満々の彼女たちに気圧されない様に自分を鼓舞した俺は、戦いの始まりを彼女たちに告げた。

 

「……よし、始めよう! トップバッターは……?」

 

「もちろん、余だよっ♡」

 

 始まる長い夜の戦い。その最初の相手として名乗りを上げたネロは、比喩表現ではなく本当に胸を弾ませながら俺に飛びついて来た。

 勢いの乗ったネロのタックルを受けた俺はそのまま布団に倒れ込む。俺を押し倒したネロはその大きな胸で俺の肉棒を挟むと、亀頭に何度も唇を落としていた。

 

「んちゅっ♡ ちゅっ♡ ……うむ、何度見ても立派なちんぽだ……♡ これに刺し貫かれることを考えると、それだけで果ててしまいそうになるぞ……♡」

 

 うっとりとした声でそう囁いたネロは胸で優しく俺の肉棒を包み込む。ふんわりとしたおっぱいに分身を刺激される俺は、表情を歪めてその快感に耐えるばかりだ。

 俺はこのままネロがパイズリを始めるのかと思ったのだが……彼女は単純に胸で肉棒の感触を楽しみたかっただけらしく、すぐに立ち上がると濡れそぼった秘所を開いて俺に見せつけて来た。

 

「……先ほどの言葉、決して嘘ではないぞ? 見よ、マスターの素敵なちんぽをぶち込まれると思っただけで、余のまんこはこんな風になっておるのだぞ……♡」

 

 サーモンピンクの綺麗な色をしたネロの膣。自分の秘所を恥ずかし気も無く見せつけながら、ネロはゆっくりと腰を振って俺の興奮を煽る。

 とろりと垂れる蜜が布団に染みを作る所を見た俺は、知らず知らずのうちに喉を鳴らして唾を飲み込んでいた。

 

「ふふっ……♡ 余の淫らな姿を見て興奮したか? この正直者めっ♡ 余もそろそろ限界だ、早速始めさせて貰うぞっ♡」

 

 エッチな笑みを浮かべたネロが俺の上に跨る。亀頭に膣の入り口をくっつけ、後は腰を下ろすだけの状態になる。

 くちゅくちゅと言う水音を結合する部分から放ちながら、ネロは甘く蕩けた声で俺へと囁いた。

 

「……ではマスター、お主の本日の初めては、このネロ・クラウディウスがもらい受けるぞ! 代わりに、余のまんこを存分に愉しみ、遠慮なく精液を射精するが良いっ♡」

 

 的確に俺の興奮を煽るネロ。童顔で体はちっちゃいのに、その身体には魅力的な女性らしさが溢れている。子供っぽさを残しながらもどこか淫らなセリフの一つ一つに興奮する俺は、彼女の一挙手一投足に肉棒を滾らせていた。

 

「は、ぐ……♡ うぅぅぅぅぅぅっっんっっっ♡♡♡」

 

 ギンギンに硬くなった俺の肉棒、それ目掛けて腰を下ろしたネロは一気に奥まで俺を受け入れる。柔らかく、そして甘える様に俺に吸いつく膣の反応はまるで彼女そのものだと思いながら、俺はネロの体を味わうべく腰を動かし始めた。

 

「んっ♡ いぃっ♡ ますたぁっ♡ 最初から、はげしっ……んぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 己の唇でネロの口を塞ぎ、腰を激しく突き上げる。真正面からネロの体を抱きしめる対面座位の体位でセックスを楽しむ俺たちは、一つになって快感を味わっていた。

 

「はうっ♡ んんっ♡ しょこっ♡ よわいっ♡ おぬし、余のよわいところ全部わかって……んふぅぅぅっ♡」

 

 前回のセックスで調べ尽くしたネロの体の弱い部分を徹底的に責めれば、彼女は体を仰け反らせたり跳ね上げたりして面白い程に正直な反応を見せてくれていた。元々素直でオープンなネロは体の反応も素直な様だ、責めているこちらからすれば面白い事この上ない。

 

「ほら、ネロはここも弱いよね~?」

 

「はひっ♡ あ~っ♡ あ~~っ♡ しびれるっ♡ あたまのうしろしびれるっ♡ よわいとこばっかりはよさぬかぁっ♡」

 

「え~? でもネロのココはそんな事言ってないよ? むしろ、もっと責めて欲しいって言ってるみたいだけど?」

 

「んへっ♡ へぇっ♡ ほへぇぇっ……♡」

 

 奥の部分を軽く突き、腹の方向の膣をじっくりとペニスで擦りながら引き抜く。そうすれば、ネロの体からは力が抜け、後にはアヘ顔を晒す彼女の姿が残った。

 あの我儘皇帝のことを支配していると言う征服感が凄くて、楽しくて仕方が無い。ネロの体に完全に火が点いたことを確認した俺は、一気に激しく腰を動かしてネロを責め始めた。

 

「あひぃっ♡ ひぃぃんっ♡ しゅごっ♡ いぃっ♡ おまんこ汁、とまらにゃい……っ♡」

 

 一度スイッチが入ってしまえば簡単だ。もうネロは体のどこを責めても感じてしまうだろう。

 愛液をぶしゅぶしゅと噴き出し、舌を放り出してさっきよりも酷いアクメ顔を晒すネロにキスをした俺は、そのままがっしりと彼女を抱きしめて逃げられない様にした。ふにゃふにゃになった体に強烈なピストンを叩き込まれるネロはもう、俺の成すが儘だ。

 

「ん~~~っ♡ んぐぅ~~~っ♡ んん~~~~~~っ♡」

 

 膣の締りがきつくなる。体の痙攣も小刻みに、かつ激しくなって来た。

 絶頂が近いのだろう、ネロの瞳はうっすらとぼやけ、与えられる快感に意識を蹂躙されていることがよくわかる。ぎゅうぎゅうに肉棒を締め付けられる俺もかなり気持ち良く、気を抜けばすぐに射精してしまいそうだった。

 

(でも……すぐに出したら勿体無いよねっ!)

 

 もっともっとネロの体を滅茶苦茶にして、喘がせてやりたい……そんなS心が疼き、俺に悪い笑みを浮かばせる。ネロはと言うと、そんな俺の悪だくみにも気が付かずに元気にアヘっていた。

 

「あへぇっ♡ あへぇっ……っ♡ 余は、もうイクぞ……♡ マスターのちんぽで、イかされてしまうぞ……っ♡」

 

 結合部から響く音はちゅこちゅこと言う濡れに濡れ切った物に変わっていた。一突き毎に愛液と汗がだくだくと流れるネロの体を抱きしめながら、俺もまた容赦のないピストンを続けてネロを高めて行く。

 

「あっっ♡ はっっ♡ がぁぁっっ♡ あぐぅっっ♡」

 

 ピストンの一発を受ければネロの小さな体が大きく浮かび上がった。乳を弾ませ、浮き上がった体の全体重を乗せた腰の動きで快感を加速させるネロのその動きと揺れは更に大きくなっていく。

 獣の様な呻き声を漏らすネロの唇を奪いながら彼女の体を自分の体の内側に抱え込んだ俺は、そのままトドメの一突きを繰り出してネロを絶頂させた。そして、そのまま絶頂して敏感になっているネロの膣を先ほどよりも更に激しく責め立てる。

 

「んじゅ~~~っ♡ んぐ~~~~っっ♡ んごっ♡ んおぉぉぉぉぉぉっ♡♡♡」

 

 イっているネロのびくびくまんこを責め上げ、俺の肉棒に屈服させる。唇も塞がれ、声も上げることも出来ないネロに勝者の権利を行使する。

 お前は俺に飲み込まれているんだ、お前は俺に食べられているんだぞ……そうネロに教え込む様に彼女の中を穿った俺は、蕩け切ったネロの瞳を覗き込んでその教えを叩き込んだ。

 

「っ………♡♡♡」

 

 瞳を覗き込まれ、ぐりぐりと子宮を押し上げられたネロは俺のその考えを悟った様だ。しきりに首を縦に振り、まるで犬の様に手足を丸めて服従のポーズを取る。

 随分と言う事を聞く良い子になってしまったネロの姿を見た俺は彼女のその様子に満足な笑みを浮かべると同時に溜めていた精を放つ。不意を打った射精による激しさと熱さの急襲を受けたネロは、落ち着いて来た体の反応を再び激しくさせながら喘いだ。

 

「おっほぉぉぉぉぉぉっ♡ ほひ~~っ♡ ほっ、ひぃぃぃぃっ♡ せいえき、ドプドプそそがれてるぅ……♡ はっ♡ あついぃ……♡ いきが、いきができないぃ……っ♡ おまんこのおくがあちゅすぎて、いきができぬぅ……♡」

 

 折れんばかりにネロの体を抱きしめる俺は、たっぷりと精液を注ぎながら射精の快感に酔っていた。ネロの子袋を己の精液で満タンにした征服感に身震いをした後、彼女の膣から肉棒を引き抜く。

 

「あ、はっ……♡ ははは……♡ ますたぁのザーメン、いっぱいだぞ……♡ ますたぁが気持ち良くなってくれて、余はうれしぃ……っ♡」

 

 ネロの言葉に一瞬遅れて彼女の膣から白濁液が顔を出す。ダムが決壊したかの様な勢いと量を持った精液がネロの性器から零れ出る光景に皆が息を飲んだことが分かった。

 

「……さあ、次は誰? 誰も名乗りをあげないならもう一回ネロとシちゃうけど……それで良い?」

 

 ぐったりと床に倒れ伏したネロの体を優しく撫でながら皆に問いかける。俺に触れられてびくびくと震えるネロもまた、もう一回戦を行うのに悪い気はしていなさそうだ。

 しかし、この場に居る女性たちは全員俺に抱かれる時を待っている……ネロだけにその悦びを享受させはしまいと、セックスの相手に別の女性が立候補した。

 

「はいは~い! 沖田さんがお相手しま~す! ……私、奇襲速攻タイプのサーヴァントですし? あんまり長い間お相手するのは難しそうですから、早めにお楽しみに混ざろうと思います!」

 

「ん……! なら、こっちに来て沖田さん」

 

「了解ですとも!」

 

 布団のズザーッ、と滑りこんだ沖田さんは、仰向けになって脚を大きく開いた。

 彼女の髪色と同じ桜色の性器を晒しながら、沖田さんは悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 

「この間はマスターさんの三段突きにやられちゃいましたからね、今回はリベンジです! ネロさんとのセックスを終えて射精済みですし、勝機は十分にありますよ~っ!」

 

「ほほう? ならその勝負、受けて立とうじゃあないか!」

 

「はうっっ♡♡♡」

 

 ごりゅっ、と音を立てながら沖田さんの膣内に肉棒を挿入すれば、それだけで沖田さんの腰が高く浮き上がり体が弓なりに反れる。

 軽い絶頂を迎えた彼女の腰をがっしりと掴んだ俺は、そのまま激しく何度も腰を打ち付けた。

 

「はひっ♡ はひっ♡ はひぃぃぃぃっ♡ な、なんれっ!? さっき射精したばっかなのに、なんでこんなにはげしいんですかぁっ!?」

 

「……いや、前の時もリリィとセックスした後だったし……むしろ、今が丁度エンジンがかかり始めて来たころなんだけど……」

 

「な、なんです……んっひぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 自分の計算が外れた事にショックを受けている沖田さんのことを容赦なく責める俺は、彼女の一番の弱点に狙いを絞った。

 膣の奥、子宮口のすぐ近くにある沖田さん最大の弱点……開発され切ったボルチオに狙いを定めた俺は、鋭い突きでその位置を狙って腰を繰り出す。

 

「おひっ♡ んきゃぁぁぁぁぁぁっっ♡ あ~~~~~っ♡ うあぁ~~~~~~~っ♡♡♡」

 

 ぷるんっ♡ こりっ♡ ……そんな音を立てて俺の亀頭に蹂躙される沖田さんのボルチオの柔らかい感触を楽しみながら、俺は的確にそこだけを狙い続ける。彼女が腰を捻ってその責めから逃げようとするけど、無駄な抵抗だ。

 

「あぁぁ~~~~~っっ♡ そんなぁっ♡ にげてもっ、おいこまれて……っ♡ ボルチオ、にげられない~~っっ♡」

 

「……当然でしょ? 沖田さんの反応なんて丸分かりだよ……! ほら、逃がさないよ? 速攻で片を着けてあけるからね!」

 

「まっへっ♡ まっへくらひゃいっ♡ わたしっ、せめられるのよわい……んいぃぃぃぃぃぃぃっっ♡」

 

 素早く、そして激しく沖田さんの膣を穿ち、奥のボルチオを徹底的に責めれば、彼女の腰の動きもまた早く激しくなって俺を迎え入れていた。

 奇襲型の沖田さんに逆奇襲を仕掛けた俺の作戦通りに事は進んでいる。後は、トドメの一撃……いや、()()を繰り出すだけだ。

 

「ほら、そろそろアレ行っちゃうよ? 沖田さん、また負けちゃっても良いの?」

 

「まってくらさいぃぃぃっ♡ アレだめっ♡ アレくらうとなにもかんがえられなくなっちゃうかららめぇぇぇっ♡」

 

「あ、そうなんだ? でもやめてあ~げないっ!」

 

「あひぃぃぃぃっ♡ あんあんっ♡ あんっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~っっ♡♡♡」

 

 一瞬だけ動きを止めた俺は、沖田さんの耐えようとする思いの隙を突いて腰を突き出す。

 一番弱いボルチオに一撃。快感の余韻が残っているであろうそこにもう一撃。最後に膣から肉棒を引き抜いた俺は、今までノーマークだった沖田さんのアナルへと肉棒をぶち込んだ。

 

「あ、あがっ……♡ あ、あ、あ、来るっ♡ また凄いのきちゃいますぅぅぅぅぅっ♡♡♡」

 

 尻穴深くまで突き入れた肉棒から精液を放つ。沖田さんの体が魚の様に跳ね回っている事を感じながら、俺はお決まりの台詞を口にした。

 

「……無明・三段突き~~っ!」

 

「はへっ♡ はひっ♡ ふあぁぁぁぁ~~~~~~~~っっっ♡♡♡ あぁっ♡ んあぁぁぁっ♡ イクっ♡ またマスターさんに討ち取られちゃいましたっ♡ マスターさんのおちんぽに蹂躙されてイク~~~っっ♡♡♡」

 

 俺の目の前で噴き出される液体たち。沖田さんの穴と言う穴から恥ずかしい汁が飛び出してきている。

 膣からは潮が、尿道からは尿が、全身の汗腺からは汗が……これでもかと言う程噴き出し、沖田さんの体と布団を濡らした。

 

「ふ、ふふふ……リベンジ失敗、だね?」

 

「あぎ、ぐ……♡ は~っ♡ は~っ♡ あ、い……♡ 深イキしすぎて、もう体が動きません……♡」

 

「俺も気持ち良く射精できたよ! 沖田さん、お尻の穴も凄く気持ち良いよね!」

 

「んほぉっ♡」

 

 たっぷりと射精した肉棒を沖田さんのアナルから抜いた時、彼女の表情に残っていた理性が消え失せた。

 ネロ同様にアクメ顔を晒し、無様に震える彼女たちの体を抱きかかえた俺は、二人の顔を掴んで皆に見せつける。

 

「あ~~っ♡ あ~~~っ……♡」

 

「んふ~~っ♡ ふ~~~っ……♡」

 

 国籍も生きた年代も違うと言うのにそっくりなネロと沖田さんの顔。快楽に蕩け、アヘ顔を晒す二人の顔を皆が良く見える様に持ち上げる。

 舌を放り出し、涎をだらだらと垂らす二人の顔を皆に見せつけながら、俺は残る女性たちに向けて警告めいた言葉を口にした。

 

「……覚悟してね? 今日は俺も加減とか出来る状況じゃないから本気で行くよ。今日、俺に抱かれるってことは……こうなるってことを覚悟しておいてね」

 

「はひっ♡ んひぃ……っ♡」

 

「おなか、あつい……♡」

 

 快楽に喘ぎ、思考を放り投げた二人を抱き寄せ、たわわに育った胸を揉みしだく。質感と大きさの違う乳房を揉みながら笑みを浮かべた俺は、気分が高揚していることを感じていた。

 これだけの数の女性を相手にすることは大変だが……普通に考えて、これほど羨ましいことは無いのではないだろうか?

 年齢、国籍、体型、性格、その全てが違う女性たちの愛情を一身に受けられるのだ。加えて体まで好きに出来るなんて、男冥利に尽きると言う話ではないか。

 

(やばい……本気で、興奮して来た……っ!!!)

 

 ゾワリと、背筋に痺れるものが走る。目の前の女性たちの姿を見ながら、俺は自分のやって来たことの大きさを再確認していた。

 マシュもアルトリアもジャンヌ達も、牛若丸もモードレッドも沖田さんもネロも……皆、俺が抱いて来た女性だ。ソロモンの手から救い出す為に愛し合って、俺を愛してくれるようになった女性たちだ。

 今までは一人一人か、多くても片手で数えきれる人数しか相手にしてこなかったから実感が湧かなかったが……こうやって寝取り返した皆の姿を一度に見ると結構凄い事なんじゃないかと思えてくるから不思議だ。

 

(これ、ご褒美だよな……? どっちかって言うと、良い事なんだよな……!?)

 

 これは義務であり、褒美だ。皆を二度とソロモンに渡さない為の義務であり、彼女たちの心を掴んだ俺に対する褒美なのだ。

 そして、愛する人たちを抱くことを俺は義務とは思わない……これは良い事なのだ。皆からの愛を存分に楽しめる、最高のご褒美なのだ!

 

「マスター……おちんぽ、綺麗にするぞ……♡」

 

「また、お相手してくださいね……♡」

 

 気が付けば、ネロと沖田さんは俺の肉棒に顔を寄せてお掃除フェラをしてくれていた。ちろちろと動き回る二枚の舌の感触を感じた俺は、感謝の気持ちを込めて二人の頭を撫でる。

 

「んっ♡ ふぅ……♡」

 

「ちゅぱ、れろぉ……♡」

 

 二人からの愛情を感じる奉仕を受けながら、俺は笑みを浮かべる。快感と幸せを感じながら、この場に居る女性たちの気持ちを敏感に感じ取る。

 皆の視線が俺の股間でそそり立つペニスに、細かな傷が付きながらも訓練のお陰で引き締まっている身体に、笑みを浮かべる顔へと注がれる。その熱い視線を感じた俺は、皆に全てを求められているという快感に熱い息を吐いた。

 

「……さぁ、どうする? 次は誰が相手になる……?」

 

 俺への奉仕を終えたネロと沖田さんの胸元にキスを落とし所有印を付けた俺は、彼女たちの体を抱き寄せて王様気分を満喫しながら言う。次は誰が一歩を踏み出して、この宴に加わってくれるのだろうか?

 

(……皆の事、大事に愛してあげるからね……!)

 

 心臓がうるさい位に高鳴っていることを感じながら、俺は魅力的な女性たちの裸体を目の当たりに出来る幸運に感謝し、抱きしめるネロと沖田さんの体の柔らかさを堪能しながら思ったのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・ローマ編2(ジャンヌオルタ&リリィ)

「ふんっ! ふんっ! ふんっ! ふんっ!」

 

「おうっ♡ あぐっ♡ あぎぃ♡ んえぇ♡」

 

 渾身の力を込めて腰を動かす度、オルタの口からは呻きと喘ぎの混じった声が漏れた。その声色の中に確かな快感を感じ取る俺は、更に腰の動きを速める。

 下に組み敷いたオルタの膣を穿つ俺は、彼女の膣が信じられない程に熱くなっていることに幸せな気分になっていた。

 

「オルタ、気持ち良い? 俺とのセックス、気持ち良いかな?」

 

「へ、んなこと聞いてる暇があったら、さっさと腰を、うごかしなさい、よ……んぐぅぅっ♡」

 

 瞳の中にハートを浮かべ、熱の籠った声で返事をした彼女の答えを肯定と受け取った俺は、彼女の言う通り激しく腰を動かしてオルタを責める。ぎゅうぎゅうに締め付ける膣は言葉とは裏腹に嬉しそうに俺のことを迎え入れてくれていた。

 ずんっ、ずんっ、と上から肉棒を突き入れる。種付けプレスの体位でオルタと交わる俺は、オルタの体を全て抱きしめながらキスを交わした。

 

「ん~っ♡ んっ、んっ、んっ……♡」

 

 舌と舌が絡み合う。膣同様に上からオルタの口の中に侵入し、その内部を責める。

 お互いの唾液を交換し、循環させながら性交を続ける。口の中に溜まった唾液をオルタの口の中に送り込むと、彼女は迷うことなくそれを飲み込んでくれた。

 

「はっ、オルタっ、オルタ……っ!」

 

「ひっ♡ ひぃっ♡ んひぃぃぃっ♡」

 

 体を強張らせ、快感に打ち震えるオルタもまた俺の体に抱き着き、四肢を絡めている。愛らしいその行動に目を細めた俺が興奮のままに肉棒を突き入れ続ければ、オルタの膣はぶるぶると震えながら愛液を噴き出した。

 荒い呼吸、上気した頬、潤んだ瞳……その一つ一つが俺を興奮させ、性交への欲求を駆り立てる。何度も何度もキスを交わした俺たちは、完全に混じり合って一つになっている様な錯覚に襲われていた。

 

「オルタっ! ちゃんと構ってあげられなくてごめん! 不安にさせちゃってごめんねっ! でも俺、オルタのこと大好きだからっ! 愛してるからっ!」

 

「はぁっ!? な、なに言ってんのよっ!? わ、私は不安になんかなってないわよ! 勝手に人の気持ちを決めつけてんじゃない、わ……あうぅぅっ♡」

 

「俺の事、信じてくれてたんだね!? 信じて待っててくれたんだね!? ありがとう! 大好きだよ、オルタっ!!」

 

「そ、そういう意味じゃぁ……♡ はぐぅっ♡ まっへ♡ はげっ♡ はげひぃっ♡ むりっ♡ もうむりっ♡」

 

「オルタ……オルタ……オルタ、オルタ、オルタ……!」

 

 小さな彼女の頬と後頭部を掴んで引き寄せる。先ほどよりも激しいキスを交わしながら、腰の動きも更に早める。

 銀色のサラサラとしたオルタの髪を撫でた俺は、彼女の全てを手に入れる勢いで結合部を責め続ける。熱を帯びた膣が反応する度に、俺の体も際限なく高まって行くことを感じていた。

 

「はっ、はっ♡ 息が、できなっ♡ ふ~~っ♡ は~~っ♡ んんんんんっっ♡ い、いき、イキ、イクっ……♡」

 

 未だにキスに慣れていないオルタに定期的に息継ぎの時間を与えながら唇を交わす。セックスを続けるオルタの声は段々と甘く蕩けていき、呼吸もそれに応じた熱を帯びていた。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡ イってるんだから、少しは抑えなさいよっ♡ 激しすぎて、また……っ♡ っほぉぉぉぉぉぉぉっ♡♡♡」

 

 二連続の絶頂。絶頂の余韻の冷めやらぬ間にその膣を責め、更に高い場所へとオルタを導く。痙攣する体はオルタの意思に従っていない様で、ただ俺に絡みつくばかりだ。

 いつの間にかオルタの膣から響く音も重く鈍い音へと変化していた。腹の中に重厚な突きを食らい続けるオルタであったが、彼女の声は快感の一色に染まっている。

 

「こんなっ♡ こんなにイかせてっ♡ 私をどうするつもりよっ♡ も、もうもどれないっ♡ もどれなくなってるぅぅぅっ♡」

 

「大丈夫だよ、オルタ。俺がずっと傍に居るから……死ぬまでずっと、一緒にいるからね……!」

 

「はっ、はぁっ♡ なに、ふざけたこと言ってんのよ……♡ ()()()()、でしょ? アンタの魂は私と一緒に煉獄に落ちて、そこでも一緒に在り続けるに決まってんでしょ♡ 愛し続けなさい、私のことを……その愛がある限り、私だってあなたを愛してあげるわ……♡」

 

「ぐっ、ぐぅぅっ!!! ああっ! 分かったよオルタっ! 愛してるよ、オルタっ!」

 

「それでいい、それで良いのよっ♡ 私もあなたを、あ、愛、愛して……愛してる、わ……♡」

 

 オルタからの告白を受けた俺は腰の動きを少し抑えて落ち着いたものにする。そのまま甘い口付けを交わした俺たちは、恋人であるかの様にお互いを求めあった。

 

「イク、もうイクからっ♡ イクから、そしたら、私の(ナカ)に……♡」

 

「うんっ! 射精()すよっ! 俺ももう、限界だからっ……!!!」

 

 オルタの膣を穿つ。その動きに合わせて絡みついたオルタの脚が俺の腰を引き寄せる。お互いの協力で勢い付いた肉棒の動きは更に激しく、深くオルタの膣を穿つ。

 女の子の、オルタの一番大事な部分に何度も亀頭がキスをしている。唇と唇。子宮口と亀頭でキスをする俺たちは、お互いに限界を迎えて大声で叫んだ。

 

射精()るっ! オルタの膣に種付けするぞっ!!! 覚悟しろ、オルタっ!」

 

「はあっ♡ はぁぁぁぁぁっ♡ だ、だしてぇっ♡ わたしのナカにぜんぶだしてっ♡ それで、わたしのことをあんたのものにしてぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 膣がぐっと締まる。俺を抱きしめるオルタの四肢に力が籠り、俺を逃げすまいとしている。

 俺もまたオルタのことを逃がさない様に強く抱きしめながら彼女の奥深くを穿ち……そして、最高潮まで高まった己のリビドーを解き放った。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~っっ♡♡♡」

 

 オルタの子宮を満たす俺の精液は、あっという間に彼女の最奥を埋め尽くしてしまった。己の性の高まりでオルタを蹂躙した俺は、快感に酔いながら体を震わせるオルタの体を押さえつける。

 

「あぁぁぁぁっ♡ まっひろっ♡ まっしろになるっ♡ あたまのなかぜんぶぼやけて、あんたのことしかかんがえられなくなってる……っ♡」

 

「う、ぐっ……オルタぁっ……!」

 

「あぁっ♡ そんなっ、射精しながらおまんこ擦らないでぇっ……♡ もうなってるっ♡ なってるからっ♡ 心も体もアンタの物になってるからっ♡ そんな風にマーキングしなくても大丈夫だからぁっ♡」

 

 たっぷりと、それはもうたっぷりとオルタの中に射精した俺は、オルタが力尽きてへばったことを確認してから肉棒を引き抜いた。

 大の字になって布団の上に寝転がるオルタは、大股に広げた性器から大量の白濁液を垂れ流している。煽情的なその光景に息を飲んだ俺が、再び股間を硬くした時だった。

 

「……トナカイさん、おちんちんを綺麗にしますね……♡ 黒い私はへばって動けなさそうなので、私がその役目をやらせていただきます……♡」

 

「り、リリィっ!? うあっ……!?」

 

 己の分身に柔らかい物が這う感触に俺は呻いた。それがリリィの舌だと気が付いた瞬間、俺はとんでもない背徳感に襲われた。成長後の彼女と交わった己の肉棒を、成長前の彼女に掃除させる……その背徳的な行為に、俺の肉棒は更に興奮してしまっていた。

 

「あはっ……♡ トナカイさん、もうおちんちんを大きくしないでくださいよぉ……♡ 私の口の中に入り切らなくなっちゃうじゃないですかぁ……♡」

 

「あ、ぐっ……!?」

 

 小さなリリィの口が俺の亀頭を咥え込む。そのままちゅうちゅうと吸いつき、俺に快感を与えて来る。

 子猫がミルクを欲しがる様に俺の亀頭に吸いついたリリィは、そのまま淫靡な笑みを浮かべると喉の奥まで俺の肉棒を飲み込んで行った。

 

「お、あ……!? り、リリィっ! それ以上は……っ!!」

 

 小さな口の小さな喉、そこまで肉棒を飲み込んだリリィは、ゆっくりとした動きでディプスロートを繰り返した。まるで苦しみなど感じていないその行動に戸惑いながら、俺は彼女の奉仕を堪能する。

 穢れを知らなかったはずの幼女がここまで淫らな姿を見せていると言う事に興奮を隠せない俺は、ゾクゾクとした心の震えのままにリリィの喉を犯し始めた。

 

「あ、あぁぁぁ……リリィ! リリィっっ!!!」

 

「………♡♡♡」

 

 暖かな口の中を、狭い喉を、その奥の食道と思わしき部分を……何度も俺の肉棒が出入りする。リリィの表情には苦しみは一切なく、悦びの色さえ浮かんでいた。

 頬を窄め、舌を丸めて見事な()()()()を作り上げたリリィは、自分もまた顔を前後させて俺の肉棒を刺激する。涎と先走り汁が混じりあい、潤滑油となったことでその動きは更に加速して行った。

 

「はっ、ぐっ! ぐぅぅぅぅっっっ!!!」

 

「んっ、んぶぅぅっ♡♡♡ じゅるっ♡ じゅるるるるるっっ♡♡ うげぇっ♡ げほっ、げほっ……♡」

 

 喉の奥に、一番奥に、俺は肉棒を突っ込む。感じる興奮のままに射精し、リリィの胃の中に精液を注ぎ込む。

 自分の喉と口の中に注ぎ込まれた精液を全て吸い取りながら肉棒を吐き出したリリィは、恍惚とした表情で俺に頭を下げた。

 

「……ごめんなさい、マスター……おちんちんが美味しくて、ついやりすぎちゃいました……♡」

 

「い、いや、それよりもごめん! 俺も我を忘れちゃって……」

 

「ふふふ……♡ 良いんですよ、トナカイさん……♡ そこまで夢中になってくれたなら、私もお勉強した甲斐があったと言う物ですから……♡」 

 

 意味深な言葉を口にしながら俺に尻を向けたリリィは、そのまま自分の体をオルタの体の上に横たえた。

 未発達な性器と、それが成長した後の性器……二つの同一人物の性器が貝合わせをしていると言う不思議な光景から目が離せないでいる俺に対し、リリィは歌う様な口調で囁きかける。

 

「……トナカイさん、私のおまんこをたっぷり開発したら、成長した私の体にも影響があるんでしょうかね……? 聖処女なんかじゃない、この歳からえっちなことが大好きな女の子になっちゃったら、私たちはどうなっちゃうんでしょうね?」

 

 リリィが自ら性器を開く。とろりと中から蜜が漏れ、下に居るオルタの膣から漏れる俺の精液の上にかかっていく。

 

「ねえ、確かめてみませんか? こんなスケベな女の子には、しっかり教育が必要ですよね……? 私を叱るのはトナカイさんの役目なんですから、しっかり教育してくださいね……♡」

 

「っっ……!」

 

 一体どこでこんな仕草を覚えたのだろうか? ただ一つ分かることは、俺が今のリリィの行動に興奮していることだった。

 彼女の誘いに乗った俺は、二人のジャンヌ・オルタの顔を掴む。お互いに目を合わせさせながら、俺は静かに語り掛けた。

 

「……今から二人の事、交互に犯していくから……相手の顔をしっかり見ておくんだよ? 自分自身の感じてる顔がどんななのか、しっかり見ておくんだ。良いね?」

 

「「はい、マスター……♡」」

 

 蕩けた声の返事を聞いた俺は、まずリリィの膣へと肉棒を突き入れた。狭い膣とすぐに奥まで届いてしまう子供まんこをほぐす俺は、ぷるぷると震える彼女の尻に手を伸ばす。

 子供にしては肉付きの良いリリィの臀部を叩き、淫らになってしまったお仕置きをくれてやりながら、俺は何度も二人に叫び続ける。

 

「二人とも俺の女にしてやるからな……! リリィの子供まんこを開発して俺のちんぽの形にしてやる! そしたら、オルタのまんこがしっかりその形を覚えてるか確認してやるからな! 気を失うまでセックスしてやるっ!」

 

「は、はい……♡ お願いします、トナカイさん。私たちのこと、たっぷり愛してください……♡」

 

「過去、今、未来、そして死した後も……私たちの全ては、アンタの物よ……♡」

 

「「私たちジャンヌ・オルタは、永久に貴方の物になることをここに誓います……♡」」

 

 声を合わせた二人の返事に俺の興奮が高まる。幸福感と征服感と言う二つの感情が入り混じり、俺の中で暴れ回る。

 暴走寸前にまで高まった興奮を抑え込みながら、俺は二人のことを愛するべく腰を動かし始めたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・ローマ編3(ランサーアルトリア 牛若丸)

「はぁっ、はぁっ……んくっ……んくっ……」

 

 荒くなった呼吸を整え、用意されてあったペットボトルの中の水を口に含んだ俺は、それを一気に飲み干す。乾いた喉に潤いが戻り、火照った体にも少しばかりの冷静さが戻った。

 そうした後で後ろを振り向いた俺は、そこに倒れる4人の女性の姿を見る。ネロ、沖田さん、ジャンヌオルタとリリィ……全員が体から己の雌の臭いと俺の精液の臭いの混じった形容できないいやらしい臭いを放ったまま布団の上に倒れ込んでいる。

 俺に何度も射精された彼女たちの穴からは大量の精液が垂れ流れている。合計8つの穴から精液を垂れ流す彼女たちの姿を見た俺は、またしても興奮し始めてしまっていた。

 

「マスター、そろそろお疲れのころでしょう。マスターは寝そべっていてください。ここからは私が動きますので……」

 

「ああ、うん……ありがとう、アルトリア」

 

 流石にここまでのセックスで体には疲れが溜まっていた。そのことを見抜いたアルトリアは俺を寝かせた状態で休ませ、自分が動くことを提案する。彼女の言う事に従った俺が仰向けに寝転がると、すぐさまアルトリアは俺の上に跨って来た。

 

「では、失礼して……ふぅぅぅぅぅぅっ……♡」

 

 ゆっくりとアルトリアが俺の上に腰を下ろす。大きくむっちりとした彼女の下半身に肉棒を包まれた俺は、柔らかく肉棒を包み込むアルトリアの膣の感触に表情を歪める。

 挿入の感覚を楽しむ様にじっくりと時間をかけてそれを行ったアルトリアは、その後前後左右に腰を動かし始めた。

 

「ふぅっ……♡ はぁっ……♡ 如何ですか、マスター? 淫乱騎士王の腰遣いは……♡」

 

「凄く、イイっ……! アルトリアに包み込まれてる感じがして、凄く気持ち良いよ……!」

 

「それはなによりです……♡ マスターに強化して頂いた【騎乗】スキルを使った私の腰振り、たっぷりと堪能してくださいね……♡」

 

 アルトリアの下腹部に刻まれた淫紋令呪がちかちかと光る。新たに入手したスキルの効果で跳ね上がった騎乗スキルを使ったアルトリアの騎乗位は、前にも増して快感の度合いが上がっていた。

 焦らす様な腰遣いでお互いの官能を刺激し、期待を高め合う。その際も彼女の膣はきゅんきゅんと俺の肉棒を締め付けつつ、きつくなり過ぎない様な絶妙な締め付け具合を見せている。

 アルトリアの大きな下半身に全てを包み込まれている感覚に熱い息を吐く俺は、そんな俺の姿を見てアルトリアが幸せそうに笑っていることに気が付いた。

 

「ふふふ……♡ そんなに気持ち良さそうな顔をしてくださるのですね……♡ それでこそ、奉仕の甲斐があると言うものです……♡ では、そろそろ本気で動き始めましょうか♡」

 

「うあぁっ!?」

 

 甘い声での囁きの後、アルトリアは大きく腰を動かし始めた。今までの様な緩い動きでは無く、激しく腰をグラインドさせながらの騎乗位に俺は快感を伴う悲鳴を上げる。

 大きな尻が何度も俺の腰にぶつかり、豊かな乳房が上下に揺れる。音と視覚でも俺を楽しませるアルトリアは、なによりも膣の感覚に力を込めて俺に奉仕をしていた。

 

「はっ♡ はっ♡ はっ♡ また、立派になられましたね……♡ 一段と逞しくなった貴方の性槍の鞘となれること、喜ばしく思います……♡」

 

 うっとりとした口調で囁きながらアルトリアは全力の腰振りを続けている。腰を巧みに操る彼女は、自分の弱い部分を一つ一つ俺に教え込む様にして肉棒を受け入れていた。

 奥まで肉棒を飲み込み、次は腹側のGスポットへと肉棒を導く、感じる様になって来たボルチオも突かせることを忘れはしない。まるで自分の雌の部分を征服して欲しいと言わんばかりに腰を動かすアルトリアの表情は、淫らな美しさに溢れていた。

 

「ん、くっ♡ 女として成長した私の体は、貴方の物になれたことを悦んでいます……♡ 淫らに育ったデカ乳もデカ尻も、ずっぽりと貴方の性槍(チンポ)を飲み込むまんこも、全て貴方に開発されることを幸せに思っていますよ……♡」

 

 性交に慣れ切った女の顔を覗かせ、淫らな言葉を口にする今のアルトリアの姿には凛々しい騎士王としての面影は無かった。金色の美しい長髪を下ろし、只の女として俺に跨る彼女は、普段の姿からは想像も出来ない淫乱具合を見せてくれている。

 淫乱と呼ぶには貞淑で、清楚と言うには大胆過ぎる。淫らさと清らかさのバランスを絶妙な位置で取っているアルトリアは、微笑みを浮かべながら俺へと囁いた。

 

「育った私の体を存分にお楽しみください……♡ 揺れる胸は貴方の興奮を煽れていますか? 大きな尻は貴方に劣情を与えられていますか? 私のまんこは、貴方に十分な快感を感じさせられていますか? 女として成長した私だからこそ、貴方に出来る奉仕がある……成長する体だからこそ、貴方に変えて頂けるのですからね……♡」

 

 アルトリアの腰遣いが激しくなる。肉棒を突き入れさせているのは子宮口の一か所だけだ。雌として一番重要なその部分を俺に差し出す様にして執拗に肉棒に突かせ、誰が主であるかを本能で理解させようとしている様であった。

 尻が、乳が、更に大きく揺れる。凛々しい表情が淫らに崩れ、清々しいまでのアヘ顔を晒すアルトリアは、それでも腰の動きを緩めることはしなかった。

 

「見てっ♡ 見て下さいっ♡ 私がっ、円卓の王がっ、貴方の性槍に屈服する様をっ♡ 只の女に陥落する私の姿を、どうぞご覧になって下さいっっ♡」

 

 一突き毎にアルトリアのメッキが剥がれていく。騎士王としての皮の下にある淫らな本性を暴かれながら、アルトリアは大声で叫んだ。

 見られる事、晒される事に快感を見出してしまった彼女のその叫びに呼応するかの様に一段と硬くなった肉棒を突き上げてやれば、アルトリアは背筋を大きく仰け反らせてから絶叫し、果てた。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ 堕ちるっ♡ 堕ちるぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ ただの雌にっ♡ 雌になるぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 女性の象徴に吐き出される精液がアルトリアの思考を染め上げる。快楽に酔い、恍惚とした表情を浮かべるアルトリアの体は、仰け反った痙攣を続けていた。

 彫像の様に固まってしまったアルトリアの体をそっと撫でた俺は、最後に彼女の尻をむんずと掴んだ。柔らかく大きいその部分に指が埋まる程の力を込めて揉みながら、俺は彼女の膣に己の欲望を最後まで吐き出し続ける。

 

「お、はぁぁ……♡ ます、たー♡ わたしは、わたし、は……♡」

 

 力尽きたアルトリアの体が俺の上に被さり、ぐったりとしたまま動かなくなってしまった。彼女の尻穴を二本の指で弄りながら、その体を抱きしめる。

 尻穴が、膣が、全身が……アルトリアの体が熱くなり、もう一度官能の炎が灯ることを感じる。このままもう一回戦を開始しようかと思った俺であったが、ゆっくりと顔を上げたアルトリアは、俺にキスをすると体を起き上がらせて離れてしまった。

 

「申し訳ありません、マスター……しかし、次の相手が待ちきれない様子でしたので……♡」

 

 そう言いながら俺の後ろを指さしたアルトリアに促される様に振り向いた俺は、そこに居た牛若丸と視線を交わらせた。自慰行為で股を濡らす彼女は、しきりに俺の名前を呼びながらこちらに近づいて来た。

 

「あ、主殿ぉ♡ 主殿……っ♡ はしたなくて申し訳ありません、しかし、もう私には我慢が出来ませぬ……っ♡」

 

 牛若丸は寝そべっている俺の腰の上に跨るとそのまま一気に肉棒を膣で飲み込んだ。熱く、きつい牛若丸の膣は彼女の言う通り我慢の限界を迎えていたようで、挿入と同時に絶頂を迎えてしまっている。

 

「くっ♡ ふぅっ♡ はひっ♡ はひぃっ♡ ふあぁぁぁっ♡」

 

 目の前で牛若丸の綺麗な背中が震える。汗を流し、蝋燭の明かりに照らされる白い背中は、日本女性特有の美しさを見せつけていた。

 

「あ、主殿に尻を向ける不作法、お許しください……しかし、今の私にはアルトリア殿の様なたわわな乳房はありません……であるならば、この雌犬の無様な(ケツ)振りの舞で主殿を楽しませる方が良策かと思われましたので、しからば……っっ♡♡♡」

 

 絶頂を続けながら牛若丸は腰を動かし始めた。アルトリアの様な余裕たっぷりの腰遣いとは違う最初から全力の腰振りは、がむしゃらに俺に快楽を与えることを目的としているものだろう。

 上下に、左右に揺れる牛若丸の小さなお尻。愛液をまき散らし、時々アナルを広げながら腰を振る彼女の舞は、見ていてとても楽しいものであった。

 

「ああっ♡ 主殿が私のあられもない姿を見ている……♡ この雌犬のはしたない姿を見て逸物様を滾らせていると考えただけで、私はっっ♡」

 

 牛若丸の膣の振動が止まらない。更に激しく膣を痙攣させる彼女は、常にイキ続けているのだろう。

 ぶちゅっ、ぶちゅっ♡ と言う水音と膣から空気の漏れる卑猥な音を響かせる牛若丸はそれを恥じる気持ちもあるのだ。だが、それもまた彼女の快感に変換されていた。

 

 ぎゅうぎゅうに俺を締め付ける牛若丸の膣はとても気持ち良い。しかし、俺はそこに更に快感を加えるべく彼女の腰を掴むとそれを思いっきり引っ張りながら腰を跳ね上げた。

 

「おおぉぉぉぉぉぉっ♡ はおぉぉぉぉぉぉっっ♡ あるじ、どにょぉっ♡」

 

 膣の痙攣が一瞬だけ止まったことを感じた。次の瞬間、その痙攣は牛若丸の全身へと伝播する。

 牛若丸の腰を持ち上げ、引き下ろすと言う行為を続けながら腰を跳ね上げる俺は、滝の様に流れる彼女の愛液を体で受け止めてその熱を楽しむ。もう、牛若丸の体は蕩け切っていた。

 

「あ、あ、あっ♡ す、すごいのが、くる……っ♡ あるじどのにつきあげられて、しらないばしょにおしあげられている……っ♡」

 

 段々と体の反応を取り戻した牛若丸もまた、俺の動きに合わせて腰を動かしていた。

 持ち上げられた腰を更に高く跳ね上げ、引き寄せられる時に思い切り落とす。左右への動きを組み合わせて尻振りダンスを披露するこおも忘れない牛若丸は、ガニ股になりながらその腰振りを続けていた。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ すごいぃっ♡ すごすぎますぅぅっ♡ もうだめですっ♡ もう……イクうぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 牛若丸の体が跳ねる。膣が、尻が、全身が跳ね上がる。

 それほどまでの激しい絶頂を迎えた彼女の膣から肉棒を引き抜いた俺は、真っ白な彼女の尻に精液をぶちまけた。尻に精液をぶっかけられた牛若丸は、目を白黒させながら叫び声を上げる。

 

「あちゅぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ おしりがっ♡ おしりがもえるぅぅぅぅっ♡ あっ、あぁっ♡ だめっ♡ そんなっ、そんなのだめなのにぃっ♡」

 

―――ぷぅ♡ ぷぷすぅっ♡ ぷぴぷぴぃっ♡

 

「あ、あぁぁぁっ♡ もうひわけありましぇん、あるじどのぉっ♡ こんな、こんな不忠を晒してしまうなど、私は……んほぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 俺に向けて屁を引っかけた牛若丸の広がったアヌスに肉棒を突き入れれば、何の前触れもないその行動に牛若丸が絶叫を上げた。

 自分の精液が飛び散っている牛若丸の尻肉を腰で叩きながら、俺は低い声を出して彼女の耳元で囁く。

 

「いけない犬だね、牛若丸。でも、これでもうおならは出ないよね?」

 

「は、はい……♡ 不義を働いた私に、どうか主殿のお叱りをくださいませ……♡」

 

「うん、良いよ……! 今度は俺が二人に跨る番だ。お尻をしっかり突き出して、俺に乗られ易くしておくんだよ?」

 

「はい……♡ どうぞこの雌犬の上に跨って下さい、主殿……♡」

 

「雌馬も貴方を乗せる準備は整っています♡ デカ(ケツ)を突き出してお待ちしているので、乗りこなしたくなった際には遠慮なくちんぽをぶち込んでください……♡」

 

 攻守交替、立場逆転……跨られる者から跨る者へと変わった俺は、四つん這いになって尻を突き出す二人の後ろに立ってその光景を眺める。

 大きく丸いアルトリアのむっちりとしたデカ尻と柔らかく白桃の様な赤みを持った牛若丸の美尻、その二つを撫でた俺はニンマリと微笑んでから腰を動かす。

 きつく締まる牛若丸のアナルを穿ち、指でアルトリアの尻穴を弄りながら、俺は二人を見事に乗りこなしつつ性交を続けたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・ローマ編4(ジャンヌ モードレッド)

 風邪ひいて更新遅れました、すいません!


「はっ……♡ んっ、むぅっ……♡ ははっ、先走り汁でこの魔力かよ? ホント良い感じに美味いよな、お前の魔力……♡」

 

「……そんな風に蕩けた表情で男性器を口にするなんて、反逆の騎士も形無しですね……女扱いするな~、なんて言ってた頃が懐かしいです」

 

「はぁ? んなこと言ったらてめえもそうだろうがよ! 聖処女様がちんぽを美味そうに咥えてる姿を見たら、お前の信仰者たちが泣くぞ?」

 

「あ、あの~……出来たら人の急所を咥えながらの喧嘩は止めて貰って良いかな……? うっかり歯が当たりそうで怖いんだけど……」

 

 自分自身の男性器の危機に黙っていられなくなった俺は、先ほどから奪い合うようにしてフェラチオを続けるジャンヌとモードレッドを制すると溜息をついた。なんだか妙に険があると言うか、二人の仲が悪く見える。

 人の肉棒を挟んで睨み合う二人は相手に対する敵意を剥き出しにしている。どうしてこんなに仲が悪いのかを聞こうと思った俺であったが、それより前にモードレッドが喉の奥まで俺の肉棒を咥え込んで来た。

 

「うおぁっ!?」

 

「んごぉ……っ♡ ごっ、おおぉ……♡」

 

「ちょっと!? 私の分まで奪うつもりですか!? それは無しですよ!」

 

「んっん~~っ♡ ひぃるふぁよ、ふぉんなふぉと(知るかよ、そんな事)

 

「も、モードレッド……! ちんぽ咥えながら喋らないで……変な風に刺激されて、辛い……っ!!」

 

 もごもごと口と舌を動かすモードレッドは、俺の肉棒を器用に咥えながら喋っている。そのせいで妙な刺激を受けて表情を歪めた俺が抗議すれば、モードレッドはニンマリと黒い笑みを見せて来た。

 

「ほ~……? ふぉれ、いいんらな?」

 

「ぐぅっ……!?」

 

 上目遣いに俺を見ながらの口淫を続けるモードレッドは、珍しく自分がリードしながら行為をしていることが嬉しい様だ。いつもより丹念に俺を責め、絶頂させようとして来る。

 

「うぐっ、うぅぅぅっ……!」

 

「へへっ! こう言うのも結構楽しいじゃん! ほらほら、ここからもっと激しく……のわっ!?」

 

「は~い、交代のお時間で~す! モードレッドさんはどいてくださいね~!」

 

「あっ! お前、割り込むなんてずりぃぞ!」

 

 俺がモードレッドの舌技に呻いていると、突然に割り込んで来たジャンヌがモードレッドを押しのけて俺の前に体を置いて来た。

 文句をつけるモードレッドの言葉など意に介さない様に俺だけを見つめるジャンヌは、そのまま自分の乳房を使って俺の肉棒を挟み込む。

 

「お、うぅ……っ!?」

 

「ふふふ……! モードレッドさんにはこんなことは出来ないでしょう? あんまり激しくはしませんから、存分に私の胸を楽しんで下さいね……♡」

 

 柔らかいジャンヌの胸が俺の肉棒を包み、上下に動き出す。宣言通りあまり激しくは動かないものの、それがかえってジャンヌの乳房の感触をはっきりと伝えていた。

 亀頭に唇を落とし、舌を這わせ、胸の谷間に涎を垂らす……貞淑なジャンヌが行う淫らな行為は、俺を視覚でも楽しませ、興奮させた。

 

(確かにこれは、モードレッドには出来ないかも……)

 

 胸の大きさが足りない事や、案外ウブなモードレッドには出来ないであろう積極的な奉仕を堪能した俺は、そんな事を心の中で思った。これがモードレッドにバレたら、とんでもない顰蹙を買いそうだ。

 フェラチオによるものとは違うパイズリでの快感に呻く俺は、先ほどから受け続ける二人の奉仕で射精の時を迎えようとしたが……

 

「おらっ! そこまでだこのスケベ女っ! お前に良い所は持ってかせねーからな!」

 

「きゃぁっ!?」

 

 反撃の時、来たれり。先ほどのお返しとばかりにジャンヌに組み付いたモードレッドが彼女を引き倒し、奉仕を中断させたのだ。

 射精の一歩手前で寸止めを食らった俺は正直がっくり来るも、そんな俺の様子になど意に介さずに二人は言い争いを続けている。

 

「ちょっと! 何をするんですか!? あともう少しでマスターをイかせられたのに!」

 

「それはこっちの台詞だ! 俺が先にシテたんだろうが!」

 

「それってつまり、あなたが抜け駆けしたことを認めるんですよね!? なら、黙って自分の罪を悔いていて下さい!」

 

「かんけーねー! オレはやりたい様にやるし、したい様にするんだ! お前の意見なんか知るもんか!」

 

「なっ!? ……こうなれば、決着をつける方法は一つですね……!」

 

「おう、そうみたいだな!」

 

 険しい顔で言い争っていた二人であったが、突如として頷き合うとお互いに距離を取った。そのまま布団に寝転がった二人は、大きく脚を広げて俺の方を見る。

 そして、自分の手で己の秘所を広げながら……それぞれが甘い声で俺のことを誘惑して来た。

 

「おい、マスター! オレとシたいよな? 鍛えてるから、オレのまんこはキツキツで気持ち良いぞ~♡」

 

 モードレッドが舌なめずりをしながら俺を誘う。広げられた秘所は艶が乗り、綺麗な色と形をしていた。

 ソロモンの下で妊娠と出産を繰り返していた彼女の膣は大分使い込まれていたが、俺をマスターとして再契約したことで淫紋令呪が働いてくれたのか、再び本来の形を取り戻したのだ。

 淫紋令呪のもたらしてくれた効果を喜ぶモードレッドは、存分にそこを使って俺を誘惑して来ている。だが、トロリと蜜が零れる膣を見せつける彼女の隣でももう一人の女性が俺を誘っていた。

 

「……マスター、私の方が良いですよね? 貴方にたっぷり使い込んで貰って、貴方のおちんぽの形になった私のおまんこ、気持ち良くない訳がありませんもんね♡」

 

 女性らしさを存分に見せつけるジャンヌは、大きな胸を揺らし、ひくひくと膣口を引くつかせながら俺を誘った。

 下品に脚を広げ、淫欲に塗れた表情を見せる彼女の姿からは、聖女と呼ばれていた頃の面影はない。だが、その表情にはゾクリとする程の美しさがあることも確かだ。

 どちらも魅力的な女性たちに誘われる俺は、悩んだ末に二つの女性器に手を伸ばした。そのままそれぞれの膣内に人差し指と中指を突っ込み、ぐちゅぐちゅと弄り始める。

 

「あっ♡ んんっ♡」

 

「はきゅぅっ♡」

 

 俺の愛撫を受けた二人は、喘ぎ声を上げながら両手で自分の足首を掴んでその姿勢を維持している。

 びくびくと震えるお尻が浮かび上がって来る光景を楽しむ俺は、そのまま指で二人の性器を弄り続けた。

 

「はへっ♡ あ~っ♡ はぁぁぁっ♡」

 

 きつく、ぎゅうぎゅうと俺の指を締め付けるモードレッドの膣。先ほどから激しく震え、これでもかと言う程に愛液を垂れ流している。

 丁寧に、丹念にその内部を弄ってやれば、感じる部分を触れられたモードレッドの口からは甘い声が漏れた。徐々に彼女を雌にしている事に充実感を覚えながら、幾度となくモードレッドの弱点を責め上げる。

 

「ふぅぅぅぅっ……♡ ふぁぁぁぁっ♡ くひゅぅぅぅぅっ♡」

 

 もう片方の手でジャンヌを責めることも忘れてはいない。柔らかく解れたジャンヌの膣は、すっかり蕩けて俺の指を咥え込んでいる。

 指を動かせばじゅぷじゅぷと言う淫らな音が溢れる蜜壺の内部を全体的に弄る俺は、じっくりと時間をかけてジャンヌの体を仕込んで行った。

 

「あ~~っ♡ あくっ♡ うきゅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「はっ♡ はっ♡ はぁぁっ♡ お、おぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 二人の腰の痙攣が激しくなる。指の先には降りて来た子宮の入り口の感触があり、簡単に触れることが出来る様になっていた。

 既に浮き上がって来た腰の高さは二人の顔よりも高くなっている。そこから噴水の様に愛液を噴き出す二人の声も甲高くなり、二人の限界が近い事を示していた。

 

「ここを、こう……っ!!」

 

「ひあぁっ♡ ひっ、んんん~~~~っっ♡♡♡」

 

「あぁっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 指で、俺が知る限りの内、二人の最大の弱点を責める。

 モードレッドの腹側にあるGスポットを強く擦り、ジャンヌの子宮の傍にある小さな膨らみを短い連打で突く。そうすれば、二人は絶叫にも近しい声を上げて大きく腰を浮かび上がらせた。

 

 ぷしゅん、ぷしゅんと潮を噴く。溢れ出た愛液が俺の手を汚し、べっとりと濡らしていく。

 未だにびくびくと震えている二人の膣を掻き回してやれば、双方が舌を放り出しながら呻き声を漏らした。

 

「おっ、おぉっ……♡ イキまんこ、やべぇ……っ♡」

 

「はっ♡ まだ、余韻が……♡ ああっ!?」

 

 まだ体を震わせている二人を抱き寄せた俺は、自分の膝の上に片方ずつ二人を乗せると腰に手を添えた。

 とろんと蕩けた表情を見せる二人の様子を楽しみながら少しずつ手を下におろす俺と同じように、二人もまた視線を下へと移してそこにある俺の怒張へと目を向ける。

 

「「う、わ……♡」」

 

 もう我慢の限界だった。先ほどからずっとおあずけを食らっている俺の肉棒は大きくそそり立ち、射精の時を今か今かと待っているのだ。

 モードレッドとジャンヌがゴクリと喉を鳴らす音を聞いた俺は、それと同時に二人のアナルへと指を突き入れた。アヌスを襲う突然の衝撃に惚けた表情を見せた二人であったが、すぐに手を伸ばして俺の肉棒を掴む。

 

「……わりぃな、マスター。お前に大分我慢させちまったみたいだな」

 

「こんなに大きく腫れ上がらせて……本当に申し訳ありません……」

 

 しゅこしゅこと手を上下に動かす二人は、俺の分身を優しく掴んで手淫を続けている。

 柔らかく小さな二人の女性の手の中で律動する肉棒は、今までの我慢もあってかいつも以上に大きくなっていた。

 

「ふぅ、っ♡ マスター……♡」

 

「舌、出してください……♡」

 

 二人に促されて口を開けた俺は、内部に二枚の舌が入って来る感触に目を白黒させた。

 にゅるりと動き、俺の舌に絡まる二人の舌といやらしい音を立てながら唾液を交換した俺は、口の中に溜まった三人分の唾液を二人の口の中に半分ずつ流し込んでいく。

 

「んっ……♡」

 

「ふ、ふふ……♡ いやらしい味、です……♡」

 

 目の前の二人が精力剤を口に含む。それを俺に口移しで飲ませた二人は、手の動きを激しくして俺の肉棒を扱き上げた。

 

「ぐっ! くぅ~~っっ!!!」

 

「良いぜ、イっちまえよ♡ どうせまだまだヤれるんだろ?」

 

「取り合えず一度イって、その後は……ね♡」

 

 じっとりと濡れた秘所を俺の腿に擦り付け、この後行うであろう行為への興奮を煽るモードレッドとジャンヌ。

 そんな二人の体を抱きしめ、熱いキスを交わしながら、俺は溜めに溜めた我慢を解き放つ。二人の手で扱かれた肉棒からおびただしい量の精液を放つ俺は、恍惚とした表情で射精を続けた。

 

「うわっ!? お前、まだこんなに射精出来んのかよ……♡」

 

「精力剤の効果もあるのでしょうが……それにしても、信じられない滾りっぷりですね……♡」

 

「……そりゃあ、こんなに可愛い女の子たちに相手して貰ってるんだもん、いくら射精してもし足りないよ」

 

「オレを女扱いするんじゃねえよ……でも、今は気分が良いから許してやるかな」

 

「そうですね……♡ こんなに美味しい魔力を頂けるんですから、多少の無礼は許してあげませんとね……♡」

 

 手にこびり付いた精液を舐め取りながら妖しく笑った二人は、俺の体から離れるともう一度布団の上に寝転がった。

 先ほどと同じ体勢……脚を開き、女性器を俺に見せつける格好になった二人は、先ほどよりも甘く媚びた声で俺に囁きかける。

 

「……今度はこっちにくれよ、マスター……♡ 直接たっぷり、オレのナカに射精()してくれ」

 

「順番は気にしません……貴方のお気に召すまま、好きに扱って下さいね……♡」

 

 とぷり、と二人の膣から愛液が涎の様に垂れる光景を見た俺は、自分の中の熱が高まっていることを感じていた。

 精力剤の興奮作用に後押しされる劣情の滾りは、目の前の極上の獲物への情欲を隠す事無く股間に表している。ギンギンに勃起した肉棒を見る二人の視線も、期待の色に染まっていた。

 

「……来いよ、マスター。オレの事を孕ませるつもりで、さ……♡」

 

「私たち二人の躰……どうぞご堪能下さいっ♡」

 

 そう言って笑う二人の導くままに、俺は全ての欲望をぶちまけるべく美しい肢体に手を伸ばす。うるさく高鳴る心臓の音を耳にしながら……俺は、聖女と騎士の体を余すことなく貪り続けたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・ローマ編その5(マシュ)

 

「ひあぁぁっ♡ イクっ♡ イクっ♡ イクぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 絶頂を迎えたモードレッドの体を強く抱きしめた俺は、そのまま肉棒を彼女の更に奥へと押し込んだ。すると、モードレッドは体を大きく仰け反らせ、爆発する快感の波動に己の身を激しく痙攣させる。

 

「はひぃぃぃっ♡ ひぃっ♡ んひぃぃぃぃっ♡ こんなの、むりっ♡ こわ、れるぅぅっ♡♡♡」

 

 体を強張らせ、激しい潮噴きを披露したモードレッドは、だらりと手足を脱力させて俺にもたれ掛かった。時折跳ねる彼女の体をそっと引き離した俺は、ゆっくりと肉棒をモードレッドの膣から抜き去る。

 

「あひんっ……♡」

 

 最後に体を大きく震わせたモードレッドの膣から俺の分身が消える。途端、堰を切った様に溢れる白濁液が、彼女の股座から姿を現した。

 

(流石に、疲れたなぁ……)

 

 他の7人同様に二穴から精液を垂れ流し、だらしないアクメ顔を決めているモードレッドを布団へと寝かしつけた俺は、近くにあった水を一息に飲み干すと溜息をついた。

 いくら彼女たちが魅力的であり、精力剤を使おうとも限界は来る……気分的にはもう、俺は満腹だ。

 だが、ここで止める訳にはいかない……何故なら、まだ俺のことを待ってくれている女性が居るからだ。

 

「……お待ちしていました、先輩……♡」

 

 休む俺の前に跪いたその女性……マシュは、恭しく頭を下げて額を床に擦り付けた。

 裸土下座を披露したマシュはゆっくりと顔を上げると、熱のこもった視線を俺へと向ける。そして、そのまま体を反転させて自分の尻を俺に突き出して来た。

 

「私の準備は完了しています……♡ ですが、まずは先輩にじっくりと堪能して欲しいんです。私のことを、完全にソロモンの手から奪い取ったと言う勝利の快感を貴方に味わって欲しいんです……!」

 

 目の前にあるマシュのお尻。ほど良い大きさで、色白のふっくらとした丸みのあるお尻。俺が開発し、俺が処女を奪った一番の性感帯であるマシュのお尻。

 そのお尻に赤い模様が浮かび上がって来る。お尻全体に刻まれるそれは、俺の左手に刻まれた模様とまるきり一緒の物だ。

 

「……先輩、これが貴方の淫紋令呪ですよ……♡ ソロモンの物では無い、完全にオリジナルの貴方の淫紋令呪……それを刻まれた第一号のサーヴァントになれたことを私は誇りに思いますっ♡」

 

「俺も……マシュが、一番最初で良かったと思うよ……! マシュが俺の元に戻って来てくれて、凄く嬉しい!」 

 

 マシュのお尻に刻まれた紋様が放つ明るい輝き。それは、俺の中にある様々な感情を刺激して来た。

 大切な相棒をソロモンの手から奪い返した達成感。見目麗しい美少女を己の物とした充実感。優しく、可愛い後輩と心を繋ぎ合えたことへの幸福感。そんな感情が入り混じり、俺の中で渦巻いている。

 

 本当に良かった。マシュはもう、ソロモンの呪縛から完全に開放されたのだ……。この淫紋令呪の輝きを見る度、俺はそんな思いを胸に抱く。もうソロモンは、マシュに手出しを出来なくなっていると言う事への安心感が俺を包んでくれる。

 だが、だからと言って油断はしない。もう二度と、マシュをあいつの物にして堪るものか。

 

「……マシュ、お尻に触れても良いかな?」

 

「はい……♡ 私もそれを望んでいます。先輩に触れて頂きたいと、そう願っています……♡」

 

 マシュの許可を取った俺は、マシュのお尻へと手を伸ばす。両手で柔らかな曲線を描く山に触れれば、ふんわりとした極上の質感を楽しむことが出来た。

 

「あ……♡ お尻、先輩に触れられて……♡」

 

 マシュのお尻に刻まれた淫紋令呪の輝きが強くなる。それがマシュの興奮度合いを示していることは教えてもらっていた。

 嬉しそうにちかちかと光る淫紋令呪の輝きに目を細めた俺は、手に力を込めてマシュのお尻を撫で始めた。

 

「ふぅ……っ♡ ふぅぅぅぅぅっ……♡」

 

 柔らかい、まるでマシュマロの様なマシュのお尻。それでいて適度な揉み応えもあり、手に吸いつく様な肌触りもある。

 ふっくらとしたお尻を指で突けば、低反発素材を押しているかの様な感触が指に触れた。

 最上級の逸品であるマシュのお尻を堪能する俺は、徐々に疲れた体に興奮が戻って来ていることを感じていた。

 

「先輩……♡ どうぞ、貴方の好きな様に扱って下さい……♡ 私のお尻は貴方の物、貴方だけが触れられる、貴方だけの為に存在する部位なんですから……♡」

 

 じんわりと、マシュのお尻が熱を帯びる。汗と愛液と腸液の臭いが混じった何とも言えない卑猥な臭いが鼻を突き、俺の興奮を更に煽る。

 ぷっくりと膨れ、触れられる時を今か今かと待ち続ける肛門の様子を見た時、その興奮はピークに達した。

 

「あぁ……っ♡ 申し訳ありません、先輩……♡ もっと先輩に楽しんで欲しいのに、もう我慢が出来ません……♡」

 

 ねっとりとした愛液を股から垂れ流しながらマシュが言う。俺に触れられている尻を震わせ、ゾクゾクとする甘い声を漏らしながら腰を浮かす。

 今までの経験で導き出した挿入に最適な姿勢を取ったマシュは、お尻を左右にふりふりと可愛く振りながら俺に挿入を強請った。

 

「先輩……♡ どうかこの堪え性が無い後輩のけつまんこにお恵みを下さい……♡ ずっとずっと我慢してて、お尻が疼いて仕方が無いんです……♡ だから、早く……っ♡」

 

 その言葉の示す通り、マシュのアナルは快感が待ち遠しいとばかりに蠢いていた。

 広がり、窄まると言う動きを何度も見せるその部分は、まるで一つの生き物の様にも見える。

 

「あっ……♡ 先輩のおちんぽ、私のお尻の穴に当たって……♡」

 

 俺ももう、我慢の限界だった。興奮と滾りを取り戻した肉棒をマシュのアナルに押し付ければ、マシュは尻を動かすのを止めて蕩けた声を出す。

 亀頭に触れる肛門がまるでキスをするかの様に吸いついて来る事を感じながら、俺は肉棒をゆっくりとマシュの中に挿入した。

 

「んっ……♡ 先輩のが、私の中にぃ……っ♡ お尻が、喜んでます……♡」

 

 緩いようできついマシュのお尻の入り口を割り裂いて内部に侵入した俺は、彼女からの熱烈な歓迎を受けていた。

 ぬるぬるとした腸液が潤滑油代わりとなっている為、マシュのアナルはとても動き易い。それでいて、きつい締りと細やかな振動を併せ持っているのだ。

 

「ふ、ふふ……♡ 貴方専用の後輩けつまんこのお味はどうですか、先輩? ここは未来永劫貴方だけの場所……♡ 魔術王ソロモンですら、触れることも許されない場所おぉっほぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 話の途中で腰を引けば、アナルから肉棒が抜かれる快感にマシュが獣の様な叫びをあげた。

 背筋が震え、股座からは熱い飛沫が飛び散っている事を見て取った俺は、そのまま腰を突き出してマシュのアヌスを穿つ。

 

「お゛おぉぉぉっ♡ おほぉぉぉっ♡ ほぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 俺の腰がマシュの尻肉にぶつかる度、肉棒をアナルから引き抜く度、マシュは大きな声で快感の呻きを上げる。体は徐々に沈み、俺に穿たれる尻だけが浮き上がって来る。

 俺はそんなマシュの体に覆い被さると両手で彼女の胸を掴んだ。指の間で乳首を挟んで刺激しながら、マシュの大きな胸をたっぷりと堪能しつつ揉みしだく。

 

「あっ、あぁぁっ♡ すごぃぃっ♡ 大きいおちんぽでケツ穴広げられてっ♡ おっぱいも揉まれてるっ♡ 気持ち良すぎて、どうにかなってしまいますっ♡」

 

 全身でマシュの柔らかさを感じながら腰を動かす俺は、更に激しく彼女を責め立てる。

 肉と肉がぶつかる音、尻穴から響く淫らな音、そしてマシュの嬌声がそれに合わせて激しくなり、快感の度合いが強くなっている事を表現していた。

 

「あちゅぃぃっ♡ けつあなあちゅいですぅっ♡ まだだしてもらってないのに、もうイキますぅぅぅっ♡」

 

 肛門の締りが強くなる。淫紋令呪の輝きも最高潮に達し、マシュがイキそうになっていることを示している。

 俺はリズミカルに腰を動かしながら丹念にマシュの尻を仕上げ……そして、今まで触れずにいたマシュの陰部へと指を突き入れた。

 

「あひぃぃぃぃっっ♡ イクっ♡ イクぅぅぅぅっ♡ おまんことけつまんこ一緒に弄られて、イキますぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 絶叫したマシュの体が弾けた。快感によってのたうち回り、激しい痙攣を続けるマシュの体をなおも責め続ける俺は、体を引き起こして体位を変える。

 マシュを自分の腰の上に座らせ、脚をM字に広げさせた俺は、背面座位の体位になってセックスを続けた。

 

「あっ♡ ほっ♡ ほひぃっ♡ おまんこ、けつまんこ、イイ、です……っ♡」

 

 マシュの尻穴を穿ちながら膣を弄る。クリトリスの包皮を剥き、敏感になったそこを摘まんでやれば、愛液が水鉄砲の様に膣から噴き出た。

 じっとりと濡れた膣内を指で擦り刺激することも忘れない。細かな痙攣を続けるそこは愛液でぐっしょりと濡れており、指を動かせばぐちゅぐちゅと言ういやらしい音が響いた。

 

「ほら、マシュ……自分のえっちなお汁だよ。舐めて、感想を聞かせて……」

 

「はい……♡ はむっ♡ ……んっ、しょっぱくて、いやらしい味がします……♡ それに、先輩の味も少し……♡」

 

 自らの愛液で濡れた俺の指を美味しそうに舐めるマシュは、嬉々とした表情で指フェラを続けた。ちゅぱちゅぱと言う音を響かせながら続けられるその行為は、十分に俺の劣情を煽る。

 指をばたつかせてマシュの口内を弄った俺は、そろそろ自分も達するべく腰の動きに集中し始める。

 指をマシュの口の中から引き抜き、両手で彼女の膝の関節を掴んだ俺は、マシュの体を持ち上げながら立ち上がり、駅弁の格好で彼女を犯し始めた。

 

「お、おぉっ♡ ほぉぉぉっ♡ なんて、力強い……♡ それに、はげしぃっ♡」

 

 ばしん、ばしんっ! と音が鳴る。マシュのお尻は太鼓の様に俺の腰に打ち付けられ、激しいセックスによる音色を奏でていた。

 持ち上げられ、ただ俺に成すが儘にされるマシュはアナルを締めて俺に媚びる。口からは快感の雄たけびを上げ、アナルセックスを楽しんでいる様子を見せていた。

 

「お゛お゛お゛っっ♡ ほ、お゛お゛っっ♡ んほぉぉぉぉぉぉっっ♡ きめりゅぅぅっ♡ アナルアクメ、きめりゅぅぅっっ♡♡♡ こんなセックス、たえられにゃいぃぃっ♡ がまんできるわけありませんっっ♡♡♡」

 

 愛液が雨の様にマシュの膣から噴き出す。乳首は硬く尖り、表情からは一切の余裕が消えている。

 舌を放り出し、白目を剥き、下品なアヘ顔を晒すマシュは、絶頂し続けながらもアナルに力を籠め続けていた。

 

「ほぉぉぉぉっっ♡♡♡ けつまんこ、先輩に開発されてっ♡ また気持ち良くなってぇっ♡ も、もっともっと使い込んでくらしゃいぃっ♡ 貴方だけの専用ケツ穴に、もっとおちんぽ馴染ませてくださいぃぃっ♡♡♡ 後輩けつまんこを、先輩専用のちんぽ穴に改造してぇぇぇっっ♡♡♡」

 

「ああっ……! 沢山セックスして、もっと具合の良いけつまんこにしてあげるよっ!」

 

「うれひぃ♡ うれひぃれすっ♡ わたひ、きちんとけちゅあなしめまひゅからっ♡ しぇんぱいのぷりぷりザーメン、マシュのけつまんこにどぴゅどぴゅだひてくらしゃいっ♡」

 

 呂律が回っていないマシュの言葉を聞きながら、俺はラストスパートをかけた。腰を激しく振り、奥深くまでマシュの尻を穿つ。そうすれば、マシュは尻穴をぎゅっと締めて俺の動きに応えてくれた。

 

「ほぉぉぉぉぉぉっ♡ またイクっ♡ ケツアクメきめるっ♡ 先輩ちんぽにアクメきめさせられちゃうっっ♡」

 

 マシュの膣は潮噴きが止まらない状況になっていた。体の水分全てをそれに変えてしまっているのでは無いかと思う程に激しく潮を噴きながら、マシュは喘いでいる。

 腸液でぬらぬらと濡れる俺の肉棒は射精の時を今か今かと待っている。俺は、一際大きく腰を動かしてマシュの一番奥まで肉棒を突き入れると、そこで溜まりに溜まった欲望を解放した。

 

「おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡♡♡」

 

 ドクンっ、と言う音がした気がした。まるで大砲の発射の様な音が幻聴で聞こえた。マシュの尻穴にぶちまけられたのは、それほどまでに激しい射精だった。

 今まで何度も射精したと言うのにまだそれほどまでの興奮が残っていたのかとどこか冷静に考えていた俺は、無意識のうちに射精をしながら腰を動かしていた。

 

「お゛お゛っっ♡ おしりぃ♡ 先輩のザーメンすりこまれてぇ……っ♡ 先輩の魔力と臭いが、腸壁にしみこむぅ……♡ 私のお尻の穴、先輩の臭いしかしなくなっちゃう……♡」

 

「……嫌?」

 

「いいえっ、そうして欲しいですっ♡ お尻にマーキングして、私が先輩の物なんだって証明を残して欲しいんですっ♡ お尻の淫紋令呪を見て、けつまんこから漂う臭いを感じれば、どんな馬鹿だって私が誰かの物なんだってわかりますから♡ 先輩の臭いをもっともっと擦り込んでくださいっ♡ こいつは俺の女なんだって証、私に刻んでくださいっっ♡♡♡」

 

 マシュの言葉を聞きながら俺は腰を動かしていた。彼女の望む通り、俺は彼女に自分の臭いを擦り込んでいく。

 ぬるぬるとした精液がマシュの中に染み込み、一つになっていく……俺がマシュを染め上げていると言う征服感を感じながら、俺はそっとマシュを床に置いた。

 

「は、ひ……♡ んほぉっ♡」

 

 ぬぽんっ♡ と音を立てて尻穴から抜ける肉棒。俺は指でその中身を広げ、内部の様子を探る。

 白い精液がたっぷりと詰まったマシュのアヌスは、ひくひくと蠢いてそれを排泄しようとしていた。それを許さんとばかりに指を突き入れた俺は、中身を掻き回して腸壁に精液を擦り込む。

 

「ほひぃぃぃぃっ♡ ほっ、ほぉぉっ♡ ひぇんぱい、ひぇんぱいぃぃっ♡♡♡」

 

「たっぷり擦り込んだらもう一回するよ。沢山魔力供給してあげるからね……!」

 

「はいぃ……♡ 私の中、先輩の精液でいっぱいにしてくらさい……っ♡」

 

 ぐちゅぐちゅ、ぬちゃぬちゃ……そんな音を響かせるマシュのアナルからは、俺の精液の臭いが漂っている。お尻に刻まれた淫紋令呪も激しく輝き、彼女の喜びを表していた。

 そんな風に夢中になってマシュの尻を弄る俺であったが、顔を上げるとマシュ以外にも何人もの女性たちがお尻を俺に向けている事に気が付いた。

 

「……余を退屈させるで無い、マスター♡ 二週目をするのであれば、また余からのスタートであろう?」

 

 お尻を可愛く振りながらネロが言う。小さなわがままボディを存分に見せつけながら、彼女は笑っていた。

 

「負けちゃった沖田さんのこと、好きにして良いんですよ? それが勝者の権利なんですからね……♡」 

 

 病的なまでの白い肌を晒し、白桃の様な尻を見せつけながら沖田さんが言う。その口振りはとても嬉しそうで、敗北したと言うことへの悔しさはかけらも感じられなかった。

 

「トナカイさん! はやくはやくっ♡」

 

 子供の無邪気な口調でリリィが言う。ぷりんぷりんと振られる小さなお尻を見ると、背徳感を併せ持つ興奮が俺を襲った。

 

「……ぼさっとしてないで早く来なさいよ。相手してやるって言ってるんだから……♡」

 

 ぶっきらぼうな口調でオルタが言う。お尻を突き出したまま動かないでいる彼女は、俺が自分を抱く時を素直に待っている様だった。

 

「マスター、あまり無理はなさらないでくださいね。この人数を相手にするのは、骨が折れるでしょうから……♡」

 

 俺のことを心配しながらアルトリアが言う。俺のことを慮っている口調ではあるが、どうやら彼女の中ではもう一周セックスすることは確定事項の様だ。

 

「あ、主殿……どうか、この雌犬にもお慈悲を下さい……♡ ほとが疼いて、他の何も考えられませぬ……♡」

 

 とても恥ずかしそうに牛若丸が言う。ぷるぷると痙攣する彼女のお尻は、羞恥によって震えているのだろう。その様子が愛らしくて、つい俺は笑ってしまった。

 

「……オレはあんま戦力になんねえけどさ……お前さえよければ、その……抱いて、欲しいな、って……♡」

 

 少しだけ引け目を感じた口調のモードレッドが言う。自分の状態を分かっていながらも、彼女は快楽を求める心を抑え込むことが出来なかった様だった。

 

「さぁ、どうぞ……♡ 多くは語りません、言葉は必要ないでしょう? ただ、体を重ね合わせて欲しいのです……♡」

 

 清らかな口調で淫らな言葉を口にするジャンヌが言う。矛盾した雰囲気を放つ彼女からは、未知数のエロスが発せられていた。

 

「んっ、ぐぅっ♡ せん、ぱい……♡」

 

 びくんっ、とお尻を跳ね上げたマシュが俺の名を呼ぶ。その手に掴んである精力剤を差し出し、まだ相手をして欲しいと暗に強請って来る。

 

(……明日の作戦に支障が出ませんように……!)

 

 無理なことだとは分かっていながら、俺はそう思わざるを得なかった。まあ、最悪時間を遅らせる位で許して貰おう。

 取り合えず貰った精力剤を飲みほした後……俺は、魔力供給の為にもうひと踏ん張りしようと心に決めたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 婦長の回診 ハロウィン衣装の巻(ナイチンゲール)

 わかってるんだ、本編を書き進めなきゃならないってことは……
 でも、しょうがないじゃないですか! あんなにエロい婦長の礼装が出たら、こうなってもしょうがないじゃないですか!


「……これは、一体何なのでしょうか?」

 

 ローマから帰還したナイチンゲールが自室で見たのは、あまりにも破廉恥な衣装だった。机の上に置いてあるそれが誰からの贈り物なのかは、同封された手紙に記されている。

 今度の慰安会、それを着て来て下さい……カルデア職員一同と宛名が書いてあるそれを読んだ後、ナイチンゲールは贈られた服を広げて眺める。

 

「……やはり、露出部分が多いですね。不衛生かつ防御力も低い……あまり好んで着たいとは思えません」

 

 上着と呼ぶにはあまりにも丈が短い物と、同じく超が付くほどのミニスカートのセット。色は紫がかった黒色で、そこに鮮やかな紫と半透明の黄緑色の布地で細やかな彩色が施されている。

 ごてごてしいベルトや注射器の様なアクセサリーもあったが、それはまあ良いだろう。それよりも問題なのは、この服のデザインだ。

 

「乳房の露出部分はほぼ全域。乳首を隠しては居ますが、あまり意味があるとは思えませんね」

 

 半透明の布とほんのわずかな紫色の布で覆われた乳房は、水着を着ていた方が間違いなく露出が抑えられていると感じられる程にその存在を主張している。

 乳房の下に巻かれているベルトがそのいやらしさを強調し、ナイチンゲールの豊かな胸を張り出すようにして押し出す設計になっていた。

 

 そしてミニスカートやその下に履くショーツやソックスもかなり過激だ。マイクロビキニレベルの布地しかない下着では、もしも下の毛が生えていたら間違いなくはみ出していただろう。

 パイパンになっていて良かったと言うおかしな安心感を得ながら、ナイチンゲールはこの衣装をどうすべきかを一瞬だけ考えた。

 

「……いえ、答えは決まってるんですけどね……♡」

 

 そして、その考えの答えを瞬時に出す。その答えとは、()()()()と言う事だった。

 どうやったかは知らないが、この衣装はこのカルデアの職員が必死の作業の中で作り出した物なのだろう。わざわざこれを着た自分とセックスをする為だけに、彼らは忙しい時間の合間を縫ってこれを完成させたのだろう。

 ならば、その思いには応えねばなるまい。いつも身に纏っている赤い軍服と黒い下着を脱ぎ捨てたナイチンゲールは、舌をペロリと出してからその衣装を掴む。

 

「……そう言えば、ローマに行っている間は慰安会も無かったですし……彼らも大分溜まっているのでしょうね……♡」

 

 ナイチンゲールのその呟きにはありありと期待の色が表れていた。

 我慢に我慢を重ね、溜まりに溜まった男性たちの性欲の限りを自分にぶつけられる時のことを想像した彼女は、熱を帯びた息を吐く。

 

 それに……我慢していたのは男性たちだけでは無い。ローマに行っている間、沖田達の看護に追われていた彼女もまたセックスをお預けにしていたのだ。

 それもほぼ毎晩聞こえて来るマスターとサーヴァントたちの性交の声を聞きながらである。鋼鉄の理性でその性欲を抑えては居たが、内心ナイチンゲールも限界を迎えようとしているのだ。

 

「では……楽しませて貰いましょう。その代わり、私も皆様を楽しませてあげませんとね……♡」

 

 いつもの彼女からは想像もつかない様な淫らな笑みを浮かべ、ナイチンゲールは呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いよ~、婦長! もっと大胆にお願い!」

 

「ナイチンゲールさん! こっちに視線を下さい!」

 

「もっとこう、胸と尻を突き出す様な格好で……そう! それだ!」

 

 それから数十分後、ナイチンゲールは慰安会用に作り上げたカルデアの一室の中で男性職員たちの要望に応えた格好を取っていた。

 淫らな衣装を身に纏ったナイチンゲールのことを職員たちは絶え間なくカメラのレンズに収めている。熱狂と呼ぶに相応しいその反応を見れば、ナイチンゲールも少し楽しみを覚え始めていた。

 

「横顔で、見下す様な目をして……そのまま、パンチラも披露してくださいっ!」

 

「……こんな感じ、でしょうか?」

 

「おぉぉぉっ! それです! そのまま動かないでっ!」

 

 わざわざこの為だけに立体映像装置を起動させて背景を作り出しながら、一心不乱に写真を撮り続ける職員たち。そんな彼らの様子に呆れ半分、楽しみ半分の感情を抱きながら、ナイチンゲールはその肢体を彼らに曝け出す。

 

 コスプレイヤーとはこんな感じなのかと思いながら、沢山の男性に注目されていると言う状況にこそばゆい感情も抱く。生前にも似たようなことがあったが、それらの時とは状況が違い過ぎた。

 

 生前の自分に向けられるのは看護師としての視線だった。女性では無く、まるで鋼鉄の軍人を見ている様な視線で見つめられたものだ。

 しかし、今の自分に向けられている視線はどうだろう? 魅力的で、性的な女性に向けられる興奮した雄の視線そのものだ。自分はそんな視線を向けられるような女では無いと思いながらも、ナイチンゲールは生前に感じられなかった興奮に身を任せる。

 

「……ふふっ♡ 皆様、随分と楽しまれている様子で……では、こんなのはいかがでしょうか?」

 

「おおっ!?」

 

 自ら乳首を隠す布地をずらし、顔を出したピンク色の乳頭を指で隠す。先ほどよりもぎりぎりのエロスを醸し出す彼女に対し、ぎらついた男たちの視線が突き刺さる。

 

「ふ、うっっ……♡ 全て脱いでしまうのは無粋だとは分かっておりますが……これは脱がないと始まりませんよね……?」

 

 じりじりと体を焼く様な興奮に身を包まれながら、ナイチンゲールはいやらしい手つきで自分の体を撫でる。

 徐々に下に、下にと降りて行く手がスカートの中の下着を掴むと、沢山のカメラが並ぶその前でナイチンゲールはそれを剥ぎ取った。

 

「くぅ~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 ほとんど丸見えだった尻が、僅かに隠されていた女性器が、男性たちの前に晒される。次々に焚かれるシャッター音を耳にすナイチンゲールは、身を振るわせて露出による快感を享受した。

 

 勃起した乳首とたわわに実った胸が、大きく女性らしい魅力が詰まった尻が、期待に濡れそぼる性器が……男性たちの劣情を煽り、カメラの中に記録されていく。こんな自分のいやらしい姿が、彼らの手で残されている。

 知らず知らずの内に舌なめずりをしたナイチンゲールは、自分がどうしようも無く興奮していることを感じていた。官能的なその姿もまたカメラに収めながら、男性たちは口々に彼女を囃し立てる。

 

「最高です、婦長! 可愛くって、エロい!」

 

「サービス精神旺盛すぎて、天使にしか見えませんっ!」

 

「婦長の尻……おっぱい……まんこ……っ! 永久保存して、オカズにしなきゃ……!」

 

 自分を褒め称える男性たちの言葉に顔を赤くしたナイチンゲールは、同時に体の帯びた熱がもう我慢出来ないくらいに高まっていることを感じていた。深く息を吐いた彼女は、男性たちの顔を一人一人見た後で行動を開始する。

 

 まず、注射器やボードと言ったアクセサリーは丁寧に棚の中に仕舞った。せっかく作ったそれが壊れてしまうのは忍びないと思ったからだ。

 次に体の各部に巻かれているベルトも外して同じく棚の中に仕舞う。これから行う行為の中では、これは邪魔になる。男性たちに怪我をさせる訳にはいかないと言う彼女なりの気遣いであった。

 そして最後に、ガニ股になって頭の後ろで手を組み男性たちに自分の痴態をこれでもかと見せつける……ぱっくりと開いた膣が涎を垂れ流していることも、彼女の表情が性交への期待で満ち溢れていることも、もう男性たちにはバレてしまっただろう。

 そのまま、性欲を滾らせる男性たちに向けて悩まし気な表情と貪り甲斐のある女体を晒しつつ、ナイチンゲールは自分の欲求をなんら隠す事無く彼らへと告げて性交を強請った。

 

「もう、限界です……早く始めましょう、この淫らで愉快なハロウィンの宴を、始めようではありませんか……♡」

 

 腰を前後左右に振り、男たちにセックスアピールをする。ぽたぽたと垂れる愛液の飛沫を見せつけながら、ナイチンゲールは淫らな誘い文句を謡った。

 

「ハロウィン風に言うならば、()()()()()()()()()()と言う所でしょうか? セックスがしたくて堪らない病気にかかってしまった私のエロ穴に、おちんぽ注射とザーメン薬をたっぷりと投与して欲しいのです……♡」

 

 この場の空気が静まる。しかし、それに反比例して男たちの興奮が高まっていることをナイチンゲールは感じ取っていた。

 服を脱ぎ、男性の象徴を見せつける彼らはいつもに増して昂っている。ギンギンに勃起した肉棒を見せつけられたナイチンゲールがその光景にうっとりとしていると……。

 

「んぐぉっ♡ ほぉぉぉぉっっ♡」

 

「へ、へへっ……! いきなりケツ穴穿られりゃあ、流石の婦長も鉄面皮じゃいられねえか!」

 

「おほっ♡ ほ~~っ♡ ほほぉぉっっ♡♡♡」

 

 何の前触れも無くアナルに叩き込まれた肉棒による衝撃と快感にナイチンゲールが吠える。舌をだらりと垂らし、まるで犬の様な鳴き声を上げながら尻穴を穿たれる彼女の姿に男性たちの興奮は更に高まった。

 そのまま尻穴を穿つ男に抱きかかえられたナイチンゲールは、マットの上に寝そべる男の真上まで運ばれて来た。未だ前後不覚になっている彼女がこれから何をされるかを理解する前に、職員たちは行動を起こす。

 

「はひぃぃぃぃぃぃっっ♡ ちんぽっ、来たぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「はははっ! 大喜びじゃあねえか!」 

 

「どうやらセックス出来なくて大分溜まってたみたいだなぁ……! 今日はその分、たっぷり楽しませてあげますからね!」

 

「は、はい……っ♡ どうぞよろしくお願いしますっ……♡」

 

 逞しい肉棒に両穴を塞がれたナイチンゲールは甘い息を口から吐きながら歓喜の表情を浮かべる。久々の彼女の肉体を愉しむかの様に、職員たちも腰をゆっくりと動かしていた。

 エロコスを見に纏った彼女の痴態は当然ビデオにも記録されていた。周囲でセックスの順番を待ちながら撮影を続ける男の一人が何かを差し出すと、ナイチンゲールに対してそれを使う様に指示する。

 

「ほら婦長、大好きな搾乳機ですよ~! ハロウィン特別仕様の乳絞り機、おっぱいに取り付けましょうね~!」

 

「は、はいっ♡ くひゅぅぅぅぅぅっ♡♡♡」

 

 ジャックオランタンの形をした容器に繋がるチューブと、それの先に取り付けられた紫色の機材。ハロウィンカラーに彩られた搾乳機を乳首にセットされたナイチンゲールは、期待を込めた眼差しでスイッチが入る時を待つ。

 その期待に応える様に電源を入れた男たちは、それと同時に腰を激しく動かして本気のセックスを開始した。

 

「んひぃぃぃぃぃっ♡ おまんこっ♡ けつまんこっ♡ ちくびぃぃっ♡ ぜんぶが、きもちよすぎるぅぅぅっ♡♡♡ も、イクっ♡ もうイキますぅぅぅっ♡♡♡」

 

 全身を駆け巡る強い快感の波に攫われてナイチンゲールは、早くも一度目の絶頂を迎えてしまった。長い間性交をしていなかった体が、与えられた快感に敏感に反応してしまっているのだ。

 その様子を見て取った男たちは絶頂しているナイチンゲールを激しく責めたてる。

 イキ続けている彼女の双穴を激しく擦り、奥の奥まで突き上げれば、ナイチンゲールの口からは絶叫にも近い嬌声が溢れた。

 

「おほぉぉぉぉっ♡ ほっ♡ ほおぉぉぉっ♡ うみゅぅぅぅぅぅっ♡ しゅご、しゅぎますぅっっ♡ また、イって……はぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 間髪入れずの二度目の絶頂。ナイチンゲールの体が激しく痙攣し、乳首からはおびただしい量の母乳が噴出する。

 性器からは愛液がばしゅばしゅと音を立てて噴き出し、アナルもきつく締まって彼女の感じている快感の凄まじさを表現している。あっという間にトロトロに蕩けてしまったナイチンゲールの体を裏返した男たちは、惚けた表情を見せる彼女の頬を己の肉棒で叩いて意識を覚醒させた。

 

「ほ~ら、婦長の大好きなおちんぽだぞ~! お口からもザーメン摂取して、早くちんぽ狂い治さないとね~?」

 

「は、はい……っ♡ 口まんこにもおちんぽ、ください……っ♡」

 

 鼻をぷっくりと広げ、口を大きく開けて男性の肉棒を受け入れようとするナイチンゲール。だが、男たちはニヤニヤと笑ったままそんな彼女を見つめているだけだ。

 早く肉棒を口でも味わいたいナイチンゲールは物欲しそうな顔で男性たちを見るも、彼らは何もしないまま……一体どうすれば良いのかとナイチンゲールが困惑していると、カメラを手にした男がやって来て彼女に質問を投げかけて来た。

 

「婦長~、俺たちは婦長にちんぽと精液上げるわけだけどさ~、婦長は俺たちに何をくれるの? ハロウィンなんだし、あま~いお菓子が欲しいなぁ!」

 

「甘いお菓子、ですか……?」

 

 生憎そんなものは持ち合わせていない。そう答えようとしたナイチンゲールであったが、それは彼らの求めている答えでは無いと思いなおして口を噤んだ。そして、正しい回答を頭の中で模索し始める。

 暫し考えた後で目を開けた彼女は、自分の乳首に装着された搾乳機を取り外すとたっぷりと母乳と肉が詰まった乳房を掴んでそれを彼らに差し出した。

 

「では、こうしましょう。私は皆さんにちんぽとザーメンを恵んでいただく。代わりに、私は皆さんに私の母乳を直に飲んでいただく、と言うのはいかがでしょうか?」

 

「OK! これで交渉成立だな! では、早速っと……!」

 

「んきゅぅっ♡」

 

 ナイチンゲールの乳首に二人の男が齧り付く。そのまま赤子の様に彼女の乳首を強く吸うと、中に溜まっている母乳を直に飲み始めた。

 両穴を塞ぐ肉棒も動き出し、敏感な部分をそれぞれ男たちに支配されたナイチンゲールが大声を上げて喘ぎ始める。先ほどよりも良い反応を見せる彼女をのことを、周りの男たちはいやらしい笑みを浮かべて見つめていた。

 

「おいおい、良く考えたら婦長が同時にミルクを飲ませられんのは二人までだよな? じゃあ、それ以外の奴は婦長に悪戯してやっか!」

 

「ひ、ひぃぃぃっ♡ くしゅ、くしゅぐらないでくらしゃ、いひひひひひっっっ♡♡♡」

 

 セックスを待ちきれなくなった男たちが羽箒を手にナイチンゲールの足の裏をくすぐる。なんともこそばゆい感覚に耐えきらねくなった彼女が体を弾ませてその感覚を耐えようとするも、他の男たちに覆い被さられている今の状況ではそんなことが出来るはずも無かった。

 

「あははははっ♡♡ くす、くすぐったいですっ♡ おしっこがもれてしまうから、もうやめ、あははははははっっ♡♡♡」

 

 滅多に見せない笑顔を見せるナイチンゲールは、とうとう我慢の限界を迎えておしっこを漏らしてしまった。びしゃびしゃと体に尿をかけられながらも、彼女の膣を責める男は満足そうだ。

 ジタバタと腕を振って悶えるナイチンゲールの手首を掴んだ男たちがそこに己の肉棒を添える。ナイチンゲールは彼らの思惑を理解し、すぐに手で彼らの陰茎を扱き始めた。

 

「くうっっ……! ゴム手袋手コキ、やべぇっ……!!!」

 

「いつもとは違う感覚で、気持ち良いぜっ……!」

 

「あひっ♡ はははっ♡ んふぅぅぅっ♡ ほぉぉぉっ♡」

 

 手の中で律動する肉棒を感じ、足の裏をくすぐられるこそばゆさを感じ、母乳を吸われる射乳感を感じ、子宮を突かれる快感を感じ、アナルから肉棒が出て行く心地良い排泄感を感じる……全身で男の相手をするナイチンゲールは、体中を襲う感覚に翻弄され続けていた。

 余裕のない表情でセックスを続ける彼女にカメラを近づけた男はまるでAVの撮影の時の様に彼女に質問を投げかける。真っ赤に染まったナイチンゲールの顔は、それだけで興奮を煽る程に悩ましかった。

 

「ナイチンゲール……今、何人の男の相手をしてるのか分かる?」

 

「あ、う……♡ おまんことけつまんこで一本ずつおちんぽの相手をして、両手でもおちんぽを扱いています……♡ 両脚と両胸で一人ずつ男性のお相手をしているので、合計で8人です……♡」

 

「凄いなぁ! 後は口まんこでも相手出来るから、9人までは相手出来るってことだよね!?」

 

「は、はい……♡ 今すぐおちんぽをぶちこんで下さっても構いませんよ……♡」

 

「ああ、ダメダメ! そうしたらせっかくの可愛い婦長の顔が見られないじゃないか! 全身で男たちの相手をしてる婦長の表情、ばっちり残しておくから!」

 

「ふ、あ……♡ そんな、可愛いなんて……♡」

 

 賞賛の言葉に頬を赤らめたナイチンゲールは、潤んだ瞳でカメラのレンズを見つめた。

 こんな風に男性から求められる日が来るとは思っても居なかった彼女はどこか充実した気分を抱くも、次の瞬間には弾ける快感に全ての思考を掻き消される。

 

「んあぁぁぁぁぁぁっっ♡ ああっ♡ すごいっ♡ すごすぎますぅぅぅっっ♡ ぜんしんがっ、かんじすぎて……ふぅぅぅぅっっんっ♡」

 

 顔を持ち上げられ、至近距離で蕩けた今の表情を撮影される。反応する体も、セックスを続けて乱れている姿も全て撮影されているのだろう。だが、その中でも顔を撮影されていることがナイチンゲールを高ぶらせた。

 

「あっ、あぁっ♡ うあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 生々しい女性の快感。求められ、身を差し出すと言う女の幸福を英霊となった身で感じる彼女は感じている表情を一つ残さず目の前のカメラに記録させていく。

 射乳、性交、排泄、くすぐり……その全てで感じている証拠を残しながら、彼女は言い逃れの出来ない快感に屈服した証拠を残すべく喉が枯れる位の大声で叫んだ。

 

「いぐぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡ あひぃぃぃっ♡ ほっ、はぁぁぁぁぁぁっっ♡ んぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

 涎で、涙で、鼻水で……端正な顔をぐちゃぐちゃに汚して、ナイチンゲールが絶頂する。頭の中が真っ白になる快感に、全てを投げ出して喘ぐ。

 潮と尿を同時に放つ性器も、精液と共に屁を放つアナルも、男たちの口に大量の母乳を射乳する乳房も、細やかに痙攣して絶頂していることを示す全身も、全て撮られている……その事を自覚したナイチンゲールは、ぐったりとした様子で体を床に横たえた。

 

「おいおい婦長、まさかもうバテた訳じゃ無いよな?」

 

「ああ……ご安心ください、私もまだまだ満足はしておりません。この後もたっぷりとセックス、致しましょう……♡」

 

 ぶぴっ、ぐちゅっ……♡ そんな音を鳴らしながらナイチンゲールの二つの穴から精液が溢れる。

 いやらしく、淫らなその光景に喉を鳴らしながら、男たちは搾乳機に溜まったナイチンゲールの母乳を皆で分けて飲み干した。

 

「ふぅっ……! こっちも体力回復だ! 金玉の中が空っぽになるまで射精してやるぜっ!」

 

「それは頼もしい事ですね……♡ 早速お相手願いたいところなのですが、その前に一つお願いがあります」

 

「え? なんすか?」

 

 突然の申し出にぽかんとした表情を浮かべる男たちを尻目に、ナイチンゲールは部屋に備え付けてあったパソコンを操作するとその画面を見せつけた。

 カルデアの公共映像チャンネルを映し出した画面を見せたナイチンゲールは、いつも通りの淡々とした口調で彼らに頼みごとの解説を始める。

 

「……ミス・ダヴィンチから貰ったこの動画チャンネルのアカウントですが、今の私は適当に動画を編集した物しか投稿できていません。これでは皆さんの性欲処理を目的としたミス・ダヴィンチの期待に応えられているとは言えないでしょう……なので、今回のコスプレセックスを良い機会と捉え、本格的な性欲処理用のアダルト動画の一本目としたいのです」

 

「お、おおっ! なんか意外と真面目な様な、そうでも無い様な話ですね!」

 

「と、そこまで決めたのは良かったのですが……残念ながら私には、そう言った手合いの知識がありません。どう言ったサムネイルが目を惹き、どう言ったタイトルに男性が興味を示すかがわからないのです。そこで、皆様のお力をお借りしたいのですが……」

 

「えっと……つまり、俺たちでこの動画のサムネとタイトルを考えて欲しいってことですか?」

 

「その通りです。どうせこの後、皆さんは私に搾り取られる運命なのですから、今の内に考えて貰わないと困るんです」

 

 一瞬聞こえた恐ろしい未来は忘れるとして、カルデアの職員たちはこの難題に頭を悩ませ始めた。

 AVを作る企業の人々は何とも難しいこの題材をこなしているのだろうと感心した一行は、早くセックスを続けたいがために脳細胞をフル活動させ、そして……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この数日後、ナイチンゲールの手によって編集されてカルデアの秘密の動画チャンネルに投稿されたこの動画は、僅か十数名のカルデア職員たちによって瞬く間に千回以上の動画再生回数を突破することになる。

 性交に移る為に必死になって考えたサムネイルとタイトルはそのまま採用され、この動画の再生回数を増やすことに一役買っていることは間違いないだろう。男たちは皆、この画像を見る度に生唾を飲み込むのだ。

 

 動画のサムネイルには、夜の闇の中で満月に照らされるナイチンゲールの姿が映っている。あのエロナース衣装を身に纏っている彼女だが、いくつかの変更が見受けられた。

 

 まず、乳房を隠す僅かな布は剥ぎ取られていた。

 乳房は丸出しにしたままの状態で上着と乳房を支えるベルトを胸の下に巻きつけたナイチンゲールの姿は、男たちの興奮を煽るのにばっちりの効果をもたらしている。乳房を手にしたボードで抑えているのも、グッドポイントだった。

 

 下半身はスカートこそ身に着けているが、その下に履くはずのショーツは脱ぎ捨てられていた。

 一番隠すべき場所を晒していると言うこの淫らな矛盾は、大人の女性であるナイチンゲールがパイパンであることと重なって更に男たちの興奮を駆り立てていた。

 

 そしてなにより……彼女の全身には、大量の精液が浴びせられていたのだ。

 手にした注射器の中身、ゴム手袋と長いソックス、剥き出しの乳房と性器、脚、顔、髪の毛、etc.etc……全身を精液まみれにしたナイチンゲールが指に付いた精液を舐め取っている姿を切り取ったこのサムネイルは、見ているだけで勃起してしまいそうな破壊力があった。

 

 ハロウィンの特別衣装を身に纏い、全身を治療(トリートメント)するかの様に精液でコーティングしたナイチンゲールが目印であるこの動画は、その特徴からこう名付けられた。

 

 【トリック・オア・トリートメント】と……

 

 




 次は本編を投稿します。
 後、絶対にこの格好のナイチンゲールをぐだおと絡ませてやるからな!(やけくそ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦開始

「……来たか」

 

 扉の向こう側に気配を感じ取った彼は、小さく呟く。

 先ほどから騒音や衝撃がこの部屋にまで響いていたことから、何かが起きていることは分かっていた。そして、何が起こっているかもだ。

 

 ゆっくりと開いた扉の向こうから姿を現したのは、彼が予想した顔ぶれだった。多少傷つきながらも闘志を秘めた精悍な表情を自分に向ける彼らの姿を見ると不思議と誇らしい気持ちになる。

 されど彼は動じず、動きもせず……ただ、王としてそこに在り続けた。それが、自分に与えられた役割だと知っていたからだ。

 

「ついにここまで来たか、カルデアの一味よ。その努力は褒め称えよう、しかし、それもここまでだ」

 

 彼の代わりに口を開いたのは、彼の右隣に位置しているカエサルだった。

 今の彼は、自分が知っている彼とは大きく姿が変わっている。肥満体系はどこへやらと言う様に、筋肉質の引き締まった体をしているのだ。

 自身に満ち溢れた表情と不遜な態度はそのままにカルデアの面々を見る彼からは、どことなく邪悪な雰囲気が発せられていた。

 

「オ、オォ……オォォォォォッ!!!」

 

 次いで、自分の左隣に立っていたもう一人の人物が雄叫びを上げた。自分たちと相対する相手の中に、彼が愛して止まない女性の姿を見止めたからであろう。

 凶暴さと獰猛さを感じさせる狂気を放つカリギュラは、その濁った瞳から突き刺す様な視線をネロに向けていた。

 

 カルデアとローマ帝国、両方の有する戦力がこの場に集まった。ならば、今から始まることはたった一つだ。

 最終決戦……黄金の煌びやかなこの王の間にて、この特異点での最後の戦いが始まろうとしている。幸か不幸か、この場所はそれを行うのに相応しい場所に思えた。

 

「答えろ、クレオパトラはどこにいる!? 彼女はどこに捕らえられているのだ!?」

 

「ほぅ……? 贅肉の分際でこの私に不遜な口を利くか。まあ、良かろう。そんなにも奴の居場所が知りたいのか?」

 

 二人に分かれたカエサル同士の会話。同じ声が響き、体型の違う彼らが睨み合う。

 電撃が弾ける様な視線のぶつかり合いを続けた後で愉快そうに笑ったカエサルは一度跳躍した。そして、この王の間から続く廊下の前に立つと、自分を見つめる者共に振り向いてから言う。

 

「ならば私を追って来るが良い! 私の行く先に、お前の求める者は居る!」

 

「ま、待てっ!!!」

 

 ローマのカエサルが廊下の先に消える。セイバークラスの持つ優れた身体能力を遺憾なく発揮した彼は、あっという間に廊下の先へと進んで行った。

 それを追って走り出すカルデアのカエサルだが、身体能力の差ははっきりと表れていた。ぐんぐんと差をつけられる彼であったが、その横をいくつかの影が走り抜けていく。

 自分のことを心配したマスターが援軍を寄越してくれたのだと理解したカエサルは、彼に対して感謝の思いを胸にすると共に、自分もまたその後を追って駆け出して行った。

 

「……どうやら、向こうはこっちの戦力をばらけさせるつもりみたいだな」

 

「ああ、そのようだなっ!!!」

 

 王の間に残るメンバーたち、その中でマスターへと向けた土方の呟きに言葉を返したのはネロであった。

 愛剣【原初の火】を取り出しながら横に跳躍、そのまま剣を防御の構えで突き出した彼女は、自分に繰り出された拳での強烈な一撃を何とか受け止める。

 

「ネロっっ!!!」

 

「案じるな、マスター! 余は平気だ!」

 

 初撃を防ぎ、安堵の息を漏らしたネロがマスターに応える。だが、まだ油断が出来る状況ではない。

 

「オ、オォォォォッッ!!」

 

「叔父上……何と痛ましい姿に……!」

 

 催眠や暗示が消えた思考で今のカリギュラの姿を見たネロは、痛む胸の内でその思いを口にした。

 カリギュラから放たれる狂気は今までの物より強く、そして獰猛であった。瞳からは血の涙が流れ、赤い線を彼の眼尻に引いている。

 それが狂気によるものなのか、それとも自分が敵に回ったことを悲しむが故の涙なのかは、ネロには判断出来なかった。

 

「マスター! 叔父上の相手は余がするっ! すまぬが、この場は任せるぞっ!」

 

「わかった! 何人かネロの所に援護に行ってあげて!」

 

「助力、感謝する! 必ずや勝利の報をお前に届けることを約束しよう!」

 

 ネロがカリギュラを連れて別の部屋へ消える。それを追って数名のサーヴァントたちもまた姿を消した。

 戦いの喧騒が消えた王の間に残った数名のサーヴァントたちを率いるマスターは、自分の視線の先で玉座に座す王の姿を見る。彼と視線を交わらせた帝王は、ゆっくりと王の風格を感じさせながら立ち上がると、ようやく口を開いた。

 

「……始めるか」

 

 その一言を機に、強大な魔力が王の間を満たす。暴力的な威圧感を放つ王を前にしても、カルデアの面々が怯む事は無かった。

 

「……ああ、始めようロムルス。このローマでの最後の戦いを!」

 

 令呪を光らせ、臆する事無く自分を真っすぐに見つめるマスターの姿を見たロムルスは、もう一度愉快そうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カエサルがその部屋に辿り着いた時には、もう戦いは始まっていた。

 もう一人の自分自身が剣を振るい、二人の英霊と戦っている姿を見つけたカエサルは、息を飲んでその戦いを見守る。

 二人の英霊……アルトリアと牛若丸と戦うローマのカエサルは、酷く苦しい戦いを繰り広げている様に見えた。

 

「ぬ、うっ……!」

 

 強烈な聖槍での一撃と、機敏な刀での連撃。その全てを何とか受け切るカエサルであったが、ギリギリで踏み止まっている事は明らかだ。

 ついには攻撃を受け切れなくなったカエサルは、大きく後ろに吹き飛ばされてしまった。見事な連携を披露し、難なくカエサルを圧倒している二人の女英霊は淡々と彼に語り掛ける。

 

「諦められよ、ローマ皇帝カエサル。あなたの剣技は確かに見事だ、無駄のない、相手を倒すための剣術……しかし、それが故にあなたの剣には遊びが無い。あまりにも実直すぎて剣筋が読めるのだ」

 

「つまり、あなたの剣を受け切れるだけの実力がある相手と相対した場合、あなたの勝ち目はほぼ無くなる。後は相手との消耗戦に勝つしか無いだろうが、我々二人を相手にいつまで粘ることが出来るかな?」

 

 冷静にカエサルとの実力差を指摘し、勝負を諦める様に諭す二人。されどその様子に油断は無く、鋭い眼光を見せてカエサルを睨んでいる。

 カエサルもまた二人に対して視線を返すと、自嘲気味な笑みを浮かべる。しかし、その表情には諦める様子などは微塵も感じられなかった。

 

「なるほど……確かに私では貴様らの相手は役不足らしい。そもそも、私が剣を取った所で騎士王と源氏の若武者に勝てるはずもないだろうしな」

 

「分かっているのなら早々に諦め、クレオパトラ殿を開放して投降されよ! 主殿はあなたのことを悪い様にはしないだろう」

 

「ふむ……それも悪くは無いのだろうが、私にもまだ勝ち目はある。投降は、全ての手を打ってからにさせて貰おうか」

 

 不敵に笑うカエサルが指を鳴らせば、彼のすぐ近くにあったカーテンが床に落ち、その先の光景が露になった。

 アルトリア、牛若丸、そしてもう一人のカエサルがそこにある物を見た瞬間、その表情が険しい物へと変わる。

 

「か、カエサル様……! それに、皆様も……!」

 

「く、クレオパトラっ!!?」

 

 そこに居たのは傷だらけの体をしたクレオパトラであった。牢に繋がれ、身動き出来ぬ様に鎖で拘束された彼女は、カエサル達を見て驚きに目を見開いている。

 しかし、カエサル達はそれ以上に驚いていた。それは、彼女のすぐ横には彼女と同じ様に鎖に繋がれた巨大なキメラが居たからだ。

 

「さて、少し話をさせて貰おう。牢の中には絶世の美女と獰猛な獣が居る、お互いに鎖に繋がれている為に今は何も出来ないが……獣の方の鎖は、私がその気になれば一瞬で解くことが出来る」

 

「き、貴様っ!!! 何と外道なっ!」

 

「人質と言う事か……」

 

「その通りだ。察しが良くて助かる」

 

 あくどい笑みを浮かべたカエサルは、クレオパトラを人質に取られている事で身動きが出来なくなったアルトリアと牛若丸に剣を向けた。そして、その笑みのままに下種な視線を送る。

 

「さて、ここで交渉だ。私が獣を開放するかどうかは私の気分一つ……私をその気にしたくないのなら、武装を解除して投降しろ」

 

「くっ……!」

 

「おや? 源氏の若武者は私の交渉を蹴ると言うのかな? であれば……」

 

「ま、待てっ! ……分かった、貴様の言う事に従おう……」

 

 カエサルが手を振り上げたことを見た牛若丸が血相を変えて叫ぶ。手にした刀を床に置き、カエサルの方に蹴飛ばした彼女と同様にアルトリアも聖槍を手放して武装を解除した。

 二人の得物を奪い、圧倒的優位に立ったカエサルは愉快そうな表情を見せて笑う。そして、更に屈辱的な命令を二人に発した。

 

「はて……お前たちが身に纏っているその鎧は、武装では無いのか? それも脱ぎ捨てねば、ついうっかり獣を開放してしまうかもしれんなぁ……!」

 

「な、何をっ!? 貴様、そこまで堕ちたかっ!?」

 

「いけません! 私のことなど気になさらず戦って下さい! ここであなた方が敗北したら、全ては水の泡になってしまうのですよ!」

 

「ふむ、そうかもしれんな。しかし、ここでクレオパトラが死んだ場合のことを考えてみてはどうだね? 貴様らが肉体のクレオパトラを保護していることは分かっている。しかし、ここで精神のクレオパトラを保護できなければ何の意味も無いだろう? そうなれば結局クレオパトラは死に、ソロモン様の元に戻る……そうなれば、彼女を待っているのは凄惨な地獄だぞ?」

 

 カエサルのその言葉に全員の神経が昂る。暗にクレオパトラが便所行きになることを示している彼の言葉に、もう一人のカエサルは怒りを隠せずにいた。

 

「貴様、貴様っ……! 愛する者にその様な仕打ちをして、それでも貴様は男かっ!?」

 

「愛? 確かに私はクレオパトラを愛しているとも! 私に勝利をもたらす道具としてな! 玩具にも計略の道具にもなるこの女は、私に多くの利益を与えてくれている! 感謝するよ!」

 

 カエサルの言葉を聞いたクレオパトラは瞳に涙を浮かべた。それは、自分が仲間たちの足を引っ張っている事へと不甲斐なさから来るものであり、愛する人が自分を道具としか見ていない事へと悲しみから来るものでもあった。

 ある者は怒り、ある者は悲しむこの部屋の中で、カエサルは視線でアルトリアと牛若丸に決断を迫る。自分たちがクレオパトラの命を握っていることを理解している二人は、お互いに顔を見合わせ、瞳を閉じ、そして……

 

「……わかった。貴様の言う通りにしよう」

 

「ふふ……! それで良い」

 

 カエサルの言う事に従って、身に纏っている衣服を全て消滅させた。

 目の前で全裸になった見目麗しい女性たちの姿を見るカエサルは、下卑た視線を彼女たちに送って二人の裸体を堪能する。

 

「これはこれは……どちらも趣の違う素晴らしい女体だ。この後、存分に躾けて味わってやろう……!」

 

「くっ……!」

 

 二人に近づいたカエサルは、手を伸ばして二人の柔らかな体に触れた。アルトリアの大きな乳房を揉み、牛若丸の引き締まった尻を撫でる。存分にその温もりと感触を楽しみながら、カエサルは下卑な言葉を彼女たちに向けた。

 

「騎士王様はなんともいやらしい乳首をしているのだな。くくく……これに顔を出させるのが今から楽しみだ……!」

 

「っっ……!!」

 

 アルトリアの陥没乳首を見ながら彼女を言葉責めしたカエサルは、今度は牛若丸の尻を何度か叩いた。

 ぺちぺちと言う音を立てる張りのある牛若丸の尻を打ち鳴らした後、カエサルは牛若丸のことを言葉責めする。

 

「この尻で何度醜い畜生の肉棒を飲み込んだ? 源氏の天才武将ともあろう者が、人外の獣に股を開いても良いものなのかね?」

 

「くっ、うぅ……っ!」

 

 羞恥と屈辱に染まる牛若丸の表情を見たカエサルは満足げな笑みを浮かべ、そして、頭の中でこの後の情事について妄想を繰り広げる。

 

 クレオパトラ同様、この二人も自分の玩具に仕上げてやろう……ソロモンに献上しなければならないかもしれないが、それまでたっぷりと楽しむのだ。

 もしかしたら、このローマでの活躍の褒美として自分に与えて貰えるかもしれない。そうなったならば三人纏めて可愛がってやろうと決めたカエサルは、視線の端に映る不愉快な存在へと嘲りの言葉を口にした。

 

「ああ、そこの贅肉。気配を消してクレオパトラの牢に近づいているつもりだろうが、全てわかっているぞ。まあ、好きにしろ。お前の力でどうこう出来る代物では無いからな」

 

「ぐっ……!」

 

 クレオパトラが捕らえられている牢に近づき、それを破壊しようと力を籠めるもう一人のカエサルであったが、牢の守りは硬く、自分の力ではどうにもならないでいた。

 無駄な努力を続けるもう一人の自分を嘲るカエサルは、柔らかい女体の感触を楽しみながらその光景を見世物として楽しむ。既にこの戦いが自分の掌の上で行われていることに満足する彼は、勝利を確信していた。

 

「さて、のんびりと楽しもうでは無いか。他の全ての戦いが終わり、貴様たちの仲間が全滅するまでの間、こうやって私を楽しませてくれよ? クハハハハハハハハ!!!」

 

 部屋の中にカエサルの勝利の笑い声が響く。自分に歯向かえる者が居なくなった戦場の中、彼は勝者としてその栄誉を愉しんでいた。

 しかし……!

 

「……私が、何も出来ないと言ったな?」

 

「む……?」

 

 突然、もう一人の自分が声を発したことに気が付いたカエサルは、動きを止めて彼に視線を向けた。

 もう一人の自分はどこか苛立つ笑みを浮かべたまま、同じく自分のことを見つめ返している。その自信ありげな表情にカエサルが訝し気な視線を向けていると……

 

「確かに私は非力だ。この牢を壊すことも、クレオパトラを助け出すことも出来ん……だが、何も出来ないと決めつけるのは、些か早計では無いかな?」

 

「ほう……? ならば、貴様に何が出来ると言うのだ? 只の贅肉である、貴様に!?」

 

 カエサルはもう一人の自分に意識を集中させながら、周囲の状況にも注意を払う。彼が何も出来ないと言うのは間違い無い。だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 であるならば、自分の両脇に居る二人に何かをさせようと言うのか? カエサルは二人の挙動に注意しながら、もう一人の自分の企みを潰すべく全神経を集中させた。

 

「それで? どうするつもりだ? 貴様は何をしようとしている? この状況で、何をしようと言うのだ!?」

 

 威圧感を孕む叫びをもう一人の自分に向け、カエサルは剣を握る。相手が何をしようとも、その企てを阻止する準備は出来ているつもりだった。

 だが、もう一人のカエサルはただ笑うだけだ。なんの行動も起こさない彼に対し、もしかしたら只のハッタリをかましているだけだったのかとカエサルが思っていると……

 

「……いや、何。私は何をするわけでは無いさ。と言うより、もう既に私の行動は終わっているのだよ」

 

「は……?」

 

 その言葉を聞いたカエサルは、理解出来ないと言う様な表情を見せた。

 一体彼は何を企んでいるのか? 何一つ理解出来ないままカエサルが硬直していると……

 

「……!?」

 

 一つ、カエサルは違和感を感じた。正確には、()()()()()だ。

 足音が一つ、この部屋の中に聞こえた。しかし、部屋のどこを見てもその音の主は見えない。

 だが聞き間違いでは無い事は確かだ。ならば何故、足音の主は見えないのか? まさか宝具を使ったロビンフッドが居るのかと警戒を強めるカエサルであったが、その目の前で信じられないことが起きた。

 

「グガァァァァァァッッ!?!?」

 

「なっっ!?」

 

 牢屋の中、鎖に繋がれた獣が咆哮を上げる。叫びと共に口からは血反吐を吐き、苦し気な表情を見せて床へと倒れ込む。

 檻を貫通し、獣のどてっ腹にぶつかる赤と緑の光弾を見るカエサルは、事ここに至っても一体目の前で何が起きているのかを理解出来ないでいる。そんな彼に対し、もう一人の彼が種明かしとばかりに得意気に口を開いた。

 

「何、私は贅肉だ。この図体以外に取り柄もあるまい……せいぜい私に出来るのは、この背に一人の少女を隠すこと位のものさ」

 

「せやぁぁっ!!!」

 

 太ったカエサルの背中から聞こえる可憐な声。その声を聞いた時、カエサルはようやくもう一人の自分の策に気が付いた。

 確かに、あの時点で彼の行動は終わっていたのだ。彼の目的は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だった。それが終わったなら、後は背中に隠した少女に全てを託せばいい。

 目に見える物にだけ気を配り、文字通りその裏側に隠れている者に注意を払わなかったことを悔やむ彼が、自分の失態に気が付くと同時に自分を守る盾が消え去ったことを悟った瞬間だった。

 

「はっ!!」

 

「ふんっ!!」

 

「ぐおぉっ!?」

 

 両脇から聞こえる気合の声、その声と同時に二発の拳を受けたカエサルは苦悶の声を漏らしてその場に崩れ落ちた。

 良い様に体を弄ばれたことに怒りを燃やすアルトリアと牛若丸は、もう二、三発ほど拳と蹴りを彼に食らわせて完全にその意識を刈り取る。それが終わった後、二人は自分たちに味方するカエサルの方へと視線を向けた。

 

「よい、しょっと!」

 

「……感謝する、幼き聖女よ。君のお陰でこの状況を打破できた」

 

「お安い御用です! でも、もっと感謝しても良いんですよ!」

 

 キメラにとどめを刺し、檻を破壊したジャンヌリリィに対して感謝の言葉を述べたカエサルは、大きく胸を張る彼女に深々と頭を下げた後でクレオパトラへと近づく。

 彼女を縛る鎖を破壊したカエサルは、少し後ろめたそうな表情を浮かべつつクレオパトラの髪を撫で、口を開いた。

 

「……すまない、君を助けるのが遅れてしまった……それに、君を傷つけたのは他ならぬ私だ。どう謝罪すれば良いのか分からないが……ただ謝らせてくれ、すまなかった」

 

 自分の犯してしまった罪に胸を抉られるカエサル。しかし、俯く彼に対してクレオパトラは優し気な笑みを見せ、その手を取る。

 

「……貴方もカエサル様なのですね。私が思う、私の知る貴方様なのですね……」

 

「その質問に首を縦に振ることは出来ないだろう。事は難解で、複雑だ」

 

「いいえ、簡単な事ですわ……貴方が私を助けに来てくれた、私にはそれで十分です」

 

 そう口にしたクレオパトラはカエサルのことをそっと抱きしめた。彼女のその行動に瞳を潤ませたカエサルは首を振ると、覚悟を決めた表情で立ち上がった。

 

「……では、最後の仕上げと行こう。全てを元に戻さなくてはな」

 

「元に戻す、とは?」

 

「……贅肉である私とそれをこそぎ落した私、その二人を融合させて元に戻すと言う訳だ。その際、どちらの意識が優先されるかはわからんが……どうか、私を信じて待っていて欲しい」

 

 ふっと小さな笑みを見せ、カエサルは意識を失ったもう一人の自分へと近づいた。そして、その腕を取って小さく呟く。

 

「さあ、勝負と行こうじゃないか。私とお前、どちらのカエサルが勝つかな?」

 

 カエサルがカエサルを自分の元に引き込む。その光景は、太ったカエサルがもう一人の自分を飲み込んだ様にも、痩せたカエサルがもう一人の自分を纏った様にも見えた。

 蠢き、融合を続ける二人を見守る面々は、ただ黙ってその光景を見つめている。

 

「……これが終わり次第マスターの元に迎えるか、それとももう一勝負と行くかは分からない。油断はするなよ」

 

「承知! もしもまだ世迷い言を抜かすならば、この牛若丸が斬って捨てるまで!」

 

「いや、斬っちゃダメですからね!」

 

「……大丈夫ですよ、だってカエサル様ですもの」

 

 警戒を続けるアルトリアたちに対し、クレオパトラは根拠のない自信に満ちた言葉を口にした。

 彼女の言葉と、カエサルを信じる姿を見た三人は、気の抜けた様な表情を見せる。

 

「……そうですね、信じましょうか。彼も一応、私たちの仲間ですし……」

 

「もしもその信頼を裏切ったのならば、首を取るまでです!」

 

「いや、だから殺しちゃダメなんですって!」

 

 戦いの中とは思えない気の抜けた会話を繰り広げながら、四人はカエサルの帰還を待ち続けたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カリギュラ、その愛

 

『あっ♡ ああっ♡ もっとっ♡ もっとぉっ♡』

 

「ぐ、ぎぎぎっ……!!!」

 

 目の前に映し出されている映像を見たカリギュラは歯軋りをして心の内に燃え上がる炎を抑えた。今、ここで自分が暴れれば、映像に映し出されている彼女の立場が悪くなることが分かっているからだ。

 映像に映っているのは愛する姪であるネロだ。今は全裸になり、その美しい体を男たちに差し出して快楽を貪っている。

 

『おちんぽぉっ♡ 余に、おちんぽをくれぇっ♡ もっと余のまんこをぐちゅぐちゅにしてっっ♡♡♡』

 

 双穴を男根に塞がれ、激しくピストンを受けるネロは顔を醜く歪ませて喘いでいた。その表情にはいつもの愛らしさは無く、変わり果てた彼女の姿にカリギュラの胸が痛む。

 あのネロが男たちに汚されていると言うのに何も出来ない自分自身に怒りを燃やすカリギュラは、自分の目の前に立つ男にも同じ怒りを覚えつつその顔を睨みつけた。

 

「……そう怖い顔をするな、カリギュラよ。なに、少し話をするだけだ」

 

 ニタつきながら子供を諭すようにそう言ったソロモンは、ネロの姿を更に大写しにしながらカリギュラに近づく。

 全てを手の平の上で転がしながら、彼はカリギュラへと話を始めた。

 

「この映像を見て分かる通り、お前の姪は既に我が手に堕ち切っている。このソロモンがその気になれば、ネロは今の数倍酷い扱いを受ける様になるわけだ」

 

「っっ……!?」

 

「お前も知っているだろう? 我に従うに相応しくない者どもがどんな扱いを受けているのかを……。お前の姪にも、同じ苦しみを味合わせたいか?」

 

「ぐ、ぎ……!!!」

 

 カリギュラの脳裏にフラッシュバックする映像。カルデアで共に戦った仲間が、まるで性奴隷以下の扱いを受けている姿を思い出した彼は、胸の内に燃える怒りの炎を更に熱く滾らせる。

 しかし、今の彼にはその怒りを表現する方法は無かった。ここで暴れてもソロモンには敵わない。いや、敵わなかったとしても傷の一つはつけられるかもしれないが、そうなれば愛するネロが悲惨な末路を辿ることは目に見えていた。

 

 ソロモンはそれを知っている。カリギュラが、ネロの為ならば自分の命すら厭わないことを理解している。だからこそ、こうして彼に堕ち切ったネロの姿を見せつけて交渉をしているわけだ。

 悔しさを滲ませるカリギュラに対して、ソロモンは一つの取引を持ち掛けた。

 

「さて、カリギュラよ……このソロモンに忠誠を誓え。我が魔術にひれ伏し、全てを捧げるのだ。よもや、嫌とは言うまいな?」

 

「ぐっ……!」

 

 比較的クリアな思考でその取引の内容を理解したカリギュラは、それが完全に罠であることを悟っていた。恐らく、ソロモンは自分を物言わぬ傀儡にするつもりなのだろう。それくらいは今の自分にも分かる。

 誇り、意思、魂、その全てを完全にソロモンに差し出すことなど、決して我慢出来ることでは無い。しかし、カリギュラには選択肢は無かった。

 

『あ、がっ♡ ぐげげげっっ♡』

 

「ネロっっ!!?」

 

 映像の中でネロが男たちに首を絞められる。恍惚の表情を浮かべ、失禁するネロは窒息することも厭わずに快楽を貪っている。

 男たちもネロの穴が更にきつく締まったことに満足げな表情を浮かべながら、ただひたすらに腰を振り続けていた。

 

「……どうした? あの程度のことなど奴隷の最下層に堕ちれば日常茶飯事だぞ? お前が首を縦に振らなければ、ネロは毎日あんな目に遭う訳なのだがな?」

 

「ぐ、お……オォォォォォッッッ!!!」

 

 怒りと悲しみの咆哮が響く。空気を震わせ、聞く者全てを震撼させる様な叫びを上げたカリギュラは、瞳から血の涙を流して己の無力を悔やんだ。

 

 今の自分には何も出来ない。ネロを助け出すことも、醜い姿を晒す彼女を殺すこともだ。かつての彼女を取り戻すことは、自分の力では叶わなかった。

 今の自分に出来ることはたった一つ……これ以上の地獄をネロに見せぬ様にソロモンの言葉に首を縦に振ることだけだった。

 

「ぐ、う……っ!」

 

「くく……! それで良い、お前は利口な奴だ……!」

 

 力無く恭順の意を示すカリギュラにあくどい笑みを浮かべると、ソロモンは彼の霊基を弄り始めた。段々と遠くなる意識の中、カリギュラは最後に思う。

 

(ネロ……お前を救えないことを許してくれ……いつか、お前に光を……)

 

 愛するネロと信頼を送る一人の青年の姿を思い浮かべた後、カリギュラの意識はぷっつりと途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「叔父上っ! どうか目を覚ましてくださいっ! もうあなたが縛られる理由は何処にも無いのですっ!」

 

「グガァァァァァッッ!!!」

 

 突貫を開始するカリギュラをスパルタクスが抑える。力自慢の狂戦士のぶつかり合いを目にしながら、ネロはカリギュラ目掛けて大声で叫んだ。

 

 ネロの援護の為にやって来たのは、彼女が思ったよりも多くのサーヴァントたちだった。エリザベートとロビンフッドをはじめ、スパルタクス、ジャンヌとオルタまでもが彼女の為に駆けつけたのだ。これはカリギュラを倒すのでは無く、生きたまま抑え込むことを目的としたネロの為にマスターが送った出来る限りの援軍であった。

 

 ネロはマスターの思いやりに感謝しながら、その思いに応えるべくカリギュラへと叫びかける。もう自分はソロモンの呪縛から脱した、カリギュラが彼に従う理由は無い、と……

 しかし、カリギュラに施された魔術は彼の思考を深く蝕み、ネロの言葉は彼には届かずに空しく響くだけであった。

 

「ゴ、オォォォッ!!!」

 

「ぬぅっっ!?」

 

 力任せに腕を振るったカリギュラがスパルタクスを吹き飛ばす。そのままネロへと真っすぐ突っ込んだ彼は、剛腕を唸らせて彼女へと殴り掛かった。

 ネロはそれを剣で切り払い、ギリギリの所で防ぐ。火花が舞い散る攻防を繰り広げながら、ネロはなおもカリギュラへと叫び続けた。

 

「叔父上っ! 余はもう大丈夫ですっ! あなたがそうなったのは、間違いなく余の為なのでしょう!? どうか、どうか目を覚ましてくださいっ!」

 

 重い拳での一撃を防ぎ、ネロはカリギュラの瞳を見つめながら叫んだ。記憶の中の優しい彼を思い出し、彼をこうしてしまったであろう自分の弱さを呪うネロの瞳には涙が浮かんでいる。

 必死の思いを込めたネロの叫び。しかし、それすらも届かぬままカリギュラはただ暴れ回るだけだ。

 

「オオォォォッッ!!!」

 

「きゃっ!?」

 

 カリギュラの渾身の一撃を防ぎきれなかったネロの体が宙に舞った。追撃を仕掛けようと彼女を追って跳躍したカリギュラの姿を見たネロは、襲って来るであろう痛みを予想しそれを耐えるべく歯を食いしばる。

 しかし、視界の端に映ったいくつもの矢がカリギュラの体を射抜き、そちらに気を取られたカリギュラが攻撃を中断した為にネロはそのまま地面へと落下して行った。

 

「よ、わっ、しょっ!!!」

 

「んっ……! すまぬ、エリザベート」

 

「礼は後! 今はあいつをどうにかするのが先決よ!」

 

 地面に叩き付けられそうになった自分の体を受け止めてくれたエリザベートに感謝の言葉を述べるネロ。エリザベートはそんな彼女の言葉を軽く受け流し、カリギュラへと視線を移す。

 今は二人のジャンヌと激しい戦いを繰り広げているカリギュラは、正に暴力の嵐となって戦場に君臨していた。

 

「叔父、上……! 余が、弱かったばかりに……っ!」

 

 自分が快楽の毒に負け、ソロモンに忠誠を誓ってしまったばっかりにカリギュラはあんな風になった……その事を苦しむネロの瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。

 不甲斐ない自分の弱さが恨めしく、快楽に負けた自分が情けなくて仕方が無かった。今もこうしてカリギュラに何も出来ないでいる自分にネロが嫌気をさしていると……

 

「何泣いてんのよ、この馬鹿っ! 泣いてたって何も変わらないでしょ!」

 

「え、エリザベート……」

 

 頬を両手で挟まれ、顔を持ち上げられたネロは目の前に立つエリザベートに叱責を受けて少しだけ狼狽えた。エリザベートは弱気になるネロのことを奮い立たせるべく、彼女へと言葉を投げかける。

 

「まさか諦めたわけじゃあ無いでしょうね!? アンタが諦めたら、全部お終いじゃない! 子犬も、マシュも、皆も、アンタのことを信じてんのよ!? その信頼を裏切る様な真似、するわけ無いわよね!?」

 

「っっ……!!」

 

 エリザベートの言葉に自分の背負う物を思い出したネロは、ぐっと拳を握り締めて心を奮い立たせた。そうだ、まだ自分は諦める訳にはいかない。

 沢山の戦力を与えてくれたマスターの思いや、自分に力に貸してくれる仲間たちの思いを裏切る訳にはいかない。そう思い直したネロは、弱った心に活を入れて涙を拭った。

 

「誰が諦めるものか、この愚か者めっ! 余はまだまだやれるぞっ!」

 

「トーゼンでしょっ! それで? 何か策はあるの?」

 

「うむっ! ……これしか無いであろうな」

 

 覚悟を決めた表情を見せたネロは、視線の先に居るカリギュラを真っすぐに見つめると呼吸を整えてタイミングを計り始める。自分のすべきことを頭の中に思い浮かべ、その責任を果たすべく意思を固める。

 なにより、自分を愛してくれる叔父のことを救いたかった。瞳を閉じたネロは、優しかったカリギュラの笑顔を思い出し、その光景を胸に瞳を開ける。

 

「……エリザベート、援護を頼む。少し、無茶をさせてもらうぞっ!」

 

「了解よ! 思いっきりやっちゃいなさいっ!」

 

 頼もしい好敵手の言葉を背中にネロは駆け出す。キャスタークラスにクラスチェンジしたエリザベートの光弾が自分の横をすり抜け、標的であるカリギュラの周囲に着弾して行く。

 

「叔父上ぇぇぇっっ!!!」

 

「っっ!!!」

 

 喉を震わせて自分を呼ぶネロへと視線を向けたカリギュラは、自分に真っすぐに突撃して来る彼女へと標的を変えた。

 拳を固く握りしめ迎撃の構えを取るカリギュラは、鋭い眼光でネロを睨みつける。

 

「グオォォォォォッッ!!!」

 

 咆哮。びりびりと空気が振動し、凄まじい圧気が部屋を埋め尽くす。対決の時を迎える二人は、それぞれの思いを胸にその距離を一気に縮ませた。

 

「ガァァァァァァッッ!!!」

 

 唸る拳、振るわれる剛腕。ネロへと拳を突き出したカリギュラは、彼女の攻撃を警戒しながらその身体を打ち抜く一撃を放つ。

 しかし、彼の目に映ったのは、にわかには信じられない光景だった。

 

「がっ!?」

 

 ネロの手から、剣が消える。地面へと落下する【原初の火】を見たカリギュラは、一瞬だけ動きを止めてしまった。

 このまま腕を振り抜けば彼の勝ちは確定するだろう。ネロの身体は彼の拳に打ち抜かれ、無残な死を遂げる。

 その勝利を掴むために再度動き出そうとしたカリギュラであったが……ネロの顔を見た途端、彼の脳裏には在りし日の光景が浮かび上がって来た。

 

『叔父上』

 

 太陽の様に輝く愛らしい笑み。幼き彼女が見せるその笑顔は、カリギュラの心にしっかりと残っていた。

 何にも代えがたい大切な存在だった。幸福と栄誉が彼女の未来に待っていることを心の底から望んだ。それほどまでに、大切だった。

 だから彼女への愛が消えるはずも無かった。どんなに何かに上書きされようと、自分の中で輝くネロの笑顔を掻き消せるだけの強さは、ソロモンの魔術には無かったのだ。

 

「オ、お、おぉ……」

 

 温もりが広がる。胸の奥、きっと心があるであろう部分からじんわりとした温かさが広がって行く。

 優しく、暖かな感覚を覚えたカリギュラは、そこで初めて自分が抱きしめられている事に気が付いた。

 

「……叔父上、余はもう大丈夫です。あなたの愛のお陰で余は生き永らえ、マスターのお陰で闇の中から救い出された……今度は、余があなたを救う番、あなたに光を見せる番です……!」

 

「おぉぉ……おぉぉぉぉぉぉっっ……!」

 

 無防備なネロの頭を潰す事など簡単だった。首をへし折ることも、胸を貫くことも出来た。

 だが、自分の中の何かがそれをさせるまいと抗っている。その抗いは段々と強く、そしてはっきりとした感覚に変わっていた。

 

「オ、ォ……!」

 

 愛しい者を傷つけるなと何かが言っていた。いや、そう言っているのは自分自身だとカリギュラは気が付いた。

 そして……惑い、壊れ、作り出された自分自身が、本来の自分自身の拳の前に打ち砕かれる瞬間を、カリギュラははっきりと自覚した。

 

「ネ、ロ……」

 

「叔父上っ!」

 

 そっと目の前の目の前のネロの名を呼びながらその身体を抱き寄せる。確かな温もりを感じた時、カリギュラは自分の体から力が抜けて行くことを感じていた。

 

(ネロ……お前に、光は訪れたのだな……)

 

 かつてと同じ感覚、されど胸の中に生まれるのは確かな満足感。

 意識を遠のかせながらも微笑んだカリギュラは、そのままぐったりと床にその身を横たえたのであった。

 

「叔父上、どうか気を確かにっ!」

 

「……大丈夫、命に別状は無いわ。気を失っているだけみたい」

 

 冷静に脈を取ったオルタの言葉に胸を撫で下ろしたネロは、膝の上にカリギュラの頭を置いてそっと目を閉じた。潤んだ瞳から涙を零し、彼が自分を思い出してくれたことに安堵する。

 

「良かった……! 本当に、良かった……!」

 

 悲しみでは無く喜びの涙を流すネロ。そんな彼女の頭をくしゃくしゃと掻き回したエリザベートは、頬をぷくりと膨らませてから彼女に言った。

 

「ちょっと! 何泣いてんのよ!? アイドルなんだから、ファンには笑顔で応えなさいよね!」

 

「む……! そうだな、そうであったな!」

 

 再びエリザベートに叱責されたネロは、愛らしい笑顔を浮かべて周りの味方の顔を見回した。そして、誇らしげに胸を張りながら言う。

 

「皆の者、ご苦労であった! 余が褒めてつかわすぞっ!」

 

 輝く笑顔を浮かべるネロのことを呆れ半分で見つめながら、きっとこの笑顔を見ればカリギュラも喜ぶに違いないと彼女の仲間たちは思ったのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ロムルスの真実、そして……

「……正気か、お前?」

 

 王座の間、そこで戦う土方はマスターの言葉に目を丸くして問いかけた。

 この場に残ったサーヴァントたちも同様の視線をマスターへと向けている。

 

「先輩、それは余りにも危険な賭け過ぎます! もしものことがあれば……」

 

「そうですよ! そんなことをする必要なんてありません!」

 

 マスターの護衛を担っているマシュと土方と共に前線を張っている沖田もまた彼の意見に反対の言葉を述べた。残るモードレッドもまた難しそうな顔をして話し合う面々を見守っている。

 そんな風に戦闘の最中に話し合いを行うカルデアのサーヴァントたちを真っすぐに見据えるロムルスはと言うと、微動だにせずにその場で仁王立ちしているままだった。

 

「………」

 

 威風堂々、そんな言葉がぴったりなロムルスの姿。今の彼を見れば、人の上に立つ皇帝とはどう言う物なのかと言う事がよくわかるだろう。

 子細は問わぬ、ただ全力でかかって来い……自分たちを見つめるロムルスの無言の主張を感じながら、マスターは軽く首を振ってもう一度自分の思いを告げた。

 

「ごめん、どうしてもそうしなきゃいけないんだ。危険な賭けなのは分かっているけど、それでもそうしたいから……」

 

 強く、真っすぐなその眼差し。それを見た土方はマスターの覚悟が硬い事を感じて取った。

 彼の言う通り、どうしてもこの博打は打たなければならないものなのだろう。少なくとも彼にとってはそうなのだ。

 

「……わかった、お前の策に乗ってやる。詳しく話せ」

 

「ありがとうございます、土方さん」

 

 礼を口にする彼に小さく手を振る。そんな言葉など必要ないと暗に告げた土方に対し、他のサーヴァントたちもやや不満ながら納得した様な表情を見せた。

 

「……じゃあ、説明するよ。皆の動きは……」

 

 静かに、マスターは自分の策を解説する。黙って彼の計画を聞いた4人は、頭の中で自分の動きを再確認してからロムルスへと向き直った。

 

「……来るか」

 

「ああ、行くよ!」

 

 ロムルスと短い会話を交わし、マスターが右手を掲げる。

 そしてそこに刻まれた令呪を光らせながら、彼は命令を発した。

 

「令呪を以って命ずる、土方歳三、沖田総司、全霊を持って宝具を開放せよ!」

 

 右手の甲から二画の令呪が消えた瞬間、それが刻まれていた本人の周りに居た二人のサーヴァントから爆発的な魔力が解放された。令呪がその効果を発揮し、二人の魔力を急速に上昇させたのだ。

 

 立ち上る魔力の奔流による青いオーラと人斬りとしての威圧感を放ち、沖田と土方が刀を構える。

 流麗と剛毅、そのどちらもを併せ持つ構えを見せる二人は、同時に床を蹴った。

 

「抜刀……突撃……っ!!!」

 

 鬼……そう表現するに相応しい形相を浮かべ、土方が直進する。遮る物を全て粉砕する勢いでただ前へと突き進み、屠るべき敵へを間合いに捉える。

 

「一歩音越え、二歩無間―――三歩絶刀!」

 

 部屋の中から沖田の姿が消える。凄まじい衝撃波と空気の震えだけを残した彼女が姿を現した時には、もう既に彼女はロムルスの目の前にまで迫っていた。

 

「っっ……!!!」

 

 強靭なる剛剣、俊敏なる絶刀。天念理心流の真髄を極めた二人の剣士の全力の剣技は、真祖ロムルスですら驚愕を隠せぬ程の威力を誇っていた。

 

 ロムルスはすぐ目の前にまで迫った二人の剣士に対し、回避でも迎撃でも無く防御と言う選択肢を取る。

 完全に防ぎ切れる自信はなかった。だが、背を向けても不用意に手を出しても自分の体は叩き切られてしまう予感が感じられたからだ。

 

「ぬぅぅぅんっ……!」

 

 巨大な樹槍を回転させ、二人の振るう刀の軌道に合わせる。それを掴む腕に全霊の力を込めたロムルスは、衝撃に備えて歯を食いしばった。

 

「うっらぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

「無明・三段突きっ!!!」

 

 剛斬が、魔剣が、ロムルスに迫る。樹槍がその一撃を受け止め、悲鳴の様な衝撃音を鳴らす。

 

 部屋の床が一段へこむ程の衝撃波を放つぶつかり合いを見せた三者の攻防は、ギリギリの所でロムルスが二人の宝具を受け止めると言う形の決着を見せた。

 だが……そこで、全ての決着が付いた訳では無かった。

 

「ぐ、ぬ……っ!」

 

「お、おぉぉぉぉっ!!!」

 

「はぁぁぁぁっっ!!!」

 

 刀が、槍が、押し込まれる。稀代の天才剣士二人を相手にしたロムルスが、徐々に押され始める。

 正面からこの二人と組み合い、それでも互角に鍔迫り合いを演じていられるのは、彼がただ強靭な肉体と不屈の精神を併せ持つ真祖ロムルスであるからだ。彼だからこそ、二人を相手に踏み止まっていられるのだ。

 だが、それでも今のロムルスには余裕が無かった。次の対処を間違えればこのまま押し込まれてしまうことを重々に理解する彼は、頭を働かせて取るべき行動を考え始める。

 

 ……その時だった。

 

「!?!?」

 

 三つ目の床を蹴る音がした。聞き間違いでも、幻聴でも無かった。

 その音に気が付き、自分に近づく気配に顔を上げたロムルスが見たのは、到底信じられない光景だった。

 

「てやぁぁぁぁっっ!!!」

 

 向かって来ているのだ、カルデアのマスターが。ただの人間である彼が、刀を手にして自分へとそれを振るいながら飛び掛かって来ているのだ。

 それは自殺行為としか言い様が無かった。今は土方と沖田の相手で一杯一杯とは言え、サーヴァントであり、間違いなく強力な英霊であるロムルス相手に突貫を仕掛けるなど馬鹿のすることでしかないはずだ。

 

 しかし、その馬鹿な行動をカルデアのマスターは確かにして見せている。

 驚きに見開かれるロムルスの目の前で、彼は勢い良く刀を自分へと振り下ろして見せた。

 

「っっ……!」

 

 ロムルスは手にした樹槍を回転させ、受け止めている二人の刀を払った。そして、迷うことなく後ろへと跳躍する。

 寸での所で空を切った刀の切っ先を目前にしながら、敵対する相手と距離を取った彼は一度呼吸を整えてから口を開いた。

 

「……何故、そんな行動をした? 命が惜しくないのか?」

 

 ロムルスは当然の疑問を口にする。サーヴァント同士の戦いに直接介入するなど、自殺行為でしかない。たとえそれが優れた魔術師であったとしてもだ。

 しかも、彼はその優れた魔術師ですらない。運動神経は良いが、取り立てて優れた部分の無いただの若者だ。そんな彼が、何故自分に斬りかかって来たのだろうか?

 

 ロムルスの質問を受けたカルデアのマスターは体勢を立て直し、刀を鞘にしまってからロムルスの顔を見る。

 青い瞳がロムルスの姿を捉え、そこに映る自分を見ながら、ロムルスは彼の答えを待った。

 

「……確かめたいことがあったから、かな」

 

「ほう……それは、なんだ?」

 

「その前に一つ、俺からも質問だ。ロムルス……何で、俺を殺さなかった?」

 

「………」

 

 ロムルスの新たな質問に答える前に逆に彼に質問を投げかけたカルデアのマスターは、真っすぐに彼の顔を見つめながらその答えを待つ。

 押し黙ったロムルスは、肩で呼吸をするカルデアのマスターをじっと見つめたまま何も答えないでいた。

 そんな彼の胸中を探る様に……あるいは、全てを理解している様に口を開いたマスターは、自分なりの考えを話し始める。

 

「ロムルスほどの英霊なら、あの瞬間に俺を殺す事だって出来たはずだ。何でそれをしなかった?」

 

「………」

 

「他にも沢山聞きたいことがある。何で全戦力を持って日本の町を襲わなかったのかとか、厳しく徴兵して軍備を補強しなかったのかとか……色々と疑問に思うことはあるんだ」

 

 少しだけ……ロムルスは、視線の先の青年へと微笑みを見せた。目聡く、賢い彼へと笑みを見せる彼の視界に、新たな景色が映る。

 

「マスター、ご無事ですか!?」

 

「遅くなった! 余たちは無事だぞっ!」

 

 ネロが、アルトリアが、他のサーヴァントたちが、この部屋へと集う。囚われていたクレオパトラや正気を失っていたカエサルとカリギュラの姿もそこにはあった。

 全戦力が集った王座の間の中で変わらぬ視線をロムルスに向けるマスターは、深く息を吐いた後で彼に告げる。

 

「もう終わりにしよう、ロムルス……()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……ク、ククク……ハハハハハハハハ!」

 

 至極愉快そうにロムルスは笑った。集った面々はそんな彼のことを驚きの表情で見つめている。

 そんな中、只一人だけ真顔であったカルデアのマスターに対し、ひときしり笑ったロムルスは穏やかな表情を向けてこう呟いた。

 

「……ネロ、カエサル、カリギュラ、クレオパトラ……我が愛するローマの子たちもソロモンの呪縛から解放されたか。ならば……もう、こんなことをする必要は無いな」

 

「ああ、そうだよ。もう、終わりにしよう」

 

 ロムルスの手にした樹槍が、放つ威圧感が、消える。戦いの構えを解いた彼は、聡明さと力強さを感じさせる光を瞳に灯しながら、カルデアのマスターへと微笑んだ。

 

「流石だ、愛しき我が子よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……再び、(ローマ)はソロモンに利用されることになった。だが、今回は私にも自由があった。奴に従うか、従わないかのな。実際は有って無いような自由ではあったが、その中で私は出来る限りの反抗をさせてもらった」

 

「うん、わかってるよ。ロムルスがここにいたからこそ、この特異点は焼却されて無かったんだもの」

 

 カルデアのマスターの言葉にロムルスが頷く。そして、全てを悟っているであろう彼に対して改めて自分の取った行動を説明し始めた。

 

「ソロモンは、ローマを征服するのはローマ皇帝たちに任せると言った。すなわち、(ローマ)、ネロ、カリギュラ、カエサルの元ローマ皇帝たちを向かわせるということだ。その中で、奴の手に堕ちていない英霊は私だけだった」

 

「……申し訳ありません、真祖ロムルス。余たちが力不足であったが故に、あなたにこんな真似を……」

 

「良い、全ては(ローマ)の罪だ。結局、私は愛するローマの民全てを守ることは出来なかった」

 

 そう呟いた後、ロムルスは悲しそうに顔を伏せた。後悔と悲哀に心を痛める彼に対し、今度はマシュが口を開く。

 

「しかし、あなたが居たからこそ救われた命は無数にあるはずです。街の治安は守られ、日本の町や淫乱組との戦闘は最低限に抑えられていました。その結果、人理の崩壊も為されなかった……その全ては、ロムルスさんの功績のはずです」

 

「確かに……正気を失ったネロやカエサルなんかがローマの舵を切ってたら、とっくに町は火の海になってたはずだ。しかし、実際はそうじゃなかった。おまけに町もかつてとほとんど変わりがない」

 

「ジャンヌ達に支配されていたフランスはソロモンを崇拝する国家になっていた。けど、このローマではそんなことはなかった。それは全て、ロムルスがきちんとこの国のことを守ってくれたからなんだ」

 

「あなたがソロモンに降ったふりをしていたのは、洗脳された私たちを正気に戻し、人理焼却を防ぐ為……そうだったのでしょう、真祖ロムルス?」

 

 カエサルの言葉にロムルスは小さく頷いた。その姿を見たネロは、すぐさま跪いて頭を下げる。

 

「感謝します、真祖ロムルス……! 貴方が居なければ、余は愛するローマの民を皆殺しにする所だった……。そして、多大なる苦しみと責任を貴方一人に背負わせてしまったことを改めて謝罪させて下さい……!」

 

 平服し、頭を垂れるネロと同様の格好をカエサルとカリギュラも取る。

 皇帝でありながら無力だった自分たちの不甲斐なさを責める彼らに対し、ロムルスは力強い声で励ましの言葉を送った。

 

「まだ、終わりではない。愛するローマを守る為、我らは戦わねばならない……全ての罪は、(ローマ)とローマが受け止めよう。お前たちはただ、前を向けば良い」

 

「……ははっ!」

 

 ロムルスの言葉に大きな声で返事を返した三人は、目に浮かべた涙をそれぞれ拭った。真祖ロムルスの器の大きさに触れた英霊たちもまた、彼の偉大さに感服の意を示す。

 

「……ついて来るが良い、我が子よ。ソロモンが(ローマ)に預けた聖杯、それをお前に手渡そう。それでこの特異点は消滅するはずだ」

 

「う、うんっ! ありがとう、ロムルス!」

 

「礼を言うのはこちらの方だ。よくぞローマの皇帝たちと民を守ってくれた……お前たちのことを、(ローマ)は誇りに思うぞ」

 

 柔和な笑みを浮かべるロムルスを見たカルデアの面々は、戦いが終わったことを感じ取って安堵した。また一つ、ソロモンのたくらみを阻止できたのだ。

 緊張を解き、それぞれが徐々に神経を落ち着かせていく。これで、全てが終わった。

 

 ……はず、だった。

 

「がっ!!?」

 

「えっ!? ま、マスターっ!?」

 

 突如として起きた出来事にサーヴァントたちは目を丸くした。先ほどまで笑みを浮かべていたロムルスが、カルデアのマスターを殴り飛ばしたのだ。

 宙を舞ったマスターを急ぎマシュが受け止める。頬を強く打たれた以外に目立った外傷はなかったものの、今のロムルスの行動は流石に不可解だ。

 

「し、真祖ロムルス! なぜあんな行動、を……!?」

 

 一早く硬直を解いたネロがロムルスへ非難と疑問の入り混じった声を上げる。だが、その言葉は途中で途切れることとなった。

 

「ぐ、うっ……!!」

 

 突然マスターを殴り飛ばしたロムルスの姿よりも驚愕の光景が、そこには広がっていた。彼の胸からは、眩い光を放つ剣が顔を出していたのだ。

 

 胸の中心を突き破るその剣を見た時、その場にいた全員が何故ロムルスがマスターを殴り飛ばしたのかを理解した。彼は、マスターを守ったのだ。もしも彼がマスターを自分から遠ざけなかったら、あの剣はマスターの頭をも貫通していただろう。

 その事を理解した英霊たちの目の前でロムルスが倒れる。時を同じくして立ち上がったマスターは、彼の背後に立つ一人の女性の姿を目にした。

 

「……ゲームオーバーだ。淫乱組もローマ皇帝たちも、目的を果たすことは出来なかった」

 

 淡々とした機械の様な口調。白い、無垢である破壊の意思を全身から放ちながら彼女は言う。

 三色に輝く剣を構え、倒れたロムルスの体を踏み越えながら彼女は話し続ける。

 

「また新しいゲームを始めることは出来ない。これは、一度きりの遊戯だった……リセット出来ないのなら、取るべき手は一つしかないだろう?」

 

 ゆっくりと彼女が剣を持ち上げる。その切っ先をカルデアのマスターへと突き付け、殺意を漲らせる。

 その重圧を確かに感じるマスターは、まだ戦いが終わっていなかったという事を理解した。

 

「偉大なるソロモン王の意思を伝えよう……全て、()()だ」

 

「アル、テラ……!」

 

 まるで悪夢でも見ているかの様に、カルデアのマスターは自分の目の前に立つ破壊の王の名を茫然と呟いた。 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決着、ローマ

「アルテラ……!?」

 

「いかにも、破壊の化身にしてお前に死をもたらすものだ」

 

 感情の無い声でそう呟いたアルテラは、手にした剣から破壊の光をマスター目掛けて飛ばした。

 唸りを上げて飛び来るその光をマシュが盾で防ぎ、マスターを抱えて後退する。

 

「マスター、お怪我はありませんか!?」

 

「だ、大丈夫、ありがとう、マシュ……」

 

 突然登場し、敵対する様子を見せたアルテラの姿に動揺を隠せないマスターは視線をマシュに移さないままそう答えた。その目は、アルテラから離れないでいるままだ。

 

 元より感情を表すことが苦手なアルテラは、無表情のままマスターたちのことを見つめている。

 彼女が何を考えているか、それをまったくわからないまま微動だにしないマスターであったが、沖田に肩を掴まれてはっと我に返った。

 

「どうしますか、マスター!? ここは一時撤退を試みますか!?」

 

「こっちは大分消耗してる、退いた方が良いんじゃねえのか!?」

 

 沖田とロビンが冷静な意見を述べる。この場にいるカルデアのサーヴァントたちは、全員がローマ皇帝たちとの戦いで少なからず消耗していた。

 ここに来るまでも何度か戦闘を行い、既に全力を出せる状態とは程遠くなってしまったサーヴァントたち。こんな状態でアルテラと戦うことは危険だと判断した彼らは、マスターに撤退を進言する。

 しかし、マスターはその意見に対して静かに首を振った。驚く面々に対し、土方もまた撤退に対して反対意見を述べる。

 

「無駄だな、ここで逃げても追撃されて一人一人消されるだけだ。なら、全戦力が揃ってる今に賭けるしかねえ」

 

「で、でもっ、この状況で勝算はあるんですか!?」

 

「バーロー、勝算なんざなきゃ作れば良いだけの話だろうが。……おい小僧、さっきはお前の無茶な策に乗ってやったんだ、今度はお前が俺の策に乗れ」

 

「……何か考えがあるんですか?」

 

「もう一度宝具を使う。ただし、ぎりぎりまで溜めてからだ。俺の宝具は俺自身の負傷が大きければ大きい程威力が上がる代物だ。今の状態なら、かなりの威力が出る」

 

「なら、令呪を使って魔力の充填を……!」

 

「いや……この状態で更に威力を上げる為、神経を研ぎ澄まさせて貰うぜ。急速に魔力を充填されちゃあ、勘が冴えねえからな」

 

「……つまり、私たちは土方さんが宝具を撃つまでの時間稼ぎをしろってことですね」

 

 自身の真意を理解した沖田の言葉に土方は頷いた。そして、マスターの顔を真っすぐに見ながら問いかける。

 

「良いな、小僧? これが俺の最終策だ。乗らねえとは言わせねえぞ」

 

「……はい」

 

 肯定の意を示したマスターに満足げな笑みを浮かべ、土方が腰に差した刀の柄を掴む。そして、瞳を閉じて魔力を練り上げながら神経を集中し始めた。

 

「……何か仕掛けるつもりだな。だが、そんな時間は与えん」

 

 戦うと言う選択をした面々と、その中で動きを見せた土方の姿を見たアルテラが彼目掛けて飛び掛かる。

 剣を構え、それを真っすぐに突き出しながら落下する彼女が、土方の胸に向けて渾身の一突きを繰り出そうとしたその時だった。

 

「させませんよっ!」

 

「……ほう?」

 

 自身の両脇から現れる二人の英霊、俊敏さに自信がある沖田と牛若丸がアルテラの隙を突いてその両隣から攻撃を仕掛けたのだ。

 しかし、アルテラは一切の動揺を見せずに空中で一回転して剣を振るう。鞭の様にしならせた軍神の剣(フォトン・レイ)が彼女の周囲を薙ぎ払い、沖田と牛若丸をほぼ同時に吹き飛ばした。

 

「がっ!?」

 

「ぐわっ!」

 

「二人……残りは何人だ?」

 

 土方への攻撃を中断したアルテラは床に着地すると同時に周囲を警戒する。瞬間、彼女に向けて鋭い手刀が繰り出され、アルテラはそれを軽く体をひねることで躱すことに成功した。

 

「オォォォォッ!」

 

「……狂化された者か。激しいが、単調だ」

 

 二度、三度と繰り出されるカリギュラの攻撃を躱し、アルテラが地を蹴る。オーバーヘッドの様に空中で縦に一回転しながら、アルテラはサッカーボールの代わりにカリギュラの頭を蹴り飛ばした。

 

「ゴォォォッ!?!?」

 

「三……次は、誰だ?」

 

 呟きを口にしながら剣を振るい、飛び来る矢を切り払う。撃ち出された矢の方向から敵の位置を予測したアルテラは、剣の先から光線を放った。

 

「がふっ!?」

 

「……これで四だな」

 

 クリーンヒット、三色の光線を胸に受けたロビンが崩れ落ちる。姿を消していた彼を仕留めたアルテラは、彼が倒れながらも微笑みを浮かべている事を見て取ると背面へと剣を回す。

 ガキィッ、と言う音と確かな手応えを感じた彼女は振り返る事無く自身の体から魔力を放つ。彼女の全身に刻まれた(ライン)が禍々しく光ると同時に衝撃波が放たれ、背後から攻撃を仕掛けていたエリザベートの小さな体を吹き飛ばした。

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「五……いや、六か」

 

「ぐうっ!?」

 

 衝撃の余波で体勢を崩したカエサルへと接近、そのままふくよかな彼の体を蹴り飛ばしたアルテラは、カウントを続けながら残る敵を見る。

 彼女の背後では、無謀にも蹴り飛ばされたカエサルを受け止めようとしたクレオパトラが彼の巨大な体に押しつぶされてしまっていた。

 

「七、儲けたな……残りは……?」

 

「ああっっせぇぇぇえいっ!!!」

 

 咆哮を上げて迫り来る灰色の巨人の姿を見つめ、アルテラは剣を構えた。バーサーカーに連携を取らせることは難しい、ならば単独で突っ込ませるのは有意義な策だろう。

 だが、そんなことは彼女には関係ない。ただ剣を振るい、目の前の物を破壊するだけのアルテラには、細かな策も反骨精神溢れる英雄の突貫も関係なかった。

 

「……ふんっ」

 

 跳躍し、突っ込んで来るスパルタクスの背後に回る。巨大な体が反転する前に二連続の斬撃をその背中に見舞ったアルテラは、噴き出す真っ赤な血を浴びながら呟く。

 

「……これで八だ。残りは纏めて吹き飛ばそうか」

 

 真っすぐ、自分の目の高さに軍神の剣を掲げる。腰を落とし、膝を曲げ、全力の一撃を放つ構えを取る。

 回転し、輝きを増す光を横目にしながら、アルテラは真正面に見える土方に向けて己の全力の一撃を撃ち出した。

 

「……軍神の剣(フォトン・レイ)

 

 破壊の化身による静かな宣告、物質を、文明を、その全てを壊し尽くす光が彼女の剣より放たれる。

 真っすぐに土方に向けて飛んでいく光を目にしながら、アルテラは腕に力を込めて彼を破壊するべく突き進む。

 手応えを感じ、衝撃音と爆発に身を包まれたアルテラは目を細めて光を遮った。しかし、瞼の裏からでも遮り切れぬ光の奔流が確かに感じられている。

 

 そして……渦巻き、全てを飲み込む光が王座の間一杯に広がり、収束した後、アルテラは目の前の光景を見ながら淡々と呟いた。

 

「……王手とは行かなかったか。しかし、これで十だ」

 

 自身の宝具を同じく宝具で防ぎ、力を使い果たして床に倒れ込むマシュとジャンヌの姿を見たアルテラは残る敵の姿を捉える。

 全力の攻撃を放った後の隙を見逃してなるものかと迫る敵影が三騎、上空のアルトリア、側面のネロ、真正面のジャンヌオルタの三人を目にしたアルテラは、深く息を吐いて迎撃の構えを見せた。

 

 三騎は全員が熟練の強兵、声も交わさずに見事な連携を見せながらアルテラへと迫って来ている。

 しかし、アルテラはただ黙々と彼女たちとの距離を測り、自分の取るべき破壊の為の行動を感じ取るとその思いのままに体を動かした。

 

「……はっ!」

 

 まず、上空目掛けて牽制の光線を放つ。標的にされたアルトリアは、軽い動きでその攻撃は払った。

 それを見たネロが好機と見て全力でアルテラへと跳躍する。アルテラは正面と上空に気を取られていると思い込んだネロであったが、鋭い眼光が自分を捉えた時にその考えが間違いであることに気が付いた。

 

「うわぁっ!?」

 

 衝撃が体の側面に走る。しなった軍神の剣に打ち払われたネロは、そのまま勢い良く部屋の壁に叩き付けられてしまった。

 

「……次」

 

「ぐっ!?」

 

 ネロを吹き飛ばしたアルテラがオルタへと標的を移す。彼女が攻撃に出る前にその旗を払い飛ばしたアルテラは、無防備なオルタの胴に強烈な蹴りを撃ち出した。

 

「が、はっ……」

 

「……終わりだ」

 

 ラスト、突き出した脚に力を込めてオルタの腹を踏みつける。彼女にストンピングを決めながら宙へと舞ったアルテラは、残る一騎であるアルトリアよりも高く跳ぶとその上空から光の奔流を発射した。

 

「ぐわぁぁぁぁっ!!!」

 

 騎乗する馬ごとアルトリアの体が光に飲み込まれる。そのまま落下した彼女は床に倒れ伏すと、そのまま動かなくなった。

 

「……十三、残るは二人か……」

 

 残る敵、神経を研ぎ澄ます土方とその前に立つジャンヌリリィの姿を見つめながらアルテラは前進する。彼女を迎え撃とうとするリリィの手は震えていたが、それでも気を強く持ってアルテラへと挑みかかった。

 

「てやぁぁぁぁっっ!!!」

 

「十四だ」

 

 短めの槍を手にアルテラへ攻撃を仕掛けるリリィ。しかし、そんな攻撃など造作も無いとばかりにアルテラは彼女の体を切り払い、吹き飛ばした。

 

 これで護衛は全員仕留めた。残る土方へと視線を向けたアルテラは、その瞬間に圧し潰されそうなほどの重圧を感じて体をこわばらせる。

 この圧倒的なプレッシャーを放つ存在へと視線を向けたアルテラは、視線の先に居た黒き鬼の姿を見て初めて緊張とわずかな恐怖を感じていた。

 

「……待たせたな。今、お前を叩っ斬ってやるよ」

 

「……面白い、やってみろ」

 

「ああ……行くぜっ!」

 

 勢いよく刀を鞘から引き抜いた土方が瞳を光らせてアルテラを睨む。歴戦の勇士ですら怯むであろうその眼光は、倒すべき敵をただ標的に収めていた。

 

「抜刀……突撃っっ!!!」

 

「っっ!?」

 

 銃弾と剣劇が飛び交う戦場、その中を土方が駆ける。

 砂埃、血飛沫、断末魔……幻覚と幻聴が感じられる程の激しい戦場において、新選組の鬼となった土方はアルテラですら見極められぬ素早さで彼女の元へと接近した。

 

「おぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

 防御に出した軍神の剣を斬って弾く、守る物の無くなったアルテラの眼前に長銃を突き付ける。

 黒く光る銃口を目にしたアルテラの耳に届いたのは、慟哭にも近しい土方の叫びだった。

 

「これが……新選組だぁぁぁっっ!!!」

 

 痛みと誇りと決意と……その全てを込め、土方が引き金を引いた。途端、二人を爆発と煙が包む。

 この攻防を見つめていた誰もが土方の勝利を確信していた。いくらアルテラと言えど、至近距離からの超攻撃力による一撃を耐えられるはずが無いと思っていた。

 

 だが……もくもくと煙っていた爆炎が消えた時、彼女たちは信じられない物を見ることになる。

 

「くそ……っ、失敗したか……」

 

「……危うかった、な。仲間が倒されるのを見て気がはやったか」

 

 大方の予想を裏切って、アルテラは立っていた。体はボロボロで、決して無傷と言う訳では無いが、それでも立っていた。

 淫紋令呪による強化と不完全な状態で放たれた宝具の威力の問題、そして彼女自身の高い能力値が土方の一撃を受けてもなお立てる程の力を彼女に残していたのだ。

 

「これで、お前の策は尽きた様だな。戦える者も他には居ない……」

 

「……ああ、その通りだ。俺の策は失敗に終わった。そして、満足に戦える奴はもうこの場には居ない」

 

「そうか……つまりは、詰みと言うことで良いのだな?」

 

 ゆっくりと、アルテラが剣を持ち上げる。瀕死の、されどまだ戦える体で戦闘の姿勢を見せ、敵を威圧する。

 彼女の言う通り、この場にはもう満足に戦えるサーヴァントは残っていなかった。この場に居る全員は、彼女に蹂躙されるのを待つだけなのだ。

 

 ……そのはず、だったのだ。

 

「……さて、それはどうかな?」

 

「……なに?」

 

 目の前で土方が笑ったことにアルテラは少し戸惑った。彼の表情には、ハッタリや虚勢と言った強がりの様な色が見えなかったからだ。

 間違いなく、彼は何かを隠している。だが、この状況で何が出来ると言うのだろうか?

 

「ああ、一つ言っとくぜ。確かに俺にはもう策は無い。だが、俺以外の奴で、まだ足掻こうとしてる奴がいるみたいだぜ?」

 

「何だと……?」

 

 戸惑うアルテラに対してそう囁いた土方の表情は、只の悪餓鬼の様に意地悪く恐ろしいものであった。

 彼の言葉を受けたアルテラは、先ほどから視界に映っていないカルデアのマスターの姿を探し始める。

 

 もしもこの場で何かをするとすれば、その仕掛け人は彼に違いないだろう。だとすれば、それよりも早く彼を見つけ出して始末しなければならない。

 アルテラがそう思った時だった。

 

「っっ……?」

 

 目の前で何かが弾ける。僅かな痛みをアルテラに与えたそれは、ほんの一瞬だけ現れた。

 勘違いか、気の迷いが産んだ幻覚か……アルテラがそう思い直そうとした時、彼女は気が付いた。

 

(なんだ、この巨大な魔力は!?)

 

 土方の宝具解放のせいで気が付かなかったが、もう一つの大きな魔力の気配があったと言う事にアルテラは今更ながら気が付いた。

 その気配を辿り、正体を探る彼女の耳に土方の声が三度届く。

 

「本当に諦めの悪い連中だな……まったく、抜け目のねぇ奴らだ」

 

 その言葉を耳にしたアルテラの目の前で、赤雷が弾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一つ、確認をしよう。現在の状況の再確認だ。

 

 今、この場に戦えるサーヴァントが居るかと聞かれれば、その答えはNOだ。もうこの場には、満足に戦えるサーヴァントは存在していない。

 だが、()()()()()()()()()()()()()ならば、確かにこの場に存在しているのだ。

 

 実質的に戦力外であり、戦う事が出来ない彼女はただ護衛としてマスターの傍に居ることしか出来なかった。今の彼女に出来るのは、()()()()()()()()()()()()()()()()だけだったからだ。

 しかし……言い換えれば、彼女は一回だけなら全力で剣を振れると言うことだ。その一回だけならば、強かった彼女本来の力を再現出来ると言うことなのだ。

 

 もしも彼女がその一振りに全力をかけたならばどうなる? 足りない魔力を何らかの方法(例えば、令呪による補填だ)で解消した彼女が、全力で宝具を開放しながら一撃を繰り出したならばどうなるだろうか?

 

 もしもこの場に土方の宝具開放を隠れ蓑にして魔力を充填させ、仲間たちにも知られない間に全ての準備を整え、マスターの隣で今にも最強の一撃を放とうとする()()()()()が居たとするならば、この戦いはどうなるのだろうか?

 

 その答えは今、他ならぬ彼女たち自身の手で導き出されようとしていた。

 

 

 

 

 

 

「なあ、一つ聞いても良いか?」

 

「何?」

 

「何でオレを信じた? こんな弱くなっちまったオレに、令呪を使ってまで全てを託したんだ?」

 

 その質問に対して、人の良い気さくな青年は少しだけ困った様な表情を見せ、こう答える。

 

「何でって言われてもな……信じることに理由なんて必要ないでしょ? 最初から言ってたじゃない、信じてるって」

 

「……そっか、そうだったな」

 

 あんまりにも単純で、意味の無い答え。だが、それでもその答えには自分に対する絶対的な信頼が込められていた。

 今の自分にとって戦う理由はそれで十分だ、彼女はそう思った。

 

「お前、やっぱ馬鹿だわ。でもま、賢い馬鹿だ」

 

「何それ? 矛盾してない?」 

 

「こまけーことは気にすんな! 褒めてやってるんだからよ!」

 

 照れ隠しに暴言を一つ吐き、剣を握る手に力を籠める。自分のことを信じられないとでも言う様に見つめるアルテラの顔を見ていると、なんだか愉快な気分になった。

 

「……後悔させねーよ、オレを信じたことをな」

 

「後悔なんかするつもり無いよ、勝つんでしょ?」

 

「当然だっ!」

 

 空気が唸りを上げる。雷が紅く激しく光る。

 全ての準備は整った。この場にいる全員の手で繋がれたバトンが今、自分の手の中にあるのだ。

 

「悪いな、美味しい所は貰って行くぜ!」

 

 不敵な笑みを一つ、仲間に対する詫びを兼ねた言葉を一つ……そして、最強の一撃を放つ構えを取る。

 防がれるかもしれないだとか、耐え切られるかもしれないなどと言う考えは持たなかった。何故なら、自分は強いからだ。絶対に負けるはずが無いからだ。

 

「……終わりにしよう、モードレッド」

 

「了解だ、マスター!」

 

 頼りになる、自分を信じてくれる主に言葉を一つ。胸の内に浮かべた、彼には告げない感謝の思いが一つ。

 信じてくれて、見捨てないでくれて、ありがとう。口には出さぬその思いを胸に、狂犬はその牙を破壊の申し子に剥いた。

 

「これこそは、我が父を滅ぼし邪剣―――」

 

 走る稲光、轟く雷鳴……普段の自分の力が戻っていることを感じて笑ったモードレッドは、何一つとして自分の中に力を残さぬ勢いでその剣を振るう。

 轟音と赤雷が響く王座の間で、彼女は渾身の一撃を放ちながら叫んだ。

 

我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)!!!」

 

 愛剣から戦いに終止符を打つ一撃を放ったモードレッドは、その光がアルテラを飲み込んだことを見てただ笑い、そして……その場に崩れ落ちたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

さらば、ローマ

 永い眠りから覚めた時の様に、彼は何度か瞬きをした。そして、今の自分の状況を確認する。

 雑多に多くの機械が置かれた部屋の光景を見て取った彼は、自分が無事にカルデアに帰還出来たことに安堵の息を吐いた。

 

「お疲れ様、大体の事情はモニター越しに把握しているよ。取り合えず、小休止といこう」

 

「うん……ありがとう、ドクター」

 

 暖かなココアを差し出してくれたDr,ロマンに感謝したカルデアのマスターは、共に帰還した仲間たちの顔を見ながらここに戻って来るまでの出来事を回想し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アルテラの動きが停止したことを確認! 身柄を確保します!」

 

「おっしゃぁぁぁっっ!!! どうだ!? 見やがったか! オレを舐めるんじゃねーっ!」

 

「モードレッド、床に倒れながら言っても無様なだけだ。せめて立ってから言え」

 

 モードレッドの宝具を受け、戦闘不能な状況にまで追い込まれたアルテラの身柄を拘束してたマスターは、今度こそこのローマでの戦いに終止符が打たれたことを感じていた。

 傷つき、ボロボロの体であったが、命があれば問題なしだ。

 

 幸運にも、アルテラも霊基に致命的な損傷を受けること無く消滅しないでいてくれた。彼女の事も確保出来たのは予想外の戦果であったが、その分支払った代償もある。

 

「……勝ったか、我が子よ」

 

「うん……勝てたよ、ロムルス」

 

「見事だ、不屈の精神でよくぞ粘った。諦めぬ心が生んだ勝利だな」

 

 少しずつ崩れて行く体を見せながらロムルスが笑う。痛々しく、惨い惨状であったが、それを感じさせない力強い笑みを浮かべる彼は惜しみない勝算をマスターへと送ってくれていた。

 マスターは自分を庇ってくれたロムルスのことを思い、必死に涙を堪えて勝利の報告をする。あの一撃で致命傷を負いながらも自分の戦いを見守ってくれたロムルスに対して出来ることは、それしか思い浮かばなかった。

 

「聞け、ローマの皇帝たちよ……どうやら、(ローマ)はここまでの様だ」

 

「真祖ロムルス……っ!」

 

「お前たちと共に汚名を注ぎ、愛する世界(ローマ)の民の為に尽力したかったが……今は、それも叶わぬ願いらしい」

 

 深く溜息をつき、ロムルスは顔を上げた。彼の周りに集うローマ皇帝たちの顔を一人一人見つめながら、堂々とした声で彼は言う。

 

「……必ず、(ローマ)は蘇る。その時までの間、お前たちは全力を尽くして戦い続けろ。それが、愛する我が子や、ローマの民への贖罪となる」

 

「……はっ! 必ずや、この世界の為に力を注ぎます! そして、貴方が戻って来る日を待ち続けましょう!」

 

「……それで、良い」

 

 ネロの返答を聞いたロムルスは嬉しそうに笑った。そして、最後にマスターの顔を見つめる。

 言葉は無かった。だが、その視線だけで十分だった。ロムルスは、信頼と謝罪の思いを込めた眼差しでマスターを見つめると、そのまま光の粒へと還っていった。

 

「ロムルス、さん……」

 

「せっかく、また一緒に戦えると思ったのに……」

 

 フランスで出会ったアーラシュに続き、またしても仲間との別れを経験したサーヴァントたちは沈鬱な顔で天へと昇って行く光を見つめながら呟いた。しかし、その悲しみに浸っている暇はない。

 一早く立ち上がり、聖杯を求めて歩き出したカエサルとクレオパトラは、一度だけ振り返って仲間たちの顔を見た。そして、視線でここは自分たちに任せろと告げると再び歩き出す。

 彼らの背後では、マスターたちがもう一つの別れの儀式を済ませようとしているところだった。

 

「……おう、勝ったか。それでこそ、俺が色々叩き込んだだけのことはある」

 

「はい……これも全て、土方さんのお陰です」

 

「馬鹿言うな、この勝利は俺たち全員の力によるものだ。誰か一人の力で勝てる戦いなんか、大したもんじゃねえ」

 

 ボロボロの体を引きずりながらマスターと会話する土方の体もまた、徐々に光の粒へと変化している。傷だらけの状態でアルテラと同じくモードレッドの宝具を受けた彼もまた、消滅の時を迎えようとしているのだ。

 

「……そんな顔をするんじゃねえよ。俺は元々お前たちとは一緒に行けねえ存在だ……最初から別れの時が来るってのは分かってたろうが」

 

「でも、土方さん……!」

 

 あまり長い時間では無かった。しかし、それでもマスターにとっては彼と共に過ごした時間はかけがえの無いものだ。

 剣、軍略、長としての心構え……その全てを彼から教わった。マスターにとって、土方は大恩ある師となっていたのだ。

 

 その師との別れを悲しむマスターは、涙を浮かべて土方を見送っている。そんな彼の様子を見た土方は、口元を歪ませて微笑むと彼の頭を強く撫でた。

 

「……羽織、大事にしろよ。あれは、俺たちの魂の結晶だ」

 

「……はい」

 

「俺が教えた事、決して忘れるなよ? ま、忘れたくても忘れらんねえだろうがな」

 

「ははっ! そう、ですね……」

 

 思い返すのは彼と過ごした日々。厳しく、辛い修行の日々でも、マスターは弱音一つ吐かなかった。

 土方もそんな彼を導き、より逞しい漢になれるよう教えを叩き込んだ。師弟の絆で結ばれた二人は、最後に笑みを浮かべて見つめ合う。

 

「……忘れんな。姿は見えない、傍には居られない……だが、お前が忘れない限り、俺はここに居るってことをな」

 

「……はいっ!」

 

 大きな土方の拳がマスターの心臓へと突き付けられる。力強く、熱い鼓動を分かち合いながら、二人は笑った。

 

「あと、沖田ぁっ! お前の士道不覚悟、忘れたわけじゃねえぞ! ……今回は見逃してやるが、次に会う時にまたふざけた格好をしてやがったら今度こそ切腹だっ!」

 

「わ、わかってますよ! 沖田さんもそこまで馬鹿じゃないですって!」

 

「馬鹿野郎、お前はそこまでの馬鹿だから言ってるんじゃねえか」

 

「酷い! この悪魔! 鬼っ!」

 

 沖田の叫びを聞いたカルデアの仲間たちは、戦いが終わって初めて笑みを浮かべた。ほんの少しだけ明るい気分が戻ったこの場では、土方もまた珍しく楽し気な笑みを浮かべている。

 

 最後に……もう一度マスターの顔を見つめた土方は、消え行く中で彼へとこう言った。

 

「……勝てよ、馬鹿弟子。諦め無ければ、負けじゃねえ……心を強く、気高く持て。それがお前の刀だ」

 

「……はい、師匠」

 

 初めて師と呼ばれたことに満足げな表情を浮かべながら……新選組副長、土方歳三は二度目の生を全うして消えて行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人との別れを済ませたカルデアのメンバーたちは、その後聖杯を確保してレイシフトを終了した。狂ったローマと日本の町の歴史は、これで修正されることだろう。

 

 今回も無事に戦いに勝利出来たことを喜ばしく思いながら、マスターはまだすべてが終わっていない事にも気が付いていた。

 ココアを啜り、気を落ち着かせながらこの後の行動を考え始める彼の後ろから、明るい声が響く。

 

「やあ、お帰り! これで聖杯は3つ目だ、戦力も着々と整い始めたね!」

 

「ダヴィンチちゃん! ……その体、もしかして……!?」

 

「ん……再召喚したよ。そろそろ、私も本気で働かなきゃならない頃合いだからね」

 

 ここ最近見ていた青い立体映像ではなく、魅力的な女性の肉体を取り戻したダヴィンチちゃんはそう言って笑った。

 頭脳だけでなく肉体労働もこなせる様になった彼女の力は、今後の戦いでも大いに役立つだろう。本格的な彼女の帰還を喜ぶマスターに対し、ダヴィンチちゃんは真剣な表情になってから質問を投げかけた。

 

「……さて、もう分かっているつもりだが……この後、君はどうする? 少し休みを取るかい?」

 

「いや、最初にやるべきことは決まってるよ。アルテラを開放する」

 

「結構! 実はそう言うと思って既に準備をしてる所さ。それが終わるまでは体を休めておくれよ」

 

「うん……そうさせて貰うよ」

 

 一時の休息を取るマスターは、もう一口ココアを啜ると近くの椅子に腰かけた。その表情に焦りや苛立ちの感情が無い事を見て取ったダヴィンチちゃんは誰にも知られぬ様にそっと微笑む。

 

 どうやら、ローマでの日々は彼の心にも変化をもたらしたらしい。鬼気迫る緊迫した感情を持ち続けていた彼の喜ばしい変化に微笑むダヴィンチちゃんは、ついでと言わんばかりにあることを彼に報告する。

 

「ああ、それとね……ちょっとだけだけど、良いニュースがあるんだ。2つか、3つほどね」

 

「え、何? どうしたの?」

 

「ああ、うん。私の召喚の時に、ちょっと面白いことがあってさ……」

 

 愉快そうに笑うダヴィンチちゃんの表情を見つめるマスターがポカンとした顔のまま彼女の話を聞いていた時だった。

 

「ジャンヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!」

 

 管制室の扉が勢い良く開く。と言うより、壊れる。煙を上げる扉の先に居る人物を見た時、マスターは驚きの叫びを上げていた。

 

「じ、ジルぅっ!?」

 

「はい! キャスター【ジル・ド・レェ】……召喚に応じ、再度カルデアに馳せ参じましたとも!」

 

「えっ!? ええっ!? な、なんでさ!?」

 

「何でも何も、当然のことでしょう! 我が居場所はジャンヌの存在する場所! ジャンヌの気配があれば、私は何処にでも馳せ参じますとも!」

 

「あ、あは、あははははは……」

 

 ぎょろぎょろと飛び出した目玉を動かしてマスターを見つめるジルの堂々とした宣言に呆気に取られたマスターは、力なく笑う事しか出来なかった。

 なんにせよ、仲間が増えたことは喜ばしいことなので細かい事は追及しない事にした彼に対し、更に喜ばしい報告が告げられる。

 

「勿論、私もマスターの戦いやらなにやらに力を貸しましょう! 汚く醜い男どもや魔獣などにジャンヌを抱かせるよりかは万倍良い!」

 

「あ、ありがとう、ジル……」

 

「お任せください! 具体的に言えば、海魔を使ったヌルヌル触手プレイとか如何です?」

 

「待って、その話詳しく聞かせて!」

 

「あはは! 良い食い付きだねぇ! ……ついでに、カルデアのVRシステムにも新機能を追加したよ! シチュエーションプレイに対応した仮想空間を作り出す驚きの機能さ! これで毎日のプレイがはかどるね!」

 

「うわー、この大人たち本当に駄目人間だね! 俺たちが命を懸けて戦っている時にそんな馬鹿みたいなことをしてるなんて……」

 

「馬鹿とはなんだい! 使ってみればその凄さに驚くぞ~! 腰を抜かすぞ~!」

 

 大袈裟な口調で新機能をアピールしたダヴィンチちゃんを見たマスターは腹を抱えて笑った。

 ひとしきり笑った後、中身が空になったマグカップを置いた彼は立ち上がると伸びをしてから歩き出す。

 

「良し! それじゃあ、その機能を体感する前にやるべきことをやらないとね! バックアップよろしく!」

 

「はいはい、任せておくれよ!」

 

 軽い口調で会話を交わし、部屋から出て行ったマスターの背中を見送ったダヴィンチちゃんたちは一変して真剣な表情を顔に浮かべた。

 緊張の色がありありと現れているその表情からは、アルテラへの警戒心がはっきりと見て取れる。

 

「……どうなるだろうねぇ? 予想が出来ない相手なのは確かだもんね」

 

「僕たちは出来ることをやるだけさ。……情けないけど、それしか出来ないからね」

 

 自嘲気味に呟くロマンの背中を叩き、ダヴィンチちゃんは彼を励ます。それから、自分の席に座ると機材のセットアップを始めた。

 ロマンの言う通り、自分に出来ることはバックアップだけだ。悔しいが、信じて待つことしか出来ない事に変わりはない。

 

 少し大きく見える様になったマスターの後を姿を思い出しながら、ダヴィンチちゃんはてきぱきと機械を操作して準備を整えて行った。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

愛情少女は夢の中(アルテラ)

 部屋に入ったマスターが見たのは、自分の掌を見つめながらそれを何度も開いたり閉じたりしているアルテラの姿だった。

 

「……ああ、お前か」

 

 自分の気配を悟った彼女がマスターへと視線を送る。意外な事に、その視線には憎しみや怒りと言った感情は籠っては居なかった。

 

「私を抱きに来たのか?」

 

「……うん、そうだよ」

 

「そうか……当然だな。お前にはそうする理由がある。私は裏切り者で、お前の仲間を屠った存在だ。憎しみをぶつけるだけの理由は存在している」

 

 ロムルスのことを指しているであろうアルテラの言葉を聞きながら、マスターは彼女が座るベッドの上へと腰かけた。

 

「そんな風に思ってはいないよ。俺は、アルテラを憎んでなんかいない」

 

「……優しいな、お前は。ソロモンならば怒りの形相で私を責めるだろうに」

 

「え……? 今、なんて……?」

 

「ソロモンならば怒り狂って私を責めるだろうと言った。事実、失態を犯した英霊が無残な仕打ちを受ける所を何度も見たことが……」

 

「いや、そうじゃなくって……ソロモンのこと、呼び捨てにして良いの?」

 

 平然とソロモンを呼び捨てにしたアルテラに対し、マスターは驚きの表情を浮かべると共にそう尋ねた。

 今までカルデアから連れ去られ、淫紋令呪を刻まれたサーヴァントたちは全員ソロモンの事を様付けして呼んでいた。彼に対し、圧倒的な敬愛の念を抱いていたわけである。

 しかし、アルテラは違う。淡々とソロモンの事を呼び捨てにする彼女の様子に驚くマスターに対し、アルテラは何てことの無い様にこう言った。

 

「ああ、そのことか……確かにソロモンは私のマスターだ。しかし、私はあいつを好意的には思えない、それだけだ」

 

「好意的に思えないって……だって淫紋令呪も刻まれて、それに……」

 

「……確かに私は奴に抱かれ、淫紋令呪を刻まれることにも納得した。それを霊基に深く浸透させることもな。だから私はあいつには逆らえない。だが……決して、忠誠を誓ったわけでも無い」

 

「なに、それ? ……かなり特殊なケースってことなのか……!?」

 

 アルテラの言葉を受けたマスターは彼女が比較的普段の状態に近い事を喜んだが、それと同時に大きな危機感にも襲われていた。

 淫紋令呪を刻まれたサーヴァントたちは、決してマスターに絶対の忠誠を誓っている訳ではない。せっかく取り返したマシュたちも、もしかしたらどこかで自分への不信感を募らせている可能性があると言う事に気が付いて震えあがったのだ。

 アルテラが特殊なのか?それともこう言ったケースも普通に存在するのか? そのどちらの可能性も存在する現状に苦悩するマスターであったが、アルテラが何かを呟いている事に気が付いて彼女の言葉に耳を傾けると……。

 

「……痛かったしな」

 

「へ?」

 

「抱かれた時、あまり気持ち良くなかった。女は好きな相手に抱かれた時、幸せを感じるものだと聞いてたが……ソロモンに抱かれても痛いだけだった。だから、私はあいつのことはあまり好きではないのだと思う」

 

 少しだけ言いにくそうな表情を見せながらそう呟くアルテラ。その言葉を聞き、彼女の横顔を見るマスターは、ダ・ヴィンチちゃんの言葉を思い出していた。

 

 淫紋令呪だけでは英霊は屈服しない。心を蕩けさせるほどの快楽が無ければ、完全にその心を掌握したとは言えないと彼女は言っていた。アルテラがソロモンに忠誠心を抱いていない理由はそこにあるのだ。

 つまり、ソロモンはアルテラを満足させられなかったのだ。彼からしてみればアルテラに淫紋令呪を刻んだことで十分に満足していたのだろうが、アルテラは彼とのセックスに不満を抱いていたわけである。

 

 感情を表に出すことをあまりしないアルテラは、そのことをソロモンに気取らせることが無かった。だから、ソロモンはアルテラの忠誠心を高めさせることも出来なかった。まあ、その事に気が付いていたとしても、彼がアルテラを満足させられていたかは別問題ではあるのだが。

 

 アルテラは案外乙女な所がある。自分が普通の存在ではないことを理解しながら、その普通に途方もなく憧れている……可愛い名前で呼ばれたり、普通の女の子扱いをされると分かり易く喜ぶのだ。

 ソロモンの事だ、アルテラを普通の女としては扱わなかったのだろう。破壊の化身だとか、軍神の子などの呼び方で呼びながら彼女を抱く姿が容易に想像出来る。

 

「ぷ、くく……あはははは……!」

 

「……そうだろうな。笑うだろうな。……裏切り者の私が苦しみを得ていたと知れば、普通は笑うものだ」

 

「そ、そうじゃなくって……あはは! 今の話、面白かったからさ!」

 

「え……?」

 

 安心感と素直な愉快さを表に出しながらマスターは、笑う。そんな彼の言葉を聞いたアルテラは、目を丸くして驚いていた。

 今度は先ほどとは逆の様相を呈する二人は、ベッドの上でただ座ったまま時を過ごす。やがて笑い声を収まらせたマスターは、眼尻に笑い涙を浮かべながらアルテラへと向き直った。

 

「アルテラ、もう少し話をしようよ。俺、もっとアルテラの話を聞きたいな」

 

「私の話を、聞きたい……? 私は面白い話など出来ない、お前の望む様な話など話すことは出来ないぞ?」

 

「そんな事ないよ! ……俺は、もっとアルテラの事を知りたいんだ。アルテラが何を思って、何を望んで、何を考えているのか……それを知りたい」

 

「っっ……」

 

 笑みを湛えた、しかし真剣な表情を見せるマスターは、アルテラの目を真っすぐに見つめてそう言った。

 その言葉に軽く動揺を見せたアルテラであったが、ぱくぱくと口を開け閉めした後で声を発し始める。

 

「……そ、ソロモンたちの情報は話せない。私はただローマの始末を請け負っただけで、基本的には何も知らないんだ」

 

「そんなのどうだって良いよ。聞けたら助かる情報だけど、今知りたいのはアルテラのことだから」

 

「お、面白い話など出来ない……お前を喜ばせる話など、私には不可能だ……」

 

「それもどうだって良い。俺にとって重要なのは、今まで知らなかったアルテラのことをもっと知れるってことなんだ。俺が聞きたいのは笑い話じゃなくって、アルテラの話なんだよ」

 

「はぅ……」

 

 マスターの手が、頬に触れる。大きく、柔らかく、温かいそれが、冷たい自分の頬をそっと撫でる。

 自分の視線を固定させ、お互いに見つめ合う様な状況にされたアルテラは、彼が自分に視線を逸らさせることを許していないことを触れた手の感触から察した。顔を背けようとすれば彼の手が動き、無理にでも自分と見つめ合わせようとして来るのだ。

 

(……深い、青色……吸い込まれる様な、感覚だ……)

 

 彼の優しい瞳と見つめ合うアルテラは、そんな感想を胸に抱いていた。彼ならば、自分の全てを受け止めてくれるのではないかと言う思いまで抱いてしまいそうになる。

 

「……わかっ、た。少しだけ、頑張ってみる……」

 

 少しだけ迷い、そしてたどたどしく決意を固めたアルテラは、口をゆっくりと動かして拙い口ぶりで話を始める。マスターはそんなアルテラのことを黙って見つめて話を聞き続けていた。

 話す内容は本当にどうでも良い話ばかりだった。己の、数少ない感情や思いを声に出して説明するアルテラは、一言ごとに彼が自分の理解者に近づくことに不思議な充足感を覚える。

 

(理解……? 私を人間として理解する……? なんだ、この気持ちは?)

 

 理解出来ない感情、破壊の為の機械にも等しい自分を人間として扱おうとする目の前の男は、とても愚かに思える。

 しかし、瞳を合わせて話をする間に自分の胸の中に何か暖かな気持ちが生まれていることを感じている。

 理解出来ない感情だが、決して不愉快では無いとアルテラは思った。

 

「……すまない。もう、何を話せばいいのか分からない」

 

「うん、そっか……沢山話をしてくれてありがとう。さて、そろそろ始めようか?」

 

 十分か、もう少し長くか……はっきりとした時間は分からないが、それくらいの時間は話に使っただろう。

 アルテラの話を聞いて満足したマスターは、とうとう行為に及ぶべく自分の服を脱ぎ始めた。アルテラもそれに倣い、次々と服を脱いでいく。

 全裸になった二人はまた少しの間見つめ合うと、マスターの導きの元で口付けを始めた。

 

「んっ……」

 

「ちゅっ……んんっ……♡」

 

 マスターの舌がアルテラの口の中へ潜り込む。彼女の舌の付け根からじっくりと揉み解す様に舌を絡ませ、唾液を循環させる。

 アルテラが息苦しく無い様に何度か呼吸の為の休憩を挟みながら、マスターは長い接吻の時を彼女に味合わせていた。

 

「ぷはぁ……っ! まだ、続けるのか……?」

 

「うん。アルテラはキスは嫌い?」

 

「好きでも、嫌いでも無い……あまり、こう言うことはしなかったから……」

 

 口付けなどソロモンはしなかった。ただ体を弄ばれた記憶しかない。

 愛のあるキスなど彼とはしたことが無かった。当然だ、ソロモンにとってはアルテラはただの下僕で、奴隷の一人でしかないのだから。

 奴隷に愛情を抱く主人など存在しない。ソロモンにとって重要なのは、自分の望む能力と魅力的な躰があるかどうかだった。

 そのどちらをも併せ持つアルテラであったが、それでも自身の性格から彼のお気に入りになることは無かったのだ。

 

「不思議、だな……お前は、あまり意味のない事をしているはずだ。だが……こうしていると、なんだか落ち着くんだ」

 

 何度も重ねられる唇、回数を追ってキスを交わす度、アルテラの心の中の温もりが徐々にその温度を増す。

 燃え盛る様な熱ではない。陽だまりの中で微睡む様な温もりが、そこにはあった。

 

「はんっ……♡ んっ、んんっ……♡」

 

 マスターの舌の動きに応える様にアルテラも舌を動かす。これもまた拙い動きではあったが、彼女なりに懸命にマスターに応えようと必死になっての行動であった。

 唾液が、舌が、心が絡む……たっぷりとキスを続けている内に、なんだか本当に一つになってしまった様な感覚に襲われてしまう。

 

 まだ口付けだけだと言うのに、本格的に体を重ねた訳でも無いのに……それなのにアルテラは、自分がはっきりと興奮していることを感じていた。

 

「……もう、良いだろう? 少し辛くなって来た……」

 

「わかったよ。それじゃあ、触るね……!」

 

「んっ……♡」

 

 ふわりとした優しい手つきでマスターがアルテラの胸に触れる。

 あまり大きくはない、されどEXクラスの『天性の肉体』のスキルのお陰で崩れることの無い美しい体を保持するアルテラの乳房は、とても整った形をしていた。

 

「あっ、くぅぅ……っ♡」

 

 優しい動きでマスターがアルテラの胸を揉む度、彼女の口からは辛抱堪らないと言った声が漏れた。今までに無いほど自分が興奮していることに、アルテラは少し驚きを見せる。

 見つめ合い、唇を重ね合っただけでここまで体が蕩けてしまうものなのかと思いながら、アルテラはマスターによって与えられる柔らかな快感を享受した。

 

「はぁっ……♡ ふぅっ……♡」

 

 胸全体をじっくりと揉まれ、薄い胸を刺激される。乳首も優しく摘ままれて、コリコリと抓られている。

 優しい快感と鋭い快感、その二つをマスターによって与えられながら、アルテラは自分の発情した体に触れられる悦びを初めて感じていた。

 

(そう言えば……ソロモンは、尻穴から弄り始めたな……)

 

 ソロモンとの情事を思い出したアルテラは、彼がまず手を付けたのは自分のアヌスであったことを思い返した。

 無表情なアルテラの表情が歪む所が見たいと言われ、何の前触れも無く穿たれたその瞬間は、アルテラに痛みと共に忘れえぬ忌まわしい記憶として焼き付いていた。

 ソロモンは無理やりに尻穴を穿られた後、魔術や令呪で感度を上昇させていたっけかと思い返したアルテラは、マスターにされていることがそれと全く逆のことであることに気が付いて目を細めた。

 

(感情を引き出そうとしている所は同じなのに、こいつの手は凄く優しいのだな……)

 

 体が、思考が、表情が、蕩ける。心を繋ぎ、一つになったかの様な感覚をマスターに与えられたアルテラの体が快感に震える。

 ソロモンの下に居た時とは違う、痛みや屈辱で表情を歪ませているのではない。温もりと快感で心を蕩けさせるアルテラは、この感情の名前がなんであるかにようやく気が付いた。

 

(これが……女の幸せ、なのか?)

 

 愛する人に抱かれ、快感を得る。心と体を一つにし、もっと深くで繋がり合う。

 そんな女としての普通の幸せを今、自分は感じているのだ。その事に気が付いた時、アルテラの体はより一層その熱さを上昇させた。

 

「あぁっ♡ んんっ♡ はっ、はぁぁっ♡」

 

「凄い……! アルテラのここ、ぐちゃぐちゃになってるよ。柔らかく解れて、びしょびしょになってる……!」

 

「はふぅっ♡ いわ、ないでくれ……流石に、恥ずかしい……っ♡」

 

 触れられた秘所は既に濡れそぼり、今までに無いほど蕩けていた。自分の体が彼の怒張を受け入れる準備を整えていることを自覚したアルテラは、期待と共に顔を赤く染める。

 その期待に応える様に入り口に亀頭をあてがわれた時、アルテラの心臓は激しく音を鳴らして大きく鼓動を刻んだ。

 

「来る、のか……? 私の中に、入って来るのか……?」

 

「うん、そうだよ……! 準備は、良い?」

 

 大きな肉棒を見たアルテラは、少しだけその大きさに怯え、怯んだ。しかし、それ以上に湧き上がる幸せな感情のままに首を縦に振って彼に了承の意を示す。

 一拍後、ゆっくりと挿入されたマスターの肉棒を膣に受け入れながら、アルテラは口を大きく開けて嬌声を上げた。

 

「あ、あぁぁっ♡ うあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡」

 

「ぐっ……! きっつぅ……っ!」

 

 膣が広がり、最奥までマスターの肉棒が達する。呻き、喘ぐアルテラは未知の感覚に体を震わせた。

 

「あ、うっ♡ くぅぅぅっっ……♡」

 

 子宮が震え、膣がうねる。胸の奥がかぁっと熱くなり、心臓の鼓動がうるさい位に高鳴っている。

 マスターに力強く抱きしめられたアルテラは、その鼓動が彼に伝わっているのではないかと思い、恥ずかしさに顔を赤らめた。

 

「はっ、はっ……♡ う、あ……♡」

 

 腰と頭に手を添えられ、優しく強く抱きしめられる。すっぽりと抱き留められた体は結合していることも相まって本当に彼と一つになってしまった様に思える。

 そしてそれ以上に心が繋がっている様な感覚を覚えるアルテラは、しっかりと自分を抱きしめたまま動かないでいるマスターにむけて声を発した。

 

「動かない、のか……?」

 

「もう少しこうしていたいんだ。アルテラの体の温度とか、柔らかさを感じていたいから……」

 

「そうか……わかった」

 

 彼がそうしている様に、自分も彼の体温や体の感触を味わう。温かく、引き締まった体に身を預けたアルテラは、不思議な幸福感に浸っていた。

 幸せだった。破壊の機械にも等しい自分が、こうやって普通の女の様に抱きしめて貰えることは幸福と思えた。

 見つめ合い、キスをし、抱きしめ合う……徐々に心と体の密着度を高めて行った二人は、あらゆる意味で深く繋がり合う存在となっているのだ。

 

(変だ……膣が疼く……。堪らなく、こいつが欲しいと強請っている……これは、なんだ?)

 

 理解出来ない、されど不愉快ではない感覚。いや、じりじりと脳と体を焦がす感覚は、紛れもなく心地良く感じられていた。

 段々と口から洩れる息が甘く、そして熱くなる。欲しいと言う思いを自覚してしまったアルテラは、もうその思いを留めることは出来なかった。

 

「マスター、頼む……動いてくれないか……? もう、厳しい……」

 

「……ごめん、もう少しだけ待って。キスならしてあげるからさ」

 

「は、んっ……♡ んんん……っ♡」

 

 性器を結合したままマスターと唇を重ねたアルテラは、頭の中が真っ白になるほどの快感を感じ始めた。鋭い快感では無いが、それでも自分の心を満たすだけの気持ち良さがある。

 

 心と体がふわふわと浮かぶ様な感覚を覚えながらその気持ち良さに微睡むアルテラであったが、徐々にまた性器が疼き始めたことに体を震わせていた。

 

(もう……無理だ……っ♡)

 

 今すぐに欲しい、女としての快感が。体と心を繋げ合った彼に文字通り抱いて欲しい……。

 アルテラは唇を離すと荒い息を繰り返しながら彼の目を見る。少し前まで気恥ずかしかったその行動も、今はなんてことの無い様に思えた。

 

「頼む、もう限界だ……! 私のことを、抱いて欲しい……!」

 

 自分がこんなにも大胆なことを言うなんて思いもしなかった。アルテラは、マスターに自分を愛するように懇願しながらそんなことを思う。

 彼女のその願いに頷いたマスターは、アルテラを抱きしめたままようやっと重い腰を動かし始めた。

 

「あっ、くあぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 脳内で、電撃が弾けた。

 バチバチと音を立てて頭の中を焦がす快感の強さに目を見開いたアルテラは、荒かった呼吸を更に荒くさせて喘ぐ。

 

「うあぁっ♡ あぁっ、あぁぁぁぁっ♡」

 

「凄い声だね……そんなに気持ち良いの、アルテラ?」

 

 アルテラはずちゅん、ずちゅんと音を立てて自分の膣を抉るマスターに向けて一心不乱に首を縦に振った。待ちぼうけを食らった体の全てがこの快楽を待っている状態にされ、焦らされ続けた果てに得た快感はアルテラの想像を遥かに超えたものだったのだ。

 膣と脳が蕩け、意思と体が快楽に漬け込まれている。抗い様の無い快感と言う物をアルテラは初めて体験していた。

 

(す、ごい……っ♡ 私の全てが溶けてしまいそうだ……っ♡)

 

 自分を抱く彼の手によって、身も心も蕩けさせられてしまった。繋がり合い、抱きしめられれば、このまま彼と混じり合ってしまいそうな気分になる。

 自分を心地良くしてくれる彼と一つになる……そんな想像をした瞬間、アルテラの感度は更に跳ね上がった。

 

「ふあぁぁぁぁっ♡ む、りだぁっ♡ こわれ、るぅ……っ♡」

 

「もう少しゆっくりにしようか? そっちの方が、アルテラも楽しめそうだしね」

 

「あ、あっ……♡ たのむぅ……っ♡」

 

 マスターの腰の動きが緩やかになる。鳴り響いていた腰のぶつかる音も小さくなり、与えられる快感も落ち着いたものになった。

 しかし、それでもアルテラの体はかなりの気持ち良さを感じている。それが落ち着いたことで、よりはっきりと自覚出来るものに変わっただけだ。

 

「あっ♡ あっ♡ あんっ♡」

 

 単調でゆっくりとした腰の動きに合わせ、自分の膣の中を肉棒が出入りする。水音が響き、肉がぶつかる音が鳴り、アルテラの口からは嬌声が漏れる。

 激しい快感で翻弄されなくなったはいいが、これはこれで感じるものの度合いが違う。段々と快感に慣らされ、逃げ場のなくなる様な責め方はじりじりとアルテラの心と感度を高めて行った。

 

「う、あ……♡ 気持ち、良い……っ♡ んむっ♡」

 

 嬌声が溢れる口をマスターの唇で塞がれる。口内に入り込んだ舌が縦横無尽に動き、アルテラに優しい快感を伝えて来る。

 腰を動かされ、膣を責められながらのキスはまた新たな快感をアルテラに教え込んでいる。抱かれ、包まれ、突き入れられた状態で子宮を突かれれば、身も心もじゅくじゅくに蕩けてしまいそうな錯覚に陥ってしまう。

 

(もう何が何だか分からない……♡ ただ、全身が気持ち良い……♡)

 

 全身が熱を帯び、表情は快楽に蕩ける。漬け込まれた快楽が体の中で芽吹き、女としての最上の幸せをアルテラに届ける。

 嬲られることも無い、崩れぬ体形を弄ばれることも無い。ただ一人の女として扱われ、本来得られるはずの快感を与えられるだけだ。

 

 これが本当のセックスなのだとアルテラは思った。愛を伝えあい、この幸福感に男女で浸ることこそがこの営みの真の理由なのだと理解した。

 涙や屈辱、悲鳴に満ちたセックスしか知らなかったアルテラにとってそれは衝撃的であり、それでいて全てが満たされる様な感覚であった。自分がただの女としての幸福を得ていることを喜ぶアルテラに、その時はやって来る。

 

「あっ♡ なにかが、くるっ……♡ いままで感じたことの無い、大きな何かがくるっ……♡」

 

 アルテラの体の最深部、女を司る象徴部分である子宮が激しく疼き出した。

 欲しがる様な疼きではない、何かを求めている訳ではない。その逆……満たされ、快楽を飲み込んだ子宮が、満足げな咆哮を上げるかの様に震えているのだ。

 

「あ、あぁっ♡ う、あぁっ♡」

 

 知らなかった、こんな快感は。体全てが子宮になってしまったのではないかと思えるほどの快楽がそこにはあった。

 じっくりと時間をかけて繋いだ心が、真の快楽を教え込まれた体が、女としてのアルテラの全てが、幸福を感じて動き始める……未知の熱に浮かされたまま、アルテラは体を大きく反らせて喉も裂けんばかりに叫んだ。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 高い、とても高い場所に押し上げられる。降りれなくなってしまうのではないかと思う程の高く深い絶頂を迎えたアルテラは、マスターの腕の中で華奢な体を震わせていた。

 

 ソロモンに与えられた暴力的な快感とは違う。全身の隅々まで行き渡り、アルテラの全てを温かくしてくれる快感の爆発に喘ぎ、恍惚とした表情を浮かべる。

 長く続いた絶頂の時は、段々と微弱になるアルテラの体の震えと共に終わりを迎えようとしていた。それと同時に、アルテラの意識が急速に遠のいていく。

 

(あぁ……私は、どうすれば良い……?)

 

 幸せだった。もっと味わいたかった。戻りたくなんてなかった。それでも……深く浸食された彼女の霊基は、現在の主への謀反を許そうとはしてくれない。

 この温もりをもっと感じていたのに、それは許されないことなのだと頭の片隅で理解するアルテラは、自分を襲う微睡へと意識を預ける。

 

(もう、目覚めなければ良い……そうすれば、この幸せな感情のままでいられるのに……)

 

 意識が途切れる寸前にアルテラが思ったのはそんな悲しくも素直な思いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここ、は……?」

 

 意識を取り戻したアルテラが見たのは、暗い部屋の光景だった。

 薄暗く、何も見えない独房の様な場所で覚醒したアルテラは、自分が閉じ込められているのだと思う。

 自分はまだ裏切り者の扱いなのだと少し心を痛めたアルテラであったが、そんな彼女の前にマシュが姿を現した。

 

「目が覚めましたか、アルテラさん。あまり良い寝起きではなさそうですね」

 

「マシュ……すまない、手間をかけたな」

 

 後ろめたい感情を覚えたアルテラはマシュへと謝罪の言葉を紡ぐ。

 マシュはきっと自分に対して怒りの感情を持っているであろうと思ったアルテラであったが、そんな彼女に対して、マシュは意外なほどに爽やかな笑みを見せた。

 

「そんな顔しないでください! これでやっと()()が始められるんですから!」

 

「は……? 競技、だと……?」

 

 困惑するアルテラであったが、いつの間にか自分を閉じ込める柵が消失していることに気が付いて更にその困惑を深める。

 しかし、そんな驚く時間も勿体無いとでも言う様にマシュに引っ張られたアルテラは、全裸のままマシュの導きに従って歩き続けた。

 

「お、おい、どういう事なんだ? 私を自由にして良いのか?」

 

「ええ、良いんですよ。なにせ、これからあなたを賭けた勝負が始まるんですから!」

 

「勝負? さっき言っていた競技と言う奴か? それは一体……?」

 

 先ほどから抱えていた疑問をマシュに尋ねようとしたアルテラは、急に眼前に眩しい光が灯ったことに驚いて顔を覆った。

 次に彼女が目を開いた時……そこには、今までアルテラが抱えていた疑問が吹っ飛んでしまう程の光景が広がっていた。

 

「ここ、は……!?」

 

 広く、荘厳な闘技場。アルテラが見たのはそれだった。

 今までに何度か秋の祭りで見た様な闘技場が、アルテラの目の前に広がっているのだ。

 

「余の愛するローマ市民たちよ! よくぞこの場に集ってくれた! 今宵、貴様らは新たなる伝説の目撃者となる! その栄誉を深く噛み締めよ!」

 

 聞き覚えのある声に顔を上げれば、そこには主賓席で声を上げるネロの姿があった。

 いや、彼女だけではない。よく見れば、彼女の傍にはカエサルとクレオパトラの姿もあるのだ。

 

「これは、どう言う事だ……?」

 

 100、200では済まない数の観客たちに裸の姿を見られることを恥ずかしがりながら、アルテラはこの異常な事態に困惑する。

 そんな彼女の肩を優しく掴んだマシュは、己もその魅力的な肢体を観客たちへと晒しながらゾクリと来る様な甘い声で語り掛けて来た。

 

「アルテラさん……あなたは賞品なんです。これから、あなたを巡って二人の男性が戦うんです。あなたは、勝った男性の物となるんですよ」

 

「私が、賞品……? なんだそれは……?」

 

 マシュが口にした言葉の内容を理解出来ないアルテラは、ただ茫然とした表情を浮かべるだけだ。困惑し、固まる彼女に向けて、マシュはなおも話を続ける。

 

「そんなに硬くならないでください。勝敗を決めるのはアルテラさんなんですから……それに、そんなに心配すること無いですよ」

 

「え……?」

 

 疑問しか存在しない頭を振ったアルテラは、マシュの顔をただ唖然とした表情で見つめている。そんな彼女に対し微笑みかけたマシュは、そっとある方向を指さした。

 

「あれは……!?」

 

 マシュが指差した先を見たアルテラは、またしても驚愕した。そこには、自分に淫紋令呪を刻んだ相手が立っていたのだ。

 彼もまた茫然としたままこの闘技場の光景を眺めている。予想だにしないソロモンとの再会に驚くアルテラの顔を掴み、マシュはまた別の方向を向かせた。

 

「っっ……!?」

 

 そこに居たのは、つい先ほどまで自分を抱いていたはずのカルデアのマスターだった。ソロモンや自分とは違い、平然としている彼の姿を見たアルテラはこの場で自分を求めて争う二人の人物の顔を交互に見つめる。

 つまり、そう言う事なのだ。ここでソロモンとマスターは戦い、自分の所有権を争おうと言うのだ。

 

 何が何だか分からないアルテラは、唯一理解出来たその事実を噛み締めてその場に立ち尽くしていた。

 そんな彼女に向け、妖しく笑うマシュは耳のすぐ傍で甘美な声で囁きかける。

 

「とっても簡単ですよ……あなたが、あなたの望む未来を選ぶだけ……ね? 簡単でしょう?」

 

「私が、望む……?」

 

「ええ、そうですよ! ……まあ、最初から全てが決まり切っていることですけど、一緒に観客たちが盛り上がる様な素敵なショーにしましょうね!」

 

「どういう意味、なんだ……?」

 

 全てが理解出来ない状況に放り込まれたアルテラは、目の前で笑うマシュの姿を大歓声の中で見つめ続けることしか出来なった。

 ただ……今から自分が自分の手で自らの運命を決めると言う事だけは理解出来た。振り返ったアルテラは、何かが始まる前にこの場に集った二人の男性を見る。

 

 動揺と平静、二つの真逆の様相を現すソロモンとマスターの姿を見ながら、アルテラはこのショーの始まりをただ待ち続けたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ローマ・コロッセウム(アルテラ)

「これは、なんだ……!? どう言うことだ……!?」

 

 ソロモンは突然の出来事に対応出来ずに周囲を見回している。目に映る民やネロたち皇帝の姿から察するに、ここはローマのコロッセウムの様に思えた。

 しかし、魔術王たる自分をなんの前触れも無くこのローマの地に連れ去ることなど出来ないだろう。であるならば、これはまた自分自身の夢なのだろうとソロモンは結論付けた。

 

 これで何度目になるのだろうか? こうやって呼び出される度に不愉快で苛立つ経験をしなければならないことはソロモンにとっても避けたい事だ。

 だから、もう二度と同じ手は食わないとばかりに防策を施してはいるのだが……それをすり抜け、またしても自分はこの宴に駆り出されてしまったらしい。

 

(くっ……! 一体どう言う事だ? カルデアにはそれほどの魔術師が居るとでも言うのか!?)

 

 稀代の魔術師であり、魔術王の異名を誇る自分の防御を躱して悪夢の中へと引きずり込むことは実質不可能に近い。しかし、近いと言うだけで不可能では無いのだ。

 カルデアには、それを可能にする魔術師かキャスターのサーヴァントが居ると言う報告は受けていない。そもそも、そんな英霊が居るのならばソロモンが知らない訳が無い。

 

 もしもそんな英霊が居るのならば、それは自分とほぼ同等の力を持つグランドのキャスターサーヴァントだろう。

 そんな相手が敵陣に存在するかもしれないと言う事に、ソロモンが冷や汗を流していると……

 

「どうも、またお会いしましたね。今回も皆さんを楽しませて下さいね!」

 

「マシュ・キリエライト……!」

 

「……気安く名前を呼ばないで下さいよ。気持ち悪くて身震いします」

 

 笑顔でソロモンを嘲ったマシュは、満面の笑みのままでコロシアムに集まっている民衆を見回す。

 そして、もう一度ソロモンを見ると先ほどよりも良い笑顔で彼へと話しかけた。

 

「今日はこんなにも沢山の観客が居るんです。しかも、ネロさんやクレオパトラさんの様なあなたに堕とされた英霊の皆さんも居ます。そんな人たちに楽しい一時を過ごさせてあげて下さいね?」

 

「ふん……ご丁寧に説明している様だが、このソロモン王に何度も同じ手が通じるとでも思ったのか?」

 

「……?」

 

 どこか自信ありげなソロモンの言葉に対して首を傾げるマシュ。ソロモンは、そんな彼女に向けて手を伸ばした。

 

「これが夢だと言うことは既に理解している! 前回は動揺して遅れを取ったが、この夢はこの私の夢のはずだ! ならば、コントロールすることなど容易い!」

 

 ソロモンは精神を集中させ、この悪夢を終わらせるべく夢をコントロールしようとした。

 そのついでにマシュたちに仕返しとばかりに凌辱の夢を見させてやろうと考えた彼は、口の端にあくどい笑みを浮かべる。

 何度も同じ手を使って来たカルデアに対して一矢報いてやれると心の中で喜ぶソロモンであったが、どんなに精神を集中しても夢の中の光景に変化は表れなかった。

 

「な、何故だ……!? どうして何も起きない……!?」

 

「……人の話は最後まで聞いた方が良いですよ。あなたは早とちりしているみたいですから」

 

 呆れた表情を浮かべたマシュは、首を左右に振った後でソロモンにある一点を指さす。

 ソロモンがマシュに指差された方向へと視線を向かわせると、そこに居たのはローマに刺客として送り込んだアルテラであった。

 

「アルテラ……やはり、貴様らに捕縛されていたか」

 

「……ソロモン、この夢はあなたの夢ではありません。彼女、アルテラさんの夢なんですよ」

 

「なに……!?」

 

 自分同様に困惑の表情を浮かべているアルテラを見ながら、ソロモンは小さな舌打ちをした。

 夢のコントロール権を自分が握れない理由を知れたは良いが、それはこれがアウェーであることを指し示す証拠に他ならない。逆に、今の自分にはこの夢を終わらせる方法が無いと言う事を指し示しているのだ。

 

「ふふふ……可哀想ですねぇ。実際はそんな事、かけらも思ってませんけど!」

 

 軽く苛立った様子のソロモンの姿を見たマシュは愉快そうに笑い、口元を抑える。そんな彼女の姿もまた、ソロモンの苛立ちを加速させた。

 

「まあでも、私たちはあなたの様な鬼畜ではありません。しっかりとあなたにチャンスを与えてあげますよ」

 

「なんだと? それはどう言う意味だ!?」

 

 ひとしきり笑ったマシュは、ソロモンに対して意外にも温情をかけて来た。

 彼女の真意が読み取れないソロモンは感情を露にしてマシュへと詰め寄る。マシュはそんなソロモンを手で制すると、簡潔に要点をまとめて解説をし始めた。

 

「良いですか? あなたはこのコロシアムで、アルテラさんの心を掴む勝負をしてもらいます。対戦相手は……言う必要なんて無いですよね?」

 

「ぐっ……!?」

 

 ソロモンはアルテラと、アルテラの背後にいる一人の青年の姿を見て小さく呻く。

 ここ暫くの間に受けた彼からの屈辱の記憶を思い出したソロモンは、それを頭から振り払うかの様に大きく首を振った。

 

「あなたと先輩、二人の男性がアルテラさんを賭けて勝負をするんです。勝負の内容はセックスによる彼女の籠絡……快感と甘い言葉でアルテラさんの心をくすぐり、彼女に自分こそがマスターであると認めさせた方の勝利です」

 

「ほぅ……?」

 

 ソロモンはマシュの解説に耳を傾けながら笑う。それは、この勝負に勝てば一気に事態が好転することに気が付いたからだ。

 

 もしも自分がアルテラを堕とすことが出来たのならば、彼女の夢であるこの世界も好きに出来る。そうなれば、マシュやネロ、そしてカルデアのマスターをこの夢の中で翻弄出来るのだ。

 今までの屈辱を倍にして返すことも不可能ではない。そう考えてほくそ笑むソロモンは、その思いに追い風を送るマシュの言葉を耳にする。

 

「ちなみに……先攻はあなたで良いそうです。先輩が先に手を出してしまったら、その時点で勝負が決まってしまいますからね」

 

「ク、ハハ……! そうか! そうか!」

 

 余裕を見せるカルデアのマスターに対して笑みを見せたソロモンは、心の中で彼に対してその慢心が命取りだと言う言葉を送る。この時点で、自分の勝利はほぼ決まった様なものだ。

 最初にアルテラを抱いた時に、彼女の体に魔術で細工を施してしまえば良い。感じなくなるだとか、不快感を催すだとかの魔術を施せば、自分の勝利は確定的だ。

 それに、自分はアルテラの心を掴む手段も心得ている。この勝負の勝利は自分の手にあると確信したソロモンは、ゆっくりとアルテラへと近づいて彼女を引き寄せた。

 

「アルテラよ……我が元に来い、そしてその身を捧げるのだ」

 

「っっ……」

 

 ソロモンに声をかけられたアルテラは、一瞬体をビクリと震わせて硬直する。しかし、すぐに彼の命に従ってソロモンの下へと歩み寄った。

 

「良し、それで良い……!」

 

 アルテラの頬を撫で、下腹部に刻まれている淫紋令呪を見たソロモンは喉を鳴らして笑った。

 どうやらアルテラはまだ自分の物のままの様だ。これで更に自分の勝率が上がったと胸の中で思いながら、ソロモンはアルテラへの愛撫を開始する。

 

「はぁ……っ、くっ、うぅ……っ!」

 

「くく……【天性の肉体】、素晴らしいスキルだな……! どんなに弄れど、お前の体は最適な形を保ったままになるのだからな」

 

「あ、うっ……」

 

 慣れた手つきでアルテラの美乳を弄り、乳首を摘まむ。それと同時に性器にも手を伸ばすソロモンは、二本の指でアルテラの膣の内部を抉った。

 

「ひぅぅぅっっ!」

 

 膣の奥、そしてGスポットを擦られたアルテラの体が跳ねる。

 ぶしゅう、と潮を噴く彼女の姿を見たソロモンは、そのまま彼女の内部と胸を責めながらそこに魔術を行使する。

 

(……このソロモン王以外にこの場所を触られた場合、それは痛みと不快感となる……これで、カルデアのマスターに成す術はあるまい!)

 

 アルテラの膣と乳房にソロモン以外の男を拒絶する命令が刻み込まれる。もうこれで、カルデアのマスターはアルテラに快感を与える方法は無くなった。

 あとはじっくりとアルテラの体を責めてやれば良い……ほくそ笑むソロモンは、じっとりと濡れたアルテラの膣から指を引き抜くと、彼女を組み伏して内部に己の肉棒を挿入した。

 

「あぁぁぁぁぁぁっっ!?」

 

 涙を浮かべ、アルテラが喘ぐ。彼女の膣はきつく収縮し、ソロモンの肉棒を刺激していた。

 二度、三度と腰を動かしてアルテラを責めるソロモンは、同時に彼女の顔に手を添えると口を開く。そして、そこから彼女の心を揺さぶる言葉を発し始めた。

 

「破壊の化身、アルテラよ……このソロモンは、お前の真なる望みを知っている。お前は、只の女になりたいのだろう?」

 

「うっ、あっ、うぅぅぁぁぁっ!」

 

「戦う力の無い、非力な存在……されど、触れた物全てを壊すことの無い普通の存在として生きたい。それがお前の望みだ。このソロモンに永久の忠誠を誓うのなら、その願いを叶えてやろう」

 

「あ、え……!?」

 

 ピクリと、アルテラの体が反応を示す。自分の言葉に心を揺さぶられたアルテラの姿を見たソロモンは、なおも彼女を誑かす言葉を口にし続ける。

 

「このソロモンの目的が達成され、全てが終わった後……お前の霊基を改変し、お前の望む姿に変えてやろう……このソロモンが持つ魔術があるからこそ出来る芸当だ。逆に言えば、私以外にはそんな芸当は出来はしない」

 

「あ、うぅ……っ」

 

「カルデアのマスターにお前の望みが叶えられるか? そもそも、あの非力な只の人間がこのソロモンを倒せると思うか? ……利口になれ、どちらに付いた方が幸せかわからぬお前ではあるまい?」

 

「はぁっ、うあぁっ!」

 

 アルテラの瞳を覗き込み、その奥を見つめながらソロモンは語る。彼女の心に自分の言葉を深く刻み込む様に……

 その行動を受けたアルテラは、彼の言葉が頭から離れなくなっていた。与えられる快感も相まって、思考が段々と働かなくなってしまう。

 

「……考えるまでも無かろう? この快感、そして幸福を与えられるのは私だけだ……この後、あの男に抱かれれば嫌でも分かるさ、お前の主がどちらかなんてな……!」

 

「んあぁぁぁっ! あうぅっ♡ あぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 快感、魔術、甘言……数々の策を弄し、アルテラを翻弄するソロモンは、最後の仕上げに取り掛かった。

 腰を激しく振り、アルテラの感じる部分を責め上げる。固く起立した肉棒でアルテラを喘がせるソロモンは、上からアルテラを押さえつけて叫んだ。

 

「ソロモン王の寵愛を受け取れ、アルテラよ! そして、その身が誰の物であるかをしっかりと感じ取るのだっ!」

 

「ぐぅぅっ! んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 アルテラの最奥、子宮の入り口に亀頭を叩き付けたソロモンは、そのまま激しく射精した。

 アルテラの膣を白濁液が激しく叩き、彼女の体を快感が包む。激しく体を痙攣させたアルテラは、荒い呼吸を繰り返して喘いでいた。

 

「あ、あ……♡ あぁっ……♡」

 

(ククク……! この蕩けた表情! 施した魔術! 勝負は決まった様なものではないか!)

 

 アルテラが狂おしい程の快感を得ている事と自分の施した魔術がなんの不具合も無く効果を発揮していることは彼女の下腹部に刻まれた淫紋令呪が証明してくれていた。

 黒く、妖しく光るそれが自分への忠義を示していることを見て取ったソロモンは、この戦いの勝敗を悟ったかの様にして笑う。

 

「……射精しましたね。では、交代です」

 

「ああ……好きにすれば良いさ。もう、決着はついたようなものだ。なあ、アルテラ?」

 

「は、ひ……♡ ソロモン、さまぁ……♡」

 

 自分の問いに答えるアルテラの表情が快楽に染まり、自分への愛情を表現していることを見たソロモンはにんまりと笑みを見せる。

 もはやカルデアのマスターに勝ち目はない。アルテラは、ソロモンの物となった……その笑みには、ソロモンのそんな思いが滲み出ていた。

 

「さあ、アルテラさん。次は先輩に抱かれる番ですよ……」

 

「ああ……わかった……」

 

 ソロモンに抱かれ、彼への思いを深めてしまったアルテラは露骨に嫌な表情を見せてカルデアのマスターの元に向かう。

 褐色の肌を晒し、膣からソロモンに注がれた精液を垂らす彼女の姿は、美しい体の造形と相まって神秘的な様相を呈していた。

 

「……じゃあ、始めようか?」

 

 自分に対して嫌悪感を露にするアルテラにそう言った後、カルデアのマスターが彼女へと手を伸ばす。

 ソロモンは、その光景を見ながら勝利のカウントダウンを開始していた。

 

(さあ、触れろ! 魔術を施したアルテラの体に触れ、全てを終わらせるのだ!)

 

 ソロモンへの忠義を深めた状態の今のアルテラが、カルデアのマスターに触れられたことで痛みを感じたなら……そこで、勝負はお終いだ。そうなってしまえば、アルテラは間違いなくソロモンの方を主と認めるだろう。

 仕掛けられた罠にカルデアのマスターが掛かろうとしている。ソロモンは、その瞬間が待ちきれない程に狂おしく思えていた。

 

 勝負に勝ち、アルテラを手中にし、今までの屈辱を晴らす……既に勝った気になっているソロモンは、カルデアのマスターの行動を期待を込めた視線で見つめていた。

 しかし……彼は、ソロモンの思惑通りにはならないことをすぐに理解することになる。

 

「むぅぅ!? うぅんっ!?」

 

「はぁむ……んっ、ちゅっ……!」

 

「あ……?」

 

 カルデアのマスターが取った行動。それは、ただのキスだった。

 体の敏感な部分に触れる訳でも無く、ただ唇を重ね合わせ、舌を絡ませる接吻を行う……ソロモンは、自身の予想を裏切った彼の行動にやや動じるも、すぐにその動揺を振り払った。

 

(あんなものは前戯の中でもお遊びの部分だ! どうせこの後胸や膣に触れる……どの道、このソロモンの勝利は間違いない!)

 

 ただのキスで今のアルテラがどうこうなる訳でも無い。カルデアのマスターもその事は理解しているだろう。

 必ずセックスの為に膣には挿入するし、胸だって触れる。そうなれば自分の施した魔術が効果を発揮するはずだ。

 

(待てば良い、待てば勝てる……! 何も焦る必要は無いのだ!)

 

 ソロモンは自分に言い聞かせる様にして胸の中でそう唱え続けた。それは、どこかから感じる言い様の無い不安が生まれているが故の行動だったのかもしれない。

 負ける訳が無いと、そう言い聞かせて無いと不安で仕方が無かったから……その思いは、ソロモンが恐怖を感じている証拠に他ならなかった。

 

 そして、彼の目の前でその思いを助長させる出来事が起こってしまう。

 

「はっ♡ ふっ♡ ん、むぅ……っ♡」

 

「あ、アルテラ……? 一体、なにを……?」

 

 カルデアのマスターと唇を重ねるアルテラの表情が、明らかに先ほどとは違っている。不快感が消え、熱を帯びたものになっているのだ。

 まるで恋する乙女の様なその表情には、キスを交わす相手に対する嫌悪感はまるで感じられない。それどころか、彼とのキスを悦んでいる様に見える。

 

「はぁっ♡ はっ♡ んぅちゅっ♡ ぷはぁっ♡ んんんっっ♡」

 

 アルテラの後頭部を抑え、彼女を食するかの様に唇を重ねるマスター。しかし、その動きにはアルテラへの思いやりが感じ取れる。

 慣れないキスにがっつくアルテラをしっかりとリードし、舌や唇を優しく舐め上げながらも息継ぎのタイミングを計ってやっているのだ。それも、アルテラがたっぷりとキスを楽しめるようにである。

 

「アルテラ、可愛いよ……! 凄く可愛い……!」

 

「はぁっ♡ んはぁっ♡ むぅっ♡ んんんっ♡」

 

 たっぷりと唇を重ね、唾液を循環させた二人は、長い時間をかけたキスの後でようやく唇を離した。

 二人の涎が糸を引いて銀色の橋を作り、お互いを繋いでいる。最初の不快な表情はどこへやら、アルテラは紅潮した頬で茫然とした顔をしていた。

 

「……さあ、次にいこっか? 悪いけど、四つん這いになって貰って良いかな?」

 

「わかった……後ろから挿れるのか?」

 

(き、来たっ!)

 

 今のアルテラの姿に微かな危機感を抱いていたソロモンは、待ちに待った瞬間がやって来たことに心の中で安堵と歓喜の叫びを上げた。

 たとえ今、どれだけアルテラが快楽を得ていようと挿入してしまえば終わり……痛みに怯えたアルテラは、すぐにセックスを中断してソロモンを選ぶだろう。

 アルテラの淫紋令呪はまだ黒色だ。危ない所だったが、まだソロモンを主として認めていると言うことだろう。

 

(結局はこうなるのだ! 勝敗は最初から決まっていた! このソロモンが、あんな凡庸なマスターに負けるはずがない!)

 

 あの男が、自分の魔術を解けるはずが無い。

 アルテラが、自分を選ばないはずが無い。

 魔術王たる自分が、こんな所で敗北を喫する訳が無い。

 

 そんな、自分を鼓舞する言葉を思い浮かべるソロモンはまだ気が付いていなかった。そんな思いを胸にしている時点で、自分が彼に怯えていると言う事に……

 終わる筈だった。勝つはずだった。そうなる筈だった……だが、そうはならなかった。

 

「んへぇぇぇっっ♡♡♡ しょ、しょこはぁぁっ♡♡♡」

 

「なっ!?」

 

 アルテラの尻肉を掴み、それを広げたマスターは、彼女の膣に挿入することはしなかった。

 代わりに、自分の舌を彼女のアヌスに押し当て、そこを舐め始めたのだ。

 

「やめっ♡ やめへくれぇっ♡ そこは、きたない……っ♡」

 

「汚くなんか無いよ、アルテラの体は綺麗さ」

 

「そうですよ、アルテラさん……そっちの方が綺麗じゃ無いですか」

 

 アナルを舐められる感覚に背筋を震わせるアルテラは、それが嫌悪感から来る震えでは無い事に驚愕していた。

 このまま舐められ続けたら、自分は壊れてしまうかもしれない。そんな思いを胸にしたアルテラであったが、マスターを拒絶する言葉を口にする彼女に対してマシュが口を開く。

 

「良いですか……? アルテラさんのお尻と、ソロモンの精液でベトベトになったおまんこ、どっちが綺麗だと思います?」

 

「それ、は……」

 

「……ソロモンのおちんぽから射精された、きたな~いザーメンがたっぷり詰まったおまんこですよ? 綺麗だと思いますか? そんな穴に、先輩の立派なおちんぽを挿れて貰うおつもりですか?」

 

「……す、すまない……マシュの、言う通りだ……」

 

「!?!?!?」

 

 アルテラは、マシュのソロモンを侮辱する言葉に納得した表情を見せる。その光景を見たソロモンは愕然とした。

 普通ならば、主を馬鹿にされたと怒り狂うのが正しい反応なのだ。しかし、アルテラはそうしなかった。なぜか?

 答えは簡単……アルテラが、ソロモンの事を崇拝しなくなっているから。ソロモンよりも、カルデアのマスターへと心を傾けてしまっているからだ。

 

「すまない……お前にも迷惑をかける。こんな、挿れるべきではない穴を弄らせることになって……」

 

「……そんな事思ってないよ。俺は、お尻の穴でシたいんだ。アルテラにお尻の気持ち良さを知って欲しいだけなんだよ」

 

「え……?」

 

 マシュの冷たい言葉を受け、彼に叱責されると思っていたアルテラに寄せられたのは、その予想に反した優しく温かい言葉だった。

 マスターはアルテラの頭を撫でながら、彼女へと自分の思いを伝える。

 

「アルテラ、初めてのセックスでお尻で無理やりやられて気持ち良くなかったって言ってたでしょ? そんなの、悲しすぎるよね……」

 

「あ……!」

 

「だからさ、俺がそのことを忘れちゃう位に気持ち良くしてみせるよ! お尻ってこんなに気持ち良かったんだって、アルテラに思わせてみせるから!」

 

「あ、う……♡ お前、は……♡ んんっ♡」

 

 マスターの言葉を受けたアルテラは頬を染めて恥ずかしがっている。そんな彼女の尻を撫でた後、マスターはもう一度アルテラのアヌスへと舌を這わせる。

 

「ふ、うぅっ♡ ん、はぁ……っ♡ ほ、おぉ……♡」

 

 もうアルテラはマスターの愛撫を拒絶することは無かった。彼に成すがままにされ、肛門への愛撫を受け入れている。

 段々と尻の穴が緩くなり、広がっていることを感じるアルテラは、この後に待っているアナルセックスへの期待を強めていた。

 

「……指、挿れるよ……力を抜いて、楽にしててね」

 

「分かった……♡」

 

 十分にアナルが解れた頃合いを見計らったマスターは、右手の人差し指と中指を束ねてアルテラの尻穴へと突っ込んだ。

 そしてそのまま尻穴の解れ具合を確認しつつ、指をゆっくりと動かしていく。

 

「んっ♡ ほぉっ♡ あぁっ♡ こえが、もれてぇっ……♡」

 

 尻穴を抉られる感触に獣の様な喘ぎ声を漏らしてしまったアルテラは、その下品さに顔を赤らめて羞恥した。

 しかし、マスターはそんな彼女のことを余裕たっぷりに受け止める。

 

「良いんだよ、アルテラ……気持ち良くなったら、それを俺に教えて欲しいな。それは、恥ずかしいことじゃないんだから……!」

 

「そう、なのか……? あっ……♡」

 

 マスターに問いかけるアルテラの尻に触れる熱い感触。大きく、逞しい肉棒の先が尻の穴に触れていることにアルテラが息を漏らす。

 

「……アルテラ、良い?」

 

「……ああ、来てくれ、マスター……♡」

 

 彼の問いかけにアルテラが頷く。彼女に頷き返したマスターは、ゆっくりと時間をかけて挿入を行った。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 大きな、大きな肉棒が尻の中に挿って来る……ソロモンの時の様に一気に叩き込まれるのではない、自分を気遣いながら彼が自分と一つになろうとしてくれている……。

 解れた尻穴はマスターを喜んで受け入れ、広げられた尻穴は彼から与えられる快感を貪っていた。

 両足を持たれ、マスターに抱え上げられたアルテラは、自身の尻に打ち付けられる彼の腰の動きを感じながら快感に喘ぐ。

 

「ほっ♡ ほぉぉっ♡ これ、はぁぁっ♡」

 

 それは、かつて自分が体験したものとは大きく違った。充実感も、快感も、悦びも、全てが違った。

 ただひたすらに気持ちが良い。ただひたすらに幸せだ。そして、ただひたすらに彼を受け入れられたことが嬉しくて仕方が無かった。

 

「んほぉぉぉっ♡ ほひぃっ♡ こんにゃっ、こえがっ♡ とまらないぃっ♡」

 

 下品で、淫らな声が口から自然と溢れてしまう。それを止められないことが恥ずかしいのに、もうどうしようもない。

 マスターに抱えられた状態でくるくると体を回されるアルテラは、コロシアムの観客たちに彼とのセックスを見られていることに恥ずかしくなり、顔を覆って叫んだ。

 

「だ、めだぁっ♡ こんなの、はずかしすぎるっ……♡ 見せつけないでくれ、マスター……♡」

 

「何で? こんなに可愛いアルテラのこと、観て貰わないとダメでしょ?」

 

「可愛いだなんて、そんなことを言うな……♡ わ、わたしは……っ」

 

「……ねえ、アルテラ。アルテラの変わりたいって気持ち、俺も少しはわかるよ。でもさ、無理に変わる必要は無いんだよ」

 

「あ、え……?」

 

 ぐっぽ、ぐっぽ……尻穴が彼の肉棒を咥え込む音を耳にしながら、アルテラは彼の言葉に耳を傾ける。

 彼が語るのは、アルテラの悩みに関する自分自身の思いだった。

 

「アルテラは、今のままで良いと思う。アルテラには破壊以外にも出来ることはあるし、やれることもある……変わってみたいって思える様になったことは、アルテラにとって大きな一歩でしょ?」

 

「あ……!」

 

 マスターの言葉にアルテラは目を見開いた。そして、自分自身が知らず知らずのうちに変わり始めていたことにようやく気が付く。

 彼の言う通りだった。自分は、破壊以外の生き方を見つけてみたいと思う様になっていた。そして、それを叶えようしてくれる仲間も沢山居ることを思い出した。

 

 誰かに変えて貰う必要なんて無かった。自分は、自分の生き方を選べる……そんな当たり前のことに気が付いたアルテラの目から、涙が零れだす。

 

「……アルテラは、アルテラのままでいて。ちょっと不器用で、感情の表現が下手で……だけど、とっても優しくて素敵な女の子のままでいて欲しいって俺は思う。でも、アルテラが自分を変えたいって言うのなら、俺たちが力を貸すよ。アルテラがなりたい自分になれる様に力を貸す……誰かの手で変えて貰おうだなんて思わないで、俺は、アルテラが大好きだから……!」

 

「マスター……!」

 

 アルテラの胸の中に暖かなものが芽生える。同時に、胸の中に息づいていた腐った何かが崩れ去って行く。

 

 自分の本当の願いは、自分で叶えるべきものだった。誰かに叶えて貰うのではなく、自分で努力するからこそそれは尊いのだ。

 ようやく……その事を思い出せた。体の内側から広がる暖かな波動に身を任せたアルテラは、そっと瞳を閉じて笑みを浮かべる。

 

「……何も、迷う必要なんて無かったんだな。全部、私が弱かっただけだ」

 

「俺も同じだよ。弱くって色んなものを見失う……アルテラと一緒だ」

 

「ふふ……! そうなのか? なら、ちょうどいいかもしれないな……」

 

「っっ!? よ、よせ! やめろっ! アルテラ! よく考えろ! お前にとって何が一番良い道で、誰がお前の主に相応しいのかをっ!」 

 

 温かく、幸せな二人の時間を邪魔するソロモンの叫び。その声を聞いたアルテラは、そっと首を振ると口を開く。

 

「……私は愚かだ。正しい道を選ぶことは出来ないし、間違った道を行くこともあるかもしれない……だが、自分の決断を誇れる様なものにしたいと言う思いはある。お前の下に居たと言う事は、私にとって恥ずべき事だ。それを無かったことには出来ないが、私はそれを償える道を選びたいと思う」

 

「な、な、な……!? この、愚か者がぁっ! 貴様は、無知で! 愚かで、救い様の無い……」

 

「何と言われても構わない。ただ、お前の傍に居続けることが一番の間違いだと言う事くらいは私にも分かる……私は、お前を選ばない。そう決めた」

 

「ぐ、あ……あぁぁぁぁぁぁっっ!?」

 

 アルテラにそう告げられた瞬間、ソロモンの中で何かが音を立てて崩れ落ちた。目の前でアルテラを奪われ、カルデアのマスターに完全敗北を喫したことで彼のプライドが崩れたのかもしれない。

 そんな彼の目の前では、その屈辱に追い打ちをかける出来事が起きていた。

 

「ああっ♡ あっ、んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 突如として体を仰け反らせたアルテラが激しい潮噴きを披露したのだ。

 愛液とソロモンに注がれた精液を噴き出しながら、アルテラは嬌声を上げ続ける。

 

「うあぁぁぁっ♡ ひっんっ♡ はひぃぃぃぃっ♡ お、おっ♡ おほぉぉぉっっ♡」

 

 アルテラの潮噴きは長い時間続けられた。脚を伸び切らせ、股の下の地面を愛液と精液の混合液で濡らし続けたアルテラは、ようやっと潮噴きを止めて体を脱力させる。

 そんな彼女に近づいたマシュは、じっくりと潮噴きを続けていたアルテラの秘所を観察すると……満面の笑みを浮かべ、マスターへと声をかけた。

 

「先輩、どうやらアルテラさんはソロモンの精液を全て排出したみたいです。これでもう、先輩のおちんぽを受け入れる準備は整いました」

 

「あっ♡ ああっ……♡」

 

「凄いですね、アルテラさん。先輩に抱いて貰う為に、体が最適な状態になったみたいです。これも【天性の肉体】の効果なんでしょうか?」

 

 脱力したアルテラの下腹部に刻まれている淫紋令呪が輝く。黒から赤へとその色を変えた淫紋令呪は、彼女の主をも変わったことを示している。

 その結果、ソロモンに施された魔術は消滅し、彼女はマスターを受け入れられる体へと変貌した。もう、何者も彼女を阻むことは出来ないのだ。

 

「ます、たぁ……♡ 私に、くれ……尻では無く、女性の象徴に……お前の、温もりをくれ……♡」

 

 たどたどしいアルテラのおねだりを受けたマスターは、彼女の尻穴から肉棒を引き抜くと抱きしめていたアルテラの体を反転させた。

 向かい合う様になったアルテラの体をもう一度抱きしめたマスターは、一気に自身の怒張をアルテラの膣へと突き入れる。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ すごいっ♡ すごいぃぃぃっ♡♡♡」

 

 衝撃、快感、幸せ……様々な感情がアルテラの中で入り混じり、脳を焼く。

 今まで知らなかった悦びに身を浸らせたアルテラは、両手両脚でマスターへと抱き着くと思い切り力を込めた。

 

「離さないで、くれ……♡ もっと、私にこの幸せをおしえて、くれぇ……♡」

 

「ふふふ……♡ アルテラさん、トロトロになっちゃってますね……♡ ここからは、二人だけの時間にした方が良いですよね?」

 

「ああっ♡ んんっ♡ あっ♡ はぁぁぁっ♡♡♡」

 

 マスターがアルテラの尻を掴み、腰を激しく振る。四肢で彼の体に絡みつくアルテラは、そのピストンを真正面から受け止めて喘いでいる。

 

「愛すべきローマの民よ! 今宵の戦いの勝者に賛辞と花びらを送るが良い! 幸せを掴んだ少女と、栄誉と愛を手に入れた勇者! その両名に惜しみない拍手を!」

 

「おおーーーっ!!!」

 

 アルテラを抱えたままマスターが歩き出す。観客やネロたちは、闘技場を去る二人に向けて赤と白の薔薇の花びらを送っていた。

 

「んあっ♡ あ、くぅっ♡ はぁっ♡ んああぁっ♡」

 

 二人が闘技場を去ってもアルテラの嬌声は暫くの間観客の耳に届き続けた。それほどまでの大きな喘ぎ声であったのだ。

 当然、その声は闘技場に残るソロモンの耳にも届く。自身の敗北を突き付けるその声に、ソロモンは打ちのめされていた。

 

「こんな……こんな、馬鹿な……! ありえない、ありえるはずがない……!」

 

 悔しさを滲ませるソロモンであったが、不意に観客たちの声が途切れたことに気が付くと顔を上げた。

 すると、いつの間にかネロたちの横に移動していたマシュと目が合い、彼女に微笑みかけられる。

 

「……最初から結果は見えていましたが、結構楽しめましたよ。あなたにも、報酬は差し上げないといけませんね」

 

「な、何をする気だ……!?」

 

 百、千、万……大量の民がソロモンを取り囲み、見下ろしている。その状況に動揺するソロモンの前で、ネロが手を上げた。

 

「……余と、ローマの民を楽しませてくれた礼だ。謹んで、受け取るが良い!」

 

「がぁっ!?」

 

 額に何かがぶつかった痛みに呻いたソロモンは、自身の足元に緑色の宝石が転がっていることに気が付いて再び顔を上げた。どうやら、この宝石がソロモンへの報酬らしい。

 人の握り拳ほどはあるエメラルドの宝石、それを手にした数万の観客たちが、ソロモンを見ている……彼らが何をしようとしているのかに気が付いたソロモンは、恐怖に表情を歪めて叫ぶ。

 

「や、やめろぉぉっ!!!」

 

 コロシアムに響く悲痛な声。だが、そんなものは何の意味も為さなかった。

 次の瞬間、観客たちが次々にソロモン目掛けて宝石を投げ始めたのだ。雨の様に降りかかる翡翠の宝石を前に、ソロモンは何の防御も出来なかった。

 

「がっ!? ぐあっ!? がぁぁっ!?」

 

 頭に、体に、背中に……次々と宝石がヒットする。痛みを感じる間もなく、次の宝石が襲い掛かって来る。

 民たちの笑い声をセットにして繰り広げられるリンチには、ネロやクレオパトラも参加していた。

 自分たちの受けた屈辱や苦しみを返すかの様にソロモンへと宝石を投げる人々は、皆一様に笑顔を浮かべている。

 

「許さん、許さんぞ……! 貴様ら、このソロモン王に何たる仕打ちを……!」

 

 血に塗れ、全身を打撲したソロモンは怨嗟の声を観客たちに向けた。しかし、それすらも観客たちにとってはショーの一部に他ならない。

 怒り、屈辱に身を震わせるソロモンであったが……彼は、自分がそれ以上の憎しみを買っていることに気が付いていなかった。

 

「許さん、か……それはこちらの台詞だ」

 

「……!?」

 

 聞き慣れない声に顔を上げたソロモンは、視線の先に居た人物の姿を見て体を強張らせた。

 ネロたちの座るVIP席とでも言うべき場所のすぐ上、そこに巨大な翡翠の宝玉を担いでいるカリギュラの姿を見つけたからだ。

 

「……余に対する数々の仕打ち、忘れた訳では無いぞ……! だが、それ以上に怒りの炎を燃やす事柄は幾つもある!」

 

 カリギュラが宝玉を高く掲げる。人を容易に圧し潰せるほどの大きさの翡翠を掲げながら、カリギュラは怒りのままに叫んだ。

 

「よくも愛するネロを凌辱し、心を苦しめてくれたな。よくも皇帝カエサルとその愛する者の体と心を弄んでくれたな。よくも我らローマ皇帝の誇りに泥を塗り、真祖ロムルスを乏しめてくれたな!」

 

 ソロモンに対する一つ一つの怒り、それ一つで彼を殺す理由になり得る程の怒りは、ローマの民や皇帝たちを代表してカリギュラが口にしているものだ。

 

「そして何より……我らローマを! 愛し、守り、幸せを紡ぐこの国を! よくも蹂躙してくれた! 貴様には地獄すら生温い!」

 

「な、なぁっ!?」

 

 カリギュラの瞳が光る。普段の狂化された彼の姿へと変貌したカリギュラは、天高く跳躍すると抱えている宝玉をソロモンへと投げつけた。

 

「オォォォォォォォォォッッッ!!!」

 

「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁっっ!?!?!?」

 

 隕石の様に飛来した宝玉は、ソロモンに見事命中した。

 ソロモンは、四肢が弾け飛ぶような痛みを感じながら宝玉に圧し潰される。

 

「……あ~! 満足しました! 報酬もお渡ししましたし、これでお開きにしましょうか!」

 

「ぐっ! ま、待て……待てぇぇぇ……っ!」

 

 周囲から人の気配が消えて行く。押し潰されたままのソロモンには状況を判断することが出来ず、潰れたカエルの様な声で呻くことしか出来なかった。

 

 マシュたちはそんな彼をコロシアムに放置したままその場を後にする。

 ネロたちと共に消えようとしたマシュであったが、不意に何かを思い出したかの様に振り返ると二人の女性に向けて声をかけた。

 

「……まだアレを素晴らしい人だと思えますか? あんな無様な姿を見て、心の底から慕えるんですか?」

 

「「………」」

 

 闘技場からは見えないVIP席の奥、そこに座していた清姫と頼光は、マシュの言葉に俯いたまま何も言えないでいた。

 そんな二人に向けて微笑んだマシュは、今度こそ何も言わずに歩き去って行く。残された二人は、宝玉に圧し潰されて情けない悲鳴を上げるソロモンの姿を夢が冷めるまで見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ♡ はぁっ♡ ますたぁっ♡ もっと、くれっ……♡」

 

「ああっ……! 射精()すよ、アルテラっ!!!」

 

 気絶した後、目を覚ましたら急に積極的になったアルテラの期待に応えるべくマスターは激しく腰を打ち付ける。

 アルテラも嬉しそうに喘ぎながら、マスターの肉棒を受け入れていた。

 

「気持ち、良いっ……♡ 温かい物が、体の中で広がって……♡ これが、女の幸せなんだな……っ♡」

 

 腰を打ち付けられる度に響く肉の音。

 奥を貫かれ、愛液を掻き混ぜられる淫らな水音。

 そして甲高い嬌声の三重奏を奏でるアルテラは、セックスによる快感に悦びを見せながら絶頂へとひた走る。

 

 夢の中と同じ様に四肢でマスターへと絡みついたアルテラは、自分から唇を重ね合わせると同時に限界を迎えて達した。

 

「んんん~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 自分の体の内側、最も大切な部分が大きく震える。そして、そこに暖かなものが注ぎ込まれる感覚に瞳を潤ませた。

 

「あたたかい……♡ もっと、そそいでくれぇ……♡ 子宮も、尻穴も、お前の温もりで満たしてくれ……っ♡」

 

 自分の女を満たす幸福感に酔いしれるアルテラ。彼女の言葉に頷いたマスターは、早くも二回戦へと移って行く。

 

「あんっ♡ はぁっ♡ いいっ♡ すご、いっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 膣の中の精液を掻き混ぜられ、温もりを全身に広げられる快感に舌を放り出したアルテラが喘ぐ。

 夢の中よりも甘美で、充実したセックスを続けながら、彼女は今日初めて知った幸せな感覚にいつまでも浸り続けたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 その2
野獣戦線チームB(マシュ タマモキャット)


 その日、カルデアのマスターは緊張とちょっとばかり憂鬱な気分を抱えて自室の扉の前に立っていた。

 この後、この部屋の中で行われる宴に思いを馳せれば、楽しみではあるがやっぱり少し怖くもある。

 

 彼が何故、こんな風に緊張しているかと言えば、彼の大切な仲間が関係していた。

 

 この日はアルテラをソロモンの元から奪い返した翌日……つまり、ローマへのレイシフトを終えてすぐ次の日だ。

 長い作戦行動に加え、前の日の夜もアルテラの為にハッスルしてしまったマスターは、今日くらいはのんびり体を休めようと思っていた。

 マシュやダヴィンチちゃん、Drロマンもその意見には手放しで賛成した。彼には少しくらい休養が必要だと言うのがカルデアの職員一同が出した結論である。

 しかし……その意見にたった一人だけ、賛成しない者が居たのだ。

 

「無理、もう我慢の限界である。ギブ・ミー・キャロット!」

 

 息も荒く主に詰め寄るその女性こそ、マスターがローマにレイシフトしていた間ずっとお預けを食らっていたタマモキャットであった。

 ここまで我慢に我慢を重ねて来た彼女だが、帰って来た主がアルテラと体を重ね合わせている姿を見て限界が来たのだろう。若干血走った目でマスターに迫るタマモキャットは、誰が見てもヤバい精神状態になっていることが分かる。

 

「抱け! 抱け! 我を抱けっ! ご主人のちんぽ、早くキャットに寄越さないかっ!」

 

 発情期の猫も真っ青になる勢いのタマモキャットを見た一同は、この状況をどう治めるべきか非常に悩んだ。そして、結果としてこう言う事にしたのである。

 マスターは午前半休、夜はタマモキャットとしっぽり仲良く過ごす、と……

 

 これは何よりマスターの要望でもあった。今のキャットを放って置くわけにはいかないと言う彼の要望によって、彼の安息の日は少し縮まった訳である。

 マスターの出した最大級の譲歩案に首を縦に振ったタマモキャットは、その日の夜の為にせっせと準備を続けていた。簡単に言えば、マスターに体力を回復させつつ精力をつけようとしたのだ。

 

 現在、カルデアの厨房はタマモキャットが仕切っている。その権限を利用すれば、マスターの献立を自由にするなど朝飯前なのである。

 

 朝、食べやすく胃に優しいお粥で彼の食に対する準備を整わせた。量を少なくして物足りなさを感じさせるまでがキャットの計画だ。

 

 昼、まさかの分厚いステーキ。厚さの割には柔らかく、そして食べやすい重厚な肉は、朝食に物足りなさを感じていたマスターの胃の中にあっという間に放り込まれて行った。

 

 そして夜、うな重とお吸い物の分かり易いセットで精力を付けさせる。この後激しい運動をすることを考えてか、量も多過ぎず、されど少な過ぎない的確な量で収められていた。

 

 そんな風にマスターの健康を食を通じて管理したタマモキャットは、厨房の片づけを終えると熱い視線をマスターへと向けてから一足先に彼の部屋に向かって行った。

 食事をしていたマスターには、その視線が獲物を睨む野獣の物の様に見えたそうだ。

 

 その後、日課であるトレーニングをクー・フーリンとスカサハとこなした彼は、シャワーを浴びてから自室へと戻った。

 時刻は午後9時57分……キャットとの約束の時間の数分前だ。

 

「良し、行くぞ~……やるぞ~……!」

 

 自分を鼓舞する言葉を口にしてみるがやっぱり怖い。何を隠そう、タマモキャットはカルデアの女英霊の中でも性豪の部類に入る女性なのだ。

 一位のナイチンゲールが飛びぬけているため気が付かれないが、タマモキャットも常人の理解を超える性欲を有している。そんな彼女が我慢に我慢を重ねているのだ、今夜はどうなるか分かった物では無い。

 

(もしかしたら俺、死ぬかもな……)

 

 フランスでの再会と、その直後に行われた命懸けのセックスを思い出したマスターは、その時に感じた命の恐怖を再び感じて身震いをした。

 あの時は何が何だか分からないうちに全てが終わっていてくれたが……それでも、かなりヤバかったことだけは今でも容易に思い出せるのだ。

 

「あ~……うじうじしたってどうしようもない! やってやるさ!」

 

 正直逃げたい。だが、逃げたらこの後がもっと怖い。

 数度の深呼吸を繰り返したマスターは、顔を思い切り叩くと自分自身に気合を入れた。そして覚悟を決めると部屋の扉を操作するパネルへと手を伸ばし、それをピコピコと操作する。

 一瞬後に開いた扉の中に入った彼は、そこに居る女性の姿を見て……目を丸くした。

 

「あ、あれ? どうして……?」

 

「私が居るのか、ですか? ふふふ……そんなの、先輩とセックスする為に決まってるじゃないですか♡」

 

 自分の姿を見て驚くマスターに向けて微笑みかけたマシュは、そう言いながら舌なめずりをした。

 今の彼女は礼装【デンジャラス・ビースト】を魔改造した衣服を身に着けており、隠れていた乳首や陰部が完全に露出した格好をしている。

 おまけに尾の部分はアナルバイブになっている様で、マシュはそれをしっかりと尻穴に挿入した状態で蕩けた笑みを浮かべていた。

 

「これ、素晴らしいですよね……♡ ダヴィンチちゃんが私の為に改造してくれたみたいです。先輩にもっと興奮して貰う様にって言われちゃいました……♡」

 

「う、わ……!?」

 

 ベットの上でゆっくりと体を回転させて今の自分の姿をマスターに見せるマシュは、そう甘い声で囁きながら淫らに笑う。

 もはやハロウィンのコスプレではなく、ただの淫らな仮装へと変貌した礼装を身に纏う彼女の姿に眼を奪われていたマスターであったが、当初の疑問を思い出すとそれをマシュに尋ねた。

 

「な、なんでマシュがここに居るの? 今日はキャットとセックスするはずなんだけど……?」

 

「……ああ、それなら問題ないゾ。我はここにちゃ~んと居るからな」

 

 マスターの真後ろから声が響くと共に、彼は背中に柔らかな感触を覚えた。

 薄い布一枚越しの乳房の感触。腕が自分の肩に回され、それを押し付けるかの様に強く抱きしめられている。

 

「ただちょっと考えがあってな……ご主人には、我とマシュの二人を相手にして貰おうと言うわけだ」

 

「ええっ!? キャットはそれで良いの!?」

 

「構わん、これはちょっとした保険だからな……。それよりさっさと始めるぞ、ご主人」

 

「うわわわわっっ!?」

 

 マスターを後ろから抱きしめていたキャットが彼を解放すると同時に彼の着ている服を剥ぎ取って行く。

 あっという間にパンツ一丁の姿にされたマスターは、その早業に軽く茫然としていた。

 

「……さてマシュ、この辺で一つ紹介しておかないとダメなのではないか?」

 

「そうですね……それじゃあ、先輩にちゃんとご説明させて貰いましょうか」

 

 裸エプロンと猫娘、男を誘う淫らな格好をした美しい女性たちがベッドの上で四つん這いになる。その姿は正に、雌豹の様だった。

 

「……既に我とマシュは聖女や騎士王たちとチームAを結成している、しかし……」

 

「数が多すぎるかな~、と思っちゃったんですよね……」

 

 ペロリと舌なめずりをする両者は、ギラギラとした視線でマスターの事を見つめていた。

 その視線に空恐ろしさを感じるマスターににじり寄る二人は、熱を帯びた声で彼に囁きかける。

 

「だから……私たち二人で、新しいチームを作ることにしました♡ 新チームのコンセプトは、()()()()()()()()()ですっ♡」

 

「本能の、まま……?」

 

「ああ……良い子の後輩の皮も良妻メイドの皮も脱ぎ捨てて、ただ本能のままに快楽を貪る獣になる……それがアタシたちチームB、(Beast)のチームだ……♡」

 

 いつの間にか、話し続けていたマシュとキャットは自分のすぐ近くまで迫って来ていた。

 その事に気が付いたマスターの両脇を固めた二人は、彼をがっちりと拘束したまま耳元で囁く。

 

「覚悟してくださいね、先輩……♡」

 

「今日はご主人の事を食べ尽くさせて貰うからな……♡」

 

 余りにも甘く、そして恐ろしい笑みを浮かべた二人はマスターをベッドへと放り投げる。

 いきなりの行動に驚くマスターの体に跨った二人は、それぞれ好きな様に動き始めた。

 

「あはぁ……♡ ご主人のニンジン、もうギンギンだな……♡ 会いたかったぞ……♡」

 

「う、うわぁっっ!?」

 

 タマモキャットの熱を帯びた声が響くと同時に、その肉棒が彼女の膣へと迎え入れられた。いきなり熱く柔らかい極上の快楽へと導かれたマスターは、表情を歪めてその感覚に耐える。

 しかし、そんな彼女の顔に腰を下ろしたマシュは、彼の手を取って自分の尻穴へと指を添えさせた。

 

「もうバイブじゃ我慢出来ません……♡ 先輩に直接穿って貰って、弄り回して貰わなきゃ気が済まないんですっ♡」

 

「む、ぐっ……!?!?」

 

「ああっ♡ おまんこも舐めてください♡ 膣もクリも全部舐めて、私の事を弄って下さいっ♡」

 

 先ほどまでバイブが挿っていたマシュのアナルは、ぽっかりと広がった状態でマスターの指の投入を待ち受けていた。

 既に性器も湿り気を帯びており、陰核も硬く勃起している。その敏感な部分をマスターの眼前に曝け出すマシュは、彼にそれを責めることを彼の顔に跨って強要していた。

 

「んあぁぁっ……♡ これだっ♡ この感覚、間違いなくご主人のちんぽ……♡ この快感は、オナニーでは絶対に感じられないゾ……♡」

 

「はぁぁっ♡ 先輩の舌が私の膣にぃ……っ♡ お尻もぐちゅぐちゅ掻き回されて、素敵です……っ♡」

 

「むぐっ、むぐぐぐっ……!」

 

 腰と舌を懸命に動かしながら、マスターもまた彼女たちの体が与えて来る快感を全身で受け止める。

 一つの生き物の様にうねるキャットの膣は、きつくマスターの肉棒を締めあげながら射精を求めていた。

 動物的な積極性を持つ膣と激しいキャットの腰遣いに呻くマスターは、同時にマシュの性器から漂う強い雌の臭いを鼻いっぱいに嗅いで更に興奮を滾らせた。

 あのマシュがこんなに積極的な姿勢を見せ、自分に跨っていると言うだけでも興奮してしまう。それに加え、彼女の愛液の味や臭いを直に感じられる状況に在っては、もうその興奮に歯止めを利かす方法など存在しなかった。

 

「むぐぅっ! ぐぅおぉぉぉっっ!!!」

 

「あはっ♡ 射精するのだなっ!? ご主人ちんぽがぱんぱんに膨らんでいるのがわかるぞっ♡ 遠慮なく、この淫獣のまんこの中にぶちまけるが良いっ♡」

 

 キャットの言葉を聞く前から腰を激しく跳ね上げていたマスターは、同時にマシュの尻をがっしりと掴んで彼女の膣を貪っていた。

 キャットの膣に肉棒を食われながら、マシュの膣を己が口で貪る……猛獣の猛々しいセックスに相応しい様相を呈する部屋の中では、三者三様の喘ぎ声が響いていた。

 

「あはぁぁぁぁっ♡ 硬いっ♡ 深いぃっ♡ これだっ♡ もっとアタシの奥までちんぽぶち込んでくれぇっ♡」

 

「おはぁぁぁっっ♡ はひっ♡ しょこぉっ♡ クリちゃんがぁっ♡ あぁっ♡ お尻も強くちゅぶされて……ふひぃっ♡」

 

 彼を貪り、彼に貪られ、二人は甲高い悲鳴を上げる。それは、見様によっては獣の雄叫びの様にも見えた。

 

「ぐっ……ぐぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」」

 

 マスターのくぐもった呻きと二人の嬌声が重なる。三人が同時に絶頂し、お互いに快感の高みに上り詰めたのだ。

 

「はぁっ……♡ 熱いのが、でてるぞ……っ♡ これが、セックスの醍醐味だな……♡」

 

 自分の子宮を満たす精液の熱にうっとりとした声を出したタマモキャットは、未だに膣の中で硬さを保っているマスターの肉棒の感触にほくそ笑む。

 分かっていたことではあるが、まだまだ楽しめる……そんな期待を胸に、タマモキャットは再び腰を動かし始めた。

 

「あ、あぁ……先、輩……♡ 今度はお尻舐めてくださいっ♡ 私のけつまんこ、舌で奥まで穿って下さいっ♡ はしたないのはわかってるけど、もう我慢出来ないんですっ♡」

 

 マシュは膣の中に走る痺れに身を震わせ、それと同時に湧き上がって来た尻穴の飢えに身を任せて体を反転させていた。

 普段の清楚さのかけらも無い卑猥な言葉を吐きながら尻を彼の顔に乗せたマシュは、丁度自分の一番の性感帯に舌が這わせられる様に位置を調節し、ひくひくとその窄まりを蠢かせて主から与えられる快楽を待った。

 

「んひぃっ♡ ひぃぃっ♡ ちんぽっ♡ ちんぼがぁっ、我の膣で暴れ回るっ♡ さっき射精された精液も擦り込まれて、臭いまき散らしてるぞっ♡」

 

「あぁっ♡ 先輩が私の汚い穴を舐めている……っ♡ 背徳的で、いけない事なのに背筋がゾクゾクして……♡ もっと、して欲しいって思ってしまう……っ♡」

 

 マスターの肉棒と舌を思うがままに扱い快楽を貪る二人は、恍惚とした表情で喘ぎ続けている。

 自分の感じる場所を刺激させ、快楽の為に腰を振る二人の姿は正に獣としか言い様が無い。

 

「はぁっ♡ あいぃっ♡ もっろ、奥に……っ♡ ご主人のちんぽっ♡ ザーメン欲しいぞっ♡」

 

 膣肉が主の肉棒に絡みつき、更なる快感を求めている事を感じているタマモキャットは、ただひたすらに腰を上下させて己の膣を刺激する。

 膣内に溜まった愛液が溢れ、吐き出された精液が壁に擦り込まれる。一突き毎に子宮の入り口から甘い痺れが広がり、全身を支配して行くことが分かっていた。

 

「あ、あっ♡ ごめんらさい、せんぱいっ♡ おしりのあながばかになって、おならがまんれきません……♡ でも、きもちよくってしかたがないんれす……っ♡」

 

 表情と尻穴を快楽に蕩けさせ、緩くなった尻穴から屁を放るマシュ。当然、それはすぐ近くのマスターの顔にかかる。

 敬愛する主への冒涜は、今の彼女にとっては快楽を強めるスパイスでしかない。ビクッ、ビクッ、と尻を震わせたマシュは、口から舌を放り出すだらしない表情で喘ぎながらもう一度放屁した。

 

「ちん、ぽっ♡ もっとっ♡ もっとぉっ♡ 子宮を、膣を、ご主人のちんぽ汁で一杯にしてくれぇっ♡♡♡」

 

「先輩にこんなことして……♡ でも、それがすごく気持ち良いですっ♡ ああっ♡ いけない私のおまんことけつまんこ、先輩の涎だらけにしてくださいっ♡」

 

 自分勝手な欲望をマスターへとぶつけながら、二人……いや、二匹の獣はただ快楽の為の行いを続けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ♡ あへっ♡ へぁぁ……っ♡ イクっ♡ イキますぅっ♡」

 

 背筋を震わせ、尻穴に潜り込んだ舌による愛撫にマシュが達した。

 垂らした愛液で彼の上半身を濡らし、緩んだ尻穴から腸液と屁を漏らす彼女の表情は快楽に染まり切っている。

 

「ほーっ♡ ほぉぉっ……♡ これで、25回……もっと、でしたっけ……?」

 

 律儀に絶頂の回数を数えていたマシュは、自分が何度達したのかをカウントしきれなくなっている事に首を傾げる。もはや、今の自分に正常な思考など残ってはいないのだ。

 取り合えず確実に絶頂したと思える回数は20回を超えていた。そこから訪れる大小様々な絶頂の形をあわせれば、50回はイっているのではないだろうか?

 

 残念ながら、彼に舌での愛撫を続けて貰っている自分にはマスターの絶頂回数は分からない。

 ただ、タマモキャットが跨り続けている肉棒が未だに硬さを保ったままであることは、彼女が必死に腰を振っていることから察して取れた。

 

(やっぱり凄いです、先輩……♡ こんなに激しいセックスを続けているのに、まだ萎えていないなんて……♡)

 

 前戯もへったくれもない、最初からトップギアのセックス。自分たちも奉仕の精神など欠片も持たずにただ好き勝手に腰を振っていただけだ。

 それはチームのコンセプトにもある本能のままに交わるセックスが故……ただ己の欲求を満たす為に、自分たちはマスターを利用しているのだ。

 

(でも、少しやりすぎたかもしれませんね……♡)

 

 熱に蕩けた思考でぼんやりとマシュは思う。こんな風に激しく求められることが好きな男性もいるが、ここまで乱暴に求め続けてはマスターも気分を害するのでは無いだろうか?

 だが、マシュはすぐにそんな思考を投げ捨てた。今の自分は獣、ただ欲する物を求めるのみだ。そんな自分が他者を思いやるなどしては、本能のままに動くことは出来ないでは無いか。

 

(すいません、先輩♡ もう少し好き勝手にさせて貰いますね……♡)

 

 心の中であまり誠意の籠っていない謝罪の言葉をマスターへと告げたマシュは、再び尻を彼の顔に押し付けた。

 舌による愛撫も気持ち良いが、そろそろ本格的にセックスがしたい。タマモキャットも十分に満足しただろうから、一息ついたら場所を変わって貰おう。

 

 ……マシュが、そんな考えを思い浮かべた時だった。

 

「おひぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

「えっ!? きゃぁっ!?」

 

 突然、目の前に位置していたキャットが一際甲高い悲鳴を上げたかと思えば、強い力で自分の体が押しのけられてしまったのだ。

 不意を突かれたとは言えデミ・サーヴァントである自分をあっさりと動かしたマスターの力に驚愕するマシュであったが、彼女にとって真の驚きを与える出来事はこの後に起きる。

 

「あ、はぁっ♡ 来た、来た来た来たっっ♡♡♡ 目が覚めたな、ごひゅじんん~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 興奮し、何事かを叫ぶタマモキャットを押し倒したマスターは、彼女の体を完全に組み敷いた体勢で腰を振るう。

 種付けプレス……男性上位の体位を取ったマスターは、その豪胆な逸物を存分にタマモキャットの膣へと叩き込み始めた。

 

「あひぃっ♡ ひぃぃっ♡ んへぁぁっ♡ はひぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 長い、とても長く太い肉棒がタマモキャットの膣に出入りする。

 ゆっくりとした、それでいて力強いストロークで腰を動かすマスターは、キャットの膣をじっくりと肉棒で躾けている様だ。その一突きを受ける度、キャットの尻がぶるりと震えて快楽の大きさを示している。

 

「お、おぉっ♡ しゅごいっ♡ しゅごしゅぎるぅぅっ♡ こんにゃの、かてるはずが……おぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 タマモキャットの口から意味のある言葉が出ることが無くなった。段々と激しくなる腰の動きとそれによって与えられる快楽を前に彼女の理性が蒸発したのだ。

 今の彼女は獣だった。それも、自分の意思で獣として振舞おうとしているのではない。

 マスターによって与えられる快楽を前に、ただ剥き出しの本能を引きずり出されて喘がされる。彼の手によって生み出された獣になってしまったのだ。

 

「あひぃぃぃぃっ♡♡♡ にゃぉっ♡ ほぉぉぉぉぉっ♡♡♡ おほぉっ♡ お゛お゛お゛っっ♡♡♡」

 

 キャットの瞳が見開かれる。その瞳の中にはハートマークが浮かび、完全に熱に浮かれた物になっていた。

 奥深くまでねじ込まれたマスターの肉棒に種付けされている事を悦ぶタマモキャット。しかし、彼女が絶頂を迎えても、彼との性交はまだ終わることは無い。

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ!?!?!?」

 

 再び、マスターの腰が動き始める。絶頂を迎え、大量の精液を受け入れたばかりの敏感な膣を激しく刺激されたタマモキャットは、大きな嬌声を上げて体を仰け反らせる。

 しかし、そんな彼女のことなど知った事では無いと言わんばかりにマスターは腰を叩き込む。征服された雌は、ただその腰の動きを受け入れることしか出来なかった。

 

「お、おっ♡ おほぉぉぉぉっ♡ おぐっ♡ おぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 キャットの本気汁とマスターの精液に塗れた肉棒が膣から姿を現す。

 白濁とした汚れを纏った肉棒が、内臓全てを引きずり出さんばかりの快楽を伴って自身の膣から抜けて行く快感にキャットは舌を放り出して喘ぐ。

 そして、ギリギリまで引き抜かれたそれが再び勢い良く自分の中に叩き込まれた瞬間、キャットの頭の中には快感の信号がスパークしてしまうのだ。

 

「ひゃぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ にゃおぉっ♡ にゃぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 勝てるはずが無かった。抵抗すら許されなかった。

 彼の肉棒とセックスによって、自分は彼の女なのだと体に教え込まれるしか無かった。

 かつて自分を屈服させた()()()()()に躾けられるタマモキャットは、胸を満たす幸福感と主への愛情のままに快感の叫びを上げる。

 

「ごひゅ、じんんっっっ♡ ほひゃぁぁぁぁっ♡♡♡ あがぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あっ、はぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 自分を組み敷く主へと腕と脚を絡ませる。全身で彼に抱き着き、寵愛を強請る様に甘えて見せる。

 自分はもう、貴方の物だと、身も心も主に捧げると全身でアピールしたタマモキャットに対し、マスターは満足げに唸った後で腰を突き入れた。

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 深くまで肉棒を突き入れられた状態での二度目の種付け。完全に屈服した雌の体へのマーキングを行うマスターの力強さにタマモキャットの子宮は媚び切っていた。

 子宮口は亀頭に吸いつき、膣肉はもっと精液をと強請らんばかりに蠢いている。口から洩れる声や吐息も甘く蕩けた物で、発情しきった雌に相応しい表情をしていた。

 

「あ♡ あ♡ あ……♡」

 

 じんわりと下腹部から広がる熱……彼を受け入れる内部からでは無く、そこに刻まれた淫紋令呪から広がる熱さを感知したタマモキャットは、目の前の力強い雄への愛情が深まって行くことを感じていた。

 

 この雄は自分より強く、自分を従えるに相応しい存在……自分は、彼の雌であることを意識の底に刻み込む。

 そして、その雄に捧げる躰はより魅力的な物でなくてはならない。淫紋令呪による霊基の改変は、タマモキャットの全身の感度を更に高め、貪り甲斐のある雌の体へと変貌させた。

 

「う、あぁ……っ♡ あ~~っ♡ あぁ~~~っっ♡♡♡」

 

 二度目の再臨、さらなる強化……それを終えたタマモキャットは、今の自分の体が自分の予想を超える感度を誇っている事に気が付いて甘い鳴き声を上げた。

 膣に挿っている主の肉棒が、彼の手が触れる場所が、彼の吐く息が……その全てが、今までよりも敏感に感じられる。そして、その全てが多大な快感を持って自分に襲い掛かって来るのだ。

 

(こんな状態で犯されたりしたら、アタシは……♡♡♡)

 

 一瞬だけ湧き上がる恐怖、それを期待と発情した心が押し流す。

 貪り、味わい、食らい尽くして欲しい……目の前の雄に、自分のこの躰を好きにして欲しい。

 それが、自分を屈服させた雄の特権なのだ。その特権を存分に行使して欲しいと言うタマモキャットの願いは、このすぐ後に叶えられた。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 再動、その瞬間に思考が掻き消される。

 快楽が、充実感が、幸福が……タマモキャットの膣、そして子宮から広がり、彼女の奪い尽くす。

 やがて残った彼女の本能は、ただ目の前の雄への献身を望んでいた。キャットは、膣肉の蠢き一つ一つに意識を集中させて彼の肉棒へと奉仕する。

 

「うあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 響くキャットの叫びと、低い主の唸り声。その声を聴くだけでも、どちらが上位の存在であることかは理解出来た。

 愛液を噴き出し、媚肉と尻を震わせ、脚に反射的に力を込めてしまうタマモキャット。そんな彼女と彼女を貪り食らう主の姿を、マシュは茫然とした表情で見つめていた。

 

「せ、先輩……キャットさん……!!」

 

 あのタマモキャットが、一方的に嬲られている。雌としての全てを蹂躙され、マスターに食らわれている。

 圧し掛かられ、上から子宮を押し潰され、何度も何度も射精され……雌として雄に屈服する姿を見せるタマモキャットの姿を見た時、マシュは何故彼女が自分をこの宴に参加させたのかを理解した。

 

 タマモキャットは、こうなることを予測していたのだ。自分たちが好き勝手にマスターを貪り、性を楽しんでいれば、必ず自分を屈服させた獣の様な状態に彼がなると踏んでいたのだ。

 そして、そうなった時に自分一人ではマスターの相手を仕切れないことも予想していた。だからこそ、彼女はマシュを呼び込み、彼女にもマスターの相手をさせようとしたのだ。

 

 つまり、チームBとは食べる側の存在では無かった。むしろその逆だ。

 獣と化したマスターにその身を差し出す、いわば生贄……彼に喜んで食われることを望む、獲物たちの名称こそが、チームBであったのだ。

 

「あ、あ、あ……♡」

 

 その事に気が付いたマシュの股座から黄金色の液体が飛び出す。美しいアーチを描いて失禁するマシュであったが、その心の中にあるのは恐怖では無かった。

 マシュの内側に生まれている感情……それは純粋混じり気無い期待であった。雄々しく、強く、猛々しい雄にこの身を捧げることへの期待が、彼女の中で疼いているのだ。

 

「あ、へぇ……っ♡♡♡」

 

「あ、はは……次は、私の番、ですよね……♡」

 

 長く交わり続けていたタマモキャットの体を解放したマスターは、次の獲物としてマシュの姿を見止める。その視線を受けたマシュもまた、自分の役割を受け入れて体勢を整えた。

 

「はぁ……♡ はぁ……っ♡」

 

 マシュはベッドの上でうつ伏せになり、脚を大きく開く。

 上からマスターに押し潰される為の姿勢を取ったマシュは、近づいて来る彼の気配に荒い呼吸を続けていた。

 

「っっ……♡♡♡」

 

 がっしりと、肩を掴まれる。

 熱く雄々しい肉棒が、膣の入り口に宛がわれる。

 

 たったそれだけの行動で雌の本能が刺激され、マシュの媚肉が震え始めた。

 後はただ食らわれるだけだと理解したマシュは、今この瞬間に残っている理性が感じている言葉をマスターへと告げる。

 

「さ、先ほどはすいませんでした……♡ 先輩に数々の失礼な行動をしてしまったことを深く反省しています……♡」

 

 自分の肩を掴む手に、自分を見つめる瞳に、力が籠る。

 その力強さを感じながら、マシュは彼に届いているかどうかも分からない叫びを上げていた。

 

「私の様なめ、雌が……雄々しくて立派な先輩をどうこうしようなんて、おこがましい真似をしてしまい、本当に申し訳ありません……♡ こ、これからは、先輩に食べられる雌としての使命をしっかりと果たさせて頂きますっ♡」

 

 亀頭が膣に押し付けられる。その時がすぐ近くに迫っている事を察したマシュは、残された時間を全て使って叫んだ。

 

「お、お詫びにこの雌の体を存分にご堪能下さいっ♡ おまんこもけつまんこも、先輩のおちんぽを気持ち良くするために必死にご奉仕させて頂きますっ♡ どうか、この雌家畜のことを食らい尽くして下さいっっ♡♡♡」

 

 マシュが全ての言葉を口にし終えた瞬間、彼の肉棒が彼女の膣へと挿って来た。

 マスターは一気に、奥深く、子宮の入り口に届く一撃を繰り出し……たったそれだけで、マシュの本能を屈服させてしまった。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 ビクン、ビクンっ……そんな擬音が相応しい程にマシュが体を跳ね上げる。しかし、上から圧し掛かるマスターの体によって、その動きは制されてしまっていた。

 その代わり、その跳ね上げる勢いを利用してマスターは激しいピストンをマシュへと繰り出している。その激しいセックスのせいで、マシュの理性は既に吹き飛んでしまっていた。

 

「ひぎぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡ あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 今まで舌での愛撫を続けられていたマシュの体は、肉棒による快感を待ち続けていた。待ち望んだ快感を与えられるマシュの体は、その快感を必要以上に増幅させて感じている。

 誇張でも錯覚でも無く、マシュはマスターに突き入れられる度に達していた。それも甘イキなどと言う生易しい物では無く、一回一回に本気の絶頂を迎えているのだ。

 

「あはぁぁぁぁっ♡♡♡ あへっ、へあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 愛液が、噴水の様に噴き出す。

 漏らした愛液がマスターの体を汚し、自身のいやらしい臭いをこびり付かせている。

 だが、それ以上にマスターによって自分の体を躾けられる快感を感じているマシュは、真っ白になった頭の中に入り込んで来る快感に全てを委ねて喘ぎ続けていた。

 

「いぐぅぅぅぅっっ♡♡♡ いっでりゅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 手加減も遠慮も無いピストン、それが当然だとマシュは知っていた。

 自分の体は彼に食べられる為にある。自分は、彼にと言う雄に抱かれる為に存在している雌なのだから。

 だから絶頂していようと気を失っていようと関係ない。自分は、ただ彼に極上の快楽を与える為の努力を続けるのだ。

 それが、彼と言う雄を中心に集まった雌たちの存在意義……ハーレムの中で悠然と存在する彼と言う雄に奉仕することこそ、自分たちの悦びなのだ。

 

「ああっ♡♡♡ あぁぁぁぁっ♡♡♡ あぁ~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 今、マシュは最高潮の快感を得て叫んだ。彼の肉棒が長きに渡るピストンの後で精液を放ってくれたのだ。

 もう20にも近い射精を終えていると言うのに、未だに彼の放つ精液の量は多く、そして熱かった。その激しさも只ならぬものであり、マシュは尻を震わせて彼の精を受け止められたことに感謝する。

 

「あ、あ、あ……♡♡♡ あは、あはははははは……♡♡♡」

 

 狂った様に笑うマシュは、自分の体が彼に持ち上げられている事を感じていた。

 やがて、彼の手でタマモキャットの体の上に設置されたマシュは、目の前の同じ境遇の雌と眼と眼で語り合う。

 

「……覚悟は良いな、マシュ? 今晩は眠れると思うなよ……♡」

 

「はい……♡ おまんこもけつまんこもゆるゆるになるまで、先輩に使って頂こうと思います……♡」

 

 仰向けのキャット、うつ伏せのマシュ。性器を重ね合わせ、尻を突き出した体勢の二人に鋭い視線が突き刺さる。

 獲物を見つけた獣が、自分たちを食らおうとしているのだと即座に理解した二人は、その獣に注がれた精液を膣から音を立てて吐き出す。

 

 それはまるで、自分の事を仕留めて欲しいと言わんばかりのアピールであり、彼女たちの堪え切れなかった興奮がもたらした現象の様にも思える。

 じりじりと湧き上がる興奮と期待に理性を投げ打ち、本能のままに盛ることを決めた二人は、自分たちに牙を剥く雄へと全てを差し出し、体を火照らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、意識を取り戻したカルデアのマスターが目にしたのは、互いに重なり合った状態で喘ぎ続けるマシュとタマモキャットの姿だった。

 

 膣と尻穴からおびただしい量の精液を漏らし、びくびくと終わらぬアクメを続ける二人の瞳には、快楽以外の色は残ってはいない。

 ただ、自分の事を見つめる主の姿を見た瞬間、二人は同時に絶頂し……そのまま、体を彼に差し出すようにして微笑んだのであった。

 

 




 野生の獣・チームB  チームコンセプト『本能のままに愉しむ』&『望まれるがままに食らい尽くされる』

 メンバー
 マシュ・キリエライト(シールダー)
 タマモキャット (バーサーカー)

 露出度の多い、積極的な衣装に身を包んだ野性的なチーム。チームの計画発案者はマシュ。

 魔改造された【デンジャラス・ビースト】と裸エプロンと言う破廉恥にも程がある格好をしているが、二人には羞恥の色は全くない。
 これは、若干の理性の蒸発が見られるが故の現象であり、既に彼女たちが快楽に親しみ切っている証拠でもある。なんにせよ、この状態の二人はただ快楽を貪る為の獣となる模様。

 上記の通り好き勝手に暴れる二人だが、チームの真の目的は狂化状態になったマスターへの全霊の奉仕。
 前回、フランスにて彼に屈服させられたタマモキャットは、自分一人では彼を満足させられないと予想してマシュの提案に乗り、このチームを作り上げた。

 SとM、二つの属性を使い分ける二人ではあるが、本質的には二人ともMである為、最終的にはマスターに屈服することを喜びとしている。その他、彼に蹂躙されるだけでも幸福を得ている様だ。

 名物は『種付けプレスによる完全屈服ショー』。しかし、基本的にこの状態のマスターは正気を失っている為、その光景を直接見ることは無い。
 後々、行為を撮影した映像を見ることによって、浅ましい雌たちの屈服の瞬間を楽しむと言う訳である。




タマモキャット 第二再臨完了




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

絶対正義チームC(ネロ アルテラ ジャンヌリリィ)

「ええっと……あの、これは……?」

 

 ある日、マスターは自室に帰ると、明らかに誰かが部屋の中に侵入している形跡を発見した。それだけなら良いのだが、何故か部屋の中が盛大に飾り付けられている。

 どう言う事かわからないでいる彼が茫然としていると、急に部屋の電気が消えて真っ暗になった。翻弄されっぱなしのマスターがしどろもどろしていると……

 

「ふっふっふ……よくぞ来たな、我が愛するマスターよ! 今宵は余が選りすぐった玉宝にも劣らぬ娘たちと存分に楽しむが良い!」

 

 明るく闊達な可愛らしい声が暗闇から聞こえて来たかと思えば、部屋のベッドのある辺りがスポットライトに照らされる。

 マスターは、そこに居る人物の姿を見て目を細めた。

 

「トナカイさん! 今日は楽しみましょうね!」

 

「り、リリィ?」

 

 元気いっぱいに自分に手を振っているのはジャンヌリリィだ。既に全裸でいる彼女は、ぴょこぴょこと跳ねながら笑顔を見せている。

 

「幼く無邪気な聖女、ジャンヌリリィ! ちょっとポンコツな背伸びしたいお年頃の少女! 文句なしに可愛い!」

 

「ちょっと! ポンコツってどう言う意味ですか!?」

 

「さて、次のメンバーの紹介に行くぞーっ!」

 

「こーらーっ! 無視しないでください!」

 

 リリィの声を無視して話を進める声の主に苦笑を浮かべたマスターの目の前でもう一本のスポットライトが照らし出される。

 その光の中で恥ずかしそうに佇む女性は、上目遣いでマスターの事を見つめながら小さく呟いた。

 

「その……頑張らせて、もらう。お前の為に……」

 

「アルテラ!?」

 

 リリィ同様に全裸であるアルテラは、流石にリリィとは違って羞恥心を感じている様だ。

 手で胸と秘所を隠し、もじもじと体をくねらせている姿は男の劣情を煽っている事に気が付いていないのか、アルテラは顔をほんのりと赤くしたままマスターの事を見つめていた。

 

「不器用で無口だが、性根は優しいアルテラ! 恥ずかしがりやな所も相まって、非常に可愛い!」

 

「可愛いなどと……あまり言うな。恥ずかしい……!」

 

 謎の声に褒められたアルテラは顔から火を出さんばかりの勢いで恥ずかしがっている。

 そんな彼女の姿を見たマスターは、その声の主の言っていることは正しいと心の中で大きな声で賛同していた。

 

「そして~……この可愛らしい少女たちにも負けぬ絶世の美少女! そしてこのチームを束ねるリーダーは……もちろん、余だよっ♡」

 

 リリィとアルテラの間、ちょうど人が一人入るスペースを照らし出したスポットライトの中では、金髪の少女が堂々と胸を張って立っていた。

 子供の様に幼く、されど成熟した大人の女の部分も持ち合わせたその魅力的な体をマスターへと見せつける彼女は、ふんすと鼻を鳴らした後で改めて自己紹介をする。

 

「ローマ皇帝、ネロ・クラウディウス! 薔薇の皇帝にして芸術の象徴たる余が可愛くない訳が無い!」

 

「ああ、うん、そうだよね。声を聞いた瞬間から分かってた」

 

「ははははは! 流石は余のマスター! 余の愛らしさを十分に理解している様だな! 結構、結構!」

 

 腰に手を当て、上機嫌に笑うネロ。その笑い声に合わせて彼女の豊かな乳房がぷるぷると揺れる。

 遠慮はいらん、さあ見ろ! と言わんばかりに堂々と裸体を見せつけるネロから視線を離せなくなったマスターは、彼女たちが自分に熱を帯びた視線を向けていることに気が付いて背筋を硬直させた。

 

「さて、マスター……もう分かっているだろうが、余たちもマシュたちを見習ってチームを作ることにしたぞ!」

 

「ネロさんにお誘いされて、私たちも参加することにしました!」

 

「私とリリィだけではお前の手を煩わせてしまう可能性がある……こう言う事に詳しいネロを頭に据えれば、私たちも動き易くなるだろうからな」

 

「な、なるほど……! それで、チーム名とコンセプトは?」

 

「よくぞ聞いてくれた! では、早速発表しよう!」

 

 再びネロが大きく胸を張り、その大きな乳房を揺らす。

 今度は彼女に眼を奪われることの無かったマスターは、ネロによる新チームの紹介をしっかりと聞いてあげることが出来た。

 

「我らは王道を行く者にして絶対正義の象徴! 不変の価値、万物に愛される少女たち! 余たちはチームC! 『可愛い(cute)は正義』がコンセプトのチームCだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、うぅっ……!」

 

「ふふふ……♡ どうだ、マスター? 余の胸は気持ち良かろう……♡」

 

 自らの大きな乳房でマスターの肉棒を抱くネロは、彼にその感触をじっくりと堪能させる様にして奉仕を続ける。

 チームの中で唯一の巨乳であるネロのパイズリは、彼女の豊富なテクニックも合わさって天上の快楽の様にも思える程だ。

 

「はむ♡ んっ……♡ ぺろっ……♡」

 

 涎をたっぷりと胸の谷間に垂らして滑りを良くする。

 ぬちゃ、ぬちゃといやらしい音を響かせながら胸を上下に動かすネロは、マスターの表情が快楽を得ている事に満足げに笑った。

 

「……こんなのはどうだ?」

 

「ううっ!?」

 

 彼に更なる快感を与えるべく、ネロは左右の胸を交互に上下に揺すった。

 同時に揺らすのではなく、上と下に別々のタイミングで胸を揺らし、彼の肉棒を激しくこする様に動かす。

 柔らかい胸が与える甘い快感に、マスターは表情を快楽に蕩けさせた。

 

「……マスター、私も良いだろうか?」

 

「あ、アルテラ……?」

 

「唇を、重ねたい……前にシた時、とても気持ち良かったから……♡」

 

 ネロのパイズリ奉仕を受けるマスターの横に膝を付いたアルテラは、彼の顔にそっと触れると唇を重ね合わせた。

 拙く、未熟な動きで彼の舌に己の舌を絡ませ、唾液を循環させながら大人のキスを続ける。淫らで濃厚な口付けの音を響かせ、アルテラは懸命にマスターを貪っていた。

 

「ぷはぁ……♡ 上手く、いかないな……前の時は、もっと気持ち良かった……」

 

「ははは……! 大丈夫、俺がリードしてあげるよ……!」

 

「あっ……♡」

 

 なかなか上手くキスが出来ないことを気にするアルテラの頬にマスターの手が触れる。

 今度は彼の主導の下で口付けを行ったアルテラは、先ほどとは違う快感の強さに瞳を潤ませて喘いだ。

 

「くぅっ♡ んっ♡ んんっ……♡」

 

 マスターの舌が生き物の様にうねり、自分の舌を絡め捕る。

 そのまま根元から舌を刺激され口の中を舐められたアルテラは、びくびくと体を震わせた。

 

 甘い、何よりも甘い快感。

 幸せを伴って自分を包む快感に身を任せるアルテラは、一秒でも長くマスターとのキスを楽しもうと必死になっていた。

 

 そんな中、マスターに構って貰えていないリリィが口を膨らませると、そっと彼の膝に腰を下ろして体を寄り添わせて来た。

 

「トナカイさん、私も気持ち良くしてくださいよぉ♡」

 

「ふむっ!?」

 

 マスターの脚に自分の秘所を擦り付け、更にその状態で彼の乳首を舐めるリリィ。

 太腿に触れる未発達ながらも柔らかな彼女の性器の感触と、乳首を舐められるこそばゆい感覚にマスターがビクリと体を震わせる。

 

「あはっ♡ 気持ち良いんですね……? 私もトナカイさんに触れられて気持ち良いですよ♡」

 

 空いているマスターの手を取ったリリィは、その手を自分の尻にあてがった。

 ふにゅり、ふにゅりとその手に力を込めさせて自身の尻を揉ませながら、リリィは自慰行為と舌での愛撫を続ける。

 

「ほれ、マスター……♡ 余の胸の中で達してしまうが良い♡」

 

「まひゅたぁ……♡ んちゅっ♡ はぁぁ……っ♡」

 

「んっ……♡ トナカイさんの脚、私のえっちなお汁でびしょびしょです……♡ 乳首もコリコリしてて、可愛い……♡」

 

 三人の美少女たちの甘い蕩けた声。三者三様の声に耳を蕩けさせるマスターは、その甘い声に心を沈ませていく。

 ネロのパイズリ、アルテラとのキス、ジャンヌリリィの全身の柔らかさを存分に堪能した彼は、ネロの胸の中に思い切り己が精を解き放った。

 

「はぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ いつ見ても凄い勢いよな……♡」

 

 自分の胸の中で凄まじい射精を披露したマスターの肉棒をうっとりとした表情で見つめるネロ。

 たっぷりと精液を浴びた乳房をぐにぐにと動かし、肉棒の尿道に残る精液を残さず発射させようと扱き上げる。

 

「ふふふ……♡ なんと熱い性の迸りよ……♡ 余の胸がマスターの精液でいっぱいになっておるではないか……♡ 無論、これは堪能させて貰わねばな……♡」

 

 熱い視線を自分の胸に飛び散る精液に向けたネロは、未だびくびくと胸の谷間で震える亀頭に吸いついてそこから飛び出ている精液に吸いつく。

 まるで赤ん坊が母乳を飲むかの様に肉棒に吸いつく彼女の姿を見たアルテラとリリィは、各々の行動を取りやめて彼女の傍に寄った。

 

「狡いですよネロさん、私たちにも分けて下さいっ♡」

 

「マスターの精液……♡ 体が、欲している……っ♡」

 

「ひゃぁぁぁっ!? お、お前たち、それはこそばゆいぞっ!?」

 

 ネロの胸に飛び散った精液を舐め取るアルテラとリリィは、ネロの乳房に舌を這わるとじゅるじゅると音を立てて精液を吸い取る。

 己の胸を舐められる快感に嬌声を上げながらも、ネロもまたマスターの肉棒に吸いついて精液を口の中に取り込み続けていた。

 

「はぁん……♡ んじゅっ、じゅるる……♡」

 

「ふっ♡ ふぅぅっ♡ はふぅ……っ♡」

 

「れろっ♡ はぁむ……っ♡ ちゅっ、ちゅぅぅっ♡」

 

 己の肉棒と精液を夢中で舐める三人の美少女。その光景を前にして興奮しない男など存在しないだろう。

 マスターもまた目の前の光景とネロたちに熱い視線を送り、その興奮を滾らせている。

 その事に気が付いた三人は、綺麗に飛び散った精液を舐め取ると三人そろって大きく口を開けて見せた。

 

「はぁぁぁぁん……♡」

 

「っっ!?!?!?」

 

 ドロドロとした白濁液を口の中に溜め、快楽に染まり切った表情を見せる三人。

 ぐちょぐちょと音を立てて口内の精液を咀嚼し、涎と混じり合った精液をマスターへと見せつけて彼の興奮を煽る。

 

「おいひぃ……♡ とっても、おいひいれす……♡」

 

「これが、マスターの味……♡ もっと、味わいたい……♡」

 

「ふふふ……♡ 余たちをここまで虜にして、マスターはどうするつもりなのだ?」

 

 ネロの胸から解放されたマスターの肉棒に三人が吸いつく。

 ネロが亀頭に、アルテラとリリィが竿の両側に舌を這わせ、何度も舐め続ける。

 

 ネロの手に己の両手を掴まれ、それを彼女たちの頭に載せられる。そうすれば、まるで自分が彼女たちの主人になった様に思えた。

 年齢、人種、性格の違う三人の美少女を侍らかす貴族……一応、自分は彼女たちの主人(マスター)ではあるのだが、そう言った意味合いとは違う支配感が己の背中をゾクゾクと震わせた。

 

「……もう良い頃合いだろう? マスターもそろそろ我慢が利かなくなってきているのではないか?」

 

 やがて、綺麗になった肉棒を見たネロがそう口にすれば、それが合図だったかの様に彼女たち三人がそっと体をベッドの上に横たえた。

 自分で自分の秘所を開き、綺麗なサーモンピンクの膣をマスターへと見せつける。すでにぐっしょりと濡れたそこからは、芳醇な雌の臭いが発せられていた。

 

「トナカイさん、きつきつのロリまんこはいかがですか? 私のおまんこ、トナカイさんのおちんぽでじっくり広げて欲しいです♡」

 

「はぁ……♡ 来てくれ、マスター……♡ お前になら、全てを差し出しても構わないから……♡」

 

「マスター、誰から抱くつもりだ? 無理強いはしないが、余のまんこが一番気持ち良いことは分かっているだろうな♡」

 

 三者三様の誘い文句を口にしながらマスターに熱い視線を送るネロたちは、愛液を膣から垂れ流しながら舌なめずりをしている。

 三人は腰をくねらせ、脚をぱっくりと広げ……股の付け根についている美しい秘所を見せつけてマスターに抱かれる時を待っていた。

 

「さあ、誰にする? マスターの心のままにするが良い!」

 

「そ、それじゃあ……早速頂こうかな」

 

 戸惑いの色を見せたマスターであったが、すぐに目の前の魅力的な光景に肉棒を滾らせるとそれをネロの秘所に宛がう。

 選ばれたネロが破顔し、笑みを浮かべた次の瞬間、彼女の膣にはマスターの分身が潜り込んで来ていた。

 

「はうぅぅぅぅっ♡♡♡ やはり、余が一番最初だなっ♡ お主の目は確かであるぞっ♡」

 

 じっくりと膣壁をこねくり回しながら挿入される太い陰茎の感覚にネロは甘い息を漏らす。

 そのまま最奥へ、彼女の女性としての象徴の部分へと到達した肉棒は、そこが定位置であるかの様に堂々と腰を下ろした。

 

「は、あぁ……っ♡ 良いぞ、マスター♡ 余の膣を深く支配しようと肉棒が意気込んでいるのがわかる……♡ 余もマスターに滅茶苦茶にして貰える時を今か今かと待ち侘びておるぞっ♡」

 

 左右に、上下に、そして円を描く様に尻を振ってマスターの肉棒を受け入れられた悦びを示すネロ。小さな、されど女性の魅力が詰まった臀部が可愛らしく揺れ、マスターの興奮を更に煽る。

 ネロのその動きに肉棒を刺激されたマスターもまた同じ様に腰を振ってネロに快感を伝える。小さく痙攣したネロの膣が十分に快感を得ていることにニンマリと笑った彼は、左右の少女たちへと手を伸ばした。

 

「アルテラ、リリィ、片手間で悪いけど、これで少しの間我慢しててね……」

 

「はぁうっ♡」

 

「ひゃんっ♡」

 

 右手をアルテラの膣へ、左手をジャンヌリリィの尻穴へ、それぞれ伸ばしたマスターは準備運動とばかりに指を彼女たちの内部で自在に操る。

 その途端、淫らな水音と嬌声が部屋の中に響き、彼女たちがマスターの愛撫を受け入れる体制が整ったことを証明した。

 

「それじゃ、動くよっ!!!」

 

「「「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」」」

 

 短い合図の後で腰と手を動かし始めたマスターは、三人の少女たちにそれぞれ平等に快感を与えていた。

 腰をネロの尻に打ち付け、指をアルテラの膣とリリィの腸内でばたつかせ……それぞれに身悶えする程の快感を与えながら、なおもその興奮のままに動き続ける。

 

「あ、ひっ♡ 指が、私の中で……っ♡ ああっ♡ そこは、ダメ……んひぃぃっ♡」

 

 自分の膣の弱い部分を探られる様に指を動かされたアルテラは、見つけ出されてしまった弱点をマスターに擦り上げられて堪らない声を上げて仰け反った。

 白く濁った愛液が勢い良く噴き出し、マスターの右手を手首まで濡らす。びくびくと痙攣を続ける彼女の膣を更に開発すべく、マスターは指を動かし続ける。

 

「おひりぃっ♡ しょこっ、らめぇぇっ♡ あぁっ♡ もれ、ちゃうぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 二本の指に肛門を弄られるジャンヌリリィは、排泄感を伴う快感に脱力してしまった。同時に失禁した彼女は、尿と愛液のW潮噴きを披露する。

 幼い彼女の可愛らしいお漏らし、されど淫らな潮噴きも同時に行ってしまったリリィの尻をマスターが軽く叩けば、彼女のお尻はそのお仕置きを喜ぶ様にぷりんと震えた。

 

 指での愛撫で十分に二人を高めたマスターは、いきなりその手を離すとネロの腰に添えた。

 そして、左手に刻まれた淫紋令呪を光らせながら二人へと命令を下す。

 

「淫紋令呪を以って命ずる、アルテラ、ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ……ネロの感覚を共有せよ!」

 

「「ひあぁぁぁぁっっっ♡♡♡」」

 

 淫紋令呪が光り、アルテラとリリィの霊基にマスターの命令が刻み込まれる。その瞬間から、彼女たちはマスターの肉棒に責め上げられるネロの快感を共に感じ始めた。

 太く、大きく、逞しいマスターの肉棒が膣の中で暴れ回る快感を感じながら、二人はネロの嬌声を耳にしながらその身を震わせる。

 

「あぁっ♡ そこは、余の弱い所……っ♡ そこもっ♡ しょこもらっ♡ はひっ♡ ほひぃぃっ♡ あ、あっ♡ よのよわいとこ、ぜんぶみつけられてぇ……っ♡」

 

 Gスポット、ボルチオ、子宮口、腸側の膣壁……一つ一つの弱点を亀頭で突かれる度、ネロは大きな喘ぎ声を漏らして体を揺らした。

 大きな胸と媚肉を震わせて喘ぐ彼女の快感をアルテラとリリィも共有している。二人もまた、その快感を前にしてただ喘ぎ続けることしか出来ていない。

 

「お、おちんぽっ♡ 挿ってないのに、こんなぁっ♡」

 

「はぁぁぁぁっ♡ 気持ち良いっ♡ もっと、深く……っ♡」

 

「お、お前たちっ♡ おまんこされる余の身にもなれっ♡ 今でも十分感じているのに、これ以上されたら……あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 喘ぎながら二人に向かって叫ぶネロの声色が途中から快感の色に染まった。彼女の体に覆い被さったマスターが、逸物を膣の奥深くまで叩き込んだからだ。

 その一撃を前にネロは快感の限界を越え、全身を硬直して喘ぐしかない。だが、マスターの責めがそれで終わる筈も無かった。

 

「おぉぉっ♡ むねぇ♡ ちくびっ♡ いっしょにいじったら……らめぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 マスターの手がネロのたわわな胸を掴み、乳首を指で挟みこむ。

 そのままそこを揉まれ、同時に抓られれば、膣で感じる快感と共にネロの理性を弾け飛ばすほどの甘い痺れが全身へと伝わって行った。

 

「むねがぁっ♡ きもちよすぎるぅっ♡ は、おぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「おまんこも、ぱんぱんにじゅうけつしてぇ……っ♡ こんにゃの、たえきれません……っ♡」

 

「ああっ♡ ましゅたぁっ♡ ふかふかまんこ、そんなにこしゅらないれくれぇっ♡ きもちよすぎてくるうっ♡ くるってしまうぅぅぅっ♡♡♡」

 

 擦り上げられ、充血して膨らんでしまったネロの膣内を肉棒で責め上げる。遠慮も手加減もしない、ただ腰を突き出し、彼女たちと快感を分かち合い続ける。

 ネロの膣を責める為に腰を突き出せば、彼女の両隣に居るアルテラとリリィの膣からは愛液の雨が水鉄砲の様に飛び出た。

 部屋の床を本気汁で汚す二人は、瞳を潤ませた状態で快感に酔いしれている。

 

「だめぇ、らめぇ……っ♡ よのまんこ、こわれりゅうぅ……っ♡ ましゅたぁちんぽにこわされて、やみつきにされてひまうぅっ……♡」

 

「そう? なら……フィニッシュは、こっちにしてあげるねっ!」

 

「「「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」」」

 

 ネロのうわ言を聞いたマスターは、彼女の膣から肉棒を引き抜くと一息にアナルへと挿入穴を変えた。

 いきなり尻穴を抉られる快感を身に受けた三人は野太い喘ぎ声で合唱し、同じ様に体を仰け反らせる。

 

「ほひっ♡♡♡ ほひぃぃぃぃっ♡♡♡ けちゅまんこぉっ♡♡♡ こっちもきもちいぃっ♡♡♡」

 

「しりがぁっ♡♡♡ もえりゅうぅっ♡♡♡ ぜんしんが、せいきになったみたいだぁ……っ♡♡♡」

 

「イクっ♡♡♡ イクイクイクぅっ♡♡♡ おしりでイっちゃいますぅっ♡♡♡」

 

 ネロ、アルテラ、リリィ……三人の喘ぎ声から彼女たちの限界が近い事を悟ったマスターは、最後のトドメを彼女たちに繰り出した。

 ぎりぎり限界まで肉棒を引き抜き、体重を込めて腸の奥深くまで穿る。その時、腰を軽く旋回させてドリルの様にネロの尻穴を掘削することも忘れない。

 ぐりゅりっ♡ と音がする様な一突きを受けたネロは、脚をぴーんと伸ばして硬直すると……可愛い顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにして叫んだ。

 

「「「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡♡♡」」」

 

 ネロの絶頂を感じ取ったアルテラとリリィは、彼女と同様の叫びを上げた。仲良く三人でケツアクメ合唱をするネロたちの姿を見ながら、マスターも勢い良くネロの腸内に射精する。

 尻の中で熱い物が爆発したことを三人が感じ取った次の瞬間、彼女たちは先ほどよりも大きく激しい絶頂を迎えて更に大声で叫んでいた。

 

「「「おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡ ほぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」」」

 

 尻が、腸が、腹の中が、熱く激しい激流で満たされてしまう。

 尻穴から伝わる強すぎる快感に全身を支配された三人はその快感に屈すると……虚脱感に苛まれ、恥ずべき姿を三人揃って晒してしまった。

 

「あ、あへぇ……♡」

 

「んひぃ……っ♡」

 

「ほ、おぉ……♡」

 

―――しょろろろろろろろろ……♡♡♡

 

 三つ並んだお尻から、三本のアーチを描いて黄金水が放たれる。

 快感と脱力感による失禁を仲良く晒す三人は、自分たちの足元にアンモニア臭のする水たまりが出来ていることを知覚する余裕も無かった。

 

 だが、マスターはそんなお漏らし三人娘の恥ずべき姿をたっぷりと堪能した後でネロの尻に手を伸ばした。そして、その尻に向けて思い切り張り手を繰り出す。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

「……三人とも、いけない娘だなぁ……! 人の部屋で沢山お漏らしするなんて、どう言う神経してるの?」

 

「あ、あ、あ……♡ すまない、ます……たぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「……お仕置きだよ。お尻を出してしっかり受け止めてね? 大丈夫、跡は残らない様にするからさ……!」

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 二発、三発……次々とネロの尻をスパンキングするマスターは、絶妙な力加減で彼女たちに痛みを伴う快感の素晴らしさを教え込んで行く。

 その被虐的な快感に虜になってしまうことを恐れたネロが尻を揺すってスパンキングを躱そうとするも、マスターはその行動すらも読み切って彼女に張り手を食らわせていた。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ だ、だめになるぅ……♡♡♡ おしりぶたれるの、すきになってしまうぅ……っ♡♡♡」

 

 尻を叩かれ、屈辱と共に快感を得るネロは段々とその快感の度合いが強まっていることを肌で感じていた。

 抵抗も徐々に弱まり、彼の手を尻で受け止めるようになる。いや、むしろ彼にスパンキングされやすい姿勢を自ら取っている様にも思えた。

 

「んひっ♡♡♡ ひぃぃっ♡♡♡ もっと、もっとぉっ♡♡♡」

 

 痛みの中にある快感、お仕置きと言う名のプレイ……マゾヒズムに火を付けられ、その甘美な味の虜になったネロは尻を突き出してマスターのスパンキングを待った。

 そして、その思いはアルテラとリリィも同じ……まだ性に対して無垢な彼女たちは、ネロの感覚を通して与えられたこの歪んだ性癖に染まり切ってしまったのだ。

 

「……大丈夫だよ、三人ともすっごく可愛い……! ずっと大事にしてあげるからね……!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ……♡♡♡」

 

 ジンジンと痺れる尻を優しく撫でられた三人は蕩けた甘い声を口から漏らした。そして、疲れ切った体のまま尻をマスターへと突き出す。

 尿のアンモニア臭と若い愛液の甘く芳醇な臭い、そしてひくつくアナルから漏れる何とも言えない臭いを嗅いだマスターは三人の尻へと優しく口付けをすると、その全てを抱きしめたのであった。

 

 

 




 正義の軍団 チームC チームコンセプト 『我らは王道を往く!』


 チームメンバー

 ネロ・クラウディウス(セイバー)
 アルテラ(セイバー)
 ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ(ランサー)


 可愛いは正義! を合言葉に設立されたチーム。発案者、及びチームリーダーはネロ。
 性に関しては知識がある彼女を中心にまだ性知識が少ないアルテラとジャンヌリリィと言う違った可愛さを持つ少女たちが集まったチームである。

 王道を往く、と言うチームコンセプトの通り、基本的にはイチャラブなプレイが大好物。これは上記の通りアルテラとリリィの性知識が少ないため、特殊なプレイに対応出来ないことが大きな要因。
 しかし、逆を言えば無垢な少女たちに性の悦びを教え込むと言う魅力的なプレイが可能と言う事でもある。

 コスプレやイメージプレイなどにも適応力の高いネロが乗ることが出来る為、プレイの範疇が通常であればアルテラとリリィも対応可能。
 オーソドックスにセックスを楽しめるチームではあるが、三人とも体力が少なめなのが問題点である。

 名物は『口内射精後の咀嚼披露』。飛び散った精液も一生懸命に舐め取り、口の中でしっかりと味わった後で飲み込む。
 見目麗しい少女たちが自分の精液を仲良く分け合い、美味しそうに飲み込む姿は興奮必至。是非とも堪能したい光景の一つだ。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

忠犬奉公チームD(牛若丸 モードレッド)

チーム乱立はこれで一度お終いです。多分次のエロは堕ち物になると思います。

投稿までは少々お待ちを……



『主殿へ 今晩9時、大型プレイルームBにてお待ちしております 牛若丸より』

 

 そんな手紙に呼び出され、約束通りの時間に待ち合わせ場所に向かったマスター。

 彼はそこで待ち受けていた二人の女性に笑顔で歓迎される。

 

「お待ちしておりました、主殿」

 

「今日はよろしくな!」

 

 牛若丸とモードレッド、どちらも楽し気な笑みを浮かべる彼女たちは、既に全裸になっていた。

 すらりとした四肢と美しく均整の取れた体。胸の大きさこそは無いものの、それをもって余りある魅力の身体つきをした二人の全裸を前にマスターも気分が高まって行く。

 

「さて、それでは準備を始めましょうか……」

 

「お、おう……! な、なぁ、ま、マジでやんのか……?」

 

「当然では無いですか! それこそが我らの特色なのですから!」

  

 少しだけ恥ずかしそうな表情を見せるモードレッドと何処か自慢げな牛若丸。

 両者真反対の反応を見せる少女たちであったが、そんな彼女たちを見つめるマスターの前に幾つかの道具が差し出された。

 

「これは……?」

 

 マスターは自分に差し出された道具を見る。それは、コスプレグッズと大人の玩具が合体した様なものであった。

 

 犬耳の付いたカチューシャ、それぞれ星とハートの飾りが付けられているリード付きの首輪、そしてアナルビーズと根元に幾つかのボタンが取り付けられている犬尻尾。

 二組セットで、かつそれぞれが牛若丸とモードレッドの髪の毛の色と全く同じそれを見れば、彼女たちが何をして欲しいのかは丸分かりである。

 

「……お手数をおかけします、主殿。申し訳ないのですが、それを使って我々を飾って下さいませぬか?」

 

「飾るって言うのは、その……?」

 

「はい、主殿の思った通りで間違いないかと……♡」

 

 そう蕩けた口調で告げた牛若丸は、地面にしゃがみ込む様にして腰を下ろす。一拍空け、モードレッドもそれに倣った。

 

「……じゃあ、お望みのままに……」

 

「はい……♡」

 

 マスターは渡された道具を次々と二人に取り付けていく。

 まずはカチューシャを取り付け、彼女たちの頭を撫でる。ふわふわとした髪の毛の感触に、マスターは眼を細めて笑った。

 

 次に首輪を取り付ける。二人の細い首に首輪を巻き付けた時、マスターの胸の内には何とも言えない征服感が沸き上がった。

 

「……二人とも、お尻を上げて」

 

「はい……♡」

 

「お、おう……♡」

 

 マスターの指示通りに二人は四つん這いになると尻を高く持ち上げた。

 形の整った二つの美尻がマスターの前に突き出され、それを撫でるマスターの手に柔らかな質感をもたらす。

 まずは牛若丸の尻を掴んだマスターは、その中心にある窄まりにビーズの先端を当てると、ゆっくりと時間をかけてそれらを飲み込ませていった。

 

「んっ♡ んひっ♡ あ、あっ……♡」

 

「これで……全部だ」

 

「んんっ♡」

 

 牛若丸のアナルに尻尾付きの玩具を挿入し終えたマスターは、すぐさま同じ行程をモードレッドにも行った。

 張りのあるモードレッドのアナルを開き、そこにビーズを潜り込ませれば、気の強いモードレッドがビクビクと尻を震わせて呻き声を上げる。

 

「んいっ♡ おぐぅっ♡ お、お、お……っ♡」

 

「ふふふ……! モードレッド、凄く可愛い……!」

 

「はぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 切ない喘ぎ声を上げるモードレッドの姿を見たマスターは、彼女に対しての嗜虐心を抑えきれずに彼女の尻穴に対する悪戯を開始した。

 挿入したアナルビーズを引き抜き、再び挿入する。ぽこぽこと音を立ててアヌスを出入りするビーズの感触に背筋を震わせるモードレッドは、舌を放り出して喘いでいた。

 

「ば、ばかぁっ♡ そんなにケツ、いじめんなぁっ♡ んあぁぁぁっ♡♡♡」

 

 ビーズを潜り込ませ、引き抜く。尻穴を蕩けさせる様に弄り続ける。

 玩具による愛撫を受け続けたモードレッドのアナルはぷっくりと膨れ、尻肉もまた媚びる様に震えてピンク色に染まっていた。

 愛液で股を濡らすモードレッドは、四つん這いの姿勢のままマスターの成すが儘にされている。そんな中、彼女を弄び楽しむマスターへと牛若丸が声をかけた。

 

「主殿、そのままお聞きください……もうお分かりとは思いますが、我らはチームを組ませて頂きました。名称はD、(dog)のDでございます」

 

 四つん這いの姿勢のまま、牛若丸はマスターの前にやって来た。そして、同じく犬の格好になったモードレッドの横に並び、犬の『ちんちん』のポーズを取る。マスターの手から離れたモードレッドも膝をガクガクと震わせながら同様の姿勢を取った。

 二人……いや、二匹の犬は頬を染め、尻から生やした尻尾を揺らしながら秘所と乳房を曝け出し続ける。淫らな犬として振舞う二人は、荒く熱を帯びた息を口から吐きながら挨拶をした。

 

「我らチームDのモットーは、主殿への誠心誠意のご奉仕……この身に受けた恩をお返しする為、しっかりと奉公させて頂きます!」

 

「お、オレは、そんなキャラじゃねえっつーの……どちらかと言えば、裏切るタイプの狂犬だろうが……!」

 

「ふふふ……そう言うことを言う不忠の狗は、しっかりと躾けてあげて下さい……♡ 先ほどの様に尻尾を可愛がってやれば、きっとあんあん鳴きながら悦んでくれますとも!」

 

「て、てめぇっ!? そう言うこと言うとこいつは……んんん~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 牛若丸にそう促されたマスターは、遠慮なくモードレッドの尻から生えている尻尾を掴んでそれを引き抜く。もう一度、それを挿入しては引き抜くと言う行為を繰り返せば、牛若丸の言う通りモードレッドの口からは甘い声が漏れた。

 

「んひぃっ♡ ひぃぃっ♡ ほぉぉぉっっ♡ やめろぉっ♡ もうわかったからっ♡ ちゃんということきくからっ♡ もうけつまんこいじるのやめろぉっ♡」

 

「ん……これで躾は完了、かな?」

 

「んひぃ……っ♡♡♡」

 

 たっぷりとモードレッドを苛め、躾を完了させたマスターは最後にモードレッドの尻穴深くまでアナルビーズを挿入してそう呟く。牛若丸も素直になったモードレッドの首筋をそっと舌で舐めて気付けをしていた。

 

「モードレッド殿の躾も終わりましたし……そろそろ行きましょうか?」

 

「え? 行くってどこに?」

 

「あっ♡ あぁぁっ♡」

 

 ひくひくと痙攣するモードレッドの尻を撫でながら会話をする二人。

 牛若丸は意味深に笑った後、四つん這いになって自分の相方の首にに繋がるリードを差し出すとにっこりと笑って言った。

 

「決まってるではないですか……()()()()、ですよ♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数十分後、マスター一行は暗い夜の町を歩いていた。と言っても、二本の脚で立って歩いているのは彼だけだ。

 残りの二人の内、牛若丸は彼にリードを握られた状態で四つん這いになっている。全裸の、尻からアナルビーズを生やした淫らな格好のまま、犬として夜の町を闊歩しているのだ。

 

「は、はは……♡ 作り物とは言え、凄い事をしている気がしますね……♡」

 

「俺もそう思うよ。にしても、カルデアの技術をこんなことに使って良いの?」

 

「何を言いますか! 主殿へのご奉仕以上に重要なことなど、今のカルデアにはありません! 立体映像技術を使う事くらい大したことでは無いでしょう」

 

 首だけを振り返らせ、前足と後ろ足を動かして先に進みながら牛若丸が答える。彼女の言う通り、この町は本物の町では無かった。

 適当なサンプルを用い、ダヴィンチちゃんが作り上げた立体映像。それがこの町の正体だ。しかし、町にある塀や電信柱、そして家までもが質量を持っており、しっかりと触れることが出来る。

 

 見た目も本物としか思えないリアリティを持つ街並みにやや恐縮するマスターは、全裸の少女をリードで繋いで散歩していると言う状況に少し気後れした。しかし、同時にこの非現実的な状況を楽しんでいることを自覚する。

 すぐ近くに、小さく可愛い尻を振りながら四つん這いで歩く牛若丸が居る。しかも、アナルに玩具を挿入した状態でだ。

 犬尻尾につけられた機能を使い、ビーズは振動させた状態にしてある。尻穴を常に刺激される牛若丸は、時折その快感に尻をぷりっと振ったり、びくりと跳ね上げたりしていた。

 

「んっ……♡ これは、興奮する物がありますね……♡」

 

 尻穴に感じる刺激のせいか、それとも主に自由を握られている状況のせいか、牛若丸は興奮を感じて頬を染めていた。股座からも愛液がしとどに漏れ、彼女の脚を伝って地面に点々と染みを作り出している。

 マスターがその光景に唾を飲み込み、肉棒を硬く律動させると、彼の耳にもう一匹の雌犬の嬌声が響いた。

 

「んあぁっ♡ は~っ♡ は~っ♡ ちんぽ、硬くしすぎだろ……♡ マジで、こんな散歩、ありえねえよ……っ♡」

 

「ふふっ♡ そう言いながらモードレッド殿も気持ちがいいのでしょう? 尻がぶるぶると震えているのが丸分かりですよ?」

 

「っっ……♡♡♡」

 

 マスターに抱きかかえられ、更に膣に肉棒を挿入された状態のモードレッドは牛若丸の言葉に顔を赤らめる。どうやら、彼女の言葉は図星だった様だ。

 牛若丸同様に尻穴を振動するアナルビーズに責められ、更に膣に硬く巨大な肉棒を挿入された状態でマスターを抱きしめるモードレッドは、表情をだらしなく蕩けさせて喘いでいる。

 一歩、また一歩とマスターが足を進める度、挿入された肉棒が膣を責める。その快感に身をよじるモードレッドであったが、同時に尻尾を弄られて更に大きな嬌声をあげてしまった。

 

「はぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あはぁぁぁっ♡♡♡ もっ♡ ばかやろぉっ♡ こんなことして、たのしいのかよぉっ……♡♡♡」

 

「うん、楽しいよ。モードレッドの体の温かさとか、柔らかさとかを感じられるし……なにより、気持ち良さそうな顔を間近で見れるのが楽しいかな」

 

「くぅ~~~っ……♡ なんだよぉ……お前、馬鹿じゃねえの……っ♡ そんなので喜ぶなんて、どうかしてるぜ……♡」

 

 背中と尻に腕を回され抱きしめられるモードレッドは、マスターが自分の体に夢中になってくれていることにドキドキと胸を高鳴らせていた。自分の様な女らしくない人間に彼が興奮してくれていると知れば、案外チョロい彼女はついその気になってしまう。

 

「な、なら……好きにしろよ♡ オレたちは、その為にいるんだしなっ♡」

 

「ありがとう、モードレッド。それじゃ……」

 

「んっ……♡ んむぅ……っ♡」

 

 しっかりと抱きしめられた状態で彼と唇を重ねる。膣と口の両方で彼と繋がりながら、モードレッドはじゅくじゅくと快感に身を溶かしていった。

 舌を、膣肉を彼に絡ませる。尻穴もビーズで弄って貰い、振動と排泄による動きで責めて貰う。単純に突き入れられている肉棒はがっちりと自分の中に嵌り、子宮までもを支配していた。

 

「はぁ、あぁ……っ♡ うあぁ……っ♡」

 

 快感をマスターに教え込まれるモードレッドは、いつしか彼に甘える様にして体を擦り寄らせていた。

 素直になった自分の事をマスターは優しく撫で、更に気持ち良くしてくれる。その事が嬉しくてしっかりと彼の体に抱き着いたモードレッドは、自分が彼の手で躾けられていることをはっきりと自覚していた。

 

(犬扱いも、悪くねえかも……♡)

 

 ぼんやりと、蕩けた思考でそう考える。

 

 こんなに可愛がって貰えて、大切にして貰えて、気持ち良くして貰えるのなら、犬として彼に奉仕するのも悪くない……それは、モードレッドの本心であった。

 そう考えた瞬間、彼女の膣は素直に彼への奉仕を始めていた。先ほどまでよりもきつく彼の肉棒を締め上げる膣壁は、マスターだけでなくモードレッドにも快感を与えてくれている。

 ぎゅうぎゅうと絡みつく膣の感触に顔を歪めたマスターは、眼前のモードレッドも自分と同じような表情をしている事に気が付いて楽しそうに笑った。

 

「っと……主殿、ここで少し止まって下さい」

 

「ん? どうかしたの、牛若丸?」

 

「ええ、マーキングのお時間です……♡」

 

 急に立ち止まった牛若丸は、近くにある電信柱を指し示してそう答えた。

 てっきり彼女が本物の犬の様に電信柱にマーキングするのかと思ったマスターであったが、牛若丸は彼の後ろに回り込むと四つん這いのまま彼の尻を突っついて彼を電信柱に向かわせようとして来る。

 

「え、な、なに!?」

 

 牛若丸が何を考えているのか分からないマスターは慌てた声を出したが、牛若丸はその行動を止めることはしなかった。

 程なくして電信柱のすぐ傍に辿り着いたマスターに対し、牛若丸はお尻とそこから生える尻尾をふりふりと振りながらまず謝罪する。

 

「強引なことをして申し訳ありません、主殿。しかし、これも必要なことですので……」 

 

「あ、ああ、別に構わないけど……それで、俺は何をすれば良いの?」

 

「簡単です。主殿はマーキングして下されば良いのですよ。ただし、電信柱にではなく、我々にですけどね♡」

 

「……なるほど、そう言う事ね?」

 

「ふぁ……♡」

 

 牛若丸の言葉に合点がいったとばかりに頷いたマスターは、抱きかかえていたモードレッドの背中を電信柱に預けた。

 ひんやりとした石の感触に声を上げたモードレッドは、同時に膣の内部で猛々しく存在を主張する肉棒の感覚に熱い息を口から漏らす。

 

「あ……♡ これ、すげぇの来るやつだ……♡ オレの雌の部分、全部支配する気なんだろ……?」

 

「よくわかってるじゃん……モードレッド、覚悟は良い?」

 

「おう……♡ 来いよ、馬鹿マスター……♡ 沢山気持ち良くしてやるからな……♡」

 

 潤んだ瞳で彼を見つめたモードレッドは、彼の首に手を回した後で優しく微笑んだ。

 そんな彼女に軽いキスをした後、マスターは大きなグラインドで腰を動かす。

 

「うっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ うあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 いきなり子宮を貫いた快感にモードレッドは身震いをしながら叫んだ。

 先ほどまでの動くついでに行われる腰の動きと違い、今度は本気で自分の雌穴を責め上げる肉棒の動きに涎を垂らして喘ぎ続ける。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ いいっ♡ すげぇいいよぉっ♡ こんなのっ♡ むりぃぃっっ♡」

 

「無理? 何が無理なの? 教えてよ、モードレッド……っ!」

 

「た、たえりゃれないっ♡ めすになるぅっ♡ おまえのちんぽで、めすにされちまってるよぉっ♡♡♡」

 

 びくん、びくんと体を痙攣させ、肉棒の一突き毎に体を跳ね上げるモードレッド。

 秘所からは愛液が雨の様に降り注ぎ、電信柱に彼女の淫らな臭いを染みつかせている。

 

 アナルビーズの振動もセックスによる快感を強める一つの要因になっていた。尻穴と膣を同時に責められる彼女は、主に奉仕する悦びに歓喜の雄叫びを上げる。

 

「あえぇぇぇっっ♡♡♡ ひっ、ひもちよしゅぎうぅっ♡♡♡ まんこっ♡ オレのまんこっ♡ おまえ専用になっちまうっ♡ マスターちんぽの鞘になっちゃうっ♡」

 

「それ、良いねぇ! ……なら、ちゃんと形を覚えさせないとなっ!」

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 ごりゅっ♡ と音を立ててモードレッドの膣奥まで突き入れられた肉棒は、宣言通りにその形をしっかりとモードレッドに知覚させていた。

 膣のひだ、うねり、締め付け……その全てが彼の肉棒を受け入れるのに最適な形を学習し始め、モードレッドに記憶させる。やがて彼の肉棒を飲み込むに相応しい場所へと進化したモードレッドの膣は、全霊を以って彼への奉仕を開始した。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ すげぇっ♡ さっきより、もっときもちいいっ♡」

 

「うんっ! 俺も凄く気持ち良いよっ……! きつきつで、俺のことを放したくないって言うみたいにぎゅうぎゅう締め付けて来て……モードレッドみたいに可愛いまんこだね!」

 

「はぁぁっ♡ ほめん、なぁっ♡ もっときもちよくなって、なにもかんがえられなくな……うぅぅぅっ♡」

 

「可愛い……可愛いよモードレッド……! 沢山射精して、俺のモノだってマーキングするからね……っ!」

 

「~~~っっ♡♡♡」

 

 腰のぶつかる激しい音、自分の秘所から響く淫らな水音、そしてマスターの甘い褒め言葉がモードレッドの脳を蕩かし、快感に意識を染め上げさせた。

 奉仕する悦びに覚醒したモードレッドは彼の愛を受け止められる瞬間を今か今かと待ち詫びている。その期待に応えるかの様に腰を強く突き出したマスターは、モードレッドの最奥に亀頭を叩き込むと勢い良く射精した。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ おひっ♡ おひぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 腰をがっちりとホールドされたモードレッドは、自分の女の象徴がマスターの精液で満たされて行くことに喜びの声を漏らす。そして、彼の体を強い力で思い切り抱きしめ返した。

 頭の中で快感が弾け、同時に体が何度も跳ね上げる。自分の体のはずなのに、自分ではコントロールしきれなくなっている。

 

 気持ち良い、幸せだ、こんなの逃げられない……女性としての悦びを教えられた体に、今度は奉仕する悦びを教え込まれてしまった。自分が彼の手で調教されている事を自覚しながらも、モードレッドは非常に満足げだ。

 

「ましゅ、たぁ……♡」

 

 ゆっくりと体を降ろされたモードレッドは、すぐさま目の前にある彼の肉棒に食らいついた。

 精液と愛液で汚れた肉棒を口の中で綺麗にし、丹念に舐め上げる。

 

 モードレッドは、奉仕することの素晴らしさとマスターのへの愛を胸に、一心不乱にお掃除フェラを続けた。

 

「ぷはぁ……っ♡ きれいになっただろ? オレ、頑張ったよな……?」

 

「うん、ありがとう。モードレッドは良い子だね……!」

 

「えへへへへ……♡」

 

 マスターに優しく頭を撫でられたモードレッドは、本当に嬉しそうに笑顔を見せた。

 ソロモンの下では知り得なかった快感と充足感を抱く彼女を暫く撫でたマスターは、犬の待ての姿勢で静止する彼女に言い聞かせる様に命令を下す。

 

「モードレッド、ちょっとの間良い子で待っててね? 次は、牛若丸にマーキングしなきゃいけないからさ。……良い子に出来るよね?」

 

「わんっ♡♡♡」

 

「うん、良いお返事だ!」

 

 自ら犬の鳴き真似をして返事をしたモードレッドの頭をマスターがわしわしと撫でる。

 牛若丸は、自分よりも犬になり切り始めた相方のことを、喜ばしいと言う様な表情で見ていた。

 

「さぁて……牛若丸、おいで」

 

「はい、主殿……♡」

 

 蕩けた表情のモードレッドを見ていた牛若丸を手招きするマスター。彼に呼ばれ、股間から愛液を滴らせながら牛若丸は進む。

 マスターの手で抱き上げられた牛若丸は、すぐに先ほどのモードレッドと同じ格好にさせられた。膣口に亀頭を宛がわれた時、牛若丸の口からは期待の籠った甘い息が漏れる。

 

「んんん~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 十分に準備が出来ていた牛若丸の膣は、マスターの大きな肉棒を難なく咥え込んだ。

 じゅぷぅっ♡ と言ういやらしい音を響かせて肉棒を飲み込んだ牛若丸の膣は、悦びにうねり、震えている。

 

「く、はぁ……っ! 牛若丸の中、凄く熱い……もしかして、ずっと興奮してた?」

 

「は、はい……♡ モードレッド殿が主殿に抱かれている姿を見て、私もそうして欲しいと願っておりました……♡ 願いが叶い、感無量です……♡」

 

「そっか! なら、我慢し続けた忠犬にしっかりご褒美をあげないとねっ!」

 

「わふぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 牛若丸の腰を掴んだマスターは縦横無尽に肉棒を彼女の膣の中で暴れ回らせる。

 腹側のGスポットを擦り、奥のボルチオを責める。腸側のアナルビーズの感触が感じられる壁を擦れば、牛若丸の口からは気持ち良さそうな声が溢れて来た。

 

「ここかな? ここが気持ち良いの?」

 

「わんっ♡ わんわんっ♡」

 

「お尻の穴のビーズも気持ち良いでしょ? そっち側ももっと擦ってあげるねっ!」

 

「わおぉぉぉんっ♡♡♡」

 

 牛若丸もまたマスターに奉仕する一匹の雌犬へとなった。犬の雄叫びを嬌声代わりに上げ、尻尾を振る彼女の姿は犬に他ならないだろう。

 瞳にハートマークを浮かばせ、自分の肉棒にメロメロになっている忠犬の姿を見たマスターは、彼女に対して更なる褒美をくれてやる。

 

「ほらっ! 奥の気持ち良い所を突いてあげるよ! 牛若丸はここが好きだもんね!?」

 

「わぉぉっ♡ おぉっ♡ わんわんっっ♡ わおぉぉぉんっ♡」

 

 幾度も体を重ねたからこそ知る牛若丸の弱点。彼女の膣の奥、尻側の壁……ボルチオより少し手前のそこを突いてやれば、牛若丸は狂った様に鳴き声を上げ始めた。

 

「わぉぉぉんんっ♡ わんっっ♡ わっ、ふぅぅぅっっ♡」

 

「……知ってるよ。牛若丸は後ろからここを突かれるのが好きだもんね? 今日はバックじゃないけど、感じる場所は一緒ってことかな?」

 

「んんん~~~~~~~っっ♡♡♡ わっ♡ わふぅぅっっ♡」

 

 膣奥から溢れる愛液の飛沫、それを肉棒で感じるマスターは目の前の牛若丸の表情をじっくりと見て楽しむ。

 口は半開きになり、瞳はとろんと蕩けている。汗ばんだ頬はしっとりと濡れ、紅潮していた。

 はふっ、はふっ……そんな、犬の呼吸の様な息遣いを耳にしながら、マスターは激しく牛若丸を責め立てる。彼もまた、己が興奮を抑えきることが出来なくなって来ていた。

 

「きゃぃぃぃんんっ♡ きゃんっ♡ くぅぅぅぅんっっ♡」

 

「もっと! もっと可愛い声で鳴いてっ! 牛若丸の可愛い所、俺にもっと見せてっ!」

 

「きゃんっ♡ きゃおぉぉぉんっっ♡ くぅんんっ♡ きゅぅぅぅんっっ♡」

 

 主の望みに応えるかの様に甘えた犬の鳴き声を真似する牛若丸は、もしかしたら意図してそんな声を出している訳ではないのかもしれない。ただ単純に、あまりの快感にそんな声しか出なくなっている可能性もあり得る。

 だが、そんなことはマスターにとっては些細な問題だった。目の前の忠犬は自分の望みを叶えてくれている。その忠義に報いることだけを考えていればよかったのだ。

 

「牛若丸……射精()るっっ!!!」

 

「わ、わ……わおぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんっっ♡♡♡」

 

 牛若丸の一番の弱点に亀頭を擦り付け、そのまま射精する。熱い、マグマの様な精液が牛若丸の膣に吐き出され、彼女の全てを白く塗り潰す。

 体を仰け反らせ、遠吠えの様な絶叫を上げて達した牛若丸は、暫くの間上り詰めた高みから降りて来ることが出来なかった。主によって与えられた快感は、それほどまでに深く大きなものだったのだ。

 

「あ、あ……♡ きゅぅんっ♡ くぅぅん……っ♡」

 

「可愛いよ、牛若丸……! モードレッドにも負けないくらいに可愛い……! 二人……いや、二匹とも、ずっと可愛がってあげるからね……!」

 

「……♡♡♡」

 

 主に褒め立てられ、頬を撫でられる。ただそれだけで、イってしまう。

 幸せと言う名の甘い毒に頭の天辺から爪先まで浸された牛若丸は、彼に何をされても感じてしまう雌犬へと変貌していた。そして、その事を悦んでしまう様にもなっているのだ。

 

「……マーキング、終わったね。それじゃ、少し休んでから散歩の続きをしようか?」

 

「「わんっ♡♡♡」」

 

 主に元気良く返事を返した二匹の犬は、お互いに荒れた呼吸を整えてから四つん這いの姿勢を取る。そして、彼の精液が零れる股を電信柱に擦り付け始めた。

 

「くぅん……っ♡ くぅぅうんっ……♡」

 

「わ、ん……っ♡ んんんっっ♡」

 

 ずちゅり、ずちゅり……♡ 自らの愛液と、主の精液を電信柱へと塗り付け、その臭いをこびり付かせる。

 自分と主の存在を、そして自分たちの主が誰であるかをアピールするかの様なその行動は、それを見ていたマスターの興奮を大きく煽った。

 

「ふ、あ……♡ 主殿、我々のマーキングも終わりました……♡ ですが――」

 

「さっきまで一杯だった腹が、子宮が……空っぽになって寂しいんだよ……♡ だからさ――」

 

 二匹の犬が、主に強請る様な視線を向ける。熱を帯び、快楽に蕩け、雌犬に相応しい表情を見せながらおねだりの言葉を口にする。

 

「浅ましい事とはわかっています、しかし……どうしても我慢が出来ないのです♡ どうか、この雌犬たちにお慈悲を下さい……♡」

 

「何でも言うことを聞くっ♡ どんな芸でも覚えるっ♡ だから、だからさ……っ♡」

 

 同時に喉を鳴らして涎を飲み込み、同時に深く息を吐く。

 そして、同時に口を開いた牛若丸とモードレッドは、まったく同じ言葉を声を揃えて発した。

 

「「美味しいおちんぽミルク、おまんこに飲ませてくださいっ♡♡♡」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お手」

 

「わんっ♡」

 

「おかわり」

 

「わおんっ♡」

 

 それから数時間後、二匹はマスターの前で芸を披露していた。

 所々で性交を行う爛れた散歩を終えた二匹は、体を洗った後で散歩中に口走った通りに彼の手で芸を仕込まれ、それを覚えることを強要された。

 無論、彼女たちがそれを嫌がるはずが無い。しっかりと芸を覚えれば、マスターは褒美と称して自分たちに快楽を与えてくれる……何より、彼に奉仕する悦びは非常に魅力的なものに感じられるからだ。

 

「おまわり」

 

「きゃんっ♡」

 

 主の差し出した手に右手を置く、次いで左手……その後はその場でくるくると回り、しっかりと教え込まれた芸を覚えていることをアピールする。

 一つ一つの芸を披露する度にマスターは彼女たちの頭を撫で、二匹を褒めてあげた。それが、牛若丸とモードレッドにとってはなによりの幸福だった。

 

「……(ケツ)振り」

 

「「わんっっ♡♡♡」」

 

 普通の犬には教えない淫らな芸も喜んで披露する。

 反転し、尻をマスターへと向けた二匹は、まったく同じ動きで丸いお尻をぷりぷりと振って見せる。

 

 右へ、左へ、ぐるりと円を描く様に……何度か可愛い尻振りダンスを見せた二匹は、最後にお尻でハートマークを描くともう一度マスターへと向き直った。

 

「良く出来ました! 本当に可愛い犬たちだなぁ……!」

 

「……♡♡♡」

 

 主からの褒め言葉に体を火照らせる雌犬たちは、彼からの次の命令を聞き逃さぬ様に待ち続けている。

 そんな彼女たちの姿を見たマスターは、湧き上がる予感のままに一つの命令を口にした。

 

「……待て」

 

「わんっ♡♡♡」

 

 短い二文字の言葉、それを耳にした牛若丸とモードレッドは、教え込まれた待機姿勢を瞬時に取る。

 爪先立ちで少し尻を浮かせたしゃがみ姿勢、その状態で脚をがばっと開き、性器を丸見えにする。上半身はやや前屈みにして、両手は肩の少し横で軽く握り、胸を隠さずに見せつける姿勢を取った。

 

「わんっ♡」

 

「きゃんきゃんっ♡」

 

 そして表情は雌犬に相応しい愛欲に塗れながらも可愛らしさを失わない物にする。瞳の中に浮かんだハートマークは、主への愛情と淫欲への期待が籠った彼女たちの正直な気持ちの表れだ。

 性器も胸も弄り易く、体の変化もしっかりと確認出来るこの姿勢こそがチームDの基本姿勢……マスターに教え込まれた彼女たちの誇りある体勢なのだ。

 

「……はい、良く出来ました。それじゃあ、次の命令だよ……!」

 

「「わん……っ♡♡♡」」

 

 ゆっくりと、二匹の犬の膣へとマスターが手を伸ばす。牛若丸とモードレッドはその光景を期待に染まった目でただ見ていた。

 膣の中に二本ずつ指を突き入れたマスターは、その指を根元まで飲み込ませると軽くばたつかせてみせた。雌犬たちは甘い快感に喘ぐも、その程度では姿勢を崩さぬとでも言う様に静止したままだ。

 だが、彼女たちも何かを感じていた。自分の中から湧き上がる何かを感じる彼女たちは、恐怖と期待が入り混じった複雑な思いを胸にマスターの命令を待つ。

 

(……何をされるのか分からないことを怖がる自分がいる、でも……♡♡♡)

 

(こいつにだったら……マスターになら、何をされても構わないって思ってる自分もいる……♡♡♡)

 

 信頼、敬愛、恩義、忠誠、敬服、愛情……マスターに対する様々な感情が胸の中に溢れ、混じり合う。その中には一切のマイナスの感情が存在していなかった。

 湧き上がる感情も段々と甘美な物に変わって来ている。それを感じながら、雌犬たちは目の前のマスターの口元に笑みが浮かんだことを見て、そして―――

 

「……再臨」

 

「「んっ~~~っっ♡♡♡」」

 

 頭の中が真っ白になる。声にならない快感が二匹を包む。

 抱いていた感情や恐怖、期待がぐちゃぐちゃになり、それらが一つになる。大きく膨れ上がったその感情は一気に快感に変わり、彼女たちの全身を駆け巡った。

 

「くぅぅぅぅ~~~っっ♡♡♡」

 

「んきゅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 与えられた快感は体に定着し、それが基本(デフォルト)となる。新たな感度が定められた体は、幸福な快感に包まれて蕩けていた。

 そして、快感を感じる体と心が一つの思いを作り上げる。この幸せを与えてくれた主への愛……こんなにも、自分たちを愛し、快楽を与えてくれたマスターへと、二匹は更なる愛情を持つに至った。

 

「はっ♡ はっ♡ はぁっ……♡」

 

「ふっ♡ ふっ♡ ふぅっ……♡」

 

 荒い呼吸を繰り返しながら蕩けた目で主を見つめる彼女たちの下腹部では、刻まれた淫紋令呪がその形を変え始めていた。

 元々のカルデアの令呪の形はそのままに、その下に輪の様な形が現れる。

 まるで令呪が首輪を嵌められた様な模様に変異したそれを見た瞬間、彼女たちは自分たちの霊基が更に犬に近しい物に変質したことを感じ取った。

 

(感度が上がっただけじゃねえ……肌に触れる空気も、嗅覚も敏感になってやがる……♡)

 

(これが、主殿の臭い……♡ なんと雄々しく、素晴らしい……っ♡)

 

 自分たちの主から発せられる臭いを嗅いだ二匹は、そのかぐわしい臭いに鼻をひくつかせた。

 何度も何度もその臭いを嗅ぎ、頭の中にその臭いを叩き込む。そして、彼の下半身から発せられる濃厚な雄の臭いを感じ取った犬たちは、反射的に涎を垂らして足を前に踏み出してしまった。

 

「えっ!?」

 

「なっ!?」

 

 牛若丸とモードレッドが僅かに足を前に進ませた瞬間、彼女たちの体に電流が走った。同時に体の自由が利かなくなり、指一本動かせなくなってしまう。

 主に下された『待て』の命令、それを守れなかった不忠の犬たちに刻まれた淫紋令呪が自動で発動したのだ。

 

 しっかりと命令を聞く名犬から命令を守れなかった駄犬へと堕ちてしまった牛若丸とモードレッドは、再び待ての姿勢を取ったまま主の裁きを待つ。

 

「……あ~あ、まだ少し躾が足りないのかな? それじゃあ、少し厳しめに行こうか?」

 

 口元に嗜虐的な笑みを浮かべる主の表情。それを見た二匹は、ゾクゾクとした甘い痺れと共に胸を高鳴らせた。

 躾けて貰える、愛して貰える……お仕置きと言う名の愛を貰える時間を想像した犬たちは、トロリとした女の蜜を膣から垂れ流して喜びの表情を見せた。

 

「あ、あ、あ……♡♡♡」

 

「へへ、へへへへへ……♡♡♡」

 

 蕩けた、可愛い笑みを見せる飼い犬たち。愛するサーヴァントであり、今は自分に奉仕してくれる雌犬である牛若丸とモードレッドの頬をそっと撫でたマスターは、彼女たちの耳元でそっと甘い声で囁いた。

 

「……しっかり愛してあげるね。たっぷり、たっぷり……二人が満足するまで、俺の犬にしてあげるから……!」

 

 その囁きを聞いた雌犬たちは、湧き上がる興奮のまま体を跳ね上げ……股から熱い飛沫を噴き出しながら、絶頂した。

 

 

 

 




 忠義の雌犬 チームD チームコンセプト『受けた恩を返す、主最優先の奉公』

 チームメンバー

 牛若丸(ライダー)
 モードレッド(セイバー)




 犬属性が強いサーヴァント二人(二匹)で構成されたチーム。牛若丸がモードレッドを誘う形で結成された。
 自分たちは誰かに従う犬である為、リーダーを持たないチームである。強いて言うなら、マスターが(ブ)リーダー。

 日本英霊と騎士と言う忠誠心を重要視する二人は、マスターへの奉仕を最重視している。
 牛若丸にとってマスターは、裏切り者であり、彼を傷つけた自分を温かく迎え入れて前を向かせてくれた存在であり、モードレッドにとっては何の力も持たない自分を必要だと言ってくれた大恩ある人間である。その彼に奉仕するなど当然の事であると二人は考えている。

 従順かつ素直な牛若丸とあまり素直になれない強がりモードレッドのコンビ仲は意外と良好。やはり同じ犬タイプなので馬が合うのかもしれない。

 躾をしっかりとこなし、ご褒美を上げて調教することで立派な雌犬コンビとなる二人は身も心も犬に近づいている。
 犬耳付きカチューシャと首輪、そしてアナルビーズ付き犬尻尾を装備した状態が正装であるこのチームは、マスターの為なら何でも出来ちゃうチームでもある。

 調教を重ねることでどんなプレイでも対応可能。恐ろしい程の順応性と忠誠心を見せる牛若丸に引っ張られる形でモードレッドも覚醒を続けており、今後が楽しみなチームだ。

 名物は『犬芸』。お手、おまわり、ちんちん等の通常の芸から淫らな(ケツ)振りダンスや変態姿勢での待て等、その芸は多岐にわたる。
 これからも教え込ませれば何でもしちゃうが、マスターもそこまで外道では無いので安心、ある意味残念と言ったところである。
 


 牛若丸 
 モードレッド 

 第一再臨完了 新スキル【忠犬化】習得


 
 忠犬化(めすいぬか)

 牛若丸、モードレッドが習得したスキル。
 五感が鋭敏になり、特に嗅覚が鋭くなる。邪魔な場合はシャットアウト可能。ちなみに俊敏性も多少上昇している。
 
 夜伽の際にはマスターの下した命令への絶対服従を誓わせる。
 もしも彼の命令を破った場合、即座に令呪が発動して彼女たちに基本姿勢である『待て』の姿勢を取らせたまま動けなくしてしまう。

 マスターに対しては聴覚や嗅覚が異常なまでに反応し、直接触れられなくとも(囁かれたりペニスの臭いを嗅がされるだけで)絶頂が可能になる。
 訓練を重ねることで強化可能。その場合は更に感覚が鋭敏になる。

 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ダヴィンチちゃんねる 2スレ目

 

―――ダヴィンチちゃんねるを起動します。今夜も夜の語らいをお楽しみ下さい……

 

 

 

 

 

 

お尻ールダー:テスト

 

お尻ールダー:こんばんは、今夜もよろしくお願いします

 

余だよっ:お疲れである! まずは軽い報告会と行こうではないか!

 

牝馬の乳上:まさか、3つも新たなチームが出来上がるとは……

 

性女(長女):もう何が何だかわかりませんね

 

ぶんめい娘:少し恥ずかしかったが、とても楽しかった……感謝する

 

雌犬丸:同じく、我らチームDも主殿と濃密な時間を過ごせました! 機会を与えて下さった皆さん、ありがとうございます!

 

エロタイツ師匠:楽しめた様で何よりだ。と言う事は、マスターも十分に楽しめたのだろうな

 

元おぼこ娘:まあ、アタシたちもそれなりに楽しい日々を過ごせたから文句は無いわよ

 

野獣メイド:我もご主人のニンジンをもぐもぐ出来て満足だ

 

お尻ールダー:私たちはもぐもぐされる側だったのでは……? 

 

性女(次女):私たちに続いて、チームBCDが出来ました! それぞれあのバカと楽しくあんあんヤリました! はい、これで報告会終了! 次行くわよ!

 

余だよっ:多少強引だが仕方があるまい。では、ここからはこれからの事を話し合うとするか

 

最強淫乱看護婦:真新しい情報と言えば、ジル・ド・レェ氏の召喚とVRシステムの改良でしょうか。どちらも今後の性生活に非常に有用なものになっています

 

性女(長女):ジルに関しては……想像がつきますね

 

性女(次女):絶対海魔を使った触手プレイとかして来るわよ

 

性女(長女);その場合、餌食になるのは私たちなんでしょうね……

 

くっころ騎士:嫌なら代わるぜ? おもしろそーじゃん!

 

性女(長女):結構です。嫌だとは一言も言ってませんので

 

野獣メイド:なんだかんだで聖女たちも期待しているのだナ

 

牝馬の乳上:VRシステムに関しては既に情報を得ています。既にやりたいことも決まっているので、最初は私からでよろしいでしょうか?

 

エロタイツ師匠:なかなかに積極的では無いか。もうマスターが恋しくなったか?

 

牝馬の乳上:ええ、そうですとも。フランスへのレイシフトの際に伴侶と離れ離れになったあなたなら気持ちがわかるのでは?

 

くっころ騎士:……ここまで堂々と言える様になるもんなのか……

 

牝馬の乳上:お前もじきにそうなる

 

くっころ騎士:ひええ

 

牝馬の乳上:言い忘れていたがお尻ールダーとくっころ騎士、お前たちにも協力して貰うぞ。構わんな?

 

お尻ールダー:勿論OKです。機会を頂けたことを感謝します

 

くっころ騎士:お、同じくOKだ! へ、へへへ……円卓丼の親子丼って奴だな……!

 

お尻ールダー:前にもやりましたけどくっころ騎士さんが参加したことで更に豪華になりましたね

 

牝馬の乳上:それに加えてVRシステムだ。特殊なシチュエーションを設定して、マスターには存分に我らの体を味わって貰おうではないか

 

性女(三女):むむぅ……円卓ばかりに好き勝手させられません! 性女三姉妹もガンガン行きましょう!

 

性女(次女):はっ! まあ、突撃女の亜種が調子に乗るのは面白くないし? 私たちもやってやろうじゃない!

 

野獣メイド:ちょうど三人ずつのチームだな。これは面白くなりそうだ

 

最強淫乱看護婦:後はチームに所属していない方についてですが……

 

ギャグセイバー:大丈夫です! 私はノッブが帰って来たらチームGを作るつもりですので!

 

エロタイツ師匠:チームギャグキャラか?

 

牝馬の乳上:愚女と言う可能性もありますよ

 

ギャグセイバー:ぐだぐだです~! 分かってて言ってるでしょう!?

 

最強淫乱看護婦:私の場合はチームを組む訳にはいきませんね。冗談抜きでマスターが死んでしまいます

 

お尻ールダー:同感です。先輩の健康の為にそうしてあげてください

 

余だよっ:最後になるが……今、余は企んでいる事がある。皆の力を借りることになるやもしれぬが、その時は頼んだぞ!

 

雌犬丸:主殿がお喜びになる物なら、私は喜んで協力いたします! 是非お声がけ下さい!

 

くっころ騎士:お前がやることならどうせド派手な物になるんだろ?

 

余だよっ:無論である! 大規模な催しを企画しているから楽しみにしておるが良い!

 

ぶんめい娘:わくわくだな

 

お尻ールダー:……では、今回の作戦会議はこの辺で終わりにしましょうか。今日もお疲れ様でした

 

 

 

 

 

 

 ダ・ヴィンチちゃんねるを終了しました。またのご利用をお待ちしております。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔法少女が堕ちる時(クロエ・フォン・アインツベルン 堕ち注意)

 久々の堕ち回です。過去の話ですので、救出された鯖も堕ちた状況で登場しています!

 楽しんで、どうぞ!



「……良い姿になったな、見ていて笑みが止まらんぞ」

 

「ぁ……ぅ……っ♡」

 

 時空の狭間にある己の城の中、その一室に入ったソロモンは、そこで樽の中に体を突っ込まれている少女へと声をかけた。

 樽の中には大量の媚毒が注ぎ込まれており、その中に顔を除く全身を漬け込まれている少女の名はクロエ・フォン・アインツベルン……英霊と言うよりかは、別世界の魔法使いと呼ぶべき幼い少女だった。

 

「もはや声も出ぬか? 最初の威勢が懐かしいなぁ……!」

 

「くぅ……っ♡」

 

 自分を嘲り嗤うソロモンに対して抵抗の視線を向けようとするクロエだったが、その表情は彼女の年齢からは想像もつかない悩まし気な物となり、口からは甘い息が熱を帯びて漏れるだけだ。

 ソロモンの言う通り、媚薬に漬け込まれて快楽を教え込まれたこの体はクロエの事を心身共に追い詰めていることは確かだ。何もされていないと言うのにも関わらず常に体は昂ぶりっぱなしで、まともな思考すらもままならない。

 いや、それだけではない……こうやって体を開発され始めてから5日間、クロエはソロモンやその部下の男たちから執拗な責めを受けていた。それにより、彼女の体はより快感に順応してしまっているのだ。

 

 クロエがこんな屈辱を受けているのには理由がある。それは、ソロモンと交わした一つの約束が関係していた。

 愛する家族であり、もう一人の自分自身でもあるイリヤスフィール・アインツベルン……自分が調教を受けている間、絶対に彼女には手を出さないと言う契約の下、クロエはソロモンたちの開発行為に耐え続けているのだ。

 自分が耐えれば耐える程、イリヤにソロモンの毒牙が伸びるのを阻止出来る。そうすれば、カルデアからの救助が間に合うかもしれないのだ。

 

 だから、クロエはその賭けに乗った。幼い身であれどイリヤよりは性的な物を知っている自分なら、開発行為にも耐えられる自信があった。

 だが、そんな自信は彼女の予想を超える調教を受け続けている間に脆くも崩れ去っていた。ソロモン達の調教は、確実にクロエを蝕んでいたのだ。

 

 媚毒に漬け込まれた体を丹念に責め上げられ、されど挿入はしない。頭の天辺から爪先まで、全てを感じられる場所にしようと男たちはクロエの幼い体に快感を叩き込んだ。

 5日間、男たちは遊び感覚でクロエを弄んだ。その中にはクロエが何時堕ちるか賭けをしている者も居た。最初は何をこのくそと奮起した彼女であったが……今はもう、そんな気力は残っていない。ただ息を荒くして耐えることに必死だ。

 

 今のクロエの状態を一言で言えば、()()()()と言う言葉が相応しいだろう。それは、ソロモンが次に取った行動からも見て取れる。

 

「ほら、これが欲しくはないか?」

 

「ぁ……!?」

 

 ずい、と彼の肉棒を眼前に差し出されたクロエは、甘い息を漏らしてそれに視線を集中させる。臭い、形、そしてその震えがクロエの脳を溶かしていく。

 昨日、クロエは媚毒に漬け込まれた状態のまま何度も口内でこの肉棒に奉仕させられた。小さい口の中に魔術で強化された肉棒を押し込まれ、何度も射精されたのだ。

 

 敏感になったクロエの口内は、そのフェラチオだけで十分に感じてしまっていた。まるで性器の様な感度になってしまった口の中に射精される度、クロエは理性が蒸発する程の快感を得てしまっていた。それに加え、精液を介して注ぎ込まれるソロモンの魔力がその感覚に拍車をかけていた。

 未だかつて味わったことの無い芳醇で濃い魔力、喉の奥に放たれた精液は自身の味をクロエに覚え込ませようとでもしている様に存在を示して理性を狂わせる。

 一度や二度では無く、十を超える回数の射精を口と喉で受け止めたクロエは、一日の調教が終わるころにはその快感に完全に魅了されてしまっていたのだ。

 

「ぁ、ぁ……ぁぁぁ……♡」

 

 視線が肉棒から離せない。小さな鼻はひくつき、臭いをもっと嗅ぎたいと必死になっている。

 蕩けた声を漏らすクロエの口からは舌が伸び、ソロモンの肉棒へと近づいていった。だが、それが触れるか触れないかの内に自身の分身を引っ込めたソロモンは、黒い笑みを浮かべながらクロエの両頬を手で挟み込んで言う。

 

「欲しいか? なら、貴様には全てを差し出して貰おう……そして、我が僕となり、永遠の忠誠を誓うのだ。良いな?」

 

「は、ぁ……ぅぅ♡」

 

 もう、否定の言葉は出て来なかった。それどころか悪感情すら湧いて来ない。

 クロエは自分自身でも自分が堕ちようとしていることを理解していた。だが、本当にどうしようも無かったのだ。

 幼い体に叩き込まれた快楽は、彼女の精神を崩壊寸前まで追い込んでいる。この甘い誘惑に、クロエは逆らう術を持たなかったのだ。

 

 クロエは、ソロモンの言葉に首を縦に振って同意を示す。彼女の従順な様子を見たソロモンは、ニヤリと嗤うと彼女を樽の中から解放して言った。

 

「さあ始めようか、魔法少女終焉の宴をな……!」

 

 脳の中に響くソロモンの声を聴きながら、クロエは今日自分が堕ちようとしていることを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――肉欲解放指定特区……ソロモンの城の中にあるその区画の一角、そこにマタ・ハリが切り盛りする酒場がある。便所サーヴァントの代表である彼女は、その立場からソロモンに奴隷たちの管理を任されていた。

 酒場の中では、ソロモンに従う男たちが入れ替わり立ち代わりにやって来て、性奴隷と化したサーヴァントたちを使って性欲を発散して行く。マタ・ハリは、ソロモンの指示の下に数々のいやらしい催しを用意して彼らを楽しませた。

 

 今日もまた、酒場では淫らな催しが開催されている。酒場の壁に並んだ5つの女体に群がる男たちに向け、マタ・ハリは大きな声で叫んだ。

 

「本日は『ブリテン産 王族(ロイヤル)オナホ品評会』にお越し頂きありがとうございます♡ 男を騙り、愚かにも国を治める騎士王などと呼ばれていたのも昔の話……今や、立派なオナホとして殿方のおちんぽにご奉仕する様になった彼女たちの雌穴を存分に使い、評価してくださいませっ♡」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 マタ・ハリの声に被る様に響く5つの嬌声。壁に並び、一様に尻を突き出して男たちの肉棒を受け止めるアルトリア・ペンドラゴンたちの表情は、完全に快楽に蕩けていた。

 

「どうかっ♡ どうか私のおまんこ使って下さいっ♡ けつまんこでも良いです♡ 一生懸命頑張りますからぁっ♡」

 

 5人の中で最も若く幼い雰囲気を放つ少女、アルトリア・ペンドラゴン・リリィは、白百合の様に可愛らしい声を出しながら男たちへと語り掛けた。立派な騎士を目指していた彼女も、いまや肉欲に溺れ切ったただの雌だ。

 今も尻を男に抱えられ、太い肉棒を受け入れて快楽に喘ぐ彼女の左右では、正と邪の運命を辿った未来の自分自身が同じ様な姿勢をして男たちへと叫んでいた。

 

「お願いしますっ♡ 愚かな私に皆さんの恵みをっ♡ オナホのくせに男性を騙っていたこの大馬鹿者に、おちんぽ恵んで下さいっっ♡」

 

「どうか、どうか……♡ この成熟した雌の体を好きにお使い下さい……♡ エロまんこは柔らかく蕩け、エロ尻はぶつけ甲斐のあるむち尻になっていますから……っ♡」

 

 リリィの右側の壁、そこには聖剣と聖槍を振るった二人のアルトリアたちがいた。だが、彼女たちもまた男たちに媚びた視線を向け、腰を振るだけの雌になっている。

 セイバー、そしてランサーの二人のアルトリアは、それぞれ違う質感を持つ膣とアナルを開いて男たちの逸物を受け入れるオナホへと悦んで身を堕としていた。

 

「膣の狭さならば私が一番だ。最高の快楽を約束しよう……♡」

 

「存分にこのオナホ女たちを屈服させてくれ……♡ 私たちの体は、その為にあるんだ……♡」

 

 そして左側では、暗黒面に堕ちた二人のアルトリアたちが蕩けた表情を見せていた。瞳は妖しく光り、肉欲に塗れていることが良く分かる。

 セイバーオルタ、そしてランサーオルタの二人のアルトリアたちもまた、欲望と快楽に身を任せて男たちに魅力的な肢体を差し出している。その事を、彼女たちはこの上ない幸せだと思っていた。

 

「今回の品評会では、一日かけてオナホ同士の具合を比較していますっ♡ 射精した方は、彼女たちの尻に印を残して下さいねっ♡」

 

 マタ・ハリの言う通り、アルトリアたちの尻には何本もの黒い線が残っていた。これが、男性たちがアルトリアに精を放った回数なのだろう。

 既に右と左の尻肉は大量の証で真っ黒になっており、それに反比例するかの様に双穴からは白濁液が漏れだしている。本物のオナホになってしまったアルトリアたちは、競い合う様にして男性たちへと穴を差し出していた。

 

「この品評会で最も使用して頂いた回数が少ないオナホは、まだまだ未熟と判断されてもう一度研修をやり直すことになります! ちんぽを禁止されて一から調教を受けなおす罰が嫌なら、しっかりと穴を締めて殿方に奉仕しなさいね?」

 

「はいっ♡ わかりましたっ♡」

 

「使って下さいっ♡ まんこつかってぇっ♡ ちんぽお預けなんて耐えられないっっ♡」

 

「どっちでも良いです♡ けつまんこでも良いからちんぽくださいっ♡」

 

「頼む……♡ この愚かな元騎士王、現オナホにちんぽの恵みを……♡」

 

「どんな風にでも使って良いからっ♡ いや、使って下さいっ♡ 淫乱オナホをぐちゃぐちゃにしてぇっ♡」

 

 マタ・ハリの言葉を聞いたアルトリアたちは更に媚びる様にして尻を突き出す。壁に並んだそれぞれ違う肉付きの5つの尻と言う魅力的な光景を目にした男たちは、肉棒を滾らせて彼女たちへと殺到した。

 長蛇の列を作り、オナホと化したアルトリアたちを使おうとする男たち。長い待ち時間に暇を持て余す彼らの姿を見たマタ・ハリは小さく笑うと……酒場にあるステージを指差して叫んだ。

 

「オナホ空き待ちのみなさ~ん♡ その暇な時間を埋める楽しいショーをご覧くださいっ♡ ショーの内容は『魔法少女脱糞披露』♡ まだ子供である雌奴隷が、人前で恥ずかしい姿を晒す様をご覧くださ~い♡」

 

 マタ・ハリの言葉と共にステージに光が灯る。スポットライトに照らされたのは、大きなガラスケージに閉じ込められたクロエだった。

 

「う、うぅぅぅぅぅぅ……っ」

 

 大量の浣腸液を注がれ、膨れた腹を抑えながらクロエが唸る。晒し者にされている現状と、これから自分が行う事を考えると気が狂いそうになる。

 だが、それをしなければ肉棒の恵みは与えられない……クロエは振り返ると、自分を見つめる数十人の男たちに向けて尻を突き出した。

 

「おお、可愛いケツしてんじゃねえか!」

 

「褐色小尻はポイント高いぜぇっ!」

 

「プルプル震えちゃって……恥ずかしいのかなぁ?」

 

「は、ぅ……♡」

 

 浣腸液を注がれた腹の痛みと必死に我慢する便意と言う二つの感覚に加え、これから行う恥ずべき姿を視姦されると言う予感にクロエは体を震わせる。そんな彼女の尻の下には、かつて彼女が着ていた赤いコスチュームがあった。

 人間の尊厳とかつての自分を捨て、新しく生まれ変わる為の儀式……ソロモンに指示されたこのこの排泄行為には、そんな意味合いが含まれていた。

 和式便所に跨る様な姿勢で尻を突き出し、時折緩んだ肛門から浣腸液を噴き出すクロエ。彼女の肛門が決壊を迎えようとするほど、男たちは興奮して大きな歓声をあげた。

 

「はぁぁぁぁ……もう、無理……っ! むりぃぃぃぃ……っ!!!」

 

 ぎゅるぎゅるとクロエの腹が鳴る。肛門が収縮を繰り返し、排便の用意を整える。

 もはや便意は限界だった。額に脂汗を流したクロエは、力んで自らの恥ずべき姿を晒す用意を整えた。

 

「……さあ、きちんと言いなさい。自分が今から何をして、どんな姿を晒すのかを……♡」

 

 ガタガタと体を震わせるクロエに対し、マタ・ハリは妖しく微笑みながらその羞恥を煽る言葉を投げかける。男たちもその声に反応し、大きな声を上げてクロエへと叫びかけた。

 

「言ーえ! 言ーえ! 言ーえ!」

 

「あ、あ、あ……!?」

 

 晒し者にされ、見世物にされ、劣情を煽る道具にされ……クロエの精神は、完全に追い詰められていた。

 ガラスケージの中の小さな世界には男たちの声が良く響く。反響し、自分を責め立てる男たちの声に従う様にして、クロエもまた大声で自分の行おうとしていることを説明する為に叫んだ。

 

「わたしはぁっ! 今から皆の前でうんちしますっ! 女の子として、人間として、最悪の行動をして人生終わらせますっ! わたしの恥ずかしい所を見てっ! わたしの人生終わる所を見てぇぇぇっっ!!!」

 

 恥ずべきクロエの絶叫を耳にした男たちが笑う。彼らにとって、クロエはただの遊び道具に過ぎない。

 彼女が壊れるまでのショーを楽しむ男たちの前で、クロエは背筋をピンと伸ばした。クロエは苦悶と羞恥に歪んだ表情を浮かべ、そして――

 

「うあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

――ぶぴっ♡ ぶりっ♡ ぶりゅりゅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なかなか良い見世物だったぞ。人間としての尊厳を投げ打った気分はどうだ?」

 

「う、う、うぅぅぅぅっ……」

 

 数十分後、何度かの浣腸を繰り返され、観衆の前で何度も排便ショーを行ったクロエは精神をボロボロにしながらソロモンの前に戻って来た。既に体はマタ・ハリに洗われて綺麗になっているが、心が晴れやかになることは無い。

 ソロモンの言う通り、自分は人間としての尊厳を捨てて恥ずべき姿を晒してしまった……だが、死にたくなる程の痴態を晒しながらもこれで待ち望んだ快楽を与えて貰えると言う事に安堵するクロエは、自分が順調に壊れつつあることを自覚していた。

 もう、ここまで堕ち切ったのだ。後はどんなことだってして見せよう……欲望を満たす為ならどんなことでもしようと思えるほど、クロエは堕ちていた。そんな彼女に向け、ソロモンは新たな命令を下す。

 

「では、次だ。お前に新たな戦装束を与えてやろう……」

 

 ソロモンがパチンと指を鳴らすと、部屋の中央にあるアイテムが出現した。クロエはそれを光の無い瞳で見つめる。

 それは、彼女の分身であるイリヤの相棒であるマジカルルビーに酷似したステッキだった。だが、それとは確実に違っている。

 

 まずは色、ルビーは白と赤の可愛らしい見た目をしていたが、目の前のステッキは黒と血の様な赤の色をしている。形もまるで悪魔の羽の様に禍々しい物が付いており、見る者を畏怖させた。

 そして何より、そのステッキはとても短かった。しかしその分、柄の部分が太くなっている。そして、その絵の部分に複数のイボの様な物が付いていることを見た時、クロエはそれがどの様に使う物なのかを理解した。

 

「どうすれば良いのかわかっているな? さあ、使え……!」

 

「……はい」

 

 ソロモンから黒いステッキを差し出されたクロエは、それを受け取るとゆっくりと頷いた。そして、彼へと見せつける様に尻を突き出す。

 開発され、何度も排便を繰り返したクロエのアナルは十分に解れて広がっていた。その穴へとステッキをあてがったクロエは、一息に柄を自らの尻穴へと突き入れる。

 

「んおぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「……そうだ、それで良い」

 

 奥も奥、ステッキの柄を全て尻穴で飲み込んだクロエは、獣の様な咆哮を上げた。ソロモンはそんな彼女の事を愉快そうに見つめている。

 ステッキからは触手が伸び、クロエの太腿と腰に絡み付いた。まるで生き物の様なステッキの動きに驚くクロエであったが、真の驚きはこの後にやって来た。

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡ んごぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 触手に力が籠り、ステッキが自ら柄をクロエの尻穴から引き抜く。今日何度も味わった排泄感に身を震わせるクロエは、次の瞬間に再びアナルの奥を穿たれて体の仰け反らせた。

 

「んおぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 野太い嬌声。甲高い物では無く、低く唸る様な声。

 「ん」と「お」の声に力が込められたその声は、クロエの様な少女が……いや、人としての尊厳を持ち合わせる存在が出して良い声では無かった。

 排泄口を穿られ、人ならざる叫びを上げる今のクロエは正に性の獣だ。もはや彼女からは、人間としての感覚が消え去っていた。

 

「んえぇ……っ♡ ひぃっ♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

「その礼装はお前とそうやって同調して行く。お前が快楽を得て、それを受け入れる程にその形を変えると言う事を覚えておけ……と言っても、今のお前には届いてないだろうがな」

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 ソロモンの言う通り、今のクロエはステッキから与えられる快感に狂わされ、まともに話を聞くことすら出来ていなかった。

 そんな彼女の様子に満足げに笑ったソロモンは、更に彼女を追い込むべくクロエの小さな体に手を伸ばす。幼い少女の体を持ち上げたソロモンは、濡れそぼった秘裂へと肉棒を叩き込んだ。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡ ら、らめぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

「何が駄目だ? お前はこれが欲しかったのだろう?」

 

「らめぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ らめなのぉぉぉぉっ♡♡♡ こわれ、こわれりゅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 膣とアナル、二つの穴を同時に責められるクロエは首をぶんぶんと振ってその快感から逃れようとした。だがソロモンがそんなことを許すはずが無く、彼は黒い笑みを浮かべながら大きく手を開いてクロエに更なる責めを行い始めた。

 

「偉大なるソロモン王に逆らった愚かさをその身に刻めっ! そして、己が罪を悔いるのだ!」

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ やめへぇぇぇぇぇぇぇっ♡♡♡」

 

 ステッキが尻穴を穿つ動きに合わせ、ソロモンがクロエの尻を叩く。バシン、バシンッ! と響くスパンキングの音が、痛みと共にクロエの精神を追い詰めていく。

 

「ひゃめへぇぇぇぇっ♡♡♡ おねがいしますっ♡♡♡ おねがいしますぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 痛みが、快楽を伴ってやって来る。膣が、アナルが、痛みでは無く快楽を押し付けて来る。

 もう訳が分からなかった。クロエは、自分が痛みを感じているのか、それとも感じているのかも分からなかった。

 だが……自分が壊れようとしている事だけは理解出来た。精神を崩壊させるクロエは、気が付けばソロモンに必死になって許しを請っていた。

 

「ごめんなひゃいぃぃぃっ♡♡♡ わた、わたしがばかでしたぁっ♡♡♡ ソロモン様に楯突いて申し訳ありませんでしたぁぁっ♡♡♡」

 

「本当に反省したか? 痛みに耐えかね、口だけの許しを請うているのではないのか?」

 

「違いますぅぅぅっ♡♡♡ ソロモン様の偉大さがよくわかりましたっ♡♡♡ 沢山の英雄が、あの騎士王までもが勝てなかった相手に、こんな小娘が勝てる訳がなかったんですぅぅっ♡♡♡ もう、もう逆らいませんっ♡♡♡ 全てソロモン様の言う通りにしますぅぅぅっ♡♡♡」

 

「……それは本当か? 貴様は、全てを私に差し出すと言うのか?」

 

「は、あ……はぁぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 延々と行われていたスパンキングの手を止めたソロモンは、赤く腫れ上がったクロエの尻を優しく撫でながらそう問いかける。その表情は、先ほどまでの様子が嘘であるかの様な慈愛に満ちた物に変わっていた。

 ジンジンと痺れる尻を撫でられ、今まで感じたことの無かったソロモンの優しさに触れたクロエは、先ほどの自分の言葉を何度も反芻していた。そして、心の中で強く思う。

 

(こんなに優しい人にあんな真似をさせてしまうなんて、わたしは本当に馬鹿だったんだ……♡♡♡ その事に気付かさせて貰えて、気持ち良くして貰えるなんて……ソロモン様は、なんて偉大な人なんだろう……♡♡♡)

 

 うっとりとした、熱を帯びた瞳。子供では無く、女としての表情を見せるクロエに対して、ソロモンは天使の様な表情で悪魔の取引を持ち掛けた。

 

「貴様が全てを差し出すと言うならば……貴様の姉妹であるイリヤスフィール・アインツベルンを私に差し出すと誓えるか? 奴は、貴様が己の身を差し出しても守りたいと思う存在なのだろう?」

 

「イリヤを……?」

 

 ソロモンの言葉に、クロエは自身の大切な存在を思い浮かべた。

 家族であり、姉妹であり、何よりも大切だと言えるもう一人の自分と過ごした日々が脳裏に蘇る。

 愛らしい笑顔、下らない理由でした喧嘩、楽しかった毎日……様々な思い出がクロエの中に浮かび上がり……それらが全て、快楽に押し流された。

 

「……はい♡ 喜んで差し出します♡ イリヤも立派な性奴隷になれる様、わたしがソロモン様の手助けをさせて頂きますっ♡」

 

 あれだけ大切に思っていた、妹の様に思っていた、自分を犠牲にしてでも守りたいと思っていたイリヤを、クロエは何の躊躇いも無くソロモンへと売り渡す。その様子には、欠片も罪悪感も見受けられなかった。

 それと同時にクロエの下腹部に刻まれた淫紋令呪が激しく輝き、彼女を完全にソロモンの奴隷へと堕とし切った。陥落し、自分に忠誠を誓う様になったクロエを見つめながら、ソロモンはただ嗤う。

 

「良くぞ決断したな。それこそが正しい選択だ」

 

「はいっ♡ イリヤにもこの幸せを味わって欲しいから♡ だからわたし、一生懸命頑張りますっ♡」

 

「ふはははははっ! 可愛い奴め! 褒美だ、極上の快楽を与えてやろうっ!」

 

「あはぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 クロエの小さな体が跳ね上がる。肉棒に狭く小さい膣内を押し上げられ、尻穴をステッキに穿られたクロエは淫らな表情を浮かべて喘いだ。

 

「おひぃぃぃっ♡♡♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ おほぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 バチバチと、快楽によって視界が弾ける。まるで壊れた電球の様に、クロエの意識は明滅を繰り返していた。

 5日もの間快楽に漬け込まれたクロエの体は、初めて受け入れるソロモンの肉棒による快感を十二分に増幅させて全身へと行き渡らせている。キスによる魔力補充など目ではない程の快感は、クロエの心を完全に掌握しきってしまった。

 

「ソロモン様っ♡ ソロモンさまぁ……っ♡♡♡ ソロモン様の偉大な精液、わたしの子宮に注いでくださいっ♡♡♡ わたしのこと、孕ませてくださいっ♡♡♡」

 

「クハハハハ! 良かろう、その望みを叶えてやろうっ! ソロモン王の精を受け取れっ!!!」

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 ガクンッ、とクロエの体が沈む。快感に、疲労に、彼女の幼い体が限界を迎える。

 だが、それ以上に感じる深い満足感に支配されたクロエは、再び体を跳ね上げると喉も裂けんばかりの勢いで叫び出した。

 

「イクぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ おまんこっ♡ イクぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 狭い膣がソロモンの肉棒を締め付け、未知の快感に打ち震えた。涎の如く愛液を流すクロエの膣には、収まり切らない程の精液が注ぎ込まれる。

 

「あひ……っ♡ ひぃっ♡ おまんこ、いっぱぁい……♡♡♡ 温かいですぅ……♡♡♡」

 

「ふふふ……! よしよし、私の言う事を聞いていればこれから何度も味わえるからな……!」

 

「はぁい……♡♡♡」

 

 甘い声でソロモンへと返事をしたクロエは、唇を重ね合わせて舌を絡ませた。

 大好きなキスによる魔力補充を行うクロエは、今までのそれとは桁違いの魔力を受け入れて全身を蕩けさせる。

 

「ぷはぁ……♡♡♡ もっとください……♡♡♡ もっとぉ……♡♡♡」

 

 何度もキスと交尾を強請りながら、クロエは底の無い快楽の沼へと自ら身を沈ませたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と言う訳でぇ♡ わたしはソロモン様の性奴隷になることになったから♡」

 

「う、嘘……!? 嘘でしょ? 何かの冗談だよね!? クロっ!」

 

「嘘じゃないわよ♡ 今もこうやってソロモン様とおまんこしてるの見れば分かるでしょう?」

 

「そ、んなぁ……!? なんで? どうして……!?」

 

 目の前で宿敵と交わる姉妹の姿を見たイリヤの口から絶望的な声が漏れる。その表情もまた、現実を認められないとばかりに苦痛に歪んでいた。

 そんなイリヤを尻目にクロエはソロモンとの交尾を続ける。膣に肉棒を、尻穴にステッキを挿入された状態で喘ぐクロエは、生気を失い始めるイリヤに向けて微笑んで言った。

 

「大丈夫よぉ♡♡♡ イリヤも今から調教されて、立派な性奴隷になれるわ♡ わたしと同じことをされるだけだから、絶対に気持ち良くなれるわよ♡♡♡」

 

「ひぃっ!?」

 

「……楽しみね、イリヤ。早く二人揃ってソロモン様にご奉仕したいわね♡♡♡」

 

 イリヤには熱を帯び、期待に染まったクロエの表情は狂った様にしか見えなかった。そして、自分もまたそんな顔をする女にされようとしている事に恐怖を覚える。そんな彼女を逃さぬ様にして男たちがイリヤを拘束すると、彼女を調教する場へと運び始めた。

 

「や、やだぁっ! 美遊っ! お兄ちゃんっ! 誰か助けてっ!!!」

 

「……大丈夫よ♡ 皆の事もすぐに忘れて、怖くなんて無くなるから……ね?」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 悲痛なイリヤの叫びが城の中に木霊する。だが、助けを求めるその声に反応する者は何処にもいない。

 泣きじゃくるイリヤの心は既に折れていた。堕ち切ったクロエの痴態を見せられたイリヤの心もまた、崩壊を始めていたのだ。

 

「良かったぁ……これならあんまり時間はかからなそうね♡」

 

 気丈さの欠片もないイリヤの様子を見たクロエは、調教が容易く行われることを予感して淫靡に微笑む。

 これから淫毒に漬けられるであろうイリヤの今後を予想した彼女は、性交による快感を感じながら笑顔で妹を見送った。

 

「バイバイ♡ 悪い子のイリヤ♡ 一緒に良い子になりましょうねっ♡」

 

 扉の先に消え去ったイリヤへとそう呟き、クロエはソロモンへの奉仕へと集中し始めた。幾日後、自分たちが行う淫らな奉仕に思いを馳せながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この数日後、魔法少女たちは快楽と悦楽に染まった闇の中に堕ち切った姿を酒場にて披露することとなった。

 

 尻穴に悪魔のステッキを挿入し、まるで小悪魔の様な姿を見せる魔法少女たちは、その幼さからは考えられない淫らさを発揮して男たちの興奮を煽る。

 新たなる性奴隷の誕生を祝福する声を耳にしながら、イリヤとクロエと言う淫乱魔法少女たちは、自分たちの新たな使命を胸に主への忠誠を誓ったのであった。

 

 

 

 




 次は心を痛めない物を書くんだ……!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

騎士の奉仕は蜜の味(ランサーアルトリア マシュ モードレッド)

 

「さあ、マスター。体を楽にしてください……♡」

 

「う、うん……」

 

 後頭部に感じる柔らかい感触に身を任せたマスターは、ずっしりと自分の体が背後にある女体に沈んで行く感覚に身を震わせた。

 まるで自分の事を包み込む様な包容力のある女体に全身を預ければ、体全てが温もりと柔らかさに包まれてしまう。

 

「先輩……向こうで会いましょうね……♡」

 

「今日はたっぷり楽しもうな……♡」

 

 可愛らしい後輩の声と悪戯っ子の様な闊達な声がステレオボイスで聞こえる。

 耳が蕩けてしまいそうな感覚に襲われながら、マスターは三人のタイプの異なる女性たちの体に埋もれて行く。

 

 大きく柔らかいアルトリアの体に背面部を

 暖かな温もりを感じるマシュの体に右半身を

 引き締まりながらも女性としての愛らしさを時折感じさせるモードレッドの体に左半身を包まれ、段々と体を飲み込まれて行く。

 

「……おやすみなさい、マスター♡ あなたに、天国を味合わせて差し上げます……♡」

 

 三人の手でVRゲーム用の立体眼鏡をかけられたマスターは、アルトリアのその言葉を最後に深い眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……?」

 

 マスターが次に目を覚ました時、彼の目の前にはピンク色のいかにもな外装をした建物があった。

 ネオン街にありそうな見た目をしたそれは、間違いなく風俗店と言う奴だ。自分が行ったことがある訳が無いが、知識としては十分に認知している。

 

 問題は、何故VR世界の中にこんなものがあるのかという事だ。茫然とした状態で固まっていた彼であったが、不意に店の看板を見つめるとそこに刻まれている文字を見て目を見開く。

 

「か、会員限定風俗店『ラウンドオブナイツ』……!?」

 

 直訳すると『円卓の騎士』と言う意味になる店の名前に気が付いたマスターは、ごくりと喉を鳴らした後で店の扉に手をかける。自分の予想が正しければ、この先に居るのは彼女たちのはずだ。

 そう考え、意を決して扉を開けたマスターの目に飛び込んで来たのは、外観にも負けないいやらしい装飾がされた店内の光景と、そこで自分を待つ三人の女性たちだった。

 

「いらっしゃいませ、マスター……♡」

 

「当店へようこそいらっしゃいました……♡」

 

「今日はたっぷりサービスするからな……♡」

 

 一糸纏わぬ全裸の女性たちが甘い猫撫で声を出しながら自分に近づく。無駄な装飾など一切必要ないと思えるほど、彼女たちの裸体は美しかった。

 

「ではマスター、まずはこちらをどうぞ……♡」

 

 恭しく一礼したアルトリアは、自分の胸をマスターの前に突き出すとその谷間に挟まれている一枚のカードを指さした。

 マスターは緊張しながらもアルトリアの胸へと手を伸ばし、自分に差し出されたカードを手に取る。

 

「これは、なんなの?」

 

「はい、そちらは当店の会員証となっております。それぞれの風俗嬢一人につき、別々の会員証をご用意しております」

 

「先輩、私たちのカードもどうぞ……♡」

 

 しげしげとアルトリアに渡されたカードを眺めていたマスターは、そこにアルトリア・ペンドラゴンの名前が刻まれている事に気が付いた。

 彼女に続いてカードを差し出したマシュとモードレッドに渡されたカードにもそう。同じく彼女たちの名前が書かれている。

 

「当店は時間無制限、マスターが満足するまでサービスすることをモットーとしております。しかし、複数人でのプレイはお断りさせて頂いているのです」

 

「先輩は、その日の気分に合わせて私たちの内から一人をお選びください」

 

「そうすると、選ばれたサーヴァントがマスターに一生懸命奉仕するってわけだ」

 

「そう、なんだ……」

 

 この店のシステムを三人から説明されたマスターは、彼女たちと同時に交わることが出来ないと言う事に若干の不満を抱く。

 別に誰か一人と一対一でセックスをすることが嫌な訳ではない。しかし、目の前にいる女性たちは三人が三人ともに抜群の魅力を持つ美女だ。

 贅沢な話だが、アルトリアの豊かな乳房も、マシュの柔らかな尻も、モードレッドのきつく引き締まった膣も、全てを味わってみたいと思うマスターは、誰か一人だけと言われると物凄く悩んでしまう訳だ。

 

 しかし、そんな彼の反応を予想していない騎士王たちでは無い。クスクスと笑った彼女たちは、そっとマスターに微笑みかけると……パチンと指を鳴らした。

 

「えっ!?」

 

 その瞬間、マスターの身に不思議なことが起こる。視界が歪んだかと思えば、次の瞬間には全てが元通りになっていたのだ。

 一体今の感覚は何だったのか? マスターが不思議に思いながら顔を上げると……そこには、信じられない光景が広がっていた。

 

「えっ!? ええっ!?」

 

「わ、わわわっ!?」

 

「な、なにこれぇっ!?」

 

 自分の目の前に自分が居る。しかも、二人もだ。

 合計三人に増えてしまったマスターは大慌てで出現した自分自身と視線を交わらせるも、アルトリアたちはそんな彼に向けて涼しい口調で状況を説明し始める。

 

「何も驚くことはありませんよ、マスター。これはこのVRシステムの新機能なんです」

 

「元々、大量の先輩を生成するシステムは備わっていました。これはそれに感覚共有の機能を追加したものになります」

 

「つまり……こういうこった!」

 

「うわっ!?」

 

 悪戯っぽく微笑んだモードレッドが、三人に増えたマスターの内の一人の肉棒に喰らい付いた。

 急に温かな口内に肉棒を招待されたマスターは快感と驚きに表情を歪めるが、それは何も一人だけの行動では無かったのだ。

 

「なんだ、これ……?」

 

「ぼんやりしてるようで、はっきり感じられる……! これ、モードレッドの口の中だ……!」

 

「ふふふっ♡ これでわかったでしょう? 分身のマスターたちは、お互いの感覚を共有出来る……つまり、三人が別々の快感を同時に味わう事が出来ると言う事です」

 

「これを利用すれば、別々の場所に居ながら同時に私たちの奉仕を受けられると言う事が可能になります。アルトリアさんのおまんこを楽しみながら、私のけつまんこを味わうことだって出来ちゃうんですよ……♡」

 

 妖しく笑ったマシュの表情を見た時、マスターの背中にはゾクリとした震えが走った。

 それは期待から来る震えであり、彼女たちが何を言わんとしているかを理解したマスターの口元にもまた笑みが浮かび上がる。

 

「……では、改めて質問いたしましょう。マスター、貴方様は我々の内、誰を指名しますか?」

 

「あまり考えなくても大丈夫ですよ、だって――♡」

 

「どの道同じ答えになる。オレたちの奉仕を好きなだけ味わえるんだもんな……♡」

 

 その通りだった。三人のマスターたちは感覚を共有出来る。ならば、誰が誰を選ぼうとも結果は同じだ。

 三人の奉仕を、一晩でいっぺんに受けられる……再び期待に背筋を震わせたマスターの目の前で、三人の美女たちは淫靡に微笑んで体をくねらせる。

 

「さあ、お選びください……♡ 誰を選ぼうとも、最高の快楽をお約束いたしますよ……♡」

 

「もしも先輩がお尻を集中的に楽しみたいのなら……私を選んでくださいね♡ 先輩専用のけつまんこで、一生懸命奉仕するのでっ♡」

 

「オレのまんこはスッゲェ締まるぜ……♡ オレみたいな生意気な女騎士に奉仕させてみたくねえか?」

 

 淫らな誘い文句を口にしながら自分を誘惑する三人の姿を見たマスターは、それぞれ自分の中に湧き上がった感情のままに相手を指名すると部屋を移動し、早速一対一の奉仕プレイへと移っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今回はご指名ありがとうございます♡ 誠心誠意の奉仕を約束いたしますので、どうぞ心を安らかにしてお楽しみ下さい……♡」

 

「う、うん……」

 

 数分後、三人のマスターたちはそれぞれ自分の指名したサーヴァントに連れられて個室へとやって来ていた。それぞれ希望が被る事無く、喧嘩もせずに相手を決められたことを安堵しつつも、彼らはいつもとちょっとばかり違う雰囲気に未だ慣れていない様だ。

 アルトリアと二人きりになったこのマスターも、目の前の彼女の言動に一々緊張してしまっている。しかし、どこか不慣れな感じがするマスターに対し、アルトリアは優しく微笑みながら言った。

 

「大丈夫ですよ。その緊張を解すのも我々の役目です……ではまず、体を慣らす為にも一回抜いてしまいましょうか♡」

 

 いつもセックスをする時の様な堂々とした態度では無く、どこかおどおどとしているマスターに柔和に笑いかけるアルトリアは、今の彼の事を愛らしく思っていた。別段、普段の彼が嫌いと言う訳では無いが、そのギャップに若干の胸のときめきを抑えられずにいる。

 

「さて、これで……準備もしっかりとしてと……」

 

 まるで子供をあやす様にマスターに語りかけたアルトリアは、彼の前に跪くと自らの乳房を手で抑え、マスターの肉棒の前に突き出す。そして、そこに用意してあったローションをたっぷりと振りかけた。

 大きく張りのあるアルトリアの乳房がいやらしい光沢を放ち、男の分身を受け止めるに相応しい肌触りを得た。

 この見るからに淫靡な二つの果実に眼を奪われたマスターは、てっきり彼女がそのままパイズリを行うと思っていたのだが……

 

「ではマスター、ここにあなたの性槍をどうぞ……♡」

 

「え……?」

 

 だが、マスターの予想に反してアルトリアは乳房を突き出したまま動かないままだ。その行動に暫し悩んだマスターは、不意に彼女の思惑を理解して手を叩いた。

 

「ああ、そう言う事か!」

 

「はい、そう言う事です♡」

 

 アルトリアの考えを理解したマスターは、彼女の導きのまま自らの肉棒を彼女の胸の谷間に挿入した。ただし縦にでは無く、そのままアルトリアの体に対して垂直になる様にだが。

 下からアルトリアの顔に向けて肉棒を突き入れるのではなく、文字通り乳房を性交の時の様に扱う。アルトリア程の巨乳が無ければ出来ないその奉仕は、マスターにとっても初めての経験であった。

 

「ふっ、くぅぅ……っ!」

 

 マスターは何度も腰を振り、アルトリアの乳房に肉棒を叩き付ける。性器ともアヌスとも違う感触の柔らかい肉が己の分身を包んでいる感触に、彼の口からは快楽を伴う苦し気な声が溢れた。

 ローションで滑り易くなった乳肉が、絶妙な力加減を以って肉棒を締め付ける……乳まんこと呼ぶべきその質感の虜になりながら、マスターは無我夢中でアルトリアの乳房を犯し続ける。

 

「ああ、マスターの性槍が胸の中で暴れて……♡ 激しく、逞しい感触が胸の中に一杯です……♡」

 

「ううっ!?」

 

 うっとりとした口調と表情でそう囁いたアルトリアが両脇から胸を押す手に力を込めれば、マスターの肉棒を挟む胸の締め付けが更に強まり、彼の感じる快感の度合いを増させた。

 マスターは体を震わせて一瞬硬直するも、すぐに彼女の乳房の感触を味わうべく腰の動きを再動させる。

 

「ああ……っ! アルトリアのおっぱい、凄い……っ!」

 

「ふふふ……♡ 騎士王の胸を犯している気分はどうですか? もうこの体は、あなたの為の物……あなたの快楽を生み出す為の全身まんこになっているのですよ……♡」

 

 騎士王に奉仕をさせていると言うこの状況が。淫らに劣情を煽るアルトリアの言葉が。肉棒に感じる堪らない乳房の感触が、マスターの興奮を更に高める。それに加え、今の彼はまた別の快感を感じていた。

 それは、このVR空間の中で生まれた他の二人の自分自身の感じている快感……マシュとモードレッドと愉しむ彼らもまた、彼女たちの誠心誠意の奉仕を受けている最中だった。

 

「はぁぅっ……! この、ふわふわで、温かい感触は……!」

 

『ふふっ♡ 私のお尻は気持ち良いですか? けつまんこに挿れられなくっても、こんな楽しみ方もあるんですよ♡』

 

 アルトリアの胸とは違う温もりに包まれている事を感じたマスターは、その感触の正体がマシュの尻肉であることに気が付く。どうやら、彼女と共に居る分身はマシュの尻コキを楽しんでいる様だ。

 ローションでしっかりと滑りを良くした尻は、むっちろとした感触と共に彼の肉棒を包み込んでいる。ベッドのうつ伏せになり、自分の尻をマスターの好きに扱わせているマシュは、時々尻を左右に振ってその動きに変化を付けさせていた。

 

『はぁっ! はぁぁっ!!!』

 

 分身の自分はまるで犬の様に腰を振ってマシュの尻に肉棒を擦り付けていた。穴では無いが、自分の尻に夢中になる姿を見せる主の様子にマシュも満足気だ。

 時折感じるアヌスのひくつきに肉棒を滾らせたマスターは、それとほぼ同時に感じた肉棒を吸われる感覚に歯を食いしばって呻く。

 

『う、おぉぉぉぉっ!??』

 

『んごぉぉっ♡ お、おぉぉぉぉ……っ♡』

 

 肉棒全体を包むねっとりとした感触とぬるぬるした質感、そして亀頭の先に触れた柔らかな壁の存在に気が付いたマスターは、これが何なのかを瞬時に理解する。

 これは口の中だ。もっと正確に言えば、喉の奥だ。モードレッドが、自分の肉棒を喉の奥まで咥え込んでいるのだ、と……。

 

『ぐ、お、んふぅぅぅぅぅっ……♡』

 

 マスターの巨大な陰茎の全てを迷う事無く口の中へと迎え入れたモードレッドは、食道にまで達する太い幹の全てをそこに受け入れていた。

 瞳を潤ませ、ゆっくりとそれを口の中から吐き出したかと思えば、再び肉棒に吸いつきながらそれを飲み込み始める。モードレッドは段々とペースを速めながら、その行動を繰り返していた。

 

『んじゅるるるるぅっ♡ んごぉぉぉっ♡ じゅろぉぉぉぉっ♡』

 

「なんて、吸いつき……っ!? うわぁぁぁぁっっ!!!」

 

 凄まじい程の吸いつきを見せるバキュームフェラ……いや、これはもはやフェラチオでは無かった。

 モードレッドの頭を掴み、彼女の動きに合わせて腰を振るマスターは一心不乱に彼女の口の喉を犯している。完全に性交に親しみ切ったモードレッドは、彼とのイラマチオを受け入れて存分に楽しんでいた。

 

「アルトリア……っ! おっぱいっ! 乳まんこ……っ!」

 

「マシュのお尻最高だよっ! これ以上のお尻なんて存在しないよっ!」

 

「あのモードレッドが俺のちんぽを美味しそうに咥えて……こんな、エロい姿を見せるなんて……っ!」

 

 三者三様の騎士たちの奉仕を受けるマスターたちは、それぞれの感想を口にしながらも腰を動かしていた。

 ある者は騎士王の胸を犯し、ある者は盾の騎士の尻に男の欲情をぶつけ、またある者は叛逆の騎士の喉を穿つ。それぞれ違った快感を感じるマスターたちは、同時に我慢の限界を迎えると、彼女たちに吠える様にして叫んだ。

 

射精()るっ!!! 射精するぞぉっ!!!」

 

 胸に、尻に、喉に……真っ白な、熱い欲情の証が放たれる。

 そこを犯し、蹂躙し、快楽に染め上げた証を体の部位に受けた彼女たちもまた、熱い迸りを感じると共に嬌声を上げて体を跳ね上げた。

 

『んごぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡』

 

 喉の奥、直接胃にまで精液を注がれたのではないかと思われるほどのモードレッドは、それにしては幸せそうな呻き声を上げていた。

 喉を鳴らし、美味しそうにマスターの精液を飲み干した彼女は、口元に残った僅かな精液を舌で舐め取ると蠱惑的に笑う。その表情には、淫らな雌としての本性がありありと現れていた。

 

『ああっ♡♡♡ お尻、背中まで先輩のザーメンが……っ♡♡♡ これをおまんこかけつまんこで受け止められたら、どんなに気持ち良いか……♡♡♡』

 

 尻と背中を真っ白に染め上げられたマシュは、そう呟きながらぷりぷりと尻を振った。既に彼女の性器からは蜜が溢れ、尻穴からも腸液がだくだくと零れ出ている。

 挿入の時が待ちきれないとばかりに尻肉を痙攣させるマシュもまた一匹の雌としての本性を露にしかけた。しかし、それを必死になって抑えてベッドから立ち上がる。

 

『……見て下さい、マスター♡ 私の乳まんこの中にこんなに一杯射精して……♡♡♡ 私の乳まんこ、マスターのザーメンの臭いが染みついてしまいそうです……♡♡♡』

 

 そして最後の一人、アルトリアは自分の乳を掴んでそれを左右に広げると胸の谷間の中をマスターへと見せつけた。彼女の言う通り胸の谷間にはマスターの放った精液が充満しており、一体どれほどまでに欲望をぶつけたのかと聞きたくなるほどの臭いが立ち込めている。

 胸の谷間から腹へ、腹から秘所へ……そう零れて行く己の精液を見たマスターは、それがアルトリアの愛液と混じり合う光景を見て興奮して喉を鳴らす。アルトリアもまた隠しきれぬ興奮を感じて体の芯を燃え上がらせながら、それを必死になって抑え込んだ。

 

「……マスター、まずは体を綺麗に致しましょう……♡」

 

『小さいですが、シャワールームを用意してあります。そこで体を綺麗にして――♡』

 

『後は……お前の好きな様にして良いぜ? 気が済むまでハメまくろうな……♡』

 

 彼女たちに手を引かれ、シャワールームに連れられる中、彼女たちの淫らな誘い文句を受けたマスターの肉棒は再び興奮によって上向きになり、天を突くばかりの硬さを取り戻していたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャワールームでの行為は、それはそれは素晴らしいものであった。三人は、それぞれの肉体を活かしてマスターへの献身を行ってくれた。

 

 アルトリアは豊かな胸で、マシュは一番自信のある臀部で、モードレッドは引き締まりながらも柔らかみも帯びている腿と性器を使い、マスターの体を丹念に洗う。

 彼女たちの柔らかな肉体をスポンジの様に扱って体を洗われるマスターは、熱に浮かされたまま成すが儘にされ……その最中にも、興奮を滾らせていた。

 

 これが気持ち良くない訳では無い。だが、これだけでは自分の興奮は抑えきれない……まだか、まだその時が訪れないのかと我慢を重ねる彼であったが、ついにその我慢を開放する時が来た。

 

「……お待たせしました、マスター――♡」

 

『ここからは、どうぞ先輩のお気に召すままにして下さい……♡♡』

 

『好きな様に抱いて、好きなだけ気持ち良くなってくれよな……♡』

 

 アルトリアが、マシュが、モードレッドが……甘い声を出し、自分を誘っている。

 その姿を見たマスターは理性が蒸発してしまうのではないかと思う程の興奮を感じつつも、それを堪えて彼女たちに近づいた。

 

『へへっ♡ すげーなぁ……♡ 今からこのちんぽでオレの女の部分を叩きのめされて、雌にされちまうんだろうなぁ……♡』

 

 耳元で熱い息を吐きながらモードレッドが言う。対面座位の格好で秘所に亀頭を宛がわれた彼女は、もうこの時点で女の顔になっていた。

 秘所に触れる亀頭から、興奮と我慢による肉棒の律動が伝わって来る。今からこれに蹂躙されるのだと思うと、心の底からの興奮が止まらない。

 膣から漏れた愛液が彼の肉棒を伝って垂れて行く光景にも興奮しながら、モードレッドはマスターと共にその興奮を分け合っていた。

 

『先輩、どうぞ好きな方のおまんこをお使いください……♡ 途中で挿れる穴を変えて下さっても構いませんよ♡』

 

 後背位の体勢で自分の目の前に突き出されたマシュの尻を見たマスターは、湧き上がって来る興奮のままにそれを抱きかかえた。滑らかであり、吸いつく様な肌と肉の感触にマスターの口から感嘆の息が漏れる。

 ひくつく前と後ろの穴。特にマシュの尻穴の心地よさを知っているマスターは、その感触を思い出して息を飲む。

 しかし、今は前の穴を楽しもうと思いなおし、滾る肉棒を彼女の秘所へと宛がった。

 

「では……どうぞ、お好きな様に……♡ 何時でも私の準備は整っておりますから……♡」

 

 そして最後のアルトリアは、マスターを抱きしめる様に腕を伸ばし、開いた脚の間に彼を迎え入れていた。正常位のスタンダードな体勢での性交を想像したマスターは、肉感たっぷりなアルトリアの体を見つめて涎を飲み込む。

 あの大きな胸を、柔らかな尻を、そして彼女の蜜壺を……自分が好きにして良いのだと思うとそれだけで肉棒の滾りが一段と高まってしまう。

 しかし、その興奮を隠すこともしないままぴとりとアルトリアの性器に逸物を宛がった彼は、他の自分たちと全く同じタイミングで彼女たちの了承を求めた。

 

「行くよ? 良い、かな……?」

 

 口にした提案を却下されたとして、彼はそれを止めるつもりは無かった。ただ言葉にしただけのその思いに、彼女たちは揃って頷く。

 了承を得たマスターは、すぐさま……いや、彼女たちが頷くよりも早く腰を突き出し、彼女たちの膣へと己の欲望を叩き込んだ。

 

「んんん~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 ぐちゅり♡ と言う音と共に肉棒が騎士たちの膣に潜り込む。あっという間に奥まで辿り着いた逸物は、激しい律動を繰り返してそれぞれ快楽を貪っていた。

 

 肉襞、締め付け、柔らかさ……その全てが違う三人の膣内。はっきりとした一つの感触と、ややぼやけながらも感じる二つの感触を味わうマスターは呻きながら腰を振り続けた。

 

『あっはぁぁぁっっ♡♡♡ やっべぇ……っ♡ これ、一気に子宮までぇっ♡♡♡』

 

 肉棒を奥まで受け入れたのはモードレッドだった。マスターの亀頭が自分の子宮を耕す様に叩き付けられる度、子宮から脳天までを一気に貫く様な快感がモードレッドの体を突き抜けた。

 引き締まった体は膣にも反映されている。きつく、されど甘える様にマスターの肉棒に絡みつく膣壁が、悦びにうねりながら愛液を分泌して快感を増長していた。

 

『ああっ♡ 先輩のおちんぽ、またおっきくなってぇ……っ♡ 今までよりもっと素敵になってます……っ♡♡♡』

 

 マシュは自分の子宮がより深くまで押されている事に舌を放り出して喘いだ。何度も体を重ねたはずなのに、今の彼が与えてくれる快感は今までよりも圧倒的に強く激しい物だ。

 じりじりと、理性が削ぎ取られる。自らの淫らな本性が彼と彼の肉棒に引き出されて行く。

 完全に彼の形になり、処女を奪った男(ソロモン)の肉棒の形などを忘れ去ったマシュの膣は、今まさに彼の手で更なる開発を受けながら新たな快感を貪っていた。

 

「ん、いぃぃっ♡♡♡ は~~~っ♡♡♡ はぁぁぁぁぁっ……♡♡♡」

 

「アルトリア……アルトリアぁ……っ!」

 

「はい……ますたぁ……♡♡♡ 私は、ここにおりますよ……♡♡♡」

 

 自分を求め、一心不乱に腰を動かすマスターを優しく抱きしめたアルトリアは、膣でも彼の事を優しく受け入れていた。

 女性として成長し柔らかく蕩けた媚肉は、男の欲望を受け止めるに相応しい質感と形状を誇っている……全身でマスターを受け入れるアルトリアは、今感じている悦びに表情を蕩けさせて喘いだ。

 

(こんなに……♡♡♡ マスターが、女としての私を求めて下さっている……♡♡♡ こんなに余裕のない姿を晒して、懸命に腰を振って、私を求めて……っ♡♡♡)

 

 生前の自分では、女としての在り方を捨てた自分では得られなかった幸せ。愛する人を受け入れると言う喜びを全身で感じるアルトリアは、その悦びに心を融かす。

 大きくなった乳房のお陰で彼を抱きしめる喜びを感じられる。膨らんだ臀部のお陰で彼の性の滾りを激しく受け入れられる。

 そして成熟した女性器は、彼の与えてくれる快感を存分に感じられる……自分を求めてくれる彼の思いに、全霊で応えることが出来るのだ。

 

「あぁっ♡ ますたぁっ♡♡♡ ますたあぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

「アルトリアっっ!!!」

 

 お互いがお互いを求める。一つになっただけでは足りないとばかりにもっと距離を縮めようとする。

 今ここに居るのはサーヴァントとマスターでも無ければ、騎士王とその主と言う訳でも無い。()()()()()、お互いを強く求め合う男女、それだけだ。

 

 肉棒を突き入れれば柔らかくそれを受け止め、何処までも沈みこんでしまいそうなアルトリアの膣の感触に快感を得たマスターは、必死になって達さぬ様に耐えた。まだ、もっと、彼女を感じていたいと言う思いのまま、絶頂を少しでも遅らせようと懸命に耐え続けている。

 彼に穿たれ、最大の弱点を擦られるアルトリアもまた、彼と同時に達したいが為に絶頂を耐え続けていた。痛みには慣れたこの体は、快楽にはまだまだ弱いらしい。耐えようと思っても喘ぎ声は止まらずに口から漏れ、食いしばろうとしている歯もカチカチと音を鳴らして震えるばかりだ。

 

「ひぐぅっ♡♡♡ あは~っ♡ はぁっ♡ はっ、はっ♡ あはぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 押し倒された体を激しく責められる。腕と脚を彼に絡ませ、自分の方へと強く抱き寄せる。

 彼の体が自分の体に沈み込む。自分の内部に潜り込んだ彼の一部が、もっと奥へ潜りたいと訴えながら出入りを繰り返している。

 

 脳が沸騰する。

 全身が快楽に蕩け切る。

 喜びと快感が全身を包む。

 

 これが女なのだと、アルトリアは思った。支配される訳でも無い、喰われ続けるだけでも無い、求められ、応える事が出来るのが女なのだと理解した。

 真の女の幸福は、雄に屈服することでは無い。全てを差し出し、成すが儘にされる事でもない。

 自分を求めてくれる人を、自分を愛してくれる男を、その全てを受け止められる事が女の幸せなのだとアルトリアは完全に理解した。

 

 戻れる訳が無い、こんな幸せを知ってしまったら。

 もう一度男として振舞おうだなんて思える訳が無い。この体で奉仕する悦びを知ってしまったら。

 戻ろうと思うはずが無い。自分の事を道具としてしか見ず、只の肉人形としてしか扱ってくれない存在の下になど、戻ろうと思えるはずが無い。

 

「きて、くださいっ♡ あなたのすべてを、私に受け止めさせてくださいぃっ♡♡♡」

 

 昂る感情のままにアルトリアは叫んだ。今はただ、彼の全てを受け止めたかった。

 歪で、裏切り者で、実際には存在しない自分を求めてくれる彼の思いに、女として応えてみたかった。

 

「アルトリアっ! アルトリアぁっっ!!!」

 

 彼に名前を呼ばれるだけで、自分の体は喜びに打ち震えてしまう。彼の思いを受けるだけで、この体は狂おしい程に彼を求めてしまう。

 自身の子宮が降り始めている事を感じたアルトリアは、体が準備を始めたのだと思った。それは絶頂の準備では無く、()()準備だと彼女は思った。

 

 VR世界の中で、それもサーヴァントとしての仮初の体で人の子など孕めるはずもない。かつてのモードレッドの様に特殊な魔術を施された訳でも無いのだ、それが当たり前だろう。

 しかし、アルトリアは分かっていた。もしも自分がただの女としてこの場に在ったなら、この射精で間違いなく彼の子を孕む事になるだろうと……。

 

 自分はそれを求めてしまっていた。愛する人の子を成すと言う女性としての最大級の幸福を感じてみたいと望んでしまっていた。

 ならばもう、その願いを受け入れるしかない。今この場に居るのは騎士王でもサーヴァントでも無い、彼に愛されることを望む只の女なのだから。

 

(くるっ♡♡♡ くるっっっ♡♡♡ くるぅぅぅぅぅっっ♡♡♡)

 

 肉棒がパンパンに膨らんでいる。竿も熱く滾り、律動はこの上なく激しい物になっている。

 媚び切った子宮は口を開いてマスターの亀頭を咥え込んだ。それが合図になったのか、マスターは大きく腰を突き入れて彼女たちの子宮を奥へと押し込む。

 やがて、爆発するかの様に己の興奮の全てを放出したマスターは、三倍の射精感を感じながら目の前の女性たちの体を抱きしめた。

 

『うあぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡』

 

『くひゅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡』

 

「あひぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 マスターの精が自分たちの子宮を埋め尽くす。その熱は最奥から全身へと広がり、確かな幸福感となって体を包み込む。

 びゅくびゅくと体の中に注がれる精液に対し、彼女たちの体は自然と反応を示していた。モードレッドは激しく、きつく。マシュは蕩け、甘える様に。アルトリアは優しく、包み込む様にして彼の逸物を締め付け、膣で精液を最後の一滴まで吐き出す様に強請っている。

 

(あぁ……♡ 染め上げられる……♡ 私たちの体が、彼の物に……♡)

 

(幸せと快感が全身に染み渡っている……♡ なんて甘く、蕩ける様な感覚なんでしょう……♡)

 

(もう、戻れねえよ……♡ こんなの教え込まれたら、戻れるはずがねえ……っ♡)

 

 精液に子宮を満たされ、激しい性交を終えた三人はぐったりと体を脱力させる。しかし、自分の内部に在る彼の一部の滾りを感じ、すぐに体に活力を漲らせた。

 

『マスターはまだ、満足してねえんだよな……?』

 

『なら、遠慮なく動いて下さい……私たちは、その為に居るのですから』

 

「最初に言ったでしょう? 時間無制限、あなたが満足するまで続けると……その言葉を嘘にするつもりは、私たちにはありませんので……!」

 

 気が付けば、口から蕩けた声を出して彼を次の性交へと誘っていた。同時にびくりと体の中で震えた逸物の感触に、彼女たちは淫靡に微笑む。

 まだこの幸せを感じられる……もっと、際限なく、女としての幸福を味わえる。その事を喜ぶ三人の女たちは、マスターに己が身の自由を委ね、そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああっ♡ んあぁっ♡ はぁぁ~~~っっ♡」

 

「……ああ、目覚めるのが少し遅かったですね……」

 

「んんっ……父上、ずりぃぞ……!」

 

 体を震わせる甘美な嬌声を耳にして目を覚ましたマシュとモードレッドは、自分たちの目の前でマスターと体を重ねているアルトリアの姿を見て残念そうな声を漏らした。

 どうやら自分たちが目覚めるよりも早く彼女は目を覚ましていたらしい。そして、同じく目を覚ましたマスターと一足早くセックスを始めていたと言う訳だ。

 

 VRゲームを終えた後、彼女たちは途方も無い体の昂ぶりを感じる。当然だ、ゲームの中で快楽を与えられたは良いが、現実世界では指一本触れられている訳では無い。しかし、心は興奮したままと言うこの矛盾が彼女たちを発情させてしまうのだ。

 そしてそれはなにもサーヴァントたちだけの話ではない。同じく何度も射精してすっきりしたはずのマスターもまた、現実に戻れば一度も射精していない本物の肉体の滾りを取り戻すことになってしまうのだ。

 発情し、興奮した雄の前には、同じく発情した魅力的な雌の肉体がある……この状態で次に何をするかなんて、考えるまでも無かった。

 

「んひぃぃっ♡ あぁっ♡ ふぁぁぁっっ♡」

 

 ゲームの世界と同じ様に彼に押し倒されたアルトリアは、正常位でのセックスで彼の肉棒を受け入れていた。がつがつと容赦なく自分を責め、その肉体を求めるマスターの姿に、アルトリアは再び女としての幸福を強く感じ始める。

 

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ ……なにか、くる……っ♡ わたしのしらないなにかが、からだのうちがわで、もえるぅ……っ♡」

 

 アルトリアは、何かが自分の中で起きようとしている事を察していた。それが何かであるかは分からないが、自分の中で何かが起きようとしている事だけは分かった。

 渦巻き、捻じれ、混じり合い……それが、形を成そうとしている。やがてがっちりと体の中でそれが噛み合った瞬間、アルトリアは自身の体の一部に起きた異変を感じて大声で叫んだ。

 

「むねがぁっ♡ おっぱい、はるぅっ♡ ぱんぱんになって、ずっしりしてますぅっ♡」

 

 巨大な乳房に感じる膨張感。内側に何かが溜まり、膨れ上がった様に感じる乳房が感度を上げて震えている。

 その快感とマスターとの性交で得られた快感に翻弄されたアルトリアは、そのまま体を仰け反らせて性の高みに上り詰めた。そして、喉も裂けんとばかりに絶叫する。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ で、でるぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 体を仰け反らせ、がくがくと痙攣するアルトリアの乳房が更に大きく震える。陥没している乳首は堂々とその存在を主張し、大きく勃起していた。

 アルトリアが絶頂したその瞬間、彼女の乳首から白い液体が放たれた。同時に感じた凄まじい開放感が快楽となってアルトリアを襲い、彼女は最初の絶頂から間を置かずして二度目の絶頂を迎えてしまう。

 

「はひぃぃぃぃっっ♡♡♡ おっぱいっ♡♡♡ でてぇっ……♡♡♡ ミルクっ♡ わたしが、母乳を……っ♡♡♡」

 

 アルトリアの豊かな乳房からは、甘い匂いを放つ母乳が噴き出ていた。マスターは彼女の膣に精を放ちながら両方の乳首に吸いつき、アルトリアの母乳を堪能する。

 

「んぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡ ますたぁがっ♡ わたひのおっぱいのんでるぅっ♡♡♡ お、おいしいれすか? きにいったのなら、もっとのんれくらさい……っ♡♡♡」

 

 彼の頭を抱きかかえ、自分の胸へと押し付ける。そうすれば、乳首の吸いつきは強くなり、より激しく自分の母乳を飲もうと彼が躍起になる。

 アルトリアは、自分が彼に孕まされてしまったのかもしれないと考え、その幸福に身を震わせた。実際は淫紋令呪の再臨が引き起こした新スキルの習得による現象なのだが、そんなことは気に留めずにアルトリアはこの幸せを甘受し続ける。

 

「ますたぁ♡♡♡ ますたぁ……♡♡♡」

 

 絶頂感と彼の精を受け止める幸福感、そして彼に母乳を飲まれていることから感じる射乳感に凄まじいまでの快楽を感じながら、アルトリアは甘えた声を出して自分の乳首に吸いつくマスターの頭を撫で続けていたのであった。

 

 




母乳生成A


今回アルトリアが身に付けたスキル。基本的にはナイチンゲールの物と同じだが、あちらが回復や活力を得ることに注力しているのに対し、こちらは味に特化している。
勿論、飲んだ者の体力を回復することは間違い無いが、その効果はナイチンゲールの物よりかは大きく劣る。しかし、その味と濃厚さは彼女の比では無く、美味しさならこっちの方が断然上である。
これは恐らく、アルトリアが女としての幸福を求めたが故の影響であると考えられる。愛する人の子を孕むと言う幸福を求めた結果、その段階を飛ばして次のプロセスへと辿り着いてしまったわけである。

ナイチンゲール同様に魔力を得れば自動的に生成されるが、彼女の物とは違ってマスターから与えられる魔力(精液)でしか母乳は生成されない。
しかし、魔術師としての適性を持つ上に、淫紋令呪の効果で強い魔力を持ち始め、更に底なしの性欲を持つ彼のせいで、一度性交をすれば暫くはMAXの状態から中々母乳が減少しない。しかも単純な生成量はこちらの方が上。とりあえず、アルトリアに搾乳機を渡すのは必須事項である。

ちなみにAはクラスのランクでは無くアルトリアの頭文字である。ナイチンゲールの物と区別する為に付けられたが、そこまで意味を成しているとは思えないとは彼女のマスターの言葉。




アルトリア・ペンドラゴン(ランサー) 淫紋令呪 第二再臨完了


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タイプ・ぬるぬる(ジャンヌ ジャンヌ・オルタ ジャンヌ・リリィ)

書いといてなんですけど触手成分薄目だな……もっと修練しよう


 カルデア特製海魔。製造元、ジル・ド・レェ。製作補助、レオナルド・ダ・ヴィンチちゃん。監修、マスター及び男性英霊多数。

 

 特性

 ・全身を循環する体液は女性英霊特攻の強力な媚薬。

 ・超極細の針を多数所持。そこから上記の媚薬を対象に注ぎ込む。

 ・体液を霧状にした息を吐き、近くにいるだけで女性を発情させる。

 ・牙、棘などの相手を傷つける器官は全排除。ただし、細やかな突起やイボはある。

 ・触手の数は大小合わせて百本程度。用途によって使い分ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……♡ はぁっ……♡」

 

「ふっ、あぁ……っ♡」

 

「は~っ♡ ふ~っ♡」

 

 暗い部屋の中、荒い呼吸を繰り返す女性が三人。よく見れば、彼女たちの四肢は後ろから何かに取り込まれており、身動きが出来ない様になっている。

 腕を大きく広げ、脚をM字に開脚させられる彼女たちは、海魔たちに注がれた媚薬の影響を受けて完全に発情している。全身を触手で責められる度、彼女たちの体は小さく跳ね上がった。

 

「あんっ♡ あぁ……っ♡」

 

 ジャンヌの大きな胸に蜷局を巻く様にして絡み付く触手。その先端には細いイボがいくつも付いており、胸の先端を包み込む様にしてジャンヌを責めている。

 たわわな胸を締め付ける様に触手が蠢き、乳首をイボが擦る。ジャンヌはじわじわと高められる胸への快感に涎を垂らして喘ぎ声をあげた。

 

「は、ぅ……♡」

 

 リリィの口には細かな触手とブラシ付きの触手が入り込んでいた。

 触手の先からは媚薬が噴き出し、リリィの口内へと注がれていく。それをブラシの触手が歯磨きをするかの様に口の中に擦り込ませ、リリィの感度を上昇させていた。

 

「んぉっ♡ ひぃっ♡ おひ、りぃっ♡♡♡」

 

 そしてオルタの尻穴には太い触手がみっちりと詰まっていた。アナルパールの様な丸が連なった形状をしているそれがオルタの尻穴を出入りし、快感を与えて来る。

 一際太い部分が肛門を弾いて外に飛び出す度、オルタの口からは低い唸り声が飛び出す。びくびくと体を震わせるオルタは、肛門を穿られる快感に舌を放り出して喘いだ。

 

「はんっ♡ んんぁぁっ♡」

 

「はひぃ♡ あぁぁぁ……っ♡」

 

「んおっ♡ お゛お゛お゛っっ♡♡♡」

 

 胸を、口を、尻を……敏感な部位を触手で責められるジャンヌ達は皆同じ様な表情をして喘いでいた。

 数多くの触手を器用に使い分けて三人のジャンヌを責める海魔たちは、更にその動きを激しくして彼女たちの体を昂らせる。徐々に敏感になって行く体の火照りを感じるジャンヌたちが何度目かの絶頂を迎えた時だった。

 

「ふふふ……! 気に入ってくれたみたいだね」

 

 部屋に光が差し、カルデアのマスターが姿を現した。彼の登場と共に海魔たちは動きを止め、ジャンヌたちもまた彼へと視線を注ぐ。

 自分に向けられる視線が蕩け、熱を帯びた物になっていることを感じ取ったマスターはニタリと笑うと指を鳴らして何かの合図を出した。

 

「ふえっ!?」

 

「ひあぁっ!?」

 

「んんっっ……♡♡♡」

 

 すると、海魔たちの口からねっとりとした体液が大量にジャンヌ達へと放たれた。全身に粘液を浴びたジャンヌ達は驚きの声を上げるが、すぐにその声は甘い物に変わる。この粘液もまた強力な媚薬であり、それを全身に浴びたジャンヌ達の感度は飛躍的に上昇してしまった。

 肌に触れる空気の流れすらも敏感に感じて身悶えする彼女たちの姿を見たマスターは微笑みながら近づくと、その粘液を三人の体に擦り込ませる様にして肌に触れる。

 

「あっ♡ あっ♡ あぁっ♡」

 

「とにゃかいひゃ、らめぇ……♡」

 

「う、あ……♡ からだ、あつぃ……っ♡」

 

 マスターの手が火照る体に触れ、その感度を更に高める。じわじわと逃げられない高みに追い詰められる彼女たちの体を海魔たちが再び責め始める。

 触手とマスターの手によって全身を揉み解されたジャンヌ達は、完全に発情した状態となって呆けた表情を晒していた。そんな彼女たちの頬を撫でたマスターの目の前で、小さな触手が彼女たちの秘裂を開く。

 

「あっ……♡♡♡」

 

 今まであえて触れられていなかったジャンヌ達の秘所が開かれた時、そこからは彼女たちの蜜が糸を引いてたっぷりと溢れ出て来た。

 全身を敏感にされながらも最も弱い部分に触れられなかった彼女たちは、性器が外気に触れた時の感覚に身を仰け反らせて喘ぐ。

 

「あひっ♡ ひぃっ♡」

 

「あ、あぁっ♡ しょんなぁっ♡」

 

「おまんこ、触れられてないのに、もう気持ち良い……っ♡ こんな、こんなのって……♡」

 

 ただ性器を開かれ、内部に空気が触れる状態にされているだけだと言うのにも関わらず、ジャンヌ達は達してしまうそうなほどの快感を感じていた。既に噴き出す愛液の量も増え、彼女たちの足元に水溜まりを作る程の量になっている。

 しかし、その快感は彼女たちの官能を満足させるものでは無かった。むしろその逆、圧倒的に足りない()()を想起させ、ジャンヌ達の興奮を煽るばかりだ。

 

「あ、あっ♡ おちんぽ♡ おちんぽぉっ♡」

 

「ほひぃ♡ おちんぽほひぃれす……♡」

 

「からだ、うずいて……♡ もう、がまんできない……っ♡」

 

 愛液を垂れ流し、発情した雌の表情となってマスターに語り掛ける三人。そんな彼女たちに向けてマスターは己の逸物を見せびらかす。

 雄々しく、猛々しく、重力に逆らう様に反り返ったそれを見たジャンヌ達は、ごくりと喉を鳴らして涎を飲み込んだ。

 

「ああっ……♡ くださいっ♡ 私のおまんこに、マスターのおちんぽくださいっ♡」

 

「ははっ! ジャンヌってば、我慢出来なくなっちゃったの? リリィたちよりも早く抜け駆けしたいんだ?」

 

「だって……♡ こんなに体を火照らされたら、我慢なんて出来る訳が無いじゃ無いですか……♡」

 

 マスターがジャンヌの頬に手を添え、瞳を覗き込みながら問いかける。うっとりとした声で返事を返す彼女の体の体にも手を伸ばしたマスターは、そのままジャンヌの柔らかい体を堪能するかの様に全身を弄った。

 

「はぁっ♡ ふぅんっ……♡」

 

 胸を揉み、腹の上から子宮を撫でる様なマスターの手の動きにジャンヌが甘い呻き声を漏らす。ねっとりとした媚薬ローションを全身に擦り込ませる様に手を動かすマスターは、それでもジャンヌの秘所には触れない様にしていた。

 全身に染み込む媚薬の感触、昂る体……ジンジンと体の芯が疼きながらも、その熱を冷ます為には最も熱く火照っている所を刺激して貰うしかない。

 ジャンヌは口の端から涎を垂らしただらしない表情を浮かべたまま腰を揺する。マスターに性交を強請る様に腰を動かしながら、彼女は蕩けた声のまま言った。

 

「はぁぁぁ……っ♡ お願いします、おちんぽくらさい……♡ スケベ汁垂れ流してるいやらしいジャンヌのまんこに、マスターのりっぱなちんぽのお恵みを下さい……♡」

 

「あ~あ、そんなにやらしい事を言っちゃって……! ジャンヌってば、本当にスケベになっちゃったよね」

 

「ご、ごめんなさい……スケベ性女で申し訳ありません……♡ でも、もう我慢出来ないから……お願いします、スケベまんこにおちんぽ下さいっ♡」

 

 起伏に富んだジャンヌの体。それがローションによって淫らに濡らされ、卑猥な光沢を放っている。

 膨らんだ胸も、硬く尖った乳首も、呼吸に合わせて震える腹も……全てがぬるぬるとした粘液を纏い、彼女のいやらしい体を一層淫らに装飾している。

 

 ふっくらとした女性器にも振りかけられていた粘液は、感度を高める目的と共にジャンヌの理性を溶かす役目も果たしていた。

 海魔の触手に力が籠められ、自らの脚が一際大きく広げられたことに驚いたジャンヌは短い悲鳴をあげるも、すぐに自分の脚の間にマスターが体を置いたことを見て瞳を潤ませる。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 マスターの亀頭が膣の入り口に触れた次の瞬間、ジャンヌは体を仰け反らせて自分の内部に侵入して来た肉棒の感触に絶叫していた。同時に触手たちが動き出し、マスターと共に彼女の体を激しく責めたてる。

 

 乳絞りでもするかの様に動く胸の触手は、ジャンヌの豊かな胸をぎゅっと締め付けながら敏感な乳首にも刺激を与えて来る。

 まるでボンレスハムの様になっている自分の胸を見たジャンヌは被虐心に悶え、ゾリゾリと乳首を擦るイボの感触に嬌声を上げた。

 

 アヌスも同じく、イボの付いた触手に責められる。奥を、入り口を、長い触手で同時に責められたジャンヌが普段の清楚さからは思いもつかない唸り声を上げる姿をマスターは楽し気に見つめていた。

 

「あひっ♡ ひぃぃっ♡ んへぇっ♡」

 

「ジャンヌ、良い顔してるね……! ほら、惚けてないで舌を出してよ」

 

「は、い……ましゅたぁ……♡」

 

 ぷるぷると震えながら口を開いたジャンヌは、その中にマスターの唇を受け入れてくぐもった悲鳴を上げる。ぬるぬる、ねっとりとしたキスを施されるジャンヌは全身を触手に愛撫される快感と共に意識を蕩けさせていた。

 

「は~っ♡ あ~っ……♡」

 

 膣、口、アナル。三か所の穴を責められるジャンヌの体は快感の出口を失っていた。

 体の中で渦巻く快感は徐々に大きく、激しい物になっている。だが、マスターはそれを解放することを許してはくれない。もっと大きく、強くなれとばかりに腰を動かして彼女を責め立てるばかりだ。

 

「あぎぃっ♡ おか、おかひくなるぅっ♡ ぜんしんぬるぬるにされて、おまんこもおしりもぐちゅぐちゅにされて、おかひくなってしまいますぅっ♡」

 

 全身を襲うとてつもない快感に身悶えするジャンヌであったが、触手に体を拘束されている状況では何のアクションも起こせる訳が無かった。ただひたすらにマスターに弄ばれる中出来ることと言えば、時折解放される口で喘ぎ声を上げること位だ。

 宙に浮く体に、腰に叩き付けられるマスターの体。バスンッ、バスンッ! と音が鳴る程の激しさで奥へと肉棒を押し込まれれば、ジャンヌの喘ぎ声は更に大きくなる。

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ あへっ♡ へあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ おほぉぉぉっ♡♡♡ ほぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 マスターはジャンヌとのキスを止めると膣を責める腰の動きに集中し始めた。同時にアナルを責める触手もまた激しく蠢いて尻穴を穿る。

 前と後ろ、両方の穴を貫かれるジャンヌはもう体を痙攣させて喘ぐ事しか出来なかった。膣に与えられる激しい快感に震え、アヌスに与えられる鈍い快感に呻く。それがジャンヌの出来る精一杯だ。

 

「んえぇぇぇぇぇぇっっ♡ もうだめっ♡♡♡ だめぇぇぇっっ♡♡♡ イクっ♡ いぐいぐいぐぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 絶頂の寸前、ジャンヌの尻穴の中に触手から粘液が注がれる。媚薬効果を持つそれを腸内にぶちまけられ、瞬時に吸収してしまったジャンヌは最大級まで全身の感度を跳ね上げた。

 そして同時にマスターの肉棒に子宮を叩きのめされる。奥へ、もっと奥へと言わんばかりに押し上げられた子宮が快感の波動を放ち、一気に脳天まで辿り着く快楽を味合わせて来た。

 

「ひあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 一度、体を仰け反らせて叫ぶ。絶頂まで登り詰め、降りて来られない状況にされる。

 

 二度目、口から舌が飛び出す。ピンと伸びた舌が、脚が、そのまま硬直しながら細かな痙攣を続ける。

 

 そして三度、伸び上がり、硬直しきった体を再び突かれたジャンヌは、絶頂の更に上へと押し上げられて壊れた様な叫びを上げた。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」 

 

 がくりと、体から力が抜ける。肉棒が抜け、栓が開放された膣から滝の様に愛液が零れ出る。

 アヌスからも触手が抜け、たっぷりと放たれた粘液が下品な音を響かせながらジャンヌの肛門から噴き出した。放屁の音に近しい音を響かせるジャンヌの体を、マスターがそっと撫でる。

 

「良かった、気に入ってくれたみたいだね……! 俺もジルも頑張ったから、良い反応を見れて嬉しいよ」

 

「あ、あ、あ……♡ あひぃっ♡」

 

「……でも、一人で先にイっちゃった事はおしおきしないとね。海魔に可愛がってもらってね、ジャンヌ」

 

「まひゅ、まひゅたぁっ♡ らめらめらめっ♡ らめ~~~~っっ♡♡♡」

 

 再び全身を責める海魔の触手に嬌声を上げるジャンヌ。今度は膣にまで触手を潜り込まされ、激しく掻き回されている。

 おしおきと称した性的な責めを受けるジャンヌは体を痙攣させながら降りられない興奮の頂へと押し上げられてしまった。そんな彼女を横目に見ながら、今度はリリィが口を開く。

 

「トナカイ、さん……♡ くらさい……♡ わたしにもおちんぽ、ください……♡」

 

 ぷしゅぷしゅと愛液と尿の混合液を股座から放ちながら懇願したリリィは、鼻息も荒く小さな体を揺らしていた。

 未来の自分の痴態を見せつけられて彼女も興奮してしまったのだろう。既に粘液で淫らにテカっている幼い体は、彼女の年齢とは不相応ないやらしさを放っていた。

 

「ふふっ、良いよ。でも、一人でイったらジャンヌと同じくおしおきだからね?」

 

「は、はい……♡ わかりまひた……っ♡」

 

 真横で絶叫にも近しい喘ぎ声を上げるジャンヌの姿を見たリリィであったが、それよりも途方も無いこの興奮を鎮めることを選択したリリィはマスターへと小さく頷いた。

 そんな彼女の姿を見たマスターはニヤリと笑うと彼女の秘裂に分身の先を宛がい、そして……

 

「はへぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

「……はい、おしおきね」

 

 一息に奥まで肉棒を突き入れ、彼女を絶頂させた。

 嗜虐的な笑みを浮かべるマスターは、既に絶頂したリリィの膣を激しく突き上げる。身動きの出来ないリリィを存分に責めるマスターは、彼女の喘ぎ声をBGMにセックスを続けた。

 

「あひぃぃぃっ♡♡♡ んはぁぁぁぁぁっ♡♡♡ ほへぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 バキバキに勃起した肉棒が、自分の小さな膣内で暴れている。リリィは横で喘いでいるジャンヌとそっくりのアヘ顔を晒し、快感に打ち震えていた。

 太い幹が腹の中で存在を主張し、反り返ったカリ首がヒダの一枚一枚を擦って外に飛び出す。一回のピストンで絶頂してしまう自分の体を制御出来ないまま喘ぐしかない。

 しかも責められているのは膣だけでは無い。海魔の触手が胸やアナルを責めて来ているのだ。全身を襲う快感を前に、リリィは何の抵抗も出来ずに彼の成すが儘にされてしまっていた。

 

「むりぃぃっ♡♡♡ もうむりれすからぁっ♡♡♡ とにゃかいさん、やめへぇぇっっ♡♡♡」

 

「駄目だよ、リリィ。ちゃんと了解したじゃないか、一人でイったらおしおきだって……約束を破るのはいけない事なんだよ?」

 

「んほへぇぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 口では優しくリリィを諭しながら、マスターは凶悪な肉棒で彼女の体を責め続けていた。優しい顔した悪魔とは、今の彼の事を指すのだろう。

 ごりごりと膣を削られ、今にも爆発しそうな快感の塊を体の中に生み出され……リリィは、最後に大きな声で叫ぶと脚をぴーんと伸ばしたまま絶頂した。

 

「いきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 二度目の光景、ジャンヌの再現……膣から愛液の滝を、尻穴から粘液の間欠泉を噴き出すリリィは、絶頂の余韻に体を浸らせるとアヘ顔を晒して体をビクビクと痙攣させた。

 だが、そんな余裕を彼女に与えるマスターではない。あっという間に海魔の触手に包まれたリリィは再び嬌声を上げるだけの存在へと成り果て、幼い肢体を弄られ続けて快感を享受し始めた。

 

「これで二人っと……さて、最後は……」

 

「……私、でしょ……早く来てよ、マスター……♡」

 

 二人の聖女を肉欲の虜としたマスターは満足げに微笑んだ後で残る最後の一人へと視線を送った。他の二人同様に快楽に蕩けた表情を見せるオルタの姿に気を良くした後、マスターは彼女の体にそっと触れる。

 

「あっ♡ んんっ……♡ そんなんじゃ無くて、ちんぽ頂戴……♡ アンタを、感じたいの……♡」

 

 熱を帯び、甘く蕩けたオルタの声。命令形では無く強請る様な彼女の言葉はマスターの興奮を大きく煽った。

 気が強いジャンヌ・オルタがここまで甘い表情を晒している。快楽に浸り、自分を求めていやらしい姿を見せつけている……魅力的な女体を持つ彼女の痴態を前にして、男であるマスターが興奮しない訳が無かった。

 

「……分かってるよね、オルタ?」

 

「先にイったらおしおきでしょ? 分かってるから、はやくぅ……♡」

 

「良いお返事だ。それじゃあ……っ!」

 

「ふぅんっ♡♡♡」

 

 リリィの時と同じ様に挿入と同時にオルタを達させようとしたマスターは、一息に彼女の奥まで肉棒を叩き込む。その一突きを受けたオルタは全身を激しく震わせるも、ギリギリでイク事は耐えた様だ。

 しかし、その表情と熱を帯びた体の様子を見るに絶頂するのは時間の問題……そう考えたマスターはオルタの腰をがっしりと掴むと激しいピストンを繰り出して彼女を責め立てた。

 

「ひぃぃっ♡♡♡ あはぁぁっっ♡♡♡ んあぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 マスターは肉棒を激しく動かしてオルタの膣内を責める。膨らんで来たGスポットを責め、降りて来た子宮を奥へと押し上げ、こりこりになったボルチオを突く。その挙動一つ一つにオルタは潮を噴き、快感に喘いで身を震わせていた。

 だが、それでもオルタは絶頂しない。必死になってイク事を耐える彼女を正直見くびっていたマスターは、素直な賞賛の言葉を投げかけながらオルタの体を責め立てた。

 

「オルタ、頑張るねぇ……! もうとっくにイってる頃だと思ったんだけどな」

 

「とうっ、ぜん、じゃない……♡ 私を、甘く見るんじゃないわよ……っ♡」

 

「ふふっ! オルタは負けず嫌いだからなぁ……一方的にイかされるのがそんなに嫌なの?」

 

 少しばかりの悪戯心と共にマスターはオルタにそう問いかけた。意地っ張りな彼女の事だ、自分に好き勝手されるのが嫌なのだろう。

 だが、オルタが口にしたのはそんなマスターの思いを裏切る予想外の返答であった。

 

「それもある、けど……そうじゃなくって……」

 

「ん? なぁに?」

 

「……じゃない」

 

 ぼそぼそと恥ずかしそうに何事かを呟くオルタの口元に耳を寄せるマスター。オルタは、そんな彼に向けて顔を真っ赤にしながら自分が耐える理由を呟く。

 

「あ、アンタに気持ち良くなって欲しいから……私たちばっかり感じて、アンタがイけないなんて嫌じゃない……♡」

 

「え……!?」

 

「……一緒に気持ち良くなりたいって言ってんのよ、馬鹿マスター……っ♡」

 

 最後はやけくそ気味に吐き捨てたオルタは、そのままマスターの唇を奪うと彼の口の中に舌を潜り込ませた。彼女の予想外の行動に面食らうマスターであったが、同時に肉棒もオルタの献身を感じ始めていた。

 

 子宮は今まで感じたことの無い程に降りて来ており、自分の亀頭にキスをする様に吸いついている。ちゅう、ちゅう♡ と音が鳴っているのではないかと思う程、その吸いつきは甘く切なかった。

 膣内もまた肉棒に甘える様にして絡んで来ていた。柔らかく、それでいてきつくマスターの分身を締め付ける膣壁は、オルタの温もりをはっきりとマスターに伝えて来る。

 

「アンタが、イクまで……耐えてみせるから……っ♡ だから、アンタの熱いザーメン、全部私に頂戴……♡ 一緒にイきましょう、マスター……♡」

 

「ああ、うん……そうだね、オルタ……!」

 

 オルタの熱が、マスターに伝播する。彼の興奮は即座に肉棒に伝わり、それを包み込むオルタにも伝わった。

 マスターは腰の動かし方を変えて丁寧にオルタの膣を擦った。一方的に彼女を感じさせるやり方では無く、共に快感を分かち合う動かし方……一緒に達したいと言うオルタの願いを叶える為に尽力するマスターの肉棒を受け止めるオルタもまた、甘い声で鳴きながら腰を振る。

 

「はぁっ……♡ あぁっ……♡」

 

 乳首、胸、アナル……全てを責める触手の動きも、ギリギリでオルタを絶頂させない物に変わっていた。最高に気持ち良いが、あと僅かに何かが足りないと思わせるその動き……残りの1ピースを埋められるのはマスターだけだと知るオルタは、体をじゅくじゅくに熟れさせながら彼の欲望を受け止め続ける。

 

 触手が胸を絞り上げる。イボが乳首を抓ってそこをねじる。アヌスからは突起の付いた触手が引き抜かれ、排泄感を伴う快感をオルタへと与えていた。

 最高の快感、頭が真っ白になりながらもあともう少し足りない……子宮が疼き、その僅かに足りない快楽を求めて口を開いた瞬間、彼女の奥へと肉棒が叩き込まれた。

 

「~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 トン、と言う軽い衝撃だった。

 ズシン、と言う重い衝動だった。

 

 そのどちらをも感じたマスターのピストンは、オルタの子宮を軽く押し込んでがっちりとその位置で固定される。オルタの膣は、そんな彼の肉棒を優しく強く包み込んだ。

 開いた子宮口が亀頭に吸いつく。それが合図だったかの様に子宮が激しい痙攣を始める。

 準備は整った、そう言わんばかりの体勢を整えたオルタの膣が逸物を咥え込むと同時に……オルタは、部屋中に響く大声を出して絶頂した。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あぁ~~~~~~~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 体を仰け反らせ喘ぎ続けるオルタは、一つになっている彼の一部から何かがせり上がって来る事を感じていた。

 肉棒の根元から湧き上がる熱。それが自分の方へと昇って、向かって来る。彼の興奮を感じる膣も、肉棒の根元から痙攣してそれを引き上げる様に上へと震えを走らせている。

 やがて……ほんの一瞬の間の出来事ではあったが、がっぷりと咥え込んだ肉棒から白く熱い精液が放たれた時、オルタはその興奮に子宮と脳天を焼かれて本能のままに叫んだ。

 

「あづいぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ おまんこ、もえるぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ ますたぁのざーめん、ぷりっぷりであちゅいのぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「とまらにゃいっっ♡♡♡ おまんこイクのとまらないぃぃぃっ♡♡♡ イキまんこふるえてっ♡♡♡ しきゅうがあかちゃんみたいにちんぽにすいついてるっ♡♡♡ ちゅーちゅーしてるぅっ♡♡♡」

 

「ああっ♡♡♡ はらむっ♡♡♡ サーヴァントなのにはらんじゃうっ……♡♡♡ こんなにいきのいいざーめんそそがれたら、はらんでしまう……っ♡♡♡ ますたぁのあかちゃん、できちゃう……♡♡♡」

 

 うわ言の様に叫びながら、オルタの膣はマスターの精液の最後の一滴まで飲み干そうと必死になって動いていた。マスターもその動きに快く合わせ、己の欲望を最後まで注ぎ込む。

 たっぷりと種付けされたオルタは幸せそうな表情を浮かべて彼に抱かれた。未だに硬い肉棒の感触を感じながら、オルタはマスターの甘い囁きを耳にする。

 

「……すっごく良かったよ、オルタ。これは、ご褒美を上げないとね……!」

 

「はぁっ……♡ ご褒、美……?」

 

「そうだよ。オルタは何をして欲しいのかな?」

 

「あ、はぁ……♡♡♡ それじゃあ……っ♡♡♡」

 

 蕩けた笑みを浮かべたオルタの意思を読み取ったかの様に触手が蠢く。四肢に絡みついた触手はそのままに、彼女の体を前後反転させて尻をマスターに向ける姿勢を取らせた後、触手はぷりんっ♡ と丸い桃の様なオルタの尻を強調するかの様に伸び、その中央の窄まりを広げた。

 

「今度は、こっちに頂戴……♡♡♡ ドロッドロのザーメン、けつまんこにも欲しいの……♡♡♡」

 

「ああ、良いよ。たっぷり射精()してあげるからね……っ!」

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 ごりっ、と言う鈍い音。尻穴にマスターの肉棒が入り込むと同時に、収縮した膣に一本の触手が潜り込む。

 その触手はぴっちりとオルタの子宮を封じ込め、そこに注がれたマスターの精液が漏れない様に栓をした。そのまま触手は動くことは無かったが……その行動が、オルタの女としての本能を激しく刺激した。

 

(ああっ♡ すごいっ♡ マスターの精液、子宮の中でたぽたぽしてる……っ♡ とっても熱くって、ドロドロしてる……♡♡♡)

 

 子宮の中に溜まっている精液の感触はオルタにははっきりと感じられた。今日の一番搾り、最も濃くて熱い精液がなみなみと注がれた子宮は、女の悦びに悶え打ち震えている。

 膣が締まっている事で、尻穴に挿入されているマスターの肉棒の感触もより強く感じられた。突き入れる時は尻から子宮を刺激する様に突き、引き抜く時は肛門を弾きながら抜け落ちる肉棒はアナルセックスの醍醐味を存分に味合わせてくれている。

 

(すごいっ♡ すごすぎるっ♡ ご褒美アナルセックスでケツアクメとまらないっ♡ 子宮とお尻を刺激されて、イクのが止まらなくなってるっ♡)

 

 むっちりとした自分の尻が彼の腰を受け止める度に子宮に注がれた精液が存在を主張する。

 これこそが、お前の望んでいた物だろうと言うその訴えをオルタは無意識の内に肯定していた。

 

 彼の肉棒が尻穴から引き抜かれる度に自分の(ケツ)が別れを惜しむ様にいやいやと震える。離れたくないと臀部全体が涙を流して叫んでいる。

 もっと穿って、もっと引き抜いて、もっと叩いて、もっと愛して……そんな主張を尻を振って表現するオルタは、彼がもう一度自分の尻穴へと腰を突き出してくれる度に喜びの叫びを上げて喘ぐ。その瞳には、快楽とマスターへの愛以外は映っていなかった。

 

(マスターちんぽすごいぃっ♡ ジルの作った海魔すごいぃっ♡ 全身ヌルヌルにされて、マスターに抱きしめられて……触手でおっぱい絞られるのも、穴を穿られるのも良いのぉっ♡♡♡)

 

 内部に注がれた媚薬体液が、表皮に擦り込まれた媚薬粘液が、オルタの官能を高める。呼吸する度に海魔の吐く息を吸い込み、その中に含まれる媚薬が彼女の体を更に敏感にしていた。

 今のオルタは体の全て、内外全部でマスターを感じていた。抱きしめてくれる彼の逞しい体も、腸内を穿る雄々しい肉棒も、そして子宮に注ぎ込まれた熱い精液もいつも以上の敏感さで感じ取ることが出来る。

 

(わかるっ、わかるぅぅっ♡ こいつの精液が私の体に……ううんっ♡ 私の霊基が、こいつのザーメンに馴染んで来てるぅっ♡)

 

 それは奇妙であり、当然の現象であった。精液と共に注がれた魔力を充填するジャンヌ・オルタの霊基が、その魔力補充の効率を高めるべく彼の精液に順応し始めたのだ。

 普通、サーヴァントは特定の誰かからの魔力供給の効率を高めたりはしない。召喚され、役目が終われば消滅するサーヴァントが、そんな能力を得ても意味が無いし、毎回主は変わるからだ。

 だが、今のオルタにはそんな理屈は通用しない。彼女にとって、自分を抱く男性は特別な存在だからだ。

 

 今、自分を抱くのは、一度は全力で戦い、自分を打ち倒した男。その後、数奇な運命を辿り、共に人類の為に戦う様になった男。

 自分の様な変わり種に信頼を置き、人の温かさを教えてくれた男。いつしか自分も彼の傍では温もりを感じ始め、意識する様になった男。

 彼は戦いに敗れ、彼を裏切った自分を闇の中から救い出し、かつてと何も変わらない信頼を送ってくれている……今もまた、深い愛情と快楽を自分に与え、満足させてくれているのだ。

 

(くるっ♡ なんかきちゃうっ♡ 感じたことの無い凄いのが、私の中から湧き上がってくるぅっ♡)

 

 オルタの体が仄かな光に包まれる。彼女の髪と同じ銀とマスターの手に刻まれている令呪と同じ赤、二色の光を交互に放つ彼女の体に異変が起き始める。

 徐々に彼女の髪が伸び、美しい銀色の髪が腰を覆うまでの長さになったのだ。同時に淫紋令呪が輝き、彼女の霊基が強固になった事を知らしめる。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ 再臨しながらのセックスしゅごいっ♡♡♡ ケツマンコ灼ける~~~っっ♡♡♡」

 

 体の感度が跳ね上がって行くことを感じながらのセックス。オルタの頭の中では電撃と共に火花が弾け飛び、彼女の理性を焼失させた。

 より美しく、そして貪り甲斐のある体になったジャンヌ・オルタは、触手に体を絡め捕られながらも尻をマスターの腰へと打ち付ける。もっと深く、もっと快感を分け合いたいと願いながらオルタは腰を振り続けた。

 

「ましゅたぁっ♡ しゅきぃっ♡♡♡ 私は貴方のものだからぁっ♡♡♡ 一生……ううん、煉獄に落ちて魂だけになっても、こうやって全身好きにしてぇっ♡♡♡ おまんこもけつまんこも、全部貴方だけの物だって誓うからぁっ♡♡♡」

 

 尻を強く打たれる。腰が激しくぶつかり、興奮のままに律動を刻む。

 普段は絶対に言えない本心を叫ぶオルタは、尻穴に熱い衝動が注ぎ込まれることを予感して歯を食いしばる。そして、予感通りに注ぎ込まれた灼熱の精液の感触に声を大にして叫んだ。

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡ おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ ほひぃっ♡♡♡ おほっひぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 腸内を埋め尽くすほどの精液を注ぎ込まれたオルタは、下品な唸り声を出して喘いだ。長い射精が終わった後、マスターが腰を引けばすぐに彼女のアナルには触手が潜り込む。

 

「あ、あ……♡♡♡ おまんことぉ♡ おひりでぇ♡ ましゅたぁのざーめんつけこんでるぅ……♡♡♡ だいしゅきなますたぁのざーめんたっぷりあじわうから、そのまませんをしてて……♡♡♡」

 

 海魔にそう囁くオルタの表情は恋に浮かれる乙女の表情そのものだった。マスターは、彼女のその言葉通りに自分の精液を味わうオルタを放置すると、おしおきを続けられるジャンヌとリリィの元へと向かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 約一時間後、二人を楽しませたマスターがオルタの双穴を塞ぐ触手を引き抜くと、そこからは何も溢れて来なかった。半透明の愛液と腸液は溢れて来たが、たっぷりと注いだ自分の精液は溢れて来なかった。

 そう……オルタの霊基は、彼の精液を味わい尽くして一滴残らず魔力に変換してしまったのだ。恐るべき魔力効率とマスターへの思いを見せつけたオルタは、湯気を立ち上らせる二つの穴を見せびらかしながらマスターへとこう言った。

 

「ねえ、もっと頂戴……♡♡♡ アンタを感じさせて、美味しい精液(ザーメン)味合わせてよ♡ ま・す・た・あ……♡♡♡」

 

 

 

 

 





ジャンヌ・ダルク・オルタ 淫紋令呪第二再臨完了
新スキル 『魔力補充EX』習得




魔力補充EX


今回ジャンヌ・オルタが習得したスキル。一回の魔力供給における効率を飛躍的に高め、戦闘時におけるNPの回収量も大きく跳ね上げる。
戦闘時の効果は常時発動しているが、セックスの際の効果は相手がカルデアのマスターでないと発動しない。これは、彼女の霊基がカルデアのマスターの魔力(精液)に完全に順応した証拠である。

第一再臨時に習得した『黒き愛情』との相乗効果により、凶悪かつ恐ろしいまでの戦闘能力を誇る様になった。
(マスターから与えられる魔力量に応じてBastardカードの性能が上がる効果+マスターからの魔力供給が飛躍的に上昇すると言う噛み合い過ぎているスキルの組み合わせ)

なお、彼女の体内(膣、腸内、口内)に射精した場合、そのまま放置しておくとその全てを魔力として還元してしまう。
これはマスターの精液が彼女に順応したのではなく、彼女の霊基がマスターの精液に順応した影響であると考えられる。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

治療兼セックス(ナイチンゲール)

 

「私とセックスしましょう」

 

「は……?」

 

 ナイチンゲールの言葉を受けたマスターは素っ頓狂な声を上げた。唐突なその言葉に驚いたのは勿論だが、それ以上に何故そんな話になったのかがわからないからだ。

 

 本日、マスターは謎の体調不良を感じて医務室に検査を受けに来ていた。と言っても、微妙に気怠いと言うだけで体に大した異変があった訳では無いのだが、些細な違和感でも一大事に繋がる可能性があると言うDr,ロマンの言葉に従って念のためにやって来たと言うのが真相だが。

 医療スタッフによる問診と様々な機材による検査を受けたマスターであったが、特に体に異変が見当たる訳では無かった。やはり体力を消耗したことによる一時的な倦怠感であると結論付けたマスターであったが、最後に診察を行ったナイチンゲールからの予想外の一言を受けて冒頭に戻ると言う訳だ。

 

「え? いや、別に構わないけど……何で?」

 

「無論、治療の為です。詳しい説明はセックスをしながら行いますので、服を脱いでください」

 

「え、あ、はぁ……?」

 

 かなり強引なナイチンゲールに従うマスター。別段、彼女とのセックスが嫌な訳では無いのでそれは良いのだが、心配なのはナイチンゲールの底なしの性欲だ。

 文字通り搾り取られて再起不能になる可能性を考えると怖いが、それは自分にはどうする事も出来ないので彼女の良心に期待するしか無いとマスターは思った。

 

「マスター、準備は出来ましたか?」

 

「ああ、うん。出来たよ……っっ!?」

 

 少しだけ憂鬱な気分になりながらもナイチンゲールの言葉を受けて彼女の方向へと振り返ったマスターは、今の彼女の姿を見て絶句した。

 ナイチンゲールはいつの間にやら着替えており、蛍光色のナース服とも呼べない露出の激しい格好になっていたのだ。その姿に見覚えがあるマスターは、脳裏にある映像を思い浮かべて息を飲む。

 

 概念礼装『トリック・オア・トリートメント』……カルデアの特別動画投稿サイトにアップされていた同名の映像では、まったく同じ格好をしたナイチンゲールが多数のカルデアの職員と乱交に興じている姿が記録されていた。

 普段の彼女が絶対にしないであろう露出の激しい仮装。いやらしいを体現したかの様なそのコスプレを身に纏い、男たちの放った白濁に溺れる彼女の姿を思い出したマスターは、自分の中の雄の律動が疼き始めた事を感じる。

 

「ふふっ……♡ 気に入って貰えた様ですね。では、始めましょうか……♡」

 

 早くも声に熱を帯びさせたナイチンゲールは、早速マスターの勃ち始めている肉棒へと手を伸ばす。

 素手とは違うゴム手袋の感触に包まれて悶絶するマスターは、更にそこから肉棒を扱き始めたナイチンゲールの奉仕を受けて表情を歪ませた。

 

「うっ、くぅっ……!!」

 

「……さて、では説明を開始しましょうか。何故私がこの様な治療をしているかというと……それは恐らく、あなたの不調の原因が欲求不満にあるからだと考えたからです」

 

「えっ……!? い、いや! ありえないでしょ!? 今のカルデアの状況で俺が欲求不満!?」

 

 ナイチンゲールの頓珍漢な推察を聞いたマスターは最初に上げた声とほとんど同じ素っ頓狂な叫びを上げた。それほどに彼女の言う事が理解出来なかったのだ。

 淫紋令呪を刻まれたサーヴァントたちの相手をする毎日を送るマスターは、誇張無しに毎日女性たちと体を重ねている。正直きついと思わない訳では無いが、役得だと言う思いと何より大切な彼女たちの為と思えばそう苦労をしているとも思わなかった。

 毎晩性欲を発散し、俗に言うお楽しみな日々を過ごしている自分が欲求不満であるはずが無い。だが、ナイチンゲールは手コキを続けながら大真面目に自分の考えを述べる。

 

「マスターがそう考えるのも無理はないでしょうが、実際あなたは欲求不満なのだと私は思います。その証拠に、あなたは毎晩女性の相手が出来ている。性交に満足しているのなら、これは明らかにおかしいでしょう」

 

「あ……」

 

 ナイチンゲールにその事実を指摘されたマスターは、初めてその異常さに気が付いた。

 そうなのだ。本当にサーヴァントたちとのセックスに満足したのなら、連日続けて彼女たちの相手が出来る訳が無いのだ。

 いくら淫紋令呪の効果で強化されたとは言え、彼はただの人間だ。それが、人知を超えた身体能力を持つサーヴァントを相手に毎晩腰を振れる訳が無い。

 しかし、現に今彼はそれが出来ている……その事実から考えるに、マスターは毎晩のセックスに満足してはいないと言う結論が導き出されるのだ。

 

「で、でも! 俺は皆とのセックスに不満があるわけじゃ……」

 

「それもわかっています。あなたは嘘のつけない性格をしていますからね。……そこから考えるに、その優しさと淫紋令呪による成長があなたの体調不良の原因だと推察されるのです」

 

「ど、どう言う意味?」

 

「あくまで私の仮説ですが……あなたは、女性サーヴァントたちとの縁を復活させる度に淫紋令呪の強化を受けることになる。そして、彼女たちが力を付ける毎に更に強化を施されることになります。その強化には精力も含まれている……ならば、あなたは自分でも気が付かない間にとんでもない精剛になっているのでしょう」

 

「せ、精剛……!?」

 

「女性たちを抱き、その都度彼女たちの力を高めていく中であなたの精力も強まって行く……自分では満足していると思っても、実際はあなたは完全に満足していないのですよ」

 

「そ、そんなことって……」

 

 やや茫然としながら首を振るマスターであったが、決してその仮説に心当たりがない訳では無かった。確かにナイチンゲールの言う通りかもしれない。

 こうやって考えてみれば、ただの人間である自分がサーヴァントを相手に上位でセックスが出来る事自体がおかしいのだ。彼女たちが淫紋令呪の効果で感じやすくなっているとは言え、毎回圧倒してしまうのは確かにおかしい。

 それもデミ・サーヴァントであるマシュや、本来の力を失っているモードレッドの様な相手ならばまだしも、底なしの性欲を誇るタマモキャットや、強力な英霊であるアルトリアを相手に彼女たちが気を失うまでセックスを続けられるのだから、自分はどこか狂ったレベルにまで性欲が高まっているのであろうとマスターは思う。

 そして、自分はセックスの中で気を失ってしまったサーヴァントたちを無理矢理起こして相手をさせる様な真似はしない。基本的には、彼女たちが満足したと判断した時点でセックスは終わりとなる。

 自分も気持ちが良かったからそれで良しとしていたが、今その淀みがこうやって表面化してしまったとなるとそれに対する対抗策も考えなければならなくなってしまった。

 

「……その問題を手っ取り早く解決するには、あなたが満足するまでセックスをすれば良い。しかし、あなたは鬼畜を演じることは出来ても心の底から鬼畜にはなりきれません。限界を迎えたサーヴァントたちに無理やり相手をさせることが、あなたに出来ますか?」

 

「無理……だと思う」

 

「私も同意見です。そうなると次に現実的なのは、人数でカバーしつつあなたの性欲を満足させることですが……あなたは、毎晩のセックスで満足しきれないからお前たち全員で相手しろと彼女たちに言えますか?」

 

「……無理」

 

 その言葉を聞いた女性たちがどれほど傷つくか想像したマスターは顔を青くしてぶんぶんと首を振った。サーヴァントたちも人間、そんなぞんざいな扱いはしたくないし、彼女たちのプライドを傷つける様な真似もしたくない。

 

「であるならば、問題の解決に必要なのは『一人であなたが満足行くまで相手が出来るサーヴァント』と言うことになります。さて、最後の質問です。今のカルデアにその条件を満たしているサーヴァントは何人いますか?」

 

 考えるまでもない。今、マスターと体を重ねているサーヴァントたちの中ではそれを満たせる相手はいないだろう。残るはクー・フーリンかロビンフッドと契約しているサーヴァントだが……それも無理だ。

 エリザベートは勿論、スカサハも現在は霊基が育ちきってはいない。性経験が豊富な彼女ならばその条件を満たせる可能性が高いだけに非常に惜しい所だ。

 となると……もう、残るは一人だけだ。マスターは少しだけ俯きながら、目の前の女性に答える。

 

「婦長だけです……」

 

「結構、良く分かっている様ですね」

 

 マスターの返事に頷いたナイチンゲールは彼をベッドに座らせると自らの大きな乳房で彼の陰茎を挟み込んだ。そのまま涎を胸に垂らして潤滑油にすると、手慣れた動きでパイズリ奉仕を始める。

 最初は優しく、徐々に激しく乳房を揺らすナイチンゲールは、ぬちゃぬちゃと言う淫らな水音を胸の谷間から響かせながらパイズリを続ける。表情一つ変えずに胸を揺らす彼女を見たマスターは、思わずこう問いかけた。

 

「でも、婦長は良いの? カルデアの職員の相手をする上に、俺の性欲発散まで手伝うなんてキツくない?」

 

「私に気遣いは無用です。看護師が患者の回復の為に尽力するのは当然の事……そこに気を回すのならば、自らの体調不良を治す事に集中してください」

 

「ううっ……!?」

 

 マスターの問いかけにそう答えるや否や、ナイチンゲールは胸の谷間から飛び出している彼の亀頭に唇を這わせた。舌で先っぽを舐め、カリ首までをも舐め取る彼女の舌使いに悶えるマスターは、肉棒をいっそう滾らせてその奉仕に応える。

 

「……それに、私も自分で納得してこう言う事を行っています。マスターは、私が誰彼構わず体を重ねるふしだらな女だとお思いですか?」

 

「え……?」

 

 亀頭を口に含み、ちゅぽんっ♡ と音を立てて吸った後でそれを吐き出したナイチンゲールは、上目遣いでマスターにそう尋ねた。

 淫らな服装に身を包んだナイチンゲールの上目遣いに心臓を高鳴らせたマスターに向け、ナイチンゲールは自分の思いを告げる。

 

「今の私に言われても説得力は無いでしょうが、私も一人の女としての矜持があります。自分が認めた男性以外と体を重ねるつもりはありません」

 

 真剣な表情のまま乳房でマスターの肉棒を扱くナイチンゲールは、切実な思いを彼に告げる。彼女の胸の内を初めて聞くマスターは、興奮以外の熱い感情が湧き上がって来る事を感じていた。

 

「世界を救うと言う非常に困難な行為、しかも一度は徹底的な敗北を味わった後での再起……それを成し遂げようとするあなたやカルデアの職員の皆様は、私にとって尊敬する方々であると思っています。そんな方々の為に私が役立てるのならば、それは身に余る光栄です」

 

「ふ、婦長……!?」

 

「はっきりと言わせて頂きましょう。私は、あなたを含むカルデアの皆様に抱かれることに女としての幸せと誇りを感じています。あなたたちの子供なら孕んでも構わない……いえ、むしろ孕ませて頂きたいと本気で思っているのです。こんな私に言われても困るだけでしょうがね」

 

 マスターは驚愕した。ナイチンゲールがこんな事を思いながら日々働いていたのだと知って心の底から驚いた。

 元々、彼女は献身を苦としない性格であることは知っていた。だが、それは人の命を救うと言う崇高な使命から来る感情であり、性交を行っているのは単純な快感目的だとマスターは思っていた。

 実際の所、そう言う部分もあるのだろう。しかし、それ以上にナイチンゲールは女性として自分たちに奉仕することを幸福と捉えている……その事を知ったマスターは、自分を卑下するナイチンゲールに向けてはっきりとした口調で言う。

 

「そんな事ないよ! ナイチンゲールは綺麗で、素敵な女性だ! そんな風に思って貰えるなんて光栄だし、男冥利に尽きるよ!」

 

「マスター……?」

 

「きっとそう思うのは俺だけじゃない。カルデアの皆も、ナイチンゲールがそう言う風に思ってくれてるって知ったら大喜びするよ! ナイチンゲールは素敵な女性だって皆が言うに決まってる!」

 

「……ふふっ♡ あなたが嘘やお世辞でそんな事を言う人物ではないと言う事は知っています。なら、その言葉は紛れもない本心なのでしょう……ありがとうございます、マスター♡ 私の方こそ、その言葉は身に余る光栄だと感じますよ……♡♡♡」

 

 マスターの言葉に一瞬驚いた表情を見せたナイチンゲールは、頬を赤らめて小さく笑いながらそう言った。

 その姿の愛らしく、美しい事を言ったら言葉で表せる物では無く。彼女の乳房に挟まれている肉棒をより硬くしたマスターは湧き上がる興奮を隠せずにいた。

 

「ご、ごめん、婦長っ! もう、射精()るっっ……!!」

 

「あっ……♡♡♡」

 

 不意打ちとも取れるナイチンゲールの愛らしい姿に欲望を爆発させたマスターは、普段の彼からは考えられない早さで達してしまった。だが、その射精はいつもと同じく激しい物であり、精液の濃さと量もいつも以上の物となっている。

 ナイチンゲールの美しい顔に、豊かな乳房に飛び散る白い精液……自らの欲望で彼女を汚したマスターが荒い呼吸を繰り返していると――

 

「んっ……♡ 久しぶりに味合わせて頂きましたが、魔力も精液もあの時よりかなり濃く、味わい深い物になっていますね……♡ これは、期待が出来そうです……♡♡♡」

 

 大口を開けたナイチンゲールが、指でマスターの放った精液を拭って彼の目の前でそれを舐め取って見せたのだ。じっくりと味わう様に精液を咀嚼した後で感想を述べたナイチンゲールの瞳は熱を帯びて潤んでおり、ハートマークが浮かんでいる。

 最後に亀頭からわずかに溢れる精液を吸い取るべくそこに吸いついたナイチンゲールは、献身的な奉仕で彼に快楽を与えながら大好きな精液を味わった。一度目の射精で放たれた精液を全て口に含んだナイチンゲールは、女の表情を見せながらマスターに声をかける。

 

「さあ、何も遠慮は要りません……♡♡♡ 目の前に居るのはあなたの欲望を完全に受け止めきれる女。そして、あなたの相手をすることを悦びだと感じている女……♡ 是非とも、あなたの心行くまでその情欲を浴びせて下さい、マスター……♡♡♡」

 

 今まで見た事の無い女としての表情を覗かせる彼女の姿は、マスターの欲望の炎を激しく燃え盛らせた。射精を終えたばかりの肉棒が先ほど以上に反り返り、彼女の全てを味わい尽くしたいと主張し始める。

 ビクビクと脈打つ肉棒を乳房で挟むナイチンゲールもまた彼の興奮を肌で感じている様だ。蕩けた笑みを見せてマスターを挑発する彼女に向け、マスターは己の欲望を解き放つかの様に襲い掛かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「婦長……っ! ナイチンゲールっっ……!!」

 

「はっ♡ はっ♡ はっ……♡ 興奮していますね、マスター……♡ おちんぽが、逞しくなって……っ♡」

 

「ぐっ! っっ~~~!!」

 

「んっっ♡♡♡ ……14回目の射精、ですね……♡ まだまだ量も多く、素晴らしい射精です……♡」

 

 後ろからナイチンゲールを抱き締め、彼女の性器に肉棒を擦り付けての射精。素股と言う性器同士を擦り合わせるプレイで興奮を与え合う二人は、荒い呼吸を吐きながら行為を続ける。

 マスターは、ナイチンゲールの魅力的な体を存分に使って快感を貪っていた。喉の奥まで肉棒を突っ込んでのイマラチオや、最初と同じパイズリを多くのバリエーションで楽しみ、こうやって素股で肉棒を扱いて貰い、何度も射精を行って来た。

 マスターが肉棒を滾らせ、その欲望をナイチンゲールに放つ度、彼女は回数のカウントを行いながらマスターの事を褒め称えてくれる。蕩けた表情で自分を称えてくれるナイチンゲールの言葉に気を悪くするはずも無く、マスターは彼女の声を聞いては次の射精に対する思いを強めていた。

 

「はぁっ……! っっ……!」

 

 ナイチンゲールの言葉が正しいならこれで14度めの射精だ。だが、それでも自分の中の興奮が治まる気配は無く、肉棒も硬く勃起して天を突かんばかりに怒張したままだ。

 本当に底なしの性欲を持つ様になってしまった自分自身に驚嘆したマスターであったが、今はそれよりもナイチンゲールの肢体を貪ることを優先して彼女に抱き着く腕の力を強める。しかし――

 

「あ、れ……?」

 

 ぼんやりと、視界が歪む。体から力が抜け、ベッドの上に自然と横たわってしまう。

 どうやら自分自身でも気が付かない内に体力を消耗していた様だ。精力は尽きぬが、それと体力の問題は別物。いくら鍛えていてもこればっかりは仕方が無い。

 

 正直、マスターは焦った。こんな中途半端な終わりなど死んでも御免だ。少し休んでから行為を再開すれば良いだけの話なのだろうが、その休憩時間すらも惜しく思えてしまう。

 もっと存分に、一秒の無駄も無くナイチンゲールを感じたい……そんな風に湧き上がる情欲と共に激しく彼女を求めるマスターの視線を受けたナイチンゲールは、彼に向かい合った状態でふっと微笑む。

 

「どうやらお疲れの様ですね。しかし、まだ満足はしていない様子……なら――」

 

 自分の乳房に手を伸ばしたナイチンゲールは、その頂点を隠すピンクと黄緑の色をした僅かな布切れを指で摘まんだ。それをずらし、ピンク色をした乳首を露出させたナイチンゲールは、マスターへと胸を差し出して言う。

 

「どうぞ、私の母乳(ミルク)をお飲み下さい……♡ マスターから頂いた濃厚な魔力のお陰で、既に私の胸はパンパンになっていますから……♡」

 

 目の前に突き出されたナイチンゲールの乳房を見たマスターはごくりと喉を鳴らしながらそれを凝視した。彼女の言う通り、ただでさえ巨乳なナイチンゲールの胸は、溜まりに溜まった母乳のせいでパンパンに張って更に肥大化していたのだ。

 硬く尖った乳首の先からは僅かに白い液体が滴り落ちており、甘い匂いをぷんぷんと放っている。淫らであり、涎が垂れる程の芳醇なその匂いを嗅いだマスターは、無我夢中でナイチンゲールの乳首に吸いついた。

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ はぁっ♡ あぁっ……♡ そんな、がっついて……♡ マスターが私のミルクを、美味しそうに飲んでいる……っ♡」

 

 右の乳首に吸いついたマスターは、すぐに口の中に広がる甘い味に興奮を滾らせた。喉を鳴らし、濃厚なナイチンゲールの母乳を飲み干したマスターの体に活力が満ちて来る。

 ナイチンゲールの母乳には回復効果があることは記憶していた。自分が世話になっている精力剤の成分にも含まれている彼女のミルクは、栄養満点と呼ぶに相応しい物なのだろう。

 一口ごとに体に力が戻り、肉棒の滾りも雄々しくなって行く。体力を回復するマスターが力任せにナイチンゲールの乳房を揉みしだくと、彼女の乳首からは大量の母乳が噴き出して来た。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 噴乳の快感に大声を出して喘ぐナイチンゲールは、体を大きく仰け反らせて涙目になっていた。膣からも愛液が噴き出し、その快感の大きさを物語っている。

 まだまだ大量に溢れ出る母乳を喉を鳴らして飲み続けるマスターは、左の乳首に吸いついて再び飲乳を始めた。彼が乳首から直接母乳を吸い取る度、ナイチンゲールの体は力が抜ける様に彼にもたれ掛かって来る。

 

「あ、あ……♡ おっぱいミルク、直飲みされて……♡ 興奮が、治まりません……っ♡♡♡」

 

「ぷはぁっ……!! ナイチンゲールのミルク、美味しいよ……! もっともっと飲ませてっ!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 自分の精液が姿を変えたナイチンゲールの母乳を求めるマスターは、彼女をベッドに押し倒しながらなおも乳首に吸いついて母乳を吸い続けた。既に体力は回復しきっているが、あまりにも美味なナイチンゲールの母乳を求める気持ちが止まらなかったのだ。

 右と左、両方の乳首を擦り合わせたマスターは同時にそれを口の中に放り込む。ナイチンゲールの大きな乳房を伸ばす様に引きながら乳首を吸えば、激しい嬌声と共に大量のミルクが口の中に流れ込んで来た。

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あぁっ♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ すごいっ♡ すごいぃ……っ♡♡♡ こんな、激しい搾乳……初めてですっ♡♡♡」

 

「あぁ……あぁぁぁっ!! ごめん、ナイチンゲールっっ! 俺、もう我慢出来ないっっ!」

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 燃え盛る興奮を抑えきれなくなったマスターは、押し倒したナイチンゲールの体に圧し掛かる様にして己の怒張を彼女の膣に叩き込んだ。

 一気に子宮まで貫き、膣を震わせるほどの快感をナイチンゲールに与えながら彼女に覆い被さったマスターは、甘いミルクの味を残す舌を伸ばして彼女の舌を絡め捕る。

 

「んふっ♡♡♡ ふ~っ♡♡♡ ふぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「あぁ、ナイチンゲール……っ! おまんこ凄いよっ、ぎちぎちにきついのに、ふわふわで……俺のちんぽを優しく包み込んでくれてる……っ!」

 

「ま、マスターのおちんぽも素晴らしいです……♡♡♡ 前にセックスした時よりも大きく、硬くなっているのがわかります……♡♡♡ 最高のおちんぽだと言っても過言ではないでしょう……♡♡♡」

 

「はぁっ! はぁっ! ナイチンゲール! おっぱい吸いながらセックスしても良いよねっ!? ナイチンゲールのミルク飲みながら腰振って、ナイチンゲールのおまんこぐちゃぐちゃにしたいんだっ!!」

 

「はい……♡♡♡ あなたのしたい様にしてください……♡♡♡ 私の体を好きに使って、あなたの性欲を発散して構わないのですよ……っ♡♡♡」

 

「っっ!! ぐぅあぁぁぁぁっっ!!」

 

 獣の様な咆哮をマスターが上げた。同時に彼は己の理性を焼失させる。

 再びナイチンゲールの両方の乳首を口の中に放り込んだマスターは、激しくそれに吸いつきながら腰をグラインドさせ始めた。甘い母乳を飲みながら、甘く蕩けたナイチンゲールの膣を穿つマスターの下でナイチンゲールは嬌声を上げ続ける。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡ しゅごっ♡ しゅごしゅぎるぅぅぅぅっっ♡♡♡ マスターのおちんぽっ♡ こんなに気持ち良いなんてぇっ♡♡♡」

 

「あ~っ♡ あぁ~~っ♡ のうが、とけるぅっ♡♡♡ ミルクすわれながらのピストン♡ きもちよすぎるぅっ♡♡♡」

 

「子宮がっ♡ 乳首がぁっ♡ 私の、女としての全てが……悦んでいるっ♡♡♡ マスターにご奉仕出来ることを、幸福に感じているぅぅぅっっ♡♡♡」 

 

 普段の鉄面皮を快楽に蕩けさせ、ナイチンゲールが甘い喘ぎ声で叫びを上げる。既に彼女の体は火照り、熱を帯びて自分を抱くマスターがくれる快感に媚び切っていた。

 

 勃起した乳首は彼の吸いつきに合わせて激しく射乳を行っている。噴水の様に母乳を噴き出す度、ナイチンゲールは堪らない脱力感と共に凄まじい快感に身を襲われて涎を垂らした。

 蕩けた膣はマスターの肉棒を柔らかく包み、彼の動きに合わせて子宮口も吸いつきを行っていた。細やかな痙攣を続けるナイチンゲールは、降りて来られない程の絶頂感に包まれながらも腰を振り続ける。

 

「おぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ おまんこっ♡ こわれるぅっ♡ はぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 淫らな膣壁が肉棒に絡み、肉棒がその膣壁を反り返ったカリ首で抉る。一枚一枚の肉襞を擦られる度、ナイチンゲールの理性もまたこそぎ落とされているのではないかと思う程の快感を感じる。

 そうやって引き抜かれた肉棒が再び膣の中に叩き込まれる度、ナイチンゲールは体を大きく跳ね上げて悦楽に喘いだ。ぎりぎりと引き絞られる弓の様にマスターの腰に力が込められている光景を見ると、ナイチンゲールの中の期待に火が点いて止められなくなってしまうのだ。

 そして、マスターはその期待を越える程の快感を与えてくれていた。子宮を叩かれる度、ナイチンゲールの中で激しく快感のシグナルが火花を散らして彼女の思考を真っ白に染め上げてしまうのだ。

 

「あっ♡ あっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 一心不乱に、無我夢中で腰を振るマスターは、それでいながら的確にナイチンゲールの体を悦ばせていた。数多くの女性との性交による経験が彼女たちに快楽を与える方法を覚えさせ、無意識のうちにそれを行える様になっているのだろう。

 凶悪なマスターの肉棒でそんな腰遣いをされては女はひとたまりも無い。力強さと繊細さを併せ持つマスターのピストンを受けて呆気なく絶頂したナイチンゲールは、膣を激しく痙攣させてマスターの肉棒を締め上げる。

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ で、でてるぅっ♡♡♡ 15回目っ♡ ザーメンどぴゅどぴゅでてるぅっ♡♡♡」

 

 マスターもまたナイチンゲールの絶頂に合わせて射精を行っていた。だが、肉棒の硬さを衰えを知る事は無く、そのままピストンを続けてナイチンゲールを責め立てている。

 射精しながらのピストンを行うマスター。搾乳されながら種付けをされるナイチンゲール。どちらもが言葉にできない程の快感を感じながら、互いにその快感を増幅させる様に動き続けている。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡ す、すりこまれているぅっ♡♡♡ マスターのザーメンが、わたしのまんこにすりこまれてぇっ♡♡♡ すごいまりょくかんじるっ♡♡♡ ぜんぶおっぱいミルクになってしまうっ♡♡♡」

 

 射精による熱い精液の感触。ピストンを受けることによる膣の快感。射乳による脱力感。

 その全てが合わさり、ナイチンゲールを多幸感を伴う凄まじい快感が襲う。終わらない、止まらない絶頂を前に、鉄の女ですらも快感に屈して全身を蕩けさせた。

 

「あ、あ、あっっ♡♡♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 体が馬鹿になる。己の意思を離れてのた打ち回り、制御出来なくなってしまう。

 快感に意識が崩れ去る。理性が焼き切られ、悦楽の海に全てが飲み込まれてしまう。

 絶頂から降りて来られない。さらに押し上げられる。上へ、もっと上へ……自分の知らない快感を植え付けられるナイチンゲールは、アヘ顔を晒して体を痙攣させていた。

 

「あへっ♡ へあぁ……っ♡ しゅごいっ♡♡♡ しゅごいぃ……っ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 どんなに快感に翻弄されていようとも、今のマスターが彼女を休ませることは無い。腰を振り、母乳を飲み、ただひたすらにナイチンゲールを求めて来るのだ。

 それで良い、とナイチンゲールは思った。自分の体を使い、彼の性欲を満足させることこそが自分の望みであり、彼に求められる事は本望だと本気で思っていた。

 ソロモンの下で男を知り、このカルデアで女の幸せを知ったナイチンゲールは、自らの運命に満足しながらマスターを受け入れる。そんな彼女の目の前で、マスターの様子は豹変した。

 

「グ、オォォッ! オォォォォォォォッッ!!」

 

「これは……! 報告に聞いていた『狂化』ですね……!」

 

 マスターの性的興奮が頂点に達した時に見られる変化。こうなったマスターは、女英霊を蹂躙することしか頭になくなってしまうと聞いている。

 報告では、狂化状態のマスターはタマモキャットとマシュの二人を完膚なきまでに叩きのめし、雌奴隷の何たるかを教え込んだと聞く。そんな状態の彼を目の前にしたナイチンゲールは……顔を赤らめ、淫らに笑った。

 

「なんて、素晴らしい……♡♡♡ なんて凄まじく、雄々しい事でしょう……♡♡♡ こんな男性の相手が出来るなんて、女として至上の幸福としか思えません……っ♡♡♡」

 

 逞しい肉棒は先ほどよりも更に大きく、硬くなっていた。見れば分かる、これは全ての雌を屈服させる為にある物だ。これを叩き込まれれば、雌は彼に屈するしか無くなるのだ。

 

 引き締まった体とそれに宿る人間離れした性欲。だが、彼はやたらめったらに雌を貪り喰らう事はしない。自分が愛し、自分を愛する雌のみを相手する雄なのだ。

 ナイチンゲールは知っている。彼は優しく、気高い人間である事を……。只の人間であるはずの彼は、自分を襲う絶望に負けずに愛する者たちを取り戻す戦いを続けている。その原動力となる愛は、人間の持つ最も偉大な感情である事も彼女は知っていた。

 

 絶望に負けず、それに立ち向かう強さを持つ彼に愛されるのなら。

 獣を超える程の性欲を持ちながら、それを律することが出来る彼に心から求められるのなら。

 欲望のタガが外れ、自分が理性を失うまでの雌であるとその行動を以って証明して貰えるのなら……それは、きっと何よりも光栄なことなのだとナイチンゲールは知っていた。

 

「……さあ、来てください、マスター……♡♡♡」

 

 力強い彼の腕が自分を組み伏せる。自分が下、彼が上。そんな上下関係を示す体位に自然となる。

 自分の雌穴が彼の肉棒に媚び始める。上から子宮を叩きのめし、雌の体に己が遺伝子を植え付けるのに最適な体位である『種付けプレス』の体勢を取ったマスターは、歯を剥き出しにしてナイチンゲールの上で吠えた。

 

「オォォォォォォォッッ!!」

 

「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 そして始まる逞しいピストン。雄々しい肉棒が、蕩け切った膣を支配するかの様に激しく出入りして快楽を生み出す。

 ナイチンゲールの膣が、子宮が、全身が……この雄に屈服しろと叫んでいた。ナイチンゲールは、その叫びに従順に従ってマスターに全てを差し出す。

 

「おぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ んあ゛あ゛あ゛あ゛っっ♡♡♡」

 

 理性など、体裁など、人間としての矜持など、捨てる。今ここに居るのは只の雌だと自分に言い聞かせ、彼の肉棒に敗北を認める。

 

「いぐっ♡ いぐっ♡ イクイクイクっっ♡♡♡ イク~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 今夜何度も喫するであろう敗北アクメを決めながら、全てを投げ打ったナイチンゲールはマスターとの性交にただ耽って行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……う……」

 

 マスターが最初に感じたのは凄まじい虚脱感だった。全身に力が入らず、体を満足に動かせない状態である事に次いで気が付く。

 その次に、追いついた感覚が感じたのは部屋の中に充満する()()()()だった。精液、愛液、尿、母乳……セックスの中で放たれたであろうそれらの物質の臭いが複雑に入り混じったその臭いは、まさしく性の臭いと表現するに相応しい物だった。

 

「う、あ……!」

 

 そして……彼は今まで感じたことの無い満ち足りた感覚に満足げな呻きを上げる。体は疲れ切っているのに、爽快で晴れやかな気分になっているのだ。朝に感じていた気怠さは、もう何処かに消え失せていた。

 

「……お目覚めですね、マスター」

 

「っっ……ナイチンゲール……!」

 

 疲れ切った自分の頭をそっと撫でながら声をかけて来たナイチンゲールの顔を見た時、マスターは断片的に狂化状態に陥っていた時の記憶を取り戻した。自分は、数えきれないほどに彼女の体に精を放ったのだ。

 桃色の美しい唇に、母乳を放つ柔らかな乳房に、女の象徴である膣と子宮に、丸みを帯びた尻とその中央の窄まりに……何度も己の逸物を突っ込み、欲望を解き放った。その証拠に、ナイチンゲールの体は精液でべっとりだ。

 

「だい、じょうぶ、なの? ナイチンゲール、疲れてない?」

 

「疲れてはいますが、あなたほどではありません。まだ動く余裕はありますし、お望みならばセックスのお相手も務められますよ」

 

「ああ、そう……」

 

 彼女の返答を聞いたマスターは、本当にナイチンゲールの性欲は底なしなのだなと思い苦笑した。その言葉通り、ナイチンゲールは膣と尻穴から精液を滴らせながらもマスターの体を抱えて備え付けのシャワールームへと歩き出す。

 

「まずはシャワーを浴びましょう。体を洗ったら、私の母乳を飲んで体力を回復させてください」

 

「うん……そうさせてもら――」

 

――ぶぴぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ ぷぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡

 

 マスターの言葉を掻き消す程の大きな音がシャワールームに木霊する。狭い個室には、その放屁の音が良く響いた。

 

「……失礼、締りの無いけつまんこが緩んでしまったようです。お恥ずかしい所をお見せしました」

 

 その音を響かせた張本人であるナイチンゲールは、ぽっかりと開いた尻穴から精液を噴き出しながら顔を赤らめて謝罪した。

 恥じらいを見せる彼女の姿に興奮を感じたマスターではあったが、もう肉棒を勃たせる余裕はない。それよりも、自分が彼女に放った精液の量に驚く気持ちの方が強かった。

 

「……合計何回射精したか、聞きたいですか?」

 

「か、カウント出来てたんだ……!?」

 

「患者の治療経過を記録するのは当然の事です」

 

 事も無げにそう言い切ったナイチンゲールの顔を見ながら、マスターはあの激しいセックスの中でそんな余裕を持ち続けられる彼女に感服に近い感情を抱く。同時に、まだまだ彼女に勝つには時間がかかりそうだとも思った。

 

「取り合えずの話ですが、数日の間は安静にしていて下さい。セックスも当然禁止です」

 

「結構。皆さんには私が報告しておきますので、安心して体を休めて下さい。ああ、それと……」

 

 今後の計画を話していたナイチンゲールは、不意にマスターの耳元に口を運び……

 

「……最高に気持ち良いセックスでした♡ マスターがお望みならば何時でもお相手しますので、気兼ね無くお声がけ下さいね……♡♡♡」

 

 セックスの時に出していた甘い声で、彼にそう言った。

 その言葉を聞いたマスターは、多少の恐怖を感じながらもそれと同時に抗い難い魅力を感じて喉を鳴らして蕩けた表情のナイチンゲールへと視線を注いだのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終再臨(マシュ)

 恐らくこれが年内最後の投稿! 一人旅で鍛えた一人称の書き方で行くぜ!

 皆様、良いお年を……!


 自分は、あの人にとってどんな存在なのだろうか?

 

 近頃、そう考えることが多くなった。それは、間違いなく私の身に起きた幾つもの変化が起因しているのだろう。

 部屋の中で瞳を閉じ、思考に耽る。思い返すのは、今日に至るまでの私とあの人との出来事や関係性についてだ。

 

 彼は、共に人理を修復する為に戦って来た相棒であり、尊敬する男性であると思っていた。尊敬する仕事仲間、と言うのが今までの私があの人に対して抱えていた感情だと思っていた。だが、それは違ったのだろう。私は何時からか、自分自身の思いに蓋をして生きて来ていたのだ。

 皮肉にも、その事に気が付かされたのは取り返しがつかない状態になってからだった。カルデアを強襲したソロモンに敗れ、捕らえられ、犯されて処女を奪われ……そうやって、乙女の純潔を捧げられなかったことを後悔する痛みを感じて初めて、私は自分の気持ちを自覚することが出来た。

 

 私にとって、あの人は特別な存在だ。あの日、あの時、あの瞬間、私の手を握ってくれたその時から、私は彼を意識していたのだと思う。

 旅を続け、様々な困難を乗り越えていくうちにその思いは更に強まっていった。だが……対人経験も少なく、初めての感情を処理しきれなかった私は、その感情の名前を知ることも無かった。故に、それに気が付くのが遅れてしまったのだ。

 

 もう戻れないと絶望した。その心の隙間を縫って、私は本当に闇に堕ち切った。ソロモンの傀儡として、性奴隷としての人生を歩み始めてしまった。

 あの苦しみが物語っている。それほどまでに、あの人が私にとって特別で、大切な存在なのだと言う事を……その特別な存在に闇から引き揚げて貰った時、私ははっきりとその感情を自覚することが出来た。

 なのに……私はまだ、何処かで自分の思いを封じていたのだ。私は愚かで、どうしようもない小娘だ。自分自身でそう自嘲するしか無かった。

 

 数日前、彼は軽い体調不良を訴えた。軽微な物ではあったが、最後にして唯一のマスターである彼の健康には人一倍気を使う我々カルデアの一同は、彼に精密検査を命じてその原因を探った。

 結果、大した問題点は無く、ただの疲労が重なった物だと結論付けられたのだが……私たちにとっての問題は、その後に起きた。

 

「一応、問題は解決しました。これより数日の間、マスターには安静にしていて頂きます。皆様にもご理解の程を宜しくお願いします」

 

 最後に彼の診断を行ったナイチンゲールさんは、部屋から出て来て私たちを集めると共にそう言った。彼女の言わんとしている事を理解した私たちであったが、その中でも一つの違和感に気が付く。

 僅かに……ナイチンゲールさんの体から香る彼の臭い。石鹸の臭いに紛れて感じられるそれは、紛れもなく敬愛する彼の物だった。

 その匂いと、彼女が診断を行い始めたのが昼頃であり、私たちが報告を受けたのが翌日の朝であったことから考えれば、部屋の中で何が行われていたかは容易に想像がつく。彼は、ナイチンゲールさんとセックスを行っていたのだろう。

 別段それはおかしなことではない。関りは薄いが、ナイチンゲールさんは彼をマスターとしているサーヴァントだ。今の状況でなら、体を重ねることはあるだろう。問題は、何故それを検査の後で行ったのか? という事だ。

 

 先ほども述べた様に体を重ねることは特別おかしなことでは無い。だが、ナイチンゲールさんが検査を行った後に速攻でセックスを行うと言うのは些か不可解だ。話の流れでそうなった可能性は無くも無いが、ナイチンゲールさんが原因不明の体調不良を訴えている患者を無理矢理性交の相手にするとは考えにくい。

 ならば、その性交には理由があったはずだ。夜になるまで待たず、特に急いで彼とナイチンゲールさんが体を重ねなければならない理由が何処かにあったはずなのだ。

 そして、それを想像するならば……十中八九、私たちが原因なのだろう。

 

 体調不良を治すには、セックスを行う必要があった。それも、恐ろしいまでの性欲を持つナイチンゲールさんと、何の前準備もせずにとり急いで行わなければならない理由が。

 相手は私たちでは駄目だった。ナイチンゲールさんでは無いと駄目だった。その理由までは分からないが、そこまで考えた私たちは屈辱と共に軽い絶望感にも襲われる。

 

 彼は……本当に、私たちとのセックスに満足してくれていたのだろうか?

 今まで私たちは手を変え品を変え、様々な趣向を凝らして彼を楽しませて来たつもりだった。彼も喜んでくれていたし、それで満足してくれていると思っていた。

 だが、それは本当に正しかったのだろうか? 今思えば、彼は私たちに気を遣ってばかりだった気がする。

 

 例えばVRシステムを使った性行為がそうだ。普通では絶対に楽しめないシチュエーションをゲーム空間で作り、そこで彼に楽しんで貰っていた訳だが……あれは、ただ彼の性欲を肥大化させただけではないのだろうか?

 ゲーム空間でセックスをした所で、現実世界の体が満たされる訳ではない。肉欲の炎が燃え上がらせた彼の相手を私たちは最後まで出来た試しが無かった。

 煽るだけ性欲を煽って、それを最後まで発散出来ないままお終いにする。そんなお預けにも等しい真似を私たちは彼に強いていたのではないだろうか? そう考えると、次々に自分たちのして来た事に問題点がある様に思えて来る。

 

 様々な属性で分類されたチームの結成。オールマイティから始まったこの制度は、彼を満足させるべく作られた物だ。だが、これも彼の相手をしきれた覚えはない。

 気が付けば……このチーム制度は、私たちが彼に抱かれる回数を増やす為に作られたと言う側面の方が強くなってしまっていた。そして、それによって彼に少なくはない負担をかけているのだ。

 

 チームBは彼を『狂化』させることに主眼を置いている。だが、サーヴァントの体にも大きな影響を与える狂化を只の人間である彼に毎回強いて良いのだろうか?

 圧倒的な雄に屈服させられる悦びを味わいたいが為に彼の体に負担を強いる。それが彼の為になる筈も無い。子供にだって分かる道理だ。

 

 未だに未熟な者たちが多いチームCは、本当に彼を楽しませているのだろうか? 人数はチームAに続いて二番目に多いが、性交の少なさから来る体力不足は、彼の欲望を一番中途半端に刺激する要因になっているのは間違い無いだろう。

 

 チームDは主への奉公を謳っているが、それが本当に行えているかには疑問が残る。体力や身体能力に難があるモードレッドさんに気を遣い、彼は満足に楽しむ事が出来ていないのでは無いだろうか?

 

 こうやって改めて考えて気が付く。色々な工夫で彼を楽しませて来たつもりの私たちであったが、本当に楽しんでいたのは私たちの方で、彼にそれを付き合わせていただけなのでは無いだろうか? 彼を満足させられるサーヴァントなど、私たちの中にはいないのでは無いだろうか?

 その証拠に、ナイチンゲールさんは彼の体調不良を癒す為のセックスに私たちの内、誰かを呼ぶことはしなかった。私たちは治療に不要だと判断されたのだ。

 もしも彼の体調不良の原因が私たちにあるとすれば……私たちはただ、彼の足を引っ張っているだけなのでは無いだろうか? 戦いだけして、彼に何かをしようとは思わない方が役立つのでは無いだろうか?

 少なくとも、彼の性欲発散を完璧に行えるのはナイチンゲールさんだけだ。毎晩の様に彼と体を重ねている私たちの内の誰かでは無く、数えるほどしか彼に抱かれていないナイチンゲールさんこそが、彼にとって最も必要な女性と言えるだろう。

 

 その事実は私たちの心を叩きのめした。悔しさが、屈辱が私たちを包んだ。

 そして……自分たちは、真の意味では彼の役に立っていない事にようやく気が付いてしまった。私たち全員が、心から慕う彼に何の恩返しも出来ていない事に気が付いてしまった。

 

 その晩、私は自室のベッドの上で涙に暮れた。自分がほとほと嫌になった。

 自分は彼と一番長く付き合いがあるサーヴァントだ。ソロモンの下から最も早く奪還され、淫紋令呪も第三再臨まで迎えている唯一のサーヴァントだ。

 自分は彼の一番の相棒だ! 自分は彼にとって特別な存在なのだ! ……そう、勝手に思っていた。そう思って満足していた。

 

 だが、実際は違った。

 

 私は胡坐をかいていただけだった。実際は何の役にも立っていない女だった。サーヴァントとしてならば多少は役に立っていたかもしれない。だが、それならばこの新たな戦いを始めた時から共に戦っている男性英霊三人の方が貢献しているではないか。

 ソロモンの手から奪還され、彼の傍に舞い戻ったあの日から、私は自分の恋心を自覚していた。彼にとって特別な存在になりたいと思っていた。だが、その為に必要な努力は何もしていなかった。ただただ、慢心し続けていただけだった。

 

 何が一番の相棒だ。彼を裏切り、宿敵に股を開き、その命を奪おうとした癖に。彼の最も辛い時を支えるどころか、その苦しみを生み出した女が何を思っているのか?

 何が一番再臨が進んでいるサーヴァントだ。そんなもの、今のままならばすぐに追いつかれ、追い抜かれる。真の意味で彼への献身を行う女性が居れば、ナイチンゲールさんがその気になれば、私はその座から簡単に転げ落ちてしまうだろう。

 何が彼の特別になりたいだ。そう思いながら、必要な努力を何一つとしてしなかった癖に。彼に愛され、大切にされるだけで、私は彼に何も返す事は出来ていなかった。それで、良くそんな事が言えたものだ。

 

 私は甘かった。愚かだった。馬鹿だった。自分の事しか考えていない、醜い女だった。

 このままで良い訳が無い。その愚かさに気が付いた今こそ、私は変わらなければならないのだ。

 

「……良し」

 

 鏡の前で体をチェックする。傷、痣、見ていて不快になる場所は無いか? 徹底的に調べ上げる。

 入念な確認の末に問題が無い事を確認した私は、最後に尻に移動した淫紋令呪をじっと見つめた後で部屋を出た。

 向かう先は決まっている。自室のすぐ隣、彼の部屋……その扉を前にした私は、深呼吸をしながら覚悟を固めた。

 

 今日、私は生まれかわる。本当の意味で、彼の特別な存在になる。この身を、命を、彼に捧げる覚悟は出来た。

 

「……夜分遅くに失礼します。少しお時間よろしいでしょうか?」

 

 私が震える指で部屋のインターホンを押すと、すぐさま彼は部屋の扉を開けてくれた。そして、目の前に居る私の姿を見て目を丸くする。

 カルデアの廊下に居る私は、何一つとして身に纏っていない丸裸の状態だった。生まれたままの姿を晒す事は、彼に全てを捧げると言う私の意思の表れでもある。

 

「……失礼します」

 

 私は彼の部屋の中へと脚を踏み入れる。全裸のまま、彼の部屋の入った私の後ろで扉が閉まった。

 もう後には退けない、退くつもりも無い……深夜にやって来た不躾な来訪者を受け入れた彼の目の前に跪いた私は、そのまま地面に頭を擦り付けて土下座の姿勢を取った。そして、彼に向けてはっきりとした声で言う。

 

「先輩……私に、あなたの夜伽のお相手をさせて下さい……! 私の事を完璧にあなたのモノにして下さい……っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁむっ♡ ちゅっ♡ じゅるるる……っ♡」

 

 そそり立つ肉棒に唇を落とし、舌を這わせる。そのまま自身の口の中へ彼の分身を頬張った私は、心の底からの口内奉仕を開始した。

 一息に喉の奥まで肉棒を受け入れつつ、舌で筋の部分を舐める。亀頭周辺のカリの窪みも丁寧に舐め上げ、その味を楽しむかの様に口の中に意識を集中させた。

 

「んっ♡ んぐっ♡ んぐぅっ♡」

 

 涎まみれになった肉棒を口から吐き出した私は、そっと手を伸ばしてそれを掴んだ。そして、柔らかく手で彼の肉棒を包み込むとしゅっしゅと扱き始める。

 私の唾液に塗れた肉棒は、私の手の動きに合わせてぬちゃぬちゃと言う淫らな音を響かせていた。幹を扱き、睾丸を手で弄る私は、それと並行しつつ舌も彼の逸物に這わせる。

 

(ああっ♡ なんて大きい……♡ それに臭いも凄くて、頭がくらくらしてしまう……っ♡)

 

 手から伝わる肉棒の猛々しさが、舌で味わう濃厚な味が、鼻から吸い込む芳醇な臭いが……私の女の本能を揺らし、子宮を疼かせる。目の前の雄は、自らが屈服するに相応しい存在だと改めて理解してしまう。

 

 こうやって決意を新たにした今になって、私は彼の肉棒が最初の頃よりもずっと成長している事に気が付いた。淫紋令呪の影響が表れているのは私たち女だけでは無いと言う事をはっきりと確認する。

 一人前の男が持つに相応しい形状と性能をしていた肉棒は、今や多くの雌を従える主としての風格を持つほどの巨大な物へと変貌していた。固さ、熱、大きさ……その全てが規格外で、只の人間、しかもまだ年若い彼がこんな立派なペニスを所持しているとは誰も思いはしないだろう。

 だが、これは淫紋令呪の効果で生み出された張りぼてでは無い。ここまでの戦いを経て成長し、人間、そして男として一人前を越えて立派になったからこそ持ち合わせる様になった彼の努力の一端に過ぎないのだ。

 

 数々の修羅場をくぐり抜けて付けられた度胸や身体能力。数多くの困難を乗り越えて鍛えられた精神と心。

 不屈、慈愛、仁義、勇気……人間らしく、そして人間を超えんばかりの成長を見せる彼のこれが、魔術や薬で強化されたあの矮小な男(ソロモン)の持つそれとは完全に別物である事など、愚かな私にでも分かった。

 

(この肉棒(ちんぽ)に……先輩に奉仕出来ることは、私にとって何にも勝る幸福です……♡)

 

 ただただ立派な先輩の肉棒。しかし、これは彼の持つ魅力の一つに過ぎない。

 私たちは体と肉欲のみで彼に繋ぎ止められている訳では無い。もっと深い心の奥から、彼を想う大切な何かがあるのだ。

 私にとってのそれは『感謝』であり、『尊敬』だった。あの日、死に行くだけの私を孤独から救ってくれた彼に心からの感謝の感情を持ち、そこから始まった戦いの最中で不屈の精神を見せる彼に尊敬の気持ちを持った。

 いつしかその感情は混じり合い、女としての『愛情』に変わった。愛する彼と体を重ねられる事は、彼に快感を感じて貰える事は、女としての私の最大の喜びだと胸を張って言える。

 

「はぁむっ……♡ 先輩、先輩……っ♡」

 

 どうか気持ち良くなって欲しい……そんな思いを込めつつ、私は奉仕を続ける。肉棒を扱く手を止めた私は、再び口の中へと彼の分身を迎え入れた。

 

「んんじゅぅっ♡ じゅるるるるっっ♡」

 

 舌を軽く曲げ、頬を窄め、口の中一杯に唾液を満たし……いやらしい口まんこを作った私は、激しく顔を前後に振り始める。

 喉の奥まで亀頭が侵入して来る息苦しさも、今の私にとっては快感にしか感じられない。目の前の先輩の反応を探りつつディープスロートを行う私は、睾丸を手で揉み解して張った玉袋の感触を楽しんだ。

 

(ああっ♡ わかるっ♡ くるっ♡ 先輩の精液、おちんぽ昇って来てるっ♡)

 

 口に含まれた肉棒の中を駆け上がって来る熱い衝動が私には感じられた。それほどまでに激しくはっきりとした感覚だった。

 多分、私以外の人間がこうしていたとしても気が付いただろう。口と舌と喉……その全てを使って彼に快感を与えられている事に軽い満足感を覚えた私は、もうすぐそこまで迫っている彼の欲望の結晶を迎え入れる様にして肉棒に吸いついた。

 

「んじゅるるるるるるっっ♡♡♡」

 

 直後、口内にぶちまけられた灼熱の迸りを感じた私は、目を細めてそれを口の中一杯に受け止める。

 苦みと味わい深い濃さを併せ持つそれは、私の口の中から喉までを埋め尽くす量となって彼から放たれている。液体であると言う事を忘れてしまう程の質量を持ったそれを吐き出さぬ様に飲み干しながら、私は彼の射精の終わりを待った。

 

「ご、ごめん、マシュ……急過ぎたよね?」

 

 突然の射精を謝罪する彼に対して微笑みを浮かべた私は、まだ彼の精液がたっぷりと溜まっている口の中を見せつけた。むわりと広がる雄の臭いに頬を染めながら、私は彼の欲望を受け止めている自分の姿を晒し続ける。

 

「は~~~……♡」

 

 舌が、歯が、彼の精液で覆い隠されて見えなくなっている。こってりとした濃度を誇るそれを十分に見せつけた私は、一度口を閉じた。

 

「んっ……ごきゅっ♡♡♡」

 

 一瞬だけ口を閉じた私は、すぐに喉を鳴らして溜まった精液を飲み干した。そして、空になった口の中を彼へと再び見せつける。

 

「先輩……♡ 美味しい精液、ごちそうさまでした……♡」

 

 放たれた物を魔力とは言わない。これは魔術師とサーヴァントが行う魔力供給では無く、男と女が行う性交(セックス)だと言う事を暗に強調する。

 あなたに抱かれる事が私の望みだと、あなたの役に立つ事こそが私の幸せだと瞳で訴えかけた私は、疼く下半身をそっと撫でた後で目の前で起立する彼に逞しい肉棒へと視線を落とした。

 

「……やはり、一度の射精だけでは満足出来ませんよね。でしたら……私の雌穴をご利用ください♡♡♡」

 

 ベッドの上に寝転がり、彼を迎え入れる様に脚を開く。もう既に口淫だけで私の秘所はぐっしょりと濡れており、淫らな匂いを放っていた。

 実を言えば、前よりも後ろの穴にハメて貰いたいと言う気持ちもある。彼に開発されたそこを徹底的に穿り尽くして欲しいと言う思いが強い事は嘘では無い。

 だが、アナルは既に彼に捧げた穴だ。彼しか具合を知らず、彼に感じる部分を全て掌握されたそこを差し出したとして、これ以上彼に捧げられる物は何も無い。

 

(だからこそ膣と子宮を……おまんこを、先輩に捧げるんです……♡)

 

 女の象徴であり、最も大切な場所……本当はこちらも彼だけの物にしたかった。だが、もうその願いは叶わない。

 ならばこそ、今出来る最善を尽くして彼に奉仕するのだ。もう二度とこの愚かな小娘が他の男の肉棒で感じぬ様、彼に完璧に躾けて頂くのだ。

 

「あっ……♡」

 

「……行くよ、マシュ」

 

「は、はい……♡」

 

 彼の体が私の上に覆い被さって来る。男性上位の体位『種付けプレス』……雌のプライドを屈服させ、全てを陥落させる為のセックスの姿勢を取った彼は、私に合図を送って来た。

 彼は優しい、本来なら何も言わずにこの穴に肉棒を挿入し、私が泣こうが叫ぼうが気を失おうが無視して腰を振っても良いのだ。少なくとも、あの男(ソロモン)ならそうするだろう。

 しかし、彼はそうはしない。それは、私たちの事を大切な存在だと思ってくれているが故の行動だろう。愛してくれていると言う実感を得た私は、腕を彼の背中に回して強く抱き締めた。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 体を引き寄せる私の腕の動きに合わせたかの様に彼の分身が膣に挿入された。

 強く、深くまで穿って欲しいと言う私の心の中の思いを読み取ったのか、彼は一息に私の最奥まで肉棒を叩き込んでくれた。

 張りのある、柔らかな先端が私の膣肉を引き裂き、硬い幹がそこに鎮座する。私の肉襞は一枚一枚が意思を持っているかの様に震え、彼に絡みついていた。

 

「はぉぉぉぉぉっ……♡ は、ひぃ……っ♡」

 

「動くよ、マシュ……!」

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 長く、硬く、熱い肉棒が私の膣から去って行く。カリが肉襞を弾き、堪らない快感を与えながら抜けて行く……

 快感を伴うその喪失感を恐れた私は、脚を彼の腰に絡ませる。行かないで欲しいとばかりに脚で彼を食い止める私は、肉棒が完全に抜ける寸前で止まった事に安堵の感情を抱いた。

 

「あっ♡ ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 だが、次の瞬間にはその感情も快感によって砕け散っていた。再度最奥まで挿入された肉棒の動きによって、私の全身は快楽に酔わされてしまったのだ。

 ただの一発、本気のピストンかもわからない一撃。ただそれだけで、私の体はあえなく彼に屈服した。いや、元々彼に屈服してはいたのだが、このセックスの中で完全に快楽によって支配される様になってしまった。

 

 細やかな痙攣が止まらない。体の外側も、内側もぶるぶると震えたままになっている。それなのに、体は硬直したまま動けないでいる。強すぎる快感が私から体の自由を奪ってしまっている。

 その状況で再び彼が腰を引く。肉襞がカリに弾かれ、先ほどよりも強い快感が頭の中で電気信号となって弾け回る。

 入り口すれすれで再び肉棒は止まり、一瞬の間が空き、そして……

 

「あいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 また、私が絶頂する。ただそれの繰り返しだ。

 終わる、私が融ける、そう思った。彼に掻き混ぜられ、意識が快楽と混じり合って蕩けて行く様子が不思議と感じ取れた。

 媚びて、媚びて媚びて媚びて……私の性器は、完全に彼の物となろうとしていた。愚かな男に処女を捧げた愚かな小娘の愚かな秘所は、ようやく本来の主の物となろうとしていた。

 

「あへっ♡ へぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 子宮口が吸いつき。

 肉襞が震え。

 愛液が噴き出し。

 肉壁が絡む。

 

 無意識のうちに彼の肉棒への奉仕を行う私は、もう何も考えられないでいた。そして、もう一人の私がどこか遠くからそんな私を見ている様な気がしていた。

 

 壊れろと、私が言っていた。そして彼にもう一度創り上げて貰えと言っていた。

 差し出せと、私は言った。体だけでは無く、心も命も何もかもを、全てを差し出せと言っていた。

 分かったと、私は了承した。それが正しい答えであるとしか思えなかったし、それは私の望んだ事であった。

 

「あっ♡ んあっ♡ あぁっ♡ うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 彼の肉棒に子宮を打ちのめされ、私は体を大きく跳ね上げた。

 これで何度目の絶頂だろうか? 一体どれくらいの間、彼は私を抱いているのだろうか?

 十分? 三十分? 一時間? もしかしたら、ほんの数分の時間なのかもしれない。もう私からは時間の感覚も無くなっていた。

 

 私の絶頂回数も、過ぎた時間も、考えはしたが本当はどうだって良かった。本当に大事なのは、彼を満足させられるかどうかなのだから。

 彼に抱かれ、喘がされ、はしたなく絶頂するこの体で、彼を満足させると決めたから……何十、何百、何千と絶頂しようと、最後まで彼の相手をすると決めたから。

 差し出すのだ、全てを……! 彼の特別になる為に、彼と私自身の為に、私の全てを彼の物として貰うのだ!

 

「あっっ♡ んぁぁっ♡♡♡ んいぃぃぃっ♡♡♡」

 

「マ、シュっ……!!」

 

「ひぇん、ぱいぃ……♡ うあぁ……っ♡ あっ♡ あ~~っ♡♡♡」

 

 彼の腕が私を抱き締める。強く、優しく、温かく……私の事を求めてくれている。

 ピストンを続けている腰の動きは激しくなり、肉棒の律動も猛々しくなっていた。ようやく、私は彼に一度目の絶頂の時を迎えさせられる様だ。

 

「マシュっ! マシュ……っ!」

 

「う、あっ♡♡♡ あぎっ♡♡♡ ひぃぃぃっ♡♡♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 名前を呼ばれる度に不思議な幸福感に体が包まれる。腰を打ち付けられる度、子宮から途轍もない快感の波動が広がって行く。

 膣が締まり、子宮が降り、脚が強く彼の体に絡み……全身が、彼に種付けして貰う為の体勢を整えていた。私の全てが、彼の物となろうとしていた。

 体中が熱い、特に淫紋令呪が刻まれている尻が燃える様に熱かった。そこからも快感が広がり、私の理性を融かす様に熱が広がって行く。

 

「うあっ♡♡♡ あ~っ♡♡♡ んあ~~っ♡♡♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 絶頂はもう止まらない。震えっぱなしの淫乱まんこは彼の竿に絡みつき、早く射精してくれと強請っていた。

 ドスッ! ドスッ! と叩き付ける様に侵入して来る彼の肉棒は、私の感じさせ方を完璧に熟知している……だから、彼が最高のタイミングで射精を行うことなど、朝飯前の事なのだ。

 

「マシュっ! 射精()すよっ!!」

 

「は、いっ♡♡♡ ぜんぶ、くらさい……せんぱ、い……っ♡♡♡」

 

 全てが終わる気がした。この瞬間、マシュ・キリエライトと言う少女は、終わりを迎える気がした。

 そして、何かが新しく始まる予感がした。熱烈で、鮮烈で、期待を抱かせる何かが私の中で芽生え、そして――

 

「あ♡ あ♡ ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡♡♡♡♡」

 

 私を塗り替えるものが、私の中へと放たれた。その熱が、質量が、快感が……私の全てを崩していく。

 

「せんぱぃ♡ せんぱぁい……♡ あは、あ、あはははは……♡♡♡」

 

 私は壊れた。完全に壊れた。だが、それは幸せな崩壊だった。

 もう彼しか考えられない。彼に快楽を与えることしか考えられない。彼こそが私の全てで、彼の為ならば何だってしてみせると素直に思えた。

 

「お~……♡ ひ、ひひ……♡ あ、へ、は……♡」

 

 ばちばち、ばちばちと頭の中で電撃が弾ける。考えることが全て億劫になる。

 私は彼に抱きしめられ、その胸の中に顔を埋めた。ただただ幸せで、温かな時間……そんな幸福を堪能する私は、その声を耳にした。

 

『おめでとう、君は彼女の全てを手にした』

 

 私にでは無く、彼に向けられたその言葉。その声は、何処かで聞いた様な、そうでも無い様な……そんな、不思議な声だった。

 

『君は彼女の心を完全に掌握した。そして、これが最後の選択だ……君は、これから一つの選択をすることになる。これは、マシュ・キリエライトのこれからを左右する特別な選択だと思ってくれたまえ』

 

(私の……これから……?)

 

 謎の声が発した言葉を聞いた私は、口元に笑みを浮かべて思う。私のこれからなど決まっている、全て先輩の為に使うのだ。

 どんな風に扱われたって良い、奴隷でも下僕でも構わない、性処理、戦い、安らぎ……全て彼の為に生きるに決まっている。

 だが……その声の主が口にしたのは、私の想像を超える言葉だった。

 

『これは君へのご褒美だ。君は、これからマシュ・キリエライトにとって最も価値ある物を手に入れる。だが、純粋な英霊では無い彼女には、差し出せる過去は何もない……だから、彼女には君に未来を差し出させる事にしよう』

 

「……え?」

 

『これから君に、マシュ・キリエライトのこれからの人生の全てを見せよう。そして、君に()()()()()()()()()()()()()()()()()を与えようではないか』

 

『この権利はどんなことでも叶えられる。例えば、「宿敵を打ち倒す」と願えば、彼女は君の望む敵を必ずや打倒するだろう。「一生自分に逆らえなくなる」と願えば、彼女は君に絶対的な忠誠と従順を誓うだろう……文字通り、彼女の未来を君が決めることが出来るんだよ』

 

『ただし、君が覚えていられるのは「君が書き加えた部分」だけだ。彼女の人生がどんなものになるのかは、君の記憶から抹消させて貰うよ』

 

 謎の声を聴き続ける私の体に痺れが走る。ただそれは、幸せで甘美な痺れだった。

 

(先輩に人生を差し出せる……♡ 運命を、私の全てを本当に差し出せるんだっ♡)

 

 彼の望みを一つ、必ず叶えることが出来る。ソロモンを殺すことも、従順な奴隷になることも出来る。

 最高だと思った。これでようやく私は彼の特別になる事が出来ると思った。そして、このチャンスを与えてくれた声の主に心の底から感謝した。

 

『……さあ、決めようか? 君は、何を望むんだい?』

 

 どんな願いだって受け止める、私はそう心に決めた。

 ゆっくりと意識を沈ませていく私が最後に感じたのは、激しく脈打つ彼の心臓の鼓動だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……シュ、マシュ……起きて……」

 

「ん……せん、ぱい……?」

 

 それからどれくらいの時間が過ぎたのか、私は彼に声をかけられて意識を覚醒させた。

 目を覚ました私は、下腹部に感じる温もりからまだそこまで時間が経っていないと言う事を予測し、同時にあの声が夢でも何でもないと言う事を確信した。

 

「先輩……先輩は、どんな願いを私の運命に書き加えたんですか?」

 

「……聞いてたの?」

 

「はいっ! ……教えてください、先輩……知りたいんです、あなたが私に何を望んだのかを……!」

 

 世界を救う道具としたのか? はたまた己の欲望を満たす為の願いを口にしたのか? 彼は、私の人生に何を望んだのだろうか?

 私はそれが知りたかった。知りたくて知りたくて堪らなかった。どんな願いでも受け止める自信があった私は、屈託のない笑顔を浮かべて彼に問いかける。

 

「教えてください、先輩。私は、どんな事を願われたとしても先輩を軽蔑することなんてありませんよ……♡」

 

「マシュ……」

 

 私の心の中で何かが形成される。それは醜くて淀んでいる汚い物だった。

 私の中の欲望がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられた醜い欲望の沼。そう呼ぶに相応しいそれに浸った私は、彼をその沼に引き込む様に手を伸ばす。

 醜くて良い、汚くて結構……清廉潔白である必要なんて無い、己の欲望をぶつけて欲しいと願う私は、彼に妖しい笑みを浮かべながら視線を送った。

 

「……マシュ、ごめん……俺、最低だ……」

 

「……先輩? どうかしたんですか?」

 

「ごめん……俺は、自分の欲望を取っちゃった……! 世界だって救えるこの願いを、自分の望みを叶える為に使っちゃったんだ……」

 

「ああっ♡ そうなんですねっ♡ ああ……そんなに自分を責めないでください、それは間違いなんかじゃないんですから……♡」

 

 彼のその言葉を聞いても、私は彼の事を軽蔑などしなかった。むしろ、喜びの感情しか浮かんでこない。

 彼が、私に対して醜い欲望をぶつけてくれたのだ。私を自分の物とすべく、彼は世界だって救える権利を行使して私を手に入れようとしてくれたのだ。

 幸せだと思った。素直にそう思った。だから……私は、改めて彼に問うた。

 

「先輩……あなたは、何を願ったんですか?」

 

 一生奴隷でも良い。意思を奪われたとしても構わない。醜い欲望の沼に全身を浸らせた私は、淫靡な笑みを浮かべて彼を見つめる。

 彼にもその欲望を晒して欲しい……醜い部分を見つめて、私を特別にした証を見せつけて欲しいと私は願い、俯く彼の顔に手を添えた。

 

「……マシュ、ごめんね……」

 

 顔を上げた彼は泣いていた。綺麗な泣き顔に胸を高鳴らせた私は首を振ってただ微笑む。

 そして彼は、自分が叶えた欲望を私に対して口にし始めた。

 

「……マシュのこれからの人生を見て来たんだ。あれが本物だって言う証拠はないけれど、確信があった……だから、どうしても叶えたくなったんだ……」

 

「何をですか? 私の人生を、どう変えたんですか?」

 

 そっと、彼が私の頬に触れる。綺麗な瞳で真っすぐに私を見つめた彼は、小さな声でこう呟いた。

 

「……()()()()()()()()()()()()

 

「……え?」

 

「マシュに、死んで欲しくなかった……! 生きてて欲しかったんだ……!」

 

 彼が泣きながら私を抱き締める。予想外の言葉の意味を理解出来ないでいる私は、彼のその様子に違和感を覚えた。

 彼は私に醜い欲望をぶつけたはずなのに、自分の欲を優先したと言っていたのに、何でこんなにも温かくて綺麗なのだろうか? 醜い私とは大違いな彼は、本当に自分の欲望を優先したのだろうか?

 

「な、なにを願ったんですか? 先輩……?」

 

「……マシュの余命が、もう一年も無いって知ったんだ。戦いの中で死ぬんじゃなくて、ただ寿命が来て死んじゃう姿を見たんだ……! 苦しそうで、辛そうで、俺は何にも出来ないままマシュが死んじゃって……それが、怖くって……!」

 

 彼の腕が、私を強く抱きしめる。まるでここに居る私の存在と温もりを感じたいと言う様に、彼が私を抱き締める。

 

「書き込もうと思えば出来たんだ。マシュが死ぬ前にソロモンを倒すって……そうすれば皆は助かる、世界も救われる……でも、でもっ! 俺は、そんなこと出来なかった。マシュに死んで欲しく無かったから、だから……」

 

 彼の言葉を聞いて、彼の瞳を見て……私の中で、もう一度何かが壊れて行った。

 醜い欲望の塊が崩れる。歪んだ願いが消え去る。そして、奥底にあった確かな感情が芽を出した。

 

 そうだ、なんて簡単な事を忘れていたのだろう。彼が、私を奴隷になんかするはずが無かった。

 自由を、意思を、全てを奪うなんてこと、彼が望むはずが無かった。そんな関係を私も望んじゃいなかった。

 私が望んだのは対等な関係だった。お互いを尊重し、言いたい事を言い合い、大切に思い合う……そんな、温かな関係を望んでいたはずだった。

 焦りが、迷いが、苦しみが……私のその願いを狂わせた。また私は、自分自身を見失っていたのだ。

 

 また、彼に救われた。真っすぐな彼の思いが、私を欲望の沼から救い出してくれた。

 今なら分かる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。これから積み上げていく私の人生が、彼への愛をもっと深い物にしてくれる。沢山の大切に思う物が、人が……私には在るのだ。

 

 そして、やっぱり私は愚かだ。とても単純で、簡単な事に気が付かないでいた。

 焦る必要なんて無かった。迷う事も無かった。彼の特別になりたいと苦しむ必要も無かった。だってそう、私は――

 

「……ただ、マシュに死んで欲しく無いって思いだけで、世界を救えるチャンスを棒に振っちゃった……俺は、()()()()寿()()()()()()()()()()()()って言う、自分の願いを優先しちゃったんだ……!」

 

 今の彼の言葉が、それを証明してくれた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 世界の運命と天秤にかけても選んでくれる様な存在。こんな後悔を抱えてでも救いたいと思ってくれる様な存在に、私はなれていたのだから。

 

「……確かに先輩は最低かもしれません。一個人を救う為、世界を確実に救えるチャンスを逃したのですからね」

 

「うん……マシュ、本当にごめ――」

 

「でも……私たちは、そんなあなただからこそ心から尊敬しているのだと思います。優しいあなただからこそ、私たちは共に戦おうと思えるのです」

 

 そっと胸の中に彼を迎え入れる。優しく、母の様な愛情をもって彼を抱き締めてその涙を拭う。

 

「あなたは世界を売った訳じゃ無い。これからも戦い続ければ、世界だって必ず救えます……その為に、私たちは全力であなたを支えますよ」

 

「マシュ……」

 

「……先輩、私の目を見て下さい。そして、ちゃんと聞いて、記憶して下さい。臆病な私は、きっと一度しか言えないと思いますから……」

 

 私の言葉通り、彼が私の瞳を見つめてくれる。青い、綺麗な瞳で私を見て、その中に私の姿を映してくれている。

 深い充実感と幸せ、先ほどとは違う温かい温もりに全身を浸らせながら、私は自分の思いを言葉に紡いだ。

 

「私、マシュ・キリエライトは、あなたを愛しています……♡ あなたのくれた人生を、あなたと添い遂げる為に使いたいと願っています……♡ だから、あなたの傍に居させて下さい。それが、私の望みなんです……♡」

 

「……っっ!?」

 

「……私の人生を延ばしたんですから、責任は取って下さいね? その代わり……私も、先輩の事を幸せにしてみせますから♡」

 

「はは……そう言われたら断る訳にもいかないなぁ」

 

 くすくすと笑う私に釣られて彼も笑顔を見せてくれた。この笑顔を間近で見られる幸せに胸を高鳴らせた私は、軽い口付けを行ってから彼に言う。

 

「何時かはわかりません、でも……私は、先輩の赤ちゃんを産みます。あなたと新しい命を育みたいんです」

 

「うん、わかった! ……世界を救って、未来を掴んで、そしたら、その……」

 

 そこから先は言葉にしなくても良い、もう分かっている事だから。

 抱き締め合って、唇を重ねて、見つめ合って……まだ、お互いの欲求が治まっていない事を知れたなら、それで十分だ。

 

「マシュ……!」

 

「先輩……♡」

 

 心が繋がったことが分かった。愛して、愛されている実感が全身を包んだ。

 もうそれで十分だった。例え先ほどの願いが叶わなくとも、今、この瞬間にこの幸せを感じられただけで十分だった。

 きっとこれが、心を掴まれると言う事なのだろう。奴隷なんかじゃない、人間として、女性として愛される実感を与えてくれた彼を私も深く愛している。

 

(ああ、広がる……幸せが、全身に……♡)

 

 お尻の淫紋令呪が明るく輝く。全身を包み込む多幸感に酔いしれる私の体が、微調整されている事が分かる。

 手が、胸が、膣が、尻が……彼の為の物となる。頑健さと柔らかさ、強さと淫らさが完璧に調和した体に変化していく。

 そして最後に……子宮が彼の物となった。彼の子を孕む為だけの器官となった子宮がきゅんきゅんと疼いて彼を求めだす。

 

「先輩……♡ どうか、私にあなたを感じさせて下さい……♡ あなたの昂ぶり全てを、私に受け止めさせて下さいっ♡」

 

 抱き締められ、その温もりを与え合う私たちは、その日初めて未来を約束した二人として体を重ねた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは、何だ?」

 

 その日、ソロモンは信じられない物を幾つも目にした。魔術王である彼は、目の前の理解出来ない物を困惑した様子で見つめている。

 

 ここは自分の拠点である城内だ。複雑な構造をしているが、内部は完全に掌握している。だが、自分の目の前には見た事も無い扉が存在しているのだ。

 そもそも、ここに自分を誘導したのは、今はカルデアに居るはずのマシュであった。視界の端に映り、自分を挑発しているかの様に笑う彼女を追いかけてここまで来たソロモンは、この見覚えの無い扉の前で固まっていた。

 

「……ええい! この城の中に我が把握していない部屋があるなど我慢ならん! 調べ、気に食わなければ壊すまでよ!」

 

 意を決したソロモンは苛立ち紛れの叫びを上げながら扉を開いた。そして、その見覚えの無い部屋の中へと入る。

 

「……なんだ、ここは……?」

 

 その部屋はとても広かったが、何も無かった。家具や装飾品と言った物は何も存在していなかった。

 ただ、その代わりに壁一面に巨大な額縁がいくつも飾られていた。人一人が入れそうな額縁の中には、真っ白な壁画が飾られているだけだ。

 

「これは何だ? 何の為の部屋だ? 一体、いつの間にこんなものを……?」

 

 壁画に触っても何の意味も無く、部屋の中に何か仕掛けがある訳でも無い。本当に、何の為にある部屋なのかがソロモンには理解が出来ないでいる。

 困惑する彼が部屋を見回し、何か無いかと目を凝らしていると……

 

「っっ!?」

 

「ふふふふふ……♡ ねえ、知っていますか? 私たちは、二つの存在になれるんですよ……♡」

 

 『001』とプレートに刻まれている壁画の前に、彼女は居た。いつの間にか姿を現し、嘲る様な笑みを浮かべてソロモンを見ていた。

 

「一つは、雌奴隷……意思を奪い、心を折り、全てを踏みにじる事によって生まれる無様な存在……ただ男に尻を振る事しか出来ない淫乱女は、簡単に作り上げることが出来ます。あなたの様な無能にもね」

 

「き、貴様っ!!」

 

 理由も、動機も分からない。だが、間違いなくあのマシュは自分を嘲っている。それを理解したソロモンは、怒気を強めながらマシュへと歩み寄って行った。

 

「もう一つは、愛される女……一人一人の心を覗き、何を望んでいるのかを理解した上で愛情を持って接することで生まれる存在……♡ 並大抵の努力では得られませんが、一度手に入れれば絶対的な愛と幸せを送ることを約束する。100%の愛には100%の愛を以って応える、自分を愛してくれた男性にね……♡」

 

 何かをうわ言の様に繰り返すマシュに向け、ソロモンは手を伸ばした。彼女を捕らえ、もう一度自分の奴隷とする為に……。

 しかし、マシュは不敵に笑うとその手を避けて背後にある壁画へともたれ掛かって行く。彼女が壁に触れた瞬間、マシュの体は壁画の中に吸い込まれる様にして消えてしまった。

 

「なっ!?」

 

「……あなたは相手を支配することしか考えていない。だから、愛されることも無い……本当に可哀想です」

 

「黙れ……! 黙れ黙れ黙れっっ!」

 

「良いですよ、でも、最後にこの部屋の存在理由を教えて上げますね。この部屋は、あなたに自分の愚かさを教える為の部屋なんですよ……」

 

「っっ!?」

 

 ソロモンの目の前で、マシュが吸い込まれた壁画に変化が起こる。真っ白であった壁画に、徐々に色がついて絵が浮かび上がって来たのだ。

 少しずつ、ぼんやりとその絵を浮かび上がらせる壁画を見つめるソロモンはマシュの声を聞いて体を震わせていた。それがどんな感情から来る震えだったのかは、彼にしかわからないだろう。

 

「これ、は……!?」

 

 やがて、完全に絵を浮かび上がらせた壁画を見た時、ソロモンは絶句した。そこには、美しくも淫らなマシュの姿が描かれていたのだ。

 

 ベッドの上で四つん這いになっているマシュは、尻をこちら側に突き出している。赤く輝く淫紋令呪は最大まで成長し、彼女の体に完全に馴染んだことを示していた。

 張りのある魅力的なヒップを突き出したマシュは、その双穴から大量の白濁液を垂れ流していた。ソロモンが処女を奪った膣穴も、主に開発して貰った尻穴も、今や完璧に愛する人の肉棒の形になっている。

 汗を流し、体を火照らせ、息も荒くしているであろうマシュの姿は、壁画であったとしても興奮を煽った。ここまでのセックスを行えば彼女も疲れているであろうが、それでも振り返ってこちら側を見つめる彼女の瞳には健気さが映っている。

 

『先輩……♡ まだまだ私は頑張れますから……♡ だから、もっと一杯セックスしましょう♡ 先輩のこと、もっと気持ち良くしたいんです……♡』

 

 耳を澄ませば、壁画からはそんなマシュの声が聞こえて来た。その声を聞いたソロモンははたと理解する、これは、カルデアのマスターが実際に目にしている光景なのだと……

 

「……最初に私たちを捕らえた時、しっかりと心を掴もうとすれば良かったのに……! その為に魔術を使えば、この光景を実際に目にしているのはあなただったかもしれないのに……」

 

 再び聞こえたマシュの声は自分の事を憐れんでいる様であった。屈辱に燃えるソロモンであったが、怒りのあまり声が出ないでいる。

 

「もう、私はあなたの物にはなりません。そう決まってしまったんです。あなたの作り出した淫紋令呪が、あなたを拒絶する私に力を貸してくれるんです。だから……私はもう、彼の物です。彼を愛する女としての一生が決定しました」

 

 段々と遠くなるマシュの声は、淡々と事実だけを述べていた。その声に対して何の反応も出来ないでいるソロモンに向け、マシュは最後のトドメとなる言葉を放つ。

 

「私たちが完全に彼らの物となった時、ここには新たな絵が浮かび上がります……一人、また一人と絵が出来上がる度に、あなたは自分の行いを後悔しつつここでマス搔いてれば良いんですよ……きっと、最後にはあなたの周りには誰も居なくなるでしょうから」

 

 その言葉を最後にマシュの声は聞こえなくなった。ソロモンはただ、怒りで顔を真っ赤にしながらマシュの壁画を見つめている。

 一時はその心を縛り、完全に我が物としておきながら失った美少女。油断と慢心が有ったが故に奪い返された彼女は、今や自分の手の届かない場所に行ってしまった。

 

『先輩っ♡ 先輩……っ♡』

 

 もう彼女は熱を帯びた声で自分の名を呼ぶ事は無い。代わりにマシュの主となったカルデアのマスターの事を思いながら、ソロモンはただ茫然と絵の前で立ち尽くしていたのであった。

 

 




最適化EX


今回の再臨でマシュが身につけたスキル。主であるカルデアのマスターにとって最適な存在となる。
具体的に言えば、彼の遺伝子に最適な組み合わせの遺伝子を以って受精することが出来る。つまり、カルデアのマスターの長所を更に伸ばし、彼と自分の才能を最大限まで引き上げた子を産むことが出来る。
要するに、マシュとカルデアのマスターの子は、二人の長所を併せ持つ最高の子供となる。彼の遺伝子を、より高位の存在として未来にはばたかせることが出来るのである。

また、魔力供給や令呪を以っての命令の効率が最高まで上昇する。このスキルと最終再臨を終えたことで上昇した身体能力のお陰もあり、ナイチンゲール同様に彼の性欲を一人で解消させられる様になった。(ただし、ナイチンゲールと違って一人で相手した場合は翌日マシュは使い物にならない。彼の相手をする最適化はするが、その後の事は考えられていない訳である)
なお、カルデアのマスター以外の存在とは最適な存在にならない=彼以上の相手は存在しないと言う思いが意識の奥に刻まれる事も追記しておく。
しかし、マシュ自身が彼に深い愛情を抱いている為にこの深層意識の擦り込みの効果は薄い。淫紋令呪の効果も相まってマシュが彼を裏切る事は絶対にありえないので、もはや意味なしと言えるだろう。

戦闘時には『防御の要』であると考えているカルデアのマスターの思いに最適化する。自身の防御力のみならず、スキルや宝具によって上昇する味方の防御力も驚異的なレベルにまで達している。
現状はスキルの効果ターンが伸びているのみだが、それでも十分に強いので何の問題も無い。むしろここから上がったら大体の(ソロモン側の)英霊は彼女の防御を突破出来なくなる。










マシュ・キリエライト 最終再臨完了 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

怪物の献身(メドゥーサ 凌辱注意)

あけましておめでとうございます! 新年一発目は若干の胸糞です!

短いですが、次の特異点への布石となっておりますので、楽しんで下さい!


「……良いか? 今、私は非常に機嫌が悪い。これ以上私を怒らせるな」

 

「……は、はい」

 

 ぐっ、と背中を踏まれる痛みに歯を食いしばりながら彼女は答えた。背に感じる重圧はソロモンの怒りを表すかの様に段々と強くなっている。

 何があったのかは分からないが、彼の言葉に嘘は無い様だ……それが嘘であったとして、今の彼女に出来ることはただ耐えるのみであるのだが。

 

「ふんっ! この、怪物めがっ! いやしい体をした、醜い出来損ないめっ!」

 

「あっ! あぁっ!!」

 

 罵声の言葉と共に、背中に感じる痛みが別の物に変わった。鞭で打たれた様な鋭い痛みが背筋を走り、次々と大きな彼女の体に赤い跡を残していく。

 

「このっ! このぉっ! 貴様らはこのソロモン王に平服していれば良いのだっ! それを、あの様な態度で……っ!」

 

「ぐぅっ!? うあぁっ!!」

 

 怒りの叫びを上げたソロモンは、目の前にある女性の尻を思い切り蹴飛ばした。四つん這いになっていた彼女は、その一撃を受けて前のめりに床へと倒れ込んでしまう。

 容赦の無い仕打ちを受け、息も絶え絶えになってしまった女性……ソロモンは、彼女の長い髪を掴むと無理やりその体を引き起こした。

 

「何を休んでいる? 私がお前を打ち易い様に四つん這いにならないか。それとも、お前はもう私の相手が出来ないとでも言うのか?」

 

「っっ!?」

 

 ソロモンの声を聞き取った女性の頭の中に響く二つの声。まったく同じ声色をしているその声は、苦悶の色をありありと示しながら彼女の頭の中で反響し続ける。

 

「あ、あ……!?」

 

「……お前が相手を出来ないと言うならば仕方が無い。ここからは、お前の姉たちに私の相手をして貰うとするかな」

 

「あ、あ……お、お止め下さい、ソロモン様っ! どうか、どうかこの怪物に貴方様のお相手をさせて下さいっ!」

 

 脳裏に浮かぶ映像、愛する姉たちが拷問と呼ぶ事さえも憚れるほどの責め苦を受けている光景を思い出した彼女は、すぐさまソロモンに向かって土下座をした。ソロモンはそんな彼女の姿を見て口元に黒い笑みを浮かべる。

 脚を上げ、紫色の髪が生えている女性の頭を踏みつけたソロモンは、嘲る様な口調で彼女へと問いかけた。

 

「答えろ……貴様は何だ? 貴様は何の為にここに居る?」

 

「は、はい……私の名はメドゥーサ、出来損ないの女神にして醜い怪物、そしてソロモン様の忠実なる性奴隷でございます。愛らしさなど欠片も無い、ただ頑丈なだけが取り柄のこの体を、ソロモン様の鬱憤を晴らす為に使って頂くことが私の使命です……」

 

 瞳に涙を浮かべ、屈辱を堪えながら……ゴルゴン三姉妹の末妹、メドゥーサはソロモンに媚び諂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カルデアの英霊たちは、全員が堕ちてしまった訳では無かった。強い力を持つ男性英霊を始め、未だにソロモンに屈することなく抵抗を続けている者も確かに存在していた。

 特に、神性を持つが故にソロモンの魔術に抵抗出来る女神たちは必死の抵抗を続けていた。メドゥーサもまた、そんな完璧に堕ち切ってはいない女英霊の一人であったのだ。

 

 日々の責め苦を彼女は耐えた。体、心、誇り、その全てを蹂躙されることに耐え続けた。決して神性は高くはない彼女ではあったが、持ち前の気丈さと対魔力で懸命に凌辱に耐え続けていた。

 だが……そんな彼女の心は、ある日あっけなく折られてしまう。それは、ソロモンに凌辱を受ける姉たちの姿を見せられたことに起因していた。

 

『き、いぃぃぃぃぃっっ!?!? いやぁぁぁぁぁぁぁっっ!!』

 

 毛羽だったブラシで淫核と乳首を激しく擦られていたステンノは、甲高い悲鳴を上げて体を仰け反らせていた。もはやそれは、悲鳴と呼ぶには痛々し過ぎる物だった。

 涙を、鼻水を、涎を垂らして泣き叫ぶステンノ……愛らしく、美しかった彼女の姿は、もうどこにも無かった。

 

『おごぉっ! ごぉぉぉぉぉぉぉっっ!?!?』

 

 エウリュアレは口から巨大な触手を吐き出しながら悶えていた。尻穴から挿入された触手に、彼女の体は串刺しにされているのだ。

 苦しいだろう、辛いだろう、だが、彼女たちには何の抵抗も出来ない……ただただ、ソロモンをはじめとした男たちの手で蹂躙される他ないのだ。

 

 既に彼女たちの体には淫紋令呪は刻まれている。しかし、神性に基づく高い対魔力がソロモンへの完全なる服従を拒んでいた。

 その防御を突破する方法を考えるソロモンは、彼女たちに徹底的な凌辱を課した。それによる精神の破壊、そして一から彼女たちの人格を形成することで二人を奴隷に堕とそうと考えたのである。

 そして、そのついでとばかりにメドゥーサの心を折ることにした。人を人とも思わぬ凌辱を受け続ける姉たちの姿を見たメドゥーサに対し、ソロモンは嗤いながら言った。

 

「お前が私に忠誠を誓わなければ、お前の姉たちはずっとあのままだ。いや、もっと酷い目に遭うかもしれないな」

 

 ソロモンの言葉を聞いたメドゥーサには、もう選択肢など残っていなかった。何よりも大切な姉たちを見捨てることなど、彼女に出来るはずも無かったのだ。

 何度も土下座し、性奴隷にして欲しいと懇願した。ソロモンに言われるがまま、彼女は自分を徹底的に卑下して己の存在を貶めた。

 醜い怪物、出来損ないの女神、いやらしい体をした淫乱……そんな、屈辱的な言葉を何度も口にしながら姉たちの凄惨な姿をせられたメドゥーサの心は、その日を境にぽっきりと折れてしまった。今の彼女は、ソロモンに成すが儘にされる従順な雌奴隷だ。

 

 自分が我慢をすれば姉たちは救われる。逆に、自分が何か粗相をすればそれは姉たちへの暴力へとなってしまう。そんなプレッシャーに押し潰されたメドゥーサは、ただソロモンの憤りを発散させる為だけのサンドバッグとも言える存在になっていた。

 そして……今日もまた、ソロモンに命じられるがままに彼を楽しませる為の舞台に上がり、男の相手をしていたのであった。

 

「ちっ……! こんなデカい便器しかねえのかよ……!?」

 

「まんこもケツも緩そうな穴しやがって……! もっとキツ穴の便女はいねえのかよ?」

 

「あぅっ……も、もうしわけ、ありません……っ」

 

 無遠慮にメドゥーサの乳を揉む男たちは、苛立ちを感じさせる言葉を口にしながら乱暴な手つきで彼女の体を弄ぶ。

 お世辞にも良い匂いとは言えない彼らの体臭に表情を歪めたメドゥーサは、次の瞬間には背筋をピンと伸ばして仰け反っていた。

 

「あひぃぃぃっっ!?」

 

「クソッ! やっぱ緩いまんこだぜっ!」

 

「ケツもそうだ! こんな穴で満足出来るかよっ!」

 

「ひゃぁぁぁぁっっ! あっ、あぁぁぁぁっっ!?」

 

 人差し指と中指を束ねた男たちが、いきなりメドゥーサの双穴にそれを突き入れたのである。

 まったく濡れていない穴を弄られたメドゥーサは、痛みに絶叫しながら体を跳ね上げる。しかし、淫紋令呪がすぐさま効果を発揮し、その痛みを快感へと変換して彼女の体を高ぶらせ始めた。

 

「あっ♡ んあっ♡ あぁっ……♡」

 

「ええい、クソッ……! こんなデカ女、楽しめるかよ……」

 

「そう言えばこいつ、あのそっくりの便器たちの妹らしいぜ? 無駄に成長しやがってよぉ……!」

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 どうやらこの男たちは幼女趣味をしているらしい。もしかしたら姉たちを蹂躙したことがあるのかもしれない。

 メドゥーサを嘲り、それでも無いよりかはましだとばかりに彼女の恵体を弄り回す二人の男は、大きく口を開けて乳首に噛み付いた。

 

「ぎひぃぃぃぃっっ♡」

 

 甘噛みなんてものじゃない。乳首を噛み潰すつもりとしか考えられない強さを以ってメデゥーサの乳頭に歯を立てる男たちは、なおも強さを増して乳首に噛み付く。

 しかし、メドゥーサの霊基はその痛みすらも快感へと変換して彼女の心を追い詰めていた。

 

「はははっ! とんだ淫乱だなぁっ! 乳首噛まれて感じてるなんてよぉ!」

 

「流石はあの変態女神の妹……こりゃあ、姉妹揃って淫乱揃いってわけかぁ!?」

 

「んあっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 姉たちを嘲られたメドゥーサは、心の中に怒りの炎を灯らせる。しかし、その炎は快楽の波に飲まれて瞬時に鎮火してしまった。

 今、メドゥーサは尻を激しくスパンキングされていた。痛みと屈辱を感じながらも、それ以上の快感によって思考は砕け、何も考えられないでいるのだ。

 

「オラっ! さっさとまんこ差し出せよマゾ怪物!」

 

「ケツまんこもだ! お前の緩いまんこを使わなきゃいけない俺たちの身にもなってみろっ!」

 

「す、すいません……! ど、どうぞ、よろしくお願いいたします……」

 

 男たちに罵られ、ガクガクと膝を震わせながらもメドゥーサは必死になって彼らに尻を突き出した。

 丸い、魅力に富んだ彼女の臀部を撫でた二人の男は、己の逸物を露出させながら彼女に言う。

 

「よし……お前の姉貴をひぃひぃ言わせてやった俺のちんぽの相手が出来るんだ、ありがたく思えよ?」

 

「触手をぶち込まれてるお前の姉ちゃんのケツ穴を解してやったのは俺のちんぽなんだぜ? お前のケツ穴も、同じように解してやるよ!」

 

「う、あ、ぅ……」

 

 やはり、この二人は姉たちを凌辱したことがあるのだ。ソロモンは、それを分かっていて自分に相手をさせているのだ。

 

「んおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 自分の中に叩き込まれた二本の肉棒の感覚に喘いだメドゥーサは、姉たちも同じ苦しみを体験したのであろうと思い、涙を零した。

 屈辱に塗れる状況でありながらも、淫紋令呪は彼女を穿つ二本の肉棒によるピストンを途轍もない快感としてメドゥーサに伝えて来ている。

 

「あはぁぁっ♡♡♡ んんっ♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「オラっ! ゆるゆるまんこ締めて奉仕しやがれっ!」

 

「ケツ穴もきつく締めろってんだよ! この雌豚がぁっ!」

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 悔しかった。姉たちを凌辱した男たちに成すが儘にされ、無様な姿を晒している事が悔しくて堪らなかった。しかし、淫紋令呪の効果によって快楽に従順にされてしまった自分の体は、男たちに抵抗することを許してはくれない。 

 膣が、尻穴が、男たちに媚びる様に締め付けを強くする。もう自分に自由など無いのだと、メドゥーサは改めて認識した。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ もうダメっ♡ イクっ♡ イクぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「何勝手にイってんだよっ!? 俺たちはまだまだ満足してねえぞっ!」

 

「一人でイってんじゃねえっ! この出来損ないがっ!」

 

「も、もうひわけ、あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 男たちに罵られる事すらも快感として受け取ってしまうメドゥーサの体は、降りられない絶頂へと押し上げられてしまっていた。肉棒に蹂躙され、成すが儘にされ……ただ感じる事しか出来ない女になっていたのだ。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「イキっぱなしの糞まんこが……! まだまだぶち込んでやるからなっ!」

 

「緩い穴使わせた上に一人でヨガりやがって! 徹底的に躾けなおしてやるよっ!」

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 思考が真っ白に染まる。天を仰ぐ視線が、ソロモンの視線とぶつかる。

 酒を片手にメドゥーサを見るソロモンの表情は愉悦に塗れていた。遊び道具が壊れ行く様を眺め、彼は満足そうに笑っていた。

 

(あ、あ……だれか、わたしを……わたしたちを、たすけ、て……)

 

「いぐっ♡♡♡ いぐぅぅぅっ♡♡♡ いっくぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 メドゥーサの脳裏に浮かんだ冷静な思考は、快感の波に攫われて消えてなくなった。口から舌を放り出して喘ぐ彼女は、連続絶頂の坩堝に嵌って終わらない快楽の地獄に囚われてしまった。

 そんな彼女を男たちが逃すはずも無い。己の欲望を叩きつける様に腰をメドゥーサへとぶつける男たちは、そのまま彼女を罵りながらゴルゴン三姉妹の末妹を便器として扱い続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やあ、来たのかい? と言う事は、準備が整ったのかな?」

 

「ええ……でも、それ以上に余裕が無くなったと言う方が正しいわね。多少無茶でも、行動を起こすしか無くなったってわけ」

 

 薄いローブを一枚だけ羽織った女性が、牢の中に囚われている男へとそう答えた。傷ついた体を無理矢理引き起こした男性は、鉄格子に掴まって立ち上がる。

 

「……勝算は?」

 

「0じゃない、とだけ言っておくわ。どうやら、あの子たちも頑張ってるみたい」

 

「おお! それは良いニュースじゃないか! ……なら、僕も少しは頑張らないといけないかな」

 

 微笑みを浮かべた男性は、女性の手に握られていた短剣を見てから諦めた様な声を漏らした。しかし、瞳には光が灯っており、強い意志を感じさせている。

 

「……頼めるかい?」

 

「言われなくともそのつもりよ」

 

 鉄格子の合間、腕位ならば十分に通るその隙間を縫って、女性の持つ短剣が男性の体へと突き立てられた。

 僅かな血が舞い、痛みに呻いた男性がよろめいて倒れた姿を見た女性は、手にした短剣をそのまま床に放置して歩き出す。

 

「ああ……これで、良い……後は、また向こうで会おうか……」

 

「そうね……覚悟しておいて、きっと死んでいた方がマシだと思える戦いになるでしょうから」

 

「あはは、それは嫌だなぁ……でも、仕方が無い、か……」

 

 ゆっくりと、男性の体が光の粒となって消える。女性は、その事を確認もせずにただ歩いていた。

 

「……聖杯と柩はこちらに、女神と船は向こうに……さあ、何時まで追いかけっこが出来るかしらね」

 

 左手に持つ黄金の杯を使って作り出した異次元の通り道に飛び込む前に、魔女はそう呟いた。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

とあるマスターの一日

 

「……起きて下さい、マスターさん……♡ もう朝ですよ~♡」

 

 可愛らしい女性の声を耳にした彼は、その女性に体を揺すられて眠気眼を擦りながら体を起こした。寝惚け半分ですぐ近くの女性へと視線を送れば、彼女は自分へと笑顔を返してくれる。

 

「おはようございます、マスターさん♡ 早速ですけど、ご奉仕致しますね♡」

 

 するりと着ていた服を脱いで上半身裸になったその女性、沖田総司は、意外にも着痩せしているそのたわわな胸を揺らしながらマスターのズボンへと手を伸ばす。

 彼の下着をずらし、朝勃ちで硬く勃起しているその肉棒を取り出した沖田は、軽く舌なめずりをしながら顔を近づけた。

 

「んふっ……♡ やっぱり素敵ですねぇ♡ 見て、触って、臭いを嗅ぐだけで子宮が疼いて来ちゃいますよ……♡」

 

 ローション代わりに涎を垂らして自身の胸の滑りを良くした沖田は、その谷間にマスターの肉棒を挟むと丁寧に扱き始める。徐々に徐々にスピードが速まって行くその奉仕を受けるマスターもまた段々と肉棒を硬くして興奮と快感を示していた。

 

「んっ♡ んっ♡ ……朝は何かと慌ただしいですからねぇ、沖田さんのクイックパイズリチェインで速攻、片をつけますっ♡♡♡」

 

 何処かメタい台詞を口にした沖田は、胸を掴む手を上下に擦る様にして動かし始めた。肉棒を挟む左右の乳房が激しく摩擦を起こし、それによる快感が増大したことにマスターは満足気な呻き声を上げる。

 

「んふっ♡ マスターさんもお気に召した様子……♡ では、沖田さんのおっぱいでイっちゃってくださいっ♡」

 

 全身を上下させ、胸の動きを更に大きくした沖田はラストスパートをかけてマスターを責める。ぬちゃぬちゃと唾液と我慢汁が絡み合ういやらしい音を胸の谷間から響かせる彼女は、悪戯っ子の様に笑いながら胸を肉棒へと擦り付けた。

 根元から亀頭へ、亀頭から根元へ……美しく、形の整った隠れ巨乳が揺蕩う光景を見るマスターも朝一番の精液を肉棒に駆け巡らせ、沖田の言葉通り遠慮なく彼女の胸に射精した。

 

「ふあぁぁぁぁ……っ♡♡♡ ふふふ、凄いですねぇ~♡ まるで噴水みたいです……♡」

 

 激しい律動を起こし、大量の精液を胸にかけられた沖田はそれを胸で舐め取って淫靡に笑う。亀頭にも吸いつき、尿道に残っている精液を全て飲み込んだ沖田は、変わらぬ笑顔を浮かべながら情欲に燃える瞳をマスターへと向けた。

 

「……すいません、沖田さんの体も火照ってきちゃって……♡ もしよければ、おまんこの方でもお相手して……こふっ!?」

 

 身をくねらせ、そのキャラクター的に似つかわしくない官能的な動きでマスターをセックスに誘った沖田であったが、彼女の宿命か唐突な吐血を引き起こすと共にマスターと入れ違いでベットに倒れ込んでしまった。

 

「む、む、む、無念……がくっ」

 

 一応心配したマスターであったが、最後に一言呟いた沖田がすやすやと寝息を立てている事に気が付いて安心すると、まだ精液がこびり付いている肉棒を洗う為に風呂場へと向かったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから暫く後、シャワーを浴びたマスターはタマモキャットお手製の朝食を取っていた。

 椅子に座り、やや低いテーブルに置かれた皿を手元に引いて優雅に食事を楽しむ。彼がやや遠くにある更に手を伸ばしたその時、()()()()()()()()()()()()

 

「あんっ……♡」

 

「ん、テーブル、しっかりするのだゾ。ご主人がご飯を食べられないではないか」

 

「あ、あ……♡ すまない……しかし、少し窮屈な姿勢だな」

 

 マスターの肉棒を膣に受け入れた状態で四つん這いになっているアルテラは、背筋を床に対して平行に伸ばしながら呟く。そんな彼女の事を見つめたタマモキャットは、マスターが座る椅子の背もたれとなって彼の体を後ろから抱きしめた。

 

「どうだ、ご主人……♡ もう少し重心を傾けても良いのだゾ?」

 

「マスター、食事はちゃんととれているか? もう少し体を上にするべきか?」

 

 タマモキャットに背中を預け、アルテラの尻を撫でてその問いかけに答えたマスターは、そのまま食事を口に運ぶ。タマモキャットの柔らかな乳房が背中に当たり、肉棒をアルテラのきつい膣に包まれるマスターは、食事と共に至上の快楽をも貪っていた。

 

「はぁ……♡ 英霊家具の使い心地はどうだ……?」

 

「使い易いか? 気持ち良いか? ……私たちは、最高に幸せだぞ……♡」

 

 それぞれテーブルと椅子の背もたれになったアルテラとタマモキャットは、甘い声を出してマスターへと囁いた。人間扱いを受けていないとも思える彼女たちだが、そもそもこの様に扱われる事を望んだのは彼女たちなのだ。

 とても幸せそうな表情を浮かべる二人に優しく微笑みかけたマスターは、片手でそっと彼女たちの体を撫でる。そして、朝食を終えた後の小休止を取っていると……

 

「マスター、食後のお飲み物は如何ですか? 人肌に温まったミルクが飲み放題ですが……♡」

 

 ぷるり♡ と、巨大な乳房が彼の前に突き出された。張りのある巨乳を揺らしながらマスターを熱を帯びた視線で見つめるアルトリアは、乳首から甘い匂いを漂わせながらそれを彼へと差し出す。

 マスターもまた彼女の誘いに乗って口を大きく開くとアルトリアの乳首を口の中に含む。そして、そのままちゅうちゅうと強い力でそれを吸引し始めた。

 

「んはっ♡ はぁっ♡ 私のエロミルク、マスターに飲まれてぇ……っ♡♡♡」

 

 乳房に溜まった母乳がマスターの口の中に射乳される。愛しい人が自分の母乳を飲んでいると言うシチュエーションに心をときめかせるアルトリアは、射乳の快感と共に体を大きく震わせる程の多幸感を味わっていた。

 マスターはそんなアルトリアの甘い母乳を味わう。やや粘っこく、それでいて飲みやすい甘さのアルトリアのミルクは、そんじょそこらの牛乳とは段違いの濃厚さをも誇っていた。

 

「んっ……♡ マスターの肉棒が、硬くなって……♡」

 

「……興奮、しているのだナ? そんな姿を見せられては、我らも昂ると言うものだゾ……♡」

 

 アルトリアの母乳を味わうマスターの前後では、アルテラとタマモキャットがそれぞれの反応をみせつつ奉仕を行っていた。

 アルテラは膣に力を籠め、昂るマスターの肉棒を丹念に刺激する。背中に皿が乗っている故に体を起こすことも激しい腰の動きも行えないが、それでも精一杯の快感を貪って貰おうと懸命に奉仕を行っていた。

 タマモキャットは舌を出し、マスターの耳や首筋をちろちろと舐める。猫の様なザラついた舌を持つタマモキャットの舌技は、激しい快感は無いもののマスターの興奮を十分に煽った。

 

「マスター♡ くぅぅぅぅ……っ♡」

 

「はっ♡ はっ♡ ちゅっっ♡」

 

「ミルクの出が悪くなってきたら、もう一つのおっぱいをどうぞ……♡ まだまだ私のエロミルクは満タンですから……♡」

 

 それぞれ違う魅力を持つ三人の女性は、一人の男性を取り囲む様にして彼の朝食を淫らに彩っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁっ……♡ 私たちのご飯のお時間ですね……♡」

 

「腹ペコだぜ、早く飯をくれよマスター……♡」

 

 朝食を食べ終えたマスターは、出かける前に犬たちにもご飯を上げなければと思い至って飼い犬たちの元へと向かった。

 犬耳を生やし、犬尻尾型のアナルビーズを咥え込んだ二匹の雌犬は、マスターの登場に目を光らせて擦り寄って来る。

 

「では、失礼して……♡」

 

「んっ……♡ すげえ、臭い……♡ 頭がクラクラしちまうよ……♡」

 

 牛若丸とモードレッド、二匹の雌犬はマスターのズボンをずり下ろして陰茎を露出させると共に蕩けた表情を浮かべた。香しい臭いを放つ肉棒に顔を近づけた二人は、鼻を引くつかせてその臭いを楽しむ。

 

「……ああ、いけませんね。主殿には学校があるのですから――」

 

「さっさと飯を貰わないと、な……♡」

 

 数分の間マスターの肉棒の臭いを堪能し続けていた二人であったが、はたとその事に気が付くと急いで奉仕を始めた。舌を出し、陰茎を舐める二匹の犬は、阿吽の呼吸を見せてマスターに奉仕する。

 亀頭の先とカリの窪みを牛若丸が舐め取り、竿と玉袋の部分をモードレッドが舐める。じっくり、丁寧に舌での奉仕を行いながら、いつの間にかポジションを変更して不平等が無い様に工夫もしていた。

 やがて亀頭を口に含んだ牛若丸は、赤ん坊の様にそこに吸いつきながら肉棒の先端にある穴に舌を這わせた。しょっぱく、少し苦い味を堪能する彼女の頭を掴んだマスターは、暖かな牛若丸の口内に思い切り精液を吐き出す。

 

「んぼぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ おっ、おぉっ……♡」

 

 口の中が一瞬で一杯になった事に驚きながらも、牛若丸は喉の奥にまで至る激しい射精にうっとりとした表情を浮かべた。

 そのまま口の中に精液を溜めたままにする彼女の横では、モードレッドがマスターへのお掃除フェラを開始している。

 

「はぁむ……っ♡♡♡ じゅろろろろっ♡ んぐぅっ……♡ へへっ♡ 残りカスでも十分過ぎる魔力があるんだよなぁ……♡ マジ、どんなちんぽしてんだよ……♡」

 

 尿道に残る精液の一滴も、竿にこびり付くカス一つも残さないとばかりにモードレッドは激しく顔を前後させる。口の中に涎を溜め、それでマスターの肉棒を掃除した彼女は、口の中に溜まった精液の残りカスを彼に見せつけた後で喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。

 

「へへっ、ごっつぁん♡ って、まだメインディッシュがまだだったな……♡」

 

「はぁん……♡ んふぁ……♡」

 

 掃除を終えたモードレッドの口の中へ、牛若丸が自らの口の中に溜めてあるマスターの精液を流し込んで来た。

 雌犬同士のキスを眺めるマスターは、彼女たちの背中を撫でて愛情表現をしながら二人の食事を見守っている。

 

「んっっ♡ 美味しい、です……♡ 主殿の魔力が、隅々まで行き渡って……♡」

 

「ああ、くそっ……♡ こんなの飲んだら、まんこ疼いて来ちまうよぉ……っ♡ また、雌になっちゃう……♡」

 

 仲良く均等にマスターの精液を味わった牛若丸とモードレッドの股座からは、愛液がぽたぽたと溢れ出て床に水溜まりを作っていた。

 このまま押し倒して貰い、自分たちの秘所にこの熱い精液を流し込んで貰いたい……そんな欲望を抱く彼女たちであったが、マスターの手の平が自分たちに突き出されたことを見てぴたりと動きを止めた。

 

「……『待て』、ですね……♡」

 

「ああ、わかったよ……♡ オレたちはちゃ~んと躾のなっている雌犬だから、お前の言う通りにするよ……♡」

 

「ですが……帰って来たら、ご褒美を下さいね♡ それまできちんと『待て』してますから……♡」

 

「良い子の雌犬たちに、ご褒美セックス楽しませてくれよ♡ ご主人様……♡」

 

 最高のご馳走を目の前にして、それにしゃぶりつきたい欲望を抱えながら、牛若丸とモードレッドは己のその欲望を必死に律して待ての姿勢を取った。彼の手で躾けられた雌犬は、彼の命令をきちんと遵守しなくてはならないのだから。

 興奮を隠しきれない二人ではあったが、きちんと主の言う事を聞いて彼を見送る。命令を素直に聞いた犬たちの頭を撫でて彼女たちを褒めたマスターは、服を着直した後で家を出て学校へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ♡ アンタっ♡ 馬鹿じゃ無いの……っ♡」

 

 学校にやって来たマスターは普通に授業を受けていたが、昼前の授業の際に隣に座っている女子が体調を悪くした事で彼女を保健室に送りに来ていた。

 隣の女子の名はジャンヌ・オルタ……銀髪のツンデレ美少女である。

 

「はぁっ♡ あぁっ……♡」

 

 マスターに体を支えられながら廊下を歩くオルタは、体をぶるぶると震わせながら悩ましい声を上げている。顔も赤く、息も荒い彼女が正常では無い事は確かだが、それ以上に今の彼女からは言葉に出来ないエロスが発せられていた。

 

「アンタっ♡ もう、いい加減にぃ……っ♡ あぁぁっ♡♡♡」

 

 保健室の前でマスターに何事かを訴えようとしたオルタであったが、その瞬間に体を跳ね上げるとぱくぱくと口を開閉するだけになってしまった。

 そんなオルタの様子を見てほくそ笑んだマスターは何事も無かったかの様に保健室のドアを開けると、中に校医が居ないことを確認してからオルタをベッドへと寝転がした。

 

「あ~っ♡ んあぁ……♡」

 

 頬を染め、喘ぐオルタの制服を手慣れた動きで脱がせたマスターは、最後に彼女の履いているショーツに手をかける。

 既にびしょびしょに濡れ、染みを作っている薄い布地を剥ぎ取ったマスターは、その下にある柔らかな女性の蕾に手を添え、中身を覗く様にして左右に開いた。

 

「う、あぁ……♡ 見るんじゃ、無いわよぉ……♡」

 

 ぐっちょりと濡れたオルタの秘所、そこには人の親指ほどの大きさの機械が埋め込まれており、細やかな振動を続けていた。

 ピンクローターと呼ばれる大人の玩具によって膣を刺激されていたオルタは、それを挿入した張本人の前で股を開くと恥ずかしそうに顔を背ける。マスターは、そんなオルタの膣からローターを引き抜くと彼女をベッドの上で四つん這いにさせた。

 

「はーっ♡ うあぁっ……♡ あ、あぁっ♡」

 

 カーテンで周囲からの視界を遮ったベッドの上で裸になったマスターは、己の逸物を露出させると柔らかく解れているオルタの秘所に亀頭を擦り付ける。しかし、決して挿入はせずに彼女を焦らす様にして亀頭を擦り続けた。

 じっくり、じっくり……オルタの官能を高め、我慢の限界を迎えさせる様な腰遣いで亀頭を擦り付けていたマスターは、彼女に覆い被さる様にしてたわわな胸を揉む。体を高められながらも、最も求めている快感を与えて貰えない事に焦れたオルタは、半狂乱になって叫んだ。

 

「もぉ、限界……っ♡♡♡ おまんこ準備整ってるからぁ♡♡♡ アンタのちんぽ頂戴よぉ……♡♡♡ わかるでしょう? 私のおまんこ、アンタのちんぽ欲しがって涙流してるんだからぁ……♡♡♡」

 

 尻を振りながらのオルタのおねだりを聞いたマスターは、ようやく彼女の膣口に亀頭をあてがう。期待を胸に挿入の時を待つオルタであったが、それよりも前に別の衝撃が彼女を襲った。

 

「ほうぅっっ♡♡♡」

 

 アヌスに入り込む小さく硬い何か、ぬるぬるとした粘液に塗れたそれがつい先ほどまで自分の膣に挿っていたローターであることに気が付いたのは、お尻の中で玩具が振動を始めてからだった。

 

「んうぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 媚びた体を更に追い詰める様にローターが尻穴の中で震える。その快感に身を震わせるオルタの意識が逸れたその瞬間に、マスターは己の肉棒を彼女の膣へと叩き込んだ。

 

「あへぇっ♡♡♡ んへぇっ♡♡♡ おっ♡♡♡ おほぉっ♡♡♡」

 

 アヌスを刺激されている事で締まるオルタの膣は、マスターの肉棒の感触をいつも以上に強くはっきりと感じさせる。当然、そうなれば感じる快感も強くなり、尻穴の振動も相まってあっという間にオルタは達してしまった。

 しかし、それで腰の動きを止めるマスターでは無い。パンパンと音を響かせながらオルタの尻に自分の腰を叩き付けるマスターは、ローターの振動を最強まで高くしてオルタをもっと感じさせに出た。

 

「ああぁぁぁぁっっ♡♡♡ おひりぃっ♡♡♡ しゅごいぃぃぃぃっっ♡♡♡ おまんこも強くて、子宮堕ちるぅぅっ♡♡♡」

 

 尻の穴で震える振動が、膣の中で暴れ回る肉棒が、子宮を揺さぶり、快感を求める様に疼かせる。

 マスターの性技の前に屈服したオルタは、大きな尻を左右に振りながら疼く子宮を満足させてくれる唯一の快感を求めて叫ぶ。彼に向けての屈服宣言を口にしながらも、オルタは非常に幸せそうだった。

 

「ひ、昼休み、ずっとおまんこしてて良いからぁっ♡♡♡ いいえっ♡ おまんこしてくらさいっ♡♡♡ おちんぽぱんぱんして、私のおまんこの中にたっぷり射精してぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 尻を抱えられたオルタは膣を締めてマスターの肉棒を扱く。アヌスは緩み、開いた穴の中からは卑猥な振動音が響いて来ている。

 しかし、それよりも大きなオルタの嬌声がそれらの音を掻き消していた。甘い絶頂を何度も繰り返したオルタは、肉棒が膨張し硬くなっている事を感じて瞳を閉じる。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ おちんぽミルクっ♡ きたぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 瞬間、彼女の膣内に熱い液体がぶちまけられた。本日何度目かの射精にも関わらず、マスターの精液は濃く、熱く、量もたっぷりだ。

 一瞬にして膣内と子宮を埋め尽くした精液は彼女の内部から溢れてベッドの上に垂れ流されている。完全に脱力しているオルタは、マスターの肉棒から吐き出される精液をただ穴で受け止めながら喘いでいた。

 

「あえ♡ んへぇ……♡ あ……おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 しかし、そんな休息など許さないとばかりに開き切ったオルタのアヌスに肉棒を叩き込んだマスターは、今度はローターを射精されたばかりのオルタの膣へと再度挿入した。

 溢れ出る精液を堰き止める役目を持つ様になったローターはブルブルと振動を繰り返しながら再びオルタの膣を責める。尻を穿たれるオルタは、舌を放り出して喘ぎながらマスターへと向けて叫んだ。

 

「こんなっ♡ おまんこの中の精液、漏れない様にして……♡♡♡ そのまま、今日の授業を受けさせるつもりなのね……♡ この、ド変態っっ♡♡♡ んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 その状況で興奮しているオルタに言われたくないとばかりに腰を跳ね上げたマスターによってオルタの理性は完全に蒸発した。暫くの間、彼女は性の奴隷になったままだろう。

 ベッドに突っ伏し、魅力的なお尻を震わせるオルタ。丁度その時、保健室の扉が開いて二人の女子生徒が姿を現した。

 

「あ、やっぱりもう始めてるんですね……♡」

 

「む~……別学年って言うのは、こういう時に不利です……」

 

 先輩であるジャンヌと、後輩であるジャンヌ・リリィ。二人の女子は自らの制服のスカートをたくし上げるとマスターにそこを見せつける。

 

「はい、マスター……♡♡♡ 言いつけの通り、ローター付けて午前中の授業を受けましたよ……♡♡♡」

 

「お姉ちゃんだけじゃなくって、私たちのほかほかおまんこも可愛がって下さい……♡♡♡」

 

 振動音を響かせ、愛液を垂れ流す秘所をマスターに見せつけながら、二人の聖女もまたそっくりの発情した笑みを浮かべて服を脱ぎ捨てると、ベッドの上に飛び乗って来た。

 それから約一時間ほど、短い時間であったがマスターは三人の体を存分に楽しんだ。

 なお、ジャンヌ達が午後の授業をボイコットすることとなったのは、想像に難く無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、マスターは部活動に参加すべくグラウンドへと向かった。彼が所属しているのは陸上部であり、担当している種目は長距離走だ。

 長い距離を走る長距離走は陸上部員たちには人気が無い。何を隠そう、陸上部の中で長距離走を練習しているのはマスターだけだ。

 だが、それでも一応長距離走選手担当のマネージャーは居た。実質マスター専属のマネージャーである彼女は、体操服に包まれた立派な胸をプルンと揺らしながら笑みを浮かべた。

 

「今日も部活だぞ! 余と練習出来る栄誉を感謝するが良い!」

 

 あざとく平仮名で『ねろ』と書かれた体操服と真っ赤なブルマを身に纏ったネロは、部室の中でマスターに向けて満面の笑みを見せる。

 二人っきりの部室の中、ネロはマネージャーらしくボードを見ながら本日のメニューを確認していたが、ある事に気が付くと悪戯っ子の様な笑みを浮かべてマスターへと言った。

 

「そう言えば、前回の記録会では見事自己新記録を出したな! これは余もお主に褒美を与えねばならないな……♡♡♡」

 

 椅子に座るマスターに背中を向けたネロは、パツパツのブルマを履いたお尻をマスターの顔に思い切り押し付ける。蒸れた汗とネロ自身の本来の甘い匂いを漂わせるブルマ尻をマスターに押し付けながら、ネロはそれを左右にぐりぐりと振る。

 

「どうだ~♡ 余のお尻はぷりぷりだろうっ♡ ブルマ生地の感触と一緒に存分に味わうと良い♡♡♡」

 

 むふ~、むふ~……マスターの荒い呼吸を臀部と股間に受けるネロは、彼が興奮している事を悟って喜ばしそうな表情を浮かべた。

 彼の熱を感じ、息遣いを感じるネロは、自分自身の中の興奮も昂らせて秘所を愛液で濡らす。

 

「んっ……♡♡♡ ふぁぁっ♡♡♡」

 

 自分の顔に押し付けられている臀部に湿り気を感じたマスターは、ブルマの上からネロの秘所を舐め始めた。

 じっとり、ねっとりと生地越しに秘所を舐め、甘じょっぱいネロの味を楽しむマスター。ネロももどかしくも心地良い舌での愛撫に甘い声を漏らしてマスターに尻を預ける。

 

「んぁ……っ♡ う、あ……♡」

 

 目の前がちかちかと光るような快感に体を震わせていたネロであったが、マスターがブルマの股間部分をずらして秘所を露出させたことを見て彼に向かい直ると唇を重ね合わせた。

 彼の腰に座り、既に勃起して存在を主張している肉棒に膣の入り口を合わせたネロは、二人で息を合わせてお互いの体を繋がり合う。

 

「んきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 ばちばちばちっ♡♡♡ と火花が舞った。脳天と膣が痺れ、舌がだらりと口の外に飛び出て垂れる。

 ネロの小さな体を抱きかかえたマスターはそのまま立ち上がると、駅弁スタイルでのセックスを開始した。

 

「はぁんっ♡♡♡ んぁぁっ♡♡♡ あくっ♡♡♡ おくっっ♡♡♡ あたるぅっ♡♡♡」

 

 自重によって奥深くまで肉棒が届く。子宮を何度もノックされ、興奮の扉を無理矢理に開かれそうになる。先ほどまでの快感など、このセックスに比べれば遥かに小さい物だとネロは思った。

 ネロのお尻を掴むマスターは、彼女の小さな体を力強く持ち上げて引き下ろすと言う激しいセックスを行っていた。お尻の肉が小刻みに震わせてマスターの肉棒を受け入れるネロは、カチカチと歯を鳴らしながら彼に強く抱き着いた。

 

「ひぃぃぃっ♡♡♡ おお、きすぎるぅっ♡♡♡ あちゅくて、よのまんこやけどしちゃうぅぅっ♡♡♡」

 

 ずっぽ、ずっぽ……♡ 何度も、何度も何度も何度も、マスターはネロの性器に己の欲望を叩き付けた。

 愛液を攪拌され、媚肉を蕩けさせられ、子宮を刺激され……真っ赤なブルマに愛液の大きな愛液の染みを作り出すネロは、瞳にハートマークを浮かべながら叫んだ。

 

「きょ、今日のトレーニングは、ちんぽトレーニングで決定だっ♡♡♡ 駅弁イチャラブセックスで、だいしゅきホールドした余を抱えたままちんぽじゅぽじゅぽし続けるのだぞっ♡♡♡ 余のまんこ擦り切れるまで使って良いから、頑張ってちんぽ鍛えるのだっ♡♡♡」

 

 ネロの言葉に頷いたマスターは彼女の尻を更に強く掴むと激しいピストンを開始した。愛液を雨の様に降らせるネロは、マスターの手であっという間に官能の高みまで追い詰められてしまう。

 ごりっ、ごりっ、ごりっ……♡ マスターの亀頭が徹底してネロの子宮口を責め始めた。他の部分など目もくれず、女性の一番大事な部分の入り口をこじ開けるかの様に腰を叩き込み続ける。

 

「んひぃっ♡ あへぇっ♡ そこっ♡ イイっ♡ もっと突いてっ♡ おちんぽつんつんしてぇっ♡」

 

 亀頭の執拗なキスを受けたネロの子宮口はあえなく陥落した。口を開き、亀頭に吸いつく様にしてキスを返し、甘えて媚びた姿勢を取っている。

 もはや準備は万端、あとはトドメのみ……そう判断したマスターはラストスパートをかけて腰を激しく叩き込むと、ネロの膣におびただしい量の精液を射精した。

 

「あぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ 余の、しきゅうがぁ……はげひ、しゅぎうぅ……♡♡♡」

 

 開いた子宮口から注ぎ込まれた精液は、ネロの最奥の壁に激しく叩き付けられた。敏感かつ最大に繊細な部分に刻み込まれる精液の味は、ネロを瞬時に狂わせる。

 

「あ~っ……♡ は~っ……♡」

 

 自身の最奥に精液と言う名の砲弾を撃ち込まれたネロの膣は、完全降伏してマスターの肉棒(ちんぽ)に媚び始めた。柔らかく締め付け、とろとろに蕩け、マスターに感謝するかの様にして肉襞を絡み付かせる。

 だが、これはまだ一回目の射精だ。ネロの膣内に挿入されているマスターの肉棒は萎える事無く起立し、次のセックスの始まりを待ち続けていた。

 

「あ、へ……♡♡♡ まひゅたぁ♡♡♡ おちんぽトレーニングっ♡♡♡ まだまだするのだろうっっ♡♡♡ よのまんこもじゅんびばんたんらっ♡♡♡ ずぼずぼしていいのだぞっ♡♡♡」

 

 甘えた声でマスターに次の性交を強請るネロもまた、尻をぶんぶんと振って快感を貪っている。ネロのお尻をもう一度しっかりと抱えた状態のまま、マスターは再び腰を激しく振り始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……夜、学校から帰宅したマスターは、食事や風呂と言った寝る前の準備を全て終えると地下室へと向かった。

 階段を降り、広い地下室への扉を開いたマスターは、真っ暗な部屋の電気を点けると部屋の壁へと目を凝らす。

 

 地下室にある物、それは無数のドアとそれと同数の尻だった。壁から沢山の尻が生えているのだ。

 肌の色、形、大きさ、匂い……その全てが何一つとして一致しない女性たちの尻をざっと見たマスターは、その横にある扉にかけられているホワイトボードを眺めながら部屋の中をゆっくりと歩き始める。

 

 この地下室には、サーヴァントたちの部屋が集結している。それぞれ畳二畳分のパーソナルスペースを与えられた彼女たちは、その中で自由に過ごしているのだ。

 この壁尻は毎晩彼女たちの意思で行われている。決して誰かが強制している訳では無く、彼女たちがマスターに抱かれる為に行っているのだ。

 

 毎晩の夜伽、マスターが寝る前に抱くサーヴァントを選ぶお楽しみの相手を選ぶ。それが、マスターがこの部屋に来た理由だった。

 彼に抱かれたければそれぞれのパーソナルスペースの壁に用意されている穴から尻を突き出せば良い。それが、夜伽の相手をしたいと言う意思表示になるからだ。

 その際、自室に続く扉にかかるホワイトボードにアピールの文章を書く事も忘れない。マスターに抱かれたいと願う彼女たちは、皆一様に文字と下半身を使ってのアピールを行っていた。

 

 種付け希望♡ 忠犬にご褒美を下さい♡ おまんこにミルクを飲ませて♡ ……様々な煽り文句でマスターの興味を引こうとする女性サーヴァントたちは、尻と性器から淫らな匂いを振りまいて必死になって彼にアピールをしていた。

 本性と肉欲を剥き出しにし、英霊としての自分の尊厳までもを打ち捨ててマスターの寵愛を求めるサーヴァントたち。そんな彼女たちに一切の軽蔑の感情を抱くことの無いマスターは、心からの愛らしさを感じながら彼女たちの尻を見つめていた。

 そんな時、マスターはふと足を止めて一つの尻を見つめた。刻まれている淫紋令呪を真っ赤に光らせる彼女の臀部に手を伸ばしたマスターは、優しくそれを撫で始める。

 

『はぅぅ……っ♡♡♡』

 

 ぷるり、ぷるんっ……♡ 柔らかな尻がマスターの手の動きに合わせて震え、小さく左右に揺れる。滑らかで、柔らかなマシュの尻は、極上の手触りをマスターに与えていた。

 

『くぅあ……っ♡♡♡ あぁっ……♡♡♡』

 

 手でマシュの尻を堪能したマスターは、今度は唇を彼女の尻肉に落とした。ふわふわとしたマシュの尻に赤い跡を残すキスを続けた後、舌を這わせて中央の窄まりへと向かわせる。

 

『んんんんんっっっ♡♡♡』

 

 手でアナルを広げ、舌を内部にねじ込む。そのまま穴を広げる様にして舌をぐりぐりと動かしたマスターの責めにマシュは悶絶して呻き声を漏らす。

 いや、漏らしているのは呻き声だけは無い。秘所からは愛液と尿の混合液が溢れ出し、彼女の足元ならぬ尻元を汚していた。

 

『はっ♡ はっ……♡ せん、ぱぁい……♡♡♡』

 

 甘く、蕩ける声。自身を呼ぶマシュの声にクスリと笑ったマスターは、勃起した肉棒を広がり切った彼女のアヌスにあてがう。

 そのままゆっくりと尻穴に肉棒の感触を味合わせる様にして挿入すれば、マシュの尻は絶叫にも近しい嬌声を上げて彼の肉棒を飲み込んでいった。

 

『んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡ おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡』

 

 ぺちん、ぺちん……♡ 最高の締め付け、質感、温もり、柔らかさ……それらを併せ持つマシュの尻を軽く叩いたマスターは、その行動に彼女への賞賛と愛を込める。

 マシュも彼の心の内の感情を読み取ったのか、嬉しそうに尻を振って彼の肉棒を楽しませる。彼しか知らない自分の尻穴の感触を存分に堪能してもらうべく、マシュは自身の持つテクニックをフル活用して奉仕を始めた。

 

 解されたアナルを蠢かせ、マスターの肉棒をもぐもぐと食べる様にして包み込む。マシュの尻は、もはや最高の逸品と呼ぶべき代物へと昇華されていた。

 マスターの手で一から創り上げられた尻穴。肛門の柔らかさも、穴の締め付けも、温度も、動きも、何もかも全てがマスターによって躾けられ、彼の為の物になっている。当然だ、この場所は彼の為の物であり、彼だけが味わえる場所なのだから。

 だが、まだマシュは満足していない。もっと使い込み、肉棒に馴染ませ、最高を越えた唯一無二のけつまんこにして貰いたい。それを望むマシュのアナルは、彼女にとって最大の性感帯になっていた。

 

『ンほぉぉぉっ♡♡♡ お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッッ♡♡♡』

 

 ピストンされていないのにもうイってしまう。彼の肉棒を飲み込んでいるだけでマシュは絶頂してしまうのだ。

 開発され、マスター専用に形作られたけつまんこは、彼に何をされても快感を感じてしまう様になっている。その事を心から喜びながらもアナルセックスの快感を味わいたいマシュは、壁の向こう側で半狂乱になって叫んだ。

 

『お願いしますっ♡♡♡ わたひをっ♡♡♡ 今日のお相手に選んでくださいぃっ♡♡♡ けつまんこで一生懸命奉仕しますからっ♡♡♡ 先輩ちんぽを気持ち良くして、満足するまでお尻差し出しますからっ♡♡♡ 先輩専用けつまんこにおちんぽぶち込んで、アナルセックスしてくださいっっ♡♡♡ お願いしますっっ♡♡♡』

 

 マシュのアナルが強く締まる。マスターの肉棒を放したくないと、このままずっと受け入れていたいと望み、彼を逃さぬ様にきつく締まる。

 後輩の我儘で愛らしいその行動を受けたマスターは、目の前の尻を撫でるとマシュの腰をしっかりと掴んだ。そして、アヌスに挿入したままマシュの体を穴から引き抜く。

 

「ん、あぁ……っ♡♡♡ せんぱい……っ♡♡♡」

 

 上半身を開放されたマシュは、早速とばかりにキスをして来たマスターに応えて唇を重ね合わせた。胸を揉まれ、乳首を抓られながらも舌を絡ませ、彼に成すが儘にされつつ楽しんで貰う。

 秘所からは愛液がとろとろと噴き出し、ひくひくと穴がひくついていた。今日のセックス相手に選ばれた喜びに打ち震えるマシュであったが、周囲を見回すととある事に気が付いて驚きの表情を浮かべる。

 

「あ……♡ 私だけじゃ無いんですね……♡ と言うか……♡」

 

「全員を相手にしようだなんて……♡ マスターは本当に欲深いですね……♡」

 

 地下室には、彼に仕えるサーヴァントたちが一人残らず全裸姿を晒していた。つまり、今日の相手は自分たち全員と言う事だ。

 まさに底なしの欲望……滾る肉欲のまま、マスターはマシュたち全員を抱こうとしているのだ。

 彼のその選択に驚きながらも、サーヴァントたちは一人残らず子宮を疼かせていた。ゾクゾク、ジンジン……♡ 体の中央、奥深くから湧き上がる期待が、雌の本能を刺激して止まらないでいる。もう、早く彼に抱かれたいとしか考えられなくなっている……♡

 

「んほっ♡♡♡ ほぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 マシュのアナルを穿つマスターは、彼女を抱いたまま地下室を後にした。サーヴァントたちも秘所を抑えながらこの後に行われる淫らな宴に期待しつつその後に続く。

 地下室からマスターの寝室まで続く家の廊下を愛液で汚しながら、女英霊たちはただの雌へと自ら堕ちていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……というVRゲームを作って欲しいのだが! 後々に奪還されたサーヴァントたちも追加しつつ、新たなシチュエーションも新規に加えるアップデートも予定しているぞっ!」

 

 ダヴィンチ工房でなが~いプレゼンを行ったネロを前にして、工房の主は頭を抑えて深い溜息をついた。本当に凝ったプレゼンであったが、自分の答えは決まっている。

 

「却下!」

 

「な、何故っ!? 楽しいぞっ! 絶対楽しいぞっ!」

 

「そんな大掛かりなゲームを作ってる暇は無いの! ちょっとしたシチュエーションを作るならまだしも、彼の日常生活に合わせた数々の設定を作るなんてどれだけの時間がかかると思ってるのさ!?」

 

「そそそ、そんなぁ~~……」

 

 自信作であるVRゲーム案を却下されたネロは目に涙を浮かべながら肩を落とした。その姿に若干の罪悪感を感じたダヴィンチちゃんは、仕方が無い事だと思いながらもその罪悪感を噛み潰す。

 

「うぅぅ……なら、もう一つの案を聞いてくれ……。そっちの方なら、そこまで手間はかからないだろうから……」

 

「う~ん……そもそもVRゲームは、彼を興奮させることが主体で性欲の発散が出来ないからそこまで推奨してないんだけどなぁ……」

 

「大丈夫だ! こっちは現実でやる案だぞ!」

 

「そう? なら、話だけ聞いてみるけど……」

 

 疑い深い表情を向けるダヴィンチちゃんに自身の第二案を告げるネロは、必死になってプレゼンを行う。目を閉じてネロの話を聞き続けたダヴィンチちゃんは、最後に大きく頷いてから口を開いた。

 

「うん、それなら許可しよう! ただし、あくまで準備は自分たちで行うこと!」

 

「うむ! 勿論だぞっ! 万能の天才の英断に感謝するっ!」

 

 ダヴィンチちゃんの許可を得たネロはようやく笑顔を取り戻すと工房を出て行った。残されたダヴィンチちゃんも作業に戻りながらも、大掛かりなイベントの開催を許可したことに少しばかり心をときめかせる。

 

「……まあ、次の特異点が始まる前の息抜きとしては十分でしょ。彼らも楽しんで貰いたいもんだね」

 

 忙しい日々を送りながらも茶目っ気は忘れない。万能の天才は舌をぺろりと出して微笑んだ後、自分に課せられた作業へと没頭し始めたのであった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデアドリームクラブ(ネロ 沖田総司)

 次のお話が第三特異点開始前の最後のお話になると思います。

 次はソロモン側のお話、敵として出て来る鯖が多数登場します。つまり堕ちor凌辱です。
 数が多くなったら、何回かに分けて投稿するかもしれません。


「えっと……ここは……?」

 

 今、カルデアのマスターが置かれている状況を一言で説明すれば、()と言う言葉がぴったりだろう。今の彼の頭の中は、?マークで一杯だった。

 

 数時間前、自室に届けられた一枚の手紙を読んだマスターは、その手紙の指示に従ってカルデアの地下へとやって来ていた。

 結構な時間を過ごしたカルデアに地下室があると言う事を知って驚いたマスターであったが、目の前にはそんな驚きすら掻き消してしまう程の光景が広がっている。

 何故か……本当に何故か、地下には荘厳な宮廷の様な建築物が存在していたのだ。いや、ナイトクラブと言っても良いだろうか? とにかく、彼の目の前には途轍もなく派手な何かがででんと存在を主張していた。

 

「何これ……? 訳が分からないんだけど……」

 

 困惑しっぱなしのマスターは困り顔でただ突っ立っていた。この謎の建物の中に入る事は、なんとな~く躊躇われてしまう。

 だが、そんな彼の前にその建物から出て来た女性が姿を現すと、腰に手を当ててほくそ笑みながら声をかけて来た。

 

「遅かったな、マスター。もう中では皆が待ちくたびれているぞ」

 

「す、スカサハっ!?」

 

 建築物から姿を現したスカサハは、これまた何故か全裸だった。

 魅力的な裸体を晒す彼女に面食らい、固まってしまったマスターの手を強引に引くスカサハは、自分が入って来た建築物へと彼を連れ込んでから言う。

 

「さて、ここでは服を脱いで貰おうか。私と同じ、裸になるんだ」

 

「え? な、何で……?」

 

「つべこべ言うな。今は時間が惜しいからな……もたもたするようなら、私が脱がしてやるが?」

 

 ギロリ、と言う擬音がぴったりの鋭い視線をスカサハに向けられたマスターは、背筋を震わせてから急いで彼女の言う事に従った。

 スカサハのことだ、ちょっとでも自分がもたつけば服を破らん勢いで脱がしにかかるに違いない。大切な衣服を守るべくてきぱきと服を脱いだマスターは、目の前のスカサハ同様に全裸になると羞恥で顔を赤面させた。

 

「ふふ……♡ 少し見ぬ間に随分な暴れ馬に成長したではないか。これは、並大抵の女では満足出来まい……♡」

 

「うあっ……!?」

 

 自分の陰茎を一目見、すぐ近くに体を置いたスカサハはマスターに熱を帯びた声でそう囁いた。

 その声の甘さ、妖艶さに反応したマスターは、視線の先にあるスカサハの豊かな乳房に息を飲みつつ体と肉棒を少しだけ硬くする。

 

「おっ? 私の裸で欲情したか? 愛い奴め、すぐに可愛がってやりたいところだが……今は無理だな」

 

「え……?」

 

 残念そうにそう呟いたスカサハの顔を見た時、マスターは自分の周囲に漂う甘い匂いに気が付いた。

 どこかで嗅いだことがある様なその匂いの発生源は、どうやらスカサハの様だ。鼻をひくつかせ、その匂いの正体を探るマスターは、唐突にその正体に思い至る。

 

「……気が付いたか? そうさ、私もなんだ……♡」

 

 スカサハの大きな乳房、その先端にある赤い乳頭……そこから白い雫が垂れている事に気が付いたマスターはごくりと息を飲みこむ。

 スカサハは、そんなマスターに第一再臨を完了させた淫紋令呪を見せつつ、自分がどんな風になったのかを説明し始めた。

 

「私は、セタンタの奴に徹底的に子宮を躾けられたのさ……♡ 下から何度も突き上げられ、弱い部分を何度も責められ……へばった私に何度も精を放つセタンタ……いや、夫に対して、私は淫らに喘ぎながら約束したのさ。()()()()()()()()、とな……♡」

 

「っっ……!」

 

「夫婦となったのだ、子を成すのも当然の事だろう? 奴の子を孕み、強き子を産んでやるのは妻として当然の役目……英霊の身で何を馬鹿らしい事をと思うかもしれぬが、私は奴の子を孕むと決めた……その結果、私の淫紋令呪は再臨を迎え、乳から母乳が噴き出す様になったと言う訳だ」

 

 母乳の甘く淫らな匂いを漂わせ、マスターの瞳を挑発的に覗き込みながらスカサハが言う。その淫靡さを前にしたマスターの肉棒は、完全に戦闘準備が整ってしまっていた。

 

「……お前の相手をしてやりたいのはやまやまだが、夫に黙って若い燕を囲う訳にもいくまい……。だが安心しろ、お前の相手はこの先に居る。それも数え切れぬ程にな……♡」

 

 意味深な言葉を口にした後で歩き出したスカサハについて行くマスターは、早くも昂り始めた体の熱を前に呼吸を荒くしていた。彼女の言う事が本当であれば、この熱を冷ます相手はこの先に居るのだろう。

 スカサハのすらりと伸びた脚と、それとは対照的なむっちりとした臀部を見て欲情を滾らせたマスターは、ただ黙って彼女の後に続いて歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく来たな、マスター♡ どうだ? 夢の様な光景であろう?」

 

「う、わ……!?」

 

 スカサハに続き、大きな扉を潜ったマスターの目の前に広がったのは、正に天上の美とでも呼ぶべき光景だった。

 黄金の調度品に囲まれた室内、レッドカーペットと薔薇の花弁が舞う部屋の中には、ドヤ顔でこちらを見るネロの他にも多数の女性たちが存在していた。

 その全員がスカサハや自分と同じ裸……年齢や体型、肌の色の全てが違う裸体を晒す彼女たちは、室内の雰囲気と相まってまるで天使の様にも思える。

 

「ね、ネロ、これは一体……?」

 

「驚いたか? ここは余が全面的にプロデュースした地下施設にして、男たちにとっての夢の楽園! その名も『カルデアドリームクラブ』だぞっ♡」

 

「カルデア、ドリームクラブ……?」

 

 ここに至ってもネロの考えが理解出来ないマスターは、ただ茫然としたまま彼女の口から飛び出たこの施設の名をオウムの様に繰り返す。そんなマスターに向け、ネロは得意げな表情のまま細やかな説明を始めた。

 

「開く時は不定、期間も不明、何もかもが謎に包まれているこの夢の楽園には、たった一つだけのルールがある……それは、お前たちマスターを存分に楽しませる事だ」

 

「お、俺たちを、楽しませる……?」

 

「左様! ……人数も、時間も、プレイの内容も思うがまま! この場に居る時は、自分の背負う重荷も忘れてただ享楽に浸れ! ここは、この世の天国。そなたを満足させる為だけに集った女たちが、そなたに抱かれる為に在る楽園だ!」

 

「ふむぅっ!?」

 

 全ての言葉を口にするが早いが、ネロは自分の唇をマスターの唇へと重ね合わせて来た。

 薔薇の花弁の様な愛らしい彼女の唇が開き、そこから這い出た舌が自分の舌に絡みつく感触に顔を赤くしたマスターは、そのままネロの主導の下で淫らなキスを愉しむ。

 

「ふっ♡ んふっ♡ むふぅ……っ♡」

 

 首に手を回し、甘える様にして体を擦り寄らせながらマスターに抱き着くネロは、豊かに育った乳房を彼の胸板に当てながらキスを続ける。

 柔らかく、温かく、そして甘い……そんなネロの体とキスを堪能していたマスターは、キスを終えたネロが瞳を潤ませながら囁きかけた言葉に眼を見開く。

 

「……こんなにも大きく、雄々しくなってしまったそなたのちんぽは、もうそう簡単には満足出来まい。ならば、どんな手段を使ってでも余たちはそなたを満足させよう。主を欲求不満にするなど、女として最大の恥辱だからな」

 

「き、気付いてたの!?」

 

「この間の体調不良の一件を受け、余たちも色々と考えたのだ。愛され、大切にされる事は幸福だが、その結果そなたが我慢をしては何の意味も無い……余たちを愛しているのなら、その欲望を全てぶつけて欲しい……」

 

 愛らしい女性としての表情と、マスターを思うサーヴァントとしての表情と言う二面性のある姿を見せるネロは、真っすぐに彼の瞳を見ながらそう言った。そして、はっきりとした口調でなおも続ける。

 

「マスターの肉欲が尽きぬのなら、例え我らが気を失って居ようとも抱くが良い。鬼畜と、非道と思おうと、余らはそれを望む。我らが最も我慢ならないのは、そなたに無理を強いる事だ。そなたの愛を受け切れず、その欲望を持て余させてしまう事だ」

 

「ネロ……皆……」

 

「……この楽園に居る時だけは、そなたの欲望を全てぶつけて欲しい。令呪を使ってでも、無理にでも、我らを抱け! 今日、この日だけは、我ら女英霊はそなたの肉欲を満足させる為だけの性奴隷だ! その事を肝に銘じておいて欲しい!」

 

 ネロのその言葉を聞いた時、マスターの中では衝撃が走っていた。あのネロが、プライドの高いネロが、ここまで言うとは思いもしなかったからだ。

 だが、マスターはすぐにその考えを掻き消す。きっと、彼女にとっては、この答えこそが彼女の誇りを守る選択肢なのだろうと思いなおす。

 それはきっと女としての矜持だ。毎晩自分を抱き、愛を伝えてくれる相手が、実は満足していない。そのせいで体調を崩したとなれば、彼女たちのプライドはズタボロだろう。

 だからこそ、どんな手段を使ってでもその使命を全うしたいのだ。この前のマシュもそう、自分の事を愛してくれているからこそ、自分に無理を強いたことが許せないのだろう。

 

「……ごめん、ネロ。俺が甘いせいでこんな真似をさせちゃって……」

 

「何を言うか、その優しさこそがそなたの魅力……決してそれは恥じるものでは無いのだぞ?」

 

 自分を励まし、男として立ててくれるネロの笑顔を見た瞬間、マスターの中で彼女への愛らしさが爆発した。

 腕を伸ばし、ネロの小さな体を抱き締めたマスターは再び彼女と唇を重ね合わせる。その際、手で臀部を揉むことも忘れはしなかった。

 

「ふぅむっ♡ んっ♡ んふぅっ……♡」

 

 喉の奥から、嬉しそうな呻きが漏れる。彼の手で揉まれる尻が僅かに揺れ、体が熱を帯び始める。

 肉棒を押し付けた腹の上からでも分かる程、ネロの子宮は疼いていた。自分を求めてくれる愛らしい彼女を強く抱き締めたマスターは、ネロの瞳を真っすぐに見て言う。

 

「……じゃあ、まずはネロに相手をして欲しい。それと、もう一人……」

 

「ん……♡ 余だけでは飽き足らず、他の女も抱くと言うか? マスターはなんと強欲な男よな……♡」

 

 だが、それで良い。口には出さないネロの思いが、マスターには聞こえた気がした。今日だけは、彼女たちに己の欲望をありったけぶつけてしまおうと覚悟を決めつつも、マスターは愛情を忘れるつもりは無かった。

 

「ネロと……沖田さんに相手をして貰おうか」

 

「わ、私ですか!? えへへ~♡ マスターさん、私を選ぶなんてお目が高い! なんちゃって~♡」

 

「……最近、沖田さんの相手が出来て無かったからさ。ちゃんと抱きしめてあげないと、男として駄目でしょ?」

 

「あ……♡」

 

 左腕を腰に回し、そう囁いたマスターの声に沖田は胸を高鳴らせた。何を隠そう、彼女はカルデアにおいてチームに参加していない数少ないサーヴァントの一人だ。当然、そうなれば彼に抱かれる回数は少なくなる。

 すっかり忘れ去られているのではないかと内心心配していた沖田であったが、マスターがしっかりと自分の事を考えてくれていると知って安心すると同時に、胸の中に温かい物が溢れて来ることが分かった。

 

「……では沖田よ、覚悟は良いな? 吐血しても、今日は止まらぬぞ?」

 

「ネロさんこそ、途中でへばって泣いたりしないで下さいよ?」

 

 笑顔を浮かべて言葉の応酬を繰り返す二人の背後で扉が開く。そのまま、マスターは二人を両脇に伴ってその扉の先へと歩き出す。

 自分たちを見送る仲間たちの視線を背中に受けながら……ネロと沖田は、自分の秘所が既にじっとりと濡れ始めている事を感じていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んしょ……こうでしょうか……?」

 

「なかなかに、そそる体勢のようだな……♡」

 

「うん……! 二人とも、凄く素敵だよ……!」

 

「「……♡♡♡」」

 

 マスターからの褒め言葉に胸を高鳴らせたネロと沖田は、気恥ずかしさに顔を赤く染める。と言っても、その表情はマスターには伺い知れないのだが。

 今、二人はマスターに尻を突き出した状態で重なり合っている。仰向けになった沖田が下、うつ伏せのネロが上と言った状態で、貝合わせの体勢を取っているのだ。

 

(沖田の秘所、濡れ濡れになっておるわ……♡ 奴も興奮しておるのだな……♡)

 

(ネロさんのおまんこ、凄く熱い……♡♡♡ きっと、マスターさんにおちんぽぶちこまれる事を想像して、体を火照らせてるんですね……♡)

 

 自分の秘所に触れる相手の性器の感触は、お互いがセックスへの期待を隠せていないことを二人に感じとらせた。同時に、こんなにも興奮している姿を何一つとして隠さないでいる自分たちをマスターはどんな目で見ているかが気になって仕方が無かった。

 

「……さあ、マスター。どちらの穴からぶち込む? 余はもう、準備万端だぞ?」

 

「沖田さんもですよ~♡ 好きにハメて、楽しんじゃってくださ~い♡」

 

 二人が自分の性器を開き、その中身を露出させる。薔薇と桜、そう表現するに相応しい性器の中身を見たマスターは僅かに微笑むと立ち上がり、そして――

 

「……じゃあ、こっちからにしようかな!」

 

「んおほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ お、おひりぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 無遠慮に、無警戒だったネロのアナルへと肉棒を叩き込んだ。

 

「あ、本当だ。ネロのお尻、もう大分解れてて簡単に挿っちゃったね」

 

「ほひぃっ♡♡♡ んほひぃぃぃっっ♡♡♡ ふと、ふといぃっ♡♡♡ ますたぁのちんぽ、ふとしゅぎるぅぅっ♡♡♡」

 

 奥へ、もっと奥へ……巨大な肉棒が隙間なく尻穴を埋め、奥へと侵入して来る。されど、その感覚に窮屈さは無い。息苦しさの中にある確かな快感を感じ取ったネロは、早速無様なアヘ顔を晒しながらただ喘ぎ始める。

 そんなネロを眼前にしている沖田もまた、彼女の痴態に興奮を募らせていた。ネロの尻にマスターの腰がぶつかる性交の音が、その興奮に拍車をかける。

 

「んほっ♡ おほぉっ♡ けちゅっ♡ いきなりけちゅまんこはひどいぞっ♡ ますたぁっ♡」

 

「今日は酷い事しても良いんでしょ? それにほら、ネロだってお尻穿られて気持ち良さそうじゃない」

 

「あへっ♡ と、とうぜんではないかぁっ♡♡♡ 大好きなマスターのおちんぽでけつまんこほじほじされたら、女は皆こんな風になってしまうに決まっていようっ♡♡♡」

 

「はぁっ♡ あ、はぁっ……♡♡♡」

 

 尻穴を穿たれるネロは、膣から熱い愛液をだらだらと垂れ流している。上から降りかかるそれを自分の秘所に浴びる沖田は、荒い呼吸を繰り返して目の前で行われている性交に思いを募らせた。

 若干、自分は蚊帳の外だ。ギャラリーとして二人のセックスを暫し眺め続けるしか無いのであろう。そう、彼女が考えた時だった。

 

「んへっっ♡♡♡ ほうっっ♡♡♡」

 

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っっ♡♡♡」

 

 ばちゅんっ♡♡♡ と、大きな音がした。次いで子宮口を突かれる激しい快感が沖田を襲い、そのまたすぐに途轍もない快感が全身を駆け抜ける。

 たった一突きで絶頂してしまった沖田の顔をそっと撫でたマスターは、悪戯っ子の様な笑みを浮かべながら彼女に優しく注意をした。

 

「駄目だよ沖田さん。気を抜いて呆けてて、ちんぽぶち込まれたら即イキだなんて感心しないなぁ」

 

「ご、めんらさい……っ♡♡♡ マスターさんのちんぽで、一番弱い所不意打ちされたから、すぐイっちゃいましたぁ……♡♡♡」

 

「ふふふ……! じゃあ、ここからは気を引き締めて相手するんだよ? すぐにイっちゃ駄目だからね? わかった?」

 

「はいぃ♡♡♡ 沖田さん、頑張りますぅ……っ♡♡♡」

 

 沖田の返答を聞いたマスターは、満足そうに微笑むと彼女の桜色の髪を撫で、腰をゆっくりと引く。

 きりきりと、矢をつがえた指を引き絞る様にして腰に力を込め、正確に的確に狙いを定めたマスターは、そのまま勢い良く腰を動かし、沖田の最大の弱点(ボルチオ)を亀頭で叩いた。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 肉棒を包む沖田の膣肉が激しく痙攣し、肉棒に媚びる様にして絡み付く。子宮が降りて来ている事を亀頭で感じ取ったマスターは、そのまま何度も同じ個所に亀頭を叩き付けた。

 

「あへっ♡ あへぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ ほひぃっ♡♡♡ んへあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「駄目じゃないか、沖田さん。何やっても、イキっぱなしになっちゃうなんてさぁ……!」

 

「あ、あぁ、ぁ♡♡♡ だめぇ♡ だめなんです……♡ ぼるちお、よわいからぁ♡ ますたぁさんのおちんぽでがんがんつかれると、イキっぱなしになっちゃうんれすぅ……♡ おまんこ、ばかになりゅう……♡♡♡」

 

「ああ、そう? なら……こっちの方はどうかな?」

 

「ンっほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 くすくすと笑ったマスターは、沖田の膣から尻穴へと狙いを変えて肉棒を叩き込んだ。ネロ同様、沖田のアヌスも既に解れており、難なく彼の怒張を迎え入れて咥え込む。

 限界の無い尻穴への挿入を受けた沖田は、先ほどよりも激しく体を痙攣させて唸り声に近い嬌声を上げた。その動きに合わせて尻穴がぎゅっと締まり、マスターの肉棒をがっしりと締め上げている。

 

「ほぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ おっほぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

「……弱いの、おまんこだけじゃ無かったみたいだね? お尻の穴でもイキまくっちゃって、沖田さんはドスケベだなぁ」

 

「んへぉっ♡♡♡ お、ちんぽぉっ♡♡♡ おしり、まんこぉっ♡♡♡ ごりごり、っ♡♡♡ しゅ、ごいぃぃっっ♡♡♡」

 

「沖田さんのお尻も凄いよ。入り口はキツキツなのに、奥の方は柔らかく蕩けてる……! もっともっと、解して蕩けさせてあげるね」

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 びくんっ♡ と起き上がった沖田の体は、ネロの手によって抑え込まれた。目の前でアヘ顔を晒す美少女の姿にネロも興奮しっぱなしだ。

 

「ああ、美しいぞ沖田……! 尻穴を穿たれ、肉棒による快感を叩き込まれるそなたの姿は、正に女としての幸福に溢れている……♡♡♡ 余も、是非ともこんな姿を晒したいところだな♡♡♡」

 

「んおっほぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 ネロの褒め言葉も、沖田の耳には届いていなかった。尻穴から感じる暴力的な快感に打ち震え、それ以外のすべてが遠のいて感じられているからだ。

 膣からは噴水の様に愛液が潮となって噴き出し、ネロの秘所とマスターの腹を濡らす。だが、沖田は自分が潮噴きをしていることすら気が付く余裕も無かった。

 

「おっ♡♡♡ んおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ とけりゅっ♡♡♡ おひりとけりゅぅぅぅぅぅっ♡♡♡ おしりまんこっ♡♡♡ とろとろになっちゃいますよぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 奥へ、奥へ……自分の尻穴を掘削するかの様に潜り込んで来る肉棒は、沖田に未知の快感を味合わせて来た。その快感に酔っていると、今度は排泄感を伴う原始的な快感が沖田を襲うのだ。

 長い肉棒が、ずるずると音を立てて尻穴から抜け落ちて行く。普段、一瞬で終わる排泄を延々と味合わせられる沖田は、歯をかちかちと鳴らしながら小便を噴き出して喘いだ。

 

「もうらめっ♡♡♡ もうらめぇぇぇぇっっ♡♡♡ イクっ♡♡♡ おおきいのきちゃいますっ♡♡♡ 沖田さん、いぐぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 細やかな絶頂を何度も繰り返していた沖田は、それを超える一際大きい絶頂を前にして体を強張らせた。自分はこれからケツイキするのだと覚悟を決めた沖田であったが、マスターがそう簡単に彼女の思い通りにする訳が無い。

 

「んへおぉぉっっ♡♡♡ はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 勢い良く、沖田の尻から肉棒が抜け落ちる。あまりの勢いに同時に腸内の空気まで吐き出した肛門から、空気を震わせる放屁の音が響いた。

 そして、マスターは硬く起立した己の肉棒を再び沖田の膣へと叩き込む。亀頭が向かうのは同じ場所。何度も責め上げた沖田の弱点、ボルチオだ。

 

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

「……はい、トドメっ!」

 

「はひぃぃっ♡♡♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ♡♡♡」 

 

 沖田の子宮から脳天まで、快感の信号が一気に駆け上がった。そのあまりのスピード、あまりの快感の大きさに脳が信号を処理しきれず、自分が絶頂している事を沖田に自覚させないでいる。

 だが、次いで放たれたマスターの精液を子宮に浴びせられた時、それらすべての快感が一斉に沖田を襲った。ボルチオ突き、アヌスから肉棒を引き抜かれる快感、子宮への射精、そして絶頂、それらすべての快感が、沖田を飲み込んだのだ。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あっ♡ くあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 頭の中で、胸の内で、子宮の内側で……沖田の中で、何かが連続して弾けた。意識を保つことすら億劫になる程の快感が彼女の意識を奪い、ぼんやりとした霞の中へと沖田を誘う。

 だが、彼女が気を失う寸前、マスターの無慈悲なピストンが沖田のボルチオを襲った。最大の弱点を責められた沖田はたちまち意識を覚醒させ、再び潮を噴きながら絶頂してしまう。

 

「あへぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ お、まんこぉぉぉっっ♡♡♡ こわれりゅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「……まだまだ寝かせないよ? たっぷり、じっくり、限界まで……俺の相手、して貰うからね?」

 

「は、はい……♡♡♡ たった一回の射精で気を失いかけて、すいませんでした……♡♡♡ 沖田さん、もっと頑張っておまんこします……っ♡♡♡」

 

 マスターの肉棒によって躾けられた沖田は、蕩けた表情を見せて口元から涎を垂らす。透明なそれを指で掬い取ったネロは、自分の口へと沖田の唾液を運ぶとマスターへと振り返って言う。

 

「……今度は、余にマスターの相手をさせてくれ……♡♡♡ 余のおまんこにそなたのガチガチおちんぽを挿れて、沢山ズボズボしてくださいっ♡♡♡」

 

 プライドをかなぐり捨て、懇願の口調でマスターの肉棒を強請ったネロは、お尻をふりふりと振って彼の興奮を煽る。先ほど挿入されたアナルは僅かに緩み、空気を漏らす小さな音を鳴らしていた。

 

 ゆっくりと、マスターの手がネロの腰を掴む。そのまま反り立つ肉棒の先端を秘所の入り口にあてがわれた時、ネロの口からは自然と甘い息が漏れ出ていた。

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 じゅぷっ……♡ そんな音が、ネロの秘所から響いた。

 じっくり、じっくりとネロの膣を割り裂き、肉襞の一枚一枚を弾きながら潜り込んで来た肉棒は、ネロの最奥まで到達するとそのままそこに鎮座した。

 堂々とした存在主張、ここが自分の居場所だと言わんばかりにネロの膣をこじ開けたマスターの肉棒を受け入れたネロは、その雄々しさと逞しさに喜びの涙を流しながら打ち震える。

 

(余の、おまんこぉ……♡♡♡ ガチガチマスターちんぽに支配されてる……♡♡♡ 余のまんこ、マスターのちんぽの玉座にされてる……♡♡♡)

 

 王の風格を湛えた肉棒、それが座す玉座となった自分の膣。ネロにはもう、自分の性器が自分の物である気がしなかった。

 ここは彼の為の場所なのだと、挿入されている事が当然なのだと、ネロは思った。その瞬間、ネロの膣が生き物の様に蠢くとマスターの肉棒をひとりでに扱き始める。

 襞を絡ませ、愛液をねっとりと溜めた膣肉で扱き上げる。子宮も亀頭に吸いつき、精液を強請る様にして動き始める。

 普通の男なら、既に射精していて当然の膣の動き。だが、マスターの肉棒は何てことも無い様に鎮座したまま、堂々とその奉仕を受け続けていた。

 

「あ、あ……♡♡♡ 凄い……っ♡♡♡ なんて、逞しいのだ……♡♡♡」

 

 ずるる……ばちゅんっ♡♡♡

 ずるるる……どちゅんっっ♡♡♡

 

 肉棒が動き始める。引き抜き、突き入れると言う基本のピストン運動を行う。

 カリが襞と壁を削り、亀頭が子宮を押し込む。その一つ一つの快感を与えられるネロは、同時に彼によって新たな意識を植え付けられていた。

 

「このちんぽには……絶対服従っ♡♡♡ おまんこ締めて……全力奉仕っ♡♡♡ 余のまんこはマスターの……専用性器っ♡♡♡」

 

 引き抜かれ、カリに膣壁を擦られる度にネロの内側から余計なプライドがこそぎ落とされていく。この肉棒に屈服し、マスターを愛し続ける事が全てなのだと心の中と膣に刻み込まれる。

 そして肉棒を叩き込まれる度、子宮に誰が自分の支配者なのかを教え込まれた。この肉棒が、今自分を抱いている彼こそが、ネロ・クラウディウスの主であり、絶対的なマスターであることをネロ自身に知らしめる。

 

「イ、クっ♡♡♡ イクっ♡♡♡ いぐぅっ♡♡♡ イクぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 一回、二回、三回、四回……そこまでカウントして、ネロは数えるのを止めた。意味が無い事に気が付いたからだ。

 意味があるのは自分の絶頂では無い、彼の絶頂だ。主である彼の満足こそが自分の全て、それなのに自分が満足した回数を数えて何になると言うのだ。

 

(十回でもっ♡ 二十回でもぉっ♡ 百回だってっ♡♡♡ 余のまんこで射精して貰うっ♡♡♡ 沢山射精して頂くっ♡♡♡ 一杯、一杯……愛を注いで貰うのだっ♡♡♡)

 

 ばすんっ♡ ばすんっ♡ ばすんっ♡ ばすんっ♡ ……何度も何度も、ネロの尻が淫らな打撃音を鳴らしている。同時にぐちゃぐちゃと言う水音もまた、彼女の秘所から響いていた。

 

「お、おぉぉぉ……♡♡♡ おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 激しいピストンを受けるネロは、彼の肉棒が大きく膨れ上がって来た事に喜びの声を上げた。ようやく、自分は一回目の役目を果たせるのだと尻を振って大喜びする。

 

(来てっ♡♡♡ 余に沢山射精してっ♡♡♡ マスターのちんぽ汁沢山浴びせて貰う事が、余のまんこの幸せだからっ♡♡♡)

 

 ネロの膣が震える。子宮が疼き、愛液が止めどなく噴き出す。

 既にイキっぱなしになっているネロの膣を何度も突くマスターもまた、彼女の腰をがっしりと掴むとラストスパートをかけ始めた。先ほどまでよりも激しく腰を動かし、ネロの脳を焼き尽くす様な快感を与えつつ自分を高める。

 そして……最後の最後、子宮口にぴっちりと亀頭を押し付けたマスターは、思い切りそこを押し込むと夥しい量の精液をネロの子宮内へと解き放った。

 

「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ や、けるぅぅっ♡♡♡ おまんこ、あちゅいぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 ネロの子宮は一瞬にして彼の精液で満杯になった。収まり切らなかった精液は膣を埋め尽くし、そこにも入りきらなかったものは外へと飛び出してしまう。

 マスターが肉棒を抜いた瞬間、ネロの膣からはダムが決壊した時の様に精液が噴き出して来た。自分に射精してくれた精液を漏らしてしまう事に罪悪感を覚えたネロであったが、秘所を閉められ無い程に体が疲弊していたのだ。

 

「ね、ネロ、さん……♡♡♡」

 

「わかっているぞ、沖田……♡♡♡」

 

 何度自分たちは絶頂しただろうか? 逞しい肉棒で突き続けられ、体力を全て持っていかれたと言っても過言では無い。

 だが……まだ彼は、二回しか射精していない。自分とパートナーに、一回ずつ精を放っただけなのだ。

 

 満足させると言ったからには、高々一回のセックスでバテる訳にはいかない。ネロと沖田は疲れ切った体に鞭打ち、自分たちの尻を掴むとそれを左右に大きく広げた。

 

「マスター……♡♡♡ まだまだ、お相手させてもらうぞ……♡♡♡」

 

「沖田さんたちの穴ぼこ、好きに使って貰って構わないですからね……♡♡♡」

 

 一本の肉棒に支配される四つの肉穴。自分たちの恥ずべき場所を曝け出したネロと沖田は、荒い呼吸を続けながら彼の次の行動を待ち、そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギィィ、と音を立てて扉が開く。マスターたちを見送り、部屋に待機していたメンバーは、一様に視線を開いた扉へと向けた。

 

「あ、あ……♡♡♡」

 

「ん、へぇ……っ♡♡♡」

 

 暗闇の先からよろよろとした足取りでこちら側に歩いて来たのは、マスターに指名されて彼の相手をしていたネロと沖田だ。どうやら、マスターは彼女たちが限界だと判断したらしい。

 

「う、あぁ……♡♡♡ 余の、子宮っ♡♡♡ マスターの精液で、たぷたぷだぞ……♡♡♡」

 

「私も……お腹の中、いっぱいになってます……っ♡♡♡」

 

 全身から精液の臭いを放つ二人は、そう言いながら自分たちの腹を撫でた。そこに刻まれている淫紋令呪の形が先ほどとは違う事に気が付いた面々は、彼女たちが再臨を迎えたことを確信する。

 ぽっこりと膨れ、淫らな曲線を描く二人の下腹部……膣口と尻穴はぴっちりと閉じ、マスターが放った精液を漏らさない様にしている。

 満身創痍であるはずの彼女たちが歩けている事や、不自然な程に締まっている肉穴の様子を見たメンバーは、きっとこれはマスターが令呪で命令を施したのだろうと思った。

 

「あ、あ……♡♡♡ 体が、勝手にぃ……♡♡♡」

 

「マスターさんの命令、遂行しちゃうぅ……♡♡♡ 皆さんに恥ずかしい姿、見られちゃいますよぉ♡♡♡」

 

 二人を見守るサーヴァントたちの目の前で、ネロと沖田は体勢を整え始めた。

 手を頭の後ろで重ね、脚をがに股に開く。蕩けた笑みを浮かべ、裸体を何一つとして隠さない無様な姿勢を取った二人は、同時に大声で叫んだ。

 

「「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」」

 

 体勢は一切動かさず、微動だにしないまま二人は絶頂した。同時に秘所と尻穴を塞ぐ命令が解除され、開いた穴から勢い良く精液が解き放たれる。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ はへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

「おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 鼻を膨らませ、涙を流し、涎をだらだらと垂らす無様なアヘ顔。真正面を向いたままの二人は、イキ顔をこの場にいる全員に晒しながら絶頂し続ける。

 二つの穴に溜められた精液が勢い良く噴き出す事による疑似的な射精が彼女たちに途轍もない快感を与えているのだろう。いつの間にか二人の尿道からも黄金水が放たれ、ネロと沖田は三つの穴から潮噴きを披露することになっていた。

 

「あ、あ、あ……♡♡♡」

 

「えへ、えへへへへ……♡♡♡」

 

 やがて、二人の体から精液が全て吐き出された。未だに無様な姿勢を取ったままの二人は、この場にいる全員に向けてマスターからの伝言を口にした。

 

「つ、次の指名者は、特に無しだ……だが用心しろ、余たちはマスターをまだまだ満足させられていないのだからな……♡♡♡」

 

「我こそはと思う方が、この扉を潜って下さい……でも、覚悟はしてくださいね? 私たちみたいに沢山射精されて、こんな風にされちゃうかもしれませんから……♡♡♡」

 

 カクカクと腰を前後に動かす二人は、未だに体に残る絶頂感に酔いしれた表情を浮かべた。そして、僅かに残った愛液を潮として噴き出した後で、その場にドサリと倒れ込む。

 ネロと沖田の卑猥なショーを見た面々の反応は様々だった。二人を心配する者、扉の奥を覗いて息を飲む者、ただ茫然と立ち尽くす者……それぞれの反応を見せる中でも、全員の意見は一致していた。

 

「……次は、私が行きます。最終再臨したお尻まんこ、先輩に使って貰わないと……♡」

 

「いや、戦力の補強を図るなら、まだ再臨していない者が行くのが正しいだろう。だから次は私が行く」

 

「抜け駆けすんな~! オレだってまだ完全に力が戻ってる訳じゃねえんだから、魔力供給も兼ねてオレが行くっつーんだよ!」

 

「こう言うのは子供に順番を譲って下さいよ! 皆さん、大人げないです!」

 

「落ち着いて下さい! マスターの攻撃力と耐久力は底知れずです! ここは、守りに秀でた私が取り合えず様子見で行くと言う事で……」

 

「何言ってんのよ、アホ性女! アンタ、何ちゃっかり自分を優先しようとしてんのよ!?」

 

 『次は自分が行く』、その意見で全員の思いは一致した。だが、それが故に揉めることもある様である。

 頑張ってマスターを満足させ、彼に褒めてもらうのは自分だ。その思いが強い故に起きる争いの中で、彼女たちはとある事実を失念している。

 ここに居る全員でかかって行った所で、マスターを満足させられるのだろうか……? その答えは、やってみないと分からないのだ。

 

「……このまま揉めていてはご主人が萎えてしまうゾ。仕方が無い、ここは忠犬がご主人の為に一肌脱ぐとするか。既に全裸だがな!」

 

「忠犬、という事は私の事でよろしいですね? よもや、この牛若丸以上の忠犬がこの場に居るとでも?」

 

「何でも良いが、マスターを思うのなら早めに決めた方が良い。と言うより、ここで時間を食うとマスターの性欲がまた溜まってしまう様な……?」

 

 このアルトリアの心配は的中し、次に来る相手が決まらないまま悶々とした時間を過ごしたマスターは、ネロたちを相手にする前よりも肉欲を滾らせた状態で次の相手と交わる事となった。

 後半に至る程相手を決める時間は短くなっていったが、結局この場にいる全員が相手をしてもマスターの興奮は収まらず、意識を取り戻したネロと沖田に二周目の相手をして貰ってようやく人心地ついたそうな。

 

 

 

 

 

 

・教訓 何事も譲り合いの精神を持ち、計画的に行おう。喧嘩してると、後でとんでもない目に遭うぞ!

 

 




ネロ・クラウディウス
沖田総司



第一再臨 完了


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 騎士王のバレンタイン(ランサーアルトリア)

リクエストで多かった乳上のバレンタインエロ回を書いてみました!
甘々~、な感じでは無いかもですが、楽しんで貰えたら幸いです。

あと、二回目のバレンタインだけど時系列は気にするな!



「……あの、マスター。少しお時間をよろしいでしょうか?」

 

 2月14日の午後、カルデアのマスターはアルトリアにそう呼び止められた。軽く頬を染めた彼女の顔と今日と言う日のイベントを考えると、アルトリアが何をしようとしているのかなど小学生にも分かるだろう。

 カルデアの廊下で立ち止まった彼の腕の中には、幾つかのチョコが抱えられていた。今まで貰っていた数と比べれば少ない量ではあるが、このチョコレートはソロモンの元から奪い返した女性たちがくれた物であり、言わば自分たちが諦めずに歩み続けたが故に手に入れられた宝物と言える物だ。

 まだ数は少ないが、必ず他の英霊たちも奪い返す。しかし、今は再び縁を結ぶことが出来た彼女たちからの贈り物をじっくりと味わおうとマスターは考えていた。

 

「うん、勿論だよ。アルトリアもチョコをくれるの?」

 

 だから、彼はアルトリアの呼び止めにも笑顔で応じた。奪還した時よりも随分と明るくなった彼女の様子を喜ぶマスターであったが、アルトリアは恥ずかしそうに俯くとか細い声で彼へと囁く。

 

「え、ええ……お世話になっているお礼に贈り物をと思っておりましたが、少し準備が必要でして……よろしければ、マスターは先にお部屋に戻っていて下さい。持っているチョコレートもしまわないといけないでしょうし……」

 

「ああ、そうだね。それじゃあ、部屋で待ってるよ!」

 

 アルトリアの申し出を受けたマスターは笑顔で彼女にそう言うと自室への道を歩き出す。その脳裏には、以前彼女からチョコレートを貰った時の出来事が思い返されていた。

 

 まだカルデアが平常運転だった頃、ランサーであるアルトリアは円卓の騎士たちの手を借りてそれは立派なチョコレートを作り上げていた。城を模した壮大なチョコであり、食べるのが勿体無く思えたほどだ。

 忠誠心溢れる彼女の事だ、きっと今回も頑張り過ぎて軽く手渡せる大きさのチョコレートは作れなかったのだろう。だから前回の様に部屋に直接渡しに行こうと思っているに違いない。そう結論付けたマスターはまた新しいチョコを貰えることに心を弾ませながらカルデアの廊下をスキップで歩いて行った。

 しかし、そんな彼の背後では何処か神妙な顔つきをしたアルトリアが顔を紅潮させて荒い呼吸を繰り返していたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……マスター、アルトリアです。お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」

 

「ああ、待ってたよ! 今ドアを開けるね!」

 

 それから30分ほど経った頃、部屋で休んでいたマスターはドアの向こうから聞こえたアルトリアの声に寝転んでいたベッドから立ち上がると扉を開き、彼女を部屋の中へと迎え入れた。

 アルトリアの持って来てくれたチョコレートはどんなものだろうかと期待するマスターであったが、扉を開いた際に見えた彼女の姿にちょっとした違和感を感じて首を傾げる。今のアルトリアは外蓑(マント)をしっかりと前まで被り、体全体を隠しているのだ。

 普段の彼女なら外蓑は肩から羽織っているだけだろうに、何故こんなことをしているのだろうかと考えたマスターであったが、もしかしたら大きなチョコを隠す為にそうしているのかもしれないと思ってその事を咎める事はしなかった。すぐさま笑顔を取り戻すと、部屋の中にアルトリアを入れてドアを閉める。

 

「お待たせしてしまって申し訳ありません、思いのほか手間取ってしまいまして……」

 

「気にしないでよ。こっちこそわざわざありがとうね。アルトリアからチョコを貰えて、俺は……!?」

 

 パネルを操作し、扉にロックをかける。ごく自然にその行動を行った後で振り返ったマスターは、驚きのあまり発していた言葉を途中で途切れさせてしまった。

 

 自分の部屋の中で立つアルトリアは、羽織っていた外蓑を脱ぎ捨てていた。そして、その下には何一つとして身に纏っていなかったのである。つまり、今彼女は全裸と言う事だ。

 アルトリアの体から滑り落ちた外蓑が光の粒となって消える。生まれたままの姿をマスターへと晒すアルトリアは、柔らかく微笑みながらマスターへと近づいて行った。

 

「……申し訳ありません、マスター。残念ながら、私はチョコレートを用意していないのです」

 

「え? あ?」

 

 事態が理解出来ていないマスターはアルトリアの言葉に間抜けな声を出す事しか出来ない。しかし、そんな彼の鼻には覚えのある甘い香りが漂って来ていた。

 鼻腔をくすぐる甘い香り、その臭いを嗅いだだけで味すらも思い出せる芳醇な匂いを嗅いだマスターはアルトリアの豊満な乳房へと視線を向ける。彼の予想通り、勃起した彼女の乳首の先からは白い液体が僅かに滴り落ちていた。

 

「アル、トリア……?」

 

「……ですが、マスターへの贈り物を用意していない訳ではありません。今年の私からのバレンタインデーの贈り物は、この母乳(ミルク)です……♡♡♡」

 

 たぷん、と豊かな乳房を揺らしたアルトリアがマスターとの距離を詰める。胸の谷間にマスターの顔を埋めさせ、自身の体の温もりと柔らかさを彼に伝えたアルトリアは、マスターの手を取ってベッドへと彼の体を引き寄せた。

 

「わっ!? わわわわっ!?」

 

 アルトリアを下敷きにしてベッドへと倒れ込んだマスターは、彼女の柔らかな体に自分の体が沈んで行く様な錯覚を覚えた。何もかもを受け止めて貰える様な安心感を覚えたのも束の間、ここまで大胆な行動を起こしたアルトリアの真意を探るべくマスターは彼女に質問を投げかける。

 

「あ、アルトリア? もしかして、魔力供給がしたいって事?」

 

「いいえ、これは私からのバレンタインの贈り物……マスターに母乳を飲んで頂くだけであって、セックスを望んでいる訳ではありません。そもそも、そんなことをしては他のサーヴァントたちとの協定を破ることになってしまいますからね?」

 

「???」

 

 色々と理解出来ないマスターは頭の上にハテナマークを浮かばせてアルトリアの顔を見つめる。そんな彼の視線を受けたアルトリアは、一つ一つ丁寧に状況の解説を始めた。

 

「マスター、あなたは疑問に思いませんでしたか? バレンタインデーと言う絶好の機会に、どの女性も自分を抱く様言ってこないと言う事を……」

 

「い、言われてみれば確かに……! もしかして、さっき言ってた協定って言うのが関係してるの?」

 

「はい、その通りです! 今日と言う日の為、私たち女英霊は一つの協定を結びました。その内容とは、()()()()()()()()()()()()♡ と言う真似を絶対に行わない、と言う物です」

 

「な、なるほどぉ……! 通りでキャットやマシュが大人しいと思った……!」

 

 元から性的な部分がオープンなタマモキャットや、最近デンジャラスな本性が表に出て来たマシュが普通にバレンタインチョコを手渡すだけだった裏にはこんな理由があったのかとマスターは妙に納得してしまった。と同時に、彼は一つの疑問を思い浮かべる。

 

「あのさ、アルトリア。ってことは、この状況はその協定に違反しているんじゃあ無いの?」

 

 全裸になり、ベッドの上で自分と重なり合っているこの状況は完全にアウトなのでは無いかと思ったマスターが恐る恐るアルトリアにその事を尋ねるも、彼女はそんな事どこ吹く風と言う様に平然としている。その様子にマスターが訝し気な視線を送っていると……

 

「何を言いますか、マスター。私は『私の事を抱け』などとは一言も言っておりません。私が言っているのは、『私の贈り物は私の母乳』と言う事だけです。チョコレートの代わりにミルクを送ってはいけないとは言われてませんからね」

 

 アルトリアの頓智とも言えない言い訳を聞いたマスターは口の端をひくひくと動かして反応を見せた。呆れるべきか、それともこの言い訳を思い付いたアルトリアに感心すべきなのか……そう悩むマスターのすぐ近くで、アルトリアは自分の考えこと酷い言い訳を口にし続ける。

 

「瓶詰めにしてお渡しすることも考えましたが、そこはマスターがどの様な飲み方をご所望するか分からない為、その判断もあなたに委ねることにしました。この通り、搾乳機と容器も用意して来ています」

 

 そう言いながら両手に持った搾乳機と瓶をマスターへと見せつけたアルトリアは非常に良い笑顔を浮かべてなおも話を続ける。どうやら、彼女は随分と考えてこの計画を実行に移している様だった。

 

「どの様な飲み方を所望するか分からない以上、どんな状況にも対応出来る状態で応対すべきです。つまり、全裸ならば服を汚すことも邪魔になる事も無いでしょう」

 

「また、飲乳には時間がかかるでしょうし、直に飲みたいと言った場合は人の目が気になる事が予想されます。それならば、こうしてあなたの部屋で授乳を行うのがベストかと」

 

「更に、授乳をするならばリラックスした状態が相応しいでしょう。部屋の中で最もリラックス出来る場所と言えば……ベッドの上しか考えられません。つまり、こうしている事は何もおかしなことでは無いのです」

 

 トンデモ理論で自分の行動を正当化してしまったアルトリアに苦笑を向けたマスターは、それでも彼女の行動を咎めるつもりは無かった。別に迷惑では無いし、それが何であれ彼女が贈り物をしてくれると言う事がとても嬉しかったからだ。

 贈り物を貰ったのならばお返しをしなければならない。ホワイトデーには早いが、アルトリアの望む物をこの場で贈るのも悪くは無いと彼は思っていた。

 

「……改めて言いますが、私はマスターに私のエロミルクをお贈りすると言っているだけで、私を抱いて欲しいとは言っていません。ご理解頂けてますね?」

 

「ああ、勿論だよ」

 

「結構、それなら良いのです。しかし……授乳中にマスターが劣情を催し、私に襲い掛かって来たとしても私は拒む気はありません。協定はあくまで『自分から誘ってはいけない』と言うだけで、『マスターから求められても断らなくてはならない』と言う物では無いからです」

 

 甘い、本当に甘いアルトリアの声。チョコレートなんかよりもずっと甘い声でマスターへと囁くアルトリアの瞳には、肉欲の炎がめらめらと燃え上がっていた。

 その炎を見たマスターは改めて思う。アルトリアは、最初から自分に抱かれるつもりでこの計画を立てていたのだと。他のサーヴァントたちを出し抜き、バレンタインと言う日に自分を独占しようとしているのだろうと。 

 

 それを理解してしまえば話は早い。美しく淫らなアルトリアの体を見て興奮しない男など居ない、それは自分だってそうだ。

 マスターの性槍はズボンの上からでも分かる程に起立し、大きくなっていた。ちらりと目でそれを確認したアルトリアは、彼の耳元で熱い吐息を漏らしながら囁く。

 

「さあ、マスター……♡♡♡ どうぞお好きな様に私の母乳を味わって下さいね……♡♡♡ 別に、それだけで済まさなくても良いんですよ……♡♡♡」

 

「……それじゃあ、お言葉に甘えて……!」

 

 たぷたぷと揺れるアルトリアの乳房を目にしながら、マスターもまた情欲に身を委ね、アルトリアとのセックスに耽り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅぅぅんっっっ♡♡♡ あはぁぁぁっっ♡♡♡ 射乳()るぅぅっ♡♡♡ でてるぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「あぁ……凄い量だよ、アルトリア。匂いも濃くって、甘い香りが部屋中ぷんぷん漂ってる」

 

「はぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ これっ♡ すごぃいっ♡ おまんこ突かれながらっ♡ おっぱいしぼられてぇっ♡ くひゅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 掴んだ手首を引き寄せ、激しくアルトリアの膣内に肉棒を叩き込めば、彼女の背筋が大きく仰け反って快感を現す。汗でしっとりと濡れた尻に腰を打ち付ける度、何とも言えない征服感がマスターの胸を満たした。

 

「す、ごい……っ♡♡♡ ずっと、ずっとぉ……♡♡♡ ミルク、でちゃう……っっ♡♡♡」

 

 両方の乳首に搾乳機を取り付けられ、最大効率でそれを稼働させられて母乳を絞られるアルトリアは、同時に後ろからマスターに抱かれて肉棒を受け入れていた。

 両手首を掴まれた状態で体を支えられ、がくがくと震える膝を無理矢理立たせての後背位セックスは、マスターの巨大な肉棒をよりはっきりとアルトリアに感じさせている。ぐりぐりと子宮を潰される様な感覚に舌を放り出しながら、アルトリアは終わらない射乳感に喘ぎ続けていた。

 

「おまんこぉ♡ つかれるたびぃ♡ ますたぁのまりょくが♡ からだにしみわたってぇ……♡♡♡ またエロミルクをつくってしまうっ♡♡♡ さくにゅうおわりましぇんっ♡♡♡」

 

 かれこれ一時間ほどの間、アルトリアは延々と終わらない射乳の快感を味わっていた。それもこれも『母乳生成』のスキルとマスターの底なしの性欲のせいだ。

 『母乳生成』は、マスターから注がれた魔力の一部分を極上の母乳として作り変えるスキルだ。つまり、マスターから魔力を供給される限り、アルトリアの体は永続的に母乳を作り続ける。この場合の魔力供給とはセックスの事であり、マスターとセックスをしている間はどんなに急いで搾乳してもアルトリアの乳房が空になることは無い。

 そして、マスターとのセックスがそう簡単に終わるはずも無い。アルトリアは既に二回の射精を膣に受けているが、未だにマスターの肉棒は硬いまま……いや、最初よりも硬さと大きさを増している様にも思えた。

 

「おっ♡ おおっっ♡♡♡ ようきがぁ♡♡♡ いっぱいになりゅぅ♡♡♡ まひゅたぁ、ちゅぎのいりぇものをくらしゃい……♡♡♡」

 

 マスターの腰の動きに合わせて勢い良く母乳を噴き出しながら、アルトリアは自分の胸の下にあるミルク缶の中を見てそう言った。数リットルは余裕で液体が入るであろうその缶の中には、たっぷりとアルトリアの母乳が詰まっているのだ。

 セックスしながらの直飲みを想定していたアルトリアであったが、マスターが望んだのはまさかの搾乳セックスであり、その為には搾乳した母乳を入れておく容器が必要であった。当初は冗談のつもりで用意していたこのミルク缶が、まさか本当に必要になるとはアルトリアからしてみれば思ってもみなかった訳である。

 だが、実際こうやって用意した大きな容器を自分のミルクで一杯にされると恥ずかしさと共に充実感が胸に芽生える事も確かだ。これ全てが愛し、尊敬する男性の魔力が形となった物と考えると、これだけの物を注いで貰ったのだと言う幸福感がアルトリアの体を包んで行く。

 そして、それ以上に感じる性交と搾乳の快感に全身を震わせるアルトリアは、騎士王らしからぬ淫らな振る舞いを見せながら嬌声を口にして叫んだ。

 

「ほぉぉぉぉォォっっ♡♡♡ みりゅくっ♡♡♡ イイっっ♡♡♡ さくにゅうセックス、くせになってしまうっ♡♡♡ おっぱいしぼられながらおまんこずぼずぼされるのすごいですぅっ♡♡♡」

 

「ひっ、一突き毎にっ♡♡♡ 乳牛になって行くっっ♡♡♡ おちんぽで雌牛にされて、イクっっ♡♡♡」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァぁぁっッ♡♡♡ こんなに絞られてるのにおっぱいぱんぱんでぇっ♡♡♡ おちんぽもガチガチだなんてぇっ♡♡♡ すごいぃぃっ♡♡♡ すごすぎるぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 普通ならば絶対に味わえない快感。延々と続く搾乳と激しい性交と言う二つの快感が混じり合ったそれは、アルトリアの理性を完全に蒸発させていた。頭の中で弾ける快感の信号が電撃となって全身を駆け巡り、アルトリアをただの雌へと変貌させていく。

 アルトリアの大きな尻に激しく腰を打ち付けるマスターは、淫紋令呪を光らせると彼女の『母乳生成』のスキルを無効化した。これ以上はアルトリアのミルクを注ぐ容器が無い、この状態でセックスを続ければ、マイルームにミルクの甘い匂いが染みついてしまいそうだった。

 

「ほら、アルトリア……次の容器だよ……!」

 

「はぁっ♡ んあぁ……っ♡♡♡ あ~っ♡ あ~~っっ♡」

 

 アルトリアの乳房から搾乳機を外したマスターは、両方の乳首を新しく用意した牛乳瓶の入り口に差し込むとゆったりとした手つきで彼女の胸を根元から揉み始めた。

 まるで乳絞りをするかの様なその手付きと先ほどまでとは違うねっとりとした腰の動きにアルトリアは一味違う官能を得て甘い声を漏らす。

 

「んおぉぉ……♡♡♡ も、も~~っ♡♡♡ んもぉぉぉぉっ♡♡♡」

 

「ははっ! もしかしてそれって、牛の真似? アルトリア、搾乳セックスが気持ち良過ぎて牛さんになっちゃった?」

 

「ほぉぉぉ……♡♡♡ そう、れすぅ……♡ わたひは、ますたぁにまたがられて感じる雌馬でありながら、乳絞りされて感じる雌牛にもなってしまいましたぁ……♡♡♡ どうか、このいやらしい淫乱騎士王にお慈悲をください……♡♡♡」

 

「ん……良いよ……! もっとスケベでエッチな声を聴かせてね、アルトリア……」

 

「はおぉぉぉっっ♡♡♡ んもぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 根元から先端へ、溜まっている母乳を押し出される様に胸を揉まれる。愛撫と噴乳による快感を感じるアルトリアの口からは、人が出してはいけない様な喘ぎ声が飛び出していた。

 それは野太い獣の呻き声の様でありながら、ゾクリとする程の淫靡さを持つ声だった。それを放つアルトリア蕩けた表情と相まって、えも知れない淫らさがマスターの興奮を煽る。

 

射乳()りゅぅぅ……♡ まだ射乳てるぅ……♡ きも、きもち、いひ……っ♡♡♡」

 

 2本、4本、6本……用意された牛乳瓶を一杯にするアルトリアは、五感すべてで快感を貪っていた。自分の喘ぎ声、甘い母乳の香り、搾乳とセックスの快感、絞られた自分のミルク、絡むマスターの唾液……そう言ったものが全て合わさり、アルトリアに未知数の快感を与えているのだ。

 そうしてアルトリアを追い詰めたマスターは、最後のトドメを繰り出すべく彼女の体を仰向けにした。正常位で再び彼女と交わり、たっぷりと射乳した乳房を両手で弄りながら、アルトリアの耳元で彼は囁く。

 

「ねえ、アルトリアってさ……俺の子供を孕んじゃったんじゃ無いかな?」

 

「え? は……? な、何を言いますか、ただのサーヴァントが子供を孕むことなど出来るはずが――」

 

「ふ~ん、そう? でも、モードレッドは出来てたよね? 同じ淫紋令呪を刻まれたアルトリアも、もしかしたら妊娠出来る様になってるかもしれないよ?」

 

「は、ははは……そんなこと、あるはずない……で、す……♡♡♡」

 

 マスターの言葉を口では否定しながら、アルトリアは子宮を震わせてその言葉が現実になっているかもしれないと考えていた。自分はまだ淫紋令呪の力の全てを理解している訳では無い。もしかしたら、本当にそんな効果があるかもしれないのだ。

 もしかしたら、本当にもしかしたらの話だが……自分の胸から溢れるこの母乳はスキルで生まれた物では無く、本当に彼の子を孕んだが故に溢れる物なのでは無いだろうか? そんな妄想を繰り広げて子宮を疼かせたアルトリアであったが、マスターは不敵な笑みを浮かべて彼女に覆い被さる。

 

「……そっか、アルトリアは自分が妊娠して無いって言いきれる確証があるんだね? それじゃあ……今日でその確証を無くしてあげるよ」

 

「!?!?!?」

 

 ゆっくりとマスターの腰が動き出す。その動きを受け、膣を肉棒で擦られたアルトリアは瞬時に理解した。

 ()()は搾乳のついでだとか、お遊びでするセックスでは無い。雄が雌を屈服させ、自分の遺伝子を子宮に刻み込む為の本気のセックスだと……。

 

(ま、まさか、そんな……そんなこと、あるはずが……)

 

 湧き上がるのは不安と期待が半分ずつ、これもまた主の戯れだろうと思うアルトリアではあるが、今のマスターを見ているとその確証が持てないでいる。

 それでも、アルトリアはマスターが本気で自分に遺伝子を植え付けようとしている訳では無いと思っていた。そんな事ある筈が無いと思い込んでいた。

 だが……その思いは、マスターが次に発した一言で吹き飛ぶことになる。

 

「……淫紋令呪を以って命じる、アルトリア・ペンドラゴン、俺の子を孕め」

 

「……え?」

 

 頭の中で彼の声が何度も響く、聞き間違いだと最初は思った。

 だが、自分の下腹部に刻まれた淫紋令呪が真っ赤に光った時、アルトリアはそれが紛れも無い現実である事に気が付くと全身に大きく震えを走らせた。

 

「あ、あ、あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァっっっ♡♡♡」

 

 今まで感じたことが無い位に子宮が疼く。膣が蠢き、襞が絡み、愛液の濃度がぐっと濃くなる。

 ()()を可能にするのかはアルトリアには分からない。だが、令呪による命令は例え不可能だとしてもそれを最大限にまで可能にする様に努力させることは確かだ。

 今、アルトリアの霊基はマスターの子を孕む為に最大限の準備をしている……二度の再臨を終えた自分の淫紋令呪を見たアルトリアは、自分の内側で暴れる肉棒に喘がされながら大きく仰け反った。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ あついぃぃっ♡♡♡ しきゅうがあついぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 最初に相手をした時よりもずっと逞しくなった彼の肉棒。数多の女英霊を鳴かせて来た性槍が、アルトリアのの女の部分を開拓している。一突き毎に、自分の体が彼の物になって行く。

 いや、体だけではない。心もまた彼に掌握され、徐々に女としての幸福に浸り始めていた。

 

「アルトリア、嫌なら逃げて良いんだよ? 俺を突き飛ばして、離れて、射精されなければ、アルトリアが俺の子を孕む可能性は0%になる……どうする、アルトリア?」

 

「あ、ああ、そんな、っ、そんなのっっ♡♡♡」

 

 もうアルトリアの答えは決まっていた。腕を伸ばした彼女は、突き飛ばすのではなく抱き締める為にその手を使う。同時に脚をマスターの腰に絡ませ、自分の膣のより深くまで肉棒が届く様に協力し始めた。

 

「孕ませてくださいっっ♡♡♡ わ、わたしにっ♡♡♡ マスターの赤ちゃんを産ませてくださいっっ♡♡♡ わ、わたしを……あなたの女にしてくださいぃぃっっ♡♡♡」

 

 言ってしまったと、ようやく言えたと、アルトリアは思った。包み隠さぬ本心を口にしたアルトリアの表情は、晴れやかな笑顔になっている。

 引き抜かれ、押し込まれる。ただその繰り返しのピストンは、アルトリアの媚肉を割り裂いては心と体を優しく穿っていく。心を完全に開放したアルトリアは、燃える様に熱くなっている子宮を疼かせつつマスターを抱き締めた。

 

 もう戻ることは出来ない、だがそれで良い……この幸せを享受出来るのなら、自分は女として生きる覚悟を決めよう。そう、アルトリアが覚悟を固めた時だった。

 

「あっ、かはっ……♡♡♡」

 

 開いた子宮口が亀頭を咥え込んだ。女として最も大事な器官に侵入して来たマスターの一部分が自分を支配しようとしている感覚にアルトリアの背筋が震える。

 子宮が、心が、雌の本能が……この雄の子を孕みたいと、そう言っていた。そしてマスターの目は、お前を孕ませると言っていた。

 

「はぁっ♡ あ、あは、あぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 来る、そんな確信めいた予感が頭をよぎる。今から来るのだ、今までの自分を壊し、新しい自分の幸せを作り上げる物が……!

 

「あ、あ、あ……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 そして、アルトリアは自分の子宮の中を一瞬で満たす激しい射精を受け、解き放たれた雄の欲望が自分の膣を蹂躙する感覚を覚えた瞬間、意識を遠のかせて気を失ったのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何を考えていたんだ、私は……!? サーヴァントが妊娠する訳ないだろうに……)

 

 翌日の午後、アルトリアは食堂の前の廊下で正座をしつつ昨日の理性の蒸発した自分の考えを恥じていた。所詮霊子の塊である自分が、本当に人の子を孕める訳が無いのだ。

 モードレッドの場合は、苗床用に体を調整されていたからこそ可能だった訳であり、淫紋令呪が刻まれているからと言って妊娠が可能になる訳では無いのである。

 

(なんと恥ずかしい姿を……雰囲気に流されたとは言え、私があんな真似をしてしまうなんて……!)

 

 自分がマスターの子を産むことを望み、彼にそれを願ってしまうなんて思ってもみなかった。当の彼も、本気でアルトリアを孕ませられるとは思っていなかった様だ。

 結局、アルトリアが意識を回復させてからマスターは自分の行為をやり過ぎだと謝り、そこからは普通のセックスを始めた。受け取った母乳の三倍返しと言わんばかりに精液を注ぎ込まれたアルトリアは翌日の朝になってようやく解放され、全身をがくがくにしながら自室に帰った訳だ。

 その後、様々な目撃証言からアルトリアの不正が露見し、ジャンヌ達に詰め寄られて全てを白状したアルトリアは、こうやって反省の意味を込めて正座している訳であるが……それでもなお、おつりが来るほどの体験をした事は間違い無いだろう。

 心残りは暫くおしおきと称してマスターの相手が出来なくなってしまう点だ。抜け駆けをした自分の順番は何時来るのだろうかと考えたアルトリアは、性交を終えたマスターが自分の耳元で囁いた言葉を思い出して顔を赤く染める。

 それは冗談の様で、本気にも聞こえる言葉だった。トロトロに蕩け、前後不覚になっていた自分の耳元で、彼は間違い無くこう言ったのだ。

 

「……今は無理みたいだから、第三再臨したらもう一回試そうか?」

 

 その瞬間の彼の目は本気だった。その事を思い出したアルトリアは喉を鳴らし、心臓の鼓動を跳ね上げる。

 体が火照る。熱くなる。昨日と同じ様に子宮が疼き、何かを欲し始める。

 早く、早くと訴えかけて来るその叫びを封じ込めながら、アルトリアは自分の下腹部を撫でて溜息を吐いた。どうやら、まだまだ再臨の時は遠そうだ。

 

「……次にマスターに抱かれるのは何時になるのでしょうか……?」

 

 抱かれなければ再臨も何も無い。その事を理解しているアルトリアは残念そうにそう呟き……そして、いつか来るかもしれない()()()()の事を思い浮かべ、淫らで幸せそうな微笑みを浮かべたのであった。

 

 

 




概念礼装 『ピュアホワイト・ミルク』


概要

バレンタインにアルトリア(ランサー)から贈られた彼女の母乳が概念礼装となった物。俗にいうバレンタイン礼装のエロバージョンである。ただ、本来のバレンタイン礼装と違ってしっかりと効果もあったりする(ただしエロ目的)。

濃度、甘さ、喉越しと、全てが一級品のミルクであり、そのまま飲んでもちゃんと安心。牧場で使われているミルク缶一つと牛乳瓶十数本に渡って詰められており、暫くは無くなる心配は無いだろう。(これらを飲み切ったとしても礼装は無くならない。贈られたと言う事実が礼装になっているからである)

ちなみにだが、『母乳生成』で作られるミルクは、母乳と謳ってはいるものの本物の母乳と言う訳では無い。注ぎ込まれた魔力を体力回復に適した液体として変換し、それが結果として母乳に近しい物としてスキル所持者の胸から噴出していると言うのが正しい見解。
アルトリアも勿論この例に漏れない訳だが……しかし、もしかしたらその内に彼女は本物の母乳を生み出す事が出来る様になる……かも?


装備効果

アルトリア・ペンドラゴン(ランサー)のみ装備可能。
装備時、『母乳生成A』の効果を飛躍的に上昇。乳房全体の感度を大幅に上昇。射乳による快感を上昇。
この礼装を装備している場合、これに加えてもう一つ礼装を装備出来る。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

沈む太陽(フランシス・ドレイク 堕ち 凌辱注意)

堕ちと第三特異点の準備で二回に分ける事にしました!
まずは堕ち、既に予想してたであろう第三特異点の主役に出て頂きます!

続きはちょっと待っててね……


 

「おうっっ、うおぉっ、もう、やめろぉぉっ……」

 

「あん? うるせえババアだなぁ。余計な口利く余裕があんなら、きっちりまんこ締めろよ!」

 

「んぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!??」

 

 獣の様な呻き声を上げながら、ドレイクは体を仰け反らせた。膣を穿たれ、凌辱を受ける彼女は、脂ののった女性としての体を無数の男に貪られていた。

 膣を、胸を、尻穴を……こうして犯され続けて、もう何日になるだろうか? 時間の概念を忘れてしまう程、ドレイクが犯され続けている事は確かだ。

 その凌辱を必死に耐え忍び続けて来たドレイクであったが、長きに渡る凌辱はその精神を摩耗させ、彼女の精神は流石に限界を迎えようとしていた。

 

「はぁっ……っ! もう、やめてくれぇ……っ」

 

「お? やめてくれ、か……! 良いねえ、心が折れて来たって感じだな!」

 

「そろそろソロモン様の所に送る頃合いだな。さて、最後の仕上げと行くか!」

 

「ンぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!!」

 

 仰向けに寝転がされたドレイクは、尻穴と膣を同時に肉棒に蹂躙されて悲鳴にも近しい嬌声を上げる。同時に、彼女の巨大な乳房を二人の男が押し潰すかの様にして指で摘まんだ。

 

「良いじゃねえか、ケツもまんこもむっちりしてて、食べ応えがある女の体だ!」

 

「ちょいと年増なのと傷物なのが気に食わねえが、まあ悪くはねえわな!」

 

「おっ、おぉっ!? お前ら、アタシの事を、好き勝手して……うあぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 僅かに残った体力で抵抗の態度を見せようとしたドレイクであったが、膣と尻穴に同時に奥深くまで肉棒を突き入れられたことでその怒りも雲散霧消してしまった。女としての最奥地を責められたドレイクは、体を激しく痙攣させつつ無様な姿を晒す。

 

「……へっ! 海賊の船長だか大艦隊の指揮官だか知らないが、こうなっちまえばお前も只の女となんら変わりゃしねえよ」

 

「ちんぽに屈服するだらしねえ女、それが今のお前さ、フランシス・ドレイク!」

 

「あ、あぁ……っ」

 

 誇りや尊厳を踏み躙られたドレイクは、口から苦し気な声を出して呻いている。男たちに犯され続ける彼女は、とうに体力と気力の限界を迎えていた。

 それを必死に乗り越え、ここまで耐えられたのは彼女本来の限界に挑もうとする心の強さ故だ。しかし、その気丈さも尽きようとしていた。

 

「た、たのむぅ……ゆるして、くれぇ……っ!」

 

「く、くく……! おい聞いたか!? あの大海賊が、ちんぽぶち込まれて許してくれだとよ!」

 

「どんなに強がっても、女は所詮ちんぽには勝てないってことか!」

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!? やめてっ! やめてくれぇぇぇっっ!!」

 

 遠慮なく男たちが腰を動かし、ドレイクの双穴を穿つ。豪放磊落で、男勝りの気の強さを見せていたドレイクがか弱い女として男たちに許しを請う姿を見れば、肉棒の滾りは更に増すと言う物だ。

 

「オラっ! ババアまんこに射精すんぞっ!」

 

「ケツ穴にもザーメンくれてやるっ! ありがたく受け取りやがれっ!!」

 

「あぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!?」

 

 ドレイクの内部で二本の肉棒が膨らみ、醜い欲望を吐き出す。子宮と腸内を男の精液で汚されたドレイクの開発され切った体は、そのおぞましい感覚すらも快感として受け取ってしまっていた。

 

「い、いぐぅぅぅぅぅぅぅっっ!」

 

 男たちに犯され、絶頂する。白目を剥き、体を大きく仰け反らせ、激しく痙攣しながらアヘるドレイクの姿を見て、男たちは大爆笑していた。

 

(ま、ずい……もう、げんかいが……ちかい……)

 

 ボロボロになった精神が、自分自身の限界を伝えていた。このままでは、遠からず自分は完全に壊れてしまうだろう。

 この城に捕らえられてから幾度となく仲間たちが性奴隷に堕とされる姿を見て来た。自分もまた、そうなろうとしているのだ。

 

 今のまだドレイクにはその事を忌避し、抵抗しようと思える意思が残っていた。だがしかし、彼女の抵抗を終わらせるべく、奴がこの部屋に姿を現す。

 

「……良い姿だな、星の開拓者よ……。女としての愉悦に歪み、男に屈しようとしている雌奴隷の姿だ」

 

「ぐ、あ……っ!」

 

「太陽を落とした女よ、お前が堕ちる時が来たのだ。意思も、誇りも、お前の全てを! このソロモン王に捧げる時が来たのだ!」

 

「う、あぁぁぁぁぁっ!?」

 

 脚を大きく広げた状態で男たちに抱えられたドレイクは、そのままソロモンが持って来たある物の前まで運ばれた。

 ソロモンの横で抑えつけられ、彼に見下される形になったドレイクは、目の前にある物体を見て息を飲んだ。

 

「な、なんだい、こりゃあ……!?」

 

「ククク……! フランシス・ドレイク、高名な船乗りであった貴様に相応しい船を用意してやったぞ。これが新たな貴様の船……淫乱の雌号(ゴールデンハインド)だ」

 

「なっ……!?」

 

 それは、船と言うにはあまりにもお粗末な物だった。人が一人乗るだけのスペースと、形ばかり帆船を模ったそれは、かつてのドレイクの愛船とは似ても似つかないとしか言い様が無い。

 この様なブリキ船に己の愛船と同じ名前を付けられた事を屈辱に感じるドレイクであったが、体を抱え上げられて船の中に無理やり乗せられようとした時、その表情が真っ青に変わった。

 

「こ、これは……!?」

 

 舵の前に取り付けられている席、そこには二本の張り子があった。大きく、イボの付いたそれが何のためにあるのかなどすぐにわかる。

 

「ま、待てっ……んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡」

 

 自分を抱える男たちに制止の声を投げかけるドレイクであったが、男たちはその声を無視して船の特等席に船長を座らせた。当然、二本の張り子はドレイクの双穴に挿入され、同時に激しく振動を始める。

 

「んぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡」

 

 発情した体に響く張り子の振動。子宮とアナルが打ち震え、ドレイクの理性に穴を穿つ。

 全身を襲う快感を前に抵抗すら出来ないドレイクの両腕を取った男たちは、それを彼女の背後にあるマストに括り付けて自由に動けなくした。加えて、ドレイクの両脚を足元にあるくぼみの中に固定し、立ち上がる事すらも封じてしまう。

 

「んぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡ やめっ♡ やめてくれぇぇぇぇっっ♡」

 

 最後に、乳首にクリップ型バイブを取り付け、激しく振動させてドレイクの敏感な部分を全て刺激させる状態を作り上げた男たちは、彼女に新たな船の乗り心地を尋ねる。

 

「どうだぁ? ソロモン様の作った船の乗り心地は?」

 

「最っ高の気分だろう? 気持ち良すぎて、すぐに気をやっちまいそうか?」

 

「んぎぃぃぃぃっっ♡ あっ♡ あぁぁぁぁぁっ♡」

 

 男たちの嘲笑を受けながら、ドレイクは喘ぐ。自身の両穴に挿入されているバイブは、ただの張り子とは思えない様な動きをしていた。

 激しい振動に加え、イボで膣と腸の壁を引っかく回転運動や実際のセックスの様なピストン運動までして来るそれは、的確にドレイクの官能を高めて来た。乳首のバイブもその動きに合わせて振動の強弱を変え、ドレイクの体を徹底的に責め上げる。

 ドレイクの脳が沸騰し、全身に快感の信号が駆け巡る。だが、それでもドレイクの体には絶頂の時が訪れる事は無かった。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ な、なんでぇぇっっ!?」

 

「何で絶頂出来ないのか、か? ……簡単だ、その船に乗る限り、女はイク事は出来なくなる。そんな魔術を施してあるからだ」

 

「あ、あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ おっ♡ おぉぉぉぉぉぉっっ♡ こわ、こわれるぅっ♡ あたまがっ♡ おかしくなるぅぅっ♡」

 

 悪趣味な魔術が施された船に乗せられたドレイクは、理性を崩壊させながら叫んだ。その声が、表情が、痙攣する体が……彼女はもう、限界を迎えている事を証明している。

 延々と、何度も何度も、幾日にも渡って凌辱され続け、開発された体。全ての快感を敏感に感じ取ってしまう今のドレイクの体は、軽く弄られただけで絶頂してしまう程の感度を誇っている。

 そんな体をバイブで休む間も無く責められ、しかもイく事が出来ない……それはもう、どんな拷問よりも苦しい物と言えるだろう。

 

「うぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡ 降ろしてくれぇぇっ♡ こ、この船から、おろしてくれよぉぉぉぉっっ♡」

 

 自分を見つめ、笑みを浮かべるソロモンに向けてドレイクは絶叫を上げて懇願した。恥も外聞も無く、涙と鼻水を垂れ流しながら彼に願った。

 快感と苦しみが隣り合わせで与えられる。どちらかが強まればもう片方も強まり、自分の精神を削ぎ落すかの様に全身を責め上げて来る。

 何も出来ない、抵抗することも、絶頂することも、何も出来ない。ただソロモンたちを楽しませる為に喘ぎ、鳴き、懇願し……崩壊の瞬間を見せつける事しか出来ない。

 

「せめてっ♡ せめてイかせてくれえぇっ♡ こ、このままじゃ、こわれ……あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

 

「……せっかく乗った船からもう降りると言うのか? そう急くな、少しは久々の船旅を楽しむと良い」

 

「や、やめ……やめてくれぇぇぇぇっっ♡♡♡ 許してぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 必死に懇願し、自身の理性の崩壊を防ごうとするドレイク。しかし、ソロモンはそんな彼女を嘲笑うと船に手をかざした。すると、ドレイクを乗せた船が浮き上がり、出航の構えを取り始めたではないか。 

 帆を張り、何時でも出発出来るとばかりに震えを走らせる船。唯一の船席に座るドレイクは、自身の双穴に潜り込んでいるバイブが更に激しく唸り出したことに涙を浮かべて喘ぎ続ける。

 

「もうだめだぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ 本気でっ♡ 壊れちまうよぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 車のエンジンが激しいピストン運動を行う様に、自分の穴の中でバイブが暴れ回っている。浮かび上がる船とその中で喘ぐドレイクの姿は、見る者にまるで彼女が船を動かす部品の一つになってしまったかの様に思わせた。

 ソロモンは泣き叫ぶドレイクの頭と下腹部に軽く手を添えた後、船の後部を叩く。すると、それが合図であったかの様にゆっくりと船が前に進み始めた。

 

「やめてくださいぃぃぃぃっっ♡♡♡ 死ぬっ♡♡♡ このままじゃ死んじゃうぅぅぅぅっ♡♡♡」

 

「安心しろ、死にはしないさ。それにもし死んだとしても、また召喚してやろう。安心して船旅を楽しむと良い」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っっ♡♡♡ たすけっ♡♡♡ だずげでぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ イかせてぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 ゆっくり、ゆっくりとドレイクを乗せた船が城の中を進む。痴態を晒し、無様に喘ぎ続ける彼女は、終わらない快感を前に精神を屈服させていた。

 

「だのむぅぅっ♡♡♡ おろしてくれぇぇっ♡♡♡ それがムリなら、せめてイかせてくれよぉっ♡♡♡ ちんぽでっ♡ バイブじゃなくてちんぽをアタシにぶち込んでくれぇっ♡♡♡」

 

 快感に飲まれ、精神を崩壊させたドレイクは、自分が何を口にしているかすら理解していなかった。卑猥で恥ずべき事を口にしている彼女は、ただ喉が裂けんばかりにと叫び続けるだけだ。

 

「イかせてっ♡♡♡ もう降参するからぁっ♡♡♡ 奴隷にでも、何にでもなるっっ♡♡♡ ならせてくれぇぇっ♡♡♡」

 

 今、ドレイクが叫んでいる言葉は、噓偽り無い彼女の本心だ。ソロモンにかけられた魔術によって、彼女は自分の心の中の思いを隠す事無く叫ばされているのだ。

 

「アタシが馬鹿だったからぁっ♡♡♡ もう逆らわないっ♡♡♡ 屈服するっ♡ 忠誠を誓うからっ♡ だからもう許してぇっ♡♡♡」

 

 どんな困難にも挑み続ける星の開拓者、不可能を可能にした偉大なる女海賊、フランシス・ドレイク……そんな者はもう、ここには居なかった。

 今、奴隷船に乗せられている彼女は、その全てを打ち捨てて敗北を認めた雌だ。自ら敗北を望み、敵の慈悲を強請り、快楽に屈服した哀れなる雌なのだ。

 

「ソロモン様ぁっ♡♡♡ どうかこの愚か者にお慈悲をくださいぃぃぃぃっっ♡♡♡ 立派な性奴隷にっ♡♡♡ おちんぽ奴隷になりますからっ♡♡♡ だからイかせてっ♡♡♡ ソロモン様のおちんぽでイかせてくらさいぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 城中に響く声で、ドレイクはソロモンへの忠誠の言葉を叫び続ける。こうしてまた、一人の女英霊が雌奴隷へと身を堕とした。

 そして、船に乗せられたまま連れ回されたドレイクは、かつての仲間たちにその恥ずべき姿を晒しながら城の中を周り続ける。星の開拓者であり、強気な彼女が完全に屈服した姿を見せられた英霊たちは心の中に絶望と屈辱を刻み込まれ、自分たちもまたああなってしまうのではないかと言う恐れをソロモンに抱いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぁ、ソロモンさまぁ……♡♡♡ 傷物のババアまんこを使って頂き、ありがとうございますぅ……♡♡♡ 一生懸命おまんこしますので、アタシの腐れまんこをお楽しみください……♡♡♡」

 

 淫靡に、卑猥に、ドレイクは腰を振る。滾るソロモンの肉棒を瞳に映した彼女は、期待に涎をごくりと飲み込んだ。

 

「アタシのデカい尻を遠慮なくぶっ叩いてください……♡♡♡ ソロモン様のおちんぽで、立派な雌奴隷に躾けてください……♡♡♡」

 

 ドレイクは娼婦の様に股を開く。肉棒を求め、快感を望み、自分の誇りを捨てて雌に堕ちる。『太陽を落とした女』と呼ばれた女海賊の面影は、もうどこにも無かった。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ ちんぽ、きたぁ……っっ♡♡♡」

 

 ずぶずぶと音を立て、ゆっくりとソロモンの肉棒がドレイクの膣に挿入される。魔術で強化されたそれは、今までドレイクを犯し続けて来た男たちの物よりも随分と立派で逞しいものだった。

 

「すごいぃ……♡♡♡ しゅごいぃ……♡♡♡ こんな立派なおちんぽ様をお持ちだなんて、ソロモン様は素晴らしい方ですぅ……♡♡♡」

 

 巨大なソロモンの陰茎がドレイクの膣を支配し、その先端たる亀頭が彼女の子宮を突く。全身を駆ける甘い痺れをドレイクが感じた瞬間、彼女の下腹部に黒い令呪が浮かび上がって来た。

 

「あぁぁぁぁ……♡♡♡ ふあぁぁぁぁぁぁぁ……っっ♡♡♡」

 

 ソロモンが腰を動かす度、子宮を亀頭で突かれる度、全身に何とも言えない多幸感と快感が走る度……ドレイクの下腹部に刻まれた令呪が、はっきりとした形を浮かび上がらせる。それと同時に彼女の膣と声色もまた、ソロモンに媚びる様な物に変わっていった。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡ 完敗っ♡♡♡ 白旗とエロ尻振りますっ♡♡♡ ソロモン様のおちんぽにっ♡♡♡ アタシは完全降伏いたしますっっ♡♡♡ これから先っ♡ アタシはソロモン様のおちんぽ奴隷に喜んでならせて頂きますっっ♡♡♡」

 

 膣から熱い飛沫を噴き出し、大きな乳房をいやらしく揺らして、ドレイクはソロモンの肉棒から与えられる快感を味わい続ける。屈辱と恥辱に塗れた敗北の味は、異常な程に甘美な物であると知った彼女は、その味に病みつきになっていた。

 頭の中が空っぽになり、ただ快感だけが響いている。心が、体が、何もかもが……ソロモンの物になろうとしていた。

 

「ソロモン様……♡♡♡ そろもんさまぁ……っ♡♡♡」

 

 熱を帯びた声が、蕩け切った膣が、雌の悦びに打ち震える子宮が……ドレイクの今の気持ちを物語っていた。

 自分を気持ち良くしてくれるこの男に服従を誓おう。そして、この快楽を永遠に味合わせて貰おう。

 もう、かつての自分など捨てる事に決めた。今、この瞬間から、自分はただの雌奴隷になるのだ。

 

「あっ♡ あっ♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っっ♡♡♡」

 

 ドレイクのその決意に呼応するかの様にして、ソロモンの肉棒から大量の精液が放たれた。

 魔術王である彼の規格外の魔力を吐き出されたドレイクは、それを吸収する甘美な感覚に自分の決断が間違っていないと言う事を確信する。

 

「ありがとうございます……♡♡♡ この傷物に女の悦びを教えて頂いてありがとうございます……っ♡♡♡ これからアタシは、ソロモン様に永遠の忠誠を誓わせて頂きます……♡♡♡ どうぞ、このカラダを好きに扱って下さい……♡♡♡」

 

 ソロモンの魔力を飲み込んだドレイクの霊基は、完全に彼に降伏してしまった。濁った瞳を見せる彼女の下腹部には、敗北の証たる黒の淫紋令呪がはっきりと浮かび上がっている。

 

「ソロモン様……♡♡♡ ソロモン、さま……っ♡♡♡」

 

「ククククク……! 星の開拓者もこの様か……! なんとも、あっけない物だな! クハハハハハハハっっ!!!」

 

「んごぉぉっ♡♡♡ お~っ♡♡♡ んおぉぉっっ♡♡♡」

 

 射精した肉棒を綺麗にすべく自らそれを口に咥えたドレイクの喉を犯しながら、ソロモンは勝者としての笑い声を上げ続けたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ソロモン海賊団(堕ち 凌辱注意)

おまたせ!


 

「せっっ!!」

 

 僅かな明かりに照らされた舞台の上を小柄な影が跳躍する。標的に向けて大きく跳んだその影は、両手に持つ得物を素早く振って攻撃を仕掛けた。

 

「グギャロォォォッ!?」

 

 白と黒、二色の夫婦剣が閃光と共に野獣の体を斬り裂く。血飛沫を受け、褐色の体を紅く染めたクロエは、口元に付いた血を舌で蠱惑的に舐め取りながらもう一度ステップを踏んでその場から離れた。

 

「あは、あはははははっ♡ きたぁ♡ キタキタキタぁっ♡ ソロモン様のすっごい魔力、きたぁぁっ♡♡♡」

 

 クロエが飛び退き、開けた領域に再び飛び掛かる小さな影。背中から漆黒の堕天使の様な羽を生やし、下腹部に刻まれた令呪を黒く光らせながらもう一人の少女が魔力を迸らせる。

 

「あはははっ♡♡♡ ごめ~んねっ♡♡♡」

 

 飛翔していた少女……イリヤは、真下で血に塗れる野獣に向けてそう言うと体を反転させる。

 くるりと、でんぐり返りでもするかの様に尻を野獣に向けたイリヤは、その中央の窄まりに埋まっている杖を向けながら大きな声で叫んだ。

 

多元重奏飽和砲撃(クウィンテットフォイヤ)っっ♡♡♡」

 

 瞬間、彼女の尻から生える杖から凄まじい魔力の奔流が放たれる。かつての彼女が放っていたその必殺技よりも強化されたその一撃は、野獣の体を塵一つ残さず消滅せしめた。

 

「は~っ♡ あはっ♡ キモチイィ……っ♡♡♡ んひぃっ♡♡♡」

 

 捨て身の必殺技を放ったイリヤであったが、平然とした様子で勝利の余韻に浸っていた。それどころか、自分で尻に挿入されているステッキを弄り、アナルオナニーを始めてしまう程だ。

 そんな彼女の様子を見つめ、そっくりの笑顔を見せたクロエは、何もない空間に向けて声をかける。

 

「……ソロモン様、これで私たちの力は分かって頂けたでしょうか? これなら、あなた様の邪魔をするカルデアの一味を悉く討ち果たすことが出来るかと……」

 

『ふふふ……そうだな、その通りだ。約束通り、お前とイリヤには次の特異点に出撃して貰おう』

 

「はっ! ありがたき幸せでございますっ!」

 

 魔術で遠くから自分たちの戦いを見ていたソロモンの許可を得たクロエは、彼の言葉に破顔してその場に跪いた。イリヤもまた、自慰行為をやめて飛び跳ねつつ大喜びしている。

 

「わ~い! ソロモン様のお役に立って、沢山ご褒美貰おうねっ!」

 

「そうね……! なにより、あのボンクラマスターに直接引導を渡してあげられるなんて、とっても素晴らしいことじゃない」

 

 二人して笑い合った後、イリヤとクロエは血と汗で汚れたお互いの体を洗うべくシャワーを浴びに向かった。その表情に、主からの命令を受けられた悦びを浮かべたまま……

 そんな二人の様子を見守っていたソロモンは喉をくっくと鳴らして笑った後、振り返ってその場に蹲る一人と一つに声をかける。

 

「と言う事で奴らには出張って貰うことにした。その事について、貴様たちはどう思う?」

 

 愉快気なソロモンの声、それを聞いた一人の女性は苦し気に表情を歪めた。そして、もう一つの存在は捕らえられた状況のまま憤慨した声を上げた。

 

「あんな……あんな風にイリヤさんたちを扱って、彼女たちをどうするつもりですか!? あの技は、間違いなく多用を禁じられているもの何ですよ!?」

 

「知っているさ。使い過ぎて壊れてしまえば廃棄して次を召喚すれば良い。ただそれだけの話だ」

 

「そんな……! この悪魔! 人でなしっ!」

 

 彼女のパートナーである魔術礼装『マジカルルビー』は、愛らしい少女であり相棒であるイリヤの変わり果てた姿に絶望し、それを導いたソロモンへと怨嗟の声を上げた。しかし、ソロモンはそんな声などどこ吹く風とでも言う様に涼しい表情でルビーを見下している。

 ソロモンが反応を見たいのはもう一人の女性……イリヤとクロエの母とも言える彼女の反応なのだ。未だ堕ち切っていない彼女が苦しんでいる事を確認したソロモンは、彼女の心を蝕む様な声で囁く。

 

「……その杖の言う通り、あのままでは奴らはじきに壊れよう……激しい戦いに身を置くとなれば、その時も早まると言うものだ」

 

「っっ……!?」

 

「……守りたくは無いか? 愛する子供たちを。ならば、お前の力で癒し、守ってやると良い……!」

 

「くっ、うっ……」

 

 ソロモンの言葉に呻いた女性は、心の中に激しい葛藤を抱えていた。ソロモンの言う通り、彼女たちを守ってやりたいと言う思いはある。しかし、それは今まで一緒に戦って来たカルデアのマスターたちを裏切る行為になってしまうのだ。

 迷い、悩み、その葛藤に呻き続けた後、女性はソロモンに向けて小さく頷く。その様子を見たソロモンは、顔に黒い笑みをベタリと張り付けた様にして嗤った。

 

「これで3人、乗組員は決まったな……さて、次は大元の奴らに話をつけに行くか」

 

 そう言いながら部屋を出て行ったソロモンの心の中には、もう彼女への興味は消え失せていた。部屋に残された女性はただ、自分が裏切り行為を働こうとしている事に苦悶し続けている。

 

「元気を出して下さい……あなたは、決して間違ってはいませんよ……」

 

「………」

 

 ルビーの慰めの言葉にも首を振り、目元を涙で濡らしながら、堕ちた魔法少女たちの母とも言える存在、アイリスフィールは拳を握り締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……良いですか、メアリー? あなたは可愛らしいですが、お顔の傷が男性を萎えさせてしまいます。その分、頑張って奉仕しないといけませんね」

 

「うん、わかったよ。アン……」

 

 小柄な少女に言い聞かせる様にして言葉を送る大柄の女性。二人組の彼女たちは、対照的ながらも仲が良さそうに見えた。

 なにせ二人とも体の同じ部分、尻肉に合わせ鏡の様に刺青を施しているからだ。ドクロマークとハートが合わさった様なそれは、彼女たちが主に忠誠を誓って彫ったものである。

 

「拙者はお顔の傷など気にしませんぞ! メアリー殿としっぽり楽しい夜を過ごすこともやぶさかでは……ぐべらっ!?」

 

「……こう言うのの相手はしなくて良いんだよね、アン?」

 

「ええ、殿方には絶対的な服従を誓うものですが、こんな奴に使われてはメアリーの価値が下がってしまいますから……これは、そこらのカモメの餌にでもすれば良いんですわ」

 

「あ~れ~……」

 

 全裸の二人に言い寄った男を軽く蹴散らし、部屋の外に吹き飛ばした二人は体を寄せ合って淫靡な笑みを浮かべた。この一連の流れを見ていたドレイクは屈託なく笑うと、自分のすぐ近くにいる男性へと声をかける。

 

「お前さんは参加しないのかい? アンタみたいな男なら、アイツらだって拒みゃしないだろうに」

 

「……やめとくよ、オジサンはこんな事に興味は無いんだ」

 

「ふぅん……なら、無理強いはしないがね」

 

 部屋から吹き飛ばされた男を追うようにして去って行く男性をつまらなそうな表情で見送ったドレイクであったが、すぐに悩まし気な熱を帯びた表情を浮かべると二人組の女性たちに近づく。

 そして、彼女たちの健康的な尻をぱしんと叩くと、うっとりとした声で囁いた。

 

「さあ、いよいよだよ……アタシたちがソロモン様のお役に立つ時が来たんだ……!」

 

「ええ! 私たちもあなたの様な高名な海賊の配下になれることを喜ばしく思っておりますわ!」

 

「やめてくれよ、今のアタシはソロモン様の雌奴隷さね。立場は皆一緒……だろう?」

 

「……うん、そうだね。じゃあ、雌奴隷としての最初の役目を果たさないとね」

 

 光の無い目でそう呟いたメアリー・リードの言葉に頷いたドレイクは、彼女の相棒であるアン・ボニーに視線を送った。アンもまた、その言葉に大きく頷くと腰をくねらせて喘ぐ。

 

「そうですわね! 同じ船の乗組員同士、親睦を深めないといけませんわよね?」

 

 そう言いながらアンが部屋の闇の中に視線を送る。それと同時に、この部屋の中に光が次々と灯った。

 今、三人が居るのは非常に広い部屋だ。その中には、三人以外にも沢山の男たちが居る。その男たちは皆一様に全裸であり、肉棒を激しく滾らせていた。

 

「あはっ……♡ 皆、ボクたちのすっぽんぽんを見ておちんぽを硬くしちゃったんだ……♡♡♡」

 

「船長、これはしっかりと責任を取らなければなりませんわよね……♡♡♡」

 

「ああ、勿論さ……♡♡♡ でも少し待ちなよ、まだ役者が揃って無い」

 

 じっとりと秘所を愛液で濡らした三人は、宴の始まりを前に期待を隠せないでいる。早く男たちの欲望を受け止めたいと願う彼女たちは、残る役者の到着をじっと待ち続けた。

 

「あ、ここだ~! お待たせしましたっ♡♡♡」

 

「ごめんね~♡ このお姉さんたちの脚が遅くってさ~……」

 

 やがて、部屋の中に姿を現したイリヤとクロエは、同時に部屋を訪れた二人の女性に厳しい視線を送りつつそう言い訳した。ドレイクたちも彼女たちの言葉を受け、その女性たちに鋭い視線を送る。

 

「……なにやってんのさ? こんなにも沢山の男の人たちを待たせて、我慢させるなんてさ……」

 

「ソロモン様の性奴隷失格ですわよ? ふざけたことも大概になさったらどうですか?」

 

「……申し訳、ありません……」

 

 アンとメアリーの厳しい指摘を受けた女性の一人、メドゥーサが深々と頭を下げる。もう一人の女性である『アタランテ』も、悔し気な表情を浮かべたまま同様に頭を下げた。

 しかし、そんな二人に近づいたドレイクは彼女たちを蹴り飛ばすと、ドスの利いた声で二人を威圧する。

 

「おい……何勘違いしてるんだ? 謝るのはアタシたちにじゃあ無くて、お前さんたちのせいで迷惑被った野郎どもにだろう!?」

 

「そうだよ! お姉さんたち、しっかりと皆に謝りなよ!」

 

「誠意を見せて、皆に謝りなさいよね!」

 

「ぐっ、うぅ……っ」

 

 ドレイクたちに促され、自分たちを見つめる男性たちの前に全裸で立ったメドゥーサとアタランテは、地面に頭を擦り付けて土下座をする。屈辱に耐え、悔し涙を流しながら……二人は、男性たちに向けて謝罪の言葉を口にした。

 

「わ、私たちがもたもたしていたせいで、皆様に多大なる迷惑をおかけした事、深くお詫び申し上げます……もう二度と、雌奴隷としてあるまじき行為をせぬように致します」

 

「そして……お詫びと言う訳ではありませんが……わ、私たちの体で、存分に皆様のおちんぽのお世話をさせて頂きますっ! 哀れなる雌奴隷たちに皆様のおちんぽのお恵みを下さいませっ!」

 

 そう言い切った二人は、土下座の姿勢のまま反転して尻を男たちに向けた。魅力的な肢体を晒す彼女たちの横には、同じ様な格好をした女たちが男たちに尻を突き出している。

 そんな中、最後に女たちの中央に立ったドレイクは手を叩いてこの場にいる全員の注目を集めると、大きく脚を開いて自分の秘所を見せつけながら話し始めた。

 

「今、この場にいる野郎と雌奴隷は、この瞬間より偉大なるソロモン様の海軍となる! これよりはアタシの指揮に従う海賊として、特異点に出向いてもらうよ!」

 

 女英霊たちの周囲を歩き回るドレイクは、突き出されている彼女たちの尻の張りを確かめるかの様に思い切り臀部を引っ叩きながら話している。

 スパンキングの音が響き、女性たちの苦悶の声が上がる度、男たちの肉欲は際限なく高まって行く。

 

「さあ、今日は前祝いだ! 同じ船に乗る仲間として親睦を深める為にも、大騒ぎしようじゃないか! バッキバキに勃起したちんぽ、この雌奴隷たちにぶち込んで満足させなっ!」

 

 ドレイクのその言葉に男たちが歓喜の叫びを上げる。それは野獣の様な欲望がはっきりと感じられる雄の叫びだった。

 

「ちなみに言っとくが、アタシたちを抱けるのは今日だけじゃない。船の上にいる限りは、アタシたちは便器だと思いな! ちんぽ硬くしたらすぐに射精出来る穴、文字通りの肉便器さ! 使いたい時に使いたい様に使えば良いからね!」

 

「おじさんたちのおちんぽでぇ、わたしたちのお腹の中をずぼずぼして欲しいなぁ♡」

 

「それで、子宮の中に沢山種付けして欲しいのっ♡♡♡」

 

「ボクも不慣れだけど、一生懸命頑張るから……一杯、おまんこしてね……♡♡♡」

 

 クロエ、イリヤ、メアリーの未成熟な身体つきの少女たちが尻を振りながら男を誘う。彼女たちの尻穴はひくひくとひくつき、秘所からは甘く青い少女の香りが漂っていた。

 

「……私たちも、精一杯便器としての役目を果たさせて頂きます……」

 

「アナルセックスがしたい時は私に言うと良い。私は、前の穴は使えないから……」

 

「子供っぽい体に飽きたら私たちにお声がけ下さいな♡ おっぱいもお尻もムチムチで……揉み応えもヤリ応えも抜群でしょうからっ♡♡♡」

 

 メドゥーサ、アタランテ、アンの成長した女性たちがそう言いながら自らの穴を広げる。イリヤたちには無い成熟した体を見た男たちは、彼女たちの肢体を精液で汚し尽くしてやろうと心に決めた。

 

「……さあ、まどろっこしい話はここで終わりだ! こっからは、好きにちんぽハメに来なっ♡♡♡」

 

 最後に、ドレイクが尻を激しく叩いてから男たちへと突き出す。この中で一番豊満な彼女の尻は、抱き応えがとても良さそうだ。

 

「ぼさっと見てんじゃないよ! 欲しいもんは力づくで手に入れる、それが海賊だろうが! ちんぽハメたきゃ、遠慮なしにぶち込んで良いんだよっ!」

 

 ドレイクのその怒声が合図であったかの様に、部屋に集まった男たちは女英霊たちに我先にと殺到し始めた。そして、彼女たちの下半身にある穴に己の欲望をねじ込んで行く。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っっ♡♡♡ ちんぽっ♡♡♡ おじさんちんぽきたぁっ♡♡♡」

 

「種付けしてぇっ♡♡♡ えっちな小娘たちに、おちんぽでおしおきしてぇっ♡♡♡」

 

「お、ごぉっ♡♡♡ ボクの中で、おちんぽが暴れて……んおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「うっ♡ あぁっ♡ あはぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「ああ、尻が……排泄口が、こんな風に扱われるなんて……くぅぅっ♡♡♡」

 

「素敵ですわっ♡♡♡ やっぱりおちんぽは素敵……♡♡♡ 私の体で、たっぷり満足して下さいねっ♡♡♡」

 

「嵌めろっ♡♡♡ 輪姦(まわ)せっ♡♡♡ そして犯しなっ♡♡♡ アタシたちは便器で、ちんぽぶち込まれて当然の存在なんだっっ♡♡♡ 好きなだけ抱いて……射精しなっっ♡♡♡」

 

 無数の肉棒に犯され、白濁液を全身に振りかけられながら……ドレイクをはじめとする肉便器たちは、ソロモン海賊団旗揚げの宴の為、男たちにその身を捧げ続けたのであった。

 

 




次回よりとうとう第三特異点・オケアノス編が始まります!
頑張って書くので、ちょっと待っててね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三姉妹争奪戦 オケアノス
争奪戦、開始


 1573年、オケアノス……広大な海とその中に点在する数々の島々によって構成されるこの地で今、異変が起きようとしていた。

 

 それは唐突に始まった。このオケアノスで活動する海賊の一人、フランシス・ドレイクが率いる海賊団がとある港町を襲撃したのである。

 別段、それがおかしな話と言う訳では無い。彼女たちは海賊だ、何かを襲い、奪う事によって生きている荒くれ者の集まりなのだ。

 だが、今回のそれは今までの物とは明らかに違った。今までの襲撃が奪う為に襲うと言う物だとすれば、今回の襲撃は殺す為に襲うと言う表現がぴったりだった。

 

 食料も宝石も貴重品にすらも目もくれず、ドレイクたちは港町を蹂躙した。襲い、殺し、何もかもを破壊するその様は、正に悪魔(エルドラゴ)と呼ぶに相応しい物だった。

 町人や警備隊の抵抗も虚しく、一つの町を廃墟に変えたドレイクたちは生き残った者たちに底冷えする様な笑い声を聞かせながら、ある言葉を残す。それは、彼女たちが探し求めている人間に関することだった。

 

「緑色の髪をした優男と耳の尖った年増の女を見つけたらアタシたちに差し出しな。そうしなきゃ、この破壊は延々と続くよ」

 

 その言葉通り、ドレイクたちは翌日からも次々と港町を襲っては住民を虐殺し、街を廃墟に変えて行った。その悪逆さに人々は怯え、次は自分たちの番なのでは無いかと不安で夜も眠れない日々を送る羽目になった。そんな日々を送る内、海兵や他の海賊たちもそんな彼女たちの悪行を見かね、とうとう協力してドレイク海賊団との決戦を決意した。

 

 軍備を整え、確実に彼女たちに勝てるだけの戦力を揃えたはずの連合軍であったが、彼らは戦いの日に世にも恐ろしい経験をすることになる。

 ドレイクたちの船『黄金の鹿号(ゴールデンハインド)』は、自分たちの知る船とは規格外の速度と火力を誇って連合軍に襲い掛かった。しかも、そんな海賊船が一隻だけでなく、何隻も存在しているのだ。

 最初の砲撃戦で多大なる損害を受けた連合軍であったが、真の悪夢はこれからであった。接近し、船に乗り込んで来たドレイク海賊団のメンバーは、白兵戦でも恐るべき強さを見せつけて来たのだ。

 

 愛らしい衣装を纏いながらも尻穴に棒状の何かを突き入れた少女たちは、無垢で狂った笑顔を浮かべたまま次々と海兵たちを屠った。斬り裂き、打ち抜き、血に塗れる少女たちは小悪魔の様に鮮血に染まりながら笑顔を見せる。

 

 見上げる程の大男たちが相手にならないとばかりに海の荒くれ者共を打ち殺す。腕力と武力が桁違いな男たちは、船の上にいくつもの死体を積み上げて行く。

 

 顔に傷を負った幼子が、一見するとお淑やかそうな美女が、妖艶な雰囲気を醸し出す大柄な女性が、獣の様な出で立ちをした俊足の弓兵が……連合軍の軍艦の周りの海を乗組員たちの血で真っ赤に染め上げた。

 

 戦いは呆気なく終わった。十分な軍備を整え、確実に勝てると思われていた連合軍は、ものの一時間足らずで再起不能な程の被害を受けてしまったのだ。

 捕らえられ、引き摺られて皆の前に晒し者にされる指揮官の前に二人組の女性が姿を現す。彼女たちの姿を見た時、連合軍の兵士たちは愕然とした。

 

「……これで、私たちに逆らう事の愚かさが分かったでしょう? あなたたちでは、私たちに勝つことなんて絶対に出来っこありません」

 

 そう連合軍を嘲笑ったのは、まだ年端も行かぬ少女であった。しかし、今の彼女の格好は、いやらしい娼婦を通り越したあまりにも淫らなものだ。

 腕も足も曝け出し、首筋から臍に至るまでの中央部分を隠す衣類は何も無い。肩から乳房、そして腿と秘所を僅かに隠すぴったりとした布切れを纏うだけの彼女は、淀んだ笑顔を見せながら連合軍の指揮官を蹴り飛ばした。

 

「あぐっ……!?」

 

 小悪魔の様な少女に蹴り飛ばされた指揮官は、地面に頭をぶつけて呻き声を上げた。

 そんな彼の背中を踏みつけ、身動きを取れなくしたもう一人の女性……フランシス・ドレイクもまた、淫らな衣装を身に纏って恐ろしい笑みを浮かべている。

 

 両腕の肘と両脚の膝までを覆う黒い革の手袋とタイツ。ドレイクが纏う衣類と呼べるようなものは、それしか無かった。

 巨大な彼女の乳房を隠すのは一枚の前張りのみ、両胸の頂点に張り付いたそれは、手袋とタイツと同じ色をした黒色のハート型をしていた。

 尻穴には悪魔の尾を模した様な張り子が挿入され、小さな振動音を響かせている。秘所を隠すのも乳首を隠すのとまったく同じ前張りが一枚のみだ。

 

「……ほら、アタシの奢りだよ。たっぷりと味わいな……♡」

 

 今、ドレイクは秘所に貼られている前張りを剥がして、そこから黄金水を放った。股座の間で倒れ伏す指揮官の頭目掛けて放尿する彼女は、彼を嘲笑いつつ侮辱の言葉を口にする。

 

「どうだい? 美味いだろう……? アタシの小便と敗北の味、存分に堪能しな……♡」

 

 戦いに敗れた指揮官を徹底的に侮辱するドレイク。指揮官は、彼女への憎しみと屈辱で胸を一杯にするも、次の瞬間にはドレイクに心臓を射抜かれて絶命していた。

 煙を吐く銃をしまい、小便の最後の一滴までを指揮官に浴びせかけたドレイクは、彼の亡骸を思い切り蹴飛ばして海へと落とす。そして、未だに船上に残る男たちに向け、舌なめずりをしながら言った。

 

「アタシたちが探している人間を連れて来い。それ以外にこの暴挙を止める方法は無い……アンタらがもたもたしてると、アタシたちはオケアノスにある街を全て廃墟に変えちまうよ?」

 

 僅かな生き残りと、そこから選抜されたガタイの良い男たちを連れて出港したドレイクは、その後も凶行を続けた。この戦いを生き残った船員たちは、この恐ろしい出来事を人々に伝えて彼女たちの言う通りにすべきだと主張した。

 連合軍の大敗北により、もうドレイクたちに立ち向かえるだけの戦力は何処にも残っていなかった。誰もが彼女たちを止めることなど不可能だと悟った。

 であるならば……もう、彼女たちの要求を飲むしか無い。彼女たちの探し人を見つけ出すしか、道は残っていなかった。

 

 こうして、謎の男女二人組の捜索は開始された。だが、オケアノスの人々の奮闘も虚しく、二人は痕跡すらも見つからないでいる。

 そうしている最中にもドレイクたちは町を襲い、人を殺し、気に入った男たちを攫っては淫らな宴を開いては彼らを惨殺し……その悪名を轟かせ続けていた。

 

 オケアノスの人々は思う、ドレイクは恐ろしい悪魔になったのだと。だからこそあの様な恐ろしい所業が行え、人知を超えた力と部下を手に入れたのだと……

 人々は思う、そんなドレイクたちが探している二人組とは何者なのかと。人々はその二人のせいで自分たちはこんなにも恐ろしい目にあっているのだと思っては、顔も名も知らないその二人に怨嗟の思いを募らせた。

 

 暴力と殺戮が渦巻くオケアノスの海もまた、そんな異変を感じ取っているのか荒れ模様を呈していたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ああ、最悪だ。なんで、どうして、オレがこんな目に遭わなきゃならないんだ……!?」

 

 海に浮かぶ立派な海の上で、情けない言葉を口にする青年が一人。目に涙を浮かべ、この世の絶望が全て襲い掛かって来たかの様な表情をしている彼の両隣には、一組の男女が居た。

 

「そんな事言ってないでさっさと船を操りなさい! 見つからない様にしながらね」

 

「無理難題を言うんじゃない、この魔女! ああ、何でオレはお前なんかに召喚されてしまったんだ……?」

 

「はは、まあ運が悪かったと思って諦めなよ。うん、ある意味では君は途轍もなく幸運なのだからさ」

 

「貴様も! 軽薄に笑ってないでこの状況をどうにかする方法を考えろ! でなければ、オレたちは……オレたちはぁぁっ!!」

 

 発狂気味の青年に対し、男女は案外冷静に見える。しかし、彼らもまた焦っている事は確かだった。

 もう、自分たちがこの特異点に居る事は露見している。ドレイクたちに見つかってしまえば、戦力の少ない自分たちなどあっという間に敗れ去ってしまうだろう。

 逃げるのだ、そして援軍を待つ……それが、今の自分たちに出来る最善の策だった。

 

「……おい、お前たちの言う通り、本当に援軍は来るのだろうな?」

 

「ええ、恐らくね……じゃなきゃ、世界は終わりよ」

 

「ふん……! なら、もう少し粘ってみるか。無理そうならば、最悪その柩を壊すのも手だ」

 

「それをしたとしても凌げるのは一時的なものよ。もう一度彼が召喚されて、一緒に柩もソロモンの手に渡ったら今度こそお終いね」

 

 船のマストに寄り掛かる黒衣の男にそう答えた女性は、厳重に保管されている件の柩に視線を向ける。文字通り、世界を滅ぼすだけの力を持つそれこそが、ドレイクたちの狙っているものであった。

 

「これが敵の手に渡るのが先か、私たちが()()()()()()()のが先か……この戦いは、お互いの宝を奪い合う争奪戦なのよ」

 

 そう呟いた女性は待つ、世界と自分たちを救う救世主の到着を。自分自身が加担しているこの悪夢を終わらせる為には、彼らの力が必要なのだ。

 終わりの前に始まりを、滅びの前に救済を……荒れる海の上で、4人の男女はただその時を待ち続けた。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

開戦、海上戦

 潮風とほんの少しの火薬の匂い、そしてさんさんと輝く熱い太陽の光を感じたカルデアのマスターは、自分が問題無くレイシフトを行えた事を確信した。

 すぐに瞳を開けて周囲を確認すれば、今回選抜したサーヴァントたちも全員存在していた。全員そろってオケアノスに到着したことを確認したマスターは、カルデアと連絡を取って現状を報告する。

 

「こちらレイシフト班、無事にオケアノスに到着しました。今の所、問題は見受けられません」

 

『こちらも君たちの現在位置をしっかりと確認出来ているよ。うむ、順調な滑り出しだねぇ!』

 

 ダヴィンチちゃんの明るい声を聞いたマスターは、僅かに緊張感を解らせると笑顔を見せた。ダヴィンチちゃんもまたリラックスした彼の様子に安堵の笑みを見せるが、そんな雰囲気を引き裂く様なロマニの声が響く。

 

『大変だ! 周囲にサーヴァントの反応在り! それらしい奴はいないかい!?』

 

「げげっ!? いきなり戦闘ですか!?」

 

「主殿、私の後ろに! この命に代えてもお守りいたしますっ!」

 

 ロマニの叫びを聞いた沖田と牛若丸が瞬時に反応を見せ、周囲へ警戒を払った。他の面々もまた、油断なく構えを取ってマスターを守る様に陣形を築いている。

 ぴりりとした緊張感が走る戦場。そんな中、ローブを被った一人の女性が彼らの前に姿を現すと、両手を上げて降伏の構えを見せながら話しかけて来た。

 

「……待ってたわ、マスター。随分と時間がかかったじゃない」

 

「その声は……!」

 

 聞き覚えのある女性の声にマスターが反応を返せば、その人物は被っていたローブを脱ぐと自分の顔をマスターたちに見せつけて来た。

 薄水色の長髪と特徴的な尖った耳、ややきつめの顔立ちを見たマスターもまた、驚きつつも彼女の名前を呼ぶ。

 

「め、メディア……!?」

 

「……久しぶりね。本当に久しぶり……」

 

 懐かしそうに微笑むメディアは、自分に戦う意思が無い事を示すかの様に己の宝具である短剣をマスターへと放り投げた。それを掴み、彼女の視線を向け直したマスターに代わって、ロビンフッドが問いかける。

 

「……何の真似っすかねぇ? アンタは、ソロモンの配下じゃないって事か?」

 

「ええ、そうよ。まあ、簡単には信じられないでしょうけどね」

 

「当然だ、我々を騙し討ちしようとしている可能性だってあり得る訳だからな」

 

 メディアに対して油断なく視線を向ける牛若丸は、威圧感を伴った声でそう吐き捨てた。彼女はまだ、メディアを信じてはいない様だ。

 それはこの場にいる全員が同じ……未だに戦いの構えを解こうとしないカルデアのメンバーを見たメディアは、深く溜息を吐くと再度口を開く。

 

「……その懸念は当然の物よ。それを解消しきれるかはわからないけど、私も出来る限りの判断材料を見せる事にするわ」

 

「判断材料……?」

 

「それじゃ、まずは僕からかな?」

 

「っっ!?」

 

 優し気で陽気な声がメディアの後ろから響く。彼女の後ろからひょっこりと顔を出した男性の姿を見たマスターは、驚きと共に彼の名を叫んだ。

 

「だ、ダビデ!? お前も一緒に!?」

 

「まあ、色々あってね……今はメディアと仲良く逃避行の旅って所さ」

 

 面倒そうに頬を掻いたダビデは、マスターに短い言葉で自分たちの置かれている境遇を伝えた。

 あまりにも短いその言葉だけでは彼の言っている意味を理解出来ないマスターたちが首を傾げていると……

 

「……急がなくて良いのか? 敵が来ないとも限らんぞ」

 

「えっっ!?」

 

 再び、メディアの背後から聞き覚えのある男性の声が響き、その声の主が姿を現した。

 彼の姿を見たカルデアのメンバーたちは先ほどまでとは違った意味で驚く。それは、自分たちの予想が外れた事と見たことの無い()の姿を見た事に起因していた。

 

 浅黒い肌に銀色のスキンヘッド、二丁拳銃をホルスターに差し、黒衣を身に纏った彼には見覚えがあった。

 だが、今、目の前にいる彼は自分たちの知る彼とは明らかに違っている。困惑を隠せないマスターたちに対し、メディアが簡潔にその人物の事を紹介した。

 

「……彼はオルタ化した無銘の彼よ。カルデアに居たあの弓兵とは同一人物であり、別人とも呼べる存在ね」

 

「エミヤさんの……オルタナティブ……!」

 

「……そうジロジロと見られても良い気分がするわけでも無い。むしろその逆だ」

 

「あっ! す、すいませんっ!」

 

 メディアの説明を受けてしげしげとエミヤ・オルタを見つめていたマシュに対し、彼は冷たい声色でそう告げた。あまりにも冷酷なその態度に若干傷つきつつ、マシュは深々と頭を下げる。

 

「二人は私が聖杯を使って召喚したサーヴァントよ。だから、ソロモンの支配からは逃れている……そして、あともう一人仲間が居るわ」

 

「もう一人……? それって、だ――」

 

「あぁぁっ! もう、早くしないか! 敵がオレたちを見つけたらどうするつもりだよ!?」

 

 メディアへの問いかけの言葉を遮る様にして響いたその声を聞いたカルデアのマスターは、やっぱり聞き覚えのあるその声の主が誰であったかを必死になって探る。

 記憶の中にある思い出を辿り、この特徴的な声の主を探ったマスターは……ここ、オケアノスで遭遇したあの屑英雄の事を思い出すとその名を叫んだ。

 

「まさか、イアソン!?」

 

「そうだよ! まさかのイアソン様だ! ああ、こんな最悪な状況に追い込まれるなんて聞いてないぞ!」

 

「うるさいわね、少し黙ってて頂戴」

 

「ひぃぃっ!?」

 

 泣き言を言うイアソンであったが、メディアに一睨みされると蛇に睨まれた蛙の様に固まってしまった。カルデアのマスターは、彼は見事にメディアの尻に敷かれているのだなと妙に感心してしまう。

 そんな中、周囲を警戒していたエミヤ・オルタが表情を一際険しくさせると、この場にいる全員に向けて簡潔に情報を伝えた。

 

「……複数の気配が接近している。恐らくは敵だ」

 

「あらら、思ったより早かったねえ……んじゃ、そろそろ行こうか?」

 

「そうね……マスターたちとの合流は果たせた、ならば長居は無用よ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください! 私たちは、何が何だかさっぱりで……」

 

「御免なさいね、マシュ。じっくり説明してあげたいんだけど、今ここでは無理そうなの。だから――」

 

 マシュの言葉を受けたメディアが、ゆっくりと海を指差す。そして、その指を鳴らした瞬間、彼女が指し示した先に巨大な船が出現した。

 

「これは……まさか……!」

 

「アルゴー船、ですか……?」

 

「ええ、そうよ。そして、この船が私たちの拠点になっているわ」

 

「さっさと乗り込め! 貴様らみたいな凡人が、多くの英雄が集ったこのアルゴー船に乗り込めることを感謝しろよ!」

 

 かつてと変わらぬ口調でマスターたちを急かしたイアソンは、我先にと自分の船へと乗り込む。ダビデ、エミヤ・オルタと彼に続いて舩に乗り込むと、最後に残ったメディアが振り返りつつマスターたちに言った。

 

「……この特異点と私たちが置かれている状況の説明は、この船の中でするわ。だから、今は私たちを信じて乗り込んで頂戴」

 

 マスターたちは、暫し悩んだ後でメディアを信じる事を決め、かつて敵対した勢力の拠点であったアルゴー船へと乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……正直助かったよ。特異点での移動方法は船だと思ってたけど、俺たちにはその確保方法が無かったからさ……」

 

「助かったのはこっちの方よ。なにせ、まともな戦力はここに居る4人のサーヴァントしかいなかった訳だしね。さあ、話の本題に入りましょうか」

 

 アルゴー船内部、こじんまりとしていながらも豪華さが良く分かる一つの部屋の中に案内されたマスターは、護衛役のマシュと牛若丸を伴ってメディアと相対していた。

 ここに至るまで敵意を見せないでいるメディアたちに対しては最初の頃よりかは警戒心を薄めている。マスターは、彼女の話の中に矛盾点が無いかどうかを確認しながらその言葉に耳を傾けた。

 

「まず、この特異点に来ているソロモンの手先たちの目的は、この(アーク)の奪取だと言う事を説明しておくわ。この柩に関しては、あなたたちも知っているでしょう?」

 

「……強力な力を秘めた柩、神格が高い英霊が触れれば、世界を崩壊させる程の影響を及ぼす……」

 

 かつての特異点でも戦いの鍵となった宝具を見つめたマシュが呟く。あの大英雄『ヘラクレス』すらも葬り去る力を持つこの柩は、今回も自分たちを悩ませることになるのだろう。

 だが、この柩は単体では意味をなさない。マシュの呟いた通り、神格の高い英霊が必要なのだ。

 それも並の神格では駄目だ。人でありながら神に近しくなったヘラクレスでも柩の力を完全開放するには至らなかった。世界を滅ぼす程の力を引き出すには、女神レベルの神格の英霊が必要だ。

 

 以前の戦いで柩と同様にイアソンから標的とされていた英霊を思い浮かべたマスターは、メディアに対して質問を投げかけた。

 

「……エウリュアレが来ているの?」

 

「おそらくね……でも、来ているのは次女だけじゃあ無いわ。末妹のメドゥーサも、恐らくだけど長女のステンノもこの特異点に居るはずよ」

 

「メディア殿は敵の戦力を把握しているのですか? よろしければ、詳しく教えてください」

 

「良いわ、元々話すつもりだったしね……じゃあ、私の知る限りの情報を教えてあげる――」

 

 そう前置きした後、メディアは自分の知る限りの情報をマスターたちに教える。今、このオケアノスで何が起こっているのかを、出来る限り詳しく伝えていく。

 

 ソロモン海賊団と名乗る英霊たちの集団が、オケアノスの町を次々と襲っている事、海賊団はオケアノスの海軍や海賊の現豪軍を打倒し、もうオケアノスには彼らに抵抗する力が残っていない事。

 海賊団の目的がメディアとダビデ、そして柩の確保である事、そして……その海賊団のメンバーの全容とそれを率いているのは、あのフランシス・ドレイクだと言う事……

 

「ドレイク……さん……」

 

 予想はしていたが、こうやって事実として教えられると心に来るものがある。かつては味方として行動し、何度も助けて貰ったドレイクが敵の手先になってしまったと言う事実を耳にしたマシュの口からは、悲痛な声が漏れる。

 そして、その思いはマスターも同じだった。あの豪放磊落なドレイクもまた、多くの仲間と同じ様に奴隷に堕ちてしまったと聞いた時、彼の胸には締め付けられるような痛みが走った。

 

「……稀代の大海賊、黒髭。二人組の女海賊、アン・ボニー&メアリー・リード。元アルゴー船乗組員のアタランテ。あのアキレウスと並ぶ英雄の一人、ヘクトール。ざっと数えただけで、こんなに強力な英雄達が敵として立ちはだかる事になるわ。それに……まだ、恐ろしい敵が残っているのよ」

 

 メディアの話を聞いたカルデアのマスターは、じっと目を伏せて思案に耽った。今現在、このオケアノスに連れて来たカルデアのサーヴァントたちで、どうやって戦うかを考える為である。

 さて、少しばかりタイミングは悪いが、ここで今回の選抜メンバーと選抜理由をざっと説明しておこう。所謂、戦力の確認と言う訳だ。

 

 まず、信頼と安定の相棒マシュ。防御の要として、今回も役に立ってもらうつもりで選抜した。

 

 今回の戦いは船上で行われる事を想定して、足場の悪い船の上でも存分に戦える機動力のあるサーヴァントも選択した。牛若丸、沖田総司などがそれだ。

 ジャンヌ・オルタやアルテラなどは、強力過ぎる広範囲攻撃で自分たちの乗る船にも損害を与えてしまうかもしれない。そう判断したマスターは、今回のメインアタッカーとしてこの二人を選択したのであった。

 

 加えて、飛竜などの上空を飛び回る敵を相手にする為に、アーチャーであるロビンとキャスタークラスにチェンジして貰ったクー・フーリンを連れて来た。それに加え、大量の敵を薙ぎ払う事が出来るモードレッドも選択した。力が戻り切っていないと言う事は、逆にメリットにも成り得る。万全で無い故にモードレッドの宝具が船に与える損害も少ないと判断したマスターは、彼女の力を頼りにすることを決めた。

 

 さらに今回は普段とは違う姿で参加しているサーヴァントも居る。思案に暮れているマスターの背後で、扉を開けて部屋に入って来た彼女がそうだ。

 

「話し合っている所すまないが、どうやら敵が現れたらしい……すぐに戦いの準備をしろ、マスター」

 

 紫色の水着を纏い、その魅力的な肢体を存分に晒す彼女……アサシンクラスに変更したスカサハも、今回の戦いに加わっていた。

 ランサーとして力を取り戻そうとしていたスカサハだが、長くカルデアに居る間に少し考え方を変えたらしい。それは、自分たちの戦力を把握しての判断だった。

 

 現状、カルデアには多くのランサーが居る。彼女の愛弟子であるクー・フーリンやアルトリア、自分とほぼ同タイミングでカルデアに戻ったエリザベートもそうであるし、ジャンヌ・リリィもそうだ。

 今のカルデアはランサーが飽和状態、自分はそう言ったメンバーに負けるとは思えないが、槍兵として彼女たちと成長してもお互いの成長率を食いつぶすだけだ。ならば、種火は彼女たちに譲って、自分は別クラスとして成長すれば良い。

 

 そうやって考えたスカサハは、水着姿のアサシンクラスを優先して強化することに決めた。幸か不幸か、今のカルデアにはアサシンクラスのサーヴァントは自分とクレオパトラしかいない。そして、クレオパトラはまだ完全に復帰したとは言い難い状況でもある。

 そうやってある程度の力を取り戻した結果、広範囲攻撃を持ちつつ船上での戦いも問題無くこなせると言う、オケアノスでの戦いにうってつけのサーヴァントとなったスカサハも今回の選抜メンバー入りを果たしていたのだ。

 

 さて、まだ話の途中ではあるが、先ほどのスカサハの台詞を聞くに緊急事態の様だ。敵の襲来と言う単語を聞きつけたマスターたちは血相を変えて船の甲板に出る。

 そうした彼らが見た物は、水平線の向こうに見える幾つもの戦艦だった。その内の二つには、とても見覚えがある。

 

「黄金の鹿号と女王アンの復讐号……!」

 

 かつての仲間の宝具でもあるその船を目にしたマスターたちは、サーヴァントたちが自分を追って来た事を理解して息を飲んだ。特異点に来て早々、サーヴァント戦をこなす事になると言う事に緊張感が走る。

 

「っっ!?」

 

 そんな時だった。マスターの背筋にゾクリとした震えが走ったのは。

 その感覚を覚えたマスターは、考えるよりも早く行動を起こした。一歩後ろに飛び退くと、空いたその空間に入り込む様にしてマシュが盾を構えつつ一歩前に出る。

 その次の瞬間、彼女の盾には一本の矢がぶち当たり、乾いた金属音を響かせた。

 

「マスター、ご無事ですか!?」

 

「ああ、サンキュー、マシュ!」

 

 土方との訓練によって、殺気に敏感に反応出来たことが功を奏した。自分を狙っての一撃を何とか防いだマスターであったが、敵の攻撃の手が休まることは無い。

 

「ほ、砲撃が来るぞぉっ!? 何とかしろっっ!!」

 

 若干涙混じりのイアソンの声、船の上の空気を震わせたその叫びに続いて、敵の艦隊から砲弾を発射する轟音が響く。

 宝具である船の砲弾は恐ろしい程正確にアルゴー船を狙って飛来して来た。しかし、マスターは焦る事無くサーヴァントたちに指示を飛ばす。

 

「兄貴っ! あの砲弾、何とか出来る!?」

 

「時間稼ぎならなっ! ルーンで持たせてやるよ!」

 

「私も手を貸そう、しくじるなよっ!」

 

 ケルトの師弟コンビがルーンを行使し、空中に飛来する砲弾を防ぐ盾を生成する。決して安心出来るものでは無いが、砲弾を数発防ぐには十分だろう。

 5発、6発……段々と盾にひびが入り、壊れそうになって来る度にイアソンが女々しい呻き声を上げてはいるが、もう大丈夫だ。何故なら、最強の盾の解放準備が整ったのだから。

 

「……準備完了! 宝具、解放しますっっ!!」

 

 全身に魔力を漲らせたマシュが船の甲板に盾を振り下ろす。そして、全力を以って己の宝具を発動した。

 

今は遥か理想の城(ロード・キャメロット)っっ!!」

 

「お、おおっ!? おぉぉぉぉぉぉぉっっ!!?」

 

 船の後方を覆う巨大な城門を見たイアソンが驚きの叫びを上げる。マシュの作り出した盾は、その巨大さに違わぬ堅牢さを誇っていた。

 敵船団の砲撃もなんのその、まるで羽虫に刺された程度の衝撃すらアルゴー船に通さない無敵の盾は、かつて自分が見た物よりも更に強大になっている……身の安全を確保されたイアソンは先ほどとは打って変わって上機嫌になると、マシュを褒め称えた。

 

「良いぞ、女! お前は頼りになる奴だと私は信じていたっ!」

 

「イアソンさん、今の内に船を全速力で前進させて下さいっ! 急いでこの海域から撤退しましょう!」

 

「分かってる! このアルゴー船の速度を舐めるなよぉっ!」

 

 イアソンの叫びと共に、船が全速力で撤退を始める。所持者はあれだが、この船は間違いなく一級品の宝具だ。その速度もまた、驚くほどに早い。

 マシュが砲弾を防いでいるお陰でアルゴー船はぐんぐんと加速していく。このまま、撤退は容易に行われる……そう、誰もが思った時だった。

 

「~~っっ!?」

 

 船の上に影が舞った。まるで天馬の様な形をしたそれは、一瞬だけ影を落として船の上を通り過ぎる。

 次の瞬間、アルゴー船全体が揺れ、立っていたマスターたちはその衝撃に船の上に膝を付いてしまった。

 

「な、何だっ!? 何が起きたっ!?」

 

「……どうやら客人の様だ。大胆な襲撃だな」

 

 再び怯えの感情を見せたイアソンに対し、エミヤ・オルタが淡々とした口調で告げる。ホルスターから拳銃を取り出した彼は、アルゴー船に飛び乗って来た襲撃者たちにその銃口を向けた。

 

「はぁい、元マスター。お元気かしら?」

 

「ソロモン様に逆らう元マスターを殺しに来たよ」

 

 それぞれの得物を取り出しながらそう告げたのはアンとメアリーだ。息ぴったりに殺し文句を口にしながら、二人は武器をマスターへと向ける。

 

「んふふふふ……♡ 早く死んで貰えないかな~? そうすれば、ソロモン様にたっぷりご褒美貰えるんだもん……♡」

 

 蕩け、熱を帯びた声でクロエが囁く。尻穴にステッキを突き刺し、まるで小悪魔の様な淫らな衣装に身を包んだ彼女の姿を見たマスターは、知らず知らずのうちに悔しさを感じ歯軋りをしていた。

 

「………」

 

 無言で立ち尽くす巨大な男性。拳は震え、その目もまたぎゅっと閉じられたままになっている。

 彼の名はアステリオス、その巨体に相反した子供の様な心を持つ英霊。そんな彼もまた、ソロモンの手先としてこのオケアノスにやって来ていたのだ。

 

 そして……残る一人の英霊の姿を見た瞬間、イアソンの表情が絶望に染まった。恐怖で彼の体は痙攣し、瞳には涙が滲んでいる。

 

「な、なんで……なんでアイツがここに居るんだよ……!? も、もう、終わりじゃないか……!」

 

 岩の様な灰色の体、乱れた黒い長髪と筋肉隆々の化け物の様な男性の姿を見たイアソンが頭の中に浮かんだ言葉を口にする。

 ゆっくりと、動き始めたその男は、顔を上げて大きく口を開くと……このオケアノス全体に響くのではないかと思う程の大声で叫んだ。

 

「■■■■■■■■■ーーー!!!」

 

 この場にいる全員が認める大英雄『ヘラクレス』は、胸の内に眠る感情を爆発させるかの様な雄叫びを上げ、戦いに臨もうとしていた。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

騙し合いの海

 

「おいおいおいおいおい! なんだよありゃあ、聞いてねぇぞ!」

 

 目の前に降下して来た大英雄の姿を見たロビンフッドは、カルデアのメンバーの胸中を代表した叫びを上げた。誰もが、あのヘラクレスと相対することになるとは思ってもみなかったのである。

 いや、敵としていつかは戦うかもしれないとは思っていたのだ。しかし、何の前情報も無くこうやって敵として彼が姿を現すとは、思ってもみなかったと言う方が正しいだろう。

 

「お、オレたちも初めて奴を見たんだよ! ああ、もうお終いだぁっ! ヘラクレス相手に誰が勝てるって言うんだよ!?」

 

「黙ってなさい! まずはどうにかしてこの窮地を脱するのが優先よ!」

 

 イアソンの情けない叫びを一喝したメディアであったが、彼女もまた動揺を隠しきれてはいなかった。無理もない話だろう、かつてアルゴー船の乗組員であった彼女ならば、ヘラクレスの強さはしっかりと理解出来ているのだから。

 しかも、敵は彼一人だけでは無い。メアリーやクロエ、アステリオスたちも一緒に相手をしなければならないのだ。状況は絶望的に近いというものだろう。

 

「……ちなみに、降伏すれば命は助けてあげますわよ? 裏切り者たちはもう一度ソロモン様の忠実な奴隷にして、元マスターはそれを眺めて暮らす負け犬として飼ってあげますわ」

 

「ソロモン様の最後のお慈悲だよ……さあ、どうする?」

 

「な、なあ、降伏しないか? もしかしたら、美味い汁を吸わせて貰えるかもしれないし……あ痛いっ!?」

 

「馬鹿言ってんじゃないわよ、そんな事しても助かる保証なんて無いわ」

 

「生き地獄を味わう可能性の方が高いだろうな。お前がそうしたいと言うのならば、俺は止めはしないが」

 

「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」

 

 メディアとエミヤ・オルタにそう告げられたイアソンはすごすごと引き下がって丸まってしまった。子犬の様に震える彼は、どう見ても英雄と呼ばれる存在には見えない。

 そんなイアソンを無視して戦いの構えを取っていたメンバーであったが、乱入者の登場で速度が落ちたアルゴー船にドレイクたちの艦隊が接近して来ている事に気が付いて苛立ちの表情を見せる。

 そして、アルゴー船に十二分に接近した黄金の鹿号の船首から顔を出した元仲間の姿を見た時、その苛立ちは更に増す事になった。

 

「ふふふふふ……♡♡♡ 何処を逃げ隠れしていたかと思えば、イアソン様が手を貸していたのですね……これは、しっかりオシオキしませんと……♡♡♡」

 

「ひ、ひぃぃぃっ!? 悪魔だ! あそこに悪魔がいるぞっ!」

 

 淫らな衣装に身を包んだメディア・リリィが冷たい笑みを浮かべる。その瞳に捉えられたイアソンは、誇張無しに飛び上がると更に船の奥へと逃げて行った。

 

「……ああ、ようやくお出ましかい。そんじゃ、ここでアンタらの旅を終わりにしてやろうかね」

 

 そしてもう一人、前張りとアナルバイブ付きの尻尾を生やしたドレイクが姿を現した時、マスターは胸の内に怒りの感情が湧き上がって来ている事を感じていた。あのドレイクが、自分の誇りを奪い取られた姿を見て、ソロモンへの怒りが強まって行くことを感じる。

 しかし、彼はそんな自分の怒りを必死になって押し殺すと、ドレイクに向けて軽い呼びかけの言葉を発した。

 

「久しぶりだね、ドレイク。随分と楽しそうじゃあないか」

 

「そう見えるかい? まあ、やっと目的のお宝を見つけられてウキウキしてるってのは間違いないけどさ……ああ、殺す標的も見つけられて喜んでるってのも確かさね」

 

 そう言って、ドレイクは冷たい笑顔と殺気をカルデアのマスターへと向けた。体を走り抜ける凍えた感覚に身を震わせたマスターであったが、それにも負けぬ様に心を奮わせるとドレイクへと視線を返す。

 だが、そんな彼の耳に聞こえて来た嬌声が、彼の意識と視線をその声がした方向へと吸い寄らせた。

 

「おほぉっ♡♡♡ ほぉっ♡♡♡ おっほぉぉっっ♡♡♡」

 

「あ、あれは……!?」

 

「あぁっ♡ ますたぁっ♡♡♡ み、みないでくれぇっ♡♡♡ ケツ穴穿られて感じる浅ましい私の姿を、見ないでくれぇっ♡♡♡」

 

 船の甲板に連れられて出て来たのは、尻穴を男根に貫かれて喘ぐアタランテだった。体を持ち上げられ、乱暴にアヌスを穿たれる彼女は、口を大きく開いて野太い悲鳴を上げ続けている。

 

「おほぉぉっ♡♡♡ んっほぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「はっ! 何が見ないでくれだ、ケツの穴こんなにきつく締め付けやがって! 元マスターに見られながらケツの穴穿られんのが気持ち良いんだろ?」

 

「や、やめへくれぇっ♡♡♡ ケツ穴、ずぼずぼしないでぇ……んおぉぉっっっ♡♡♡」

 

「駄目だね! これは矢を外したお前へのお仕置きなんだ! だらしねえアクメ面元マスターに見られながら、きっちりケツアクメ決めちまいな!」

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 アタランテの体が大きく仰け反る。カルデアのマスターに己の痴態を見られていると言う羞恥が、彼女の感じている快感を増幅させていた。

 男たちによって顔を真正面に向く様に固定されたアタランテは、涎と涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったアヘ顔をマスターたちに見せつけながら、段々と快感の高みに追い詰められていく。

 

「ほら、言うんだよ! イク時はイクって言って、情けない元マスターたちに無様なケツアクメ姿を見て貰いなっ!」

 

「おっ♡ おぉぉぉぉっ♡ イクっ♡♡♡ いぐぅぅっ♡♡♡ ま、ますたぁっ♡♡♡ みてくれぇっ♡♡♡ わたしがなさけなくけつまんこでイク所、しっかりみてくれぇぇぇっ♡♡♡」

 

 肉と肉のぶつかる音と、アタランテの無様な叫びが響く。彼女もまた、肉欲に堕ち切ってしまった雌だと言う事をマスターたちに見せつけた後、男たちは思い切り腰を彼女の尻へと叩き付けた。

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 腸内の奥、そこに太い肉棒を叩き込まれたアタランテは、その一突きでとうとう絶頂へと達してしまった。性器から激しく潮噴きをしながらの肛門絶頂姿を見せつけた彼女は、同時にだらしないトロ顔も晒していた。

 

「ん、お……♡♡♡ ケツアクメ、良い……っ♡♡♡ んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 絶頂の余韻に浸っていたアタランテであったが、尻穴を肉棒で激しくかき混ぜられて再び獣の様な叫び声を上げて体を仰け反らせた。

 男たちはそんなアタランテの尻から肉棒を抜くと、彼女を持ち上げて船の縁に尻を置く。そして、両手で彼女の尻肉を掴み、今しがた射精したばかりのアタランテのアナルを広げてその内部を見せつけて来た。

 

「ほらよ、元マスターくん! お前の昔のお仲間のケツ穴はこんなにも広がっちまったぜ!」

 

「前の穴が使えねえ分、こっちの穴を使い込んでやってなぁ……! 今では、こんなに緩いケツ穴便器になっちまったよ!」

 

「もう君の小さいちんぽじゃあ感じられないかもなぁ! ぎゃははははははっっ!!!」

 

「お、おお……♡♡♡ ケツ穴、ひろがるぅ……♡♡♡」

 

 ごぷっ♡ ぶぽっ……♡ アタランテの尻穴から響く卑猥な音は、波風に乗ってマスターたちの耳へと届いていた。自分たちの前で痴態を晒す羽目になった彼女を見たマスターは、拳を強く握りしめて男たちへの怒りを募らせる。

 男たちはアタランテを弄び、下卑た笑い声を上げていたが、自分たちに甘える様にして擦り寄る一人の少女の姿を見止めると、その笑顔はまた肉欲の炎を灯らせたものに変わった。

 

「ねえ、おじさんたち……♡♡♡ お姉さんだけじゃ無くって、私ともおまんこして欲しいなぁ……♡♡♡」

 

「おほぉ!? イリヤちゃんは積極的だなぁ!」

 

「だってぇ……♡♡♡ 可哀想な元マスターさんに、私の成長した姿を見て欲しいんだもん……♡♡♡」

 

 甘く蕩けた表情を浮かべて男にしなだれかかるイリヤは、まるで長年娼婦として生きて来たかの様に蠱惑的に男を煽っている。彼女もまた、クロエと同じ様に尻穴にステッキを突き刺した小悪魔の様な格好をしていた。

 

「んふっ♡ んふふふふふ……♡♡♡」

 

 腰をくねらせ、男たちに肉棒に頬擦りし……愛おしそうにそれを舐める今のイリヤは、かつての無邪気な少女と同一人物とは思えない。淫らに堕ち切った彼女の姿をカルデアのマスターたちは悲痛な表情を浮かべて見つめている。

 だが、そんな時に彼は唐突に気が付いた。自分たち以外にも、今のイリヤを見て苦悶の表情を浮かべている人間が居ることに……

 

「■■■……」

 

 それに気が付いたのはカルデアのマスターただ一人だけだった。あの大英雄、ヘラクレスが声にならない呻き声を上げたのだ。

 それはちょうどイリヤが男の肉棒を口に含んで奉仕を始めた瞬間に漏れた呻きだった。ただの偶然とは思えないその呻きに一瞬意識を取られたマスターであったが、すぐに他の英霊たちへと意識を切り替える。

 

「……イリヤ、まだ戦いの最中です。敵が目の前にいるのですから、それはまた後にしてください」

 

「ええ~!? ……いいじゃん、メドゥーサのお姉さんも一緒に遊ぼうよぉ……♡♡♡ 気持ち良くって、楽しい事をしましょう……♡♡♡」

 

 三人目の英霊、メドゥーサは冷静にイリヤを窘めると彼女を男たちから引き剥がした。その行動にイリヤは不満たらたらだが、メドゥーサは彼女の言葉を聞くつもりは無い様だ。

 兎にも角にも、彼女の行動のお陰で目の前でイリヤが犯される姿を見なくて済んだ。心の中でメドゥーサに感謝しつつ、一行はドレイクやアルゴー船に乗り込んで来た英霊たちへと視線を向ける。

 

「如何です? 艦船も英霊も、どちらも戦力はこちらが上……あなた方が勝つ未来が、この状況でもあるとお思いですか?」

 

「早く柩を渡して降伏しな! 素直にすりゃあ、ソロモン様もそこまで酷い事はしないと思うよ?」

 

「……やはり、あなたたちの目的は柩と女神を使って、このオケアノスを滅ぼす事なのね」

 

「ふふふ……! それが分かっているから、あなたはダビデ王を自分の宝具で殺してから再召喚した。手元に柩が来る様に仕向けたってことですよね? 流石は成長した私、と言う事でしょうか?」

 

 メディア・リリィが成長した自分自身を褒め称える。しかし、その口調には無駄な努力を嘲る様な感情も含まれていた。

 大方予想をつけていた敵の目的は、彼女のこの反応で確信に変わった。だが、マスターはそこから一歩踏み込んだ情報を引き出すべく、一つの言葉をドレイクたちに投げかける。

 

「……ステンノが、来ているんだな?」

 

「………!?」

 

 マスターのその一言にメディア・リリィの表情が一瞬強張った。それを見たドレイクは、小さく舌打ちをして彼女を叱責する。

 

「嬢ちゃん、素直なのは良い事だが、あんまり顔に答えを出すと敵に要らん情報を与える事になる、気を付けるんだね」

 

「あっ……!?」

 

 ドレイクの言葉にしまったと言う表情を浮かべたメディア・リリィは、マスターの今の一言が一種のカマかけであったことに気が付く。自分の反応を見て、マスターは今の質問の答えを探ろうとしていたのだ。

 このオケアノスでかつて争奪戦の一端を担ったエウリュアレでは無く、ステンノの名前を出したマスターの言葉にメディア・リリィが驚きの反応を見せても仕方が無いだろう。何を隠そう、彼の言う通りにステンノもまたこの特異点に来ているのだ。

 マスターもまたその事を半信半疑と言う形で考えていたのだろう。しかし、今のメディア・リリィの反応でその思いを確信に変えたのだ。

 

「……小賢しい手を使ってくれますね、元マスター……!」

 

「少し前に色々と教わってね、ハッタリをかます時は堂々としていた方が良いって聞かされたんだよ」

 

「ははっ! 随分と良い師に会ったみたいじゃないか! ……でもま、全部無駄になるだろうけどさ」

 

 見事なカマかけで情報を引き出したマスターに賞賛を送ったドレイクであったが、次の瞬間には冷酷な表情を浮かべて彼の事を睨んでいた。それはメディア・リリィも一緒で、怒りを感じながらもそれを必死に噛み潰した様な表情を浮かべている。

 

「……少しばかり情報を引き出せたからと言って、図に乗らないで下さいますか? まだ戦力的にはこちらの方が有利なのですから」

 

 ギリリと、歯を食いしばった後で余裕の笑みを取り戻したメディア・リリィは、自分たちの船とその乗組員、そして自分たちのサーヴァントを指差してカルデアのマスターに告げる。彼女の言葉を受けた戦闘員たちは、揃って戦いに臨む構えを見せた。

 

 すぐにでも戦いが始まってもおかしくない一触即発の雰囲気、囲まれた状況の中でどう動くべきなのかをカルデアのメンバーたちは必死になって考え続ける。

 だが、そんな状況で動いたメディア・リリィは、誰もが予想しなかった言葉を口にして微笑んだ。

 

「……ですが、やられっぱなしと言うのは気に入りませんので、すこしばかり仕返ししておきましょうか?」

 

「えっ……!?」

 

 彼女の言葉を耳にしたマスターが、その真意を理解出来ないと言う様な表情を浮かべた次の瞬間、閃光が走った。

 そして、何がなんだか分からない間に……彼は、その表情のままに首を斬り落とされていた。

 

「なっ、なっ……!?」

 

 マシュもメディアも他のサーヴァントたちも、何一つとして反応出来なかった。それ程の一瞬の間に、それは行われていた。

 ころころと転がるマスターの首は、そのまま後方に隠れていたイアソンの元まで転がり、彼と目を合わせる。イアソンは、光の無いガラス玉の様になったマスターの目を見て、恐慌に陥った。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!?!?」

 

「……はい、これで全部お終いですね! ソロモン様に逆らう愚か者は、死んでしまいましたので!」

 

「ます、たー……?」

 

 胴体と首が泣き別れしたマスターの姿を見た沖田が茫然とした呟きを零す。目の前で起きた惨劇を受け入れられないと言った表情で、彼女は首を細かに振っていた。

 

 何の前触れも無く訪れたマスターの死……誰も、何も反応出来ない間に、それは終わってしまった。

 静かな絶望感がマシュたちを包み、じわじわと心の中を侵食して来る。メディア・リリィは、そんな彼女たちを嘲笑うと非常に愉快そうな表情で降伏を勧める。

 

「さて、これで希望は潰えました。これ以上の無駄な抵抗は止め、ソロモン様に永遠の忠誠を誓いなさい。そうすれば、全員便器扱い位はして頂けるでしょう」

 

 勝者としてカルデアのメンバーに降伏勧告をするメディア・リリィは、冷たい笑みを浮かべている。目の前にいる英霊たちの運命を握っているのは自分であると言う事が、彼女に愉悦を感じさせているのは明らかだった。

 彼女に与する海賊たちも、彼女の愉悦を感じ取っていやらしい笑みを浮かべる。そして、マシュを始めとした女英霊たちを見て、彼女たちを犯し尽くす妄想を繰り広げては股間を大きくした。

 

「全員、良い体してんじゃねえか……! たっぷり可愛がってやるぜぇ……!」

 

「ああ、涎が止まんねえなぁ!」

 

 勝利の喜びが海賊団に伝播する。自分たちは戦いもせずに美味しい汁を吸えるのだから、彼らからしてみれば最高の一言だろう。

 もはや全ての決着はついたと信じ、彼らは醜い欲望を隠そうともせずに居る。勝者と敗者の関係を築こうとしている彼らの中にあるのは、女性英霊たちへの凌辱方法だけだ。

 

「……さあ、武装を解除して柩を私たちに引き渡しなさい。それを拒否するのなら、大軍を以ってあなたたちを踏み潰すまでです」

 

 締めの恫喝、これでマシュたちは心折れて降伏するだろうと言う思いが透けて見えるその言葉に海賊たちが意識を集中させる。拒めば戦い、受け入れれば凌辱……どの道、自分たちの勝利は確信しているのだと言う思いが、彼らに余裕を持たせていた。

 どんな反応を見せてくれるだろうかとマシュたちの反応を楽しみにするメディア・リリィたち。そんな中、小刻みに震える沖田が怒りの感情を爆発させて敵戦に飛び込もうとしたその時だった。

 

「……大分耄碌してるみたいだな、嬢ちゃん。まだ気が付かないのか?」

 

「……何を言ってるんですか?」

 

 不意に、煙草をふかしながら口を開いたクー・フーリンの言葉にメディア・リリィは訝し気な表情を見せた。

 彼が何か負け惜しみを言っているのか、それでも窮地を脱するハッタリを口にしているのだと思い込んでいたメディア・リリィであったが、彼女の隣に居るドレイクは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべて苦々しい声で叫んだ。

 

「あの野郎……一杯食わせやがったなぁ!?」

 

「え……? な、何を……?」

 

「あいつの死体を見てみな! 血の量が明らかに少ない! ありゃあ、偽物だ!」

 

「えっ!?!?」

 

 ドレイクにその事実を指摘されたメディア・リリィは、血相を変えてマスターの死体へと視線を落とす。言われてみれば、首を切断されたと言うのにも関わらず、彼の体からは非常に少ない量の血しか流れていなかった。

 つまり、今の今まで自分たちと話していたカルデアのマスターは偽物……またしても、自分は彼に騙されたと言う事だ。

 

「えっ!? マスターさん、死んで無いんですか!? 良かった~っ!」

 

「当然です、主殿にむざむざあんな死に方をさせる訳が無いでしょう!」

 

「先輩は私が命を懸けて守ります。絶対に、死なせることなんかさせません!」

 

 マシュと牛若丸はマスターが偽物であることを知っていた様だ。どうやら、彼らが別室で会話をしている時にすり替えが行われていたらしい。

 神代の魔女であるメディア・リリィを騙せる程の替え玉を用意出来るのは、当然自分自身しかいないだろう。二度も騙された屈辱に打ち震えるメディア・リリィは、もう一人の自分自身に向けて怨嗟の声を上げた。

 

「よくも……! こんな手の込んだ真似をしてくれましたね……!」

 

「それはこっちの台詞よ。まさか、マスターの読みが当たるなんてね……」

 

「読み……? カルデアのマスターは、この状況を読んでいたとでも言うのですか!?」

 

「違うよ、これも教わった事なんだ。敵の考えを読んで、先手を打てって……その為に、保険をかけておいたんだよ」

 

「!?!?!?」

 

 背後に一人の男性を伴って船室に続く扉から姿を現したマスターは、メディア・リリィに静かにそう告げた。

 連れられた男性は飛び出た目玉をぎょろぎょろと動かしながら周囲の状況を確認すると、ぱんぱんと手を叩いてマスターへと賞賛の言葉を送った。

 

「流石はマスター! 素晴らしい読みです! ……ええ、本当に素晴らしい! 命の危機を乗り越えただけ無く、敵の戦力も削ぐことに成功するとは!」

 

「戦力を削ぐ……? それは初耳ね、あなたは何をしたの?」

 

 メディアの質問を受けつつ歩みを進めたマスターは、自分を救う偽物を作ることに一役買ってくれたジル・ド・レェに視線を送る。マスターに合図を受けた彼は非常に良い笑みを浮かべると、手を振り上げて何かを操った。

 

「これも教わった事なんだ。一つの情報を得たら、それだけで満足するな……その先を考えて、敵の手を読み切れって、俺はそう教わった。だから、そうさせて貰ったよ」

 

「くっ……!?」

 

 メディア・リリィはマスターの言葉を耳にして小さな呻きを上げた。それは、彼に自分の立てた策を看破されたことを察したからだ。

 マスターはメディア・リリィの瞳を真っすぐに見ながら、自分の考えを述べる。ここまで得た情報を元に組み上げた、自分の考えを……

 

「敵は柩に触れさせる為の女神を連れて来ている。じゃあ、それは誰なのか……? 普通に考えればエウリュアレみたいな非力な女神を生贄にするのが正しいだろう。加えて、保険の為にステンノを連れて来ている可能性も高いと思ったんだ」

 

 そこまで口にしたマスターはちらりと視線をアステリオスに向けた。そして、彼が戦う理由を思い、その胸中を想像してに心を痛める。

 だが、彼がここに居るが故に確信出来た事柄もある。アステリオスが、自分に()()の存在を確信させたのだ。

 

「……メディアから話を聞いて、メドゥーサがオケアノスに来ている事は分かっていた。エウリュアレとステンノも居る事は簡単に想像出来た……この特異点には、ゴルゴン三姉妹が揃ってる。そこまで考えれば、一つの仮説が導き出せる。絶対に……あの子だって来ているはずなんだ」

 

 そう、ここに至るまでの全てはメディア・リリィの作戦だった。彼女は意図的に自分たちの持つ戦力を秘匿していたのだ。

 

 隠していた戦力の内、アステリオスとヘラクレスを大々的にアピールすることでカルデアの一行の意識をそちらに向けさせる。そして、残していた最後の戦力でカルデアのマスターを闇討ちするのだ。

 その策は上手く行ったかと思われた。()()は見事にカルデアのマスターの首を飛ばし、暗殺を成功させた様に見えた。

 しかし……その全ては、カルデアのマスターに看破されていたのだ。

 

「ゴルゴン三姉妹は、ステンノ、エウリュアレ、そしてメドゥーサの三人の事を指す。でも……ゴルゴン三姉妹は、三人じゃあ無いんだ。だって、彼女が居るから……その彼女だけが、この特異点で存在を感じさせないなんておかしいと思った。そこから考えを巡らせれば……そちらが、俺を暗殺する為にわざと隠している事は想像出来る」

 

「お見事な策です。しかし、その策は看破されればそれは暗殺者の孤立を招きます。本気でマスターを殺す気ならば、アサシンクラスのサーヴァントを用意すべきでしたね」

 

「あ……う……」

 

 ジルの指示の元、一体の海魔が姿を現す。その海魔の腕の中には、幼い少女が抱かれていた。

 年端も行かぬその少女は、非常に可憐な印象が感じられる。今は海魔の麻酔で弛緩している身体は、小さくびくびくと痙攣していた。

 

「ごめんね、アナ……少しだけ我慢してね……」

 

「う……ぅ……」

 

 小さく呻き声を上げるその少女、幼き姿のメドゥーサの愛称を口にしながら、マスターは彼女の頭を撫でた。ジルに頼み、自分を暗殺した後の油断した彼女を海魔に捕らえて貰う様に指示していたお陰で、彼女の捕縛に成功した。敵の策を破りつつ、その戦力を手中に収める事に成功したのだ。

 メディア・リリィは念入りに準備した策を破られた事に軽い絶望感を感じていた。しかし、すぐに気を取り直すと船員たちに怒声を飛ばす。

 

「全員、突入なさい! カルデアのマスターを殺せば、この戦いは実質的に勝ちなのです! 戦力はこっちの方が圧倒的に上……」

 

「……ほう? 戦力は圧倒的に上? 私の姿を見てもそう言えるとは、お嬢さんは随分と用意が良いのでしょうな?」

 

 数を頼りに戦いに臨もうとするメディア・リリィ。しかし、その言葉はにこやかな笑顔を浮かべたジルによって途切れさせられた。

 手に持つ魔導書を開き、魔力を放った彼の周囲には紫色の光が迸っている。妖しい光に照らされながら笑顔を浮かべるジルの横顔は、非常に恐ろし気な物に見えた。

 

「……さて、先ほどのレディ・アタランテの扱いを見るに、あなたたちは女性を凌辱することを平然と行って来た様子……勝手な予想で申し訳無いのですが、あなたたちの中にはジャンヌを汚した方もいらっしゃるのではないでしょうか?」

 

 ジルのその言葉に覚えがある男はドキリと心臓を跳ね上げた。柔和な笑みを浮かべているジルだが、あの反応を見るに完全に怒ってる。確実に、滅茶苦茶、怒っている。

 

「ええ、ええ! わかりますよ! ジャンヌ達は非常に魅力的で美しい存在ですからね! 俗物であるあなた方が、汚したくなる気持ちもわかります! ええ、ですから――」

 

 ジルの持つ魔導書が光を放つ。闇の色をした光を船の上で放つ。

 その輝きが収まった時、船を取り囲む青い海は、黒と紫の毒々しい色に染まっていた。

 

「な、なんだ、ありゃあ……!?」

 

「ば、ば、ば……化け物だぁっ!?」

 

 その色の正体に気が付き、叫んだ男の口に一本の触手が突き入れられた。喉を貫通し、体を持ち上げ下られたその男は、海へと放り投げられて姿を消す。

 船を取り囲む様にして召喚された数十体の海魔は、じわじわと包囲網を狭める様にして黄金の鹿号の乗組員へとにじり寄る。

 恐ろしい化け物に迫られる恐怖に怯え、震えている男たちの狂乱が最高潮に達した時……ジルの無慈悲な声が海に響いた。

 

「十分、良い思いは出来たでしょう? 夢の様な甘美な出来事の支払いは、あなた方の命で十分です……破格の値段でしょう? あなた方の命一つで、聖女と呼ばれた英霊を好きにできたのですから……ねぇ?」

 

 恐怖が、狂乱が、爆発した。同時に、黄金の鹿号の甲板が真っ赤な血で染まる。肉が、骨が、臓物が……海に飛び散り、赤い色を残して沈んで行った。 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!? ぐわぁぁぁぁぁぁっっ!?」

 

「だずけっ! だずけてぇぇぇぇっっ!!!」

 

「……う~む、素晴らしい! 最高にCOOLと言うものですなぁ!」

 

 響く悲鳴と骨が砕ける音を聞いたジルは、満足げな笑みを浮かべて頷いていた。この狂喜乱舞の戦場で、こんな表情が出来る彼は非常に恐ろしく思える。

 ジルが味方で良かった……そう心の中で思うマスターたちは、彼の機嫌を損ねぬ様に気を付けようとこの日決めた。

 

「……あ~あ、これは負け戦だねぇ。戦力差がデカいからって油断し過ぎたなぁ」

 

「なっ!? ドレイク船長! まだ私たちの方が有利なのは変わりありません! サーヴァントたちはほぼ無傷ですし、戦闘を仕掛ければ……」

 

「……嬢ちゃん、よく覚えときな。例え勝ったとして、その為に払った損失がデカいのなら、それは負けと同じさ。まだ戦いは始まったばかり、普通にやりゃあ勝てる戦で、大きな損失を出すのは馬鹿のやる事さね……ここは退いて、確実に勝てるタイミングで仕掛けりゃ良い。そうだろう?」

 

「ぐっ……!?」

 

 堕ちているとは言え、フランシス・ドレイクは有能な指揮官だった。今、この瞬間に取るべき選択肢がはっきりと分かっている。

 ギャンブルと同じ……少し負けを出したからと言って、ムキになって金をつぎ込めばあっという間に破産してしまう。メドゥーサを捕らえられたからと言って、無理に戦いを仕掛ければそれ以上の損失を出す可能性の方が高いのだ。

 

「有利だってことが分かってんなら、焦る必要なんて無いんだよ。ここでの負けをチャラに出来る位にデカく勝てば良い、だろう?」

 

「……はい」

 

 ドレイクの言葉に納得したメディア・リリィは、冷静さを取り戻すと撤退を開始した。アルゴー船に乗り込ませたサーヴァントたちを呼び戻すと、船に侵入した海魔の駆除に当たらせる。

 敵が戦いを終わらせようとする姿を見たアルゴー船の乗組員たちもまた、離脱の為に全速力で航行し始める。逃げ出したくて仕方が無かったイアソンが舵を取っているお陰か、その速度は信じられない程に早かった。

 

「……初戦は負けだ、それは変わりない。だが、最終的に勝つのはアタシたちさ」

 

「ええ、わかっていますとも……! この屈辱は、必ず倍にして返して見せます!」

 

 遠くに消えて行くアルゴー船を睨みながら、船団の指揮官と副官は小さく呟いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初戦は凌いだ。だが、まだまだこちらが不利だと言う事には変わりはない」

 

「分かってるよエミヤさん。状況の打破のためにも、アナから情報を引き出さなきゃ」

 

「そうですね……では先輩、今回もお願いします」

 

 マシュに促されたカルデアのマスターは、海魔からアナの小さな体を受け取ると彼女を抱えて歩き出す。用意された一室に彼女を運ぶと、ベッドの上に丁寧にその体を置いて頬を撫でた。

 

「ん、あ……ねえ、さま……」

 

 麻酔を投与されて眠るアナは、寝言で姉たちの名前を呼んでいる。今、彼女はどんな夢を見ているのだろうかとマスターは思い、僅かな笑みを浮かべた。

 

「……待ってて、アナ。君も、お姉さんたちも、必ず救い出してみせるから……!」

 

 届かないと知っていながらも、マスターは彼女に向けてそう口にせざるを得なかった。こうしている間にも苦しめられているステンノとエウリュアレを思うと、胸が締め付けられる様な痛みを感じる。

 

「……必ずだ、必ず……皆を救ってみせるから……!」

 

 もう一度自分の決意を口にしたマスターの瞳には、強い意志の光が灯っていたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

血の色と同じ赤い愛を(メドゥーサ『ランサー』)

「……ん、あ……」

 

「……起きたね、アナ」

 

「……マスター、さん」

 

 寝台の上で覚醒したアナは、目の前にいた青年の顔を見てその名を呟いた。そして、自分が何をしたのかを思い出す。

 姉たちを人質に取られ、メディア・リリィに脅された自分は、気配を消して彼を闇討ちすることを命じられた。暗殺を成功させればこれ以上姉たちに非道な事はしないと言う言葉を信じて、そうする他無かった。

 

 そうして、自分は彼の首を刎ね飛ばした。自分を信じ、大切にしてくれたカルデアのマスターをこの手で殺したのだ。

 メディア・リリィの命令に従った彼女だが、彼の首を刎ね飛ばしたショックはとても大きかった。決して自分が心から望んだ訳では無く、姉たちの為に行った行動だったからだ。

 吐き気と寒気、そして絶望感に取り付かれた彼女がアルゴー船の内部で自分自身を抱き締めていると、突如首筋に痛みが走り……そこからは、意識が朦朧としていて何も覚えていなかった。

 

 アナは、自分自身の置かれた状況をまだ霞がかかる頭で必死に考える。ここが天国や英霊の座では無い事はすぐにわかる。ここは、アルゴー船の中だ。

 と言う事は、自分は死んでいないのだろう。そして、目の前にいる彼も死んではいなかった。自分の暗殺は、失敗したのだ。

 

(……良かった、本当に良かった……!)

 

 心の底から、アナは安堵した。姉たちを救えなかったことは無念だったが、自分たちを愛してくれているカルデアのマスターが死んでいなくて本当に良かったと安堵した。

 しかし今、自分は彼らに囚われてしまっている。自分を暗殺しようとしたアナの事をカルデアのマスターは許しはしないだろう。

 

「ごめん……なさい……」

 

 心の底からの思いを口にしたアナであったが、その言葉には何の意味も無いだろうと心の中で思っていた。謝罪の言葉で人が生き返れば、葬儀屋は要らないのだ。

 自分はこれから嬲られ、犯され、傷つけられる……それは、自分のしたことを思えば、当然の仕打ちだろうと彼女は思った。

 

「どうぞ……お気に召すままに、してください……」

 

 一筋の涙がアナの頬を伝って零れ落ちる。それは恐怖によるものでは無く、自分自身の罪深さを後悔しているが故の物であった。

 自分は彼を殺そうとした、それはどんな理由があっても許される事では無い。彼の死は、人類史の崩壊を意味するのだから。

 自分が裏切ったのはカルデアの皆だけでは無い、この世界に生きる全ての者を裏切り、自分の望む物を取ろうとしたのだ。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……!」

 

 零れ落ちた涙はもう一粒では無くなっていた。止めど無く、透明な雫がアナの頬を伝ってベッドのシーツを濡らしていく。

 罪悪感に震えるアナは、どんよりとした闇の中に心を囚われていた。自分自身に失望する彼女は、俯いたまま嗚咽の声を上げている。

 

「……大丈夫だよ、アナ。全部わかってるから」

 

「え……?」

 

 そんな彼女を見たマスターは、そっと指先で彼女の零した涙を拭うと屈託のない笑みを見せた。自分の予想を大きく外れる反応を見せた彼に対し、アナが困惑していると……

 

「お姉さんたちの為だったんでしょ? アナは優しくて、二人が大好きだもんね」

 

「あ、う……」

 

「……俺の方こそ、本当にごめん。俺が、もっと上手く皆を指揮出来ていたら、皆が捕まることだってなかったのに……」

 

 裏切り者である自分に対して深々と頭を下げたマスターは、力不足を痛感している様な表情を浮かべていた。

 沈痛な面持ちでじっと床を見つめている彼には、アナを責める事無く自分自身を責めている。その事が、アナには悲しく思えた。

 

「違うんです……結局、私はあなたを裏切った。姉さまたちを救いたいと言いながら、私はあの地獄から抜け出したかっただけなんです……!」

 

 カルデアのマスターの痛々しい姿に胸を痛めたアナは、心の憶測にあった本当の目的を口にして俯いた。アナの再び瞳から涙が溢れ、脳裏に辛い記憶が蘇って来る。

 

 神性の高い英霊は対魔力が高い。その為、魔術王であるソロモンの行使する催眠や魔術に対する抵抗力が働き、その効果を十全と働かせない様にしていた。

 結果、女神と呼ばれる女英霊たちは完全に堕ちずに抵抗を続けられている。だがしかし、それは決して良い方向に働くとは限らなかった。

 

「もう、嫌だったんです……! 痛いのも、苦しいのも、怖くて……!」

 

 神性が高く、魔術が効きにくい。それ故、堕とすのに手がかかる。ソロモンからしてみれば、アナたちは厄介な英霊であると言えるだろう。

 それが強大な力を持つ英霊なら、堕とした後で戦力に数えられるのだから良いだろう。しかし、アナたちゴルゴン三姉妹はお世辞にも強力な英霊とは言えない、力を注いで堕としたとしても旨味が少ないのだ。

 なら、どうするか? ……決まっている、手間をかけず、最低限の抵抗力だけを奪って便所に堕とす。そして、男たちの慰み物として扱い続けたのだ。

 

 モードレッドが語る通り、便所扱いされる事は地獄と言ってもいい。男たちの底なしの欲望を一身に受け止め、どんな変態行為でも行わなければならないのだ。

 アナたちゴルゴン三姉妹もそうなってしまった。中途半端に堕とされ、地獄に叩き落され……終わり無き凌辱に身を堕とす事になってしまった。

 その時のことを思い出したアナは身震いし、歯をカチカチと鳴らす。恐怖に震える体には、男たちにされた苦しい凌辱の記憶がはっきりと刻まれていた。

 

 昼夜を問わず抱かれるのならばまだ良い。真の地獄はそんなものでは無いのだから。

 見世物として、魔獣や魔物と体を重ねさせられたこともあった。幼い体に巨大な肉棒や触手を叩き込まれ、下手をすると尻穴から口までを貫通して犯されることもあった。

 開発と称した無理なセックスも何度も行われた。何本まで肉棒が入るかと賭けの対象にされ、三人の性器を無理矢理広げ……壊れたら再召喚して再びお遊びに戻る。その繰り返しだった。

 

 あそこは地獄だった。特異点に連れ出され、そこで自分は姉たちと違って戦力として数えられた事を知って、アナは正直安堵した。もう便器扱いは終わるのだと心の底から安心した。

 特異点で手柄を立て、姉たちを救いたいと言う気持ちもあった。しかし、アナはそれ以上にもうあの地獄に堕ちたく無いと思っていたのだ。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……!」

 

 自分自身の欲望を隠し、姉たちの為と偽って良い子を装う自分は本当に醜い存在だとアナは思った。こんな自分は、嬲られ、犯され、汚されて当然なのだと思った。

 身も心も、自分は弱い。こんな自分が救いを求めるなど間違っているのだ……そう強く思ったアナは、自分自身を強く抱きしめて歯を食いしばった。

 

「……アナ、泣かないで。君は悪くなんか無いんだよ」

 

「そんなこと、ありません……私は、私は……っ!」

 

「大丈夫、大丈夫だから……! 君は何も悪くないよ、だから自分を責めないで……!」

 

 自分自身の罪の重さに震え、身も心も凍えさせるアナ。マスターは、そんな彼女に温もりを伝える様にしてその小さな体を抱き締めた。

 背中をさすり、優しく抱きしめ、慰めの言葉を投げかける……久しく感じていなかったその暖かさは、アナの凍えた心を確かに溶かしていった。

 

「アナ、顔を上げて……」

 

「はぅ……♡♡♡」

 

 甘い声、頭の中が蕩け、ジンジンと体が痺れる。

 しかし、その痺れは心地良い痺れだった。体の中心からじんわりと広がって行くその感覚に身を預けたアナは、彼に従って顔を上に向ける。

 

「ますたぁ、さん……♡♡♡」

 

 自分の口から洩れる息も、信じられない程に甘い物になっていた。呆けた頭でその事を驚く彼女の開いた口にカルデアのマスターの舌が入り込む。

 

「んっ……♡♡♡」

 

 後頭部を抑えられ、小さな口内を舐められる。舌を掬い上げられ、刺激され、唾液を絡まされ……アナは、初めての心地よいキスの感覚に頬を染めた。

 

(ふわふわ、する……♡♡♡ 胸がドキドキして、とっても気持ち良い……♡♡♡)

 

 流し込まれた唾液を飲み干した時、アナの全身にカルデアのマスターの魔力が行き渡った。久しぶりに感じたそれは、何故だか前以上に濃厚で美味な物に思える。

 淫紋令呪が刻まれたサーヴァントと多数契約したことによって、彼の魔力もまた強化されていたのだ。その事を知らないアナは、久方ぶりの彼の魔力の甘さに瞳を潤ませて心を弾ませる。

 濃くて激しくとも冷え切ったソロモンの魔力とは違う。暖かく、甘く、注ぎ込ませた時に幸せを感じるこれが、自分の求めている物なのだとアナは思う。そして、その思いは今の彼女が感じている温もりによって更に強まっていった。

 

「アナ、服を脱がすよ……じっとしててね……」

 

「は、はい……♡♡♡」

 

 男の手で服を脱がされる事にアナは体を僅かに強張らせる。しかし、優しい手付きで自分の体に触れるマスターのお陰で、その緊張も段々と解れていった。

 

「あ……♡♡♡」

 

 そして、自分の下着を見たアナは羞恥に顔を染めた。彼女のショーツは、股座から溢れた蜜によってびっしょりと濡れていたのだ。

 

(キス、だけで……こんなに、びしょびしょになるなんて……♡♡♡)

 

 自分が興奮している証を見られてしまった。あなたとのキスでこんなにも感じてしまったと、彼に暗に伝えてしまった。

 恥ずかしさに体が火照り、それでもアナは彼の次の行為に期待する。カルデアのマスターは、そんなアナの下腹部をそっと撫でると小さな声で呟いた。

 

「アナの淫紋令呪、黒く無いね。これは、ステンノとエウリュアレもそうなの?」

 

「はい……私たちは、完全に堕とされた訳では無いので」

 

「そっか……なら、簡単に取り返せるかな?」

 

「あっ……♡♡♡」

 

 灰色の完全に堕ち切ってはいない淫紋令呪。それを撫でたマスターは、そっとアナの小さな乳首に吸いついた。

 自分より大きな青年が、まるで赤ん坊の様に自分の胸に吸いつく姿に気恥ずかしさを感じるアナであったが、マスターの舌技を受けるにつれて、頬の火照りは羞恥では無く快感によるものへと変わっていった。

 

「はっ♡ はふっ♡ ふっ♡ ふあぁぁっ♡」

 

「アナ、可愛いよ……もっと鳴いて良いからね……!」

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 ベッドに横たえられた体を上から優しく抑えつけられ、片方の乳首を舌で舐められ、吸われる。もう片方の乳首は指でカリカリと擦られ、両方の乳首に違った快感を与えられる。

 方やちゅうちゅうと吸われる強い快感、方やもどかしい、焦らされる様なぴりりとした快感。二つの快感に胸を支配されたアナは、既に濡れそぼっている秘所を更に大洪水にさせて喘ぐ。

 

(心臓が、バクバクしちゃう……♡♡♡ 恥ずかしいのに気持ち良くって、もっとして欲しいと思ってしまう……♡♡♡)

 

 自分の吐く息は荒く、とても甘い。熱を帯びた呼吸は、彼の手で生み出されている。

 いつの間にか、アナは自分から脚を開いていた。マスターはそんな彼女の無防備に晒された女性器へと手を伸ばし、人差し指を膣へと潜り込ませる。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 胸を吸われ、抓られ、膣内を指で刺激され……アナの小さな体は、あまりにも強い快感にぴくりと跳ね上がってしまった。

 ひくひくとひくつく性器は、マスターの指を嬉しそうに迎え入れては吸いついている。もっと気持ち良くして欲しいと強請る自分の膣は、まるで自分とは別の意思を持っている生き物の様にアナは思えた。

 

「もう一本挿れるよ。良い?」

 

「は、い……♡♡♡」

 

 アナの了承を受けたマスターは、今度は中指を膣内へと潜り込ませた。そして、狭いアナの女性器の中で二本の指が淫らな音を立てて暴れ回り始める。

 

「あっっ♡ あぁぁっ♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 今度は膣だけを刺激されるアナは、激しいその快感に体をびくびくと痙攣させて喘いだ。しかし、その中に感じる甘く優しい感覚に心をときめかせる彼女は、絶え間無く潮を噴いて子宮を疼かせている。

 ぱしゅっ♡ ぱしゅぅぅっ……♡ アナは自分が放尿してしまっているのではないかと思う程、全身を脱力させていた。そうすればマスターの指はもっと自分の奥深くまで届き、新たな快感を自分に与えてくれる。

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 甘い快感に流され、今度こそアナは失禁してしまった。マスターの手を黄金水で汚し、恥ずべき排泄シーンを晒してしまったアナは羞恥に頬を染める。

 しかし、マスターはそんな彼女の背中をそっと撫でると、アナの脚をM字に開脚させてその中央に自分の顔を近づけていった。

 

「アナ、リラックスして……」

 

「だ、駄目です、マスターさん……! そんなとこ、汚い……はふぅぅっ♡♡♡」

 

「大丈夫、汚くなんかないよ。アナのここ、ひくひくしてて凄く可愛いから」

 

「あ、あ……♡♡♡ あぁぁぁぁ……♡♡♡」

 

 放尿を終えたばかりの性器に彼の舌が触れる。愛液と尿で濡れたそこを味わう様にして舌が這いまわる。

 不思議と、その行為に不快感は無かった。彼が自分の大事な部分を労わる様にして愛撫していてくれている事が分かっていたからだ。

 

「力を抜いて……そう、良い感じだよ……!」

 

「あ、い……♡♡♡ ひもち、ひぃ……っ♡♡♡」

 

 舐めても舐めても、アナの秘所から愛液が無くなることは無い。それどころか徐々にその量を増し、蕩けた蜜を噴き出し続けている。

 アナの膣は柔らかく蕩け、発情した子宮は下まで降りて来てしまっていた。もしかしたら、彼の舌の先に子宮の入り口が触れてしまうのではないかと思ったほどだ。

 

(そっか……私が小さいから、マスターさんはしっかりと濡らしてくれてるんだ……♡♡♡)

 

 この行為の最終目的は肉棒を挿入しての本番行為だ。その為に、マスターはアナの秘所を解しているのだ。

 アナはまだ子供だ。膣の入り口も狭く、膣自体も小さい。サーヴァントであり、淫紋令呪によって快感と行為に順応してしまう事や、ソロモンの城で受けた凌辱行為で開発されている事を除いても、十分に労わる理由はある。

 あの城の中で誰もしなかったその労わりを、マスターはしっかりと自分に向けてくれている。アナは、それが嬉しくて堪らなかった。

 

「は~っ♡ あ~っ♡ おまんこ、柔らかくなってぇ……♡♡♡」

 

 舌での愛撫を時々中断しては、マスターは指をアナの膣内に潜り込ませてその蕩け具合を確かめていた。もう既に、彼女の膣には4本の指が挿りこんでいる。

 とてもとても、アナの膣は柔らかくなった。トロトロと甘い匂いを放つ蜜を秘所から垂れ流すアナは、自分が彼を迎え入れる準備を整えたことを知って息を飲む。

 

「まひゅたぁ、さん……♡♡♡ もう、じゅんびできましたから……だから……っ♡♡♡」

 

「うん、わかった。じゃあ……」

 

「!!?」

 

 でん、と曝け出されるマスターの肉棒。太く巨大で、ビクビクと脈打つそれはアナの見たことのあるそれとはまるで別物だった。

 大きなそれを自分の腹に当ててみれば、余裕で臍の上まで辿り着いてしまう。降りて来ている子宮は、一体この肉棒にどこまで押し込まれてしまうのだろうか?

 

(……でも、怖くない……むしろ、楽しみに思っている自分がいる……♡♡♡)

 

 今からこの肉棒を自分が受け入れる。その時、自分はどうなってしまうのだろうか?

 何故だか、自分が壊れてしまうイメージが湧かなかった。たとえ壊れたとして、それは幸せな崩壊なのだろうとアナは思う。

 そして、自分の入り口にマスターの亀頭が当てられた時、その感情は最大限まで高まった。ゆっくりと腰を突き出したマスターの動きに合わせ、アナの口からは甲高い嬌声が溢れる。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 膣肉を割り裂き、マスターの肉棒が進む。子宮口に触れた亀頭は、完全に収まり切っていない肉棒を完全にアナの内部に収める為に先に触れるそれを押し込んで更に進む。

 女の大事な部分を押し上げられる。本能を刺激され、脳天まで一気に駆け抜ける程の快感を与えられ、アナはパクパクと口を開閉させてその快感の虜に染まる。

 

「ひら、にゃいぃぃっ♡♡♡ こんにゃのっ♡♡♡ ひりませんっっ♡♡♡」

 

 膣の中を全部埋め尽くす肉棒、その熱さと律動に内側を焼かれるアナが目を見開いて叫ぶ。だが、その叫びには呂律が回っていなかった。

 何とか自分の内部に収まり切ったマスターの肉棒は、じっくりとアナの膣に自分の形を覚え込ませようとしているかの様に存在を主張している。ぐぷり、ねぷり、と愛液が掻き混ぜられる音に加えて、アナの喘ぎ声が部屋の中に響いた。

 

「動くよ、アナ」

 

「はぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ はへぇぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ ほっ♡ ほひぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 ゴリゴリと音を立てて肉棒が外に抜け出す。カリが膣壁を引っかき、お腹の中をゾワゾワとさせる快感の電撃が弾け飛んだ。

 その後、再び肉棒が子宮に向けて繰り出される。いとも容易く子宮口に辿り着いた肉棒が奥へと大事な器官を押し込み、アナの雌の本能を滅多打ちにする。

 そしてまた引き抜かれる。奥に入り込んだ分引き抜かれる距離が伸び、膣で感じる快感も大きくなる。

 

 リズミカルにアナの膣へと己の肉棒を出し入れしていたマスターは、そっと彼女を抱き寄せると対面座位へと体勢を移行する。そして、小さな彼女のお尻を掴むと、より一層激しく腰を振り始めた。

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ はげひっ♡♡♡ しゅごいぃぃっっ♡♡♡」

 

「いっぱい気持ち良くなってね、沢山抱きしめてあげるから……」

 

「はひっ♡♡♡ ひぃぃっ♡♡♡ はぁっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 自重によって押し込まれる子宮、肉棒の大きさをよりはっきりと感じさせる体位になったアナは、背中に回されたマスターの腕に安心感を覚えた。

 トン、トン……腰が叩き付けられる度、アナの意識が遠くに行きそうになる。しかし、同時にはっきりと自分の女の部分が満足している事も感じていた。

 

「あっ♡ あっ♡ おひり♡ ゆび、はいってぇ……♡♡♡」

 

 いつの間にか一心不乱に腰を振っている自分のアナルに突き入れられる中指。愛液で濡らされたマスターの指は、すんなりとアナの尻穴に潜り込んで行く。

 両穴を穿られるアナは、マスターの腕の中で幸せな快感に浸っていた。表情を蕩けさせ、舌をマスターの口に伸ばし、キスを強請って可愛らしく腰を振る。

 

「まひゅたぁさんっ♡ もう一回、きしゅしれくらひゃい……♡♡♡」

 

「うん、良いよ。ほら……!」

 

「はむぅっ♡ じゅるぅっ♡♡♡ へっ♡ へぇっ♡♡♡」

 

 膣、尻、頭の中……その全てに快感と幸福感が充満する。肉欲の塊となったアナは、可愛いお尻をぷりぷりと振ってマスターに媚びを売った。

 

「きもちいいれしゅぅ♡♡♡ ぼーっ、としてぇ、なにもかんがえられなくなっちゃいます……♡♡♡」

 

「良いんだよ、アナ……ここにはアナを虐める人は誰も居ないから、幸せに浸って良いんだよ……」

 

「は、い……♡♡♡ 私、全部をマスターさんに、預けて……♡♡♡」

 

「……うん、俺に全部預けて。大丈夫、必ず君のお姉さんたちも取り戻してみせるから」

 

「あうぅぅぅぅっっ♡♡♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 安心感と幸福感が全身を包む。もうここには、自分を嘲り、傷つける人間は誰もいないと言う思いがその思いに拍車をかけた。

 アナはマスターの背中に回した両手両脚に力を籠め、全身で彼へと抱き着いて甘える。子供らしいその行為に目を細めたマスターは、彼女を可愛がる様に愛撫と腰の動きを続けた。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ あたまのなか、まっしろになって……♡♡♡ 私もう……い、イクっ……♡♡♡」

 

「ん……俺もそろそろ限界かな? それじゃあ、一緒にイこうか」

 

「はい……♡♡♡ 一緒に……♡♡♡ んんんん~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 アナの膣が震え、子宮が細やかな痙攣を始める。もう彼女は軽い絶頂を何度も繰り返しており、快感の余韻に全身が包まれた。

 愛液が潮となって噴き出し、尿もしとどに漏れ始める。恥ずべき姿を晒していると言うのに、今のアナにはそれを恥ずかしがる様子はまるでなかった。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ マスターさんっ♡♡♡ ますたぁさぁんっっ♡♡♡」

 

「ぐっっ! ……アナ、俺、もうっっ!!」

 

「わたひもぉっ♡♡♡ もう、イキますぅっ♡♡♡ ますたぁさんも、わたひのなかにらしてくらさいぃっっ♡♡♡」

 

 膣が襞の一枚一枚を肉棒に絡め、子宮口が亀頭に吸いつき始める。最高の絶頂を迎えるべく、アナの体が準備を整えていく。

 そして……マスターの腰の一撃を胎に受け、アナの可愛い尻が浮き上がった瞬間、彼女の意識は遠くへと運ばれて行った。彼女の体が落下し、マスターの肉棒を奥深くまで飲み込んだ時、アナは大口を開けて絶叫する。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 ぱんぱんぱぁんっ♡♡♡ と、アナの頭の中で飛沫が弾けた。快感によって全てが崩壊し、アナの全身を幸福感が包む。

 そして、彼女の膣と子宮にはマスターの精液が勢い良く発射された。迸る魔力の濃度はアナの想像を超えており、広げた脚をビクビクと震わせてアナは痙攣している。

 

「あ、あ、あ……♡♡♡ あった、かい……っ♡♡♡ 私の中、マスターさんの魔力で一杯になって……♡♡♡」

 

「アナの中、俺を締め付けて離さないや……最後の一滴まで射精するからね……!」

 

「う、あ……♡♡♡ 凄い量……お腹の中、たぷたぷになっちゃいますよぉ……♡♡♡」

 

 こん、こんと子宮が突かれる。精液を溜めた子宮が、亀頭のノックを受けてその熱を全身へと伝播する。

 宣言通りに精液をたっぷりと射精したマスターが腰を引こうとすれば、アナの膣はきつく彼の逸物を締め付けて離れぬ様にと絡みついて来た。それでも抜けて行くマスターの肉棒によって、アナの肉襞はめくり上げられて快感の震えを響かせる。

 

「あぁぁぁぁ……っ♡♡♡ もっと、ほしい……♡♡♡」

 

「ふふっ、素直になったね……! 良いよ、もっとしてあげる」

 

「うぅんっっ♡♡♡」

 

 今度は背後からマスターに貫かれたアナは、両手で乳首をこねくり回されて幸せそうな声を上げた。頭の裏が痺れる様な快感に酔い、小さな乳房に伝えられる刺激を敏感に受け取る彼女は幸せそうな息を吐いて行為を続けている。

 

 ぱんぱんと腰を後ろから打ち付け、アナの軽い体を僅かに浮かす程の勢いを持つピストンを繰り出すマスターもまた彼女の狭い膣に肉棒を締め付けられる快感を存分に堪能していた。

 

「うぁ……っ♡♡♡ また、漏れちゃう……♡♡♡」

 

「ん~? アナ、おしっこしたいんだ? お漏らし我慢出来ないのかな?」

 

「うぅ……♡♡♡ 意地悪言わないで下さい……♡♡♡ マスターさんにこうされてるから、我慢出来ないって言うのに……♡♡♡」

 

 下腹部に広がる快感とそれによって促される尿意を感じたアナは頬を真っ赤に染めてマスターへと囁く。意地悪な彼にそれを言葉責めされる事にも被虐的な快感を感じてしまうアナへ、マスターは自分の右手に刻まれている令呪を見せつけると悪戯っぽく笑う。

 

「射精したお陰で俺の魔力を受け取ったし、一緒にイったから魔力経路(パス)も繋がってるよね? それじゃ、こっちで命令しちゃおうかな~?」

 

「ひぅ……っ♡♡♡」

 

「……令呪を以って命じる、俺がイクまで、おしっこを我慢すること……良いね?」

 

「は、あぁぁ……♡♡♡ うあぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 マスターの手の甲から令呪が一画消え、同時にアナの体に一つの命令が刻み込まれた。

 感じる尿意はそのままに、まるで尿道に栓がされてしまったかの様に排泄行為がストップしてしまう。出したいのに出せない、その感覚はアナの感度を高める効果を発揮した。

 

「ほぅ……♡♡♡ はっ♡ はぁっ♡ あぁっ♡ おまんこ、しびれぇっ♡♡♡」

 

 再び動き出したマスターの肉棒に子宮を突かれると、同時に震えが伝わる膀胱からも未知の快感が発せられた。子宮だけでは無く、他の場所で感じてしまう様になったアナはだらりと舌を垂らしてその快感に翻弄されるがままだ。

 

 太い肉棒が真っすぐに子宮に繰り出され、押し上げられる激しい快感。雄に感じさせられるのはこう言う事だ、と言わんばかりの強い快感に雌としての本能を揺さぶられ、胎を支配される。

 

 カリが肉襞を引っかき、一枚一枚を弾きながら抜け落ちて行く切ない快感。圧倒的な質量が抜けて行く虚脱感と次の一撃が繰り出される事を予感する期待感が混じり合い、アナの未成熟な体に快楽の味を教え込ませる。

 

 小さな乳首と乳房を刺激される鋭い快感。胸は小さい程敏感だと言うが、アナの胸は度重なる開発行為によって単体で絶頂出来る程にまで敏感になっている。そんな場所を本番行為を続けながら弄られては、もうどうしようも無かった。

 

 そして、尿が充満している膀胱を揺らされる快感にアナは甘美な悦びを見出していた。我慢して、我慢して、我慢して我慢して我慢して……それを解き放つ時が最高に気持ち良いのだと、本能で理解しているからだ。

 いや、それだけでは無かった。たっぷりと尿が溜まっているその場所をマスターは意図して責めている様にも思える。亀頭で内側から、手で外側からと言う様に、膀胱で感じられる様に開発している様な素振りを見せているのだ。

 

(ああ、感じちゃう……♡♡♡ おしっこ溜めてる場所を虐められて、気持ち良くされちゃう……♡♡♡)

 

「は~っ♡ はっ、はっ♡♡♡ ふ~~っっ♡♡♡」

 

 止まらない、終わらない、それどころか段々と快感は強くなる。自分の尿道がきつく締められている事が、膣で感じる快感をより強くしている様な気がした。

 とんとんと叩かれる子宮が、それと同時に刺激される膀胱が、限界を迎え続けている。既にイキ続けているアナの体に腕を回し、しっかりと彼女を抱き締めたマスターは、最後に思いきり腰を突き上げると子宮の中に己が精を解き放った。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

 アナの頭の中で、子宮の中に放たれた精液に理性が焼き切られる音がした。あまりの快感に彼女の思考回路は完全にその役目を放棄する。

 マスターに射精されたその瞬間、彼女の霊基に下されていた令呪の命令が解除され、我慢に我慢を重ねた尿意が開放される。膣内に射精されながら、アナは尿道から勢い良く黄金水を噴き出した。

 

「はぁぁぁぁ……っっ♡♡♡ ほ、へ……っっ♡♡♡」

 

 アナの放尿は、アーチを描くと言う様な生易しい物では無かった。真っすぐに、一直線に噴き出す噴水の様に凄まじい勢いで噴き出されているのだ。

 長きに渡る我慢を開放したことと生物が本能から感じる排泄の心地良さ、そして身も心も満たされるマスターの射精による快感を受けたアナは、体を痙攣させ続けて終わらない絶頂の坩堝に叩き込まれてしまった。

 がっちりと体を抱きすくめられたアナは膀胱の中に溜まった尿を全て吐き出すと頭をがっくりと垂れさせた。ぷるぷると痙攣を続けている彼女の頬にそっと触れたマスターは、ゆっくりと彼女の顔を持ち上げる。

 

「あ、は……♡♡♡ ふぁぁ……♡♡♡」

 

 とろんとした瞳。快楽と女の悦びを知ったその表情。およそ年端の行かぬ少女であるアナが浮かべるには淫ら過ぎるその表情は、彼女が完全に発情した雌になっている事を示していた。

 愛され、大切にされ、ほんの少しだけ意地悪をされ……そうして知った初めての快感。女として初めて受けたこの扱いは、アナの心に深い楔を打ち込む。

 

「はふぅ……♡♡♡ マスターさん……♡♡♡」

 

「よしよし……アナ、すっごく可愛かったよ」

 

「ひゃんっ……♡ くすぐったい、です……♡♡♡」

 

 自分の臍の辺りを撫でるマスターの手の感触にこそばゆさを感じたアナがクスクスと笑う。そこから下の下腹部を触れられたアナは、自分の中で何かが噛み合おうとしている事を感じていた。

 

 今まで奴隷や玩具として扱われて来た日々。堕とせぬのなら適当に壊してしまえと言わんばかりの扱いを受けて来たアナは、今日初めて女性として抱かれる喜びを知った。

 彼女が知ったのは快感だけでは無い、誰かに抱かれる事の安心感と充足感もそうだ。時に殴られ、時に蔑まれ、そうやって扱われて来たアナには、そんな当然の幸せを知る機会が無かった。だが今日、彼女はそれらの喜びを知った。

 不要な存在と切り捨て、有象無象の男たちの玩具とした男と自分の腕で直に抱き締め、安心感と幸せを与えてくれた男……女が、どちらを選ぶかなど考えるまでも無い。

 

「……アナ、今は君一人だけど、俺たちは必ず君のお姉さんたちを救い出す……勿論、未来の君自身もだ。もう辛い思いなんてさせないから……!」

 

「あ……♡♡♡」

 

 その思いに拍車をかけるマスターの声を聞いたアナの心の中では、明確な答えが決定されようとしていた。

 

 自分自身と愛する姉たちを辱めた男のことなど……

 堕とせないからと、腹いせの様に苦しい目に遭わせ続けた男のことなど……

 自分の事を顧みてくれず、優しい言葉の一つも投げかけてくれなかった男のことなど……誰が愛せるだろうか?

 少なくとも、アナにはそんな狂った恋愛思考は無かった。しっかりとした意識を保っているアナの心は、今日までの日々を思い返した上で単純明快な答えを導き出す。

 

「ます、たぁ、さん……♡♡♡」

 

 自分に刻まれている灰色の淫紋令呪の色が変わる。暗く、どんよりとした物から明るい赤へ、愛らしく可憐な模様へと形を変える。

 子宮の中に溜まっているマスターの精液が伝えてくれる熱と魔力を直に感じながら、アナは自分の心と体が彼の物になった事を素直に喜んでいた。

 

「マスターさん、約束して下さい……必ず、必ず……」

 

「うん、約束するよ。君だけじゃない、必ず君の大切な人たちも救い出してみせる」

 

「……はいっ♡」

 

 言葉にせずとも、彼は自分の望む物を理解してくれていた。その事に喜びの感情を見せるアナの頭をマスターがそっと撫でる。

 もう一度向き合う様に彼の腰に座らされたアナは、自分から求める様にして小さな舌を伸ばしてキスをした。マスターも彼女の行為を快く受け入れ、幼い体に性の悦びを教え込む。

 

「はむぅ……♡♡♡ はぁっ♡ ふぅっ♡ は~っ……♡♡♡」

 

 小さな体をマスターに包み込まれ、貪られる様に唇を重ねるアナは、自分が蛇に丸呑みにされている獲物になった様な気がした。

 そして、こんな幸せな気分になれるのなら、蛇では無く獲物になるのも悪くないと考え……その意識を快楽の底に沈ませていったのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

胸を穿つ楔(牛若丸 沖田総司)

 

「はぁ……」

 

 一つの悩まし気な溜息を口にした頼光は、妖艶なその姿に似つかわしい悩まし気な表情を見せていた。そんな彼女の胸の内は、この所晴れやかな気分になれないでいる。

 その理由は分からない。だからこそこうして悩んでいる……何故だか最近、男性たちへの奉仕に身が入らないのだ。

 

 彼らの行っている行為は今までと変わりはない。いつもの様に自分たちを抱き、弄び、楽しんでいる。今まではそれに悦びを見出し、快感を享受していたのだが……少し前から、何か違和感の様な物を感じる様になってしまっていた。

 その違和感は日に日に大きくなり、今では頼光の心の大半を埋め尽くすまでになっている。そのせいか、自分は性行為に集中出来ていないのだ。

 

 男たちも怪物も、頼光の大きな乳房や尻に欲情し、その滾りをぶつけて来る。乱暴に、獣欲のままに……こちらの事情を考える事無く、自分の肉欲を満たす為だけに頼光を利用している。

 今まではそれが幸せであり、喜びであった。しかし、最近はそうでは無いのかもしれないと思う様になっている。

 そして、頼光はそれが主への裏切りである事にも気が付いていた。肉便器であり、性奴隷である自分たちが、男性たちに抱いて頂けると言う役目に不満を持つことなどあってはならない事なのだ。だから頼光はその感情を必死に押し殺して今までと変わらない様に振舞って見せていた。

 しかし……男たちは、敏感にも頼光の変化を察していた。と言うよりも、頼光の奉仕が手抜きの様に感じられていたのだろう。

 

「雌牛が! 何サボってやがんだ!?」

 

「そのデカい乳でしっかりと奉仕しやがれ! この役立たずが!」

 

 今までよりも手を抜いた奉仕を行う頼光に対し、男たちは容赦の無い叱責と罵声を浴びせつつ暴力を振るう。腹や顔を殴られ、胸や尻を踏まれる度、頼光は自分自身の愚かさを恥じ入り、男性たちにこんなことをさせてしまう自分はなんて駄目な肉奴隷なのだろうと落ち込んでいた。

 だが、それと同時にある感情も浮かんで来ていた。それは、単純な疑問だった。

 

(何故私は、この様な扱いを受けなければならないのだろうか……?)

 

 わかっている、自分は偉大なるソロモン王に仕える肉便器であり、彼や彼に従う者にこの躰を差し出す事が役目だ。この扱いは、彼のサーヴァントとしては至極真っ当なものなのだ。

 しかし……それで本当に良いのだろうか? 頼光はそう考える様になってしまっていた。ソロモン王は、自分が思う様な素敵な男性なのだろうかと疑問に思う様になっていた。

 

 数度に渡って見せられた幻覚、あんなものは幻だと思いながらも、頼光の頭の中からはその映像が消えないでいる。

 かつて自分と同じ様にソロモン王に平伏していた牛若丸や沖田総司、そしてマシュたちが憎きカルデアのマスターに従っている姿を見て、そんな彼に何度も敗北する主の姿を見て、頼光の胸にはソロモンへの失望が浮かんで来ていたのだ。

 

(あんな……あんな無様な物、ソロモン様であるはずが無いのに……!)

 

 支配した雌を目の前で奪われ、何の取り柄も無い青年に足蹴にされ、衆人環視の中で嬲り者にされ……そうやって敗北するソロモンの姿を頼光は何度も見て来た。

 それを見る度、頼光はあれはただの夢であり、あんな無様な敗北をソロモン王がするはずが無いと自分に言い聞かせて無かった事にしようとする。しかし、それを阻害するのはほかならぬソロモン自身であった。

 

 あの夢を見た翌日、主は毎度の事の様に機嫌が悪い。いつもより乱暴に頼光を嬲り、時には消滅させてしまうことすらあった。

 その行為は、まるで八つ当たりだ。嫌なことがあった子供が玩具を壊してその苛立ちを紛れさせる様な未熟な精神をした人間の姿がそこにはあった。

 まるでそう……自分自身が完全敗北した苛立ちを頼光たちにぶつけ、カルデアのマスターに敗北したことを無かった事にしている様な……そんな、情けない男の姿を頼光はソロモンから感じとっていた。

 

(何で? 何で? 何で……!?)

 

 何故、主は自分たちをこんなにも乱雑に扱うのだろうか?

 何故、主は苛立ちを隠せない様子を自分たちに見せているのだろうか?

 何故、自分たちは……主に愛して貰えないのだろうか?

 

 淫紋令呪は知っている、自分たちを強化するのは快楽だと。主に与えられる快感こそが、自分たちを刻まれた者に更なる力と忠誠心を与えるのだと。

 淫紋令呪は知っている、快楽を与えるのに一番単純な事は愛情を与えると言う事だと。愛を囁き、丁寧に扱うだけでも、女は僅かながらに心を開いてくれる物なのだと。

 そして、淫紋令呪は知っている……ソロモンが、その単純な行為を一切出来ていないと言う事を。頼光たちに快感を与えられていないと言う事を。

 

 盲目的な愛を誓わせ、どんな扱いでも良いから抱いてやれば良い。後は泥沼に沈む様にして、彼女たちは快楽の坩堝に嵌って行くとソロモンは考えていた。しかし、それは違った。

 文字通り狂っていた頼光は冷静な思考を僅かに取り戻してしまった。沈むだけだった彼女の心は、その思考によって徐々に浮上して行ってしまった。

 そして気が付いた、このままで良いのだろうかと、気が付いてしまった……そうなってしまえば、もうソロモンの思い通りにはいかない。彼女の心に打ち付けられた楔は、確かにその役目を果たしていたのだ。

 

 花の魔術師が打ち付けたその楔にソロモンが気が付くことは無かった。自分の苛立ちを紛らわせる事に精一杯で、玩具であるサーヴァントたちに心を配る余裕が無かったのだ。

 結果、彼は頼光の心が離れつつある事に未だに気が付いていなかった。彼女はまだ、自分の事を心の底から愛していると思い込んでいるのだ。

 

 無理もない事だろう。頼光は狂戦士であり、その思考は非常に単純明快だ。彼女の重い愛情を一度身に受けてしまえば、彼女が心変わりを起こすなど考えられる訳が無い。

 だが、それは違う。元の彼女は高潔な武士であり、聡明な女性だ。いかに狂化されようとも、その全てが消え失せる訳では無いのだ。

 苦しめられれば人は傷つく。労わって貰えなければ人は悲しむ。心の傷と悲しみは、その心に不信と疑念を芽生えさせる。

 かつてアルトリアがカルデアのマスターに言った事とは真逆……ソロモンは、一度掴んだ英霊たちの心を自ら手放してしまっていたのだ。

 

 そして、彼はまだ気が付かない。彼に失望しているのは頼光だけではなく、この少女もだと言う事に……

 

「あ……頼光、さま……」

 

「……今の私は雌牛ですよ、雌蛇殿」

 

「……申し訳、ありません……」

 

 自分と同じ浮かない表情をしている清姫を軽く窘めた頼光は、主に与えられた名前で彼女を呼びながらもう一度深い溜息をついた。

 昔ならばこんな気分にはならなかった。清姫が今の様な失態を犯したらすぐさまソロモンに報告し、彼女を罰して貰おうとしていたものだ。

 そうすれば、自分は褒美を貰える。主に忠義を見せ、失態を犯した雌の目の前で主に抱いて貰えると言う喜びは、何にも代えがたい物だと思っていた。

 

 しかし、最近はそうでは無い。清姫のこの失敗も、ソロモンに報告するつもりは微塵も無かった。

 その時は良いだろう。自分は忠義を見せる良い雌だと褒められ、幸せな気分に浸れる。しかし、それは紛い物の幸せだと言う事に二人は気が付いていた。

 

 ソロモンの身に何かが起き、苛立ちが募れば、自分たちはあっという間に玩具に成り下がる。彼の苛立ちを紛らせ、鎮める為に命すらも容易に散らされる存在に成り下がってしまう。

 主は自分たちの事などどうでも良いと思っている。替えが利く道具だとしか思っていないのだ。二人にはもう、それが良く分かっていた。

 

 だから主との夜伽も楽しめない。いつかは捨てられてしまうと分かっている故に、不安が胸を突いて快感を感じさせてくれない。

 快感を与えて貰えなければ淫紋令呪は成長しない。それどころか、殺害と再召喚を繰り返す度に霊基の再強化が必要になり、余計な手間が増えるばかりだ。

 何にも良い事が無い、短絡的な行動……己の小さなプライドを守る為だけにそんな愚かな行為をしてしまうソロモンに対する失望は、二人の中で段々と強まっていたのである。

 

「………」

 

 そして今日もまた、二人は男たちに汚された体を洗うべくシャワールームに向かう。性奴隷となった女英霊たちの中でも、彼女たちの待遇は格別に良い方に分類されるだろう。何故なら、こうやって自分で体を洗う事を許されているからだ。

 自分たち以下の処遇を受けている英霊たちは幾らでも居る……かつては、この扱いは主に愛されている証だと思っていたが、今はそうでも無い。何故、自分たちの自由を奪われなければならないのかと不思議に思う事すらあった。

 

「………」

 

 精液や尿に塗れた体を洗う二人は、無口なままで体を擦り続けていた。昔は何処に何回射精されただとか、どんな行為を行ったのかなどを淫乱組内で自慢し合っていたと言うのにだ。

 そんな風に無言であった二人は、在りし日の事を思い返した時にまったく同じことを考えていた。

 

(そう言えば、あの二人は今はどうしているのだろうか……?)

 

 雌犬こと牛若丸と雌豚こと沖田総司。自分たちの策略でソロモンの元を去ったあの二人は、カルデアでどんな風に扱われているのだろうか?

 願わくば……非道な事だが、自分たちにも負けない程の酷い扱いを受けていれば良いと二人は思った。裏切り者の誹りを受け、苦しんでいれば良いと願った。

 そうで無ければ惨め過ぎた。好き好んで主の元に残った自分たちが、馬鹿に思えて仕方が無かった。

 

(ああ、そうだ、でも、あの二人は……)

 

(あの夢の中では……)

 

 そして二人は思い出す。かつて見たあの夢の中で、牛若丸と沖田は幸せそうな表情を浮かべていたと言うことを。

 カルデアのマスターに愛され、大切に抱かれ、幸せを与えられ……ソロモンの元に居た時よりも何倍も幸せそうな二人の姿を自分たちは見たのだと言う事を思い出してしまった。

 

(でも、でも! あれは夢! 夢、だから……!)

 

(あれが現実だとは限らない。きっとあれは夢……! 実際は、きっと……)

 

 それを思い出した二人に残された道は現実逃避しか無かった。あれは夢の景色なのだからと思い込み、実際は違うのだと自分に言い聞かせる事しか出来なかった。

 そうやって自分を守るしか無い。そうやって、必死に逃げるしか無い……鏡に映る死んだ目をした自分自身の姿を黙って見つめた後、二人は同時にシャワールームを出る。そして、同時に信じられない物を目にした。

 

「ん……♡♡♡ ふあぁ……っ♡♡♡ 主殿ぉっっ♡♡♡」

 

「ちゅっ♡ はむっ♡ じゅるるる……っ♡♡♡」

 

 それはあり得ない光景だった。敵の本拠地であるこのソロモンの城の中で、今自分たちが思い浮かべた二人の女性が、カルデアのマスターに抱かれているのだ。

 何故だとか、どうしてだとか、そう言った疑問の思考すら二人の頭には浮かんで来ない。ただ驚き、唖然とした表情で目の前で繰り広げられている情事に視線を送るばかりだ。

 

「あ~っ♡ あっ♡ あぁっ♡ 挿って、きたぁ……っ♡♡♡」

 

 二人の目の前で喘ぐ牛若丸は、マスターに後ろから抱きかかえられた状態で肉棒を挿入される。犬の様な格好でマスターに抱かれる彼女は、蕩けた表情を頼光たちに見せつける様にして腰を振っていた。

 

「んひっ♡ ひぃっ♡ はぁぁぁっっ♡ ふかいっっ♡♡♡ ふかいぃぃっっ♡♡♡ 私の奥の部分が、主殿に満たされてぇっっ♡♡♡」

 

 部屋の中に響く絶叫、甲高い悲鳴にも似た嬌声……かつて人狼(ワーウルフ)に抱かれていた時にあげていたその声は、その時よりも幸せに満ちた物になっている。

 腰をがっちりと掴まれ、猛々しい勢いを以って男性の象徴を突き入れられ、その度に牛若丸の背中が弓なりにしなる。開いた口からは喘ぎ声と共に熱く甘い吐息が漏れ、涎を垂れ流す程の快感に彼女の頭は沸騰したかの様に熱くなっていた。

 

「わふぅっ♡♡♡ ふぅぅっ♡♡♡ イクっ♡♡♡ イキますぅっ♡♡♡ 主殿っ♡♡♡ この雌犬が果てる事をお許し下さいっっ♡♡♡」

 

 牛若丸の表情が快楽に歪む。秘所から愛液の飛沫を噴き出し、床に水溜まりを作りながら絶頂へと押し上げられて行く。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ 主殿っっ♡♡♡ 主殿ぉぉっっ♡♡♡」

 

 そして一番の高みに到達した牛若丸は、大声で自分を抱く男の名を叫びながら体を硬直させた。同時に、彼女の膣と子宮の中におびただしい量の精液が吐き出される。

 胎を満たす温もりと敬愛する主を満足させられた事に喜びを見出した牛若丸の瞳は、女性としての幸せに満ちていた。ゆっくりと彼女を支え、疲れ切った体を労わる様に抱きしめるマスターの手で撫でられるとその光はより一層強くなる。

 

「あるじ、どの……っ♡♡♡ 私は……♡♡♡」

 

 その先の言葉は紡がれる事は無かった。彼女が自分の思いを口にする前に、マスターが自分の唇で牛若丸の口を塞いだからだ。

 言わなくても良い、十分に分かっている……心と心を通じ合わせる二人の間に言葉などは必要無いとマスターの瞳は言っていた。

 

「んっ♡ んっ……♡」

 

 ずるりと音を立てて牛若丸の膣から引き抜かれる肉棒。太くて雄々しいそれが姿を現した時、頼光と清姫はごくりと唾を飲み込んだ。

 そして、今までその肉棒に栓をされていた膣から零れ落ちて行く精液と愛液の混合液を見た二人は、自分の子宮がきゅんきゅんと疼き始めたことを感じていた。

 

(あれに、女の部分を掻き回されたなら……どれほどの快楽を得られるのだろうか……?)

 

(あんな風に愛され、宝物の様に大切にされる幸せは、如何程の物なのだろうか……?)

 

 湧き上がるのは僅かな嫉妬の感情。自分たちが得られていないそれを一身に受ける牛若丸が羨ましくて堪らなかった二人は、自分たちが欲しがっているそれの甘美さを想像して心を震わせる。

 あんな風に主から愛されたなら、きっと幸せを得られるのだろう……愛されればの話なのだが。

 

「ひあぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ あぁぁっ♡ あつい、ものがぁっ♡♡♡ すりこまれてぇっっ♡♡♡」

 

 甘い幸せを夢想していた二人の意識は、牛若丸の嬌声によって現実に引き戻された。いつの間にか、彼女は主の側面に立って射精されたばかりの膣を弄られる格好になっている。

 ぐちゅぐちゅと二本の指で彼女の大事な部分を掻き回すマスターは、自分が吐き出した精液を牛若丸の秘所に擦り込む様にして愛撫を続けている。性器の肉襞の一枚一枚に自分の魔力を記憶させるかの様に、彼は丁寧な愛撫を続けていた。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ おかしく、おかしくなってしまいますっ♡♡♡ こんなに快楽を得ては、私は自分を保てなくなって……っ♡♡♡」

 

「……俺に全部を預けて。体を寄せて、楽にしてれば良いよ。牛若丸の大事な場所に、しっかりと俺の魔力を刻み込むからさ……!」

 

「はっ♡ はっっ♡ ある、じ、どのぉ……♡♡♡」

 

「……牛若丸は俺の雌犬だ。他の誰の物でも無い……そうでしょ?」

 

「はい……勿論です……♡♡♡ 私はあなただけの雌犬♡♡♡ あなただけの忠犬でございますっ♡♡♡ どうぞこの雌犬まんこにマーキングを行い、私が主殿の物である証を残してくださいっっ♡♡♡」

 

 可愛い忠犬の宣言を耳にしたマスターは、ニヤリと笑うと彼女の膣を弄る指を激しく動かし始めた。愛液と精液を絡ませ、彼女の言った通りに己の臭いを膣内に擦り付ける様にして愛撫してやれば、牛若丸の雌汁は止めど無く溢れ続けて来る。

 同時に口吸いを行い、牛若丸の舌をも己の舌で絡め捕ったカルデアのマスターは、キスと愛撫の同時攻撃で牛若丸の官能を徹底的に刺激し続けた。

 

「あいっ♡♡♡ んぅっ♡♡♡ んうぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 喘ぐ雌犬。流れ出る愛液。秘所から零れ落ちる個体の様な粘度の濃い精液。

 そそり立つ肉棒がその雄の強靭さを表し、喘ぐ雌が彼に組み敷かれる事の幸福を示す。快楽と幸せによって一人の英霊を完全にモノにしたただの青年の姿を、頼光と清姫は唖然とした表情のまま見つめ続ける他無かった。

 そんな彼女たちの目の前で二人目の女性が肉棒に跨る。しどどに濡れた秘所を開き、自分からマスターの肉棒を受け入れた沖田総司は、うっとりとした表情を浮かべて腰をグラインドし始めた。

 

「はぁっ♡♡♡ やっぱりマスターさんのおちんぽは凄いです……♡♡♡ 沖田さんの奥まで届いて、弱い所にゴツゴツ当たってます……♡♡♡」

 

 前へ、後ろへ……腰を振り、肉棒の感触を楽しむ沖田は蕩けた表情のまま自分の得ている快楽を主へと伝えていた。その表情には牛若丸同様の幸せが感じられる。

 豚の様に鳴き、魔猪に押し潰されながら犯されていた頃の彼女からは到底思い描けないその表情こそが、真の彼女の姿である事など頼光たちにもすぐに気が付くことが出来た。

 

「あふっっ♡♡♡ はぁぁっ♡♡♡ あ~~っ♡♡♡」

 

 本来の自分を取り戻した沖田が、マスターと協力して性の高みを昇る。二人の息を合わせ、腰を振るタイミングを計り、共に快楽を得ようとしている。

 ただ玩具として犯されていた時とは違う、共に快楽を分かち合う為の行為……セックスの楽しみを存分に感じている沖田は、持ち前の俊敏さを活かした素早い腰振りを披露していた。

 

「どうっ♡ ですっ♡ かっっ♡ 沖田さんのっ♡ ドスケベな腰振りはっっ♡ おまんこ締めながら一生懸命腰振ってっ♡ ぱんぱんいやらしい音を立ててっ♡ おちんぽ気持ち良くしちゃってっ♡ マスターさんのおちんぽ、沖田さんの一番気持ち良い場所に何度も当てちゃってるんですよっ♡」

 

 膣の奥にある沖田の最大の弱点、開発され、途轍もない快感を感じる様になってしまったボルチオにマスターの亀頭が何度もぶつかる。素早い腰振りによって激しく突かれる度、沖田の体からは力が抜けてすぐに達してしまいそうになる。

 だが、まだイけない。自分はもっと凄い快感を知っているから、愛する人と共にその快感を味わいたいから、必死に自分の絶頂を抑え続ける。

 沖田のその思いを理解しているであろうマスターもまた腰の動きを調節して彼女を必要以上に責め立てぬ様にしながら、傍らの牛若丸への愛撫を激しくしていった。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ ありゅじどのっ♡♡♡ あるじどのぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 秘所を掻き混ぜ、尻穴を穿り、淫核を露出させてそれを摘まむ。一つ一つの快感で喘ぎ、達しそうになる牛若丸の官能を見事にコントロールするマスターは、肉棒でもう一人の女性をも支配していた。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ くるっ♡♡♡ あれがくるぅぅっ♡♡♡ 沖田さんのおまんこをおかしくする奴が来ちゃうぅっっ♡♡♡」

 

 最初よりも早く激しく腰を振る沖田もまた、狂った様な叫びを上げて絶頂へとひた走っていた。主の肉棒によって喘がされ、高められ、そして期待させられている彼女は、牛若丸と同時に叫ぶ。

 

「一緒っっ♡♡♡ 一緒にイキましょうっっ♡♡♡ 三人でっ、皆でっっ♡♡♡」

 

「イキたいです、主殿っっ♡♡♡ 一番気持ち良い瞬間、皆さんで味わって……っ♡♡♡」

 

 牛若丸と沖田がその思いをした瞬間、彼女たちは体を駆け巡る多大な快感によって言葉を詰まらせてしまった。

 もう自分たちの体に溜まった快感は、爆発の瞬間を待つだけになっている。そして、その起爆装置は自分たちを抱く男性が握っているのだ。

 

 自分たちは彼に支配されている。しかし、それは自分たちを押し付ける様な支配ではない。

 手を取り、抱き締め、腕の中に誘われ……幸せによって自分たちの心を掴み、全てを差し出す事すら厭わなくさせるこの男性だからこそ、自分たちは愛しているのだ。

 

「あっ♡ あぁっ♡ うあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 今、牛若丸の陰核を指で弾いたマスターが、両手で彼女の膣と尻穴を深くまで穿った。三本ずつ主の指を咥え込んだ雌穴が大きく震え、牛若丸は目を見開いて嬌声を上げる。

 

「んいぃぃっ♡♡♡ いぃぃっ♡♡♡ んえぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 同時に沖田のボルチオを突いたマスターは、彼女の腰の動きに合わせて神速の三連撃を繰り出した。成すが儘だった今までとは違い、自分も動いているが故に爆発的に増大した快楽を前に、沖田は喘ぎ声ともつかない妙な叫びを口にしていた。

 

 二つの色白な躰がしなり、快感に硬直する。時が止まったかの様に動かなくなった美しい女性たちを両腕で抱き寄せたマスターは、それぞれの膣を指と肉棒で突きあげて最後のトドメを繰り出す。

 そして……その行動が合図であったかの様に、三人は同時に快楽の高みに辿り着くと同時に絶頂した。

 

「んああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

「くひゅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

 牛若丸が愛液を勢い良く噴き出しながら叫ぶ。沖田が膣を締め上げながら喘ぐ。口を大きく開け、舌を放り出し、涎を垂れ流す彼女たちは、体を激しく痙攣させながら降りて来られない絶頂の余韻に酔いしれていた。

 

「おぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ ありゅじどにょの、臭いがぁっ♡♡♡ 私のほとからほとばしっているぅぅっ♡♡♡ もう臭い取れませんっっ♡♡♡ 雌犬まんこから主殿の臭い振りまきながら生きていきますっっ♡♡♡」

 

 大きく開き、潮噴きを晒す自分の性器。『忠犬化(めすいぬか)』のスキルによって鋭敏化された牛若丸の嗅覚は、そこから漂う主の臭いに脳を沸騰させんばかりの高揚を得ていた。

 自分の一番大切な部分から、愛する主の臭いがする……自分と彼は常に共に在り、主は自分に全てを預けてくれていると言う気分になった牛若丸は、幸福感と充実感を得た淫らな表情を浮かべていた。

 

「ぼるちおっ♡♡♡ しゃんだんづきっ♡♡♡ しゅごいれすぅぅっっ♡♡♡ これくらっちゃうとらめっっ♡♡♡ おきたしゃん、ばかになっひゃいましゅぅっ♡♡♡ ざーめんもあつくて、しゅごいのぉぉっ♡♡♡」

 

 弱点を高速で責められてからの子宮への射精、自分が知る限りの中で最高の絶頂の仕方を覚えた沖田は、呂律の回らない舌で快楽に喘ぐ。

 腰が浮き上がり、ガクガクと痙攣し、膣が締まる。まだ硬く起立しているマスターの肉棒が自分をもっと気持ち良くしてくれるのだと知る沖田は、蕩けた笑みを浮かべながらマスターへともたれ掛かった。

 

「ますたぁさん、もう一回っ♡♡♡ 沖田さんのおまんこ、じゅぼじゅぼしてくらさい……♡♡♡」

 

「あぁ、主殿……♡♡♡ 次は私の番ですよね? この雌犬のおまんこは、何時でも主殿を受け入れる準備が出来ております……♡♡♡」

 

「はいはい、少し落ち着こうね……二人とも無理は良くないよ? 少し休んで、体力を回復させてから続き……ね?」

 

「あ、ふぅ……っ♡♡♡」

 

「は、い……っっ♡♡♡」

 

 沖田の膣から肉棒を引き抜き、片腕ずつ二人を抱き締めたマスターはねっとりとしたキスをしながら彼女たちを窘める。その行動からは、激しい絶頂に体力を消耗させた二人を気遣いながらも彼女たちの期待にはしっかりと応えようとする彼の心遣いが感じられた。 

 

「あぁ……♡ あぁ……♡ あぁっ♡♡♡」

 

「ふ~っ♡♡♡ ふ~っ♡♡♡」

 

 腰を抱かれ、尻を掴まれ、その身を完全に掌握され……本能のままに快楽を貪りながらも、牛若丸と沖田は理知的な光と幸福に塗れた表情を見せていた。それも当然の話だろう、彼女たちは人間として愛されているのだから。

 玩具や奴隷、果ては畜生として扱われている自分たちとは違う。二人は、人として愛され、大切にされているのだ。

 そんな二人の姿を見ていた頼光と清姫は、自分たちの子宮が熱を帯びて疼き始めている事に気が付いてはっと息を飲んだ。

 

「ああ、そんな……!? 何故、この様な事が……?」

 

 目の前に居るのは憎き敵であり、今の主に逆らう愚か者のはずだ。なのに何故、自分たちは発情して、彼に抱かれたいと思っているのか?

 快楽なら存分に得ている、それもあんな生温い物では無く、もっと激しく格別な物をだ。だと言うのに何故、自分たちはこんなにも彼の性交を狂おしく求めてしまうのだろうか?

 

 その答えは、もうとっくに分かっていた。彼の行為には、()があるのだ。

 

 自分たちが求めている物。望み、飢え、渇望している物。愛されている実感と愛する喜び、頼光と清姫が求めているのはそれだった。

 それは決して彼女たちが特別だと言う訳では無い。女性であるならば、どれほど僅かであろうともこれに類似した願望は在る筈だ。狂戦士たる二人は、その欲望が一際強いのだ。

 ある意味では純粋極まりないこの二人は、今まで自分がソロモンに与えられていた物が愛であると思っていた。だがしかし、彼と元仲間たちのセックスを見て、とうとう気が付いてしまったのだ。

 

 自分たちは愛されてなどいない。主は、自分たちを道具としてしか見ていないと言う事に……

 

 あの快楽は愛では無かった。主の自慰行為(オナニー)に体を差し出して協力しているだけだった。自分たちはただ、戦いにも使える穴位にしか彼に思われていないのだ。

 

「……違う、違う違う違う!」

 

「そうじゃない……そんなことはありません……!」

 

 狂いに狂い、捻じ曲がった思考が叫び出す。その訴えを受け入れられず、頼光と清姫は蹲って頭を抱えた。

 だがもう遅い、彼女たちは全てに気が付いてしまった。自分たちが今、望んでいた物の対曲線に位置している事を自覚してしまった。

 

「いや……いやぁ……っ!」

 

 不信と迷いの楔が胸を貫き、二人は込み上げて来る吐き気に言葉を失った。いつの間にか、見えていた筈のカルデアのマスターたちの姿は消え失せている。

 今はまだ良い、絶望感に心を支配されているのだから。その後暫くも悲しみで現実逃避をし、感情を麻痺させれば良いのだろう。

 しかし、それら全てが消え去った時、必ず彼女たちは後悔する。自分たちの犯した過ちと罪を悔い、再び絶望するだろう。

 

 この日、この時、この瞬間、頼光と清姫にとってソロモンとのセックスは褒美から苦痛へと認識を切り替えられた。花の魔術師が撒いた種は、見事にその花を咲かせたのだ。

 そして、そんな二人の変化にも気が付かないまま……ソロモンは、英霊たちを玩具にして別の場所で笑い続けていたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

肛を穿つ楔(アタランテ)

 

「……ここ、は……?」

 

 アタランテが目を覚ました時、彼女は真っ白な部屋の中に居た。何もない虚無の空間の中に自分だけが存在している状況に彼女は困惑する。だが、すぐにそれ以上に妙な事態に気が付いた。

 

「体が、動かない……!?」

 

 床に這いつくばり、尻を突き出した格好のまま、自分の体が指一本も動かないのだ。首を振って周囲の状況を確認することは出来るが、この体勢を崩すことが出来ないでいる。

 一体何が起こっているのか? これはソロモン王の戯れなのだろうか? そんな疑問を頭の中に浮かべていたアタランテの背後から、一人の女性の声が響いた。

 

「……ああ、来てくださったんですね。とっても嬉しいです……!」

 

「その声は……マシュか?」

 

「はい! ……お久しぶりですね、アタランテさん……♡」

 

 聞き覚えのある声に反応したアタランテは、かつての仲間であるマシュに恐る恐る声を返した。理由は分からないが、今は敵である彼女の前で抵抗出来ない姿を晒しているこの状況はかなり不味いだろう。

 このままマシュに嬲られ、連れ去られてしまうのではないかと不安がるアタランテであったが、意外なことにマシュは好意的な声色で彼女に語り掛けて来た。

 

「またお会い出来て本当に嬉しいです。それに、アタランテさんとはとっても趣味が合いそうですしね……♡」

 

「な、なんだと? お前は、ここで何が起きているのかを理解しているのか?」

 

「ええ! ……でも、色々と説明するのは面倒ですので詳細は省きますね。取り合えず、私はアタランテさんに危害を加えるつもりは無いと言う事をご理解してください」

 

「何だって……? な、なら、お前の目的は何なんだ?」

 

「そんなの決まってるじゃないですか。()()の確認ですよ……♡」

 

「ひうっ♡」

 

 段々と近づいて来たマシュの声が耳元で響くと同時に、アタランテの尻にマシュの手が触れた。艶めかしく、いやらしい手付きでアタランテの尻を弄るマシュは、その具合を確かめる様に手を動かす。

 

「あぁっ♡ なにを、するんだ……? 女同士で、こんな事……っっ♡♡♡」

 

「しーっ、お静かに……♡ この間、アタランテさんがお尻を犯されてる所を見てからずっと気になってたんですよ。アタランテさん、こっちの穴が好きなんですよね?」

 

「そ、れは……」

 

「……正直に言って良いですよ。堕ちている事も、純潔の誓いも、全部忘れて本心を話して下さい。アタランテさんは、お尻の穴で感じる事が好きなんですか?」

 

「………」

 

 マシュの質問を受けたアタランテは口籠り、顔を真っ赤にして押し黙ってしまった。しかし、マシュはそんな彼女から言葉を引き出す為に尻穴への愛撫を始める。

 

「んひぃっ♡♡♡」

 

 随分と緩くなってしまった自分の尻穴にマシュの指が挿り込んで来る感覚に背筋を震わせたアタランテは、唸り声にも近しい声を上げて肛門での快感に喘ぐ。股座からは熱い汁が零れ、アナルを愛撫されて感じている事を証明してしまっていた。

 ぐっちゅ、ぐっちゅ……ゆっくりと丁寧にアタランテの尻穴を穿りながら、マシュは卑猥な笑みを浮かべていた。ねっとりとした愛撫を続けるマシュは、再度確認の為にアタランテの耳元で囁く。

 

「……ねえ、好きなんでしょう? こうやってお尻の穴を穿られて、掻き回されるのが……♡♡♡ 汚いはずの穴を弄られる事が気持ち良くって仕方が無いって認めましょうよ……♡♡♡」

 

「あ、あぁぁ……っ♡♡♡」

 

 手慣れた動きで尻穴を愛撫するマシュの性技に、アタランテのアナルは完全に陥落していた。口元から涎を垂らし、快楽に染まった声を漏らす彼女は、ゆっくりと頷くと本心を口にする。

 

「す、きだ……♡ 不浄の穴と知っているのに、そこを弄られると堪らなくなって……♡♡♡ ケツイキが止まらなくなるんだぁ……♡♡♡」

 

「うふっ……♡ やっぱりそうなんですね! あー、良かった! アタランテさんの本心が知れて!」

 

「んんっ♡ んんんんっっ♡♡♡」

 

 アタランテの肛門から指を引き抜いたマシュは、腸液で濡れた己の指の臭いを嗅いでニッコリと笑う。自分と同じ趣味を持つ仲間を見つけられた喜びを感じている彼女は、アタランテの尻にもう一度手を伸ばした。

 

「はぁっ♡♡♡ あぁっ♡♡♡ ……尻、が……良いっ♡♡♡」

 

 臀部の肉を揉み、ぷっくりと膨れた肛門を指で押し込む。緩い穴を広げ、内部を観察されるかの様に見られると、じんじんとした痺れが尻全体に広がった。

 

(私が、ここまで快楽に堕ちてしまうなんて……肛門での性交で快楽を得る様になってしまうなんて……♡♡♡)

 

 生前には知り得なかった快感、ただのセックスでは無く、アブノーマルな肛門でのセックスの虜になってしまったアタランテはだらしない表情を晒しながらここまでの日々を思い返していた。

 淫紋令呪を刻まれた自分は、例にもよって他の女英霊同様にソロモンに抱かれる事となった。しかし、自分は純潔の誓いを立てている。もしも処女を失えば、アタランテは魔獣になってしまうのだ。

 しかし、ソロモンはその問題点を肛門による性交を行う事によって解決した。女の象徴には肉棒を挿れず、本来性交に使わない穴を開発することによってアタランテの霊基を維持しつつ彼女を籠絡して見せたのだ。

 

 生前より男を知らないアタランテにとって、その快感はあまりにも強烈な物だった。排泄器官を犯され、弄られる事は、最初はおぞましく感じてはいた。しかしその中に感じる本能的な快感に気が付いてしまえば、後は転がり落ちて行くだけだった。

 気が付けば、自分の尻穴はソロモンの肉棒を咥え込める程に広げられていた。魔術と霊薬によって感度を上昇させられ、否応なしに感じる穴にされてしまっていた。

 ソロモンや彼に従う有象無象の男たちにアナルを犯され、喘がされていく内……アタランテは肛門性交に夢中になっていたのだ。

 

(私はもう、駄目なのだろう……♡♡♡ この穴を弄られると何も考えられなくなる……♡♡♡ 男たちに従って、もっと気持ち良くして貰える事しか考えられなくなる……♡♡♡)

 

 排泄と言う、生前から知っていた動物的な快感。それに加わる性交と言う未知の快感。

 二つの快感が入り混じり、まったく別の凄まじい快感となってアタランテを襲う。その快感に病みつきになったアタランテは、形ばかりの抵抗を続けながらも心は完全に堕ち切っていた。

 

(アナルセックス、最高だぁ……♡♡♡)

 

「……ええ、そうですよね。お尻の穴でするセックスは、最高に気持ち良いですよね……♡♡♡」

 

 自分の立てた誓いを破り、男の味を知ってしまったアタランテの体はもはや取り返しのつかない所まで堕ち切ってしまっていた。自分の尻穴の中で器用に二本の指を動かすマシュの囁きに蕩けた思考のまま頷くと、媚びた尻穴を広げて快感に喘ぐ。

 

 きっとマシュもそうなのだ。自分と同じ、この快感の虜になっている……もしもマシュが戻って来れば、共に最高の肛門性交(アナルセックス)を味わう事が出来るのだろう。

 経緯は知らずとも同じ快感のツボを持つ仲間を見つけた事に蕩けた笑みを浮かべるアタランテ。しかし、そんな彼女に向けてマシュが冷え切った言葉を口にした。

 

「……でも、アタランテさんのお尻は最悪です。これでアナルセックスが好きだとか、口にしないで欲しいですね」

 

「は……?」

 

 唐突に冷ややかな言葉を投げかけて来たマシュは、笑っている表情はそのままに愛撫の手を止めた。暴言とも取れる彼女の言葉を耳にしたアタランテの体からは、快感の波が消え去ってしまう。

 アタランテの尻に触れ、ぽっかりと広がった尻穴を見つめたマシュは、動けないアタランテの耳元で冷たい言葉を囁きかける。

 

「このお尻で気持ち良いだとか、アナルセックスは最高だとか……アタランテさんは何にも分かってないですよ。これでお尻の良さを分かった気になっているのは、正直笑ってしまいます」

 

「な、にを……!?」

 

 マシュの豹変に驚いたアタランテであったが、彼女の言葉が完全に自分を嘲っている事を理解すると心に怒りの感情を湧き上がらせた。例えそれが生前に経験の無かった性交の事だとしても、ここまで言われるのは流石に頭に来る。

 もしかしたらそれは自分の尻穴を開発したソロモンを侮辱された事に対する怒りなのかもしれない。淫紋令呪の働きによって、アナルを感じられる場所に開発して貰ったと言う経験がアタランテの心にソロモンに対する感謝の意識を植え付けているのだろう。

 主に教え込まれたこの快楽を否定され、アタランテの怒りは最高潮に達しようとしていた。しかし、マシュもまたやや怒りを感じさせる言葉遣いでアタランテの興奮を煽って来る。

 

「もしかして怒ったんですか? 大好きなお尻セックスを否定されて怒ったんですか? でも、それは私も同じですよ? このアタランテさんのお尻でお尻セックスを語るなんて、正直私も怒ってしまいます」

 

「それはどう言う意味だ!? 私を侮辱するつもりか!?」

 

「……ああ、それなら分かり易い方法で説明しますね。これを使って……」

 

「何だと……?」

 

 呆れ顔のマシュが取り出したのは、尻穴開発の時に何度も使われたアナルビーズだった。玉の数は10個で両端の玉が一番大きく、そこから真ん中に進むにつれてサイズが徐々に小さくなっている。

 少し特殊な形状をしているそれを見せたマシュは、動けないアタランテのアナルへとそのアナルビーズを潜り込ませる。肛門を弾きながらビーズが尻の中に入るにつれ、アタランテの背中がビクリと震えた。

 

「んしょ……後は、私が……!」

 

 アタランテの尻の中に5つのビーズを潜り込ませたマシュは、残りのビーズを自分の尻の中に挿入するとアタランテと同様の姿勢を取って床に這いつくばった。四つん這いになり、尻を突き合わせる形になったこの状況にアタランテが戸惑っていると――

 

「……アタランテさん、私と勝負しませんか?」

 

「えっ?」

 

 固まっていた体が突然動く様になり、アタランテは目を大きく見開いて驚いた表情を見せる。しかし、マシュはそんな彼女の事など意に介さないまま、自分の提案する勝負の内容を告げた。

 

「今、私とアタランテさんのお尻の中には5つずつビーズが入っています。これを手を使わずに引っ張って、相手のお尻の中から全部のビーズを出した方が勝ち……と言う勝負は如何でしょう?」

 

「……ほう? つまりは尻を使った綱引きと言う訳か?」

 

「はい、そうですね。もしも私が負けたなら、先ほどのお言葉を撤回した上でアタランテさんの言う事を何でも聞きます。ソロモンの所に連れて行ってくれても構いません」

 

「言ったな? ……約束を忘れたとは言わせん、貴様の身柄を確保して、ソロモン様の下へ連れて行ってやる」

 

「ふふふ……♡♡♡ 私に勝てたら、の話ですよ? それじゃ、始めましょうか」

 

 ぷにゅり、と柔らかいマシュの尻肉が自分の尻に当たる。ジンジンと熱くなっている彼女の尻の温度にやや気を取られながらも、アタランテはしっかりと尻穴に力を込めて腰を引く準備をしていた。

 

「ハンデです、先に動いてどうぞ」

 

「余裕を見せるつもりか? そのまま一気に勝負をつけられて、吠え面をかくなよ?」

 

 余裕を崩さないマシュに苛立ちを募らせたアタランテは、尻穴に潜り込んだビーズをアナルでしっかりと咥えながら四肢を巧みに扱って腰を引いた。一息にマシュの尻穴からビーズを引き抜く為の行動を完璧な動きで行って見せた。

 膝を曲げた状態から思い切り伸ばし尻を高く上げる様にして腰を振る。代わりに上半身を土下座する様に低く落とし、高低差を生み出して運動エネルギーをも利用した完璧な綱引きを披露したはずだった。

 手応えを得たアタランテは振り返り、自分とマシュの間へと視線を向ける。そして、そこにある玉の数を確認しようとした彼女は、笑みを浮かべたまま凍り付いてしまった。

 

「……ああ、うん、そうですよね。やっぱりこうなりますよね」

 

「え……!?」

 

 平然としたマシュの様子にアタランテは軽く驚く。次いで、彼女のアナルが未だにしっかりと締まったままになっている事に気が付き、自分の完璧な動きをもってしてもビーズを一玉も引き出せなかったことに目を見開いて驚愕した。

 完璧な動きのはずだった。一気に5つの玉を引き出していてもおかしくは無い程の手応えだった。

 なのに、マシュの尻は何にもなかったかの様にビーズを咥え込んでいる。驚いて固まるアタランテの様子を見て取ったマシュは、とても良い笑顔を彼女に向けると尻を軽く振ってから腰を引いた。

 

「んほぉぉっっ♡♡♡」

 

 ぐいっと、自分の内臓が引っ張られた気がした。軽いジャブの様なマシュの責めで、アタランテのアナルは早速3つのビーズを吐き出してしまったのだ。

 外側に向けて段々と大きくなるタイプのビーズであったから耐える事が出来たが、アタランテは同じワンアクションでマシュとの間にここまでの差が生まれている事に気が付いて戦慄してしまった。

 

「……どうしたんですか? せっかくの機会なんですからしっかりと活かして下さいよ。ソロモン様に開発して貰ったお尻を馬鹿にされて悔しいんでしょう?」

 

「う、ぐぐ……ふんっ! ふんっ!」

 

 アタランテを煽る様にして挑発を繰り返すマシュ。そんな彼女の言葉を受けてムキになったアタランテは激しく腰を振り、ビーズを引き抜こうと躍起になる。

 上へ、下へ、左右へ……全方向に腰を振りながら自分の方向へと引き、この淫らなアナル綱引きを制しようと必死に動き続ける。だがしかし、アタランテのその努力は一切実ることは無かった。

 

「あぁっ! な、なんれっ!? どおして抜けないんらっっ!?」

 

 攻めているのはこっちなのに、何故か自分の方が苦しくなっている。いつの間にか、激しく腰を振っているアタランテの尻穴からは4つ目のビーズが抜け落ちてしまっていた。

 守ってもダメ、攻めてもダメ……どう足掻いてもマシュの尻に勝てないアタランテが愕然とし、動きを止めると……

 

「……えいっ♡♡♡」

 

「んひっ♡♡♡」

 

 その瞬間を待っていたとばかりにマシュが腰を引いて、アタランテのアナルから最後のビーズを吐き出させた。尻の穴を塞ぐ異物が無くなった開放感に呻くアタランテは、自分が敗北してしまった事を悟ってがっくりと床に突っ伏す。

 5対0、完全なる敗北。どんなに足掻いても、マシュに一切歯が立たなかった自分に絶望したアタランテは、一体何が問題だったのかを知りたがる。そんな彼女の前にしゃがみ込んだマシュは、尻からアナルビーズを引き抜くとアタランテの顔を掴んで無理矢理彼女に正面を向かせた。

 

「……何で自分が今の勝負に負けたんだろう、って顔してますね? 私、その答えはもうちゃんと言ってますよ?」

 

「は……?」

 

「言ったじゃ無いですか、アタランテさんのお尻は最悪だって……こんなお尻で私と勝負する時点で、負けは確定していたんですよ」

 

「あうっ!?」

 

 立ち上がったマシュがアタランテの背中に乗る。四つん這いになり、再び身動きが取れなくなったアタランテの尻に手を伸ばしたマシュは、彼女の臀部一つ一つに駄目出しを始めた。

 

「まずはお尻のお肉です。アタランテさん、沢山の人にスパンキングされたでしょう? 素手で叩かれたり、鞭で打たれたり、他にも道具を使われました?」

 

「それが、どうしたって言うんだ……?」

 

 マシュの言う通りだった。アタランテは、尻穴でしかセックス出来ないと言う点から、徹底的に尻を虐め倒されたのだ。

 スパンキングも勿論された。開発中も含めれば3桁の男たちに尻を叩かれたであろうアタランテがマシュの言葉を肯定すると、マシュはうんざりとした様子でこう言葉を続ける。

 

「力加減も、叩く面積も、場所も滅茶苦茶。おまけに遠慮なしにスパンキングしたせいで、アタランテさんのお尻は腫れて肥大化してしまいました。こんなの、ダメダメです」

 

「それの何が悪い!? いやらしく、デカくなった尻は、ちんぽのぶち込み甲斐があると男たちは言って……」

 

「……分かっていたことですが、ソロモンの部下には馬鹿な男しかいないんですね。デカいだけの尻が良いなら、豚でも抱いていれば良いものを……!」

 

「なっ!?」

 

 今日一番の辛辣なマシュの一言に言葉を失ったアタランテは、何が彼女にそこまで言わせるのかと一種の驚きを胸に完全に動きを止めた。マシュは、そんな彼女に対して無駄に肥大化した臀部のデメリットを説明する。

 

「良いですか? アタランテさんのお尻は、腫れて大きくなったんです。揉まれて柔らかくされながら大きくされたんじゃなく、滅茶苦茶に打たれて大きくなってしまった……その時点で柔らかさが犠牲になっているんですよ」

 

「や、柔らかさが、犠牲……?」

 

「加えて、何の計画性も無しに腫れたお尻は形のバランスも完全に崩壊しています。私が触った感じでは、右側のお肉の方が大きく感じました。これだとセックスの時に微妙な違和感が生まれ、おちんぽが挿る時に邪魔になってしまうんです」

 

「ば、バランス、だと……? 」

 

 形や質感の問題を指摘するマシュの言葉に困惑するアタランテであったが、自分の背中に触れるマシュの尻肉の感触に気が付いた時には彼女の言葉が正しいと言う事を痛感していた。確かに、マシュと自分の尻を比べて見れば月とスッポンだ。

 背中に乗るマシュの尻は、柔らかさの中にも張りがあると言う絶妙な感触を保持していた。そして、椅子になっているアタランテには彼女の尻のバランスが非常に良いと言う事も感じ取れていた。

 微妙に硬く、大きさが異なる自分の臀部とはまるで違うマシュの尻。同じ開発された尻だと言うのに、何故ここまで違っているのだろうか?

 

「……加えて、何ですかこのゆるゆるの穴は? むやみに広げれば良いってもんじゃ無いのに、そんな事も分からないんですか?」

 

「うぐっ♡♡♡」

 

 マシュの指がアタランテのアナルに突き入れられ、入り口を限界まで広げる。苦しみの中にある快感を得るアタランテであったが、マシュは緩すぎるアタランテのアヌスに我慢が出来ない様だ。

 

「こんな緩い穴じゃあおちんぽも満足に締め付けられない! おまんこよりきつくて、ぎゅうぎゅうに締め付けられるのがお尻の良い所なのに……なんで、こんなに緩くするんですか!?」

 

「う、うぅぅ……」

 

 言われてみれば確かにそうだ。自分のアナルは、途中から男たちの遊びの対象として扱われていた。

 どれだけ玩具が入るかだとか、限界まで広げてやろうだとか、そんな下らない遊びに付き合わされた自分のアヌスは、緩くなり過ぎていたのだ。

 

(だからあの綱引きにも勝てなかったのか……!)

 

 引き締まったマシュの尻と無駄に肥大化し、緩い穴をした自分の尻。勝負をすれば、どちらが勝つかなんて明白だった。マシュの言う通り、勝負は初めから決まっていたのだ。

 

「……感度も最悪です。アタランテさん、お尻の奥の方で感じて無いでしょう? 入り口を広げるだけ広げて、抜く時の生理的な快感を味合わせて満足して……奥を穿られる快感も、どこまでもおちんぽが挿って来る気持ち良さも知らないなんて!」

 

 そうして感度にまで駄目出しされたアタランテは、情けなさのあまり泣き出しそうになってしまった。見た目や使用感だけでなく、自分の幸福度すらも合格点に達していない尻が恥ずかしく、そんな尻穴でのセックスを最高だと思い込んでいた自分を思うと顔から火が出そうになってしまう。

 

「ああ、もう! 何なんですかこのお尻は!? お尻にあるまんこだから()()()()()なのに! けつまんこはしっかり開発されてなきゃいけないのに! こんな滅茶苦茶に壊されたお尻の穴をけつまんこと呼ぶなんて……絶対に許せません!」

 

「ぐぐぐ……っ!」

 

 ぐうの音も出ないとはこの事なのだろう。ここまでぼろくそに言われても、アタランテには納得する他無かった。

 しかし、淫紋令呪のせいか、はたまた彼女本来の気の強さが出てしまったのか、アタランテはマシュに最も言ってはいけない事を口にしてしまう。

 

「……わけ、無いじゃないか……」

 

「……はい?」

 

「だ、誰が開発したとして、そんなに変わる訳が無いじゃないか……! 尻の感度など、劇的に変わる筈が……ひっ!?」

 

「……そのお言葉は、私と先輩に対する宣戦布告と取ってよろしいでしょうか? 先輩に一から十まで開発して頂いた私のお尻が、何の計画性も想像力も無い男たちに開発されたアタランテさんのお尻と同じだと? ……本気で怒りますよ? と言うより、怒りました」

 

 先ほどまでの雰囲気とは打って変わり威圧感を放つようになったマシュは、無表情のままにアタランテの尻に自分の尻を突き合わせた。

 そして、自分の淫紋令呪を光り輝かせると、淡々とした口調でアタランテへと言う。

 

「アタランテさん、今からあなたに自分の間違いを認めさせてあげます。天国と地獄をいっぺんに味わって頂きますね」

 

「な、なんだ……? 何をしているんだ? 答えろ、マシュっ!?」

 

 じわじわと自分の尻が熱くなっていく感覚にアタランテは恐怖を覚えて叫んだ。一体マシュは自分に何をしようとしているのか? アタランテは何か恐ろしい事が始まる予感を覚えていた。

 

「い、ひぃっ!?」

 

 そして、それは唐突に始まった。突然の感覚に全身を震わせたアタランテは、歯をカチカチと鳴らしながら呻く。

 

「し、りがぁ……お、おかしいっ……!? なんなんだ、これは……!?」

 

 尻が熱い。尻の中が蕩けている。愛撫も何もされていないと言うのに、穴の中も含めた尻全体が敏感に快感を感じ取っているのだ。

 尻に触れる空気の流れすら感じ取れる程の感度。本来、痛みや感覚には鈍い筈の臀部がこれほどまでの敏感さを持つようになった事を驚くアタランテであったが、真の驚きはマシュが己の尻をアタランテの尻から離した時に訪れた。

 

「はひぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ あ、ああぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ こ、これはぁっ♡♡♡」

 

 絶叫、そうする他無かった。マシュが尻を離した途端、尻全体が快感を訴えて疼き出したのだ。

 触れられていない、ただ晒されているだけの臀部。だが、その部分はマシュに見られる快感と空気に触れられていると言う快感を信じられない程にまで増大させてアタランテの官能を刺激して来る。

 アタランテはその快感に狂わされてしまわぬ様に叫びを上げて意識を保つことに必死になっていた。

 

「おぉォぉぉぉッっ♡♡♡ なんなんら、これはぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「ふふふ……♡♡♡ 凄いでしょう? とっても気持ち良くって、だけど狂ってしまいそうになる……それが、今の私のお尻の感度ですよ♡♡♡」

 

「!?!?!?」

 

「淫紋令呪同士を連携させて、一時的にアタランテさんと私のお尻の感度を同調させたんです。今、この場で優位を取っているのは私ですから、淫紋令呪は私の方をベースとしてアタランテさんに感覚を伝達させたみたいですね」

 

「ほぉぉォぉっっ♡♡♡ おかひくっ♡♡♡ おかひくなるぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「……まあ、そうなりますよね。アタランテさんは私と違って淫紋令呪の再臨が進んでいないから、精神面の強化も行われていないんですもの。この快感を突然与えられたら、狂ってしまいますよね」

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 再びアタランテの背中に腰かけたマシュが、手を伸ばして彼女の尻を撫でる。それだけでアタランテは深い絶頂を味わう羽目になってしまった。

 尻を揉まれるだけで潮を噴き、尿までもが勢い良く噴射されてしまう。手慣れた動きでアタランテの尻肉をマッサージするマシュは、舌なめずりをしながらアナルへと指を潜り込ませた。

 

「ほぉぉぉぉォぉォッっ♡♡♡ イグっっ♡♡♡ ケツイキ止まらないぃぃッッ♡♡♡」

 

「は~い、ゆるゆるケツ穴でたっぷりイキましょうね~♡ 広がりきってしまったお尻の穴も、こうやって弄られると気持ち良いでしょう?」

 

「おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 中指、薬指、人差し指の三本の指をアタランテのアナルに突き入れたマシュは、内部を掻き混ぜる様にして指を動かす。そうすれば、アタランテの尻穴からはぐちゅぐちゅと言う卑猥な音が溢れ、同時に腸液が滴り堕ち切て来た。

 広げに広げられた尻穴を責める様に、マシュは執拗にアタランテの穴を穿る。尻肉のマッサージとは比べ物にならない莫大な快感に翻弄されるアタランテは、舌を放り出して喘ぐ以外の行動が出来なくなっていた。

 

「おほっ♡♡♡ ほぉっ♡♡♡ ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「はい、じゃあ次はアタランテさんが感じられない奥の方を弄ってあげますね~♡ 私のお尻なら、凄く気持ち良くなれるはずですから……」

 

「ま、まってくれ……♡♡♡ そんなことされたら、私は狂って……」

 

「……大丈夫ですよ。誰が開発したってお尻の感度はそんなに変わらないんでしょう? なら、これしきの事でアタランテさんが狂うはずが無いですって!」

 

「あ、あぁぁ……」

 

 アナル用のバイブを取り出して微笑んだマシュを見たアタランテは、恐怖にも近しい感覚を覚えて目じりに涙を浮かべる。マシュがバイブを肛門に触れさせた瞬間、その感覚は大きく膨れ上がった。

 アタランテには、はっきりと自分が狂うビジョンが見えていた。このバイブで尻を徹底的に掻き回され、喘いでも達しても許して貰えず。ただただ自分の失言を後悔させる為にマシュは容赦なく自分の尻を責め続けるのだろう。

 今、この尻を責められれば、絶対に自分は抗う事は出来ない。それを理解しているアタランテは、最後の抵抗に打って出る。

 

「ご、ごめんなさい! 私が間違っていた! ……ま、マシュの尻と私の尻は完全に別物だ。粗悪な私の尻と、お前の尻を同列に扱って本当にすまなかった!」

 

 頭を地面に擦り付け、自分の非を認める。低姿勢に、大声でマシュへの謝罪を口にしたアタランテは、最後の抵抗である()()()()()()を以ってマシュに許しを請うアタランテは、びくびくと恐怖に震えながらマシュの裁決を待つ。

 無様な土下座姿を晒し、自分への謝罪の姿勢を見せるアタランテを見たマシュは、彼女の肛門にバイブを触れさせたまましばらく固まっていたが――

 

「……ご理解頂けた様ですね。なら、もう十分です」

 

 ニッコリと優しい笑みを浮かべ、手にしたバイブを遠くへと放り投げてアタランテを許した。同時にアタランテとの感度共有を解き、彼女の尻の感度を元に戻してやる。

 並外れた感度を誇るマシュの尻からいつもの自分の感度へと戻った事に安堵したアタランテであったが、それと同時に僅かに物足りなさを感じる様になってしまった。

 

「ね? 凄かったでしょう……? アタランテさんの知るお尻セックスなんて、今の快感に比べたらお遊びみたいなものだったでしょう?」

 

「あ、ああ……何もかもが違った。手で揉まれ、指で穿られただけなのにあんなに気持ち良くなれるのものだったなんて……♡」

 

「ふふふ……♡♡♡ 先輩に一から開発して貰って、沢山愛して貰えた私のお尻を舐めて貰っては困ります……♡♡♡ アタランテさんが今感じた快感だって、先輩とのセックスの前では無に等しいんですよ?」

 

 体の自由を取り戻し、ぐったりと床に横たわるアタランテの頭を撫でながらマシュは言う。彼女の尻を撫で、一つ一つの快感を教え込む様にしてその耳元で囁く。

 

「……先輩のぶっといおちんぽが、私のアヌスを押し広げて挿って来る快感……♡♡♡ 息苦しくって、それなのに凄く気持ち良くって、大好きな人が広げてくれた穴で大好きな人を気持ち良く出来る幸福を感じるんです……♡♡♡ それだけでもう、イってしまいそう……♡♡♡」

 

「っっ……♡」

 

「挿入されたおちんぽは、私のお尻の奥まで到達して……みっちりとお尻の中を広げて、堂々と鎮座するおちんぽに私の腸壁が勝手に絡みつくんです。愛液の代わりに腸液垂れ流して、おまんこの肉襞みたいにつるつるのお尻の壁が絡みついて……お尻の穴も理解してるんです、もう自分たちは出す為の器官じゃなくって、このおちんぽ専用のおまんこになってしまったってことを……♡♡♡」

 

「は~っ♡ は~っ……♡」

 

「……おちんぽが動き出せば、もう何にも考えられなくなる……♡♡♡ なが~いストロークでお尻の穴を穿って、終わらないうんちをしているみたいに虚脱感と排泄感を伴う快感を得る♡ ギリギリまで抜けた先輩のおちんぽがまた奥に入って来て、普通じゃ味わえない挿入の快感をお尻の穴に教え込む♡ お尻の肉もぱぁんっ♡ って音を鳴らして、先輩の腰を柔らかく受け止めるんです♡♡♡」

 

「う、あぁ……っ♡♡♡」

 

「何度も何度も出し入れされ、気が狂う程の快感を教え込まれて、イかされて……そして、射精される。先輩のおちんぽが激しく震えて、とんでもない量の精液をお腹の中にぶちまけられて……♡♡♡ 精液の温度はお尻の穴が火傷する位に熱く、魔力の量はお尻が酔ってしまう程に濃い。そんな精液がこれでもか! って位にぶちまけられる快感と言ったら、もう……♡♡♡」

 

「くあぁぁ……っっ♡♡♡」

 

「……でも、まだ終わらないんです。こんなに沢山射精したら、普通の男はセックスを終わりにする。でも、先輩は一回や二回じゃ満足しないんです。サーヴァントすらも凌駕する性欲で、私たちの体を貪り尽くす……気が付けば、私のお尻の中は先輩のザーメンでドロドロ♡ お腹も妊娠したみたいにぽっこり膨れている……♡ なのにまだ先輩のおちんぽはガッチガチで、いつまでもけつまんこを穿って貰えて……ああ、ああっっ♡♡♡」

 

「……♡♡♡♡♡」

 

 マシュが語るカルデアのマスターとのセックスを想像し、その快感をこの身に受ける事を妄想したアタランテは興奮を露にして尻穴をひくつかせた。この話を聞くだけで、マシュがどれほどまでに彼から快感を与えて貰っているかが良く分かる。

 あの尻の感度で、そんな快感を与えられたら、当然の様に尻穴でのセックスが好きになるだろう。マシュの尻穴は自分の物とは違う、まんこが使えない代替品としてただ広げられた粗悪品の尻穴では無く、愛情を持ってじっくりと開発されてここまでの快感を得られる様になった最高級品のけつまんこなのだ。

 

 この短い時間の中で、アタランテはそこまで理解した。自分の知る肛門性交など、児戯に等しかったのだ。

 それを理解した彼女の上にマシュが覆い被さる。瞳を覗き込み、アタランテの感情を読み取りながらマシュは口を開いた。

 

「アタランテさんのお尻について、さっきから酷い事を言っちゃいましたけど、アタランテさんは何も悪く無いんですよ。むしろあなたは、被害者なんです」

 

「そう……なのか……?」

 

「ええ、そうです。私は知っています、アタランテさんのお尻は、引き締まった小尻でありながらも丸みがあり柔らかさもある。女性らしさが抜群の最高の素材だって事を……! やや大きめの私のお尻とは違いますが、アタランテさんのお尻だって最高のけつまんこになれる素材だったんです! それを、こんな酷い粗悪品にして……!」

 

「う……」

 

「ソロモンや奴に従う男たちのやった事は最低の行為です。最高の原石を自らの手で粉々に打ち砕く様な愚行……それが石ならまだ良いです。でも、アタランテさんは英霊であり、感情のある一人の女性なんです。その感情を踏み躙った挙句、こんなふざけた快感しか与えられないなんて、雄として欠陥があるとしか思えません!」

 

「……その通り、かもな」

 

 マシュの言葉を受け、ここまでに至る一連の行為を思い返したアタランテは、知らず知らずのうちにそう呟いていた。自分はただ、彼らに乗せられていただけなのだろう。

 

 自分は、生前に知らなかった女の悦びを彼らに教え込まれた気がしていた。アナルを開発され、そこで得た快感こそが雌の悦びなのだと言われてその気になっていた。

 しかし、考えてみればその行いは本来性交を行うはずの膣が使えないが故に行われた物であり、言わば()()()()()だったのだ。前が使えないから後ろでお茶を濁す。男性経験のないアタランテなら、それで十分だとでも思われていたのだろう。

 その上、その快感すらも大したものでは無かった。彼らが自分の尻に行ったのは開発では無く、自分たちの欲求を満たす為の遊戯だったのだ。

 結果、自分の尻は()()()()()()()()()()にはなった。だがしかし、カルデアのマスターに本気で愛され、真の意味での開発行為を受けたマシュの至高の逸品……前の穴より感じられる後ろの穴、()()()()()の快感を味わってしまえば、その快感はアタランテの心には何も響かなくなってしまう。

 

「……愛情も無い、目の前の素材をどう活かすかの知識も無い、その上女を満足させられるだけの力も無い……そんな男たちに感謝する必要、あります?」

 

 その質問の答えは勿論NOだ。こうやって実力を行使されて説得されて良く分かった。あの男たちは、今まで男性経験の無かったアタランテを騙していたに過ぎないのだ。本来の快感からかけ離れた快感を至上の快感だと嘯き、お前は幸せな存在だと思い込ませる。そうやって、アタランテを支配していただけなのだ。

 だが、目が覚めてしまえばなんてことは無い。自分とマシュの体の差が、自分たちを開発した雄の格の差を存分に表している。

 あいつらは下で、カルデアのマスターが上だ。魔術王を加えた数十人で開発した男たちの尻より、何の特別性も無いカルデアのマスターが開発した尻の方が素晴らしい物に仕上がっているのだから、その答えに間違いは無いだろう。

 

 そうとも、彼らはアタランテを満足させてはくれない。愛してもくれない。自分たちの欲望を優先して、アタランテに何も与えてくれなかった。ならば、女がそれを与えてくれる男に靡いたとしても文句は言えないだろう。

 カルデアのマスターは愛をくれる。快感だってくれる。望む物を全て与えてくれる男と何も与えてくれない男たちを比べてどちらを取るかなんて子供にだって判断が付く。

 

「今すぐは無理かもしれませんが……アタランテさんがカルデアに帰って来たら、先輩にお尻を開発し直して貰いましょう。素敵なけつまんこに仕上げて貰うんです……♡♡♡」

 

「で、出来るのか? そんなことが……」

 

「出来ますよ! カルデアに戻って来たら、まずはたっぷりとこのお尻に射精して貰いましょう♡ 先輩と魔力経路を繋げれば、通常の令呪が使える。そうすれば……♡」

 

「……霊基の修復が出来る、だな?」

 

 この醜く歪んだ体を、粗悪品に仕上げられてしまった尻を、元の形に戻して貰える。体に刻まれた快感は消えないかもしれないが、形だけならば戻す事が出来る。アルトリアの様な前例だってあるのだから、間違いないだろう。

 肥大化した尻肉も、緩み切った尻穴も元に戻る。そうなったら、彼の手で――

 

「……楽しみですね、アタランテさん……♡♡♡ 先輩は、どんな風にアタランテさんのお尻をけつまんこにしてくれるんでしょうね……♡♡♡」

 

「は、はは……♡♡♡ そうだな、凄く、楽しみだ……♡♡♡」

 

「アタランテさんのお尻は小さくて引き締まっていますから、必要以上にアナルを広げる必要はありません。キツキツにおちんぽを締め付ける様な、そんな穴が良いですね♡♡♡」

 

「ふ、ふふ……♡♡♡ そうなると、肉棒の感触がはっきりと感じられる様になるんだな……♡♡♡ 緩い穴では感じられない気持ち良さを味わえそうだ……♡♡♡」

 

「お尻の肉は薄いですけど、それは利点にもなります! より深く、奥にまでおちんぽが届きますからね……♡♡♡ 小さいお尻は軽くて持ち上げやすいですし、先輩のおちんぽはとっても大きいですから……信じられない所まで届いてしまうかもしれませんよ……♡♡♡」

 

「お、奥、か……♡♡♡ 亀頭に腹を突き破られたらどうしようか……♡♡♡」

 

「沢山気持ち良くなる為にも、お尻の奥の開発も忘れてはいけませんね♡ 沢山、沢山、弄って貰って……マスターのおちんぽに馴染んだ、立派なけつまんこに仕上げて貰いましょうね……♡♡♡」

 

「ああ……♡♡♡ その時が、今から楽しみだ……♡♡♡」

 

 お遊びの様な快感ではない、本物の肛門性交とそれによる快感を教えて貰える。愛情たっぷりの開発を受け、彼の手で尻穴を性器に作り変えて貰って、最高の快感を教えて貰える。

 それが楽しみで仕方が無い。マシュと尻を並べ、二人の穴を交互に彼の肉棒で穿って貰える様になる日が待ち遠しくて仕方が無い。

 

「……その時が来るのを待ってますね、アタランテさん。そう遠くは無いでしょうけど……♡♡♡」

 

「ああ、そうだな……♡♡♡ 私も、尻をけつまんこにして貰える日を楽しみにしているぞ……♡♡♡」

 

 淫らで卑猥な約束を交わし、微笑み合った二人は、同じビジョンを頭の中で思い浮かべる。愛する主の手で開発された尻を、彼専用の性器として差し出すと言う最高に幸せな光景を……。

 同じ趣向を持つ二人の女性は、自分たちの思いが通じ合っている事を理解してから、同時に意識を遠のかせて行ったのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドレイクたちが拠点としている海賊船の一室にアタランテを抱く男の声が唸る。汚い言葉で彼女を責め、その官能を無理矢理に引き出す男は、アタランテの尻穴を容赦なく肉棒で穿っている。

 

「オラッ! ケツ穴で感じてるんだろっ!? とっととイキやがれ、この変態がっ!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ イクっっ♡♡♡ け、ケツアクメ、決めますぅっ♡♡♡」

 

 男のピストンを受ける度、アタランテの体は大きく仰け反って震えていた。尻穴を掻き回される快感が堪らないのだろうと思った男は、随分と素直になったアタランテの様子に満足気に微笑みながら己の欲望を彼女の尻穴に解き放つ。

 

射精()すぞっ! ケツ穴締めて受け取りやがれっっ!!」

 

「んひゃぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 男の射精を受けた一際甲高い嬌声を上げて仰け反り、体を硬直させる。そして、無遠慮に床に放り投げられ、尻を高く突き出した体勢で荒い呼吸を繰り返していた。

 ぽっかりと開いたアヌスから己の吐き出した精液が噴き出している光景を見た男は、自分がアタランテを支配している感覚に酔うと彼女の尻にスパンキングを見舞った。

 

「あぅっっ♡♡♡ うぅんんっ♡♡♡」

 

「どうしたアタランテ? ケツ打たれて感じてんのか? このドM豚が!」

 

「ひぃんんっ♡♡♡ あぁぁっっ♡♡♡」

 

 尻を震わせ、男の張り手を受ける度にビクリと体を跳ね上げるアタランテ。そんな彼女の様子を見た男たちは、全員が揃ってこう思う。

 もう、彼女は堕ち切った。肛門による性交の甘美な快感に狂い、尻穴を差し出す雌に堕ちたのだと。そして、そこまで彼女を堕としたのは自分たちだと言う達成感に酔いしれ、自分たちが堕とした雌に己の欲望をぶつけるべく蟻の様に彼女へと群がっていった。

 

「アタランテ……お前のエロいケツ穴に何度もハメてやるからなぁ? 臭いザーメン何発も射精して、何百回もケツアクメ決めさせてやるよ!」

 

「嬉しいだろう? あぁん!?」

 

 男たちの言葉にアタランテは何も答えない。ただ床に突っ伏し、尻を震わせているだけだ。

 そんなアタランテの腰を掴み、無理矢理体を引き起こした一人の男があくどい笑みを浮かべると、勃起した己の陰茎を精液で汚れたアタランテの尻穴へと勢い良く叩き込んだ。

 

「んへぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 緩くなった尻穴が簡単に男の肉棒を受け入れ、奥まで飲み込む。アタランテが嬌声を上げて仰け反った事を見た男たちは、先ほどの自分たちの言葉への返答はこの態度であると納得して腰を振り始めた。

 ぶちゅぶちゅといやらしい音を立てるアタランテのアナル。男たちは、自分たちの開発によってアタランテは尻穴陥落したのだと勝手に思い込んで満足している。

 

 しかし……

 

(ああ、こんなもの……あの快感に比べたら、何も感じないに等しい……!)

 

 尻穴を穿たれている当の本人、アタランテは心の中でそう思っていた。マシュによって尻穴を弄られ、真のアナルアクメを決めさせられた時の快感に比べれば、このセックスによる快感など無に等しい。

 あれは夢だったのかもしれない。だが、あの夢の中で味わった快感は間違いなく本物だった。本当のアナル快感は、今感じている様な物では無いと知ってしまった。

 だからもうアタランテは狂わない。男たちの前で狂ったふりをして、彼らを満足させているに過ぎないのだ。

 

(こんな粗悪品の尻をありがたがって、馬鹿みたいに腰を振って……こいつらは、穴があれば何でも良いのだろうな……)

 

 ただの緩い穴である自分の尻に夢中になる男たちへと視線を向けたアタランテは、心の中で彼らに嘲りの言葉を向けた。この尻で満足する様な男たちもまた、本物の快感を知りはしないのだろう。

 何より、こうして抱いている女の完全なる心変わりにも気が付かないでいる。快感にも女性の心の変化にも疎い、そしてマシュ以下の快感しか自分に与えられない男たちなど、こちらから願い下げだ。

 

(……まあ、良い。暫くはこうして従順に振舞っていよう。そして、時が来たら……裏切って、カルデアに戻ろう)

 

 今、この特異点にはカルデアのマスターが居る。顔を突き付けて話す事は無くとも、戦いの中でカルデアの為に働く機会は何度でもある。

 出来る限り重要な局面、それもソロモン側に致命的な一撃を喰らわせられる様な状況で自分が裏切れば……この男たちもただでは済むまい。

 海の藻屑となるか、海魔の餌になるか、はたまた戦いの中で命を落とすかはわからない。それでも、彼らが文字通り死ぬほど辛い思いをすることは明らかだった。

 

(それまではこの尻穴を好きにさせてやろう。こんな粗悪な穴で良ければ、好きなだけ弄ると良いさ)

 

 退屈さを感じながらも表情や態度にそれを一切見せず、アタランテは堕ちた雌として振舞い続けていた。男たちは彼女のその様子に満足気に笑って腰を振っているが、彼女の心の中には彼らの事など微塵も存在していない。

 アタランテの心の中にある物、それは期待だ。昨日の夢で見た通り、カルデアに戻って自分の尻を開発し直して貰う事が楽しみで仕方が無いのだ。

 

(ああ、マスターはどんな風にして、私の尻をけつまんこに仕上げてくれるのだろうか……? 楽しみで楽しみで、尻穴が、疼く……っ♡♡♡)

 

 期待と悦びがアタランテの顔に演技では無い淫靡な笑みを浮かばせた。男たちもまた、彼女のそんな表情を見て勘違いして笑っている。

 

「ケツ穴良いんだなっ!? もっとイかせてやるぞっっ!」

 

「俺たちに感謝しろよ、このけつまんこ狂いがっ!!」

 

 男たちの言葉を耳にし、その愚かさに今度は嘲笑が浮かぶ。そして、それすらもアタランテが肉欲に悦んでいると勘違いしている男たちに侮蔑の感情を抱く。

 

(どうでも良いさ、お前たちなんて……雌以下の雄なんて、興味も持てはしないさ)

 

 マシュ以下の快感しか与えてくれない男たちの事を完全に見限り、その頭であるソロモンの事すら軽く嗤いながら、アタランテは無意味な性交を彼らと共にしたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦力確認

短いよ~!
エロ無いよ~!
今回の特異点、そこまで長くなる気配が無いよ~!


 

「……じゃあ、敵の戦力の事を教えて貰って良いかな?」

 

「はい……」

 

 アルゴー船の船室、そこに集まったカルデアのメンバーたちは、先日奪還したばかりのアナへと視線を送っていた。

 マスターの促しを受けたアナは、小さく頷いた後でこの特異点に送り込まれたソロモン側のサーヴァントたちの情報を話し始める。

 

「まず、先ほどの戦いで皆さんが対面したサーヴァントたち……アン・ボニーさんとメアリー・リードさん。アタランテさんにクロエさんとイリヤさん。そして……成長した私は、ソロモンに堕ちた英霊と言って良いでしょう。彼女たちは、ほぼ毎晩ソロモンに従う男たちに犯されています」

 

「やはり、と言うべきか……予想はしてた事だが、聞くと心が痛むな」

 

 かつて自分も同じ境遇に陥った事を思い出しているのか、スカサハが沈痛な面持ちを浮かべてそう呟く。他の英霊たちもほぼ同じような反応で、部屋の中は重い空気に支配されていた。

 だが、そんな空気を読まずに声を荒げる男も居た。この船の船長であるイアソンは、苛立った様子でアナを問い詰める様にして叫び声を上げる。

 

「そんな雑魚の事はどうだって良い! 問題はヘラクレスだ! 何でアイツが敵に居る? その時点でこちらは絶望的なんだぞ!」

 

「あなたね……少しは空気を読むって事をしない訳?」

 

「だが、それは重要な情報だ。かの大英雄が敵に居るのなら、こちらの戦力では太刀打ちできない可能性が高いからな」

 

 やや感情的な叫びではあったが、その情報も今の自分たちには重要だ。エミヤ・オルタの冷酷とまで思える一言によって感傷に浸っている場合では無い事を自覚した面々は、その答えを求めてアナへと視線を注ぐ。

 アナは、その質問の答えを口にする前に悲しそうな表情を浮かべ……そして、口を開いた。

 

「……ヘラクレスさんがソロモンに手を貸しているのは、イリヤさんとクロエさんと……アイリスフィールさんの為なんです」

 

「アイリスフィール? どこの英霊だ? そもそも、俺はイリヤだとか言う小娘の事も良くは知らんぞ? どんな英霊なんだ?」

 

「その情報はどうでも良い。大事なのは、大英雄には自我があり、今名前が挙がった三名の為にソロモンに与していると言う事だ。つまりは、その三名の身柄を拘束すれば彼はこちらに味方するだろうと言う事だろう?」

 

 イアソンの疑問を一刀両断したエミヤ・オルタは、冷静に事実だけを拾い上げて一つの結論を出す。その一言にはっとした表情を浮かべるメンバーの中で、カルデアのマスターは一瞬だけ顔色が変わったエミヤ・オルタの事を見つめていた。

 

(もしかして、あんな風になったイリヤの事を話したくは無かったのかな……?)

 

 例え冷酷になろうとも、心の中にはイリヤに対する感情が僅かにでも残っているのだろうか? 単純に必要の無い話を省いただけの様にも見えるが、そうであったならば彼は自分が思った以上に人間味があるのかもしれない。

 その答えはエミヤ・オルタ自身にしか知る由も無いが、カルデアのマスターはそうであったら良いなと言うある種無謀な希望を胸に抱いていた。

 

「なあ、もしかしてなんだけどよ……アステリオスの奴も、エウリュアレの為にソロモンに従ってるんじゃねえのか?」

 

「……その通りです。そして、成長した私も姉さまたちの為に戦っています。しかし、もう心は折れ、男たちの成すが儘になっているのです」 

 

 オリオンのその一言を肯定したアナは、自分の無力さを悔いる様にして拳を握り締める。彼女の脳裏には男たちに蹂躙された苦い記憶が蘇っているのだろう。その胸中を思うと、彼女になんと言葉をかければ良いのかが分からなくなってしまう。

 そんな中、あくまで冷静に話を進めるエミヤ・オルタは、アナに向かって別の質問を投げかけた。

 

「それで? その人質たちは何処に居るんだ? この特異点に居ないのなら、奪還すると言う計画も机上の空論となる訳なんだが?」

 

「……それなら大丈夫だよ。アイリさんたちはこのオケアノスに来ている筈さ」

 

「……ほぅ?」

 

 アナに代わり自分の質問に答えたカルデアのマスターに訝し気な視線を向けたエミヤ・オルタは、鋭い視線を彼に送りながら軽く声を出してみせた。

 そこまで言い切れるのならば、それなりの確証があるのだろうな? ……暗にそう言っている様なその呟きを受け、マスターは自分の考えを述べ始める。

 

「ソロモンの目的はダビデの持つ(アーク)だ。それを使い、世界を崩壊させることが目的……だとするならば、その為に必要な物はもう一つある」

 

「神性の高い英霊。それも女神クラスの方、ですよね?」

 

 マシュの言葉に頷いたマスターは、続けてエミヤ・オルタへと視線を向けた。賢い彼の事ならば、この会話だけで全てを理解してくれただろう。

 

「……目的の達成のために必要なのは柩と女神。であるならば、女神もこの特異点に送り込んでいて当然だと?」

 

「ああ、その通りだよ」

 

「だが、二人の女神が同時に送り込まれている可能性はあるか? どちらか片方だけかもしれないだろう? もしくは、別の女神が送り込まれている可能性は?」

 

「前者の可能性はかなり低い、先ほどの戦いでメディア・リリィはステンノが来ているのか? と言う俺の質問に肯定的な反応を見せた。と来れば、彼女がこの特異点に居ることはほぼ確定的だ。そしてアステリオスがメディア・リリィの言う事を聞いているのなら、そこにはエウリュアレの影が必ずある……自分が歯向かえば、エウリュアレに危害が加えられる事になると言う事をあの子は理解しているからこそ従っているんだ」

 

「……なら、後者の質問に関してはどうだ?」

 

「そっちに至っては0と言っても良い。こう言っては失礼だろうけど、エウリュアレとステンノは他の女神に比べて戦闘能力がとても低い。わざわざ戦力になる女神を犠牲にする必要は無いし、戦力になる女神が居るのならば戦いに参加しているはずさ」

 

「……ふん、なるほどな。どうやら、こちらのマスターは馬鹿では無い様だ。だが、アイリスフィールがここに来ている可能性までは確立できていないぞ?」

 

「……それもさっきのアナの説明で確信したよ。アイリさんもここに来ている。理由は、ヘラクレスが裏切らない事がその証明だ」

 

「へ、ヘラクレスが裏切らない事が証明だと……? 一体どう言う事だ?」

 

「……アイリさんの性格を考えれば、自分を犠牲にしてでもイリヤとクロの事を救おうとするだろう。そして、それが察せないヘラクレスじゃあない……隙があれば、ヘラクレスは二人を連れて逃げているはずだ。例えば、今回の戦いでだとかね」

 

「だが彼はそうしなかった。その理由をお前は何と考えている?」

 

「……苦しんでいるアイリさんが目の前にいるから。だから、ヘラクレスは二人を連れて逃げる覚悟がし切れないんだと思う。行動を起こせば二人は救えるけど、アイリさんはもっと酷い地獄を見ることになるってことを教えられ続けているから……」

 

「つまり、折檻を受け続けている淑女を思いやって大英雄は行動を起こせないと言う事か。ならば、その三人は何処に居る? 戦力にならない者を何処に隠しているんだ?」

 

「女王アンの復讐号……! 黒髭さんの宝具ですよ!」

 

 ここまでの話を黙って聞いていたマシュが興奮気味に叫ぶと立ち上がり、仲間たちへと視線を送る。その様子に面食らったサーヴァントたちであったが、落ち着いているカルデアのマスターがマシュの言葉を継ぐ様にして説明を始めた。

 

「黒髭の宝具は自分の船である女王アンの復讐号を呼び出す物だ。そして、その船には『乗っている部下の力量が上がると性能が上がる』と言う能力がある。つまり、戦闘であまり役に立たなかろうとサーヴァントは乗っているだけで意味があるって事になるんだ」

 

「なるほど……サーヴァントの中では弱くとも、そんじょそこらの人間や使い魔よりかはよっぽど強い。その分、船の能力も上がるって訳か」

 

「つまりだ、今推測出来る情報を整理すると……アイリスフィール、ステンノ、エウリュアレの三人は、黒髭の旗艦である女王アンの復讐号の中で嬲られつつ、船の性能を上げる為に利用されてるって事だな。……クソッタレめ」

 

 情報を纏め、結論らしい物を出したロビンが憎々し気に汚い言葉を吐き捨てた。その思いは他の皆も同じで、言葉には出さないが仲間たちにその様な仕打ちを受けさせている敵への憎しみを募らせている。

 再び重苦しい空気に支配された部屋の中で暫くアナは黙っていたが、自分が知る別の情報を語るべく口を開いた。

 

「今のお話で分かったとは思いますが、黒髭さんもこの特異点に来ています。そして……彼に付き従う様にヘクトールさんも……」

 

「……あのオッサンか。こりゃまたしんどい奴が来てるもんだ」

 

「アナさん、お二人は何故ソロモンに従っているのですか? ヘラクレスさんたちの様に誰かを人質に取られているとか……?」

 

「……いいえ、あの二人は強いソロモン王に寝返り、カルデアを捨てたんです。いつもの様子で飄々として、もうカルデアの事なんて忘れた様にしていて……この特異点での戦いも自分から志願したと聞きました。きっとソロモンに認められる為に手柄を立てるつもりなんです」

 

 沈痛なアナの表情を見たマスターはそっと彼女の頭を撫でる。下手な慰めは不要だと考え、彼は再確認としていくつかの質問を彼女に投げかけた。

 

「アナ……エウリュアレたちは黒髭の船の中に囚われている、そうだね?」

 

「はい、そうです……」

 

「基本的に敵艦隊の指揮はドレイクが取ってる、それは黒髭の船もそうなの?」

 

「それは……違ったと思います。特別な指示が無ければ、黒髭さんが自分の船を指揮していました」

 

「……ヘクトールは黒髭の傍に居て、二人はいつも通りの態度でいる。間違いない?」

 

「はい……」

 

 質問に答える度にどんどん沈んで行くアナの表情。それに対し、カルデアのマスターの表情はアナの答えを聞く度に明るいものになっている。

 いや、彼だけではない。黒髭とヘクトールの人柄を知るメンバーたちは、彼女の答え聞いてマスター同様に嬉しそうな表情を浮かべていた。

 

「……そうか、嬢ちゃんはカルデアに来てから日が浅かったもんなぁ。なら、知らねえか」

 

「え……?」

 

 クー・フーリンの言葉にアナが顔を上げる。自分の周囲にいる人々の表情が明るいものである事に気が付いた彼女は、驚いた様子で仲間たちの顔を見まわしていた。

 

「大丈夫ですよ、アナさん。彼らが普段通りだと言うのなら、間違いなく大丈夫です!」

 

「まあ、あの様子を見ていれば不安なのも分かるが……私たちが知る黒髭とヘクトールと言う男の性格を考えれば、だな……」

 

「……アナ、取り合えず一つだけ教えておくとね……世の中、本当に怖いのは『馬鹿のふりをした天才』なんだよ」

 

 かつて仲間が口にした黒髭への評価をアナに教えながら、カルデアのマスターは彼女に向けてウインクをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~……と言う訳でぇ! 我らが偉大なるソロモン艦隊は、本日をもちましてカルデアの船と戦闘に入りま~す! そこんところ、よろしくでごじゃるよ~!」

 

「……何故、それを私に言うのかしら? そう言う演説めいたものは、お仲間にすべきなんじゃないかしら?」

 

「まあまあ、アイリ氏も戦闘には出ないにせよ、治療やバフ掛けなんかで出番があるでしょうし~? その辺の心構えを固める為にも、言っておいた方が良いんじゃないかな~と言う、拙者の粋な心遣いってことで!」

 

 デュフフ、と言う奇妙な笑い声をあげる黒髭は、牢に繋がれているアイリに向けて現在の状況を報告する。こうして特異点に連れ出されてから、彼は何度もアイリに向けてこう言った事をしていた。

 黒髭が基本的にドレイクに逆らう事は無いが、何も言われていない時には自分たちの処遇は彼に一任されている。不思議な事に彼は部下たちにアイリやステンノたちを抱かせることはしなかった。

 

「だってぇ~、戦闘に役立たない奴とヤリ過ぎていざって時に役立たなかったら意味無いでごじゃるし~? 奴隷代わりの女の子なんて山ほど居るんだから、このメンバーを抱く必要性が無いですぞ~」

 

 アイリが一度彼にその疑問をぶつけた際、黒髭はそう言った。おどけた態度の裏に隠れている本気の戦略は、彼が優れた指揮官である事を証明している。だからこそ、ドレイクも彼にアイリ達の処遇を任せているのだろう。

 

「オレたちは海賊よ? それが何であれ、奪って、殺して、暴れて生きて来た奴ら……こっちのが性に合ってるって言えば、そりゃそうでしょ!」

 

 カルデアを裏切った事を心苦しく思わないのかと言う質問に対してそう答えた彼は、非常に悪役らしい笑みを浮かべつつ今の自分を肯定していた。その隣に立つヘクトールも、何も言わずにただ微笑んでいただけだ。

 確かに彼の言う通りだ。黒髭『エドワード・ティーチ』は、かつて残虐性と悪名を轟かせた大海賊だ。たとえ元仲間であろうと、奴隷を奴隷として扱い、暴れるだけ暴れられる今の生き方を悪く思わなくても不思議ではない。

 自分に手を出させないのも彼なりの考えがあっての事であろうと考えるアイリは、牢の鉄格子の隙間から顔を覗かせると黒髭に向けて新たな質問を投げかけた。

 

「あなたは……あの子たちを殺すつもり? マスターやマシュたちを……!?」

 

「……さぁ、どうだろうねぇ? 必要があれば殺す、今はそうとしか言えないな」

 

「必要があれば……? それって、どう言う意味?」

 

「さて、どう言う意味でごじゃろうな~? そんな事より、今はもっと心配することがあるんじゃないですか~? 今もむさい男たちに腰を振っているイリヤちゃんたちの事とか……!」

 

「っっ……!!」

 

 愛らしい少女たちが汚い男たちに抱かれている姿を思い浮かべたアイリは、苦悶の表情を浮かべて歯を食いしばった。代われるものならば代わってあげたいと思う程の凌辱を受けるイリヤとクロエだが、彼女たちはそれを悦んで受け入れているのだ。

 思考も心も、何もかもが狂ってしまった。今の自分に出来ることと言えば、傷ついた彼女たちの治療と支援を行う事、そして祈る事だけだ。

 

「……ま、次のニュースを待ってなよ。それがアンタにとって良いニュースになるか、悪いニュースになるかはわからないがな……」

 

 今まで黙っていたヘクトールが最後にそう言葉を発すると、二人はアイリに背を向けて部屋から出て行ってしまった。一人残されたアイリは、胸の前で手を組んで誰にも届かない祈りを捧げる。

 

「ああ、どうか……あの娘たちに救いを……! 私はどうなっても良いから、あの娘たちだけは……!」

 

 自分が足枷になっている事を理解しているが故の涙を流しながら、アイリはただひたすらにイリヤたちが救われる日が来る事をひたすらに祈り続ける他無かった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

動き

 

「さて、どうするかねぇ……?」

 

「おんやぁ? BBAは今後の作戦を悩んでる感じでごじゃるか~? すぱーっ! っと何でも決めちゃうBBAにしては、珍しい事で」

 

「五月蠅いねぇ……打てる手が無数にあるからこそ悩むんじゃあないか。どれが最善手なのか吟味しつつ動かないと長引いちまうからねえ」

 

 トン、トンと自分のこめかみを叩くドレイクは、茶化したように声をかけて来る黒髭にしかめっ面を見せながらそう答えた。自分たちが有利な時であるほど、その有利を活かした戦いをする事は常識である。

 数も情報も戦術もこちらが上、適当に戦っても普通ならば勝てるだろう。しかし、ドレイクはそう言った有利な状況での戦いが苦手だ。格上が相手なら燃えるが、格下が相手だといまいち調子が出ない。

 

「まあ、BBAのスキルの事もあるし? こう言う戦いって実は向いてないって事は吾輩知っちゃってるのよね~」

 

「適当にやっても勝てる戦いっては向かないんだよ……こっちはひりつく様なスリルがあってこそ、燃え上がるってもんなんだからさ」

 

 愚痴をこぼすドレイクに小馬鹿にした様な笑いを見せた黒髭は、このオケアノスの海図を見ながら腕を組む。一応、副官としての仕事をこなそうとしているのだろうか?

 蹂躙と言う面ならば彼の方が何枚も上手だ。悪名高い黒髭の戦略眼に期待するドレイクであったが、それよりも早く暗い廊下の先から可憐な声が響いて来た。

 

「なら、私の策は如何でしょう? 上手く決まればカルデアの面々を一発で処刑出来ますよ」

 

「ほぉ? そこまで言うのならば聞かせて貰おうか、メディア」

 

 自信有り気なメディア・リリィの様子に興味を持ったドレイクが彼女の考えを聞くべく耳を傾ける。リリィは、ニコリと微笑んでから自分の策を説明し始めた。

 

「数や戦力はこちらが圧倒的に有利、適当にやっても勝てる戦いでしょうが……ここは、基本戦術の一つである奇襲を仕掛けるのは如何でしょうか?」

 

「奇襲だって? だが、この数で動いたらどうしたってバレるだろう?」

 

「ええ、ですから動かすのは黒髭さんの旗艦だけです。女王アンの復讐号ならば、空中を飛ぶ事が可能ですからね」

 

 ニヤリと黒い笑みを浮かべるメディア・リリィ。彼女の考えた作戦の内容はこうだ。

 

 まず、上空飛行が可能な『女王アンの復讐号』を単体で動かす。カルデアのメンバーは敵が大艦隊で攻めて来ると考えているから、船一隻だけならば気が付かない可能性も高い。その隙を突くのだ。

 アルゴー船の上空を取った後は戦力を文字通り投下し、船の内部に速攻を仕掛ける。至ってシンプルだが、非常に強力な作戦と言えるだろう。

 この作戦で大事なのはアルゴー船に投下する戦力だ。多くのサーヴァントを連れて行けば異変に勘付かれる可能性がある為、出来る限り少数のサーヴァントで作戦を決行したい。ならば、投下するのは最大戦力と決まっていた。

 

「ヘラクレスさんをアルゴー船に突入させ、敵を混乱に陥れる。後は、脚の止まったアルゴー船に追いつき、数で蹂躙してやればお終いです」

 

「なるほど……悪くない策なんじゃないかねぇ」

 

 中々に良い作戦であるメディア・リリィの考えにドレイクは乗り気な反応を見せた。司令官のお墨付きをもらえたメディア・リリィは、嬉しそうに微笑みを見せるが……

 

「……悪くは無いけど良い策でもないでごじゃるなぁ。拙者は反対でごじゃるよ」

 

「……なんですって?」

 

 黒髭の呟きを耳にした瞬間、その微笑みは冷たく恐ろしい物へと変わった。氷の様な視線で黒髭を睨むメディア・リリィをドレイクが窘め、落ち着かせようとする。

 

「まあまあ、落ち着きなって。大海賊黒髭と呼ばれたエドワード・ティーチがそう言うんだ。なら、この作戦の粗を教えて貰おうじゃないか」

 

「ん~、まあ司令官様が言うなら教えちゃおうかな~! ……リリィ殿、その作戦は上手く行けば敵を殲滅出来るけど、下手をするとヘラクレス殿や人質も奪われちゃうでごじゃるよ」

 

「え……?」

 

 メリットでは無くデメリットの方を指摘した黒髭は、メディア・リリィの周りをぐるぐると歩き回りながら彼女の作戦が上手く行かなかった時の説明を開始した。

 

「まず第一に、敵の上空を取るって言うのが難しいと拙者は思う訳。魔力を発する訳だし、大多数で敵が攻めて来るってカルデアの奴らが思っているならば、当然常に警戒は怠らないはずでしょ? 油断してるならともかく、それは無理って話だと思わない?」

 

「うっ……」

 

「……まあ、仮にそこの問題点を解決したとしましょう。で、ヘラクレス殿を降下させたとして……そこで、アルゴー船が足を止めるって確実に言えるでごじゃるか?」

 

「て、敵がヘラクレスさんを捌き切れるとでも言うのですか!? 彼は間違いなく、最強のサーヴァントの一人で……」

 

「いやいや、そうじゃなくて……敵の本拠地に単独で突入させるって事は、言い換えれば敵の領域で孤立してるって事なんですぞ? って事は、こちらはヘラクレス殿の動きを把握しきれない……彼が我々を裏切ろうとしても、それを知る由は無いって事!」

 

「ヘラクレスさんが裏切る!? そんなのありえま――」

 

「……言い切れるのかな~? 彼は洗脳されている訳では無く、人質を取られているが故にこちらに協力しているに過ぎないんですぞ? そして、人質の中で救出困難なアイリ殿を乗せた船が、今から突入して来るってことは……彼女を救い出す絶好のチャンスとも言い切れませんか?」

 

「っっ……!?」

 

「向こうには元マスターや生前からの知り合いであるイアソンやメディア殿が居る。うっかりヘラクレス殿が説得されて、一芝居打たれた所で手痛いカウンターを喰らったら……こっちは戦況を立て直せると言い切れんのかい?」

 

「………」

 

 最後の言葉を口にすると同時にギロリと鋭い視線をメディア・リリィに向けた黒髭は、次いでドレイクへと視線を向ける。これだけの不確定要素を抱えるこの策を実行に移すのかと、その目は言っていた。

 言われてみれば確かにその通りだ。この作戦には、見えていないだけで多くの問題がある。上手く行けばいいが、上手く行かなかった時の損害が大き過ぎるのだ。

 

「ヘ、ヘラクレスさんに何名かの同行者を付ければ……!」

 

「無駄無駄! こっちの誰がヘラクレス殿を止められる訳? 結局、ヘラクレス殿が説得されたら作戦は失敗でしょ?」

 

「なら、ヘラクレスさんを突入メンバーから外せば……」

 

「それで? 誰を送る訳でごじゃるか? 単独突入なんて誰がやってもデメリットは有るでごじゃるよ? それでアナたんを奪われてるって事をお忘れなく!」

 

「くっ……!?」

 

 自分の失敗を突かれたメディア・リリィは悔しそうな表情を見せるも、黒髭に対して何も言い返す事が出来なかった。それは、彼が正しいと言う事を頭の中で理解していたからだ。

 突入メンバーを選定したとして、誰がやっても問題点がある。ざっと上げて見てもデメリットの方が大きく思えるのだ。

 

 アステリオスは駄目だ、ヘラクレス同様に裏切られたならばエウリュアレを奪還される可能性がある。ヘクトールも守戦の方が得意と考えれば、攻めに出すのは間違っている。

 女英霊を突入させるのも危険だろう。もしもカルデアが逃げの一手を打った場合、アルゴー船から脱出の手段を無くした女英霊は捕縛されてしまうからだ。

 自分やドレイク、黒髭を突入させるのはもってのほか。指揮官を突入させたら、誰がこの艦隊の指揮を執ると言うのだ。

 

 総じて単独での突入はデメリットが大きい、しかし戦力を増やせばカルデアの警戒網に引っかかる可能性が高い……この作戦は、いまいち成功のビジョンが見えにくいのだ。

 

「……流石は黒髭だね。この短い間でそこまで考えを巡らせるなんて……」

 

「BBAに褒められても嬉しく無いんだからねっ! でも、その褒め言葉は受け取っておいてあげるからっ!」

 

 ツンデレな台詞を口にする黒髭。この光景を見ている者は失笑ものだが、これが彼の平常運転なので気にしない様にしよう。

 ドレイクは信頼を込めた視線で彼を見ているし、せっかく立てた作戦をけちょんけちょんに貶されたメディア・リリィは悔しさに拳を震わせている為それどころでは無い。黒髭は、悔しがるメディア・リリィに対して非常に気味の悪い笑みを浮かべながら優しく囁きかけた。

 

「リリィ殿、若い君が失敗するのは当然の事、あまり悔しがる必要は無いんでごじゃるよ? もしも策を学びたいのであれば、これから拙者の部屋で二人きりになってゆっくりと……」

 

「失礼しますっ!」

 

「あら~っ!?」

 

 自分のお誘いを無視して部屋から出て行ったメディア・リリィの姿にずっこける黒髭。どうやら彼女のプライドを予想以上に傷つけてしまった様だ。

 せっかく若くて可愛い女の子と二人きりで過ごせるチャンスだったのに……立ち上がり、泣きべそをかく黒髭の表情がそう語っている事に気が付いたドレイクは、大声で笑いながら彼に声をかけた。

 

「振られちまったねえ! 何とも可哀想なことだ! でもま、今の誘い方は0点ってとこだわなぁ!」

 

「うるさい! BBAは黙ってろ! うぅ、グスン……」

 

 まるで母親に反抗するニートの息子の様な台詞を口にした黒髭は、がっくりと肩を落としてすすり泣き始めた。そんな彼の背中を見たドレイクは、椅子から立ち上がるとそっとその背中に体を寄せて黒髭に抱き着く。

 

「……なら、アタシが慰めてやろうか? アンタも随分溜まってるだろう?」

 

 鍛え上げられ、見事に割れた黒髭の腹筋に指を這わせつつ、ドレイクは彼の耳元で囁く。たわわに実った胸の果実を彼の背中に押し付ける事も忘れはしない。

 

「知ってるんだよ。アンタ、メアリーやイリヤたちに夜伽の相手を拒否されてるんだってねぇ……まあ、普段の態度を考えれば無理も無いが、それじゃああんまりにも可哀想だ」

 

 片方の手を腰へ、もう片方の手で腹をなぞる。娼婦が男を誘う時の様な淫らな手つきで、ドレイクは黒髭の興奮を煽った。

 

「……小娘たちも見る目が無い。アンタ、見た目はアレだが中身はかなりイイ男だ。このアタシが本気になる位にね……♡」

 

 後ろから抱きしめる腕に力を込める。布面積の少ない服は、ドレイクの艶やかな肢体の感触を黒髭の背中にはっきりと伝えていた。

 ドレイクは甘い吐息を黒髭の耳に吐きかけた後、最後の殺し文句を口にする。その瞳には、情欲の炎が燃えていた。

 

「一晩相手しなよ、エドワード・ティーチ。大海賊と言われたアンタの男らしさ、アタシに見せておくれ……♡♡♡」

 

 黒髭の首筋に歯を立て、噛み跡を残す。これは自分の物だと、そう主張する痕跡を残したドレイクは満足気にその歯型の部分を舌で舐めた。

 僅かな痛みと艶めかしい舌の動き。その二つの感触を感じる黒髭は、軽く溜息をつくとドレイクの抱擁から抜け出して振り返った。

 

「バ~カ! 誰がBBAみたいな年増を抱くか! 拙者にも選ぶ権利があるってものでしょうが!」

 

「アハハハハ! そうだねぇ! 絶対にそう言うと思ってたよ! ……でもま、アタシは本気だよ? アンタが望むなら、すぐにでもここにアンタのちんぽをぶち込んで貰っても構わないさ」

 

 性器に挿っていたバイブを抜き、くぱぁと自分の雌穴を広げたドレイクが舌なめずりをしながら言う。普通の男ならすぐにでも彼女の躰にむしゃぶりつきたくなるその誘いにも、黒髭は乗る気配を見せなかった。

 

「あ~あ! リリィたんにも振られちゃったし拙者は不貞寝するでござる! BBAはせいぜい一人で寂しく自分を慰めてろ! このBBA!」

 

「あっはっは! 言ってくれるじゃあないか!」

 

 捨て台詞を残してドレイクの船室を後にした黒髭は、ぷんすかと怒りながら廊下を歩いて行く。その後ろ姿には、お目当ての女の子に振られた怒りの感情がありありと現れていた。

 だが、その怒りが一瞬だけ別の物に変わる。その瞬間、黒髭は誰にも聞こえない小さな声で呟いていた。

 

「イイ男ね……今のアンタに言われても、何も響かないっつの……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 黒髭よりも一足早くドレイクの部屋を後にしたメディア・リリィは、船の甲板の上で潮風に吹かれていた。

 完璧な作戦だと思った自分の考えをコテンパンに否定された事でプライドを大きく傷つけた彼女は、気を落ち着かせる為に夜風に当たりに来たのだ。

 

「……こんな屈辱を感じる羽目になるなんて……!」

 

 先日のアナを奪われた一件から、自分はその失敗を埋め合わせるだけの成果を上げられていない。このままでは、ソロモンの期待に応えるよりも早く見限られてしまうかもしれない。

 そんな恐れを胸にしたメディア・リリィの心の中では焦りの感情が芽生え始めていた。早く手柄を立てなければ……そんな焦りを抱く彼女の背後から、一つの声が響く。

 

「ああ、メディア。大丈夫か?」

 

「あ……! アタランテ、さん……」

 

「……盗み聞きは良くないと思ったのだが、先ほどのドレイク船長の部屋での話を聞いてしまってな。私は悪くない策だと思ったぞ」

 

「……でも、お二人はそうは思ってない様です。却下されてしまいました」

 

 生前からの知り合いであるアタランテの優しい言葉にポツリと弱音を吐いたメディア・リリィは、悲しそうに顔を伏せた。アタランテはそんな彼女の肩を叩くと慰めの言葉を口にする。

 

「メディア、お前の作戦自体は悪くなかった。だが、メリットとデメリットのバランスが取れていなかったんだ。逆に言えば、敵の殲滅を狙わずとも成果を上げられれば良いのだろう?」

 

「え……? それは、どう言う……?」

 

 疑問を投げかけて来たメディア・リリィに対し、アタランテは自分の背後を指さす。そこには、二人の女性が立っていた。

 

「敵を全滅させるのではなく、サーヴァントの一人や二人でも倒してしまえば良い。例え作戦が失敗しても、痛み分けならばこちらの勝ちと言えるだろう。なにせ、こちらのサーヴァント一人と向こうのサーヴァント一人では、価値が大きく違うのだからな」

 

「そして……敵に奪われたとしても完全に心を掌握出来ないサーヴァントならば、こちらの損害は大きく減らせる。そうでしょう、メディアさん?」

 

 アタランテの言葉を継ぎながら歩いて来たアンは、そう言って自分の傍らに居る相棒を前へと押し出した。彼女の相棒、瞳に光の灯っていないメアリー・リードは無言でメディア・リリィの事を見つめている。

 

「メディア、お前の魔術で不可視化した小舟でアルゴー船に接近し、メアリーの奇襲を食らわせる。私たち四人で行う電撃作戦だ」

 

「メアリーは船の上での戦いに慣れています。すばしっこいから単独行動にも向いていますし、潜入役にはぴったりかと」

 

「敵のサーヴァントの一人でも討ち果たしたら即刻撤退だ。その間、私とアンが援護射撃をして、メアリーの撤退を援護する」

 

「もし作戦が失敗しても大丈夫! 今のメアリーは男の人に抱かれるか戦う事しか出来ないお人形さん……奪われたとしても、あまり損害はありません」

 

 作戦の全容とメリットを説明したアタランテとアンは、メディア・リリィの瞳を見つめながら彼女の胸中を予想した。今、彼女の中では抜け駆けをする罪悪感と自分の汚名を晴らしたいと言う欲望がせめぎ合っているのだろう。

 そのせめぎ合いに欲望が勝る様、アタランテとアンは新たな情報を与える。

 

「……抜け駆けをしたとして、手柄を立てれば誰も文句を言うまい。何を気にする必要がある」

 

「メアリーが捕縛されても、彼女は私と二人で一人のサーヴァント……片方だけでは何の意味もありませんのよ?」

 

「……つまり、デメリットは実質無いと言うことですね?」

 

「ええ! そうですとも!」

 

 メディア・リリィの心が作戦の決行に傾いたことを感じ取ったアンが笑う。彼女の笑みを見た時、メディア・リリィの心は決まっていた。

 

「……やりましょう、その作戦。敵の戦力を少しでも削るんです」

 

「よく言った! 私たちも全力でサポートさせて貰うぞ!」

 

「この作戦で手柄を立てて、帰還した際にソロモン様にたっぷりとご褒美を頂きましょうね!」

 

「ああ、そうだな……帰った時には、我らが(マスター)にたっぷりと褒美を頂く為にも、な……♡」

 

 浮かれた声を出すアンとアタランテ。メディア・リリィは自分がダシに使われている事を察したが、それでも自分の名誉を挽回出来るのならばと彼女たちの目論見に乗ることを決めた。

 

「では、早速行くとするか。気取られぬ様、こっそりとな……」

 

 静かな夜。月と星が煌く夜空。小さな船に乗り込んだ四人は、意気揚々とアルゴー船に向けて出港する。

 作戦を成功させると固く決意し、手柄を立てることを望むメディア・リリィであったが、彼女はある事に気が付いていなかった。

 

 この作戦の立案者は、もう自分たちの味方では無いと言う事を。そして、彼女の言う作戦とは、自分たちの考えとはまるで違うものである事を。

 そして、彼女の言う主とは、今から向かう場所に居る青年であると言う事を、この時の彼女は知る由も無かった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

潜入作戦

 

「まったく、何でこうなったんだ!? あの魔女め、こんな厄介な事に俺を巻き込んでくれるとは……!」

 

 アルゴー船船長室、忌々し気に愚痴を零す部屋の主イアソンは、敵にヘラクレスが居ると言うこの危機的状況に参ってしまっていた。数々の伝説を打ち立て、その強さを身に染みて理解している彼だからこそ、今の状況が非常にまずいと言う事が良く分かっているのだ。

 召喚されるのは構わないが、何故こんなにも危機的状況に呼ばれてしまったのか? そもそも、あの魔女に良い様に使われている現状は自分にとって好ましい物では無い。だが、だからと言って一度自分を利用したソロモンに下るつもりにもなれないでいる。

 

「……私は勇気と知恵で戦うタイプの英霊なんだ。こんな圧倒的不利な状況で何をしろと言うんだ……!?」

 

 自慢では無いが自分は戦いなどするつもりは無い。と言うより、出来る気がしない。恥ずべきことだが、他のサーヴァントに一発ぶん殴られればそれで気を失う確信がある。

 自分はあくまで指揮官であり、前線に立って戦うタイプのサーヴァントでは無いのだ。そして、有利な時に敵を圧倒して勝つのが自分の能力を一番発揮出来る時だと自負している。だからこそ、こんな危機的状況で何かをしろと言われても困る訳であり、こうやってアルゴー船をカルデア一行にタクシー代わりに借す事くらいしか出来ないのだ。

 

「はぁ……せめてもっと戦力があれば……! 後、強力な英霊とあの魔女以外のマスターも欲しいな……!」

 

 無い物ねだりだとは分かっているが、イアソンはそう願わずにはいられなかった。ヘラクレス並の英霊か、それとも自分に因縁の無い(出来れば美しくて心清らかな女性の)マスターのどちらかでも良いから与えて欲しいと切に願った。

 そして……それが絶対に叶うはずが無いと自分で結論を出し、それでも現状を受け止めきれずにがっくりと机の上に突っ伏す事で現実逃避の極みへと近づこうとしていた。

 

「……早く楽になりたぁい……早く戦いを終わらせてくれぇ……」

 

 もはや何かを考えることすら億劫になった彼は、まるで他人事の様に弱音を零しつつこの苦しい戦いの終焉を願う。今の自分が置かれている状況は一言で言えば悪夢だ。同じ場所で行われたあの戦いの方がまだましだっただろう。

 駄目男兼駄目英霊イアソンはそうしてこの世の全てを諦めた様な表情を浮かべて大きな溜息をついた訳だが……今宵彼を襲うのは、そんな暗い気分を吹っ飛ばすほどのデンジャラスな出来事である。

 

「へぇ……楽になりたいんだ? なら、ボクが手伝ってあげようか?」

 

「はぁ?」

 

 部屋に響く聞き覚えの無い声。幼い少女の様な、それでいて十分な修羅場を潜った猛者の様な、そんな相反した二つの印象を覚える声を耳にしたイアソンは非常に間抜けな声を出しつつ顔を上げる。

 視線を上げた彼が見たのは、部屋の中心に立つ一人の少女だった。銀色の髪とアイスブルーの瞳、その容姿と小さい体も相まって、イアソンにはその少女はまるで船に迷い込んで来た子猫の様に思えた。

 だが、イアソンはすぐに自分の危機察知能力が警報を鳴らしている事を感じ取る。この見覚えのない少女は、間違いなく自分に危害を加えようとしているのだと己の心は叫んでいた。

 

「うぉっ……!?」

 

 考えるよりも先に体が動いた。座った椅子の背もたれに重心を預け、そのまま後ろへと倒れ込む。ぱっちりと開いていた自分の瞳が見たのは、眼前ギリギリを通った銀色の閃光だった。

 

「……避けないでよ。綺麗に首をすっ飛ばすつもりだったのにさ」

 

 いつの間にか、少女は机の上に移動していた。後頭部を強かに打ち付けた痛みもそこそこに、イアソンは速攻で体勢を立て直すと部屋の入口まで四つん這いで駆けて寄る。ゴキブリの様な俊敏さとしぶとさを持つ彼の姿に襲撃者である少女は辟易とした声を漏らした。

 

「き、き、き、貴様っ!? 俺を殺しに来たのか!?」

 

「うん、そうだよ。キミを殺せばこの船は消える。暗殺するなら、キミが一番成果をあげられるからね。あと、キミは弱いし……って、アンが言ってた」

 

「お、おおぉぉぉ……!」

 

 何と見事な戦術眼。このアルゴー船の持ち主であり、偉大なる船長であるイアソンを狙うとは非常に優れた指揮官が敵には居るのだろう。最後の方に彼女が言った呟きを聞こえないふりをしながら、イアソンはそう思った。

 目の前に居るのはカトラスを手にした謎の暗殺者、対するのは戦いはてんで駄目のイアソン様……分かり切った事だが、大ピンチだ。

 

「……どうしたの? 逃げないの? 部屋から出て、助けを呼べば良いじゃん」

 

 手にしたカトラスを揺らし、襲撃者ことメアリー・リードがイアソンへと近づいて来る。彼女の行動に対し、イアソンもまた慎重に自分の対応を決しながら行動を起こしていた。

 何も考えず、恐怖に任せて逃げるのではなく、メアリーの行動を逐一観察する。じりじりと距離を詰める彼女に対して、自分もまたじりじりと距離を取って行く。

 彼のその行動は正しかった。メアリーに背を向けて駆け出そうとすれば、即座に彼女はイアソンの背中に飛びついて彼を殺すだろう。大声を出そうとしても同じ、息を吸うその一拍の間に距離を詰め、カトラスが無慈悲に振るわれるだけだ。

 

 総じて、イアソンの取れる行動は『時間を稼ぐ』と言うたった一つだけだった。そして、それこそが彼が生き延びられる最善の策だったのだ。

 

「ふ~ん……馬鹿だけど、愚かでは無いって所かな? でもま、意味ないよね? 圧倒的な力量差があるのなら、いつかは殺されちゃうもんね?」

 

「っっ……!?」

 

 カトラスを手にするメアリーが笑う。その笑みは、狂気と殺意を漲らせた恐ろしいものだった。絶対に味わいたくないであろうこの恐怖を前に、イアソンが歯をかちかちと鳴らしながら全身を震わせる。

 メアリーがその気になれば自分は即殺されるだろう。そうなっていないのは、彼女が人知れずに自分を殺そうとしているからに過ぎない。

 出来る限り静かに、誰にも気が付かれない様にイアソンを殺害し、アルゴー船が消滅する時の混乱に紛れて脱出する。それがメアリーの目的なのだ。万が一の失敗で自分の潜入がバレ、増援が駆けつけてしまうのが彼女にとっては一番まずい展開だ。

 

(こ、声を出したら殺られる! 逃げようとしても同じ! お、終わった!)

 

 逃げ場無し。打つ手無し。結論、イアソン終了。

 案外聡明なイアソンは、自分の辿る末路を悟ると顔を真っ青にしてその場に硬直した。まさかこんな唐突に死がやって来るとは思わなかった訳である。

 恨むのは自分と言うVIPに護衛一人付けなかったあの魔女だ。英霊の座に帰ったら徹底的に罵倒してやろうとイアソンは既に死んだ後の事を考え始めている。

 

「んじゃ……ばいば~い」

 

(あ、終わった)

 

 メアリーが床を蹴り、自分目掛けて跳躍して来る。その光景がスローモーションに見えているイアソンは、素直な感想としてそう心の中で思った。

 断末魔の光景とはこんな風に見えるのだなと妙に納得しつつ、彼は段々と迫って来るメアリーの姿をそのまま見つめている。あのカトラスで体を斬られたら痛いのだろうなと、イアソンはどこか他人事の様な感想を胸に抱いた。

 

 もう数メートルほどまでメアリーは迫っていた。避けることも防ぐことも出来ない彼女の一撃を受け、自分は英霊としての命を終えるのだろう。

 メアリーがカトラスを振り上げるのが見える。ああ、さらばオケアノスの海、久方ぶりのアルゴー船もあまり活躍させられずにすまなかった……

 あの魔女は一生恨んでやる。あと、この女も絶対に許さないからな。このイアソン様を手にかけたことを一生悔やみ続けろ! などと言う馬鹿みたいな辞世の句を心の中で彼が読んでいた時のことだった。

 

「ぐっ……!?」

 

 突如として、イアソンの耳に痛みが走った。耳、と言うよりは鼓膜に衝撃と痛みが走ったと言う方が正しいのだが。

 それと同時に目の前のメアリーの体が大きく横に吹き飛ぶ。吹き飛んだのは彼女の小さな体だけではなく、船長室の一部の壁も同じだった。

 

「ぐへぇっ!?」

 

 そして、当然彼女と至近距離にいたイアソン自身も大きく吹き飛んで壁に叩き付けられた。潰れたカエルの様な鳴き声を出して呻くイアソンは、メアリーよりも乱暴に自分の部屋に踏み込んで来た人物へと視線を向ける。

 

「ふむ……あの魔女の言う通りだったか。念のために罠として爆薬を仕掛けていて良かった」

 

「お前、なぁ……! 大事な私のアルゴー船になにをしてるんだ!?」

 

「命が助かったんだ、部屋の壁位大目に見ろ。それとも、貴様は頭と胴体が泣き別れになることを所望しているのか?」

 

 非常に冷徹な声でイアソンへのそう質問したエミヤ・オルタは、一応と言った様子で彼を庇う様にして立ちながら腰のホルスターから銃を取り出す。その銃口を床に倒れ伏すメアリーに向けたエミヤ・オルタは、冷ややかな声で彼女に告げた。

 

「……さて、早速だが降伏を勧告しよう。貴様は今、敵の本拠地で孤立している。よもや楽に脱出出来るとは思っていまいな?」

 

「そんな事は知ってるよ。でも、脱出出来ないとは思って無いんだ」

 

「それは貴様の仲間が乗って来た小舟に飛び乗って脱出するつもりと言う事か? 残念だが、そちらも他の連中が相手しているぞ」

 

「……ああ、そっか。メディアの魔術がバレちゃったのか。まあ、こっちにもメディアが居るから予想の範疇だけどね」

 

 暗殺は失敗し、襲撃は露見した。脱出方法もバレてしまったのだから、この作戦は失敗だろう。

 その事を理解しつつ、メアリーはゆっくりと立ち上がる。来ていた黒のロングコートは爆発の衝撃で破れ、留め具が外れていた。

 

「……驚いた、女の子の裸を見ても眉一つ動かさないんだ?」

 

「戦いの中では女も男も無い。敵と味方すらも感じない。自分とそれ以外……無論、そこに情欲などありはしないさ」

 

「まあ、そうだよね……ボクみたいな傷物の貧相な体した女の裸を見ても、嬉しくもなんともないか……」

 

 分かり切ったことだけどやっぱり辛い、そんな言葉が聞こえて来そうな溜息を一つ付いたメアリーが顔を上げる。改めて彼女の目を見たイアソンは、その瞳の中に光が灯っていない事に気が付いて息を飲んだ。

 

「……降伏しろ、これが最後の警告だ。言っておくが、俺は他の奴らの様に甘くは無い」

 

 改めて降伏勧告をしたエミヤ・オルタは、冷徹な言葉と共に銃を握る手に力を込める。引き金に指をかけたままメアリーの動きを見守る彼は、メアリーが抵抗しようとするならば間違いなくそれを引くだろう。

 だが、明らかな殺意を受け、脅しに近い勧告を受けながらも、メアリーにはそれに従う様子はない。光の無い目でエミヤ・オルタを見つめ、張り付けた様な狂気の笑みを浮かべてカトラスを構える。

 

「悪いけどボクにはそんな選択肢は許されて無いんだ。ボクは要らない子……役立たずの、死んでも構わない捨て駒だから……帰って来なくても良いってアンに言われてる、だからさ――」

 

 相棒からの心無い暴言。普通ならば心を傷つけ、悲しみに暮れるであろうその言葉をさも当然であるとばかりに口にしたメアリーが殺気を放つ。エミヤ・オルタは、彼女には説得は無駄であると判断して戦いの構えを取った。

 

「ボクには何にも無い……アンや船長みたいに男を興奮させられる躰も無い。イリヤやクロエみたいな可愛らしさも無い。ヘラクレスみたいにすっごく強い訳でも無い。な~んにも無い、肉便器にすらなれない傷物の糞サーヴァント……せめて死んでも役に立てってアンが言ってたからさ、ボクはそうするよ」

 

 あまりにも悲しい言葉を口にしながらメアリー・リードは床を蹴り、エミヤ・オルタへと襲い掛かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今聞こえたのは銃声……と言う事は、メアリーの潜入が発覚した様だな」

 

「その様ですわね。さて、あの子はしっかりと自分の役目を果たせたのかしら?」

 

 その頃、アルゴー船のすぐ近くに浮かぶ小舟の中で様子を伺っていたメディア・リリィたち三人は、闇夜に響いた銃声を耳にして計画の露見を悟っていた。こうなると気になるのは、メアリーは誰かを暗殺することが出来たかどうかである。

 

「……優先目標であるカルデアのマスターとイアソンは無事の様ですね。船が消えていないし、潜入が露見した割には静かです」

 

「その様だな」

 

 メディア・リリィに返答しながら立ち上がったアタランテが矢をつがえる。波に揺られ、不安定な船の上だと言うのにも関わらず瞬時に放たれた数本の矢は、アルゴー船から飛来して来た火の玉の中心を射抜くとそのまま船のマストへと突き刺さった。

 

「ちっ! 良い腕してやがるぜ……!」

 

「あらあら、もうバレてしまいましたの? メアリーったら、何をしているのやら……本当に使えない子ね」

 

 メアリーへの暴言を吐きながら今度はアンがマスケット銃を構えた。即座に引き金を引いて弾丸を発射した彼女は、クー・フーリンの放った火球に続いて放たれていた矢を的確に撃ち落としていく。

 

「クー・フーリンとロビンフッド……なるほど、隠れている敵を見つけ出すのにはうってつけの二人ですね」

 

「加えて、私も居る訳だけれども。そんなちんけな隠蔽で姿を隠し切れると思っていたの?」

 

 クー・フーリンとロビンフッドを伴い、アルゴー船の上から幼い姿をした自分自身を見下ろしているメディアは、ふんと小さく鼻を鳴らしながらそう言った。

 自分自身の施した魔術を見破り、自分たちの旗艦のすぐ近くにまで迫っていた敵の姿を発見したメディアは、背後に攻撃用の魔術を展開しつつ自分自身へと問いかける。

 

「……それで? そのちんけな小舟でどうするつもりかしら? まさか、このまま戦いを挑む訳じゃあ無いわよね?」

 

 挑発する様にして三人へと言葉を投げかけるメディア。彼女は、出来得る事ならば敵がこの挑発に乗ってくれないかと願っていた。

 戦況で言えば確実にこちらが有利な状況だ。そして、アルゴー船の内部にはメアリーが居る。彼女を回収しようとして三人が残ってくれれば、芋づる式に彼女たちを捕縛することが出来るかもしれないのだ。

 だからこそ、メディアは蔑む様な視線を送って過去の自分自身のプライドを逆なでする様な態度を取った訳だが、そんな彼女の思惑も虚しく、三人は短い溜息をついた後で撤退の構えを取り始めていた。

 

「潮時ですわね……これ以上は無意味でこちらの被害を増やすだけですから」

 

「そうですね。メアリーには作戦失敗の責任を取って貰いましょう」

 

「元よりその可能性も加味して決行された作戦だ。彼女の損失は、大した損害にはならん」

 

「なっ!?」

 

 あっさりとメアリーを見捨てて帰還しようとしている三人組を見たメディアは驚きに眼を見開いた。仲間をこんなにも簡単に切り捨てるなど、正直予想外だったのだ。

 自分の隣に立つクー・フーリンも落ち着いてはいるが、彼女たちの行動に多少の驚きは感じていた様だ。静かに、彼は一つの質問を投げかける。

 

「おい、海賊の嬢ちゃん。あのちびっ子はお前さんの相棒なんじゃ無いのか? それに、距離が離れすぎたら問題があるんじゃねえの?」

 

「ああ、そんなことですか……煩わしい縛りなどソロモン様の手にかかれば有って無いような物、今の私たちは別々に行動しても何の問題もありませんわ」

 

「そうかい……そのお陰で大切な相棒も簡単に敵地に取り残せるって訳か」

 

「あら、聞きたいのはそちらの方でしたの? 光の御子様もお甘いんですのね? いや、今は森の賢者とお呼びした方がよろしいのかしら?」

 

 くすくすと喉を鳴らしてアンが笑う。可愛らしい仕草で口元に手を置いて笑う彼女であったが、その目にはゾッとする様な狂気が宿っていた。

 残虐さと冷酷さが押し出され、かつての愛らしさと茶目っ気が完全に消え失せたアンの姿を見たクー・フーリンがうんざりとした溜息を漏らす。その行動には、何かを諦めた様な感情が込められていた。

 

「……引き止めんのは無理だな。奴さん方、本気であの嬢ちゃんを残して逃げるつもりだぜ」

 

「……あの娘は最初から捨て駒として見られてたって事?」

 

「みたいだな……その理由は何なのか、今は予想がつかねえが……」

 

「何をごちゃごちゃと話している? 何の意味も無い行動は止めたらどうだ?」

 

 小さな声で行われていたクー・フーリンとメディアの会話に割り込んだアタランテは、小さく鼻を鳴らすと二人の顔を見つめながらなおも言葉を続けた。

 

「良かったでは無いか。これでお前たちはこちらの戦力を削ぐ事に成功した……喜ぶべきことだろう?」

 

「そうですわね。いなくなっても困らない程の戦力ですが、そちらからしれみれば大喜びする様な事なのでしょう?」

 

「……全てが無意味だと言うのに、可愛らしいことで……! まあ、せいぜいメアリーさんを可愛がってあげれば良いのではないですか? ですが……あなたたちが何をしようと、彼女には何の意味も為さないと言う事をお忘れなく。自分たちの無力さを噛み締め、ソロモン様の偉大さに恐れおののきなさい!」

 

「と言う訳だ。メアリーはお前たちの好きにしろ……何も遠慮は要らない、どんな風に扱っても良いぞ。たっぷりと……可愛がってやってくれ」

 

 アタランテが呟きを発したと同時に小舟が再び姿を消した。メディア・リリィの魔術によって気配や魔力を一切感じさせなくなった小舟は、信じられない速度でアルゴー船から離れて行く。

 作戦結果としてはカルデア側の圧勝だが、意味深な三人の言葉に嫌な物を感じていたメディアは、傍らのクー・フーリンと視線を交わらせる。

 

「……どう言う意味だと思う? 奴ら、何か策があるみたいだったぞ」

 

「全てが無意味……一体、どう言うことかしら?」

 

 暗殺に失敗した結果とは言え、実質的にメアリーをこちらにプレゼントした形になった三人の作戦に困惑を隠せないでいる二人は、彼女たちの真意を探るべく考えを巡らせていた。そんな中、何かを調べていたロビンフッドが二人に近づくと口を開く。

 

「……別段言葉の裏を考えなくても良いんじゃないすかねぇ? 小さい方の海賊は、あいつらからのプレゼントだったりして」

 

「何を馬鹿なことを言っているのよ。そんな事あるはずが――」

 

「どっこい、あるみたいだぜ? 少なくとも、敵さんの中に裏切り者が居ることは確かだ」

 

 そう言いながら両手に掴んだ物をメディアたちの前に突き出したロビンフッドは、それぞれ片方ずつを二人に見せつけながら解説を始めた。

 

「こいつはさっきアタランテが放った矢とそれにくっついてた手紙だ。それを読む限り、アタランテの奴はソロモンを裏切るつもりみたいだぜ」

 

「えっっ!? つい数日前には男たちに尻穴を穿られて喘いでいた彼女が、ソロモンを裏切るですって……?」

 

「……何かの罠か、それとも……?」

 

「……ま、考えんのは後にしましょうや。今はメアリーを確保して、マスターにこの手紙の事を報告するとしましょうぜ」

 

 自分たちだけで判断を下すのは早計だと結論を出した三人は、船内から聞こえて来る物音が完全に静まった事を確認してから内部へと戻って行った。

 アタランテは本当に自分たちに味方するつもりなのか? 今は結論の出せない疑問を抱えながら、三人はただ黙ってこの不思議な出来事について考えを巡らせ続けていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ああ、あァ……やっぱりダメだった。一人も殺せなかった……申し訳ありません、ソロモン様……ごめんなさい、アン……」

 

 がっちりと四肢を海魔の触手に絡め捕られ、エミヤ・オルタに銃口を突き付けられたメアリーはうわ言を繰り返していた。その声色からは謝罪の念が感じられるが、瞳には一切の光が灯っていない。

 こうして完全に捕らえられるまで、メアリーは捨て身の抵抗を続けていた。文字通り、自分の命などどうなっても良いとばかりに無謀な特攻を仕掛け、サーヴァントを一人でも殺害しようとしていたのである。ジルの召喚した海魔による物量戦と狭い場所での戦いに慣れていたエミヤ・オルタと沖田の活躍で損害は皆無に等しいが、下手をすれば甚大な被害が出ていたかもしれない。

 

「……でも、これ以上はどうしようも無いよね? ボクの事、殺せないでしょう?」

 

「強気だな? だが、俺は貴様が思う程甘い男ではない。その気になれば簡単に引き金を引ける」

 

 この絶体絶命の状況でも不敵な笑みを絶やさないメアリーに対し、エミヤ・オルタを冷ややかな言葉を投げかけつつ引き金に触れる指に力を込めた。実際、この場でメアリーを生かしておいても何のメリットも無い。ならばここで始末しておいた方が後々の為になるだろう。

 しかし、そんな彼に対して沖田が鋭い視線を向けると、それと同じ位鋭い口調で叱責の言葉を飛ばして来た。

 

「エミヤさん、メアリーさんを討つのは無しです。それをされると非常に困ります」

 

「……何故だ? 俺としては、ここで始末しておいた方が安心出来ると思うのだがな」

 

「あは、あはは……! そうだよね? ボクの事は殺せないよね? だってボクを殺したら、アンも消えちゃうもんね?」

 

「……なんだと?」

 

 けたけたと笑うメアリーは、まるで悪戯が成功した時の子供の様だった。そんな彼女の様子に苛立ちを募らせたエミヤ・オルタが鋭い視線を向けると、メアリーは張り付けた様な笑みを浮かべたまま彼に向けて簡潔な説明を始める。

 

「ボクとメアリーは一心同体、どちらかが死ねばもう片方も消える……ここでボクを殺したら、アンも死んじゃうんだよ? そうしたら困るよね? だって、次にボクたちに会うのはいつになるか分からないもんね? もしかしたらこれが、ボクたちを取り戻せる最後のチャンスかもしれないもんね? ……ボクを殺したら、ボクとアンには二度と会えないかもしれないよ?」

 

 自分たちの特徴を活かし、自分自身を人質にして自分の命の安全を確保したメアリーは、なおも笑い続けながらエミヤ・オルタたちを挑発した。

 

「それじゃあキミたちはどうするか? 決まってる、ボクだけでもどうにかしようとする訳でしょ? つまりボクを抱くわけだ? 傷物で、貧相で、なんの面白みも無いボクの事を我慢して抱いて、セックスする訳だよね? でも……意味はな~い! だってボクはアンと二人で一人のサーヴァントだから! ボクだけをどうにかしても、アンが無事な限りはボクはお前たちの物にはならない! つまり……ボクの事を捕まえても、何の意味も無いって事さ! アハハハハハ……!」 

 

 ジルを、沖田を、そしてエミヤ・オルタを馬鹿にした後で、メアリーは嗤う。嗤い続ける。感情の籠っていない空虚な声で、彼女はただ笑い続けていた。

 

「……ボクには何の価値も無いんだよ。だから見捨てても大丈夫なんだ……! 最悪死んだって構わない、だってボクは何の役にも立たないから……アンが居るからボクは価値が生まれる。ボク一人じゃ、何の価値も無いゴミ屑なんだよ」

 

 ただ一瞬、自分を卑下する時のみ感情を覗かせながら、メアリーはひたすらに笑い声と自己嫌悪の言葉を交互に繰り返し続けたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

予想外の雄(メアリー・リード)

 

 

 

「くすくすくす……こうやって会話を交わすのは久しぶりだね、元マスター。何をしに来たかを聞くのは野暮ってものかな?」

 

「メアリー……」

 

「ああ、うん、良いんだよ。下ごしらえをされた時点でボクが何をされるかは分かってるんだ。だから、思う存分ボクを抱けば良いじゃないか」

 

 全裸の状態であっけらかんとマスターに向けて腕を開いたメアリーは、その瑞々しい女体を彼に向けて惜しむ事無くひけらかす。メアリーの体は、腹部と顔に傷跡が残っている以外は愛らしい少女そのものだ。

 ただ一点、メアリーがマスターに危害を加えない為の保険として、彼女のアナルにはダヴィンチちゃん特製のバイブが挿入されていた。これは、中に筋弛緩効果のある薬品が含められており、メアリーが抵抗の意思を見せると即座にそれが注入される仕組みになっている。直腸は薬品の吸収が早い。もしもメアリーが抵抗し続け、バイブ内の薬品を全て投入された場合、彼女は数時間はまったく動けなくなるだろうとは開発者の言葉である。

 

「ほら、好きにしなよ……でも、意味があるのかなぁ? 元マスターの粗末なおちんぽじゃあ、ボクは一切感じないかもしれないよ?」

 

 ベッドの上で寝転び、カルデアのマスターの顔を見つめながらメアリーは彼を挑発するかの様な言葉を浴びせた。小悪魔の様な笑みを浮かべる彼女は、自分の秘所を開いてマスターへその中を見せつけながら言葉を続ける。

 

「ボクのおまんこはね、ソロモン様や海の荒くれ者たちのおちんぽでたっぷり広げられちゃったんだよ? 筋骨隆々とした男たちや、それを超える程の大きさを持つ魔術王のおちんぽを味わったボクが、今更ただの男の子である元マスターのおちんぽで感じると思う?」

 

「………」

 

「皆、ボクみたいな傷物におちんぽとザーメンを恵んでくれた素晴らしい人たちだよ。生きていた時以上の快感を教えて貰って、ボクの事を肉奴隷として沢山使ってくれたんだ。アンも言ってた、ボクみたいな貧相な傷物を使ってくれる男の人たちには、一生懸命サービスしなさいって……それしかボクの価値は無いんだって、そう言ってた」

 

 無言のまま、悲し気な表情を見せるマスターの頬に手を添えたメアリーは、愛情も何も籠っていないキスを彼の唇に送った。蔑む様な感情が籠った視線を彼へと向けたまま、彼女はなおも話し続ける。

 

「残念だったねぇ、元マスター。良い躰をしてるアンの方だったら、もっと楽しめたはずなのにね? 同じ貧相な体だとしたら、イリヤかクロエの方が良かったよね? 傷物のボクを我慢して抱かなきゃいけなくて、しかも男としてのプライドを傷つける羽目になるんだもん、本当に可哀想だよ」

 

 両手を頭の後ろで組み、メアリーは退屈そうな表情を浮かべたままベッドの上に寝転がる。何もかもがどうでも良いと言った様子の彼女は、平然とした表情で最後にマスターに告げた。

 

「さ、無駄な行為を始めなよ。ボクは抵抗もしないし、何の反応も示さない……好きに貪って、果てて、諦めれば良いじゃないか。せいぜい頑張りなよ、元マスター……!」

 

「………」

 

 自分自身を卑下し続け、悪意を剥き出しにして接して来るメアリーの様子に心を傷つけながら、カルデアのマスターは彼女へと手を伸ばした。どこまでも余裕を持った表情で自分を見上げて来るメアリーの瞳に光が灯っていない事を見て取った彼は、一瞬だけ歯を食いしばってその悔しさに耐える。

 自分を馬鹿にされる事などどうだって良い、だがどうしても許せない事なら一つある。その過ちをメアリーに教え、正気を取り戻させなければならないのだ。それが敗北して仲間を奪われた自分の贖罪であり、今出来る唯一の事なのだから。

 

「ふふふ……そんな怖い顔しないでよ、もしかして緊張してるの? 元マスター、可愛いねえ……」

 

 そんな欠片も温かさを感じない言葉を口にするメアリーの瞳を覗き込みながら、マスターは彼女の心を解放する為の戦いを始め、手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、申し開きを聞こうか? メディア、何であの策を実行した?」

 

「……申し訳ありません」

 

 一方その頃、ドレイクの船の中では今回の急襲作戦を実行したメディア・リリィたち三名が詰問を受けていた。メアリーと言う戦力を失った事を詫びるメディア・リリィであったが、そんな彼女に対してアタランテが助け舟を寄越す。

 

「船長、あまりメディアを責めないでくれ。今回の作戦を実行しようと提案したのは私なんだ。罰を受けさせるなら私だけにしてくれ」

 

「ほぅ……? 殊勝な心掛けだが、何で作戦の実行をこいつに勧めた? 黒髭の奴が言っていた様にこの作戦には穴があったんだぞ?」

 

「……少数精鋭ならその穴を塞げると思ったんだ。得られる成果も少ない分、失敗した時の損害も減らせると思ったから実行した」

 

「……アタランテ、アタシが言っているのはそう言う事じゃない。何で失敗する可能性があるかもしれない作戦を無理に実行させたんだと聞いているんだよ。それに、お前さんが積極的に前に出るなんて珍しい事もあるじゃないか、どう言う心境の変化だい? えぇ?」

 

 作戦のメリット、デメリットでは無く、()()()()()()()()に関する質問を投げかけて来たドレイクに対し、アタランテは言葉を発せずに口ごもってしまった。ここで下手を打てば自分の心変わりが露見してしまうだろう、上手く立ち回らなければと彼女が頭脳をフル回転させていると……

 

「あ、アタランテさんは、私の事を案じてくれたんです! 失敗続きの私に手柄を立てさせようとしてくれて、それで……」

 

「なるほどね、生前からの知り合いに対する姉心って訳かい? なら、何でそこで口籠っちまったんだ? 素直にそう言えば良いじゃないか」

 

「いや~、普通は言えないでしょ! リリィちゃんに元気を出させる為に無茶な作戦を実行しました~! なんて、本人の目の前で言ったら確実に傷つけちゃうし、心から心配してる相手に対してそんな事は出来ないでしょ~よ」

 

「……まあ、それもそうか。確かにまあ、口籠る訳だ……」

 

 今度はアタランテに対して助け舟を出したメディア・リリィの発言と、それを擁護する様な黒髭の言葉に納得した様子を見せたドレイクは、それ以上の詮索をすることなくアタランテへの追及を打ち切る。しかし、彼女は今後の行動に関しての責任を問い始めた。

 

「それで? この失敗に対する落とし前はどうつけるつもりだい? まさか、やられっぱなしで済むと思っている訳じゃあ無いだろう?」

 

「当然だ、メアリーは私たちの元へ必ず奪い返す。彼女はアンと組んでこそ100%の力を発揮出来る英霊だ、バラバラの現状では戦力としてカウント出来はしないだろう。しかし、アンは違う。人数が多いこちらなら、銃撃によるアシストだけでも十分に戦力としてカウント出来るだろう」

 

「そう言う事ですわ! ……それにアタランテさんも仰った通り、私たちは二人で一人のサーヴァント。メアリーを懐柔出来たとしても、私がもう半分を担っている限りは彼女を完全にモノにする事は出来ないのです。ですから、カルデアの面々はメアリーに対して無駄な労力を使うしか無いのですわ」

 

「元々デメリットらしき物が見受けられないから実行した。確かに私情が絡んでいた事は認めるが、ここまで考えての実行だったんだ」

 

「………」

 

 アタランテとアンの弁明を聞いたドレイクが難しい表情を作りながら二人を見つめる。彼女は今、確かな違和感を感じていた。

 何かがおかしい。理由や証拠は無いが、自分の心が確かな不協和音を聞き取っている。自分は今までこう言った予感を外したことは無い。ならば、何処かに問題が起きているのだ。

 

 ドレイクはその違和感の正体を探るべく仲間たち一人一人の表情をじっくりと見つめて行く。しかし、その行動を遮る様にしてアンが大声を上げながら腕を広げると、周囲に居る男たちに向けて卑猥な動きを見せつけて語り掛けた。

 

「ああ、もう良いではないですか! 私たちは失敗しました、その責任は取ります。具体的にはそうですね……メアリーが居なくなった分、相棒である私が男性方のお相手を誠心誠意努めさせて頂くと言うのは如何でしょう?」

 

 右手の人差し指と親指で輪を作り、左手の中指をそれに出し入れしながら舌を出して口の端を舐め回すと言う卑猥な態度を見せたアンに対し、男たちの歓声が上がる。豊満で魅力的な肢体を持つ彼女にこんな姿を見せられては、男たちも肉欲を滾らせるほか無いだろう。

 

「……なら、私も加わろう。自分の失敗の尻拭いは自分で行わなければな」

 

 次いでアタランテが淫らな宴に加わることを宣言した瞬間、男たちの興奮はピークに達した。懲罰の名の下に魅力的な女体を弄べる事を喜ぶ彼らの頭の中は、この後二人をどうしてやろうかと言う妄想で一杯になってしまう。

 こうなっては詰問どころでは無い。この状況に水を差せば、間違いなく男衆は興ざめしてしまうだろう。そうなれば士気の低下を招く、それはドレイクにとって避けたい事態であった。

 

「さぁ、ひろ~いお部屋に行きましょう。そこで目一杯交わって、お楽しみといきましょうね……♡」

 

 ドレイクの指示も待たずに男たちを引き連れて部屋を出て行ったアンとアタランテは、道すがら自分たちの纏っている衣服を脱ぎ捨てながら歩み続ける。上着を脱ぎ、ズボンを脱ぎ捨て、下着を放り投げ、徐々に生まれたままの姿に近づいて行く二人の姿に男たちは興奮しっぱなしだ。

 

「おほ~っ! わかっちゃいたが、アンちゃんの尻はムチムチで良いねぇ!」

 

「アタランテのケツも堪んねぇぜ! あのケツ穴にぶち込んでやるのが今から楽しみだ!」

 

 自分たちの裸体を見た男たちの叫びを聞きながらアタランテとアンの二人は淫靡に笑った。

 やがてヤリ部屋である広い部屋に辿り着いた二人は、扉を開いてその中へと男たちを招き入れる。

 

「さあ、こちらへどうぞ……♡ これから始まる熱いセックスを思うと、私の子宮が疼いてしまいますわ……♡」

 

 男たちを誘う様に腰をくねらせるアンの秘所からは、言葉通り熱い液体が滴り落ちて来ていた。完全に発情している彼女の様子に満足気な笑みを見せながら、男たちはアンへとにじり寄る。

 

「良いね良いねぇ! そのド淫乱って感じ、最高に良いよぉ!」

 

「うふっ♡ ありがとうございます……♡ 皆様の熱い視線を受けて、私も昂ってしまいましたわ……♡」

 

 瞳に熱を帯びさせ、舌なめずりをするアンは自分の下腹部を撫でる。そこに刻まれている淫紋令呪がチカチカと輝き、彼女の興奮の強さを示す。

 

「あっ!? アンちゃんの淫紋令呪の形がいつもと違うぞ! どうなってるんだ!?」

 

 その輝きが強くなり、形が僅かに変わった事を見て取った一人の男が叫ぶ。確かの今のアンの淫紋令呪は今まで自分たちが見ていた物とは別物になっていた。

 その理由は何なのか? 頭を悩ませていた男たちであったが、蕩けた笑みを浮かべるアンが口を開くと、歌う様な声で彼らへと語り始めた。

 

「ソロモン様からお伺いしたことがあります……与えられた快楽によって、淫紋令呪は再臨すると……♡ きっと、皆様に抱かれ続けた私の霊基が快感を覚え、淫紋令呪を再臨させたのでしょう♡」

 

「おお! 噂に聞いた事はあったが、これが淫紋令呪の再臨かぁ……!」

 

 アンの説明に納得した男たちは、形を変えたアンの淫紋令呪をしげしげと眺める。自分たちの手で雌を躾けた証を目の当たりにする彼らの胸の内には、何処か誇らしげな気持ちが湧き上がっていた。

 

「……もう、皆様ったら見るだけなんですの? せっかく再臨した雌の躰……味わってくれないのですか?」

 

「ああ、その通りだ……見ているだけで満足するはずもあるまい、その肉棒を私たちにぶち込んではどうだ?」

 

 そんな男たちの視線に我慢が利かなくなったのか、二人は自ら男たちに尻を突き出すと手で自分たちの雌穴を広げて誘い文句を口にした。

 だらだらと流れる愛液と腸液の臭い、そして淫らで魅力的な雌の躰を前にした男たちもまた興奮を滾らせ、欲望のままに彼女たちへと襲い掛かる。

 

「へ、へへっ! 再臨してどんな風に具合が良くなったのか、ちんぽで確かめてやるからなっ!」

 

「アタランテ! てめぇもケツ穴再臨しやがれ! アクメさせまくって、淫紋令呪を再臨させてやるからなっ!!」

 

 雄叫びの如く叫ぶ男たちが二人の腰を掴む。今夜もまた、淫らな宴が始まるのだ。

 その事を予感しながら、アンの淫紋令呪が再臨した()()()()を悟っているアタランテは、性交へと期待を感じていると見せかけてまったく別の理由で笑みを浮かべ、不潔な雄たちに尻穴を差し出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ ダメっ♡ ダメぇっ♡ らめぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ イクっっ♡♡♡ イクぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 怒張が自分の胎の中に突き入れられる度、抗い様の無い快感が全身を駆け巡る。メアリーは、もう何度目か分からない絶頂を迎えた後でくたりと力なく体を横たえた。

 

「あ、あ……また、お尻の中におくしゅりがぁ……♡ からだに、ちから、はいんにゃく、なっへ……♡」

 

 ドプドプと言う音が自分の尻の中から響き、温い薬液が腸内に染み込む。そうすればメアリーの体からは力が抜けて行き、彼女は指一本さえ動かせなくなってしまっていた。

 

「う、ぁぁ……♡ こんなの、む、り……♡♡♡」

 

 もはや喘ぐだけ……いや、()()()()()()()の存在となってしまったメアリー。少し前までの何も感じないと豪語していた彼女の姿はそこには無く、ただのか弱い乙女の様な姿でマスターから与えられる快感に酔っていた。

 一体何故、こうなってしまったのか……? メアリーは呆けた頭でここまでのセックスを思い返し始める。本当に、何の変哲もないセックスのはずだったのだ。

 

 何てことは無いセックスのはずだった。最初はキスから始まり、その後全身に指と舌での愛撫を加えられた。優しく、メアリーの体を蕩けさせる様な甘い快感を与えて来たカルデアのマスターであったが、そんな愛撫はメアリーの心には何も響かなかったのだ。

 所詮、この程度の性技。生温い快感を愛だの何だのと勘違いさせ、それに酔った女英霊を籠絡する……それがカルデアのマスターのやり口だとメアリーはこの時確信した。そして、自分はそんな手段には引っかからないとも思った。

 事実、彼女はカルデアのマスターに何をされても喘ぎ声一つ漏らす事は無かったのだ。こんな愛撫など無意味だと鼻で笑い、彼のプライドを傷つけようとした時もあった。

 

 だが、その余裕はメアリーが彼の肉棒を目にした瞬間から崩れ始めてしまった。

 

 最初に見た時に思ったのは、純粋混じり気無い驚きだった。とても大きいと、船の男たちよりも格段に巨大な肉棒だとメアリーは思った。だが、すぐにメアリーは冷静さを取り戻した。大きいだけでは意味が無いと言う事を彼女は良く知っていたからだ。

 いかに巨根であろうと早漏であれば意味は無い。がむしゃらに腰を振るだけでも、縮こまって子犬の様な腰振りをするだけでも意味は無いのだ。

 だからメアリーはそこまで危機感を持たなかった。カルデアのマスターも大きさだけの男であり、自分の膣に肉棒を挿れれば、すぐにその張りぼても壊れるだろうと高を括っていたのだ。

 だが、その時が来た瞬間……彼女は、自分が大いに間違っていたと言う事をその身を以って痛感することとなる。

 

「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ な、なにこれぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 それは男性経験が豊富なメアリーにとっても未知の感覚だった。むしろ、生前よりも肉欲に耽っていた今のメアリーですら、その快感の前では無力だった。

 今までのセックスとは全てが違う。この肉棒(ちんぽ)は、メアリーの全てを根こそぎ奪っていくかの様な快感を与えて来るのだ。

 

 見た通りの大きさだけでは無い。海賊の男たちのそれとは硬さが、熱量が、魔力が違った。無論、この肉棒の方が数段……いや、比べ物にならない程の格上なのだ。

 挿入されただけでメアリーは達し、今まで纏っていた余裕の態度を一瞬にしてかなぐり捨てる羽目になった。しかし、これはまだ始まりに過ぎなかったのだ。

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡ んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 合図も了承も無しにマスターが腰を動かし始める。その瞬間、メアリーは声を震わせながら体を弓なりに仰け反らせていた。

 

「おほぉぉぉォォっっッ♡♡♡ はへっ♡ へあぁぁぁぁぁぁぁッッ♡♡♡」

 

 肉棒を引き抜かれる時、メアリーは自分の内臓全てが持って行かれる様な錯覚を感じていた。膨大な質量を持つそれが自分の全てを奪い去る感覚は、メアリーの膣に計り知れない快感を教え込む。

 そして肉棒が突き入れられればメアリーの小さな膣は簡単にこじ開けられ、子宮までやすやすと肉棒を到達させてしまうのだ。自分の最奥に辿り着いてもまだ余裕のあるマスターの肉棒を見たメアリーは、荒い呼吸を繰り返しつつその快感に喘ぐ。

 

「んいぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ むりっ♡♡♡ むりぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ ゆるひてっ♡♡♡ ごめんなしゃいぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 全てが、何もかもが、自分の知るセックスとは違った。違い過ぎた。いつの間にかメアリーは、謝罪の言葉を繰り返しながら喘ぐ事しか出来なくなっていたのだ。

 自分の知る性交……男の肉棒とは、言わばピストルだった。膣内に弾丸をばら撒き、適度にメアリーを追い込んだ所で急所となる場所を撃ち抜いてメアリーを達させる。分かり易く言えば、腕や脚を撃ってメアリーを弱らせた後、頭や心臓を撃ち抜いて仕留めると言った感じだった。

 その腕や脚に相当する部位を肉棒で突かれた所で感じはするが達するほどでは無い。最後の最後で急所を撃たれない限り、自分は達する事は無かったのだ。だが、カルデアのマスターとのセックス、彼の肉棒を味わうこのセックスはまるで違う。彼の肉棒をこの例えで表現するならば、()()だ。

 

「ああぁぁっっ♡♡♡ はぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ♡♡♡ んあぁぁァァぁっッ♡♡♡」

 

 大砲に当たれば人は死ぬ。それが何処であろうとも、間違いなく死ぬ。この肉棒も同じだ。自分の膣の何処に当たろうとも、間違いなくイかされるのだ。

 と言うよりも、マスターの肉棒はメアリーの弱い個所全てに当たっていた。そして、それによって普段なら大して快感を感じないはずの個所も非常に大きな快感を与えられていると錯覚してしまう。その結果、彼女は成す術なく一突き毎に絶頂してしまっているのである。

 メアリーはこんな快感は知らなかった。普通、責められる弱点は一か所だけなのだ。一発で心臓と頭を射抜ける拳銃が無い様に、今までのセックスでは彼女の中で突かれる急所は一か所だけだったのだ。

 だが、今は違う。相手にしているのは拳銃では無く大砲だ。自分の今までの経験など欠片も当て嵌まりはしない。全てが規格外で、予想以上なのだ。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ ま、まっへぇぇぇっっ♡♡♡ おひりにも、きてりゅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 本能的な危機を感じさせるほどの快感は、メアリーの体の防衛本能を呼び起こした。意思とは無関係に抵抗の構えを取り、この快感に抗おうとする。しかし、そうなると尻に挿入されているバイブの機能が発動し、メアリーの腸内に弛緩効果のある薬液を射出するのだ。

 万能の天才が作り出したその薬液の効果は抜群だった。あっという間に抵抗が出来なくなり、メアリーを従順な肉人形へと変えてしまう。しかし、それでもまだメアリーの体は反射的に防御の構えを取る為、薬液の射出は止まらないでいた。

 

「もうだめっ♡♡♡ もうだめもうだめもうだめぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ こわれるぅぅっ♡♡♡ ボクがこわれちゃうよぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 薬液が注入される度、自分の体から硬さが抜けて行く。そうなると、肉棒を突き入れられている膣が素直になってしまう。柔らかく解れた膣肉がマスターの肉棒を受け入れ、一突き毎に狭い膣内が押し広げられて行く感覚にメアリーは声にならない声を上げて喘いだ。

 いや、広げられているだけでは無い。先ほどまで完全に挿り切らないでいたマスターの肉棒が、段々と自分の膣内に収まろうとしている事がわかる。自分の霊基が、彼の物になろうとしている事をメアリーはひしひしと感じ取っていた。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ やめてぇぇぇぇぇぇっっっ♡♡♡ このままじゃボク、元マスターのものになっちゃうっっ♡♡♡ おちんぽでしつけられちゃうぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 叫びを上げるメアリー。多大なる快感に体は防衛の構えを取るも、それを察知したバイブが薬液を射出する度にその抵抗も弱くなる。そして、それと同時にマスターの肉棒が彼女の膣内に収まり始めようとしていた。

 

「んいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっッ♡♡♡ おきゅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ はっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 上からマスターに圧し掛かられ、肉棒に膣内を耕される。重く、激しい一撃を受ける度、知らない快感が子宮から全身へと伝播して行く。

 

 何故、こんなにもお前の膣は狭い? このままでは自分が完全に収まり切らないではないか。

 何故、お前の膣は解れ切っていない? まさかこの程度で蕩けたと思っているのか?

 何故、こんな場所に子宮が位置している? もっと奥へと押し込まれた事は無いのか? なら、この快感も知らないのか?

 

 肉棒で突かれる度、メアリーの脳内にはそんな言葉が浮かび上がっていた。何で自分を受け切れないのかと、マスターの肉棒に責められている気がしていた。

 

 何故、粗末なはずの肉棒を飲み込み切れない? 何故、もっと立派なモノを知っている筈のお前は喘いでいる? 先ほどまでの余裕の表情は何処に行った?

 その一つ一つの質問に答えたのはメアリーの膣だった。マスターの肉棒に屈服した彼女の霊基は、その問いかけに変質を以って返答を行う。

 

 狭かった膣はマスターの肉棒のサイズに広がった。スムーズに出し入れを行える様になった蜜壺は、今も愛液を垂れ流しながら彼の肉棒の形を覚えようとしている。

 僅かに硬さが残っていた膣肉は、彼の肉棒によって耕されて快感を享受し始めた。今までよりも巨大な性器によって開発されたメアリー肉体は、未知の快感を更に刻み込まれ続ける。

 そして、彼女の子宮は更に奥へと押し込まれ、そこが基本位置となった。カルデアのマスターに肉棒を挿入された時に亀頭が届き、そこから更に深く押し込まれる事で更なる快感を得られる位置……だが、それは同時に他の男の肉棒では満足出来ない体になってしまった事を意味していた。

 

「あ、あぁぁ……♡♡♡ そんな、しょんなぁ……♡♡♡」

 

 変わった、変えられてしまった……もう自分の性器は彼専用の蜜壺なのだ。他の男に使わせても満足に快感が得られなくなってしまったのだ。

 愕然とするメアリーの脳裏に、粗末でチンケな物の形に変えられたとしても困らないだろうと肉棒での一突きを以ってマスターの言葉が刻み込まれる。そして、それと同時にメアリーは新たな快感を味わい始めた。

 

「ひぃぃぃっっ♡♡♡ あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 完全に肉棒を咥え込めるようになった膣は、創り上げられた奥の部位を巨大な陰茎に掻き回されて悦びに打ち震えていた。感動の涙の代わりに愛液を垂れ流し、白く濁った本気汁を大量に噴き出しながらメアリーは喘ぐ。

 女の体は肉棒(ちんぽ)に突かれる度に美味くなる……過去に自分を抱いたとある男の言葉を思い出したメアリーは、自分の体が今まさにカルデアのマスターの肉棒によって耕されいているのだと確信した。

 

「おっ♡ おっ♡ おっ♡ おおっ♡ んおぉぉっ♡」

 

 自分の奥が掻き混ぜられる。知らない快感を教え込まれ、新たな雌としての悦びを肉襞に刻み込まれる。間違った情報に踊らされ、見下していた相手に完膚なきまでに叩きのめされたメアリーの性器は、完全に彼に屈服してしまっていた。

 今までの男たちに形作られた自分の膣をあっさりと変換させ、彼の為だけの形を作り上げる。メアリーの性器は、こう言っていた。

 

「私が間違っていました。今まで私を抱いた雄より、あなたの方が何倍も格上です」

 

 逞しい肉棒に襞を絡ませ、媚びに媚びた態度を取って快感を強請る。メアリーの意思とは関係無く、彼女の体はカルデアのマスターに掌握されてしまったのだ。

 

「しょんな、しょんなぁ、しょんあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 粗末な肉棒だと聞かされていたカルデアのマスターがこんな性豪であった事も、今までの自分の考えを根底から覆す様なセックスを味合わされている事も、彼に完全敗北を喫してしまった事も、メアリーは受け入れられなかった。しかし、現実はそんな彼女を無視して最後のトドメとばかりに性の高みへと連れ去ろうとして来る。

 メアリーはマスターの肉棒の根元から何かが駆け上がって来る事を感じ、それがなんであるかを悟ると力の入らない体で最後の抵抗をし始めた。

 

「やだぁ♡ やぁぁっ♡ こんなからだでしゃせいされたらっ♡ ぜったいにたえれにゃいぃっ♡ お、おまんこ堕ちるっ♡♡♡ ボク堕ちちゃうっっ♡♡♡」

 

 畑の如く耕された自分の膣が種付けの時を待っている。今でも分かる、この膣に精液をぶちまけられれば、自分はその快感の虜になってしまうだろう。

 絶対に抗えない快感を前に崩れ落ちる自分の姿を想像したメアリーが必死に抵抗を行おうとするも、そこはダヴィンチちゃんの特性バイブと薬液によって何の意味も為さない動きに変わってしまった。メアリーはただ、ベッドの上でカルデアのマスターに組み敷かれて種付けの時を待つ少女になってしまっていた。

 

「あ、あ……♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡ ボクのまけっ♡ まけだからぁっ♡ ばかにしてわるかったからぁっ♡ もうやめてぇっっ♡ なんでもはなすっ♡ いうこともきくっ♡ だから、だから……あっっ♡♡♡♡♡」

 

 最後の足掻きを見せるメアリーの言葉は最後まで紡がれることは無かった。それよりも早く、彼女は目を見開いて子宮の中に感じる熱さに意識を奪われる。

 それは濃く、熱く、そして激しい雄の律動だった。全ての雌を屈させる程の快感を与え、全ての雌を支配してしまえそうな程の激しさを感じさせるその射精を受けた瞬間、彼女の言葉は絶叫へと変換された。

 

「あっ♡ おっ♡ おぉおぉぉぉぉぉぉぉォォォォッッッ♡♡♡ ンォォォォォォォッッ♡♡♡」

 

 それは女性が上げる声としてはあまりに野太く、断末魔の叫びにしてはあまりに淫らな声だった。メアリーはただ、与えられた快感を前にして叫ぶ事しか出来なかったのだ。

 マスターの肉棒が放った砲弾は、メアリーの子宮と言う名の船に直撃し、あっという間に撃沈してしまった。いや、もうとっくに自分の子宮は降伏していたのだ。今の一撃はそのダメ押しをしたに過ぎない。

 

「か、はっ……♡ は~~っ♡ は~~っ♡」

 

 絶叫と共に吐き出してしまった空気を求めてメアリーが荒い呼吸を繰り返す。ようやく訪れた一時の休息の間に必死になって体力を回復させようとする彼女であったが、ある事に気が付くとビクリと体を震わせた。

 

(ま、まだ、おっきい……それに、これは……!?)

 

 マスターの肉棒は射精の後までもがメアリーの予想を超えていた。自分の膣内で未だに硬さを保っているその感覚を感じながらメアリーは今まで抱かれた男たちのそれと比較を始める。

 メアリーの記憶上、一回射精を終えた後でも萎えずに肉棒の硬さを保っている男は多く存在した。だから、その程度では驚くはずも無かった。

 だがしかし、カルデアのマスターは違う。彼の肉棒は、射精を終えた後でも硬さを保っているどころか更に怒張を滾らせているのだ。

 

(さっきよりも大きくて、さっきよりも硬くて、さっきよりも熱くて……凄い、魔力……♡♡♡)

 

 あれほど夥しく精を放ったと言うのに、彼は先ほどの自分を越えた滾りを見せている。そんな男、今までメアリーは出会った事が無かった。

 彼がその気になれば、今すぐにでも二回戦が始まるだろう。その事を予知したメアリーは、自分たちの完全敗北をようやく理解した。

 

(こんなの勝てっこないよ……♡♡♡ 皆嘘つきだ、カルデアのマスターのちんぽはお粗末なものだなんて、誰が言い出したんだよ……!?)

 

 よくよく考えれば理解出来るはずだ。堕ちた女英霊たちを解放し続けている彼が、性技において未熟なはずが無いのだ。なのに、自分たちは彼の風貌と年齢から勝手に粗末な物しか持っていないと判断して、彼を舐めくさっていたのだ。

 つい先ほどまでの自分の態度を思うと恥ずかしさが募る。同時に、今もこの事実を知らずに彼の事を馬鹿にし続けている男たちの事を思うと非常に滑稽に思えて来た。

 何も知らず、根拠もなく、自分たちの方が上だと言い続けている男たち。しかし、そんな彼らの事をカルデアのマスターは相手にしない。それは、彼にとって自分を馬鹿にする男たちは歯牙にもかけない存在だからだ。

 

 どんなに馬鹿にされようともそれを訂正する必要など無い。ただひたすらに結果を出し続ければ良いのだ。

 彼らによって快楽を与えられる女英霊たちに、それ以上の快楽を叩き込んで雄の格が違う事を教える。そうして、彼女たちの目を覚まさせ続ければ良い。今こうやってメアリーにそうした様にだ。

 

(完敗だ……♡♡♡ ボクはもう、どうしようも無いんだ……♡♡♡)

 

 自分が敗者である事を認め、受け入れたメアリーの瞳にわずかな光が灯る。敗北によって感情が戻ると言うのも不思議な話だが、彼女は自分の行く末をよく理解していた。

 今まで勝者となった自分がそうして来た様に、敗者は全てを差し出すしか無いのだ。メアリー・リードは、カルデアのマスターに何もかもを差し出す他無いのだ。

 

「あ、あ……♡♡♡」

 

 カルデアのマスターが体をどかし、メアリーの体を自由にする。大量の精液を射精したばかりの肉棒を彼女の膣から抜き去った瞬間、メアリーの下腹部からは様々な物が溢れ出て来た。

 

 まずは薬液を全て注入し、その役目を終えたバイブが弛緩したアナルから抜け落ちた。腸液に塗れ、卑猥な匂いを放つそれが床に落ちて乾いた音を鳴らす。

 そうして弛緩した尿道からは綺麗な黄金水が放物線を描いて飛び出して来た。同じくアルゴー船の床を濡らすメアリーの尿は、止まることを知らずに溢れ続けている。

 そして、膣からは射精された精液がドロリと零れ出して来た。今まで射精されたどの精液よりも濃く、熱いそれにメアリーはうっとりとした視線を注ぐ。

 

「……メアリー、俺の目を見るんだ」

 

「はい……ご主人様(マスター)……♡♡♡」

 

 もう()を付ける必要は無かった。彼は今、自分の主の座に返り咲いたのだ。彼こそが、自分の唯一無二の主なのだ。

 

「ましゅたぁ♡ ましゅたあのことばかにしてごめんなしゃい♡ ボク、いいこになるから……♡♡♡ りっぱなにくべんきになって、おちんぽにごほうしするから、傷物で貧相なダメサーヴァントのボクのことをときどきでいいからかわいがってね……♡♡♡」

 

 彼に媚び、自分を卑下する言葉を吐くメアリーであったが、カルデアのマスターの手が自分の頬に触れた時に彼が何か怒っている事を感じ取って口を噤んだ。

 どうやら自分は彼の機嫌を損ねてしまった様だ。きっと罰を受けるだろう、指をへし折られるだろうか? それとも腹を殴られるのだろうか?

 そんな暴虐な仕打ちを受けることを覚悟していたメアリーであったが、自分の瞳を覗き込むマスターの目に悲しみの色が浮かんでいる事に気が付くとその思考を止め、彼が何を悲しんでいるのかに考えをシフトさせていく。

 こんな自分が可愛がって欲しいなどと口にする傲慢さが悲しいのだろうか? それとも、あれほどの罵倒を簡単な謝罪で済ませようとしている事が許せないのか? だがしかし、メアリーのそんな考えを覆す様な言葉をカルデアのマスターは口にする。

 

「メアリー、もう二度と自分を卑下する様な事は言うな。君はダメサーヴァントでも、何の魅力も持たない雌奴隷でも無い。メアリーは、誰よりも自由な翼を持つ海賊なんだ。君はとても素敵な女の子なんだよ……!」

 

「……え?」

 

 またしても彼は自分の予想を超えて来た。彼は、メアリーが自分を卑下することを怒り、悲しんでいたのだ。

 一体なぜそんな事を思うのか? 駄目な自分の事をそう自称することの何がおかしいのか? 先ほどとは別の疑問を思い浮かべる彼女に対して、カルデアのマスターは静かな怒りを燃やしながら詰め寄る。

 

「教えてメアリー、一番最初にメアリーの事をそんな風に言った奴は何処のどいつだ? ソロモンか? それとも海賊の男か? 俺はそいつの事を許す訳にはいかないんだ」

 

「っっ……」

 

 マスターからの詰問を受けたメアリーは口をパクパクと動かしながら返答を迷った。それはその答えを思い出せないからでは無く、はっきりと覚えているからこその迷いであった。

 最初に自分のことをダメサーヴァントと呼んだ人間の事を、傷物で貧相な肉奴隷と言い始めた者の事を、メアリーは覚えている。だが、今の彼にそれを告げることは躊躇われるのだ。

 しかし、メアリーのそんな様子を見て取ったマスターは深い溜息をついた後、彼女の答えようとしている人物の名をぽつりと口にした。

 

「……アン、なんだね?」

 

「……っっ」

 

 苦しそうで、辛そうな彼の声を耳にしたメアリーは、首を縦に振ってその答えを肯定した。メアリーの事を何の価値も無い女だと言い出したのは、他ならぬ彼女の相棒であるアン・ボニーであった。

 

『この世で一番偉大なのはソロモン様で、その次がおちんぽ様。私たちの悦びはおちんぽ様とソロモン様にご奉仕すること……♡♡♡ でもメアリー、あなたは体も貧相で顔にも大きな傷がありますわ。おちんぽ様を萎えさせる様なあなたには、何の価値もありませんの♡』

 

 嬉々として男たちに跨って腰を振り、自分に向けてそう告げた相棒の姿を見た瞬間、メアリーの心は砕け散った。粉々になった彼女の心に染み込ませる様に、アンは何度も言葉を繰り返して口にし続けた。

 

『あなたは私の足手纏い、あなたが居なければもっと自由に動けるのに……ホント、邪魔な相棒ですわ』

 

『傷物でもドレイク船長の様な躰があれば男性たちを楽しませることが出来るのに、あなたにはそれすらも無いなんて……本当、使えない女ですわね』

 

『あなたの穴は私や他の女英霊の代替品。男性たちは皆、他の穴が全部埋まっているから仕方が無くメアリーの事を抱いて下さるんですのよ? そんな我慢をしてまでメアリーの事を気持ち良くしてくださるんですもの、しっかりとご奉仕しなさいね?』

 

 繰り返される罵詈雑言はメアリーの心の傷跡にしっかりと刻み込まれていた。いつしか自分は何の価値も無い女なのだと思い込み始めたメアリーに対し、男たちもまた心無い言葉を投げかける様になった。

 愛らしくない、傷跡が醜い、イリヤやクロエの方が何百倍も可愛い……新たな罵声を受けたメアリーは、それこそが自分の評価なのだと思い込んでしまった。

 

 だってそうだ、自分より女らしいアンがそう言うのだから、自分には女としての魅力が無いのだろう。自分を抱く男たちもまたそう言うのだから、その意見は正しいのだろう。

 凍てついた心はその言葉を受け、メアリーの感情を完全に殺してしまった。もう傷つきたく無いと願った彼女の心が感じることを拒否したのだ。

 だからメアリーは何も考えずにアンや男たちの言う事に従うロボットの様になった。言われた通りにしていれば、誰もが自分を馬鹿にしないからだ。

 

「う、うぅ……うぅぅぅぅぅぅ……」

 

 そうやって自分のして来たことを思い返したメアリーの瞳からは、知らず知らずのうちに涙が零れ落ちていた。復活した感情が痛みを覚え、彼女の心を奮わせていたのだ。

 苦しかった。辛かった。それでも男たちには何を言われても良かった。だが、心の底から信じていた相棒からの罵声は、メアリーには受け止めきれない物であった。

 

「う、あぁ……アン、アン……っっ!!」

 

 悲しみの感情のままに涙を流すメアリーは、変わってしまった相棒の名を呼んですすり泣く。力無くマスターの胸に顔を埋めながらも、彼女の心は猜疑心に支配されていた。

 

「……マスターも、ボクの事なんか見て無いんでしょう? 本当はアンの方が欲しくて、その為にボクを利用してるだけなんだ……!」

 

「メアリー、確かに俺はアンを助け出したいと思ってる。でも、メアリーとアンを比べてどっちが上だとかを考えるだなんてことはしない! 俺にとっては二人とも大事な存在で、どっちも魅力的な女の子なんだ!」

 

「嘘だよ……だってボクはなんにもな……むぅっ♡ んんんっっ♡♡♡」

 

 マスターの言葉を否定すべく、自分の事を卑下しようとしたメアリーの口が塞がれる。彼女にキスを落したマスターは、続いて彼女の膣に再び肉棒を挿入した。

 

「あぁ……♡♡♡ はぁぁ……っ♡♡♡」

 

「……何の魅力も無い女の子を相手にして、俺がここまで興奮すると思う? 俺はそこまで節操無しじゃあ無いよ」

 

「あっ……♡♡♡」

 

 自分の胎の中で脈打つ肉棒。熱く、激しく、滾りに滾るその鼓動を証拠としたカルデアのマスターは、メアリーの瞳を覗き込みながらきっぱりと断言した。

 

「メアリーは素敵な女性だ。何十、何百、何千の男たちがそれを否定しても、気にする必要なんて無い……! そいつらは見る目の無い阿呆で、それこそそんな奴らの言葉に耳を貸す価値なんか無いからだ」

 

「マスター……?」

 

「ねえ、お願いだよメアリー……昔の君に戻ってよ……! 君は自由で、何処までも飛んで行ける翼を持っていたじゃあないか……!」

 

 きつく、メアリーの体を抱き締めながらマスターが言う。彼の頬を伝う涙と、彼自身の体温の温もりを感じるメアリーはの心は、ゆっくりと形を取り戻していった。

 

「でも……でも! アンが言うんだよ! 誰よりもボクを理解してて、ボクが誰よりも信じてるアンが言うんだ! ボクは何の魅力も無い女なんだって言うんだよ! だから、だから……!」

 

「……メアリー、俺の言葉をちゃんと聞いて、そしてよく考えるんだ。その答えがきっと君を導いてくれるから……」

 

 マスターがメアリーの頬に手を添え、顔を上に向けさせる。至近距離で目と目を合わせるながら、彼はメアリーに向けてこう言った。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……っっ!!」

 

 その言葉を受け、じわりと胸を刺す痛みを感じたメアリーはそれと同時に過去を思い返していた。今よりもっと昔、英霊になってカルデアに召喚されるよりもずっと前、自分が生きていた頃を……

 

 温室育ちで、自分とは何もかもが正反対だと思った。でも、なぜか馬が合った。気が付けば、誰よりも信頼し、命を預けられる唯一の相棒になっていた。

 ずっとずっと一緒だと、もう二度と離れ離れにならないと、カルデアにやって来てから腕にお互いの髪の毛を巻き付けた。それほどまでに大事で、かけがえの無い相棒だった。

 

「……がう」

 

 いや、違う。()()()()()では無い、()()()()()。アン・ボニーは、メアリー・リードにとって唯一無二の相棒なのだ。

 彼女の事はすべて理解している。そう思い返した時、蘇ったメアリーの心は大きな声で叫び始めた。

 

「ちがう……!」

 

 誰よりも信頼する相棒は、あんな事を言う人間では無い。時々辛辣で喧嘩だってするが、それでも自分の事を罵倒するはずが無いのだ。

 そうだ、あれは自分の知る相棒では無い……あれは、相棒の形をした他の何かなのだ。

 

「あんなの、アンじゃない……! 絶対にアンじゃない! 助けなきゃ、取り戻さなくちゃ、本当のアンを……!」

 

 誰よりも近くにいた。なのに、自分は彼女を救えなかった。あんな姿を晒すアンを助けることもせず、ただ自分の心を凍てつかせていただけだった。

 少し考えればすぐに分かったのに、あんなのはアン・ボニーでは無い。本物の彼女は、ソロモンに心を操られて封じ込められているのだ。

 

「マスター……ボク、助けたいよ……! アンの事、助けたいんだ……! もう遅いかな? もう、間に合わないかな……?」

 

「……大丈夫、まだ間に合うよ。絶対に助け出せる、アンも他の皆も、絶対に取り戻せるんだ……!」

 

「マスター……!」

 

 優しく、強く、マスターがメアリーの体を抱き締める。メアリーもまた力の入らない体で必死に彼の事を抱き締め返す。

 完全に感情を取り戻したメアリーの瞳には、今までよりも力強い光が灯っていた。自分のすべきことを見つけ出した彼女は、顔を上げてマスターに言う。

 

「マスター、ボクはまだ羽ばたけるよ。でも、まだもう一つ翼が足りないんだ……だから――」

 

「うん、わかってる。取り戻さなきゃいけないんだよね? メアリーの……ううん、二人の翼を、さ」

 

 マスターの言葉を受けたメアリーが力強く頷く。そんな彼女のへと信頼の眼差しを送るマスターであったが、不意にメアリーが膣を締めたことによって驚きに顔をしかませてしまった。

 

「あはっ♡ 気持ち良かった? まだマスターも満足してないよね? 続き、しよっか……♡♡♡」

 

「もう……せっかく感動的な雰囲気だったのに、ぶち壊しちゃって……」

 

「だってさ、アンが戻って来たらもうマスターの事を独り占め出来なくなるでしょう? せっかくの機会なんだから、思う存分楽しませてよ……♡♡♡」

 

 飛び切り強欲な笑みを見せたメアリーはマスターの胸に自分の顔を擦り寄らせると甘えた声でそう告げて来た。こんな状況でも「それはそれ、これはこれ」の精神で楽しもうとする彼女に若干呆れつつも、明るさを取り戻したメアリーに対して喜ばし気な笑みを向ける。

 

「しょうがないなぁ……なら、たっぷり楽しませてあげるよ!」

 

「そうこなくっちゃ! ……ねえマスター、ボク頑張るよ。アンの事、必ず取り戻してみせるから。そうしたら、ボクたち二人でマスターの事を何処へでも連れて行くよ。翼さえ揃えば、鳥は何処へだって飛んで行けるからさ」

 

「……うん、俺も頑張るよ。その為に、メアリーの力を貸して欲しいな」

 

 頷き合い、笑い合った二人は再び唇を重ね合うと愛の営みを再開した。同じ目的を掲げ、すべき事を見つけ出した二人は同じ人物の事を思う。

 必ず救い出すと、そう誓う二人はお互いを求め、燃える情欲の炎のままに交わり続けたのであった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦前の海

 は~い、元の流れにお話を作り変えて再度投稿しま~す。

 結果としては同じ流れになるとは思います。少し特異点のお話も長くはなると思います。でも、こっちが自分の本当に書きたかった流れなので大目に見て下さい。

 すいません、許して下さい。何でもしますから!(何でもするとは言ってない)



 

 

 

「大丈夫? 無理はしてない?」

 

「ぼくは、だいじょうぶ。えうりゅあれこそ、だいじょうぶ?」

 

「大丈夫よ……だからそんな泣きそうな顔をしないで、私まで悲しくなっちゃうじゃない」

 

 牢獄の柵の間から手を伸ばしたエウリュアレは、心配そうな表情で自分を見つめるアステリオスの頭を優しく撫でた。姉の様に、母の様に、そんな慈愛に満ちた表情を浮かべる彼女であったが、その体には幾つもの傷と痣が刻み込まれ、見ていられないほど痛々しい姿を呈していた。

 そんなエウリュアレに慰められながらアステリオスは思う。どうにかして彼女をここから助け出したいと……しかし、今の自分にはそんな事が出来る訳が無いと言う事も分かっていた。

 

「泣かないで……私は、あなたがいてくれるだけで救われているわ。だからそんな顔をしないで……」

 

「……ごめん、えうりゅあれ……ぼく、ぼく……っ」

 

 自身の無力さを悔やみ、自分よりも辛い状況に置かれているであろうエウリュアレに慰められている事にまた悔しさを募らせるアステリオス。彼女を慰め、励ますつもりが立場が逆になっている事がその思いに拍車をかけていた。

 彼女を労わらなければならない。この拷問などと言う言葉が生易しく感じられるであろう状況に苦しむ彼女の心が完全に崩壊してしまう前に……拙い言葉を紡ぎ、何とかして励ましの言葉を口にしようとするアステリオスであったが、無慈悲にもそれよりも早くにやって来た男たちが強引に彼を引きずって面会を終わらせにかかった。

 

「オラっ! 子供のお喋りは終わりだよ! こっからは大人のお楽しみのお時間さ!」

 

「ま、まって! ぼく、まだえうりゅあれにはなしたいことが……!」

 

「残念ながらそれは無理ですね。アステリオスさん、あなたは今から作戦会議に出て貰います。だからエウリュアレさんとのお話はまた今度にして下さいね」

 

「っっ……!? めでぃあ……!」

 

 必死に男たちに訴え、もう少しだけエウリュアレとの面会の時間を伸ばそうとして貰うアステリオスであったが、そんな彼に有無を言わさぬとばかりに笑みを浮かべたメディア・リリィが声をかけて来た。逆らえば自分だけでは無く、エウリュアレの立場も悪くなると言う事が分かっているアステリオスは、その言葉に従う他無い。

 

「へへっ……っつー訳だ、怪物くん。お前はさっさと戦いの準備に行きな」

 

「女神さまは俺たちがたっぷりと可愛がってやるからよ……!」

 

 がっくりと肩を落とし、メディア・リリィの後を追うアステリオスの背中に男たちの心無い言葉が浴びせかけられる。悔しさを感じようとも何の反応も返す事が出来ないアステリオスは、ただ鬱々とした気持ちのまま廊下を歩いて行った。

 十数歩アステリオスが足を進めた時、今まで自分が居た船室から悲痛な悲鳴が響いて来た。それを耳にしたアステリオスは、エウリュアレが先ほどの男たちの手で辱められている事に怒りと悲しみの感情を浮かべる。

 嬲られ、汚され、ボロ雑巾の様に扱われ……苦しめられる彼女に対して、自分は何もすることが出来ない。ただこうやって、自分に優しくしてくれたカルデアのマスターと敵対し、手柄を立てて少しでもエウリュアレの待遇を良くしてくれと頼むことしか出来ないのだ。

 

「う、く……くぅ……っ! えうりゅあれ……えうりゅあれ……っ!」

 

 ぼたぼたと大粒の涙を零し、アステリオスが嗚咽を漏らす。優しい彼女が苦しめられている姿を想像した彼の胸に鋭いナイフが突き刺さった様な痛みが走る。

 このままでは救いなんてあるはずも無い。だが、こうし続ける他無い。改めて自分の無力さを噛み締めながら、アステリオスは暗い廊下をただ歩き続けることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……作戦会議を始めよう。皆の意見を聞かせて欲しい」

 

 アルゴー船の会議室に集まったカルデアのマスターたちは、円卓を囲んでの会議を始めた。無論、話す内容はこれからの動きについてだ。

 山積みになっている問題を一つずつ片付け、勝利への道筋を探る為の会議。しかし、事はそう単純には行かない様である。

 

「まず最初の問題を片付けよう。この特異点での戦いを長引かせるか、短期決戦で行うかだ」

 

「はあ? そんなの決まっているだろう! 短期決戦が一番だ!」

 

「何言ってるのよ、普通は逆でしょう? 敵が大軍なら、長期戦に持ち込んで疲弊を待つ方が得策よ」

 

 マスターの提議した議題について、イアソンとメディアの意見が真っ向から食い違った。二人の意見はどちらも正しいのだが、どちらも問題があるのだ。

 

 短期決戦を行う場合、今の途方も無い戦力差を抱えたまま戦いに臨むことになる。サーヴァントの差はまだしも、船員と艦船の差を考えるとこちらが非常に不利だ。しかも敵にはあのヘラクレスも居る。個々の戦力から見ても厳しい戦いになるのは間違い無いだろう。

 しかし、長期戦にすると言うのもかなりの博打だ。確かに多対少の戦いなら、数が少ない方が耐えているだけで勝ち目が見えて来る。大軍を動かすと言うのは消耗が激しくなると言う事を意味しており、兵糧や武具の消費もその分多くなるからだ。

 そう考えると長期戦の方が正しい戦術に思える。だが、実際の所はそうでも無いのだ。

 

「馬鹿か貴様は!? 確かに大軍を相手にする時は粘って勝機を見出す事が定石だ。しかし、今はその戦力差があり過ぎるんだよ! 少しでも隙を見せて、そこを敵に突かれたらひとたまりもないぞ!」

 

 イアソンの言う通りだった。今、カルデアとソロモン軍の戦力差はあまりにも大き過ぎる。故に、長期戦をする事すらもリスクが大きいのだ。

 例えばこれが籠城戦ならば良い。城に籠り、徹底的に守りを固めているだけで、徐々に有利は出来上がって行くのだから。しかし、今はどちらも遠征状態で戦いに臨んでいる。安全地帯でじっくりと守りを固めると言う事が出来ないのだ。

 その状態で戦いを長引かせれば、戦力の多いソロモン軍は多彩な戦略を以ってカルデアを攻めて来るだろう。敵の指揮官はあのフランシス・ドレイク、稀代の名船長にして、太陽を堕とした女だ。どんな方法で攻撃を仕掛けて来るか分かったものでは無い。

 

「……俺もイアソンの意見に賛成だ。今、俺たちは最大まで戦力を高められたと思う……戦いを長引かせて誰かが負傷したり、倒されたりする可能性を考えると、今の戦力で敵を攻撃した方が良いと思うんだ」

 

「ははんっ! なかなか良い戦術眼をしているじゃあないか! ……聞いたか魔女、我らがマスター様はこの私の意見に賛成だとさ!」

 

 マスターに意見を支持されたイアソンは得意げな表情を浮かべてメディアを挑発した。そんな彼の様子にメディアは呆れた様に頭を抱え、他のサーヴァントたちは苦笑を浮かべている。

 かくして戦術を『短期決戦』と定めたカルデアの一行であったが、次に問題になるのはその戦い方だ。戦力差は歴然としている現状でどう動くのか? 一つ間違えばそのまま敗北まで一直線ではあるが、決して光明が無い訳では無かった。

 

「要するにだ、今回の戦いは船の中に閉じ込められている女神姉妹とアイリの姉ちゃんを助け出せば良い訳だろう? それさえ出来れば、ヘラクレスもアステリオスもこっちに戻って来るんだからな」

 

「だが、それが容易く行える訳では無いと言う事も分かっているだろう? 敵船に潜入し、消耗しているであろう三人を連れて逃げだすと言うのは相当に困難な事だ」

 

 ケルト師弟の話を聞きながら、メンバーはその任務の困難さを改めて確認する。敵の本拠地に潜入し、気取られぬ様に人質を奪還すると言うのは、考えている以上に難しいのだ。

 これが書類の奪還や、只の敵情視察なら話は簡単だ。こっちにはロビンフッドが居る、『顔のない王』で姿を消して潜入すれば良いし、万が一に見つかってもすぐに逃げ出せば良いのだから。しかし、ここに捕虜の奪還と言う任務を付け加えるだけで、その難度は一気に跳ね上がるのだ。

 

「……恐らくだが、ステンノたちは大きく消耗している。日々、想像もつかない凌辱を行われているんだ、元々身体能力が高いとは言えないアイツらには厳しいもんがあるだろう」

 

「つまりは迅速な行動は出来ないってこってすね……宝具の中に隠せる人数としてはギリギリだが、動きが遅いんじゃあ逃げ出すも何も無い。俺一人じゃあ無理臭いっすねぇ」

 

 人質の奪還と言う超高難度任務、アサシンクラスのサーヴァントが多数いれば話は別なのだろうが、残念ながら今のカルデアには逆に人目を惹いてしまうスカサハ以外のアサシンは在籍していない。気取られずに敵本拠地に潜入することはほぼ不可能だ。

 ならばどうするのか? ……答えは至極単純で、明確なものだった。

 

「ごり押しだな。と言うより、徹底的に時間を稼ぐっきゃねえ」

 

「少数の侵入班とそれ以外の戦闘班に部隊を分け、戦闘班が戦いながら敵戦力の大半を相手する。その間に潜入班が黒髭の『女王アンの復讐号』に潜入、出来る限り迅速にアイリたちを助け出す……って所か」

 

「次第点の策だ、最良と呼ぶには程遠い。だが、これしかあるまいな」

 

 アルゴー船とそこに残るサーヴァントたちが派手に戦って敵の目を惹き付ける。その間、ロビンフッドを始めとした突入班が人質を奪還する……策とも呼べぬ力押しの作戦だが、もはや打つ手はこれしか残されていなかった。

 この場合、重要なのは戦力の分散だ。どちらにどの程度の戦力を分けるかによって、戦いの行方が決まってしまうのだから、これを決定するのは非常に責任が重い役目と言えるだろう。

 

「……マスター、最終的にそれを決めるのはあなたです。あなたにはアメリカ大陸での戦いの前例もあります。その戦術眼には信頼がおけるかと……」

 

「……わかった、考えてみるよ。でも少しだけ時間が欲しい。あと、皆と一人ずつ話をさせて貰いたいんだ」

 

「ああ、それは構わないぞ。じっくり悩むと良い! なにせこの作戦の実行タイミングは敵の攻撃に合わせてのカウンターが望ましいからな! 存分に悩むと良いさ! なにせこちらには敵の攻撃タイミングを知る方法があるわけだ!」

 

 この重大な役目を請け負ったマスターに対して、イアソンは上機嫌な声で語り掛けた。先ほど自分の意見を肯定された事も嬉しかったのだろうが、それよりも彼を喜ばせているのはその手に握り締められた一枚の手紙だ。

 つい先日にアタランテから受け取ったその手紙には、戦いにおいて彼女の協力を約束することが記載されていた。敵の中に協力者がいると言う事実が、イアソンの心を弾ませていたのだ。

 

「敵の中に裏切り者が居るんだ、これは大きなアドバンテージになる。まあ、じっくりと悩みつつ戦力の分け方を考えると良い! ははははははは!」

 

 非常に上機嫌なイアソンは手紙を団扇代わりにして自分を扇いでいた。悪いニュースばかりの状況で得られた一つの良いニュースは、普段よりもずっと素晴らしい物に感じられる。大英雄が敵に居るとしても、旧知の仲である英霊が自分に協力してくれていると言う事は、イアソンの心の十分な慰めになっていた。

 

「……それを抜きにしても作戦を立てられる様にしよう。『良い不確定要素は頭の片隅に留めておくだけに、悪い不確定要素は確実に起きると仮定して策を立てろ』……俺はそう教わったからね」

 

 イアソン同様にアタランテの協力に感謝しながらも、カルデアのマスターは師の教えを思い浮かべて油断無く冷静に思考を働かせ続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さぁ、作戦会議だ。どうやってカルデアの連中を叩き潰すかを考えようじゃあないか」

 

 『黄金の鹿号』の一室に集まったドレイクたちは、海図を広げて作戦会議を始める。話の指揮を執りながら、ドレイクは自分の策を披露した。

 

「アタシが考えてんのはこっちの有利を活かした戦い方……つまりは、数の暴力ってやつさ」

 

「お言葉ですが船長、向こうにはジル・ド・レェが居ます。数の差と言うのは、あまり役に立たないのでは?」

 

「あ~、違うでごじゃるよリリィちゃん。BBAが言ってるのは、人じゃあ無くって『艦』の数の差でごじゃる」

 

 黒髭の言葉にドレイクが大きく頷く。彼女は船の形をした駒を取り出し、それを海図の上に並べてから詳しい説明を始めた。

 

「アタシたちの船はソロモン様から頂いた特注品、風や潮の流れも関係なく自由に動かせる物さ。この特性を活かし、手頃な場所でアルゴー船を取り囲む。逃げ場のない状況に奴らを押し込んだら、そこで集中砲火を浴びせるのさ!」

 

「なるほど……! それならば、奴らの脚を止める事も可能ですね!」

 

「アルゴー船に航行不能なダメージを与えたら白兵戦に移行する。船を突っ込ませ、四方八方から戦闘員を乗り込ませ……そのまま、サーヴァントとカルデアのマスターの首を取って、この戦いは終わりだ」

 

「ついでにダビデから『契約の箱(アーク)』を回収して人理も焼却……うん、悪くないでごじゃるね!」

 

 ドレイクの策を聞いた黒髭がその上質さに笑みを浮かべる。有利さを活かし、確実に息の根を止める策を考え付くのは流石としか言い様が無いだろう。

 他のサーヴァントたちもドレイクの作戦に不満は無い様だった。一人一人の顔を見まわして頷いたドレイクは、更に策を煮詰め始める。

 

「さて、問題は陣形をどうするかだ。お前らの中に妙案を持つ奴はいないかい?」

 

「なら、BBAの船と吾輩の船は正反対に位置した方がいいですな~。船の大半がソロモン様の特注品とは言え、宝具級の火力を持っている訳ではごじゃらぬ。決定打になるのは我々二人の宝具での一撃でしょう」

 

「横に並んでるとマシュの宝具で受け止められる……なら、正反対の位置でいっぺんに受けられない様にするって訳だね?」

 

「そういうこっと~! マシュ殿の盾が守れるのは一方向のみ、前と後ろからドドンとやられたら、防ぎ切れる訳が無いって寸法よ!」

 

「……なら、黒髭の言う通り『黄金の鹿号』と『女王アンの復讐号』は対角線に位置する様に陣形を整えよう。問題は、どちらの船にどれだけのサーヴァントを乗せるかだ」

 

 コトリ、と音を鳴らして海図の上に駒を置いたアタランテが顔を上げながらそう尋ねた。正反対に位置する以上、戦闘が始まってから船の移動は出来ない。どう戦力を分散するかは非常に重要な問題に思えた。

 

「……普通に考えて、アナちゃんやメアリー殿が向こうに奪われた以上、こっちの戦力や捕虜の居場所を知ってると考えた方が良さそうでごじゃるね。と来れば、向こうは間違いなくこっちの船に乗り込んで、アイリたそたちを奪いに来るだろうな~」

 

「なら……今の内に捕虜を他の船に移動させますか? 奴らが『女王アンの復讐号』に乗り込んで来た所を罠にかけ、無駄な労力を使わせた所で――」

 

「ああ、それダメ、絶対」

 

 メディア・リリィの提案を短い言葉でバッサリと切り捨てた黒髭は、ドレイクへと視線を送った。意味深なその行動の真意を悟ったドレイクは、この場の空気を切り替えるべく口を開く。

 

「今考えてんのは戦力の分け方だ、捕虜の収監場所の変更じゃあない……その事は置いておいて、議題を語っておくれよ」

 

「ふむ、その通りだな……捕虜の居場所を今のままにしておくと仮定するのなら、黒髭の船に多くの戦力を置くことは必須事項だ。私はそちら側に乗るとしよう」

 

「おじさんも当然こっちだ。守戦には自信がある、捕虜は必ず守り切ってみせるよ」

 

「どちらにどれだけのサーヴァントを乗せるかも大事ですけれど、敵の船に乗り込むサーヴァントの方も大事じゃありませんこと? まさか船員だけに突撃させるわけにもいかないでしょう?」

 

「ん~……なら、アン殿とメドゥーサ殿にはアルゴー船へのカチコミをお願いしようかな~? メドゥーサ殿の天馬に乗って、二人で攻撃を仕掛けて貰うって事で!」

 

「……了解しました。ですが、私たち二人だけでは戦力が心もとないのでは? ヘラクレスさんは同行出来ないのでしょうか?」

 

 メデューサが呟く様な声量で発したその疑問に黒髭は手をひらひらとさせながら答えた。

 

「あ~……出来たらヘラクレス殿にはこっちの船で守りを担当して貰いたいのよね。向こうの奪還作戦を失敗させれば確実に勝ちって言える訳だし、その為に一番の戦力を使いたいって言うか~……勿論、BBAが良いって言えばの話だけど」

 

「構わないよ。でも、突入班の戦力が少ないのはどうするんだい?」

 

「アステリオスくんが居るでしょう? 後、イリアたんとクロたんも使えばOKじゃない!?」

 

「それなら近距離、遠距離の担当も機動力も確保できますわね。私はそれで良いと思いますわよ」

 

「同じくだ。私とヘラクレス、ヘクトールで潜入して来たサーヴァントを迎え撃とう。船長と黒髭は陣頭指揮に注力してくれ」

 

「敵船の脚を止めて、砲撃でダメージを与えた後、サーヴァントを乗り込ませつつ飛竜(ワイバーン)でかく乱と牽制を行う。んで、こっちに乗り込んで来た奴らを叩き潰して、はいお終い!」

 

「そもそも取り囲んだ時点で『女王アンの復讐号』に近づく事すら困難だと思いますけどね。でも、十分な備えを行うのも当然のことでしょう」

 

「……よし、結論は出たね。なら、アタシと黒髭がもっと深く策を考えるから、他の奴らは休んで構わないよ」

 

 議論の決着はついた。後は自分たちに任せろとばかりに笑顔を浮かべたドレイクは、仲間たちを労いつつ船室の外へと追い出す。そうした後、黒髭と二人きりになった彼女は、表情を一変させて険しい顔をしながらドレイクへと質問した。

 

「アンタ、何で捕虜の移送を反対したんだい? 決して悪い策じゃあなかったと思うが?」

 

「またまた~……BBAも分かってるでしょう? 分かってて聞くなんて人が悪いでごじゃるな~!」

 

 鍵爪をカチカチと鳴らして手を叩き、黒髭は笑う。腹を抱えながら面白くて堪らない、と言う様子を見せる彼に対し、ドレイクは自分のこめかみをトントンと叩きながらその理由を口にした。

 

「……()()()()()()()()。間違いなく、居る」

 

「そう言うこと! ……仮に女神様たちを移動させても、それは間違いなく向こうに知られる。サーヴァント三体を失えば、『女王アンの復讐号』の動きが鈍くなるのは目に見えてるでごじゃるからな」

 

「捕虜を有象無象の船に移動して、それがバレてたら奪還は容易になる。かと言ってアタシの船に乗せたら、それは全戦力をぶっこんでの突入戦と言う選択肢を向こうにあたえちまう……だからアンタは反論したって訳かい?」

 

「なんだよ、やっぱわかってんじゃねえか。あの場で裏切り者が居るだなんて言う訳にもいかねえから理由は言わなかったが、そこまで察してんなら話が早い……で? アンタは裏切り者の目星はついてんのか? ああ?」

 

 試す様にドレイクへとあくどい笑みを向ける黒髭。彼女がどう答えるかを期待している様なその表情を見たドレイクは、ふっと笑みを浮かべた後で拳銃を構えた。

 

「……アタシが疑ってんのはね、アンタとアタランテさ。アタランテは十中八九間違いない、対してアンタは確信は何も無い……でも、こう言う時のアタシの勘ってのは当たるんだよ」

 

「クハハ! わざわざ今、それを言うかね? ……でも、それでこそフランシス・ドレイクだ! このオレが憧れた大海賊だ!」

 

 腹を抱え、先ほどよりも嬉しそうに大笑いする黒髭は、銃を突き付けられている人間にはとても見えなかった。自分が撃たれないと言う事を確信しているかの様なその態度を見たドレイクは、自分の考えは既にお見通しなのだろうと思いながら銃を下ろす。

 

「……既にメドゥーサにアタランテの監視は命じてある。おかしな動きをしたら、アイツは即殺すつもりさ……そして、アンタにはアタシが目を光らせる。妙な真似をするんじゃないよ」

 

「さあ、どうだろうな? オレは海賊、裏切りなんて日常茶飯事よ! ……でもま、そこまで馬鹿じゃあないってのも確かだけどな」

 

「……なあ、アンタの事は買ってるんだ。アンタは良い男で、優秀な副官だよ。だから、アタシはアンタを失いたくない……もしこの戦いに勝てたのなら、アンタが望む全てをやろう。宝物も女も、地位も名誉も……このアタシの命だってくれてやっても構わない。だから裏切るんじゃ無いよ、ティーチ……」

 

「……なら、負け戦をしなけりゃ良い。状況が五分なら、俺はアンタを裏切りはしねえよ」

 

「ははっ! 危なくなったら裏切るってことじゃあないか……ま、良いか。そっちのがアンタらしい」

 

 黒髭の肩を叩き、頬に唇を落としたドレイクは、彼の背中を押して船室から追い出した。扉を閉める寸前にらしくない笑みを浮かべた後、ドレイクはそっと額を抑える。

 

「打てる手は打つさ……だが、どうしようも無い時もある。それでも……勝つのはアタシたちさね……!」

 

 ソロモンの配下だとか、人類の未来などは関係ない。ただ負けたくないと言う思いだけで闘志を燃やすドレイクは、瞳に鋭い光を走らせて勝利を誓った。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

対話

 

「なあ、お前は何でそこまで出来るんだ?」

 

「ん……?」

 

 一枚の紙を手にして考え事に耽っていたカルデアのマスターは、不意に自分に投げかけられた言葉に対して間抜けな声を上げて質問を口にした男へと視線を向ける。視線の先には、部屋の壁にもたれ掛かった状態で何とも形容し難い不思議な表情を浮かべたイアソンが居た。

 

「こんな危機的状況、普通なら心が折れているだろう? 何でお前は諦めない? 何が目的でここまでやって来れた?」

 

「えっ、と……?」

 

「良いだろ? 答えて見ろよ……こうやって仲間になれたのも何かの縁だ、少しはお互いを理解することを楽しもうじゃあないか!」

 

「う、う~ん……」

 

 投げかけられたイアソンの言葉にマスターは首を捻った。そんな彼に向け、イアソンは矢継ぎ早に質問を送る。

 

「やはりあれか? 女たちを取り返して抱くのが一番の生き甲斐か? 全員見目麗しい女性だ、あのマシュとか言う娘も良い体をしていたしな! あれを抱く時は心が躍っただろう?」

 

「どうだったかなぁ……?」

 

 珍しく友好的なイアソンに対し、カルデアのマスターは苦笑を浮かべて見せた。そして、改めて自分の戦う理由を考えてみる。

 大切な仲間を取り戻す為、世界を救う為、カルデアの皆の為……様々な答えが浮かび、そして消えて行く。そうやって考え続けていた彼は、はたと気が付いてしまった。

 

「……何で、だろうな……?」

 

「……は?」

 

「なんかしっくりこないんだ。俺は何で戦ってるんだろうな……?」

 

 今、自分が戦う理由は分かっている。一番の理由は囚われた仲間を救う為だ。ソロモンの元で苦しんでいる仲間を救う為、自分たちは戦っている。しかし、本元の戦いを始めた理由はなんだったのだろうか?

 思えば始まりはなし崩しだった。アルバイトに募集して、訳の分からない場所に連れて来られ……あれよあれよと言う間に人理焼却だなんて大事に巻き込まれ、今の様な危機的状況に放り込まれた。

 今になって思う、何で自分は絶望しなかったのだろうか? 普通なら、とっくに心が折れていてもおかしくないだろうにだ。

 

「……わかんないや。最初の一歩の理由がわからないんだ」

 

「………」

 

 自分が戦う理由、それは自分自身でも分からない。そう答えたカルデアのマスターの正面では、イアソンがその何とも言えない複雑な表情を更に深めていた。それはマスターの答えが予想通りであった事への喜びでもあり、同時に悲しみでもあったのだろう。とにかく、彼の答えはイアソンの予想通りだったのだ。

 

「……始まりの一歩は思い出せない。でも、ここまで歩いて来れた理由は分かる……皆が居たから、皆に支えて貰ったから、ここまで歩いて来れたんだ。だから俺は皆を救いたい、それが一番の理由かな」

 

「はっ……まるで聖人君子だな。恐れ多い事だ」

 

「そんな言い方するなよ、嫌みな奴だなぁ……」

 

 なおもにこやかに自分と話すカルデアのマスターの表情を見たイアソンは、ぐっと口を真一文字に結んで顔を背けた。腹立たしい様な悲しい様な、それでいて嬉しい様な……そんな複雑な感情を胸に浮かべた彼は、顔を背けたまま静かに口を開く。

 

「……お前と俺は正反対だ。俺にとって仲間とは駒であり、自分の目的を果たす為の道具でしか無かった……尊敬や敬愛の感情もあるにはあったが、決して信じると言う事はしなかったんだ」

 

「知ってるよ、お前の振る舞いを見てれば全部わかる」

 

「……だからだろうな、結局俺は誰からも見捨てられ、裏切られた。死の際にも誰も助けてはくれなかったし、前にこのオケアノスに召喚された時は魔神柱の生贄だ! ……まったく、碌な死に方をしない。俺は誰も信じなかったからこそ、誰にも信じられなかったんだろうな」

 

「それがわかっただけ良いじゃない。少しは成長出来たでしょう?」

 

「馬鹿か、貴様は! ……それを理解したとして、俺は自分を変えるつもりは無い。俺は……もう自分を変えても意味が無いからな」

 

 吐き捨てる様に、後悔する様に、イアソンが言う。顔を伏せ、少し辛そうにしながら、彼は話を続けた。

 

「俺は王になりたかった。誰からも敬われる、立派な王になりたかった……名誉だけが目的じゃあない。俺は、誰もが幸せに暮らせる国が作りたかった。その思いは今だって変わっちゃいない。聖杯があれば、俺は自分とそこに住まう者の為の国を作り上げるだろうさ」

 

「ああ、うん……そう、だったな……」

 

 小物臭く、そして人間の屑と形容するのが相応しいイアソンに似つかわしくないその願い。真っ当な英雄らしく、筋が通ったその願いを聞いたマスターは、かつてその願いを踏み躙ったメディア・リリィの言葉を思い出していた。

 

「あなたはすぐに全てを裏切る。そういうふうにしか生きられない人だから。だったら、裏切られないように世界ごと沈んでしまったほうが楽でしょう。アナタは永遠に国に帰ってはいけなかったの」……それが、彼女のイアソンへの評価だった。彼女はただ真っすぐに彼を愛していた。その全てを知り、醜さを知っても愛し続けていた。それはもしかしたら神の意図による偽りの思いだったのかもしれない、だがこの言葉だけは、イアソンと言う男を見つめ続けて来たメディアと言う女の心からの思いである事は確かだ。

 

 悪い人間では無いのだろう。だが、性根が腐り切っているのだ。それは生まれつきの物であり、誰かによって歪められた物では無いのだ。だから罪悪感もあまり感じず、平然と非道な行為を行えてしまう。そして、それこそがイアソンが王になれない最大の理由だった。

 

「……俺は王になりたかった。その為にチャンスを掴もうとした……それが裏切りの上にあるものであろうとも、俺は自分の夢を優先したんだ。お前はそれを醜いと思うか?」

 

「……わからないよ。でも、正しくないとは思う」

 

「ははっ、正しくないか……庶民らしい答えだ。俺を否定する不敬は、まあその凡庸さに免じて許してやろう」

 

 泣きそうな、それでいて笑いそうなイアソンの表情。その下に隠れている感情は、如何なるものなのだろうか?

 カルデアのマスターには分からない。彼とはこの特異点で出会い、こうやって面と向かって話す機会もこれまでなかった。こうして話をしてみて、彼もまた人並みの感情を持つ人間であると言う事を確認出来たくらいだ。

 茫然とした表情を見せるカルデアのマスターに対し、荒くなった呼吸を整えながら……イアソンは、今度は彼の目を真っすぐに睦めながら言った。

 

「……お前は、()()()()()

 

「は……?」

 

「お前は普通でいろ。笑いたい時に笑い、怒りたい時に怒り、泣きたい時に泣け……普通の、只の人間であろうとしろ。決して人を越えようとはするな」

 

 切実な願いの様な、深い忠告の様な……はっきりとこれが何かとは明言出来ないイアソンの言葉にカルデアのマスターはぽかんとした表情を浮かべ続けていたが、それでも彼の話を真摯に聞き続けてもいた。

 

「これからの戦いでお前が人を越えなければならなくなった時、お前はそれを拒否しろ。お前は人であり続けろ……お前は決して、王や神になろうとするな」

 

「……それ、どう言う意味?」

 

「人間性を捨てるなと言う事だ。人を越えようとすれば、自ずとそれを捨てなければならなくなる……これまでの戦いで、そんな存在に出会った事は無かったか?」

 

「………」

 

 イアソンの言葉を受けたカルデアのマスターは、脳裏にランサーのアルトリアの事を思い浮かべた。

 聖槍の効果によって神に近しい存在となった彼女は、人間味を失っていた……イアソンが言う事は、彼女の様な存在を指しているのかもしれないと思ったマスターに対して、イアソンはなおも話を続ける。

 

「人が人を越えても、その先には悲劇的な末路しか待っていないぞ。神の力を得た俺が言うんだ、間違いない」

 

「……イアソンの使い方が間違っていたんじゃなくって?」

 

「それもあるかもな……だが、お前は俺以外にも悪い例を知っているはずだ。お前の最大の敵こそ、人を越えようとしている最悪の王なのだからな」

 

 自分たちの最大の敵、ソロモン王……魔術王にして、グランドの冠位を持つサーヴァント。そして人類史において、最も優れた王の一人でもある彼は、手にした力を使って世界を崩壊させようとしている。同時に、英霊たちを自分の奴隷として従えているのだ。

 確かに彼はもう人間であろうとはしていないのだろう。人を越え、神になろうとしているのだろう。それは傲慢では無く、自分の実力に裏付けされた思いなのだから彼がそう思うのも仕方が無いのだろう。

 

 だが、それを許容出来るかどうかはまったく別の問題だった。

 

「お前の敵は強い、お前が逆立ちしたって叶う訳も無い……だが、お前はそこに並び立とうとするな。それは、お前がお前でなくなる事を意味している」

 

「俺が、俺じゃなくなる……?」

 

「……お前の周囲にいる奴らはな、今のお前が好きなんだ。お前に今のまま変わらないでいて欲しいと願ってるんだよ。お前が力を欲して変わってしまえば、必ず良くない変化が起きる……必ずだ」

 

 カルデアのマスターは考える、自分が自分を捨て去ってでもこの戦いに勝ちたいかどうかを……そして、その答えをYESだと認めた。

 仲間を救えるのなら、今まで自分を助けてくれた皆を守れるのなら、自分はどうなっても良い。そんな心の底からの思いをイアソンは否定する。

 

「お前にはまだ普通の感覚がある。その感覚を決して捨てるな、お前はお前で在り続けろ……人として、愛されるお前で在り続けるんだ。決して神や王になんてなろうとするな、自分を捨てるんじゃあないぞ」

 

「……それでも、変わらなきゃいけない時が来たら? 力を求めなきゃいけない時が来たらどうする?」

 

「……簡単だ、誰かを頼れ、利用したって良い。お前が正しくお前で在り続ける以上、力を貸してくれる存在はいる筈なんだからな」

 

「でも、俺は弱い。弱い人間のままでは居たくない……」

 

「……弱い人間の何が悪い? 大事なのは、自分に何が出来るかだ」

 

「え……?」

 

「……力が弱い、賢くない、そんな人間ごまんと居る。だが、自分に何が出来るかを正しく理解している人間ってのは案外少ないもんだ。俺はそれを導ける、王に相応しい力をもっているんだ。戦いはからきしだがな」

 

 肩を竦め、ふざけた様に笑うイアソンは腕を組んだ後でカルデアのマスターへと言った。

 

「何でも出来ると豪語する人間には碌な奴は居ない。その逆も然り、何にも出来ないと言う人間は総じて屑だ。自分に何が出来るのか? それをまずは理解しろ……きっとそれが、お前の一番の武器になる」

 

 告げたい言葉を全て口にしたイアソンは、そのままマスターの持っていた紙をひったくった。そして、そこに書かれている文字を見ながら彼へと叫ぶ。

 

「これが組み分けだな? 頭に叩き込んでおいてやるから、お前はお前の出来る事をして来い! 分かり易く言えば、魔力供給の時間だ!」

 

「え、あ、うん……」

 

 背中を押される様にして自室から追い出されたマスターは、扉を閉める前にイアソンをじっと見つめた。そして、心の中で感謝の思いを浮かべる。

 不器用にも、彼は自分の事を心配してくれたのだろう。その感謝の気持ちを言葉にする前に、イアソンは非常に苛立った様子で口を開いた。

 

「ああ、それと勘違いするなよ! 俺はお前を助けようとしてるんじゃあないぞ! お前が死ねば、俺も道連れだ。そうなったら向こうのメディアに何をされるか……ああ、考えただけでも恐ろしい!」

 

「あ、はあ……?」

 

「もう一つついでに言うが、さっさと行け! お前の女たちにお前を呼んで来るように言われているんだ! お前が少しでも遅れたら、タコ殴りにされるだろうが!」

 

 自分の不利益を主張し、カルデアのマスターを追い払おうとするイアソン。これが照れ隠しなのか、それとも本心なのかは彼のみぞ知ると言う奴だろう。

 なんにせよ、このままここに居ても彼の機嫌を損なうだけの様だ。せっかく感謝の気持ちを持った訳だし、それに免じてこの場は退散するとしよう。

 

「んじゃ、また明日……頑張ろうな、イアソン!」

 

 別れの言葉を口にして、マスターは女英霊たちが待っている部屋へと歩き出す。その背中をイアソンがムカついた様な、それでいて誇らしげな表情で見つめていたのであった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・オケアノス編1(マシュ)

 

 薄暗い部屋の中をランタンの明かりだけが照らす。ゆらり、ぐらりと船の振動と共に炎の灯火が振れれば、その明かりによって女体が影となって映し出された。

 完全に密閉された屋内。風の流れも無い部屋の中には発情した雌の臭いが充満していた。一嗅ぎするだけでこれから行われる性交に期待している事がわかる女性たちの興奮の証を感じ取りながら、カルデアのマスターは一際その臭いが強く感じられる方へと歩いて行った。

 

「あ、はぁ……っ♡ 来てくれましたね、先輩……♡♡♡」

 

「うん……お待たせ、マシュ」

 

 歩みを止めたマスターは、そこにいたマシュの言葉に頷くと彼女の体を壁に押し付けながら唇を重ねた。腕と腰を抑え、重心を彼女の方へと傾けながら淫らなキスに神経を集中させる。マシュもまた彼とのディープキスに傾倒して舌を絡ませていた。

 

「んっ♡ ふぅっ♡ ふぅぅっ……♡♡♡」

 

 ぐちゅぐちゅと言う卑猥な音を響かせる二人の下半身にはお互いの興奮をはっきりと示す物が存在していた。天を突き、反り返ったマスターの肉棒は、魅力的な女体を貪り喰らう時を今か今かと待ち侘びているし、マシュの秘所からは愛液がしとどに漏れ、足元に水溜まりを作っていた。

 

「んっっ♡ んん~~~っ♡ はっっ♡ はぁっ♡」

 

 なおも貪る様にマシュの口内で舌を暴れさせながら、マスターは彼女の豊かな乳房を右手で弄んだ。真正面から強めに揉み、舌から掬い上げる様にして愛撫し、勃起している乳首を抓って刺激する。彼の愛撫の一つ一つに対し、マシュの体はぶるりと震え、愛液をぽたぽたと股座から滴らせた。

 

「マシュ、ちょっと真面目な話なんだけどさ……次の戦いでは、マシュに大事な役目を担って貰うよ。凄く大事な役目で、マシュにしか出来ない事なんだ」

 

「そう、なんですか……? なら、その期待に応えられる様に全霊で努力させて頂きます……!」

 

「うん、ありがとう。信じてるよ、マシュ」

 

「はいっ……♡ 先輩、作戦に万全の状態で臨める様、魔力供給をお願い致します……♡♡♡」

 

 唇を離し、熱を帯びた瞳を潤ませたマシュは、体を反転させて壁に手を付く。その体勢で腰を突き出し、魅力的なヒップを想い人に向けていやらしく振りながら、マシュは彼の寵愛を強請った。

 

「……マシュ、どっちに欲しい?」

 

「どちらでも……♡ あなたが望む方に、望むがままに……♡♡♡」

 

「ふふふ……! なら、こっちにしようかな?」

 

「んっ♡ あぁぁぁ……っ♡ おし、りぃ……♡♡♡」

 

 尻肉を開き、中央の窄まりに亀頭をあてがったマスターは、腰を前に突き出して内部に肉棒を潜り込ませる。既に解れていたマシュの尻穴はすんなりと巨大なペニスを飲み込み、されどキツく竿を刺激し続けていた。

 

「ほぉっ♡ ほぉぉっ♡ おほぉぉぉっっ♡ ほひぃっ♡ んほひぃぃっ♡」

 

「可愛いよ、マシュ。マシュの大好きなお尻の穴をたっぷり可愛がってあげるからね……!」

 

「んひぃっ♡ んほぉぉぉぉっっ♡ お゛お゛お゛お゛ッッ♡♡♡」

 

 腸内で動く太い肉の棒、熱く滾ったマスターの分身はマシュの開発されたアナルの弱い部分を的確に責め上げていた。

 終わらぬ排泄感に野太い悲鳴を上げ、彼が自分の奥の奥まで侵入して来る感覚に悦びの叫びを上げ……マシュは、彼専用になっている自分のアヌスをしっかりと開いて彼から与えられる快感に喘いでいる。乳房を揉まれ、背中全体に圧し掛かられる様にして体を預けられる感覚も彼女によっては悦びに感じられた。

 

(挿ってくるぅ……♡♡♡ 力抜いて、先輩のおちんぽ奥まで来てもらうぅぅ……っ♡)

 

 太い陰茎が自分の腸内を抉る。最初に受け入れた時よりも太く、長く、立派になった彼のペニスを最大限に受け止められる事は、マシュにとって何よりの幸福だった。

 1cm、1mmでも深くまで彼を感じたい……そんな思いを胸に、マシュは彼の腰の動きに合わせて尻穴を完全に脱力させて肉棒を飲み込む。

 

(あっっ♡ 抜けるっっ♡ 気持ち良いのくるっっ♡♡♡ ケツ穴締めるっ♡ 先輩ちんぽぎゅうぎゅう締め付けなきゃっっ♡♡♡)

 

 そして限界まで挿り込んだ肉棒が抜けて行く時、マシュはその快感を最大まで感じられる様にアヌスをぎゅっと締めるのだ。肉竿を刺激し、その排泄感をよりはっきりと感じる為のこの行為は、彼女の中の本能的な感情を浮き彫りにしていた。

 終わらぬ、止まらぬ排泄感。生物として持ち合わせている本能からの快感。それには抗えず、ただ享受するしかない。本来のそれを超越するマスターとのアナルセックスは、マシュの理性を完全に蒸発させる程の威力を誇っていた。

 

「んご、いぃぃっ♡♡♡ せんっ、ぱいのちんぽ、すごすぎるぅぅ……♡♡♡ また、りっぱに、なってぇっ♡♡♡ わたしのけつまんこ、おかしくなる……っ♡♡♡」

 

 心の中の思いがうわ言となって口から洩れる。ごりごりと腸壁を擦られ、奥を刺激する度、マシュの尻穴はその快感によって進化し続けていた。

 初めてのアナルセックスから数か月、彼の肉棒はその時とは比べ物にならない程に立派になっていた。太さも持続力も逞しさも、全てが立派な雄の持つべき物へと進化していたのだ。当然、それを叩き込まれるマシュたち女性サーヴァントもセックスによって感じる快感は強くなっている。技巧と強さを併せ持った彼の性技を前にすれば、女性たちは喘ぐだけの雌になる他無かった。

 そうやって快感を与えられる度、淫紋令呪は更なる強化を経てサーヴァントたちの霊基を彼に馴染ませる。彼の肉棒に見合った膣と尻穴へ、更に敏感な感度を持った体へ、そしてその快感に耐えられる強い精神を持つ人格へと彼女たちを変えていくのだ。特に『最適化EX』のスキルを持つマシュはその影響が顕著であった。

 

「ほお゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ んほぉぉぉぉぉぉぉぉッッ♡♡♡ けつまんこっっ♡♡♡ いぐぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 玩具や薬などを使った愛撫など必要ない。徹底的にこの肉棒で躾け、尻穴(けつまんこ)を馴染ませる……そんな教育方針を取られたマシュの尻は、望まれるがままの成長を果たしていた。そして、なおも成長中なのだ。

 太く大きくなった肉棒、それを難無く飲み込める様に肛門は柔らかくなった。しかし、緩くなり過ぎてはいけない。きつく締め上げる強さを持っていながら柔らかく蕩けた入り口こそが、最上の尻穴に必要な条件の一つなのだから。

 

 彼の肉棒を受け入れる腸内はトロトロに蕩け、膣にも負けない位の柔らかさを誇る様になっていた。もはやそれは排泄器官では無く、カルデアのマスターを受け入れる為に作り出されたもう一つの性器であるかの様だ。

 勿論感度も抜群、入り口の刺激と生物的な本能を刺激する排泄感、そこに加わる腸壁を擦られる快感と言う三つの快感は、マシュを狂わせるのには十分だった。

 

 尻肉もより柔らかく、弾力のあるものとなった。張りがあり、腰を叩き込まれると良い音が響くマシュの尻は、同時に彼を受け止める最高級のクッションでもある。穴と肉で彼を受け止めるマシュは、舌を放り出してその幸福に酔ったものだ。

 スパンキングも、愛撫も、セックスも……彼にならば何をされても感じられる自信があった。自分の尻は、完全に彼の為の物になっている自覚があった。だが、まだ足りない。なにせ彼は成長を続けているのだ。ならば、自分も成長し続ける以外の選択肢は無い。

  

 もっと淫らに、もっと快感を与えられる存在になりたい……。彼専属の肛門後輩(アナルサーヴァント)として立派に成長したいと望むマシュは、その思いの丈を言葉にして叫んだ。

 

「もっとぉっ♡ 私のおしりっ♡ 使ってくださいぃっっ♡♡♡ 先輩のおちんぽっ♡♡♡ 立派なおちんぽの形を覚えさせて欲しいですっっ♡♡♡ あなたのっ、あなたのいちばんになりっ♡♡♡ はぁぁっっ♡♡♡」

 

 叫び続けるマシュの秘所がゆっくりと広げられる。ふっくらとした土手肉に触れられ、弱い部分を空気に晒されたマシュは、肛門の方向から肉棒で子宮を刺激され、愛液を大量に分泌させた。

 ぬっぷ、ぬっぷ……♡ 尻穴を穿たれ、自分の一番の弱点から女性の象徴を刺激される音が響く。子宮から、尻穴から、湧き上がる興奮に背筋を震わせるマシュの耳にマスターの熱を帯びた声が響いた。

 

「大丈夫だよ、マシュ……マシュのお尻は一番だから、ずっとずっとこうしていたい位さ……! それに、こっちの方で俺の子供を孕んでくれるんでしょ?」

 

「は、はい……っ♡ おまんこで先輩の赤ちゃんを孕んで、大切に愛の証を育みます……♡♡♡ 赤ちゃん出来たら、それからはお尻の穴で先輩のおちんぽのお相手させて頂きます……♡♡♡ 365日っ♡ 24時間っ♡ 先輩が望むなら何時でも何処でもっ♡ けつまんこで先輩のお相手をさせて頂きますっっ♡ 私はあなただけの肛門後輩(アナルサーヴァント)ですっっ♡♡♡」

 

「うん……! それじゃあマシュ、本気で動くよ。マシュのお尻の穴、滅茶苦茶にしちゃうからね……!」

 

「は、あぁぁ……ッッ♡♡♡」

 

 彼の肉棒が一層硬くなる。反りが、滾りが、律動が、全てが強まったことを感じたマシュは、望む物が与えられる感覚に息を飲み、瞳を潤ませた。

 ぐぐぐっ、と音を立てる様に肉棒が腸内から引き抜かれた。亀頭をギリギリアヌスに咥え込ませた状態で一度腰の動きを止めたマスターは口元に僅かな笑みを浮かべ、そして――

 

「お゛う゛んっっ♡♡♡ お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡」

 

 そこから始まった激しいピストンにマシュが呻き声を上げる。口を大きく開き、涎をだらだらと垂らし、瞳に肉欲の炎を燃やす彼女は肛門から与えられる快感に酔いしれていた。

 自分の尻の中で縦横無尽に動く肉棒は、腸壁を擦りながらどこまでも奥深くへと潜り込んで来ようとしていた。奥へ、更に奥へ……そうやって自分の腸の奥を突かれ、知らない部分を開発され、またそこを感じる部位に、弱点に変えられてしまう……まだまだ、自分の尻は未完成なのだと思い知らされながら、完成品に近づけられてしまう。それがマシュにとっては堪らない程に気持ちが良かった。

 

 激しくピストン運動を行い、マシュの直腸の奥を責める。単純な、それでいて耐えられるはずも無い多大な快感に涙を浮かべたマシュが喘ぐ。

 腰と肉棒を回転運動させ、ドリルの様に腸壁を擦る。蕩けた尻穴を掻き回され、肉棒の感触をこれでもかと覚え込まされるその行為にマシュの秘所からは愛液が滝の如く噴き出していた。

 カリで腹の中全てを引っかきながら肉棒を抜いていく。圧倒的な質量を以って、マシュの内臓全てを引っ張る様な錯覚を与えながら彼が腰を引く……ただそれだけでマシュは達し、終わらない排泄感にだらしないアヘ顔を晒していた。

 

「いぐぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ またイキまずぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ もうダメですっっ♡♡♡ 先輩に本気で責められたらっ♡ 私はイキっぱなしになるしかないですぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 彼はマシュの全てを掌握していた。尻穴の弱点も、好きな責め方も、どうされたら達してしまうのかも熟知していた。

 そんな彼に責められ、マシュがどうこう出来るはずも無かった。尻穴だけでは無い、臀部全てで快感を感じさせれるマシュは咆哮にも近しい嬌声を上げて達し続け、肛門で彼の肉棒をキツく締め上げていた。

 

「おっほぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ つかれて、イクぅぅっ♡♡♡ ぬ、ぬかれてイクぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ ほあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ かきまわしちゃらめっ♡♡♡ イイっ♡♡♡ よすぎるっっ♡♡♡ またイクっっ♡♡♡ おしりにせんぱいのこしがあたるたびにイってるぅぅぅぅぅっ♡♡♡ おほぉぉっ♡♡♡ んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 恥も外聞も関係なかった。ただ肉欲に塗れ、彼に与えられる快感に喘ぐだけが今のマシュの全てだった。この部屋に居る他の女英霊たちに己が痴態を見せつけ、これから自分たちもそうなると教えるのが彼女の役目であった。

 もはやマシュの足元に広がる愛液の量は、水溜まりと呼ぶには多すぎる程になっていた。湖か海、それほどまでの量の愛液を垂れ流すマシュはガクガクと体を震わせて目を見開く。

 

「もっ♡ だめぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ 堕ちるっっ♡♡♡ けつまんこ完堕ちするぅぅっっ♡♡♡ 既に先輩専用なのにっ♡♡♡ もっともっと深い所に堕とされちゃうぅっ♡♡♡」

 

「堕ちちゃいなよ……! お尻で感じまくって、ケツイキしっぱなしのマシュ、凄く可愛いよ……! 俺の、俺だけのマシュ……もっと可愛い姿を見せてっ!!」

 

「あはぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ せんぱいぃっ♡♡♡ せんぱぁいっっ♡♡♡ くらさいっ♡♡♡ おしりのなかにせんぱいのザーメンくださいっっ♡♡♡ 魔力供給じゃなくってただのケツハメセックスの為にっっ♡♡♡ 淫乱後輩のけつまんこに先輩の熱い精液くださいぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 マスターの腰の動きに重厚さが加えられる。深く、激しく、そして重く、マシュの尻穴を穿っては肉と肉がぶつかり合う卑猥で大きな音を響かせてピストンを続ける。

 一撃ごとにマシュの頭の中は白く染まり、快感に思考が押し流されて行く。最高級にまで高められた肛門の快感は、子宮の疼きと共に限界を超えてマシュの理性を灼いた。

 壊れる寸前まで追いやられたマシュの尻穴はその快楽を享受して更なる深い快感を貪り喰らえる体へとマシュの霊基を改造する。『最適化EX』のスキルによって感じられる快感のレベルを段違いにさせられたマシュの躰は、一際大きな快感の波動に脈打ち、激しく跳ね上がった。

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ♡♡♡ おひりぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ おかひくなりゅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡ んっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ♡♡♡」

 

 尻の肉が潰れる程の激しいピストンを経て、マスターはマシュの穴の奥深くまで肉棒を捻じ込んだ。バチバチと火花が散り、快感の電気信号が乱れ飛ぶ全身と脳内に追い打ちをかけるかの様にマスターは滾りに滾った性欲をマシュの腸内に射精する。

 降伏、開発、そして改造を経て彼の物となった尻の性器(けつまんこ)は、その射精を悦んで迎え入れた。腸の粘膜は放たれた精液から魔力を瞬時に吸収して全身に供給し、同時に熱く激しい迸りの味を存分に堪能する。

 

「おふぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ ほっっ♡♡♡ ほひぃぃぃっ……♡♡♡ おちんぽびくびくぅっ♡♡♡ じゃあめん、しゅごいれす……っ♡♡♡」

 

 ぶぴぴっ♡ ぶぽぉ……♡ マシュの尻穴から響く卑猥な音は、マスターの精液に満足したが故の幸せの音色だった。未だにびくびくと震える丸い尻を手で撫でて可愛がり、揉んだり叩いたりして楽しんだ後、マスターはゆっくりと射精を終えた肉棒をアヌスから引き抜いた。

 

――ちゅぽんっっ♡♡♡

 

 肉棒が引き抜かれた時、マシュの尻穴からは湿った高い音を鳴らした。キツく締まる穴では無いと出ないその音は、彼女の尻が極上物である一つの証拠である。

 ぽっかりと開き、射精された精液を零さぬ様に窄まる。開閉を繰り返すマシュの肛門を眺めるマスターは、再び彼女の尻を撫でつつ褒め言葉を送った。

 

「綺麗だよ、可愛いよ……マシュは本当に可愛くて、やらしくて……素敵な後輩だね……」

 

「はっ、はっっ♡ はぁぁ……っ♡♡♡ せん、ぱぁい……♡♡♡」

 

 熱を帯びた声を出すマシュの尻穴を二本の指で開き、自分が射精した精液を溢れ出させる。淫らで、いやらしく、卑猥な音と臭いを撒き散らすマシュの肛門に指を挿れて掻き回し、更なる快感の坩堝にマシュを叩き落しながら、マスターは暗い部屋の中を見回して言った。

 

「さあ、次は誰の番かな? 俺はまだまだ楽しめるから、遠慮しないで良いよ」

 

「はふぅ……♡♡♡ んほっ♡ ほぉっ……♡♡♡」

 

 優し気な表情を浮かべるマスター。しかしその瞳には野獣の様な鋭い光が灯っていた。女英霊に奉仕する体を装いながら、彼女たちの肢体を貪り喰らう立場に立って牙を剥いていた。その覇気に触れた女性たちの肉欲が更に滾る。喰われることを望み、躰を差し出すことを期待して子宮を疼かせる。

 

 ゆらゆらと揺れるカンテラの光は、そんな彼女たちの肉欲の滾りを表すかの様に徐々に強まりを見せていたのであった。

  

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・オケアノス編2(牛若丸 沖田総司)

 

 

「はふっ♡ ぴちゃっ♡ ぺちゃっ……♡」

 

「れろっ♡ ちゅぅぅ……っ♡」

 

 黒と桜、二つの髪色をした二人の大和撫子たちがマスターの肉棒に舌を這わす。先ほどマシュの腸内に放った精液の残りカスを一滴も無駄にせぬ様に舌を動かし、その芳醇な味わいを愉しんでいる。

 まるで二匹の犬の様に肉棒を舐め続ける女性たちの名は『牛若丸』と『沖田総司』。片や源氏の天才武将、片や天下に名高い新選組の一番隊隊長である。だがしかし、そんな名立たる英雄たちは今、一心不乱に肉棒にしゃぶりつく姿を晒していた。

 

「ふぅぅぅぅっ……♡♡♡ は~っ♡ は~っ……♡」

 

「すんすんっ♡ んっ、はぁぁぁぁぁ……っ♡」

 

 雄々しい主の肉棒を涎塗れにし、二人は熱を帯びた視線をその律動へと送る。潤んだ瞳の中にはハートマークが浮かび、肉欲にギラギラと意識を尖らせていた。

 味覚で竿にこびり付いた精液の味を愉しみ、嗅覚で逞しい雄の臭いを堪能する。その一つ一つが二人の脳を蕩かし、英雄と呼ばれた人間から快楽を求める一人の雌へと変貌させていった。

 

「あ、主殿……♡ この牛若丸、主殿に一つの願い事がございます……♡ 私めを可愛がって下さるならば、どうぞこの願いをお聞きくだされ……♡」

 

「あっ!? 狡いですよ牛若丸さんっ! 沖田さんだってお願い事はあるんですからねっ♡♡♡」

 

 マスターの肉棒に残っていた精液を舐め取り、逆に自分たちの唾液でべたべたに汚した二人は辛抱堪らないと言った様子で床へと倒れ込んだ。仰向けに寝転がり、股を大きく開いた後で自分の足首を掴んで引き寄せる『まんぐりがえし』の姿勢を取った二人は、じゅくじゅくに熟れた性器をマスターへと見せつけながら懇願を口にした。

 

「ど、どうか、次の作戦での突入班には、この牛若丸をご指名くだされ……♡♡♡ 必ずや主殿を守り、アイリ殿たちを奪い返す活躍をお約束致します……!」

 

「あ~っ! やっぱりそうでした! でも、その役目は沖田さんが頂きますよっ! なにせ沖田さんは屋内戦は大の得意! むしろホームグラウンドと言っても過言ではありませんからね! 突入のお供は沖田さんで決定ですっ♡」

 

 自分と相手がまったく同じ望みを抱いている事を知った二人は、顔に浮かべていた雌の表情を一変させて鋭い視線を互いに向けた。そしてまんぐりがえしの姿勢のまま、激しい舌戦を繰り広げ始める。

 

「沖田殿は病弱スキル持ち! 何時倒れるか分からない者にこの重大な役目を任せる訳にはいきませぬ!」

 

「そんなのパパッと作戦を終わらせちゃえば良いんですよ! むしろ電撃戦を行うなら、制限時間があった方が火が点くってものでしょう?」

 

「戦とは予想外の出来事が起き続ける物。何があっても対応出来る様、出来る限りの不安要素は取り除かなくては!」

 

「だとするならば屋内での戦いの経験に乏しい牛若丸さんではいざと言う時の判断に鈍るのでは? あなたは船の上で戦う事の方が得意なのですから、そっちの力を活かせば良いでしょう!?」

 

「むむむむむ……! このわからずやめっ!」

 

「それはこっちの台詞ですっ! ……こうなったら、やる事は一つですね!」

 

 視線と闘気、そしてマスターの警護役を担うのは自分だと言う強い思いをぶつかり合わせる牛若丸と沖田。両者一歩も退かないままの舌戦を繰り広げていたが、このままでは決着がつかないと判断した二人は視線をマスターへと向けるとほぼ同時に同じ言葉を口にした。

 

「「主殿(マスターさん)っ! 警護役は私ですよねっ!?」」

 

 ぐっちょりと濡れた秘所とひくつく尻穴を更に高く掲げてマスターへと突き出した二人は、興奮に顔を真っ赤にしながら叫んだ。

 

「主殿! この雌犬めにご命令を……! あなたの忠犬は、必ずや数多くの首級を挙げてみせましょうぞ!」

 

「沖田さんが一番ですよね? 海賊たちなんてすぱすぱーっ! っとやっつけて、ちゃちゃっと勝っちゃいましょうよ!」

 

 譲れぬ意地と主への忠誠心を胸に最後にもう一度視線を交わらせた二人はマスターに決断を迫る。淫らで、それでいてこの争いに相応しい決着の方法でマスターにこの問題の採決を下す様に詰め寄った。

 

「主殿っ! 明日、連れて行くサーヴァントにいち早い魔力供給をお願い致します……! 私の双穴は、どちらも準備完了しておりますので!」

 

「何言ってるんですか! 沖田さんが先に決まってますよね~? マスターさんのおちんぽで、沖田さんのえっちな穴に三段突き決めるの待ってますよ~♡♡♡」

 

 二つの雌穴を開き、マスターに性交を強請る二人は真っすぐな視線を彼に向けている。マスターからの信頼を求め、重大な役目を担う事を望む二人は、ライバルでは無く自分の方が先に彼に抱かれることを心の底から願っていた。

 そんな二人に対して困った様な表情を見せたマスターは、腕を組んだ後で立ち上がり、二人の間に体を位置すると――

 

「……ごめん、それは無理かな」

 

「ふぃっっ!?」

 

「ひんっっ!?」

 

 肉棒では無く、指での愛撫で二人の秘所を弄り始めた。

 中指と人差し指を軽く折り曲げ、Gスポットや奥の部位をくちゅくちゅと弄るマスター。彼の器用な指使いで喘がされる二人は、ぱくぱくと口を開閉して夢見心地の快楽に浸っていた。

 

「はっっ♡ んぅぅぅぅっっ♡♡♡ ふぅぅぅっっ♡♡♡」

 

「くひゅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ んへぇっっ♡♡♡」

 

 膣内で指がばたつく。時に一緒になって出し入れされ、時に穴を広げる様にして左右に開き、二人の穴に快感を与え続けて愛液を大量に分泌させ続ける。

 求めていた圧倒的な快感とは違う。されど、これもまた快感である事には変わりはない。腰を浮かし、腹を震わせて喘ぎ続ける二人であったが、そんな彼女たちの耳にマスターの声が届いた。

 

「ごめんね、今回の作戦では二人は連れて行けないんだ。どっちもアルゴー船での守りに就いて欲しいんだよ」

 

「えっっ……!? な、何故ですか……? 私たちは、警護役に最も相応し、ひうっっ♡♡♡」

 

「理由は二人が言ってたでしょ? 『病弱』のスキルを持つ沖田さんは突入作戦では使いにくいし、牛若丸は船上戦の方が得意だ。なら、どちらも自分の力を活かし易い場所で戦うのが良い」

 

「でっ、でもっ! あんっっ♡♡♡」

 

 不満がある二人の口を快感で黙らせる。抗議の声を喘ぎ声に変え、抵抗の意思が無くなるまで徹底的に膣を愛撫し続けるマスターの両手は、二人の噴き出す愛液で濡れていやらしい光沢を纏っていた。

 やがて二人の声が弱々しくなり、表情から凛々しさが消えてただ快楽に染まったことを確認したマスターは、愛撫を優しい物に変えつつ二人に言い聞かせる様にして口を開く。

 

「二人とも、良い? 俺は決して二人を信頼して無い訳じゃ無いんだ。だからこそ二人にはアルゴー船の守りに就いて欲しいと思ってる……二人が力を合わせてくれたら、どんな敵だって目じゃ無いって思ってるから、守りを任せるんだよ」 

 

「ふぇ……? 力を、合わせる……?」

 

「そうだよ。機動力があって、戦況を把握して柔軟に戦い方を変えられる牛若丸と多対一の戦いに慣れてる沖田さん。その二人が協力すれば、俺たちがアイリさんたちを助け出すまでの時間は十分に稼げるはずだろう?」

 

「はぅ、あ……♡♡♡」

 

「……だから喧嘩なんかしないで。二人の気持ちがバラバラだと勝てる戦いも勝てなくなっちゃうんだから……勝つために二人で協力して、仲良くして欲しいな」

 

「は、はい……♡♡♡ 承知しました、主殿……♡♡♡」

 

 主に諭され、勝利のためでは無く、自分の欲求を満たす為だけに争っていたことを恥じた二人は、羞恥に頬を染めて顔を横へと倒した。そして同じ様な表情を浮かべている相手と視線を交わらせると、たどたどしく言葉を紡ぐ。

 

「沖田殿……も、申し訳ありませんでした。私は己が望みを優先し、あなたを乏しめる様な事を……」

 

「い、いえいえ! 沖田さんも同じようなことをしましたし! お相子って事でこの場は治めましょう! で、作戦では協力して頑張るって事で! ね?」

 

「はいっ! ……どうぞよろしくお願いいたします、沖田殿!」

 

 マスターの仲裁を経て和解を果たした二人は、笑顔を見せあって協力関係を結ぶに至った。元々仲間であり、協力することが正しいのだから、これで元の形に戻ったともいえるだろう。

 功名心と言うより、忠誠心が高い故に起こった二人の争い。それを煽って仲を拗らせる事は簡単だが、大きな力を発揮するには協力させた方が良い。個の力よりも群の力、淫乱組時代とは真逆の扱われ方をされた二人は、自分たちを正しい道に導いてくれた主へと感謝の思いを胸にする。

 

「よしよし……分かってくれたみたいだね。それじゃ、これはご褒美だよっ!」

 

「へっ!? んにゃぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「はひぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 協力関係を結び直す事に成功した二人を見たマスターは、悪戯っぽい笑みを浮かべながら二人の膣に潜り込ませている指を再び激しくばたつかせた。弱所を責め、激しく出し入れし、内部の愛液を泡立てるかの様に攪拌すれば、二つの雌穴からは愛液が潮となって勢い良く噴き出して来る。

 

「はへっ♡ へあぁぁっっ♡♡♡」

 

「ほっ♡ ほぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 突如として訪れた快感に対応しきれなかった牛若丸と沖田は、押し付けられた快感の激しさに体を魚の様に跳ね回らせて喘ぎ狂った。脳内に快感の信号が舞い、それが全身を駆け巡る。バチバチと目の奥で弾ける電撃に意識を朦朧とさせていた二人は、舌を放り出してお揃いの表情で惚けていた。

 

「さ~てさて、お待ちかねの魔力供給の時間だよ~!」

 

「ふぇぇ……?」

 

「んっ♡ はぁぁ……っ♡」

 

 マスターの声を耳にした沖田は、自分の体の上に何かが覆い被さって来た事に気が付いて惚けた声を漏らす。最初はマスターが自分に挿入する為に圧し掛かって来たのかと思った彼女であったが、その予想は少しだけ外れていた。

 

「ふぅぅ♡ はっ♡ おきた、どのぉ……♡♡♡」

 

「牛若丸、さん……♡♡♡」

 

 自分の体に覆い被さって来たのはマスターでは無く牛若丸であった。仰向けの沖田と顔を合わせる様にうつ伏せの状態になった彼女と共に二人で重なって尻と秘所を一直線に並べる。

 この時点でもう、主が何を望んでいるのかは分かっていた。二人はお互いの尻を掴み、左右に押し開く事で濡れそぼった秘所と尻穴を露にしつつ彼へと囁く。

 

「主殿……♡ 沖田殿の雌穴は柔らかく蕩けております……♡♡♡ 逞しい肉棒で、是非ご賞味くだされ……♡♡♡」

 

「牛若丸さんのおまんこはマスターさんにご奉仕するのを楽しみに待ってるみたいですよ♡♡♡ 早く突っ込んで、喜ばせてあげてくださいねっ♡♡♡」

 

「うんうん! 仲良くなったみたいで俺は嬉しいよ! ……んじゃ、ここは公平に、ね……?」

 

「ほぉぉっっ♡♡♡」

 

 沖田の目の前で牛若丸の端正な顔が淫靡に歪む。白目を剥き、鼻の穴を大きく膨らませ、体を跳ね上げながら舌を上方向にぴんと伸ばした牛若丸は、完全に快楽の虜になっていた。

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 続いて、浮き上がった彼女の躰が大きく沈み込んだ。自分の胸の谷間に顔を埋める様にして崩れ落ちた牛若丸の様子に沖田が子宮を疼かせていると――

 

「はっひぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 膣に与えられた激しい快感に今度は沖田が体を跳ね上げることとなった。一突きで子宮口まで達したマスターの肉棒に牛若丸同様の表情を晒し、沖田は嬌声を叫ぶ。

 

「ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 今度は尻穴に熱い塊が捻じ込まれた。それは一瞬の出来事で、あっという間に過ぎ去ってしまう感覚でもある。だがしかし、それが途轍もない快感を自分たちに与えてくれることだけは間違いが無いのだ。

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ ま、またっっ♡♡♡ 不浄の穴にぃぃぃっっ♡♡♡ ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡ ほとっ♡♡♡ 子宮ひびっ♡♡♡ ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

「あへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ♡♡♡ おうっ♡♡♡ おうぅぅぅぅっっ♡♡♡ じゅんばんこぉっ♡♡♡ 沖田さんたちのおまんこ、順番に犯されてるぅぅっ♡♡♡」

 

 牛若丸のアヌス、性器、沖田の性器、アヌス……上から順番に彼女たちの雌穴を穿ち、宣言通り平等に快感を与えて行くマスターは、寸分の狂いも無く肉棒を操っていた。まずは慣らしとばかりに一回ずつのピストンで彼女たちの敏感な部位を責め上げ、段々とエンジンをかける様にして腰の動きを加速して行く。目の前の沖田の顔が快楽に染まり、彼女の尻穴が穿たれたことを悟った牛若丸が次は自分の番だと覚悟を固めると――

 

「おへっっ♡♡♡ またっ、おひりぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

「えっっ!? んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 牛若丸の予想した快感は訪れなかった。代わりに再び沖田の顔が快楽に染まり、口元から涎を垂れ流す。自分の予想が外れた事に動揺した牛若丸が目を見開けば、その瞬間を待っていたとばかりに彼女の膣に熱い肉棒が叩き込まれた。

 

「おっっ♡♡♡ くはぁぁぁっっ♡♡♡ ひっっ♡♡♡ まんっっ♡♡♡ あぁっ、尻穴っっ♡♡♡ また前っっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ♡♡♡」

 

「もっ♡ わかりまひぇんっっ♡♡♡ おちんぽどこに来るのかわかりゃないのぉっ♡♡♡ 我慢出来ませんっっ♡♡♡ 耐えられませんっっ♡♡♡」

 

 ついに性交の本番が始まった事に牛若丸と沖田の二人は瞳を蕩けさせ、先ほどまでより大きな声で嬌声を上げる。自分たちの二つの穴は完全に発情し、肉棒を叩き込まれる瞬間を待つだけになってしまった。ずぶずぶと肉欲に意識と体が沈んで行くことを感じながら、二人は主の寵愛を待ち侘びて尻を揺らす。

 

「ほひぃぃぃっッッ♡♡♡ お、お、お、っっ♡♡♡ ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「あへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ♡♡♡ んんん~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

 もう順番も回数も完全にランダム、覚悟を固める事も予想も出来ないままに二人は双穴をマスターに差し出す他無い。乱れた表情で開く口から飛び出すのは喘ぎ声だけ、発情した雌の鳴き声だけだった。

 いつしか二人は互いの舌に自分の舌を絡め合い、女同士で濃厚なディープキスを交わす様になっていた。下半身の激しい快感と舌から感じられる安心感のある快感が混じり合い、二人の脳内を静と動の二つの快感でせめぎ合わせる。

 

「んふぅっっ……♡♡♡ 沖田、どのぉ……ッッ♡♡♡」

 

「うひわかまりゅ、ひゃん……♡♡♡」

 

 自分たちの中に渦巻く熱が高まり、更に大きくなる事を感じながら、二人は別々の快感を一つの交わらせた。激しさと安心感、男と女、真逆の存在が与えてくれる快感に意識を灼く二人の耳にマスターの声が響く。

 

「平等に、一回ずつ……二人の可愛い穴に沢山射精するからね……! さあ、最初は何処にしようかな……?」

 

「はぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ んぅぅぅむぅぅぅ……っ♡♡♡」

 

「へ、あへ、へへへ……♡♡♡」

 

「……うわ、二人の(ナカ)凄いね。膣だけじゃあ無くてお尻もだ。ぎゅんぎゅんうねって、とっても熱くなって……沢山、注ぎ込んで欲しいんだね。これは期待に応えてあげないとなぁ……!」

 

 マスターの言う通り、彼女たちの雌穴は発情しきっていた。精を放たれる時を待ち、その快楽を享受すること以外はもうなにも考えられなくなっていた。淫らなキスを続け、女性としての幸福に浸り続ける彼女たちは、湧き上がって来た快感に全てを委ねることを決める。

 

(あ、あ……♡♡♡ 頭の中が、真っ白に……っ♡♡♡ 凄いのが、来る……♡♡♡)

 

(全部が、消える……♡♡♡ この快感と幸福以外の全てが消えて、私たちと混じり合って……幸せが、心を満たしてくれる……♡♡♡)

 

 お互いの腹を隔てて共鳴する二つの子宮。幸福と快楽に震えるそこは、ただ絶頂を繰り返して愛しい人の遺伝子を待ち続ける器官となっていた。

 舌を絡ませ、体を重ねている今だからこそわかる……目の前の女性もまた、自分と同じだと。この子宮の疼きを伝播させ、互いにより高みへと登り詰めることしか頭の中には無いのだと理解した。

 

「あっっ♡ あぁぁっっ♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「ひくぅっっ♡♡♡ イっクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっ♡♡♡」

 

 昂る熱のままに絶頂に達した二人は、なおもマスターの肉棒に高められ、喘がされ続け、肉欲の限りを味わい続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んひぃ♡ へっ♡ へぅっ♡」

 

「あ、へ、へ……♡♡♡ お腹の中、いっぱい、です……♡♡♡」

 

「……約束通り、一回ずつ射精させて貰ったよ。満足してくれたかな?」

 

 暫く後、部屋の中にはセックスの時と同様の体勢をしている牛若丸と沖田の姿があった。だがしかし、その体は完全に疲れ切り、指一本動かせない様である。

 ぴくぴくと体を痙攣させ、だらしないアクメ顔を晒す二人の下腹部は淫らな湾曲線を描いていた。膣とアナル、一回ずつの射精でここまで膨れてしまうとは思えない程の量の精液が注がれている証拠だ。

 

「俺も気持ち良かったよ。二人とも、どうもありがとう」

 

 マスターの感謝の言葉に答える余裕もない二人は、ただただ体を震わせることしか出来なかった。ただ、返事代わりに精液を注がれた4つの穴が緩み、そこから大量に注がれた白濁液が溢れ出て来る。日本の女性らしい均整の取れた美しい尻が白濁に塗れ、いやらしい臭いを撒き散らしながら震えている光景は、マスターの未だに収まり切らない欲情を更に煽った。

 ごくりと喉を鳴らすマスター。しかし、今の二人を無理矢理叩き起こして自分の相手をさせることなど出来なかった。再び立ち上がり律動する自分の肉棒の滾りを治めるべく次の女性を探しに行こうと振り返ったマスターは、自分のすぐ背後で笑う女性の挑発的なひょうじょうを見止めて動きを止める。

 

「ま~だ治まんねえのかよ? マジで化け物並だなぁ、おい……♡♡♡」

 

 反り返ったマスターの肉棒を指で突き、熱を帯びた吐息を漏らしたその女性『モードレッド』は、ゆっくりと屈むと大きく口を開けて肉棒へとむしゃぶりついた。そのまま下品な音を鳴らし、思い切り吸いつきながら口淫を行い、マスターの肉欲を受け止める準備を始める。

 

「ふあぁぁ……っ♡♡♡ マジでデカすぎだろこのちんぽ♡♡♡ 口で相手すんのも大変だっつーの……♡♡♡ しゃあねえなあ――♡♡♡」

 

 それは口で相手をするのが大変だと言うより、モードレッド自身がもう我慢出来ないと言う事を隠す為の言葉だった。壁に手を付き、片脚を上げ、犬が用を足す様な姿勢を取ったモードレッドは、ぬらりといやらしい光沢を放つ自分の秘所を広げながらマスターへの誘い文句を口にした。

 

「こいよマスター……♡♡♡ オレのまんこでたっぷり相手してやっからさ♡♡♡ 遠慮なしにそのドデカちんぽをぶち込んじまえよっ♡♡♡」

 

 欲望に染まった瞳を煌かせながら、モードレッドは愛液を垂れ流す秘所を広げて淫らな臭いを撒き散らす。快楽に期待する彼女は獲物を狙う獣の様に舌なめずりをして、ハートが浮かんだ目でマスターを見つめていたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・オケアノス編3(モードレッド)

 

「ほら、来いよマスター♡ オレのまんこは温かくて気持ち良いぞ~♡」

 

「モードレッドも節操無しになったよね。昔は女扱いするな~、とか言ってたのにさ……」

 

「はっ! さんざっぱらオレを抱いて雌にしといて言う台詞かよ? それにこうしないとオレの力は戻らないんだ、だったら女扱いするなも糞も無いだろ?」

 

「とか何とか言って、本当はただセックスしたいだけなんじゃないの?」

 

「セックスしてえのはマスターの方だろ? こんなにちんぽバッキバキにしといてスカしたふりなんかすんじゃねえよ……♡♡♡」

 

 高く上げた脚を下ろし、足の裏でマスターの亀頭を擦ったモードレッドは舌なめずりをしながら肉棒を刺激し続ける。積極的に行動し、彼とのやり取りで主導権を握ろうとするモードレッドは、適度に亀頭を擦った後でもう一度自分の秘所を開いてマスターを挑発した。

 

「ほら……足でイっちまうなんて勿体ねぇだろ? こっちでイけよ……♡♡♡ ハメたいんだろ? 無理すんなって……♡♡♡」

 

 カクカクと上下に振り、愛液でびしょ濡れになった秘所を見せつけるモードレッドの瞳には肉欲の炎が灯っている。そう簡単には鎮火出来そうに無い激しい炎。燃え、揺らめき、なおも激しさを増すその炎を見たマスターは、モードレッドの誘いに乗ってやることを決めた。

 

「はぁ……そうだね、我慢は体に毒だもんね……。お言葉に甘えて、モードレッドのおまんこで楽しませて貰うよ」

 

「へへっ♡ そうこなくちゃな……♡」

 

 モードレッドの右脚を掴み、より高くまで掲げさせたマスターが逸物を彼女の膣にあてがう。犬が小便をする時の様な体勢で犯されようとしているモードレッドは、自分の入り口に触れる男性器の熱さを感じて期待に子宮を震わせた。

 そのままゆっくりと腰を突き出したマスターがモードレッドの膣に己の分身を侵入させていく……逞しい男性の象徴が自分の内側に挿って来る、自分の事を女にしようとしている……じゅくじゅくと疼く子宮の震えもそのままに、モードレッドは荒い呼吸を繰り返しながらマスターへと語り掛けた。

 

「どうだ? オレのまんこは気持ち良いだろ……♡ ぎゅうぎゅうに締め付けて、ぐねぐねうねって、滅茶苦茶熱くて堪らねえだろ……♡ ガツガツ腰振って、すぐにでもちんぽ汁ぶちまけてぇよなぁ?」

 

「………」

 

「……でもな、まだ駄目だ。本気でセックス始める前に、お前に聞いときたい事があるからな……! へへっ、ちゃ~んと答えろよ、マスター……♡」

 

 ゆっくり、ゆっくりと腰を進め、最奥まで辿り着いたマスターの肉棒の震えを感じながら、モードレッドは彼の本格的な動きを押し留めた。今すぐにでもセックスしたいであろうマスターを手のひらの上で転がしている現状に何とも言えない愉悦を感じつつ、モードレッドはじっくりと嬲る様にしてマスターへと質問を投げかける。

 

「……次の作戦、突入班の話だけどよ……さっきの二人組は守戦に回すって事は決まりみたいだな。んじゃ、他に誰を連れてくんだ? ……まさか、あの緑の弓兵だけって訳じゃねえだろ?」

 

「………」

 

「他に白兵戦が得意そうな奴なんてたかが知れてる。キャスター連中は屋内戦よりも外での戦いが向いてるだろうし、艦隊の盾になるマシュも連れて行く訳にはいかねえ……なら、誰を連れてく気だ? なあ?」

 

「………」

 

 押し黙ったまま何も語らないマスターに笑みを見せたモードレッドは、ねっとりとしたキスで彼の唇を奪う。自分の優位を示す様に、本気のセックスを始めたくて焦燥しているであろう彼を焦らす様に、モードレッドは小悪魔の様な口振りで彼に問いかける。

 

「なあ、言えよ……♡ お前が頼りにしてる、大事な作戦に同行させるサーヴァントの名前をさ……♡ それがしっかり言えたら、オレのまんこを好きにして良いぜ……♡」

 

 モードレッドにはもうその答えがわかっていた。だが、実際に彼の口からその答えを聞きたかったのだ。欲望をより激しく昂らせ、もう我慢が出来ないと思わせるまでに彼を焦らし、その果てで彼からその言葉を引き出したかった。

 自分の膣内に潜り込んでいる肉棒ははち切れんばかりに膨らみ、硬くなっていた。ここまで我慢を重ねさせたのだ、当然だろう。後はその我慢を解くきっかけを作ってやれば良い。そして、その答えを以って自分の優位を確固たる物にすれば良いのだ。

 

「……ドレッド」

 

「あ? なんだよ……? 聞こえなかった、もう一回言ってくれ」

 

 ぼそりと聞こえた彼に声に堪らず笑みを零し、されど底意地の悪い答えを彼に返す。しっかり、はっきりとその言葉が聞きたくて、モードレッドは彼に意地悪をしてしまった。

 

「……次の作戦で突入班に指名するのはモードレッドだよ。もう、わかってるんでしょ?」

 

「ひひっ! そうだよなぁ! 敵陣で大暴れするなら、オレの出番だよな! わぁ~ってるわぁ~ってる!」

 

「言っておくけど、暴れるんじゃなくって隠密行動だからね? そこらへんは勘違いしないでよ?」

 

「大丈夫だって! よ~く分かってっから!」

 

 指名を受け、上機嫌になったモードレッドはニヤニヤと笑いながらマスターの顔を見つめた。一時期は本当にへなちょこであった自分が彼の警護役を任されるまでに強くなったのだ、機嫌も良くなるだろう。

 そして、マスターが自分の思うがままに行動している事も面白く、嬉しかった。男を手玉に取るとはこんな感じなのかと愉悦するモードレッドは、いやらしい笑みを浮かべながらマスターへと語り掛ける。

 

「ん、じゃあ聞きたいことも聞けたし、もう動いて良いぜ! マスターのちんぽガッチガチになって、もう辛抱堪らないって感じだもんなぁ!」

 

「ん~……」

 

「どうしたぁ? 恥ずかしいか? 悔しいのか? でもま、我慢しても良い事無いっつーの! さっさと諦めつけて、オレのまんこ楽しめよ!」

 

 手玉に取られた事が悔しいのか、マスターはモードレッドの言葉に従う事は無かった。俯いて唸り、ピクリとも動かない彼の様子に更に機嫌を良くしたモードレッドがからかう様にして声をかける。

 まあ、マスターも男の子だ。良い様に弄られた事が悔しいのだろうと察したモードレッドはニヤニヤしたまま彼を見つめ続けている。どうせ我慢が利かなくなって動き出すだろう、そう考えている彼女は膣圧を操作してマスターの肉棒を虐めて楽しんでいたのだが――

 

「……ちょっと調子に乗り過ぎじゃないかな?」

 

「へっ?」

 

 それはあくまで冷静で、淡々とした声だった。なんの変哲もない声であったからこそ、モードレッドは彼のその様子に驚いて目を丸くしてしまう。

 マスターは、勃起したままの肉棒をモードレッドの膣から引き抜き、唖然としたままの彼女に向けて伏せていた顔を上げると、そこに浮かべていた非常に良い笑顔を見せつけながらただ一言呟いた。

 

「んじゃ、ちょっと調()()しちゃおうかな?」

 

「は……? ンおぉぉぉぉぉぉッッ♡♡♡」

 

 その言葉の意味を理解出来なかったモードレッドが茫然とした声を出した次の瞬間だった。突如として彼女の視界が真っ白になり、脳天から爪先までを凄まじい衝撃が駆け抜けた。モードレッドが再び目の前の光景を見られる様になった時には、彼女の見る世界は己の涙で滲んで見える様になっていた。

 

「んいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ ほきゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんんっっ♡♡♡」

 

 全てが理解出来なかった。自分の身に何が起こったのか、今自分がどうなっているかもわからなかった。自分の耳に響く聞き覚えのある悲鳴を誰が上げているのかすらも分からないでいた。

 体は熱く火照り、何度も絶頂を繰り返している。何をされたのか? 何が起こっているのか? 混乱を続けるモードレッドは、自分の子宮を叩かれる感覚に体を仰け反らせて甲高い悲鳴を上げた。

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 愛液が滝の様に噴き出す。目の前の光景が明滅し、何も分からなくなる。先ほどまで自分の心の中にあった余裕は完全に消え失せ、混乱の最中に与えられた快感に全てが支配されている。そこまで自覚したモードレッドは、ようやく喘いでいる声は自分の物であると言う単純な事実に気が付くに至った。

 背中に感じる硬い壁の感触。足首を掴まれ、顔の真横まで持ち上げられて拘束にも近しい体勢を取らされている事。まったく身動き出来ない体の中で、唯一腰だけが止めどなく震えている事。そして目の前のマスターに完璧に仕上がった性器を肉棒で掻き回されていると言う事に気が付くまでに、モードレッドは七度の絶頂を迎えて全身を硬直させてしまっていたのである。

 

「にゃんらよ、こ、れぇぇ……♡ なんれ、こんな、きもちいっ……♡♡♡」

 

「あ、まだ喋れる余裕があったんだ? ならもう少し激しくしても良いかな?」

 

「おおっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 押し込まれた肉棒が更に激しく膣を削る。感じる部位を全て擦りながら出し入れされ、子宮を打ちのめす様に亀頭を叩き込まれ、モードレッドの頭の中からは理性が完全に消え去ろうとしていた。

 

(お、オレの躰……♡♡♡ まんこを支点にちんぽで支えられてる……っ♡♡♡ マスターの極太ちんぽに全部預けちまってる……♡♡♡)

 

 愛液を噴き出し、止めどなく潮を撒き散らすモードレッドの性器。自分の体は、そこに突き入れられる肉棒によって支えられている事に気が付いたモードレッドは、その逞しさに胸をときめかせた。

 

(すげえ……♡♡♡ ちんぽ、すげえよ……っ♡♡♡ きもちよくって、はげしくって……オレのぜんぶ、めちゃくちゃにされて……♡♡♡)

 

 脳内に浮かぶ言葉は与えられる快感を素直に享受することを悦ぶ物になっていた。尻元に愛液の海を作り、船の床を汚し続けるモードレッドの思考は更に快感に素直になっていく。

 

(ちん、ぽぉ……♡♡♡ ちんぽちんぽちんぽっ♡♡♡ マスターのちんぽぉぉっっ♡♡♡)

 

 モードレッドの脳内から意味のある言葉が消えた。快感を与えてくれる存在だけを頭の中に思い浮かべ、ただひたすらにその快楽を貪り喰らう雌へとひた堕ちていく。

 狂う程に心地良く、甘い毒の様な快感……底知れぬ快楽の沼に叩き落され、ただひたすらに膣を穿たれ続ける今、モードレッドにとってはこの快楽以外はもうどうでも良い事になっていた。

 

(~~~~~っっ♡♡♡ ♡♡♡ ♡♡♡ っっ~~~~~♡♡♡)

 

 ついには彼女の中からすべての言葉が消えた。今のモードレッドを支配するのは圧倒的な快感のみ。その快感によって与えられる幸福だけが、彼女の全身を満たして支配していた。

 

「あ♡ あ~~っ♡ あぁぁ……っ♡♡♡ おぉぉぉぉ……っ♡♡」

 

「……うん、良い顔になったね。凄く可愛いよ、モードレッド……!」

 

「あ、え……♡♡♡ えへ、えへへへへへ……♡♡♡」

 

 やがて腰の動きを止め、蕩けた表情を浮かばせるモードレッドの顔を覗き込んだマスターは優し気な口調で彼女を褒めてその頭を撫でてやった。快感に浮かれるモードレッドにはその言葉の意味が分からなかったが、心の中を満たす幸せな気分に頬を染めて彼の手を受け入れる。

 モードレッドの足首を掴んでいた手を離したマスターは、今度は彼女の体を自分の方向へと引き寄せる。脱力したモードレッドの体は、その導きに簡単に従って全身をマスターに預ける体勢を取った。

 

「可愛いよモードレッド……一生懸命頑張って主導権握ろうとして、ちょっと上手く行っちゃったから調子に乗っちゃったんだよね? でも、こんなに簡単に躾け直されてトロトロになっちゃうなんて、モードレッドは本当に可愛いね」

 

「い……♡ あ、う……♡♡♡」

 

「俺のちんぽが気持ち良かったんだよね? 抵抗出来ないままおまんこ責められてイキまくっちゃったんだよね? アクメし過ぎて、もう何も考えられないんだよね?」

 

「はぅ、はうぅぅぅぅ……♡♡♡」

 

「……悔しくないの? さっきまであんなに優位に立ってたのに、あっという間に逆転されちゃったんだよ? モードレッドは悔しくないのかなぁ~……?」

 

 自分に意地悪をしたお返しだとばかりに底意地の悪い質問をモードレッドに投げかけるマスター。その表情は少年の様に無邪気なのに、行動は魔王の様な悪辣さがあった。

 自分のプライドを刺激されたモードレッドであったが、ぼーっとした思考のままでは何も考える事は出来ない。だが、確かにマスターの言う通りに悔しさは感じていた。

 

(くや、ひい……マスターに弄ばれて、無茶苦茶にされて……悔しい……)

 

 手の平の上で弄ばれていたのは自分だった。操っていると思った男は、実際は自分が行う事を全て見越して敢えてその目論見に乗ってやっていただけだった。

 完全に操られていた事が悔しい。簡単に喘がされてしまった事が悔しい。彼の思い通りに動かされてしまった事が悔しい。悔しい、悔しい、悔しい悔しい悔しい……なのに――

 

「……その悔しさが気持ち良い……だよね?」

 

「~~~っっ♡♡♡」

 

 マスターの言葉を耳にした瞬間、モードレッドの中で何かが弾けた。全身に広がった熱が子宮の一点で収束し、一瞬の膨らみを経て弾ける……水飛沫を放ち、愛液の雨を降らせたモードレッドは、全身を満たす幸福感を胸にしながら思った。

 

(ああ……♡♡♡ 全部、バレてんだ……♡♡♡ オレの全部、マスターに見透かされてるんだ……♡♡♡ マスターはオレの事、全部わかってるんだぁ……♡♡♡)

 

 自分の中に生まれた最も恥ずべき感情、誰にも知られてはならない秘密の思い。

 騎士である自分が、屈辱を得て幸福感を感じているなどと言う事を知られてはならなかった。恥辱を受けて幸せになる事など許されるはずも無かった。

 だが……彼は、いとも容易くその許されざる方法でモードレッドに幸福を与えてみせた。あまつさえその感情を暴き、彼女を更に深みまで追い詰めてみせたのだ。

 

「ぜ~んぶ分かってるよ……! 悔しさと気持ち良さのバランスを取って、ギリギリ気持ち良いが勝つ様に調整されるのが最高に気持ち良いんでしょ?」

 

「はっっ♡ はぁっ♡」

 

「女の子の部分を掘り起こされて、沢山喘がされて、壊れる寸前まで追い詰められて……ギリギリで押し留められるのが、凄く感じちゃうんだよね?」

 

「うぅぅぅ~~~っっ♡♡♡」

 

「いっぱい、い~っぱい虐められるのが好きなんだよね? でもただ虐められるのは嫌でしょ? ……モードレッドが好きなのは、()()()()()()()()()()()()()()……極限まで追い込まれて、全部奪われそうになるんじゃないかって心配させて、でも本当にギリギリの所で大切にされる事……それが、大好きなんだよね?」

 

「んっっ♡♡♡ くあぁぁぁぁぁ……っっ♡♡♡」

 

 ゾワリ、ゾワリと背筋に震えが走る。それは幸福で、あまりにも甘美な痺れだった。

 全て彼の言う通りだった。自分は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。自分の弱い部分を掬い出され、それを可愛がられる事を幸福に感じてしまうのだ。

 

 モードレッドは自分の強さを証明する手段は知っている。ただ剣を振るい、目の前の敵を打倒せば良いのだ。そうすれば、人は彼女を強靭な騎士だと思ってくれるだろう。だが、モードレッドは自分の弱さを曝け出す方法は知らなかった。

 騎士として生きて行く以上、自分は弱さを封印するしか無かった。自分の中の弱さを曝け出す事など出来はしなかった。その生き方は人に甘える方法を忘れさせ、モードレッド自身の心を荒ませて行った。

 そんな生き方をしていても、心の奥底で彼女は求めていたのだ。自分の弱さを曝け出せる場所を……自分の全てを暴いて、それを受け入れてくれる存在を……!

 

「ます、たぁ♡ ますたぁ……♡♡♡」

 

「よしよし……ほら、もっと曝け出して良いんだよ? 弱い部分、カッコ悪い部分、ぜ~んぶ俺に見せるんだ。嫌がっても無駄だよ? 俺がその気になったら、モードレッドの全部は簡単に引き出せちゃうんだからね? ……なら、自分から見せた方が良いでしょ? ねぇ?」

 

「う、あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁ……っっ♡♡♡」

 

「……どんなモードレッドでも俺は受け入れるよ。モードレッドの弱くて可愛い部分も大切にする……だから安心してね。ずっとずっと、大事に虐め続けてあげるからさ……! もっと深くまで……モードレッドの全部を俺の物にしちゃうからね」

 

「あ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……♡♡♡」

 

 モードレッドの瞳から涙が零れる。しっかりと抱き締められる心地良さが、幸せが、彼女の心を満たしてくれていた。

 目の前の彼は知っている、自分が何を望んでいるのかを……強いだけじゃない、弱い自分を受け止めて貰えることを望んでいると言う事を、マスターは理解しているのだ。

 そして何より、マスターはモードレッドの一番望む物を与えてくれていた。彼女の一番の望み、それは、()()()()()()()()()()()()()()()であった。

 

 父にも、他の円卓の騎士からも心からの信頼は与えて貰えなかった。その果てに裏切り、自分は全てを踏み躙った。

 自分はただ父に、偉大な王に認めて欲しいだけだった。自分を理解して、自分の事を信じて欲しいだけだった。だが、その望みはついには果たされる事は無かった。

 

 生前には叶わなかったその望み。理解者が欲しいと言う子供じみたその願い。自分を深くまで理解してくれる存在など、世界の何処にも居ないと思っていた。

 だが違った。目の前の彼は自分の弱さを受け入れてくれた。弱さを暴かれる事を幸福に感じている事を理解してくれた。そしてそんな自分の全てを知りながら変わらぬ信頼を送ってくれている。

 

(ダメ、だ……♡♡♡ もう、おさまりがきかねえ……っ♡♡♡ ちんぽで突かれてる訳でもないのにっ♡♡♡ イクっっ♡♡♡)

 

 モードレッドは達する、自分を受け止めてくれる男性の腕の中で……幸福に満ちた表情で、弱々しい部分を晒しながら。

 自分を抱きしめている男は強いだけの自分を求めてはいない。無論、弱いだけのモードレッドを嬲り、壊す事だって求めてはいない。弱さと強さをひっくるめた、モードレッドと言う一人の人間を求めてくれているのだ。

 

(イクイクイクっっ♡♡♡ 幸せ過ぎてイクのとまんないっっ♡♡♡ マスターに抱きしめられてイキっぱになるぅっ♡♡♡)

 

(メスにっ♡♡♡ メスになるっっ♡♡♡ こいつの(メス)になって、全部差し出しちまうっっ♡♡♡)

 

(なりたいっ♡♡♡ なりてぇよぉっ♡♡♡ 魔力供給なんて名目じゃなくって、本気のガチハメセックスで抱いて貰ってっ♡♡♡ マスターの女にして欲しいっっ♡♡♡ オレの霊基をメス堕ちさせて欲しいっっ♡♡♡ マスターの女になりたいっっ♡♡♡)

 

 モードレッドは気が付く、自分の全てを理解している男の腕の中で、自分が最も安心出来る場所で、虚勢を張る必要など無かったのだと。絶対的な安心感と幸福を与えてくれるマスターの前では、自分の弱さを曝け出して良かったのだ。

 彼より優位に立とうだとか、手玉に取ろうだとか……そんな事、まったくもって無意味だ。彼に媚びる事も阿る事もしなくて良い。自分はただ、自分を曝け出せばよかったのだ。

 

「ますたぁ♡♡♡ すきっ♡♡♡ すきだぁっ♡♡♡ もっともっとかわいがってくれぇっ♡♡♡ オレのことぉ、たいせつにしてくれぇっ♡♡♡」

 

「わかったよ、モードレッド……じゃあ、次はまだ弄ってないお尻を虐めてあげようか? マシュにする時みたいに沢山気持ち良くして、気を失うまでセックスするからね」

 

「はぇぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ うあっ♡♡♡ はぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 壁に反転した体を押し付けられ、尻を突き出す様な格好をさせられる。やや乱暴に、だが丁寧さを十分に感じられる手付きで尻の穴を広げられたモードレッドは、次の瞬間に空気が震える程の叫び声を上げていた。

 

「んあぁぁぁぁぁぁァァぁぁぁぁぁァぁぁぁぁァァぁぁぁぁぁぁぁぁッッ♡♡♡」

 

 涙、鼻水、汗、涎、小便、愛液……全身の穴と言う穴から体液を噴き出すモードレッドは、それでも彼の肉棒を受け入れている尻穴に意識を集中させた。と言うより、勝手に集中することになった。その圧倒的な質量と熱、快感によって体と本能が反応してしまっていたのだ。

 彼の肉棒はいつものセックスの時よりも硬く、大きかった。律動も激しく、弱くなってしまった自分の体とセックスしていた時よりも全てが段違いに上になっている。

 

(来るんだ……♡♡♡ 本気のちんぽっ♡♡♡ マスターの本気セックス来るんだぁっ♡♡♡)

 

 自分を手玉に取ろうとする余裕があるのなら、もう遠慮はしてやらない。本気でその肢体を貪り、雌としての悦びを叩き込んでやる。モードレッドの心の中に響いたその言葉は、彼女の真の望みだったのかもしれない。

 腰が、尻が、子宮が、疼き出す。自分はこれからどうなってしまうのだろうかと期待する心がときめきを止めない。心臓はうるさい位に高鳴って、今にも胸から飛び出しそうになっていた。

 

「モードレッドが気を失うまで続けるよ、良い? ……ああ、ちゃ~んと気を失わないギリギリで攻め続けてあげるからね……!」

 

「は、はははは……♡♡♡ おうっっ♡♡♡」

 

 早く快楽の底に自分を叩き込んでくれと言わんばかりに微笑み、尻を振り……モードレッドは、女として、人としての幸せに浸るセックスを続けたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔力供給・オケアノス編4(メアリー・リード メデューサ『ランサー』)

 

 

「んっ♡ ふっ♡ んんっ♡ ふぅっ♡」

 

「はっ♡ はぁっ♡ はっっ♡ くぅ~~っ♡」

 

 ちゅくちゅくと言う淫らな音が二つ重なって響く、何処かくぐもっている嬌声もだ。リズミカルに、繰り返す様に、同じ音が響き続け、床にぱらぱらと水飛沫の落ちる音が響く。

 トロリと蜜を垂らし、上下に震える幼い尻……ぷるぷると震え、可愛らしくピンク色に染まる二つの尻は、膣内を愛撫される快感を享受して愛する人の指を受け入れていた。

 

「あぁっ♡ そこっ♡ そこイイっ♡ もっと弄ってっ♡ マスターっっ♡」

 

 未成熟な身体つきに反して非常に性交に慣れた様子を見せるメアリーは、自分に弱点を擦るマスターの指に体を跳ね上げながら叫ぶ。彼女の声に従ったマスターに同じ部分を何度も激しく擦られれば、膣内からは噴水の様に愛液が噴き出した。

 

「はくっ♡ ふっっ♡ ふ~~っ♡ はぁぁっ♡ あぁぁ……っっ♡」

 

 もう一人の女性であるアナは、マスターの指に膣内の感じる部分を調査される様にして愛撫を受けていた。丁寧に壁を擦り、アナが反応を見せた部分をねっとりと責めるマスターの指に喘がされながら、彼女もまた幸せな気分に浸り続けている。

 

 そうやって二人の性器を愛撫し、意識を快感に漬け込ませていったマスターは、最後に自分が届く最奥まで指を突き入れて二人の膣を刺激した。突如として訪れたその快感に耐え切れず、二人は大きく口を開いて叫び声を上げてしまう。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁっっっっ♡♡♡」」

 

 ぱん、ぱぁんと、頭の中で何かが弾ける。四つん這いの姿勢を維持出来ない程に体が痙攣し、そのまま脱力してしまう。

 同時に床に崩れ落ちたメアリーとアナは、だらりと舌を放り出しただらしない表情で快感の呻きを上げている。だが、彼女たちの尻だけは高々と掲げられ、マスターに触れられることを待ち望み続けていた。

 

「……二人とも、そのまま力を抜いててね……」

 

「は、ぁ……っっ♡♡♡」

 

「んんっ♡ ふぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡」

 

 マスターの言葉に従って体を脱力させる二人の性器に硬い物が触れる。冷たく細いそれは棒状に連なった球体の集合体であり、ダヴィンチちゃん特製の大人の玩具であった。

 シリコン製のそれをじっくりと二人の愛液で濡らし、十分に滑りを良くした後、マスターはひくひくと蠢くアヌスへと玩具を向ける。一息に、何の遠慮も無く、マスターは柄の根元まで手にした玩具を二人の尻穴へと挿入した。

 

「ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「んほひぃっっっ♡♡♡」

 

 またしても不意を打たれた二人の体がガクンと跳ねる。尻は細かな痙攣を続け、興奮に赤みを増させていた。

 尻穴に挿入した玩具を馴染ませる様、マスターはそれを数度出し入れする。ぐちゅ、ぬちょ……そんな淫らで湿った音が響く度、二人の口からは可憐な見た目からはおよそ似つかわしくない低い声が飛び出した。

 

「んおっっ♡♡♡ けつ、あにゃぁ……っ♡♡♡」

 

「おひりぃ……♡♡♡ ふかくまれ、きてまひゅ……♡♡♡」

 

 ぬぷぬぷと音を立てて自分のアヌスに出し入れされる玩具は、微弱な魔力を放って腸内にそれを吸収させていた。僅かながらも魔力を供給される尻穴は喜んでそれに吸いつき、ちゅうちゅうと穴全体で玩具に絡みつく。

 

「あっっ……♡♡♡」

 

 たっぷりと尻穴を穿られていた二人は、自分たちのアヌスに異変が起き始めている事に気が付いた。玩具の放つ魔力を吸った尻が、燃える様に熱くなっているのだ。どうやらこれこそがこの玩具の特徴らしい。

 

「んいぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ らめぇっ♡♡♡ らめぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ そんなにおしりかきまぜられたらっ♡♡♡ ボクっ♡♡♡ もうイクぅぅっっっ♡♡♡」

 

「はへおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……っ♡♡♡ ほひぃぃぃ……♡♡♡ んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……っっ♡♡♡」

 

 発情し、敏感になった尻穴。マスターはそこに挿入された玩具を動かし、更に深くまで二人を責める。

 まるでガムシロップを加えたアイスティーを掻き混ぜる様にして玩具を回し、その状態で出し入れを繰り返す。尻穴を掻き回されながら肛門を責められる二人はそれぞれ違った様子を見せていた。

 

「へっっ♡♡♡ へっっ♡♡♡ あへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ♡♡♡ イクぅぅっ♡♡♡ イってるぅっ♡♡♡ お尻の穴が恥ずかしい音を立てながらイキまくっちゃってるっっ♡♡♡ ボクのお尻っ♡♡♡ 壊れちゃうよぉっ♡♡♡」

 

 性交の経験が豊富であり、肉体の開発が進んでいるメアリーはアヌスでの快感を真正面から感じ取っていた。今まで知り得た快感とは桁が違うそれを享受しつつ、彼女は蕩けに蕩け切った尻穴をひくつかせてマスターの愛撫に喘ぐ。

 キツく締まっている彼女の尻から玩具が引き抜かれる度、ちゅぽちゅぽ♡ と言う音とぶびびっ♡ と言う音が漏れた。前者は締まった穴が鳴らす悦びの音、後者は尻の中の空気が玩具によって押し出された時に響く放屁もどきの音だ。

 

「イクっ♡ いぐっっ♡ おへぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ イってるっ♡♡♡ イってるのにまたイクっっ♡♡♡ おひりイクのとまんないぃぃっっ♡♡♡」

 

 体をぐったりと横たえながらもメアリーの尻だけは高く浮き上がっていた。まるでマスターにそこを弄られる事だけが全てだと言わんばかりに尻を震わせて肛門による快感に夢中になるメアリーの膣もまた、その愛撫によって興奮の一路を辿るばかりだ。

 そんな彼女の横ではアナが小さく囁く様な声で呻き声を上げている。しかし、その表情もまたメアリー同様の雌の悦びに染まった物になっていた。

 

「お、しり、こんなに、きもちいい……っ♡ 恥ずかしい穴なのに、いっぱいかんじちゃってる……♡♡♡ ふあぁっっ♡♡♡」

 

 まだ未熟で性交の経験が少ないアナは、数える程しか行われたことの無い肛門愛撫による快感に幸せそうな吐息を漏らす。ソロモンの下に居た時とは違う、優しく感じさせてくれる愛撫によって彼女はじっくりとその快感を堪能することが出来ていた。

 

「はぁっ♡ あぁっっ♡♡♡ ほひっっ♡♡♡ ……こんな声が、自然に出てしまう……♡♡♡ お尻の穴、びくびくってして、ぶるぶるして……♡♡♡ 気持ち良い、です……♡♡♡」

 

 アナの脳裏には開発の二文字が浮かんでいた。無理矢理快感の坩堝に叩き落されるのではなく、じっくりと弱火で煮込まれる様にして体を弄られ、感じる様に変えられるこの行為こそが、真の開発だと言う事に気が付く。

 ……いや、それもまた違うのだろう。激しかろうとも、多少乱暴で在ろうとも、そこに愛があればそれで良いのだ。感じさせる側と感じさせられる側、両者が望んで性の悦びに手を伸ばす行為こそが、幸せな開発行為なのだろうとアナは思った。

 

 激しく感じ続けるメアリーの尻穴とねっとりとした快感を受け入れ続けるアナの尻穴。両者ともに快感に喘ぎ、悦び続けていたが、何度目かの絶頂を迎えたメアリーは、突如として目に涙を浮かべながら呻き始めた。

 

「むりぃ……♡♡♡ もう無理だよ、マスター……♡♡♡」

 

 カクン、カクンっ……メアリーの腰が上下に激しく揺れ、開いた秘所からは濁った本気汁が零れ落ちた。ただならぬ様子を見せる彼女は目を大きく見開くと、首だけで振り返ってマスターに向かって叫ぶ。

 

「もうおちんぽ我慢出来ないよぉっ♡♡♡ こんな玩具じゃむりぃっ♡♡♡ ボクのおまんこにぶち込んでっ♡♡♡ マスターの極太ガチガチちんぽ叩き込んでよっっ♡♡♡」

 

 言うが早いがメアリーは腰をくねらせ、マスターの大きく反りかえった肉棒へと己の秘所をあてがった。亀頭が媚肉に触れた瞬間、メアリーの口からは甘く熱い吐息が零れ、表情が安堵と幸せに満ちた物へと変化する。

 マスターはそんな彼女に対して何の行動も起こさない。肉棒を叩き込む事も、彼女の体を退かす事もしない……彼が『自分の好きにしろ』と暗に言ってくれている事に気がついたメアリーは一層幸せに満ちた笑みを浮かべると、腰を下ろして一息に彼の逸物を自分の内部へと咥え込んだ。

 

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っっ♡♡♡」

 

 ごりごりごりごりっ♡♡♡ ……メアリーは、自分の膣内でそんな音が響いた様な気がしていた。メアリーの狭い膣肉を割り裂き、あっという間に最奥まで達した肉棒は、彼女の子宮口に亀頭を触れさせたまま激しい律動を繰り返している。

 ようやく待ち望んでいた物を与えられたメアリーはその行幸に感謝してうっとりとした表情を浮かべていたが、まだまだ本番はこれからだとばかりに思い直し、覚悟を決めると、腰を激しく振り始めた。

 

「ンおぉぉぉぉぉぉ♡♡♡ ふぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ んはぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 床に平伏し、腰だけを動かして膣で肉棒を味わうメアリー。硬く太いペニスにミキサーされる彼女の膣は、熱い愛液で溢れかえっていた。

 深く受け入れ、亀頭で子宮を突かれると快感で意識が飛びかける。腰を上げ、肉棒を引き抜くとカリが肉襞を引っかき続けて堪らない快感に身が捩れそうになる。熱く律動を繰り返す肉棒が自分の内部に在る、ただそれだけで達しそうになってしまうのだ。

 

「もっ♡ むりぃっ♡♡♡ このちんぽ無しはむりだよっっ♡♡♡ ボク、ソロモンの租チンなんかじゃ感じられないおまんこにされちゃったよぉっ♡♡♡」

 

 快感に支配された頭の中では、ただその言葉だけが反響していた。もはやこの肉棒以外で自分を満足させる者などはいないだろう。そんな確信に近い予感がメアリーの胸を埋め尽くしていく。

 ソロモンも、彼に従う男たちも、もう自分を楽しませる事は出来ない。初めてカルデアのマスターに抱かれたその日から、自分の秘所は彼の肉棒を満足させる為の穴になってしまったから……もう、彼の物より貧相な男たちの肉棒では何も感じない。子宮も疼きはしないのだ。

 

「ますたぁっ♡♡♡ せきにんとってよぉっ♡♡♡ ボク、もうマスターしかいないんだよっっ♡♡♡ ボクのおまんこ気持ち良くしてくれるの、マスターしかいなくなっちゃたんだからねっっ♡♡♡ 責任取って一生ボクを気持ち良くしてっっ♡♡♡ ボクもマスターのこと気持ち良くするからっ♡♡♡」

 

 ぷるり、ぷるりとメアリーの尻が揺れる。柔らかい尻が上下に揺れる度、その中央の窄まりに咥え込まれた玩具の柄が尻尾の様に振れた。

 もう彼抜きの人生など考えられない。愛し、愛され、快感を与えられるこの日々から逃れられるはずも無い。

 

「アンもぉっ♡♡♡ アンもこのちんぽハメられれば一発なのにぃっ♡♡♡ マスターの方が何倍も凄い雄だってすぐにわかるのにっ♡♡♡ 早く戻って来てよ、アンっっ♡♡♡ ボクと一緒に気持ち良くなろうよぉっ♡♡♡」

 

 涎を垂らし、この場に居ない相棒に向けて叫ぶメアリーは、幸せに満ちた表情を浮かべていた。マスターが腰を跳ね上げ、彼女の小さな子宮を更に押し上げた時、その表情は更に幸せそうな物になる。

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 子宮を叩かれたメアリーは甲高い嬌声を上げて体を痙攣させた。だが絶頂を迎えながらも彼女の腰の動きは止まることは無い。ただ貪欲に快楽を貪ることを体が求め続けているのだろう。

 マスターはそんな彼女の動きに合わせて適度に加減しながら腰を跳ね上げつつ、先ほどからずっと尻穴を穿り続けているアナへと優しく語り掛けた。

 

「アナ、お尻は気持ち良いかな?」

 

「はい……♡♡♡ すごく、良いです……♡♡♡ 最初はむずむずしてましたが、慣れるとそのむずむずが気持ち良くって……♡♡♡」

 

「それは良かった! ……それじゃあ、そろそろ交代といこうか? 俺ももう少しでイキそうだし、メアリーの膣に射精()したら今度はアナの番だよ」

 

「は、はいっっ……♡♡♡ 私のおまんこ、可愛がって下さい……♡♡♡」

 

「うん! じゃあその前に一度お尻で本気アクメ決めておこうか? アナがお尻でイク所、俺に見せてね?」

 

「んんん~~~~~~~っっ♡♡♡」

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 マスターが玩具を弄る手を速め、腰を大きく跳ね上げる。敏感に開発されていたアナのアヌスは激しさを得た玩具の責めによる快感も素直に受け入れ、いやらしい臭いを撒き散らしながら絡みついていた。

 床に倒れるメアリーの表情は狂った様に快楽を主張している。喘ぎ声も余裕の無い物に変貌し、彼女も本気で絶頂しようとしている事が分かった。

 

(こんなっっ♡♡♡ ……こんな風に開発されたら、私の体が覚えてしまう……♡♡♡ 女としての悦びと快感を、覚えてしまいます……♡♡♡)

 

 肛門と尻穴に蔓延する快楽を感じるアナは、自分の尻が響かせる音を耳にしていた。粘膜の掻き混ぜられる湿った音と激しい抽挿によって引き起こされる放屁音……それは、先ほどのメアリーの尻穴が奏でていた淫らな二重奏と全く同じだった。自分の尻は、性交に慣れた彼女の尻と同じ物に開発されてしまったのだ。

 幼い自分がこうして淫らに躾けられたら、成長した自分はどうなってしまうのだろうか? 尻で高まる快感に打ち震え、愛液を垂れ流す彼女は発情した雌そのものと言って良い程の淫らな表情を浮かべながら思った。

 

(知りたい……♡♡♡ もっと気持ち良くなったら、私はどうなってしまうのかを……♡♡♡ もっと気持ち良い事を、知りたい……っ♡♡♡)

 

 未成熟な体が熱を帯びる。子宮に植え付けられている雌の本能が目覚め、叫び声を上げる。

 感じたい、感じられる様になりたい……幼い精神の中で芽生えた快楽への欲求が、アナの本能を突き動かして彼女を女にしようとしていた。

 

「お尻、イク……っ♡♡♡ イキます、マスターさんっ♡♡♡ 見て、下さい……私の本気のお尻アクメ、見て下さいっっ♡♡♡」

 

「ボクもイクっっ♡♡♡ 凄いの来るっっ♡♡♡ マスターちんぽに深イキさせられちゃうっっっ♡♡♡」

 

 メアリーとアナ、そしてマスター、全員が限界を迎えようとしていた。二つの女体の快感を制御し、絶頂をコントロールし続けていたマスターは、自分の中の滾りと二人の興奮が最大級に高まった一瞬を見逃さず、その全てを開放させる為の動きを繰り出す。

 へこへこと動くメアリーの腰が下に降りて来る瞬間を見計らって腰を突き上げ、彼女の奥を叩く。メアリーの膣が収縮する事を感じながら、アナの尻穴に挿入していた玩具を思い切り引っ張って抜くと、彼女の尻を掴んで肛門を大きく広げて見せた。

 そして、大きなうねりを感じさせるメアリーの膣の動きに耐える感情を捨てて自分も精を放つ。白く濁った熱い精液がメアリーの子宮を満たす充足感を得ながら、マスターは両サイドで喘ぐ二人の嬌声を聞いて微笑んだ。

 

「いぐぅぅぅっっ♡♡♡ 膣出しされて、イクぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡ んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♡♡♡」

 

 メアリーの小さな体が大きく跳ね回る。まな板の上に置かれた魚の様に暴れ回る彼女の内部に射精を続ければ、その動きは更に大きくなる。

 だらしなくアヘり、ヨガり、アクメを決めるメアリーの膣に肉棒を絡め取られながら、マスターは目の前にあるアナの尻穴の内部をじっと視姦し続けて彼女に新たな快感を植え付けていた。

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ みられてるぅっ♡♡♡ 私の本気お尻アクメっ♡♡♡ 恥ずかしい穴がイっちゃってる所♡♡♡ 奥の奥までマスターさんに見られてる……っ♡♡♡」

 

 広がり切ったアヌスと蠢く腸内を見られる快感に背筋を震わせたアナは、全力の尻穴絶頂による羞恥でまたしても達してしまった。小さな尻を掴まれ、恥ずべき穴を視姦されると言う事がこれほどまでに心地良いと感じてしまう事に軽い恐怖を覚えながらも、彼女はその甘い快感に意識を沈ませていく。

 

 そうしてたっぷり時間が経ち二人が絶頂の余韻から意識を回復させた頃、マスターは可愛がる様にしてメアリーとアナの体を撫でながら口を開いて指示を送った。

 

「……さあ、交代だ。今度はメアリーがお尻を弄られて、アナがセックスする番だよ。どっちも気持ち良くしてあげるからね」

 

「うん、わかったよ……♡♡♡ アナ、今退くからね……♡♡♡ マスターにおまんこたっぷり可愛がってもらうんだよ……♡♡♡」

 

「はい……♡♡♡ よろしくお願いします……♡♡♡」

 

 立ち上がったメアリーがアナと体を入れ替え、玩具が突き刺さったままの尻穴をマスターへと差し出す。アナは解放されたマスターの肉棒を膣に迎え入れ、堪らないと言った表情を見せた。

 

「マスター、ボクのお尻もアナみたいに気持ち良くしてよね……♡♡♡ 最後は思いっきり深くまで穿って、全力のケツアクメを決めさせて欲しいな……♡♡♡」

 

 ぷりん、ぷるん……♡♡♡ 小さな尻を振り、甘えた声で快楽を強請るメアリーは、その容姿からは想像も出来ない淫らな要求を口にした。マスターはそんな彼女の尻を撫で、玩具の柄を掴むと、お望み通りの激しい抽挿を開始する。

 

「マスターさん……♡♡♡ 私のおまんこにもたっぷり種付けしてください……♡♡♡ 小さな子宮にたっぷり膣出しして、孕ませちゃうみたいに……メアリーさんにも負けない位のおちんぽ汁を射精して下さいね……♡♡♡」

 

 そう言ったアナはたどたどしい動きで腰を振り、マスターの肉棒を刺激し始めた。まだ未熟な動き慣れど、共に快感を得ようとする献身は愛らしい物がある。彼女の頑張りを評価し、マスターもまた丁寧な動きでアナにセックスの快感を教え込んでいる。

 

「んほへぇっっ……♡♡♡ マスター♡ マスター……っ♡♡♡」

 

「あ~~っ♡♡♡ ああ~~っっ♡♡♡ マスターさんのおちんぽ、気持ち良いですっっ♡♡♡」

 

 愛らしい少女たちを喘がせ、淫らな音色を響かせながら、マスターは二人の幼い肢体に女としての快楽の味を刻み込み続けたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

絶海戦

「……見えたねぇ、首尾はどうだい?」

 

「『女王アンの復讐号』は進行方向に位置しています。我が『黄金の鹿号』とアルゴー船を挟み込む形です。他の艦船もここ一帯の海域を封鎖する様に停止しており、包囲は完成しております」

 

「ははっ! そりゃあ上々……奴さんたちは袋の鼠って訳だね」

 

「流石はドレイク船長、アルゴー船の航路を予想した完璧な位置取りですわ。ここまで事を進めたならばあとは簡単です!」

 

「そうだねぇ……なら、始めるとするか」

 

 艦首に立ち、遠目に見えるアルゴー船を睨みつけたドレイクは右腕を頭上に振り上げた。ニヤリと黒い笑みを浮かべた彼女がその腕を振り下ろして周囲の船に攻撃の合図を送れば、この海域を封鎖していた海賊船たちが主砲を次々とアルゴー船に向けて連射し始めた。

 空気が唸り、轟音が響く。たった一隻のアルゴー船に向けて乱射される砲弾はすんでの所で直撃はしなかったものの、海に落下すると水飛沫を上げて船体を大きく振動させた。

 

「ふふふ……! これならアルゴー船が沈むのは時間の問題ですね……」

 

「……さあ、どうだろうねぇ?」

 

 一方的な攻撃を受けるアルゴー船を見たメディア・リリィは勝利を確信するも、ドレイクはそんな彼女の言葉を否定しつつ空を指差した。彼女の指差した先には一隻の船から発射された砲弾があり、メディア・リリィはその軌跡を目で追って成り行きを見守る。

 角度、スピード、距離……それら全てを計算すれば、砲弾がアルゴー船に直撃する事は明らかだった。だがしかし、砲弾はメディア・リリィの予想を裏切って真っ青な海へと落下してしまう。

 全てを見ていたメディア・リリィは、砲弾がアルゴー船に近づいた瞬間に何かに阻まれて大きくその軌道を変えた様子を目の当たりにしていた。そして、ドレイクが何を言おうとしているかを理解する。

 

「ルーンか、成長したお前さんの魔術か、はたまたそのどちらもかねぇ? 船全体に『矢避けの加護』の効果がかかってると見た。あれじゃあ直撃は難しそうだ」

 

「くっ……! 小癪な真似を……!」

 

 しっかりと防策を練り、この窮地を脱しようとしているアルゴー船の後姿を見ながら歯軋りするメディア・リリィ。しかし、ドレイクはそんな彼女の頭を撫でるとつかつかと前に歩みつつ言った。

 

「気にするなよ、あんなもんは想定の範囲内さ。急ごしらえのもんだし、そこまで防御力がある訳でも無い。そもそも、砲弾で脚を鈍らせりゃあそれで良いのさ……トドメはアタシらが刺してやるよ」

 

 古びたアンティーク銃を構え、アルゴー船へと狙いを定める。獲物を狙うドレイクの鋭い眼光に合わせて『黄金の鹿号』の主砲も魔力を溜めた砲門をアルゴー船へと向け始める。宝具による全力の一撃で決着を狙うドレイクは、アルゴー船の先に在る船もまた自分の船同様に宝具を展開しようとしている事を見て取ると顔に笑みを浮かべた。

 アルゴー船の進路を塞ぐように横向きに位置している巨大な戦艦『女王アンの復讐号』は、連装されている砲台の狙いを全てアルゴー船へとつけていた。船長であるティーチの合図一つで、そこから無数の砲弾が放たれる事になるだろう。

 前と後ろ、二方向からの宝具での挟み撃ちを防ぐ手段はアルゴー船には無い筈だ。急ごしらえの防御では限界があるし、最強の盾であるマシュの宝具も一方向しか守る事は出来ない。ドレイクか黒髭のどちらかの宝具は防げても、もう片方がアルゴー船の息の根を止めるだろう。

 

「さあ……こいつで幕引きと行こうじゃあ無いか!」

 

 全身に魔力を漲らせたドレイクは、銃の引き金に触れる指に力を込めてそれを引いた。瞬間、彼女の乗る『黄金の鹿号』の主砲から金色と暗黒の混じり合った禍々しい光線が発射され、真っすぐにアルゴー船へと向かって行く。同時に黒髭も攻撃命令を出したのか、『女王アンの復讐号』から放たれた無数の砲弾が豪雨の様に上空からアルゴー船へと降り注ごうとしていた。

 逃げ場も無く、防ぐ手段も無い。この攻撃を以って戦いの大勢は決まると思っているメディア・リリィが期待の込めた視線をアルゴー船へと向ける。彼女の目には、一瞬後に攻撃を受けて轟沈する船の姿がはっきりと見えていた。

 

 しかし――

 

「っっ……!?」

 

 メディア・リリィとドレイクが見たのは、信じられない光景だった。攻撃が直撃するかと思われたその時、アルゴー船の背後に巨大な盾が出現したのだ。

 それがマシュの宝具であり、ドレイクの攻撃を受け止めた事までは想像の範囲内だった。しかし、彼女たちにとって予想外の出来事はここから始まったのだ。

 

 ドレイクの宝具を受け切ったアルゴー船は、あろうことかその攻撃を推進力に変えて急激に加速したのである。暴風を追い風に受けたかの様な加速力を見せるアルゴー船は、『女王アンの復讐号』の放つ砲弾など気にせぬ様にして真っすぐに突っ込んで行く。

 一つの攻撃を防ぐ事によってもう一つの攻撃を回避することに成功したアルゴー船は、真横を向いていた『女王アンの復讐号』のどてっぱらに艦首をぶつけて停止する。こうなってしまっては、黒髭たちの船を巻き込む可能性のある砲撃はもう行う訳にはいかなくなってしまった。そしてなにより、この行動によってカルデアのマスターたちは人質の居る船への潜入を可能にしてしまったのだ。

 

「ああっ! そんな馬鹿なことがっ!?」

 

「……アタシの攻撃を追い風にした、か……やるじゃあないか!」

 

 予想外の行動でこのピンチを凌ぎ、更にチャンスを生み出したカルデアの面々に素直な賞賛の言葉を送ったドレイクは、攻撃を砲戦から白兵戦へと切り替えることを部下に指示してからどっかりと椅子に座り直した。

 周囲に居る人物がメディア・リリィであることを入念に確認し、目を伏せた彼女は、静かな声で語り始める。

 

「……これで確信に変わったよ。アタシたちの中に裏切り者がいる……じゃなきゃ、こんな作戦は立てられない」

 

「アルゴー船の乗組員たちは、私たちの船と黒髭さんの船が対角線上に位置することを知っていた……でなければ、あんな動きは出来ないはず……」

 

「アタシたちの作戦を伝えた奴が居る……アタランテはメデューサに見張らせてたが、奴めしくじったのか?」

 

「……本当に彼女が裏切り者だとお思いですか? それと……」

 

 生前からの知り合いが自分たちを裏切っている可能性を示唆されたメディア・リリィが悲しそうに目を伏せる。彼女の様子を見たドレイクは短く舌打ちを鳴らした後、苛立ち紛れに言葉を吐き捨てた。

 

「ああ……アイツと黒髭、あとはヘクトールもだろうね。誰か一人で出来る様な動きじゃあない。奴らめ、連携してやがるよ」

 

「……あなたはそう言うのならばそうなのでしょうね……悲しい事ですが」

 

 ドレイクに断言されたメディア・リリィは、ようやく覚悟を決めたと言う様子で顔を上げた。その表情には悲しみの色が残ってはいるが、慈悲の感情はまるきり見えはしない。もはや、アタランテたちを裏切り者として処断するつもりなのだろう。

 

「……行きましょう。この戦いで人質を奪われれば、それは私たちの敗北を意味しています。何とかして守り切らなければなりません」

 

「そう気張るなよ。その為の準備はして来ただろう? ……まだまだ予想の範囲内だ、焦る必要は無いんだよ」

 

「……はい」

 

 初動では不意を突かれた、しかし、次はこうはいかない。必ずやカルデア側の行動を阻止し、自分たちに有利な戦況に引き戻してみせる。

 深い覚悟を固めるメディア・リリィとドレイクの瞳には、黒い炎が燃え盛っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……突入成功! さて、第二段階に移るとしますか!」

 

「緑の! しっかりオレたちの事を隠せよ!」

 

「わぁ~ったから少し黙ってて貰えますかね? あんまりうるさいとそれだけで敵に見つかって……っ!!」

 

 面倒くさそうにモードレッドへと注意の言葉を向けていたロビンフッドが体を強張らせる。それはモードレッドも同様で、一瞬にして二人の表情からは余裕や慢心と言った感情が消え去っていた。

 圧倒的な力を感じさせる魔力。足元の甲板が揺れ、その魔力の持ち主が徐々に近づいている事を知らしめている。

 あまり船員が見えない船の上で深呼吸を行ったマスターは、自分たちに敵意を向ける巨大な人影を見てからその名を呼んだ。

 

「早速お出ましか、ヘラクレス……!」

 

「■■■■ーーー!!」

 

 この海の空気を震わせる咆哮、心が弱い者が聞けばそれだけで降伏してしまいそうな程の重圧を与えるその咆哮を受けたマスターは、心の内にほんの僅かに湧き上がって来た恐怖を感じていた。

 心臓が早鐘を打ち、背中に冷や汗が流れる。相対している英霊が間違いなく最強の一角を担う程の強さを誇っている事を忘れられる程、カルデアのマスターは楽天的では無い。

 だからこそ、彼に対する策も用意して来たつもりだった。

 

「……何時まで固まっている? 人質の奪還は時間との勝負だ。ここでぼさっとしている暇があるのならさっさと行け」

 

 その()()()が冷ややかな台詞を口にしながらマスターたちの背後から姿を現す。腰のホルスターから二丁の拳銃を引き抜き、その銃口をヘラクレスに向けた彼は、淡々とした感情の籠ってない声でなおも告げた。

 

「事前の取り決め通り、ここは俺が引き受けよう。こう言った役回りは慣れている、俺が適任だと判断したお前の目は悪くない」

 

「エミヤ……」

 

「……わかったならさっさと行け、ここに居られても邪魔なだけだ」

 

 あくまで冷徹な言葉をマスターへと投げかけるエミヤ・オルタは、ヘラクレスを睨んだまま微動だにしないでいる。そんな彼の様子を見るカルデアのマスターの胸の中には、一つの疑問が去来していた。

 

 本当にこのまま、エミヤ・オルタだけにヘラクレスを任せて良いのだろうか……? 大英雄を相手に時間を稼ぐと言うのは自分が思っている以上に難しい事だろう。であるならば、もう一人か二人サーヴァントを援護に回すべきだったのではないだろうか?

 そんな疑問を浮かべてしまったマスターは、その疑問に答えが出せないまま固まってしまっていた。迅速に行動しなければならない事はわかっているのに、迷いがその動きを阻害するのだ。

 このままではいけない……カルデアのマスターが焦り、動揺し始めた時だった。

 

「……おい、一つ確認させて貰うぞ。そこでぼさっとしているのは自由だが、そのせいで奴が死んでも良いのか?」

 

「え……?」

 

 不意に自分に投げかけられたエミヤ・オルタからの質問の意味を理解出来なかったマスターは、きょとんとした表情を彼に向けた。エミヤ・オルタは、そんな彼に視線を少しだけ向けて、もっと噛み砕いた問いを送る。

 

「俺が、()()()()()()()()()()()()()()()と聞いているんだ。時間稼ぎ、時間稼ぎとお前はうるさいが、何故俺が奴に勝てない前提で話をしている?」

 

「え? え……!?」

 

「……お前がそこで何もしないままでいるのなら、俺が奴を倒してこの船を制圧するだけだ。それが嫌ならさっさと人質を奪還して来い」

 

 吐き捨てる様に、淡々としたその言葉……しかし、カルデアのマスターの目には、その言葉を口にしたエミヤ・オルタの表情が笑っていた様に見えた。

 それはもしかしたら彼なりの気遣いだったのかもしれない。自分を一人でこの場に残すことを躊躇うカルデアのマスターに向けて、その硬さを解きほぐす為の冗談を言ってくれたのか……はたまた、全部自分の勝手な思い込みであり、彼が全てを本気で言っているかだ。

 

「……信じるよ、エミヤ。ここは任せた!」

 

「ふん……」

 

 自分への信頼を言葉として残して駆け出したカルデアのマスターに対し、エミヤ・オルタは鼻を鳴らすだけで何も答えなかった。自分の背後にある気配が完全に消えたことを確かめた彼は、ギロリと鋭い視線を目の前のヘラクレスへと向ける。

 

「と言う訳だ、大英雄……暫く俺に付き合って貰おうか。貴様を縛る鎖が砕け散るか、それとも――」

 

 言葉の途中で跳躍し、ヘラクレスの視界から消え去る。有無を言わさず、例え卑怯と呼ばれたとしても目的を達成する為に戦う……エミヤ・オルタは、そう言った意味では非常にプロフェッショナルであった。

 自分の視界から消えたエミヤ・オルタの姿を探すのではなく、気配を探ったヘラクレスは自分の背後に張り付く殺気を覚えて振り返る。その眉間に銃口を突き付け、口元を僅かに綻ばせながら……エミヤ・オルタは、先ほど途中まで言いかけていた言葉を最後まで口にした。

 

「――お前が俺に殺されるまで、だな」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逆転

 

 マスターたちが黒髭の『女王アンの復讐号』に乗り込んでいる間も、当然の如くアルゴー船では激しい戦闘が行われていた。

 艦船での砲撃戦から接近しての白兵戦に戦いを切り替えたソロモン艦隊の兵たちは、武器を片手にアルゴー船に乗り込もうとしていた。

 

 そんな兵たちをジルが召喚した海魔が屠る。敵の数にも負けぬ程の海魔たちは、触手や牙でソロモン側の兵たちを殺め、その血で海を赤く染めていく。

 その攻撃をすり抜けてアルゴー船に乗り込む者も居たが、船上での戦いに長けている牛若丸と沖田の手によってあっという間に海へと叩き落されている。戦況は、カルデア側が上手く敵を捌いて時間稼ぎに成功していると言う印象であった。

 

 だが、勿論そのまま一方的な戦いを続けるドレイクでは無い。反攻の手段として送り込まれたのは、彼女の手駒の中でも選りすぐりの強者たちだった。

 

 アルゴー船の甲板に一つの影が舞う。天を駆ける天馬から舞い降りた二人の女性は、着地と共に自分の周囲を見回し、自分たちの相手となる少女たちをその目に見止めた。

 

「来たね、アン……!」

 

「あなたたちの相手は、私たちが務めます」

 

 銃撃もこなせるカトラスと紫色の大鎌。二つの武器を構えた少女たちは、もう一人の自分たちと言うべき存在に対して険しい視線を向けた。

 その視線に対し、片方の女性は歪んだ笑みを、もう一人の女性は憎々しさと悲壮さが混じった様な表情を向ける。

 

「あらあら、いけませんわね、メアリー。ソロモン様を裏切って、カルデアに付いてしまうなんて……これは徹底的なおしおきが必要ですわね」

 

 手にしたマスケット銃を構え、銃口を相棒であるメアリーに向けたアンは、冷たい声で呟きながら妖しく目を光らせた。

 一切の迷いも無く狙いをメアリーの額に合わせる彼女であったが、メアリーはそんなアンに対して首を振って挑発の言葉を口にする。

 

「……無駄だよ、アン。君はボクには勝てない」

 

「あら、言いますわね? それじゃあ、試してみます?」

 

 メアリーの挑戦的な言葉を耳にしたアンは、間髪入れずに引き金を引いた。狙いすまされた弾丸は真っすぐにメアリーに向かい、直撃のコースを取る。

 傍から見れば間違いなくこの一撃で決着がついたと思われるだろう。しかし、アンの放った弾丸はメアリーに当たる事無く、彼女の顔を僅かに逸れてアルゴー船の甲板に穴を空けただけにとどまった。

 

「……まあ、そうですわよね。そうなりますわよね」

 

 冷たい笑みから一変、諦めと納得の表情を浮かべたアンは、大きなため息をついてこの結果を受け止めた。

 メアリーは、分っているであろう彼女に対し、改めてこの事象の原因を説明する。

 

「……ボクと君は二人で一人のサーヴァント、どちらかが消滅すればもう片方も消える……それを理解していれば、君はボクを殺す事は出来ない。だって、そうなれば自分も死んでしまうから! それは禁じられている自害に相当する事だから!」

 

「ええ、そうですわね……ですが、それはメアリーも同じことでしょう? それに、殺さなければ良いだけであって、傷つける事までは禁じられていませんわ!」

 

 瞬間、三度の銃声が響く。目にも止まらぬ早業でマスケット銃から弾丸を放ったアンは、今度は致命傷にならぬ様に狙いを絞ってメアリーへと攻撃を仕掛けた。

 メアリーもまたその攻撃を予想していたかの様に跳躍すると、放たれた弾丸全てをカトラスで弾きつつアンへと接近する。

 

「はぁぁぁぁっっ!!」

 

 瞬発力に優れたメアリーはアンとの距離を一瞬にして詰め、手にした武器での攻撃を放った。

 白兵戦では自分に分があると判断したメアリーの行動であったが、自分の周囲に蠢く黒い物体を見て彼女は目を大きく見開く。

 

「……何か、忘れていませんかね?」

 

 じゃらり、と音を鳴らして鎖付きの錨を操るメドゥーサは、自分たちに突貫を仕掛けて来たメアリーの体を完全にその鎖で包囲しながら呟いた。

 冷酷な瞳でメアリーを見つめ、哀れな獲物を刈り取るべく錨を動かす。それで、鎖に巻き取られたメアリーの体は、ズタズタに斬り裂かれるはずだった。

 

「その言葉、そっくりそのままあなたにお返しいたします」

 

「っっ!?」

 

 その行動を止めたのはすぐ近くから聞こえた幼い少女の声だった。自分の目の前で聞こえたその声にメドゥーサが反応すれば、下から掻い潜る様にして大鎌を振るう幼い自分の姿があるでは無いか。

 咄嗟に攻撃を中断して後方に飛び退いたメドゥーサは、ギリギリの所でもう一人の自分の攻撃を躱す事に成功する。

 

 長く美しい紫色の髪が数本切られ、視界を舞う事を目にしながら、メドゥーサは苛立ち紛れに過去の自分に向かって叫んだ。

 

「何を、しているんですか……!? あなたが裏切れば、姉様たちがどうなるか分かっての行動ですか!?」

 

「………」

 

 自分がソロモンに従うのは偏に姉たちの為だった。自分が功を上げ、従順にしていれば、姉たちの安全は確保される。だからこそ、この屈辱にも耐えようと決めたのだ。

 しかし、幼い自分はその努力を無に帰そうとしている……自分一人だけ安全地帯に逃げ、大切な姉たちを切り捨てたのだ。

 

「そんなに自分の身が可愛いですか? 姉様たちのことなど、どうでも良いと? 自分さえ良ければ良いと言う事ですか!?」

 

 自分たちを見捨て、カルデアに逃げ延びた幼い自分に対し、メドゥーサは吐き捨てる様な叫びを上げる。その声には、ありありと怒りの感情が籠っていた。

 

 神話に謳われた怪物『メドゥーサ』としての威圧感を全開にし、憤怒の形相を見せるメドゥーサ。しかし、幼いもう一人の彼女は、彼女のその叫びをばっさりと斬り捨てる。

 

「……本当に姉様たちの事を見捨てているのは、どちらの方ですか?」

 

「何……?」

 

 幼いメドゥーサが口にしたのは、自分にも負けず劣らずの怒りが籠った呟きだった。

 生意気にも反抗する幼い自分に対し、メドゥーサはギロリと鋭い視線を向ける。

 

 だが、もう一人のメドゥーサはその視線に怯む事無く、可憐ながらも芯の通った声で大人の自分に向けて叫びを上げた。

 

「このままソロモンの下に居て、本当に姉様たちが救われると思っているのですか!? いつかソロモンが姉様たちを解放し、平穏に過ごせる日が訪れるとでも?」

 

「っっ……!!」

 

「……わかっているでしょう? 彼がそんな事をするはずが無い。ソロモンは、最後の最後まで姉様たちを利用するに決まっています! そうで無かったとしても、今でも姉様たちは苦しんでいる! その苦しみを目の当たりにしているはずでしょう!?」

 

 もう一人の自分の言葉に対し、メドゥーサは目を見開いて口をぱくぱくと開け閉めすることしか出来なかった。それは、自分自身でも理解していた、不変の事実だったからだ。

 

 このままソロモンに従い続けたとして、姉たちが無事で済む保証などどこにもない。むしろ、このままソロモンに利用され、辱められる日々が続くのは火を見るよりも明らかだった。

 そんな日々を送っていれば、何時か姉たちの心は壊れる……それはある意味では救いではあったが、これ以上無く残酷な結末でもあった。

 

「本当に姉様たちを救いたいのなら、行動するしか無いんです! 今! ここで! 戦うしか無いんです! この僅かなチャンスに賭けるしか無いんですよ!」

 

「……子供が、好き勝手な事をっ!!」

 

「何とでも言って下さい、私は私の方法で姉様たちを助けて見せます! あなたの気持ちが分からないわけではありません。でも、あなたの方法じゃあ姉様たちを救う事は出来ない……あなたが本当に守っているのは、自分自身なんですよ!」

 

「っっ……!!」 

 

 もう一度、メドゥーサはもう一人の自分の言葉に対して言葉を失った。同時に頭をハンマーで殴られた様な強い衝撃を感じる。

 それは、彼女の言葉が正しかったから……図星を突かれ、隠していた本心を暴かれたことが、彼女の心から平常心を奪ったのだ。

 

 決して姉が大事ではない訳では無かった。大切に思い、愛している存在だった。

 しかし、度重なる凌辱はその愛すらも無価値な物に変えてしまった。いつしかメドゥーサは、自分の苦しみを取り除く事だけを考える様になってしまったのだ。

 

 自分がソロモンの言う事に従えば姉は助かる、だから自分は従うしかない……そう、自分に言い訳をしてはいたが、本心は違った。メドゥーサは、ソロモンに従順な態度を取る事で必要以上の苦しみを味合わぬ様にしていただけであった。

 姉たちの為ともっともらしい理由を付けながら、本当に守っているのは自分自身だけだった。苦しみ続ける姉たちを目にしても、大した行動を起こせなかったことがその証明……メドゥーサは、自分を守る為に姉たちを見捨てていたのだ。

 

「こ、の……っ! 何も、知らない、子供が……っっ!!」

 

 だが、それでもメドゥーサは自分の過ちを認めることが出来なかった。愛する姉たちを切り捨てた自分を認める事は恐ろしく、とても難しいことであったから。そして、その事実を指摘した人物が他ならぬ自分自身であったから……

 

 反省や後悔の代わりに憤怒を、目の前の正しい道を歩もうとしている自分を否定して、自分こそが正しいのだと思い込まなければ、そうしなければ、メドゥーサは壊れてしまいそうになっていた。

 だから彼女は吼える、もう一人の自分への憎悪を隠す事無く。

 

「あなたを殺し、ダビデ王と柩を確保する! それこそが、姉様たちを救う本当の手段! 裏切り者のあなたに何を言われ様とも、私は自分の役目を果たすのみ!」

 

「なら、本気で戦いましょう! 私はマスターさんを信じます! 彼が姉様たちを救って、このアルゴー船に戻って来るまでの時間を稼ぐ! これが、私の戦いですっ!」

 

 譲れぬ思いを胸に、4人の女性が相対する。幼い者たちと大人たち、見た目からでも分かる対極的な二つの陣営は、アルゴー船の甲板で激しい戦いを繰り広げ始める。

 

 そして、もう一人……望まないながらも、大切な存在の為にこの場で戦う者がいた。

 

「ぐぅぅぅぅ……っっ!!」

 

 巨大な武器を振り回し、自分に群がう海魔を薙ぎ払ったアステリオスは、苦悶の表情を浮かべながら次の敵へと攻撃を仕掛ける。今の彼の姿は、途轍もなく痛々しかった。

 その表情が、行動が、涙が……戦いたく無いと訴えている。こんな戦いはしたくない。これが、世界を滅ぼす未来を引き寄せる戦いだと言う事を分かっているからだ。

 だが、彼には逆らうと言う選択肢は無かった。自分が戦い、功を上げれば、エウリュアレは解放されると言う言葉を信じ、かつての仲間たちに刃を向けるしか無かった。

 

「がぁぁぁぁっっ!!」

 

 血に塗れ、幾つもの傷を受けようとも、アステリオスは戦いを止めない。体に感じる痛みは、今、心に感じている痛みに比べれば遥かに軽い。

 戦える、戦えてしまう……世界を滅ぼす怪物として、今の自分は戦えてしまう。その事が、無性に悲しく、苦しかった。

 

「どこだ、いあそん……っっ!?」

 

 早く戦いを終わりにしたい、そんな願いを胸にするアステリオスは、只一人の英雄を狙っていた。

 アルゴー船の船長であるイアソンを殺せば、この船は消滅する。彼を討ち取ることが出来れば、もうこれ以上の戦いをする必要も無くなる。

 加えて、大切なマスターや仲間たちを傷つける事はアステリオスには出来なかった。かつて自分たちと相対したイアソンを屠る事くらいが、彼に出来る最大限の悪行であった。

 

 腕の一振りで海魔を殺し、道を切り開いてアステリオスは吼える。イアソンを探し、その命を奪い、戦いを終える事……そして、大切なエウリュアレを救う事だけを考える彼の耳に、一つの言葉が響いた。

 

「本当にそれで良いのか?」

 

「!?!?」

 

 聞こえた声にアステリオスが振り向けば、そこには探していたイアソンの姿があった。

 脚は震え、表情は強張り、恐怖している事を隠しきれてはいないが、それでも彼は自分を見下ろし、指をびしっと突き付けながら説教を始める。

 

「今のお前の姿を見て、あの女神が喜ぶと思うのか!? 今のお前は、誰が見ても英雄とは言えない姿だぞ!」

 

「うっ……」

 

「大切な人を助けたい、その思いは立派だ! だがなあ、その為に自分が怪物に堕ちたら何の意味も無いだろう!? お前の名は何だ? 雷光(アステリオス)では無いのか? 何時からお前は怪物(ミノタウロス)になった?」

 

「ぐっ、うぅ……」

 

 イアソンの言葉がアステリオスの心を抉る。痛い、触れられたくない本心を傷つけられたアステリオスの目には、涙が浮かんでいた。

 だがしかし、彼はメドゥーサよりもずっと純粋な存在であった。自分が間違っている事を素直に認める彼の手からは力が抜け、手にした武器が地面へと落ちていく。

 

 アステリオスの心が弱っている。その事を見て取ったイアソンは計画通りとばかりに心の中で笑い、今度は優しい口調で彼に語り掛けた。

 子供の躾の基本はアメとムチ、厳しい言葉の跡には、優しい言葉でほだやすのが一番なのだ。

 

「……良いか? ここにはお前を監視する奴は居ないし、居たとしても指揮官に報告する所じゃない。つまり、お前が何をしても咎める奴はいないって事だ」

 

「………」

 

「今、お前の大好きなマスター様が人質を奪還しに動いてる。奴の事を信じているんだろう? なら、お前のやる事は決まっているじゃあ無いか。ソロモンを裏切り、俺たちに与すれば良い! 世界の為、愛する者の為、怪物では無く英雄として戦える場がここにはあるんだぞ? んん?」

 

「………」

 

 完璧だ、とイアソンは思った。この演説でアステリオスの心は揺れ動いているだろう、後はもう一押しすれば彼だってこちらに寝返るはずだ。

 

「こちらに来い、アステリオス……カルデアの為、世界の為に戦うんだ。そうすればお前を怪物と呼ぶ奴は居なくなる。お前は未来を守った英雄になれるんだぞ!」

 

 自尊心をくすぐり、罪悪感を責め、言葉巧みに意思を操る……こう言っては何だが、イアソンはそう言う技術に長けた英雄だった。戦いは出来ない分、インテリに能力を振っていると言った方が良いだろう(それが非常に優秀とは言えないだろうが)。

 この説得でアステリオスの心はこちらに傾いた、そう確信したイアソンは爽やかな笑みを浮かべて彼を見つめる。こう言った演技も、彼は非常に得意だった。

 

 ……しかし――

 

「……むり、だ」

 

「えっ? どわぁっ!?」

 

 アステリオスの小さな呟きを耳にしたイアソンは、自分目掛けて飛んできた海魔の破片を叫びながら回避した。

 予想外の攻撃を仕掛けて来たアステリオスに対し、イアソンは先ほどまでの爽やかさをかなぐり捨てて罵声を浴びせようと口を開く。しかし、そんな彼の目に飛び込んで来たのはこれまた予想外の光景だった。

 

「……むりなんだ。ますたーでも、えうりゅあれはたすけられないんだ……むりなんだよ……」

 

 それは悲壮で、苦悶に満ちた表情だった。苦渋の決断を下したと言うに相応しい表情を浮かべたアステリオスは、とても苦し気な声でイアソンに言う。

 その言葉を聞いた時、イアソンの背筋に嫌な汗が流れた。何か、この状況には自分たちの知らない何かが存在している予感に襲われた。

 

 しかし、もうそれを仲間に伝える手段は無い。女王アンの復讐号に乗り込んだマスターに対し、警告をする事も今の彼は出来ない。

 今のイアソンに出来る事は、説得に失敗し、自分に襲い掛かるアステリオスの手から必死に逃げ延びる様努力することだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 作戦は予想以上に順調だ、あまり人気のない船の内部を歩きながら、カルデアのマスターは思った。

 扉を一つ開け、新たな部屋へと出る。事前に入手した情報によれば、ここで()()と合流出来るはずだった。

 

「……来たな」

 

 その予定通り、扉を開けたマスターの視界に緑色の服を纏ったスレンダーな弓兵が映る。嬉しそうな、それでいて少し申し訳無さそうな顔をした彼女は、マスターに向けて鍵束を投げて寄越しながら言った。

 

「それが人質たちが捕らえられている牢の鍵だ。一つはアイリスフィールの、もう一つは女神たちの捕らえられている牢の鍵を外せる」

 

「ありがとう、アタランテ。これで皆を助け出せる」

 

「……礼を言うなら黒髭の奴にしてくれ。それに……私は、お前を裏切った。こうして協力したとして、その罪を贖える程では無いだろう」

 

「大丈夫だよ! ……アタランテは何も悪くない。俺は、また一緒に戦えて嬉しいって思ってるから!」

 

「マスター……ありがとう」

 

 不器用な笑顔を見せたアタランテは、マスターに対して感謝の言葉を述べた。

 彼女と再会できたことを喜ぶマスターであったが、背後のロビンが冷静に意見を口にする。

 

「マスター、気持ちは分かるが今はそれどころじゃねえ。少しでも急いで、人質を助け出しましょうぜ」

 

「ああ、そうだな……ついて来てくれ、牢獄までは私が案内する」

 

 ロビンの言葉に頷いたアタランテは、近くにあった扉を開くとその先を指差した。そこには、船底に続く薄暗い階段があり、何やらおどろおどろしい雰囲気を放っている。

 

「この階段を下りれば牢獄まではすぐだ。手早く仕事を終え、脱出するとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイリさん! しっかりして!」

 

「え……? ま、マスター!? どうしてここに……?」

 

「アイリさんたちを助けに来たんだ! さあ、早く逃げよう!」

 

 それからものの数十秒後、カルデアのマスターたちはアイリスフィールが閉じ込められている牢獄へと辿り着いた。

 アタランテから受け取った鍵で扉を開け、アイリスフィールを助け出したマスターは彼女の無事を喜ぶ。

 

 だが、まだこれで終わりでは無い。まだエウリュアレとステンノが居る。その事を忘れもしないマスターは、ロビンフッドにアイリスフィールを任せると一度部屋から出た。

 

「マスター、この部屋だ。ここに女神たちが囚われている」

 

「うん、わかった!」

 

 見張りを担当していたアタランテが油断無く周囲を警戒しながら一つの扉を指さす。マスターはその扉に近づくと、鍵を使って栓を外した。

 

 内部に何が待っているか分からない為、先頭は白兵戦に長けたモードレッドに任せる。自分はその次で、その後ろにアタランテが続き、ロビンフッドが廊下の警戒を代わりに担当した。

 

「うっ……!?」

 

 内部に入った瞬間、マスターは鼻を衝く腐臭に顔をしかめた。アイリスフィールの牢獄とは違い、女神たちの牢獄は何か生物的な匂いに満ちていたのだ。

 部屋に入ったマスターは、その臭いの正体が牢獄全体を覆う肉である事に気が付いた。ぶよぶよとした肉の塊が、二人の女性の四肢を拘束しているのだ。

 

 身動きが出来ず、ただ呻くだけの女性たち。彼女たちの無残な姿が、牢獄内の篝火に照らされて露になる。

 囚われている女性の内の一人は、ゴルゴン三姉妹の長女、ステンノ。美しく白い肌にはありありと凌辱の跡が残り、彼女が嬲られ続けていた事を示していた。

 

 そして、もう一人……彼女の横に囚われている女性へと視線を向けたマスターは、衝撃と共に声を漏らす。

 

「え……?」

 

 そこに居たのはゴルゴン三姉妹の次女、エウリュアレ……では無かった。

 そこにはエウリュアレよりも大きく、成長した細身の女性が、ステンノ同様に四肢を肉の壁の中に絡め捕られ、身動きを封じられていた。

 

 彼女の姿を見た時、マスターは驚愕した。そして、ありえないと言う思いと共に思考が停止する。

 そう、ありえない。あり得る筈が無い……彼女がこの場に居る事は、絶対にあり得る筈が無いのだ。何故なら、彼女は――

 

「マス、ター……」

 

 マスターの呟きを耳にし、意識を覚醒させた彼女が声を漏らす。顔を上げ、カルデアのマスターの顔を見る。

 そして……捕らえられている『アタランテ』は、喉が裂けんばかりの勢いで叫んだ。

 

「逃げろっ! そいつは私では無いっ!!」

 

 その叫びを耳にしたマスターが振り返る。そこに居る、アタランテの姿をしたアタランテでは無い存在へと視線を移す。

 彼の目に映ったのは狂気に染まった偽アタランテの笑顔だった。手には短剣を握り、それを自分目掛けて振りかぶっている。

 

 直後、マスターの体に短剣が切りつけられ、裂けた服の合間から血が飛沫を上げて噴き出した。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大逆転

「……一体何時からアタシがアンタを完璧に信用していると思ってたんだい?」

 

「………」

 

 船長室で通信を受けた黒髭は、ただ黙ってドレイクの言葉を聞いていた。得意気な、それでいて少し悲しそうな声色のドレイクは、無線機越しに語り続ける。

 

「アンタのその反骨精神、隙を見逃さない戦略眼、どちらも素晴らしい物さ! アタシも素直に認めるよ。だがねぇ……それでも好き勝手されちゃあ、アタシだって困る訳さ」

 

「……だから、女神の片割れを俺に黙って連れ出したって訳かい?」

 

「加えて、アタランテを拘束して替え玉を用意した事もだ。お陰でアンタらの裏を掻けた。カルデアのマスターも大ピンチって訳さ」

 

 無線機を握り締めた黒髭は、目を細めて口を閉じる。彼からの返答が無い事に口元をゆがめたドレイクは、なおも話を続けた。

 

「今頃、カルデアのマスターはアタシらの仕掛けた罠に引っかかってる所さ……アンタがどう動いても、既に手遅れさね」

 

「………」

 

「おっと……そういやぁ言って無かったね。アンタはもう敵なんだ、その敵に情けをかける程、アタシは甘くはない……アンタの船ごと、アルゴー船を沈めさせて貰うよ」

 

 ドレイクの言葉を聞いた黒髭は窓から見える景色へと視線を移す。広い海に展開する艦隊は、砲撃の対象として『女王アンの復讐号』とアルゴー船に狙いを定めていた。

 完全に包囲された状況での詰めの一手。ドレイクはカルデアに与する者共を全員葬るべく、無慈悲な命令を口にした。

 

「……砲撃、開始だ。あばよティーチ、アンタの事は認めてたんだけどねぇ……」

 

 雷鳴の様な轟音が連続して響く。艦隊から発射された砲弾が、二隻の船に向けて雨の様に飛び交う。

 黒髭は、黙ったまま無線機を握り締め、その時を待ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、あ……っ!」

 

「マスター、無事か!?」

 

「ああ……ありがとう、モードレッド……」

 

 斬られた胸部を摩り、手に己の血をべったりと付けたマスターは自分を引っ張ってくれたモードレッドに感謝の言葉を述べた。

 彼女の咄嗟の行動で重傷を負う事は避けられた。負傷こそしたものの、決して深くはない怪我で危機を切り抜けられた事にマスターは一応の安心感を得る。

 しかし、状況は何も好転していない。むしろ、悪くなるばかりだ。

 

「……あ~あ、避けられちゃったかぁ……! 絶対にやれると思ったんだけどなぁ……」

 

 自分を切りつけたアタランテの偽物は、先ほどまでの彼女の様子とは全く違う子供の様な口調で不意打ちを失敗したことを残念がっている。その口振りを耳にしたマスターは、彼女の正体に気が付いた。

 

「クロ、なのか……?」

 

「ふふっ……大正解!」

 

 どす黒い笑みを浮かべたアタランテの姿が歪む。その次の瞬間には、彼女の姿は褐色の肌をした幼子の物になっていた。

 マスターの血で汚れた己の武器を舌で舐め、楽しそうに笑うクロエは、再びその切っ先を彼に向ける。戦闘態勢に入ったクロエは、いきなり戦いを始める様な事はせずに楽し気な口調で語り始めた。

 

「驚いた? これもメディア・リリィの魔術なの。ドレイク船長に言われて、こうして裏切り者に化けてたって訳! 悟られない様にする演技の練習とか、一生懸命頑張ったのよ?」

 

「ああ、まんまと一杯食わされたぜ……! クソッ、オレもまだ腑抜けてやがんのかよ……!?」

 

「仕方が無いでしょ、苗床さん。あなたの力はまだ戻って無いんだからさ! ……ま、せっかく戻りつつある力も、この戦いが終わったらまた無くしちゃうんだけどね!」

 

 ギロリと自分を睨みつけるモードレッドを嘲笑うクロエは、暗に彼女を再び苗床に戻すという言葉を口にしつつ構えを取る。

 モードレッドが剣を構え、お互いに油断無く相手の出方を伺っていると――

 

「ぐおっ!?」

 

「ろ、ロビンっ!?」

 

 緊迫した空気の部屋の中に、ロビンフッドが文字通り転がりこんで来たではないか。

 アイリスフィールを抱え、彼女を庇う様にして部屋の内部に突入したロビンは、顔を上げるとマスターに向けて焦りを感じさせる口調で叫ぶ。

 

「マスター、不味いぜ! 見事に罠に引っかかっちまった!」

 

「んふふ……♡ そう言う事だよ、元マスターさん」

 

 ロビンの言葉を継ぎ、部屋に入って来たイリヤは、およそ幼い彼女が浮かべるには相応しくない妖艶な表情を見せつつ手を上げる。

 すると、彼女の背後から幾名もの荒くれ者たちが姿を現し、部屋の入り口を完全に封鎖してしまったでは無いか。

 

 これでもう逃げ道は無い……撤退の進路を無くしたマスターたちは、袋の鼠となってしまったこの状況に冷や汗を流した。

 

「あなたたちが裏切り者たちと協力して事を起こそうとしているのは知ってたんだよ。だから、ドレイク船長はあえてその策に乗った。その上であなたたちを仕留める為にね」

 

「これでチェックメイト……あなたたちも、アルゴー船に残ってるメンバーも、もう助からない……この戦いは、私たちの勝ちね」

 

「くっ……!」

 

 マスター、モードレッド、ロビン、そしてアイリスフィールはこの絶望的な状況に歯を食いしばる。脱出も退却も困難なこの状況では、人質を奪還する事など夢のまた夢だ。

 それでも、諦める訳にはいかない。外で時間を稼いでくれている皆の為にも、どうにかしてこの状況を切り抜けなければならないとマスターは強く覚悟を決める。

 

 しかし――

 

「……ああ、でもその前に……裏切り者の始末をつけないとね」

 

「!?!?!?」

 

 クロエのその呟きを耳にしたマスターは、まだ牢獄の中で捕らえられているアタランテへと視線を移す。

 身動きも出来ず、抵抗の手段も無い彼女を助け出そうとするも、そこまでの距離にはクロエたちが居る為に到達する事は出来ない。

 

「裏切り者はしっかりと調教し直して貰わないとね……! ソロモン様に可愛がってもらって、己の罪を噛み締めなさい!」

 

「また向こうで一緒に遊びましょうね! ……ああ、でも今度はあなたは便所行きかもしれませんね?」

 

 アタランテへと無情な言葉を投げかけたイリヤとクロエは、同時に腕を上げて何らかの構えを取る。

 嫌な予感に襲われたマスターは、彼女たちのその行動を止めようと大声で叫んだ。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 

 狭い船室内に響くマスターの怒声。しかし、それは何の意味も為さなかった。

 程なくしてイリヤとクロエは腕を振り下ろすと、それが合図であったかの様にアタランテを包む肉塊が収縮を始める。同時に、彼女の膣には太い触手が遠慮なしに叩き込まれた。

 

「はぐっっっ!!」

 

「アタランテっっ!!」

 

 アタランテの性器から純潔の証たる血が垂れる。蠢く肉の壁から、肉と骨の潰れる音が断続的に聞こえる。

 マスターは、処刑されようとしているアタランテに叫びかけ、何とかして彼女を救おうとした。しかし、無慈悲にもアタランテは肉の中に包まれ、その命を終えようとしている。

 

「マス、ター……気にするな……私は、大丈夫だ……」

 

「アタランテっ! 諦めちゃ駄目だっ!!」

 

「良いんだ……私は、お前を信じている……いつか必ず、私を助け出してくれるとな……だから、頼む……あの娘たちを、救って――」

 

 微笑みを見せ、自分たちを処刑したイリヤとクロエの二人を助ける様嘆願したアタランテの言葉は、最後まで紡がれることは無かった。

 マスターの目に映ったのは、全身を肉の壁に包まれるアタランテの姿……そして、蠢くその肉の中から漏れる、大量の赤い血だった。

 

「アタランテーーーっっ!!」

 

 肉が、骨が、砕ける音がする。アタランテを飲み込んだ肉壁は、彼女を消化するかの様にして咀嚼を続けた。

 やがて人型になっていた壁の膨らみは完全に消え失せ、アタランテが消滅したことを意味する。アタランテの無残な最期を目の当たりにしたマスターは、その場にがっくりと崩れ落ちると悔しさに拳を握り締めた。

 

「ごめん、アタランテ……! 俺が、もっと上手くやれてれば……っ!」

 

 自分の警戒心の薄さが招いた悲劇、マスターは悔しさと後悔に震え、握り締めた拳を船の床に叩き付けた。

 そんな、仲間を救えなかったことを悔やむカルデアのマスターの姿を嘲笑うイリヤとクロエは、彼に向けて挑発の言葉を口にする。

 

「大丈夫よ、元マスター……すぐに向こうで会えるわ。ソロモン様に調教される彼女の姿を存分に見てあげなさいな」

 

「自分を信じてるアタランテさんが、自分を裏切るまでの一部始終を見せてあげるね……それで、自分はソロモン様には敵わない哀れな虫けらだってこと、しっかりと自覚してね」

 

 うぞうぞと動く荒くれ者たちが、マスターに攻撃を仕掛ける準備を整える。銃や剣、拳を構え、彼の身を拘束しようとする。

 圧倒的有利な状況において、油断は厳禁だ。しかし、この状況でどう逆転が起きる? どうしたら自分たちが負けると言うのだ?

 もはや彼らの頭の中には勝利した後の宴の事しか無かった。戦利品である女たちを犯し、楽しむ事しか考えていなかった。

 

「それじゃ、やっちゃって」

 

 そして、その妄想を現実とすべく、彼らはイリヤの号令に合わせてカルデアのマスターたちへと襲い掛かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なあ、BBA。アンタ何か勘違いしてないか?」

 

「あぁん? どう言う事だい?」

 

 砲撃の合図を出したドレイクは、無線機越しに聞こえて来た黒髭の言葉に眉をしかめた。意味深なその言葉の意味を探る彼女は、不機嫌そうな表情を浮かべて無口になる。

 まさか、自分は裏切り者では無いと言いたいのだろうか? だとしたら期待外れだ。大海賊エドワード・ティーチは、自分の見込むに相応しくない男だったと言う事になる。

 

 だとしたら自分の見る目の無さを嘆こうとしたドレイクであったが……どうやら、その必要は無さそうであった。

 

「……確かにアンタにゃあ一杯食わされたよ。まさか、俺たちの裏切りを見越して策を講じてるなんてな……だが、アンタにゃあ致命的なミスが一つだけあるぜ」

 

「ほぅ……? それは何なんだい?」

 

 ハッタリか、それとも事実か……不謹慎ながら、ドレイクはこの状況に堪らない興奮を感じていた。

 一体黒髭は何を言おうとしているのか? それがこの状況をひっくり返す程の物なのか? ドレイクは、それを期待せざるを得なかったのだ。

 

 黒髭はそんな彼女の表情を見ている様な、その性格を見切っている様な、そんな気持ちで、このやり取りを楽しんでいた。

 

「エウリュアレたんをそちらの船に乗せ、罠を仕掛けたってのがアンタの切り札だ。俺はそれを読み切れなかった……しかしなぁ、フランシス・ドレイク、アンタも俺の切り札を読み切れてはいなかったんだよ」

 

「……何?」

 

「ジョーカーを持ってたのはアンタだけじゃなかったってことさ。そしてなぁ……漫画でもラノベでもアニメでも、()()()()()()()()()()()()()()ってのはお約束なんだぜ?」

 

 意味深で、得意げな黒髭の言葉。それを耳にしたドレイクは、自分の心が湧きたっていることを感じていた。

 どうにも、これが自分の性分の様だ。危険だと、不利だと分かっていても、その状況に身を焦がす程の幸福を感じてしまう。このスリルが堪らないと、そう感じてしまう。

 

「……それじゃあ、見せておくれよ。アンタの切り札ってのをさ……!」

 

「慌てるなよ、BBA。焦んなくてもすぐにわかるさ」

 

 焦らす様な黒髭の言葉は、決して嘘では無かった。ドレイクは、すぐにその答えを知る事になる。

 

 次の瞬間に彼女が耳にしたのは、オケアノスの空気全てを震わす程の咆哮だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!??」

 

「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁっっ!?」

 

 悲鳴が響く船室の内部で、カルデアのマスターたちは自分たちの目の前で何が起こっているのかを理解出来ていなかった。

 海賊たちが攻撃を仕掛けて来たまでは分かった。その行動に対し、ロビンとモードレッドは対抗しようとし、マスターはアイリスフィールを庇う様にして壁になった。

 だが、カルデアのマスターたちが次の瞬間に眼にしたのは、腕や脚が吹き飛び、悲鳴を上げながら崩れ落ちる海賊たちの姿だった。

 

「なんだよこれはぁぁっっ!?」

 

「何で!? どうして!?」

 

 悲鳴を上げる海賊たちの中に無事な人間は一人もいなかった。全員が負傷し、戦う事は不可能になっていた。

 この異常な事態に表情を変えたイリヤとクロエであったが、後続部隊も部屋の中に踏み込んで来ない状況に焦りを募らせる。

 これ以上の異変が起きる前に決着を付けねばならない……そう、二人が思った時だった。

 

「えっ……?」

 

 すぱり、と自分の肩に痛みが走った事を二人は感じた。何かに斬られたのだと、二人は思った。

 ほんのわずかな筈のその痛み……しかし、その痛みは段々と強くなり、熱を帯びて彼女たちの全身を激しく責め立て始める。

 

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

「痛いっ! 痛い痛い痛いっっ!!」

 

 ほんの少し斬られただけなのに、何故か体の内側が裂かれる様な痛みに襲われる。毒の耐性もメディア・リリィに付けて貰ったはずの霊基が、絶叫にも等しい悲鳴をあげていた。

 

「い、一体、何が……?」

 

 カルデアのマスターとサーヴァントたちは、一瞬にして制圧されてしまったクロエたちの姿を目の当たりにして茫然とする他無かった。

 自分たちは何もしていないのに敵が勝手に倒れたのだ、困惑するのも無理は無いだろう。

 

 兎にも角にも、これはチャンスだ。ロビンとモードレッドは苦しみのたうち回るイリヤとクロエを拘束し始め、周囲に敵の影が無いか確認をする。

 扉の向こう側へと視線を送り、廊下を確認した二人は、そこにも大量の敵が倒れている事に驚愕した。一体、どこの誰がこんな真似をしたのだろうか?

 

「……これを」

 

 その時だった。カルデアのマスターの背後から声が響いたのは。

 自分では無く、その後ろにいるアイリにかけられたその声に振り向けば、そこには先ほどまでには居なかった一人の男性が立っていた。

 深くフードを被った彼は、マスターと視線を合わせると申し訳なさそうに詫びる。

 

「……すまない、外の敵を排除するのに手間取った。そのせいで救援が遅れ……アタランテを救う事が出来なかった」

 

「あなたは……!!」

 

 血の様に赤いフードと灰色のアーマーに身を包んだその人物。彼は、マスターに詫びの言葉を口にした後でアイリへと無線機を差し出す。

 

「……この船の甲板にスピーカーを取り付けた。この無線機に向かって叫べば、君の声が聞こえる筈だ……教えてやると良い、君も彼女たちも、もう安全だとな」

 

 魔術回路を持つ者に致命的なダメージを与えるナイフをしまった彼は、自分を見上げるアイリに向けて淡々とそう述べた。

 アイリは、そんな彼に向けて涙を浮かべつつ笑顔を見せる。

 

「来て……くれたのね……!」

 

「いいや、最初から居たんだ。君たちが苦しむ姿を目の当たりにしながら、僕は何も動かなかった。ただ一回のチャンスを求め、エドワード・ティーチの策に乗って君たちを見捨て続けていた。僕は……ただの卑怯者さ」

 

「それでも助けてくれた! 私や、あの娘たちを助けてくれたわ! ありがとう、切嗣……!」

 

 アイリのその言葉に無銘の暗殺者は何も言わない。ただ、深くかぶったフードの下で、ほんの少しだけ救われた様な表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねえ、聞いて! 私の声が聞こえているのなら、戦いの手を止めて!』

 

 ヘラクレスが耳にしたのは、彼女の必死な声だった。その声に動きを止めたヘラクレスは、エミヤ・オルタに振り下ろそうとしていた武器を止めると聞き入る様にしてアイリの言葉に耳を傾ける。

 

『私はもう大丈夫よ! あの子たちの身柄も拘束したわ! もう、貴方を縛る鎖は無いの! もう……アイツらに従う理由は無いのよ!』

 

 ピクリ、と体が震える。その言葉が意味する事は、狂戦士たる彼でも理解出来た。

 イリヤとクロエ、そしてアイリスフィールは無事にカルデアのマスターの手で奪還された。彼女たちはもう、苦しまずに済む。

 あとは……彼女たちを嬲り続けた者たちに、その罪を清算させるだけだ。

 

『だから、だから……やっちゃいなさい、バーサーカー!!』

 

 そんなヘラクレスの思いに応える様に海上に響いたアイリの声にヘラクレスは笑い、そして――

 

「■■■■■■■ーーーッッ!!」

 

 空気を震わせる雄叫びで、船に向かって飛来していた砲弾全てを炸裂させてみせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうやら、作戦は上手く行ったみたいだな」

 

 オケアノスの海に響いた大英雄の咆哮を耳にしたクー・フーリンは、作戦の成功を確信して笑みを浮かべた。

 あのヘラクレスが味方に付いたと言う事は、マスターたちが無事にアイリたちを確保したと言う事を意味する。人質の奪還は、無事に成功したのだ。

 

 だがしかし、まだ戦いを止められない者も存在した。エウリュアレを人質に取られているアステリオスがそれだ。

 ステンノの身柄は拘束したが、エウリュアレはドレイクの船の中に囚われている。まだ彼女は、敵の手の中に居るのだ。

 そしてもう一人、メドゥーサもまた戦いを止められはしなかった。彼女もまた、エウリュアレが居る以上は従うしかないのだから。

 

 しかし……彼女たちもまた、自分たちの敗北が決定的になりつつあることを悟っていたのだ。

 

「う、うぅぅ……うぅぅぅぅぅ……」

 

 救えない、守れない、助けられない……そんな絶望的な思いに駆られたアステリオスは、膝を付いて泣き始めた。

 戦いに敗れたとあれば、ソロモンは間違いなく自分たちを罰するだろう。そうなれば、残り一人となった女神であるエウリュアレがどれほどまでに酷い目に遭う事になるのだろうか。

 

「ごめん、えうりゅあれ……ごめん……!」

 

 大好きなエウリュアレが傷つき、苦しむ姿を想像したアステリオスは、自分の不甲斐なさを呪う。彼女を救う事も、敵を屠る事も出来ない無力な自分を呪った。

 涙で甲板を濡らし、蹲り続けるアステリオス……そんなアステリオスの肩に、暖かな手が触れた。

 

「男の子がそんな風に泣いてちゃあいけないよ。君のそんな姿を見たら、大好きな娘だって悲しむだろうしね」

 

「あ……」

 

 優し気な笑みを浮かべ、自分を励ましているのはダビデ……自分たちが追い続け、その身柄を捕らえようとしている男だった。

 アステリオスはダビデの姿を涙で濡れたじっと見つめ続ける。そんな彼に向け、ダビデはある一点を指差して見せた。

 

「え……?」

 

 ダビデが指差したのは大海原の一点、一見すると何もない様な場所だ。しかし、良く目を凝らせばそこに動く何かが見える。

 それは小舟であった。海戦を繰り広げるこの海域に迷い込んだ一隻の小舟……その乗組員の姿を見たアステリオスは、驚きに眼を見開く。

 

「あ、あ……!?」

 

 見間違うはずも無かった。ずっと大切に思っていた存在が、そこには居た。

 その事に気が付くが早いが、アステリオスは甲板をかけてその小舟へと跳躍する。ぐんぐん近づく船の上に居る人物の姿をはっきりと目視した時、彼は大声でその名を呼んだ。

 

「えうりゅあれーーっっ!!」

 

 無事に船に着地したアステリオスであったが、巨大な彼の体重を支えられる程、船は丈夫ではなかった様だ。無残にも真っ二つに折れた船に驚きつつ、アステリオスは急いでエウリュアレを抱えて海に飛び込む。

 

「えうりゅあれ……ほんとうにえうりゅあれなの?」

 

「あら? あなたは私の事を見間違うの? 随分と薄情者になったじゃない」

 

「う、あ……!!」

 

 からかう様な、それでいてとても優しいその声を聴いたアステリオスは、彼女が本物のエウリュアレである事を確信する。そして、海の塩水に紛れて嬉し涙を零した。

 

 彼女は無事に帰って来た。もうこれで、自分がカルデアと敵対する理由は無い。もう、安心して良いのだ。

 エウリュアレと共に再びアルゴー船に乗り込んだアステリオスは、安全地帯にエウリュアレを送ると今まで自分を化物呼ばわりして来た海賊たちに怒りの形相を向けた。そして、その巨体に相応しい雄叫びを上げる。

 

「オオォォォォォォォォォォッッ!!」

 

 アステリオスの咆哮を耳にして委縮する海賊たち。彼らの姿を見たアステリオスは思う。

 自分を化物呼ばわりした事も、嗤った事も、嬲った事も、全て許そう。確かに自分はその通りで、醜い化け物なのだから。

 しかし、エウリュアレを傷つけた事だけは容赦しない。彼女に涙を流させたことだけは、絶対に許せない。

 

「おまえたち、ぜったいに……ゆるさない!!」

 

 爆発した怒りの感情のまま、アステリオスは愚かな男たちに向けて牙を剥き、その剛腕で一人、また一人と敵を仕留めて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何で、どうして……? 何故、下姉様が……?」

 

 メドゥーサは突如として現れたエウリュアレの姿に困惑を隠せなかった。勿論、彼女の無事を喜ぶ気持ちはあるのだが、それ以上に理解が追いつかないのである。

 一体どうして、ドレイクの旗艦に囚われていたはずの彼女が脱出出来たのか? 一人では絶対にそんな事は不可能であるはずだ。

 であるならば、何故彼女はこうしてここに辿り着いたのか? その理由を探り続けたメドゥーサは、唐突にある事実に気が付いた。

 

「あ……!?」

 

 思えば、自分たちの行動は既にカルデア側に漏れていた。最初の包囲網も然り、艦船の位置も然りだ。

 作戦を決行する前に奪還された幼いメドゥーサやメアリーにはその情報を知る方法は無い。つまり、裏切り者は戦いが始まるまで自分たちの側に居た事になる。

 では、それは誰なのか……? ドレイクは黒髭やアタランテたちだと睨んでいたが、本当にそれだけだったのだろうか?

 

 もし、その予想が正しかったならば、エウリュアレがこうして脱出している事はおかしい。彼らはエウリュアレが秘密裏に護送されていた事は知らないのだから。

 エウリュアレがドレイクの旗艦に移されている事を知っている人物はごく僅かだ。作戦の立案者であるドレイクとメディア・リリィ、彼女を人質に取られているアステリオスと自分、そして――

 

「……これで人質は全員奪還されましたわね」

 

 メドゥーサの隣に立つその人物が口を開く。どこかさっぱりとした口調で微笑む彼女は、この状況を喜んでいる様に見えた。

 いや、実際に喜んでいるのだろう……何故なら、こうなる様に手引きしたのは他ならぬ彼女だからだ。 

 

 考えてみればそうだった。作戦の決行前、自分は裏切り者の候補であるアタランテを厳重に警戒していた。そして、その最中に彼女が怪しい行動を取る事は無かった。つまり、アタランテはカルデア側に作戦の情報を漏らせてはいなかったのだ。

 なら、誰が情報を漏らしたのか? 黒髭とヘクトールはドレイクとメディア・リリィが監視していた、彼らも違うのだろう。

 

 裏切り者と思わしき人物たちは全て監視されていた。監視していたはずだった。しかし、それら全てを隠れ蓑にしている者が居たとしたらどうなるだろうか?

 敢えて、疑わしさを前面に出したアタランテとそれをフォローする形で動く黒髭。そんな面々に疑いの目を向けさせる事で、見事に裏切り者である事を隠しきった人物が居たのだ。

 考えてみれば、彼女ならば連絡も簡単だ。既にアルゴー船の内部に送り込まれた相棒と淫紋令呪を介して会話することが出来る。誰の目にも怪しまれぬまま、情報を送る事が出来たのだ。

 

 その事実に気が付いたメドゥーサに対し、彼女はふわりと微笑んで見せた。そして、着ている服の腹部分をめくり、下腹部に刻まれている()()の淫紋令呪を見せつける。

 

「あなた、もうカルデア側に協力して……!?」

 

「ええ、大正解ですわ。いかがでした? 私の演技……アカデミー賞、取れると思いますか?」

 

 いつもと同じ、どこか惚けた様な雰囲気で笑いながら、四人目の裏切り者アン・ボニーはメドゥーサの肩を叩く。

 気が付けば、自分の周囲には彼女の相棒であるメアリーやもう一人のメドゥーサが近寄り、同じ様な笑みを見せていた。

 

「……もう、お芝居の必要はありません。ここからは、やられた分をやり返すだけです!」

 

「ええ、そうさせて頂きましょう! ……メアリー、準備は良い?」

 

「何時でも良いよ、アン!」

 

 自分だけが知らなかった筋書きが今、形を成そうとしている。圧倒的な戦力差も、人質の存在による不利も、巧妙に仕掛けられた罠も、全てを乗り越え、カルデアのマスターたちは大逆転を掴んだのだ。

 

「……ああ、そう言うことですか。ああ……本当に……」

 

 自分は馬鹿だ、とメドゥーサは苦笑した。そして、今はそんな状況では無いと思いなおす。

 自分の馬鹿さ加減も、弱さも、何もかも……今はどうだって良い。そう、今の自分がすべきなのは――

 

「……始めましょうか、私」

 

「ええ、そうですね。迷惑をかけた分、活躍しなくてはいけませんね」

 

 幼い自分の声に頷いたメドゥーサは、錨を手にして獰猛な視線を男たちに向ける。

 哀れな事に、ソロモン海賊団の男たちは、神話に名高い怪物と両翼が揃った女海賊たちの狙いに定められてしまった様だ。

 

「では、お覚悟を……」

 

「良い思いは出来たでしょう? 姉様たちの分まで、借りを返させて頂きます」

 

 4人の女性たちから発せられる圧に男たちは後退った。もはや勝敗は決した様なもの……男たちのその思いに拍車をかける様に、メアリーとアンは同時に叫ぶ。

 

「「さぁ……海賊様のお通りだ!」」

 

 その言葉を皮切りに襲い来る女性英霊たちの姿に、男たちは狂乱の叫びを上げて逃げ回る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

転換の時

決戦の少し前のお話。彼女が裏切るまでの過程を描いたお話です。


「……あら? ここは何処かしら……?」

 

 一面真っ白な世界にやって来たアンは、見覚えのないこの場所を見回して首を傾げた。

 記憶上、自分はオケアノスの海に浮かぶ『黄金の鹿号』に乗り込んでいたはずだ。しかし、この空間では海の臭いも船の揺れも感じられない。間違いなく、ここは海の上では無いだろう。

 

 であるならばここは何処なのか……? 再度周囲を確認しつつ、警戒を怠らなかったアンの耳が物音を捉える。

 その音に反応して振り返った彼女が見たのは、これまた見覚えのない一人の優男だった。

 

「やあ、初めまして、かな?」

 

「……どちら様ですの? あなたが私をここに呼び寄せたと判断してよろしいのでしょうか?」

 

 突如として現れた謎の男に対し、アンは丁寧ながらも敵意を醸し出す口調で話しかける。その手には愛用の武器であるマスケット銃も握られており、彼女の強い警戒心が表れていた。

 しかしながら、男は柔らかな微笑を浮かべたまま微動だにしない。自分に対して敵意を向けるアンと向かい合いながらも、その表情には余裕が見て取れる。

 

 どうやらこの男には、アンが何をしても対応出来る確信があるのだろう。自分をここに呼び寄せた以上、抵抗を受ける可能性を考えないと言うのは愚かな事だ。無論、その対策をしないのは輪を掛けて愚かであろう。

 

(どうやら話を聞く必要がありそうですわね……)

 

 覚悟を決めたアンはマスケット銃を下ろし、謎の男に油断無く視線を向けながらも彼の行動を待つことに決めた。男はそんなアンの対応に頷きながら口を開く。

 

「結構、君が聡明な人間で助かったよ……なに、身構える必要は無い。僕は君の味方さ」

 

「……この状況ではいそうですかと納得出来るとお思いですか?」

 

「まあ、そうだろうね。しょうがない、しがない魔術師の僕だが、少しは信用に足ると言う所を見せなければならないだろう。では、お近づきの印に君の望む物を見せてあげるとしようか……」

 

 そう口にした男が手にしている杖の石突を地面にぶつけると、アンの周囲の世界が歪んで行った。

 一体何が起きようとしているのかわからないアンが周囲への警戒を強めていると――

 

「アン……ねえ、アン……」

 

 自分を呼ぶその声に再び振り返ったアンは、声の主の姿を見て目を見開いた。

 そこに居たのは彼女の相棒であり、今はあまり役に立たない存在であるメアリー・リード……彼女は、全身を白濁液で汚しながら、アンに向けて良い笑顔を向けていた。

 

「アン……ボク、頑張ったよ……! 男の人たちの為に頑張って、一生懸命ご奉仕したんだ……! これで良いんだよね、アン?」

 

 精液と雌汁の混じり合った酷い臭い、それを体からまき散らすメアリーは、光の灯っていない目でアンを見つめながらそう尋ねる。

 アンは、そんな彼女の姿に口元を覆い、驚きの視線を向けた後で――

 

「ええ! その通りですわ! やれば出来るじゃないですか、メアリー!」

 

 平然と、そう言って見せた。

 

「そう、その調子ですわ! あなたは望まれるならばどんなことでもしなくてはなりません。私や他の雌奴隷たちの様な魅力が何もないあなたには、そうするしかないのですから!」

 

「そっか……そうだよね、アン!」

 

 アンの言葉に疑いを持つことも無く大きな頷きを返すメアリー。まるで彼女の言う事が全てであるかの様なその態度にアンは気分を良くしつつ笑う。

 

「ええ、頑張ってくださいね……! 少しでもソロモン様のお役に立てる様、努力し続けるんですよ?」

 

「うんっ!」

 

 子供の様な無邪気な表情で笑うメアリーは、その言葉がいかに残酷なものであるかに気が付いていない様子だった。

 自分は役立たずであるとはっきり言われていると言うのにも関わらず、彼女はアンの言葉を全て肯定して更に惨めな存在に堕ちようとしているのだ。

 

 そして、アンもまたそんなメアリーの事を正しいと思っていた。堕ちる事、奴隷として相応しい振る舞いを身に着ける事、それが重要な事だと、アンは思い込んでいた。

 

「それじゃあ、ボクもっと頑張るよ。もっともっと無様で立派な雌奴隷になる!」

 

 そう宣言したメアリーの笑顔を最後に、再び景色が歪む。軽い眩暈を感じて瞳を閉じたアンが次に目を開くと、そこには様相の変わったメアリーの姿があった。

 

「アン……アン……これで、良いんだよね……? ボクは、これで良いんだよね……?」

 

 そう問いかけるメアリーの体は、酷い有様になっていた。先ほどよりも大量の精液を浴び、鼻が曲がる程の悪臭を放っている。

 酷いのは臭いだけでは無かった。メアリーの小さな体には新たな傷が幾つもつけられており、更には彼女を抱いたであろう男たちが刻んだふざけた紋様のタトゥーも刻まれていたのだ。

 

 裂傷、火傷、人としての尊厳を投げ打つ様な無様な刺青……それらを刻まれたメアリーは、まさに雌奴隷と呼ぶに相応しい存在になっている。ようやく彼女がソロモンの望む存在になれた事を心の中で喜ぶアンであったが……

 

「……?」

 

 何故か、自分の胸がチクリと痛んだ事に気が付いたアンは、その理解出来ない現象に対して顔をしかめる。

 これほどまで喜ばしい事が目の前で起きているのに、何故自分は心を痛めているのだろうか? 何がそんなに悲しいと思ってしまうのであろうか?

 

 僅かに生まれた違和感に動揺するアンであったが、しかしてその感情を無視してメアリーへと視線を向ける。

 相棒からの視線を受けたメアリーは、先ほどよりも濁った瞳のままアンへと呟いた。

 

「アン、まだ足りないんだよね? 皆が言うんだ、お前は駄目な屑サーヴァントだって……だから、ボクはもっと頑張らなきゃいけないんだよね? うん、そうなんだよね……」

 

 自分の言葉に自分で頷いたメアリーは、瞳をより混沌とした色に染める。そして、一層感情を失った表情のままもう一言呟いた。

 

「もっと……ボクは、もっと……」

 

 ぐにゃり、と視界が歪む。またこれかとアンは思った。

 世界が捻じれ、再構築される感覚……次にアンが見たのは、またしてもメアリーの姿だった。

 

「アン……ねえ、アン……ごめんね、アン……」

 

 メアリーは微笑んでいた。そして涙していた。そんな彼女の体からは、右脚が消えていた。

 体の傷は先ほどと同じで、ただ下半身の一部分が無くなっているメアリーの姿を見たアンの胸の痛みが倍増する。彼女の身に一体何が起きているのか? それが理解出来ないでいるアンに向け、メアリーは相反した感情を浮かべる狂った表情のまま口を開いた。

 

「ごめんね、アン。ボク、戦いに負けてこんな体になっちゃったんだ……ソロモン様も呆れ果てて、ボクを治療しない事に決めたんだって……でも、しょうがないよね。ボクはゴミみたいなサーヴァントで、使えない事がこれで証明されちゃったんだもんね……」

 

「え……?」

 

「だからね、アン……ボクはもう、君と一緒に戦えないんだ。こんな体のボクが居ても邪魔でしょう? ソロモン様もそう思って、ボクとアンの繋がりを断ち切ったんだ。だからもう、ボクと言う重荷を背負わなくて良いんだよ、アン……」

 

 地べたに座り、悲しそうで嬉しそうな表情をしたメアリーが言う。その言葉を耳にした時、アンの背筋には何とも言えない悪寒が走っていた。

 

「これからボクは、性処理用の便所サーヴァントとして生き続けるよ……アンはソロモン様の為にもっともっと頑張ってね。ボクと言う重荷が無くなった今、アンはもっと高い所に飛べるはずなんだからさ……!」

 

 アンの胸に広がる痛みは、メアリーの言葉を聞く度に強くなっていた。何かが、何処かがおかしいと叫ぶ心とこれで良いと訴える心がせめぎ合い、その痛みを生み出しているのだとアンは思った。

 

 そしてまた世界が歪む。次は何が起きるのか? 膨れつつある恐怖を感じるアンが変化の収まった世界で目にしたのは、メアリーと彼女を抱く一人の男だった。

 

「あっ♡ あっ♡ んあっ♡ あぁぁっっ♡」

 

「メア、リー……?」

 

 男に抱かれる相棒の姿を目にしたアンの口から茫然とした声が漏れる。目は見開かれ、目の前の光景を認められないと言う思いが表情に浮かび上がっていた。

 アンが目にしたメアリーには、腕が無かった。脚も無かった。四肢がなくなり、達磨状態で男に抱かれて……いや、使()()()()いたのだ。

 それは奴隷としては正しい姿なのだろう。しかし、女性として、人間としてはあまりにも惨めで哀れな姿だった。そんな状況であるにも関わらず、幸福そうな顔をしているメアリーに対し、彼女を抱く男がその耳元で囁く。

 

「ほれ、かつての相棒とのご対面だぞ? 最後なんだから、挨拶をしないか」

 

「はい、ソロモン様……♡」

 

 メアリーの首を絞め、顔を殴り、体中を傷だらけにしながら腰を振るソロモンは、完全に性処理の道具としてしかメアリーを見ていない。もしくは、自分を楽しませる玩具か何かだろう。

 メアリーもまたそんな扱いを受け入れ、悦びを見出している……今のアンにとってそれは喜ぶべき事なのに、何故か心の中がざわめいている。

 

 そんなアンの胸中を知らぬまま、メアリーは狂いに狂った笑顔を彼女に向ける。そして、その口から驚くべき言葉を言った。

 

「あのねっ、アンっ♡ ボク、完全に便所堕ちするんだっ♡ 全サーヴァントで初めての、完全便所サーヴァントになるんだよっ♡ すっごく名誉で、無様な事だよねっ♡ だってもう、ボクには性処理以外の事は何も出来ないって言われてるんだからさっ♡」

 

「は? え……?」

 

「あともう一回イったらね、ボクの意思は欠片も残らず消えてなくなるんだっ♡ 思考も意思も完全に消え去って、男の人たちに体中の穴と言う穴を使って頂く為の達磨サーヴァントになるんだよっ♡ 使いたい時に引っ張り出されて、好き勝手に使って貰って……壊して、潰して、嬲って、飽きたらお終い、そんな糞みたいな存在になれるんだ♡」

 

「え? え?」

 

「もう少しでイク所だったからさ、最後にアンに会えて嬉しかったよ♡ ソロモン様は本当に慈悲深いんだね……♡」

 

 うっとりとした声を漏らしながら視線をソロモンに向けたメアリーは、ただ嬲られるだけの存在としての幸福を全身で享受していた。と言っても、彼女の全身はもはや嬲られる為の物として改造されており、そう感じる様に意思を調整されただけなのだが。

 その調整を行った張本人は、意思のあるメアリーとの最後のセックスを続けながらも彼女に一切の容赦をする事は無かった。美しい銀色の髪を掴み、それを思い切り引っ張りながら、性交に集中出来ていないメアリーに叱責の言葉を飛ばす。

 

「無駄口を叩いている暇があったら膣を締めろ。性奴隷としての心構えが足りないのではないのか?」

 

「ああ、申し訳ありません……! もう何も喋りません、一生懸命おまんこ締めますからっ! だから……ボクを壊して下さいっ!!」

 

 破滅的な願望を口にするメアリー。彼女の言葉を聞いたソロモンが怪しく笑うのをアンは見逃さなかった。

 

「あぎぃぃぃぃぃぃっっ!!」

 

 一際大きく腰を突き出したソロモンの動きにメアリーが甲高い悲鳴を上げる。メアリーの小さな体が激しく震え、乳首と陰核に嵌められた趣味の悪いピアスがチリチリと音を鳴らす。

 

「あぐっ! ぐぅぅっ! おっ、おぉぉっっ!!」

 

「泣け、喚け! 無様に喘ぎ、己が意思を投げ捨てるのだ!」

 

 愛も思いやりも何も無い、ただの激しいピストン。小さなメアリーの体を乱暴に扱い、腹を突き破らん勢いでソロモンは腰を振っている。 そんな乱暴なセックスに悦びを見出し、快楽を得るメアリーは、自らに破滅をもたらす絶頂に向けてひた走っていた。相棒に言われ続けた完璧な性奴となれることを、彼女は喜んでいたのだ。

 

「あ、へぇ……へぁぁ……!!」

 

「あ、あ……!?」

 

 肉棒の一突き毎に狂い、壊れて行くメアリー。彼女の心にひびが入る度、彼女の下腹部に刻まれている淫紋令呪がどす黒く輝く。やがて、その輝きが絶頂に達した時、淫紋令呪はメアリーの全身へと広がって彼女の体を完璧にソロモンの物とした。

 下腹部から始まって胸、首、そして顔に至るまでのメアリーの体に黒化粧を施した淫紋令呪は数度輝きを放って完璧に定着する。その光景を見たアンは、これでもうメアリーが絶対に助からないと言う事を理解してしまった。

 

「ふはははは! 堕ちたか、他愛もない……! これで、この雌奴隷の全てはこのソロモン王の物! 未来永劫、魂の一欠片に至るまで、このソロモンの自由となった! はははははははは!」

 

「あ、あは、あははははは……」

 

 ソロモンの笑い声を耳にするメアリーの瞳からは光が完全に消え失せようとしていた。口から洩れる笑い声も、永遠の主となった男の笑い声を反芻しているだけなのだろう。

 メアリーの命、そして未来はここで潰えようとしていた。彼女の全てを手に入れたソロモンは、トドメとばかりに腰を振って彼女の子宮を叩き潰す。

 

「そら、これで完全なる奴隷の完成だ! 偉大なるソロモン王の役に立てる事、光栄に思うが良い!」

 

「あっっ! ぐっぅ! んあぁぁぁぁぁぁッッ!!」

 

 ピストンを受けるメアリーの体が魚の様に跳ねる。全身に刻まれた淫紋令呪からは黒い電撃が弾け、彼女の体により深い快感を与えている。

 終わる、全てが……メアリーの今までも、これからも、ソロモンの手によって全てが塗り潰される……そんな予感を感じながらも、アンは何も出来ないでいた。まるで金縛りにあったかの様に指一本動かせないまま、目の前の光景を見続けるしか無かった。

 

 そして――その時がやって来る。様々な意味での終わりを孕んだその時が、ついに訪れる。

 

「あ、あっっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 甲高い、掠れる様な悲鳴。それは意思のない機械が壊れる寸前の断末魔の叫びに似ていた。

 それと同じ様な音を上げ、ソロモンの精を女性の最奥に受け、メアリーは全身を硬直させて絶頂を迎える。全身の淫紋令呪が眩いばかりに光り、彼女を戻れない深淵へと導いていく。

 

「……ア、ン……サヨ、ナ、ラ……」

 

 最後に相棒の名を口にしたメアリーの瞳から光が完全に消え去る。心も、魂も、全てが消え去った。

 彼女はもうただの性奴隷で、男たちの欲求を満たす為の便所になったのだ。再度召喚されたとしても、もうメアリーに意思が戻ることは無い。淫紋令呪は、ソロモンの施した魔術を完璧にメアリーの霊基に定着させた。この淫紋令呪が解呪されない以上、メアリーの意思が戻ることは無い。

 

 そして、ここまで成長した淫紋令呪が解呪されることは無い。例えソロモンが死んだとしても、その術式は文字通り呪いとなってメアリーの魂を縛り続ける。

 

 つまり――メアリー・リードの魂は、永遠の闇の囚われ、終わりのない凌辱を永劫受け続ける。その苦しみを苦しみとすら感じられないまま、彼女は意思のない人形として在り続けるのだ。

 

 完全に自分の物となったメアリーの膣内に精液を放ち終えたソロモンは、口元を釣り上げて笑みを浮かべる。そして、玩具を放り投げるかの様にメアリーの体を地面へと叩き落した。

 

「………」

 

「まあ、堕ちるまでは十分に楽しめたが、こうなってしまっては面白みも無いな……何より、貧相過ぎて性処理に使うには物足りん。お前もそう思うだろう? あぁ?」

 

「え、えぇ……そう、です、わね……」

 

 主が口にした言葉、それは自分が常にメアリーに言い続けていた物と殆ど同意義だった。メアリーは役立たずで、男を満足させられない屑だと、そう言って自分は彼女を追い込み続けていた。

 自分が口にしていた言葉だから、アンはソロモンの言葉を否定出来ない。頷いて、震える声で肯定するしかない。

 だがそれでも、胸の中のざわめきは収まってはくれないのだ。むしろもっと酷く、大きなざわめきとなってアンの胸を内側から突き刺す様な痛みを与えて来る。

 

「……さて、それは何処ぞにでも放って置け。私は他の雌共を嬲って来よう。壊れた道具に興味はない、後は男どもが飽きるまでそれを使ってくれるだろうさ」

 

 メアリーを終わらせたソロモンは、慈悲も何も無い言葉を口にして姿を消した。この場に残るのは、何もかもを失い地面に横たわるメアリーと、それを見つめるアンだけだ。

 アンは、全身に淫紋令呪が広がり、変わり果てたかつての相棒へと近づいてその額を撫でる。そして、震える声のまま彼女を賞賛し始めた。

 

「メアリー……何て、立派な姿でしょう……あなたはソロモン様の完全なる下僕となり、その魂を捧げたのですね。私は、今のあなたを見て、とても誇らしく……誇、らしく……」

 

 賞賛をすべきだった。何もかもを打ち捨て、自分の言う通り男の為の玩具となったメアリーをアンは賞賛するべきだと思っていた。だが、それをもう一つの感情が許してはくれない。

 声が詰まる、視界が涙で滲む、これは、本当に自分が望んだ結末だったのかと疑問が湧き上がって来る。

 それは徐々に慣らされて行けば生まれる筈の無い疑問だった。じわじわと、長期にわたって壊れるメアリーや他のサーヴァントを見ていれば、アンはそうは思わなかったのだろう。しかし、この短期間で壊れ行くかつての相棒の姿を見続けた彼女は、こう思わざるを得なかった。

 

 これが、自分とメアリーが望んだ幸福なのだろうか、と……

 

「……がう、ちがう……こんな、こんなこと……」

 

 真下のメアリーの頬に涙が落ちる。いつの間にか涙していたアンの頬を伝い、零れ落ちる温かい雫がメアリーの蒼白な頬を濡らす。

 だが、メアリーはアンを慰める言葉を口にする事は出来ない。涙を拭う手も、抱き締める腕も、共に歩む脚も……魂も何もかもを彼女は失ってしまったから。

 

 そう、彼女の相棒であった、他ならぬ自分のせいで。

 

「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ」

 

 もうメアリーは笑ってはくれない。自分を叱る事も共に騒ぐ事も出来ない。自分の導きのまま、彼女は性処理の道具として完成してしまったから。何もかもを捨て去ってしまったから。

 その事に気が付いたアンの胸の中のざわめきは膨れ上がり、罪悪感となって爆発した。ようやく自分がしでかしてしまった事の重大さに気が付いたアンは、何の反応も示さないメアリーの体を揺さぶって狂った様に叫ぶ。

 

「お願い! 私を見て、メアリー! 私が……私が間違っていたから……! あなたのこと、大切に思っていたのに、あんなことを言い続けて、苦しめて……! 本当は違うの、こんな事望んではいなかったの! ごめんなさい! ごめんなさい……!」

 

 泣いて、叫んで、喚いて……アンは、思いの丈を全てメアリーへとぶちまけた。謝罪の言葉を口にして、自分の非を全て認めて、彼女に許しを請う。しかし、メアリーはそんなアンに対して何も言ってはくれない。視線を向ける事すら、今の彼女には出来ないのだ。

 

「メアリー、メアリー……! 私は、取り返しのつかない事を……!」

 

 もう何も出来ない。こうなってしまった以上、メアリーを救う手立ては何も無い。自分は、大切な相棒を自らの手で壊してしまった。

 後悔と絶望に打ちひしがれすすり泣くアン。彼女が自分の過ちを十分に理解したその瞬間だった。

 

「……これは君の望んだ結末じゃあ無かったみたいだね? でも、この終わりはじきに現実になるよ? このままだと、彼女は本当にこうなってしまう」

 

「!?」

 

 突如自分に囁かれた言葉に顔を上げたアンは、壊れたメアリーやソロモンの城の内装が周囲から消え去っている事に気が付いた。再び最初の真っ白な空間で、謎の優男に優し気に微笑まれているだけだ。自分が今見た物は夢だったのだろうか?

 いや、そうではないだろう。アンは、確信に近い思いを抱いていた。この男の言う通り、このままでは先ほどの光景は現実になってしまうのだと、そう理解していた。

 

「それで、どうする? 君が行動しなければ、彼女は間違いなくソロモンの手で壊されてしまうだろうね。このまま黙って、あの結末を迎えるかい?」

 

「メアリー……」

 

 ぞっとする光景、悪夢などと言う言葉では生温いあの絶望感……それを目にしたアンは、在りし日のメアリーの様子を思い出す。

 最高にして唯一の相棒、励まし合い、助け合いながらここまで共に歩んで、羽ばたいて来た最大の友。彼女は今、自分のせいで壊れつつある。それを見捨てる事など出来る筈も無い。

 

「……やります、それがどんな茨の道であろうとも……メアリーを救う事が、私の出来る罪滅ぼしなのですから……!」

 

 感情と光を失ってしまったメアリー。彼女に再び笑顔を取り戻させる事こそが、彼女を傷つけ続けた自分に出来る唯一の贖罪だ。

 アンは硬く決意する。必ず、もう一度メアリーの心を蘇らせると……その為ならば、何でもしてやると心に決めた。

 

 そして、そんな彼女の事を謎の優男は頼もし気に見つめていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねえ、アタランテさん。私、夢を見ましたの……良い夢とは言い難かったですが、お陰で目が覚める思いになりましたわ」

 

「ああ、そうか……お前も、か……」

 

 翌日、船内の人気の無い場所で出会った二人は、お互いの顔を見ないまま横並びになって話し始めた。どうやら、お互いの目的はほぼ同じである様子だった。

 

「……まずはメアリー、だな」

 

「ええ、そうですわね」

 

 幸いにも次の一手に関する意見にも合致が出た。最初にカルデアのマスターに届けるのは、精神が壊れつつあるメアリーであると言う事にアタランテも異論は無い。その為の機会も、彼女は見つけ出してくれていた。

 

「先ほどドレイクたちの会議を盗み聞きした。却下されていたメディア・リリィの案を後押しし、私たちが独断専行してアルゴー船に向かう、そして――」

 

「作戦の失敗を装い、メアリーをマスターの下に送り込む……上手く行きますかね?」

 

「信じるしか無いだろう。そこまで表立って動けはしないんだ。ある程度はマスターたちの実力を信じるしかない」

 

「……そうですわね、信じましょう。彼らの事を……!」

 

 屈託のない笑顔を浮かべ、自分たちを大切に扱ってくれたカルデアのマスターの事を思い浮かべたアンは、彼を信じる事に決めた。数々の修羅場を潜って来た彼ならば、この急襲も凌いでくれるだろうと信じて作戦の内容を決めにかかる。

 

「……アン、この作戦が上手く行ったら、お前は徹底的に裏切りを悟られぬ様に動け。お前は淫紋令呪を通じてメアリーと交信できるはずだ。その特性を活かし、ドレイクたちに悟られぬ様にこっちの情報をマスターたちに伝え続けるんだ」

 

「わかりましたわ。しかし、あのドレイク船長の目を盗み続けられるでしょうか……?」

 

「大丈夫だ。……疑いの目は私が引き付ける。黒髭も何やら動いている様だ、彼とも連携しつつ、私は裏切り者としての疑いを一身に引き付けよう。お前が普段通りでいれば、ドレイク船長も私と黒髭は疑ってもお前までもを疑いはしないだろう」

 

「そう、ですわね……」

 

 完全に堕ち切り、男たちに股を開いていたアン。そんな彼女が裏切り、カルデアの為に暗躍しているとは、誰も信じないだろう。策士である黒髭や抵抗を見せていたアタランテには出来ないその役目を引き受けながら、アンはアタランテの身に降りかかるであろう不幸に心配を抱く。

 しかし、それを案じても意味は無い……であるならば、彼女の事を信じる他無いのだろう。全てが上手く行き、全員でカルデアに戻れると信じて行動することが、自分にとっての最善策であるはずだ。

 

「……やるぞ、アン。裏切り者である私たちがマスターに報いるには、こうする他無いのだからな」

 

「ええ……必ず、メアリーを助け出してみせますわ……!」

 

 人知れず反旗の狼煙を上げた二人の女英霊は、強い覚悟を胸に頷き合う。大切な物を取り戻して見せると、そう決意した二人は早速行動を開始したのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後の手段

 

「……ああ、これは負け戦だね。どうしようもない」

 

「船長……!」

 

 『黄金の鹿号』の船長室で戦いを見守っていたメディア・リリィは、ドレイクの呟きに悲痛な声を漏らす。だが、彼女もこの戦が敗色濃厚である事を十分に理解していた。

 

 万全の状態である筈だった。戦力は遥かにこちらが上で、人質も用意していた。彼らが来るまでの行動も完璧で、裏切り者の存在も把握していたはずだった。

 しかし、そうでは無かった。最後の最後で自分たちはアン・ボニーと言う裏切り者に気が付けなかった。黒髭が隠していた秘密兵器(アサシン・エミヤ)にもだ。

 その結果が人質の奪還とそれによる仲間たちの離反。戦力も逆転された今、ドレイクたちに勝ち目は残ってはいなかった。

 

「あ~あ、やっちまったねぇ……きちんとクルーの状態を確認出来て無かったアタシの落ち度かな、これは」

 

「くっ、ううっ……!!」

 

 自嘲的なドレイクの呟きに目を伏せたメディア・リリィは、苦し気な嗚咽を漏らす。敗北は確定的であり、ソロモンから託された使命を果たすことはもはや叶わない。自分たちの残された道は、二つに一つだ。

 一つは自害し、ソロモンの下に戻る事。敗戦の責任は取らされるだろうが、汚名を雪ぐチャンスは生まれる。

 もう一つはここで捕縛されることを覚悟して戦う事だ。最後まで意地を見せる事でカルデアに対する反抗の意思を表明することも出来る。

 

 ドレイクがどちらを選ぼうとも、メディア・リリィはそれに従うつもりだった。彼女は非常に有能な指揮官であり、自分の事をしっかりと気にかけてくれていた女性でもある。

 尊敬する船長の指示ならばどうあっても喜んで従おう、そう考えているメディア・リリィに向け、ドレイクが下したのは戦いの指示だった。

 

「……アレ、使おうか。準備は出来てるだろう?」

 

「っっ!? は、はいっ!」

 

 ドレイクの指令を聞いたメディア・リリィは緊張感を抱きながら大きな声で返事をした。ソロモンから渡された最終兵器、それを彼女は使おうとしているのだ。否が応でも緊張感が高まる。

 だが、メディア・リリィはそれを無理矢理封じ込めて術式を解放した。ドレイクと共に最後の戦いに挑む為、彼女は残る魔力を全てそれに注ぎ込む。

 

「……解放の準備は整いました。後は……」

 

「そうかい、ご苦労さんだね。なあ、メディア……」

 

「はい?」

 

 最終兵器を使う為の準備を整えたメディア・リリィをドレイクが労う。そのまま彼女へと何かを口にしかけた彼女に対し、メディア・リリィが視線を向けると――

 

「……お前とはここでお別れさね」

 

「え……?」

 

 ドレイクの言葉を耳にしたメディア・リリィは、その言葉の意味を理解出来なかった。それがどう言う意味かを問いかけようとする前に、メディア・リリィは自分の胸に衝撃を感じて後ろに後退る。

 

「あ、え……?」

 

 衝撃を感じた胸に手を当てたメディア・リリィは、その手が真っ赤に染まっている事に困惑しつつ声を漏らした。どうやら、自分はドレイクに撃たれたらしい。

 何故、彼女はこんなことをしたのか? その答えは、他ならぬドレイクが語ってくれた。

 

「ここから先はアタシの意地の問題さ。お前が付き合う必要は無い……だから、お前は先にソロモン様の元に帰るんだ。大丈夫、アタシもカルデアのマスターの首を取ったらそっちに戻るからさ」

 

「そん、な……!? ドレイク、さ――」

 

「……悪いね、メディア。でも、これがアタシの性なんだよ。負けっぱなしは趣味じゃない、例え勝ち目が無かろうとも、最後まで足掻いてみたいのさ!」

 

 船長室に出現した舵をドレイクが握る。全身から魔力を放つ彼女は、目の前の海を見つつ不敵に笑う。

 メディア・リリィが消滅する前に見たのは、逆境に最後まで抗おうとする一人の女海賊の背中だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれは、何だ……?」

 

 突入メンバー、奪還した人質、そして途中で合流したヘクトールと行動していたカルデアのマスターは、ドレイクの旗艦である『黄金の鹿号』が黒く染まり始めた事を見て訝し気な視線を向けていた。

 明らかに何かをしようとしている艦船に警戒を払う一行であったが、その目の前であまりにも予想外の出来事が起こり始める。

 

「な、なんだありゃぁっ!?」

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃっっ!?」

 

 マスターとサーヴァント、そしてソロモン海賊団のメンバーたちの前で変貌し始めた『黄金の鹿号』のマストから無数の触手が生えて来たのだ。その触手は四方に伸び、各船の乗組員たちを掴んでマストの中へと急襲し始めたでは無いか。

 

「マスター、あぶねぇっ!!」

 

「うわぁっ!?」

 

 マスターもその触手に体を絡め取られそうになるも、間一髪のところでヘクトールが振るった槍に触手が斬り裂かれた事で事なきを得た。代わりに、触手は近くにいた一人の男を掴むと船へと戻って行く。

 

「た、助け――っ!?」

 

 カルデアのマスターたちに助けを求めて手を伸ばした男の姿が一瞬で見えなくなる。ずぶり、ずぶりと音を立てるかの様にマストに植え込まれた男たちは、その内部であまりにも苦し気な悲鳴を上げていた。

 

「だずげでぇぇぇぇぇっっ!! いだいっ! ぐるじぃぃぃぃぃっっ!!」

 

「なんで俺たちがこんな目に遭うんだよぉぉぉっっ!? ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 体と魂を生きたまま貪り食われる様な激痛に叫びを上げ、断末魔を迎える男たちの生命力が『黄金の鹿号』へと急襲されて行く。あまりにもおぞましいその光景に僅かな生き残りたちが茫然とした視線を向ける中、イアソンはある予感に襲われて背筋を震わせた。

 

「ま、まさか、あれは……!?」

 

 自分には覚えがある、あの光景、あの痛みに……あれは、そう言う事なのでは無いだろうか?

 

『……いい思いは出来ただろう? 好きに喰らい、飲み、貪った……お前たちは一生分の幸福を味わった筈さ。なら、ここで死ぬことだって拒みはしないだろう?』

 

 イアソンの思いを肯定する様にオケアノスの海に響いたドレイクの声にソロモン海賊団の男たちは縮み上がる。そして、ある事実に気が付いた。

 自分たちは、最初から生贄にされる為にここに連れて来られたのだと……あのなんだか分からない物体を呼び起こす為の燃料としてカウントされていたのだと気が付いた男たちは、必死になって触手から逃げ回り始めた。

 

「嫌だぁッッ! 死にたくないっ! 死にたくないぃぃぃっ!!」

 

「こんな死に方あんまりだっ! 誰か助けてくれぇぇっっ!!」

 

 惨く、無残な死に方、それを恐れる男たちは触手から逃げ惑う。だが、その目論見が成功することは無く、一人、また一人とマストの中へと吸収されて行った。

 触手が男たちを飲み込む度、マストの表面には丸い模様が浮かび上がっていた。徐々に数を増すその丸を見続けるマスターは、驚愕と共に呟きを漏らす。

 

「あれは……まさか……!?」

 

 湧き上がる黒い予感、浮かび上がるのはかつての戦い……その中で激闘の果てに倒したある強敵。

 『黄金の鹿号』に生えるマストは、その強敵にそっくりだった。あり得ない事と思いたがるマスターの目の前で、それがかつての力を取り戻す。

 

『顕現せよ、魔神柱フォルネウス! その力を今、我らの敵に見せつけるのだ!』

 

 ドレイクの叫びを耳にしたマスターは、『黄金の鹿号』から生える物体が魔神柱・フォルネウスであると確信して歯噛みをする。あの強敵が再び自分たちの前に立ち塞がるとは、思いもしなかった。

 しかも、今回の魔神柱はただ復活しただけでは無い。どうやら……彼は、『黄金の鹿号』と融合している様だ。

 

 ドレイクの宝具と融合して見せたフォルネウスは、その力を更に倍増させてカルデアのマスターたちの前に立ち塞がる。魔神柱としての能力、宝具としての特性、ドレイクのスキル……その全てを融合させ、更なる強敵として顕現したフォルネウスを前にしたカルデアのマスターたちは、ドレイクの低い声を耳にした。

 

『これぞソロモン様から与えられし最強の兵器《魔神柱船(デモニカシップ)・フォルネウス》。さあ、この海での最後の戦いを始めようじゃあないか!』

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アルゴー船、特攻

 

「《魔神柱船(デモニカシップ)・フォルネウス》だと……!? なんだよ、それは!?」

 

 オケアノスの最終決戦において、ついにソロモン海賊団を追い詰めたかと思われたカルデア一行であったが、指揮官であるドレイクは掟破りの秘密兵器を投入して来た。

 その名も魔神柱船・フォルネウス。かつてこの海で相対した魔神柱と同じ名を持つその兵器は、ドレイクの黄金の鹿号とソロモンの配下である魔神柱とが混じり合った狂気の産物だ。

 

 巨大な本体をドレイクの船に積み込み、遺憾なく超常的な火力を発揮する為の融合。機動力と攻撃力を兼ね備えた魔神柱船の恐ろしさは、想像することに難しくなかった。

 遠距離からはドレイクの黄金の鹿号の砲台が火を噴く。中距離ではファルネウスの光線が、近距離に移れば触手による薙ぎ払いと巨体を活かした体当たりで攻撃を仕掛ける。そのどれもが一撃必殺の威力を誇るうえに広範囲にわたって繰り出されるものなのだ。まさに完全無欠と呼ぶほか無いだろう。

 

「ダヴィンチちゃん! ドクター! あの船に弱点はないの!?」

 

 黒髭の見事な操舵で攻撃を何とか躱し続ける女王アンの復讐号の上で戦いの突破口を探すマスターは、カルデアでこの戦いをモニターしている二人に対して大声で叫ぶ。潮風と波の轟音に掻き消されぬ様、声を張って叫んだその質問に対して、二人もまた叫び返すかの様に答えた。

 

『無い訳じゃあ無いが相当に厳しい相手だ! 今の手札じゃあ、簡単に勝つことは出来ないぞ!』

 

「取り敢えず、その弱点を教えて! そこを突けるように作戦を組み立てる!」

 

『わかった! と言うよりも本当に単純な話なんだが……魔神柱船は、魔神柱単体の時よりも防御力が下がっている! 強力な攻撃を叩き込み続ければ、案外簡単に倒せるかもしれないよ!』

 

「強力な攻撃……!」

 

 ダヴィンチの答えを聞いたマスターは、このオケアノスに存在するサーヴァントたちを頭の中に思い浮かべ、歯噛みした。残念ながら、あの魔神柱船に強力な攻撃を叩き込めるサーヴァントは、ほとんど存在していないのだ。

 

 今回連れて来たのは大半が対人宝具持ちのサーヴァントたちだ。つまり、攻撃射程が非常に短い。移動する魔神柱船に接近することが非常に困難である以上、その火力を発揮することは難しいだろう。

 残るサーヴァントたちもまた対軍宝具を持つ者も居るが、それは文字通り多くの敵を倒す為の攻撃手段であり、巨大な敵を倒す為の物では無い。一撃一撃の威力が低く、決定打とはなりにくい宝具が殆どだ。

 今の状況ならば、アルトリアやアルテラの宝具の様な遠距離から発動して一気に決着をつけられる強烈な一撃が必要であった。そして、その条件を満たしているサーヴァントは、現状モードレッド一人だけだ。

 

「令呪を使っての連撃……いや、駄目だ。今のモードレッドの宝具じゃあ威力が足りない!」

 

 撃てる砲弾は一種類のみ、しかもその砲弾ではどう考えても威力不足。令呪を使って三回までならば連撃出来るが、せいぜい撃てて四回ではあの魔神柱船を沈めることは出来ない。

 ここまでの戦いで登場していなかったが故に構想から外してしまった魔神柱への対策。それを怠ったが故に打てる手がほぼ無い状況にまで追い込まれてしまった。

 

「私の宝具で盾を張って強引に接近するのはどうですか!?」

 

「触手を駆けてあの船に乗り込めば……」

 

「船での砲撃は? 魔術での攻撃も効果はあるかしら?」

 

 あと一歩、それだけなのだが、その一歩が果てしなく遠い。今の自分たちに最も必要な『継続して繰り出せる高威力な攻撃』が無い。

 マスターは必死に頭を考え、サーヴァントたちも懸命に策を練るも、いまいち決定打に足りない意見しか出て来ない。

 攻撃を躱し続けるのにも限界はある。このまま摩耗し続けていれば、打てる手も打てなくなってしまう。

 じりじりと追い詰められるカルデアのマスターであったが、起死回生の策は予想外の所から飛び出して来た。

 

「……時間と協力を頂けますか? そうすれば、なんとか出来るやもしれません」

 

「えっ!?」

 

 そう口にしたのはジルであった。ソロモン海賊団の手下である男たちがほとんどいなくなった現状において海魔を召喚することを止めた彼は、アルゴー船から魔神柱船を鋭い視線で睨んでいる。

 

「ほんの少しの時間と何名かのサーヴァントの協力があれば、あの船に対抗する手段を生み出せるはずです。時間があればの話ですが……」

 

「乗った! マシュ、アルゴー船を宝具で守って時間稼ぎを! 黒髭は魔神柱船の気を引いて、ジルの策を援護して!」

 

 策の子細を聞かぬまま、マスターはジルの提案に乗る事を即座に決めた。あのジルがここまで言うのであれば、相当の自信があると判断したからである。

 ならばその為の時間を稼ぐことが自分の役目だ。頭脳を回転させ、どうジルを守るかを考え、マスターは懸命に陣形を組み立て始めていたが――

 

「……待て。そう兵を動かしても意味はないぞ」

 

「え……?」

 

 頭に響いたイアソンの言葉がその思考を一度停止させた。イアソンは、そのままジルに対して確認の為の質問を投げかける。

 

「確認だ。必要なのは時間と協力者だな? それだけなんだな?」

 

「はい、そうなりますな」

 

「……なら、話は単純だ。お前たちは黒髭の船に乗り移れ。そっちの方が時間を稼ぎやすくなる」

 

 そう言ったイアソンは、器用に攻撃を躱しながら黒髭の女王アンの復讐号へとアルゴー船を接近させた。彼の真意を理解出来ない面々ではあったが、確かに英霊が多数搭乗していた方が女王アンの復讐号の性能は上がる。イアソンの言葉の意味をそう解釈したサーヴァントたちは、次々と女王アンの復讐号へと飛び移って行った。

 

「……あなた、何を考えているの?」

 

「決まっている、勝つ方法だ! 後は、俺が如何に偉大な存在であるかを知らしめる方法だな」

 

 最後の一人となったメディアは、魔力で編み出した羽で飛行する寸前にイアソンへとそう尋ねた。それに対する彼の返答は彼女の予想通りの物ではあったが、メディアは何か違和感の様な物を感じつつアルゴー船から飛び立っていく。

 その背を見つめ、彼女が向かう先へと視線を移し……イアソンは、僅かに微笑んでから操舵の為の舵を握り、呟く。

 

「さあ、一仕事と行こうじゃあないか! 英霊イアソンにしか出来ぬ、偉業を打ち立てにな!」

 

 そのまま全速前進、ただ前へとアルゴー船を走らせるイアソン。女王アンの復讐号に搭乗する仲間たちは、その様子に驚いて目を丸くした。

 

「イアソン、何をやってるんだ!? そのままじゃ魔神柱船に突っ込むぞ!」

 

「何を分かり切ったことを言っている、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? 感謝しろ。この俺が、策を成就させる為の捨て石になってやる!」

 

「!?!?」

 

 イアソンのその言葉にカルデアのマスターを始めとした仲間たちは驚愕し、唖然とした様子で魔神柱船へと突き進むアルゴー船を見つめていた。イアソンは、懸命に船を走らせながら叫び続ける。

 

「良いか? 今、俺たちに必要なのは時間と策を実らせる為の協力だ! 俺とアルゴー船じゃない! 新しい船は手に入り、そちらの方にサーヴァントが集まっていた方が都合が良い……ならば、もう俺は抜けさせて貰うぞ」

 

「だからって、何で特攻なんて真似を……!?」

 

「何でだと? バカか貴様は! 必要の無くなった物を有効活用するのは当然のことだ。今回は俺がその立場になっただけのこと……それに、自慢じゃ無いが俺は弱い。あの化け物と戦うことなど絶対に御免だからな。ここで一足先に退場させて貰おう」

 

「イアソン……!?」

 

 直接会話しているマスターは、彼のその言葉から滲み出る感情を読み取り、言葉を詰まらせた。一見、普段と変わらぬ様に見える彼だが、それでもやはり死を恐れているのだ。だが、それでも自分たちの勝利の為に彼はこの道を選んだ。その意思が、痛い程に伝わって来たのである。

 

「……ジル! 早く準備して! イアソンが時間を稼いでいる間に、早く!」

 

 イアソンの意思を感じ取ったマスターは、ジルに向けてそう叫んだ。彼は勝利の為に己が身を投げ打っている。ならば、自分たちもまたその献身に報いる様、努力すべきなのだ。

 それでも……マスターは、イアソンを犠牲にすると言う選択に苦しんでいた。元は敵であり、性根の腐った男だと思っていたが、昨日の助言や仲間として戦ったこの日々で、少しずつ好意を抱いていた事も確かだ。

 しかし……この胸の痛みこそが、彼の言った『人間であることの証』なのだろうと考え、マスターはその痛みを真正面から受け止める選択を行う。必要だからと割り切るのでは無く、痛みと苦しみを感じながらも先へ進むことを選択した彼は、最後に突き進むアルゴー船とその船長へと小さな呟きを送った。

 

「……ありがとう、イアソン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、まったく……最悪な一時だった。

 と言うよりも、最悪な時は現在進行形で続いている。一発まともに喰らえば即死の攻撃を掻い潜りながら突き進むなんて、最高に心臓に悪い。

 何でこんなことをしているのか? 別に仲間たちの為と言う訳では無い。自分がこうするのは、あくまで自分の為に決まっている。

 

 だってそうだろう? かつての自分の死にざまは、それはそれは無様な物であった。過去の栄光にすがり、果たせなかった夢へと思いを馳せながら、このアルゴー船の下敷きになる。考えられる限り、英霊としては最低の死に方だ。……チーズをぶつけられて死んだよりかはましかもしれないが。

 とにかく、自分の死に方は最悪だった。人生の幕切れとしてはあまりにも情けない物であった。しかし、今はどうだ?

 困難に直面した(こう呼ぶには気が引けるが)仲間たちの為に命を捨て、恐ろしい怪物へと突撃して行く……これぞまさに英雄と言える物ではないか。

 

 生前に心の底から憧れた英雄(ヘラクレス)が、自分に愛を送った女(メディア)が、かつてこの海で相対した男が……自分の勇ましい姿を目にして、そして感謝するのだ。おお、偉大なるイアソン、と言う様に。

 それは……言葉にするのは難しいが、有体に言えば格好良いものだろう。自分の辿った末路よりかは、何十倍も素晴らしい。

 

「ああ、そうとも……俺は英雄だ!」

 

 自分は弱い、戦いなど出来る訳が無い。弱者であることは間違いない。勇猛果敢な男にはなれない。

 だが、自分は何も出来ない訳ではない。たとえ弱くとも、必要な時に命を懸けることは出来る。そして、戦うことも出来る。

 戦って勝つだけが英雄では無い。戦わずして勝った英雄も居れば、戦って負けたと言うのにも関わらず英雄となった者も居る。自分は、勝利を掴む為に礎となった英雄となるのだ。

 

「だから、勝て……! 必ず勝て!」

 

 ここで負ければ、自分の雄姿を語り継ぐ者が居なくなる。それでは何の意味も無い。

 この自分がここまでするのだ、敗北など許されるはずも無い。迫る魔神柱船の巨体を前にして吹っ切れたイアソンは、憎み切れない宿敵であり、僅かに心を通わせた()へと叫ぶ。

 

「勝て! この背を追って来い! そして追い越せ! 勝って、お前の――」

 

 未来を掴め、その言葉を紡ぐよりも早く、アルゴー船は魔神柱船に真正面から激突していた。

 激突した魔力が膨張し、炎となって爆発を起こす。アルゴー船と魔神柱船、双方に損害を与えた爆発の果て、イアソンの体もまた炎に包まれる。

 痛み、熱、衝撃……その全てを感じ、自分が死ぬことを悟りながらも、イアソンは満足していた。

 だってそうだろう? ……自分は、人類史を守る英雄を守った男になれた。世界を救う英雄を救った英雄になれた。

 それでもう、十分だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ! 雑魚が、味な真似をしてくれる!」

 

 衝撃に揺られ、船体同様に少なくないダメージを受けたドレイクはイアソンに対する悪態をつく。

 全く予想していない攻撃を受け、自身のプライドとソロモンから譲り受けた魔神柱を傷つけられた彼女は、瞳に怒りの炎を燃やしていた。

 

「チッ! あの船はもう沈んだのかい。生きてりゃあ、タダでは済まさなかったってのに……!」

 

 ようやく黒煙が晴れた先には、もうアルゴー船の姿は無かった。どうやら、イアソンの消滅と共に消えてなくなった様だ。

 生きていればそれはそれで腹立たしいが、死んでしまわれてはこの怒りをぶつける事が出来ない事に腹が立つ。煮えたぎるマグマの様な怒りを胸にするドレイクは、そのぶつける先を残るカルデアのマスターたちに決め、顔を上げ――そして、それを視界に映した。

 

 それは、海を歩いていた。それは、魔神柱船と比べても遜色ない程に巨大だった。それは、見るからにおどろどおろしい姿をしていた。

 それは海魔だった。巨大な海魔だった。その中には、ジル・ド・レェを始めとした英霊たちの姿があった。

 

「……本来、制御不可能である巨大な海魔をギリギリ制御出来る大きさで召喚、その補助として森の賢者たるクー・フーリン殿と神代の魔女であるメディア殿に協力いただくことで、完全なるコントロールを得ました」

 

 海魔の中、中心部たる位置にある人影は四つ。うち三つは海魔を召喚した張本人であるジルと、彼に名前を挙げられた二人の英霊だ。

 そして、最後の一人であるカルデアのマスターは、海魔の肉体である床に手を付きつつ前を見据える。その目に映るのはアルゴー船の特攻でダメージを受けた魔神柱船・フォルネウス。そして、その支配者たるドレイクだ。

 

「我々は海魔の暴走を防ぐことで手一杯。コントロール権はマスターにお預け致します。どうか、この奇策を持ってオケアノスの戦いに終止符を打って下さい!」

 

 ジルの言葉に返事代わりの頷きを一つ。ようやく慣れて来た海魔の操作を行い、また一歩前へと踏み出せば、魔神柱船がもう目の前の位置にまで到達していた。

 

「貴様……! ソロモン様の英知にそんな怪物で対抗するつもりか!? この大馬鹿野郎め!」

 

「神様が怪物に倒されるなんて珍しく無い話でしょ? ……さあ、怪獣大決戦といこうか!」

 

 双方、化け物。その巨体が海に浮かぶ。神VS怪物の想像不可能な激闘の火蓋が今、切って落とされた。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

海賊団の終焉

 

 巨大海魔の剛腕が唸る。腕、と呼ぶには些か不気味な形状ではあるが、ともかく腕に位置する部位であるそこが空気を唸らせながら大きく振り回され、魔神柱船のマストを横薙ぎに叩いた。

 攻撃を受け、フォルネウスが起立しているそこがメキメキと嫌な音を鳴らす。船を揺らす衝撃に耐えながら、今度はドレイクが反撃として無数の光線を繰り出した。

 放たれた光線は海魔の中心部分を捉え、そこを焼き焦がす。マスターは自分の胴体が焼ける様な痛みを感じて表情をしかめた。

 だが、それで怯める訳も無い。痛みを無視し、彼はもう片方の腕を振って海魔の触手を魔神柱船へと叩き付けた。

 自重と勢いを乗せた強烈な手刀。その一撃は巨大な魔神柱船を軽く沈ませ、船全体に凄まじい衝撃を響かせる。

 

 イアソンの特攻によってダメージを受けた魔神柱船は、思う様に動くことが不可能になっていた。対して巨大海魔はその巨体からは想像も出来ない機敏さと器用さを見せ、攻撃と防御をそつなく行っている。

 お互いに攻防を繰り返しても、その差が大きく出てしまっていた。段々と魔神柱船の修復能力が追い付かなくなり、攻撃による被害が目に見える様になっていたのだ。

 

「行けるっ! このまま押し切るっっ!」

 

 砲弾に左腕を弾き飛ばされるも、マスターはその痛みを食いしばって再度攻撃を仕掛けた。脳から分泌されるアドレナリンが、彼の感覚から痛みを奪いつつあったのだ。

 無茶な戦いであり、危険な賭けである巨大海魔での戦闘。五感をリンクさせたことで痛みを感じはするが、自分の思うがままに動くことが出来る。

 攻撃も防御も直感で行いつつ、徐々に魔神柱船を追い詰める。両手でフォルネウスが顕現するマストを握ったマスターは、腕に思い切り力を込めてそれをへし折ってみせた。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 マストの中ほどからぽきりと折れ、海に沈んだフォルネウス。再生機能がある為、完全に倒せた訳では無いのだろうが、それでもダメージを与えたことは間違い無いだろう。

 それを証明するかの様にオケアノスの海に響いたドレイクの叫びを耳にし、マスターはここが正念場とばかりに追撃を行う。海魔の口から黒煙を噴き出して魔神柱船を覆いながら、二本の腕を何度も魔神柱船の甲板へと叩き付け続ける。

 

「がっ! このっ! このぉっ! ソロモン様に逆らう、愚か者がぁっっ!!」

 

 一撃、強靭な筈の魔神柱船の甲板が凹む。自身の宝具であり、ソロモンから与えられた兵器を傷つけられたドレイクが叫びを上げる。

 二撃、船の側面が割れ、内部へと潮水が浸水していく。ごぼごぼと音を立てて海の水を飲みこむ魔神柱船は、段々とその重みで沈みつつあった。

 そして三撃、両手を重ね合わせてのハンマースイングは、僅かに残っていたフォルネウスの体を完全に叩き潰した。魔神柱船を構成する重要な部分が崩壊し、ドレイクの船はもはや轟沈を待つだけの存在と化す。

 

 終わりだった。決着はついた。魔神柱船は崩壊し、後は沈むだけだった。

 しかし……この女は、最後まで足掻くことを止めようとはしなかったのだ。

 

「あは、はは、ははははは! 見えたっ! 見えたよっっ!」

 

 傷つき、穴だらけになった黄金の鹿号の船首に立つドレイクは、目の前の巨大海魔の一部分を見て大笑いしていた。彼女の視線の先にあったのは、この海魔を制御する心臓とも言える場所である。

 一番魔力が集中し、制御の根幹となる部分……そこには必ずカルデアのマスターたちが居る。そう判断したドレイクは、愛銃を構えてその部位へと狙いを定めた。

 

「海賊団は全滅した。ソロモン様から賜った魔神柱船も沈む。だが……アンタの命は、駄賃として受け取って行くよ!」

 

 ドレイクの背後に浮かぶ巨大な砲門。狙いは真っすぐにカルデアのマスターたちの居る場所に定められ、発射の時を今か今かと待ち続けている。

 ドレイクは知っていた。最後の最後まで諦めなければ奇跡が起きると言う事を。それが、自分の持つ『星の開拓者』の効果である事を。

 だから最後まで足掻いた。結果、こうやって事実上の勝利を得ようとしている。足掻いて、足掻いて、足掻いた先にこそ勝利の美酒が待っている事を、彼女は知っていたから、ここまで戦い続けて来たのだ。

 

「終わりだ、終わりだぁっ!!」

 

 指が引き金に触れる。後は僅かな力を込めれば、砲門から放たれた一撃がカルデアのマスターたちの命を奪うだろう。

 見える、勝利した自分の姿が。勝てる、勝てる勝てる勝てる。大逆転の一撃で、全てに片を付ける事が出来る。

 今までの敗北を帳消しに出来る。海賊団の全滅や魔神柱船の撃沈と言う失態を加えても、おつりが出る程の成果を上げられる。ソロモンも自分のことを褒めてくれるだろう。メディア・リリィを庇うことだって不可能では無い。

 終わる、とドレイクは思った。今までの戦いも、そして人類の未来も、この一撃で終わると思っていた。

 だが、そうはならなかった。

 

 ぐらりと、ドレイクの足場が揺れた。それと同時に狙いを定めていた砲門はあらぬ方向を向き、完全に当初の狙いとは別の場所へと狙いをつけてしまった。

 そして、もうドレイクには狙いを定め直すことは出来なかった。何故なら、彼女の体は宙に浮いていたからだ。

 一体何が起きたのかと聞かれれば、答えは単純で『黄金の鹿号』が攻撃を受けたのだ。その衝撃で、ドレイクの体は宙へと投げ出されてしまっただけだ。

 そして、攻撃を行ったのは巨大海魔では無く、『女王アンの復讐号』であった。黒髭が、トドメとなる一撃をドレイクに向けて放ったのだ。

 

 彼は知っていた。フランシス・ドレイクと言う女が、最後まで足掻く事を。そして、その足掻きが奇跡とも呼べる結末を引き起こす事も。

 だからこそ、一見無駄と思える一撃を放ち、ドレイクの抵抗を完全に封じた。『星の開拓者』が発動しようとも、逆転が不可能である状況を作り出そうとした。そして、その一撃が完全なる王手となったのだ。

 

 水飛沫を上げて海面に叩き付けられたドレイクは、沈み行く意識の中でようやく敗因に気が付いた。そして、その下らなさに自嘲気味な笑みを浮かべる。

 何てことは無い。自分の敗北は、『自分以外の誰かを当てにした』時点で決まっていたのだ。もしくは、何かでも良いだろう。

 かつての自分はソロモンの力など借りることはなかった。スキルなど所有していなかったし、そんなものを知る事もなかった。それでも、自分は数多の戦いで勝利を掴み取って来た。

 それは、自分の力を信じ、ただ真っすぐに出来る事をして来たから起きた奇跡だった。何かに頼る事はせず、ただ自分の持つ、自分が作り上げた手札で勝負をして来たからこそ築けた勝利の栄光だった。

 だが、今回の戦いは違った。最初からソロモンに与えられた兵と武器を使い、最終兵器として与えられた魔神柱を切り札とし、最後はスキルの効果に頼ろうとした。自分は、最初からフランシス・ドレイクとしての戦いを放棄していた。そして、その上辺だけをなぞった戦い方をしていたのだ。

 これで勝てたのなら、それこそ奇跡だろう。海の底へと沈みながら、ドレイクはようやくその事に気が付く。そして、下らない死に方をしようとしている自分に向けての嘲笑を浮かべた。

 

 最初から最後まで、本当に下らない戦いだった。何もかもを失って、傷つけただけの戦いだった。

 船も、兵も、服も、ソロモンから受け取った物は全て失った。裸一貫で海に沈む自分もまた、最後に残った命を失おうとしている。

 下らない女の命の幕切れとしては相応しいかもしれない……最後にそう思い浮かべ、ごぽりと口から残った酸素を吐き出したドレイクは、完全に意識を微睡みへと沈ませて目を瞑った。

 

 だが……自らの死を受け入れようとした彼女に冷たい死が訪れることは無かった。何かに腕を掴まれたドレイクは、次の瞬間には体を抱えられて海面に浮上していたのだ。

 死を目前とした状況から文字通り引き上げられ、九死に一生を得たドレイクが目を開ければ、そこには水に濡れた黒髭の姿があった。どうやら、自分は彼に助けられた様だ。

 

「なん……で……?」

 

「あ? なんでだと? んなもん、決まってるでしょ~よ」

 

 海に飛び込み、すぐ近くで船が沈んでいる危険な海域で自分を助け出すと言う行為に打って出た黒髭に対し、ドレイクが疑問を投げかける。黒髭は、そんな彼女の疑問に至極単純な答えを返した。

 

「BBAが欲しかったから。欲しい物の為に命を懸けるのが海賊だろう? んな当然の事、聞くんじゃねえよ」

 

 口の端を釣り上げ、悪党に相応しい笑みを浮かべながらの一言。その答えを耳にしたドレイクの中に衝撃が走る。

 それは自分が忘れていたもの。海賊としての大事な矜持は、その言葉の中に詰まっていた。

 勝利の為になりふり構わずに突き進んだ男たちの姿を見た今の彼女には、その言葉と姿は眩し過ぎて直視が出来ない。ゆっくりと、ドレイクは再び瞳を閉じて体を脱力する。

 武器も無い。抵抗する気力も体力も無い。配下も全滅し、船も沈んだ。

 完全なる敗北……それを味わった彼女は、薄れていく意識の中で最後に心に浮かんだ一言を小さく呟く。

 

「ホント……アンタ、イイ男だよ……」

 

 ドレイクのその言葉を聞いた黒髭は、満足気に笑った。

 

 

 

 





オケアノスでの戦闘報告

・聖杯及び柩を回収。カルデアにおいて厳重に保管されたし

・多数の英霊の身柄を確保。彼女たちにもケアが必要

・この特異点で遭遇した英霊の内、イアソンは消滅、エミヤ・オルタはカルデアへの今後の協力を拒否して英霊の座に帰還することを決めた模様


アイリスフィール[天の衣]
ステンノ
エウリュアレ
メドゥーサ(ランサー)
メアリー・リード
メディア

・上記の英霊たちは淫紋令呪の束縛を受けていない、もしくは既に脱却している為、抱く必要性は他の英霊に比べて薄い。だが、ソロモンたちに奪われぬ様にする必要はある

クロエ・フォン・アインツベルン
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
アン・ボニー
メドゥーサ
フランシス・ドレイク

 当面はこちらの女性たちのケアを優先した方が上策であると考えられる。

・また、新たに合流した男性英霊たちからも事情聴取をし、ソロモン側の情報を少しでも集めておきたい

アタランテ
メディア・リリィ

・二名の英霊の奪還に失敗。今後の作戦で敵として相対する可能性は十分にある。その際にもう一度奪還を試みる



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

両翼が揃う時(アン・ボニー&メアリー・リード)

「本当にカルデアに来るつもりは無いの? あなたの戦闘能力は非常に頼りになるから、これからも一緒に戦ってくれると嬉しいのだけれど……」

 

「悪いが、俺の仕事はここまでだ。貴様と柩、そしてダビデ王の護衛を終えた今、これからも一緒に戦う理由は無い」

 

「……そう。あなたは結構頑固だからね。そう言うのならば、意見を変えることは無いでしょう。惜しいけど、諦めさせてもらうわ」

 

「そうしろ、俺には別段別れを惜しむつもりもない。見送りも結構だ」

 

 オケアノスでの戦いの終了後、サーヴァントたちやマスターが次々とカルデアに帰還する中、メディアはエミヤ・オルタに対して最後の説得を行っていた。しかし、その努力が実ることは無さそうだ。

 消滅して行く特異点にこれ以上残る事はよろしくないだろう。色々とあったが、ここまで自分が戦えたのは彼の力があったことが大きい。

 メディアは消えゆくエミヤ・オルタに向けて恭しく礼をし、その感謝の気持ちを表す。彼もまた、メディアのその行動に鼻を鳴らして反応して見せた。

 

「……イアソンのことは残念だったな。と言っても、アイツなりに努力した結果がこれだ。せいぜい感謝しておいてやれ」

 

「ええ……本当に、腹立たしいけどね」

 

 短い会話を交わす両者の体が消えていく。片方は待っている人々が居る帰るべき場所へ、もう片方は次の戦いを待つ為の場所へと向かう為の消滅を行おうとしていた。

 

「ああ……向こうのマスターに伝えておけ、出来る限り善処しろとな。あと、あのフードのアサシンに野菜を食わせろとも言っておけ」

 

「ふふ……! なによそれ? でも、確かに請け負ったわ」

 

 エミヤ・オルタの言葉にほんの少しだけ頬を綻ばせたメディアは、彼に頷きを見せた後で消え去った。エミヤ・オルタもまた、この特異点で出会った見知った顔の事を思いつつ、体を光の粒へと変化させ、英霊の座へと還っていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポツリ、ポツリと明かりが灯る。蝋燭の儚げでぼんやりとした灯火が、廊下の先を照らし出す。

 足を進めるたびに一つ、また一つと……カルデアのマスターの歩みに合わせ、彼の行く先を示す様に灯る蝋燭は、彼を待っていた一人の少女の姿を照らした。

 

「待ってたよ、マスター。ずっとずっと、この時を……」

 

「ああ、やっと君の……いや、君たちの翼を取り戻す時が来たんだ」

 

 熱を帯び、期待に染まったメアリーの瞳。これから始まる儀式への悦びを隠せぬ彼女の体に手を伸ばし、着ているコートを剥ぎ取る。そうすれば、その下に隠れていた幼くも瑞々しい裸体が露となった。

 

「あっ♡ ふっ……♡」

 

 ゆっくりと鎖骨を撫で、そのまま肩へと手を動かす。羽織っているだけになったコートを肩から外せば、メアリーは一糸纏わぬ裸体をマスターへと披露してくれた。

 右手は背中へと回し、尻の谷間へ。左手は肩から脇へ、脇から胸へと動かし、硬くなり始めている乳首の周囲を焦らす様に周回させる。

 触れれば分かる僅かな膨らみ。幼い少女のそれと同様の青さを指の先で堪能しつつ、マスターはメアリーの官能を高めていく。

 

「はぁっ♡ あ、くっ♡ んんっ♡」

 

 焦らす、高める、期待させる……一つ一つの部位を優しく、そして決定打を与えぬ様に責め、メアリーの体を仕上げていく。既に彼女の股座は濡れ始め、表情も蕩けたものになっていた。

 そこまで彼女を追い詰めた所で、マスターは不意に愛撫の手を止めた。そして、彼女の首から下がっている鍵へと手を伸ばす。

 

「……これが部屋の鍵だね。ありがとう、メアリー」

 

「あっ……!? う、うん……」

 

 高められるだけ高められ、一番良い所で愛撫を中断されたメアリーは、明らかに不満げな表情を浮かべていた。火が点いた体を持て余す彼女の頭をくしゃくしゃと撫でたマスターは、耳元で甘い声で囁く。

 

「……大丈夫だよ、ちゃ~んと可愛がってあげるから……でも、俺と二人で楽しむ訳にもいかないでしょ?」

 

「……うん」

 

 マスターのその言葉にごくりと喉を鳴らしたメアリーは、再び期待に染まる表情を見せ、自分の背後の扉へと振り返る。

 木製の大きなその扉の鍵穴へとメアリーの持って来た鍵を差し込んだマスターは、扉を開いて中で待つ女性へと視線を注いだ。

 

「お待ちしてましたわ、マスター。メアリーも、随分と楽しそうですわね」

 

 挑発的な言葉を口にする女性の名はアン・ボニー。先の戦いで奪い返した女英霊の一人であり、メアリーの唯一無二の相棒である女海賊だ。オケアノスでの戦いでの勝利は、彼女の裏切り行為があってこそと言える程の戦果をあげてくれた。

 そんな彼女は、既に全裸になっていた。彼女の動きに合わせてたわわに実った胸の果実が揺れ、肉付きの良い肢体がふるりと震える。メアリーとは真逆の女の魅力に富んだアンの体は、男ならば誰でもむしゃぶりつきたくなるだろう。

 

「メアリーを正気に戻してくれたこと、心から感謝いたしますわ。メアリーを奪い返す程に気持ち良いセックスをしたのですから、少しは期待したいのですが……どうでしょうね?」

 

 品の良さを感じさせる歩き方をしながらマスターへと近づくアンが言う。くるり、くるりと彼の周囲を回り、360度から彼を見つめ、小悪魔の様な笑みを浮かべつつ挑発を続ける。

 その言葉には楽しみと、少しの疑念が浮かんでいた。マスターは何も言い返さず、アンの言葉を聞き続ける。

 

「メアリーはあれでチョロい娘ですからね。すこ~し優しくされたら、ころころっ、と転がされちゃったのかもしれませんが、私はそうはいきませんわよ?」

 

「むっ! ボクを馬鹿にしてるの、アン?」

 

「そうじゃありませんけども……でも、マスターは本当に私を満足させてくれますの? 生前もそうですが、私、こう見えて結構性に奔放ですのよ? 海の荒くれ者に負けない程のセックス、見せて下さります?」

 

 あどけなさの残るマスターへと挑発的な言葉を口にしたアンは、そのまま前屈みの姿勢を取って自分の大きな胸とその谷間を彼へと見せつけた。そして、目の前の男性がごくりと喉を鳴らしたことに満足気な笑みを浮かべる。

 

 彼は自分の期待に応えてくれるだろうか? それとも期待外れの男になる? この青年のことは愛らしく思ってはいるが、自分をモノにするのならばそれに相応しい雄としての力量を見せて欲しいと言うのがアンの本音だ。

 決して、メアリーを陥落させた彼の性技を見くびっている訳では無い。だが、メアリーを蕩けさせたのは優しい言葉と心の隙間を突いた姦計だったとするならば、自分も彼の女になるつもりはない。

 

「では、始めましょうか……♡」

 

 床に膝をつき、マスターのズボンへと手を伸ばす。上着は彼が自分で脱げば良い、自分にとって大事なのはこっちだ。

 下着と一緒にズボンを掴み、一息にそれを下げる。ずるり、と服が剥ぎ取られた彼の下半身から露出したのは、今まで見た事も無い様な巨大な陰茎だった。

 

「あらあら、これは……♡♡♡」

 

 びくびくと脈打つ肉棒。天を衝かんばかりに反り返り、血管が浮き出る程の雄々しさを放つそれを見て、アンの中の雌が疼いた。このサイズならば、海の男たちと比べても遜色ないだろう。

 加えて、特異点での戦いの影響か、きちんと体を洗えていないことに起因するむわりとした雄の臭いがアンの鼻腔一杯に広がる。一嗅ぎしただけで意識が遠のきかけ、口の中には涎がたっぷりと溜まってしまう。

 

(これは、予想以上ですわね……)

 

 あどけなく愛らしい青年の下半身に住まう化け物。数多の雌を仕留め、その媚肉を喰らって成長し続ける逸物が、新たな獲物を捉えた。

 豊満な胸、気品と荒々しさが同居する精神、丸く膨らんだ尻……目の前のアン・ボニーと言う雌をロックオンしたマスターの肉棒は、怒張勇ましく彼女の眼前に起立する。

 

「ふふふ……♡♡♡ まずはお口でお相手しましょうか? あとは、これも使いましょうね……♡♡♡」

 

 まずは小手調べ、この肉棒が見せかけ倒しの張りぼてで無いことを確かめるべく、アンはマスターをベッドへと誘う。彼をベッドに腰かけさせ、自分はその前に跪き、たっぷりとローションを塗りたくった自分の双房で彼の怒張を挟み込む。

 

 ぬちゅり、ねちゃり……卑猥な音を響かせる胸の谷間から顔を出す亀頭へと舌を這わせ、アンはじっとりとそれを舐め始めた。尿道の割れ目へと舌を入れたり、カリの周辺をぐりぐりとなぞったり、窄めた口の中へと亀頭を誘ったり……様々な口淫でマスターの亀頭を責めつつ、豊かな胸を上下に揺らして幹を擦る。

 最初はスタンダードに両方を同時に上下させ、次いで左右の乳房で肉棒を激しく刺激する様にして交互に擦る。時折、肉棒を強く抱き締める為に乳房を押し込んだりしてパイズリを続けながら、アンは口での愛撫も同時に行っていた。

 

「んぞっっ♡ じゅるるっ♡ んじゅぅぅっっ♡」

 

 多くの荒くれ者たちを一瞬で昇天させて来たアンのパイズリ。あのアンが、ここまで卑猥で淫らな姿を晒し、肉棒にむしゃぶりつく姿は男たちの興奮を煽り、絶頂への道を容易く駆け上がらせて来た。彼女の奉仕の快感は凄まじく、性豪と呼ばれた男でもあっけなく射精してしまったものだ。

 しかし、カルデアのマスターは違う。並の男ならば既に達しているであろうアンの奉仕を堪え、その快感を堪能するだけの余裕があるのだ。決して不感症と言う訳では無く、単純に射精を我慢出来るだけの忍耐があるだけである。

 1分、2分、3分、5分……アンは口の中に肉棒を咥え続けたまま、パイズリを行っていた。舌に触れる我慢汁は、潮臭さと共に芳醇な魔力を味合わせてくれている。ただの我慢汁でここまでの美味さなのだ、精液の味は更に絶品なのだろうとアンは思う。

 気が付けば、アンはもう10分以上は彼の肉棒を咥え続けていた。いつの間にか奉仕では無く、彼の肉棒を味わうことに意識を傾倒させていたことに気が付いたアンに対し、意地悪い笑みを浮かべたメアリーが背後から近づく。

 

「ほら、凄いでしょ? アンだってマスターのおちんぽに夢中になってたじゃないか。それに……おまんこだって、こんなにびしょびしょになってるよ♡」

 

 くちゅり、とアンの秘所に触れたメアリーの指が、湿った音を響かせた。肉棒を咥え続けていたアンは、興奮のあまり愛液を垂れ流し続けていたのだ。

 メアリーのものとは違う熟れた膣肉は、ほかほかと湯気を立ち上らせる程の熱を持っていた。もう既に、アンの体はマスターを受け入れる準備を整えている。後は、雌として雄の滾りを叩き込まれるだけだ。

 

 アンの体を持ち上げ、ベッドへと横たえさせるメアリー。仰向けに彼女を寝かせ、両方の足首を掴んで顔の方向へと引き寄せたメアリーは、大きくアンの脚を左右に開かせた。

 

「ほ~ら、アンのまんぐりがえしだよ~♡」

 

「ああんっ……♡♡♡ 恥ずかしい、ですわ……♡♡♡」

 

 粘度を持つ液体が膣から噴き出し、高く掲げられた尻がぷるぷると震える。押し出される様に強調される乳房もまた、男の興奮を煽るのには十分過ぎる魅力を放っていた。

 開いた性器はぱくぱくと物欲しそうに開閉を繰り返している。涎の如く愛液を垂れ流し、先ほどまで上の口で味わっていた男の象徴を求め、雄に媚びているのだ。

 

「マスター、前戯は良いからぶち込んじゃってよっ♡ それで、アンも全部わかるだろうからさ……♡♡♡」

 

「ああ、うん、わかった」

 

 濡れそぼった秘所にマスターの肉棒が触れた時、アンの口からは自然と甘い息が零れていた。逞しく律動するそれは、自分が今、確かに求めている物であり、激しい快感をもたらしてくれる物だと言う事も彼女には分かっていた。

 広げられた脚、その付け根に存在する女性の最大の弱点。膣への入り口に亀頭があてがわれ、マスターが挿入の構えを取った。

 上から押し潰し、肉棒を一息に叩き込む為の体位でアンの体を貪ろうとする彼の一挙手一投足に興奮するアンが、大きく息を吐いた時だった。

 

「くぅ~~~~っっ♡♡♡」

 

 全身が脱力し、弛緩したその瞬間、マスターの肉棒が一気に膣の奥まで叩き込まれたのだ。自分の雌穴の奥を貫く快感に堪らず仰け反ったアンは、声にもならない声を口から漏らしながら歯を食いしばる。

 しかし、次いで繰り出されるピストンを前にすれば、そんな我慢は何の意味も為さなかった。あっという間に喘ぎ、狂うだけの雌になるアン。マスターはそんな彼女の膣穴をぐりぐりと調査する様に動かしながら責め続ける。

 

「ほぉっ♡♡♡ はおぉっっ♡♡♡ ひゅぅぅっ♡♡♡ んひゅぅぅぅっ♡♡♡」

 

 攪拌される。掻き回される。狂わされる。そんな、被虐的な言葉がアンの脳裏に浮かんでは消えて行く。ぐちゃぐちゃと愛液を絡ませた肉棒が自分の性器の中で暴れ回り、その快感を体と意識に馴染ませる様に動き続ける。

 思考が快感によって真っ白に染まり、一つ一つの動きの度に全身に電撃が走る。体を抑えられ、動けなくされ、その状態でマスターの成すがままにされ……この肉棒に支配されている。

 自分より弱い筈の人間が、雄としての逞しさを以って雌としての自分を蹂躙している。子宮を突かれる度に響く快感は、アンが今まで感じたことの無いものだ。

 全身の硬直が治まらない。マスターの腰の動きに合わせ、自分の腰がカクカクと無様に震えている。表情も最初の頃の余裕が消え、だらしなくアヘる女の顔になっていた。

 

「あはっ♡ 良い顔だね、アン……♡ でもさ、マスターのセックスはまだまだこんなもんじゃあないよ?」

 

「ふ、え……?」

 

 心地良すぎる、何も抵抗出来ない……媚び、喘ぐだけの雌となりつつあるアンの表情を見たメアリーは、先ほど自分を侮った相棒の痴態に見て、ニヤリと笑みを浮かべながらそう告げた。

 その言葉を聞いたアンが、疑問を胸に浮かべていると――

 

「……よし、大体わかった」

 

「あうぅぅっっ♡♡♡」

 

 ぐんっ、とさらに自分の体に寄り掛かって来たマスターに体重を掛けられたアンは、子宮を押し潰す熱い物体の感触に眼を白黒させた。メアリーが抑えていたアンの足首を掴み、彼女の体を完全に下に敷く体位を取ったマスターは、呼吸を整えた後で再び腰を動かし始める。

 巨大な陰茎をアンの膣内に叩き込み、弱い部分を強く突く。一発目のピストンで自身の弱点を突かれたアンは、堪え切れない快感を前にして絶頂するほかなかった。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 それは信じられない出来事であり、ありえない程の快感だった。百戦錬磨の自分が、ただの一突きで達してしまったと言う事実に驚きを隠せないアン。しかし、そんなものはまだまだ序の口で、彼女の膣は更に激しい快感を与えられ続ける運命にあるのだ。

 

「んあぁぁぁぁっっ♡♡♡ なにっっ♡♡♡ これはぁぁぁっっ♡♡♡ こわれっっ♡♡♡ わたくしのおまんこっ♡♡♡ こわれるぅっっ♡♡♡」

 

 叩き込む、子宮を押し込んで更に奥へ。重く激しい一撃でアンの膣を開拓し、柔らかな膣肉を更に蕩けた雌肉へと変えていく。

 引き抜く、全てを巻き込みながら。襞を、内臓を、意識を、膣から全てを引っこ抜く様な快感がアンの体を更に従順にしてしまう。

 また叩き込む、今度は自分の弱点へと。見つけ出された弱点を寸分違える事無く突き、それを何度も繰り返す。胎の奥、内側、外側、Gスポット。全ての弱点を的確に突き、アンを翻弄し続ける。

 そして、また引き抜く。愛液で濡れた肉棒をギリギリまで引き抜き、また叩き込む……上から下へ、奥へ奥へと、アンの体に肉棒を叩き込み続ける。

 

「おぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ んおぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ ひぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 終わらない、止まらない、何もかもが。快感も絶頂も、何一つとして限界が見えない。

 押し上げられ続ける、ただ高みへと。もう戻って来られない場所に連れて行かれてしまう予感しかしない。

 

「……さっきまでの腰振りはね、アンの弱い場所を見つける為のものだったんだよ。あれはセックスじゃあないの、ただの下調べ……それでも、ソロモンたちとするセックスよりも気持ち良かったでしょ?」

 

「んひぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ あぁぁぁっっ♡♡♡ んあぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「それで、今シてるのが本番のセックス。おまんこ滅茶苦茶にされて、凄く気持ち良いでしょ? でも、まだまだ本気じゃあないんだよ?」

 

「あ、ああ……♡♡♡ メアリー、やめっっ♡♡♡ ひうぅっ♡♡♡」

 

 小さな舌を出し、球が連なった玩具を舐めるメアリーは、そう言いながらアンの体をそっと撫でた。快感に蕩ける顔、硬く勃起した乳首と豊かな胸、くびれた腰……快感を生み出せる部位を撫で、楽しそうに笑い、メアリーはアンへと言う。

 

「アンの大きなおっぱいも、コリコリの乳首も、だらしな~く垂れてる舌も……マスターは、触れてないんだよ? おまんこをずっぽずっぽされてるだけで、アンはアヘって、ヨガって、イキ狂ってるの。わかる?」

 

「めっ♡ メアリーっ♡♡♡ ほんとうに、やめへっっ♡♡♡ あひぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

「……本気でマスターに責められたらさ、今のアンが耐えられる訳ないんだよ。手加減して貰ってるんだよ?」

 

「おぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ おひ、りぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 メアリーがアンのアヌスに自分の唾液に塗れた玩具を挿入する。つぷつぷと音を立て、アンの肛門を刺激し、更に余裕の無い表情を作りだす。

 

「ねえ、どんな気持ち? あれだけ調子に乗ったことを言っておいて、こんなに簡単に喘がされて、屈服しちゃってさ……♡♡♡ アン、恥ずかしくないの?」

 

「おぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ おひりっ、らめぇぇっっ♡♡♡ このおちんぽでつかれながらいじられたらっ♡♡♡ ほんきでくるってしまいま、うぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 緩く責められる尻穴。その快感は膣の締りを強くし、肉棒の感触をよりはっきりと感じさせている。肛門を弾いて球が出れば、それと同時にアンの精神の柱がぽきぽきと折れてしまう様で、膣の快感を耐えようとする気持ちすらも吐き出してしまいそうになる。

 主に膣を、相棒に尻穴を……丁寧に、丹念に、綿密に責められ、追い詰められる。その快感はアンを狂わせる一歩手前、ギリギリを突いたものだ。

 

「んほぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ おまんこぉぉっっ♡♡♡ すごいっ、ですっっ♡♡♡ こんなの、はじめ、て……っ♡♡♡ んあぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ イクっっ♡♡♡ またイってしまいますっっ♡♡♡ イクのとまりませんわっっ♡♡♡ はぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 それはあまりにも暴力的な快感であり、子宮が簡単に陥落してしまう快感であった。亀頭で子宮を叩かれる度、アンの膣の形は変わっていくのだ。

 マスターの巨大な肉棒を受け入れるに相応しい深さ、彼の肉棒を飲み込み切れる大きさ、彼を満足させられるだけの心地良さ……相棒のメアリーがそうである様に、アンの膣もまたマスターの肉棒の為の形状へと変化し、その都度、彼女の感じる快感を増大させる。

 やがて、アンの子宮が物欲しそうに震え、子宮口がちゅうちゅうとマスターの亀頭に吸い付くようになった頃……アンのヴァギナは、完全にカルデアのマスターの為のものとなった。彼の肉棒だけを受け入れることを前提とした形になってしまっていた。

 

「お、おおんっ♡♡♡ ンお、オぉォぉぉっ♡♡♡ ほぉぉぉっ♡♡♡」

 

 最初に彼の肉棒を受け入れた時よりも、今感じている快感は数段上になっていた。これが淫紋令呪の本当の効果だと知ったアンの体は、その主の為の肉体となっているのだと彼女は悟る。

 わかる、自分の子宮が完全なる屈服を望んでいることが。最後のトドメを以って、雌である自分を手中に収めて欲しいとアンの本能が叫んでいる。

 アンのその叫びを理解しているかのように、マスターはただひたすらに彼女の子宮を責めていた。ガツン、ガツンと腰をぶつけ、丁度良い位置に置かれたアンの子宮へと亀頭の先をめり込ませる程のピストンを続け、彼女を更に追い詰める。

 だらだらと愛液を垂れ流すアンの子宮は、もう堪え切れないとばかりに泣き叫んでいた。完璧に弛緩した己の体をだらしなく震わせ、無様なアヘ顔をマスターへとしっかり見せつけながら、アンは彼への忠誠を誓う。

 

「わたくひの、まけれふぅっ♡♡♡ マスターのおちんぽに、わたくしのおまんこは撃墜されてしまいましたっ♡♡♡ わたくしもっ♡ メアリーと一緒にマスターに誠心誠意お仕えいたしますっ♡♡♡ だから、だからぁっ♡♡♡ 私のナカに、ザーメンぶちまけてくださいっっ♡♡♡」

 

 疼く雌穴をひくつかせ、感情のままにアンは叫ぶ。その瞬間、彼女の中の快感が爆発し、今までに感じたことの無い激しい絶頂を迎えさせた。

 激しく痙攣する膣穴と尻穴はきつく締まり、そこに挿入されている肉棒と玩具を強く締め付ける。最大の絶頂を迎えたアンの姿を見たメアリーは玩具を思い切り尻穴から引き抜き、マスターは肉棒を一番奥まで叩き込む。そうすれば、アンの体はその快感を更に増幅させて全身の隅々にまで送り届けた。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ すごいっっ♡♡♡ すごいぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 排泄の生理的快感、性交の雌としての快感……その二つの快感が合わさり、凄まじい快感となってアンの意識を揺らす。ぐらぐらと崩れ去ろうとする理性を崩壊させたのは、子宮に流れ込む熱い物質だった。

 奥の壁を叩き、一瞬にして自分の最奥を満たす精液。ドロドロとした、まるで固体の様な質量を持つそれを注ぎ込まれては、アンにも抵抗の余地はなかった。

 

「はぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ んおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 上品で、にこやかなアン。そんな彼女が肉棒に支配され、完全屈服アクメを決める。精液に子宮を満たされ、雌としての自分を曝け出し、肉欲の沼に沈み切る。

 そんなアンの絶頂は、マスターが肉棒を彼女の膣から引き抜いてもしばらく続いていた。びくびく、がくがくと震えるアンの頭を支え、額にキスをしたメアリーは幸せそうな表情で囁く。

 

「ね? 凄かったでしょ? マスターとのセックス、最高だったでしょ?」

 

「ええ……♡ メアリーが夢中になってしまうのも頷けますわ……♡♡♡」

 

「ふふっ……♡ これで、アンもボクと一緒。マスターと沢山セックスして、たっぷりご奉仕出来るね……♡♡♡」

 

「そうですわね……♡♡♡ では、早速――♡♡♡」

 

 痙攣を続けるアンが片脚を上げ、己が性器を曝け出す。種付けを受けたばかりのそこからはボトボトと音を立てて精液が零れ、愛液と混じり合った卑猥な臭いを放っていた。

 それに倣い、メアリーもアンと対になる様に脚を上げた。未成熟な性器をぱっくりと開いた彼女は、相棒の痴態を目の当たりにして興奮してしまったそこがぐっしょりと濡れている光景をマスターに見せつけて舌なめずりをする。

 向かい合い、女の急所を曝け出す二人の女海賊。その光景はまるで鳥が翼を広げている様だ。

 

「マスター……♡♡♡ びしょびしょになってるボクのおまんこにザーメンを頂戴っ♡ キツキツで、きゅんきゅんなボクのおまんこを、マスターのおちんぽでめちゃくちゃにして欲しいな……♡♡♡」

 

「もう一度、私のおまんこで楽しみませんか? だらしなくっていやらしいむっちりとした大人のお尻に、腰をぱんぱんして、たっぷり射精しても良いんですのよ……♡♡♡」

 

 それぞれの誘い文句を口にし、マスターを誘うアンとメアリー。違った魅力と淫らさに溢れる肢体を存分に活かし、彼の欲求を更に書き立て、今夜の宴を更に盛り上げる。

 そんな彼女たちの下腹部では、淫紋令呪が完璧な再臨を行っていた。赤色に変化し、両翼を携えた形へと姿を変えた淫紋令呪は、ちかちかと光って女海賊の服従を主へと伝えている。瑞々しいメアリーの肉体も、豊満なアンの身体も、美しく気高いその心までもが、カルデアのマスターのものになったのだ。

 

「お尻の穴もひくひくしてるよ、こっちもたくさん気持ち良くして欲しいな……♡♡♡」

 

「勝者は敗者の全てを手に入れる事が出来ます。私たちは敗者で、貴方は勝者。ならば、私たちの体を戦利品として存分にお楽しみくださいね♡♡♡」

 

 数時間後には自分たちの全身が精液塗れとなり、息も絶え絶えの状態にまで追い込まれることを知らない二人は、楽し気にマスターへと笑いかける。もしも自分たちの運命を彼女たちが知っていたとしても、その笑みは変わらないだろう。

 愛する人の腕の中、両翼を取り戻した女海賊たちは、その恩を返す為、そして自分たちの欲求を満たす為に果て無き性の宴へと身を投じたのであった。

 

 




アン・ボニー&メアリー・リード 解放 第一再臨完了


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

怪物へ花束を(メドゥーサ)

「なんか騒がしくない? 俺の気のせい?」

 

「いや、君たちがオケアノスに行っている間に色々あってね……まあ、機会を改めて解説するよ。今は、女性サーヴァントたちの状況を知るのが優先だろう?」

 

 ブリーフィングルームにまで聞こえて来る騒がしい音を耳にして首を傾げていたマスターであったが、ダヴィンチのその言葉に表情を引き締めて頷きを返す。謎の物音も気になるには気になるのだが、今は彼女の言う通り、オケアノスで奪還したサーヴァントたちを縛る淫紋令呪の呪いを解くことが優先だ。その為には、少しでも彼女たちの状態を知っておいた方が良い。

 昨日、無事にアンを解放し、メアリー共々たっぷりとお楽しみの夜を過ごしたマスターであったが、キャットの作ってくれた料理とダヴィンチお手製の精力剤のお陰で疲れは吹き飛んでいた。自分にはまだやるべきことが山ほどある。今も苦しんでいるサーヴァントたちのことを思えば、休息をとっている暇など一時も存在していない。

 

「あんまり根を詰め過ぎないようにね。無理して倒れたら元も子もない」

 

「わかってるよ。とにかく、皆の状態を教えてくれるかな」

 

 やや前のめりになっているマスターの体調を案じたダヴィンチは、ギラギラと瞳を光らせる彼の様子に首をすくめた後でモニターを起動した。そこに映し出されたのは、オケアノスで奪還した内、特に優先して精神のケアが必要とされるサーヴァントたちだ。

 

「まずは最大の問題から説明しよう。イリヤちゃんとクロちゃん、この二人は抵抗の意思が強い上、お尻の中に挿入されているステッキがかなり厄介な代物でね、ちょっとやそっとじゃどうしようもない」

 

「あれ、そんなに危ない物なの?」

 

「それについては私から説明いたしましょう!」

 

 常に全裸で戦い、尻穴に黒い悪魔の羽の様な飾りを付けたステッキを挿入して戦っていた魔法少女たち。そんな彼女たちの姿を思い浮かべたマスターの背後から、この場にそぐわない陽気な声が響く。

 マスターが振り返ってみれば、そこに居たのはイリヤの相棒であり、お目付け役とも言えるステッキ型魔術礼装のルビーであった。自分から魔法少女の相棒とも呼べるステッキの役を奪ったソロモン製の魔術礼装の写真の横に浮かんだルビーは、憤りを感じる声でその解説を始める。

 

「これは、ステッキ型の魔術礼装……と見せかけた寄生生物なのです。言わば、ステッキの形をした生き物なんですよ」

 

「ステッキ型の……生き物……?」

 

「そうです。しかも厄介な事に、この生物は核となる部分さえ残っていれば幾らでも再生することが出来るんです。つまり、無理矢理引っこ抜こうとしても、生物の核がお二人のお尻の中に残ってしまえば、そこからまた生えて来てしまう……外科手術で取り除こうとしても、しっかりと根を張っている為にそれも不可能なんです」

 

「えっ!? じゃ、じゃあ、どうすれば良いの? まずは息の根を止めるとか?」

 

「それも危険だ。二人の体にどんな影響が出るかわからないし、ソロモンが細工をしている可能性だってあり得る。私たちもその方法を探してはいるものの、手掛かりすら掴めないのが現状だよ」

 

「唯一方法があるとすれば……イリヤさんとクロエさんが、自力であの生物を排泄することでしょうか。先ほど寄生生物とあのステッキを言いましたが、正確には共生していると言った方が正しいんです。ステッキは二人から魔力を受け取り、お二人はステッキから力を受け取る、そんな関係。つまりはイリヤさんたちがステッキに魔力を送ることを止めさえすれば……」

 

「ステッキ自身も弱り、何か突破口が見つかるかもしれないってことだね」

 

「まあ、あくまで可能性である上にその方法も見つかって無いんですけどね」

 

 ここまでの話を総括してしまえば、イリヤとクロエを救う事は今は無理だということになる。非常に悔しいが、どうにもならないことはどうしようもない。

 出来ないことにこだわるよりも、出来ることを優先して解決していった方が良い。その方が問題を溜めずに済むし、新たな解決の糸口を発見する時間も稼げる。そう考えたマスターは、話をイリヤとクロエから他のサーヴァントたちの状況へと移した。

 

「それで、他のメンバーはどうなの?」

 

「うむ、これはいいニュースだけどね。他のサーヴァントたちは案外従順だよ。予想外なことに、あのフランシス・ドレイクも今は大人しくしてくれている」

 

 モニターの映像が切り替わり、今度は大柄な二人の女性が映し出された。その内の一人の解説を始めるダヴィンチは、疲れた様子で肩を揉みつつ口を開く。

 

「何と言うか、今の彼女はさっぱりしている。負けたのなら仕方が無いと開き直っている感じだね。そこはまあ、大海賊の矜持と言う奴なのかな?」

 

「じゃあ、案外簡単に解放出来るってこと?」

 

「そこは何とも言えないねぇ。あれが演技で、虎視眈々と脱出の機会を狙ってるって可能性も十分にありえる。何より、魔神柱船を操っていた影響か霊基の損傷が酷いんだ。今すぐセックスさせるって言うのはおススメ出来ないな」

 

 医療スタッフも兼ねているダヴィンチの言葉にマスターも頷く。怪我をしている相手に無理はさせられない。解放の手段を探るのは、ドレイクの傷が癒えてからでも遅くはないだろう。

 

 ここまでの話でわかったことは、優先してケアを行わなければならないメンバー5名の内、一人は既に施術済み、三名は現状手を出すことが困難だと言うこと。となれば、話題が残る一人へと移るのも当然のことで、マスターは彼女についての質問をダヴィンチに投げかけた。

 

「メドゥーサの様子はどう? 傷は大丈夫?」

 

「ああ、彼女は問題ない! あらかたの治療はナイチンゲールやロマニがやってくれたし、体力の回復も済んでいるはずさ。淫紋令呪も黒になりきっていないグレーだし、まずは彼女から手を付けるのが上策だろうね」

 

「わかった、そうさせてもらうよ」

 

 方針は決まった。善は急げとばかりに動き出したマスターの背中にダヴィンチが声をかける。

 

「ただ気を付けてね! 彼女も君を裏切ったことを後ろめたく思っているみたいだ。その部分のケアも忘れずに!」

 

「了解! それじゃ、今回もモニタリングを頼むよ」

 

 振り返らず、片手を挙げての返事で応対したマスターは、メドゥーサの居る部屋へと脚を運んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 きりりと胸が痛む。シャワーから流れる温い湯が体を伝う中、メドゥーサは身じろぎ一つせずにただ立ち尽くしていた。

 思い返すのは船の上での戦い、その中で幼い自分にぶつけられた一つの言葉。

 自分は姉を言い訳にして自分の身を守っているだけだ……その言葉を思い浮かべた時、彼女の胸にもう一度痛みが走る。

 

「その通り、ですね……」

 

 仲間も、姉妹も、自分自身も……その全てを裏切り、自分が求めたのは己が身の安寧だった。しかも、その意思を認めること無くにだ。

 姉たちの為、そう自分に言い聞かせ、言い訳をして、仮初の安息に浸っていた。それら全てが世界と仲間たち、そして姉たちの破滅に繋がっていると知りながら、その全てから目を背けて自分は正しいのだと必死に思い込もうとしていた。

 幼い自分にその過ちを指摘されても、それを認めるどころか激高するだけで、全てを犠牲にして生き続ける自分を肯定し続けた。そんな自分を思い返せば、後悔と情けなさに胸が痛む。その愚かさが、身に染みて苦しかった。

 

 そうやって己の罪を後悔しつつ、濡れた体をタオルで拭うメドゥーサは、扉の外に人の気配を感じて目を伏せた。

 それは彼女にとって予想の範囲内のことで、このシャワーもその為に浴びていたとのだ。全裸のまま、メドゥーサは扉の外の人物へと声をかける。

 

「……どうぞ、お入りください」

 

 メドゥーサの声を合図として、彼女の私室の扉が開く。その先に居たのは、彼女の予想通りの人物だった。

 

「あっ! えっ!? ご、ごめんっ!」

 

「気になさらないで下さい。どうせ見られるものですし、嫌ならば入ることを許可していません」

 

 全裸の自分の姿を見て慌てるマスターに冷静に語りつつ、メドゥーサは彼を部屋の中へと招き入れた。そして、既に整えてあったベッドへと視線を向ける。

 

「……そのつもりでいらしたのでしょう? ですがその前に、貴方に言わなければならないことがあります」

 

「……何かな?」

 

 非常に手際良く準備を整えていたメドゥーサに驚きながら、マスターは彼女の言葉に耳を傾けた。

 メドゥーサは、軽く呼吸を整え、目を伏せると――

 

「この度は……本当に、申し訳ありませんでした」

 

 床に頭を擦り付け、土下座の体勢を取って彼へと謝罪の言葉を口にした。

 全裸の女性が土下座している姿と言うのは興奮を煽らなくも無いが、突如としてそれをされた身としては驚きの感情の方が強い。マスターもその例に漏れず、メドゥーサの全裸を見てしまった時よりも慌てながら彼女を慰めにはいった。

 

「い、いや! 気にしなくて良いよ! メドゥーサも苦しい思いをしたわけだし……」

 

「いいえ、そうではありません。私は、自分の意思で地獄を選び、貴方を裏切りました。こうして助け出して頂けなければ、あのまま姉様たちが壊れてしまうまで……いえ、壊れたとしてもソロモンに従い続けていたでしょう。自分可愛さに全てを裏切った醜い怪物、それこそが私なのです」

 

 悲し気な瞳を見せながら、メドゥーサが顔を上げる。自嘲気味な笑みを浮かべた彼女は、目の前のマスターの体をその怪力で抱え上げた。

 

「う、うわっ!?」

 

 上着を剥ぎ、下着を脱がせ、カルデアのマスターを自分と同じ生まれたままの姿にする。そのまま彼をベッドに放り、仰向けになった彼の下半身の滾りに頬を擦り寄らせた。

 

「……こんな、愛らしさも忠誠心も無い大女ですが、身の振り方は心得ています。どうぞ気を楽にしていてください……」

 

「くっ! うぅっ!?」

 

 根元から先端へと、メドゥーサの舌が肉棒を這う。蛇のような長さと繊細さを持つ舌が、唾液を滲ませながらマスターの怒張を撫ぜる。

 数多の男たちに行った、醜く汚れているその行為をこの青年にも行うことを心苦しく思いながらも、メドゥーサは今、自分が彼に送れる最も価値のある物を差し出すべく、奉仕を続けた。

 

「これも使った方がよろしいのでしょうね。姉さまたちには無い、ある意味では私だけの特権と言えるものですから」

 

「はうっ!!」

 

 メドゥーサが己の大きな乳房でマスターの肉棒を挟む。強く、とても強く両側から力を籠め、柔らかい肉の塊で熱い滾りを包み込む。

 胸の内で律動する肉棒は獣たちのそれと比べても遜色無く、怪物である自分が奉仕するに相応しい逞しさを持っている。いや、怪物だからこそ軽々しく彼に触れることは許されないのだと思いながら、メドゥーサは自分の乳房を上下に揺らし始めた。

 

「んっ……♡ ふぅ……っ♡」

 

 ねっとりとした、蛇が獲物を飲み込む時の様な動きでパイズリを行うメドゥーサ。丹念に胸を擦り、マスターの肉棒を扱き上げる。

 ドクドクと脈打つ肉棒の熱さは、彼女の官能をも刺激していた。胸の上下運動に合わせ、ときめきが止まらない心臓の鼓動が徐々に早くなっていることがわかる。子宮もまた、浅ましいことに快感を欲して唾液代わりの愛液を垂れ流し始めていた。

 

(ああ、駄目……♡ けど、欲しい……♡ 駄目なのに、欲しくて仕方がない……♡)

 

 リズムを変えつつ胸の上下運動を繰り返し、亀頭の先に滲み出て来た我慢汁を舌で吸い取りながら、メドゥーサは奉仕を続ける肉棒への期待を必死に押し殺していた。すぐにでもこの肉棒に跨り、思うが儘に腰を振り、精も根も尽きるまで貪りたくて仕方が無い。だが、裏切り者である醜い化け物がそんなことをして良い筈も無い。だからメドゥーサは、懸命にその思いを抑えるべく意識を胸での奉仕に集中させていく。

 体と子宮が熱くなる。今、こうして抱いているこの男根を受け入れられたならどれほど幸せだろう。しかし、それは許されない。自分がまた欲望のままに動くなど、許されるはずが――

 

「……メドゥーサ、挿れても良いかな? 俺、もう我慢の限界で……」

 

「……え?」

 

 そんな、自分を律していたメドゥーサの思いは、マスターの一言で不意に崩れようとしていた。

 自分への挿入、そして本番行為を望むマスターの言葉に動揺したメドゥーサに対し、肉棒を乳房に挟まれたままのマスターはやや情けない表情で懇願を行う。

 

「頼むよ……! パイズリも気持ち良いけど、メドゥーサの(ナカ)に射精したくて堪らないんだ。だから、さ……!」

 

「あ、え……」

 

 自分を求める青年の表情、そして逞しい肉棒を受け入れられる喜びに思いを馳せたメドゥーサは、喉をごくりと鳴らしていた。瞬時にそれははしたない行為だと自分を心の中で叱責するも、一度想像してしまえば、その光景が頭から離れる訳も無い。

 ぐらつき、揺れつつあるメドゥーサの心。そんなメドゥーサのことを理解している様に、マスターはトドメの一言を彼女に向けて口にした。

 

「お願い、メドゥーサ。俺がここまで言ってもダメなの?」

 

 ドキリと、心臓が跳ね上がる。寂しそうなマスターの表情が、メドゥーサの胸に突き刺さる。

 また、自分は自分の望みを優先するのか? 彼に醜い化物の体を触らせたく無いという自らのエゴの為に、彼の望みを棄却するのか?

 自分自身のちっぽけの後悔の感情と主の望み、どちらを優先すべきかなどは容易に判断出来る……メドゥーサは、喉に詰まった声を震えながら吐き出し、彼へと告げた。

 

「い、いえ……無論、構いません。私の体で良ければ、余すことなく堪能してください……」

 

「わぁ……! ありがとう、メドゥーサ!」

 

 悲しみの表情から一変したマスターの笑顔と感謝の言葉に、メドゥーサの心臓は再び跳ね上がった。

 自分にとって、この行為は当然のもののはずだ。感謝されるいわれなど無く、むしろ早く決断しろと急かされ、叱責されてもおかしくない。と言うよりも、許可なく無理矢理行為に及ぶ方が主としては正しいのだ。

 ソロモンも、彼に従う男たちもそうだった。メドゥーサの意思など関係なく彼女を犯し、侮蔑した。殴られ、蹴られ、嘲られ……身も心もズタボロになった彼女に温かい言葉をかける者など一人もいなかった。

 

 こんな怪物に愛など必要ない。ただ、命令を下せば良いだけなのに――マスターの温かな態度に心が揺らめきそうになったメドゥーサは、敢えて事務的に対応してその感情を押し込めた。そうしなければ何か期待してしまいそうで、それが怖くもあったからだ。

 

 肉棒をローション代わりの唾液で濡らし、仰向けに寝そべる彼の腰に跨る。期待で既に濡れそぼっている秘所を亀頭にあてがい、ゆっくりと腰を下ろす。

 ぐぷぐぷと肉棒を飲み込んだメドゥーサの膣は、悦びに満ち溢れた叫びを上げていた。媚肉の一つ一つが彼を歓迎し、愛液で染める様にして絡み付く。

 

「ふふふ……メドゥーサのまんこ、凄いね。熱くって、トロトロで、ねっとり俺に絡みついて来て……とっても可愛いよ」

 

「っっ……♡ う、動きますよ……♡」

 

 可愛い、の言葉に胸をときめかせたメドゥーサは、その言葉を振り払うべく腰を振り始めた。と言っても、その動きはどこかぎこちなく、穏やかな物であり、これで到底お互いが達せるとは思えない。

 メドゥーサはなおも迷っていたのだ。自分の欲望のまま、腰を振って肉棒を堪能することは容易い。しかし、それを実際に行動することはどうしても躊躇われた。

 裏切り者である自分が望みを優先するなど、許されることでは無い……未だに迷い続けるメドゥーサであったが、そんな思いを打ち砕くきっかけとなったのは、またしてもマスターの言葉であった。

 

「はは、凄い迫力だなぁ。下から見ると、メドゥーサのおっぱいがぷるぷる揺れてるのが良く見える」

 

「はぁっ、あっ……♡ お見苦しい、でしょうか……?」

 

「ううん、逆だよ。もっと見たいな。メドゥーサ、もっと激しく動いてよ。エッチで可愛いメドゥーサのトロ顔も、ぶるんぶるん揺れるおっぱいも、もっと見せて」

 

「んくぅっ♡♡♡」

 

 要望を聞かされると同時に腰を跳ね上げられ、メドゥーサの子宮はマスターの肉棒に突き上げられた。大きく仰け反り、軽い絶頂を数度繰り返したメドゥーサは、纏まらない思考のままに言われるがままの行動を開始する。

 

「は、はい……♡ では、この怪物の淫らな舞をどうぞご堪能下さい……♡」

 

 欲情の炎に身を焦がすまま、メドゥーサは大きな体を大きく浮かび上がらせた。肉棒が抜けないギリギリの所まで立ち上がり、膣と脚に力を込めて一気に腰を振り下ろす。

 

「あっ、おぉぉおおぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 卑猥な、野太い雌の声。喉からではなく子宮から発せられていると言う方が正しいその嬌声は、紛れも無くメドゥーサの口から溢れたものだった。

 ただの一突きで視界が歪む。脳に電撃が走り、思考が儘ならなくなる。体を動かすのは反射と欲望……気持ち良くなり、主に気持ち良くなって欲しいという本能だけでメドゥーサは腰を振り続けていた。

 

「あおお゛お゛お゛っっ♡♡♡ んお゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡」

 

 声が止まらない、徐々に上ずり、人としての尊厳を捨てつつある声が部屋中に響く。表情もまた蕩けに蕩け、普段は無表情であるメドゥーサの顔は淫らさに満ちた物になっていた。

 引き上げ、叩き付ける。愛らしさなど欠片も無い、まさに怪物のセックス……弾む乳房は互いにぶつかり合い、拍手の様な乾いた音を断続的に鳴らしていた。その音が怪物であるメドゥーサを肉棒で追い詰めるマスターを称える音に聞こえるメドゥーサは、なおも激しく腰を振り続ける。

 

「あおっっ♡♡♡ いぐっっっ♡♡♡ いぎつづ、けっっ♡♡♡ んお゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ どまら、なっっ♡♡♡ ほおぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「凄い……! 素敵だよ、メドゥーサ。全身がエッチで、感じている姿と声が可愛くて、とっても綺麗だ……! もっと見せて、メドゥーサの全てを……!」

 

「んへぇえぇっっ♡♡♡ は、い゛っっ♡♡♡ みへ、くらさ、いぃぃっっ♡♡♡」

 

 いつの間にか、自分の手は彼の手に絡め捕られていた。指と指を絡め合い、深く繋がる「恋人つなぎ」で手を重ねたまま、メドゥーサは彼の上で淫らに舞い乱れる。

 淫猥なる自分を愛らしいと言い、より深くまで甘く蕩け合う。一つになるという行為を本当の意味で行っている。

 ずくり、じゅくりと膣が熟れる。肉棒を受け入れている媚肉が興奮の涎を垂れ流す。

 

 抜く、差す、抜く、差す、乱れる、壊れる、受け入れられる、愛される、蕩ける、抜く、差す、繋がる、見られる、望まれる、味わう、抜く、差す、抜く、倒れる、胸の中へと身を預ける。

 背中に腕が回る。胸板に挟まれて潰れた乳首が新しい快感を生み出す。腰に回るマスターの左腕。尻に触れるマスターの右手。抱き締められ、受け入れられながら、メドゥーサは腰だけを振って性交を続ける。

 

「ほっっ♡♡♡ ほっっ♡♡♡ んひっ♡♡♡ んほっ♡♡♡」

 

 ぱっちゅ♡ ぶちゅっ♡ ぶしゅぅ♡ ずちゅんっ♡ 腰が動く度、愛液の飛沫が舞う。卑猥な音が鳴り響く。

 快感が生まれ、幸せを感じ、心が融けていく。顔を引き寄せられたメドゥーサは、すぐ近くにあるマスターの舌に自分の舌を絡ませ始める。

 

「んふっ♡ んちゅっ♡ んうぅぅぅっ♡♡♡」

 

 上の口で彼を求める。彼の口内に舌を潜り込ませ、唾液を啜って彼を味わう。

 下の口で彼を貪る。今までと種類も桁も違う快感が子宮に響き、女の幸福が全身を包む。

 尻を愛撫される。陰核を潰される。乳首が擦れ、舌が蕩け、女体が媚びる。怪物でも性奴隷でも無く、女性として愛され続ける。

 

「メドゥーサ、おいで……」

 

「あ、ぁっ……♡♡♡」

 

 額へ、唇を落とされた。それはとても優しく、甘い口付けだった。

 それでメドゥーサは全てを理解した。マスターは、最初から自分の欲望を引き出す為に行動していてくれていたのだと……

 

「温かいよ。気持ち良いよ。メドゥーサと一つになれて、俺は嬉しいよ」

 

「……私が怪物で、裏切り者の醜い女だとしてもですか?」

 

「関係無いさ。メドゥーサはどう? 俺は、一度敗北した負け犬だよ? そんな俺に抱かれるのは嫌じゃない?」

 

 その問いかけに首を大きく振るメドゥーサ。抱きしめられている腕を優しく解き、再び起き上がった彼女はマスターと繋がり合ったまま笑みを浮かべる。

 

「自分を、まだ許せる訳ではありません。しかし……いつまでもうじうじとしているわけにもいきませんね」

 

「前を向く気になってくれた?」

 

「ええ。取り合えず、自分の欲求には素直になってみますが……覚悟なさってくださいね? 私、こう見えて性欲は強い方なんです。怪物であり、英霊である私の欲求を満たして頂くまで、マスターには頑張って頂かないと……♡♡♡」

 

「あ、あはは……お手柔らかに……!」

 

 やや引き攣った笑みを浮かべたマスターにキスを落とし、メドゥーサは解放した欲望のままに腰を振る。彼の手を己の胸に添えさせ、その柔らかさを楽しませながら、ひらすらに尻を振り続ける。

 

「どうぞ、マスターも私の体をお楽しみください♡ ギブ&テイク、お互いに気持ち良く……ですね♡」

 

 ちろりと舌を出し、怪物らしい獰猛な笑みを見せ、メドゥーサは発情した体を本能のままに動かし続けた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あうんっ♡ おっ、おっっ♡ ほぉぉっ♡♡♡」

 

 快感が体の中で爆発する。子宮に夥しい量の精液がぶちまけられ、燃える様な感覚に全身が強張る。

 あれから数時間、何度も射精された子宮は限界までそれを飲み込み、メドゥーサの下腹部は淫らな曲線を描くほどまでに膨らんでいた。口の端から涎を垂らし、子犬の様に震えるメドゥーサは、数えることを放棄した性交の回数に思いを馳せながらマスターの体の上へと崩れ落ちた。

 

「んっ♡♡♡ くぅっ♡♡♡」

 

 まだ肉棒が熱い。まだ鋼の様な硬さで自分に存在を主張している。まだ彼は満足していないのだ。

 射精の回数は10を超えた、20回も超えているかもしれない。その間のメドゥーサの絶頂回数は、ゆうにその三倍は越えただろう。

 流石のサーヴァントでも体力の限界だった。瞳の中にハートマークを浮かべたメドゥーサもまた、肉棒を引き抜かれる感覚に切ない嬌声を漏らす。

 

「はっ♡ ふぅううぅぅぅぅぅ……っ♡♡♡ うぁぁ……♡♡♡」

 

 栓が無くなった膣から精液が溢れる。卑猥で、無様な音を立てて白濁液が滝の様に流れるそれの熱さに身を震わせたメドゥーサは、ベッドの上に蹲って喘ぎ続けていたが――

 

「……あれ? もう限界なの? 俺はこっちでも楽しみたかったんだけどな」

 

「ひゃうっっ♡♡♡ うぅんんっっっ♡♡♡」

 

 突き出されたメドゥーサの尻が左右に広げられ、その中央の窄まりにゴツゴツとした硬い感触を感じた次の瞬間には、彼女のアヌスにマスターの肉棒が叩き込まれていた。凄まじいまでの圧迫感と苦しさを伴う快感に涙を浮かべるメドゥーサの体が、マスターの手で持ち上げられる。

 

「んお゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ アナルっっ♡♡♡ ふか、いぃぃっっ♡♡♡」

 

 女性としては大きな自分の体を持ち上げるマスターの力強さに心をときめかせ、自重によってより深くまで彼の肉棒を飲み込む尻穴の快感に気が狂いかける。引き抜き、強く突き出される腰の動きに、メドゥーサの体は大きくしなって強張っていた。

 

「おほぉっ♡♡♡ ほぉぉっっっ♡♡♡ んほぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

「……キツいならやめようか? メドゥーサは、初めてにしては頑張った方だと思うよ?」

 

「こんにゃぁ……♡♡♡ ここまでしておいて、アナルをお預けするつもり、ですか……? そんな無体なこと、しないでください……♡♡♡」

 

 ぎゅぅぅぅっ……♡ 尻穴に力を籠め、肉棒に媚びたメドゥーサが、蕩けた体をマスターへとしな垂れかけた。まだ体力は尽きてはいない。この快感を味合わずに性交を止めることなど出来ない。欲望のまま、了承の意を示したメドゥーサの尻穴は、再び捻じ込まれた肉棒によってあっという間に絶頂させられた。

 

「んほぉぉぉおぉっっ♡♡♡ おおお゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ もっど、くらざいっっ♡♡♡ 私に、もっとぉぉっっ♡♡♡」

 

 熱く甘い息を吐き続け、甲高い嬌声を上げながら、メドゥーサは今宵、マスターと言う名の『性欲の化け物』にその肢体を骨の髄までしゃぶりつくされ、快感を叩き込まれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ああ、うん、ありがとう。ジルも疲れてるのにごめんね。うん、早速試させて貰うよ」

 

 全身、そして二つの穴を精液に塗れさせたまま深い眠りに就いたメドゥーサの体を洗い、ベッドに寝かせた後で自分もまた体を洗い流したマスターは、報告を行ってくれたジルに感謝の言葉を告げた後で通信機器を切った。最後にメドゥーサの頭を撫で、彼女の落ち着いた寝息を耳にして微笑んだ後、部屋を後にしてある場所に向かう。

 休みたい気持ちも確かだが、それ以上にやらなければならないこともある。長々と時間をかけてしまったとある計画が、ようやく形になりつつあるのだ。それを早く仕上げてしまいたかった。

 

「まだまだ眠れないな……」

 

 疲れた様な、それでいて楽しそうな笑みを一つ。彼女はこれを喜んでくれるだろうか? それとも、待たせてしまったことを怒るだろうか?

 予想はつかないが、それでもマスターは少し楽しみだった。彼女たちの望みを一つ叶えられる、そう考えれば疲れだってどこかへ吹き飛んで、自分に活力を与えてくれる。

 そうやって一歩ごとに活気を取り戻し、暗いカルデアの廊下を進んだマスターは、自室に戻るとその中に作り上げられたもう一つの扉の前に立つ。その扉の先には、ジルとクー・フーリンの協力を得て作り上げられた彼の工房が存在していた。

 

 おどろおどろしい触手、数多の魔術的細工が施された器具、彼の思いのままになる工房自体の仕組み……そして、人一人がゆうに入ることが可能な透明のケースを目にしたマスターは、それに手を触れながら満足気に微笑む。

 

「これで準備は整った……! あとは……」

 

 長い、長い時間がかかった。だが、それに見合うだけの準備は出来た。

 後は、()()の望みを叶えるだけだ。そして、彼女と同じ欲望を持つサーヴァントたちも、彼女と同じ目に遭わせてあげよう。

 

「本当に愉しみだよ……ふふふ……!」

 

 この透明なケースの中に仕舞われる女性の事を想いながら、マスターは何度もシミュレーションを重ね、本番に備え始めたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 黒き聖女は堕落を望む 屈服編(ジャンヌ・オルタ)

幕間なので、読まなくてもだいじょぶです! 個人的な趣味と、リクエストにあった堕ちを書く練習がてらこんなん書いてみました!

こんなん書く暇があったら解放はよせいや! って言われるかもしれませんので、並行して進めていきます。待っててね!


 

「私を性奴隷に堕として欲しい」

 

 きっかけは、自分のそんな一言だった。それは何気ない言葉を装った、自分の本心だった。

 当然、彼はその言葉の真意を探るべく自分を問いただす。ある程度ぼかし、適当にはぐらかそうとした自分と根気強く話し合い、彼はその言葉の裏に隠していた自分の思いを引き出す。

 

 それは単純で、馬鹿みたいな思いだった。自分の思いはただ一つ……ソロモンの性奴隷だった記憶を消し去りたい、それだけだ。

 自分はもう、奴の奴隷では無い。一度はカルデアを裏切りはしたが、彼の手で助け出され、今は彼に愛され、彼を愛するサーヴァントの一人となった。しかし、どう足掻いたとしてもソロモンに服従したという過去は消えてくれないのだ。

 それはもう、無かったことには出来ない。自分は一度堕ち、敵の手駒に成り下がり、憎い男に股を開いた。最低最悪の思い出は、自分の魂の奥に刻まれたまま。例え今、彼に助け出されてそんな生活とは無縁の日々を送っていても、過去は絶対に変えられない。それが苦しかった。

 

 どうしようもない、だが、とても苦しい……一度そう思ってしまえば心の底からその思いは消えなくなり、日に日に膨れ上がって大きくなる。どうにか、この苦しみを消してしまいたい、そう思い続けた自分は、ある時不意に気が付いた。

 ソロモンの性奴隷である過去が苦しいのなら、それもまた上書きして貰えば良いのだ、と……

 

 性奴隷であった自分が淫紋令呪の書き換えを経て彼のサーヴァントに戻れたように、その意識を彼の手で書き替えて貰えば良い。記憶を消すのではなく、彼の手で事実を上書きして貰えば良い。

 そう……()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ソロモンに与えられた物を超える快感で自分を狂わせ、堕とし、無様な雌に堕として貰って服従を誓わせて貰えば良いのだと、そう考えたのだ。

 

 その思いを言葉にして彼に伝えた時、自分は知らず知らずの内に涙を流していた。溜まりに溜まった苦しみは、思ったよりも深刻に自分の心を追い詰めていたらしい。涙ぐみ、奴隷に堕としてくれと懇願する自分の姿を見て、彼は「少し時間が欲しい」と告げて、話はそこで終わった。

 

 そこから新たな特異点が発見され、そんな話題も風化したと思っていた今日……彼は、自分を呼び出して笑顔で告げたのだ。

 

「ようやく準備が整った。前に言っていた願いを叶えるよ」

 

 その言葉を聞き、あんな出来事があったなと思い出した次の瞬間、自分の意識は闇の底に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、う……?」

 

「おはよう、オルタ。よく眠れた?」

 

 目を覚ましたジャンヌ・オルタが目にしたのは、すぐ近くに立つカルデアのマスターの姿だった。文字通り、目と鼻の先の距離に立つマスターは、オルタの髪を撫でて笑みを浮かべる。

 段々と意識を覚醒させ、自分に何があったのかを思い出したオルタは、怒りの言葉と共に彼に詰め寄ろうとした。しかし、自分の体がびくとも動かないことに気が付き、驚きに目を見開く。

 

「……オルタ、良く聞いてね? 俺はこれから、オルタのことを完璧に堕とす。オルタに全てを差し出させて、空っぽのオルタに雌の悦びを叩き込む。そして……俺だけの肉奴隷にする」

 

 突然の宣告に驚き、言葉を失うオルタ。それは確かに自分が望んだことではあるが、ここまで唐突に言われても心の準備が出来ていない。

 なんとか……もう少しだけ時間を求めようとしたオルタであったが、体から力が抜けてしまいその場にガクリと膝をついてしまった。振り返ってみれば、自分の尻穴に一本の触手が挿入され、そこから力を吸われている感覚がしている。

 というより、これはどう言う事だろうか? 自分の周囲にあるのはおぞましい触手の生えた肉壁と謎の道具の数々、そしてこの部屋から続く複数の扉……見覚えの無いこの部屋を訝し気に見回すオルタの前に跪いたマスターは、彼女に一つ一つ言い聞かせるように全ての説明を始めた。

 

「良い? ここは俺の『雌奴隷製造工房』……オルタみたいに俺に堕として欲しいと願うサーヴァントたちの為に作られた、俺が皆を追い詰める為の道具が揃っている工房だよ。ジルや兄貴に協力して作って貰ったんだ」

 

「ジル、が……?」

 

「そうだよ。オルタがこういう望みを持ってるって知ったら快く協力してくれてね……魔力を吸い取る触手の性能は凄いでしょ? オルタはもう、満足に動けなくなってるよね?」

 

「くぅ……っ」

 

 マスターの言う通り、壁から生えた触手をアナルに潜り込ませているオルタの体は、魔力が不足しているせいか思う様に動かなくなっていた。脚はよろけ、重心がふらつき、立ち上がることすらままならなくなっている。

 ちゅうちゅうと音を立てて自分の魔力を吸う触手に恨めしい視線を送るオルタであったが、マスターの手で顔を引き寄せられて強制的に彼の目を見つめる様にされてしまった。その状態で上からオルタの顔を覗き込むようにしながら、マスターは話を続ける。

 

「今、オルタの淫紋令呪は機能を停止してる。俺が命令してそうさせたんだ。だから、今のオルタの感度は昔の物になってるはずだよ」

 

 言われてみれば確かに、尻穴に触手を挿入されているにも関わらず快感は殆どなかった。普段ならば既に達し、気が狂う程に喘いでいるに違いない。

 つまり、今の自分はソロモンに堕とされて淫紋令呪を刻まれる前の状態を疑似的に再現しているということなのだろう。これでソロモンと土俵は同じだと、マスターはそう言いたいのだ。

 

「……オルタが俺に勝てないとか、負けたと思うと淫紋令呪はその効果を再発動する。そうなったらオルタの負け、俺の性奴隷になって、一生尽くして貰うよ」

 

「な、なによ、それ……? 本気で言ってるの……?」

 

「今の俺が冗談を言ってるように見える? 俺は本気だよ。本気でオルタを肉便器に堕とすつもりだ」

 

 その答えを聞くまでも無く、オルタには彼が本気であることがわかっていた。まさか、こんな大掛かりな仕掛けを使ってハッタリをかますとも思えない。それならば他にいくらでもやり様はあるし、ここまでする必要は無いはずだ。

 それに、彼の瞳と声は本気の意思を秘めていた。この自分、ジャンヌ・ダルク・オルタナティブを本気で奴隷にしようとする意志が随所から伝わって来る。

 

 彼は本気だ。本気で自分を堕とし、自分の望みを叶えようとしてくれているのだ。悪役に徹し、ここまでの準備を整え、自分を完璧に堕とすつもりでここにいるのだ。そう悟ったオルタは、ただそれだけで達しそうになってしまった。愛する人が、自分の望みを叶える為だけにここまでしてくれたのだ、乙女に喜ぶなと言う方がムリな話だろう。

 だが……だからと言って、手を抜くことは出来ない。簡単に堕ち、雌奴隷に喜んで堕ちることは出来る筈も無い。

 それは彼への裏切りだ。自分が望むのは、魂すらもドロドロに蕩けて堕ちる程の堕落であり、お遊びの調教ごっこでセックスを楽しむことでは無い。彼の責めに本気で抵抗し、本気で抗い、必死に耐えた先にある結果こそが、自分の求めるものなのだ。

 手は抜かない、本気で抗ってみせる……マスター同様、本気の意思を固めたオルタの瞳が鋭く輝きだしたことを見て取ったマスターは、小さく頷くと、この勝負のルールを解説した。

 

「……オルタの記録はもう見てる。ソロモンは、オルタのことを一週間で堕としてみせた……本当はもっと時間が掛かったんだろうけど、本気で動き出してから一週間でオルタが堕ちたことは確かだ。だから、俺もその制限時間で勝負する」

 

 思い出すのもおぞましい記憶を引っ張り出して来たマスターは、砂時計を一つ用意してそれをひっくり返した。サラサラと砂が落ち、時を計り始めたことを確認し、マスターはオルタへと振り返る。

 

「……この工房の中の時間の流れは特殊になってる。外での一時間がここでは一日、この砂時計は外の時間の一時間を計れる。つまり、この砂時計が七回ひっくり返る前にオルタを屈服させられれば俺の勝ち。そうでなければ――」

 

「私の勝ち、ってことね?」

 

「加えて、ソロモンの勝ちさ。俺はオルタを性奴隷に出来なかったソロモン以下の男ってことになる。きっとオルタは失望して、ソロモンの下に戻りたくなるかもしれないね」

 

 とんでもないデメリットを抱えたこの勝負、そのことに改めて気が付かされたジャンヌ・オルタは、僅かな不安を胸に抱いた。

 優しい彼が、本当に自分を奴隷に堕とすことなど出来るのだろうか? その優しさ故に、自分に対して手心を加えてしまうのでは無いだろうか? その結果、もしも自分の心がもう一度ソロモンへと傾いてしまったら――

 

「……何を考えてるの? まさか、自分が勝っちゃったらどうしようとか考えてた? ……心配いらないよ、オルタは絶対に負ける。負けて、俺の肉奴隷になるんだ」

 

 勝負の展開を案じていたオルタは、底冷えのするマスターの声に背筋を凍らせた。それは自分の考えを完全に読まれていたことや、普段の優しい彼とは打って変わった恐ろしさを感じる声に対する恐怖であり、自分が彼の手のひらの上で踊っている様な感覚を感じたが故の畏れから来る物であった。

 しかし、その気後れこそが自分が堕ちる要因となることを知っているオルタは、即座にその弱い感情を振り払って気丈に振舞い始める。鋭い視線でマスターを睨み、おおよそ抵抗も出来ないサーヴァントであることを悟られないような威圧感を放ちつつ、彼女はマスターへと挑発の言葉を口にした。

 

「へぇ? 随分な言い様じゃない。アンタこそ、もう勝ったつもりでいるわけ? この工房には、そんなに凄い秘密兵器があるってこと?」

 

 媚薬か洗脳か、それとも催眠か……彼にそれ程までの自信を抱かせる何かを警戒し、オルタはそれを探る為のカマをかける。しかし、マスターはそんな彼女に対して首を振ると、じっくりと言い聞かせるようにして答えを聞かせた。

 

「そんなもの、無いよ」

 

「……は?」

 

「俺はソロモンじゃない。女を蕩けさせる媚薬も、意識を狂わせる催眠も、人知を超えた拷問用の快楽器具も作れない。だからと言って、それを作る為に他人の手を借りたら、それはもう俺の力じゃ無くなる。そんな勝負はフェアじゃないでしょ?」

 

 さも当然の様に語るマスターの言葉をポカンとした表情で聞いていたジャンヌ・オルタは、その意味を理解するのに暫くの時間を必要とした。ややあって、一つの答えに辿り着いた彼女は、マスターへとその答えが正しいかを確認する。

 

「つ、つまり……アンタは、私のことを自分の力だけで堕とすってこと? 魔術も、媚薬も使わないで?」

 

「この工房と抵抗を封じる為の触手の使用は許して欲しいな。ここから先はもう、オルタを堕とす為に誰の力も借りはしない。あの道具や薬は、性奴隷に堕ちたオルタを更に美味しく仕上げる為の物なんだ。俺が使うのはこの体とベッドだけだよ」

 

 服を脱ぎ、裸体を晒すマスターはオルタの体を自分の方へと引き寄せて唇を交わす。軽く開戦の合図を上げたマスターは、ジャンヌ・オルタの頬を撫でてニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ……ふっ……ふぅっ……!!」

 

 膨らんだ鼻から荒い呼吸が漏れる。口を閉じ、快感に抗うジャンヌ・オルタは、顔を真っ赤にしてマスターの愛撫を耐えていた。

 まず彼は彼女の大きな胸を可愛がり始めた。前から無遠慮に鷲掴み、乳首を抓り、舌と歯で丹念に責め上げる。じっくり、じっくりと火にくべる様に、マスターはオルタの体に快感を教え込んでいく。

 舌を絡ませてのキスは拒んだ。これは愛し合う為の性交では無く、自分を堕とす為の行為だから。自ら彼を受け入れ、その快楽に酔う選択は、今のオルタには存在していない。

 だが……やはりと言うべきか、彼は自分の好みをわかっていた。体と心が好む責め方を重々に理解していた。

 それはソロモンに開発され、淫紋令呪によって増幅されたことによる上書きの快感では無い。ジャンヌ・ダルク・オルタナティブという女の持つ素養、元々の弱所を完璧に把握した責め。

 

「うっっ♡ いっっ、あぁっ……♡」

 

 喘ぐ声に艶が乗る。それはオルタが感じ始めている証、快感に抗えなくなりつつある証拠。

 片方の乳房を強めに、もう片方を柔らかく責めるマスターは、その交互を順番に変えながら二つの快感をオルタの乳房に染み込ませるように愛撫を続ける。時に両方を優しく、時に激しく……そうやって、彼は未開発の感度に戻ったオルタの胸を開拓していった。

 

 柔らかい乳房を下から支え、軽く持ち上げる。手を外し、たゆんと揺れた胸の頂点の周囲をなぞる様にしてギリギリを責める。

 びりびりとしたもどかしさ、硬く尖った乳首の官能を否応なしに高め、触れるか触れないかの所で指を動かすマスターの動きにオルタの視線が釘付けになる。ちりり、ちりりと頭の中で散る火花が、スパークの時を待ち侘びていることがわかる。

 

(我慢、しなきゃ……なのにっ……!)

 

 浅い呼吸を繰り返す。閉じていた口が半開きになり、甘く熱い吐息が止めどなく溢れる。胸への愛撫だけで、自分の体が発情している。まだこれは軽いジャブで、本気の責めなんか程遠い。なのに、もう自分の体は陥落のカウントダウンを始めてしまった。

 耐えなければ……こんな調子では、一週間の快楽責めを耐え凌ぐことなど出来る訳も無い。このままでは、本当に彼の性奴隷へとあっさり堕ちてしまう。

 だがもし、期待し続けている乳首を思い切り責められたら、どれほどまでに気持ち良いのだろうか?それだけで、自分は気をやってしまうかもしれない。

 

「……物欲しそうな顔をしてるね、オルタ。弄って欲しいの?」

 

「っっ……!?」

 

 自分の心を見通したようなマスターの言葉にオルタは、はっとして抵抗の意思を取り戻した。急いで険しい表情を作り、キツイ視線でマスターを睨む。だが、その瞳には完全に情欲の火が灯り、雌としての期待が見え隠れしていた。

 抵抗をしなければ、簡単に負けないようにしなければ……オルタはもう一度覚悟を決め、自分を奮い立たせる。期待など捨てて、屈辱に耐えなければと心の中で 咤激励を送る。

 

「どうして欲しい? 思いっきり抓ってあげようか? それとも、甘噛みされるのが良い?」

 

「好きにしなさいよ……私は、何をされても感じたりしないわ」

 

 気丈に振舞い、マスターを挑発するオルタ。しかし、その言葉には何の意味も無い。マスターと言う捕食者を楽しませる為のスパイス程度の役割しかありはしない。

 その証拠に、マスターがオルタの乳首を軽く摘まめば、彼女の気丈な表情は一瞬にして蕩け、瞳も期待の色に染まってしまった。そのまま、マスターが指に力を込めて彼女の硬く勃起した乳首を潰せば、オルタの体は稲妻に撃たれたかのような勢いで跳ね上がり、痙攣し始めてしまう。

 

「はおぉぉぉぉおおぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 望んでいた快感を与えられたオルタの体は、素直にその快感を貪り喰らって絶頂した。マスターは、そんな彼女の体をなおも責め続ける。

 

 潰した乳首を引っ張り、乳房を伸ばす程の勢いで左右へ揺らす。たっぷりと乳房を蹂躙した後は、尖った乳首を指で弾いて痺れるような快感を与える。そして、両方の胸を円運動を描くようにして揉み解し、乳首を重ねさせると、大きく開けた口の中へと誘って歯を立てた。

 

「んひぃぃぃぃぃぃぃいいぃいいぃいぃぃぃっっ♡♡♡ らめぇぇっっ♡♡♡ かんじゃぁっ♡♡♡ ああっ♡ すっちゃ、らめぇぇぇえぇえぇぇぇええっっ♡♡♡」

 

 体の中で快感が爆発する。性器はあっさりと潮を噴き、オルタはいとも容易く絶頂まで導かれる。

 性器に触れられてもいない。ただの胸への愛撫、それだけで彼女は絶頂を迎えさせられてしまったのだ。

 

「……なんだっけ? 何をされても感じない、だっけ? ……面白い冗談だね、オルタ。こんなにイキまくってるのに、どこが感じて無いの?」

 

「う、うぅ……」

 

 屈辱に震えるオルタを言葉責めするマスターは、その言葉を区切る度に彼女の胸を逐一責め立てていた。舌で舐め、歯を立て、唾液塗れにする……そうやって、自分の魔力を少しずつ彼女の体に浸透させていく。

 

「胸を揉まれて、吸われただけでイっちゃうなんて、オルタは本当に淫乱だね。雌奴隷になるべくして生まれて来た女の子だ」

 

「ちっ、がぁ……! そんなこと、なぃ……っ!」

 

「何が違うの? 少し乳首を弄られただけでイくオルタの何処が淫乱じゃないの? まさか、イってないって言い張るつもり? ここまでまんこぐしょぐしょにしておきながら?」

 

「ひうぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 振りかぶった右手がオルタの性器を叩いた。下から上へ、恥骨や子宮を通って突き抜けた快感にオルタの膣が愛液の雨を降らせて悦ぶ。

 ぱぁん♡ と響く張り手の乾いた音の中に、ぐちょりという湿った音が混じっていたことをマスターは聞き逃さなかった。粘度たっぷりの液体に濡れた掌をオルタの眼前に突き出しながら、口調を強めて言葉で彼女を責め立てる。

 

「ほら、オルタはこんなに感じてるんだよ? 雌奴隷にするって言われて、必死に抵抗しておいてこれだよ? これが淫乱じゃなかったら、なんて言うの? 俺に教えてよ」

 

「そ、それは……」

 

「まんこも準備万端になってるし、すぐにでもちんぽが欲しいんでしょ? 犯して欲しくて仕方が無いって顔してる癖に、自分は淫乱じゃないってどの口が言うの?」

 

「う、うぅぅぅ……違う、違うっ! わたっ、私は淫乱なんかじゃないっ! 犯されたって、屈したりは――んあぁぁぁぁあああぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 オルタの否定の叫びは、途中から雌の喘ぎ声に変わった。マスターが彼女の膣に肉棒を叩き込んだからだ。

 

「……ほら、こんなに悦んでる。即イキしてる癖に淫乱だって認められないオルタには、おしおきが必要だね」

 

「あうぅっ♡♡♡ うんっっ♡♡♡ おぉぉおぉおおおっっ♡♡♡ だ、めぇぇっ♡♡♡ おまんこ、こわれ、ちゃっ♡♡♡ んひぅぅぅうぅぅぅううううっっ♡♡♡」

 

 後ろから犯される。両手首を掴まれ、激しく尻に腰を打ち付けられる。巨大な肉棒に膣内を、自分の最も大事な場所を攪拌され、雌の本能を呼び起こされる。

 愛撫もされていないのにオルタの膣は解れ切った状態になっていた。マスターの逸物を大喜びで受け入れる彼女の性器は、一突きごとに卑猥な音と共に愛液を撒き散らす。だが、決して彼女が達することはない。何故なら、マスターがその官能を完全に支配しているからだ。

 

「おぉぉぉぉぉおおおぉぉぉおぉ……っ♡♡♡ そんなっ、ゆっくり……っっ♡♡♡」

 

 何度か膣での快感を叩き込んだ後、マスターは腰の動きを非常にゆっくりとしたものに変えた。肉棒の形状と感触を堪能させつつ、カリが一枚一枚の襞を捲り上げる快感をオルタにじっくりと感じさせる責め方。しかし、その動きでは決して達することは出来ない。

 

「は、あぁぁあぁぁあああ……っっ♡♡♡ なんで、こんな……っ!? う、うあ、ああぁ……♡♡♡」

 

 焦らされて、激しい快感でイキ狂わされて、また焦らされる。そんな緩急をつけた責め方に対応出来るジャンヌ・オルタでは無い。瞬く間に腰は砕け、マスターの肉棒の言いなりになって尻を震わせるだけの雌に成り下がってしまう。

 非常にゆっくりとしたストロークでオルタの膣を削るマスターは、一方的に彼女を嬲りつつもその心を更に深く責めることを忘れはしなかった。

 

「どうしたの? 声もまんこも凄く切なそうだよ? もしかして、イかせて欲しいの?」

 

「ひあっ♡ あ~っ♡ んあぁぁ……っっ♡」

 

「……もう何にも言えないか。オルタのまんこは正直に俺のちんぽに絡みついて来てるのに、淫乱オルタが素直になれないばっかりにイかせて貰えないなんて可哀想だよねぇ……」

 

「あぁぁぁぁあぁぁ……っ♡♡♡ く、あぁぁぁあぁっ♡♡♡」

 

 広く雄々しいカリが肉襞をこそぐ度、オルタの中から抵抗の意識もまた削がれていった。もはや彼女には抗う意思はなく、ただ望む快感を与えて欲しいと望む雌に堕ちてしまっていた。

 だから、その言葉も簡単に口に出せた。オルタは、震える声のまま、泣きじゃくる小娘のように言葉を紡ぐ。

 

「イか、へてぇ……♡♡♡ イかせて、ください……♡♡♡ イキたい、です……♡♡♡」

 

「……イかせて貰った後、俺とキス出来る? 俺のちんぽに愛情込めてキスして、沢山ペロペロ出来る?」

 

「出来るっ♡ できるからっっ♡♡♡ だからイかせてっ♡♡♡ もういじわるしないでよぉっっ♡♡♡」

 

「ふぅん……なら、良いか」

 

「んひぃぃぃぃぃいいぃぃぃっっ♡♡♡ あぁぁぁぁぁああああぁぁぁあぁぁぁああっっ♡♡♡」

 

 ドスンと胎に打ち込まれた重い一撃。求めていた激しい快感が全身を満たし、オルタの意識を幸せの色に染め上げる。

 ゴリゴリとエラを張ったカリが先ほどよりも強く肉襞を弾く。再び挿入された肉棒は子宮を圧し潰し、その息苦しさにオルタの口から吐息が漏れる。

 しかし、彼女の瞳には苦しみの感情は無い。悦びと快感、その二つだけしか、今のオルタの中には存在していなかった。

 

(やっと……♡♡♡ やっとイけるっっ♡♡♡ もうすこしっ♡♡♡ あとすこしで……っ♡♡♡)

 

 尻が太鼓のように打ち鳴らされる。喘ぎ声が部屋中に響く。蠢く、疼く、溶ける、自分が自分でなくなっていく。

 覚えがある感覚が再浮上した。かつてソロモンの下で感じた、あの感覚が蘇った。

 

(ああ……♡♡♡ 堕ちるんだ、また、堕とされるんだ……♡♡♡)

 

 快感に惑わされ、その奴隷となった時の感覚。肉棒に、雄に、また支配される時が来た。

 収縮する膣、震える媚肉、興奮し、真っ赤に染まる尻の肉……その全てが、新たな主の誕生を祝福して――

 

「……え?」

 

 不意に、その時はやって来た。と言うより、感じていた感覚が途切れた。

 何故か……カルデアのマスターは、ジャンヌ・オルタを責める腰の動きを止めたのだ。

 

 あともう少しで達せた、もう少しで堕ちることが出来た。なのに、彼はその快感を与えてくれなかった。

 何故? どうして? ……疑問で頭がいっぱいになっていたオルタの目には、マスターが腕を振り上げている姿が映っていない。彼がそれを振り下ろし、淫らな尻肉にスパンキングされて初めて、彼女はそのことに気が付いた。

 

「あ、あ、あぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 右の尻肉に一撃、次いで返しの一撃を左の尻肉に振り下ろす。連続した打撃音と共に、オルタの体をスパンキングの快感が駆け抜けた。

 

「だめ、だめ、だめぇぇえぇっ♡♡♡ だめ、なのっ……♡♡♡ これで、イっちゃ……♡♡♡」

 

 ギリギリまで追い詰められた体を駆け抜ける快感。被虐的で、あまりにも甘美で、屈辱的な快感。

 尻の震えが膣に伝わる。膣の震えが子宮に伝わる。子宮の震えが全身に伝わり、それら全てが快感となる。

 こんな屈辱的な快感で達したくない。歯を食いしばり、懸命に襲い来る絶頂感を堪えようとするオルタ。しかし、その尻に無慈悲なマスターのトドメが振り下ろされた。

 

――バッシィィィィンッッ!!

 

「んあぁぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁっっ♡♡♡ だめぇぇえぇえぇぇええっッっ♡♡♡ ひぃぃいぃぃぃいぃぃぃんんっっ♡♡♡」

 

 最後の一撃は尻の中心に打ち付けられた。ビリビリと響くスパンキングの痛みと快感に涙を流し、オルタは愛液を涙の如く垂れ流してイキ狂う。

 黄金水が、オルタの内腿を伝って床に垂れる。鼻、目、口、汗腺……全身の穴と言い穴から汁が溢れ、オルタの全身を淫らに彩る。

 達した膣が肉棒を締め付け、自らの敗北をオルタに知らしめていた。再び彼女の両手首を掴み、後ろから犯す体勢を取ったマスターは、ゆっくりと彼女の内部から肉棒を引き抜いていく。

 

「……さあ、イかせてあげたよ。約束通り、俺に奉仕してもらおうか?」

 

 ゆっくり、ゆっくりと……非常に緩慢な動きで肉棒を引くマスターは、オルタが何らかの反応を見せることを待っているようだ。そして、彼女はそんな彼の目論見通りに動きを見せる。

 きゅっと膣を締め、抜けていく肉棒をその圧力で引き留める。ふるり、むちりと尻を揺らし、スパンキングの跡である紅葉をマスターへと見せつけながら、彼女は全身を揺らしていた。

 

「……なに? どうかしたの? 約束通り、オルタをイかせてあげたでしょ?」

 

「ち……がう……! ちがう……!」

 

「違う? また何かを否定するの? 何が違うのか、俺に教えてよ」

 

「違うの……! このイキ方じゃない……! スパンキングされてイキたかったんじゃないのぉっ!! おまんこっ! 子宮の奥に沢山射精して貰ってイキたかったのにっっ! 何でっ!? どうしてよぉっ!?」

 

 声と尻を震わせて泣きじゃくり、マスターを問い詰めるオルタ。自分が堕とされようとしている事実など今の彼女の頭の中には存在していなく、一番の期待を裏切られた悲しみと怒り、そして解放し損ねた膨れ上がった快感を持て余して体を火照らせていた。

 びくびくと疼く媚肉と子宮、その動き全てを肉棒で感じるマスターはオルタの言葉を聞き、とても冷静な様子で答えを返す。

 

「ああ、そうして欲しかったの? 言ってくれないからわからなかったよっ!!」

 

「きゃひぃぃぃぃいぃんっっ♡♡♡」

 

 言葉の終わりに腰を突き出し、オルタの最奥を穿つマスター。待ち望み、焦がれた快感に涎を垂らし、オルタは懇願の言葉を口にする。

 

「言ったぁ! 言ったでしょっ! だから、おまんこでイかせてよぉっ!! 私の(ナカ)にザーメン射精()してよぉっ!」

 

「ん~……オルタのお尻の穴、柔らかいね。ずっと弄ってても飽きないや」

 

「うぁぁぁあぁぁぁあぁ……っ♡♡♡ お願い、おまんこしてぇ……♡♡♡ アナルじゃなくて、おまんこ虐めてよ……♡♡♡」

 

「う~ん、奥まで見えて綺麗だなぁ! こっちも沢山弄ってあげないとね!」

 

「んんぉぉおぉぉっっ♡♡♡ お願いぃ♡ なんでもするからぁっ♡♡♡ おまんこ奴隷にもなるからっ♡♡♡ おちんぽくらさいぃっっ♡♡♡」

 

「ああ、良いよ別に。こうやって好きにオルタを虐めてるの楽しいし、なりたくもない奴隷にならなくても良いからさ」 

 

「あ、あ、あ……ああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっっ!!」

 

 狂ったように、オルタが叫ぶ。泣き叫ぶ。喘ぎ叫ぶ。狂い叫ぶ。

 求める快感を与えて貰えない。そんなこと、耐えられるはずも無い。だが、彼が目の前の遊びを優先して、自分の陥落をどうでも良いことにするはずが無い。

 

(本気だ……! 本気で、私を堕とすつもりなんだ……! プライドや誇りなんか捨てさせて、本物の奴隷にするつもりなんだ……! そうしなきゃ、こいつは私を抱いてくれないんだ……!)

 

 オルタはマスターの思惑を理解した。自分がかつての自分より堕ち切らなければならないことも同時に理解した。

 そんなオルタの目の前にマスターは時間の計測に使う砂時計を置く。しっかりと彼女にそれを見せつけつつ、彼は質問を送る。

 

「オルタ、そこに砂はどれだけ残ってる?」

 

「ま、まだ、半分以上残ってるわ……」

 

「そうだね。ここの時間で約半日、本来の進みで言えばたった30分くらいの時間しか経ってないんだよ。たったそれだけの時間で、オルタは俺の奴隷に堕ちるの? そうしたら、一生俺のちんぽを気持ち良くするだけの人生を送る羽目になるんだよ?」

 

「半日……? 三十分……? それで、一生肉奴隷になる……?」

 

「……でも、そうしたら、オルタのことを気持ち良くしてあげる。俺の雌奴隷になった記念に、オルタに種付けセックスしてあげるよ。さあ、どうする? 頑張って奴隷になるのを回避する? それとも――」

 

 甘美な毒、そう形容するに相応しいマスターの言葉は、オルタの頭の中で延々と反響し続ける。

 堕ちれば、自分の望む快感を与えられる。彼の肉棒と策略に屈服し、陥落と敗北を認めれば、彼に最高の快感を与えて貰える……残りの人生を犠牲にしての話だが。

 

 一週間も耐えることは出来ない。ただの性技に屈し、堕ちることしか出来ない。だが、それをオルタのプライドが許す訳も無い。

 この堕ち方では、薬や魔術のせいにすることは出来ない。正常な意識を持っていた自分が、肉欲に狂わされて服従したと認めるしかなくなってしまう。それは嫌だ、怖い、負けたくない。耐えたい、耐えなければ、たった半日の行為で人生を狂わされるわけには――

 

「っっ~~~~~♡♡♡」

 

 ズドン、と音がした。子宮が亀頭に叩かれ、潰された。

 待ち望んだ快感だった。悦びに全身が浮かれた。素直に幸福を感じてしまった。

 我慢の限界だった。そこに一突きされた。お前の本性を暴いてやると、最後のダメ押しをされてしまった。

 

 もう、我慢の限界だった。

 

「なるぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ ならせてくださいぃぃぃぃぃっっ♡♡♡ 一生ちんぽ奴隷になるからぁぁっっ♡♡♡ マスターとセックスするだけの肉便器になりますからぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ だからおちんぽ頂戴っっ♡♡♡ くださいっっ♡♡♡ ジャンヌ・オルタの淫乱まんこにご主人様のザーメンを下さいっっ♡♡♡ 肉奴隷就任祝いに種付けしてくださいぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 泣きじゃくる。全身を揺らす。声の限りに叫び、快楽を強請る。

 敗北を認めたオルタの下腹部に浮かび上がる淫紋。それはかつての彼女に刻まれていた黒の令呪。それは決して消えることの無い、奴隷の証。

 ソロモンに刻まれていた竜の形を模したそれがジャンヌ・オルタの下腹部に一瞬だけ浮かび上がると、突如としてひび割れ始めた。しかし、ジャンヌはそんなことに気が付くこともなく腰を振り続け、喘いでいる。

 

「きたぁぁぁぁああぁぁぁああっっ♡♡♡ これっっ♡♡♡ おまんこぶっこわれるほどすごいピストンっっ♡♡♡ ちんぽっ♡♡♡ ちんぽぉぉぉぉおぉぉぉおおぉぉっほぉぉぉおぉおっっ♡♡♡」

 

 マスターの腰が激しく動く。尻肉に腰を打ち付け、泣き叫んでいた子宮をあやす様に肉棒を叩き込んでくれている。愛液が溢れ、卑猥な臭いを撒き散らし、全身の感度が跳ね上がっていく。

 乳が揺れる、乳首と陰核が勃起する、尻穴が収縮して放屁の音を漏らす。女として、雌として、自分が興奮していることを全身で表現する。

 

「……オルタ、何か言う事はない?」

 

「あぁあぁぁぁっっ♡♡♡ ありがと、ございますぅっっ♡♡♡ 生意気な雌である私に、おちんぽの恵みを下さって、本当にありがとうございますぅぅぅぅうぅぅうぅっっ♡♡♡」

 

「……他は?」

 

「ごめんなさいぃぃぃぃっっ♡♡♡ こんな激弱まんこが粋がってすいませんでしたぁっっっ♡♡♡ おちんぽぶち込まれたらイキ狂うしか能の無い淫乱のくせに、それを隠しててごめんなさいぃぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

「……後は何かないの?」

 

「んっほぉぉぉおぉぉおおおぉぉぉっっ♡♡♡ イクっっ♡♡♡ イキますぅぅぅうぅぅうっっ♡♡♡ おまんこイクっっ♡♡♡ おちんぽにイかされるっ♡♡♡ お願いしますっ♡♡♡ この肉奴隷に慈悲を下さいっっ♡♡♡ ご主人様のザーメンを堕ちまんこにこき捨ててくださいぃっ♡♡♡ もうお預けいやなのぉっ♡♡♡ 種付けされてイキたいんですぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 性交の奏でる淫らな音は、マスターの腰の動きが激しくなると共に段々と大きくなっていった。オルタもまた、その音に負けぬような大声で叫びつつ淫らな本性を曝け出す。

 もう自分は彼の性奴隷なのだ。取り繕うことも、強がることもやめよう。ただ肉欲に堕ち、全てを差し出そうと決めたオルタの膣は、この日最大の快感によって爆発的な絶頂を迎えるに至った。

 

「んんあぁぁあぁぁああぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ イクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううぅぅううぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 背中がエビ反りになって硬直する。高みに昇ったまま、降りて来られなくなる。子宮がようやく与えられた精液をがぶがぶと飲み、彼の魔力を吸収していく。

 絶頂により、オルタの全身がその場における最大の快感を生み出しつつ彼女を責め立てた。後ろから犯されていた彼女もまた、息絶える程の快感を得たことで意識を沼の底へと沈ませる。

 

(ああ、し・あ・わ・せ……♡♡♡)

 

 恍惚とした笑みを浮かべ、全身を包む多幸感に酔いしれながら、ジャンヌ・オルタは意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……オルタ、なに眠ろうとしてるの?」

 

「あへぇぇぇぇえぇぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇえええっっ♡♡♡」

 

 沈んだオルタの意識は、途轍もない快感によって急速に覚醒させられた。振り返れば、冷たい怒りを燃やした瞳をしたマスターが、自分の膣をぐりぐりと肉棒で責めながら睨みを聞かせている。

 

「……オルタはまだ、自分の立場がわかってないみたいだね?」

 

「んひぃ……っ♡♡♡ わかって、ます……♡♡♡ 私は、マスターに堕とされて……」

 

「そうだよ。なのになんで眠ろうとしてるの? まさか、堕ちてそれでお終いだって思ってるの?」

 

「えっ……?」

 

 快楽に翻弄されるオルタの目の前で扉が開く。総数三つ、工房の中で閉じられていた秘密の扉が開き、その先の光景が露になる。

 

「あ、あぁぁ……!?」

 

 三つの部屋の中身を見たオルタは、驚きに目を見開き、あまりのショックに失禁してしまった。そして、期待の感情に絶頂し、愛液をぶしゅぶしゅと垂れ流しにする。

 

「最初に言ったでしょう? ここにある物は、肉奴隷に堕ちたオルタをもっと美味しく仕上げる為のものなんだって……肉奴隷に堕ちて終わりな訳が無いだろう? そこから更に調教して、二度と這い上がれない位に快感の虜にして、もっともっと深くに堕とすに決まってるだろう? ……むしろ、堕として終わりにする馬鹿が何処に居るの? そんな奴が居たとしたら、とんでもない馬鹿野郎としか言い様が無いね」

 

「ここからが、本番……? 私、もっともっと気持ち良くなるの……? 全部、アンタに捧げられるの……?」

 

「ああ、そうするに決まってるでしょ? 本当は次回のお楽しみにしようと思ってたんだけどさ、オルタが思ったより簡単に堕ちたから、今から調教を始めることにしたんだ」

 

 ぐいっ、と、マスターがオルタの体を引き寄せる。彼女の耳朶を甘噛みし、豊かな乳房を弄び、後ろからしっかりと抱き締め、逃げられぬようにしてから彼女に囁く。

 

「さあ、覚悟してね……これからの六日間、オルタのまんこが乾く暇なんてないよ? 口、胸、尻、アナル、膣、子宮、そして心……ぜ~んぶ開発して、完璧な奴隷に仕上げるからさ。オルタは、俺だけの奴隷第一号になるんだよ」

 

「は、ぁ……♡♡♡ あぁぁ……♡♡♡」

 

 胸の高鳴りが止まない。ときめきがとまらない。喉を鳴らし、涎を飲み込んだオルタは蕩けた瞳のまま返事を返す。

 

「はい、ご主人様……♡♡♡ 私を立派な雌奴隷に仕上げて下さい……♡♡♡」

 

 屈辱的な扱いを受けつつも幸福しか感じていないジャンヌ・オルタの下腹部では、雌奴隷の証である黒い淫紋が、更に深くひび割れていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




調教編に続く……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

夜明けの太陽(フランシス・ドレイク)

 

 

 ぷしゅり、という空気が抜けるような音が鳴る。開いたドアの先に立っていた二人組の男性を見たドレイクは、ベッドから体を起き上がらせると彼らを部屋へと招き入れた。

 

「良く来たじゃないか、待ってたよ」

 

「……そう言われると身構えちゃうな。でも、元気そうで良かった」

 

「ははははは! そうだねぇ、それが普通の反応だろうねぇ……ああ、まったくだよ」

 

 快活に、それでいて自嘲気味に笑ったドレイクは、再びベッドに腰かけると額を手で叩く。どこか呆れたような、悩んでいるような表情を見せながら、彼女はぼそりと呟いた。

 

「……アタシはなんであんなことをしてたんだろうね? 今になってみれば、あれがどんだけおかしいことかが良く分かる。けど、あの時のアタシはあれが正しいことだと信じ切っていた……それで、あんな馬鹿な真似を……」

 

「過ぎ去ったことをどうこう言ってもしょうがないでしょ~よ。大切なのはこっからだぜ、BBA」

 

「ははっ、その通りだね……」

 

 悩むドレイクに励ましの言葉をかけたのは黒髭だった。その口調は軽いが彼女を想う強さが籠っており、彼もまたドレイクの事を案じているのだということが良く分かる。

 黒髭の言葉に肯定を返したドレイクは、深く呼吸を繰り返した後で交互に自分の部屋にやって来た男たちの顔を見比べる。そして、満開の笑顔を見せると、なんの前触れもなく身に纏っていた衣服を脱ぎ去った。

 

「どわぁっ!?」

 

「ちょ!? BBA、なにやってんの!?」

 

「あぁん? 何って、あんたらはアタシを抱きに来たんだろう? まどろっこしいことは抜きにして、さっさとおっぱじめようじゃあないか!」

 

「ひえぇ! 物凄く話が早い! 流石BBA、慣れ切っている!」

 

「……ドレイク、もうほとんど正気なんじゃないかな? だから、俺たちに抱かれることに抵抗が無いのかも……?」

 

「……まあ、その辺のことはおいといてだ。今、アタシの目の前に居るのは、アタシを打ち破った軍団の頭とアタシに一杯食わせた大海賊さね。負けたから、とかそんな理由じゃなく、アタシ自身が素直に認められるイイ男たちがアタシを抱きたいって言って来たんだ、こりゃ、おんな冥利に尽きるって奴だろう?」

 

 全裸のまま、少し照れくさそうな笑みを見せたドレイクは、ぱしんと音が鳴る位に自分の尻を叩き、顔を赤くしながらも二人へと話を続ける。

 

「だからま、好きにしてくれよ! ……まあ、その、見ての通りのたるんだ体だし、若くて張りのある女子には負けると思うけど、それなりに楽しめるはずさね!」

 

「け、結構どころかかなりノリノリだね……」

 

「そっちのが良いだろう? さあ、始めようじゃあないか! アタシは逃げも隠れもしない。思う存分、欲望を打ち込みに来な!」

 

 どっかりとベッドに座り、その豊満な乳房を腕で押し上げるような姿勢を取ったドレイクは、未だに赤みが消えない頬を見せながらも二人に抱かれることを了承して笑ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お~お~、アンタら二人とも随分と立派なモンを持ってるじゃあないか。こりゃあ、期待出来そうだね……♡」

 

 目の前に突き出された二本の肉棒。それを目の当たりにしたドレイクが舌なめずりをして呟く。瞳は熱を帯び、吐く息もどことなく甘く蕩けた物になっている彼女は、自分が認めた男たちの性器を両方の手を使って扱き始めた。

 強く握り過ぎず、されど弱すぎもしない絶妙な力加減を以って手淫を行うドレイク。時折、手にした肉棒を自分の乳首に擦り付けたりして緩急を生み出しながら、彼女はマスターと黒髭への奉仕を続ける。

 

「どうだい? 上手いもんだろう? ……こう見えて、結構経験は豊富なんだよ♡」

 

 妖艶な笑みを見せ、舌を肉棒に這わせる。つつーっ、という音が聞こえそうなゆっくりとした動きで肉棒を舐める彼女の姿に黒髭はある種の恐慌状態に陥っていた。

 

「バ、BBAが拙者の汚いちんぽを舐めて……! ふ、ふぉぉぉぉぉっっ!?」

 

「はははっ! そんなに興奮すんのかい? こりゃ嬉しいねえ! ……でも、こんなに立派なちんぽを見りゃあ、女だったら誰だってこうしたくなると思うがね……」

 

「!?!?!?」

 

 黒髭の肉棒を愛おし気に見つめ、頬擦りするドレイク。憧れの女性が自分の性器に夢中になっている姿に感動と興奮を禁じ得ない黒髭であったが、彼にとって真の驚きはこの後にやって来た。

 なんと、大口を開けたドレイクが彼の肉棒を一口に頬張ってしまったのだ。生暖かく、ねっとりとしたドレイクの口内の感触に背筋を強張らせる黒髭は、凄まじいまでの吸引と共に肉棒を舐め上げるドレイクの口淫行為に細やかに痙攣をし始めていた。

 

「じゅっぽっ♡ じゅうぅっうっ♡ んじゅるるっっ♡」

 

「おおっ!? おっ、おぉぉおおっ!?」

 

 あのフランシス・ドレイクが、稀代の大海賊にして星の開拓者と呼ばれる彼女が、自分の肉棒を美味そうに頬張っている……魅力的で勇ましく、男も女も魅了する自分の憧れの女性が、自分に最大限の奉仕を行ってくれている。

 この状況に興奮しない男がいるだろうか? 少なくとも、エドワード・ティーチという男性にはそれが不可能であった。憧れの存在が自分を認めてくれただけでも天に昇る程の喜びを感じているのに、そんな彼女にここまでされて感激しないはずもないだろう。

 呻く、喘ぐ、震える。何度も経験したはずの性交、何度も味わったはずの快感。だが、今、自分が感じている快感はそれらとは大きく違う。胸を満たすような充足感が何とも言えない悦楽を生み出してくれているのだ。

 

 ドレイクもまた、自分の奉仕に素直な反応を見せる黒髭を愛おしく思い、彼を喜ばせたいと願ってより深い愛撫を行う。我慢汁を味わい、硬く大きくなる肉棒の震えを感じた彼女は、一気に喉の奥まで黒髭の肉棒を咥え込むと思い切りそれを吸い上げる。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉおっっっ!?」

 

 突然のその行為に不意を打たれた黒髭はひとたまりもなかった。ギリギリまで堪えていた絶頂をいとも容易く迎え、ドレイクの口内に己が性欲を夥しく放つ。未だに続く吸引に天上の快楽を感じる黒髭が、精液を最後の一滴まで放ちきると――

 

「あ~~~~……♡♡♡」

 

「!?!?!?!?」

 

 目の前でドレイクが口を開ける。その中に溜まった黒髭の精液を見せつけるように口を開け、紅潮した表情のまま微笑みかける。

 黒髭が射精を行った己の口の中を見たことを確かめたドレイクは、ゆっくりと口を閉じると精液を咀嚼し、じっくりと味わい始めた。何度も何度も口の中で精液を噛み、その熱と味を愉しみ、青臭い雄の滾りを十二分に堪能した後、ドレイクは喉を鳴らして精液を飲み込む。

 

「……ごちそうさん♡」

 

 もう一度口を開けて、何もなくなったその内部を見せつけた彼女は、悪戯っぽい笑みを浮かべつつ黒髭へとそう告げた。

 お茶目で愛らしく、それでいて淫猥なドレイクのその姿を見た黒髭は、まるで乙女のように心臓をときめかせつつ、肉棒の滾りを再燃させる。

 

「良い味してたよ。ドロドロで濃い、これぞ雄! って感じの味だった。こんなの味わったら、もう我慢出来ないさね……♡♡♡」

 

 股を開き、ドロリと垂れる自分の蜜を二人の男性に見せつけたドレイクは、淫らに笑うとマスターへと手招きをした。ゾクリとする色気を感じさせる彼女のその行為にまた興奮を募らせながら、マスターもまたドレイクの誘いに乗って彼女へと近づく。

 

「待たせて悪かったねえ。今度はこっちで楽しませてやるから、勘弁してくれよ」

 

 マスターをベッドの上に寝転ばさせ、その上に跨るドレイク。天に向けてそそり立つマスターの肉棒に膣口を合わせた彼女は、ゆっくりと腰を下ろして彼を自分の内部へと受け入れた。

 

「ふぅぅううぅうぅぅぅ……っっ♡♡♡ まったく、アンタたちなんてちんぽしてるんだい♡♡♡ こんなのぶち込まれたら一発で雌堕ちするに決まってるじゃあないかい……♡」

 

 ゆっくり、じっくりと膣にマスターの肉棒を馴染ませるように動くドレイク。しかし、ふとあることに気が付くと肉付きの良い尻を掴み、快活に笑いながら振り向く。

 

「アンタもそこで見てるだけってのはつまらないだろう? こっちでよけりゃあ、三人で楽しもうじゃあないか!」

 

「お、おおおっ!? BBAのケツ穴にち、ちんぽをぶち込む……!? お、恐れ多い様な、なんか来るものがある様な……!」

 

 震えた声でそう言いながらも黒髭の行動は素直だった。ドレイクの尻を掴み、それを左右に大きく広げた彼は、未だに滾っている己の肉棒をその中央の窄まりに向けて思い切り突き出す。

 

「んんぐぅぅぅぅぅううぅぅっっ♡♡♡ はぁ……っ♡ アンタ、少しは手加減ってものを……くぅぅっ♡♡♡ でも、気持ち良いから良しとするか……♡♡♡」

 

 胎の内部で擦れる二本の肉棒。それらは自分が認め、愛した男たちの猛々しい欲望の証。

 獰猛で知的、かつ勇敢な男たちが自分を求め、その獣欲を滾らせてくれるという事実は一言でいえば女冥利に尽きるというものだろう。ドレイクは、体と心を満たす幸福感に頬を綻ばせながら、彼らに向けて囁く。

 

「さあ、好きに動いとくれ……♡♡♡ 三人で存分に楽しもうじゃあないかっ♡」

 

 本来ならば許可など必要無いのだろう。しかし、彼女の許しを得た二人は、その言葉を合図として激しく腰を振り始めた。

 下から突き上げるようにして子宮を叩くマスター。後ろから奥深くまで穿つように腰を叩き付ける黒髭。その二人の責めを前に、ドレイクは一瞬にして獣染みた嬌声を上げる雌になってしまう。

 

「んいぃいぃいぃいぃぃぃっっ♡♡♡ はぐぅっ♡ ほぉぉおおぉぉぉおおっっ♡♡♡ あ、はぁあぁぁぁぁぁああぁぁぁっ♡♡♡」

 

 二つの雌穴が快感を貪る。幸福と充実感を与えてくれる肉棒に媚び、更に穴を締め上げる。

 揺れる胸はマスターの手に掴まれ、じっとりと揉みしだかれながら乳首を抓られてしまった。優しい快感と鋭い快感をいっぺんに受けたドレイクの体が跳ね、涎を垂れ流して淫らな表情を曝け出させる。

 二人の男に体を挟まれ、快感の渦に叩き込まれるドレイク。愛液が攪拌され、飛沫となって雌穴から飛び出す度、彼女の理性はほど良く壊れて快感に飲まれていった。

 

「う、あぁぁっ♡♡♡ んっぐぅっっ♡♡♡ あぁっ♡ ちんぽが、二本も……っ♡ アタシの中で、暴れ回って……っっ♡♡♡」

 

 女の急所を責める硬い肉棒と排泄口を感じられる場所に変える熱い肉棒……それらが自分を支配するべく荒れ狂い、内部を徹底的に責め上げて来る。

 子宮を突かれれば電撃が弾ける様な快感を感じ。尻穴を穿たれれば意識が遠のく様な快感を感じる。いつしかドレイクの体からは力が抜け、雄たちに降伏する瞬間を待つ体勢を取る様になっていた。

 

「は~っ♡ あ~っ♡ すご、いぃっ♡ イクっ♡ イクっ♡ このアタシが、こうもあっさりイかされちまうっっ♡♡♡」

 

 快感が止まらない。止めどなく責められる体が限界を迎え、その先へと連れ出されている。自分の知らない快感を二人の男たちに教え込まれるドレイクは、瞳を潤ませながら快楽に喘いだ。

 後ろから黒髭に胸を揉まれながら尻穴を突かれる。乳首を弄られる鋭い快感と尻穴を穿られる鈍い快感の波状攻撃を器用に繰り返す彼の性技を前に、ドレイクの体は完全に翻弄されていた。

 マスターに唇を奪われ、舌を絡ませながらの性交はドレイクの雌の本能に火を付けた。ドスドスと巨大な肉棒に子宮を押し上げられる圧倒的な快感は、逃げ場の無い状況へとドレイクを追い込んでいく。

 

(ああっ♡ イクっ♡ イっちまうっっ♡♡♡ アタシより強い男に抱かれてっ♡ アタシが認めた男の精を受け入れちまうっっ♡♡♡ 孕まされるっ♡ 染め上げられるっ♡ なんて……なんて、幸せなんだろうっっ♡♡♡)

 

 戦闘でも性交でも自分の上を行く男たち。彼らに体を貪られ、ドレイクは女の幸せを存分に刺激された。ただひたすらに、この行為を幸福だと思っていた。すべてを奪われ、踏み躙られての凌辱とは違う。自分が認め、愛した男に抱かれることへの幸福に心を蕩けさせるドレイクは、震えが止まらなくなった膣と尻穴を熱くしつつ、あらんばかりの声を以って叫ぶ。

 

「イクぅぅぅぅっっ♡♡♡ アタシのナカに、全部、だしとくれっっ♡♡♡ アンタらの全部をっ♡ この、アタシのなかに……っっ♡♡♡ 全部っっ♡ 受け止めさせておくれっっ♡♡♡」

 

 パンパンに膨らみ、ガチガチに熱くなった肉棒。共に引き抜かれ、共に侵入し、共にドレイクを刺激する二つの肉棒。それが、一際深くまで押し込まれた。

 子宮を奥まで押し込み、腸内の知らない部分にまで侵入し、どっかりと位置を整えた肉棒が、激しい震えと共に熱い迸りを放つ。子宮と尻穴を満たす熱を感じ、同時に絶頂を迎えたドレイクは、完全なる女としての素顔を露にしつつ大声で叫んだ。

 

「あぁぁあああぁぁぁあぁぁァぁあぁぁッッ♡♡♡ んんぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 大きな尻が、乳房が、震える。雄の滾りを飲み込み、それに白旗を上げた体がぐったりと脱力する。

 ぶるぶる、ぶるぶると小刻みに痙攣するドレイクの尻は、それでいながらも放たれた精をしっかりと飲み干していた。それが雄への礼儀だと言わんばかりの従順さを見せるドレイクは、ぐったりとした状態のまま二人の男性たちへと問いかける。

 

「それで……アタシのマスターになるのは、どっちなんだい……? アタシとしちゃあ、どっちでも大歓迎なんだけどねぇ……♡♡♡」

 

 下腹部が疼き、熱を帯びていることを感じたドレイクは、己の新たな主がどちらになるのかを知りたがっていた様だ。

 そんな彼女の疑問に対して、お互いに目を合わせ、一瞬の逡巡を見せた後、先に口を開いたのは黒髭であった。

 

「あ~……俺はパスだ。こうやってアンタを抱いちゃあいるが……それもマスターに頼まれたからであって、本当は御免被りたいんだよな」

 

「はぁん? まあ、アタシはアンタの好みからは随分と離れているからね。しょうがない、か……」

 

「い、いやいや! そうじゃなくって! ……俺にとってアンタは、憧れの存在なんだよ。アンタは格好良くって強い、俺の目標みたいな存在だ。だから、そんなアンタの上に立つとか、主になるとかっていうのは、俺には出来っこない。俺は、アンタを追う存在でありたいんだ。なんだか分からない内にアンタの上に立つなんて、ほとほと御免だね」

 

「……んじゃ、アタシとこういうことをするのが嫌って訳じゃあないんだね?」

 

「ま、まあ? BBAの可愛い所は見られたし? 精液ごっくんとかされた時には、マジでときめいちゃったりしたし? 悪くはないかな~って……」

 

 本心を吐露したことが恥ずかしかったのか、いつもの調子に戻って誤魔化そうとした黒髭に笑みを見せたドレイクは、振り返った状態で彼の額に口付けをした。

 セックスの最中だというのにも関わらず、彼女のその行為に顔を赤くした黒髭に対し、ドレイクは快活な笑みを見せながら答えを返す。

 

「ん! 良く分かったよ! ……それじゃあ、アタシはアンタが誇りに思うアタシでいなきゃいけないね! 随分と薄汚れちまったこの身だが、戻ってやり直すことは出来る! ……虫のいい話だが、またこのカルデアでやり直させて貰うよ。今度こそ、自分自身を見失わない様にしながら、ね……!」

 

 決意表明を行いながら正面を向いたドレイクの淫紋令呪が赤く染まる。誤っていた自分を認め、やり直すことを決めた彼女の瞳には、爛々と輝く光が戻っていた。

 

「んじゃ、アタシのマスターは前と変わらないってことで! 改めてよろしく頼むよ、マスター」

 

「ああ、こちらこそよろしくね! って、うわぁっ!?」

 

 淫紋令呪の契約を交わし、笑みを見せたドレイクが急に腰を振り始めたことに驚いたマスターは、情けない悲鳴を上げてしまった。それは黒髭も同様で、突然の行動に面食らった様子を見せている。

 ドレイクは、そんな二人を見て大笑いした後、妖艶な女としての素顔を浮かべつつ二人に向かって挑発的に囁きかけた。

 

「……まだまだ満足してないだろう? 夜は長い、時間はたっぷりある……なら、満腹になるまで貪り合おうじゃあないか。獣の様に、欲望をぶつけて、さ……♡♡♡」

 

 大人の女性としての魅力が十分に詰まったその囁きに滾りを復活させたマスターと黒髭は、彼女の言うがままに腰を振り、一晩中魅力的なドレイクの豊満な体を味わい続けたのであった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ねっ! セイバー、死ねっ!!」

 

「あんぎゃぁぁぁぁぁ!」

 

 何処か遠くから聞こえて来る悲鳴と怒声を聞きながら、マスターはぼんやりとした様子でカルデアの廊下を歩いていた。そう言えば、何故か彼女が再召喚されたんだっけかと思いつつ、今日の予定を確かめる。

 やるべきことは山積みだが、一つ一つ片付けていこう。そう心に決め、部屋の中に入った彼は、暫しの休憩を楽しむべく一つのディスクを取り出す。

 再生機器にそれを挿入し、スクリーンに映し出されたジャンヌ・オルタの姿を見た彼は、数日前に行った調教の成果の確認と余暇を楽しむために録画したそれを鑑賞し始めたのであった。

 

 




投稿して気が付く、案外短いということに……
もうちょい描写頑張ろう……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 黒き聖女は堕落を望む 調教編(ジャンヌ・オルタ)

 

 

 

――ダイアリー・調教2日目を再生します……

 

 

 

 

 

「……ふっ♡ んぐっ♡ ふぅんっ……♡♡♡」

 

 頬を窄め、舌を這わせる。唾液を絡ませ、肉棒に吸い付き、喉の奥まで受け入れる。

 その繰り返し、息が詰まる程の口淫を行いながらも、決して窒息せぬ様に意識し、されどオルタが肉棒を口から離すことをほんの数秒も許さぬまま、マスターは己の逸物を彼女の口の中に突き入れていた。

 

「んんぶぅぅうぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 そして、射精。何度目か分からない、こうしてから何時間経ったかもわからないまま、オルタはこうして彼の精を口で受け止めている。それを嚥下し、しっかりと飲み干したことを確認してから、マスターは再び腰を動かし始めるのだ。

 

「んぐっ♡ んうぅっ♡ ぐぅぅっっ♡♡♡」

 

「……しっかり感じているかい? 喉で、頬で、舌で、口の中全部で……ちゃんと感じられる様になっているかな?」

 

「んぅぅぅぅぅぅ……♡♡♡」

 

 息苦しさにオルタの意識がぼやける。そんな彼女の心に染み込んで来るのはマスターの言葉だ。

 ぴりぴりとした感覚と共に彼の言葉が響く度、オルタの体はかぁっと熱くなって発情してしまう。そうやって何度も何度も口の中を犯されていったオルタは、何時しか自分が彼の言う通りに口で性的快感を感じ始めていることに気が付いていた。

 

(ああ、嘘……♡ 私の口が、おまんこみたいになって……♡♡♡)

 

 窄めた頬を擦られ、舌で肉棒の味を感じ、喉の奥を突かれれば、頭の中がスパークしてしまう様な快感を感じる。それは膣で感じる快感によく似ている様で、それよりも弱い快感だった。

 だが、それでも感じることは感じてしまう。何度も喉を突かれれば、息苦しさも相まって頭の中が快感で真っ白になってしまう。朦朧とする意識の中、オルタは自分の秘所がひくひくと蠢き、愛液をぶしゅぶしゅと噴き出していることに気が付く。

 

(嘘……♡♡♡ 私、イってるの……? 口の中を犯されて、それだけで、絶頂してるの……!?)

 

 和式便所に跨る様な格好で彼の前に傅き、肉棒を延々と舐め続けていたオルタ。彼女は、この徹底的な口内開発によって、口淫だけで達する様になってしまったのだ。

 その事実に愕然とするオルタであったが、それと同時に不思議な幸福感も感じていた。彼の手で、こうして作り変えられたという証がしっかりと残ったことが、何故か嬉しかった。

 

「ああ、イける様になったんだね? よしよし、開発の第一段階は完了っと……それじゃあ、仕上げに本気で射精するから、しっかり飲み込むんだよ?」

 

「ふぐぅぅうぅぅぅぅうっっ!? んもぉぉぉぉぉぉおぉぉぉおっっ♡♡♡」

 

 口の中を犯すマスターの腰が荒ぶる。喉を突き、口の中で暴れる肉棒が更に滾りを漲らせる。

 その腰の動きに合わせ、オルタの膣は潮を噴いていた。しっかりと彼女が口での性交で快感を感じていることを確認したマスターは、最後に喉奥に肉棒を突き入れると夥しく己の欲望を解き放つ。

 

「んぼぉぉぉおぉぉおおぉぉぉおぉぉっっっっ♡♡♡」

 

 白濁とした、とても濃い液体が吐き出される。普通ならば窒息してもおかしくない量と粘度を誇るそれを、しかしてジャンヌ・オルタは喉を鳴らして次々と飲み干していった。

 それは殆ど反射の行動で、快感と精液を求めた雌として当然の行動でもあった。やがて、彼女は自分の口の中が空になったことに気が付くと、口を大きく開けて目の前の主にその中身を見せつける。

 

「は~……♡♡♡」

 

 まだ精液の生臭いにおいを放つ口の中。その中には白い液体が所々こびりついてはいるが、大半は彼女の胃の中へと飲み込まれてしまった様だ。

 湧き上がって来た空気をげっぷとして口から放つオルタ。マスターは、自分の命令をしっかりと遂行した雌奴隷に対し、頭を優しくと撫でてその忠誠を褒め称える。

 

「良い子だね、オルタ。ちゃんと俺の命令を聞けて偉いね……!」

 

「はぅ、あ……♡♡♡」

 

 優しく甘い彼の言葉。雌奴隷である自分を調教しつつ、アメとムチを使い分けての教育にオルタの心が手懐けられる。被虐的でありながら非常に甘い毒の様なその快感、そして今日一日の疲れに意識を遠のかせるオルタは、最後にマスターの呟きを耳にした。

 

「……これで今日の調教はお終い。また明日の為に、しっかり休んでね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイアリー・調教3日目を再生します……

 

 

 

『ほひぃぃぃいぃぃっっ♡♡♡ んおっ♡♡♡ ほぉぉぉっっ♡♡♡』

 

『おほぉっ♡ ほぉぉおおぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ んっほぉおぉぉおおっぉぉっ♡♡♡』

 

『けちゅあくめぇっ♡♡♡ しゅごしゅぎるぅぅっっ♡♡♡ ケツイキとまりゃないぃぃぃっっ♡♡♡』

 

「あえぇ……っ♡ またイクぅぅっ♡♡♡ おしりで、いっっ……くぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 尻穴を振動する細い玩具で弄られたオルタは、呆気無く絶頂を迎えた。それと同時に自分の周囲で響く嬌声が一つ増え、目の当たりにする無様な雌のアヘ顔が一つ増える。

 

『あえぇ……っ♡ またイクぅぅっ♡♡♡ おしりで、いっっ……くぅぅぅぅっっ♡♡♡』

 

 先ほどとまったく同じ嬌声を口にし、だらしない表情で達してしまう自分の顔。何度も、何度も何度も何度も何度も、それを何通りも見せられながら、オルタは尻穴を穿られていた。

 

 ジャンヌ・オルタがカルデアのマスターの雌奴隷に堕ちてから2日、総計で3日目である今日、彼が行ったのはオルタの尻穴開発だった。しかもただ穿るだけでは無く、彼女の意識すらも開発しようとしているのだ。

 柔らかい肉の壁に尻以外の全ての体の部位を沈められたオルタは、唯一壁の外に出ている尻を成す術も無くマスターに弄られ続けている。所謂『壁尻』という奴なのだが、それに加えて更にオルタを堕落させる仕掛けをマスターは用意していた。

 

 それこそがこの空間である。この空間は、オルタが達する度に彼女の眼前にその瞬間の彼女の姿を投影したビジョンを生み出し、延々と再生し続ける。そしてそれが、無限に増え続けるのだ。

 オルタが一度尻穴で達すれば、その瞬間の姿をした彼女が生み出され、なおも尻穴を穿られるオルタの目の前で喘ぎ、絶頂し続ける。獣の様な喘ぎ声。白目を剥き、涎を垂らした無様な表情。そして肛門快楽という悦楽に満ちた笑みを浮かべた自分の姿を見せつけられるオルタの精神は、間違いなく刺激と共に被虐的な快感を感じていた。

 

(おしりぃ、すごいぃぃっっ♡♡♡ ケツアクメとまらにゃいぃぃぃっっ♡♡♡)

 

 既に一人のサーヴァント(マシュ)を尻穴狂いに仕上げたマスターにとって、この程度の開発行為は容易いものだった。肛門を柔らかく解し、蕩けさせ、快感を感じる場所を見つけ出して徹底的に躾ける。ただそれだけの行為を執拗に行うことで、オルタの尻穴をあっという間に陥落させてみせたのだ。

 その間に尻穴の臭いや味、外観を観察することも忘れない。こうやって一つの部位を完璧に把握してこそ、雌奴隷を仕上げられるというものだからだ。

 

「あぁぁあぁぁぁぁああっっ♡♡♡ イグぅぅぅぅぅっっ♡♡♡ おしりで、いっぐぅぅうぅっっ♡♡♡」

 

 オルタの尻穴が痙攣し、絶頂の時を迎えた。ぽっかりと開いた尻穴から空気が漏れだす音を響かせる彼女に対し、マスターは意地の悪い言葉を投げかける。

 

「……拘束された状態でお尻を穿られてこんなに簡単にイっちゃうなんて、オルタはとんでもない変態だね。雌奴隷に相応しいMだよ」

 

「あ、あ……♡♡♡ わたひ、M……どれい……?」

 

 罵倒の言葉にゾクゾクとした快楽を感じるオルタ。屈辱的で悔しさを感じさせるその言葉を受け入れながらも、彼女の精神はどこかそれを拒もうと意識を奮い立たせる。

 しかし、そんな彼女の抵抗も見透かしていたかの様にニヤリと笑ったマスターは、彼女の尻のすぐ近くでパチンと指を鳴らしてある仕掛けを作動させた。

 

『……そうよ。あなたはとんでもない変態なの。高飛車で強がっておきながら、本当は弱い女なのよ』

 

「え……?」

 

 耳元で響く聞き覚えのある声。オルタが顔を上げれば、自分の周囲に生み出されていた分身たちが、皆一様にこちらを見ながら淫靡にほほえんでいる光景が目に映る。

 与えられる快楽を愉しむ様に、僅かに残るプライドを嘲る様に、そんな風に笑う彼女たちは、口々にオルタの心を蕩けさせる言葉を彼女に投げかける。

 

『弱いくせに強がって、誰も彼もを見下して……でも本当は、誰かに受け入れて欲しいんでしょ?』

 

『あなたは欲しているのよ、醜く歪んだ自分を受け入れてくれる人を……そして、そんな自分を支配して欲しいと願うMなの』

 

『破滅主義者を気取った変態、それがジャンヌ・ダルク・オルタという淫乱……あなたは、根っからの被虐体質であり、生まれつき雌奴隷の素質を持った女なの』

 

「あ、あ……♡♡♡」

 

 染み込む、刻み込まれる、浸透していく……自分自身の言葉が、オルタの心に深く跡を残す。今のオルタには、その言葉は正しく、正当な意見に思えた。

 

『汚い部分を穿られて気持ち良いんでしょう?』

 

『舐められ、嗅がれ、醜い部分をじっくりと見られ……忌避すべき場所を愛されて悦んでいるんでしょう?』

 

『抵抗出来ない状態で自分の一番恥ずべき場所を弄られて感じている、そんなあなたを変態と言わずしてなんて言うの?』

 

『今だってそう。放屁し、潮を噴き、絶頂しながら、あなたは快楽を貪っている。この被虐的な快感をね』

 

『ここに居る私たちはその証明なのよ。私たちの数だけ、あなたは快楽の高みに上り詰めた。そうして、彼に完璧なる雌奴隷に仕上げて貰うことを夢見ているのよ』

 

『そう……その証拠に、こんなに淫らな顔をしてるわ。何度も何度も絶頂して、ね……♡♡♡』

 

 分身であるジャンヌ・オルタたちの表情が歪む。淫らで、滑稽で、無様なアヘ顔を晒す彼女たちは、自分たちが絶頂した瞬間を切り取ってその光景を本体であるオルタに見せつけていた。

 そうして、自分がどうしようもなく淫乱である証拠を見せつけられたオルタはその現実を認める。僅かに残っていたプライドをかなぐり捨てた彼女は、与えられる快感を素直に受け入れることを決めた。また一歩、彼女が雌奴隷としての道を歩んだその瞬間――

 

「あっひぃぃぃいぃぃぃいぃぃぃぃいぃぃぃいいぃっっっ♡♡♡」

 

 尻を叩かれる衝撃にオルタは目を見開いて叫んだ。波打つ尻肉は、凄まじいスパンキングの威力を物語っている。

 だが、オルタが感じたのは痛みではなかった。それを遥かに超える快感に潮を噴いたオルタは、自分の肛門にキスをした主の声を耳にして胸をときめかせる。

 

「さあ、ここからはお尻全体の開発だ。強く揉まれ、打たれ、乱暴に腰を打ち付けられ、そうやって感じてしまうM尻に仕立ててあげるよ。ドMのオルタには相応しいお尻でしょう?」

 

「ふ、あ、あ……♡♡♡ あぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

「まずはスパンキングでイける様になろうか? その次は強く揉まれてイク練習だね。今日一日で本物の奴隷尻に仕上げるから、覚悟するんだよ……!」

 

 壁の向こうから響く声に子宮を疼かせたオルタは、間髪入れずに尻肉に走った衝撃と快感に瞬く間に快感を感じ始めていた。

 それから数時間後、本日の調教が終わるころには、オルタは彼の言う通りに被虐的な快感で達せる程のマゾに覚醒していたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイアリー・調教4日目を再生します……

 

 

 

「あぁ……♡ ふぅ、あぁ……♡ きもひ、いひ……っ♡♡♡ んへぉぉ……っ♡♡♡」

 

 ドスン、ドスンと尻穴を突かれ、豊かな双房を両手で揉まれ、感度の上がった舌と唇をマスターに貪られ……際限なく感じさせられながら、オルタは喘いでいた。

 調教4日目の今日は、全身を責められながらの胸部の開発を行われていた。乳房と乳首を順々に愛撫し、その感度を高める。全身に走る快感も相まって、あっという間にオルタのたわわな胸は敏感な感度を誇る様になってしまった。

 

「んぉぉ……♡ まら、イクぅ……♡♡♡ んへっっ♡♡♡ はへっっ♡♡♡ んひぃぃぃ……っっ♡♡♡」

 

 一層深くまで尻穴を抉った肉棒によってオルタが幾度かの絶頂を迎える。大きく開いた秘所からは愛液が飛沫となって噴き出し、痙攣しっぱなしの性器は赤く充血して火照りに火照っていた。

 開発期間の際、未だに弄られていないそこは日々高まる全身の感度に合わせて期待も高めていた。体の中で一番感じるこの部位を早く責め、自分を絶頂させて欲しいと訴えるかの様に震えている。しかし、マスターはその願望に応えることはせず、お預けを重ねるばかりであった。

 

「うん、おっぱいも良い感じだね。これで何をされても感じる奴隷に相応しい胸になったね……!」

 

「はぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 親指と人差し指で乳首を掴まれ、下から乳房を支える様にして揉みながらオルタの両方の乳房を上下に揺らす。胸同士を擦り合わせるその行為はオルタにパイズリを想起させ、今は挟んでいない熱い彼の肉棒を胸の谷間に錯覚させた。

 

「あぁぁ……♡♡♡ あっ、あぁ……♡♡♡ あつぅい、あちゅいぃ……♡♡♡」

 

 そこにあるはずの無いマスターの肉棒の感触を感じ、熱を感じ、快感を感じる。口の端から垂れた涎が胸元まで降り、潤滑油となって乳房の滑りを良くする。

 ぬちゃぬちゃと卑猥な音を立てて擦り合わされる乳房は、オルタの脳天を直撃する快感を伝えてくれていた。同時に尻穴を突かれる彼女は、またしても呆気ない絶頂の時を迎えた。

 

「んいぃぃぃぃぃぃいいぃぃぃいぃっっっ♡♡♡ いきゅぅぅうぅうぅぅぅぅぅううっっ♡♡♡」

 

 快感に全身が震え、膣からも愛液が潮となって噴き出す。白く濁った本気汁がオルタの足元に零れ落ち、卑猥な臭いを放つ水溜まりとなって床に溜まる。

 脳が沸騰し、全てを狂わせる程の快感。舌がだらりと垂れ、何も考えられなくなる幸福感に満たされた表情を晒す彼女の頭をマスターがそっと撫でた。

 

「……はい、胸の開発もお終い。オルタの躰、どんどんいやらしくなるね……」

 

「はふっ♡ ふぅっ♡ まひゅ、たぁ……♡♡♡ つぎっ、ちゅぎのかいはつっ、はぁ……?」

 

「ん~? ……わかってるでしょ? もうここしか残って無いんだからさ」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 トン、トン……マスターの人差し指と中指がオルタの下腹部を叩き、その内部に在る女性の最も大事な器官を刺激する。期待に染まっているその場所は、緩いその刺激によって更に激しく震え始めた。

 

「しゅぐ、しゅぐはじめてぇ……♡♡♡ わたひの、おまんこぉ……♡♡♡ おまんこのかいはちゅっ♡♡♡ いまからはじめてぇぇっっ♡♡♡」

 

 もう我慢が利かなかった。疼く子宮と膣が快感を求めて泣き叫び、熱い滾りを求めて愛液を滴らせる。柔らかく蕩け、熱を帯びる子種を求めるオルタの膣肉は、マスターの肉棒を叩き込まれる為の準備を整え終わっていた。

 しかし、マスターはそんな彼女を制すると唇を重ね合わせて彼女の口内を貪る。ただそれだけの行為で、オルタは軽い絶頂へと押し上げられて思考を停止させてしまった。

 

「ふぁ、あ、あ……♡♡♡」

 

「……オルタ、おまんこ弄って欲しいの? でも……今は駄目だよ」

 

「あ、あひた……? 明日になったら、可愛がってくれる……?」

 

「ううん、明日はお休み。一日何もしない日だよ」

 

「え……? な、なんで……!? すぐにでもおまんこ弄って欲しいのにっ! おちんぽぶち込んで、ぐちゃぐちゃにして、ザーメンどぴゅどぴゅして欲しいのにっ! なんでよぉっ!? あひぃぃぃぃっっっ♡♡♡」

 

 長いお預けをくらう事をしったオルタは、半狂乱になって彼に詰め寄る。しかし、そんな感情の昂ぶりも性器を撫でられただけで雲散霧消してしまった。

 内部には触れない、ただ外部を手で優しく触れて動かすだけの文字通りの愛撫……しかし、それだけでオルタの背筋にはゾクゾクとした快感を伴う快感が走り、マスターへの反抗心を削ぎ取ってしまうのだ。

 

「……わかってるよ、オルタが今、おまんこを弄って欲しくて堪らないってこと位はさ。でも、だからこそ、明日一日空けるんだよ。オルタの体の一番美味しい所を、一番美味しいタイミングで味わいたいからさ」

 

「あ、う、あ……♡♡♡」

 

「オルタのおまんこはね、今すごいことになってる。敏感で、トロトロで、熱々で……俺が欲しいって叫んで、ぐちゃぐちゃになってる。その欲求を明日一日で最大限まで……ううん、限界を超えるまで高めるんだ。そうなった所で、最高の雌奴隷まんこを俺が味わう。肉を寝かせて熟成させる様なものさ」

 

「あぅうぅぅうぅっっ♡♡♡ でもぉっ♡ 私は今欲しいのぉっ♡♡♡ 今おちんぽ欲しいっっ♡♡♡ アンタのちんぽが欲しいのにぃッッ♡♡♡」

 

「……ああ、そう? そんなにおまんこ弄って欲しいんだ? ならさ……オナニーしても良いよ?」

 

「ふぇ……?」

 

 マスターがオルタの手を取り、彼女の秘所にあてがう。そのまま耳元で熱く囁く様にして、甘い誘惑の言葉を口にする。

 

「今のオルタのまんこなら、指で弄るだけでもセックスより気持ち良くなれると思うよ。オナニーでも十分に満足出来るはず。だから、どうしても我慢出来なかったらオナニーすれば良いさ」

 

「はっ♡ はっ♡ オナニー、してもいいの……? んぅぅっっ♡♡♡」

 

 熱を帯びた膣が快感を求める叫びを上げていることを重々に理解しているオルタは、マスターのその言葉に涙を浮かべ、息を飲んだ。ぱっくりと開いた秘所が涙の様に愛液を垂れ流している光景にもう一度息を飲んだ彼女が、その内部へと指を突き入れようとしたその時だった。

 

「……でも、そうするとオルタのまんこは中途半端なものになっちゃう。明後日のセックスも気持ち良くはなれるだろうけど、本来予定してた快感は味わえなくなっちゃうね」

 

「う、んっ……!?」

 

「雌奴隷のオルタが選ぶ道は二つに一つ。一つは、明日延々オナニーして体を慰める代わりに最高の快感を諦める。もう一つは、限界ギリギリの状態で必死に我慢して、明後日に仕上がったおまんこを俺に弄って貰うか……さあ、どっちにする?」

 

「う、あ、あぁぁぁぁ……♡♡♡」

 

 ベッドの上にオルタの体を置いたマスターは、そう問いかけると部屋から出て行った。彼は扉を出る寸前に振り向き、試す様な視線を彼女に向けて口を開く。

 

「命令はしないよ、君の自由にするんだ。自分の意思で、自分の得る快感を決めろ、ジャンヌ・オルタ」

 

 それだけを言い残し、カルデアのマスターは調教部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイアリー・調教6日目を再生します……

 

 

 

 

「……おはよう、オルタ。昨日はゆっくり休めたかな?」

 

「はぁっっ……♡♡♡ はぁっっ……♡♡♡ んふぅぅ……っ♡♡♡」

 

 宣言通りに一日の休息期間を設けたカルデアのマスターは、24時間ぶりにオルタが横たわる調教部屋に足を踏み入れると彼女の様子を探った。ベッドの上のオルタは鼻息も荒く、高揚した様子で体をくねらせている。股座はぐっしゃりと濡れてはいるが、それが自慰行為によるものなのか、はたまた一日必死に欲求を堪えたが故のものであるのかは判断がつかなかった。

 

 マスターは興奮した、それでありながら疲れ切ったオルタに覆い被さるとその瞳を至近距離で見つめる。彼女の抱く感情全てを見透かす様な視線を向けながら、彼は問いかけた。

 

「それで? オルタはどっちを選んだのかな? ……俺に教えるんだ、オルタ」

 

「はい、マスター……」

 

 惚けて、熱を帯びた声。夢見心地の様子で返答したオルタは、蕩けた視線をマスターへと向ける。そして、体を高揚させたまま、言葉を紡ぎ始めた。

 

「最初は我慢しようとしたの……でも、おまんこ疼いて、震えて、気持ち良くなりたくって……どうしても我慢出来なくて、弄りたくなって……指でちょっと撫でただけでイった時、もう何も考えられなくなった……もう、ひたすら気持ち良くなりたくて、それで――」

 

 マスターの手を取ったオルタは、彼の指を赤ん坊の様に吸い始めた。甘えであり、懇願でもあるその行為を一通り続けた後……オルタは、再び口を開く。

 

「……でも、そこで気が付いた。ここで私が我慢すれば、アンタが最高の快感を味わえるんだってことに……! 私が気持ち良くなる為じゃなく、ご主人様(マスター)の為に行動することが正しい雌奴隷の在り方なんだって気が付いて、そこで少しずつ意識が固まっていったわ……♡♡♡」

 

 体を擦り寄らせ、自身の体温を直に伝えるオルタ。熱を帯びたその体は、どう考えても快感を発散した後のものとは考えられない。汗ばみ、匂いを撒き散らす彼女の体は、貪られる為に作り上げられたことを理解して、己の使命を果たすべく最高の状況を保っていた。

 

「これは我慢なんかじゃない、貴方に最高の快感を捧げる為の儀式なんだって……そう思ったら、快感を堪えることなんて屁でも無かったわ。私はもう、自分のことなんてどうだって良い。私の躰を仕上げた最高の主人に全てを捧げることが、私の幸福なの……♡♡♡」

 

 オルタは力の無い腕を伸ばし、マスターの体を抱き締めた。彼もまた彼女を抱きしめ返し、暖かなキスを送る。

 あまりにも甘く、幸せな快感。仕上げられた体が寸分も与えられる快楽を逃す事無く、オルタに悦楽を感じさせてくれる。

 長い、長いキスを終えたオルタは、はっきりとした意識を保った状態で彼に擦り寄ると至高の状態に仕上がった自分の性器を開きながら言った。

 

「私のご主人様……♡♡♡ 雌奴隷、ジャンヌ・ダルク・オルタナティブのおまんこは今、ご主人様のおちんぽを受け入れる為だけに存在しています♡♡♡ 全身を開発され、お預けを食らい、発情しきったエロまんこ……誰も知らない最高状態のおまんこにどうぞおちんぽをぶち込んで、この霊基と魂に誰が自分の主かを刻み込んで下さい……っ♡♡♡」

 

 オルタが懇願の言葉を口にしている間、彼女の目の前ではマスターが己の肉棒をいきり立たせて見せつけていた。ゆっくりと近づいた彼は、オルタの下腹部に怒張を触れてそこを擦る。

 

「はっ♡ くぅぅっ♡ はぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 下腹部に刻まれた黒の淫紋令呪を擦る様に動くマスターの肉棒。疼く子宮を表面から刺激し、ゆっくりと上下に動き続けている。まだ膣に挿入されてもいない、敏感な部分に触れられている訳でも無い。なのに、オルタは今まで感じたことのない高揚感と快感を感じていた。

 それは幸福感と期待感が合わさった快感だった。今、自分は彼の手で最高の肉奴隷になろうとしている。その事が幸福に感じられ、それによる快感がどれほどのものになるのかと想像すれば自然と子宮が疼いてしまう。

 亀頭で下腹部を撫でられるだけの行為、それが達してしまいそうになる程に気持ち良い……かつて自分を奴隷に堕とした男との性交より、ここでこうして貰える快感の方が大きく、甘美だ。そんなオルタの思いが強まる度、彼女の下腹部に刻まれている黒い淫紋令呪がひび割れていく。雌奴隷として仕える主は、こちらの雄の方が相応しいと訴える様に。

 

「……良く我慢出来たね。自分の為じゃなく、主人の為に我慢する……雌奴隷として素晴らしい判断だよ」

 

「はい……♡♡♡ ありがとうございます、ご主人様……♡♡♡」

 

「オルタは従順で可愛く、そして主人思いの雌奴隷だ。そんなオルタには、それなりの扱いをしてあげなきゃいけない……懇切丁寧に快楽の沼に沈め、望む物全てを与えて堕落させ、考え得る限りの悦楽を与えて二度と俺から離れようと思わせない様にする……一生、俺だけの雌奴隷として飼ってあげる、その代わり――」

 

「分かっています。私もあなたに全てを捧げます……♡♡♡ 身も心も、私の全てはあなたの物です、ご主人様……♡♡♡」

 

「うん、良い子だ……! それじゃあ、最後の仕上げを始めようか」

 

「んっ♡ ふぅぅ……っ♡♡♡」

 

 優しく甘いキスを受けたオルタの瞳が蕩け、視界がぼやける。彼に体を反転させられたことを悟ったオルタが平常の視界を取り戻した時、彼女の目の前には大きなガラスケージがあった。

 

「ジャンヌ・ダルク・オルタ、俺の可愛い雌奴隷……君が俺の最初の作品、最初の雌奴隷になる為の最後の儀式……これが終わった時、オルタは生まれかわるんだよ。俺だけの雌奴隷に、ね……!」

 

 じっとり、ねっとりとオルタの下腹部を撫でるマスターの手の感触を感じたオルタは、幸福のあまりに涙を流してガラスケージを見つめる。そんな彼女に刻まれている淫紋令呪は、ひび割れた紋様の下から新たな形を生み出そうとしていたのであった。

 

 

 

 

 

 

覚醒編に続く……

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始まる悪夢と終わる悪夢(クロエ・フォン・アインツベルン イリヤスフィール・アインツベルン)

そう言えば、マテリアルの更新に気が付いた人は居るかな……?
ほんの少しだけですけどね!


 世界の果てにある塔の中で二人の男が向かい合っている。片方は白、もう片方は黒、見た目から対照的な二人の男たちは、非常ににこやかな様子で会話を繰り広げていた。

 

「君に頼まれていた件だけど、ようやく目途がついたよ。後は、実行するだけだ」

 

「おお! 流石仕事が早いねえ! ありがたいありがたい!」

 

 白の男が笑みを湛えた表情でそう告げれば、黒の男が無邪気に笑って椅子から跳び上がる。楽しいパーティーが始まる予感を感じさせるその笑みは、視点を変えるとなにか悪だくみを行おうとしている邪悪な笑みにも見えた。

 

「……んじゃ、大好きな相棒の為に一肌脱ぎますかね。可愛いおチビちゃんたちもこれで元通りだ」

 

「ふむ、随分と自信があるみたいだね? そこまで彼を信じているのかい?」

 

「それもあるが……仕掛け人はこの俺とアンタだ。特にアンタなら、最高に趣味の悪い悪夢をソロモンの奴に見せてくれると思ってるからな」

 

「ははは、そこまで僕のことを信用してくれているなんて嬉しいなぁ。じゃあ、期待に応えられるくらいの活躍はしないとね」

 

 お互いに邪気のある笑みを浮かべながら、二人の男はそれぞれの役目を果たすべく行動を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また……またこの空間かっ!!」

 

 覚えのある感覚に眼を覚ましたソロモンは、もう何度目か分からない謎の空間に自分が拉致されていることに気が付いて歯痒さに叫び声を上げる。十分に対策を練っているはずなのに、この現象を引き起こしている者はその防御策をするりと擦り抜けてソロモンを招いているのだ。カルデアにそんなことが可能なサーヴァントはいるわけがないのに、どうしてこうなっているのだろうか?

 しかし、今はその首謀者を探している場合では無い。この空間からの脱出を優先しなければならないだろう。立ち上がったソロモンが周囲を見回し、脱出の方法を模索しようとした時だった。

 

「あっ……! ソロモン様ぁ……♡♡♡」

 

「む……?」

 

 鈴が鳴る様な可憐な声。それでいてねっとりとした愛欲を感じさせるその声にソロモンが振り向けば、そこには二人の少女が自分を見上げて瞳を潤ませていた。

 雪の様な白い肌とそれと相反する褐色、それぞれ違う二色の肌を見せながらもそっくりな容姿を持つ二人の少女は、ソロモンに笑みを浮かべながら近づいて来る。

 

「会いたかったです、ソロモン様ぁ……♡♡♡」

 

「カルデアに捕まった私たちを助けに来てくれたんですね……♡♡♡ 失敗したダメダメサーヴァントである私たちにお慈悲を頂けるなんて、とっても優しくて素敵です……♡♡♡」

 

「おお……! お前たちか!」

 

 愛らしく自分に擦り寄る小動物の様な少女たちを見たソロモンは、この状況に置かれて初めて希望の芽が生まれることを感じていた。ここに居るイリヤとクロエという二人の少女は、自分の忠実なる肉奴隷であり、カルデアのマスターに心を靡かせていない状態のサーヴァントだからだ。

 この二人が居ればマシュを恐れることはない。むしろ、二対一という数の利を活かして返り討ちに出来るかもしれない。そうすれば、再び奴を犯して手駒に引き戻してやれるだろう。

 

 そんな事を考えていたソロモンが顔を上げてみれば……そこに件の少女があの軽蔑しきった笑みを浮かべながら自分たち三人を見つめている姿が目に入った。

 

「……ああ、可哀想なイリヤさんとクロエさん。そんな欠片も価値の無い男に騙され、狂わされているなんて……! 親御さんが見たら泣いちゃいますよ?」

 

「マシュ、あなたソロモン様を馬鹿にするつもり? そんなの絶対に許さないんだから!」

 

「馬鹿にしているつもりはありませんよ? これは正当な評価という奴です。雄としての価値が0に近いその男に正直なことを告げて何が悪いのでしょうか?」

 

「む~! もう許さないんだからっっ!」

 

 マシュの暴言に頬を膨らませたイリヤは、目にも止まらぬスピードで宙を舞って彼女へと飛び掛かった。手には召喚されたステッキが握られており、そこから黒い波動を放って攻撃の構えを見せている。

 

「食らいなさいっ、マシュ!」

 

 振り上げた杖を真っすぐに振り下ろし、マシュへと攻撃を仕掛けようとするイリヤ。しかし、当のマシュは何一つとして焦ることなく、ただ手を一拍叩くという行動を取るだけだった。

 そして、その行動でイリヤの攻撃は中断させられた。不意に手にしていたステッキが消滅し、跳躍の勢いや完成までもが消え去ってその場に真っ逆さまに落下してしまったのだ。

 何が起きたのかわからないイリヤは、とにかく一度主と姉妹の下に戻ろうとバックステップを踏む。だが、背中に壁の様な物が当たる感触と共にその行動も中断させられてしまった。

 

「な、なに? 何が起きてるの?」

 

「ふふふ……! 焦らないで下さいよ、怖い目には遭いませんから。さて、今回も一勝負と行きましょうか」

 

 意味深な笑みを浮かべたマシュがもう一度手を叩くと、部屋に広がる暗黒がその深さを増してこの場にいる全員の視界を奪ってしまった。ややあって、再び光を取り戻した一行が見たのは、自分たちの目の前に広がる透明な箱状の結界だった。

 ギリギリ目視できるそれは、クロエとソロモンを囲う物で一つ、イリヤを囲む物でもう一つと二つ存在していた。マシュはその二つの結界の間に立ち、交互に捕らえられているソロモン達を見比べている。

 

「何よ!? 何をするつもりなの!? こんな所に私たちを閉じ込めて……!」

 

「言ったでしょう? 勝負をするんですよ。あなたたちは景品であり、審査員でもあるんです。ソロモンと先輩の雄としての誇りを懸けた勝負の、ね……!」

 

「え……? ひっ!?」

 

 マシュの視線が自分に向けられていることに気が付いたイリヤは、背後へと振り返って小さな悲鳴を上げた。

 そこには、全裸で陰茎を露出させたカルデアのマスターが立ち、自分を見つめていたからだ。自分はどうやら、彼と同じ結界の中に閉じ込められてしまったらしい。

 一瞬の驚きの後、これぞ好機とばかりにマスターへと襲い掛かろうとしたイリヤであったが、何故か体に力が入らず、簡単な攻撃も繰り出す事が出来ないでいる。結界の効果か、何らかの魔術か、その答えを探ろうとしたイリヤであったが、カルデアのマスターが自分のすぐ近くまで近づいていた事に気が付くと恐怖のあまり透明の壁に顔を押し付けて脱出を図ろうとした。

 

「やだっ! やだやだぁっ! 助けて、ソロモン様っ! 助けて、クロっ!」

 

 小さな拳で必死になって結界の壁を叩くも、軽い衝撃が伝わって来るばかりで一向に壊れる様子は見受けられない。クロエとソロモンの方も同じで、どう頑張っても結界が消える様子はなかった。

 そうして必死の抵抗を続けていたイリヤであったが、ついにはカルデアのマスターに捕まってしまった。その幼い体を抱き締められ、彼に抱擁されるイリヤは、半狂乱になりながら彼の手から逃れようとする。

 

「離してっ! 離してよっ! あなたなんかに触れられたくなんかないのっ!」

 

「元マスター……! イリヤに酷いことをしてみなさい! 結界が消え次第、ズタズタにしてあげるわっ!」

 

 怒りと嫌悪の感情を露にするクロエとイリヤ。二人の様子からは、はっきりとカルデアのマスターを拒絶する感情が見えていた。

 そんな彼女たちを眺めながらソロモンはほくそ笑む。今回こそは、マシュやカルデアのマスターの目論見通りにはならないだろうという予感を感じながら……。

 しかし、マシュはそんなソロモンの思いを知ってか知らずか、いつも通りに淡々と伝えるべきことを伝える為に口を開く。そして、勝負の内容を説明し始めた。

 

「今回の勝負もとっても単純です。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? この一点を競って頂きます」

 

「そんなの勝負するまでも無いわ! ソロモン様に決まってるもの!」

 

「そうよ! 無駄な事はしないで、とっととこの結界を解除して私たちに殺されなさい!」

 

 自分の両側から罵声と険しい視線を向けられながらもマシュは一向に動じない。再び口を開き、勝負の詳しい内容の説明に入る。

 

「その結界の内部ではサーヴァントの戦闘能力は著しく低下します。先輩に危害を加えようとしても無駄です。また、同じ結界の中に先輩とソロモン、もしくはイリヤさんとクロエさんの両方が存在することも出来ません。男女どちらかの交代ならば、お互いが念じることで可能になります」

 

「え……? クロエと入れ替われるの……?」

 

「イリヤ! 私と代わりたいって念じなさい! その男に抱かれるなんておぞましいこと、ずっと我慢する必要は無いんだから!」

 

「う、うんっ!」

 

 マシュの言葉を聞いたイリヤとクロエは、早速とばかりにその言葉に従ってお互いの入れ替えを試みた。

 クロエは憎き敵に抱かれる姉妹を救いたいと願い、イリヤは愛する主の傍に戻りたいと願う。すると、特になんの前触れも無く、体勢もそのままに二人が入れ替わっているではないか。

 

「ほ、本当に戻れた……! で、でもっ!」

 

 目の前にソロモンがいるという安心感に胸を撫で下ろしたイリヤであったが、自分がここに居るという事はクロエがカルデアのマスターの下に居るということに気が付いて血相を変えて振り返る。その予想通り、先ほどの自分同様にマスターに抱かれるクロエの姿を見たイリヤは、彼女に向かって大声で叫びかけた。

 

「く、クロっ! もう一度戻りましょう! 私がそっちに行って――」

 

「いいえイリヤ、これで良いわ。この状態で勝負を始めましょう」

 

「な、何言ってるのよ!? それじゃあ、クロがその男に抱かれることに――」

 

「それで良いのよ……だって、私には確信がある。ソロモン様以上の男なんて何処にも居ないし、ソロモン様よりも私を気持ち良くしてくれる雄なんて存在しないって……! だから、私がコイツの相手を少ししてあげて、それで勝負はお終いよ。イリヤは無理せず、ソロモン様と仲良くしていれば良いの」

 

「で、でも……!」

 

「良いから! ……私の方がこういうのは得意でしょ? アンタが無理して、万が一のことがあっても困るのよ。だから、ここは私に任せなさい、良いわね?」

 

「……うん、わかった……」

 

 クロエの説得を受け、イリヤは渋々といった様子でその意見に納得した。クロエもまた、そんな彼女の様子を見つめて微笑みを浮かべた後、マシュに厳しい視線を向ける。

 

「さあ、さっさと始めましょう。こんな悪趣味な勝負はすぐに終わらせて、あなたたちをやっつけてあげるわ!」

 

「まだ詳しい勝負の内容を説明し終わってはいないんですが……そこまで急ぐのなら仕方がありませんね」

 

「「ひうんっっ♡♡♡」」

 

 やれやれ、といった様子もマシュが指を鳴らせば、イリヤとクロエの体が急速に火照って快感を求め始めた。秘所からは愛液が溢れ、すぐにでも男の怒張を受け入れることが出来る程にだ。

 

「まどろっこしいのは嫌そうですから、本番セックスをさっさと始められるようにしてあげましたよ。それで、とっとと決着をつけちゃってくださいね」

 

「臨むところよ。こんな情けない男のふにゃちんなんて、あっという間にイかせて馬鹿にしてあげるわ」

 

 視線を下に向け、カルデアのマスターの肉棒を目にしたクロエは、強がり半分にそう言って鼻で笑って見せた。

 確かに巨大な肉棒ではあるが、自分たちの主だってそれには負けていないはずだ。それに、彼は自分の感じる場所を一から見つけ出していかなければならない。それまでの間にこの男を絶頂させる自信がクロエにはあった。

 

「……来なさいよ。せいぜい気持ち良過ぎて挿れた途端に射精しない様に気を付けなさいね」

 

 自ら脚を広げ、秘所を指で開いてみせたクロエが挑発的に笑う。お前など恐れるに足りない相手だと、その笑みは言っていた。

 マスターはそんな彼女を抱いたまま、秘所に亀頭をあてがう。そして、慎重に、ゆっくりと、クロエの体を労わる様にして己の分身を彼女の内部へと沈ませていった。

 

「う、ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ……っっ」

 

 クロエの幼い秘裂を押し分け、彼女の内部に挿り込む肉棒。既に開発され、柔らかくなっている膣肉はすんなりとマスターの巨大な肉棒を受け入れる。だがしかし、その質量の重さを感じずにいられるわけも無かった。

 苦し気に吐かれる息と震える膣肉。全身が細やかに痙攣し、急激に熱くなる。どろどろに意識が蕩けて混ざりそうになる感覚を覚えながらも、クロエは必死になって嬌声を堪えていた。

 

「こん、なの……全然平気よ……! ソロモン様のおちんぽの方が何倍も気持ち良いわ……!」

 

「頑張れ……! 頑張って、クロ……!」

 

 ズルリ、ズブリと肉棒を飲み込んでいくクロエ。それはゆっくりとした挿入で、じりじりと彼女を焦らす様な責めであった。

 じっくりと時間をかけての挿入はクロエに肉棒の感触をはっきりと感じさせる。熱く、激しく、硬いその感覚は、クロエの敏感な部分に地震を起こすかの様な震えを走らせた。

 そうしてたっぷりと時間をかけての挿入が一段落し、クロエの最奥まで亀頭が辿り着く。自分の内部に収まった肉棒の感覚に慣れようとクロエは必死になって口を開閉して呼吸を繰り返していた。

 

「はぁっ、あうっ、はぁ~っ……!」

 

 熱く雄々しい、それは分かる。だが、耐えられない訳では無い。少しでも早く慣れるのだ、そして心を固めて責めを耐えきらなければならない。

 荒い呼吸を整え、熱くなっている吐息を冷ます様に頬を膨らませる。段々とクロエがマスターの肉棒の感触に慣れ始めていた、その時だった。

 

「はぁぁぁぁっっ!? おくっ、はいってぇっっ!?」

 

 自分の最奥まで辿り着いた肉棒が、更に奥まで入り込もうとするかの様に侵入を再開したのだ。クロエの子宮を押し上げ、更に奥まで押し込み、マスターの肉棒は完全に彼女の内部に収まり切ろうとじんわりとした挿入を続ける。

 

「ら、めぇぇっっ! それ以上は挿ってこないでぇっ!! 赤ちゃんのお部屋押し込んじゃだめぇぇぇっっ!!」

 

 肉棒の先、亀頭が自分の子宮を押し潰しながら奥に挿ってくる感覚にクロエは恐怖を感じて叫んだ。しかし、マスターの腰の動きは止まらず、ひたすらに彼女の奥深くを開発する様に肉棒を突き入れて来るだけだ。

 彼のその行動を前に、ソロモンの肉棒に合わせたクロエの膣はいとも簡単にその形を崩壊させてしまう。子宮を押しのけられるという被虐的ながらも激しい快感を受けたクロエは、もはやセックスが始まる前からグロッキー状態になってしまっていた。

 

「はうぅぅ……っ♡♡♡ 私の、おまんこ……ひろげられちゃったぁ……♡♡♡」

 

 完璧にマスターの陰茎を受け入れたクロエは、自分の躰が躾けられ始めていることを感じ取っていた。しかし、あまりにも甘美な快感が彼女の思考を鈍らせ、遠のいた意識はマスターの責めを抵抗なく享受してしまう。

 マスターは、クロエの膣を肉棒で支配したことを確認した後、これまたゆっくりとした動きで腰を動かし始め、彼女に快感を叩き込む。

 

「おおぉぉぉぉおおっっ♡♡♡ おうんっっ♡♡♡ んひぃぃぃいっっ♡♡♡ おひんっっ♡♡♡」

 

 ずるずると、長い肉棒が自分の膣を擦りながら抜け落ちていく。大きく張ったカリが襞の一枚一枚を弾き、その度にクロエの頭の中で快感の泡沫が弾け飛ぶ。

 そして、ギリギリまで抜け落ちた肉棒が勢い良く突き入れられ、子宮に叩き付けられる度にクロエの体は小さくバウンドして震えを走らせていた。抜いて、差す、その一連の行動を受けるクロエは、ワンセットで一回の絶頂を迎える様になってしまっている。

 

「あひぃぃぃいんっ♡♡♡ あぁぁぁっっ♡♡♡ へぁぁぁぁああぁっっ♡♡♡ ほへぁぁっっ♡♡♡」

 

 彼女の口から洩れる声からは余裕がなくなっていた。子供らしい感情の籠った、大人の様な淫らな叫び。快楽の一文字に支配される体は、マスターの腕の中で彼の意のままに感じるだけのものとなっている。

 徐々にマスターが腰の動きを速め、抽挿を激しくする度、その声は大きく、熱の籠ったものになっていく。それは、クロエが紛れも無く感じている証拠であった。

 

「もっ、らめぇっっ♡♡♡ しきゅっ♡♡♡ あかちゃんのおへやっ♡♡♡ そんなはげしくノックしないでぇっっ♡♡♡ イクっっ♡♡♡ またイクっっ♡♡♡ イクのとまんないっっ♡♡♡ おちんぽとめてっっ♡♡♡ へむっっ♡♡♡ じゅるるるるるっっ♡♡♡」

 

 狂い叫び、嬌声を上げていたクロエはその口の中に舌を捻じり込まれて目を白黒させた。後頭部をしっかりと抑えられ、逃げられない状態にしたマスターは幼い彼女の甘い涎や舌を吸い取る様にしてじっくり味わう。同時に、空いている右手をクロエの褐色の小尻へと回し、震えるアヌスへと中指を突き入れた。

 突如として襲い掛かる更なる快感。舌と尻穴を弄られるクロエは、体の敏感な部分を徹底的に責めるマスターの愛撫に体をがくがくと痙攣させることしか出来ない。おまけに快感の出口となる場所は全て塞がれているせいか、体の中に叩き込まれた快感が混じり合って更に大きな快感へと変化し始めていた。

 

「んぶぅぅうっっ♡♡♡ うむっっ♡♡♡ んむぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 キスをされ、舌を貪られているせいで声を上げることが出来ない。尻穴を穿られているせいで腹に溜まる快感を放出することが出来ない。膣を肉棒で突かれているせいで、子宮は限界を超える状態にまで追い込まれてしまっている。

 せめてもの抵抗か、あるいはクロエの体が快感を少しでも逃がそうとしたのか、はたまた快感のあまりかはわからないが、クロエは失禁して尿道から黄金水を放っていた。びしゃびしゃとマスターの体に彼女の尿がかかるも、彼はそれを意に介すことはない。

 

「おっっ♡♡♡ おむぅっ♡♡♡ も、イってるぅっ♡♡♡ イってるからっ♡♡♡ んうぅっ♡♡♡ もうやめへっ♡♡♡ あむぅっ♡♡♡ んじゅっ♡♡♡ おまんこやめ、んぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 顔を捻り、何とかキスから逃れながらクロエが懇願の言葉を口にする。だが、そんな抵抗は意味を為さず、逃げる傍から唇を合わされ、ただクロエの呼吸を乱す程度の効果しか及ぼせなかった。

 マスターの腰の動きは止まらない。何度も何度もクロエの小さな腰を打ち付け、彼女の芯に快感の二文字を植え付ける。突かれ、引き抜かれ、また突かれ、引き抜かれ……その動作一つにつき一回の絶頂を迎えるクロエに、ついにその時が訪れる。

 

「あっ♡♡♡ おっ♡♡♡ あおっっ♡♡♡ んあぁぁぁぁああぁぁああああぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁああぁっっっ♡♡♡ いぐぅぅぅぅうぅぅううぅっっ♡♡♡ せーしだされてるぅぅうっっっ♡♡♡ だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇッッ♡♡♡」

 

 イキっぱなしの膣内に吐き出されるマスターの滾り。つい先ほど自分が浴びせた尿のお返しだと言わんばかりの激しい射精。絶頂し続け、敏感になっていたクロエの膣は、その熱さと濃さを寸分逃がすことなく脳に伝える。

 その快感はクロエの脳では到底処理出来ないほどの強さを持っていた。完全に彼女のキャパシティを超える快楽だった。だがしかし、雌の悦びをソロモンに教え込まれた子宮は、それよりも遥かに激しい快楽を注ぎ込まれた喜びに震え、容量が一杯になるまでマスターの精液を飲み込んでいく。

 

「おぉおおぉおぉぉおぉおおぉっっ♡♡♡ おまんこぉぉおぉおぉぉおぉおっっ♡♡♡ 私のおまんこぉぉぉおぉぉっっ♡♡♡ とまらにゃいぃぃっ♡♡♡ イクのとまらないのぉぉぉおおぉっっ♡♡♡ こわれたっ♡♡♡ おまんここわれちゃったぁっ♡♡♡ ああぁぁぁっっ♡♡♡ なんでっ、なんでまだこんなにおちんぽかたいのぉっ♡♡♡ だめだめだめっっ♡♡♡ このまま二回戦始めちゃだめぇっ♡♡♡ このままじゃ私、元マスターちんぽに負けちゃうっっ♡♡♡ んひぃいいぃいいぃいぃいぃいぃっっ♡♡♡」

 

 激しく射精し、クロエの腹をたぷたぷにする量の精液を放ったはずのマスターの肉棒は、彼女の膣内で萎えるどころか最初よりも大きくなって存在を主張していた。がっしりと両手でクロエの褐色の尻を掴み、腰を突き入れる構えを取るマスター。今度は膣だけを重点的に責め、クロエを狂わせるつもりの様だ。

 今までのセックスはただの準備体操、お前に俺の肉棒を馴染ませてやっただけだ。ここからは本気で動く、覚悟しろよ? ……何も言葉を発しないマスターではあったが、クロエは彼の表情から勝手にそんな妄想を繰り広げては泣きじゃくっていた。しかし、それは恐怖による涙では無く、与えられる快感の強さに酔ってのものであったのだが。

 

「あおおぉおおぉおぉっっ♡♡♡ んいぃいいぃいぃぃんっっ♡♡♡ イグぅぅぅうううぅうぅっっ♡♡♡ いぐのぉおおぉおおぉぉおぉぅっ♡♡♡」

 

 尻を掴んだマスターの全力の一突き、快感が膣から子宮、そして脳天までを突き抜け、クロエの意識を飛ばす。だが、次の瞬間にはまた激しい快感によって意識を引き戻され、ただ絶頂することを繰り返す。

 もう思考も抵抗もあったものではない。ただ喘ぎ、痙攣し、絶頂する、それだけだ。終わりの無い快感の渦に巻き込まれたクロエには、その快感を受け入れる以外の選択肢など存在していないのだから。

 

「ああぁぁああぁあっっ♡♡♡ またイクぅぅぅうぅぅっっ♡♡♡ ごめんなさいっ♡♡♡ ずっとイってるのぉぉっっ♡♡♡ とまらないからっ♡♡♡ おわらないからぁっ♡♡♡ もうイかせないでっ♡♡♡ もうおしあげないでぇっっ♡♡♡ もどれなくにゃるっっ♡♡♡ もどれなくなっちゃうのぉぉおぉっっ♡♡♡ あぁぁぁっっ♡♡♡ だめぇぇええぇぇぇぇえぇぇっ♡♡♡」

 

 またクロエが絶叫し、意識を遠のかせた。しかし、クロエが楽になることは無い。あまりに強すぎる快感は、彼女に意識を失うことすら許可してくれないのだ。

 そんな彼女の様子を見ていたソロモンとイリヤは、顔を蒼白にしてただ狼狽していた。目の前の光景が信じられないこともあったのだが、それ以上にあんなクロエをどうすれば良いのかがわからなかったのだ。

 それでも……イリヤは意を決するとソロモンへと向き直る。そして、頬を赤く染めながら彼への頼みを口にした。

 

「そ、ソロモン様……! 私におちんぽ挿れて下さいっ!」

 

 未熟な体にある性器を広げ、その内部を見せつけながらイリヤは口早にソロモンへと自分の考えを説明した。

 

「私とソロモン様がおまんこした状態になって、それでクロエと私が入れ替われば、クロはすぐにソロモン様のおちんぽで気持ち良くなって落ち着けるはずです! これ以上、クロがおかしくなる前に休ませてあげないと!」

 

「あ、ああ……その通り、だな……」

 

「私は大丈夫です! ソロモン様のおちんぽをたっぷりと味わってからクロと代われば、元マスターの糞ちんぽなんて屁でもありませんからっ! 大丈夫、私を信じてっ!」

 

 にっこりと明るい笑みを浮かべるイリヤ。自分への信頼が詰まったその笑顔を見たソロモンは、頷くと同時に彼女を抱き寄せて肉棒を幼い秘所へと挿入した。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡ やっぱり、どの男の人よりもソロモン様が一番です……♡♡♡」

 

 海賊の男たち、部下の魔術師、触手……そういった自分が相手して来た男たちの肉棒とソロモンのそれを比べたイリヤは、熱を帯びた声でそう呟いた。念入りに魔術で強化した己の肉棒を気に入ったイリヤの頭を優しく撫で、ソロモンは彼女へと微笑みかける。

 

「これで、大丈夫です……♡♡♡ このおちんぽでクロのことを正気に戻してあげてくださいね……♡♡♡ 私は、元マスターを搾り取ってカラカラにして来ますからっ♡」

 

「ああ、頼んだぞ。私の可愛いイリヤ……!」

 

「はいっ♡♡♡ では、行ってきますっ!」

 

 愛らしい笑みを浮かべたイリヤの姿が瞬き一つの間に掻き消えた。代わりにだらしないアヘ顔を晒すクロエが出現し、自分の陰茎を咥え込んでいることを感じたソロモンは、彼女たちが無事に入れ替わったことを悟る。

 こうなったらもう時間を無駄には出来ない、急いでクロエに快感を与えて自分への忠誠を確固たる物にしなくては……ソロモンが焦りの感情を胸に、腰を動かそうとしたその時だった。

 

「あへぇぇえぇぇぇええぇっっ♡♡♡ にゃにこれぇぇぇええぇっっ♡♡♡ しゅごっ♡♡♡ しゅごしゅぎるゅぅぅぅうぅぅっっ♡♡♡」

 

 咆哮にも近しい嬌声。耳を疑いたくなる絶叫。その声にソロモンが顔を上げれば、先ほどまで自分の腕の中で愛らしい笑顔を浮かべていたはずのイリヤが、目の前のクロエ同様のアヘ顔を晒してカルデアのマスターに抱かれているでは無いか。

 自分は大丈夫、絶対に負けない……その言葉を発してからものの数秒の間に起きた大敗北。マスターは一度腰を止めてはいるが、イリヤはただ彼の肉棒を受け入れているだけで絶頂を繰り返してしまっていた。

 

「う、そ……♡ これ、ソロモン様のより、おっきくて、熱い……っ♡♡♡」

 

 幸か不幸か、イリヤの体はソロモンに肉棒を挿入されていたことで準備が整っていた。故に、セックスを続けていたクロエと入れ替わり、急にマスターの肉棒を受け入れたところで痛みや苦しさを感じることなく、ただ快感だけを貪れる様になっていたのだ。

 そして、その快感は彼女の予想を大きく超えた強さを誇っていた。あっという間に抵抗の意思や我慢するという思いは砕け散り、クロエ同様にマスターの肉棒に子宮と膣が馴染み始めている。しかも、最初に激しいピストンを何度か受けたことで、イリヤの開発はクロエの時よりもスムーズに行われてしまっている様だ。

 

「ああ……♡♡♡ 駄目だよ、動いちゃ駄目……っ♡♡♡ このおちんぽには勝てないから……ズコズコされたら即イっちゃうから……♡♡♡ だから、動かないで……っ♡♡♡」

 

 あっさりと敗北を認め、懇願の言葉を口にするイリヤ。しかしその声には明らかに期待の感情が混じっており、肉棒によって与えられる快感を待ち望んでいる様にしか見えない。

 淫紋令呪は残酷なまでに快楽に正直だった。例えそれが暴力的な快感だとしても、宿主の雌の本能が意識してしまえば従順になってしまう。敵であれ、屈辱的であれ、自分の望む快感を与えてくれる存在には、絶対の服従を誓ってしまう。

 そう、(ソロモン)を裏切ろうとも、だ。

 

「ああっっひぃいいぃいいんんんんっっっ♡♡♡ ひゅごいぃぃいいぃいいぃいぃぃっっ♡♡♡」

 

 そして、その期待に応えるかの様に繰り出された肉棒の一突きによって、イリヤの理性は容易く崩壊した。膣に馴染んだ肉棒が子宮を押し上げる快感の虜になった彼女は、涎を垂らしながらその快楽を享受し始める。

 ぱちゅん、ぱちゅん……淫らな水音が響き、同時に幼い嬌声が漏れる。小さな尻をしっかりと掴まれたイリヤは、いつの間にか自分から脚を絡ませてマスターとのセックスに臨んでしまっていた。

 

「あぁぁぁっっ♡♡♡ だめなのにっ♡♡♡ だめなのにぃぃっ♡♡♡ きもちよすぎて、なにもできないっっ♡♡♡ ソロモン様のこと、うらぎっちゃうっっ♡♡♡ でもこのおちんぽ凄いのぉぉっっ♡♡♡」

 

 自らを包む結界の中に響く嬌声は、イリヤの本能を大きく刺激した。自分は今、敵の肉棒で感じている……その背徳感をも快楽として貪り始めたイリヤの意識とは相反して、ソロモンの元に戻ったクロエはというと……?

 

「あぁぁぁぁぁっっ! ソロモンさまぁっ! もっと! もっと奥までちんぽつっこんでぇっ! 私の奥を思いっきり突いてぇっ!!」

 

「ぐっ! ううっっ!!」

 

 苛立ちと苦しみが合わさった様な声を上げるクロエは、ソロモンに激しく腰を振られながらも満足出来ないでいた。ついこの間まではこれ以上の快感など思いつかないとまで思っていたのに、今はまったくもって物足りなく感じてしまうのだ。

 それも当然のことで、彼女の膣はカルデアのマスターの肉棒に合わせた形に代わってしまっていた。だから、それよりも貧相なソロモンの肉棒では満足出来なくなってしまっていたのだ。

 もう一度言うが、淫紋令呪は残酷なまでに快楽に正直だ。自分に快感を与えてくれる存在ならば敵であっても忠誠を誓ってしまう反面、自分の期待に応えられない男には深い失望感を抱いてしまう。たとえそれが、絶対的な信頼を置いていた魔術王であってもだ。

 

「ぐ、あぁぁぁっっ!!」

 

「え……? うそ、もう、射精しちゃったの……!?」

 

 びくびくと中途半端に震えるソロモンの肉棒。ぬるく大人しい精液の感触。まだ満足していないクロエは、自分よりも早く達してしまったソロモンに失望と軽蔑の眼差しを送る。

 一応、ソロモンの為に弁明しておくと、彼も十分に精剛(魔術で強化したからではあるが)ではあるのだ。ただひたすらにカルデアのマスターが規格外の化け物に育ってしまっているだけなのだ。

 しかし、そんなことは抱かれる女性にとっては関係ない。目の前の雄は自分を満足させられなかった。大事な事実はそれだけで、他の情報などどうでも良い。

 

「も、もう一回! もう一回しましょ? ソロモン様ならすぐに出来るよねっ!?」

 

「ぐ、ぐぐぐ……!」

 

 クロエの言葉にソロモンが歯軋りする。決して、回復が遅れているとかもう限界だという訳では無い。これはただ、彼のプライドの問題であった。

 自分を嘲る様な視線を向けたクロエ。そんな彼女の要望に応えてやりたいと思える程、ソロモンは心が広くなかった。本当なら殴り飛ばし、踏みつけ、徹底的に痛めつけ、その後で身の程を教えてやりたいと思っていたくらいだ。

 だから、ソロモンはクロエの要望にすぐに応えられなかった。そして、その行動は彼にとって致命的な失態でもあったのだ。

 

「出来ないの……? もう、限界なの……? もうおちんぽ勃たなくなっちゃったの……?」

 

「なっ!? 何を言うっ!? このソロモン王に向かって、不敬な言葉を――っ!」

 

「うぐっっ!!」

 

 明らかなる失望の眼差しと声、自分に従順であったクロエが不意に向けた絶望の感情にソロモンは怒りを露にした。

 クロエは今、自分を情けない雄だと思っている。魔術王たる自分を何の価値も無いカルデアのマスターよりも下の存在だと思い始めている。そんな感情を向けられてソロモンが怒りを感じずにはいられなかった。だから、怒気を強めてクロエの首を絞めた。全ては自分に対して不躾な態度を取ったクロエへの罰のつもりであったが、それはやはりと言うべきか最悪の方策であった。

 

「あう、あ、ぐあ……っ」

 

「あぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ らめへぇぇええぇっっ♡♡♡ おちんぽもうだめぇぇぇっっ♡♡♡ もうとめてっ♡♡♡ とめへぇぇっっ♡♡♡」

 

 酸欠でぼんやりとする頭でクロエは思う、何故自分は苦しんでいるのかと……目の前の主は怒りに燃えた瞳を自分に向け、その命を絶つための行動を起こしている。……クロエを満足させられない、自分自身が悪いというのにだ。

 意識が薄れ行く中でも、クロエの耳はイリヤの嬌声を聞き逃すことはなかった。むしろ意識が遠のいていたからこそ、この空間に響く唯一の物音を過敏に聞き取ることが出来た。

 

「んおぉぉおおぉおんんっっ♡♡♡ おまんこ、こわれるぅうぅぅっっ♡♡♡ だめっ♡♡♡ だめぇぇえぇぇっっ♡♡♡」

 

 耳に届くイリヤの声は、暴力的なまでの快感に彩られた淫らなものだった。彼女は今、雌の悦びに全身を支配されているのだとその声を聴くだけで理解出来る。

 だがしかし、あまりにも桁が違う快感を前に、イリヤの理性は崩壊寸前まで追い込まれている様だ。抱え上げられた体をぶんぶんと揺らし、肉棒を深くまで突き入れられる度に大きく開いた口から絶叫に近しい嬌声を上げて慈悲を強請っている。

 

「もうやめてぇっっ♡♡♡ おちんぽしかかんがえられなくなるっ♡♡♡ このちんぽしかかんがえられなくなっちゃうからぁっ♡♡♡ もう、もうとめてくらさいいいぃいぃぃっっ♡♡♡」

 

 最高の快感は最大の恐怖となってイリヤを襲っている。彼女はまだ、あの快感に体が慣れていないのだ。

 そして、あの快感を一度でも味わってしまえばもう終わりだ。もう彼以外では満足出来なくなる。少なくとも、今自分を殺そうとしているこの男の逸物では到底不可能な話になってしまう。

 

(いい、な……♡ イリヤ、羨ましいな……♡)

 

「むりぃぃぃいっっ♡♡♡ ごめんな、ごべんなざいぃぃっっ♡♡♡ もうおちんぽむりらからっ♡♡♡ いちどとめへくらしゃいぃぃいぃっっ♡♡♡」

 

 狂った様に叫ぶイリヤが、あの快感を味わえるイリヤが、彼の肉棒を受け入れられるイリヤが、羨ましくて仕方が無かった。こうして死にかけている自分と、快楽によって壊されかけているイリヤ、どっちが幸福な崩壊かと問われれば返答に困るが、クロエにはもう一人の自分の壊され方の方が何百倍もましに思えた。

 そう、情けない男の八つ当たりによって死にかけている自分と、未知の快感に酔わされて壊されかけている妹、どちらが幸福かと聞かれれば、クロエは間違いなくイリヤの方だと答えただろう。

 そして、その感情と相反した物をイリヤも抱いていた。すなわち、この状況から逃げたい、代わって欲しいという思い……お互いがお互いの立場の交換を願ったその瞬間、結界の効力が発動して瞬時に二人の体を入れ替える。

 

「んひぃいぃぃぃぃいいぃぃんっっ♡♡♡ はぁぁっっ♡♡♡ き、たぁっ♡♡♡ この、ちんぽ、きたぁぁああぁっっ♡♡♡ あっ♡ まけにゃいっ♡♡♡ 私はまけないっっ♡♡♡ い、イリヤの分も、私がザーメン搾り取ってあげるわっ♡♡♡ だ、だから、このまま私の相手を――んほぉおぉおぉおほぉほおぉっっ♡♡♡」

 

 イリヤと入れ替わったクロエは、当然の如く膣に挿入されていた肉棒の感触に甘い声を上げる。表情も蕩け、瞳も潤んでいたが、一応とばかりに抵抗の言葉を口にする彼女であったが、体を反転させられて尻穴を穿たれれば、その言葉は野太い喘ぎ声となってなんの意味も為さない嬌声と変わってしまった。

 

「んっほほぉほほぉぉっっ♡♡♡ まけにゃ、まけにゃいぃぃいっっ♡♡♡ 極太ちんぽにお尻ほじほじされてみょっ♡♡♡ れったいはんじはりにゃんかひにゃいんらからぁっっ♡♡♡ んおぉぉおっほぉぉぉっっ♡♡♡ イクっっ♡♡♡ イクぅぅぅうぅぅっっ♡♡♡」

 

 尻穴深くを肉棒が抉る。熱い杭が腹の中を穿り、今まで感じたことの無い快感をもたらす。

 小さな尻が跳ね、到底全て入りっこないと思える巨大な肉棒を肛門で受け入れる様は、一種の神秘的な光景にも思えた。アナルで味わう魅力的な快感に表情を蕩けさせるクロエ。そんな彼女の目の前に立ったマシュは、微笑みを浮かべながら語り掛けた。

 

「ね? 気持ち良いでしょう? クロエさんももう先輩のおちんぽに夢中ですよね?」

 

「ん、えぇ……っ♡♡♡ しょんな、ことぉ……♡♡♡ にゃ、いぃ……っ♡♡♡」

 

「あははっ! 何言ってるんですかぁ♡ 今、自分が何してるか分かって無いんですか?」

 

「えぇ……っ♡♡♡」

 

 マシュにそう言われたクロエは、呆けた表情のまま硬直してしまう。そして、それと同時に自分が一心不乱になってマスターに跨っていたことに気が付いた。

 マスターはもう、腰を動かしていなかった。クロエの肛門に肉棒を挿入し、彼女を自身の腰の上に座らせ、ただ座っているだけだった。

 そう……クロエはただ一人、必死になって腰を振って尻穴でマスターの肉棒を味わい続けていたのだ。彼女は誰に命令された訳でも無く、自分の意思で快楽に屈してしまっていた。

 

「あ、あ、あ……♡♡♡」

 

「……ほら、もうお尻の穴も先輩のおちんぽに躾けられちゃいましたよ? そうなった雌穴がどうなっちゃうかは、さっき身を以って体験したでしょう?」

 

「くぅ、あぁ……っ♡♡♡」

 

「もうクロエさんのおまんこはソロモンの情けないちんぽじゃあ満足出来ないんです。お尻の穴もそう……本当の快感を知っちゃったクロエさんの体は、先輩以外の男の手では気持ち良くなれなくなっちゃったんですよ……♡」

 

「ふっ、あっ♡ そん、な……♡」

 

「……それで、どうします? またイリヤさんと交代して、ソロモンに抱かれます? クロエさんを満足させてくれない短小ちんぽに跨って、温~い精液で我慢して、中途半端に体を慰められて、燻ったままの体を持て余しますか?」

 

「い、あ……ぁぅ……♡♡♡」

 

「ほら、見て下さいよ……! クロエさんと交代したイリヤさんも可哀想な目に遭っていますよ。どれもこれもあの情けない雄のせいですね……♡」

 

 結界の縁に体を押し付けられたクロエは、マシュに指し示されたイリヤたちの方向へと視線を向けた。彼女の言う通り、イリヤもまた先ほどのクロエ同様にソロモンの性技では全く感じることが出来ていない様子で、悲痛な叫びを上げてソロモンに快楽を強請っている。

 

「ソロモンっ、さまぁっっ!! もっとっ! もっとぉぉぉっ! 私のおまんこぱんぱんしてくださいっっ! こわれちゃうくらいにっっ! そうじゃなきゃ、そうじゃなきゃ……っ! 元マスターのちんぽに夢中になっちゃうっっ!」

 

「くっ! お、落ち着け! 落ち着けと言うのがわからんのか!?」

 

「だめぇっ! こんなのじゃ足りないっ! こんな、こんなおちんぽじゃあ気持ち良くなれないぃ……っ! ソロモン様っ、お願いですから私を気持ち良くしてください……! お願いします……!」

 

「ぐぅぅぅぅぅ……っ!」

 

 イリヤの膣から漏れる白濁液は、粘度も熱も量も、普通の男とは格別のレベルを誇っていた。だがしかし、もう一人の自分と尊敬すべき主の性交を眺めるクロエの目には、それがどうしようもなく物足りない物体に見えてしまっている。

 今、自分の子宮を焦がす精液に比べれば、あんなものは大したことが無いのではないか……? いや、実際にそうだった。この精液を受け止めた後にソロモンに射精されたが、まったくもって子宮は震えることはなかった。まるで期待外れの生温い快感しか与えてくれなかった。

 

「なんでッ!? なんでよっ!? なんで気持ち良くしてくれないのっっ!? こんなにお願いしてるのにっ、なんでっっ!?」

 

 泣き叫ぶイリヤの声が失望と怒りの感情に染まる。その光景を見ているクロエもまた、ソロモンに対する失望の気持ちで胸が一杯になっていた。

 彼は自分たちを満足させてはくれない。一生懸命に尽くして来たのに、褒美を与えてはくれない。それどころか、自分の情けなさを棚に上げてクロエを殺そうとした。それは彼がいかに短絡的で感情的な主であるかを証明してしまっている。

 泣き叫ぶイリヤ、茫然とするクロエ……ぐらつく心がソロモンの側から傾き始め、徐々にその形勢を決め始めている。そんな二人の心に駄目押しをする様にして、マシュは小さく呟いた。

 

「……その男が何をしてくれるんですか? お二人を満足させてくれる? 心から愛して、大切にしてくれる? 心地良い空間を作り上げ、快く迎えてくれる? ……何もしてくれないですよね?」

 

「あ、ぅ……」

 

「お二人は騙されているんですよ。その男は自分を強く、素晴らしく見せているだけの人間――ただの下種なんです。よ~く思い返して下さい、その男はお二人に何をしてくれましたか?」

 

「い、ひぃ……っ!?」

 

「……何もないでしょう? それどころか、苦しみと痛みを与えられた記憶しかないんじゃないですか? ほら、だんだんわかって来たでしょう? そいつがどれだけ酷い男なのかってことに……!」

 

「あ、あ、あ……あああぁあぁぁぁぁあああぁぁぁあぁっっッッ!?!?!?」

 

 マシュの言葉に弾ける様に立ち上がったイリヤは、跨っていたソロモンの肉棒から急速に離れて距離を取る。そして、自分と同じ空間に居る彼に対して、恐ろしい物でも見るかの様な視線を送っていた。

 クロエもまた頭を抱えて苦し気に呻いている。二人の脳裏には、今日に至るまでにソロモンから受けた屈辱と苦しみの日々が思い浮かんでいた。

 

 否応なしに純潔を奪われた。意思を剥奪され、汚い男たちに腰を振らされた。衆人環視の下で排泄を行わせ、誇りを奪った。大切な母親の目の前で男たちに抱かれ、彼女を傷つけた。自分たちの体に害があるかもしれない礼装を寄生させ、無理矢理に霊基を強化させた。

 犯された、辱められた、汚された……一つ一つの思い出が浮かぶ度、吐き気がこみ上げて来る。何故、自分たちはあの仕打ちを喜んでうけいれていたのだろうか? 何故、自分たちは仲間たちを裏切ってこんな男に腰を振っていたのだろうか?

 

「い、いや……いやあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!! 出してっ! ここから出してぇっ!!」

 

 半狂乱になったイリヤは、閉じ込められている結界の壁を叩いてクロエとマスターの方向へと泣き叫ぶ。その表情は、もう一秒たりともこの男(ソロモン)と同じ部屋の空気を吸っていたくないと訴えていた。

 

「ごめんなさいっ! 裏切ってごめんなさいぃっっ!! 私が悪かったですっ! 反省してますっ! だから、だから……私をカルデアに帰してっ! 皆の所に戻してよぉっ! もう犯される毎日は嫌なのっ! 誰か助けてぇぇぇっっ!」

 

「い、イリヤっっ!!」

 

 姉妹の必死の訴えを聞いたクロエもまた、かつて抱いていた彼女を守りたいという気持ちを正気と共に取り戻した。

 壁に手を伸ばし、結界を叩いてイリヤを迎えに行こうとするクロエ。しかし、そんな彼女たちの邪魔をするべくソロモンは泣き叫ぶイリヤを後ろから抱きしめて身柄を拘束してしまった。

 

「やだあぁぁぁぁぁっっ! はなしてっっ! はなしてよぉぉぉっっ!!」

 

「黙れっ! ……貴様らをみすみす逃がす気はない! 淫紋令呪の呪縛が外れかけているのなら、もう一度洗脳し直すだけだ!」

 

「あがっ!? あがががががっっ!!??」

 

 手の甲の淫紋令呪を光らせたソロモンは、彼女たちの尻穴に寄生する礼装に命令を下した。今すぐに腹を突き破り、宿主を抹殺しろ――これで、消滅した二人を無理矢理に自分の元に再召喚出来る。そうなってしまえば、また一から彼女たちを躾けてやれば良いだけだ。今度こそ、二度と歯向かう気持ちなど生まれない様に徹底的に心を砕いてやれば良い。

 腹部が膨れ上がり、今にも中から何かが飛び出して来そうな二人を見たソロモンは額に汗を流しながらもニヤリと笑う。今度こそ、カルデアの一味に一杯食わせてやったと思った彼は、勝ち誇った声で叫びを上げた。

 

「これで終わりだ、カルデアのマスター! ここまでよくやったと思うが、全て無駄な努力だったな!」

 

 結界を隔て、苦しむクロエを抱き締めるマスターへと勝利宣言を口にするソロモン。マスターは、そんな彼のことを感情の籠っていない瞳で見ていたが――

 

「……いいや、これで良いんだ。お前は俺たちの思い通りに動いてくれた」

 

「……は?」

 

 突如として口を開いたマスターは、口の端を歪めてソロモンを嘲笑った。それと同時にクロエとイリヤの腹の膨らみが治まり、元通りの子供の柔らかい腹部の形を成す。

 

「なっ、何だとっ!?」

 

「うふふ……♡♡♡ 本当にお馬鹿さんですねぇ! いい加減に学習してくださいよ。これは夢なんですよ? 夢の中では、あなたの命令が現実に届くはずがないじゃないですか! 無駄な努力をしていたのはあなたの方なんですよ!」

 

「!?!?!?」

 

 マシュの嘲りの言葉に顔を青くしたソロモンは、単純なミスを犯した自分に苛立ちを隠せなかった。あまりにも屈辱的な仕打ちに理性を焼失させた結果、まったくもって無駄な行為をしてしまった自分に舌打ちをするソロモンであったが、拘束していたはずのイリヤの姿が自分の前から消えていることに気が付いて目を見開き、そのイリヤが何時の間にやらクロエ同様にカルデアのマスターの元に移動している光景を目にして口をあんぐりと開けたまま硬直してしまった。

 

「……イリヤ、クロエ、見ただろう? アイツは、二人のことを替えの利く道具としか思ってないんだ。いざとなったらポイして、新しい二人を呼び出す……そんな男なんだよ」

 

「う、うん……!」

 

「悪いけど、俺はそんな奴の所に二人を置いておけない。二人が嫌だと言ってもカルデアに連れて帰るつもりだ」

 

「わ、私たちも、もう戻りたくない……! 今までごめんなさい! 良い子にするから、カルデアに戻してください!」

 

「何でも言う事を聞くから! だから、私たちを見捨てないで……!」

 

「……大丈夫、カルデアの皆は二人を見捨てたりしないよ。一緒に戻ろう、アイリさんたちも待ってくれてるからさ」

 

「ママ……! ママが、待っててくれる……!」

 

 マスターの説得を受けて少しずつ光が戻って来た二人は、カルデアの仲間たちや家族の顔を思い浮かべて胸に希望を抱く。しかし、そんな二人の邪魔をするかの様にソロモンの嘲笑う様な声が響いた。

 

「無駄だ! この夢から醒めたら、すぐにお前たちに植え付けた寄生生物を暴走させてやる! お前たちが寄生生物を除去するよりも私が命令を下す方が早い! 二人はまた、このソロモン王の元に戻って来る運命なのだ!」

 

 咆哮にも近しいその雄叫びはソロモンの最後にして最大の抵抗だった。遠く離れた場所に自分が居る以上、彼らは自分の行動を妨害することは出来ない。となれば、目覚めてから即、動くことが出来る自分の命令が早いことは決まっているだろう。

 だが――カルデアのマスターは、そんなソロモンの叫びを一笑に附すと彼に向って問いかけた。

 

「ソロモン、まだ気が付かないのか?」

 

「ふん? 何の話だ? ハッタリならなんの意味も――」

 

「ああ、先輩、この男に何を話しても無駄ですよ。何一つとして理解出来ないから、ここまで()()()()()()んですからね」

 

「何……? ぐっっ!?」

 

 マシュの意味深な言葉を耳にした途端、ソロモンに鈍い頭痛が走った。そして、彼はとある事実に気が付く。

 ぶるぶると震え、あっという間に顔面を蒼白にするソロモン。そんな彼に向け、マシュが笑みを浮かべながら言った。

 

「ああ、ようやく思い出したんですね! これで28回目の敗北だってことに!」

 

「ふざ、けるな……! 貴様、このソロモン王を愚弄してっ!」

 

「改めて説明しますと、この夢はあなたがイリヤさんとクロエさんに見捨てられた時、つまりは先輩に負けた時点でリピートされます。そして、その一連の流れを忘れた状態で、またあなたは先輩との戦いに臨む訳です。ちなみに、あなたが夢から醒めるには、先輩に勝つか現実世界でイリヤさんたちの体から寄生生物の排除が終わるかのどちらかしかありません。あなたが一回目に敗北した時点で……先輩やイリヤさんたちは、もうとっくに目覚めているんですよ」

 

「このっ! このぉぉっ!!」 

 

「どんな気分ですか? 何回も間違えて、何回も見捨てられて、何回も敗北する気分は? 毎回毎回、自分が情けない短小ちんぽしか持ってない次第点以下の雄だって思い知らされて悔しく無いんですか? あんな小さな女の子たちも満足させられないどころか愛想をつかされて恥ずかしくないんですか?」

 

「ぐぐぐ、ぐぐぐぐぐっっ!!」

 

「……まあ、そろそろイリヤさんたちも寄生生物を排泄し終わるころでしょうし、馬鹿なあなたも目覚められるんじゃあないですか? それまでの間に何連敗出来るか、凄く楽しみですね!」

 

「待てっ! ふざけるなっ! この、この……浅ましい雌めがっ!!」

 

「それじゃあ頑張ってくださいね! 30連敗まで記録を伸ばすこと、期待してます!」

 

 口から泡を飛ばし、顔を真っ赤にして叫ぶソロモンの周囲の世界が渦巻いていく。また世界のリセットが行われることを悟りながら、ソロモンは胸の怒りのままにマシュに叫び続ける。

 だが、当のマシュは涼しい顔のまま笑みを浮かべると、最後にソロモンに向けて嘲笑と共に言葉を残して消えてしまった。それと同時に自身の感情の全てが掻き消えていくことを感じたソロモンは、苦々しい叫びを上げて負け犬の遠吠えを晒したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はっっ!?」

 

「ソロモン様! ようやくお目覚めになられたのです――うぐっ!?」

 

「答えろ雌蛇、私は何日目を覚まさなかった?」

 

「お、およそ一週間ほどです……! その間、ソロモン様にご報告したいこと、がはっ!?」

 

「何故もっと早く起こさなかった! 違和感を感じぬ程、お前たちは愚かなのか? ああ!?」

 

 ベッドから起き上がると共に傍に居た清姫を突き飛ばしたソロモンは、彼女の体を何度も踏みつけながら苛立ちをぶつける。夢から目覚めた彼は、幾度となく重ねた敗北の全ての記憶を持っていた。当然、それに連なる悔しさと屈辱も感じている。

 結局、自分はイリヤとクロエの心を繋ぎ止めることは出来なかった。数えきれない程の敗北を重ね、その度にマシュに嘲笑われた後で夢を最初からやり直し続けたのだ。

 一度も勝利出来なかった自分が目覚めたということは、もう既にイリヤたちに寄生させた礼装は排除されてしまったのだろう。燃え上がる怒りを足元の清姫にぶつけるソロモンであったが、苦し気な声で呟く清姫の言葉を耳にして更に怒りを募らせた。

 

「わ、私は、何度もソロモン様をお呼びしました。しかし、どんな手を使っても貴方様は目覚めなかったのです……! 私にどうすればよかったと言うのですか……?」

 

「このソロモン王に口答えするか!? 雌奴隷の分際でっ!」

 

「ああっ!?」

 

 反抗の言葉を口にした清姫の背に魔術で編み上げたムチでの一撃を食らわせるソロモン。乾いた音を鳴らして清姫の柔肌を裂いたムチでの一撃は、痛々しい跡を彼女の体に残していた。

 蹲り、さめざめと涙する清姫。しかし、怒りが収まらないソロモンはなおも彼女をムチで打とうと腕を振り上げたが、それを止める様にして割って入った頼光が火急の要件を彼に告げた。

 

「ソロモン様、大変です! オケアノスから帰還した男たちが、全員不能になってしまいました! 士気の低下は他の男衆にも伝わり、今や雌奴隷と化したサーヴァントたちを抱く男の数はめっきり減ってしまっています!」

 

「な、なんだと!?」

 

「このままでは雌奴隷たちの不満は広がるばかり、ソロモン様に楯突く者も出て来るやもしれません! 急ぎ問題の解決を!」

 

「こ、これもカルデアの奴らの仕業なのか!? この私を手玉に取る程の魔術師が、カルデアに居るというのか!?」

 

 雌奴隷たちを奪還されたどころか、自分たちの陣地に打撃を与えてきたカルデアの策略にソロモンは頭を抱える。だがしかし、まだ希望はあるとばかりに立ち上がると自分に言い聞かせる様にして叫ぶ。

 

「まだだ! まだカルデアに送り込んだ()が居る! 奴が暗躍すれば、カルデアを瓦解させることも可能だ!」

 

 切り札の活躍に期待し、拳を握り締めるソロモン。取り合えずは男たちの士気を回復させる為の手を打つべく行動を開始した彼は、大股で部屋を出て行く。

 部屋の中に残された清姫と頼光は、どこか不安気な表情を浮かべたまま天を仰ぎ見ることしか出来ないのであった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 黒き聖女は堕落を望む 覚醒編(ジャンヌ・オルタ)

 硬い透明の壁を隔て、彼が自分を見つめている。全裸の、発情してピンク色に火照った体を余すことなく彼に視姦されている。

 狭いケースの中に手を付き、尻と乳を押し付けるオルタ。張り付き、潰れた淫らな彼女の肉体は、透明な箱の中に展示される美術品の様になっていた。

 

「良いよ、オルタ……! 凄くいやらしくて、とても綺麗だ……!」

 

「はぁっ♡ はぁぁっ……♡」

 

 自分をこの箱の中に閉じ込めたマスターは、恍惚とした表情で自分を見ていた。それは、作家が自分の作り出した作品を見つめる視線によく似ていた。

 全霊を持ち、全ての力を注いで作り上げた最高傑作……『雌奴隷 ジャンヌ・オルタ』の彫像を眺める様にして、彼はそっとケースに手を置き、口を開く。

 

「辛抱堪らないっていう表情、火照って震える体、肌に浮かぶ汗の一粒……その全てが、オルタを最高に美しく表現してくれている。素晴らしいよ、オルタ」

 

「め、雌奴隷をそんなに褒める必要なんて、無いでしょ……? どうして、そんな――」

 

「何もおかしくなんか無いよ。美しい物を美しいと言うことの何が変なのさ? 雌奴隷であってもオルタは美しい、それは不変の事実だろう?」

 

「あぅ……♡ 変な、気分……♡ 自分を雌奴隷にした人間に褒められるなんて……♡」

 

「当然でしょ? オルタを堕とした俺だからこそ、君の美しさを理解しているんだ。だってそうなる様に仕立て上げたのは俺なんだからね」

 

 ゾワリとした震えが、オルタの背筋に走った。それは甘美な震えで、自分を堕落させる毒の様な痺れだった。

 彼の手で仕上げられることが、雌奴隷と化した自分を愛でられることが嬉しかった。堕ちた自分を美しいと褒めて貰えて、心が震えた。

 自分の差し出した全てを磨き上げ、そうして作り上げられた今のジャンヌ・オルタという英霊は、かつて竜の魔女と呼ばれていた恐ろしい彼女では無くなろうとしている。今度こそ完璧に、カルデアのマスターの性奴隷になろうとしているのだ。

 

「……さあ、仕上げを始めようか」

 

 透明な壁越しにそう呟いたマスターは、オルタの瞳を真っすぐに見つめる。ついに自分が完全なる堕落を喫するのだと理解したオルタは、心臓を高鳴らせて彼の視線を受け入れた。

 

「……唇、胸、尻、全身の肌……オルタの体は俺が徹底的に躾けた。今はもう、感じ過ぎている位だ」

 

「ええ、その通りです……♡ 全身発情して、いやらしい臭いがケースの中にプンプン漂っていて……♡ これ全部が私の醸す臭いだなんて、到底信じられないわ……♡♡♡」

 

 狭いケースの中には、雌のいやらしい臭いが充満していた。汗、愛液、涙、涎、体臭――オルタの放つそれらが複雑に混じり合い、男を求めるフェロモンを醸し出す。逃げ場の無いケースの中でそれは、オルタの脳を蒸発させる一種の興奮剤となっていた。

 

「乳首もビンビンに勃起して、硬くなっているだろう? ケースに押し付けて、潰して、感じているんだろ?」

 

「はい……♡ コリコリになった乳首とおっぱい、壁に押し付けて気持ち良くなっています……♡」

 

「お尻の肉もむっちりしてる。それに……アナルもひくついて、物欲しそうに疼いてるよ。浅ましいね」

 

「ああ、ごめんなさい……♡ でも、お尻の穴が言う事聞いてくれないんです……♡」

 

「いいさ、今のオルタは最高に美しい。雌奴隷として在るべき姿だ……ただ一点を除いてね」

 

「あ、くっ、あぁ……っっ♡♡♡」

 

 ケースの周りを一周しオルタの体を一つ一つ評価するマスター。再び彼女の真正面に戻って来たマスターは、ガラスケースを隔ててすぐ近くの距離でオルタの瞳を見つめる。

 彼の瞳を見たオルタは、全身から力が抜けて行くことを感じていた。同時に、湧き上がる感情に嬌声を上げて仰け反ってしまう。

 

「ああっ♡ だめっ♡ これに飲まれちゃ、だめぇ……っ♡」

 

 ゾワゾワと湧き上がるそれは、あまりにも甘い誘惑であった。しかし、それが故に一度乗ってしまえば最後だということは容易に分かった。

 この感覚に飲み込まれてしまえば取り返しのつかないことになる……オルタは全身を痙攣させ、大きく仰け反りながら歯を食いしばり、その感覚を堪えようとしたが――

 

「オルタ、何を我慢しているんだい? 抵抗は止めて、早く身を任せてしまえ」

 

「あ、ああぅっ♡ だめっ、マスター、だめっっ! これはだめよっ! これに飲まれたら、私は全てを失ってしまうわ……!」

 

 ジャンヌには分かっていた。今、自分の体から力が抜けているのは、ただの快楽による脱力では無いことを。これは、本気の堕落が始まろうとしているということに気が付いていた。

 この感覚を受け入れてしまえば最後、自分は戦闘能力や知性、そして数々のスキルを失ってしまうだろう。そうなってしまえば、彼の為に戦うことは出来なくなってしまう。だからオルタは堕落を拒もうとした。だが、そんな彼女の思いは、彼の言葉によって徐々に瓦解し始める。

 

「全てを失う? そんなことは無いよ。俺が作り上げたその美しさと、ジャンヌ・ダルク・オルタナティブという人間の意思はしっかりと残る。オルタは、戦う力を失うだけなんだ」

 

「それは、大問題じゃないっ! そんなことしたら、私はアンタの為に戦えなくなっちゃうっ!」

 

「ああ、なんだ……そんなことを気にしてたんだ? そんなことはどうだって良いんだよ。だってオルタは俺の()()()じゃあないか」

 

「え……?」

 

 全身の感覚が失せる。震えが、痺れが、完全に無くなる。マスターの瞳を見ていたオルタは、その一言を耳にして体を硬直させた。

 

「オルタ……雌奴隷が、どうして戦う必要がある? オルタの役目はなに? 戦うことなの?」

 

「それ、は……」

 

「……俺に服従し、快楽を与えるために奉仕すること。それが雌奴隷の役目……オルタの使命だろう? その為に戦う力は必要かい?」

 

「で、でも……」

 

「もしかして……オルタの考える雌奴隷っていうのは、主の言うがままに戦ったりセックスしたりする存在ってことなのかな? 自分の意思は関係なく、人形の様に振舞う存在ってこと?」

 

「え? あ? え?」

 

「……オルタ、それは誰に植え付けられた価値観なのかな? 少なくともオルタの中から生まれた価値観じゃあないよね? まるで、誰かからそうされた記憶があるから、そういうものだと思い込んでるって感じだ。……だから君の淫紋令呪は黒いままなんだよ」

 

「っっ……!?」

 

 マスターの指摘を受けたオルタは息を飲み、そして愕然とした。自分の精神はまだ、あの男(ソロモン)に縛られていることに気が付かされたからだ。

 雌奴隷、その言葉を聞いたオルタはソロモンの元で過ごした日々を思い浮かべ、再びこうなるのだと勝手に思っていた。何でもかんでも言いなりになる存在こそが雌奴隷だと思い込んでいた。

 だが、カルデアのマスターが作り上げようとしている存在はそうでは無い。彼はもっと深く、もっと暗い所までオルタを堕とそうとしている。彼の言う雌奴隷とは、ソロモンの作り上げた自分の姿とはまるで別物なのだ。そして――それこそが、自分が望んだことだった。

 

「あ、は、は……♡ あはははは……♡」

 

 じんわりと、体に熱が戻って来る。消え去った感覚が、震えが、再びオルタの全身に舞い戻る。

 そうだ、自分はソロモンの雌奴隷であったことを忘れたかった。だから彼にこんな狂ったことを望んだ。その自分が、かつての仕打ちを胸にしたままでは何の意味もないではないか。

 ソロモンの作り出した雌奴隷に戻っても、それは今のマスターの雌奴隷になれたという訳では無い。むしろ逆だろう。

 本当に彼の物になると言うのならば……それを更に超える程の存在に堕ちるしか無い。そして、その為のお膳立ては彼が全て整えてくれた。後は、自分が底知れぬ深淵へと脚を踏み出すだけなのだ。本物の雌奴隷に堕ちる為に……!

 

「雌奴隷……! 私は、アンタの雌奴隷……! 雌奴隷は主に快楽を与えることが使命、おちんぽに奉仕することが役目……それ以外のことは何も考えなくて良い……!」

 

「……続けて」

 

「た、戦う力も、スキルも、いらないっ! そんなものもう必要ないっ! 喜んで捨てるっ! 捨てますっ!」

 

「……うん、それで?」

 

「なにもかもを捨てるっ! 不必要なものはすべてっ! 私に必要なのは、淫らに整えられたこの躰と私自身の意思! そして、そして――」

 

 潤んだ瞳でオルタは目の前の青年を見つめた。数奇な運命を辿り、こうして縁を結び、また新たな関係を築くに至ったこの人間。彼と自分の間で紡がれた絆の根底にある物を確かめたオルタは、何よりも大切なその答えを口にする。

 

「あなたを愛する心だけを持って、私は全てを捨てるわ……! それだけが、私の全てだから……!」

 

 自分は彼を愛している。決して器用では無く、愚直で、とても優しい彼を愛している……だから、こういう関係を結ぶことを望んだ。堕ちたとしても、主はソロモンでは無く彼が良いと願った。そして、彼はその願いを叶えてくれた。

 狂ったから堕ちる訳では無い。堕ちたから愛する訳でも無い。()()()()()()()()()()。どこまでもどこまでも、彼への愛と彼からの愛を証明する為に自分は堕ちるのだ。

 

「ねえ、マスター……あなたは淫らに堕ちた私を愛してくれる? もうあなたの為に戦えなくなった、価値の無いサーヴァントを愛してくれるのかしら?」

 

「当然だよ、それは俺が望んだことでもあるんだから。逆に聞くけど、オルタも覚悟は良い? 脚を踏み出したら最後、もう二度と俺は君を離さないよ? ずっと深く、淀んだ場所に君を沈めて、俺から二度と離れられなくしてあげる……その覚悟は、良い?」

 

「サイッコーの展開じゃない! あなたと一緒なら、煉獄の底でも地獄の果てでも何も怖れることは無いわ……! あなたに全てを捧げられて、あなたと永久に在り続けられるなんて、願ったり叶ったりよ」

 

「そっか……お互いに思いは一緒だね。なら、そろそろ始めようか?」

 

「ええ……終わらせましょう。そして、新しく始めましょう……♡♡♡」

 

 彼と共に小さく微笑みを浮かべたオルタは、拒み続けていた感覚に心と体を預け、全てを受け入れた。体の力は全て抜け、途方も無い虚脱感に全身が支配される。だが、それでもオルタは今の体勢を崩すことはしない。まるでガラスケースの中でこの一瞬を永遠に残しておくかの様に、彼女は体を固定したまま微動だにしない。

 

(ああ……♡ 分かる、分かるわ、マスター……♡ 自分が沈んでいくことが分かる。深い水の底にいる、あなたの元へと沈んでいく……♡ もう二度と這い上がれ無くっても良いわ♡ 愛するあなたが抱き締めてくれるのなら、それで……♡)

 

 オルタの脳裏に映像が浮かぶ。それはかつての自分、ソロモンに堕とされて彼に抱かれている自分の姿。ソロモンに命じられるがままに股を開き、腰を振っていた愚かな自分、何も考えずに快楽のままに酔っていた意思の無い肉人形の自分の姿だ。

 今、改めて思えば滑稽なことだ。あの頃の自分は何の意思も無く主の言う事に従っていた。いわばそう、ダッチワイフと呼ぶべき存在であった。ソロモンはそんな自分を見て満足し、跨って腰を振っていたのだ。

 馬鹿な男だ。洗脳し、壊れたラジカセの様に意思の無い愛の言葉を繰り返すだけの人形(ジャンヌ・オルタ)を見て、自分はこの女の全てを手に入れたと思い込んでいた。ラブドールを抱き、全てを支配した気になっていた。だが結局、ソロモンはオルタの何一つとして手に入れることは出来ていなかった。自分が作り上げた肉人形のジャンヌ・オルタという存在を見て、ただ満足していただけだった。

 淫紋令呪の洗脳が解ければオルタはソロモンを愛さない、大切に思いはしない……だが、彼に対しては違う。自分は洗脳されたから彼を愛しているのではない。大切に思っているのではない。彼もまた、自分に利用価値があるから愛してくれているのではない。

 この堕落は決して悪いことでは無い。サーヴァントとマスター、男と女、愛し合う者同士……そんな彼と自分の関係性に新たなものが加わるだけなのだ。結局は何も変わらない。根底にあるのはお互いを想い合う心なのだから。ただ、その場の状況によってお互いの振る舞いを変えれば良いだけなのだ。

 そして、雌奴隷と主という新たな関係は、他の誰も彼と築けていない絆だ。堕落し、淫蕩に耽り、ただ快楽の僕となったサーヴァントとなるのは、自分が初めてなのだ。

 

(愛しているわ、マスター……♡ 私の全てはあなたのもの。私の全てはあなたの為にある……そう、思えるから……♡)

 

 オルタの心は澄み切っていた。明確で、クリアになった思考は、堕ちた体に更なる変化をもたらす。

 下腹部に刻まれていた黒の淫紋令呪。雌奴隷……いや、肉人形の証たるそれが、完全にひび割れて跡形も無く消え去る。その下から浮かび上がった新たな令呪は、燃え上がる炎の様な煌々とした紅の色をしていた。

 そう、これでジャンヌ・ダルク・オルタナティブは、彼女は、ソロモンに所有される部分を完璧に排除した。女としても、雌奴隷としても、ソロモンを主とは認めなくなった。

 自分の全ては愛する彼の物だ、そう思い、微笑みを浮かべたオルタの全身を幸福と快楽が包み、そして――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キィィ、と扉が開く。ケースの中から足を踏み出したオルタは、目の前に立つ青年の真正面で気を付けの姿勢で立ち止まった。

 背後にあったはずのケースは消え、この空間には男と女が一人ずつ存在するだけとなる。男は、目の前で裸体を晒す女に向けてこう言った。

 

「君のことを教えてくれるかい、オルタ……」

 

「ええ、勿論よ。私のマスター……♡」

 

 頷き、微笑んだオルタの爪先から光が湧き上がる。彼女の全身を包んだその光は、一瞬にして彼女に黒いドレスを纏わせ、彼女本来の姿を描き出した。

 

「私は復讐者(アヴェンジャー)、ジャンヌダルク・オルタナティブ。あなたの敵を排除し、私の憎悪、怒り、心を否定する者を焼き尽くす者。そして――」

 

 再びオルタの体を光が包む。今度は頭の天辺から爪先へ、先ほどとは逆に纏った衣服を剥ぐ効果をもたらした光の動きに合わせ、オルタもまた反転して自身の背中をマスターへと向けて大切な言葉を告げる。

 

「ただの……あなたを愛する一人の女よ……♡」

 

 白く、美しい聖女の背中。そこには真っ赤な模様が刻まれていた。

 カルデアの令呪、竜の翼、そしてハートマーク……その全てが美しく調和し、混じり合った新たな令呪をマスターへと見せつけるオルタは、その行為を以って自身の霊基が三度目の再臨を迎えたことを彼に伝えた。

 

 目の前で輝く紅の光に眼を細めたマスターは、淫紋令呪が刻まれた美しいオルタの背中に手を這わせる。そこを撫で、笑みを浮かべながら、彼は一枚のカードを彼女の眼前に差し出しながら口を開く。

 

「綺麗だよ、素敵だよ、オルタ……! さあ、もう一つの君の顔を教えてくれ……!」

 

「……はい、ご主人様(マスター)……♡」

 

 先ほどと同じ呼び名、だが少しだけニュアンスが違う呼び名を口にしたオルタの体を紅色の光が包む。目の前のカードに口付けしたオルタの瞳は淫らに蕩け、中にハートマークが浮かんだ肉欲を期待するものへと変貌させた。

 背中に刻まれていた淫紋令呪は、再び下腹部へとその位置を移している。しかし、その色は先ほどの物よりも濃い紅に光り、それが全く別物であることを証明していた。

 

「……私の名はジャンヌダルク・オルタナティブ♡ クラスは……雌奴隷(スレイヴ)♡ 戦闘能力0♡ ただご主人様のおちんぽに気持ち良くなって貰う為に体を差し出す存在……♡ それ専用の力しか持たない新たなる霊基『隷基』を持ち、『隷基再臨』を果たしたただ一人のサーヴァント♡ あなただけの雌奴隷こそが、この私です……♡」

 

 新たに生まれた自分の霊基を説明するオルタは、後ろからマスターに乳房を揉まれ、肉棒を性器へと挿入されていた。待ち望んだ快感に気が狂いそうな程の悦楽を得ながらも、彼女が取り乱す事は無い。何故なら、これこそが雌奴隷である自分の通常(デフォルト)であり、まだ本番の快感とは程遠いからだ。

 柔らかさと敏感さを増した乳房や尻の肉、そして膣……戦う事など到底不可能である隷基で彼を受け入れ、今までを超える快感を味わうオルタの目の前には少し前に自分を閉じ込めていたあのケースが置かれていた。

 

「ああ……♡ なんて淫らで、綺麗なの……♡ ご主人様のお陰で、こんなに立派な芸術品になれるなんて、とても幸せ……♡」

 

 霊基の第三再臨と隷基への再臨、その両方を同時に迎えたあの一瞬の空間を切り取ったケースの内部には、淫らでありながら美しい姿を晒すオルタの姿があった。

 蕩け、幸福に満ちた淫靡な表情。ケースに押し付けられ、いやらしく潰れる乳と尻の肉。肌に浮き出る汗の玉と飛び散る愛液の飛沫。その全てが完璧に捉えられている。この彫像は自分が彼の物になった証、そして記念すべき彼の雌奴隷作品一号となった。そのことを思えば、オルタは高揚感と幸福感に全身を包ませてそれだけで絶頂してしまう。

 

「あ~っ♡ ちんぽっ♡ マスターちんぽにご奉仕させてくださいっ♡ 雌奴隷のステータスは殆どE以下だけど、耐久だけはEXですっ♡ 体が丈夫なんじゃ無くって、何日ぶっ続けでもセックス出来るって意味のEXランクだからっ♡ だから好きにおちんぽぶち込んでえっ♡」

 

 オルタのその懇願の言葉に腰を動かし、彼女の内部を抉り始めるマスター。硬く熱く雄々しい滾りに敏感な内部を刺激されたオルタは、全身を痙攣させながら叫び続ける。

 

「んあぁあぁあぁぁぁああぁっっ♡♡♡ 凄いっ♡ しゅごいっっ♡♡♡ やっぱりご主人様のちんぽきもちいひっ♡♡♡ あたまのなかがまっひろににゃるうぅっっ♡♡♡」

 

 長きに渡る開発とお預けを食らって敏感になった膣を遠慮なしのピストンで責められる。襞を、子宮を、膣肉を、その全てを肉棒が刺激し、快楽を与えて来る。

 硬くなった乳首を抓られ、尻肉で淫らな肉太鼓を鳴らし、愛液の雨を股座から散乱させるオルタは、幾度も絶頂を繰り返しながらも彼が自身の内部に滾りを放つ前兆を感じ取り、子宮を疼かせた。そして、間抜けなアヘ顔を晒しつつ、マスターに向かって叫ぶ。

 

「射精してくらはいぃぃっ♡♡♡ 私のまんこにっ♡♡♡ 雌奴隷就任祝いのザーメンたくさんだしてぇぇっっ♡♡♡ 雌奴隷になって初めての膣出しでイかせてくださいっっ♡♡♡」

 

 下から押し上げる様にして繰り出されるピストンは、オルタの体を軽く宙に浮かせる程の激しさを誇っていた。その強さで子宮を刺激され、高みに押し上げられるオルタは、膣肉を痙攣させてその瞬間を今か今かと待ち続け、そして―――

 

「ああぁああぁぁぁぁああぁぁああっっっ♡♡♡ ぎだぁああぁぁあぁっっ♡♡♡ ご主人様のザーメンっ♡ 雌奴隷まんこと子宮にたくさん入って……くああぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁあぁぁぁっっ♡♡♡ あちゅいぃいぃいいぃいんんっっ♡♡♡」

 

 待ち侘びた快感は凄まじい爆発力を以ってオルタの思考を焼き切る。快楽だけがすべてとばかりに喘ぐ彼女に射精しながら、マスターは腰を止めることはしない。射精した精液を肉棒でオルタの膣壁に擦り込み、マーキングを行いながらも既に二回戦に入っているのだ。

 

「んっほぉおぉおおぉおっっ♡♡♡ イキまくってりゅぅぅぅっっ♡♡♡ ご主人様のおちんぽまだガチガチでぇっ♡♡♡ 私のまんこびくびくなのおぉぉっっ♡♡♡ ああっっ♡♡♡ 好きなだけまんこしてくらひゃいっっ♡♡♡ 雌奴隷のオルタまんこ、あなたのザーメンで一杯にして欲しいですっっ♡♡♡」

 

 夢見心地のオルタの叫びにマスターは腰の一突きで答えを返す。無論、そのつもりだと、その激しいピストンはオルタの全てを貪り喰らうと語っている。

 淫らなる彫像を目の前に、新たなる霊基と淫紋令呪をその身に宿したオルタは、只一人だけの特別な存在と化した自分と与えられる快感に酔って意識を快楽の果てへと沈ませたのであった。

 

 

 

 

 

ジャンヌ・ダルク・オルタナティブ 霊基再臨第三段階及び隷基再臨完了

 

新スキル 『天性の肉体(淫)C』習得

 

スキル強化『黒き愛情』→『永久の愛情』

 

概念礼装 『彫像 雌奴隷ジャンヌオルタ』を取得しました

 

 




隷基再臨

サーヴァントの霊基を性奉仕のみに特化した物に変化させる再臨。ステータスは勿論、スキル等も性行為の為だけの物に変化してしまう為、セックス以外の事は出来ないサーヴァントへと変貌してしまう。
これを行ったサーヴァントの身体能力は並の人間以下になる。ただし、セックスをぶっ続けで行う為の体力と頑健さだけは保持している模様。
なお、この再臨を行った場合でも新たなスキルを習得することがある。当然、セックス用のスキルではあるものの、隷基から通常の霊基へと復帰した場合、そのスキルは戦闘で役立つ物に変化する。



天性の肉体(淫)C

主によって作り上げられた淫らな肉体を保持し続ける為のスキル。隷基状態ではセックスの為の効果しか無いが、通常の霊基では使用時にバッドステータスの除去と弱体耐性(100%)を得る。


永久の愛情

オルタが第三再臨によって習得したスキル。3ターンの間、Bastarカードの効果を無条件で100%、マスターから与えられる魔力によって最大上限300%まで上昇させる。




『彫像 雌奴隷ジャンヌオルタ』

・この礼装はジャンヌ・ダルク・オルタナティブのみ装備出来る。
・この礼装を装備しているサーヴァントは、追加でもう一つ礼装を装備出来る。
・装備したサーヴァントが特定の条件を満たした場合、マスターの意思で即座に霊基を雌奴隷用に変化させ、クラスを雌奴隷(スレイヴ)に変更する。
・また、マスターの意思で再び通常のクラスに戻すことも可能。


ケースの中に見えるのは、淫らで美しい女性の痴態。それはまるでミロのヴィーナスの様な神々しさと娼婦の様な淫靡さを融合させた奇跡の逸品。
愛しているからここまでの作品に仕上げられた。愛しているから全てを委ねた。その思いを理解する者だけが、この芸術品の真の価値を知る事が出来る。
この彫像は秘密の工房の一室に永遠に飾られ続けるのだろう。そして、その目の前で彼女はそっくりの痴態を晒すのだ。主の手で淫らに咲き乱れたまま……

……次の作品になるのは、誰だ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 その3
ダヴィンチちゃんねる 3スレ目


 

 

お尻ールダー:報告です。本日は元おぼこ娘さんは欠席だそうです。恐らく、お相手とイチャイチャするのかと

 

エロタイツ師匠:了解だ。あやつは特異点に出向けなかったからな、溜まる物もあるのだろう

 

牝馬の乳上:では、早速今回の議題を話し合いましょう。まずは、ですが――

 

性女(次女):私の第三再臨についてから、かしら?

 

性女(長女):一体何時の間に再臨したんですか? マスターは、オケアノスで奪還したサーヴァントの説得に忙しかったというのに……

 

くっころ騎士:説得(意味深)とかwww

 

牝馬の乳上:控えよ、くっころ騎士。正直、お前も先を越されて心中穏やかではないのだろう?

 

野獣メイド:我々は古参組というやつだからナ。再臨を先んじて行うのはおかしくない話だろう

 

余だよっ:しかし、性女(長女)が言うようにいつの間に行ったのかが気になるな。どんなセックスを行ったのかも気になるし……

 

性女(次女):企業秘密よ

 

性女(三女):アダルトです! 秘密主義です! なんか狡くていやらしい感じがします!

 

お尻ールダー:次女さんの淫紋令呪は背中に現れたんですね! とても綺麗だと思います!

 

性女(次女):ありがとう、お尻ールダー。素直に祝福してくれるのはアンタだけよ

 

ぶんめい娘:流石に余裕があるな。既に最終再臨を済ませている者としての目線で見ている

 

雌犬丸:我らもすぐに追いつきます! 首を洗って待っていなさい!

 

くっころ騎士:お前が言うと洒落になんねえんだよなぁ……

 

ギャグセイバー:そんなことより! あの人を何とかしてくださいよ! 会う度に「セイバー殺す」って斬りかかってくるんですよ! もう生きた心地がしないです!

 

牝馬の乳上:何と言うか……すまない、耐えてくれ

 

ギャグセイバー:このままじゃカルデアのセイバーが全滅しちゃいますよ! カエサルさんがぶっ飛ばされたの見たでしょう!?

 

余だよっ:余は水着に着替えればキャスターになれるから問題無いな!

 

くっころ騎士:同じくライダーになれるから別に良い

 

ギャグセイバー:この水着鯖どもがっ! 何でノッブにあって私に水着が無いんですか!?

 

お尻ールダー:……まあ、対策はしっかりと進んでいますし、先輩たちもこのまま放置するつもりは無いでしょう。あともう少しはこのままを維持しましょうか

 

エロタイツ師匠:ああ、仕方が無いな。我々も援護する、セイバーのサーヴァントはもう少しだけ耐えてくれ

 

ギャグセイバー:うぅ、憂鬱です……

 

大きい海賊:うわさに聞いてはいましたけど、こんなのもあるんですのね

 

小さい海賊:ボクたちも参加させてもらうことになったから、今後ともよろしくって報告と――

 

褐色ロリ:色々と迷惑をかけて、本当にごめんなさい!

 

美白ロリ:これからは迷惑をかけた分を償う為にも頑張ります!

 

かんちょう:せきにんは、あたしにある。あたしもばかやっちまったぶんをとりもどすために、せいいっぱいやらせてもらうよ

 

駄妹:……改めて、よろしくお願いいたします

 

お尻ールダー:また新しく戻って来た方もこのチャットに招待しておきました

 

雌犬丸:こうしてみると結構な数が居ますね……

 

野獣メイド:むむぅ、これはご主人とのイチャイチャタイムを取る事が難しくなって来るのだな

 

美白ロリ:と言うより、マスターさんは大丈夫なんですか? 流石にこの数を相手にし続けるのは――

 

牝馬の乳上:問題無いな

 

野獣メイド:問題無いゾ

 

性女(長女):大丈夫ですね

 

性女(次女):100%無用な心配よ

 

小さい海賊:言い切れちゃうんだ……?

 

お尻ールダー:淫紋令呪を刻まれたサーヴァントと多数契約したことにより、先輩の身体能力はまた底上げされました。無論、性欲もです

 

野獣メイド:食事や生活スタイルまで、きっちりと我らが面倒を見てるからな! 二度と体調不良を起こす心配はない!

 

牝馬の乳上:むしろ私たちが気を引き締めるべきでしょう。マスターを満足させられないまま果ててしまえば、先日の様な出来事がまた起きてしまいますしね

 

大きい海賊:だから複数人でお相手するのがデフォルトになってるんですのね?

 

雌犬丸:それ以外の意味合いもありますが、新入りの方々もチームに加入した方が良いでしょう。いきなり主殿と本気でまぐわえば、もうどうなってしまうことやら……

 

褐色ロリ:うわ、ちょっと楽しみかも……♡

 

性女(三女):トナカイさんは、私たちには優しいと思いますよ? だから、本気セックスすることは滅多に無いと思います

 

褐色ロリ:ええ、そんなぁ……

 

性女(三女):でも……頼めばきっと、OKしてくれるんじゃないでしょうか? やっぱりトナカイさんは優しいし……

 

褐色ロリ:OK! んじゃ、今度頼んでみましょ!

 

くっころ騎士:(ああ、こいつ終わったな……)

 

ギャグセイバー:(この歳で肉欲の虜ですか、可哀想に……)

 

美白ロリ:ふぇぇ……こわいよぉ……

 

小さい海賊:話を戻して、チームの結成かあ……。うん、ボクもやってみようかな!

 

大きい海賊:あら? そっちがその気なら私もメンバーを募ってみましょうかね?

 

小さい海賊:勝負する? どっちがマスターを満足させられるかをさ!

 

大きい海賊:良いですわよ! その勝負、乗りました!

 

かんちょう:ながれがはやすぎて、うまくもじをうてない。へんかんってどうやるんだ

 

お尻ールダー:だから平仮名だけだったんですか……

 

野獣メイド:今度教えるから、今回は話を理解することだけに努めるのだな

 

牝馬の乳上:今回は新チームが2つ増えることになりそうですね。では、彼女たちを優先にして――

 

上姉様:もう1チーム追加して貰っても構わないかしら?

 

駄妹:ね、姉様っ!?

 

上姉様:駄妹、あなたたちも力を貸しなさい。良いわね?

 

駄妹:は、はい……

 

駄妹(幼):わ、わかりました……

 

くっころ騎士:酷い脅迫の現場を見た気がする

 

余だよっ:また賑やかになりそうだな! よし! また黄金劇場を開く為の準備を始めるか!

 

お尻ールダー:では、今夜はここまでにしましょう。お疲れ様でした

 

くっころ騎士:おつ~、んじゃ、またな~

 

牝馬の乳上:……ところで、最強淫乱看護婦はどうした? 今回、一回も発言していないのではないか?

 

お尻ールダー:言われてみれば……どうしたんでしょうね?

 

 

 

 

 

――ダ・ヴィンチちゃんねるを終了しました。またのご利用をお待ちしております。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕間の物語 婦長の回診 トドメ編(ナイチンゲール)

今回、微妙にシモな表現あるかもしれません。本当に微妙ですが、苦手な方はお気をつけて……!


 男たちは飢えていた。食欲としての飢えでは無く、肉欲としての飢えを抱いていた。

 彼らはオケアノスに出撃し、生き延びた男たちだった。海魔の手にかかって殺されることから逃れ、魔神柱の生贄にならず、海で溺れ死ぬ前に帰還を果たすことが出来たわずか十数名の生き残りだった。

 それが良い事かと聞かれると返答には困る。死ぬことは最大の不幸だが、生き残ることが幸運だと言い切れる訳も無い。少なくとも、彼らが感じている飢えは、死んでいれば感じることのなかったものなのだから。

 

 死地から生き延びた男たちであったが、ソロモンは彼らに温情をかけることはなかった。敗北の罰として、女たちを抱くことを禁止したのだ。男たちも最初は処刑されないだけましと考えたものの、時間が経って来ると溜まる性欲を抑えきれなくなって来るものである。

 右を見ても、左を見ても、仲間たちは雌奴隷たちを犯している。そのどれもが美しく、可憐な女たちなのだ、見ているだけでは欲求も募るだろう。で、あるが、男たちには彼女たちを抱く権利が無い。指を咥え、悔しそうに喘ぐ女たちを見つめては肉棒を起立させることしか出来なかった。

 

 この地獄の様な日々はいつ終わるのだろうか? 男たちは夜眠る前にそう思わざるを得なかった。明日にはソロモンからの許しが出て、また肉欲の限りを尽くせることを願って眠りに就く日々。しかし、自分たちの主である魔術王は、ここ暫く姿を見せることすらしていない。このままでは、望みは薄いだろう。

 誰でも良い、この欲求を満たしてくれ――男たちはそう願い、また今日も床に就いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を開いた男たちは、自分たちが謎の空間に招かれていることに気が付いて目を丸くした。光も無く、ただただ黒い世界が広がっているだけのこの場所を見回した男たちは、自分たち以外の存在に気が付く。

 自分たちの居る場所の丁度対極の位置、真反対の場所に、自分たち同様に男たちが居るのだ。彼らもまた、目を丸くしてこの空間を見回していたが、不意にこちらの存在に気が付いて慄き始めた。

 

「な、なんなんだ!? ここは何処で、アンタらは誰なんだ!?」

 

「そりゃこっちの台詞だ! 待ってろ、今そっちに行くからな!」

 

「ひぃっ!?」

 

 相手の集団がいかにもなひょろい男たちの集いであったことを見て取ったソロモン側の男たちは、強気になって彼らに詰め寄ろうとした。体格的にも力量的にも、自分たちの方が強いことは間違いない。上手く行けば、ここから脱出する為の手駒を入手出来るかもしれないし、ストレス発散のサンドバッグにもなるかもしれない。

 なんにせよ、奴隷代わりの存在が見つかったのは良い事だ。そう考えた男たちが、ずんずんと足を進めていると――

 

「……そこまでにして頂きましょうか」

 

 凛とした女性の声がこの空間に響いた。その声を耳にした男たちの歩みが止まる。

 あの声は……いや、まさか、そんなことがあり得る筈が無い……とある記憶を思い浮かべた男たちが、頭に過ぎったその不安を振り払おうとする中、無情にも彼らの怖れを顕現した存在が向かい側の男たちの集団の中から姿を現す。

 露出度の一切ない真っ赤な軍服、眉一つ動かさぬ鉄面皮、鋼を女性にしたかの様な堂々とした風貌……彼女の姿を見た瞬間、男たちは抱いていた恐怖を爆発させると同時に叫び声を上げる。

 

「な、ナイチンゲールだぁぁっっ!!」

 

「逃げろっ! 死ぬまで搾り取られるぞっ!!」

 

 かつてソロモンの城の中で大問題を引き起こし、カルデアに放逐されたはずのナイチンゲール。その彼女が、自分たちの前に姿を現した。彼女の恐ろしさを知る男たちは、先ほどまでの威勢の良さが嘘の様に恐慌すると逃げ惑い始める。

 捕まったら最後、二度と射精出来なくなるまで搾り取られる……かつての惨劇を思い出す男たちは逃げ続けるも、ナイチンゲールは僅かに微笑みを浮かべると彼らに数歩近づいて、そこで立ち止まった。

 

「怯える必要はありませんよ。私は、貴方達に手出しをするつもりはありませんし、出来ません。逆に貴方達も私たちをどうこうすることは出来ないと思いますがね」

 

 そう言ったナイチンゲールは、ベルトに差していた拳銃を引き抜くと引き金を引いて弾丸を発射した。一気に六連発の弾を放った彼女の行動に面食らい、耳を塞いだ男たちが恐る恐る顔を上げると――

 

「この通りです。ここには見えない壁がある様で、ここから先にはお互いに行き来出来ません。なので、互いに危害を加えられる心配をする必要はありませんよ」

 

 言われてみればなるほど、彼女の放った弾丸は見えない壁に阻まれて床に転がっていた。銃弾が貫通出来ない強固さを持った壁を武器すら持たない男たちがどうこう出来る訳が無い。サーヴァントであるナイチンゲールならば破壊可能かもしれないが、彼女にはそんなことをする様子は見受けられなかった。

 つまりはナイチンゲールの言う通り、この場での安全は一応は確保されているのだろう。しかしながら、この空間にやって来てしまったこと自体を不気味がる男たちは困惑すると同時にここからどうすれば良いのかを悩み始めてしまう。

 だが、この場で唯一の女性たるナイチンゲールは、自分のよく知るカルデアの職員たちの元へ戻ると、柔和な微笑みを浮かべながら彼らに語り掛けた。

 

「皆さん、別段怖れる必要はありません。ここが何処であろうとも、すべきことは変わらないのですから」

 

「で、でも、こんなの異常じゃないですか! 婦長だって、少しは不安にっっ!?」

 

 ナイチンゲールの言葉に反論していた男が目を見開く。それは他のカルデアの職員たちも、見えない壁の向こう側にいる男たちも同様だった。

 彼女は不意に服を脱ぎ、美しい裸体を惜しむ事無く男たちの前に曝け出したのだ。たわわに実った胸の果実、ぷりっとした臀部、そして形の整った無毛の秘所……それら全てを男たちに見せつけながら、ナイチンゲールは蠱惑的に微笑んで言う。

 

「本日は私の回診日……皆さんも参加の意思を見せていてくれたでは無いですか。多少、場所と状況が変わってしまいましたが、中断するおつもりはないのでしょう?」

 

「い、いや、しかし……」

 

「ふふふ……♡ 口ではそう言いながら、おちんぽは正直ですよ……♡ ズボンを膨らませて、テント張って……凄く硬く勃起しているではないですか……♡」

 

「ううっ!?」

 

 服の上から男の陰茎を撫でたナイチンゲールは、熱い吐息を彼に浴びせながらそっと囁く。彼女が体を動かせば、豊かな乳と尻が淫らに揺れ、それがまた男たちの興奮を煽った。

 淫靡な振る舞い、美しい女性の裸体、そして滾る肉棒……男たちがこの状況を前にして、己の肉欲を抑えきれる筈も無い。我慢が利かなくなった職員の一人が首を振ってこの奇怪な状況への怖れを振り切ると、覚悟を決めた様に叫ぶ。

 

「もうどうにでもなれだ! 俺は婦長を抱くぞっ! この日の為にオナ禁し続けて来たんだからなっ!」

 

「お、俺もだっ! ここで出遅れてお預けだなんて我慢出来るかよっ!!」

 

「お前らがそう言うのなら俺も参加だっ!」

 

 一人の男が服を脱ぎ始めたことを皮切りに次々と男たちが全裸になって性交の準備を始める。服の上からでは分からなかった引き締まった彼らの体を見たソロモン側の男たちは、その意外性に眼を細めた。

 しかし、彼らの頭を支配するのは、目の前でセックスが行われようとしているという事実だった。あのナイチンゲールの相手をしようとしているカルデアの職員たちに対し、男たちは嘲笑と憐れみを込めた視線を送る。

 

「アイツらマジかよ……? 絶対に枯れるまで絞られるぜ」

 

「ヘヘっ! まあ良いじゃねえか。存分に見学してやろうぜ!」

 

 カルデアの職員たちがナイチンゲールの恐ろしさを知らないのだろうと思い込んだ男たちは、見えない壁にギリギリまで迫って彼らとナイチンゲールのセックスを見物する構えを取った。きっとものの一時間ほどで全員がKOされ、死屍累々の惨状を晒すのだろうと男たちは期待の籠った視線でナイチンゲールたちを見ている。

 しかし、そんな彼らの存在をようやく思い出したとばかりに振り返ったナイチンゲールは、明らかに軽蔑の感情が籠った眼差しを彼らに向け、冷たい嘲笑と共に言葉を吐き捨てる。

 

「ああ、そう言えばあんなのもいましたね……。どうぞ、お好きにご覧になって下さい。私たちのセックスを見て、おちんぽシコる位のことはしてても良いですよ」

 

 普段の鉄面皮を崩したナイチンゲールの様子に男たちの背中に寒気が走る。それと同時に雌奴隷であった彼女に馬鹿にされたことに怒りを感じるも、その恨みを晴らす為に何か出来る訳でもない男たちは僅かに不快な表情を浮かべただけで見学へと戻ってしまった。

 男たちの視線を受け、職員たちは少し勝手が違う事に困惑していたが、一番注目を浴びているはずのナイチンゲールはそんな視線などまるで気にしていない様子で彼らへ体を差し出した。

 

「では、お好きな様に……♡ 緊張せず、いつも通りにすれば良いのですよ……♡」

 

 頭の後ろで手を組み、脚を軽く開いてがに股の体勢を取る。下品に男を誘う姿勢を取ったナイチンゲールは、全身をひた隠すことなく男たちの前へと曝け出して愛撫を促した。

 ふわりと漂う甘い母乳の臭い、脇や性器、尻穴から香るかぐわしい臭い……視覚と嗅覚で男たちを興奮させるナイチンゲールに対し、カルデアの職員たちも己の肉欲を曝け出して彼女の体に殺到した。

 

「はぁふっ♡ んっ♡ ふぁぁっっ♡」

 

 ナイチンゲールの全身に舌が這う。乳首、乳房、尻穴に膣、脇の下や臍や腰の括れ、淫核など、様々な場所に十名ほどの男たちの舌が伸びる。魅力的な彼女の体を味わうように、そして彼女に快感を味合わせる様にして動く舌は、ナイチンゲールの官能を徐々に高めていった。

 

「ふぅっ♡ はくぅっっ♡ あっ、あぁっ♡ そんな、ところまで……っ♡」

 

 首筋に触れた舌がそのまま背筋を伝って尾骶骨までを舐める。脇の下の臭いを嗅がれながらぬちゃぬちゃと涎を染み込ませる様に舌が這う。

 乳房を丁寧に舐め、乳輪の傍を焦らす様に舐められた後で乳首を徹底的に刺激される。尻肉を嬲られ、尻穴へと舌を突っ込まれて穿る様に蠕動される。

 そうやって愛撫された体は正直に興奮を示し、彼女の秘所からその証たる愛液を垂れ流させていた。秘所を舐める男は、それを激しく啜って大きな音を響かせつつ、ナイチンゲールの膣内へと舌を潜り込ませて彼女を刺激する。

 

「んっっ♡ あっっ♡ くぅぅぅっっ♡ はっっ♡ ふあぁっ……♡」

 

 あっという間に高められたナイチンゲールは、体をがくがくと痙攣させて甘い喘ぎ声を漏らした。瞳は快楽に蕩け、ぷっくりと膨れた乳首からは白い母乳が滲み、陰核も痛い程に勃起して舐られる時を待っている。

 啜る音、舌が這う音、喘ぎ声……肉欲の宴たるこの空気に相応しい光景とBGMを響かせながら、男たちはナイチンゲールの肢体を丹念に舐め続ける。そして彼女の体が熱く火照り、痙攣が激しくなったことを感じ取るや否や、全員が示し合わせたかの様に愛撫を激しくして一気にナイチンゲールを絶頂へと導く。

 

「くひぃぃぃぃいぃっっ♡♡♡ はげ、ひぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 乳首や脇、陰核を吸われ、膣内や尻穴に舌を突っ込まれる。その他の感じる部分も涎塗れになる程に舐められたナイチンゲールは、自身も口の端から涎を垂れ流しながら達してしまった。

 全身が激しく震え、視界がちかちかと点滅する。脱力する体を周りの男たちに抑え込まれたナイチンゲールは、達する姿をその全てに視姦されているという状況に興奮を感じてもう一度イってしまった。

 

「あくぅ……っ♡ ひ、はぁっっ♡ んぅっ♡」

 

「へへ……! やっぱ婦長も見られて感じてるんだろ? 平静装ってたって、本当はドスケベなんだからな」

 

「あぁ……♡ バレていましたか……♡」

 

「当然だろう? 俺たちが何度婦長と体を重ねたと思ってんだよ!」

 

「ふふふ……♡ そうでしたね、皆様を甘く見てはいけませんね……♡」

 

 ゆっくりと体をへたりこませ、地面に尻をついたナイチンゲールは、そのまま目の前に差し出された肉棒を何の迷いも無く咥え込む。頬を膨らませ、先ほど自分がそうされていた様に陰茎へと舌を這わせつつそれに吸い付き、瞳を蕩けさせた表情のまま奉仕を続ける。

 

「んじゅぅっ♡ じゅるるるるっっ♡ ふっっ♡ ふっっ♡」

 

 唾液を絡ませ、肉棒の滑りを良くした後は、自身の母乳と男たちの涎で光沢を放つ乳房を差し出してその谷間に男の滾りを迎え入れる。ぬちゃ、ずちゃ、といやらしく粘り気のある音を谷間から響かせつつ、彼女は奉仕する男へと微笑みかけた。

 

「いかがですか? 私のミルクパイズリは……♡ 甘い匂いが漂って、より淫らさを引き出してくれているのでしょう?」

 

「ああ、最高です……っ! 婦長のおっぱい、柔らかくって……! 乳首もコリコリしてるっっ!」

 

「ふふっ♡ そこまで喜んで頂ければ、奉仕のし甲斐があると言うもの……♡ ああ、ご安心ください、他の皆様にも一人一人丁寧にパイズリ奉仕をさせて頂きますよ。誰一人、例外はありませんから……♡」

 

 たゆん、たゆんと乳房を揺らし、母乳を乳首の先から滲ませながら男根を扱くナイチンゲール。慈愛に満ちた微笑みをカルデアの職員たちに向け、天使と呼ぶに相応しい様相で奉仕を続ける。

 びくびくと震える肉棒は彼女の乳房の中で痙攣を続けていた。限界も近いであろう男性の様子を見たナイチンゲールは、口を開くと亀頭を口に咥えつつ、強く肉棒を締め付けた。

 

「ぐぅぅぅぅぅっっ!!」

 

「んぶぅぅっっっ♡♡♡」

 

 勢い良く放たれる精液はナイチンゲールの口の中を一瞬で一杯にした。頬を膨らませ、喉を鳴らし、鼻を大きく広げつつもその精液を飲み干すナイチンゲールの姿に男性たちは皆目を奪われた。

 やがて、口の中に吐き出された精液を飲み干したナイチンゲールは、乳房の中の肉棒を舐め、こびり付いた精液をしっかりと掃除してから一人目の奉仕を完了させた。多少は萎えたものの、まだまだ性交を行えそうな肉棒に愛おし気な視線を送った後、次の男性の前へと跪く。

 

「お待たせいたしました。では、ご奉仕させて頂きます……♡♡♡」

 

 温かい胸の内に新たな肉棒を迎え入れたナイチンゲールは、先ほどと同様にパイズリを始めた。乳首を擦り、乳房を合わせ、涎を谷間に流しながらふわふわの乳房を上下に揺らし、男性を射精へと導いていく。

 ソロモン側の男たちはそんな性交の様子をただじっと眺めていることしか出来ない。ただ、痛い程に勃起した肉棒でズボンを膨らませ、滾る肉欲を吐息として吐き出すことしか出来なかった。

 

「な、なあ! 俺たちにもおこぼれがあるんだろう? 例外なく奉仕してくれるって言ってたよな!?」

 

 ついに我慢出来なくなった男たちの一人は、ナイチンゲールに向かって叫びかけた。しかし、彼女はちらりと横目でその男を見ただけで、何も答えてくれはしない。

 

「良いじゃねえかよ! そんな男たちよりも俺たちの方がアンタを満足させられるぜ! ひょろひょろちんぽじゃなく、鍛え上げられた俺たちのちんぽでアンタをひぃひぃさせてやるよ!」

 

 男の一人がズボンを下ろし、いきり立った肉棒を見せつける。他の男たちもそれに続き、ナイチンゲールへと己が逸物を見せつけながらやんややんやの声掛けを行い始めた。

 

「ほら! 俺たちのちんぽの方が気持ち良さそうだろ!?」

 

「ガチガチちんぽをぶち込んで、ヨがらせてやるよ!」

 

「こっち来いよ、なぁ!?」

 

 罰則でお預けを食らい続けたことに加え、目の前で起きている肉欲の宴を見続けたことによって男たちは我慢の限界だった。ナイチンゲールの様子を見るに、もうかつての危険な彼女はいないのだろう。ならば、何の心配も無く彼女を抱くことが出来る。

 極上の肉を目の前にぶら下げられた犬の様に涎を垂らしてナイチンゲールを見つめる男たち。しかし、彼女は溜息をついた後で彼らを無視してカルデアの職員たちにパイズリをし続けるだけだ。

 乳房で挟み、興奮した様子で肉棒を扱き、迸る精液を口で受け止める。一人、また一人と男たちを満足させていったナイチンゲールは、長い時間をかけて最後の一人への奉仕を終了させた。

 

「ふぅ……♡ 皆様、素晴らしい射精でした、では次に――」

 

「俺たちの番! 俺たちの番だろう!? さっさとこっちに来いよ!」

 

 幸福そうな表情を浮かべて職員たちに微笑みかけていたナイチンゲールの表情が曇る。不躾な言葉を投げかけて来た男たちに鋭い視線を向け、彼女はついに言葉を吐き捨てた。

 

「少し黙っていてくださいませんか? 自慰行為は許可しましたが、貴方達に抱かれることは絶対に許容出来ません。なので、貴方達の番など一生待っていてもやって来ませんよ」

 

「そ、そんなっ!? 何でだよ!? そんな奴らなんかより、俺たちの方が何倍も――!」

 

「……()()()()()? この方々を、そんな奴らですって……?」

 

 ソロモン側の男たちの中の一人の言葉を耳にした途端、ナイチンゲールの様子が変わった。怒りの感情を露にし、怒気を強めて壁の向こう側に居る男たちへと鋭い視線を向け始めた。

 つかつかと全裸のまま壁まで近づいた彼女は、拳を思い切りその壁へと叩き付ける。その一撃の強力さといったら、壁全体がビリビリと震えてしまう程だ。明らかに怒り狂っているナイチンゲールの姿に動揺した男たちは壁から離れていたものの、その震えは空気に伝播して彼らにナイチンゲールの怒りの強さを十二分に理解させていた。

 

「貴方達は、どの様な視点でこの方々を見ているのですか? まさか、病原菌ごときがこの方々より上の立場にいるとでも?」

 

「びょ、病原菌……!?」

 

「ええ、その通りです。貴方達はこの世界を蝕む病原菌です!」

 

 怒りに拳と体を震わせ、鋭い視線で男たちを睨むナイチンゲール。彼女は、その怒りと感情のままに叫び、男たちを叱責する。

 

「世界は今、ソロモンの手で滅ぼされようとしています。彼は世界を蝕む病であり、それに手を貸す貴方方はソロモンが撒き散らす病原菌と呼ぶべき存在です。ただ淫蕩に耽り、女性の尊厳を弄び、世界の崩壊に際しても何もせず自分たちの快楽を優先する貴方達に、どうして抱かれたいと願うのでしょう?」

 

「な、な、な……!?」

 

「肉棒が立派だから? 性技に優れているから? ……私を見くびらないで下さい。私は、そんな理由でこの方々に抱かれている訳では無いのです!」

 

 腕を大きく開き、険しい表情でナイチンゲールが叫ぶ。彼女の言葉に誰もが耳を傾けていた。

 

「……この方々は、世界の崩壊をたったこれだけの人数で食い止めようとしています。それは無謀で、愚かな行為に見えるかもしれません。ですが、彼らは世界の命を救う為に必死になって戦っているのです。私は……私は、そんな彼らのことを誇らしく思います! 彼らこそ、真に評価されるべき英雄であると心から思っています! 彼らに奉仕出来ることは、私にとっての最大の喜びであると言い切れるでしょう!」

 

「私が得ているのは快感だけではありません、女としての幸福なのです。素晴らしい男性たちの疲れを癒し、明日の活力を見出す手助けを行えることこそが、女としての喜びに直結しているのです! そこに性器の大きさや技量なんて関係ない! 女としての幸福は、快感だけがもたらしてくれる訳では無い! 世界を救わんとする彼らに奉仕することこそが、私の最大の幸福であり、快感なのです! 私は彼らの子供ならば、喜んで妊娠致しましょう!」

 

「……いえ、妊娠するなんて上から目線すらおこがましい。どうか孕ませて頂きたい、そう思っています。彼らの様な素晴らしい男性たちの遺伝子を後世に残すことは、全世界の女性が求める最大の栄誉……その栄誉と幸福を味わえるなら、彼らの功績を語り継ぐ者を産めるのなら、彼らの子を孕めるのなら……私は喜んでその役目をお受けいたします。私程度の女の子宮で良ければ、何人でも子供を産ませて頂きましょう。彼らは、彼らは……真に素晴らしい英雄たちなのですから!」

 

「そんな彼らを()()()()ら呼ばわり……? 病原菌の温床が、身の程をしりなさい! 正常な思考を持った女性なら、誰が貴方達に抱かれるものですか! 病原菌に身を委ねることなど、貴方達の様な最低最悪の男たちの子を孕むなど、考えただけでもゾっとします! 彼らの様な英雄と貴方達の様な人以下の病原菌を同じ立場に立たせるんじゃない! 遥か下の立場の存在が、彼らを見下すな!」

 

 ナイチンゲールの叫びが、怒りの言葉が、空間に木霊する。己の本心を曝け出し、激しい怒りを燃やして男たちへと詰め寄った彼女は、肩で息をして鋭く男たちを睨みつけていたが――

 

「ふ、婦長……! 今の、話って……!?」

 

「あ……!? も、申し訳ありません。奉仕の途中で、この様な真似を――!」

 

「そんな事よりもさっきの話! お、俺たちの子供を産んでくれるって、本気なの……?」

 

「え? あ、それは……」

 

 無数の男たちに詰め寄られ、壁際に押し付けられたナイチンゲールは、彼らの異様な興奮を前に先ほどまでの威勢の良さが嘘の様にしおらしくなってしまう。自分が口にした本心を聞かれたことも恥ずかしさを煽っているのだろう。ナイチンゲールは、顔を真っ赤にして俯いたまま指を絡ませる乙女の様な仕草をしてもじもじとし続けていた。

 

「お、教えてくれよ、婦長! さっきの言葉はリップサービスなのか? そ、それとも――?」

 

 職員の一人が前に出て、ナイチンゲールの顔のすぐ横に手を付いた。所謂『壁ドン』という行為を初めてされたナイチンゲールは、早鐘を打っていた心臓を更に大きく跳ね上げさせる。

 顔を上げれば、愛おしく思う男性たちが皆、自分の事を真っすぐな瞳で見ていた。男としての期待とナイチンゲールへの愛情、その二つを入り混じらせた視線を受けたナイチンゲールもまた、覚悟を決めて口を開く。

 

「……わ、私はサーヴァントです。孕むと言っても、そう簡単に出来る訳ではないことはご理解頂けているでしょう。それに、私の様な鉄面皮の愛らしさなど無い女にそう言われても、拒む気持ちが生まれて当然です。し、しかし――もしもそれらの問題を克服し、皆様が私で良いと言ってくれるのならば――」

 

 頬を赤く染め、羞恥に満ちた表情のまま上目遣いに男性たちの顔を見つめる。それでも、震える声ではっきりと彼らに己の気持ちを伝えるべく、ナイチンゲールは声を発した。

 

「――私に皆様の子供を孕ませてください。私の子宮に赤ちゃんを仕込んで下さいっっ♡♡♡」

 

「う、お……うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 

「ひゃっ!? そ、そんないきなり……んあぁあぁぁあぁあぁっっ♡♡♡」

 

 ナイチンゲールが愛らしく自分たちの子種を求める言葉を口にする姿を見た男たちは、一気に興奮のボルテージを最大まで高めた。あのナイチンゲールが内心でそんなことを思い、自分たちをそこまで評価してくれていたという感動が、そして雄として魅力的な雌に己の遺伝子を植え付けたいという欲求が、興奮を煽る様に入り混じって彼らの理性を飛ばす。

 獣の様な咆哮を上げ、男たちはナイチンゲールへと殺到した。一番最初に壁ドンをしていた男が肉棒を強引にナイチンゲールの秘所に叩き込み、彼女の体を抑えつけながら激しいピストンを開始する。不意を打たれたナイチンゲールは、あっという間に表情を蕩けさせて嬌声を口にし始めた。

 

「あっっ♡ くっっ♡ くはぁっ♡ はげっ、しぃっ♡」

 

 滾りに滾った肉棒が子宮を押し潰す快感に涎を垂らすナイチンゲール。普段よりも荒々しく、欲求を露にした男たちの性交は、彼女の本能を激しく刺激した。

 ナイチンゲールもまた、自分が孕まされる側の雌であることを本能で理解していた。目の前に居る雄たちが自分に欲情し、己の種を彼女に植え付けようとしていることも彼らの興奮から感じ取っていた。そして、彼女もまたそれを望んでいたのだ。

 

「あぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああぁぁああぁっっっ♡♡♡」

 

 激しい抽挿、理性など蒸発させた腰の振り方。ペースも限界も雌の都合も何も考えぬまま、本能のままに腰を打ち付けていた男は何の前触れも無く絶頂してナイチンゲールの胎に精液をぶちまけた。熱い滾りが子宮と膣を満たし、雌の部分を支配していく感覚に舌を放り出し、ナイチンゲールが喘ぐ。

 しかし、彼女に休息は訪れない。最後の一滴まで精液を放ち終えた男が肉棒を彼女の膣から引き抜くや否や、即座に別の男が挿入して来たのだ。

 

「あひぃぃいぃぃぃっっ♡♡♡ あおぉっっ♡♡♡ ほぉぉっっ♡♡♡」

 

 射精された精液を擦り込まれる様に肉棒に膣を削られるナイチンゲールは、絶頂して敏感になった膣内の快感に堪え切れずアヘ顔を晒して達してしまった。体を持ち上げられ、壁に押し付けられた状態で地に足のつかないまま腰を打ち付けられれば、彼女の全身を被虐的な快感が満たしてしまう。

 

「あぁぁあああああああああああぁぁぁぁっっっ♡♡♡ いぐぅぅぅっっ♡♡♡ まだいぐぅぅうぅぅうぅうぅぅぅっっ♡♡♡ はら、はらまされてしまいま、ふぅぅぅうぅぅぅうんっっ♡♡♡」

 

 再び射精され、熱い迸りで子宮内を満たされる。激しい律動に身を焦がす間もなく、また次の肉棒が叩き込まれる。

 攪拌され、精液を擦り込まれ、子宮に子種を送り込まれ……それを繰り返す。三人目の男の相手をし始めたナイチンゲールの耳に彼らの声が響く。

 

「絶対孕ませるぞ! 誰の子が出来ても文句なしだからなっ!」

 

「何も考えるなっ! ただ子宮内にぶちまけることだけ考えて腰を振るんだぞっ!」

 

「婦長……っ! 俺の子産んでくれ、婦長っ……!」

 

「あ、あぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 この雄たちは自分を求めている。雌としての自分自身に欲情し、己の種を植え付け、子供を孕ませようとしている。はっきりとそれを自覚したナイチンゲールの下半身は震え、あまりの幸福感に馬鹿になった膀胱から勢い良く尿が飛び出してしまった。じょぼじょぼと音を立てて雄たちの体を放尿で汚してしまったことに罪悪感を感じるも、男たちは一切そんなナイチンゲールのことを責めることはせず、ただひたすらに腰を振り続けているだけだ。

 

「おおんんっっ♡♡♡ おぉぉぉんっっ♡♡♡ はげひっ♡♡♡ はげしぃぃっっ♡♡♡ 子宮が、がつがつせめられてっっ♡♡♡ これだけで、すぐイクっっ♡♡♡」

 

「ちんぽぉぉぉっっ♡♡♡ ザーメンがあっっ♡♡♡ わたしの、なかにぃっ♡♡♡ あかちゃんのへやをうめつくしていますぅぅっっ♡♡♡」

 

「あぁぁあぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ またぁぁっっ♡♡♡ またちんぽぉぉっっ♡♡♡ はらむぅぅっっ♡♡♡ まちがいなく妊娠しますぅっ♡♡♡ どうか私の子宮にっ♡♡♡ 皆様の子種を植え付けてくらはいぃぃぃぃっっ♡♡♡ ここにいる皆様の子供っ♡♡♡ 何人でも産ませて頂きますっ♡♡♡ 私に産ませて下さいぃぃぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 雄と雌、お互いに意思が合致した。雄の滾りと雌の欲求、その二つが混じり合い、互いを獣の如き存在へと変えていく。

 壁の向こう側に居る男たちには、ナイチンゲールの背中と尻が壁に押し付けられ、失禁までしながら男たちと交わっている姿が良く見えていた。しかし、彼女がどんな表情をしているのかはわからず、しかも彼女の体に触れることも出来ないのだ。

 

「んへぇぇぇええぇぇっっ♡♡♡ ななにんめぇっ♡♡♡ ざーめんいただきまひたぁっ♡♡♡ つぎのちんぽをくらさいっ♡♡♡ まんこしめますからっ♡♡♡ つぎのざーめんをどぴゅどぴゅしてくださいっっ♡♡♡」

 

 生殖の為の行為。獣染みたその嬌声。男たちは、ただ快楽に身を委ねるナイチンゲールを貪るかの様に抱くカルデアの職員たちに羨まし気な視線を送る。

 ビクン、ビクン、と震える彼女の尻は、見ているだけで肉棒が起立する程に淫らだ。しかし、すぐ近くにいる魅力的な女性の体を触れられないことや、その本人に拒絶されたことは彼らのプライドを大きく傷つけていた。

 

「あぁぁぁっっ♡♡♡ じゅう、にんめぇっ……♡♡♡ おなかふくれてきましたぁ……っ♡♡♡ せーし、もれないようにしなくては、いけませんね……♡♡♡ にしゅうめもよろこんでおあいてします♡♡♡ わたしがはらむまで、たっぷりたねづけしてください……っ♡♡♡」

 

 地に足のつかないまま二桁の男たちに抱かれたナイチンゲールは、なおも蕩けた表情のまま性交を強請る。男たちもまた、彼女の願望を叶え、自分たちの子を孕ませるべく、再び勃起した肉棒を彼女の膣にねじ込むと激しく抽挿を始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねえ、これってどういう状況?」

 

「あはぁ……♡ マスター、随分と遅いご到着ですね? 一番楽しい催しは終わってしまいましたよ?」

 

 夜分遅く、医務室の扉を開けたマスターは、目の前の光景に唖然とした表情を浮かべてナイチンゲールへとそう問いかけた。しかし、狂戦士の性か、彼女の返答は要領を得ず、疑問を解決する手掛かりにはなりはしない。

 マスターの目には、医務室に転がる数多くの男性職員たちの姿と、精液と愛液で汚れた部屋の光景が映っていた。取り合えず、ここでセックスが行われていたことは間違いないだろう。そう判断したマスターは、最後に一番気になる部分へと視線を移す。

 

 彼が気にしていた部分、それはこの部屋で唯一立っているナイチンゲールの腹部だった。彼女の腹部は大きく膨らみ、まるで妊婦の様になっているのだ。

 愛おし気に自分の腹を撫でるナイチンゲールの姿を見れば、本当に子供を孕んでしまった様にも思える。その事についてマスターが訪ねてみれば、ナイチンゲールは柔和な微笑みを崩さぬままこう答えた。

 

「ああ……本当に妊娠した訳ではありませんよ。これは全部、この場に居る皆さんが射精してくれた精液です♡」

 

「でえぇっ!? ま、マジっ!?」

 

「ええ、本当ですよ……♡♡♡ 流石にこれだけ射精されたら、私も孕んでしまうかもしれませんね……♡♡♡」

 

 またしても愛おし気に腹を撫で始めたナイチンゲールを見て、マスターは色んな意味で驚嘆していた。ボテ腹になるまで射精した男性職員たちに驚くべきか、その全ての性欲を受け止めてなおも余裕のあるナイチンゲールに驚くべきか、判断に困ってもいた。

 よくよく見てみれば、ナイチンゲールの秘所にはハート形のシールが貼られており、そこには「着床実験中 剥がす事を禁じます」と文字か書かれている。ここまで徹底して男たちの精液を逃さぬ様にする彼女に対し、マスターが半ば呆れた様な視線を注いでいると――

 

「……そういうことで、もう本日はおまんこを使ったご奉仕は出来ません。ですが、こちらの穴ならば使用可能ですよ……♡」

 

 ぷりんっ♡ と音を鳴らすかの様に尻を突き出したナイチンゲールが、マスターに自身のアナルを広げて見せつけて来たのだ。精液で汚れてはいるものの十分に美しい彼女の臀部と卑猥な臭いを放つ肢体にクラクラしたマスターは、あっという間に素直な反応を見せて股間を勃起させてしまう。

 

「あぁ……♡ とっても立派で素敵なおちんぽですね、マスター……♡♡♡ こんなに大きくて雄々しいおちんぽ、世界の何処を探してもありませんよ……♡♡♡」

 

 ズボンを脱がせ、いきり立つ陰茎を手で扱いたナイチンゲールは、亀頭に口付けを落とした後で丹念に先っぽから根元までを舐め始めた。ぬらぬらとした唾液に濡れたマスターの肉棒は、軽い刺激を受けたことで目を覚まして更に巨大な大きさとなる。

 

「ふふっ♡ 毎回、このおちんぽを見ると心がときめいてしまいます……♡♡♡ しかし、今回はお尻の穴でのお相手です♡ ボテ腹まんこは使えないので、アナルから子宮をズンズンしてくださいね……♡♡♡」

 

 マスターの肉棒の準備が整ったことを見て取ったナイチンゲールは、再び尻を突き出して彼を誘った。マスターもまた、状況に流されるままにその誘いに乗って肉棒をナイチンゲールのアヌスにあてがう。

 そのままゆっくりと挿入、いつもより締まっている彼女の尻穴を穿つ。膣と子宮が精液でぱんぱんになっているせいか、尻穴の具合もはっきりわかる程に変わっていた。

 

「んぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……っっ♡♡♡ マスターのぶっといちんぽ、きましたぁ……っ♡♡♡ マスター、お手数ですが、私を持ち上げて下さいませんか?」

 

「ああ、お安い御用だよっ!!」

 

「んほぉぉぉおぉぉおぉおぉおおぉぉっっ♡♡♡ おぐっ♡ ちんぽおくにきてますっっ♡♡♡ マスターちんぽっ♡ 私のお尻の穴をほじほじしてるぅぅっっ♡♡♡」

 

 後ろからナイチンゲールの両脚を掴んだマスターは、それを大きく開いて彼女を抱え上げた。そうすれば、目の前の大鏡に今の二人の姿が映り、ナイチンゲールにも自分がどういう状況なのかをはっきりと見る事が出来る様になる。

 膨らんだ腹を震わせ、揺れる乳房から母乳を噴き出し、だらしないアヘ顔を晒しながら尻穴を穿られるナイチンゲール。そんな自分の姿を見ながら、彼女は声の限りに叫ぶ。

 

「んほぉぉおぉおおおぉおぉぉぉぉっっ♡♡♡ すてきっっ♡♡♡ すてきれすぅぅっ♡♡♡ 尊敬する男性たちの子を孕みっ♡♡♡ 女としての最高の幸せを味わいながらお尻の穴穿られるの気持ち良過ぎるぅぅっっ♡♡♡」

 

「マスターっ♡♡♡ マスターの子も孕みますからっ♡♡♡ 今はお尻の穴に射精して下さいっっ♡♡♡ ああっ♡ もういっそのこと、ケツ穴で孕ませてくださいっっ♡♡♡」

 

「しあわせぇぇっっ♡♡♡ しあわせすぎるぅぅっっ♡♡♡ こんな快感、病原菌ちんぽじゃあ、あの情けないちんぽじゃあ、味わえませんっっ♡♡♡ マスターや、カルデアの皆様こそっ♡ 最高の男性たちにして、最強の雄たちですぅっっ♡♡♡」

 

 力強いピストンで尻を打たれる度、ナイチンゲールの意識が飛びかける。だが、更なる快感が意識を呼び戻し、彼女を延々と続く快感の坩堝に叩き込むのだ。

 マスターの逸物は肉付きの良いナイチンゲールの尻穴の奥深くまでを穿り尽くしていた。普通の肉棒では味わえない奥を刺激される快感にアクメ面を晒すナイチンゲールは、その快感を射乳で表して喘ぎ続ける。それはまさに、狂っているという方が正しい様相だった。

 

「おぉぉぉおぉぉぉおおぉんっっ♡♡♡ くりゅぅぅぅぅっっ♡♡♡ マスターのちんぽが切なくなってるのわかりますっっ♡♡♡ 射精するんですねっ♡♡♡ 私のケツ穴を妊娠させる位の射精をかますんですよねっ♡♡♡ くださいっ♡♡♡ どうぞ射精してくださいっ♡♡♡ 特濃ザーメンぶちまけてくださいっっ♡♡♡」

 

 ナイチンゲールの声が甲高くなる。それは彼女が本気の絶頂を迎えようとしている証、快楽に屈する寸前の証拠。

 腰を打ち付けられる彼女は、ピストン一回につき体を大きく跳ね上げさせていた。浮かび上がった体が落ちて来ると同時に次のピストンを受け、お互いを引き合う様な動きのお陰で感じる快感を増幅させているのだ。

 

「おぉぉぉぉぉおおぉぉおっっ♡♡♡ んほぉぉぉおぉおぉおぉぉおっっ♡♡♡ んんおぉぉおおぉぉぉおぉっっ♡♡♡」

 

 もはやクリミアの天使だとか、戦場の天使などという呼び名で呼ばれていた女性には見えない姿で喘ぎ続けるナイチンゲールは、目に涙を浮かべて尻穴快感に浸っている。当然、ぽっこりと膨れた腹部に溜まる精液の熱を感じ、尻穴から子宮をマッサージされる快感に打ち震えれば、彼女は快楽により深く浸る様になってしまう。

 

「んへぇぇぇえぇぇぇっっ♡♡♡ んっっほぉおおぉおぉぉおおぉおぉおぉぉぉおおぉおぉおおぉぉぉんんっっ♡♡♡」

 

 そして、ついに射精の時が訪れた。ナイチンゲールの両足首を掴み、それを大きく掲げたマスターは、鏡に彼女の体を押し付けることで体勢を維持しつつ夥しい量の精液を尻穴へと放つ。その熱と勢いに翻弄され、間近に見える自分の情けないアクメ顔に興奮を禁じ得ないナイチンゲールは、連続絶頂へとその身を堕として喘ぎ続けていた。

 

「おぉぉぉおんっっ♡♡♡ んおぉぉぉぉおぉっっ♡♡♡ お、お、おぉっ♡♡♡ け、ケツあなっ♡♡♡ あちゅいぃっ♡♡♡ やけど、してしまうぅ……っっ♡♡♡ んほぉぉおぉおぉぉおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 射精を受け、舌を放り出して喘いでいたナイチンゲールの尻穴からマスターの肉棒が抜けた。未だに硬さを保ち、上向きのままでいる彼の肉棒が抜ける時の生理的快感に体を跳ね上げたナイチンゲールであったが、真の快感はここからやって来る。

 

「ん、おぉ……おぉぉぉぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ で、でりゅぅぅぅぅっっっ♡♡♡」

 

――ぶぽぽぽぽっっ♡♡♡ ぶぶぅぅっっ♡♡♡

 

 今しがた射精されたマスターの精液が塊となって尻穴から噴き出したのだ。しかも一回で終わらない精液排泄は、長きに渡って彼女に生物の本能で感じる快感である排泄の心地良さを尻穴と脳へと刻み込む。

 粘度も濃さも熱さもある。そんな物体が尻穴から零れていく快感は、蒸発したはずの理性が完全に砕け散る程の威力を誇り、かつもっと味わいたいと思ってしまう程の魅力に富んでいた。

 卑猥な音を響かせてマスターの精液を排泄するナイチンゲール。足元に精液のプールとも呼べる量の精液を排泄した彼女は、ぽっかりと開いたままのケツ穴を再びマスターへと差し出した。

 

「か、駆けつけ三杯という言葉もあります……マスター、あと二回、私のケツ穴に射精して下さい……♡♡♡」

 

「ああ、良いよ! なんだか今回はナイチンゲールに勝てる気がするしねっ!」

 

「ふ、ふふ……♡♡♡ それはどうでしょうね? ですが、マスターが満足するまでお相手する自信はありますよ……♡♡♡ んほぉぉおぉおぉぉおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 再び尻穴に挿入し、ナイチンゲールの敏感な腸内を穿り回すマスター。鏡に映るナイチンゲールの余裕の無い表情に気を良くしながらも、彼女はセックス中はいつもこうであったとふと思いなおして苦笑する。

 そんな彼は気が付かなかったが、ナイチンゲールの下腹部に刻まれている淫紋令呪は、素直になり、思いの丈をぶちまけた彼女の本能にしたがってか、更なる進化を遂げて再臨を果たしていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんだよあのちんぽ……? デカすぎだろ……」

 

「ナイチンゲールを相手にあの激しさであそこまで保つんだぜ? 持久力のがヤバいだろ……!?」

 

「それよりあの射精量だって! なんだよあれ!? 俺たちの何倍あるってんだよ!?」

 

 鏡の向こう側で見えるマスターとナイチンゲールのセックスを見学していた男たちは口々に年若い青年であるカルデアのマスターの陰茎についての感想を述べていた。そのどれもが驚愕に満ちており、信じられないといった表情で二人のセックスを眺め続けている。

 

「絶対にソロモンのよりデカいだろ……! そりゃ、堕ちた女英霊たちが奪い返される訳だ……」

 

「な、なんだよ糞っ! 話が違うじゃねえか! カルデアにはもう碌なマスターも人員も残ってないって話だったんじゃ無いのかよっ!?」

 

「あっという間に制圧して、残った女どもを好き勝手出来ると思ってたのに……! サーヴァントもマスターも、それをサポートする奴らも化け物揃いじゃねえか! ソロモンの奴、何を見てるんだよっ!?」

 

 溢れる怨嗟の声。今まで自分たちが見下していた存在が遥か上の立場に立つ者だと知った衝撃が彼らにソロモンへの恨みと不信を抱かせる。同時に、ナイチンゲールに言われた自分たちが人間以下の存在だという言葉も屈辱的ながら認めざるを得なくなってしまった。

 自分たちはオケアノスでの戦いに敗れた。彼の方が頭脳明晰で、勇猛だという証拠だ。

 自分たちはナイチンゲールに見放された。カルデアの男たちの方が男として、人間としての魅力に溢れている証拠だ。

 そして自分たちはカルデアのマスターに勝てないと思い知らされた。雄として比べられることが恥ずかしい程の格の差を見せつけられてしまった。

 ナイチンゲールの言葉通りに欲情を自慰で発散させ、三回ほどの射精で萎えてしまった己の肉棒を見た男たちは茫然とした表情で思う、これが本当にカルデアのマスターと同じ肉棒と言う器官なのかと……

 

「……なんだよこのへにゃちん。こんなので俺はデカいってイキってたのかよ……?」

 

「あんなもんと比べられたら勝てる訳ねえだろうが……! 戦闘でも負けてんのに、あのガキに女の扱いでも負けんのかよ、だっせぇ……」

 

「ああ、クソ……駄目だ、なんもする気になれねぇ……気力が湧かねえ……もう勃ちもしねえよ……」

 

 雄として、人間としての完全敗北を喫した男たちの気力は萎え、肉棒は二度と勃つことは無かった。何もかもに無気力になった彼らの絶望はソロモン陣営に伝播し、さらに大きな被害を出す事になるのだが、それはまだ先の話である。

 

 




ナイチンゲール 第一再臨完了

スキル 『行為続行 EX』習得



行為続行 EX


戦闘行為、性行為等、数々の行為に瀕して体力が低下した際に体力を回復させるスキル。戦闘続行のバリエーションが増えたものと考えれば良い。
EXクラスである為、その性能は破格。体力をほぼ全回復し、再び全力で行為に及ぶことが出来る様になる。
なお、余談ではあるが、今回のセックスにてカルデアのマスターはこのスキルを発動したナイチンゲールに完敗した。





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

王道往くはチームE(アン・ボニー ランサーアルトリア フランシス・ドレイク)

 昼食時のカルデアの食堂。ランチ時の現在は、数少ない職員たちが集い、僅かな憩いの時間を楽しむ安らぎの一時となっている。

 タマモキャットお手製の料理に舌鼓を打ち、温かいコーヒーで一息つき、この後の仕事への英気を養う……そんな、心の底から落ち着くことが出来るこの至福の一時も、最近訪れた変化によって気の抜けない時間になろうとしていた。

 幾つかに分かれたテーブルの内、1グループの周囲だけは人が全くおらず、遠巻きに彼女たちを見守る様にして職員たちは食事を取っている。それはなぜかと聞かれると――

 

「お食事中失礼しますっ! 死ねっ、セイバー!」

 

「うぉぉぉぉっっ!?」

 

 バーン! と食堂のドアが開き、ドーン! という様な擬音を鳴らしながら登場した謎の少女が部屋を舞う。一瞬後にはガシャーン! と食器が床に落ちる音が食堂内に響き、てんやわんやの大騒ぎが始まってしまった。

 彼女が召喚されてから毎日この調子だ。うんざりとした表情を浮かべる一同を代表し、床に落ちてしまった料理の作り主であるタマモキャットが彼女へと注意する。

 

「食事中は行儀よくするのだな。それが出来ぬのなら、貴様は明日から食事抜きだ」

 

「な、なんですって!? くっ……おのれ、小癪なセイバーめ……っ!」

 

「オレたちが何したってんだこの野郎! 全部自業自得じゃねえか!」

 

「うむぅ、ソースで服がべたべたではないか……」

 

 襲撃を受けたモードレッドとネロがそれぞれの反応を見せる中、この騒ぎの元凶であるサーヴァント『謎のヒロインX』は怒りを燃やした目で彼女たちを睨んでいる。前々からセイバー嫌いの彼女が不意を打って該当クラスのサーヴァントを襲う事は多々あったのだが、それを諫めるサーヴァントが少ない今のカルデアでは、彼女の暴走は止まることを知らないのだ。

 「あんなところに居続けられる訳が無いでしょう!? 右を見てもセイバー、左を見てもセイバー……ああ、考えただけでもおぞましいっ!」……という台詞と共に再召喚されたヒロインXは、かつてと変わらぬ様子でこのカルデアで過ごしている。今の彼女を看過出来るかと問われれば勿論NOなのだが、如何せんあの理解不能ヒロインを止めるだけの余力が今のカルデアには無いことが問題だ。

 結果、セイバークラスのサーヴァントたちは次々と被害に遭っている。今はこの場に居ない沖田やカエサルもまた、ヒロインXに発見されぬ様に息を殺して過ごす日々を送っていた。

 

 まあ、幸か不幸かこのどったんばったんの大騒ぎにも慣れが生まれて来た今日この頃では、カルデアの職員たちも被害を受けぬ様にして今まで通りの生活を送れる様になっている(無論、セイバークラスのサーヴァントたちが平穏な日々を送るのは不可能ではあったが)。該当しないクラスのサーヴァントたちもそれは同様で、今も食堂の片隅ではメアリーとアンがニコニコと笑みを浮かべながらお喋りとしゃれこんでいた。

 

「……では、私が先でよろしいんですのね?」

 

「うん、良いよ。まずはお手並み拝見させて貰おうかな?」

 

「え? 何々? 何の話?」

 

 二人の会話の内容に興味を持ったマスターが声をかければ、アンはぱぁっと顔に満面の笑みを浮かべて彼の腕を抱いて絡みつく。柔らかく大きな胸の谷間にマスターの右腕を挟み込んだアンは、口を彼の耳元に近づけて甘い声で囁きかけた。

 

「丁度良かったですわ。実は、私たちも皆さんを見習ってチームを結成しましたの。それで、どちらが先にマスターにお相手して頂くかを話していましてね――♡」

 

「今回はアンに先を譲ることにしたって訳。マスターさえ良ければ、このままセックスしちゃう?」

 

「あ~……うん、この後に予定は入ってないし、折角だからお願いしようかな」

 

 頭の中で本日の予定を思い返して何も問題が無いことを確認したマスターが了承の意を見せると、アンは更に嬉しそうに笑って抱き着く

腕に力を込める。むにゅり、と柔らかな乳房の感触が強まったことにマスターが顔を赤らめていると――

 

「んじゃ、ここから移動しようか。流石にここでヤるのは人目が多いだろう?」

 

「既に準備は整っております。マスターもどうぞお楽しみ下さい……♡♡♡」

 

 背後から声が聞こえると同時にマスターの体を重量感のある柔らかい物質が囲む。両腕と背中に押し付けられるそれが、女性の乳房であることに気が付いたマスターは不謹慎ながらもこの場で欲望を滾らせてしまった。

 右腕を挟むのはアンの乳房。左腕にはアルトリアの胸。背後から抱きすくめる様に腕を回しているのはドレイクだ。豊満な胸を持つ三人の美女が自分を取り囲み、抱きしめている状況に心臓を跳ね上げるマスターは、両側のアンとアルトリアが唇を耳元に運んで熱を帯びた声で囁き出したことで更に緊張を募らせる。

 

「如何です? とってもシンプルで、それ故に興奮する組み合わせでしょう……♡」

 

「今宵、あなたのお相手を務めるのは、恵体を持つ大人の女性たち……♡ 熟成された肉体を、思うままに味わって下さい……♡」

 

「すらりとした手足も、ずっしりとしたおっぱいも、むちむちのお尻も、肉厚おまんこも……♡♡♡ 全部、あなたが好きにして良いんですよ、マスター……♡♡♡」

 

 三人の柔らかい体に上半身を囲まれたマスターの喉が鳴る。食堂内の人間も視線を彼女たちに注ぎ、4人はこの場の視線を一身に浴びていた。

 少しだけ拗ねた様な視線をマスターへと送るメアリーの様子を見て微笑んだアンは、彼女に見せつける様に色気たっぷりの仕草でマスターを誘惑しつつ、自分の作ったチームの名を彼へと告げる。

 

「私たちの名はチームE。肉欲、性欲、性愛を司るErosのE……♡ ね? これ以上無く分かり易いコンセプトでしょう?」

 

 ぺろりと舌を出してこの後の性交に期待を募らせたアンは、自分の囁きに顔を真っ赤にするマスターの様子に声を出して笑ってから、彼を

用意していた部屋へと連れて歩き出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むっっ♡ むちゅっ♡ じゅるっ♡ んちゅっ♡」

 

「ん……っ♡ はぁっ♡ あくぅ……♡」

 

 ベッドの上に並んだ美女たちとの代わる代わるの口付け。舌を突き入れ、唾液を絡ませ、口の中に溜まったそれを胸の谷間へと垂れ流す。ローション代わりの唾液を馴染ませる様に両方の乳房を擦り合わせれば、卑猥な音が三つの谷間から鳴り響いた。

 

「さあ、準備は万端ですわよ……♡」

 

「では、まずは私たちからお相手させて頂きますね……♡」

 

 ベッドの上に寝転がるマスターの起立した逸物を両側から挟む様に位置したアンとアルトリアは、ねっとりとした光沢を放つ己の乳房を擦り合わせて二人掛かりの奉仕を開始した。抱き締める様にして乳房を押し合わせ、強い力でマスターの肉棒を刺激する二人は、うっとりとした表情のまま熱に浮かれた呟きを口にする。

 

「あぁ……♡ 熱くて、硬くて、とても大きいですわ……♡♡♡」

 

「私たち二人の胸でも包み切れないなんて、本当に立派な性槍をお持ちになっていますね……♡♡♡」

 

「ぐぅっ! うぅっ……!!」

 

 アンとアルトリアの柔らかく大きな乳房で包み込まれる肉棒は、満足気に震えながらその感触を堪能していた。平均よりも大きいバストサイズを誇る二人の女性の胸は、ずっしりとした重量感と質量でマスターに快楽を与えている。

 唾液に濡れ、滑りが良くなった胸の谷間。僅かに質感の違う胸の感触を味わうマスターの口から悩まし気な吐息が溢れた。

 

 アンの乳房は、肉棒が埋まってしまう程に柔らかく、何処までも彼を受け入れ様としている。生前、性に爛れた生活を送っていたであろう彼女の胸の肉は、数多の男たちの手で揉まれたことでここまで柔軟になっているのだろう。

 無数の男たちを魅了し、病み付きにして来たアンの乳房。だが、今、その胸を使った奉仕を受けられる男性はカルデアのマスターのみ。その僥倖に打ち震える肉棒は、彼女の乳肉に熱い滾りを沈めていく。

 アルトリアの乳房にはその大きさに違わぬ重量感があった。内部に母乳が詰まっていることも影響しているのだろう。押し付けられる竿の部分より、根元に圧し掛かる重圧が否応にもマスターの興奮を滾らせる。

 どことなく感じる甘い母乳の臭いもまた、男の興奮を煽ることに一役買っていた。乳房の弾力も強く、柔らかく肉棒を包みながらも張りのある質感を逸物に与えてくれている。

 

「如何です? 私たちのおっぱいの感触は……♡ とっても柔らかくって、重量があって、素敵でしょう?」

 

「マスター、女海賊と騎士王のWパイズリを心行くまでご堪能下さい♡」

 

「うあぁぁぁっっ!!」

 

 二人の乳房が同時に浮き上がる。肉棒を根元から刺激し、包み切れなかった肉棒を抱き締める様に持ち上げられた4つの乳房は、一瞬の静寂の後で一気に落下して来た。

 亀頭の先から肉棒の根元までを一気に擦る二人の胸の動きは、その激しさを徐々に増しつつ速度を速めていく。ローション代わりの唾液が奏でるぬちゃぬちゃとした水音や、重量のある乳房がマスターの体にぶつかって響かせるぱんぱんといった音が淫らな合奏となって部屋中に響き渡る。

 

「ぐぁぁ……っ! すご、いっ……!」

 

「遠慮せずに気持ち良くなって良いんですよ、マスター……♡♡♡」

 

「マスターのおちんぽ、凄く硬く、熱くなっています……♡ 私たちのパイズリで興奮してくれているんですね……♡」

 

 興奮を募らせる主の肉棒を愛おしく見つめた二人は、亀頭へと顔を近づけて交互に口付けを落とした。張りのある、されど柔らかい亀頭の先へとキスをした後は、本格的な奉仕をする番だ。

 アンは舌を伸ばし、亀頭の割れ目をぐりぐりと刺激する。少しだけしょっぱい味のするそこから噴き出す我慢汁を舐め取りつつ、この後放たれるであろう熱い精液のことを思う彼女の秘裂は、既にぐっしょりと濡れていた。

 アルトリアはカリの窪みへと舌を這わせた。自分側の半周をじっくりと舐め、恥垢をこそぎ取る様な卑猥な舌の動きを見せる。娼婦も真っ青なテクニックでマスターに奉仕を行うアルトリアの表情は、完全に性の悦びに満ちた雌の物となっていた。

 

「ぐっ! ぐぅぅっ! あぁっっ!!」

 

 擦れ合わせられ、抱きしめられ、舐められる。その一つ一つに全力を注ぎつつ、他の行為をおざなりになどはしない。舌を這わせている時にも乳房は強く肉棒に押し当てられており、上下に揺れている時はその邪魔をせぬ様にしながらも二人の唇が亀頭に落とされている。そんな懸命な奉仕を受け、彼女たちの唾液と先走り汁に濡れたマスターの肉棒は、赤く大きくなる程にまで膨れ上がってその興奮を示していた。

 

「ああっ♡ 熱いっ♡ 凄いっ♡ こんな立派なおちんぽ様、見た事がありませんわっ♡」

 

「この脳を蕩けさせる臭いと熱……♡♡♡ マスターのおちんぽが、私たちをただの雌にする……っ♡♡♡」

 

 鼻を衝く濃厚な匂いが、胸で感じる灼熱の如き温度が、谷間を濡らす先走り汁が……アンとアルトリアを狂わせる。奉仕しているだけで脳が沸騰し、子宮が震え、口の中に涎が溜まってしまう。

 二人の心の中からは誇りや己の立場といった邪魔なものが次々と消え去っていった。その果てに残ったマスターへの敬愛と彼に奉仕出来る悦び、そして快楽を求める思いだけを胸に、二人は同時に口を開いて叫ぶ。

 

「射精してくださいっ♡ マスターっっ♡♡♡ あなたの迸りを、私たちの乳房にっっ♡♡♡」

 

「雌馬騎士王と淫乱女海賊、二人の乳まんこにザーメンマーキングをお願いしますっっ♡♡♡」

 

 ラストスパート、巨大な乳房が狂った様に跳ね回る。その谷間に埋まる肉棒から欲望を解き放てとばかりに強く押し付けられた乳肉は、既に彼女たちの全身と同じく火照り切っていた。

 乳首が擦れる。乳肉が快感を訴える。期待感と奉仕の悦びに満ちたアンとアルトリアは、己が乳房が挟む肉棒の根元から熱い滾りがこみ上げて来ることを感じ、二人同時に叫び声を上げた。

 

「「あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁっっ♡♡♡」」

 

 それはまるで火山の噴火だった。高く、高く……二人の眼前を大きく超す程の高さにまで飛び上がった精液が、勢い良く柔らかな乳房の上へと落下していく。

 その量も、濃さも、熱さも、秘められた魔力量も、全てが規格外の物であり、女を魅了する為の破壊力もまた規格外だ。胸と顔面を精液で汚した二人もまた、自分たちの体に降りかかったマスターの迸りを受けただけで軽く絶頂を迎えてしまっている。

 

「あ、あ、あ……♡♡♡」

 

「んぁ、ぁぁ……っ♡♡♡」

 

 舌が勝手に動く、胸の振りかかった精液を舐め取り、一滴残らず自分の体内に収めようとする。空腹の獣が久々の食事を貪る様に、二人は恥も外聞も無く舌を自分の乳房へと這わせ続けた。

 

「じゅるるっっ♡♡♡ あむぅうっっ♡♡♡」

 

「じゅぞっ♡ ずろろっ♡ んじゅずろぉぉぉっ♡♡♡」

 

 どれだけ卑猥であろうとも、どれだけ痴態を晒そうとも関係無い。今の二人にとって、優先すべきはマスター精液を味わうことだけだ。

必死に動く舌と口が卑猥な吸引音を鳴らす。淫らに染まった表情からは完全に人の尊厳が消え去っている。

 そうして精液を舐め取っていた二人は、自分たちの乳房から全ての精液を舐め終えてしまったことに気が付き、目の前に自分と思いを共にする淫乱な雌がいたことを思い出し、そして……その雌の顔に、望んでいる物(マスターの精液)がこびり付いていることに眼を光らせると――

 

「はむぅっ♡♡♡ ちゅるぅっ♡♡♡」

 

「はふっ♡♡♡ ふうぅぅううぅぅ……っ♡」

 

 アンの頬をアルトリアが舐める。アルトリアの額をアンが舐める。興奮に鼻を膨らませ、息をする事すらもどかしいと思いながら、二匹の雌が交互にお互いの顔についている精液を舐め合う。舐め取った精液を舌で転がし、咀嚼し、その味を存分に味わった後でゆっくりと嚥下する。

 お互いの顔から精液を舐め終えて、今度こそ全ての精液を味わい尽くしてしまった後もその興奮は収まらなかった。相手の口から香る芳醇な香りに頬を染めた二人は、精液の味がするそこを絡ませ合って淫らな口付けを交わし始める。そうなれば当然、未だに胸の谷間に挟まれた

ままの射精を終えたばかりで敏感になったマスターの肉棒も強く押し合わされ、彼女たちからより強い快感を与えられた彼もまた快楽に呻き声を上げることとなった。

 

「あっ……! すいません、マスター!」

 

「我を忘れてしまいました……」

 

 その声を耳にしたことで我に返ったアンとアルトリアは、慌てて体を離してマスターの肉棒を胸の谷間から解放した。未だに立ち上がったままで、精液でべっとりと汚れたそこの掃除すらしていなかったことに気が付いて顔を赤らめる二人であったが、そんな二人の一瞬の硬直を見抜いたドレイクは漁夫の利を得んとばかりに顔を突き出してマスターの肉棒を咥え込んだ。

 こびり付いた精液を舐め取り、その味を愉しむドレイク。喉を潤す魔力の感触と濃厚な性の味覚に瞳を蕩けさせた彼女は、頬を窄めて勢い良く肉棒を吸い込む様にしながら顔を前後に動かす。

 太陽を落とした女が見せるひょっとこ顔。バキュームフェラを行うのは凛々しく勇ましい稀代の女艦長フランシス・ドレイク。そんな彼女が見せる雌としての姿に、マスターもまた否応なし興奮を滾らせていると――

 

「ああ……♡ 申し訳ありません、マスター……♡ あなたを放っておいて、自分たちの欲に耽ってしまうとは、私たちは本当に愚か者です……」

 

「不躾なこの雌どもに、どうかお仕置きをお願い致しますわ……♡♡♡」

 

 眼前に突き出される白く、丸く、大きな二つの尻。性器はしとどに濡れ、肛門は卑猥にひくつき、下半身全体からぷんぷんと淫らな臭いを放つ肢体が、ドレイクを挟んでマスターの目の前に鎮座する。

 ふるり、ふるりと揺れるアンとアルトリアの尻は、マスターを誘う様に淫らな動きを繰り返していた。真横で尻を突き出すチームメイトの姿を感じ取ったドレイクは、マスターの肉棒から一度口を離すと、彼の手を取ってそれぞれ左右で振られる尻に運んでから、笑顔を見せる。

 

「ぶっ叩いてやりな、マスター。遠慮なく、思いっきり、このケツを引っ叩くんだ」

 

 そう口にしてからすぐ、ドレイクはフェラを再開した。じゅぞぞ、という吸引音が響き、マスターの表情をしかめさせるほどの快感を生み出す彼女の言葉に従って、マスターはアンとアルトリアの尻に思い切り張り手を繰り出す。

 

「あぁぁっっ♡♡♡」

 

「んひぅうぅうっっ♡♡♡」

 

 ぱぁん、という乾いた音が響いた。それと同じ位大きな二つの嬌声もだ。ぶるりと震えた尻肉は快感で波打ち、赤い紅葉が興奮と共に臀部に刻まれる。

 痺れる様な快感が全身を駆け抜け、一瞬にして思考を奪い去る。断続的に続くスパンキングの快感に舌を放り出しながら、海賊と騎士王は喘ぎ続け、その快感に身を浸す。

 

「あぁぁああぁぁっっ♡♡♡ ひも、ち、いひぃいぃぃいっっ♡♡♡」

 

「しり、がぁっ♡ あたまがぁっ♡ ちびれりゅぅうぅっ♡♡♡」

 

 被虐的な快感に身を焦がし、喉が枯れてしまうのではないかと思わせる程の大声で喘ぐ二人の腰は、かくかくと震えながらも徐々に浮き上がっていた。アンとアルトリアは本気でスパンキングで感じ、達しようとしているのだ。それを見て取ったマスターは口の端を釣り上げてニヤリと笑い、淫紋令呪が刻まれている左手を浮かばせながら言う。

 

「お尻を打たれてそんなに感じちゃってるんだ? なら、さ――」

 

「!?!?」

 

 淫紋令呪に命令を下された二人の霊基は、次の瞬間にはそれを行動に移していた。すぐさま体を立ち上がらせ、マスターへと向き直り、彼の体を両側から抱き締める体勢を取る。しかして腰は浮かせたまま、がに股でしゃがみ、胸を彼の体に押し付けながらも尻を浮かび上がらせた卑猥な格好になった二人をなおもスパンキングの快感が襲う。

 

「「ふあぁぁぁぁあぁっっ♡♡♡」」

 

「この格好なら二人の顔も見られるんだ。ほら、もっと俺に見せて。二人のエッチな表情をさ……!」

 

「んひうぅううぅぅんっ♡♡♡」

 

「あへぇぇえぇぇぇっっ♡♡♡」

 

 抱き締められる様に尻を打たれ、体の芯を一気に駆け上がって来る快感を与えられ、二人が平静を保てるはずも無い。マスターの手の動きに合わせ、ただ泣き叫ぶ様に喘ぐことしか出来ようはずも無い。彼の望むがままに無様に喘ぐ自分たちの表情を見せつけることしか出来ないのだ。

 

「んっほぉおおぉおおぉんっっ♡♡♡ おぉぉおおんんっっ♡♡♡」

 

 鼻の穴が膨らむ、喘ぐことしか出来ない口が呼吸を出来ないから。だから、鼻を大きく膨らませてそこから酸素を取り入れるしかない。だが、大口を開けながら鼻の穴を広げる雌の顔は、無様としか言い様が無かった。

 

「あひぇぇぇぇえぇえぇっっ♡♡♡ んへぇぇぇええぇっっ♡♡♡」

 

 だらりと口から舌が垂れる、まるで水を求める犬の様に。涎を舌の先から垂れ流し、我慢など知る訳も無いと躾のなっていない犬の様な様相で、人としての尊厳を失った姿で二匹の雌が快楽に吼える。

 

「あひっっ♡♡♡ んひぃっ♡♡♡ んへほぉえぉおぉおっっ♡♡♡」

 

「あぁあぁぁぁっっ♡♡♡ んあぁあぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 ドレイクは見ていた、白かった二人の尻が真っ赤に染まっていく光景を。快楽と興奮、そして主の手で直接刻まれる支配の証が、アンとアルトリアの肉体と心を悦楽で染め行く光景を。

 そしてマスターは見ていた、女海賊と騎士王の信じられない痴態を。舌を放り出し、大口を開けて喘ぎ、鼻を膨らませて荒い呼吸を繰り返し、唾液と涙と鼻水に濡れた卑猥な表情の全てを事細かに見ていた。

 尻を打たれるという屈辱的かつ被虐的な行為でここまで快楽を得ているのは、英霊となるまでもてはやされた女性たちなのだ。そんな彼女たちが、誇りや人間性を打ち捨ててまで快楽を貪っている姿を見て興奮しない男などいないだろう。それが自分の手で与えられた快楽ならなおさらだ。

 

「あぁぁああぁ……っ♡♡♡ い、くぅうぅ……っっ♡♡♡」

 

「がに股でぇっ♡♡♡ お仕置きお尻ぺんぺんされてぇっ♡♡♡ 無様に腰を揺らしながらっ♡♡♡ イクぅぅっっ♡♡♡」

 

 頃合いか、とマスターは思った。抱き着いている二人の体は火照りに火照って熱くなっているし、ドレイクに吸われる自分の肉棒もそろそろ我慢の限界が近い。

 どうせなら、一緒に達したい……そう考えたマスターはじっくりとアンとアルトリアの体を料理し、その快感を支配しつつ、タイミングを探る。ぶるぶると震える尻の肉が手に吸い付き、力を込めて揉んでやれば指が埋まってしまう程の柔らかさを与えてくれる。そんな、まさに男の手で快楽を与えられる為にある様な尻の感触を楽しんだマスターは、ドレイクがトドメとばかりに思い切り肉棒を吸い上げると同時に二人の尻穴へと人差し指と中指を束ねて突き入れた。

 

「「んぐぅっっほぉおおぉおおぉおぉおおぉおおぉおおっっ♡♡♡」」

 

 溢れ出る嬌声。左右からステレオボイスで聞こえるその喘ぎ声は、声質から抑揚まで何もかもが良く似ていた。突き入れた指が掻き回すアナルの反応もそっくりで、ぎゅうぎゅうと締め付ける括約筋の動きから、二人が尻穴で絶頂を迎えたことはすぐに分かった。

 叩かれ続けて柔らかくなった尻が小刻みに震える。腸液を垂れ流す肛門から指を引き抜けば、そこはぽっかりと開いたまま閉じなくなってしまう。お仕置きを受けていたはずが、いつの間にかご褒美ともいえる快感を与えられていたことに気が付いた二人のサーヴァントは、マスターに後頭部を押さえつけられ、彼の目の前でアクメ面を晒すことを強要されながら、何一つとして抵抗せずに絶頂の時を迎えた。

 

「「んへあぁあああぁあぁぁぁぁああああぁぁぁああぁあぁああぁあぁあぁああぁぁぁっっ♡♡♡」」

 

「んぶぅううぅうううぅうぅううぅぅううぅううぅううぅうぅううぅっっ♡♡♡」

 

 部屋の中に絶叫と唸り声が木霊した。一人の雄と二人の雌、三人が同時に絶頂したのだ。

 アンとアルトリアの股座からは絶頂と共に勢い良く愛液が噴き出された。パイズリ奉仕からずっと昂ったままだった体は、直接的な快感を受けて悦びに満ちた性の咆哮を子宮から吐き出す。

 マスターもまたドレイクの口の中に己が滾りをぶちまける。彼女の頬を一瞬で膨らませ、白目を剥かせる程の量を放ったマスター。その滾りを零すこと無く受け止められたのは、流石ドレイクと言ったところだろうか。

 

「んぐっ♡ んんぐぅっ♡」

 

「あ、あぁ……っ♡」

 

「ます、たぁ……♡」

 

 ドレイクが喉を鳴らしてマスターの精液を飲み干す中、アンとアルトリアは力無くマスターの体を巻き込んでベッドの上に倒れ込んだ。ずっしりと重い乳房の感触を胸で楽しみながら、マスターは叩き続けた二人の尻を労わる様に撫でてやる。

 もう仕置きは終わった、意地悪をしてすまなかった……そう言っている様な優しい手付きで二人の尻や背、頭を撫でるマスター。アンとアルトリアもまた、その手付きにうっとりとした表情を浮かべながら子犬の様に彼に擦り寄って甘え始める。

 

「ふふふ……♡ お尻を打たれてイってしまうなんて、私も変態さんになってしまいましたわね……♡ ですが、凄く気持ち良かったですわ♡」

 

「ここからは攻守交替と行きましょう。今度は私たちが責める番ですよ、マスター♡」

 

「はうっ!?」

 

 顔の両側から聞こえる挑発的な声を耳にした途端、マスターの肉棒が熱い肉壺に包み込まれた。視線を上に向ければ、半笑いのドレイクがこれまた挑発的な視線を自分に向けながら肉棒に跨っている。

 騎乗兵(ライダー)のクラスたる彼女は、力強い腰遣いを以ってマスターを責める。ぶるり、ぶるんと勢い良く揺れるドレイクの胸が上下する光景を目の当たりにすれば、マスターの肉棒の滾りはぐんと高まってしまう。

 

「ああっ……♡ くうぅっ♡ この前はティーチと一緒に好き勝手責められちまったからねぇ。今回は、アタシも本気で腰を振らせてもらうよっ♡」

 

「ぐぅうぅぅぅっっ!?」

 

 燃え盛る炎の様な熱さと強い締め付けを併せ持つドレイクの膣は、肉厚な性器でマスターの肉棒を完全に包み込んでいた。亀頭の先で子宮を叩かれることもものともせず、快楽と快楽の殴り合いを行う様に腰を上下させて性交を続けるドレイク。前回のセックスのお返しとばかりにマスターを責める彼女は、時に力強く、時に繊細に腰の動きを変えては彼の肉棒を刺激していく。

 

「ほらほらっ、どんなもんだいっ!? アタシのまんこはイイ具合だろうっ!?」

 

「うぅぅっ!? 熱くて、キツい……っ! 気を抜いたら、すぐに射精しちゃいそうだっっ!」

 

「無理しないで良いんですよ、マスター……♡」

 

「ドレイクの膣に思い切り射精すれば良いのです♡ 気持ち良くなって、びゅーっと、ね……♡」

 

「あぁぁぁぁ……っ!!」

 

 耳の穴を優しく舐められ、射精を促す様に声をかけられたマスターは、体を大きく仰け反らせて射精を食いしばった。騎乗位で腰を振るドレイクと呼応する様に彼を優しくねっとりと責めるアンとアルトリアは、次々と彼の体に淫らな愛撫を繰り出していく。

 

「乳首コリコリしましょうね~……♡ おちんぽと一緒でカチカチになったここも、優しく弄ってあげますわ……♡」

 

「ふかふかのおっぱいでお顔を包み込んで差し上げましょう……♡ 甘~い声で射精を促し、最高の柔らかさの中での絶頂をお約束しましょう……♡」

 

「ほら……♡ 迷わない、遠慮しない、我慢しないで……♡ びゅー、ってしましょ? びゅーっ、って……ね♡」

 

「はぁ、ぁ……っ!!」

 

 下半身を襲うのはドレイクの激しい腰遣い。荒々しく、力強く、そして淫猥な性器の感触で己の肉棒を締め上げる動の快楽。それに対して、上半身を襲うのはアンとアルトリアが与えてくれる甘く柔らかい快感だ。温かな毛布で包まれている様な安心感の中、まるで眠りに落ちるかの様に絶頂を迎えてしまいそうになる。

 

 大きくて温かい乳房が顔を包む。もう何も考えられなくなる……脱力していく上半身とは相反し、下半身の肉棒は怒張を更に滾らせてドレイクの内部で存在を主張し、彼女の腰の動きを完璧に捉え、そして――

 

「ぐあぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 ドクン、とドレイクの内部で性の奔流が炸裂した。それはまるで大砲から砲弾が発射された時の様な衝撃をドレイクの子宮に与え、彼女の一番の弱点にクリーンヒットする。

 子宮口にぴったりとくっついた亀頭から吐き出されたのは白く濃い粘ついた精液。一瞬で赤子のゆりかごを見たし、雌の欲求を満たし、自身の快楽を満たしたマスターの射精に舌を放り出したドレイクは、体をピンと伸ばして硬直させた後で彼の体へと崩れ落ちる。

 

「あ、あ……♡ なんて卑怯なんだよ、マスター……♡ こんな凶悪なモンを一番の弱点にぶっ込まれたら、一発で雌堕ちしちまうじゃないか……♡♡♡」

 

 三人がかりで責め上げ、自分が圧倒的に有利な状態で絶頂させた。なのに、こうして崩れ落ちているのは自分の方だ。子宮の中に精液を注ぎ込まれてしまえばもうどうしようもない。自分の本能を満たしてくれるこの快楽は、抗い様の無い魅力を持っているのだから。 

 一度の射精でパンパンになったドレイクの子宮の内部では、ぐつぐつと煮えたぎる様な熱さの精液が未だに暴れ回っている。そのせいか、一度登り詰めた快楽の高みから彼女は暫く降りることが出来ないでいた。

 

(ああ、クソ……♡♡♡ こんなの、本気でどうしようもないじゃあないか……♡♡♡)

 

 精液を子宮に注がれれば全てが終わる。熱く、濃く、大量の精液が女の本能を見たし、抵抗の意思を剥ぎ取ってしまう。腰は砕け、立ち上がることは億劫になり、ただ挿入されている肉棒に媚びを売る様に肉襞を絡ませるしかない。

 尻穴だって同じだ。この熱さに直腸は焼かれ、排泄口は第二の性器へと成り果てる。一度の射精で尻穴アクメの味を刻み込まれ、二度目の射精で尻穴好きの変態にされ、三度目からは尻穴狂いが出来上がってしまう。マシュもきっと、この快楽に病み付きになってしまったのだろう。

 胸でも喉でも、体の何処で受け止めたって結果は同じ。マスターの精液を浴びた時点で期待で脳が沸騰し、与えられるであろう種付けの快感を強める為のスパイスが女体に振りかけられる。後は、下味をつけられた美味しい雌の体をその肉棒で味わって貰うのを待つだけの存在になって、彼に抱かれる時を待つのだ。

 

(一発でアタシも撃沈か……♡ こりゃあ、とんでもない化け物の相手をすることになりそうだね……♡♡♡)

 

 今の射精と前回の性交の際に与えられた快楽を思い浮かべたドレイクは、ごくりと喉を鳴らして雌の表情を顔に浮かべた。そのままぐったりとした体を動かし、未だに硬いマスターの肉棒を性器から解放した彼女は、体を滑り込ませてマスターの隣に体を横たえた。

 そんなドレイクに代わり、今度はアンが尻を振りながら彼の起立した肉棒へと跨っていく。

 

「二番手は私が務めさせて頂きますわね……♡♡♡ マスターにお仕置きして貰ったお尻をぶるんぶるん振りながらご奉仕しますから、たっぷり興奮して下さい……♡♡♡」

 

 下品ながに股のポーズを取って尻を振るアンは、卑猥に舌なめずりをしてから肉棒を手で扱く様な動きを見せてマスターを煽った。ドレイクの愛液と彼自身の精液で汚れているマスターの肉棒を愛おし気に見つめ、アンは一息に腰を下ろす。

 

「ふぅううぅううんんんっっ♡♡♡ んぁぁああぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

 最初からトップスピード、遠慮なしの腰振り……紅葉が咲き、ピンク色に染まった巨尻を前後左右上下に振るアン。成熟したが故にたるみも見えるその尻が機敏に動き、肉が震える光景を見るマスターもまた喉を鳴らして興奮を募らせる。

 

「おしりぃぃっ♡♡♡ マスターのおちんぽにおもいっきりぶつけますぅっ♡♡♡ ぱぁんっ♡ ぱぁんっ♡ って、えっちにも程がある音を鳴らしてケツ振り続けますっっ♡♡♡ 見てください、マスターっ♡ いつも上品ぶってる私が、本能全開にしてセックスしてる浅ましい姿を見て下さいっっ♡♡♡」

 

 何処か夢見心地なぼんやりとした感覚を覚えながらも体は熱く滾っている。己の肉棒は天を衝かんばかりに立ち上がり、大きく膨れ上がっている。そして、それを包み込む大きな尻の動きをマスターは熱の籠った視線で見つめていた。

 ドレイクとの性交も激しかったが、アンもまた激しいセックスでマスターを楽しませている。しかし、その激しさはドレイクのものとはまた違った趣があった。ドレイクのそれを勝負の為の激しさと呼ぶならば、アンのそれは()()()()()()()()だ。

 自分の心地良い場所を狙い、何度も腰を振り下ろす。ここが弱所だと自分を抱く男に教え込み、最大の勢いで快楽を生み出す。女は快感に酔い、男は女の痴態を楽しむことが出来るこのセックスは、性に爛れた生活を送っていたアンならではのものだろう。

 肉体的にではなく、精神的な優位に立つ。セックスの主導権を握り、早く達したとしても自分の生み出した快感の中で達したのであれば、マスターにイかされた訳では無いと言い訳も立つ。

 が、しかし、彼女の目論見もそこまで上手くいくはずも無かった。

 

「あっ♡♡♡ はぁあぁぁぁああぁぁぁぁああぁっっ♡♡♡」

 

 不意に訪れた衝撃に腰の動きが止まる。脳天までを一気に駆け抜ける快感が、アンの思考をストップさせた。

 それは、マスターが繰り出した下から押し上げる様な一突きによる快感。好き勝手に動くアンにしてみれば、完全に予想外の一撃であった。

 

「あっっ♡♡♡ おぉっっ♡♡♡ あぉぉぉおぉおぉおぉぉっっ♡♡♡」

 

 決してアンに反撃を行おうとしたわけでは無く、マスターはただ本能のままに動いただけだった。目の前にある魅力的な女体を前に、それを存分に貪ろうと思わぬ男などいる筈が無い。彼が何かを思う前に体が動き、アンを下から突き上げた、それだけだ。しかし、それが故にアンの体は止めどない快感に打ちのめされてしまったのだ。

 改めて言うが、マスターは本能のままに動いただけだ。己の欲求のまま、快感を貪る為に動いただけだ。つまりそれは、加減もへったくれも無い本気の、あるいは本気を超える一撃だったのである。しかもそれを散々教え込まれたアンの弱点へと無意識に繰り出していた。であるならば、結果は想像に難くないだろう。

 『強力な武器』を『全力』で『弱点』へと『不意打ち』で叩き込まれたなら、人はどうなるか? 考えるまでもなく、致命傷とも言える深手を負うことだろう。幸か不幸か、アンの体に打ち込まれたのは命を奪う武器では無く、快感を生み出すものであったのだが、そうだとしても何かが変わる訳でも無い。アンは今、セックスの中で女としての致命傷を負ってしまったのだから。

 

「ああぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁぁあぁぁあぁぁぁあああぁっっっ♡♡♡ くああぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

 肉体、精神、魂……その全てに刻み込まれていた記憶を振り返っても、これほどの快感を感じたことはなかった。生前に自分を抱いた男たちも、サーヴァントとなってから床を共にした男たちも、あのソロモンでさえ、こんな快感を与えてはくれなかった。

 硬直した肉体と停止した思考、そしてアンの魂に淫紋令呪が新たなる意識を刻み込んでいく。曰く、()()()()()()()()()()()()と……これ以下の快楽は、快楽では無いと。そう、アンの全てに淫紋令呪が命令を下す。そうなれば、最早彼女を満足させられるのはカルデアのマスターただ一人になってしまった。文字通り、他の男の手では満足出来ない体になってしまったのだ。

 

「おぉおおぉおぉおぉおぉぉ……っっ♡♡♡ へぁぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁ……♡♡♡」

 

 押し上げられるのに程良く、快楽を感じ易い位置で止まっているアンの尻には、何度もマスターの肉棒が打ち付けられていた。アルトリアとドレイクに包みこまれ、穏やかな快楽を感じる上半身とは真逆の激しい快楽を求め、彼の腰は何度も浮き沈みしている。

 もう主導権も優位も関係ない。ただ快楽を味わい、腰を振り続ける……そんな雄の腰の動きに無意識の内に調子を合わせ、アンの腰も上下し始めた。自ら曝け出した弱点へと肉棒を誘いつつ、最高潮の快楽を愉しむ為の腰振りを披露するアン。しかし、彼女の頭の中ではまともな思考など働いてはいないのだ。

 

「はへぇぇっっ♡♡♡ んへっっ♡♡♡ ほへぇぇぇぇえぇっっ♡♡♡」

 

 尻の形が歪むほどに腰を強く叩き付ける。何度も何度も、数えきれない程の絶頂を迎えながらもまだ足りぬとばかりに尻を振る。

 欲しいと望めば与えてくれる。飽くなき快感の海の底へとアンの心を沈めてくれる。とても強欲なアンの心を満たす快楽は、彼女を病み付きにしてしまっていた。

 気が付けば、アンはマスターに跨りながら、彼が与えてくれる快楽の為に腰を振っていた。涎も愛液も小便すらも、隠すことなく垂れ流し、ただ彼の与えてくれる快楽に酔い続けている。もはやどちらが主導権を握る主なのかは一目瞭然だ。しかして、マスターにもその自覚はまるでないのではあるが。

 

「あおぉおぉおぉおぉぉっっ♡♡♡ イグっっ♡♡♡ おおきいのきますっっ♡♡♡ あっ♡ あッ♡♡♡ いくぅうぅうぅぅうぅぅっっ♡♡♡」

 

 一際大きな絶頂の波に飲み込まれたアンの身体は大きく仰け反り、表情はだらしなく蕩け切っている。そんな中、子宮に夥しい量の精液を叩き込まれては、彼女に抗う術はなかった。

 

「ほへええぇぇぇぇぇえぇぇぇええぇぇぇえぇぇっっ♡♡♡」

 

 体の中を焼かれる様な感覚が、重い鉛玉を撃ち込まれた様な感覚が、快楽となってアンを襲う。ドレイク同様に注ぎ込まれた精液の感触にうっとりとし、体が陥落したことを感じながら、アンはマスターの体へと後ろ向きで倒れ込んだ。

 

「あ、あ、あ……っ♡♡♡」

 

 ぬぽん、音を立ててと肉棒が抜けた膣からは、ベッドの上に海でも作るのかと聞きたくなる程の量の精液が溢れ出している。びくり、びくりと時折痙攣を繰り返すアンの体は、何処から見ても淫靡だ。

 二人の美女に種付けし、夥しい量の精を放ったマスター。しかし、まだ彼の肉欲が治まることはない。むしろ、ここからが本番だ。

 先ほどよりも大きく硬く勃起した肉棒が顕現する。アンもアルトリアもドレイクも、にんまりと笑みを浮かべて彼の体を自分たちの体で包み込む。

 荒い呼吸と滾る肉欲を燃やしたまま、三人の雌と一人の雄は、その欲望のままに交わりを続けた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ♡♡♡ あっ♡♡♡ あっ♡♡♡ あぁぁっっ♡♡♡」

 

 ――それから、どのくらいの時間が経っただろうか? 少なくとも数時間の時が過ぎ、昼過ぎから行われた性交は、夕食の時間をすっぽかしてしまうまでの間、続けられていた。

 部屋の中では延々と女の嬌声が響き渡っていた。しかし、時間が経つにつれて嬌声が一つ減り、また一つ減り……今では、響く声は一つしか聞こえない。

 その声の主であるアルトリアは、マスターに組み敷かれた体勢で喘ぎ続けていた。いつの間にやら逆転した体位で交わる二人の周囲には、アンとドレイクの姿もある。

 

「あ、あぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

「く、う、あ……♡♡♡」

 

 まんぐり返しの体勢で呻くアンと腰を突き出して蹲っているドレイク。そんな二人の二穴から卑猥な音を立てて大量の精液が溢れ出る。

 臀部も、性器も、乳房の周囲も精液でベトベト。自動清掃能力があるベッドの上も、その効果が追いつかないまでの量の精液で汚れている。マスターは一体、どれだけの回数射精を行ったのであろうか?

 

「アン……お前さん、マスターに何回射精されたか覚えてるかい?」

 

「ま、前の穴で7回、後ろの穴で5回までは覚えています……しかし、それ以降は数えることも出来なくて……」

 

「アタシも同じ様なもんさ。にしても、マスターはどれだけヤったら気が済むのかねぇ……?」

 

 覚えている限りでは、自分たちは15回は射精された気がする。三人合わせれば大体45回で、この短期間でそんなに射精出来る男など見たことも聞いたことも無い。

 だがしかし、マスターはそんな規格外の性欲を持っているのだ。これはもう、一人でどうこう出来る相手では無い。サーヴァントたちがチームを組んでセックスを行うのも当然のことだ。

 

「もう、駄目だ……足腰が立たない、アタシはギブアップだよ……」

 

「私も、限界です……不甲斐ないですが、後はアルトリアさんにお任せするしかありませんわね」

 

 とろんとした目でマスターと性交を行うアルトリアの姿を見た二人は、彼女の乱れ様にドキリと心臓を跳ね上げる。彼女もまた限界が近いのだろうが、それでもマスターの責めを受け入れ続けるだけの体力が残されていた。

 いや……正確には、消耗したそばから回復していると言った方が正しいのだろう。今もまた、アルトリアの乳房を吸ったマスターが口の中に彼女の母乳を溜め、それを唾液と共にアルトリアの口内に注ぎ込んで、強引な体力回復をしている最中だった。

 

「アルトリア……アルトリア……っっ!」

 

「はぁ……♡ ますたぁ……♡♡♡」

 

 これは決してマスターが無理矢理行っていることでは無い。アルトリア自身が望み、マスターに対してそう願った結果の行為だ。

 注がれた魔力を母乳として変換してマスターの体力回復に使った後、アルトリア自身の回復にも使う。唾液に含まれるマスターの魔力はアルトリアの母乳に含まれる回復効果を促進し、彼女の体に魔力が染み込み易くなるという副作用も及ぼしていた。

 もうアルトリアが何度マスターの滾りを受け止めたかもわからない。もしかしたら、彼女は他の二人の倍近くの射精を受けているのかもしれない。それでもなお、アルトリアがマスターと交わり続けるのには理由があった。

 

(あぁ、マスター……♡♡♡ マスターに求められる快感が、心地良い……♡♡♡)

 

 彼に優しく組み伏せられ、指と指を絡ませる恋人繋ぎで手を握り合う。母乳を注ぎ込む口付けの際には、舌と舌を絡ませてねっとりと深くまで繋がり、膣と肉棒は長い間結合していることで本当に一つになってしまった様な感覚を感じさせてくれる。

 魔力を注ぎ込まれるとすぐさまアルトリアの乳房は母乳で一杯になる。それを吸われ、また新たな魔力を注ぐ為の行為へと移る。それは正に永久機関で、二人が望むならば永遠に繋がり続けることが出来るのだろう。

 アルトリアにはマスターを拒む気持ちは無かった。彼が求めるのなら、何時までもその身を差し出し続ける覚悟があった。それが現実のものとなった今現在の状況は、彼女にとって幸せ以外の何物でも無いのだろう。

 そして、マスターもまたアルトリアを求め続けていた。お前に飽きることなど無いと、情欲と雄の滾りを実直にぶつけてくれるマスターの行為そのものが、アルトリアの幸福感に拍車をかける。

 

(こんな……こんな幸せなこと、あっていいのだろうかっ!? こんな私が、こんな幸福を享受するなど……♡♡♡)

 

 薄汚れた自分をマスターは愛し、求めてくれている。そんな過去など関係無いと、アルトリアを慰めて受け入れてくれている。繋がる手が、膣が、彼に包み込まれる体が、その幸福をはっきりと自覚させてくれる。

 畳み込む様に繰り出される浅いピストンは、その幸福感を更に引き立てていた。大きく体を離す訳では無く、密着した状態で何度も何度も腰を振られると、マスターを受け入れているという実感が堪らない程に湧いて来るのだ。

 

 自分の肉体を、生み出した母乳を、この心を……マスターは、求めてくれている。一度は裏切り、彼を悲しませた自分のことを求めてくれている。全幅の信頼を寄せ、最大級の愛を送り、他の誰と差別すること無く受け止めてくれているのだ。

 そんなことをされたら、もう心が離れるはずが無い。一度掴まれた心を引き寄せられたアルトリアが、彼に求められ、彼を受け入れられる悦びに満ちた表情を浮かべて彼の全てを受け入れる決心をしたその時だった。

 

「あうぅうぅぅぅぅぅうぅぅうぅっっ♡♡♡ ああぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 体が燃える様に熱くなった。同時に胸の高鳴りが大きくなり、彼女の脳裏に一つの想いを浮かび上がらせる。

 それは、封じ込めていた一つの感情。見て見ぬふりをして来た、アルトリアの本心の一つ――()()()()()()()()()()()()()()という、慎ましやかながらも彼女にとっては強欲この上ない願いだった。

 

 ずっとその思いを拒否して来た。自分は裏切り者で、彼に深く愛されることなど許されないから……そう自分に言い聞かせてその思いを否定して来たアルトリアの中で、一種の変化が訪れたのだ。

 いつまでもそうやって自分のことを卑下していることこそが、主に対する最大の不忠では無いのだろうか? 彼はこんな自分のことを信頼し、愛してくれている。ならば、その思いに応えることこそが真の忠誠なのでは無いのだろうか? 彼が自分を求めてくれるのならば、それを拒否する理由がどこにあると言うのだ?

 もっと自分の正直になっても良いだろうか? 封じ込めていた思いを解き放ち、我がままを言っても良いのだろうか? そんな、普通の人間からしてみれば強欲とも言えぬ欲望を解き放ったアルトリアの胸に新たな感情が湧き上がる。

 彼に求めて貰いたい、ならばどうする? ……簡単だ、彼をもっと深くまで受け入れられる様になれば良い。自分の全てを彼に預け、彼の全てを預けられる様な寛容さを持ち、求められれば求められただけ差し出せる様になれば良いのだ。

 

「あ、あ、あぁっっ♡♡♡ くはぁぁああぁぁぁあああぁぁぁぁぁあぁあぁぁっっ♡♡♡」

 

 答えは出た、後は何が必要だ? それも簡単、その為に必要な肉体と精神だ。そして、アルトリアが心の底からそれを求めたならば、彼女の霊基に刻まれた淫紋令呪がその欲望の実現に力を貸してくれる。

 アルトリアの下腹部から淫紋令呪が姿を消す。代わりに、より柔らかくなった乳房の中心、胸の谷間に同じ紋様が赤く光りながら姿を現した。母性の象徴たる胸の部分に浮かび上がった淫紋令呪は、マスターの目の前で煌々と輝き続けている。

 アルトリア・ペンドラゴン、第三再臨完了……この再臨で彼女の肉体が大きく変化した訳では無い。だが、マスターは不思議とアルトリアの体に自分が沈んで行くような感覚を覚えていた。

 

「……キスしてください、マスター♡ より深くまで、あなたを感じたい……♡♡♡」

 

「うん、わかったよ、アルトリア……!」

 

 求められるがまま、アルトリアと唇を重ねるマスター。舌を彼女の口内に入れ、お互いに絡ませ合いながら唾液を循環する。ただそれだけの行為なのに、何故かアルトリアとのキスに夢中になってしまうのだ。

 肉棒を突き入れる膣も、重なり合う体もそう。深く、深くまで……アルトリアが自分の全てを受け入れてくれるような、彼女に溺れてしまう様な感覚がマスターの五感を刺激している。

 子宮の位置が深くなった訳では無い。彼女の体に贅肉が付いた訳でも無い。アルトリアの纏う雰囲気が変わり、淫紋令呪が再臨したことで、彼女の包容力が更に昇華されたのだ。それには、マスターの想いや欲望、その全てを受け止められるだけの余裕が存在していた。

 

「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ!!」

 

「あっ♡ あんっ♡ んあっ♡ あぁんっ♡」

 

 マスターはアルトリアを求めて激しく腰を振る。尽きぬ欲情に身を任せ、彼女を求めてひたすらに動く。味わう快感は蕩ける程に甘く、自分の全てを包み込む安心感に満ちている。初めての快感に夢中になったマスターは、更に激しくアルトリアを求めて動き続けた。

 終わらない、止まらない……何度貪っても、何度味わっても、食い足りぬ程の雌が目の前にいる。肉棒で膣を突くことも、乳首に吸い付いて母乳を啜ることも、柔らかい体を抱き締めることも、その全てを簡単に止めることなど出来そうにも無い。

 そして、その状況はアルトリアが心から望んでいたものだった。彼に全てを差し出し、彼が全てを以って自分を求めてくれる悦びは、彼女の人生において最大の幸福となったのだ。

 

「ああ、マスターっっ♡♡♡ あなたを、もっと、感じたい……っ♡♡♡ もっと深くっ♡♡♡ 私の全てでっ♡♡♡ あなたを感じたいですっっ♡♡♡」

 

「っっ!!」

 

 曝け出された欲求が、お互いの本能を刺激した。もう何も構うことはない。求め合い、貪り合い、感じ合うだけで良い……そう、本能で理解してしまった。

 

「はぁっっ! くっ! うあぁっっ!!」

 

「んあぁぁあぁぁあっっ♡♡♡ んぐあぁあぁっっ♡♡♡ ああぁっっ♡♡♡」

 

 今までで一番大きな嬌声を上げるアルトリアと、雄叫びの如く呻き声を漏らすマスター。二人の奏でる淫らな合奏は部屋中に響き渡り、疲れ切っていたアンとドレイクの子宮をじんじんと疼かせた。

 愛、欲望、信頼、快感……その全てが混じり合い、複雑で単純な感情となってマスターとアルトリアの心の中に根付く。お互いの全てを求め、二人はただ快楽の高みへとひた走る。

 

「アル、トリア……ッ! 射精()すよっ! アルトリアの膣に、全部っっ……!!」

 

「はい……♡ ください、マスターっ♡ あなたの全てを、私に注ぎ込んでくださいっっ♡♡♡」

 

 握り合う手に力が籠る。繋がり合う雌雄の凸凹は熱く火照り、お互いを求め合った舌が淫らに絡み合う。

 体と心を重ね合わせ、マスターと本当の意味で一つになったアルトリアの全身は、多幸感に包まれていた。心が蕩け、じゅくじゅくに熟れた体が幸福を告げる中、その喜びを遥かに超える幸福が彼女の子宮に注ぎ込まれる。

 

「ぐっ! うぅぅうぅぅぅうぅぅっっ!!」

 

「あっ、はあぁぁぁぁああああぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁっっ♡♡♡ うああぁぁぁぁああぁぁあぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 気が遠くなる程の快感が、アルトリアの子宮に叩き込まれた。精液のあまりの量に腹がぽっこりと膨れ、まるで妊婦の様な体となってしまうアルトリア。しかし、彼女はそんな自分を見て、うっとりとした声を漏らす。

 

「あ、あ……♡♡♡ マスターの赤ちゃん、孕んでしまった……? こんな、幸福なことが、私の身にあっていいのだろうか……♡♡♡」

 

 実際に彼の子を孕んだ訳では無い。しかし、膨らんだ腹とひとりでに溢れる母乳を見れば、そう錯覚してしまってもおかしくはない。アルトリアは、そんな幸福な未来を想像し、ただそれだけで再び絶頂を迎えた。

 彼女の乳首からびゅくびゅくと噴き出す母乳は、甘い香りを放っている。ドロリとした粘度を誇るそれを吸い、乳首に必死にむしゃぶりついたマスターの頭をアルトリアは優しく撫でて囁いた。

 

「マスター……♡ 私のおっぱいは、まだまだありますからね……♡ 好きなだけ飲んでも良いんですよ……♡ お腹いっぱいになったら、今度はおちんぽを気持ち良くする番です……♡ おまんこでも、けつまんこでも、私の雌穴でおちんぽを気持ち良くして、またおっぱいミルクを作りましょうね、マスター……♡♡♡」

 

 彼になら、何をされても良い。彼の全てを受け止める。その甘い声には、そんな思いが滲み出ていた。みっちりと肉の詰まった膣穴は優しくマスターの肉棒を締め付け、幾らでも射精して構わないと襞で扱き上げている。

 そうやって――アルトリアの膣内に精液を吐き出し、アルトリアの乳房から母乳を吸い上げたマスターは、まだ硬い肉棒を滾らせて再戦の構えを取る。アルトリアもまた、そんな彼を迷うことなく受け入れた。

 

「さあ、続けましょう。あなたの気が済むまで、あなたの欲望が果てるまで……私は、いつまでもあなたを受け止め続けますよ、マスター……♡♡♡」

 

 口移しで自らの母乳を注ぎ込まれ、自分もまた体力を回復させたアルトリアは、そう言って淫靡で優し気な微笑みを浮かべ、マスターの全てを包み込んだのであった。

 

 






王道中の王道 チームE チームコンセプト『王道を往く』

チームメンバー

アン・ボニー
フランシス・ドレイク
アルトリア・ペンドラゴン(ランサー)



見ての通りの成熟した女性たちで構成されたチーム。チームAとは違い、大人の女性のみで構成されている。発足者はアンで、他の二人は彼女から誘われて加入した。

魅力的な肢体と柔らかな巨乳、性交にも慣れた振る舞いでマスターと行為に及ぶ彼女たちは、意外なことにカルデアに存在していなかった王道中の王道的なチームである。人数や経験的にも十分な物があり、マスターとのセックスも長時間続けられる様だ。

新入りの二人はマスターの脅威的な性欲にダウンしたものの、アルトリアが永久機関(それでもお互いに限界は存在する)を発見した為に彼女一人でもある程度の相手を務められる様になった。ここから更に経験を積むことで、マスターの性欲を満たせる初めてのチームになるかもしれない。









アルトリア・ペンドラゴン(ランサー) 第三再臨完了

スキル 『神性(愛)』習得


『神性(愛)』

今回、アルトリアが習得したスキル。聖槍の効力によって神に近づいた『女神ロンゴミニアド』としての力を引き出したスキルであり、彼女を愛し、彼女に愛された者に若干の加護を与える。
彼女を愛する者にとっては彼女は女神であり、彼女を愛さない者にとってはそうではない。つまり、味方にとっては彼女は神性持ちのサーヴァントとなるが、敵にとってはそうではないのである。もっと分かり易く言えば、味方の神性持ちサーヴァントに対するバフ等は受けるが、敵の神性持ちサーヴァントに対する悪効果(神性特攻など)は通さない。良い所取りしかしないということ。また、しっかりと神性スキルの効果も有しており、攻撃力が強化されている。(最大ランクのAランク分の強化)
このスキルの最大の特徴は、契約しているマスターに『女神ロンゴミニアドの加護』を与えること。その詳細は身体能力の強化と性交時に体力と魔力を消耗することで追加効果を得られるというものである。
一見ふざけている様に見えるが、その効果は凄まじいものがあり、今後の戦いで役立ってくれるだろう。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

邪道を進むはチームF(メアリー・リード クロエ・フォン・アインツベルン)

 

 

「大きいおっぱいとお尻を存分に使って来るなんて、流石はアンだよね。ボクにはない武器って奴を理解してるよ。うん、ちょっと嫉妬しちゃう位だ」

 

 ぺとり、と裸足で床を踏んだメアリーは、肩を竦めて自身の相棒を褒め称えた。しかして、その瞳には負けず嫌いの性格故の勝負に対する炎がめらめらと燃え盛っている。そんなメアリーのことを楽し気に見つめているのは彼女が選んだパートナーであるクロエだ。彼女たちは既に全裸で、幼く小さい裸体をマスターの眼前に晒していた。

 

「まあ、普通に戦ったらあれには勝てないよ。ボクにはおっぱいは無いし、お尻だって大きくない。それを埋め合わせる為に巨乳のサーヴァントを誘ったところで、アンの二番煎じになるだけだしね」

 

 勝負にやる気は見せているものの、メアリーは決して熱くなり過ぎている訳では無かった。むしろ、相棒との勝負に勝つためにじっくりと研究を重ね続けていたのだろう。そんな彼女が導き出した結論は、単純でありながら奥が深いものだった。

 

「……それで? メアリーはどうすることにしたの?」

 

「ああ、簡単だよ。王道で勝負しても勝てないのなら、邪道で勝負すれば良い……ボクは海賊だよ? マスターもそっちの方がらしいと思うでしょ?」

 

 しなやかに、小さな動きでベッドの上に昇った二人は、小さな体を擦り寄らせる様にマスターへとくっつく。さらりとした髪と瑞々しい肌から香る花の様な香りがマスターの鼻腔を通り、どこか甘ったるい気分を彼に感じさせた。

 

「小さい体に甘い香り、子供の様な出で立ちをしても大人の様に性に慣れてる……ねえ、良いギャップだと思わない?」

 

「文字通りのお子様には出来ないこの振る舞い、マスターも興奮するでしょ? ……好きなだけ、食べちゃって良いのよ?」

 

 メアリーとクロエの体が、吐く息が、靡く髪が……彼女たちの全てが良い香りに包まれる。その匂いを嗅ぐ度、マスターの理性が蕩けてしまう。手に触れる少女たちの成熟しきっていない体から感じる確かな女としての感触に胸を高鳴らせるマスターの耳元で、二人はとてもとても甘い声で囁いた。

 

「これがボクの出した答え。自ら邪道を歩む者……ボクたちはの名はチームF。マスターをボクたちの香り(fragrance)で溺れさせてみせるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はふ……っ、んっ、じゅるっ……!」

 

「あっ♡ あんっ♡ ひゃぁんっ♡」

 

「んぐっ……♡♡♡ んむむぅ……っ♡♡♡」

 

 ベッドの上で重なる三つの影。一つは大きく、残りは小さいその影は、お互いの体を求め合う様にして重なり合っている。

 小さな口でマスターの大きな肉棒を咥え込むメアリーは、喉の奥まで届いてしまうそれを懸命に舐め続けていた。涎を絡ませ、舌を這わせ、息苦しさすら心地良く思える口淫を続けるメアリーは、視線を前に向けて目の前の光景を見つめる。

 彼女の前では、クロエが褐色の小尻をマスターの顔面に押し付けていた。所謂『顔面騎乗』という奴なのだが、マスターはこの行為をえらく気に入った様子だ。その証拠に、先ほどから夢中になってクロエの二つの穴を舐め続けている。

 

「くぅんっ♡ あっ♡ そこっ♡ いいっ♡ もっとなめてっ、マスター♡」

 

 彼の舌が膣に入り込んだり、肛門をなぞったりする度にクロエは子犬の様な甘い鳴き声を上げて悦んだ。その声が甲高くなるほど、マスターの愛撫にも力が入っていく。

 膣やアナル、クロエの全身からは、ふんわりとした甘い香りが漂っていた。香水かなにかを振りかけてからセックスに挑んでいるのだろう。そのせいか、彼女の垂れ流す汗や蜜でさえも甘く感じてしまう。

 彼女の感じる部分を責め、垂れる愛液や腸液を啜りながら、マスターはひくつくクロエの肛門を眺めて言った。

 

「クロのお尻の穴、意外と色素が薄いんだね。凄く可愛いよ……!」

 

「やん♡ そんな恥ずかしい所見ないで、マスター……♡♡♡」

 

 口ではそう言いながらも、クロエはアヌスをひくひくと動かしてマスターの興奮を煽った。小悪魔の様な彼女の仕草一つ一つに翻弄されながらも、マスターは負けじとばかりにクロエの肛門の中へと舌を突っ込む。

 

「ふぐぅっっ♡ んはっ♡ あ~っ♡ んんんっっ♡」

 

 子犬の様な甲高い声は、低い唸る様な物に変わった。しかし、その根幹にある嬌声としての役割は十分に果たし、クロエが感じていることを耳にする者へと伝えている。

 括約筋を解し、腸内を深く穿り、腸壁を舐める様に蠢く舌の動きにだらりと舌を垂らして喘ぐクロエ。脚ががくがくと震えていることを見るに、もう立っていられないほど気持ちが良いのだろう。小さなお尻を振り、マスターに押し付けてその感触を楽しんで貰おうとするクロエは、ぴゅっ、ぴゅっと断続的に潮を噴きながら喘いでいた。

 

「あぁぁっっ♡♡♡ ひろ、げてるぅっ♡ お尻の穴、ひろげられてるぅっ♡」

 

「ふふふ……! クロのお尻、ぽっかり開いちゃったね。奥から良い臭いがしてくるよ?」

 

「あぁ……♡ 嗅がないでぇ……♡ そんな恥ずかしいところの臭い、嗅いじゃいやぁ……♡」

 

「おまんこもエッチな汁でびちゃびちゃだね。こっちからもやらしくて、あまーい香りがしてきてるよ?」

 

「んあぁ……っ♡ 嗅がれちゃってるぅ……♡ 私の恥ずかしい場所の臭い、マスターに嗅がれちゃってる……っ♡」

 

 ねっとりとねぶられる様に尻穴を責められ、ぐっしょりと濡れた性器を虐められる。そうして発情したクロエの体が放つ青く甘い香りを鼻腔一杯に吸い込み、マスターが笑っている。クロエは、自分の恥ずべき臭いを全て嗅がれ、自分の分泌した体液が彼に味合われていることに興奮を隠せなかった。

 口では嫌がっている様子を見せながらも、その実、クロエは腰を振ってマスターの鼻の前で臭いを振りまいていた。彼の手に掴まれた尻はぷるぷると震え、次の責めを待ち望んでいる。そして、子宮の疼きに呼応するかの様に愛液は止めどなく零れ落ち、彼女の秘所を濡らしていた。

 

(ああ、嘘、だめ……っ♡ このまま臭い嗅がれるだけでイっちゃうっ♡ 恥ずかしい穴を自分で開いて、マスターにくんくんしれ貰ってイっちゃうっっ♡♡♡)

 

 いつの間にか、クロエの手は自分の尻を掴んで大きく左右に開いていた。尻穴と膣口をマスターの目の前で開き、その内部を見せつけながら香りも楽しんで貰おうとしている。膨れ上がった肛門にキスをされ、硬く尖ったクリトリスを指で弾かれ、興奮の坩堝に叩き込まれたクロエは、マスターが自分の尻に顔をくっつけて大きく鼻で呼吸をした瞬間に止められない快感の波に飲み込まれてしまった。

 

「ふあぁぁぁぁぁぁぁああぁぁっっ♡♡♡ こんな、こと……っ♡ 臭い嗅がれて、イっちゃったぁ……♡」

 

 直接的な快楽でなく、精神的な快楽で達してしまったクロエは、その甘美さにうっとりとした表情を浮かべて呟く。腰は小刻みに震え、与えられた快楽の甘さに病み付きになった彼女であったが、マスターに優しく尻を撫でられたことで背筋を震わせながら我に返ることが出来た。

 

「可愛い香水をつけて来たんだね。クロエの全身、甘くて良い匂いがしたよ。お尻の穴の中からも、ね……!」

 

「うぁ……っ♡ 恥ずかしいこと、言わないで……♡」

 

「ふふふ……! 軽くイったみたいだけど、まだ満足して無いでしょ? クロにとってのお楽しみは、ここからさ……!」

 

「あっ……♡♡♡」

 

 マスターに腰を掴まれたクロエは、そのまま力づくで彼の腰の方まで移動させられた。そこで彼の陰茎を咥えていたメアリーは、それだけの行動でマスターの意図を理解してその場を退く。

 そそり立つ肉棒を前にし、未だに去らぬ快感の残滓に子宮を疼かせたクロエは、無意識の内に口の中に溜まっていた涎を飲み込んでいた。

 

「……ポジションチェンジだね。今度はクロエがマスターのおちんぽの相手をする番で――」

 

「メアリーが俺に恥ずかしい臭いを嗅がせる番だよ」

 

 マスターの言葉にメアリーとクロエが頷く。腰を浮かせたクロエは、じっとりと濡れた性器を開き、彼の上に跨ると同時に一気に腰を下ろして彼の肉棒を膣内に迎え入れた。

 

「あぁあぁあぁぁぁあぁぁっっ♡♡♡ うっ♡ あぁぁぁんっっ♡♡♡」

 

 舌よりも硬く、熱い肉棒を迎え入れたクロエの膣内は、その快感に脈打っていた。全身に電撃が走ったかの様な感触を感じ、それらが快楽による肉体の反応であることに気が付きながら、クロエは軽く腰を前後させて肉棒を膣内に馴染ませていく。

 

「あっ♡ はっ♡ んっ♡ ふぅっ♡ おっきぃ……♡ あつい……♡ びくびく脈打ってて、すごくたくましい……♡」

 

 とろとろと溢れる蜜はクロエの心の蕩けようを表すかの様に甘く、そして熱かった。止めどなく膣から漏れるそれはマスターの腰を濡らし、クロエの臭いを彼へと染み込ませる。しかして、クロエの膣にはマスターの魔力と先走り汁の臭いが染み込み始めていた。じっくりと腰を振って肉棒をの感触を味わうクロエの姿を見たマスターは、自分の傍に立つメアリーへと声をかける。

 

「さあ、メアリーもおいで。俺にメアリーの臭いを嗅がせてよ」

 

「ああ、うん、良いよ、マスター……♡ でも、その前に少しだけボクの話を聞いて欲しいな……」

 

 マスターの言葉に頷き、蕩けた声を出しながらも、メアリーは彼に許しを取ってから顔の真横に膝を付いた。今の彼女はどこか様子がおかしく、何かに非常に興奮している様に見える。

 

「マスターはさ、ボクたちとセックスしてて、予想の範囲内だなって思わなかった? 子供みたいな体したボクたちが、ただ良い匂いを纏ってマスターに抱かれる……邪道とか言いながら、そんなの結構オーソドックスだよなって思ったでしょ?」

 

 メアリーのその言葉にマスターは少し迷った後で頷いた。決して不満がある訳では無いのだが、確かに想像の範囲内のセックスだということは認める他無い。このセックスを企画したメアリーが自覚しているのだから、否定しようも無いだろう。

 そして……メアリーはその問題点を自覚しているからこそ、それに対する策も用意していた。

 

「……もしかしたらね、ボクはマスターに嫌われちゃうかもしれないな。でも、ボクはアンに負けたくないんだ。ボクには大きなおっぱいやお尻は無い。アンみたいな女らしい体つきはしてない……だから、一か八かの賭けに出ることにしたよ」

 

「メアリー……?」

 

 呟きを漏らしたメアリーが自身の首に手を伸ばす。爪を立て、皮膚を引っかいたメアリーは、興奮と期待とほんの少しの不安を滲ませる笑顔を浮かべ、マスターに告げた。

 

「マスター……これがボクの切り札だ……っ!」

 

 びりっ、と何かが破れる音がした。マスターの目の前では、自身の首筋に爪を立てたメアリーが己の皮膚を引き千切っている。

 最初は彼女が何をしているのか分からず困惑したマスターであったが、よくよく見てみればメアリーが引き千切っているのは自分の肌では無く、その上に着こまれた薄い何かだった。極薄のタイツの様なそれは、メアリーの首から全身を包む様に着こまれており、メアリーはそれを脱ぐためにわざわざ破り捨てているのだ。

 

「……!?」

 

 そして、マスターは気が付いた。メアリーの体から、とてもかぐわしい臭いが漂っていることを……。

 クロエが放っている甘い香水の様な臭いではなく、決して良い臭いとは呼べないその臭い。だが、メアリーの放つ臭いには、雄の本能を覚醒させる何かがあった。

 

「あはっ……♡ どうかな、マスター? ダヴィンチちゃんに頼んで作って貰ったんだ。内部の臭いを封じ込める超薄のタイツ……ボク、これを着て、今日一日過ごしてたんだよ♡ 一杯運動して汗かいて、おしっこもこのタイツ越しにして、汗とかボクの臭いをたっぷり封じ込めて……今のボク、凄い臭いでしょ? くっさい雌の臭いがぷんぷんするでしょ?」

 

 メアリーの言う通りだった。今の彼女からは汗や愛液、メアリー自身の体臭が混ざった非常に卑猥な臭いがしている。それもタイツの内部に封じ込められていた分熟成しているのか、とても強い臭いとなって部屋中に漂っている。

 そんな臭いを全身から放ちながら、メアリーはマスター顔面に尻を乗せた。汗でしっとりとし、その臭いが染み込んでいる臀部をマスターに押し付けながら、メアリーは不安気に呟く。

 

「あ、あのさ……臭くて嫌だったら、言ってくれて良いからね? ボク、すぐにシャワー浴びて……ひゃぁぁっっ♡♡♡」

 

 マスターを不快にさせてはいないかという不安から彼に問いかけたメアリーであったが、そんなものはいらぬ心配であった。その証拠に、彼は荒い呼吸のまま彼女の臭いを鼻で吸い込み、舌で汗に塗れた体を舐め尽くしているのだ。

 メアリーの臭いと味を堪能するマスター。彼の興奮は、肉棒に跨っているクロエにも十分に伝わっていた。

 

「あぁぁっ♡♡♡ マスターのおちんぽっ♡ おっきくなってるぅっ♡ さっきより硬くて、熱くて、びくびくでぇ……すっごく興奮してるのがわかるわ……っ♡♡♡」

 

「そう、なの……? マスターは、ボクの臭いで興奮してくれてるの……?」

 

「ああ……! 凄い臭いだ……! クラクラする位濃くて、嗅いでるだけで興奮して来るっ!」

 

「んひゃあぁぁああぁっっ♡♡♡」

 

 興奮した様子のマスターに尻を広げられ、性器に舌を這わされたメアリーは歓喜の声を上げた。臭くてかなわないと言われたらどうするかと不安がっていたが、自身の目論見が思った以上の成果を上げたことに安堵し、彼の興奮を引き出せたことが堪らなく嬉しかった。

 マスターはそんなメアリーの思いをよそに彼女の体臭を嗅ぎ続けている。その度に肉棒は膨れ上がり、興奮もまた際限など知らぬとばかりに燃え上がっていくのだ。

 

「お尻の奥から香るかぐわしい臭い……! おまんこからするおしっこのアンモニア臭……! 汗や愛液や、色々なものが混じり合ったとってもエッチな臭い! 可愛いメアリーが、こんな卑猥な臭いを漂わせているなんて……!」

 

「あ、は……♡ 船の上ではさ、シャワーなんか気軽に浴びれないから……時々、こんな体でセックスしてたんだよ。その時の男の反応は萎えるのと興奮するので半々だったけど、マスターは後者だったみたいだね……♡」

 

「メアリーっ! 首筋も、脇の下も……もっと色んな場所の臭いを嗅がせてっ! メアリーの全身、恥ずかしい場所、全部嗅がせて貰うからねっ!」

 

「……うん、良いよ……♡♡♡ マスターが望むなら、ボクはどんな恥ずかしいことでも出来るから……♡♡♡ だから、くっさいボクの恥ずかしい臭い、いっぱい嗅いで興奮してね……♡♡♡」

 

「うあぁあぁぁあぁぁぁぁぁあぁっっ♡♡♡ だめっ♡♡♡ これ以上はだめぇぇっっ♡♡♡ はげひっ♡♡♡ ひぃぃいいんんっっ♡♡♡」

 

 マスターの上半身が激しく動いてメアリーの臭いを求めるのに比例して、下半身の動きも激しくなっていた。クロエを突き上げる腰の動きは猛々しく、彼女を貫く肉棒の硬さと言ったら鋼鉄と間違わんばかりのものだ。

 そんなものに責められるクロエは堪ったものではない。しかし、与えられているのは紛れもなく快感であり、しかも今まで経験したことも無い激し過ぎる快楽なのだ。クロエの精神は、その快楽に夢中になりつつあった。

 

「あっはぁぁぁああぁっっ♡♡♡ こんなガチガチちんぽっ♡♡♡ 知らないぃぃっっ♡♡♡ ああっ♡♡♡ もっと突いてっ♡♡♡ 深くっ♡♡♡ 強くっっ♡♡♡ んああぁあぁぁぁああぁぁあぁぁああっっ♡♡♡」

 

「うぁぁ……っ♡♡♡ マスターの舌がお尻の中に……っ♡♡♡ おまんこもぐちゅぐちゅされて、クリちゃんも指で弾かれて……♡♡♡ 気持ち良過ぎて、イっちゃうよぉ……っ♡♡♡」

 

 それぞれの快楽を貪る三人の体が震え始める。興奮によるその震えは徐々に激しさを増し、官能と快楽に拍車をかけていく。

 鼻腔一杯に芳醇な雌の臭いを感じ、肉棒で幼い膣の締りを堪能する(マスター)。雄の滾りを受け止め、子宮を何度も突かれる快感に舌を放り出し、セックスの快感に喘ぐ(クロエ)。そして、誰もが喜ぶ訳では無い自分の飾らぬ姿に興奮を示した男の愛撫を受け続ける(メアリー)……それぞれ別の快感を感じながらも、達しようとする瞬間は全く同じだった。

 

「あっっ♡♡♡ イクっっ♡♡♡ イクぅぅっっ♡♡♡ 子宮開いちゃってるっっ♡♡♡ マスターに種付けされちゃうのぉっっ♡♡♡」

 

「おっほぉぉぉおぉんっっ♡♡♡ おしりぃ……♡♡♡ そんな深くまで穿られたらっ♡♡♡ もう、我慢出来な……んへぇぇぇええぇぇぇええぇっっ♡♡♡」

 

 メアリーの膣に指が、クロエの膣には肉棒が、深くまで突き刺さる。子宮を揺らし、脳天まで快楽を駆け抜けさせたその一撃で、二人はだらしない表情を晒しながら達してしまった。

 一拍遅れて絶頂したマスターの肉棒から吐き出される大量の精液はクロエの小さな子宮を一瞬にして満たしてしまった。腹を膨れさせたクロエと尻穴を舌で穿られたメアリーは、絶叫を上げながら生理的現象として黄金水を股座から漏らす。

 

「「ああぁあぁあぁああぁぁああぁぁああぁぁぁあぁぁっっっ♡♡♡」」

 

 ほかほかと湯気を上げる二人の尿は、綺麗なアーチを描きながらマスターの胸板や腹筋に振りかかっていく。あまりの快感に膀胱が馬鹿になってしまったのか、悪いと思っても失禁を止めることは出来なかった。

 やがて、一分近く続いたおもらしを終えた二人は、自分たちの尿でマスターの体を汚してしまったことをすぐに謝罪した。そんな二人に対し、マスターは優しく微笑みを浮かべて言う。

 

「二人揃って、俺に自分たちのおしっこの臭いを付けようとしたの? ほんと、可愛いんだからさ……!」

 

「「ひゃう……っ♡」」

 

 脚を掴まれ、まんぐり返しの格好を取らされる二人。射精を終えたばかりのクロエの膣から溢れる精液や、せわしなく蠢くメアリーの尻穴を一つ一つ指で指し示しながら、マスターは二人の耳元で囁く。

 

「それじゃあ、俺は二人の穴にたっぷりマーキングさせて貰おうかな? ザーメンの臭いがこびり付いて離れなくなるまでね」

 

「はぅ、あぁ……っ♡」

 

「二人のちっちゃなおまんことアナルにちんぽぶち込んで、まん汁やおならが俺の精液の臭いになるまで射精するよ。覚悟は良い?」

 

「う、あ……は、はい……っ♡♡♡」

 

 マスターの言葉を受けた二人の股座からは、僅かに残っていた尿がぴゅっと噴き出した。これは生理的現象というよりもただの嬉ションだと思いながら、二人はマスターに自分たちの体を差し出す。

 

「私たちの臭い、沢山嗅いで……♡♡♡ 甘いのも、臭いのも、どんな臭いでも出すから……♡♡♡」

 

「ボクたちの体にマスターの臭い染み込ませて……♡♡♡ 全身ザーメンマーキングしても構わないよ♡ ボクたちのことを可愛がって、マスター……♡♡♡」

 

 びくん、びくんと腰が跳ねる。ひくつく肛門が、空気を吐き出す卑猥な音を鳴らす。

 このセックスが終わる頃には、自分たちの体には彼の臭いが染みついているのだろう。彼の体臭、彼の精液の臭い、彼の汗の香り……それに全身を包まれるのも悪くはない。

 だが今は、終わった時のことを考えるのは早い。今はまだ萎えるどころか興奮の絶頂にいるマスターの相手を全力で務めるだけだ。

 

(ああ……♡ マスターのおちんぽ、まだあんなにガチガチじゃない♡♡♡ あと何回射精されちゃうのかしら……?)

 

(どうしよう……お尻の穴がぽっかり開いて、恥ずかしい音がとまらないよぉ……♡ ボクのおならの音、全部マスターに聞かれちゃってる♡ ううん、それどころか臭いだって全部嗅がれて……くぅっ♡♡♡)

 

 メアリーもクロエも興奮は収まらない。彼女たちもまた、まだまだセックスを続けたいと願っているのだ。卑猥に4つの穴が蠢く光景は、幼い肢体を持つ彼女たちの体型と相まって非常に淫らだ。

 そんな彼女たちの姿を目にしたマスターもまた有言実行とばかりに滾る肉棒を掴み、彼女たちの雌穴に自分の精液の臭いを染み込ませるべく行為を再開したのであった。

 

 

 





邪道の極み チームF チームコンセプト『正道で勝てぬのなら、邪道で勝負!』

チームメンバー

メアリー・リード
クロエ・フォン・アインツベルン


性に詳しい幼女たちで構成されたチーム。発足人はメアリーで、アンとの勝負に勝つためのメンバーセレクトがなされている。

コンセプトの通り、成熟した体を持たないが故の強みで勝負をかけたメアリーの最大の武器は臭いだった。香水を振りまき、甘い花の香りを漂わせることで雰囲気を盛り上げることに成功したメアリーであったが、それでは物足りないと考えた彼女は大きな賭けに出る。それは、自分の体臭を極限まで高め、マスターに嗅がせるというものだった。

長い船旅の際、シャワーも浴びれずにいたメアリーはそんな状態でもセックスを行ったことがあった。その時、男たちの中にはメアリーの体臭に興奮を示す者もおり、その時の経験を活かしての賭けであったのだが……結果は大成功。マスターはメアリーの性的な臭いに夢中になり、全身をくまなく嗅ぎ続けたそうだ。

少女の様な出で立ちなのに性に詳しい。花の様な甘い香りと雌の臭いを凝縮した体臭。挑発的でありながらも攻められると弱いと言った様なギャップを楽しめることもこのチームの強みなのかもしれない。意外と体力があり、セックスを長く続けられることも利点。

なお、一番の問題点は体臭を凝縮するにはダヴィンチちゃん特製のタイツを一日着なくてはならないことと、タイツは一度着たら使い捨てである為、物品の消費が馬鹿にならないこと。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三人揃ってチームG(ステンノ メドゥーサ メドゥーサ『ランサー』)

 

 その日、カルデアのマスターは大浴場にてゆったりとした入浴の一時を楽しんでいた。広々とした大浴場には彼以外の誰の姿も無く、大きな風呂を貸し切り状態に出来るという幾ばくかの優越感に浸りながらマスターはのんびりと湯船で体を温めている。

 日々のトレーニングや作戦会議で溜まった疲労も、こうして風呂に浸かるだけで吹き飛ぶというものだ。慌ただしい毎日の中にある僅かな休息を楽しむカルデアのマスターは、体を温めた後で湯舟から出て頭を洗い始める。

 

 貸し切り風呂とは気分が良いものだ。皆でわいわいと騒ぐのも良いが、時には誰にも邪魔されない孤独な時間があっても良いだろう。それが心置きなくリラックス出来る状況であるならばなおさらだ。

 風呂から出たら、ダヴィンチちゃんの工房から牛乳でも買おうか? いやしかし、部屋の冷蔵庫にはアルトリアの母乳が幾つかストックされていたはずだし、それを飲むのも悪くはない……などと、カルデアのマスターが考えながら、泡だらけになった髪を流し、顔を上げた時だった。

 

「お邪魔するわね、マスター」

 

「ぶへっ!?」

 

 頭上からかけられた声に驚き、視界に映った淫紋令呪と小さな割れ目に更に驚く。一人きりだったはずの風呂場に急に現れた侵入者の姿に驚いたマスターは、座っていた椅子からすっころんでしまった。

 

「あ、あいたたた……」

 

「ふふっ、驚き過ぎよ、マスター。でも、その反応は見ていて楽しかったわ」

 

「お、脅かさないでよ、ステンノ……」

 

 浴場の床に打ち付けた頭を撫でながら愉快そうにクスクスと笑うステンノに声をかけるマスター。当然と言えば当然なのだが、風呂場に急に現れた彼女は束ねている髪を解き、服も全部脱ぎ捨てた全裸の状態だった。美しく均整の取れたプロポーションは、幼くも確かに香る大人の色気がある……これが完成された女神の美しさなのだろうと思ったマスターは、知らず知らずのうちに喉を鳴らしていた。

 

「ごめんなさいね。脅かすつもりは無かったのだけれど……そう、ちょっとお礼をしに来たのよ」

 

「お、お礼って、何の……?」

 

「私たちを助けてくれたでしょう? また、無事に姉妹が揃うことが出来たのはあなたのお陰よ。そのお礼をする為に、わざわざ大浴場を封鎖して貸し切りの状態を作ったんだから」

 

 おかしいとは思っていたが、この貸し切り風呂はステンノが用意したらしい。そこまで大掛かりなことをする必要はあるのかと聞こうとしたマスターであったが、他のサーヴァントたちのことを考え、彼女たちも大概大掛かりなことをしているなと思いなおし、その質問を飲み込んだ。

 

「……ほら、あなたたちも出て来なさい」

 

 ステンノが指を鳴らすと、マスターの背後に二つの人影が現れた。ライダーとランサーのメドゥーサ、成長前と成長後の二人のサーヴァントもまた全裸であり、姉とは違って恥ずかしそうな表情で頬を染めている。

 

(エウリュアレ)がいなくてごめんなさいね。でも、あの子には別に慰めるべき人がいるし……代理で駄妹を二人呼んだから、それで満足して頂戴な」

 

「え、えっと……もしかして、ステンノが言うお礼って……?」

 

「うふふ……♡ ここをこんなに大きくしちゃって、興奮してるのね? 大丈夫よ、あなたの想像通りだから……♡」

 

 甘ったるい声と仕草でマスターを誘惑し、魅惑的な視線で虜にする。マスターは、今のステンノが行っていることが、男を魅了する時に行う行為だということを知っていた。何度も何度もその術中に嵌ったことがあるからだ。

 今回は意識を持っていかれることはなかったが、その代わりに肉棒がはち切れんばかりに膨れ上がり立ち上がってしまっていた。むしろ、ステンノの狙いはこちらだったのではないかとマスターが思ったその瞬間、彼女の囁きが耳元で響く。

 

「ゴルゴン三姉妹では無いから、チーム(Gorgon)とでも名乗らせて貰いましょうか。私たちがこの浴場で、あなたに天国を見せてあげる……♡♡♡」

 

 天性の魅力でマスターをかどわすステンノは、彼の耳朶に甘い息を吐きかけた後でそっと離れていく。シャンプーやボディソープが置かれている鏡の前の小さな段差に腰かけたステンノは、まずはとばかりに妹たちに指示を飛ばした。

 

「さあ、なにをぼさっとしているの? 恩人のマスターのお背中を流して差し上げなさい、駄妹たち」

 

「は、はい……では、まずは私から……」

 

 姉の言葉に動いたのはアナだった。小さな体をちょこちょこと動かし、石鹸を持つとマスターの前に立ってぺこりとお辞儀をした後でそれを差し出す。

 

「ま、マスターさん……お手数ですが、石鹸を泡立てるのを手伝って頂いてよろしいでしょうか?」

 

「え? あ、うん……」

 

 変なことを頼むものだと訝しがりながら、マスターはアナの言う通りに石鹸を湯に浸して擦り始めた。数秒もすれば、ぶくぶくと泡立ち始めたそれが洗面器の中を泡で満たし、十分な量の泡が生成される。

 あとはこの中にスポンジを浸すだけだ。アナの手からスポンジを受け取ろうとしたマスターであったが、恥ずかしそうな表情を浮かべた彼女は小さく首を振ると、そのまま体を反転させてお尻をぷりっと突き出す格好を取った。

 予想外のアナの行動を受け、驚きを隠せないマスター。しかし、目の前に突き出された白く小さなお尻と、その中央の窄まりという煽情的な光景に眼を奪われ、体を硬直させて見とれてしまった。そんな彼に対し、アナは絞り出す様な小さな声で二つ目の願いを口にする。

 

「そ、その泡を、私のお尻にかけて下さい……ぬるぬるであわあわのいやらしいお尻になる様に、お願いします……♡」

 

「あ、ああ、わかったよ……」

 

 羞恥心に塗れた幼い肢体を目にしたマスターは、自分がイケナイことをしている様な感覚に襲われて心臓の鼓動を早くした。さりとて、アナの頼みを断る訳にもいかず、彼は洗面器の中から泡を掬うと、目の前の小さなお尻に擦り込む様にして手を動かす。

 

(柔らかい、な……それに、すべすべしてて、触ってて気持ち良いや……)

 

 ふにゅり、むにゅり……アナの尻は、小さいながらも中々の質量があった。薄い様に見えて思ったよりも肉付きは良く、されど下品な程の大きさは無い。これもまた、人々に愛される女神としての造形の一つなのだろうと思いながら、また泡を一掬いしたマスターは滑らかなアナの肌を擦ってそこを泡立てていった。

 

「あっ♡ んっ♡ ……お、お尻の穴の中も、お願いします……♡ 指を突っ込んで、ぐりぐりしてください……♡」

 

「う、うん……!」

 

「んひぃっ♡ お、ぉぉ……っ♡」

 

 新たなる注文に従って人差し指をアナルに突っ込めば、アナの口からは快楽を伴う呻き声が溢れた。左手で尻肉を泡立て、右手で尻穴を穿りながら、マスターはこの行為に何の意味があるのかを考え始める。

 ステンノは自分の背中を流す様に妹たちに指示していたが、これではまるっきり逆では無いか。別段、こういうコミュニケーションが嫌いなわけでは無いのだが、どうしてこんなことをさせるのだろうか? 答えの出ない疑問を抱えながらも、たっぷりとアナの臀部を愛撫したマスターが十分に泡立った彼女の尻から手を離した時だった。

 

「じゅ、準備が整いました……これより、マスターさんのお背中を流します……♡♡♡」

 

「え……?」

 

 ふりん、ふりん……♡ マスターの目の前で、アナの小さな尻が振られる。石鹸の臭いを放ち、泡だったそこがぬるぬるとしたいやらしい光を放つ姿に興奮を隠せないマスターは、自分の心臓が高鳴っていくことを感じていた。

 

「ま、マスターさんの手で泡立てて頂いた『アナのお尻スポンジ』の感触、存分に味わって下さい……♡」

 

 荒い呼吸を繰り返すアナがマスターの背後に回る。思い切り突き出した尻を彼の背中に押し付けたアナは、じっくりと丁寧に腰を振って彼の背中を自分の尻で擦り始めた。

 

「うわ……っ! すごく、気持ち良い……!」

 

「んっ……♡ お気に召して頂けて、何よりです……♡ ふぅっ♡」

 

 絶妙の柔らかさと質感を持っているアナの尻は、最高のスポンジ素材となっていた。吸いつく様な瑞々しい肌が水を弾き、マスターの背をぷるぷると揺れながら這いまわっている。その柔らかさと感触は、どれをとっても最高の逸品だった。

 アナも懸命に腰を振ってマスターに奉仕を続けている。背中の中心、浮き上がった背骨に尻の谷間を合わせる様に臀部を押し付け、そのままゆっくりと上下に擦り続ける。肛門が背骨に触れ、擦れる度、何とも言えない甘い痺れがアナのお尻に広がっていった。

 

「はあっ♡ んっ♡ んはぁ……♡ 気持ち良いっ♡ 気持ち良い……っ♡」

 

 もはや官能に支配されたアナは、ひたすらに上下に尻を振って自分の肛門を刺激し続けている。臀部全体の擦れ、愛する人の体温、そして肛門に響くむず痒い快感……それら全てが合わさった快楽に酔い、アナが絶頂に達しようとしたその時だった。

 

「待ちなさい、駄妹」

 

「あっ……!」

 

 鋭い姉の声にアナの動きが完全に止まる。あと一擦りで絶頂出来たはずなのに、それをギリギリで制止されてしまったことを悔やむよりも早く、アナに向けての叱責の言葉が浴室に響いた。

 

「駄妹、あなたは何をやっているのかしら?」

 

「あ……!?」

 

 そう言ってマスターの背中を指でなぞったステンノは、彼の背中に付着していた粘液を掬い取るとアナの鼻先に突き付ける。ツン、と鼻を衝く性の臭いを嗅げば、それが石鹸水では無いことは明らかだ。

 

「……これはあなたの愛液よね? マスターの背中を綺麗にするはずが、汚してどうするの?」

 

「す、すいません、姉様……」

 

「謝るのは私に対してでは無いでしょう? マスターにしっかり、自分が何をして、どうしてしまったのかを口にして、許しを請うのが先ではないのかしら?」

 

「は、はい……」

 

 ステンノの言葉に従ったアナは、おずおずとした様子でマスターの前方に立つ。そして、再び尻を突き出し、尻穴と性器のを思いっきり広げ、発情した自分の様子を見せつけながら謝罪の弁を口にした。

 

「わ、私は……マスターさんの背中にお尻を擦り付けて、自分勝手にオナニーしていました……♡ マスターさんのことを綺麗にするはずが、私のいやらしいおまんこ汁で汚してしまって、本当に申し訳ありませんでしたっ!」

 

「い、いや、良いよ! 俺は気にしてないし、それに――」

 

 気持ちが良かったから、そうアナに告げようとしながらも、マスターの視線は彼女の尻に釘付けだった。ある程度泡が落ちたことで石鹸水の光沢がアナの桃尻をコーティングし、更に発情してピンク色に染まった臀部を一層淫らに引き立てている。加えて、股座から垂れる愛液の臭いがその卑猥さを更に増させていた。

 もう一度このお尻で背中を洗って貰いたい……そう告げようとしたマスターであったが、それよりも早くに手を伸ばしたステンノがアナの体を抱き寄せる。マスターに向けてニコリと微笑んだ彼女は、アナの頭を撫でながらこう言った。

 

「ごめんなさいね、マスター。不出来な妹が面倒をかけて……この子は少しお仕置きするから、ちょっと待ってて頂戴。代わりに、もう一人の駄妹に相手させるから」

 

「うわ……っ!?」

 

 そう言い残して、アナを引き連れたステンノが壁の向こう側に消える。その瞬間、マスターの背中に柔らかく大きな二つの物体が押し付けられた。頂点にコリコリとした突起があり、たっぷりと質量が詰まったそれがメドゥーサの乳房であることは、誰が見たって明白だろう。

 

「……幼い私が失礼をしました。その不敬、私が尻拭いをさせて頂きます」

 

「うおぉぉっ!?」

 

 既にたっぷりと石鹸水が振りかけられていたメドゥーサの乳がたっぷりと余裕を持ってマスターの背中を洗い始める。一往復で背中全体を洗い上げるメドゥーサの乳房の大きさと背中に感じる柔らかさに驚くマスターは、背後から聞こえる喘ぎ声に興奮を募らせていった。

 

「んふっ♡ んっ♡ ふぅっ♡ 乳首、擦れて……っ♡ イイ、です……っ♡」

 

 柔らかさの中に感じる二つの確かなしこり。乳房が擦れる毎にそのしこりは硬くなり、いつしかはっきりとした感触を持ってマスターの背中を這いまわっていた。

 固くなった乳首が背中に擦れれば、メドゥーサの体を痺れさせる快感が生まれる。興奮を隠す事無く背中にパイズリを続けるメドゥーサは、マスターの耳の内部に舌を這わせてそこを舐め始めた。

 

「れろっ……♡ んっ♡ れろぉ……っ♡」

 

「う、わ……! メドゥーサの舌の動き、エロい……っ! おっぱいと舌がねっとり絡んで来て、凄く気持ち良いよ……!」

 

「それは良かった……♡ 本当はすぐにでもあなたの肉棒のお相手をして差し上げたいのですが、姉様には段取りがある様子ですので、それまでは私のおっぱいスポンジをお楽しみ下さい……♡」

 

 勃起したマスターの肉棒にそっと手を添え、軽く撫でるメドゥーサ。しかし、それ以上は刺激せずに背中に押し付けた胸を上下に揺らす事だけを続けている。首筋や耳の周囲に舌を這わせて舐めることや、指先でマスターの乳首をくすぐったりという微弱な責めは行うものの、直接的な激しい快楽は出来る限り避けて奉仕を行っていた。

 

「はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ……♡」

 

「メドゥーサ……っ! 凄く、気持ち良いよ……!」

 

 息も荒く、体を擦り合わせる二人。そんな二人の様子を少し離れた場所で見つめているアナに対し、ステンノは意地悪く囁く。

 

「二人で楽しんでいるわね。あれなら、あなたは必要ないんじゃないかしら?」

 

「うっ……」

 

「駄妹は駄肉だけはあるし、マスターも気持ち良さそうだし……粗相をしでかしたあなた抜きで楽しんで貰った方が良いかもしれないわね?」

 

「………」

 

 ステンノに()()()()された体がじんじんと疼く。アナは、もう一人の自分と仲睦まじく重なるマスターの姿を見て、心臓の位置で拳をぎゅっと握り締めた。

 なぜかはわからないが、ここで負けたくはない。彼を楽しませているのがもう一人の自分だからこそ、ここで退きたくはない。だから、彼女は姉の指示を待たずして彼の元へ歩んで行った。

 

 桶に溜まっている石鹸水を肩から被り、全身を一気に泡立てる。念入りに性器の辺りを泡立て、十分に濡れそぼっているそこをぱくつかせ、アナはマスターの真正面から抱き着いて彼と唇を重ね合わせた。

 

「んっ♡ ちゅっ、ちゅぅ……っ♡」

 

「アナ……? ん、ん……」

 

 引っ込み思案なアナの積極的なキスに戸惑いながらもその行為に応えたマスターは、空いている手でアナの体をそっと抱きしめた。アナもまた体をマスターに擦り寄らせ、舌で喉元を舐めてから甘く囁く。

 

「先ほどは失礼しました……今度は全身スポンジと化した私の全てを使ってご奉仕致します……♡ 一番ごしごしする必要がありそうなおちんぽは、『アナのおまんこスポンジ』で目一杯擦って差し上げますね……♡」

 

「え? わ、わぁっ!?」

 

 蕩けた声で囁いたアナが腰を浮かせたかと思えば、次の瞬間にはマスターの肉棒を膣内に迎え入れるべく腰を下ろしていた。子供のキツイ膣圧に呻くマスターに強く抱き着いたアナは、腰を上下させると共に泡だらけの全身で彼の胸板を洗い始めた。

 

「はっ♡ はっ♡ はっ♡ おちんぽ、ごしごしっ♡ マスターさん、ごしごし……っ♡ 気持ち良いですか、マスターさんっ♡」

 

「うん……っ! アナの体ちっちゃいのに柔らかくて、ふわふわしてて……乳首のコリコリも可愛くって堪らないよっ!!」

 

「良かったです……♡ 手持ち無沙汰だったら、私のお尻を揉んで下さい♡ お尻スポンジもみもみして、楽しんで下さいね……♡」

 

 言われるがままにアナの尻に手を伸ばしたマスターは、小さなそこを両手で何度も揉み解した。アナの尻肉は片手で包み込めるほど小さく、されどとても柔らかい。ついさっきまでこの尻が自分の背中に擦れていたのだと思えば、マスターの肉棒の滾りも高まると言うものだろう。

 アナの膣、そして尻を楽しみ、彼女と深く繋がり合うマスター。しかし、そんな彼の様子に少し苛立ちを抱える女性もここには存在した。

 

「……随分と楽しそうですが、私のことをお忘れでは無いでしょうか?」

 

「メドゥー……んっ!?」

 

 突如として頭を掴まれ、強引に振り返らされて唇を奪われたマスターは、熱いメドゥーサとのキスに眼を白黒させる。酸欠で頭がぼうっとして来る中、長い口付けを終えたメドゥーサは頬を少しだけ膨らませて彼を詰った。

 

「……小さく愛らしい少女に夢中になる気持ちは分かりますが、私のことをおざなりにされては嫉妬するというものです。ましてやそれがもう一人の自分だというならば、尚更でしょう?」

 

「ご、ごめん! そんなつもりは無かったんだけど……!」

 

「……まあ、肉棒を挿入している方に意識を傾けてしまうのは仕方が無いことでしょう。ですが、唇と視線は私の方に向けて下さいね?」

 

「う、うん、わかったよ!」

 

 幼い自分に嫉妬心を燃やしたのか、メドゥーサの奉仕はより激しいものに変化していった。唇を重ね、舌を絡ませ、マスターの背中に胸が潰れるほど押し付けながら、全力で彼の背中を擦り続ける。前面を洗うアナと後背部を洗うメドゥーサ、二人は競い合う様にマスターに奉仕を続け、彼の官能を高めていく。

 

「あぁっ! ぐっ、うぅぅっ……!!」

 

 肉棒を包む小さな膣の感触はとてもキツく、肉棒を咥え込んで離さない蛇の様だ。しかし、そこからは離れて欲しくないという甘えの感情がありありと感じられ、小さな子宮口は亀頭にキスされる度にちゅうちゅうと喜んで吸い付いている。

 尻肉の柔らかさ、僅かに感じる胸の膨らみ、痛いほどに勃起している乳首……ぶしゃぶしゃと愛液を撒き散らし、マスターに抱きしめられる悦びに打ち震えながら一心不乱に腰を振るアナは、彼に快楽を感じて貰おうと必死になっていた。

 そして、メドゥーサもまた舌を器用に動かして彼に快楽を享受させている。流石は蛇の怪物と呼ぶべきか、その舌技には目を見張るものがあった。絡め、引き出し、唾液を送り込み、メドゥーサは様々な手法を使ってマスターに甘い快楽を与え続ける。

 大きな胸で彼の背中を洗うことも忘れはしない。その巨体をコンプレックスとしている彼女であったが、今はこれも武器と開き直ってマスターを満足させる為に使うことにした様だ。彼女もまた乳首を尖らせ、硬くしながらも、一生懸命にマスターの背中にそれを擦り合わせている。

 

「ふっ♡ んふっ♡ んうぅうぅっ……♡ 乳首が擦れて、熱い……っ♡ 胸全体が燃えているみたいで、興奮します……っ♡♡♡」

 

「おちんぽ固いです……♡ がちがちで、あつあつで、おまんこ火傷しちゃう……♡ お尻も優しく揉まれるの気持ち良くって、スケベなお汁が止まりません……♡」

 

 前と後ろを二人のメドゥーサに挟まれ、奉仕される。幼い肉体と成熟した肢体、その二つの感触を堪能し、違いを楽しむ。自分以外の誰がこんな贅沢な遊戯を楽しめるだろう? この二人は、自分以外の誰にもこんなことはしてくれないはずだ。

 自分はとても幸運な男だ。こんな自分に懸命に奉仕し、愛してくれる女性たちが沢山居るのだから……その幸福を噛み締め、快楽を享受したカルデアのマスターは、アナを抱き締める腕に思い切り力を込めると吼える様にして叫び声を上げた。

 

「アナっ! メドゥーサっ! もう……イクっっ!!」

 

「あ、あ、あっっ♡♡♡ おちんぽびくびくしてますっ♡♡♡ 熱いの来るっ♡♡♡ 私のおまんこ種付けされちゃいますっ♡♡♡」

 

「くっっ! つ、次は私の番ですからね? そのまま連戦なんて始めたら承知しませんからっ!」

 

 期待に満ちたアナの嬌声と嫉妬が滲むメドゥーサの声。二つの声を耳にしながら、マスターは二人によって高められた性欲を一気に解放する。膨れ上がった肉棒を幼い膣の最奥にねじ込み、亀頭を子宮口にぴっちりと押し付け、その中身に自分の遺伝子を夥しく放ち、満足気な咆哮を上げた。

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 

「んっはあぁぁぁあぁあぁぁぁああぁああぁあぁぁああぁあっっ♡♡♡ あづっ、あづいぃいぃいぃっっ♡♡♡ おまんこもえるっ♡♡♡ こげちゃうっっ♡♡♡ ひぃいぃいいぃいぃいぃいぃいいぃっっ♡♡♡」

 

 そのか細い喉からどうしてそんな大きな声が出るとかと思わせるほどの声量を上げ、アナは全力で達した。体は大きく伸び切り、表情はだらしなく蕩け、胎の中に注がれる精液の熱さに堪らず舌を放り出してアヘっている始末である。

 びくり、びくり、と細やかな痙攣を続けるアナの体。それは彼女の蜜壺も同じで、吐き出された精液を美味しそうに飲みながら一枚一枚の肉襞をびくびくと震わせてマスターの射精を促し続けていた。根元からこそぎあげる様に蠢く膣は、開発されきった娼婦のそれと全く同じだ。そんな動きを幼い穴の膣が行っていることに不思議な高揚感を感じたマスターは、肉棒に一滴の精液も残さぬとばかりに彼女の子宮へと己の欲望を全て叩き込む。

 

「あぐ、あ……♡ お腹、いっぱいです……♡ 赤ちゃん♡ マスターさんの赤ちゃん出来ちゃう……♡ 姉さまたちを差し置いて、私が一番にお母さんになってしまいます……♡」

 

 精液でぽっこりと膨れた腹を撫でながら、夢見心地でアナは呟いた。これだけ濃く熱い精液を大量に射精されたのだ、幼い彼女がそう思ってしまってもおかしくは無いだろう。そうして、本当にそうなってしまった時のことを考えたアナは、その幸福に身を震わせて二度目の絶頂を迎えてしまった。

 

「はうぅううぅうっ♡♡♡ 妊娠アクメ、決めます……っ♡♡♡ マスターさんの赤ちゃん産めるって考えただけで、私はイっちゃうんですぅ……♡♡♡」

 

 きゅっと締まる膣からは容量が足りずに行き場を失った精液が噴き出して来ている。達しながらもそれを勿体無いと感じたアナは、がくがくと小鹿の様に震える脚で立ち上がると、自らまんぐり返しの格好を取って精液の落下を防ごうとしたのだが、そんなことで精液の逆流は止まる筈も無かった。ごぽり、と音を立てて噴水の様に勢い良く噴き出したザーメンは、アナの願いも虚しく次々と彼女の膣から溢れ出ていってしまう。

 

「あ、あぁ……っ! いかないでぇ……! マスターさんの精子、お腹の中に残ってぇ……♡♡♡ お願いですから、私の赤ちゃん袋の中で元気に泳ぎ回って下さい……っ♡♡♡」

 

 泣きそうな声で溢れ出て行く精液に語り掛けるアナ。まんぐり返しの卑猥な格好とぷりぷりと揺れる柔尻、そして石鹸水のぬるぬるとした光沢に照らされる体が彼女の姿を見るマスターの興奮を再燃させる。

 自分の種を望むアナを引き倒し、肉棒を叩き込み、彼女の子宮が膨れ上がるまで精を注いでやりたい……そんな思いと共に復活した肉棒を携えるマスターであったが、彼が行動を起こすよりも早く、大きな尻が彼の目の前に突き出された。

 

「……言ったでしょう? そのまま連戦などは許さないと……次は私の番ですよ、マスター」

 

「あ、ああ……分かってるよ、メドゥーサ」

 

「そうですか? 随分と幼い私にご執心の様子だったので心配だったのですが……あなたがそう言うのなら、そうなんでしょうね」

 

 メドゥーサの皮肉にチクリと胸を痛ませたマスターであったが、苦笑いを浮かべて彼女を誤魔化す。メドゥーサもそれ以上彼を追及することはせず、自分の性器を開いて尻をマスターへと突き出した。

 

「さあ、私にもお相手させてください……ここに、あなたのモノをどうぞ……!」

 

 びっしょりと濡れた肉厚の性器はいやらしい臭いを撒き散らして挿入の時を今か今かと待ちわびている。ごくりと唾を飲み込んでから立ち上がったマスターは、メドゥーサの尻を両手でがっしりと掴むと――

 

「……えいっ!」

 

「んへっ!? んほぉおおぉおぉおぉおおぉおぉおぉおぉっっ♡♡♡ おっ、おぉっっ♡♡♡ お、おひりぃいっ!?」

 

 ――性器では無く、尻穴の方へと肉棒を挿入した。予想外の行動に驚きながらも、メドゥーサは尻穴を穿られる快感に呂律が回らなくなっている様だ。こびりついた精液とアナの愛液が潤滑油になっているお陰か尻穴での抽挿も難無く行え、いきなりトップスピードのピストンを食らうメドゥーサは尻肉をぶるぶると震わせながら喘ぎ叫ぶ。

 

「な、なんでっ♡♡♡ こっちのあなにっ♡♡♡ わ、わたしはっ♡♡♡ まえの、ほうに――っ」

 

「……なんか、メドゥーサを見てると意地悪したくなっちゃうんだよね。それに……メドゥーサのお尻、とっても大きくてエッチだったから、つい……」

 

「んお、おぉっ♡♡♡ わたしのおしりが、みりょくてきだと……?」

 

「ああ! ムチムチしてて、ぷるぷる震えて……とっても可愛く思えちゃったからさ! だから、こっちにしたんだけど……良いよね、メドゥーサ?」

 

「う、あ……っっ♡♡♡」

 

 自身の巨体をコンプレックスに思っていたメデゥーサにとって、今のマスターの言葉は深く胸に刺さった。この大きな体を魅力的だと、可愛いと言って貰えたことに悦びを感じたメドゥーサは、尻をふりふりと振ってマスターの質問に答える。

 

「……か、構いませんよ……♡♡♡ もう挿入してしまったことですし、私のおし……け、けつまんこも火照ってしまいました♡ マスターのおちんぽで鎮めて頂かなければ、どうしようもありませんしね……♡♡♡」

 

「ありがとう、メドゥーサ! ……それじゃあ、動くよ? 可愛い声をたっぷり聞かせてね……!」

 

「おっ、おぉぉおぉおんんっ♡♡♡ おほぉおぉおぉおぉおぉっっ♡♡♡ んっほぉおおぉぉおんっっ♡♡♡」

 

 巨大な質量を持った物体が尻の中で暴れ回る快感に吼えるメドゥーサ。口から洩れる声はとても愛らしいとは形容出来ない声で、まるで野獣の様な咆哮だ。

 しかし、マスターはその嬌声を耳にして己の獣欲を滾らせる。肉棒にダイレクトに伝わる衝動は、その硬さと熱さをより一層向上させてセックスを更に乱れた物にする手助けをしていた。

 

「おっっ♡♡♡ んおぉおおぉおぉおぉおぅうぅうっ♡♡♡ おうぅうぅうっ♡♡♡ んほぉぉおぉおぉおぉおぉおぉっっ♡♡♡」

 

 自分が間抜けな声を上げる度、マスターの肉棒は硬くなる。自分の獣染みた声を聞いて、マスターは興奮してくれている……彼の言葉には嘘が無いことを知り、彼が自分の様な大女に欲情してくれていることを知ったメドゥーサの声は際限なく大きくなっていった。音が反響する大浴場では彼女の声は何度も木霊し、彼女自身やマスターの興奮を尚更煽ってくれていた。

 

 尻が跳ねる。もう何度も達している。だけどまだ、より高い快楽の高みへと連れて行かれてしまう。一体自分はどうなってしまうのか? メドゥーサが怖れにも近い期待を抱いたその瞬間、マスターは一度腰を止めると彼女の耳元へと顔を近づけてこう囁いた。

 

「メドゥーサ……ちょっと本気を出して良いかな?」

 

「本気、ですか……? い、今まで、手加減をしていたと……?」

 

「う~ん……まあ、そういうことになるのかな?」

 

「……心外ですね。私は見ての通り、頑丈さが取り柄の女です。そんな私に手加減など不要、そうでしょう?」

 

「そう? なら、本気で行かせて貰おうかな? あ、一応言っておくけど、覚悟しておいてね? メドゥーサが思っている以上に凄いと思うからさ」

 

 マスターの言葉に喉をごくりと鳴らしたメドゥーサは、背中をブルリと震わせてその快感に期待の感情を抱く。彼自身がそこまで言うのだからその快感は自分の想像を絶しているのだろう。相当の心構えをしたメドゥーサは彼が動きを再開することを黙って待っていたのだが、不意に自身の尻穴に違和感を覚えた。

 

(何? この感覚は……? 何かが動いている様な……?)

 

 挿入されているマスターの肉棒は動いていないのに、何かが腸壁を擦っている様な感覚を覚える。これは何なのか? 不意に訪れた謎の感覚にメドゥーサが意識を傾けた、その瞬間だった。

 

「おほっひいいぃいぃいぃいぃぃいぃいぃぃぃぃぃぃいいぃいっっ♡♡♡ んへおぉおぉおぉおぉっっ♡♡♡ お? おっほおおぉおぉおぉおおぉおおぉおぉおぉおぉおおぉおぉっっ♡♡♡」

 

 その快感は唐突に現れた。まるで巨大なドリルがメドゥーサの尻穴を穿っているかの様に、激しい魔力の奔流が彼女の尻の中で暴れ回っているのだ。先ほど感じた違和感はこの快感の前触れだったのだろう。だがしかし、この快感は予想を超えるとか、そう言った範疇を完璧に超えていた。

 

「な、なんなん、で、すかっ♡♡♡ これ、はああぁあぁあぁぁあぁっっ♡♡♡ お、おしり、なにもしてないのにほじられてっっ♡♡♡ お、おかひくな、るうぅうぅうぅぅうぅぅうぅぅうぅぅうっっ♡♡♡」

 

 新たに出現したこの快楽はあまりにも強烈だった。言葉にするならば、尻穴の中で嵐が暴れ回っている様な感覚だろう。快楽の暴風が止むことなく暴れ回り、メドゥーサの尻の中で竜巻を起こしている、そんな感覚が延々と続くのだ。しかも、この竜巻はただ暴れ回っているだけではない。部位によって魔力を弱めたり強めたりして勢いを操作し、単調にならないペースでメドゥーサを責め続けているのである。

 こんな快楽など知る訳も無かった。想像の範疇を超えるとか、そう言った次元を超えていた。異次元の快楽に喘ぐメドゥーサの手首を掴み、再動の構えを取ったマスターは、動き始める前にこの快楽の正体を彼女に教えるべく口を開く。

 

「これね、この間再臨したアルトリアから貰ったスキルなんだ。淫紋令呪を刻まれたサーヴァントの成長は、そのマスターの成長をも促す……アルトリアが成長した結果、俺もこんなスキルを手に入れたみたい」

 

「んぉおおぉぉおおぉぉぉぉおぉぉぉおっっ♡♡♡ うおぉぉおぉおぉおぉぉおぉぉおぉおぉおぉおおぉぉっっ♡♡♡」

 

「仕組みは単純でね、アルトリアの持ってる槍は分かるでしょ? そう、凄い量の魔力が渦巻いてるあの槍と同じ仕組み……俺のちんぽを中心にして、凝縮された魔力が竜巻みたいに渦巻いてるって訳さ! これを使うと俺も疲れちゃうんだけど、味わった皆が凄く悦んでくれるからつい使っちゃうんだよね!」

 

「んごおぉおぉぉおおぉおぉおぉぉおぉおぉぉぉっっ♡♡♡ おほっっ♡♡♡ んほぉおぉおぉおぉおぉおぉおおぉおぉおぉおぉおぉっっ♡♡♡ まっへぇっ♡♡♡ まっへくらは……」

 

「……最初は感じ過ぎて辛いかもしれないけどさ、すぐに良くなるよ……! だって、今のメドゥーサ、良い顔してるもん」

 

 ずるずると竜巻を伴って尻穴から引き抜かれる肉棒、ゆっくりとしたその動きだけでも、メドゥーサの意識を刈り取るだけの威力がある。もしも、この肉棒で激しく突かれたりなどしたら、自分はどうなってしまうのだろうか?

 もう意識がついていかない。括約筋が魔力の奔流に打ちのめされ、延々と続く激しい排泄感と共に尻穴絶頂を繰り返している。文字通り、尻穴を掘削される感覚と快感に全身を支配されながら、メドゥーサは自分の尻に向けて腰を突き出したマスターの動きに合わせ、喉が裂けんばかりの声で叫んだ。

 

「おおおぉおぉおぉおぉぉぉっぉぉぉおぉっぉおおぉぉぉおぉぉぉおぉっぉぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉっっ♡♡♡♡♡ おおぉおっっっ♡♡♡ んほへあぁあぁぁぁあぁぁっっ♡♡♡ おひぃいぃいんんっっ♡♡♡ おおぉぉおおぉぉおおぉぉおぉおぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 たった一回のピストン、ギリギリまで引き抜かれた肉棒が再び自分の尻穴に収まり、思い切り尻肉を腰が打ち付ける。その一回の動きの間に、メドゥーサは十は下らない回数の絶頂を迎えていた。何もかもが、彼女の想像を絶していた。

 肉棒を中心に渦巻く竜巻はメドゥーサの尻穴をこじ開けながらその腸壁を削っていく。しかし、その動きには一切の痛みはなく、ただ激しい快楽をメドゥーサの尻穴に押し付けるだけだ。ドリルの様に腸内を奥深くまで掘削されながらも息苦しさは殆どない。あったとしても、その息苦しさは途轍もない快楽を伴う息苦しさなのだから、拒むつもりにはなれない。

 渦巻く魔力だけではなく、マスターの肉棒も確実に強化されていた。魔力の奔流にばかり気を取られていると、熱された超合金の様な硬さと熱さを誇る彼の肉棒に弱点を突かれて終わらぬ絶頂を繰り返す羽目になる。現にメドゥーサはそうであり、何度もピストンをされている為にそこから降りることが出来ないでいるのだ。

 そして、荒れ狂う魔力はそれを纏う肉棒に相応しい形へと嵌められた穴を形成していく。主の魔力が染み込み、それに順応してしまったメドゥーサの尻穴は、あっという間に躾けられ終えてしまった。

 

「おぉおぉおぉおおぉおぉおおぉぉんっっ♡♡♡ んほおぉおおぉおおおぉおおぉおぉおぉおぉぉおおぉぉおっっ♡♡♡ とまっ、とまらないぃいぃぃいぃぃいぃっっ♡♡♡ ケツアクメとまらな、ひぃいぃいいぃいぃいぃいぃぃぃいぃぃぃっっ♡♡♡」

 

 涎が、涙が、汗が、愛液が、潮が、尿が、絶頂が……何も止まらない、止められない。この肉棒に全てを支配されて、快楽に酔わされている。メドゥーサ(支配する者)の名を冠する自分が、この肉の棒一つに抗えないまま淫らで無様な姿を晒し続けているのだ。

 ピストンを受け続けるメドゥーサのたわわな乳房は縦横無尽に暴れ回り、先端の突起は痛いばかりに腫れ上がっている。下半身から勢い良く噴き出すのは尿と愛液の混合液、彼女が無意識に放つ、屈服の証だ。

 

「ほら、見て御覧なさい……♡ 未来のあなたは、あんな風に喘がされているのよ。愛する人の手で無茶苦茶にされることを悦び、女の幸せに浸っているの……♡ 駄妹、未来のあなたがそうなるんだから、今からそうなったとしても結果は同じでしょう? 心を開放して、マスターに媚びてしまいなさい……♡」

 

「はぅ……ぁ♡」

 

 目の前で未来の自分の痴態を眺め、姉であるステンノにそう囁かれたアナの子宮がぐんぐんと疼き始めた。そして、姉の言葉を意識が肯定し始める。

 彼は化け物になる運命の自分を愛してくれている。自分もまた、そんな彼に並々ならぬ思いを抱いている。未来の自分がああして彼に抱かれて快楽を享受するなら、今からそうなってしまったとしても何の問題も無い。

 愛されたい、自分も彼に……。そんなアナの想いと現在進行形で彼に愛されるメドゥーサの淫紋令呪はシンクロした様に光り出すと彼女たちの霊基を強化し始めた。当然、そうなると感じる快感もまた一段と跳ね上がり、マスターとセックスを続けているメドゥーサはその快楽を前に狂った様に叫び声を上げた。

 

「ほひぃいぃいぃいぃいいぃいぃいぃいぃいぃいいいぃいぃっっ♡♡♡ おほぉおおぉおおぉおぉおぉおぉおぉおおぉぉぉぉぉっっ♡♡♡ んほぉおぉおぉおおぉおっっ♡♡♡ おおぉおぉおおぉおおぉおおぉおおんっっ♡♡♡ んほぉおおぉおおぉおおぉおぉおおおぉおっっ♡♡♡ おおおぉおぉおおおぉおおぉおおぉおぉおおっっ♡♡♡♡♡」

 

「ああ……♡ なんて下品な声……♡ マスターさんとのセックスが気持ち良いんですね? 気持ち良過ぎて、ケダモノみたいになっちゃってるんですね……♡」

 

 喘ぐメドゥーサの顔を覗き込んだアナは、うっとりとした声でそう呟いた。感じる快感こそ増したが、淫紋令呪の再臨により精神面の強化を得たメドゥーサは、その言葉に対して視線で返答を返す。

 あなたも味わってみればいい、そうすればすぐにわかる……。彼女の目は、そう言っていた。だがしかし、この快楽を幼い自分に味わわせるのは些か危険だとも感じていたのだ。

 

 

「ま、マスターさん……♡♡♡ 次は、私のお尻に……けつまんこに本気おちんぽ下さい……♡♡♡ 未来の私みたいに、お尻の穴をぐちゃぐちゃにして欲しいです……♡♡♡」

 

「だ、めぇ……♡♡♡ こんなちんぽを味わってしまったら、こどものうちからぜいたくまんこにそだってしまいます……♡♡♡ だ、だから、だめぇ……♡♡♡ マスターの本気ちんぽは、大人だけの特権にしてくらさいぃ……っ♡♡♡」

 

「そんなの狡いです……♡♡♡ 私のおまんこはこんなに蕩けてるのに……♡♡♡ そんな風に喘ぐ姿を見せつけられて、それをお預けされるなんてひど過ぎますよ……♡♡♡」

 

「んぁぁっっ♡♡♡ マスターっ♡♡♡ い、今は、私とセックスしてるんでしょう? な、なら、腰をがんがんふってくらはい……♡♡♡ 私のけつまんこ、本気ちんぽでじゅぽじゅぽしてっ♡♡♡ ケツ穴の中にどっぷりザーメンぶちまけてくださぁい……っ♡♡♡」

 

 膣から精液を垂れ流し、小さな尻を振っておねだりを続けるアナ。尻に挿入された肉棒をもぐつきつつ、大きな尻を振って快楽を生み出すメドゥーサ。そんな風に完全に快楽に染まった二人の眼を見て満足気に微笑んだステンノは、マスターの横に立つと彼に声をかけた。

 

「それじゃあマスター、私はこれで失礼するわ。駄妹二人とたっぷり楽しんで頂戴」

 

「え……? ステンノは一緒にしないの?」

 

「あら? マスターは私のことを抱きたかったのかしら?」

 

「うん、そりゃあそうだよ! だって、ここでしっかりとステンノの心を繋ぎ止めて、もう二度とソロモンなんかの手に渡さない様にしておくのは大事なことでしょ?」

 

 くすくすと笑い、自分では意地の悪いと思う質問をマスターへと投げかけたステンノであったが、当の彼から至って真面目な返答を受け、ポカンとした表情を浮かべた。そして、自分の身を案じてくれている優しい青年に対し、微笑みを浮かべて左手の甲へとキスを落とす。

 

「……私も、あなたに抱かれることを望んではいるわ。でも、今はその時じゃあないの……その時が来るまで、私の妹たちを可愛がってあげて、お願いよ、マスター」

 

「ステンノ……」

 

 訳がある、と言うよりもステンノもまだ心の準備が出来ていないのかもしれない。長きに渡る凌辱は、彼女の心を予想以上に痛めつけているのかもしれないのだ。もしくは、自分よりも彼女が大切に思う妹たちの心の安定を優先しているのかもしれない。だからこそ、自分から率先してマスターが彼女たちを抱くためのお膳立てを整えてくれたのだろう。

 

「……軽い言葉だけど、愛しているわ、マスター……♡ だからほんの少しだけ待って頂戴。時が来たら、あなたに私の全てを捧げるから……」

 

「……うん、わかったよ。焦らなくて良いから、ステンノの心の準備が出来たら言ってね」

 

「ふふふ……! 優しいのね、ますます好きになりそうよ。その調子で可愛い妹たちのことをよろしくね……♡」

 

 そう言い残し、ステンノは尻を振りながら脱衣場へと歩んで行った。扉を開け、彼女の姿が見えなくなったことを確認した後、マスターはステンノの頼み通りにメドゥーサたちを可愛がるべく腰の動きを再開させて彼女たちを悦ばせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……マスター、聞こえてる? 見えてるかしら? 今、あなたに抱かれることは出来ないけど、代わりに私の恥ずかしい部分を見せてあげるわね……♡ これが私からのお礼だと思って、少しだけ待ってて頂戴』

 

 その夜、自身の携帯端末を確認したマスターは、見覚えの無い映像が記録されていることに気がついた。それを再生してみれば、そこには風呂上がりのステンノが自身の裸体を撮影した姿が映っていた。

 

『……さあ、見て頂戴。これが完成された女神、ステンノのおまんことお尻の中よ……♡♡♡』

 

 カメラの前で四つん這いになったステンノは、尻と性器を大きく広げて恥ずべき穴の中身をレンズへと曝け出した。ふりふりとお尻を振り、淫猥に男を誘う格好を取りながら、彼女は歌う様に囁く。

 

『いつか、準備が整ったら……この穴に、あなたの猛々しいおちんぽを挿れて頂戴ね……♡ 約束よ、マスター……♡♡♡』

 

 肛門をひくつかせ、性器を曝け出し、最後に笑顔を見せたステンノの顔を映し出して映像は終わった。その映像を見終えたマスターは、あれだけ吐き出した欲情が再燃していることを感じ取り、肉棒を滾らせる。だが、問題はない。何故なら、この場に彼の相手をする女性が存在しているからだ。

 

「マスターさん……♡♡♡ おちんぽください……♡ ちっちゃなお尻とおまんこに、たくさん種付けしてください……♡」

 

「大柄で、だらしのない体ですが……あ、あなたの望むことはすべてさせて頂きます♡ だから、その……おちんぽを、お恵みください……♡♡♡」

 

 ベッドの上で四つん這いになり、尻を振る二人のサーヴァントたち。先ほど風呂場で綺麗にした筈の体は、既に彼女たちの漏らした愛液でぐちゃぐちゃに汚れていた。

 ぷっくりと膨れた肛門とぱっくり開いて充血した膣、石鹸と雌の臭いを振りまく二人の尻に手を置いてマスターはふっと微笑む。

 

「手加減しないよ? それでも良い?」

 

「「はいっ♡♡♡」」

 

 揃って返事を返した二人のメドゥーサにもう一度微笑みを見せ、マスターは滾る性欲を彼女たちと共に発散すべく熱い夜を過ごしたのであった。

 

 

 





三姉妹じゃないぞ! チームG 
チームコンセプト『女神を好きに出来る、夢の一時をあなたへ』

チームメンバー

ステンノ
メドゥーサ
メドゥーサ(ランサー)


エウリュアレを除いたゴルゴン三姉妹で構成されるチーム。現在はステンノは裏方で妹たちを煽ることに集中しており、本格的な性交はまだこれから行う模様。

メドゥーサを含めた全員が美しい女神であり、彼女たちを好きに出来るという破格の待遇を受けられることは正に天にも昇る幸福である。幼女たちと成熟した女性というアンバランスな組み合わせも幅広い趣向に対応出来ると考えると強みになる。

問題点は、成長していない女神たちの体力が少ないこと。ライダーのメドゥーサを除き、全員があまりにも低体力なのでセックスの回数があまりこなせないことが弱点である。
だがしかし、ランサーの彼女も一生懸命頑張っている様であり、気合で限界を超えることも多々ある模様。むしろステンノを抱く機会が待っていることや、成長ぶりを考えるとそこも楽しみになるのかもしれない。



メドゥーサ
メドゥーサ(ランサー)

淫紋令呪第一再臨完了 スキル『行為続行A』習得



『行為続行A』

ナイチンゲールが身に着けたスキルと同系統のスキルであり、Aランクである為に若干効果が落ちる。しかし、その分発動条件が緩くなっており、こちらの方が使い勝手は良いかもしれない。
というより、ナイチンゲールが不死身過ぎてあまり発動の機会が無い訳であって、本当はかなり優秀なスキルなのである。なお、ランサーのメドゥーサの戦闘続行はこのスキルに上書きされた。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔法少女が堕ちる()時(クロエ・フォン・アインツベルン)

 

「なに、これ……?」

 

 目の前に鎮座するある物を見たクロエは、目を丸くして驚きの表情を浮かべる。彼女の視線の先には、ガラスケースの中に収められたジャンヌ・オルタの姿があった。

 一見すれば本物と見間違える程の精巧さを持つその彫像は、オルタが快感の最高潮に達した一瞬を切り取った至高の芸術品と呼ぶべき物であり、彼女の表情や視線、流す汗や飛び散る愛液の飛沫の一粒までもが完璧に再現されている。これがどうやって作り出された物かは分からないが、オルタの痴態を再現したこの彫像を見ているだけで子宮が疼くことは確かだ。

 

 さて、ここで一つの疑問が生まれる。どうしてクロエはこの彫像を見ているのか? というものだ。この彫像はマスターの私室の中にある特別な工房に展示されている芸術品であり、工房の中に自由に出入り出来るのは管理者であるマスターと彼の手で雌奴隷に堕とされたジャンヌ・オルタだけのはずだ。そもそもマスターの私室への勝手な出入りはサーヴァント間で固く禁じられており、破った場合はどんな罰則を受けるかもわからないのである。

 だがしかし、クロエは事実こうしてここに居る。その理由は、彼女がチームFとしてマスターに奉仕したあの日にあった。

 メアリーと共にマスターとの濃厚な情事を楽しんだあの日、クロエは魔術で秘匿されていたこの工房の入り口を目聡く発見していたのである。正確には何かを隠しているという所までしかわからなかった訳だが、好奇心旺盛な彼女からしてみれば、こんな面白そうなことを放っておくはずがない。

 幸か不幸か、自身の体臭をマスターに気に入って貰えるかどうかを心配していっぱいいっぱいになっていたメアリーはこの秘密に気が付くことはなかった。クロエは、マスターの秘密を暴くべく彼の入浴中に部屋のキーカードを盗み、こっそりと中に侵入したわけである。そして、この工房へと足を踏み入れた。

 そうして中でジャンヌ・オルタの彫像を発見したということなのだが……この際、ここまでの経緯はどうでも良いだろう。一番大事なのは、これからどうするか? の方だ。

 クロエは見てしまった、マスターとジャンヌ・オルタ、及びほんの一握りの存在しか知らない秘密の工房を。マスターたちはこの工房については、あまりおおっぴらにすることは避けていた。あくまでここは過激な治療施設であり、マスターと雌奴隷プレイをする為の場所ではない。そう言った前提が崩れてしまうことを防ぐため、この工房をサーヴァントに見せる時は、そのサーヴァントを雌奴隷治療する時のみとマスターは心に決めていたのである。

 だがしかし、クロエはこの工房の存在を知り、何をする場所かも知ってしまった。であるならば、彼女の辿る道は二つに一つしか無いのだろう。

 その想像が正しいと言う様に、クロエの小さな体の後ろから真っ白な手が伸びる。オルタの淫らな彫像に視線を奪われていた彼女は、その手への反応が少しばかり遅れてしまった。そして、その代償としてがっちりと体を絡め取られてしまったのである。

 

「……イケナイ娘ね。ご主人様の秘密の工房にこっそり入り込むなんて……♡」

 

「あっ……!?」

 

 クロエを捕らえた者、それはついさっきまで彼女の視線を釘付けにしていた彫像のモデルであるジャンヌ・オルタだった。淫靡な視線をクロエに向け、熱を帯びた口調で語り掛けて来るオルタの声に身動き出来ないまま、クロエは彼女の胸の中で体を強張らせていた。

 

「ここ、なんなの……? それにあの像は一体……?」

 

「ふふ……♡ もう見られちゃったから教えてあげるけど、ここはご主人様の雌奴隷工房よ。私たちサーヴァントを真の雌奴隷へと堕とし、立派な芸術品に仕上げて頂く為の場所……♡ そう、ソロモンに堕とされた時よりも深く、そして気持ち良い雌奴隷の快楽を味合わせて頂くための空間なのよ……♡」

 

「雌、奴隷……? 芸術品……? ソロモンに堕とされた時より、気持ち良い……?」

 

「そうよ……♡ あの彫像と、私の体に刻まれたこの淫紋隷呪がご主人様の雌奴隷になった証……♡♡♡ 一生ご主人様のモノとなって、おちんぽ奉仕を続けることを誓った屈服の証なの……♡」

 

「う、あ……!?」

 

 クロエの視線がオルタの淫紋隷呪を捉えた。自分の下腹部に刻まれている物よりも紅く禍々しいそれが普通の令呪では無いことは一目でわかる。それを見ているだけのクロエの体が火照り、快楽を期待してしまう様な、そんな危険な香りがぷんぷんと漂っていた。

 

(サーヴァントを、雌奴隷に……? マスターがそんなことをしてるなんて……!)

 

 あの優しい青年がこれほどまでに恐ろしいことをしているという事実に驚愕するクロエ。しかし、目の前のジャンヌ・オルタの姿を見ると何か違和感の様な物を覚えてしまうことも確かだ。

 普段のオルタは何も変な所はない。ソロモンに堕とされていた時の様に狂った言動をすることも無いし、平常通りとしか言い様の無い行動をしている。何より、彼女の淫紋令呪は第三再臨を迎えて背中に刻まれていたはずだ。一体全体、何がどうなっているのだろうか?

 

「……知りたい? 雌奴隷って何なのかを……? 一応言っておくけど、ソロモンに堕とされた時の私たちは雌奴隷なんかじゃ無いわ。あれは肉人形、意思の無いオナホと一緒……ただの自慰行為の道具に過ぎなかった私は、本物の雌奴隷調教をして頂いたからこそご主人様の雌奴隷になれたの……♡ その快楽は、あなたの想像を軽く超えるわよ?」

 

 そっと唇に人差し指を這わされたクロエの背中にゾクゾクとした震えが走る。今のオルタの言葉は非常に恐ろし気に聞こえる反面、とても甘美な魅力に溢れていた。踏み出せば最後とわかっているのに、ついその先に進んでしまいそうになる不思議な魅力……目の前のオルタの淫らさがその魅力に拍車をかけ、クロエの意思を揺さぶって来る。

 このおませな少女の心が揺れ動いていることを感じ取り、彼女もまた自分と同じ様な存在に変わり果てる様を想像しながら、オルタは囁く様な大きさの声でクロエに語り掛ける。その声もまた、心が甘く蕩ける様な甘美さに満ちていた。

 

「……あなたが望むのなら、私がご主人様に口添えしてあげるわ。新しい雌奴隷志望者です、この娘も雌奴隷兼芸術品に仕上げて下さいって……♡♡♡ そうすれば、あなたも想像を絶するほどの快楽の虜になれるわよ……♡♡♡」

 

「で、でも、雌奴隷なんて……」

 

「あら? 雌奴隷になるのは嫌なの? なら、ご主人様にそう言えば良いわ。ご主人様は優しいから、雌奴隷になりたくないって言うサーヴァントを無理に堕としたりはしない。令呪であなたからここの記憶を奪って、それでお終いにしてくれるわよ。怖がる必要はないわ、ただ正直に言えば良いだけなんだから……」

 

 オルタの指が、か細いクロエの喉を擦って下へ降りる。首元を摩り、鎖骨をそっと撫でつつサキュバスの様な視線をクロエに向けるオルタは、最後の選択を彼女に突き付けた。

 

「さあ、どうするの? 雌奴隷になる? ならない? ……私は無理強いはしないわ。でも、もしもあなたがソロモンの手で与えられた屈辱の日々を忘れたいと言うのなら……勇気を持って一歩踏み出してみると良いんじゃない?」

 

「………」

 

 オルタの言葉にクロエは沈黙のまま何も答えない。ただ、彼女の脳裏にはかつての自分の痴態が次々と浮かび上がって来ていた。

 汚い男に媚びを売り、彼らの肉棒を受け入れ続けた日々。ソロモンの作り出した魔術礼装を尻に嵌め、段々と自分の体に適合させていったこと。そして、大勢の男たちの前で脱糞を披露し、彼らの笑いものになったおぞましい記憶を思い返したクロエは、ぐっと拳を握りしめてその屈辱に身を震わせた。

 

 前者二つはまだ我慢出来る。淫紋令呪のせいで狂っていた自分が、肉欲に支配されていたから取った行動だと言い訳出来るからだ。しかし、最後の一つは違う。あれだけは、ソロモンの度重なる調教行為に屈した自分が選んだ、自らの敗北を認める一手だから。自分の弱さをはっきりと突き付けられてしまうその過去は、思い出すだけでクロエの心をズタズタに引き裂く様な痛みを与える。じんわりと浮かんだ涙が、その悔しさを証明していた。

 正直に言えば期待などしていない。もしかしたらただ心の傷を掘り返されて苦しむだけなのかもしれない。だが……もし本当にあの苦しみを掻き消せるとしたら? それならば、自分は――

 

「……本当に、あの屈辱を忘れられるの?」

 

 気が付けば、クロエはそうオルタに尋ねていた。それはクロエ自身が驚いてしまうくらいに意図していなかった台詞で、口から自然と漏れてしまったと言うのが一番相応しい表現だなのだろう。だからこそ、その言葉はクロエの本心がどうであるかをはっきりと示す指針となった。

 じりじりと焦がれる様に堕ちることを望む少女。かつての屈辱と悲劇を笑い飛ばせる強さを求めるクロエに対し、ジャンヌ・オルタはこれ以上無いほど力強く頷いて答えを返す。

 

「ええ、間違い無いわ。私たちのご主人様(マスター)が、期待を裏切ったことが一度でもあった?」

 

「………!」

 

 緊張感で乾いた口の中を潤す様に唾を飲み込むクロエ。オルタの言葉の意味を考え、暫し俯き、瞳を閉じる。

 乗るか反るか、一種の賭けであるこの申し出を受けるかどうか? 考えに考えた果て、クロエの脳裏に浮かんだのはつい先ほど見たばかりのオルタの彫像だった。

 オルタはあの彫像を芸術品と言った。子供であり、芸術には疎い自分ですらも魅了するあの彫像は、他ならぬマスターの手で作り上げられた物なのだろう。そして、そのモデルとなったオルタをあそこまで淫らで美しい女性に仕上げたのもマスターなのだ。

 自分たちが知らぬ淫紋隷呪を創造し、強固な精神を持つジャンヌ・オルタを完璧な雌奴隷に堕としたマスターの手腕を思えば僅かに期待も生まれる。そしてなにより、自分もあの彫像に仕立て上げられる様な女性になりたいとクロエは思ってしまった。

 幼い心に浮かんだ感情をクロエが抑えきれる訳も無い。ようやく覚悟が決まり始めた彼女に対し、オルタは確認のための問いかけを送る。

 

「で、どうするの? 雌奴隷になる? ならない?」

 

 熱を帯びたその声に顔を上げ、強い覚悟を秘めた瞳でオルタを見つめ返したクロエは、迷いを振り切った様子で大きく頷き、その深淵に一歩踏み込むことを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……女の子の体に快楽を教え込むには何が必要だと思う? 薬? 道具? 人知を超えた魔術……? いいや、違うね。答えは、()()()()()()だ。何故なら、女の子の体にはもう気持ち良くなるためのメカニズムが作り上げられている。それを目覚めさせ、快楽の味わい方を示してあげるだけで、誰もがその虜になるんだよ」

 

「くぅっ……♡ ふぅっ……♡ ふ~っ……♡」

 

 荒くなる吐息を無理に抑える。溢れ出そうになる嬌声も必死になって堪える。しかし、正直な体の反応だけはどうしても封じることは出来ない。膣とアナルを弄る二つの玩具による快感で気をやるクロエの秘所からは、彼女の体の大きな振動に合わせてぴゅっぴゅっと愛液の飛沫が噴き出している。

 激しさなどまるでない優し過ぎる愛撫。しかし、それが故に逃げ道が何処にもない。一つ一つ、快感を逃がす方策を潰され、否応なしに快楽に漬け込まれた体を自覚させられ、計ったかの様に絶頂を迎えさせられる。この調教が始まって一時間も経っていないだろうに、クロエはもう両手の指だけでは数えられないほどの絶頂を迎えてしまっていた。

 

 媚薬も魔術も無く、ただの愛撫だけでクロエの体を発情させたマスターは黒く優しい笑みを顔に浮かべてまんぐり返しの格好で固定されている彼女の髪を撫でる。その仕草からは、本気で彼女を慈しむ感情が想起された。

 

「魔法少女クロ、君は幸運だよ……。君が崇めるソロモンが教えてくれなかった快楽と幸福をこの場で知れるんだからね。そして君は生まれかわる。我がカルデアの忠実なる僕として、俺の性奴隷としてね……!」

 

「ふざけ、ないで……! 私は絶対に負けない! 必ずソロモン様やイリヤの元に帰るんだからっ!」

 

 抵抗も出来ない状況ながら必死に強がってみせるクロエ。脳内には淫紋令呪を介して伝えられた今回の脚本(シチュエーション)が送り込まれており、その状況にそった演技を彼女は行っているのだ。

 物語はこうだ。ソロモンに仕える正義の魔法少女クロエは、敵対する悪の組織カルデアとの戦いで不覚を取り、囚われの身になってしまう。カルデアの幹部の一人であるマスターは、そんな彼女を悪堕ちさせようと快楽を伴う調教を施し始め、クロエはそれに必死に耐えなければならない。救助までは七日間、それまでクロエが堕ちなければ彼女の勝ち、それまでに堕ちてしまえばマスターの勝ちだ。

 あくまでシチュエーションプレイだと言われてしまえばそれまでだが、これは決して興奮を煽る為だけの措置ではない。クロエ自身も演技だけではなく本気で抵抗の意思を見せており、ちょっとやそっとのことでは快楽に酔うことなどありえない……はずだった。

 

「うっっ♡♡♡ あぁぁぁぁっっ♡♡♡」

 

「……はい、これで何回目かな? もう数えきれないほどイっているだろう? クロの体は、気持ち良いことを覚え始めているんだよ」

 

「く、うぅ……」

 

 だがしかし、どうしたことだろう。ほんの数十分の調教でクロエの体は快楽の波に飲まれ、容易く絶頂を繰り返す様になってしまった。膣の感じる部分、尻穴の感じる部分を丁寧に探り当てられ、そこを同時に刺激するだけで潮を噴いてイキ狂ってしまうのだ。

 度重なる絶頂でクロエの体の芯の部分が熱を帯びて疼き始めている。火照り始めた体は快楽に従順で、絶頂までのスパンは段々と短くなっていく。今もまた、Gスポットを擦られ、アナルの入り口を執拗に広げられたクロエは、声を抑えることも出来なくなって達してしまった。

 

「んあぁぁああぁあっっ♡♡♡ あ、はぁあぁぁあっっ♡♡♡」

 

「ほら、またイった……! 愛しのソロモン様はこんなに気持ち良いことを教えてくれなかっただろう?」

 

「黙りな、さい……! こんなの、屁でも無いわ……! もう、絶対に、イかないんだから……!」

 

「そうかい? なら、こちらも本気を出そうかな? ……オルタ、お前も手を貸すんだ。正義の魔法少女に甘美な快楽を教えてやれ」

 

「はぁい♡ ご主人様の仰せのままに……♡♡♡」

 

 黒いラバーの手袋とタイツのみを身に纏ったオルタが蕩けた声を発しながらマスターの傍へやって来る。彼に耳打ちされ、何事かを吹き込まれてニヤリと笑った彼女は、彼から二穴を責める役目を譲り受けて丁寧にクロエの体を開発し始めた。マスターもまた、僅かに肉の付いたクロエの褐色の小さな胸を責めつつ、彼女の心を言葉によって責め始める。

 

「ふふふ……! クロの乳首、ぷっくり膨れて可愛いね……! クロはどんなふうにここを責められたいのかな?」

 

「やめな、さい……! やめ、て……ぇっ」

 

「舌で転がされたい? それとも甘噛みされたいかな? 両方をきゅっと抓っちゃうのも気持ち良いだろうねぇ……」

 

「はっ♡ くぅんっ♡ はぁぁぁぁぁぁ……っっ♡♡♡」

 

 一から快楽を教え込まれる感覚にクロエの頭が痺れる。一番敏感な乳首には触れず、指先で乳輪をなぞる様にして徐々にクロエの官能を高めるマスターに倣うかの様に二穴を責めるオルタも感じるスポットを責めることはしなかった。その周囲の場所を弄り、段々とクロエの体を温めていく二人の愛撫のせいで、クロエは今にも失禁してしまいそうな状況に追いやられている。

 きっとそう、自分の限界がギリギリになった瞬間に二人は一番敏感な部分を責めるのだろう。乳首を抓り上げ、膣とアナルの感じる部分をこれでもかと責め、最高級の絶頂を迎えさせてクロエを屈服させるつもりなのだ。

 だが、それがわかっていたとしてもクロエには抗う術がなかった。無様なまんぐり返しの体勢で固定された体はマスターたちの良い様に弄られるばかりで、唯一の抵抗であった声を抑えることも今や不可能に近い。クロエはもう、二人の成すが儘にされるしかないのだ。

 

(ああ、もうダメ……♡ また……イクっっ♡♡♡)

 

 とろんと蕩けたクロエの瞳には、雌としての快楽を味わっている悦びの色が浮かんでいた。その悦びのまま、のぼせ上った体に刻み込まれた快楽が爆発の時を迎えようとしている。細やかな痙攣を繰り返す全身を抑えることも出来ず、クロエが今日何十回目かの絶頂を迎えることを覚悟した時だった。

 

「……え?」

 

 ぴたりと、マスターとジャンヌ・オルタの愛撫の手が止まったのだ。快楽を生み出していた二人の動きが完全に停止し、達しようとしていたクロエの体は満足出来ないまま平常へと引き戻される。来ると思っていた絶頂を迎えられなかったことに困惑するクロエであったが、マスターはそんな彼女の瞳を覗き込んで優しく語り掛けた。

 

「良かったねぇ。丁度俺たちも手が疲れた所だったんだよ。あと少しでイキそうだったんでしょ? イかないで済んで良かったじゃないか」

 

「あ、ぐ……!」

 

「……さあ、再開しようか? 次は絶対にクロをイかせてみせるよ……!」

 

「うああぁぁぁああぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

 達せなかった体をもう一度責められ始め、クロエは体を大きく浮き上がらせた。体の中に残る快感の残滓が絶頂を求め、愛撫の快感をより強くクロエに伝えて来る。しかし、それは緩やかな昇り方だった。一気に頂上に連れて行かれるのではなく、徐々に徐々に引き上げられる愛撫……自分が感じていることをクロエに自覚させながらの愛撫は、彼女の精神を大きく摩耗させる。

 火にくべられた鍋の中身が段々と煮詰まっていく様な、自分の中の不純物を蒸発させて完全なる快楽のみをクロエの内部に残そうとする様な、じっくりじっくりと時間をかけてクロエを追い詰める様な……そんな執拗なまでの愛撫と寸止めを繰り返されれば、いかに気丈な女性であろうとも心がすり減ってしまう。しかも、今その責めを受けているのは歳が二桁になったばかりの少女なのだ。耐え続けられる訳が無い。

 

(む、りぃ……っ♡ こんなの、むりぃいぃぃっっ♡♡♡)

 

 二度、三度、四度、五度、六度……何度でも繰り返される寸止め地獄にクロエの精神は限界だった。そこから先、自分が何度達することを遮られたのかも数えられないほどに心が疲弊していた。

 愛撫は段々と優しく、大人しい物に変わっている。玩具を使って両穴を責めていたのが膣だけに、玩具を止めて数本の指で、一本の指だけで軽くくちゅくちゅと内部を掻き混ぜ、今やもう膣を弄ることすら止めて乳首周りを虐められているだけだ。なのにも関わらず、クロエが感じている快感は最初の頃よりずっと強い。開発され、何度も達することを禁じられた体が貪欲に快感を求め始めていたのだ。

 

 褐色の肌の中でぷっくりと浮かんでいるピンク色の突起。硬く勃起した乳首に軽く息を吹きかけるだけでクロエの膣からは愛液が勢い良く噴き出す。指でそっと撫でてやれば口から悩まし気な声が溢れ、焦らす様に乳輪をなぞれば小さな体がびくびくと震えてしまう。

 これが魔術による絶頂の禁止ならばまだ我慢出来たかもしれない。だが、完全にクロエ自身の官能を理解され、その快感を管理されているという状況がクロエに自分が支配されているという感覚を強く自覚させていたのだ。

 無理矢理犯しても達せないのだから自由に愛撫するのではなく、クロエの体がどうすれば達してしまうのかを完璧に把握しているからこそ、マスターは自分を自由に出来るのだと理解してしまえば、段々と彼には敵わないのではないかと思い始めてしまう。そうなれば、達したいという欲求と共にいっそ屈してしまった方が楽だと心が叫び出し、クロエの硬い決意にひびを入れ始めた。

 

「ふふふ……! クロのここ、お漏らししたみたいになっているね。イキたい? イかせて欲しい?」

 

「くひゅぅうぅぅうぅぅぅぅ……っ♡ う、う……っ♡」

 

 ふっくらと膨れた性器の肉を摘ままれ、軽く引っ張られる。その快感は鈍く、達するには足りないものではあったが、クロエの精神を追い詰めるには十分過ぎた。

 限界などとうに過ぎ去っている。自分で望んだのではなく、マスターの手で超えさせられた快楽の限界はクロエの幼い精神には刺激が強すぎた。堕ちぬなど、負けぬなど、そんな決意なんてもう完全に崩壊していた。ドロドロと蕩けた膣から溢れる愛液の様に、クロエの心も情欲によって融解していたのだ。

 

 彼の言う通りだ。女の躰には快楽に屈する為の仕組みが刻み込まれている。男はそれを引き出し、快楽の味わい方を教えるだけで女を支配出来てしまうのだ。そこに仰々しい道具や儀式など必要ない。一人一人違うその仕組みを完璧に理解出来れば、それで良いのだ。

 実際にクロエはマスターに自身の快楽のツボを把握され、そこを的確に刺激されることで彼に屈しようとしている。雌奴隷とはかくも簡単に作り上げられるのだと知ったクロエは、ついに自らの敗北を受け入れた。

 

(もう、良いや……♡ 楽になろう。マスターの雌奴隷になって、イかせてもらおう……♡)

 

 諦め、屈服、支配……それら全てを受け入れた精神は急速に目の前の男性を主と認め始めた。それに引きずられ、クロエの体もまた欲する快楽に貪欲な敏感なものとなる。

 下腹部に浮かび上がる黒の淫紋令呪、それはクロエが雌奴隷であったことの証。今再び、正義の魔法少女が暗い闇の中に脚を踏み入れようとした、その時だった。

 

「……だ~め」

 

「むぐっ!?」

 

 敗北宣言を口にしようとしたクロエは、妖しい笑みを浮かべたマスターに口を塞がれて驚きの声を上げた。彼の手にはガムテープが用意されており、それでクロエの口は完全に塞がってしまう。

 これでは屈服を表明することが出来ない。そうなれば、絶頂を迎えさせてもらうことも出来ない。そのことに気が付き、絶望的な表情を浮かべたクロエの瞳を覗き込み、マスターは言い聞かせる様にして言葉を発した。

 

「……クロ、負けを認めようとしたでしょ? イかせて欲しくて、俺に媚びを売って、何でもするって言うつもりだったでしょ? ……その堕ち方じゃあ駄目なんだよ。それじゃあ、ソロモンの時と一緒だ。俺はもっと深く、完膚なきまでにクロのことを堕としたいんだよ。だから、負けを認めさせてあげない。ここからもう一歩奥へ踏み込んで、もっと気持ち良いことをしてあげるね」

 

「む、むぐぅっ! むぐぅうぅうぅぅっっ!!」

 

「何を言っているか分からないからイかせてあげないよ、クロ。さあ……敗北を認めた体と心にもっと快楽を刻み込んであげる。耐えることを放棄したクロは、ここからもっと辛い目に遭うことになるからね……!」

 

「むぅうぅぅうぅうぅぅぅぅっっ!!」

 

 マスターの中指がクロエの陰核に触れる。指の腹で軽くクリトリスを潰し、クロエの最も敏感な部分に刺激を与えるマスター。瞬間、クロエの体は大きく跳ね上がり、彼女の口からはくぐもった呻き声が飛び出した。しかし、そこまで激しい反応を見せながらもクロエは達することは出来ていない。マスターはまだ、彼女に寸止め地獄を味合わせるつもりなのだ。

 

「ふふふ……! 気持ち良くな~れ。気持ち良くな~れ……!」

 

「んひぃいぃいぃいぃっっ♡♡♡ むおっっ♡♡♡ むごぉおぉおぉぉおぉっっっ♡♡♡」

 

 乳首、クリトリス、アナル……そう言った敏感な部分を次々に刺激されるクロエは、抗えぬ快感の奔流に意識を飲み込まれて呻く事しか出来ない。幼い少女の声とは思えないほど獣じみた声を上げ、脱力することを知らぬとばかりに体を何度も何度も跳ね上げ……クロエは、敗北を認めた体をなおも開発され続けた。

 

 今度のマスターの責めは今までとは真逆だ。今までは鈍い快感を感じるスポットを執拗に責め、徐々にクロエを高めるという方法で寸止めを繰り返していた。しかし、今回は敏感な部分を短いスパンで責め、絶頂ギリギリの状態を何度もクロエの体と心に味合わせている。

 前者は自分が高められていることを自覚させるのには丁度良いが、寸止めされてから体が落ち着き、また高められるまでに時間が空く。つまり、その時間は休息にもなり得たのだ。だがしかし、今度の短期間で何度も寸止めを繰り返される責めはその休息の時間が無い。例えるなら、ジェットコースターの様に急上昇と急降下を何度も繰り返すことになるのだ。

 もうクロエは休めない。この寸止め地獄を耐えることを諦めた心と体のまま、マスターの目論見が完遂される時まで彼にその身を差し出すしかない。熱を帯び、それが冷めることを繰り返す体は、一回の寸止めの度にその敏感さを増させていた。

 

「気持ち良くなぁれ……! もっと敏感で、いやらしい躰になぁれ……!」

 

(もうだめぇえぇぇっっ♡♡♡ 堕ちさせてっ♡♡♡ イかせてぇっっ♡♡♡ 私の負けだからっ、マスターぁぁぁっっ♡♡♡)

 

 心の中に浮かべた思いを口に出そうとしても、溢れるのは意味をなさない呻き声ばかり。結局、クロエはこの寸止め地獄をたっぷり長々丸一日中味わう羽目になってしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はふぅっ♡♡♡ はっ、はぁぁああぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 やがて……クロエの口が、久々に空気を吸い込み、喉から肺へと酸素を送り込んだ。時間の感覚がなくなるまで開発を続けられたクロエであったが、ようやく人心地ついたことで自分の状態を再確認することが出来る様になる。そうして、彼女が気が付いたのは今の自分の体の敏感さであった。

 

「なに、これぇ……♡♡♡ あ、あっ♡♡♡ なにもされてないのに、かんじてぇ……っ♡♡♡」

 

 火照り切った体はクロエの想像を遥かに超える敏感さを誇る様になっていた。空気の流れを肌で感じるという表現があるが、今のクロエの体はそれ以上だ。誰かが小さな呟きを漏らした時のほんのわずかな空気の振動ですら全身で感じ取り、それだけで性的な快感を感じられる様になっているのだから。

 

「おか、じぃ……っ♡♡♡ こんなの、ひとのからだじゃなぃぃっ♡♡♡ こんなびんかんなのぉ、おかしいよぉっ♡♡♡」

 

「な~んにもおかしくないよ。女の子の体は愛情を込めて開発してあげればここまで気持ち良くなれる様になるんだ。それに、クロは雌奴隷でしょ? 敏感でエッチな体になるのは当然のことなんだよ」

 

「あぁああぁぁぁあぁぁああぁぁぁあぁぁああぁっっ♡♡♡」

 

 そう語られながら、膣とアナルをテープで広げられ、固定される。穴の中に空気が緩やかに入り込む感触を感じ、肉襞と腸壁をなぞり上げる感触にクロエは甲高い悲鳴を上げて喘いだ。

 

 もはやクロエは完全に理解していた、自分が普通の生活に戻ることは不可能だということに……ここまで敏感な体に開発されてしまえば、服を着ることすら不可能だろう。もう自分には雌奴隷として生きる以外に道は無いのだと、彼女は完璧に理解してしまっていた。

 魔術も無し。薬も無し。使ったものは時間と何処にでもある玩具のみ。それもソロモン以下の時間で完璧にクロエを雌奴隷に仕立て上げたカルデアのマスターの手腕は、疑うべくこともなく本物だろう。クロエの性質を理解した彼は、彼女の体を雌奴隷に相応しいものに作り替えることに成功した。であるならば、後は心のみ……クロエ自身に喜んで自分の雌奴隷になることを選択させることによって、彼の調教は完了するのだ。

 

「……体は仕上がったね。さあ、後はクロ次第だ。よく聞くんだよ、クロ。君が望むなら、俺は君に手を出さないままソロモンの救出を待とう。その火照った体が辛いと言うのなら、令呪で眠らせてあげよう。クロが望むのなら……俺が開発した体を味わうのは、俺では無くソロモンにすることだって出来るんだよ」

 

「え……?」

 

 ここまで来て、彼は何を言っているのだろうか? 後は自分を組み敷き、その怒張によって貫くことで否応なしにクロエを従わせることが出来るというのに、何故彼は憎い敵に自分を差し出す様な真似をしようとしているのだろうか?

 困惑し、信じられないといった視線をマスターに向けるクロエ。しかし、マスターは優し気な微笑みを浮かべ、彼女の頭を軽く撫で(それだけの行為でクロエは達しそうになった)た後、彼女に背を向けて歩み去りながら言う。

 

「俺はシャワーを浴びて来る。戻って来るまでに答えを決めておくんだよ、クロ……」

 

「あ……」

 

 そう言い残したマスターは本当にこの場から去ってしまった。彼の歩みに合わせて振動する空気の動きで快感を感じながら、ぼぅっとした視線を部屋の扉に向け続けるクロエ。自分はどうすべきなのか? 答えが分からない彼女はただ茫然と固まっていたのだが――

 

「うふふ……♡ どうするの? 全てはあなたの心次第よ?」

 

「う、ん……?」

 

「あなたをここまで開発したご主人様に身も心も捧げるか、ソロモンに捧げるか……その選択を行えるのはあなただけ。私たちは無理強いはしないわ。でも、そうね……どうせなら、一緒に考えてみましょうか? どっちを選んだらどうなるのか? この先を想像するのも楽しそうじゃあない?」

 

 クロエの頬に手を添え、顔を横向きに倒すジャンヌ・オルタ。自らもしゃがみ込み、同じ目線の高さになった彼女はクロエに対してゆったりとしたペースで語り掛ける。

 

「想像してみましょうか? ここであなたが堕ちず、ソロモンの元に無事に帰ることが出来たなら……あなたはどうなると思う?」

 

「はぅ、あ……」

 

「『無事でよかった。とても辛そうな顔をしているじゃないか。すぐにでもお前を抱いてやろう』……そんな風に言って、ソロモンはあなたを抱いてくれるかしら? ん?」

 

「くぅぅ……っ」

 

 ほんの少しだけ想像を働かせたクロエは、目に涙を浮かべて小刻みに首を振る。あのソロモンがそんな殊勝な言葉をかけてくれるとは思えない。その程度の事ならば快楽に蕩けた今のクロエの頭でも容易に想像出来る。ジャンヌ・オルタは、クロエが自分と同じ回答を導き出したことに満足気に微笑むと、畳みかける様にして言葉を連続で投げかけた。

 

「そうよねぇ? あの男はあなたに望みの物をくれはしない。敵に凌辱された体など汚らわしいと吐き捨てる様に言って、あなたがどれほど辛そうでも負けた罰だとでも言って抱きもしてくれない。……本当は、ご主人様に負けを認めることが嫌なだけのくせにね。長い時間を共にしたあなたの体を、自分以上に淫らに開発されたことが悔しくて仕方が無いのよ。そのプライドが邪魔して、あなたを抱くことが出来ない……こんなに美味しく仕上がった女の子の体を前にして、下らないプライドを守るためにそれを放棄するなんて馬鹿な男だと思わない?」

 

「っっ……」

 

 ソロモンを馬鹿にするオルタの言葉に否定の感情は湧いてこない。それどころか、心の奥底ではその通りだと彼女の意見を肯定する思いすら噴き出初めていた。

 

「それできっと、あなたのことは部下の男たちに任せることになるのよ。今まで敵に凌辱されていた女の子の気持ちなんて考えず、あの男はあなたを汚い男たちのど真ん中に放り込むわ。そして、あなたはそいつらに抱かれるの。ソロモンと比べても半分くらいの大きさのおちんぽしか持たない男たちにね。ねえ、勿体無いと思わない? 本当ならもっと激しく甘美な快感を得られたはずなのに、下らない男の下らないプライドのせいで全てがパー……ああ、違ったわね、その下らない男の元に帰るって決断を下したあなたのせいか。なら、仕方が無いわ」

 

「うぅぅ……」

 

 クロエのソロモンへの信仰が崩れ行く中、一度ひびの入ったそれを木っ端微塵に打ち砕くためのジャンヌ・オルタの言葉がマシンガンの様に発せられる。徹底的にソロモンをこき下ろし、彼に従うクロエも嘲り、彼女を支配する快楽を利用した演説は確実にクロエの心を傾かせていた。

 そうして、クロエがソロモンに愛想を尽かし始めた頃、ジャンヌ・オルタは妖しい笑みを浮かべ、天使の様な口調で優しくクロエに語り掛けるのだ。その心に、決定的な一撃を叩き込むために……。

 

「……まだあの男に期待する? それとも、私のご主人様に忠誠を誓って悪堕ちする? どちらが賢い判断かなんて、もうとっくに分かってるでしょう?」

 

「それは……」

 

「思いっきり、狂ってしまうほどに、この敏感な体を愛して欲しいと思わない? ご主人様の特大ちんぽにおまんこを貫かれ、子宮をガンガン揺さぶって貰えたら気持ち良いと思うでしょ? ひくついてるお尻の穴も、ビンビンに勃起した乳首も、この小さくて可愛い舌も……あなたが望みさえすれば、極上の快楽を与えて貰えるのよ? まあ、そのためには少しばかり恥ずかしい思いをする羽目になるかもしれないけど、逆に言えばその程度で人生最高の瞬間を味わえるの。そして、これからも味わい続けられるのよ……♡♡♡」

 

「でも、でも……っ」

 

「ああ、裏切るのは悪いことだとか思ってる? 逆よ、逆。あなたは何も悪く無いわ。だって悪いのはあの男(ソロモン)なのだから。たった一日であなたの心はご主人様に惹かれつつある。それは、ソロモンがあなたの心を掴めてなかった証拠……そんな簡単に部下の心を奪われる無能な男が悪いの。だから、あなたは何も悪くない。そんな男に従ってるあなたの友達に真実を教えるためには、あなたがまずソロモンから離れなきゃいけない。お友達を救うために必要なことをしているだけのあなたは悪くない。悪いのは全部――」

 

「ソロ、モン……?」

 

「……そうよ。わかって来たじゃない……♡ それじゃあもう、あなたの取るべき選択肢も分かるわよね?」

 

「はい……♡ はっきり理解出来ました……♡」

 

 快感の発する熱で融けた思考が導き出した結論は、至って単純な物だった。ここまで回り道してしまったことが馬鹿らしく思えるほどの簡単な答えにクロエが気が付いた瞬間、部屋のドアが開く。そして、そこからクロエの新たなる主人が姿を現した。

 大きくそそり立つ肉棒、引き締まった肉体、自信たっぷりの風貌……その一つ一つがクロエの官能を刺激し、これから自分が歩む道を正しい道だと確信させてくれる。

 彼が自分のすぐ近くまでやって来る。もう少しで最高の快楽を味わえる……クロエのその思いをアシストする様に、雌奴隷の先輩であるジャンヌ・オルタが自らの主人へと恭しく語り掛けた。

 

「ご主人様……♡ この娘が言いたいことがあるそうです。どうか、お耳を貸して差し上げて下さい……」

 

「うん? なんだい、クロ?」

 

「はぁ、あ……っ♡♡♡」

 

 頬に触れたマスターの手は冷たく、火照ったクロエの顔にひんやりとした心地良い冷たさを与えてくれていた。少しだけ、その冷たさに心の平静を取り戻したクロエは、心から溢れる感情のままに口から屈服の言葉を紡ぎ出す。

 

「わ、私、クロエ・フォン・アインツベルンは、ご主人様に屈服いたしますっ♡ 本日よりカルデアの悪堕ち魔法少女として、誠心誠意ご主人様にお仕え致しますっ♡ ご主人様の愛玩雌奴隷として、新たな芸術品として……この身を捧げさせて頂きますっ♡」

 

 肺から全ての空気を吐き出しながらの宣誓が終わり、クロエは自分の叫びによって振動する空気に肌を叩かれて愛液をぶしゅぶしゅと膣から噴き出した。そんな彼女の頭を撫で、満足気に微笑み、体を拘束するベルトを取り外しながらマスターが優しく囁く。

 

「……そう、その言葉が聞きたかったんだ。全てを差し出しても構わないと思えるほどの快感を味わい、更に深みに脚を踏み出そうとするクロの言葉がね……! さあ、その可愛い声で言ってごらん、クロは俺にどうして欲しいのかな?」

 

「おちんぽっ♡ おちんぽくださいっ♡♡♡ 悪堕ち雌奴隷のクロエのおまんこにご主人様のぶっといちんぽぶち込んで、超敏感子宮に精液をたっぷりと注ぎ込んでイかせて欲しいですっっ♡♡♡」

 

「うん、正直で良いね。それじゃあ、お望みのものをあげるよ……!」

 

「はあぁぁぁああぁぁああぁあぁぁぁあんっっ♡♡♡ んああぁぁぁぁああぁああぁぁぁぁあぁぁああぁぁあああぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 拘束台に括り付けられていた体が自由になる。クロエの小さな体がマスターに抱えられ、そそり立つ肉棒が快感を求めてひくつく彼女の膣に潜り込んでいく。非常に手慣れた動きでクロエの膣を貫き、褐色肌の小尻をしっかりと手で掴んだマスターはそのままクロエの体を上下に上げ下げして性交を楽しみ始めた。

 

「ひぅうぅうぅうぅうぅぅうっっっ♡♡♡ すごっ、すごひぃぃいいぃいぃいぃっっ♡♡♡ おまんこぉっ♡♡♡ イキ狂っちゃうぅっ♡♡♡ ひだひだもぉっ♡♡♡ しきゅうもぉっ♡♡♡ Gスポットもぉおおぉっ♡♡♡ ぜんぶきもひいいのぉおおっっっ♡♡♡ おぉぉおぉぉおぉおおっっ♡♡♡」

 

「ああ、俺も気持ち良いよ……! クロのちいちゃなおまんこが俺のちんぽに絡みついて離れない。本当に小学生なの? こんなエロまんこした女の子、クロ以外には絶対にいないよ?」

 

「ごひゅっ♡♡♡ ごひゅりんしゃまのおかれれふぅっ♡♡♡ いみゃのわたひはぁ♡♡♡ ぜんひんひょうびんきゃんなドエロひょうがくへいれふぅっ♡♡♡ もうおひんぽひもひよふぎへしたまわりゃないっ♡♡♡ いっひょうおまんこほうひしてたいれふっ♡♡♡」

 

「よしよし、そんな素直で可愛いクロにご褒美をあげよう。お尻の穴もぐちゃぐちゃにして、後でおちんぽぶち込んであげるからね」

 

「んぎぃいいぃいぃいぃぃいぃっっ♡♡♡ おひりっ♡♡♡ しゅごいいぃいいぃいぃぃっっ♡♡♡ ゆびなのにっ♡♡♡ ゆびなのにぃいぃっっ♡♡♡ ソロモンの糞雑魚ちんぽの何百倍も感じちゃってりゅぅうっっ♡♡♡ ごひゅじんしゃまのゆびをもぐもぐひてはなしゃないぃいっっ♡♡♡ ちんぽぉっ♡♡♡ こっひもちんぽぶち込まれたらわらひしぬぅっ♡♡♡ かんじふぎへひんらうのぉっっ♡♡♡」

 

「……大丈夫だよ、クロ。これからクロに最後の仕上げを行って、その淫紋令呪を再臨させてあげる。そうしたら、開発され切ったその体の快感にも耐えられるはずさ。死んじゃうって思うほど気持ち良いセックスをずっと続けて、もっともっと開発してあげるね。極限、最高、究極まで……クロの体を敏感に仕立て上げてあげるから……!」

 

「あぁあぁぁあぁぁ……っ♡♡♡ もっと気持ち良くなれるの? これ以上、もっと……? 凄いぃ……♡♡♡ ご主人様の雌奴隷になれて良かったぁ……♡♡♡ ご主人様っ♡♡♡ 私にもっと気持ち良いことを教えて下さいっ♡♡♡ ソロモンが教えてくれなかった気持ち良いこと、超敏感エロボディ持ちのクロエにもっともっと教え込んでくらさいっっ♡♡♡」

 

 今でさえ狂いそうになるほど気持ち良いのに、これ以上を味合わせてくれると言うマスターにクロエの体は期待しっぱなしだった。絶頂し、延々と快楽の高みに上り詰めたまま降りて来られないクロエの霊基がそれを基調とし始めたことを理解し、更なる開発をその身に行える様になっていることを感じ取りながら、クロエは爛れ切ったマスターとの性交に意識を傾倒させ、彼が与えてくれる快感に身を委ねて意識を蕩けさせていったのであった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いい? あなたは何も怖がる必要は無いわ。幸福、悦び、そして快感だけを感じ取って、ただ感じるままに動けば良いのよ」

 

「はい……♡ わかりました……♡」

 

 用意された舞台の外でクロエにアドバイスを送ったジャンヌ・オルタは、自分の言葉に素直に頷く雌奴隷の後輩の姿に愛らしさを感じて胸を抑えた。また一人、この幸福を享受する雌が生まれる。これからこの少女は、この世界で一握りしか存在していないとても幸福な存在に生まれ変わるのだ。

 自分と同じ存在になる、目の前のこの少女が……この小さな体に快楽を叩き込まれ、屈服の悦びを知り、真の雌奴隷快楽に目覚めた。そしてこれから、愛する彼の作品の一つとなるのだ。

 

「なんて素直で可愛い娘なんでしょう……♡ さあ、お行きなさい。ご主人様が待っているわ……向こう側で会いましょう。そこで、私と共に永久の悦びを感じ、幸福に打ち震えましょうね……♡」

 

「はい、オルタさん……♡」

 

 思わずクロエを抱擁して温かな言葉をかけたオルタは、彼女の体をそっと腕の中から解放して舞台へと送り出した。クロエもまた姉の様な慈愛を感じさせてくれたオルタに蕩けた声で返事をし、振り返って歩み出す。

 ジャンヌ・オルタの前でクロエの褐色の小さなお尻が揺れる。ふりふり、ふりふり……可愛い尻を揺らしながら歩いていた彼女の体が、舞台の上に立った途端に光に包まれた。真っ暗闇の中で煌々と輝くクロエを包む光が治まれば、全裸だったはずの彼女の体に衣服が纏われている。

 白色の上着と紺の下着、胸元にクロエと名前が書かれているそれは、彼女の世界で言う一般的な体操服だ。しかして、クロエが纏うにはややサイズが小さく、淫紋令呪を含む下腹部は上着に覆われておらず、ブルマの方も尻肉が零れてぷるぷると震えていた。

 幼く、衣服を纏いながらも淫らさを隠せない格好になったクロエは、今の自分の姿などまるで気にしないまま舞台の中心に立つ。呼吸は荒く、頬は興奮で紅潮していたが、彼女の心の奥底は不思議なくらいに澄み切っており、今から自分が行う行為に対しての期待が湧き上がって来ていた。

 

 スポットライトがクロエを照らす。小さなカメラが数台クロエの姿を撮影している。自分をこうしてくれた主が、自分を最高の芸術品にしたてあげようとしてくれている……その幸福と悦びで胸を一杯にしたクロエは、じっとりと汗ばんだ拳を握り締め、真正面から自分を捉えるカメラに向かってはっきりとした声を発した。

 

「クロエ・フォン・アインツベルン、演題『魔法少女覚醒の舞』……始めます」

 

 クロエが言葉を区切った数秒後、軽快な音楽が舞台上に響き始めた。ノリの良い、アイドルソングと表現するに相応しいその曲に合わせ、クロエは体を動かし始める。

 

(あぁ……♡ 服が、敏感な所に擦れて……♡ 私、もう令呪の暗示無しではお洋服を着られない位に敏感な体になっちゃったんだ……♡♡♡)

 

 小刻みなクロエの動きに合わせて体操服が揺れ、クロエの乳首や陰核を刺激する。小さいブルマは秘所に食い込み、その一つ一つが開発され切った彼女の体に激しい快感を与えていた。

 腕を広げ、脚を動かし、愛らしい踊りを続けるクロエ……しかし、彼女は踊り続けながら絶頂しているのだ。開発された敏感な体を快感が駆け巡っていることを感じながら、クロエは決してその踊りを止めたりはしない。

 

(ご主人様に開発された体……すごく気持ち良い……♡ ソロモンに抱かれることなんか目じゃない位に気持ち良いの……♡♡♡)

 

 ソロモンが肉棒を膣に叩き込み、がっしりと自分を抱きすくめた時の感触を思い出したクロエは心の中でその快感を嘲笑った。彼が必死になって腰を振る時よりも、主に指一本触れられていないこの瞬間の方が心地良い。幼い体を我が物としながら、その管理を怠ったソロモンの愚かさに失笑を浮かべそうになりながらも、新たな主の為の舞を続けるクロエは必死にそれを抑え込んだ。

 

(もう私、普通の生活には戻れない……♡♡♡ ここでこうしてご主人様の雌奴隷として生きて行くしか無いんだ……♡)

 

 こんな体では服も着れない。ただ歩くだけで、呼吸を行うだけで、誰かと会話するだけで、今のクロエは達してしまうのだ。こんな体でどうやって普通に生きれば良い? 服を着なければ出かけることも出来ない。会話を行えなければ誰かと関りを持つことも出来ない。学校に通う事などもってのほかであるし、サーヴァントとして戦うことなど絶対に不可能だ。

 この敏感な体の感度を抑える術は令呪による命令しかない。それを握っている主の命令が無ければ、自分は普通の生活を送ることすら出来ない。そして、彼がそんな命令を下すはずもないことも理解していた。

 

(ああ、こんな絶望的な状況なのに……私、悦んじゃってるっ♡♡♡ 幸せだって思っちゃってるっ♡♡♡)

 

 屈辱的で、人生の終了を迎えたに等しい状況だった。しかし、クロエは今の自分が置かれた状況を幸福だと思っていた。今まで知り得なかった快楽をこれから先、一生味わえる……その喜びに打ち震える彼女を包む服装が変わり、音楽もまた曲調を変える。

 紺一色のナイロン生地。胸元の名札はそのままに、体操服からスクール水着へと服装を変えたクロエは、ゆったりとした曲調に合わせてバレエの様な動きで踊り始めた。レオタード代わりのスクール水着はやはりサイズが小さく、尻肉は飛び出してしまっているし、股間に食い込む生地は彼女の小さな割れ目を押し広げているのではないかと思えるほどだ。

 よく見れば秘所を包む部分は色が変わっており、彼女が興奮して愛液を分泌し始めていることを示している。じわじわとせり上がって来る熱い感情に浸りながらも、クロエは指先にまで神経を集中させて踊りを続けた。

 

(これが本物の雌奴隷なんだ……♡ セックス以外なにも出来なくて、セックスだけが生き甲斐で……♡ ご主人様に抱かれることを考えると幸せで心が融けちゃう♡ これが雌奴隷の幸せなんだ……♡♡♡)

 

 今の自分は性交しか出来ない。一挙手一投足で絶頂し、無様にアヘる自分の姿を主に見てもらって楽しんでもらうことしか出来ない……なのにそれが幸福で、人生全てを捧げて良かったと思える。この体に開発して貰えたことが心の底から幸せだとしか思えない。雌奴隷とはかくも幸せな存在なのだったのかと感動を覚えるほどだ。

 体の内側から湧き出す喜びの感情を体の隅々まで送る。手足の指先へ、髪の毛の一本に至るまで、自分の体は彼の物だと自覚して、クロエはゆったりとした踊りを続けていった。

 

 二度目の変曲、今度は重低音が唸る爆撃音の様な力強い音楽へとリズムが変わる。当然、クロエの服装もスクール水着から変化して肌を曝け出す淫らな格好になった。乳首と性器の割れ目のみを隠す極小のマイクロビキニと手足に付いた獣の手足を模したカバー、頭には猫耳が取り付けられており、愛らしい獣へと姿を変えたクロエは響く空気に肌をぴりぴりと感じさせながら心臓の鼓動を跳ね上げる。

 

(わかる、わかるのっ♡ 子宮が、心臓が、魂がっ♡ 私の全てを司る部分が喜びに満ち溢れてるっ♡ 紛れも無い幸福を味わっているんだと確信しているっ♡ ああ、これが、これがっ……雌奴隷の快感っっ♡♡♡)

 

 肌を叩く空気の振動は、いつの間にかクロエの内側から生み出されていた。低く重い震えはクロエの子宮を揺らし、ただでさえ敏感な彼女の体は止まらぬ絶頂の坩堝に飲み込まれる。ビキニが乳首に擦れ、陰核に触れ、徐々にずれていくことを感じてもクロエにそれを正すつもりは無い。ただ舞い続け、自分の悦びを表現することに全てを懸けている。クロエの顔に浮かぶ笑みが、体から飛び散る汗と愛液が、そして徐々にひび割れて行く黒の淫紋令呪が……彼女の精神の変革を物語っていた。

 

(これから一生を捧げられるんだ……♡♡♡ 雌奴隷として、ご主人様に体を開発して頂く日々が続いて、そうやってえっちになった体を可愛がって貰えて……♡♡♡ そうしてもっと素晴らしい存在に昇華して貰えるんだ……っ♡♡♡ ただ堕ちて、ずぶずぶに快楽に浸るだけじゃない♡ これが雌奴隷に、ご主人様の芸術作品になるってことなんだっ♡♡♡)

 

 そして、クロエの舞はクライマックスを迎えた。曲の終わりを飾るに相応しい数々の楽器による合奏、目を閉じればオーケストラの演奏が瞼に浮かぶほどの荘厳な演奏をバックに、クロエはただ己の感情を表現する。もはやそれは踊りと呼べる代物では無く、それを超えた新たな表現であった。

 身に纏っていた衣服は全て消え去り、クロエの肢体はカメラとマスターの前に惜しげもなく曝け出されている。それを恥じることもなく、ただ踊りに傾倒するクロエの姿は、美しさと愛らしさ、そして淫らさのバランスが絶妙のところで取れていた。不純な感情など今のクロエの中には無く、ただ喜びと新たなる人生を歩み出す好奇心に満ちた、彼女が生まれかわる為の儀式に相応しい踊りとなっていたのだ。

 

 ふつり、ふつりとクロエの中の何かが解ける。それはソロモンに繋がれていた呪いの感情、屈辱と羞恥に塗れたクロエ自身の後悔。だが、もうそんな感情は何の意味も為さない。何故なら、クロエは見つけてしまったから、ソロモンから与えられた負の感情を吹き飛ばすほどの快楽と幸福を。愚かな男が自分に与えられなかった真の快楽を……!

 男たちの前で脱糞し、その姿を嘲笑われたクロエ・フォン・アインツベルンという少女は消えた。今、ここに居るのは、新しい主の手で創り出された新しい自分――この主がいなければ生きることすらままならない少女、ただの雌奴隷にして至高の快楽を貪る者、空気の流れ、振動だけで達する霊基を持つ女。

 そう……クロエは覚醒した。快楽を味わい続け、更に進化する少女へと。快楽の深淵に堕ち、その闇に身を浸して、彼女は生まれ変わり、そして作り上げられたのだ。屈辱の過去を笑い飛ばせる新たな自分へ……!

 

(ああ、ご主人様……♡♡♡ 愛しているわ、私のマスター……♡♡♡ だからもっと私を愛してっ♡ 私を淫らな存在にしてっ♡ あなたの手で作り上げられるなら私……全てを差し出しても構わないわっ♡♡♡)

 

 最後の瞬間、クロエは自分の中で何かが砕け散ることを感じた。それは無為なプライドと過去、誇りを持っていた自分であり、涙を流して苦しんでいた自分だと彼女は思う。そんな自分すら彼の前に差し出して、新たな自分を作る糧として貰えることが嬉しくて堪らなかった。

 カメラの前でクロエが動きを止める。数分に及ぶ激しい舞を終え、全身から汗を流し、荒い呼吸を繰り返す彼女は性器へと手を伸ばして大きく自分の秘所を広げた。

 ドロリとした液体がクロエの太腿を伝って床に垂れる。白く濁った本気汁は褐色の肌と淫らなコントラストを描き、カメラに煽情的な光景を見せつけていた。しかし、大事なのはそこでは無い。今この瞬間に最も大事なのは、彼女の下腹部に刻まれている淫紋令呪だ。

 もはや蜘蛛の巣の様にひび割れた黒の淫紋令呪がクロエの性器の広がりに合わせて跡形も無く砕け散る。代わりに、燃え上がる様なエフェクトと共に真紅の淫紋令呪……『淫紋隷呪』がクロエの下腹部に出現した。その効果は絶大で、気が狂いそうなほどの快感を味わっていたクロエの官能は、その快感をそのままに意識を保てる様になる。これで自分はなんの躊躇いもなく彼との性交を楽しめると喜んだクロエの股座からは、ぶしゅぶしゅと熱い飛沫が飛び散っていた。

 

「……お疲れ様、クロ。素敵な踊りだったよ。そして、おめでとう」

 

「はい……ありがとうございます……♡♡♡」

 

 ぱちぱちと響く拍手の音。自分を褒め称える主の元へ歩み寄ったクロエは、彼からの寵愛をひしひしと感じて子宮を疼かせた。マスターもまたクロエの舞を記録したカメラを丁重に扱うと、ジャンヌ・オルタの彫像が飾られているケースの横に立つ。いつの間にか、そこには彼の腰の高さほどの台とその上に置かれたガラスケージがあった。

 

「クロが俺の雌奴隷になった証であるこのダンスビデオはここに飾らせて貰うよ。とっても大事な物だから厳重に保管しないとね。溢れ出る感情のまま踊り、愛らしくも美しいクロのお陰で最高の作品に仕上がったこの映像作品は、クロエのお漏らし映像なんかとは比べ物にならない物だ……そうだろう、クロ?」

 

「はぁぁ……っ♡♡♡ なんて、ありがたいお言葉……っ♡♡♡ ご主人様にそこまで言って頂けるなんて、私は光栄です……♡♡♡」

 

「クロの喜ぶ顔を見れて俺も嬉しいよ。……こっちにおいで、可愛い可愛い俺のクロエ。その体じゃあ戦うどころか普通に生きることすら困難だろう? でも大丈夫、俺はそんなクロを一生可愛がるよ。雌奴隷としての幸せと快楽を与え、もっともっと深くまでクロを堕とそう……何も心配いらないよ、クロ。クロは雌奴隷に相応しい躰になっただけなんだからさ……!」

 

「はい……♡♡♡ でも、まだ完成じゃ無いんですよね? もっともっと……私を敏感なエロボディに仕上げて下さい、ご主人様……♡」

 

 目の前の愛らしい少女の体を抱き締め、優しく語りながら尻や頭を撫でるマスター。彼の愛撫とも呼べぬその抱擁でクロエは何度も絶頂して潮を噴いていたが、淫紋隷呪の効果によって彼女が身悶えすることはない。それが今の彼女にとっては普通だなのと、彼女の霊基は快楽を享受しながら新たな基準を受け入れ始めていた。

 そうして、二人目の雌奴隷であり、二つ目の芸術品に仕上がったクロエに対し、マスターは最後の贈り物を送った。それは黒い色をした首輪で、中心には「002」と銘打たれたナンバープレートが飾られている。彼の後ろから姿を現したジャンヌ・オルタの首にも同様の物が巻き付けられており、そこには「001」の番号が刻まれていた。

 

「あ……♡」

 

 かちり、と音がした。その音はクロエが完全にマスターのモノになった音であり、彼女の耳には自らを祝福する鐘の音にも等しい音だった。感激で目に涙が浮かんで視界が滲むほど喜ぶクロエを抱き寄せ、マスターはその耳元で囁く。

 

「さあ、今夜は悪の魔法少女の誕生祝だ。盛大に楽しもう。……たっぷり、可愛がってあげるよ」

 

「はい、ご主人様っ♡♡♡」

 

 目の前の主に全てを預けるクロエ。心も体も魂も、未来までもを差し出したクロエは悦びと期待で絶頂し、愛液で股座をびしょびしょに濡らしながら微笑んでいる。

 マスターとジャンヌ・オルタもまた、そんな彼女の嬉しそうな表情を見て笑みを浮かべ、この秘密を共有する新たな仲間の誕生を心の底から祝福したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロエ・フォン・アインツベルン 霊基再臨第一段階及び隷基再臨完了

 

スキル『感覚暴走EX』習得

 

概念礼装『映像作品・魔法少女覚醒の舞』を入手しました

 

 




感覚暴走EX

自身の感覚を極限まで高めるスキル。隷基状態ではその全てを性感強化に使っており、その敏感さは自身の発した声の振動で達し、主の視線を浴びる快感で失禁絶頂してしまうほど。
通常の霊基では戦闘時に聴覚や視覚を強化することで敵の行動を察知し、先手を打つことが出来る様になる。

自身に回避付与(5ターン10回) 3ターンの間、自身にスター生成状態を付与(30個)



『映像作品・魔法少女覚醒の舞』

・この礼装はクロエ・フォン・アインツベルンにのみ装備出来る。
・この礼装を装備しているサーヴァントは、追加でもう一つ礼装を装備出来る。
・装備したサーヴァントが特定の条件を満たした場合、マスターの意思で即座に霊基を雌奴隷用に変化させ、クラスを雌奴隷(スレイヴ)に変更する。
・また、マスターの意思で再び通常のクラスに戻すことも可能。




このカメラには一人の少女の堕落と昇華の瞬間が収められている。
少女らしい感情の爆発と少女らしからぬ淫らさの融合。ただ笑い物にするだけの映像とは違うそれは、真の屈服と幸せを少女が知った証。
見る者に感動と興奮を。これはただの舞ではない、少女が生まれ変わるまでの記録なのだ。この少女を笑う者は、自らの見る目の無さを笑われると思え。

……次の作品になるのは、誰だ?




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

とある少女の陥落【謎のヒロインX】 堕ち NTR 胸糞注意

久々のガチ堕ちです。今回、肉体改造的な表現があります。嫌な方、苦手な方はブラウザバックして、次回のお話をお待ちください。


 美しい金色の髪を乱れさせた少女は、寝台の上でその美しい裸体を曝け出していた。小柄な体を腕で隠す様にして必死に覆い、すぐ近くの男性の目に触れぬ様に努力している。と言っても、そんなことをしてもまるで彼女の体は隠せず、男の劣情を煽るだけであった。

 今、ソロモンと相対しているこの少女の名は謎のヒロインX……これが本名かと問われれば些か返答に困るのだが、今は納得しておいてほしい。話が前に進まなくなってしまう。

 色々とふざけている様に思われるかもしれないが、ヒロインXは間違いなく強力な英霊の一人であった。ステータスのどれをとっても優秀だと言えるであろうし、スキルも強力な物が揃っている。彼女の実力は、非常に高いのだ。であるならば、そんな英霊をソロモンが放っておくはずがない。その高い能力に眼を付けられたヒロインXは、仲間たち同様に彼の魔の手にかかろうとしているのだ。

 

 ソロモンの冷たく、それでいて不快な熱を帯びている視線を向けられたヒロインXは、僅かな恐怖感を感じて歯を食いしばった。ここで退いてはならないと自分を叱責して鋭い視線を彼に向けるも、ソロモンはその抵抗すらも楽しんでいる様子だ。

 既にヒロインXはソロモンの性奴隷へと堕ちた仲間の姿を数多く見て来ている。その中には、自分と縁が深い英霊だっていた。そんな彼女たちがソロモンや部下の男たちに媚びを売り、肉棒を強請り、快楽を貪る浅ましい雌に堕ちた姿を見る度、ヒロインXの心には痛みと恐怖感が湧き上がっていた。いつかは自分もこうなってしまうのではないか? 必死に抵抗をするつもりではあったが、一人、また一人と仲間たちが陥落する姿を見ていると耐え切る自身がなくなってしまうことも確かだ。ソロモンに屈服させられ、彼のサーヴァントとして絆を深めたカルデアのマスターに刃を向ける日が来るのでは無いかと不安を感じていたヒロインXは、ついにその一歩目を踏み出すことになる。

 

 負けない、と強く覚悟を固めてソロモンを睨んでも、相手は全く動じていない。ヒロインXをせせら笑う様な眼差しを向け、そんな目をした女など何人も堕として来たとばかりに嘲笑を浮かべたソロモンは、軽く腕を振って魔術を発動した。

 

「くあぁぁぁっっ!?」

 

 瞬間、ヒロインXの体に火が灯る。物理的な日ではなく、快感を伴う炎――情欲の炎だ。

 全身を焦がす様な熱く激しい快楽の炎が突然燃え上がったことに動揺したヒロインXは、その急襲を耐え切れる筈も無かった。びくりと体を跳ね上げ、そのまま寝台に横たわり、荒く呼吸を繰り返して快楽を抑えることに必死になってしまう。

 ソロモンは、そんな彼女を見て嗜虐的な笑みを浮かべると、殆ど力の入らないヒロインXの脚を掴んで大きく左右に広げた。

 

「ああっ!?」

 

「ふっ……もう準備は万端だな。簡単に感じる女だ、これならば堕ちるのも早いだろうな……!」

 

 発情した体は素直に反応を示し、男を受け入れるための潤滑油をヒロインXの秘所に分泌させている。あまりにも素直な自分の体に苛立ちすら感じた彼女であったが、ソロモンの言葉を否定するべく、心を奮い立たせて反論の言を口にした。

 

「誰が、貴様の様な奴に服従するか……! こんなもの、なんてことはない!」

 

「そうか、そうか。なら、こちらも遠慮なくお前を犯せるというものだ。愛撫などまどろっこしいだけだからな、早速本番を始めさせてもらうぞ!」

 

「っっ!?」

 

 叫び声と共に曝け出されるソロモンの陰茎。太く、雄々しく、何処か禍々しい魔力を感じさせる肉棒を目にしたヒロインXは驚きに眼を見開く。そして、それが今から自分の内部に入って来ようとしていることを思い、身震いした。

 官能を高められた体では抵抗も出来ない。ソロモンの成すが儘、彼女は寝台へと押し倒されてしまった。粘り気のある水音が室内に響き、それもまたヒロインXの心を責め立てる。自分の淫らさを暴かれている様な、そんな被虐心に彼女が涙をにじませた時だった。

 

「くあぁぁぁあぁああぁぁああぁぁぁぁっっ!!??」

 

 胎に感じる重く鈍い感覚。痛みを伴い、快楽も生み出したその強い感覚にヒロインXは堪らず叫び声を上げる。ソロモンが何の前触れも無く、彼女の膣に己が分身を挿入したのだ。

 強引に膣をこじ開けられ、強制的に発情させられた体に快楽と痛みを叩き込まれたヒロインXの脳は、その強すぎる感覚を処理することが出来ない。断続的に痛みと快楽が押し寄せ、時折訪れる圧迫感に息を吐く。竜巻の中に巻き込まれ、息も絶え絶えと言った表現が相応しいヒロインXに対し、ソロモンは顔に嘲りの感情を浮かばせつつ語り掛ける。

 

「どうした? もう何も出来ないか? 随分と良い顔をしているじゃないか、ええ?」

 

「がっ、あっ……! ぐ、うっ……! こ、んな、ものでは、私は……っ!」

 

 快感と痛み、二つの感覚に精神を嬲られていたヒロインXであったが、ソロモンの罵声を耳にして怒りの感情を再起させた。まだ負けない、一刻も早くこの辛い感覚に慣れて、反撃の時を待つのだと、そう考えたヒロインXの瞳に再び光が灯る。

 しかし……その反抗心の復活こそが、ソロモンの望んでいたものだった。自分の掌の上で転がされ続けるヒロインXに妖しい視線を向けたソロモンは、魔術を発動して更なる加虐をヒロインXへと向けた。

 

「あっっ!? がっっ!? がぁあぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 痛みが、圧迫感が、ヒロインXの内部で弾ける。膣内に入り込んだソロモンの肉棒が、文字通り膨れ上がったのだ。

 小柄なヒロインXの膣を無理矢理に中から押し広げ、まるで風船に空気を入れるかの様に拡張していく。だがしかし、彼女の膣を広げるのは確かな実態がある肉棒であり、広げられているのは人間の肉体だ。風船であっても要領の限界を超えれば破裂してしまうのに、ソロモンの責めには容赦が見られない。強引に女性の最も大切な器官を押し広げ、破壊してしまうほどの痛みを押し付けている。

 

「がぁっ! あぁっ! やめ、ろぉおぉおぉぉおっっ!!」

 

 子宮が奥へと押し込まれる。膣口が閉じなくなるまで広げられ、内部もまた痛みを感じるほどに肉棒で圧迫されている。体の外側では無く、内側から感じる初めての痛みに悲鳴を上げ、ヒロインXは体を弓なりにしならせている。

 吐き気を伴うほどの圧迫感。巨大な肉の棒に胎を圧される感覚に自然と呼吸が荒くなっていく。女性の象徴たる子宮は亀頭で叩き潰され、今もなおぺしゃんこに叩きのめされている。本当に苦しく、辛い状況……しかし、ヒロインXを追い詰めているのはその辛さでは無い。彼女が真に恐れているのは、この状況でも自分自身が快楽を感じ始めていることだった。

 

(あ、く、苦しい……っ! なのに、何故か……体の中が、びりびりと痺れて……っ!?)

 

 強靭な体と精神をしているが故に、ヒロインXの女性器は強引な肉棒による拡張行為に慣れてしまった。そして、慣れてしまったが故に発情した体が求めていた男性器の感触に興奮を示していたのだ。体が壊れないギリギリのラインを責め、一見無策とも思える強引な責め苦に意味を持たせたソロモンは、自分の撒いた毒がヒロインXの体に回り始めたことを感じていた。

 

 肉棒を突き入れている性器がじっとりと汗ばみ、潤滑油としての愛液を大量に放ち始めた。それは巨大に膨れ上がった肉棒を受け入れる為の行為であり、ヒロインXの肉体がソロモンに媚び始めていることを意味している。己の体を守る為の生理反応であるそれが、ソロモンの作戦の一つであることは、ヒロインXにとって不幸としか言い様が無かった。

 段々と規格外の巨根も慣れ始めた膣と、性交の為の準備を整えた体。そうなればもう、ソロモンの次の行為は決まっている。未だにびくびくと痙攣を繰り返すヒロインXの体を上から抑えつけ、逃げ様の無い状況を作り出し、彼女の目と鼻の先に顔を近づけ……ニヤリと笑ったソロモンは、普段の何倍にも膨れ上がらせた肉棒を彼女の胎内で暴れ回らせ始めた。

 

「ぎっ! ぎぃいぃっっ!! がはぁあぁあぁぁっっ!!」

 

 引き抜かれ、再び叩き込まれる。ただそれだけの行為がこれほどまでに強い感覚を与えて来る。ソロモンの肉棒はヒロインXの未成熟な体を強引に開発し、快楽を貪れる様にしてしまっていた。

 引き抜かれる時は巨大なカリが肉襞をゴリゴリと削り取り、膣内を抉られている感覚に悶えてしまう。性器や子宮を肉棒で引き出されてしまうのではないかと思うその感覚にヒロインXの体はギリギリと軋みを上げる。逆に叩き込まれる時は、圧倒的な圧迫感を前に呼吸すら忘れてしまう。膣口から肉襞を割り裂き、子宮口までを一気に貫く人外の巨根を性知識に乏しいヒロインXが相手取ることは、どう考えても不可能であろう。事実、彼女はソロモンの成すが儘にされてしまっているのだから。

 

「あぁぁっっ!! うあぁあっっ! んうあぁあぁあぁっっ!!」

 

 リズミカルに動くソロモンの腰と、それに合わせて叩き込まれる圧倒的な感覚――逃れ様も無く、足掻くことも出来ず、ただ受け入れることしか出来ないそれは、拷問の様でありながら悦楽の時でもあった。兎にも角にも、その感覚は圧倒的としか表現出来ず、ソロモンの魔術は脅威的であったのだ。

 膣を壊すほどの圧迫感と強烈な苦しみ。段々とその感覚の中から快楽を見出し、それを味わい始めたヒロインXの膣からはぶちゅぶちゅと淫らな水音が響き始めていた。

 

「あぁっ♡ んあぁっ♡ くあぁぁっっ♡」

 

「クク……声に艶が乗り始めたな。こんなにも巨大な肉棒を咥え込んで感じているなど、貴様はとんでもない淫売の様だな」

 

「ち、ちがっ……あうぅぅうぅうっっ♡♡♡」

 

「クハハハハハハッ! そんなにも膣を滅茶苦茶にされるのがお好みか? この肉棒の大きさは、魔猪や魔獣などのそれと比べても格段に大きく、処女が咥え込めば痛みに涙するはずなのだがなぁ?」

 

「んひぃいいぃいっっっ♡♡♡ も、やめぇっっ♡♡♡ これいじょ、わたしのからだを、こわさ、な……あぁぁあぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

 最奥を突かれながら膣を拡張される。ピストンと同時に肉棒の膨らみは増し、ヒロインXの体を容赦無く改造していく。こんな仕打ちは死にも勝る屈辱だというのに、快感を感じている自分の体が恨めしく恐ろしい。そんな感情も、激しい感覚の揺さぶりに負けて掻き混ぜられて消え去ってしまう。ヒロインXの中に残るのは自分の体を掌握されているという敗北感と、ひたすらに強い快楽だけだ。自分の全てが今、ソロモンに支配されているということだけを強く実感し、彼に与えられる快楽で雌になっているのだ。

 

「ひぐぅううぅうぅっっ♡♡♡ やめへっ♡♡♡ やめてぇえぇぇっっ♡♡♡ 壊れるっ♡ 私のおまんこ壊れるぅううっっ♡♡♡」

 

 それは容赦の無い拡張行為によるものか、それとも激しい快感によるものか……自身の女性器が普通のそれとはかけ離れたものに変えられて行く恐怖に震えたヒロインXは、ついにソロモンに懇願を始めた。体の内側から女性として最もデリケートな部分を破壊された彼女の心は、もう限界に近かった。目に見えない、内臓器官で感じる初めての拷問にヒロインXは屈したのだ。

 一度心がその痛みを認めれば、もはや後は容易い。ドミノ倒しの様に次々と心を支える支柱は倒壊し、無残な抜け殻の精神が残るだけだ。

 そうなってしまえば、抵抗など出来る筈も無い。そうなった女を次々と手籠めにして来たソロモンだからこそ、この後の責め方も重々に承知していた。

 

「ク、クククク……! クハハハハハハハハハッッ!!」

 

「んぎいぃいいぃいぃいいぃいぃいぃいぃぃいぃいぃっっ♡♡♡」

 

 心が折れ、自分に屈服しかけている女への次の一手は二つに一つだ。一つは、アメとムチを使い分けること。痛みに傷ついた体にほんの少しばかりの優しさを与え、その傷口から温かな感情を染み込ませ、自分に対する感情を好転させる方法。

 そして、もう一つは――決して手を抜かず、更に苛烈に女を責めること。もう二度と自分に逆らわぬ様に身の程を教え、抵抗する意思を木っ端微塵に打ち砕く方法。その二択の内、ソロモンが選んだのは後者であった。

 

 肉棒を最大限まで巨大化させ、ヒロインXの膣を限界まで広げる。いかに発情し、体が慣れ始めていようとも、限界ギリギリを攻めるその仕打ちにヒロインXは悲鳴を上げて寝台の上でのた打ち回っていた。

 自分の中で何かが裂ける音、千切れる音、砕け散る音が断続的に響く。何がどう壊れているのかは分からない、だが、何かが壊れ続けていることは分かる。このままでは、自分は戻れなくなるということも理解している。しかしヒロインXにはどうすることも無いのだ。

 

「あがががががががががっっ♡♡♡ んがあぁあぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁああぁっっ♡♡♡」

 

 自分が感じているのは痛みなのか? それとも快感なのか? もうそれすらも判断がつかない。ただ壊れる、壊される、何もかも、自分の大切なもの、そうでないもの、自分が自分である証も、自分を構成している思念も、記憶も、感情も、全てがソロモンに破壊される。

 怒りを感じることは出来ない。ヒロインXが感じているのは絶対的な恐怖、自分を破壊する雄に対する本能的な恐怖だけが、彼女の壊れつつある精神の奥底に根付き始めていた。

 

「……これだけでは終わらせんぞ? 腕が丸々挿る様になるまで、貴様の性器を広げてやろう……! もはや人との……いや、このソロモン王以外の男との性交では満足出来ぬ体にしてくれるわ!」

 

「あ、あぁぁあぁああぁ……っっ♡♡♡ やめ゛っ、でぇえぇっっ♡♡♡ やめでくだざ、いぃ……っ♡ 言うごとききます、がらぁっ♡♡♡ だから、もう、私をこわすの、やめ――ぐあぁああぁぁああぁぁあぁぁっっ♡♡♡ ああぁああぁああぁぁぁぁあっっ♡♡♡」

 

 懇願の言葉など何の意味も為さない。ヒロインXが自分に屈服したことなどとうにソロモンは理解している。そして、自分に屈した女をどう扱おうとも自分の勝手なのだ。

 慈悲を与えるのも、更に責め続けるのも、全ては全能の支配者である自分の自由……雌奴隷となった英霊は、ただ自分の与えるものを受け入れるだけで良い。それだけの存在に堕としてやっているのだから。

 ヒロインXが壊れようとも何の関係も無い。これは遊びであり、一つの実験だ。()()()()()()()()()()()()()()()? その答えを導き出すためにこの体を使うのも楽しいだろう、そんな考えの下、ソロモンはヒロインXを破壊し続けているのだ。

 

「ああぁあぁあぁぁあぁぁああぁっっ♡♡♡ なんでっ!? なんでぇぇええっっ♡♡♡ こんなひどいのにっ♡♡♡ くるしいのにっっ♡♡♡ なんでわたしはかんじてえぇっっ♡♡♡」

 

 破壊されている、弄ばれている、自分の体はソロモンに支配され、普通の女性とはかけ離れたものにされようとしている……なのに、自分は感じている。この仕打ちを心地良いと感じ、快楽を得ている。ヒロインXがあり得ないとその感情を否定したくとも、膣から溢れる愛液と快感に打ち震える子宮がその思いを打ち砕いてしまう。自分は憎むべき敵に抱かれ、体を自由に扱われているということに感じている卑猥な女だと、巨根によるピストンで思い知らされてしまうことが、何よりも恐ろしい。

 早く終わって欲しい……もう何だって良い、この地獄から逃れられるのなら、敵の首魁の精液であろうとも受け入れよう。この甘美な拷問が終わるのなら、自分はどうなっても良い……そう、ヒロインXが考えた瞬間、その願いは叶えられた。

 

「うぐぅぅっ♡♡♡ うごおおぉおぉおぉおぉおぉおぉおおおぉおおぉぉぉっっっ♡♡♡」

 

 胎の中に大量の精液がぶちまけられ、ヒロインXの小柄な腹部が大きく膨れ上がった。魔術で巨大化された肉棒から射精される精液の量はそれに見合ったものとなっており、ヒロインXは一瞬にして出産間近の妊婦の様になってしまう。

 子宮どころか膣を瞬間的に精液で埋め尽くされ、腹が破裂してしまうのではないかと思うほどまで膨れ上がった自分の体を見たヒロインXは、絶望感に打ちひしがれた。ソロモンはそんな彼女に向けてニタリと笑うと、肉棒をゆっくりと引き抜いていく。

 

「あ、が、があぁっっ♡♡♡」

 

 長く自分を苦しめていた巨根が抜け、栓が無くなったことによってヒロインXの膣から精液が溢れ出す。間欠泉の様に噴き出したそれを茫然と見る彼女の目の前には、ソロモンが魔術によって映し出した膣の様子が浮かび上がっていた。

 今日、ここでソロモンに抱かれるまでの間、碌に障ることすらしなかったヒロインXの性器。初々しく、ぴっちりと閉じていたはずのその器官には、もうかつての面影はまるで残っていない。ぱっくりと開き、内部の様子がはっきりと分かってしまうまで拡張された入り口は子供の腕くらいなら飲み込んでしまいそうで、子宮の入り口まで見える膣内の色は使い込まれた娼婦のそれと同じほどにまで黒ずんでしまっている。

 たった一回、一回だけの性交だけで……もう、ヒロインXの体は普通のセックスを行えなくなってしまった。このサイズの膣では、人間の男の肉棒を挿入されたとて何も感じないだろう。緩く、広がり切った雌穴を持つ少女へと、彼女は改造されてしまったのだ。

 

「ひ、どい……! こんな、こんなのっ、わたしのからだじゃ、ないぃ……っ! うっ、うぅっ! うわぁぁぁぁぁ……っっ」

 

 あまりに惨く、残酷な現実に心砕かれたヒロインXは、子供の様に泣きじゃくることしか出来なかった。彼女の心は完全に折れ、砕け散っている。ソロモンに対する憎しみが湧かぬほどに絶望は深く、広がり切った膣穴の中の様に気分は暗い。言葉に出来ぬほどの苦しみにヒロインXは涙を流す。

 ……しかし、ソロモンの魔の手は、彼女を決して逃しはしなかった。

 

「何を泣いている? まだ終わりでは無いぞ?」

 

「ひっ……!?」

 

 声をかけられ、びくりと竦んだ体を反転させられる。うつ伏せになった体を抱えられたヒロインXは、尻の窄まりにソロモンの指が這っている感触を感じて恐怖感を胸に抱いた。

 もう終わりだと思っていた。しかし……ソロモンには、そんなつもりはまるでない様だ。その証拠に、彼はヒロインXに向けて酷く冷酷な笑みを浮かべて、絶望的な言葉を口にしたのだから。

 

「まだ……()()()()()が残っているだろう?」

 

「あ、あ、あぁぁぁぁ……!? いやあぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 雌穴だけでは無い、ソロモンは自分の排泄口すらも拡張するつもりなのだ。もはや性交の為では無く、自分の心を完膚なきまでに叩きのめす為だけに、自分の体を破壊しようとしているのだ。

 あまりの恐怖感に恐れをなしたヒロインXは這いつくばったまま逃亡を図るも、力の抜けた体でどうこう出来るはずも無い。あっという間に捕まえられ、引き寄せられ、尻肉を掴まれて左右に広げさせられて、アナルを大きく開かされてしまった。

 

「やめてくださいいっっ! もう、何でも言うことを聞きますからっ! もう私を壊さないでっ! せめてお尻の穴だけは、普通のままでいさせてくださいっ!」

 

 泣きじゃくりながらソロモンに向けて懇願するヒロインXの姿を見て、かつては万夫不動の英雄だったと言われて誰が信じるだろうか? 明るく、勇ましく、強かった彼女の姿はもう欠片も面影が残ってはいない。ここに居るのは、恐怖に怯える哀れな雌奴隷の少女だけだ。

 そして、そんな少女には運命に抗う力も意思も残されてはいなかった。願いも虚しく、ヒロインXの尻穴はソロモンの怒張を咥え込み、悲劇が再び始まることを彼女に予感させている。

 

「……覚悟しろ、貴様の尻穴も限界まで広げてやろう。サーヴァントだから排泄はしないだろうが、これからお前はだらしなく広がり切って閉じなくなった雌穴を二つも抱え込むことになるのだからな。このソロモン王に支配された証を曝け出し、無様な一生を送ると良い!」

 

「いやっ! いやぁっ! いやだぁあぁぁぁぁぁぁあぁっっ! 誰かっ! 誰か助けてぇぇぇぇぇっっ!」

 

 ソロモンの居城に広がる闇の中へとヒロインXの悲鳴が吸い込まれる。恐怖に怯えたその声が完全に消え去り、虚空が全てを吸い込んだ後……ソロモンは、ヒロインXのアナルに挿入した肉棒に再び魔術を発動し、彼女の腸内で肉棒を巨大化させていく。

 

「ぎゃあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁあっっ!!」

 

 括約筋が裂ける感覚、先ほどよりも強い痛みと圧迫感、そして抗い様のない絶望感を腸内で感じ、これから先の自分の人生に希望など一握りも残っていないことを感じ取ったヒロインXの瞳からは光が消えていった。残された悲鳴だけが虚しく響く中、ソロモンは既に陥落した彼女の尻穴拡張を玩具で遊ぶかの様に続け、ヒロインXの肉体と精神を完璧に破壊さしめたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――よもや、ここから先の話を詳しくする必要は無いだろう。心が折れた雌と雌を支配したい雄、両者が揃った時点でこの先の物語は決まっている。雌は雄の手によって屈服の証をその身に刻まれ、崩壊した精神は雄の手によって彼の都合の良いものへと作り変えられた。こうして、また一人の英霊が雌奴隷に堕ちたのだ。

 ソロモンはヒロインXを重用こそしなかったが、遊びも兼ねて彼女の膣と尻穴を延々と拡張し続けた。今では筋肉隆々の男の腕を飲み込んでも余りあるほどの緩さまで拡張されたヒロインXのことを、ソロモンは『自分専用の肉棒(ちんぽ)ケース』と呼ぶ様になっていた。彼女を満足させられるのは肉棒を極限まで巨大化出来る自分だけ、そう言った意味では自分専属の奴隷になった彼女のことを愛でることこそしなかったが、どこかのタイミングでこの切り札を使うことを彼が意識し始めていたのは確かだった。

 そして、第三の特異点で敗北を喫し、また聖杯と女英霊を奪い返された段階になって、ようやくソロモンはこの切り札を切る選択を下す。出立の前、自分に向けて拡張された二つの肉穴を広げるヒロインXに向け、ソロモンは彼女に己が使命を強く意識させた。

 

「よく聞け、お前の使命はカルデアの内部調査だ。目立たず、まずはカルデアのマスターに不満を持っている英霊を探し出せ」

 

「はっ……! カルデアのマスターを暗殺することが目的ではないのですね?」

 

「当然だ! このソロモン王に屈辱を味合わせたあの男は、ただ殺すだけでは生温い! 再び女英霊どもを雌奴隷に堕とし、その光景をじっくりと見せた後で奴らの手で嬲り続けてやる!」

 

「愚かな雌奴隷どもです。ソロモン様の極太ちんぽを味わっておけば、他の男の軟弱ちんぽに靡く訳も無いのに……その快楽すらも理解出来ないなんて、本当に愚かな奴らですね……」

 

「……ああ、そうだ。だからこそお前を選んだのだ。お前なら、万が一にもカルデアのマスターに奪われることはあるまい」

 

 ソロモンの言葉に得意げな笑みを見せたヒロインXは、一層大きく雌穴を開いて内部を主へと見せつけた。子宮口も腸の奥までもが見える様になってしまった緩い穴を見せつつ、彼女はソロモンに言葉を返す。

 

「私の名は『ソロモン様のちんぽケースX』……♡ 私を満足させられるのは、超極太ちんぽを持つソロモン様だけです♡ カルデアのマスターが私を抱こうとも、この緩まんでは奴のしみったれたちんぽで感じることは出来ないのですっ♡」

 

「その通りだ! ……期待しているぞ!」

 

「はいっ♡♡♡ ソロモン様、吉報をお待ちください! 必ずや、このちんぽケースXがカルデアを壊滅せしめて見せます!」

 

 そうして、彼女はソロモンから二つの聖杯を受け取ってカルデアにやって来た。一つの聖杯で定期的にソロモンの下に帰還するための通り道を作り、もう一つの聖杯は強大な魔力の反応を隠すために使用した。こうして、彼女はカルデアの内部でスパイとして活動しているのだ。

 カルデアで過ごしていたかつての自分の行動を再現し、不審な様子など欠片も見せずに情報収集に専念する。知り得た情報はソロモンに余さず報告し、彼の作戦の手助けとしていた。

 今日もまた、ヒロインXはカルデアの中を何くわぬ顔で歩いている。しかし、その仮面の下ではソロモンにかつての仲間たちを差し出すための策略を巡らせ、いつも油断無く敵の弱点を探っているのだ。

 

(食堂、巡回完了。やはりここは良い。人が集まる分、集められる情報も桁違いだ。人が大勢いれば個人に向ける意識は薄まる。私が怪しまれる危険性はまるでない……!)

 

 かつての自分が行っていたセイバーへの闇討ちを隠れ蓑にしてカルデアの様子を探る。そうすれば、カルデアのマスターに不信な視線を向けている者や、不穏な会話も聞こえて来るというものだ。

 ちょうど今、二人の英霊が愚痴を零している。その会話に耳を澄ませ、ヒロインXは彼女たちの心情を察する努力を続けた。

 

「……今日は騎士王様の所で一晩明かすんですって。第三再臨まで行ったし、最終再臨を狙ってるんじゃない?」

 

「ふぅん……で? それを私に言って、何の意味があるの?」

 

「別に、同じ第三再臨組としては思う所はないのかな~、って思っただけよ。アナタ、素直にマスターに抱いてって言え無さそうだしね」

 

「そう言うアンタこそ、いくら抱いてって言っても子供の遊びだと思われて相手にされてないんじゃない? ビッチも大変ねぇ、まだアンタの姉妹の方がマスターに相手して貰ってるんじゃないかしら?」

 

「その言葉、アナタにそのままそっくりお返しするわ」

 

 言い争いを続ける二人の雰囲気が荒くなる。食堂の隅で険しい表情を浮かべた二人の英霊は、暫し睨み合った後で無言のままお互いにその場を離れて行った。

 そして、その会話を聞いたヒロインXは心の中でしめしめとほくそ笑む。また二人、ソロモンに献上出来そうな雌奴隷候補を発見出来た喜びが表情に出ぬ様、必死に堪えた彼女は、カルデアで次々と噴出し始めている女性英霊たちの不満に胸を高鳴らせた。

 

(やはり、たった一人で十人以上の英霊の相手を務められるはずが無い……! 相手にされていない者を集中的に責めれば、カルデアは内部崩壊するに違いない!)

 

 また一つ、主に報告すべきことが増えた。急速に勢力を増したカルデアは、その急速さ故に脆くもある。短期間の調査でその事実を掴んだヒロインXは、食事を終えると同時に自身に割り当てられた部屋へと戻って報告書を書きまとめ始めた。

 

「く、くはは……! ソロモン様、お喜び下さい……! 我々の勝利は、思ったよりも近いかもしれません……!」

 

 渦巻き、光など無い濁った瞳を見せながら、ヒロインXは自分の見聞きしたことを主に伝えるべく、懸命に報告書を制作し続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねえ、私に変な所はなかったかしら?」

 

「大丈夫よ! 普段のツンケンした態度のままだったし、何よりアイツの様子を見れば、これっぽっちも疑って無いのは丸わかりでしょう?」

 

「そう? なら良いんだけれど……」

 

 つい先ほどまで喧嘩をしていたはずの二人は、同じベッドの上で親し気に話しながら食堂から持って来たお菓子を摘まんでいた。こうしてのんびりと二人きりで過ごすことになった相手と目で会話して、お互いの意見を共有する。

 

「……やっぱりアナタは良い娘ね。アナタを妹分に出来て、本当に嬉しいわ……♡」

 

「私も……貴方みたいなお姉さんが出来てとっても嬉しいわっ♡ 甘えられて、秘密も共有出来るなんて、とっても素敵なことだと思わない?」

 

 くすくすと笑い、抱きしめ合う二人。お互いに、本来の自分から生まれた影の様な存在だと言う部分は一致している。だからこそ、こうして気が合うのかもしれないと思い、二人は蕩けた瞳でこれからの話を始めた。

 

「そろそろかしら? 動き出すのは……」

 

「そうでしょうね。もうそろそろ良いんじゃない? 全てはマスターやダヴィンチちゃんにお任せして、私たちは与えられた役目を果たすまでよ」

 

 会話をしながら視線を逸らした二人は、画面の中で一心不乱に何かを書き続けているヒロインXの姿を目にしてふわりと微笑む。何処か母親の様な穏やかな視線を向けながらも、二人の会話はやや物騒だ。

 

「……本当、可愛い子。自分が騙されてるなんてこれっぽっちも思ってないんでしょうね……」

 

「あんなにキラキラした目で嘘の情報が満載されてる報告書を書いちゃうなんてバッカみたい……! でも、お陰で色々と楽しそうなことが出来そうだし、大目に見て上げましょうか」

 

 ジャンヌ・オルタとクロエ、二人の浮かべる笑みが急に冷たい物に変わった。悪戯を始める子供の様な、そんなあくどい笑みを浮かべた二人は、再びお菓子を摘まみながら楽しく会話を再開させる。

 

「さ、その日が来るまで待ちましょう。勿論、警戒は怠らずにね」

 

「私たちのご主人様……じゃなくって、マスターに危害を加えない様、しっかり見張っておかないとね!」

 

 非常にリラックスした空気の中、このカルデアの中で唯一自分の正体がバレていないと信じ切っているヒロインXの様子に何処か微笑ましい感情を抱きつつ、二人はとある計画が始まるまで間は彼女を見て笑ってあげようと決心し、甘いお菓子の味に頬を蕩けさせたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

侵食する現実・序(謎のヒロインX)

 薄暗い部屋、揺れる明かり、汗の流れる裸体……漂う性の臭気は仄かに生臭く、それをどこか不愉快な気分になる。そんな部屋の中心で、寝台に腰かけるソロモンが口を開けば、情事を終えた後の気怠さを表すかの様にのっそりとした声が溢れ出た。

 

「まったく……魔力供給が必要とは言え、こう毎度毎度相手にしていては疲労が溜まるというものだ。少しは慎みを覚えよ」

 

「はぃ……っ♡ 申し訳、ありまへん……♡♡♡」

 

 今の今まで交わっていた相手への言葉をソロモンが口にすれば、返事は彼のやや上方向から返って来た。口元に笑みを浮かべ、振り返ったソロモンは愉快気な表情でその声の方向へと視線を向ける。

 

「まあ、良い。このソロモン王がここまでしてやっているのだ、明確な成果を上げるのだぞ?」

 

「はっ、はい……」

 

 肯定の返事を口にし、虚ろな瞳をソロモンへと向けたヒロインXは自由にならない体を痙攣させつつ頷いて見せる。天井から伸びる細いワイヤーに体を絡め取られ、無理な体勢で吊し上げられている今の彼女は、さながら現代アートのオブジェの様だ。

 ぽたり、ぽたりとヒロインXの股座から垂れる精液と愛液の混合液は床に染みを作り、濃い性の臭いを放っている。戯れに作り出したこの趣味の悪いオブジェを眺めながら、ソロモンはヒロインXへと自分の意思を言い聞かせた。

 

「良いか? お前の役目はカルデアの女英霊の中からマスターに不満を持つ者を見つけ出し、その不満を増長させることだ。そして、カルデアを内部崩壊させる種を育て上げ、反抗の芽を作り上げること……その為に私は、わざわざこうして魔力供給の時間を割いてやっているわけだ」

 

「理解、しています……必ずや、ソロモン様の期待にお応えできる成果を上げてみせます……!」

 

「ふん……! 所詮、一人の人間が相手の出来る女の数などたかが知れている。どれだけ丁重に扱おうとも、何処かで漏れが生まれるものよ……! このソロモン王ですらそうなのだ、矮小なあの青年ならばもっと多くを取りこぼしているだろう。ならば、その漏れをこちらが掠め取ってしまえば良い」

 

「ぐっ、あっ、ぐぅ……っ!」

 

 ギリギリと締め上げられ、引き伸ばされる四肢の痛みに歯を食いしばるヒロインX。筋肉と骨、各部の関節が痛む無理な姿勢のまま飾り付けられた彼女は、それでもソロモンの意思に背くまいとその痛みを堪えてただ彼の話を聞き続けている。

 

「ここからの戦いは英霊の奪い合いだ。一度奪い返されたとて、また奪い返してしまえば良い。こちらにとっては取るに足らない被害だが、カルデアにとっては違う。あちらの戦力は数えるほどしかおらず、一人の英霊が消えるだけでも大きな痛手となる。その上、あのマスターは愚かしいことに英霊一人一人に思い入れを抱いている様子だからな、信じた仲間が再び奪い返されたとしたら、心に深い傷を負うだろうよ」

 

「その通りでございます……。あの男は愚かで無知な青年です。私たちの様な雌奴隷を家族の様に扱っているのですから……」

 

「ああ、その通りだ。貴様らサーヴァントなど、替えの利く道具か具合の良い雌奴隷程度の扱いで良いのだ。それなのに、あの男は裏切った者を喜んで迎え入れて汚い肉棒を奴らの性器に叩き込んでいるわけだ。奴らの膣は、このソロモン王の肉棒に貫かれたお古だと言うのにな……!」

 

 そう言いながらソロモンは視線をヒロインXの性器へと向けた。天上からぶら下がる彼女の秘所は大きく開き、しかも内部から子宮が裏返って飛び出している始末だ。女性として一番大事な部分を乱暴に扱われ、外気に触れるまでに弄ばれたとしてもヒロインXがソロモンを憎むことはない。何故なら、これが彼女にとって普通のこと……彼専用の肉棒容器(ちんぽケース)になってしまった彼女にとっては、これが当たり前になってしまっているのだ。

 

「最初からこうしてやれば良かった。ここまで広がり切った雌穴は、カルデアのマスターにはどうしようもあるまい。部下の雄たちに宛がう雌奴隷が少なくはなるが、こうしておけばこのソロモン王のみが快楽を与えてくれる存在だと無理にでも理解させられたのだ」

 

「あっ、ぐぅぅうぅうっっ!!??」

 

 ぐっ、と飛び出しているヒロインXの子宮を掴み、大きく広がっている彼女の膣へと腕ごとそれを突っ込む。快楽と言うにはあまりにも暴力的で乱暴なその衝撃に白目を剥くヒロインXは、口から泡を吹いて気を失いかけていた。

 

「……裏切り者を再びカルデアから奪い返した暁には、あの男の目の前で全員の性器をここまで拡張してやろう。もう二度と、あの男に抱かれたとしても快楽を貪れぬ体になる雌共を見て、あの男はどんな顔をするのだろうな? ……ふはは、ふはははははははっ!!」

 

「ぐっ、ふっ、ふぅぅうぅぅぅぅ……っ」

 

 力なく脱力し、緩んだワイヤーから四肢を解放されたヒロインXの体が床に落ちる。叩き付けられ、その衝撃で意識を取り戻した彼女の体をぐりぐりと踏みつけながら、ソロモンは高笑いを上げてその時の光景を思い浮かべ続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで、良し」

 

 ソロモンからの魔力供給を受けたヒロインXは、カルデアに帰還した後で移動に使用した聖杯を厳重に保管してから一人頷いた。ソロモンから預かった特別な礼装の中に二つの聖杯を収納し、敢えてそれを無造作に私室の床に投げ捨てる。隠すのではなく、目に映る場所にある物を疑うことはまず無い。思考の裏を突いた行動もまた、ソロモンの指示によるものだった。

 

 カルデアとソロモンの本拠地を繋ぐ連絡路を作る為に一つ、聖杯の膨大な魔力を隠蔽するためにもう一つ。ただでさえ強力な聖杯を二つも預けられていることは、ソロモンは自分に期待してくれているという意味に違いない。その期待に応えるべく、ヒロインXは粛々と任務をこなすべく早速行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 ヒロインXがまずやって来たのは、朝食を取る人々で賑わう食堂だった。多めの食事を乗せたトレイを手に、彼女はにこやかにカルデアのマスターに近づいて挨拶をする。

 

「おはようございます、マスター! 今日もセイバーをぶっ飛ばしてやりますとも!」

 

「あはは……おはよう、X。セイバーを追いかけ回すのは止めてね?」

 

 笑顔を見せながら気の抜けた声で挨拶を返したマスターを心の中で嘲笑しながら、ヒロインXは彼の真正面に座って朝食を取り始めた。案外、こうしているだけでわかることは多くある。観察することによって知ることが出来る情報は、彼女の任務に非常に役立ってくれるはずだ。

 例えば、真正面に座る彼に向けて熱い視線を送る者が居れば、それは彼との性交を望む女性ということだろう。もしくは、昨夜に彼に抱かれてお楽しみを味わった者かのどちらかだ。そういった女英霊は、媚びた表情と女としての顔を見せ、カルデアのマスターを潤んだ瞳で見つめ続けている。

 この女性たちを切り崩すことは、現状は不可能だろう。彼に抱かれているということは、彼に愛されている実感を味わっているということだ。つまりは、淫紋令呪の効果が最大限に発揮され、カルデアのマスターに深い忠誠心と愛情を抱いているということになる。そういった英霊たちを離反させることは絶対に不可能であり、ともすればヒロインXがソロモン側の英霊だということも露見しかねない。

 だから、彼女が狙うのはその逆の視線を向ける女性たち……どこか懐疑的であり、冷ややかな視線を向ける英霊たちだ。具体的に言えば、食道の隅でじっとりとした眼で彼を睨むジャンヌ・オルタや、イリヤの話に不機嫌そうな相槌を打つクロエ、そしてこの食事を用意するために慌ただしく動き回る給仕であるタマモキャットの三名だ。

 素直になれず、彼に抱いてもらうように言えないジャンヌ・オルタはもう一人の自分がマスターと楽し気に会話している様子を面白く無さそうな表情で見ているし、クロエもイリヤが口にするマスターの自慢話を退屈そうに聞いている。タマモキャットに至っては色々と厄介なカルデアの雑用を引き受けている割には彼と触れ合う機会が少なく、損を引っ被っている現状に不満を抱いているに違いないだろう。

 まずはこの三名から調略し、カルデアを崩壊させる発端を作る。そこから更に一人、もう一人と数を増やして、カルデアのマスターが知らぬ間に女英霊たちを寝返らせるのだ。

 最後まで残った数名の英霊も数の暴力には敵わない。捕縛し、調教して、再び雌奴隷に戻ってもらおう。残った希望もまたソロモンの手に潰される光景をカルデアのマスターに見せつける瞬間が今から楽しみだ。そんな思惑を抱きながら、表面上はにこやかにカルデアのマスターと会話するヒロインXは、普段の彼女そのものと言った様子で物騒な言葉を口にしていた。

 

「マスター! カルデアにはセイバーが多いと思うんですよ! ですから、間引きとして数名屠っては如何でしょうか? 実行は私がやりますから!」

 

「だ~め! 皆、大事な仲間なんだから、手を出すのは禁止だって!」

 

 本気七割、冗談三割の返事をしたカルデアのマスターは、困った様に笑っている。そんな風に笑えるのも今の内だけだ。じわじわと仲間たちが奪われ、自分を裏切る苦しみを存分に味合わせてやる……心の中で彼を嗤い、今後の行動についての思惑を巡らせる。当のマスターはというと、セイバー狩りを止めようともしないヒロインXの様子に頭を抱えながら独り言を呟いていた。

 

「あ~あ……この間、しっかり言い付けたと思ったんだけどなぁ……。やっぱりそう簡単に聞きはしないか」

 

 誰がお前の言うことなど聞くものか――ヒロインXは無言でパンの欠片を口の中に放り込み、苦々しい感情を胸の中で噛み殺す。自分の主は偉大なるソロモン王であり、貴様では無い。お前の言いつけなど守るつもりは無く、そもそもそんなことを言われた覚えすらない。

 知恵が無い上に記憶力すら悪いのかと彼を嘲笑うヒロインXは、もう一口パンを齧って水と一緒にそれを胃の中に流し込んだ。そうして、表面上の和やかな会話を再びカルデアのマスターと繰り広げ――――

 

「っっ!?!?!?」 

 

 ――ようとして、不意に訪れた眩暈に今度は彼女が頭を抱えることになった。視界がぐらつき、歪み始める。

 これはどうしたことだろうか? 魔力不足ということは無いだろう。自分はつい昨日にソロモンから魔力供給を受けたばかりだ。激しい運動もしていないし、まさかここまで自分の燃費が悪いということはあるまい。

 であるならば、一体これは何が原因なのだろうか? ヒロインXが謎の眩暈に気を取られ、戸惑いを隠せないでいると……

 

『あぁぁあぁっっ♡♡♡ ごめんな、さいっ♡♡♡ ますたぁっ、もうやめっっ♡♡♡』

 

 媚びた、甘い声がヒロインXの脳内に響いた。聞き覚えのあるその声に意識を奪われた彼女は、眩暈を感じた時よりも激しい動揺を心の中で見せる。その甘い声は、紛れもなく自分の声だった。今まで出したことの無い様な声で、自分が喘いでいる様子が脳内に浮かび始めている。

 食堂の長椅子に体を横たえられ、体操服とブルマを半脱ぎの状態になっているヒロインXは、無毛の秘所と慎みのある乳房をカルデアのマスターに愛撫されていた。それも、衆人環視の中でだ。

 

『前にも言ったよね? セイバーの皆を倒そうとするなって……カルデアの設備も壊れるし、今の状況だと修復も大変なんだよ?』

 

『ごめっ、んな、しゃいぃぃ……っ♡♡♡』

 

 穏やかな、それでいてキツい叱責を口にしたカルデアのマスターは、ヒロインXの敏感な部分を的確に突いて彼女の体を高めていく。人に見られているという状況がより一層お仕置きの概念を強め、ヒロインXは何一つとして抵抗出来ないままに彼の愛撫を受け続けていた。

 

『今日という今日はしっかりと体に言い聞かせなきゃ駄目かな? もう二度とこんなことをしようと思えなくなるほどに、さ……!』

 

『まってくださぁっ♡♡♡ もうっ♡ 本当にセイバー襲いませんからっ♡♡♡ だから許しっ、許してくださ――』

 

『この間もそう言ってたよね? で、何も変わらなかったと……うん、お仕置き決定!』

 

『ああぁあぁぁああぁあぁああぁぁああぁぁっっ♡♡♡ イクぅぅぅぅううぅうぅうぅっっ♡♡♡』

 

 邪気の無い笑顔を浮かべ、無慈悲にもヒロインXへの仕置きを決定するマスター。左手で片方の乳首を、右手で陰核を摘まんで引っ張り、残っている乳首は口の中に放り込んで思いきる吸い上げる。体中の敏感な突起を強く刺激されたヒロインXは、成す術もなく体を弓なりにしならせて絶頂してしまった。

 激しい快楽が全身を駆け巡り、彼女の意識をふわふわと浮かばせる。涙、鼻水、汗、愛液……体中から零れる自身の体液が食堂の明かりを

受け、彼女の体をいやらしく彩っていた。

 

『……もう一度言うね? セイバーを襲っちゃ駄目、分かった?』

 

『は、はい……マスター……♡♡♡』

 

『うん、分れば良し!』

 

『あひんっ♡♡♡』

 

 弱々しい声で自身の言い付けを守ることを肯定したヒロインXへと頷きながら、マスターはもう一度彼女の陰核をきゅっと摘まみ上げた。痺れる様な快感に電撃が走り、潮を噴いて二度目の絶頂を迎えるヒロインXの脳内では、今のマスターの言い付けがガンガンと反響して心の中に刻み込まれ――

 

「……ッス? X? どうしかしたの?」

 

「はっっ!?!?」

 

 カルデアのマスターの声で我に返ったヒロインXは、汗をびっしょりとかいた状態で周囲を見回す。体が不思議な高揚状態にあるものの、衣服は乱れてはいない。なにより、自分のことを視姦していたカルデア職員やサーヴァントたちは何事もない様に食事を取り続けている。

 しかし……ヒロインXの性器は興奮でぐっしょりと濡れ、彼女が性的な快感を味わっていたことを証明していた。理解出来ない状況に放り出されたヒロインXであったが、直感的にこの場を離れなければならないことを悟ると急に大声を出して椅子から跳び上がる。

 

「むむっ! あちらから悪しきセイバーの気配がしますっ! ちょっと退治して来ますねーっ!」

 

「あっ! ちょっとぉ!」

 

 普段の電波な自身の行動を隠れ蓑にし、ブルマの上からでも分かる濡れそぼった秘所を懸命に隠しながら、ヒロインXは背中に投げかけられたマスターの言葉を振り切って急いで食堂から逃げ出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……っ、一体何だったのでしょうか……?」

 

 食堂を飛び出し、職員用の女子トイレに駆け込んだヒロインXは、ようやく精神と肉体が落ち着きを取り戻して来たことに安堵しつつ改めて先ほど起きた不可解な現象について考察を始めた。自分が、カルデアのマスターにお仕置きと称された淫らな行為を甘受していたあの光景は、本当に何だったのであろうか? 何かの攻撃の一種かとも考えたが、現在に至るまでの自分の演技は完璧のはずだ。マスターたちが疑いを抱くはずも無いし、あったとしてもあんなにまどろっこしい手段は取らずに直接自分を捕縛するなどの方法を取るだろう。つまりは、何が何だか分からないということしかわからないのだ。

 無論、あんなことをされた覚えはヒロインXには無い。念の為に自分の膣を探ってみたが、ガバガバに広がった無様な膣がしっかりと股座には存在している。あの光景が現実だとしたら、こうはなっていないはずだ。

 

(私に疑いを抱いたカルデアからの精神攻撃か? もしくは、直感スキルが見せた何らかの光景……?)

 

 納得のいく答えは出ないものの、あまり深く考えすぎてドツボに嵌ることも良くない。頭の片隅に置いておき、何か異常を察したら行動を起こす程度の考えで良いだろう。ヒロインXはこの現象をそう結論付け、長々と居座っていたトイレの個室から出た。愛液を拭いていたために汚れた手を洗面台で洗い、ハンドドライヤーで手を乾かす彼女は、もう考えを次に取る行動をどうするかというものにまで移行させている。

 取り合えず、食堂に戻ろう。今頃、職員たちは朝食を取り終えているだろうし、そうなれば人目のつかない状態で後片付けをしているタマモキャットに接触することが出来るはずだ。そこで彼女の不遇を同情するふりをして猜疑心を植え付け、不満を噴出させる。後はじっくりとその種を育ててやれば良い。

 

(順番に、一人ずつ……あなたの元から、女英霊たちを奪ってあげましょう……!)

 

 標的は決まった。まずはタマモキャットからだ。ヒロインXは鏡に映る自分の顔を見つめながらニヤリと笑う。エアドライヤーの響かせる送風音がトイレの中にけたたましく響く中、彼女が行動の指針を決めて満足気な気持ちを抱いていると――

 

「うぅっ!?!?」

 

 再び、彼女の身にあの眩暈が訪れた。鏡に映る自分の顔が歪み、見えなくなる。よろよろと洗面台に手を付き、体勢を立て直したヒロインXは、荒い呼吸のままもう一度顔を上げ、そして驚愕した。

 

(なっ……!?)

 

 先ほどまで、悪役を思わせる冷たい笑みを浮かべていた自分の顔が、完全に発情した女の顔になっている。荒い呼吸は体の不調から来るものではなく、熱を帯びた甘い吐息を繰り出す性交への期待から発せられていることはその顔を見ればすぐに分かった。

 また、自分の理解を超える出来事が起きている……ヒロインXが異常事態を察知し、体を強張らせたその時だった。

 

『『『あああぁあああぁあああぁあぁぁああぁぁあぁぁっっっ♡♡♡』』』

 

 蕩ける様に甘く、そして甲高い嬌声が彼女の背後から響いた。三重に重なるそれは別々の女性の声であるものの、全てが快楽に染まった叫びであることだけは共通している。ヒロインXが恐る恐るといった様子で振り返ると、三つ並んだ個室トイレの中に一組ずつの男女が交わり合っている光景が目に飛び込んで来た。

 扉を全開にし、ヒロインXに見せつける様にしてトイレでセックスを行う男女たち。その激しい交わりは、見ているヒロインXの体を段々と火照らせていく。

 

「お? 誰か来たみたいだぜ?」

 

「悪いが今、見ての通り取り込み中だ。漏らしそうってんなら、別のトイレに行った方が良いと思いますがねぇ」

 

「本当にごめんね。退いてあげたいのはやまやまなんだけど、皆が離してくれなくてさ……」

 

 それぞれ順にクー・フーリン、ロビンフッド、そしてマスターの言葉。彼らのすぐ近くから聞こえて来る女性の喘ぎ声から察するに、それぞれが別の女性を抱いているのだろう。全員がヒロインXの視線に気が付きながらも行為を止める気配はない。というより、相手をしている女性たちが中断することを許してくれないのだ。

 響く嬌声は甘く、そして甲高い。その声を耳にするヒロインXは、自分の意思に反して一歩、また一歩とばかりにトイレの個室へと近づいて行った。

 

「あっっ♡♡♡ んぐっ♡♡♡ あぁんっ♡♡♡ せた、んたぁ……っ♡♡♡」

 

「ったく、人をトイレに連れ込んでまでシたいなんて、アンタも随分と自制が効かなくなったよな。……いや、元からこんな感じだったか?」

 

「はふっ、はぁっ♡♡♡ うあぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

 一番手前の個室を覗けば、そこにはクー・フーリンと愛し合うスカサハの姿があった。彼に抱かれ、持ち上げられた状態になっているスカサハは、ヒロインXに対して横向きの姿勢で性交を続けている。普段の知的な横顔は淫らに崩れ、舌を口から放り出した無様なアヘ顔になっていた。

 

「おぐっ♡♡♡ あだってっっ♡♡♡ い、イイッ♡♡♡ キクっ♡♡♡ お前のちんぽ、きぐぅぅうっっ♡♡♡」

 

 クー・フーリンの激しい打ち込みを受けるスカサハは喉を震わせてその快感に喘ぐ。裏返ってしまいそうで、野太くもなっているその声は、彼女が本気で感じている証だろう。ぎちり、ぐちりと強く肉槍を締め付ける熟れた膣は、無毛であることも相まって非常に幼く見えた。

 

「セタンタっ♡♡♡ もっと、激しく突けっ♡♡♡ お前の、全霊でっ♡♡♡ 私の子宮を壊すくらいに、強くっっ♡♡♡」

 

「……ほ~う? 随分と偉そうな口の利き方だなぁ? 普段とは大違いだ」

 

「へっ? はぁっ……♡♡♡」

 

 巧みな肉槍の突き上げ膣を震わせながらも、スカサハは師匠としての威厳を感じさせる口振りでクー・フーリンへと命令を出す。しかし、その言葉を受けたクー・フーリンは、何やら意味深な言葉を呟くとスカサハの命令に逆らってゆっくりとしたストロークでのピストンに責めを切り替えてしまった。

 じっくりとした腰の動きで腰を引き、奥深くを貫く様にして再挿入する。これはこれで子宮を震わせる深い快感があるのだが、スカサハが求めているのはこの気持ち良さではない。もどかしくも甘い快感に打ち震えながらスカサハが目に一杯の涙を溜めていると、クー・フーリンは壁に彼女の体を押し付けながら熱烈なキスを彼女の唇へと降り注がせて来た。

 

「むっ♡♡♡ ふっ、ふぅっ……♡♡♡ んちゅっ♡♡♡ ちゅぅぅ……っ♡♡♡」

 

 強く壁に押し付けられ、体を完璧に抑えられた状態で唇を奪われる。舌の動きもクー・フーリンに合わせるスカサハは、腰を抜かしそうになる甘い快感に全身を蕩けさせている。優しく、それでいてどこか物足りない快感でスカサハの体を火照らせたクー・フーリンは、唇を離すと同時に彼女の耳元で誘惑の言葉を囁いた。

 

「強く、激しくして欲しいか? だったら、いつも通りの可愛い口調でおねだりしてみろよ。マスターやギャラリーのお嬢ちゃんも居るこの場でな……!」

 

「ひぅっ♡♡♡ それ、はぁ……あうぅぅっ♡♡♡」

 

「出来ないならずっとこのままだぜ? さあ、どうする?」

 

「う、ぅぅ……っ♡♡♡ んんんんんんっっ♡♡♡」

 

 壁に体を押し付けられたスカサハは、そのままたわわな胸を鷲掴みにされる快感に大きく仰け反った。強く揉まれた乳房はぐにゃりと歪み、完全に勃起しきっている乳首からは甘い匂いを放つ母乳が勢い良く噴出している。

 右手で尻肉を掴まれ、左手で胸を揉まれ、仰け反った顔を上から抑えつけられる様にして唇を重ねられ……膣を優しく突かれながらの全身快楽責めを受けたスカサハは、息も出来ぬままにその快感に酔っている。逆らうことを許さぬとばかりにクー・フーリンに躾けられたスカサハは、だらしなくいやらしい表情のまま、熱を帯びた声で彼の望む台詞を口にしてクー・フーリンに快楽を強請り始めた。

 

「お願い、アナタ……♡♡♡ どうか私を孕ませてしまうほどの濃い子種を子宮に下さい……♡♡♡ 私にアナタの妻としての責務を果たさせて……♡♡♡ アナタの血を、後世に残す妻としての役目を……♡♡♡」

 

 その声は、あのスカサハが出しているとは思えない程、甘く蕩けた声だった。クー・フーリンに子種を強請る彼女は、愛らしく体を擦り寄らせ、クー・フーリンの喉をネコの様にペロペロと舐めながら媚びた瞳を彼へと向けている。尻もまた犬の尻尾の様に左右に振られており、それを見ているヒロインXが肉付きの良いスカサハの臀部がむちむちといった擬音を鳴らしている様な錯覚すら覚えてしまうほどだ。

 

「深く、強く、激しく、私の子宮を突いてっ♡♡♡ 何度でも私が達し、何度でもアナタの子を孕んでしまえる様な、強い腰使いで私の最奥を貫いて下さい……♡♡♡ 私の愛する旦那様……私にアナタの肉槍を受け止めさせて……っ♡♡♡」

 

「よしよし、やっといつものアンタに戻ったじゃねえか。やっぱりマスターたちの前では格好付けたいのか?」

 

「へぇ……スカサハって兄貴と二人きりだとそんな感じになっちゃうんだ。普段とのギャップが凄いね」

 

「ああ……っ♡♡♡ 知られてしまった……私が、夫にここまで媚びる女だってことを……♡♡♡ でも、これで良いんだ……♡♡♡ だって、物凄く満ち足りて、幸福な気分だから……っ♡♡♡」

 

 強く、強く……スカサハがクー・フーリンの体に縋り付く。豊かな乳房を彼の逞しい胸板に押し付け、その先端から母乳を噴き出しながら、彼女は真に幸福そうな表情のまま、目を閉じる。クー・フーリンは、そんなスカサハの尻を一度強く叩いてから、がっしりと掌全体で両方の尻肉を掴んだ。

 

「……行くぜ、覚悟は良いか?」

 

「来て、アナタ……♡♡♡」

 

 短い会話でお互いの意思を確かめ合った二人は、一拍の静寂の後に最高潮まで上り詰めていた。0から100へ、無から最大まで一気に加速した性交の激しさは、スカサハの想像を絶している。彼女の子宮は、唐突に訪れた尋常ならざる快楽を前にして、クー・フーリンの魔槍に降伏してしまっていた。

 

「あおぉおおぉおぁあぁあぁぉぉおおぁあっっ♡♡♡ おぐうぅううぅうぅううぅぅ♡♡♡ き、きだあぁあぁあぁああぁぁぁぁあっっ♡♡♡ ごれっ♡♡♡ これがほしかったのぉおおおぉおぉぉおぉっっ♡♡♡ アナタのっ、たくましいおちんぽではらまされるってじっかんがぁっ♡♡♡ あのこうふくかんがぁっっ♡♡♡ あじわいたかったのぉおおぉおぉおぉおおっっ♡♡♡ んああぁああぁあぁぁぁぁあぁあぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

「あ、あぁぁ……っ♡♡♡ なんて、はげしい……♡♡♡」

 

 スカサハが受けるピストンはヒロインXが見たこともないほどに激しく、力強いものだった。まるで彼女の子宮の震えが空気に伝わり、トイレの中の全てを振動させている様な、そんな感覚を覚えるほどに強いピストンだった。

 性交、セックス……そんな生温い言葉では目の前の行為を表現しきれない。敢えて言葉にするならば、()()()()だ。それも、神すら喰らい殺せそうな神獣たちによる本気の種付け交尾……雄に組み敷かれている雌だけではない。ただ見ているだけで、雌ならば孕んでしまいそうな交わりが、今まさに目の前で繰り広げられているのだ。

 

「ああぁあぁぁああぁあぁああぁぁああぁぁっっ♡♡♡ いぃいいぃいぃいぃぃっっ♡♡♡ アナタの、おちんぽっっ♡♡♡ 私のよわいところっ♡♡♡ だけをねらってくるぅうぅぅうっっ♡♡♡ しきゅう、おりるッッ♡♡♡ はらんでるのにっ♡♡♡ おなかにあかちゃんもういるのにっ♡♡♡ またはらんじゃうっっ♡♡♡ でもいいのっっ♡♡♡ アナタの子ならっ♡♡♡ なんびゃくにんでもうむぅぅぅっっ♡♡♡ また、はらませて……っ♡♡♡ アナタのあかちゃんっ♡♡♡ 私に種付けしてぇえぇぇぇぇぇっっ♡♡♡」

 

「ま、まだ、続くんですか……? こんな、激しいのに……!?」

 

 膣から垂れ流れる愛液。失禁してしまった尿。絶え間なく噴き出す母乳。スカサハの放つ様々な体液が彼女を抱くクー・フーリンの足元に水溜まりを作り上げる。それはもうトイレの床を浸してしまう様な量で、下手をすれば海と言った方が正しい表現かもしれない。それほどの感じっぷりを見せつける二人の激しい交尾は、まだ終わりが見えはしないのだ。

 イキ続けるスカサハの表情を見るヒロインXは、自分の理解を超えるセックスを目の当たりにして混乱し始めていた。ここまで長い性交をしたことも見たこともない彼女からしてみれば、それは当然のことだ。しかし、理解出来ないものを見ながらも、彼女の体は素直に熱を帯び始める。耳に響くスカサハの嬌声と肌で直に感じる二人の交わりの激しさは、ヒロインXの女としての本能を確かに刺激していた。

 

 段々と昂っていく自分の体に恐れをなしたヒロインXは、スカサハとクー・フーリンのセックスから目を逸らして次の個室の前に立った。そこでは、隣で行われているセックスとはまるで別の穏やかな交わりが行われていた。

 

「はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ んんっっ……♡♡♡」

 

「……いや~、まさかお嬢がここまで積極的なスケベ娘になっちまうなんてねぇ……! トイレに俺を連れ込んで、自分から腰を振る様になるなんて、前のお嬢からしてみれば考えられませんよ」

 

「うる、さい……っ♡♡♡ 全部、ロビンのせいじゃない……アタシに、こんな気持ち良いことを教えた、アンタのせいよ……♡♡♡ はぁぁっっ♡♡♡」

 

 便座に座るロビンフッドと対面座位で交わるエリザベート。その腰の動きは拙く、たどたどしいものではあったが、懸命に彼と共に快楽を分かち合おうとする健気さも感じられた。時折、へたっている尻尾をぴくぴくと動かすエリザベートの表情はヒロインXからは見えないが、痙攣する体や快楽に染まった声から、彼女が何を思っているかは大体の予想がついた。

 

「あったかい、のよ……♡♡♡ ロビンに抱きしめられて、愛されると、心も体も温かいの……♡♡♡ ぽかぽかして、幸せになって、もうここから逃げられなくっても良いやって思えて……すごく幸せになっちゃうのよ……♡♡♡ 全部、アンタのせいよ……♡♡♡ ロビンがアタシにこんな幸せで気持ち良いことを教えたから、アタシはこんなにエッチな女の子になっちゃったのよ……っ♡♡♡」

 

「へいへい、そうですね~……俺のせいでお嬢はこうなったんだから、何も気にせずに気持ち良くなって良いんですよ~。ほら、もっと幸せになれって」

 

「はうっ♡ あぁっっ♡♡♡ ひび、くぅ……♡♡♡ お腹の奥に響いて、幸せがひろがるぅ……♡♡♡ おトイレでこんなことして、アタシ気持ち良くなってる……♡♡♡」

 

 とん、とん、とリズミカルに動くエリザベートの小さなお尻は、興奮で色付いてピンク色に染まっていた。ロビンは、そんな彼女に無用な手出しはすることをせず、ただ余裕たっぷりに彼女を受け止めている。

 優しく背中に触れ、強くは抱き締めずともしっかりと自身の熱を伝え、自分は傍にいると不安気な少女に伝えてやるロビンフッド。エリザベートは、そんな彼の優しさに安心感を得て、同時に快楽と幸福を感じているのだ。

 

「きもちいい、きもちいいよ、ロビン……♡♡♡ ロビンはきもちいい? アタシのなか、きもちいい?」

 

「ああ、うん……スゲー良い。冗談とかお世辞抜きでヤバいな」

 

「あ、は……♡♡♡ きもちいいんだ? アタシとセックスして、ロビンも幸せなんだ……♡♡♡ 嬉しい、な……♡♡♡ はむっ♡♡♡ ん~っ♡♡♡ んんぅぅぅ~~っ♡♡♡」

 

 融ける、溶ける、蕩ける……愛の熱にエリザベートの体と心が熔けていく。幸福と快楽と混ぜ合わされたエリザベートが熱を帯びた声を漏らせば、その口を塞ぐようにしてロビンがキスを落とした。

 くぐもった声、唾液と唾液が絡まり、舌が吸われる音が二人の口から響く。長いキスの末、ぷはぁと音を鳴らして息継ぎが出来ずに呼吸困難になるエリザベートの唇を解放したロビンは、彼女の頬に手を添えると真正面から瞳を見つめて囁いた。

 

「……お前、今凄いエロい顔してる自覚あるか? そんな顔、他の誰にも見せるなよ? 俺の……俺だけに見せる顔にしとけよな?」

 

「は、ぅ……っ♡♡♡ んんぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 ほんの少しだけ、エリザベートへの独占欲を垣間見せたロビンフッドは、そう言ってから再び彼女の唇を奪った。抱きしめられるエリザベートは、その言葉の意味を理解した瞬間に幸福と快楽の高みへと導かれてしまう。

 それは夢見る少女にとってはあまりにも幸福で甘い絶頂だった。愛されている実感が体の隅々まで行き渡り、高鳴る心臓が更なる熱をエリザベートの全身を満たす。脱力した体をそっと支えられて抱き締められれば、もうそれだけで二度目の絶頂を迎えてしまうくらいにまで、彼女は幸せに酔っていた。

 

「……好き……♡ 好き、ロビン……♡♡♡ 二人きりの時で良いから、ロビンもアタシに好きって言って……♡♡♡」

 

「……気が向いたらな」

 

 直球な愛の言葉に照れてぶっきらぼうな返事しか返さない彼の姿もまた愛らしい。お互いを理解して、関係を縮めて行くことがこれほどまでに幸せなのだと知ってしまえば、もっと彼のことを知りたくなってしまう。そして、自分のことも知って欲しいと願ってやまなくなってしまうのだ。

 セックスをする必要は無い。ただこうして繋がり合うだけでも十分に心地良くて幸福だ。エリザベートは、ロビンフッドの腕の中で瞳を閉じ、安心感に微笑んでいる。そんな彼女の姿を見るヒロインXは、またしても理解出来ない現象に混乱してしまっていた。

 

「何で……? 何もしてない、激しくも無いのに、なんであんなに幸せで、気持ち良さそうなの……?」

 

 腰を振られている訳ではない。全身を愛撫されている訳でもない。なのに、目に映るエリザベートの後ろ姿はとても幸福そうで、気持ち良さそうだ。一体、何が彼女にそこまでの快楽を与えているというのか? ヒロインXには理解が出来なかった。

 ただ……またしても、彼女は求め始めていた。しかし、今の彼女が求めていたのはただの快楽だけではない。ヒロインXが求めていたのは、どちらかと言えば精神的なものだった。

 人は、本能的に()()()()()()を知っている。母に抱かれた瞬間に安らぎを感じ、誰かと触れ合う度に温もりを感じる。心理ではなく、魂に刻まれているのだ。人は一人では生きられないということが。だからこそ、自分に最も近しい者、最も愛する者からは、無条件に愛情を求めてしまう。なにもそれは人だけでは無いのだろう。生物としてなら当然のことで、誰だって理解出来る現象だ。

 だが……今のヒロインXにはそれが理解出来ない。何故なら、自分が最も愛している(ソロモン)は自分を欠片も愛してくれていないから。自分のことをただの道具としてしか見ず、愛情なんてこれっぽっちも注いではくれないから。だから人として本能的に知っている愛の温もりがヒロインXには理解出来ない。しかし、本来は知っているそれを心は求めてしまっている。その致命的なズレが、ヒロインXを更に追い込んでいった。

 

(残る個室は一つ……ここには、あの男が……っ)

 

 堪らずエリザベートたちからも離れ、最後に残った個室の前まで移動するヒロインX。閉じている扉の奥の景色を想像した彼女は、ごくりと喉を鳴らして緊張感を露にした。

 このまま扉の向こう側を見ずに逃げてしまった方が良いのかもしれない。だが、ヒロインXの意思に反して体は勝手に目の前の扉へと手を伸ばしている。ゆっくりと扉に触れ、一拍の間を開けた後、覚悟を固めたヒロインXは思い切りその扉を奥へと押した。

 その途端、扉の向こう側から聞こえていた嬌声は爆発的に大きくなった。そして、この個室で誰がマスターに抱かれているのかを見て取ったヒロインXは、目を見開いてその女性の姿を見やる。

 

「おま、えは……!?」

 

「んにゃおぉおぉおぉおおぉおぉおっっ♡♡♡ おっっ♡♡♡ おぉぉおおぉぉおぉおおっっ♡♡♡」

 

 ピンク色の髪と頭から生える獣の耳。大きな瞳をぱっちりと開き、その中心に真っ赤なハートマークを浮かばせているその女性の名はタマモキャット……ヒロインXが、調略の対象として考えていた女英霊だ。雑用ばかりを引き受け、美味しい所は他の者に奪われ、不満が溜まっていると思われていたタマモキャットは、この小さな個室の中でカルデアのマスターに抱かれて快楽を思い切り貪っていた。

 

「強いっっ♡♡♡ 深いっっ♡♡♡ ご主人のちんぽっ♡♡♡ キャットの奥の奥まで届いているぞっっ♡♡♡ また、立派になって嬉しいことだワンっっ♡♡♡」

 

「ごめんね、キャットっ! 本当はキャットの働きにもっと報いてあげたいんだけど、こんな所で短い間しか相手出来ないなんて……っ! でも、精一杯気持ち良くするからっ! キャットへの感謝を一生懸命表すからねっ!!」

 

「おっっ♡♡♡ おぉおぉおぉおぉおおぉおおおぉおお゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ にゃお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡」

 

 後ろからタマモキャットを抱き、腰を打ち付けるカルデアのマスターは、全力の咆哮を上げながら激しく腰を彼女の尻へと打ち付けた。腕を伸ばし、オリジナルの彼女と同じく豊かに実っているタマモキャットの乳房をしっかりと掴み、乱暴とも思える手の動きでそこを揉みながら大きな音を響かせるほどのピストンを繰り出す。

 

「にゃおんっっ♡♡♡ んにゃお゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ んみゃぁああぁぁあぁああぁぁっ♡♡♡」

 

「気持ち良く、なれっっ! もっと感じて、何も考えられなくなるほど、気持ち良くなるんだっ! キャットっっ!!」

 

「お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ お゛お゛お゛お゛んんっっ♡♡♡」

 

 その嬌声はさながら獣の遠吠えだった。野太く、大きく、そしてけたたましい叫びを上げるタマモキャットの表情はだらしなく歪み、マスターから与えられる快楽にただ酔いしれている。

 最初の頃、タマモキャットを相手するには『狂化』のスキルが必要であったが、今はもうその必要も無かった。今日に至るまでのマスターの成長やタマモキャット自身の女体の開発によって、通常の状態でも十分に彼女を満足させられる様になっていたのだ。

 

「あああぁあぁぁああぁあぁあぁああぁぁっっ♡♡♡ これ、だっっ♡♡♡ 我の本能を揺さぶる、強い衝動っっ♡♡♡ 自分こそがキャットの主だと主張する逞しい雄の律動っっ♡♡♡ 我のまんこはご主人の成長をしかと感じ取り、媚び媚びに媚びているゾっ♡♡♡」

 

「キャット……っ! キャットがいつも皆の食事やカルデア内の整理整頓を行ってくれてるから、俺たちはリラックス出来るんだよっ!! いつもいつも感謝してるっ! 俺が成長出来ているとしたら、それはキャットの内助の功のお陰でもあるんだっ!!」

 

「にゃはははは……っ♡♡♡ 嬉しいことを言ってくれるワンっっ♡♡♡ 良妻メイドとしてこれ以上の名誉は無く、加えて女として、雌の獣としてもこの快楽を味わえることはまたとない悦びっ♡♡♡ 十を超える女の相手をして来たとて、ご主人はキャットの感じる場所、好きな責め方を覚えてくれているのだナ……♡♡♡ そういうところ、好きだゾ♡♡♡」

 

「当たり前じゃないかっ! 誰一人として忘れることなんか無いよっ!! 遠慮も情けも無く、ただ激しく後ろから奥深くを突く! それがキャットの好きなセックスだよねっ!?」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ♡♡♡ これこれこれこれっっ♡♡♡ これだあぁあぁぁああぁぁあぁっっ♡♡♡ 雌としてっ♡♡♡ この快楽を与えてくれる雄には逆らえなくなるぅうぅぅっっ♡♡♡ 強く逞しい、我が仕えるに相応しい雄っっ♡♡♡ 一日経つごとに成長し、また大きくなる主っっ♡♡♡ その成長を手助けしっ♡ より強い雄になることを手助けすることこそキャットの使命であり、悦びだっっ♡♡♡ ご主人っ♡♡♡ 何も気に病むことはないぞっ♡♡♡ 例え短い時間であろうとも、ご主人の雄としての成長を直に感じられ、ご主人からの愛を確かに感じられるこの瞬間こそ、キャットの至福の時間なりっっ♡♡♡ 肉棒の一突きっ♡ 力強い握力っっ♡ ただの快楽とは違う、これこそがキャットの悦びなのだっっ♡♡♡」

 

「キャットっっ!! ならっ! もっと深くっ! 強くっ! キャットの望むモノを、全部叩き込むっっ!」

 

「んひぃいいぃいぃいいぃいいいぃいいんんっっ♡♡♡ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ♡♡♡ んああぁああぁあぁぁぁぁあぁあぁぁあぁっっ♡♡♡ たたき、こまれるうぅうぅぅうっっっ♡♡♡ ごしゅじんの、つよさがぁっ♡♡♡ キャットのおくそこにきざみこまれ……お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡」

 

 何をすれば、どうタマモキャットが喜ぶのかを、カルデアのマスターは完璧に理解していた。だが、それで満足はしない。彼女により深い喜びと幸福を与えるため、まだまだ彼は貪欲になる。この瞬間、彼はタマモキャットに更なる快楽を与えるためだけに成長を続けている。

 その成長を願う雄が、自分のために更なる進化を遂げる。全てを捧げるに相応しいと思う雄が、自分を抱きながらより雄々しくなる。快楽を叩き込まれながら本懐を遂げられるこの状況をタマモキャットが喜ばぬはずもなく、彼女は満ち足りた幸福の中で荒い呼吸を繰り返しながら感激の涙を流していた。

 

「ああぁあぁああぁぁぁぁああぁ……っっ♡♡♡ 迸っているぞ、ご主人っっ♡♡♡ キャットを満足させるためだけに意思を注ぎ、狂化の力をコントロールしているのだな……? 全てを貪り喰らう狂化ではなく、目の前の雌を満足させるための狂化……っ♡♡♡ ご主人の愛と成長をひしひしと感じてしまうっっ♡♡♡ もうらめらっっ♡♡♡ ただでさえぐちゃぐちゃなわれのあたまのなかがっ♡♡♡ もっとめちゃくちゃになりゅっっ♡♡♡ もうっっ……いぐぅうぅうぅうぅぅうぅぅうぅんんっっ♡♡♡」

 

 喜び、愛、幸福、快感……その全てが融合した快楽は、タマモキャットの想像を軽く超えていた。呂律が回らなくなった舌や定まらなくなった思考のことなども吹き飛ばす快楽を味わい、カルデアのマスターの未知数の成長率に頬を染めたタマモキャットは、あらん限りの声を絞り出し、喉を震わせて絶頂の叫びを上げる。スカサハやエリザベートの嬌声を掻き消すほどの叫びは、ヒロインXの心を大きく揺さぶった。

 

「なんで……? どう、して……? どうして、そんなに満ち足りた顔が出来る……? なんなんだ? お前たちはなんなんだ? なにがお前たちをそうしたんだ……?」

 

 スカサハ、エリザベート、そしてタマモキャット、彼女たちと自分とでは、決定的な違いがある。それが何なのかを理解することは出来ないが、間違いなく何かが違っている。

 どうして彼女たちはあそこまで幸せそうに笑えるのか? どうしてその瞳には温かな光が灯っているのか? 彼女たちが味わっているのは、自分たちの知る快楽とは何が違うのか? 何一つとして、今のヒロインXには理解出来ない。答えを導き出せない。

 そう……自分自身の心と体がその何かを求め、叫び出している理由もわからないのだ。ソロモンの寵愛を受ける自分は満ち足りていて、幸福なはずなのに、目の前の彼女たちと比べると酷くちっぽけで薄汚れた存在に思えてならなくなってしまう。世界一偉大なソロモン王に期待される自分は、身に余るほどの光栄を味わっているはずなのに……。

 

「なんで……? どうして……? なんなんだ、これは……?」

 

 気が付けば、タマモキャットたちの姿は煙の様に消えていた。トイレの床に広がっていた愛液の水溜まりも消え失せ、激しい性交が繰り広げられていた痕跡は何一つとして残ってはいない。何もかもが嘘の様に、完全に消え失せてしまった。

 ……いや、ただ一つだけ残っているものがある。ヒロインXの体を火照らせる熱い何かが、彼女が確かにここで男女の交わりを目にした証拠だった。疼く体と震える心がヒロインXの意思を揺るがし、段々と狂わせていく。

 

 この光景は何なのか? この疼きは何なのか? この火照りは何なのか? ……やはり、何一つとして答えが出せぬまま、股座をじっとりとした熱い愛液で濡らして、ヒロインXはトイレの床に膝をついてすすり泣いていたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

侵食する現実・破(謎のヒロインX)

 熱く火照る体を持て余し、悩まし気な表情を浮かべては苦し気な呼吸を繰り返す。手にした本で顔を隠し、出来る限り自身の異変を悟られぬ様にしながら、ヒロインXは理解の追いつかない状況への対策を必死に考えていた。 

 

 食堂での一件、そしてトイレで見たあの幻覚……連続して濃厚な情事を見せつけられたヒロインXの体は否応なしに高められてしまった。履いているブルマは股間がぐっしょりと濡れており、愛液と汗で乾くことの無い性器はすぐにでも男根を求めて口を開いてしまいそうだ。

 別段、ヒロインXが禁欲を続けていたという訳ではない。つい先日にはソロモンに抱かれ、魔力供給をしてもらったばかりだ。はしたなく淫行を夢見てしまうほど、彼女が男に飢えているという訳では無いだろう。

 であるならば、これは精神攻撃の一種なのだろうか? ヒロインXがソロモンの手先であることを察知してのカルデアからの牽制のようなものなのか? しかし、そうだとしたらヒロインXを追い詰めるだけ追い詰めて直接的な手出しをしないことが腑に落ちない。まさか、自分がこうして苦しんでいる様をカメラか何かで視姦し、嘲笑っているのだろうか?

 

(ぐっ……! 下種なことを……!)

 

 横目でギロリと監視カメラを睨んだヒロインXは、その先に居るかもしれない監視者に対して憎しみを込めた視線を送った。自分は決して、お前たちの思う様にはならない……体を追い詰めらたとしても気丈に振舞うヒロインXは、何とかして体を落ち着かせようと深く呼吸を繰り返す。

 

「ふ~っ♡ は~っ♡ ふ~~っっ♡♡♡ はぁぁ……っ♡♡♡」

 

 落ち着きを取り戻すための深呼吸、しかしてそれは、むしろ彼女を追い詰めることに一役買ってしまう結果をもたらした。口から吐き出される甘い吐息を肌で感じ、その熱を自覚する度に、ヒロインXは自分の昂ぶりを認めてしまうことになる。下らない精神攻撃の一種で、自分の躰はここまではしたなく感じ、そして男を求めだしているということを彼女にはっきりと自覚させてしまうのだ。

 認めたくはない、だが、認めざるを得ない……自分が抱かれている幻覚やトイレでの三組の男女の交わりを見せられたヒロインXは、完璧に発情してしまっている。どんなにそれを否定しようとしても、熱い呼吸や激しく脈打つ心臓の鼓動がそれを否定させてはくれない。お前は体を火照らせ、餌を待つ犬が涎を零す様に股間を愛液で湿らせているのだと非情な現実を彼女に突き付けて来る。

 逃げられない、逃げようもないこの状況に首を振って、ヒロインXは周囲に誰も居ないことを確認してから指を股座に這わせる。もう、彼女の頭からは存在しているかもしれない監視者の存在は消え失せ、ただこの体の火照りを鎮めることしか考えられなくなっていた。

 

「くぅっ♡ んんっ♡ んふぅっ♡ ふぅぅっ……♡」

 

 ブルマの上から割れ目をなぞり、陰核を擦る。びりびりとしたもどかしい快感がヒロインXの頭を痺れさせ、一瞬だけ彼女の煩悩を満足させた。しかし、それは本当にほんの一瞬の間だけのこと……貪欲な体はこの甘ったるい自慰行為だけでは満たされることはなく、それどころかもっと激しい快感を求めて彼女の理性に訴えかけて来た。

 

「あぁっ♡ あっ♡ くっっ♡」

 

 ブルマ、そして下着の中に指を突っ込み、広がり切った膣内へと指を突き入れるヒロインX。しかし、当然の如く、彼女の緩んだ膣がか細い指での愛撫で満足するはずがない。むしろ空虚に響く僅かな快感のせいで、彼女自身が何を求めているのかを強く自覚させる結果になってしまっていた。

 

「あ、あ、あ……♡ おちんぽ♡ おちんぽぉ……っ♡♡♡」

 

 自分の性器を割り裂き、子宮を押し潰し、膣壁を擦る……そんな激しい快感が、男の欲望を顕現した様な滾りが、欲しい。肉棒、陰茎、男性器、言い方は何でも構わない。一番卑猥で分かり易いその名を甘い声で囁くヒロインXは、脳裏に自分の主を思い浮かべながら性交の快感を妄想し始める。

 

「ひぐっ♡ ソロモン、さまっ♡ あっ♡ あっ♡」

 

 魔術で膨張し、雄々しく起立するソロモンの肉棒が、ゆるゆるのヒロインXの膣内へと叩き込まれる。何度も味わったその快感は容易に思い出せるし、はっきりとこの霊基にも刻まれているはずだ。

 それこそが最高の快感だと、彼女は知っているはずだった。むしろ、他の男たちの肉棒の感触など知るはずも無く、唯一の男となっているソロモン以外の性交の味を知ることも無い。彼女の意識は、ソロモンとの性交が至上のものだと結論付けている。

 しかし……ヒロインXの体の方は、別だった。

 

「あ、え……? んひぃいぃいぃぃいいぃっっ♡♡♡」

 

 妄想の中で性器を割り裂いて挿入された肉棒に違和感を感じるヒロインX。自分が知る唯一の快感、最高の快感であるソロモンとのセックスを想像していたはずの彼女は、ぐちゅりと音を立てて自分の内部へと侵入して来た肉棒がまるで知らない形であることに驚きを隠せない。しかし、もっと驚いたのは、その肉棒が自分の想像を絶する快感を与えてくれたことだった。

 

「んへっっ♡♡♡ はへぇえぇぇっっ♡♡♡ これ、なにっ!? こんな、しらなっ♡♡♡ あひぃぃいぃいいっっ♡♡♡」

 

 がくがくと体を震わせ、大きく背中を仰け反らせ、座っている椅子に全身をもたれかけさせるヒロインXは、手にしていた本を放り投げてしまうほどの快感に顔を隠すことも忘れて喘いでいた。胎と膣に叩き込まれる快感は彼女の知っている性交の何倍もの強さを誇り、あっという間にヒロインXの思考能力を完璧に奪い去ってしまったのだ。

 緩んでいる筈の膣がキツく締まり、その肉棒の侵入を歓迎するかの様にして襞の一枚一枚を以って絡みつく。広がっていない、狭い膣内に響く快感は、シャープにヒロインXの全身を揺らして頭の中を真っ白にしてしまう。

 

「ひぎっ♡ ひぐぅっ♡ あぁっ♡ あ、ぐぅうぅううぅぅっっ♡♡♡」

 

 知らないはずの、強い快感。だが、ヒロインXはこの快感が何であるかをなぜか知っていた。経験したことの無い強さの快感が何であるのかを、彼女は理解していた。

 矛盾しか存在していないこの現象に混乱しながらも、ヒロインXはただのた打ち回る様にして喘ぎ続けている。机に突っ伏し、椅子を愛液で汚しながら、息も絶え絶えになって喘いでいた。

 

「おちん、ぽぉっ♡♡♡ ひぐぅうぅうっ♡♡♡ また、イっちゃ、あぁあぁぁぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

 知らない、知っている。わからない、わかる。否定と肯定の言葉が交互に浮かび上がり、快感に押し流されて消えて行く。段々と削ぎ落されていく無駄な思考が、彼女にどうするべきかを示す様にして頭の中で明滅する。

 ただ享受すれば良い……この快楽を味わい尽くし、幸福に酔えば良いとヒロインXの中で何かが囁いた。それは、もっともらしい理由を次々と彼女に与え、その心をくすぐる。

 自分が知っているのはソロモンとの性交の快楽のみ。であるならば、この抗い様の無い快感もまた、彼とのセックスによる快感に違いないのだ。只一人の男しか知らないはずなのだから、この快楽はその男が与えてくれたものに違いないのだろう。

 なら、もう何も迷う必要は無い。淫らに喘ぎ、快楽を貪り、ただ雌鳴きすれば良い。これは愛する主が与えてくれた快感だ。拒む必要など無いのだから。

 

「ひっ♡ ひんっ♡ まひゅ、たぁっ♡♡♡ まひゅたぁぁっっ♡♡♡」

 

 そうして、ヒロインXは快楽の底へと転がり落ちて行った。頭の中で響く言葉が何処かおかしいと感じながらも、彼女はこの快楽に抗うことが出来なかった。甘美で幸福な毒の様な快感を拒むことがどうしても出来なかったのだ。

 抵抗を忘れ、堕ちてしまえば最期、あとはただ転がり続けるだけ……終わらぬ果て、下り続け、最下層へと辿り着くまで堕ち続ける。腰までどっぷりと浸かった快楽の沼に、全身を飲み込まれるのは時間の問題だった。

 

「イクぅぅぅっ♡♡♡ ますたぁっ♡♡♡ イキ、ますぅぅっっ♡♡♡ あぁっ♡ あっ♡♡♡ あぁぁああぁあぁあぁぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

 主の名を叫びながら、ヒロインXは高みに達した。彼女以外の人影が存在しない資料室の中で響いた嬌声が呼ぶのは、どちらの(マスター)のことなのか? それはもう、叫び声を上げた張本人ですら分からないことだった。

 

 

 

 

 

 

 

「かえ、らなきゃ……! 部屋まで、帰らなければ……!」

 

 うわ言を呟き、おぼつかない足取りでカルデアの廊下を歩くヒロインXは、熱を帯びた呼吸を繰り返しながら自分の部屋を目指す。もはや、彼女の履いているブルマはぐしゃぐしゃに濡れて色が変わっており、今の彼女の姿を見ただけでもただごとではないことがわかってしまう。

 何が起きているかはわからない。だが、自分がおかしくなってしまったことはわかる。今、自分が優先すべきことは、一刻も早く自分の部屋に帰って体を休めることだ。そう考えるヒロインXは、廊下に愛液の雫をぽたぽたと垂らしながら必死に歩みを進めていた。

 

「帰らなきゃ……! 部屋に、安心出来る場所に、ソロモン様の下に、帰らないと……!」

 

 快楽を求める心だけが、今のヒロインXを突き動かしていた。もう一度、ソロモンに抱かれることで、この色欲に狂った自分の体をどうにかして慰めることだけが、彼女の原動力となっていた。

 少しで良い。愚かだと、淫らだと嗤われても良い。だから快楽を味わいたい。ソロモンの手で与えられる快楽に身を沈め、何も考えずに狂ってしまいたい。一歩、また一歩と歩み続け、ヒロインXは火照った体を疼かせながらただ部屋へと向かう。必死に、懸命に、快楽を求め、まるでゾンビの様なゆったりとした歩みで、死んだ表情で脚を進めて行く。

 そんな時だった。ヒロインXが、廊下の向こう側から気配を感じたのは……

 

「っっ……!?」

 

 確かな気配、数は3つ。サーヴァントでは無く、恐らくはカルデアの職員だろう。小声で話しながらこちらに近づく気配にヒロインXは顔を青ざめさせた。

 見られたら終わりだ。自分が今、どうなっているかを知られれば最期、なんだかんだと理由を付けられて拘束されてしまう。そうなれば、ソロモンの命令を遂行するどころか、動く事すらままならなくなる。

 見つかる訳にはいかない……瞬時に逃げの判断を選択したヒロインXは、周囲を見回して見つけ出した部屋の中に瞬時に飛び込んだ。

 静かに、されど迅速に。求められる全ての技術を使い、ヒロインXは部屋の中へと入って気配を完全に消した。そうして息を殺しつつ、外の様子を必死に探る。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 

 先ほどまでとは違う意味での荒い呼吸。心臓の鼓動も激しく、緊張感がヒロインXの全身を包んでいる。もしも自分がここに居ることがバレてしまえば、それは文字通りの破滅となる。全てが露見し、自分の命運は終わりを迎えてしまう。

 ソロモンの期待に応えられないこと、それだけが恐ろしくて堪らないヒロインXはがたがたと震えながら自身の気配を殺しつづけ、そして――

 

「はぁ……っ! っっ、はぁ……っっ」

 

 ……どうにかして、隠れ切ることに成功した。安心感を感じたヒロインXは、途端に緊張の糸が切れてその場にへたり込んでしまう。瞳からは涙がこぼれ、三度意味合いの違う荒い呼吸を繰り返し続けている。

 生き延びた。どうにかして首の皮一枚繋がった。ギリギリの体と精神状態であり続けるヒロインXは、もうあらゆる意味で限界が近い。心と体の安寧。それだけを求める彼女は、崩れ落ちた体を立ち上がらせると再び自室に向かい始めようとして……唐突に、気が付いた。

 

(この部屋、何かが臭う……甘い様な、生臭い様な、複雑で淫らな臭いが……)

 

 漂う臭気に気が付いてしまえば、この部屋が何のために存在しているのかも想像がついてしまう。大きなベッドと淫らな玩具の数々が目に入り、その想像が正しいことをヒロインXに確信させる。

 ここは、所謂『ヤリ部屋』だ。カルデアの随所に用意された、様々な趣向のプレイを楽しむための部屋……微かに香る性の残り香はヒロインXの鼻を衝き、この部屋が数時間前にも使用されていたということを感じ取った彼女は表情を歪めた。ちりり、と頭の中で弾ける電撃が体を追い詰め始め、折角立ち上がった体を再び脱力させてしまう。

 

「あっ……!?」

 

 がくり、と床に崩れ落ちるヒロインX。ブルマが床に触れた途端、べちょりと湿った音が部屋の中に響いた。自分の愛液がここまで大量に漏れていることを恥ずかしく思いながら、彼女はゆっくりと顔を上げる。

 なぜかは分からないが、彼女には確信があった。また、自分を追い詰める幻影を目にする確信が彼女の胸の内にあったのだ。そして、その予感は正しく、ヒロインXは目の前のベッドに横たわる二人の人影を目にする。

 

『んっ! ちゅぷっ! じゅっ! ちゅぅぅぅ……っ』

 

『はぁっ♡ あっ♡ んはっ♡ んふぅうぅぅぅうぅ……っ♡♡♡』

 

 人の口が奏でる吸引音とその行為によって快感を得たが故の嬌声。二つの音が響かせるベッドの上では、男と女が交わっていた。男は女の豊かな乳房の先にある桜色の突起を口に含み、女はそそり立つ男の立派な肉棒を手でゆっくりと扱いている。

 甘い声と甘い匂い。ぷんぷんと漂うそれは、どちらも女から発せられている。乳首を吸われることによって女は喘ぎ、特濃の母乳を噴射しているのだ。

 

『おっぱい、ミルクぅ……っ♡♡♡ マスターが、私のミルクを美味しそうに飲んで……♡♡♡ 性槍もこんなに大きく勃起させて、興奮してくれている……っ♡♡♡ ふあぁぁぁあぁっっ♡♡♡』

 

 ぶるりと全身を震わせた女の名は、アルトリア・ペンドラゴン……ヒロインXと同じ顔をした、本来の歴史とは別の道を歩んだ騎士王だ。聖剣の制約から解放され、成熟した雌の体を手に入れた彼女は、美しく端正な顔を快楽に歪ませてただ喘ぐ。たわわな乳房の先からは、びゅうびゅうと音を立てる勢いで母乳が噴き出し続けていた。

 

『んくっ、んくっ、んくっ、んくっ……!』

 

『はぁぁ……っ♡♡♡ んんんんんんっっ♡♡♡』

 

 片方の乳首を延々とマスターに吸われるアルトリアは、彼の口の中に甘い母乳を放ち続けているのだろう。搾乳、射乳の快感に体を痙攣させる彼女は、だらしない表情のままその快感に酔いしれていた。マスターはそんな彼女の乳首を吸い続け、時にもう片方へと吸う乳首を変更しながら、一定のペースで彼女の母乳を味わい続ける。芳醇な魔力の結晶であり、味わい深い特濃のミルクは、彼にとっても貴重な栄養・魔力の回復剤でもあるのだ。

 

『ふぅっ♡ んんっ♡ ……マスター、私のおっぱいは美味しいですか? おっぱいをゴクゴク飲んで、元気いっぱいになったマスターのおちんぽは、私がシコシコしてあげますからね……♡♡♡ 騎士王のエロミルクはこのエロ乳にたっぷりと詰まっています。好きなだけ飲んで、もっと元気になって下さいね……♡♡♡』

 

 あえて卑猥な言葉を使い、マスターの興奮を煽りながら起立した肉棒を手で扱き上げるアルトリア。まるで赤ん坊の面倒を見る母親の様な彼女は、淫らに微笑みながら聖槍ではなく男の剛直を掴んでいる。その表情には一点の曇りもなく、ただ幸せそうな笑みを湛えてマスターへと奉仕を続けていた。

 穏やかで、幸福で、女神の様な笑み……柔和で美しいその笑みは、見る者を魅了し、アルトリアに神々しさを感じさせる。全裸であろうと、女神像にいやらしさを感じさせない様に、今のアルトリアの姿など大した問題にはならない。曇りなき笑みは彼女の美しさを最大にまで引き出し、女神と呼ぶに相応しい輝きを全身から放たせている。

 

 同じなのに違う、そうヒロインXは思った。肉体の成長度合いは違うだろう。しかし、顔や性格はあのアルトリアと自分は同じなはずだ。それに加えて、境遇だってそっくりだ。

 彼女も自分も、場所は違えど()()()()()()()()()()存在だ。自分は膣を限界を超えて拡張させられ、彼女は妊娠もしていないのに母乳が出る体にさせられた。それなのに、自分と彼女では大きな差がある様な気がしてならないのだ。

 

 アルトリアは美しい。女としての幸福を感じさせる笑みを浮かべ、母の様にカルデアのマスターを受け入れるアルトリアの姿は、文句の一つもなく美しかった。例え、彼女が性交の最中であろうと、手にしているものが肉棒であろうとも、その美しさを損なうことは無い。ランサーのアルトリア・ペンドラゴンは美しい。これは不変の事実だ。

 それに比べて自分はどうだろうか? ヒロインXはゆっくりと視線を下にずらし、自分の性器を見る。拡張され、常識では考えられぬほどの大きさに広げられ、子宮だって簡単に飛び出るようにさせられた自分の膣は、どう考えたって美しさとは程遠い存在だろう。無論、女性の象徴をそんな風にされた自分だって、美しいとは到底思えない存在のはずだ。どう足掻いたって……アルトリアとヒロインXは比較出来るような存在じゃあない。月とスッポン、良く似ているがまったく違う存在だと、そう言わざるを得ない。

 

 何が違うのだ? 女性らしさでは敵わないだろう。ヒロインXには膨らんだ尻や胸は無い。だが、慎ましやかだが可愛らしく、形が整った女体は有していたはずだった。なのに、何でここまでの差が生まれたのだろうか? 彼女だって、マスターに作り替えられた存在だろうに。

 絶望的な差を感じ取ったヒロインXの心に生まれる疑念、それは段々と彼女の精神を蝕み始める。先ほどから追い詰められていた心と体は、容易にその蝕みの範囲を広げていく。気が付けば、ヒロインXは思考停止状態となって体を火照らせたまま、アルトリアとマスターの情事を眺めることに注力していた。自分とアルトリアの決定的な差の原因を知るべく、彼女は夢中になって観察を続けるようになっていたのだ。

 

『んっ、ぷはぁ……っ! アルトリア、もっと、もっと……!』

 

『あぁ、マスター……♡♡♡ 私のおっぱいを吸うのも良いですが、そろそろ手だけでは虚しくなってきた頃でしょう? 一度、マスターのミルクも搾り取っておかないといけません……♡♡♡』

 

『ぐぅぅぅうぅぅぅっっ!!??』

 

 乳首を吸うマスターの顔を引き剥がし、母乳を求める彼の頭を優しく撫で、アルトリアはそっと体勢を変えた。仰向けに寝転がるマスターの股間に自分の乳房を向けるパイズリ奉仕の体勢への移行。しかし、それはただのパイズリでは無かった。

 ぐっ、と自らの乳房を掴み、勃起した先端の乳首から母乳を迸らせるアルトリア。粘度抜群のそれは彼女の温もりを保ったまま、マスターの起立した陰茎へと大量に降り注いでいく。亀頭から根元までを真白く染め、ぬるぬるとした滑りを肉棒に与えたアルトリアの母乳は、唾液やローション代わりの存在となってこの後のパイズリを潤滑に行わせるための役割を担っている。

 

『アルトリアのミルク、温かい……! ぬるぬるしてて、俺のちんぽに纏わり付いて、これだけでも気持ち良いよっ!』

 

『ふ、ふふふ……♡♡♡ それは良かった、と言いたいところですが……本番は、ここからですよ?』

 

『うぅぅうぅぅぅうぅぅっっ!!』

 

 アルトリア自身の母乳に塗れた肉棒を、彼女の豊かな乳房が包む。甘く、雄々しく、淫らな臭いを放つ肉棒を乳房で挟み込み、潤滑油となった母乳がぬちゃぬちゃといやらしい音を立てるほどの上下運動を見せつけ、アルトリアはマスターの陰茎を刺激し続ける。

 

『如何です? 騎士王、アルトリア・ペンドラゴンのエロミルクをローション代わりとしたデカ乳パイズリ奉仕の味は……♡♡♡』

 

『はぁっ! くっ! そんな、いやらしい言葉ばっかりくちにして……っっ!!』

 

『そんなに淫語を口にする私がお好きですか? なら、もっと言って差し上げましょう♡ 乳まんこはマスターのデカちんぽの熱で燃えてしまうのではないかと思うほどまで火照って発情していますっ♡ ほら、もっと滑りを良くしましょう♡ エロミルク、びゅ~っ♡♡♡ マスターのおちんぽにびゅ~っっ♡♡♡』

 

『あぁっ! あぐっ! ぐぅぅっっ!!』

 

 卑猥な言葉を口にしてマスターの興奮を煽りつつ、アルトリアは乳房で彼の肉棒を擦り続けた。肉棒に粘り気のある母乳がぐちゃぐちゃと音を鳴らす度、マスターは大きく仰け反りながら呻き声を上げる。そんな彼の姿を見るアルトリアは、どこか満足気な表情で微笑み、更に奉仕の手を強めた。

 重量感のある乳房が激しく上下する。淫らな水音、喘ぎ声、肉と肉のぶつかる音……それらの音が重なり合って、生物の本能を刺激する卑猥な合奏を奏でていた。唇を亀頭に落とし、柔らかで張りのあるそこに熱烈なキスを落とすアルトリアの横顔を茫然と見つめるヒロインXは、その瞬間に彼女と自分の間にある決定的な違いに気が付いてしまう。

 

(ああ、そうか……()、なのか……)

 

 自分は『ソロモンに体を作り変えられた』後で、その体で与えられる快感に悦びを見出すことを強要され、そして『ソロモンを愛する』様になった。体を壊された後、壊されて良かったと思い込まされる形で快楽を擦り込まれた。だから、その狂った快感に酔う自分の心は壊れているし、その行為で与えられる快感に悦ぶヒロインの艶顔は狂気染みているのだ。土台や本質が壊れている以上、そこから何をどう積み上げても出来上がるモノが正しく在れる筈が無い。当然だ、ヒロインXは最初の一歩の時点で間違った方向へと歩み出しているのだから。

 だが、アルトリアは違う。ソロモンの元に居る他の彼女たちと違い、彼女はまず『愛される喜び』を知った。そして、『愛する喜び』を自ら学び取ったのだ。英霊や騎士王としてではなく、一人の女として誰か一人の男を愛する幸福を学んだ彼女は、同時にその男性から愛される喜びも知ることとなった。互いに想い合う関係を元としている両者は、そこから一歩ずつお互いの意思を尊重した関係を築き続けている。

 

 マスターを喜ばせたいとアルトリア自身が願ったからこそ、彼女の体は変化した。より柔らかく、より美しく、より淫らに……乳房と尻は指が埋まる程に柔軟になりながらも、戦いの邪魔をする様な重しにはならない。それは、アルトリアが自分を雌奴隷では無いと自覚しているから。マスターを守る槍であると理解しているが故の変化。マスターもまたそんな彼女を只の戦力や性処理の道具だとは思っていない。大切な仲間であり、一人の人間として扱って、愛しているのだ。

 アルトリアは愛しているから変わった。変わったからこそ更に深い快感と幸福を味わえる様になった。その根底にあるのは愛だ。マスターに愛され、彼を愛しているからこそ、アルトリアは日々進化を続けている。愛する人のためによりより自分になろうと、自ら望んで変わり続けている。きっと、その思いに限りは無いのだろう。愛し愛され続けている限り、アルトリアは何処までも強く、美しくなる。ヒロインXは、そう感じていた。

 

 自分とは何もかもが真逆だった。壊され、狂わされ、無理矢理に愛する様にされたヒロインXは、そんな自分とソロモンの関係を振り返りつつ瞳に涙を浮かべる。こうして結んだ絆が、自分に何を与えてくれたかを思い返し始める。その結果、与えられたのはこの()()()()()()だけだったと気が付き、絶望した。

 ソロモンは自分のことなど愛してはいない。ただの玩具、性奴隷程度にしか思っていない。気が向いたり、理由が無ければヒロインXを抱いたりはしてくれないのだ。気まぐれに女たちを傷つけ、時に屠るソロモンに対して、女英霊たちはただ媚び諂うしかない。自らを昇華させることなど考えず、ただ這いつくばってソロモンの機嫌を取ることしか考えられない。そんな女性たちがより魅力的になることなどもあるはず無かった。

 

 このままヒロインXがソロモンの下に在り続けたとして、それが何を与えてくれるのだろうか? 最初に壊された体を更に壊され、せいぜい雌穴がどれほどまでに広がるかの実験台にされるだけだ。その内、その遊びにも飽きたソロモンはヒロインXを放置して、彼女に指一本たりとも触れることをしなくなるだろう。どんな男に抱かれても満足出来ない体にされたまま放置され続ける、そんな未来を想像したヒロインXの背中を冷たい絶望感が駆け抜けた。

 幸福にはなれない。美しくもなれない。強くもなれず、ただ人形の様になるしかない。挙句の果てには快楽すら与えて貰えなくなる。ソロモンの下で迎えるそんな未来がはっきりと見せてしまったヒロインXは、目の前のアルトリアの痴態を羨ましそうに見つめていた。

 

『あぁっっ♡ うっっ♡ はぁんっっ♡ あぁ、マスター……♡♡♡ マスターのミルク、下さい……♡♡♡ 私の子宮にっ♡ 赤ちゃんのお部屋にっ♡ マスターのおちんぽミルクをどぴゅどぴゅしてくださいっ♡♡♡ 熱くて濃い、美味しいザーメンをごくごくさせてくださいっっ♡♡♡』

 

 卑猥な言葉を口にしても、下品な表情で喘いでいても、今のアルトリアは美しかった。愛する喜びに身を蕩けさせ、ただその幸福に打ち震えている彼女は、疑い様も無く幸せなのだと思える。そんな幸福、ヒロインXは味わったことが無かった。

 火照っていた体が急に冷め始める。発情が治まったのではない。ただ心が冷え切ってしまっただけだ。今、アルトリアが感じているあの快感と幸福を自分は一生味わえないのだと思った瞬間、ヒロインXの心が完全に冷め切ってしまったのだ。

 

 もうこれ以上、惨めにはなりたくなかった。瞳から大粒の涙を零しながら、ヒロインXは部屋を出る。温度の差がある体と心が彼女の動きを鈍らせてはいたが、ただ真っすぐに自室に向かって歩き続けることだけは出来た。

 脳裏に浮かぶアルトリアの姿を思い出す度、胸が苦しくなる。自分はああはなれない、あんな風にはして貰えない……そんな思いが胸をよぎり、ただヒロインXを苦しめている。

 だが、淫紋令呪はそんな彼女にソロモンへの忠誠心を消し去ることを許してくれなかった。苦しみの中でも、僅かな希望を無理に抱かせようとするのだ。

 

(戻ろう……そして確かめるんだ。ソロモン様が、私を愛してくれるということを……!)

 

 例えつい先日に魔力供給を終えたばかりだとしても、例え自分が何の成果を挙げられていないとしても、自分が苦しんでいるのなら、ソロモンは優しく抱きしめてくれるはずだ。愛の言葉を囁き、快楽を与えて安心させてくれるはずだと、夢物語としか言い様の無い期待を抱くヒロインX。心の底では答えがNOであるとは理解していながらも、淫紋令呪の効果によってその期待を拭い去ることは出来ない。だから、彼女はただ一時的な帰還を願うことしか出来ないのだ。

 

(戻って、愛して貰って、安心しよう。大丈夫、きっとソロモン様は私を許してくれるから……!)

 

 淡い期待を胸に、ヒロインXは自室の扉を開く。隠してある聖杯を使って帰還することだけを考えていた彼女は、部屋の内部に踏み入ると同時に目を見開いた。

 部屋の中には先客が居た。ベッドに腰かける少女が一人と、その傍に立つ若い女性が一人。彼女たちの手には、それぞれ一つずつ黄金に輝く杯が握られていた。

 

「な、あ……!?」

 

「あら、遅かったじゃない。随分と待ってたのよ」

 

「ひっどい顔してるわね~。絶望、っていうのがぴったりね」

 

 驚愕し、目を見開くヒロインXへと視線を返しながら、二人の女性……ジャンヌ・オルタとクロエは何てことでも無い様に笑っていた。仲間の一人の部屋から報告されていない聖杯を見つけ出したというのにも関わらず、彼女たちは平然と微笑んでいた。

 そこでヒロインXは気が付く、自分が裏切り者だということが露見したのだと。だがしかし、どうして二人は礼装に収納した聖杯を取り出すことが出来たのだろうか? 取り出し方は自分しか知らないというのに……

 

(い、いや! 今はそれどころではない! こいつらを倒して、聖杯を奪還しなければ!)

 

 疑問を抱いたヒロインXであったが、事態の緊急性にそれを振り払うと瞬時に戦いの構えを取った。このまま捕縛されてはソロモンに申し訳が立たない。何としても聖杯を奪還し、帰還するのだ。

 敵は二人、数の上では不利だが今は油断しきっている様子だ。不意を打って一人を倒し、一対一の状況に持ち込む。最悪の場合、聖杯を一つ奪い返せれば、ソロモンの元へ帰れる筈だ。そう判断すると同時に、ヒロインXは微笑む二人の英霊へと駆け出した。

 

「はぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 一振りの聖剣を出現させ、それを力強く握りしめる。狙いはベッドに腰かけるクロエだ。彼女の方が戦闘能力は低い、体勢的にも攻撃を捌くのは難しいだろうし、確実に倒せると判断しての選択だった。

 淫紋令呪の効果で強化された脚力と俊敏性をもってすれば、ヒロインXがクロエを射程範囲に収めるために必要は時間は0コンマ1秒にも満たない。左から右へ、クロエの胴体を両断する横薙ぎの一撃で彼女の命を摘み取ろうとしたヒロインXは、渾身の力を込めて剣を振り抜く。風が唸り、衝撃波が生み出されるほどの一撃を繰り出したヒロインXは、この一撃で間違いなくクロエを仕留めたはずだと思っていたのだが――

 

「なにっ!?」

 

 クロエの遺体が転がっているはずのベッドの上には何も存在していない。それどころか血の跡一滴も残っておらず、まるでクロエが最初からそこにいなかったのでは思えるほどに痕跡が無かった。

 忽然と姿を消したクロエに対して動揺を隠せないヒロインX。そんな彼女の背後から愉快気な笑い声が響く。

 

「ふふふ……♡ ここよ、ここ……♡」

 

「っっ!?」

 

 握っている剣に僅かな重みを感じたヒロインXが背後に振り返れば、驚くべきことにクロエが剣の切っ先に爪先立ちしている姿が目に入った。完璧に背後を取られたことに驚愕しつつ、ヒロインXはがむしゃらに攻撃を繰り出してクロエを斬り裂こうとする。

 剣を大きく振り、クロエをその上から弾き飛ばす。軽くジャンプして空中に浮いたクロエを仕留めるべく、ヒロインXはもう一度横薙ぎの斬撃を繰り出す。だが、薄皮一枚の所でそれも回避され、絶好の機会を逃すこととなった。

 それでもヒロインXは追撃の手を緩めない。攻撃の回避はギリギリだった。なら、攻撃を続けていれば必ず直撃するはずだ。目にも止まらぬ速度で剣を振るうヒロインXは、クロエの小さな体を捉えようと懸命に攻撃を続ける。

 斜めの斬撃、はずれ。一歩後ろに下がられて当たらない。続けて繰り出す踏み込みながらの振り下ろし、これもはずれ。クロエの頬を掠める程の距離ではあったが、ギリギリで当たりはしなかった。

 そのまま剣を握り直しての横薙ぎ、またしてもはずれ。軽く膝を曲げて体勢を落としたクロエは、剣が頭髪を掠めるほんのわずかな隙間を空けて刃を回避した。意表を突いての刺突攻撃、やっぱりはずれ。腕を完全に伸ばし切ったヒロインXは、そこであることに気が付いた。

 

 自分の攻撃はギリギリの所でクロエに避けられている。それはあと一歩で直撃させられる様な距離であり、徐々に自分がクロエを追い込んでいる証拠だと思っていたが……本当にそうなのだろうか?

 考えてみれば、クロエは戦う構えを取ってはいない。武器も出さず、ただヒロインXの攻撃を避け続けているだけだ。それに、ここまでピンチであるクロエをジャンヌ・オルタは一切助けようとはしていない。余裕のある笑みを浮かべ、二人の戦いを見守り続けている。ようやく違和感に気が付いたヒロインXは、突き出した剣の切っ先からほんの1mm程度だけ離れているクロエの瞳を見つめ、その眼が愉快気に笑っていることに気が付き、そして愕然とした。

 

(まさか……! わざとギリギリで回避しているのか!?)

 

 ヒロインXがギリギリでクロエに攻撃を当てられないのではない。クロエが敢えてギリギリでヒロインXの攻撃を避けている。薄皮一枚、ほんの僅かな距離だけを空け、攻撃を回避しているのだ。その気になれば簡単に避けられる攻撃だからこそ、防御の構えを取る必要も無い。クロエはヒロインXを弄び、オルタはそんなクロエに攻撃が当たることなどあり得ないと思っているからこそ、何の手助けもしないのだ。

 

「ふざけるなっっ! このっ! このぉっ!!」

 

 自分が舐められているということに気が付いたヒロインXは、持てる技術の限りを使った猛攻をクロエへと繰り出していく。力、技、速度……剣術の髄を尽くした攻撃は、並の英霊ならば一瞬で細切れになるほどのものだろう。しかし、彼女の本気をもってしても、クロエには剣がかすりもしないのだ。

 

「はっ! くっ! はぁっ!」

 

 光速の一撃も、フェイントを織り交ぜた斬撃も、徐々に体勢を崩す様に仕掛ける連撃も、何の意味も為さない。変わらずに延々と避けられ続け、いたずらにヒロインXの体力を消耗させてしまうだけだ。

 まるで風に舞う羽を追い続けている様な錯覚をヒロインXは覚えていた。掴もうと思って手を伸ばせば、その風の流れで手の中から擦り抜けてしまう。何度やっても同じ、クロエと言う名の羽を掴むことは絶対に出来ない。

 

「はぁっ……! ぐっ、はぁっ……!」

 

 猛攻を続け、圧倒されているプレッシャーに押し潰され続けたヒロインXは、一度攻撃の手を休めて荒くなった呼吸を整え始める。だが、例え体を休めた所で状況は変わらない。次はどんな手段で攻撃を繰り出せば良いのかと思案しても、答えが出ないのだ。

 クロエもまた楽しそうに微笑むとヒロインXへと挑発的な視線を向ける。可愛らしい唇を開けば、余裕に満ちた言葉がそこから飛び出して来た。

 

「無駄よ……。今のアナタじゃあ、私を捉えることは出来ないわ。絶対に無理よ」

 

「この……っ! 小娘が、調子に乗って……!」

 

「……調子に乗ってるんじゃないの。ただの事実なのよ。だって私には感じられるんだもの。あなたがどう剣を振るのかがわかるの。筋肉がしなる音が聞こえて、剣がどう軌跡を描くかも見える。繰り出される攻撃はスローモーションにしか見えないし、その気になれば目を閉じたって避けられるわよ」

 

「傲慢なことを……! その奢り、叩き斬ってやりますっ!!」

 

「だ~か~ら~……奢りでも傲慢でも無いのよ。これは事実なの……。アナタ、犬が恐竜に勝てると思う? キャンキャン鳴いてる犬を目の前にして、恐竜が退屈することを奢りだと思う?」

 

「なっ!?」

 

 怒りの炎を燃やすヒロインXに対して、クロエは冷静そのものだった。微笑む表情を見れば彼女がヒロインXを煽る為にこんなことを言っている様にも思えるが、クロエからしてみればただの事実確認の様なものなのだ。

 

「淫紋令呪の再臨によるステータスの強化、及び新スキルの習得、それを繰り返した私たちがアナタに負けると思う? ご主人様に大切に大切に愛されてる私たちが、ソロモンにボロクソに扱われてるアナタに勝てないとでも思ってるの? ……奢ってるのはアナタとソロモンの方でしょう? こんな穴だらけの作戦を自身満々に実行して、相手が子供だからって絶対に勝てると思い込んで……少しは彼我の実力差って奴を自覚したらどうなのかしら?」

 

「貴様っ! ソロモン様を愚弄するつもりかっ!?」

 

「ええ、そうよ。だってそうじゃない。圧倒的有利な状況から逆転され続けて、滅茶苦茶な作戦しか思いつかなくて、サーヴァントの使い方もなってない。おまけに女の子一人だって満足させられない欠陥だらけの雄を馬鹿にして何が悪いの? 悪いけど、私たちはアナタたちとは違って事実を元にして軽蔑してるんだからね? 何の根拠もなく『カルデアのマスターは無能だ』とか言ってるアナタたちと一緒にはしないで頂戴な」

 

「ゆ、許さん……っっ! 必ずや、その心臓を抉り出してやるっっ!!」

 

 ヒロインXの視界が怒りで真っ赤に染まる。血走った眼でクロエを睨み、怒りのままに駆け出したヒロインXは、再び彼女へと猛攻を仕掛けようとした。が、しかし――

 

「……遊び過ぎよ、クロエ。さっさと済ませなさいな」

 

「は~い! わかりました~!」

 

 ヒロインXが怒りに燃えていることなど欠片も意に介さず、オルタは淡々とクロエに命令を下した。クロエも彼女の言うことに従い、ようやく攻撃の構えを見える。

 そして次の瞬間、ヒロインXは腹部に重い衝撃を感じると同時に部屋の壁に叩き付けられていた。

 

「がっ、はっ……!?」

 

 感覚が、理解が、追いつかなかった。攻撃に出たはずが、いつの間にか攻撃を受けていた。反撃や防御どころか反応すら出来なかった。

 カウンター気味に繰り出された一撃はあまりにも重く、ヒロインXは呼吸を荒げて痛みに耐えることしか出来ないでいる。たった一発の攻撃で決着が着いてしまったことに、ヒロインXは驚くことしか出来ない。

 

「はい、おしまいっ! ……ね? 言った通りでしょ? これでようやく、私たちのアナタたちの差が分かった?」

 

「が、はっ……! ぐぅっ……!」

 

「ああ、良い事を教えてあげるわ。私は淫紋令呪の強化と淫紋隷呪のスキル習得をしてるから、そこそこ強い部類に入ってるけど……今のカルデアには、私の数倍は強い人が何人もいるわよ。最終再臨を終えたマシュ、元々強い上に第三再臨を迎えたランサーのアルトリアさん、私と同じ二種類の淫紋令呪を持ちながら私より再臨の進んでいるジャンヌ・オルタさん……それぞれの強みは違うけど、この三人に比べたら私なんてまだまだなんだから!」

 

 ヒロインXの両腕と両脚に霊基遮断のバングルを取り付けて彼女を達磨状態にしたクロエは、軽い雑談を楽しんだ後で二つの聖杯を手にした。彼女の代わりにヒロインXの相手をすることとなったジャンヌ・オルタは、四肢の消えた体を抱きかかえてクロエと共に部屋から出て行く。

 

「クロエ、聖杯は頼んだわよ。指令室まで届けて頂戴ね」

 

「は~い! 終わったら、私もすぐに合流しますね!」

 

 ヒロインXの部屋の前で別れた二人は、それぞれの目的の地へと歩み出した。クロエは指令室に聖杯を届けに、そしてジャンヌ・オルタは……

 

「……さあ、そろそろまどろっこしいのは終わりにしましょう。アンタも悪夢から目覚める時が来たのよ」

 

「な、何をする……? 私をどうするつもりだ……?」

 

「えぇ? ……そんなの決まってるじゃない――♡」

 

 震える声で問いかけて来たヒロインXに対し、オルタは今までとは違う意味合いの笑みを浮かべながら振り返った。冷酷でありながら情欲を帯びたその微笑みにゾクリとした震えを感じるヒロインXは、次いでオルタが発した言葉に意識を奪われる。

 

「これから、ご主人様の所に行くのよ……♡ そこでようやく、アンタもアタシたちの仲間入りをするってわけ……♡ ホント、やっとのことって感じだわ……♡」

 

 熱を帯びたオルタの声に再び体を震わせたヒロインXは、その言葉の意味に気が付くことも無く運ばれて行く。そうして、カルデアのマスターの私室まで運ばれた彼女は、僅かな緊張感と共に何処か懐かしい感覚を覚えながらその内部へと連れ込まれたのであった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

侵食する現実・急(謎のヒロインX)

 

 秘密を抱えていたのは自分だけでは無いのだと、ヒロインXは知った。少なくとも、カルデアのマスターが自分に隠していることが一つはあった。この部屋の存在がそれだ。彼の私室に存在しているこの部屋は、何のために存在しているのかは知りはしない。だが、全裸になったジャンヌ・オルタとその下腹部に輝く紅い淫紋令呪を見れば、普通の工房では無いことだけは理解出来た。

 この部屋に入った瞬間から、彼女の淫紋令呪はあの様に変わった。であるならば、それはこの部屋の何かが引き起こす現象ということになるはずだ。霊基を拘束するバングルを外され、四肢を取り戻したヒロインXは、同時にこの部屋の中に蔓延する瘴気の様な物をたっぷりと吸ってしまったことに表情をしかめた。

 

「ああ、毒では無いから心配しないで頂戴。体から力を抜く効果があるだけよ。無駄に抵抗して、ご主人様の手を煩わせたくは無いからね」

 

 ジャンヌ・オルタのその言葉通り、ヒロインXの体は殆ど力が入らなくなっていた。かろうじて身動きは出来るが、これでは戦闘はおろか立って歩くことも厳しそうだ。

 であるならば、これはカルデアのマスターと自分を引き合わせるための安全措置というものなのだろう。オルタやクロエがそうであった様に、ヒロインXも今から彼に抱かれる運命にあるということだ。しかし、それを理解してもヒロインXに焦りはない。何故なら、自分の体のことをしっかりと分かっているからだ。

 魔術によって拡張され続けた膣と肛門は、魔術を行使して膨張させたソロモンの肉棒でしか満足出来ない。いくらカルデアのマスターが巨根であろうとも、自分の雌穴はまさに規格外の緩さを誇っているのだ。性交をしたとしても感じることなど出来ない。

 無駄、無意味……そんな言葉が相応しい行為をカルデアのマスターは行おうとしている。ヒロインXは、内心では彼のことを嘲笑っていた。

 

「ふふ……随分と楽しそうね。アンタもご主人様に抱かれるのが楽しみになって来た?」

 

「はっ! そうとも言えるだろうな……! 無能なあの男が無意味な行動を起こす姿を特等席で見れるのだ、楽しみと言えば楽しみだろう」

 

 ジャンヌ・オルタの言葉にも自信あり気な返答をするヒロインX。彼女たちはどちらもが妖しく微笑んだまま、お互いの瞳を見つめ合っている。それは互いが互いの思惑を理解し、相手の思惑が主の手によって裏切られることを理解しているが故の微笑みだ。

 そうして、時間が少し過ぎた頃、ようやくカルデアのマスターが姿を現した。既に準備は整っており、全裸で大きく膨れ上がった肉棒を曝け出しながら彼は部屋に入って来る。彼の姿と肉棒を目にしたオルタとヒロインXは、それぞれの反応を見せつつ彼を迎え入れた。

 

「ご主人様……♡ ご命令通り、ヒロインXを捕縛して参りました♡ 既に下準備も終えてありますので、すぐにコトに移れるかと――♡」

 

「ありがとう、オルタ。助かったよ」

 

「あはぁ……♡ んっ、ふぅ……♡」

 

 うっとりとした視線と声でマスターへと報告を行ったオルタは、そのまま彼と唇を重ね合わせてじっくりと舌を絡め始めた。熱いキスの快感に瞳は潤み、手は自然と彼の肉棒へと伸びかけるも、すんでの所で彼女は自分の手を引っ込める。

 今宵の主役は自分では無い。ベッドの上で寝転がる、愛を知らぬ哀れな少女なのだ。そのことを肝に銘じているオルタは、主に不必要な面倒を掛けることを避け、褒美のキスを受け取った後でさっと部屋の隅へと移動してことの成り行きを見守り始めた。そんなオルタから視線を外し、ヒロインXへと向き直ったカルデアのマスターは、真剣な眼差しを彼女に送りながら噛み締める様な口調で語り出す。

 

「ようやくだ……! 本当はもっと早くこうしたかった。こうするべきだったんだ……! お陰で、余計な苦しみを味わわせることになった……でも、それも今日で終わりだ」

 

「ははん……? 粗チンマスターはそんなに私のことを抱きたかったんですか? なら、遠慮なく抱けば良いじゃないですか。でも……ソロモン様のおちんぽと自分のちっぽけなちんぽの差にショックを受けたりしないで下さいね?」

 

「っっ……!」

 

 マスターの言葉を嘲笑ったヒロインXは、そのまま両手を伸ばして自分の性器を開いてみせた。両側から左右に性器を引っ張れば、簡単に膣内が露になり、際限なく広がり続ける。あまりにも無残でグロテスクなその光景に、カルデアのマスターは表情をしかめた。

 

「ほら……♡ 貴方の糞ちんぽを挿れてみて下さいよ……♡ それで、自分が如何にちっぽけな雄かを理解して、ソロモン様には敵わないって事実をじっくりと噛み締めて下さいね……♡」

 

 筋肉隆々とした男の腕すらも咥え込めそうなほどに広がってしまったヒロインXの膣口。それは卑猥と言うより、惨いと言うべき体だった。女性としての尊厳や子を成す器官を玩具として扱われ続けたヒロインXの姿にカルデアのマスターは悲しみと怒りを覚える。

 だが……その感情は今は捨て去ろう。今、最も重要なことは、ヒロインXを解放することだ。そのために必要な行為を行うべく、彼は自分もまたベッドの上に乗り、ヒロインXの大きく開いた脚の間へと身を置く。そして、そそり立つ肉棒を彼女の股間へとあてがい、そのまま腰を突き出した。

 

「くっ、っっ……!」

 

 自分の内部に入り込んで来た肉棒の感触に表情をしかめるヒロインX。しかし、それはほんの一瞬のことだった。深くまで腰を突き出し、ヒロインXの膣内を潜り込ませたマスターであったが、それでも彼女の拡張されきった膣を刺激することは叶わなかったのだ。ほぼほぼ性的な快感を感じず、それどころか何の感触も得られない性交の結果に鼻を鳴らし、ヒロインXはマスターを嘲笑い始める。

 

「はっ! やはりこうなりましたね! 所詮、貴方程度の男が何をしようともソロモン様には敵わないのですよ! あはははははは……!」

 

 部屋の中にヒロインXの笑い声が響く。勝利を確信し、これ以上の行為を無意味なものと断じることが出来た彼女は非常に上機嫌であった。カルデアのマスターは無言かつ微動だにせずそのまま硬直し、ヒロインXの嘲笑を甘んじて受け入れている。ヒロインXはそんな彼を更に侮蔑し、何と無様な雄だと嘲笑い続けていた。

 

「ほら? どうしました? もうお終いですか、雑魚ちんぽマスター? きゃははははっ!!」

 

 狂喜乱舞して嗤い続けるヒロインX。そんな彼女に何も言葉を返さず、マスターはただ俯いていた。信じていた主の敗北を見て、ジャンヌ・オルタがどの様な表情を浮かべているのかが気になったヒロインは、視線を彼女の方向へと向けてその様子を探る。

 動揺しているのだろうか? それとも、主に失望しているのだろうか? どんな悪感情をカルデアのマスターに抱いているのかとジャンヌ・オルタの反応を楽しみにしていたヒロインXであったが、彼女の目に映ったのは未だに笑みを絶やさずに自分のことを見つめ続けているオルタの姿だった。

 

「ごめんなさ~い、遅くなっちゃいました~!」

 

「ああ、クロエ。丁度良かったわ、今から最高に楽しい物が見れるわよ……!」

 

 ジャンヌ・オルタの余裕は、聖杯を管理室に届けたクロエを迎え入れる時の様子にも表れている。何も焦ることはなく、それどころか今の状況がまったくもって予想通りだと言わんばかりの表情を浮かべるオルタは、まるでスポーツ観戦でもしているかの様にヒロインXとマスターのセックスを見守っているのだ。

 一体、何が彼女の余裕を作り出しているのだろうか? 純粋な疑問を胸に抱くヒロインXは、意識をジャンヌ・オルタへと集中させていた。しかし、そんな彼女の耳に低く小さな声で呟いたマスターの言葉が届く。

 

「……聖槍、抜錨……!」

 

「は……? あぁあぁあぁぁあぁぁあぁっっ!?」

 

 意味有り気なマスターの呟きに眼を見開くヒロインX。次の瞬間、彼女は大きく仰け反りながら嬌声を叫んでいた。緩んだ膣から愛液を噴き出し、ぱくぱくと魚の様に口を開閉させるヒロインXは、自分が一瞬の内に絶頂してしまったことに驚きを隠せないでいる。

 肉棒は膣壁にも衝かず、子宮を圧された覚えもない。なのに、どうして自分は達してしまったのか? その答えは、彼女の膣内を巡る魔力にあった。

 

「あが、あぁあぁあぁあっっっ♡♡♡ なに、この魔力はぁっっ♡♡♡ おまんこのなか、こそぎまわってぇっっ♡♡♡」

 

「あ~……♡♡♡ ご主人様の聖槍ちんぽを食らっちゃったみたいね♡♡♡ あれ、すっごく気持ち良いからああなるのも納得だわ……♡♡♡」

 

「しかも、アイツの穴はがばがばに広がってる……穴の面積が大きい分、回転する魔力が膣壁を擦る面積も当然多くなる。そうなれば、私たちが知っている快感以上の快感を味わうことになるわね……♡♡♡」

 

「ひぎぃいぃいっっ♡♡♡ 聖槍……? 魔力の回転……? そんな情報、聞いたことは――はひぃいぃぃいっっ♡♡♡」

 

 聞き慣れない単語と味わったことの無い快感に戸惑うヒロインXは、断続的に与えられる快楽を前に前後不覚になるしかなかった。広がった膣内の壁を全て擦られる感覚に舌を放り出して喘ぐことしか出来ないでいた。

 激しく強い快感が渦を巻き、膣壁と襞を余すことなく責め上げる。時に荒々しく、時に丹念に、緩急をつけて膣内を刺激する濃厚な魔力は、ヒロインXの意識までもを同時に削り始めていた。

 肉棒で突かれている訳でも無いのに絶頂を続けてしまうヒロインXは、瞳から涙を流しながらこの恐ろしい快感に打ち震えている。そして、この状態でカルデアのマスターがピストンを始めた時のことを考え、ガタガタと震えながら彼に懇願を始めた。

 

「おねがいぃぃっ♡♡♡ しましゅぅうっっっ♡♡♡ おまんこっ♡♡♡ つかないでぇっ……♡♡♡ くるうっ♡♡♡ くるってしまうっっ♡♡♡ このちんぽでつかれたらっ♡♡♡ わたしはめちゃくちゃになってしまいますぅっっ♡♡♡」

 

「あらあら……♡ ついさっきまで雑魚ちんぽだとかその程度の男だとかの単語を口走ってた女とは同一人物とは思えない程しおらしくなっちゃって……♡♡♡ どうってことは無いんでしょ? なら、ご主人様の聖槍ちんぽで思いっきりそのガバマンを掻き回して貰えば良いじゃない……♡♡♡」

 

「ごめんなひゃいぃぃいぃっっ♡♡♡ あやまりますうっっ♡♡♡ ていせいしますぅっっ♡♡♡ だからおまんこつかないでぇ……っ♡♡♡ わたしのおまんこを、いじめないでくださいぃぃっ♡♡♡」

 

 首を振り、謝罪の言葉を口にしてマスターへと許しを請うヒロインXは、泣きじゃくる子供の様に弱々しい姿を晒していた。暴力的なまでの快感に全身を支配されている現状でも辛いのに、これ以上の快楽を押し付けられたとしたら自分は完全に壊れてしまう。そんな確信にも近い恐怖感が彼女の身を包み、誇りを始めとした何もかもを捨てさせての謝罪にまで至らせているのだ。

 ガタガタと震えるヒロインXの緩い膣からは、幾度となく潮が噴き出している。魔力の回転に伴って渦潮の様に渦巻きながら噴き出すそれは、マスターの腹と腰をびちゃびちゃに濡らしてしまっていた。

 かつての、そして今までの様子から打って変わって怯える子犬の様になってしまったヒロインXの姿を細めた目で見つめる。彼の胸中を何も理解出来ないヒロインXは、その眼差しに恐怖を感じることしか出来ない。やがて、自分へと手を伸ばして来たマスターの行動に心臓の鼓動を大きく響かせ、恐怖感と共に眼を閉じてブルブルと震えていると――

 

「……大丈夫だよ、X。俺はXを壊す様な真似はしないから……ほんの少しだけ、我慢してね……!」

 

「え? あ……?」

 

 背と後頭部に触れる温かで柔らかい感触。それがカルデアのマスターの掌であることに気が付いたヒロインXが瞳を開ければ、視線の先には真剣な眼差しで自分を見つめている彼の姿があった。真摯に、そして丁寧にヒロインXのことを扱うマスターは、寝転がっている彼女の体を引き起こし、自分の腰の上にヒロインXを座らせる対面座位の体位へとお互いの体勢を移行した。

 

「な、なにを、する気、ですか……?」

 

「少し辛いかもしれないけど、すぐに慣れるよ。最初のほんの数秒だけ我慢してね」

 

「ひっ……!?」

 

 マスターと向かい合う形で言葉を交わし合うヒロインXは、自分の膣内で渦巻く魔力の猛々しさが一段と極まったことに小さな悲鳴を上げた。濃く強い魔力が荒々しい竜巻となって膣内で渦巻いていることを感じ取り、歯をカチカチと鳴らして恐怖に怯える彼女をなだめる様に摩りながら、カルデアのマスターは合図と思わしき言葉を口から発する。

 

「行くよ、X」

 

「ひっっ!? ひぃいぃいぃぃいぃいいんんっ♡♡♡ ひくぅうっっ♡♡♡ んひぃいぃいぃぃいぃぃぃいぃいっっっ♡♡♡」

 

 マスターの言葉と同時に魔力の竜巻が暴風となってヒロインXの膣内で荒れ狂い始めた。緩急をつけるやり方ではなく、ただただ強くヒロインXの膣壁を削る様に渦巻く魔力の奔流は一瞬で彼女を絶頂の頂へと何度も押し上げてしまう。

 嬌声を上げ、涙と涎を垂れ流しながら体を痙攣させるヒロインX。だが、この行為の真の目的はただ彼女を感じさせることでは無い。ヒロインXは、そのことを身を以って知ることとなる。

 

「おっっ♡♡♡ おぉおぉぉおぉっ♡♡♡ おまんこ、がぁっっ♡♡♡ し、まるぅうっっっ♡♡♡ まりょくに、ひっぱられてっっ♡♡♡ しまるぅうぅぅぅっっ♡♡♡」

 

 なんと、渦巻く魔力が内側へと収束していくと同時に、ヒロインXの緩んでいる膣がその魔力に引っ張られて元の狭さを取り戻し始めたのだ。ソロモンに拡張された雌穴が段々と修復されていくことを感じながらも、ヒロインXはただその圧倒的な快楽に涙を零すだけで何も出来ない。そうこうしている間にも、彼女の膣は魔力の渦に引っ張られて狭められていき、そして――

 

「あ、あぁぁ……♡♡♡ お、おまんこ……♡♡♡ 戻ってしまいました……♡♡♡ 元の大きさに、普通のおまんこにされてしまった……♡♡♡ ソロモン様に躾けられたガバガバおまんこじゃあなくなっちゃった……♡♡♡」

 

 ほんの1分程度の時間で、ヒロインXの膣は人外の緩い性器では無くなってしまった。魔力に引き寄せられ、新たにたった今、挿入されている肉棒にジャストフィットする大きさにまで狭められた、普通の性器にまで再開発されてしまっていた。

 ぴっちりと締まる膣の肉がカルデアのマスターの肉棒の熱さや雄々しさを伝えて来る。もう魔力の回転は収まっているのに、ただ嵌められているその肉棒の感触を味わうだけでヒロインXは達し、そして失禁までしてしまう。

 

(うそ……? ソロモン様とのセックスで感じてた苦しさが一切ない……♡ ただ甘くて、熱くて、とても気持ち良いだけ……♡♡♡ この肉棒の感触を永遠に感じていたいと心の底から思ってしまうなんて……♡♡♡)

 

 人外の域にまで膨張されたソロモンの肉棒を受け入れる時、ヒロインXは少なくとも多少の苦しみを感じていた。それはある意味では当然のことで、彼女の肉体を繋ぎ止めようとしたソロモンにとっては当たり前の現象ではあったのだ。

 しかし、カルデアのマスターはその拡張されたヒロインXの膣を逆手に取った。緩み切った膣を強引に自分のペニスの大きさに収束させることで、最初の挿入から速攻で彼の肉棒に相応しい膣へとヒロインXの性器を作り変えることに成功したのである。普通、淫紋令呪の効果で巨根となったマスターの肉棒を初めて受け入れる際には多少の無理は必要なのだが、ゆるゆるになっていたヒロインXの膣はその苦しみを一切味わうことをさせず、ただ彼の肉棒専用の性器へと変容することが出来たのだ。

 

 これによりヒロインXの膣が元通りになった上、ソロモンとの圧倒的な差が生まれることとなった。どちらもヒロインXの膣を自分の肉棒に相応しい形に変える為に行動したが、その際に与えられた感覚は両者で真逆なのだ。

 ソロモンは狭いヒロインXの膣を無理矢理拡張すべく、股を裂くほどの快感を長きに渡って与え続けた。強引に心を折り、自分の躰が変化していく様を見せつけて絶望させ、そうして淫紋令呪を植え付けた上でヒロインXを陥落させた。そこに至るまで彼女は快楽を一切感じることはなく、ただただ淫紋令呪の効果によって自分の体を開発されたことを幸せに感じるだけだったのだ。

 しかし、カルデアのマスターは違う。彼はヒロインXの体を快楽と共に再開発した。痛みを与えることなく、強い快楽を以って彼女の体を元に戻したのだ。確かに辛いと感じることもあったが、痛みでは無く快楽による苦痛は終わってしまえば大した心の傷にはならない。それどころか、元の自分の体に近しい状態に戻されたことを考えれば、必要な苦しみだったと割り切ることも十分に出来る。

 

 分かり易くソロモンとカルデアのマスターの行動を表記してみよう。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 どちらも使用した魔術は一つのみ。条件はほぼ互角……ならば、女の心がどちらに傾くかなどは自明の理だろう。

 

「もど、った……♡ ソロモン様に無茶苦茶にされた霊基を、治して貰えた……♡♡♡ ソロモン様のデカちんぽ専用ガバマンから、カルデアのマスター専用のおまんこにされてしまった……♡♡♡」

 

 ヒロインXの頭の中では電撃が弾けていた。主に仕立て上げてもらった体を破壊されたことを苦しむ気持ちと普通の体に戻れたことを喜ぶ気持ちがぶつかり合い、火花を散らしているのだ。前者は淫紋令呪の効果によって植え付けられた偽りの気持ちであり、後者こそがヒロインX自身の本当の思いではある。しかし、今の狂った彼女ではどちらが自分の真の思いなのかを判断することが出来ない。だからこそ、彼女は苦しみ続けているのである。

 次はその苦しみを取り除かなければならない。自分のすべきことを理解しているカルデアのマスターは、優しくヒロインXの体を抱き締めて自分の腕の中へと引き寄せる。困惑し、小さな嗚咽を漏らす彼女の顔を間近にしながら、マスターはゆっくりとした動きで腰を跳ね上げ始めた。

 

「んうっ♡ んあっ♡ あぁっ♡ はぁぁっっ♡」

 

 リズミカルな動きで腰を突き上げ、ヒロインXの膣を肉棒で刺激するマスター。その動きには激しさはなく、今までの強い快感とはまた違う甘い気持ち良さにヒロインXは表情と声を蕩けさせる。快感を押し付けるのではなく、存分に味わえる様にゆったりと愛される喜びは、彼女の疲れ切った肉体と精神にじわじわと染み込んでいた。

 緩く、しかししっかりとした手つきで抱き締められることがどうにも心地良い。優しくされていると同時に二度と離さないと行為で主張されている様で、目の前の雄が自分を求めていることが触れている手からはっきりと感じられてしまうのだ。

 義務的な行為ではなく、雄が自分を求めての性行為……誰かに望まれて愛されることの快楽を初めて知ったヒロインXは、この甘美な快楽に声を弾ませて嬌声を上げ続けている。

 

「くぅっっ♡ あぁっ♡ そこはっっ♡ よわひぃっっ♡」

 

 マスターの肉棒の形となった膣の感じる部分を一つ一つ丁寧に刺激される度、ヒロインXの脳内には電撃が舞っていた。仰け反り、喘ぎ、叫び声を上げる度、マスターは腕に力を込めてヒロインXとの物理的な距離を縮めて来る。ヒロインXはもう、彼の腕の中に誘われることを不快に感じることは出来なくなっていた。それがソロモンへの裏切り行為だと知りながらも、マスターの与えてくれる快楽を味わうこと以外に何も考えられなくなってしまっていたのだ。

 

「あぁあぁぁっっ♡♡♡ イっ、くぅうぅうぅぅっっ♡♡♡」

 

 そうして、優しく甘いセックスの果てに彼女は達した。口と目を大きく開き、涎と涙を零し、体を大きく仰け反らせて硬直しながら、言い訳の出来ない深いアクメを迎えることとなった。意識を蕩けさせる甘い快感に身を委ね、連続して訪れる幸福感に心を疼かせるヒロインX。しかし、同時に彼女はソロモンへの罪悪感を胸に抱くこととなる。

 

「あ、ぁ……♡ イって、しまった……♡♡♡ カルデアのマスターの手で、イかされてしまった……申し訳ありません、ソロモン様……」

 

 主の手で広げられた膣はもう憎むべき敵の肉棒の形に変えられてしまった。その上、その敵に抱かれて性的な絶頂を迎えてしまった自分は、ソロモンに対してどう顔向けすれば良いのだろうか。恥知らずにも愛液と膣襞をマスターの肉棒に絡ませる自分の性器は、喜びと快楽に満ち溢れた様子で彼へと甘える様に擦り寄っている。気が付けば、ヒロインXはマスターに抱きしめられる形で体を寄り添わせていた。それもまたソロモンに対しての罪悪感を駆り立て、未だ僅かに残るカルデアのマスターへの敵愾心を燃え上がらせることになる。

 9割、ヒロインXは堕ちている。残りの1割を支えるのは長きに渡って植え付けられている淫紋令呪の暗示によるソロモンへの忠誠心のみだ。主を裏切り、敵に屈する訳にはいかないと弱った心を奮い立たせるヒロインXであったが、具体的な行動は何も起こすことは出来ない。

 そして……そんな彼女の様子を見て、頃合いだと判断したジャンヌ・オルタとクロエは、ヒロインXを狂わせている最後の障害を破壊すべく、行動を開始した。

 

「……まだ頑張るのね。あんなに可愛く鳴いて、とっても気持ち良さそうにイったっていうのに……♡」

 

「黙れ……! 私は、貴様らには屈しない……! 私の主は、ソロモン様一人だけだっ!」

 

「ふ~ん……まあ、良いわ。そんなことより、何か変だとは思わないの?」

 

「なに……?」

 

 唐突にクロエが口走った言葉に眉をひそめるヒロインX。そんな彼女に対して、今度はジャンヌ・オルタが口を開く。

 

「例えば、そうね……アナタがソロモンに送り込まれていたスパイだってことが何時露見したのか? とか、どうして今日一日中、ずっと卑猥な幻覚が見え続けていたのか? とか……」

 

「なっ!? ど、どうしてそれを……?」

 

「他にも……どうしてアナタしか隠し場所を知らない聖杯を私たちが手に入れられていたのかとか、何で自分のおまんこの弱い部分をご主人様が知り尽くしているのとか、不思議に思うことは多々あるんじゃないの?」

 

「っっ……!?」

 

 ジャンヌ・オルタとクロエの言葉を耳にしたヒロインXはようやくそれらの不可解な現象についての違和感を感じることが出来た。今まで快楽によって余裕を奪われていたために考えを巡らせることが出来なかったが、よくよく考えてみればどうにも不可解なことばかりだ。

 前者二つの疑問はまあ良いとしよう。しかし、後者二つの問題に関しては本当に理解が出来ない。聖杯を収納していた礼装の解除方法は自分しか知らないはずだし、そもそもヒロインXの部屋に礼装があることすらジャンヌ・オルタたちが知る由は無いのだ。聖杯の魔力も完璧に消していたはずだし、バレる訳が無い。なのに、彼女たちはどうにかしてその在処を見つけ出し、礼装の解除も行ってみせた。

 加えて今までのセックスで、カルデアのマスターは的確に自分の弱点を突いていた。何処をどう責めればヒロインXが感じてしまうのかを完璧に理解した性交を行ってみせた彼の手腕にも疑問は残る。これらの問題点は、一体どういう理論に基づけば解決するのだろうか?

 

「ふふふ……♡ 今からその答えを教えてあげるわ♡ きっと驚くでしょうけど、それが真相だってことはアナタにだって分かるはず……しっかりと見るのよ、ヒロインX……♡♡♡」

 

 意味深な言葉を口にしながら、ジャンヌ・オルタが手を振って合図を送る。祖の合図を受けたクロエが何処からか用意して来た機械のスイッチを入れれば、ヒロインXの前に立体映像が浮かび上がり始めた。

 そして……その映像を見たヒロインXは、ジャンヌ・オルタが言った様に眼を見開いて驚愕することとなる。

 

『ああぁぁぁああぁぁあぁあぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁあぁっっ♡♡♡ イクぅぅうぅぅうぅぅうぅぅぅぅぅっっっっ♡♡♡ またイキますぅうぅうぅっっ♡♡♡』

 

 映像には、カルデアのマスターに抱かれる一人の女性の姿が映し出されていた。後ろから彼に抱かれ、肉棒を膣に激しく打ち付けられている彼女の表情は淫らに歪み、全身が小刻みに震えて絶頂を繰り返していることが分かる。

 マスターに抱かれる女性は、自らも激しく腰を振って快感を貪ろうと必死になっていた。愛液を噴き出し、乳首を硬く勃起させて、セックスの快感に酔いしれていた。まるでそれが当然のことの様にマスターに体を差し出している女性は……紛れもなく()()()()()()()自身だった。

 

「こ、これは……? 何が、どうして……?」

 

『マスターぁっっ♡♡♡ 次はお尻っ♡♡♡ お尻に下さいっっ♡♡♡ 私のお尻をぶっといおちんぽでほじほじしてくらしゃいぃっっ♡♡♡』

 

 膣から引き抜かれた肉棒に熱を込めた視線を送り、媚びた様子で尻を振って快楽を強請る自分自身の姿に愕然とするヒロインX。映像の中で自分を抱く男のことを主と呼んで性交を繰り広げる恥知らずな裏切り者の姿を首を振って否定しようとする彼女であったが、じわじわと湧き上がる謎の感触が徐々に彼女に現実を認めさせ始めていた。

 

「わかるでしょう? これは作り物なんかじゃないの。これは紛れもなく過去にあったことよ。この映像は、ご主人様に抱かれるアナタの姿を記録した物なの」

 

「あ、あぅ、あぁ……!?」

 

「ふふっ……! どうやら段々と理解……いえ、()()()()()来たみたいね。でも、まだ完全ではない……仕方が無いからアタシたちが改めて説明してあげるわ。よ~く聞いて、そして全てを思い出しなさい」

 

 機械の操作を終えたクロエを迎えつつ、ジャンヌ・オルタが黒い笑みを浮かべる。じわじわとヒロインXとの距離を詰めながら、彼女たちは自分たちがこれまで遂行して来た作戦の全容をヒロインXに語り出した。

 

「アナタの異変にはすぐに気が付いたわ。どんなに上手く隠したとしても、僅かな違和感は見え隠れするもの――それが実際の自分自身と大きく違うのなら尚更のことよ」

 

「メディカルチェックの結果と普段の行動の違和感、それらを繋ぎ合わせれば馬鹿でもアナタが正常な状態ではないことに気が付く。精密検査の結果で、アナタのおまんこはがばがばになってることもわかった。なのにアナタは平然とした様子で生活してる……これは幾らなんでもおかしいでしょう? その時点でもう、アナタへの疑惑は固まっていたのよ」

 

「でも、その時点でのカルデアにはアナタを元に戻す手段がなかった。だから、その方法を模索しつつ、アナタの行動に眼を光らせていたわけなんだけれども――」

 

「っっ……!!」

 

 妖しく光る4つの瞳。ジャンヌ・オルタとクロエの眼は桃色に光り、淫靡に輝いてヒロインXを見つめていた。

 二人は愉快気に微笑みながら愛らしくて堪らないと言った様子でヒロインXの頭を撫でる。そして、そのまま話を続けた。

 

「ランサーであるアルトリア・ペンドラゴンの第三再臨。それによる恩恵を受けたご主人様は新しいスキルを入手した。それが、アナタがさっき味わった聖槍ちんぽよ。一見ふざけている様な効果だけど……でも、凄く気持ち良かったでしょう?」

 

「実体がない魔力の渦ならば自由にその大きさを操れる。どんなガバマンでも……いいえ、ガバマンだからこそより強い快楽を味わうことになるの。これでアナタを感じさせる方法は見つかった。でも、ご主人様はそれだけじゃ満足することは無かったの」

 

「え……?」

 

「ご主人様はね……()()()()()()()()()()()()()って考えたのよ。最悪な男の自己満足によってグロテスクな体にされたアナタを元の姿に戻したいって思った。だから、ご主人様は自分の体力と魔力の負担を覚悟しつつ、新たに得た『最果てに輝ける槍(ロンゴミニアド)』のスキルを鍛錬することで、魔力を自在に操ることを可能にした。それによって、アナタの膣を自分の肉棒の大きさにまで収束させることが可能になったのよ」

 

「簡単に話してるけど、これって凄く大変なのよ? 作戦会議やトレーニングを繰り返しつつ、カルデアの修復にも勤しむ傍らで女英霊の相手をする。そして、その中で魔力と体力を膨大に消費してスキルを発動しつつセックスを行う。英霊の数が増える毎に休む時間は減っていくのに、更にその上で自分自身に負担を掛けたの。勿論、的確な体調管理も行ってはいたけどね」

 

「な、なぜ……? どうして、そんなことを……?」

 

「……そんなの決まってるじゃない。ご主人様は、アナタのことを大切に思っているからよ」

 

「っっ……!?」

 

 平然と、なんてことの無い口振りでジャンヌ・オルタが口にした言葉。それを耳にしたヒロインXはビクリと体を震わせて反応を見せる。

 大切に思う、その一言がどうしようもなく彼女の心を揺さぶった。それと同時に自分を抱きしめるマスターの腕にも力が加わったことで心理と物理のどちらでもマスターの思いを感じ取ることになったヒロインXは、自分の心臓の鼓動が早くなっていることを感じていた。

 

「アナタを正気に戻す方法とアナタの霊基を元に戻す手段は見つかった。後はアナタを抱いて、ソロモンの呪縛から解放するだけ……だけど、そこで私たちは敢えてアナタを泳がせることにしたの。中途半端な状態でアナタを動かすことで、ソロモンに囚われている他の女英霊たちにも楔を打ち込むことが出来ると考えたから……」

 

「でも、ご主人様はその作戦に反対したわ。目の前で苦しむアナタを一刻も早くソロモンの手から取り戻したかった。それに、作戦が失敗すれば、折角助け出せるはずのアナタをみすみすソロモンの下に返すことになる……だから、妥協案を出してそれに乗っかることにした。ある程度の安全性を保ちつつ、ソロモンに捕まっている女英霊に希望を与えられる作戦を組み立て、そうしてそれは行われたわ」

 

「その第一段階としてアナタはご主人様に抱かれた。その記憶が無いのは、淫紋令呪の命令で記憶を消去されたからよ」

 

「ま、待てっ! もしそうだとしたら、私の淫紋令呪の主はカルデアのマスターに切り替わっているはずだ! だが、私の淫紋令呪の主はソロモン様のまま! ソロモン様も違和感を抱くことはなかった! そんなことはあり得ないはずだ!」

 

「ふふふっ……! そうね、普通ならそうよね……! でも、その問題を解決出来る答えは、さっきからずっとアナタの目の前にあるのよ?」

 

 意味深にジャンヌ・オルタが笑う。隣のクロエも同様の笑みを浮かべ、ヒロインXのことを試す様にして視線を送っている。彼女たちが嘘を付いていないことはヒロインXもなんとなく理解していた。ならば、一体どうやって魔術王であるソロモンを騙してヒロインXを陥落させることが出来たのか? その答えを先ほどからずっと目にしているという言葉に引っかかりを得たヒロインXは暫し考えを巡らせ、自分を見つめる二人の女性たちを見つめ返し……そして、気が付く。

 

「あっ……!?」

 

「あはっ♡ 気が付いたみたいね♡ そうよ、本当に単純なことなのよ……♡♡♡」

 

 直感的な閃きを得たヒロインXは唖然とした様子で二人の顔を交互に見つめている。これは確かに単純だが、自分もこの状態になるまでは一切考え付かないことだ。その答えを導き出したヒロインXの真横で、ジャンヌ・オルタが改めてその解答を口にする。

 

「そう……アナタのそのガバマン霊基は、確かにソロモンの物よ。そっちを弄っちゃったらあのバカでも流石に気が付くでしょう。だから……私たちはもう一つの霊基をアナタに与えることにしたのよ」

 

「淫紋隷呪……!? それを、私に刻んで……!!」

 

「ご明察。今のアナタには霊基が二つあるの。一つはソロモンを主とするガバマンの霊基。もう一つは既にご主人様に陥落済みの霊基。つまり……淫紋令呪の主はソロモンでも、淫紋隷呪の主はご主人様ってこと♡」

 

「後はもう分かるわよね? 淫紋隷呪の効果で記憶を消し、一定の条件が整った場合のみ既に陥落済みのアナタの霊基と記憶を呼び出す暗示をかけて、カルデアはアナタを泳がせ続けた。ご主人様に何回も抱かれたから気持ち良い場所は知り尽くされてるし、聖杯の場所も礼装の解除方法も全部アナタが私たちに教えてくれたことなのよ」

 

「表面上は忠誠を誓っている暗殺者(アサシン)のアナタの姿を見れば、ソロモンは自分の作戦が上手く行っていると信じて疑わない。内側に眠るご主人様の雌奴隷(スレイヴ)になっているアナタのことなんて気が付きもしない……そうして、私たちは自分たちの作戦の準備を整えた。そして、全ての準備が終わった今、こうしてアナタを完璧に取り戻すことにしたのよ」

 

「分かる? アナタはもう、とっくにご主人様の女になってるの。何回も何回も抱かれて、何百回とイかせて貰ってるの。アンタは、カルデアのサーヴァントに戻ってるの。記憶を消されてただけで、もうアンタのご主人様はソロモンじゃ無くなってるの!」

 

「あ、あ……ああぁあぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?!?」

 

 ジャンヌ・オルタの言葉を耳にした瞬間、ヒロインXは全てを思い出した。記憶の奔流に流されながらも、自分はもう何度もこうしてマスターと肌を重ねていることを思い出した彼女は、叫び声を上げてその衝撃に頭を抱える。

 マスターは、そんなヒロインXを優しく抱きしめたまま歯を食いしばっていた。やがて、彼女の叫び声が治まった頃、マスターはヒロインXに謝罪の言葉を口にする。

 

「ごめん、X……本当はもっと早く君を助け出したかった。そうすべきだったんだ。俺がそうしなかったせいで、何度もソロモンに抱かれることになって……!」

 

「マスター……」

 

「……苦しかったでしょ? 辛かったよね? でも、もう心配いらないから……! もうソロモンの所に戻る必要は無い! ソロモンを主だなんて呼ぶ必要は無い! 君のマスターは俺だ! ヒロインX……俺の女になれっ!!」

 

「!?!?!?」

 

 余りにもストレートな告白に胸をときめかせたヒロインXは、マスターの肉棒を咥え込んでいる膣をびくびくと震わせて喜びの感情を示す。そうして、全てを思い出した記憶と共に自分の二人の主のことを思い返せば、その答えなんて考えるまでもなかった。

 

 片方の男は自分の異変に気が付いた。自分が本当の自分では無いことに気が付き、他の男の手が加わっていることに気が付いてすぐに行動を起こした。だが、もう片方の男は何も気が付かなかった。段々と自分の女の心が奪われつつあることをこれっぽっちも気が付かず、自分のことを真正面から見ようともしなかった。

 

 片方の男は自分の体を正常に戻してくれた。快楽を与えつつ、壊れた自分を修復してくれた。もう片方の男に痛みと苦しみで壊されたこの体を癒しくてくれた。

 

 そして、目の前の彼は遠い地に居る自分の主面をしている無能と違って自分を想ってくれている。自分の不幸を嘆き、悲しんでくれた。自分を強く求め、愛してくれた。こうして自分を抱くことを心の底から喜んで、ヒロインXを自分の女にすべく全力を注いでくれているのだ。

 ソロモンは自分を抱く時に義務感しか感じていなかった。いや、それすらも感じていなかったのかもしれない。ただ気まぐれと彼の策略が一致しただけで、ヒロインXのことなどどうでも良かったのだろう。毎回気怠そうに自分の相手をしている彼の姿を思い出せば、彼の心にはこれっぽっちもヒロインXに対する愛情が無いことなどすぐにわかる。

 

 自分のことを愛してもくれない。求めてもくれない。何も与えてくれない。せいぜい痛みと苦しみだけを押し付け、ただただ玩具の様に扱って壊すだけの男。正常な思考になってしまえば、そんな男を愛せる筈が無い。そんな男に忠誠心を抱くはずも無い。そんな男と目の前に居る彼を比べれば、どちらを選ぶかなんて子供でも判断がつく。

 

 力強い腕で抱き締められ、温かい言葉を投げかけられれば心がときめく。自分が求められていると自覚すれば、女の本能が答えを出す。

 二人の主の内、選ぶのはこの青年だと……僅かに残っていたソロモンへの忠誠心は消え失せ、迷いは完全になくなった。ヒロインXは頬を染めながらマスターに抱き着き、その耳元で囁く。

 

「マスター、申し訳ありません……あの、私……今、体が物凄く火照っていて……♡ 一回や二回のセックスでは収まりが効かないと思います……♡♡♡」

 

 発情し、疼く体を持て余しながらの告白を行ったヒロインXは恥ずかしさに顔を耳まで真っ赤にした。そんな彼女の頭を優しく撫でつつ、マスターはふわりと微笑みを浮かべながら言葉を返す。

 

「大丈夫、何回でも相手するよ。むしろ大歓迎さ! ……今までずっと、ヒロインXには我慢させ続けて来たんだ。Xが満足するまで、何回でもセックスするからさ! だから一緒に気持ち良くなろう!」

 

「は、はいっっ♡♡♡」

 

 気怠いとか、面倒くさいとか、そんな負の感情を一切見せないマスターの様子にヒロインXも満面の笑みを浮かべた。そのまま互いに腰を動かし始めた二人は、甘い快感を分かち合う様にして快楽に浸り始める。

 

「んいっっ♡♡♡ あ~っ♡♡♡ ふあぁぁぁ……っっ♡♡♡ あくぅうぅうんんっっ♡♡♡」

 

 強く、それでいて優しく、下からヒロインXを突き上げるマスター。その腰遣いはヒロインXの腰を砕かせ、まともに立てなくする程の甘美さを誇っている。

 知り尽くされた弱点を突かれ、子宮を押し上げられ、改めて開発された膣をその形ぴったいの肉棒で責められれば、どんな女でも狂わざるを得ない。涎と愛液を垂れ流し、数度のピストンの度に絶頂を迎えながら、ヒロインXはマスターの背中に回した腕に力を込めて強く彼に抱き着いて叫んだ。

 

「マスターのおちんぽ、きもちいいですっっ♡♡♡ きもちいいばしょばっかりつかれて、またイって……♡♡♡ はうぅうぅぅうっっ♡♡♡」

 

 強く抱き合い、お互いを求め合いながら腰を振る。愛液が雨となって降り注ぎ、その激しさは情欲の炎をより強く燃え上がらせる。伸ばした舌と舌を絡ませ合いながら唾液をお互いの口で循環させて深く繋がり合う二人は、更に深い快感の沼へとお互いに沈んで行った。

 

「んちゅぅぅっ♡♡♡ んふぅぅっ♡♡♡ んぐぅぅっっ♡♡♡ んはぁぁあぁっっ♡♡♡」

 

 上下の口でマスターと繋がり合うヒロインXは、呼吸すらも面倒だとばかりに懸命にマスターの唇に吸い付いていた。それは膣も同じで、挿入されている肉棒に一心不乱になって襞を絡ませ続けている。

 何度も味わった主の肉棒に媚び、それが与えてくれる快楽を求め、より深い繋がりを得ようとするヒロインXは、マスターの肉棒が段々と膨れ上がっていることを感じて口の端に笑みを浮かべた。同時に自分も激しい絶頂の予感を感じ、腕と脚に力を込めてマスターから離れぬ様にしながら、その瞬間を待ち侘びたままに彼の迸りを子宮で受け入れる。

 

「うぐぁあぁぁぁああぁぁあぁぁああぁぁぁっっ♡♡♡ あづっっ♡♡♡ あづいぃいぃいぃぃぃいっっっ♡♡♡」

 

 今までの緩んでいた膣では感じられなかった精液が子宮と膣を満たす快感に打ち震え、吐き出された精液の熱さと勢いに仰け反り、マスターに強く抱きしめられている体をびくびくと痙攣させながら、ヒロインXは達した。表情はだらしなく蕩け、白目を剥くくらいに無様なのに、そんな自分のことをマスターは優しく受け止めてくれている。

 夥しく吐き出される精液を受け止める子宮は、下へ下へと降りて一滴も逃さぬ様に口を開いて熱い子種汁を飲み干そうとしていた。まるで赤子がミルクを飲み込む様にごくごくとザーメンを飲み干す自分の性器が感じる快感に笑みを浮かべながらも、ヒロインXが満足することは無い。

 

「ますたぁ……♡♡♡ もっと、ください……♡♡♡ マスターのザーメン、私にくださいぃ……♡♡♡」

 

「ああ、構わないよ。長い間待たせちゃったからね、その埋め合わせのためにも何度だって射精するさ! それに……こっちの穴も元にもどさないとねっ!」

 

「ほあぁぁぁぁあぁぁああぁぁっっ♡♡♡」

 

 体を持ち上げられ、反転させられるヒロインX。浮いた腰を震わせた彼女は、ぽっかりと開いている緩い尻穴にマスターの肉棒が挿って来たことを感じ、次の瞬間には前の穴と同様に尻穴をその肉棒に適した形に変える魔力の奔流を存分に味わうことになる。膣とはまた違う鈍く重い快感に獣の様な叫びを上げ、尻穴もまた緩い穴からマスターの肉棒を扱くための穴に変貌させた彼女は、次いで訪れた肛門快楽の前に更に無様な表情を晒すこととなった。

 

「ほっっ♡♡♡ ほぉっ♡♡♡ んほぉんっ♡♡♡ ほおぉぉっっ♡♡♡」

 

 キツく締まる穴は排泄の快感をヒロインXの脳内に押し付けて来る。生物が逆らえぬ本能的な快感は1mmの不快感も無くヒロインXの心と体に染み込んでいった。そこに加わるのは穴を穿るのに最適な剛直によるピストンの快感、抗い様の無い、抗う必要の無い圧倒的な快感。

 耐えられるはずも無い。耐える必要も無い。主に尻穴を差し出して喘ぐヒロインXは、肛門を穿られる快感を前に快楽を貪る獣となってひたすらに喘ぎ続けている。

 

「ほぉおぉおぉぉっっ♡♡♡ おっほおぉぉおぉおぉぉおんんっっ♡♡♡ んぐほぉおぉぉおぉおぉぉっっ♡♡♡ ほひぃぃいぃぃいぃぃぃいぃっっ♡♡♡」

 

 一突き毎に種付けされた精液が子宮から噴き出してしまう。後ろから乳首と乳房をこね回され、その快楽と肛門性交の快楽を味わうだけでイってしまう。何も出来ない、何も考えられない。ただ快楽を味わうことしか出来ない雌になり、この肉棒に奉仕することしか考えられなくなってしまう。

 もう自分は戻れないのだろう。自分を踏み躙り、粗末に扱った男の元には……だが、それで良い。戻る必要性など皆無だ。無謀な作戦を立て、女の変化にも気が付かない愚かな男に忠誠を誓うつもりは無くなった。これからは、元の主の下で力を振るうことだけを考えれば良い。

 

「おっほぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉっっ♡♡♡ んいぐぅううぅぅっっっ♡♡♡ ひぐぅうぅぅうぅぅぅうぅんんっっ♡♡♡」

 

 肉棒を咥え込む肛門をめくれ上がらせ、十二分に快楽を味わいながらヒロインXは咆哮をあげた。それは獣の遠吠えの様に野太く、そして力強い叫び……もしくは、快楽しか考えられぬ雌奴隷による絶頂の嬌声だろう。彼女の様子を見るに、どうやら後者の方が相応しい表現の様だ。

 口を大きく開け、そこから舌を放り出し、白目を剥いたまま肛門を穿られて喘ぐヒロインX。そんな彼女の様子を見て笑みを浮かべたジャンヌ・オルタとクロエは、両側から彼女を挟むと言い聞かせる様にして言葉を送る。

 

「これでアナタもカルデアのサーヴァントの仲間入りよ。ソロモンとの魔力交流を断ち切って、ご主人様を淫紋令呪のマスターとして認めましょうね……♡♡♡」

 

「それと……隷基の方も完璧に仕上げて貰いなさいな♡ 中途半端な雌奴隷状態だったけど、もうその必要も無いの。私たちと一緒に雌奴隷(スレイヴ)サーヴァントとしてご主人様にお仕えしましょうよ♡ ね?」

 

「おぉおんんっっ♡♡♡ ほっっ♡♡♡ ほぉおおんんっっ♡♡♡ はいぃいぃいっっ♡♡♡ 今から私はぁっ♡♡♡ マスターのサーヴァントに復帰しますぅうぅぅっっ♡♡♡ 暗殺者及び雌奴隷としてご主人様にご奉仕することを誓わせていただきますぅっっ♡♡♡ 私のイキまくりけつまんこにマスターの特濃ザーメンをぶちまけてトドメを刺してくださいっっ♡♡♡ 二つの霊基を同時に書き換えて、私のご主人様(マスター)に就任なさってくださいぃぃいぃいぃっっ♡♡♡」

 

「ふふふ……♡♡♡ 良いお返事ね♡♡♡ ご主人様、この雌奴隷3号の願いをどうぞ叶えて上げてください……♡♡♡」

 

「んほおぉおぉおぉぉおぉぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉおぉおぉぉぉぉぉぉぉおぉおぉぉおっっっ♡♡♡」

 

 ヒロインXが淫らな欲求を叫んだ途端、尻穴を穿つ肉棒のピストンが激しさを増した。それは今まで体験したことのない激しい抽挿であり、肛門や腸内が焼けてしまうのではないかと思うほどに熱く、そして堪らない快感を延々と自分に与えてくれている。心も体も彼に躾けられ、彼の女になることを幸福に思うヒロインXは、これから先に何度でも味わえるその快感を貪り喰らいながら最高の瞬間を迎えるべく尻穴を強く締めて叫んだ。

 

「んいぐぅうぅうぅぅぅうぅぅぅぅぅぅっぅぅぅぅうぅうぅぅぅうぅぅうぅぅぅぅっっ♡♡♡ 堕ち、るぅうぅうぅぅうぅぅぅぅぅっっっ♡♡♡ おおぉぉぉォォぉぉぉおぉぉおぉぉぉぉおォおおォォぉぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 絶頂、そして射精。熱い精液を腸内にぶちまけられたヒロインXの中で、何かが崩れ落ちた。それは彼女にとって不必要な何かであり、捨て去ることで幸福になれる心のつかえであるソロモンへの忠誠心だ。偽りの愛情に支配されていたその心は真の想いの前に脆くも崩れ去り、跡形も無くヒロインXの心の中から消え去る。それと同時に、黒い淫紋令呪が消え去って彼女の下腹部に紅蓮の炎の様な淫紋令呪が浮かび上がって来た。

 

「……アサシン、謎のヒロインXの淫紋令呪の書き換えを確認しました。これでこの娘はマスターのサーヴァントです」

 

「同じく、淫紋隷呪の再臨も確認しました……謎のヒロインXは、これでご主人様のモノです……♡♡♡」

 

「あひ、ひ……♡♡♡ んふっ♡♡♡ んうぅぅっ……♡♡♡」

 

 黒の令呪は崩壊し、2種類の紅の令呪へと姿を変えた。再臨の際に訪れる激しい快楽の波を二重に受けるヒロインXの周囲ではジャンヌ・オルタとクロエが満足気に微笑んで新たなる仲間の誕生を祝福している。

 

「さあ、X……これからはカルデアの仲間としてよろしく頼むわね。勿論、ご主人様の雌奴隷3号としての役目も忘れてはいけないわよ」

 

「芸術品としての完成は後にするとして……今はご主人様にたっぷり可愛がって頂きなさい。その後で、アナタに最初のお仕事を言いつけるから」

 

「んぐっ……♡♡♡ は、へぇ……♡♡♡ はひぃ……っ♡♡♡」

 

 あらゆる意味で自分たちの後輩となったヒロインXの蕩けた表情を眺めながら、二人はこの後の作戦を頭の中で思い描いてニヤリと笑う。何も知らないヒロインXは、マスターに愛される喜びを全身で感じ、その快楽と喜びに打ち震えつつ、未だに満足しない情欲の炎を鎮めるべく、再び彼との熱い交わりに注力し始めたのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ソロモン様へ』

 

『この度、私はカルデアの重大な秘密を握ることに成功しました。この秘密はカルデアのマスターのアキレス腱ともなるでしょう。取り急ぎお教えしなくてはと思い、こうして映像ファイルにしてソロモン様の元へと送らせて頂きます』

 

『この映像はソロモン様お一人だけではなく、部下や堕ちた雌便器サーヴァントたちにも見せつけ情報の共有を行って下さい。必ずやカルデアのマスターの不甲斐なさを全員が嘲笑し、士気の向上に繋がるでしょう』

 

『私はもう少しカルデアで潜入調査を続けます。続報をお待ちください』

 

『雌奴隷 ヒロインXより』

 

 そんなメッセージと共にソロモンの元にデータディスクが届いたのは、それから間もなくのことだった。ヒロインXからのメッセージを受け取ったソロモンは、自分の策が多大なる戦果を挙げたことに拳を握り締めて喜びの表情を浮かべている。

 ついにやった。カルデアに一杯食わせ、その弱点を握ることに成功したのだ……そう信じて疑わないソロモンは、メッセージ通りに堕ちた女英霊や部下の男たちを集め、大広間で映像の鑑賞会を行うことにした。

 

 映像に記録されているのはどんな情報なのだろうか? もしかしたら、ヒロインXが調略した女英霊の降伏宣言も収められているかもしれない。そんな期待を胸にしているソロモンやその部下たちは、大写しになった映像が真っ暗な闇を映し出した後、ジャンヌ・オルタとクロエの姿を浮かび上がらせたことに感嘆の息を漏らす。

 生まれた時のままの美しい裸体を晒す二人の姿を見た男たちは、前々から報告を受けていた彼女たちが再びカルデアから寝返ったのだと信じ切っていた。しかし、オルタとクロエは意地の悪い笑みを表情を浮かべつつ、その思いを裏切る言葉を口にして男たちを嘲笑う。

 

「どうも、偉大なる粗チン王のソロモンとそれに従う馬鹿男たち……あと、そんな男たちに嬲られる可哀想な女英霊の皆さん、ご機嫌いかがかしら?」

 

「どうせ、あの馬鹿は送られたメッセージを信じ切って楽しい鑑賞会とでもしゃれこんでいるんでしょうけど、ざんね~ん! これは、貴方達が思っている様な映像じゃあありませ~ん!」

 

 二人の言葉を耳にした群衆は動揺してざわめき出した。ソロモンもまた期待を裏切られたことに動揺を隠せないでいたが、すぐに一つの疑問を思い浮かべる。しかし、彼がそれを口に出す前に、クロエがクスクスと小悪魔の様に笑いながら代わりに答えを教えてくれることとなっる。

 

「あ、貴方の下らない穴だらけの作戦に付き合わされたヒロインXは、もうこちらのサーヴァントになってるからっ♡ 今もご主人様に愛されて、とっても幸せな目に遭っているのよ♡♡♡」

 

「まあ、こうやって口で説明してもわからないでしょう? だから、今回はアタシたちのことを色々と教えてあげるわ。特別に、カルデアに帰還したアタシたちがどんな生活を送っているか、それを映像付きでたっぷりと教えてあげるってわけ……♡♡♡」

 

「そっちで苦しい目に遭っている女英霊の皆は、カルデアの幸せな日々を見て目を覚ましてね♡ 自分たちが感じている幸せはまやかしなんだって、覚醒して頂戴!」

 

「それと……そっちにいる粗チン王含め情けない男たちは、私たちのご主人様と自分の差を自覚しなさい。ゴミカスの様な自分自身の価値を噛み締めて、さっさと降伏する準備を進めなさいな」

 

 女性たちには寛容に、男性たちには辛辣に言葉を投げかけるジャンヌ・オルタとクロエ。映像を見る者たちはそんな二人に怒りを燃やしたり、戸惑いを含んだ視線を送ったりと様々な反応を見せている。

 当然ではあるが、記録された映像である二人はそんな彼らの反応など気にすることなく、自信たっぷりな微笑みを浮かべながら同時に口を開いて声を発した。

 

「「さあ、じっくり御覧なさい。これが、私たちと貴方たちの差よ……♡♡♡」」

 

 長きに渡って繰り広げられた作戦が身を結ぶ時がようやくやって来た……映像越しにそのことを確信している笑みを浮かべるジャンヌ・オルタとクロエの姿に、この場に居る誰もが視線を奪われている。

 この瞬間、ソロモンは毎度見る悪夢の始まりを思わせる予感を感じつつ、それがついに現実にまで波及し始めたことに戦慄し、ただ映し出される映像を眺めることしか出来ないのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデアからのビデオレター 1

 スパイとして送り込んだ部下から届けられた映像は、彼女のNTR映像だった。

 衝撃的としか言い様の無い出来事に唖然とするソロモンは、同じ様に驚きを隠せない部下や肉奴隷としたサーヴァントたちと共に間抜けな表情を浮かべつつその映像を見ている。ここで映像を切ったり、一度部下たちを解散させるという行動すら、あまりの衝撃ゆえに思いつかなかったのだ。

 そんなソロモンたちの様子が目に浮かんでいるとでも言う様に淫靡に笑うジャンヌ・オルタとクロエは、自分たちの下腹部に刻まれた淫紋隷呪を大事そうに摩り、それをカメラの前に見せつけて来た。今まで見た令呪とはまた違うそれにまたしても驚きの感情を浮かべるソロモンの目の前で、彼女たちは攻撃的な口調でその説明を始める。

 

「ソロモン……アタシたちは、貴方に堕とされて肉奴隷となった。その屈辱はしっかりと心に刻まれているわ。でもね――」

 

「もう、そんなことはどうだって良いの。だって、私たちは雌奴隷としての本当の幸福を知ったから……貴方が教えてくれなかった快楽と幸福をご主人様に教えて頂いて、真の雌奴隷に堕ちたの。生温い、お遊びの様な陥落じゃない。心の底から屈服し、快楽以外を求めなくなる真の堕落を味わった……その堕落の果てに、雌奴隷とはこんなに幸せなものなんだって知ることが出来たのよ」

 

「その幸福感が貴方に与えられた屈辱を掻き消してくれた。アタシたちの主人が誰か、しっかりと自覚することが出来たわ。アタシたちは雌奴隷(スレイヴ)クラスのサーヴァントとして、ご主人様に仕え続ける……永遠に、永久に、アタシたちはご主人様の雌奴隷として生き続ける。その誓いの証がこの淫紋隷呪よ」

 

 真紅の令呪を摩り、幸せそうに微笑む二人。誰しもがその姿に見とれ、言葉を失っている。

 ソロモンには彼女たちが何を言っているのかはまるで理解出来なかったが、自分が彼女たちに嘲笑われていることだけは理解出来た。自分たちの主はお前では無いと、二人は言っているのだ。

 悔しさが、怒りが、心の中に募る。一度は完膚なきまでに叩きのめし、ただの肉便器に堕としたはずの彼女たちに嗤われることは、ソロモンの自尊心を大きく傷つけた。しかし、ソロモンがそんな反応を見せていることすらも見切っているかの様に嗤うジャンヌ・オルタとクロエは、更に彼の怒りを煽りにかかった。

 

「無様ね……人の気持ちも分からない。作戦も用兵も分からない。その上、おちんぽも惨めだなんて、貴方ってば本当に無様……アタシたちのご主人様に勝てる所が一つも無いじゃない」

 

「そんなことだから、み~んな貴方に愛想を尽かすの。なんの魅力も無い雄から本物の雄に寝返って、そこで幸福を知って、そうしてあなたが如何に惨めな存在かってことに気が付くの。そうしてどんどん皆から見下されて、メッキが剥がれていくのよ」

 

 ソロモンを嘲笑う二人は、自らの秘所を指で大きく広げて内部を見せつけて来た。ピンク色の美しい膣とそこから止めどなく垂れ続ける大量の愛液をカメラの前に映し出しながら、二人は更なる挑発を口にする。

 

「雌奴隷サーヴァント1号『ジャンヌ・ダルク・オルタナティブ』は、度重なる快楽調教と隷基再臨によってご主人様専用の雌奴隷サーヴァントとして覚醒しました……♡♡♡ 戦闘能力は0だけど、セックスなら何回でも行えるこの淫乱は、何十回でも何百回でもセックス出来る精剛マスターのご主人様の性欲処理に相応しい雌奴隷に仕上がっています……♡♡♡ たった1回や2回の射精でおちんぽ勃たなくなるどこぞの雄とは格が違うご主人様のため、おまんこびしょびしょにしていつでもセックス出来る様にしてありますわ……♡♡♡」

 

「雌奴隷サーヴァント2号『クロエ・フォン・アインツベルン』は、徹底的なお預け行為と隷基再臨によって超敏感ボディのロリ奴隷サーヴァントへと仕上がりましたっっ♡♡♡ 歩くだけでイって、声を出してもイって、なにもしてなくてもイキまくるドスケベ小学生サーヴァントの私ですが、常時アクメ状態のおまんこで精一杯ご主人様にご奉仕させて頂きますっっ♡♡♡ 腐れ魔術王の糞雑魚ちんぽとは比べ物にならないご主人様の立派なおちんぽで、クロエのイキっぱなしまんこをずぼずぼしてくださいませっっ♡♡♡」

 

 卑猥に、淫らに、妖艶に……自分たちが誰の雌奴隷であるのか、誰のために存在しているのかを二人は語る。下品な物言いと蕩けた表情は、ソロモンたちが彼女たちを堕とした時と同じ様な光景だ。しかし、その口から飛び出すのはかつての主を馬鹿にした言葉であり、彼女たちのマスターがソロモンではないということを明確に表している。

 こうしてはっきりと口にされ、目の前で嘲られ、そして現実を突き付けられたことでようやく理解出来ることがある。彼女たちは()()()()()。もう自分たちの雌奴隷ではなく、カルデアのマスターの女なのだとソロモン一味は理解した。もっとも、それによる精神的なショックはかなりのものであったのだが。

 

「そして……ここに雌奴隷サーヴァント3号が誕生致します……♡♡♡ 無能が立てた作戦によってカルデアに送り込まれた、元ガバマンサーヴァント。今やその雌穴はご主人様専用の穴となり、どこぞの魔術を使わないと女一人満足させられない馬鹿の手から救い出されました。さあ、ソロモン……貴方たちの目の前で、『謎のヒロインX』がアタシたちの仲間入りをする姿を見せて上げるわ……♡♡♡」

 

「ひうっっ♡♡♡ あ~~っ♡♡♡ んあぁぁぁあぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 未だにショックから立ち直れず、茫然としたまま映像を見つめ続けるソロモンたちの目の前では、更にショッキングな出来事が起こっていた。後ろからカルデアのマスターに抱かれ、その陰茎を膣に咥え込んだ状態で担がれたヒロインXが、甘い嬌声をあげながら姿を現したのだ。

 既に彼女の淫紋令呪は赤色に変わっており、彼女もまたカルデアのマスターに奪い返されたことが一目でわかる様になっている。快楽に蕩け、幸福に満ちた彼女の顔を見たソロモンは、不意に湧き上がった怒りを爆発させるかの様に立ち上がると大声で叫んだ。

 

「この、恥知らずめがっ!! このソロモン王の寵愛を受けながら、敵に寝返るなど……!」

 

「……ああ、彼女のことを恥知らず~だとか言う奴がいるかもしれないけど、それ思いっきりブーメランだってことに気が付いて頂戴ね。そもそもこの子はアンタの作戦でカルデアに送り込まれた訳だし、そこそこの期間に1回か2回程度抱いただけで大きな顔をしないでよ」

 

「!?!?!?」

 

 映像越しに自分への反論をクロエに投げかけられたソロモンは、怒りの表情を一変させて不安気に周囲を見回す。もしかしたら、自分の姿を誰かが監視しているのではないかと思ったからだ。感情の起伏が激しく、精神が安定していない彼の様子を部下の男たちや奴隷に堕としたサーヴァントたちが憐れんだ目で見つめている。普段の偉そうな態度に反して、こうして追い込まれたソロモンの姿を見るその眼は、明らかに失望の念が入り混じっていた。

 

「はい、それじゃあ貴方たちに良いものを見せてあげる。目ん玉開いてよーく見なさいよ? 多分、これから先の一生、こんなに素敵なものは見れないと思うから……♡♡♡」

 

 ジャンヌ・オルタがそう熱を帯びた声で囁けば、彼女の背後に何かが出現した。それは、ヒロインXを模ったオブジェであり、その美術品に見覚えのあるソロモンは目を見開いて映像を見つめ続けていた。

 

「……これが、アンタたちの主が作り出した芸術品もどき。もどきで良いわよね? こんな酷くて惨いもの、人前に出すことが憚れるレベルの代物よ」

 

 天井から伸びたワイヤーによって吊り下げられたヒロインXの姿を見た女英霊たちは、彼女の悲惨な姿に目を覆った。関節は無理な方向に曲げられているし、細く硬いワイヤーはヒロインXの肉体に食い込んでとても痛そうに見える。何より惨いのは、彼女の開き切ったアナルとヴァギナだ。膣からは子宮が飛び出し、グロテスクと呼ぶ他ない光景を作り出しており、自分がああなったらと想像した女英霊たちは、こぞって不快感に表情を歪めている。

 

「これ、ヒロインXが実際に受けた扱いよ。彼女の記憶を読み取って、出来る限り精巧に作り上げた模造品……こんなもん、一目見れば駄作だってわかるでしょう? 男どもは、こんな薄気味の悪い体した女を抱きたいと思う? 女英霊たち、自分がモデルになった作品がこんなにグロい奴だったらどう感じるの? ……こんなものを見て喜ぶのは一部のサイコパスだけよ。そう思うでしょ?」

 

 ギリリ、と歯軋りの音が聞こえた。自分のプライドを傷つけられたソロモンが、ジャンヌ・オルタに対して憎しみを募らせているのだ。しかし、そんな彼の周囲では、残念ながら彼女の言葉に同意を示す者たちが心の中で頷きを見せていた。

 絶対にソロモンには言えないが、あんな風にはなりたくない。もしくは、あんな女を抱きたくはない。正直な思いを口にする事は無かったものの、誰もが同じ考えを胸に秘めて映像を見つめ続けている。そんな部下たちの想いにも気が付かぬまま、ソロモンもまた怒りながら自分の作品を否定するジャンヌ・オルタの姿を睨み続けていた。

 

「……まあ、勝負する必要は無いと思ったんだけどね。ご主人様は、貴方と同じ土俵で勝負してくれたみたい。雌奴隷サーヴァント3号の芸術品は、天井から吊り下げるオブジェとして作り上げる。少し時間がかかったけど、ご主人様の作品も完成したみたいだから、早速この場で判定して貰いましょうね」

 

 そう口にしたオルタの背後にもう一つのオブジェが出現する。ガラスケースに入れられたそれは、ソロモンの作品と同じ様に吊り下げられたヒロインXの人形ではあったが、その姿は大きく違っていたのだ。少なくとも、見た範囲だけでも子宮が飛び出してはいないし、雌穴も極端に広げられてはいない。これだけでもう、男たちの中では判定が決まっていた。

 

「見ての通り、ご主人様はヒロインXの膣と尻穴は緩くしないことにしたの。あんなにグロテスクな体をしてたら可哀想でしょう? でもま、特別なことじゃあないわ。子供でも出来る心遣いよね? 誰だって、あんな女の子の姿を見て喜んだりはしないわよね?」

 

「関節各部の負担を減らすためにポーズも微調整したわ。吊り下げるためのワイヤーもジルに開発してもらった透明な触手に変更して、その材質もスポンジくらいに柔らかくした。ついでに、全身の負担を軽減するために触手を絡ませる位置も多めにしたの。これでもう、痛みを堪える必要はないわね」

 

「飛び出してた内臓器官は内部に収まったし、女の子の体にも負担は掛けないし、何より見てて不快にもならないし……アタシたちからしてみれば、もう勝敗は決した様なものなんですけどね。でも、やっぱりそれを決めるのはモデルの彼女じゃないといけないわよね?」

 

「あぅ……♡ あ、ぁ……っ♡」

 

 愛液を垂れ流し、虚ろな瞳で前を見つめているヒロインXにクロエが一振りの剣を手渡す。そうした後、彼女の耳元で小悪魔の様な囁きを口にした。

 

「アナタが決めて頂戴。こんな物は駄作だって、そう思う作品をその剣で壊しちゃって良いわよ」

 

「あ、は……? ふっ、ふ~っ……」

 

 手渡された剣、並ぶ自分のオブジェ、そして二人の雌奴隷へと代わる代わる視線を向けたヒロインXは、その言葉の意味を理解するのに暫しの時間が必要だった様だ。段々と光を取り戻した瞳が覚醒していくにつれ、彼女は自分が何をすべきかを理解していく。

 そんな中、映像を見守るソロモンは心の中で叫んでいた。その剣を使い、自分の体ごとカルデアのマスターを貫けと、そう念じてはヒロインXに祈るような視線を送り続ける。しかし、そんな彼の想いなど全く意味をなさないとばかりに前を向いたヒロインXは、手にしていた剣を何の迷いもなく片方の作品に向けて放り投げた。

 

「っっ……あぁっっ!!」

 

 ぐさりと、剣の切っ先がヒロインXの人形に直撃する。見るも無残な姿である自分の人形の頭を吹き飛ばしたヒロインXは、それでもまだ足りないとばかりに自分の持つ聖剣を出現させるとそれもまた同じ人形へと投げつけた。魔力で強化された二振りの剣は人間の全てを焼却し、この世からソロモンの作品を跡形も無く消滅させる。

 

「なぁぁぁっっ!! 何をしているっ!? そこまで出来るのなら、何故カルデアのマスターを殺さないっ!? この、無能がっっ!!」

 

 自分の力を開放し、自分自身の人形を破壊したヒロインXに向けて投げかけられる怨嗟の言葉。ソロモンの怒りは際限なく高まるも、映像から響く悲痛な声は彼の叫びよりも強く女英霊たちの心に届いた。

 

「……辛いんですよ、これを見るの……! 私は弱いから、こんな姿の自分を見るのが耐えられないんです。広がった性器とか、飛び出している子宮を見ていると、膣とお尻の穴を無理矢理拡張された時の痛みと恐怖を思い出して、それで……おえぇっっ!」

 

 ヒロインXは、辛く凄惨な過去を思い出して身震いをし、同時に湧き上がった吐き気に口を押さえる。瞳に浮かぶ涙や体の震え、蒼白になっている顔色が、彼女が本気で恐怖していることを表し、同時にヒロインXの心に刻まれた傷が相当に深いことを思わせた。

 恐怖に怯えるヒロインXの膣から肉棒を引き抜いたマスターは、彼女を落ち着かせる様にして体を抱き締めて自分の温もりを伝える。ジャンヌ・オルタとクロエもまた、優しい口調で彼女に語り掛けた。

 

「大丈夫、大丈夫よ……! ここはもう、安全だからね……!」

 

「あなたはもう悲しみに嘆くことも、苦しみに喘ぐこともしなくて良いわ。ここでなら、あなたの心の傷もきっと癒えるはずよ」

 

「あなたはただ享受すれば良い、女としての幸福と甘く蕩ける快楽をね……。ご主人様は、それを与えてくれる。ここには仲間が居て、不安を共に分かち合ってくれる。あなたはもう一人じゃないわ。だから、大丈夫よ」

 

 母の様な、姉の様な慈しみをヒロインXに見せる二人の英霊は、そう言いながら彼女の頬に口付けを落とした。同性からのキスにほんのりと頬を染めるヒロインXに向け、優しい微笑みを見せたジャンヌ・オルタとクロエは、両側から挟み込む様にして彼女の耳元で囁きかける。

 

「あなたはまだカルデアのことを良く知らないから不安なのよ。アタシたちが色々と詳しく教えてア・ゲ・ル……♡♡♡」

 

「たっぷり、じっくり、知り尽くしましょう……♡♡♡ そうすれば、あなたもきっと安心するから……」

 

 やや困惑した表情のヒロインXと彼女に顔を寄せるジャンヌ・オルタとクロエ。美しい彼女たちにアップしていったカメラは、唐突に真っ暗な映像を映し出し始める。砂嵐とノイズ、それらが走った後、カメラは先ほどまでとは別の映像を映し出す。新たな映像の舞台は、カルデアの廊下と思わしき場所であった。

 

「ああ、ジャンヌ・オルタさんにクロエさん。もしかして、例の作戦のための撮影ですか?」

 

「ええ、そうよ。マシュ、あなたにも協力をお願い出来るかしら?」

 

「はい! 勿論です!」

 

 どうやら、この映像を撮影しているのはジャンヌ・オルタとクロエの両名の様だ。カメラを手にした彼女たちは、廊下で出くわしたマシュに何らかの協力を求める。それを快く引き受け、マシュはカメラに向かって話し始めた。

 

「えっと……この映像は、ソロモンに囚われたままの女英霊の皆さんがご覧になっているんですよね? お久しぶりです、マシュ・キリエライトです。今回は少し、お時間を頂いてお話をさせて貰おうと思います」

 

 普段通りの様子で語り始めたマシュは、カメラのレンズを真っすぐに見つめている。それはまるで今、映像を見ている者たちへと真摯に語り掛けている様で、彼女の姿を見る女英霊たちはなぜか胸の痛みを感じていた。

 

「私も、少し前までは皆さんと同じ様にソロモンに従い、彼の奴隷兼サーヴァントとなっていました。しかし、今はこのカルデアに帰還し、かつてと同じ様に活動することが出来ています。……って、こんなことを話しても意味が無いですよね。もう、皆さんも分かり切っていることですし……」

 

 真面目に語り続けたマシュは、少し困った様に首を傾げた後で咳払いをして場を仕切り直す。そうして、その瞳に薄紫の妖しい光を輝かせながら、この映像を見ている英霊たちが知らない表情を見せつけて彼女は話し始めた。

 

「……私の淫紋令呪は既に最終再臨を迎えました。これはつまり、先輩が私のことを理解し、大切にしてくれている証に他なりません。だってそうでしょう? 淫紋令呪は、刻まれた者が性的快感を強く感じるほどにその力を引き出す……生半可な扱いでは満足せず、むしろ心の距離を空けてしまう事態を引き起こしてしまいます。そうやって、私はソロモンから先輩のサーヴァントに戻った訳なんですからね……!」

 

 クスクスと、声を殺した笑うマシュ。その彼女の様子は、かつての穢れを知らぬ純粋無垢なマシュからは想像出来ない姿であった。

 辛酸を舐め、それが故の女性としての悦びを知ったマシュは、なおも続けてソロモンの元に居る女英霊たちに向けて語り続ける。

 

「さて、ここでご質問です。皆さんの周りで、淫紋令呪を再臨させた方はいらっしゃいますか? 最終再臨でなくとも構いません。一回でも再臨を確認出来た方……いらっしゃいます?」

 

 その答えはNOであると確信している嘲笑を浮かべたまま、マシュは質問を投げかけた。その笑みを否定出来ぬ女英霊たちは、彼女の視線から目を逸らして悔しそうに押し黙る。カメラの向こうの様子を理解しているのか、マシュは沈黙を貫く女英霊たちに向けた訴えを口にした。

 

「きっと居ないんでしょう? 誰一人として、声を上げられないんでしょう? ……仕方が無いですよ。皆さんの今の主は、それだけの男だってことなんですから。皆さんが悪いわけじゃありません。悪いのは、皆さんを満足させられない情けない雄なんですよ」

 

 また、マシュが笑う。その嘲笑をかつて自分の処女を奪った男に向けて嗤い続ける。自分が馬鹿にされていることに気が付き、先ほどから感じている怒りの感情を更に強めながらも、あまりの怒りの強さにただ顔を赤くすることしか出来ないソロモンは、マシュを鋭い目つきでずっと睨み続けていた。

 

「……私たちが堕ちるまで、三か月の時間がありました。つまり、それだけの時間のハンデをソロモンは持っていたということです。……いえ、違いますね。多くの英霊をカルデアから奪い、聖杯も入手し、その活動すらもまともに行えない程の被害を与えたのですから、それ以上に優位な状況を作り出したはずなんです。でも、そこからはどうですか? 私を奪い返されたことを皮切りに次々と英霊の皆さんを失い続け、聖杯も奪われ、ついには仲間たちを切り捨てる作戦を連発する始末……この苦境を一致団結して乗り越えようとしているカルデアに対し、皆さんはいつ自分が切り捨てられるのかとビクビクしながら過ごさなければならないのですから、その境遇には同情を禁じ得ません。加えて……満足する快感を得られていないのですから、使い魔としても女としても、幸福なんか感じていませんよね?」

 

 一つ、また一つとソロモン陣営の穴を突くマシュの言葉に女英霊たちは動揺を隠すことが出来なかった。彼女たちの中には、その言葉を認めたくないとばかりに震えて涙を流す者もいる。だが、そんな彼女たちに現実を認めさせることが、この作戦の第一の目的であった。

 

「……私は今、幸せです。ソロモンに処女を捧げ、彼の命令のままに大切な人たちを殺そうとしたことをずっと悔やんで来ました。しかし、その苦しみを先輩が和らげてくれた……! 温かく、優しく、私の心を包み込んでくれた先輩のお陰で、私は前より強くなれました」

 

 恋する乙女の様な初々しい微笑みを浮かべ、何の噓偽りのない幸福そうな表情を見せ……マシュは、冷たい視線をソロモンへと送った。思わず底冷えする様なその眼差しに誰もが硬直する中、マシュは強い口調で言葉を紡いでいく。

 

「先輩は、私にとってとても大切な男性です。だから……何も知らずに彼のことを嘲る人間が居ることをとても腹立たしく感じるんですよ。女一人モノに出来ない、それどころか次々と見放されている雄の癖に、偉そうな口を利かないで貰えますか?」

 

「ふふふ……! 良いじゃない、マシュ。今のあなた、凄く良い顔してたわ」

 

 ソロモンへの憎悪を剥き出しにしたマシュの眼差しと表情を褒め称えるジャンヌ・オルタの言葉に、彼女は頬を赤らめた。先ほどまでの黒い憎しみを醸し出す表情から一転、普段の彼女に戻ったマシュは改めて話を続ける。

 

「ソロモン……淫紋令呪の最終再臨を迎えた私は、正真正銘、先輩の女となりました。初めての男だとか、元マスターだとか、そんな下らないことで私にしがみつくのは止めて貰えますか? 私はもう、あなたの情けないちんぽのことなんか完全に忘れ去っていますので」

 

「ぐっ、うぅっ!!」

 

 ソロモンの額に青筋が浮かぶ。それほどまでに強い怒りを覚えていても、それをマシュに叩き付けることが出来ない現状がその苛立ちを更に募らせていた。そんなソロモンを嘲笑うかの様に演説を続けるマシュは、カメラに向かって自らの想いと現状を伝える。

 

「私は先輩のサーヴァントです。彼が望むのなら、どんなことだって出来ます。例え、この廊下でばったり出会って『性欲の処理をしろ』と命じられたとして、すぐにお相手出来る準備は整えてあります。その証拠に、ほら……!」

 

 くるりと反転したマシュは、カメラに尻を向けて履いているミニスカートの裾を捲った。露になった可愛らしい下着の臀部、肛門の部分には円形の穴が開いており、彼女の肛門が丸見えになっている。

 縦に割れている綺麗なアナル。ぴっちりと締まったそこを指で広げれば、思ったよりも大きく口を開いてくれた。卑猥に蠢き、再び閉じた尻穴はぷっくりと膨れ、僅かに腸液でぬめりとテカりを得て卑猥に光っている。

 

「呆れた……! アンタ、全部の下着にそんな加工をしてるの?」

 

「はいっ♡ だって服を脱ぐ時間だって惜しいじゃないですか。スカート捲ればすぐにケツハメセックス出来る様にしておいた方が良いと思いませんか?」

 

 振り向いたマシュはカメラに淫靡な笑みを見せている。随分と淫らに開花した本性をソロモンたちに見せつけながら、彼女は歌う様に言葉を発した。

 

「いつだって、どこだって、私のお尻は先輩のおちんぽを受け入れる準備は整っています。開発行為から始まり、最終再臨を迎えるまで使いこんで貰えた私のけつまんこ……♡ 先輩専用の扱き穴は、一生涯彼だけの物です♡ 大好きな先輩に気持ち良くなって貰うためならなんだって出来ますっ♡ だって私は、先輩専用肛門英霊(アナルサーヴァント)なんですからっ♡♡♡」

 

 卑猥ながらも愛を感じるマシュの宣言。その言葉と微笑むマシュの姿を映し出したカメラの映像が一瞬途切れる。次の瞬間、カメラが映し出したのは下品に歪むマシュの顔であった。

 

「んほぉおおぉぉおぉおぉっっ♡♡♡ ほおぉおぉおおぉおおっっ♡♡♡ んっほぉおおぉおおぉぉっっ♡♡♡ おほおぉぉぉおおぉおっっ♡♡♡」

 

 獣の様な野太い叫び。舌は口から飛び出し、涎がだらだらと垂れ流しになっている。白目を剥きそうな勢いで上向きになる瞳は完全に快楽の虜になっており、真っ赤に紅潮している頬がその快楽の強さを表現していた。 

 カメラが映しているのはマシュの顔と柔らかな胸だけだ。少し膨らんだ彼女の胸の頂点は固く勃起していた。そして、そんな彼女を後ろから抱き締める様にして姿を現したカルデアのマスターは、マシュを振り向かせると舌を絡ませた卑猥なキスを行う。

 

「んぅぅっ♡♡♡ せんぱ、いぃっ♡♡♡ はおぅっ♡♡♡ んほぉっ♡♡♡」

 

 マシュと唇を重ね、乳首をこりこりと刺激しながら、マスターは己の肉棒を彼女の尻穴へと沈めていく。深く、もっと奥へと叩き込む様に腰を突き入れたカルデアのマスターは、やがて己の男根を全てマシュのアヌスへと押し込んだ。

 強い締め付けで彼の分身を締め付けるマシュ。その表情には苦しさは一切なく、ただ快楽と幸福だけを感じている恍惚とした顔をしていた。マスターもまた、何度も味わっているはずの彼女の尻穴が与えてくれる激しい快感に夢中になっている様子で、強くマシュを抱き締めながらぐりぐりと腰を動かし続けている。

 

「マシュ……! やっぱりマシュのお尻は最高に気持ち良いよ……! 気を抜くとすぐに射精しちゃいそうだ……」

 

「ふふふっ♡ 当たり前じゃないですか……♡ 私のお尻は先輩専用の扱き穴なんですからっ♡♡♡ もう出すことよりも挿れることの方が多くって、正真正銘のお尻まんこになっちゃってるんですよ♡♡♡ 先輩のザーメンをたっぷりとお尻の中に注がれる時の快感と言ったら、お尻の穴で孕んじゃうって思うくらいなんですから……♡♡♡」

 

「ぐ、うっ!! 凄い、締め付けだ……! でも、お尻のふわふわ感が堪らないよ……っ!」

 

「先輩のおちんぽも、鋼鉄の様に硬くて、燃えているみたいに熱くって……♡♡♡ ああ、ただハメられてるだけでイキっぱなしになってるっ♡♡♡ これからが本番で、この凶悪ちんぽに激しくお尻の穴をほじほじされるのに、もうイっちゃってる……♡♡♡ ああっ♡ ダメっ♡ ダメダメっ♡ もう我慢出来ませんっ♡♡♡ 先輩、今すぐ私のけつまんこを本気ピストンで可愛がってくださいっっ♡♡♡」

 

「っっ!! ああっ、わかったっ!! 遠慮しないぞっ、マシュっ!!」

 

 お互いを求め合う様に会話したマシュとマスターは、その抑えきれぬ興奮のままに性交を開始した。強く、全力の力でマシュの躰を抱き締めるマスターは、腰を引いて巨大な陰茎をぎりぎりまで彼女の尻穴から抜いていく。そして、亀頭が肛門に引っかかるほどまで引き抜いた所で、思い切り腰を突き出して肉棒を再び尻穴へと叩き込んだ。

 

「ほおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおおぉおおぉぉおぉっっ♡♡♡ ぎ、たあぁあぁぁああぁあぁぁあぁあぁぁあっっ♡♡♡ んほへおぉおおぉおぉおぉおおおぉおおぉっっ♡♡♡」

 

 尻穴を穿孔するドリルの様な肉棒。強く、深く、そして激しく……マシュの大好きなスポットを狙って繰り出されるピストンは、彼女を容易に尻穴絶頂へと導く。しかし、ただ一発でピストンが終わるわけもない。未だに絶頂の余韻に浸るマシュは、次いで繰り出される一撃の準備となる引き抜きによって排泄感を伴う強い快楽を味わうこととなった。

 

「んほぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉ……っ♡♡♡ おちんぽ、ぬけてましゅぅ……♡♡♡ またくるっ♡♡♡ きょうれつピストンくるっ♡♡♡ おしりきもちよくってイキつづけてしまいますぅ……っっ♡♡♡」

 

 きゅぅぅ、と強く肉棒を締め付けるアナルの感触に快感を味わいつつも、マスターは再び肉棒をマシュの最奥まで叩き込んだ。激しいピストンに喘ぎ、大きく仰け反ったマシュの口からは咆哮にも近しい声が上がるも、今度は小休止も無く尻穴を穿ち始めた肉棒によって、更なる快感の深みへとマシュは導かれてしまう。

 

「んおぉおおぉおおぉおぉおぉおおおぉぉっっ♡♡♡ ほっっっ♡♡♡ ほぉおおぉぉおぉぉおぉおぉおぉおぉおお……っ♡♡♡ んほへぇぇぇぇぇええぇっっ♡♡♡ ほっ、ほっ、ほほぉおぉっっ♡♡♡ おっほおぉおぉおぉおぉおぉおおぉおおぉぉおっっ♡♡♡ お゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……♡♡♡ ほふぅうぅうんっっ♡♡♡ ほほほほぉほおぉおぉおおぉぉおぉっっ♡♡♡ お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉぉんっっ♡♡♡ お゛お゛んっっっ♡♡♡ んおぉおおぉおぉおおぉおお゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡」

 

 嬌声と呼ぶにはあまりにも下品で、野獣の様なマシュの雄叫び。腰と尻肉がぶつかる時に響く大きな音。迸る汗がマシュとマスターの体を光らせ、映像だというのにも関わらず性の臭いが感じられる錯覚まで覚えてしまう。それほどまでに二人のセックスは激しく、見る者の興奮を煽るものであった。

 あのマシュが、狂った様に喘いでいる。獣の様に叫び、尻穴を穿られ、下品なアクメ面を恥ずかし気も無くカメラの前で晒している。映像を見ている女英霊たちは、自分たちの股座が愛液で濡れ、肛門がきゅんきゅんと疼き始めていることを感じて頬を赤く染めていた。

 マシュの尻穴を徹底的に耕すマスターは、それに加えて彼女の胸と唇までもを責め始める。マシュに拒否権などある訳も無く、彼の更なる愛撫を受け入れるマシュの表情には、明らかな悦びの色が浮かび上がっていた。

 

「んじゅっ♡♡♡ ふぅううっっ♡♡♡ んほぉおっ♡♡♡ ほおぉおっ♡♡♡ あぁあぁあぁあぁぁっっ♡♡♡ んふぅうぅううぅっっ♡♡♡ ほっ、ほっ、ほっっ♡♡♡ ほほぉおぉおぉおぉおぉぉおおおぉっっ♡♡♡ イグっ♡♡♡ あぁっっ♡♡♡ ケツアクメきめっ♡♡♡ んほぉおおぉおぉおぉおっっ♡♡♡ お゛お゛お゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ はずかし、こえ、とまらにゃっ♡♡♡ ほひぃいぃいいぃぃいぃっっ♡♡♡ もっ、らめれすっ♡♡♡ なにもかんがえられ、な、んひぃいいぃぃいぃいぃいぃぃぃいぃいぃぃっっ♡♡♡」

 

 二人がセックスを始めて10分ほど経った頃だろうか、ついにマシュの瞳から理性の灯火が消え、代わりに本能の炎が燃え盛り始めた。快楽を求める心だけで尻を振り始めたマシュは、マスターの腰の動きに合わせて共に快感を貪り始める。

 柔らかな尻の中心、そこにある排泄口で繋がり合って快楽を分かち合う二人。アナルセックスの快感に酔うマシュは、舌を垂らして犬の様な顔になりながら喘ぎ声を上げている。そして、その全てをカメラに収録させていた。

 

「おぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおおぉぉおぉおおぉぉっっ♡♡♡♡♡ んおおおぉおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉおおぉっっ♡♡♡♡♡」

 

 手首を掴まれ、手綱の様に操られる。揺れる尻も完璧にコントロールされ、セックスの主導権を握られる。今のマシュは只の人間であるはずのカルデアのマスターの技術に屈服し、ただ喘ぐことしか出来ていない。

 ゆさゆさと前後に揺れる胸。下品にも程がある表情。じょろじょろと音を立てて行われる失禁アクメ。その全てが、マシュの感じている快感が尋常ではない強さであることを証明していた。

 

「おっっ♡♡♡ おぉっっ♡♡♡ んおぉぉっっ♡♡♡ おっほおぉおぉおぉおおぉおぉおぉおっっ♡♡♡ んごぉおおぉぉおおぉおぉおおおぉおおぉっっ♡♡♡」

 

 段々と早くなるマスターの腰の動きは、彼の限界が近いことを表しているのだろう。マシュはもうとっくにその限界を乗り越え、尻穴でイキ続けるトランス状態にまで陥っているのだが、その表情には期待の色がはっきりと浮かんでいた。何より楽しみな瞬間がやって来るのだと、その悦びに満ち溢れた表情を浮かべ、口元を歪ませて笑みを作り、尻の穴を更にキツく締め付けて肉棒を刺激し、そして――

 

「ぐっっ!! マシュっっ! 射精()るよっっ!!」

 

「あ、おっ♡ んおおぉおおぉぉおおぉおぉぉおぉおぉおお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉおぉおぉおっっ♡♡♡♡♡ おっっっっ♡♡♡♡♡」

 

 その瞬間、マシュの躰は大きく仰け反った。弾かれる様に、という表現を扱うに相応しい反応を見せたマシュの躰は暫し硬直していたが、やがて脱力してゆっくりとカメラの前に顔が戻って来る。再びレンズに映し出された彼女の表情は、前にも増して卑猥になっており、射精の快感によって完璧に蕩け切ってしまっていた。

 

「ほ~~っ♡♡♡ おほ~~っっ♡♡♡ ほっ、ひぃ……っ♡♡♡ んほぉぉっ……♡♡♡」

 

「あぁ……! まだ、射精るっ!! マシュのお尻、気持ち良過ぎて射精が止まらないっっ!」

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……っっ♡♡♡ おぉぉっっ♡♡♡ おぉぉぉぉおぉんっっ♡♡♡」

 

 大量の精液を注がれたマシュの腹は軽く膨れ上がっていた。一回の射精で女の腹を膨らませるカルデアのマスターの射精量に驚くソロモンたちの目の前で、マシュとマスターは再び舌を絡ませた口付けを行う。

 思いっきり卑猥に、途轍もなく淫らに……お互いの愛を確かめる様な熱いディープキスは長い時間続けられ、舌と舌の間に唾液で出来た橋を作り出してからようやく終わった。そうして、マスターは腰を引いて自分の陰茎をゆっくりとマシュの尻穴から引き抜き、この激しい性交を終わりにする……ことは無い。

 

「先輩のおちんぽ、まだまだガチガチじゃないですか……♡♡♡ たった一回で満足するわけ無いですよね? むしろ、ここからが本番なんですもんね♡♡♡」

 

「ああ……! 抜かずの二回戦、良いかな?」

 

「二回戦だけで良いんですか? 先輩がお望みなら、五回戦でも十回戦でもお好きなだけお相手しまうすよ♡♡♡ 言ったでしょう? 私は、先輩専用の肛門英霊なんだって……♡♡♡」

 

 三回目のキス。潤んだ瞳で見つめ合い、お互いの気持ちを伝えあう二人。そうして、途中まで引き抜いた肉棒を再びマシュの尻穴深くまで叩き込んだマスターは、そのまま二度目の射精に向けて激しく腰を振り続けた。

 あれだけのセックスを行い、大量の精液を放ち、濃厚な情事を見せつけたというのに、彼はまだ満足しないのか? どこか化物じみた性欲を見せるカルデアのマスターに見る者たちは恐怖を感じつつあったが、そんな彼らの耳にジャンヌ・オルタの声が響く。

 

「……言っておくけどこれ、まだ一人目ですからね? まだまだ沢山の女英霊たちのセックスを見せてあげるんだから、驚くには早すぎるわよ? アタシたちがどれだけ幸せで、マスターがどれほどまでに成長したのか……それをじっくりたっぷり見せつけてあげるわ。感謝しなさいよ、元マスターのソロモン様……!」

 

 せせら笑う様なジャンヌ・オルタの声を耳にしたソロモン達は、自分たちの背中に何か冷たいものが伝う様な恐怖感を感じ、身を強張らせた。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデアからのビデオレター 2

 

 カメラはカルデアの食堂を映していた。食事時には多くの人々で賑わうそこも、今は閑散としており食事を取る者の姿は見受けられない。厨房で仕込みを行いつつ、新メニューの開発に勤しむタマモキャットだけの姿だけがそこにあった。

 ……訂正だ。彼女の新作料理を今か今かと待ち侘びているランサーのアルトリアの姿もある。大食いである彼女が味見役を買って出たのか、それとも勝手につまみ食いをしているのかは判断がつかないが。それでも次のインタビュー相手を見つけ出せたことは確かだ。

 2人に声をかけ、それぞれの作業を中断させつつ、温かい飲み物を用意して貰って適当な座席を取る。そのまま、今度はクロエがカメラの前に出て、リポーターの様に話し出した。

 

「えっと、ここがご存じカルデアの食堂で~す! 食事を取る以外にも談話や予定の確認など、それぞれがコミュニケーションを取るために使われてるわ! ま、普通と言えば普通よね」

 

「……本当は、もっと多くの人が居たはずなのよね。料理を作る側も食べる側も、もっと多くの人が居たはずなのに……」

 

 あの襲撃で連れ去られた者や命を落とした者。今はここに居ない、もう戻っては来られない人々の顔を思い出す一行の表情が曇る。どれだけ努力しても取り戻せないものがあることを理解してはいた。だが、それを改めて自覚した時に暗い気持ちにならない訳では無いのだ。彼女たちは英霊ではあるが、英霊にも感情はある。交友を持った仲間が消えて、悲しまないはずが無い。

 少しだけだが、4人しかいない食堂の空気が重くなった。そんな空気を振り払うのは、いつも通りの調子で明るく語るタマモキャットの声だ。

 

「今はその話は良いだろう。我らが暗くなっては、カメラの向こう側が明るくなる。それでは意味が無いという奴だ」

 

「……その通りね。ごめんなさい、アタシたちの方が暗くなっちゃ駄目よね」

 

「うむ、その辺は無理にでも明るく元気に行くべきだワン! 笑う門には福来る、元気が一番だと偉い人も言っていた様な気がしなくもない!」

 

 無茶苦茶ではあるが、励ましの言葉を口にしたタマモキャットはエヘンと胸を張って得意げにほくそ笑んだ。その明るさに救われた面々は、徐々に沈鬱な気分から脱して気分を回復させる。

 今、自分たちが何をすべきかを思い出し、そしてそれを行うことが死んでいった仲間たちへの手向けになることを信じて、改めてオルタたちは撮影を再開した。

 

「ここはカルデアの食堂。食事を取り、談話し、一時の休息を楽しむための場所……まあ、普通なら説明するまでも無いわよね」

 

「ですが……今の貴方たちには説明が必要でしょう。雌奴隷として生きる今の貴方達には、この言葉の意味を語る必要がある。食事とは? 談話とは? そして休息とは? ……貴方達が言葉としては知っていても、既に遠く経験していないその行為が何であるかをお教えしないといけませんからね」

 

 アルトリアの言葉が響くと同時にカメラの映像が変わった。閑散とした食堂の光景が人で一杯になり、集う人々が食事を乗せたトレイを手にして食卓を囲んでいる。職員やマスターの顔には疲れの色が出ているも、それでも楽しい食事の時間をリラックスして過ごすことが出来ている様だ。

 サーヴァントたちも思い思いの料理を選び、仲間内での会話を楽しみながら食事を取っている。友人同士で料理をシェアする者もいれば、こっそりと隣に座っている仲間の料理をつまみ食いして取っ組み合いの大喧嘩に発展する者たちもいた。わちゃわちゃとした統制が取れていない食堂だが、それがとても明るい空気を作り出している。有体に言ってしまえば、()()()()の一言に尽きた。

 

「食べ物を摂取することで体にエネルギーを与え、仲間と食卓を囲んで会話することで精神の安定を得る。美味しい料理は食欲を増加させ、食べる者の笑顔を生み出す。心身共に活力を得て、新たな戦いに臨むための力を生み出す場所がこの食堂よ」

 

「サーヴァントには食事は必要ない。であるならば、これが無駄な行為であると思う者もいるでしょう。そちら側では、魔力供給をコンスタントに受ければそれで良いと考える者が大半なんでしょうね」

 

「でも、そんなことは無いわ。だって、食事はただのエネルギー摂取が目的なんじゃないもの。当たり前の幸せを実感するために必要な行為なのよ」

 

 食事時のカルデアの映像が流されているせいか、ジャンヌ・オルタたちの姿は画面に映し出されてはいない。しかし、淡々と響くその声は、逆に楽し気な食堂の雰囲気を盛り上げる効果を発揮していた。

 温かい食事と和やかな笑顔、それらを見る女英霊たちは心のどこかで飢えを感じ始めていた。空腹、という意味の飢えではない。もっと根本的な何かを求める飢餓感が自分たちの中から湧き上がっているのだ。

 

「……ねえ、あなたたちが最後に温かい食事を口にしたのはいつ? 仲間同士でこうやって食卓を囲んだのは? 楽しい食事の時間を過ごしたのは、一体どのくらい前なの? 精液からの魔力供給だけを受けて、食事なんてまともに取って無いでしょう?」

 

「確かにそれは非常に合理的な方法だ。男たちは性処理を行え、女英霊たちは魔力を与えられて活動に必要な力を得られる。一日中、休憩を挟まずに代わる代わる犯されていれば、魔力は溜まる一方だろう……しかし、そんな生き方をしているお前たちは、大切なものを失っている。それが、()()()だ」

 

 アルトリアが発した単語の意味を理解出来ない女英霊たちは、小首を傾げていた。だが、彼女たちの言葉から耳を離せなくなっていることも確かであり、この映像がじわじわと彼女たちの心を侵食していることは明らかだ。

 やがて、幼いクロエの声が大広間に響き始めた時、彼女たちの耳は、クロエのその言葉を一字一句逃さぬ様、必死になって音を拾う様になっていた。

 

「人間にとって、ご飯を食べるのは当たり前のことなの。サーヴァントには神霊もいるけど、その人たちだってご飯を食べて幸せだって思うことは間違いないでしょう? 例え使い魔たるサーヴァントになってもその幸福は変わらない。だって、生前の経験から食事は幸せだってことが記憶に焼き付いているんだからね」

 

「だから、こうやって皆で食卓を囲んで美味しいご飯を食べる時、私たちは皆で幸せを共有出来る。ずっと前から知ってる、この当たり前の幸福の中で安心感を得られる……その幸福を味わえないとどうなるか? あなた達の中にも理解している人もいるんじゃないかしら?」

 

「飢餓感を感じる人間は、空腹を満たすためなら何でも口にしようとする。ドブネズミだって、ゴキブリだって、普通の人間が食べない物を生きるために口にしようとする。それが、人間性を失うってことなの。生きるために人としての在り方を捨てれば、もうその人は壊れ行くしかない……そうなったら最後、何が幸福で何が不幸なのかを理解出来なくなってしまう。海の中で方向感覚を失ったのと一緒、浮かんでいるのか沈んでいるのか、自分がそのどちらになっているのかもわからないままもがき続ける他なくなっちゃう。……ね? 辛そうでしょう?」

 

 少しずつ、クロエの言葉が女英霊たちの心を掴み始めた。まるでこの場に居ないクロエの手に脚を掴まれ、海の底へと引っ張られる様な錯覚を覚えながら、彼女たちはクロエの話を無意識の内に聞き続けている。

 

「人間性を失えば感情が消える。感情が消えれば幸福がなんなのかがわからなくなる。ねえ、あなたたちは今、幸せ? ソロモンに従って、彼や部下の男たちに抱かれることが何よりも幸せだって、今の生き方が何よりも幸福なんだって、胸を張って言い切れる?」

 

「人として、女として扱って貰えない。ただの肉便器として一日中犯され続ける。休憩は無い。信頼出来たはずの仲間たちを蹴落とすことを強いられる。誇りや尊厳を捨てさせられて、代わりに与えられるのはまやかしの悦楽と心が千切れそうになる程の屈辱だけ……そんな生き方が本当に幸せだって思えるの!? なら、その幸せが何をくれたの!? 考えてみてよ! 今の自分が、本当の自分なのかを!!」

 

「そんなの本当の幸せじゃない! その証拠に、あなたたちの淫紋令呪は再臨を果たしていないじゃない! 快楽と幸福感を得られれば再臨するはずの淫紋令呪がそのままだってことは、あなたたちの何かがこんな人生は嫌だって叫んでる何よりの証拠じゃないの!? 思い出しなさいよ! サーヴァントは使い魔だけど、感情や意思のある存在でもあるの! 本当に……その生き方で良いの!?」

 

 泣き叫ぶ様なクロエの声。その表情は見えずとも、彼女が今、必死になって自分たちに呼びかけていることは良く分かった。逆に、その痛ましい表情をカメラに映し出さないことが、女英霊たちの心をより深く抉っていたのである。

 クロエの叫びは彼女たちの心に僅かな日差しをもたらした。その光は、完全に消え去っていた女英霊たちの人間性を取り戻させ、それと同時に疑問を抱かせる。

 本当に自分たちは幸せなのか……? 疑う余地もないと思っていた幸福感が、彼女たちの中で崩れ始めた。ソロモンの命令に従うこと、彼に抱かれることが至上の幸せだと思い込んでいた彼女たちの中で疑念が芽生え始めていた。

 植え付けられた幸福観。教えられた自分たちの存在理由。それらに従って自分たちは生きて来た。ソロモンに抱かれるために仲間を蹴落とし、誰も信用せずに肉奴隷として生き続けて来た。だが、今考えてみれば、それが何を与えてくれたのだろうか?

 クロエの言う通り、自分たちは何もかもを捨てた。そうしてソロモンに従って来た。だが、その結果に残ったのは誰も信用出来ない状況から生まれた孤独感と生臭い精液を浴びせられる性交の時間だけ……生前やカルデアで過ごしていた時とは遥かにかけ離れた生活を送る自分の姿を認識した女英霊たちは、愕然とした様子で硬直していた。

 

「お腹、空いた……温かいご飯が食べたいよぉ……!」

 

「独りぼっちはやだ……! 皆と遊びたい……!」

 

 浮かび上がって来た素直な欲求を抑えられず、幼い英霊が涙を零しながらその思いを吐露した。その瞬間、鬼の様な形相を浮かべたソロモンによって彼女たちは弾き飛ばされ、自分たちが何をされたかも理解出来ないままに意識を飛ばす羽目になる。

 欲望を口にすることすら、自分たちには許されないのか……幼い子供が吹き飛ばされる光景はそれを見る者にショックを与え、仄暗い失望感をソロモンへと抱かせるに至った。

 

「……カルデアには幸せがあるわよ。確かに状況が苦しくって、毎日大変で、辛いことも沢山ある。でも、ここに戻って来て、私たちは当たり前の幸せを取り戻せた! 温かいご飯を食べれる幸せ。裏切られる心配をせずに誰かと話せる幸せ。好きな様に動いて、好きな時に笑える幸せ。全部取り戻すことが出来た! ……一度裏切って、皆を殺そうとした私たちをカルデアの皆は受け入れてくれたわ。マスターだけじゃない、私たちはこのカルデアの皆に感謝してる! 意思のある一人の女の子として、私はカルデアのことが大好きだって思える! だから……私たちは頑張ることが出来るの! 心の底から大切だって思うものを守ろうと思えるから!」

 

 笑顔が溢れる食卓と湯気が立ち上る温かい食事。少し前までは普通に生活に組み入れられていたそれが、今はもうずっと遠くの過去の様に感じる。今の今まで求めるどころか記憶の中から消え去っていたのに、映像を見た途端に心と体が羨望の感情を抱き始めてしまった。

 クロエの言葉を耳にする度、心が痛くなる。心の底からの感情に対して、心の表面に植え付けられた薄っぺらい感情がひびを入れ始める。絶対的な価値観が崩れ、自分たちが何を求めているのかがわからなくなるほどにまで、彼女たちは混乱し始めていた。

 

 そして……そんな彼女たちに追い打ちをかける様に映像が切り替わる。今度は正面からタマモキャットの顔を映し出したカメラは、真面目な彼女の言葉を音声に乗せ始めた。

 

「この映像を見ている者に問おう。お前たちは何の為に存在している? ……性処理以外にその理由を見出せぬなら、とっととその四肢を切り落とせ。そんなもの、お前たちには必要ない。穴と乳が有れば良いのだからナ」

 

 タマモキャットの問いに同じ答えしか思い当たらなかった英霊たちは、ビクリと体を震わせて俯いた。戦いに駆り出されもしない今、彼女たちの存在理由は男たちの性処理のみであり、それ以外の価値などないと心の中に刷り込まれてしまっていたのだ。

 聞くものによっては冷酷にも聞こえる言葉を口にした後、タマモキャットはふんと鼻を鳴らして胸を張る。その表情は怒りを感じると共にどこか誇らし気で、それだけでも彼女が自分たちとは圧倒的に違う存在なのだということは理解出来た。

 

「ならば、そういうお前はどうなのだと思う者も居るだろう。その問いにアタシはこう答えよう。キャットの存在理由は、皆の健康を守ることだと。美味しいご飯を用意し、ご主人たちがそれを笑顔で食べる姿を見る時にこそ、我は一番の幸福感を感じるのだ」

 

「……なに? そんなの馬鹿らしいだって? サーヴァントとして、おかしいだと? ……まあ、そうかもしれないナ。だが、それの何処が悪い? 自分の持つ技術を必要としてくれる者がいる。腕を振るい、奉仕することで喜んでくれる人が居る。その人が誰よりも大好きな者であるなら、幸福になるとは思わないか? お前たちは、愛する主が喜ぶことを馬鹿らしいと思うのか?」

 

「少なくとも、今のカルデアで食堂を回せるのはキャットだけだ。キャットの力を今、カルデアの全員が必要としている。我にしか出来ないことがある。それだけで、アタシはここに戻って来て良かったと思えるゾ」

 

 すっと、ミトンの様な己の手を胸に当てたタマモキャットは、ゆっくりと瞳を閉じて感慨深そうに笑った。再び瞳を開いた彼女は、カメラ越しに女英霊たちを見つめて自分の想いをぶちまける。

 

「お前たちは、自分が必要とされていると実感したことがあったか? 自分でなければ駄目だと思うことがあったか? 性処理ならば、誰だって良いとは思わないか? 胸や尻のデカい者、穴の締まる者、同じ様な容姿をしている者……誰を選んでも同じだが、目に留まったからお前にしよう、そんな扱いで抱かれているのではないか?」

 

「作戦や戦いでお前の力が必要だと言われたとしよう。だが、その時にソロモンはお前を見ている訳では無いゾ。お前の持つ、スキルや宝具を見ているのダ。真に価値があるのはお前では無く、お前の付属品だと暗に言われていることに何故気が付かない? おまけに、肝心のその作戦はガバガバだ。自分たちの技術を何一つとして上手く活かしてくれない男に仕えることは苦痛では無いか?」

 

「誰だって良いんだ、失敗しても代わりは居るんだ……少なくとも、心臓を穿ち、首を刎ねれば、お前たちの代替品はすぐにでも召喚される。だから好きに肉体改造や非道な実験を行えるのだゾ? 分かるか? お前たちは、誰一人として心の底から必要とされていないのだ」

 

 冷酷、その一言が最適だった。タマモキャットの言葉を耳にした女英霊たちは、心の芯が凍り付いた様な表情で固まっている。ソロモンの部下である男たちもまた、あまりにも酷な彼女の言葉に何も言えずに俯いていた。

 曇り一つないタマモキャットの瞳を誰も直視することが出来ない。目を逸らし、されど心の痛みからは逃れられぬ面々が硬直している中、不意に映像は途切れた。だが、それは決して終わりを意味している訳では無く、むしろ彼女たちの心をより追い詰める始まりを意味しているのだ。

 

「あっ♡ あっ♡ あぁっ♡ あっっ♡ んあっっ♡」

 

 ぱんぱんとリズミカルに響く性交の音。その音に合わせて発せられる甘い嬌声。右へ、左へと揺れる尻尾は、交わりの快楽を悦ぶかの様に激しく動き回っている。

 張りのある大きな尻を両手で掴み、がっしりと力強く腰を打ち付けるマスター。タマモキャットの体は、そのピストンに合わせて浮かび上がったり落ちたりしていた。

 

「ごひゅっ♡ じんっっ♡ 今日もっ♡ はげしっ♡ あぐぅっっ♡」

 

「ごめんっ、キャット! でも、気持ち良過ぎて腰が止まらないんだっっ!!」

 

「んにゃおぉおおぉおっっ♡♡♡ ん、ふふっっ♡♡♡ 遠慮はいらぬぞ、ごしゅじんっっ♡♡♡ 激しく! 強く! 好きにキャットの躰を貪れっっ! なよなよした腰振りなど不要だっ!! 思いっきり、雄の滾りをぶつける様に……アタシを喰らえっっ!!」

 

「っっ……! そんなこと言って、後悔しないでよ? 俺、もう止まれないからねっっ!!」

 

「んきゅうぅうぅうぅうぅうううぅぅぅぅうっっ♡♡♡ おっっ♡♡♡ おぉおおぉぉおおぉおぉおおぉぉおおぉおぉおっっ♡♡♡」

 

 響く音の重さが、はっきりわかる程に変わった。ぱんっ、などという軽い音ではない。ずんっ、という表現が正しい重厚なピストンが、連続してタマモキャットへと繰り出されていく。尻肉を掴む手にも力が籠められ、むんずと彼女の柔らかい尻を揉みしだくマスターは、更にペースを上げてタマモキャットの膣内を穿ち続けていた。

 

「はぁっ! ぐっっ! ぐぅぅぅっっ!! う、おぉぉぉぉぉォォォォォッッ!!」

 

「あ、は……♡♡♡ キタな、理性を吹っ飛ばすご主人の『狂化』モード……♡♡♡ 目の前の雌を喰らい尽くすまで、もう止まらない……♡♡♡ 我しか相手出来ない、獣のちか、あぁあぁぁあぁぁあぁあぁあぁぁあぁぁっっ♡♡♡」

 

 叫び。咆哮。絶叫。カルデアのマスターが上げたその雄叫びは、耳にした者全ての心を奮わせた。雄が耳にすればその力強さを肌で感じ取り、雌が耳にすれば野獣を思わせる雄々しさに子宮が震えてしまう。映像越しでもこれなのだ、間近で彼の叫びを耳にしたタマモキャットの理性が吹き飛ぶことなんて、想像に難しくない。

 

「にゃおぉおおぉおおぉおおぉおおおぉおぉおぉおおぉおおぉっっ♡♡♡ んにいぃいぃいいぃいいぃいいぃいぃっっ♡♡♡ おおぉおぉおおぉおおぉおおおぉおぉおぉおぉぉおおぉおおっっ♡♡♡ おおぉおおおぉぉおぉぉおおぉぉおおぉぉおぉおんんっっ♡♡♡」

 

 押し倒される、ベッドの上に。成す術もなく組み伏せられ、抵抗すらも許されぬまま貪られる。

 圧し掛かられる、体に覆い被さる様に。逃げられぬ、抗えぬ体勢のまま、膣を子宮まで貫かれるタマモキャットの叫びが木霊する。

 子供の腕ほどの長さと太さをした肉棒が何度も何度も彼女の膣を出入りし、最奥の子宮を叩いては快感を生み出す激しい抽挿を繰り返していた。一突き毎にタマモキャットの膣からは愛液の飛沫が舞い。尻尾はぴんと張って硬直し続けている。

 獣の雄が、雌の胎に自分の子種を仕込むためのセックス。その表現がぴったりだ。マスターはタマモキャットの子宮に己の精を放ち、彼女に自分の子供を産ませようとしているとしか思えないほどに激しいセックスだった。

 

「ひぐうぅうぅうぅううぅぅううぅぅううぅぅううぅうっっ♡♡♡♡♡ はあぁあぁあぁあぁぁあぁぁあぁあああぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁっっ♡♡♡♡♡ くああぁあぁああぁぁあぁああぁぁぁああぁっっ♡♡♡♡♡ あおぉおぉおおぉおぉおおぉぉおおぉおぉおぉおぉおおぉっっ♡♡♡♡♡」

 

 理性蒸発だなんて、そんな生易しいものでは無い。元よりそんなものが存在していない、本能を剥き出しにしたセックスを続ける二人の姿は、まさしく野獣であった。喰らう雄と差し出す雌、自然界に存在する雄の絶対的な優位性が二人の中には生み出されていた。

 

 タマモキャットの舌が伸びる。白目を剥き、堪えられぬ快感に身を震わせ、既に絶頂を何度も繰り返すアヘ面を見せている。だが、そんな彼女の姿を見てもマスターは一切の手加減を行いはしない。それで良いのだと、本能的にわかっているから……本気の、全力の、性交。タマモキャットが望んでいるものがそれであると、マスターは繋がりの中で彼女の想いを感じ取っていた。

 その直感は正しく、ここで手を抜かれることをタマモキャットは望んでいなかった。主が滾りのまま理性のタガを外し、本能のままに荒れ狂う姿を初めて見たのは自分だという思いが、この逞しい雄を生み出したのは自分だという自負が、彼女にも一つの願望を抱かせているのだ。

 ()()()()()()……それは単純明快で、シンプルな想いであった。この雄に負けたくない、ではない。他の雌に負けたくはない、だ。

 負けたくない。マシュにだって、ナイチンゲールにだって、他の誰にも負けたくない。淫紋令呪の再臨で負けていようとも、セックスの回数で負けていようとも、この雄が一番に求めるのは自分であって欲しいと彼女は願う様になっていた。彼の感情や記憶が他の誰を求めようとも、本能だけは自分を求めて欲しいと、そんな想いを胸に抱く様になっていた。

 自分の臭いを嗅ぎ、自分の体に触れ、柔らかさと温度を感じ、獣になれば良い。優しさなどかなぐり捨て、激しさだけを持てば良い。この獣が自分を食らい尽くし、満足するまで貪り、最後には完全に自分の女であると確信出来るまで、抱いてくれれば良い。

 獣の相手が出来るのは獣だけ……人が獣の相手をするのではない、獣が獣の相手をするのだ。同じ獣同士だからこそ、人間相手には出来ないことを彼は行える。マスターの本能を満足させられるのは自分だけだと、そう胸を張れる存在でありたいと、タマモキャットは願う様になっていた。

 

「あああぁぁぁああああああああぁぁあぁぁぁあああぁぁぁぁあぁああああぁぁぁぁあぁっっっ♡♡♡ ひにゃあぁぁあぁあああああぁぁぁああぁぁああぁっっ♡♡♡ うああぁぁあああああああぁぁぁぁああぁあっっ♡♡♡ ああぁぁあぁあああぁあぁああぁぁあぁぁぁあぁぁっっ♡♡♡」

 

 だから、タマモキャットは全力で叫んだ。喉を開き、あられもない声を大声で叫び続けた。獣は我慢などしない。恥も感じない。ただただ、本能のままに動いて、叫ぶだけだ。与えられる快楽を堪えることは獣の生き方に反する。そんなことをすれば、彼は自分のことを同類では無いと断ずるだろう。それだけは、絶対にあってはならない。

 もう、キャットには意味のある言葉を紡ぐ余裕は無い。それどころか、思考すらも完璧に停止していた。強い快楽が与えてくれる感情をを本能のままに表現し、ただ体を反応させているだけだ。それこそがマスターの望む反応であることを、彼女もまた繋がりの中で感じ取っていた。

 

「ウオォォォォォォォォォォォッッ!! ゴオォォォォォォォォォォォォォッッ!!」

 

「おぉおぉぉおぉおぉおぉおぉぉおおぉぉおぉおぉおおぉんっっ♡♡♡ うぉおぉぉおぉおぉおぉおおぉぉおぉおぉおぉおぉぉぉっっ♡♡♡」

 

 二人……否、二匹の獣が叫ぶ。お互いの叫びでお互いの理性を吹き飛ばし合い、本能を剥き出しにした獣へと堕ちていく。そうして、快楽の高みへと二匹で登り詰めて行く。

 そのセックスを見つめる者は、男は勃起し、女は足元に愛液の水溜まりを作り出している。足腰が立たず、その場に崩れ落ちる者も居た。自分たちの知らない異次元の性交に、彼らは完全に目を離せなくなっていた。

 

 跳ねる。沈む。掴む。絡む。求める。抱き締める。離さない。軋む。繋がる。もっと深く。狂う。正しく。叫ぶ。喘ぐ。吼える。理解する。堕ちる。浮かぶ。失神する。覚醒する。終わる。始まる。熔ける。焼き切れる。蒸発する。吹き飛ぶ。終わる。始まる。絶頂する。

 目の前で行われているそれを表現するには、言葉が足りない。いや、言葉では到底表せないのだろう。それは実際に見ることでしか、その激しさを理解出来ないのだ。何故なら、これは生物の本能と本能のぶつかり合いだから……。

 絶頂し、潮を噴く女がいた。知らず知らずのうちに射精する雄もいた。抱かず、抱かれず、触れも触れられもせず、彼らは達していた。下着を汚し、床を汚して、それでも獣たちのセックスに見入っていた。

 そして……そんな観客たちの前で、その時が訪れる。雄と雌、双方がその事を理解していたかの様に、完璧な動きを以って快楽の高みへと登り詰める。

 マスターは腰を高く上げ、亀頭の先がギリギリ膣内に残る様に肉棒を引き抜いた。その状態で力を溜め、次の一撃に全てを懸ける勢いを見せている。

 タマモキャットはそんな彼の亀頭を強く性器で締め付け、膣内を最高の状態に整えた。愛液まみれの肉襞、とろとろに蕩けた膣壁、ぱっくりと開く子宮口……雄の滾りを受け止めるために存在する性器を作り上げ、彼女は脚をマスターの腰へと絡ませる。

 強く、強く抱き合うマスターとタマモキャット。目と目を合わせ、互いの行動を察知し、その瞬間に全てを放つ。

 引き絞った弓から矢を放つ様に、腰を動かして肉棒を叩き込むマスター。脚に全霊の力を籠め、マスターの腰を引き寄せるタマモキャット。突く力と引く力、野獣同士の遠慮のない本気の動きがマッチし、今までにない力強さでタマモキャットの膣内へとマスターの肉棒が突き入れられる。

 キツく締まった膣内を巨大な肉棒が割り裂いて進む。潤滑油として分泌された愛液がその動きを助け、肉襞と膣壁が媚びる様に剛直に絡む。一瞬で最奥に辿り着いた亀頭は、雌の繁殖器官に辿り着くと同時にそこを強く叩き、夥しい量の精を放つ。その激しさ、熱さを感じ取った雌は、この日一番の嬌声を叫び声として盛大に喘いだ。

 

「アあぁぁああぁあぁぁああぁぁあぁぁああぁぁあぁあアああぁァアぁぁぁアアァぁぁああぁぁああぁあァァあぁあぁぁああぁぁああぁぁああぁアァあぁぁぁぁぁあぁあぁぁァアアァアぁぁああぁぁぁぁっっっ♡♡♡♡♡」

 

 盛大な叫びを上げ、絶頂を迎えるタマモキャットの体を抑え来むマスターは、呻き声一つ上げはしない。代わりに夥しい量の精液を彼女の子宮に吐き出し、最高の快楽を味わった証を刻み込む。

 瞬く間に子宮を満たした精液の感触にだらしない笑みを浮かべるキャットは、その幸福感に満足していたのだが……

 

「あ、ぁ……っ♡♡♡」

 

 未だに硬さと熱さを損なわないマスターの肉棒が振動し、顔を上げた彼と目を合わせた瞬間、彼女は彼がまだ満足していないことを悟ってしまった。性交に満足したという意味ではない。そんなもの、彼が一発の射精だけで満足しないことなど分かり切っている。彼が満足していないのは、自分をモノに出来なかったことに関してだ。

 タマモキャットの子宮をぱんぱんに満たした精液は、一滴も零れることなくそこに留まっている。子宮口を亀頭で抑えるマスターの行いのせいなのだが、そこには彼の本能的な思いが見えていた。

 彼はキャットにマーキングするために射精したのではない。キャットを孕ませるために射精したのだ。雄の臭いがする程度の牽制ではなく、自分の子を孕ませ、膨らんだ腹を他の雄に見せつけることによって、彼女が自分の雌であることを証明させ続けようとしたのである。しかし、キャットは彼の射精で孕むことは無かった。サーヴァントである以上、当然のことなのではあるが、本能剥き出しの彼らにはそんなことは関係ない。

 今の射精は、絶対に雌を孕ませる一撃だった。だが、お前は子を孕んではいない。これは、俺の雌になることを拒む抵抗の意思の表れか? ……マスターの眼はそうキャットに尋ねていた。その眼差しに対し、タマモキャットは力強く彼を抱き返すことで答えを見せる。

 そんなことは無いと、自分は既にアナタの雌だと、全身と性器を以って表現する。子宮口は亀頭に吸い付き、残っている精子を吸い出す勢いを見せ、膣壁は肉棒に縋る様に絡みつく。全身でマスターへと抱き締めたタマモキャットの眼は、こう言っていた。

 

「この射精で孕まなかったのであれば、次の射精も喜んで受け入れる。何度でも、何度でも……自分がアナタの子を孕むまで、精を放って欲しい。アナタの雌である証を刻まれる覚悟はとうに出来ている。タマモキャットという雌は、とっくにアナタの女だ」

 

 彼女の瞳、行動、表情から全てを読み取り、タマモキャットの心に偽りがないことを感じ取ったマスターは、打って変わって優し気な表情を浮かべて彼女を抱き締めた。唇を重ね、舌を絡ませ、大切な女にそうする様に甘い快感を与えてやる。だが、それは一時のインターバルに過ぎない。もう少しすれば、またあの激しいセックスが始まる。今はただ、自分に従順になる雌に自分もまた彼女を愛していると伝えているだけなのだ。

 愛しているから、求める。抱き、孕ませ、自分のモノとする。行動の一つ一つに滲み出る彼の想いに瞳を潤ませ、悦ぶキャット。お互いの体が再びじんわりと熱を帯び始めたことを感じた二人は、甘いキスを中断してまたしても強く抱き合った。

 

「……グルルルルッ!!」

 

「んなぁあぁ……っ♡♡♡ にゃぉおぉぉっ……♡♡♡」

 

 もう言葉など必要ない。そも、獣は言葉など発しない。瞳、表情、叫び、そして本能で感じ取れば良い。それが出来る程、自分たちは深く繋がっているのだから。

 そうした再び獣たちが動き出す。激しいセックス。種付けの儀式。愛を伝えあう野獣同士のまぐわいは、部屋中の空気を震わせながら続けられた。カメラ越しにそれを見るソロモンたちの中には、射精のし過ぎや連続絶頂で失神する者までおり、ソロモンもまた陰茎を勃起させながらその映像を見つめている。

 だが、まだこれでも二人目だ。カルデアにはまだまだ多くのサーヴァントたちが居る。これからその全てを見せられたら、自分たちはどうなってしまうのか? そんなことを思いながらも、ソロモンは未だに映像を消すという手段を思い浮かべることも出来ないまま、何かに憑りつかれたかの様に食い入る様にカルデアのマスターに貪られるタマモキャットの姿を見続けていたのであった。




あれれ~……? これ、思った以上に長引きそうだぞ……? (戦慄)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデアからのビデオレター 3

 

 たわわな胸が揺れる。乳首から白濁液が噴き出す。横向きに寝転んだ体勢で片脚を抱かれ、まるで犬の排泄時の様な格好をしながら、アルトリアはマスターとの性交に耽っていた。

 彼の腰がアルトリアの内部へと突き入れられれば、くぐもった叫びと共に彼女の背中がぐんと仰け反る。胸の谷間に刻まれている淫紋令呪もまた煌々と輝き、射乳の勢いもまた絶頂時の潮噴きの如く激しいものだ。アルトリアの表情は完全に蕩け、性欲と射乳の快感に酔いしれていることがわかった。

 

「ん、お、おぐぅっ♡♡♡ マスターのおちんぽっ♡ おくまではいってぇっっ♡♡♡ しきゅうがぁっ♡ たたきのめされてっっ♡ ふあぁあぁぁうっっ♡♡♡」

 

 ぐりぐりと亀頭を子宮口へと押し付けられる感触に喘ぎ、潮噴きと射乳を同時に行うアルトリア。カクカクと情けなく腰を震わせる彼女の太腿を柔らかく抱きしめ、その脚へと頬擦りしながら、マスターは熱を帯びた声で囁く。

 

「アルトリアの太腿、ムチムチで柔らかい……! 俺、この体位好きだよ。いっぱいミルクを射乳するおっぱいも、可愛く光る谷間の淫紋令呪も、えっちなアルトリアの表情も全部いっぺんに見られるからさ……!」

 

「あ、あぁ……♡ マスターの性槍、凄く硬くなって……♡ まるで岩……ううん、鋼鉄の様です……♡」

 

「そりゃあ、凄く興奮してるもの! アルトリアを抱いてるんだ、当然のことでしょう?」

 

「……♡♡♡」

 

 さも当然とばかりに自分を褒め称えるマスターの言葉に頬を赤らめたアルトリアは、彼の求めに従って唇を重ね合わせた。ねっとりと舌を絡ませるいやらしいキスを行えば、2人の間には互いの涎で形成された銀色の橋がかかる。重力に従って口の中に落ちて来るそれを喜んで受け止めたアルトリアは、まるで高級なワインをテイスティングする様に舌の上でマスターの唾液を転がした後で喉を鳴らして嚥下した。

 

「大変、おいしゅうございました……♡ 濃厚な魔力のお陰で、私のおっぱいがミルクでぱんぱんになっています……マスター、どうかいやらしく膨らんだ淫乱騎士王のエロ乳から、おっぱいミルクを噴き出させて下さい……♡♡♡」

 

「ああ、うん。わかったよ……!」

 

 敢えていやらしい言葉を使い、マスターの興奮を煽るアルトリア。瞳に浮かぶ光には淫らな色が映り、彼を見る視線には期待と熱が籠っている。

 尻を揺らし、張っている胸を見せつけ、舌なめずりをする。性感のスイッチが入ってしまったアルトリアの姿に息を飲むマスターは、普段の凛々しさとは打って変わって女としての表情を見せる彼女の体へと覆い被さる様にして体勢を移行した。

 

「うっっ♡ くぅうっっ♡ あっ♡ あぁぁぁっっ♡」

 

 マスターの体重を全て体で受け止め、乳房を枕代わりにして彼の頭を乗せる。光る淫紋令呪を目の当たりにされるアルトリアは、それがどれだけ自分が興奮しているかを示す指針になることを知っているが故に羞恥心を抱く。

 先ほどよりもマスターと密着しているせいか、彼女の体と心はときめきが止まらないでいる。その喜びに合わせ、淫紋令呪もまた輝きを増してマスターの目の前で輝いている。

 はしたない女だと思われても仕方がないほどの点滅を見せる淫紋令呪に僅かな憎らしさを抱くアルトリアであったが、マスターが胸の谷間を指先で撫でた時にはそんな思いは吹き飛んでいた。

 

「嬉しいよ、ちゃんと気持ち良くなってくれてるんだね、アルトリア……!」

 

「なにを言うのです、マスター。私が貴方との交わりで感じないことなどあり得ません。回を増すごとに快感は強くなり、霊基は淫らに成長し……今では母乳が噴き出る体に変貌してしまいました。貪れる快感も最初の頃とは比になりません。どれもこれもすべて、貴方の手による変化なのですよ……♡♡♡」

 

「あぁ……! アルトリアの柔らかくて何処までも沈んでしまえそうな体……! 普段の精悍さが嘘みたいな可愛い鳴き声! 噴き出すミルクの甘い匂いと粘っこくて濃いその味! 何よりとろとろで凄くエッチな表情……! 手も、耳も鼻も舌も目もっ! アルトリアのことを感じたいって夢中になってる! アルトリア! アルトリア……っ!」

 

「は、あぁぁ……♡♡♡ マスター、そんなにがっつかないで……♡♡♡ 私は何処にも行きません、貴方のお傍に在り続けます……♡♡♡ どうぞ焦ることなく、好きなだけこの体を抱き締めて下さいね……♡♡♡」

 

 穏やかで、優しくて、そして暖かな笑み。まるで聖母の様な表情を浮かべ、劣情を催すマスターを抱き締めるアルトリアは、幸福に満ちた女の顔をしていた。

 肉便器でもなく、性奴隷でもなく、ただの戦力でもない。一人の女として、その心と体を求められる幸せを知った彼女は、腕の中の青年の頭をそっと撫でては微笑みを湛えた表情で頷いている。女として愛される喜びと愛する喜びを味わうアルトリアの姿は、それを見る者たちの憧憬の的となっていた。

 男たちはマスターのことを羨ましいと思った。美しい女神の様なアルトリアに優しく抱き締められ、天上の快楽を味わえる彼のことを妬ましく思っていた。しかして、彼らの中には誰一人としてそれを味わう権利は最初は自分たちの手の内にあったことを悟る者はいない。

 女性たちはマスターではなく、彼を抱くアルトリアの方を羨ましいと思っていた。特に、彼女と同じアルトリア・ペンドラゴンの名を持つ女性たちは、自分と彼女の姿を重ね合わせて愕然としていた。

 自分たちと一緒に尻を並べ、男たちに犯されている時は、彼女はあんな顔をしていなかった。満ち足りて、幸福で、温かで……あんな綺麗な笑顔を見せた事など無かった。かつての彼女は、今の自分たちと同様に狂った笑みを浮かべていたのに、それなのに――

 

 何が違うのだろうか? 男に抱かれ、体を開発され、より淫らになって、それはアルトリアも自分たちも何も変わらないはずなのに、どうして彼女はあれほどまでに幸せそうなのだろうか? 剣士(セイバー)槍兵(ランサー)も、反転した彼女たちも、そしてリリィすらもその疑問に考えを巡らせては出ない答えにやきもきしていた。

 だが……本当は、彼女たちは気が付いていたのかもしれない。淫紋令呪による思考の阻害効果が働いていたのか、それとも無条件なソロモンへの崇拝がその答えを頭の中に思い浮かばせることを防いでいただけで、心の中ではもうその理由を理解していたのだろう。

 とても単純なことだ。ランサーの彼女(あのアルトリア)が幸福なのではない。()()()()()()()なだけなのだ。

 認め、敬愛し、心を掴まれた男性に愛される喜びは、女ならば誰でも味わう権利がある。愛する喜びも愛される喜びも、本来は当たり前に得られるものなのだ。男として振舞っていたアルトリアたちには、生前にはそれを楽しむ機会はなかった。今、英霊として召喚され、マスターに愛されたからこそ、女としての幸せを実感出来ているのだ。

 答えは至極単純だった。ソロモンも他の男たちも、自分たちを愛してはくれない。初めて知った性交の快感は脳を蕩かすほどのものであったが、それ以上の幸福と快楽があることを知った今では物足りなく感じてしまうだろう。

 また一つ、女英霊たちの心に楔が打ち込まれた。アルトリア・ペンドラゴンたちは全員、別の道を辿った自分自身の艶やかな姿に腰を抜かして失禁している。彼女たちの瞳には、羨望と共に絶望の感情が浮かび上がっていた。

 

「はぁっ♡ くあぁぁっ♡ はぁんっ♡ あぁぁ……っ♡」

 

 腰を打ち付けられる度、アルトリアの胸が大きく揺れる。先端の突起は大きく勃起し、凄まじい勢いで太い母乳を噴き出していた。

 指と指を絡め、体と唇を重ね、愛し合うマスターとアルトリア……男と女の愛の営みは、激しくも穏やかな幸福さに満ちている。

 柔らかいアルトリアの乳房に吸い付き、もう片方をわっしと掴んだマスターは、最大の弱点であるそこを丹念に責め上げた。もっと多く、もっと激しく、彼女の愛の証たる母乳を噴き出させるべく、持てる限りの技術を用いてアルトリアに快楽を与えるマスター。その動きに合わせ、仰け反る様にして叫んだアルトリアの乳首からは、一層激しさを増して射乳が行われる様になっていた。

 

「あぁあぁぁあぁぁぁあぁっっ♡♡♡ んあぁあぁあぁあぁぁっっ♡♡♡ これ、以上はっ♡ ダメですっ♡ おっぱいが、おかしくなってぇ……っ♡」

 

「アルトリアのミルク、美味しい……! もっと飲ませて、アルトリア……!」

 

「はあぁぁあぁぁぁあぁんっ♡♡♡ マスターっ♡♡♡ そんなに、強く吸い付いてはっ♡♡♡ くあぁあぁぁぁあぁっ♡♡♡ あっ♡ はぁぁあぁっ♡♡♡ もうダメっ♡ ミルク、とまらなくなってぇ……っ♡♡♡」

 

 魔力と活力の結晶であるアルトリアの母乳は、飲む者の体力を回復させる効果がある。その味に飽きることなど考えられず、吸えば吸う程に口の中に流れ込んで来るそれを延々と飲み続けて力を付けるマスターのピストンは、体力の回復に比例して激しくなっていた。

 そうなると当然、アルトリアの感じる快感も強まる。射乳の勢いも更に増し、マスターの体力回復も比例して早まる。つまりは、こうしている以上は体力の限界は来ず、全力の性交をいつまでも続けられるということだ。

 両方の乳首を重ねてマスターの口の中に放り込まれたアルトリアは、膣を抉られる快感と射乳の快感に意識を混濁させていた。淫紋令呪の精神強化が無ければ、とっくに失神していただろう。

 より強い快感を求め、激しい快楽を味わうことを望む彼女の霊基は、その期待以上の幸福を与えてくれるマスターのセックスを存分に楽しんでいる。意識を失うことなど勿体無いとばかりにアルトリアを覚醒させ、一秒たりともその体に快楽を感じない瞬間が無い様に神経を過敏に反応させていた。

 

「あひっ♡♡♡ あひぃんっ♡♡♡ ふひぃいいぃっ♡♡♡ あっひぃいぃいぃいぃぃいっ♡♡♡」

 

 性交の快楽を味わうアルトリアの脳裏には、自分の放った母乳がマスターの体内で活力となるまでのイメージが浮かび上がっていた。自分が、彼に力を与えているという喜びに打ち震え、彼が与えてくれる快感に体を痙攣させ、ずぶずぶと快楽の沼に全身を沈ませながら、彼女はあられもない姿をさらして喘ぎ続ける。

 涙を流し、舌を垂らし、涎で顔をぐちゃぐちゃに汚し……それでも、彼女は満ち足りた幸福な表情をしていた。少なくとも、ソロモンに捕らえられている英霊たちが羨むほどにはだ。

 その表情のまま、アルトリアの体が大きく跳ねる。背を逸らし、首を仰け反らせ、マスターと繋がり合う部分に思い切り力を込めて、彼女は大きな嬌声を上げつつ、達した。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ♡♡♡ んっはあぁあぁああぁぁあぁああぁぁっっ♡♡♡」

 

「ぐっっ! うおぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 

 アルトリアの絶頂と同時に、マスターも己の滾りを彼女の子宮へとぶちまけた。熱い精液がアルトリアの胎内を満たし、魔力を充填させ、霊基中をそれが駆け巡る。そうなれば、アルトリアの豊かな乳房ははち切れんばかりの張りと膨らみを再びマスターの眼前で取り戻してみせた。

 

「あ、あ……♡ マスターの魔力で、またエロミルクが一杯になってしまいました……♡ おっぱいが張って、辛いです……♡」

 

 じわじわと、アルトリアの乳首からは収まり切らなかった魔力が母乳となって溢れ出ている。その光景は非常に官能的で、息を荒くするアルトリアの姿と合わせれば、男が滾り狂うのも当然の物だ。

 再び、マスターの手がアルトリアの乳房を掴む。ぱんぱんに膨らんだそれを揉み解し、内部の母乳を吐き出させる様に愛撫する。

 そうすれば、まるで水鉄砲の様な勢いで白い液体がアルトリアの乳首から噴射され、彼女の口からは獣の様な喘ぎ声が飛び出して来た。

 

「お゛お゛お゛おんっ♡♡♡ お、おぉ……っ♡♡♡」

 

 脳内でスパークする快感の信号に言葉を失い、ただただマスターの手で搾乳され続けるアルトリア。野太く、淫らな嬌声を上げながらも蕩け満ち足りた表情を浮かべる彼女の姿がカメラに大写しになり、段々とフェードアウトしていく。

 

「は、はひ……♡ まひゅたぁ♡ いくらでも、わたしのミルク、のんで、ください……♡ あいして、います……♡ あなたを、あいして……♡」

 

 画面がブラックアウトする寸前に聞こえて来たのは、そんなアルトリアの素直な愛の言葉であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び画面が明るく照らし出されると、そこにはカルデアのトレーニングルームの光景が映し出されていた。サーヴァント同士の手合わせにも十分耐えうるだけの耐久性を誇る部屋の中では、モードレッドとカエサルが互いに剣を打ち合わせている。

 実践形式の訓練というよりかは本物の決闘の様だ。使っている武器が訓練用の模擬刀であることを除けば、互いに全力を出して剣を振るっている。通常ならばモードレッドの完勝なのであろうが、未だに万全と言い難い彼女は、カエサルの虚実組み合わせた剣技に翻弄されつつ、必死になってそれに喰らい付いていた。

 

「くっ! このぉっ!!」

 

 鈍重な見た目に反して華麗な剣捌きを見せるカエサル。そんな彼が見せた一瞬の隙を見逃さず、モードレッドは渾身の突きを繰り出す。鋭く早いその一撃は、見事にカエサルの出っ張った腹を貫く……かと思われた。

 

「!?!?!?」

 

 が、しかし、剣の切っ先が体に触れる寸前、カエサルは意外なほどの俊敏さを見せてモードレッドの刺突攻撃を回避した。そのまま回転の勢いを乗せた横薙ぎの一撃を繰り出し、カウンター気味に彼女の首元を切りつける。

 攻撃に全神経を注いでいたモードレッドはその攻撃を防ぐことは敵わず。自分の首元でぴたりと動きを止めた剣を見つめることしか出来なかった。実戦であれば、首を切り落とされていたということを理解するモードレッドは、憮然としながらも潔く負けを認めて剣を放り投げる。

 

「クソッ、このデブにも勝てねえのかよ……!」

 

「いや、いい勝負だった。それにこれはお互いに宝具やスキルは抜きの勝負だ。実際の戦いでは、また違った結果が出るだろう」

 

「あったりまえだ! オレが本気で戦ったら、負ける訳がないだろうがよ!」

 

 汗を拭い、怒り顔のまま吼えるモードレッド。そんな彼女にカメラが近づいて行く。カエサルとモードレッドも自分たちが撮影されていることと、仲間たちが差し入れを持ってきてくれたことに気が付き、彼女たちへと挨拶をして来た。

 

「お疲れ様です、カエサル様。勇猛なお姿、この目に焼き付けさせて頂きましたわ」

 

「ははは! どうやら、想い人に良い所を見せられた様だ。手合わせに感謝させてもらおう、円卓の騎士よ」

 

「ケッ! これ見よがしにイチャつきやがって……」

 

 カエサルにタオルと飲み物を手渡し、熱い視線を注ぐクレオパトラ。そんな彼女の愛に応えるカエサルの姿を見て、モードレッドはしかめっ面のまま呟いた。どうやら、負けたことが相当後を引いている様であり、しかも自分がカップルがいちゃつくダシにされたとあれば、それを面白く思わなくても仕方が無いだろう。

 ぶーぶー文句を言いながら、自分もまた汗を拭うモードレッド。そんな彼女に対して、撮影者であるジャンヌ・オルタとクロエはフォローの言葉を投げかけた。

 

「仕方が無いでしょう? 貴方はまだ万全の状況じゃあないし、カエサルもクレオパトラの淫紋令呪のマスターになったお陰で能力が強化されてるのよ。その分の差を考えれば、この結果は当たり前じゃない」

 

「んなことわかってるっつーの! ……でも、負けて気分が良くなることはねえだろうがよ。クソっ! 次は絶対にボッコボコにしてやるんだからな!」

 

「ふふふ……! ホント、モードレッドさんって負けず嫌いよね~! ……マスターの前ではとっても可愛くあんあん鳴いちゃうのに……」

 

「そこ! うるせえぞ! 体力が戻ったら、ボケマスターだって枯れるまで搾り取ってやるんだからな!」

 

 クロエの一言に顔を真っ赤にしたモードレッドは、憤慨した様子ながらもそれ以上は何も言わずにベンチに座り休息を取り始めた。カメラは彼女に近づき、モードレッド自身の現状を伝えるために撮影を続ける。

 

「まあ、今はステータスが弱体化しちゃったみたいだけど……淫紋令呪のブーストとスキルの習得でまずまずは強くなってきたんでしょう? 剣もまともに振れなかった頃に比べれば、大進歩じゃない」

 

「バーロー! んなこと、いちいち褒められる様なもんじゃねえよ。まだまだ、本当のオレの力には届いてねえんだからな」

 

「そうかもしれないけど、本当に荒れてた時期を知ってる者としては、今の貴方の前向きな態度が嬉しいのよ。一時期は拗ねて、随分腐ってたじゃない」

 

「まあな……そっから色々あって、自分の状況ってヤツを受け入れられて……そんで、開き直ったって感じだな。なっちまったモンはしょうがねえ。なら、また強くなれば良い。そんだけの話だって気が付いたのが、一番デカいと思うぜ」

 

「え~? 本当にぃ? 私からしてみれば、マスターからの魔力供給が一番大きな要因だと思うんだけどなぁ……?」

 

「うぐっ……! それもあながち間違いじゃあねえよ。なんつーか、アレのお陰で自分の弱さを認識出来た気もするし……父上に抱きしめられて、安心したってのもあるかな。要らない奴って思われてる訳じゃなく、必要な存在として在れることを心の底からありがたく思えた。ホント、変な話だけどな……」

 

 少ししんみりとした様子で語り出したモードレッドは、カメラに目線を向けながらそれを手にする仲間へと素直な想いを告げる。非常に珍しいことだが、最近雰囲気が柔らかくなったモードレッドは、仲間たちとの関わりを拒絶することなく、カルデアで絆を順調に紡ぎ続けているのだ。

 

「お前たちにも感謝してんだぜ? 弱くなっちまったオレのことを信じて、背中を預けてくれる。こうして訓練にも手を貸してくれるしな。ソロモンの所にいたら、便所か苗床に直行だったんだろうけどよ……こうして無事にカルデアに戻って来れて、その……な、仲間の大切さとか、身に染みて実感してるっつーか……信頼されるってことがどれだけありがてえことか、信頼出来ることがどれだけの安心感を生むのかって、改めて実感してる。マジでその、ありがとな……」

 

 顔を赤らめ、指を絡ませてもじもじと語るモードレッドの言葉を聞き、カエサルもまた大きく頷いていた。悲しいかな、沢山の仲間たちを利用して来た彼の姿には失笑も浮かぶが、それでも個では出来ないことを群でなら可能になると知る故に、彼もまた一人でないことを感謝しているのだろう。

 

「支え合えること、分り合うこと、笑い合えること……一見、それは当たり前の様にも思えるが、その当たり前を失って初めて理解出来ることもある。建前だけの信頼関係ではなく、心からの絆を結ぶことがどれだけ幸福なことか、私も理解出来たよ」

 

「一人じゃねえもんな、今のオレたちは。……ソロモンの所だと、仲間はうじゃうじゃいるのにすげえ寒いんだよ。逆に、こっちはそこまで人がいる訳じゃあねえのに温かい。繋がってるんだなって、そう思える。一つなんだなって、感じられる気がするんだよ」

 

 ぼそりと呟いたモードレッドの言葉に、誰もが言葉を発しないまま頷いた。ある者は愛する人と、ある者はもう一人の自分とも呼べる存在と、またある者は親子関係にある人物と、もう一度関わりを結び直すことが出来た。紡がれた絆は今までよりも深く、強くお互いを結ぶ糸となっている。それが、無性に温かく感じられるのだ。

 繋がりや絆は安心感を生む。安心感は精神の安定を促し、健康な精神は肉体を頑強にする。一人では出来ないことも二人ならば可能になり、協力して物事を解決することで絆は一層深まる。所謂、良い連鎖反応によってカルデア内部の空気は穏やかかつ温かな物になっており、それが洗脳された女英霊たちの心を安定化させることに一役買っていることは疑い様がないだろう。

 無論、絆が深まることによって新たな問題が生み出される可能性も0ではないが、常にギスギスした空気の中で生活することよりかは圧倒的にマシだ。その様な状況に身を置いていたからこそ、モードレッドたちは今のカルデアの温もりを実感出来ているのである。

 

 モードレッドの言葉通り、ソロモンの下には多くの仲間たちがいた。しかし、それはあくまで同業者とでも呼ぶべき存在であり、友や家族と呼べる様な代物ではなかったのである。

 共同して任務に当たるだけの存在。しかも、100%協力する訳ではない。時に足を引っ張り、手柄を奪い合い、最悪の場合は裏切りだって行う。いつ、どこで、誰が自分を裏切るやもしれないという不安感は、お互いの信頼関係を簡単に崩壊させ、新たな絆の誕生を妨げ続けている。その結果が、数は多くとも孤独感に苛まれるという冷たい空気であった。

 仲間を助け出し、世界を救うという目標の下に一致団結しているカルデアに対し、ソロモンの軍勢は目的がそれぞれバラバラだ。ある者は打倒カルデアを目指し、またある者はソロモンに愛されることを望む。そんなことも気にせずに良い女を抱きたいだけの男や、目標なんて頭になく、目の前の快楽を貪れれば良いと思い続ける者だっている。全員が全員、バラバラのまま行動している。誰もが信用しているのは自分とソロモンだけだと考えている。それが、容易に仲間を裏切れる女英霊たちの心根を作り出しているのだ。

 

「……マスターは、オレを見捨てないって言ってくれた。今でもこうして弱っちいオレを見守って、色々手を貸してくれてる。マシュや父上もそうだ。それがすげえありがてえし……素直に嬉しい。だから、焦らずに一歩ずつ、少しずつ、強くなろうって思えるんだ。あっちに居たら、そうは思えなかった。ただただ魔獣を産んで、それが出来なくなったら便所行きになって……今頃、どうなってたことか。でも、あそこにはいるんだよな? そうなっちまった奴らが確かに存在して、今も嬲られ続けてるんだよな? だったら――」

 

 モードレッドの表情が引き締まる。眼光は鋭くカメラの先に居るであろう敵を貫き、見据えた憎き仇を視線だけで刺し殺さんばかりに威圧感を放っている。

 かつての弱々しい彼女を知る英霊や男たちは、その視線に驚愕を禁じ得なかった。映像に映っていたのは、紛れもなく狂犬と呼ばれた円卓の騎士であるモードレッドの姿であり、心を完全に崩壊させた彼女が再び精強な眼差しを浮かべることなどあり得ないと思っていたからだ。

 しかし、実際に彼女は強い心を取り戻し、かつての力を取り戻そうと前に進み続けている。その歩みが自分たちの元へ届くことを感じさせる力強い表情を見せるモードレッドの言葉に誰もが耳を傾けている。

 

「……全員纏めて、オレが叩き斬る。今も良い気になって人を人とも思わない扱いをしている奴ら、全員の喉笛を噛み千切ってやるよ。覚えとけ、ソロモン。お前が要らないと切り捨てたオレが、お前の首を落としに行ってやる。オレたちにしでかしたことへのツケは、お前の命で支払って貰うぜ、必ずな……!」

 

 背筋が凍る殺し文句。反逆の騎士による、簒奪の宣言。自分が受けた屈辱だけではなく、自分たちが受けた痛みを全て暴虐の王に叩きつけるために、彼女は牙を剥くのだろう。

 そんなことは不可能だと、ソロモンは言いたかった。しかし、開いた口から出るのは喉から搾り出される乾いた音だけで、それが否定の言葉になることはない。映像越しに与えられる重圧のせいか、はたまた延々とカルデアの面々に自分を否定されたことが予想外に効いているのか、このビデオレターは、彼が強がりを言えなくなるほどにはダメージを与えられていた。

 

 そうしてまた、映像が途切れる。何かを予感した男たちは肉棒を起立させ、女たちは体を火照らせている。自分たちの現状に衝撃を受け、自分たちが知らない快感に思いを馳せる度、彼女たちの中では何かが芽吹き始めていた。

 男も女も、この場に居る誰もが映し出される映像に期待を抱いていた。唯一の例外はソロモンだけで、彼だけが苦々しい思いでビデオレターを見続けている。無理に映像を途切れさせれば、部下たちが不満を抱くことを理解しているからこそ、彼はカルデアの策に乗り続けるしかなかったのだ。

 

 砂嵐が流れた後、次に映し出されたのは大方の予想通りに裸の男女であった。華奢な女が手足を男の体に絡め、男は女の膣に肉棒を挿入した状態で立ち上がり、彼女の体を支えている。二人の足元には大きな水溜まりが出来上がっており、時折びくびくと痙攣する女の口からは、甘い吐息と共に懇願とも脅迫とも取れる言葉が吐き出されていた。

 

「やめ、ろよ……♡ ()()は、ダメだかんな……? 絶対に、やんじゃねえぞ……♡」

 

「ふぅん……? へぇ、そう?」

 

「んっっ♡ んぅぅ……っ♡」

 

 余裕のないモードレッドと彼女を抱き締めながらふわりと微笑むマスター。両極端な二人は、熱い抱擁を交わしながら唇を重ね合わせる。

 舌を絡ませ、吸い付き、モードレッドの官能を引き出す様にしてディープキスを行うマスター。彼の性技にかかれば、モードレッドの心と体が蕩け切るまでに1分と時間はかからない。あっという間に熱を帯びた表情を浮かべる様になったモードレッドの耳元で、マスターはまるで優しい悪魔の様な言葉を囁く。

 

「本当にダメ、なの?」

 

「っっ……♡」

 

「ねえ、モードレッド。本当にダメなのかな?」

 

 全てを見透かした様な囁きに顔を逸らすモードレッドであったが、そんな抵抗はまるで無意味とばかりにマスターの手で再び真正面を向かされ、今度は目と目を合わせた状態になる。

 マスターは、同じ質問をモードレッドに投げかけ、全てを見透かしているとばかりに彼女の瞳を覗き込んでいた。

 

「手加減された中途半端なセックスでモードレッドは満足出来る? 本当は、シて欲しいことがあるんじゃないの?」

 

「そんなの、ねえよ……♡ はぅ……っ♡」

 

 反論の言葉を吐いた口はマスターの唇によって塞がれた。そのまま舌を可愛がり、キスによって快楽を与えた後、唾液をモードレッドの口の中に注ぎ込んでからマスターは口を離す。

 嘘は許さない、虚言を吐いてもすぐにわかる……軽いお仕置きを受け、脳を蕩けさせたモードレッドは、今のキスに込められたマスターの感情を理解して、頷く。頬を染め、瞳を潤ませる今の彼女は、何処からどう見てもただの乙女にしか見えない。

 ソロモンたちへの脅し文句を口にしていた時とは打って変わった可愛らしい姿を見せるモードレッドと再び視線を合わせ、マスターは質問を投げかけ始めた。今度は丁寧に、かつ分かり易い言葉で、一つ一つ彼女に言い聞かせる様にして語り続ける。

 

「モードレッド、なんで今、俺たちの足元はびちゃびちゃなのかな?」

 

「それは……マスターとの魔力きょう、んぅっ♡ ……ぷはぁ♡ せ、セックスでオレが感じ過ぎて、お漏らしとか潮噴きとかをし過ぎちまったから……♡」

 

 正しい言葉を使えなかったモードレッドは、たっぷりとキスをされてまた躾けられた。魔力供給からセックスへと言葉を変え、自分たちが何をしていたのかを正しく表現した彼女に対し、マスターは大きく頷いてから頭を撫でてやる。

 

「じゃあ、何でモードレッドはこうして俺が体から手を離して頭を撫でても大丈夫なくらいに強く抱き着いているの?」

 

「き、気持ち良かったから……♡ オレのまんこ、マスターのちんぽでがんがん突かれるのがスゲー気持ち良くって、もっとして欲しいって思ってるからっ♡」

 

「なら、何で俺に本気を出さない様に言ったの? 気持ち良いこと、して欲しくないの?」

 

「感じ過ぎちまうからだよっ♡ 性槍ちんぽっ♡ アレはダメだっ♡ 魔力を纏ったのはほんの1秒程度だったのに、数分間イキっぱなしになっちまっただろうがっ♡ アレだけはダメっ♡ あんなんでオレの敏感まんこぐちゅぐちゅされたら……っ♡」

 

「あー、そうだよね……。聖槍は、アーサー王がモードレッドを殺すために使った武器。謂わばモードレッドの最大の弱点だもんね。その力を分け与えられた俺のちんぽは、モードレッドの弱点を突き放題ってことになっちゃう。だから、こうして子宮を突いてやれば……!」

 

「あぁあぁぁあぁぁあぁぁぁああぁっっ♡♡♡」

 

 腰を沈め、浮き上がらせる。ずんっ、と重い音がモードレッドの体内から響き、甲高い嬌声がモードレッドの口から吐き出される。

 魔力の渦は纏っていないものの、その性能を強化されたマスターの肉棒の一突きを受けた途端にモードレッドは達し、盛大な潮噴きを晒してしまった。口の端から涎を垂らし、ひくひくと体を震わせる彼女が落ち着く間も与えず、マスターはその耳元で囁く。

 

「どんな気分? 自分の弱点である聖槍で、自分の気持ち良い場所を突かれるってのはさ……! また、俺に弱みを握られちゃったね? 凄く可愛い姿を見せて、女の子にされちゃってるね?」

 

「あうぅ……♡ なんだよぉ……♡ ずりぃよぉ♡ なんもかんも見透かされてんじゃねえかよぉ……♡ 心も体も、どっちも掌握されて、好きな様に虐められて、気持ち良くすんなよぉ……っ♡」

 

「ふふふ……! 知ってるよ、モードレッドがダメ、とかするな、とか言う時は、本当はして欲しいってことなんだよね。だから本当は、性槍ちんぽでもっともっと虐めて気持ち良くして欲しいってことなんだよね?」

 

「はっ♡ はっ♡ はっ♡ あうぅ……っ♡ わかってんなら、確認なんかすんじゃねえよ……♡ 早く、シテくれ……♡ 頼む、頼むからぁ……♡♡♡ 早くちんぽくれぇ……♡♡♡」

 

 強請る様に腰を振り、自分から唇を重ねて舌を伸ばす。いやらしい雌、そう形容するに相応しい姿を見せつけながら、モードレッドは子犬の様にマスターに甘えて擦り寄っていた。

 そんな彼女を拒むことなく、じっくり、たっぷりと焦らすカルデアのマスター。はふはふと本物の犬の様な荒い呼吸を続けるモードレッドを優しく抱きしめ、その耳元で彼女の望む言葉を囁く。

 

「……これから、この性槍ちんぽでモードレッドのギリギリを責めてあげる。すっごく気持ち良いけど、気を失わないギリギリのライン……何回も何回も子宮を突いて、襞を擦って、徹底的に膣を馴染ませて……一番気持ち良い所で、モードレッドの子宮の中にザーメンを注ぎ込むよ。凄く濃くて、熱くて、モードレッドが孕んでもおかしくないくらいに激しい射精で、モードレッドのお腹を一杯にして……そうやってたっぷりとセックスを堪能させた後で、モードレッドを失神させてあげるね」

 

「あぅ♡ あ、あぁ……っ♡」

 

「大丈夫だよ、一回だけで終わりにはしないからさ。気を失ったモードレッドを魔力を纏った聖槍で叩き起こして……二回戦目を始めよう。子宮がぱんぱんになったら今度はお尻だ。何十回でも、何百回でも、モードレッドのことを幸せにするからね。心も、体も、全部蕩け切るまで虐め抜くよ。……それが、モードレッドのして欲しいこと、だよね?」

 

「あ、あ、あ……♡♡♡ あ~っ♡♡♡ んあぁぁぁぁああぁぁっっ♡♡♡」

 

 マスターへの返答は、股座から放つ黄金水によって行われた。びちゃびちゃと彼の体に降りかかるそれは、足元に垂れた後でほかほかと湯気を上げる水溜まりへと姿を変える。体を汚されながらも、決してそれを怒ることなく、それどころか満ち足りた表情を浮かべるカルデアのマスターは、モードレッドの瞳を見つめながら優しく囁いた。

 

「本当に可愛いよ、モードレッド……! これからたくさん可愛がってあげるからね……!」

 

「あぁぁ……♡♡♡ あ、あぁ♡♡♡ ああぁぁああぁあぁぁあぁあぁぁあぁあああぁぁああぁああぁあぁぁあぁぁああぁあっっっ♡♡♡♡ ひああぁぁぁああああぁぁぁああぁぁああぁぁぁあああっっ♡♡♡」

 

 マスターの手がモードレッドの尻を掴む。腕と脚に力が籠められ、膣内に潜り込んでいる肉棒が熱い滾りを漲らせる。

 動き出した腰は、最初からトップスピードであった。セックスによって生まれる激しい音は、全てモードレッドの嬌声によって掻き消されている。

 

「んああぁぁああぁあぁああぁああぁあぁあぁぁああぁぁっっ♡♡♡ いぐぅううぅぅうぅうぅううぅううぅうっっ♡♡♡ ひぐぅうっっぅっっ♡♡♡ イクの、とまんなっっ♡♡♡ あああぁぁああぁぁああああぁあぁああぁあぁあっっ♡♡♡ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ♡♡♡」

 

 自分の命を絶った武器の力を持つ肉棒で、自分の弱点を容赦なく突かれる。一突き毎にモードレッドは果て、新たな快感がそれを塗りつぶすかの様に次々と襲い掛かって来る。抵抗など、我慢など、出来る筈もなかった。マスターの絶妙な力加減と腰の振り方によって意識を保っているだけのモードレッドは、喘ぎ続ける以外の選択肢を与えられていないのだ。

 

「おおぉおおぉおぉおおおおぉおぉおぉおぉっっ♡♡♡ んゴぉおおぉおおぉおぉおおおぉっっ♡♡♡ はあぁっっ♡♡♡ はあぁぁあぁあぁっっ♡♡♡ いぃいぃいぃいぃぃぃいぃぃぃいっっ♡♡♡ んひぃいぃいぃいぃいぃっっ♡♡♡ ひぃいぃぃいぃぃぃいぃいぃっっ♡♡♡」

 

 愛液を撒き散らし、失禁を続け、性交に耽るモードレッド。そんな彼女とマスターから、カメラがゆっくりと離れて行く。だが距離は離れても、モードレッドの嬌声だけはより大きさを増して映像の中に残され続けている。

 

「んあぁぁああぁあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁっっ♡♡♡ あぐっっ♡♡♡ ぐああぁぁあぁあぁあぁあぁああぁぁっっ♡♡♡ あぁああぁあぁあぁあアァあぁあぁッッっ♡♡♡ ひああぁぁぁああああぁぁぁああぁぁああアァァぁあアあっっッ♡♡♡」

 

 映像がブラックアウトしても、モードレッドの獣の様な叫びは途切れない。その嬌声は、どれだけ激しいセックスが行われているかが察せる様な代物ではなかった。男も女も、そんな嬌声を耳にしたことはなかった。

 ソロモン達が映像を見守る大広間では、愛液や精液、そして尿を知らず知らずのうちに漏らした男女がそれに気が付かないまま茫然と黙りこくっている。興奮と発散を交互に繰り返す彼らは、耳に残り続けるモードレッドの叫びに心を疼かせ、自身の肉棒が既に萎え切っていることにも気が付かないままに何も映っていない映像を食い入る様に見つめ続けていた。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデアからのビデオレター 4

 

「……最初はこのくらいだったかな? うん、多分そうだ。全部入り切らなくって、驚いたことは覚えてるよ」

 

 寝台に寝転がるマスターの肉棒を半分ほど咥え込んだ状態で、メアリーは感慨深そうにその時のことを思い出して頷いていた。彼との初めての性交、ソロモンに洗脳されていた頃の自分を思い返し、あの衝撃を久々に思い出した彼女は、ふわりと微笑みつつ腰を上げる。

 

「で、次がこのくらいで……その次がこのくらいだったと思う。そこから先は覚えてないや。気持ち良過ぎて、意識を保つのに精いっぱいだったから」

 

 腰を上げ、下ろす。その度に少しずつ膣内に咥え込む肉棒を深くへと誘う。未開発であった自分の性器が、段々と彼の男根に慣らされていく様を表現しながら、メアリーは肉襞を擦られる快感に頬を染め、吐く息を熱を帯びたものへと変化させている。

 騎乗兵(ライダー)である彼女は、男に跨ることも手慣れている様だ。幼いと言っても過言ではないメアリーの体が軽快に跳ね、彼女の腕ほどにはあるかと思われる肉棒を悠々と咥え込む姿はアンバランスな卑猥さに満ちている。下から突き上げられることはないが故に自由に腰を振るメアリーの膣からは、たちまちに大量の愛液が溢れ出てきていた。

 

「メアリーったら、ズルくありませんか? あれ、撮影にかこつけて一番乗りを楽しんでるだけですわよね?」

 

「はははっ! ま、そうだろうねぇ。でも、欲しいもんを得るためには手段を選ばないのがアタシたちだろう? アイツが上手く立ち回っただけなんだから、文句は良くないわな」

 

「そう拗ねずとも、そのうち順番は回ってこよう。その時にマスターを満足させてやれば良いのだ! ……まあ、一番は余の魅力的な肢体であることは決まっているがな!」 

 

「マスターさんは誰が一番とか考えたことはないんじゃないですかね? あ~……でも、お尻に関してはマシュさんがダントツかも……」

 

「そう考えると、少しばかり対抗心が湧き上がるのも確かですね。マスターを夢中にさせるくらい、頑張ってみましょうか」

 

 メアリーとマスターの情事を見守る女英霊たちは、既に出来上がっている身体を火照らせながらそれぞれ歓談に耽っていた。体つきや雰囲気言った特徴が全く違うながらも、全員が魅力的な女性であることと、現在裸であることだけは共通している。

 悪名高い海賊であったり、大国の皇帝であったり、東洋の剣士、信心深い聖女であったりと、それぞれの立場も大きく違う。だが、下腹部に刻まれた淫紋令呪は煌々と紅く輝き、彼女たち全員が興奮の坩堝に在ることをはっきりと示していた。

 加えて言うならば、この部屋に居る女性たちがただ見守っているだけという訳でもない。セックスを行うマスターに寄り添い、奉仕を続けている英霊もいる。そのうちの一人である牛若丸は、真横を向いているマスターと唇を重ね合わせ、舌を絡ませ合うディープキスを行っていた。

 

「んぅっ♡ ん、んちゅっ♡ じゅ、る、ん……♡」

 

 舌の動きはどこかぎこちないものの、懸命に主に奉仕する牛若丸。呼吸も忘れ、ただひたすらに口吸いを続ける彼女のことをマスターは右腕で優しく抱きしめていた。上手く彼女をリードし、互いに舌と唾液を絡め、貪り合う。徐々に熱を帯びる口腔内へと、マスターは二人の唾液を混じり合わせて送り込んだ。

 

「んぐっ……♡ ん、くっ♡ ん……♡」

 

 牛若丸は迷いなくそれを飲み込む。自分と、彼の魔力が混じり合った唾液を嚥下し、これで良いかと潤んだ瞳でマスターに問いかける。従順な忠犬の奉仕を喜び、彼女の献身への感謝の証としてマスターが頭をそっと撫でてやれば、嬉しそうに目を細めた牛若丸は再び舌を絡ませるいやらしいキスで奉仕を再開した。

 もう暫くの間、牛若丸と唇を離すことをしていないマスター。その後頭部には柔らかく質量のある乳房が枕の様に彼の頭を受け止めている。

 彼の左半身、自由になっている左腕を取り、豊満な尻へと導きながら、その巨躯でマスターの体を包みこむ様な体勢をしたメドゥーサは、静かな囁き声を彼の左耳に残す。

 

「冷たくはないですか? 当たって痛い部分はないですか? ……こんな私の体で良ければ、好きに楽しんでくださいね……♡」

 

 背中から腕を回し、割れた腹筋を指先で撫でる。へその辺りに触れれば、メアリーとの性交による振動がメドゥーサの指に感じられた。

 大きな乳房を、絶妙な柔らかさを誇る体を、マスターへと押し付ける。天馬に跨る尻もマスターに触れさせ、その感触を愉しませる。全身の感触をマスターに味合わせる様に振舞うメドゥーサの口元には、何処か満足気な微笑が浮かび上がっていた。

 

「はぁっ♡ ああっ♡ ます、たー……っ♡ やっぱ、おちんぽすごいよ……っ♡♡♡」

 

「んんんっっ♡♡♡ んじゅぅっ♡♡♡ んくっ♡♡♡ んぐぅ……っ♡♡♡」

 

「ああ、勝手に体が火照って……♡ すいません、マスター♡ はしたないと分かっていながら、興奮が止まりません……♡」

 

 下半身と肉棒をメアリーに、右半身と唇を牛若丸に、左半身と後頭部をメドゥーサに……三人の騎乗兵に全身を囲まれ、愛撫と奉仕を続けられるマスターは、言葉を発さずとも快感を感じていることは確かであった。体の震えや肉棒の滾り、吐く息の温度で己の興奮を彼女たちに伝えるマスターを、メアリーたちは嬉しそうな瞳で見つめている。

 もっと深く、強く、包み込みたい……この青年の全てを自分たちで包み、幸福と快感を感じて欲しい。声に出さずとも、三人の思いは一致していた。その思いのままに、彼女たちはより強い力を以ってマスターの体を抱き締める。

 腕を回す。脚を絡める。胸を押し付け、全身を密着させ、自分たちの体を繋ぎ合わせる様にマスターへと寄り添う。もっと、もっと、もっと……求めたい、求められたい。自分たちを救ってくれたこの青年を悦ばせたい。その思いだけが、彼女たちを動かしていた。

 

「マスター♡ マスター……♡」

 

「んぅっ♡ あるじどの……っ♡」

 

「ふーっ♡ は、ふ……♡」

 

 メアリーの幼い躰が、牛若丸のすらりとした恵体が、メドゥーサの豊満な肉体が、マスターを包み込む。まさにライダー包囲網と呼ぶに相応しいこの快楽の責めがマスターの興奮をひたすらに煽る。

 牛若丸を抱き締める腕に力が込められ、メドゥーサの尻を掴む手も動きを激しくしている。なにより、メアリーを貫く陰茎は、限界まで硬く熱く滾っていた。

 ギリギリまで引き抜かれたそれが、深くまでメアリーを抉る。その度に彼女の表情は苦し気で、それでありながら恍惚としたものへと歪むのだ。凛々しく表情に乏しいはずのメアリーが段々とだらしなく快楽に蕩けていく様は、見る者全ての視線を釘付けにしていた。

 

「あひっ♡♡♡ ひっ♡♡♡ あ、あぁぁああぁあぁあぁあぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 そして、限界を迎えたメアリーの体は弓なりに大きく仰け反って絶頂を迎えた。幼い肢体をビクビクと痙攣させ、されど手足の指先はぴんと伸ばされた状態で硬直するメアリーの膣からは、熱い愛液がどろどろと溢れ出している。マスターもまた、キツい彼女の膣が激しく震えながら一層締まったことに我慢の限界を迎え、滾りに滾った精をメアリーの子宮へと容赦なく射精した。

 

「んぅぅうぅうぅぅうぅうぅうぅっっ♡♡♡ ふぅうぅうぅうぅうぅぅっっ♡♡♡」

 

「じゅるっっ♡♡♡ じゅぷっっ♡♡♡ んじゅるるるぅっっ♡♡♡」

 

「れぇろっ♡♡♡ ちゅっっ♡♡♡ んぅぅ……っ♡♡♡」

 

 精液の奔流がメアリーの子宮を叩く。抗い難い快感が、彼女をより高い快楽の頂へと導く。牛若丸とメドゥーサもまた、マスターの絶頂に合わせて舌を動かし、彼の口内と乳首を丹念に舐めて刺激を与えている。

 映像では、メアリーの子袋に注ぎ込まれた大量の精液が彼女の腹を大きく膨らませていく様が映し出されていた。一回の射精でみるみる内にメアリーの小さな子宮は満杯になり、そこに収まり切らなかった精液は膣内に溜まって彼女の腹をぽっこりとした妊婦の様にしてしまう。

 びくびく、びくびくといつまでも震え続けるメアリーの体……ようやく、その痙攣が治まり始めた頃、彼女の相棒であるアンは、未だに快楽の余韻から醒め切っていないメアリーを引っ張り上げると、膣の深くまで突き刺さっていたマスターの肉棒を彼女の体から引き抜かせ、微笑む。

 

「あ~ら、メアリーったら随分と楽しめたみたいですわね……♡ お腹もこんなにしちゃって、可愛いこと……♡」

 

「ふ~っ♡ ふ~っ♡ ……だって、しょうがないじゃないかぁ……♡ おちんぽの大きさも、精液の熱さと濃さも、射精の激しさも……今までボクを抱いて来た男たちとは比べ物にならないんだよ? こんなの、夢中になるに決まってる……♡」

 

「ええ、ええ。聞くと見るとでは大違いと言いますが……これは、本当にその通りですわね。ソロモンの元では、マスターのおちんぽは短小で臭い情けなさの極と聞いていましたが……これのどこが情けないんですかね?」

 

「主殿の仁王様が情けないと言うのなら、この世の男どもの一物は存在しない様なものなのですが……それを知っての言葉なのでしょうか?」

 

「……まあ、知らないでしょうね。勝手な想像と、こうなるだろうという甘い見通しで策を立てる長の下に集った男たちです。知り得ぬ情報を自分たちの都合よく話すことだけは達者なのではないでしょうか?」

 

「あはぁ……♡ そうだねぇ……♡ でも、この映像を見たらもうそんなことは言えなくなるよね? 自分たちのちんぽが、マスターより下だってことを理解するよね?」

 

 膨れた腹、性器から落ちる固体の様な精液、そして快楽に染まった顔を見せつけながらメアリーは笑う。自分が主の精剛さを見せつけるための実験台になれたことを喜び、これを見る男たちが自分たちの不甲斐なさを知る時のことを想像して嗤い、メアリーは語る。

 

「マスターのおちんぽ、見ただろう? ボクの腕くらいにおっきくて、熱くって、硬くって……サイズに見合った我慢強さと射精の量、激しさも併せ持ってる。セックスのスキルも鍛え上げられてて、ただ腰振るだけの男たちとは雲泥の差がある。魔獣のおちんぽの大きさと、熟練の男たちの性技をどっちも有している、それがボクたちのマスターなんだ。それ以下の男たちが、マスターのことを嗤ったりはしないよね? お前たちもそこまで馬鹿じゃあないよね? サーヴァントの皆もこれでわかったでしょ? 今、皆を抱いている男たちが嘘つきの粗チン野郎だってさ……! マスターのことを粗チン呼ばわりしている奴らは、そのマスターよりもおちんぽが小さいんだよ? もう笑うしかないでしょ。これで、皆も目を覚ますよね?」

 

 満足した女の表情を見せつけ、映像を見ている雄と雌に語り掛けるメアリー。その言葉を聞いた男たちは指先がかじかむ様な寒気を感じ、女たちはごくりと涎を飲み込む興奮を感じていた。

 そうして、カメラはメアリーからマスターへと再び撮影の対象を変えた。一度のセックスを終えたマスターは、未だにそそり立つ肉棒を怒張させており、それを複数の女児が掃除を兼ねて舌を這わせている光景が映し出される。

 

「んっ♡ はっ♡ れろっ♡ んっっ♡」

 

「ぴちゃ♡ んちゅ♡ んぐっ♡ はぁふっ♡」

 

 ジャンヌ・リリィ、クロエ、イリヤ、そしてアナ。メアリーと同等か、それ以下の幼い躰をした英霊たちは、まるでアイスキャンディーでも舐めるかの様に美味しそうにマスターの肉棒に舌を這わせていた。こびり付く精液やメアリーの残した愛液を舐め、舌先でカリの窪みや鈴口を丁寧に刺激しながら、自らの情欲を満たす奉仕を行い続ける。

 それを見守る英霊たちは、どこか微笑ましい光景を見ているかの様に微笑んでいた。無理に順番を奪うこともせず、幼い彼女たちを優先する余裕を見せつけ、子供たちの奉仕をただ見守っている。その光景もまた、ソロモンたちとは真逆の物であった。

 

「はうあっ♡ あ、ごっっ♡ んごぉおぉっっ♡」

 

「あっ!? ちょ、リリィ!!」

 

 やがて、ただ舐めるだけでは我慢出来なくなったのか、ジャンヌ・リリィが大きく口を開けるとマスターの肉棒を口一杯に頬張り始めてしまった。その小さな口にどうして肉棒が入るのかと思わせるほどのアンバランスな光景にクロエをはじめとした幼い英霊たちも唖然としている。

 マスターの肉棒を独り占めし、恍惚とした表情のままその味を堪能するリリィの瞳には、ハートマークが浮かんでいた。嬉しそうに、楽しそうに顔を動かすリリィであったが……唐突に、その興奮が彼女から消えた。

 ビクン、と体を震わせ、目を大きく見開き、やってしまったとばかりにいたたまれない表情を浮かべるリリィ。先ほどまで熱を帯びていたはずの瞳には、大粒の涙が浮かんでいる。

 突然のリリィの変化に驚く英霊たちは、思考を停止させてしまっていたが……いち早く、彼女の成長後の姿である二人のジャンヌは、リリィがしでかしたことに思い当たると血相を変えて彼女へと問いかける。

 

「リリィ、アンタもしかして――」

 

「歯を、立ててしまったんですか?」

 

「は、はい……」

 

 姉たちの質問を肯定したリリィは、カタカタと震えながらマスターへと視線を向ける。他の英霊たちもまた、僅かな緊張感を胸に抱くと共にマスターの肉棒へと視線を集中させた。

 敏感で、神経が集中している状態の肉棒に歯を立てることがどれだけ男性に痛みを与えるかは容易に想像がつく。夢中になってしまうことは良いが、それでマスターに危害を加えることは絶対にあってはならないことだ。

 

「ごめ、ごめんなさい、トナカイさん……! わ、私……!」

 

 罪悪感と恐怖に震えるリリィ。周囲の英霊たちが心配そうに見守る中、マスターはそんな彼女へと手を伸ばす。

 リリィはビクリと体を強張らせ、マスターに頬を張られるのではないかと思って痛みを覚悟していたが――

 

「な~に、大丈夫、大丈夫! ぜんっぜん痛くなかったよ!」

 

「ほ、え……?」

 

 そんなリリィの危惧をよそに、マスターは笑みを浮かべながら慰めの手付きで彼女の頭を撫でると、もう片方の手でリリィの小さな手を掴み、自らの肉棒へと導いた。硬く、熱い肉棒を触れさせながら、マスターはリリィへと優しく語り掛ける。

 

「どう? 俺のちんぽ、硬いでしょ? 皆からも鉄だとか岩だとか言われるんだよね」

 

「は、はい……とっても硬くて、熱いです……♡」

 

「でしょ! これだけ硬いんだから、リリィの歯が当たっても平気のへっちゃらだって! わざとやったわけじゃないんだし、リリィが気にすることはないんだよ」

 

「あ、ありがとうございます、トナカイさん……!」

 

「あ、でも、抜け駆けしたことは気にしてね! 皆で仲良く、これはしっかり守ること! 良いね!?」

 

「は、はいっ!!」

 

 よろしい、と笑いながら頷いたマスターは、ぽんぽんとリリィの頭を撫でた後でそっと彼女を抱き締めた。他の英霊たちも危惧していた様な展開にならなかったことを安堵しつつ、二人のやり取りを見守り続けている。

 子供の失敗を責めることはせず、優しく励ましたマスター。その姿と先ほどのソロモンの様子を比較した女性英霊たちは、冷たい視線を自らの主へと向けていた。

 ただの呟き、心の中で芽生えた思いを口にしただけでソロモンの怒りを買い、激しい暴行を受けた子供の姿は、彼女たちの心に暗い影を落としている。彼女たちには罪はなく、ただ子供の無邪気な心のままに本心を吐露しただけだ。

 だが、ソロモンはそんな彼女たちを許すことはせず、問答無用に打ち払った。カルデアのマスターの優しい対応とは真逆の非道な行いを思い返した女英霊たちは、自分たちの心の中にソロモンへの失望の感情が浮かんでいることをはっきりと自覚し、軽蔑しきった視線を彼へと向ける。その視線の先では、ソロモンが慌てた様な、それでいて怒り狂った様な様子で叫びを上げていた。

 

「なんだ、その眼は!? お前たちの主に向かって、その眼はなんだ!?」

 

 かつてはその叱責を耳にしただけで深い罪悪感を抱き、ソロモンに媚びへつらっていた彼女たちであったが、今はそんな気持ちにもなれずにただ彼を睨み続けている。むしろ、その矮小さを目の当たりにしたことで更に失望と軽蔑の感情を深め、ソロモンに向ける視線をキツくしている様な気さえしてくる。

 段々と……女英霊たちが自分のコントロールを外れつつあることに気が付き、焦燥感を抱くソロモン。この映像を無理にでも途切れさせるべきか、それとも令呪を使って女英霊たちを抑えるべきか、そのどちらかの手段を取ろうと、彼が思案を始めた時であった。

 

「はい、こちらに注目です……♡」

 

 映像から響いた声を耳にした瞬間、女英霊たちが弾かれる様にしてそちらへと視線を向けた。まるでもうソロモンには何一つとして興味がないという様に、一瞬にして彼から視線を外してそっぽを向いてしまう彼女たちの姿にソロモンは大きなショックを受ける。

 いや、視線を外したのは女英霊たちだけではなかった。部下の男たちもまた、カルデアからのビデオレターに夢中になり、自らの主が受けている屈辱や侮辱になどまるで意識を傾けてはいない。もやは、ソロモンのことを考えているのは、他ならぬ彼ただ一人という有様だ。

 

 誰しもが視線を奪われ、夢中になる映像……今、そこに映し出されているのは、彼に……いや、()()に奪い返された英霊たちが、全裸で自分たちの主を囲んでいる光景であった。それが、かつてソロモンがカルデアに送ったビデオレターの意趣返しであることに気が付き、同時にその時よりも女英霊たちの表情が幸福そうで、淫紋令呪を愛おし気に摩っていることにも気が付いたソロモンは、悔しさに歯軋りをしながら睨む様な視線を映像に向ける。

 そんな、彼の恨みがましい視線など気が付くはずもなく、彼女たちの代表として前に出たジャンヌ・オルタは、嘲笑を浮かべると共に口を開き、仲間たちに向けて語り出した。

 

「どう? これが今のアタシたちの生活……アタシたちはカルデアで、人間らしい扱いを受けつつ、幸福と快楽を味わっているわ。ここでの日々とソロモンの下での生活、アンタたちはどっちが幸せだと思う?」

 

「考えるまでもありません。私たちは、カルデアでの日々を選びます」

 

「食事、睡眠、そして性交……全てを当然の如く与えられ、充実した日々を送ったからこそ、私たちの淫紋令呪は再臨を迎えているのだからな」

 

 オルタの質問に答えたマシュとアルトリアは、自分たちの再臨した淫紋令呪を見せつける様にして姿勢を変えた。オルタもまた背中の淫紋令呪を見せつけつつ、口元に嘲りの笑みを浮かべている。

 

「精神を、肉体を破壊して、私たちの魂を縛ったが……結局は、真の快楽を与えることは叶わなかったな。私はカルデアで女の幸福を知り、愛情を知った。修復された肉体でマスターに悦楽を与え、この乳房から噴き出す母乳で彼を癒そう……私の愛を存分にお受け取り下さい、マスター

……♡」

 

 たっぷりと母乳が詰まった乳房を支え、ぐっと絞るアルトリア。乳首から噴き出した白い液体が床にぽたぽたと垂れ落ち、映像越しだというのにも関わらずその甘い香りが漂って来る様な錯覚を覚えてしまう。

 胸の谷間に刻まれた淫紋令呪は煌々と輝き、新たな母乳の生成を凄まじい勢いで行っていることを示唆している。これらがすべて、マスター一人のために行われていることを思えば、男たちが羨ましがることも当然のことであった。

 

「処女を奪って、好きな様に心を作り変えても、私を完璧にモノにしたのは先輩でした……初めてを奪ったからって調子に乗った結果がこれなんですから、お笑いですね。私の本当の初めては、先輩に捧げました……♡ その証拠にほら、お尻の淫紋令呪がこんなに成長してますよ……♡」

 

 尻を突き出す格好をしたマシュは、他の英霊たちよりも鮮やかな紅い光を放つ淫紋令呪をカメラに見せつけている。卑猥でありながら美しく、丸く柔らかい臀部とその中央の窄まりは、彼女の主を受け入れるためだけの器官だとその輝きが語っていた。

 男たちにとっては、見たことのない淫紋令呪の最終再臨を迎えているマシュの尻は非常に魅力的に思えた。だが、それが届かないことを重々理解していることが、彼らの心を締め付ける。一度は自分たちの手の内にあったマシュを奪い返され、あまつさえ敵の手で最高級の肉体に仕立て上げられた事実が、彼らの屈辱を一層煽っていた。

 

「これからもっともっと、アタシたちの淫紋令呪は成長するわよ。そうすれば、アンタたちとアタシたちの差は更に広がる……どのタイミングでカルデアとの戦力差が逆転するのか、見ものだと思わない? ああ、もしかしたら、もうとっくに逆転していたりするのかもね」

 

 背中の淫紋令呪を見せつけ、振り向いた体勢で微笑むジャンヌ・オルタ。愉快気に、自信たっぷりに笑い、ソロモン達を嘲笑する彼女は、ぺろりと舌なめずりをした後で体勢を戻す。アルトリアとマシュもまた彼女同様にマスターを囲う様に移動すると、頬を紅潮させた状態で甘い吐息を吐いた。

 

「さあ、最後にアタシたちのいやらしいセックスをたっぷり見せつけてあげる……♡ 貴方達がこれから味わう幸福を、アンタたちが一生味わえない快楽を、存分に見て、楽しみなさい……♡ ああ、それとね……とっても大事なことを言い忘れてたから、今、伝えておくわ」

 

 台詞を口にするオルタの横で、彼女の言葉に合わせてマスターがゆっくりと手を上げた。オルタが言葉を言い終えると同時に、彼は指を鳴らし、何かの合図を送る。

 そして……それと同時に、彼らを囲む女英霊たちの股座や尻穴から、夥しい量の精液が溢れ出て来た。噴射する精液の勢いと秘めていた快楽が解き放たれる快感に腰砕けになる英霊たちは、息も荒く興奮した体を赤く染めている。中には、その場に崩れ落ちてひくひくと体を痙攣させる者もいるほどで、それが彼女たちが味わう快楽がどれほどのものかを示していた。

 性の高まりと欲求が高まる部屋の中、かろうじて立ち続けていたジャンヌ・オルタは、息も絶え絶えになりながらカメラを見つめる。そして、伝えたかった()()()()()を口にした。

 

「この、映像ね……撮影期間は、一日だけなの……♡ アタシたちのマスターは、この場に居る全員を一日で相手して、何回も射精して、アタシたちを何百回もイかせて……それでも、まだまだセックス出来るのよ……♡ どこぞの一人女を抱いただけで限界を迎える雄とは、何もかもが違うの……♡ アイツは、アタシたち全員が満足して、イキまくって、気を失うまで、文句ひとつ言わずに相手してくれるわ……♡」

 

 ジュクジュクと、子宮が疼く。見ているだけで愛液が溢れ、唾液が止まらなくなる。

 快楽が欲しい。幸福を感じたい。欲しい、欲しい、欲しい……! 自分たちが知らない、知っている筈の幸せが、得たい。

 映像を見守る女英霊たちは、自分たちの官能に火を付けて体を疼かせ、周囲の男たちが射精に次ぐ射精を終えて肉棒を萎えさせていることを目にして失望し、そうして再び映像を見つめ……今まさに、ジャンヌ・オルタを引き寄せたマスターの逸物を目の当たりにして、息を飲む。

 

「あぁ、マスター……♡ 何回、射精するの? アタシたちの全員を孕ませちゃうくらいに種付けするんでしょう? もう、もう、もう……我慢出来ないっ♡ めちゃめちゃにしてっ♡ アンタの手で、アンタのおちんぽで、アタシのことを滅茶苦茶にしてよっ♡ 失神するまで……ううんっ♡ 失神してもそのおちんぽで叩き起こしてっ♡ アタシたちの霊基に、消えぬ快楽を刻み込んでぇっっ♡♡♡」

 

 マシュが、アルトリアが、ジャンヌ・オルタが……沖田総司が、アルテラが、フランシス・ドレイクが、イリヤが、ネロ・クラウディウスが……彼を囲む全ての英霊が、瞳に情欲の炎を燃え上がらせる。生まれも容姿も生き様も関係なく、ただ一人の雌として、自分たちを屈服させた雄に媚びた視線を送る。

 誰から始まるかとか、自分の番はいつだとかは考える必要は無い。自分たちの主は、それら全てを完璧に把握し、自分たちの官能が最大に満足する行為を行ってくれる。だから、ただ彼の求めに応じれば良いのだ。そして、彼と共に快楽と幸福を分かち合うだけで良いのだ。

 

「……始めようか。皆、準備は良い?」

 

「はいっ、マスター♡♡♡」

 

 何重にも重なる女性たちの艶やかな声が響き、宴の始まりを宣言し……その次の瞬間から、彼女たちの嬌声が響き始める。快楽の宴が自分たちの目の前で行われているのだと、そう理解する女たちは、その映像から目を離さぬまま、ただ固唾を飲んで一人の雄が雌を満足させていく様を見守り続けるのであった。

 

 




次で終わる、かな……?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデアからのビデオレター 5

 

 激しく、強く、腰が打ち付けられる音が部屋の中に響く。その動きに比例して、マスターに跨っている女性のたわわな乳房が上下に大きく揺れていた。

 太陽を落とした女、フランシス・ドレイク……彼女は今、快活な笑みを浮かべて自慢の騎乗スキルを披露している。もっとも、それは乗り物に対してではなく、男に対して効果を発揮する、生前の経験による性技としての意味合いであった。

 キツく膣を締めながらも、一切の加減なく腰を上下に振るドレイク。大きな尻がバチバチと音を立てる度、彼女に跨られるマスターの表情が快楽に歪む。彼の精を全て搾り取ってしまう様な、そんな激しい腰振りを披露しながら、ドレイクは荒い呼吸のまま問いかけをマスターへと送った。

 

「どうだいっ♡ アタシのテクも、悪かないだろっ♡ アンタのペニスがガチガチに硬くなって、膨れ上がってんのがわかるよっ♡」

 

「ドレイクっ! 激し過ぎだってっ! こんなの、すぐに……ぐぅぅ!!」

 

「当たり前だろう? アンタに跨ってんのは、幾多の嵐を乗り越えた女だよ……♡ 大荒れの海より強く激しいこの動きで、たっぷり楽しませてやるさっ♡♡♡」

 

「ぐぉぉおぉぉぉぉっっ!!」

 

 切ない男の叫びは、彼が感じている快楽の強さを示していた。女性が優位に立ち、自由に腰を振って男を感じさせ、翻弄する。やや弛んだ、されど十分に美しく豊満なドレイクの肢体は、マスターの体の上でこれ以上ないほどに躍動していた。

 傷ついた顔など、他の女性より歳が上であることなど、一切関係ない。フランシス・ドレイクは魅力的な女性であり、その快活さを曝け出した本能的なセックスを繰り広げてはマスターを存分に楽しませている。年相応の可愛い表情を見せる青年のことを愛らしく見つめ、もっとその表情を引き出してやりたいと嗜虐的な嗜好に舌なめずりをしたドレイクは、ラストスパートとばかりに更に激しく腰を振ってはマスターを快楽の高みへと導き始めた。

 

「ぐお、おぉっ!? ぐぅぅぅぅっ!!」

 

「ほら、我慢なんかすんじゃあないよっ♡ どうせ一回や二回の射精で萎えるちんぽじゃないだろう? 景気よく、盛大に、アタシの子宮に迸りをぶちまけなっっ♡♡♡」

 

「ぐ、っ……! ド、レイクぅぅっっ!!」

 

 最大限まで膨張してマスターのペニスが、我慢の限界を迎えて快感を炸裂させた。ドレイクの膣内、子宮口にぴったりと亀頭を当て、雄々しく激しい昂ぶりを晒しながら雄の滾りをぶちまける。胎を満たし、膣を焼き、脳を蕩けさせる射精の快感に、ドレイクは先ほどまでの余裕たっぷりの表情を歪ませると盛大に喘いでマスターと共に絶頂を迎えた。

 

「んぐぅぅうぅうううぅぅぅううんっ♡♡♡ はーっ♡ くあぁぁ……っ♡ やっぱ、反則だねぇ……♡ あんだけ嬲ってやったのに、射精一発でイーブンかい……♡ 良い主砲を持ってるじゃないか、マスター……♡」

 

「う、わ……やっば……! ドレイクの膣、俺の精液を残さず吸い取ろうとしてる……っ!!」

 

「あったりまえだろう? アタシは海賊、欲しいもんは根こそぎ持っていく女さね! 特濃、精強、大量のザーメン、こんなお宝を逃したら、その名が廃るってもんさ!」

 

 射精を受けて腹を膨らませながらも、ドレイクはマスターの肉棒を膣で咥え込んで離さない様だ。膣壁と子宮口は未だに硬く滾っているその肉棒に絡みつき、尿道に残る精液を吸い出すべくうねうねと蠢いている。

 全てをドレイクに委ね、彼女の手で快楽を味わうマスター。好き勝手に暴れられるのも悪くはないと、段々と復活し始めた肉棒に血が通うことを意識しながら、女性優位の性交による快感を楽しんでいると――。

 

「……さあ、抜かずの二回戦に行こうか♡ まだまだ、たっぷり相手してもらうよ……♡」

 

 ぷっくりと膨れた唇が、マスターの口を塞ぐ。吹き込まれる熱い吐息とぬるりとした唾液の感触に理性を飛ばしつつ、マスターもまたドレイクとの嵐の様な性交に身を委ねては快楽を貪ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「はふっ♡ ふぅっ♡ んっ♡ あうっ♡ マスター、さん……♡」

 

 小さな舌がせわしなく動き、快楽を求める様にしてマスターの舌に絡まる。瑞々しい肢体を伸ばし、彼の体に抱き着くイリヤは、幼く小さな性器でマスターの凶悪な肉棒を包みこんだ状態でうっとりとした微笑みを浮かべた。

 

「私のお腹の中、もうすっかりマスターさんのおちんぽに広げられちゃいましたね……♡ じゅくじゅくして、熱くって、堪らない、です……♡」

 

「イリヤの体、子供体温で温かいよ……抱き締めるとちっちゃさが良く分かる。こんなに小さい体で、よく俺のちんぽを咥え込めるね?」

 

「そうなる様に広げた張本人が何を言ってるんですか……♡ クロと同じ体でも、おまんこには差があるでしょう? 私の方が、良いおまんこですよね……♡」

 

「っっ……!?」

 

 清純な微笑みを浮かべているイリヤであったが、その端々からは姉妹同様の小悪魔オーラが滲み出ている。元は同じ存在であるということを見る者に理解させるその蠱惑さを感じながら、マスターは彼女の狭い膣の感触を愉しんでいた。

 確かに、イリヤの言う通りで似ている様でありながらもクロエの膣とは明確な差が存在していた。クロエが極限までキツく、激しい痙攣を以って肉棒を満足させる攻めの膣であるとすれば、イリヤの膣はやや背伸びした男の欲望を受け止めようとする性器と呼べるだろう。その小さな体に似つかわしくない母性で男を受け止め、出来る限り優しく包みこもうとする。しかして、子供の狭い膣内は強く肉棒を締め付けることによって、そのアンバランスな快感を増幅させて感じさせるのだ。

 イリヤの懸命さも男心をくすぐるスパイスとなり、それもまた性欲を煽る。抱き締めたイリヤの小さな体を揺らして肉棒を出し入れしながら、マスターはその快楽を味わい続けていた。

 

「おうんっ♡ はうっ♡ はうぅうっ♡ あぁっ♡ ちゅよい、よぉ……っ♡ もう、だめぇ……♡」

 

「イって良いよ、イリヤ。我慢する必要なんてないからさ」

 

 ドレイクの時とは逆で、今度はマスターが女性をリードするセックスを披露している。リズミカルにイリヤの膣を突き、壁を太い肉棒で擦りながら、幼い官能を満足させる様に甘い快感を与え続けるマスター。イリヤもまた、その快楽に酔いしれて表情を蕩けさせると、体をぴんっと硬直させて嬌声を上げながら早くも絶頂を迎えてしまった。

 

「んんんんんんんんっっっ♡ うぅうぅうぅううぅうんんっっ♡♡♡」

 

 唸る様に、声を堪える様に、イリヤが達する。しかし、その我慢もマスターの肉棒に子宮を突かれることによって不可能となり、今度は大口を開けて絶叫を上げてしまった。

 

「ふあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁああああぁぁぁあぁぁぁあぁぁっっ♡♡♡ あひぃいぃぃいぃぃいいぃいいいぃぃいぃいぃいぃっっ♡♡♡」

 

 イリヤの様な子供が、大人と変わらぬ艶声を上げて性の衝動を開放する。開いた口に舌を突っ込み、じっくりと快楽を教え込む様に熱いキスを落としたマスターは、長い口付けを終えると、イリヤの髪を撫でながら小さく囁いた。

 

「イった時の顔、クロとそっくりだ。そこは姉妹なんだね」

 

「あうぅ……♡ 私たちのこと、こんなにいやらしくして……♡ もう、マスターさんには絶対に責任を取ってもらわなきゃいけませんっ♡ 私たちのこと、絶対に幸せにしてくださいね……♡」

 

 未だに絶頂の余韻が消え去っていない体でマスターに擦り寄ったイリヤは、恥ずかしそうな声で彼にそう呟く。愛らしいその姿に胸をときめかせ、肉棒を滾らせたマスターもまた、再び彼女との性交に耽っては愛を伝え続けた。

 

 

 

 

 

 

 見つめ合う。指を絡め合う。吐く息が肌に触れるくらいの距離で、互いに向かい合う。

 貪る様なキスではない。優しく、甘く、熔ける様な口付け……愛を込めて、その表現が最も相応しいと言えるキスを終えたマスターとアルテラは、再び熱を帯びた視線を互いに向けあった。

 

「マスター……♡ これは、子を成すための行為、なのだな? 夫婦が、命を育むための行為、なのだな?」

 

「ああ、そうだよ……。君のことを愛してると、そう伝えるための行為。それがセックスなんだ。……まあ、俺みたいに何人もの女の人に手を出してる奴が言っても説得力は無いだろうけどさ……」

 

「ふふふ……だが、お前は私を愛してくれているのだろう? 玩具や、性奴だと思っている訳ではないだろう? ……女として、私を抱いてくれる。それだけで、私は十分に幸せだ」

 

 頬から首筋へ、そこから胸へ……アルテラの手が、ゆっくりとマスターの体を伝って下に降りる。指先で彼の体に触れ、もどかしくも愛らしい愛情表現を行いながら、彼女は後ろに倒れ込み、脚を開いた。

 

「……来てくれ、マスター♡ こんな私で良ければ、愛して欲しい……♡」

 

「勿論さ、アルテラ。喜んでお相手させてもらうよ」

 

 寝転んだアルテラの秘所に亀頭を宛がう。指と指を絡ませる恋人繋ぎで手を繋ぎ、見つめ合った状態でゆっくりと腰を突き出す。

 それは、何の変哲もないただの正常位での性交だ。しかし、この平凡さこそが、アルテラの心を何よりもくすぐる行為であることをマスターは知っていた。

 何度も性交をこなし、マスターの肉棒に慣れた彼女の膣は、有していた硬さを完全に捨て去って解れ切っていた。膣を突けば快楽が生まれ、奥からは愛液が溢れ出る。ただの女の様に喘ぎ、悦ぶアルテラのことを、愛おし気に彼は見つめている。

 アルテラの弱い場所も感じる部分も、全て知り尽くした。角度を変え、腰の突き入れる場所をずらし、その場所を責めてみれば、普段無口なアルテラから、信じられない様な声量の喘ぎ声が飛び出す。見つめ合い、腰を突き出すだけ。他の場所には一切触れないまま、ただ繋がり合う……性器と性器の結合は、アルテラの胸に深い充足感を感じさせてくれていた。

 

「ああ、あ……♡ きもち、いい……♡ 私の、女の部分が、満たされて……っ♡」

 

 とんとんと、リズミカルで丁寧な腰使いでアルテラを感じさせるマスター。激しさを用いず、ゆったりと快感を味わえる様に加減しながら、自分もまたアルテラの愛らしい表情と反応に胸をときめかせ、幸せそうな彼女の様子に肉棒を滾らせていく。アルテラも、そんな彼の興奮が高まっていることを膣で感じ取り、お互いが快感を分かち合う悦びに胸を一杯にしていた。

 

「マス、ター……♡ 私は、子が欲しい……♡ お前の子を、産んでみたい……っ♡」

 

「アルテラ……?」

 

「サーヴァントの身で何を言うかと笑うかもしれない。だが、私はお前の子を孕みたい……♡ お前と番いになり、お前の精を受け、子を成し、母となり、女としての幸せを感じてみたい……♡ 他の誰かじゃ、駄目だ。お前でなくては、駄目なんだ……♡ ありのままの私で良いと、そう言ってくれたお前と、私は――♡」

 

 ぽろり、ぽろりと零れる大粒の涙。とても複雑で、アルテラ自身でさえも分からない感情のままに溢れる涙。だが、彼女は知っている。この涙が悲しみの感情で流れている訳ではないことを。こんなにも温かい涙を溢れさせることが出来るのは、自分を救ってくれた目の前の男のお陰だと言うことを。

 脚を曲げ、マスターの腰に絡ませ、ぐっと引き寄せる。自分には、大きい胸も柔らかい尻もない。他の女と比べれば魅力に乏しい体だということも重々承知だ。

 それでも……アルテラは、彼に愛を伝えたかった。自分に出来る精一杯で、自分を救ってくれた男に愛情を告げたかった。溢れ出る感情のまま、口下手な彼女は懸命にその思いを言葉としてマスターに伝える。

 

「お前を、独占したいわけじゃない……お前が父で、私が母。そうなりたいだけだ……♡ 今でなくて良い、全てが終わった後の遠い未来でも構わない。それまでは、私がお前を守ろう。お前を殺そうとする者を、私が破壊しよう。だから、いつか……二人で、幸せな未来を……♡」

 

 それは、紛れもない愛の告白であった。色恋に疎いアルテラでさえも、それがどんな意味を持つ言葉なのかは理解出来ていた。

 マスターは、たどたどしいアルテラの告白を受け、強く彼女の手を握ったまま、一度腰の動きを止める。そのままアルテラの体に覆い被さる様に体を横たえ、彼女の耳元に顔を置くと―――

 

「……二人じゃなくて、三人で、でしょ?」

 

 そう、呟いた。

 

 アルテラは、その言葉の意味を一瞬だけ考える。聡明な彼女はすぐにその答えに勘づき、幸せに破顔して大粒の涙を次々と瞳から溢れさせた。

 自分とマスターの二人だけではない。マスターは二人の間に生まれた新しい命も共にカウントしているのだ。サーヴァントであるアルテラには到底叶えられないその夢を、笑わずにいてくれるのだ。

 いや、もしかしたら彼はアルテラ以上にその夢を現実のものにしようとしているのかもしれない。戦いを終え、ソロモンが無数に有しているであろう聖杯を奪取した暁には、それを使ってアルテラを受肉させ、子を成せる体にするつもりなのかもしれないと、アルテラは思ってしまった。自分の愛する男は、自分の馬鹿げた夢を本気で叶えようとしてくれている……そう思った途端、アルテラの心は大きく膨れ上がり、そして弾けた。

 

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 快楽ではなく、幸福による絶頂。女としての歓びが全身を包み、快楽を超える深い絶頂感を覚える。激しくはない、だからこそしっかりとその快楽を自覚出来る。細やかな痙攣を続けるアルテラを優しく見つめるマスターは、再び正常位の体勢になってただじっと動かずにいた。

 

「アルテラ、大丈夫? まだ続けられる?」

 

「ああ、大丈夫だ……♡ お前の、好きな様に……」

 

 問いかけに答えるアルテラは、途中で何かを思いついた様な表情になると口を噤んだ。そうして、もじもじと恥ずかしそうに顔を伏せ、口をもごもごとさせて何かを言おうとしている。

 そんなアルテラの様子を何も言わずにじっと見つめるマスターは、優しい視線を向けながら彼女の行動を待ち続けた。やがて、意を決した様に顔を上げたアルテラは、頬を真っ赤に染めながら震える声で彼に言う。

 

「あ、アナタの、好きな様にして欲しい……♡ 妻として、私は、伴侶を満足させてみせる、から……♡」

 

 彼女は告げる、愛の言葉を。主従ではなく、夫婦でありたいと。彼が認めてくれた在り方を自ら口にして、マスターの反応を待つ。

 マスターもまた大きくその言葉に頷くと、指を絡ませる手に力を込めた。もっと深くまで彼と繋がり合えたことを喜び、幸福に身を浸すアルテラ。その下腹部では、淫紋令呪が煌々と輝いて、新たなる紋様を浮かび上がらせていた。

 

「……再臨の時、か……♡ これが、私とお前の婚姻の儀となるのかもな……♡」

 

 通常の淫紋令呪の紋章の上に刻まれた輪の様な模様を見つめ、それがまるでエンゲージリングである様に思えてならないアルテラは、ときめく心のままに呟き、マスターと唇を重ねた。

 未来を誓い合った新婚の二人は、水面に浮かぶ小舟の揺らめきの様な穏やかな感情のままにお互いを求め、より深くまで繋がり合って快楽を分かち合い続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 嬌声が響く。一つ、二つ、三つ、四つ……。数え切れない程の数の女性の声と、唸る様な男の声が一つだけ、響く。

 舐める音。啜る音。揉む音。貫く音。接触する音。それらの音が何度も響き、反響し、繰り返し部屋の中で轟き続けている。

 そして……その音を掻き消す程の女性たちの叫び声が、悦びの感情に染まった喘ぎ声が、鳴り止むことなく彼女たちの口から叫ばれ続けていた。

 

「んおっ♡ ひっ♡ んひっ♡ あぁあぁぁぁぁっっ♡」

「主殿っ♡ 主殿っ♡♡♡ 主殿ぉぉっ♡♡♡」

「おグっ♡♡♡ んおぉおっ♡ んおぉおぉおぉっっ♡♡♡」

 

 口を大きく開けて快楽を叫ぶ者。自らを抱く男を呼び続ける者。理性を手放し、獣の様な唸りを上げる者。その反応は様々だ。だが、彼女たちの表情には幸福の感情が浮かび上がっていることだけは共通していた。

 年齢も、国籍も、年齢も違う彼女たちではあるが、この営みの中で幸福を感じ、愛情を感じ、目の前の男を愛する気持ちだけは同じだ。抱き着き、唇を重ね、体を預け、彼女たちは群がる様にして自らの主へと肢体を擦り寄らせる。

 

「イクっ♡ いぐっっ♡♡♡ おなかっ♡ おかひくなりゅうっ♡♡♡」

「おぉぉおぉぉおぉおぉおぉォォッッ♡♡♡ こんな、射精……堕ちるに、きまってぇ……っ♡♡♡」

「んへぉぉぉおぉ……っ♡♡♡ ボク、も、むりぃ……♡♡♡ ボクの赤ちゃん袋、こんなにパンパンに、なってりゅよぉ……♡♡♡」

 

 栄養剤代わりの母乳を啜り、幾度となく彼女たちの体へと白濁液を注ぎ、その度に陰茎を更に大きく膨れ上がらせるマスター。性交の回数は既に一人当たりで換算しても10はゆうに超えており、それを両手で数えても足りぬ数の女性たち全員に行っているというのに、彼の男根は萎えることもなく未だに天を衝かんばかりにそそり立っていた。

 激しく、強く、だが優しく……彼は自らのサーヴァントたちを抱き締め、滾る欲望を解き放つ。マスターの精液を浴び、注がれ、受け入れる度、彼女たちは恍惚とした笑みを浮かべては次の行為を求める。終わらぬ快楽の波をもっと味わいたいと望み、魅力的な肢体を彼に捧げるのだ。

 しかし、淫紋令呪で強化された彼女たちの性欲をもってしても、同様のシステムで強化されたマスターの精力に勝ることは叶わなかった。胎に注ぎ込まれる熱い感覚が弾け、同時に彼女たちの意識も飛び散る。大きすぎる快感の爆発に耐えられなくなったサーヴァントたちは、全身を精液に塗れさせ、双穴から白濁液を垂れ流した状態で失神してしまっていた。

 

 一つ、また一つと、嬌声が消える。その直前に断末魔の叫びの様な甲高い悲鳴を上げ、全身を強張らせ、全力で絶頂に達し、意識を飛ばす。誰も彼もがその調子で、快楽に蕩けた表情のまま、ぐったりと床に体を横たえてひくひくと痙攣していた。

 長く続く性の宴の中、そうして最後に残ったのはマシュであった。尻穴を開き、かつてソロモンが送って来たビデオレターの中で見せていた様に後ろからマスターに抱かれ、肛門快楽に浸っている彼女は、野太い悲鳴を上げながら今日何度目か分からない絶頂を迎え、白目を剥いた。

 

「んぐほぉおおぉおおぉっっ♡♡♡ おんっ♡♡♡ おぉぉっっうっ♡♡♡」

 

 大きく、弓なりに体を仰け反らせ、マスターの後頭部を強く掴み、射精を受けた腹をぽっこりと膨らませるマシュ。どくっ、どくっと流れ込む熱い奔流に腸内を灼かれる感覚に身悶えしながらも、彼女はゆっくりと腰を上げてアヌスから愛しい人の肉棒を抜き出す。

 自らが吐き出した欲望の残滓とマシュの愛欲の名残をその幹に帯びた陰茎は、ようやくと言った様子で半萎えになっている。彼が性交に満足しつつあることを喜んだマシュは、大きく口を開けてそれの清掃を開始した。

 

「はぁむっ♡ んじゅっ♡ んんっっ♡」

 

 つい数秒前まで自分の尻の中に入っていた肉棒をマシュは美味しそうに頬張る。頬を窄め、下品な吸着音を響かせながら、懸命にマスターの性器にこびり付いた汚れを舌で掃除する。尿道に残る精液も吸い取り、カリの窪みにまで舌を這わせ、鈴口を舌先で丁寧に穿り続けた後、涎と共にそれらを飲み干したマシュは、名残惜しそうに口からマスターの肉棒を吐き出した。

 

「ふ、ふ……♡♡♡ また、硬くなっちゃいましたね……♡♡♡ あと一回くらいは、お相手しないと駄目ですね……♡♡♡」

 

 今の奉仕が引き金になってしまったのか、マスターの肉棒は再度その滾りをその身に宿して大きくそそり立ってしまった。それをうっとりとした目で見つめ、マシュは嬉しそうに微笑む。煌々と輝く淫紋令呪が刻まれた尻を振り、彼女がもう一度肉棒に跨ろうとしたその時だった。

 

「……まったく、本当に酷い有様ね。下品な臭いと言うか、凄いことになっていると言うか……」

 

「あれ? メディアさん? ……混ざりに来たんですか?」

 

「違うわよ! 生憎、私にはもう相手が……じゃなくって! ナイチンゲールと研究してた魔術に一定の成果が出たから、貴方達に試してみようと思ったのよ」

 

「魔術の試用ですか? 今、やる必要はあります?」

 

「……ま、そういうプレイだと思って楽しみなさい。少しは楽しめるでしょうから」

 

「ひっ♡ あうっ♡」

 

 マシュを仰向けに寝転がせ、その下腹部に手を添える。メディアが手に魔力を込め、彼女の体に術を行使したのは、ほんの数秒のことだった。

 淫らに膨らんだマシュの腹を優しく撫でたメディアは、そのまま彼女の性器を左右に大きく広げてその中身をマスターへと見せつける。自分の恥ずべき部分を見せるマシュは顔を僅かに赤らめているが、抵抗の素振りを見せてはいなかった。

 開いた膣内には未だに白濁液が多く残っており、それがどろどろと奥から溢れては寝台のシーツを汚していく。ようやく、内部に溜まったそれの大半が流れ終わった時、マスターはマシュの膣内に見覚えのない物が出来上がっていることを目にして、口を開いた。

 

「これ、もしかして処女膜……? 魔術で再生したの?」

 

「そういうことよ。メンタルケアの一環として、形だけでもマスターに処女を捧げることは出来ないかってナイチンゲールに頼まれて、その要望に応えてみたわ。肉体の開発状況はそのままに膜だけ再生するっていうのにちょっと手古摺ったけど、そこまで難しいオーダーではなかったわよ」

 

「処女膜が、再生……? 私の、初めてが……?」

 

「……勿論、破瓜の時のことを思い出すから嫌だとか、そもそも生前に処女は散らしたから今さらだとか、そう言う娘には使わなくても良いわ。マシュも不満があるのなら、すぐに消滅させて――」

 

 行使した魔術の効果を説明し、注意事項を口にしていたメディアがマシュに対する質問を言い終える前に、彼女は弾ける様にして体を起き上がらせた。勢いのままにマスターに口付けし、腰を浮かせて性器の入り口を亀頭に合わせると、目に涙を浮かべながら喜びの言葉を声に出す。

 

「初めて……♡ 私の、初めて……♡ お尻も、おまんこも、先輩に捧げられる……♡♡♡ 先輩のおちんぽに、私の処女膜をぶちぶちって、破ってもらえる……♡♡♡ 本当は違うかもしれないけど、今さらって思われるかもしれませんけど、それでも……嬉しい、です……♡♡♡」

 

「マシュ……!!」

 

 かつて奪われた純潔が、形だけでも戻って来た。もう一度、その機会を得たというのなら、今度は誰にそれを捧げるのかは決まっている。

 強く、強く……腕に力を込め、目の前の男性を抱き締める。胸に顔を埋め、深く呼吸を繰り返したマシュは、顔を上げると熱を帯びた視線で彼を見つめた。

 マスターもまた、ドクドクと高鳴る鼓動を密着するマシュに曝け出しつつ、彼女を見つめ返す。今度は自分から唇を重ね、甘い口付けを交わし、愛情を伝え……そして、彼女の腰を掴んだ。

 

「……いくよ、マシュ」

 

「はいっ、先輩……♡」

 

 彼の肩に、マシュの手が触れる。掴まれた彼女の腰を、マスターがゆっくりと引き寄せる。

 何度も性交を繰り返した相手。だが、今回はその身を気遣う様にして丁寧に膣内へと肉棒を挿入していった。それはまさしく初めての行為を再現しているかの様で、交わる二人の脳は、じりじりとした熱い感覚に痺れを感じ始めている。

 

「あっ♡ はっ……♡」

 

 ずるり、ずるりと嵌め込まれていく肉棒。それを迎え入れ、絡みつく膣壁。お互いが一つになっている、その感触に二人がごくりと息を飲んだその瞬間、マスターの亀頭が挿入を阻む薄い膜の存在を検知した。

 それは硬い訳ではない。腰をゆっくりと進めれば、容易に肉棒の侵入を許して奥へと引き伸ばされてしまう。奥へ、奥へと腰を突き入れ、それの限界ギリギリまで肉棒を押し進めたマスターは、一定の位置でぴたりとその動きを止める。

 ここが限界点。これ以上はもう、この防壁はもたない。それは即ち、二度目の破瓜を意味しており、マシュに相応の覚悟を必要としていることを意味していた。

 もう、一度経験したことだ。もっと言うならば、何度も経験したことでもある。だが、それでもマスターはマシュに視線を送り、彼女の意思を問うた。優し気なその視線に胸を疼かせ、喜びに胸を膨らませ、マシュは、微笑みながら彼へと頷きを見せる。

 覚悟は、出来た。迷いも、無い。マシュが、マスターが、お互いの気持ちが、一つになる。マスターはマシュの体を引き寄せ、マシュは自身の腰を落とす。お互いがお互いを求め合う動きに合わせ、二人の距離は更に近づき、そして、その間にあった僅かな隔たりはぷちんと音を立てて消滅した。

 

「は、あぁ、ぁぁぁ……っ♡♡♡」

 

 ぴりりとした痛みが下腹部を襲う。それはほんの一瞬の痛みではあったが、マシュに確かな感覚を与えてくれた。今度は、間違えなかったと。例え偽の行為だったとしても、愛しい人に純潔を捧げられたのだと、彼女に強く自覚させる。目から零れ落ちた涙が対面の男にその温もりを伝え、喜びも表し、そして、快楽を生み出す。肉体だけの快楽ではなく、心を繋ぎ合う快楽がマシュの全てを満たしていく。

 男が、マシュの背に腕を回す。強く抱きしめ、もう離さないとばかりに腕に力を込める。マシュもまた、その動きに合わせて相手を抱き締め返すと同じ様に腕に力を込めて二人して抱き合った。

 

「温かいね、マシュの中……。ううん、全身が柔らかくて暖かい。ずっと、こうしていたいな……!」

 

「私もです……♡♡♡ 今までよりも深く、先輩と繋がっている気がするんです……♡♡♡ 快感と幸福が重なって、気分がふわふわして……とても、幸せです……♡♡♡」

 

 とんっ、とんっ……そんな、ゆっくりとした動きで二人の腰が動き出す。普段のセックスの際のそれと比べれば生温い動きではあったが、今の二人にとってはこれが限界であった。

 いつまでもこうして抱き合っていたい。相手に快楽を与え、幸福を分け合い、ずっとずっと繋がっていたい……! 普段の性交が悪い訳ではない。だが、今はゆっくりと時間をかけて愛し合いたかった。一秒でも長く愛する人と交わり続けていたかった。

 

「はぁっ! はぁっ! はぁっ……!」

 

「あふっ♡ ふぅっ♡ んふぅ……っ♡」

 

 吐く息にも余裕の無さが表れている。普段より落ち着いたグラインド、ピストンなのに、熱く甘い吐息が口から溢れてしまう。

 もっとこうしていたいのに、ずっと愛し合いたいのに、胸から溢れる幸福感が過敏に快感を感じさせる。激しいセックスとは違う、全身を満たす快楽が二人を包みこんで来るのだ。

 

「あ、つい……♡ 先輩の、いつもより硬くて、大きくなってます……♡♡♡」

 

「マシュだって、普段より蕩けてて、俺のに絡みついて……ぐぅっ!!」

 

「ひぅぅ……♡♡♡ ダメなんですっ♡ 先輩に抱きしめられてるだけでイって♡ 赤ちゃんのお部屋をノックされてイって♡ おまんこズルズル引っかかれてもイっちゃって……♡ 処女膜破られた時から、イクの止まらないんです♡ 気持ち良い、だけじゃない……♡ 幸せで、イクのが止まらない……っ♡♡♡」

 

 小さな快感の波が絶え間なく押し寄せ、マシュを何度も絶頂へと押し上げる。一回の絶頂ごとに体は敏感になり、感じる幸福感もまたより強くはっきりとしたものへと変化していった。それが故に、マシュは止めどない絶頂を繰り返し、膣を熱く火照らせているのだろう。

 そして、それはマスターも同様であった。ただ一つ違うことは、彼が射精してしまえば全てが終わってしまうという一点のみだ。きっと、これが今日の最後の一回となる。この幸福感を味わいたくとも、もう一度は無い。ならば、限界を超えるほどの忍耐力で射精を禁じ、マシュと交わり続けるのだと、彼は決めていた。

 忍耐に忍耐を重ねた結果、肉棒はパンパンに膨らみ、硬さも尋常ではないものになっている。滾りに滾った竿は硬度もまた磨きがかかっており、鈴口から漏れる我慢汁の魔力量も信じられない程の純度を誇っていた。

 

「あぁぁあぁあぁ……っ♡♡♡ 先輩のおちんぽぉ♡ ガチガチのアツアツでぇ……♡ すごいことに、なってます……♡ もう、我慢しないで下さい……♡ 私の膣に、射精して……っ♡♡♡」

 

「ま、だ……っ! まだ、こうしてたいよ……! マシュとずっと、こうしていたいんだ……!!」

 

「私も、です……♡♡♡ でも、先輩に我慢なんかして欲しくないです♡ 今日が駄目でも、明日や明後日、これから何時だってこうしてセックスすれば良いだけなんですから……♡♡♡ だから、我慢しないで下さい♡ 先輩の精子、私の赤ちゃん部屋にぶちまけて……私を妊娠させて下さい……っっ♡♡♡」

 

「ぐ、あぁぁぁぁぁっ!! マシュっ! マシュっっ!!」

 

「んうぅうぅうぅううぅううっっ♡♡♡」

 

 耳元で囁かれた甘美な言葉に、マスターの理性が弾け飛ぶ。ピストンの速度は変えず、その力強さだけを強化して肉棒をマシュの膣内へと打ち込み、更なる快感を双方味わい始める。

 一突きで意識が飛ぶほどの快感。それを断続的に味わうマシュ。溢れ出す愛液は白く濁り、破瓜の血と混じってピンク色の体液となってシーツへと零れ落ちていた。もはや、イクことが当然の状態となりながらも、マスターの滾りを受け止められることを悦ぶ彼女の表情は、幸福に歪んでいる。

 

(先輩とずっとこうして……♡ お腹の中、温かい……♡ 私のおまんこ、もう先輩の形になって……♡ あ、あ……種付けされちゃうっ♡ 先輩の赤ちゃん、孕んじゃうっ♡♡♡)

 

 思考は纏まらず、脳内にはその場の感情に合わせた単語が次々と浮かんできていた。そのどれもが喜びの意味を持ち、そして段々とその幸福を強めている。

 唇は、先ほどからずっとマスターと重ね続けていた。舌を絡ませ、唾液を循環させ、お互いに貪り合う。体は充足し、心は満たされ、マシュの胸は幸せで一杯になっていく。

 マスターには余裕がない。抱き締められる腕から、絡む舌から、膣内を穿つ肉棒から、その無我夢中さが伝わって来る。それが愛しく、愛らしく、そして喜ばしい。愛する人がここまで自分を求めてくれることが、マシュにとっては嬉しくて仕方がないことであった。

 

(愛してもらえている……女として、愛されている……♡ 雌奴隷でも、サーヴァントでもない。一人の少女である【マシュ・キリエライト】として、私を愛してくれている……♡ こんなに余裕がなくって、私を強く抱き締めて、求め続けて……♡ 先輩、すごく可愛い♡)

 

(大丈夫ですよ。私は何処にも行きません。私は、ずっとあなたの傍に居ます……♡ あなたと一緒に未来を築いて、幸せを紡いで……そうやって、生きて行くって決めたんですから……♡)

 

(あなたが私を愛してくれる様に、私もあなたを愛しています……♡ ずっと、ずっとずっと……一緒ですよ、先輩。苦しいことも一緒に乗り越えて、楽しいことを分かち合って、一緒に生きましょうね、先輩……♡)

 

 彼の愛を、自分の在処を、未来への想いを……胸の中で自覚する度、マシュの尻の淫紋令呪がその輝きを増した。刻まれる線はより深く、放たれる魔力はより強く、霊基をより強靭なものへと変化させるそれが、一層輝きを鮮やかにしていく。マスターとサーヴァントの絆が深まったことによる強化は、マシュの躰に更なる魅力を与える。

 肉襞。子宮口。膣壁。その全てがマスターに至上の快楽を与えるべく蠢き出した。彼女の尻穴がそうである様に、膣もまた彼のための器官となって奉仕を始めたのだ。力強いピストンを続ける肉棒を優しく受け止めるマシュの膣は、絶世の名器となってマスターを包み込んだ。

 

「は、ぐっ!! マシュ、すごくなって……っ!!」

 

「ほら、我慢しないでびゅ~っ、ってしちゃいましょう♡ 私のお腹に、熱々のザーメンぶちまけて良いんですよ、先輩……♡」

 

「はっ! はっっ! うぅっ! も、もう……っ!」

 

「ああ……♡♡♡ こんなに膨らんで、カチカチになってるおちんぽからは、どれだけの量のザーメンが出るんでしょうね……? 濃さも熱さも凄いでしょうし、私、孕んじゃうかもしれませんよ……♡♡♡」

 

「ぐ、うぅぅぅぅぅっっっ!!」

 

 一際大きな唸り声を上げたマスターが、マシュの尻を掴んだ。柔らかく張りがあるそこの形が変わる程に強く力を込め、強く腰を打ち付けて子宮口へと亀頭を押し付ける。マシュの膣もまた、連続絶頂の余韻を残す震えを繰り返しながらも、自身の内部で位置を決めたマスターの肉棒へと擦り寄ると、子宮への入り口を大きく開いて亀頭へと吸い付いた。

 途端、互いの我慢が限界を迎える。はち切れんばかりに膨れ上がった肉棒は、精巣から駆け上がって来た大量の精液をマシュの胎内へと容赦なしに吐き出した。その量も熱も濃さも、今までの数倍はあろう物であり、想像を超えた射精の激しさに感度の高まったマシュの肉体は呆気無く最大級の絶頂を迎えてしまう。

 

「あひぃいいぃいいぃいぃいぃいぃいぃいぃっっ♡♡♡ しゅご、しゅぎぅうぅうっっ♡♡♡ おっ、おおぉおおっ♡♡♡ ほゴぉおぉおぉぉおぉっっ♡♡♡」

 

 子宮は美味しそうにその精液を飲み干している。もしもこの中に卵子があったのなら、あっという間に精子に群がられて着床してしまっていただろう。宿敵を倒せていない状況で身重の体になるわけにはいかないと判断した令呪の効果によって妊娠こそ防げたが、子宮内を満たす精液による快感はマシュの想像を絶していた。

 びくん、びくんと体を震わせ、最後の一滴まで精液を注ぎ込まれる。もっとも、まだまだ射精は続いているため、その終わりが来るのはまだ先の様だ。我慢に我慢を重ねた結果、マスターの射精は人知を超えた領域の激しさへと脚を踏み入れてしまったらしい。

 それでも、マシュは目の前のマスターを押し倒すと、無我夢中になって彼の唇を貪る。マスターもまた射精の快感に酔いながらもその求めに応じ、互いが貪るようにして唇を重ね合わせた。

 

 カメラには、肉棒を突き入れられた膣口と精液を噴き出させる尻穴が映っていた。マシュの丸い臀部に刻まれた淫紋令呪が自分たちの知らない効果を発揮し、その強さを見せつけた所で映像が途切れる。

 砂嵐が映る映像の中、最後に響いて来たのはレオナルド・ダ・ヴィンチによる呼びかけであった。

 

『……以上が、現在のカルデアの状況だよ。君たちには少し刺激が強すぎたかもしれないけど……まあ、大丈夫だよね? そちらの方が、刺激的な毎日ってことは間違いないんだからさ……。まあ、これからも私たちのやることに変わりは無い。どこかで相対することがあったとしたら、その時はよろしく頼むよ。それじゃあ、またね……!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「抱いてっ! 抱いてよっ! 私のことを、抱きなさいってばっ!!」

 

「なんで? どうして……? 何でセックスしないの? シタいって言ってるのに……!」

 

「ま、待てっ! 止せ、やめろって!!」

 

 ビデオの再生が終了してから十数分後、ソロモンの城内は混沌としか言い様がない様相を呈していた。半狂乱になる女英霊たちと彼女たちに気圧される男たち、数え切れぬほどの人間たちが精液と愛液の臭いが充満する部屋の中で叫びあっているのだ。

 当然と言うべきか、ビデオを見た女英霊たちは錯乱に近しい精神状況を迎えながら、鑑賞によって火照る体を冷ますべく男たちに性交を強請った。普段は自分たちの主であり、支配する者たちである彼らは、すぐにその求めに応じて彼女を抱く……はずであったのだが、ここで問題が起きる。

 そう、彼らもまたビデオを見ている間に興奮を感じていたのだが、それが余りにも強すぎた結果、一足先に射精を終えてしまっていたのだ。彼らの履いている下着がイカ臭くなるまでに精液を吐き出した肉棒は、当たり前の如く萎えたまま復活することはない。これでは、女英霊たちを抱くことなど到底不可能な話だ。

 いつもは自分たちを嘲笑い、足蹴にして蹂躙する男たちが情けなくも肉棒をへたらせる姿は、女英霊たちの失望を大きく煽った。加えて、ビデオ映像の中で悠々と十名以上の女を抱いていたカルデアのマスターの姿を思い出し、彼の事を馬鹿にしていた目の前の男たちの不甲斐ない姿を目にすれば、その思いも強まるというものだろう。

 求めている快感は、この男たちからは貰えない。そうなれば、次に快感を求める男は決まっている。数十名は居る女英霊たちは、一斉に視線をソロモンへと向け、肉食獣の様な眼差しで彼を見つめ始める。

 

「ソロモン、様……!」

 

「貴方は、私たちの期待を裏切りませんよね……?」

 

「抱いて下さい……! 私たちを、抱いて……っ!!」

 

「っっ……!?」

 

 じりじりと距離を詰める女英霊たちの眼は、完全に色欲に狂っていた。ソロモンと、彼が与えてくれるであろう快感に期待して、それ以外の思考を捨て去ってしまった様に見えた。そしてそれは、欲望の対象となっているソロモンの眼には、とても恐ろし気なものに見えたのである。

 この数の女英霊たちの相手が出来るかどうかで言えば、それは一応可能ではある。しかし、その際に使うであろう体力や魔力、そして時間を考えれば、気が引けることも確かだ。しかし、ここで彼女たちの期待を裏切れば……待っているのは、己が身の破滅に他ならない。彼女たちはソロモンのことを快楽を与えてくれない相手として判断し、一斉に反旗を翻すかもしれないのだ。

 

 多大なる労力を支払い、彼女たちの心を得るか? それとも、離反を覚悟してでも行為を拒否するのか? 究極の選択を突き付けられたソロモンは、眼前に迫る女英霊たちの姿を見止め、そして即座に決断を下す。

 左手を掲げ、そこに刻まれた淫紋令呪をドス黒く光らせる。魔術を行使する準備が整ったことを確認した後、ソロモンは彼女たちに向けて命令を下した。

 

「女英霊たちに命ずる! 失神せよ! その間、ここ数時間の記憶を消去しておけ!」

 

「ぐ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 令呪による命令を行使された女英霊たちは、一斉に頭を抱えて苦悶の叫びを上げ始める。しかし、それも一瞬のことで、すぐに全員が部屋の床に倒れ伏し、室内には静寂が戻った。

 ソロモンを除き、男たちはその光景をただ茫然とした表情で見ている。無駄な手間を取らせた部下たちに対する苛立ちの感情を、ソロモンが胸に浮かべた時であった。

 

「無様、だな……ソロモン……!」

 

「なに……!?」

 

 背後から響いた弱々しい声に振り向いたソロモンは、海魔に手足を絡め取られ、身動きを封じられた状態でありながらも鋭い視線で自分を睨みつける一人の女英霊の姿を見て取った。オケアノスの戦いにて自分を裏切り、カルデアに与しながらもこちら側に帰還した重罪人、アタランテの言葉に不快感を露にするソロモン。そんな彼に対して、アタランテは自分に襲い掛かる命令の強制力に抗いながらも懸命に言葉を発して彼を侮蔑する。

 

「結局、お前はその程度の男だ……! どれだけの有利を得ようとも、それを容易にドブに捨てる。淫紋令呪を刻み、完璧なる性奴隷に堕とした女英霊たちも、これがきっかけでどうなるか予想がつかないぞ?」

 

「何を馬鹿なことを! 令呪による命令でお前たちの記憶は消える! そうなれば、この映像もなかったことになる! きっかけも何も無い、何も変わらないさ!」

 

「く、ははは……! まだ、そんなことを言うのか……正気に戻った女の一人、再度堕とすことも叶わない男が、未だに強がりを言うか。いや、失敬……状況を正しく判断出来ていないと言うのが正しいだろうな。これがどれほどの意味を持つのか、お前は理解出来ていないんだ」

 

 折檻のために海魔に絡め捕られている手足を砕かれようとも、アタランテの声からは力強さが消えない。痛みを乗り越えるだけの精神力を見せ、ソロモンに一矢報いるべく、彼女は言葉を紡ぎ続ける。

 

「淫紋令呪を刻まれた女英霊が何故、数に劣るカルデアに敗北を重ねるのか……? その理由は簡単だ。彼女たちは道具であって、英霊ではないからだ。お前は、私たちから心や誇りを奪い、従順なる奴隷へと仕立て上げた。淫紋令呪の力によってその支配を絶対のものとし、おまけに強化も果たせた、その点に関しては素直に尊敬しよう……しかし、そのせいで私たちはただの人形になってしまったんだ。人の心を失った、命令を果たすだけの人形にな……!」

 

「能力や技量、宝具やスキル、そんなものがいくら在った所で、その中核を成す強い意志が我々には無い……意思のない人形と心を取り戻した真の英霊がぶつかれば、どちらが勝るのかなど自明の理だ。さしずめ、お前は延々と絡繰人形(オートマタ)を作り続けて、それを出荷してるに過ぎない。それこそが、貴様の言う無駄な行いなのだとも気が付かずにな……!」

 

「そして、心無き人形が他者との触れ合いで心を取り戻した時、それこそがお前の支配から解き放たれる時だ! 私が良い例だ。戻って来てからというもの、お前に毎日の様に拷問をされているが……もう、私は堕ちないぞ。もう二度と、惨めな人形に戻って堪るものか! お前が私を何度殺そうとも、私は堕ちはしない! 私がカルデアに戻るその日まで、部下に裏切られ続ける貴様がやつれていく姿を見て笑ってやる! 今日、この日、私たちは心を取り戻す楔を得た! 心の奥深くに、確かな杭を打ち込まれたのだ! それを引き抜くことは、貴様には不可能――」

 

「もう黙れ! この雌畜生めがっ!!」

 

「がああぁっ!!」

 

 再度、ソロモンの手甲に刻まれた淫紋令呪が光り、今度こそアタランテの意識を根こそぎ刈り取った。ガクリと頭を垂れた彼女の顔を掴み、その頬を激しく殴打しながら、ソロモンは狂った様に喚き散らし続ける。

 

「何が、堕ちないだっ! 令呪の命令には逆らえぬ癖に、生意気なっっ!! 決めた、決めたぞっ! お前にはもう一度、カルデアを滅ぼすための刺客となってもらおう! さらに苛烈な拷問を以って、貴様を忌むべき人形に堕としてくれよう!」

 

 意識のないアタランテに向かって叫んだソロモンは、最後に彼女の腹を魔力で編んだ剣で貫き、その命を奪った。そして、新たにアタランテを召喚する準備を整えながら、荒れた息を深呼吸で治め、そして王座に座す。

 屈辱は与えられたが、大した痛手は負っていない。しかし、女英霊たちの度重なる離反をそろそろ問題視すべきなのかもしれない。そう考え、その対策を思い付いたソロモンは、未だにへたり込み続けている男たちを放置してさっさと自分の私室へと戻ってしまった。

 そこで研究を重ね、対策用の魔術を作り上げるソロモン。しかし、彼はまだ事の重大さに気が付いていない。令呪の命令によって記憶を操作したが故の問題が生まれることに、まるで思い当ってはいない。

 

 確かに記憶を消去すれば、ビデオの内容は忘れるだろう。しかし、目を覚ました女英霊たちは、火照りが冷めていない体に疑問を抱くこととなる。何故、自分たちはここまで昂っているのか? そんな疑問を持ちながらも、抱いている欲求を発散出来ぬ女たちは、この日の出来事に違和感を抱くこととなるのだ。

 そして、その違和感は確かに記憶される。その違和感が、心に刻まれた不信感と消去された記憶を呼び覚ますきっかけになり得ることを、ソロモンはまるで気が付いてはいない。女英霊たちの心に打ち込まれた楔は確かにそこにある。誰にも気が付かれていないだけで、確かに存在しているのだ。

 

 こうして、打ち込まれた楔がその効力を発揮し、内部を崩壊させる序章が始まるのは……そう遠くない未来の話なのであった。

 

 

 

 




ようやく……ビデオレター編、終わり!
次回からは愉快な幕間エロを書きつつ、次の特異点の準備を始めます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

獅子王、覚醒(アルトリア・ペンドラゴン『ランサー』)

このお話ともう2話ですかね。それで次の特異点に突入する予定です。更新をお待ちください。



 自分が女であると自覚したのは、一体何時だろうか?

 肥え育った乳房と臀部を晒し、鎧で隠しきれぬほどに豊満になった体を見ても、私は自分が女であるという意識を持てなかった。聖剣を棄てるまで、私は男を偽っていたわけだから、自分自身が女であることに引け目を感じていたのは間違いない。だが、今回私が言っているのは、そう言う意味では無いのだ。

 

 男を愛し、受け入れ、子を成す……肉体と精神が紐づいた、本当の意味での女。武力や権力に関係なく、男に寄り添う女であることを自覚したのは何時だっただろうか?

 もしかしたらそれは、あの薄暗い城の中で他の自分たちと共に尻を並べ、無様に喘いで男たちに嬲られていた時に覚えた感覚かもしれない。それより前に快楽に堕ちた際に覚えた感覚かもしれないし、その責め苦の中でそれを自覚したかもわからない。

 今となっては、その正確な時期を推し量ることは出来ないが……兎にも角にも、このことに関して今の私に言えることは、たった一つだけだろう。

 

 聖槍を持ち、獅子王と呼ばれたアルトリア・ペンドラゴンは、()だ。身も心も、女として在る。そのことを恥じるつもりはない。それが、今の私だと認めることが、私と彼との関係性を縮める第一歩なのだから。

 浅ましくも成長したこの体は、今では母乳を生み出すまでになってしまった。敵に刻まれた憎々しいこの令呪の効果を恨むこともあるが、それ以上に彼のために何かが出来ることが嬉しく思う。じわじわと、自分の体が快楽に貪欲になる感覚は、恐ろしくありながらもえも知れない興奮を私に与えていた。

 

「マスター……♡」

 

 私にこんな感情を教え込んだ男の名を呼ぶ。その声は熱を帯び、甘く蕩けていた。卑猥な桃色の照明に照らされる大きな寝台の上で、全裸の私は姿勢を正して彼を待っていた。

 自分がこんなことをするなんて、今でも信じられない。槍を、剣を振るって戦っていたアルトリア・ペンドラゴンは今、男に抱かれるために自らの肢体を曝け出して、心臓を高鳴らせているだなんて。こんなにも特定の人物を愛おしく想うなんて、生前の私は思いもしなかった。

 ちりり、ちりりと明滅する胸の令呪は、その高揚感が幸福であると知っている。これが、女として男を愛する喜びなのだと、私に教える様にして輝いていた。

 

 ……そうだ。だからこそ、私は彼に抱かれるのだ。女として、彼に愛され、彼を愛するのだ。

 心の中でそんな言葉を思い浮かべた私の目の前で、部屋の扉が開く。その先から姿を見せた待ち人に向け、微笑みを浮かべながら口を開く。

 

「呼び立てに応じて下さったことを感謝します、マスター。今宵は、私と一対一でのまぐわいに興じましょう……そして、今日こそは、この胸の令呪を再臨させ、私の霊基を完全にモノにして下さいね……♡♡♡」

 

 この部屋に呼ばれた時点で何を行うかは彼も理解していただろう。しかして、全裸の私の出迎えと卑猥な言葉は、予想以上の興奮を彼に与えた様だ。

 ごくりと息を飲み、徐々に下履きの股間の部分を膨らませる彼の姿を見ながら、私もまた疼き始めた女の部分が熱を帯びることを感じ、秘所から粘り気のある液体を零すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「……力加減は如何ですか、マスター?」

 

「うん、大丈夫……っ! アルトリアのおっぱい、柔らかくて気持ち良いよ……!」

 

「それは、良かった、です……っ♡」

 

 座椅子に座る彼の背に、石鹸で泡立てた乳房を当てる。そのまま上下に胸を動かし、乳房による背中流しを行う私は、同時に同じ様に泡立っている手を彼の前面部へと這わせていた。

 随分と筋肉が付いた胸に指を這わせ、そのまま下へ。今度は割れた腹筋に手を添えた私は、そこ所々に古傷の跡があることに気が付く。実際にこうして触れてみれば、それが結構な深さであることがわかった。

 彼は、戦いの度にこんな痛ましい傷を体に残しているのだろうか? きっとこれは、ソロモンにカルデアを強襲された時に付いた傷なのだろう。もう痛みはないのだろうが、それでも見る者に心苦しさを感じさせることは間違いない。

 あの時、もっと私に力があれば……その先の悲劇は避けられたのだろう。起こってしまったことを悔いても仕方が無い。だが、それでも後悔せざるを得ない。心の中に浮かび上がった暗い感情に表情を曇らせる私であったが、その沈痛さを今、表に出しても良いことは何もない。急ぎ気分を切り替え、マスターにこの鈍痛を気付かれぬ様に振舞いながら、私は彼の前に座した。

 

「やはり、一際臭いが凄いのはここですね……♡ これもしっかり、洗っておかないと……♡」

 

「あぅっ……!!」

 

 彼の股間でそそり立つ肉棒。私の顔よりも大きく長いそれを見つめ、鼻をひくつかせて臭いを嗅ぐだけで、私の官能は一瞬にして燃え上がる様な熱を帯びることとなる。

 鉄の様に硬く、炎の様に熱いそれを、私は自らの乳房で包む。亀頭の先が胸の谷間から飛び出していることに微笑みながら、慣れた手つきで胸での奉仕を開始した。

 

「ふっ♡ ふんっ♡ ふぅんっ♡ はぁっ♡」

 

 左右から胸を抑え、硬い幹を包み込む様にして乳房で刺激する。泡による滑りがその動きを加速させ、感じる刺激を増幅させる。

 ジンジンと頭の後ろが痺れる様な快感が、私の胸から伝わって来た……じわりと、乳首の先から滲む白い液体が石鹸の泡に混じり、ほのかに甘い香りを湧き上がらせた。同じく鈴口から溢れた透明な液体が胸に垂れ、更にその卑猥な臭いを強くする。それを鼻先で嗅ぎ続ける私は、脳が沸騰するほどの興奮を感じずにはいられない。

 

 ほぅ、と甘い吐息を漏らし、私は奉仕の動きを変えた。上下に揺らす動きから、肉棒を抱き締める様に左右から強く押し込む形へと、刺激の種類を変える。そうした後、胸の谷間から飛び出しているマスターの亀頭へと、私は唇を向けた。

 

「んっ♡ ちゅっ♡ ちゅぅっ♡ れろっ♡」

 

 軽いキスを落とし、そのまま開いた口の中へと亀頭を誘う。ちゅぱちゅぱとキャンディーでも舐める様に舌と唇でそれに吸い付き、じっくりと唾液を絡めて肉棒に塗す。ぐりぐりと鈴口を刺激した後は、カリへと舌先を這わせて窪みを強く舐め続けた。

 

「ちゅぅぅうぅぅっっ♡ ちゅぅぅぅぅううっっ♡」

 

「うぅっ!? アルトリアっっ! 吸い過ぎ、だってっ!! こんなの、持たな……っっ!」

 

「じゅるるるるっ♡ んちゅぅぅうぅっ♡ じゅるうるっるぅっ♡」

 

 きっと、今の私はとても無様な顔をしているのだろう。僅かに飛び出した亀頭へと必死に吸い付き、蛸の様に唇を尖らせ、口淫を行う。傍から見れば、ただの肉棒狂いとしか思えぬ表情を晒しているのだろう。

 その状態で胸を自在に動かして、更にマスターの射精を煽る。上下に揺らし、絞る様に前後に動かす、強く抱き締め、亀頭を延々と吸い続ける。この口の中に欲望を吐き出せと、全ての行為で訴え続ける。

 興奮に光り輝く淫紋令呪も、びゅーびゅーと母乳を噴き出し続ける乳首も、全部彼には見えているはずだ。私がどれだけこの行為で興奮しているのか、その浅ましさだってわかっている筈だ。

 

 だらり、だらりと、愛液が垂れる。洪水の様に、止めどなく、白く濁った本気汁が股座から溢れる。肛門も収縮を繰り返し、性器は物欲しそうにぱくぱくと開閉を続け、子宮は疼いて精を欲しがっている。

 視線の先に見えるマスターの表情は、快感を感じながらも苦し気だ。一回目の射精を出来るだけ我慢しているのだろう。男としての矜持が、そう易々と絶頂を迎えることを拒んでいるのだ。その気持ちも理解出来るのだが、私はもう、限界だった。

 

「おっ!? うぅっ!? う、うぅぅうぅうぅっっ!!」

 

 乳房に魔力を通わせ、その膨らみと柔軟性を最大まで高める。脂肪の塊であるそれが更に深くまで肉棒を包む柔らかさを持ちながら、ぱんぱんに膨らんで肉棒を刺激する快感にマスターの背筋が大きく仰け反った。

 私はそれと同時に胸を小刻みに上下させながら、生暖かい母乳を彼の体へと噴射した。温く甘く、そして粘っこいそれが股間に降りかかる感触がマスターの意識を解し、射精を堪えようとする気持ちを融解させる。

 最後に、トドメとばかりに口で亀頭を限界まで吸う。気持ち良いおっぱいに包まれ、ミルクのシャワーを浴び、もう何も我慢する必要はないのだと、母の様な優しさで、悪魔の様な苛烈さで、私はマスターの射精を導く。

 胸と口の性技を全て駆使したこの奉仕に、流石のマスターも臨界点を突破した様だ。とても大きくて可愛い呻き声を口にしながら、夥しい量の精液を私の口の中へと吐き出してくれた。とても濃くて、熱い精液が喉に絡む……♡

 

「っっ……♡ んきゅっ♡ んくっ♡ ごくっ♡」

 

 私は、口の中に吐き出された精液を何ら迷うことなく飲み続ける。喉を鳴らし、恍惚とした表情のまま彼を見つめ、びくびくと脈打つ肉棒を抱き締めながら頬一杯に溜まった精液を嚥下する。その間、私は自分が彼の聖槍の鞘になった感覚を覚えていた。

 この乳房が、口が、彼の滾りを受け止めるためにある……口の中の精液を飲み干し、そのまま大口を開けて肉棒を喉の奥まで受け入れた私は、そのままその幹にこびり付いた汚れを舌で舐め取り、綺麗にした。尿道に残る精液を吸い出し、味わうことも忘れない。ややあって、私の唾液に塗れながらも清潔さを取り戻したマスターのペニスは、奉仕を開始した時よりも雄々しくなって私の口から姿を現した。

 

「今日のアルトリア、凄く積極的だね。射精を我慢出来なかったや」

 

「ふふふ……♡ 私も奉仕が板について来たということでしょうか? しかし、マスターの聖槍はまだまだ満足していない様子。やはり、こちらでお相手しなければならないでしょうね……♡♡♡」

 

 狭い風呂場で立ち上がり、彼に尻を向けた私は、二本の指で己の性器を開き、その内部を見せつけた。既に愛液を滴り落としているそこは、彼を受け入れる準備をばっちりと整えている。ほかり、と湯気が上がっているのは、決してここが風呂場だからという訳ではないだろう。

 すぐにでも彼の滾りを受け入れ、快楽を分かち合いたい。しかし、ここは些か場所が狭すぎる。それに相応しい場所は、扉を隔ててすぐそこにあるのだ。焦る必要は無い、存分に性の交わりを愉しむために、ほんの少しだけ我慢をしよう。

 

「……体を温めましたら、部屋で本番と参りましょう。今夜は、寝るつもりはありませんよね、マスター……♡」

 

 ギンギンに勃起したペニスを震わせ、何度も何度も首を縦に振るマスターの姿に愛しさを感じながら、私は彼を抱き締め、そのまま体を密着させたまま湯船に浸かり、お互いの興奮を最大限まで高めるべく鼓動を伝え合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂から上がり、体を冷まさぬ様に水滴を拭い、髪を乾かす。体の調子は非常に良好で、何も問題はない。

 湯の温度で温まり、快楽を求める感情に火照る体を震わせれば、伸びて来たマスターの手が私の下腹部に触れた。子宮の位置をそっと撫で、じゅくじゅくと疼く私の官能をじっとりと舐る様に腹を摩るその手からは、彼自身の興奮もまた伝わって来る。

 

「……もう、限界かも。早速良いかな、アルトリア?」

 

「ふ、ふふ……♡ 気が早いですね、マスター。しかし、私もそれは同じの様です……♡ どうぞこちらへ……♡」

 

 後ろから私を抱き締める彼の手に己の手を重ね、お互いに興奮を分かち合いながら、私たちは大きな姿見の前に立った。これが私がこの部屋を今宵の夜伽の場に選んだ理由であり、私が望む行為を可能にしてくれる物でもある。

 ゆっくりと、体を前傾させ、鏡に手を付く。同時に尻を突き出し、ふるり、ゆらりと彼を誘う様に振りながら、私は彼を求める言葉を口にした。

 

「これで、私の全てがご覧になれるはずです♡ 雌馬の様に尻を突き出した私の感じている顔も、激しく揺れる乳房も、輝く淫紋令呪も……全てがマスターの前に晒されます♡ どうぞ、淫らな私の艶姿を視覚でもお楽しみ下さい♡」

 

「う、うん……!」

 

 頷きを見せたマスターの、逞しいペニスが尻に触れた。ビクビクと震え、はち切れんばかりに大きくなっているそれの温度が、私の興奮を一気に加速させる。

 彼も興奮してくれている。この私の淫らな姿に肉棒を滾らせ、欲望を抱いているのだ。尻の谷間を抜け、亀頭が性器の入り口に宛がわれた瞬間に、その思いは最大限まで膨らんだ。

 

「いくよ、アルトリア……!」

 

「はい、どうぞ……♡ 存分にお楽しみを、マスター……♡♡♡」

 

 了承の言葉を口にした私は、目の前の鏡へと視線を向けた。このまま、後は成すが儘に淫らな姿を晒し続けるだけだ。彼に楽しんでもらうため、この体を差し出すだけなのだ。

 

「お、おぉっ♡ はぁあぁぁぁぁぁぁあぁんっ……♡♡♡」

 

 待ち望んだ肉棒の挿入は、非常にゆっくりと行われた。亀頭が性器を割り裂き、先へ先へと進む感覚に、私の口から悩まし気な溜息と嬌声が零れる。

 きっとマスターも私の膣の感触をじっくりと楽しんでいるのだろう。肉襞を一枚一枚弾き、女の躰に侵入して行く感覚を肉棒でたっぷりと感じているのだ。私という女の体を十二分に味わいたいという思いが伝わる挿入方法に心をときめかせていれば、彼のペニスは私の奥深くにある子宮へと辿り着き、その入り口を亀頭で軽く小突いて来た。

 びりり、と甘い快感が電撃となって体を走る。脚が震え、表情が緩み、膣内が蠢き出す。ただの挿入でこれなのだ。本格的な動きをされたら、きっと私は私でいられなくなってしまうだろう。

 自分自身を保てなくなるほどの快感に期待を抱く私の膣内に己の分身を埋め込み終えたマスターは、腰をがっしりと掴みながら恍惚とした溜息を洩らした。

 

「アルトリアの(ナカ)、ふっくらしてる……。肉厚で、俺のことを包みこんでくれるこのまんこ、何回セックスしても気持ちが良いや……」

 

「んっ♡ んんっ♡ ……マスターの聖槍も、流石の雄々しさです……♡ これは、気を抜けばすぐに達してしまいそうですね……♡」

 

「さ、最初は、ゆっくりで良いかな……? この感触を楽しみたいんだ」

 

「ええ、勿論です♡ 貴方のお好きな様になさって下さい……♡」

 

 ありがとう、という言葉を口にしたマスターは、宣言通りにゆっくりとした動きで私の膣を穿ち始めた。膨らみ、硬くなった肉棒をギリギリまで引き抜き、再び挿入の感触を楽しむ様にのんびりとした動きで奥へとペニスを打ち込む。最奥まで、私の尻に腰を押し込むまでに肉棒を突き入れたら、ぐりぐりとそれを更に捻って子宮を刺激し、びくりと脈打つ私の膣の反応を楽しんでもくれた。

 激しさのない、スローなセックス……しかし、胎に打ち込まれる杭の質量はかなりの大きさだ。それも熱く硬い、女を感じさせるための形をした杭が、私を侵略する様な動きで挿入される。その快感は、言葉にし難い恍惚さを秘めている。

 逆に動きがゆっくりであることが、私の感じる快感の一つ一つを丁寧に自覚させていた。濡れそぼり、準備が整った性器に待ち望んだ肉棒が入り込む感覚、ストロークは単純で、大した工夫もない。されど、開発された膣は敏感に快感を貪るとそれを余すことなく私に伝えてくれるのだ。

 

 ゆっくり、ゆっくりと、私の膣に熱が伝わる。燃え上がる炎の様な熱。同時に快感を生み出す熱が、私の内部へと侵入して来る。その熱は子を成すための女性の器官、子宮へと辿り着くと、ぐっと強くそこを押し込むのだ。奥へ、奥へと亀頭が子宮口を突く。本来の位置から男を求めて降りて来た子宮が、肉棒によって更に奥へと押し込まれてしまう。口を開き、精を強請って亀頭に吸い付く浅ましい女の部分が、けたたましいほどの快感を叫んでいた。

 十分に私の女の部分を掘り起こし、耕した後、これまたゆっくりとした動きでマスターの肉棒が引き抜かれる。エラを張ったカリが襞を弾く度、私の脳内では飛沫が舞う程の快感が断続して乱れ飛んでいた。挿っていた物が抜けて行く切ない感覚に口が開き、その感情を声にする。だらりと、涎を口の端に垂らす私の表情は、全て鏡に映っている。

 そして……肉棒の抜けて行く動きがぴたりと止まり、再び挿入の構えを見せた時、その表情には悦びの色が浮かぶのだ。褒美を貰う犬の様に、待ちきれないとばかりに尻尾のない尻を振り、甘く蕩ける鳴き声を上げ、淫らな姿を鏡に映し出しながら、私は性の悦びを享受していた。

 

「んはぁぁぁ……っ♡ はいって、きたぁ……♡ あ、あぁ、おくぅ♡ また、しきゅうがぁ……っ♡ んっ♡ あひっ♡ ぬけないでっ♡ いかないでくださいぃ……♡ もっと、わたしのおまんこにいてぇ……♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ きたっ♡ きましたぁ……っ♡ マスターのおちんぽ、またきたぁ……っ♡」

 

 私はもう、頭の中に浮かび上がる言葉をそのまま声に出すことしか出来なくなっていた。思考なんてものは消え去り、ただただ快楽に喘ぐだけの女になっていた。

 マスターはそんな私にもたれ掛かる様に体を預けると、そのまま両手を揺れるたわわな乳房へと伸ばす。丁寧に、ゆっくりと腰のストロークを続けながら、彼は手慣れた動きで私の胸を揉み始めた。

 

「アルトリアのおっぱい、ぱんぱんになってる……! 苦しそう、すぐに楽にしてあげるからね……!」

 

「はぁぉおぉおぉぉぉぉ……っ♡♡♡ ふひぃいぃぃ……さくにゅっ♡♡♡ らめぇ……♡ かんじ、すぎ……んきゅっ♡」

 

 魔力が形となった母乳が詰まる胸を、マスターが優しく揉みしだく。一体どうすれば私が射乳するのかを、彼は重々に理解していた。あっという間に快感に素直になった私の胸は、硬く尖った乳首の先から凄まじい勢いでの射乳を開始してしまう。

 その動きに合わせ、マスターは腰を動かして私の子宮を責めた。乳首から母乳が噴き出し、開放感を伴うじんじんとした痺れを感じるその瞬間に、ズンっと重く強い快感を膣に与えて来るのだ。

 上半身を痺れさせる快感と下半身を震わせる快感。二つの違う快感は混じり合い、更に強い快感となって全身を駆け巡る。それがまた、私の心を快感に素直にしてしまう。

 

「はぁぁぁぁぁ……っ♡♡♡ んへぇぇぇぇぇぇ……っ♡♡♡ ほっ♡ おぉぉぉぉぉ……っ♡♡♡」

 

「アルトリア……! アルトリア……っ!!」

 

 乳を搾られ、膣を穿たれ、名を呼ばれる。快楽で空っぽになった頭の中に彼の声が響き、それが私の心をときめかせてくれる。心のときめきが体に伝われば、彼の手で生み出される快楽の味は一層甘美になり、私はだらしなく快感に蕩けた呻きを上げるだけの雌へと変貌してしまった。

 ゆっくりとした優しい手付き。だが、彼は私の快楽のツボを知っている。どこをどうすれば私が悦び、嬌声を上げるのか。それを知り尽くした男の愛撫によって、私の意識は淫らに染まっていく。

 

 コリコリと抓る様に乳首を弄ったかと思えば、次の瞬間には両手でたわわな乳房を揉みしだかれる。じっくりと快感を馴染ませる様に胸を搾られれば、先ほどまで愛撫されて勃起してしまっている乳首から太く白い液体が水鉄砲の様な勢いで噴き出すのだ。

 鏡に飛び散り、床に垂れる私の母乳。甘い香りがぷんぷんと臭い、それが同時に私の官能を高める。いや、私だけではない。私を抱くマスターの興奮もまた、卑猥な母乳の臭いで滾っていた。

 

「おうっ♡ んおぅぅっ♡ ほひっ♡ あひぃいんっ♡♡♡」

 

 飛び散る母乳の量が増える程に、マスターのピストンの強さが高まっている。全身を私に預けてもたれ掛かりながらも、腰の動きだけは猛々しい雄のそれとまるで変わらない。上半身は私に甘え、下半身は私を責める。くっきりと腰から上下で両極端な行動を見せるマスターの体は、私の体を的確に高めていた。

 

(あ、あ……♡ 胸が、ときめく……♡ この人を受け入れられるということが、嬉しくて堪らない……♡♡♡)

 

 それは女として感じる至上の幸福だった。愛する人の想いを、滾りを、この身で受け止められるという喜びが私の心身を包む。

 まるで母に甘える様に身を預け、赤子が求める様に乳を弄る。快楽を生み出す行為でありながらも、本能的な甘えを感じさせるマスターの動きは、私の庇護欲を存分に疼かせた。

 逆に、膣には苛烈な責めを行われている。滾りに滾り、雄々しく勃起した肉棒を性器の奥深くまで突き入れ、子宮を犯さんばかりの抽挿を繰り返すマスター。上半身で感じるゆったりとした快感とは真逆の痺れる様な激しい快感に背中が仰け反り、その二つが入り混じった複雑で巨大な快楽に私の心は飲み込まれてしまっていた。

 

(痺れる♡ 蕩ける♡ おかしくなるぅっ♡ こんな、こんなの……我慢出来るはずがないぃ……っ♡♡♡)

 

 求められている、包み込んでくれる対象として。望まれている、受け入れてもらえることを。

 安らぎを、庇護を、愛を……マスターは求めている。他でもない、この私にだ。

 サーヴァントとしての私にではない。王としての私にでもない。()()()()()()を彼は求めてくれていた。そして、そう望まれることを、私は求めていた。彼の欲望、愛、熱を、女としての私は望んでいた。それが叶った今、私は大いなる充足感を感じると共に、僅かな恐怖も感じているのだ。

 

 本当に、これで良いのだろうか? 英霊である私が、王である私が、今さら一人の男性に恋をするなんて……私は使い魔で、人間ではない。この想いを露にしても、いつかは彼と離れる時が来る。それに……私は、愛し方を知らない。男をどう愛すれば良いのかが、はっきりとは分からない。

 体の重ね方は分かる。唇を交わすことも、快楽を分かち合うことも、あの城の中で方法は嫌と言う程教えられた。だが、人の愛し方はわからない。男をどう愛すれば良いのか、それがわからない。

 この優しく温かな青年を、彼だけを、どう愛すれば良い? 私の愛は彼に届くのだろうか? 彼を傷つけないだろうか? それならばいっそのこと、こうして体を重ねるだけの関係で満足すべきなのではないだろうか?

 そう、何度も思った。そうやって自分を納得させてきた。だが……セックスの回数を重ねる度、その思いは蓋をした器の中から堰を切った様に溢れ出してくる。どう足掻いても、目を背けても、この感情は私を許してはくれない。

 

「んんぅ♡♡♡ んぅぅ……っ♡♡♡ んむぅ……♡♡♡」

 

 こうして唇を重ね、胸を揉まれ、膣を穿たれている今でも、その想いは膨れ続けている。胸の高鳴り、子宮の疼き、感情の火照り……それらが合わさって、私に揺るぎない事実を突き付け続け、逃がしてくれない。快楽と共に味わうこの幸福感が、私の心を素直にさせてしまう。

 

 もう、無理だ。この想いを押し殺すことなど、到底不可能なのだろう。この幸福を快楽を、永遠に味わっていたいと願ってしまう。そして、より深い絆を彼と結びたいと望んでしまう。

 涙が、自然と溢れた。恐怖が、幸福が、様々な感情が入り混じった複雑な想いを胸に、私は彼の瞳を見つめる。

 青い、綺麗な色をした彼の瞳……その中に在る私の姿は、彼の眼にはどう映っているのだろう? 彼は、私のこの想いをどう受け止めるのだろう?

 そんな疑問を胸に浮かべると同時に、私の口からは一つの思いが声となって飛び出していた。彼へと、問いかけの言葉を知らず知らずのうちに発してしまっていた。

 

「マスター……私は、貴方を愛してもよろしいのでしょうか……? こんな私が、貴方を想っても良いのでしょうか……?」

 

 貴方の期待に応えられなかった私が――

 人ではなく、人からも離れた存在へと成り果てようとしている私が――

 貴方を裏切り、他の男に股を開いた唾棄すべき存在である私が――

 人を、男を愛する方法など知り得ない私が――

 こんな私が――貴方を愛しても構わないのだろうか? 貴方の重しとなり、貴方の傷を抉り、貴方を苦しめはしないだろうか? 

 そんな心の中の不安が言葉となる。彼への質問となって、彼に一つの問いかけを残す。言ってすぐに私は後悔した。こんな、彼を困らせるつもりはなかった。ただただ、想いが言葉となって溢れてしまったのだ。

 謝ろうと、謝罪しようと、私は思った。目の前の彼は少し困った様な表情をして、私の眼を見つめ返してくれている。これ以上彼の心を煩わせる必要はない。情事の際の戯言だと、そう告げて何もなかった様に振舞わなくてはと、そう、私が思った時だった。

 

「きゃっ!? ま、マスター!?」

  

 ぐっ、と体が浮かび上がる感覚があった。仰向けに、天上を見る形になった私は、マスターの手で抱き上げられていた。それも、所謂『お姫様抱っこ』という体勢でだ。

 決して小柄ではない私の体を抱きかかえ、自分の体に引き寄せながらマスターは歩む。まるで、どこぞの姫君をエスコートする様に私のことを扱ってくれている。彼の腕の中で震える私は、動揺の感情と共に安心感と幸福感も感じてしまっていた。

 そのまま部屋を歩いたマスターは、大きなベッドの上に私の体をそっと横たえた。体の重みでふわりと沈んだベッドの柔らかさを感じ、体に残る彼の温もりを感じて息を熱くする私の前に、マスターが腰を下ろす。

 彼の手が、私の頭を撫でる。また少し困った様な顔をして、それでも綺麗な瞳で私をしっかりと見つめてくれる彼は、私に向けて囁いた。

 

「……こんな俺が言うのもなんだけどさ……誰かを好きになることに許可なんて要らないと思う。誰かを大切に思う感情は、自然と生まれるものだからさ。誰かに許されなきゃ人を大切に思っちゃいけないなんてルールは、何処にも存在してないよ」

 

「マス、ター……」

 

「俺は……皆のこと、大切に思ってる。沢山の女の人と関係を持ってる俺の言葉じゃ軽いかもしれないけど、アルトリアのことだって大好きだよ。だから……アルトリアが何か迷ってるとしても、怯える必要なんかないんだよ。アルトリアが俺や、他の皆のことを大切に思ってくれているのは伝わってるから、それがアルトリアの愛だってことは良く分かってるから。俺も、それに負けないくらいの愛をアルトリアに注いでみせるからさ……!」

 

 パン、と頭の中で何かが弾けた。もしくは、心の中で何かが溶けだしたと表現するのが正しいだろうか。マスターの言葉が、私にあることを気付かせてくれた。

 愛し方に正解など無いのだ。誰かを大切に思い、その感情を抱いたまま接することこそが、愛するということなのだから。離れていても、見守るだけでも、それは愛するということだ。元々、目には見えないその愛をどう表現するかなんて人それぞれであり、そのどれもが間違いではない。大切なのは、方法ではなくてその内に在る感情なのだから。

 

 愛する方法がわからないだなんて、悩む必要はなかった。ブリテンの民を愛した様に、彼のことも愛すれば良いだけだった。特別な一人だからなって戸惑う必要なんてこれっぽっちもなかったのだ。

 そして、自分自身を卑下する必要もない。何故なら、こんな私のことを彼は愛してくれている。大切に思ってくれている。そんな彼の想いに背き、自分を蔑ろに思うことこそが最大の不忠だ。彼を愛しているのなら、彼の愛を真正面から受け止めれば良い。ただ、それだけのことだ。

 

 もう、迷う必要は無い。私は、私なりの方法で彼を愛そう。

 英霊として、彼を守ろう。彼の命を、心を、そして彼の守りたいものを、仲間たちと共に守ろう。

 女神に近しい存在として、彼を導こう。もっと高い場所、もっと素晴らしい場所へと、彼を導き、連れて行こう。

 そして……ただの女として、彼に安らぎを与えよう。彼が安堵し、心の疲れを癒し、安息の場所と言える場所が、この胸の中にあることを締めそう。彼も、仲間たちも、この世界も、全て愛そう。それが、私の愛し方だ。

 

「ふ、ふふふ……ふふふふふふ……♡♡♡」

 

 心の迷いが消え、怯えが溶け、暗雲が消え去った。その感情は私の霊基にも変化をもたらす。

 王冠の様に結われていた髪が、しゅるりと音を立てて梳かされたのだ。長く伸びた金色の髪を手で掬った私は、これが何を意味しているのかを瞬時に理解する。

 今の私は、王でも女神でもない。ただのアルトリア・ペンドラゴンと言う名の女だ。英霊であることも何もかも忘れ、ただ彼を愛するために在るだけなのだと、そう私の心と霊基は判断したらしい。その心を読み取った私もまた、ベッドに寝転ぶと柔和に微笑み、腕をマスターへと伸ばす。そして、雰囲気の変わった私を見つめてくれている彼に向け、甘く蕩ける様な声で囁いた。

 

「マスター、お願いがあります……♡♡♡ 貴方の愛を証明し、私の愛を証明させて下さい♡ 何一つとして遠慮のない交わりを以ってあなたが私を愛していることを証明し、それを全霊で受け止めることで私の愛の証とさせて頂きたいのです♡ どうか、この願いを聞き届けては頂けないでしょうか……♡♡♡」

 

「……勿論、喜んで」

 

 不躾な私の申し出をマスターは笑顔で了承してくれた。そのまま、ベッドに寝転がる私と指を絡ませ、先ほどよりも一回り大きくなった肉棒を私の性器にあてがう。

 亀頭が触れる膣口から、マスターの肉棒の雄々しさと熱が伝わって来た。先ほどの緩いセックスの時とは違う、本気のセックス……彼が私を愛していることを証明するために己の逸物を本気で昂らせてくれていることに感謝し、私も気を引き締めた。これは、私が彼を愛していることを証明するための行為でもあるのだ。途中で気をやることなど、決してあってはいけない。そう、例えどれほどの快楽を味わったとしても、だ。

 

「挿れるよ、アルトリア……!」

 

「はい、お願いします、マスター……♡♡♡」

 

 短い会話の後、彼が腰を突き出した。その動きに合わせて肉棒が膣に潜り込んで来る。既に蕩けていた私の性器は簡単に彼の怒張を咥え込むも、それと同時に先ほどまでは感じなかった圧倒的な快感を味わうことになった。

 

(私の宝具から力を分け与えられた、マスターの聖槍……♡♡♡ 魔力が渦巻いて、竜巻の様に荒れ狂って、私のおまんこをごりごり削ってくる……♡♡♡ 凄い、魔力……♡♡♡ 本当に、本気でシてくれているのですね、マスター……♡♡♡)

 

 遠慮も情けも何もない。ただ、私を貪るために全てを尽くす。魔力、体力、精力……全霊のそれらを用いて私を抱き、自らの想いをぶつけてくれる彼の行いが、途轍もなく嬉しかった。突き入れられる肉棒が、指と指を絡ませて繋がる手が、彼の全身を受け止める体が、その一つ一つが……ジンジンと甘い痺れと震えを私の心に与えてくれる。

 受け止めよう、彼の全てを。全力で私の想いに応えてくれる彼の行為を受け止めることで、私の愛を証明しよう。私は、繋がる手に力を込め、両脚を彼の腰に絡ませて抽挿の動きを補助する様にそれを引き寄せた。そして、何度も繰り返される腰の動きに合わせ、段々と力を込めてその行為を行い続ける。

 

「んひっ♡♡♡ ひんっ♡♡♡ ひっ♡♡♡ んひっ♡♡♡ ひぃいんっ♡♡♡」

 

 歯を食いしばって、気をやらぬ様に耐える。膣を削る魔力の渦に襞が捲り上げられ、その一枚一枚に途方もない快感を刻み込まれながらも、懸命に耐えた。脳内では飛沫となった快感が幾度も弾け、私の意識をこそぎ取ろうと何度も飛沫を上げているが、それでも私は耐え続けた。

 まだだ、まだ……私はこの青年の全てを受け止めきってはいない。共に快楽を分かち合い、共に幸福を感じ合い、共に愛情を与え合いたい……そう、願っているから。だから私はまだ意識を失えない。彼への愛を証明するまでは、彼に全霊の愛を送るまでは、終われないのだ。

 

「おおっ♡♡♡ んっ、おおおっっ♡♡♡ ほごおっ♡♡♡ んごぉおおっっ♡♡♡」

 

 子宮が何度も叩かれ、その度に脳がシェイクされている様な錯覚を覚える。開発され、快感に慣れ切った体が当然の様にその快楽を貪っている。膨らむ陰核や乳首は痛いほどに勃起しており、補充された魔力が母乳となってじわじわと乳首の先から溢れ出していた。

 これを一気に搾られたら気持ちが良いだろう……そのことは分かっている。だが、彼は敢えてそうはしなかった。ただひたすらに腰を振り、私と純粋に繋がり合うことを選んだ。いつしか切なく、一層硬くなって震え始めたマスターの肉棒は、私の膣内で限界を迎えようとしている。

 もう何度達しただろう? 何度ギリギリまで意識を遠のかせ、その度に懸命にそれを手繰り寄せただろうか? その行いを我慢とは思ってはいない。むしろ、もっと味わっていたいくらいだ。彼と繋がり、愛し合うこの時を永遠に続けられたらどれだけ幸せだろう。

 ドクンと、心臓が跳ね上がった。喘ぎ声が止まらぬ口からは舌が伸び、彼を求める様に震えている。その求めに応じて唇を重ねてくれたマスターと唾液を循環させながら、私は自分の身に起きつつある何かを感じ取っていた。

 

 深く、激しく、そして大きく……絶頂しそうだと、思った。だが、それは今まで体験したどの絶頂とも違う感覚を予感させている。この霊基が、魂が、アルトリア・ペンドラゴンという女がまだ知らぬ、未知の絶頂が今、訪れようとしているのだ。そして、それが何なのかは考えるまでもないことだ。

 この絶頂は、()()()()として迎える最初の絶頂だ。サーヴァントとしてではない、奴隷としてでもない、一人の女として、愛する者に抱かれて迎える幸福の瞬間を、私は経験しようとしているのだ。

 

 もう、性器はぐちゃぐちゃだった。ピストンと同時に感じる魔力の奔流はあまりにも激しく、強烈だ。噴き出した愛液はベッドのシーツを濡らし、吸収しきれなかったそれが軽く湖を作るくらいには私は愛液を垂れ流しているらしい。

 彼と心を繋ぎ、彼に捧げた力が、私に幸福を味合わせてくれている……私を利用するためでも、手駒とする訳でもない。目の前の青年は、私のことを心の底から大切に想ってくれている。私も、彼のことを同じ様に慕っている。その思いの結晶が彼に力を与え、活力を与え、明日を創りあげている。それが、たまらなく嬉しかった。一人の女としての献身が、彼の力になっていることが嬉しくて仕方がなかった。

 

 もっと、もっと、もっとだ。彼が欲しい。彼を感じたい。彼に愛してほしい。強欲で、傲慢で、慎みのない願いかもしれない。だが、自覚してしまった以上はもう止められない。止めるつもりもない。もう王でも女神でもなく、一人の女として私は願おう。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……肉体でも、魔力でも、母乳でも良い。なんだって良い。私は、彼を支える存在となって、彼と共に生きていたい。

 

 ――そう、私が願った瞬間だった。

 

『おめでとう、彼は君の全てを手に入れた』

 

 頭の中で、確かにそんな声がした。聞き間違いでも、幻聴でもなかったと私は思う。

 聞き覚えのある様な、そうでもない様な……そんな声は私の頭の中で語り続け、ぼんやりとした意識のまま、私はその声を聴き続けた。

 

『君が彼に捧げるのは、()だ。ただし、これは()()()()()()()になる。聖槍を振るい、人の身でありながら神に近しい存在となった君にしか出来ないことだよ。そして、その愛は彼と君の仲間たちに更なる力を与えてくれるはずだ』

 

『勿論、君自身にもその影響はある。彼の敵を薙ぎ倒す槍となり、彼の仲間を守る女神となり、彼を癒す女となって、君は活躍し続けるだろう。そして、その力は君の愛が深まれば深まるほどに増していく。良かったじゃないか、これで彼を愛する理由がまた一つ出来た――』

 

(……ああ、そんなものは関係ない。必要ない。彼を愛する理由など、無くて良い――♡♡♡)

 

 響く声に対して浮かんだ感情はそれだった。私は彼を愛している、そこに理由なんて必要ない。愛している理由は有っても、愛するために理由なんて必要ない。それは、彼が教えてくれたことだ。

 良いとも、その力はありがたく頂こう。マスターや他のサーヴァントたちの役に立つ力だ。遠慮せずに使うとしよう。しかし、私はその力を強めるために彼を愛する訳ではない。私を救い、私に女の幸福を感じさせてくれた彼を愛しているからこそ、私は彼を愛するのだ。

 

「んっっ♡♡♡ ます、たぁっ♡♡♡ んんっ♡♡♡ んちゅっ♡♡♡ んむぅっ♡♡♡」

 

 じゅるじゅると涎が絡む音が響く。卑猥に、淫らに、表情を歪めて唇を重ね、お互いを貪り続ける。そんな私の胸元では、刻まれた淫紋令呪が煌々と輝く始めていた。

 ズクンと、体に震えが走る。その震えは恐ろしいものではなく、むしろ喜ばしいものだ。この体を作り上げる魔力の全てが、彼のためのものへと編み直されている様な感覚を感じる。胸の膨らみ、尻の柔らかさ、膣の深さ……それらが彼を受け止め、受け入れるための形になろうと変化を始めていることが私にはわかった。

 そして、それと同時にマスターにも変化が訪れる。肉棒が纏う魔力が更に濃くなり、肉棒自体の硬度も向上したのだ。突然の事態に私も彼も戸惑いを覚えるも、お互いに跳ね上がった快感を拒否することはない。先ほどまでと変わらないどころか、一層激しさを増して性交に耽るほどだ。

 

「アルトリアっ! なんか、ヤバいっ!! 俺っ、我慢が効かなくてっっ!!」

 

「私もです、マスターっ♡♡♡ 体が、敏感になってっ♡♡♡ マスターの聖槍も、一層立派にぃっ♡♡♡ ああぁぁっっ♡♡♡ まりょくっ♡♡♡ すごいぃっ♡♡♡ おちんぽが、すごいぃいいっっ♡♡♡ おかしくなって、しまいますっっ♡♡♡」

 

「あ、ああぁっっ! だめだっ! もっと、激しくしたい……っ! もっと、アルトリアを感じたいっ! 腰の動きが止められないっっ!!」

 

「か、かまいませんっ♡♡♡ もっと、くださいっっ♡♡♡ あなたをかんじさせてくださいっっ♡♡♡ わたひも、しょれを、のじょんで……っ♡♡♡ あなたを、あいすることをのぞんでいましゅからぁっっ♡♡♡ だから、もっとっ♡♡♡ もっときてぇぇっっ♡♡♡ もっときてっ♡♡♡ マスターっっ♡♡♡」

 

 呂律が回らない。敬語も使えない。ただ浅ましく快感と愛を求め、私は叫び声を上げた。そうすれば、マスターも欲望の楔を解き放って野獣の様に私を貪るべく腰を動かし始める。

 元々、限界が近い行為だった。射精の寸前まで来ていた行為が、そこで更に激しさを増しただけだ。びしょびしょになった性器は結合する肉棒の限界を感じ取り、自ら迎え入れる様にして口を大きく開く。彼もまた自分を受け入れる膣の動きに応じて腰を深くまで突き入れると、そこでぐっと踏ん張って亀頭を叩き込んだ。

 今までに聞いたことのないくらいの大きな音だった。それが彼が全力で腰を突き入れた時に響いた音だと気が付いたのは、私の意識が覚醒しきった瞬間だった。そして、その次の瞬間に……私の耳元で更に大きな音が響く。

 

「おっ! オオオオオオオオォッッ!!」

 

 咆哮、そう表現するに相応しいマスターの唸り。耳元で叫ばれ、その声によって意識を揺さぶられると同時に子宮に灼熱の精液がぶちまけられる。

 遠慮のない射精。雄の滾りを全て注ぎ込む様な絶頂に震える私は、最高潮の快感を味わい、そして彼の唸りを掻き消す程に大きな叫びを上げた。

 

「あっっ♡♡♡ くあぁあぁぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁああぁぁぁあぁっっ♡♡♡ ひぎっっ♡♡♡ んひぃいいぃいぃいいいぃいいぃいいいぃいいぃいいいっっ♡♡♡ ああああああああぁぁぁあああぁぁぁあああああぁぁあああああぁぁぁぁあああぁぁぁっっ♡♡♡」

 

 この射精は今までのものとは遥かに違う。勢い、熱さ、濃さ、そう言った部分ではない。形容するならばそう、概念の問題だ。

 彼の魔力が膣内に染み込み、精液に秘められたそれをより吸収しやすくする。その上で芳醇な魔力を含む精液をぶちまけられたなら、サーヴァントが悶絶することなど想像に難しくないだろう。それも、念入りに体を耕され、想像を絶する勢いの射精を受けるならば尚更だ。

 金剛石の様な硬さと熱した鋼鉄の様な熱さ、その二つを併せ持つ肉棒が魔力を帯びて雌穴を蹂躙するのだ。一度受け入れてしまえば最後、感じないという選択肢は無いに等しい。喘ぎ、乱れ、絶頂し続けた上で、トドメとばかりに精液を飲まされてしまった女は身悶えするしかなくなってしまう。この私がそうである様に、だ。

 しかし、その快楽の代償は確かに存在していた。本当に珍しいことに、射精を終えたマスターの肉棒がやや萎えているのだ。一晩に数十回の性交を行える彼にとって、これは本当に珍しい事態だ。だが、それほどまでにこの一回の射精に満足してくれたと考えるならば、決して悪い気はしないだろう。

 それに……私に限るなら、この程度の問題は有って無い様な物だ。その証拠に、性交の疲れに荒い呼吸を繰り返していたマスターが体を浮かび上がらせると、そのまま張りに張った私の乳房を掴んでその先端にむしゃぶりついたではないか。そして、当然の様にそこに溜まる母乳を吸い、失った体力と魔力を補充し始めた。

 

「あぁぁあっっ♡♡♡ おっぱいぃっ♡♡♡ ミルク、マスターが、のんでぇ……っ♡♡♡ ひもひ、いひぃ……♡♡♡ ますたぁ、わたしのミルクは、おいしいれすかぁ……♡♡♡」

 

「う、んっっ! 最高だよっ! 甘くって、ドロドロで、飲めば飲むほど力が湧き上がって来て……! 止められないっ! もっと、飲みたいんだっ!!」

 

「あ、はは……っ♡♡♡ どうぞ、ご遠慮なく飲み干してください……♡♡♡ 貴方の魔力で出来上がったエロミルク、好きなだけどうぞ……♡♡♡ あぁ……♡♡♡ マスターの聖槍ちんぽ、またガチガチになって来てる……♡♡♡ さっきよりも大きくて、硬い……♡♡♡ 私の母乳がそうさせてしまったんですよね? なら、しっかりと責任を取らないと……♡♡♡」

 

 母乳を飲み、体力と魔力を回復させたマスターの肉棒は、また一段と立派に勃起していた。その聖槍ちんぽの鞘として形作られた私の膣は、自らの役目を果たさんとばかりに蠢き、挿入されっぱなしのペニスに軽い刺激を与えて快感を生み出そうとしている。

 また、先ほどの激しい快感を味わえる。もっと彼と愛し合える……そんな幸福な予感を感じながら胸をときめかせる私は、未だに胸に顔をうずめて母乳を吸い続ける彼の頭を抱くと、母の様な慈愛に満ちた声で囁きかけた。

 

「マスター……♡ 今日はその聖槍ちんぽを扱いこなせるよう、一杯練習しましょうね……♡♡♡ 聖槍の使い手である私が何時までもお付き合いいたします♡ 疲れたらこうしておっぱいミルクを飲んで回復して……また、セックスしましょう♡♡♡ 何十回でも、何百回でも……私の体中、好きに使って射精して下さいね、マスター……♡♡♡」

 

 耳元でそう囁いた私の声に反応して、マスターの肉棒が震える。膣もアヌスも、今日は全身使い尽くされてしまうことを予感しながら、私はこの幸福な一時に笑みを浮かべ、彼を愛することの喜びに心をときめかせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やった。出来た、出来たぞ……! ようやく、完成だ……!」

 

 薄暗い部屋の中、血走った目をしながらソロモンは大きく何度も頷いた。視線の先にはここ数日の間、寝ずに研究していた魔術があり、その刻印が黒々と浮かび上がっている。

 この刻印の効果は一つ、『ソロモンの許可を得ない者が何をしても、刻印を刻まれた者は性的な快感を感じない』というものだ。淫紋令呪の命令で同じことをしても良いが、それをすると命令が複雑化してしまう。部下の男たちが女英霊たちを抱いた時、彼女たちが快感を感じないという可能性も出てしまうのだ。かと言って条件を緩くしては意味がない。だから、淫紋令呪の命令が破られることを危惧したソロモンは、独自の術式を作り上げることでこの問題を解決しようとしていた。

 

「これでもう問題無い。カルデアのマスターが何をしようとも、もう女英霊どもは何も感じないのだからな……!」

 

 この術式の出来は確かだ。もうどんな小細工を弄しても、これを刻まれた女英霊たちはソロモン一派以外の男に抱かれても何も感じないのだ。快感を感じなければ寝取られる心配も無い。これ以上の戦力をカルデアに与えなければ、いつかはその戦力差が自分たちに味方するはずだ。

 複雑な命令を演算し、こうして形にするまでに時間が掛かったが……これならばお釣りがくるほどの成果だ。後は、この術式を女英霊たち全員に刻めば、全てが解決――

 

『……無意味だぞ。一手、遅かったな』

 

 ――するはずだった。希望に満ち溢れた表情を浮かべていたソロモンは、突如響いた謎の声に対して背筋を強張らせる。

 あの声は何度も聞いたことがある。何なら今でも普通に毎日聞いていると言っても過言ではない。だが、ここまで自分を馬鹿にした、嘲笑う様な声を耳にするのは初めてだった。

 

『よくもまあ頑張って女英霊を手籠めにする魔術を作り上げたものだ。その時間を彼女たちの心を掴むことに使っていれば、また違う結果が……いや、変わらないか。お前が我々の心を掴めるはずもないからな、ソロモン』

 

「アルトリア・ペンドラゴン……!?」

 

 振り返れば、カルデアに奪還されたはずの彼女がそこに居た。自分が許可した者しか入れぬはずの部屋に、彼女は平然と立っていた。

 そして、ソロモンは気が付く。これと同じ様なことが前にもあったことに。あの時も確か、既に奪還されたはずのマシュが自分を馬鹿にしながら――

 

「ぐ、うっ!!」

 

 以前の記憶を思い出したソロモンは急いであの部屋に向かった。殺風景なあの部屋。淫紋令呪を覚醒させたマシュの絵だけが飾られているあの部屋へと急ぎ、扉を開ける。部屋の中を見回した彼は、前と同じ様に『006』と書かれたプレートの前に立つアルトリアの姿を見止め、その場に固まった。

 

『ああ、ソロモン。貴様が無駄な時間を使い、無意味な魔術を研究している間に、マスターと私は有益な時間を過ごさせてもらった。お互いを愛し合い、求め合う、蜜月の一日……お前の下では味わえなかった甘美な時間だった。私を道具として、性奴隷としてしか見なかったお前には到底無理な話だな』

 

「ぐ、ぐぐぐ……っ!」

 

 分かっている、これは幻覚だ。幻覚ではあるが、深くまでソロモンの心を抉る侮蔑の言葉を吐き、彼を責め立てて来る。その度に、ソロモンは狂おしい程の屈辱を感じ、汚泥を啜る程の苦痛を感じなければならない。そのことが、何よりも彼のプライドを傷つけていた。

 

『女の性感を封じ、自分たち以外の男が触れても何も感じなくする魔術? ……お前の考えそうな底の浅い策略だな。どうぞ、好きにすれば良い。自信満々に部下たちに説明し、堕ちた女英霊たちにもその効果を吹聴して刻み込んでやれ。彼女たちの賛美の言葉に一時的な幸福は得られるだろうさ。かつて、私がお前の下で尻を振っていた時の様にな』

 

 冷ややかに、アルトリアはソロモンにそう吐き捨てた。極寒の視線と声色で、何の興味も無さそうにしてソロモンを責める。いや、責めているのではないだろう。彼女はただ単に、事実を告げているに過ぎないのだ。

 

『作り上げた魔術の効果を過信し、もう大丈夫だと胡坐をかき、そうして安堵して……また、その思いを裏切られろ。送り込んだ女英霊たちがカルデアに奪われ、何でこうなったのだと叫び狂え。自分は完璧だと、悪いのはお前たちだと女英霊たちに当たり、また心を離れさせ、無意味な時を過ごせば良い。それがお前の限界だ。誰一人として貴様を心の底から愛している者がいないことが、それを証明しているだろう』

 

「き、さまは……! 貴様はっ……!」

 

『もう一度言おう、無意味だ。その魔術も、過ごした時も、貴様の行動も……全て無意味だ。好きに足掻け。好きに嬲れ。お前が必死になって作り上げたその刻印も、最早なんの意味もなさない。嘘だと思うなら使ってみればいい。マスターはこともなげにそれを打ち破り、女英霊を奪還するだろうさ』

 

 そう言い残すと、アルトリアは告げるべきことは告げたとばかりにその場で振り返り、ソロモンに背を向けた。歯軋りをし、しかして自分に手出ししないソロモンに対して振り向くこともせず、彼女は大きな白紙の絵の中へと歩んでいく。

 

『さらばだ、魔術王。貴様は確かに有能な魔術師なのかもしれないが、男としては無能だ。人の上に立つ者としてもな。その力以外に、お前を尊敬する部分は無い。人に敬われることも、愛されることも無いまま、マスターの成長に怯えていろ。いつか、我々が愛する彼が、お前を超える力を得る時が来たら……それが、お前の終わる時だ』

 

 最後にそんな宣告を残し、アルトリアは額縁の中に入り込んだ。そして、ソロモンの見守る中、彼女が入った白紙の額縁の中に絵が浮かび上がり始める。

 浮かび上がって来たのは、まるで女神の様な慈愛に満ちた笑みを浮かべるアルトリアの姿だった。全裸で、身を隠すものを何も身に着けてはいないが、不思議と卑猥さを感じることはない。むしろ、どこか神々しい清潔さを感じることが出来るのは、その絵が彼女を淫らな雌として描いていないことの証明であろう。文字通り、アルトリアは愛を送る女神として描かれているのだ。

 傷のない、美しい肌。透き通る様な透明感を持つそれには『美』という言葉がぴったりだ。膨らんだ胸も確かに女性の性的な魅力が詰まってはいるが、ソロモンの元に居る女英霊たちの様に不自然な大きさになっていたり、淫らに形が崩れているということはない。紅く輝く淫紋令呪の輝きが、女性的な美しさを引き出している様にも見える。

 ハート型の紋様の中に浮かび上がるのは槍と馬を模した紋章。それはアルトリアが今の主に対して変わらぬ忠誠と愛を誓った証。彼女が、カルデアのマスターのものとなった確かな証明。ここにまた一人、ソロモンの呪縛から解き放たれた女英霊が生まれたのだ。

 ソロモンが絵の近くに寄れば、幸福そうな笑い声が聞こえると共に甘い香りが鼻を衝いた。それがアルトリアの母乳の臭いであることなど、彼には想像もつくはずがない。ただただ……また自分を馬鹿にされたことを怒り、叫ぶことしか出来なかった。

 

「くそっ! くそっっ! くそぉぉぉっっ!!」

 

 杖を地面に叩きつけ、何度も何度も絵に拳を叩きつける。それでも、額縁が歪むことも絵が壊れることも無く、ただただそんな彼を嘲笑うかの様に笑い声が響くだけだ。

 自分の過ごした時間を、生み出した魔術を無意味だと嗤われたことに怒りを覚えるソロモン。拳を強く握り締め、一つの決心を固めた彼は、兎にも角にも作り上げた魔術刻印を雌奴隷たちに刻むべく、この部屋を後にしたのであった。

 

 

 

 




アルトリア・ペンドラゴン(ランサー) 最終再臨 完了
スキル 『神性(愛)』→『女神ロンゴミニアドの愛』 獲得



魔術刻印 『条件不感症』

ソロモンが数日を懸けて作り上げた魔術。これを刻まれた者は彼の許可を得た者以外に触れられても性的な快感を感じることが出来なくなる。
容易に命令が下せる淫紋令呪を用いなかったのは部下の男たちに許可を下したという部分を淫紋令呪が判定しにくかったため。逐一許可を出した、と報告するのも面倒であり、淫紋令呪の命令がカルデアのマスターに打ち破られる可能性を危惧したソロモンは、一定のパスを作り、それを持つ男(自分自身、及び部下の男たち)以外に効果を発揮するこの刻印を作り上げることでその問題を解決しようとした。

これならば、淫紋令呪の効力が弱まったとしても問題無く効果を発揮することが出来る。パスを入手出来ない以上、カルデアのマスターたちがこれ以上女英霊たちを奪還することは不可能だと思われたのだが……?


『女神ロンゴミニアドの愛』

今回、アルトリア(ランサー)が入手したスキル。人間でありながら神性を得るに至った彼女の可能性を手繰り寄せたスキルであり、前に入手した『神性(愛)』が強化されたもの。

その効果は単純明快、『女神として彼女の愛する者に加護を与える』というもの。この愛する者とは神目線の話しであり、決して男性一人だけとは限らない。カルデアのマスターを始めとした仲間たち全員に付与されるスキルである。
戦闘時効果として、アルトリアが戦場に立っている時に仲間たちの攻撃力及び防御力が1.5倍に上昇する(常時発動効果であり、制限時間は無い。また、効果対象も味方全員である)。更に、味方が危機に陥った時、アルトリアの全ステータスが一段階上昇する効果を有する(女神として、愛する者を守るための力を得る)。これらの効果は最も愛する者(カルデアのマスター)への愛情が強まれば強まる程強化される。

このスキルの第二の効果として、マスター自身が習得した『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』を成長させていくというものがある。
今回の強化において、彼の聖槍は『攻撃力上昇』と『無敵貫通』の効果を入手した。この効果の意味するところは、各自で想像して欲しい。
ただ一つだけ確実に言えることは、上記のソロモンの作り出した魔術刻印は、カルデアのマスターの前では何の意味もなさなくなってしまったということである。

なお、母乳の生成量、魔力量も上昇した。体力補給には最適な代物となっており、セックスの際には(アルトリアが気絶するまで)無限に体力を補充出来る無限ループが可能。(射精と共に魔力供給→魔力を得て母乳が生成→母乳を飲むことで体力及び魔力が復活、再度性行為に→最初に戻る)



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

淫紋刻印【アルトリア・ペンドラゴン『ランサーオルタ』 堕ち・凌辱注意】

「……首尾はどうだ?天草四郎時貞」

 

「滞りなく。全てが順調です、ソロモン様」

 

 城の廊下を歩みながら傍らの男性英霊に語り掛けたソロモンは、彼の返答にふんと鼻を鳴らして満足気に笑った。先日の一件で受けた屈辱は拭いされてはいないが、自分の策が上手くいっていることを確認出来ると幾分かは気が晴れる。

 そのまま歩み続けたソロモンは、廊下の突き当りにある巨大な扉の前で立ち止まった。そして、手をかざしてその扉を開くと、内部の光景を見てどす黒い笑みを顔に浮かべる。

 

 扉の先に広がっていた光景……それは、悪夢という言葉がぴったりの惨状であった。高く、高くに伸びる巨大な壁のあちらこちらに、女性英霊たちが拘束されているのだ。

 それも、ただの拘束ではない。彼女たちは、一人一人にスペースを与えられ、周囲の状況を視覚出来ない様に仕切を作られた状態で、特殊な空間魔術を使った壁に体を突っ込まれていた。領域にはそれぞれ二つの魔法陣が並べて描かれており、片方に上半身を突っ込むともう片方の魔法陣から突っ込んだ体の部位が出て来る。その体勢で体を拘束すれば、その人物の尻と顔が横並びになった無様な壁尻の完成だ。そして、その状態になった女英霊たちは、ソロモンの部下たちによって激しく犯され続けていた。

 

「あぎぃいいぃっっ! ぎいぃいぃぃっ!! 無理っ! むりぃいいいっっ! もう、やめてえぇっっ!」

 

「こわれるっ! こわれちゃううっっ! 霊基が、こわれりゅうぅうっ!!」

 

 拘束された女英霊たちは、狂った様に鳴き叫んでは男たちに慈悲を請っている。自分の顔の真横で男たちに犯される尻を眺め、徹底的に嬲られていることで精神的な疲弊も激しいのだろう。しかし、真に彼女たちを追い込んでいるのは、そんな生易しいものではなかった。

 

 淫紋刻印……ソロモンが先日作り出した新魔術をベースとし、更なる改造を施したこの魔術刻印は、第二の淫紋令呪と言っても過言ではないほどの力を秘めていた。刻印された者の戦闘力、性的感度、忠誠心を著しく高め、淫紋令呪の効果を更に引き出す様に調整された新たな魔術は、女英霊たちの尻と魂に深々と刻まれることとなり、今もその作業の真っ最中という訳だ。

 カルデアに奪還された時のことを考え、淫紋令呪の主が変わった時には刻印も消滅する様にしているのだが、今はそんなことはどうでも良いだろう。問題は、この刻印を受ける者には、途轍もない負担がかかるということだ。

 既に淫紋令呪という強力すぎる魔術をその身に宿す女英霊たちに、同じ様な強さと効果を持った魔術を施せば、彼女たちの霊基は凄まじい反応を見せる。勿論、悪い意味でだ。

 強力な二つの魔術による反発に耐えられなくなった霊基は容易く崩壊し、雲散霧消してしまう。この問題に対してソロモン達がどんな工夫を講じたかと言えば……()()()()()()

 

 ただのゴリ押し、その一言に尽きる策。召喚サークルを壁に描かれた魔法陣に固定し、霊基の消滅を確認した場合、即座にその英霊を再召喚する。無様な壁尻状態で何度も召喚される女英霊たちの霊基が淫紋令呪と淫紋刻印の魔力に慣れるまで何度もその責め苦を繰り返し、それまで何度も嬲り、犯し、そして彼女たちを屠るのだ。

 数日前から始まったこの狂気の宴は、ここまで休みなく続いている。この場で泣き叫ぶ女英霊たちが、何度死と再生を繰り返したかなど、考えたくもない。その回数こそが彼女たちが苦しんだ証であり、死という一瞬の休みを与えられた後、再び全快した体を嬲られる絶望を味合わなければならないのだから。

 この無慈悲な責めを免れた英霊はほんの一握りだけだった。次の作戦に必要な戦力、何か不具合があった場合に困ると判断された者のみが魔術刻印を受けることを避け、男たちの暴力を受けずにいる。それ以外の英霊たちは全て拷問を受けていた。便所サーヴァントたちのまとめ役であるマタ・ハリも、ソロモンに深い忠誠を誓っている清姫や頼光もその例外ではない。彼女たちもまた、ソロモンの部下に延々と嬲られ、魔術刻印を刻まれる苦しみに悲鳴を上げているのだ。

 

「それで、一体どれほどの雌奴隷たちが刻印を完了させた?」

 

「二、三割と言った所でしょうか? 完全なる定着を果たしたサーヴァントはおりませんが、マタ・ハリを始めとした能力が低いサーヴァントたちの霊基にはようやく馴染み始めて来ている様です。その脆弱さ故に霊基の消滅も早く、再召喚回数は数え切れぬほどになっているそうですが」

 

「ふん、無様な奴らだ。なら、ステータスが高い雌奴隷たちはどうなっている?」

 

「そちらは再召喚の回数こそそこまで多くはありませんが、持ち前の対魔力や魔術に抗う能力が高いせいで刻印があまり上手くいってはいないそうです。徐々に慣れ始めている様ではあるのですがね……」

 

 天草四郎の報告を受けたソロモンは、小さく舌打ちをしてから女英霊たちを拘束している壁に近づく。

 泣き、叫び、慈悲を請う彼女たちに忌々し気な視線を向け、ぎりりと歯を食いしばった彼は、先日味わった屈辱を胸に一人の英霊の姿を探し、彼女を見つけ出した。

 

 数人の男に囲まれ、息も絶え絶えになっているその女性。美しい銀色の髪は既に乱れ、尻も口回りも精液でべっとりと汚れていた。元々大きかった乳房は更に膨れ上がり、以前よりも遥かに巨大なものになっている。男たちはその乳房を引っ叩き、彼らの親指ほどもある乳首を強く抓り上げながら、彼女のことを詰っていた。

 

「おい、気合入れろよ! カルデアに寝返ったお前の乳からは美味そうなミルクがびゅーびゅー出てんだぞ? なんでてめえはそんなことも出来ねえんだ!?」

 

「ひっ、ぐひいぃ……っっ! お、おゆるしください……! もうしわけ、ありま……ああぁぁあぁっ!?」

 

「謝罪の言葉なんざ要らねえんだよ! 申し訳ないと思ってんのなら、とっととその爆乳からミルク出せる様にしやがれっ! この雌牛がっ!」

 

「ひぎぃいいぃいぃいっっ! ふひぃいいぃいいんっ!」

 

 男たちに詰られ、全身を嬲られるその女性の名は、『アルトリア・ペンドラゴン・オルタ』……反転し、冷酷かつ暴虐な王と化した彼女が、聖槍を手にして肉体を成長させた存在だ。しかし、嵐の王としての威厳は今の彼女には欠片も無く、他の英霊同様に男たちに犯されるひ弱な雌奴隷へと堕ち切っていた。

 

「お、おっ! おおおっ……! む、ねがぁ……しびれっ!! ちつも、こわれて……っ」

 

「なに気取った言い方してんだよっ!? デカ乳とまんこだろうがっ! 肉便器のくせして、格好付けてんじゃねえっ!!」

 

「ひぃいいっっ!! す、すびば、せ……ひぎぃいいぃいぃぃいっっ!!」

 

 今、アルトリアは、男たちから凄まじいまでの凌辱を受けていた。元々大きかった乳房は以前よりも二回りは大きく膨れ上がり、乳首もまた成人男性の親指と見紛う程にまで巨大化している。臀部も数倍も腫れ上がり、尻肉にはいくつもの手形が重なる様にして刻み込まれていた。

 戦うための存在ではなく、男たちに犯される存在へと肉体を変質させられてしまったアルトリア。しかし、ソロモンの部下たちはそこまで堕ちた彼女の姿にも満足せず、更に無様な存在へと彼女を貶めようとしている。

 上半身と下半身、並び立つアルトリアの肉体を躾けながら凌辱を続け、罵声を浴びせながら、男たちは彼女の肉体に魔術刻印を刻み込もうとしていた。

 

「こわっ、こわれてしまううぅっ!! かくが、ほうかいを、はじめ、てぇっ!」

 

「幾らでもぶっ壊れちまえよっ! 何度だって召喚して、そのエロい体を犯しまくってやるからよっ!!」

 

「おっっ! おぉおおおぉおおっ!! んごおぉおおぉおぉおおっっ!!」

 

 豚の様な鳴き声を上げ、涙と涎に塗れた醜い表情でアルトリアが呻く。美しく気高かった彼女の面影はとうに消え去った。今の彼女は快楽に堕ち、ソロモンに服従を誓った無様な肉便器……男たちの欲望を満たすためだけの、哀れな性奴隷だ。

 ジリジリと焼け付く様な痛みを尻に感じ、その痛みによって霊核にひびが入る程の衝撃を感じているアルトリアは、痛みに耐えかねて醜い叫び声を上げる。しかして、男たちは彼女に慈悲を与えることはなく、既に何度も繰り返している召喚と凌辱の輪廻がこれからも行われることを示唆する言葉を口にするだけだ。

 泣き、喚き、狂うアルトリアの姿に何とも言えぬ興奮と愉悦を感じるソロモンは、天草四郎をその場に待機させて彼女の元へと近寄った。そして、囲いを作る男たちを下がらせると、アルトリアの目の前に立って彼女を見下す台詞を口にする。

 

「ククク……! 無様なものだな、嵐の王よ。今のお前は、そうやって無様に泣き叫んでいる姿が良く似あっているぞ」

 

「あ、ぅ……ソロモン、さま……!」

 

「なんだ、この体は? 乳も尻も肥え太り、犯されるための体としか言い様がないではないか。馬ではなく男に跨り続け、槍よりも男根を掴み続けた結果、ただの雌に堕ちたか? んん?」

 

 つい先日、正の道を歩んだもう一人の彼女に嘲られたことに屈辱を感じたソロモンは、その怒りを目の前のオルタに向けてぶつける様にして彼女を詰り続けた。

 アルトリアの大きな尻を打ち、乳房を蹴り上げ、呻く彼女に向けて侮蔑の視線を送った後、ソロモンは自らの陰茎を取り出して、彼女の下半身の前に立つ。

 

「ほれ、魔術王の慈悲をくれてやろう……! 刻印が定着し易くなる様に工夫も凝らしてやる、偉大なるソロモン王に感謝し、忠誠を胸に深く刻めっ!!」

 

「あぎぃいぃいいぃいいぃいいっっ!! いっ、ぎぃいぃいいぃいっっ!!」

 

 両手に魔力を溜め、アルトリアの尻肉の形が変わってしまう程の握力を込めてそこを掴んだソロモンは、そのまま一息に彼女の膣を穿ち、強化した肉棒で子宮を打つ。淫紋令呪の効果によって昂っているアルトリアの体は、その暴力的な快感を前にしてあっという間に絶頂を迎えてしまった。

 達した彼女のことなど気にせず、ソロモンはトップスピードで腰を振り始める。深く、深く、奥まで快感を抉り込む様に腰を叩きつけながら、アルトリアの霊基に魔力と命令式を送り込み、魔術刻印が定着しやすい様にその体を変質させていった。

 

「おぐっ! おごぉおおっ!! ぎ、ぎぎぎぎぎいぃぃっ!!」

 

「おうおう、良い反応ではないか……! そうしてイキ狂い、対魔力をすり減らせ。お前の肉体を好きにするなど、このソロモンにかかればいとも容易いことなのだからな」

 

「へごっ! おごぉぉっ!? あ、が、が、がぁぁ……!?」

 

 尻から流れ込むソロモンの魔力が、アルトリアの肉体を侵食していく。注ぎ込まれた魔力はアルトリアの肉体全てに行き渡り、その精神にまで影響を及ぼし始めた。

 既にソロモンたちに都合の良い人格が張り付けられているアルトリアの意識が、更なる汚泥に塗り潰される。元の人格など、アルトリア・ペンドラゴン・オルタという英霊の存在など、元から無かったかの様に彼女を作り変えながら、ソロモンは彼女に話しかけた。

 

「答えろ、嵐の王よ……貴様の存在意義はなんだ?」

 

「お、オォ……! わ、私は、アルトリア・ペンドラゴン・オルタ……! ソロモン様と、その部下の殿方に股を開き、性処理をするための肉便器、です……!!」

 

「その通りだ。正史、外史問わず、アルトリア・ペンドラゴンと名の付いた英霊は全てその使命のために我らに全てを捧げる……そうだな?」

 

「は、い……! 私たちの全ては、ソロモン様のために……!!」

 

 この狂った価値観を決して忘れ得ぬように、絶対のものとすべくために、ソロモンは腰を激しくグラインドさせてアルトリアの膣を穿った。子宮と膣に命令と意識を刻み込むかの様なストロークはアルトリアの精神を削り、命令術式への抵抗をみるみるうちに弱めてしまう。

 徐々に、徐々に……アルトリア・ペンドラゴン・オルタの全ては、ソロモンの望むものへと変化しようとしていた。その変化に追い打ちをかけるべく、ソロモンは彼女に向けて罵声を浴びせ掛ける。

 

「そうだ、貴様らはソロモン王のための肉便器、雌奴隷、そして都合の良い駒だ。だと言うのにも関わらず、正の歴史を辿った貴様は愚かにもカルデアのマスターなどという取るに足らない男の元に走り、このソロモン王を裏切った! その罪、万死に値する!」

 

「そ、その、通りで、ございま、す……! 同じアルトリア・ペンドラゴンとして、ランサーの彼女として、肉便器として……謹んで、お詫び申し上げます……!」

 

「ふん、肉便器の詫びなどには欠片の価値もないわ。それよりも面白くないのは、裏切り者であるアルトリア・ペンドラゴンが、貴様らよりも肉体が成熟しているということよ。偉大なるソロモン王の寵愛を受けて進化している貴様たちよりも、凡庸以下の魔術師であるあの男の元に降った女の方が成長しているとは、どういうことだ?」

 

「も、もうしわけありま……がひぃいいぃいいいっっ!!」

 

 カチカチと歯を鳴らし、怯えながらソロモンに向けて謝罪の言葉を口にしようとしていたオルタは、彼から強烈なピストンを食らって白目を剥いた。バチバチと脳内で弾ける火花に意識を持って行かれる彼女の耳は、愚劣な主からの非道な命令を耳にしている。

 

「馬鹿が、雌奴隷の謝罪など価値はないと言ったばかりだろうに。我が求めるのは結果、貴様らが獅子王にも負けぬ雌になったと言う結果のみ。アルトリア・ペンドラゴン・オルタよ、その身を以って、ソロモン王の心を満たしてみせろ!」

 

「がぁあぁあぁあぁあぁっっ!? がっぎいぃいぃいいいぃいいっっ!?」

 

 ソロモンは部下に命じて、アルトリアの巨大な乳房をそれぞれ揉ませ始めた。乳首に対する刺激を主とした愛撫に不意を打たれ、なおも続くソロモンの激しいピストンに狂い、アルトリアは獣の様に叫ぶ。

 

「オメーも獅子王みたいにミルクを出せる様になれよ! じゃなきゃ、ソロモン様の方があのクソ男よりも下みたいじゃねえか!」

 

「悪いのはてめえらだろうが! 毎日の様にセックスしてもらいながら満足しねえ、貪欲な淫乱女であるお前たちのせいだろうがよ!」

 

「おごごごごっっ! んごぎぃいいぃいっ!! あがっ! がぁっ! ががが、ぎぃぃぃいっ!!」

 

「オラッ! とっとと魔術刻印を受け入れねえか! 向こうのアルトリアにも負けない強さとエロさを得て、カルデアの奴らをぶっ潰すためにはそれが必要なんだよっ!!」

 

「ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 精神を崩壊させながら男たちの罵声を耳にするアルトリアは、意識に刻まれる彼らへの絶対的な服従から来る感情によってその命令を実行しようとしていた。耳だけではなく、彼女を犯すソロモンもまた同様の命令を魔力と共に直接アルトリアの霊基へと流し込んでおり、体の内外問わずに響く絶望的な命令に、アルトリアは屈しようとしていたのだ。

 ミシリ、メキリと……アルトリアの心が歪み、そして折れた。まだ僅かに残っていた『アルトリア・ペンドラゴン・オルタ』としての残滓は、この瞬間に掻き消されてしまった。

 それと同時に彼女の卑猥に腫れ上がった臀部には、下腹部に刻まれている淫紋令呪と同じ模様の刻印が浮かび上がる。火花を散らし、精神と肉体を完全に変質させたアルトリアは、それらの現象が全て収まった後で、快楽による叫び声を上げた。

 

「おおぉおぉおおぉおおぉおおぉおおぉおおっっ♡♡♡ んごぉおおぉおおぉおおぉおおぉっっ♡♡♡」

 

「おっ! おおっ!?」

 

 今までとは違う、艶の乗った喘ぎ声。雌奴隷に堕ちた際よりも無様で卑猥なその声を耳にした男たちの目の前では、彼らの親指ほどはあるアルトリアの乳首から、勢い良く母乳が噴き出される光景が繰り広げられていた。

 びちゃびちゃと床を汚し、濁った臭いを周囲に撒き散らすアルトリア。男たちはこぞって彼女の乳房を掴み、その先端を口に咥えて、ミルクの味を堪能する。

 

「ん~……! これがサーヴァントのミルクの味か! まあ、悪くはねえんじゃねえの?」

 

「ケケケッ! 体に力が戻って来たぜ……! これでお前をもっと犯せるなあ!」

 

「お、オォ……♡ 私は肉便器♡ 雌奴隷♡ ちんぽに仕える無様な存在♡ ちんぽ♡ ちんぽ♡ ちんぽぉぉおぉっ♡♡♡」

 

「……なんだ、こいつ? 余りの快楽にぶっ壊れちまったのか? 面倒な奴だな」

 

「案ずるな、今の所は肉体があれば性交には問題はあるまい。魔術刻印の完全なる定着を確認した後に、催眠によって最適な性格を植え付けてやればそれで良い」

 

 精神崩壊を迎えたアルトリアに萎えた視線を送る男たちに向け、ソロモンはそう言いながら彼女の尻を強く張った。散々手間取らせてくれた礼と正の彼女に馬鹿にされた怒りを叩きつけるかの様なスパンキングを受け、アルトリアは盛大に潮と母乳を噴き出しながら絶頂に達する。

 

「おおっほおおんっっ♡♡♡ キモチイイっ♡♡♡ んぎもじいいひいいぃぃんっっ♡♡♡ おうっ♡♡♡ おんっ♡♡♡ おほほほおおんっっ♡♡♡」

 

「あははははっ! おもしれえっ! この性格じゃあ戦いには役立たなさそうだが、セックスの時は楽しめそうだな!」

 

「始めの頃はすまし顔で凛としてたのにな! 今じゃあ完璧に雌堕ちしたただの便器だろ!?」

 

「おおんっ♡♡♡ そうでふぅっ♡♡♡ アルトリア・ペンドラゴンは便器ですぅっ♡♡♡ セイバーもランサーもリリィもオルタも関係なく、私たちはソロモン様とおちんぽ様に服従する肉便器なんですっっ♡♡♡ 便器が男のふりしていてすいませんでしたっ♡♡♡ こんなエロい体しておいて、男の人たちの肉便器にならなくて申し訳ありませんでしたぁっっ♡♡♡」

 

 無様で、淫らで、見ているだけで彼女がどれだけ惨めな存在かを感じさせる表情を浮かべ、アルトリアは男たちに媚びる。意識の変化による自身の存在意義の定着は淫紋令呪を介して世界の歴史にも影響を及ぼし、カルデアに居る彼女以外のアルトリア・ペンドラゴンたちにも更なる淫らな変質を迎えさせることとなることを、彼女は知らない。知る由もない。ただただ、自分を肉便器と称して、男たちに快楽を強請るばかりだ。

 

「おちんぽっ♡♡♡ ちんぽくださいっ♡♡♡ この雌奴隷におちんぽの恵みをっ♡♡♡ 皆様の聖槍を握らせてくださいませっ♡♡♡ おまんこでも、けつまんこでも構いませんっ♡♡♡ 口も乳も、私の全ては皆様の玩具ですっ♡♡♡ ちんぽに奉仕させて下さいっ♡♡♡ 雌奴隷アルトリア・ペンドラゴン・肉便器オルタにっ♡♡♡ 皆様のおちんぽをくださいぃぃっ♡♡♡」

 

 黒々と輝く淫紋令呪と魔術刻印をその身に刻んだアルトリア・オルタは、そう叫んがことを最後に男たちの輪の中に消えた。これから先、終わらぬ凌辱が彼女の身を襲うのだろう。そして、それら全ての行為によって、彼女は一層無様な存在へと堕ちてしまうのだろう。

 そんな未来を予期させるアルトリアの叫びにニヤリと笑みを浮かべたソロモンは、衣服を正した後で自分を待つ天草四郎の元に戻る。そして、何事もなかったかのように彼と次の作戦についての話し合いを再開した。

 

「それで? 勝算はあるのだろうな? そのために貴様の選抜した雌奴隷たちには魔術刻印を行わず、男のサーヴァントたちも一部解放したのだぞ?」

 

「勿論ございます。天下に名高い8人の英霊の力を振るい、戦いに挑めば……カルデアのサーヴァントたちなど、敵ではございません」

 

 そう、ソロモンへと自信満々に言い放った天草四郎が指を鳴らせば、彼の背後から数名の英霊たちが姿を現した。

 その数は総勢七名。全員が恭しく膝を付き、ソロモンと天草四郎に対して敬服の意を示している。

 不死の竜殺し。施しの英雄。魔獣の皮を纏いし狩人。世界の悲喜劇を記した文豪。シャルルマーニュ十二英雄の騎兵。霧の町を震え上がらせたシリアルキラー。狂気によって生み出された人造生命体。

 それら七人の英霊を従え、ソロモンへと視線を向ける天草四郎は、淡々とした口調のまま、こう述べた。

 

「魔術王の力によって強化されたこれら稀代の英霊を率いるのは、歴史上類を見ぬ英傑であり、聡明なる長であるソロモン王、貴方です。手駒も、頭脳も、カルデアの者共では敵わないでしょう。こちらの勝利は、ほぼ確定的かと」

 

「そうか、そうだな……! 見ていろ、カルデアのマスター。今度こそ貴様らを叩き潰し、これまでの雪辱を晴らしてくれようぞ!」

 

 女英霊たちの叫びが木霊する部屋の中で、ソロモンが大きな高笑いを上げる。勝利を確信し、憎き敵を叩き潰す瞬間を妄想する彼の笑い声は、段々と大きさを増していった。

 そして、そんなソロモンのことを天草四郎含む八人の英霊はただじっと見つめ、出陣の時を待ち続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 これは、平等なる戦いだ。

 願いを叶える権利も、許された戦力も、得られる情報も、全てが等しく平等だ。双方に差があるとすれば、それは用兵のみ。戦いの優劣を決めるのは、これまでに積み上げて来た物とこれからに懸ける想い、そしてこの瞬間に何を選ぶかという選択のみだ。

 

 かつての戦場にて、選ばれし戦士たちは待つ。戦いの時を、ただ待ち続ける。

 あの日、相まみえた英霊たちが再び集う瞬間が、刻一刻と近づいていた。

 

 

 




ソロモン側の女英霊たち 魔術刻印『淫紋刻印』刻印完了


カルデアに押され始めたソロモンが危機感を覚え、新たに作り出した魔術。淫紋令呪と同じ効果を持つ魔術を霊基に刻む魔術刻印として変化させたもの。
その効果は絶大であり、刻まれた者は淫紋令呪を二重に刻まれたことと同じだけの強化を受ける。能力の向上も飛躍的に高まっており、以前とは格別の力を入手した。
だが、強大な魔力を誇る刻印には、被験者の霊基と精神に多大なる負担を与えることも確認されている。雌奴隷と堕ちたソロモン側のサーヴァントたちはその負荷に耐え切れず、肉体を何度も崩壊させ、ついには精神までもが崩壊してしまった者も多数確認された。
それらの英霊たちの意識を再構築し、ソロモン達は自分たちに都合の良い精神構造を彼女たちに強いる。女英霊たちは、より深い快楽と絶望の闇に囚われることとなるのであった。


母乳生成(汚泥)

今回、アルトリア・ペンドラゴン・オルタ(ランサー)が習得したスキル。一見、ナイチンゲールやアルトリア・ペンドラゴン(ランサー)が習得したスキルと同じ様に見えるが、実際は大きく違う。

通常の『母乳生成』は、彼女たちの霊基から余った魔力に生命力を付与し、それを乳房から母乳として噴射する効果を持つ。つまりはどれだけミルクを噴き出してもそれは彼女たちの余剰魔力であり、肉体的にはまるで影響はない。
だが、アルトリア・ペンドラゴン・オルタ(ランサー)が習得したスキルは、自身の霊基を削ってでも母乳を生成するという効果を有したものとなってしまった。これはおそらく、魔術刻印の際に意識に刻み込まれた命令が自分の生命活動よりも男性への奉仕を優先させたためであろう。

本来は彼女の肉となり、血となるはずの魔力が母乳に変化しているため、その味は実に不味い。他の『母乳生成』スキル習得者のそれと比べれば、正に雲泥の差である。
また、重ねて言うがこの母乳はアルトリアの魔力を無理に削って作り出された物であるため、射乳すればするほど彼女は力を無くしてしまう。母乳自体に含まれている魔力や活力、栄養素も乏しいため、母乳を作り出せばだすほどに損をするスキルとなっている。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

膨張と放出(モードレッド)

新年、あけましておめでとうございます。お久しぶりです。

今年もよろしくお願い致します。


 

 最近、調子がおかしいとモードレッドが気が付いたのは、つい数日前のことだった。

 微妙に感じる違和感とズレ。そう言った不具合を感じながらも、まあ気にすることでもないと放置していた。まさかサーヴァントが病に犯されるなんてことはないだろうし、少しすれば異変も収まるだろうと考えてのことだ。

 しかし、その違和感は日に日に大きくなった。そして、その結果が彼女の現状である。

 

 機械仕掛けの人形の歯車が噛み合っていないような、そんな感覚。動くこと、歩くこと、静止すること、何の行動を取ったとしても、不思議な違和感に体がふらついてしまう。

 自分の体が自分のものでは無い、徐々に鈍くなる自らの体に恐怖を感じながらも、モードレッドはそれを誰かに相談することは出来なかった。こういった事柄に詳しいダヴィンチや体調管理を主にしているナイチンゲール、そして敬愛するマスターにもこの異変を告げることが出来なかった。

 それは、明確な恐怖心からの行動だ。不調を黙っていたことを怒られるだとか、ナイチンゲールの脅迫じみた看病に対する恐怖もある。だが、それ以上に彼女が恐れているのは、ついに見捨てられてしまうかもしれないということであった。

 

 元々、モードレッドの霊基はソロモンの下に居た頃に受けた非道な扱いによって、戦闘能力を著しく落としてしまっていた。今では多少なりともまともな戦闘が出来る様にはなったが、それでもまだまだ本調子には遠いと彼女は思っている。

 ここまで自分を育ててくれたマスター、そしてカルデアの仲間たちが、モードレッドが再び弱っていると知ったらどう思うだろうか? もちろん、彼らは薄情な人間ではない。彼女の身を案じ、原因の究明と対策を考えてくれるだろう。

 だが……頭ではそれをわかっていても、これまでの経験がモードレッドの脳裏をかすめた。裏切り、裏切られ、利用され、ぼろぼろになるまでこき使われた後、利用価値は無いと切り捨てられかけた時の恐怖が、彼女を躊躇わせたのだ。

 

 ここまで時間をかけた。手間もかけた。ようやく復調の兆しも見えて来た。そのタイミングで、再びその努力がすべて無に帰してしまったとしたら? それでも、仲間たちは自分に今までと同じ様に接してくれるだろうか? また0からの積み重ねに付き合ってくれるだろうか? 

 万が一にも、自分に利用価値は無いと見捨て、居ない様な者として扱うことはないだろうか? モードレッドが恐れているのは、そこだった。

 

 あの薄暗い洞窟の中で頼光に刀を突き付けられた時の絶望が蘇る。未来もなく、今までの自分に対する価値すら認められず、ゴミとして扱われることへの恐怖が身を包む。

 誰にも必要とされることなく、このままカルデアの中で腐るだけの人生……それを思う度、モードレッドの全身に震えが走る。生前に求め続けた認められることへの欲望と相反したその苦しみを死んで英霊となってからも味合わなければならなくなるなど、悪夢と言う他ない。

 

 自身の異変を告げなければ取り返しのつかない事態になるかもしれない。だが、それを告げた時に仲間たちが自分を見捨てないとも限らない。その二つの事実に板挟みされ、苦しむモードレッド。

 肉体と精神の不調は相まって、徐々に彼女の体を蝕み始め……ついには、まともに剣を握ることすら出来なくなってしまった。

 

 事ここに至り、モードレッドは自分自身に絶望した。今度こそお終いだと、彼女はベッドの上で膝を抱えて蹲っていた。

 チャンスはあった。異変も感じていた。それでも、それを誰かに告げることが出来なかった。恐怖に怯え、それを乗り越えられなかった結果、自分は再び何の役にも立たない存在と化してしまった。ここまで目を懸けてもらって、力を取り戻しつつあったこの状況でだ。

 きっとマスターも怒り、呆れるだろう。そして、自分のことなどもう見向きもしなくなるのだ。自らの失敗を隠し、取り返しのつかない事態を引き起こしたのだからそれが当然のことだ。自分の部下がそんなことをしたら、モードレッドだって即刻首を刎ねようとする。それが当たり前なのだ。

 

 軋み、曇る心を抱えるかの様に膝を抱えるモードレッド。彼女が柄にもなく、これからどうしようかと悲観的な考えを巡らせていた時だった。

 するりと、ロックしていたはずの部屋のドアが開いた。驚いた彼女が視線をそちらに剥ければ、そこには今、二番目に会いたくないであろう相手……マスターの姿があった。

 

「夜遅くにごめん。ちょっと話があるんだけど、良いかな?」

 

「……入れよ」

 

 軽く話をするように見せかけるマスター。しかし、彼の様子を見ていたモードレッドは、即座に彼が本当は自分の違和感に気が付いていることを察し、そのことについて話に来たのであろうという所まで気がついてしまった。

 であるならば……もう、覚悟を決めるしかないのだろう。渋々とした様子で、されど内心は大いに怯えながら、モードレッドはマスターを部屋の中に招き入れた。

 

「本当にごめんね。でも、出来る限り早めに解決しておきたい問題だったからさ」

 

「……ああ、わかってる。俺の体調の話だろ?」

 

「そっか、モードレッドにも自覚はあったんだ。うん、今日はそのことについて話に来たんだ」

 

 明るい口調で話し続けるマスターに対して、モードレッドの表情はみるみるうちに暗くなっていく。俯いているので彼からはその様子は伺い知れないだろうが、小刻みに震える体から何かを感じ取っているかもしれない。この明るい口調は、暗くなりがちな場の雰囲気を沈めないための彼の空元気とも取れる。

 詰られるだろう。責められるだろう。どうしてもっと早くに報告しなかったのかと怒られ、そして……今度こそ、見捨てられるのだ。

 でも、それも仕方がない。自分以外の誰も悪くはないのだから。ただ怯え、逃げ、見て見ぬふりをしてきたツケが回ってきただけ……その結果を受け止めることが、自分に出来る最後の奉公だとモードレッドは考えていた。

 そんな風に覚悟を決め、マスターの宣告を潔く受け入れようとしていたモードレッドであったが……だからこそ、この後彼が発する言葉に大いに驚くこととなる。

 

「じゃあ、早速その問題を解決しようか。さっきも言った通り、出来る限り早めに解決しておきたい問題だからさ」

 

「……へ?」

 

 本当に何てことでもないような口調で、マスターはモードレッドにそう告げた。彼女が顔を上げれば、そこには余裕すら感じさせる笑みを浮かべて自分を見つめている彼の姿がある。

 マスターは言った、この問題を解決すると。当のモードレッドですらも原因や治療法もわかっていないこの問題を、風邪でも治す様な気軽さで解決すると言ってのけた。既に彼は自分に失望し、切り捨てを宣告しに来たのだと思っていたモードレッドにとっては、その反応はあまりにも予想外のことで、暫し口を半開きにしたまま、固まってしまう。

 

「……とりあえず、俺を信じてよ。大丈夫、悪い様にはしないからさ」

 

「あ、ああ……わ、わかった……」

 

 そんな自分に微笑みかけながら、ほんの少しだけ真摯な声色で語り掛ける彼の言葉にモードレッドは頷きを返す。こんな話をしている以上、マスターには考えがあるのだろう。それも、自信たっぷりな策がある、ということだ。

 この異変を解決し、もう一度剣を手に取ることが出来る様になるのなら、それに乗るのも悪くはない。そもそも、彼がこう言ってくれている以上、断る理由などモードレッドには見つからなかった。

 承諾の意を示し、彼に従うことを決めたモードレッドは、心の中の怯えに僅かに身を震わせる。しかし、彼がこの部屋を訪れる前に感じていたその恐怖は、今では随分と小さくなっている様に感じられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さあ、目を閉じて。それで気を楽にするんだ」

 

「ん……」

 

 ベッドの上に仰向けに寝転んだモードレッドは、マスターの言葉に従って瞳を閉じる。瞼の裏に広がる暗闇を見つめながら、これから彼が何を行おうとしているのかを理解出来ないままにただ深く息を吸っては吐き続けた。

 ベッドに横になれと言われた時は、てっきりいつも通りにセックスをするのかと思ったのだが……マスターはモードレッドの服を剥ぎ取ることも、彼女と共にベッドに乗ることもしない。寝台の横に座り、囁く様にして助言を口にするだけだ。

 一体、これからどうするのだろうか? どこかむず痒い感情に胸を衝かれつつも、モードレッドはその思いを押し留めて気を静める。そして、すぐ近くから聞こえるマスターの声へと耳を傾けた。

 

「……モードレッド、今から俺の言う状況をイメージして。出来る限り鮮明に、頭の中で想像するんだ」

 

 まるで催眠術にでもかかっているかのように、その声はモードレッドの心の中に染み込んでいった。軽く息を吐き、ゆっくりと首を縦に振ることで了解の意を示した彼女に対し、マスターは静かな声で囁く。

 

「……今から、俺たちは戦いを始める。敵の数は多く、強大だ。魔術王ソロモンの軍勢が、俺たちに襲い掛かろうとしている」

 

 言われた通り、モードレッドはマスターの口にしている状況を頭の中で空想し、その場面を出来る限り克明に思い浮かべた。

 何処とも言えない広大な荒野の果てに、ソロモンが率いる軍勢が見える。彼が従えるのはモードレッドが産み落としたこともある魔獣、物言わぬ人造人間(ホムンクルス)、そして、淫紋令呪の呪縛に囚われているサーヴァントたち……その中には、かつての主であり、自分が引導を渡した相手でもある『アルトリア・ペンドラゴン』の姿もあった。

 

 荒野の一角を埋め尽くすほどのソロモンの軍団。今から自分たちはこれを相手にする。マスターの言う通り、敵は強大だ。自分と肩を並べる実力を持つ円卓の騎士や、その王である父がいるのだからそれも当然だろう。

 きっと苦しい戦いになる……イメージの中でも堂々とした迫力を持つ騎士王の姿に息を飲むモードレッド。その耳にマスターの声が響く。

 

「……敵は強い。数も多い。だけど……なんの心配も要らない。だって、俺にはモードレッドがいるから。最強の騎士が傍にいてくれるから、何も不安はない。君が、負ける筈がないんだから」

 

「……っ!?」

 

 ぴりりと、心の中に痛みの様な痺れが走った。今の弱い自分を信じてくれるマスターの言葉に応えられない自分自身に情けなさを感じ、モードレッドは歯を食いしばる。

 だが、何度もその言葉を噛み締めている内に、マスターの言葉には慰めやお世辞の様な感情が一切込められていないことがひしひしと伝わって来た。彼は、今の弱い自分のことを心の底から信じてくれている。そのことを理解したモードレッドの心は、確かな感動に打ち震え始めた。

 

「……信じて、モードレッド。君は強い。騎士王を超える騎士になる君が、本来の強さを失ったアルトリアに負けるはずがない。勿論、他の英霊たちにもね。思い出すんだ、モードレッドは強い。モードレッドは、最強の騎士なんだ」

 

 何度も、何度も……マスターは、モードレッドに言い聞かせる様にして言葉を繰り返した。最初の時と同じ様に、その言葉はモードレッドの心に深く染み込んでいく。

 自分は、強い。他の誰よりも強い。円卓の騎士も、父も、自分には敵わない。あの魔術王でさえ、自分の力の前にひれ伏す。強く、強く、モードレッドはその状況を頭の中に思い浮かべ、最強の自分をイメージし続けた。

 

(オレは、負けない……。オレは、最強……。オレは、父上を超える王になる英雄だ……!)

 

「……さあ、戦いが始まるよ。準備は良い? 魔剣(クラレント)を手にして、魔力を込めて……迫る敵に、モードレッドの力を見せつけるんだ!」

 

 頭の中のイメージと、マスターの言葉ががっちりと噛み合う。根拠のない想いが、彼の言葉によって確かな自身へと変化する。自分の力を信じてくれる人がいる。心の底から、信頼を置いてくれる人間がいる。その事実が、モードレッドに見えない力を与えてくれていた。

 そして、それと同時に頭の中の空想も最強のイメージとなる。モードレッドが迫る有象無象に向けて魔力を込めた剣を振るえば、そこから放たれた赤雷が悉く敵を飲み込み、灰と化したのだ。

 魔獣など、人造人間など、物言わぬ人形と化した英霊など、何も怖くはない。あの見捨てられる恐怖に比べれば、なんの恐れも感じない。そして、自分はその恐怖を乗り越えた。そのために力を貸してくれた人間が傍にいる。もう何も怖くない。自分は、反逆の騎士は……最強だ。

 

「う、あ……! なんだ、これ……!?」

 

 自らの強さを再確し、弱さを振り払ったモードレッドは、今まで噛み合わなかった自分の中の歯車ががっちりと組み合ったことを感じていた。全てが噛み合い、動き出したことを感じ取ったモードレッドは、次の瞬間に湧き上がる力を感じて瞳を開き、自分の手を見つめる。

 体の中で膨れ上がる魔力は、今までの比ではない。それは、かつてのモードレッドの実力を凌駕するほどの力を彼女に与え、その強さを確固たるものへと進化させている。試しに魔剣を召喚し、それを手にしてみれば、今まで持つことで精一杯だったそれが驚くほどに軽く感じられるではないか。

 

「あ、あ……っ! マスター! オレ、オレっ!!」

 

「ああ、わかってる。ちゃんと見てるよ、モードレッド」

 

 以前の力、それを超えるだけの能力を取り戻したことを喜ぶモードレッドをマスターは優しく見つめていた。そんな彼の姿に自分を包み込む様な包容力を感じながら、モードレッドはある疑問を彼へとぶつける。

 

「なあ、これってどういうことなんだ? なんで、急にオレは強くなったんだよ?」

 

「簡単なことだよ。そもそも、モードレッドの不調の原因は強くなったことだったんだからね」

 

「???」

 

 返答として口にしたマスターの言葉にモードレッドは首を傾げる。自分が強くなったから弱くなったとは、一体どういうことなのだろうか?

 いまいち要領を得ていないと言った様子のモードレッドに対し、話を飛躍させ過ぎてしまったとばかりに苦笑を浮かべたマスターは、最初から順を追って彼女へとこの異変の原因を語り始めた。

 

「あのね、モードレッドの霊基は、かつての強さを失ってふにゃふにゃの状態になってる訳でしょ? それを解決する方法として、日々の鍛錬や魔力供給、淫紋令呪の強化って言う手段を取ってたんだけど……そのスピードが余りにも早すぎたんだよ」

 

「強くなるスピードが早すぎた? んで、オレが弱くなったってのか?」

 

「えっと、モードレッドは霊基……体の方はまだ進化途中なんだ。でも、そこに注ぎ込まれる魔力は膨大な量を誇ってて、しかもモードレッドの霊基はそれを溜められるだけの力を有してたことが問題だったんだ。体中に満ち溢れる魔力をどう扱えば良いか? モードレッドの霊基はそれがわかってなかったってこと」

 

「あー、ちょっと理解出来た。つまりあれだ、俺が車だとしたら、ぽんこつだけど大容量のガソリンタンク満杯にニトロでもぶっ込まれたってことだろ? んで、本当だったら速く走れるのに俺の体がぽんこつのままだから、逆にスピードが遅くなっちまったってことだ!」

 

「うん、考え方としては合ってるね。それで、その問題を解決するための力はもう既にモードレッドの中にあった。強化と共に新しいスキルを習得してたから、それを発動させたんだよ。今のモードレッドの霊基は、戦闘に特化したものに変化してる。豊潤で膨大な魔力もそのために使う様になってるから、単純にその分だけ今までより強くなれたってわけ」

 

「なるほどなー! ようやくわかったぜ! ……にしても、へへっ! 強くなり過ぎて弱くなるなんて、まるで想像出来なかったな。一時はどうなると思ったけど、マスターのお陰で無事に解決したぜ!」

 

 タネを知ってしまえば本当になんてことのない問題だ。自分は着実に力を付け、そのスピードが早すぎたせいでこうなっていた。まさかの事態ではあったものの、その問題も無事に解決し、有した力を存分に扱うことが出来る様にもなった。結果としては万々歳だ。

 数分前の憂鬱も忘れ、モードレッドは笑みを浮かべてマスターへと素直に感謝の言葉を口にする。それに対して、マスターは照れ臭そうに頬を搔いた後、これまた照れ臭そうにして話し始めた。

 

「あはは、こんな風に偉そうに解説してるけど、この仕組みを教えてくれたのはダヴィンチちゃんなんだよね。ここ最近、モードレッドの様子がおかしいって相談したら、一生懸命に原因を調べてくれてさ。お陰で助かっちゃったよ」

 

「そうなのか? なら、あいつにも礼を言っとかないと――」

 

「あー……なら、明日はカルデアの皆にお礼を言って回らないとね。皆、モードレッドのために動いてくれたんだよ」

 

「え……!?」

 

 マスターの言葉に驚くモードレッドは、カルデアの皆が自分のために動いてくれていたということを知って、唖然とした。そんな彼女に対し、誰がどんな風に彼女の再起に関わっているかをマスターは解説し始める。

 

「メインの研究はダヴィンチちゃんだけど、そのフォローにはドクターをはじめとした多くの職員が関わってる。そもそも、人手がカツカツのカルデアでダヴィンチちゃんに研究時間を作れる様にシフトを調整して、皆で協力してくれたからこそ、迅速な原因究明が出来たんだよ」

 

「ん、そっか……あいつら、只の人間の癖して無茶しやがって……!」

 

「……ダヴィンチちゃんに研究のためのデータを渡してたのはナイチンゲールだよ。沖田さんや牛若丸……モードレッドと同時期にカルデアに戻って来た英霊たちから相談を受けてたみたいで、必死に動いてくれてたんだ。お陰で研究が捗ったってダヴィンチちゃんが言ってた」

 

「……皆、オレの様子がおかしいって気が付いてたんだな」

 

「うん……オレだけじゃなくって、他の皆も違和感は感じてたらしい。食事の時に浮かない顔をしてるってキャットが言ってたし、最近手合わせに来なくなったってカエサルとクレオパトラも心配してた。マシュも、アルトリアも、モードレッドの様子がおかしいってダヴィンチちゃんに相談しに来たこともあったし、カルデアのほぼ全員がモードレッドのことを心配してたんだよ」

 

「そう、なんだな……そうか、皆、オレのことを……」

 

 じわりと、モードレッドの視界が滲む。仲間たちが自分の事を想い、行動してくれていたと知った彼女の胸に熱いものが溢れた。

 それと同時にモードレッドは自分自身の不甲斐なさを恥じる。自分の異変を知られたら見捨てられるのではないかと怯え、誰にも相談出来なかった。そのせいでいたずらに仲間たちを心配させ、余計な手間を取らせてしまった。カルデアの仲間たちは全員モードレッドのことを信じてくれていたのに、他ならぬ彼女自身がその仲間たちを信頼出来ずにいたことが恥ずかしくて堪らなかった。

 

「ごめん、マスター! オレ、ちゃんと誰かに相談すべきだった! そうすりゃ、もっと早くに解決出来てたかもしれないのに――」

 

「ううん、違うよ。悪いのは俺だ。モードレッドが信頼してくれる様に動いて、話をしてくれる様な活躍が出来て無かった俺が悪いんだよ。もっとちゃんと、君を見ておくべきだった。ごめん、モードレッド」

 

「マスター……あ、頭を上げてくれよ! お前がそんな風に思う必要は無いんだ! 悪いのは、柄にもなくビビっちまったオレで……つ、次からは、なんかあったらちゃんと報告する! マスターや皆が俺のことを大切に想ってくれてるってのはよくわかったから! だから、そんなこと言わないでくれ。なんか、悲しくなるから……」

 

「……うん、わかった。俺ももっと努力して、モードレッドが信頼出来るマスターになるよ。モードレッドも、何かあったらきちんと報告すること、約束だよ?」

 

「ああ!」

 

 差し出された小指に自らの小指を絡め、指切りを交わす二人。体の問題も、心の不安も消し去ってくれたマスターと仲間たちに感謝しながら、照れ臭さを誤魔化す様にしてモードレッドは言う。

 

「へへっ! でもまあ、この力があればマスターたちにも楽をさせてやれるぜ! というより、父上たちの活躍の機会を奪って、逆に恨まれちまう可能性も――」

 

「あ、そのことだけどさ。モードレッド、そのスキルは――」

 

「……あれ? あれれれっ!?」

 

 この力があれば怖いもの無しだ、そう口にしようとしていたモードレッドであったが、不意に全身が脱力してしまったことでベッドに倒れ込んでしまった。先ほどまで感じていた力は霧散し、体を動かすことが非常に億劫になる。戸惑う彼女に向けて苦笑を浮かべていたマスターは、やれやれと言った様子で言いかけていた言葉を継いで口にした。

 

「――燃費が凄い悪いみたいだから、長くはもたないって言おうとしたんだけど……身を以って体験してるみたいだね」

 

「なんだよ~! そういうことは早く言ってくれよ~! クソッ! ぬか喜びさせやがって……!」

 

「ははは! そう上手くはいかないね……スキルの効果はもって数分って所かな? それが過ぎると力を使い果たしちゃうみたい。扱いが難しいね」

 

「う~……せっかく元に戻れたと思ったのになぁ……」

 

「ごめん、ごめん。でも、その数分間なら間違いなくモードレッドは最強だよ。アルトリアにだって負けない、最強の騎士になれるんだ。それに霊基の成長が追いついたら、そのスキルも必要なくなる。常に最強モードになれる筈だから、今は我慢我慢」

 

「……しょうがねえな、ったく。ま、その、なんだ……今はこれで納得してやるよ」

 

 マスターがぶーぶーと文句を口にしながらベッドに寝転がるモードレッドをあやす様にその頭を撫でてやれば、彼女の機嫌は多少なりとも良くなった様だ。微笑みを浮かべて優しくモードレッドを見つめるマスターは、一つの問題が解決したことを喜ばしく思う。

 モードレッドはそんな彼のことをちらりと横目で見た後、そっぽを向き、彼の目を見ないままに小さな声で呟いた。

 

「……腹、減った。マスター、なんかくれ」

 

「ん? ああ、そうだね。魔力も消耗したし、疲れちゃったよね。待ってて、食堂からなにか持って――」

 

「バーカ、そうじゃねえよ。オレが減ったって言ってんのは、こっちのことだっつの……」

 

 部屋から立ち去り、軽食を持ってこようとしたマスターに悪態をついたモードレッドは、とんとんと自分の下腹部を叩いて真に求めているものを彼へと告げた。いじらしくも愛らしいそのおねだりを目にしたマスターは、珍しいモードレッドからのお誘いについつい頬を緩めてしまう。

 

「……んだよ、気持ち悪い顔すんなっての! ……魔力供給にも霊基の強化にも丁度良いだろうがよ。それに、その……今、すっげーシたい気分だし、よ……」

 

「うん、そうだね。俺もそうしたい、かな。今のモードレッド、凄く可愛いからさ」

 

「ばッ!? か、可愛いとか言うなよ! オレを女扱いすんなっての! ……抱けって言っときながらこんなこと言うのは矛盾してっかもだけど、とにかく可愛いとか言うな!」

 

「ん、はいはい、わかったよ。それじゃ、準備してから始めよっか?」

 

「うぅ……本当にわかってんのか? 馬鹿マスター……」

 

 自分の服を脱ぎ、モードレッドの服を手慣れた様子で剥ぎ取る彼の姿に呆れた様子で呟きながらも、モードレッドは自分の中でむくむくと肉欲が芽生えつつあることを感じ、興奮を露にする。ギシリと音を立ててマスターがベッドの上に乗った時、その興奮は大きく膨れ上がった。

 

 どくん、どくんと心臓が高鳴る。彼に抱かれることを喜ぶ自分が居る……あの肉棒に蹂躙され、迸る魔力で全身を満たされる快感に抗えなくされ、彼のモノであることを自覚出来る幸福が味わえるのだと、モードレッドは子宮をときめかせながら息を飲んだ。

 と、同時に、ある可能性が頭の中で閃く。確信はなかったが、もしかしたら上手くいくかもしれない程度の思いでその考えを実行に移したモードレッドは、瞳を閉じて脳内でイメージを固め始めた。

 

(今から、マスターに抱かれる……すげー、気持ち良いことをする……もっと、もっと、気持ち良くなって、マスターを気持ち良くしたい。だから――)

 

 スキルの発動には、モードレッドのイメージが必要だとマスターは言った。彼女の空想をトリガーとして、モードレッド自身の霊基をその空想に相応しいものに変化させるのだと解説してくれた。であるならば、先ほどの霊基が戦闘に特化したものに出来た様に、別の用途に適した霊基に変質させることも可能なのではないだろうか? そうモードレッドは考えたのである。

 現状、モードレッドの体に残っているのは搾りカス程度の魔力のみだ。しかし、肉体を構成する程度ならば無理が利くかもしれない。ダメもとでその考えを実行に移したモードレッドは、目を閉じて頭の中でこれから行うことを想像し、何度か呼吸を繰り返した後で瞳を開くと……

 

「へ、へ……! 上手く、いったな……!」

 

 そこには、今までとは違う自分の体があった。決して大きいと言えなかった胸は膨れ上がり、マシュと同程度の大きさにまで成長している。尻もまた、動きにくそうなくらいに肉付きが良く、むっちりとした下半身に変化していた。

 心臓の鼓動が早くなる。いやらしく成長させた自分の体を見れば、自分が雌になってしまったのだと強く自覚してしまう。他の誰でもなく、自分自身の意思でこうなったのだと再確するほどに、心音がけたたましくモードレッドの中で響いた。

 

「どうだ? こんな使い方もあるみたいだぜ!」

 

「なんて言うか……モードレッドは飲み込みが早いと言うか、知恵が回ると言うか……」

 

 ほっそりとした肢体が急に肉感溢れる女体に変化したことに驚きを隠せないマスターであったが、自分の変化を誇らしげに笑いながら告げるモードレッドに苦笑とも取れる笑みを向けて、いつもの調子を取り戻した。そして、これが彼女の望むことであるならば自分のやることは一つだとばかりにその体に手を伸ばし、優しく触れる。

 

「あっ♡ ふっ、んんっ……♡♡♡」

 

 まずは、たわわに実った胸の果実に触れると、そこを優しく揉み解した。今までの自分には存在していなかった確かな質量と重みを感じ、そこから伝わる深い快感に表情を蕩けさせるモードレッドは、甘い声を漏らして快楽に喘ぐ。

 表面的ではなく、肉の中心にまで伝わる快感。胸は小さい方が感度が良いと聞くが、これはこれで気持ちが良い。恐らく、モードレッドの乳房を膨らませた魔力が感度も上昇させているのであろう。ぷるぷると震える胸の肉がマスターの手に包まれる度、彼女の口からは嬌声が溢れ出た。

 

「はっっ♡ あうっ……♡ んっ、んぅっ……♡♡♡」

 

 ゆっくり、ゆっくりと、大きくなった胸の調子を確かめられる様に揉まれる。快楽を声に出す口も、突然に降って来た唇によって塞がれてしまった。舌を交わらせ、胸を揉みしだかれ、双方からの甘い快感に身を蕩けさせながら、モードレッドはくぐもった声を漏らす。

 

「んっ♡ ん~~っ♡ はっ♡ ふあっ♡ はふぅ……っ♡♡♡」

 

 舌が吸われる。唾液が流し込まれる。胸がゆっくりと押し潰され、形を変えていく。その一つ一つが甘い痺れとなってモードレットの官能を襲い、意思を蕩けさせる。

 静かな湖畔に浮かぶ小舟の上で寝転がっている様な穏やかな快感に身を慣れさせていたモードレッドであったが、マスターの指が胸の頂点にある桜色の突起を摘まんだ瞬間、鋭い衝撃が胸に響いて目を見開いてしまった。

 

「あぁぁっっ♡♡♡ んぁぁっっ♡♡♡」

 

 ぴょんっ、と体が跳ねる。乳首を抓られただけで軽く達し、全身を浮かび上がらせてしまったことに驚きを隠せない。未だにモードレッドの視界はちかちかと明滅し、快感の残滓が痺れとなって胸の内で弾けていた。

 そのままマスターはキスをしていた唇をモードレッドの起立した乳首に触れさせると、巧みな舌使いで彼女のそこを弄り始めた。吸い、甘噛みし、舌で転がして、好きに弄ぶ。強すぎず、決して弱すぎない快感を与えながら、モードレッドの敏感になった乳首を責め上げる。

 

「あっっ♡♡♡ ああっ♡♡♡ はひっ♡♡♡ あっ、ひぃっ♡♡♡ や、やばいっ♡♡♡ それ、やばぁっ♡♡♡」

 

 両方の乳首を重ね合わされてぺろぺろと舐められた後、一気に吸い上げられる。胸が大きくなったからこそ出来るその責めに耐性を持たないモードレッドは、腰を大きく浮かせて絶頂に達した。

 荒い呼吸を繰り返し、紅潮した頬のまま夢見心地で呻くモードレッド。性交に適した体となった今、前戯だけでここまで感じてしまう。となれば、本番行為で味わえる快感はどれほどなのだろうかと想像すれば、その期待に子宮が勝手に疼いた。

 

 既に、マスターの肉棒は勃起している。それを受け入れる自分の性器の湿りも十分過ぎるほどになっていた。

 胸に抱く期待の感情のままに足を開き、濡れそぼった女性器を見せつけたモードレッドは、媚びた視線をマスターへと送って無言のおねだりをしてみせる。彼もまた、彼女の望む行為をすぐに感付き、挿入の体勢を取ってくれた。

 

(来るんだ……♡ マスターのバキバキちんぽが、超が付くくらいに敏感になってるオレのまんこに挿ってくる……♡ ぐっちゃぐちゃにまんこ中を掻き回されて、狂うまで喘がされちまうんだろうな……♡♡♡)

 

 激しく腰を叩き付けられ、弱点である聖槍の力を纏った肉棒で膣内を掻き回され、子宮の中を埋め尽くすほどの量の精液をぶちまけられる。思考が追いつかず、壊れてしまうほどの快感を叩きつけられてアヘる自分の姿を想像したモードレッドの体がぐんっ、と体温を上げる。

 がっしりと腰を掴まれ、起立した肉棒を割れ目をあてがわれた瞬間に瞳にハートマークを浮かばせるモードレッド。このまま一息に膣を割り裂く様な激しい挿入が行われるのだと思っていた彼女であったが、マスターの取った行動はその予想を裏切るものであった。

 

「あっ♡ ふっ♡ んっ、んんんんん……っ♡♡♡」

 

 普段通りの激しく膣奥を叩く様な挿入ではなく、ゆっくり、じっくりと肉棒を膣内に埋めていく様な挿入。じわじわとモードレッドの内部を突き進む熱く硬い肉棒の感覚に呻くモードレッドではあったが、それは彼女の求めていた快感とは違うものであった。

 有無を言わさずに腰を叩き込み、喘ぐモードレッドの声を更に甲高くさせる様なピストンを行う。なんだったら、最初から聖槍の魔力回転を解放させてしまっていても構わない。そんな激しい挿入からの嵐の様なセックスを想像していた彼女にとって、この甘い挿入は些か拍子抜けと思えるものであった。

 決して、このセックスが気持ち良くないということはない。しかし、どこか生温さを感じてしまうことも確かだ。ゆっくりと時間をかけた挿入からのこれまたねっとりとした腰の振り。激しさはまるでなく、丁寧なピストンでモードレッドを感じさせにくるマスターのセックスは、今のモードレッドにとって予想外のものだった。

 

(やっぱ、魔力切れのオレのことを気遣ってんのかな……? そんなことしなくていいから、いつも通りにガンガンピストンして欲しいんだけどな……)

 

 いまいち彼の意図を読めずに困惑するモードレッドは、これがまだ慣らし運転の様なものであると想定し、納得することとした。まずは一回射精と共に魔力を送り込み、なんの憂いもなくなってから本気のセックスをするのだろうと勝手に思い込んだ彼女は、甘く浸る様なセックスの快感に身を委ねる。

 どうせこれは序の口の快感。気持ち良くないこともないし、魔力切れの体には丁度良いかもしれない。そんな考えを浮かべているモードレッドは、何も気が付かなかった。マスターは最初から、本気で彼女を蕩けさせに来ているということに……。

 

「あふっ♡ んっ♡ あ、へっ♡ ん、お……?」

 

 モードレッドが異変に気が付き始めたのは、セックスが始まって数分後のことであった。激しくない、優しいピストンを繰り返されているだけだというのに、段々と声が抑えきれなくなってきたのだ。

 魔力の嵐も纏ってはおらず、ピストンの速度も変わってはいない。単調に、リズミカルに、ただモードレッドの膣内を何度も出し入れしているだけのはずなのに、どうやっても口から声が溢れてしまう。それも、自分が今まで出したことのない、甘く蕩ける様な声が、である。

 

「あっっ♡♡♡ あんっ♡♡♡ あぁんっ♡♡♡ あっ、んっっ♡♡♡」

 

 必死に口を閉ざし、声を堪えようとしても無駄。とんっ、と亀頭が膣の何処かに当たる度、そんな我慢など忘れたとばかりに口が開き、甘い嬌声が溢れ出てしまう。そのまま肉棒が引き抜かれ、カリが膣壁を引っかく快感が続けざまに与えられ、今度は口を閉ざすという行為すらも忘れて喘ぎ続けることになってしまうのだ。

 

(なん、だよ、これぇ……っ♡♡♡ へん、だぞっ♡♡♡ これも、スキルの効果なのか……?)

 

 自分の好きなセックスはもっとガツガツとした激しいもののはずなのに、それとはまったく違うセックスを行われているはずなのに……それなのに、深すぎる快感を味わい、甘い快楽に全身が蕩け始めている。気が付けば、モードレッドの性器からは大量の愛液が溢れ出て、それを掻き回されるいやらしい音が響き始めていた。

 

(オレの子宮っ♡♡♡ 媚び、まくってるぅっ♡♡♡ マスターのちんぽにちゅうちゅう吸い付いて、甘えてるぅっ♡♡♡ あ、あ、あ……っ♡♡♡ なんだよ、これ……♡♡♡ まんこが、蕩けて――っ♡♡♡)

 

 肉棒を受け入れる性器が、今まで感じたことのないくらいに蕩けている。いや、性器だけではない。モードレッドの全身が脱力し、この甘い快感に浸り切っていた。ただ一点、指と指を絡ませ合い、マスターと繋がり合う手だけが彼と離れたくないとばかりに強く力が込められている。

 なんてことのないセックスだ。単調な腰使いで膣を責め、激しさも何もないセックスのはずなのだ。なのに、自分はそんなセックスでここまで感じてしまっている。一体、何故? どうして? そんな風に喘ぎながら困惑していたモードレッドであったが……不意に、その答えに気が付いた。

 

(マスターの、ちんぽ……♡ オレの、欲しいと思ってるとこに毎回くるぅ……っ♡ 一回、一回のピストンで、一番気持ち良くなれる場所を突いてきてるんだ……♡♡♡)

 

 例えばGスポット。例えばボルチオ。そのほか、名前も無いただモードレッドが好きな場所であったり、弱点でも何でもない膣内の一点であったり、そんな部位。ただひたすらに同じ感じる場所だけを突かれるのも気持ちが良いが、緩急を付けて様々な場所を責められる快感はその数倍にも膨れ上がる。

 最初は一番感じる場所を突いて欲しい。その後は少し位置をずらして焦らし、意識を外してから次いで感じる場所を責める。次はここ、その次はあそこ。そんな風に無意識の内に責められる場所を願うモードレッドの願望とまったく同じ場所をマスターは責めていたのだ。

 

 今、肉棒で突かれたら一番気持ち良い場所を責める。引き抜く時は次の位置を選定しながらその快楽を引き上げる様に襞を擦る。強すぎない力で、甘い快感を味合わせるために、何度も何度もそれを繰り返す。モードレッドの望みを叶え、彼女に未知の快感を体験させるために、延々と繰り返し続けるのだ。

 気が付いてしまえばあまりにも簡単な答え。だが、それがどれほど困難なことなのかは想像に容易い。モードレッド自身ですら気が付いていない、無意識の快感スポットを毎回寸分なく見つけ出し、そこを責める。僅か数秒の間にその選択を繰り返し、毎回正解を導き出すことなど、本来ならば絶対に不可能だ。

 

(なんでそんなことが出来るんだよぉ♡♡♡ この馬鹿マスター、オレのことを知り過ぎだぁ♡♡♡ どんだけ、オレのことが好きなんだよぉ♡♡♡)

 

 肉体も、精神も、全て理解しなければこんなことは出来ない。それが可能なのは、彼がモードレッドのことをきちんと知ってくれているから。なにをどうすれば悦ぶのか、なにを考えているのか、その全てを理解し尽くしているからこそ、こんなことが出来るのだ。

 そのことに気が付いてしまえば、もうモードレッドの我慢などあってないようなものだ。肉体だけではなく、精神もまた甘く蕩ける快感に満たされてしまえば、声を堪えることも、快感を抑えることすらも出来なくなってしまう。後はただ快感に包まれ、喘ぎ続けることしか出来なかった。

 

「あうっ♡♡♡ あんっ♡♡♡ あぁっ♡♡♡ あんっっ♡♡♡ んあぁっ♡♡♡ は、あぁぁっっ♡♡♡」

 

 嵐の様な暴虐さで膣全体を責め、感じる場所を滅茶苦茶に犯すのとは違う。的確に、丁寧に、毎回一番気持ち良くなれる場所を責め上げるセックス。全身が蕩け、びくびくと震え、全てを理解されているという安心感に心が浸る。

 マスターの圧倒的な包容力を感じるモードレッドは、セックスによる肉体面の快感と安心感による精神面の快感を同時に味わい、その甘さに感動していた。今までの激しいセックスで自分が雌になっていたとしたら、このセックスによる変化はまさに()()()()だ。自分を愛し、包み、安心させてくれる男に心酔する女としての姿を晒し、モードレッドは快楽に蕩ける。

 

「あうんっ♡♡♡ しょこっ、いひっ♡♡♡ あぁっ♡♡♡ ま、たぁ、いいときょ、あたりゅぅっ♡♡♡ おうっ♡♡♡ しきゅっ♡♡♡ こんこんっ♡♡♡ ましゅたぁのちんぽ、オレのあかちゃんべやノックひてりゅうっ♡♡♡ あ、あっ♡♡♡ だひて、ましゅたぁっ♡♡♡ オレのしきゅうに、ぜんぶだひてぇっっ♡♡♡ おまえのあかちゃんっ♡♡♡ はりゃむからぁっ♡♡♡ じゃあめん、ちょうらひぃっっ♡♡♡」

 

 だらしないアヘ顔も、女としての本能も、弱い自分自身の姿も……全てを曝け出し、モードレッドはマスターに強請る。至上の快楽を、最高の幸福を、彼自身が満足し、モードレッドを自分のモノとした証を、女性としての器官に注ぎ込むことを望んだ。

 そして、マスターもまた彼女に快楽を刻み込む姿勢を取る。媚びて、降りて来たモードレッドの子宮を何度も優しく亀頭で叩き、段々と膨張していくそこの感覚を彼女に教え込み、モードレッド自身が望むものを散々に期待させた。

 最後の瞬間、彼はモードレッドの子宮口を柔らかく叩き、そこに鎮座した。決して無理に押し込まず、ただ触れる様なピストンを繰り出せば、その動きに反応したモードレッドの子宮口は、大口を開けてマスターの亀頭を咥え込み、そこから放たれるものを一滴残さず受け止める体勢を取る。

 

 腰が、勝手に浮き上がる。自分の女としての本能が、今まで感じたことのないくらいに燃え上がっていることがわかる。男の精液を受け止め、その子を孕むための体勢を取った自分の女性器と子宮に対して、悦びと幸福の感情を抱いたモードレッドは、口元に笑みを浮かべ……マスターの迸りを飲み干しながら叫んだ。

 

「あぁあぁぁあぁぁああぁぁあぁぁあぁァアぁああぁっっ♡♡♡ ひっ、くぅううぅううぅううぅううんんっっ♡♡♡」

 

 ぱしゅう、と潮が噴き出す。全身から魔力が噴き出て、膨れ上がっていた胸や尻がしぼんでしまった。代わりに彼女の体を満たしたのはマスターの精液と魔力、そして凄まじいまでの快楽だ。頭の天辺から爪先まで、モードレッドの全身はマスターによって満たされてしまった。

 

「んあぁ……♡♡♡ おいひぃ♡ マスターのせいし、うましゅぎるぅ……♡♡♡ あうっ♡♡♡ あっ♡♡♡ はぁぁ……っ♡♡♡」

 

 熱く濃い精液を子宮で飲み続けるモードレッドは、その甘美な快感に酔いしれていた。そんな彼女の体を引き起こす様に引っ張ったマスターは、そのまま強く彼女を抱き締めてその背を摩る。

 全身を彼に包みこまれ、彼の温もりの中に身を置くモードレッドは、体の内外をマスターの熱で満たされる幸福に頬を染めた。その歓びの感情のままに舌を彼の体に這わせ、唇を落としてはキスマークを作り、そうして入念に彼に敬愛を示した後で懇願する様な口調で言う。

 

「マスター……オレのこと、手放さないでくれ……! ずっと、ずっと……お前の傍に、居させて……んっっ♡♡♡」

 

 たった一つの願いを口にしていた唇は、彼によって塞がれた。舌を挿れる大人のキスを暫し交わし、モードレッドのことを丁寧に可愛がった後、マスターはそっと唇を離す。

 互いの涎によって出来た銀色の橋が重力によってぷっつりと途切れる。その光景を夢見心地の表情で見つめていたモードレッドの瞳を真っすぐに見て、彼女の瞳が自分のことを映していることを確認してから、マスターはモードレッドの願いに対する答えを口にした。

 

「俺も、モードレッドのことを二度と離すつもりはないよ。他の誰の物にさせるつもりもない。モードレッドは、俺の騎士さ」

 

「は、ぅ……♡♡♡ あっ、へぇ……っ♡♡♡」

 

 自分の願いが受け入れられた喜びに涙を浮かべるモードレッド。マスターは、そんな彼女に意地悪をする様に腰を跳ね上げ、浅い位置にあったモードレッドの子宮を奥まで押し込んだ。

 未だに硬く、そして熱い肉棒によって快楽を与えられたモードレッドは、だらしなく舌を垂らしてアヘ顔をマスターの眼前に晒す。そんな彼女の頬に手を添え、愛らしく撫でながら、彼はうっとりとした口調で呟いた。

 

「とっても可愛いよ、モードレッド……凄く、素敵だ……!」

 

「………♡♡♡」

 

 頬を撫で、腰を抱き、とても大切なものを扱う様にしてモードレッドを愛でるマスター。そんな彼の行為に応える様にして、モードレッドも愛らしいと褒められたアヘ顔を一切崩すことなく彼の目の前で浮かべ続けている。

 強い騎士としてではなく、弱い女としての姿を晒し、愛する者から与えられた快楽に酔った女性としてマスターに抱かれるモードレッド。目に浮かんだ涙も、だらしなく垂れた舌も、紅潮した頬も、全てが変わることなくマスターの眼前に曝け出されている。

 ……いや、たった一つだけ変化しているものがあった。口から放り出て、涎を垂らし続けている彼女の舌の表面には、モードレッドの下腹部に刻まれていた紋様がじりじりと浮かび上がってきている。彼の目の前で、彼の女になる瞬間を見せつけたモードレッドの舌には、真っ赤に輝く令呪が新たに刻みこまれた。

 

 剣と犬、その二つを組み合わせ、ハートマークで括った様な形をした令呪の紋様を眺め、彼女が更なる成長を見せたことを確認したマスターは、脱力しきったモードレッドの体を強く抱きしめた。そして、その耳元で優しく、甘い声で囁く。

 

「本当、可愛い女の子だね。()()()()()()()()は……!」

 

「~~~っっ♡♡♡」

 

 その囁きを耳にし、甘さに酔い、全身を蕩けさせたモードレッドは、大きく仰け反りながら彼の腕の中で達し、激しく痙攣して高みに上り詰めたのであった。

 

 






モードレッド 第三再臨 完了
スキル 『魔力操作』及び『不敬なる敬愛』 習得




『魔力操作』

今回モードレッドが習得(正確にはもっと早い時点で習得はしていたが、気が付いていなかった)したスキル。全身の魔力を放出、収束、膨張させることで、彼女がイメージした最適な状態に霊基を変質させるためのスキルである。

以前に彼女が習得していた『魔力放出』と似たスキルであり、それに加えて細やかな操作が可能。以前と比べてマスターから注がれる魔力が上質かつ膨大な量になったため、その効果は『魔力放出』を大きく凌駕する。ただし、戦闘面に特化した霊基を構築した場合、燃費の悪さから即座に魔力を使い果たしてしまう模様。その後の計測によって、最大効果時間は5分程度という結論を得た。
ただし、油断することなかれ。たかが5分と言えど、その間のモードレッドは父であるアルトリアを凌ぐほどの戦闘力を得るのだから。その状態の彼女を止められるサーヴァントがソロモン側に居るかどうかと聞かれれば、恐らくは否であろう。

戦闘時に5ターンに渡って攻撃力・防御力の大UP。Bastardの効果大UP。弱体効果の無効(4ターン5回)付与。デメリットとして、効果切れと共に1ターンのスタン効果が付与される効果を持つ。



『不敬なる敬愛』

モードレッドが第三再臨と共に習得したスキル。淫紋令呪が刻まれた場所が舌=それを見せるためには相手に舌を出さねばならない、という敬意と不敬が入り混じった状態を示唆した効果を持つ。
 
通常状態では効果が発揮されないものの、マスターの危機に応じて発動される。自身に無敵効果とターゲット集中の効果を付与し、更に攻撃して来た相手の強化効果を無効にするデバフを与える効果を持つ。まあ、所謂ツンデレスキルという奴である。





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔法少女のバレンタイン(イリヤスフィール・フォン・アインツベルン&クロエ・フォン・アインツベルン)

アンケートの結果、今年のバレンタインはイベント効果も相まってか名前が多く上がった魔法少女コンビのお話を書いてみました。


同じく名前が多く上がったジャンヌに関しては、次章にて活躍予定です。ファンの皆さんはもう少しお待ちください。

また、他にも多くのサーヴァントたちのお話を書いて欲しいとの要望を頂きました。今回は出来る限り甘いお話を書きたかったので避けましたが、凌辱・堕ち関連のお話もみたいとの意見も多く寄せられています。

それらに関しても出来る限り応えていきたいと思っています。アンケートにご協力頂き、ありがとうございました!


 

 

「うふふ……♡ ようやく捕まえたわ、マスター……♡♡♡」

 

 艶めかしく、色っぽく、歳と容姿に不相応な色気を放ちながら己の肉棒に顔を擦り寄らせる褐色肌の幼女の姿に、カルデアのマスターはごくりと口の中に溜まった涎を自然と飲み込むほどの興奮を感じてしまう。

 彼の下着をずらし、陰茎を露出させ、その臭いと味を存分に楽しむクロエは、ベッドに両腕を拘束されている自分の主に向けて悪戯っぽい笑みを浮かべつつ、相方へと声をかけた。

 

「イリヤ、あなたもこっちに来なさいよ。そこで見てるだけなら、こんなことをした意味がないでしょう?」

 

「うぅ……わかってる、けどさ……」

 

 おずおずと、ベッドの上でマスターの陰茎を愛撫する姉妹の姿に顔面を羞恥に染めながら、二人の元へと近づくイリヤ。子供用の下着に身を包んだ彼女が頬を紅潮させている姿は、なんとも犯罪めいた想像を掻き立てる。

 彼女は暫し迷い、照れ、恥ずかしがっていたが、クロエが積極的にマスターと絡む姿に奮起したのか、自らも全裸となってベッドの上に飛び乗った。

 

 ギシリ、と軋むベッドと音を耳にしつつ、自分の肉棒に興奮した眼差しを向ける二人の幼女の姿とこの状況に興奮を滾らせながら、カルデアのマスターは、ことがここに至るまでの経緯を頭の中で思い返す。

 

 本日は2月14日、俗に言うバレンタインデーだ。日頃の感謝の想いや、普段は言えないような言葉をチョコレートと共に相手に送り、絆を深める。そんな温かな出来事が何度も起きる一日であるバレンタインではあるが、現状のカルデアではそれよりももっと大きな意味合いを持つ日でもある。

 女性から男性に贈り物をし、想いを伝える今日という日は、絶好の理由付けをしながらベッドイン出来る。要するに、マスターと懇ろに過ごすにはうってつけなのである。体にチョコを塗りたくり、頭にリボンでもつけて、「バレンタインのプレゼントです♡ どうぞ召し上がれ♡」なんて言いながらマスターの胸元に飛び込めば、あっという間にイチャイチャラブラブのセックスまで一直線だ。

 こんなおいしい状況を英霊と呼ばれる女性たちが放っておくはずがない。全員があの手この手を用いてマスターと楽しいバレンタインを過ごす計画を立てる中、一部の者は逆に危機感を抱いていた。

 

 淫紋令呪を刻まれた女性サーヴァントが性欲を高めることは仕方がない。バレンタインという絶好の機会に性交を望むことも致し方ないだろう。しかして、その相手をする男性たちに無理強いをするのは良くないことだ。

 これがクー・フーリンのように契約を結んでいるサーヴァントが一人であったり、カエサルとクレオパトラのように互いに想い合う相手がいるカップルなら問題はないのだが……問題は、膨大な量のサーヴァントを抱えるカルデアのマスターであった。

 

 彼と契りを結んでいる女性サーヴァントはざっと数えても十名以上。年齢、体格、性欲の強さまでがそれぞれバラバラであり、そんな彼女たちが本気を出してマスターを籠絡しようとするならばそれはもうとんでもないことが起きるだろう。その一つ一つのイベントに彼を付き合わせ、その度にセックスをしていたら、バレンタインという日にマスターの平穏は訪れないことは明らかだ。

 よって、レオナルド・ダ・ヴィンチちゃんを始めとしたカルデアの職員、及びマシュ・キリエライト等の一部のサーヴァントたちの主導の下、現在カルデアに在籍しているサーヴァント全員にバレンタインデー特別条約が締結されることとなる。

 

 『バレンタインの日に、贈り物でマスターを性的に挑発することは禁止』……純粋に感謝や好意の意味合いを込めた贈り物は良い。が、邪な思いを抱いてのプレゼントでマスターの性欲を刺激することは絶対に禁止とする。

 カルデアの全サーヴァントたちにキツく言い付けられたこの条約のお陰で、当日は何事もなく楽しいバレンタインを過ごし、珍しく平穏な一日がカルデアに訪れる……はずだった。

 

 残念ながら、世の中にはルールを破る者は必ずと言って良いほど現れる。カルデアとマスターの平穏を願って締結されたこの条約もまた、その例に漏れずに違反者が出現することとなったのだ。

 チョコレートに細工をする者、なんだかんだと理由を付けてセックスに持ち込もうとする者、そもそもそんな条約なんぞ知ったこっちゃないとばかりに淫らなプレゼントを用意する者……カルデアで暗躍を続ける女性サーヴァントたちは、バレンタイン当日まで牽制を続けながら機を伺い、マスターに接触を計ろうとあの手この手を用いて水面下で激しい戦いを繰り広げた。そして、その戦いを制したランサーのアルトリアが一番乗りを果たし、彼との搾乳セックスを存分に楽しむに至ったわけだ。

 

 秩序を守り、善性を尊ぶ彼女の裏切りに多くのサーヴァント(最初から約束を守るつもりがない者もここぞとばかりに)が激怒した。マスターの平穏を願い、条約を守る者の方よりも自らの欲を優先した者の方が良い思いをするという状況に憤りを隠せなくなった彼女たちもまた、その感情に任せて暴動を起こすことを決めたのだ。

 

 よろしい、ならば戦争だ……もう条約など関係ない。どんな手段でも使ってやろう。他の誰を出し抜いても、マスターとの甘い一時を過ごしてみせる。そんな欲望に突き動かされる女性サーヴァントたちの策略が巡るカルデアのバレンタインデーは、性と肉欲が入り乱れるまさに混沌と呼ぶべき一日と成り果てていた。

 

 が、しかし、当のマスターはそんなことをまるで知る由もない。アルトリアの母乳をたっぷりと味わい、彼女をベッドの上でKOした後で、再びサーヴァントたちに贈り物をしにカルデア内を悠々と歩いていた彼を最初に発見したのは、イリヤとクロエの魔法少女コンビであった。

 それからのことは語るに及ばないだろう。両者からそれぞれ手作りのチョコレートを受け取り、合作である三つ目のチョコレートも贈られた彼は、二人からその場で味の感想を聞かせて欲しいとせがまれ、特に何も考えずに厚めのハート形チョコを一口齧り……そのまま意識を失って、気が付けば魔力で編んだ鎖に両腕を拘束された状態で自室のベッドに運ばれていたというわけである。

 

 マスターを裸に剥き、こうしてベッドの上で拘束して体を寄せているということは、彼女たちの目的もセックスなのだろう。その想像に違わず、既に勃起しているマスターの肉棒に顔を擦り寄らせていたイリヤとクロエは、両側から挟むようにして自分の舌でそれを舐め始めた。

 

「ぺちゃっ♡ ぺろっ……♡」

 

「んちゅっ♡ ちゅぅぅぅぅっ♡」

 

 積極的に舌を這わせ、唾液を肉棒に塗すかのように舐め続けるクロエとややぎこちないながらも徐々に愛撫の動きを激しくするイリヤ。白と黒の魔法少女による口淫は、そんな対極的なものから始まった。

 まるでアイスキャンディーでも舐めるかのように夢中になってマスターの肉棒に舌を這わせる二人。ぴちゃぴちゃといういやらしい音と鼻呼吸の荒々しい音が響く部屋の中、マスターも悶えるようにして身をよじらせている。

 

 陰嚢をクロエが咥えれば、イリヤがカリの窪みに舌を這わせる。クロエが鈴口を開くようにして舌の先を動かせば、イリヤは竿の部分を懸命に舐めてマスターに刺激を与える。流石姉妹と呼ぶべきコンビネーションで舌による愛撫を続けていた二人であったが、段々と興奮が滾る少女たちは、ついに己の欲望のままに行動を開始し始めた。

 

「はっ♡ はっ♡ はぁむっ♡ んずぅっ♡ じゅるぅ……っ♡」

 

 プツリと理性の糸が切れたように、もしくは何かのスイッチが入ったかのように、イリヤが口を大きく開くと、その小さな口内にマスターの肉棒を咥え込む。

 興奮によって分泌された唾液と子供特有の温かさに包まれる己の分身の震えを感じるマスターは、それがイリヤの喉奥まで達したことに驚きと共に彼女の顔を見やる。

 

「んふ~~……♡ じゅるるぅぅっ♡ じゅぞぞぞぞぞ……っ♡」

 

 自分の腕程の大きさはある肉棒を根元まで咥え込み、満足気な表情を浮かべるイリヤ。喉奥どころか食道まで犯されているであろう彼女であったが、その瞳には悦びの感情がありありと浮かんでいる。

 清純な優等生であるイリヤが、完熟した雌の表情を浮かべて巨大な肉棒を咥え込む。そのまま、口を尖らせて吸い付きながら顔を前後に動かす彼女のフェラチオに、流石のマスターも悶絶せざるを得なかった。

 

「じゅぷっ♡ じゅぽっ♡ じゅるっ♡ じゅぅぅうっ♡」

 

 とても下品で、卑猥な音が響く。あのイリヤが、恥も外聞も忘れて一心不乱にペニスにしゃぶりつく姿は、まさに卑猥の一言だ。

 小さな体、口の中に巨大な肉棒を迎え入れ、それを大喜びで舐め、吸い、受け入れる。瞳には涙と共にハートマークが浮かび、小さな乳首はこれでもかとばかりに硬く尖っていた。

 

 フェラチオによる触覚と卑猥なイリヤの姿を見ることによる視覚の興奮。その両方を味わうマスターは、熱に浮かれたように荒い呼吸を繰り返していた。

 が、彼をこんな目に遭わせている少女はもう一人いる。この事件の首謀者とも呼べる褐色の魔法少女クロエは、幼い容姿からは想像もつかないほどの色香を発しながら、マスターへと甘い囁きを発した。

 

「本当にひどい人ね、マスター……♡ わたしたちのこと、こんなにいやらしい女の子にしちゃって……♡」

 

「う、あ……っ!!」

 

 左の乳輪を指でなぞり、マスターを焦らすようにして楽しむ傍らで、先ほどまで彼の肉棒を舐めていた舌で右の乳首をチロチロと舐め上げるクロエ。上半身と下半身を襲う別々の快感に悶えるマスターの姿に微笑んだ彼女は、彼を詰るような、褒めるような言葉を口から発して、興奮を湧き上がらせにかかる。

 

「馬鹿みたいなデカチンでわたしたちのスケベ穴を奥の奥まで穿って、完全雌堕ちさせて……♡ 並の男の何倍も濃くて熱いザーメン魔力の味を教え込んで……♡ そんなことされたら、どんな女の子だっていやらしくなるに決まってるじゃない♡」

 

「じゅるぅぅぅううっ♡ じゅぼぼぼぼぉおおっっ♡」

 

「イリヤもあんな幸せそうな顔しておちんぽ食べちゃう女の子になってるわ♡ わたしだって、マスターの雌奴隷にされて超敏感エロボディにされちゃった……♡ まだ小学生なのに、こんなにおっきいおちんぽぶち込まれて余裕で感じられちゃう躰に開発されちゃって……それなのに、まだまだわたしたちのことをエッチにするつもりなのね……♡」

 

「んぐっ♡ お~~っ♡ むぶぅ……っ♡ じゅるるるるぅぅぅっ♡♡♡」

 

「粗チン王なんかワンパンで倒せちゃいそうなこの鬼ちんぽで、これからもたくさんの女の子たちを喘がせるつもりなんでしょ……♡ ホント、マスターってばひどい人……♡ そんな悪い男の人には、魔法少女としておしおきが必要よね、イリヤ?」

 

「ぷはぁ……っ♡ ん、あれだね、クロ……♡」

 

 言葉責めとフェラチオの吸着音でマスターの脳を溶かし、思考能力を奪った二人は、示し合わせたように再び左右から彼の肉棒を挟むポジションを取る。

 ただし、今回は顔ではなく尻を向けた態勢で、白と黒の愛らしく柔らかい尻肉の谷間を自ら開くとその中にマスターのペニスを挟むように互いの尻を押し付け合った。

 

「うあぁっっ! ぐ、うっっ……!」

 

「ふふ……♡ どう、マスター? わたしとイリヤのお尻は柔らかいでしょう♡ でも、まだまだこれからなんだから……♡」

 

「クロ、いくよ……♡ 合体必殺技『魔法少女W尻コキアタック』♡」

 

「うぅうぅっっっ!?」

 

 がに股の格好で制止していたイリヤとクロエは、自身の号令を合図に屈伸運動を始め、腰を上下に動かし始めた。互いに寸分も違わぬ見事な合わせ技を披露する二人の尻の谷間では、柔らかな彼女たちの尻肉に包まれたマスターのペニスが途轍もない快感を味わっている。

 子供特有の肉の柔らかさとふっくら感。それを併せ持つ二人の尻がぴったりとマスターの肉棒に押し付けられ、時折膨れる肛門の感触がこれまたアクセントとなって彼を刺激する。

 足りない肉の量を二人掛かりでの行為という方法で補うイリヤとクロエの尻コキは、姉妹の息の合ったコンビネーションも相まって、単独でのそれとは比べ物にならないほどの快感をマスターに楽しませていた。

 

「うんっ♡ マスターさんのおちんぽ、とっても熱い……♡ お尻の穴が、火傷しちゃいそう……♡」

 

「ほらっ♡ イっちゃいなさいっ♡ 女の子のお尻におちんぽ扱かれて、びゅ~ってザーメン出しちゃいなさいよっ♡」

 

 この行為で興奮と快感を感じているのはマスターだけではない。イリヤとクロエもまた、彼を拘束して性的な快感を感じさせているという状況に昂ぶりを隠せないでいる。その証拠に彼女たちの股座からは熱い液体がぽたぽたと溢れ出していた。

 腰に触れる甘く粘度の高い愛液。肉棒を扱く柔らかな尻肉とまだ青さの残る肛門。それら全てを体で感じながら、白と黒の魔法少女たちが下品に腰を振り、尻を擦り合わせて肉棒を扱く光景を目の当たりにして、理性を保っていられる男など存在するはずもない。

 

 湧き上がる興奮が、マスターの体を貫いた。肉棒の根元からせり上がって来る興奮が、イリヤとクロエの尻によって更に激しさを増す。

 少女たちの柔らかな尻肉に包まれ、その間から先端を覗かせる肉棒が、見えている亀頭が、段々と膨らみを増す。熱さが、硬さが、滾りが、自分たちの尻の間で高まっていることを感じ取る魔法少女たちが期待に染まった笑みを口元に浮かべた瞬間、彼女たちの背には熱い迸りが飛び散っていた。

 

「ああぁあぁああぁあっっ♡♡♡ うあぁあぁっっ♡♡♡」

 

「あつっ♡♡♡ うぅぅうんっっ♡♡♡」

 

 火山の噴火のような激しい射精。尻の間に収まらず、飛び出した亀頭の先から飛び出したのは、白く濁った雄の滾り。

 信じられない量の精液を噴き出し、イリヤとクロエの背面にべったりとこびり付くまでの濃度を誇るそれを浴びた彼女たちは、今までの興奮も相まってガクガクと体を痙攣させながら快楽に喘いだ。

 

 後ろ髪に、背に、尻に……マスターの精液が飛び散っている。イリヤの白い肌に染み込むように、クロエの褐色の肌を染め上げるように、自分たちを束ねる雄の興奮が、これでもかとばかりに降りかかっている。

 これは、俺の雌だと。この女たちは自分のモノだとマーキングするかのような夥しい射精を浴びた二人は、ぐずぐずに蕩けた下半身の果実から蜜を滴らせながら、お互いの背に飛び散っているマスターの精液を順番に舐め始めた。

 

「はふっ♡ うあ、あ……っ♡ じゅ、るる……♡」

 

「ぴちゃっ♡ ぺちゃ……♡ んふぅ……♡」

 

 犬が水を舐め取る時のような音を鳴らしながら、彼女たちは懸命に精液を味わい続ける。まるで、そのことしか頭にないような表情を浮かべ、一心不乱に舌を動かし続けている。

 もう一人の自分とでも呼ぶべき存在の背に舌を這わせ、ただひたすらに精液を味わう。爛れた、非常に卑猥な行為を子供である自分たちが自分の意思で行っている。魔力の塊である精液を嚥下する度に感じる体の昂ぶりは、決して魔力補給を行えたことによる満足感だけではないのだろう。齢十歳程度の自分たちは、完璧に雌としての本能に目覚めてしまっているのだ。

 

「ふ、ふふ……♡ まだ、おしおきは終わってないわよ、マスター……♡」

 

「今度は、私たちのおまんこでおちんぽ扱いて……精液を絞り尽くしてあげちゃうんだから……♡」

 

 やがて、精液を全て舐め尽くしてしまった二人は、果実のような甘ったるい臭いを放つ愛液を滴らせながらマスターに擦り寄った。

 クロエは尻を振りながら彼の顔面に性器を押し当て、舌が膣内を舐められるように位置取る。イリヤは、もう待ちきれないとばかりに荒い呼吸を繰り返しながら、マスターの肉棒に自らの性器をあてがってがに股の格好で制止していた。

 

「はぁ♡ はぁ……♡ ぶっとい、おちんぽ……♡ ソロモンなんかとは比べ物にならない極太おちんぽが、私の中に挿っちゃうんだ……♡ 私のおまんこは、こんな大きいおちんぽをハメられるくらいに拡張されて、子宮も奥まで押し込まれちゃってるんだ……♡」

 

 淫らな言葉を口にしながら腰を沈ませるイリヤは、子供の握り拳ほどもあるマスター亀頭を幼い膣にすんなりと受け入れて淫靡に微笑む。そのまま、自重に任せて体を沈み行かせれば、強烈な圧迫感を伴う快感が自らの膣内に広がっていった。

 これほどまでの巨根を受け入れているというのに、痛みはまるでない。むしろ悦びと充足感で胸がいっぱいで、それが感じている快感に拍車をかけている。自分の膣は、子宮はどうなってしまっているのだろうか? どれほどまでに広げられ、どれほどまで奥に押しやられているのか? そんな疑問を抱きながらも、イリヤの胸中には負の感情は一欠けらも存在していなかった。

 

 マスターとの初めてのセックスで、未だに硬さの残っていた膣を開拓された時のことを思い出す。一突きごとに体の芯が痺れ、脳は沸騰し、意識が震えた。それら全てを内包する快感を前にして、自分の知っていた性の悦びがどれほど幼稚な物なのかを理解させられてしまった。

 今ではもう、その時に教え込まれた快感の完全なる虜となっている。こうしてマスターを罠に嵌め、浅ましく快楽を楽しむ悪い女の子になってしまった自分に対して、イリヤは言い訳じみた思いを口にした。

 

「……このおちんぽが悪いんだもん♡ こんなに気持ち良いこと知ったら、誰だって夢中になっちゃうんだから……♡」

 

 肉棒を根元まで受け入れた腰を、ゆっくりと浮かせる。愛液まみれの肉竿が引き抜かれ、子宮口にぴっちりと張り付いていた亀頭のカリがゴリゴリと肉襞を削り、壁をこそぐ感覚にイリヤの頭の中が真っ白になっていく。

 仰け反り、震え、嬌声を口にしながら、イリヤは限界まで腰を浮かせた。亀頭だけを膣内で咥え込み、ぎゅうぎゅうに締め付けている状態……かっくんかっくんと腰が震え、肉棒を伝って白く濁った彼女の本気汁が垂れ行く中、イリヤは息を整えると、歯を食いしばりながら浮かせた腰を一気に落とし、再び肉棒を膣で咥え込む。

 

「ふひぃいいぃいいぃいいっ♡♡♡ あうぅううぅうっぅっ♡♡♡ うああぁあぁあぁあぁっっ♡♡♡」

 

 甘く蕩け切った膣内を押し広げる亀頭が、最奥部まで辿り着く。子宮口を叩き、軽くイリヤの女として最も重要な器官を押し潰し、そこが定位置であるかのように肉棒が鎮座する。文字通り、マスターに体を貫かれた彼女は、その快感に涎を垂らしながら叫び声を上げた。

 再び腰を浮かせ、沈める。淫らな水音をかき鳴らし、マスターの腰に愛液の雨を降らせながら、何度もその単純な運動を続ける。

 肉棒が引き抜かれる時には全てを持っていかれるような感覚と共に快感を享受し、肉棒を受け入れる瞬間には意識が明滅するかのような快感が全身を駆け巡る。

 体は脱力し、全身が痙攣し、指の一本すらもまともに動かせなくなっても、腰の動きだけは止まらない。何度も何度も、単純な上下運動を繰り返しては

絶頂を迎え続けることを止められない。

 

「ああぁああぁあぁぁああぁっっ♡♡♡ だめぇぇっっ♡♡♡ らめぇええぇえぇっっ♡♡♡ おかしく、おかしくなっちゃうっ♡♡♡ わかってるのに、こしがとまんないよぉおおぉおっっ♡♡♡ ああぁあぁあぁあぁああぁああぁああぁぁあああぁあぁあぁあっっ♡♡♡」

 

 ぶしゅう、ぶしゅうと音を立てて噴き出す愛液。背中を仰け反らせ、声のあらん限りに快楽を叫ぶイリヤ。そんな彼女の姿を見つめながらマスターに自分の膣を舌で愛撫させているクロエは、可愛いお尻を彼の顔面に擦り付けながら再び言葉責めを開始する。

 

「ふふふ……♡ どう? イリヤの子供まんこは気持ち良いでしょ? 私のお尻の下でもごもご言ってるのはわかってるんだから……♡ 今日はマスターの凶悪ちんぽを徹底的に相手して、何回もイかせてあげる……♡ ちっちゃい女の子の体で射精させまくって、立派なロリコンにしてあげるわ♡♡♡」

 

 腰を振り、尻をマスターの顔面に強く押し当てながら舌での彼の行う愛撫を楽しむクロエ。通常の性交に加え、雌奴隷二号として開発されたこの体の弱点を熟知しているマスターは、巧みな舌使いで彼女を楽しませていた。

 腹側の壁をねっとりと舐め上げたかと思えば、今度は浅く何度も舌を出し入れして疑似的な挿入感を愉しませる。ぐちゅぐちゅと舌で膣内を掻き回し、涎と愛液のブレンドを性器から垂れ流させては音を立ててそれを啜り、クロエの恥辱を煽ったりもした。

 ひどく手慣れた……いや、舌慣れた様子でクロエを感じさせるマスターの技術によって、彼女の子宮は随分と下まで降りて来てしまっている。それを感じ取るクロエもまた、この後の挿入の時を思ってはごくりと唾を飲み込むのだ。

 

 ここまで降りて来ている子宮をマスターの巨根で元の位置まで戻され、更に深い位置まで押し込まれる……その快感はクロエの想像など及びもつかないであろう強さを誇り、自分が正気を保っていられるかが不安になる。

 だがクロエはそれ以上に強い期待を抱いていた。じゅくじゅくと疼く子宮が押し潰される時に生まれる快感を味わってみたいと心の底から思っていた。

 魔術も催眠も使わず、決して理性を崩壊させられることもないと確信しているからこそ、安心しているからこそ、彼女はこんな淫らな期待を悠然と抱けるのであろう。ふにふにと褐色の尻を押し付けられている男には見えないであろう悦びの笑みを浮かべるクロエは、彼の舌によってじっくりと挿入の準備を整えていく。

 

「あっっ♡♡♡ ああっ♡♡♡ こしっ、とまらなっ♡♡♡ ふあぁあぁあぁあぁぅっ♡♡♡」

 

「んふっ♡♡♡ は~っ……♡ マスターの舌、気持ち良いところねちっこくぺろぺろしてくる……♡ わたしの好きなとこ、全部覚えちゃってるのね……♡」

 

 激しく腰を振り、肉棒を出し入れするイリヤ。彼の舌の動きに全てを任せ、甘い嬌声を漏らすクロエ。

 対照的な二人ではあるが、互いに快感を貪っていることは確かだ。勿論、本番を行っているイリヤの方が感じている快感は強く、この後にセックスを行うクロエはその前に絶頂を迎えぬようにセーブしているという差はあるが、それでも十分に性交によって快楽を味わっている。

 目の前でイリヤが叫び、仰け反り、だらしない表情を浮かべる姿を見れば、クロエもまたこの後で自分もああなるのだろうと想像して子宮をときめかせた。妹の感じ方から考えるに、そろそろマスターも一区切りをつけてくれるだろうと考えた彼女の予想に違わず、イリヤは甲高い悲鳴を上げて腰を今まで以上に激しく痙攣させ始める。

 

「いぐぅうううっっ♡♡♡ すごいの、きちゃうよぉおっ♡♡♡ おまんこ、ずんずんきてぇっ♡♡♡ こし、とまらなくってぇっ♡♡♡ もうだめっ♡♡♡ だめぇええぇえぇえぇぇええぇぇっっ♡♡♡」

 

 目を見開き、背筋を強張らせて叫ぶイリヤ。その股座は大洪水と呼ぶに相応しい量の愛液を噴き出しており、彼女が多大な快感を味わっていることが見て取れる。

 表情も、体も、全てが快感を叫んでいる。だが、彼女の腰はそれでもまだ足りないとばかりに動き続け、マスターの肉棒を咥え込み、膣内に受け入れていた。本能のままに、思考なんてかなぐり捨てて、ただひたすらに女の快感を貪るイリヤは、全身を脱力させながら絶頂の時を迎える。

 

「あひぃいいぃいいぃいいぃいいっっ♡♡♡ おふっっ♡♡♡ んひぉおおぉおぉおおぉおぉおおぉっっ♡♡♡」

 

 最愛の姉妹の目の前で、イリヤは最大級の絶頂を迎えた。白目を剥き、鼻の穴を大きく膨らませ、口の端から涎を垂れ流すだらしないにもほどがあるアクメ面を晒す彼女であったが、体の方はもっと無様な反応を見せている。

 体は小刻みに収まることのない痙攣を絶え間なく繰り返し、またからは本気汁と失禁した尿の混合液をぶしゅぶしゅと激しく噴き出させ、おまけに尻からは可愛らしい放屁の音が聞こえる始末。無垢な少女であるイリヤが見せる下品で卑猥な姿はクロエの官能を刺激し、次の自分の番へと期待を更に高めた。

 

「……さ、そろそろ代わりましょ。イリヤは少し休憩を――」

 

「おひぃいいいぃいっ♡♡♡ おほっっ♡♡♡ ほおぉおおぉおおおぉっ♡♡♡」

 

 そろそろ、自分も我慢が利かなくなってきた。イリヤを休ませる必要もあると考えたクロエは、彼女と位置を代わろうとしたのだが、それよりも早くにイリヤが再動し、腰を跳ね上げ始めてしまう。

 味わった快楽が深すぎて、もっと欲しくなってしまったのだろうか? 普段の優等生ぶりが嘘のような彼女の姿に苦笑しながら、クロエはイリヤに向けて注意とも警告とも取れる冗談を口にして、彼女を諫めた。

 

「もう、イリヤったら。マスターのおちんぽが気に入ったからって、わたしの順番を抜かすことはないでしょ? そんなにがっつかないで、少し休んでから二回戦を始めなさいよ」

 

「おうっ♡♡♡ あうううぅうっ♡♡♡ あ~~っっ♡♡♡ うあぁあぁああぁぁあああぁっっ♡♡♡」

 

 イリヤを窘めるクロエの声も、今の彼女の耳には届いていないようだ。一心不乱に腰を振り、ただひたすらに快楽を貪っている。

 本当に随分と乱れてしまったものだなと呆れ半分、仕方がないと諦めも半分といった感情を胸に、そんなイリヤを見守っていたクロエであったが……ふと、違和感に気が付いて眉をひそめた。

 

「ク、ろぉ……♡ わたひ、おかしく、なっ♡♡♡ おおおぉおっ♡♡♡ こひぃ、とみゃらな、あああぁあぁああぁあっっ♡♡♡」

 

 どうにも、イリヤの様子が変なのだ。セックスを楽しんでいるようには見えるが、その動きはまるで自分の意思で腰を振っていないようにも見える。

 例えるならばそう、懸命に腰を振り続けるように命令され、それに逆らえなくなっているような状態。味わう快感には心の底から喜んでいるものの、あまりにも強い快感に脳が沸騰してしまっている。

 腰だけが自分の意思とは反して延々と上下運動を繰り返しようにプログラミングされているかのように動き続けるイリヤの姿に対する違和感が、クロエの中でありありと膨れ上がったその時だった。

 

「あっ……!?」

 

 強く熱い何かが、クロエの太腿に触れた。がっしりとそこをホールドし、クロエが立ち上がることを阻止する手と絡みつく腕……その持ち主である男の行動に驚くクロエは、目を見開いて呟く。

 

「マスター……あなた、拘束が外れて……!?」

 

「あひぃいいぃいいっっ♡♡♡ きもちいいいぃぃっ♡♡♡ とまらっ♡♡♡ ないよぉおおおっっ♡♡♡ はおおぉおおぉおおおぉおおおおぉおっっ♡♡♡」

 

 腕の拘束が外れ、体を自由に動かせるようになったマスターは、腰を跳ね上げるとイリヤを一撃でKOした。がくりと崩れ落ちる彼女の体を受け止め、そっと頭を撫でたマスターは小さな声で呟く。

 

「これで、こんな悪いことをしたおしおきは十分かな? この後で優しく可愛がってあげるから、ちょっと待っててね……」

 

「うん……♡ わかり、まし、たぁ……♡」

 

 甘く優しいその声に頷くイリヤは、はぁはぁとこれまた甘い吐息を繰り返しながらそう答えた。ぶしゅぅ、ぷしぃと噴き出す愛液は、チョコレートのように甘い臭いを部屋の中に撒き散らしている。

 そうしてイリヤを落ち着かせたマスターは、今度はついさっきまで自分の顔に尻を乗せていた魔法少女を抱き締めると、彼女の膣に未だに大きく屹立している肉棒をあてがう。準備万端どころか今までにないほどの興奮を見せるクロエの膣と子宮はその瞬間を悦んでおり、クロエもまたぶるぶると体を震わせながらその瞬間を受け入れる。

 

「あっ……!!」

 

 濡れそぼった膣口を開き、侵入してくる亀頭。それは容易く下降していたクロエの子宮に届き、それを押し上げる。

 下から、上へ……もしもマスターが一息に腰を突き入れていたのならば、その快感はクロエの脳細胞を死滅させるほどの強さを誇っていたに違いない。理性、思考、感情、それら全てを破壊しきり、クロエに未知の強大な快感を味合わせていたことだろう。

 だが、マスターは敢えてゆっくりとした動きで肉棒を挿入し、クロエを犯した。それは決して彼女のためではなく、むしろ彼女に対する折檻とでも呼ぶべき行為であったのかもしれない。

 

「ん、へ、お……♡ おぉ……っ♡」

 

 じわじわと、降りていた子宮が元の位置へと押し戻される。エレベーターが一階ずつ上昇し、ゆっくりと昇っていくように……自分の女性としての象徴がマスターの雄としての象徴に押し上げられて行く様が、クロエにははっきりと感じられてしまっていた。

 

「ひ、ぃ……♡ あ、あ、ああっ……♡」

 

 わかってしまう、自分の体がどうなっているのかが。かつて、ソロモンの下に居た時に子宮が位置していた場所は、もうとっくに通り過ぎた。今ではもうそこに子宮があるのはおかしいと考えるくらいで、自分のそれはもっと深くにあるものだと当たり前に思ってしまっている。

 1cmずつ、子宮が押し上げられる度、クロエの体が弓なりにしなっていく。抱き締める腕の力はそれに比例して強まり、抱き締められるマスターの腕にもまた力が込められていく。

  

「はっ♡ はっ♡ はっ……♡ は、ぁあ……っ♡」

 

 声にならない叫び。吐息に紛れる昂ぶり。雌穴を耕され、開拓され、絶頂に押し上げられる。

 終わらない。止まらない。快楽の頂点から降りられない。この肉棒を受け入れたその瞬間から、クロエはイキっぱなしになっていた。

 

「は、ぁぅ♡ ひっ、ひぃぃ……♡ ん、っっ……♡ ちゅぅ……♡」

 

 そうやって、マスターの肉棒の全てを膣内に受け入れたクロエは、なおも興奮し、イキ続けている身体に更なる快感を染み込まされる。

 唇を塞ぎ、舌を絡ませてくるマスターのキスを受けた彼女は、唾液と共に送り込まれる魔力と快感に意識を混濁させながら必死にそれに応えた。

 

(あま、い……♡ とけちゃう……♡ わたしが、とろとろになって、とけちゃう……♡)

 

 甘すぎる。優しすぎる。幸せすぎる。それが、逆に怖い。このまま自分の体が消えてなくなってしまうのではないかと思えるくらいに、幸福と快感が甘く切なすぎた。

 そっと唇を離し、お互いに見つめ合う両者。イキ続けているクロエにとってはその瞬間もまた快楽を味わう瞬間となり、自然と頬が釣り上がってしまう。

 そんな彼女の頭を優しく撫で、強く抱きしめたマスターは、クロエの耳元で優し気な声を漏らした。

 

「……拘束なんて、して欲しくなかったな。もっと早くから、クロとイリヤのことをこうして抱き締めたかった」

 

「は、ぁ……っ♡ うぅ……っ♡」

 

「優しく抱きしめて、チョコみたいに甘いキスをして、ありがとうって思いながら気持ち良くして……そうやって、胸がぽかぽかするバレンタインを過ごしたかったから、乱暴なことをされてちょっとだけ怒ったよ。でも、もうおしおきはこれくらいで十分かな」

 

「はぅぅぅ……っ♡ う、あぁ……っ♡」

 

 ずるずると引き抜かれていく肉棒。だが、もう子宮は降りて来ない。今のクロエにとって相応しい場所に留まり、未だ与えられていないお返しを求めてけたたましく叫び続ける。

 浮かび上がった体が、マスターの右脚に尻を乗せるようにして置かれた。同じく左足にはイリヤが座り、両方の腕が背後から彼女たちを抱き締める。

 

「んちゅ……♡ ちゅぱ、ちゅぅ……♡」

 

「れろ……っ♡ ちゅぅ♡ んちゅ♡」

 

 一枚の大きな舌に絡みつく二つの小さな舌。マスターの舌に自分たちの舌を這わせるイリヤとクロエ。ぴちゃぴちゃと唾液を滴らせ、舌先で感じる甘みに胸をときめかせる彼女たちは、やがてキスが終わると共におずおずとした様子でマスターに謝罪した。

 

「マスターさん、ごめんなさい……♡ 私たち、どうしてもマスターさんとイチャイチャしたくって――」

 

「手段を選ばないで、乱暴なことをしてごめんなさい♡ 本当にひどいのは、わたしたちの方だったわね……♡」

 

「ん……もう良いよ。なんだかんだで俺も楽しめたし、こういうのもたまにはアリかもって思えたしね」

 

「「あっ……♡♡♡」」

 

 背を撫で、頭を優しく叩き、二人を許したマスターは、腕に少し力を込めて彼女たちの小さな体を抱き寄せた。そして、その耳元に唇を寄せると、小さな声で囁いてみせる。

 

「……じゃあ、ここからは三人で楽しもうか。貰ったチョコのお返しをたっぷりしてあげるよ。二人のお腹がいっぱいになるくらいに、ね……!」

 

「「……♡♡♡」」

 

 ずくり、と彼の甘い囁きに未成熟な子宮が疼く。熱が増し、体が震え、頬がかぁっと紅潮してしまう。

 今、自分たちが欲しがっているもの。この子宮の中に溢れんばかりに注いで欲しいものの熱さと濃さに思いを馳せた二人は、ごくりと喉を鳴らして涎を飲み込んだ。そして、お互いに顔を見合わせてふわりと微笑む。

 

「……順番、どうしようか? こんなことで喧嘩しちゃいけないよね?」

 

「そうね……仲良くしましょう。良い子らしく、エッチな娘らしく……あま~いセックスを楽しまないと、ね……♡」

 

 自分たちは良い子だ。聞き分けもいいし、失敗を反省することだって出来る。でも、自分たちは悪い子だ。まだ両方の指で何とか数えられるくらいの歳なのに、こんなに淫らに育ってしまった。

 でも、それで良い。この温もりの中で、自分たちは幸せな少女だと胸を張って言えるのだから。胸の内に芽生えた温かな感情を大切にして、これからもこのカルデアで過ごそうと思えるのだから。

 

「私はもうセックスしたから、クロからでいいよ。たっぷりたっぷり、注いでもらって……♡♡♡」

 

「じゃあ、その次はイリヤの番ね。いっぱいいっぱい、愛してもらいなさいな……♡♡♡」

 

 特にもめることなく順番を決めて、魔法少女たちはふわりと微笑んだ。そうして、セックスを始める前に背伸びした彼女たちは、マスターの両頬に口付けをして悪戯っぽく笑う。

 

「……私たちのこと、こんな風にしたんだから――♡」

 

「責任取って、これから一生面倒を見てよね、マスター……♡」

 

 幸せそうに笑う少女たちにそんなことを言われたら、断れるはずもない。苦笑しながら頷き、愛らしい少女たちを強く抱きしめた後、彼女たちの要望に応えるべく、マスターは甘い快感をイリヤとクロエに味合わせ、一足早いホワイトデーの贈り物を彼女たちに堪能させたのであった。

 

 










概念礼装
『ホワイト・スイート・ハート』
『ブラック・ビター・ラブ』


バレンタインにそれぞれイリヤとクロエから贈られたチョコレート。材料がホワイトチョコとビターチョコであること以外は特に差異はない。
この二つの他にもマスターが食した(細工済みの)三つ目のチョコレートがあるが、そちらは彼を罠にかけるためのものであるため礼装とはならなかった。

アイリスフィール(天の衣)も加わって、三人で仲良く作り上げたチョコレートは、年相応の可愛らしい出来。実は同じ物が幾つか作られており、カルデアの大英雄と抑止力の暗殺者にも贈られている。

きっと、この贈り物を受け取った者たちが何よりも喜ぶのは、底知れぬ闇の中にいた彼女たちが家族そろって笑顔で幸せに今日という日を過ごしているという事柄に対する思いが大きいのであろう。


装備効果

イリヤスフィール・アインツベルン
クロエ・フォン・アインツベルン
ヘラクレス
エミヤ(アサシン)

上記のサーヴァントが装備可能。装備した者が登場した際、味方のHP上限を(中)UP。
下二人に関しては、それに加えて自身のNPが100%チャージされる効果を発揮する。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖杯大戦再動 Apocrypha
邂逅


遅くなってしまってすいません。
その分、今回は多めに投稿させていただきます。


 

 

 ただっ広い平原。風が吹き抜ける音だけが響くこの場所には、自分たち以外に動くものは見受けられない。強いて言うなら、風に揺れる草木くらいのものだ。

 しっかりとした地盤。熱くも寒くもない気温。周囲に危険を被る危険性を持つものは無し。そこまで確認し終えたマスターは、そっと呟く様にしてカルデアとの通信を試みる。

 

「カルデア、応答を。こちらは無事にレイシフトを完了させた。この特異点の時代と位置を教えて欲しい」

 

『――ぱい、……らも、……です。ま――が、あん……ない……』

 

 返答として帰ってきたノイズ混じりの通信を耳にした彼は、眉をひそめた後ではぁと溜息をつく。そんなマスターの背後からは、周囲の警戒を怠らないまま彼に声をかけるサーヴァントたちの姿があった。

 

「カルデアとの通信が上手くいかない様ですね。やはり、この特異点が異質なのでしょうか?」

 

「ま、それ以外考えらんねえだろ。レイシフトの時もそうだが、なんか妙だな……」

 

「情報もなく、戦力も心許ない険しい状況! これこそが反逆の戦い!」

 

 それぞれジャンヌ、モードレッド、スパルタクスの言葉。レイシフトを終えた三人は自らの感想を口にしつつ、マスターへと視線を注ぐ。

 ここからどう動くのか? その指示を求めるサーヴァントたちの眼差しを受け、暫し考えを巡らせた後……彼は、取り敢えずといった形で周囲の探索を行うことを告げ、行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この特異点が発見されたのは、つい数時間前のことだった。

 カルデアの監視に引っかかった特異点の存在を受け、ダヴィンチちゃんはマスターをはじめとした戦力を招集、迅速にこの特異点を修復することを話し合いの中で決定し、早速その準備に入った。

 ただ、この特異点はかつて巡ったことのあるどの位置にも該当しない特殊な物であることが計測データから知られていた。カルデアのマスターの言葉を借りるなら、季節ごとに出現する()()()()()()()とでも呼ぶべきものであり、その詳細な情報は掴めないままでのレイシフトを強いられたのである。

 

 無論、この状況ならば十二分に戦力を整え、万全を持して特異点に臨むつもりであった。何が起きるかわからない場所に向かうなら、これは当然のことであろう。

 しかし、ここで一つの問題が浮上する。なんと、レイシフトを行おうとすると多くのサーヴァントがその特異点に拒まれているかの様に世界から弾かれてしまうのだ。

 幸か不幸か、エラーを吐くのはサーヴァントのみであり、カルデアのマスター単独ならば問題無くレイシフトを行えることは予想出来たのだが、流石に何が待ち受けているかわからない特異点に彼を一人で送り出すことは良い策とは思えない。出来る限りの戦力を彼と共に送り込むためにダヴィンチちゃんたちサポート班たちによって解析が進められた結果、この特異点に弾かれないサーヴァントたちとして名前が挙がったのが先ほど述べた三人である。

 戦力が十分に整ってきたカルデアが、この特異点に極少ない戦力でレイシフトを行ったのは、この様な背景があった。

 

 そして今、レイシフトを無事に終えた一行は、何処かもわからないこの特異点を情報を求めて彷徨っている。しかして、歩いても歩いても平原が続くばかりで、人どころか動物の姿すらも見つけ出すことは出来なかった。

 

「ほんと、ここは何処なんだ? せめて街を見つけられれば、住民から話を聞くことが出来るのに……」

 

 行軍によって汗ばんだ顔を手で拭い、ぼやきを口にするマスター。何とも不可解な状況に一抹の不安を抱くも、それをサーヴァントたちに気取られぬ様に心の中で押し留める。

 不安定な状況でこそ、自分が堂々としていないといけない。リーダーとして、仲間たちを指揮しなければと強く自分に言い聞かせた彼は、その仲間たちへと声をかけた。

 

「どう? みんなは何か気が付くことはある? 細かいことでも良いから、話してくれると助かるな」

 

 勘の良いモードレッドや天啓を得られるジャンヌなら、何かこの特異点で気が付いたことがあるかもしれない。そう考えたマスターが彼女たちに尋ねてみると、二人は顔を見合わせた後で気難しい表情を浮かべて押し黙ってしまう。

 それは、話すことは何もない……という表情ではなかった。むしろ、何か気が付いているからこそ、彼女たちはそれを言葉にしようとするのだろう。しかし、それをどう形容すればいいのかがわからない、そう表情で告げている彼女たちの顔をマスターが交互に見比べていると――

 

「見覚えが、ある。この地には、見覚えがある」

 

 予想外の所から声があがり、マスターはそちらへと顔を向ける。声を発したのは、堂々と平原に仁王立ちしているスパルタクスだ。

 その言葉の意味を彼に尋ねようとしたマスターであったが、それよりも早くに先ほどまで口を噤んでいた二人が堰を切った様に喋り出したことで、再び顔を彼女たちの方へと向ける。

 

「オレもだ。この場所には見覚えがある。でも、ここが何処なのかはわからねえんだよな……」

 

「実は私もです。この地に降り立った時から、妙な既視感を覚えていました」

 

「……三人は、ここに来たことがあるってこと? もしかして、それが他のみんなと違って、レイシフトに対応出来た理由なのか……?」

 

 サーヴァントたちが揃って口にしているこの場所への既視感。多くのサーヴァントたちの中からこの地へのレイシフトを行えた三人が同じことを述べるのなら、これはただの偶然ではないのだろう。

 しかし、この三人は生きた時代も国も違う。ということは、生前にこの地を訪れたということは考えにくい。

 であるならば……三人がこの地を訪れたのは、死んだ後。つまり、サーヴァントとなってからだ。英霊となった三人は、何らかの理由でこの地に呼び出された。そう考えるのが自然だ。

 そして、サーヴァントが呼び出される時点で、この地で何が行われたのかも予想がつく。聖杯を巡り、幾人もの魔術師と英霊が戦いを繰り広げたのであろう。

 

(ここは、聖杯戦争が行われた土地……でも、なんでだ? ただそれだけの理由で特異点が生まれるのか? 聖杯戦争が行われた場所なら、他にも当てはまる土地があるはずだ。なのに、何故この場所だけ……?)

 

 朧げだが、この特異点のことがわかってきた。しかし、それと同時に別の疑問も生まれてしまう。特異点について、新たに生み出された疑問について、もう少し考えを巡らせたいマスターがより深い思考へと意識を潜らせようとした、その時だった。

 

「――っっ!?」

 

 びゅごう、と風の吹く音が、耳元で鳴った。この平原に吹く風が、耳鳴りを鳴らしたのであろうとそこまで深く考えることのなかったマスターであったが、同時に違和感にも気が付く。

 それは、風の強さだった。今の風は、これまでにこの平原で聞いていた平原と比べ、明らかに激しく、疾い風だ。下手をすれば、マスターの体が浮き上がってしまうほどの突風が、突如として吹いた。一体、何故?

 マスターがその違和感に危機を感じ取って思考を中断したのと、彼のすぐ近くで金属同士がぶつかり合う音が響いたのは、ほぼ同時であった。

 

「……俺の攻撃に反応するとは、お前、どんな反射神経してるんだ?」

 

「なんだっ、テメェはっ!?」

 

 驚きと感心の感情を滲ませた軽い声。襲撃者の槍をクラレントで受け止めるモードレッドは、彼のその一言に怒りを露にする。

 暫し鍔迫り合いを続けた両者であったが、襲撃者の男は強く力むとモードレッドを押し飛ばし、自分は逆に後ろに飛び退いて距離を取る。マスターを守る陣形を取ったサーヴァントたちは、油断なく槍を構える襲撃者に対して冷や汗を滲ませながら対面した。

 

「モードレッド、無事!?」

 

「ああ、問題ねえよ。だが……アイツ、滅茶苦茶強いぜ。今のやり取りだけでわかるくらいにな」

 

 一瞬のやり取りで敵の力量を計ったモードレッドは、そう告げながら剣を握る手に力を込める。マスターもまた、睨み合いの続く戦場の中で襲撃者に視線を向け、彼を観察した。

 

 長身かつ鍛え上げられた体躯を持つ美丈夫。それが、襲撃者を見たマスターの第一の感想だ。どこか爽やかさを感じさせる振舞いとその容姿からは、彼が持っているであろう陽気さが感じられる。

 恐らくはマスターが感じた突風は彼が疾走した際に生じたものなのであろう。その敏捷性と弱体化しているとは言え、サーヴァントであるモードレッドを押しのけるだけの力を考えれば、彼もまたこの地に召喚された英霊であることは間違いない。

 問題は、彼のクラスだ。武器と俊敏性から考えるに槍兵(ランサー)である可能性が非常に高いが、断定は出来ない。その上で、彼の真名に関しては予想すら出来ない状況だ。

 

 突然の襲撃に動揺していたマスターであったが、思考を巡らせているうちに幾分か冷静さを取り戻すことが出来た。冷えてきた頭で襲撃者への対応を考えたマスターは、まずは会話による解決を目論む。

 攻撃は受けたものの、こちらには彼と敵対する理由は無い。向こうの事情を聞くことによって、情報を掴むことも出来る。こちらとしても消耗を避けたいという考えの下に口を開こうとしたマスターであったが、それよりも早くに襲撃者の方から彼に向けての質問が飛んできた。

 

「おい、お前……そう、白い服のお前だよ。お前、人間だな? サーヴァントを連れてるってことは魔術師なんだろうが……どういう目的があってここに来た? 俺たちを呼んだのは、お前なのか?」

 

「え……? い、いや、確かに俺は魔術師でマスターだけど、君を呼んだ人間じゃあない。俺たちもここに来たばかりで、右も左もわからない状況なんだ」

 

「ほう……? にしちゃあ、おかしな話だな。俺は今まで、お前以外の人間に会うことはなかった。その若さで三人ものサーヴァントを連れているんだ、相当に名うての魔術師なんだろうよ。そんなお前が俺たちを呼んだんじゃないってんなら、他の誰が仕掛け人なんだ?」

 

「待ってくれ! 俺も状況を理解出来てなくて、本当に何も知らないんだよ! ……って、ちょっと待って、今、()()()って言ったよね? これまでに俺以外の人間に会ってないって言うなら、君の他にもサーヴァントがこの特異点に居るの!?」

 

「……目聡く、賢いのは良い。だが、勘違いするなよ? 今、質問をしてるのは俺だ。お前が納得のいく答えを言えないってんなら、ここで剣を交えても構わないんだぜ?」

 

「うっっ!?」

 

 目の前の、謎のサーヴァントが放つ威圧感が膨れ上がった。重く、冷たく、鋭い殺気を放ち、槍の穂先をマスターの眉間に突き付ける様に構える彼の姿は、見ているだけで呼吸が苦しくなるほどの重圧感を感じさせる。

 ぴりりとした緊張感が戦場に漂う。マスターからしてみればお互いに戦う理由などないのだが、彼がこちらの話を静かに聞いてくれるとは到底思えない状況になってしまった。

 もはや、戦いも止む無し……そう覚悟を決め、出来る限り消耗を抑えて襲撃者の説得を試みようとするマスター。

 彼が右手を構え、令呪を掲げながらサーヴァントたちに指示を出そうとしたその時、彼の身に異変が起きる。

 

「ぐっっ!? うあぁぁぁぁぁっっ!!」

 

「マスター!? どうしたんだ!?」

 

 突如として苦悶の声を上げ、その場に蹲るカルデアのマスターに彼のサーヴァントたちは動揺しながらも彼に近づき、その安否を問う。

 自らの右手を抑え、痛みに呻く彼の姿を見て取ったジャンヌは、そこに刻まれつつある痛みの元凶と思わしき存在を見て取り、目を丸くした。

 

「これは、令呪!? しかも、画数が三つ以上ある……!?」

 

 マスターの右手の甲から手首、果ては腕まで侵食しているのは、サーヴァントに抗えぬ命令を行使するために使う魔術、令呪であった。今、彼の右手では、カルデアとの繋がりを経て刻まれていた三画の令呪に上書きされ、更に複数画の令呪が出現している。

 

「なん、なんだ……? どうして、令呪が増えて……!?」

 

「その理由を知りたいかい、元マスター」 

 

 困惑し、令呪の増えた自らの手を見つめていたマスターの耳に聞き覚えのある声が届く。

 闊達であり、無邪気であり、少年のようにも少女のそれにも聞こえるその声の主の姿を思い浮かべると共に、マスターは声のした方向へと視線を向け、彼の姿を見止め、大きくその目を見開いた。

 

「アストルフォ……? どうして、お前が――っっ!?」

 

「どうしてって、ソロモン様と一緒に元マスターを始末するために決まってるじゃん! ボクたちは、そのためにこの特異点にやって来たんだからさ!」

 

 からからと陽気に笑いながら、残虐な台詞を口にするアストルフォの瞳には狂気に満ちた光が灯っている。彼もまた、ソロモンに操られていることを悟る一行であったが、それ以上に衝撃的なものを目の当たりにしたマスターたちは、ただ声も出せぬまま()()を見つめ続けることしか出来ない。

 そうやって、言葉を失ったカルデアの面々に代わり口を開いたのは、つい先ほどまで彼らと相対していた謎のサーヴァントだった。

 

「何故……!? どうしてだ!? 何で、あんたがそんな姿に……っ!?」

 

 苦し気に、これ以上無く辛そうに、声を絞り出すという表現がしっくりくる様子で、彼はアストルフォと共に現れたもう一人のサーヴァントに問いかける。だが、彼のその声に反応する者はなく。ただ吹き抜ける風と共に声は消え去るだけだ。

 マスターたちもまた、謎のサーヴァントとほぼ同じ思いを抱き、信じられないとばかりに彼女へと視線を注ぐ。

 

 全身に黒い毛皮を纏った獣。今の彼女は、以前の面影を残しながらも全く別の存在へと変化していた。その瞳には光はなく、彼女は虚ろな表情のまま空を見つめている。

 彼女の身に何が起きたのか、その詳細を知る手立てはない。されど、ソロモンを裏切り、カルデアに協力した彼女がどれほど苛烈な責めを受けたのかはその姿から察することが出来た。

 

 あの海の上で、救えなかった。手を掴めなかった。彼女が消え失せる瞬間がマスターの脳内でフラッシュバックする。

 オケアノスでの失敗の代償がこの再会だとするのなら、彼はどれほどあの時のことを後悔してもし切れないだろう。子供を愛し、仲間を救うために命を懸けた彼女の変わり果てた姿に慟哭しながら、マスターは小さく彼女の名を呼んだ。

 

「アタランテ……っ!!」

 

「ふふ……! 感動の再会だね、元マスター。でも、彼女の方はキミのことを覚えてはいないと思うけどね! ふふふ、はははははははは……!!」

 

 言葉を無くしたマスターたちは、ただ黒き獣と化したアタランテの姿に絶句するしかない。

 広く、何処までも続いていそうなこの草原の中では、絶望的な表情を浮かべるカルデアのマスターの様子を見て嗤うアストルフォの声だけが響き続けていた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

集結、両陣営

遅くなってすいません。短いですが、お話を進めます。
なかなかエロを挟む余地が見つからないので、もしかしたらこの特異点ではエロはないかもしれません。
終わった後に一気に書く感じになるかもです。


 

「アタ、ランテ……! その姿は、一体……!?」

 

「ん~? ……決まってるじゃん、裏切り者であるこいつには、ソロモン様直々の再調教が施されたんだよ! 霊基に影響が及ぶほどの、苛烈な調教を、ね……!」

 

「……わかっちゃいたが、殺したくなるほど胸糞の悪い話だ。心底腐ってやがるな、ソロモンの野郎!」

 

「あははははっ! そんなに怒らないでよ~! 彼女がこうなったのは、君たちの責任でもあるんだよ? 中途半端に期待させたアタランテの手を掴めなかったのは、他ならぬ元マスターたちじゃないか!」

 

「ぐっ……!!」

 

 グサリと、アストルフォの放った一言が、ナイフのように鋭くマスターの胸に刺さる。

 彼の言うことは正しい。あのオケアノスの海で、ソロモンを裏切って自分たちに協力してくれたアタランテを助け出せなかったことは、確かにマスターたちの落ち度だ。戦いに勝利こそは収めたものの、カルデアの誰もがアタランテを救えなかったことを後悔していた。

 だからこそ、次の機会には必ず彼女を助け出すと心に固く誓っていたのだが……まさか、こんなにも残酷な形での再会が訪れるとは、この場に居る誰もが想像していなかったのである。

 

 黒き獣と化し、何の感情も浮かんでいない瞳をこちらへと向けているアタランテは、ソロモンからどんな罰を下されたのだろう? きっと自分たちの想像を遥かに超えた責め苦が彼女を襲ったのだろう。だが、気丈な彼女は再び取り戻した誇りを手放すことはしなかった。アタランテは強く、美しく、優しい女性……英傑と呼ぶに相応しい、心の強さを持っていたから。

 だからこそ……彼女は、ああなった。その美しい心を根こそぎ削り取られ、何も感じなくなる人形に、獣へと堕とされてしまったのだ。

 霊基が反転するほどの苦しみを受け続けても、アタランテはソロモンに屈しなかった。その結果として訪れた最悪の事態を目の当たりにしながら、マスターは自分の無力さに怒り、ソロモンへの憎しみを募らせていく。

 

「それで? この場でやり合うのか? こっちは丁度ウォーミングアップも終わって、体が温まってきたところだ。お望みなら、幾らでも相手になってやらぁ!」

 

「う~ん、それは遠慮しておこうかな。だってほら、単純に数の上でもこっちが不利だし、今回は無能な元マスターにこのアタランテのことを紹介するのが目的みたいなところがあったし、それに何より――」

 

 けたけたと楽し気に、されど邪悪な笑みを浮かべながら話していたアストルフォは、視線をマスターたちから緑髪のサーヴァントへと向ける。そして、今までの様子とは一変した無表情にも近しい顔で、意味深に呟いた。

 

「――そっちはまだ、手駒が揃ってなさそうだしね」

 

「手駒、だって……? どういう意味だ!?」

 

「ははっ、焦んなくってもその内に理解することになるよ! ま、何にしたって、元マスターがソロモン様に勝つなんてことは有り得ないだろうけどさ! そんじゃ、次に会う時は全力で殺し合うってことで、バイバ~イ!」

 

 ひらひらと手を振ったアストルフォが大きく口笛を吹けば、天から舞い降りた幻馬(ヒポグリフ)が瞬く間に2人を背負い、瞬時にこの場から離脱していく。正に一瞬の出来事であったそれに対応することも出来ず、追撃の手段も持たないマスターたちは、ただ歯噛みして去っていくアストルフォたちの姿を見送ることしか出来なかった。

 

「アストルフォ、アタランテ……2人が、この特異点に来ているなんて……」

 

「……マスター、彼の口振りでは、どうやらこの特異点にはソロモンも来ている様子。彼との直接対決となれば、激戦は必至です」

 

「はっ! 丁度いいじゃねえかよ! 今までの借りを纏めて返してやるチャンスだ!」

 

 短く、衝撃的ではあったものの、アストルフォとの邂逅を経て得られた情報を元に話し合いを進める一行。その最中、マスターはつい先ほどまで自分たちと戦っていた緑髪のサーヴァントへと目を向けた。

 アストルフォは、カルデアのマスターはまだ手駒を揃えていないと彼を見ながら言った。その行動から察するに、彼は自分たちに味方してくれるはずの存在なのかもしれない。

 交戦こそしたものの、彼がソロモンの配下でないことはアストルフォの態度からも間違いないだろう。それに、アタランテの姿を見てショックを受けていた以上、かつての彼女の姿を知っている存在である可能性は高い。

 

 何とか、彼と話をしてみたい。そう考えたマスターが顔を上げると、向こうもまた真剣な表情でこちらへと視線を注いでいる姿が目に入った。

 そのまま、ずかずかと大股でカルデアのマスターたちへと近づいて来た彼は、様々な感情を入り混じらせたような表情で、されどそれを懸命に押し殺した声で、質問を投げかけてくる。

 

「お前たち、さっきのピンク髪のサーヴァントの知り合いか? それと姐さ……アタランテのことも知っているみたいだな。ならば答えろ! 彼女の身に、何があった!?」

 

「ま、待ってくれ! 俺たちも全てを理解出来ている訳じゃあないんだ。少し落ち着いて、考えを纏める時間を――」

 

「そんな時間をくれてやる余裕はねえ! いいから早く質問に答えろ。こっちはイラついてしょうがないんだよ!」

 

 緑髪のサーヴァントは、怒気を強めてカルデアのマスターへと詰め寄る。その威圧感は、先ほどモードレッドと剣を交えていた時よりも強まっており、その態度からマスターは、アストルフォの話とアタランテの姿が彼にとってどれだけの衝撃を与えたのかを察することが出来た。

 やはり、彼は敵では無いらしい。だが、この頭に血が上った状態ではまともに話を聞いてくれはしないだろう。まずは落ち着いて情報交換をしたいところではあるが、ヒートアップする彼をどうすれば冷静に出来るのかがマスターにはわからないでいた。

 とにかく、落ち着いて会話を試みてみよう。そうしていれば徐々に彼も落ち着いてくれるかもしれない……マスターはそう考え、それを実行に移そうとしていたところ、思わぬ助け船が彼に向って出された。

 

「落ち着きなさい、ライダー。そんな状態では、聞いた話もまともに頭に入ってこないでしょう」

 

「っっ!?!?」

 

 不意に響く、物静かながらも威厳のある男性の声。その声を耳にした緑髪のサーヴァントは、びくりと体を震わせて動きを止めた。

 背後へと振り返った彼に釣られ、同じ場所へと視線を向けたマスターたちは、いつの間にか姿を現した長髪の男性英霊の姿を見止める。その男性は、そのままゆったりとした足取りで、カルデア一行の元へと近づいて来た。

 

「申し訳ありません、私の教え子が失礼をしました。しかし、彼にも熱くなる理由があるのです。どうか、そのことを理解してやってください」

 

「え、あ、は、はい……えっと、その……あなたは?」

 

「……この世界に呼び寄せられた英霊……真名はケイローン、弓兵(アーチャー)のサーヴァントです」

 

「せ、先生っ!? どうして真名を!? こんな奴らを信用するつもりですか!?」

 

「ライダー、事は我々の予想を遥かに超えた複雑さを呈しているようです。私たちを呼んだ存在も見つけられない内に敵対勢力まで出現してしまった。ならば、多少のリスクは覚悟してでも行動を起こすべきでしょう」

 

「敵の敵は味方って言葉もあります……でも、俺は……っ!!」

 

 激しく動揺した様子でケイローンへと詰め寄るライダー。今までのやり取りから察するに、この2人の関係性は師と弟子ということのようだ。そして、ライダーの方は生前からアタランテのことを知っているように見受けられる。そこまでの情報を得たマスターは、この騎兵の正体を思い当たり、驚きに息を飲む。

 

 最近、英霊たちについての勉強を始めた彼は、多少なりとも彼らの生い立ちや人生について詳しくはなっていた。だからこそという訳ではないのだが、目の前にいるこの英霊は、例えマスターが勉強をしていなくてもその名前だけは知り得ていた可能性が高い。

 彼に関する文献は、神話を調べれば幾らでも出て来る。オケアノスでの戦いを経てカルデアに帰還したヘラクレスやヘクトール、そして先ほど出会ったアタランテについて学んだ際に、彼の名前は当然のように上がってきた。

 それは韋駄天の代名詞。ヘラクレスと双璧を成す、ギリシャ神話最強の英雄。文献から、仲間たちから、何度もその名を聞いていたマスターは、まるで予想外の出会いに驚きつつ、ケイローンと会話を続けるライダーへとこう尋ねた。

 

「まさか、君は……アキレウス、なのか……!?」

 

「……ちっ、やっぱりこうなったか。まあ、先生の名前を出しても俺の真名に辿り着けない馬鹿じゃあなかったってことを喜ぶしかねえよな……」

 

 マスターの質問を暗に肯定したライダー……アキレウスは、やや苦々し気な表情を浮かべながらも自分自身に言い聞かせるようにして真名が判明してしまったことを納得しようとしていた。そんな彼とケイローンの姿を交互に見つめながら、マスターは困惑と興奮の入り混じった感情を胸に抱く。

 

 ギリシャ神話最強の英霊の1人であるアキレウスとその師、ケイローン。この2人が味方に近しい存在として特異点に召喚されていた。誰がそんなことをしたのかも、どうしてそうなったのかもわからないが、2人が強力な援軍であることは間違いない。

 そこまで考えたマスターは、先ほどのアストルフォの言葉を思い出す。彼の言った手駒とは、アキレウスたちのようにこの特異点に召喚されていたサーヴァントたちなのではないかと思い当たった彼は、その考えが正しいのかどうかを確かめるためにケイローンへと質問を投げかけた。

 

「あの、ケイローンさん。もしかして何ですが、あなたたち以外にもこの特異点に呼ばれたサーヴァントが居るんじゃ……?」

 

「……ええ、その通りです。私とアキレウスの他に、3騎の英霊がこの地には召喚されています。彼らも自分たちを呼び出した存在や、目的はわかっていないようですがね……」

 

「やっぱり! そのサーヴァントたちに会うことは出来ませんか!? この特異点の修正には、皆さんの力が必要なんです!」

 

「……いいでしょう。どうやらあなたたちは数々の情報を得ている様子。これから私たちの拠点に案内した際、あなたの知る限りの情報を提供していただけるのなら、私の仲間たちもあなたを招き入れたことを納得してもらえるでしょう」

 

「勿論です! お互いの情報交換をしあって、これからのことに備えましょう! 早速、その拠点へ移動を――」

 

「ああ、その必要はないですよ。だって、ほら……」

 

 迅速に行動を起こそうとするマスターに手を振り、少し悪戯っぽい笑顔を見せたケイローンは、指を自分の真上へと向ける。その瞬間、カルデアのマスターたちを黒い影が包み、同時に空気を唸らすほどの振動が巻き起こった。

 突然の異変に驚き、周囲を見回したマスターたちが目にしたのは、自分たちの上空に浮かぶ巨大な城だった。ゆっくり、ゆっくりと降下してくるそれを見て唖然としているカルデアの一行に向け、ケイローンが微笑みながら言う。

 

「……拠点の方が、こちらに来てくれますからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天空に浮かぶ城……その内部に乗り込んだマスターは、とある有名なアニメ映画を思い出していた。

 あの作品の中の天空城はかなり古びたものであったが、それに比べるとここはかなり綺麗だ。しかし、どこか混沌めいた美しさとでもいうべき単純には表せない独特の雰囲気を醸し出している。

 実際に乗り込んでみての感想としては、これは城というよりも庭園だ。巨大な浮遊城塞であり、戦闘も可能であることは間違いないのだろうが、兵器としては不必要な施設が多く見受けられることからも純粋な戦闘用具という訳ではないように思えた。

 

「これは……誰かの宝具なんですか?」

 

「それを私の口から語るのは止しましょう。真実は、彼らとの邂逅の後にご自分で見つけ出してください」

 

 ケイローンはマスターからの質問にそう答えると先導して城内を進んでいく。カルデアの一行に好意的な彼だが、アキレウスを除いた他の英霊に関する情報を口にしようとはしなかった。それはきっと、仲間であるサーヴァントたちに対する配慮なのだろう。

 この状況でなら誰だって、初対面であるマスターに自分の真名やそれに近づくための情報をそう易々と開示したくはない。自らの目で彼の実力を計り、人柄や能力を見て、信頼に足るべき存在かどうかを確かめたいと思うのが普通だ。

 

 ケイローンは、自分の手で仲間たちの信頼を勝ち取ってみせろとカルデアのマスターに暗に言っているのだろう。ややスパルタにも思えるが、仲間との信頼関係の重要さをこれまでの戦いで嫌というほど理解している彼は、むしろそれはありがたいことだと思いながら天空庭園を歩んで行く。

 やがて、先頭を進んでいたケイローンはとある扉の前で立ち止まり、一行へと振り返ると、静かな口調で語り出した。

 

「……この扉の先に、私たちの仲間がいます。彼らも交え、我々とあなた方の持つ情報を共有したいと思いますが、よろしいですね?」

 

「はい、勿論です」

 

 カルデアのマスターの力強い返事に頷き、再び前を向いたケイローンは、ゆっくりと目の前の扉を開く。その先に広がる荘厳な広場には、3つの人影が存在していた。

 

「どういうつもりだ、弓兵(アーチャー)。我が城内に何処の馬の骨とも分からぬ者を連れ込みおって……」

 

 まず最初に反応を示したのは、黒髪の美しい女性であった。

 黒い、まるで暗闇のようなドレスと、尊大かつ自信に溢れた雰囲気を纏うその女性は、疑いようもなく美しかった。高い気位と何処か退廃的な雰囲気を醸し出す容姿も相まって、女帝という言葉がぴったりと合う印象を見受けられる。

 彼女の言葉から察するに、この空中庭園は彼女の物なのだろう。そこから真名が絞り込めそうだが、カルデアのマスターはそれよりも他のサーヴァントの反応を観察することを優先し、次に声を上げた英霊へと視線を向ける。

 

「ほぅ、これは……英霊だけじゃない、人間もいるね。英霊を引き連れた人間ということは……マスター、ということでいいのかな?」

 

 そう言葉を口にしたのはおそらく男性のサーヴァントだ。おそらく、といったのには理由があり、彼は顔を仮面で隠しているためにどのような顔をしているのかがわからないのである。

 声から判断するに男性だとも思われるが、仮面だけでなく体もマントとボディスーツで一切の露出無く隠しているため、それ以上の情報を得ることが出来ない。雰囲気は老練な魔術師を思わせるが、実際はどうなのかはこの時点ではマスターには判断がつかなかった。

 

(やっぱり、初対面の英霊たちだよな。ソロモンの支配を受けていないってことは、あの時カルデアには召喚されてなかったサーヴァントってことなんだから……)

 

 女性も、男性も、どちらも初めて会うサーヴァントだ。これまでの経緯を考えれば当然のことなのだが、やはり初対面の相手と0から信頼関係を築くことには不安を覚えてしまう。

 どうにか、彼らが友好的な相手であると良い……そう考えながら3人目の英霊の姿を見たマスターは、二度、三度と瞬きをし、驚きに眼を見開いた後、破顔して笑みを浮かべる。

 

「あ、あ、あ……! あなたは、あなたは……!!」

 

 漆黒の貴族服に身を包んだ壮年の男性。長く美しい白髪と知性と高貴さを感じさせるその顔立ち。カルデアのマスターには、その全てに見覚えがあった。

 ここで彼と再会出来たことに、驚きよりも喜びの感情が勝る。自分に視線を注ぐそのサーヴァントへと一目散に近づいたマスターは、深々と頭を下げ、涙声で彼への挨拶の言葉を口にした。

 

「ヴラド公……! よくぞ御無事で……!」

 

 小国の王として、当時最強の軍事力を持っていた大国を幾度となく退けた大英雄。その武勇と王としての知性を以って、今まで何度もカルデアのマスターの危機を救ってくれた頼りになる英霊。自身の不名誉な呼び名を嫌い、それを拭い去るために戦い続ける者。

 その名はヴラド三世。かつてのカルデアにも在籍していたサーヴァントである彼との予想外の再会は、マスターにとって喜ぶべきものであった。しかし、当のヴラド三世の方は、訝し気な表情を浮かべてカルデアのマスターへとこれまた予想外の言葉を投げかける。

 

「余を、知っているのか? 吸血鬼ではない、領主としての世を……?」

 

「え? 何を言ってるんですか、ヴラド公。俺のことをお忘れですか?」

 

 カルデアのマスターとは初対面だと言わんばかりの反応を見せたヴラド三世に対し、困惑しながらも自分の顔を指差しながら快活に微笑むマスター。しかし、それでもヴラド三世はピンと来ないようで、小さく首を振るばかりだ。

 そんな両者の様子を見ていた仮面の男性は、状況整理のためか現状を声に出して呟く。

 

「どうやら……君の方は槍兵(ランサー)のことを知っているけど、槍兵の方は初対面みたいだね。サーヴァントとマスターの関係性なら、おかしくはないことだけれども」

 

「……槍兵? 狂戦士(バーサーカー)じゃなくて、槍兵(ランサー)? このヴラド公が?」

 

 仮面の男性の呟きを耳にしたマスターは、彼の言ったヴラド三世のクラスについて疑問を抱く。

 自分の知るヴラド三世は、狂戦士のクラスであったはずだ。確かに槍兵としての彼の姿も知っているが、今、自分の目の前に在るこのヴラド三世のクラスは狂戦士で間違いない。

 ほんのわずかだが、大きな違いに再び困惑するマスター。このクラスチェンジの理由について思案を巡らそうとした彼であったが、残念ながらその思考は他ならぬヴラド三世の手によって中断させられてしまった。

 

「……余を、狂戦士と呼ぶか? 理性の無い、怪物と……あの吸血鬼のような存在と呼ぶのか!?」

 

「ぐっ、はっ!?」

 

 ぐっ、と片手でマスターの首を掴んだヴラド三世は、そのまま彼の体を宙へと持ち上げる。足のつかない状態で首を絞められ、息苦しさにもがくマスターの姿に、サーヴァントたちは騒然となった。

 緊迫する空気の中、誰よりも早く動いたのはモードレットだった。腰の剣を抜きながら瞬時にヴラド三世に接近した彼女は、剣の切っ先を彼の喉元に突き付けながら、低く唸るような声で脅し文句を言い放つ。

 

「今すぐ、マスターを放せ。さもなきゃ、テメーの首が胴体と泣き別れすることになるぞ」

 

「……ふん」

 

 紛れもない殺気を放ち、自身を威嚇するモードレッドの姿を見たヴラド三世は、小さく鼻を鳴らすとマスターを掴む手を放す。

 それは決して彼がモードレッドの脅しに屈した訳ではなく、ただ純粋なる慈悲によってカルデアのマスターのことを許しただけであることを、今の今まで彼に首を絞められていたマスターは理解していた。

 

「マスター、大丈夫か!?」

 

「げほっ、ごほっ! う、うん、ありがとう、モードレッド……」

 

 ようやっと解放されたマスターは大きく息を吸い込んで、肺へと酸素を送り込ませた。そんな中、ヴラド三世とマスターとの壁になるようにして彼の前に立ったジャンヌは、深々と頭を下げた後に謝罪の言葉を口にする。

 

「貴方の尊厳を傷つける発言をしたことを、我がマスターに代わって謝罪させていただきます。しかし、彼も決して悪意があった訳ではないということをご理解いただけないでしょうか?」

 

「……ふん、気に食わんがまあ、いい。大賢者たる弓兵が連れて来た人間を話も聞かずに殺すのも惜しいからな。その命を残してやった分の価値を見せてもらおう」

 

「無論です、しかし……その前に、我々のマスターには伝えておかなければならない情報があります。暫し、そのための時間を頂戴いたします」

 

 ジャンヌの発言に鼻を鳴らした後で頷き、了解の意を示したヴラド三世は、玉座に座するとカルデア一行へと冷たい視線を向け始める。自分のことを吸血鬼扱いしたマスターに対する怒りはまだ拭えぬようであり、彼とのファーストコンタクトは大失敗であったと言えるだろう。

 マスターもこの邂逅を経て、ヴラド三世が自分の知る彼ではないということを強く感じ取っていた。彼が吸血鬼ドラキュラという存在と自分を同一視されることを強く忌避していることは知っていたが、カルデアのヴラド三世はここまで強い拒絶の反応を見せたことはない。

 マスターの目には、今、自分たちの目の前にいる彼には、どこか余裕がないように見えた。

 

「マスター、お気付きですか? ここに揃った8騎のサーヴァントのクラスについての奇妙な点に……」

 

「えっ? な、なに? 何か変なことがあったの?」

 

 そんな考えを抱いていたマスターは、不意にジャンヌに声を掛けられたことで大慌てで彼女へと向き直る。そして、彼女の言葉に対して素直にわからないという反応を見せた。対してジャンヌは、この部屋に集うサーヴァントたちを1人ずつ指差しながら、マスターに向けての解説を始める。

 

「いいですか? まず、カルデアから剣士(セイバー)、モードレッド。狂戦士(バーサーカー)、スパルタクス。そして裁定者(ルーラー)である私、ジャンヌ・ダルク……この3名のサーヴァントに加え、現地で合流したのは弓兵(アーチャー)、ケイローン。騎兵(ライダー)、アキレウス。槍兵(ランサー)のヴラド三世に、真名は不明ですがクラスは先ほど確認した暗殺者(アサシン)魔術師(キャスター)のサーヴァント。この内訳を聞いて、思うことはありませんか?」

 

「……誰1人、クラスが被ってない?」

 

「そう、その通りです。8騎ものサーヴァントがいるのに、その中の誰もクラスが重複していません。基本の7クラスに加え、特殊な(エクストラ)クラスとして私まで呼ばれていることを不思議だとは思いませんか?」

 

 ジャンヌの指摘を受けたカルデアのマスターは、確かにとこの不思議な現象に首を傾げる。そして、これにどのような意味があるのかを考え始めた。

 ジャンヌの言う通り、完全にランダムで8騎のサーヴァントを選択したとしたら、クラス被りが起きる方が自然だ。100名近い英霊が在籍していたかつてのカルデアでも、くじ引きか何かで8人サーヴァントを選抜したとしたら、間違いなく1組は同じクラスのサーヴァントが選ばれてしまうだろう。

 つまり、そう、これは……偶然、この8騎が選ばれたという訳ではないということだ。レイシフトの際、モードレッドたち以外のサーヴァントが弾かれてしまったことを思い出したマスターは、この考えが正しいという思いに確信を抱く。

 問題は、その理由だ。何故、この8騎なのか? その理由がわからないままでいるマスターに向け、ジャンヌは今、彼女が知る限りの情報を元に、自らの考えを語り始める。

 

「マスター、おそらくですが……この8騎のサーヴァントたちは、前に戦ったことがあるのです。この地か、あるいはこの地によく似た場所で、聖杯を巡って戦いを繰り広げた英霊たちこそが、この特異点に集められたサーヴァントなのでしょう」

 

「つまり、この8騎で聖杯戦争が行われたってこと? そのメンバーをもう一度集めて、一体何を――」

 

「いいえ、この8騎だけではありません。この特異点に集められたサーヴァントたち、です。あのアストルフォやアタランテも含めたサーヴァント全員が、この地で激しい戦いを繰り広げた……そんな記憶が、朧気ながらも私の中に存在しているのです」

 

 ジャンヌの言葉に、マスターは眉をひそめる。それはどう考えても、おかしなことだった。

 基本的に、聖杯戦争とは7人の魔術師と7騎のサーヴァントが1チームずつに分かれて戦いを繰り広げるものだ。その7組のうち、1組が勝者となって聖杯を手にすることが出来る。

 だが、今のジャンヌの話が正しいのならば、この時点で既に10名のサーヴァントが戦いに参加していたことになってしまう。しかも、騎兵と弓兵のサーヴァントが2人以上いる状態で、だ。

 そんなことは絶対におかしい。人理修復を懸けた戦いに臨む自分のような、特殊な状況でなければ絶対にありえない……と、そこまで考えた所で、カルデアのマスターはとある可能性に思い至る。同じくして、ジャンヌも同じ結論に至ったのか、彼に変わってその可能性について話を始めた。

 

「以前、この地で行われた聖杯戦争は、強大な力を持つ大聖杯を巡って2つの陣営が争うという特殊なものでした。それぞれの陣営が7人の魔術師と7騎の英霊を行使し、総力を以ってぶつかり合うその戦いが()()()()と呼ばれていたことは、はっきりと記憶しています。そして、その聖杯大戦が今再び、この地で行われようとしているのです」

 

 ごくりと、マスターが息を飲む。自分を囲うように立つ英霊たちの顔を一周して見回した彼は、再び目の前のジャンヌと視線を交わらせ、彼女の言葉を待った。

 

「……ソロモンがこの特異点に来ていることは、アストルフォの言葉から考えても間違いないでしょう。そして、ソロモンが自分の配下である英霊たちを複数連れて来ていることも明々白々です。その数もおそらく8騎、我々と同じ数でしょう」

 

「8騎対8騎……そこにマスターを加えた、変則的な聖杯大戦。こっちの陣営を指揮するのは俺で、向こうの陣営を指揮するのは――」

 

 その言葉を、事実を、口にしようとしたマスターの喉が急に締まる。先ほど、ヴラド三世に首を絞められた時以上の息苦しさが彼を襲った。

 いつかは来ると思っていた。だが、こんなにも突然に、早いタイミングで訪れるとは思っていなかった。ひどく重い、苦しいプレッシャーに圧し潰されそうになるマスターに向け、ジャンヌは彼が言葉に出来なかったその事実を改めて口にする。

 

「敵陣営の指揮者は……ソロモン。我々の仇敵であり、最終的に打倒すべき存在……マスター、あなたは……この特異点で魔術王とぶつかり、勝利しなければなりません。彼に捕らえられているサーヴァントたちを救うために、世界を守るために……!」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始まる、戦い

 

「……というのが、ソロモンと俺たちとの戦いの全てだ。わかってもらえたかな?」

 

「大方は理解した。だが、人理焼却や特異点とは、随分と規模の大きな話だな」

 

「要するに、だ……君たちは、かつての仲間をソロモン王に奪われたという絶対的な劣勢の状態から、仲間を救いつつ人理焼却を防ぐための戦いを続けている。今回はその舞台がこの世界であり、我々は君たちカルデアと協力してソロモンを倒すことが目的ということだね」

 

 仮面の男……魔術師(キャスター)、アヴィケブロンの言葉に小さく頷いたマスターは、自分を見つめているサーヴァントたちの顔を見回す。彼ら、彼女らの表情には神妙さが見られると共に、ようやく自分たちが何のためにここに召喚されたのかを知れたことによる納得感というものが浮かんでいた。

 

「我々の目的は、大聖杯の確保とそれを狙うソロモン陣営の撃退といったところでしょう。通常の聖杯を大きく超える力を持つ大聖杯がソロモンの手に渡れば、それは人類史の滅亡を意味しています。絶対に、負ける訳にはいきません」

 

「僕たちを呼び寄せたのは、その大聖杯ってことかな? 敵であるソロモンが、わざわざ塩を送るような真似をする必要は無い。この特異点自体か、もしくは大聖杯がソロモンに対抗する手段として英霊を召喚したと考える方が自然だ」

 

「色々と、細やかに気になる点はありますが、まず我々が優先すべきはソロモン陣営よりも早くに大聖杯を見つけ出すことでしょう。しかし、この特異点でそれなりの時間を過ごしている私たちでもその気配をまるで感じられないことから考えるに、相当な隠蔽工作が行われている可能性が高いかと」

 

 順にジャンヌ、アヴィケブロン、ケイローンの言。理性的に今後の展望と自分たちの現状を語る彼らは、主目的である大聖杯の所在地について考えているようだ。

 この特異点での戦いの鍵を握るのは、間違いなくその大聖杯だろう。ソロモン側からしてみれば、それを一度でも確保してしまえば勝負は終了だ。そこで大聖杯の力を使い、人理を焼却してしまえば良いのだから。

 対してカルデア陣営は、大聖杯を守りつつ、ソロモンのサーヴァントたちを倒さねばならない。まずその時点で相当の不利を背負ってはいるが、それ以上に問題なのは淫紋令呪の有無だ。

 

 ソロモンが連れて来たサーヴァントたちには、当たり前ながら淫紋令呪が刻まれているはずだ。男性英霊の方も何かしらの強化を施されていることは間違いないだろうし、アストルフォの様子から察するに催眠や洗脳といった魔術が行使されている可能性もある。

 それらによってステータスやスキルの力が上昇しているソロモン陣営のサーヴァントに対して、カルデア側のサーヴァントたちはモードレッドとジャンヌを除き、素のままの能力となっている。これもまた、戦いにおいて不利に働くことは容易に想像出来た。

 唯一、この状況でカルデア側が優位を取っている部分といえば、こちらのサーヴァントたちの真名がわかっていないことだろう。元々はカルデアに召喚されていたサーヴァントであるソロモン陣営の英霊たちとは、マスターと顔を合わせればその真名やクラスは瞬時に判別出来る。逆にソロモン側は、初めて見るサーヴァントたちがどのクラスの何という英霊なのかを判断するためには、一度戦わなくてはならない。

 

 総じて、カルデア陣営が目指したいのは短期決戦での勝利ということになる。戦いが長引けば長引くほど地力の差と基本防衛的な立ち回りを強いられていることの不利が大きくなってくるだろう。ならば、唯一のイニシアチブである英霊たちの真名=弱点や戦法を知られる前にソロモン陣営のサーヴァントたちを全て倒し、安全を確保してから大聖杯を見つけ出す方が安定策だと考えられた。

 だがしかし、そのことはソロモンも十分に理解しているだろう。長期戦の方が自分たちが有利になるとわかっているのなら、そう簡単に動きを見せるとは思えない。この特異点を調査し、大聖杯の有りそうな場所を見つけ出すことを優先した方が彼らには有益なのは明らかだ。

 

 敵を倒してから大聖杯を確保するのも、大聖杯を確保してから敵を倒すのも、結果としてはスピード勝負なのは変わりない。

 まずは動き、情報を集めること。それを目標としてサーヴァントたちに指示を出そうとしたマスターであったが、それよりも早くセミラミスが口を開き、驚きの言葉を発する。

 

「おい、我々などと言っているが、いつ我がお前たちと協力すると言った? 勝手に仲間の1人として数えられるのは、些か不本意だなのだが」

 

「なっ!? おい、カメムシ女! 今はそんなことを言ってる場合じゃ――」

 

「はっ、下賎な雌犬が何を言うか。そのソロモンとやらに陥落せしめられ、尻尾を振って媚びを売るようになった脆弱な女どもと組む気など、毛ほども湧いて来んわ」

 

 自分に噛み付いてきたモードレッドとその隣に座るジャンヌへと視線を向けたセミラミスは、冷たく吐き捨てるような声色でそう彼女たちに告げる。彼女の目は、到底許せないものを見るような軽蔑の色が浮かんでいた。

 そんな屈辱的な台詞を投げかけられた2人は、何かを言い返したいとは思うものの事実を指摘されたが故に何も言い返せずにいた。モードレッドは顔を赤く紅潮させ、ジャンヌは心底申し訳無さそうに俯く。

 マスターがセミラミスを説得すべきか、それとも2人のフォローに回るべきかと悩んでいると、彼女の言葉に賛同したかのようにまた別の英霊たちがマスターへの協力を拒否するような言葉を口にし出した。

 

「同感だな。余も負け犬に従うつもりにはなれん。そも、余を理性無き怪物と呼んだ貴様のことが気に食わんのでな」

 

「同じくだ。俺は、姐さんをあんな風にした原因である男に手を貸そうとは思えねえ。助け出す機会がありながらもそれをふいにして、より酷い状況に陥らせた奴なら尚のことだ」

 

「アキレウス、あなたまで……!」

 

 槍兵(ランサー)、ヴラド三世と騎兵(ライダー)アキレウスが、それぞれ座っていた椅子から立ち上がり、部屋を出ていく。師であるケイローンの言葉に一瞬だけ立ち止まり、振り返ったアキレウスであったが、どう感情をぶつければいいのかわからないような、そんな無念の形相を見せると、そのまま無言で部屋を出ていってしまった。

 

「……という訳だ。情報の対価として、我が天空庭園に滞在することは認めるが……我は、お前の指示には従うつもりはない。その2人を切り捨てるというのならまた話は別だが、お前にはそのつもりはないのだろう?」

 

「……それは出来ない。モードレッドもジャンヌも、大切な仲間だ。それに、ソロモンに勝つにはみんなの力が必要だから、誰かを切り捨てて誰かを従わせるなんてやり方じゃあ、絶対に勝てないよ」

 

「ふっ、なら……お前なりの方法で、我らを従わせてみせろ。それがまず、お前のすべきことだ」

 

 マスターを嘲るような、それでいて期待を込めているような、そんな言葉を残してセミラミスも部屋を去る。扉を開け、部屋を出る寸前、彼女はふと何かを思い出したかのように立ち止まると、ある事実を告げた。

 

「すまないが、この天空庭園は完全に発動している訳ではない。あくまで簡略化した顕現であり、発動時間には制限がある。これより一度降下し、もう1つの隠れ家にて宝具の再発動までの充填を行うから、そのつもりでおけ」

 

 最後に伝えるべきことは伝えたとばかりにそう言い残すと、今度こそセミラミスも部屋から出ていった。残されたサーヴァントたちとマスターは、纏まりのない自陣営にやや不安気な思いを抱く。

 

「……申し訳ありません。弟子の失礼をお詫びいたします」

 

「いや、アキレウスは何も間違ったことは言ってないよ。悪いのは、俺の方だから……」

 

 アキレウスの態度を謝罪するケイローンを手で制し、マスターは自分の拳を握り締める。掌に爪痕が残るほどに強く握り締められた拳を見つめながら、あのオケアノスでの出来事を思い返していた。

 

 イリヤやクロエのために、仲間たちのために、アタランテは裏切り者としてソロモン陣営を欺き、カルデアに勝利をもたらしてくれた。彼女もまた、他の仲間たちと共にあの海での戦いを経て、カルデアに帰還させられるはずだった。

 だが……自分は一手、間に合わなかった。肉の壁に飲み込まれ、体を砕かれるアタランテの姿が、あの光景が、今でも瞼の裏に焼き付いている。

 あの時、取れる筈だった仲間の手を掴めなかったのは、紛れもなく自分の責任だとマスターは考えていた。そして、だからこそこの機会を逃すことだけはしたくないと思っている。

 自我を奪われ、獣と化したアタランテを救える機会は、これが最後かもしれない。もう二度と、あんな悲劇を繰り返す訳にはいかない。必ず、彼女をソロモンの魔の手から救ってみせる。そのために、セミラミスをはじめとしたサーヴァントたちの信頼を勝ち取り、協力体制を築いてみせると、彼が硬く誓った時だった。

 

「……あのさ、忘れられてるかもしれないけど、僕はまだ残ってるよ」

 

 そんな、やや悲し気な声にマスターが顔を上げてみれば、そこには仮面の男ことアヴィケブロンが小さく手を上げてこちらを見ているではないか。

 彼は顔をマスターの方に向け、ふぅと溜息を洩らすと、はっきりとした口調で彼へとこう告げる。

 

「僕は、君に協力するよ。カルデアのマスター、君のサーヴァントとして力を貸そう」

 

「えっ!? ほ、本当に!?」

 

 ここまで、ケイローンを除く初対面のサーヴァントたちに拒絶されたマスターにとって、その言葉はあまりにも予想外であった。驚きに眼を見開き、その言葉が冗談でないことを確かめるために質問を投げかけると、アヴィケブロンは言葉は出さずにこっくりと首を縦に振って改めて肯定の意を示す。

 

「あ、ありがとう、アヴィケブロン! 君が協力してくれて、本当に嬉しいよ!」

 

 感激と感動に心を震わせるマスターは、アヴィケブロンの両手をがっしりと掴むと握手をしたままぶんぶんと上下に彼の手を振り回した。マスターにとっては、アヴィケブロンが初対面の信用ならない魔術師である自分を信頼してくれたということが何よりも嬉しく、そしてソロモンとの戦いに備えての戦力が増えたこともまた喜ぶべきことでもあった。

 その感激をひとしおに堪能した彼は、アヴィケブロンの両手を取ったままジャンヌたちの方へと振り返る。たった1人とはいえ、自分たちに協力する仲間が増えたのだから、きっと彼女たちも喜んでいるに違いないと、笑顔を浮かべて仲間たちへと視線を向けたマスターであったが、そこにはまるで予想外の光景が広がっていた。

 

「………」

 

 ジャンヌ、ケイローン、そしてモードレッド……常に笑みを浮かべているスパルタクスを除き、3人はとても晴れやかとは言えない表情を浮かべている。何かを警戒するような、湧き上がる嫌悪感を拭いされないような、そんな複雑な感情が、彼らの表情から読み取れた。

 間違いなく、彼らからその複雑な悪感情を向けられている対象は、アヴィケブロンだ。一体、彼の何がジャンヌたちをここまで警戒させるのだろうと疑問を持ったマスターは、真正面のアヴィケブロンに肩を叩かれると共にもう一度彼の方向へと向き直る。

 仮面をつけたままの、表情が読み取れないアヴィケブロンであったが、マスターの疑問を解消してくれようとしていることは雰囲気で察することが出来た。だからこそ、マスターは黙ったまま、アヴィケブロンの次の言葉を待つ。

 

「……この城塞が地上に着いたら、外を歩かないかい? そこで、少し話がしたいんだ」

 

「……うん、わかったよ」

 

 やがて……搾り出すようにして、そう言ったアヴィケブロンに真っすぐな視線を向けつつ頷いたマスターは、彼が抱える何かを知り、分かち合うために膝を突き合わせる覚悟を決め、天空庭園の降下を待ち始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「裏切り者!? アヴィケブロンが?」

 

「ああ、その通りさ。かつての聖杯大戦で、僕は……仲間を裏切った」

 

 それから数時間後、セミラミスの天空庭園から地上に降り、もう1つの拠点である巨大な邸宅に辿り着いたマスターは、先ほどの言葉通りにアヴィケブロンとの対話を行っていた。

 白い花が舞う庭園で、静かに、淡々とした口調で語り続けるアヴィケブロンの声に、マスターはただ黙って耳を貸す。アヴィケブロンもまた、マスターの反応を気にすることもせず、かつての自分の行いを彼に告白し続けた。

 

「この特異点に召喚されたサーヴァントたちは、皆、朧気ながら聖杯大戦に関する記憶を有している。その中で、僕が覚えているのは、仲間を裏切り、自分の欲望を優先させたという記憶だ。そして、そのために……1人の子供を殺したことも、だね」

 

「え……?」

 

 その事実を口にする時、アヴィケブロンの声が僅かに震えた。それが、どんな感情から来る心の震えだったのかは、マスターには到底理解出来ない。本人であるアヴィケブロンのみが理解することの出来る、複雑で難解な感情なのだろう。

 そして、その行いを召喚と消滅を繰り返した中でも覚え続けているということが、彼自身の後悔を物語っているように思えた。

 

「勤勉で、純粋で、無垢な……何の罪もない、子供だった。僕はそんな子供の命を奪った、最低最悪の英霊としてあるまじき男さ。魔術師としてならばある意味当たり前の行動なのかもしれないが……どうしようもなく嫌いだったその行いを、僕は選んでしまった。この事実を知る者ならば、僕のことを唾棄すべき存在だと認識しているだろう」

 

 アヴィケブロンの言葉は、暗に先ほどのジャンヌたちの反応を正当なものであると肯定するものであった。自分がどれほどに罪深い存在なのかを告白し、それを知る者からは軽蔑されて当然だとマスターに告げる彼は、仮面の下からでもわかるくらいに真っすぐな視線をマスターへと向けている。

 その真摯な対応と眼差しを受け、話を聞き続けていたマスターも口を開く。アヴィケブロンに、この戦いに臨む理由を聞くために。

 

「……君の過去の過ちは理解した。でも、何で俺に力を貸すの? そんな過去がある中、自分が居心地の悪い思いをしてまで苦しい戦いに臨むのは、何故?」

 

「……罪滅ぼしがしたいと言ったら、君は笑うかな」

 

 マスターの問いかけに、アヴィケブロンは静かに答える。その言葉には、欠片も嘘臭さは感じられなかった。

 

「マスター、僕は君の話を聞いて確信したんだ。僕が聖杯大戦を行った世界と、君の世界は別物だってね。君の世界では、聖杯大戦の中で僕が殺したあの子は生きている……君の世界を救うことは、それ即ちあの子を救うことになるんだ」

 

「……奪った命を救うことで、過去の罪を帳消しにしたいってこと?」

 

「いいや、そうじゃない。たとえどんな善行を積もうとも、僕の犯した罪は消えないんだ。でも、だからこそ……僕は、今度こそ英霊として生きたい。自分の欲に溺れた魔術師としてではなく、世界を守るために召喚された英霊として、君と君の世界を守って戦いたいんだ」

 

 それは、ただの自己満足と言われればそれまでの理由だった。だが、その決意が自分の過ちを十分に理解し、苦しみ抜き、後悔を重ねたことで生み出されたものであることは、カルデアのマスターには痛いほどに理解出来た。

 自分もそうだ。敗北を喫し、ソロモンに仲間を奪われた。助けられるはずの仲間の手を取りこぼし、そのことを何度後悔したかもわからない。

 英霊たちを助け出したところで、彼女たちが味わった屈辱と苦しみは消えない。敗北したという事実も変わることはない。だが、だからこそ、もう二度と同じ過ちを繰り返したくはないのだと、今度こそ最善の道を歩みたいのだと、そう思うようになった。

 そして、そのためにならばどんな困難な道ですらも歩んでやろうと、そう覚悟したのだ。

 

 今の自分とアヴィケブロンは……どこか似ている。そう、マスターは思う。かつての失敗、過ち、後悔、それらを抱えつつ、それでも前に進むのだと、そう思って戦いに身を投じる覚悟があることに、強い親近感を覚えるのだ。

 アヴィケブロンにとってこの戦いは、新たな自分をやり直すための第一歩なのだろう。罪を犯したこの土地で、同じ面子と共に、世界の存亡を賭けた戦いに臨む。この地で世界を救うために英霊として戦うことでその罪を少しでも贖えたならと、その上で、自分を変えることが出来たならと、そう考えているのだ。

 

 その思いを理解したマスターは、改めてアヴィケブロンと向き直る。そして、彼の顔を真っすぐに見つめながら、彼と同じようにはっきりとした声で自らの思いを告げた。

 

「アヴィケブロン、君の過去と、抱えている罪は理解したよ。その上で改めて君にお願いしたい。俺に、力を貸してくれ」

 

「……君がそう望んでくれるのなら、僕には拒む理由は無い。サーヴァント、アヴィケブロン……この力、存分に役立ててくれ」

 

「ああ! ……一緒に救おう、世界を。そして、沢山の人たちの未来を……!」

 

 アヴィケブロンの手を取り、硬く握手を交わす。心の底からの信頼を送り、共に目的を達成する仲間として彼を迎え入れることを迷いなく決断したマスターの笑顔をアヴィケブロンはただ黙って見つめていた。

 もしかしたら、彼はかつての戦いで命を奪った子供のことを考えていたのかもしれない。その少年のことをアヴィケブロンが思い出せるかどうかと聞かれたら、おそらく否なのだろう。彼はその事実を覚えていると言ったが、正確には深い傷のように彼の心か霊基に刻まれたと言った方が正しい表現なのだ。もうきっと、顔はおろか名前すらも思い出せないのだろう。

 だがしかし……彼は、どこかの世界で生きている。戦いに巻き込まれなかったただの少年として、無数に枝分かれした世界の何処かで生き続けているのだ。

 

 それはもう贖罪にはならないのだろう。それでも、だとしても、無意味な行為ではない。例え自己満足だとしても、救いたい者を救うことに、理由は要らないのだから。

 

「……ありがとう、マスター」

 

 小さく、本当に小さな声で、アヴィケブロンが感謝の言葉を述べる。風が吹いてしまえば消え行ってしまいそうなその声は、しかして確かにマスターの耳に届いた。

 自分の思いを、後悔を、罪を、理解した上で受け入れる。そんな判断を下したマスターに感謝と信頼を預けるアヴィケブロンは、告解の時を終えると理知的な英霊としての面を見せつつマスターへと言う。

 

「さあ、そろそろ館内に戻るとしよう。厳しい戦いに臨むためには、休息が必要不可欠だ。食事も取らないと、行動に支障をきたすだろう」

 

「うん、そうだね。日も沈んで暗くなってきたし、霧も出てきたみたいだ」

 

 いつの間にか、話をしている内に太陽は随分と遠くに行ってしまったようだ。既に辺りには夜の闇が広がり始め、しかも霧まで出ている。

 幸いにも拠点の扉は目の鼻の先だ。すぐに屋敷内に入ってしまえば何の問題もないだろう。そう考え、アヴィケブロンと共に一歩歩んだマスターは、その瞬間にまるで凍り付いたかのように動きを止める。

 

「……マスター? どうかしたのかい?」

 

 その不可思議な行動に違和感を抱いたアヴィケブロンの言葉も、今のマスターには聞こえていないようだ。いや、聞こえてはいるのだろうが、それ以上に彼は今、必死になって何かを思い出そうとしているのである。

 ほんの数秒前、彼の耳はとある声を捉えた。その声にはとても聞き覚えがあるのに、どうしてもそれが誰の声なのかが思い出せない。

 空耳などではない。覚え違いでもない。確かに聞いたのだ、霧の中から聞こえる、少女の笑い声を、自分は――

 

「~~っっ!!」

 

 そこまで考えたマスターの背筋に、冷たい汗が流れる。同時に、全身の毛が逆立つほどの殺気を感じた彼は、警報を鳴らす防衛本能のままにその場に倒れ込むようにして伏せた。

 それは、土方歳三に徹底的に叩き込まれた殺気への反応と、今日まで鍛え続けた身体能力が無ければ不可能な芸当だ。そして、そのたゆまぬ努力が彼の命を救うこととなる。

 

 マスターの体が地面に横たわったその刹那、霧の中から飛び出した何かが先ほどまで彼の体が有った場所を切り裂く。もしも彼がそのまま立ち惚けていたならば、この急襲で全身がバラバラにされていただろう。

 ゾワリと、悪寒がマスターの全身を駆け巡る。アヴィケブロンもまた異常事態に気が付いたのか、倒れ伏すマスターの体を引き起こすと連れ立って館の中へと飛び込もうとしたが――

 

「ダメだよ、ダメ。それは許さない」

 

 今度ははっきりと、霧の中から少女の声が聞こえた。クスクスと笑うようなその声が響くと共に、屋敷の玄関ポーチを支える柱が一瞬にして切り刻まれ、それが支えていた屋根部分がガラガラと音を立てて崩れ落ちて来た。

 咄嗟に飛び退き、屋根の崩落を躱したマスターとアヴィケブロンであったが、屋敷の扉は瓦礫の中に埋まり、開かなくなってしまっている。しかも、更に濃度を増した霧に周囲を包まれ、ほんの1m先の景色すらも見えなくなってしまった。

 

「マスター、僕の傍を離れるな。言うまでもないが、敵襲だ!」

 

「ああ! この搦め手、敵は暗殺者(アサシン)クラスか!? 誰だ? 誰が攻撃を……!?」

 

 正面切っての戦法ではないこと。接近戦を仕掛けていること。霧の中に見事に身を隠し、正体を見せぬまま攻撃を続けていること。これらの情報から、襲撃者は暗殺者のクラスを有するサーヴァントであると判断したマスターは、その正体を探るべく自分の記憶の本棚を漁る。

 ここまでの情報が開示されている以上、カルデアに在籍していたサーヴァントの中から条件に見合う英霊を見つけ出すのは簡単……な、はずだった。

 

「あ、れ……?」

 

 霧の中からの奇襲。斬撃。子供。そして、聞き覚えのある声。全ての情報があるサーヴァントを指しているのに、その名前と姿が出て来ない。まるで霧がかかったような、そんなぼんやりとした輪郭しか思い出せないマスターは、命の危険を感じると共にこの不可解な現象に動揺し続けていた。

 精神的重圧によるド忘れのようなものではない。本当に、純粋に……思い出せない。わからない。

 全てが霧の中に隠蔽されているかのような、そんな謎の感覚に心を揺さぶられながらも懸命に対象の英霊の名を思い出そうとする彼のことを、幼い襲撃者はケタケタと愉快気に嘲笑っていた。

 

「ねえ、ねえ、忘れちゃったの? わたしたちのこと、覚えていないの?」

「本当に、酷い人だね……ソロモン様の言う通り、とってもとっても酷い人。あなたは心の冷たい、最低な人……そうだよね?」

 

 嗤うような、責めるような、悲しむような、そんな少女の声が霧の中に響き渡る。幼く甘い、純粋無垢なその声は、間違いなく耳にしたことがあるのに、どうしてもその声の主を思い出せない。

 自分は知っているはずなのだ。あの娘の笑顔を、涙を、拗ねた顔を。知らないはずがない。だってそうだ、彼女はいつだって、自分のことを――

 

「ぐっ……!!」

 

 思考に集中し、周囲の状況への意識が散漫になっていた。そのツケは、痛みによって払わされることとなる。

 ぐさりと、音を置き去りにして、大型のナイフがマスターの左肩に突き刺さった。傷口からは真っ赤な鮮血が飛び散り、周囲の草花を紅く染める。

 その痛みに、呻き声が漏れた。悲鳴を上げなかったのは、純粋にその衝撃に知覚が追い付かなかっただけであり、それがこの暗殺者の俊敏さをよく表していると言えるだろう。

 ゆっくりと、視線を左肩に向ける。そこに突き刺さるナイフを見る。その得物の形を見て、それでも使い手を思い出せないマスターが、痛みよりも悔しさで歯噛みをした時だった。

 

「あはっ……♡ おいしそうな、血……♡」

 

 ずっ、と自身の肩に刺さっていたナイフが抜けた。傷口から溢れ出る鮮血に目を奪われたマスターであったが、自身に抱き着くようにして姿を現した少女を目にした瞬間、その視線は一心に彼女へと注がれることとなる。

 まるで猫がミルクを舐めるかのように舌を伸ばし、溢れ出るマスターの血を舐め取るその少女……さらさらと靡く銀色の髪と暗闇の中でも光るグリーンの瞳を持つ彼女は、自らの武器であるナイフにこびり付いたマスターの血を舌で舐めると、天使のような屈託のない笑みを浮かべたまま残酷な言葉を吐く。

 

「ソロモン様のため、わたしたちのため……ここで死んでもらうね、おかあさん」

 

「ジャック……!!」

 

 ほんの数cmの距離まで近づき、その顔を至近距離で視認したマスターは、ようやく彼女のことを思い出した。それと同時に、目の前のジャックは手にしたナイフを振り上げ、マスターの頭へと切っ先を向けて振り下ろす。

 音もなく、気配も感じさせずにここまで接近されたことに驚愕しながらも、咄嗟に肩の痛みを押し殺しながら両手で彼女の体を突き飛ばしたマスターの目の前を銀色の閃光が走った。あと1秒でも遅ければ、彼は間違いなくあのナイフの餌食になっていただろう。

 

「あ~あ、失敗しちゃった。先に殺してから血を舐めればよかったかな?」

 

 クスリ、と笑ったジャックは、下腹部の淫紋令呪を一度光らせてから再び霧の中へと消え去った。その笑い声は反響し、気配を感じさせないことも相まって、彼女が何処から飛び出してくるかわからない恐怖感を煽る。

 血が噴き出す肩を抑え、突然のジャックの襲撃に動揺する精神を落ち着かせるために深呼吸を行うマスター。しかして、この状況下においてそう簡単に精神の均衡を取り戻すことは出来ず、どうしても心が乱れてしまう。

 

(ジャック! ジャック! ジャック! 強く念じていなければ彼女のことを忘れてしまう! でも、それじゃあ作戦を考えることだってままならない……!)

 

 ソロモンの魔術と淫紋令呪の効果によって強化されたであろう【情報抹消】のスキルがマスターのジャックに対する記憶を蝕む。元々、耐性を有していた上に淫紋令呪を刻まれた女英霊たちとの再契約によって強化された彼の記憶をこうも簡単に消せるのだ、その力がどれほどのものかは容易に想像がつくだろう。

 忘れない、忘れてはならない。一度ジャックのことを忘れたが最期、今、自分たちは誰と戦っているかも思い出せなくなるだろう。その戦法も、能力も、忘却の彼方へと消えてしまう。

 だが、忘れないことを優先して彼女のことを強く思い描いたならば、それ以外の思考がままならなくなってしまう。戦いに対する策を練ることも出来ず、対策を講ずることも出来ないのだ。

 

 安全圏への脱出も望めないこの状況をどう打破するか? 焦れば焦るほどにマスターの思考は鈍り、危機感に余裕がなくなっていく。有益な一手を思いつくことが出来ず、ただただ疲弊していくマスターであったが、そんな彼を支えたのは彼に付き従っているアヴィケブロンだった。

 

「……マスター、どうやらここはやるしかないみたいだ。指示を頼む」

 

「わかってる! だけど、作戦を考えようとするとジャックのことを忘れて――」

 

「大丈夫、その問題は既に解決した」

 

「え……っ!?」

 

 意味深なアヴィケブロンの言葉に声を詰まらせたマスターは、自分のすぐ近くの土が盛り上がっていく光景を目の当たりにして驚きに眼を見開く。その土が徐々に先ほど見たジャックの姿を再現していく様子を目にすれば、もはや目玉が飛び出すのではないかと思うほどに驚愕の表情を浮かべてしまった。

 

「君の周囲1m以内に土で先ほど見た少女の偶像を作り出す命令術式を組み上げた。偶像はあの少女のスキルでじきに崩壊するだろうが、僕が組み上げた術式に関しては別だ。崩壊と同時に新たな偶像を作り続け、君に彼女の姿を認識させ続ける。これで、自分が誰と戦っているかを忘れることはなくなっただろう?」

 

 あの一瞬の間にそこまで複雑な術式を構築していたことと、土塊でありながらもジャックの容姿を忠実に再現している偶像の出来に感嘆するマスターは、アヴィケブロンの有能さを身に染みて実感していた。

 彼の策のお陰でジャックのことを常に意識出来るようになり、策を講じる余裕も生まれる。ようやっと、奇襲を受けた衝撃から立ち直り始めたマスターは、見事なサポートを見せたアヴィケブロンへと感謝の言葉を述べた。

 

「ありがとう、アヴィケブロン。お陰で少し落ち着いて来たよ」

 

「いいや、そもそも彼女をここまで接近させ、君を負傷させてしまったことは僕の落ち度だ。しかし、ここからはそうはさせない。サーヴァントとして、君をこれ以上傷つけさせはしないよ」

 

 アヴィケブロンが魔力を発すれば、即座に2人を取り囲むようにして巨大なゴーレムが構築されていった。見るからに頑健で強靭なその姿に息を飲みながら、マスターはアヴィケブロンへと視線を向ける。

 

「……さて、僕のすべきことは2つだ。1つ、マスターを負傷させないこと。2つ、彼女を殺さずに捕らえること。どうにも難しい内容だが、勝算がない訳じゃあない。それに何より、僕は彼女と相性が良さそうだからね。にしても……あの子への罪滅ぼしのために、子供を倒さなければならないなんて随分と因果な宿命だな」

 

 四方を警戒するゴーレムたちの中心でマスターを護衛するアヴィケブロンは、その聡明な頭脳で戦いの青写真を描きながら、軽い自嘲の文句を口にしてみせた。しかし、その声に迷いは全く感じられず、彼が既に戦いに対する覚悟を決めていることがわかる。

 

 唐突に始まった聖杯大戦の第一戦。相対するは霧夜の殺人鬼『ジャック・ザ・リッパー』とゴーレムを極めし魔術師『アヴィケブロン』。

 異質にして異端なる戦いの火蓋は、煌々とした月の光が照らす花畑にて切って落とされたのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暗殺者VS魔術師

 

 

 突如として開幕した聖杯大戦の第一戦、ジャック・ザ・リッパーとアヴィケブロンの戦いは静かな立ち上がりを見せる。霧の中からの奇襲を得意とするジャックに対し、アヴィケブロンは自身とマスターの身を守らせるようにゴーレムを展開し、四方を警戒して敵の動きを待っていた。

 敵は少女の姿をしてはいるものの、現代まで逮捕どころかその正体を解き明かされてすらいない稀代の殺人鬼だ。一瞬の油断が命取りになることを理解しているマスターは、ピリピリとした緊張感を肌で感じながら彼女の奇襲に備えて神経を研ぎ澄ませていた。

 

「大丈夫、落ち着いて。僕と彼女なら、僕の方が優位だ。君のくれた情報が正しいのなら、この戦いは十中八九勝利出来る」

 

「それはつまり、100%勝てる訳じゃないってことでしょ? なら警戒を緩めちゃいけないよ。全霊で相手に当たらなきゃ」

 

「……油断のないマスターだ。少し、感心したよ」

 

 優位は自分にあると語るアヴィケブロンの言葉にも決して慢心せず、確実に勝利を掴むために思考を巡らせるマスター。そんな彼に対して、やや感心したような口ぶりでアヴィケブロンが自身の思いを述べた時だった。

 

「っっ……!?」

 

 ザクリと、何かが切り取られる音が響く。その音に振り向いてみれば、彼らの背後を守っていたゴーレムの体に亀裂が入り、粉々になるまで斬り刻まれる姿が目に映った。

 それを行った犯人……ジャックは、狂気に満ちた笑みを浮かべ、なおもマスターに向かって突進してくる。彼女に対して残るゴーレムを向かわせ、防御態勢を整えるアヴィケブロンであったが、ジャックはそんなものは屁でもないとばかりにナイフを振るうと、瞬く間に彼らもただの土塊へと形を変えて崩れ去ってしまった。

 

「あはははっ! 今行くね、お母さんっ!!」

 

 これで、もう彼らを守るものは何も無いはず。一呼吸置き、もう一度跳躍すれば手に届く距離にいるマスターに対してそう叫びながら、ジャックはナイフを握る手に力を込めた。

 殺せる、彼を。愛しくて憎い自分たちの母親を、この手で解体することが出来る。愛する人の内部へ、子供として回帰することが出来るのだと歪んだ笑みを浮かべたジャックは、すぐ近くにいるであろうマスターへと飛び掛かるべく脚に力を込め……そこで、気が付いた。

 

 つい今しがた壊したはずのゴーレムが目の前にいる。五体満足で、何事もなかったかのように彼らはジャックの前に立ちはだかり、岩で出来た腕を振り上げて攻撃の構えを取っている。その一撃は決して速くはなく、ジャックにかかれば躱す事はおろか拳が振り下ろされる前に返り討ちにすることだって容易い。

 迷わず、彼女は目の前の岩人形を破壊する。鋭利な刃でその体を半分に裂き、そこから更に半分。またそこから半分……と、一瞬の間に数十にも渡る斬撃を繰り出したジャックは、突如として出現した障害をほんの1秒もかからない内に破壊してみせた。

 これで、今度こそ、障害は消え去った……そう思って再び前を向いた彼女の目に飛び込んできたのは、到底信じられない光景であった。

 

「……なに、これ?」

 

 自分の行動を邪魔するゴーレムが、また出現している。それも1体だけではない、ざっと数えても10体以上のゴーレムがジャックの前に立ちはだかり、標的であるマスターの姿を覆い隠しているのだ。

 たった今、10秒も経たない内に5体ものゴーレムを破壊してみせたのに、その間にその倍以上の数のゴーレムが出現したことに困惑を隠せないジャック。そんな彼女に対して、マスター同様にゴーレムの体を壁とすることでその姿を隠しているアヴィケブロンが淡々とした口調でこう告げた。

 

「無駄だよ。君には僕のゴーレムたちを突破することは出来ない。君と僕では、相性が悪過ぎる」

 

「ふ、ふふ……っ! 自信があるんだね。でも、私たちだって負けてないよ。こんな人形、全部解体しちゃうんだから」

 

「それでも構わない。君がこのゴーレムたちを全て破壊し終える頃には、僕はその倍の数のゴーレムを生成しているだろう。君が1体壊すのなら、僕はその間に2体のゴーレムを生み出す。この数の差は埋まらない。埋めることは出来ないんだ」

 

 アヴィケブロンの言葉に対し、ジャックはギリリと歯軋りして苛立ちを耐えた。それは、彼の言うことがハッタリでも何でもなく、事実を述べているということに気が付いていたからだ。

 暗殺者(アサシン)クラスであるジャックの神髄は奇襲と暗殺だ。直接的な戦闘に関しても決して不得手ではないが、ジャックが最も得意とするのは対象を確実に抹殺し、瞬時にその場を離脱する戦法である。この戦法においてジャックの右に出る者はカルデア内どころか、全ての英霊たちを探してみたとしても存在しないだろう。相手が女性ならば猶更だ。

 しかし……それを言い換えるならば、暗殺が失敗すると彼女は並の英霊程度の力しか持たないということである。直接戦闘ならば三騎士のクラスは勿論のこと、狂戦士相手でも苦戦は免れないだろう。相手が女性ならば宝具での攻撃で撃破することが出来るかもしれないが、それら全てが通じない相手の場合……つまり、今のような戦いの場合は、非常に苦しい展開になってくる。

 

 ジャックには一気に敵を薙ぎ払うことが出来る対軍宝具はない。一対多数になった場合、彼女が出来るのは着実に敵を1体ずつ撃破していくことだけだ。

 ジャックには女性以外の相手に対する決定打がない。男性は勿論のこと、性別の概念どころか生物として認識されていないゴーレムを倒す方法は手にしたナイフでその身を切り裂く他にないのだ。

 そう、これこそがアヴィケブロンが言っていた自分の優位である。性能こそ高くはないものの、瞬く間にゴーレムを生成して疑似的な多対一の構図を作ることが出来る彼ならば、対単体相手に特化したジャックの弱点を突くことが出来る。数体のゴーレムに自分たちを守らせ、その他のゴーレムに彼女への攻撃を命じれば、単体への近距離攻撃しか戦う術を持たない彼女を完璧に封殺することも可能なのだ。

 

「……でも、そんなにバンバンゴーレムを作ってたら、魔力切れも早いんじゃない? その時が、あなたたちの最期だよ?」

 

「忘れたのかい? 僕の横にはマスターがいる。いざという時には令呪による支援が受けられるということさ。加えて、ここは僕たちの本拠地、君からすると敵地だ。もう少しすれば、異変に気が付いた仲間たちが駆けつけてくれるだろう。そうなったら1対8の勝負になる。如何に君が強かろうとも、8人の英霊を相手に勝利、もしくは逃走することが可能だと思うかい?」

 

 ちっ、と霧の中から舌打ちが聞こえた。ジャックもまた、この戦いの勝利条件が違うということに気が付いている。だからこそ、ああして苛立っているのだろう。

 敵地に侵入し、攻撃を仕掛けたジャックの勝利条件はただ1つ、『カルデアのマスターの首を取ること』だ。それが成せなかったとしても英霊の1人でも殺すことが出来れば成果は上々ではあるが、その最大のチャンスである最初の一撃を外した時点で、彼女の任務達成確率はがくっと下がってしまっていた。

 逆に、アヴィケブロンの勝利条件は単純だ。ただ『時間を稼げばいい』……それだけなのだから。

 一番の危機であった初撃は凌いだ。そこからは時間をかけ、ジャックの動きを封じるだけでじわじわと有利を広げることが出来る。最悪の場合、戦いを膠着状態に陥らせるだけでも仲間の救援が来るまでの時間を稼ぐには十分なのだ。

 

「僕が君の立場に立ったなら、ここは撤退の判断を下すよ。君は失敗した、もうマスターの暗殺はおろか、他の英霊を倒すことすら出来ない……大人しく帰った方が、身のためだよ」

 

 ピキリと、ジャックのこめかみに青筋が走った。彼女を慮ったようなアヴィケブロンの言葉は、彼女の心には挑発としか捉えられなかった。

 確かに、今の状況を冷静に分析するならばアヴィケブロンの言った通りにするのが一番なのだろう。だが、ジャックは自分を馬鹿にした嫌いな奴の言葉に従うことを良しとしなかった。何が何でも、彼の度肝を抜いてやろうと子供じみた……実際子供なのだが……意思を固め、彼女は自身の切り札を使うことを決意する。

 

 確かに、真正面から斬りかかれば、大量のゴーレムを相手にしなければならないだろう。しかし、奇襲をかけられる場所はまだ存在している。……上空だ。

 マスターとアヴィケブロンの四方はゴーレムの守りによって固められているが、その頭上はがら空きである。跳躍してゴーレムたちの頭を超え、自身の射程範囲内に彼らを捉えることが出来れば、暗殺は可能だ。

 そして……そのための必殺技も存在している。本来、女性にしか通用しない自身の宝具【聖母解体(マリア・ザ・リッパー)】。男性や性別の概念の無い者に使用してもただ純粋な斬撃を与えるだけの宝具であるそれは、淫紋令呪によって当然の如く強化を受けていた。

 

 強化内容は至極単純、『自身が対象を女性と思い込むことが出来るのならば、その人物は女性として判定される』。例え相手が男であろうと、ゴーレムであろうと、何であろうと、ジャックがそれを女だと思いさえすれば、全ては女性として判定されることになるのだ。

 それは決して容易いことではない。だが、カルデアのマスターが相手ならば話は別だ。何故なら、彼はジャックにとっての『おかあさん』なのだから。

 

 おかあさんとは母親だ。母親は勿論、女だ。ということは、カルデアのマスターは女である。自分たちの母親は彼でなのだから、彼は女であるはずだ。自分たちを殺し、命として芽生える前にその可能性を潰した、あの母親たちと同じ存在であるはずなのだ。

 

「ああ、おかあさん……! 今、いくね。おかあさんのこと……解体(バラバラに)しに行くから……!」

 

 恍惚とした、今にも蕩けそうになっている人間が口にするような声。甘い愛と苦い憎しみの感情を入り混じらせたその呟きを漏らし、ジャックは跳ぶ。

 猫のようにしなやかに、音もなく高く跳躍した彼女は、見事にゴーレムたちの頭上を跳び越え……そして、そのアイスブルーの眼に標的を捉えた。

 

 忘れない、忘れられるはずもない。大好きで大嫌いな自分たちの母。探し求めたその姿。やっと、やっと、やっと……彼を解体(ころすことが)出来る。

 

「此よりは地獄。わたしたちは雨、炎、力――殺戮をここに」

 

 生命が生まれ落ちるその瞬間のように、ジャックはマスターの元へと降下していく。宝具発動の詠唱を終え、握るナイフを振りかざし、脳裏に赤い鮮血が舞い、臓器が零れ落ちる光景を想像しながら、彼女が堕ちる。

 まだ彼は気が付いていない。自分の死の瞬間を、ジャックの存在を。最期の最期まで、彼は自分たちのことを見もせずに死んでいくのだと思うと、ジャックの胸には一抹の寂しさが宿る。だが、その感傷に浸ってこの好機を逃すほど彼女は愚かではなかった。

 口元に狂気の笑みを浮かべたジャックは、その瞬間に敢えて大きな声で叫びながら、彼の命を摘み取るために自身の宝具を発動する。

 

「さよなら、おかあさん……【聖母解体(マリア・ザ・リッパー)】」

 

 多くの水子たちの恨み。母親に捨てられた子供たちの怨念。それらが呪いとなり、刃に上乗せされた死がカルデアのマスターへと辿り着く。

 彼の首が、腕が、脚が、腹部が……辿り着いた殺人の結果によって切り裂かれ、バラバラに飛び散った。ものの一瞬の間に、彼は解体された死体となって、その場に崩れ落ちた。

 

 終わった、何もかもが。戦いも自身の望みも、この瞬間に叶えられた。その小さな胸に押し寄せる充実感と寂しさを感じながら、バラバラになって弾け飛ぶカルデアのマスターの死体の元へと落下していくジャックは、飛び散っているであろう彼の鮮血を浴び、せめてもの記憶として母親の遺す最後の温もりを感じようと目を閉じ――

 

「……あ、れ?」

 

 ――頬に触れたそれが、液体ではなく砂のような個体であることに気が付いて、小さく声を上げた。

 何かがおかしいと、ジャックがそう気が付いた時にはもう、彼女の足は地面についていた。たった今、彼女が解体したマスターの死体のすぐ近くに落下したジャックは、その瞬間に背後から何者かに抱きしめられたことに驚き、眼を見開く。

 それを行ったのはアヴィケブロンだった。完全に不意を打って、マスターを殺害してみせたジャックの登場に驚きもせず、ただただ命令を果たす人形のように彼女の体に組み付き、がっしりと拘束してくる。それと同時に彼らを守っていたゴーレムたちが反転し、それぞれがスクラムを組むようにして一部の隙間もなくジャックとアヴィケブロンを囲んだ。

 

 何かがおかしい。いや、何もかもがおかしい。ジャックがそう思った時には、もう全てが手遅れになっていた。

 轟音と衝撃、熱がジャックの体を叩く。何が起きたのかもわからないまま、ジャックはすぐ近くのゴーレムの体に叩きつけられ、呻き声を上げる余裕すらないままにその場に倒れ伏した。

 爆発したのだと、彼女は思う。何かがすぐ近くで爆発して、それでこんなに痛い目に遭ったのだと、そう思った。その衝撃はドームのように陣形を組んだゴーレムたちの間で一切逃げ場がないように封じ込められ、その内部にいたジャックに多大なるダメージを与えた。ぼんやりとしか考えられない彼女には、何が爆発したのかはわからなかったが、きっとこれは全てカルデアのマスターとアヴィケブロンの作戦通りなのだろうなということは何となく理解出来ている。

 そして、そんな彼女の考えが正しいことを証明するかのように、近くの地面が盛り上がったかと思えば、そこからゴーレムに抱えられた2人が姿を現し、痛みに呻くジャックを見下ろしながら会話を始めた。

 

「作戦通り、だね。君の読みがこの上ないほどに当たった。爆発の威力も丁度いい。彼女を退去させず、されどこれ以上の戦闘続行は不可能な状態にまで追い込めたよ」

 

「あう、あ、うぅ、う……」

 

「……ごめんよ、ジャック。痛くして本当にごめんよ……」

 

 全てのナイフを取り上げられ、ボロボロになった体をゴーレムに拘束されたジャックの姿を見て、カルデアのマスターは胸を痛めた。今までもこうして戦闘不能ギリギリまで英霊たちを追い詰めたことはあったが、幼い英霊であるジャックが全身を傷だらけにして血を流す姿は、彼の心を深くまで抉る。

 元から肌面積を多く晒す服装をしていた彼女だが、今はその時よりも更に露出が激しいマイクロビキニ姿になっている。股間に食い込むほどの下着と乳首を何とか隠せる程度の上服。それだけしか身に纏っていない彼女の服装には防御力なんてものがあるはずもなく、所々に突き刺さっている岩の残骸があまりにも痛々しく見えて仕方がない。

 

 こうするしかないとはわかっていても、見ていて良い気分のするものではない。許しを請うように呟きつつ、ジャックの頭をそっと撫でたマスターに向け、彼女は憎しみの籠った眼差しを向けると苦々し気に吐き捨てた。

 

「また、わたしたちを殺すんだね……わたしたちはもう、いらない子なんだよね……? だから、おかあさんはわたしたちを捨てたんだよね……?」

 

「ジャック、違う! 俺はそんなこと思ってない! 君を捨てるだなんて、そんなことするはずがない!」

 

「嘘つき! だってソロモン様が言ってたもん! おかあさんがわたしたちを捨てたって、そう言ってた! だからわたしたちが苦しんでも、泣いてても、助けに来ないんだって言ってたもん!」

 

「ぐっ……!」

 

 徐々に晴れていく霧の中、涙声で叫ぶジャックの言葉により深くまで心を抉られる。自分は、彼女たちを見捨てたつもりはない。だが、彼女たちが苦しい時に手を差し伸べることが出来なかったことは確かだ。実質的に、見捨てたと思われても仕方がないのだと、カルデアのマスターは言葉を詰まらせて苦しそうに呻く。

 それでも、彼はジャックへと向き直ると、彼女と対話すべく彼女の目を見た彼は、彼女の表情が先ほどまでとは大きく違っていることに気が付いた。

 見開かれた目は驚きの色に溢れ、表情全体が信じられないという感情を示している。そして、ジャックのアイスブルーの眼に映っているものを見て取ったマスターは、彼女と同じような表情を浮かべると急ぎ背後を振り返った。

 

 霧が晴れ、良く通るようになった視界の果てに、彼女はいた。手に弓を携え、その弦を引き絞り、狙いを天に定めて、彼女は立っていた。

 そのまま、彼女は無言でその矢を放つ。高く、高く……上昇していくその矢はその頂上で眩く輝き、無数の光の矢へと変化して、そして――

 

「隠れるんだ、マスター! 敵の第二陣だ!!」

 

 ――アヴィケブロンのその言葉を耳にして、まだ戦いが終わっていないことを察したマスターたちの下へと、矢の雨が降り注いだ。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

急襲、アタランテ

11月の頭には投稿すると言っておきながら大幅な遅刻、本当に申し訳ないです。

モチベーションが落ちているわけではなく、自分自身が納得出来る内容が書けずに何度も書いては消してを繰り返した結果、このような大幅な遅刻を招いてしまいました。その癖、今回の話も完全に納得出来る仕上がりというわけではないというね。

しかし、待ってくださっている皆さんからありがたいお言葉を頂けたり、完成させない限りは納得のいく出来も糞もないという大前提を思い出しましたので、とにかく物語を先に進めさせていただきます。
重ね重ね、遅くなってしまい本当にすいませんでした。


 降り注ぐ矢の雨を目視したアヴィケブロンの反応は素早かった。即座にゴーレムを盾とした岩の壁を生成し、自分やマスターたちを守るように上空からの攻撃に備える。

 マスターが自分の頭上に岩の天蓋が出来上がったことを見て取った次の瞬間には、轟音と共にそこに幾つもの亀裂が出来上がっていった。

 

「ギリギリ間に合ったようだね。だが……」

 

 初撃は防げた。しかし、今もなお降り注いでいるこの矢の雨から身を守り続けることは到底不可能だ。

 アヴィケブロンに出来るのは、あくまでゴーレムの壁を生成し続けることだけ……その強度を越える攻撃が繰り出され続ければ、いつかはそれが自分たちの身に届くことになるだろう。

 そして、アタランテには宝具を打ち続けられる見込みがある。でなければ、こうして闇雲に矢を射続けることはせず、自慢の俊足を活かした戦法に切り替えているはずだ。

 

「マスター、長い間は防げないと思ってくれ。他のサーヴァントたちからの救援を待つか、どうにか君だけでも離脱する方法を見つけ出すことをお勧めするよ」

 

「離脱するのなら全員でだ。誰も、見捨てることなんて出来ない」

 

 戦術的に正しいアヴィケブロンの言葉にそう返すマスター。彼の発言を耳にしたアヴィケブロンは、仮面の下で小さく頷いた。

 

 別に、ここでカルデアのマスターだけが安全地帯へと離脱することは何も間違った選択ではない。彼が死んだ時点でカルデア陣営の敗北が決定してしまう以上、彼を生かすことを最優先とすることはおかしな判断ではないはずだ。

 それに、アヴィケブロンをここに残しても令呪による命令権がある。安全地帯へ移動したマスターが令呪を行使してアヴィケブロンを呼び寄せれば、彼もまた無事にこの窮地を乗り切ることが出来るだろう。

 マスターがそれをしないのも、アヴィケブロンがその行動を黙認するのにも、勿論理由がある。それは、今現在マスターに抱えられているジャックであった。

 

「……見捨て、られた。また、捨てられちゃった……」

 

 生気のない瞳で、ぶつぶつとうわ言を繰り返すジャックは、自分を巻き添えにすることがわかっていて繰り出されたアタランテの宝具での急襲に心が折れてしまっていた。

 彼女にとってこの事態は、カルデアのマスターの暗殺に失敗した以上、もう自分が不要な存在であるということをソロモンから暗に宣告されてしまったものだ。彼を崇拝し、縋り、従順に命令を聞いてきたジャックの心を磨り潰すには十分……いや、彼女の出自を考えれば、今まで一番の絶望を感じているのは間違いないだろう。

 

「いらないんだ……ソロモン様は、わたしたちなんて必要なくなったんだ。わたしたちの居場所はもう、どこにもないんだ……」

 

 幼い心をへし折られ、魔術による洗脳や調教があったとしても、自分たちがカルデアを裏切ったことは紛れもない事実。

 カルデアのマスターは自分たちを捨てたとソロモンに唆され、こんなに辛い思いをしているのに助けに来てくれないことがその証拠と言い包められ、彼に対する憎しみの感情を募らせたこともまた事実だ。

 

 そんな風に甘言でジャックを乗せたソロモンは、優しさを装って彼女を篭絡して自身の手駒とした。力を与え、快楽を与え、いつの日か彼女の持つ刃がカルデアのマスターを解体することを願って、仮初の温もりをジャックへと与え続けた。

 カルデアを裏切ったジャックは、その温もりと快楽を享受して幸福を味わい続けていたが……彼女の心が満たされることなど、あるはずがなかった。

 

 本当はわかっていた、ソロモンが自分たちを愛していないことなど。彼は自分たちの母親ではない。自分たちは彼の子供ではない。ただの道具で、利用価値が無くなればこうして捨てるだけの存在だということは理解していたはずだ。

 

 本当はわかっていた、カルデアの皆が自分たちを見捨てたりなんかしないことを。ただ苦しかったから、辛かったから、楽な方へ逃げたかった。助けに来ない彼らが悪いと、そう思ってソロモンに従っていれば楽だったから、自分たちの中で彼らを悪者にしただけだ。

 

 そして、わかっていたはずだ、絶対にこんな日が来るなんてことは……暗殺に成功しても、失敗しても、もうその時点で自分たちは用済みとなる存在。そうなった時点でソロモンは自分たちに対する興味を失い、ただの性奴隷、肉便器として、部下たちに下賜するだけだなんてことは理解出来ていたはずなのだ。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

 

 優しかった人たちを、大好きな友達を、全部裏切ってまで進み続けた末路に待っている運命が残酷なものであることくらい、ジャックにだってわかっていた。それでも、抗うことは出来なかった。拒むことも出来なかった。

 これは因果応報の結末で、自分たちが悪いことをしたからこうなっている……もう何処にも自分たちの居場所はない。もう誰も自分たちを愛してはくれない。

 絶望に浸るジャックの口からは謝罪の言葉が絶え間なく漏れ続け、光の無い瞳からは静かに涙が溢れ出す。孤独に震え、自分自身の悪行に苦しむジャックは、最大のトラウマを抉る出来事にただ咽び泣くことしか出来なかった。

 

 カルデアのマスターは、そんなジャックを強く抱き締めると共に唇を噛み締める。もっと早くに彼女を助け出せていればこんな苦しみを味わわせることもなかったと自分を責め、こうして自分の腕の中で震える少女を今度こそ守り抜こうと決意を固める彼に力を貸すアヴィケブロンもまた、かつて自分が命を奪ってしまった少年とジャックの姿を重ね、その償いとして彼女を救い出すことを自身に誓う。

 

「アヴィケブロン、限界まで矢を防ぎ続けてくれ。魔力切れは、令呪で補ってみせる。たとえ何画使おうとも、救援が来るまで持ちこたえよう」

 

「わかった。幸い、宝具の威力にも慣れてきたところだ。限界はあるだろうが、君の期待に応えられるよう尽力してみよう」

 

 頭上の天蓋を覆うようにもう一つの岩の壁を、更にそれを覆うように大きな壁を……というように重厚な防壁を何重にも重ねるアヴィケブロン。しかし、多少の魔力が込められているだけの(ゴーレム)の壁など、アタランテの宝具を以てすれば十数秒で粉砕されてしまう。

 その度にアヴィケブロンは魔力を消費して新たな壁を作り出し、出来る限りの時間を稼いだ。同時にマスターも何時でも令呪を使えるように準備をし、もう片方の腕でジャックを強く抱き締める。

 

 今の彼には、ほんの少しだけの希望が残っていた。ジャックを取り戻せるという希望と、あと一つ……自分の考え過ぎかもしれない。確証もない。だが、もしかしたらそうであるかもしれないという願望にも近い希望を胸に、彼はアヴィケブロンと共にこの苦境を凌ぎ続ける。自分の仲間たちが、アタランテを止めてくれることを信じて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒一色と表すに相応しい出で立ちと、見る者に鋭さと冷たさを感じさせる銀の髪。彼女のその姿には、見覚えがあった。

 自身を蝕むとわかっていても苦しむ子供たちの残滓を己が身に受け入れ、誰かのための憎悪に突き動かされて変貌した魔獣……報われなくても、救われなくとも、それを理解していたとしても、ただただ自分の愛する物のために突き進み続けた不器用で美しい夢こそが、その姿の根底にある彼女の想いだったはずだ。

 

「……何してるんだよ、姐さん。アンタって人は……」

 

 ここに彼女が来たことも、彼女が何をしたのかも、カルデアのマスターから令呪を通して聞いていた。俊足を売りとする自分が他の誰かに先を越されることなどあり得ないとは思っていたが、こうして彼女と一対一で対面することが出来ている現状を考えると、何処か運命的なものを感じてしまう。

 

 ……ロマンティックなものではなく、悪夢の再現という意味での話だが。

 

「………」

 

 無言で、弓を射る手を止めた彼女がこちらへと振り向く。感情を感じさせない瞳に自分の姿を映し、ただ黙ってこちらを見た後に、手にしている弓の照準を自分へと合わせてくる。

 それを見て、ようやく彼も確信した。自分が敬愛し、憧れ、想いを寄せた女性と、目の前に在る彼女は別物であると……今、自分の前に立ちはだかるアタランテには心がない。肉体だけのがらんどう、空っぽの抜け殻であることを感じ取り、泣き笑いにも近い表情を浮かべ、彼は口を開く。

 

「なあ、なあ……どうしてだ? なんで、こんな真似するんだよ。あそこには、()()()()()()()()?」

 

 返事なんてしないことはわかってる。理由がないことも理解している。だが、そう問わずにはいられない。聞かずにはいられない。

 どうしてあれだけ愛した子供をその弓で射ることが出来るのか? その命令を拒まないのか? 心の無い人形と化したアタランテにそう尋ねても無駄だということはわかっていても、彼女のした行動が信じられない彼にとっては声に出して聞かざるを得ないことだった。

 

 もう見たくない、こんな彼女の姿など。もしも彼女が最も愛していた存在をその手にかけることとなったとしたら、誰よりも苦しむのはアタランテ本人だ。心を失い、感情を奪われた存在と化していたとしても、そんな罪を彼女に背負わせるわけにはいかなかった。

 

 例え苦しかろうとも、辛かろうとも、彼女を止めるのは自分の役目だ。再びあの救いのない、ほろ苦い終わりを迎えることになったとしても、それが自分の役目だ。

 

 本当の彼女の夢を知る自分が、これ以上彼女が自分自身の夢を汚す前に、止めてやらなければならない。

 

「アンタの夢は……美しく温かいその夢は、何処に消えたんだ!? アタランテっ!!」

 

 吼える、感情のままに。爆発させる、感情を。全ての迷いを振り払うために。

 今はただ、自分の役目を果たすだけ。自分と彼女の悪夢を終わらせるために、この槍を振おう。

 

 怒りと悲しみの入り混じった叫びを響かせ、敵となったアタランテと向かい合いながら、騎兵(ライダー)、アキレウスが戦いの構えを取る。憧れ続けた女性の魂を解放するための戦、聖杯大戦第二戦……ギリシャ神話の英雄同士の戦いが今、始まろうとしていた。

 




忘れてました。今さらですが、明けましておめでとうございます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルデア春のネロ祭!
プロローグ


読まなくても特に問題無いおふざけイベントのお話

軽い息抜きで書いたものなので本編とは全く関係ありません

気になった方だけどうぞ!


 

 

「春のネロ祭、開催であるっ!!」

 

 どどんっ、と音がしそうなくらいの勢いで登場すると共にそう言ってのけたネロは、ふんすと得意気な表情で鼻息を荒くしつつドヤ顔を見せている。

 そんな彼女の姿をしげしげと見つめ、容器に残っていた飲料水を一息に飲み干したマスターは、一応といった様子で彼女に問いかけた。

 

「春のネロ祭って何? 言っておくけど、今のカルデアにネロ祭をやるような余裕はないよ?」

 

「無論、そんなことは説明されるまでもない! 今回のネロ祭は普段のそれと比べて極小規模なものである! というか、余が練りに練った脚本を元に春らしいシチュエーションでマスターと黄金劇場のセットでセックスするだけのものだ!」

 

「ああ、なんだ。そういうこと。それならそうと最初から言ってくれればいいのに」

 

 派手好きのネロがカルデアの数少ないリソースを使って無茶苦茶やるのではないかと心配していたマスターは、彼女のその答えを聞いてほっと胸を撫で下ろす。多少の不安こそ残るが、その程度のものならばダヴィンチちゃんやカルデアのスタッフが地獄を見るような結末は訪れないだろう。

 

「うむ! ただ、普通にセックスするだけでは面白くない! だから、余たちはこれをいつものイベント風味に変更した! 具体的に言えば、3コース用意されているプレイルームのそれぞれで行ったセックスの回数によって、余のお手製のチケットを渡そう! それを使って、大好きなBOXガチャを一杯回すとよい! 素材や種火は入っていないがな!」

 

「……なんかちょっと気が滅入ってきたかも」

 

 訂正、この我儘皇帝の考えていることは想像がつかない。普段の苦行ともいえる周回を思い返してげんなりとした気分になるマスターであったが、そこは得意顔のネロがしっかりとフォローに入る。

 

「そう気にするな! BOXガチャの当たりは超豪華賞品だぞ! それに、マスターはただ楽しくセックスをするだけで良いのだ。なにも難しく考える必要はないのだぞ」

 

「まあ、そっか……せっかくネロが用意してくれたイベントだし、楽しまなきゃ悪いよね」

 

「うむうむ! その意気である! ……という訳で、今回の黄金劇場の各ルームに繋がる鍵を渡しておこう。部屋にはそれぞれその内部で行うプレイに関係する名前を付けてあるから、気になった所から入ってみると良い! では、余は黄金劇場で待っているからな!」

 

 マスターもまた準備を整えた後で黄金劇場へと足を運び、煌びやかな門を潜ってその先のプレイルームへと向かう。

 そして、立ち並ぶ3つの扉を見つけた彼は、その上に書かれている部屋名へと視線を注ぎ、どの部屋の攻略から始めようかと悩み始めたのであった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

春の三角関係と書かれた扉を開ける

これはリクエストに来ていたシチュエーションですね。

実現出来てよかったです。


「……急に呼び出してすいません、先輩。でも、どうしてもこの気持ちを伝えたくて――」

 

 夕陽の差し込む教室の中で、1人の少女がマスターを待っていた。

 黒縁の眼鏡を掛け、上に紺色のブレザーとミニスカートという学生服を身に纏っているその少女の名はマシュ・キリエライト……考えるまでもなく、マスターの大切な後輩だ。

 

 カルデアにやって来る前に通っていた学校の教室とよく似たこの場所に、マシュは自分を呼び出した(という設定のようだ)。ほんのりと彼女の頬が赤く染まって見えるのは、夕陽のせいだけではないだろう。

 これは、そう、所謂……甘酸っぱい青春の1ページという奴である。異性からの呼び出しと現在の完璧なシチュエーション、そしてマシュの緊張した面持ちを見れば、マスターも妙に心臓が高鳴ってしまう。

 

 すー、はー……と深呼吸をし、一度区切った言葉を再び言葉にすべく、準備を整えるマシュ。

 やがて意を決した彼女は、真っすぐに敬愛するマスターの目を見つめると、偽りない自身の胸の内の想いを彼に告げる。

 

「先輩……あなたのことが、好きです。どうか、私の恋人になっていただけないでしょうか?」

 

 ざわりと、マスターの心に風が吹いた。マシュからの正面切っての告白を受け、喜ばない男がいる訳がない。

 当然、答えはOKだ。返事を口にしようとしたマスターが、口を開いたその瞬間だった。

 

「少し、待っていただきましょうか」

 

 教室の入り口側から、また別の声が聞こえた。はっとした2人がそちらの方向に視線を向ければ、そこにすらりとした長身の美女が立っていることを見止める。

 紫色の長い髪。赤縁の眼鏡。白いワイシャツの上には栗色のカーディガンを羽織り、ミニスカートの丈は決して短すぎる訳ではないのだが、彼女の長く美しい脚をより艶めかしく強調しており、それが男たちの劣情を煽っていた。

 

 マシュの告白に待ったをかけたその美女……メドゥーサは、つかつかとマスターへと歩み寄ると彼を後ろから抱き締める。そして、挑発的な視線をマシュへと向けながら、これまた煽るような口調で彼女に対してこう告げた。

 

「後輩くんは、私のモノです。あなたも、年下のお子様より私のような年上のお姉さんの方が好きでしょう?」

 

「なっ!? メドゥーサ先輩! いきなり現れて何を言っているんですか!? 今は私が先輩に告白の返事を聞く時間です!」

 

「聞くまでもないからこうして現実を教えてあげてるんじゃないですか。残念ながら、あなたは後輩くんには選ばれません。だって、彼にはもう私がいますからね」

 

「メドゥーサ先輩は先輩と恋人同士という訳ではないでしょう!? なら、私にもチャンスがあるはずじゃないですか!」

 

 自分を挟んで言い争いを始めるマシュとメドゥーサのことを交互に見比べたマスターは、この部屋で繰り広げられるプレイの内容を理解し始めた。

 どうやら、自分とメドゥーサ、そしてマシュは同じ学校の先輩後輩という関係性らしい。会話の内容から察するに、自分が2年生、マシュが1年生、メドゥーサが3年生であり、そして2人はマスターに好意を持っていて、自分を取り合っている状況ということだ。

 

 確かに、これは三角関係だ。可愛らしい美少女と綺麗な美女に思いを寄せられ、競うようにしてアピールされるというのは悪い気はしない。

 だが、ここから自分はどうすればいいのだろうか? ネロの話では、部屋の中ではセックスが行われるはずだ。しかして、そのお相手と思われる2人は言い争いの真っ最中で、どうにもここからセックスに繋がる未来が見えない。

 

(もしかしてどちらか1人を指名するとか? 集会前提みたいな話もされたし、何回もこの喧嘩を見るのは嫌なんだけど……)

 

 どちらか片方を選び、恋人としてイチャイチャセックス。行為を終えて部屋から出ると状態がリセットされて、今度はもう片方の女の子と同じことをする。それはそれで楽しそうではあるが、何度も喧嘩を見るのは気が滅入るし、2人も疲れるのではないだろうか?

 そんなことを考えつつマスターがここからどうするかを思案していると――

 

「……では、仕方がありませんね。女の武器を使って、彼を満足させた方が勝ちということにしましょうか」

 

「……はい?」

 

 耳元で聞こえたその言葉に首を傾げ、背後のメドゥーサに訝し気な視線を向けるマスター。そんな彼の姿にも、メドゥーサは微笑を浮かべたまま動ずる気配を見せない。

 ちょっとだけ何が行われるのかを理解し始めたマスターが今度はマシュの方を見れば、いつの間にやらふんすと鼻息も荒く近づいて来た彼女に着ている学生服を見事な手際で脱がされ、あっという間に生まれたままの姿にされてしまったではないか。

 

「うひゃいっ!?」

 

 全裸の状態で体を開放されたマスターは、床に尻もちをついてしまった。そんな彼の目の前では、彼を取り合う2人の女性が激しい火花を散らして睨み合っている。

 

「メドゥーサ先輩は私がこういうことを不得手としていると思っているのかもしれませんが、それは大外れですよ。先輩の心を射止めるのは、私です!」

 

「子供なりに背伸びしたい気持ちもわかりますが、どう足掻いても埋められない差というものがあります。先輩として、後輩のあなたにそれを教えてさしあげましょう。授業料は後輩くんの恋人の座で結構ですよ」

 

「う、うひぇ……!?」

 

 マスターを取り合う女性による、争奪戦セックス……これがこの『春の三角関係』の部屋にて行われるプレイのようだ。

 思ったよりもドロドロとしている人間関係を目の当たりにし、欲望をむき出しにして睨み合うマシュとメドゥーサの姿に軽い恐怖を感じながら、マスターは若干この部屋を選んだことを後悔しつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちゅむ、はぷっ♡ ちゅぅ……っ♡」

 

「はっ♡ んっ♡ んんんっ……♡」

 

 数分後、マスターは教室の椅子に座って快楽に呻いていた。その心からは先ほど覚えていた後悔の感情は消え去り、2人の奉仕に肉棒を固く起立させている。

 裸の自分に対して、マシュとメドゥーサは学生服に身を包んだままだ。そのアンバランスさが何とも言えない興奮を煽り、また2人の美しい女性たちが床に這いつくばり、自分の肉棒に夢中になって奉仕を続ける光景が彼の征服欲を掻き立てる。

 

「ふぅっ♡ はふぅ……っ♡ 先輩の先走り汁、しょっぱくて美味しい……♡ 早く私のおまんこにハメたくって興奮してるんですね♡ もっともっと、気持ち良くしてあげますから……♡」

 

 つつーっ、と幹を舌で辿り、尿道を舌の先でぐりぐりと刺激するマシュが恍惚とした表情で甘く囁く。カリの窪みにも舌を這わせ、亀頭をちゅぽちゅぽといやらしい音を立てながら吸い、上目遣いでマスターを見つめる彼女の姿は淫らさと愛らしさが絶妙に融合した素晴らしいものだ。

 丁寧に、丁寧に、マスターへの奉仕を続けるマシュ。慣れた様子で肉棒を咥える彼女の奉仕に腰が浮き上がりそうになるほどの快感を感じるマスターは、身悶えしながら射精を必死に耐える。

 

「ふ、ふふ……♡ ここも可愛がってあげましょう♡ このキンタマでいっぱいザーメンを作って、私のスケベ穴に好きなだけドピュドピュしていいですよ……♡」

 

 メドゥーサはマスターの睾丸を唇で咥え、舌で転がすようにして刺激している。ずっしりと重いそこを指先で触れ、舌で愛撫し、精液を作り出させながら淫語を口にしてマスターの興奮を煽る彼女の表情からは、熱に浮かされながらも大人の余裕が滲み出ていた。

 マシュの行う正統派の口淫の快感を増長させるように、さりとて自分の存在をばっちりとアピールしながら舌を動かすメドゥーサ。そんな彼女の奉仕によって更に性感を高められるマスターは、ぐっと歯を食いしばって絶頂を迎えまいと堪え続けていた。

 

「ちゅっ♡ んっ♡ 先輩♡ せんぱぁい……♡」

 

「我慢なんてしなくていいんですよ、後輩くん……♡」

 

 自身の性器を這い回る2枚の舌。絶妙な動きで協調と反発を繰り返す彼女たちの舌は、彼に快楽を与えるという共通の目的を見事に果たしている。

 もしかしたら、事前に打ち合わせやシュミレーターを使って訓練を重ねたのかもしれない。そう思えるほどに完成された動きで奉仕を続ける2人の舌によって、マスターの我慢は限界を迎えようとしていた。

 

「ごめっ! 2人とも、もう……っ!!」

 

「あはっ♡ 射精してくれるんですね……♡ いいですよ、私たちの顔にぶっかけてください……♡」

 

「なんの遠慮もなく、最高に気持ち良い射精をしてくださいね、後輩くん……♡」

 

 マスターの限界を悟った2人は、左右から彼の肉棒を挟むと完璧なシンクロを見せての奉仕を開始する。根元から亀頭までをじっとりと舐め上げ、カリの窪みと鈴口を交互に舌で責める。ふっくらと膨らんだ亀頭に熱烈なキスをしてから順番に口の中に咥え込み、喉奥で肉棒を刺激しては彼の射精を促す。

 そして、肉棒の震えが最高潮に達したその瞬間、2人は顔を離すと大口を開けて舌を伸ばし、精液を顔で受け止める構えを取った。

 彼女たちの準備が整ったことを悟ったマスターの肉棒は、堪えに堪えた滾りをその美しい顔へと解き放つ。

 

「んっっ♡ あぁああぁあぁぁあぁあぁ……っ♡♡♡」

 

「ふぅんっ♡ んっ♡ はあぁあぁあぁっ♡♡♡」

 

 まるで火山の噴火のような激しさを以って、マグマのように熱く粘度の高い精液が2人の顔に降りかかる。

 その髪に、開いた口の中に、伸ばされた舌に、学生服と眼鏡のレンズに……べっとりと白濁液がこびり付き、雄の臭いをマーキングした。

 

「ふぅっ♡ 凄い、量……♡ 眼鏡も学生服も先輩のザーメンでベトベトです……♡ 明日からザーメン臭い制服で学校通うことになっちゃいます……♡」

 

「素敵な射精でしたよ、後輩くん……♡ この雌は俺のモノだって主張するザーメンマーキング、立派に出来ましたね……♡」

 

 口に入った精液を飲み干し、舌で顔や眼鏡にこびり付いた精液を舐め取った2人は、すっくと立ち上がるとミニスカートは脱がずにその下のショーツだけを脱ぎ捨てた。そして、フェラチオの興奮でびっちょりと濡れた股座の部分を2人して見せつけながら、卑猥に誘い文句を口にする。

 

「先輩……♡ 本番セックス、しましょ♡♡♡ ゴムなんて無粋なものは使わない生ハメセックス……先輩のおちんぽを、私の涎ダラダラおまんこにぶちこんでください……♡」

 

「後輩くん……♡ ねっとり絡む先輩エロまんこの味に興味はありませんか♡ 見ての通り大きくて頑丈な体ですから、多少激しくしても大丈夫ですよ♡ ハメられ準備万端の私のまんこに挿入して、猿みたいに腰を振って気持ち良くなりましょうね……♡」

 

 今まで履いていた生暖かい下着をマスターのそれぞれの手に握らせ、ミニスカートをたくし上げて彼を誘うマシュとメドゥーサ。

 見慣れた学生服の下に隠れている濡れ切った卑猥な女性器の様子にごくりと息を飲むマスターの股間は、既に先ほどよりも猛々しく起立していた。

 

「先輩……♡ 早く、来てください……っ♡♡♡」

 

「後輩くん……♡ あんまり焦らさないで……♡♡♡」

 

 2人は並べられた机の上に寝転がり、まんぐり返しの格好で腰を突き出す。教室内に漂う甘ったるい雌の香りに野生を刺激されたマスターもまた、彼女たちの誘いに乗って性交の構えを取った。

 

「それじゃあ……最初はマシュからいくね……!」

 

「はいっ♡ メドゥーサ先輩、お先に失礼しますね♡」

 

「……まあ、慌てる乞食は貰いが少ないという言葉もあります。私は焦らずに待ってあげましょう」

 

 マシュの太腿を掴み、勃起した肉棒を性器に擦り付けるマスター。ねちょねちょとした音が響き、敏感な部位を刺激されるマシュの口からは甘い声が飛び出す。

 肉棒にたっぷりと愛液を塗した後、マスターはやや上側からマシュに覆い被さるようにして腰を突き出した。そして、一気に最奥まで貫き、彼女の子宮を押し潰す。

 

「んああぁああぁあぁぁぁぁあぁあぁぁあぁっっ♡♡♡ せ、先輩ちんぽっ♡♡♡ おくまでぇっっ♡♡♡ いきなり、ふかいぃい……っ♡♡♡」

 

「ぐっ!? すっ、ごっ……! マシュのまんこ、いつもよりうねって……っ!!」

 

「はぁっ♡♡♡ ん、あぁっ♡♡♡ 先輩のも、いつもより大きい、です……♡♡♡ 私の学生服姿に興奮してくれたんですね……♡♡♡」

 

 少しだけロールプレイを忘れ、普段よりも興奮しているお互いの反応を指摘し合うマシュとマスター。このシチュエーションもそうだが、確かにマスターはマシュの制服姿に興奮している。

 学校にこんな後輩がいたならば、間違いなく楽しい学園生活になる。そんな先輩を慕ってくれる可愛い後輩であるマシュが、淫らに乱れて男を誘う姿を想像するだけで脳が沸騰しそうになるほどだ。

 

「ああっ♡♡♡ うあぁあぁっ♡♡♡ ひあアぁあぁあぁあぁァアぁあァああぁっっ♡♡♡」

 

 ずちゅん、ずちゅん……ゆっくりとした腰の動きで上から突き刺すようにしてマシュの膣を責める。一突き毎にマシュの膣からは潮が噴き出し、引き抜く度に肉棒に吸い付く膣が腰を浮かせて離れまいとキツく締まる。

 ギリギリまで高く、ギリギリまで深く、バウンドするマシュの尻の動きは大きくなり、それに比例してマスターの腰の動きも激しくなっていく。響く音も卑猥かつ大きくなり、それを掻き消すほどにマシュの喘ぎ声も大きくなっていく。

 

「んへおぉおおぉおっっ♡♡♡ しきゅっ♡♡♡ おおおんんっっ♡♡♡ ご、ごりごりぃ、けじゅらっ♡♡♡ おおぉおおんっっ♡♡♡ こしっ♡ かくかくっ♡♡♡ とまらなっ♡♡♡ ほへぇぇええぇぇえっっ♡♡♡」

 

 噴き出す潮と尿。腹を圧迫されたことで尻穴から飛び出す屁。可愛らしい表情を一変させ、快楽に咽び狂うマシュは淫らなアヘ顔を晒しながらマスターのピストンを受け止めている。

 大好きな彼を受け入れられる悦びに震える膣は強く締まり、甘えるようにして吸い付いていた。肉棒から感じるその反応にマシュへの愛らしさを爆発させるマスターは、激しい種付けプレスを続けながら舌を伸ばしてディープキスをも始める。

 

「んじゅうぅうっっ♡♡♡ んむぅううっ♡♡♡ んろぉおっ♡♡♡ んぅううぅっ♡♡♡ んっっ♡ んんんんっっ♡♡♡ んぅううぅうううぅぅうっ♡♡♡ んもぅううぅうっっ♡♡♡」

 

 ぱんぱんと響く腰と腰のぶつかりあう音が、くぐもった自身の喘ぎ声が、下品に響く放屁の音が、マシュから思考能力を奪い去った。酸欠でぼーっとし始めた頭は与えられる快楽をダイレクトに貪り、彼女をただの獣へと化させてしまう。

 強く、激しく、雄々しいセックス。子宮を叩きのめされ、抗うことも出来ずに全身を痙攣させ、快楽を味わうマシュは、性器と口から至上の快感を得て意識を一瞬だけ手放した。しかし、次の瞬間には激し過ぎる快感によって覚醒を迎えると共に、それに押し流されるようにして絶頂を迎え、腰を跳ね上げて叫んだ。

 

「いぐぅうううぅううぅううぅううぅううぅっっ♡♡♡ んひっ♡♡♡ あひぃっ♡♡♡ ひぃっ♡ はひぃいいぃいいぃいいいぃいいっっ♡♡♡」

 

 ぷしぃぃぃっ♡♡♡ と噴水のように噴き出した愛液が教室の床を濡らした。代わりに膣内へと送り込まれた精液が子宮一杯に溜まり、彼女を加速度的に次の絶頂へと導く。

 ぎゅうぅっ、と締まったはずの尻は連続絶頂を迎えてだらしなく開き、そこからぶぽぶぽと下品な音を響かせた。どくどくと流れ込む精液によって全身を支配されたマシュは、ガクリと机の上で体を弛緩させて動かなくなってしまう。

 

「は、へ……♡♡♡ 先輩おちんぽ、しゅごい……♡♡♡ あう、あうぅ……♡♡♡」

 

 どろりと彼女の膣から溢れ出した精液が教室の床に垂れた。引き抜かれた肉棒は未だに硬さを保っており、マスターは次なる獲物を求めて体を一歩横に移動させる。

 そこで待つメドゥーサは、マシュとマスターの激しいセックスを目の当たりにして辛抱堪らないという様子だ。先ほどよりも股座は濡れ、肉厚の性器はいやらしく光沢を放っている始末である。

 

「早く、早く……♡♡♡ もう待ちきれません♡♡♡ 後輩くんのデカちんぽを私のまんこにご馳走してください……♡♡♡」

 

 左右の手で自ら性器を開き、肉棒を求めて悩ましい声を漏らすメドゥーサ。そんな彼女の願いに応えるべく、マスターはマシュの時と同じく上から覆い被さるようにして彼女の膣に己の肉棒を挿れ始める。

 しかし、今度は一息に叩き込むのではなく、じっくりと膣の感触を味わうようにしてゆっくりと腰を沈めていった。

 

「は、お、ぉ、ん……っ♡ ち、ちんぽのかたちが、わか、って……♡♡♡ お、おぼえてしまいます……♡♡♡ 後輩くんのおちんぽを、私のまんこがおぼえて……おおっっ♡♡♡」

 

 たっぷり溜まったメドゥーサの蜜が、マスターの肉棒が埋め込まれる度に溢れ出す。白く濁り、ドロドロと粘っこくなっていくそれは、メドゥーサの興奮を顕著に表していた。

 

 メドゥーサは、自分の膣がマスターの肉棒の形を完璧に記憶しようとしていることを感じ取っていた。

 亀頭の大きさ。カリの広がり。幹の太さと長さ。全体の熱と硬さ。このねっとりとした挿入の最中で彼を求める自らの膣は、与えられる快楽を根こそぎ味わおうと強欲に吸い付いている。そのせいで、肉棒の形もはっきりと感じられてしまうのだ。

 

「ああっ♡♡♡ こんな、太くて熱い……っ♡ だめっ♡♡♡ だめぇぇ……っ♡」

 

「メドゥーサ先輩の膣、とろとろなのにみっちり俺のことを締め付けてきてます……! 掻き回せば掻き回すほど、エロい顔になりますね」

 

「み、見ないで、後輩くん……♡♡♡ こんな、恥ずかしい顔をみないで……♡♡♡」

 

 顔を手で覆い、快感によってとろんと蕩けただらしない表情を隠そうとするメドゥーサであったが、マスターはその手を強引に退かすと喘ぐメドゥーサの顔を至近距離で見つめながら本格的なピストンを開始した。

 ぬちゅっ、ぐちゅぅ、と卑猥な音が響き、メドゥーサの膣から愛液が滝のように流れ出す。奥を突かれると勝手に体が仰け反り、弓なりにしなってしまうほどに感じている自分の反応と表情に羞恥心を抱きながらも、メドゥーサはそのあられもない姿をマスターに隠すことも出来ないのだ。

 

「あぁっ♡♡♡ んぅぅっ♡♡♡ そこっ、よわいぃっ♡♡♡ あはぁっ♡♡♡ はっ、はぁぁあぁあぁああっっ♡♡♡」

 

「……今の先輩、大人の余裕はないけど凄く可愛いです。もっと見せてください……!」

 

「んぅうっ♡♡♡ か、可愛いだなんて、そんな、ああっっ♡♡♡ んっ、ふぅうっ♡♡♡ あぁああぁあっっ♡♡♡」

 

 大女の自分が可愛いと言われたことに戸惑いながらも照れの感情を見せるメドゥーサ。マスターはそんな彼女の愛らしい姿を引き出すべく、更に激しく腰を振る。

 天馬に跨る騎兵らしく肉付きの良い腰と尻に男の腰がぶつかり、それと共に生まれる衝撃が快感となってメドゥーサの体の中心を一気に駆け抜ける。脳が揺さぶられるような感覚に涎を垂らし、ジンジンと熱くなっていく体の芯の昂ぶりに子宮を疼かせた彼女は、両脚をマスターの腰に絡ませ、強く自分の側へと引き寄せながら絶叫を上げた。

 

「くぁぁあぁああぁああぁあぁぁああぁっ♡♡♡ んぁああああぁあぁあァアああぁアあァぁっっ♡♡♡」

 

 膣内に充満する灼熱の精液。性器を焦がし、意識を焼き切る程に熱いそれを女の象徴に喰らったメドゥーサはぶるんっと尻を大きく振って快感に悶える。

 体の大きさの分、受け入れられる精液の量も多いのか、マスターの精液を最後の一滴まで飲み干した彼女の子宮と膣は、満足げに震えた後で彼を解放した。

 未だに硬い肉棒をメドゥーサの膣から引き抜き、机の上でびくびくと痙攣し続ける先輩と後輩の姿に征服感を抱いたマスターがどこか満足気な笑みを浮かべていると――

 

「ま、まだぁ♡♡♡ 私は、先輩とセックス、できます……♡♡♡ もっと、シましょ♡♡♡ せん、ぱい……っ♡♡♡」

 

「私も、限界はまだ先、ですよ……♡♡♡ 後輩くんのガチガチおちんぽ、不完全燃焼のままは可哀想ですもんね……♡♡♡」

 

 ゆっくり、ゆっくりと……緩慢な動作で立ち上がり、体の気怠さを堪えながら壁際まで歩んだ2人は、そこに手を付くとマスターへと尻を突き出した。

 ミニスカートを捲り、種付けされたばかりの精液を股座からボトボトと零しながら、ふりふりと可愛らしく尻を振って性交を強請る女子生徒たちの姿にマスターの興奮は再び最大級まで高められてしまう。

 

「先輩……♡♡♡ 先輩……っ♡♡♡」

 

「来て、後輩くん……♡♡♡」

 

 ひくひくと蠢く尻穴とぱっくりと開いている膣口を見せびらかし、こちら側を振り向いて物欲しそうな表情を見せている美少女と美女の姿に欲望を滾らせたマスターは、思う存分に2人の体を貪り、性の宴を愉しんだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……♡♡♡ ほ、おぉ……っ♡♡♡ こんな、所でセックス……♡♡♡ しかも、お尻の穴でなんて……っ♡♡♡」

 

 放課後の図書室。人の姿がまばらに見受けられるその部屋の入り組んだ本棚の奥で、マシュとマスターは性行為に及んでいた。

 制服はそのまま、ショーツだけを脱がせてスカートを捲り、後ろからマシュのアナルの感触を楽しむマスターであったが、マシュの方はというと視界に映る同級生たちの姿に気が気でない様子だ。

 

「あ、あ……♡ 声、出したら、バレちゃう……っ♡♡♡ 教室でお尻の穴穿られる変態セックスしてるのバレちゃいます……っ♡♡♡ なのに、気持ち良すぎてっ♡♡♡ 声が、我慢出来な……んほっ♡♡♡」

 

 すぐ近くに生徒たちが居るという状況でセックスをしていることに背徳感を味わうマシュ。マスターはそんな彼女の興奮が高まってきたことを悟ると、アナルの弱い部分を強く突き上げてやった。

 ぶぽっ、という音とマシュの太い唸り声が図書室内に響くも、こちらを気にする者はいないようだ。

 そもそもあの生徒たちはシュミレーターの映像なのでバレたとしても何の問題もないのだが、黄金劇場内に仕掛けられた装置が特殊な脳波を出すことによって、あたかも本当に露出セックスをしているかのような興奮を味わうことが出来るようになっている。

 

「だ、ダメですっ♡♡♡ そんなにお尻っ♡♡♡ けつまんこ穿られたら、本当に声がっ♡♡♡ んぅぅっ♡♡♡ んほぉおっっ♡♡♡ ん、んん~~~っっ♡♡♡」

 

 必死になってマスターを制し、落ち着かせようとするマシュであったが、装置の影響を受けていないマスターはより大胆な体位へと移行することでマシュの羞恥心を煽りに出た。

 マシュの両膝の関節を掴み、そのままM字開脚させるような格好で持ち上げれば、ぱっくりと開いた秘所と肉棒を咥え込んでいるアナルが前方から丸見えになってしまう。その状態で本棚の陰から飛び出せば、本気でセックスの露見を恐れながらもこのシチュエーションに興奮しているマシュは、アヌスをぎゅっと締めて反応をみせた。

 

「んんんんんっっ♡♡♡ んぐぅんっ♡♡♡ んむ~~っっ♡♡♡ んほっ♡♡♡ んむぅおぉっ♡♡♡」

 

 マシュは両手で口を抑え、首をぶんぶんと左右に振ってマスターに情けを請う。その心の中では、誰にもこの姿を見られたくないという思いと、いっそのこと誰かに変態的な行為に手を染めている今の自分たちの姿を見て欲しいという願望がせめぎ合っていた。

 懸命に声を殺し、さりとて快感を普段以上に貪るマシュの尻穴は既にイキっぱなしだ。彼女のアナルを開発し、弱点を知り尽くしたマスターからすれば、どこをどう責めればどうマシュが感じるのかなど、全てわかりきっている

 その気になれば、マシュを全力で喘がせることなどすぐに出来る。だからこそ、今のギリギリの状態に追い詰められているマシュの反応を楽しみ、彼女を感じさせてやるのだ。

 

「おっ♡ お~っ♡ お~っ♡ おっおっ♡ んほぉぉっ♡ ほっ、ほぉおおんんっ♡ もう、だめぇ……っ♡♡♡ アナルほじられて、こえでます……♡♡♡ もうケツイキごえ、がまんできませんっっ♡ おおんっ♡ おっっ♡ んおおんっ♡」

 

 少しずつ、少しずつ、マシュのリミッターを壊していく。まだ彼女の喘ぎ声は小さく、教室に響くには弱すぎる。だが、エンジンが唸りを上げて回転数を伸ばすように、徐々にマシュの中の性感と興奮は高まっていることは間違いなかった。

 強く、奥まで、一気に肉棒をねじ込む。デリケートな部分であるマシュのアナルを大切にしながら、どこまでならば激しく扱っていいかもマスターは把握済みだ。

 引き抜く時はゆっくり、されど腰に力を込め、マシュの内臓を全て引っ張り抜くようなイメージを持って腰を引く。そうすれば、長く太く硬い肉棒のせいで終わらぬ排泄を行っている感覚を覚えるマシュは、より下品に声を上げて尻穴快感に悶えてくれた。

 

「んほぉおおおぉおおぉおおおぉっっ♡♡♡ おっ、おっ♡♡♡ おぉおおぉおおぉおおんっっ♡♡♡ んほほぉおおぉおおぉおおぉおおおおっっ♡♡♡ おほぉおおぉおおぉおおぉおおっっ♡♡♡」

 

 腰を尻に打ち付ける度、マシュの体が跳ね上がってしまうくらいに強く突く。尻穴から肉棒を引き抜く度、マシュの肛門から卑猥な臭いと音を奏でさせるようにアヌスを期待させる。

 チカチカと輝く淫紋令呪は尻穴での快感に悦び狂うマシュの興奮をこれでもかと示し、その快楽をより甘美な味わいへと強化していた。もはや、マシュに声を抑えるという選択肢は無く、マスターの性技に翻弄されるがままの状態だ。

 

 うねる腸内とキツく締まる肛門、そして柔らかく蕩けた尻穴の奥の具合からマシュが喜びを見出していることを確認し、十分に彼女を楽しませたと判断したマスターは、自らも達するべく腰を大きくグラインドさせ、彼女のアナルを穿り回す。

 ピストンの1発ごとに大きく仰け反り、獣のような嬌声を上げるマシュは、尻の穴の中で膨らむ肉棒の感触に期待を抱き、その瞬間を待ち侘びていた。

 

射精()すよっ、マシュ!! お尻の穴で受け止めてねっ!!」

 

「お゛お゛お゛んっ♡ お゛お゛っほぉおおぉおおぉおお゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡ んおお゛お゛お゛お゛っっ♡♡♡」

 

 声を抑えることも快感に抗うことも出来ないまま、マシュは自身の最大の性感帯を穿られ続けた。

 自分を最も感じさせてくれる肉棒に肛門と腸壁を絡ませ、潤滑油代わりの腸液を夥しく垂れ流し、アナルセックスの快楽に酔う マシュの口からはケダモノのような叫び声が飛び出し、彼女が女から雌へと変貌していることを証明している。

 生物の本能に直接訴えかける快感にイキ狂い、喘ぎ、悶え続けたマシュは、自身の尻穴の奥に太い肉棒が叩き込まれる感覚に大きく背筋を仰け反らせた。そして、次の瞬間に訪れた熱い精の奔流に腸内を灼かれ、充足感と共に味わう肛門絶頂(アナルアクメ)に野太い悲鳴を上げながら身を任せる。

 

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛んんっっ♡♡♡ んほぉおおぉおおぉおぉおぉおおぉおおぉおおぉおぉおっっ♡♡♡ おっほぉおおぉおぉおおぉおおぉっっ♡♡♡」

 

 びゅくびゅくと直腸を満たす精液の熱に意識を手放す寸前まで快楽を与えられ、ギリギリの所で踏み止まった理性が快感によって滅多打ちにされる。射精を受けた尻穴は既に慣れ切った様子でマスターの精液をありがたく飲み干し、亀頭が引き抜かれる最後の時までキツく締まり続けた。

 ちゅぽんっ、という可愛らしい音を立て、マスターの肉棒が抜き取られたマシュのアナルが口を閉じる。時折、大きく膨らんでその内部に放たれたものを吐き出そうとする後輩の可愛らしいおちょぼ口を親指の腹で押さえたマスターは、彼女が履いていたショーツを差し出しながら意地悪気に囁いた。

 

「マシュ……そのままこれ履いて、外に出るよ。お尻の穴が緩んじゃったら射精した精液が溢れちゃうから、気を付けてね」

 

「あ、あぁあ……っ♡♡♡ は、いぃ……っ♡♡♡ お、おなか、おひりぃ♡♡♡ 先輩のザーメンで、いっぱいになってます……♡♡♡ はぁ、はぁ、はぁ……っ♡♡♡」

 

 今すぐにでも腸内に収まっている大量の精液を噴き出させたいと思いながら、必死に命令に従うマシュ。自身の肛門は何度も膨れ、精液の排泄を行おうとしている。

 それを必死に堪え、ショーツを履き、マスターに促されるまま、ゆっくりとした足取りで図書室を歩く。荒く呼吸を繰り返し、少しでも気を抜けば漏らしてしまいそうな状態にゾクゾクとした背徳感を覚えながら、生徒たちの間を慎重に歩み続ける。

 テーブルと椅子の並ぶ中心部を抜け、貸出カウンターの横を通り、出入り口の扉の前に立つ。窓ガラスに映っている自分の卑猥な表情を見たマシュは、それでも懸命に尻穴を締めて精液が漏れぬように必死だった。

 

「……次は、学校のトイレでしよっか? お尻から俺の精液ひりだす所、見せてもらうね」

 

「はい……♡♡♡」

 

 優しく尻を撫でられ、指でアヌスをぐりぐりと刺激されるマシュの意識は、既にトイレで行われるであろう次の性交へと移っていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ、ふふ……っ♡ 私がなぜ、あなたをここに呼び出したかはわかってますよね? ……昨日はマシュと随分とお楽しみだったみたいで。なら、今日は私がお相手をする番でしょう?」

 

 メドゥーサに体育倉庫に連れ込まれたマスターは、彼女が何を求めているかを察知し、ぶんぶんと首を縦に振る。

 彼の素直な反応に微笑みを見せ、機嫌を回復させたメドゥーサは、着ているワイシャツのボタンを次々外すと、半脱ぎの格好になって彼の前に乳房を露出させた。

 

「ほら、後輩くん……♡♡♡ 大好きなおっぱい、好きに弄って構いませんよ……♡♡♡」

 

 しっとりと汗ばんだ肌は、メドゥーサの起伏に富んだ女体をより魅力的に見せてくれている。色気バッチリの乳房に手を触れさせ、柔らかな双丘を揉み始めながら、マスターの鼻はやや香しい臭いを嗅ぎ取っていた。

 

「……あまり鼻をひくつかせるものではありません。先ほどの時間は体育だったから、汗をかいてしまったんです」

 

「ああ、なるほど……ん、嫌いな臭いじゃないかな」

 

「あっ!? こらっ、後輩くん!! どこの臭いを……ひゃぁっ♡♡♡」

 

 メドゥーサの胸を揉みながら発汗した彼女の体の臭いを楽しむマスターは、汗腺が集中している脇へと顔を埋め、その臭いを鼻腔いっぱいに吸い込んだ。

 彼のいきなりの行為に動揺しつつ、気恥ずかしさからそれを咎めようとしたメドゥーサであったが、同時に脇を這う舌の感触に可愛らしい悲鳴を上げて言葉を中断させてしまう。

 

「ふふっ! 強い臭い……! 味もなかなか濃くて、俺は好きですよ」

 

「そ、そんなこと言って、誤魔化そうとしても……くうぅっ♡♡♡」

 

 マスターはとわざとらしく卑猥な音を立てながらメドゥーサの脇を責める。ちゅぱ、じゅろろ、と涎混じりの音が聞こえる度、メドゥーサはこの音がマスターの唾液によって奏でられている音なのか、それとも自身の脇汗の音なのかがわからなくなってしまっていた。

 メドゥーサの脇の臭いを嗅ぎ、舌で味わうことで彼女の羞恥心を煽り、官能を高めていく。胸への愛撫もしっかりと続け、勃起した乳首を摘まんでやれば、メドゥーサは大きく体を跳ね上げて甲高い嬌声を上げることとなった。

 

「はうぅううんっっ♡♡♡ はぁっ♡♡♡ はぁ……っ♡♡♡ も、もう、脇はやめてください……♡♡♡」

 

「え~? もう片方の脇も可愛がってあげたかったんだけどなぁ……」

 

「臭いを嗅いだり、舌で舐められたりするのは恥ずかしいんです! ……もう少し、準備というものが必要なんですよ」

 

「ふ~ん、そっか……なら、それ以外のことなら構わないですよね?」

 

「えっ……!?」

 

 学生服のズボンを脱ぎ、メドゥーサの右腕を上げさせたマスターは、起立している陰茎をやや汗ばんでいる彼女の脇にあてがう。

 そのままそこに亀頭を擦り付け、脇独特の柔らかさを堪能する彼は、メドゥーサの右脇を性器に見立てての性行為を開始した。

 

「うっ、んっ!! メドゥーサ先輩の脇、ふにふにしてていい感触です……!」

 

「こっ、こんな変態行為に手を染めるなんて……後輩くんは、本当におかしい人ですね!」

 

「でも、本当に気持ち良いんですもん! メドゥーサ先輩、今度は脇を締めて扱いてくれませんか?」

 

「し、仕方がありませんね……こう、でしょうかっ♡♡♡」

 

 脇を締め、二の腕の肉を押し付けるようにして肉棒を挟むメドゥーサ。そんな彼女の脇で肉棒を扱き、マスターは快楽を貪る。

 

「ああっ! いいっ!! ぷにぷにの脇肉と引き締まりながらも柔らかさのある二の腕! 2つに挟まれるのが気持ち良いですっ!!」

 

「こんな、脇なんかで気持ち良くなって……♡♡♡ 脇でちんぽ挟んで、擦り付けられて、私も気持ち良くなってる……っ♡♡♡ 後輩くんと同じ、変態になっています……っ♡♡♡」

 

 血管が集中しているせいか、メドゥーサの脇は簡単に温度が上がって火照り始めていた。性感を感じる部分であるはずがないそこが、徐々に熱を帯びていく様に困惑し、そこで肉棒を扱くマスターの気持ち良さそうな表情を見ているうちに、メドゥーサ自身にもその快感が移り始めてしまう。

 しゅこしゅこと音を立てて出し入れされる肉棒。脇に擦り付けられるカウパーがねっとりとした臭いをマーキングし、脇の臭いと交じり合って複雑な香りを放つ。

 段々と熱くなる脇と雄と雌の臭いの交じり合った性臭。そしてこの異様なプレイに染まりつつあるメドゥーサは、徐々に昂る自身の中の熱を感じ取っていた。

 

「ああ……っ♡♡♡ だめっ、そんな……♡♡♡ わ、わきで、イク……♡♡♡ こんな、脇にちんぽを擦り付けられただけで、感じて、絶頂するなんて、あっていいはずが……っっ♡♡♡」

 

射精()すよぉ、メドゥーサっ! メドゥーサの脇と顔に精液ぶっかけるからね!」

 

「ま、まってくださいっ♡ 今、そんなことされたら、私は――っ♡♡♡」

 

 脇で感じる快感に倒錯していたメドゥーサは、そこに挟まれているマスターの肉棒が硬く大きく膨れ上がっていることに気が付いてはっとした。

 もし、今のこの状態であの激しい射精を受けてしまったら、自分はどうなってしまうのだろうか? 熱い性の猛りを性感帯となりつつある脇に浴びてしまえば、今も味わっているこの快感がより強く感じられてしまうのではないだろうか?

 そうなってしまえば……自身の脇は、どうなって――

 

射精()るっっ! メドゥーサっっ!!」

 

「あ……♡♡♡ ああぁあぁああぁあああぁあアァアあぁあぁぁああッッ♡♡♡」

 

 ……メドゥーサの思考は、途中で打ち切られた。その答えは、自身の反応を以って導き出されることとなる。

 ねっとりとした濃い精液が脇にこびり付き、眼鏡をかけた顔にもべっとりと飛び散る。先ほどまでマスターが嗅いでいたであろうメドゥーサの脇臭は、彼の精液の臭いで上書きされてしまった。

 

 メドゥーサは、恍惚とした表情で深呼吸を繰り返しながら自身の脇から感じられる快感で頭を一杯にしていた。射精を受け、完全に性感帯として芽生えてしまったそこは、正に脇まんこと呼ぶべき存在に変化してしまっていることを強く自覚する。

 

「……よくもやってくれましたね、後輩くん……♡♡♡ こんな、変態プレイの悦びを教えるなんて、あなたは酷い男です……♡♡♡」

 

 ねちょねちょと音を立てて右脇の精液の感触を楽しみながら、メドゥーサは今度は左の腕を天井へと掲げた。そして、まだまっさらな左脇をマスターに見せつけると、熱を帯びた表情でこう囁く。

 

「あなたのせいで、私の右脇はおまんこになってしまいました……♡♡♡ だから、責任を持って左の脇もおまんこにしなさい♡♡♡ これは先輩命令です♡♡♡ 私の両脇を、おちんぽ擦り付けられて感じる敏感まんこに開発しなさいっ♡♡♡」

 

 その命令を受け、一種のお遊びであるこの行為にメドゥーサがどっぷりと嵌ってしまったことを悟ったマスターは、上半身に精液をこびり付かせたままの微笑む彼女に従って、もう片方の脇もまた怪物染みた肉棒で犯し始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、あ~んっ♡」

 

「後輩くん、寝心地はどうですか?」

 

 学校の中庭で昼食を取るマスターは、メドゥーサの膝枕で寝転びながらマシュにあーんをしてもらうという非常に羨ましい状況を楽しんでいた。普段はマスターを取り合って争う2人だが、最近はこうして協力することも増えつつある。

 その理由は推して図るべきなのだが、連日のように行われるセックスによって体力を使っているマスターは、この僅かな休息の時間を存分に堪能することで手一杯だ。

 

「……メドゥーサ先輩よりも先輩を満足させて彼女になるつもりが、2人がかりでもまだまだ満足してくれないなんて、困ったものです」

 

「どんなに頑張っても私たちの方が先にダウンしてしまいますからね。これじゃあ、後輩くんを満足させられたとは言えませんし……恋人の座は、空白のままですね」

 

「でも、私は諦めません! これからも毎日頑張ってご奉仕して、先輩を満足させられるように頑張りますから!」

 

「無論、私もそのつもりですが……この勝負、何時になったら決着がつくのでしょうね? 私が卒業するまでに終わればいいのですが……」

 

 どうやら、マシュもメドゥーサも時間を見つける度にマスターとセックスをするつもりらしい。自分には休む時間もなさそうだなと苦笑するマスターであったが、それなりに楽しいのでまあ良しとするかと自分の中で結論を出す。

 そうして、のんびりとしたランチタイムを終え、午後の授業まで時間を持て余すこととなれば……やることは1つだろう。

 

「せ~んぱいっ♡ セックス、しましょ♡♡♡」

 

「どちらの、どの穴でも使って構いませんので……楽しんでくださいね、後輩くん……♡♡♡」

 

 ミニスカートの中身を見せつけ、その下に何も履いていない痴女と化した2人の性器からとろりと蜜が垂れる。マシュもメドゥーサも、セックスのために無駄な時間は全て省き、マスターから与えられる快感を貪ることに必死だ。

 

 果たして、どちらがどちらを満足させるために行為を続けているのか? そんなことを考えながら再び苦笑したマスターは、可愛い後輩と美しい先輩との楽しい午後を満喫すべく、2人と体を重ね合わせたのであった。

 

 

 







GET! 『春のスペルマチケット』×500

『春のネロ祭』にて入手出来るチケット。2枚で1回BOXガチャが引ける。
ネロがプロデュースしたシチュエーションを楽しめば楽しむほど沢山のチケットが貰えるぞ!
何も考えず、性の悦びを貪り尽くそう! いっぱい集めて豪華賞品をゲットだ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

春の陽気にあてられて……と書かれた扉を開ける

春って変質者増えますよね、ってことで


 

 何やら全く予想がつかない文句が書かれた扉が気になったマスターは、その扉を開けて中へと入った。そのまま暗い道をずんずんと歩んで行くと――

 

「……お待ちしておりました、ご主人様」

 

 その先で、2人の女性が自分を待っている姿を見つけ、彼女たちから恭しく頭を下げられる。マスター、ではなくご主人様と呼ばれたことに当惑気味になりながらも、彼は待ってくれていた女性たちに気さくに挨拶を返した。

 

「お、お待たせ。アン、アルテラ」

 

「待ってなどいませんわ。それに、ご主人様からの待ての命令はご褒美みたいなものですし」

 

「………」

 

 自由気ままな女海賊『アン・ボニー』と破壊の化身『アルテラ』。関りらしい関りを持たない異色中の異色コンビの登場は、マスターの困惑を更に強める結果となった。

 いったい、自分は彼女たちと何をすれば良いのか? 彼女たちと自分はどのような関係性なのか?

 思考に思考を重ねるマスターは、手掛かりを求めて彼女たちを観察し、とあることに気が付く。

 

 2人は、共に冬用のコートを身に纏っていた。普段の服装ではなく、全身を隠すような黒色の大きなコートに身を包むその格好に何かヒントが隠されていると思い、失礼ながらもマスターが2人に視線を注いでいると――

 

「ご安心ください、ご主人様。私たちは命令に従わぬような下僕ではありませんわ。その証拠に……ほらっ♡」

 

「っっ……♡♡♡」

 

 アンとアルテラがコートをはだけさせる。彼女たちの突然の行動に面食らったマスターは、次の瞬間には更に驚愕することとなった。

 なんと、2人が纏うコートの下は、何も身に着けていない全裸だったのである。素肌にコート1枚だけを着こむ形になっているアンとアルテラは、それぞれの反応を見せながら顔を赤らめていた。

 

「ご主人様の忠実なる露出奴隷『アン・ボニー』の躰は如何でしたか? 肥えた胸と尻の肉は、ご主人様の劣情を煽るのに十分だったでしょうか?」

 

 アンはどこか嬉しそうに今の自分の変態的な格好を見せびらかし、堂々とした様子で乳房から性器を晒している。

 元々、性格的にオープンな彼女は露出行為にも拒否感はないのか、むしろこのプレイを楽しんでいる節も見受けられた。

 

「は、ぅ……♡♡♡ やはり、恥ずかしい……♡♡♡ お前の命令だからこんな格好をしているが、私はまだ慣れない……♡♡♡」

 

 対してアルテラは、素肌にコート1枚という格好にとてつもない羞恥心を感じているようだ。顔を真っ赤に染め、マスターのことを直視出来ないとばかりにそっぽを向いてしまっている。

 しかして、彼女の褐色の肌は美しく輝き、慎ましやかながらも形の整った美乳の頂点は硬さを帯びていた。露出行為に困惑しながらも、徐々に興奮を味わい始めているという様子のアルテラは、ぷるぷると身を恥ずかしそうに震わせて可愛らしく浅い呼吸を繰り返す。

 

 そんな2人の様子を見たマスターは、ようやく今回のプレイの内容を理解し始めた。よく見れば、2人の背後にはもう1つのドアがあり、それが外に繋がっていることは容易に想像がつく。

 そして、こんな格好になっているアンとアルテラをこのまま屋内で弄ぶだけのつまらないプレイをあのネロが考え付くはずがない。

 

「では、ご主人様……春の陽気で気温も温かくなり、この格好で外に出ても風邪をひく危険性は低くなりましたわ。ということで――♡」

 

「あ、浅ましく、裸同然の……裸よりも恥ずかしい格好で外に出て、露出を楽しむ雌下僕たちの姿を視姦し、もっと気持ち良くなれるようにめ、命令してほしい……♡」

 

 すらすらと台詞を口にするアンと恥ずかしがりながらたどたどしく話すアルテラ。体付きや性格は対照的ながらも今から同じ露出プレイを楽しもうとする2人は、マスターに向けてそう告げると、彼の手を引いて夜の闇の中へと歩み、楽しい散歩を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マスターが住んでいた日本の街並みを再現したシュミレーターの映像は、非常にリアルに街並みを映し出している。肌に感じる風も耳に届く街の喧騒も、どちらも本物となにも相違ない出来栄えだ。

 

「はぁ、はぁ……♡ 人通りはそこまでありませんわね……♡ でも、いつ、どこから人が現れるかわからないからドキドキしてしまいますわ……♡」

 

 黄金劇場に仕掛けられた装置によって、シミュレーターの映像を本物の人だかりだと思い込まされているアンとアルテラは、コートだけを羽織った状態で暗い夜の道を歩く。彼女たちに挟まれるようにして歩むマスターの手にはビデオカメラが握られており、それでこの散歩の内容を記録するようだ。

 他にも、肩から下げた鞄の中には、バイブやローターといった大人の玩具が大量に用意されている。

 これを使い、2人に露出快感を感じさせることが今回のプレイの目的だと理解したマスターは、早速とばかりに彼女たちに命令を下した。

 

「アン、アルテラ、そこの細い道に入ろうか? あそこなら人もいないだろうしね……」

 

「わ、わかった……」

 

 大通りから伸びる脇道に入り、そこに人影が無いことを確認したマスターは、カメラを2人へと向けながらその痴態を撮影し始める。

 

「じゃあ、まずは……挨拶として、コートを開いてみようか」

 

「はい♡ マスター……♡」

 

 大通りに背を向け、横に並び立った2人は、そのままコートの前面を開いて自らの裸体をカメラの前に曝け出した。

 アンの大きな乳房とすらりと伸びる美しい脚、アルテラの褐色の肌と形の整った美乳が外気に晒され、ここまでほぼ裸で歩いて来た興奮によってツンと勃起しているそれぞれの乳首の様子が映像に収められる。

 

 そのまま立ち位置を調節し、アップで2人の顔や体を撮影して彼女たちの羞恥心と興奮を煽るマスターは、アンの尻を撫でながら次の命令を口にする。

 

「アン、そのまま振り返って大通りに裸を見せつけて。俺が良いって言うまでそうし続けるんだ」

 

「う……っ♡ お、大通りにはまばらですが人がいますわよ? もしもバレてしまったら――♡」

 

「……興奮、するでしょ? アンの体、熱くなってきてるよ……! 本当は恥ずかしい姿を見られたくて堪らないんだよね? 露出狂のアン?」

 

「っっ……♡」

 

 性器を指でなぞり、割れ目を軽く擦った指にこびり付いた愛液をアンへと見せつけながら、マスターは意地悪くそう囁く。

 心の中の興奮を見透かされたことに息を詰まらせたアンは、自分を見つめる2つの瞳への被虐心を感じ、彼の命令に従うことを決めた。

 

「はあ……♡ はぁ……っ♡」

 

 コートを開き、乳房と性器を露出した状態のまま、大通りへと振り返る。数秒に1人のペースで人影が路地を横切る度、アンの心臓は大きく跳ね上がった。

 もし、あの人々が何の気なしにこちらを向けば……裸を見せつけている自分の姿を見止め、脚を止めるに違いない。そして、好機と軽蔑の混じった目で、視姦してくるのだ。

 自分の体が魅力的であることを、アンは自負していた。海の男たちは豊かなアンの乳房や尻肉に夢中になり、たわわに揺れるそれらに目を奪われていたことを知っている。

 男の欲望など古今東西何も変わるはずがない。この街の男たちもまた、アンの美しい裸を見ては興奮を露にするのだろう。もしかしたら、劣情を催してアンを犯そうと襲い掛かって来るかもしれない。

 

(そうなったら、どうしましょう……? 私は、マスターの女ですのに……♡)

 

 熱烈なアプローチは嬉しいが自分の主人は決まっている。この肢体で奉仕をするのはカルデアのマスターただ1人だけだ。

 だが、有り得ないことではあるが、もしもレイプ目的の男がアンを組み伏せ、強引に事に及んだ場合、自分はどれだけの快感を味わえるのだろう?

 外で全裸露出という変態行為に興じ、その姿を名も知らぬ男に見られ、欲望のままに犯されてしまう……倒錯と興奮に身を任せ、男の滾りを受け止めることを想像したアンが、その妄想に没入しようとしたその時だった。

 

「……なにか、良くないことを考えてるでしょ? 例えば、俺以外の男に抱かれること、だとか……」

 

「あんっ♡♡♡」

 

 背後からマスターに抱きすくめられたアンは、同時に膣に指を突き入れられ、乳首を強く引っ張られることで現実へと意識を取り戻す。そして、主への不忠を見抜かれていたことに冷や汗をかいた。

 ぐちゅり、ぐちゅりと音を立て、先ほどの妄想で興奮した膣を掻き混ぜられるアン。大きな胸も乱暴に揉みしだかれ、マスターが彼女におしおきをしていることをアピールした。

 

「ダメじゃないか、アン。俺の露出奴隷だとか言いながら、他の男に犯されることを望むなんて……! そんなことするなら、もう二度とセックスしてあげないよ?」

 

「あぁ、そんな……!? 申し訳ありません、ご主人様! はしたなくマスター以外のちんぽを求める淫乱雌下僕にどうかお情けを……! マスターのおちんぽ無しの人生なんて、もう考えられませんわ……!」

 

「ふ~ん……なら、今回は軽いおしおきだけで許してあげるよ。でも、次はないからね?」

 

「はい……っ! 寛大なご処置に感謝いたしますわ!」

 

 以前に味わったあの圧倒的な快楽を二度と味わえなくなるという恐怖に怯えたアンは、涙目になってマスターに許しを請う。その甲斐あってか、マスターはそこまで彼女の過ちを追求することなく話を終わらせてくれた。しかし、終わったのは話だけだ。アンへの本格的なおしおきはここから始まる。

 マスターは玩具が入った鞄を漁ると、中からピンクローターとリモコンバイブを2組ずつ取り出した。そして、ローターをアンの両乳首に、バイブを膣とアナルに装着させると、スイッチをONにする。

 

「はっっ♡ あっ♡ あぁあぁっっ♡」

 

 機械の振動による無機質な快感がアンを襲った。乳首のローターは最初からMAXパワーで振動し、敏感になった彼女の胸の頂点を徹底的に責め上げる。

 二穴の方は、バイブの振動調整リモコンをマスターが握っており、絶妙な操作でアンの体を責めていた。

 片方を強くし、もう片方を弱く。徐々にその振動の強さを逆転させたかと思えば、わざと両方を微弱な振動にしてアンを焦らす。

 強い快感が欲しいと期待するアンのことをそのまま焦らし続けながら、マスターは笑い混じりの声で次の命令を口にした。

 

「さ、次の場所に向かおうか。コートを羽織り直していいよ」

 

「えっ……!? こ、このまま、移動するのですか……?」

 

「勿論、そうだよ。嫌ならアンはここに残る?」

 

「い、いいえ! 一緒に行きます!」

 

 そう、と短く返事をしたマスターは、一足先にコートを羽織ったアルテラと恋人繋ぎをしてから空いている腕をアンに差し出す。未だにローターとバイブの快感で悶えている彼女は、その腕に絡み付くように体を預け、マスターと共に歩き出した。

 

「ふっ♡ んっ♡ あ、ふぅ……っ♡ くぅんっ♡」

 

 人通りもまばらな大通りを歩きながら、アンは今までに感じたことがない程に興奮していた。

 このコートの下は何も身に着けていない全裸であり、その上、乳首や膣に振動する玩具を取り付けた状態で街を歩いているのだと思うと体の火照りが止まらなくなってしまう。純粋にバイブとローターの振動が体を責め、快感を生み出していることも相まって、彼女は完全に発情状態となったまま、夜の街を歩み続ける。

 

――ヴヴヴヴヴ……! ヴヴヴン……ッ!

 

「……結構、大きい音が鳴るね。すれ違う人たちにも聞こえちゃってるかもよ。それに、そんないやらしい顔してふらふらになってるアンのことを見たら……俺に何をされてるか、わかっちゃうかもしれないね?」

 

「あぁ……♡ そん、なぁ……っ♡」

 

 マスターの言葉責めに甘美な快楽を得たアンが表情を蕩けさせる。映像である通行人がアンの痴態に気が付くはずがないのだが、今のアンの目にはもう周囲の人間が自分のことを変態として認知されているようにしか見えなくなっていた。

 愛らしい少年に命じられ、変態的な格好をして、更におしおきとして玩具まで取り付けられて……太腿を伝う愛液はアスファルトに点々と跡を作り、アンの卑猥な臭いが周囲に立ち込めている。それら全てを組み合わされてしまえば、アンが何をしているかなんて全てお見通しなのだ。

 

(見られていますわ……♡ マスターの露出奴隷である私の恥ずかしい姿を、周囲の人たちが見て……♡ とんでもないド変態女なんだと、きっと思われてしまってます……♡)

 

 興奮に吐息が熱くなる。快感に愛液が止めどなく溢れる。理性が、快楽を求める熱に融かされ、消え失せてしまう。

 この場に居る誰もが、アンが露出行為で感じる変態だということを理解していると、そう彼女自身は思っていた。身悶えし、淫らな表情を浮かべ、火照る体を主である青年に預け、浅ましくも快楽を強請っている淫乱女なのだと、自分はそう思われていると、アンは自分自身を対象とした被虐的な妄想を繰り広げる。

 下半身から聞こえる振動音は、いつの間にやら淫らな水音が混じったものに変化していた。感じ過ぎた自分の膣が大量の愛液を垂れ流しているせいだと気が付いた彼女は、頭の中の卑猥な妄想を更に一段階先へと進める。

 

 男たちからは欲望混じりの好奇の視線を向けられ、女たちからは軽蔑しきった侮蔑の視線を向けられ……その中心で、自らの熟れた体をマスターに差し出し、犯してもらう。

 この青年の逞しいペニスに服従し、絶頂を繰り返す淫乱女としての姿を見られ、笑われることを想像したアンの子宮が最大級の興奮を感じた瞬間、バイブの振動が急激に高められ、最大レベルの快感が両穴で生み出された。

 

「あぁああぁあぁああぁあぁあぁっっ♡♡♡」

 

 あまりにも絶妙で、最高のタイミング。アンの体が、子宮が、最も快感を欲したその瞬間に振動を最大にしたマスターによって、アンは成す術もなく絶頂へと導かれてしまう。

 甲高い悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちた彼女の膣からは、大量の愛液と共に埋め込まれていたバイブが飛び出してきた。アスファルトに転がり、硬い振動音を響かせるその玩具を拾い上げ、ぐったりとしたアンの体を支えたマスターは、その耳元で甘く、そして意地悪く囁く。

 

「人ごみのど真ん中でイった気分はどう? みんながアンのことを見てるよ。なんてエロい女なんだって、そんな目で君を見ている」

 

「ん、ぁ……っ♡ イ、イってしまったところを、みられて……♡ 恥ずかしいのに、気持ち、イイっ……♡」

 

「ふふふ……! 変態。恥ずかしい姿を見られて感じるなんて、アンは本物の露出狂で、ド変態だ。最高に可愛いよ、アン……!」

 

「は、あぁあぁ……っ♡ んぅぅぅ……っ♡」

 

 むにゅり、と尻の肉を掴まれ、丁寧に撫でられてしまったアンの体から力が抜けていく。絶頂を迎えて敏感になった体は、軽い愛撫だけでも達せる程に火照っていた。

 それでも、アンの体を巧みに操って彼女を立ち上がらせたマスターは、そのまま彼女の尻を撫でながら歩んで行く。目指すは人影のまるでない公園の中。そこでもう1人の露出奴隷を可愛がることを思いながら、両手に花の状態で彼は歩み続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ♡ はぁぁ……っ♡ んあっ♡ くひぅううっ♡」

 

 公園の内部。2つ並んだベンチの片方で、アルテラが嬌声を上げる。その手には柄が3色に光るバイブが握られており、彼女はそれを用いて自慰を行っているのだ。

 もう片方のベンチには先ほどの絶頂のせいで疲れてしまったアンが休んでおり、マスターは必死に自分の膣をバイブで掻き回すアルテラのことをカメラで撮影しながら、言葉で彼女を責め立てていた。

 

「ほら、早くしないと誰か来ちゃうよ? 一生懸命オナニーしてるところ、見られたいの?」

 

「あぅううっ♡ はっ♡ はぁぁ……っ♡ はず、恥ずかしいっ♡ こんな堂々と、全裸になって自分の膣を弄るなんて……♡♡♡」

 

「ふふふ……! でも、アルテラも興奮してるよね? 乳首もクリもこんなにぷっくり膨れて、硬くなってる……初めての露出で感じちゃったんだ?」

 

「ち、違っ!! 自慰をしているから、感じているだけだっ!!」

 

「うんうん、そっか! なら、早くイこうか? 1回イクことが出来たら、露出オナニーやめていいからさ」

 

「くっ……♡♡♡ んっ♡ あぁぁ……っ♡」

 

 ベンチに大股を広げて座り、バイブでの自慰行為を続けるアルテラは、初めての露出で異様な興奮を味わっている。恐怖とも、官能ともまた違うような、それでいて気が付けばその魅力に引き込まれそうになっているような、不思議な快感に徐々に浸りながら、懸命に膣をバイブで掻き回す。

 3色に光るそれは、どこか自分の宝具である【軍神の剣(フォトン・レイ)】に似ているような気がした。

 誇りある武具とこのような自慰の為の玩具を一緒に見てしまう自分に嫌悪感を抱きながらも、その手の動きは段々と早まっていく。

 

「あっ♡ あんっ♡ はぁっ♡ ひぅうぅっ♡」

 

 急がなければ誰かに見られてしまうかもしれない、必死になって膣を弄る自分の姿を名前も知らないどこぞの馬の骨に見られることを思うと顔から火が出そうになる。

 そうならぬように必死になって手を動かせば動かす程、アルテラの自慰は激しく淫らなものへと変化していく。そして、こんな淫らな姿を見られたくないという思いは更に強まり、またしても彼女を焦燥させると共に自慰の動きを激しくさせるのだ。

 

「あぁあぁっっ♡ あっ、あぁっっ♡♡♡ ひんっ♡ あ、ひぃいんっ♡ こ、ここっ♡ びりびりくるっ♡ マスターのちんぽほどではないが、ここがイイっ♡♡♡ んきゅうぅうううっっ♡♡♡」

 

 バイブの先端が、膣内の弱い部分に触れた。そこを重点的に責めるアルテラは、電撃となって頭の中を走る快感に涎を垂らしながら喘ぐ。

 ぷしゅぷしゅと飛沫となって舞う愛液が、ベンチの下の地面に水たまりを作る。自身の淫らな臭いが立ち上る中、アルテラの思考は段々と快楽ただ1つのみに塗り潰されていった。

 

「んひぃいっ♡♡♡ あっっ♡♡♡ ああぁっっ♡♡♡ おか、しぃいっ♡♡♡ こんな、こんなにきもちいいのかっ♡♡♡ オナニーは、こんなにこうふんするものなのか♡♡♡」

 

 道具を使い、弱い部分を懸命に責めているとはいえ、今の自分は感じ過ぎだ。前に指で自分を慰めた時は、こんなに乱れたりはしなかった。いったい、どうして今日はこんなにも敏感に快感を味わってしまっているのだろうか?

 困惑しながらも自慰の手を止めないアルテラは、膣から愛液を噴き出させながら喘ぎ続ける。そんな彼女の耳元に顔を寄せたマスターは、その心に擦り込むようにして囁きを漏らした。

 

「それはね……アルテラが露出大好きの変態娘だからだよ。アルテラは人に見られるかもしれないっていうスリルで興奮して、いつも以上に体が敏感になってるんだ」

 

「露出好きの、変態っ!? わ、私がっ、そうなのかっ!?」

 

「じゃなきゃこんなに感じたりしないでしょう? ……でも大丈夫、それは悪いことじゃないからさ。俺からしてみれば、可愛くって素敵なことだと思うよ」

 

「露出好きは、悪いことではない……♡♡♡ 変態でも、マスターは構わない……っ♡♡♡ ほ、本当か?」

 

「ああ、本当だよ。だからアルテラはいっぱい変態露出オナニーで感じて良いんだ。たっぷり気持ち良くなって良いんだよ! もっと自分を解き放ってごらん、アルテラ!!」

 

「あ、あぁ……っ♡♡♡ 変態露出オナニー、きもちいい……っ♡♡♡ ひ、人に、マスターに見られながら、バイブでお、おまんこ……♡♡♡ おまんこ弄るの気持ち良いっっ♡♡♡」

 

 先ほどまでよりも大きく脚を開き、淫語を口にして自らの思いを表現した瞬間、アルテラの心に強い風が吹いた。

 それは大草原を馬に乗って駆け抜けた時に感じる爽やかな風のようであり、灼熱の荒野に吹く熱風のようでもある。その風に乗って自らの意識を開放したアルテラは、狂ったように手を動かして自慰を続けながら大声で叫ぶ。

 

「き、きもちぃいっ♡♡♡ そとで、オナニー♡♡♡ きもちいいっ♡♡♡ 露出オナニーはいい文明っ♡♡♡ こんなに気持ち良くなれるなら、いい文明に決まっているっ♡♡♡ あっっ♡♡♡ んあぁあぁっっ♡♡♡ ば、バイブが、膣内で回転してぇっっ♡♡♡ え、抉れるっっ♡♡♡ 私の膣……おまんこ、抉れるぅううっっ♡♡♡」

 

 しっちゃかめっちゃかに動かしていたせいか、バイブのボタンを押して回転機能を使用してしまったアルテラは膣壁を引っ掻き回される感覚に舌を放り出して嬌声を上げた。

 さりとて自慰の手を休めることはせず、むしろより激しく手を動かして膣内のあらゆる場所を責める彼女は、完全に露出オナニーの虜になってしまっている。

 そんな彼女の痴態はマスターが手にしたカメラによって記録され、映像となって残り続けるのだろう。それを知りながら、官能に火がついてしまったアルテラは、それすらも興奮と快感に変換しつつ、あられもない大声で叫ぶ。

 

「見て、くれぇっ♡♡♡ 撮ってくれぇっ♡♡♡ 私の、変態露出オナニー♡♡♡ マスターに見てほしいんだっ♡♡♡ もう、イクからっ♡ い、イクっ♡♡♡ イクイクイクっっ♡♡♡ イクぅうぅううぅううぅううぅうんっっ♡♡♡」

 

 最後の瞬間、アルテラは腰を大きく浮き上がらせて背中を仰け反らせた。ぶしっ♡ という噴射音と共に潮を噴いた女性器は興奮で真っピンクに染まっており、クリトリスも信じられないほど大きく勃起してしまっている。

 イキながらもバイブを抜き差しする手を止められないアルテラは、アヘ顔のまま小さな尻をぷるぷると震わせて連続絶頂を迎えていた。マスターはそんな彼女の手を取り、膣からバイブを引き抜くと、再び耳元で甘く囁く。

 

「アルテラ、お疲れさま。イクまで誰も来なかったけど、あんな大声で叫んだらきっと近くの人にアルテラのイキ声が聞こえちゃったよ。恥ずかしいね」

 

「は、はずかしい……♡♡♡ だが、それが、キモチイイんだ……♡♡♡ 露出は、いいぶんめい……♡♡♡ ふ、ふふふふふ……っ♡♡♡」

 

 どっぷりと露出の快感に嵌ったアルテラの表情を見て、隣のベンチから休息を取り終えたアンが立ち上がる姿を見て、マスターはにやりと笑った。

 2人に新たな命令を下し、同じベンチの上で和式便所に跨る時のような無様な格好をさせた後、その眼前に全く同じアナルバイブを差し出すと、こう告げる。

 

「今からその格好のままアナルオナニーをするんだ。弄って良いのはお尻の穴だけ。先にイった方のアナルにちんぽぶち込んで、最高に気持ちいい露出アナルセックスをしてあげるよ。負けた方は終わるまで我慢ね。……はい、スタート!」

 

 マスターが伝えるべきことを伝え、両手を叩いて勝負の始まりを告げた次の瞬間には、アンとアルテラは自分のアヌスにバイブを突っ込んで自慰を始めていた。

 彼女たちの背後に回り、そこでカメラを構えるマスターは、窄まりに玩具を咥え込む2つの尻の様子を視姦し続ける。

 

「んほおうぅっ♡♡♡ おうんっ♡♡♡ おっっ♡♡♡ んおぉおっ♡♡♡ おほおおんっっ♡♡♡」

 

 むちむちと音がしそうな程に肉付きの良いアンの尻は、大きく波打って揺れていた。

 顔を埋めれば間違いなく最高の枕になるであろう臀部を左右に振り、バイブをがっちりと咥え込むアヌスを撮影した後、隣のアルテラへとマスターはカメラのレンズを向ける。

 

「おおおおぉおんっっ♡♡♡ んおぉおおぉおおぉっっ♡♡♡ ほぉおおぉおおぉおおっっ♡♡♡」

 

 アルテラの小麦色の小さな尻は、ベンチに設置されたバイブの上で激しく上下していた。

 先ほどの自慰で解放した自らの興奮のままに淫らに腰を振り、快感を貪るアルテラの姿は普段の彼女とは到底結びつかない。新たな彼女の一面を引き出せたことに満足しつつ、マスターは2人に向かって声をかける。

 

「は~い、2人は今、何をしてるのかな~? いい子の露出奴隷たちは、きちんと自分が何をしてるか言えるよね~?」

 

「ん、おぉおおぉおおっっ♡♡♡ わ、わたくし、アン・ボニーはぁっ♡♡♡ ご主人様のおちんぽほしさにケツ穴をほじほじしていますっっ♡♡♡ お外で全裸になって♡♡♡ 誰かが来るかもしれない公園のベンチの上で下品に尻を突き出してっ♡♡♡ アナルアクメを極めようとしていますぅううぅうっっ♡♡♡」

 

「わ、わたしはぁぁっっ♡♡♡ 破壊の化身、アルテラはっっ♡♡♡ 露出の快感に病み付きになって、尻を振っているっ♡♡♡ 裸を曝け出し♡♡♡ けつまんこを穿る快感に酔い♡♡♡ マスターのおちんぽを受け入れる準備をしているんだぁあぁっ♡♡♡」

 

 振り返り、カメラ目線で肛門快楽と露出快感に蕩けた表情を見せながら、アンとアルテラが大声で叫んだ。

 自らと相手の痴態により興奮したのか、はたまた今の宣言で僅かに残っていた羞恥心が振り切れてしまったのか、2人は更に激しく肛門自慰を行い、快楽の高みへと登り詰めていく。そんな彼女たちの姿に微笑みを浮かべながら、マスターもまた自らの欲望を滾らせ、肉棒を硬くしていた。

 

「おほぉおおぉおおぉおおおぉおおっっ♡♡♡ いぐっ♡ いぎまずっっ♡♡♡ ろしゅつどれいのアン・ボニーっ♡♡♡ ケツアクメきめますっっ♡♡♡ んほぉおおぉおおぉおおおぉっっ♡♡♡」

 

「わ、だしもっ♡♡♡ いぐぅううぅううっっ♡♡♡ けつまんこぉっ♡♡♡ びくびくむずむずしてるぅううぅっ♡♡♡ く、くるっ♡♡♡ はじめてのろしゅつアナルアクメ♡♡♡ すごいのがくるぅううぅうううぅうっっ♡♡♡」

 

 卑猥な音。だらしない表情。下品な仕草。全てを曝け出し、アンとアルテラはラストスパートをかけた。

 同じタイミングで跳ねる色白のデカ尻と褐色の小尻には、玉のような汗が浮かんでいる。共に淫らな臭いをまき散らす雌尻を振り、その中央に収まるバイブを腸液で濡らしながら、同じように腰を振り続けた2人の露出奴隷たちは、同じように絶頂を迎えて野太い嬌声を上げた。

 

「んぐほぉおおぉおおぉおおぉおぉおぉおおぉおぉおおっっ♡♡♡ んっほおぉおおぉおぉおおおぉおぉおおぉおぉおおぉおっっ♡♡♡」

 

「ほひぃいいぃいぃいいぃいいいぃいいいぃいいいいいぃいいっっ♡♡♡ んぐぅううぅううんんんんんぅううぅうぅっっ♡♡♡」

 

 ぶひっ♡ と音を立て、まるでロケットの発射のように2人の尻穴からバイブが飛び出す。ぽっかりと開いた尻穴からは下品な音が鳴り響き、絶頂を迎えた尻はびくびくと終わらない痙攣を繰り返していた。

 オナニーを終えても全く変わらない姿勢のままでいる2人の元へと近づいたマスターは、よしよしと労をねぎらうようにして彼女たちの頭を撫でる。しかして、またしても意地悪気に笑いながら、彼女たちへとこう囁いた。

 

「あ~、今のは引き分けだな~! 同時だったからノーカウントってことで、もう1回同じことをしようか?」

 

「お、おぉぉ……♡♡♡ おおぉおおんっ♡♡♡ んぉおおおぉおっっ♡♡♡」

 

「んむぅううっ♡♡♡ んおぉおおぉおおっっ♡♡♡ おおぉおっ♡♡♡」

 

 性交による快感が与えられると思っていたアンとアルテラは、無慈悲なマスターの宣告に凄まじい勢いで反発する。

 体を前に倒して前傾姿勢を取り、ベンチの背もたれを両手で掴んだ彼女たちは、マスターの顔の高さにまで自らの尻を上げると獣のような叫びをくちにしながらそれを左右にぶんぶんと振り回す。興奮で赤く染まる2つの尻が目の前で揺れる様は、マスターにとって最高の眺めだ。

 

 ぱくぱくと物欲しそうに開閉する尻穴と性器。愛液と腸液でべっとりと濡れた尻。発情しきった雌の臭いを漂わせるそこを見せつけることで、自分たちの我慢の限界を主張するアンとアルテラの訴えに笑いを浮かべたマスターは、むんずとその尻を掴んで言う。

 

「……しょうがないな。2人とも頑張ったから、今日は特別だよ? おまんこも、お尻の穴も、全部犯し尽くすから……覚悟してね」

 

「「~~~~っっ♡♡♡」」

 

 アンとアルテラがマスターの言葉に大喜びで再び尻を振る。

 言葉もなく、ただ犬のように尻を振り続ける彼女たちの姿に満足気な笑みを浮かべたマスターは、欲望漲らせる彼女たちを満足すべく、己の怒張した性器での相手を始めた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ♡ あ、あぁ……っ♡ ん、んんっっ♡♡♡」

 

「ん、おぉ……っ♡ ほわぁ……っ♡♡♡」

 

 夜の闇が白み始めた頃、人通りの消えた大通りを1人の男と2人の女が歩いていた。

 やや乱れた服装の男は、時折後ろを歩く2人の女性たちへと振り向いてはにこやかな笑みを浮かべる。対して、女たちの方はよろよろとおぼつかない足取りで道を歩み、必死になって男の後を追っているように見えた。

 

「ほら、早くしないとみんなが起きちゃうよ? その恥ずかしい姿を見られたいの?」

 

「はふぅっ♡♡♡ んあぁ……っ♡♡♡ くぅうっ♡♡♡」

 

「ひんっ♡♡♡ あ~~っ♡♡♡ んあぁぁあっっ♡♡♡」

 

 アンとアルテラは、マスターの言葉に満足な返答も出来ない。今の彼女たちは公園での露出セックスによって骨抜きにされ、未だに体に残る快感と必死に戦いながら歩いているのだ。

 しかも、コートをマスターに奪われ、アナルと膣にバイブを嵌められた状態で街中を歩くことを強要された2人は、露出と性交と被虐という三重の快感に翻弄されながら意識を保つことで精一杯なのである。

 

「い、急がないと、マスターに種付けされてポッコリ膨れたお腹を見られちゃいます……♡♡♡ ザーメン塗れのエロボディ、街の人に見られてしまいます……♡♡♡ ひあぁあっっ♡♡♡」

 

「お、おぉ……♡♡♡ 膣が、尻が、あつぃぃ……♡♡♡ 精液の感触だけで、イクっ♡♡♡ んおおっ♡♡♡」

 

 大きく胸を揺らし、小さく飛び跳ねながら、アンとアルテラがイク。ぶるぶるぶるぶると震える体を走る快感を抑えることは、今の彼女たちには不可能のようだ。

 

 このまま、春の陽気に浮かされて馬鹿なことをした2人の露出奴隷たちは、観衆の前にその淫らな姿を曝け出すこととなったのか。はたまた無事に家に帰り着いてそこで再びマスターに敏感になった体を貪られることとなったのかは、それぞれの想像に任せるとしよう。

 

 

 







GET! 『春のスペルマチケット』×500

『春のネロ祭』にて入手出来るチケット。2枚で1回BOXガチャが引ける。
ネロがプロデュースしたシチュエーションを楽しめば楽しむほど沢山のチケットが貰えるぞ!
何も考えず、性の悦びを貪り尽くそう! いっぱい集めて豪華賞品をゲットだ!!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

春のイケナイ遊びと書かれた扉を開ける

入学式、赤いランドセル、犯罪……イエス、ロリータ! ノー、タッチ!


 

「やあ、ボクの所に来たんだね。それじゃあ、一緒にイケナイ遊びを楽しもうか……♡」

 

 何とも刺激的な題名が書かれた扉を開けて先に進めば、その先には1人の少女が待っていた。彼女の服装を見たマスターは、驚きに眼を丸くしてしまう。

 

 白の半袖シャツと赤のミニスカート、黒いニーソックスまではまあ良い。問題は、彼女がかぶっている黄色い帽子だとか、背負っている赤いランドセルだとかの方だ。

 よくよく目を凝らしてみればシャツの胸元には小さな名札が付けられており、そこには平仮名で『めありー』と彼女の名前が記されている。

 これがどういうことなのかは考えなくてもわかる。小学生の格好をしたメアリーは蠱惑的に微笑み、およそ子供とは思えない挑発的な仕草でマスターへと言葉を投げかけた。

 

「ん~♡ どうしたのかな~? マス……お兄ちゃんは、ボクのあまりの可愛らしさに言葉を失っちゃった~?」

 

「お、お兄……!?」

 

「あははっ♡ そんな呼ばれ方をして喜ぶなんて、マスターはロリコンの変態さんだねぇ♡ もっと呼んであげようか? お・に・い・ちゃ・ん♡♡♡」

 

 年齢的には十分大人であるメアリーは、マスターを翻弄するかのようにケラケラと笑いながら彼の周囲を歩き回る。トントンと踊るようにステップを踏むメアリーの動きに合わせ、丈の短いミニスカートがふわりと捲れ、その下にあるピンクの子供用パンツが露になっていた。

 

「……お兄ちゃん、ボクのパンツを見て興奮してるでしょ? ホント、救いようのない変態さんだね……♡」

 

「うっ……!?」

 

 メアリーの挑発に言いようのない興奮を覚えてしまったマスターは、自分でも気が付かない内に股間の逸物をそそり立たせてしまっていた。それを目聡く見つけたメアリーは、嘲笑を浮かべながら右の足でマスターの股間をぐりぐりと踏みつける。

 ズボン越しに伝わる熱に満足気に笑ったメアリーは、巧みな脚の指捌きでマスターの履くズボンのファスナーを開き、その下のパンツもずり下ろす。

 そうしてボロリと顔を出した半勃ちの肉棒を見て取ったメアリーは、そのまま足でそれを踏み付けながらマスターを罵倒し始めた。

 

「なぁに? このガチガチおちんぽは……♡ ボクみたいな子供に挑発されて、こんなに大きくしちゃったの? ロリコンの上にマゾだなんて、本当にお兄ちゃんは変態なんだね」

 

「ぐっ! うぁぁ……っ!」

 

「へぇ~、こうやって踏まれるのが良いんだ? ……変態! 小学生にちんぽ踏まれて感じてるド変態! こんなことして恥ずかしくないの?」

 

 ニーソックスのすべすべとした肌触りとメアリーの小さな足の感触が組み合わさり、マスターは新たな快感を味わっていた。

 屈辱的な言葉を吐かれ、罵倒されることにも不思議と悪い気分がしない。もしや本当に自分は子供にこういうことをされるのを望んでいるのかと不安になる彼に対して、メアリーは一層責めの手ならぬ足を強めていった。

 

「ほーら、お兄ちゃんの大好きな子供パンツだよ~♡ これ見ておちんちんをバッキバキにしたんでしょ? この変態ロリコン男……♡」

 

「ぐぅうっ! うっ、くあぁ……っ!!」

 

「この情けない勃起ちんぽは、ボクが足でシコシコしてあげるね……♡ 手すらも使われず、おちんぽ足蹴にされて気持ち良くなっちゃえ♡ 変態お兄ちゃんっ♡」

 

 左足も使い、両足でマスターの肉棒を挟み込んだメアリーは、そのまましゅっしゅと扱くようにして上下に動きをつける。

 ニーソックスの肌触りと子供の柔らかな足での足コキ、更にはメアリーからの罵倒という3連コンボを喰らったマスターは、自らを情けなく思いながらも込み上げる射精感を我慢することが出来なかった。

 

「うぐっ! うぅぅぅぅぅ……っ!!」

 

 呆気なくメアリーの足コキで昇天し、大量の白濁液を射精するマスター。夥しい量のそれはメアリーの脚部から腰まで降り注ぎ、彼女の下半身を所々白く染め上げる。

 自身の足の間でびゅくびゅくと精液を放ちながら痙攣する肉棒を見つめながら笑うメアリーは、マスターの情けない射精をここぞとばかりに嘲笑し始めた。

 

「あっはっはっは! なに、今の射精!? はや~い! お兄ちゃん、ボクの足コキで気持ち良くなって精液びゅ~って、出しちゃったんだ!? なっさけな~い! こんな子供に速攻でイかされて、しかもこんな変態プレイで盛大に射精しちゃって、最低のお兄ちゃんだね!!」

 

「ぐっ! うぅぅ……!」

 

「あ~あ、お兄ちゃんのくっさいザーメンがボクのニーソやパンツにもかかっちゃったよ。ちゃ~んと弁償してよね、変態お兄ちゃん」

 

 ニーソはそのままに、精液がこびり付いたピンク色のパンツを脱ぎ捨てるメアリー。射精の余韻が去り、軽い自己嫌悪に陥るマスターであったが、そんな彼女の姿を見て、反撃の糸口を得る。

 自分に背後を向けているメアリーの肩を掴み、強引に押し倒したマスターは、彼女の性器を擦って愛撫をし始めた。

 

「な、なにすんのさ、お兄ちゃん!? 子供を無理矢理犯そうだなんて、サイテー!!」

 

 突然の愛撫に対してもメアリーはロールプレイを崩そうとはしない。本当に焦っているのならば、マスターのことをお兄ちゃんとは呼ばないはずだ。

 つまり、彼女にとってはこれも予想の範囲内なのであろう。そう考え、安心したマスターは、攻守逆転とばかりに彼女のことを愛撫しながら言葉責めを開始した。

 

「そんなこと言って、メアリーだって俺のちんぽを踏んずけて興奮してたじゃないか! パンツにえっちなシミが出来てるぞ!」

 

「っっ……♡♡♡ ほ、本当にキモいお兄ちゃんだね。女の子のそんな部分をまざまざと見てるなんて……♡♡♡」

 

「それに、ここを触れば一発さ! 奥からスケベ汁がどんどん溢れてきてる。男のちんぽを踏んで興奮してたんだろ、メアリー!?」

 

「……だ、だったらなんだって言うのさ!? どうせ何にも出来ないくせに!!」

 

「ほ~う? まだそんな減らず口を叩くか……ならっ!!」

 

「あっっ♡♡♡」

 

 マスターは、メアリーの膣に突き入れている指を激しく動かす。前後に出し入れしながら内部でバタ足をするように動きを見せ、メアリーの弱い部分を見つけ出すようにしながら愛撫を続けた。

 そうすれば、彼女の膣からは愛液が雨のように降り注ぎ、マスターの腕を濡らしてくる。指での責めによって微弱な絶頂を繰り返すメアリーの尻を撫でながら、今度はマスターが彼女を嘲笑うかのように言葉を投げかけた。

 

「どうした? ナカがびくびくしてるぞ? キモくて変態なお兄ちゃんの指で気持ち良くなってイっちゃったか?」

 

「そ、そんなわけ、なっ♡♡♡ あぁああぁぁっっ♡♡♡」

 

「おーっと、凄い潮噴きだ! ……もう言い逃れ出来ないね? お兄ちゃんにイかされただろ、メアリー?」

 

「う、うぅぅぅぅぅぅ……♡♡♡」

 

 一際甲高い嬌声を上げ、ねっとりとした本気汁をたっぷりと噴き出してしまったメアリーは、悔しそうに唇を噛み締めて俯いている。しかし、ぷるぷると震える尻や微弱な痙攣を繰り返す体はマスターの愛撫を悦んで受け入れていることを示しており、彼女がこのプレイを楽しんでいることを表していた。

 暫くの間、そうやって悔しがる(ふりをしている)メアリーの小さくて柔らかい尻を撫でまわし、その感触を楽しんでいたマスターであったが、顔を上げたメアリーがキッと鋭い視線で自分を睨みながら口にした言葉を受け、表情を一変させる。

 

「ボクがイったからって何なのさ!? お兄ちゃんの情けないアクメの方がキモいしダサいじゃないか!!」

 

「なにぃ!? どういう意味だ!?」

 

「そのままの意味だよ! あんな風によわよわちんぽをびくびくさせて、なっさけない射精を極めちゃってさぁ……! あれに比べたらボクのアクメなんて可愛いもんさ! お兄ちゃんの方がボクより弱いんだよ! ざ~こっ!!」

 

「ぐぬぬ……! もう怒った! メアリーみたいな生意気なメスガキには、一度しっかりと自分の立場を教えてやらなきゃ駄目みたいだな!」 

 

「うあぁっっ!?」

 

 怒髪天を衝くとばかりに怒りの感情を見せる(これもふりだ)マスターは、メアリーの体をひっくり返して仰向けの姿勢を取らせた。そして、その鼻先に先ほどよりも大きく膨れ上がった自身のペニスを突きつけると、低い声で脅し文句を口にする。

 

「な、なにするつもり……? 馬鹿な真似はやめなよ、変態お兄ちゃん……!」

 

「ま~だ自分の立場をわかってないみたいだね。でも、これからしっかりと教えてあげるから大丈夫さ」

 

「うぅ、あぁ……♡♡♡ く、臭いよ、お兄ちゃん……♡♡♡ お兄ちゃんのちんぽ、凄い臭いで鼻が曲がっちゃいそうだよ……♡♡♡」

 

「そうか。じゃあ、今からメアリーのガキまんこにこの臭いをこびり付かせてやるから覚悟しておきなよ。俺のちんぽが本当にザコかどうか、その身を以って確かめなっっ!!」

 

「えっ!? あっ!! おうぅんっっ♡♡♡」

 

 メアリーの両足首を掴み、そのまま胴体と両脚が垂直になるように左右に開く。先ほどの愛撫で既にびしょびしょに濡れている彼女の性器は、足の開きに合わせてぱっくりと大きく口を開いていた。

 マスターは、その膣口に狙いを定めると一息に己の怒張をメアリーの内部にねじ込む。彼女の小さな体に見合った狭い膣は、十分な拡張を施した主であるペニスの侵入を悦んで迎え入れ、最奥まで飲み込んだ。

 

「おっ♡♡♡ はおおおっ♡♡♡ お、お兄ちゃんの、ちんぽっ♡♡♡ ぼ、ボクのイイところに、とどいちゃってるぅっ♡♡♡ おおんっ♡♡♡ はぉおおんっ♡♡♡」

 

「さあ、おしおきの時間だ……! 兄貴を馬鹿にしたツケを払ってもらおうか!!」

 

「おひぃいいっ♡♡♡ おんっっ♡♡♡ おおんんっっ♡♡♡ あうぅうっ♡♡♡ おひり、ぶたないでぇっ♡♡♡ おおんっ♡♡♡ おまんこ突かれながらぶたれたらっ♡♡♡ イクのとまらなくっ♡♡♡ ひぃいいんっっ♡♡♡」

 

 ランドセルを背負ったままのメアリーの小さな体を抱え上げたマスターは、櫓立ちの体位を取ってメアリーの膣を激しく突き上げる。それに加え、彼女のがっしりと掴んだ彼女の桃尻を左右交互に叩き、スパンキングでも快感を与えていた。

 巨大な肉棒に子宮を叩かれ、強烈な張り手を尻に見舞われるメアリーは、快楽に泣き叫びながらマスターを制しようとするも、そのどれもが無駄に終わってしまう。彼女に出来るのは、ただ彼に喘がされることだけだ。

 

「どうしたの? よわよわ雑魚ちんぽに突かれる程度じゃ、メアリーはびくともしないでしょ? お尻をぶたれるのだってそう大したことじゃないでしょうに」

 

「あっっ♡♡♡ あおおぉんっっ♡♡♡ ゆるひっ♡♡♡ ゆるひてっ♡♡♡ おちんぽとめてっ♡♡♡ おしりペンペンやめてっ♡♡♡ ボクがわるかったからっ♡♡♡ あやまるからぁっ♡♡♡ んにゃぁあっっ♡♡♡ ふにぃいいっ♡♡♡」

 

「ダメダメ! もう一生お兄ちゃんに逆らおうだなんて思わないように徹底的に躾けておかないとね!」

 

「そ、そんなっ♡♡♡ はぁあぁんっっ♡♡♡ おあおぉおんっ♡♡♡ いぐっ♡♡♡ のっ♡♡♡ とまらなっ♡♡♡ しんじゃうっ♡♡♡ おにいちゃんのちんぽにころされちゃうっ♡♡♡ もうわかったからっ♡♡♡ しゃからわないからぁっ♡♡♡ ゆるひてっ♡♡♡ ゆるしてくらしゃいいっ♡♡♡ あへぇえっっ♡♡♡」

 

 太い肉の杭が膣を押し広げて自分の最大の弱点を突く度、尻に張り手を見舞われ、びりびりとした痺れと共に快感を味わう度、メアリーはかつて自分がこの肉棒に屈服した瞬間のことを思い返し、その敗北感でも達してしまっていた。

 あの時の無知な自分は、このペニスを挿入された瞬間に身の程を理解した。ソロモンも他の男たちも容易に超える巨大な雄の象徴に屈服した記憶を呼び覚まされる度、メアリーは恍惚とした笑みを浮かべながら絶頂を迎えるのだ。

 

「んへぇえぇっ♡♡♡ あへぇえぇぇっ♡♡♡ ご、ごめんな、しゃいっ♡♡♡ ボクは、おにいちゃんのオナホれすっ♡♡♡ おにいちゃんのつよつよおちんぽきもちよくするためだけのっ♡♡♡ おほぉぉおおっ♡♡♡ いもうとオナホになりましゅっ♡♡♡ もうにどとおにいちゃんをばかにはしましぇんっ♡♡♡ おにいちゃんにさからいませんっ♡♡♡ みのほどわかりまひたっ♡♡♡ くそざこメスガキのボクはおにいちゃんにいっひょうかないまへんっっ♡♡♡ おひぃいいいんんっっ♡♡♡」

 

 完全屈服宣言を口にしながらマスターに媚びを売るメアリーは、ロールプレイとしてそう言っているのか、それとも本心からそう述べているのかがわからなくなっていた。しかし、どちらにせよ自分がマスターから離れることは不可能だということに気が付くと、余計なことは考えずに今味わっているこの快感を存分に貪るために膣に力を籠め、肉棒を締め付ける。

 勝者となったマスターもまた、メアリーの可愛らしい献身に気分を良くしたのか更に彼女を感じさせるためにラストスパートをかけ始め、激しく腰を彼女に打ち付け続けていた。

 

「おっ♡♡♡ おおっ♡♡♡ んおおっ♡♡♡ お兄ちゃんのちんぽっ♡♡♡ ボクのおまんこの中でおっきくなってるっっ♡♡♡ あの凄い射精♡♡♡ ボクに種付けする気なんだねっ♡♡♡ いいよっ♡♡♡ だしてっ♡♡♡ だひてぇっ♡♡♡ ボクをママにしちゃってっ♡♡♡ 小学生のボクに子供孕ませてぇっっ♡♡♡」 

 

「ぐっ!! 子供のくせしてそんなエロい言葉、どこで覚えたんだっ!? おしおきだっ! お望み通り、ママにしてやるっっ!!」

 

「ふあぁあぁぁあぁあぁっっ♡♡♡ んおぉおおっっ♡♡♡ んへぇえぇぇっっ♡♡♡ はへっ♡♡♡ あっへぇえぇぇえぇっっ♡♡♡ く、くるうぅうんっっ♡♡♡ ひぃいいぃいいっっ♡♡♡」

 

 また、耕されてしまった。また、広げられてしまった。

 一層立派になった肉棒に、精悍に鍛え上げられた肉体に、女として敗北を認めてしまった。もう自分はこの男には一生逆らえないのだと、自由奔放を謳う女海賊のメアリーの心の奥底に、絶対的な価値観が刻み込まれる。

 根元から膨れ上がり、子種をメアリーの内部へと送り込もうとする肉棒の感触に頬を緩ませ、先ほどの足コキで見せた凄まじい勢いの射精が自分の膣内で行われることに笑みを浮かべたメアリーは、大きく跳ね上がる心臓の鼓動と共に、マスター渾身の一突きを受けて昏倒し、そして――

 

「おぉおおぉおおぉおぉおおおぉおおぉおおぉおぉおおおっっ♡♡♡ んぐぅううぅううぅうううぅううぅううぅうぅうぅうぅぅうっっ♡♡♡」

 

 舌を口から放り出し、鼻の穴を大きく膨らませ、口の端からだらだらと涎を垂れ流すだらしのない表情を浮かべ、およそ少女のような見た目の彼女が出したとは到底思えない下品な叫び声を上げながら絶頂した。

 初めて膣内射精を受けた時と同じく、大砲の着弾時のような凄まじさを誇る種付けに尻が勝手に震え、小便と潮が止まらなくなる。目の前の雄が、自分を支配するに足りる屈強さを有していることを本能で理解するメアリーは、子宮内を彼の遺伝子情報で満たしながら唇を重ね合わせた。

 

「んぐぅううんっ♡♡♡ んちゅっ♡♡♡ むふうぅっ♡♡♡ じゅぅっ♡♡♡ ずちゅぅうっ♡♡♡」

 

 快感のまま、絶頂のまま、貪るようにしてキスを求めるメアリーを余裕一杯に受け止めるマスター。

 小さな体を抱きすくめられ、持ち上げられている現状と合わせて、メアリーは彼に肉体的にも精神的にも包み込まれているような安心感を覚えていた。

 

 そうして、数分に及ぶ長いキスが終わりを迎えた頃、一度ロールプレイを中断した2人は、荒く呼吸を繰り返しながらお互いを見つめ合う。そして、同時に噴き出して笑みを見せた。

 

「マスターって、鬼畜役が似合わないよね。もう少し外道感を出せるようにレクチャーしてあげようか?」

 

「メアリー、あんなに調子に乗ってたのに、堕ちる時は一発じゃん! でも、そこが可愛いと思うな!」

 

 それぞれの感想を口にした後、再びキス。そうしてお互いの愛情を確かめた後、再び兄妹の関係性に戻り、楽しいセックスの続きを始める。

 

「あうぅ……♡♡♡ お兄ちゃんのザーメン、ボクのお腹いっぱいに溜まってるよ……♡♡♡ 本当に、赤ちゃんが出来ちゃうかも……♡♡♡」

 

「ふぅ……! これで自分の身の程を理解したな? メアリーはこれからずっと、俺の妹オナホだからな!」

 

「うんっ♡ お兄ちゃんのおちんぽぎゅ~っ♡ ってするためだけに生きるよ……♡♡♡ 学校にももう行かない♡♡♡ お兄ちゃんのおちんぽ包み込んでイキ続ける……♡♡♡」

 

 小さな尻をふりふりと可愛く振り、甘えるようにして体をすり寄らせるメアリーの瞳には、真っ赤に燃える淫欲の炎が灯っている。

 じんじんと熱を帯びる尻のスパンキング跡も、灼熱のマグマの如く子宮に溜まる精液も、マスターに与えられた全てを受け入れ、彼に奉仕する妹として、メアリーはその幼い肢体をがっしりと絡ませ、腰を振り続けるのであった。

 

 

 

 







GET! 『春のスペルマチケット』×500

『春のネロ祭』にて入手出来るチケット。2枚で1回BOXガチャが引ける。
ネロがプロデュースしたシチュエーションを楽しめば楽しむほど沢山のチケットが貰えるぞ!
何も考えず、性の悦びを貪り尽くそう! いっぱい集めて豪華賞品をゲットだ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エピローグ

 

 

「んっ♡ いいぞ、マスター……♡♡♡ 余の胸を揉みながら景品が得られるなんて、正に一石二鳥だな!」

 

「あ、あははははは……」

 

 後ろからネロを抱き締め、彼女の豊かな双乳を弄びながら、マスターは乾いた笑い声を漏らす。

 春のネロ祭と銘打たれたセックス三昧の周回を続けた彼の顔色には流石に疲れの色が見えており、休憩がてらにBOXガチャを回す今の時間にも性的な行為を求められるということでどこまでやるのだと軽くこのイベントの主催者であるネロに引いているのだろう。

 しかして、柔らかく張りのあるネロの胸を揉めることは決して損な役回りではない。むしろご褒美といえるこの行為にも慣れつつあるマスターは、むにゅむにゅと手の中の乳房を弄りながらずっと胸に秘めていた疑問を頭に浮かべる。

 

(な~んでガチャを回すのにネロの胸を弄る必要があるんだろう……? いや、そういう仕組みのガチャにしたっていうことはわかるんだけどさ……)

 

 ダヴィンチちゃんお手製のガチャマシーンは、何故かネロの胸を揉むことによって起動する仕組みだ。どうしてそんな仕組みにしたのかはわからないが、そこは天才の考えることなので凡人のマスターは気にしないことに決めた。きっと、自分には考え付かないような複雑な事情があるに違いない。

 

 という訳で1つの疑問に答えを出した後、マスターはBOXガチャから出て来る景品へと目を向けた。

 なけなしのQPだとか、一番小さな種火だとか、せせこましい努力の果てに集められた景品たちは豪華とはいえないものの、あって困るものでもない。ありがたく頂戴し、これからの戦いに役立てようと考えつつ、マスターはネロに向けてもう1つの疑問をぶつけてみた。

 

「ところでさ、ネロが言ってるBOXガチャの豪華賞品ってなんなの?」

 

「む? 気になるか!? ふっふっふ……仕方がないマスターだな! そんなマスターの期待に応えて、特別に教えてやろう!」

 

 ふふーんと鼻息も荒くドヤ顔を浮かべたネロは、背後のマスターへと余裕たっぷりの笑みを見せつつ溜めの時間を作る。相当に賞品への自信があるのか、彼女はマスターがこれを手に入れたら大喜びするに違いないと思っている様子だ。

 マスター的には、ネロのブロマイドか歌が収録された記録デバイス辺りが相場かなと予想を立てていたのだが、ネロが用意したのはその予想を大きく超える代物であった。

 

「先ほどまでマスターがまぐわっていたサーヴァントたちがいるだろう? 今回の賞品は、あやつらが身に着けていたコスチュームを礼装にしたものだ。手に入れられたら誰にだって学生服や露出コート姿、小学生ルックをさせることが出来るぞ!!」

 

「な、なんだってーっ!?」

 

 予想外の豪華賞品に驚いたマスターは、先ほどまでのセックスとその中で見た女性たちの服装を思い返し、素直に興奮を露にする。

 ブレザーの学生服を手に入れれば、いつだって可愛いマシュの後輩姿が拝めるし、そのままセックスが出来る。

 学生の甘酸っぱい恋愛を疑似体験することが出来るのも良いが、モードレッドやジャンヌ・オルタたちにも同じ服を着てもらい、さながら恋愛ゲームのようなシチュエーションを楽しむことも一興だ。

 

 裸コートの服装はカルデア内で露出プレイをするのに役立ちそうだし、普段は全身を一部の隙もなく服で隠しているナイチンゲールに着せるのも面白そうだ。

 誰がしても興奮しそうなこの格好は、大人から子供まで差別なく着てほしい服(?)でもある。

 

 そしてランドセル&登校帽のセットはかなり犯罪臭が強い。イリヤやクロといった子供の英霊に着せるのも良いが、ここは敢えて大人に着てもらうのも悪くはないだろう。

 アルトリアやドレイクが小学生のような格好をして自分のことをお兄ちゃんなどと呼ぶ姿を想像し、そんな恥ずかしい真似をする彼女たちの顔は真っ赤なのだろうと考えただけで興奮が止まらなくなる。何が何でも、手に入れたい一品だ。

 

「それを聞いたら俄然やる気が出てきた! 頑張ってガチャるぞ~っ!!」

 

「ううんっっ♡♡♡ よ、よい意気だ! あっっ♡♡♡ も、もう少し余の胸を優しく、くひゅんっ♡♡♡」

 

 コスプレ礼装を手に入れるべく頑張ってガチャを回すマスターは、その効率をよくするためにネロの胸への愛撫を数段激しくする。その快感によって身悶えするネロは、彼の腕の中でびくびくと痙攣しながら涎を垂らすだらしない表情を浮かべ始めてしまった。

 

 無論、勢いに乗るマスターはこの後も周回プレイをこなし、ガチャを回すチケットを大量回収して、無事に全ての礼装をコンプリートしたことをここに記しておく。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。