男性が少ないようなので積極的になってみた (Sonnet)
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1日目
プロローグ


「あー……酔っぱらったなぁ」

 

 会社の2次会を終え、その後の3次会にも突入してしまい、結構な量の酒を飲んでしまったこともあり、少し足取りが覚束ない。酒は好きだから飲みなれているけど今日もしこたま飲んでしまった。

 帰宅途中の道すがら、何度も欠伸が出てしまう。

 深夜も深夜。良い時間になってしまっているが、空を仰いでみる。そこに広がる満点の星空とまん丸お月様。冷ややかな風が一つ、火照った体を冷ましてくれた。

 

「きーもちー……」

 

 と、ここで一際大きな欠伸が一つ。思わず立ち止まってしまった。

 

「お、っとと」

 

 伸びをする要領で欠伸をしたのがいけなかったか、それとも酸素の過剰供給のし過ぎか。酔いが回ったか足元がふらついてしまった。

 それにしても口から出る言葉が中々に堂の入ったおっさん臭さだなと思いつつ、体勢を直そうと膝に手をつき前を向いた。

 

 ――パァァァァーーーーーッ!!

 

「……え?」

 

 けたたましいクラクションと共に、二つの眩い光が迫ってきた。

 一瞬が数瞬に。その数瞬で色々な記憶が巻き上がってきた。今から過去に、過去から今に至るまで。嬉しかったこと悲しかったこと、笑ったこと泣いたこと。色々な感情が鬩ぎあい、ひどく呆然としてしまった自分が自分でないようで。

 

 長かった体感の後、私は意識を失った。

 

 

 

「――う……うぅ、ん」

 

 頭の上で鳴り響くアラーム音に意識が浮上する。

 あのクラクションよりも音自体は小さいが、甲高い音で耳に響いてくるこの目覚まし。これはこれで不快にさせる。

 と言うよりも私はこんな目覚ましなんか使っていただろうか?

 そりゃ昔、ガラケーが懐かしい時代に普通の目覚ましを使って高校生活を乗り越えてきたけれども。今となっちゃ無くては不便なスマートフォンが目覚めを告げるメインアイテムだったはず。

 

「んだよ、っさいなぁ……」

 

 手を伸ばして音を止める。

 

 それにしても嫌な夢を見てしまったものだ。

 最近はあんまり夢も見なかったというのに、ここにきて自分がトラックなんかに轢かれるなんて。意識が無くなって先の展開が読めない状態で目が醒めるなんて、少しばかり現実味が帯び過ぎている気がする。

 何となく、体に軋みを感じるし。気にしすぎかなぁ。

 

 手を伸ばした状態で固まってはいたが、夢を見てる最中にかいたであろう冷や汗がびっしょりと背中を濡らし、中々に気持ちが悪い。一度起き上って服を着替えようか。

 いや……昨日あれだけ飲んだんだ。何の宴会だったかまでは覚えてないが、そんな飲み会をするってことは金曜日。今日はお休み土曜日じゃ? ここで自分の会社のホワイトさには感謝せざるを得ない。

 夢にまで見た週休二日制。仕事量は些か多いような気もするが、ビバ休日。ビバ社会人。酒が美味い。

 

 ――よし、このまま二度寝しよう。

 

 そう思い、身を捩って汗を寝間着に拭うとそのまま布団に潜り込んだのだった。

 

 ――――――

 

 ――――

 

 ――

 

 

 

「ヤス君! 学校に遅れるから早く起きないとダメだよ!」

「ほぇ?」

 

 ……この私の安らかな眠りを妨げるのはどこのどいつだ?

 てか、俺の事をヤス君なんて呼んでたのは母親だけ。今となっちゃ一人の社会人として身を粉にして歯車になってる俺は一人暮らしの独身貴族。はは、寂しいね。

 

 ……あれ?

 しかしながらだ。そう考えると今俺の事を呼んだのは?

 さすがに寝起きでウトウトしてるからと言って母親が俺の事を呼んでる幻聴なんてこの歳で聞きたくない。まさか虫の知らせじゃあるまいし。

 そう思い、おたおたと体を起き上らせる。どうせそこには誰もいや――したよ。

 

「……母さん?」

「あら、寝ぼけてても私の事を母さんなんて呼んでくれるなんて嬉しいわね! でも、早くしないと学校に遅れちゃうから早く着替えてね? ご飯が冷めちゃうわ」

「あ、はぁ」

 

 高校生の頃の母さんそのまんま。

 若くして俺を産み育ててくれた母さんは、俺が高校生になっても未だその美貌は健在で、身内の俺ですら綺麗な母ちゃんだなと思っていたものだ。

 が、あくまで高校生の頃の話。

 今見た母さんはその頃まで若返ったんじゃないかと思うほど。

 

 ……

 

 これはあれか?

 俺はまだ夢を見ている途中で、あの頃……高校生の頃に戻りたぁいなんて淡い思いを抱いていた期待が今の夢を見せているんじゃ?

 

 馬鹿な!

 今の今まで明晰夢なんて見た事ないし、そもそもここまでハッキリ感覚まであるのにそんな夢なんて見る物か! でもまぁ、綺麗な母さんの姿を見て気分が降下するほど親不孝なことはしないで、普通に喜んでおこう。

 何はともあれ飯を食いに行こう。

 寝間着から適当なジャージに着替えようとして服の位置が違ったりして四苦八苦したのは別問題として。

 

「母さん、今日の飯何?」

「いつも通りご飯にお味噌汁に、って! ちゃんと服は着ないとダメよ! 男の子なんだからちゃんとしなきゃ!」

「はぁ? いやいや、いつも通りっしょ」

「まぁ! いつもはキッチリ着てるでしょ? まだ寝ぼけてるのかしら……?」

「いや、え? はぁ……」

 

 いやんいやんと年甲斐もなく腰を捻っては気持ち悪い動きをする母親を尻目に、テーブルの上に置いてあった新聞を手に取る。さてさて、今日はどんなニュースが入ってるかなっと。

 いつもの様に椅子に座って新聞を広げる。

 そう言えば今日の日付は……

 

「はぁっ!?」

「ひゃぁっ!? も、もう! 急に大きな声を出さないでよ、ビックリしちゃうでしょ?」

「え、いやいや、は?」

 

 さっきから口から出る言葉が全く意味を成さない。

 西暦がきっかり十年前。確か、高校に入学して間もない頃ぐらいじゃないか?

 いや……単に誤植って可能性もあるし、もしそうだったら新聞会社に一言電話でもしたいぐらいだ。

 

 そうだ!

 思い浮かんだ瞬間にはカレンダーを探し始めた。

 そうだよ、カレンダーだったらちゃんと西暦まで乗ってるし、両親が間違えてるわけもない。結果、きっかり十年前の物を使っていた。

 おいおい……見た目が若返っただけじゃなくて頭の中は幼児退行しちゃったってか? どっかで前の年のカレンダー使ってて、全然問題ないですよね? なんて言ってた奴とか確かにいたけど。曜日は違うし日数まで違ったらどうすんだ!

 

 どういうこっちゃねん。

 破れかぶれの関西弁を頭の中でリピートしながらテレビをつける。

 もし本当に今日が十年前だとして、俺がこれから高校に行かなきゃならないなんて冗談を実行しなきゃならんとしても。少し位学校に遅れたってどうってこたぁないんだ。一応、大学卒業程度の学力を有してることになってるからね。記憶の中だけ。

 適当なニュース番組を付ける。

 本日のニュースを見ればそのうち日付もわかるだろうし、どんな時代だったかぐらい思い出させてくれても良いじゃない? ……おや、ニュースキャスターさん、結構かわいい子に綺麗系の女の子だ。良いですねぇ。

 

『それでは本日のニュースです』

 

 おっと丁度いいタイミングだった。

 出来れば世界情勢とか日本の政治的なニュースとか取り上げてくれてると嬉しかったんだが。――

 

 

 

『本日未明、アパートで独り暮らしをしている男子大学生の部屋に忍び込んだ女性会社員が、強姦未遂で逮捕されました。女性の年齢は28歳。30歳になる前に処女を捨てておきたかったなどと供述しており――』

 

 

 

 ……?

 

 ……え? 女性が、強姦未遂?



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第01話

『○○市内の電車内において痴女行為をした女性を現行犯逮捕――』

 

『マンションのベランダに干してあった男性物の下着を盗んだとして、30代女性が窃盗容疑で――』

 

『本日、国会において一夫多妻制度導入に向けた議論が展開される模様です。子を為した夫婦には補助金が支払われると言う詳細等が明記されていますが、それに対して男性保護委員会会長の堀牧氏はどのような対応をとるのか? 今後の展開が気になるところです』

 

 

 

 ――――――

 

 ――――

 

 ――

 

 

 

 朝のニュースの内容に呆然としながらも朝食を摂っていた。

 何だろう……いつの間に世界はおかしくなったんだろうか?

 それともあれか? これは俺に対するドッキリで、テレビ局のスタッフが遂にトチ狂った内容で俺を驚かそうとしてきているのか?

 いやまぁ、それだと我が母上殿の若々しさの証明の何の足しにもなっていないのだが。てか、そうだとしてもカレンダーから新聞から、何から何まで準備するものなのか?

 ニュースの内容にしたって録画したものじゃなくて現物だろうし。適当にザッピングしてみても似たような内容のお話ばかり。正直、何が何だかさっぱりだ。

 

 少しながら行儀が悪くなってしまうが、スマホで検索でもしてみるか。

 手軽で素早く検索できる。そんな機械を求めてましたっと。

 

 ……ガラケーしかないやん?

 

 そうか、十年前だったか……持ち運びやすさでいったら良いかもしれないが、それぐらいしか今の俺には利点が感じられん。

 

「もう! 男の子がご飯を食べながら携帯弄っちゃダメでしょ!」

「ごめん」

「……ヤス君、今日はなんだかいつもと様子が、体調悪いの?」

「いや、そんな事はないけど」

「もし体調が悪かったらすぐに言ってね? 学校もお休みしないと」

「え? べ、別に大したことじゃないから! ね?」

「そう? なら良いんだけど心配で……」

 

 何だろう、この過剰なまでの心配性は。

 昔っから大事に育ててくれた母親だったけど、さすがに体調が少し悪いくらいで学校休めなんて言ってくる人じゃなかったはずだが。やっぱり、さっきのニュースの内容が関わってくるんだろうか?

 それにしても男性保護委員会、か。

 そんな委員会なんて無かったはずだがなぁ。ニュースを見る限り、国会にも幅を利かせてるみたいだし。

 ……いやいや! それを言ったら一夫多妻制度の推進なんざ、日本じゃあり得んだろう!

 女性が男性をレイプとか、男物の下着の窃盗とか。何が何だか……今もまだ夢を見続けてるって言ってもらった方がどれだけましか。

 

 しばらくしてニュースも終わり、朝食も終えてしまった。

 何の気もなしにゆっくり食べ進めてたが、時間は既に8時を越していた。

 確か、あと少しで朝のHRやってた記憶が。完全に遅刻するパターンだが、まぁいいや。……遅刻を心配して起こしてもらったのは良いんだが、特に何も言ってこないってことはそこまで大した事じゃないのか?

 部屋に戻って高校指定の制服に着替える。あまりの懐かしさに昔の事を思い出し、少し着替えるのに時間がかかってしまった。

 

「ま、取りあえず学校に行ってくるよ」

 

 外は少し雨空模様。

 自転車でも行けなくはないが、ここはバスで移動しよう。少し頭の整理もしたいところだし。

 

「歯磨きはした? ハンカチは持った? ティッシュは大丈夫?」

「大丈夫だよ。全部ちゃんと持ってるよ」

「本当に? 女性に何かされそうになったらこの防犯ブザー使うんだよ?」

「う、うん」

「じゃ、車出すから待っててね」

 

 俺はどこの御令嬢だ。

 

「いや、良いよ。この時間でもバスはあるでしょ? それに乗ってくから」

「え……ダメよ! バスなんて危ないじゃない! 良いから、お母さんが車出すから待ってるのよ!」

「あ」

 

 バスって言った瞬間、血相変えて飛び出していった母親の背中を呆然と見ていた。

 これじゃあ本当に御令嬢になっちまった感じだな……

 家から高校まで徒歩で40分。バスを使えば20分少々。自転車だと30分くらいってところだったか? 十年前の事でも、三年間通った高校までの道のりは忘れちゃいなかった。

 いつもは自転車で、雨の日は危ないし面倒だからいつもバスを使って登校してたもんだが。

 何だかなぁ……まるで違う世界に来ちまったみたいな感覚だ。

 変わらない実家に変わらない両親、変わらない日本。だと思う間もなく違う日常を既に味わう羽目になるなんて。まぁ、全く変わらない高校生活を送らされるってのは憂鬱だったし、これはこれで面白いのかもしれないが。

 ……普通の高校生活を送りたいもんだなぁ。

 

「ヤス君! 準備できたよ! さ、乗って乗って!」

「はぁい」

 

 

 

「ヤス君、本当に何でもないの?」

「ん? 体調の事? 全然問題ないけど」

「えっと……それは良い事なんだけど、普段と違うっていうか……」

 

 車の中。

 母さんが隣で運転していて、俺は助手席に。

 自分で運転できるのであれば俺がするけど、今の俺は高校生の身分らしい。

 さっき制服のポケットを漁ってるときに出てきた高校の時の身分証に俺の顔写真が載っていた。この幼さがまだ残っている写真は、さすがの高校生である。

 

 しっかし、いつも通りの話をしてると言うのに、母さんの反応が芳しくない。

 高校の時から同じような話し方だったと思うが……何か変だろうか? それとも、高校の時は読まなかったはずの新聞を堂々と助手席で読んでる俺がおかしいか? 俺が偶に変わった行動を取るのは変わってないはず。

 

 何々?

 

『法案として挙がっている一夫多妻制度については、夫側が申請を上げなければ妻になることが出来ない。また、妻が二人目以上になる時には国から補助金が出る対象となります。また、現在においても子供が産まれる度に同じように補助金が出るようになっていますが、補助金以外の項目においてもサポートできるよう詳細を纏めていく方針』か……ますます日本じゃないな。

 確かに少子高齢化が進んでいる日本でも子供が産まれたからと言って補助金が出るなんて聞いたことがない。つまり、俺が今いるここは、俺が過ごしてきた時代背景が全く違うと言う事。

 そういった違いを示してくれる事項をピックアップし、ドンドン読み進めていく。

 

『男性、女性の割合が遂に1:20まで低下。世界各国において非常に由々しき問題だとして取り上げられており――』

 

「ふぁっ!?」

「んー? どうしたの、ヤス君」

「いやいやいや……いや、なんでもぉ?」

「ふーん……本当に大丈夫かしら?」

 

 まさかまさかのって感じだ。

 はっきりとした違いをここで見つけてしまった。

 まさか極端に男性の数が少ない世界だなんて……と言うことは世界人口も変わってくるはず。歴史的な問題も浮上してくる。今まで活躍した人物とか、将軍とか、天皇とか武将とか歴史的人物全員が。もしかすると女だったって事になるのか?

 確かに俺がいた日本でも上杉謙信女性説とかあったが。もしや全員が女だったなんて事にはなるまい。

 

「ねぇ、母さん」

「なぁに?」

「母さんって、父さんとどこで知り合ったの?」

「……気になるの?」

「え? ま、まぁ……俺も将来の事を考えて――」

「もう! ヤス君は男の子なんだから俺なんて使っちゃダメよ。お淑やかに、ね?」

「あっはい」

 

 良い感じに話を逸らされてしまった。

 ……え? 何、もしかして男女比が可笑しいだけじゃなくて、男女の貞操観念も変わってたりするのか?

 

 あー……だからこその女性が男性を強姦ニュースか。納得したわ。



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第02話

 学校についた。

 車の窓から見た感じ、建物とかに差異は感じられなかったが、やはりと言うか……男性よりも女性の方が圧倒的に数が多く感じられた。感じた、と言うかこれは現実的な問題として挙げられてるだけあって本当にそうなんだろうが、中々に違和感を感じてしまう。

 そして高校生という身分についても、だ。

 如何に俺が高校生に戻りたいと願望していたとしても、こちとらそれなりに社会人としてやってきたって自負があるし、それなりの大学も卒業している。この世界での就職率がどれほどのものなのか、そこはまだ判明していないが、また大学に通わないといけないかもしれないことを考えると憂鬱ではある。

 高卒でも入れる職はあるが、やはり大卒が有利だろう。そんな考えが拭えないのだ。

 

「じゃあ、ヤス君。授業頑張ってね!」

「うん。送ってくれてありがと。行ってくるね」

「はぁい!」

 

 頬に両手を当てて喜んでいる母親の姿なんて見なかったんじゃ。

 しかし……さすがに本来の登校時間が過ぎていることもあってか、俺の他に登校してくる生徒は見受けられなかった。

 が、さすがに時間が遅くなってしまったこともあり、校門を締めようと近寄ってきた先生に見つかってしまったのだった。

 

「君は……もう授業は始まっているが、遅刻か?」

 

 もっと高圧的に話しかけられると思ったが。

 教師は女性だった。それも、俺より少し身長が高くてかなりの美人さん。

 担当科目は体育だろうか。小麦色に焼けた肌にショートの髪。切り目だけど優しそうな雰囲気を兼ね備えたお姉さん系美人。社会人でもこんな美人さんは見かけなかった。

 しかも、あんまり濃い化粧もしていないように見受けられる。

 

「いやぁ……朝、少し体調が悪くて。今はもう大丈夫ですが、母親がここまで送ってくれたんです」

「そうだったのか。まぁ、あれだ。体調が悪いのなら仕方ないな。何だったら、一緒に保健室まで連れてってやるぞ?」

 

 教師が堂々とさぼらせようとするなよ。

 ……いや、待てよ?

 今の俺の容姿を考えよう。社会人として働いていた時の俺は仕事で歩き回ることが多かったにも関わらず筋肉が付かず、ひょろっとした体格だった。それは今でも変わらない。むしろ、社会人になるまでそこまで運動していなかっただけあって今の方が細長い。

 身長は175cmくらいだったか。体重は60kgにも届かない。

 そして貞操観念逆転しているかもしれない事を加味すると。

 朝から体調が悪かった細長く、しかもか弱そうに見える男子生徒。こりゃ確かに先生が俺の事を心配するのも頷ける。

 

「あはは……まぁ、大丈夫なんですが。一応保健室の方に行きます。案内、お願いします」

「あ、あぁ。ついてきなさい」

 

 優しくしてくれる美人な先生。

 それだけでニヤニヤが止まりませんなぁと友人に自慢してやりたくなるようなもんだが、この体験……この世界では本当に良いシチュエーションに該当するのだろうか?

 

 思い出してみよう――朝のニュースを。

 女性が男性を強姦して逮捕されるような世界だぞ? むしろここは、嫌がるような感情を出すのが普通なんじゃないのか?

 

 ――まぁ、いっか!

 別段取って食われるわけでもないだろうし、ましてや教師と生徒の関係だから問題ないでしょ! さすがに朝っぱらから盛ってるような女性は……いるのか?

 男性が朝から勃起している症状。あれの原理がもし女性に当てはまったら?

 普通に俺を性の対象として見ているかもしれない! 同人誌のレイプものの登場人物が、女性が男性をレイプというサブタイトルに変換されてるこの世界で、この俺が犯されない安全なんぞどこにも無かったんだ!

 

 

 

 ま、役得だしどうでもいっか。

 

「さぁ、ここが保健室だ」

「ありがとうございます」

 

 昔とクラスが変わってなければ1年3組だったはず。その記憶はその通りだったらしく、俺の下駄箱と内履きは記憶通りの場所にあったのだった。

 そして、道すがら先生と自己紹介を交わしたが、予想通り体育担当の先生だったらしい。名前は牧野京子(まきのきょうこ)。基本的に2年生の生徒指導担当らしい。

 と言うことは基本的に学校内で会う機会は少ないという事か……残念だ。

 

 久し振りに見回してみた保健室は真っ白だった。

 病院で鼻を突くアルコールの臭いはしないし、綺麗に整理された真っ白なベッドが二つだけ並べられていた。こじんまりとした様相の部屋だが、誰も居ない。

 

「あれ? 保健室担当の先生は……?」

「今日はこの時間、担当の先生はいないんだ。だから、少しの間我慢してくれ」

「は、はい」

 

 成程。

 もう朝練も終わってるし、余程の事態か急に体調を悪くした生徒が出ない限りはいないのか? それとも各授業を受け持つ先生方がそれなりの知識を普及されているとか? まぁ、疑問は絶えないが、この学校はそうだったんだろうと記憶しておこう。

 

「ですけど、勝手にここの物を使っても良いんですか?」

「ああ、基本的に体調の悪い生徒のためにあるものだ。君が使っても問題あるまい」

「そうですか」

 

 良い先生や……

 昔だったら『男の子なんだから大丈夫でしょ?』とか言われて素気無く断られていたような気がする。そんなに体調も悪くない時なんか尚更である。何しにここに来たと言わんばかりの視線で睨まれてたなぁ。

 ま、そういう事ならベッドで寝ても良いんだろう。

 もし先生に症状を聞かれたら、色々な事が起こりすぎて『頭が痛いんです』とだけ言えば大丈夫に違いない。そう信じたい。てか、間違いじゃないからな。いきなり高校生に戻らされたんだ。そりゃ混乱もするし頭も痛くなる。

 ……以前の俺はどうなったんだろうか?

 

 色んな事が頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消えを連続していたが、手だけは動いていた。さすがにガッチリ制服を着こんだままベッドに横になりたくなかった。寝にくいし、皺も付く。

 第一ボタン、第二ボタンと外していき、最後のボタンを外して脱ごうとしたところでいきなり顔を掴まれた。

 

「君……名前は?」

「え、っと……立川保志(たちかわやすし)です」

「そうか、保志君……か」

 

 両手で顔を掴まれた状態で固まってしまった俺を無視し、牧野先生は俺の顔を撫で始めた。『え? 何このプレイ?』と思った俺は悪くないだろう。何も反応しないでいる俺の顔を両手で撫でているだけなんだから。

 

「なぁ、保志君……痛くするつもりはない。私と良い事をしないかい?」

「良い事……ですか?」

「そうだよ……とっても良い事だ。君は何もしなくて大丈夫。そのまま黙って座っていてくれれば……いや、このままベッドの方に行ってしまおうか」

 

 この世界の女性積極的過ぎぃ!!

 このままベッドって比喩どころの話じゃないじゃないですかぁっ!

 

「先生、もしかしなくてもモテない、ですよね?」

「うっ……」

「やっぱり」

 

 そもそも男性の数が少ないからこれ以上は言わないが。

 しかし……この世界の女性の性欲を侮っていた。まさか朝から一直線でベッドに行かない? なんてお誘いをされることになるとは。

 

「だがっ! あれは、明らかに私の事を誘っていたんだろっ!? あんな、女の前でいきなり上を脱ぎ始めるなんて……確かに私は教師だが、君は、その……カッコいいし。いや、こんな年増の女に褒められても嬉しくないってのは知ってるぞ!? でも、どうしても自分を抑えることができなくてだな」

 

 いきなり自分語りを始めたこの女性を、俺は今すぐ抱きしめたくなってしまった。



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第03話☆

 少し冷静になって考えてみると、結構俺ってビッチ的な事をしてたんだなと思う。

 保健室という学校の校舎の中。しかも教師と生徒の関係とはいえ、密室で二人きりの状態でいきなり制服の上を脱ぎ始めたんだから。

 

 これでビッチになるんだったら前の世界でどれだけ多くの女子高生がビッチになってしまう事やら。さすが男が少ない世界。体を持て余したヤリ盛りの女がたくさんいますってか!

 いやぁ、俺得の世界じゃないか。

 

 良い感情を持ってもらってるのであれば、俺もそのつもりでいかせていただきます。

 そもそも体調なんざ悪いわけでも無いし。何気に先生の手がすべすべしてて撫でてくれてる間気持ちよかったってのもあるんだけどね。しっかし、まぁ何と言うか。結構純粋な人なんじゃない?

 未だに男にモテたことが無いと自分の事を卑下しては両手の指を突きあってる姿に萌えながら話しかける事に。

 

「ね、先生」

「うぇぁ!? ど、どうした?」

 

 ドギマギしながらも慌てる先生。

 

「俺は、別にさっきの事、誰にも言うつもりはありません」

「え?」

「でも、少し俺にお小遣いをくれるんだったら、しても、良いですよ?」

 

 ここで必殺の上目遣い。

 さりげなくお小遣いの要求もしておくところが悪童の権化と言うべきか。これは完全にビッチの発言ですわ。しかも、別に金に困ってるかどうかなんて実感すらしてない状態でね!

 

「お、おおおおお前、ビッチだったのかっ!?」

「ちょ……そんな大きな声を出さないで下さいよ! それに、ビッチじゃないです! まだ、童貞ですし」

「ど、童貞っ!?」

 

 今度は先生が固まってしまった。

 この世界で童貞にどれだけの価値があるんだろうか?

 まえの世界では素人童貞と言うだけで特に気にすることもなかった程度の認識しかないが。いつまでも固まったままの先生の顔の前で『おーい』と呟きながら手を振ってみる。

 

「はっ!? わ、私は今夢を見てるんだよな……こんな、男子高校生が私とヤッてくれるなんて、そんな夢にまで見たシチュエーション、まさか現実なわけ」

「あるんですよー」

「うわぁっ!? ……い、いくらだ?」

「はい?」

「お、お小遣いってのは、いくらなんだ?」

「えぇーっとぉ」

 

 おぉっとぉ。

 さすがに教師と生徒でそこまでディープな関係まで行こうとするとは思わなかったが、この人、結構精神力強いんか? それともこれがデフォルトか、もしくはこの人がヘタレなのか?

 しかし、想定外の事態に自分の見積もりが甘かったとしか言いようがない。

 世間で言うところの割の値段が分からないのだ!

 

「先生の言い値で、良いですよ?」

「は?」

「俺、先生と気持ちよくなりたいから……終わった後に、ください」

「……保志君!!」

「わっ!?」

 

 言い終わるや否や、先生に押し倒された。

 両手で肩を押さえつけられ、そのままキス。

 唇と唇が触れ合うだけの初心なキス。押し倒してきた時の勢いはどこにいったのやら。二度、三度。触れては離れを繰り返したところで、俺から口を開けた。

 ほんの少し開けただけ。そこに、先生が唇を落としてきた。

 啄ばむようだったキスから今度は大胆に舌を入れてくる。吐息が漏れ、唾液の音が耳を突く。それだけで燃え上がる。体の奥底から、この女性を無性に味わいたいという願望が這い出てくる。

 

 両腕を先生の背中に回し、抱き締めた。

 

「んむぅ!?」

「は、んぁ……んぅ」

 

 驚いて顔を上げそうになった先生の頭の後ろに手を当て、逃げられないようにする。不器用に動いていた舌に絡まるように舌を動かす。驚いたのか、またしても動かなくなってしまった先生の舌をしごくように顔を前後に動かす。女性が男性にフェラチオをしているかのように。

 

「んぁ!? は、ぁあっ!」

 

 それだけで先生の身体が痙攣し始める。

 小さく震え始めた体は、次第に大きく痙攣し始める。

 さすがにこれでイクなんて――そう思いながら顔の前後運動を止め、先生の舌を無理矢理押し込めるように舌を動かし、先生の口の中で無茶苦茶に舌を動かした。唇の裏、歯茎、舌同士。適当に、それはもうがむしゃらに動かした。

 

「ぁ……!! っ、……ぁ!!」

 

 一際大きく先生の躰が脈動した。

 これは多分、イッたのかもしれない。そう思い、先生の痙攣が治まってきてから唇を離した。その際、舌を少し出したままにするのを忘れない。

 

「はぁ……ん、あぁ……」

「センセ、もしかして、いっちゃいました?」

「んぁっ!? ……う、ん……」

 

 恥ずかしそうに顔を赤らめる先生の姿に萌えてしまう。

 火照って止まない自分の愚息が、これ以上ないくらいに自己主張していた。

 正直、パンツが邪魔に思えるくらいに勃起をしていた。それだけ、今のキスには興奮していたし、先生の様子は一際淫靡さを漂わせていた。

 

 いやぁ……もれはとても良いものですね!

 教師と生徒が陥る淫らな関係! しかも俺の世界での感覚からすると、可愛い女の子が性欲旺盛な男性体育教師にすり寄ってるみたいなもんだからな! お金も貰えてやりたい放題!

 ……完全にビッチの発想ですわ。

 

 キーンコーン――

 

「わぁっ!? も、もうこんな時間!?」

「そうですね……一時限目は、終わっちゃいましたね」

「わ、わ、わ……」

 

 両手をパタパタさせる先生。

 慌てているんだろうが、いちいち反応が「可愛いですねぇ」

 

「なぁっ!? わ、私がかわいいだって!?」

「あ、もしかして口に出てましたか」

「む、無意識で……」

 

 今度は完全に固まってしまった。

 キスだけでいってしまった事とか考えると、この人男性に対する免疫無さすぎるでしょ。あ、男性の数は少ないんだったな。

 

 なんだ……男性保護委員会とかあったし、あんまり普通の女性は男性に関わる機会は少ないのか? だから通学路でも男性の姿が少ないとか。レイプを恐れて外出していないってのも頷けるが、だとしたら大学に通ってるって言ってた男性。猛者だな。

 

「こ、これ」

「はい?」

「だから! ……もう時間も無いし、あ、あんなに気持ち良いキスしてもらったから」

 

 いそいそと財布を取り出してお金を差し出してくる先生。

 先生の手に握られてる諭吉さんが挨拶をしてくる。

 ……キス一つで1万円、ですか?

 

「ありがとっ! 先生大好き!」

「んなぁっ!? そそそうやって簡単に女に大好きとか言うなぁっ!?」

「そうだ、先生のメルアド教えてよ」

「え!? わ、私のメルアド?」

「うん。いつでも先生と連絡が取れるように、ね」

「は、はい……」

 

 こんなに可愛らしい女性のメルアドを聞かないなんてどうかしてるぜ!

 て事で早速先生のメルアドを入手。俺がメルアドを聞いて先生にメールを送る。後は先生が登録するだけで完了っと。買ってから変えていないのだろう、機械的な着信音が先生の携帯から鳴り出した。いくらなんでも学校にいるときぐらいマナーモードにしましょうや。

 登録が完了しただろう先生は、そのまま携帯を胸の前で大事そうに握り締めていた。そんなに乙女な反応されると、さっきお金を貰った俺の心が痛くなるんですがそれは。

 

 しっかし、俺の息子も臨戦態勢に入ってたんだが、どうやって処理しようかな。



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第04話

 牧野先生は仕事があるので、と言いつつそそくさと帰っていってしまった。

 残されたのは俺一人。この時間保健室の先生はいないと言っていたが、それにしてもいなさすぎだろ。この学校にどれだけの男子生徒が通ってるか知らないが、もしこれで男子生徒に何かあったら男性保護委員会に訴えられるんじゃないか?

 ……そもそも保健室の先生が女性か男性かで変わってくるか。基本的に女性の数が圧倒的に多いんだし、多分女性の先生になるんだろうが。

 

 それにしても、白衣の似合う女医ってエロいよね。

 

 それはともかく。

 ちょちょいと愚息の位置を直した。制服のズボンのベルトを少し緩めて愚息を止めるという戦法に出たわけだ。妄想逞しい奴であれば変なことを考えるかもしれないが、俺が堂々としてれば何も言ってこないだろう。

 少し違和感はあるが、問題ないだろう。

 と言うわけで、自分のクラスと思わしき1年3組までやってきた。締まっていた戸を開け、教室の中を見るとそこには女子、女子、女子。見渡す限り女子しかいない。残念ながら俺のクラスには俺以外の男子はいませんでした、という事なんだろうか?

 

「……おはよう」

 

 その一言で俄かにざわつき始めた女子たち。

 そう言えば朝、母さんが朝に男の子らしくとか言ってた気がするが、何が男の子らしいのか分からない。男女の観念が逆転してるんだったら、元の世界でいう所の女子らしくしてれば良いんだろうか?

 

(立川君が挨拶してくれた……)

(てか、今日休みじゃなかったんだ)

(あー……男子見てるだけで癒されるわー)

 

 何だろう。

 皆して俺を見てひそひそ話をしてる。やはりこ膨らみはおかしかっただろうか?

 あれから教室まで歩いてくる最中に少し興奮が収まり、良い感じに柔らかくなった自分の愚息に意識がいかないように注意しつつ、教室の中をくまなく観察する。

 出来れば自分の机と一目でわかるような印とかあれば良かったんだが、そう都合の良い物は何もなく。どうしようか悩んでいるうちに後ろから声を掛けられた。

 

「お、保志君かい?」

智治(ともはる)……?」

 

 今日初めて聞いた俺以外の男子の声に、驚いて後ろを見た。

 そこにいたのは、中学から友人だった木村智治の姿が。

 身長は俺よりも少し低く、少し女顔のこいつは、少し化粧して女物の服を着れば女子に間違われるんじゃないかとからかったものだ。まぁ、そんな俺たちでも普通に友人同士として大学卒業後も友人として付き合っちゃいたが。

 

「こんな時間にどうしたの? もしかして、何かあった?」

「いや、朝から少し体調が悪かったんだが――」

「ダメだよ? 無理しちゃ。君に何かあったら悲しいし」

 

 なんだこいつ。

 いくら女子っぽい顔をしてるからって気遣いまでできる奴になっちまったら、それこそ本当に女の子みたいじゃないか。そんな心配そうな表情までされたら惚れてまうやろ。

 

「大丈夫だ。一時限目は保健室にいたからな」

「え? じゃあ、朝からずっと?」

「ああ。少し休憩したから大丈夫だ」

「……そっか。でも、本当に無理しないでね?」

「おう」

 

 キーンコーン――

 

 ちょうどチャイムが鳴ってしまった。

 そういや俺、自分の席がどこだったか知らなかったんだよな。いや、これはこれでタイミングは良かったか?

 女子達がそれぞれ自分の席についていく。ボーっとしてると思い心配したのか「大丈夫?」と声をかけてくれた智治に「大丈夫だ」と返しつつほっこりしていると、そのうち席が俺たち二人分の席を除いてうまったのだった。

 

「それじゃあ、無理しないでね?」

「ああ、心配性だなぁ」

 

 片方の席に向かった智治を見て、確信した。あそこが俺の席だと。

 

 その後、教室に入ってきた教師が俺の事を心配していたが、適当に保健室で休んでいた旨を伝えた。その際、牧野先生にいくらか看病していただけたので大丈夫ですとも伝えたのだが、目を細めて凄惨な笑みを浮かべた先生に引きつつ、授業をこなしていく。

 正直、社会人として働いてた頃は全くこんな知識なんて使わなかったし、昔の事だから少し心配してたんだが、教科書を眺めてたら大体の事は思い出すことができた。

 これなら高校程度の問題は大丈夫だろう。

 

 さて、時間は昼休み。

 智治が速攻で弁当を持って近づいてきたのでそのまま昼飯に。

 授業の合間の小休憩も智治がすぐに駆け寄ってきては心配そうに声をかけてくるもんだから変にドギマギしてしまった。そのせいか、女子は誰も話かけてくることなく周りでひそひそ話に興じていた。

 多くの女子は俺たち二人を見ながら話をしていたようだが。

 しかし、改めて見てみるが、女子高にいるんじゃないかと思うほど見事に女子しかいない。このクラスは総数38人。うち男子は2人。比率にして1:18という数値だが、他のクラスはどうなっている事やら。

 

 それはそうと、授業中に携帯で男性保護委員会の内容について少し調べてみた。

 まぁ、保護委員会と言うだけあって数が少なくなってしまった男性の生活を保障している団体みたいだ。しかも、怪我や事故で何かあってはいけないという事で、特例で男性は働かなくても大丈夫らしい。

 その特例と言うのが、性行為向上役員の免許を取得している男性の事らしい。

 文字からして大凡の事は把握できてしまうネーミング。やはりと言うか、活動内容は『政府が認める女性と性行為を為す男性』となっていた。少しややこしい説明をしているが、ようは国が設定した基準をクリアしている女性とセックスするらしい。

 

(容姿、容貌の優れたもの……か)

 

 が、政府が一枚かんでいるだけあって基準として求められるものは高いらしい。

 女性の方が圧倒的に数が多いんだ。その女性を見ているのもほぼほぼ女性であることは簡単に想像できる。

 なんたって、前の世界ではそれなりに性欲のあった智治でさえそういった(・・・・・)類の話を聞かないんだから。周りに女子がいれば少しトーンを落として小声で話しもしていたというのに。全くといって女子を見ようとしていない。

 ……これがこの世界の男性の標準なんだろうか?

 

「どうしたの? まだ体調が悪いんじゃ」

「あぁいや、ただ単に考え事しててな。大丈夫だ」

 

 本当に心配性になてしまったなぁ……今までを通してここまで心配されたことは無かったかもしれないぐらいだ。

 

「そう? それにしても、今日の授業で少し分からないところあったけど、保志君は分かった?」

「え? あぁ……特に問題は無かったな」

「そうなの!? ねね……なら、あとで僕に教えてほしいところがあるんだけど」

 

 身を乗り出してそう言ってくる智治を見て悪い気はしなかったが、別に教えるのは俺じゃなくても良いような気がするんだが。

 

「いや、担当の先生に聞けば良いんじゃ」

「嫌っ……僕、女の人……怖いから聞けないよぉ」

 

 なんだこいつかわいい。

 

「あー……すまん、意地悪しちまったな。俺で良ければ教えてやるよ」

「ホント!? ありがと!」

 

 こいつ本当に男か?

 

 しかし、こいつに何があったかは知らないが、これがこの世界の『女性に対する男性の捉え方』なのかもしれない。送り狼なんて言葉を飲み会なんかでよく聞いちゃいたが、それを実行するのが女性で、される側に男性が立っているのだろう。

 こいつはこいつで昔、女性に何かされたのかもしれないがな。ただでさえ女子に見えるんだ。女子一人でも事に及ぶことができるかもしれない。そういう考えに至ってしまってもおかしくないだろう。

 

 しかし……財布にしまった1万円を思い出す。

 智治には悪いが、ヤりたい盛りの男子として考える事はただ一つ。

 

 俺は、この世界でビッチになる!

 

 

 

 あ……でも、出来れば綺麗な人とかかわいい人とかとヤりたいなぁ……



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第05話☆

 何も問題なく二時限目が終わった。

 が、速攻で近寄ってきた智治に驚いたものの、我が身を心配してくれる友人の存在をありがたく思っていた。教室に2人しかいない男子の存在をどう思っているのか知らないが、女子連中のほとんどが俺たち二人を見つめてきているんじゃないかと誤解してしまうほど見つめてくる。

 

「あー授業かったりぃわー」

「ホント、ダルいよねー」

 

 なんて声が聞こえてくる。

 一見、普通の女子高生のような発言。しかし、実際に声が聞こえてきた方向を見てみると制服の胸元を少し肌蹴させながらパタパタと前後に服を揺らしていた。まだ4月。そこまで熱い季節じゃないが、何故あんな事をしているのだろうか?

 智治との会話を話半分に、例の女子二人を盗み見ているが、次第に二人がチラチラとこっちを見ているのに気が付いた。俺が二人の事を見ている事に気付いてるかどうかは不明だが、彼女たちは俺たち二人がどんな反応をするのか見ていたいのだろうか?

 それとも単にからかっているだけとか。

 まぁ、どちらにしても二人の胸元から下着、ブラジャーが見えている事に変わりはない。しっかりと記憶させていただきますかね。

 

 が、普通の会話をしているだけの女子の中にも大っぴらに股を開いている女子がいたりだ何だと、別に俺たち二人の事なんて関係ない張りの勢いで過ごしているものだから驚くしかなかった。

 さすがに羞恥心はないのか、と。

 それで興奮しているのであれば何も言うことは無い。それは個人の性癖だから。

 しかし、それをもし同性に指摘されたら……いや、女子同士の嫉妬妬み何やらは正直関わり合いたくないほどに怖いものだと知っているから、やるなら他でやってほしいから何も言えない。

 智治には悪いが、このまま会話をしているフリをしたまま眼福を継続させてもらおうかな。

 

 

 

 今日一日の授業がすべて終え、放課後になった。

 例の如く颯爽と近づいてきた智治が一緒に帰りましょう? なんて言ってきたが、丁重にお断りして校内探索を実施することに。いくら昔の母校だとしても全校舎を記憶しているわけじゃないので、改めて把握する旅に。

 と言っても、単純に校舎を練り歩くだけの簡単なお仕事なんですが。

 

 それにしても……一人で歩いていると女子から送られてくる視線の数が凄い凄い。

 チラ見ガン見ひそひそ話。意味もなく歩いているだけだというのにこの注目度。思わず一旦立ち止まって可笑しい所がないかどうか自分の姿を確認してしまう。トイレに入って鏡を見ても特に変わりなし。

 これが、この世界の女子たちか。

 しっかし、一切話かけられることが無いもんだからどうしたもんか。

 朝先生が俺に話しかけてきたのだって実は稀な事だったんじゃ? と思うほど。実際、遅刻かどうか確かめに来てたことを考えると、仕事じゃなければ話かけられることもなかったかもしれん。

 

 まさか『男性の気分を害するような発言、行動を取り、男性にそれと認められる行為を為した場合実刑に処す』みたいな条例でも男性保護法に明記されてるんですかねぇ?

 ……まさか本当に無いよね?

 

「立川君か……?」

 

 聞き覚えのある声。

 生徒指導室と明記されたプレートのある部屋から出てきた先生は、一人の女子を伴っていた。あちゃぁ……何か指導でもしてたかな。

 金髪にピアス。一般的な女子よりも長いレディース的な制服を着ている女子。

 煙草が似合いそうな切れ目の顔だち。綺麗系の女子ではあるものの、どう見ても不良少女ですありがとうございます。

 

「あ、牧野先生」

「どうしたんだ、こんな時間に。もう放課後だぞ? 帰らなくて良いのか?」

「いやぁ、恥ずかしながらまだ校舎の造りを覚えてなくて。少し歩いていたんです」

「歩いてたって……もしかして一人でか? そんな、男子なんだ。少しは気にした方が……あ」

 

 と、注意をしてくれた先生の頬がすっと赤く染まった。

 俺の唇でも見ているのか? もしかして、朝のキスを思い出したとか。何というか、乙女ですな。可愛らしくてついつい抱きしめたくなってしまう。

 

「センセー、もう帰って良いっすかー? セッキョーはマジもう勘弁なんすけど」

「あ、ああ。もう帰って良いぞ。が、しっかりとした制服を着ること。分かったな?」

「はいはい。分かりましたよ」

「あと、煙草も止めろ」

「へーい」

 

 あーマジかったりーわーなんて呟きながら歩き出した少女。

 男子の俺がいるというのにあんまりこっちに興味を示していないようだった。

 ……いや、チラチラこっちを見ていた。それなりに興味はあるらしい。

 

 それにしても思った通りの不良少女だったわけだが。

 想像通りというか、テンプレの不良娘であれば一人か二人。少人数で屋上に行き、煙草を咥えているに違いない。その煙草を俺の愚息に置き換えたら……?

 あ。これはいかん。いかがわしいな。

 

「ところで先生、少し相談したい事が」

「ん? どうした」

「ここでお話しするのもあれなので、そこで、良いですか?」

「え……あ、ああ。良いぞ」

 

 今まさに先生と少女の二人が出てきた部屋を指で示した。

 またしても頬を赤く染め、わたわた慌てだした先生の様子にほっこり。キスでイってしまう人だ。二人きりの状況というだけで慌てたのだろう。可愛い。

 

 さて、生徒指導室の中。

 少し狭い小部屋のような造りだ。広さとしては大体6畳くらいだろうか。

 真ん中にテーブル。挟むようにして二つのソファ。上座には机と椅子が置いてある。一応、長くなりそうな時用にインスタントの飲み物が数種類置いてある。

 部屋の入り口は一つ。小窓が付いていたらが、中に誰がいるのか分からないように小さなカーテンらしき布で中の様子が分からないように塞がれていた。

 

「でだ……その、立川君の相談というのは?」

「センセ、二人きりなんだし、そんな他人行儀にしなくて良いんですよ。朝みたいに保志君って」

「うぁ……や、保志君、そ、相談って言うのは……?」

 

 可愛い。

 名前を呼ぶだけで顔が赤くなるって。

 どんだけ男性に対する免疫が無いんですかねぇ。

 

「先生には僕が童貞だって言いましたけど、先生はどうなのかなって」

「へっ? いや、わわ私は、その……一応……しょ、処女だ」

 

 人差し指同士をくっつけては離しを繰り返しながら恥ずかしそうに喋る先生。

 視線を逸らしながらもしっかり応えてくれる辺りが可愛らしかった。

 

「そうなんですか? 朝、いきなり僕を押し倒してきたから経験済みなのかと」

「うわーっ!? そ、それを言わないでくれぇ!! わ、私だってあんなことをするつもりはなかったんだ! 確かに三十路を手前にして未だに処女ってのは気にしてたけど、それを、保志君があまりにも無防備だったから」

「そうですか。いやまぁ、朝も言った通り、僕は誰にもあの事は言いませんし、訴えるつもりもありません」

「ほ……で、その、相談ってのは、私が処女かどうか確かめたかっただけなんて言わないだろうな?」

 

 恨めしそうに睨み付けてくる先生。

 しかし、そうか……まだ三十路じゃないんだ。

 もしかすれば、30歳まで童貞だったら魔法使いになれるみたいな話が女性の方にそのままスライドしているのかもしれないが、俺としては先生がまだ誰のお手付きにもなってないって話が聞けただけ嬉しかった。

 

「もちろん。それで、もし先生が良ければ、追加料金で僕の筆卸ししてくれないかなって思って」

「ふっふふ、筆卸し……」

 

 筆卸しという言葉だけで軽くトリップしてしまった先生を無視して、ソファから立ち上がり、先生の隣に座った。

 二人掛けのソファとは言え、真ん中に座っていた先生の隣に座るとなると少し狭い。が、それがかえって密着感を創り出していた。

 

「いや、その、恥ずかしい話なんだが……もう、後1万くらいしか無いんだ。さすがに、それでお前の初めてを貰うって言うのは申し訳ないんだ……」

 

 いきなり隣に座られて驚いていた先生だが、すぐに顔が赤く染まり、しかしながらしゅんと落ち込んだ表情に。いや、朝に1万貰ってますし、それと合わせても男子の筆卸しってのはかなりの価値があるんだろうか?

 残念そうな顔をした先生を慰めるべく、腰に腕を回し、抱き寄せた。

 少し背の低い牧野先生だと、ちょうど俺の胸に顔が来るくらいだった。

 

「センセ……そんなに落ち込まないで? 俺、そんなに多く貰おうなんて思ってないです。先生の事、俺、結構好きですから」

「や、保志君!」

「わっ」

 

 宙ぶらりんとしていた両腕で俺を抱きしめてきた。

 ぎゅぅっと強く抱きしめてきたが、そんなに苦しくない。逆に、先生の豊かな双丘が押し付けられて心地良い感覚に囚われていた。頬を制服に擦り付けてくる様子を見て、小動物を思い浮かべてしまった。ご主人様にくっつく柴犬みたいな感じで。

 ついつい苦笑を漏らしたが、これはこれで可愛いので良し。左手で頭を撫でてやる。いきなりの行為にビクッと吃驚したようだが、すぐに身を委ねてくれる。

 

「や、保志くん……」

「センセ、上向いて」

「ん」

 

 潤んだ瞳。紅く染まった頬。

 期待に応えるように軽くキスを落としたのだった。



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第06話★

 朝みたいなディープキスではなく、啄む様なバードキスを繰り返す。次第に吐息が漏れ出し口が開き始めた先生の唇に、今度はスタンプキスで唇同士を重ね合わせた。恋人同士のようなキスをしている間、先生は潤んだ双眸を俺から離さなかった。

 見詰め合いながらのキスってのは、中々に恥ずかしいものがあったが、その羞恥心が良い感じに興奮させてくれる。

 

「あっ……」

 

 キスを繰り返しながら左手で先生の胸を(まさぐ)る。右手は先生の腰にまわしている。

 布越しでも分かるおっぱいの張りを手の平全体で堪能する。

 全体を堪能するように揉みしだく。何気にこの先生、胸が大きくて手の平で覆いきれないボリュームだ。下から持ち上げるように胸を揉み、強弱を付けてこね回していくと、胸の先端部分が硬くなってきた。

 

「んぁ、は……やぁ……」

 

 キスの合間から漏れ出る小さな喘ぎ声をBGMに、コリコリとし始めた先端を親指と人差し指で挟み込むようにして手の平を動かしていく。

 いきなりギュッと()まむようなことはせず、優しく刺激を与えていく。

 

「ふっ……んんっ、はぁ」

 

 だんだん先生の表情がトロンとしてきた。

 所在なさげに宙を彷徨っていた先生の両手が俺の身体に触れた。朝、押し倒してきたときは打って変わって恥ずかしそうに、ゆっくりとさわさわと指を這わしてくる。

 先生の左手が俺の腰に。右手が徐々に持ち上がってきて、俺の左頬を擦り始めた。指先で頬を撫で、堪能したのか首に腕を回してきた。

 

「ふっ、んぁ……ちゅっ……」

 

 舌が唇を押し割って入ってきた。

 今までのソフトなキスから一変、一気にディープに舌が絡み合う。

 先生の吐息と絡み合う舌が、水気の含んだ淫靡な音を奏でていく。その勢いに押されるように、俺はソファに倒れ込んだ。先生は、そのまま俺の上に伸し掛かるようにしな垂れてきた。

 

 朝の時点で少し思っていたが、先生の力が何気に強い。

 子供と大人という差はあるものの、先生よりも身長の高い俺が普通に力負けしている感覚がある。もしかして、この世界では男性の方が力が弱いのだろうか? であれば、女性が男性をレイプするという事案が横行し、男性保護法と言う盾が出来上がるのも理解できる。

 いや、理解させられたという方があっているだろうか。

 ま、俺は自分から先生にアタックしたんだが。

 

 胸を押し付けてくるようにしてディープキスを続ける先生は、両手で俺の全身を弄り始めた。俺がしていたように、今度は先生が俺の胸を、腹を、そして下半身を弄り撫でる。

 制服が邪魔とばかりにボタンを外し、ベルトを緩めてくる。が、制服を少し肌蹴させたままで直に触り出してきた。俺は一切抵抗せず、そのまま為すがままにされ、先生の背中に腕をまわし、胸の感触を楽しんでいた。

 

「んっ……しかし、何も抵抗しないんだな」

「どうぞ。先生のしたいように楽しんでください。できれば、優しくしていただければ」

「ホント、ビッチな奴だ」

 

 挑発的な視線で(なじ)ってくる。

 ただ可愛らしい行為としか思えない俺にはMの素質は無いのだろう。

 逆に、先生がキスで逝ってしまった瞬間に見せてくれたあの時の蕩けきった表情。あれは、ずっと頭に残っている。あれだけで、勃起できるほどに。

 

「んふ。お前は本当にイヤらしい奴だ……もうこんなに硬くして」

「でも、先生、嫌いじゃないでしょ?」

「ふふっ……そうだな……お前みたいにエッチな奴は大好きだ」

 

 勃起した陰茎を下着越しにさすられる。

 手の動きはどこかたどたどしいものの、上下に擦ってくる。

 先生の顔が下に動いていく。肌蹴させられ、露出した俺の胸にキスを落としてくる。男のように俺の乳首に吸い付いてきては口を離し、舌を伸ばして乳輪を撫でるように一周する。

 

「んぁ」

 

 こそばゆいような感覚に、思わず声が漏れてしまう。

 まるでちょっとした性感帯になったような気持ちよさがあった。既に勃起している陰茎がビキビキと反応する。俺の喘ぎ声に気を良くしたのか、両乳首を指と舌で責めてきた。

 チュッ、チュパ……クチュ……

 舌と唾液が混じりあった淫猥な協奏曲が俺の胸から響いてくる。

 

 乳輪を這う舌がそのまま蛇行しながら下へ蠢いていく。

 ところどころにキスを落とし、へそに舌を伸ばしてレロレロと穿(ほじ)っている。ゾワゾワっと背中を這いあがるような感覚に、思わず「やぁっ」と声を上げてしまった。

 これには嫌なのかと感じ取ったらしい先生が、上目遣いで見上げてきた。眉が八の字になっておりしゅんとした雰囲気を感じるが、頬が紅く染まっているのもあってか、どこか淫猥な雌の貌を思わせる。

 

「センセ……ね、もう」

「あぁ……今かわいがってやるからな」

 

 ギラギラとした双眸でズボンに手を掛け、一気にズボンを下ろされた。

 ボクサーパンツの奥、隠れていた怒張が解放され、パンツに引っかかっていた勢いでブルンと反り立った。この世界において初めて見た自分の息子は、確実に前より大きくなっていた。

 20cmに迫ろうかと言う巨砲が、股間にいきり立っていた。

 

「はぁ、え? うわ……うわぁ……」

 

 日本人のペニスの平均が13cm。アフリカの平均が18cm弱と言う結果が出ていたそうだ。もちろん、これは前の世界での話であって、男性の少ないこの世界での平均は全く違う結果になっていた。

 もし俺の携帯の履歴を調べられた大変な事になるだろう。

 そもそもエロい男性がほぼいないこの世界においてこれだけ性に関するキーワードばかりを調べているんだから。

 

 でだ。

 問題はこの世界の男性のペニスの平均だが。

 これにも男性保護委員会が一枚噛んでいたみたいだが、その結果によると平均は10cm弱らしい。女性の役員が多い委員会の中で、どうやって調べたんですかねぇ……

 

 ともかく、今俺がぶら下げているペニスは、ペニス低迷期と言っても過言じゃないこの世界において異常なレベルの逸物(いちもつ)であった。

 現に、自ら進んでズボンを下ろしてきた先生ですら目の前にそびえ立つ逸物の大きさに驚いていた。

 次第にうっとりとした表情に緩んでいく先生の顔を両手で抑える。

 

「ぅえ?」

「ね、センセ……俺もう限界なんだ」

 

 朝から先生の事を想い、エロい事を妄想していた俺の愚息はそろそろ限界だった。

 こうやって無遠慮に顔をワシッと抑え掴んでいると言うのに、

 目の前でエロい顔した女がいるのに、我慢して事を身を任せられるほど堪え性が俺にはなかった。

 欲望が抑えきれない。

 つい、口の中に溜まっていた涎を飲み込んだ。喉の音が、異様に響いていた。

 

「しゃぶって?」

「しゃ……しゃぶ、る?」

「そ、こうや……ってぇっ!!」

「んぶぅぅぁぁぁぁっ!!?」

 

 掴んだ顔を両手を離さないようにして、一気に腰を突き上げた。

 いきり立ったペニスに触れるか触れないか程度の距離を保っていた先生に感じていた鬱憤を晴らすように、口内に突きいれた。そこに、先生に対する配慮の一切は無かった。

 亀頭はすぐに先生の喉奥を叩いていた。

 カリ首が喉の入り口を削り、口蓋垂(のどちんこ)を直撃する。それでも陰茎は全部入りきらなかった。

 

「っはぁぁーー……気っ持ちぃぃ……」

「あ”っ……んぶ……」

 

 プシャ、プシャァ……

 湿り気のある音が先生の下半身から聞こえてくる。

 口に入りきらないほどの怒張を無理矢理詰め込まれ、焦点の定まらない双眸。がくがくと大きく痙攣し、跳ねる両足を見て、更なる昂ぶりが込みあがってくる。

 両手で両頬を撫でるように支え、上に持ち上げる。ズルルと口から吐き出されたペニスと、自重に逆らわずに垂れ下がる舌。先走り汁と唾液が混ざり合って白く濁った粘り気のある液体が滴り落ちる。

 

「センセ、挿入()れてほしい?」

「はー……はー……ん、こ……これ」

 

 脱力しきった腕を動かし、先生は財布を取り出した。

 もう終わり? なんて疑問を一瞬抱いたが、そこから取り出したのはなんとコンドームだった。いつでも事ができるようにと言う配慮なのか、いつでもセックスがしたいという願望の表れなのか。

 いつだったか、財布の中にコンドームを入れておけば運気だったか金運だったかが上がるなんて話を耳にしたことはあるが、閑話休題。

 

 先生が取り出したコンドームを受け取り、手早く装着する。

 が、この世界のペニス事情もあり、半分少しで余裕が無くなってしまった。いくら引っ張ったところで全部覆えないほどのゴムにやきもきする。もし途中、先生の膣内でうっかりゴムが外れてしまったらどうするんだと。

 

 しかし、ギンギンに勃起するペニスの自己主張が激しく、少しばかり辛くなってきた。これはすぐにでも精液を出してやらなければ――

 

「うぁっ……!?」

「ごめん、センセ……もう、我慢できない……」

 

 強引に上下を入れ替え、先生のズボンを一気に下ろした。

 下着も一緒に下ろしたのだが、その中央部分。そこから先生の下腹部が、一本の白銀の橋が架かっていた。おしっこを漏らしたばかりというのもあり、まだ温もりを感じるが、その橋はたれ落ちることなく橋を繋げていた。

 突如、ムワッと漂ってきた雌の香りに、脳がクラクラとする。

 挿入()れたいと先走っていた感情よりも、目の前の神秘のような場所に触れてみたかった。

 

「ひっ!! ……いひ、ぁ……んぁっ!」

「センセ……ここからでも聞こえますよ? 先生のマンコから、ぬちゅぬちゅって、すっごいイヤらしい音。こんなにヌルヌル……淫乱なんですね」

「ひぃ……やぁ……お、まえが言うなぁ……!」

 

 中指で愛液で濡れた割れ目を前後にさする。

 ヌルヌルの割れ目は簡単に指を加え、意思でもあるように吸い込もうとする。

 その感触に逆らわず、ヌプッと指を膣口に滑り込ませた。

 たった一本だが、キュッキュと膣内が指を締め付けてくる。そのまま根元まで中指を入れ、先生の体温を楽しむようにピストンを始める。

 

「んぁ、あ……ひん! ぃ、あぁ……」

 

 出し入れするたびに膣の中が蠢き、指を捉えて離さない。

 にちゅ……淫猥な水気の含んだ音とともに、膣の奥から愛液が垂れ出てくる。

 先生が制服を握りしめてくる。いやいやと顔を左右に振るが、快楽に歪んだその表情からは続けてほしいという願望しか読み取れない。第二関節から指を曲げ、前後の動きを早くした。

 

「ひぃっ……!! ぁ――ッ!!」

 

 プシャッ、プシャァ……

 透明な液体が噴出した。初めてみたが、潮吹きだろうか?

 下半身が露出していることもあり、直接ズボンにかかってしまう。

 

「嗚呼、ひどいなぁ……僕のズボンが汚れちゃった。先生、僕、替えのズボンなんて持ってきてないんですよ? どうやって帰れば良いんですか?」

「ひ……ひぃ……お、おまぇがぁ……めちゃくちゃにしゅりゅかららろぉ……」

 

 呂律が回らないようだ。

 何回かイってしまったんだろうか。蕩け切った表情の先生を抱きしめ、口から垂れている涎を掬いあげるように下唇を舐める。そのまま呆けたまま開いている口の中に舌を差し込む。

 驚いたように身を竦ませたが、少しして体の緊張が解れ、積極的に舌を絡めてきた。

 

「も、挿入()れるね……?」

「ふぇ? ん、ぁあっ!!?」

 

 右手をペニスに添え、今までかき回していた先生の小陰唇……マンコにくっつけ、腰を突き上げた。一切の抵抗もなく、ヌルッと迎え入れてくれた。

 長すぎるペニスは根元まで入りきる前に最奥の扉をノックした。

 

「あああっ!! は、あが……!」

「センセ、大丈夫……? 痛くない? 痛かったらすぐに言ってね、止まらなく前にぃ……!」

「あ、あ、ぃあ! んあぁっ、き、もちい……きも、っちいよぉ……!!」

 

 ペニスを突き入れられてエビのように反り返り、ガクガクと身体を震わせていた先生だったが、すぐにゆるゆると自分から腰を動かし始めたのだった。

 まさに雄の肉棒を貪らんとする雌の姿が目の前にあった。

 

 舌をだらしなく出したまま、生徒と教師の関係も忘れたように快楽に従い腰を揺らす先生はまさに淫乱。獣のような息遣いが頬を撫でた。

 

「あ、ふ……くぅっ! センセ、激しっ……!!」

「んぁっ、いぃぃ……! だって、だってぇ……気持ちィ、んだもんっ!!」

 

 ニジュ、ニジュと滑りを帯びた出し入れが耳に響く。

 出し入れする度に前後に揺れる豊満なおっぱいに、鼻を突く雌の香り。麻痺したように動かない肉体とは裏腹に、しっかりとペニスに与えられる刺激だけが脳髄を快楽に沈めていく。

 が、根元まで快感を貪ることができないもどかしさがじれったくて。

 

 一気に腰を突き上げた。

 

「いぎぃぃぃっ!?」

「は、ぁ――いひぃ……」

 

 ちょろちょろ――

 黄色い液体が腹部を覆っていく。

 立ち込める湯気に、独特のアンモニア臭。尿意に耐えられなかったのか、絶頂に伴う虚脱感でお漏らししてしまったのか。舌をピンと伸ばし、天を見上げている先生の表情を見ることはできない。

 ぴくぴくと震える肉体。制服に吸われるお小水。

 そのどれもが俺の事を昂らせる。

 ――奥底から這い上がってくる何かの感覚。そろそろ、ピークが近かった。

 

「嗚呼、先生……綺麗だよ」

「いや、いやぁ……そんな、事いわ、ないでぇぇ……」

「もう、我慢できない。……イくよ?」

「……え? ――ひゃぁうっ!?」

 

 ゴンゴンと亀頭を子宮の入り口に叩きつける、

 挿入()れたばかりの時よりもより深くまで飲み込むようになった膣の感覚を楽しむ間もなく、ペニスに刺激を与えていく。膣内のヒダが絡みついてくる。キュウキュウと締め付けてくる度、カリにこれ以上ない快感が与えられ、背中を通って全身に広がっていく。

 

「あ、あ、あぁ……も、イく……出ちゃぅよぉ……」

「イって、イって! な、かに! 膣内に出してっ!!」

「は……――ぐぅぅぅぅっ!!?」

「い”ぐううううぅぅぅぅっ!!!!」

 

 最高の射精。

 腰が自分で持ち上がり、ぴくぴくと尻の肉が震える。

 最奥、子宮口に叩きつけた瞬間、一気に尿道から白濁液が解放された。

 コンドームという壁があるものの、絶え間なく出し続けられるザーメンの感覚は、先生の子宮を精液で満たしているんじゃないかと言うほどだ。二度、三度……大きな射精感が込み上げてくる度に腰を持ち上げる。

 

「っ……っ……、は――ぁ……」

 

 長い射精感が終わり、落ち着いたところで先生の腰を浮かし、未だ屹立しているペニスを膣内から抜き出した。あの激しい動きでもゴムが外れることは無かったようだが、大量の精液がゴムの中溜まっていた。

 ペニスの太さと同じくらいまで膨らんだゴムを見て、自分でもあり得ないなと思うほど出したなぁと感心してしまった。

 

「センセ……ん」

「やす、しぃ……」

 

 だらしなく垂れ舌を加え、絡ませ合う。

 絶頂後の心地良い脱力感に身を任せ、ゆったりとしたディープキスを楽しむ。

 ジュルルと涎をすすり、口内を犯すように舌を這う。ゆったりとした時間が流れていた。

 

「ん……ふ……それにしても、こんなにイったのは初めてだ……お前、ホントに童貞だったのか?」

「そうですよ? 牧野先生が俺の初めて、です」

「はぅ……そんな、恥ずかしくなる事言うなぁ!」

「いや、先生が俺の事疑ってるみたいだったから……つい」

 

 いそいそと動き出し、身支度をしていく。

 俺が来ていた制服は大分先生のあらゆる液体で汚れてしまったため、これを着たまま家に帰ることはできない。一応、ジャージは持ってきてたから、それに着替えて帰る事にしようか。

 一息ついてようやく落ち着いてきたペニスからゴムを外す。

 その感触でまたビクッとペニスが勃起してしまいそうになる。

 

「な、なぁ……保志、それ、私にくれないか?」

「え? ……これですか?」

 

 先生がおずおずと指で示したのは、今しがた外したばかりのコンドームだった。

 これを何に使うんだろうか? まさか、これを飲んだりしないだろうな……?

 

「えぇ……これ飲むって言ったらさすがにちょっとあれなんですけど」

「いやいや! ちょ、ちょっとは飲んでみたいかなって思うけど、そうじゃないんだ! そういう事はしないから、な?」

「……まぁ、僕がこれを持っててもしょうがないですし、どうぞ」

「やった……!」

 

 そう言いつつ渡すと、嬉しそうに使用済みコンドームを受け取ったのだった。

 

 その様子を見つつ、俺は帰り支度を始めるのだった。



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第07話

 先生との情事を終え、帰りの準備ができたときに携帯を見てみたら何と十数件の着信が。1件は智治からのものだったが、残りはすべて母さんからのものだった。

 授業が終わって結構経ってるのに帰ってこない息子の事を心配しているのだろうが、さすがにこれは心配のし過ぎじゃなかろうか? いや、朝のニュースを思い返す限りじゃこれぐらいの心配が一般的なんだろうか。

 今の所、クラスメートとかすれ違った女性を見てきたが、そこまで不細工というか、デブの人とかってのを見ていない。まぁ、これも主観が入っているからなのかもしれんが。

 つまりだ。

 もし俺が強姦とかに遭った場合。本当に暴力に訴えてくるものを除いて普通に対応できるかもしれないというわけだ。が、まぁ……これも未経験者が語る程度のお話で、実際どういう環境になるのかわからないしなぁ。

 いきなり知らない人に抑えられ、セックスさせろ! と怒鳴られ中出しを迫られる……その後の認知の問題とか慰謝料の問題になったら普通負けるのは男の方なんだが、基本的にこの世界では男の方が勝つんだろう。

 

「それじゃ、帰りますね。今日はありがとうございました」

「な、なんで君がお礼を言うんだ!? こんな、お金を払ってでもしてもらいたかったのは私の方だ! ゴムまで貰って……あ、いや、その……私は教師だし、それに、こんな年増の女にこんな事を言われても嬉しくないだろうが、凄く……気持ちよかった。ありがとう」

「先生……そんなに卑下しないで。俺も、先生と一緒にいたこの時間が凄く楽しかったし、先生の中――凄く気持ち良かったよ」

「ッ――!!」

 

 一気に赤面してしまった牧野先生。

 確かにちょっと気障な台詞を吐いてしまったという自覚はある。

 だが、こんなに顔を赤くするほどなのか? 逆にこんな世界でも凄い恥ずかしい事を言ってしまったような感じなんだろうか。

 

「そ、そんな事を言わないでくれ……歳の差もあるんだ……なのに、これじゃあ、君の事を本気にしてしまうじゃないか……」

「あー……」

 

 俯いてモジモジする牧野先生。

 ちなみに、先生みたいに焼けた小麦色の肌にショートカットが似合う女性は好みだ。前の世界だったら速攻お付き合いを申し込んでるレベルで。でも、この世界の標準だと男性が少ないせいもあってモテないんだろう。それを言ったら大半の女子はモテない事になるが。

 加えて男性が女性に対して抱いている感情を考えると……そういう現状になってもしょうがないんだろう。

 

「そ、そうだ! 今日はもう遅いし、私が送っていこう!」

「え、良いんですか?」

「ああ、早く帰ったほうが親御さんも安心するだろう。もし何か言われても私から言っておこう」

「ああ、それなら、僕が頼み込んで進学先について聞いていたと言ってもらえれば大丈夫です」

「何……? 君は、進学するのか……?」

「え?」

 

 なんだろう、この空気。

 怪訝な表情で見つめられても何もでないぞ?

 ……いや、この世界の倫理観念と男女比率、法律とかを考えると大学に進まない男性が普通なのかもしれない。

 結婚の義務化すれば良いんじゃないかと思わないでもないが、昔そういう話題が上がったそうだが、ここでも男性保護委員会が出張ってきてやれ男性の人権だとか語ったらしい。多くは、男性との縁が無い女性が男性と結婚する機会が減ってしまうという内容だったが。

 多分に僻み妬みが混じっているだろう内容だなぁ……

 

「まぁ、進学については個人の自由だし、家庭の問題もあるだろう。君がそう言うのであれば大丈夫なんだろう」

「ちなみに、先生はどこの大学出身なんです?」

「ん、私は日本体育大学だな」

「え、結構良いところなんじゃないですか?」

「はは……体を動かすことだけが取り柄だったからな」

 

 自嘲気味に微笑む先生を、俺はどうすることもできなかった。

 

(いや、メンドい……)

 

 自信持てる持てる持てるって!

 なんて熱く励ました所で惹かれるだけだろうし、まかり間違って先生が俺にぞっこんになるというエロゲ仕様が発動しても困る。いや、実際こんな綺麗な人とだったらいいんだが……いかんせん、性格的に暗い所があるんだろうか?

 その感情の爆発が今日の朝の押し倒しにつながった?

 まぁ、押し倒した所で止まったってのが先生の人となりと言うか……初心で妄想に身を任せることができない引っ込みタイプの性格をよぉく表していたが。

 

「それじゃあ、帰り道、よろしくお願いしますね」

「ああ、任せてくれ!」

 

 

 

「ただいまぁ」

「ヤスくぅぅぅぅん!!!!」

「うわ」

 

 先生の車で送ってもらい、降りる直前で別れのキスを交わしてきたが、案の定頬を紅く染めてフリーズしてしまった先生をそのままに家の中に入ったのだった。

 が、玄関に入ってすぐに母さんが抱き着いてきた。ずっとここで立って待っていたのだろうか? あれだけ携帯に着信が残っていたんだ、ここで待っていてもおかしくはないんだろうが……

 

「どうしたんだよ……ちょっと、大げさじゃない?」

「そんな事ないよ! ヤス君がいなくなったんじゃないかって……何か、悪い事に巻き込まれたんじゃないかって心配してたんだからね!!」

「あ……うん、ゴメン」

 

 よく見てみると、母さんの瞳が赤くなっていた。

 まさか、泣いてたんじゃないだろうか?

 

 ……完全に自分の欲望を発散させるためだけに動いていたが、さすがに母さんを泣かせるなんてのはいけない。まさかここまで心配してるなんて思っても無かったが、いざこうして目の前で泣かれてたかもしれないというのを実感すると、かなりの罪悪感が込みあがってくる。

 

「ゴメン……ゴメンね……」

「ひっ……っ、ホント、心配したんだからぁ」

 

 しょうがないなぁと思いつつ、抱き着いてきて離れない母さんの頭を撫でる。

 サラサラの髪の毛は、手を差し込んでも一切絡まってくることなかった。

 はぁ……マザコンでも何でもなかったんだが、同じ肉親でもこうして若返っていると別人にしか思えない。それに、こんなに心配性じゃなかったし。

 まだ少し愚図ついている母さんだったが、両手で目元を擦りながら俺から離れてくれた。ホッとする反面、目を擦ったらばい菌が。なんて事を考えていた。

 

「……それで、今までどこにいたの?」

「学校だよ。先生に話を聞いてたんだ」

「何の?」

「これからの、将来の話を少しね。良い大学があれば進学でもしようかって」

「ダメよ!」

「うぇっ」

 

 まさかのダメ出しである。

 こんなに瞬間的に反対されるとは思ってなかった。

 昔の俺は、自分のやりたい事しても良いけど良い大学には行きなさいよ? なんて笑みを浮かべられたもんだ。もちろん、その後ろには鬼が透けて見えた気はしたが。

 

「大学なんてどんな人がいるか分からないんだから、高校卒業したらずっとお家にいよう? ね?」

「ま、まぁ……まだ高1だし、3年後どうなってるか分からないけど、少しでも選択肢を広げておきたいし。それに、母さんを楽にしてあげたいから」

「ヤ、ヤス君……」

 

 まさに怒ってますといった表情を浮かべていた母さんだったが、最後の俺の言葉には感極まってしまったようで、両手を胸に当てて喜んでいた。

 俺としては豊満なバストが強調される形になってしまっているのに目がいってしまいそうになる。さすがに肉親を欲情を含んだ目で見ることはできない。

 

「あー……それで、今ジャージ着てるのは、学校で飲み物零しちゃって。結構かかっちゃったからジャージで帰ってきたんだ」

「そうだったんだ……それじゃぁ、すぐに洗っちゃうから洗い物全部だしてね」

「わかった」

 

 制服はクリーニングの方が。

 と思ったが、そもそも男子の制服をこの世界で世に出したら大変な事になるのだろう。いや、普通にクリーニングしてくれるだろうが。洗われる前に誰とも知らない女性にクンカクンカされると思うと気が気じゃない。

 せめて店員のプロフィールと画像を一覧で見せてみろ。

 

「もうご飯の準備できてる?」

「先に食べてても良いわよ。洗濯してくるから」

「はーい」

 

 さて、弁当も食べたが、こうして母さんの手料理を食べるなんていつぶりだろうか。昔は何気なく食べてたもんだけど、一度社会人になって地元を離れてからお袋の味が恋しくなったのが何回あったことか。

 えっと……今日のメニューはっと――

 

 

 

 

 

 ――スン、スン……はぁぁ……ヤス君……良い匂い」



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2日目
第08話


 1日目。

 早速学校で先生とセックスを楽しんだ俺だが、家に帰ってからはパソコンを使って色々な事を調べた。さすがに10年も前になるとパソコンのOSもかなり古く、動作がもっさりしているという欠点があり、未来人の俺にとってはかなり使いにくかったが……

 

 まず第一に、この世界では結婚年齢に違いがある。

 前の世界では、男性が18歳以上。女性が16歳以上でなければ結婚はできなかった。しかし、この世界では女性の方が多いという事があってか、男性が16歳以上で、女性が20歳以上で結婚可能となっていた。

 まるっきり反対じゃないのは、この世界での女性が男性を襲うという常識が成り立っており、女性は子供を妊娠してしまうためだと思われる。肉体労働系の仕事をしている女性が妊娠してしまっては仕事ができなくなるだろう? 恐らく、そういう事だ。

 ちなみに、過去に結婚可能年数引き下げの法案だか訴えだかはあったらしいが、それを今現在の政府と男性保護委員会が拒否。結局、今の状態が続いているらしい。

 

 それにしても男性保護委員会か……

 この委員会が設立されたのはなんと1951年らしい。

 いつから男性の数が減っていったのかは分からないが、かなり昔から問題になっているらしいことだけは理解できた。

 

 そして第二に、男性の就職率が凄まじく低い事だ。

 低い、と言うだけあって就職している男性はいるのだが、基本的にと言うか……世界を動かしているのは女性といっても過言じゃないほど女性が中心になっているようだ。

 だからこそ、牧野先生は俺が進学する事に驚いたんだろう。

 大学に進学しても就職しないんじゃ、特に進学する意味は無いからな。ちなみに男性の大学進学率も非常に低かった。ゆえに、俺が大学に熱烈なアピールをすればすぐにでも入れるんじゃないかと思っている。

 大学にしてみれば、ここは「男子学生も入学する優秀な大学です」と銘打つことができるんだから。まぁ、悪く言えば俺が大学の広告塔になるっていう話なんだが。

 

 話を戻すが、男性の就職率が悪いのには別の問題もあった。

 ただ単に女性の数が多いだけじゃなく、職場でのセクハラが多いそうな。女性が強姦なんざする世界だ……そりゃ襲われる男性も嫌気がさすだろうさ。一人の男性が多人数の女性に襲われてトラウマになり仕事を辞めてしまう。

 なんて嘘みたいな話が現実に多く存在してるんだから笑ってしまう。

 が、男性の賃金、給料はかなり良いらしい。

 バイトにしても女性より仕事内容は軽いらしく、それを目当てに働く男性はいるらしいが、最終的な決め手はやはり女性による男性に対するセクハラらしい。この手の案件は実数が多く、男性の就職に対する不安感を払拭できない重要事項として国会で取り上げられているらしい。

 

 そして最後に……

 これが一番重要な事項だが、この世界には政府認定の男性専用ボディガードが存在するらしい。条件はかなり厳しく、容姿端麗でかなり高学歴でなければいけないらしい。

 今までの経歴のすべてを洗いざらい見られるらしく、その多くのボディガードは女性が務めているようだ。よって、男性に手を出さないような清廉な女性が求められるわけだが……まぁ、難しいだろう。

 日本にこのボディガードの存在は100人程度しかいないようだ。その多くは社長やら重役の息子やら跡取りやら。そういった雲の上の存在の男性に付くらしく、一般男性には付かないらしい。

 こう、ボディガードととのドキッ☆嬉し恥ずかし密着事案! みたいな話を期待してたんだが……

 

「大丈夫だって……何もないから」

「本当に? ホントに大丈夫だった?」

「もう、ちょっとしつこいよ」

「でもぉ……」

 

 で、今現在俺は学校に行く朝の通学路の途中、昨夜の件で母さんにかなり心配されていた。

 俺が何度も何も無かったと言っているのにも関わらず、執拗に質問してくるもんだから気が滅入りそうだ。もしこれで先生とセックスしてたから帰りが遅くなったんだ!

 とか悪びれもせずに言ったら白目向いて倒れるんじゃないか?

 ……本当にありそうだから黙っておこう。

 

「それじゃあ、気を付けてね?」

「はいはい、分かってるよ」

 

 昨日以上に名残惜しそう手を振る母さん。

 その姿が可愛らしく見え、何気に気恥ずかしくてそっぽを向いてしまった。

 

 そのまま校舎の中の様子を見てみる。

 今日は普段通りの時間に登校できたため、生徒たちの登校風景を自分の目で見ることができたが……女子の群れ、首の回る範囲の視界全体を覆いつくす女子の波。

 そして、俺が女子を見ているのと同じようにほとんどの女子が俺の事を見ていた。

 止めろやい……恥ずかしいだろ?

 そんな気持ちを顔には出さず、ゆっくりと歩みを進めていく。

 突き刺さる視線。俺の姿を視界に捉えた女子たちの行動は二分化された。

 一緒に登校していた友人らとひそひそ話に興じるもの。または、身だしなみを整えようとしたり制服を肌蹴させ、胸チラやらパンチラやらで気を引こうとしているもの。

 前の世界では無かった女子勢の積極さに、思わず苦笑してしまう。

 

(今あの男子笑った……!)

(私を見てたのかな?)

(バカ! 私に決まってるでしょ!)

(顔の向き的に私)

(誰でもいいけど、これで今日の分のやる気は充電できたわぁ)

(確かに)

 

 ……なんか、苦笑してからまたひそひそ話に拍車が掛かったような気がする。

 しかし、遠巻きに見ているだけで一切手を出してこない。声もかけてこない。いや、朝だからなのか衆人環視の中だからなのかは分からないが。とりあえずこのまま教室に行ってしまおう。

 下駄箱っと。

 

 ――バサバサッ

 

「なんぞ」

 

 自分の下駄箱を開けた瞬間何かが落ちた。

 呆然と、落ちずに自分の靴の上に乗っかったままの物を手に取った。

 

「ラブ、レター?」

 

 丁寧に包装された紙を手に取り、眺めていた結果、それだけが判明した。

 何年何組誰々と書かれた手紙の束。それが俺の靴の上に乗っていたのだ。そりゃバランスが崩れれば一気に落ちてくる。昨日は無かったのに……何故今日になってこんなにラブレターが入っていたんだろうか。

 

 

 

 ――なんて事があってな」

「へぇ……それで、その紙はどうするの?」

「うーむ……そうだなぁ……」

 

 教室にて朝のHR前。

 まだ生徒の全員がそろっていない時間帯。

 玄関にて合流した智治と一緒に教室まで来た俺は、さきのラブレターの件について相談していた。

 

「まさか、全員に会うなんていわないよね……?」

「え? いや、会ってみようかなって思ってたけど」

「ダメだよ! ここは毅然と無視しないと!」

「お、おう」

 

 まさかの無視発言ですか。

 何故か知らんが、智治は女子を毛嫌いしている。

 その理由は聞いてないが、ここまで嫌だと言うからには昔女子に何かされたんだろう。もしかすれば、こいつも女子からラブレターを貰ったことがあったりするのか?

 

「智治はどうなんだ? お前もラブレターぐらい貰ってそうだけが」

「……僕だって中学生の時に貰ったよ。てか、保志君だって昔貰ってたじゃないか! それが何で今になって女子に会おうなんて思えるの!?」

 

 おっと……こいつは藪蛇だったか。

 ずずいと身を乗り出してきた智治の顔が目の前に。

 

「近い近い……昔は昔だ。少しは、こう……昔の俺から変わろうと思ってな」

「それにしたって女子に会おうとするのは変わり過ぎだよ! 高校生になって女子に会おうなんて、何されるか分かったもんじゃないよっ!!」

 

 ふんすっ!

 と、鼻息荒く語ってくれるが、周囲に女子がいるんだぞ?

 まるで女子がいないかの如く振る舞ってるが……そんだけ女子が嫌いなのだろう。

 

「ま、智治の言いたい事は分かったよ」

「そう! ……なら良いんだ。何が保志君を変えたんだい? 君の事が心配になるよ……」

 

 智治の熱意に押されるような形になってしまったが、今日の所は家に帰ってラブレターを読むとしよう。さすがに、すぐに会うのは気が引ける。別に今すぐ彼女が欲しいわけでもないしな。

 セフレというか、年上の彼女候補は一人いるから、そこまでがっつこうって気にならないし。

 

 ――それに、今は昨日見たあのヤンキー少女が気になってるからね。



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第09話★

「ねぇ、隣座っても良いかな」

「……あん?」

 

 時間は3時限目終了後。

 次の時間は数学だが、昨日受けた授業内容があまりに簡単すぎて眠気が来たのでふけても大丈夫だろう。まぁ、俺がいない事で何か言うかもしれないという事で、智治には腹の具合が少し……と言ってトイレに行ってる事にしてある。

 で、屋上に来てみたら案の定。

 フェンスに寄りかかって煙草を咥えている金髪少女が一人。

 髪の根元が少し茶色に見えるから、その髪は染めているものだとすぐにわかった。まぁ、純粋な日本人で黒、茶以外の髪色の人ってのは相当珍しい……てか、俺は見たことない。

 

 昔ながらのヤンキー座りをしている少女を見る。

 スカートだとパンツが見える座り方をしているが、レディース的な長いスカートを履いているため、中の様子を窺う事はできなかった。煙草を吸っているからピアスもしているのかと思いきや、綺麗な耳がそこにはあった。

 色白で、異様にむしゃぶりつきたくなるような耳だった。

 

「てめぇ……昨日センコーと一緒にいた」

「うん。昨日君を見て気になってね」

「へっ! そんな事言ってっと犯しちまうぞ?」

 

 隣に腰を下ろした俺に対して不敵に笑うが、手を出そうとはしてこない。

 

「俺、1年の立川保志って言います。君は?」

「あん? なんで俺が応えなきゃなんねーんぶぁ!?」

 

 咥えていた煙草を口から放したところにキスをする。

 驚いて呆けてしまって口を閉じようとしない彼女の口の中に舌を突っ込む。

 直前まで煙草を吸っていたからヤニ臭さはあるものの、対して気にするほどじゃなかった。驚いて反応できてなかった彼女だが、すぐに舌を絡めてきた。その舌遣いはたどたどしいものの、しっかりと絡めてくるとは侮りがたい。

 

「あ……んだてめぇ……ビッチだったのか?」

「そうとも言えなくないのかな? でも、君が綺麗だったからつい」

「ばっ!? おおおお前っ! き、キレイなんて簡単に言ってんじゃねぇぞ!」

 

 なんだろう。

 この世界の女性は褒められることに耐性が無いのか?

 距離を取ったと思ったら頬を紅く染めて恥ずかしがってるし。

 ……いやまぁ、智治の女子への対応を見てると直接褒める様な事は滅多にないんだろうな。だから俺が女子に対して綺麗だとかかわいいとか、思ったことをそのまま口に出すだけで簡単に口説くことができるというわけか。

 まぁ、尻軽以上にビッチな男と思われること甚だしいだろうが、構わない。

 

「それで、名前は?」

「うぅ……きょ、京本……京本(きょうもと)(あかね)だ」

「茜ちゃん、か。良い名前だね。いつもここにいるの?」

「あ、あぁ……そうだけど」

「ねぇ、ここってあんまり人って来ないの?」

「まぁ、俺がいるからな。男はともかく、女子どももここには来ないな」

 

 ニヒルに笑う茜ちゃん。

 あらやだ可愛いわ。

 昨日見たときの先生に対する口調を思い出すと、人が違って見える。

 目にかかった髪をかき上げる仕草がまた似合っている。それに、牧野先生とは違って強引に迫って来ない。こういう状況を作り出したらすぐにでも押し倒してくるっていうイメージが俺の中で出来上がっていた。

 ……これ、世の女性に対する風評被害か?

 

「それじゃあ、ここで楽しんでも大丈夫だね」

「は……んぅっ!?」

 

 押してこないならこっちから押してしまえ。

 基本的に誰も来ないのであれば、茜ちゃんとシてしまっても見られて乱入されるなんて面倒なことにならなくて済む。いや、乱入してくるかどうかは分からないが。

 さっきは為すがままにされていた茜ちゃんだが、今度はしっかり舌を絡めてきた。手持無沙汰にしていた両手は俺の背中に回され、ギュゥと制服を握りしめてくる感覚がした。ホント、初々しくてかわいいなぁ。

 

 クチュ、チュパ――

 懸命にキスを味わおうとしている姿に昂ぶりを感じる。

 微かに漏れる吐息に交じって聞こえてくる唾液の音が耳を犯す。

 人をビッチ扱いしていた茜ちゃんの頬はほんのりと赤く染まり、目はトロンと蕩けている。

 

「んぁ……はぁ、ふぅ……」

 

 一度離れる。

 互いに舌を出し合い、一瞬宙に掛かった半透明の橋を見て、陰茎に集結しつつある血液を意識してしまった。それからは早いもので、瞬間的に勃起してしまったんじゃないかと錯覚してしまうほどにビンビンに固くなってしまった。

 ベルトで締まったズボンがペニスを圧迫する。

 茜ちゃんの反応を見る限り大丈夫だろうと、チャックを一気に下ろし圧迫されていたペニスを燦々と照りつく太陽の下に晒し出した。

 すると、目一杯引き絞られた弦のようにブルンッと飛び出たマイサンに、そりゃもう苦笑いを零すことしかできなかった。

 

「は、んぁっ」

 

 ――スン、スン……

 顔を近づけ、髪をかき上げて臭いを嗅ぐ。

 それだけで吐息を漏らした茜ちゃんは、そのままペニスにさわさわと触り始めた。そのソフトタッチ具合がまたもどかしく、背筋に走る快感があった。

 女子高生が実際に触ってると考えると、精神年齢を考慮してしまい、淫靡で、背徳感のある行為をしてるという感覚が、どこか気持ちがよかった。

 

「ひゃっ!?」

「こんなに濡れてる……もう挿入()れてほしいんじゃない?」

 

 布越しに触れた女性器は、湿り気を通り越してすでに濡れていた。

 文字通り、びちゃびちゃに濡れそぼったパンツからは粘着性のあるニチャヌチュという音を奏でる。ペニスを見て惚けていた茜ちゃんの表情は、熟れたリンゴのように真っ赤っかになってしまった。

 

「や、止めろよぉ……恥ずかしいじゃねぇかよ……」

「……茜ちゃん、凄くかわいいよ」

「ば、バッカやろ!」

 

 思った言葉がそのまま口から出てしまった。

 が、その言葉が引き金となってしまったようで、勢いよく俺の事を押し倒してきた。

 ……一応、下はコンクリートだから気を付けてほしかったけど、別段どこかをぶつけたわけじゃないから大丈夫だが。

 

「そ、そこまで俺の事誘ってくるんだったらイれてやるよっ!! お、俺、お前ン事犯すからなっ!!」

 

 膝立ちになって荒い息で捲し立て、一気にパンツをずり下ろした。

 その際、膣から溢れ出ていた粘り気のある蜜が布と陰毛とを繋げていた。

 この世界で言うところのレイプをこれからされてしまうんだという変な感覚と、これ以上なく興奮している雌と交わう事が出来ると言う事実が、わずかに腰を浮かせていた。

 剛直に勃起したペニスのその先端が、ピトッとヴァギナにくっついた。

 

「んっ!」

 

 恋人同士がふれるだけのキスをするように、それだけで茜ちゃんの口から小さく嬌声が漏れた。ふれ合う二人は、ディープキスのようにヌチュヌチュと互いの体液を絡め合う。

 

「こ、の……! ん、ぁあっ!?」

「く……キッツい!」

 

 我慢ができなくなったのか、一気に腰を落としてペニスを迎え入れた茜ちゃん。が、思っていた以上にキッツい膣がペニスをぎゅうぎゅうと締め付けてくる。

 昨日の先生以上の締まりだった。

 もしかして処女なんじゃ? なんて思って接合部を見てみる物の、一切の出血が無く、ただただビクビクと小刻みに痙攣する茜ちゃんの姿があった。

 

「ね……もしかして、処女じゃないの?」

「ば、っかやろ……ょじょなんて、恥ずかしいだろうぅが」

 

 小さな声で弱々しく語ってくれた言葉に驚愕した。

 この世界では淑女としての感覚も逆転してしまっているのかと。まぁ、昨日の先生の乱れ具合は年齢を少し考慮してしまったけれども。まさかうら若き10代の女子校生がねぇ……

 ま、破瓜の痛みは相当のものだって聞いてたから面倒がなくて良かったと思うべきか。茜ちゃんの初めての男になれなかったことを妬むべきか。

 

「よ、よし……それじゃあ動くからな」

「うん……無理しないでね」

「は……お前、自分の心配してたほうが良いんじゃないか?」

 

 不敵に笑う茜ちゃん。

 そうだった……この世界の男性の性事情は悲惨なものだったんだ。

 前の世界の早漏がこの世界の男性の耐久時間らしい。ペニスの長さについては触れていたが、まさかこんなところでも違いが出てくるなんてと驚いたものだ。

 ゆっくりとではあるが、腰を上下に動かす茜ちゃん。

 腰を下ろす度にパチュ、パチュと小さく音を奏でる。

 

「ぁ……っふ、んぁ……あっつぅぅ……」

「くふ……ふぅ……」

 

 動きはスローペースなものだったが予想以上の締め付けということもあり、かなりの刺激が快感としてペニスに与えられていた。

 もっと気持ちよくなりたい。そういうもどかしさに襲われる。

 

「も、俺が動くよっ!」

「え、あ! やぁっ! だ、めぇっ!?」

 

 ただただ早いピストンで気持ち良くなるものだと思っていたが、ゆっくりなものも気持ちい良い。が、それでも物足りなさを感じてしまい、自分から腰を動かして茜ちゃんの膣を楽しむ事に。

 と言うか、絶頂のための動きをするだけなのだが。

 意気揚々とまたがっていた茜ちゃんは、そうしているだけの力も抜けてしまったのか、力なく俺の胸にへたれていた。

 左手で腰を抑えたまま、右手で茜ちゃんの顔を引き寄せて軽いキス。チュっと触れるだけのキスで、膣の締め付けがさらにきつくなった。

 

「あぁっ! そ、んなに、くぅ……! 締め付けたら……っぁ!」

「んぁっ!? こ、んなぁ……っ! こんな、にっ、きもっ、ちいなんてぇぇっ!!」

 

 ――ジュプ、ジュポ、ジュポッジュプ

 

 奥から溢れ出てくる愛液、一層滑りを良くする。

 が、増して膣の締め付けがきつくなる。

 亀頭が子宮の入り口に当たる度にきゅんきゅんと締めてくる膣圧に耐えつつ腰を振る。出し入れに合わせて漏れる茜ちゃんのかわいらしい嬌声が屋上に響き渡る。裏表のない雌の喜びがそこにはあった。

 

「いくっ、いっ、ってるっぅぅ! も……いってるからぁっ!!」

「ま、だ……! 俺が、いってない!」

「ひゃっ……ん、あぁっ!! ら、めぇ……も、むりぃっ!!」

 

 悲鳴にも似た喘ぎ。

 それでもピストンは止めない。

 膣の蠢きが亀頭を刺激し、脳髄が焼けつくような快感とともに絶頂へのボルテージが高まってくる。全身の感覚のすべてがペニスに集約される。亀頭がゴンゴンと子宮口を叩くたびにぎゅうぎゅうと締め付けられ、射精へのボルテージがさらに込み上げる。

 テクニックのへったくれもない出し入れ。激しさしかないピストンだったが、茜ちゃんも喜んでくれているらしい。

 チャックの合間から飛び出ている息子の周りは、だらだらとだらしなく垂れる半透明の白濁液で汚れていた。ペニスを根元まで挿入()れると、伸び始めた陰毛同士に絡まり、泡が立つ。

 数条の愛液の橋が、瞬間瞬間でかかっていた。

 

「あぁ、いく……! も、出るぅっ!!」

「出して……っ!! 膣内に、膣内にぃぃっ!!」

 

 一際大きく腰を突き上げた。

 

「あっ!? ……あぁぁっぐぅぅっ!? あ、あ、っつぅぅぅっ!?」

「あ……はぁ……っ!」

 

 込み上げていた感情が噴き出すように、ペニスの先端……亀頭からドクドクと精液が飛び出していく。一度、二度、三度。大きな波が来るたびに大量の精液が茜ちゃんの子宮に叩きつけられ、膣を白く染め上げる。

 生の女性器が、尿道に残っている精液のすべてを搾り取ろうと蠢く。

 蠢きが亀頭を刺激し、長い射精感を味合わせてくれる。今までで感じたことのないほどの絶頂感と幸福感がこの身を包み込む。

 ビクッビクと小さく震える茜ちゃんの後頭部に手を添え、抱きしめる。

 これから先、茜ちゃんとの関係が肉欲だけのものになったとしても、今この時だけは俺の女だと言う思いがそうさせていた。

 

 ……茜ちゃんと言うか、一般的な感覚としては『こいつは俺の男だ』と思う方が正しいのかもしれないが。

 

 もう出し切った――

 脱力感。グテッと力が抜ける感覚。少しして、ペニスが膣圧に押されるようにして出てきた。同時に、中に出してしまった白濁液が、茜ちゃんの愛液とのカクテルになってドロっと出てきた。

 

 ――キーンコーンカーンコーン

 

 次の授業が始まるチャイムの音が聞こえるような気がする。

 が、俺も茜ちゃんもそんな事はお構いなしにキスに耽る。静寂に包まれることになった屋上で、淫らなに舌を絡め合う男女の影が一つ。

 俺は、この時をただただ楽しんでいた。



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第10話

 どうせ授業に間に合わないんだし、このまま茜ちゃんといちゃついておこう。

 という事で、授業中誰も寄り付くことのない屋上にて二人、寄り添いあいながら過ごしていた。そこで俺は好きなようにしていた。例えば、茜ちゃんの頭を撫でてみたり首筋に顔を埋めてクンクンしてみたり、バードキスをしてみたり。

 その度にかわいらしい声を漏らしては喘ぎ、恥ずかしそうに悶えている茜ちゃんの様子を見て興奮していた。

 

 が、4時限目の終了のチャイムを耳にして、ハッと我に返った。

 

「っと、そろそろ戻ろうかな」

「……ぅ、ん……もう、終わりかよ」

「もう昼休みになっちゃったからね。そろそろ戻らないと心配されて大変な事になるしね」

 

 男性が少ないだけあって、朝から登校していた男子の一人がいきなり授業に出なくなったらそりゃもう心配されること間違いなしだ。もしかしたら探しているかもしれない。

 そうなるとこのまま茜ちゃんといちゃついてるのは少々まずい。

 俺も説教を喰らうかもしれないが、それ以上に茜ちゃんの立場がまずい事になるかもしれない。なにせ、数少ない男子と屋上でセックスしてるんだから。

 

 ……いや、ここは逆に奨励されるかもしれないのか?

 俺が茜ちゃんを彼女です! と声を大にして言いだして。既に中出ししてしまった身としては責任を持てと言われてもしょうがない感じだが、この世界では給付金が支給されることになってるし。

 こんな考えをしてる時点で結構なゲス野郎な気がしてならないが、これがこの世界のルールなのよね!

 

「それじゃ、メアドだけ交換しない?」

「あ、あぁ……わかった」

「またここでしようね」

「バッ!? 別にここじゃなくてもイイだろが!?」

「あはは! じゃあ、君の家でヤる?」

「んなっ!?」

 

 顔を真っ赤にして黙り込んでしまった茜ちゃんをよそにメアドを交換し、立ち上がる。

 二日目にして二人目の女の子のメルアドゲット。茜ちゃんは現役女子高生で、牧野先生とは所謂(いわゆる)援交の仲。しばらくお小遣いに困ることは無いだろうという関係。

 この字面だけ考えるとホントに最低な男に思えるかもしれないが、この男性が少ない世界において俺みたいな奴が一人くらいいても良いだろって感じになっている。

 

 茜ちゃんに別れを告げて教室に戻る。

 

「あぁ、保志君!!」

「うぉっ? ど、どうした?」

「どうしたじゃないよ! 今までどこにいたんだい!? トイレに行ってもいなかったから心配してたんだよ?」

「あー……」

 

 眉を寄せ詰め寄ってくる智治の姿を見て、俺は何も言えなかった。

 屋上で金髪の女子とセックスしてましたなんて、こんあところで言えるわけないだろううが! 周りの女子は可愛い子が多いが、こんなことをここで言ってしまっては恰好の的になるのは目に見えている。

 さすがに、この教室の中にいる女子全員を相手にするつもりはないし、普通に考えてできるわけがない。ハーレムを目指そうと思ってるわけでもないしな。……ここで言えば、それこそこのクラス以外の女子とも相手をしないといけなくなるような気がしてならない。

 

「4時限目の授業はあまり興味がなかったんだ」

「えぇ……? そんな理由で納得しろってこと?」

「すまん! 興味が無いのはホントだし、何より……暇だからな」

「ふぅん……」

 

 両手を組んで怪訝そうな視線を送ってくる智治。

 あははと愛想笑いをするしかない俺。なんか、俺と智治が夫婦みたいな感じになってるのは気のせいだろうか? 約束事を破った夫と、追及する妻。案外、間違ってないような表現だが勘弁してほしい。

 智治がストッパーになってくれるのは歓迎するが、そういった意味合いでの歓迎はしていないからな。普通に、男女で交際をしていきたいんだ。……俺が交際と言うと軽い言葉に感じるのはしょうがないが。

 

「ま、保志君がそういうんだからそうなんだろうね。じゃ、お昼ご飯でも食べようか」

「お、そうだな」

「ちょっとお待ちになってくださいませんか」

「あん?」

 

 智治と二人で弁当の包みを解こうとした瞬間の事だった。

 いつの間にか近寄っていた女子の存在が俺たちに声をかけてきたのだった。

 この事態に、俺たち二人を遠巻きに見ていた女子たちがざわざわと喋り始めた。

 昨日今日しかこの高校を経験していないが、世が世だ。女子が男子に声をかけるなんてこと自体珍しい事だろうし、ましてやこんなに堂々と声をかけてくるなんて。

 

 と、思い女子を見てみると見事な巻き髪。

 日本人離れしたスタイル、顔だち。茶色がかった髪色。

 かなりの美人さんだが、昨日この子を目にした記憶がない。

 ……何だったら、昨日のうちに話かけてきてそうな勢いだけど。

 

「え、っと……君は?」

「おやおや、クラスメイトの名前すら憶えていらっしゃらないんですか?」

「すんません」

「はぁ……良いですか? (わたくし)西園寺雅(さいおんじみやび)です。よろしくお願いしますわ」

「はぁ……よろしくお願いします?」

 

 この世の中にしては珍しく高飛車な女子がいるなぁなんて考えながら、弁当を包んでいる布を解いていると、目の前で同じように布と格闘していた智治が、これでもかと言わんばかりの溜息を吐いていた。

 

「はぁぁぁぁ……それで? どうしたんですか、西園寺さん」

「あぁら、これはこれは智治さん。貴方には話かけてません事よ?」

「君に僕の名前を呼ぶことを許した覚えなんてないんですが」

「あら? そうでしたか? ごめんなさいね、おほほ!」

 

 なんだろう。

 一瞬にして険悪な空気出来上がったと思いきや、そう思ってるのは智治だけで、何某お嬢様は機嫌良さげに高笑いをしていた。よくもまぁ、このご時世そこまで自信満々にしていられるものだ。

 

「ところで立川さん」

「はい? ……なんですか?」

 

 両手を腰に当て、威風堂々としている女子にたじろいでしまう。

 もしかしたら茜ちゃんとの交わりを見られてしまったのか。それとも昨日の牧野先生との事がばれてしまったのか。

 

「授業に興味が無いとは聞き捨てなりませんわ! 貴方は学年でもトップクラスの成績を収めていることは私も存じ上げております。そんな貴方が学業をおろそかにするような発言をされると困るのです!」

「あっはい」

「良いですか! ここは勉学をするところであり――

 

 良かった。

 とりあえずこのお嬢様の話を聞き流しておいて。

 ……昔、同級生にこんなお嬢様なんていたか? この世界になって男性が少なくなったことに関係あるのか? ま、このお嬢様が本当に由緒あるお嬢様かどうかは知らないが、適当に話を合わせておくことにしよう。

 

「まぁ、俺が勉学を疎かにする云々の話は俺個人の話だとして。君は俺に何か用があるのかい?」

「は、あ、いえ……その……」

「うん?」

 

 目を逸らし、モジモジする西園寺さん。

 このタイミングでいきなりどもられても困るんだが。

 

「……つい、話かけてしまったんです」

「え?」

「ですから! ……つい、貴方に話しかけてしまったんです。貴方の不甲斐ない所なんて見たくありませんでしたから」

「おっと、あんまり保志君の事を悪く言うようだったら」

「ふん! 別に立川さんの事を悪く言おうなんてつもりはありませんわ! このクラスの男子として、あるべき姿を見せていただきたいと思っているだけですので! それではごきげんよう!」

 

 おほほほ! と笑いながら去っていった西園寺さんの後姿を見送りつつ、手にしていた弁当を包んでいた布を思い出して開いていく。どこか釈然とない気持ちが蟠りとして残っているのが感じられるが、無視して昼食を取ろうとする。

 溜息が漏れそうになり、それを抑えて智治の様子を見ると、憮然とした表情を浮かべて俺の事を見ていた。

 

「お、どうした?」

「どうした、じゃないよ……もう、ホント……そんなに無警戒だったっけ?」

「……まぁ、取りあえず昼飯食おうぜ? な?」

「……はぁぁ」

 

 俺が止めた溜息を、智治は俺に対して吐いていた。

 昼にもなり、冷めてしまった弁当の味が、いつもより悪い感じがしたのは気のせいだろうか。



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第11話

 印象深いお嬢様の事を調べてみたらホントにお嬢様だった。

 何を言ってるか分からないかもしれないが、彼女の親が現西園寺グループの総裁を務めているんだから。

 

 何故彼女の親がと言うと、普通に調べたら年齢も載っていたからだ。

 名前は『西園寺幸宏(ゆきひろ)』。男性のような名前だが、自分の目で見ないと信じられない。なにせ男性が少ないこの世界で、ゲン担ぎのために女性に男性の名前を付けることは珍しくないようだし、何よりこんな世界だ。世襲制の会社があっても可笑しくあるまい。

 ……現実と二次元は乖離しないといけないのは理解しているが、そもそも男女比がおかしい時点で、ね? お察しな訳ですわ。

 

 しかし、西園寺グループはかなりの資産運用しているらしい。

 そのご息女である雅さんがどうしてこんな学校に通っているのか分からないが、周辺近くの高校で、一番男子の数が多いのがこの高校と言うのは要因の一つなのだろうか。……ま、こういった話は推測するんじゃなくて本人に聞ければ良いんだが、あいにくそこまで親しいわけじゃない。

 

「お前ら、席につけ」

「ん?」

 

 なんて考え事をしている間に次の授業、数学担当の先生が入ってきたわけだが。

 ……残念ながら2日目ではあるが、彼女のような先生を見たことはなかった。まぁ、男性教員も女性に代わってるんだ。性格が同じだとしても見た目そのものが違うんだ。

 しかし、数学の教師にはあまり良い記憶はないんだが。

 

 肩までかかるかかからないか程度に延ばされた黒髪から覗く白いうなじ。

 大人の魅力を感じさせる一因になっているが、目の下に堂々と存在する濃いくまが教師の疲れを象徴しているような気がする。が、どんよりしているように見えても、普通に綺麗な人だなぁという印象ではある。

 

「さて……今日はお休みの香坂先生に代わって、私がお前らの授業を受け持つことになった。知らない生徒はいないと思うが、私は2年生の数学を担当している金本だ。どこまで授業が進行しているのか分からんから、取りあえずプリントを持ってきたから配布する」

 

 いきなりのプリントに、クラスの女子が一斉に声を上げる。

 が、そこまで大きな声でもなかったからか、先生は構わずプリントを配布し始めた。

 メンドクサイとか横暴だとかが聞こえてくるが、やれと言われたものはやるしかないだろう。前から順に渡されてきたプリントを目にして驚いた。

 

 これ、内容が完全に高校1年生の物じゃないんだが。

 最初から最後まで、全5問で構成された問題に目を通す。

 ……残念ながら、1年生が解ける様な内容じゃないんだが。と思ってちょろっと周囲の女子の様子を確認してみると、ほぼほぼ全員が苦しそうな表情をしているというか。シャーペンの進みは悪いようだ。

 申し訳ないが俺にとっては簡単な問題だからすぐに解いてしまって寝させてもらおう。午前中の茜ちゃんとの運動が少し疲労として蓄積されているからこその判断だ。まぁ、この程度の問題なら、少しでも先の予習やら塾に行ってる連中が解けるだろう。

 ……今までの俺がどうかは知らないが、この世界で男が頭が良かったってたかが知れてるだろうしな。

 

 ――――

 

 ――

 

「……そこまで。後ろからプリントを前に回してくるんだ」

 

 は!?

 テストを終わらせてから授業時間終了になってしまった。

 30分くらい寝ただろうか。気付いたら授業も後半、今日一日最後の授業が終わろうとしているが、特に何も感慨深いものはない。そもそも昨日なんて校内散策と称して牧野先生とセックスしてただけだし。

 プリントに涎が付いてないのを確認して、後ろから回されてきたプリントに自分の用紙を一番下に、前に回した。

 

 ……さっきもそうだが、プリントを受け渡しする瞬間に手が触れ合うのは偶然なんだろうか。怪しまれないようにしてるのか、触れられてる時間はほんの数秒なんだが、一瞬指に絡まってくる感覚が少しきつい。

 別に前後の女子がかわいくないとか、そういう事じゃない。

 何故か少し汗ばんでいるのが気になるんだ。

 男子に対する緊張でもしてるのかどうかはしらないし、ジメッとした感触が汗じゃないかもしれないという件については考えないようにしている。さすがにデリカシーはあるだろうと信じて。

 

 で、プリントが先生の元に集まり、ペラペラとプリントを捲っていく先生だったが、ある用紙のところで少し固まっていた。そしてチラリと俺のいる方向に視線をよこしてきた。

 ……もしかしなくても俺の事だろう。情け容赦なく問題を全部解いたから疑問に思ってるかもしれない。

 が、意外な事に先生は何も言わないでそのまま帰って行ってしまった。

 ちょうど授業の終り時間という事もあり、採点に向かったのだろう。

 少し、先生が俺に向けてきた視線に粘っこいものを感じたのは気のせいだと信じたい。ホント、神頼みの連続だな(白目)

 

「ふむ……立川は後で職員室に来るように」

「は? あ、はぁ……分かりました」

「よし。では、本日の授業についてはここまでとする」

 

 そう言い残し、金本先生は去っていった。

 授業が終わり、生徒が思い思いの姿を曝け出し始めたとき。

 

「おぉほっほっ! 立川さん! さきほどの問題、どうでしたか!」

「簡単だったね」

「は!? ……あ、はい……そうですか。まぁ、私もそのように感じておりました! 立川さんも同じように感じてくださっていたとは、さすがですわね!」

 

 口元を隠して笑う西園寺さん。

 俺に話かけてくる奴と言えば智治ぐらいなもんだったから別にいいんだが、周囲の女子の視線が大変な事になっている。嫉妬で人に攻撃ができるんだったら、このクラスほぼ全員から攻撃を受けているに違いない。

 それぐらいの注目を浴びているというのに気にせず話かけてきてくれるこの人も凄いが……可愛いからよしとしよう。高校生なんだ。これぐらいの元気と純粋さがあて良いと思うんだ。

 親父臭いと思われるかもしれないが、そもそも精神年齢はこの中で一番の年寄りだからな。

 

「それにしても、あの問題……1年生の問題じゃなかったよね」

「え? そうだったのか?」

「……保志君がいつ勉強してるのかが気になるな」

「うぅむ。何も考えないで解いてたからなぁ」

 

 呆れた、と一言残して智治は次の授業の準備に向かってしまった。

 金本先生は後でと言っていたが……いつ行けば良いんだろうか? とりあえず放課後にでも行くとするか。どうせ次が最後の授業だし、その後の事を言っていたんだろうと一人納得する。

 智治はあの問題が1年生のものではないと言ってたし……恐らくあの問題を解いたことに対する質問でもされるんだろう。特に苦労しないで解いてしまったし、その後すぐ寝てしまったのも見られているだろうから、より一層不可解に思ってるはずだ。

 男だから塾にも行ってない。

 多分、母さんの事だ。もし俺が塾に行きたいと言っても反対するだろう。まぁ、最初から行きたいとも思ってないが。

 もしかしたら家庭教師だったら……? 憧れの家での教師プレイができるのか? 初日に牧野先生とセックスしておいてこういうのもなんだが、家で教師と秘め事はできるってのは興奮ものだ。

 家には母さんもいるだろうし……そういったシチュエーションも燃えるものを感じる。

 

 そんなバカな事を考えていたら、最後の授業中ずっと悶々とした時間を過ごすことになったのだった。



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第12話

 本日すべての授業が終わり、金本先生の言いつけ通り俺は職員室に向かっていた。

 何とこの学校、学年ごとに職員室の場所が異なっており、それぞれの学年がある階に職員室が存在している。つまり俺は2年生担当の職員室に行くのに、2年生の女子達の視線に晒される事になっていた。

 

 放課後ってことで部活に向かっている女子が多いんだろうが、それでもまだまだ多くの女子が校内に残ってる。

 こうやって自ら進んで違う学年のクラスがある所を歩く男子は珍しいのだろう。

 すべての女子を知らないと同時に、向こうも俺の事を知らないはず。その女子全員が遠巻きにこっちを見ながらヒソヒソ話をしているものだから困ったもんだ。中には可愛いな思う子や、綺麗系の女の子もいたので少し目を付けておいて、取りあえず金本先生の所に向かう事に。

 

 

 

「失礼します」

 

 意を決して入った職員室。

 中には当然先生方がいるわけだが、ものの見事に女性教員ばかり。

 一人だけ男性教員を見かけたものの、見た目は初老と言っても過言ではなかった。この世界での男性教員の役割は何だろうか……本当に教員として働いているのか? それとも数少ない男子生徒の心のケアをする仕事でもしているのだろうか。

 ……この世界の女性の押しの強さを思い出すと、そういった職員が一人ぐらい配置されていても可笑しくないと思えてくる。

 

「立川君、こっちだ」

「あ、はい」

 

 放課後になっているというのに、机の上に散乱している紙束の量が仕事途中だという事を表していた。

 

「君の解答用紙は見せてもらったが、実に興味深い結果だった」

「はぁ、そうですか」

「それはもう。男子にしては……いや、男の中でも特に優秀な部類に入るだろう。私がここで教師の仕事をし始めてから、君ほど数学に秀でている生徒をお目にかかったことが無い。……つまりだ。君なら私が何を言わんとしているのか理解してくれていると思うが」

 

 無感情なまでに起伏のない言葉をつらつらと口から出てきたと思えば、今度は途中で言葉を切ってコーヒーに口をつけたのだった。

 熱いのを気にしないのかと思ったが、カップを傾けたときに現れた茶色いリングがそれを否定する。

 

「あまり長い事コーヒー置いといてもまずくなるだけですよ」

「……ふむ。確かに君のいう通りだ。以後、気を付けるとしよう」

 

 少しだけ目を見開いた金本先生は、小さく2回相槌を打ってカップをソーサーに置いた。

 部活動に専念しているであろう少女たちの掛け声が、やけに大きく聞こえる。

 

「では本題に入るが、君はいつどこで数学について学んだというのかね? いや、数学だけに限らない。最近の君の授業態度は前と変わらないにも関わらず成績が格段に上がっていると(もっぱ)らの噂だぞ? ある特定の科目だけグンと伸びる、というのはまだ理解できるが……なぁ?」

「は、はは……最近、見方が変わったと言いますか。なんでこんなに面白くもないものを頭に詰め込んでるんだろうって思ってたんですけど、少し真面目になって勉強してみたらハマってしまったというか」

「ふむ……君にしては特に理由もないわけだな。しかし、それで自分の学力を伸ばせているのだから教師としては何もいう事はない。むしろ、これからも勉学に励んでくれと奨励しておくべきか」

「はい。ありがとうございます」

 

 ピタと、先生の動きが止まった。

 気のせいか? 少し先生の手が震えてるような気もする。

 ……微かに耳に入ってくるヒソヒソ話。眼だけを動かして見える範囲で周りを見ると、女性教員が数か所に固まって誰もかれもが同じように声を潜めて言葉を交わしているようだった。

 職員室で教員がわざわざ集まって話をするなんて……もう、完全に俺の事だろうね。

 

 女性教員たちの格好の的となっている二人のうちの片割れはというと、頬を薄っすらと紅らめてこちらを見ていた。

 

「ふむ。君がこの学校の一生徒だとしても、男性に感謝の言葉を言ってもらうというのは非常に心地良いものだな。私からも礼を言わせてもらおう。どうもありがとう」

「あ、いえ……」

「ところで、だ。私はこのプリントで君が満点を取ったことについて言及しようというわけで呼び出したわけではない。牧野先生の事なんだが」

「はい?」

 

 何故ここで牧野先生の名前が出てくるんだ?

 もしかして昨日牧野先生とセックスしてたところでも見られていたのだろうか?

 それとも、牧野先生が金本先生に話してしまったとか?

 ……どちらしても俺にとってまずい話だ。

 

「牧野先生がどうしたんですか?」

「……ここで話すのもどうかと思うような内容だ。それに、君の機嫌を損ねてしまうかもしれない。それでも良いかな?」

「機嫌を損ねるかもしれないって……さすがに話を聞いてみないことには何も始まりませんので、何とも言えません」

「そうか……では、生徒指導室までついてきてくれるな?」

「……はい、わかりました」

 

 ここで話さずにわざわざ生徒指導室まで向かうという時点で、金本先生は俺が牧野先生とセックスしたのばれてるじゃないか!? いや、別にそれで金本先生みたいな人とセックスできるのであれば良いんだけどさ。

 こそこそ話をしていた先生たちは、俺たちが席を立って移動を開始すると自分の仕事をしていましたという体裁を整えた。が、まぁ……無意味に口笛を吹いてみたり鏡を手にして髪を掻き揚げたりと、それはさすがにわざとらし過ぎると思う。

 

 前を歩く金本先生を、後ろから改めて眺める。

 髪が揺れる度に覗いている(くび)もと。白い(うなじ)

 歩みを進めるごとに左右に揺れるお尻。いかにも仕事人といったグレーのスーツが、ヒップの形を強調していた。特に真ん中にできたちょっとした食い込み。それが余計に色気を漂わせていた。

 どうしても視線がそこに集中してしまう。

 女性は視線に敏感だと昔誰かが言ってたが、この世界でも敏感に反応するんだろうか? 俺の持っていた常識が違うのであれば、この世界では男性の方が視線に敏感って事になるんだろうが……違和感あるなぁ。

 

「ここだ」

 

 金本先生が生徒指導室に入っていった。

 それに続いて室内に入る。ちょうど昨日、牧野先生とセックスをしたところは……あ、結構なシミになってるような。そりゃ、何も考えないであれだけやればソファに垂れててもおかしくない。

 

「ここ、一昨日まではこんなシミは無かったのだが。今日見てみればかなりのシミになってるじゃないか。それで先生方に話を伺って回ったのだが……牧野先生が変わった反応を見せてくれてな」

「ちなみに、どんな反応だったんですか?」

「嗚呼……私は至極真面目に質問をしているというのに、牧野先生は頬を紅く染めて黙り込んでしまったんだ。一切質問に答えてくれないものだから犯人を知っているか、もしくは彼女が犯人だろうと思い至ったわけだ」

「なるほど」

 

 そりゃ怪しまれてもしょうがない。

 質問されて黙り込んでしまったら肯定してるようなものだからな。

 何とかうまい事話を合わせるか、シラを切りとおすぐらいはしてほしかったが。情事を思い出して恥ずかしくなったのか?

 

「……そして、今の君の反応を見て一つ仮説が成り立った」

「はい?」

「ここで何をしていたのかまで予想することはできないんだが、君と牧野先生がここで何かをしていたのは確定的だ。女性に話しかけられても普通に対応してくれるところと言い、女に気を使ってくれるところと言い、ごく一般的な男性の感性からズレている」

「まぁ、自覚してます」

 

 やはりと言うか。

 前の世界からの思考回路がこの世界では異端なわけで。

 それを第三者の視点から冷静に判断されると尚更強く感じる。

 

「その……できれば、牧野先生と何をしていたのか話してほしい。もし君が牧野先生に何かされたというのであれば力になるし、牧野先生には私から言っておこう」

 

 真剣な表情で話しかけてくれる金本先生。

 だが、頬が少し紅く染まっているのはどういう事だろうか。

 外部から中を覗くことができないこの部屋の中、男女二人だけの空間になってしまったらやることは一つしかない。

 ……とか考えてるかもしれないな。この世界の女性は性欲が強いし。男子たるもの据え膳食わぬは男の恥なんて諺があるぐらいだし。ここだと男が女に変わってるんだろうけど。

 

「さぁ、話してくれないか?」

 

 まずはこの女性を何とかしないといけないな。



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第13話★

 ちょいと首を傾げて状況を確認する。

 今俺は金本先生に何か心配事はないかと質問されていて、俺がここで何を言おうとも結果的に牧野先生のところに帰結してしまうような気がしてならなかった。

 

「先生」

「ん、なんだ」

 

 いまだ口角を少し上げた金本先生に話かける。

 俺の解答によっては牧野先生の今後が危うくなってしまう。そうなるぐらいだったら……

 

「俺、牧野先生と」

「ああ、君の事を第一に考えて牧野先生の事は対処しよう。さぁ、話してくれ」

「セックスしたんです」

「……ぁえ? せ……?」

 

 ど正面から分かりやすい言葉でぶつけてみたが、完全にフリーズしてしまった。

 1秒……2秒……

 体感にして約10秒くらいだろうか。何を言われたのかずっと考えていたのだろうが、言葉の意味を理解した瞬間顔全体が真っ赤に染まってあわあわし始めた。

 

「な、ななぁっ!? き、君は今何を口にしたか理解しているのかっ!!」

「何って……セックスですよ。男女の性行為。雄が雌と交尾する。もっとわかりやすく言えば、男のペニスを女のマンコに挿入して」

「わかった! もう、もう大丈夫だ! ……それは、牧野先生から強要されてやったことなのか?」

「いえ? 僕から誘いました。牧野先生には1回1万円でゴムあり最後までと言ってるんですが」

「きき、君は、今自分が何を言っているか理解しているのか? わ、私は君の事をもう少し理解ある男だと思っていたが……勘違いだったようだ」

 

 顔を紅く染めたままそっぽを向いてしまった金本先生。

 だが、そんなことを言っている割には顔は満更じゃなさそうな表情をしている。

 腕を組んで難しい顔をしようとしている金本先生だが、口元だけはニマニマと蠢いていた。こんな状況になるとは思ってもなかっただろうに。混乱してるだろうが、それ以上に嬉しそうにしている感じがする。

 

「そんな事言ってるくせに、先生だって本当はしたいんじゃないですか? 僕と、セックスを」

「……私と君は、教師と生徒の関係だ。そんな私たちがそんな事できるわけないだろう」

「ですけど、政府はセックスすることを励行してるんですよ? さすがに子供ができてしまったら僕個人では養う事はできないわけですが、男性保護委員会や政府が幇助してくれるんですよ?」

「そ、それはそうだが……」

 

 たじろぐ先生の様子を見て、もう少しでこの先生もこちら側に引き込むことができるだろうという予測が立った。

 

「教師が、生徒に保健体育の授業を、個別にすることの何が悪いんですか? 僕は先生自身に教えて欲しいと思ってます。僕が将来、この人だと思う女性とセックスをするときに、色事のイロハを知らないというのも少々恥ずかしいものですし……ねぇ?」

 

 ここで制服のボタンを外してチラッと胸元を魅せる様な動きをする。

 俺が女子だったら、豊満なバストを見せつけているようなものだ。それも、現役の高校生が誘ってるんだ。

 二人きりの空間。普通に性欲を持て余しているんだったら――

 

「そ……そんな事を言って、大人をからかうんじゃない! わ、私は、決して屈しない! 君を救ってみせるんだ!」

 

 えぇ……

 

 なんか、すごい面倒な感情を曝け出してくれましたよ。

 ここまで来たら据え膳だと思って手を出してくれた方が楽なんだが。正義感が残ってるのか、眼の下に燦然と輝く濃いくまからは考えられないような真っ当な人物然としているのがミスマッチしている。

 だが、ここまで嫌々とされると逆に面白くなって迫ってしまいたくなるのが俺の(さが)

 

「良いんです……もう、ここには僕と先生しかいないんです。いえ……男と女、密室で二人がする事なんて一つしかないでしょう? まさか、ここまで僕が言ってるのに恥をかかせるつもりですか?」

 

 なんて真顔で迫ってみる。

 面白いぐらいに視線を泳がせている先生の様子を見ながら制服のボタンをどんどんと外していく。ついでとばかりにワイシャツのボタンも外していく。それに合わせて金本先生の頬が赤く染まっていく。

 強情なまでに手を出してこない先生だが、チラチラと胸元に視線を送ってくるあたりセックス……性行為が嫌いなわけではないんだろう。

 

 というか、今更にだが金本先生にも手を出すとこの世界で3人目の女性関係になる。

 

「僕、先生の事、嫌いじゃないですよ?」

「う……うぅぅ……も、もう……」

「もう……?」

「もう、我慢、できん!」

「んっ!?」

 

 プルプルと震えてばかりいた金本先生だったが、ここに来て我慢ができなくなってしまったようだった。

 先生の細い腕からは予想外の力強さで抱きしめられ、口は荒々しいキスで塞がれてしまった。さっきまで飲んでいたコーヒーの味がした。

 

「ん……ふぅ、んちゅぅ」

 

 積極的に舌を差し込んできては上下左右に口の中を蹂躙してくる。

 ここまで荒々しいと逆に俺が口の中を犯されているような錯覚に陥ってしまう。……いや、この世界的には俺は犯されてる側だから正しい表現なのか。ややこしい。

 が、がっつき過ぎで歯が当たってる。

 キスに集中し過ぎているのか、歯が当たってる事に気付いてないんだろうか。

 

「ん、ぁ……センセ、歯が当たってちょっと痛い」

「あ、すす、すまないっ」

 

 少し距離を取って苦言を呈すと、慌てた先生がホッとした表情を浮かべた。

 いやいや、何をそんなに安心してるんだろうか。少しは技術向上でもしてみなさいや! まぁ、その相手がいなかったんだろうから口には出さないし、これから巧くなれば良いんですよ。

 

「な、なぁ……胸……触っても良いか?」

「えぇ、良いですよ」

 

 息遣いが荒くなってきた先生は、俺の胸が見たいという。

 別に減るもんじゃないし別に良いとして、ここは奮発して色気の感じさせる脱ぎ方でもしてみようか。……この世界的にはどういう感じに脱げばいいのかわからないけど、ゆっくり焦らしながら脱げば良いのだろうか。

 

「ん……ふぅ……」

「……ゴクッ」

 

 ゆっくり、ゆっくり制服を脱いでいく。

 中のワイシャツも一つ一つのボタンを外していく様を魅せ付ける。

 結果は先生の喉が鳴ったのが聞こえたので好印象だろう。

 

「っ……もう、たまらん!」

「ぅわ!」

 

 いきなりがっつかれた。

 さっきからそうだが、金本先生は我慢しようとするけど耐えられなくてそのまま爆発してる。見た目は冷静そうで、その実中身は妄想力が高い女子なのかもしれない。眼の下の隈も、実は常日頃からの性格が如実に現れているのかもしれない。

 いきなり飛び掛かってきた先生は、しかし壊れものを扱う様な手つきで撫でまわしてくる。痛くはないが、さわさわとした触り方が妙にくすぐったい。

 

 が、抵抗せずにその行為を受けて入れていると、より息遣いが荒くなった先生の顔がどんどん近づいてくる。キスか? と思いきや、下に下に顔が寄っていく。なんだと思いつつ様子を見ていると、そのまま乳首に吸い付いたのだった。

 

「ふっ!?」

「ん、ふぅ……じゅるっ、れろ」

 

 俺としては男性が女性にというのが一般的な考えだったから、これは非常にカルチャーショックだった。いや、一部そういったプレイがあることは知っているが、ここまで積極的になって舐めてくる女性がいるとは……この世界様々である。

 しかし、妙に気持ちよさを感じる。

 自分の乳首がまるで性感帯になったかのように。

 ……もとはと言えばこの体。この世界の俺の体なのだから、そのあたりが違っていても可笑しくない。女性にとって性感帯であるように、男性としての性感帯が増えたのだろうか。

 

「れるれる……ん、おい、しいなぁ……」

「ホント、先生って変態っ、だね」

「んふ……立川君の方が変態だぞ? れろ……こんな、女に体を許すなんてな」

「でも、くぅ……その方が、燃えるでしょ?」

「くふふ! ホント、君は凄い性欲をしているよ。おかげで、こんなにも良い思いができるんだからな!」

 

 両腕を背中に回してきて、離さないと言わんばかりに力を込めてきた。

 そのままでも構わないんだが、いつ本番をするんだろうか。さすがにここで長時間、事に及ばれると母親が心配して大変なことになってしまう。

 

「センセ……」

「ん? んぅっ!?」

 

 先生の頭を両手で包み込み、持ち上げて強引にキス。

 さっきは先生に攻められるようなディープキスをされたが、今度はこっちから唇を割るように舌をねじ込み口の中を(ねぶ)っていく。しかしながら先生もさるものながら、しっかりと舌同士を絡めてきた。

 ねちゅ、んちゅと、舌が組み合う音が室内を木霊する。

 さっきのたどたどしかった舌遣いはなんのその。童貞を拗らせた玄人童貞のようなテクを魅せつけてくれる先生。が、一日長短は俺にある。セックスという言葉が男女ともに普通に認識にあった世界出身のものとして、キスで負けるわけにはいかない!

 

「ん……んぅ!?」

 

 激しく舌を動かすだけなく、先生の舌を吸ったり吸いだした舌をピストン運動することで、優しいながらも波のあるキスで口の中を刺激していく。

 次第と先生の目がトロンとしてきて、抱きしめる力も大分弱まってきた。

 右手は先生の後頭部に。左手でスカートの中に手を突っ込むと、ぷっくりと膨らんだ土手の感触とともに、ピトッと人差し指とくっつく感覚。布が完全に浸水しきっていた。

 

「あ、あぁ……」

「センセ、ここが弱いのぉ?」

「あ、あ、あ! だ、ダメ、だ! ひ、そこはぁぁ」

 

 舌を突き出した状態で喘ぎ、頬は完全に赤く染まりきっていた。

 マンコに張り付いてしまっていたパンツを上に引っ張り、左右に揺らす。それだけでがくがくと膝を震わせて快感を感じている様を見て、俺の息子は完全に臨戦態勢になっていた。

 一度先生から手を離し、ガチャガチャとベルトを外す。

 焦点の合わない瞳で呆然としていた先生だったが、曝け出された怒張を目の前に、息を飲む音が聞こえてきた。初々しい反応と息子に注がれる視線が、興奮を促進する。

 

「お、おっ……きぃ……」

「これが、先生のおマンコの中をかき回すんですよ? 全部、先生の膣内に入るかなぁ」

「ひゃ、っん! っんぁ!」

 

 耳元でそう囁くと、くいくいと上げていたパンツの隙間から透明な液体がプシャッと噴き出たのだった。先生の体が震えるたびに漏れ出てくる液体が床を汚していく。

 立っているのも辛そうに思えるがしかし、その表情は完全に快楽に身を委ねているような。そんな本能を感じさせる顔を曝け出していた。

 

「も、ほ、ほしい……」

「何が欲しいんですか?」

「た、立川……お前の、ぺ、ペニスが欲しいんだ!」

「そんなに欲しいなら、すぐに挿入れます、よっ!」

「ああっ!?」

 

 愛液でベタベタになっていた割れ目にペニスを添え、一気にヴァギナを貫いた。

 さすがに処女膜を破った感覚は無い。自分で破ったのか男を買ったのか気になるところだったが、野暮ったい話は聞かないでおこう。

 

 ――それにしても先生の膣内、よく濡れているのにキッツい。

 これでもかと言わんばかりにキュウキュウとペニスを締め付けて離そうとしない。少しでも油断したらザーメンを吐き出してしまいそうだった。

 ペニスを通して伝わってくる刺激に耐えつつ、先生の表情を盗み見る。

 ……元の世界で言うアヘ顔になっていた。童貞を拗らせ、いざ本番になったら我慢できなくなってしまった感じの表情だ。俺も、少し油断したらこんな表情を晒してしまう事になるのかと戦慄しながらも声をかける。

 

「ダメですよ先生……まだ校内に誰か残ってるかもしれないんですから。そんなに大きな声を出したら誰か来ちゃうかもしれませんよ?」

「ひ――……っ!! ぁ……んぁ……!!」

 

 全く動いていないが、それでも先生はかなりの快感が得られているみたいだった。

 焦点のあってなかった目は白目になりかけており、それだけの気持ちよさを物語っていた。が、今先生の体を支えているのは俺。つまり、この状態のまま気絶でもされたら先生が危ない。

 という事で、先生の体を無理矢理動かして体勢を変える。

 先生に無理ないように、上半身をソファに。下半身は、申し訳ないが膝を床につけてもらってのバックの体勢。

 戸惑いが強いであろう先生は「え? え?」と疑問の声を上げているが無視。少々不格好だがこのまま後ろから突きまくる!

 

「ふ、ふ、ふ!」

「あっ! ん”っ! んぁぁっ!? こ、こんな、はげしっ!」

 

 遠慮なくガンガン後ろから突いていく。

 少しでも気を抜くと射精をしてしまうが故の強気攻め。最初からラストスパートと言わんばかりにピストン運動を繰り返した。テクニックも何もない、ただひたすら強く腰を打ち付けるだけの単調なストロークだったが。

 

「ひ、ひぃっ、いっ! あ”っ、だめ、おあっ!? ひ、きも、ひぃっ!!」

「くっ……! そろそろ、出そうっ……!」

「あ、あっ……出して、膣内に! 出してくれっ!!」

 

 ギュッとソファを握りしめ、顔を埋めてしまった先生は、そう叫んだ。

 すでに彼女の中に、ここが校舎の中の一区域であることは無いようだった。

 感じるがままに声を荒げてしまっている。時間帯が放課後ってのが一番の救いだ。

 

 ――ただ、今の俺にはそんな事をただの少しも思い浮かべることができなかった。

 どれぐらいの時間が経ったのか。1分か、まだ1秒なのか。それとももっと秒針は進んでいたのか。

 女性に包まれているペニスから伝わってくる感覚。自分の掌からは決して得られることのない快楽には、たった2日間という短い期間で俺を性の虜にしていた。

 ただでさえ今の俺の体は高校生になったばかりの若い肉体だというのに、この世界はセックスがしたくてたまらない女性ばかりで溢れてる。正直、俺の体がもつかどうかわからない。

 普通だったら自意識過剰と捉えられても可笑しくないんだが、この世界では俺の考えは逆の意味で可笑しいのだろう。しかし、俺は可笑しくない……逆に、俺はこの世界を救う唯一の男性であることを自負したい!

 ……さすがにそれはないか。

 

「くっ……出る……っ!」

 

 ――ビュルッ!! ビュルル、ビュル……

 

「あっ……!? あっつぅぅ……!!」

 

 頭の天辺から感じ始めた絶頂感に身を委ねるようにして腰を最大限突き出し、精を吐き出した。

 自分の全力を超える様な感覚とともに、子宮に叩きつけられた亀頭から白い粘液が射出された。

 勢いよく飛び出ていく精液は確実に子宮の入り口を叩きつけていく。

 びくっびくと膣内で跳ねながら精を吐き出していくペニス。その度に体全身が震え、先生の子宮口に容赦なく打ち付けられていく精液。

 

「ふ……ふぅ……」

「あ、あ……っはぁ……」

 

 茜ちゃんとは生でやったけれども、ここまで膣内の感触が違ってくるとは思ってもなかった。全身から湧き出てくるような疲労感に、すべてを出し切った瞬間に倒れ込んでしまった。

 互いに荒い息を吐く。身体中から溢れ出てくる疲労感に、大きく息を吐いた。

 二度ほど大きく脈動し精液を打ち出したペニスは、役目を終えたと言わんばかりに少し小さくなり、ヴァギナの割れ目からペニスが吐き出された。

 

 ……自分でも少し変わってると思うのだが、中出しした精液が割れ目からあふれ出てくるこの様に凄く興奮した記憶がある。それも、小学生の時に兄貴が隠し持っていた中出しビデオを見たときからこういう性癖になってしまったのかもしれないが、何にせよ、俺にはそういう好みがあったのだ。

 牧野先生の時はゴムを付けてたし、茜ちゃんの時はチャイムが鳴ってそれどころじゃなかった。

 つまり、今先生のヴァギナから抜け出てしまったペニスの後から溢れ出てきた精液に、俺は凄く興奮した。

 

「は……は……き、君は、すごい……変態だな」

「えぇ……僕も、自分でそう思います」

 

 言うなり、すぐに怒張したペニスを先生の膣に突き刺した。

 獣のように喘ぐ先生を無視し、そんな風に例える俺もまた獣のように腰を振り出すのだった。

 

 

 

 ――結局俺は、息子の怒張と精力が収まるまで腰を振り続け、先生の頬を叩いて起こすという荒業をすることになってしまったのだった。



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3日目
第14話☆


 ついセックスをしてしまったと言うか。

 そもそも、あんな状況下において金本先生を強引にでも言いくるめるにはそれしかなかったというのもある。結果、3回も射精してしまった俺が言う言葉でもないんだが、結局のところそういうことだ。

 牧野先生の身を講じた上で金本先生とも関係を持った。

 事実、俺はそういう事をしたし、先生もセックスをしてしまったのだから同じ穴の(むじな)になる。そこを利用した形になるのだが、これではっきりした。この世界の女性は、俺が思っている以上に性に対して開放的で積極的だ。

 最後の最後で日本人らしいためらいをしてくるが、そんなものは紙の防壁。すぐに本能が勝って自ら要求してくるんだから嬉しいものである。

 ──ちなみに、金本先生との情事を終えた後に握らされた紙切れは3枚。3万円だった。

 いくら俺が1万円で良いです。と言っても嬉しそうな表情で3万円を握らせようとしてくるのだから、すぐに俺が折れてしまった。

 俺も俺で嬉しかったから良いんだが、名実ともに金本先生が男根の魅力に負けてしまった瞬間だなと思い浮かべた瞬間、『絶対チンコなんかに負けないんだから!』というフレーズが湧いて出てきた俺は悪くない。

 ……はずである。

 

 唯一気にかかっているのは、思っている以上に母親に心配されている。という事である。

 

「な、何も無かったんだよね……?」

 

 なんて、不安そうに上目遣いなんてしてくるものだから困り物だ。

 何が困るかって、そりゃぁこの世界で俺が知っている中で唯一の肉親だからだ。

 この世界ではまだ3日目になる俺。俺という存在に気付いているかどうかは不明だが、俺の記憶の中にある母親と変わらない対応をしてくれる母親には頭が上がらないのだ。

 基本、少しでも性格に変化があれば『おかしいんじゃないか?』と疑うだろうし、あからさまにおかしくなっていれば言及されていたこと間違いなしだと考えていた。

 が、そんな俺の浅ましい考えを切って捨ててくれたのが自身の母親なのだから感謝するしかなかったのだ。

 

 

 

 ──で、3日目。

 いつものように母親に学校まで送ってもらい。

 校門の近くに立っていた牧野先生に挨拶をし、校舎の中でちょっと不可解な動きをしていた金本先生にも挨拶をしておいた。

 逆に怪しくなっていることに、金本先生は気付いているんだろうか?

 

 と、ちょっとした疑問を覚えながらも通常授業をこなしていく。

 3日目ではあるものの、クラスメートからは熱のこもった視線をよこされる。唯一の男子クラスメートに至っては、女子たちから俺を守るように休憩時間に話しかけてくるのだった。

 俺的にはそこまで気にしてないんだが、端から見たら異常なまでに俺に視線をよこしているらしかった。

 つまり、俺自身にしても、変に視線を動かして原因を探っているとそういう事案に至ってしまうかもしれないということだけ心の奥に留めて置こうと思う。

 

 で、またしても3時限目と4時限目の間の休憩時間。

 

 ──チュ、チュパ……ヂュルルル。

 

「んっ! ほんと、上手になったね」

「ふぁ……い、いや、まぁ、お前に喜んでもらうために、な」

 

 屋上にて茜ちゃんと一緒に時間を過ごしていた。

 まだ出会って二日目であるものの、たどたどしかった茜ちゃんのフェラが二日目にしてかなりの上達ぶりを見せていた。それだけ性に対する熱が感じられるというか、本当に好きなんだなと思ってしまう。

 ……いや、彼女たちからすれば、俺みたいな奴の方がよっぽど好きものなんだなと思っているに違いない。

 

 茜ちゃんの舌が裏スジを刺激する。

 ヌルリとペニスを這っていく舌の動きに、ペニスが脈動する。

 ――勃起し始めたのは3時限目の最中だった。退屈な授業で居眠りしそうになったところを先生に指摘され、問題を答えるようにと前に出された瞬間背中に感じた視線。いついかなる時でも男子に注目しようとする気概だけは認めよう。

 で、難なく問題を解いて先生が光悦とした表情を浮かべたのには納得できんかった。

 そこは悔しそうな表情で生意気な生徒を見つめないと。ってのは漫画の読み過ぎだろうか。

 

 で、眠気と戦いながら過ごしていた3時限目。

 そろそろ授業が終わるという所で勃起し始めてしまったのだ。

 何とか鎮めようとしたものの、意識をすればするほどビンビンと硬くなっていってしまう息子。逆に目が覚め、授業に集中しようとするものの、ここ数日間で交わった3人の女性たちが思い浮かんでは消えていくというスパイラル。

 息子の滾りは留まるところを知らず。授業が終わっても勃起をし続けていたペニスを隠すように制服のベルトで抑え、屋上までやってきたのだった。

 

 で、思った通り屋上に一人黄昏ていた茜ちゃんを発見し、今に至ると。

 少しであっても戸惑いを見せる茜ちゃんが可愛くて、どうしてもいじめたくなってしまう。

 という事で、チュッジュルといやらしく音を立てながらペニスに吸い付く茜ちゃんの

頭を撫でつつ、その姿を楽しんでいた。

 ……いくら高校生だとしても、俺ってここまで性欲強かっただろうかと疑問に思う。

 茜ちゃんもそうだが、牧野先生に金本先生。いずれも美女美少女。息子が勃起するぐらいに綺麗だと思う女性が多いのは確かなんだが。それにしたってここ最近、毎日セックスをしているし、その頻度も結構なものになっている。

 

「あ……そろそろ、出そう……!」

「ん、ふぅ……良いよ……出して」

 

 両手を茜ちゃんの頭に優しく添え、射精。

 大きく1度。その後に小さく2回、3回とペニスが揺れ、精子を吐き出してく。

 コク、コクと喉を鳴らして飲み干していく茜ちゃんの姿に、劣情を抱いてしまい、小さくなりかけたペニスは大きいまま。頬を赤らめ、ペニスを見つめる茜ちゃんの両頬に手を添え、唇を落とした。

 精液を飲み込んだ茜ちゃんの口の中はまだ少し青臭かったが、何も気にせず舌を絡める。唾液が交わる水音が屋上に響き渡る。

 目がトロンとし始めた茜ちゃんの頬から右手を下ろし、スカートの中に滑り込ませる。触れた瞬間にピトッと張り付いてきた布地。ヴァギナから溢れ出た嬉し汁で濡れそぼっていたそれを横にずらし、テクニックも何もなく指を入れた。

 

「はぅ! ん……あ……」

 

 するっと滑り込んだ指を上下に動かし、茜ちゃんの弱い所を探っていく。

 不規則にぬめりとした凹凸(おうとつ)を刺激していく。少しして、他の箇所とは違う出っ張りのような箇所を見つけた。それは周りの凸凹(でこぼこ)と違ってつるつるとした感触をしていた。

 

「ひっ!? はぁっ、んぁっ! あ、あ、あぁぁ!」

「ん? ここが良いの?」

「ひぃの、そこ、すごぃぃ……!」

 

 中指の腹でちょっと擦っただけで過敏に反応を見せてくれる茜ちゃんの様子が可愛らしくて、ついつい過剰にいじってしまう。

 指の動きを激しく、Gスポットらしき箇所をコスコスと擦っていく。

 全身を激しく震わせる茜ちゃんを左手で抱き寄せ、ディープキス。半開きになっていた唇に舌を捻じ込み、口の中を蹂躙する。

 荒々しく舌を動かし、唾液を交換する。端から溢れた体液が制服を汚していく。

 

 さて、そろそろ本番に移ろうとしているところ。

 スカートをたくし上げ、茜ちゃんと見詰め合って軽くキスを落とした。

 茜ちゃんの足を開いて体を滑り込ませ、さて挿入をしようとペニスに手を添え、先走りでヌメっている鈴口を割れ目に擦り付けたとき、屋上のドアが開く音がしたのだった。

 

「ちょ、ちょっと! 何をしていますの!」

 

 ドアが開いた先に立っていたのは、クラスメートのお嬢様。西園寺さんだった。

 一応、授業中なのになんでとか思わないでもないんだが。

 そんな疑問を抱く西園寺さんはドアを開け放った状態で固まり、顔全体を紅く染め、俺たちの痴態を見つめていた。ちなみに、両目を大きく開いていた。

 

「……何って、見てわからない? セックスだよ」

「セッセセ!? な、なんてはしたないんですか!?」

 

 と、言いつつ胸を曝け出している茜ちゃんと勃起している丸出しの俺のペニスを直視したままだった。

 少し無言の状態が続いたものの、一切動こうとしない西園寺さん。

 今なら先生に言いに行くなり止めに来るなり、何らかの行動をとると思うんだが……それをしないという事は?

 

「西園寺さんも混ざりたいの?」

「なっ!? なな、にゃにを仰ってますの!? わわ、私がそんな事できるわけないじゃないですか!」

「なんで?」

「えぇ!?」

「だって、男と女だよ? セックスしようって誘われてるのに、西園寺さんはお誘いを受けてくれないの?」

「うっ」

 

 この世界の男女の観念を逆手に取った言葉。

 貴様は据え膳を食わないのか? と、上から目線で突っかかる。

 顔を真っ赤っかに染めたまま何も話し出そうとしない西園寺さんの返答を待ってる間、俺は茜ちゃんにキスを落としたのだった。



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第15話★

 西園寺雅は逡巡していた。

 

 目の前で痴態を繰り広げている男子。クラスメートの立川保志は、この学校一の美男子であることに間違いなく、最近の女性に対する姿勢から私にもチャンスがあるんじゃないかと思慮を巡らせていた。

 なのに、これである。

 痴態どころか、これからセックスをしようとしていた。相手は屋上で授業をサボっている2年生。噂の不良だった。

 なのに、立川君は先輩の上に覆いかぶさるようにしてペニスを挿入しようとしていた。これから男女の営みを致そうとしている瞬間だった。今この時、場所と時間とシチュエーションが違えば場違いなのは私の方だった。

 

 が、今ここは授業中の学校の屋上である。

 それなのにこの二人は何も気にしてないとばかりにセックスをしようとしていた。いや、行為そのものを考えればセックスをしていたのだろう。

 

(ずるい……)

 

 嫉妬。

 そんな感情が腹の奥から湧き上がってきていた。

 が、事実私は立川君とそんな関係にない事は確かだった。なのに、あの女は立川君とセックスをする関係まで持ち込むことができたのかと。醜い嫉妬であることは自分自身理解しているが、それを抑えられるだけ大人になりきっていないのもまた然りだった。

 

 だからこそ、西園寺雅は逡巡した。

 

 何故、目の前の女性と今まさに繋がって一つになろうとしているときに『混ざりたいの?』と誘ってくるんだろうか。これがもし、立川君一人でホテルかどこかに行こうか? なんてお誘いだったら迷うことなく壊れた玩具のように首を縦に振っていただろう。

 何だったら立川君の上で腰を上下に振っても良い。

 曝け出しているペニスを今にでも口に頬張ってみたいという欲望が、喉を鳴らした。

 

「なんだ……混ざらないんだったらそこで見てて」

「……え?」

「――んあぁっ!!」

 

 直立した肉棒の全部が見えなくなってしまった。

 不良女に屹立したペニスが付きたてられたのだろう。本当に目の前でセックスをしてしまうとは。いや……男子が進んで女子にペニスを挿入したという事実が目の前で起こり得ている現実が恨めしい。

 何故あそこで飛び込まなかったのだろう?

 何故すぐに立ち去って先生を呼びに行かなかったのだろう?

 

 ……いや、そもそも立川君が呼び出されてセックスすることを強要されていると思っていたのだが、目の前でよがりくねっている女の表情は完全に雌の表情をしていた。

 そして、そんな表情を晒させている男の表情は、ゾッとするぐらいの笑みを浮かべていた。その笑みを見ていると、背中に氷を落とされたようにゾクゾクとする。

 鳥肌が立った左腕を右手で抑える。

 

「あ、ひっ! っ……あぁっ!?」

「昨日より感じてる? もしかして、見られて感じてるの? 茜ちゃんはエッチだなぁ」

「お、お前っがぁ! い、ひぃっ! いきなり、イれるからっ! だろっ!!」

「ん、ふっ……何言ってるか分からないなぁ」

「いやぁっ! は、げしぃ!!」

 

 粘り気の含んだ水音と肌を打ち付け合う音が屋上に木霊する。

 パンパンに膨れたペニスがヴァギナの割れ目に出たり入ったり。愛液で濡れたくった逸物から目が離せない。

 

「あ……」

 

 自然と下腹部まで降りていった手が、自身を(いじ)り出していた。

 下着の上からでもわかるぐらいに湿り気を感じる。ニュチュと、下着がずれる感触がヴァギナから感じられた。

 マンコから垂れ出てくる汁を押し込めるように指を突き刺す。

 

「ん……ふっ……あ」

「あ! イク! いっちゃうっ!」

「いつでもイッて良いんだよ、何回でもイッて良いからね!」

 

 嬉しそうに涙を流している彼女は、両足を立川君の腰で絡ませた。

 男子にしたい体勢の一つ。大好きホールドを目の前でされ、何故こんなにも悔しい想いをしなければいけないのか! 悔しくて悔しくて、でも生々しい性事情から目を離せない。

 今まで見たAVの何より興奮する。

 左手で胸を(まさぐ)り、右手で膣内をかき回す。

 ――挿入れて欲しい。自分の指なんか目じゃない太さで彼女の膣をかき回しているペニスで、私の事を乱れさせて欲しい。

 まさかこんなにもはしたない男性だとは思いもしなかったが、この体の火照りを収めてくれるのであれば何も言うことは無い。

 

「あ、あ、あっ! イク、イクイクッ!」

「俺も、出るよ……! 膣内に出すよっ!?」

「あぁ……っ! 出して、出してぇ……!」

「ぇ……?」

 

 膣内出し……!?

 男性が一番忌避してやまないと言われている中出しを自分から進んで!?

 

「出るっ……!」

「イクゥゥ! あ、あぁ……アツいぃ……膣内が、たくさん……」

 

 腰を浮かせて仰け反っている彼女から、どれだけの快感を感じていたのかが想像できない。喉がゴクリと鳴る。

 それから数秒、射精を終えたであろう肉棒を膣から抜いた。愛液と精液とが混ざり合った白濁液が先端から膣まで伝っている。

 コポリと、少女の割れ目から泡立った精液がこぼれ落ちた。

 

「ねぇ、西園寺さん」

「ひゃ、ひゃいっ!?」

「何、してたのかなぁ?」

「な、何って……」

 

 はたと、自分の今の状態を鑑みる。

 セックスを見ながらオナニーをしている図。

 完全に変態でした、ありがとうございます。

 

「何って、自慰をしてたんです! 貴方たちがセックスしてるのを見ながらオナニーをしてたんですけど!?」

「うわ、まさかの逆ギレだよ」

「行けないんですか!? そもそも、私の事を誘ったのは貴方じゃないですか!」

「そうだけどさぁ……」

 

 はぁと、短く溜息を吐いた目の前の男性を一発殴っても、今だったら許される様な気がする。が、良いだけ濡れていた右手は自分の体液で汚れていた。

 

「……結構、煽情的な恰好だよね」

「はい? ……っ」

 

 ふと視線を落として、ソレを見てしまった。

 直前に精液を吐き出したばかりのペニスは小さくなることなくぐんぐんと上を向いていき、逆にさっきよりも大きくなっているんじゃないかと錯覚するほどに屹立していた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!? 今したばかりなのに、なんでもう勃起してるんですか!」

「なんでって……西園寺さんがエロいかっこしてるからに決まってるじゃん」

「んなっ!?」

 

 ボッと顔が赤くなっているのを自覚する。

 目の前でペニスが勃起している様を見て、否定する言葉が一切出てこなかった。それもまた、一層恥ずかしくなる要因だった。

 びくびくと震える肉棒に、どうしても視線が吸い寄せられる。

 

「ねぇ……本当はしたいんでしょ?」

「な、何を……」

「だってねぇ。したくなかったら、西園寺さんが言ったようにオナニーなんかしないだろうし」

「うぐっ」

「だから、ね?」

 

 何がだからなのだろうか。

 恥ずかしさと嬉しさと、さっきまで抱いていた嫉妬の感情が入り乱れ、視界がぐるぐるしてしまう。

 

「ん……」

「んぅっ!?」

 

 何かが唇に、ってか立川君の顔が近い!?

 今、私は……立川君とキスをしてる!?

 

「ん、ふ……ちゅ」

「ふぁ!? ん、じゅ、ぁ……ん!」

 

 ペロリと唇を舌で舐められ、驚いて声を上げてしまったところに舌が入り込んできた。立川君の舌が、強引に私の口の中をかき回す。まるで口の中を犯されているような感覚に、股を液体が垂れていくのを感じた。

 ジュルりと唾液を吸い取られたかと思うと、今度は彼の唾液を流し込まれる。

 無理矢理飲み込ませられた唾液は、とても甘く感じられ、飲み込んですぐお腹の奥から熱くなっていくような感覚に陥った。マンコがじんじんと熱くなる。触らなくても、自分の目で見なくてもだらだらとだらしなく液体を垂らしている事だろう。

 

 そこから彼は全身をくまなく撫で始めた。

 両手で顔を包み込むようにしたかと思えば胸を揉みしだき、制服の中に手を差し込んで直に肌を撫で、先端でぷっくりと張り出した乳首をつまみ、弾き、チューイングをするように捻った。

 キスで塞がれた口からは、声にならない音だけが漏れていた。

 

「ん、んっ! ひゃ、ひゃえ! んふぅぅぅ!!」

 

 今まで何度となく繰り返してきたオナニーとは天と地の差がある快感。

 抗いようのない幸福感に包まれ、立川君の肩を抱くので精一杯だった。

 もう、全身が性感帯になったよう。まさしく体全体がヴァギナにすり替えられたように痺れ、全身に快感が行き渡る。その度に体が震え、喘ぎ声が喉を通っていく。

 自分でも出したことのない、聞いたことのない声が出ていくのを聞いて、本当に彼の楽器にされてしまったようだった。

 

「んぁあっ! んひ、ひぃっ、らめぇ……」

「ん、っと……危ないよ? もう立ってられないの?」

 

 がくがくと震える膝がついに陥落した。

 彼の言うように、もう立ってられうだけの力がない。あまりの快感に、宙をふわふわと浮いているような、朦朧とする意識の中、ボーっと彼の顔を見つめていた。

 

「もう、だらしない顔になってるよ?」

 

 優しく抱きしめられ、ゆっくりと横に寝かされた。

 硬いアスファルトの感覚が堪えるが、起き上がれない。もう、このままここで寝てしまいたかった。今が授業中である事なんて、どうでも良くなっていた。

 

「さすがに挿入れるのはマズイよね……ね、西園寺さん」

「……はい?」

「これ、舐めて」

「え……?」

 

 ツンと鼻につく雄の臭いに、少し意識が覚醒する。

 ――目の前に、ペニスがあった。それも、ヌラヌラと汚れている生々しさを携えた男性器が。

 

「あぁあぁ……口開いてるよ? そんなに舐めたいんだったら、舐めさせてあげるね」

「んぶっ!?」

 

 自然と口が開いていたらしい。

 そこに、ペニスを入れられた。

 

「んぶ、んぶっ、んぐ……」

「あ……んっ、マンコも気持ちいけど、西園寺さんの口の中、あったかくて気持ち良いよ……!」

「ん、んぐっ」

 

 気持ち良い。

 その言葉が嬉しかった。

 口の中に入りきらないペニスを強引に突きたてられたが、ただただペニスを味わっていた。できるだけ歯を立てないようにして、肉棒に舌を這わせて汚れを舐めとっていく。

 キャンディを転がすように男性器を舐り、味わう。

 この行為だけで、何回か軽く果ててしまった。まさしく、今私は口をヴァギナに見立てられて犯されていた。

 

「んっ! んんっ!! っ……~~!!」

「あは! 何、西園寺さん、もしかして今逝っちゃったの? イラマチオされてイくなんて、とんだ変態だなぁっ!!」

「んぐっ! ん、んぶぅぅ!?」

 

 口を犯され、言葉で責められ。

 プシャ、プシャと潮を吹きだしてしまった。

 あ、嗚呼、あああぁぁ……気持ちいい、気持ちイイ、あ、あぁ……

 

「も、出る……! いくよ、口の中に出しちゃうよ!」

「ん、んぶ、んぶぅ……!」

「あ、あ、あっ! あ! イく、出るぅ!!」

「んぶぅぅぅぅぅっ!!?」

 

 ドクッドク、ドク……ビュルル……ビュル……

 

「ふぅ……ふぅ…………あぁぁぁ、出たぁ……結構出た感じするけど、西園寺さん、大丈夫?」

「……ん、ぁ……はぁ……」

 

 遠慮も何もなく飛び出てきた精液は、余すことなく口の中全体を汚していき。

 それでもなお出てくる白濁液が隙間から漏れ、垂れてしまった。粘り気の強い精液に四苦八苦したものの、ゆっくりと嚥下していくことで口の中の精液を飲み干すことができた。

 まるで同人誌の中の男性みたいな量だった。

 いや、もしかすると私が持ってる同人誌に登場する男性よりも量が多いかもしれない。それに、連続で射精できるなんて……ホント、エロ本のヒロインみたいな存在。

 

「うわ、飲んじゃったの? ……不味くなかったの?」

「……いえ。まったく。逆に、美味しいただきました」

「そ、そう?」

 

 口元を引きつらせる立川君を疑問に思うが、精液は美味しい(・・・・)のは常識じゃないかなと。

 

「――それにしても、こんなに好き勝手されるなんて、思いもしませんでした」

「あー……ゴメン。さすがに嫌だったよね」

「嫌ではないです! ただ、もっと強引に自分から行ってればよかったなとか、こんなにもだらしない姿を見せてしまう事になるとは思ってなかったというか」

「え?」

「何でもないです! ……ただ、これからどうやって教室に戻ろうかと考えていたところです」

 

 ベタベタになるまで汚れてしまった下着に、靴下まで垂れてしまった愛液。溢れ出た白濁液に染まった制服。

 ……これで教室に戻ったら皆に詰問されるどころか、一気に問題児扱いされてしまうに違いありません。

 私の母親は男ができたと喜ぶのか妬むのかわかりませんが。この学校から去るような事態は避けなければ。

 

 しかし……世の中にはこんな男性もいるんですねぇと、しみじみ思うのだった。



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第16話☆

気付いたらお気に入り件数が1000件を超えてました。
どうしたんだぜ?(白目)


「ん……はぁぁ……」

「あっ、ふぅん……」

 

 絶景かな絶景かな。

 女子二人を侍らせて授業をサボるなんてなんて良い環境なんだ。しかも、この女子二人ともセックス以外の交流は無いという。どんな人となりかも分からんのだが、まぁ良いか。

 一人は学級委員長と言わんばかりに真面目な女子生徒。

 もう一人は屋上で煙草でも吸っているんじゃないかと言わんばかりのヤンキー少女。

 対照的な少女をこうして一緒に3Pできるんだから本当に素敵な世界だ。

 白濁とした本気汁に精液、出し入れで泡立った愛液で汚れたペニスを差し出せば喜々として口に咥え、たどたどしい舌遣いでお掃除フェラをしてくれる。

 コポリと割れ目から溢れてきた白濁液を指に絡め、もう一人の口元に持っていくと、これまた同じように咥えてくれる。それはもう指がふやけるんじゃないかってレベルで舌を絡めてくる。

 偶に二人とキスをしながら女子二人のマンコを指で弄りつつ、何故西園寺さんがここに来たのか考えることにした。

 

 この世界ではまだ一度しか話したことのない人。

 別にこれと言って何かしたわけじゃないし、何かされていたわけでもない。まぁ、クラスメートだし、それなりの興味は抱かれていたのかもしれないが。……そういえば、テストがどうたらとか言っていたような。なら、普通に関心を持たれていたのだろうか。

 それなら普段から話かけてくれれば良いのに。

 ……それを智治が遮っていたのか。申し訳ない。

 

 結局4時限目をまたサボってしまったわけだが、特に先生から何か苦言を呈されることは無かった。しっかしこの世界の女性は性に対するハードルがかなり低い。逆に男性の性に対する壁が万里の長城よりも果てしない高さになっているが。

 何だってんだ。少し言葉責めしてみれば簡単に股を開く女子って。

 しかもそれがかなりの美少女ときたもんだ。

 

「そろそろ教室に戻らないとご飯食べられないよ?」

「……ふぁい」

 

 茜ちゃんはセックスをしてから時間が経ってたので問題なし。

 が、直前まで中出しセックスしていたせいか、反応が鈍い。お~いと目の前で手を振ってみても反応が無かった。が、無情にも時間だけは過ぎていく。このまま屋上に放置して体調を崩されても困るしなぁ。

 最低限の身なりを整えてやって、肩を貸すことに。

 

「大丈夫?」

「……も、そろそろ、大丈夫です」

 

 と言うわりには足に力が入ってない。

 結構な体重がかかってる。これは俺に体を預けてるという現状を楽しんでいるんじゃないだろうか? 少し前から西園寺さんの鼻息が荒くなっている。ハスハス聞こえてくるのは完全にそういう事だろう。

 

「……もう一人で歩けるよね? 俺の匂い嗅いでるぐらいだし」

「そ!? そそそんな事してませんわっ!」

「いや、すげぇ鼻息だったよ? で、良い匂いだった?」

「それはもうとても良い匂い……ハッ!?」

 

 チョロい。

 誘導尋問でも何でもないただの質問に簡単に答えてくれるなんて……頭のねじが緩いのかな? あたふたするのは別に構わないんだけど、もう離れてもらっても良いだろうか。

 

「そろそろ皆出てくると思うけど、このままで大丈夫?」

「えっ、な、何がですの?」

「この状態見られたら皆に噂されるよ」

「あ、そうですわよね……分かりました」

 

 物寂しそうに離れる西園寺さん。

 あれだけ大胆に体臭を嗅いでおいてまだ足りないと申すか。若干頬が赤くなっているのは、今までの行為を思い出しているのか。それとも単にこの状況を顧みているのか。

 周囲を見渡し、誰もいないことを確認してから西園寺さんに近づく。

 えっ、えっと戸惑っている彼女を無視。

 彼女の前髪を掻き揚げてやり、額にキスを落とす。軽く触れる程度だったが、熟れた林檎のように真っ赤っかに染まった西園寺さんの顔。

 セックスは大丈夫でキスはダメなのかと俺が戸惑ってしまう。

 

「ななななな……!」

「おーい……大丈夫、じゃないだろうなぁ」

 

 真っ赤な顔でプルプル震え固まってしまった西園寺さんを尻目に腕時計を一瞥。

 昼休みは残り25分を切ろうとしていた。そろそろ教室に戻って昼ご飯を食べないと、午後の授業に間に合わなくなってしまう。

 

「じゃ、俺は先に行ってるから、午後の授業に間に合うようにね」

「キス……おでこに、キス……」

 

 ぺたぺたとおでこを触っては空想世界に入り浸る彼女を置いてけぼりに自分の教室に。

 さすがに二日連続で授業をサボるという素行の悪さ故か、教室に戻った瞬間賑やかだった教室が静かになり、俺の事を見つめ始めた。全員が俺の事を見つめている。よせやい。そんなに見つめられたら穴が開いちまうだろ?

 

「まった君は! なんで、授業を、サボるんだ!」

「あー……昨日と理由は同じだが」

「そんな理由で授業サボったらダメでしょ! もう! どれだけ心配したと思ってるんだい!? 二日連続だよ!? ……もしかして、誰かに脅されて呼び出されてるとかじゃないだろうね?」

「あっはは! それは考え過ぎだよ。俺なんか呼び出すような奴はいないだろうよ」

「そうやって……君はルックスが良いんだから、もう少し自覚した方が良いと思うよ」

 

 まさか同性の智治に見た目で褒められることになるとは。

 まぁ、もしそんな展開になったとしても二人の先生が助けてくれるだろうから、何かあったらすぐ相談しよう。

 とりあえず飯でも食おうと弁当を取り出すと、一緒のタイミングで智治も自分の弁当箱を取り出していた。こいつ……まさか俺と飯を一緒に食べようと待っててくれたのか!?

 

「お、おい……もしかして、俺が戻ってくるの待ってたのか?」

「え? そうだよ。君が戻って来なかったらどうしようとは思ってたけどね」

「お、おぅ……」

 

 神だ……

 もしこいつが女子だったら放って置かない奴だ。

 今でさえこいつが女子じゃない現実を恨んでいるところだ。女子みたいな顔してるだろ? こいつ、これで男なんだぜ……?

 

 で、飯を食てる最中にようやく教室に戻ってきた西園寺さんは、俺を視界に収めるなりすぐ顔を真っ赤に染め、速足で自分の机から弁当箱を取り出して去って行ってしまった。

 ここ、君の教室なんだが。他のクラスに知り合いでもいるんだろうか?

 周りの女子達も不思議そうな表情で西園寺さんの事を見ていたが、それも少しの間だけ。すぐに飯を食っている俺たちに視線を向け、各々の表情を浮かべ始めた。

 チラとしか見てないが、俺たちが見ていないと思っているであろう女子はだらしなく笑みを浮かべていたりしている。何を考えているんですかねぇ……

 

 午後の授業は普通に受け、何事もなく時間だけが過ぎ去っていく。

 偶に俺が指名されて答えさせられるが、そういう時はたいてい暇で舟をこいでいるとき。が、問題自体は簡単なため、すぐに返答。正解。授業に集中してね? と、軽くお叱りを受けてまた夢の世界へと旅立ちそうになるという一連の流れ。

 安定してますわ。

 逆に、授業中俺をチラチラみていた西園寺さんが先生に当てられ、戸惑いつつも解答。が、間違ってしまうという珍事を犯してしまうもんだから笑ってしまった。

 それを見られて睨まれるものの、目と目があった瞬間、ボッと聞こえてきそうな勢いで顔を真っ赤にするもんだから困ったもんだ。そのうち、変に思う女子が出てくるかもしれない。

 ……セックスの事は黙っててもらえると助かるんだが。

 

 ――さて、今日一日の授業がすべて終了。

 明日から土日になり、この世界でも週休2日が取り入れられているため、高校の当然休日になる。社会人として働いていた時は休みなんて滅多になかったから嬉しいもんだ。

 周りの女子も女子で、明日何しよっかぁなんて話し合っている。

 ……俺は何をしようか? そもそも、友達と言えるのが智治ぐらい。地理は前の世界とほぼ変わらないとしても、女性が多いこの世界で男子がいける所はあるんだろうか?

 ま、まぁ……そのあたりは休みに考えることにしよう。

 前は暇な時間にスマホでソシャゲなんてやってたが、この世界だとまだガラケーだし。家庭用ゲーム機もまだまだ発展してないだろう。となると、俺の趣味がここで一つ減ってしまったわけだ。

 ここはいっその事、別の趣味でも探してみるか?

 凝った料理でもしてみるか。それとも、アウトドアでもしてみるか。運動……どっかにジムでもあったか?

 

「ふぅむ……」

「ん、どうしたの? いつにもまして悩んじゃって」

「休みの日何しようかなぁって」

「そうだねぇ……君なんか、勉強でもしてそうだけど。実際の所勉強してるのかい?」

「いや、あんまりしてないな。とりあえず、運動でもしようかな」

「ふ~ん……遅くまで外運動してたらダメだよ? ただでさえ危機感が無いんだから」

「おい。まるで俺が知らない人についていきそうな感じじゃないか」

「違うのかい?」

「違うわっ!」

 

 ホント、この二日で一気に智治からの信用が地に落ちてしまったようだ。

 俺自身、特に何か悪い事はしてないんだが。……でも、お金次第ではコロって行ってしまうかもしれない。出会い系……いや、そもそもガラケーだとそこまでサイトも発展してないのか?

 取りあえず、この世界初めての休日を楽しめれば良いか。

 

 ……しっかし、西園寺さんが何時まで経ってもチラ見を止めないんだが。

 昼の事を思い出しているんだろうが、特に何か言ってくるわけでもないからそのまま放置。しばらくの間、彼女からの接触は無いだろうが……様子を見ておこう。

 ま、来週月曜からも同じように屋上に行ったら来るかもしれないが。

 授業中生徒が二人いないとなるとさすがにどうしたとなるだろうから、控えめにするか。本当に休憩時間か放課後ぐらいしか時間が取れなくなってしまうなぁ。

 となると、その時間には先生も絡んでくるだろうし。

 

 ……来週からどうしようかな?



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休日
第17話


 さて土曜日だ。

 週休2日の恩恵を受けている高校生と言うのは非常に楽でいいものだ。

 が、逆に言ってしまえばそれだけの時間を与えられているということで。この時間に勉学に励もうが自堕落に過ごそうが、各人の自由ではあるものの、これからの将来を決めてしまう大切な時間でもある。

 ま、俺は昔この時間を有意義に使うことが出来なかったからこんな事になってるんだろうけれども。

 

 とまぁ、残念な俺の回顧録はどうでも良いとして。

 取りあえず今日の予定としては図書館に行こうかと思っている。それからCDショップ。ゲームなんかも見に行こうと計画している。

 と言うのも、この世界における歴史だけじゃなく、他の分野においても違いがあるかもしれないからだ。例えば戦国時代の武将たちは女性オンリーだったかもしれない。となると、逆に上杉謙信は男だった説になっているんじゃなかろうかという勝手な推測。

 男のロマン。なんて言葉も女のロマン、なんてことになってたし。

 スマホだったらすらすら調べられたかもしれないが、俺の手持ちにあるものと言えば昔懐かしのガラケーのみ。十分に満足できるだけ情報を収集できてない。

 で、ネットを使うのも良いかもしれないが……この辺の散策も兼ねて敢えて俺は図書館に行くことにしたのだった。

 

 出かけると言った瞬間に母親に全否定されると言う事案に計画が頓挫しかけたが、母親にキスをしてしまうという事故が発生。カチンコチンに固まってしまった母親の姿を見て、申し訳ないと思いつつもそのまま家を出てしまった。

 いやぁ……まさか母親とキスをしてしまうとは。

 マイマザーも恥ずかしすぎて顔を真っ赤にしていたし。そのまま唇に左中指を添えていたのはどういう意味合いを含んでいたんだろうか。意味が深すぎるのか浅すぎるのか判断に困るなぁ……

 

「さって、何があるかなっと」

 

 で、最終的には折れてくれた母親の運転のもと、図書館までやってきた俺氏です。歩いて行くと言っても聴かない母親のごねりを最小限にすべく、車で送ってもらう事に。

 

「え……っと、受付は」

「いらっしゃいませぇ」

 

 眼鏡をかけた知的美人が出迎えてくれた。

 ホント、この世界の女性は俺にとって綺麗な人しかいないから困る。

 男性の数が少ないから、本当に一つかみの女性しかピラミッドの頂点に立てないなんてルールがこの世界にはあるんだろうかと疑問に思ってしまう。

 

「こ、こんにちわ」

「はい、こんにちわ。今日は本を借りに来たのかなぁ?」

 

 服の上からでも分かるくらいに胸が大きい。

 少し揺れただけでオッパイがプルンと、プリンみたいに揺れるんじゃないかって思うほどの大きさ。両手で持ち上げるとかなりの重量を感じそうだが……服の中が凄く気になる。

 ゴクリと咽が鳴ってしまう。

 ついついの事に『あ』と思うも、目の前のお姉さんはニコニコと対応してくれるだけ。それが逆に、裏で何かエロい事を考えてるんじゃないかって妄想を激しくしてくれる。

 まぁ、そうなんだろうけど。

 

 ――思った通り、昔から女性が活躍し続けていたとの事。

 で、男性が一気に少なくなったのは世界大戦のときらしい。戦闘やら講和のための犠牲になった男性が多くいたらしい。そもそも世界的に見て男性の総数が少ないときにこういった出来事があったんだから日本としては溜まったものじゃないだろう。

 まぁ、それで今の日本があると考えると、その時の首相はかなり頑張ったんだろうが。

 

 ずっと本を読んでいると腹が減ってきたので時計を見ると、もう既に時間は昼になろうとしていた。3時間ぐらいぶっ通しで本を読んでいたのかと思うとアホらしく感じてしまうが、昼食分のお金は持ってきている。

 取りあえず、読み切れなかった分を借りて出ようと思い受付に行くと、そこには2人の女性が。さっきまで1人だったのに、何で増えたんだろうと思いつつも本を差し出す。

 

「はい、この本を借りるのね?」

「お願いします」

「はぁい、ちょっと待っててねぇ」

 

 受付にいるだけなのに視線を感じる。

 長い列になっているわけでもないのに俺に視線が集中している。この集中率は……いやまぁ俺が原因なんだろうが。取りあえず俺はカウンターの中でキーボードを叩いている女性の胸に集中していた。

 ここまで胸が大きい女性はこの世界で出会ったことが無いだけあって、ちょっと興奮している自分がいる。ホント、この世界に来てから性欲があり得ないぐらいに高くなっている。今だってズボンの内側で勃起しているペニスの亀頭が擦れて痛い。

 もう1人の女性はスラッとしているようだ。

 胸はそこまで大きくないようだが、キリッとした顔立ちがなんとも綺麗な女性。ホント、この世界の女性は年齢が全く分からない。……さすがに首筋やほうれい線が出てればそれなりに分かるが、一切そういうのが見えないからなぁ……

 

「はい、期間は1か月だから忘れないでね?」

「わかりました。ご丁寧にありがとうございます。あと、もしよかったこれ……」

「え? ……それじゃあ、またねぇ」

「はい」

 

 2人いるとは思ってなかったから1人しか渡さなかったが、あれはノートの切れ端に俺の携帯のメルアドを書いたものだ。俺の見た目が見た目だけでに半信半疑になるかなぁと思ったものの、それは家に帰ってからお楽しみ。

 取りあえず次はCDショップとゲームショップがある商店街に。

 考える間でもなくCDは女性がアーティストになっているんだろう。前の世界で有名だったグループも女性になっているかと思うと寂しい思いになるものだが、まぁ、しょうがない。

 で、ゲームはどうなっているんだ?

 女性が主人公で、ヒロインが男性みたいな構成になってるんだろうか。まぁ、RPGだとそうだろうなぁ。まさかこの世界にもBLみたいな要素は無いだろうが……あっても百合的要素か?

 とにかく、母親から渡された小遣いを使ってタクシーに乗り込むのだった。

 

 ……良い訳じゃないが、この世界の男性は通常タクシーを使うらしい。

 それも、男性が運転手をしている『男性専用タクシー』を。ちなみにこのタクシーには監視カメラや防犯ブザー云々が備わっているらしく、痴女対策はばっちりらしい。

 子供を心配する母親のニーズにできる限り答えた結果が現状らしいと、ドライバーが誇らしげに言っていたのは気にかかるところだが、お目当ての商店街に到着。降りようとしたところで『頑張れよ』と声を掛けられたのには顔を顰めてしまった。

 商店街に行くだけで何を頑張れと。

 

「いらっしゃいいらっしゃい! コロッケ美味しいからこっちにおいで!」

「はぁいお兄さん、ここでたこ焼き食べていかない?」

「お肉安いから寄ってよ! おまけつけるから、ね?」

 

 少し狭い商店街。

 昔ながらのお店が立ち並んでいる中に新しい店が出来ていくという形。

 その店の店員さんは基本女性。立ち寄ってるお客も基本女性。逆に男性の姿を探すのが難しい。そりゃあこの場においては唯一の男性にしか思えない俺に視線が集中するわけだ。

 中には綺麗な人もいるし、可愛い系の女性もいる。『おっかあ』と言っても過言じゃない人やベヒモスも存在する。残念ながらベヒモス、お前はダメだ。

 

「このコロッケ、美味しいね」

「お、男の子なのに珍しいね! これ、おまけにやるから食べてきな!」

「ありがと!」

 

 色んな人にちやほやされる。

 コロッケも一つしか買ってないのに2つもおまけをくれた。

 俺が退散した後には客が集中しているように見えたが……男性効果ってやつかな? 男の子なのにってのは何を意味してるんだろうか。まさか、コロッケみたいな油ものも食べないとでも言うのか?

 

「……君、1人かい?」

「はい? そうですね」

「なんでここに君みたいな子が1人で来ているんだい? 親御さんと一緒じゃないと危ないよ?」

「あ、はい」

 

 途中、交番に駐留している婦警に呼び止められ、お話をされてしまった。

 ピシッと着こなしている制服がなんとも……クールビューティなお姉さんに似合っていてなんとも可愛らしい。

 

「これからCDショップにでも行こうと思ってたんですけど……お姉さんみたいな人と一緒に行けたら良かったな」

「んなっ!? ……え、っとぉ……まぁ、その、私は勤務している身だし、警察だし、周囲の目もあるし」

「それじゃあ、お姉さんが休みの時にでも……」

「ふぁっ!?」

 

 驚いて固まってしまったお姉さんの手に、予め用意しておいたメルアドを書いた紙を握らせススッと退却。その足でそのままCDショップを散策し、ゲームも次いで確認。

 ……が、ほとんどの商品が女性アーティスト中心であり、男性が関与しているものは店頭に飾られていたものの、そのほとんどが完売状態。どんだけ男性に飢えているんだと。

 ゲームについては、基本的な内容については大差ないものの、主人公がほとんど女性。ヒロインが男性になっているものが9割9分を占めており、とてもじゃないが俺の食指は動かなかった。

 いやぁ……娯楽も制限されるとなると、本当にエロい方面でやっていくしかなくなるなぁと、改めて認識させられた土曜日だった。



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第18話☆

 用が済んだ後家に帰っている最中。

 家に帰るのもタクシーに乗り込んで帰宅。どんだけブルジョア感を出してるんだと前の俺だったら言いそうなところだが、タクシーで帰らないと母さんが途轍もなく心配するだろうから使っているのだ。

 ……そう言えば母さんって何か仕事してるんだろうか?

 前の世界では普通に親父が仕事をしてて専業主婦をしていたが、ここでは女性が働くのが一般的なはずだ。ならうちの母さんも何らかの仕事をしていてもおかしくない。まぁ、俺が結婚して外に出るまでの間は補助金が出てるから、あんまりキツイ仕事はしてないはずなんだが。

 

「ただいま」

「あ、お帰り!」

「お帰りなさいませ、保志様」

「あ、え? ……えっと、どちら様で?」

 

 母さんの隣には見知らぬ人が立っていた。

 初めて見るその人は、腰まで伸ばした綺麗な黒髪をなびかせ優雅な一礼をしてくれた。おっとりした表情で俺の事を見つめてくる。まさにメイド然とした雰囲気を醸していた。

 あー……察するに母さんが雇ったメイドなんだろうが、いきなり過ぎて何が何やら。

 

「じゃじゃーん! こちら、今日からヤス君のお世話をしてくれる南条あきらさんです! ヤス君と同じ学年だからもしかしたら知ってるかな?」

「え、いや。初めまして、かな?」

「はい。今日からよろしくお願いしますわ」

 

 え?

 ……えぇ?

 まさか同じ学年の女子。それも美少女と言っても過言じゃない子がメイドになるなんて聞いてないんですけど? これ、なんてエロゲ? と素で聞いてしまいそうになるが我慢。

 

「あきらさんは、一言で言ってセレブの人なんだけど、お料理ができて性格も良くて男性のお世話をすることが認められてるんだって! 最近ヤス君の帰りが遅いから心配だったけど、これでもう大丈夫だね!」

「あ、はぁ……なるほど」

 

 ここずっと先生に家まで送ってもらうなんて事をしてたしなぁ。

 母さんの泣き顔を見てしまったのがあるから、面と向かって嫌だという事も出来ない。多分、俺が嫌だと言えばメイドの件は断ってくれるんだろうけれど。

 ……てか、このあきらさんもセレブなのになんでメイドなんて事をしようと思ったんだろうか。男性と一緒にいられる時間が増えるからって理由なんだろうか。

 

「じゃあ、これからよろしくね。え、っと……なんて呼べば良いかな」

「あきら、と。呼び捨てで呼んでくださいませ」

「わかった、あきら。よろしく」

「……っ、はい。よろしくお願いします」

 

 手を差し出すと、おっかなびっくりと言った感じで握りしめてくれた。

 握手を交わすのは米国式に従って礼はしない。が、横でちょっと恨めしそうに手を睨み付けるのは止めてくれませんかねお母さま。

 向こうから呼んでくれと言われたから呼び捨てで呼んだが、まさかすぐにそう呼ばれるとは思ってなかったのか。それとも手を握ったせいなのかは分からないが、頬が赤く染まっている。

 

 それから夕飯までの間は一人、自室で過ごしていた。

 今日であってメルアドを渡した人から返事はあるかなと思い、携帯を開いてみたものの、今のところはまだ返事が来てなかった。まだ仕事中なのかな? と思いつつ、ベッドに横たわり、明日の事を考えていた。

 もし携帯に連絡が来てれば明日会っても良いかなと思っているし、それでなくてもあきらとの仲を深めるために一緒にいてもいいかなとも考えている。が……仲を深めるにしても家で、となるとなぁ……どうせだったらゲーム買ってきても良かったかもしれんなぁ。

 

「保志様、夕飯です」

「あ、今行きます!」

 

 同級生がメイドと言うのも中々にやり難い。

 つい敬語になってしまうが、別に敬語になる必要はない。と言うか、別にため口で無理難題を言っても良いんじゃない?

 

「ふふ……別にかしこまらなくても良いんですよ?」

「あ、うん。あー……慣れたら大丈夫だと思う」

「はい」

 

 はてさて、今日のご飯は……

 と、いつもとなんか感じが違う。中華がメインの食事なんて滅多にないんだが。麻婆豆腐に青椒肉絲、エビチリ等々。香り立つ匂いが食欲をそそり、高校男児だる俺の腹が唸り始めた。

 

「ふふ、今日は私が作りました。お口に合うか分かりませんが……」

「いただきます!」

「ふふふ……」

 

 山椒の香りが丁度良く感じられる麻婆豆腐。牛肉の味、そしてピーマンのシャキシャキ感が堪らない青椒肉絲。そしてエビのぷりぷり感が舌の上で弾けるエビチリの食感。

 どれもがご飯に合う最高のおかずだった。

 まさか高校一年生でここまでの料理を作ることができるなんて……嗚呼、料理ができる女の子は良いなぁ。

 

「……ふぅ、ご馳走様。美味しかったよ」

「はい、お粗末様です」

「むぅぅ……」

 

 ハムスターみたいに頬を膨らませて不機嫌ですって感じを醸している母さんなんて見えない。何をそんなに気を悪くしている事やら。自分で雇ったメイドなんだから、ここは料理が上手な事を喜ぶべきじゃなかろうか。

 あきらの後ろ姿をじっと見つめる。

 これから皿洗いをしようとしているあきらの後ろ姿は完全に一人のメイドだった。ロングの黒髪が腰あたりで揺れているのがまた何とも。こ、こんなに料理ができて容姿も可愛らしいとは……前の世界だったら引く手あまただろうに、もったいない。

 

「っと、それじゃあ部屋に戻るよ。ご馳走様」

「はぁい」

 

 それにしても結構食ったなぁ。

 ご飯も3杯くらい食べちゃったし、お腹が一杯できつい。もう少しすればお風呂だろうから、それまで少し横になっておこうかな……

 

 

 ――――――

 

 ――――

 

 ――

 

 

「ん……あ……」

 

 ……あ?

 なんか声が聞こえる。もう風呂だろか。

 ご飯を食べてすぐ横になると牛になるなんて言葉をよく聞くが、普通に食道が胃酸でやられてしまうから体に悪いよって話なんだろうと自己解釈している。

 それにしても、何故か下半身がもぞもぞする。まさか今日一回も抜いてないから夢精してしまったなんて恥ずかしい事になってないだろうな?

 

 ま、すぐ風呂だから大丈夫だろうけどと思いつつ、疑念を晴らそうと下半身に視線をやると、そこにはあきらの姿が。しかも、俺は下半身を曝け出していて、寝ている間に勃起してしまったのかさせられたのか、ビンビンと直立している逸物を口一杯に頬張っていた。

 あきらの可愛い顔は俺のペニスによって汚されている。

 亀頭を飴のようにレロレロと舐めしゃぶっているあきらの双眸はトロンと蕩けているようだった。

 

「え……っと、あきら? 何してるのかなぁ?」

「ん……ふぅ。何って、こんなにも逸物を膨らませて苦しそうにしているものでしたから、私の口でお慰めいたそうと思っていたんです」

「お慰めって……いや、まぁ……ね?」

 

 ま、まさかメイドとして初めてこの家に来たその日に、家主の息子のペニスをフェラするなんて大胆な行為に出るとは思っても無かった。さすがにここまでの事をするとは母さんも考えてないだろう。

 しかし、このお慰めってのは……どう考えても建前だろう。

 あからさまにトロンと蕩けている目で陰茎を見つめているんだ。単に俺が油断しているときにセックスしてしまおうなんて考えたんだろう。

 

「ん……良いですわ。なら、これでどうです?」

「これって、……え?」

 

 懐から取り出したのは高そうなサイフ。

 いきなりの事につい見続けてしまったが、チラと見えたサイフの中のお札の数が大変な事になっていた。と言うか、一瞬見えただけなのに札束と思えるぐらいに厚みのある中身ってどうなの!?

 そ、そんなサイフを取り出して何をしようと言うのだ……

 流れる様な動きで数枚の諭吉さんを取り出したかと思うと俺に突き出してきた。

 

「……で?」

「これで、手打ちにしていただけませんか? それか、もう少しお渡しすればもっと良い事をさせていただけますか……?」

 

 ペロリと上唇を舐めるあきらの官能的な雰囲気に思わず思考が止まってしまった。

 ……と言うか、下に母さんがいるんだからそんな事できるわけないだろう。と思いつつ、こんなにお金を貰えるんだったらしても良いかな、なんて邪な気持ちが芽生えてしまう。

 そう。別に母さんにばれさえしなければ家の中でセックスをしても良いんじゃないだろうかと。

 そう。あきらが声を出さないように頑張ってくれさえすれば今だってセックスできるんだ。

 そう。例えば、今メイド服を身にまとってペニスを頬張っている同い年の女の子を好きに犯す事だってできるんだから。

 ……誰も(はばか)る事無く家で中出しセックス。それ、何てエロゲ?

 

 あきらが差し出してきたお金の前に手を差し出す。

 嬉しそうに笑顔を浮かべるあきらだったが、俺が手を広げてお金を断る仕草をすると、今度は困ったように眉を顰めるのだった。そんな表情も愛おしいと思えるぐらいに可愛らしい女の子。それが、俺のチンコを舐めている。それだけでさらなる興奮を促してくれる。

 広げた手をそのままあきらの頬に当て、撫でる。

 びっくりしたように目を見開いた様子を見せたが、それも一瞬の事。すぐに嬉しそうに目を細めて掌に頬ずりをし始めた。

 

「あきらがお金を出すなんて、そんな事しなくて良いんだ。あんな美味しい料理も食べさせてもらったし」

「まぁ……嬉しいですわ」

「だから、好きにしてくれ」

「うふふ……! そんなことを言う男性は初めてです。こんなに嬉しい事はありません! これからよろしくお願いしますね?」

 

 上目遣いでそう言い、そのままペニスを頬張ったあきらはそのまま一気に喉奥まで飲み込んだのだった。そして前後に激しく頭を動かしつつ舌で亀頭をレロレロと舐め始めた。こ、これは俗に言うディープスロート! ま、まさか同い年の女の子がこんな激しいフェラをするなんて!

 初めて感じる喉の感触。それがすごく淫靡で、背徳感を感じさせた。

 

「あっ……あ、く、気持ち、良いよ……! もう、出ちゃいそうだっ……!」

「ん、ぶぅぅ、うむぅぅ、ん、ん、ん」

「あ、あ、あぁあ!」

 

 出そうだと言った瞬間に動きが激しくなった。

 カリが喉に引っかかるような感覚が亀頭を刺激し、より射精を促そうとしていた。ドンドンと高まる射精感に、思わずあきらの頭を両手で押さえつけ、腰を動かしてしまった。

 

「うぶっ!? ん、ぶ、ぐぅ!?」

「あ、いぐ、イグイグ、……っんあっ!!」

「んぶぅぅぅっ!?」

 

 腰を最大限に突き出して射精。

 ビュルビュルと精液を吐き出していく絶頂感が全身に行き渡る。

 何度か来る射精感合わせ、腰を前後に動かす。数回、大きな波とともにザーメンを吐き出した。強引に喉奥にドロドロに粘ついた精液を吐き出したというのに、あきらの口からは一切精液が零れ落ちていなかった。

 最後の一滴まで絞り出した俺だったが、射精が終わるや否や、尿道に残っているスペルマをジュルジュルと音を立てて吸い出そうとし始めた。ストローでジュースを飲む感覚だった。

 

「ん……ふ、ぅ……すっごく濃いね。今までで一番美味しいミルクだったよ」

「あー……その、いきなり頭掴んでごめんね?」

「ううん。良いの。保志様が寝てる時にした私が悪いんだから」

「そ、そう?」

「うん。それに、私もすっごく興奮させてもらったから、ね」

 

 そう言ってほほ笑みを浮かべたあきらの表情は、今まで見た女性の中で最も妖艶な表情を浮かべていたのだった。




南条あきら
→”面倒が嫌いな人”様からいただきました。
ありがとうございます!


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第19話

 一人湯船につかって先ほどの事を思い出す。

 同い年、同じ学年にいる女の子が、俺が寝ている最中にズボンを下ろして勝手にフェラをしていたと。完全に痴漢者の考え方ですわこれは。改めてあの時の状況を思い出してみると、女子が寝ている間にパンツを下ろされてクンニされていたってことだし……

 そう考えると俺頭おかしい(確信)

 

『保志様が噂通りの方で良かったですわ。取りあえずこれは、受け取っておいてください』

『噂……? でも』

『保志様? ね?』

『アッハイ』

 

 なんて流れでお金を手渡されてしまった俺氏。

 確かにお金も何も貰ってない男子がフェラされてるのを許すってのは、この世界の観念的におかしいのか。と言うか、俺の噂って何だったんだろうか。授業をサボって屋上でセックスしてたけど、サボってたってのが女子にしてみれば恰好の噂の的になっていたんだろうか。

 まぁ……数少ない男子の中で、一人だけ変な行動を取り始めたら噂されるのも致し方なし、か。以後は積極的に動き過ぎないようにしないと。

 と、なるとだ。

 俺が学校の中でセックスをする機会が愕然と減ってしまう。公然と授業をサボるわけにもいかないし、授業中に先生に一人男子が呼び出されるって構図もまた可笑しい話。いや、別に可笑しくないだろけど、女子の噂の的になるのはなぁ……

 

 恐らくだが、無理にでも金を渡してきたのは、単に俺が本当に寝てる間に襲われたって話をしてもらいたくなかったからだろう。それ以外の感情、思惑がそこにあったとしても俺には分からないしなぁ。

 

「もしかして……」

 

 今日、寝ようとしたら寝込みを襲われる可能性があるって事か?

 そもそも、彼女のメイドとしての仕事時間って決まってるのか? いくら何でも夜中まで働いてくれって条件じゃないと思う。が、夜になっても帰ろうとしない所を鑑みるに、泊まり込みでこの家にいるんだろう。

 男性が少ない世界だ。

 このまま既成事実を作って許嫁にでもしてしまおうって魂胆もあったりするんだろうか? さすがに、リアルでお金持ちのお家柄なんだったらもっと上流階級の付き合いとかあったりするんじゃないだろうかっていうお上の人の、ねぇ?

 普通に迫られても照れる。

 

 風呂にも入った。あとは寝るだけだ。

 別に風呂に入ってる最中は外で変な音もしなかったし、何も無かったって事だろう

 さすがに母親がいるから夜這いに来ることはないだろうが、注意しておこう。

 

「ふぁ……ぁ、寝よ」

 

 携帯をマナーモードにして就寝。

 智治ぐらいしかメル友はいないし、それも普段から緻密に連絡を取り合ってる仲でもないので特にマナーモードを切る必要もない。例の女性たちも夜中にメールを送ってくるってことはないだろう。

 ま、明日は日曜日だから少しぐらいの夜更かしは問題ないんだけどな。

 ……それにしても、ちょっとは学校での素行、改めようかなぁ。

 

 

 

 ――で、朝を迎えたわけだけども。

 特に夜中、何かをされた形跡はなかった。どころか、俺自身朝6時に目が覚めてしまったので、寝起きを襲われることも無かった。

 腹が減ったので部屋を出てリビングに降りてみると、早い時間だというのに朝食の準備を始めているあきらの後姿があった。が、近くに母さんの姿が見えないという事はまだ寝てるんだろうか。

 

「よぉ、朝早いんだな」

「あ、保志様。おはようございます。お母上が今日お仕事なので、朝食の準備をしていたところです」

「ん? 仕事……? 今日、母さんって仕事だったんだっけ?」

「あら、お母上のお仕事を知らないんですか?」

「あ、ああ。もし、あきらが知ってるんだったら教えてくれないか?」

「ええ。私は構いませんけど――」

「ダメ」

 

 と、後ろから母さんの声が聞こえてきた。

 と思ったら急に抱き着かれてしまった。何故、とは思ったが母さんの愛情表現なんだろうかと思いつつも、背中に当たる柔らかな双丘の感覚にドギマギする羽目に。後ろから抱き着かれたまま、頬ずりされつつ何故ダメなんだろうという思考がぐちゃぐちゃに入り混じっていた。

 ダメ、とは……本当に俺に言えないような仕事なんだろうか?

 

「別に隠すような仕事ではないですが」

「ダメダメダメ! ヤス君はまだ知らなくても良いの! まだ高校生なんだから、このまま純粋に育ってほしいし……」

「いえ、ですがこのまま自分の親の職業を知らないまま過ごすというのは、周囲の子から世間知らずの烙印を押されることになるかもしれないんですよ?」

「うぅ……それは……」

 

 あきらは母さんの仕事を知っていて、特に仕事内容は問題ないような話しぶり。

 これは単に母さんが自分の仕事を打ち明けるのを恥ずかしがっているだけなんじゃ……?

 

「母さん、俺は別に母さんが何の仕事をしてても気にしないよ。それより、家のために仕事してくれてるってことだからね。いつもありがとう」

「ヤス君……!」

「うわっぷ! んぐ……ふぁ、だから、母さんの仕事教えてほしいなぁ」

 

 今度は前から抱擁された。

 ふくよかな母性の塊を顔に感じ、加えて良い匂いをかぎ取ってしまった。どこか安心するような香りはまさに母親と言ったところか。あ~^安心するんじゃぁ。

 

「うんっとね、お母さん、男性保護委員会に所属してるんだ……」

「え、そうだったの?」

「う、うん……黙っててごめんね」

「ううん。母さんの事、知る事ができてよかった」

「う~~! ヤス君んん!!」

「わっ!」

 

 母親が幼児退化している件について。

 そしてぐいぐいと胸を押し付けてくる。

 年齢を感じさせない胸の柔らかさ。息子の俺ですらつい興奮してしまいそうになってしまう。が、いくら若返って世界の常識が変わってしまったとは言え、さすがに母親をそういう対象として見ることはできなかった。

 母親じゃなかったらかなり好みの女性なんだけどなぁ……

 

「でも、男性保護委員会ってどんな仕事してるの?」

「え? うんとねぇ、簡単に言うと男性を守ってあげるお仕事なんだけどねぇ……」

「言葉通りです。男性を保護するために設立された委員会。警察が全ての犯罪を監視しているとするならば、男性保護委員会は男性が犯罪に巻き込まれる可能性を抑えようとする組織なの」

「へぇ……」

 

 確か、少し前に現役を引退した柔道家の人が委員会の会長に就任したって話を耳にしたなぁ。この世界の男性が持っている性に対する意識を考えると、確かにこの委員会の存在は大きいだろう。普段から守られているっていう意識があるのとないのとでは精神的に違うしな。

 ただまぁ、基本的に女性が男性を守るっていう構図になるのは致し方ないか。

 これで委員会に所属してる女性が男性に何か問題を起こしてしまったら大変なんだろうけども。

 

「あ、ところでそろそろご飯って」

「もうそろそろです。ご飯が炊けたら――」

 

 と、甲高い電子音が数回鳴り、ご飯が炊けたと炊飯ジャーが教えてくれる。

 それじゃあ――そう言ってご飯の準備を始めてくれるあきら。その姿を見ていると、何故かドキドキしてしまう。昨日フェラしていた時のあきらの表情、雰囲気があまりにも違った。まぁ、エロと普段の雰囲気が同じってのはあまりにも味が無さ過ぎるとは思うけれども。

 で、昨日も思ったことだがかなり飯が美味い。

 単純にご飯が美味しいし、味噌汁、目玉焼き、鮭、お浸しに沢庵。何の変哲もないただの朝食だが、日本人であることを実感させてくれる。口の中で酸っぱさが広がる梅干しが食欲を促してくれる。

 

「嗚呼……美味い」

「ふふ。どんどん食べてね」

 

 ご飯が進む進む。

 母さんのご飯も美味しいが、胃袋から掴まれてしまっている気がする。

 で、昨日の如く母さんの表情は悔しそうに眉を寄せている。そんな感情を魅せつけられても息子としては如何ともしがたい。いつまでメイドとして雇っているのか、その期間は分からないが、母さんと3人でいる間はずっとこんな感じになるのだろうか。

 しばらくして、朝食を食べ終えた母さんは仕事に行ってしまった。

 今家にいるのは俺とあきらの2人だけ。変わらぬ笑顔を浮かべているあきらだが、内心うずうずしているはず。まさかこうして2人きりの状況ができるとは思ってなかったのか、最初からこのタイミングを狙っていたのか。

 ……まぁ、男性保護委員会の仕事が何時までなのか知らないから大っぴらに変な事は出来ないだろうが。てか、委員会の定休日っていつなんだ?

 

「おっと……メールか」

 

 朝食を食べ終えた後にダラッとしていたら携帯にメールが来ていた。

 結構早い時間にメールが来ていたようだが、誰からだろうかとメルアドを見て知らない人の物だったことに気が付いた。さりげなくあきらに内容が見られないように携帯を隠し、メールを確認。

 短くまとめられた文章は、指定場所で会いましょうという事だけ。

 このメールが、図書館で会った人なのか、それとも婦警の人なのかはわからないが……今日も今日で楽しめそうだ。



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第20話

[壁]


[壁]д゚)チラッ


[壁]Ξスッ


 さて、日曜日。

 明日は学校があるからそこまで派手に遊ぶことはできないけど、デリヘル感覚で遊べれば楽しめるんじゃないだろうかと期待してる。まぁ、俺がメルアドを渡した二人の女性ともに綺麗な人だったし、楽しめるだろう。

 図書館であった人も婦警の人も、どっちも綺麗な人だったから俺的にはウェルカムなんだが。さて、メールを送ってきてくれたのはどっちだろうか。

 

「……うん?」

 

 で、メールに書いてあった待ち合わせ場所――ステイバックスという名の喫茶店へ。何となく、と言うか前世で見たことあるような絵柄を看板にしている喫茶店だ。一人でも入りやすい店だけに、前世でも良くお世話になったものだ。

 ちなみに、俺がメールの主と会う決め手としたのは、滲み出ている初心さを嗅ぎ取ったからだ。いや、本当に男性に対して初心なのかどうかは置いといて、メールの回数が圧倒的に少ない方の女性だったのは確かだ。

 もう一人の女性は、どこか男性とのやり取りに慣れ過ぎている気がして、少し怖かった。さすがに行き当たりばったりで出会った女性にメルアドを渡すのは無謀が過ぎただろうか。……しかもこんな世界だ。逆に俺が怪しくてしょうがないと思われててもおかしくない。

 

 取りあえず、待ち合わせの場所に向かうとしよう。

 ――店内に入ると、当然店員が俺の事を迎え入れてくれるわけだが、男一人で入店した俺の事を店員から客まで、全員が注目してきた。針の筵と言わんばかりの熱視線に少々たじろいでしまった俺だが、何とか気を取り直して指定されている席へ。

 確か、メールの内容だと奥の席、二人掛けの席で奥側に座ってるとのことだが……

 

「……あ」

 

 目の前に来てしどろもどろしている店員さんに苦笑しつつ、店内を見渡してみると、俺を見つつ小さく手を振っている女性がいた。ちょうど、メールの内容と同じような席に座っている。

 

「あの、俺、待ち合わせなんで」

「あ、は、はい! どうぞお席へっ!?」

 

 一人で来ている客も、二人で来ている客も、店員も。

 誰もが俺の挙動に注目している。もちろん、俺以外には男性の姿なんてどこにも見えない。例えるなら、ある程度躾けられた猛禽類が数多くいる檻の中に紛れ込んでしまった憐れな小動物、と言ったところか。

 まぁ、世間的に言えばそうなるんだろうが、しかし残念ながらここにいるのは俺だ! 逆にバッチ来い! さっきの店員も若そうな見た目だったし、綺麗な人や可愛らしい人もちらほら。

 ――とりあえず今日は約束した人の所へ。

 昨日出会っただけあって、しっかり見た目は覚えてる。婦警という職に就いているだけあって、優しそうな感じがにじみ出ている。俺が声をかけた時、結構恥ずかしそうな表情をしていたのが惹かれたってのもある。

 ……ま、ここまで言ったら分かる通り、今日会うのは昨日初めて会った婦警の人だ。2、3通しかメールのやり取りをしなかった事からも、そこまで男性とのやり取りに慣れてないんじゃないかなと思ったわけだ。実際の所どうだか分からないけれど、初心な人の方が良いよね!

 

「こんにちわ、昨日ぶりです」

「こ、ここんに、ちわ」

「ふふ、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」

「そ、そんな事言われたって……! だって、その……す、するんでしょ? この後」

「はい。出来るだけ優しく、ね?」

「~~っ!?」

 

 周りの人に聞こえないよう小さい声でボソッと囁いてみたが、大分効果が強かったらしい。一瞬で頬を真っ赤に染めて声にならない叫び声をあげているように見える。

 そんな初心な反応が可愛らしくてジッと見つめていると、俺が見ている事に気付いたのか一層顔全体が真っ赤に染まり、慌てて下を向いてしまった。いやぁ、まさかここまで男性に耐性が無いのも珍しいぐらいだ。

 今まで出会ってきた女性を思い出すと、確かに少しは恥ずかしそうにしているものの、全員が結局流れ以上の強引さで迫ってきては肉体関係を持つことになったし。

 多分この女性も最終的にはそういう関係になってしまうんだろうか……ん? なんか俺が肉体関係を嫌がってみたいな文章になってるが、別に嫌じゃない。むしろ好きだからバッチ来いだが。

 

「……え、と……ど、どうして私なんかに声を掛けたの?」

 

 俯いたままの彼女だったが、ようやく話し出してくれた。

 

「え?」

「私なんかより良い人はいくらでもいるんじゃない? それに、君は結構女性に積極的だし」

「いやいや、さすがに綺麗だなって思わなかったら声なんてかけないよ」

「え……? それって……」

「いや、だから、俺は貴女が綺麗だって思ってる」

「え? あ……ぅぁっ……」

 

 あぁぁ甘じょっぱい!

 この雰囲気、甘じょっぱ過ぎて悶えそうになる。

 が、その当事者になってるのが俺なんだったら大好物です!

 それにしてもこんな天然記念物みたいな女性がこの世に存在していたとは。俺みたいな男も珍しい、というかいないんだろうが、身近でこんな女性に出会えたことを感謝しますぞ!

 ……いざ本番になったら性格が豹変するとかマジ止めていただきたいが。



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第21話

 喫茶店で婦警の庄司(しょうじ)百恵(ももえ)さんと良い雰囲気になったのでそのままゴーホテルと行っても良かったのだが、彼女の初心さをもう少し味わうためにちょっとしたデートに移行。

 もう少し……もう少し彼女の初心さを味わいたいんじゃあ!

 と言うわけで俺はニッコリしながら百恵さんの動向を見守ることに。

 この世界では自分から進んで婦警になる人はそれなりにいるらしいが、そこまで人気は無いらしい。給料は安定してるらしいが、男性からの理想の結婚職業の中では低ランクに所属するらしい。

 うぅむ……前世では安定した職業って言葉は凄く魅力のあるフレーズなんだが。この世界ではそうでもないらしい。何故こんな世界になってしまったのか問いたい。まぁ……男性主体の世界である事を考えるとこれも当然の反応なのかもしれない。

 ちなみに、小学生に将来就きたい職業アンケートを取った結果のランキングは3位が教師、2位が役者、1位が看護婦だそうだ。1位の理由としては、男性と触れ合える機会が他の職業に比べて多いらしいからだそうだ。

 それだけを考えると教師もそうなんじゃ? と思ったが、教師は絶滅危惧種の男子大学生が限界で、看護婦は大人の男性に会える可能性が増えるだとか何だとか。これは雑談になるんだが、基本的に役者になるような男性はよく言って傲慢な人が多いらしい。外受けは良いらしいがもう少し優しく対応してほしいだとか、もっと! なんて声がちらほら。

 もっとって何やねんと思った俺は悪くないはず。

 まとめて言ってしまえば、この世界にいる女性は基本的に男性と接する機会が多くなるような職業を目指しているらしい。男性と一緒になって、子供を産んでしまえば後は政府やら男性保護委員会からの補助金で生活ができるだとか何とか。

 あれか。男性と結婚するだけで玉の輿になってしまう簡単そうで難しい話ってわけか。それこそ俺みたいな男は持って来いって対象になるな。

 

「じゃあ、デートしましょっか」

「え? ……でででデートぉ!?」

「いや、そこまで驚かなくても……折角の機会だから、ね?」

「は……はい」

 

 いやぁ、やっぱり頬を赤く染めて恥ずかしがる女性って可愛いわ。

 こんな女性、元の世界でもあまり見かけなかったぞ。

 

 さて、デートと洒落込もうとしているわけだが。

 今になって気付いたがデートってどっち主体で進んでいくのが普通なんだ? この辺りのスポットは大体知ってるが、何気に女性が主体になってデートを進めていきそうだ。そして支払いも女性、みたいな事になるんだろうか?

 うぅむ……前もってそこらへん調べておけばよかった。サイトかなんかで男性との理想のデートなんて銘打たれた妄想が転がってるはず。まぁ、今となってはしょうがない。

 

「あ、そうだ……最近服でも買おうと思ってたんだ」

「そ、そうなんだ」

「そ。だから、俺に似合う服、見繕ってくれないかな」

「……え」

「いや、服は俺が買うから、俺に似合う服探してくれないかなって」

「ひゃぃっ!?」

 

 ――改めて反対側に座っている百恵さんを観察する。

 その可愛らしさも際立っているが、ショートゆえに隠れることなく見える(うなじ)。それなりに年上だと思うが、一切首筋が見えることのない白い項が淫靡さを漂わせている。

 さすが婦警さん。服制には厳しいのか一切の装飾品をしておらず、黒い髪も染められていない自然な色合いだ。対面座位で欲望のままに顔を埋めてみたい。そのまま匂いを嗅いだら良い匂いがするんだろうか。

 甘い体臭に包まれたい(迫真)

 

 それはともかく、特にこれと言った意見も無かったので手早く会計を済ませてもらい、店内の女性たちからの視線を一身に受けながら店を出た。さすがにガン見し過ぎじゃなかろうか。針の筵に座らされてる気分になっちまう。実際に座ったことはないし、触れたこともないが。

 

「わ、私、あんまり服の事分からなくて……」

「大丈夫。俺が知ってる所に行くから」

 

 しずしずとついてくる百恵さんの手を掴んでこの辺り一番、だと思っている店に。前世だと個人経営してる店で、男性が切り盛りしていたはずだが……その店は前世と同様『エリーゼ』と言う看板をシックな感じに装飾してあり、非常にわかりやすい。

 何も知らなければ一人で入るのは勇気のいる店だが、いざ入ってみると人の良い店主が一人いるだけだったからなぁ。さて、この世界ではどうなってることやら。

 

「――はぁい、いらっしゃいませ」

 

 おうふ。

 この世界での店主は女性になってましたわ。

 しかもブロンドの髪にこの顔だちは完全に外人な感じ。一回で良い。ヤってみたいと思わせるぐらい一目で綺麗な人に店主は生まれ変わってしまったのか。今は百恵さんがいるからそんな態度は出さないが……ま、この店が経営されてる限りいつでも会えるだろう。

 

「それじゃあ百恵さん。俺をコーデしてみて」

「え」

「百恵さんが思ってるカッコいい男性像でも良いし、可愛い感じにしてくれても良いから。俺は俺で少し探し物をっと」

「ちょ、ちょっとぉ」

 

 涙目の百恵さん、可愛い。

 しかし、自分で言ってて恥ずかしい言葉ってのはじくじくと精神を蝕んでくる。可愛らしい姿を見れるのは良いが、ハイリスクハイリターンだな。だがそれが良い。

 オドオドしている百恵さんを尻目に、俺は百恵さんに合うであろう服を見繕う。黒髪ショートに合う恰好と言えば……俺の感性はデニムのパンツだと囁いている。フリル系の服はちょっと勘弁してほしいのでそれを中心に全体をまとめる感じで。

 

 そうやって服を探しつつチラチラと百恵さんの様子を盗み見る。無茶な要望をしたと自覚はしているが、それでも真剣に服を選んでくれている百恵さんの横顔を見るためでもあるが、そりゃあ俺が着ることになる服だし、どんな服を選ぼうとしているのか気になっているのだ。

 が、お願いだからその黄色の服だけは止めていただきたいなぁ……




溜めてたわけじゃないです。
前話も含めて文字的には少ないので……何故か登場人物が増えてしまいましたが(白目)
ちなみに名前は決まってますのであしからず(店主)


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第22話

【壁】・ω・`)

やぁ、久しぶりだね。
久しぶりすぎて書き方を忘れてしまったよ。それに、星の種類も。
変なところがあるかもしれないけど、途中までできたからとりあえず投稿するね。
★か☆か、どっちだろね?


 果たして彼女が選んだ服は黄色の服だった。

 

「かぁいぃいぃ……」

「ふぁ……」

 

 遠慮もクソもなく、目の前にいる二人の女性は携帯を片手にパシャパシャと写真を撮っていた。もしこれが俺の理想とするような、ジーパンにジージャンで固めたコーディネートだったら何も言わなかったが、まさ前世で女性が着るような服を男性が着て可愛いと言われる時代になっているとは思ってもみなかった。

 俺の思った通りの服装で写真を撮ってくるんだったら躊躇うことなくポージングしてやろうと思ったんだが……さすがに萎える。

 

「あー……この服は、まぁ……しょうがないんで……これと、これもください」

 

 今来ている服はそのままに、適当にそこらへんにある服を手にしていく。

 さっきも述べた通り、女性が着るような感じの服を男性が着ることで喜ぶような世界なんだ。逆に女性が着る服は動きやすさを第一としたような服装が多い。

 つまり、俺が普通に着ていたいと思える服がそれなりにあるのだ。

 ちなみに、今着てる服はもう諦めた。俺的にはかなり恥ずかしい服装だが、百恵さんの期待を裏切るわけにはいかない。それに、この店は着たままでも普通に清算してくれる所だったから問題ないだろう。

 

「はいぃ。お買い上げ、誠にありがとうございますぅ」

「あぇ? ちょ、ね、ねぇ……私が支払うけど」

「あー……これ、母さんへのプレゼントなんで俺が払いますよ」

「そ、そう?」

 

 と、ふと思い付いた嘘で一旦話を逸らす。

 別に母さんにプレゼントなんてしようとは思ってもなかったけど。まぁ、これを母さんにあげたところで可笑しい所は何も無いだろうから、このままプレゼントしても良いかもしれない。

 ……前世の事を思い出すと、特にこれと言って今まで親孝行らしい事をあまりしてなかった。昔の思い出だし、今の母さんに対して親孝行すればいいんだろうが、少し、胸につっかえるような気持ちを抱いてしまう。

 この世界では女性が支払いをするのが常識なのかもしれないが、この場は俺に任せてほしい。あと、この姿のままデートを続行するのはテンションが下がる。

 

「――それじゃあ、またのお越し、お待ちしてまぁす」

 

 着替えた(迫真)

 が、俺にしてみれば奇抜な黄色い服は、百恵さんの強い希望により購入したのだった。もちろん、この服を購入したのは百恵さんだが。

 買った服を持って店を出た俺たち。少し時間が経ってしまったが、まだ外は明るい。これから一戦交えたとしても大丈夫だろう。近くにそれようのホテルはあるが……正直、誰かに見られていたら次の月曜日から女生徒たちの恰好の噂の的にされてしまう。

 それに、売婦ならぬ売男と噂されてしまっては、さすがに今後の学校生活に支障が出てしまうだろう。まぁ、本当の事なんだが。

 

「えっと……百恵さんって、一人暮らし?」

「え、いやぁ……その、寮に住んでるんだ」

 

 これからも付き合いがあるかもしれないことを考えると、出来れば百恵さんが一人暮らしだったら良かったんだが。

 婦警か……それだったら寮暮らしでもしょうがないのかもしれない。年齢か、階級か何かで決まりでもあるんだろうか。

 それならもう、本当に適当な所のホテルに行くしかないんだが……

 さすがに身バレするのは怖いから、コンビニかどっかでマスクとかサングラスでも買ってこよう。変な奴と思われるかもしれないが、少なくとも一目でバレる確率は下がるだろう。

 

「あ、そっか。じゃあ、さすがに寮には行けないか。どっかに良い所があればなぁ」

「あ! えっと、近くに良い所あるよ!」

「……ふぅん? やっぱり百恵さんも期待してんだ?」

「あぇ!? え、いや、べ別に何も考えてない!」

「ま、いっか。付いてきてよ」

「え? あ、え、え!?」

 

 目が白黒している百恵さんの手を引いて歩いていく。

 途中、用事があると言ってコンビニで買い物し、マスクとサングラスをすぐさま装着して街中を闊歩。百恵さんには一応変装用とだけ伝え、一番近くにあるラブホへと向かったのだった。

 手を引かれている百恵さんは終始訳のわからないと言った表情をしていた様子だが、さすがにラブホが近くなってくると静かになっていき、遂には顔を赤くして黙り込んでしまった。

 百恵さんの年齢を知っているわけではないが、まさかこの年まで……いや、何も言うまい。

 

 ――ちなみにこの世界での男性の平均童貞卒業年齢が28歳。女性が19歳となっている。

 この一文だけを見る限りでは俺のいた世界よりも貞操観念が逆に強くなったような感じに見えるかもしれないが、この世界では男性保護委員会なるものが存在していることと、そもそも男性の性欲が弱くなっていることが理由とされる。

 中には犯罪的に強姦やらレイプやらで無理矢理犯されてしまった男性が存在し、例外的に家柄的に性交渉せざるを得なかった人もいるらしいが、それはあくまでも分かっている範疇での事らしい。

 女性の破瓜年齢が男性よりも低い理由は、若い女性が基本的に結婚対象になるという事と、自分から処女膜を突き破って喪失してしまうケースが多いらしい。

 こればっかりはこの世界恒例の事なのかもしれない。

 

「さ、着いたよ」

「え……サンシャイン……って、完全にラブホ……!?」

「そうだよ。ささ、入った入った」

「わわっ!? 押さないで!」

 

 ホテルの名前を呆然と呟き、ホテルの外観をぐるりと見渡してようやくどういうホテルか分かったらしい。サッと頬を赤く染める様子を見ているのは面白いが、ジッとホテルの前で佇んでいるのは少々気まずいものがあるので無理やり中へと入っていく。

 男性が少ない世界でよくラブホなんてもんが存在するなぁと思うが……それなりに利用者でもいるんだろうか。

 

 久しぶりの雰囲気。この世界では初めて入ったラブホだが中々に良い雰囲気だし、休憩時間、宿泊ともにそこまで高くない。

 パッと見で内装のよさそうな部屋を選択。ちなみに、ラブホには俺たち2人以外に利用者はいなようだった。

 今のところ百恵さんは黙ってついてきてくれている。珍しく自分からぐいぐい来ない女性なんだろうか。いや、待てよ……牧野先生とあきらは肉食だとして、茜ちゃんと金本先生は俺から迫ったようなものだ。

 ……もしかして、俺の行動がビッチ過ぎているだけで、別段この世界の女性は普通なんじゃないだろうか!? いや、女性が主体となって痴女やら強姦やらを起こしているんだ。そうだとは言い切れないか。

 

 ぱっと見、監視カメラらしきものは見当たらない。

 顧客に安心さを抱かせるような設計になっているのかもしれないが、もしかするとどこかにマイクロカメラが設置されているかもしれないので注意する。俺みたいな男がラブホを利用していると知られたら、すぐに噂が広まるだろうし、顔が写ってなくとも姿で特定される危険性がある。

 年代的にそこまで高性能なカメラは無いかもしれないが、注意するのに越したことはない。

 とりあえず適当に選択した部屋に入ってみたが、ホテル街というわけでもないのに結構良い雰囲気だ。これでこの値段ならむしろ得なんじゃないか? 下手にビジネスホテル泊まるよりもゆったりできる。

 

「結構外歩いたんで、お風呂入りましょうか」

「え……え? お風呂? あ、え? そ、うだよね……お風呂?」

 

 状況を呑み込めてないのか、百恵さんは俺に促されるままに風呂場へと歩いて行った。二人で一緒に入れば緊張感も解れるんだろうが、俺にしてみればその何とも言えない初々(うぶうぶ)しい緊張感が欲しかった。

 何というか、初めてらしいたどたどしさはあっても、ほとんどの女性が男を求めようとするがっつきが前面に出ていてこれじゃない感が強かった。まぁ、拒まれたり嫌がられたりしないから楽に気持ち良くなれるんだが。

 

「あ……そ、それじゃあ私、先に入るね」

「うん」

 

 しどろもどろに風呂場へ向かう百恵さん。

 一人でいる間に部屋にあるものを散策。通常のラブホだとコンドームが1、2個常備されているものだが、この部屋にはなんと12個ものゴムが。単価が低いのか、それとも客の要望なのかどうかは別として、こんなに使わん(迫真)

 しかし、このゴムも業務用ではなくてしっかりとした装飾の柄だからそれなりにしそうだが……

 うわ、ローションまで置いてある。これでマットまであったら完全にそういうプレイ目的だな。値札も張ってないし、タダで使って良いんだろうが少し気が引ける。

 次第に聞こえてきたシャワーの音をBGMに、今度は灯りのひねりを回して調整してみる。全体的に少し暗い方が雰囲気が出て燃えると思うのは俺だけの感覚だろうか。

 薄暗くした部屋の中、いそいそと服を脱ぎ始める。

 備え付けのバスローブを代わりに纏い、ベッドに潜り込む。家の布団では感じることのできないふんわりとした羽毛布団の感触を楽しみつつ百恵さんが出てくるのを黙って待っていた。

 が、静かに待っていると今度は本当にかかっているBGMが気になり始めてしまった。近くにカタログでもないだろうか探そうとしたとき、水音が止んだ。

 しばらくして、産まれたままの姿で出てきた百恵さん。バスローブでその肢体を隠すことなく歩み寄ってきた。

 

「部屋、暗くしたんだ。なんか……その、雰囲気があって、昂っちゃうね」

「えっと……俺もシャワー行った方が良いかな?」

「ううん。君はそのまま、横になってて」

 

 短い時間しかなかっただろうに、しっかりと体に付着していた水分を拭き取ったのだろう百恵さんは躊躇いがちに近寄ってきて、ゆっくりとベッドに潜り込んできた。

 何というか……今までの女性と違い過ぎる。

 とある先生だと躊躇うことなく布団を剥ぎ取ってすぐさま覆いかぶさってくるだろう。キスをしてくるのか、それとも息子に真っ直ぐ襲い掛かるか。どちらにせよこの世界の女性にありがちな行為をするだろう。

 

「ん……」

 

 なのに、この人ときたらベッドに入って恥ずかし気に手を繋いでくるんだもの、他の女性とのギャップに息子が既に臨戦状態になりかけている。こうなるともう、俺が我慢できなかった。

 

「ん」

「んっ!?」

 

 反対の手を百恵さんの頬に添え、ゆっくりと顔を近づける。

 驚いたように目を見開いた彼女の口を塞ぐ。唇と唇が触れるだけのキスだが、彼女は頬を赤く染めて目をトロンと蕩けさせた。ゆっくりと繋いでいる手を引き寄せ、熱くいきり立っている肉棒へと触れさせた。

 すると、トロンとしていた相貌が驚きで大きく見開かれ、柔らかかった手のひらが驚きで硬直してしまった。すかさず、俺は百恵さんの下唇を甘噛みした。

 

「んあっ……!!」

 

 ビクンと体を震わせた彼女は、その後も小さく何度も体を震わせていた。

 声を上げることなく快感の波に耐えている様子に、今まで感じることのなかった感情が、腹の奥底から湧き上がってくるようだった。正直、ここまで燃えるような想いは初めてだ。

 一旦唇から離れ、彼女が落ち着くまで待とうと思ったが、我慢できず首元に顔を寄せ、思いっきり鼻から息を吸い込んで、肺に雌から漂う甘ったるい体臭を楽しんだ。

 いたずらに息を吹きかけるたびに全身を震わせる彼女は、ゆるゆると壊れ物を扱うように指をペニスに這わせてきた。

 

「わっ……わぁ」

 

 形を確かめるようにペニスの輪郭を沿っていく指使いがなんとももどかしい。強引にでもペニスにしゃぶりついて射精を促してほしいと思ってしまうのは、だいぶこの世界の常識に毒されてきているせいだろうか。

 しかし、まさかここまで初々しい反応をしてくれるなんて思ってもなかった。女性として男性とのセックスに興味がなかったわけでもないだろうし、純粋に今までそういう機会がなかったんだろうか? となると、ソープとかも経験したことがないのかもしれない。

 

 ――ふいに、魔が差した。

 

 少し動き、掛け布団から上半身を出した。成人男性と比べるとどうしても見劣りしてしまう貧弱な身体だが、それでも実物の裸の男性を見慣れてない百恵さんには効果抜群のようで、ポーっと頬を赤らめてこちらを見ていた。

 腰が枕の位置まで出たところで動きを止め、一言。

 

「ごめんね?」

「ふぇ……? んぶっ!?」

 

 両手を百恵さんの両頬に添え、撫でるように後頭部に指をまわし、痛くないように、それでいてガッチリと両手を固めた。がちがちの肉棒が百恵さんの頬を撫で、押しつけ、擦り付けた。

 鈴口から迸っていたカウパー液が百恵さんの顎から頬に線を描いててらついた。裏筋を刺激するように上下に擦り付けるたび、小さく声を漏らす百恵さん。

 婦警をしてるぐらいだ。こんな子供の力程度、本当に嫌だったら強引にでも振り払おうとするだろうが、それをしないという事は嫌いではないんだろう。

 

「口、開けて」

「え……こ、こう?」

「ん……行くよ」

「へ? ふ!?」

 

 腰を浮かせ、直立したペニスを百恵さんの口の中に捻じ込んだ。

 さすがに勢いよく突っ込むのは気が引けたため、限界まで入れることはしてないが、それでもペニスを通して伝わってくる熱と舌触りが脳髄を刺激してくる。

 急な行為に嗚咽を漏らす彼女だが、それがまた振動となって亀頭を刺激してくる。困惑しているだろうに、ちろちろと口の中で舌を動かしてくるせいで、余計困ってしまう。

 遠慮することなく、腰を上下に動かしたい。

 

「あ、あ……気持ちぃ」

「ん……んぶっ……ふっ」

 

 眉を寄せて上目遣いで見つめてくる百恵さんだが、申し訳ないがこのまま肉棒を咥えていてもらう。

 我慢しきれないとばかりに腰がかくかくと動いてしまう。……無理させない範囲、だったら大丈夫か、な?

 

「あ、あ、あっ! すっご、きもっちぃ!」

「ん! んぶ! んじゅっ、んぶっ!」

 

 掴んだ両手を緩めることなく前後に百恵さんの顔をスライドさせる。

 次第に高まっていく肉棒からの快感の波に逆らわずどんどんと高めていく。全身の血液が一箇所に集まっていく感覚とともに、頭の奥でぱちぱちと力が抜けていくような、それでいてペニスを包んでいるような口内の凹凸、舌から感じる熱、唾液と先走り汁が混ざり合ってできたヌメリが滑油剤となって腰の動きを加速させてくれる。

 亀頭の上側を擦る様な感覚に、喉奥を強引に責めているのだと実感し、殊更(ことさら)に興奮してしまう。はっはっと喉を通って出る息の熱さ、全身の滾り。もう少しで、達してしまいそうだった。

 

「っくぅぅっ……! も、ぉぉ……出るぅ!!」

「うぶっ、じゅぷ……ぅぼっ! んぅっ!!」

 

 最高潮のエクスタシーが感じられるように最高速で腰を前後に動かす。歯を食いしばり、一瞬見た百恵さんの相貌は涙なのか鼻水なのか、それとも涎が飛び散ったのかわからないぐらい全体がてらてらとぬめり、汚れていた。

 そんな中でもその瞳の奥に沈んで見える欲情が、掴んで離さない彼女の両手が、強引なイラマチオを拒んでいない証だった。

 

「出るぅぅっ……!!」

「んぶぅぅっ!? ん、んっ、んんっ!?」

 

 びゅる、びゅるると尿道を通って吐き出されていく精液が百恵さんの喉奥を汚し、食道を無理やり満たしていく。大きく脈動する陰茎の動きに合わせて濁った嗚咽を漏らす百恵さん。必死に喉の奥に吐き出される粘っこい精液を嚥下しているが、飲み切れずに隙間から溢れ出た白い泡の塊が口から喉をを通って胸を白く照らし上げる。

 5度、6度と何度となく続けざまに吐き出されていた精液もようやく衰えを見せ始めたものの、いまだ屹立と固く立ち続けている肉棒から飛び出す勢いは変わらない。

 勢い余って口から飛び出した陰茎からまき散らされたザーメンが百恵さんの顔中を汚していき、絶頂からの快感のせいかうまく動かすことのできない腰の動きのせいで暴れまわるペニスが、精液を満遍なく百恵さんの顔に押し広げていく。所謂、ザーメンパックというものをしてしまったわけだ。

 

「はっ、はっ……はぁ……」

「んぼぇ……しゅ……ごぃぃ……こんなに出したのに、まだ固いぃ……」

 

 本当、この世界の女性のバイタリティはとてつもない。

 ここまで強引で一方的な性行為をされたのに、その双眸が見詰める先にあるものと言えば剛直として屹立しているペニスだった。そこに非難するという感情の欠片も見出すことができず、純粋にこれからの行為を妄想し、待ちわびているようだった。



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