ドラゴンボールC【本編完結】 (SHV(元MHV))
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第一章 無印編
訪ねてきた少女/使い捨て部隊


どうも、はじめまして。
少年漫画なのに無性にエロい気分になるドラゴンボールのキャラクター達を、サイヤ人に転生した主人公が落としていくお話です。エロいことをするためにときどき本気で戦いますし、もちろんそのために修行もします。
エロ成分少なめかもですが、できるだけ毎回いれます。
それでは拙作ですが、本文をどうぞ


ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ

 

激しい動きに合わせるように、滴る汗がはねては床といわず落ちていく。

 

「あぅ、あっ、あっ、あいい~~っっ!!」

 

お互いの体液混じりの汁が、結合部から漏れ混じって敷布団により濃い染みを作っていく。

 

「も、もうやめてっ…!?おかじくなるぅの、あっあっ!またっ、またいぐぅっ!~~~~~っっ!!」

 

俺に後ろから両腕を捕らえられ、文字通り内臓をえぐるように性器を逸物で突き上げられている少女『ブルマ』は懇願する。

 

だが、やめない。

 

「なにを言っているんだ。あの玉が欲しくて、俺の言うことをなんでも聞くんじゃなかったのか?」

 

「言っへないっ、そんっな、あたしは、こんなことっ」

 

俺の言葉を否定するブルマ。俺は言いながらも腰をふり、幼さを残すブルマの秘奥は俺の逸物で蹂躙されていく。

 

まあこれは正直、まぎれもない強姦だろう。

 

獣欲に支配された体はわずかに残った理性の言うことをまるで聞いてくれないため、ここでブルマを犯すのをやめることはできない。

 

だが彼女の表情を見れば、はたして止めようとすることが正しいのか疑問が生じる。

 

涙を流し、顔を赤らめたブルマの顔はだらしなく弛緩していた。

 

それは言うまでもなく、快楽によるもの。

 

口の端からよだれを垂らし、度を越えて与えられる絶頂という快感に脳の処理が追い付いていないのがわかる。

 

常人ならすでに気が狂ってもおかしくないかもしれない。それだけの時間彼女は犯されている。

 

それでも彼女の体から、わずかばかりにこの快楽に対しての“期待”を感じる反応がところどころで帰ってくる。

 

それにたまらず刺激を返す内に、気づいてみればブルマの体に溺れてかけている自分がいた。

 

「ああっ、もうだめ、あたし変になりゅっ、変態になっひゃぅぅぅぅっっ!」

 

ブルマの言葉を遮るように、俺は人差し指を彼女の尻の穴へとねじこむ。

 

尻の穴がしまるのと同時に、ブルマの膣もまたキュウキュウと絞まった。

 

「くっ…!」

 

かすかな自らの呻き声と共に俺は彼女のなかに今日何度目かわからない精液を放つ。動きを止め、びゅくびゅくと逸物から絞り出される精液が彼女の奥を汚していく。

 

ぬぽっ、という音がしてブルマの膣から逸物を引き抜いた。

 

ブルマがそれにほっとしたように布団へと体を落としていく。しかし尻は別なのか、小刻みに震えながらも自己主張するかのよう突き出されていた。…それを見ていましがた放出したばかりの熱が股間に集まっていく。

 

息を荒げるブルマは、終わったと思っているのだろう。

 

しかし、再び固さを取り戻した逸物が示すように、俺はまだ満足していない。

 

不意打ちでブルマを仰向けにひっくり返すと、その顔からはどうしようもない絶望が、あきらかに汁気を増し本気汁を滴らせた膣からは期待と服従が覗いていた。

 

俺はわざとらしくブルマの両足を広げると、正常位の体制でゆっくりと逸物を挿入していく。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…!」

 

喉が潰れたわけでもないのにブルマの口から出たとは思えない獣のような叫び声がする。

 

「~~~っっっ!!」

 

口から泡を吹きながら、ひとならぬ悲鳴をあげてブルマは叫ぶ。

 

俺が次第に生じた愛しさからブルマをかき抱くと、ブルマもそれに答えるように足を絡めてくる。

 

やがて俺たちはどちらからともなく絡めた口づけを交わしながら、先ほどとは違いお互いが同時に果てる。

 

頭のなかを空白が占拠し、しばらくの間身動きすら取れなくなった。

 

まるで壊れ物をどこかへ置くときのように、俺は慎重にブルマの膣から逸物を引き抜いた。

 

こぼれてくる精液を見つめ、我ながら普段自前で処理するときとは段違いの量だと苦笑する。

 

まるで放尿していると錯覚するほどの精液は間違いなく子宮そのものを蹂躙し、ほんの数時間前まで処女だった少女へと妊娠確実な量がしっかりと種蒔かれただろう。

 

時折痙攣するようにひくつくブルマを見下ろしながら、俺は後始末と今後に思いを馳せて一人ごちた。

 

「…やりすぎた」

 

 

 

 

ことの起こりは、今から数時間前に遡る。

 

パオズ山という、人足未踏の僻地を住まいにする俺はその日ひとりの客を出迎えた。

 

ブルマと名乗る少女は、俺の家にあるというドラゴンボールのひとつが欲しいという。

 

俺は「とうとう来たか」と感じた。

 

別に現実逃避するわけではないが、この世界に生まれて、この星へやってきて、いつかこの日が来ることを俺は知っていた。

 

そして彼女が目の前で下着をちらちらと見せながら挑発する姿を見て、我慢できず襲ってしまった。

 

無理矢理とはいえ、これまでに修行で身に付けた技を駆使してほとんど痛みを与えず破瓜させてやったのだし、快感においてはまず人間には体験できないレベルだったはずだ。

 

結果としては俺も久しぶりの性行に興奮してしまい、途中で蘇生術まで行使するはめになってしまったが。

 

 

 

…俺は、いわゆる転生者だ。前世の知識を持ち、この世界のこともよく知っている、つもりだ。

 

なぜ転生したかはよく覚えていない。だが老後の記憶がないことから、恐らくなんらかの外的要因で死に至ったのだろうと思われる。

 

この世界に生まれてかれこれ三十年ほど経つが、今となっては下手な魔法使いよりも多彩な技を持っている自信があった。

 

とはいえ、幼い頃から何でもやれたわけじゃない。そんなものはあっさり挫折させられた。

 

俺が転生したのは、サイヤ人だった。だが普通と違い、生まれながらの戦闘力は1200。さらには五歳児程度の体格を持って生まれさせられた。

 

そう、それはまだサイバイマンという使い捨ての戦闘員が開発される前。他のサイヤ人が無駄に死ぬことのないよう、作り出されたクローン。それが俺だった。

 

一見高く見える戦闘力も所詮クローンとして設定されたものであり、戦う度に強くなるはずのサイヤ人となったはずの俺は、どんなに激戦を潜り抜けてもその数値が微動だにすることはなかった。

 

おまけにサイヤ人が不利になったら自爆するように仕組まれているとすら聞いている。

 

絶望した。なにがサイヤ人だと。これはないだろうと。

 

たしかに大猿に変身することはできる。だがそれは自身を省みない自殺行為だということも運がいいのか悪いのかすぐに知った。

 

それは俺と同じ顔をしたクローンサイヤ人が、10回目の大猿化を解いたときだった。

 

やつは突如として死んだ。突然中身が空っぽになったように倒れたアイツの、俺そっくりの顔がいまでも忘れられない。

 

死んだ原因がわかっているわけじゃない。前世の知識で考えるならテロメアの限界、無理矢理成長させられた反動とかだろうか。

 

だがそんな理由はなんだっていい。ただ、このままでは確実に訪れる理不尽な“死”が、俺に脱走を決意させた。

 

だが現実として、決意したところで事態が進むわけでもない。

 

まず問題が脱走する手段だった。ばか正直に走って逃げればいいものじゃない。どうしたって宇宙船がいる。

 

それからも俺はどうやって逃げるかを必死に考えた。他のクローンたちは自分達が消耗品扱いされていることに疑問すら抱かず、ただ本能のままに暴れている。むしろ、力を振るう場所を与えられて喜んですらいるようだ。

 

だが俺は違う。前世の知識というモノがあり、なにより現状には不満しかない。

 

もっとまともな食事がしたい。いい女を抱きたい。風呂にだって入りたい。

 

それにせっかくこの世界に来たなら、ドラゴンボールで願いを叶えたい。

 

…そうだ!ドラゴンボールがある!

 

それはある意味天啓だった。脱走してからのことを何も考えていなかったわけではないが、これではっきりした。

 

ドラゴンボールに願って俺をクローンでなくしてもらえばいい!

 

だが、どこのドラゴンボールを使うのかが問題だな。

 

地球か?いや、まずドラゴンレーダーが開発されるのには時間がかかる。ブリーフ博士を筆頭に作れそうな人間はいるんだろうが、下手なことをして誰かに目をつけられても困る。

 

願いとしての確実性でいうなら超ドラゴンボールが確実なのだろうが、あんな惑星サイズのものを集めるのもそうだが運用できる気がしない。となると、

 

(…ナメック星か)

 

いまの時期のナメック星がどうなっているかはわからない。ただウラシマ効果も関係ないこの世界において、星同士の時間がずれることはなさそうだ。そして、今現在まだべジータもカカロットも生まれていない。バーダックは見たが、サイヤ人のなかでフリーザに対する不満が高まっているようにも感じない。

 

これは、俺を連れていったエリートサイヤ人がフリーザへの忠誠のような言葉を漏らしたことから推測した。

 

恐らくベジータ王は現状に不満を持っているのかもしれないようだが、それが他のサイヤ人、ましてやベジータ王からすれば自らに近いエリートにこんな思いを抱かせて放置しているとは思えなかった。

 

目的を決めてからは苦痛の毎日だった。

 

来る日も来る日も星を攻め、俺は、俺たちクローンは使い捨てにされていく。時おりパワーボールで強制的に大猿になりながら、自身に残された寿命を数えてひそかに怯える。

 

そうやって星を攻めながら、ときに条件に合致しながらも、大猿化させられ、あるいは状況がそれを許さず断腸の思いで決行を先送りにする。

 

もちろん大猿化されないように対策もした。俺は誰よりも先頭に立つことで別行動を取れるようにした。幸いにも単独で突出する行動は珍しいものではないらしく、俺がそのことで咎められることはなかった。

 

またその状況を利用して自らを苦境に追い込んだ。ひょっとしたら戦闘力が延びるかもしれない。そう思ったがやはりだめだった。

 

だが、おかげでクローンサイヤ人としての欠点も発見した。それは戦闘センスの欠如だ。

 

サイヤ人全体を通して言える特徴は三つある。

 

ひとつ、基礎戦闘力の高さ。ふたつ、ゴキブリ並みの生命力。みっつ、戦闘センスの高さだ。

 

ひとつめは言わずともわかるだろうが、サイヤ人は種族を通してそのほとんどが戦士タイプとカテゴリーされる。普通どんな種族でも戦士タイプとカテゴリーされるのは多くて全体の1割に満たないらしい。だがサイヤ人はこの常識を覆しており、老若男女問わずほぼ全員が戦うことができる。なぜ知っているかといえば、俺たちクローンを管理する科学者がぼやきながら言っていたのを覚えていたからだ。

 

ふたつめは、原作での純血サイヤ人らを思い出してもらえばわかる。やつらは基本的にとことんタフだ。悟空もそうだが、べジータやナッパのタフさには読んでいて辟易したのを覚えている。そもそも肺どころか胸の一部が抉られた状態でなかなか死なず、ましてやそこから回復したら戦闘力がアップするのだ。さきほどの科学者は「理不尽だ」と嘆いていた。

 

そしてみっつめが戦闘センス。漠然としてわかりにくいかもしれんが、ジャネンバの奇襲をかわしたべジータがその最たるものだろう。しかしそのセンスがクローンにはまるでない。ほとんどがただひたすら突撃するだけだ。前世の知識を持つ俺はかろうじてそれよりマシだろうが、正直ドングリの背比べだ。

 

俺たちクローンサイヤ人にはこのみっつめが無いのだ。

 

これがどういうことかというと、普通のサイヤ人にとっては上記のみっつがあればなんとかなる状況も、俺たちクローンからすれば絶望的な状況になりかねない。

 

特に、侵略した星の兵士や住民に戦闘力が高い存在がいたりした場合など、まっさきにそれらと対峙することになる俺たちには分厚い壁となる。

 

もっと具体的に言おう。戦闘力が仮に互角だった場合、戦闘センスがあれば苦戦することはあってもまあ勝てなくはない。だが俺たちがそれをやろうとすれば当然力尽くになるため、最低でも大猿化しなければならないのである。わかりやすくいえば完全体セルを倒すためにスーパーサイヤ人3になる必要がある、と言われているようなものだ。

 

だから正直クローンサイヤ人の損耗率は高い。サイヤ人にとっての威力偵察であり、大猿化させればそうそう勝てる相手はいなくなるからだ。だがそれはすなわち、クローンにとって避けようのない死が近づくことを意味している。

 

そうして、どうにか俺が生き残り続けて数年が過ぎた。成長の早いクローンの外見年齢は中学生程度まで成長しており、以前ほど体格的なもので不利になることはない。とはいえ戦闘力は変わっておらず、密かに身に付けた特技も戦闘において不意打ち以外に用途が考え付かないものだった。

 

そんなとき、とうとうチャンスが来た。

 

宇宙警備隊の基地が作られるほどに発達した文明。それでいて資源惑星としても十分な価値を見せる星。フリーザはこの星をできるだけ傷つけず手にいれるつもりのようで、すでに何人かの部下を送り込んでいたが返り討ちにあい、サイヤ人に声がかかる事態となっていた。

 

ちなみに最近になってサイバイマンが開発されたらしいが、まだ王族くらいしか所持はしていないらしい。

 

星に到着した俺たちは、着いた途端に抵抗する異星人からの奇襲を受け大混乱となった。

 

この千載一遇の好機を逃すつもりはない。

 

俺はいつも通り突出したように見せかけてスカウターを破壊して、嘘の悲鳴をあげる。同時に身に付けた特技、気を限界まで落として気配を消す。

 

気の制御はこれまで何度も試していたが、あげることはできなくとも下げることはできた。今日このときのために、誰にも秘密にしていた技だ。まさか俺が生きて行動しているとは思うまい。

 

俺はそのままこの星の兵士から装備を奪って行動する。これで見た目はこの星の兵士に見えなくもない。IDなどをチェックされたらそれまでだが、そんな余裕は相手に与えない。

 

俺の目的は宇宙船だ。サイヤ人が乗り込んできた一人用ポッドを奪ってもいいのだが、それではフリーザ軍に行き先を察知される。それにあのポッドにはたしか自爆機能がついていた。最悪持ち逃げした瞬間どかんだ。

 

目星はつけていた。この星に来る途中衛星軌道上で見た高速艇。あれを奪う。

 

高速艇があるであろう軍事基地へと駆け込む。星間図はフリーザ軍の基地から情報端末を中のハードだけ抜き出して持ってきてある。宇宙船に乗り込めさえすれば、あとはなんとでもなるのだ。

 

そうして俺はサイヤ人らしき連中とこの星の兵士らが戦っているのを横目に基地へと侵入した。

 

途中、逃げようとしていたいかにも身分が高そうな異星人を人質にする。どうやら脱出用の高速艇を用意していたらしく、地下に発射施設があるらしい。

 

ここまで俺は自分は幸運だと思っていた。だからこそ、高速艇の前に現れた存在に驚きを隠せなかった。

 

「…まさかとは思ったがやっぱり生きてやがったか」

 

そこにいたのはサイヤ人。それもエリートだった。しかもやつの言い分では、俺の行動を予測していたやつがいる。

 

「リミッターが掛けられているから戦闘力を上げられはしないとたかをくくっていたが、まさか戦闘力を消されるのがこんなに厄介だとは思わなかったぜ」

 

言いながらエリートサイヤ人の男が呆然として無防備だった俺の顔めがけて殴りかかってくる。とっさに異星人をはね飛ばし、その反動で男の一撃を避ける。

 

「なんだぁ、生意気だな。さっさと死ね!」

 

エリートサイヤ人は無造作に作り出したエネルギー弾を俺にめがけて放ってくる。

 

俺は自分に直撃する寸前、全身のエネルギーを収束し手刀にしてそれを切り裂く。が、爆風までは防げない。

 

「がはっ!」

 

全身を打つ衝撃に意識がもうろうとする。

 

だめなのか…?こんなところで、俺は死ぬのか…

 

俺はまともに動かない体に鞭打ち、必死にこの状況をなんとかする手段を考える。

 

大猿化?意味がない。だいいち変身するための月もパワーボールもこの場にはない。

 

武器で反撃する?そんなものはない。だいいち、エリートサイヤ人の体に生半可な武器が効くはずもない。

 

人質?肉の盾にしかならない。そんな些事に意識を割くことなど、サイヤ人にはあり得ない。

 

エリートサイヤ人が再び手にエネルギーを集めていく。どうやらさきほどの迎撃がお気に召さなかったらしい。

 

あれを放たれれば、今度こそ俺は死ぬだろう。一瞬で消し炭変わる。

 

なにかないのか。なにかなにかなにかなにかなにかなにかなにか…!

 

俺は唐突に全身の力を抜き、戦闘力をゼロにまで下げて倒れこむ。

 

擬死。それが俺の選んだ最後の手段だった。こんなことをしても相手がそのままエネルギー弾を放てば意味はないだろう。

 

だが、相手はサイヤ人のエリート。無駄を嫌い、面倒なことは他人に押し付けるような連中だ。そしてなによりも、相手が納得するだけの条件が俺にはあった。

 

「ああ?なんだ急にくたばりやがった。そういえば大猿にもう十回以上なってるのに死なねえって話だったか。くそっ、薄気味悪いが死体を持ち帰れって命令だからな」

 

そういって嫌悪感もあらわにしながら、無防備に俺へとエリートサイヤ人が近づいてくる。

 

そうして俺の肩に手を置いた瞬間、肘から出したエネルギーの錐がエリートサイヤ人の首を貫いていた。

 

「ごぼっ…!?ば、ばがなっ!?ごんなごどが、ぎっ!」

 

最後の力を振り絞り、俺は錐を刃状に変化させてエリートサイヤ人の首を切り落とす。ここまでやって、ようやく殺すことができた。つくづくサイヤ人はしぶとい。

 

それにしてもギリギリの賭けだった。さっきこいつも言っていたが、俺は限界とされている大猿化への変身回数十回をすでに越えている。

 

だからこそ、この土壇場で死んだフリなどというとんでもない策が通じたのだがな。

 

俺は爆風で気絶した異星人を起こして宇宙船を操作させる。

 

銀河パトロールにでも駆け込みたいところだろうが、それは少し待ってもらう。

 

そうして前世の知識からすれば驚異的なスピードで発進した宇宙船は、一路ナメック星へ向かうのだった。

 

 




えろいことが序盤にしかない件(´・ω・`)

2016/12/12追記修正しました。


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少女の目的/ナメック星での試練

遅くなりました(´・ω・`)


 

「ねえ、お兄さん。これと同じ中に星が入ったボールを知らない?」

 

鈴の転がるような、どこか甘えた声で突然こちらに話しかけてきた少女。

 

まだ十代も前半だろうか。しかし未発達ながらも快活で輝くようなその姿に、どことなく“においたつほどの女”を感じさせる。

 

「ねえってば、聞いてる?あたしの顔見て固まっちゃってもう。あ、やだ!ひょっとしてあたしが美少女だから?もうしょうがないわね~、じゃあボールくれたらあたしのパンツ見せてあげる♪どう?」

 

媚を売るように少女がこちらへ近づきながらスカートの端をつかんでちらりとその健康的な太ももの付け根を見せる。

 

 

ずくりと、腹のそこからうずくような衝動が駆け巡る。

 

「…中に星が入ったボールだな。いいぜ、家にあるから着いてきな」

 

そう言ってすぐ近くの家に向かって歩き出す。

 

無愛想にならない程度に感情はこめたが、すぐに背を向けて正解だった。…見れば股間がはち切れんばかりに盛り上がっている。

 

かれこれ十年近くぶりに感じた獣欲が、俺の思考から冷静さをあっという間にこそぎとっていく。

 

この少女が“あの”ブルマだとか、彼女に手を出せば将来的にはトランクスが、とか。

 

そういった冷めた思考すべてが無駄なものとして頭から追い出されていく。

 

「キャーッ!あったわ!四星球(スーシンチュウ)よ!」

 

無邪気に喜ぶ彼女の背からそっと近づき、壊さないように優しく抱き締める。

 

「えっ!?やだ、ちょっと、いくらあたしが可愛いからってーーーっ!」

 

そうして、抱きすくめられたままわたわたと顔を赤くして焦る彼女の頤(おとがい)を持ち上げ、少々強引に口づけた。

 

「~~~!?んぅ、む、やだ、なんでーーーんむぅ!」

 

抗議を上げようとする舌を押し倒すように口腔にしまいこむ。舌と舌をからませ、互いの口の中がどちらともつかない唾液で溢れかえる。

 

ぽーっ、とした表情で惚けたままの彼女をトサッという軽い音とともに寝具へ押し倒す。

 

再びお互いの唇を絡めあわせたまま、丹念に彼女の全身を撫でていく。慰めるように、優しく髪をすくようにして体を撫でる。

 

胸に触れると、まるで泡沫が弾けたかのように彼女の体が震える。

 

しかしそれをこの夢が覚める合図にするようなことはせずに、より深い口づけで彼女の身も心も溶かしていく。

 

 

そうして全身の愛撫を一時間も続けた頃にはーーー

 

「はぅ、はわ、やあ、もっときすぅ、するのぉ」

 

全身のあちこちを恥じらいの朱に染めながらも、ねだるようにして俺を欲しがる少女がベッドに転がっていた。

 

俺はそのまま遠慮せずに失禁したかのようにずぶ濡れの下着を脱がし、一息に足さきから抜き取る。

 

足をやや強引に広げると、指と舌と唇の三つを使った“本格的な”愛撫をはじめた。

 

「ーーぁっ?んんっ!?うあ、あ、あああぁぁぁぁぁっっっ!」

 

弛緩しきっていた体に与えられた絶妙な刺激は、あるいはいま痛みにも似た衝撃となって彼女を襲っているだろう。だがここで遠慮するようなことはせず、一息に“豆”と“皮”と“穴”へと執拗に刺激を加えていく。

 

そうして指が感じる処女膜の全容を把握すると、細心の注意を払い気で包んだ指によってそれを切り裂いた。

 

鋭すぎる切り傷が時として無痛をもたらすように、いま受けている刺激と相まって彼女は自らの処女喪失に気づいてはいないだろう。

 

さらに出血を抑えるために、切れた処女膜を広げるようにして膜を回復の気で治癒していく。

 

ーーーこの間、わずか2秒の出来事である。

 

俺は思い、確信した。妄想の練習も、できてしまえばそれは現実の鍛練となんら変わりはないと。

 

さて、ほぐれてしまえばこちらのモノである。

 

俺は自身の剛直を彼女の性器へとあてがう。自身を襲う刺激が止んだことに彼女は息を途絶えがちにしながら、貴重な呼吸を行っていく。

 

彼女がある程度落ち着いたのを見計らうと、やや無遠慮に剛直を穴の中へと沈めた。

 

「~~~ぁぁあぁぁああああっ!?」

 

饗宴がはじまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイヤ人の元から脱走しナメック星について、一年が経った。

 

いま最長老と向き合っている。

 

あれからなにがあったかを簡単に説明しよう。

 

 

 

 

ナメック星に向かう途中で人質にしていた異星人を脱出挺で解放すると、一路ナメック星に向かった。

 

到着までに時間がかかったこともあるが、その間この体について調べたり、可能な限り気のコントロールを精密に行えるようにしたりと、そうこうしているうちに瞬く間に時間は過ぎていった。

 

いざ到着すると、警戒されながらもどうにか俺はドラゴンボールを使うにあたっての試練を受けられることになった。

 

まず最初の村では数人のナメック星人との腕試し。

戦闘力にして3000前後あるため、普通に戦えば俺の敗けだっただろう。

だが、だてに前世の知識を持っているわけではない。

念能力のオーラ運用を参考にした気の集中、さらにそこから発展させた気の収束によって一撃の威力を極限まで高めることができなければとてもではないが勝てるものではなかった。

まあ正直戦ったあとにナメック星人の長老が回復してくれなかったら、無茶な気の使い方の影響で死んでいたが。

 

次に出されたのが高度な数学問題。

これには一番苦戦した。幸いにも長老に教えを請うと教師役を務めてくれたので、時間はかかったが理解して解くことはできた。またおかげでナメック星人とのコミュニケーションも増え、だいぶ警戒心を解いてもらうこともできた。

だが、できれば二度とやりたくない。ちなみにこの試練に半年かかっている。

 

その次は雌雄の区別がつかない原生生物の中から、十年に一度生まれるメスを探しだすことだった(ちなみに例のカエルだった)。

最初は無茶を言うなと思ったが、達成できない試練を出さないナメック星人のことだから何か特徴があるのだろうと、擬似的な“円”を利用した気の結界で生息域を調べたところ、一匹だけ中心になって動かないメスがいたのですぐに捕まえることができた。

なんでも、このカエルたちはナメック星人が生きていく上で不可欠なきれいな水を汚染してしまうのだそうで。すでにかなりの数が繁殖しているとのことだったが、ヒューマノイドタイプの食事に利用可能というとても重要な情報をもらったので絶滅させない程度に食べるつもりだ。宇宙船の食料プラントもいつまで持つかわからないしな。

 

その次の村ではちょっとした小山ほどある岩を指定の場所まで制限時間内に運びきる試練。

 

さらに次が三番目の太陽が一巡するまでの間に星を一周してくる試練。

 

どちらもすぐに終わらせた。おかげで気の運用もかなりうまくなっている。

 

次はまれに生える毒アジッサの剪定。

見た目ではわからない、とのことだったので少しずつかじることで見つけた。しばらくまともにしゃべれなくなるほど口が腫れた。

 

最後の試練は巨大な塩湖を縄張りにする大蛇の討伐。推定戦闘力10000と、逆立ちしても勝てない差だが、そこは覚えてよかった気円斬。残念ながら発射することはできないので丸鋸を構えて突っ込むような姿になってしまったが、不意打ちをしかけたことでどの試練よりもあっさり片付いた。ちなみの万が一のため監視役のナメック星人がネイルだった。頭の悪そうな蛇と違い、本気で勝てそうにない。

 

どれひとつとっても楽な試練ではなかったが、どうにかこうして一年という時間ですべてクリアすることができた。

感無量である。

 

 

「くじけぬ人よ。あなたはこれまでの試練に不平を漏らすことなく、また試練を通じて我らナメック星人の助けとなってくれました。あらためてお礼を申し上げます。ここにあなたがドラゴンボールを使うことを、最長老であるわたしが認めましょう」

 

思い出に浸っていると最長老から話しかけられた。俺は巨大な彼を見上げて答える。

 

「こちらこそ礼を言う。もしナメック星に何かあれば呼んでくれ、俺が必ず力になろう」

 

まあフリーザがくるとなればこのままではどうにもならないな…

将来的にはせめて一撃で倒せるくらいにはなっていなくては。

 

「そんな日が来ないことが何よりですが、避けられない巨悪の気配をわたしは感じています。…かつて正義の心を持ったサイヤ人が悪に立ち向かったという伝説があったように、あなたが希望を示す存在になることを祈ってますよ。それではネイルよ、彼をドラゴンボールのもとへ」

 

このじいさん、最長老は俺の心を読んでいない。にも拘らずフリーザがやがてこの星を狙うであろうことは薄々感じているようだ。実際接してみてわかるが、存在としての格が違う。戦闘力だけで世界は見れないもんだな。

 

「わかりました。…ここに来てないとは思うが、もし貴様の願いが邪悪なものだった場合は実力で止めさせてもらう。構わないな」

 

今日に至っても最長老に敬語で話すことのなかった俺をネイルは嫌っており、その警戒心を隠そうともしない。

 

「どんな間抜けだそれは。恐らくだが、ドラゴンボールに願いを伝えるのにはこの星の言葉でなくてはいけないんじゃないか?だったら俺がどんな願いを言ったところで、お前たちがそれを伝えなければいいだけの話だ。違うか?」

 

「そのとおりだ。わかってるなら下らない問答はここまでだ、いくぞ」

 

自嘲するような笑みがこぼれた。やはりナメック星人はまじめだ。わざわざ言わなくてもいいことを告げてくれるのだから。

 

「なあネイル」

 

「なんだ、さっさとしろ」

 

「あんたっていいやつだな」

 

「なっ、なにを!?ふん、くだらん!行くぞ」

 

肌の色が緑なので分かりにくいが照れているのだろう。どこかツンデレなネイルに烈海王臭を感じる。

 

 

 

 

そしてやってきた広場には…これ、恐らくこの星のナメック星人ほとんどが集まってるんじゃないか。

 

「おお!来られたか、ではさっそくポルンガを呼び出すとしよう。みな待ちきれなくなっておる」

 

そう言ったのはムーリ長老。原作では次代の最長老任されるナメック星人である。ちなみに俺の数学の先生だ。

 

「タッカラプト・ポッポルンガ!プピリット・パロ!」

 

置かれていたバスケットボールサイズのドラゴンボールが輝き、空が暗くなる。ひときわ輝きが増すと、そこには巨大な竜の半身と、どこか人にも似た上半身を持つ存在が現れる。

 

ナメック語で“夢の神”を意味するポルンガである。

 

『ドラゴンボールを7個揃えし者よ…さあ、願いをいうがいい…!どんな願いも可能な限りみっつだけかなえてやろう…!!』

 

「さあ、願いを言いなされ。わたしがポルンガへと伝えよう」

 

「ああ、ではひとつ目の願いとして“俺の体を本当のサイヤ人”にしてくれ」

 

これは散々考え、自分の体を調べた結果だ。寿命を伸ばしたりだなんだと細かい注文が必要そうなら、体そのものをサイヤ人のものにしてもらえばいい。

 

《ポルンガよ!ここにいる者の体を“本来のサイヤ人”へと変えてくれ!》

 

『よかろう、だが少し時間がかかるぞ』

 

ポルンガの目が光ると、俺の体に変化が起きる。

 

 

「…くっ!ぐう、くっ!」

 

熱い。

 

体が熱を持ち、あっという間に全身を焼かれているような灼熱が包む。

 

「ぐああああっ!」

 

高まる灼熱に耐えることどのくらいか。

 

気づけば熱は収まり、こちらを心配そうに見つめるネイルと、肩に手を置くムーリ長老と目があった。

 

「大丈夫かね」

 

どうやら見かねて回復しようとしてくれたらしい。

 

「ああ、問題ない」

 

実際熱が過ぎてしまえば体調に問題はなく、むしろなにか自分を押さえつけていた枷のようなものが外れたような軽さを感じさせる。

 

それにしても激しい変化だった。大猿化を経験していなかったら気絶していたかもしれない。

 

ふと、違和感を感じて自分の姿を見下ろす。

 

腕には手首までびっしりと体毛が生え、下半身も腿の外側からくるぶしにかけてまでが同じように体毛に包まれている。

 

色は茶色だが、まさか。いや、まだ早計かもしれない。

 

だがこの内側からみなぎるエネルギーは、自分が単なるサイヤ人ではないことを確信させるに足るものだ。

 

…ひとまずポルンガへの願いを叶え終えるとしよう。確認はそれからだ。

 

俺は現状に悩みながらも、残り二つの願いをムーリ長老に伝え叶えてもらった。

 

今後俺がどうなっていくのか、それは俺にはわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いい間違えたのはナメック語との齟齬ではなく、ムーリおじいちゃんのドジです。お茶目。
エロいことしてる現代編と現代にたどり着くまでの過去編同時進行で行きます。
せっかくのドラゴンボールなのに過去の時期だとそういうことできるキャラがいないんですよね。
ということでたぶん次回もブルマとにゃんにゃんしてます。話が進めばランチさんくらいまでいけるかな?


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物語の変遷/サイヤ人の過去

興が乗ったので書き上げてしまった。

勢いでやってちょい後悔。

明日は六時起きだ(白目)


あれから一週間。俺たちの生活はまさしく覚えたての猿だった。

 

トイレや食事、風呂に就寝と、それ以外の時間はひたすら求めあっていた。

 

いまもそうだ。起き抜けに俺の逸物をくわえてきたブルマに興奮し、上半身にだけパジャマを着せた状態で後ろから犯している。

 

「んうっ!ふぅ、っ、くあ、あはぁっ…!」

 

まだ未発達な乳房を後ろから揉みしだき、乳首をこねる。こちらが与えた刺激に反応するように、膣内(なか)がきゅうきゅうと逸物をしぼり刺激してくる。

 

その刺激に逆らわず、耳元でブルマの名を呼びながら射精する。

 

「ひぐ…っ!うあ、あ、あああっ…っ!」

 

出しながらも注挿を続け、膣の中を精液と愛液が混ざりあう。

 

ごぽり、と泡を立てながら膣から逸物を抜くと、緊張の途切れたブルマが荒い息を吐(つ)きながら寝具に突っ伏する。

 

「…ぁう、はあっ、はあっ、はあっ…!」

 

尻をつきだすようにしているブルマを見ていると再びムラムラしてくる。

 

俺は思い付いたように彼女の尻をつかむと、そのまま舌を這わせた。

 

尻を舐めながら移動させ、膣から溢れた二人の体液をすくいとるように膣口を舐める。ぴくぴくと震えるブルマの反応を楽しみながら、徐々に舌を尻穴周辺へと這わせていき、わざとらしく音を立ててぴちゃぴちゃと舐めていく。

 

ふぅー、ふぅー、と。さきほどまでは息切れで息を荒くしていたブルマが、今度は違う意味であっという間に息を荒くしていく。俺は刺激に慣れてきた頃を見計らい、一息に舌をその柔らかなすぼまりへ突き刺す。

 

「んうあっ!?」

 

さすがに尻穴に舌が入るということに驚いたブルマが身を起こすが、それにタイミングを合わせるようにしてほぐれた尻穴に人差し指を挿入する。

 

「やっ!?ちょ、ちょっと、そこは、あっ!?」

 

ブルマの抗議を無視するようにして反対の手を今度は膣へと入れる。膣内にあるブルマの性感体を刺激しながら、尻穴の性感体を探す。

 

「そこはぁ、だめ、だめよぅ、おしり、きたなあっ、くああっっ…!!」

 

見つけた。

 

俺は体を浮かせたブルマの下へ器用に回り込むと、指の位置はそのままに豆を口の中へとしまいこむ。

 

「~~っ!?~~~っっっ!!」

 

声にならない悲鳴をあげるブルマが我慢の限界を迎え、膣から潮を漏らす。

 

顔にそれを浴びながらも舌も指も動きをとめず、ブルマを刺激する。

 

それから小一時間は刺激しただろうか。すっかり痙攣するブルマが潮だけでなく失禁までしたころ、俺はようやく彼女を三点の同時刺激から解放する。

 

どうやら気を失ったようだ。

 

俺は気を失った彼女を抱き上げると、対面座位の形へと移行して彼女の膣口へと逸物をあてがい、一気に突きいれる。

 

よほど意識を深いところまで落としているのか、一度くらいの突きいれで目は覚まさない。しかし膣だけはしっかり反応し締め付けていることを確認すると、俺はブルマの体を持ち上げ逸物をぎりぎりまで抜き、再び激しく奥まで突きいれるのを繰り返す。

 

子宮口はすっかり下りてきており、いつでも俺の精液を飲み込もうと収縮を繰り返しているのが逸物からの感覚で理解できる。

 

いずれブルマが経産婦になったらポルチオ(子宮口)セックスを試そう。

 

そんなことを考えていると、繰り返される激しい抜き差しにブルマが目を覚ます。

 

「あにゃっ!?ひゃうんっ!な、なんで、なにが、ああうっ!」

 

「ブルマ」

 

「あう、もう、やめへ、こわれる、こわれひゃう」

 

「愛してるぞ」

 

その言葉を言われた瞬間のブルマの顔をどう現せばいいものか。

 

表情は半泣きになり、ただでさえ赤い顔がさらに真っ赤に染まっていく。

 

間もなく訪れた射精を子宮口へ逃さず叩き込むと、ブルマは獣のような声をあげて達した。

 

 

 

「あー、なんだかまだ股間が変な感じ。でもなんでかしら、あれだけやったのに別に体に不調がないのよね。ちょっとした脱水症状になってもいいくらいなのに」

 

冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出したブルマは上にタンクトップ、下はショーツのままと刺激的な姿だが、自身の起きている状況をまず分析するあたりは幼くても科学者の卵であるがゆえか。

 

「そりゃ、無意識の間に俺が飲ませていたからな。口移しで」

 

「く、口移しっ?寝てる間にキスしたってこと?」

 

顔を赤らめて聞き直してくるブルマだが、キスどころじゃないことをこの一週間散々やっただろうに。

 

それと体調がおかしくないのは俺がセックスをしながら回復の気を送り続けていたからというのもある。

 

でなければ加減したとはいえ、あれだけセックスし続けて問題が起きないわけがない。

 

「まあそうなるな。それで、いまさらだが今後どうするんだ。俺のせいで一週間も時間を使わせたわけだし、できることならきょ「あああああ!すっかり忘れてた!そうよ、ドラゴンボールよ!」うりょくしないでもないが…」

 

さて、もとから誘導するつもりだったが勝手に向こうからドラゴンボールの話を持ち出してくれたことだし。このまま話に乗っかるか。

 

「ドラゴンボール?この星にも存在しているのか」

 

「え?なによ、あなたの星にもあったの?」

 

「いや、俺が知っているのはナメック星という星にあったものだ。そこで願いを叶えてもらったから、いまこうしてブルマと出会えている」

 

俺とブルマは一週間の間、本当にセックスばかりしていたわけだが会話すらなかったわけではない。

 

俺が宇宙人、サイヤ人だということも知っているし、ブルマが夏休みを利用してここに来たことも聞いている。

 

「そ、そうなんだ。えっと、あたしの願いはね、その、素敵な彼氏が欲しいってのだったんだけど」

 

「おいおい聞き捨てならないな。自慢じゃないが、俺は自分以上の男なんぞ早々いないと自負しているぞ」

 

「うん、知ってる…。だからその、あたしとしては願う必要がなくなっちゃったっていうかなんていうか」

 

照れながらうつむくブルマだが、この場合俺は後々西の都に行くことになるのだろうか。

 

「そうか、じゃあどうする?というより、夏休みはまだ残ってるのか?」

 

「夏休みはまだ大丈夫よ。ねえ、あなたはなにか願いたいことはないの?」

 

そう言って真新しい交換したシーツの上を進んで上目使いに見上げてくるブルマ。

 

もう一度押し倒したい欲求を抑えつつ、俺は自分のあごに手を当てて考える。

 

記憶があやふやだが、ここでドラゴンボール探索を逃せば、たしかピラフが世界征服の願いを叶えるはずだ。

 

とはいえ世界征服といってもなにをするんだろうか?ましてやあのピラフが。

 

「そうだな。だったらちょっとした旅行ついでにドラゴンボール探しに行くか」

 

「(きゃ~~、新婚旅行?ううん、まだ結婚してないから婚前旅行ね!)」

 

小声でいう必要がわからない。それと悪いが俺には全部聞こえている。

 

「よし、そうと決まれば行くとするか」

 

「え!今から行くの!」

 

「ははは、さすがにこのままじゃな。お互いシャワーくらい浴びたいだろ?それと飯だ。まだ朝飯も食ってないしな」

 

こうして主に俺がブルマへの欲情を抑えつつ、昼過ぎには準備が終わった。

 

ちなみにブルマが髪をセットしている間は外で修行していた。一種の型稽古のようなもので、五分もあれば終わるそれをあえて一時間かけて行う。

 

それを二回ほど繰り返した頃、ようやくブルマが出てきた。

 

「ごめ~ん、なかなか髪が決まらなくて」

 

両手を合わせて謝るブルマが可愛いし、俺はそんなことを気にしてなどいない。

 

なにより彼女が髪をセットしたりケアする時間が長いのは知っている。

 

「気にすることはない。なんなら今度、髪の状態を高品質に保つトレーニングでも教えてやろうか」

 

「なにそれ!?教えてね!絶対だからね!」

 

思った以上の食い付きだったが、この程度のことならいくらでも教えてやれる。

 

「ああ、わかったわかった。それじゃ家をカプセルに戻すから離れていてくれ」

 

「え!この家カプセルハウスだったの!?この規模のモデルならかなりの額がしたはずだけど」

 

「まあ甲斐性があるってことさ。ああ、移動手段だがひとつ提案があるんだ」

 

ちなみに家を購入した資金は沈没船から引き上げた財宝だ。カプセルにした金庫にまだ数億ゼニー入っている。

 

「移動手段?あたしはここに来たとき乗ってた車以外にバイクくらいしかないけど、ジェット機でもあるわけ?」

 

「いいや、そんなもんよりよっぽど早い。俺がブルマを抱えて飛んでいくんだ」

 

「いい~~!?」

 

「論より証拠だ。それ、行くぞ!」

 

「わ、ちょ、ちょっと待ちなさいよ~」

 

お姫様抱っこが恥ずかしいのかブルマがやや体をこわばらせるが、構わず抱き上げその場で浮きはじめる。

 

「わっ!ほんとに浮いてる!」

 

「衝撃や慣性、風圧とか諸々どうにかするから楽にしてていいぞ」

 

充分な高度を取ると、事前にブルマから聞いたドラゴンボールのある方角へと飛びはじめる。

 

「すごいわね、ざっと音速近い速度が出てるように見えるのに体になんの負担もかからないわ。それに、これだけの高度があれば相当寒いはず。一体どういう原理なのよ?」

 

「説明すると面倒だな。たゆまぬ研鑽の結果だと思ってくれ」

 

地球に来てかれこれ20年は経つ。

 

その間勿論戦闘力を上げるための修行はしてきたが、それだけじゃない。いまなら簡単な魔法くらいなら使うことだってできる。

 

そうしてブルマと飛んでいる最中、ふと眼下に動くものを見つける。

 

よく見ればそれは海亀だった。なぜこんなところにいるんだろうか。竜巻ででも飛ばされたか?

 

それにしては五体満足に見える。

 

「悪いがブルマ、下に妙なものを見つけた。一度降りるぞ」

 

「わかったわ」

 

そうして降りてみると、そこにいたのは確かに海亀だった。

 

おまけにしゃべる。ただの海亀ならかっさばいてスープにでもしようかと考えていたんだが。

 

「~~ぷはっ!生き返りました。ありがとうございます、わたしはなにを隠そう亀です」

 

差し出した塩水を飲み干した海亀に自己紹介されたが、つっこんだほうがいいんだろうか。

 

「重ね重ね申し訳ないんですが、どうかわたしを海まで連れていってもらえないでしょうか」

 

「えー、いやよめんどうくさい。せっかくの婚前旅行なんだから余計な寄り道なんてしたくないのよ」

 

「そ、そんなことを言わずにどうか。お礼もちゃんとさせていただきますから」

 

少女相手に必死に懇願する海亀。実にシュールだ。

 

「まあいいんじゃないかブルマ。俺なら別に手間じゃないし、海まで5分とかからんだろう」

 

「優しいのねあなたってば♪ちょっと亀、そのお礼とやらが価値のないものだったらアンタどうなるかわかってるんでしょうね」

 

ちなみにだがブルマは俺のことを“あなた”と呼ぶ。気分はすでに新婚状態のようだ。

 

「あ、ありがとうございます!はて、それにしてもどうやってわたしを「こうやってだ」ええっ!?」

 

みなまで言わせず亀を背中へと気で“張り付ける”。わたわたしているが別に短時間だし体勢に問題はないだろう。

 

そして俺たちは無事に亀を海まで送り届けると、俺のカプセルハウスを取り出して一晩を過ごす。

 

 

 

「はぅ、あぁ、あ、あ、も、おしり、やぁ」

 

じゅぷじゅぷと音を鳴らして俺はブルマの尻穴をいじくり続ける。

 

俺の技術力なら道具を使うよりも確実に尻穴を開発してやれる。もうかれこれ三時間近く尻穴を弄くっている。

 

豆は自己主張激しくそそりたち、息を吹き掛けるだけでブルマは嬌声をあげる。

 

俺は我慢汁がしたたる剛直と化した逸物をゆっくりとブルマの膣へと埋めていく。

 

「あぁ…!うあ…!あ゛あ゛あ゛!」

 

濁点混じりの母音をあげながらブルマは何度もイく。

 

指を3本挿入した尻穴を刺激しながら、どこかゆったりとした動きで注挿を繰り返す。

 

こうして交わっていて改めて思うが、驚くべきはブルマのポテンシャルだ。

 

はじめは処女を奪った彼女から記憶を消すつもりだった。妊娠させるつもりで種付けしたとはいえ、俺の子種では早々孕むことがないのは知っている。

 

だが、俺は彼女に溺れた。記憶操作などする気も失せるほどに。

 

端から見れば俺に依存しているのは彼女だろう。

 

だが実際は違う。俺が彼女に依存しているのだ。もはや手放すことなど考えられないほどに。

 

「んっ、どう、した、の?」

 

後ろから突かれながら顔だけこちらへ向けブルマが訪ねてくる。

 

その仕草にどきりとしながらも、俺は動きを止めずにブルマへ答える。

 

「少し、考え事をしていただけさ。気に、するな」

 

「だい、じょうぶ、よ」

 

「なに?」

 

思わず動きを止めた俺と向かい合うようにブルマが体勢を変える。

 

ぐりゅん、と膣が回転する動きに射精しそうになるが腹筋に力を入れてこらえる。

 

「あたしは、いなくならないから。だって、こんなにもあなたが好きなんですもの」

 

「ーーーッ!」

 

俺はその言葉だけで射精していた。

 

歓喜が自分を支配しているのがわかる。まるで何かに目覚めそうなほど。

 

「あれ?あなた、髪の色が「ブルマァァァ!」きゃあっ!」

 

俺は全霊をこめて彼女を抱いた。起こりえた未来など知ったことか。

 

フリーザ?人造人間?魔人?

 

誰が来ようが構うものか。俺が過ごすこの幸せを邪魔しようというなら、ドラゴンボールで生き返れないように魂すらも粉微塵にしてくれるっ!

 

その日はめちゃめちゃセックスした。ちょっとブルマが死にかけたので次からは気を付けようと思いたい。

 

 

 

一晩明けて。俺は一睡もできなかったが、気分は爽快だ。

 

冷静になればなにか自分の身にとんでもない変化が起きている気もするが、いまはまだ検証しなくてもいいだろう。

 

ブルマは眠ったままだ。心臓が止まったときは本当に焦った。まさか短期間で同一人物に二度も蘇生術を施すことになろうとは。猛省せねば。

 

海を眺めながら自分の問題点を洗い出していると、不意に水平線に人影が見えた。

 

しばらくすると、そこにはアロハを着た老人を乗せた亀の姿があった。

 

「お待たせいたしました。約束通り、お礼として武天老師様をお連れしました!」

 

「はろ~」

 

ブイサインをするファンキーなじいさんにしか見えないが、俺にはじいさんが内包する実力がわかる。

 

おぼろげな記憶では彼が戦った様子を思い出せないが、ひょっとしてその気になればラディッツくらいなら倒せるんじゃないだろうか?それだけの力を感じるが…

 

「ふむ。亀から助けてもらった者の姿はそれとなく聞いておったが、お主もしや孫悟飯という名に覚えはないか?」

 

やはりその質問が着たか。俺は出来る限り表情を作らず、包拳礼をつくって武天老師と向き合う。

 

「はい、孫悟飯は我が師父。そして養父でもあります。武天老師様のお噂はかねがね伺っております」

 

「これこれ、そうかしこまらんでもよい。して孫悟飯のやつは息災か?」

 

その言葉に、苦い記憶が蘇る。

 

「いえ、師父は5年前に襲ってきた魔族に討たれて…」

 

「…そうか、惜しい男を亡くしたな」

 

「武天老師様にそう言っていただけて、師父も喜んでいるでしょう」

 

「そうさな。まあ、あやつのことだ。案外あの世でも達者にやっておるじゃろうて。そうじゃ、お主の名を聞いておらなんだのう」

 

その言葉に俺は若干のとまどいを覚えながらも、目の前の大師父へと告げる。

 

「悟空。孫悟空、というのが俺の名です」

 

それは、この世界が決定的に違っていることを示すなによりの事実だった。

 

 

 

 

 

 

 

あれから少しして、俺はポルンガに叶えてもらった残りの願い二つを省みていた。

 

残りの願いのひとつは、界王と同じように離れた場所を探知する能力だ。

 

さすがにテレパシーは使えないが、今後のことを考えるとなにかと後手にならないように身に付けたほうがいいだろうと考えた。

 

だが、この能力の使い勝手が悪いこと悪いこと。

 

集中すればなんとかできなくもないが、それでもせいぜい数百メートル。ぶっちゃけそのくらいの距離であれば新しいこの体は相手の表情まで見える。

 

仕方なく俺は最長老様に泣きつくと、潜在能力解放の要領であっさりと能力を使いこなせるようにしてくれた。

 

またそれに伴って俺の戦闘能力も上がったように感じる。

 

最長老すげえ、とか思っていたがその反則じみた行為にネイルだけは怒っていた。

 

なんでも、まじめにやればその程度できるようになれるのだから努力を惜しむな、だそうで。

 

俺は楽できるならそれでいいと思うのだが、まじめなナメック星人には気に入らないらしい。

 

それともうひとつは宇宙船の強化にするつもりだったが、現状が気になりすぎたのでサイヤ人に関して詳しく説明できないか、ポルンガへ聞くことにした。

 

結果として、いまの俺の状態はかつて存在した古代のサイヤ人、原種サイヤ人とでもいうものらしい。

 

かつてもその戦闘力はすさまじかったが、気性が荒かったわけではなく、むしろ必要な時以外は戦うことすらしなかった穏やかな種族だったという。

 

だが一度戦いとなればその勢いはすさまじく、戦闘民族の名はこの頃に当時の界王神がつけたそうだ。

 

またこの頃は大猿化といった能力はなかったらしく、大猿化というのは後に子孫らがかつての力を引き出すため進化した結果獲得したものらしい。

 

そうなった原因というのがなんでも、原種サイヤ人の絶滅にあるそうだ。

 

かつてその存在は唐突に現れた。

 

突然変異で現れた破壊神にも匹敵する実力者。

 

後に、伝説のスーパーサイヤ人と呼ばれる存在が現れたことによって、それを止めようとした原種サイヤ人がが皆殺しにされてしまった。

 

ちなみに今残っているサイヤ人はすべて伝説のスーパーサイヤ人の子孫らしく、他の種族を孕ませできたことによる雑種なのだそうだ。

 

ちなみにこの影響で、一部の種族と交わるとサイヤ人原種の血が引き出され、戦闘力の高い子供が生まれやすくなるらしい。

 

とはいえ、いまのべジータ王は純血主義とも言える思想を持っているため、他種族を孕ませたものは妻子もろとも処刑されるそうだが。

 

ちなみに戦闘力が落ちたのも、この頃雑多に血が混じった影響らしい。

 

その後は寿命すら克服したかに見えた伝説のスーパーサイヤ人だったが、銀河の支配を百年ほど続けたある日。

 

直系の子孫らから“突然変異”として正しい心を持つサイヤ人らが生まれた。

 

それは他の種族と交わった影響もあったらしいが、一種の宇宙の反作用とでもいうべきもの。強すぎた伝説のスーパーサイヤ人に、宇宙が拒絶反応を示したのだ。

 

やがて力をつけた正義のサイヤ人らは自らの始祖へと挑んだが、その実力差は圧倒的。

 

しかし、あわやというところで神の力を持つスーパーサイヤ人ゴッドが誕生。

 

伝説のスーパーサイヤ人を上回る力を見せたが、神の力を使い果たしたゴッドは負け、残りの正義のサイヤ人らも皆殺しにされてしまう。

 

そうして戦いは伝説のスーパーサイヤ人が制したそうだが、そこに乱入者が現れた。自らを殺す可能性がある存在であることにより力の行使を止められていた破壊神だ。

 

さすがの伝説のスーパーサイヤ人も消耗が激しく、現れたビルスに食って掛かったことによりあっさりと“破壊”されてしまったらしい。

 

こうして残ったサイヤ人は、その後もいくつかの人間型生物と混血を作りながらも戦闘力を落としていき、離散と集合を繰り返していく。

 

そうして宇宙船を扱うほどの知力と銀河の生命体のなかでは高い潜在能力を誇りながら、その生活はみすぼらしく落ちこぼれていったそうだ。

 

逆に言えば、それだけのポテンシャルがあったからこそ、べジータ王の台頭によって一気に勢力を増したわけでもあるのだが。

 

俺はこれを聞いて、原作映画でブロリーにべジータが恐怖したのは伝説のスーパーサイヤ人の子孫としてもっとも血を濃く受け継いでいたためでもあるのかと仮説を立てたが、証明できることでもないので忘れることにした。

 

ちなみに潜在能力解放の際記憶を読まれたように感じたが、最長老は笑みを深くするのみで何もいってこなかった。

 

その後数日間、最長老のもとで遠隔視能力の指導をあらためて受けたり(最長老も普通に使えた)しながら能力を十全に使いこなせるようになった手応えを得ると、ナメック星を離れることにした。

 

すると最後にネイルが組手を申し出てきたので受けると、驚くべきことに勝ってしまった。

 

まだこの体に慣れていないので正確な測定はできないが、恐らくいまの俺の戦闘力は十万を越えているように感じる。

 

とんでもないインフレだが、それに無自覚だった俺にそのことを気づかせようとするネイルなりの気づかいだったのだろう。

 

改めてお礼を言うとそっぽを向かれてしまったが。

 

宇宙船で向かう次の目的地は、いろいろ考えたが地球にした。

 

ヤードラット星に行くには恐らく修行が足りないし、なにより心臓病が怖い。

 

他にも神聖樹の種を回収しておいたりしたかったが、どこにあるのかもわからない。

 

だったらこの物語の原点である地球が無難だろうと考えたのだ。

 

…それに、この体になってから急に性欲を感じるようになった。

 

ナメック星人には悪いが、地球へ行くのは女を求めてという理由もある。

 

このとき俺はまだ知らなかった。

 

すでに物語の根幹が破壊されていることに。




ブルマの台詞が感嘆符だらけな件(´・ω・`)

それと主人公がまだ無自覚ながらセックスで覚醒した件。

…こんな早い予定ではなかったんだが。

ちなみに孫悟飯を殺した魔族はガーリックJr.一味。

理由はドラゴンボールを集めているのを邪魔したから。

そのあとどうなったかって?天界に乗り込んだ主人公が神様がドン引きするくらいぼっこぼこにしてデッドゾーンにぽいです。次回過去編で書くかも。



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忍び寄る驚異

ようやっと書けた、と思ったら量がめっちゃ増えてしまった件(白目)
調子に乗って書きすぎたかなので、とりあえず前半パートのみ投下します。
後半はまた時間をつくって書き上げます。


自分の名前を告げたあと、亀仙人との間に深い沈黙が訪れる。

 

血を吐くように告げたその名前に、深い後悔が染み付いているのを察してしまったか。

 

「…それが師からもらった“どこの誰でもなかった”俺の名前です」

 

「そうか。ならばその名を授けられたことに胸を張るがよい。“せがれ”がそんな暗い顔をしとっては、おちおちあの世でゆっくりもできまいて」

 

「…おっしゃる通りです」

 

そうだ。

 

あのとき師父が、義父さんが言っていた。前を向いて生きろと。

 

思い出したら泣けてきてしまった。

 

なんていうかスケベじゃないときの亀仙人って頼りがいありすぎるな。今度から心のなかでも大師父って呼ばせてもらおう。

 

機会があれば改めて亀仙流の指導を受けるためこのひとに師事するのも「ちょっと~、起きたらいないしそんなところでなにやってんのよ~」

 

いつの間にか起きたのだろう。振り向くとそこには寝ぼけたブルマがいた。

 

全裸で。

 

もう一度言おう。

 

全裸で、だ。

 

髪はボサボサで体のあちこちに付いたアレとか、キスマークもむき出しで、ひどくだらしない格好のはずなのにそこには未成熟ながらもどこか背徳感のある色香をかもし出している。

 

起きて隣に俺がいないことを不安に思ったのだろうか。

 

よく見れば目が赤いから、少し泣かしてしまったのかもしれない。あとで謝って慰めてやらなくては。

 

だがそんなことより問題がある。ここには大師父であるスケベじじい、亀仙人がいるということだ。

 

「ブ~~~っ!?」

 

わざわざ口で音を出しながら、どう見ても出血多量に見える鼻血を吹いて亀仙人が死んだ。

 

「って違う!大丈夫ですか大師父!?」

 

俺はオレンジのアロハを真っ赤に染色したスケベじじいを抱きかかえる。

 

「…我が生涯に一片の悔いなし!」

 

なんかものすごくいい顔で言われたが名台詞を台無しにされた気分だ。

 

「きゃ~~!」

 

目を覚ましたブルマが悲鳴を上げてカプセルハウスへ逃げ込む。砂浜を駆けるブルマの生尻に目がとらえられるが、とりあえず大師父をなんとかしなくては。

 

とりあえず回復の気を強めに打ち込んで目を覚まさせてもらった。

 

閑話休題。

 

その後なんやかんやありながら、ドラゴンボールをもらうことができた。

 

いいものを見せてもらったお礼、だそうだ。

 

大師父でなければぶっとばしたいどスケベ顔だった。

 

さて、なんやかんやとあったが身だしなみを整えたブルマを再び抱き上げ、一路空の旅へ。

 

なんだか陸路じゃないと本来出会うべき人間と会わない気もしたが、まあわざわざ自分の女で女性恐怖症を治す必要もあるまい。

 

ということで一瞬視線を感じつつも華麗にスルーして、次なる目的地へ。

 

一時間とかからず到着したのは、妙に静かな村だった。

 

気を関知すれば、そこらに人はいるもののなにかに怯えて隠れているようだ。

 

ああ、ウーロンかと心中で察する。

 

仕方ない。こういう排他的な村社会には建前を持ち出すのが一番だ。

 

面倒だが、こういうときには見栄を張るくらいがちょうどいい。

 

「わたしはかつて天下に聞こえた武術の神、武天老師様の弟子孫悟空だ!ここの村で何が起きているか聞かせてほしい!わたしが力になろう!」

 

事情を知らなければ閑散とした村の中心で突然怒声をあげた不審人物だろう。

 

だが事情を知っていることを暗に示せば、こういった村ではたちまち生き神様の出来上がりだ。なんでわかるかって?昔地球に来たばかりのころにやったことあるからな。

 

ちなみに俺の声は近隣の山々にまで響き渡っている。一応上を向いて叫んだのだが、事前に言っておいたにも関わらずブルマが目を回していた。

 

しばし待っていると、恐る恐る家の中から中年の男がでてきた。

 

俺がわかりやすく胸をはって笑いかけてやると、男は弾かれたようにこちらへかけてくる。

 

「あ、あなた様があの武天老師様の弟子というのは、ほほ本当で!?」

 

「ああ、そうだ。わたしは師に言われ、旅をしながら困った人を助けているのだ。なにかあったならばどうか遠慮せずに言ってほしい」

 

自分で言っていて胡散臭さに辟易してくる。

だがそうとでも言わねば話が進むまい。

視線が気になり横を見ると、横でブルマが目をぱちくりしながら驚いている。

おいおい、お前が話を信じてどうする。

あ、ちなみに武天老師の弟子と名乗っていいかはさっきのごたごたで許可をとってあるので万が一問い合わされても問題ない。あんな僻地に問い合わせるやつが早々いるとは思えないが。

 

やがて震えながら男が話した内容とは、この村にある日ウーロンという変幻自在の妖怪が現れ、定期的に娘を生け贄として差し出すよう要求してきているらしい。

 

これまで娘を差し出しており、今日もこのあと12時に来るという話だったので、予定より早く来たかとみんな隠れてしまったらしい。

 

まあこちらはネタバレというか、正体を知っているので特に怯える必要もない。

 

実は正体がボージャックとかだったら色んな意味で詰むが。

 

とりあえずブルマに頼んで花嫁衣装を着てもらい生け贄のふりをしてもらう。

 

花嫁プレイもいいなあ、と村の中心の広場で待つブルマを隠れて見ながら考えているとひとりの紳士が現れた。

 

「やあ、素敵なお嬢さん。ぜひとも私のお嫁さんになっていただけないかな?」

 

なかなかの美形だが、甘い。

 

ブルマは余裕のある笑みを浮かべると、すっくと立ち上がって美中年に変身したウーロンを正面から見つめる。

 

「そうね、あなたが飛行機よりも早く飛べて、実は武術の達人で、それでもって実は宇宙人だったりしたら考えてあげてもいいわよ?」

 

そういって微笑むブルマの顔は惚れ直しそうなほどに誇らしげである。

 

俺は唖然としているウーロンの前に出ると、全身を包んでいる気で作ったエクトプラズムのようなモノだろうか。それを剥がして正体を暴く。

 

「あ、あれ?なんで五分経ってないのに変身が、ひぃっ!?」

 

驚くウーロンを無視してその豚頭を鷲掴みにして持ち上げると、そのままアイアンクローをしながら話を聞く。

 

「ぎゃあああっ!?あた、頭が割れる、割れちまうぅぅ!」

 

「いいか、一度しか言わないからよく聞け。これからすぐに家へ帰って、これまでにさらった女達を帰すんだ。さもないとこのまま頭を握りつぶす!」

 

ほんのわずかに力をこめると怯えたウーロンが失禁しながら命乞いをしてきたので汚くて離してやった。

 

「あ、あの娘達ならむしろ連れて帰ってほしいくらいだよっ、俺の言うことはちっとも聞かないし、召し使いみたいにこきつかわれるし、いい加減うんざりしてたんだ!」

 

怯えのなかにこれまでのことを思い出したのか若干の怒りを見せながら事の真相を吐き出すウーロン。そういえば連れていかれた女たちは我が儘になっていたのだったか。

だが、そうなったのはそもそもこいつが拐ったのが悪い。ということで、さっさと着替えさせると、縛り上げて村へと連れて帰った。

 

「こ、こんな小僧がウーロンの正体!?」

 

「幽霊の正体見たり、ってな。なんでも見映えだけで判断するのはよくないって証拠だ」

 

この世界の住人はその辺がどうにも鈍いように感じる。

 

「あ、ありがとうございます。これで娘達も家に連れ戻すことができます」

 

「いや、俺はきっかけを作っただけだ。それにこのウーロンの話を信じるなら、贅沢三昧でずいぶんわがままになっているらしいぞ。そっちを治すこれからの方がよっぽど大変だよ」

 

苦笑する俺に最初に話しかけてきた男。なんでも冴えない見た目ながらこの村の村長らしい。

 

「でも本当にいいんですかい?こんな豚を武天老師様のところへ送るだなんて」

 

そう、俺はウーロンを原作通り大師父と一緒にいられるように彼のもとへと送るつもりでいた。ふたりとも何だかんだスケベで気が合うだろうし、ウーロンもなんやかやと言いながら女数人の面倒を見るくらいには人がいい。

 

「ああ。とはいえただ送っては反省にならないからな。…よし。村長、そこの木をもらうぞ」

 

俺は無造作に木へ向かって蹴りを二発放つ。すると、一抱えほどある木がまるで元からそうだったように丸太になって倒れてくる。

 

あっけにとられる村長とウーロンを尻目に、俺は手早く縛られたウーロンを木に縛り直していく。

 

「はっ!?おい、ちょっと待てよ!これでいったい何をするつもりだよ!」

 

「なに、ちゃんと死なないようにバリアーはかけてやる。しばらく空の旅を楽しめ」

 

「おい!嫌な予感しかしな、ちょ、ちょっと待て!よせってまた漏らす、ああああああああああぁぁぁぁ…」

 

気でウーロンと木を包み込むようにバリアーで包んでやると、遠視能力で着弾地点の砂浜を確認し、さきほど聞いておいた亀仙人の住まい近くへウーロンをぶん投げた。いい感じにドップラー効果を発しながら、空の彼方へ豚が消えていく。

 

「よかったなウーロン、ただの豚じゃなくなったぞ」

 

空に光るのはやつの尿だろうか。ばっちいな。

 

「終わった?」

 

ひとしきりのやり取りを見ていたブルマが、こちらのやることが終わったのを察して近寄ってくる。

 

「ああ、問題なくな。あいつの方が先に着くだろうが、大師父のことだ。うまいことしてくれるだろう」

 

面倒な問題を丸投げしたようなものだが、この程度は頼りにさせてもらっていいだろう。

 

「さあ、次の目的地へ出発だ」

 

再びブルマを抱え、ドラゴンレーダーに反応する次なるドラゴンボールへと向かう。ブルマいわく、そこは年中燃え続ける通称フライパン山という世にも奇妙な山だそうだ。

 

ちなみにどさくさだがドラゴンボールを手に入れることができた。パオズというばあさんが持っていたもので、話を出すと「こんなものでお礼になるなら」と快く譲ってくれた。

 

フライパン山に関してうっすらとある原作知識を思い出して考えるが、たしか理由は火の精が落ちてきたんだったか。ふと思ったのだが、火の精に力を借りて魔法が使えるようになったらわりと大半の敵が倒せるような気がしてきた。

 

だって消えないんだぜ?ちょっとした天照じゃねえか。

あ、だめか。大師父のかめはめ波で消せるんだったら、わりと簡単に攻略できてしまう。

 

などと頭のなかで考察しつつ、口ではブルマと雑談しながらフライパン山へ向かっていると、なにやら眼下を恐竜が走っている。

 

なにかを追いかけているようだ。

 

よく見れば、せいぜい10歳前後だろうか?

女の子を追いかけ回している。

なぜかビキニアーマーだ。

 

ああ、これってチチが例のあの人と出会うシーンか、と薄らいだ記憶を辿っていると、不意に少女が頭に手をやり兜の上部分をぶん投げた。

 

目をつむっているにも関わらずキレイな放物線を描いた兜の一部が恐竜の首を切り落とす。さらに悲鳴をあげながら額部分の宝玉から怪光線が放たれ、恐竜の死体は木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

牛魔王に大師父のもとへ向かうよう言いつけられたのか?そうでもなければあんな物騒な代物を幼い少女に持たせることも…ううむ、牛魔王の教育方針がわからないからなんともいえないな。

 

降りてみれば、そこにはこわいこわいと叫びながら怪光線を発射しつづける女の子がいた。

 

このままでは本人まで危険だったので、とりあえず軽く気絶させる。

 

「とっさに気絶させちゃったみたいだけど、この子どうするの?」

 

「…さてな。少なくともこの辺に置いていったんじゃ今度こそ恐竜に食われかねん」

 

ということで、ブルマにこの子も連れていくことを提案。

「この子にもエッチなことするの?」と真正面から聞かれたが、さすがに入らないだろう。…尻なら開発すればいけるか?

 

とりあえず二人を抱えるのは体勢的に無理をさせてしまうので、カプセルのなかから買い物用の小型コンテナを出す。予備の布団などをクッション代わりに敷いて再び出発する。

 

やがてフライパン山に到着すると、すぐに牛魔王らしき人物を発見。

 

コンテナを近くに置いて姿を見せると、いきなり斧を投げられた。気にせず指二本でキャッチしてここへ来た目的を告げる。

 

「物騒な挨拶だな。あんたは牛魔王で間違いないか?ここにあるドラゴンボールが欲しいんだが。対価は用意しよう」

 

ん?なんだか高圧的になってしまったな。これではまるで悪役じゃないか。

 

「んだら、けったいな格好した盗人だなおめえは!おらの宝を盗むつもりなら容赦しねえど!」

 

ちなみに今さらだが俺は上半身に服を着ていない。見ようによっては毛皮のシャツを着ているように見えるだろう。

体毛が長袖のように体を被っているし、体そのものは暑さ寒さにも強いので特別着る必要を感じないのだ。さすがに街などへ買い物に行くときにはマナーとしてシャツなど着ているが。

 

「まあ待て。別にあんたの財宝を狙っているわけじゃ「問答無用だあ!なますに刻んで…ん!?そこにいるのはチチでねえかっ!おめえら、おらの娘になにしただっ!」

 

口から泡を吹いて激昂する牛魔王の視線の先にはコンテナから出てきたチチの姿が。どこから取り出したのか、牛魔王はさらに斧を取り出して二刀(斧)流になってこちらへ突進してくる。

 

「保護しただけだ…といっても、話を聞く余裕はなさそうだな」

 

「があああーーっ!」

 

吠えながら向かってくる牛魔王を俺は真正面から受け止める。

まずは斧の柄を手刀で切り落とすと、強制的に両手で組み合うような形にもつれ込ませる。

体の大きさで上回る彼がのし掛かるように体重をかけてくるが、手四つに組んだ体勢は少しも崩れない。

 

そのまましばらく受けて力を出しきらせると、俺は牛魔王の力を利用して体勢を崩す。

さらにはわかりやすく亀仙流の構えをとる。べジータ戦で悟空が取った構えだ。

 

「そ、その構えはっ!?まさか、おめえの師匠の名前は孫悟飯て言うんでねえか!?」

 

動揺して思わずといった口調で質問してくる牛魔王。

ようやく伝わったか。

俺は構えを解いて答える。

 

「ああそうだ。俺は孫悟空という」

 

「やっぱりそうだっただか!以前手紙を貰ったことがあっただ、変わった子供を弟子にしたと…!すまねえ、悟飯さんのお弟子さんだったとは知らずに失礼な真似を…!」

 

本当に悔しそうに牛魔王は頭を下げる。なんでも義父がまだ亀仙人の弟子だった頃、同門の後輩だった牛魔王はさんざん世話になったらしい。

義父がすでに死んでいることを伝えると、その場でおいおい泣き出してしまった。

 

「う゛、ぐすっ、そ、そうだっただか。あんなに強かった悟飯さんがなあ。にしても魔族だか。亀仙人様のお師匠も魔族に殺されたって話だべ、人生なにがあるかわかったもんじゃねえなあ」

 

そうしんみりと言った牛魔王はひどくしょぼくれて見えた。

話に聞けば、十年前に娘を生んだ奥さんが産後の肥立ちが悪く亡くなり、さらにそこへ追い討ちをかけるように山は火の精が落ちてきて燃え盛ってしまう。

おまけに火事で戻れなくなった城へ、どこでどう噂が広まったか、ひっきりなしに財宝目当ての連中が現れ、そんな連中が幼いチチを人質にとろうとするなどといったことがあり、すっかり人間不信になってしまっていたらしい。

気がつけば自分の城へ近づこうとする相手を誰彼構わず殺してしまうようになったのだとか。

 

結局その日は牛魔王に俺が出したカプセルハウス(大)で寝泊まりして貰った。

なんでも、城から離れられないために娘をカプセルハウスに住まわせて自分は野宿しているのだそうな。…それであんな山賊じみた格好してたのか。

こんなこともあろうかと、の台詞が好きなのでカプセルハウスに限らず役立ちそうな代物は基本複数持ち歩いている。せっかくなのでそのまま譲渡することにした。

泣いて喜んで抱きつこうとしてきたので全力で拒否したが。

 

 

 

その日の夜。

久しぶりに上物の酒をたらふく飲んで上機嫌になった牛魔王は、つぶれるようにしてすでに眠っている。チチは久しぶりに父親と眠りたかったようだが、酒の臭いに負けて別の部屋でゆっくりしているはずだった。

そう、はずだったのだが。

 

「んっ、むっ、んむっ、んんっ、ぷはっ。お姉さま、アゴが疲れてしまっただ」

 

そういってくわえていた俺の逸物を口から出したのは誰であろうチチ。

さすがにビキニアーマーではなく、可愛らしいパジャマ姿だ。いつの間にかブルマをお姉さまと呼ぶようになっている。

 

「ふふっ、最初のうちは仕方ないわよ。むしろ、彼のペニスをはじめてで口に入れられるなんてちょっとした才能よ?あたしだっていまだに全部含めないもの」

 

まるで微笑ましいものを見るようにチチに答えたブルマが、交替とばかりに俺の逸物を口に含む。さきほど言ったとおりすべてを口に含むことはできないが、それでもチチよりも深く、舌も使ったネットリとしたフェラは、俺の逸物を刺激して脳内にしびれるような快感をもたらしてくれる。

 

「やっぱりお姉さまはすごいだ。それになんだかまたお股がむずむずしてきただよ」

 

股間に手をやり擦り合わせるチチを見て、俺の逸物が固さを増す。

そのままブルマの舌を意識して口の中に射精し、それをブルマが嚥下(えんげ)して飲み込んでいく。

 

「あふっ、相変わらずすごい量。それに飲んだだけで体が熱いわ」

 

口に残る精液を味わうようにしてもごもごとするブルマの姿に興奮し、逸物はあっという間に固さと大きさを取り戻す。

 

「それじゃ、見ててね。きっと今後の参考になるから」

 

再び固くなった俺の逸物を見て顔を赤くしながらチチがその言葉にうなずく。

ブルマはチチにわかりやすく、背面座位の格好でゆっくりと膣に逸物を埋めていった。

 

「きゃふ、固いっ、はあっ入った。ん、や、あ、だめ、あん、まだそんな、あ、動いちゃ、んんんぅぅ~~っ!」

 

小刻みに膣をかき回してブルマから余裕をなくしていく。そのまま首を回してキスをすると、あっという間にイってしまった。

 

「うひゃああ~、お姉さまの顔がすごいことになってるだよ。お、おらもこのあとあんな風にされちまうんだべか」

 

チチは顔を真っ赤にしながらも、その視線は結合部から離れようとはしない。

そもそもなぜ彼女がここにいるのか?

念のため言うが俺から誘ったわけではない。牛魔王が寝たあと、寝室を案内して隣に出したカプセルハウスに引きこもった俺のあとをチチがついてきてしまったのだ。まあその時点で気づいていたのだが。

部屋につくなりブルマを刺激し、立っていられないほどに指で刺激してやった頃には、わざと開けておいた扉の隙間から食い入るようにこちらを見つめるチチと目があった。

 

見られていたことにはどうやらブルマも気づいていたらしく、どうせならと一緒に行為にふけることを提案したのだ。

興味津々のチチを二人がかりで舐めまわして刺激し、一時間もするころには覚えたてのフェラまでしてくれるようになっていた。ブルマに劣らない“淫”の才能といったところか。

 

「そのうちお前にもこうしてやる。さすがに“いまは”入らないだろうけどな」

 

俺は背面座位から立ち上がり、チチの前で見せつけるようにブルマの全身を持って逸物を出し入れする。膣内に自分の体重が加わることで、ブルマの奥がいつも以上にえぐられる。

 

「あぎゅっ!あぐっ!ひぬっ、ひんりゃうっ、おおっ、おおっ、んおおおおっ!」

 

イキすぎてブルマの声が獣のようになっていく。

俺はひときわ強く逸物を奥深くまで挿しこむと、子宮口に逸物の鈴口をしっかり固定して射精した。

 

「あああ、でて、でてりゅ、おにゃか、いっ、ぱい」

 

抜くと同時にブルマが失禁した。少々刺激が強すぎたらしい。

だが困った。俺の逸物はまだ萎えていないのだ。

 

「ひぅっ!あ、お、おらもやっぱりお姉さまみたいにされちまうだか…?」

 

期待と不安が混じりあった顔で、愛液と精液が混じりあった逸物を見上げるチチ。

俺はすこし裏技を使うことにした。

 

「悪いな…ちょっと我慢できそうにないんだ」

 

覗きがバレた直後、俺は彼女が自分でしているのに気づいていた。

そのときいじっていたのが前だけでなく、後ろの穴も同時にいじっていたのにも気づいていた。

 

「きゃっ!あ、でもさっき悟空さまはおらにはまだ入らねえって」

 

キングサイズのベッドに押し倒すと、チチは不安な気持ちが強くなったのか俺を見上げて言う。

 

「なあに、ちょっとした裏技がある。すこし刺激が強いが、我慢してくれよ」

 

俺はチチをうつぶせにひっくり返すと、股間をひろげて尻の穴へと舌を這わせる。ひくひくと閉じたり開いたりを繰り返す可愛いつぼみへと、遠慮せずに舌を挿し入れぐにぐにと広げていく。

 

「はわ、ふわぁ、あぅあ、悟空さまの、し、舌があっ」

 

舌で舐めながら、幼い性器を指で撫でるように刺激していく。

同時に、自分の逸物へと意識を深く集中していく。

すると徐々にだが、俺の逸物だけが勃起したままそのサイズを小さくしていく。

五分もすると、どうにかチチの尻の穴程度ならば抉れるだろうサイズへと変貌した。

これが俺の裏技。肉体操作の一種で、はじめは義父さんから修行を受けている最中に自身の肉体を気とは関係なしに鍛えていて気づいたことだ。

この体はかなり応用力が効くらしく、大猿化のように巨大化することもできた。ならば、逆に小さくなることもできるのではと以前試したことがあったのだ。

今回はその応用で、逸物だけを小さくしてある。

 

それから一時間も刺激し続けただろうか。

 

途中で中もきれいにしたチチの尻の穴は、俺の唾液と自身の愛液でぬらぬらと濡れていた。

 

「あ、あうあ、うああ」

 

顔はとろけてぐったりしており、はじめて受ける刺激ですでにチチは限界を越えているかもしれない。だがここで止まれるはずもない。

返事は期待できないので、俺は無言で仰向けにしたチチの尻穴へと逸物を埋めていく。

そうして注挿しながら、俺はさらに逸物へ集中してちょうどギリギリのサイズになるまで大きさを調節する。

 

「うひぃっ!?あぐぁ、ごくうさま!おら、おらこわれちまうべえっ!」

 

夢現から覚めたチチが悲鳴のような嬌声を上げる。

俺はチチが壊れない程度に加減しつつ、腸の壁越しにチチの子宮をえぐっていく。

 

「ああっ!ごくうさまっ!ごくうさまっ~~~っ!!!」

 

ひときわ大きい悲鳴をあげてチチはイッた。ブルマと同じように失禁したかと思ったが、どうやら潮を吹いたようだ。初セックスをアナルで迎えながら、潮まで吹くとは。今後が実に楽しみだ。

 

「…たしかにあたしも煽ったけど、よく入ったわねえ」

 

チチの悲鳴に目を覚ましたのか、ブルマがチチの様子を見ている。

チチは幼さを残した容姿に浮かべてはいけないほどの淫靡な表情をしながら気絶していた。

俺は後遺症にならないよう、尻の穴を中心に回復の気を送り込んで形を戻していく。

 

「なるほど、そんなことまでできるのね」

 

まだサイズを戻していない俺の逸物を眺めながら、ブルマが興味津々といった風にしている。見られているから立ってしまった。

 

「えっ!?まだおっきくなるの!?あれ、ちょっと待って、あたし起きたけどまだ腰にちからが入らなくて…きゃうんっ!」

 

ちょいちょい慣らしておいたブルマの尻の穴に、いちど膣を往復してたっぷり愛液で濡らした逸物を挿しこんでいく。せっかくサイズ調整までしたのだ。二人ともまだまだ付き合ってもらおうか。

 

そうして結局一晩中ブルマとチチを犯し続けた。…チチは結局回復の気だけでは間に合わなくなってしまったので仙豆を使うはめになってしまった。無茶をし過ぎたと深く反省しよう。

 

翌朝。体力を回復したとはいえ、精神的な疲労感からいまだに眠っているチチだったが、俺とブルマ、牛魔王はすでに朝食まで済ませていた。

 

「チチのやつはまだ起きてこねえべか。すまねえ悟空さん、普段ならこんなことはねえんだが」

 

「まあ昨日無事だったとはいえ(アナルセックスで)死にかけましたからね。無理もないですよ」

 

うむ、嘘は言ってない。

 

「はあ、そんなもんだべか。どうにも男手ひとつで育ててきたもんで、いまいち勝手がわからない部分もあるだで。どうか許してくだせえ」

 

「気にしないでください。それより、昨日話したドラゴンボールですが、あの城のなかにあるんですよね」

 

「んだ、おらの財宝の大半はまだあの城のなかだで。なんどか熱いのを我慢して取りにいったけんども、たしかその中にさっき見せてもらったのと同じモノが転がっていたはずだべ」

 

昨日の宴会でどこにドラゴンボールがあるかは聞いてあった。牛魔王は大師父に頭を下げて芭蕉扇を借りてこようとしていたのだが、このくらいの炎なら俺が消せると申し出たのだ。…それに、ここで大師父を呼んでも恐らく原作通りに山ごと吹っ飛ばす可能性が高いしな。

 

「そんじゃ、さっそくやるから下がっててくれ」

 

そういって二人を下げると、俺はフライパン山と対峙する。

 

やることは気孔波だが、ただ発射するのではない。

気をコントロールして、燃え盛る炎だけに衝撃波を与える。

ブルマと飛行する際に衝撃や風圧といったもろもろをコントロールしたが、あれは元々出来ていたことを細分化して自分以外にも適用できるようにした技術だ。

べジータが明らかに宇宙空間に出て問題がなかったり、映画でクリリンや悟飯、ピッコロが大気圏を越えるところまで飛んでいただろう。

この技はそれを研究してできたモノだ。

 

「はっ!」

 

気合い一閃。つきだした両掌から発生した衝撃波はフライパン山を覆う火炎のみを吹き飛ばしていく。

一度ではすべて消すことができなかったので、それから二度ほど同じことを繰り返す。念のために火の精がいないか探したが、さきほどの衝撃波で吹き飛んだのか、どこにも気配はなかった。

鎮火したとはいえブルマがすぐに入ることはできなかったので、昼でも食べながら待つことになった。起きてきたチチと一緒に、カプセルハウスの冷蔵庫に保存してあったステーキを食べる。

 

途中、チチが俺の嫁になるという話をして牛魔王が喜び、ブルマも嫁になるという話をすると困惑していたが、全員が納得しているのならと汗をかきながら認めていた。

 

冒険が終わったら迎えに来ることをチチに約束すると、最後のドラゴンボールを求めて旅立とうとして、ブルマが妙なことを言い出した。

いわく、ドラゴンボールが移動していると。

 

最後のドラゴンボールに関しては、最初こそレーダーに反応してたものの途中から消えてしまったらしい。ブルマはそれをレーダに関知されない素材でしまわれていると判断していたらしいのだが、今日になって突然移動し始めたそうだ。

 

ひとまずドラゴンボールが移動する前にあった場所へ向かうことにすると、牛魔王からそこにはピラフという変わった金持ちが住んでいることを教えられた。

 

俺はドラゴンボールが移動していることについて、レッドリボン軍のことを考えていた。義父を殺したガーリックJr.らのときもそうだが、すでに原作の時系列とはかけ離れて事件が起きている。

 

俺はブルマに危険な可能性があることを告げたが、いい笑顔で「あなたの側が危険なら、世界のどこにも安全な場所なんてない」とまで言われるともはやなにも言えん。

 

それから移動して、すぐにピラフ城には着いた。

しかしそこは、かつて城だったとわかるだけで無惨に崩壊していた。

途中腕だけが見つかったが、恐らくピラフの部下だった犬の獣人だろう。

さらに探っていると、大きな金庫らしき場所から気配がしたのでこじ開ける。

すると衰弱した女が、マイが倒れていた。

 

色々と汚れていたのでカプセルハウスを出してバスルームにつれていき、目を覚ましてパニックになったマイをブルマと二人がかりで丸洗いした。

ブランデーを混ぜた紅茶を飲ませて落ち着いた頃、彼女はようやくなにがあったかをポツポツと語りだした。

 

「…突然でした。魔族が、わたしたちを襲ったのは」

 

彼女の名はマイ。まあ知っていたが。

主であるピラフ、同僚である犬の獣人であるシュウとともにドラゴンボールを探していたそうだ。ここ数日になって着々とドラゴンボールが集まっていることを知り、ある程度集まったところで奪うつもりだったが、そんな中で城が魔族の集団に襲われたそうだ。はじめは城の迎撃システムやバトルロボットで迎え撃ったそうだが、多勢に無勢であっという間に劣勢に陥り、気づけばドラゴンボールが奪われピラフも殺されていた。

その状況に危機感を覚えるも、もはや逃げることもできそうにない。しかし同僚だったシュウは、マイひとりをドラゴンボールを入れておく予定だった大金庫へ閉じ込めて囮になったらしい。

外へ出ることもできず、大金庫のなかでマイは震えていたそうだ。

 

「魔族だと…!あ、すまない」

 

俺の言葉に殺気が乗ってしまう。一瞬だが怯えさせてしまったマイとブルマに謝ると、俺はドラゴンレーダーを頼りに魔族の拠点に乗り込むことを提案する。

ブルマはことがことだけに置いていかれるのかと不安な顔をしたが、マイも含めて連れていくことを伝えた。

とはいえ、さすがにコンテナでは不安なので札のひとつを切ることにした。

俺の宇宙船だ。

 

「わー、すごいわねこれ。ほんとに宇宙船なの?えっと、これは計器ね。なにを計測するのかしら?操縦桿は航空機なんかとそれほど変わらないのね。これならあたしでも操縦できそう~♪」

 

「さすがにぶっつけ本番ではやらせないが、道行きがてら説明はしてやるよ。ちなみにこっちのパネルは火器管制システムだから下手にいじくるなよ」

 

腕時計型の通信機で宇宙船を呼び寄せると、さっそくブルマが食いついた。

操縦席につき、副操縦席にブルマを座らせながら運転の仕方を説明していく。

魔族が拠点としているのは“悪魔の掌”と呼ばれる場所にある通称魔神城。

だいぶ記憶としては曖昧だが、たしか最初期の映画だったはず。俺の敵になるような相手はいないだろう。ブルマとマイには宇宙船で待っててもらう。

 

「ひとまず太陽を背にして待っててくれ。一応オートパイロットにしてあるが、万が一手動に切り替わったらいったんここから離れるんだ」

 

俺のなかにはひとつ懸念があった。魔族がドラゴンボールを集める理由。

ろくな願いじゃないだろうが、ピッコロ大魔王の復活程度ならいい。

だがもし、それを指示したのがあのナメック星人だったならば。

 

(最悪、ブルマだけでも逃がすことになるな…)

 

基礎を修行したことによって、俺の戦闘力はざっと百万は越えているはずだ。

だが、万が一相手がやつならこの程度では心もとなさすぎる。

 

魔神城の上空にたどり着くと、俺はそのまま宇宙船から一直線に落下していく。

ブルマから借りたドラゴンレーダーによればちょうどドラゴンボールの真上だ。

すると、落下する俺に群がるように飛行できる魔族が群がってきた。

 

「なかなかの実力の持ち主のようだが、このおがべっ!」

 

最後まで言わせず頭を気孔波で吹き飛ばす。そのまま気孔波で周囲を飛ぶ魔族どもを薙ぎ払い粉々にしていく。

 

「悪いが、貴様らに容赦するつもりはない。骨のひとつも残らないと思え」

 

次に気孔波を球状にして次々と傍らに展開していく。数が百を越えた頃、それらを一斉に下で待機している魔族に向かって発射する。

次々と着弾する空爆を前に動揺する魔族らを尻目に、魔神城の天井を破って目的地へと急ぐ。

ついさきほど思い出したのだ。こいつらの目的を。

 

ドラゴンボールが保管されている場所へ行くと、その近くには女が囚われていた。

 

(ランチだと…?なぜここにいる)

 

推測してもはじまらない。鍵を壊して彼女を檻から出すと、背負って城の中心へと急ぐ。

さきほどの要領で周囲に展開した気孔波を次々と発射して壁をぶち破り、目的地へと急ぐ。

するとそこには、今にも太陽を破壊せんと赤い輝きを見せる大砲の姿があった。

 

「くそっ!間に合えっ!」

 

俺はランチをその場に下ろして砲口の前へと躍り出る。

大砲を操る魔族の顔へと笑みが浮かび、太陽を破壊せんとする光線が放出された。

これだ。やつらの目的は太陽の破壊。いったいどういう原理か、ここから発射される光線は太陽を破壊できるだけの威力があるということだ。

狂言であればと思い咄嗟に前へ出たが、どうやら本当にそれだけの威力があるらしい。

 

「ぐぎっ!があああああああっっっ!!!」

 

とっさに展開したバリアで受け止めたものの、衝撃は大きく俺はそのまま空へと打ち上げられる。

 

(くそ、魔族対策が裏目に出たっ!このままだとブルマたちがっ!)

 

バリアーにひびが入る。破壊光線が、俺の限界を越えつつあるのを感じた。

このままでは数秒と持たずにバリアーは壊れるだろう。そして俺は消しとび、ブルマも死ぬ。

 

(…しょせん、こんなものか)

 

一瞬の諦観が浮かぶ。

 

しかしすぐに、俺の中に激しい感情が沸き上がった。

 

「ブルマアアアアァァァァァァっ!!!」

 

全身に力が溢れる。壊れかけたバリアーが新たなエネルギーで補填され、ヒビが修復していく。

そのまま俺は破壊光線をすべて受け止めると、思ったよりも近くに来ていた宇宙船へと手を振り、魔神城へと降りていく。

 

「ば、ばかな。こんなことが…!」

 

破壊光線を操っていた吸血鬼のような魔族が腰を抜かしてへたりこんでいる。

俺は集積回路のような役目を担っていたと思われる、セットされた赤い宝石を外す。たしか名を眠り姫だったか。ああ、だからこの宝石を奪いにランチが来ていたのか。

納得した俺は、魔族を気で大砲に叩きつけて尋問する。

 

「ドラゴンボールを狙った理由はなんだ」

 

「が、がはあっ!だれが、貴様なんぞにっ、ひいい!?」

 

「このまま端から擂り潰されたくなければまじめに答えろ。いいか、もう一度だけ聞く、なぜドラゴンボールを狙った」

 

「が、あああ、す、スラッグ様の、ためですぅっ!」

 

「なにぃ!やつはいまどこにいる!?」

 

俺は話を聞くために魔族をいったん下ろす。数度咳き込んだあと、男が口にしたのはとんでもない話だった。

 

「あ、あのお方は神聖樹の実を取りに行くとおっしゃってました!一年後に再び地球へ来るので、それまでにドラゴンボールを集めておけと…!」

 

「…ちいっ!」

 

想定しうる限り最悪のパターンだ。あのただでさえフリーザに匹敵する戦闘力の持ち主が神聖樹だとぉ!

…これは本格的に修行する必要があるな。

 

こそこそ逃げようとしていた吸血鬼を気で粉々に消し飛ばすと、状況についていけずにポカンとしていたランチを回収して宇宙船へと連れていく。

 

「ブルマ、彼女を頼む。まだ後始末があるからもう少し待っててくれ」

 

「え、誰このひと!?あれ、ちょっとあなたまた髪の色が変わってない!?やっぱりあのときのは気のせいじゃなかったのね!」

 

後ろでブルマがなにか言っているが、ひとまず先に用件を済ませてしまおう。

 

俺は悪魔の掌全体を射程に納めると、宇宙船より少し下がって両掌を腰だめに構える。

 

かつて義父から教わったこの型。義父はついぞ身に付けること叶わなかったが、俺がこの技を使うことができるとまるで我がことのように喜んでくれた。

 

「かぁめぇはぁぁめぇ」

 

地下に気配がある魔族も含めてすべてを消し飛ばすよう念じて撃ち放つ。

 

「波あぁぁっ!」

 

突き出した両掌から赤い気孔波が発射され悪魔の掌全体を文字通り飲み込んでいく。俺はそのまま気孔波を操作し、破壊のエネルギーを収束させて魔族らが拠点としている土地だけを飲み込ませていく。

数秒後、えぐれた大地へと海が流入していくのを見届けて俺は宇宙船へと戻った。

 

 

「んー、どういう原理で髪の色だけ変わっているのかしら」

 

「恐らく、スーパーサイヤ人と呼ばれる現象だな。ブルマはいつこうなったかの見当がつくのか?」

 

「いや、前にエッチしてて急に髪の毛の色が変わった気がしたのよ。だからつい最近のことよ」

 

宇宙船に戻って、マイとランチの二人を置いてきぼりに俺はブルマと話していた。

 

いまの俺の髪の色は、赤みがかった金髪だ。そう、赤いのだ。

 

太陽破壊光線を前に力が溢れたとき、俺はてっきりスーパーサイヤ人に変身できたのだと考えたのだ。

だが実際は、たしかにパワーは跳ね上がったものの、髪の色は赤みがかっている。

この状態はいったいなんなのだろうか。伝説のスーパーサイヤ人か?いや、なにか違うな。

 

「まあ気にすることないんじゃない?それのおかげでなんとかなったんでしょ」

 

そういってブルマに肩を叩かれ、ようやくほっとしたのか全身から力が抜けるように変身が解けたのを感じる。

 

“ズクリ”

 

俺のなかから、抑えきれないほどの衝動が急激に沸き上がる。

 

「どうしたの?なにかあっ、んむぅ!?」

 

欲しい。ブルマが欲しい。獣欲と愛欲がないまぜになって沸き上がってくる。

彼女の服をひったくるように剥がしていく。

 

「あむ、あ、ふあ、いったいどうしちゃったのよ、きゃあ!」

 

すでに濡れそぼっている彼女の膣へと無遠慮に指をかきいれる。親指で豆をいじくり、空いた手は腰にまわして逃がさないように抱き止める。

 

「ああああああっ~!」

 

膝のあたりまで引き下ろしたパンティにそそられながら、逸物を一気に突きいれる。

 

悲鳴をあげるブルマを無視して、めちゃくちゃに彼女の奥を突き上げる。

あやふやな理性でどうにか彼女を壊さないように手加減しながら、それでも腰は止まらない。

 

「あおっ!んごっ!えぐっ!」

 

すでに達してしまったのか、ブルマはよだれを垂らしながら一突きごとに潮を漏らす。俺は膣壁をごりごりと削るように動き、最奥である子宮口へと容赦ない突きをお見舞いしていく。

 

やがて、射精感が込み上げてきた。しつこく叩かれた子宮口は狭いながらもその口を開いており、叩きつけるような注挿に負けるように柔らかくなりつつある。

射精の瞬間のひとつきで子宮口を突き抜ける。亀頭が子宮へと入り込み、同時に発射された精液が一滴残らず子宮内に溜まっていく。

 

ぐぽり、と音を立てて逸物を引き抜くと、あられもない顔でブルマは失禁しながら気絶した。

 

そして俺は、まだ萎えていない。

 

「あぅあぅ」

「………」

 

ランチは顔を真っ赤にしながらも俺の逸物へと視線を注ぎ、マイは刺激が強すぎたのか失神していた。

 

宇宙船はいまだに飛んでいる。彼女たちの悲鳴は、誰にも届かない。




2016/12/08 19:17加筆修正しました


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すべてのはじまり

お待たせしました。
これにてこの世界における悟空の過去編はいったん終了となります。
エロ成分少な目となりましたが許してください( ̄▽ ̄;)

ちなみに主人公の見た目はぶっちゃけベジットです。ゴジータでも可。
まだ完全に覚醒はしていませんが、主人公のスーパーサイヤ人の姿は神島かのん氏のPIXIV絵であるスーパーサイヤ人4ベジットをイメージしています。

※残酷描写あり。短いのでキツければ読み飛ばしてください。


どことも知れぬ薄暗がりで、小さな影が立ち上がる。

 

その傍らには、まだ真新しく粘液のついた卵のようなモノが転がっている。

 

「ふふふ、わははははっ!!よぉやく蘇ったぞ!真に神となるべきは、このガーリックJr.こそがふさわしいのだ!ははははははっ!」

 

哄笑が響き渡る。それは世界に暗雲をもたらす“悪”の復活を意味していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ああぁ~~っ!すごいっ、ぼうやの、ぼうやのがあたしの奥をえぐってるの~~~っ!!」

 

地球に着いてから1年が経った。今日も俺は道端に立っていた娼婦のお姉さんに割高の料金を払って一日中セックスしている。

 

最初の頃は経験も浅く、スタミナと勢いだけのセックスに従事していたが、最近では相手をイカせる楽しみを覚えてきてより一層セックスに身が入っている。

 

「こんなっ、あ、こんなっ、こんなのはじめてよっ!ああっ、またいく!いっちゃういっちゃういっちゃううううっ!」

 

浅瀬の弱いところをひたすら突かれ続けたお姉さんが潮を吹きながら絶頂する。

 

俺もそれに合わせるように一際強く奥へと逸物をえぐりこむ。するとお姉さんの膣が蠢き、俺の逸物を絞り上げるようにしまったので、それに合わせて一番奥へと射精する。

 

「うああぁぁ~~っっ!!」

 

悲鳴のような絶叫をあげて気絶したお姉さんの膣内へ残った精液を絞り出すように何度か往復させると、ちゅぽんっとみずみずしい音を立てて逸物が引き抜かれる。

 

「はあっ、はあっ、はあっ」

 

ソバージュの髪を振り乱し、ベッドで荒い息をつくお姉さん。

 

その尻をながめつつ、冷蔵庫から出した炭酸飲料を飲みながらあと何回ヤれるかを考える。

 

地球についた俺は遠視能力で沈没船を見つけると、そこから引き上げた莫大な財宝を使って悠々自適な生活をしていた。

 

好きなだけ食べ、夜になれば裏路地や客引きから女を買い、一晩中ヤりまくる。

 

最初のうちは翻弄されたが、いまとなっては相手をイカせるのも手慣れたものだ。

 

このお姉さんは少々ショタコンの気があったらしく俺を前にして舌なめずりしていたが、その余裕も俺にイカされるのが三回目の頃にはなくなった。

 

なかなかイイ声で鳴いてくれるもんだからついつい調子に乗って24時間耐久セックスしてしまったよ。

 

ああ、それから週に一度遠視能力を使って惑星べジータを探している。

 

いや、正直界王をなめてた。あっさり見つけられると考えていたんだが、正直ドラゴンボールで場所を教えてほしくなってきた。

 

まあ明日からしばらく宇宙船で星図とにらめっこしながらひたすら探す予定だが。

 

…ということでお姉さんともう1ラウンド、と思っていたのだが想定よりもダメージが深かったらしい。

 

いまだにポピュポピュと潮を断続的に吹きながら失神している。

 

これ以上ヤると冗談抜きで死んじゃうかなあ。しょうがない、この様子だとしばらく“こっち”の仕事はできないだろうし、多目にお金を置いてってあげよう。

 

そうだな、どうせならこれでもかって大金を置いていって驚かせよう。

 

このお姉さん声きれいだったし、ひょっとしたら歌手とか女優になれるかもね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さて、翌日さっそく星図と宇宙船にあったデータを頼りに惑星べジータを探してみた。

 

うん、やっぱり参考になるデータがあると全然違うな。

 

いくら最長老様に能力を使いこなせるようにしてもらったといっても、このままじゃ砂漠のなかから目的の砂粒を探すようなものだったしね。

 

にしてもおかしいな。データ通りならそろそろ見つかってもいいはずなんだけど。もう少し細かく調べてみるか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そんなバカな!いったいなにがあったんだっ!?

 

なぜ惑星べジータが“消滅”しているっ!?

 

今は原作開始の15年近く前なんだぞっ!

 

…引き続き調査する必要がありそうだ。これは長期戦になるぞ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日、最悪のモノを見た。

 

正直震えが止まらない。フリーザが怖くて堪らない。

 

それを見たのは偶然ではなかったが、かといって俺の目に飛び込んできた光景は衝撃以外の何者でもなかった。

 

そこはある辺境の惑星だった。なぜかバーダックに率いられたサイヤ人達がいた。

 

見つけることができたのは、遠視能力を使いながら対象の“気”を感じ取れるようになったからだ。

 

声を聴くことはできなかったが、それでも丸一日観察していれば状況も見えてくる。

 

どうやら彼らは生き残ったサイヤ人らしい。惑星べジータが崩壊してから、あちこちを転々としているようだ。

 

なかにはパラガスやナッパの姿もあったが、一様に言えるのは全員がひどく疲れた表情をしていることだ。

 

どうやら俺が脱走してきたあと、ずいぶんと物語は変容したらしい。

 

まず、フリーザによる惑星べジータ破壊が早まっていた。なぜだか知らないが、フリーザがサイヤ人をやたらと警戒しているように感じる。

 

なぜならば、同じくフリーザの気を感じることができたからだ。

 

そこには絶望的な差があった。

 

フリーザ程度一撃で倒せるようにならなくてはなどと…なんて俺はバカだったんだ。

 

実際に見たわけでもないのに、こんな相手に挑むだと。

 

ありえない。勝てるわけがない。そしてバラバラに逃げていたサイヤ人は、フリーザの手で直々に殺され数を減らしていく。

 

すでにべジータ王も殺された。見逃されたナッパは囮だったのだろう。

 

バーダックに合流するのを見透かされていたようだった。

 

そしてついに対峙したバーダックとフリーザだが、そこからはまさしく地獄絵図だった。

 

まずフリーザは、バーダックの手足をもいだ。バーダックもスーパーサイヤ人になったのだが、それでも手も足もでなかった。

 

そう、バーダックはスーパーサイヤ人になれたのだ。にもかかわらず、勝てなかった。

 

そのことが、俺の胸に虚無感をもたらす。

 

フリーザに勝つためにスーパーサイヤ人になることは考えていた。

 

ひょっとしたら、この原始サイヤ人の肉体なら、さしたるトレーニングもせずに勝てるんじゃないかと、スーパーサイヤ人にも簡単になれるんじゃないかと、たかをくくっていた。

 

甘かった。

 

そのまま死にかけのバーダックを引きずり、フリーザは彼に見せつけるように生き残ったサイヤ人を殺していった。

 

ナッパやパラガスは幼いべジータ王子が作り出したパワーボールで大猿化したが、時間稼ぎにしかならなかった。

 

女のサイヤ人を、腹を引き裂いて殺す。

 

サイヤ人の赤ん坊を、わざとらしくバーダックに見せつけながら頭を潰す。

 

バーダックは血涙を流しながら吠え続けている。

 

やめてくれ、やめろ、と。

 

見ていられなかったが、目を離すこともできなかった。

 

そしてとうとう、腕に赤ん坊を抱いた最後の女サイヤ人を追い詰めた。

 

だが彼女を殺そうとしたとき変化が起きた。これまで吠え続けていたバーダックが、突然黙ったのだ。

 

勝ち誇ったフリーザが押し黙ったバーダックの顔を無理矢理起こす。

 

そこにあった“目”。憎しみに憎しみ抜いた、覚悟の目。

 

次の瞬間、バーダックは自爆した。黙っていたのはこの為だったのだろう。

 

激しい閃光と衝撃波が周囲を襲い、何もかもを吹き飛ばしたかに見えた。

 

やがて星を砕くほどの爆発の余波も収まると、案の定フリーザは生きていた。

 

だが、俺にはもうひとつ。フリーザは気づかなかったようだが、緑色の気で作られた球体が、一緒にいた女のサイヤ人と共に宇宙のどこかへ飛んでいくのが見えた。

 

まさか、とは思う。

 

あの子供はブロリーなのか。だがこのタイミングであのバーダックの自爆に耐えるだけのバリアーを張れるような存在など、ヤツしかいない。

 

悲しみで覚醒した伝説のスーパーサイヤ人か。

 

もしできることなら、ブロリーともう一人の女サイヤ人を保護してやりたいものだが。

 

くそっ、正直震えが止まらない。

 

フリーザが残酷なのは知っていたはずだが、実際に目にして思いしった。

 

ましてや、スーパーサイヤ人で勝てないなどと。

 

どうすればいい。どうすれば

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれから一週間が過ぎた。

 

俺はあの光景を見てから、一睡もできていない。

 

罪悪感、のようなものだと思う。

 

ただ目にしているだけでなにもできなかった。

 

殺されていく女も、赤ん坊も、誰一人助けることもできなかった。

 

そして妙に冷静になった頭が気づいてしまう。あのとき頭を握りつぶされたのが、恐らくカカロットだということに。

 

俺はどうすればいい。

 

フリーザが怖い。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

眠ろうとすると悪夢に叩き起こされる。

 

そんな生活を一ヶ月以上続けていて、俺はぼろぼろになっていた。

 

ほとんどまともに睡眠などできていない。

 

それでも生きているのは、この原始サイヤ人の体がやたらと丈夫なおかげか。

 

せめて眠れるようにと、味もわからず酒を飲んだ。文字通り浴びるほどに飲んで、ようやく数時間眠ることができた。

 

女も買えなくなった。

 

なぜなら生活のほとんどを酒を飲むことに割り振っているため、そんな暇などない。ましてや、女を見ると無惨に殺されていったサイヤ人の女たちを思い出してしまう。街を歩く妊婦を見て、フリーザに腸から胎児を引きずり出されたのを思いだし吐いてしまった。

 

俺は最低だ。なにもできないクズだ。ナメック星の危機など、救えるはずもない。なにせ相手はあのフリーザなのだから。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ある日、妙なじじいが訪ねてきた。

 

俺は町のホテルやモーテルを転々としているのだが、その行き先にふと気づくとじじいがいるのだ。

 

なんの用だと脅しを込めて誰何してみるも、飄々とかわされてしまう。

 

ただ一言毎回漏らしていくのだ。

 

「もったいない」と。

 

とはいえ何度もそんな風にされていればイラつきもする。

 

一度痛い目を見せれば二度と付きまとわないだろうと、空き地に呼び出して殴り飛ばしてやるつもりだった。

 

加減ができるかわからないから殺してしまうかもしれないが。まあそんなことはどうでもいい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

おかしい。何度やってもあのじじいに勝てない。

 

酒のせいかと思い、一時的に止めることにした。不思議と、あのじじいと戦うことを考えると深酒したときに比べれば短いが眠ることはできた。

 

そうして来る日も来る日も、じじいに向かって殴りかかっていった。

 

そんなある日、じじいに言われた。

 

「なにをそんなに怖がってんだ」と。

 

それを言われて俺はわけもわからず頭に血が上り、思わずじじいに向かって気孔波を飛ばした。

 

まずい、と思ったときには間に合わない。だが一度は殺しても構わないと思っていたのに、目の前のじじいに死んでほしくないと思っている自分に気がついた。

 

しかしじじいは、奇妙な動作をしたかと思うと俺が飛ばした気孔波をあろうことか“そらし”上空に打ち上げてしまった。

 

唖然と飛んでいった気孔波を見上げていると、気づけば目の前まで来ていたじじいの掌底をうけて意識を飛ばしていた。

 

***

 

どれくらい意識を失っていたのだろうか。

 

目を覚ませば、俺はじじいがしいてくれた上着を枕に空き地で寝かせられていた。

 

日の傾きから考えるに、さして長い時間気絶していたわけではなさそうだ。

 

俺はじじいに聞いた。

 

「なぜこんなことをするんだ」と。

 

じじいは言った。

 

「おめえが泣きながら助けてくれって言ってるように見えたんだよ」と。

 

その言葉をかけられて、俺は泣いた。恥も外聞もなく、じじいにすがりついて泣いた。

 

怖かったんだと。自分がこの世界にいらなくなってしまったんじゃないかと。

 

不安で押し潰されそうな心をすべて吐き出すように。

 

じじいにはほとんど何を言っているかわからなかっただろう。

 

だがじじいはなにも言わず、俺を慰め静かに話を聞いてくれた。

 

泣き止んで、そのまま俺はじじいの家につれていかれた。とんでもない僻地にあったが、それ自体は苦にならなかった。

 

そしてじじいの、彼の名前を聞き、俺は“孫悟飯”の弟子となった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

彼の弟子となってから十年近くが過ぎた。

 

俺は肉体的には完全に大人になったが、いまでは日常の一貫となってしまった亀仙流の修行を行っている。

 

特に畑を持つつもりはなかったので畑の開墾は手伝いだけだったが、牛乳配達はいまでも時々やっている。東の都までを超高速で牛乳配達する俺の姿は、ちょっとした都市伝説だ。

 

午前中をアルバイトで消化し、午後からは家の裏で基礎の修行を行う。

 

元々前世では武術などかじる程度にしか知らなかったが、これほど楽しいものだったとは。

 

今はひとつの型を一時間かけて演武している。

 

本来なら一分程度で終わる、亀仙流の基本のひとつだ。

 

すべての動きを均一に遅くし、一時間という時間配分にむらがでないように修正を繰り返していく。

 

すでにコンマ単位でずれもないのだが、つい確認してしまうのはくせのようなものだろう。俺もまだまだだということだ。

 

ちなみにだが、戦闘力もとい気はほとんど使っていない。

 

師父にも言われたが、自身の体さえ満足に把握できていないのに気を扱うのは色々な意味で危険だと言う。

 

いざ使おうとしても、全身を被う気がむらだらけな上に隙だらけ。いつぞや師父の掌底一撃で気絶させられたのも、そういった隙をついた結果らしい。

 

あ、それと気孔波をそらした理屈は自分の前に気をすべらせる性質の壁をつくり、それを使っただけだとか。

 

つくづく規格外だと思う。いくらむらがある、といっても俺の戦闘力と師父の戦闘力、いわゆる出力の差は文字通り“桁違い”だ。

 

だが師父はそれを、自らが持つ気の操作術と武術の腕でカバーして埋めてしまう。

 

…ほんとなんでこんな人が原作悟空に殺されたんだろうか。それともそういった要素もでてくるパラレルワールドなのか?検証のしようがないからわからないが。

 

俺のトラウマ、もとい恐怖心は師父からの

 

「だったらそんな怖えやつなんて気にならなくなるくらい強くなっちまえばいいだろ」

 

という言葉をもとに修行し続けた結果だいぶマシになっている。

 

…実際に目の前にしたら震えるかもしれないが。この辺はいじめっ子にいつまでも苦手意識を持ついじめられっ子のようなものだ。

 

だが正直基礎能力、気とは関係ない部分をひたすら鍛えているので自分が強くなった実感がない。

 

今となっては戦闘力の基準も忘れてしまったので、自分の数値がいくつかもわからないしな。

 

そんな風に師父と過ごす日々がいつまでも続くと思っていた。

 

自分の甘さが原因ですべてを失ってしまうことも知らずに。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その日も俺は朝から牛乳配達をしていた。

 

そんな遠くにまで届けなくていいとは言われているのだが、まあ修行の一貫なので勘弁してもらう。

 

空き瓶を回収し、さあ牛乳屋まで戻ろうとしている最中、すさまじい悪寒が背筋をよぎった。

 

俺は空き瓶を放り出し、家まで全力で駆け出す。衝撃で地面がえらいことになっているが、そんな力の無駄など気にならないほどに俺は焦っていた。

 

師父の気配が消えたのだ。

 

無論、修行のひとつで気配を消すことはある。だが、そういったことをするときは必ず俺に言っておくのだ。

 

しかも、消える寸前に師父の気配は乱れていた。まるで誰かと戦っているかのように。

 

駆けている途中で空の飛び方を思いだし、さらに加速して家まで急ぐ。

 

すさまじい速度で景色が後ろに流れていくのに、俺の意識はもっと早くと叫んでいる。

 

やがて、家までたどり着いて俺は全身の血の気が引いていくのを自覚した。

 

師父が、倒れている。血まみれで。

 

とっさに俺が駆け寄ったとき、師父にはまだ息があった。

 

だが、肺と内臓を切りつけられたのか、致命的なまでに出血してしまっている。

 

泣きながら師父の傷口を止血した。知っている限りの薬草もかき集めた。

 

なぜ仙豆のことを知っていたのに取りに行っていなかったのかと自分を責めた。

 

すでに喋ることもできなくなっていた師父は、それでも最後の力を振り絞って俺の頭を撫でて、死んだ。

 

死んでしまった。

 

師父は俺を息子と呼んでくれた。義理でもお前は俺の息子だと。

 

いまだ悪夢を見ていたころ、師父は一晩中俺の横で手を握っていてくれた。

 

俺にとって、この世界で唯一の理解者だった。

 

その師父が殺された。

 

自分のなかで、なにかが切れる音がした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そこは半分に切り落とした球体を棒の上に乗せたような場所だった。

 

天界と呼ばれるそこは本来なら結界に守られ、地上を見守る神の居場所として清浄な雰囲気に包まれているはずだった。

 

だが、地上を見守る神は目の前に立つ小さな魔族に破れ、その従者たるミスターポポも小さな魔族が率いる三人の部下に捕らわれている。

 

「くっ、ガーリックJr.よ。貴様が神となれば、いったいこの世にどれだけの悲しみ、苦しみが撒き散らされるか。わたしはこの地球の神として、一命にかえても貴様を葬らねばならないっ!」

 

悲壮な覚悟を決めた神はガーリックJr.にしがみつき、自爆を試みようとしている。

 

しかし、しがみつかれた方のガーリックJr.といえばその決意を一考だにせず、むしろ嘲笑するかのような表情を浮かべていた。

 

「ふふふははははっ、神よ、お前は弱いなぁ?仮にお前が自爆したところで、デッドゾーンに魔凶星を取り込んだ今のわたしにかすり傷ひとつ与えることなどできはせん。それに、貴様にはわたしがドラゴンボールで不老不死になるまで生きていてもらう必要がある」

 

にたにたと笑うガーリックJr.は余裕の表情で神による決死の拘束をほどいていく。その仕草にはいっそ慈しみさえ感じられたが、神にとってそれはなによりも深い侮辱だった。

 

ガーリックJr.は有頂天だった。

 

本来なら接近しなければその効力を発揮しない魔凶星をデッドゾーンに吸収したことでその力は桁違いに上がっている。もはや自分に叶う存在など、遠い過去に存在したという魔人ブウくらいのものだろうと。いずれはその魔人すらも自らの配下とし、すべてを支配して見せようと。

 

だが、次の瞬間すべての野望は打ち砕かれる。自らの行いがもたらした結果として。

 

「なんだ貴様はっ!」

「ここにおわす方をどなたと心得るか!」

「新たなるこの星の神!魔族の支配者ガーリックJr.様の御前であるぞっ!」

 

ガーリックJr.は神を拘束していた手を離して振り返る。背後で自らの部下である三人衆が何者かと対峙していたからだ。

 

だがガーリックJr.はすぐに後悔した。その場から即逃げ出さなかったことに。

 

「…孫悟飯を殺したのはどいつだ」

 

まるで全身を凍りつくされたかのようにその場にいる全員が動けなくなった。

 

たった一言。そこに現れた青年が口にしただけであるのに関わらず。

 

「…そうか、お前か」

 

三人衆のひとり、ニッキをまるで塵芥を見るような目付きで睨むと、いつの間にかその前に手をかざされていた。

 

ニッキがなにか発することもなく、身長ほどの立方体に包まれた。そして立方体は、すぐにその大きさを縮めていく。

 

「ショウガヤキーッ!」

「ウナジューッ!」

 

異常な事態にようやく残った三人衆がパワーを解放するが、すべては遅かった。

 

体を巨大化する間もなく、二人は一瞬で間合いを詰められ腹を貫かれる。

 

「ウゲエッ!?」

「グボォッ!?」

 

貫いた拳ではなく、体に触れている腕の部分から直接気孔波を流し込まれ、二人は蒸発するかのように消え失せた。

 

そしていまだ立方体に閉じ込められたニッキは、徐々に縮まるその結界に限界を迎えようとしている。その表情は、魔族とは思えないほどに恐怖に歪んでいた。

 

「いやあっ!こんな、こんな死にかたなんて、ガーリックJr.様っ!たしゅけべえっ!」

 

助けを求める言葉を最後まで発させることなく、青年の手の動きひとつで立方体は縮小され、ニッキは潰され消滅した。

 

その目が、ガーリックJr.を向く。

 

「ぬあああああっ!!!」

 

ガーリックJr.は焦っていた。なんだこの化け物は、と。

 

だから目の前の青年がこちらへ完全に意識を向ける前に、全力で葬り去ろうとパワーを解放したのだ。

 

そう、間違いなく自分の方が早かったはず。

 

だが、ガーリックJr.が気がついたとき、青年は目の前に立っていた。

 

咄嗟に攻撃した右の拳が、青年の顔面に直撃する。しかし、まるで打たれたことなど無かったかのように青年はその場に佇んでいる。

 

ガーリックJr.は休まず打撃を続ける。まるで休めばその瞬間自分が終わるとでも言いたげに。

 

その実、ガーリックJr.の連撃はすさまじいモノだった。天界の石畳を衝撃波が引き剥がし、一撃一撃の音はまるで雷鳴のごとく周囲に響き渡った。

 

しかしすべては徒労に終わる。青年の次の一言がその事実を物語っていた。

 

「…こんなものか?」

 

それは侮辱ですらなかった。目の前にいる存在を、まともに見てすらいない。

 

羽虫以下の価値。それが青年の目線から感じたガーリックJr.の、自らに与えられた評価だった。

 

「おおおのれええぇっっ!!!」

 

ガーリックJr.は切り札を切ることにした。いかなる化け物であろうと、デッドゾーンに放り込んでしまえばどうすることもできまいと。

 

こことは異なる世界。まさしく異次元の世界。ましてや今はその中に魔凶星を取り込んでいる。魔族以外の人間がそこに取り込まれて、無事であるはずもなかった。

 

凄まじい風が吹きすさび、天界の建物を壊して異空間へと吸い込んでいく。

 

ついに展開されたデッドゾーンは、その出力を青年へと集中し暗黒の世界へと取り込もうとする。

 

だがそれでもなお。青年には切り札たるデッドゾーンをもってなお、まるで通じている気配がなかった。

 

全身全霊をかけて青年をデッドゾーンへと吸い込もうとするガーリックJr.。

 

出力が低いわけではない。それどころか、神やミスターポポに至ってはすでに吸い込まれないようしがみつくのも限界であった。

 

「はあっ!」

 

名前こそ叫ばなかったが、その技は青年の師父孫悟飯も用いたかめはめ波だった。

 

短い呼吸で発せられた、本来なら十分な気の充足がされていないはずの気孔波はデッドゾーンのなかにある魔凶星を粉々に吹き飛ばした。

 

その瞬間、デッドゾーンの吸引力は目に見えて衰える。ガーリックJr.も反動か、巨大化した肉体がもとに戻ってしまった。

 

無論、魔凶星がなくともガーリックJr.は巨大化することができる。

 

だがそもそも誰が考えるだろうか。魔凶星が壊されるなど。

 

混乱の局地にあるガーリックJr.を襲ったのは“弱い”打撃だった。

 

だが弱いとはいえ、その体勢を崩すのには十分なものがある。

 

打撃は次々とガーリックJr.を襲った。その一撃一撃は致命的な威力にはほど遠かったものの、確実にガーリックJr.を消耗させていく。

 

生かさず殺さず。文字通り半殺しにされたガーリックJr.はうめきながら、それでも自らの野望を根底から覆してみせた青年へと誰何する。

 

「…き、きさまはいったい、なにものなのだ…!」

 

「答えてやる義理はない」

 

しかし最後までガーリックJr.を見下していた青年は、ガーリックJr.の質問を一考だにせずその小柄な体をデッドゾーンへと投げつけた。

 

破壊される以外にデッドゾーンが閉じる方法は、すなわち中に誰かを取り込んだときである。

 

悲鳴すらあげることなく飲み込まれていくガーリックJr.。

 

すべてが終わり、破壊された天界が残った。神とミスターポポは呆然としていたが、ひとまずガーリックJr.を退けた若者へと声をかけるべく近寄っていく。

 

「…ガーリックJr.の野望を阻止してくれたこと、そしてそれに伴う地上の破滅を防いでくれたこと。地球の神として、礼を言おう」

 

幾分か警戒はあったが、そこは神としての矜持がある。

 

だが、声をかけた青年から帰ってくる言葉はなかった。青年は泣いていた。

 

師父が死んでしまった。殺されてしまったと。

 

神は目の前の凄まじい力を持つ青年が、ひどく幼く、不安定に見えた。

 

そして考えた。ドラゴンボールをこの青年のために使おうと。

 

彼はそれだけのことを成し遂げている。

 

そのことを告げると、青年は泣き止んで嬉しそうに立ち上がった。

 

少々現金ではあるが、この際それほど気にすることではあるまい。

 

幸か不幸かガーリックJr.が部下に集めさせたことでドラゴンボールはこの場に揃っている。

 

すぐに神龍は呼び出された。

 

だが、青年の師父。孫悟飯を蘇らせてほしいという願いは、思わぬ形で止められることになった。

 

他ならぬ殺された老人、孫悟飯がその願いを止めるよう願い出たのである。

 

神と、そして青年もなぜかと問うた。

 

そしてそのために、二人は閻魔大王の前まで赴くことになった。

 

頭に死者の証である天使の輪をつけて、孫悟飯老人がそこにいた。

 

泣きすがる青年に、孫悟飯老人は優しく語りかける。

 

元々、自分には寿命が近づいていたのだと。体が思うように動かなくなっており、死期が近いことを悟っていたが、青年と離れることを恐れ言い出せなかったと。

 

それに青年は納得した。だからあんな魔族に殺されてしまったのだと。だが同時に、それでもいいから生き返ってほしいと孫悟飯老人に懇願した。寿命など自分がなんとかしてみせると。

 

その不安定さに神は懸念を抱いたものの、やはりそれは孫悟飯老人も一緒だった。

 

彼は言った。

 

「いつまでも自分に縛られず、お前のやりたいように生きろ」と。

 

「おめえはおらの自慢の息子、孫悟空だ」と。

 

青年は涙を流しうなずいた。きっとあの世にも名を轟かせてみせると。

 

二度とこんなことを繰り返さないよう、もっと強くなってみせると。

 

その言葉に満足したのか、孫悟飯老人は閻魔大王に言って天国へと歩いていった。

 

最後に青年、孫悟空を優しく抱擁して。

 

「悟空、前を向いて生きろよ」と。

 

やがて魂だけになった孫悟飯老人は天国へと消えていった。

 

孫悟空はしばらくその姿を追うように見続けていたが、振り向いたとき、その顔にもはや涙はなかった。

 

それからしばらく悟空は天界に滞在し、壊れた建物の修繕を手伝った。

 

建物を作るのは神が魔法によって直すことができたが、崩れた瓦礫などは一度まとめておく必要がある。

 

悟空の腕力により、片付けはすぐに済んだ。神は悟空に次代の神として修行するつもりはないか尋ねたが、今は師父を弔い喪に服したいとのことだったので、いずれ気が向いたらいつでも訪ねてくれるように告げて別れた。

 

また別れ際に神から下のカリン塔で仙豆をいくつか持っていくように言われた。

 

なにかあってもそれがあれば大抵の傷は癒せるだろうと。

 

カリンは上の天界で起きていた異変を知っていたため突然現れた悟空に驚いていたが、神から許可が出たことを知らされると袋一杯に仙豆をくれた。

 

せめてこれくらいのことはさせてくれと。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そうしてそれから5年の月日が流れ、孫悟空となった青年はブルマと出会う。

 

物語が、はじまる。

 

 




ちなみに序盤で悟空とエッチしているお姉さんにはモデルがいます。
たぶんわからないと思いますが。
将来的には親子丼フラグが立ちそうで立ちません。
NTRになってしまうので。



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その名は超(スーパー)サイヤ人0(ラブ)!!/もうひとつの過去

みなさまからの感想、すごく励みになっています。

おかげで今日は連続投稿。

プロットは頭にできてるんやけどね。

コウ・ウラキばりに「時間がっ!時間がああっ!」って叫びたい。

※残酷描写あり。短いのでキツければ読み飛ばしてください


ランチはいま、戦慄していた。

 

屹立した逸物をこちらにむける存在に。

 

“男そのもの”を見たことがないと言えば嘘になるが、自分は“多重存在”である。

 

くしゃみをする度に中身も外見も変わってしまうそれは、一種の呪いと言えた。

 

そのせいで今まで散々な目に遭ってきた。

 

処女は知らない男に奪われた。

 

もう一人の自分が捕まって、変わった途端に輪姦されていたことだってある。

 

しだいにランチは、なにもわからない振りをするようになった。

 

なにが起きてもあるがままに受け止められるように。自分の深い部分まで、蹂躙されないように。

 

しかし目の前に立つ男からは、そんな自分がかつて抱いた決意をも壊しかねない存在感を感じた。

 

***

 

マイは今の状況を理解できなかった。

 

目の前で突然青い髪の少女、ブルマが襲われ、気づけばあられもない姿で倒れている。

 

どうしてか、それを見ていて動悸が止まらない。股の間も、なんだかムズムズしている。

 

そしてなによりどうしてかわからないが、目の前の男の股から生えてるソレから、目を離すことができなかった。

 

***

 

内側からマグマのように獣欲が溢れてくる。

 

目の前にいる女を犯せ、と命令してくる。

 

それはひどく甘美な誘惑だった。事実、目の前の女ふたりはどこかこの状況を受け入れている。

 

ならばこれからこの女らを犯すことは合意だろうと、理性を溶かす言い訳が浮かんでは消えていく。

 

臭いを嗅げば、女のうち黒髪の軍服姿をした方、マイは知識こそないように見受けられるもののすでに発情している。

 

その固い軍服の下にある柔らかな肌に舌を這わせたとき、この女はどういった表情で鳴いてくれるのだろう。

 

恐らくキスひとつで落とせるだろうが、それだけで済ませるつもりもない。

 

対して捕まっていたせいで未だ後ろ手に縛られた女。

 

ランチの方はどこかこういった状況になれているのか、笑顔だがその表情には締感の念が浮かんでいる。

 

その内心にあるのはある種の“慣れ”だろうか。

 

二重人格ならぬ、二重存在。

 

恐らくこれまでの人生で似たような目に散々遭ってきたのだろう。まあ今回は俺が助けなければ間違いなく死んでいたんだが。

 

それにしてもタンクトップから覗くおっぱいから目が離れない。

 

俺が完全勃起状態で近づいていくと、二人が怯えたようにびくりと震える。

 

俺はまずマイから手をつけることにした。正直、さっきからする雌の臭いに我慢ができない。

 

震えるマイにキスをすると、当然のように口は閉じたままだ。

 

それを背筋やうなじ、ひざの裏といった普段刺激されることのない場所へ微弱に気を送り込み、感度をあげていく。

 

「んっ、ふっ、ふああっ!?ああぅ、耳は、やめてぇ…」

 

唇への口づけから、そのまま耳元へと移動させてその耳朶(じだ)へと舌を這わせる。

 

荒い息を繰り返すマイとは対照的に、俺は柔らかく、優しく息を吹き掛け力を抜いていく。

 

再び唇を会わせたとき、今度は拒絶することなく唇を割り開くことができた。

 

舌を這わせ、やや無理矢理に口内を蹂躙していく。呼吸困難にならない程度に深いキスを繰り返し、酸欠によってマイからさらに余裕を奪っていく。

 

そうしてマイの顔が上気し、全身にほどこされた柔らかい愛撫をも素直に受け入れるようになった頃。

 

俺の手は唐突に彼女のズボンを引きずり下ろす。

 

体感温度の変化に彼女は慌てたように正気を取り戻すが、彼女が朦朧としているうちに外したベルトはズボンとともにすでに膝下まで降りており、その役目を果たすことはない。

 

可愛らしさなどない、機能性重視のシンプルな下着がむき出しになる。

 

顔を真っ赤にしたマイがどうにか隠そうと上着の裾を下へと引っ張るが、いまだに腰は俺に抱かれたままだし、なによりそんな仕草は俺を興奮させる効果しかない。

 

抵抗するマイを尻目に、俺の手はマイの大事な秘所へと触れていく。

 

すでに固くなった豆。蒸された陰毛、そしてトロトロと滴る蜜液。

 

発情しきった体を、これ以上ないくらいに優しく、しかし容赦なく責め立てていく。

 

「~~~っ!?ーーっ!ーーっ!」

 

声の出し方がわからないのか、マイは驚愕の表情を浮かべたままされるがままに刺激の虜になる。

 

柔らかくほぐした陰部はすでに男を受け入れられるほどに暖かみを増しているが、まだとどめは挿さない。

 

立つことが困難になってきたマイを、後ろ向きにして後部座席に向かって捕まらせる。こうすることで、ズボンと下着をずり下ろし、尻を俺に差し出すように向けたような姿勢にさせる。

 

さらに舌で豆と皮を刺激してやりたいが、ここまでエロいと我慢は体に毒だ。

 

逸物が、マイの秘所へと割りいっていく。

 

ひゅぅっ、という息を呑む音が無言の悲鳴となってマイの喉奥から絞り出される。同時に膣がきゅうきゅうとしまり、破瓜の衝撃でイッてしまったことを俺の逸物へと知らせてきた。

 

新雪を無遠慮に踏み荒らすような快感が全身を支配する。と同時に、マイが潜在的なMであることが判明する。

 

そういうことならば、蹂躙してやろうではないか…!!

 

俺は壊さない程度に注挿をはじめていく。

 

最初のうちは、ぱちゅんぱちゅんと優しく。

 

次第に打ち付けるように、ぱんぱんと激しく。

 

慣れてきた頃合いを見て、ばずんばずんとさらに激しく。

 

腕をつかんで肩を抜いてはいけないと思い、体全体を抱き締めながら腰は高速でマイの臀部へと叩きつけられる。

 

すでにマイの顔はだらしなく崩れ、喘ぎ声は悲鳴なのか雄叫びなのかわからないほどになっている。

 

一時間もそうしていただろうか。

 

あまりの刺激に脱糞と失禁の両方を繰り返しながら意識を失ったマイの膣内へと自らの精液を容赦なく注ぎ込んでいく。

 

一瞬目を覚ましたマイが、自らの腹奥へと送り込まれる精液を感じて再び絶頂する。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛、お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ!!」

 

嗄れてしまった喉をキスと同時に送り込む回復の気を込めた唾液によって癒していく。

 

ぐりん、と白目を剥いたマイが崩れ落ちる。再び失禁したので、それをさきほどの脱糞と合わせて受け止めておいた気のクッションで包み、船外へと処分する。

 

さて、次はランチだな。

 

そう考えて振り向くと、ランチがオナニーしてイッていた。

 

まだこちらに気づいていないのか、片足をあげ小刻みに震えている。

 

ちゅぽん、と音を立ててマイの膣から俺の逸物が引き抜かれた。

 

絶頂したばっかりで悪いが、このまま犯させてもらう。

 

油断していたランチが気づいたときには、ずらしたパンティの隙間から俺の逸物が挿さっていた。

 

「あああああっ!」

 

思わず上げた悲鳴からは、かつてイメージしていた天然の様子は感じられない。

 

そこにあるのは純粋な女。蹂躙されながらも、自らが求められることに悦びを隠しきれない女そのものだった。

 

処女ではない、ということで最初から遠慮せず弱いところを探していく。

 

しばらく注挿を繰り返して、奥にいく手前。いわゆるGスポットへの刺激に一番弱いことがわかった。

 

そこを容赦なく、抉るっ!

 

「きゃああっ!?いやあっ!抜いてえええっ!!」

 

思わずあげた悲鳴に興奮して少し出してしまう。とはいえ俺の精液の量は並みじゃない。逸物の震えに膣内に出されたことを察したランチが焦りのこもった顔でこちらをのぞきこむ。

 

「んあっ、なかに、膣内にだしたぁ、ん、赤ちゃん、できちゃうぅっ!」

 

悲鳴をあげながらランチがどこか暗くなる。なにかトラウマでもあるのか。

 

ならばより強い歓喜でそれを上書きするまでっ!

 

「ああ!産んでくれ!俺の子種をたっぷり注ぎ込んでやるから、元気な赤ん坊を産むんだっ!!」

 

「ああぅ、産んで、産んでいいのっ?お腹、殴ったり、しないのっ?」

 

震えながら俺にしがみつき、懇願するように告げるランチに一瞬絶句する。

 

だがここで遠慮しては彼女が不安になる。

 

俺はチチにやったときとは逆に、肉体操作で逸物を大きくする。

 

「あああっ!うそぉ、おっきくなったぁ、あそこがギチギチになっちゃうっ!隙間がなくなっちゃぅ!」

 

「孕むまで何度でも出してやるっ!何度でも犯してやるぞっ!そらイけええっ!」

 

気合いと共に俺も絶頂し、ランチのなかへ、漏らすことなく膣のなか、子宮の奥へと精液を送り込んでいく。

 

あまりの精液の量にランチの下腹がふくらむ。ランチは大きく目を見開きながら、潮を吹いて気絶した。

 

その顔はどこか不安が拭われたかのように穏やかなものだった。

 

「あうう、いったいどうなってるのよお…」

 

後ろから愛しいブルマの声が聞こえた。その声に反応して、ぐったりしていた逸物に再び力が込められる。

 

「え、ちょっとなにこれ。あ、やだ、まだするの?」

 

少し力が抜けたブルマを捕まえ、膣口へとあてがう。

 

だが彼女に嫌われてしまうのではないかと、なけなしの理性が必死で蛮行を止めようとする。

 

「んぁ、なんかよくわからないけど。いいよ、我慢しなくて。あなたの好きなだけ、わたしを犯して?」

 

あてがわれた逸物に合わせるように、ブルマは自分で膣口を広げて上目使いに俺を見つめる。

 

これだからたまらない。彼女がいれば、俺は無敵になれる。

 

***

 

で、結局あれから各自三巡はした。

 

ブルマだけ十回はしてしまったが。

 

最初は蘇生が必要なほどだったのに、この短期間で気絶程度で済むほどに性長(誤字にあらず)したブルマに戦慄を禁じ得ない。

 

で、翌日俺も落ち着き、とりあえず全員が起きたところで状況を把握するためにブルマに意見を聞いていた。

 

いまは戻っているものの、宇宙船に戻ってきた頃俺の髪の毛は燃えるような赤い髪になっていたらしい。

 

それを補足するように、ランチからはやや金髪がかった赤だったと教えられる。

 

あのときの状況を思い出す。

 

俺は太陽破壊光線を防ぐために前へと躍り出て、咄嗟にバリアーを展開した。

 

しかし光線の威力は想定以上に高く、俺はあっさり追い詰められた。

 

諦めかけたそのとき、ブルマのことを思い出して凄まじいパワーを発揮した。

 

ここまではいい。恐らく俺の身に起きたのは、スーパーサイヤ人だろう。

 

あのときの感覚は自身でも異様に興奮したことを覚えている。

 

問題はその後だ。

 

戦いを終えて、宇宙船に戻ってきた俺は理性を失い獣欲に支配された。

 

その場にいた女を見境なしに犯しつくし、あまつさえ妊娠させるつもりでいつも以上に奥深くまで膣内に射精した。

 

ん?いつも通りだなそれは。

 

まあなぜそうなったのか、ブルマが仮説を出してくれた。

 

彼女いわく、俺の変身は今回がはじめてではなく、数日前に自分を抱いていたときにも起きたこと。

 

そのときも激しいセックスとなったが、どの程度のものかは記憶がないのでわからないということ。

 

そこから推測するに、俺の変身は性欲と激しく結び付いているのではないのかと考えられるそうだ。

 

俺が語った“穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚める”のがスーパーサイヤ人だという説明に、ブルマは穏やかな心があるなら激しい怒りである必要はなく、なにかしら強い感情が引き金になるのではないかと告げられた。

 

それに対して、俺は思い付くことがあった。

 

伝説のスーパーサイヤ人ブロリー。

 

彼は激しい“悲しみ”によってスーパーサイヤ人へと覚醒した。伝説のスーパーサイヤ人だけの特性なのかとも思ったが、よく考えれば今の俺は肉体的には検証できない原始サイヤ人。

 

そしてブルマの仮説が正しいなら、それが髪の色に関わっているとも言える。

 

ブロリーの髪は、第一形態では緑がかった金髪だった。

 

ならば俺も、現時点での変身はそれと同じく怒り以外の感情が作用した結果なのだろうか。

 

では暴走してしまう原因はなんだろうか。俺の場合は恐らく“激しい歓喜”あるいは“愛”がきっかけだろう。

 

ゆえに欲望のまま女を求めたとも言える。

 

ならばブロリーは?悲しみがもたらすのが、自分以外すべての破壊とは。

 

わからない。ブロリーのなかにある歪みは、俺が想像しているよりも遥かに大きいのかもしれない。

 

ならばひとまず、このスーパーサイヤ人も鍛えれば感情をコントロールすることも可能なのだろうか。

 

…という考えが口から出ていたんだが、なぜか女性陣からはあまり芳しい反応がない。

 

なに?あれはあれでクセになる?

 

顔を真っ赤にしてうつむいた女性陣を見て、俺は再び彼女たちを抱くことにした。

 

よし、もう一巡だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さて、なんだかんだあれから一週間が経った。

 

なにしてたかって?セックスしまくりだよ。相手が三人いるからローテーション組んでひたすらヤりまくっていた。

 

ちなみに昨日気づいたんだが、試しにスーパーサイヤ人になったら明らかに戦闘力が上がっていた。感覚的なので数値はいくつかわからないが、間違いなく上昇しているのがわかるレベルで。まさかセックスで強くなるとは。

 

俺としてはこの新しいスーパーサイヤ人を、スーパーサイヤ人0(ラブ)と名付けたい。原始サイヤ人だし、愛で覚醒したわけだしな。

 

ちなみにランチとマイだが、俺の女になってくれと正面から口説いた。

 

とんでもないきっかけとなったが、しっかりお前たちを愛すると約束する。そう言って。

 

殴られるかと思ったが、むしろキスされた。

 

二人とも俺とブルマがラブラブなのは知っていたので、あれだけセックスされても捨てられるんじゃないかとどこか不安だったそうだ。

 

ほっとした姿が可愛かったので二人ともその場で押し倒したが。

 

あ、ちなみに金髪のランチとも会った。会うなり俺を襲ってきたので、聞けば

 

「俺を孕ませようだなんて百年早いだよっ!」

 

と言われた。

 

妊娠したがっているのは紺髪のランチだが、たしかに状態は引き継がれるわけだから無許可で孕ませたようなものだろう。

 

悪いと思ったので尻の穴でイキよがらせてやった。

 

しまいには

 

「おしりで妊娠しちゃううううぅぅぅっ!」

 

と叫んでいたが。

 

おかげで紺のランチまでアナルセックスに目覚めてしまった。うれしい限りだな。

 

さて、一通り問題は解決した。

 

あとは、どうするかな。このドラゴンボール。

 

俺はクッションに並べた七つのドラゴンボールを見下ろしてため息をついた。

 

 

 

□▫□▫□▫□▫□▫□▫□▫□▫□▫□▫□▫□▫□

 

 

 

ボクの名前はセーロ。

 

サイヤ人のエリート戦士だ。

 

そして、この世界に転生した人間でもある。

 

前世でのボクはまだ中学生で、テレビでやっているドラゴンボール超を見るのが毎週の楽しみだった。

 

だから、事故にあって生まれ変わって、そこがドラゴンボールの世界だと知ったときは嬉しくてしょうがなかった。

 

性別が女じゃなければな!

 

なんで女なんだよ!せめて見た目がドラゴンボールヒーローズのエリートアバターそっくりなのが救いだった。

 

髪も短くしているし、男に見えなくもない。…と思い込むことにしてる。完全にボクの自己満足だが。

 

さて、そんなボクだがいま悩んでいることがある。

 

いまのボクが正直美人だっていうのは、まあ百歩譲って認めよう。

 

でもだからって、声をかけてくる面子がとんでもなさすぎる。

 

「なあセーロ、そろそろお前も子供作れるだろう。どうだ、俺の子供を孕んでみないか」

 

ど直球でボクを口説こうとするのはバーダック。ていうかあんた奥さんいるだろ。

 

え?サイヤ人が複数の女に声をかけるのは普通?…サルどもめ。

 

「セーロよ、わたしもエリートになって日が長い。今となってはべジータ王の側近と言えるだろう。だからどうだ、私の第二夫人となっては」

 

もうひとりがパラガス。あんたも奥さんいるのにね。ていうかやだよ、ボクがブロリー生むの?ごめんこうむる。

 

「よおセーロ!この間の星で獲ってきた珍しい果物だっ!一緒に食わねえか?」

 

下心をバーダック以上に隠さないどスケベ視線で、けれど口説き文句は小学生並み。ナッパである。

 

まあこんな感じで、暇さえあれば口説かれているのがボクだ。

 

どうしてこうなった。

 

ていうかボクまだ12歳だよ?

 

あんたら全員ロリコンかよ。

 

…最近べジータ王からの視線が怖い。他の三人と比べて余裕があるように見えるのは、最悪命令すればいいとか考えているんだろうな。はぁ、最悪。

 

あー、にしてもフリーザ対策も進めなきゃ。親しい面子で勝てそうなのってバーダックかな?

 

たしかスーパーサイヤ人にもなってた気がする。ゲームでだっけ?

 

ということで、バーダックをそれとなく誘ってカナッサ星へレッツゴー。コナッツ星だっけ?

 

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やってきましたカナッサ星。あってるよね、ここで。

 

漫画読んだときにバーダックはここで未来を見る能力を植えつけられたから、うまくいけば未来を知ったバーダックが勝手に強くなってフリーザを倒してくれるはず。

 

やっばい、ボクって天才。さすがエリートは違うね。

 

なんて思ってたらカナッサ星人にやられてバーダック瀕死。

 

そうだ!この時点だとバーダック戦闘力五千もないじゃん!

 

このあと大猿化したボクが一通り倒しました。

 

戦闘力?三千ですがなにか。

 

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帰って来てバーダックをメディカルマシーンにぶちこんでミッションコンプリート。

 

いやあいい仕事したね。

 

なんか帰って早々パラガスとナッパから

 

「「なにもされなかったか!?」」

 

なんて聞かれたけど別になにもないよ。彼ああ見えて本気で嫌がる相手にはそういうことしないみたいだし。

 

…でも戦ってるときのバーダックってやっぱり格好いいよね。ちょっとドキッとしたことあるし。

 

はっ!?ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男…

 

なんか頭抱えているうちに二人ともいなくなってた。

 

トレーニングルームに向かうとか言ってた気がする。まあ戦力が充実するのはいいことだよね!

 

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なんか起きてすぐのバーダックに抱きつかれた。

 

ぶん殴って距離を置こうとしたけど、戦闘力に差がつきすぎてどうにもならなかった。

 

…なんだか震えていたみたいだから頭撫でてあげたけど。

 

べ、べつにほだされてなんかいないんだからねっ!?

 

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バーダックが見たのは文字通り悪夢だったらしい。

 

ボクを含めたサイヤ人が目の前で次々と殺されていく夢。

 

ずいぶんひどい夢だったらしく、しばらく寝る度にうなされてた。

 

なんで知ってるかって?

 

なんだよ、その、ギネさんが、あっギネさんていうのはバーダックの奥さんね。

 

彼女がボクにもバーダックの側についていてやれっていうから仕方なくさ。

 

手を繋いであげたときにドキドキなんてしてないんだからね!?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バーダックがパラガスとナッパの二人に頭を下げている。

 

二人ともとんでもないモノを見たって顔だな。

 

ちなみに3人は僕を通して面識がある。

 

なんでも紳士協定を結んだ仲だとか。どういう意味だろ。

 

でもそういえば3人が仲良くなってからあんまりべジータ王と会わないなあ。

 

ま、そんなことはどうでもいいや。

 

いまはバーダックが優先。

 

彼が頭を下げている理由は、やはり強くなりたいからだった。

 

そのために二人のエリートとしての力を借りたいと。

 

二人とも困りながら了承してたけど、理由を聞いてた。そりゃそうだよね。

 

んー、いったいバーダックはなにを見たんだろう。

 

自分が死ぬ未来、は理由として弱い気がする。

 

バーダックだし。

 

真剣な顔で二人を説得するバーダックに見とれたのは内緒だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれから二年が経った。

 

バーダックはまず、生け捕りにした侵略先の宇宙人から戦闘力をコントロールする方法を教わっていた。

 

それから…こっちはあまりさせたくないんだけど、ナッパに頼んで定期的に半殺しにしてもらってる。

 

そりゃ元々派遣された星でも死にかけてるよ?でもだからって、自分からそんな風になることないじゃないか。

 

最近ぼろぼろになったバーダックを見ているのがツラい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バーダックがとうとうスーパーサイヤ人になった。戦闘力を計測されないように、あらかじめ侵略先の星でスカウターの電源を切って。てかスカウターって電源切れるのね。

 

それにしても、すっごかった。

 

この星の原住民は知能はともかく戦闘力はかなりのものがあったんだけど、バーダックはたったひとりで蹴散らしてしまった。

 

思わず戦いが終わってから抱きついてしまったが、悪くない気分だ。

 

うん、これは憧れとか親愛とかそういう感情。必要以上に顔が近づいてドキドキなんてしてない。してないったらしてない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…やっちゃった。

 

べべべ別に体を許した訳じゃないよ!?

 

ただその、侵略先でさ、ポッドが一つ壊れちゃって。

 

ボクとバーダックの二人だったもんだから、帰りは一緒にポッドに乗るしかなくてさ。

 

大した距離じゃないんだけど、その間ずっとくっついてたわけで。

 

別にバーダックから何かしてきたわけじゃないんだけど…いやでも人の髪を嗅いだり、抱き締めたり、まったく落ち着かなかったよ!

 

それで、その、バーダックの体温が暖かくて、うとうとしてたら、き、きききキスされちゃったんだよっ!

 

しかもそれが思いの外気持ちよくて…

 

あうう、しばらくバーダックの顔をまともに見れる気がしないよ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日、バーダック、パラガス、ナッパの3人がべジータ王と直談判しに行ってる。

 

最悪の場合、近いうちにフリーザと戦うことになるって。

 

けしかけたのはボクなのに、いまじゃこれで本当に正しかったのか不安になる。

 

けどバーダックなら大丈夫だよね。なんたってあのフリーザが恐れるスーパーサイヤ人なんだから!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今ボクはとても怖い。

 

今日、フリーザが惑星べジータに訪れる。

 

計画通りなら、べジータ王率いるエリートが周囲の護衛を引き付けて、バーダックがフリーザと直接対決する。

 

べジータ王はバーダックがスーパーサイヤ人になったことにだいぶ悔しがったみたいだけど、息子に方法を教えるってことで手を打ったみたい。

 

…方法を聞いてドン引きしてたらしいけど。

 

さて、心配性なバーダックの指示で大型の宇宙船も用意したし、あとはギネさんはじめ妊娠してたり、怪我して動けないサイヤ人に声かけてこなくちゃね。

 

べジータ王から直印預かってるし、ちゃっちゃと済ませちゃお。

 

それにしてもバーダック、大丈夫かな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

惑星べジータが消滅した。

 

二人の戦いの余波、といえばそうなんだけどさ。

 

バーダックはフリーザと向き合ってすぐに、相手に本気で戦わせちゃいけないって悟ったんだって。

 

だから自分の素の戦闘力を自慢げに披露しつつ、フリーザに第二形態へと変身させたんだ。

 

そこからは一気にスーパーサイヤ人になったバーダックが一方的にフリーザを追い詰めて、ほとんど半殺しの状態まで追い込んだみたい。

 

残りの変身をしようとしたフリーザだったけど、勝つために楽しむことを捨てたバーダックの猛攻の前に成す術なく追い詰められていた、らしい。

 

内容があやふやなのは後からバーダックに聞いたからで、ボクは戦いがはじまってすぐにやってきたパラガスにギネさんらもろとも脱出させられちゃったからさ。

 

でもって、追い詰められたフリーザは自分へダメージが来ることを一切構わずに星を破壊したらしいんだ。

 

バーダックもこれには自分の身を守るのが精一杯で、フリーザの生死を確認できなかったって随分悔しがってた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

やめて、やめてよ。

 

ギネさんが、ああ、カカロットはまだ赤ちゃんなのに…!

 

コリーさんからブロリーを預かったけど、彼女は頭をフキトバサレテ倒れている。

 

ギネさんはバーダックの前でナイゾウヲゼンブヒキズリダサレテカラ殺された。

 

ボクが、フリーザを侮ったからいけないの?

 

カカロットのアタマガトマトミタイニニギリツブサレタ。

 

来ないで、来ないでよ。

 

バーダック、死んじゃやだよぉ。

 

ああ、バーダックのテアシガナクナッテル。

 

パラガスモナッパモミンナミンナコロサレタ。

 

「あなたはこの猿にとって、特にお気に入りでしたねえ。特別に、全身の皮を剥いで殺してあげましょう」

 

コナイデ。モウヤメテ、コナイデヨオ。

 

そのとき、さっきまで叫んでいたバーダックが突然黙った。

 

フリーザが髪を掴んで無理矢理に顔をあげさせる。

 

瞬間、ほんの刹那の間バーダックがこちらを見た。

 

「…たのむ」

 

ボクに…?あれ、違う。ブロリー?

 

次の瞬間、辺りは激しい閃光に包まれてボクは気を失った。

 

バーダック…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どれくらい気絶していたんだろう。

 

気がつけば見知らぬ星で、ほほをたたくブロリーに起こされた。

 

ここはどこ…?

 

次の瞬間、ボクはバーダックが死んだことを理解した。

 

自分のなかにある大事なモノが、ごっそりなくなったみたい。

 

そう、ボクはバーダックが好きだった。

 

中身は男のはずなのに、彼に惹かれていた。

 

こんな心、許されるはずがないのに。

 

ああ、どうしてもっと素直に彼を受け入れなかったんだろう。

 

「バーダック…」

 

口から漏れた彼の名に、涙が溢れこぼれてくる。

 

どれだけ彼の名を叫んだところで、もう二度と彼に会うことはできないのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どれだけ泣いただろうか。

 

いつまでも泣いていられない。ここにはブロリーもいるんだ。

 

ブロリーは、ボクから離れないようずっとしがみついている。

 

ボクが、彼を守るんだ。

 

そう決意を新たにしていると、空に緑色の人影が見えた。

 

ピ、ピッコロさん!?

 

いや違う。あれはひょっとして、うん覚えている。

 

ピッコロと同化したネイルさんだ!

 

てことは、まさかここってナメック星!?

 

 




ということで連続投稿。

ぶっちゃけ書いててセーロくんうぜえとかなってます。

ちなみに主人公より戦闘力高いですが、セーロくんではドラゴンボールの試練クリアできません。

主人公がすごいんではなく、セーロくんが残念なので。

ちなみに各話タイトルを前後編があるものは編集しました。あまり考えてつけてないので、タイトルから内容の想像は一切できない仕様になっております(´・ω・`)

次回は金髪ランチさんの尻穴調教。ついでに主人公が家を作ります。
過去編では今回書けなかったバーダックやパラガス、ついでにナッパなどのサイドキャラの内面を掘り下げる予定です。


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義理の父/静かなる決意

やっと書き上げましたがバーダックの回想は途中で終了。
次回は主人公の修行と意外な人物の戦い。後半はパラガスやナッパの回想。フリーザ戦までは書きます。
ではではお楽しみください。


「んあっ!?ち、ちくしょう!離しやがれ!」

 

後ろ手に縛られた“金髪”の美女、ランチが髪を振り乱してまるで犬のような体勢で叫ぶ。

 

足首と膝を棒状に物質化された気で固定されたランチは、尻をつきだすようにしてこちらへ持ち上げている。そうせざるを得ない体勢で固定しているからなんだが。

 

そんなランチの尻はむき出しにされ、性器と尻の穴がぬらぬらと唾液と愛液とで光っている。

 

さすがに同じランチだけはあるな。紺髪ランチもかなりの感度だが、金髪のランチはそれを上回る感度を有しているようだ。

特に尻は。

 

「んひぃあ!?ゆび!?ゆびでほじくるなぁ!?あう、くっそぉ!いい加減に離しやがれ、変態がっ!!」

 

まあ変態なのは否定しない。

 

こうして尻の穴をかれこれ一時間はいじりつくしているが、正直興奮してるし何より楽しくてしょうがない。

 

だがな、そんな変態の愛撫でしっかり感じてるお前も、なかなかの変態だぞ?

 

***

 

事件は宇宙船を降りてセックス三昧が三日目に突入した頃に起きた。

 

ベッドルームの冷蔵庫を見てそろそろ買い出しにいかないとなぁ、などと考えていたらキッチンから可愛らしいくしゃみが聞こえてきた。

 

さすがに高いだけあって、このカプセルハウスにはしっかりとした防音壁が存在する。とはいえこの原種サイヤ人の体は五感が鋭く、ナメック星人並みに周囲の状況を知覚することができてしまう。

 

…くしゃみが聞こえた瞬間にランチのことを思い出し、咄嗟にその場に突入できてよかった。

 

そこには予想通り包丁片手にブルマを捕まえようとするランチ(金髪)がいたので、即座に取り押さえる。

 

俺にも包丁をむけてもとい刺してきたが、今さら刃物ごときで傷がつくほど柔な鍛え方をしちゃいない。ブルマが悲鳴をあげたがそもそも切れるはずもないだろうに。

 

せっかくなので気すら纏わず大胸筋で受け止めると、包丁が折れてしまったのですぐにキャッチする。

 

驚愕する金髪ランチはそのまま気で作った拘束具でとらえた。

 

そうしてそこからかれこれ数時間。最初は説得(言葉)だったんだが段々うるさく感じてきたので説得(物理)に切り替えた。

 

モ,モウヤヘロォ,アタシノシリガバカニニャルゥ

 

最初は真正面から口説いて悪事を働かないように言い聞かせていたんだが、あまりにうるさ、反省しないのでさきほどの拘束した状態にしたんだが…突きだされた尻がえろくてな。

我慢できずむしゃぶりつくのにさして時間はかからなかった。

 

さて、ここでひとつ俺の特技を教えよう。今まで俺はさんざん女たちをよがらせてきたが、それは単(ひとえ)に磨き抜いた性技の力、だけではない。なにせ相手には経験のない処女がいた。もちろん膜を優しく切る技はある。だがそれだけでは痛みは消せても快感を感じるわけではない。

 

逸物のサイズを変更する、という荒業もあるにはある。だが、今使おうとしている技は文字通り必殺技である。

 

ヒニャア!ハイッテキタア!

 

かつて今は亡き師父である孫悟飯の元で鍛えた十年間。俺は肉体的な基礎修行と並行して、気の応用技術を鍛えていた。

 

当然それは単なる気孔波の修行などではなく、もっと“気”という、ある意味万能の素材の可能性を追求する修行だ。

 

ウゴ,ウゴカナイレェ,アリャヒガワリュカッタカリャ,ユルヒレエ!!

 

例えば、ゴテンクスやベジットの用に、気を物質化する技。

これは応用すれば相手を拘束したりバリアーを作り出すときに応用することができる。今も使っている拘束具はその応用だ。ちなみにバリアーそのものはこの技との性質が違うが、例えば物質化する技と組み合わせれば長時間の展開も可能になる。いずれ女たちの身を守るためにも、これの修行と研究は終わらせるつもりはない。余談だが、この能力は極めれば服を作ることもできる。神様に確認したからな。ピッコロが悟飯に服を作ったりしていたので出来るか聞いてみたら、これの発展系らしい。

 

ゆくゆくは女たちに色々とコスプレしてもらうことにしよう。

 

他には気の性質を変化させ、相手を吸い寄せたり逆に引き離したりできる。大した力は出せないが、不意は打てるし、亀を背に乗せたのもこの技だ。

また気孔波が持つ熱エネルギーを応用し、気孔波が当たった対象を逆に凍らせたりすることもできる。さらにこいつを極めると、気の波長を相手と合わせることで相手に自らの気を吸収させ、回復や状態異常を引き起こしたりすることも可能だ。よく使う回復の気だな。

それにこの技は魔人ブウへの決め手になる気がしている。まあ試すこともできないのでどうなるかはわからないが。

 

ンオッ~~~ッッッ!!オモラヒ,モレヒャウゥゥゥ!

 

とまあ、ちょっとした魔法が使えるというのがあながち嘘でも誇張でもないのは理解してもらえただろうか。

 

ハヘ,マダウゴクニョ!?オネガイ,モウヤメヘエ…!

 

話がそれたな、俺の性技の必殺技だった。なんとなく予想はついていると思うが、俺は回復の気を利用して“対象の感度を自在に操作する”ことができる

 

ヨガッテリュ,アナタノオンナニナリュウ、ラカラユルヒヘエ!

 

ふふふ、これを思い付いてできるようになったときは自分で自分を誉めたぞ。俺は天才だ、とでも言いたい気分だった。

…実験台はブルマが来るまで自分しかいなかったがな。

 

キョヘエエ!ナンレモットオオキクナリュノオオ!?

 

思えば数年間無駄に高度なオナニーをしたものだ。

 

…何もかもが懐かしい。一月と経っていないが。

 

オナカ,オナカゴリゴリサレヘリュ、ランヒイッヒャウノオ!

 

さて、というわけでランチの尻の穴をいじりつつ感度をあげて快楽の虜にしてやろうと思ったんだが。

 

実は、まだやってないんだよな。その技。

 

ヒャン,キャン,アウ,アオゥッツツ!!

 

つまり今俺の下で尻をえぐられよがっているランチは、素での感度が凄まじいということになる。ここから感度を増幅したらどうなるんだろうと怖いもの見たさで試してみたくなるのが人情である。あんまりスゴいことになっているので画面外のような扱いをしてしまうくらいには。

 

「うわー、ぐちゃぐちゃ。エラいことになってるわねえ。それにあなたの顔、ちょっと、ううん、すごくスケベになってるわ」

 

エゥゥ,ドンドンフトクナッレル…!

 

いつの間にやらベッドルームに入ってきたブルマに表情をつっこまれる。だが…

 

「なに言ってるんだ、お前もそんなに変わらないじゃないか」

 

艶然としたブルマの格好はどこから持ち出したのかバニーガールの衣装だった。おまけにどうなっているのか気になるが、尻尾は尻から生えているようだ。

 

イヤア、モウオシリデイクノイヤアっ!!

 

「あは、バレちゃった。…ねえ、ランチが終わったら、次はあたしとしよ?」

 

その言葉に思わず、せっかく我慢していたのに射精してしまった。感度増幅の気を込めて。

 

「アオオオオオオッッ!!!」

 

S字結腸を通り越して、大腸か小腸まで精液が到達したんじゃなかろうか。

 

今ランチは俺の精液が流し込まれた場所全部が性感帯へと変わっている。おそらく内臓全てで絶頂しているようなものだろう。俺は慌てて回復の気を残りに混ぜて射精し続ける。

 

オシリデニンシンシチャウウウウウ…!

 

それから五分ほどして、さんざんに“中から”絶頂した金髪ランチはその顔をめちゃくちゃに歪めて気絶した。

 

すさまじい悲鳴だったが、これ以上回復の気が必要なほど消耗しているわけではなさそうだ。

 

ぐぽっ、と引き抜かれた逸物をブルマが生唾を飲み込みながら見つめる。

 

きちんとランチの尻は洗浄してあったし、こうして引き抜いた逸物についているのもローションと一度ランチの前でしたときについた愛液なのだが、こういうところはきちんとしなくてはな。

 

ということで一応用意しておいたウェットティッシュで逸物をキレイに拭き取る。このまま一度シャワールームへ行って洗い流そうとしたのだが、我慢できなかったブルマが逸物へと食らいつこうとしたからだ。

 

せっかくきちんとしようとしたのに、俺の逸物を必死にしゃぶり尽くすブルマを俺は突き放すことができない。

 

チチのとき以来となるブルマの拙い舌が俺の逸物をすすりしゃぶりあげ、何度も射精したにも関わらず逸物をあっさりフルパワーへと戻してくれる。

 

俺は自分の逸物に感度を上げる気を送り込むと、逸物は顎が外れかけるほどに勃起し、ブルマの口の中へと勢いよく射精する。そしてブルマはそれを一滴も逃すまいと咽下していく。

 

やがて、まるで膣内射精(ナカダシ)した逸物が引き抜かれたときのような音を立てて、ブルマの口から逸物が抜かれた。

 

ブルマは艶然と微笑みながら、一度口の中に溜めた俺の精液を見せつけると最後のひとくちを飲み込む。

 

それだけでブルマの体は震え、全身が紅潮する。

 

「あなたのって思ったら、飲んだだけでイッちゃった…」

 

指をくわえて名残惜しそうに逸物を見つめるブルマ。感度増幅して正解だな。ああ、勿論インターバルなんぞ置かないぞ。

 

そうして俺は、横で尻の穴から精液を垂れ流しにするランチ(金髪)を放置してたっぷりとまぐわうのだった。

 

あとで紺髪のランチに怒られた。

 

色んな意味で放置してすまん。次からはお前も混ぜてやる。

 

と言ったら顔を赤くしてため息をつかれた。満更でもないらしい。

 

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乱行祭りが終わって、俺はドラゴンボールの使い道を決めるために全員を集めて話し合っていた。

 

「さて、せっかくドラゴンボールを集めたわけだが、今現在早急に必要な願いがない。いや、なにかないのかと言われればいくらでもあるが、そこはお前たちの意見を聞いてからにしたい。遠慮なく言ってくれ」

 

そう言えば全員が悩みだす。まあ無理もないか、普通の願い程度なら大半は叶えてやれると言ってあったからな。

 

「あたしは特になにもないかな~、素敵なダンナ様もできちゃったし」

 

真っ先に答えたのはブルマ。顔をやや赤らめながら真っ先に答える辺り、本当になにもなさそうだ。

 

「…少し前でしたら、殺されたシュウとピラフ様を生き返らせてもらおうと思っていたのですが、よく考えたらピラフ様はとんでもないことをしようとしていたので生き返らせない方がいい気がしてきたんです。だからといってシュウを生き返らせれば必ずピラフ様を生き返らせようとすると思いますし…(まさかピッコロ大魔王を甦らせようとしてただなんて言えないわね)」

 

うつむきがちにそう告げたのはマイ。顔を傾け艶やかな黒髪がさらりとこぼれるその姿は、間違いなく一級品の美人だ。こうしている姿を見ると、とてもドMの残念美人には見えない。俺としてはそれも含めて好きなのだが。

 

「わたしも特にないですね。強いていうなら早く赤ちゃんが欲しいですけど。それは神様じゃなくて旦那様にお願いすることですし、えへへ」

 

はにかみながら両手の指先だけを突き合わせて答えるランチ。照れながら話している姿は一見可憐に見えるが、頬は上気し“いつでも子作りできますよ”と目で訴えている。

 

ちなみにこの中で一番雰囲気がエロいのがランチ。時点でブルマ。マイは嗜虐心をそそられるが、普段はそれほどエロくない。スイッチが入るとぶっちぎりでトップに躍り出るが。

 

「あ、そうだ。ちょっと待ってて」

 

なにかを思いだし、キッチンへと向かうブルマ。

 

なにをするのかと思えば戻ってきたその手には案の定コショウが。

 

「『くしゅんっ!』はっ!?てめえはっ、ニャゥン!?」

 

コショウをひとふりすればあっという間に金髪ランチの完成。っていうとまるで料理だな。暴れられても面倒なのでうなじを掴み、 感度増幅の気を送り込んで黙らせる。

 

手を離したら暴れそうなのでそのまま抱えながら話しを進める。

 

ん?どうしたランチ。右手がホットパンツのなかに入ってる?ははは、気にするな。

 

「お前はなにか願いはないのか?ドラゴンボールへの願いなんて今後早々叶えられないぞ」

 

「だったら、キャウ!まず、は、この手をどけやが、レェっ!」

 

そう言って右手は動かしたまま金髪ランチに訪ねる。クリに到達した指から微弱に感度増幅の気を注ぎ込んでやると、それだけでランチはびくびくと震えてイッてしまう。

 

「ンキュウウ!」

 

派手にイったせいでホットパンツがぐちょぐちょになってしまったな。今脱がしてやろう。

 

「ファ、やだ、脱がしちゃダメっ!あ、あ、今、イったばかりだから、触るなぁっ…!」

 

せっかく脱がしてもこう漏れてちゃしょうがないな。すぐに詮をしてやるとしよう。

 

「ハアアアァァァァん………っっっ!」

 

ゆっくりズブズブと逸物を膣に埋め込んでいく。ランチは両手を俺の顔に当てて逃れようとするが、そこへすかさずブルマが援護射撃を開始する。ランチの胸をいじり始めたのだ。

 

「おい、やめ、ああっ、乳首、こねるなぁっっっ!」

 

またイッてしまったようだ。ブルマはひたすらランチの胸をこねまわし、時折口に乳首を含んでは刺激に緩急をつけてランチを弄ぶ。

 

「あぁ、スゴい、嫌がってるのに、ううん、口ではそう言ってても、あぁ、あたしも…」

 

俺だけが聞き取れるような小さな声を漏らし、上気した顔を隠そうともせず痴態を見つめるマイ。両手の指はいつの間にやら下着のなかのようだ。

 

マイから聞こえるクチュクチュという音に興奮してさらに固さと太さを増す俺の逸物。その動きは緩慢としたものだが、膣のなかでぎちぎちに詰まった逸物を腹筋で動かすと、その度ランチが悲鳴をあげて感じている。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、もう、ダメぇ…!」

 

ほとんど時間をかけずにランチはイッてしまい、プショオと潮を漏らす。

 

とはいえ俺はイッてないのだ。せっかく余計な力も抜けたことだし、このままさせてもらおう。

 

「ダ、ダメ、ほんと、イきっぱなし、くああぁ…!あたまバカににゃるうぅうっ!」

 

注挿を始めたことでランチもさらによがり始める。

 

ブルマはといえば俺が動いたことで胸をいじるのが難しくなったからか、あちらでマイを襲っている。

 

今は最初の時の俺を真似ているのか、ズボンと下着をずり下げてアソコと尻をたくみに刺激していた。

 

「ああ!ご主人様ぁ!あたし、こんなにイヤらしくなってっ、ああっっ、お尻もアソコも、両方気持ちイイのぉ!」

 

「ほらほらイっちゃいなさい!容赦なんてしてあげないわよぉ!」

 

マイもまた、あのときのことを思い出しているのか俺の名を呼びながら喘いでいる。ブルマもレズプレイに抵抗がないようで何よりだ。

 

さて、ランチもイきすぎてぐったりしてきたことだし、そろそろ不意打ちでブルマを後ろからしてやろう。

 

いい機会だから尻の穴でするとしようかな。

 

「いやああ、ご主人様ぁ!」

 

「それそれ!イっても止めてあげないーきゃあっ!?」

 

無防備だったブルマの尻たぶを割り開き、ひくひく動くすぼまりへと舌を挿しこむ。突然のことにマイをいじっていた指も止まるが、マイは俺が近づいたことに気づいて興奮したのか、抜けそうになったブルマの指を自分で動かしてさらに刺激し始める。

 

「アンッ!?ダメよアナタ、そこはまだ処理してないわぁ、んんぅ…っ!」

 

「後始末なら全部俺がしてやる。それにお前もマイもランチも、俺の女になった以上俺がキスしてない場所が体に残ると思うなよ。舌が届くなら子宮にだってキスしてやる」

 

俺はそう言ってほぐれたブルマの尻の穴に剛直と化した逸物を埋めていく。さけてしまっては元も子もないので入れるのはゆっくりだが、すでに微弱とはいえ感度増幅の気と回復の気を同時に注いでいる。以前からいじっているのと相まって、ブルマがよがり狂うのは時間の問題だ。

 

「う゛あ゛あ゛あ゛っっ、かはっ、おぢりに、はいちゃったあ…!」

 

他の二人(三人?)も甲乙付けがたいが、やはりブルマは別格だな。あまりにキツいようならチチにしたようにサイズ変更も考えたが、ブルマの尻の穴はまるで初めからそうできていたかのようにぴったりと俺の逸物を締め付ける。

 

いくら戦闘力があがっても逸物の感度までは変わらないし変えたくない。ゆえにブルマの感触をもっともダイレクトに感じているのが“逸物”なのだが、最近の俺の急成長に合わせるように彼女も性長(誤字にあry)しているように感じる。

 

まあそういう検証は今度でいいか。マイも今度は自分の指でオナニーをはじめたことだし、今はこの光景を見ながらブルマの尻をえぐることを大切にしよう。

 

はて、にしてもなんのために集まったんだったか。とりあえず全員あと何回か抱いて考え直すことにしよう。

 

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それから結局丸一日ヤってしまった。

 

ドラゴンボールの願いは満場一致でランチの変身制御に決まった。

 

どうにもああ生意気だとついつい俺がエロいことしたくなってしょうがない。

 

そして何よりなし崩しに乱行へと移行してしまうので話が進まなくなってしまうのだ。

 

まあ一応突然変身して暴れられても困るし、という理由もあるが。

 

神龍によって任意での変身を可能とする腕輪をもらい、ランチ(紺髪)は満足げだった。

 

神龍を呼び出すのははじめてだったが、まあ俺はポルンガを見たあとだったしな。三人はその幻想的な光景に感動していたが。

 

ちなみに金髪ランチが余計なことを言いそうな気がしたので落ち着いてから願いを聞いたら

 

「拳大のダイヤモンドでも出してみやがれ」

 

と言われたので眠り姫を差し出してみた。

 

固まっていたので不満なのかと持っていた財宝から近いサイズの宝石を取り出したら顎が外れそうなほどに口を開いていたが。

 

「大金持ちじゃねえか…」

 

とか言ってたので、お前が人質に取ろうとしたブルマは世界一の大金持ちだぞと教えておいた。

 

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そうして気づけばブルマの学校がはじまっていた。うん、忘れてたがブルマのやつ学生だったな。

 

大急ぎで西の都まで移動し(宇宙船で)、ブルマを学校に連れていった。

 

校庭に乗り付けたので大騒ぎになったが。おまけに周囲に見せつけるようにディープキスなんてしていくもんだから学校中が大パニックだ。

 

そのままとんずらするのも何なので職員室に呼び出されてブルマの婚約者だと説明してきた。一部の教員から睨まれたが、まあその程度甘んじて受けよう。表だって彼女を批判するなら物理的に思い知らさせてもらうが。

 

それからブルマが帰る前に彼女の家へ先に行くことにした。

 

娘さんをください、どころかすでに手込めにしたあとだがな。

 

そうして自己紹介を果たし、今はランチ(紺髪)、マイと一緒にお茶をもらっている。

 

かなりとんでもない話をしたつもりなんだが、それを聞いたブリーフ博士とパンチーさん(ブルマの母)の反応は朗らかなものだった。いいのかそれで、と驚く俺にブリーフ博士は昔話をはじめた。

 

かつてブリーフ博士が大学を卒業して科学者になった頃、両親から随分反対されたらしい。元々両親は金持ちだったらしく、彼自身の将来もガチガチに決められていたそうだ。とはいえそれに素直に従う彼ではなく、自分の発明で脱走。ちなみにこのとき発明したのが、かのホイポイカプセルの原型だったそうだ。歴史的な発明が家出のために作られたと聞いてマイとランチも驚いていた。

 

それから郊外に移り住んだブリーフ博士はスクラップを材料に発明品を作ったりしていて過ごしていたそうだが、彼が40歳を越えた頃に両親が死去。莫大な遺産が転がり込んだ。

 

面倒なので処理してしまおうかとも考えたそうだが、そんなとき一人の女性、ブルマの母親であるパンチーと出会う。

 

彼女は街角に立つ娼婦だったがブリーフ博士は彼女に一目惚れ。マイ・フェア・レディばりの、いやさプリティ・ウーマンばりの大恋愛の末に二人は結ばれた。

 

大金持ちと娼婦の結婚は世間を大いに賑わせたそうだが、ブリーフ博士は財産を盛大にばらまきこれを黙らせると、残った遺産でカプセルコーポレーションを設立。 元々発明していた半重力装置やホイポイカプセルによって瞬く間に莫大な利益を築き上げ、実力で周囲を黙らせたそうだ。

 

なので娘が惚れた相手で、それが娘を愛しているなら何も言うことはないそうで。むしろ住むところを探しているならここに住むといいとまで言われてしまった。

 

万が一俺が娘さんを傷つけるだけだったらどうしていた?と聞いたときもにっこり笑っていたが、正直戦闘力などまるでない相手にも関わらずゾッとした。

 

まあ俺がブルマを捨てる、ましてや傷つけるなど彼も俺も考えちゃいないが。

 

ということで、俺が持つカプセルハウスをせっかくだからとそのまま追加の家にしてくれることになった。どこに建てるのかと思ったが、正直舐めてたわ。まさか某国立公園ばりに庭が広いとは。

 

そこから博士が拾って飼っている恐竜たちなどが縄張りにしていない場所を選んでカプセルハウスを展開。ブリーフ博士が適当に拡張しておくとのことだったので、任せて俺と二人は小物を買いに街へ。ちょっとしたデートだな。

 

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その夜、女性陣全員による手料理というこの上ないもてなしを受けて腹もふくれた頃、俺はしばらく修行したいことを全員に告げた。

 

その理由は、この地球を狙う悪のナメック星人スラッグ。

 

ヤツに対抗するためだ。

 

神聖樹の実を食ったヤツがどれほどパワーアップしているか、正直想像もつかない。

 

だがこれでヤツにドラゴンボールまで使われてしまえば手がつけられなくなる可能性がある。フリーザ軍のコンピューターに残された記録によると、過去にコルド大王と争い星ひとつを余波で消し飛ばしたらしい。

 

しつこいようだが、そんなヤツが神聖樹の実を食べるということがどういう結果に繋がるか。ただ単に若返るだけならいいが、嫌な予感がする。

 

しかもうろ覚えの設定によれば、神聖樹の実は神だけが食すことを許された禁断の果実。劇場版で使用していたターレスなんぞと違い、よりにもよってスラッグはかつて神候補として惑星スラッグに送られたようなヤツだ。

 

となれば、なにが起きるかわからない。少なくともスーパーサイヤ人を越える必要があるし、場合によっては完全体セルを倒すつもりで鍛えなければならないということだ。

 

もちろん俺とて彼女たちと離れたくなどないが、事態は急を要する。魔神城で殺した吸血鬼型魔族によれば、スラッグはあと一年、ないしそれより短い期間で帰ってくるのだ。

 

救いは、幸いにも鍛える手段が豊富なことだ。まずは、以前一度使った場所を使うことにした。精神と時の部屋である。

 

かつてガーリックJr.を倒した一年後、俺は半年ほどあの部屋に入っていたことがある。師父の死を乗り越えるために、体を苛めていたのだ。

 

あそこで今度は限界まで修行する。今度は基礎ではなく、文字通り自分の限界を越えるための修行だ。必要なら次元を破る技を覚えて、制限時間を無視するつもりでもいる。

 

それだけじゃない。それが終われば次は界王の元へ赴き、界王拳と元気玉を覚えるつもりだ。

 

精神と時の部屋を最初にしたのは、正直今の自分の全力がわからないから、というのがある。正史にはないスーパーサイヤ人0(ラブ)という形態。さらに言うなら原種サイヤ人という世界で唯一の存在。それらが合わさったとき、いったいどれだけの力を手にしているのか、正直言ってワクワクしてくる。

 

そうして話はまとまった。明日からでも俺は神様がいる天界へ発つ。

 

打倒スラッグ。そして、フリーザを倒す誓いを胸にして。

 

◻▫◻▫◻▫◻▫◻▫◻▫◻▫◻▫◻▫◻

 

俺の名はバーダック。

 

サイヤ人の戦士だ。階級は下級だが、ふんぞり返ってるエリートどもで俺より強いのはもう数人しかいない。

 

最近じゃやっかみからか、えらく面倒な星の侵略ばかり任されてるがな。

 

だがそいつは逆効果だ。俺はどんな星でも誰より多く、誰より強い相手と戦ってきた。そしてサイヤ人としての特性で、死に近づけば近づくほど復活したときは強くなる。もちろんひとつ間違えたらあっさり死んじまうんだろうが、そんときはそんときだろ。

 

まっとうに鍛えりゃもっと強くもなれるんだろうが、そんな暇があるならギネとイチャつくかどっかの星で戦ってる方がいい。特にギネはいい女だしな。夜の乱れようったらたまらないぜ。

 

それに俺は強くなるのは楽しいが、別に最強になろうだなんて考えちゃいねえ。

 

そうさな、楽しく戦えりゃ、それでいい。

 

…そんな俺だが、最近妙な気分になる。

 

セーロとかいう女のエリートサイヤ人。ヤツを見ているとそうなるんだ。

 

アイツを見てると、というよりニオイを嗅ぐと無性にムラムラするというか、いや違うな。

“アイツに何もかも捧げちまいたくなる”んだ。

 

これに気づけたのは多分俺だけだろう。俺には心底惚れたギネがいる。だからギネとセーロに向ける感情の違いに気づけた。

 

本来サイヤ人の男女は一緒に暮らすという習慣はない。他の星じゃ“夫婦”っていう文化らしいが。

 

ともかく、俺とギネは惑星ベジータで一緒に暮らしている。今回のこともギネには真っ先に相談した。てっきり嫌がられるかと思ったが、

 

「バーダックがその子のこと好きなら、あたしは構わないよ」

 

と笑顔で言い切られてしまった。見とれてるのがバレたから押し倒してやったけどな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

この間試しにセーロを口説いてみた。

 

アイツは困った顔で俺をあしらっていたが、ありゃ自分のことに気づいてないな。

 

そのまま気配を消して(最近戦闘力を操れるようになった。なかなかに便利だ)様子を伺っていると、まあ来るわ来るわ。

 

飯に群がるサイヤ人、という言葉があるかはわからないが、あれはまさしくそういった光景だろう。ヤツへと“そういった視線”を向ける相手を観察する。

 

ベジータ王の側近であるパラガス。

 

ベジータ王子の護衛兼教育係であるナッパ。

 

他にもうようよとサイヤ人の男が言い寄ってきている。

 

挙げ句の果てにはベジータ王だと?さすがに疑問に抱いたのか声を掛けることはしなかったみたいだが、このまま放っておくのはマズイな。

 

サイヤ人の男が女に求愛するとき、時々相手が被ることがある。女から声をかけたならそれは相手の男が答えるかどうかだが、男の場合は違う。

 

戦闘力に差があれば低い方が高い方に気を使うこともありえるが、それでも納得できなければ決闘となる。

 

そしてアイツを見ているやつらの大半が、万が一誰かがセーロを口説いても“納得いかない”だろう。ギネがいるからわかるが、アイツらマジになってる。

 

ちっ、他人の色恋沙汰なんて面倒なだけだが、こいつは最悪サイヤ人全体に関わるな。最近じゃトーマやトテッポのヤツまでいやがる。

 

…しょうがねえ、パラガスとナッパを巻き込むか。

 

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随分苦労したが、最終的には紳士協定なるモノを作って全員を納得させた。

 

紳士だなんて言葉は初めて知ったぜ。

 

電子端末のリストにはサイヤ人の男の名前がほとんどあるんじゃないか?

 

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群がりが出来ていた事件の後、俺は急いでパラガスとナッパの二人を呼び出し、連れだってベジータ王の元へと赴いた。

 

要件は当然セーロの件。

 

異様なメンツだったこともあり、俺達はすぐに通され話をした。俺が抱く懸念と、このまま影響が広がればマズイことになることを伝えると、ベジータ王も近いものを抱いていたらしい。王の場合、以前似たような超能力を使う相手と戦ったことがあるという理由からだったが。

 

パラガスはそのことを懸念して自分のモノにしようとしていたらしいが、さすがに階級を越えて決闘を挑まれるとは思っていなかったらしい。

 

ナッパは正直なぜコイツが教育係を勤めているのかわからんほどにバカだったが、ならいっそ殺した方がいいのでは、という提案をしてきたのはナッパだけだった。

 

普通こういった問題を悩むのはベジータ王なんだろうが、驚いてる辺り考えもしなかったのか。まあ俺もそうだがな。

 

にしてもせいぜい数千人しかいないサイヤ人、その半数が命がけの決闘をする可能性か。

 

…まず間違いなくロクなことにならねえだろうな。

 

順序だてて説明するとさすがにナッパもわかったのか顔を青くしていたが。

 

とはいえ現状でセーロを殺すのはよくない。同情なんかじゃなく、今現在これだけ熱狂している連中からその対象を取り上げてみろ。戦いの最中に自分の獲物を横取りされるようなもんだ。

 

その分のエネルギーはどこへいく?

 

俺も経験があるが、戦いを横入りされたときのイラつきはギネいわく「洒落にならなかった」らしいからな。

 

仮にイラつきが俺ほどじゃないにしても、最悪の場合フリーザ様に一族もろとも粛清されかねない。あの方は温厚に見えて、そういった手段を躊躇わないだろう。

 

で、結局さっきの紳士協定へと繋がったわけだ。

 

俺が下級戦士を、パラガスと王がエリートを、ナッパがその中間層を、といった具合に振り分けて対処することになった。

 

苦労したぜ。特に俺が担当することになった下級戦士の連中はなにかと周りに反発しやがるからな。話し合った回数よりぶん殴って言うことを聞かせた回数の方が圧倒的に多い。

 

しかもこれで終わりじゃなくて、定期的にセーロを監視する必要があるから俺に面倒を見ろだとぉ…?そっちの方が頭いたいぜ。

 

たしかにアイツの“ニオイ”に抵抗できるのは俺かベジータ王、次点でパラガスってところだが。はぁ、ギネになんて言やあいいんだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今俺は、カナッサ星という場所に来ている。

 

あれから俺はセーロの護衛としてベジータ王直々の命令を受けて行動していた。といっても護衛というのは名目で、実態は監視なんだがな。

 

パラガスの野郎は「この機会にお前もエリートになったらどうだ」なんて言ってたが、生憎俺は気楽な下級戦士の身分が好きでね。

 

紳士協定以後、セーロに声をかけるのは俺、パラガス、ナッパの担当になった。

 

アイツ、セーロからすれば現状は三人の男に言い寄られてるようなもんだろう。アイツ自身満更じゃない顔してやがったしな。

けっ、人の気も知らねえで呑気なもんだぜ。

 

とか考えてたら不意打ちで後頭部にいいのをもらっちまった。

 

…マズイな、意識が…

 

薄れ行く視界で、セーロがパワーボールを作っているのが見えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ここはなんだ?

 

なんなんだ…!この地獄は…!?

 

くっそお!俺が気を失ってる間にナニがありやがった…!

 

ギネ?

 

おい、フリーザ様やめてくれよ。

 

ソイツの腹、ガキがいるじゃねえか。

 

おい、よせよ、フリーザ様、フリーザ!!

 

フリーザァァァァァァ!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…俺は病院で寝かされていたらしい。

 

メディカルポットを出ても目を覚まさなかった俺は、ギネと、あとなぜかセーロに看病されていた。

 

セーロいわく、手を握って離さなかったらしい。

 

くっそ、元はと言えばテメエが俺をあの星に誘いやがったから…!!!

 

…いや、コイツに当たってもしょうがねえな。

 

たしかに夢は夢だったが、あの悪夢は一体何だったんだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

また夢を見た。

 

うなされているのをギネが起こしてくれたらしい。

 

訓練所から帰ってきているラディッツも心配そうにこっちを見ていた。

 

情けねえ、てめえの女房子供にこんな顔をさせちまうとはな。

 

よし、俺も男だ。腹をくくってあの悪夢の正体を見極めてやる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どうやら、あの夢はこれから起こりうる未来の夢らしい。

 

俺が腹をくくったからか、あれから夢の内容は度々変化した。

 

俺がベジータ王を打倒しサイヤ人を支配下に置くも、フリーザに星ごと消される夢。

 

トーマらとどこかの星を攻めている最中に、ザーボンかドドリアに襲われ殺される夢。

 

家族らと辺境の星に逃げるも、追ってきたフリーザによって皆殺しにされる夢。

 

他にも色々とあったが、どれも最後に俺は殺されていた。

 

それでもこれが未来の夢だと確信したのは、そこに至るまでの過程が現実に起き始めたからだ。

 

俺は人知れずある決意を決めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「頼む、お前らに頼る他にないんだ…!」

 

俺は頭を下げ、パラガスとナッパの二人に頼み込んでいた。

 

頼んでいるのは、強くなるための場所と戦う相手。

 

俺がした決意である“フリーザを殺す”ためには、どうしても俺以外の力がいる。

 

あれから考えたが、このまま他の星をいくつ侵略したところで、到底あのフリーザを殺せる気がしない。

 

トレーニングルームにもしばらく通ってみた。確かに戦闘力の上昇は感じたが間に合わない。あの夢が正しければ、あと数年以内にフリーザは動く。

 

事実、最近のベジータ王は苛立っている。理由はフリーザ軍配下の連中に戦闘力の高い連中が増えはじめたことだ。

 

ザーボンやドドリアはまだいい。アイツらは随分前からいたし、ベジータ王も同格に扱われていた。だが最近は各傘下の惑星から選りすぐりに集められたギニュー特選隊や、所属は違えどそれを上回る実力者であるクウラ機甲戦隊などが現れはじめた。

 

言うまでもなく、サイヤ人は戦闘民族だ。ややこしい階級はあるものの、ベジータ王が王として認められているのは強いからだ。だがそれが、王以上の実力者が現れはじめたことで揺らいできている。仲間との結束を大事にするサイヤ人が、分け隔てられた階級のせいでぶつかり合うようになってきているのだ。

 

もう時間がない。俺はどうせ死ぬなら、戦って死にたい。だがそれだけじゃない、アイツらを、ギネを、ラディッツを、まだ腹の中にいるカカロットを俺は守りたい…!

 

だからこそ俺は手段を選ばない。後ろで様子を見ているセーロが驚いているが、そんなことは気にならない。

 

絶対に強くなってやる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれからしばらくして、俺の実力はかなり上がったと思う。スカウターで戦闘力を計ったわけじゃないが、たぶん十万は越えただろう。

 

俺が強くなるために選んだ手段は単純だ。わざと戦闘力を落として、ナッパに半殺しにしてもらう。それだけだ。

 

パラガスに頼んで侵略に行かされる時間をギリギリまで伸ばしてもらい、俺が他の星へ行くのは精々1ヶ月に一度にしてもらった。

 

そこでフリーザ軍の目が届かない星まで出向き、その状態でナッパに半殺しにされる。

 

何度も死にかけたが、やはり本当に死にかけたときほど俺の戦闘力は上がっていった。

 

最近セーロが俺をよく見ている。あの目は、昔のギネと同じだ。

 

バカなヤツだ。俺なんかに惚れたところで、俺は何もしてやれないのに。むしろ、アイツが誰かとくっついたら、俺はソイツもろとも殺すようにベジータ王に頼まれてるくらいだからな。

 

とはいえ、アイツ自身が哀れなのは確かだ。自分に向けられる好意は全部ニセモノだっていうのに、それに気づくことすら許されないんだしよ。

 

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最近侵略した星に、戦闘力の操作が異常に上手いヤツがいた。

 

俺はソイツの家族を助けて見逃すことを条件に、秘密の惑星で鍛えてもらうことにした。どうにも最近手詰まりを感じていたからな。

 

セーロが

 

「やっぱり戦闘力のコントロールは大事だよね!頑張ってねバーダック!」

 

なんて言ってたが、なるほど、ずっと戦闘力をアイツの前では固定してたからな。今頃俺が戦闘力を操作する訓練でもしようとしてると思ったんだろう。

 

俺の特訓自体、最近気づいたみたいだしな。

 

…にしても視線がウゼえ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

悔しいが、セーロのアドバイスで俺は切り札を手にした。

 

スーパーサイヤ人。逆立った金髪の髪色に、ほとばしるエネルギー。

 

これなら、ひょっとしてフリーザに勝てるかもしれない。

 

さっそくセーロと一緒に星を侵略しに行った。そこは文明レベルはともかく、高い戦闘力を持った連中がウジャウジャいることから、攻略難易度高しと敬遠される場所だった。

 

スーパーサイヤ人の力は圧倒的だった。平均戦闘力五千を越えるヤツラを相手に、大猿化することなく蹂躙することができた。

 

あまりの高揚感に、抱きついてきたセーロを正面から受け止めてしまった。

 

ぐぅ、久しぶりのニオイが効いてきやがる。

 

危うく犯すところだったぜ。この分はギネで発散しよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺と比べて小柄なギネを、やや乱暴に抱く。

 

もう何度も出したのに、まるで収まりがつかない。

 

わかってる。あのニオイを嗅いだせいだ。恐らく俺の本能が、セーロを抱けと高ぶっているのだろう。

 

だからこそ、そんなものはねじ伏せる。

 

「あぅ、バーダック、今日はすごいっ…!」

 

お互いに全裸で、文字通り求めあう。

 

汗だくだが、それ以上に触れ合う互いの肌の感触に癒される。

 

「あっ、あっ、あっ、バーダックぅ、あたし、また、またイっちゃうよぅ…!」

 

お互いの境目がわからなくなるほどにどろどろに溶けていく。

 

ギネのなかに出した俺の子種がじゅぷじゅぷと突き入れる度に溢れかえる。

 

「ギネっ、ギネっ、ぐうぉっっ!!」

 

口から思わず呻き声が漏れるほどの心地よさを感じながら、俺は何度目かわからない精を妻の中へと吐き出した。

 

しばらく同じ体勢でぐったりしていると、さきに動き出したギネが俺のモノを引き抜き、向きを変えて優しくモノをくわえる。

 

しばらくはピチャピチャと、ミルクを舌で舐めとるような音が響く。

 

「落ち着いた?」

 

不意にそう聞かれ、俺は自分が隠しているつもりでも案外バレるもんだなとギネに苦笑いを返した。

 

「当たり前でしょ、あたしはバーダックが大好きなんだからさ」

 

そうはにかむような笑顔を向けられ、俺は内心の不安を押し隠すように微笑んだ。

 

 

 

 




「バカになるうう」は青年誌でも屈指の名言だと思う(´・ω・`)

ちなみに自分はここでの戦闘力を、非公式の某戦闘力考察サイトを参考に書いてます。

戦闘力ってどこかで書いた方がいいですかね?ちなみに上記のサイトをご存知でしたら、主人公が今どれくらいかなんとなくわかると思います。主人公自身はめっちゃ自分の評価低いですけどね(苦笑)


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原点への回帰

とりあえず前編もとい現代編投下。
そして気づいた。エロ書いてるときとシリアスで書く速度が10倍くらい違う(´・ω・`)


「んぶっ、んぐっ、んごっ」

 

さらさらとした黒髪を手に絡めながら、腰を前後に動かす。

 

こめかみに手を添えて、できるだけ乱暴にならないようにしながらも気持ちよさからついつい喉の奥を突いてしまう。

 

「んんっ、んぼっ、んんぅっ」

 

何度も繰り返し出し入れしたことにより、口の回りは漏れたよだれで濡れている。

 

抜き挿しをすることで唾液が照らされ、乱れきった顔の淫靡さが増す。

 

そうやって俺の逸物を深々とくわえながらも、恍惚とした表情を崩さないのはマイ。

 

夜も更け、キングサイズのベッドには他二人の愛しい女たちが気絶している。

 

前後に二回ずつたっぷり出されてご満悦のブルマは尻をかかげたままだし、ランチは金髪のときにはポルチオを、紺髪のときにはGスポットを徹底的に責められてさきほど気を失った…まだ時おり震えて潮をもらしている。

 

そんな中でマイから提案されたのが

 

「わたしの“くち”を犯してください」

 

だった。

 

どうやら単なるフェラチオではなくイラマチオをやってほしかったらしく、彼女の提案に応じてこうして口に出し入れしているのだが。

 

思ったよりも興奮する。

 

まず無防備な相手の口に自分のモノを突きいれているという状況が特殊だ。

 

フェラチオと違って奉仕されている感じはしないが、逆に相手を完全に自分のものとして扱っているという征服感がすさまじい。

 

しかもマイはそれが嬉しいのか、咽頭まで突きこんでもえずくどころか舌を絡めてくる。

 

…どこまで耐えられるんだろうか。

 

仄かに灯った嗜虐心が俺をそそのかす。

 

ーーーさきほどよりも、さらに乱暴に喉奥を突いてみる。

 

普通に膣でしているときと変わらない力加減に、さすがに呼吸ができなくなったのか、マイの顔が苦しそうに歪む。

 

「んぐっ!?んごっ、んごっ、ごえっ!」

 

もはや喉を完全に塞がれ、とうとうえずきながらもマイは口を離そうとしない。

 

そこで気づいた。マイの秘所からとめどなくこぼれる愛液の存在に。

 

苦しいだけでなく、マイはしっかりと口を犯されることに快感を覚えている。

 

それに興奮した俺は力加減はそのままにさらに奥へと逸物を突きこんでマイの喉をごりごりとえぐる。

 

正直やり過ぎているように感じるが、それでもマイはうっすらと涙を浮かべながらも快感を感じている証拠にベッドまで愛液が伝っている。

 

それを見て、視覚で刺激された俺は急速な射精感にマイのくちを犯しながら叫ぶ。

 

「イくぞっ、全部飲み干せっっ…!」

 

喉を叩くように勢いよく出た精液を、マイが恍惚としながら飲み込んでいく。

 

ぷしょぉ、という音がシーツを濡らしていく。太ももどころか下半身を濡らす液体のニオイから見るに、どうやら精液を飲み込んでイってしまったらしい。

 

Mっ気があるとは思っていたが、ここまでとはな。だが以前確認したところ、痛みが快感に変わるとかそういったことはないらしい。

 

一種の被征服欲とでもいうべきか。自分自身をゆだねたい、とでもいうのか。

 

とにかく相手に何もかもを奪われたい、そんな願望の持ち主のようだ。

 

実際以前に尻を叩いてみたが、困惑してたしな。逆に“はじめて”を奪われることにはヒドク興奮してもいた。

 

んー、たぶんだがイってもイかせるのを止めない、とか最高に好きなんじゃないだろうか。

 

まあこういうのは御託を並べるよりもーーー実際にヤってみればいい。

 

ということで下着がエラいことになってる(ズボンは脱がせておいた)マイをひょいと持ち上げ、駅弁スタイルで挿入してしまう。

 

とろとろになっていた秘所はぬるりと俺の逸物を飲み込んだ。

 

「ーーーっかはぁ!?えぅ、ぁぁああんっっ…!」

 

正気に戻る前にいきなり突っ込んだからか、衝撃でさらにイったみたいだな。潮まで吹いているところ悪いが、ガンガン動かせてもらうぞ。

 

ずにゅ、ぐちゅ、ずちゅ、と湿った肉がこすれあう音が、お互いのむき出しになった下半身から響く。

 

マイは意識を完全に色事のそれに塗り替えられ、もはやあられもない嬌声をあげ続けている。

 

とても人に見せられた顔ではないのはいつも通りだが、マイの場合こうなったときのエロさが違う。

 

音もニオイも視覚も、発せられる全てで俺を魅了しようとしてくる。

 

それが本人の持つ才能なのか、自分の女に対する贔屓目なのかは俺にはわからない。だがそれが堪らなく愛おしいのだ。

 

そうして何度目かわからない射精をマイの膣内(なか)にすると、俺は今後のことへ思いを馳せるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌朝、名残惜しむ女たちを後にして俺は天界へと赴むこうとした。

 

が、ひとつ思い出して大師父、亀仙人のもとへ向かった。

 

なぜかと言えば、亀仙人もなんだかんだで魔族とは因縁深い。

 

師匠である武泰斗様を殺されているし、原作通りならピッコロ大魔王を相手に命を落としたことさえあった。

 

その魔族のなかでも、恐らく最強クラスのスラッグがこれから地球を襲うのだ。ましてや神聖樹の実を食べていることからその実力は映画以上だろう。

 

それにドラゴンボールが集まってない以上、世界中に配下の兵士たちを派遣する可能性は高い。そんなときに妙な義侠心から無茶をされては、最悪殺されてしまうかもしれない。

 

もう師父のような、義父さんが殺されたときのような思いはしたくない。失礼な話ではあるが、武天老師と呼ばれるほどの達人である亀仙人でもスラッグには勝てない。

 

純粋な武術としての技量が上回っていても、出力が違いすぎるのだ。

 

なにがなんでも説得しなくては。

 

そんな風に考えていると、亀仙人が住むというカメハウスが見えてきた。彼はのびのびと日なたを浴びて眠っている。

 

と思ったら、俺が到着する前に起きた。…まだ数キロはある上に気は抑えているんだがな。

 

「なんじゃ、やっぱり悟空じゃったか」

 

着くと亀仙人は背中をこきこきと鳴らしながら甲羅を背負い直していた。どことなく嬉しそうに見えるのはうぬぼれだろうか。

 

「ご無沙汰、というほどではありませんが、少し話があったので寄らせていただきました。少し時間をもらってもよろしいですか」

 

「堅苦しいぞ、楽にせい。もちろん構わんよ。そういうことなら部屋にでも行くかのう。おおい、ウーロンや」

 

呼び掛けるとエロ本片手に豚顔の小僧が出てきた。元気にやっているようだな。

 

「なんだよじいさん、さっきのエロ本ならまだ読んでるとちゅーーーぎゃあああっ!ななななんでお前がここにぃぃ!?」

 

「人を見ていきなり悲鳴をあげるとはご挨拶だな」

 

「ウーロンや、ちょいとお茶でも入れてくれんか」

 

「なんで普通にお茶頼んでんだよ!?構わねえけど!ちょっとは悲鳴をあげた俺をねぎらえよ!」

 

「そうだ、大師父。その前に一度俺の“型”を見てほしいんです。5年以上一人でやっていると、どうしても不安になってしまって」

 

「ほっほっほ、“型”とな。ええぞい、見てやろう。して、今日はあのべっぴんちゃんはおらんのか?」

 

「俺を無視すんなああああっ!?」

 

とまあ約1名騒いだが、軽くお茶を飲ませてもらいながら話を聞いてもらうことになった。

 

ウーロン?年齢を聞いて正直子供をびびらせ過ぎたかと反省したが、そういうことならとエロ本は取り上げた。この世の終わりみたいな顔をしていたが。せめてあと三年は待て。

 

それで“型”を見てもらった結果だが、大師父曰く本来亀仙流には決まった型というものはなく、俺がやっているのは孫悟飯が独自にまとめたモノらしい。

 

とはいえ完成度は非常に高く、充分に意味さえ理解していれば繰り返すだけでも基礎の向上に繋がると言われたので、今度はこちらが嬉しくなった。

 

俺からもお礼として『気の開放と固持』とでも呼べる技術を教えた。

 

これはいわゆるサイヤ人編と呼ばれる本編での、劇的なパワーアップを象徴する技術だ。

 

フリーザ軍をはじめとする宇宙の戦士たちにおいて普遍的な戦闘技術であり、慣れてしまえばあまりに便利であるために、戦闘力を操作することをやめてしまう傾向がある。

 

わかりやすく念能力で言うなら、“堅”が近いだろう。自身の内に留めた気を一気に解き放ち、かつそれを維持する技だ。ただ堅と違うのは、一定以上の熟練度に達すればほとんど消耗しなくなるという点だ。

 

大師父も気の集中や増幅といった技は知っていたが、これは知らなかったらしい。

 

実力を考えれば知っていてもおかしくはないんだが、なにかわけあって過去にこういった技術を“誰か”が封印でもしたのだろうか。

 

まあともかく、教えて一時間と経たずにモノにしてみせたのはさすが武天老師の面目躍如と言ったところか。さっきまでと比べて格段に戦闘力が上がっている。

 

…というか、これなら完全にモノにすればスラッグの下級兵士程度なら無双できるんじゃなかろうか。実際映画ではチチにやられるような連中だし。

 

いやいやいや、それを防ぐために来ているのに煽ってどうする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ーーーというわけで、約一年後にはスラッグと呼ばれる宇宙人が現れます」

 

話を終えて、俺は冷めたお茶を一息に飲み干した。

 

「むうう、ピッコロ大魔王など問題にならないほどに強大な魔族か…」

 

亀仙人は眉間に深い皺を寄せ、ややうつ向きがちに考え込んでいる。ウーロンも話は聞いているが、いまいち恐ろしさを理解できないようだ。

 

「な、なんだよ。よくわかんないけど、じいさんとかアンタが戦えばなんとかなるんだろ?」

 

沈黙に耐えかねたのか、ウーロンが不安そうに訪ねてくる。

 

「ああ、その為にも俺は一度天界へ行く。伝(つて)はあるからな」

 

俺はかつて起きたガーリックJr.事件の顛末を話した。義父さんが殺されたくだりは二人を黙らせてしまったが、それを差し置いても神様と知り合いだという点では驚かれた。

 

「…なんともスケールの大きい話じゃ。天下の武天老師と呼ばれた時代が懐かしいわい」

 

「ご謙遜を。あなたはまだまだ現役ですし、なによりあなたが培った“武”は俺のなかに息づいています。なにも卑下することはありませんよ」

 

「そう言ってくれるとありがたいのぅ」

 

「それにできないことがないわけではありません。弟子を取ればいいんですよ」

 

「弟子じゃと?しかし、お主の話ではスラッグとやらが来るのは…」

 

「ええ、一年後です。ですが、俺には今回の事件が終わりではないと見てます。ガーリックJr.のときといい、厄介な連中がこれで最後とは思えませんから。そのときの為に、後に続く者を育成するのは先達の役目でしょう」

 

「ほっほ、違いないわい」

 

お互いに先行く不安を消すように笑い合う。

 

結局亀仙人を説得することはできなかった。とはいえ今回教えた技で多少なりとも実力をあげるきっかけになったことは事実。スラッグはともかく、そうそう手下どもに遅れは取らないだろう。

 

弟子の件は、ついでとばかりに鶴仙人の元にいるチャオズと天津飯のことをそれとなく教えておいた。特に天津飯は将来有望な男だとも。

 

「では、また機会を見て伺います。ご健勝で、大師父」

 

「お前さんもな悟空。相当な無茶をするつもりなんじゃろうが、待ってる女を泣かせるような真似はするでないぞ」

 

「…肝に命じます」

 

思わず苦笑してしまう。なにもかもお見通しのようだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そうして亀仙人と別れた俺は天界へとやってきた。

 

俺のことを“視”ていたのか、すでに神様が待機していた。

 

「よく来たな悟空。すまないが、話は聞かせてもらったぞ」

 

「さすが神様、話が早い。早速ですが、精神と時の部屋を使わせてください」

 

ミスターポポと神様の二人への挨拶もそこそこに、俺は本題を切り出す。

 

「あの部屋か。確かに修行には最適だが…地獄のような環境だと、お主でさえ半年で切り上げたのだろう?」

 

「ええ、だから今度は限界まで挑みます。まあどうにか強くなる見込みもできたので、この機会にいけるところまでいきますよ」

 

「…死ぬなよ悟空、お主が何をしようとしているかまではわからんが、どうにもお前は一人で背負いすぎるところがある」

 

「大師父にも近いことを言われましたよ。大丈夫です、なんだかんだ勝算はありますから」

 

拳を握って返すと神様は苦笑で答える。

 

「本来なら、お前一人に背負わすような事態ではないのだがな。地球の神といっても情けないものだよ」

 

「大師父と同じようなことを言うんですね。ですが、神様がいるからドラゴンボールがあるんです。備えとして考えればこれ以上無い代物ですよ。それでも納得できなければ、いっそのこと今以上に“強く”なってください」

 

「強くなる?私にも精神と時の部屋へ入れということか?」

 

「いいえ、失礼ですが今のあなたではとても耐えられない。ですが“強く”なる手段はそれだけではない、ということです」

 

「…むう、なにか知っているようだな。だが今は聞くまい。お前が精神と時の部屋に入っている間、わしもできる手段を取ってみるとしよう」

 

「ま、大切なのは“自分を見失わないこと”ですよ。ではこちらもその手段を楽しみにしています。…それでは、36時間後に会いましょう」

 

そう言って精神と時の部屋へと向かっていく。扉を閉めれば、ここから先は俺だけの世界だ。

 

…神様がどうなるかはわからないが、これはあの人の問題だ。けじめをつける必要があるだろう。

 

最悪の場合、俺はこの手で“彼”を殺すことになるが。戦いになっても、以前気の開放と固持は教えてある。早々遅れは取らないだろう。

 

「ああ、ミスターポポ。ちょっといいか?」

 

「どうした、孫悟空」

 

「これを預かっててくれ。使いどきはすぐにわかる」

 

一方的に頼まれ、渡されたものを使う理由がわからず困惑するミスターポポをよそに俺はさっさと精神と時の部屋へ入った。

 

さて、まずはスーパーサイヤ人の副作用を克服するか。いちいちムラムラしてちゃたまらん。

 

***

 

悟空の気が感じられなくなった。どうやら精神と時の部屋に入ったらしい。

 

地球の運命を託す。

 

そう言えば聞こえはいいが、自分自身のなんと情けないことか。

 

とはいえ落ち込んでいても仕方がない。

 

さて、占いババに相談せねばな。あとは界王様にもか。

 

ーーーそんな風に先のことを考えていたからだろうか、突如として現れた懐かしくも忌々しい気配に気づくことができなかったのは。

 

「ぐうっはぁ!?」

 

「ふ、ふふふ、取ったぞ、神よ…!」

 

自分の胸を見覚えのあるナニカが貫いている。どう見ても致命傷だが、やった相手に気付くと同時に違和感を感じる。こんなことをすればヤツも死ぬからだ。

 

「ピ、ピッコロ大魔王…!血迷ったか…!!」

 

腕を抜かれた勢いでふらつき倒れかけながらも、振り返って背後の“自分自身”と向き直る。

 

しかし驚くことに、ピッコロ大魔王もまた満身創痍だった。

 

「…ぐぅっ、つくづく忌々しい…!貴様と俺が同じ存在など、吐き気がするぞ偽善者めっっ…!!」

 

その目に宿っているのは憎悪。或いは怨嗟。或いは慟哭。

 

目の前で荒い息をついているのは、間違いなくかつての自分だ。

 

だが解せぬ。孫悟空を除けば地球上でピッコロ大魔王を倒すことのできるものなどいないはず。それがどうしてこうまでぼろぼろになっているのか。そもそも封印はどうしたというのか。まさかスラッグの手下が早くも現れヤツを部下にしようとしたか。だが、それでもヤツが私を殺すことには繋がらない。この事態は一体何がどうなっているというのだ。

 

しかし戸惑う私を前になにかを確信しているのか、ピッコロ大魔王は同じように苦しんでいるにも関わらず、どこか落ち着いた顔つきでこちらを見つめている。

 

「…ぜぇ、ぜぇ、理解できんだろうな、貴様には。だが、コトは一刻を争うのだ。さもなければ貴様と再びひとつになることなど考えもするものか…!!」

 

文字通り血を吐きながらそう告げるピッコロ大魔王。

 

融合とはなにか、と私が聞くよりも早く、ピッコロ大魔王の手が私の胸に触れ、私の手もまたピッコロ大魔王の胸に触れさせられた。

 

「ぜぇ、さて、どっちが残るだろうな…くくく、だが万が一貴様が勝っても、名前は教えてやらん。これは俺だけのモノだ…」

 

「ピッコロ大魔王、貴様一体…?」

 

「はああああぁぁぁっ!!!」

 

瞬間、光が私達を飲み込んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今見ているのは、誰かの夢、なのだろうか。

 

幼い子供が寝かされている。それはまるで私を幼くしたような姿をしている。

 

さらにそこには、私と同じ外見をした者達が幾人もいる。カタッツ、と幼子の傍らに立つ者が一際大きな老人に声をかけられていた。

 

これからその子は遠い星へと旅立つ、と言われていた。

 

今この星では天変地異がうずまき、すでに多くの同胞が死んだことを説明される。だが、幼子は理解できないのか、無垢な瞳でカタッツを見上げている。

 

カタッツと呼ばれた者は、幼子に向かって何度も「すぐに迎えに行く」と言い聞かせていた。

 

そこまで見て思い出した。

 

これは、私の記憶だ。

 

カタッツは、私の親は、私を迎えには来なかった。

 

どれだけ待っただろうか。

 

何もない荒野で、ひどく寂しく、寒かったのを覚えている。

 

ミスターポポが私を見つけてくれて、先代の神の元で暮らすことになった。

 

そこには、あのガーリックJr.の父親であるガーリックの姿もあった。まだ、魔族ではなかった頃の。

 

まだこの頃の私は、神になろうとはしていなかったはずだ。だからガーリックも、ことのほか私を気にかけてくれた。

 

少々傲慢ではあったが、あの頃の彼はまだ下界の人間を見守り導こうとする心を持っていたと思う。

 

しかし私は成長するにつれ、徐々に自らの力に溺れていった。

 

当時の私は、今の自分から見てもうぬぼれていたと思う。強力な力を求めるばかりに使えば地球をも壊してしまうようなドラゴンボールを作りだし、他にも神が成すような奇跡をいくつも成し遂げた。

 

今思えば、この故郷から遠く離れたひとりぼっちの場所で、私は誰かに認めてほしかったのだと思う。もう私を認めてくれる者達はいたというのに。

 

何度もガーリックにたしなめられた。神とは、そんな心構えでなろうとするものではないと。

 

だがそれを理解しようともせず、当時の私はガーリックが自分に嫉妬しているとしか感じなかった。彼が真実私のことを心配しているなど、考えもしなかったのだ。

 

やがて、我々二人のいさかいが争いに発展しそうな時、先代の神から『神となる為の条件』が提示された。

 

悪心を捨てきれぬ者に神になる資格はない、と。

 

きっとこれは、私達を試すと同時に変わってほしい私たちは共に競い合うようにして力をつけていった反面、心の修練という意味ではとても足りていなかった。本来なら、それは気の遠くなるような時間を費やして身に付けるものだったのだろう。

 

だが私たちはどちらからともなく焦っていた。いや、これは言い訳だな。きっかけは間違いなく私だろう。

 

早く神にならなくては。そのために力をつけなくては、と。そればかりを考えていたように思う。

 

そして結果は、未来の私が知る通り。

 

ガーリックは力を求めるあまり魔族となり、私は力の大半と引き換えに自らの悪心ごと半身を捨てた。恐らく、このとき過去の記憶も捨てたのだろう。必要ないと断じて。

 

私が神となろうと考えたのは、ただ誰からも認めてほしかったからだ。こんなにも単純で、だというのにこんなにも愚かな方法しか選ぶことができなかったのか。あのときの私は、致命的に方法が間違っていた。

 

やがて先代の神が次代の座を私に譲り、私は神となった。

 

しかし私の安心とは裏腹に、私の半身はピッコロ大魔王を名乗り、人々を蹂躙した。

そしてピッコロ大魔王は私の数少ない人間の知り合いである武泰斗によって、私が死なないよう魔封波によって封印された。彼ならば、倒すこともできたであろうに。

 

ああ、今なら言える。すべて、私が原因だ。

 

ガーリックが魔族となったのも。

 

武泰斗が私を守るために命を捨てたのも。

 

なんということはない。すべて、私の我が儘が原因ではないか。

 

こんな、こんな神などという立場のために、私はこんなにも大切な者達を犠牲にしていたのか。

 

すべては後悔に過ぎない。だが、許されるならば償いをしたい。

 

「その言葉に偽りはないか?」

 

気がつけば過去の情景は去り、目の前にはピッコロ大魔王が立っていた。

 

「…なぜこんなものを私に見せたのだ。お前は私を吸収し、かつての力を手にいれようとしたのだろう」

 

私に致命傷を負わせたのもそのためだろう、と暗に含んで問いかける。どうしてだろうか、目の前にいるのが自分だと確信しているせいか、どうしても素直になれない。

 

「ふんっ、どれだけ経っても成長せん!だからいつまでも失敗を繰り返すのだ」

 

「なにを言うか!貴様が、貴様が大魔王などと名乗り人間たちを襲いなどしなければっ…!」

 

「それで、俺には黙して動くな、と?馬鹿め、木石(ぼくせき)でもあるまいに。そもそも俺がやったことは貴様の願望そのものだ」

 

「でたらめをっ…!」

 

「聞け馬鹿者!仮にも神となっておいて逃げるでないわっ!」

 

勢いに黙ってしまう。なぜだ。そもそもこの男、本当にピッコロ大魔王なのか。

 

「俺からの説教など貴様には文字通り馬耳東風かもしれん。だがな、これだけは覚えておけ。自分自身のことなど、本当に捨て去れるものではないのだと」

 

「…なにを言っている?どういうことだ、ピッコロ大魔王!」

 

「…もう時間だ。あとの答えはお前自身で探すんだな。それと、生きていたらでいい。息子を頼んだぞ」

 

ピッコロ大魔王の全身が急激に光に包まれていく。眩しくて目を閉じることしかできない。

 

「待てっ!ピッコロ大魔王!どこへ行くっ!待て!」

 

光の本流が収まっていくのと同時に、私の意識が切り替わっていく。

 

気がつけば、ミスターポポが私を起こしていた。

 

「ミスターポポ、ここはいったい…はっ、ピッコロ大魔王は、ヤツは何処へ行った!」

 

「わ、わからない。神様と大魔王、光ったと思ったら神様が倒れてた。大魔王はいなくなっていた」

 

「ま、まさかっ!?」

 

慌てて自分の胸に手をやる。ピッコロ大魔王に受けた傷は塞がっていた。ミスターポポが駆け寄ってすぐに仙豆を食べさせてくれたらしい。そこにあった“神”の文字は、まるでヤツからの当て付けのように削れてしまっている。

 

「…ふっ、あの馬鹿者め。本当に名前を持っていきよったわ」

 

過去の記憶すべてを見たはずなのに自分の名前だけが思い出せない。名前はヤツに持っていかれてしまったようだ。ピッコロ、か。故郷の言葉で“違う世界”を意味する言葉。私以上にヤツは孤独だったのだな。ならばその名は、この不出来な神にこそ相応しいのやもしれん。

 

感傷に浸っていた私だったが、背筋を通る寒気に立ち上がる。…何者かが、この天界へとやってこようとしている。

 

「ケケェ!厄介な結界をようやく消せたぜっ!」

 

はじめに現れたのはまるでカエルのような見た目をした小柄な魔族。だが見た目とは裏腹にその力はさっきまでの私とは一線を画している。だが妙だ。なぜここまで近づくのを気づけなかったのか。

 

「やっと破れたのかメダマッチャ。まったく、スラッグ様に禁じられてなければ人間どもを食ってたのによお」

 

次に現れたのが先に現れた魔族とは対象的に大柄な魔族だ。ピンク色の肌に、まるで鬼のような角が生えている。

 

「んん?なんだかさっきまでとは雰囲気が違うなあ?まあさっきのえらく強そうなヤツもいないことだし。おい、お前もスラッグ様と同じ種族なら、大人しく我らが軍門に下るがいいっ!」

 

メダマッチャ、小柄な魔族が叫ぶ。…徐々にピッコロ大魔王の記憶が蘇ってくる。そうか、奴らが私の半身を。

 

「貴様らがなぶっていた相手はもはやこの世にもあの世にもおらん。大人しく逃げ帰るならこの場は見逃してやってもいいぞ」

 

言葉に怒りがこもってしまう。この怒りはヤツのものだ。そして言葉とは裏腹に奴らを逃がすつもりはない。

 

「ケエ!相変わらず口だけは達者なヤツだぜ!ゼエウン、手を出すなよ。スラッグ様と同じ種族のようだからと手加減してやっていたが、今度はぶっ殺してやるぜ!」

 

言うや否やメダマッチャがこちらへ突っ込んできた。その動きをしっかり把握しながら、私は服をこれまでのゆったりしたモノから、ピッコロ大魔王と同じように戦闘を意識した胴着姿へと変える。胸にかつてのように神の文字がないのは、私なりのけじめだ。

 

「死ねえっ、ぶげえっ!?」

 

両腕を広げて向かってきたメダマッチャの腹を力任せに打ち抜く。苦しげに呻く魔族を、後から追撃してきていたゼエウンと呼ばれた魔族へ向かって投げ飛ばす。

 

「なにい!?ぐあっ!」

 

メダマッチャの体に邪魔され突進を止めたゼエウンの横っ面に、手加減なしの突きをくれてやる。

 

その大柄な体を強烈にスピンさせながらゼエウンは足元に落ちたメダマッチャを潰すように倒れこむ。

 

「ぐはあああっ!」

「ぐげえええぉうっ!」

 

「どうした、そんなものか」

 

「お、おのれええ!」

 

ゼエウンが怒声をあげて突っ込んでくる。激しい乱打が見舞われるが、そのすべてを交わしていく。

 

すると、後ろで控えていたメダマッチャの様子がおかしいことに気付く。

 

「ケケッ!もう遅え!」

 

メダマッチャの体から現れた小型のメダマッチャが飛んで来る。

 

今までの私ならば為す術もなかっただろう。だが今となってはこの程度の動き、驚異でさえない。

 

私はゼエウンの乱舞をことごとく逸らして小さなメダマッチャを殴り飛ばさせていく。

 

「ゼ、ゼエウン!なにやってやがる!?」

 

「し、しまったあ!?」

 

「…大魔王からの贈り物だ。冥土の土産に持ってゆけ!」

 

動揺する二人の隙をつき、右手に気を集束し高めていく。

 

「爆力魔波!!」

 

解放された気の奔流が魔族二人を押し流していく。爆発が収まったとき、そこに魔族の姿はなかった。

 

「…ぐう、はぁ、はぁ、はぁ。気の解放と固持か、実戦でこうも消耗するとは。これは、私も本格的に鍛え直さねばなるまいな」

 

膝をついた私にミスターポポが駆け寄ってくる。随分と心配をかけてしまったな。

 

彼から仙豆を受け取り回復を済ませると、下界の様子を見るために天界の端へと足を運ぶ。そうだ、ヤツの、いや私の息子も探さねばな。…それと、出てきたら悟空にも話を聞くとしよう。なにやら知っておったようだし。

 

***

 

精神と時の部屋での修行は順調に進んでいた。

 

厳しい環境に身をさらし続け、その状態で体力を限界まで追い込む。

 

限界が来たら仙豆を一口だけかじって倒れるようにして眠りにつく。

 

この二ヶ月ほど、このサイクルを繰り返していた。

 

今もスーパーサイヤ人になったまま、あえて気を全開で放出しながら一人稽古を続けている。

 

何万回目かわからないほどに繰り返し続けている型の反復稽古を終わらせると、痛む体を無視して休まず修行を続ける。

 

「ふっ!」

 

虚空に相手を見立て、気を具現化して人形を作り出す。様々な動きをあらかじめトレースしたとっておきの技だ。

そしてイメージした見た目は、最終形態のフリーザ。

 

仮想フリーザに向かって連続で突きを打つ。相手からも突きが返ってくるのをしばらく互いに互いの拳を逸らしたり打ち落としたりを繰り返し、機を見計らって交差させた拳で顔にカウンターを打ち込む。

 

しかし仮想フリーザは俺のカウンターをこちらへ突っ込むことで威力を最小限に抑えると、そのままこめかみを狙って超至近距離で上段蹴りを放ってくる。“円”の結界でそれを察知し、体を横倒しにしてそれを避ける。そのままきりもみしながら仮想フリーザの脇腹に膝蹴りをぶちこむ。

 

無防備な場所への一撃は相手の体幹を崩したが、敵もさしたるもので、そのままでは終わらず尻尾を伸ばして顔に叩きつけてくる。不安定な体勢で受けた一撃によって俺は地面に叩きつけられるが、仮想フリーザもバランスを崩してその場でたたらを踏んだ。

 

しかし体勢的に仮想フリーザの方が立て直しが早い。俺は次の一撃を警戒して腕を交差させるが、仮想フリーザは不安定に揺らぐと気の固まりに戻り霧散して消えてしまった。

 

「…やはりまだ不安定だな。とはいえ、他に組手をする手段もないわけだし、この辺は今後の課題か」

 

こうして日に数回仮想敵との組手を繰り返し、合間に型稽古を繰り返す。

 

見た目はイメージ次第だから色々と試している。できるだけ原作のイメージを元に構成し、ベジータ、フリーザ、セル、ジャネンバ第二形態、ヒルデガーンとやってみた。一定以上のダメージを負うと消えてしまうのは共通だが、それなりに面白い。

 

型稽古は同じことの繰り返しだが、その回数は日増しに増えている。

 

この環境での稽古はひどくぶれるし、普段と比べれば時間もかかる。

 

それでも繰り返すことで誤差をなくしていく。

 

一日の目標は一万回。誤差の修正も念頭に入れているし、仮想組手もあるので一万回を一日でこなすことはできない。それをひたすらに集中力をあげることで、練度と速度を高めていく。

 

突き、払い、蹴り、防ぎ、流し、逸らし、薙ぎ、打ち、留め、受ける。

 

時間の概念が異なる世界で時間を忘れて没頭する。

 

気絶するように倒れる直前、仙豆をかじる。体力を回復させてから眠りにつく。

 

深い眠りから覚めると、力が増しているのがわかる。

 

再び同じ事を繰り返す。

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ふと、精神と時の部屋に入っていられる時間を示す砂時計を見ると、ここに入ってから約一年が過ぎているのに気づいた。

 

そこで、これまでの修行をお浚いする形で一日を過ごすことにする。

 

型稽古一万回は半日で終わった。結果的に万を越えた型はまるでひとつの動きのように流れ、力の使い方における精密さが増したことを確信する。

 

気の人形との組手は、仮想フリーザを6体同時に相手にした。気を具現化する際の精緻さが上がったので、これまで以上に長持ちしてくれる。

 

俺の動きも組み込んだため少々手こずったが、5分程度で倒すことができた。

 

さらに残りの半年は、瞑想しながら自分の力の源泉を探ることにした。

 

一ヶ月ほど過ぎた頃、下腹の底からマグマのように沸き上がる力を見つけた。

 

試しにその力を汲み上げてみようとしてーーー危うく死にかけた。

 

今の限界を遥かに越える力だったものの、コントロールできずに全身を爆散させるところだった。

 

残りの時間はこの力を制御するのに費やすことにしよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どうにか力の制御に目処が立った。切り札としては充分すぎるが、これは最悪使えば死ぬな。

 

砂時計を見ると、どうやら精神と時の部屋のタイムリミットが来たようだ。

 

俺はフリーザを倒せるだけの力を得たことを確信して、外へと出るのだった。

 

 




主人公によるおじいちゃんらの魔改造開始(´・ω・`)
ちなみに主人公は隠れるピッコロ大魔王には気づいていましたが、メダマッチャとゼエウンには気づいてません。その理由は次回以降ピッコロ大魔王の回想にて。


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激震!フリーザとの戦い!★

ようやくやって来ましたバーダックVSフリーザ。
パラガスが壊れてますが、試行錯誤の結果なぜかムッツリスケベ親父ぃに(´・ω・`)




***side パラガス***

 

 

私の名はパラガス。サイヤ人のエリート戦士だ。

 

ある一点において、私はベジータ王をも上回っていると自負していることがある。

 

それは、文化的な生活というやつだ。

 

サイヤ人は風呂に入らない。だが私は毎日風呂に入るし、最近ではシャワーで済ますことも覚えた。

 

サイヤ人は物を愛でない。だが私は密かに様々な惑星で手にした芸術品や工芸品を集めている。

 

サイヤ人は一人の女を愛さない。だが私は妻であるコリーを愛し、彼女にも文化的な生活を送らせている。

 

そんな私だが、最近気になるサイヤ人がいる。

 

セーロという幼い少女だ。

 

彼女を見ていると目が離せなくなり、終いには動機を覚え、遂には“何もかもを彼女に捧げてでも”彼女を抱きたくて堪らなくなる。

 

これは明確に異常だ。私にはコリーがいたし、文化的な紳士を自認しているからな。少々気の迷いは感じたが、まあ、慣れれば少し欲情するだけで済む。

 

だが私以外、殊更に下級戦士らは違うだろう。

 

最近では彼女を囲うように人波が移動するという異様な光景が広がっている。

 

由々しき事態となる前にこれを収めなくてはなるまい。

 

ふむ、第二夫人ということで手を打ってもらえないか本人に訪ねるとしよう。

 

…だめであったか。何が不満なのだろうか。

 

そんな風に考えていると、下級戦士の異端児として最近名を挙げてきているバーダックから話しかけられた。

 

戦い以外では妻のギネのこと以外興味がないといった男が私に相談とは、なにやらろくな予感がせんな。

 

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…案の定とこの際言うべきなのか、話題はセーロのことだった。

 

とはいえまさかベジータ王に直訴するとはな。思いきったことをするやつだ。

 

だがなぜナッパまで連れてきたのだ?

 

正直この単細胞が問題を理解できるとは思えんが。

 

…前言を撤回しよう。殺す、か。たしかにそれは誰も、いや、考え付くことすらできなかった。これもあの娘の影響なのか?

 

なるほど、バカも使い方ということか。

 

しかし下級戦士でも決闘を辞さない、か。この問題は思ったより根が深いのかもしれないな。

 

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しばらくは忙しい日が続いた。おかげでコリーにも全然会えていない。

 

この間取引した惑星で全身を女の体で洗うという文化があったので、今度家に帰ったらさっそくコリーにやってもらおう。

 

ふむ、とはいえ紳士協定か。いささか事務処理が多すぎるな。いい機会だ。バーダックにもやらせよう。セーロの監視だけさせているのでは割りにあわん。陳情の処理だけで一日が潰れるなどと、今まででは考えられなかったことだ。なあに、言い出しっぺはやつなのだ、断らせるものかよ。

 

…はあ、面倒が続くな。いっそバーダックもエリートにできないか本人とベジータ王に聞いてみるとするか。ヤツなら断りそうだが。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

馬鹿者めが。

 

私はバーダックが意識不明に陥ったという知らせを聞き、溜め息をついた。

 

あいつは既に私より強い。どうやら戦闘力を下げて活動していたようだが、油断でもしたか。

 

やれやれ、しばらくナッパと二人でセーロの監視をするか。

 

あの下心満載のバカに調子を合わせていれば早々疑われまい。

 

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目を覚ましてからバーダックの様子がおかしい。

 

戦うことを何よりの生き甲斐とするサイヤ人が、戦いで後遺症を負うなどとはな。

 

メディカルポッドで肉体的な損傷は完全に回復しているはずだ。

 

内臓は言うに及ばず、脳や遺伝子レベルでの欠損でさえな。

 

だというのに後を引くということは、侵略したカナッサ星でなにかされたか…

 

少し調べてみるとしよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

カナッサ星についての資料を、他の書類仕事と平行しながら目を通す。

 

超能力を得られるエネルギーに満ちた奇妙な惑星か。

 

魚に似た原住民が住み、科学力はA-(マイナス)。戦士階級の者達は押し並べて戦闘力が高く、攻略に至るまでに随分とかかっている。

 

んん?サイヤ人のエリート階級が使い捨てのクローンに殺された、か。なにかこの星独自の環境が作用したのか。いや、妙だな。この男は何者かの指示で動いているが、ベジータ王ではない。サイヤ人のエリートに指示を出すとなると、残る可能性はフリーザ様直属の部下か。いや、フリーザ様直々の指示ということも考えられる。

 

むう、気になるが、今知りたいのはそんな情報ではない。

 

まあカナッサ星そのものに関しては、地上げに時間がかかりすぎたせいでもはやボロボロだ。フリーザ様がかつて自ら価値ありと見なした星のようだが、大猿化したセーロ程度で制圧できてしまうのだから、たかが知れている。

 

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あの傲岸不遜を絵に描いたようなバーダックが私とナッパに頭を下げている。

 

この間なにやら覚悟を決めたような顔をしていたが、やはりカナッサ星でなにかあったのだな。バーダックめ、死にかけて蘇ったたわけでもあるまいに、肌で感じるだけでも戦闘力が上昇したのを感じる。

 

話を聞いてみればなるほど、強くなるための時間作りか。

 

たしかに最近ではサイヤ人の事務方をまとめるような立場にいるので、バーダックのアリバイ作りをするのはさして難しいことではない。いくら強くなったからといって、下級戦士という身分は変わらんからな。勝手に動けば処罰の対象となる。

 

だがな、バーダックよ。それで私にとってのメリットはなんだ。私とてただでお前の手伝いをしてやるほどお人好しではない。

 

なに?この間侵略した星で手に入れた“閨の教導本”?

ふん、たかだか本などでこの私が…ちょっと待て、口付けだけで百以上のアプローチだと。ぬ、夜の作法とな。おおお…!こ、これはなんと退廃的で文化的な…!

 

なに?ギネを相手に試したら好評だった?

 

…うむ、まあ我々は数少ない真実を知る同士。そのお前がこうも頼るのだ。時間作りに関しては任せておくがいい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少しやり過ぎてコリーに怒られてしまった。

 

だがあの教導本、ハウツー本だったか。実に興味深い。夜の文化がブレイクスルーした。文明開化の夜明けを見たぞ。

 

…少々錯乱した。あれからバーダックは私が用意した辺境の星でナッパを相手にひたすら鍛えている。いや、あれは鍛えているとは言いがたいな。

 

バーダックがやっているのは一種の拷問だ。戦闘力を限界まで下げて、まともに防御もせずにナッパと戦い続ける。

 

正面から戦えばすでにナッパを圧倒するほどの力を得ているはずなのだが、ヤツはそれに満足せずひたすらに同じ事を繰り返している。

 

見かねて旧式だがメディカルポッドを辺境の星まで運んだ。これでわざわざ近くの星まで行ってメディカルポッドを使うよりも格段に効率がよくなるだろう。

 

これほどの修練を必要とする相手、最初はベジータ王かと警戒したがどうやら違うようだ。

 

まさかとは思ってたが、あのフリーザ様を倒すつもりとはな。だがあの目は明確にフリーザ様を憎んでいた。

 

一体あの二人になにがあったのだ?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

セーロがなにやら助言をしたらしく、バーダックが劇的にパワーアップを遂げた。数年かかったと言うべきか、数年で恐るべき成果をあげたと誉めるべきか。

 

その名もスーパーサイヤ人。まさかの伝説の再来と来た。

 

なにやら策があるらしくベジータ王にまでスーパーサイヤ人のことを教えていたが、まったく、ベジータ王は自身の邪魔になるなら赤子でさえも殺そうとする男だぞ。私が取りなしていなければお前のギネは危うく人質だ。…まあそんなことをすればベジータ王が殺されるだけか。

 

だがおかげで、生まれながらに戦闘力一万のブロリーはお目こぼしを貰えたからな。

 

とはいえ、世話をかけるやつだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バーダックの策は単純なものだった。つまり、一対一でフリーザと戦える場を作ってほしいというものだった。

 

たしかにフリーザの周りにはザーボンやドドリアをはじめとして、最悪ギニュー特選隊という強戦士の集団まで控えている。

 

これら全員が集まっている場合さえ想定して動かねばなるまい。

 

ふむ、かなり大掛かりな仕掛けになるな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

作戦の概要が決まった。

 

まずベジータ王によって事前にフリーザを惑星ベジータの地上ないしは軌道上へ呼び出し出迎えてもらう。

 

そこへベジータ王への反逆と称して、現在いるサイヤ人のエリート全68人の半分に及ぶ34人をナッパが率いてベジータ王ごとフリーザを強襲する。ベジータ王はそれに合わせてパワーボールを展開。周囲のエリートを大猿化させる。

また、残りのエリートと他の下級戦士は私が展開したパワーボールで大猿化し、他のフリーザ配下を相手にする予定だ。

 

私はその後非戦闘員のサイヤ人を避難させる。遺憾ながら、一番実戦から離れているからな。非戦闘員への声かけはセーロに任せる。あれの妙な力の影響で彼女を嫌う人間は一人としていないからな。ベジータ王からの直印も預けたことだし、事務処理も問題なかろう。

 

しかしバーダックはなぜあそこまで焦るのだ。あれだけの力があればもはや恐れるものなどあるまいに。まさかフリーザはあれ以上だとでも?ううむ、避難船の脱出するタイミングを早めるべきか。

 

…はてさて、無事に倒せればいいが。

 

 

 

***side バーダック***

 

いよいよ戦いがはじまる。

 

ベジータ王の前では大見得を切ったが、正直強くなればなるほどわかる。

 

フリーザは異常だ。その強さにおいて、他の連中は有象無象にすぎない。

 

ザーボンやドドリアがフリーザの側近であることを誇っているが、あんなもんは文字通り雑用だ。面倒ごとを片付けるための便利な小間使いってとこだな。

 

…以前やつが惑星ベジータに来たとき、それとなく戦闘力を計ってみたことがある。ベジータ王からフリーザは戦闘力が高すぎて“部屋”で計ると聞いたことがある。

 

確かにスカウターなんかじゃ計れねえはずだ。そこにいるだけで極寒の吹雪を思わせる刺すような“存在感”。圧倒的という言葉があれほど似合う相手を俺は知らない。

 

…さて、作戦が上手くいけば、ベジータ王は数十人のエリートと同時にフリーザを強襲する。

 

まずまともなダメージは与えられないだろうが、側にいる邪魔な連中はどかせるだろう。

 

狙いは速攻。今の俺はサイヤ人の中で図抜けて強い。この戦闘力を自慢しつつ、フリーザからできるだけの油断を引き出す。

 

後は出たとこ任せだな。畳み掛けられなければ、俺も、みんなも、ギネやこの間生まれたカカロットも、全員殺されるだけだ。

 

考えている最中、背筋をぞくりと悪寒が走る。

 

…来やがったか、フリーザ…!

 

 

 

 

***side フリーザ***

 

私の名はフリーザ。この宇宙の帝王を自認しております。

 

今日はお猿さんの王様であるベジータ王から直々に話したいことがあると言われたので、彼らの拠点である惑星ベジータまでやってきました。

 

十中八九私を殺すつもりでしょうね。やれやれ、面倒なことをしかけてくるものです。

 

皆さんそれなりに真面目に働いていただいて、そこそこ役には立っていたのですけどね。ビルス様からも“破壊”してしまうように言われてますし。

ここらでさくっと絶滅していただきますか。

 

それにしても向こうから仕掛けさせるのには骨がおれましたね。まあギニュー特選隊はあれで役に立ってますし、まるで無駄骨だったわけではないのですけど。

 

本来ならあちこちに散らばっているサイヤ人を予め集めておければ、より面倒がなくてよかったのですが。まあほとんど集まっているみたいですしいいとしましょう。

 

それにしてもスーパーサイヤ人に、スーパーサイヤ人ゴッドですか。

 

…実に忌々しい。

 

パパから聞いた話ではご先祖様を殺されたことがあるそうで、私も半信半疑なんですけどね。このフリーザにとって将来の憂いとなるようなモノは根から断たせていただきますよ。

 

さて、ベジータ王が迎えに来たようですね。それではお出迎えしてあげるとしますか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よお、フリーザ様。はじめまして、でいいのかな」

 

目の前にたつ慇懃無礼な男はバーダックというようです。どうやら彼がベジータ王の切り札みたいですね。

 

部下どもはベジータ王らによって私から切り離されてしまいました。

 

「これはこれはご丁寧に。はい、わたしがフリーザですよ」

 

なるほど、確かに肌で感じられる戦闘力は通常のスカウターでは計りきれないみたいですし、“今”の私より強いのかもしれませんね。

 

くくっ、でもそれが絶望への入り口だと知ったら、彼は一体どんな顔をするのでしょうか?

 

「今からでも遅くありません。私の部下になりませんか?ご褒美に惑星ベジータと王の称号をあげましょう」

 

「悪ぃな。俺にはそんなもんより欲しいもんがあるのさ…!」

 

やはりダメですか、仕方ありませんね。彼が部下になってくれればギニュー特選隊に任せられない仕事でもこなせそうでしたのに。

 

ですが、断った以上は殺すまで。

 

私の真の力をほんの一部見せてあげましょう!

 

 

 

 

***side バーダック***

 

軽いやり取りを交わすと、フリーザが臨戦態勢に入った。

 

俺は機先を制するようにフリーザに掴みかかり、手四つの状態で組み合う。

 

「はああぁぁぁっ!」

「かああぁぁぁっ!」

 

力の余波でお互いに上半身のボディーアーマーが弾け飛ぶ。

 

フリーザの目が光り、光線が発射されるのを首を曲げることで避けると、下から顎を思い切り蹴りあげる。

 

首の骨が折れていてもおかしくない一撃のはずだったが、フリーザは平然と俺を見返し頭突きを返してくる。

 

こっちも頭突きで応えて距離を取ると、俺は戦闘力ーーー“気”とあの異星人が呼んでいたそれを全開にする。

 

「ほぉ、これは素晴らしい。参考までに教えてあげましょう。

“私の戦闘力は53万です”。

あなたの実力は私には及ばないものの、今の時点では私以上です。ですが、だからこそあなたは私に勝てない!」

 

そう言ったフリーザの気が一息に高まっていく。遂にきたか。ここからが勝負どころだ。

 

小柄なフリーザの体が不自然に膨れ上がっていく。同時に巨大化していく戦闘力はさっきまでとは比べ物にならねえ。

 

「…ふうう、この状態になったからにはさっきほど加減はできんぞ…!戦闘力にして100万以上はあるだろうからな!」

 

どこか成長した姿を思わせるフリーザの姿に気圧される。これがやつの全力か?いや違う、まだだ。まだその時じゃない。

 

「かあっ!」

 

フリーザの拳を受け止めようとするが、あっさり防御を抜かれて吹っ飛ぶ。

 

腹に鈍痛が残る。が、戦えないほどじゃない。

 

反撃したくなる気持ちを押さえつけて、ひたすら防御する。まだだ、アレにならせるわけにはいかねえが、ヤツにはもう一段階あるはず。

 

必死でフリーザの攻撃を防ぐ。こちとらタフさに関しちゃナッパのお墨付きだぜ。

 

「うっとおしい猿だな。なにやら切り札があるみたいだが、さっさと見せたらどうだ」

 

「…へへっ、ああ、あるぜ、とっときがよぉ。だがいいのかフリーザ。お前だって全力を出しちゃいねえだろぉが」

 

「ふん、カスがよく囀(さえ)ずる。いいことを教えてやろう、俺は後2回の変身を残している。この意味がわかるな?」

 

知っているよ、と口から出そうになって危うく引っ込めた。そうだ、早くなっちまえ。その時がお前の最後だ。

 

「はったりだな。少なくとも俺が切り札を使えば、今の状態なら勝てなくもない。それをわかってて脅してるんだろう?おら、どうした。今なら謝れば命だけは助けてやるぜ?」

 

こいつは賭けだ。もしこの挑発に乗って次の変身ならいいが、最後まで変身されたら為す術がない。ここまで戦ってきてわかる。俺の全力は、精々ヤツの全力の四分の一程度。だったらあいつが勘違いしているうちに殺しきる。

 

「ふふふ、はっはっはっは!減らず口もここまで来ると哀れみを通り越して笑えてくるぞ。いいだろう、ではお望みの変身だ!」

 

フリーザの体が変わっていく。これまでと違い頭部は長く後ろに伸び、頭から背中にかけて刺々しい角が生えている。上半身はさらに隆起し、肩のアーマーが広がる。

 

異形。

 

まるで怪物じみた姿だが、俺は知っている。あれは“繭”だ。

 

フリーザの体は通常時、常にサナギのような役割をしている。

 

やつは変身を重ねることで内部を適応させ、本来のパワーを発揮できるように表皮を強くしていってるに過ぎない。最終形態との隔絶した力の差はそのためだ。

 

なんでこんなこと知ってるかって?今でも毎日夢で殺されてるからな。おかげで本人よりも詳しいんじゃねえかってくらいフリーザのことを知っている。

 

「さあ、お待ちかねの変身だ。せいぜい悪あがきして

 

「だあああああっっっ!!」

 

 ぐおおおっっ!?」

 

余裕を崩さなかったのがてめえの敗因だ。中身ぐずぐずにしてぶち殺してやる!

 

この機会を待っていた俺はスーパーサイヤ人へと変身し、喋っている途中のフリーザの腹に渾身の一撃をくれてやる。

 

「だりゃああっ!」

 

フリーザの全身、至るところに当たるが幸いと打ち続ける。

 

もちろん一撃一撃に必殺の意思をこめて。ここで決めなきゃ、未来は変わらねえ。

 

「な、あうぐぅっ!?お、おのれええ!!」

 

フリーザが最後の変身をしようとするが、そうはさせねえ!

 

「変身なんぞさせるかあああっ!!!!」

 

これですべてが変わる。

 

この俺の運命。

 

惑星ベジータの運命。

 

サイヤ人の運命。

 

そして、ギネとカカロット、ラディッツら俺の家族の運命も!

 

「これで終わりだああああああ!!!」

 

エネルギーを拳に集中してフリーザの胸をぶち抜く。そしてそのまま、体のなかでエネルギーを解放させる。

 

「ぐぎゃああああああああ!???」

 

全身がひび割れ、体のなかで俺のエネルギーが荒れ狂う。

 

そうだ、くたばれ。くたばっちまえ!

 

「こんな、こんなところで、死んでたまるかあああ!」

 

「なにっ!?」

 

フリーザが胸に俺の腕が刺さったまま大地に向かって無茶苦茶にエネルギー波を放つ。

 

やばい…!これじゃ惑星ベジータが!

 

「うあああああああ!」

 

叫び声と共にフリーザの全身からエネルギー波が放たれる。

 

激しい破壊の渦に巻き込まれ、俺はスーパーサイヤ人としての力を開放して爆発に耐える。

 

「くっそお、すまねえ、ギネ、みんな、俺はしくじった…!!」

 

惑星ベジータが閃光に包まれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺が目を覚ましたのは、パラガスが寄越した宇宙挺の中だった。

 

嫌な予感がしたパラガスが前もって避難する時間を早めてくれたおかげで、サイヤ人もそれなりに助かったらしい。

 

とはいえ、あの宙域にいたので生き残ったサイヤ人は、ベジータ王やベジータ王子をはじめとするエリート戦士と、宇宙でフリーザ軍と戦っていた下級戦士らだけらしい。ナッパも生き残ったようだ。ギニュー特選隊のリクームとかいうやつと戦っていたらしいが、大猿化して戦いながらいつのまにか宇宙に出ていたというのが、いかにもナッパらしいと思った。

 

俺の体は、見た目はともかく中身がボロボロになっちまったらしい。最新型のメディカルポッドにでも入らなければ戦うことも厳しいようだ。

 

あと、パラガスに聞いたがフリーザの死体は見つけられなかったらしい。何人かのエリート戦士で探し回ったらしいが、せいぜい壊れた宇宙船の破片が見つかった程度だそうだ。

 

くそぉっ!俺があのときもっときっちり止めを刺しておけば…!

 

パラガスは戦闘の詳細を聞いて、フリーザは死んだと思ったようだ。だが俺は違う。やつは絶対に生き残っている。

 

とはいえ後悔しても満足に体も動かないのでは何にもならない。このままじゃサイヤ人の超回復も働かないしな。

 

とりあえず先に逃げたセーロらは、俺が特訓に使っていた星にいるらしい。あそこには旧式だがメディカルポッドがある。回復にはだいぶかかるだろうが、ひとまずはそれを頼るとしよう。

 

 

 

このとき俺は気づかなかった。

 

悪夢は終わったんじゃなく、はじまりに過ぎなかったことに。

 

 

 

 

 




ということで年内更新最後です。
いやあ、エロなしだとこんなに文章量が減るとは(笑)

これにてバーダックsideのお話は終了です。次回は負けたフリーザ様がどうなったか、そしてそれが宇宙の悪党にどう影響していったかを書きます。

現代編では日常を書きます。つまり、エロですね。
レッドリボン軍?ギャグ要因以外のなにものでもないですわ。早くバイオレットさんにエロいことしたい。
まあ人造人間に関するフラグは一応張りますが。

(´・ω・`)「前回ナッパの回想が入ると言ったな」
(´Д`)アプール「そ、そうだ。だから助けてくれ!」
(´・ω・`)「あれは嘘だ」
(´Д`)アプール「うあああああああっ…」

ちなみにアプールはどさくさで死にました。


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【外伝】 “義母”

フライングお年玉投下(´・ω・`)
エロメイン、もといエロしかねえよ。



***side 悟空***

 

蒸し暑い夜だった。

 

いつも通り食事を終えたあとは、風呂でいちゃついた後(今日はランチとだった)ベッドルームで女たちを責めあげる。ブルマ、マイ、ランチ、チチ。

 

三時間近い激しい連続運動は、例え無限に近い体力を得ても心地よい疲労感をもたらしてくれる。最近加わったチチも、最初はツンケンしていたものの、ベッドの上では誰よりも乱れてくれ、最後には泣きながら許しを請うてきた。

 

今は全員寝かしつけ(気絶ともいう)、俺はひとり火照りを冷まそうと外で酒を飲んでいる。

 

正直気温だけでいうなら明らかに室内の方が涼しいのだが、戻ればニオイで興奮してしまいそうなので、こうして森林公園じみた庭で自分を落ち着けているのだ。

 

しかしチャイナをめくって挿れるのには興奮したな。よし、今度全員チャイナでしてみるか。

 

そんな風に考えているのがいけなかったのか、再び逸物がムクムクと起き上がってきた。

 

とはいえ今夜は女たちも突かれているし(誤字にあらず)、これ以上無理はさせられない。最悪自分で処理するか、と考えていたときだった。

 

がさり、と近くの植え込みから音が聞こえた。

 

「誰だ!」

 

一瞬で酔いが覚め、体が戦闘を意識したものへと切り替わっていく。スラッグとの一件以来戦闘力を関知できない相手を警戒していたが、油断したか。

 

そう思っていたが、出てきたのは意外な相手だった。

 

「あら~、ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったの~」

 

そこから出てきたのはパンチー。とはいっても下着ではない。ブルマの母であるパンチーさんだ。

 

「あら、あらあら立てないわ。どうしましょう」

 

しまった、敵だと思って殺気を飛ばしてしまった。慌てて駆け寄れば、パンチーさんはうっすら汗をかき座り込んでいる。わずかな風が彼女のニオイを運び、俺の鼻孔をくすぐる。

 

違和感を覚えた。

 

…なんというか、すごく嗅ぎ覚えのあるニオイである。ぶっちゃけ発情した女のニオイ。

 

俺の体は五感が並外れている。それこそナメック星人並みに。そんな俺を前にして、表面上は取り繕っているパンチーさんは流石元娼婦とでもいうべきか。あ、単純に俺がそこまで鋭いのを知らないのか。とはいえこれだけ発情していて平静を装うとは。

 

しかしその体には間違いなく淫欲の火がついている。ともすれば、簡単に燃え上がるほどに。

 

「すいませんでした。敵かと思って思わず殺気を飛ばしてしまって。パンチーさんはこんなところでなにを?」

 

すべて気づいていながら、俺は気づいていない振りをして優しくパンチーさんの腰を抱き抱える。顔が近づき、ほんのわずかに近づけばキスができるほどの距離。もし彼女が俺を拒絶するなら、これほどの距離に近づけば即座に離れようとするだろう。

 

「あ、えっとね。その、ちょっと涼もうと思ってお散歩していたのよ。そしたらちょっと迷っちゃって、ほら、ここの庭って広いでしょう?」

 

普段と違い、饒舌にしゃべるパンチーさん。嘘だ。さきほども言ったように外は蒸し暑く、完璧な空調設備を誇る室内以上に涼める場所などない。つまり、それ以外の理由で彼女はここにいた。

 

彼女の瞳は、よく見ればわずかに潤んでいる。さらに言うなら、俺が気づいて話しかけているのもわかっているだろう。いまだ彼女は顔の距離を離そうともしないし、腰に回した手もそのままだ。

 

そして彼女はちらりと見ただけだが、俺の逸物はいまだ勃起している。そして、体勢的にどうしても先端が彼女の太ももに触れてしまっているのだ。それに気づいた彼女の熱が、腰に当てた手から伝わる。

 

「ああ、やっぱりだめよ、こんなの。私、我慢ができなくな…んむぅっ!」

 

最後まで言わせなかった。目の前でここまで発情した女をそのまま帰すなど俺の矜持に反するし、なにより俺も我慢できそうにない。

 

キスした口から入った舌が、彼女の口腔をなぶる。唇の上下を吸い、離し、再び口づけを交わして今度は舌を絡めさせる。

 

驚くことに彼女は舌を自分から絡めてきた。喋れないので無言で彼女のレギンスをずり下げる。

 

わずかに抵抗しようとするが、無理矢理に膝まで下ろすと、ショーツの中へと無遠慮に手を突っ込んだ。

 

「んんっ!んきゅうううううぅぅっっ!」

 

中は熱を帯びていた。熱さを感じるほどの体温。常ならぬその熱さに、俺は夢中になって年上の彼女のソコをかきまわす。

 

「ん、んんぅ!んんんんぅ!」

 

鼻で呼吸をさせながら、口は決して離さず彼女の秘所を蹂躙する。童貞の頃を思い出すほどに愚直な手指が、熔けそうなほどに熱を帯びたソコで蠢く。

 

彼女はすでに何度もイっている。下半身はがくがくとふるえ、膝まで下ろしたレギンスはすでに彼女から溢れた愛液でビチャビチャになっていた。

 

俺は愛液で濡れた手を引き抜くと、自分の下履きを乱暴に脱ぐ。おもむろにむき出しになった逸物が、その熱を放出するように湯気をあげる。

 

「ああ…すごい、こんな凶悪なのでブルマちゃんが…」

 

「なるほど、覗いてたんですね。パンチーさん」

 

俺は自分が女たちを抱いているときに覗かれているのは知っていた。

 

ブルマのときは視線が外れるため、てっきりブリーフ博士かと思っていたのだが…まさか母親であるパンチーさんだったとは。ん?となるといったいいつから覗かれていたんだ。

 

俺が自分の過去を詮索していると、逸物を温かい感触がぬるりと包む。見れば、パンチーさんが俺のモノをくわえこんでいる。喉の奥まで遠慮なく飲み込むその熟達したディープスロートに、俺は思わずうめく。

 

しばらく茂みで俺の逸物をすする濡れた肉の音が響いた。やがて俺は、耐えきれずにパンチーさんの口へと射精する。

 

パンチーさんは俺の精液を飲みきれず困っていたが、やがて意を決したように少しずつ咽下して呑み込んでいく。

 

目の前で熟した人妻が俺の精液を飲み込んでいる。その光景に、俺の理性が完全になくなる。

 

「んばぁはっ!?」

 

むき出しだった尻を掴むと、一息に突き入れた。

 

口のなかに溜まった精液を思わず吐き出したパンチーさんに遠慮することなく、腰を振る。

 

肉厚な尻を割り開きながら、逸物が彼女の秘所を貫くのを確認するように、ぎりぎりまで抜いてから思いきり入れるといった注挿を繰り返す。

 

「きゃんっ、きゃ、あぅ、あぐ、かはぁっ!!」

 

ブルマとは違い、完全に熟したソレであるにも関わらず、その作りはどこか娘と似ている。

 

そして似ているのは、作りだけではない。弱点もだ。

 

「あああ!そこは、そこはだめなのぉ!」

 

ブルマと同じ場所をえぐるように、体をやや反らして亀頭を膣の弱点に当て擦る。

 

ごりごりと注挿を繰り返せば、愛液は粘度を増し、彼女の膣は俺の逸物を離さないようにキツくしまっていく。

 

俺はふと思い付き、彼女の耳元でささやいた。

 

「…あんまり大きな声をあげると、ブルマに聞こえますよ」

 

 

「ーーーっ!!?」

 

彼女の反応は著しかった。ただでさえ搾り取ろうと絞まる膣が、俺の逸物を這い回るように動きだしたのだ。

 

一種の蠕動とでもいうのか。必死で嬌声をあげまいとする彼女の努力を嘲笑うように、膣のしぼる動きを無視して注挿は激しさを増していく。

 

「んんっ!んんぅ!んぎゅう!」

 

両手が必死に口を押さえるが、漏れでる声は完全に防ぐことはできず深夜の森に響き渡る。

 

それだけではない。彼女の肉厚の尻たぶは、俺が注挿を繰り返す度にぱんぱんと激しい音をあげ続けていた。

 

娘に聞かれてしまうかもしれないという緊張感。娘の恋人としてしまったという罪悪感。

 

それらをないまぜにして昇華させた快楽は、パンチーさんの理性を今もなお膣を削るように動く逸物のように、ごりごりと削り落としていく。

 

「ほら、イきますよっ!義理の息子の子種を!たっぷり義母さんの肚(はら)の中に吐き出します!!」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!だめ゛ぇ゛、ぞれ゛だげはだめ゛え゛っ!」

 

もはやいつ気絶してもおかしくないだろうに、最後の理性でパンチーさんは膣に精液が出されるのを防ごうとする。

 

しかしそれは上の口の話。下の口はむしろ早く精液を吐き出せと言わんばかりに蠕動し、子宮口はパクパクと俺の逸物の先端をくわえこむ。

 

「おおおっ!イくぞっ!出すっ!全部出すっ!」

 

「あああああああっ!!!」

 

ビュクビュクビュル、と音が外まで聞こえるほどの勢いでパンチーさんの膣に精液が吐き出される。

 

俺は腹の上から子宮を上を撫でくりまわし、なじませるように逸物を膣内で前後させる。

 

「…ふぅ、よかったですよ。次からは覗いてなんかいないで、いつでも交ざってくださいね」

 

白目をむき、膣から精液をごぽごぽと吐き出すパンチーさんを前に、俺はすっきりした気分で告げるのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌朝。

 

冷静になれば、昨日俺はとんでもないことをしでかしてしまった。

 

あれからすぐパンチーさんを回復させて、身支度を整え部屋まで送っていった。

 

さすがに寝ているブリーフ博士の隣にまで行くつもりにはならなかっただけに、その後の展開が気になってしかたがない。

 

ブルマになんて言えばいいのか。いや、いっそ開き直って俺の女に。いやいやいや、それじゃブリーフ博士に対して不義理すぎる。

 

そんな風に朝早く森で悩んでいると、件(くだん)のパンチーさんがやってきた。

 

「お、おはようございます」

 

ややひきつりながら、なんとか挨拶を絞り出した俺は輝くような笑顔のパンチーさんに迎えられる。

 

「おはよ~。悟空ちゃん、昨日はすごかったわぁ。あんなに燃えたのは夫とでも一度きりよ」

 

「そ、そうですか。あーっと、このことはブリーフ博士に…」

 

「もう話したわ~」

 

終わった。最悪、女たちを連れて他の星へ…

 

「『ぼくじゃもう君を満足させられないから、彼さえよければ時々相手にしてもらいなさい』ですって。うふ、しばらくご無沙汰だったから、あたしも溜まってるの!」

 

天真爛漫な顔でとんでもないこと言い出したなこのヒト。

 

「ブルマちゃんたちの説得は任せておいて!うふふ…今夜も楽しみにしてるわよ」

 

語尾にハートマークがつきそうな勢いで腕に絡まられる。マジか。

 

彼女の艶然とした表情に思わず逸物が反応しそうになるが、それをなんとか押し止める。

 

しかしそれを察したように、彼女は俺の逸物を愛しそうに撫でてきた。

 

「…もしなら、今お口でしていく?」

 

逸物を撫で、俺を見上げながら呟かれた言葉に逆らう気力はなかった。

 

けだものと言われても否定できんな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

案の定女たちは紛叫するかと思われたが、いかなる取引が行われたのかなにもなかった。

 

そう、不自然なほどになにも。

 

俺はカプセルファミリーの新たな恐ろしさを知った気がして戦慄するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前にパンチーさんのエロ同人ってありましたよね。久しぶりに読んだら股間にずんずん来たので一気に書き上げました。

みなさんよいお年を


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相談/変貌 ★

初のエロなし話。

色々な相談とフリーザ様side。

んー、やっぱエロがないと書くペースが落ちるし文字量も減るなあ

でも考えたらエロってあえぎ声が大半だし、実際大した量じゃない?

まあ伏線とまではいきませんが、今後に繋がりますのでお読みください。ではでは。

あ、そういえば明けましておめでとうございます。

本年中に完結するかはわかりませんが、細々と続けていきますので今年もよろしくお願いします。


***side 悟空***

 

精神と時の部屋を出た俺が感じたのは、違和感だった。

 

神様の気が妙なことになってるのはいい。あのとき感じたピッコロ大魔王となんだかんだで融合したのだろう。

 

だが、わずかに空気中に漂うのは瘴気。如何にピッコロ大魔王といえど、これほどの瘴気を残すだけの“格”はない。

 

いったいどうしたことか、と確認に出てみればそこには予想通り大魔王と融合を果たしたと思わしき神様の姿が。

 

…かなりのパワーアップを成し遂げたみたいだな。精神的にも成長したようだ。常に身に纏っていた悲壮感がなくなっている。

 

なんでわかるかって?俺が修行で手に入れたのは超パワーだけじゃないってことさ。

 

「む、悟空か。修行を終えたようだな」

 

「はい、修行は思った以上の成果がありましたよ。…神様も色々あったみたいですね。いやこの場合、神コロ様か、それともピッコロ神(しん)様か」

 

「ピッコロでいい、不出来な私には相応しい名だよ。もっとも、神をやめたわけではないのでな。ピッコロ神とでも呼ぶがいい」

 

「じゃあピッコロ神様、一応確認なんだがここで一体誰とやりあったんだ?ピッコロ大魔王は瀕死だったから、万が一のことはないと思ってたんだが…」

 

「ああ、そのことか。ピッコロ大魔王が瀕死だったのは、ヤツを追う魔族の手によるものだったのだ。襲ってきた魔族はすでに倒したがな」

 

「なに!?俺はてっきり神様が気まずくて隠してたものとばかり…だがだとしても、俺が気配を、ましてや魔族の気を探れないだなんて考えられません」

 

そう、そこだけが疑問だった。魔族は通常の気と混ざるようにして瘴気を発生させている。俺は義父さんを殺されて以来、人一倍魔族には敏感だ。その理由が瘴気だ。正直ピッコロ大魔王が神様の半身じゃなければ気配を感じた瞬間に殺している。

 

「なるほど、だがあれでは無理もあるまい。私もあれから下界を探ってみたが、ついぞ奴らだけを見つけることは叶わなかったがな」

 

「“だけ”?どういうことだ?」

 

「うむ、お主ならいいであろう。ミスターポポ、ピッコロJr.はどうしている」

 

「眠っている。連れてくるか」

 

「ああ、悪いが頼む」

 

そういえばさっきまでいなかったなミスターポポ。ん?ピッコロJr.?

 

すると、ミスターポポがおくるみにくるまれた小さなナメック星人を連れてきた。まさかこの子は…

 

「そうだ、私の子であり、ピッコロ大魔王の子供でもある。安直だが、ピッコロJr.と名付けさせてもらった」

 

まさかのピッコロさんである。そうか、神様がピッコロを名乗るようになったからJr.か。まあ脳内ではピッコロさんとでも呼ばせてもらおうか。

 

「…わけがわかりませんね。神様ーーーいや、ピッコロ神様。なにがあったか教えてくれませんか?俺も知る限りのことを話します」

 

「うむ、少し長くなりそうだな。中で話すとしよう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…そうですか、神様も色々あったんですね」

 

白湯で喉を潤しながら一人ごちる。

話は一方的なモノではなく、俺も自らの過去を話すことにした。

 

「お主こそな。使い捨てのサイヤ人か、宇宙一の凶戦士と呼ばれるサイヤ人を使い捨てにするとは、随分贅沢なことだ。それにしても、その後お主が世話になった場所が我が故郷とはな…」

 

感慨深い様子の神様はひとつため息をついた。過去の記憶に思いを馳せているのだろう。

 

少々ドライになったように感じるのは大魔王との融合の結果か。

 

「気になるなら今度行ってみればいいじゃないですか。宇宙船も、その内ブルマやブリーフ博士が改造する予定ですし。たぶん俺がここへ来たときよりもかなり早く行けますよ」

 

「それはいいな。だが、最長老様が予見していた避けられない巨悪の気配というのが気になる…悟空、お主は気づいているようだが、教えてはもらえんか」

 

ううむ、以前までの正義感に固まった神様なら黙りとおしたかも知れないが、今なら相談してもいいかもしれない。

 

「無茶をしないと、約束してください。あなたが死ねば、最悪ドラゴンボールで生き返ることもできなくなってしまう」

 

「それは充分わかってるつもりだ。だが悟空、お前は私が死ぬ可能性も考慮していたのではないか?さもなければピッコロ大魔王が如何に瀕死だったとはいえ、そのままにしておくはずもあるまい」

 

「そりゃあ最悪はポルンガ、ああナメック星の神龍のことです。それに願って生き返らせてもらう予定でしたが、あれだけ力の差があって万が一にも遅れはとらないだろうと思いましたし…まさか、結構危なかったんですか?」

 

冷や汗が垂れる。あの時点での神様の戦闘力は少なくともそれまでの倍はあったはずだ。それがどうやったらあの燃え尽きる寸前の蝋燭がごときピッコロ大魔王に遅れをとるというのか。

 

「油断していた私が悪かったんだが、胸を貫かれて危うく死ぬところだったぞ。それとこれは融合してからわかったことだが、どうやら私と大魔王は同期していたらしい」

 

同期だと。まさか…

 

「そうだ、私がお前から気の運用を教わったのと同じくして、大魔王もまた同じ技を身につけた。まあ、これはヤツが我が半身だったからゆえのことだったとは思うがな」

 

どうやら気づかないうちに綱渡りをしていたらしい。

 

その後の展開は予想通り。ピッコロ大魔王をなぶっていた魔族が現れ、神様を攻撃。しかしピッコロ神様になっていた彼には通じず倒されたようだが、やはり直前までその気配に気づくことはできなかったようだ。

倒した後は大魔王に託された子供を探しに出向き、卵の状態だったそれを持っていこうとしていた雑兵を片付けて連れ帰ったらしい。

 

「なにか、やつらが身に付けていた装備はありませんか?魔族固有の気配を消す技とかであるなら手の打ちようがありませんが…」

 

「ああ、それなら手にいれておいたぞ。なにかわかるかと思ってな」

 

そう言って神様が懐から出したのは鬼の意匠が刻まれた腕輪だった。

 

「全員が身に付けておったし、試しに着けている腕を切り落としたら急に気配がしたからな。その腕輪で間違いなかろう」

 

「わかりました。これはお預かりします」

 

念のため球状に展開したバリアーで包み、すぐ近くに浮かせておく。あとでブルマに見てもらうとしよう。

 

「スラッグ配下の魔族に関しては少ししたら私が下界を監視するようにしよう。なにか妙な動きがあれば念話でお主に伝える」

 

「わかりました。正直最近は遠視能力を使っていないので自信がなかったんです。そもそも場所がわからなければ使えるものでもないですから、助かります」

 

「そこまで任せきりにはできんよ、これでも神なのでな。それにしても、ナメック星を襲うその巨悪とやらはそれほどの相手なのか?今さら自惚れるわけではないが、充分に修行した私とお前なら大半の相手はどうにかできるだろうに。それこそかつて封印されたという、魔人ブウでも現れるというならば話は別だろうが…」

 

そいつ地球にいますよ、って言ったら驚くんだろうなあ、と思いつつとりあえず後回しにして話を進める。

 

「そ、そうですね…言い淀んでも仕方がないからはっきり言いますが、相手は宇宙の帝王を自称するフリーザという者です。そしてヤツが俺の知る通りなら、確かに俺たちでなんとかできると思います。むしろ俺だけで充分です。…ですが、外へ出てきてから妙な胸騒ぎを感じるんです。こんなことははじめてだ」

 

俺はフリーザの虐殺劇を見てから遠視能力を使うことを忌避していたが、これはそうも言っていられないのかもしれない。

 

大丈夫だ、トラウマは女達に癒してもらおう。

 

「やれやれ、次から次へと頭が痛いな。では悟空よ、折りを見てナメック星の様子を見ておいてくれ。場合によってはスラッグを片付けたらナメック星に向かわねばならないかもしれん」

 

「わかりました。ピッコロ神様はこれからどうされるんで?」

 

「わしはこれから、精神と時の部屋へ入ろうと思っている。そして、強くなるためにひとつ切り札を使うつもりだ」

 

「切り札ですか。これはまた今さらな気もしますが、今のあなたが言うならそれなりの代物なのでしょうね」

 

「ああ、かつて分化する前の私が作ったものでな、超神水という」

 

「超神水?」

 

あれは、ただの劇薬じゃないのか。たしかに原作では悟空がパワーアップしていたが、あれはどちらかというとサイヤ人の血が成せる技であろうし。

 

「なんだ、知っておったか。どう話が歪んで伝わったのか、下界ではあれを飲めば強くなれると一部で言われておるようだがな。あれはナメック星人専用のモノだ。地球の人間が飲んでも毒にしかならん。まあよほど凶悪な毒物ならば、逆にそれを相殺することもできるかもしれんが」

 

ああ、毒を以て毒を制するということか。たしかにアクアミストやらベビーの卵やらを溶かしてたっけか。

 

「まあ、効果は見てのお楽しみとしておけ。それで、お前に頼みたいことがあるのだ」

 

「天界の留守ですか?二日程度ならなんの問題もありませんが」

 

「いや、そうではない。それに少しの留守程度ならミスターポポに任せられる。お前に頼みたいのは、しばらくピッコロJr.を預かってほしいということなのだ」

 

「あの子をですか?たしかにナメック星人に関してはそれなりに詳しいですが…」

 

「頼む。あの子に必要なのは愛情だ。その点、私はお前とその女たちなら充分なものを与えられると思っている。もう私のような過ちは繰り返すべきではないのだ」

 

「…わかりました。そうおっしゃるなら、この子は一時的にお預かりします。ですが、親はきちんとあなたであることを教えますし、定期的にここへ連れてきますからね」

 

「それは勿論だ。私からもそちらへ可能な限り赴こう」

 

ということで眠るピッコロJr.を預かることになった。抱えて連れ帰るのもなんなので、ブルマに頼んで週末宇宙船で迎えに来てもらうことにする。

 

「それでは私は早速精神と時の部屋に入ってくるとしよう。悪いが後は頼むぞ、悟空、ミスターポポよ」

 

「任せてください。それにあなたが留守している間にナメック星の様子程度は見ておきますよ」

 

「神様、気を付けて」

 

「部屋から出たあとを期待してますよ」

 

さてと、とりあえずブルマに連絡するか。都合をつけてもらわなきゃな。

 

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***side フリーザ***

 

…目を覚ましてすぐに、そこがメディカルポッドの中だと気づいた。

 

どうやら誰かが助けたらしい。

 

ポッドの中の回復液が抜かれ、僕は外へと出る。

 

起きたときから気づいていたが、そこには僕のパパであるコルド大王が立っていた。

 

「…目が覚めたかフリーザよ」

 

重々しく開かれたその口から出た言葉には、明確に怒りが込められていた。

 

「正直ギリギリだったからね。助かったよパパ」

 

僕はその怒りを気にも止めず、パパを無視して部屋を出ていこうとする。そこで違和感に気がついた。

 

体が変身したままなのだ。

 

おかしい。あれだけのダメージを負っていたのであれば、体は第一形態に戻っているはずなのにだ。

 

「貴様には失望したぞ、フリーザ。今お前になにが起きているか、自分で把握できているか?」

 

パパの言葉には先ほどの怒りに引き続いて苛立ちと、言葉通りの失望が。

 

一体どういうことだ。僕をこんな目に合わせたサイヤ人を始末するのに急かすならともかく、こんなところで僕を責め立てる必要などないはずだというのに。

 

「パパ、たしかに僕はあのサイヤ人に、バーダックとかいう男に負けたよ。でもね、あんなのは不意打ちに過ぎない。僕が本気を出せば、MAXパワーの4分の1程度で宇宙の塵に変えられるよ」

 

「やはり理解しておらんか…フリーザ、ここで最終形態まで変身してみせろ」

 

ますますわけがわからない。ここはパパの部下が多くいる基地のはずだ。最終形態になれば周りがどうなるかわかっているだろうに。

 

だがその態度にさきほどからイラついているのも事実。

 

だったら見せてやろうじゃないか。最終形態を。

 

「はああぁぁぁぁぁっ!」

 

気合いをこめて全身の殻を突き破るようにしてエネルギーを高める。

 

すでに僕を治療していた医者らしき連中は部屋から退避し、部屋には破壊の渦が吹き荒れる。

 

だというのに。

 

「な、なぜだっ!?なぜ変身できないっっ!!」

 

そう、僕は変身できないでいた。

 

たしかに戦闘力は高まっただろう。恐らく1千万は下らない。

 

だが、明らかにおかしい。なぜ変身ができなくなっている。

 

「わしの言っている意味が理解できたか?お前が負けたことはまあいい。死にかけたところで必ず治療しよう。だが、今のお前のその姿はなんだ。わしがお前を作るのにどれだけの労力を割いたと思っている!」

 

「そ、そんなバカな。パパ、待ってくれ。きっとメディカルポッドの不良だよ、きちんと治療すれば変身できるようになる…!」

 

「そんなものはすでに試したわ。担当した者の不始末かと三人を殺して確認させたが、なにも不手際はなかった」

 

嘘だ嘘だ嘘だ…!このフリーザが、宇宙の帝王であるこの俺が…!

 

こんな、こんなバカなことがあってたまるかぁ…!!!

 

「フリーザよ。もはやお前はわしの息子ではない。近いうちにクウラ軍とフリーザ軍を再編成し組み直す予定だ」

 

「そんなっ!?パパ、待ってくれ!これは何かの間違いだ!!」

 

「もはや貴様の姿など見たくもない。フリーザの名も取り上げる。わしの気が変わって殺されないうちにさっさと失せるがいい」

 

なぜだ。どうしてこうなった。

 

あのサイヤ人だ。あのバーダックとかいう男が原因で、俺は…!!

 

「殺してやる…!貴様だけは、絶望の淵に落として必ず殺してやる…!!!」

 

部屋には空しく僕の慟哭が響き渡った。

 

 

***

 

 

***side ナッパ***

 

妙なことになりやがった。

 

それが、フリーザと戦う前に抱いた俺の感想だ。

 

そもそも、俺は頭が悪い。敬語なんて使えねえから、べジータ王子にもため口をきいちまう。

 

だから俺は自分の直感を信じる。

 

今もべジータ王と共に確保しておいた惑星へと向かっているが、正直さっさとバーダックと合流したほうがいいと思ってる。

 

どうにも嫌な予感しかしやがらねえぜ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

嫌な予感的中だぜ。

 

俺はべジータ王子と一緒に行動していたんだが、フリーザが追ってきやがった。

 

あれから一ヶ月。パラガスからの通信じゃ、フリーザは生死不明だと聞いたが、そんなことは微塵も感じさせねえ暴れっぷりだ。

 

にしてもフリーザだよな、あれ。なんつうか、如何にもな化け物になってるが。ああ、変身したのか。こいつは本格的にやべぇな。

 

俺か?さっさと一人用ポッドかついで、離れた場所で脱出さ。どうにか抱えてこれた呆然としてるべジータ王子を連れてな。

 

お、べジータ王も脱出できたらしいな。他は全滅か、やれやれ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

このままじゃ全員殺される。

 

ここにフリーザを招いたのは俺の責任だ。

 

ちくしょお、気づくべきだったんだ。フリーザのやつがポッドを撃ち落とさなかった意味に。

 

俺は、べジータ王子にパワーボールを作らせて大猿へと変わっていく。

 

バーダックとの訓練で俺の戦闘力は3万を越える。

 

大猿になれば40万だ。あれ、30万だっけか。

 

ともかく、今の俺でもあのフリーザ相手には時間稼ぎにしかなる気がしねえ。

 

だがせめて誰かが逃げる時間くらい稼がねえとな。

 

…パラガス、てめえはガキがいるだろう。無理して俺に付き合うこたぁねえぞ。

 

ちっ、死にたきゃ別に止めねぇよ。

 

さあて、ナッパ様最後の大暴れだ!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

***side フリーザ***

 

「くくく、どうだいバーダック?無様に殺されていく仲間の姿は?最高だろう、ハーハッハッハッハッハッッ!」

 

「や゛め゛ろ゛、ウ゛イ゛イ゛ザ、や゛め゛て゛く゛れ゛ぇ゛…」

 

僕に首を掴まれたバーダックが呻き声をあげる。喉がつぶれて声が出ないのに、必死に僕へ懇願する姿は最高だね。

 

「なんて言ってるのかわからないなぁ、おや?」

 

「夫の仇!死ね、フリーザ!!」

 

やれやれ、どうしてサイヤ人は自分から死ににくるんだろうねえ。

 

僕は向かってきたメスのサイヤ人の頭を吹き飛ばすと、首から溢れた血が僕とバーダックを濡らす。

 

「ふふ、気持ちいいぬるま湯のシャワーじゃないか。バーダックもどうだい?気分転換になるだろう?」

 

「ち゛く゛し゛ょお゛め゛、や゛め゛ろ゛お゛…」

 

それにしてもサイヤ人はしぶといねえ。喉を潰して手足をもいで、体のあちこちを穴だらけにしてやってるというのにまだ反抗できるんだから。ああ、目を閉じれないようにまぶたを剥がしておこうか。

 

おや、反応が薄いね。ほんとならこれだけ生意気な態度をされたらもう何発か殴ってもいいんだけどね。でもまだ死んでもらうわけにはいかないし、ちょっぴりストレスかな。

 

ん?なんだ、バーダックめ急にもがいて。

 

…ああ、なるほど。

 

「…あのサイヤ人、ひょっとして君の知り合いかな?」

 

「がああああああっ!!」

 

さっきまでの様子が嘘のように、全身から血を撒き散らして暴れ始めるバーダック。どうやら正解みたいだね。

 

「そうかそうか、それはいいことを聞いた」

 

僕は超能力で赤ん坊を抱えてるメスのサイヤ人を引き寄せると、無造作にその腹へ手を突きいれる。

 

吐き出す血が顔にかかるが、気にせずそのまま丁寧に内臓を引きずり出していく。知ってるかいバーダック、内臓ってこんなに入ってるんだよ?

 

肺をかきだした辺りで動かなくなった。バーダックは瞼のない目からとどめることなく血の涙を流している。

 

「ねえバーダック、これってひょっとして君の子供なのかな?」

 

僕は泣きじゃくる赤ん坊を持ち上げて、バーダックと対面させる。

 

「ぎいいい!がああああ!!」

 

もはや意味のある言葉を話すことさえできなくなったのか、バーダックはうるさく囀ずるばかりだ。

 

「はい、残念♪」

 

顔の前で赤ん坊の頭を握りつぶす。

 

「あああああああああっ!」

 

はははは、最高だ。最高の気分だよ。こんなに素敵な気持ちになれるなら、君に負けたのだって許せるよ。そうか、これが愛とかいう感情なのかもしれないな。

 

そうだ、良いことを考えた。このままバーダックは生かしておいてやろう。適当に改造して、首輪をつけて。ひたすら僕が行く先々でのショーを見てもらうんだ。

 

うん、最高のアイデアじゃないか!

 

そんな風に悦にひたりながら最後のサイヤ人二人、赤ん坊を抱えたメスと対峙してると、いつの間にかバーダックが黙っていた。

 

ダメじゃないか、バーダック。ちゃんと唸らないと。そうだ、今すぐこのメスをバラバラにしてあげるよ。

 

さっきと被るけど、バーダックの反応がよかったから内臓を引きずり出すのでもいいなあ。

 

「え…?」

 

メスのサイヤ人に気をとられた僕はバーダックの髪をつかんでその顔を覗く。

 

悪意に、憎悪に、なによりも怨嗟に満ちたその顔。

 

僕が見とれていると、一瞬バーダックはメスの方を見た。

 

次の瞬間、バーダックが光って…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最低の気分だ。

 

バーダックが死んだ。

 

せっかく楽しい気分になれたというのに。もう終わりだなんて。

 

それにしてもサイヤ人を皆殺しにしてから急に力が戻ってきた気がする。

 

部下に調べさせたら魔族化の傾向があるとか言ってきたから、“かじって”黙らせてやった。

 

ナニカ変化しているのかもしれない。

 

でも全部どうでもいいや。星を侵略するのも飽きちゃったなあ。

 

…そうだ!まだ生き残ってるサイヤ人がいるかもしれない。

 

もしかしたらバーダックみたいな、いや、そうだよ!

 

“バーダックがいるかもしれない”。

 

そうだ、そうだよ。“バーダックがあれくらいで死ぬはずがない”じゃないか。

 

ふふふ、バーダックめ。僕から隠れたつもりかい。

 

かくれんぼなら見つけるまでさ。

 

…ん?通信?パパからの呼び出し?

 

まったく、自分の息子じゃないとか言っておいて身勝手なヤツだ。

 

くく、丁度いい。うるさいパパもかじったら黙るだろう。

 

そうだな、行き掛けの駄賃にこの基地にいるやつらはみんな“食べちゃおう”。

 

そうだ、それがいい!フハハハハハハハハ!

 




ヤンデレ変態フリーザ爆誕

どうしてこうなった(´・ω・`)


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運命の子供

前話に続き前後編なし。

ちゃんと今回はエロあり。セーロくんやったね、おめえの出番だよ(°∀°)


***side 悟空***

 

超神水を手にさっそく精神と時の部屋に入っていった神様を見送ると、俺はナメック星の様子を見るべく遠視能力を発動させた。

 

ナメック星は惑星べジータを探す際に目印にしたことがあるので、さして時間はかからず探すことができる。

 

…意識を切り替え、視界だけの存在へと自分が変わっていくのを感じる。それは瞬く間に星々をすり抜け、わずかな時間で銀河の彼方へ到達し、何度か繰り返すとあっという間に目的地へたどり着いた。

 

荒涼とした、わずかに緑を残す惑星。ナメック星だ。

 

懐かしいな。変わりないようで安心した。

 

変化としては、以前よりアジッサの木々が多いくらいか。

 

いや、それだけじゃないな。

 

あれは畑か。水だけで生活しているナメック星人が畑の栽培?どういうことだ。しかも真面目なナメック星人が頑張ってしまったようで色とりどりの野菜が地平線まで続いている。一体何ヘクタールあるんだこれ。

 

たぶん俺が渡してきた種子から育てたんだろうが、それにしても凄まじい。

 

とまあ感心しているとネイルさんを見つけた。

 

相変わらず力強い気だ。以前よりかなり強くなっているようだな。鍛えた、というだけではないその上昇ぶりは最長老様に願って更なる力を引き出してもらったのかもしれない。

 

さらに見ていると以前俺が住んでいた場所で誰かが洗濯を干している。

 

ナメック星人は老廃物で服が汚れることが殆どないので、洗濯はせず、もっぱら年に一度着替えるのみだ。

 

となればあれは誰だろうか。そう思い顔を覗きこんでいると思い出した。

 

あのときフリーザから逃げられたサイヤ人の女である。

 

ということは、どこかにブロリーもいるのではないかと探し回れば、なにやらアジッサの花らしきモノを大量に抱えた人物がいた。

 

一際大きい“気”からして、恐らくあれがブロリーか。身長はだいぶ伸びたようだが、まだあどけなさを感じる。

 

それから洗濯を干している女サイヤ人のところまで着くと、ブロリーがそれは嬉しそうな笑顔で彼女に花を差し出している。

 

どう見てもそんな量持てないだろうに、彼女は優しく微笑みながら花を下へ並べていく。種でも取るのだろうか。一度手伝ったことがあるが、あれはなかなかに面倒だぞ。

 

とまあ微笑ましい光景だと眺めていたら、いつの間にかブロリーがはあはあと息を荒くしている。更に言うなら気も不安定だ。

 

まさか、伝説の超(スーパー)サイヤ人への覚醒かと俺が慌てていると、驚くことにブロリーが女サイヤ人を襲いはじめた。といっても、暴力を振るっているわけではない。少々乱暴ではあるが、彼女とセックスしはじめたのである。ていうかブロリーのやついつの間にパンツ握ってやがった。

 

抱き締めたまま器用に挿入すると、そのまま上下に彼女を揺する。

 

日常的な行為なのか、スカートの下に何も履いてなかったのだろう。今度女たちにも言ってみよう。いや、脱がす楽しみというのも捨てがたい。迷うな。

 

尻尾を使って両穴攻め…だと…?その発想はなかった。さすがは伝説の超(スーパー)サイヤ人。この俺を一瞬とはいえ怯ませるとはな。あの攻め方は今度まずランチに試そう。金髪ランチにやってみたときのリアクションが見てみたい。

 

…ムラムラしてきてしまった。それにしてもブロリーもそうだが、あの女もタフだな。口でしたかと思えば今度は体勢を変えて後ろからされている。おまけに疲れた様子も見せずにブロリーを受け入れているみたいだ。

 

それに、こうして遠視能力で見ているだけだと言うのに彼女から甘いニオイを感じる。そして彼女に“何もかもを捧げたくなる”。

 

「はっ!」

 

気合いを入れて下腹に力をこめる。肉欲を無理矢理に押し止めてもう一度彼女を見直す。

 

相当強力な魅了作用のようだな、修行していなければ危なかった。遠視能力越しでも効果を受けるとはな。

 

だが一年半の修行は伊達じゃないぜ。

 

禁欲しすぎたおかげで無理矢理肉欲を抑えられるようになったからな。

 

戦うときより消耗するが。反動が怖いな。

 

にしてもとんでもない能力だ。相手がセックスできるヤツならたぶん誰も危害を加えられないぞ。俺でさえ殺そうと思えばできなくはないが、相当な消耗を強いられるだろうな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

なんというか、結局最初から最後まで見てしまった。

 

まあ当初の目的であるナメック星の観察はできたわけだし、どうやら平和なようだし問題なかろう。

 

ブロリーも大人し…うん、大人しいみたいだしな。それにあれは彼女じゃなければ相手は無理だな。ブロリーも手加減しているみたいだが、激しすぎる。最低限の戦闘力も必要そうだし、セックスに関してのスタミナもブロリーよりあるみたいだしな。考えてみるとすげえなそれ。

 

そうだ、今度遠視能力の視覚を女たちと共有して疑似青姦といこう。

 

場所は部屋、視界は街中とかな。む、またムラムラしてきてしまった。この調子だとブルマが来るまでに相当消耗するな。仙豆が残っていてよかったぜ。

 

さて、次はあんまり気は進まないがフリーザを探すか。惑星フリーザのどれかにいるだろ。あいつを探しておかないと、いざというときに出遅れることになりかねないからな。

 

なんだかこのパターンにフラグが立ってる予感がするが、気にしないことにしよう。

 

***side セーロ***

 

洗濯を干しながら、ふと昔のことを思い出す。

 

サイヤ人のみんながフリーザに殺され、ブロリーが奇跡を起こして逃げることができて、ナメック星にやってくることができた。

 

あれから15年もの歳月が過ぎている。

 

赤ん坊のブロリーをナメック星人のみんなを巻き込んで必死に育てた。散々迷惑をかけたけど、彼らは笑って許してくれた。

 

おかげで今ではブロリーも立派な少年になり、映画のときとは比べ物にならないくらいに明るい性格だ。

 

いつも楽しそうに広いナメック星を探検している。最近地下深くに続く鍾乳洞のようなものを見つけたらしく、若いナメック星人と一緒にもっぱらそこを探検していることが多い。

 

食事事情も心配してたがナメック星人達が解決してくれた。

 

なんでも僕らが来る以前にもサイヤ人がいたらしく、彼が色んな植物の種子を残してくれたんだそうで。

 

好奇心を持った若いナメック星人がそれらを育ててるらしく、食べ物にもなるそれらを持て余らせていたのでよかったらこの機会に食べてくれと言われた。

 

ただでさえ旺盛な食欲を持つサイヤ人が二人もいるので最初は遠慮した。でも量を見て唖然としたよ。地平線まで続く畑ってはじめて見たね。

 

ちなみになんだけど、なんでもその“名も無いサイヤ人”は『ナメックの試練』と呼ばれるドラゴンボールを得るための試練を独力で達成したらしく(本人は疑問にも思ってなかったらしいが、本来複数人で挑むものだそうだ)、願いを叶えて遠い星へと去っていったらしい。

 

試しにどんな試練か聞いてみて唖然としたよ。いくつかは戦闘力が高ければ対処できるんだろうけど、数学の問題とか理解もできなかった。

名も無きサイヤ人も最初は同じだったらしいけど、半年間勉強して解いたらしい。嘘だと思った僕は悪くない。

 

ちなみに試練にも出てくる塩湖の大蛇は、ブロリーの大好物だ。でもそれほど個体数がいるわけじゃないので年に一回しか取ってくるのを許可していない。好きなだけ食べてたら絶滅しちゃうしね。

 

一度ブロリーがネイルさんからの卒業試練(ネイルさんはブロリーの師匠)で戦ってるのを見たけど、あれは無理だわ。原始生物でサイヤ人より強い生き物っているんだね。勉強になったよ。でも名も無きサイヤ人は僕より低い戦闘力で倒したらしい。意味がわからない。

 

ちなみになぜか、僕の見た目は大して変わっていない。おっぱいだけ大きくなったけど。

 

小さい頃のブロリーにあげたいなって思ってたら出るようになってた。どういう仕組みしてるんだろ。いやまあ助かったけどさ。

 

それ以外は痩せた手足に細い腰。髪の毛はなぜか一定以上の長さには伸びないけど、総じて相変わらず中学生くらいの見た目のままだ。

 

それと、僕なんかがどうしてみんなにあれだけモテたのか。

 

最長老様に見てもらってようやくわかった。

 

【異常フェロモン体質】。

 

僕自身が名付けたこの体質は、僕と交尾して子供を孕ませられる宇宙人タイプすべてに効果を及ぼすらしい。

 

過去の宇宙にそんな存在がいた伝説があったらしいけど、そのときはいくつかの銀河が滅亡寸前に陥ったらしい。

 

ふふ、お笑いだよね。なにがモテモテだよ。僕はいるだけで周りを不幸にする存在だったんだ。

 

ナメック星人に効果がなかったのは幸いだったけど、この効果は対象種族の雌にまで及ぶ。

 

そう、つまりはべジータ王も、ナッパも、パラガスも、そしてバーダックも。僕を好きだと言ってくれた数多くのサイヤ人も。ギネさんやコリーさんが優しかったのも、きっとこの能力の影響下だったからに過ぎない。

 

アハハ、なんてお笑いなんだ。みんながホロンだのは、ぼくのセイジャないカ。

 

死にたかった。けど、死ぬことは最長老様に止められた。

 

ブロリーを見捨てるなって。僕が死ねば、きっとこの子は生きていけないって。

 

でも僕だって、子育てなんてしたことがない。前世だって一人っ子だったんだ。

 

そうしたら、ナメック星人のみんなが手伝ってくれるって口々に言ってくれた。追い詰められていた僕は、随分とひどいことを言ったと思う。

 

何度も失敗して、当たり散らして、その都度ネイルさんに諌められて。

 

最長老様や、各村々の長老たち。

 

若いナメック星人たち。

 

みんなが助けてくれた。

 

そうやって15年。みんなと一緒に歩いてきた。

 

今じゃ僕も家事は一通りこなせるし、ナメック星の植生にだってそれなりに詳しい。畑の管理も手伝うし、ブロリーの世話以外にもたくさんできるようになったことがあったんだ。

 

だけど、僕は忘れてた。

 

僕の体質は、“僕と交尾して孕ませられる存在全て”が対象になるって。

 

だから3年前のあの日、ブロリーに押し倒されて処女じゃなくなった日。

 

僕はブロリーが抱きたいなら、好きにさせてあげることにした。

 

毎日毎日何度も抱かれては気絶した。ブロリーもそんなことをするつもりじゃなかったらしく、泣きながら謝ってくれたっけ。

 

それでも僕の体は、ニオイはブロリーを狂わせる。

 

だから一時期から、ブロリーは僕への負担を減らそうと一日の大半を違う場所で過ごしている。

 

はじめの内はネイルさんに修行をつけてもらっていたみたいだけど、最長老様から過去のナメック星のことを聞いてからはさっきも言ったように探検の毎日だ。

 

そして、帰ってからは僕を抱く。最近じゃ必死にこらえるブロリーがいじらしくて愛おしくて、時々僕から迫ることもある。

 

…思い出したら変な気分になっちゃった。うわ、下着が大変なことに。そうだ、乾いた洗濯物にパンツがあったから履き替えちゃおう。

 

誰もいないだろうとタカをくくった僕がいけなかったのか。パンツを脱いでよけたところでブロリーが帰ってきた。

 

「姉さん!」

 

後ろから声をかけられ、思わずびくんと震える。

 

股間がスースーして思考が混乱する。なんだかブロリーにバレたらまずい気がして完全に履くタイミングを逃した。

 

「姉さん見て!珍しくアジッサの花がいっぱい咲いてたんだ!こんなに咲いてるの見たことないから、絶対に姉さんに見てほしくて!」

 

そう言ってくるブロリーの方へ振り向くと、彼は抱えられる限りのアジッサの花束を抱えて立っていた。

 

アジッサは、ナメック星人らに取って水質をよくしてくれる身近でとても大切なものだ。

 

しかし反面、種をつける花は決まった場所では咲かず、次のために種を回収しようと思えば自ずとあちこちを巡らねばならない。

 

そのセオリーを無視するかのように大量の花を抱えてきたブロリーに話を聞くと、どうやら鍾乳洞の奥に広い空間があったらしくそこに群生したアジッサが生っていたそうだ。ただし塩湖の蛇より大きなミミズがいたらしく、ナメック星人の若者を巻き込んで大騒ぎだったらしい。

 

ちなみに彼ら若者ナメック星人はそれぞれ細いのがカラコ、筋肉質なのがネッケ、太ってるのがキオッチョの三人組。ムーリ長老のとこの子達なんだけど、ネイルさんからは三馬鹿呼ばわりである。

 

僕は受け取った花を後で種取りするのに並べながら、ブロリーに声をかける。

 

「ありがとうブロリー、とってもキレイだね。それにこれだけあればみんなも喜ぶよ。疲れただろうから、先に水浴びしておいで」

 

「大丈夫だよ姉さん!おれも手伝うよ!」

 

違うそうじゃない。

 

僕はパンツが履きたいんだブロリー。そりゃあパンツどころかもっとスゴいことを散々してるけど、こういった恥じらいはまた別。

 

言い淀んだ僕に疑問を思ったのか、ブロリーがつっこんでくる。

 

「どうしたんだい姉さん。もしかして、また変なこと考えてたのかい?」

 

カンガエテナイデスヨ。

 

いやいや、ブロリーが僕を心配して言ってくれてるのは知っているんだ。

 

実は去年、みんなの協力ではじめて出来たお酒を飲んでいたときに、僕は酔っぱらって色々と嫌なことを思い出してしまった。

 

でもってウッカリ「死にたい」だなんて呟いたからさあ大変。

 

ブロリーに問い詰められるわ、ネイルさんに説教食らうわ、ツーノ長老とムーリ長老から二人がかりで診察されるわで、最終的には最長老様のところにまで連行される始末。あれにはさすがの最長老様も呆れてたっけ。

 

そんなもんだから、ブロリーはことあるごとに僕が死にたがっていないか心配してくる。いまだに僕を抱くことが僕への負担になっていると考えてるみたいだから、抱くことががストレスになってるんじゃないかって思うと気が気じゃないんだろう。

 

でもね、ブロリー。今回は違うんだ。うん、パンツがね。あれ、よけたパンツはどこだ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、姉さん…!」

 

見ればブロリーが脱いだ僕のパンツをクンカクンカと嗅いで大興奮していらっしゃる。今にも伝説の超(スーパー)サイヤ人に覚醒しそうだ。

 

あ、ちなみにブロリーは伝説の超(スーパー)サイヤ人第一形態には覚醒済み。驚くことに制御できてる。僕へのムラムラを抑えるのに比べたら簡単だって言ってた。

 

(うわぁ、また一段と凶悪におっきくなってるぅ)

 

僕の腕くらいあるブロリーのペニスを少々現実逃避ぎみに見とれていると、瞬間移動みたいな速度でブロリーが抱き締めてきた。

 

「ひゃっ、ブ、ブロリー落ち着いて。してもいいから、せめて下ろしーーーーんひゃぁっっ!?」

 

抱き締められた僕は身長差もあってブロリーの腕の中で浮いている。つまりは為すがままというやつで。そんな状態でブロリーの尻尾が僕のアソコを撫でてくるもんだから、せっかく治まってきてたのにまたアソコが濡れてきちゃう。ブロリーのが、今すぐ欲しくなっちゃう。

 

「ああ、姉さん…!姉さん…!!」

 

興奮したブロリーは器用に尻尾でズボンを脱ぐと、ブルン!と音が立ちそうな勢いで屹立したペニスを剥き出しにする。

 

目の前にはたくましいブロリーの胸板があって、そこからするのは一日動き回ってかいた汗のニオイ。

 

あぅ、もうだめだぁ、我慢できないよぉ。

 

「んくぅっ!」

 

そんな僕の心の叫びを聞いたのか、ブロリーのペニスがアソコの肉を掻き分けて入ってきた。

 

充分に濡れたアソコを、ブロリーのペニスは遠慮することなくごりごりと擦っていく。

 

僕はもう最初のひとこすりでイってしまい、そこから落ちることなく昇らされ続けている。

 

「はぁ、ブロ、リー…!おねがい、もっと、やさしくーーーあはぁうっ!」

 

それでもあまりに大きい体格差は相応の負担を僕に強いる。

 

だからもっとゆっくりしてもらおうと思ったのに、どうしていつもこの子はーーーこんなに期待通りに攻め立ててくれるんだろう。

 

新たにお尻の穴に突き挿さったブロリーの尻尾が僕の腸壁を削るように蠢く。尻尾が纏った固い毛によって、お尻を通して全身をかきむしるような快感が迸る。

 

頭の中でカメラのフラッシュを焚かれたみたいに、視界がちかちかと明滅する。

 

「あぎぃ!ぐう、いく、イグイグ、イッっちゃうぅぅぅぅ!」

 

同時に内臓の深いところを続けて叩かれ、僕は盛大に潮を吹きながらイく。

 

「…んはあ、あひゅ、へあーーーんごぉ!」

 

体から2本の逸物が抜かれたことで息を切らし、その場にへたりこんだ僕。

 

けどブロリーは休むことなく、今度は僕の口を犯してくる。

 

顎が外れそうなほど目一杯に開いたそこへ容赦なくブロリーのペニスが突き入れられる。

 

喉も使ってしごかれるペニスは、アソコへ入れてくる時と同じように激しく出し入れを繰り返される。

 

「ーーーごっ、おぶっ、げふっ、えぼっ」

 

食道に届くほどの勢いでブロリーのペニスが口の奥深くまで入ってくると、大量の精液が飛び出して胃袋に直接射精された。

 

「ごふっ、おぶぅ、おええっ…!」

 

流し込まれた大量の精液にえづき、吐きながら、再び離れたブロリーの気配を探る。

 

腰を掴まれて彼の気配に安堵すると同時に、更に固さと太さを増したペニスが深々と僕のお尻の穴を貫いた。

 

「うきゃああああああぁぁぁっ…!?」

 

悲鳴をあげても蹂躙するブロリーの注挿は止まらない。

 

だから僕は半ば白目を剥きながら、思わず笑顔でブロリーに答えてあげる。

 

「もおっ…、おしり…、こわれちゃうよぉ…♪」

 

結局それからブロリーがスッキリして眠りにつくまでお尻に6回、アソコに3回、口に4回ほど射精が必要だった。

 

…15年経って色々あったけど、これだけは言える。

 

ごめん、僕ビッチになっちゃった。

 

***side 悟空***

 

「どうだ悟空。率直な意見を聞かせてくれ」

 

目の前に立っているのはピッコロさんマントを身につけた神様ことピッコロ神様。超神水を飲んで若返っての再会である。相変わらず目付きが悪いのはともかく、実力的には文句なしだ。

 

「なるほど、やはり超神水の効果は若返りでしたか。そうですね、少なくともかつてのフリーザやコルド大王なら、100人束になってかかってきても問題ないほどには強いですよ」

 

かつての、ならな。今のフリーザが相手なら戦い方次第では善戦できるだろうが、真っ正面から戦うには正直心もとない。まあその話は後だ。

 

「そうかそうか、未だ及ばず、か。とはいえ、久方ぶりの修行は大いにはかどったぞ。再度の融合で随分とパワーアップもしたからな。以前の全盛期よりも遥かにパワーを増すことができた!」

 

嬉しそうにガバッと手を広げる神様。なるほど、若い頃は終始このテンションというわけだな。これはガーリックのやつもキレる。いや、どんなヤツか知らんけど。

 

「そうだ悟空よ、以前地球のドラゴンボールに関してデメリットをあげたことがあったな。この際だ、パワーアップついでにドラゴンボールも一度作り直すとしよう。昔作った失敗作のドラゴンボールがあるから、パワーを上げるついでに混ぜてしまうのもありだな。いやあ、あのドラゴンボールは強力なんだが、使うと地球が壊れる上にボールも全銀河に散らばってしまう代物でな」

 

さらっととんでもないこと言いやがったよこの神様。ていうかまさかあるのか、究極ドラゴンボール。

 

「…ちなみに聞きたいんですが、失敗作のドラゴンボールとは一体なんですか?」

 

「よくぞ聞いてくれた!その名も究極ドラゴンボールといい、あえてデメリットを作ることによりドラゴンボールの最高峰である超ドラゴンボールに匹敵する効果を目指して作った代物だ!デメリットはさっき言ったとおりなので使い物にならん!」

 

拳をぐっと握りしめて力説する神様。

 

ならん!じゃねえよ。しかも案内されてみれば無造作に置いてあるし。そりゃあピラフ一味があっさり使えたはずだよ。

 

ていうかなんで若返ったらDr.カオス化してるんだピッコロ神様。悪の心がどうこう以前だろうコレ。

 

ああくそ、つっこみが追い付かん。

 

「まあふざけるのは大概にして、どちらにしてもドラゴンボールの強化は急務だろう。万が一ナメック星が先に破壊された場合を想定すれば、備えておいて損はあるまい」

 

「…!そうか、その可能性は考慮していなかった。…けど、俺としては正直あまりドラゴンボールに頼りたくはないんですけどね。使うことになる前に事態を解決できるのが一番ですし」

 

これは正直な本音だ。究極ドラゴンボールがある以上邪悪龍を警戒する必要もあるのだろうが、個人的にもあんな反則技は早々使うものではないと考えている。

 

思いっきり私用で使っておいてなにを今さらと思うかもしれないが。どんなにとんでもなくても道具である以上、必要とあらば使うさ。デメリットもわかりきっているわけだしな。

 

「まあ何が起きるかわからんからな。それに、お主が知っている驚異はフリーザだけではあるまい?きりきり話してもらうぞ」

 

「ピッコロ大魔王のときみたいに想定外が起きても困りますしね。疑うことはないでしょうけど、長くなりますよ」

 

明日にはブルマが来る。まあ一晩もあれば語り終えることができるだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺が異なる世界からやってきたこと。この世界に潜む数多き驚異。そして破壊神ビルスの存在。

 

俺というイレギュラーが存在し、すでに世界の在り方は随分と変わってしまっている。

 

だが依然として驚異そのものが消えたわけではなく、可能性は無数に残っている。だが俺が生きている以上、誰にも余計なことをさせはしない。

 

「…魔人ブウがまさか地球に封印されているとはな。それどころか、暗黒魔界侵攻の可能性に邪悪龍か。やれやれ、問題が多すぎるぞ。それにドラゴンボールにそんなデメリットがあったとは思いもせんかったわ」

 

「ああ、だが知っている以上対策はできる。まずは、ドラゴンボールが無闇に使われないよう管理を天界で行うべきだろう。できれば精神と時の部屋のように異次元空間が望ましいな。それに地球を狙う悪党どもは…強者を増やして対抗するしかあるまい。同時多発的にコトが起きれば対応しきれない可能性が出てくる。まあそちらは幸いにも当てはある。今すぐに問題が起きるわけじゃないなら、今後に備えて育てていけばいいさ」

 

俺は脳裏にZ戦士らの姿を思い浮かべる。

 

クリリンは近いうちに武天老師様のところへ弟子入りするだろう。純粋な地球人としてはピカ一のセンスの持ち主だし、修めさせたい技もある。

 

天津飯はまだ鶴仙人のところか。殺し屋を諦めさせるにはきっかけが必要だな。だが気功砲をはじめ強力で多彩な技をいくつも持っているからな。クリリンと同じく、彼にも強くなるための技は修得してもらうつもりだ。

 

餃子は組み込むべきだろうか。だが戦力としての伸び代はあまりいい印象がないな。超能力に特化させたら化けるかもしれないし、その辺は本人の意向によりけりか。無理強いしてもしょうがない。

 

ヤムチャは…別に色眼鏡を付けるわけじゃないんだが何かにつけて中途半端なのが痛いな。だが地球人としてはクリリンに次ぐ高い潜在能力の持ち主でもあるし、露払いには充分活躍できるだろう。

 

ピッコロさんことピッコロJr.は今後に期待だな。完全にイレギュラーとして生まれてきているし、まずはすくすく育ってもらわねば。

 

とりあえずはこんなところか。まあスラッグに関しては俺と神様がいるからなんとかなるだろ。神聖樹の実を摂取してるみたいだが、正直もはや誤差の範囲内だ。

 

界王様のところへ行こうかとも考えていたが、修行の必要はないな。俺の推測が正しければ、界王拳も元気玉も、どちらもひとりしか習得できない可能性が高い。だったら、他のメンバーで覚えるべきだ。

 

ただ近いうちに相談だけはしに行こう。銀河で起きている異変を察知する能力は俺なんかよりよほど高いしな。




チョイショタブロリーによるお姉ちゃん落とし。

ナメック星の皆さんには温かく見守られています。

ちなみにセーロくんのエロシーンは水龍◯ランドなイメージ。



ブロリーも主人公も肉欲を抑えると全力でかめはめ波撃つくらい消耗します。

理性「はああああぁぁぁー!」←至近距離かめはめ波
肉欲「今のはなんだぁ?」

イメージはこんな(´・ω・`)


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天下一武道会開催!

いやいや遅れました。連投とか嘘ついてすいません。

あ、ちなみに活動報告で色々呟いてます。

読んでいる皆さんに意見を聞きたい場合などは基本そちらでしようと思ってますので、もしご一読いただけたらよろしくお願いします。

今回はブルマと疑似青姦。後半でランファンと対決です。


***side 悟空***

 

「…!…っ!!…く!」

 

ゆっくりと逸物を引き抜き、先端が抜けるかどうかの瀬戸際で、再びそれをゆっくりと挿し入れていく。

 

別段激しくしているわけではないというのに、水気がふんだんに含まれたソコからはじゅぷじゅぷとくぐもった音が耳に響く。

 

特別気にしなければ気づくこともない音量だろうが、一度気づけば場にそぐわないその音はどこまでも耳を引くだろう。

 

ましてや、その音がどんなときにする音かを知っていれば尚更だ。

 

「…ね?お願い、待って、ぅん…!いやぁ、こんなところで、バレちゃうわよぉ…」

 

抜き挿しするごとにブルマの膣がきゅうきゅうと締まる。

 

その刺激に思わず腰を思い切り動かしたくなるが、今はまだ耐える。

 

如何に路地裏とはいえ、ここは喧騒華やぐ西の都。人通り少ないとはいえ、いつ誰が入ってくるかわかったものではない。

 

いざ誰かが歩いてくれば、雑居ビルの入り口に隠れているだけの俺たちはあっさり見つかってしまうだろう。

 

普段通りに矯声をあげれば言わずもがな。

 

それでも必死に両手で口を抑え耐えるブルマだが、不意にコツコツと足音が聞こえてきた。

 

気配に気付いたブルマが慌て、それに比例して膣の締まりがグイグイ上がっていく。

 

ニヤリと笑った俺は、これまで堪えていた衝動を解き放つように一際激しくブルマの子宮口目指して逸物を突き入れた。

 

「きゃあぅ、ぁっはぁ…!!」

 

強すぎる衝撃と快感にブルマが目を白黒させるが、まだ終わりじゃない。

 

俺はそれでもなお声を抑えようとするブルマの感度を増幅させ、彼女の理性を削っていく。

 

口から泡を吹きかねないほどにブルマを追い詰めながら、気絶しない程度に刺激を継続する。

 

そしていよいよ足音が雑居ビルの入り口まで近づいた途端。

 

「きゃあぁあああああああああ~~~っっっ!」

 

追加で感度を増幅され、堪えきれなくなったブルマが悲鳴を上げて絶頂する。

 

そして足音はーーー何事もなく通りすぎていった。

 

俺が能力を切ると同時に景色が変わっていく。場所はカプセルコーポレーションにある自宅だ。

 

遠視能力を他と共有できるようになった俺は、帰ってピッコロJr.をランチに預けるなり、ホットパンツ姿で天界へ迎えに来たブルマを押し倒して能力を発動させた。

 

路地裏とはいえ実際に街中でしているような感覚に陥ったブルマは存分に羞恥心を発してくれたので、普段とのギャップでかなり興奮させてもらった。

 

ちなみにパワーアップの影響で遠視能力はかなり進化している。五感を知覚できるようになったのもそのおかげだ。もう少し頑張れば遠距離で干渉できるかもしれんな。

 

ブルマは再び視界が戻ったことにも気づかず、家の廊下で倒れている。

 

マイが羨ましそうに覗いているが、悪いけど後だ。

 

まだ俺の逸物は勃ったままだし、一年半も禁欲したんだ。全員しばらく立てなくなるのを覚悟してもらおうか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの日は結局腹七分ってところでお開きにした。それでも週末最後の夜まで繋がっていたがな。とはいえ一晩じゃ満足できん。

 

ブルマは学校があるし、ランチは家事、マイはブルマの研究を手伝っているので、それを台無しにするのも気が咎める。

 

それでも以前より短時間である程度満足できるようになったのは、質の向上とでも言うべきか。あきらかに女たちの練度が上がってきているのだ。

 

ブルマの口淫はいつの間にかプロ級だし、ランチはポルチオでイくことを覚えた。マイはどうやっているのか、俺が欲情するタイミングを察知できるようになったみたいである。

 

それにヤろうと思えばたぶん1ヶ月くらいぶっ通しでヤれるが、しがらみを考えればそうもいかないしな。ままならんものだ。

 

とまあ、思い出すのはこの程度にしておかないとまた不用意に消耗することになってしまう。

 

今俺は、神様と一緒に界王様のところへ赴いていた。

 

「とりあえず今回はダジャレなしにしてくれ界王様。ピッコロ神とも相談したが、間違いなくあなたの協力が必要になる」

 

「界王様、私からも頼みたい。事態は急を要するのだ」

 

蛇の道を乗り越え突如としてやって来た俺とピッコロ神に界王様は面食らっていたが、俺たちの様子からただ事ではないのを感じとり即座に応対してくれた。

 

「うむ、今探しておるから待っておれ。それにしてもあのフリーザが魔族になるとは、にわかには信じがたいぞ」

 

2本の触覚を使って銀河中を探索している界王様を見て、あれが能力を極めた使い方かと感心する。

 

同じ能力を持っているから分かるが、凄まじい早さで情報を処理していっている。

 

俺にはできそうにない。だが、同じことをする必要もない。俺は俺でこの能力を活かさせてもらうさ。主にエロい方面で。

 

あ、ちなみにだがピッコロ神への敬語は今はもう使っていない。先日色々話し合った際に同世代の友人と思ってくれと言われたので、いい機会だとやめたのだ。まあこの世界じゃ友人なんていなかったしな。嬉しくもある。

 

ただ、同世代は無理があるんじゃないかと思う。

 

そんな俺たちが界王様のところへ来た理由。それが、フリーザの魔族化だ。

 

「む!おったぞ!あ、あれがフリーザか…?なんと禍々しい…!」

 

俺たちは界王様にお願いして肩に手を置き、その光景を見せてもらう。

 

「…おいおい、やっぱり食ってやがるぞ」

 

「うむ、しかも食らった相手の気を吸収しているようだな。…それに相当な量の魂も取り込んでおる。あれを倒すのは骨だぞ」

 

「むむむ、西の界王が言っておったのはヤツのことだったか…!」

 

そこにいたのは間違いなくフリーザだった。だがその見た目は第三形態のまま最終形態に変身したような歪な姿であり、角も増え、腕は4本に、さらには体の大きさも3メートル以上ある巨体になっている。更に言うならその4本の腕には見覚えのある鬼の意匠が刻まれた腕輪を着けている。

 

今もフリーザは鳥に似た異星人を頭からむさぼり食っていた。もはや魔族というより魔獣だな。

 

界王様は現状について何か知っていたようだな。

 

「なにか知っているんですか、界王様」

 

「うむ、新種の魔獣を思わせるモノによる被害があちこちの銀河で多発していてな。今考えてみれば、コルド大王が殺されたのもこの事件と関連があったんじゃろう…」

 

聞けば、何年か前にコルド大王が殺される事件が起きたらしい。

 

コルド大王はフリーザがある事件で弱体化した後ビルスの信任を代わりに受けるなどしていたらしいが、ビルスが眠って何年かした後突如として殺された。

 

そしてその頃から、いくつかの銀河で星がまるごと滅ぼされるような事件が相次いだ。

 

たぶん紛れているだけでそのいくつかはスラッグだろう。

 

特に西の銀河ではその被害が顕著だったらしく、西の界王が死後の世界にいる達人を討伐に向かわせたいと紛糾していたらしい。

 

だが…

 

「気配が掴めず、一日しか蘇ることのできない死後の達人では対処しきれない可能性がある、というわけですな」

 

ピッコロ神が補足した内容に重々しく頷くことで肯定する界王様。

 

どういうわけか今のフリーザは、スラッグ軍が使う気配を消す腕輪を着けている。

 

今見つけられたのは、俺が事前にフリーザ軍の場所をいくつもしらみ潰しに調べ、そこから更に界王様によって候補を潰していったからに過ぎない。俺はあちこちで無惨に食い殺されたフリーザ軍の死体や、周囲に漂う瘴気からフリーザが魔族化している事態に気付くことができた。

 

だが俺ではコルド大王の拠点まではわからなかったので、界王様に動いてもらったわけだ。

 

「…嫌なところでスラッグと重なってきやがったな。界王様、今居場所がつかめているなら、どうにか誰かを送り込めないですか?いっそ俺でもいい。早めに対処して解決しないと、破壊神案件にでもなったら余計な星まで壊されかねないぞ」

 

「わかっておる!だがあれでは下手な相手を送れば食われて終いじゃ!」

 

「だったら俺を送ってください。瞬間移動できないなら座標を教えてくれるだけでも構いません」

 

「落ち着け悟空、それは早計だ。だいいちスラッグ軍はどうする」

 

「くっ…!だからって、このままフリーザが他の連中を食うのをそのままにしてていいのかよっ!」

 

「それは神聖樹の実を使っておるスラッグも同じだろう。少し落ち着け悟空」

 

「くっ、すまない…!」

 

俺はピッコロ神に宥められながらも内心での焦りを抑えられない。

 

やはり、どれだけ強くなっても依然魔族とフリーザへのトラウマは根強い。

 

「…なにやら他にもとんでもないことが起きてるようじゃな。じゃがフリーザに関してはワシからも大界王様に伺いを立てよう。西の界王がああも強く主張するからには、死後の達人であれをなんとかできるだけの実力者がいるはずじゃからな」

 

俺はその言葉に原作アニメにおける死後の世界において、悟空のライバルであったパイクーハンのことを思い出した。

 

完全体セルをも一蹴する実力者の彼なら、フリーザのことを任せられるかもしれない。まあせっかく修行したのに目標がなくなるようで寂しくはあるが。

 

だが、あれはもはや俺が倒そうと目指したフリーザではない。

 

「それでよいか、悟空」

 

黙する俺へ界王様に代わってピッコロ神が聞いてきた。どうやら納得いってないように思われたようだ。

 

「ああ、すまない、大丈夫だ。では界王様、それでお願いします。それと、今回のこととは別で貴方にお願いしたいことがあるのですが…」

 

俺は来るべき未来に向けて、戦士たちがいずれ修行に来ることを界王様に伝えてその場を去った。

 

***side 界王***

 

界王は突然現れた闖入者である二人が帰ってから、彼らについて思いを馳せていた。

 

ひとりは地球の神であるナメック星人。こちらはまあいい。以前と比べて若返っていたが、ドラゴンボールがあることだしおかしいことではない。えらく強くなっていたのには驚いたが、そちらも元々それくらいの才能はあったのだ。神が強くなることは傲慢であれば問題だが、そうでないなら歓迎するべき事態だ。

 

問題はもう一人。あれはかつて滅んだ原種サイヤ人ではなかっただろうか。しかもその力は隣の地球の神以上のものを秘めているように感じられた。

 

「まさか、伝説の超(スーパー)サイヤ人…いや、そうであるならばこれはビルス様がうかがい知ることになるはず。あの方が出張ってない以上、ワシがどうこういう問題ではないのか」

 

かつて自らが住む界王星をかくれんぼで負けた腹いせにとんでもなく小さく削ってしまった破壊神。

 

その破壊神に匹敵する宇宙の敵として、かつて存在した伝説の超(スーパー)サイヤ人。

 

そしてその伝説の超(スーパー)サイヤ人をも打倒したという超(スーパー)サイヤ人ゴッド。

 

サイヤ人が自らの前に現れたというのは、今再び伝説が甦ろうとしている兆しなのかもしれない。

 

と、柄にもなくシリアスに考えていた界王は、ひとまず他の界王や大界王に会うために旅行鞄に荷物を詰め込みはじめるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの魔獣フリーザ発見から半年が過ぎた。

 

界王様とは時折念話をしているが、まだ討伐隊は動いていない。確実なタイミングを計っているらしい。

 

討伐隊と言ったが、フリーザを倒すのにあたって死後の達人らによる特別部隊が編成されている。各界王様の元で修行を積んだ精鋭たちで、誰もが“かつて”のフリーザ程度なら一撃で倒せるほどの使い手らしい。

 

今は事態を重く見た大界王様の元、あの世で修行を繰り返しているらしいが、イヤな予感は拭えない。

 

フラグでいうなら完全に死亡フラグが立っているが、それ以上に未知のフリーザがどの程度強いのかが分からなかったのが痛い。

 

上限をゴールデンフリーザとして、果たしてどこまで強くなっているのか。万が一ゴールデンフリーザを越えているならば、それこそ破壊神でしか対応できない。

 

そうなったときは…

 

「この宇宙ごと“破壊”される可能性も、考慮しておかなくちゃな」

 

場合によっては対破壊神用の切り札を切ることになるかもしれない。

 

…考えが暗くなってしまったが、いいこともある。

 

ランチとブルマが妊娠した。

 

同時に、というわけではなく、ランチの方が2ヶ月ほど早い。

 

やはり抜かずの12連続が決め手だったか。

 

今はマイがひとりで相手をしてくれているが、正直負担になってしまっているので手加減しているのが現状だ。

 

つまりどういうことかというと、ものっそいムラムラしている。

 

道行く女性を押し倒したくなるくらいには。

 

おかげで連日凄まじく消耗するので、ちょっとしたトレーニングだ。

 

精神と時の部屋での修行はなんだったのかと言いたくなるほど順調に強くなっているしな。

 

さて、こんなことを考えているが実は明日記念すべきイベントがある。

 

天下一武道会が、開催するのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お久しぶりです、悟空さん!」

 

元気よく声をかけられ振り向くと、そこにはクリリンと亀仙人の姿が。クリリンは去年亀仙人に弟子入りした。原作以上の実力となった亀仙人を見て目を白黒させていたが、より強くなる期待が強まった様子だった。

 

「おお、クリリンか!亀仙流の修行は終えたみたいだな、見違えたぞ」

 

以前弟子入り直後に会ったときは一般人と同程度だった気が、今ではいっぱしの格闘家としてのモノを秘めている。まだ少年だが、俺や亀仙人を除いてこの中ではトップクラスの実力だな。

 

「まさかお前さんが出るとは思ってなかったわい。だが、対戦相手となっても武道家として恥ずかしくない試合はするつもりじゃよ」

 

ほっほっほ、と朗らかに笑う亀仙人だが、相当に鍛えなおしたのがわかる。

 

以前ラディッツ程度ならと評したが、今なら戦い方次第ではナッパでも苦戦するかもな。

 

「ご謙遜を大師父。今回、俺は純粋に武道家として戦います。修行だと思って胸を貸してもらいますよ」

 

今回の試合で俺は“気”を使うつもりはない。当然超(スーパー)サイヤ人もだ。それで勝つのはこの大会に対して無粋というものだろう。ま、反則にはそれなりに対応させてもらうが。

 

そうして雑談していると、大きなお腹を抱えたブルマとランチ、そして二人の荷物を持つマイにブリーフ博士とパンチーさんがやって来た。

 

「あなた、頑張ってね。そこのスケベじいさんなんかに負けちゃダメよ」

 

「ス、スケベじいさん…!」

 

大師父が地味にダメージ受けてるな。だがブルマの裸を見た貴方が悪い。

 

クリリンがはじっこで「え!?全員悟空さんのお嫁さんなんですか!?」と驚いてるな。パンチーさん、なぜあなたまで照れてるんですか。

 

みんなからそれぞれ応援の言葉を貰っていると、予選を間もなく開始することを知らせる銅鑼がなった。

 

「それでは行ってきます。すぐに終わるから、ブルマたちは特別席で待っててくれ」

 

本来天下一武道会では立ち見が基本だが、妊婦がいるので頼み込んで高さ5メートルほどに伸長する展望席を作らせてもらった。

 

複数建ててVIP席扱いにしたので、それほど文句も言われないだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

予選は各自すぐに終わった。クリリンは自分をいじめていた多林寺の連中をあっさり見返すことができたみたいで嬉しそうだ。

 

俺の予選相手には獅子牙流を名乗る拳法家がいたが、ジャイアントスイングで全員弾き飛ばしてしまったので顔も覚えていない。

 

亀仙人の予選会場はざわついていたな。さすがに武術の神様が現れたとあっては武道家らも落ち着いてはいられなかったらしい。

 

本選での俺の相手はランファンだった。このタイミングでか、とは思ったし、気苦労を察した女連中が苦笑いしていた。まあ、まともに向かってくるなら適当に気絶させるが、脱いだらその後どうなるかは知らん。

 

他の組み合わせは、ナム対亀仙人、バクテリアン対ギラン、クリリン対Mr.サタンを名乗る男。

 

あのサタンとは違うが、クリリンに聞いたところサタン流道場の代表者が名乗る一種のリングネームらしい。なるほど、とは思ったがそれだけだな。間違いなくクリリンが勝つだろうし。

 

ひとつ気になったのはヤムチャがいないことだ。ブルマとの出会いがなかったから、いまだ盗賊をしているのだろうか。

 

***side ランファン***

 

わたしの名前はランファン。

 

痴漢対策で格闘技を始めたら思ったより才能があったみたいで、そこいらの男どもで敵う相手がいなくなっちゃったの。

 

困ったわあ、せめて彼氏を作るなら自分より強い男がいいもの。

 

だからいい機会だと思ってパパイヤ島で開催してる天下一武道会に出場することにしたのよ。

 

パパイヤ島って本来豪華なリゾート地だし、優勝したら賞金で豪遊しちゃおうかな♪

 

…なーんて考えてたのがいけなかったのかしら。

 

せっかく本選に残ったのに、全員明らかにわたしより強いじゃない。

 

ひとり子供はいるけど、予選での様子を見る限り勝てそうにないし。

 

ふふ、でもね。女の武器は拳だけじゃないのよ。

 

磨きあげた女の魅力に、純情な格闘家さんたちはどこまで対応できるかしらね。

 

***side 悟空***

 

正直気が進まないが、一回戦ランファンとの試合が開始した。

 

まずい、女のニオイに興奮してきた。朝抜いてこなかったので、勃起は我慢しすぎてしんどいレベルだ。

 

アナウンサーがなにやら喋っているが、まるで頭に入ってこない。

 

そんなこっちの股間事情を知るよしもないランファンは目の前でしなを作り、ぶりっ子で勝利をねだってきている。

 

だが残念。表情が完全に甘えきれてないし、しなも急場で作ったのが見てとれる雑な姿勢。マイなんぞ防寒コートの上からでも色気だつ見事なしなを作るぞ。

 

ついには泣き真似が始まってしまった。そこまでして勝ちたいのか。

 

よし、若干萎えてきた。

 

こちらの表情が変わらないのをらちが明かないと思ったのか、ランファンは突如としてフェイントを織り混ぜながらの格闘戦に移行してきた。

 

左側頭部を狙ってのハイキック。人中へ向けての直突き一本拳。視線を頭部に固定してからの急沈下段蹴り。すべて、危なげなく避けていく。

 

なんだ、悪くないセンスじゃないか。達人とまではいかないが、一般人からは頭ひとつ抜けてレベルが高いな。攻撃がすべて急所狙いなのも、非力さをカバーするという点ではなかなかいい発想だ。

 

だが、所詮は通常格闘のレベルだ。星を壊すような連中と戦うことを前提にしている俺からすれば、児戯に等しい。

 

あ、亀仙人とかは別な。純粋な武術の腕であの人は恐らく俺より上だ。

 

当たるのも面倒なので、そのまま適当によけて気絶させるタイミングを見計らう。

 

しかし、こっちが攻撃を仕掛ける前に見事なバック宙で距離を置かれてしまった。

 

「まるで攻撃してこないなんて、馬鹿にしているのかしら…?いいわ、だったら目を離せなくしてあげる!」

 

言うや否やランファンはその場でTシャツとズボンを脱ぎ捨てた。

 

ラベンダー色の下着が剥き出しとなり、見事な肢体が露になる。俺の鼻にさきほど以上に彼女のニオイが届く。

 

まずい、完全に勃起したぞ。

 

ズボンを止めているボタンが吹っ飛んでしまった。

 

「ぐあっ」

 

ボタンがアナウンサーに当たってKOしてしまった。

 

「くっ!この変態がっ!」

 

勢いよく走ってきたランファンが股間を蹴る。おいおい反則だぞ。

 

「…くっ、つう~!なによそれ!鉄の棒でも入ってるのね、なんて卑怯な!」

 

残念ながら入っているのは真ん中の棒だ。

 

そろそろ本当に面倒なので終わらせよう。なあに、痛くはしない。

 

「やだ!近づかないでよ変態!」

 

嫌がるランファンの腰を抱き寄せ、腕を拘束してキスをする。

 

舌を噛まれたが気にせずこじあけ、口のなかを蹂躙する。

 

「~~っ!~~~!!~んぅ!」

 

適度に呼吸をさせる程度に口を離しながら、繰り返し口のなかを味わう。

 

歯を隅々まで舐めつくし、上顎も下顎も区別なく舌でまさぐる。

 

ついでに感度も上昇させているので、まるで口でセックスしているかのような感覚だろう。

 

すでに抵抗はなく、目もとろけるどころか白目を剥き始めている。

 

とどめとばかりに唾液を吸いとれば、限界を迎えたランファンが盛大に失禁した。

 

まずい、やりすぎた。

 

観覧席を見れば、ブルマが「あちゃー」と顔を覆い、ランチは「お嫁さんが増えるんですかねえ」と言い、マイは「あたしの口もしてほしい…」と指を加えている。ちなみにパンチーさんは笑っているが、目の色がおかしい。

 

「…いたたた。おや、ランファン氏は失神ですね!勝者、孫悟空選手!」

 

起き上がったアナウンサーが声高に勝利宣言をする。

 

まともに見ていれば呆然としていただろうが、幸いにも彼が気づいたのは俺の腕でアへ顔を晒しているランファンだ。見ようによっては絞め技で倒したようにも見えるだろうか。

 

とにもかくにも俺の勝利である。次の試合まで抜け出してマイの口で抜こう。

 

 

ちなみに控え室が鼻血の海だった。…純情な武道家達には刺激が強すぎたらしい。

 




悟空が履いているのは一種のストレッチジーンズです。残念ながら巨大化した真ん中の棒にボタンは耐えられませんでした(´・ω・`)



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天下一武道会決着!

お待たせしました。

この辺からしばらく物語を加速していきます。

具体的には敵を蹂躙してヒロインを増やす。つまりはエロを増やす!


***side 悟空***

 

あれから試合は一時中断されたが、しばらく間を置いて再開してからは滞りなく進んだ。

 

ナムが貧血でふらついていたが…

 

その後結局ナム君は奮戦空しく亀仙人に敗北した。むしろ体調が悪いのにも関わらず善戦した彼を誉めてやりたい。

 

なんだかものすごく悪いことをした気がする。

 

話しかけてみると、村が水不足で困っており優勝賞金で必ず水を持って帰ると約束してきたらしい。

 

うん、罪悪感が半端じゃない。

 

よしわかった、トン単位でいいぞ。なにって水だよ。そうだ、どうせなら村に水を引いてやってもいい。いっそどっかの川から適当に掘削してため池を作るか、地下水脈を掘り起こしてもいいな。

 

とまあこんな感じで話しかけたから、遠慮されたというか引かれたというか。

 

なぜか距離を置かれてしまった。

 

どうしたものか悩んでいるうちにも試合は進んでいく。

 

バクテリアン対ギランはあっさりとギランが勝利した。ヒューマノイドタイプと嗅覚が違うらしい彼にはバクテリアンの攻撃はただ単に不潔であるに過ぎず、グルグルガムで動きを封じられて武舞台の外へと蹴り出された。

 

クリリン対Mr.サタン(別人)は一番早く勝負がついた。大言壮語を繰り返す隙だらけのMr.サタン(別人)に対し、クリリンの一撃がみぞおちへクリーンヒット。わずかに呻くと倒れたまま起き上がることはなかった。

 

そうやって試合を見ながらナムの件でブルマをはじめとする嫁ーズに相談すると、ブルマからナムを呼んできてほしいと言われた。

 

マイにも一緒に来てもらいナムを展望席に呼んで話を聞くことになった。

 

改めて聞けば、どうやら話のスケールに引いたのは確かだが、カプセルコーポレーションの令嬢をめとった俺から資金援助を申し出てきたのでなにか裏があるのでは、と考えてしまったらしい。

 

心外だな。ブルマに頼らずとも資金提供程度できなくはないぞ。そういうことではない?

 

ちなみにナムが勘違いした原因のひとつとして、俺が作った展望席がある。

 

俺はこれの管理を天下一武道会を開催している寺院に任せているのだが、そこには当然施設の利用費も含まれる。

 

聞けばどうやらこの展望席はひとり10万ゼニーはするらしい。ブリーフ博士が人数分払ったらしいが全部で60万ゼニー。余裕で天下一武道会の賞金を越えている。

 

…寺のヤツら、俺に一言もないとかなに考えてやがる。パパイヤ島ごと吹き飛ばすぞ。

 

なんて風に考えていたら顔に出ていたのかランチに頭を撫でられた。ご丁寧に「いいこいいこ」のセリフ付きである。まあ、おかげで落ち着いたが。

 

それはともかくとして、もし金銭を期待しているなら悪いが、残念ながら物理(俺)なんだ。というか業者に依頼するよりも俺がやった方が早いってだけだが。

 

とりあえず当面の水不足は大型貯水タンクにでも貯めた水でなんとかしてもらおう。

 

貯水タンクは相談した時点でブルマが用意してくれており、すぐに届けられた。できた女である。

 

そんな風にしてナム君の相手をしていると、あっという間に決勝戦となってしまった。

 

しまった、クリリンの試合を見逃したか。師弟対決は見たかったのだが。

 

「いよいよ決勝じゃな、悟空」

 

武舞台へ移動しながらクリリンの試合をそれとなく観戦していたマイに聞いていると、亀仙人に呼び止められた。

 

「はい、ようやく俺も修行の成果を見せられそうです」

 

「ま、お手柔らかにのう。それでは後程、な」

 

「ええ、後程…後程?」

 

あっさりしすぎているかもしれないが、これから俺と亀仙人は言葉以上のコミュニケーションを交わす。それまで余計な言葉は無粋だ。

 

それと後程という疑問はすぐに解消された。すぐに始まるかと思った決勝戦だが、催しや休憩時間をはさむようで試合開始は一時間後らしい。

 

暇になってしまった。武舞台横の控え室にいても仕方ないので、俺は試合開始までの間を展望席で過ごすことにした。

 

さて、さっきも言ったが開始まで一時間ある。ブリーフ夫妻は気を使っていつの間にかパパイヤ島の観光へ行ってしまった。パンチーさんは残念がっていたが。

 

ということはつまり、ここには俺と嫁ーズしかいないということだ。

 

「だからってここでスルのはリスキーだと思うのよね、あたし」

 

「…ふぅ、くぅん、うきゅ、んぐっ…!」

 

せりあがった展望席で、着衣のままに背面座位で突き上げられるマイ。それを見ているブルマは呆れながら顔を赤くしているが、内心では欲しがっているのが見てとれる。

 

安定期に入ってからセックスしてないからな。ストレスも溜まっているのだろう。毎日ペッティングはしているが、それでもお互い物足りなさはある。

 

ちなみにランチは俺とマイを見ながらオナニーしている。クリトリスを擦りあげるように撫でながらときおりビクンッと震える姿が可愛い。

 

あとで舌でたっぷりねぶってやろう。それまではあえて放置する。熟々に出来上がったアソコを食べるのが今から楽しみだ。

 

さて、夜の品定めが終わったところで俺はマイの腰を両手で抱えると、それほど激しいわけではないが音が響かない程度に動きを加速し始める。

 

しかも膣の弱いところの手前で寸止めをして。

 

「ひぃ…ぅぅっ…!ぁう、きゃはぁっ…!」

 

まぎれもなく今も周囲には大勢の人がいるので、あまり声をあげさせてやれないのが実に残念だ。動くのはやめないがな。

 

「はぁ、ご主人、様ぁ、切ないですぅ…!」

 

普段から激しいセックスを好むマイは、この焦らすようなセックスに苦悶していたようだ。だがセリフとは裏腹に膣のなかはまるで俺の逸物をしゃぶりつくすような勢いで蠕動する。

 

さらにはたまらないトロ顔でこちらを仰ぎ見られれば、俺もつい張り切ってしまうというものだ。

 

俺はマイの膣感度を上昇させ、久しぶりに逸物のサイズを調整。一回りほど大きくする。

 

「きゃあ…ぁ、あはぁ…!ふっ、ぐぅ、しゅご、いい…!」

 

膣内に生じた強烈な衝撃と快感に思わずマイは悲鳴をあげそうになるが、それを歯を食いしばって堪える。それでも堪えきれない快感が脳を溶かすように走り、思わず悲鳴をわずかにこぼれさせる。

 

俺はマイがぎりぎり堪えられる程度の刺激を維持しながら、子宮の入り口を刺激して反応を楽しむ。

 

『もっとも幸せなときは幸せへ向かっている最中だ』という言葉がある。

 

セックスもそうだ。絶頂を迎えたときよりも、それに向かって行くときの方が総合的に何倍も快感を感じている。

 

だから俺は女を抱くとき、相手が気持ちよくなることを第一に考える。

 

相手が最高に気持ちよくなってはじめて、こちらも最高の快楽が得られるわけだ。

 

「はきゅ…、あ、も、だめ…」

 

俺は我慢の限界から今にもイこうとしているマイの唇をキスでふさぎ、絶頂による悲鳴を閉じ込める。

 

「…んんんぅーっ!んふ、んんんんんっっっ……!」

 

マイがイクのに合わせて俺も自分を解放し、開ききった子宮に向かって常より多い量の精液を注ぎ込む。

 

口を通して体に響くマイの悲鳴から彼女が受けた快感を感じとる。

 

まだ気絶するほどではないが、かなりの刺激だったようだ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、相変わらず、すごいですぅ…」

 

俺もいい準備運動になった。このままセックスも本番といきたいが、ブルマやランチに無理をさせるわけにはいかない。

 

だがおかげでモチベーションは最高だ。最高の集中力で大師父、亀仙人との試合に挑める。

 

さて、試合まであと十分ほど。そろそろ武舞台へ向かうとするか。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

武舞台の上で、二人の男が対峙していた。

 

どちらも共に同じ構え。

 

重心を前傾気味に体勢を低くし、掌を下に右の拳を握る。大きく開いた逆の腕、頭より上に構えられた左拳は緩く開いて後の詰めとする。

 

一分の隙もない。それを見ている者すべての時が止まったような静寂が訪れる。

 

どちらが先だったか。

 

気がつけば、お互いの腕が交差し、拳が、蹴りが、互いを仕留めんと凄まじい速度での応酬が繰り広げられはじめた。

 

悟空の右拳が亀仙人の頬を掠めれば、防いだはずの左上段蹴りが突如変化し悟空の喉を襲う。

 

悟空はこれを後ろに下がることで避けるが、それが作られた流れであることに気づく。

 

咄嗟に両腕を交差し上半身を庇うと、突如として亀仙人の全身が膨れ上がり、上着がバラバラに引き裂かれた。

 

身体強化によって悟空と変わらぬ八頭身へとその身を転身させた亀仙人。

 

強烈な正拳突きでさらに悟空の体勢を崩すと、鳩尾へ向かって渾身の肘を落とさんと振りかぶる。

 

しかし今度は突如として亀仙人の体勢が崩れる。見ればいつの間にか尻尾が亀仙人の足に絡まり引っ張っている。

 

これを亀仙人は全身を高速で回転させることで一息にほどくと、回転によってついた勢いそのままに悟空の左鎖骨へ踵を落とす。

 

悟空はそれを体を無理矢理ずらすことによって肩で受けると、空中で無防備となった亀仙人を力の限り蹴りあげた。

 

肉と肉がぶつかり合ったとは思えない音が響き、亀仙人は吹き飛ぶーーーが、次の瞬間にはなにごともなかったかのように武舞台へと降り立った。

 

「なにがお手柔らかにですか。これだけの功夫、それに今の技。正直“気”を使わないという約束を違えたくなりますよ」

 

悟空は痛む脚を庇うようにして真半身(まはんみ)になる。

 

亀仙人を蹴りあげた足は焦げていた。まるで突然焼かれたかのように。

 

「萬国驚天掌といってな。元来ここまでの威力はなかったが、お主から気の扱いを教わって以来磨き直した技のひとつじゃわい」

 

「それだけじゃないでしょうに。これでも鉄骨くらいなら素の状態でもへし曲げられるんですけどね。思い切り蹴ったのにダメージひとつ無いほうが不思議ですよ」

 

「そいつは単純に年の功じゃな。ま、お前さんほどの力を消すのはちぃとしんどいがの」

 

悟空はその言葉に苦笑いする。単純な力技など通じない。そう言われたに等しいからだ。

 

圧倒的な気で身体能力を増幅すればまず間違いなく勝てるであろう闘い。しかし悟空はその手段を取るつもりはなかった。

 

いまある己の五体のみで克つ。

 

それこそがこの天下一武道会へ出場した目的といっても過言ではなかった。

 

「だぁっ!」

 

悟空はなにも考えいないような愚直な突きを放つ。

 

亀仙人もまた、それを正面から受け止めようとするがーーー

 

「ぬぅっ!?」

 

ーーー間一髪、拳から距離を取ることでそれを回避する。

 

「まさか、暗勁か…!?」

 

「よく見破りましたね。そのとおりです。浸透勁とも呼ばれる打撃の奥義ですよ」

 

再び暗勁の構えを取る悟空に対して亀仙人は逃げず、その場に構える。

 

そして神速の踏み込みをもってして放たれる中段突きに対しーーー

 

ーーー真っ正面からまったく同じ技をもってして迎撃した。

 

ギインッ!

 

金属同士がぶつかり合ったような歪な音が周囲にこだまする。

 

「その若さで身に付けるとは、つくづく恐ろしい才能じゃのぉ。ふふ、じゃが、“それ”ならばわしもできる」

 

闘いの密度は加速していく。

 

互いの拳が飛びかい交差する。

 

蹴りが舞い風を唸らせ。

 

肘が穿とうとすれば掌が包み。

 

手刀が切り裂いたかと思えば残像が煙のように姿を燻(くゆ)らせる。

 

受ければ致命となるほどの技が次々と放たれていく。

 

互いの次を、さらにその次を読もうとする闘いは、一呼吸の内に繰り出される打撃の応酬と重なりあい幾百幾千もの攻防として昇華され、そこから放たれた珠玉の一撃をまた刹那の見極めによって捌いていく。

 

膝で顔を打とうとすれば肘で迎撃し。

 

蹴りで軸を崩そうとすれば足刀で切り返され。

 

完全に捉えたかに見えた突きは靠撃(※1)で体ごと弾き飛ばされる。

 

そこには極みがあった。頂があった。果てがあった。

 

パパイヤ島に集まっていた数少ない武道家達は様々な思いを抱いた。

 

ある者は弟とバカンスに来たついでに、珍しくこんな催しに参加した兄弟子を見てその開きすぎた実力差に愕然とした。

 

ある者は今回武天老師が参加するということから参加を見合わせたが、果たして出場して自らが対峙したとき、勝負になるのかを考えてしまい心が折れてしまった。

 

ある者は驚きながらも、かつて優勝していながら自分はどれだけ狭い世界にいたのかと、落胆しながらも武舞台の二人に憧れを抱きはじめた。

 

ほとんどの武道家はすでに試合についていくことはできなかったが、一部の者達は理解できるだけにその闘いから目を離すことができなくなっていた。

 

肉と骨をぶつけ合うシンプルな闘いにおいて、こんな世界があったのかと。

 

先ほどのように気を用いた技ならば理解はできずとも無理矢理納得することはできる。

 

ああ、そういう能力かなにかなのだろうと。

 

だが実際に目の前で行われている技の数々にそんな固有の技能は見られない。

 

ともすれば、自分等でもいずれできるのではないか。そう思うのに。思い始めるのに、さしたる時間は必要なかった。

 

「…ふぅ、そろそろわしも体力が限界じゃ。次で、決めさせてもらうぞ」

 

一体どれほど打ち合ったのか。にもかかわらずお互い目に見えるダメージはない。そのことに気付いた幾人かは戦慄するも、亀仙人が放とうとする奥義を見逃すまいと身を乗り出して武舞台を見やる。

 

「むうううっ…はっ!」

 

亀仙人が叫ぶと再び体は膨れ上がり、今度は二メートルを優に越す筋肉の巨人と化す。

 

「実に楽しませてもらったぞい。いまから放つ技こそ、我が生涯を通して極めた奥義かめはめ波じゃ。闘いの餞別にくれてやるから、見事自分のものとしてみせいっ!」

 

悟空はかめはめ波を使うことができる。

 

ゆえに、今から亀仙人が使うのがただのかめはめ波ではないことに気付くことができた。

 

「かあ…」

 

気の高まりと相反するかのように亀仙人の体が縮んでいく。腰だめに構えられた両掌の間に気で作られた光の球体が浮かぶ。

 

「めえ…」

 

一見萎んでいるかに見えたが、その実行っているのは気の集束。全エネルギーを一点に集めるという必殺技。ここまでは普通のかめはめ波だった。

 

「はあ…」

 

さらに圧縮した気の球体へと“周囲”から気が流れ込んでいく。亀仙人ひとりの気を遥かに上回る天地自然の気が、彼を通してかめはめ波に込められていく。

 

「めえ…」

 

集束と圧縮を繰り返し、更には乱回転を加えられた球体と化した気の塊。疑似元気玉とでも言えるそれに悟空は戦慄を覚え、同時に覚悟を決める。

 

「波ああああああっ!!!!」

 

突き出された両掌から発射された気の光弾。すさまじい威力をもつのが見てわかるほどのそれを、悟空は素手で受け止める。

 

「ぎっ、があああああ!」

 

手を焼いていく灼熱の感触。思わずバリアで掌を包み込もうとするが、乱回転する気の奔流に掻き乱されてうまく作ることができない。

 

ダメージは熱だけではない。皮膚が破け、肉が抉られていく。

 

しかしそれでも悟空はそれを離すことはしない。

 

意地というのは、張ってこそ意味があるものである。

 

そう思う悟空は、今度はバリアを張らずに無理矢理かめはめ波を握りこむ。

 

骨が砕け、血肉が飛び散る。指の感覚がいくつか無くなる。

 

気がつけば武舞台もかなりギリギリの位置にいる。このままでは負けるだろう。

 

それも悪くない、これだけ戦ったのだーーー悟空がそんな風に思ったとき、展望席でこちらを応援する自身の女達の姿が目に入った。

 

応援するその姿を見た途端、全身から力が沸き上がる。

 

思わず超(スーパー)サイヤ人になろうとするのを奥歯を噛み砕いて堪えると、残った指に力をこめて一息にかめはめ波を粉砕した。

 

もはや拳は握れないが、戦うことに支障はない。

 

悟空が再び亀仙人と対峙したとき、すでに亀仙人は力尽き膝を付いていた。

 

それでもめげずに闘志を宿していたが、ふっと気の抜けるような笑顔を浮かべて宣言した。

 

「わしの敗けじゃ。お主の勝ちじゃよ、孫悟空」

 

とりわけ大きな声ではなかったが、静寂が支配していた会場にその声は響いた。

 

そして最初に正気を取り戻したアナウンサーが声高に宣言する。

 

「第21回天下一武道会優勝は、孫悟空選手!!!」

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side 悟空***

 

傷は、というより千切れて飛んだ指は仙豆ですぐに治った。歯も同じく。にょきにょき生えてくるのはちょっと気持ち悪かったが。

 

まあ女達にバレたら色々不味かろうしな。

 

亀仙人にも渡したが、仙豆を食べて懐かしいと喜んでいた。

 

それからは怒濤と言っていいだろう。

 

優勝した俺のもとに、多くの格闘家、武道家らが集まってきてしまったのだ。

 

理由を聞けば「弟子にしてほしい」とのこと。

 

面倒なので亀仙人に振ろうとしたのだが、クリリンに聞けば「英気を養ってくる」と言って歓楽街に向かったそうな。

 

とりあえずホテルに戻ることもままならないので、急遽武舞台を借りての弟子入り大会となった。

 

上位三人を弟子にとると宣言したが、ひとりでもよかったかもしれない。

 

なんだかんだ本戦より盛り上がっているが、そこは開催している寺院もセコく、翌日に改めて天下一弟子入り大会を開くと通達された。俺はコメンテーターを依頼されたが断った。それでもしつこいので、近くで様子を伺っていたMr.サタン(別人)に「うまく盛り上げられたら弟子入りを考えてやる」と丸投げした。この際ひとり増えたところで変わらん。

 

で、俺はさっさとホテルで女達といちゃついていようとか思っていたのだが、突然ピッコロ神から念話があった。

 

なんでも、レッドリボン軍がドラゴンボールを集めるために活動をはじめたらしい。しかもすでに4つ集めているとか。

 

現在は石だから願いを叶えることはできないだろう、と俺も思っていたのでとんだ誤算だった。

 

どういうことかとピッコロ神に聞けば、予定通りドラゴンボールは究極ドラゴンボールと融合を果たしたらしい。それによってポルンガをも上回る大幅なパワーアップを遂げたのだが、確認してみれば例によって例のごとくとんでもないデメリットも発生していた。

 

まず、叶えられる願いは3つとなった。これはいい。

 

生き返らせることができる人数に制限はなく、また一度生き返らせた人間を何度でも甦らせることができる。これもまあいい。

 

ドラゴンボールが再度使えるようになるまでの期間が一ヶ月になった。これも考えようによっては事態の収束が早く済む、という点ではいいかもしれない。

 

さらには使うと地球が一年後に爆発するというデメリットも無くすことができた。

 

だが、デメリットとしてマイナスエネルギーが溜まる速度が10倍になった。

 

…大猿じゃないんだぞ、10倍ってなんだよ。

 

ドラゴンボールGTでは約40年でマイナスエネルギーが許容量を越えた。

 

その間願いを叶えた回数をはっきり覚えているわけでじゃないが、20回前後だろうか。ということは、最悪2回使われたら邪悪龍の誕生である。

 

で、なぜそんなモノを飛散したままにしていたかを聞けば、大丈夫だろうと高を括っていたらしい。

 

さすがにピッコロ神をぶん殴りたくなったが、思わず超(スーパー)サイヤ人で殴りそうだ。間違いなく死ぬ。

 

でも死なない程度にぼこぼこにしてやろう。と思っていると心を読んだのか、焦るピッコロ神には引き続き魔族の警戒を続けてもらい、俺は女たちに断ってドラゴンボールを探すことにした。

 

隠す必要もないので理由を離すと、不安を感じながらも納得はしてくれた。

 

マイはわかりやすく気落ちしていたが。

 

ちなみにランチの腹はかなり大きくなっており、早ければ今月末にも生まれるらしい。俺の血が為せる結果か、明らかに成長が早い。まあ俺としては、無事に生まれてくれればそれでいいのだが。

 

さて、マイの為にもさっさとレッドリボン軍を潰さないとな。

 

できればドクター・ゲロも見つけて始末しておきたいが、ヤツがいないと人造人間は生まれない。それはそれで予想が立てづらくなるのだが、まあなるようになるだろう。正直言うと18号と会えなくなるのがもったいないだけだが。

 

それでは、行くとするか。

 

 




螺旋丸+電刃波動拳=亀仙人のかめはめ波です。

ちなみに特に触れてませんが、亀仙人は悟空の打撃をほぼすべて消力(シャオリー)で無効化、対する悟空は体そのものの頑丈さで耐えてます。怪我がないのはそういうことです。
ついでに言うなら浸透勁同士がぶつかり合っても金属音はしません。演出です(笑)

※1。肩甲骨に近い背面を利用した打撃。見た目は体当たり。


兄、を兄弟子に訂正しました。



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対決!レッドリボン軍()

まずは、調子に乗って昨日上げるとか言ってすいませんでした。

主に自分の寝不足が原因です。

ついでに後半のチチとのエッチシーンは全面改稿するなど、書き直しも多くなりました。

多くの方に応援していただいて、この作品は連載させていただいております。いつもみなさんの感想が励みです。

それでは、お楽しみください。


場所は変わってここは雪山。俺の格好は相変わらず上半身裸である。毛皮はあるが。

 

考えたんだが、ランチの変身制御で一度ドラゴンボールを使っているから、使えるのは実質あと1度か。やはりまずいな。

 

とりあえずさきほど四星球を見つけたので最悪の事態は防げたが。

 

ああ、シルバー大佐が襲ってきたので雪の下30メートルほどに埋めてきた。

 

そのまま情報収集でもしようかとジングル村に寄ると、レッドリボン軍の兵士が幼い少女、恐らくスノをスケベな表情で連れ去ろうとしていた。

 

助けようとした者もいたようだが、撃たれてしまったらしく血を流して倒れている。

 

「お父さんっ!いやあ、離してえっ!!」

 

どうやら倒れているのは父親らしいが、末端の兵士でこの始末、か。俺のなかでレッドリボン軍が殲滅対象へと決定した。

 

「へへっ、安心しろよお嬢ちゃん。俺を気持ちよくさせてくれればすぐに終わーーーな、なんだきさま、だわっ!」

 

俺もチチに手を出している以上偉そうなことは言えないが、少なくともお前みたいな外道じゃあない。表情の通りろくでもないことをしようとしていた男の頭を掴むと、驚いて振り向くと同時に思い切り“揺すった”。

 

「がわわっ!!がぼぼおっ!!」

 

中身をシェイクされた兵士は顔の穴という穴から色々と飛び出してきたので、適当に投げ捨てる。

 

急いで倒れた父親に近づくとまだ息があったので、仙豆を口に突っ込んで無理矢理飲み干させた。

 

「ーーーんん、こ、ここは?わたしはいったい、そうだ、スノはっ!?スノは無事か!?」

 

「えええん、おとうさああんっ!」

 

泣きじゃくりながら父親にすがりつく少女。やはりスノだったらしい。

 

思わずもらい泣きしそうになる。よかった、彼女から父親が奪われるようなことにならなくて。どうしても幸せそうな親子には弱いな。

 

そのまま立ち去ろうとしたのだが、村の人間から是非お礼をと言われてしまった。レッドリボン軍の兵士を俺が殺してしまって不安なのだろう。かといって突きだすようなことはしたくない、と。

 

面倒なのでやつらの拠点を吹き飛ばしてくるといったのだが、無理はするな、命を粗末にするな、と引き留められてしまった。

 

スノの父親に至っては娘の恩人を死なせるわけにはいかない!としがみつかれてしまった。

 

仕方なく一旦動くのを諦め、なんだかんだと晩御飯までごちそうになっていたのだが、スノちゃんが突然「わたし悟空さんのお嫁さんになる!」と宣言し出した。

 

あまりに突然の発言にコーヒーを鼻から飲んでしまったではないか。むせる。

 

年齢を聞けば「もう10歳になるのよ!」とのことだったので、せめてあと5年は待とうと言って落ち着かせた。5年後本当にやってきそうで怖くはあるが。

 

はて。少し前に似たような約束をした覚えが…

 

ヤ バ イ。

 

チチのことを忘れていた。いや、あれからも色々冒険はしているから冒険が終わったらという約束は破っていない、はず。

 

だが思い出せてよかった。さすがに原作と同じように6年間放置するつもりはないからな。今回の件が終わったら牛魔王のところへ行くとしよう。

 

その日の深夜、スノの両親が盛り上がり非常に悶々とした夜を迎えることになった。このムラムラはまとめてチチになんとかしてもらおう。

 

だが考えたらチチは12歳。5年も待たなくてよかったかなあ、と思ったのは余談である。

 

とまあ我ながら滅茶苦茶なことを考えながら、俺はこっそり早朝にレッドリボン軍が拠点としているマッスルタワーへとやってきた。ちなみにでかける直前、行方不明の兵士を探しにレッドリボン軍の兵士が二人やってきたので成層圏まで投げてやった。

 

にしてもマッスルタワーを見ていて思うんだが、正直こういかにもな建物を前にしているとまるごと吹き飛ばしてやりたくなる。焼却、といった具合に。まあ中には善良な人造人間8号がいるはずなのでそれもできないのだが。

 

マッスルタワーに入った。三階までは大したことはない。三階からも大したことはないが。

 

適当に兵士を尻尾で薙ぎ払いつつ、三階に到着。

 

メタリック軍曹と対峙。こいつも人造人間なんだろうか?そもそもでかいだけで技術もないし、パワーですら大したことはない。尻尾を振って発生させた衝撃波で壁ごと上半身を消し飛ばして終わりだ。

 

ムラサキ曹長と遭遇。分身の術とか言いつつ五人いるだけという、能力的にも技術的にも就職先を間違えたとしか思えない。殺す気にもならないので睨んで黙らせた。

 

次の迷路は壁を壊しながら進んだのでそもそも迷路の体を為していない。

 

人造人間8号と出会う。俺が大人ということもあり一応戦おうとするが「戦いたくないのだろう?」という問いに素直に答え、説得に応じてあっさり戦闘中止。

 

そのまま頂上へ向かうこともできたが、せっかくなので五階のブヨンを退治することにする。どうせだから原作通りに氷付けにして砕いてやろうと冷凍気功波を放つつもりだったのだが、様子見についジャブを放ったら粉々に砕け飛んでしまった。南無。

 

その後は頂上でホワイト将軍がやかましかった。だがまあ考えたら俺が無視しているにも関わらずひたすらに喋っていたしな。なので丁寧にマッスルタワーごとレッドリボン軍の基地まで投げてお届けしてやった。当然だがウーロンのときのようにバリアは貼っていない。あ、ムラサキ曹長たちそのままだった。

 

一度ジングル村に寄ると、スノが泣きながら抱きついてきた。どうやら心配させてしまったらしい。レッドリボン軍の部隊を壊滅させたこと、これから本拠地を潰しにいくことを告げるとひどく驚かれた。

 

ちなみに名前をハッチャンと改めた(試しに呼んでみたらえらく喜んでくれたので定着した)人造人間8号はレッドリボン軍の残党がいるかもしれないといって村に残ることになった。ドラゴンボールもハッチャンから貰った。完全についでだったな。

 

スノには、5年後来るつもりなら彼と一緒に来るように言っておいた。

 

さて、さっさとレッドリボン軍を潰すぞ。巻いていこう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

お次は聖地カリンへとやってきた。

 

ボラとウパが歓迎してくれた。彼らとはガーリックJr.の事件以後知り合っており、ボラとは数回だが組手をしたこともある。

 

ドラゴンボールを探しに来たことを伝えると、近くの村をレッドリボン軍が襲っていたのだが、すでにボラが撃退していたらしい。ドラゴンボールも彼が持っていたので預かると、念のためピッコロ神にレッドリボン軍に雇われた殺し屋が来たら彼らを守ってもらえるように伝えておいた。

 

さ、次だ次だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

お次のドラゴンボールはカメハウスだった。カメが持っていたのでどうしたのか聞いてみると、なんでもこの間深海ピクニックに行った際にお土産として拾ってきたらしい。

 

話している最中にブルー将軍が手下を引き連れ現れたが、手刀で潜水艦を海ごと真っ二つに切り裂いてやると素直に帰ってくれた。皆殺しにしてもよかったんだが、相手をするのがめんどうだったんでな。

 

ドラゴンボールは贈答品用の高級昆布と引き換えにカメが快く譲ってくれた。亀仙人はまだ帰っていないようだったので、また今度挨拶に来るとカメに伝えてその場を去った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

レッドリボン軍が持っている以外のドラゴンボールをすべて集めることができたので、やつらの本部に乗り込んでやることにした。

 

着いてみれば俺が投げたマッスルタワーの残骸があちこちに散らばっており、大混乱している様が見てとれる。

 

ふと見れば、あのムラサキ曹長らが逃げ出している。よく全員生きていたな。…ああ、なるほど。ブヨンの残骸をクッションに使ったのか。

 

俺はせっかくなので彼らが逃げ出すのを見送ると、無造作に手近な戦車の砲塔を掴んだ。唖然とする兵士を横目に、無造作に“それ”を振り回しはじめる。

 

パニックが起きた。当然だが、戦車が当たればただでは済まない。すでに何人もの兵士が潰れたザクロのようにひしゃげて弾け飛んでいる。

 

さらにおまけとばかりに、転がっていた砲弾をあちこちに投げ込めば基地は連鎖爆発を起こしてどんどん破壊されていく。

 

ここに至ってもはや士気は完全は崩壊。一般の兵士達は思い思いの方向へ逃げ散っていった。

 

人気がほとんど無くなったところで戦車を捨て、唯一被害を与えなかった本部施設に侵入する。もちろんドアには鍵がかかっていたが、問題なく捻切った。

 

ドラゴンボールを探していくつか部屋を物色していると、不意に金庫の中身を漁っている薄紫色をしたショートヘアの女軍人に出会った。

 

逃げようとしたので思わず捕まえたが、なんだかやたら反抗的な目をしている。

 

例のごとく気を物質化させて作ったロープで近くの椅子に拘束すると、思わず強調する形になってしまった胸から視線が離れなくなる。

 

ふと、昨日からのムラムラがピークに達していることを自覚する。

 

さっぱりとした服装からは体のラインが一見して分かるわけではないものの、逆にそれが想像力を掻き立てて興奮する。

 

まずい、今勃起したら抑えられる気がしない。そうだ、ちょうどいいから他にレッドリボン軍の拠点がないか尋問することにしよう!

 

しかし俺が口を開く前に彼女は禁断の言葉を口にした。

 

「くっ、殺せっ!」

 

なるほど、命はいらないと。

 

だったらーーー

 

ーーー別に、犯してしまっても構わんのだろう?

 

我慢していたものが臨界を迎えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あふっ、はあっ、ひ、ひきょう、ものっ、こんな、ああんっ、手段で、あたしがしゃべると、くひぃっ、思ってるのぉおんっ!?」

 

これで三本目。指を挿入した彼女のアソコを見つめながら、俺は自分でも興奮が抑えられなくなっているのを自覚する。

 

さきほどの台詞を聞くなり俺はショートヘアの美女、バイオレット大佐のズボンを下着ごと引き裂き、座っている部分を真ん中だけ一部えぐりとって即席のスケベイスを作り出した。

 

俺のズボンはパンツごと気合いで吹っ飛んでしまった。

 

そのまま彼女のアソコを蕩けるまでいじっているのだが、欲求不満だったのか台詞とは裏腹にすさまじい乱れようである。目線も剥き出しになっている勃起した逸物へとひたすらに注がれている。

 

一応ついでに他のレッドリボン軍拠点を聞いているのだが、なかなか白状しようとしない。言えば責めてもらえなくなるとでも思っているのだろうか。

 

その相反した様子があまりに可愛いので、俺は早々にロープを消すとホイポイカプセルからマットを取りだし部屋の中央に敷く。床に寝かせたのでは体を痛めてしまうからな。一瞬唖然としながらも腰くだけになっている彼女をその場に寝かせ、一息にアソコへむしゃぶりついた。

 

「ひゃっ!?っぁああうっ、そこっ、ああ、だめえっ!」

 

舌で淫核、クリトリスをフェラチオするようにすすりあげてやれば俺の頭を押さえつけて乱れる。俺は突然押さえられたことに内心ニヤつきが止まらないながら、それを続ける。

 

しばらく舌と唇、ついでに歯で彼女のアソコを丹念に味わい尽くすと、中断して彼女の眼前まで顔を近づける。

 

「どうした、俺の脅しなんかには屈しないんじゃないのか」

 

逸物を彼女のアソコへ当てながら、挿れることなく焦らす。腹筋だけで逸物を動かしトロトロになったアソコを擦ってやると、かわいい悲鳴が上がる。

 

「きゃあっ!ああっ、そんなっ、くっ、だめえ、切ない、切ないのよっ、ああっっぐうう!!」

 

もっと焦らしてやろうかと思ったが、彼女にはそれほど余裕がないらしい。

 

それにしても短時間でよく乱れるものだ。欲求不満もあったのだろうが…しまった、感度上昇をマイと同じ加減でやっていた。そりゃあ前後不覚に陥るはずだ。むしろ欲求不満にこんな出力でやってしまっていて後遺症にならないだろうか。ふと心配になる。

 

しかしそんな逡巡する俺にバイオレットは突然キスをしてきた。

 

「お、おねがいよぉ、もう逆らわないから、はやく、してぇ…!」

 

涙を流しながら懇願してくるバイオレットに俺はさらに興奮し、思わず挿入してしまう。

 

「~~~あああああっ!!入ってきた、イク、イクのぉ~~~っっ!」

 

挿入した途端イったバイオレットだが、もはや俺も止まらん。

 

グチョグチョと粘度が高い水音を立てながら、激しくバイオレットを抱く。

 

「おおおっ!?こんな、こんなセックスはじめてっ!ああ、オマンコ飛んじゃう、頭変になっちゃう~!」

 

「変になれっ!なっちまえ!おまえの中にマーキングしてやるっ!おまえは俺のモノだ!」

 

バイオレットのアソコを貫く逸物が一突き事に固く太くなり、限界が近いことを知らせる。

 

「まず一発目だっ!濃いのイクぞっ、ぐああっ!」

 

「ああ、イク、イっちゃうの!あう、うそぉ、なかに出されてるのわかる、すごい、お腹服従しちゃう~~!」

 

「ふぅ、悪いがまだ萎えないんでな。このまましばらくヤらせてもらうぞ」

 

いまだドクドクと逸物が射精しているのがわかるが、俺の逸物はまるで萎える様子がない。

 

「…あふ、好きにしてぇ…!」

 

よだれを垂らし満足げなバイオレットを抱えると、そのまま彼女を上下に揺すりながら俺は部屋をあとにした。

 

あ、一応バイオレットが集めた金はカプセルにしまっておくか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お前たちがレッドリボン軍の親玉か」

 

偉そうに高い位置のデスクでふんぞり返るレッドリボン軍総帥のレッド総帥と、その横にいるブラック補佐を睨み付ける。

 

「な、なななななっ!」

 

「お、おままま、おまえ!」

 

「歩く振動でイクっ、あうっ!きゃんっ、びくんびくん動いてる、あひゅ、また出してるぅ…♪」

 

ちなみに絶賛セックス継続中である。ズボンは吹き飛んでしまったので、いま俺は全裸(毛皮はあるが)、バイオレットは尻丸出しである。

 

「返事がないが、どうやらそうらしいな。さっさとドラゴンボールを出せ。自分から警察に行くなら殺さないでおいてやる」

 

まるで悪役の台詞だな。だが仕方ない。こんなおっさんども、さっさと始末して俺はお土産(チチ&バイオレット)を持って家に帰るのだ。

 

「こ、この変態があっ!」

 

レッド総帥が銃をこちらへ向けてきた。よし、敵対だな。死ね。

 

視線に気合いをこめてレッド総帥を見つめると呆気なく全身が弾けとんだ。

 

ブラック補佐が隣でカタカタ震えていたので「おまえはどうする?」と聞くと失禁及び脱糞しながら平伏してきたのでさっさとドラゴンボールを出せと脅す。

 

場所だけ教わると、汚いのでドラゴンボールに触らないように命令して、金庫を尻尾で器用に開けると残りのドラゴンボールを回収する。

 

ふう、とりあえずこれで終わりだな。

 

俺はレッドリボン軍本拠地の上空へと浮かび上がると、さきほどの視線による気合い砲で整地するかのごとく基地をすべて押し潰す。情けをかけたところで誰の為にもならん。

 

「ああ、あたし空飛んでる…気持ちよすぎて、もう、ダメ…」

 

ちょうどバイオレットが失禁しながら気絶した。やや喋りすぎてうるさく感じたものの、こういうのもありだなとは思う。あれだな、洋モノのAVに近いというか。

 

さて、あと2発ほど出したらチチのところへイクとするか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さらにあれから一晩開けて、ベッドの上でバイオレットは目を覚ました。2発で終わらなくてすまんな。

 

いま俺たちはパオズ山まで百キロ程度の距離にいる。ベッドは家を作ってから別で買い直したカプセルハウスのモノだ。

 

思わずといった様子で起き上がって全身を確認するバイオレットの姿がかわいくてしょうがない。一応気絶している間に身綺麗にしておいたが、キスマークは落ちないからな。

 

「わ、わたしはなんてことを…!」

 

自らの痴態を思い出したか、バイオレットが悶絶する。

 

「安心しろ、目撃者は物理的に消えたからな」

 

後ろからバイオレットに抱きつき、乳首をこねながら答える。

 

「きゃんっ!お、おまえは!?…そうだ、私はおまえに、屈服したのだな…んふぅ」

 

シリアスな雰囲気を作りたいのだろうが、乳首をこねながらではまともに反応できまい。

 

「そういうことだ。無理矢理襲ったことに関しては謝るが、俺とのセックスは気持ちよかっただろう?」

 

「あふ、あ、そんなこと、ないっ!」

 

乳首だけですでにパンツがビショビショになっている状態では説得力などないのだがな。

 

「そうか。お前はもう俺のモノだ。手放すつもりなどないから、覚悟しておけ」

 

そう言ってバイオレットの濡れた下着をズラし、逸物を挿し入れる。

 

「うああっ、かはあっ…!えぅ、いったい、どれだけすれば気が済むんだっ、はぁ、はあぅ」

 

「安心しろ、気絶はさせるができるだけ無理はさせない。どれだけすればという質問だが、お前は呼吸の回数をわざわざ数えるのか?俺にとってまぐわうとはそういうことだ」

 

「やっ、だめ、そこ、子宮だから、赤ちゃんの部屋よ、突いたらだめ、だめなのお…!」

 

「…聞こえてないか。そのうちここでもしっかりセックスできるようにしてやるよ」

 

「イッてる、あたし、イキっぱなしになってるっ、あ、あ、あ、ひぐぅ…!」

 

ぷしゅっと軽く潮を吹くバイオレット。

 

…少し牛魔王の元へ向かうのが遅れそうだな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そこからさらに翌日。

 

なんだかんだ数日抱きっぱなしだったバイオレットには無理をさせてしまったので、彼女をカプセルハウスで休ませひとり牛魔王のもとに訪れた。

 

「悟空さま~~!」

 

ノックしようと扉に近づく前に飛び出してきたチチに抱きつかれた。

 

ふわりと、花のような蜜のような香りが鼻腔をくすぐる。

 

以前より背が伸びたかもしれない。少し痩せたように感じるが、引き締まった肉付きは健康的な印象を与えてくれる。

 

やや涙ぐみながら抱きつく彼女の姿からは幼さを感じるが、そんな彼女が自分のものだという自覚からは、咲きかけの蕾を手折るかのような背徳感が、寒気にも似た快感を走らせる。

 

バイオレットを相手に、散々出し尽くしたはずの情動が、ムクリと鎌首を持ち上げるのを感じた。

 

「悟空さま、オラずっと待ってただよ」

 

けなげにそう告げてくるチチを相手に、このまま押し倒してしまいたい衝動をこらえる。

 

無防備に俺へ抱きつくチチの服装はすでに原作天下一武道会に参加したときの格好だ。青いチャイナドレスの下に履いたズボンを引き剥がして、細い脚線美を存分にねぶりたい。

 

「ああ、俺もだ。ずっとチチに会いたかった」

 

抱き締めたチチのニオイを改めて吸い込む。彼女のニオイを嗅ぐだけでいきり立ちそうになるが、今はこらえる。

 

そうして抱き合っている内に、家の中から牛魔王が出てきた。どうやら待たせてしまったようだ。

 

再会の挨拶もそこそこに、今夜泊まっていってくれと頼まれる。チチも腕にしがみついているし、ことわるつもりもない。

 

晩餐は牛魔王が仕留めた恐竜肉のステーキだった。ボリュームがあり、サイヤ人の俺でも満足できる量を提供してくれたので久しぶりに満腹感を味わえる食事となった。

 

その晩。

 

俺とチチは俺が出したカプセルハウスのベッドの上で向かい合っていた。

 

その前にバイオレットのことを迎えに行ったのだが、いつのまにか彼女は姿を消していた。探しに行こうとしたのだが、彼女からの置き手紙で『過去を清算してくる』とあったので、彼女を信じて待つつもりだ。

 

改めて、裸身となったチチの姿を見る。

 

うっすら膨らみはじめた乳房、その上に乗る桜色の乳首、上気した体温につられて赤くなる肌、そのすべてが愛おしい。

 

「…んっ」

 

柔らかく唇を重ね、緊張にふるえる体を捕らえるように抱き締める。

 

無言で抱き返され、しばらくは甘いキスの音だけが部屋に響く。

 

「…はっ、ごくう、さ、ま」

 

キスで何度もイカせたことで息も絶え絶えなチチが、俺の顔を見上げながら懇願するようにささやく。

 

俺は無言で優しくチチをベッドに寝かせると、おもむろに両足を開いて股間を味わいはじめた。

 

「んひっ…!?ごく、ごくうさま、おら、恥ずかしい…!」

 

必死で両足を閉じようとするチチだが、俺はそれを許さない。

 

大陰唇から小陰唇にかけて丹念に舌を這わせ、舌でチチの性感体を蹂躙する。

 

「やぁっ…!ひくっ、んひっ、あぅ、はあっ、はあっ、はあっ…!」

 

一舐めごとに大きく震える足を撫でながら、時折舌の動きに緩急をつけたり、場所を変えたりして反応を楽しむ。

 

もちろん尻もなめる。事前に言っておいたので過剰なほどに清められた尻の穴にいきなり舌を突きいれてやった。

 

すごい悲鳴だったが、気にせずほじりまくる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三時間ほどいじり尽くしただろうか。

 

すでに潮を通り越して尿を吹いたチチだったが、それすら俺に飲用されたので羞恥心が振りきれて気絶してしまった。気絶した理由はそれだけではなさそうだが。

 

俺は逸物を気絶したチチの尻の穴にあてがうと、ゆっくりと埋めていく。

 

初体験でのアナルセックスがくせになったのか、あれからチチは暇さえあればアナニーをしていたようなのだ。それに加えて、これだけほぐせば俺の逸物が入るのも納得というわけである。

 

ズブ、ズブ、ズブ

 

チチ本人の秘所から漏れる潤滑油と合わせて尻の穴にどんどん俺の逸物が入っていく。

 

「…あっ!?へっ、やっ、きゃああっうっくっ!!」

 

子宮の裏をごりごりと擦った衝撃で目を覚ましたチチは、驚きからキュウキュウと尻の穴を絞めるが逆にそれが刺激となって俺の逸物を太く固くしてしまう。

 

限界まで広がった尻の穴はそれでもなお柔らかく俺の逸物を包み込む、ぐにゅぐにゅと刺激してくる。

 

その感触に意識をもっていかれそうになりながら、俺は優しく注挿をはじめる。

 

「はあっ…っ!ごくう、さま、おら、きもち、いいだか…?」

 

「…ああっ、もちろんだっ、正直、我慢しすぎて頭が沸きそうだよっ…!」

 

「おらは、ええだよ。ごくうさまに、こわされるなら、ほんもうだ…!」

 

「ば、ばかやろうっ!そんなこと言ったら…!ぐうっ…!」

 

自分よりも俺を気遣い、俺が本気で動くことをうながしてくるチチ。その献身に、思わず感極まって射精してしまった。

 

たしかに思いきり動きたいのはあるが、セックスはあくまで相手があってのものだ。別にチチを壊してまでしたいとは思わない。だがここでただ断ろうにもチチを傷つける気がする。

 

俺はひとつ覚悟を決める。

 

「…チチ。尻の穴じゃない、おまえのココでしたい。お前と本気でセックスがしたいんだ…!」

 

俺は動きを止めることなくチチを翻弄しながら、指の二、三本ならするりと入るほどに蕩けた秘所を弄くる。

 

「ええだよ、ごくうさまの好きにしてええだ。オラのこと、全部ごくうさまのものにしちまってかまわねえべ…!」

 

「わかった…!」

 

俺は逸物をズルリと尻の穴から引きずり出すと、ウェットティッシュで簡単にぬぐい、ローションを満遍なくぬりたくってチチのアソコにあてがう。

 

「…俺は痛くせずに処女を奪ってやることができる。だが、今回それはやらない。痛みと一緒に、全霊で俺を感じとれ…!」

 

俺は多少サイズを調整した逸物を、一息にチチの膣内へと挿入する。

 

「うっ!!っぐう、あああっ!!」

 

膜を破られたことによる激痛が、チチを襲っている。俺はうごかないが、脂汗を流しながらもチチはその痛みを耐える。

 

「…チチ、動くぞ…!」

 

それほど激しくするでもなく、逸物全体に回復の気をこめてゆっくりと出血した箇所を癒しながら注挿していく。

 

そのおかげもあって痛みを和らげたチチは、いつのまにか指を二本入れられた尻の穴に気づく。

 

「ひゃあっ、あっ、あっ、だめだべ、ごくうさま、りょうほうは、いっぺんにはしちゃだめだべ…!!」

 

台詞とは裏腹にチチは恍惚とした表情で顔をとろけさせる。

 

…そういうことなら。

 

ズブリ

 

聞き慣れた音を立ててチチの尻へ俺の尻尾が深々と突き挿さった。

 

「っっか、かは、あっくぅ…!!」

 

驚愕に見開いた瞳を眺めて俺はにんまりと口の端を持ち上げる。

 

「~~~~!?~~~っ!~~~?!!」

 

声にならない悲鳴を上げながら、チチは上下前後に揺すられ止まらない連続の絶頂を迎える。

 

何度も俺の腰がチチの尻たぶを叩きつけ、それに応えるかのようにチチは乱れ狂う。

 

常人なら正気を失いかねないほどの快感を得ながらもチチは懸命に俺に応えようと中にある俺の逸物と尻尾をきゅうきゅうと締め上げる。

 

「ああっ~~~~!ごくうさま、ごくうさま~~っ!!」

 

幾度とない注挿で限界を迎えていた俺は、そのかわいい悲鳴に耐えることができず、チチの中へと射精するのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ぞいじゃあ悟空さん。チチのこと、よろしくおねがいじまず…!」

 

瞳に涙を浮かべて牛魔王が俺の手を握ってくる。

 

あれを最後にそれほど夜更かしせずに眠れたので、チチは前回とは違い起きている。

 

今は荷物をまとめて俺のカプセルハウスにしまっている最中だ。

 

娘が家をでることで牛魔王は安心感と寂しさがないまぜになった複雑な顔をしていたが、いざ俺に頼む段階になると感極まって泣き出してしまった。

 

巨人といってもいい牛魔王が泣くと、なぐさめる以前に迫力が凄まじい。

 

「まあ牛魔王さん、チチも定期的に会いに行くと言っているんですし、なんなら西の都で一緒に住んだっていいんですよ」

 

「そうは言うだども、ここはおっかあが死んだ墓も近くにあるだで。ひとりにするのは可哀想だべ。ええんだ、今生の別れってわけじゃねえ。それにオラが不安そうにしていると、チチも不安にさせちまうからな」

 

様々な感情があるのだろうが、牛魔王はそれらを飲み込んで俺とチチの門出を祝ってくれた。これに報いるためにも、早めに孫の顔を見せてやらないとな。

 

そうチチに耳打ちすると、チチは顔を真っ赤にしながらもまんざらではない様子で俺の手を握るのだった。

 

 




トリコの次郎が好きです(´・ω・`)

次回はスラッグかなあ。その前に出産シーン書かなきゃ


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弟子入りと誕生

以前感想で言っていたことと違うじゃないか!と思われることがここから増えてくるかもしれません。

一応自覚しているのですが、こっちの方が面白いんじゃないか?と考えた結果ですので生暖かく見守ってください( ̄▽ ̄;)

具体的にはチチのキャラですかね。単なる甘えん坊のロリと化しています(苦笑)


***side ???***

 

…なんだ。

 

…いったいあれはなんなのだ。

 

わたしの作った数々の兵器をものともせず、あまつさえメタリック軍曹などはやつの尻尾を振った衝撃波で消し飛ばされる始末。

 

おまけに人造人間8号を軽く上回るパワーだと…?

 

…わたしが手塩にかけて育ててきたレッドリボン軍を壊滅させてくれたのは実に恨めしいが、それ以上にあの男の強さが気になる。

 

あれは、いやあれこそが、わたしが求める究極の人造人間、究極の戦闘生物の雛形として相応しい。

 

可能ならば思う存分に解剖してやりたいところだが、あやつを改造しようにも手持ちのコマではどうにもならんな。

 

…ふむ。まずはやつの体細胞を採取するとしよう。基地の兵士を犯していたから体液の採取には困らんだろう。

 

あとは、できれば新鮮な体組織が欲しいな。指一本あればクローンを作るのにも十分なサンプルとなるが。

 

それこそ、猫の首に鈴をかけるネズミのごとしだな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ふふふ、ふはは!僥倖とはこのことか!

 

武道家らが集う天下一武道会にヤツが参加していたと聞き、スパイメカを派遣してみればとんでもない拾い物をした。いずれ小型のモノを作るつもりではあったが、今回はまさに僥倖であったわ!

 

ヤツの血の一滴でもと思ったが、まさか文字通り指が三本も手に入るとはな。

 

これだけあればヤツのクローンでさえ作ることができるが…それでは面白味がないな。

 

なにより驚くべきことに、切り離されて数日は経過しているにも関わらずこの指は生きている。恐らく本人に簡単な縫合手術を施せば、数日で問題なく動かせるようになるだろう。

 

…そうだ、この細胞を今研究している有機組織ベースの人造人間に使えばいい。

 

わたしが今研究している永久エネルギー炉と合わされば、究極の人造人間をも上回る空前絶後の戦闘兵器が作り出せるぞ!

 

そして、いくつもの生物の優れた部分を組み合わせた究極の人造人間『セル』。あれの完成も、これがあれば早めることができるかもしれん。

 

惜しむらくは、すべてにおいてまだまだ時間がかかることだな。わたしの体もそう長く生きていられるわけではない。年齢から来る衰えもあるからな。

 

いざとなればこの身を人造人間へと改造することも考えるか。

 

くく、それもまたいいだろう。無敵の人造人間達を従えて今度こそ世界を征服してくれる。

 

 

***side out***

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side 悟空***

 

なんか俺のいない内に天下一弟子入り大会が終了したらしい。

 

まあ当然か。レッドリボン軍()をぶっ潰している間はともかく、バイオレットやらチチやらと乳くりあってたせいでそれなりに時間を費やしたことだしな。

 

にしても帰っていきなりマイに押し倒されるとは思わなかった。考えてみればいざこれからヤりまくるぞってタイミングでドラゴンボールの回収だったしな。

 

あ、ちなみにドラゴンボールはさっさとピッコロ神にぶん投げてきた。全身にくまなく当たってめりこんでいたが、ボールは壊れていないし問題はないだろう。ミスターポポが慌てていた気がする。

 

そういえばドラゴンボールの大きさと色が変わっていたな。いや具体的にどうと言われると困るが、サイズが一回りほど大きくなっていたし、中の星の色も黒くなっていたな。

 

「あ…あ…」

 

「はぅ…あぅ…」

 

そして目の前にはピンク色の性器を大股開きに晒す二人がテーブルの上下に倒れている。

 

なにがあったかを振り返ろう。

出迎えるなりいつもの軍服姿で出迎えたマイはリビングでいきなり俺のズボンを引きずり下ろすと、自身の肉欲優先とばかりに逸物をしゃぶり舐めはじめたのだ。

 

随分我慢させてしまったのだなぁ、と途中からイラマチオに移行してマイの喉奥をごりごり抉っていると、視線を感じて振り向けばそこにはチチの姿が。

 

リビングにあるテーブル横でマイの口を犯していたので俺はチチを手招きすると、彼女をテーブルの上に横たわらせる。チチの存在に気づいたマイだったが、そのまま尻尾で顔を固定してイラマチオを繰り返す。

 

一度射精した精液を飲み込んだことでイッたマイの口を休む間を与えず犯し続けながら、チチの幼い性器を丹念に味わっていく。ついばむようなキス、膣の入り口浅瀬まで舌をねじ込んだディープキス、複数のキスを交互に繰り返してチチの性器をとろかせる。

そうした行為を一時間ほど繰り返して目の前の光景が出来上がったのであった。

 

もちろん、何回彼女達がイッたからといってここで終わりなはずがない。俺の逸物は数度の射精を繰り返しながらもまるで萎えずにそそり立っている。

 

とはいえ普通に犯すのもワンパターンだな。よし、少し工夫してみるか。

 

まずイラマチオで股間を散々に濡らしたマイは、尻尾で犯してやることにした。尻尾の長さを伸ばせるだけ伸ばし、彼女の全身を絡めとる。

 

巻き付かれた尻尾のせいで彼女のボディラインが浮かび上がり、口を犯され続けたことで上気した表情と相まってとても扇情的だ。そうして結果的に触手プレイの様相と化したマイの性器へ、容赦なく尻尾を挿し入れた。

 

「ぐふぅ…!うああああああ、んんんんっっ!」

 

不意打ち気味に挿入された尻尾に身悶えするマイだが、俺は彼女が抵抗した分だけ感度増幅の気を送ることでその抵抗を徐々に弱めていく。

 

ちなみにだが尻尾はしっかり性感帯になる。武器として振るう場合もあるが、あれは感覚を麻痺させたうえに気で強化しているので成り立つ。とはいえ逸物とは違う部分も多いので、これだけでイくことはない。

 

そしてマイを翻弄する傍らで、俺はチチの未だ慣れない未熟な性器へ逸物を挿入していく。

 

「…くひっ!きゃう、う、あ、あ、あ、あっ!」

 

少しずつ入れることでチチの声が断続的に響く。

 

まだ性行に慣れない彼女の性器を一息で貫くことは負担にしかならないので、こうしてゆっくり挿入するのだが、幼いながらに女になったチチの表情は見ているだけで射精してしまいそうなほどにイヤらしく歪んでいる。

 

「あがっ、尻尾が、お腹、ごりごりじて、いぎゅう…っ!」

 

さっそくマイがイッた。どうやら尻尾は子宮ごと遠慮なく犯していたらしい。逸物と違って長さに制限がないから子宮壁まで叩いていたみたいだな。

 

「…ふきゅ、んふっ、悟空さまぁ」

 

チチは比較的浅いところをえぐっていたものの、それでもうっすらと盛り上がる下腹を見ればそこに逸物があるのが見てとれる。

 

…押したらどうなるのだろうか。

 

「…はふ、悟空さま?ひあっ!あ、だめだ、そこは押しちゃだめっっ!!」

 

ほんの好奇心で盛り上がった下腹を押してやったのだが、そこがちょうどチチの性感帯を刺激してしまったらしく、彼女はもがくようにして暴れる。当然だが俺の逸物は入ったままなので、逸物は刺激されてさらに固さと太さを増す結果になる。

 

「はにゃああっ!?おなかのなかで、悟空さまがさらにおっきくなってるべっ…!!」

 

内臓を押し上げる形になってしまったのか息をつまらせるチチだが、俺はどうにか体裁を取り繕うとするチチの姿を崩してやりたくなり、さきほどよりもしっかりと手を下腹の膨らみにのせる。

 

「ご、悟空さま…!それは、ほんとうにやめてほしいだ…!おら、あたまがおかしくなっちまうだよ…!」

 

「そうか、ではたっぷり乱れてくれ」

 

「え…?おぎゅうううっっ!!!」

 

下腹を本来の位置に戻す強さで押しながら、俺はチチを壊さない程度の激しさで注挿し始める。

 

子宮口をノックし、膣のなかがすべて俺の逸物で埋め尽くされるなか、外から膣の弱い部分を刺激され続けるチチの表情は尻尾に犯され続けるマイに劣らないほどにとろけている。

 

「も、もうらめ、尻尾の味覚えちゃう、尻尾の毛でごしごしされてイクの覚えちゃう…!!」

 

「おらのおなかが、ごくうさまの形にされちまう…!ごくうさま、ごくうさまーっ!」

 

一際高い興奮が近づき、二人は同時に絶頂を迎える。

 

「ああああっっ、イク、イクのぉぉっ!!」

 

「飛んじまう、あたままっしろになっちまうーっ!!」

 

潮を吹きながら同時に達した二人へ、マイにはひときわ強い感度増幅の気を送り込み、チチには感度増幅と回復の気を混ぜながら、俺は射精した。

 

30秒は続いた長い射精によってチチのお腹はわずかに膨らみ、まるで妊婦のようになっている。

 

マイは全身を濡らし、尻尾によって散々えぐられた膣穴はぱっくりと開いてしまっている。

 

チチは少し休ませることにして、次はマイを味わうことにしよう。

 

「ふんぐっ!?かはっ、ご主人様、あ、ご主人様のが入ってきまし、たっ…♪」

 

俺は尻尾を“ある程度”もとの長さに戻すと、マイを持ち上げいわゆる駅弁スタイルで彼女の膣へと逸物を挿入する。

 

そして、無防備な尻の穴へと尻尾を突き挿した。

 

「ひきゃあああっ!!お、おしり、おしりのあながああっ!」

 

深々と尻の穴に尻尾を挿されたマイは、きれいにまとまった黒髪を見る影もないほどに振り乱しながら絶叫する。

 

「文字通り穴が埋まるほどに出してやるよ…!」

 

そう耳元にささやく俺に対して、すでに言葉を話せないほどに消耗したマイは膣を締め付けることで了承の返事をするのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

で、例のごとく目の前には今やり過ぎて気絶しているマイとチチがいる。

 

あえぐ二人に気をよくした俺は、そのまま気が済むまでーーー具体的には8時間ほどーーー交代で抱いていたのだが、さすがにやり過ぎたのか今は二人とも痙攣しながら気絶してしまった。

 

だがおかげで大分腰が軽くなった。まあブルマやランチを妊娠させたときはこんなものじゃなかったのだから、孕ませようと思えばもっと抱く必要があるのだろうが。

 

とりあえずは二人とも疲れているようだし、後戯をしながら汚れを落としてやるとするかね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれから結局体をきれいにしつつ、マイに3回、チチに4回してしまった。マイはポルチオセックスだったので、運がよければ孕むかもしれない。

 

さて、そんな風に女達へ思いを馳せる俺の前には俺の弟子として厳しい戦いを勝ち抜けてきた三人が正座している。

 

左から順に、ナム、ギラン、チャパ王だ。

 

…見事なくらいにZの面子がいねえな。ひょっとしたらヤムチャが紛れてるんじゃないかと思ったが、そんなことはなかったぜ。

 

「まあ、とりあえずそんなに畏まらなくていいぞ。特にチャパ王、あんただって大会優勝者だろうに」

 

そう言うと正座して顔を伏せていたチャパ王は厳かに顔を上げる。

 

「…いえ、わたしはこれまで自分を達人だと偽り驕り高ぶってきました。あのとき師匠と武天老師様の武を観るに辺り、目を覚まさせていただいた次第です。どうぞ、如何様にも申し付けていただいて構いませぬ。是非とも私にご教授してくださいませ…!」

 

引くぐらい尊敬されてしまっているようだ。まあその熱意は買おう。俺の弟子になることを選んだ以上、文字通り死んでも強くなるしかないのだから。

 

俺が内心でそう思っていると、背筋をぶるりと震わせたチャパ王が不思議そうに首を傾げていた。

 

「悟空さんよ、俺も弟子入りに名をあげさせてもらってこうしてこの場に来させてもらったわけだが、俺は別にあんたを認めたわけじゃないんだぜ」

 

その言葉に横に並んだチャパ王とナムから殺気が飛ぶが、ギランは素知らぬ顔だ。ほう、胆力はそれなりにあるみたいだな。

 

「みたいだな。だがせっかくここまで来たんだ、お前もそれなりに強いんだろうし、せっかくだからもっと上を目指してみちゃどうだ?」

 

「もっと上だあ?俺は今でも最強だぜ!あんたも面白い冗談を言うんだな!」

 

いきり立ったギランが立ち上がり、チャパ王が制止に入ろうとするが、俺はそれを手で制して自分が立ち上がる。どうやら天下一弟子入り大会ではギランが優勝したらしい。それも余裕を残しての勝利だったので、自分は誰よりも強いとうぬぼれてしまったのだろう。

 

「そうだな、それじゃあこうしよう。俺と腕相撲して、勝ったら帰ってもいい。賞金として1億ゼニーつけよう、どうだ?」

 

「はっはっは、1億ゼニーだと!そんな大金、出せるもんなら「ほらよ」出して…み、ろ」

 

俺が腰のポーチから出したホイポイカプセルには今も財宝が詰まっている。今回もそれを適当に出したんだが、それを目にした三人が目を見開いて固まっている。

 

「細かいところまではわからんが、大体1億ゼニーだ。ああ、ちなみにこれは俺個人が手に入れた金だから、カプセルコーポレーションから盗んだとか言われることはないぞ、安心したか?」

 

「するかっ!?く、くそっ、ほんとに俺が勝ったらこの財宝はもらっていいんだな!!」

 

目を血走らせつっこんでくるギラン。財宝を見て気が引けているんだろうが、手が震えてるぞ。

 

そのままチャパ王が用意してくれた机に手を起き、俺とギランは手を組み合って向かい合う。

 

「おう、もちろんだ。ほれ、お前の好きなタイミングではじめていいぞ」

 

「な、舐めやがってえぇっ!その腕へし折ってやるっっ!」

 

そう言って全力で腕を倒そうとしてくるギラン。だが俺の手はびくともしない。

 

「どうした。せめて1ミリぐらい動かしてみろよ」

 

煽ってみるが憤怒の形相で力をこめるギランに言葉が届いているか、返事がないのでわからない。

 

なのでひとつ、徐々に力を入れていってみる。

 

「ぐぎぎ…!ぐ、がああっ!」

 

叫ぶギランだが腕は徐々に押し込まれていく。無理に力を入れているので、このままやり続ければいずれギランの腕が折れるだろう。

 

次第に泡を吹きはじめた彼を見てナムが止めようとするが、俺がそれを許さない。

 

ゴグッ

 

鈍い音を立ててギランの腕が折れた。

 

ギランはうつむいて震えているが、悲鳴だけはあげていない。こんなに根性があるやつだったっけか、と疑問に思いながら、俺はギランを無理矢理立ち上がらせ向き直る。

 

「どうだ、自慢の怪力で負けた気分は」

 

「…」

 

「最悪か、そりゃそうだろうな。ましてや腕まで折られたんだ。俺のことが憎くてしょうがないだろう」

 

言いながら俺は折れたギランの腕を診察する。…ふむ、少しずれているだけで特に問題ないな。さっさと継ぎ治してしまおう。

 

「だがな、お前が負けたのも事実だ。悔しかったら強くしてやるから、何度でもかかってこい。…よし、治ったぞ」

 

「くそっ、言わせておけばふざけんな!折れた腕が一瞬でなお、ってやがる。痛みすらねえ…!どうなってんだ…!?」

 

もはや呆然とした様子のギランだが、単にお前の体が認識するより早くズレた骨を継いで回復の気でくっつけただけだよ。痛みもないならお前さんの回復力が元から高いんだろ。

 

ギランはしばらく放っておくか。そのうち戻ってくるだろ。

 

「さて、それでナム。お前さんはまず村をどうにかするぞ」

 

「いえ、その説は本当にありがとうございました。ですが村へはすでに奥方が配備していただいたジェットフライヤーが、水が満載のホイポイカプセルを届けております。これ以上の厚遇はさすがに私も心苦しく…」

 

「気にするなって、元々俺が勝手に言い出した話なんだからよ」

 

それからナムの村へ行き、唯一の水源だという今は干上がっている川に近づいていくと、徐々にギランの顔色が悪くなっていく。

 

ああ、思い出した。

 

「なあギラン、ちょっと聞くがお前さんの故郷ってどこだ?」

 

「いや、その、ちょっと俺腹の具合が…」

 

「い い か ら 答 え ろ」

 

「あががががっ!やべ、やべでぐれえええっ!」

 

肩をつかんで痛覚を増幅。クルミを握りつぶす程度の力だが、尋常ではない痛みだろう。

 

いったん離してギランの息を整えさせる。

 

「で?」

 

「…ぐ、ぐぅぅ。ちくしょう、なんで俺がこんな目に「ほう」すいませんでした」

 

その場で土下座するギラン。

 

詳細を聞いてみれば、この川の上流にはギランの仲間らが住んでおり、ギランもそこが出身だという。

 

ある日、自らの必殺技であるグルグルガムが如何に強力かをわからせようと、川をせきとめるほどの量を吐いて放置していたらしい。

 

よほど痛覚増幅が堪えたのか、ナムに謝りながら泣いていた。

 

俺からはグルグルガムをどかす際にデコピンで吹っ飛ばすのを見せた上で「次はこうなるからな」と脅しておいた。あれだけ生意気だったギランだが、一連の騒動ですっかり大人しくなってしまったようだ。

 

それから一度西の都に戻ると、ブルマと詳細を詰めてナムの村周辺の水源開発を進めた。

 

会社を巻き込んでの事業となるのでそこは利益が求められるところだが、ブルマが開発中の水力発電機を設置することで新しいエネルギー事業として強引にねじ込んだ。

 

ナムの問題が解決したので次はチャパ王だ。

 

チャパ王には実は弟子がそれなりの人数いたらしく、本人は気にしていなかったものの、ほとんど出奔紛いに出てきたらしいのでそれは不味かろうと、一応弟子入りした旨を伝えるべく一度彼の道場までで赴くことにした。

 

姿を眩ませていたチャパ王が真相を語ると、案の定道場は大混乱に陥った。師範代の何人かは俺をなじってきたが、軽く気を解放してやるとすぐに大人しくなった。

 

とりあえず今後も道場を継続してもらいたいというのがチャパ王の意向だったので、師範代全員及び弟子のなかで腕に自信があるものを集め、試合を行うことにした。

 

そして最終的にはチャパ王自ら道場の代表となった者と戦ってもらい、もっとも実力のある者に道場を任せることになったのであった。

 

とはいえ俺からしてみればドングリの背比べだったのだが、ひとり毛色の違う少年がいた。見ればまだ粗削りで他の師範代にはとても敵わないものの、磨けば光る原石であることが感じとれる。才能だけならばクリリンに匹敵するやも知れない。

 

「チャパ王、あのいい動きをするのはお前の息子か?」

 

「はい、三男のチャプといいます。武の才能においては、私以上のものを秘めていると自負しておりますよ」

 

しまった、親馬鹿のスイッチを押してしまったか。

 

それからひたすら息子自慢が始まり妻の自慢が始まり、しまいには師範代らのそれぞれいいところや直した方がいいところまで語りはじめたものだから、その場にいた弟子達は気恥ずかしさで試合どころではなくなってしまった。

 

最終的には師範代のひとりが勝ち残ったものの、なんだか最初に来たときの殺気だった様子はなくなってしまった。

 

俺は弟子達に必ずチャパ王を強くすることを約束すると、再び西の都へ戻るのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は今、動悸を抑えきれずにいる。

 

ひどい焦燥感から、息切れをしているかのような錯覚を起こしている。

 

目の前で汗をかき、苦しむランチのために手を握ることしかできない。そんな自分が情けなくなってくる。

 

万が一のために仙豆も持ってきた。仙豆を食べることができない赤ん坊のために、この日のために体力回復の技を覚えさせたピッコロ神も連れてきている。

 

ランチが、産気付いたのだ。

 

部屋の外にはそれ以外にもブルマ、マイ、チチの嫁達3人に、ブリーフ博士やパンチーさんまで来てくれている。

 

どれだけの時間が過ぎただろうか。

 

一際息んだランチに呼応するように、赤ん坊が生まれてきた。

 

耳をつんざく甲高い泣き声。しかしそれは生きているという何よりの証であり、同時に自らが生まれてきたのだというすべてに向けての主張でもある。

 

助産師から危なげなく我が子を受け取り抱き止める。

 

「…はぁ、はぁ、はぁ、旦那様…」

 

弱々しく呼吸を繰り返すランチに、おくるみにくるまれた赤ん坊を手渡す。初乳をもらい泣き止んだ我が子を観察していく。

 

生まれた直後にも関わらず歯も髪も生え揃っており、髪の毛は紺色だ。

 

腕にアザのようなものがあるが、ランチがつけている変身制御のブレスレットに似ている。まさかと思うが、遺伝、したのか?

 

「…どうか、なさいましたか…?」

 

「…いや、元気な男の子だ。がんばったな、ランチ」

 

「…はい、ありがとうございます…あの、どうかこの子の名を…」

 

「安心しろ、ちゃんと考えてきた。この子の名はディナーだ」

 

「…ディナー、いい名前。ディナー、生まれてきてくれてありがとう…」

 

弱々しく涙ぐむランチは愛しそうにディナーを抱いている。

 

まあ変身制御の可能性については後だな。今彼女に余計な情報を与えて不安がらせる必要はないだろう。どうせ、なにかをきっかけに変身体質の有無はわかるだろうしな。気長に考えればいい。

 

それにしても、またひとつ戦う理由が、強くなる理由が増えたな。弟子を鍛えがてら、俺もさらに鍛えるとしよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

弟子の育成に関しては、それなりに考えた。

 

サイヤ人のように死ぬ寸前まで追い込んでは仙豆や回復の気で復活させてひたすら鍛える方法もあったが、それはさすがに無理があるだろうと考えたので却下。

 

次に亀仙流の鍛え方である重りをつけた状態での修行各種も考えたが、子供ではないのでこれもそのままではダメだろう。

 

結果として、俺が選択した修行は『適度な運動とうまい飯』だった。

 

「うぎゃああああ~~!」

 

“運動”した後のギランが俺特製の栄養ドリンクを飲んで叫んでいる。

 

「超神水。猛毒に打ち勝つことで己のなかに隠れ持っているパワーを引き出すことができる、と言われてるが実際は単なる毒だ」

 

「ぐおおおお~~!」

 

「そ、それは飲んでも大丈夫なモノなのでしょうか…!?」

 

あまりにのたうち回るギランを見てナムが聞いてくる。というかドン引きしている。

 

チャパ王?さっさと気絶したよ。さっきからうわ言で「父さん、チャパは強くなれましたか…?」とか言ってるが、安心しろ。即死じゃない限り死なせないから。

 

「大丈夫だよ。濃度も百分の一程度には薄めてあるし、ダメージを負った分は俺が直してやるから。お前らの基礎を鍛えるに当たって、まずは内臓から鍛え直してやる。まともにやると何十年とかかるからな。この方法なら三ヶ月もあれば最低限の下地はできてくる。何事もよく食べよく動くことが肝要だが、まずは食べるためにもそれを受け止めるための土台をつくらにゃならんからな」

 

「な、なるほど。では、わたしも逝かせていただきます!ぐぅ…!」

 

「あ、それ原液」

 

「ごふっ、ぐうううあああああああああっ!!」

 

とまあこんな感じで修行は進んでいった。途中ギランがあまりに飲もうとしなくなったので、口にするあらゆる飲み物に超神水をブレンドしてやった。血の涙を流して喜んでいたが、礼を言うにはまだ早いぞ。

 

それと運動の方だが

 

「ほ~れ、よけろよけろ。当たると手足くらいなら吹っ飛ぶぞ~」

 

手加減に手加減を重ねたヘロヘロ気弾がギリギリ避けられる程度の密度で弟子達に降りそそぐ。

 

「無茶苦茶だー!こんな修行があるかー!」

 

「ギラン!叫んでいる暇があればよけろ!師匠は本気だぞ!」

 

「くっ、故郷のみんな!ここで散るわたしを許してくれ…!」

 

上からギラン、チャパ王、ナムの順番だ。今やっているのは危機感を最大限に引き出す修行だ。

 

ちなみに彼らが各々を庇いあえばそれなりになんとかなる修行でもある。とはいえまだ辛いか。たぶんサイバイマン程度なら粉微塵に吹っ飛ぶしな、この気弾。

 

他にも断崖絶壁で俺が不意打ちで繰り出す如意棒(久々に使った)を避ける回避能力を鍛える訓練であるとか、恐竜にまたがる俺に追われて精魂尽き果てるまで走り続ける、スタミナを鍛えるための地獄マラソンとかな。

 

なお運動だけではない。一週間の内3日は勉強の日としている。教師は主に俺だが、ブルマであったりブリーフ博士のときもある。

 

数学や理科、保健体育などが主だ。人体構造の把握は戦いにおいても重要だということはチャパ王が一番よくわかっており、授業の時以外でも質問を受けたりする。ナムは学校に行ったことがなかったらしいので、勉強を教わること自体に新鮮味を感じており、一番無知ながら最も熱心に授業を聞いている。ギランはまあ、言わなくても想像が付くだろう。初回から大イビキかいて眠りはじめたので、首を掴んでの地球一周旅行をプレゼントしてやった。トラウマになったらしく、しばらく飛べなくなってたが。

 

修行は一日の内、八時間前後で行っている。さらに眠る時間も八時間とし、これは絶対に削らせない。いくら俺が回復したところで疲労を溜めては怪我もしやすくなるしな。ちなみにナムは俺が回復してやったとはいえ、初日から夜中ひとりで鍛えだした。そのときは超神水で永眠、もとい安眠してもらった。

 

残りの時間は風呂などを除き、自由時間とさせている。自分の趣味に興じるもよし、休むもよし、修行するもよし、だ。あまりキツい修行なら止めるが、型の確認などならそれほど負担にもならないしな。

 

ちなみに紹介したそれぞれ、チャパ王、ギラン、ナムの順番だ。

 

チャパ王とは元の世界でチェスの原型とも言われたチャトランガをやっている。四人でやることもできるのだが、これが強い。八割は負けてしまう。

 

ギランは大体寝ている。なぜか毎回心底疲れているので、この時間に休む分には放置している。

 

ナムは真面目というか、他の二人にも教えた型稽古について練習していることが多い。繰り返す度に新たな発見をしているようで、疲れていてもその様は満足げだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そうしている内に、あっという間に3ヶ月が過ぎた。

 

今日ブルマが産気付き、今分娩室に入った。子供はエコーで性別がわかっており、気の早いブルマと相談してトランクスと名付ける予定だ。

 

「悟空父さん、ブルマ母さんはほんとうに大丈夫なんですか…!」

 

「そう心配するな。ブルマなら問題ないさ」

 

不安そうに俺にしがみついてきたのは、ここまでほとんど触れられなかったピッコロJr.その人である。

 

初期のデンデと変わらない程度にまで成長しただろうか。普段から無口なのでわからないだろうが、弟子達に修行をしている最中には俺が肩車していることが多い。

 

ちなみにランチが出産するときはちょうど天界に帰っていたため、誕生には付き添えなかった。その分ディナーに対する兄馬鹿が加速しており、今から心配であるのだが。

 

ブルマが産むときは絶対一緒にいると豪語しただけあって、産気付く少し前には俺を呼び出していた。のだが、あまりに苦しそうなブルマを見て不安になってしまったのか、今は半べそをかいて俺と隣でディナーを抱くランチにしがみついている状態だ。

 

ここにいる面子はピッコロJr.を除いてほぼ前回と一緒だが、ピッコロ神はここ一週間程度警戒を強めるために天界に張り付いている。

 

スラッグが、間もなくやってくるのだ。

 




ほい、お待たせしまた。

チチが鬼嫁になった理由を書かれていたのを見て「あれ?これって鬼嫁になる必要なくね」とか思ってしまいました( ̄▽ ̄;)

みなさんの感想は非常に励みになっております。まさにガソリン。最近では一緒に考察をする人もいらっしゃるので楽しくてしょうがないです。まあそっちにかまけてないで本編を書いてくれ、と言われれば非常にうれしいのですが(笑)

またみなさんの感想で物語が若干変化するかもしれません。それは単純に面白そうだと思ったことが理由ですので。具体的にかかれるのは規約違反ですが、上記にも書いたように考察などは積極的に参考にしております。

もしなにかあればメッセージをいただければ遅くても必ず返しますので、よろしくお願いします。


ではでは、次回も一週間後までには頑張ります(´・ω・`)


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蠢く邪神 スラッグの驚異 前編 ★

お待たせしました。

長くなってしまったので二つに分けます。今回はエロ要素皆無のバトル回です。次回は弟子になった三人の戦いとスラッグ対悟空の決着です。

ではでは(´・ω・`)


分娩室に入っていったブルマを見送り、俺はみんなへ振り返る。

 

宇宙を監視していたピッコロ神から報せがあった。スラッグは小惑星を改造した宇宙船で地球へ真っ直ぐ向かってきているらしい。

 

「みんな、聞いてくれ。以前から言っていたスラッグが接近している。西の都一帯は俺がバリアで隔離するから、家族がいるなら急いで避難させるんだ」

 

俺はこの場にいる全員に向かってそう告げる。

 

スラッグの強さの想定が最後までできなかったが、事前に様々な仕込みを地球に残したことから考えて、それなり以上の組織を率いてやってくるだろう。

 

あまり万が一というのは考えたくないが、後手に回る可能性もある。

 

「…師匠!俺も戦います!!」

 

真っ先にそう言ってきたのはナムだった。

彼の身長は今では190センチを越え、細く頼りなさげだった体格はぎっしりと筋肉が詰まったものに生まれ変わり、今では体重も100キロを越える。やはり内臓を鍛え直した影響は大きかったのか、元々が貧しく少食だったのが今ではサイヤ人に準じる量を平らげるほどの大食漢だ。

 

そして、背中には俺が託した如意棒を背負っている。

 

何度か修行を重ねるうちにナムが拳足を扱うよりも武器を扱うことに才能があることを見いだした俺は、試しにナムに如意棒を渡して基本動作の“突き”“払い”“巻き込む”動きを仕込んだ。

 

それからたった一ヶ月。一ヶ月で、ナムは棒術において俺を越えた。

 

もちろん戦えば勝つのは俺だが、驚異的な才能と言える。すでにいくつかオリジナルの技も開発しており、まだまだ強くなるだろう。今後に非常に期待が持てる、予想外の逸材だ。

 

「けっ、俺は勝手にやらせてもらうぜ」

 

窓の外からそう言い放ったのはギラン。以前までのでっぷりした体型は驚くほど引き締まり、見た目は巨大な人の形をしたドラゴンである。さらに2メートル近くあった身長は3メートルを越えた。そのせいで待合室には入れなかったが、なんだかんだと近くで待機してくれている辺りツンデレである。

ついでに散々超神水を飲ませまくったのが影響したのか、毒が効かない体質になった。なんで知ってるかって?試したからだよ色々と。

 

ちなみに、単純なパワーならば三人のなかでもっとも強い。

 

「師匠、わたしの故郷は遠い。申し訳ないが、妻と子らのところへ向かわせていただきたい」

 

遠慮するように言ってきたのはチャパ王だ。身長体重の変化こそ少なかったものの、元々武術の腕前は三人のなかでも頭一つ抜けていた為か、最も早く気の扱いに目覚めることができた。

今ではかめはめ波をはじめとした気功波を自在に扱い、俺が開発した特殊な気の運用を身に付けている。

 

さらに、今の段階で気の物質化をも達成して見せた。これによって元よりの必殺技であった八手拳は驚異的な進化を遂げている。経験からも、実戦ではもっとも応用力が効くだろう。

 

「チャパ王!俺とて故郷の家族を守りたいっ!だが、やつらを倒さねば世界が危ないんだぞ!」

 

「だからどうした、そのために師匠が迎え撃ちに行くんだろうが。俺たちが百人集まったところでクソの役にも立たねえよ」

 

「なんだとぉ!ギランッ、貴様ぁ!」

 

「落ち着け、ナム。私とて師匠を助けたい気持ちはある。だが相手は魔族だ。師匠が遅れを取るとは思わないが、数で攻めてこられれば綻びとて生まれる。私が故郷に戻るのも、万が一の可能性を考慮してだ」

 

三人が喧々諤々としているのを見て、俺は思わず笑いを漏らす。たった三ヶ月でずいぶんと成長したものだ。

ナムは自信がついたし、ギランは身勝手なことを言っているように見えるが、あれで俺の手が回らない場所を守るつもりだろう。チャパ王の言うことに関しては以前から相談を受けていたので、反対するつもりもない。

 

「まあ二人とも落ち着け、分娩室の前であんまり騒ぐと超神水飲ませるぞ」

 

そう言うと今にも戦いがはじまりそうだったギランとナムがびたっと止まる。チャパ王は苦笑しているが。

 

「ギランの言うとおり、俺はスラッグを迎え撃つつもりだ。具体的には地球に被害が出にくい、月の公転軌道上だな。撃ち漏らしをするつもりはないが、地球上に休眠状態の魔族がいる可能性がある。これまでもピッコロ神と共同でそれらを討伐してきたが、正直孵化していない魔族を完全に見つけるのは至難の技でな。ドラゴンボールに頼もうにも、諸事情でそうそう使えないと来ている。だから万が一地球で魔族が出た場合には、お前たちを頼ることになるだろう。すまないが、地球を頼む」

 

俺はそう言って頭を下げる。

 

他にもいくつも保険は打ってあるが、絶対などない。

 

ならば、例え命がかかっていても頼れるものには頼らせてもらう。

 

「…言っただろう、俺は勝手にさせてもらうぜ。まあ、なんとなく村の方に行ってみたい気分だったからな。雑魚魔族が出てきたら、ナムの村もついでに守ってやるよ」

 

「ギランっ!?くっ、俺というやつは、すまない…!ならばせめて、奥方様達は俺が必ず守り抜いて見せます…!!」

 

「ギラン、無理はするなよ。倒せなくてもお前なら足止めくらいはできるはずだ。ナム、お前がそう言うのであれば、ここの守りはお前に任せる」

 

「へっ、誰に言ってんですか。師匠こそ、こんなモヤシ野郎に大事な嫁さん達を任せていいんですかい?」

 

「ああ、それに関しては心配していない。ナム、チャパ王、お前たちも無理をするなよ」

 

「はいっ!毛ほどの傷さえ付けさせませぬっ!」

 

「師匠、御武運を」

 

さて、こっちはこれでいいだろう。チャパ王は俺の宇宙船で送っていく。ギランは自力で故郷まで向かうつもりのようだ。

 

ナムには病院前で警護してもらうことにした。万が一病院前に現れたら洒落にならないからな。

 

俺もスラッグを迎え撃つ準備をせねば。

 

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***side スラッグ***

 

「くくく、ようやく地球へ戻ってきたぞ…!」

 

暗い室内で大柄な男ーーーかつてナメック星から神の候補として惑星スラッグに送られながら、破壊と殺戮をもたらす邪神と化した男ーーースラッグが含み笑いを漏らす。

 

スラッグにとって、地球は重要な場所だった。

 

ドラゴンボール。かつて見失ったナメックの秘宝。

 

これの存在があることを知ったときは狂喜した。今再び、フリーザ一族とも渡り合った最強の力を取り戻せるのだと。

 

ドラゴンボールを用いることで若返り、全盛期の力を得ること。それが地球の存在を知ってからのスラッグの目的だった。

 

だがしかし、それに思わぬ邪魔が入る。

 

魔獣と化した、フリーザの存在。

 

全力のコルド大王すら己の糧とした魔獣は、時折理性を取り戻しては半壊した自らの軍に気まぐれな指示を出すのだ。

 

それのせいでスラッグが配下に下賜した魔族の気配を消す腕輪を、いくつも奪われてしまった。おまけに彼の生み出した“部下の味”をいたく気に入ったらしく、あちこちに派遣した部下の大半が食われてしまった。

 

スラッグは思う。

あの腕輪は素晴らしいものだ。

 

星を正面から破壊するのではなく、その社会に潜入し侵食し汚染する。あの腕輪があればこその楽しみかただろう。

 

とはいえこれまでのように眷属へばらまくのも制限しなくてはならないだろう。なぜならばこれを開発させた者、カクージャとギョーシュの限界が近いようだからだ。

 

あれはほんの思い付きだった。以前から中途半端に有能だったふたりのうち、カクージャが些細なことから手を抜こうとした。そのまま殺そうかと思ったが、こう考えたのだ。“二人を一つにしてしまえば、下らないことなど考えないのではないか”と。

 

すぐに部下に命じて二人の脳を直結させた。副作用なのか言語能力が無茶苦茶になってはいたが、それでも悪魔的に優秀さを増した二人の手であの腕輪は作り出された。それからは万を越える眷属のため、日夜量産に励ませている。

 

ここのところは生産速度が落ちているので、この間軽く威圧したのがいけなかったか。スラッグは優秀とはいえ脆すぎる部下にため息をつくが、すぐにそれも仕方がないかと思い直す。

 

なぜならば、今の自分はかつての、全盛時の自分を遥かに上回っているからだ。

 

スラッグの哄笑が気と混じって溢れる。昂りに応じて解放された気は、暴風のように玉座の周囲を荒れ狂う。

 

神聖樹の実。それを見つけられたのは偶然だった。

 

神にのみ許された禁断の果実である神聖樹の実は、種を播くことで星一つのエネルギーを吸い上げ樹木を形成し、やがて吸い上げたエネルギーを凝縮して神聖樹の実に宿らせる。

 

その効能は、スラッグをして驚くほどのものだった。

 

幾つかの星を神聖樹の実の苗床としたスラッグは、神聖樹の実を貪り食らった。

 

気づけば、老いさらばえた肉体は瑞々しい若かりし頃の肉体へと蘇り、搾り滓と化していたエネルギーは全盛期に匹敵する量と質を取り戻していた。

 

常ならば、そこでスラッグは満足していただろう。ともすれば、もう数個の星は餌食にしていたかもしれない。

 

だが、スラッグは警戒していた。魔獣と化したフリーザを、そして、地球にいたあのサイヤ人を。

 

自分には遠く及ばないとはいえ、魔族としては限りなく強い存在であるガーリックJr.をものともせずに仕留めたサイヤ人。

 

自らの全盛期に匹敵するであろう実力。戦えば勝てたかもしれない。だが、負けたかもしれない。

 

スラッグは慎重だった。老獪とさえいえよう。

 

サイヤ人には大猿になる能力があり、そのときの強さは通常時の十倍であるとも聞く。仮に先制して月を破壊しておいても、能力そのものが消えたわけではない。

 

ならば、はじめからこちらが百倍強くなればいいだけのこと。

 

確実に勝利するために。そしていずれは魔獣と化したフリーザをも打倒するために。

 

数多の星々を食らいながら、スラッグはひたすらに己の力が充足するのを待ち続けた。

 

そして…

 

スラッグの見た目はその姿を知るものならば、変容したその姿に唖然としただろう。

 

身長は4メートルを越え、身体中のあちこちに金色の血管が浮き出ている。まるで葉脈のようなそれは、スラッグの眷属や配下も同じである。

 

もはやスラッグにとって、ドラゴンボールは邪魔でしかない。むしろ、“どんな願いも叶える”という性質上、確実に自分にとって邪魔となるだろう。

 

ならば地球に向かう理由は、ドラゴンボールの破壊であり、地球に住む者達を蹂躙することであり、そして自らの障害になりうる者の排除である。

 

「フックク…!この邪神スラッグによる大侵略をとっくりと堪能してもらおうではないか…!!」

 

スラッグは控える眷属と配下を見回し満足そうに微笑む。

 

準幹部級魔族24体、幹部級魔族3人、猟犬がわりの魔獣数百匹、巨人もかくやというサイズのスラッグの血肉と気を混合して作り出した樹木兵数千体、万を越える魔族の軍勢、さらに小惑星を改造したこの船の一部は魔族に最適な異界化を施している場所もある。

 

「ふはははは、お互い存分に力を尽くした勝負ができるというものだ!これだけの軍勢を、倒せるものなら倒してみるがいい!!」

 

『じゃあさっさと死にな…!ビッグバン・アタック!!』

 

瞬間、小惑星を改造したスラッグの宇宙船は灼熱に呑み込まれる。月の軌道上で生まれた小型の太陽は、数秒の間元小惑星を包み焼くとあっさり消え去った。

 

***side 悟空***

 

遠視能力でスラッグの独演を覗いていたが、案の定ろくでもないこと考えてやがったな。

 

とはいえビッグバン・アタックで大半の魔族は消滅しただろう。ついでとばかりに気の温度を太陽の表面温度並みに上げてやったからな。

 

「お、おのれえぇぇ…!!」

 

お、案外生き延びてるな。雑魚はほぼ全滅したみたいだが、準幹部だかより上は全員生存か。位置的に考えて、どうやらスラッグが咄嗟にバリアを張ったらしいな。

 

「存外にしぶといじゃねえか、スラッグさんよぉ」

 

自分で思っても見なかったほどに冷たい声が出る。事実、俺は目の前の魔族どもを殺しつくすことへの躊躇など、那由多にひとつもない。

 

「あ、あのときのサイヤ人か…!?まさかこれほどの力があろうとは…!」

 

どうやら俺のことを知っているようだ。以前との差に狼狽しているところ悪いが、さっさと決めさせてもらう。こちとら嫁が出産中なんだ。

 

俺が飛び出すと同時、真っ先に向かってきたのは巨人。樹木がより合わさるようにして人型になった、樹木兵とスラッグが呼んでいた人造兵士だ。

 

「邪魔だっ!どけえええっ!」

 

樹木兵数十体を拡散するように放った気功波で薙ぎ払う。

 

雑魚を相手にするつもりはない。このままスラッグを殺す。

 

しかし、俺は薙ぎ払った樹木兵の先にいるスラッグを見て違和感を抱く。

 

なぜだ?なぜヤツは“笑っている”。

 

咄嗟に後ろから迫ってきた気配に蹴りを放って悪手であることを悟る。

 

俺を覆い包むようにしてきたのは、今さっきバラバラにしたはずの樹木兵。

 

遅いながらも再生しており、なによりドロドロとした体液を垂れ流しながらも動き続ける様はまるでゾンビだ。

 

「こんな程度で、ほくそ笑んでんじゃねえぞっ!」

 

周囲に球状のバリアを展開し、灼熱を付与して一気に範囲を広げる。

 

押し潰されるようにして焼かれた樹木兵は今度こそ消滅するが、その間に雑魚が地球へ向かってしまっていた。

 

「行かせるかあっ!!」

 

気功波を槍状にして飛ばす。何匹かは倒せたが、それでも生き残りはそれなりにいる。

 

「ちっ、やってくれるぜ。…ピッコロ神、悪いがいくつか抜けた。詰めを頼む」

 

『任せろ』

 

「さぁて、一応聞いてやるよ。どう死にたい?」

 

俺は拳同士をぶつけながら、ふりむきざまにスラッグへ問う。

 

「なるほどなるほど。素晴らしい、いや実に素晴らしい力だ。我が物にするに相応しい!」

 

「なに?」

 

思わず聞き返すも、スラッグは構わずこちらへ向かってくる。

 

「はあっ!!」

 

さきほどの二の舞にならぬよう、一気に超(スーパー)サイヤ人になって片をつけようと変身する。

 

巨大なスラッグの拳が迫り、それを正面から迎撃する。打ち抜くと同時にスラッグの拳が爆ぜる。

 

「おらおらおらおらおらっ!」

 

勢いのままスラッグの全身を打ち据え、打撃の勢いで月までスラッグを飛ばす。

 

激しい土煙が舞い上がり、地球の6分の1の重力がゆっくりと舞い上がった粉塵を落としていく。

 

俺は気合いで粉塵を吹き飛ばすと、そこにはすでに再生を終えたスラッグがいた。スラッグは未だに笑っている。

 

「妙に自信満々みたいだが、相手との力の差ぐらいわかるんだろう?おとなしく諦めたらどうだ」

 

「なぜだ?死ぬのは貴様だというのに、このスラッグが諦める理由などなにひとつないわ」

 

会話しながらスラッグの気配を探って妙なことに気づいた。この短期間でパワーアップしている。神聖樹の実をいつのまにか食ったか?

 

「ちょっとばかし再生能力が高い程度で俺に勝てるつもりなら考え直した方がいいぜ。悪いが不死身対策はそれなりにしているんだ」

 

将来の魔人ブウ戦に備えて、俺とピッコロ神は対不死身の技をお互いに鍛えている。もちろん手段はひとつじゃない。だが魔封波は選択肢としてはあまり考えないほうがいいだろう。一時的な封印ならともかく、恒久的に封印するにはあれは脆すぎる。

 

考えている間にスラッグもなんらかの準備が済んだようだ。両手に気功波のエネルギーを溜め、こちらに突っ込んできた。

 

「だぁから、そんな単純な攻撃が効くはずないだろう」

 

俺は不意をついたつもりで足元から飛び出した樹木兵を、足裏から出した気の杭で串刺しにして動けなくすると。策が通じたと勘違いしたスラッグにも同じように気の杭を足元から出現させて突き刺す。

 

「ごっはぁっ!?」

 

腹から突き刺さった気の杭を変形させ、蕀(いばら)のように無数の小さな棘を全身に突き刺す。

 

「さて、これで動けないだろう。さっさと消滅させて…なに!?」

 

俺が手を伸ばそうとすると、突然スラッグが自爆した。バリアを張らずとも今の俺ならダメージにはならないが、いったいどういうつもりだ。

 

警戒する俺に、全方位から金色の蔦が絡み付こうと延びてきた。

 

それらを灼熱のバリアで焼き払うが、樹木兵を薙ぎ払ったときのようにバラバラにならない。

 

そして爆炎がおさまると、そこには見渡す限りに月面を埋め尽くしたスラッグの姿があった。

 

『『『さあ、第2ラウンドといこうではないか』』』

 

「…メタルクウラじゃあるまいしよ」

 

ぼやいても仕方がない。が、後手に回っているのは事実だろう。

 

地球の仲間達が無事なことを祈り、俺はさらなる手段を持ってスラッグの群れに突っ込んでいった。

 

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***side ピッコロ神***

 

『ちっ、やってくれるぜ。…ピッコロ神、悪いがいくつか抜けた。詰めを頼む』

 

『「任せろ」』

 

念話と同じ言葉を口にし、決意も新たに上空を睨み付ける。

 

戦いに伴い、神としての衣装からかつての大魔王を思わせる赤い外套を身に纏う。肩当てを仕込んだそれは見るものに威圧を与えるだろう。今ここにあって、わたしはかつての大魔王としての冷酷さを見せつけよう。

 

やがて今にも成層圏を越えようとする無数の魔族の姿が見えてきた。

 

「ふ、愚か者どもめが。わたしがただここで座していたとでも思ったか!!」

 

わたしの声を合図に、天界の周辺に待機させておいた無数の気弾が姿を現す。

 

「食らえっ!神空包囲弾っ!」

 

万を越える無数の気弾が音をも越える早さで昇っていく。

 

しばしの間をおいて、閃光が空を焼く。

 

魔族どもの悲鳴が耳に聞こえるが、ヤツらのしてきたことを思えばなんの痛痒も湧かんな。

 

やがて爆音が聞こえてきた頃、わたしの元へそれなりに大きな気がやってくるのが感じ取れた。

 

「ほう、魔族にしては骨のある者がいるようだな」

 

天界を三方から囲むようにして三人の魔族が宙を浮いている。

 

「おのれ…!スラッグ様から賜った部下どもをよくも…!」

 

青い肌に金髪、さらに短い角を生やした魔族が喘ぐように叫ぶ。

 

「うむ?まさか、あやつはメダマッチャ達の報告にあったナメック星人か」

 

黄緑色の肌にモジャモジャとした黒髪、ひげ面の小柄な魔族が誰何する。

 

「どっちにしても俺たちの敵であることには違えねえダボ!ぶっ殺しちまえっ!」

 

でっぷりとした体格に、ごつごつとしたオレンジ色の肌をし羽を生やした大柄な魔族がイラついたように拳を振り払う。

 

わたしはオレンジ色の魔族がこちらへ突っ込んでくる前に右手の人差し指と中指に集中させた気を解き放つ。

 

「神・魔貫光殺砲!」

 

放たれた気功波は激しい螺旋を纏いながらオレンジ色の魔族の胸を貫く。

 

「ド、ドロダボォっ!?」

 

金髪の魔族が叫ぶが、容赦はせん。胸を貫かれ、無言で落下していこうとするドロダボと呼ばれた魔族へ近づきその体へと手を当てる。

 

「爆力殲波!」

 

爆力魔波を上回る超威力の気功波がドロダボを跡形もなく消し飛ばした。悟空から再生する可能性があることを聞いていたからな。せめてこれぐらいはやっておかなくては。

 

「ぬおおおおぉぉぉぉっ!」

 

ひげ面の小柄な魔族がどこからか取り出した斧を勢いよく振りかぶって向かってくる。

 

わたしは振り向くこともせずにタイミングを合わせて宙返りすると、外套の端をわずかに切り裂くに終わったひげ面の後頭部に気をたっぷり込めた膝を食らわせる。

 

「がっ!」

 

意識が飛んだのを見計らい、足首をつかんで思いきり振り回す。悟空はこの技をジャイアントスイングと呼んでいたか。これまで叫んでいるだけだった金髪の魔族へ向けて小柄なひげ面の魔族を全力で投擲する。

 

二人がもつれ合い、体勢が崩れた瞬間を狙い気を溜める。

 

両の掌をみぞおちの前で抱えるようにして構えると、その間に電光が迸る。

 

「激烈光弾!!!」

 

超圧縮された気功波は後手に回った魔族に命中し、その背後にあった雲ごと消し飛ばす。

 

「ふん、たかだか下っ端風情が。元とはいえ大魔王に敵うはずもなかろう!」

 

大魔王と神が融合した超戦士。それが今のわたしなのだからな。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side 亀仙人***

 

一年前。あの日悟空から気のさらなる運用を教わり、これまで鍛えてきた。

 

悟空はわしに無理をするなといったが、孫弟子が命をかけて戦っておるのにおめおめ逃げ隠れなどできるものかよ。

 

「ふんっ!」

 

すでにパワーを解放し、筋骨隆々とした姿へと変わったわしは正面の魔族へ気をこめた突きを見舞うと、その頭が爆ぜる。

 

さきほど遥か遠くから感じた凄まじい気は悟空のものじゃろう。さらにその後カリン搭の方角からも戦いの気配を感じた。

 

悟空の気と前後して恐らく世界各地に現れた魔族。東の都にいたわしはクリリンを引き連れ、避難する住民を庇うように戦っておる。

 

「クリリンよ!無理をするでないぞ!」

 

「はい!武天老師様!」

 

いかにわしの弟子であり才能豊かとはいえ、クリリンはまだ武術家としては未熟。今は避難する人々を誘導してもらうがよかろう。

 

「かめはめ波っ!」

 

天下一武道会で悟空に披露したものではなく、純粋に力を解き放つかめはめ波により数十体の魔族が消し飛ばされていく。

 

「まったく、地球中の魔族が一通り出てきているようじゃな」

 

これでも大分悟空と神様が討伐しておるというのじゃから、この星も大概に業が深い。

 

「きゃあああっ!」

 

「ぬ!?しまった、避難し遅れた者がおったか!」

 

見れば子供を抱えた母親らしき女性が魔族に襲われている。クリリンも気づいて向かおうとしているようだが、間に合わん!

 

「どどん波!」

 

しかし次の瞬間、空から降り注いだ一条の光によって魔族は頭を撃ち抜かれ力尽きた。今の技は…

 

「武天老師様!及ばずながら、助太刀いたします!」

 

声をする方を見れば、丸めた頭に三つ目が特徴的な青年と、その横に幼子のような白塗りじみた肌をした少年が浮かんでいる。

 

あれは鶴仙流の舞空術。ということは彼らはーーー

 

「おぬしら、もしや鶴仙人の弟子か」

 

驚いて誰何すれば、両者ともに首肯してこちらの言葉を肯定してくる。

 

「これまで亀仙流の者は敵であると、我ら二人とも鶴仙流の教えを信じて邁進してきましたが、火急の危機にあっても動こうとしない師匠にはほとほと愛想が尽きました…!非才な身なれど、今はただこの場で共に戦わせていただきます!」

 

ちなみにこうしている間にもわしは小さくまとめたかめはめ波であちこちからやってくる魔族を叩き潰しておる。

 

三つ目の青年もまた、わしへ挨拶しながらも器用に魔族の攻撃を避けて反撃を加えている。どうやら凄まじい才能の持ち主のようじゃな。非才などと言っては世の武術家に嫌みじゃぞ。

 

「おぬし、名をなんという」

 

「天津飯です、はっ!!ぜえや!武天老師様!」

 

「おぬしさえよければ、この戦いの後わしの弟子にならぬか?お主ならば、いずれはわしを越えあの悟空とも戦えるようになるやもしれんぞ」

 

「わ、わたしがですか!?ぐっ、おのれ!」

 

「ふん!ほほ、まだまだじゃのお」

 

新たな弟子の育成。それもこれだけの才能の持ち主が野に放たれるのは勿体ないしの。それにしてもあの中途半端ハゲ、近くにおるなら手伝えばよいものを。

 

やがて窮状を察したピッコロ神様がやってくるまで戦いは続いたが、わしもまだまだいけるもんじゃの。

 

 




宇宙空間での台詞の応酬は念話です。実際の音は無音になります(´・ω・`)

ちなみにピッコロ神と戦った三人の幹部。ひとりはオリキャラです。

魔族の襲撃時、鶴仙人はトラウマ発動してベッドで震えてました。

次回はできるだけ早めにあげます( ̄▽ ̄;)


追記修正
バリアで隔離する範囲を病院→西の都に変更しました。

ナムの身長を若干修正。なんでアイツあんなにデカいんや…


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蠢く邪神 スラッグの驚異 後編

前回といい今回といい、ドラゴンボール世界の地図を見ながらの作業になりましたので、疲れました( ̄▽ ̄;)

にしてもほんとエロがないだけで一気にお気に入り減るのが笑えてしょうがない(笑)

みなさんスケベですね!わたしもですよ(´・ω・`)!(笑)

大丈夫、今回は最後にばっちりエロを書いときましたんで!

…にしてもしばらく平均4時間睡眠続いてるのですが、そろそろキッツいです(白目)

せめて玄関で力尽きるのをなんとかせにゃ…

あ、今回ので無印が終わりになるので、この後の話はちょっとエロのみで何話か投稿しますね。

次回本編開始は時間がだいぶ飛びます。


***side ナム***

 

師の張った結界によって一見安全が保たれたかに見えた西の都。

 

しかし、そこで私たちを待ち受けていたのはアクアミストという霧を吸って半魔族化した人々だった。

 

「ふん!でぃや!シャアアァオ!」

 

師から託された如意棒を縦横無尽に振り回し、せめて命は奪うまいと半魔族化した人々を気絶させていく。

 

師曰く、わたしの棒術の腕前は師を越えているという。だが、わたしはそうは思わない。

 

あの日、師からはじめて棒術を教わった日。師は槍術だが棒術の基本にも通じるといい、わたしに三つの基礎を見せてくれた。

 

すなわち、突く。いつ突き出されたかわからない如意棒の先は、標的とした岩を棒の直径分だけ抉り飛ばされていた。

 

すなわち、払う。外側へ向けて払うその動作は、師が持つものを箸に変えても同じだった。たかだか食器に全力の攻撃を振り払われた衝撃はいまだ忘れない。

 

すなわち、巻き込む。さきほどの払う動作の逆と、単純に考えるなかれ。師はこの動作で竜巻を巻き込み打ち払った。

 

いずれはあの領域へ。そして師が期待するあの領域の先へ。

 

わたしは時折現れる魔族へのみ全力の攻撃を加える。間違えて操られているだけの一般人の方々を傷つけぬよう、力加減の精緻さは困難を極めるが、これも修行と考えれば苦にはならない。

 

だが如何に実力差があろうとも、結界という閉じ込められた空間内で無数に続く半魔族を相手するにはさすがに疲労を覚え始めてきた。

 

「ふぅ、粗方の魔族は片付けたな。そろそろ奥方様らの守りに専念したほうがよいかもしれん」

 

言いながら様子を伺っていた魔族へ向け無言で如意棒の先からかめはめ波を飛ばす。狙い違わずビルの壁を撃ち抜いたそれによって心臓を撃ち抜かれた魔族が倒れ伏す。

 

「む?この気の乱れはジュニアくんか!?あそこは奥方達のいる場所!まずい!!」

 

わたしは急いで如意棒を最小限まで縮めると、足の裏に気を集中させて一息に目的地まで駆け抜ける。

 

師匠は瞬動術、あるいは瞬歩と呼んでいたがこの移動術によってわたしはあっという間に目的地までたどり着く。

 

するとそこには奥方達とその家族が隠れる大部屋の前で、魔族二人と対峙するピッコロJr.くんの姿があった。

 

そうか、ヤツラが着けている腕輪が師匠の言っていた気配を消す道具か。

 

「お前らなんかに、母さん達を好きにはさせないぞっ!!」

 

ジュニアくんーーーピッコロJr.という名は呼びづらいのでみなこの名で呼んでいるーーーはすでに傷を負っているところを見るに、わたしが来るまで一人で頑張っていたようだ。

 

見た目は人と異なれど、子供が必死に戦っているのを見て大人しくしていられるほどわたしは冷静ではない。

 

「はああっ!」

 

瞬歩によって瞬時に魔族へ近づき、怒りのままに袈裟斬りに如意棒を振り下ろす。わたしの気を込めたことで鉄をも断ち穿つ威力を得た如意棒によって、魔族は斜めに両断された。

 

「い、いつの間に!?」

 

さらに次の魔族がこちらへ振り向く前に返す如意棒でそいつの頭を叩き砕く。

 

「…ふう。すまないジュニアくん。来るのが遅れた」

 

そう語りかけると、ジュニアくんは安心したように気を失う。彼が頭を打たぬよう、倒れる直前で支えると、自然と笑みがこぼれ落ちた。

 

「ふっ、子供がこんなにも頑張っているのに、わたしが早々に根をあげるわけにはいかないな…!」

 

彼の闘志を引き継いだわたしは、二重に発動していた師匠の結界から飛び出してきた奥方達へジュニアくんを預けると、気合いも新たに再び病院前で守りにつくのだった。

 

***side ギラン***

 

面倒くせえ。

 

それが今回のコトに関する俺の印象だった。

 

いくら魔族が出てくるからってあのバカ師匠が俺なんぞに頭を下げるのが気に食わねえ。

 

あんたはもっと余裕ぶって、腕組みでもしてほくそ笑んでるべきだろうが。

 

気に食わねえ。

 

あのバカ師匠にそんな真似をさせた魔族の連中が。

 

気に食わねえ。

 

クソの役にも立たねえ強さの、あの師匠の隣で戦う資格もない自分が。

 

イラつきながら周りを見渡せば、ひでえ有り様だ。

 

周囲に一切気を使わず暴れまわった結果、元々少なかった木々は焼け、大地は抉れ、小川は断たれて溜め池を作ってる。

 

…あの小川、あとで直さなきゃいけねえんだろうな。

 

いやいやいや、今はそんなことはどうでもいい。

 

断れば、またあのバカ師匠がいい顔で『お取り寄せ!世界の猛毒十選!』とかわけのわからないメニューを食わせるに決まってる。

 

「ギシャアアア!」

 

叫び声をあげて向かってきやがった魔族を振り向きもせずに胴体を握って捕まえる。当然暴れるが、それを無視して地面に叩きつけて頭を潰す。

 

ここだけかわからねえが、どうやら現れた魔族は再生能力を持っているらしい。

 

口から出した気功波で下半身を消し飛ばしてやった魔族が呻きながらも死んでいない様は嫌悪感しかわくことがねえ。

 

ナムの村も俺の村も、近づいた魔族は片っ端からぶっ飛ばしてやった。

 

俺の村には力自慢がそれなりにいるから、ある程度ザコ魔族を片付けたあとはナムの村に行かせて守りにつかせている。

 

今のところ特別強いヤツも出てこねえからな。正直退屈だ。

 

「ちっ、あの攻撃を抜けてこれたのは俺だけか…!」

 

上空から悪態をつきながら魔族がひとり降りてくる。腕輪をつけているところを見るに、地球上で涌いたザコとは別格みたいだな。気は感じられないが、佇まいからはそれなりの強さを感じる。

 

目の前の魔族が言ってるのはバカ師匠とピッコロ神の張った防衛線のことだろう。あの爆発はすさまじかったな。神様が強いのはなんとなくわかるが、それ以上に強いあのバカ師匠はいったい何者なんだかな。普通に宇宙で動いてやがるし。

 

それにしても二人が本気でやれば早々抜けてこれないだろうから、これは退屈してる俺へのはからいかねえ?

 

「おいそこの羽根つき半魚人。相手してやるからかかってきな」

 

俺はそう言っていまだ周囲をキョロキョロしているコウモリみたいな羽根を生やした半魚人の魔族へ呼び掛ける。

 

「…なんだ貴様、殺されたいのか」

 

「誰が誰を殺すって?できもしねえことをほざいてねえで、さっさとかかってきな!」

 

「下等なトカゲの分際で吠えたな…!消し炭に変えてくれる!」

 

言うや否や羽根つき半魚人は俺へ向かって口から炎を吐いてくる。せめて気功波が来るかと思ったんだが、これじゃ拍子抜けだな。

 

「なっ!?無傷だと!!」

 

「温すぎるぜ。師匠みてえに鉄が溶ける温度とは言わねえから、せめて俺の肌を焦がすぐらいの炎を出してくれよ」

 

「ほざけぇ!ならばこれでどうだ!」

 

今度は両腕を真正面に構えて、空から気功波を出してくるが。…ハア、ため息が出てくるな。

 

いつだったかバカ師匠から「危機感を鍛えるぞ、ほれ避けろ避けろ」とか言われながら撃ってきた気弾を思い出す。今ならアレを撃たれても素手ではじけるが、あのときは本気で殺されるかと思ったぜ。

 

で、アレと比べれば鼻くそみたいな威力の気功波を俺は片手で受け止めて集めると、そのまま握りつぶす。

 

「ガッカリだな。もう少し戦いになるかと思ったんだけどよ」

 

「こ、こんな馬鹿な…!わたしでは荷が重すぎる、せめて準幹部の方を「行かせるわけねえだろうが」ひっ!あぎゃあああああ!!!」

 

これまでわざと使ってなかった翼を使って空を飛ぶ羽根つき半魚人に近づくと、力任せにその羽を引きちぎる。悲鳴をあげているが、お前ら再生できるんだから大したダメージじゃないだろうに。

 

「こ、こんなことをして、貴様ただで済むと、ぐああああああっ!!」

 

面倒なことをされるまえにかめはめ波で跡形もなく消し飛ばすことにした。なんか言ってたか?まあいいか。

 

とりあえずナムの村からあまり離れるわけにもいかねえからな。あそこにいる連中は弱っちくてしょうがねえしよ。

 

ここら一帯から魔族を一掃した俺は空を飛んでナムの村へ向かった。

 

***side チャパ王***

 

わたしは師匠の宇宙船で道場がある南の都へ送ってもらうと、すぐさま道場にいる門下生を集めて都の住人を避難させる準備をさせる。

 

これでも師匠の元につくまでは名の知れた武道家だったこともあり、街の有力者に優先的に声をかけたこともあって避難自体はすぐに済ませることができた。

 

宇宙から襲来しようとする魔族はたしかにいたが、それもほとんどは師匠とピッコロ神様によって倒された。

 

なので、わたしと道場の者達が相手取るのは地上に元からいた魔族となった。

 

「皆の者!無理をする必要はない!一体の魔族につき必ず三人以上で当たるのだ!」

 

わたしは目の前の魔族の頭を肘で穿ち割ると、周囲の門下生達へ激を飛ばす。

 

数自体はそれほどでもないものの、やはり魔族は人間と比べれば強い。門下生たちもだいぶ鍛えているようだが、それでも五人がかりで向かってようやく互角といったところか。

 

わたしは師匠直伝の移動術である瞬動術を使って高速移動しながら門下生達が相手する魔族を一体ずつ倒していく。

 

「決してあきらめるな!戦っているのは我々だけではない!力を合わせ、この危機を乗り越えるのだ!!」

 

「父さん!2ブロック先にやたら強いヤツが出た!死んでないけど、もう二人やられている!」

 

「わかった!すぐに向かう!」

 

息子のチャプに呼び掛けられ、わたしは複数の気が入り乱れ戦う現場へ向かう。

 

「今こそ使うとき…!奥義・八手観音!」

 

気合いとともに叫んだわたしの肩を中心に気が集まり、物質化していく。

 

気の存在を師から教わったとき、わたしはその多様性に驚愕した。師匠の気の扱い方は特別すさまじいものがあったが、中でもエネルギーとしての気を気功波のような形ではなく、物質化してしまう技を見たとき衝撃が走った。わたしは頭のなかで直感的に“これだ”と確信していた。この技こそ、長年磨き続けた八手拳に取り入れるべき力だと。

 

集束した気が物質化していくにつれ、虎目石のように斑な模様をもった腕が露になる。

 

肩甲骨の辺りから肩口、背中にかけて現れた仏像のごとき腕は全部で六本。わたし自身の腕と合わせれば“八本”となる。

 

今だ持続力は満足がいくものではなく、戦いながらでは発動することもできない。未完成な技ではあるが、この域に至らせてくれた師匠にはひとりの武道家として感謝しかない。

 

「真・八手拳!受けてみよ!!」

 

たどり着いたわたしは、門下生らをなぶる魔族へ向けて叫んでこちらへ振り向かせる。

 

かつてのギランのようにでっぷりした体型をした魔族は動きは鈍重そうなものの、その力においては並みの者では刃が立たないであろうことが肌で感じられる。

 

牽制として腕のうち二つから丸く圧縮した気弾を飛ばし、捕らえられた門下生から手を離させる。

 

「な!お、俺の腕がぁ!」

 

「でええやあああっ!!」

 

正拳、裏拳、平拳、貫手、あらゆる形をもった拳がすべて同時に目の前の魔族へ向かっていく。

 

師匠の元で鍛え直したわたしの拳は魔族の大きな体を満遍なく打ちつくし、その身を打倒する。

 

「こ、この俺が!格闘で人間に負けるだとお!?」

 

魔族はどうにか窮状を脱しようと無理矢理反撃してくるが、腰も入っていない拳がわたしに届くものか。

 

わたしは六本の腕で目の前の魔族の攻撃をさばきながら、本来の腕に気を集中させていく。

 

「か…!め…!は…!め…!波っ!」

 

限界まで高まった気が放電に似た現象を起こしつつ大柄な魔族を消し飛ばす。

 

「人の研鑽を侮ったのが貴様の敗因だ!」

 

消耗した気を師匠より授かった仙豆で回復する。

 

魔族を倒したことを確認したわたしは、再び瞬動術で門下生達のもとへ向かう。

 

この力を授けてくれた師匠の勝利を信じて。

 

***side 悟空***

 

「だあああああああっ!!!」

 

殴る。殴る。殴る。

 

手にこめた気は感覚の増幅を促すもの。増幅する対象は、当然痛み。

 

それによって全力で殴られたスラッグは、苦悶の表情を浮かべて倒れていく。

 

月面を埋め尽くすほどに増えたスラッグだったが、その力は俺には及ばない。だがやはり少しずつだがパワーアップしている。

 

今はなんとかなっているが、この原因を解決できねばじり貧だろう。

 

ひとまず感覚増幅によって殴ってみたが、やはり最大感度で増幅した痛みは想像を絶するものらしい。気功波の類いを吸収して自分の力に変えているようなので戦い方を変えてみたが、とりあえず正解のようだ。

 

何体かのスラッグが塩の柱と化して崩れ去っている。

 

そのスラッグは再生しないようだが、どこからともなく再びコピースラッグが現れる。

 

『『『どうした、そろそろ諦めがついたか』』』

 

「冗談だろ、まるで負けてないのに諦める理由がねえよ」

 

『『『精々気張るといい、我が力は無限に増殖する。やがて力尽きた貴様の力を吸収して、全宇宙を支配下に置くのだ…!』』』

 

俺はスラッグ達を殴り飛ばしながら、遠視能力を発動して月全体を探査する。

 

「…そういうことか」

 

探査した結果、スラッグは地下で樹と化していた。月の地中深くに根を張り、分裂させた自分の体がやられると地表まで根を伸ばして新しい分身を作り出していたようだ。

 

「だったら月ごと消してやる…!!」

 

俺は月そのものをバリアで包み込むと、特大の気功波を中へ打ち込んだ。

 

スラッグの気が完全になくなったのを確認して超(スーパー)サイヤ人化を解く。

 

地球のみんなが心配だ。早く戻らなくては。

 

それが油断に繋がった。

 

「ぐあっ…!?な、なにい!!」

 

足元に走った痛みになにごとかと視線を向ければ、そこには魔族の気配を消す腕輪をして俺の足へと金色の葉脈を走らせるスラッグがいた。

 

「くくく、油断したな!はじめから月面で貴様が戦っていたのは俺の分身よ!!」

 

力がすさまじい勢いで吸われていく。気のコントロールがうまくいかない。まずい…!こいつは俺を取り込む気だ!

 

「もはやまともに力も使えないだろう?安心しろ、貴様のその力は我が野望を果たすための礎となるのだ…!」

 

地面があれば膝をつくほどの消耗に目が霞んでいく。せめて、超(スーパー)サイヤ人に変身できれば…

 

「地球の人間どもはすべて奴隷としてやろう。しきりに気にしていたお前の家族は、わたしが直々になぶり殺しにしてやる!ハーハッハッハッハッハ!!」

 

その言葉に、頭のなかでプツンと切れる音がした。

 

誰の、何に、何をするって?

 

「な、なんだ、力が膨れ上がっていく…!ま、待て!そんなエネルギーは一気に吸いとれん!」

 

「はあああああああああああっっ!!!」

 

高まる感情に合わせて気が増幅していく。なにを諦めかけているんだ俺は。こんなやつに、俺の家族をどうにかさせるつもりか!

 

「でやあああああっ!」

 

「ぎゃあああああっっ!!!???」

 

超(スーパー)サイヤ人の壁を越え、俺の姿がさらなる変身を起こす。

 

赤い髪はさらに逆立ち、全身を覆う気の周りを赤い雷が走る。さらに全身の毛が赤く染まり、体が一回り巨大化する。

 

「てめえはただじゃ死なせねえぞ…!スラッグ…!!」

 

禁句を口にした邪神は流れ込んだ俺の気を扱えず、全身をいびつに歪め苦しんでいる。

 

無限の再生を繰り返すスラッグの体内をブーストされた遠視能力で精査する。

 

そこに俺は、儚く存在を主張する神聖樹そのものの気配を見つけ出す。

 

なるほど。そういうことなら気で消し飛ばす以外にも方法はある!

 

『ピッコロ神!聞こえるか!!』

 

『悟空か!こちらは地上の魔族を一掃したところだ!お前の方は無事か!!』

 

『問題ない、それより聞いてくれ!今からスラッグを地球に叩き込む!お前はやつに神の気を注いでくれ!!』

 

『なにぃ!?それはお主が避けていたことだろう!どうするつもりだ!』

 

『問答している時間はない!やってくれ!!』

 

『ええい!あとで説明してもらうぞ!!場所はどこだ!』

 

『ユンザビット高地だ!あそこなら誰もいない!!』

 

『わかった!任せろ!!』

 

俺は今だ苦悶の声をあげるスラッグの首もとを掴み、地球へ向けて加速を始める。

 

ピッコロ神が移動を開始した。俺がこいつを叩きつける頃には着くだろう。

 

俺は再び葉脈を伸ばし気を吸収しようと試みるスラッグへ、純度をあげた回復の気を注ぎ始める。

 

ただし、対象はスラッグじゃない。その身に取り込まれた神聖樹へ、だ。

 

「な、ナにをスルつもリだ!?」

 

俺はスラッグの質問に答えずどんどん気を送り込む。やがてスラッグの顔がぼこぼこと沸騰するように煮たっていく。

 

「オオオオアアアアア!!!???」

 

内側から崩されていく自分の体にスラッグが甲高い悲鳴をあげる。どうにか俺に伸びた金色の葉脈を引っ込めようとするが、俺は気で葉脈を吸い付けることで離させない。

 

やがて大気圏に熱されながら地球の雲を越えると、地上が、ユンザビット高地の荒れた岩山が見えてくる。

 

すでに限界まで膨れ上がったスラッグは、今にも破裂しそうなほどだ。このまま爆発すれば、太陽系を巻き込んで消滅するほどの爆発を起こすだろう。

 

そこへピッコロ神が飛んでくる。俺はスラッグから葉脈を引きちぎり、ヤツを地上へ叩きつける。すさまじい勢いで叩きつけられたことにより、半径数百メートルはあるクレーターが生まれるが、もはやスラッグは動くこともできない。

 

「来たぞ悟空!」

 

「よし、合わせろ!」

 

俺は掌に正のエネルギーを凝縮しはじめる。形成された気弾の真珠色の輝きが、朝焼けのように周囲を照らし、明るさを増していく。完成したそれをさらに圧縮し、光の粒へと変わるまで小さくしていく。

 

ピッコロ神も同じく高めた気を両掌に集め、緑色に輝く気の光玉を作り出していく。

 

「はあっ!」

 

「はっ!」

 

二つの気弾が地上へ向かっていき途中で融合すると、炸裂せずに音もなくスラッグに吸い込まれる。

 

次の瞬間、スラッグの目と口から光が飛び出し、全身から木の根が生えてくる。

 

「…なるほど、神聖樹の生命力を吸収したスラッグを苗床にして逆に神聖樹に取り込ませたのか」

 

「ああ、まともに倒してもよかったんだが、それじゃ一瞬で楽にしちまうみたいで癪だったからな」

 

「ともあれ、これで一件落着か」

 

「ああ、そうだな」

 

すでにスラッグの姿は神聖樹に残さず取り込まれて見ることもできない。なまじ神聖樹を融合するほどに取り込んでいただけに、魂すら滋養として吸収されてしまうだろう。

 

やがて雲を突き抜け、さきほど出来たクレーターを上回る巨大な幹を完成させた神聖樹がそびえ立つ。

 

すると、その枝葉から光が漏れだし空へと吸い込まれていく。

 

「スラッグに殺され、吸収された者達の魂か…」

 

「ああ、魔族に殺された者はあの世へ行くことができん。これで、彼らも再び輪廻の環(わ)に加わることができるだろう」

 

幻想的だがどこか悲しげなその光景を見つめながら、俺とピッコロ神はさらなる巨悪へと思いを馳せるのだった。

 

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「よく頑張ったな、ブルマ」

 

病室で無事にトランクスを生んだブルマを抱き締め、俺はその感触に安息を覚える。

 

「えへへ、がんばったでしょ。それにしてもジュニアちゃんが部屋を飛び出したって聞いたときは驚いたわよ」

 

トランクスを抱き上げながらブルマは苦笑を浮かべる。

 

「それに関しては俺も悪かったな。万が一に備えて魔族の気配がしたら即バリアが張られるようにしておいたんだ。まさか入れ替わりにピッコロJr.が飛び出すとは思いもよらなかったんでな」

 

「…ごめんなさい」

 

ランチやマイに散々怒られたのだろう。半べそをかきながら反省するピッコロJr.の姿は可愛らしいものだ。

 

「だがまあ、お前もそろそろ次の成長期に入るからな。ピッコロ神と一緒に武術の修行をはじめてもいいぞ」

 

「本当!!」

 

わかりやすく喜びの声をあげるピッコロJr.に笑い声が上がる。広がる笑いに恥ずかしそうに顔を赤くしてうつむくピッコロJr.だが、笑い声は収まることなく楽しげな空気が部屋を包み込む。

 

俺はその光景に、今の平和を守ることを固く誓うのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜、ブルマを病院に残し、家へと帰ってきた俺は食事と風呂を済ませて寝室へと向かう。

 

扉を開けて入れば、そこには揃いのブレザーを身に付けてベッドに腰掛ける女達の姿があった。

 

俺はそれに向かい合うように、ベッドの正面に置かれた椅子へと座る。

 

「えへへ、こういう服ははじめて着るだよ♪」

 

ランチとマイに比べてやはり小柄なチチは、普段着ることのない学生服という存在にはしゃいでいる。

 

「あたしは昔学生してたけど、セーラー服だったなあ」

 

「奇遇ですね、わたしもですよ」

 

マイとランチは学生の頃の話で盛り上がっているようだ。ランチが学生時代を懐かしそうに語るのは、16歳の頃には金髪ランチがめちゃくちゃしていたのでとても学生などやれなかったせいらしい。

 

「用意して正解だったな。みんな似合ってるぞ」

 

俺の言葉に女達は嬉しそうに笑う。ランチがここにいることに違和感を覚えるかもしれないが、ディナーは不思議なほどに夜泣きをしないのだ。一度一晩つきっきりで様子を見ていたのだが、どうやら脳が膨大な情報を処理しているらしい。体への負担は低いようだが、このせいなのか一日の大半を寝ていることが多い。

 

さて、目の保養はそろそろ十分だろう。

 

すでに完全に勃ちあがり、先走る俺の逸物が女達を求めている。

 

立ち上がった俺を見ると、女達は示し合わせたように後ろを向き、スカートをめくりあげる。

 

ランチは大胆に下着を脱ぎ去り、右足の太ももにひっかけている。

 

マイは下着を太ももまで下ろし、かろうじて秘所が覗ける位置で止める。

 

チチは下着を片手でずらし、愛らしい小さな秘所をさらけ出す。

 

三者三様の誘い方に俺は我慢などできるはずもなく、真ん中にいたマイへと逸物を突き刺す。

 

「きゃはああんっ♪」

 

「ふにゃ!悟空さまの指がぁ!」

 

「あぅ、旦那様っ、おしりも一緒にだなんて、あんっ…!」

 

腰を激しくグラインドさせ、マイのなかを抉るように逸物をかき回す。

 

左手でチチの秘所を探り、クリトリスを刺激して身悶えさせる。

 

右手でランチの膣に人差し指から薬指を、親指を尻の穴につっこみやや乱暴にかき回す。

 

最近は修行にかまけて欲求不満だったからな。悪いが数日は付き合ってもらうぞ。

 

溜まっているせいか20分も腰を振っているだけで限界が訪れる。俺はマイの子宮口へと鈴口を差し込むと、狭い感触を堪能しながら濃い精液をビュルビュルと吐き出す。

 

「ひいいいぃぃいい~~~っ!」

 

まるで萎えない逸物を引き抜くと、マイが腰をがくがくと揺らしてベッドに倒れこむ。顔は幸せそうにとろけているので、負担を受けただけではなさそうだ。

 

次に散々ほぐしてすでにぐったりしているチチを抱き寄せ、リクエスト通りに下着の隙間から逸物をねじ込む。

 

「きゅうううんっ!」

 

子犬のような悲鳴をあげるチチの膣へと太く固い逸物を激しく注挿させる。

 

とろとろにほぐれたチチの秘所は漏らしているかのように愛液を垂れ流す。

 

今だ俺を受け入れることのできない子宮口を開発する意味もこめて、亀頭でトントンとテンポよく子宮口をノックし続ける。

 

「えう、あう、ふぐ、ふにゅう~っ!」

 

しばらく動き続けると俺が射精するより前にチチの限界が来てしまったようで、ビクビクと体を震わせたかと思うとぐったりしてベッドに突っ伏してしまう。

 

普段ならそこで一度抜いてやってもよいのだが、今の俺は我慢が効かない。数度の覚醒と失神をチチに味合わせると、ようやく込み上げてきた感覚に従って射精する。

 

「あ…あ…あぅ」

 

亀頭でマッサージをほどこした子宮口へ鈴口をぴったりつけた影響もあってか、チチの腹は妊娠したかのように精液で膨らんでしまった。大きさから見て妊娠4ヶ月だな。

 

 

「はむっ!んむっ、むちゅっ、じゅる、むちゅうっ!」

 

抜いた逸物を紺髪ランチに向けると、待ちきれなかったランチが吸い付いてきた。出産後、負担をかけまいともっともセックスの頻度がさがってしまったランチだが、週に一度程度のセックスで俺が開発したランチが満足できるはずもなく、さらには先に二人を抱いた分さんざん焦らしただけあって、逸物に吸い付く様は必死ですらある。

 

俺はベッドに倒れた二人の間になるように座ると、ランチを手招きして体勢をやや仰向けにする。

 

察したランチが俺にしなだれかかるとくわえた逸物を一度限界まで引き抜き、露出した部分を出産後さらに豊満になった胸にはさみ込む。

 

「ちゅ…ぺろ、旦那様、気持ちいいですか…?」

 

ランチの体温が下半身にじかに伝わり、全体をくわえることは叶わなくなったものの、舌先で舐めとるように亀頭が刺激され射精感が高まっていく。

 

「もちろんだ。ぐっ…!」

 

「んぶっ、えぼっ、んぐ、ごくごくごく…」

 

ランチの後頭部を押さえ、喉の奥へと射精する。苦しいはずだと言うのに、ランチは俺の逸物を喉奥へと送り込みさらなる快感を与えようと舌をもからませる。

 

尿道に残った精液も残らず飲み干したランチは、乱れた制服を一度整えると、改めて尻を俺に向けてさきほどと同じ姿勢をとる。

 

「はい、どうぞ。やり直しですよ、旦那様…♪」

 

その姿に俺は笑みを浮かべると、勢いよくランチの尻の穴へと逸物を突きいれた。

 

「………っ!?お、ほぉ、かはぁっ…!」

 

予想外の場所への刺激に困惑しながらも、体は快楽としてとらえたことでランチは絶頂を迎える。

 

俺はランチの絶頂の波に合わせるように、ランチの内臓を俺の気で浸し犯していく。

 

ともすれば壊してしまいかねないほどに激しいセックスにより、ランチは悲鳴をあげながら絶頂し続ける。

 

だがランチよ、尻の穴を予想していないわけじゃなかったんだろう?そうでなければ、こんなにもきれいにしておく必要はなかったはずだ。まあ多少汚かったとしても俺なら問題ないが、期待には答えねばな。

 

潮を吹きながらあられもない表情で絶頂し続けるランチ。俺はとどめとばかりにクリトリスをつねりあげると、ランチは声にならない声をあげて貫かれたまま気絶した。

 

引き抜いた逸物がぬらぬらと輝く。女達はすでに三人とも息も絶え絶えだが…

 

夜はこれからだ…!お楽しみはこれからだ…!

 

暗い部屋のなかで三日月状にゆがめた口元を見ながら、女達はこの饗宴がすぐには終わらないことに喜びを覚えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あー、つかれた。楽しかったけど。

途中萎えた気持ちをあげるのに復活のフュージョンを観たりして、ジャネンバジャネンバ言ってました。

これにて無印は終了です。ピッコロ大魔王を邪神スラッグに変えての物語、いかがだったでしょうか。

ちなみにここでのスラッグの最後は魔獣フリーザ戦への伏線でもあります。

二話から三話、エロを投稿してその後は原作におけるサイヤ人襲来をはじめます。いよいよフリーザ、ブロリー、そして嫌われビッチのセーロが絡んできますので、みなさんどんどん感想をください。一言でも構いません。モチベーションがだんちなんですよ!おねがいしますううううう(cv:津久井教生)

とりあえずテンションがオールのときと変わらないので、休憩します。今後もドラゴンボールCをおたのしみください!よろしくおねがいします!


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【外伝】 “女性用下着専門店”

さあ、お待ちかねのランファン再登場(´・ω・`)

今回はエロ妄想の定番。試着室での一幕です。

それではどうぞ


***side ランファン***

 

「…はぁ」

 

「店長、またため息ですか。幸せが逃げちゃいますよ」

 

わたしが思わずついたため息を耳敏く拾ったこのお店唯一の女店員ハスキーちゃん。泥棒じみたことをやってた野良猫みたいな彼女。拾ってから半年になるけど、人って変わるものね。今じゃあたしよりしっかり店員をしてるんだから。

 

「…もう逃がしちゃったわよ。…はぁ」

 

あたしのため息の理由はひとつ。天下一武道会であたしのくちびるを奪って、あまつさえ人前でお漏らしまでさせた憎いあの人のこと。

 

思い出すだけで、胸がしめつけられるみたいに痛い。

 

大会のあと、賞金を手に入れられなかったわたしだけど、そんなことはもうどうでもよくなってた。

 

何度かあの人に会いに行ったけど、いつも留守。

 

伝言を頼もうにも、あたしより美人な女の子に気が引けて、引き留めるあの子を無視して逃げ出しちゃった。

 

それからも何度か機会を伺ってたんだけど、結局ズルズルと過ごしているうちにタイミングを失っちゃったの。

 

でもこの間の魔族が世界中にあふれでた事件で、偶然助けたお金持ちからお礼をもらって、なんだかんだ諦めきれなかったわたしはそのお金で西の都にランジェリーショップを開いた。

 

あ、ランジェリーショップといっても下着だけじゃないのよ。あたしの昔の友達に紹介してもらった職人さんから、質のいい香水も仕入れているわ。

 

それからというもののお店の軌道は順調。商品の仕入れとか諸々はハスキーちゃんがやってくれるし、力仕事も元部下だっていう猪みたいな顔した人と、なんでかいつもゴーグルをかけてる人がやってくれてるから、正直わたしの仕事ってないのよね。

 

これでお店を乗っ取るつもりもないっていうんだから、ほんと得難い拾い物よね。ハスキーちゃんには感謝してるわ。

 

「あー、もう。こうなるとテコでも動かないんだから。あたしちょっとデザイナーさんと今度取り扱うブラのことで相談がありますから、店長店番お願いしますね」

 

感謝の気持ちを抱きながらも、あたしの心はどこかへ行ってたみたい。

 

「うん、わかったわよ。いってらっしゃーい。…はぁ」

 

「ダメだこりゃ。やれやれ、これであたしより強いんだから、始末に負えないわよ」

 

「…なんか言った?」

 

「いいえ、なんにも。それじゃくれぐれもよろしくお願いしますね!」

 

「はーい。…はぁ」

 

どっちが店長なのかわからない言葉をかけられながら、あたしはさほど広くない店内にひとり残される。

 

まるで世界にひとり取り残されたみたいで、五分と経たず急に寂寥感が沸き上がってくる。

 

「…さみしくなんか、ないやい」

 

「本当にそうか?」

 

「…え?」

 

呟いた独り言に顔をあげれば、そこにいたのはあの人。

 

上半身をシャツみたいな形をした毛で被われてて、あのときと同じストレッチジーンズを履いた姿。

 

体格は前より大きくなったみたい。ツンツンした髪の毛からは、前髪が一房垂れ下がっている。

 

自分でもわかる。激しくなる動機が止まらない。あの日このひとを誘惑してやろうって考えたときを思い出して、顔が一瞬で熱くなっていく。

 

「…なん、で、ここ」

 

ダメだ。恥ずかしすぎて言葉もまともにでない。もっとちゃんとしゃべりたいのに。

 

「なんでここにいるかって?まあ、ちょっとこういった下着に縁がないやつがいてな。今度買い物に来ようと思ってるんだが、一応下見に来たんだ。そうしたら見知った顔が落ち込んでたからな。励ましに来た」

 

なによ。わたしがこんな顔してるのは、全部あんたのせいなのに。

 

そんな風に笑わないでよ。

 

もう顔も見れなくなってもう一度うつむこうとしたわたしに、彼がもう一度話しかけてきた。

 

「なあ、ここって試着室あるか?」

 

「…え?そりゃもちろんあるけど」

 

「ならよし。ほれ、ちょっと試着室まで来てくれよ」

 

「え、どういうことよ。ちょっとぉ」

 

最低限のスタッフとしての外面でなんとか会話できたけど…

 

案内でもさせるのかと思えば、彼は迷わず試着室まで着いた。

 

いったいどういうことかと質問すれば「下着の着け心地をわたしに試してみてほしい」と来たもんだ。

 

…たぶん、怒るべきなんだろうか。自分以外に渡すであろう下着の着け心地を見てほしいだなんて。

 

でもわたしは彼に見てもらえるのが嬉しいのもあって、それに二つ返事でうなずいてしまった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ど、どうかしら…?」

 

以前みたいにしなを作ることもできない。

 

彼に見られているって思うと、お腹の奥から全身に熱が伝わっていく。

 

上下ともに下着だけっていう、あのときと変わらない格好なのに。

 

わたしの体はあの人に見られているだけで、浅ましくも女としての悦びを得ていた。

 

「そうだな。ブラはもう少し色を抑えたものがいいな。彼女は黒髪だし、こんなのはどうだ」

 

その言葉を聞いて、あたしの恥じらいのベクトルが一瞬で変わる。…そうだ、彼は自分を見に来たのではない。あくまで下着のデザインや着け心地を確認しに来ただけ。

 

そう、思おうとしたときだった。

 

彼の掌が、あたしの肩を抱いた。

 

「ほら、着けさせてくれよ」

 

彼は手慣れた仕草であたしからブラをするりと外していく。

 

羞恥心で真っ赤になるあたしを無視するみたいに動く彼だけど、その手にこめられた優しさについすがりそうになる。

 

彼の手があたしの胸に触れる。乳首はとっくに立っている。下の方だって、もう売り物にならないくらいに濡らしてしまっている。

 

彼の手が、あたしの胸を揉みしだく。ブラをつけるだなんてのは言い訳で、彼があたしを求めているんだろうことが彼の体温から伝わってくる。

 

「はわ…っ、ひゃう…!」

 

そのことが嬉しくて、声を抑えることができない。乳首をつねられれば、あたしはそれだけでイッてしまった。

 

「あぅ、あっ…!はあ、はあ、はあ…」

 

崩れ落ちそうになるあたしを彼は“鏡に向けさせて”つかまり立ちさせると、ショーツをするりと下ろして、いけない液をお漏らしするあたしのアソコをすすり出した。

 

チュル…クチュ…ジュル…チュ…コリ…

 

静かな店内に彼がアソコをいじる音だけが響き渡る。

 

あたしは万が一声がお店から漏れてはいけないと必死で口を両手で押さえるけど、彼の舌はあたしの弱いところを的確に刺激してくるから、それもどこまでできているのかわからなくなってくる。

 

どれぐらい彼の口があたしのアソコを刺激しただろうか。

 

ふっと彼の口が離れたことを自覚すると、あたしが崩れ落ちる寸前に腰を抱かれて彼に後ろから抱きつかれた形になる。

 

「…自分の顔を見てみな」

 

耳元で囁かれ潮を吹きながら、彼の言うとおりに鏡を見ると、そこにはこれが自分だとはとても信じられないほどに歪んだ顔があった。

 

その嬉しそうな顔が自分のものだという自覚が曖昧なまま、あたしは彼のペニスで後ろから貫かれた。

 

「…はっ…!…かはっ…!」

 

あまりの衝撃に呼吸ができなくなっていると、彼はそれに構わず動き出した。

 

太くて固くて長い彼のペニスが、口から内臓が飛び出しそうなほどの激しさで注挿される。

 

一突きごとにイカされるあたしは、もはや彼にしがみつくしかなく、されるがままに犯されていく。

 

どれだけ息を漏らしても、どれだけ悲鳴を奏でても、あたしのアソコを抉る彼の動きはまるで止まろうとしない。

 

やがて彼の指でお尻の穴もいじられながら、あたしの快感は最高潮を迎えようとする。

 

「ただいま~、って店長どこにいるんですか」

 

帰ってきたハスキーちゃんの声に、あたしは気が動転して膣を思いきり締め付ける。

 

「…ぐっ、くう!」

 

その瞬間あの人と繋がった場所、膣の中から音がしそうなほどにすごい勢いでザーメンが吐き出される。

 

「あ゛あ゛あ゛…!い゛、イグう…!?」

 

思わずこらえ切れなかった声が漏れ出すが、幸いにもあの子には聞こえなかったみたい。

 

「…しょうがない店長ね。さて、ちょっとご飯でも食べてくるかなー」

 

あの子がお店から離れていくのがわかると、あの人の動きがさらに激しく高まっていく。

 

あたしは喘ぎながら、あの子が帰ってくるまでにあと何回イケるか考えながら必死にあの人の手を握るのでした。

 

 

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***side 悟空***

 

「師匠、ずいぶんとご機嫌ですね」

 

買い物から戻り、道場へと顔を出した俺を見たナムはそう感想を述べる。

 

「そうか?まあちょっといい買い物先を見つけたんでな」

 

そう返した俺は、先ほどまでのランファンの痴態を思いだしほくそ笑む。

 

まさか彼女が西の都にいたとは。気絶させてしまったお詫びに大量の下着を買ってきたが、売り上げのたしになっただろうか。

 

以前のような勝ち気な印象はなりを潜めたが、それを補ってあまりある恥じらいの仕草を見て、思わず試着室で襲ってしまった。

 

それにしても途中で店に来た子、絶対気づいてたな。

 

濡れていたのもニオイでわかったようだし、次に行ったときにちょいとからかってやるか。

 

「よおし、ナム!組手するぞ!ギラン!チャパ王!まとめてかかってこい!!」

 

「はい!胸をお借りします!」

 

「げえっ、今かよ!」

 

「八手観音!」

 

向かってくる弟子を叩きのめしながら、俺は明日もランジェリーショップへ行くことを心に決めるのだった。

 

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***side ハスキー***

 

「あの男、せめて後始末くらいしろよ…!」

 

試着室で幸せそうに上着をはおって気絶した店長を見て、わたしは思わずぼやいてしまう。

 

ついさっきまで約4時間に渡り店長とセックスしていた男の姿を思いだす。

 

「お金持ちなのはわかるけど、女の面倒くらい見てから帰りなさいよね…!」

 

イラつきながらときどきごぽりと股から精液をこぼす店長を見て、わたしはさっきオナニーしたときのことを思い出す。

 

「にしても店長気持ち良さそうだったな…」

 

案外誘ったらあたしもあの男とヤれたりして。

 

「ははっ、それはないか。…はあ、だるい」

 

そうして店長を濡れタオルで洗いながら、あたしは今後に思いを馳せるのだった。

 

 




勢いで書いたランファンちゃんのその後(´・ω・`)
西の都にすんでます。

ハスキーちゃんをリクエストされた方、頑張って登場させましたよ!
如何せん動いてる姿を見ていないので、キャラのイメージは崩壊している可能性は高いですが( ̄▽ ̄;)


あ、活動報告にも書いたのですが、俺ってこの作品でまだセリパのこと殺してないはずですよね。念のため確認です。答えてくれるとありがたいですm(__)m

それではみなさんまた今度☆ミ


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【番外編】雪の少女と暗躍する者 ★

いつから外伝がエロスだけだと思っていた…(´・ω・`)?

というのは言い訳で、本編では回収しきれなかったフラグ回収の話です。ひとつだけ戦士がいなかった北の都はどうなったのか。

スノとハッチャンは。そしてあの男は…

サイヤ人編の後になる人造人間編への伏線となりますので、ぜひご覧ください。


***side スノ***

 

スノはその日も、父の手伝いをするために積もった雪をどかすのにハッチャンと一緒になって雪かきをしていた。

 

途中から集めた雪で雪だるまを作るのが楽しくなってしまい、ハッチャンに手伝ってもらって巨大な雪だるまがいくつも乱立し始めたが。

 

そんなときだった。スノは自分の背筋に雪玉が入ってきたときを思わせる寒気を覚えて思わず空を見上げた。

 

空を飛び交う、鳥ではない生き物の群れ。

 

大人達の何人かが「魔族だ」と叫んでいるのが聞こえた。

 

スノは不安になり、隣に立つハッチャンに「家に帰ろう」と話しかけたが、ハッチャンは普段見ないほどに怖い顔をしてさきほどの自分と同じように空を見上げている。

 

合わせるようにスノも見上げれば、そこには恐竜が無理矢理ひとの形を取ったような姿をした生き物。

 

さきほど大人達が叫んでいた魔族がいた。

 

「スノ、家に行くんだ」

 

どこか突き放すようなハッチャンの声にスノはビクリと震えるが、普段なら優しく慰めてくれるハッチャンは厳しい表情のまま変わらない。

 

「おやおやぁ?こんな田舎じゃ人もいないかと思ったが、うまそうな娘っ子がいるじゃねえか」

 

「独り占めはだめだぜ。右足は俺がもらった!」

 

「じゃあ左足は俺だ!」

 

下卑た表情を浮かべた魔族がスノに向けて突っ込んでくる。スノは恐怖のあまり動けない。

 

自分はこのままでは食べられてしまう。そう思ったとき

 

ガッシッ!

 

自分の前に立ちはだかったハッチャンが二人の魔族の頭をつかんでその突進を受け止めた。

 

魔族二人は自分達が反応できないほどの速度で頭を捕まれた事実に驚くも、それをどうにかする前にハッチャンによって足元へ叩きつけられる。

 

「だあっ!!」

 

凄まじい勢いで叩きつけられた二人はそれだけで致命的なダメージを負ってしまい、まともに動けなくなる。

 

「むううううんっ!!」

 

そしてハッチャンもそんな魔族二人をそのまま放置したりなどしない。

 

固く握りしめられた拳は鉄槌と化し、振り下ろされた勢いで魔族の頭を粉々に砕くのであった。

 

スノははじめて見るハッチャンの戦う姿に怯えるが、同時にハッチャンがしたくないことをしているのをなんとなく感じ取った。

 

だから、スノが次に取った行動は早かった。

 

「…ハッチャン、ありがとう」

 

目の前のハッチャンが怖い。そんな思いを押さえつけて、スノは後ろからハッチャンの大きな足に抱きついた。

 

スノにはハッチャンが動揺したのがわかった。たぶん、一番怖いのはハッチャンなのだと。

 

嫌われたくない。怖がられたくない。そんな思いが、抱き締めた無機質なハッチャンの体から伝わってくる気がする。

 

「大丈夫だよハッチャン。あたしはハッチャンのこと怖くなんかないよ。一緒に帰ろう?」

 

「…スノ、ありがとう」

 

ハッチャンは笑っていたが、きっと涙を流せたら泣いていただろう。スノには、そんな気がした。

 

「妙な気配をさせたヤツだな。…貴様人間か?」

 

だから、再び空から嫌な声が聞こえたとき、スノは本気で怒りそうになった。これ以上、ハッチャンに辛い思いをさせるのかと。

 

そこにいたのは、ハッチャン以上に大きな体をした魔族だった。体以上に大きな羽根を広げてこちらを見下ろしている。

 

「スノ、俺は人造人間だ。その上、ひとを傷つけるために作られたのにひとを傷つけられなかった出来損ないだ」

 

突然いつも以上に饒舌に語りかけるハッチャンに、スノは不安を覚える。まるで、ハッチャンがどこか遠くへ行ってしまいそうな気がしたのだ。

 

「だけど、スノをはじめに村のみんなはこんな俺に良くしてくれた。寒い村で、俺は暖かさを知ることができた」

 

「…ハッチャン?」

 

「俺に搭載されたパワーレーダーによれば、俺ではヤツに勝てん。さよならだ、スノ」

 

ハッチャンはそう言うと、来ていた服の背中が破けて機械部分が露出する。

 

次の瞬間には空を飛ぶ魔族の元へ一目散に飛び出し、強烈な体当たりを食らわせる。

 

「ふん!この程度で俺がどうにかなるとでも思っているのか!!」

 

しかしハッチャンを受け止めた魔族は余裕の態度を崩さずに、逆に飛び込んできたハッチャンを壊そうと受け止めた腕に力を込めはじめる。

 

「うおおおおおおおっっっ!!!」

 

すると、露出した機械部分から緑色のエネルギーが迸り、魔族もろともハッチャンは上空に昇っていく。

 

「ぬおおっ!?だ、だがこんな程度では…!!」

 

加速によって負荷された重力に体をきしませながらも、魔族はハッチャンの拘束から逃れようと暴れるが、ハッチャンは己の体が壊されるのにも構わず決して拘束を緩めようとはしない。

 

そして、高度が十分にあがり、“動力炉の爆発がスノを巻き込まない”ことを計算し終えたハッチャンは、そのスイッチを入れた。

 

「ぐうぅ!いい加減に離せええ!!」

 

魔族の目から放たれた光線がハッチャンの首もとを貫く。千切れかけた首を見て魔族はほくそ笑んだが、すでに爆発は止まるはずもなかった。

 

 

グゥオオオオオオオオンッッッ!!!

 

 

空一面を焦がしながら、ハッチャンの動力炉は大爆発を起こした。

 

ハッチャンの体を消し飛ばして。

 

「ハッチャアアアアアアアアアン!!!」

 

スノの悲痛な声が空に響き渡った。

 

かつて孤独だった人造人間が見せた覚悟は、確実にひとりの少女を救ったのだった。

 

 

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***side ???***

 

魔族の襲撃。

 

予定外の出来事だったが、おかげでサンプルには事欠かないほどに魔族の実験体とデータを集めることができた。

 

そして、あの悟空という男に接触した人造人間8号。今後悟空のデータを取得するために自爆させないでおいてやったというのに、小娘ひとりのためにわしの計画を邪魔するとはな。

 

…まあよい。幸い首から上は回収することができた。興味深いデータも採取できたことだし、同じ設計コンセプトで開発中の16号にこやつのメモリーチップを搭載させてみるか。他の人造人間が暴走したときに食い止める、対抗措置としての役割を持たせるにはこやつのAIはちょうどいいやもしれん。

 

さて、以前勧誘した若者の改造措置を進めねば。やることはまだまだ多い。

 

ふと電子メールを見れば、受信を通知するランプが光っている。

 

…ふむふむ。おお、ドクター・ウィローめ。ようやくその気になったか。やつの研究が合わされば、わたしの人造人間の研究は一気に進む。

 

くっくく、それにしても最強の肉体か。いいだろう。わたしが今開発しているコンセプトで最強の人造人間をくれてやる。他の人造人間からデータや動力を吸収してパワーアップするタイプだ。やつも十分に満足できるだろう。まあ、最強からはほど遠いがな。

 

セルの培養は進んでおらんが、あれに関してはさらなるサンプルが必要となるだろう。できれば強化変身するようなタイプの異星人がどこかにいないものか。

 

ふむ、無い物ねだりをしてもしょうがないか。やることは多いのだし、目の前の問題から解決していくとしよう。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side ヤムチャ***

 

俺の名はヤムチャ。荒野の一匹狼だ。

 

人気のない荒野で、時折通りがかる人間から金やカプセルを奪い生活している。

 

ある日、ひとが飛んでいるのを見た日から、俺の生活は変わった。

 

いつものように奪ったモノを金に変えようと寄った町で、俺はひとを殺してしまったのだ。

 

これまで人を殺したことだけはなかった俺の、痛恨のミスだった。

 

一応理由はある。俺の相棒である妖怪のプーアル。そいつが、人質に取られていたのだ。

 

殺した相手は兎・人参化(と・にんじんか)といい、正直殺しても誰も悲しまないような悪党だったのだが。

 

ヤツに妻を人参に変えられ、無惨に食われてしまったという男に無理矢理頼まれる形で俺はヤツと退治することになった。

 

慇懃無礼にこちらを眺める兎・人参化の顔を見てカッとなった俺は、握手を差し出してきたヤツの腕を腰に下げた剣で切り落とした。

 

背後に控えた部下の連中が慌てていたが、ここまで来たらプーアルを救うためにも躊躇ってなどいられない。

 

俺は容赦なくヤツを脳天から真っ二つにすると、プーアルを取り戻して逃げるように町から出ていった。

 

それからというもの、俺は人殺しとして指名手配されてしまったらしく、町へ行けば警察に追われる毎日。

 

いつしか疲れはてた俺は、俺を狙って現れた賞金稼ぎどもを殺し、そいつらから奪った金で生活するようになっていた。

 

場所さえ選ばなければ、鼻つまみ者となった俺にも居場所はあった。プーアルは嫌がっていたが「いつでも俺を見捨てていい」と言ったら意地になって着いてくるようになった。…俺なんかのために尽くすことはないだろうに。

 

プーアルと出会ったのは、偶然だった。荒野で行商人を待ち構えていた俺は、そこで違法に捕らえられ檻に入れられたプーアルと出会った。

 

孤児を食い物にする奴隷商人がいるという噂話は聞いていたが、あのときは怒りのあまりに奴等をぼこぼこにしてしまった。

 

大半の孤児は西の都で警察に引き取られていったが、プーアルだけは身寄りもないといって俺についてきた。

 

普段からだらしない生活を送っていた俺は、プーアルのおかげで人間的な環境を手に入れられたと言ってもいい。

 

なにせ、掃除・洗濯・炊事と、まるで新妻のように甲斐甲斐しく働いてくれるのだから。正直プーアルが女の子だったら、とうの昔に結婚を申し込んでいるレベルだ。

 

そうして俺は、気づけばわずかな期間で裏の世界で名を馳せるようになっていた。

 

正直この頃の俺は、天狗になっていたのだと思う。並み居る賞金稼ぎらを倒し、実際に独学で身に付けた武術の腕前も以前からは比べ物にならないほどに上がった。

 

だからだろう。お尋ね者であるにも関わらず、天下一武道会に出ようなどと考えたのは。

 

予選会場を見渡したとき、自分に敵う実力者が幾人いるものかと思わず笑ってしまったが、ある人物を見て固まった。

 

そこにいたのは誰であろう、武術の神とまで呼ばれる人物。亀仙人、武天老師と呼ばれるほどの人物であった。

 

いわく、気配で相手の強さを正確に計る技量の持ち主。

 

いわく、その奥義は山を吹き飛ばし、月に穴を穿つ。

 

いわく、彼に勝てるのは伝説に語られるピッコロ大魔王のみ。

 

無理だ、と思った。自分では、勝てるはずがないと。

 

だがそれは今の話だ。見ている限り、もっときちんとした修行を積めば、勝てなくもないように思える。

 

ならばこそ、ここはあえて引き、三年後の戦いで本当の実力を引き出した自分を見せつけるのだ。

 

そう言って参加を辞退した自分を鼓舞したが、決勝戦で見たのはまさしく次元の違う戦いだった。

 

動きが追えない。技の仕組みが理解できない。

 

武天老師と対峙し、互角の勝負をする悟空という選手。

 

自分などでは及びもつかないくらい、修行を重ねたのであろう。その動きは遥かに洗練されていて、武天老師との試合はまるで互いに舞っているかのようだった。

 

ここに至って、自分の心は完全に折れてしまった。

 

だからプーアルに言って、荒野に戻ろうとした。元の生活に戻ろうと。

 

そんな風に考えたのがいけなかったのか。

 

それからしばらくして、魔族が世界中を襲う事件が起きた。

 

そのとき北の都にいた俺は、以前知り合った世界一の殺し屋と偶然にも共闘する形で魔族と戦っていたが、多勢に無勢。徐々に俺は追い詰められていた。

 

そんなとき、悲劇は起きた。襲ってきた魔族への反応に遅れた俺を庇って、プーアルが致命傷を負ってしまったのだ。

 

あまりの出来事に覚えていないが、俺はきっと狼狽し、役立たずと化したのであろう。

 

あっさりと最強の殺し屋は俺を見捨てると、彼がいなくなったことにより俺はあっという間に追い詰められた。

 

このままここで殺されるのか。せめて、プーアルの仇だけでも討ちたい。

 

そう考えた俺を、突如として奇妙な集団が救った。

 

集団を率いる男は老人だった。白い髭を生やしているが、その眼光はあの殺し屋以上に鋭く、裏社会でもそうそういない大物と同じ目をしていた。

 

男の指示に従い魔族と戦う奇妙な集団を横目に見ながら、俺はその男にプーアルを助けてもらうよう願い出た。

 

なぜ見ず知らずの、あまつさえどう見ても医者ではないであろう相手にそんなことを願い出たのか。

 

だが男は俺をじっと眺めたあと、集団のひとりに俺を見るように指示した。すると、こんな条件を提示したのだ。

 

「命を助ける代わりに、お前のすべてを捧げる覚悟はあるか?」

 

俺はその問いかけに答えた。俺のようなクズの命でプーアルが助かるならば、願ってもないことだと。

 

どうにも嫌な予感が拭えなかったが、俺にはもう自分のことなどどうでもよかった。ただ、プーアルさえ助かるのならば…

 

 

 




あの魔族襲撃事件。ドラゴンボールを使うほどの犠牲者は出ていませんが、誰も死んでないわけではありません。

そして当然一般人はドラゴンボールの存在など知らないので、死んだ人間はそのままです。

今回登場したヤムチャですが、彼が人造人間になるというのは元々ドラゴンボールマルチバースでのオリジナル設定ですね。そのときのインパクトが非常に強かったので、今回使わせていただきました。

ちなみに他にも魔族はいたのですが、その後駆けつけた悟空によって蹴散らされています。駆けつけるのが遅れたのはハッチャンが人造人間だったため、戦闘の気配がわかりにくかったからですね。場面的にはちょうどスラッグに吸われている辺りです。

あと一話、伏線回収を込みで書かせていただきます。なかなか本編開始できませんが、お待ちください。


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【外伝】紫雲英(げんげ)の花

さらっと宣伝(´・ω・`)
↓↓↓↓↓↓
https://novel.syosetu.org/111392/1.html
~俺は鳥じゃねえ~ とある超竜軍団長の軌跡

勢いとノリだけで書いたGoogle検索でも顔しか出ないべグロムさんの短編。原作はダイの大冒険です。そこ、誰そいつとか言わないであげて!
作者ですら時々書いたことを忘れそうになる、べグロムさんの生き様を見てあげてください(´・ω・`)
いきなり最終回ですけどね!(笑)

では外伝をどうぞ。


***side バイオレット***

 

最悪の自体に備えて記録をとっておこうと思う。

 

わたしはバイオレット大佐。元レッドリボン軍の軍人だ。

 

レッドリボン軍は、元は国軍の一地方軍であるリボン基地所属の部隊に過ぎなかった。

 

しかし、あるとき現れたという天才科学者に協力する形で組織は変わっていった。

 

十年足らずで世界中の兵器開発に関わるようになり、車の販売シェアもカプセルコーポレーションには及ばないものの、組織の活動資金とする分には十分すぎる規模となった。

 

わたしは自分で言うのもなんだが、有能ではあったので組織でも早い段階から出世していった。

 

それは、いつしか組織がトップである総帥の個人組織となり、組織名を“レッド”リボン軍と改めてからも変わらなかった。

 

わたしはその時点でこの組織が限界に近づきつつあることを悟っていたが、なにができるわけでもなく、せめて組織が崩壊するときには資金をいくらか持ち逃げしてやろうと密かに一ヶ所の金庫にまとまった現金を集めはじめていた。

 

そんなささやかな野望が打ち砕かれた運命の日。わたしはあいつに出会った。

 

基地を壊滅させたのは彼であろうことはすぐに気づいた。シャツのような体毛で被われた上半身。毛のない部分から覗くたくましい筋肉。鋭い眼光は敵対する者を容赦なく殺す酷薄さを感じさせた。

 

だからこそわたしはすぐに逃げることを選択した。しかし、わずかに集めた資金惜しさに意識が逸れたのが致命的だった。

 

不可思議な術でわたしを拘束すると、彼はどうしたものかと考え込んでいるようだった。

 

虜囚の辱しめを受けるつもりがなかったわたしは悔しさをにじませながらも、彼に自分を殺すよう告げた。

 

…そ、そこから先は記録する必要はなかろう。うむ。

 

まあ、なんだその。欲求不満だったから無理矢理なのに燃えてしまった、とか。

 

彼のセックスがあまりにうまくて悶絶してしまったとか。

 

ええい、なにを書かせるか!

 

…それでまあその、彼が個人所有していた大型の飛行機らしき乗り物に(彼は宇宙船とか行っていたが個人で宇宙船など所有できるはずがない)乗って移動したあとは、しばらく爛れた生活を送っていたんだが、あれで悪くなかったのだ。

 

だがわたしは元とはいえ生粋の軍人だ。いかに気持ちよかろうと、このままでよいわけがない。

 

そう考えたわたしは、彼がいないタイミングを見計らってカプセルハウスから出た。無造作に置いてあったレッドリボン軍の活動資金が入ったアタッシュケースを持って。

 

彼には過去を清算するとメモを残した。

 

いかに生き延びたとはいえ、わたしがレッドリボン軍であったことは事実。悪逆非道を誇った組織の構成員であるのだ。

 

で、あるならば。わたしには組織に引導を渡す義務がある。

 

わたしのターゲットはただひとり。かつてレッドリボン軍を裏から操り、世界征服を望んだ恐るべき科学者。

 

ドクター・ゲロ。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

 

***side マーク***

 

俺の名はマーク。

 

名門格闘道場『サタンの城』に通う未来の世界チャンピオンだ。

 

周りは俺を運がいいやつとバカにするが、俺の実力を妬むがゆえのものだろう。

 

事実、先日の魔族大襲撃事件での俺の活躍は素晴らしかった。

 

迫る魔族を千切っては投げ弱者を救う様はまさしくヒーロと言えるだろう。(…実際は必死に逃げ回ったあげくに泣いてる子供をひとり抱えて走り回っただけだが)

 

ともかく!偶然助けた子供が金持ちの子供だったので、俺が通うサタンの城のスポンサーになってもらおうと思ったのだが…そこには悲劇が起きていた。

 

俺の師匠であり、サタンの城の創設者。この道場最強の人間に送られるMr.サタンの称号を持つ男が、魔族に襲われたのだ。

 

なんたる悲劇…!聞けば迫りくる魔族から女性を庇ってのことらしい。

 

師匠、あなたの仇はそのうち俺が取ってみせるかもしれません!

 

「…俺はべつに死んじゃいないんだが」

 

「あなた、そこはつっこんじゃダメですよ」

 

モノローグを語り終えて振り向けば、そこには師匠と助けられた女性がいた。なにを隠そう、ふたりは事件をきっかけに付き合っているのだ。なんと羨ましい…!

 

「いや、お前だって最近売り出し中のミゲルって女優と付き合ってるだろう。むさい格闘家がどうやってあんな美人と知り合ったんだか」

 

「あら、あたしでは不満ですか?」

 

「え、いや、そそそんなことあるわけないじゃないか…!」

 

ふむ、結婚する前から中がいいようでなによりだ。

 

ミゲルさんとは町で偶然知り合い、落とし物を探してあげたことをきっかけで付き合うようになったのだ。

 

俺に相応しい最高の美人で、今売り出し中の女優でもある。

 

そんな順風満帆な俺だが、困ってしまった。師匠がこの様では、俺を鍛えることができないではないか。

 

「マーク。お前はもう少し敬う心を持たねえか」

 

「あなた、たぶん言っても無駄よ♪」

 

む、音符付きで呆れられてしまった。だが困っているのも事実。自主トレーニングだけでも俺が最強になれるのは間違いないだろうが、やはり優れた師匠というものは必要である。

 

「やれやれ。しょうがない、お前が本当に強くなる気があるならひとつだけ紹介できるところがある」

 

「なんと、それは本当ですか師匠!!」

 

「…急に食いつきやがって。俺が以前天下一武道会に出たことは知っているな?」

 

「ええ、まあ。師匠が一撃で負けたというあの大会ですよね」

 

「お前怪我が治ったら絶対ぶっ飛ばすからな」

 

「はっはっは!その頃にはこの俺がMr.サタンを名乗れるほどに強くなっていますよ!」

 

「よおし、そこまで言うなら教えてやる。俺はな、あの大会で優勝した孫悟空さんから弟子入りの許可をもらっている。とてもじゃないが格が違いすぎて遠慮したがな。そこで俺が悟空さんに推薦状を書いてやるから、お前あの人の弟子になってこい。十分強くなったらお前に『サタンの城』ごとくれてやる」

 

「言いましたね!言質は取りましたよ!よおし、早速荷造り開始だ!!」

 

俺はさっそく道場にあるロッカールームへと走っていくのだった。

 

「あなた、よかったの?せっかく凄い人から誘われてたんでしょう」

 

「俺はいいんだよ。格闘家としてのピークも過ぎてるし、なにより話に聞く限りじゃ、とてもあの人の修行についていけそうにないからな。マークが何日もつか見物だぜ」

 

「あらあら」

 

後ろからなにか話し声が聞こえるが、俺は気にしない!全速前進あるのみだ!

 

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***side 桃白々***

 

…やれやれ、無料奉仕はしないんだがな。

 

だが、向かってくるのならば仕方がない。せめてこの桃白々の恐ろしさを、その身に刻み付けるがよい!

 

「どどん波!」

 

迫りくる魔族を三匹まとめて撃ち抜く。

 

ふん、大した手間ではないが流石に数が多い。まともに相手をするのは得策ではないな。

 

「あ、あんたは桃白々っ!?」

 

気配には気づいていたが、後ろから現れたそいつはわたしを知っていたのか名前を叫んでくる。

 

「ん?なんだ、わたしのファンか?」

 

「いや、ファンではない。だがちょうどいい、ちょいとあんたの横で戦わせてもらうぜ!」

 

言うなりわたしの横で勝手に戦い始めた男を見る。髪の毛をうっとうしく腰まで伸ばし、顔には複数の刃傷痕がある。どこぞのチンピラ風情かと思えば、なかなか筋がいいな。

 

「…せめて足手まといにはなるなよ」

 

「へっ、このヤムチャ様をナメるんじゃないぜっ!狼牙風風拳!はいっ、はい、はいーっ!」

 

ほお、未熟だがそれなりの技だな。生き延びれば兄者のとこへ連れていって鶴仙流に弟子入りさせるのもよいかもしれん。天津飯の訓練相手にちょうどいいだろう。

 

そこそこ速い動きで魔族を翻弄するように動き回る若造を横目に見やりながら、わたしも魔族を殺すのを再開する。

 

やれやれ、これが依頼ならすでにわたしは億万長者だな。

 

そうしてしばらく見ず知らずの若造と一緒に際限なく涌き出る魔族を相手にしていると、さすがに疲労したのか。若造があからさまに無防備な隙を作り出してしまう。

 

助けることもできたが、理由もないので無視した。すると、若造を庇うようにして小動物が空を飛んで若造に向かう魔族の前に立ちはだかった。

 

「プーアルッッ!?」

 

さきほどの余裕はどこへ行ったのか。若造は情けない声をあげて血まみれの小動物を拾い上げる。あれは致命傷だな。まず助かるまい。

 

そうしている間にも魔族は若者を襲うかと思ったが、魔族は下卑た笑い声をあげて囲むだけですぐには襲おうとしない。

 

舌なめずりしているヤツがいるのを見るに、食うつもりか。

 

だがおかげで包囲に隙ができた。悪いが、一足先に逃げさせてもらうぞ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

なんだあいつらは。

 

逃げ出した後になって、せめて若造の最後を見届けてやろうと振り返れば、信じられん光景が広がっておった。

 

倒れた若造を庇うように現れたのは、大小様々な人の形をした異形たち。

 

ある異形が腕を振るえば、魔族の頭が消し飛ぶ。また別の異形が走り出せば、もはや目で追うことさえ難しい。

 

しかもこの最強の殺し屋桃白々の目を持ってしても、まるで強さが計れんとは…理解できん連中だ。

 

そして突如として現れた異形を率いるのは、陰気そうな老人。武道家には見えんが、あの目には見覚えがある。あれは科学者の目だな。一種殺し屋以上に冷徹な視線。目の前のモノをすべからく観察対象としか思っとらん。

 

ヤツが率いる異形の集団。身長が子供と変わらぬくせに腕だけが身の丈の三倍以上あるような者。鈍重ながらも驚異的な怪力で魔族を握りつぶしていく巨漢。病的な細さから信じられん速さの手刀を繰り出し、魔族をバラバラにする男。

 

ヤツラはそうして然したる時間を置かずに並みいる魔族を次々と殺していった。

 

時折老人の指示に従って“かろうじて”生きている魔族がどこかへ連れてかれていくが、どこへいったかまではわからない。

 

気づけばさきほどまでと同じ景色ながら、人間を襲っていた魔族が異形によって襲われていくという奇妙な図式が完成していた。

 

だがその凄惨さは酸鼻を極めていた。

 

血飛沫が飛び、臓物が路地裏を埋め尽くす。

 

いかに魔物とはいえ、否、魔物であるがために、この風景はまさしく地獄絵図となっておるのだろうか。

 

だがそれよりも、わたしはヤツラが魅せる強さに目が離せなくなっていた。

 

人智を越えた領域の強さ。兄者の言っていたジャッキーの新たな強さや、その相手である悟空という男にも繋がるやもしれん。

 

わたしは自らがその領域に立つことをいつの間にか脳裏に描きながら、その目にいまだ終わらぬ地獄絵図を焼き付けるのだった。

 

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***side バイオレット***

 

あれから一年が過ぎた。

 

途中で世界中を魔族が襲う事件があったが、わたしはドクター・ゲロを探すために身を隠すような行動を取っていたためか、幸いにも被害に遭うことはなかった。

 

だがその事件の過程で、ドクター・ゲロらしき人物の目撃情報が手に入った。

 

入念な調査の結果、わたしは遂にドクター・ゲロのモノと思わしき研究所の場所を突き止めるに至った。

 

そう、至ったのだが…

 

「くっ、この私がなんの抵抗もできずに捕まるだなんて…!」

 

今の私は四肢を固定された状態で微妙に浮かされており、煮るも焼くも好き放題にできるだろう。

 

「少し前から小うるさいネズミがうろちょろしておると思えば、お前じゃったかバイオレット大佐」

 

わたしの前にいるのは、全身をチューブで繋がれた半死半生の老人だった。

 

彼こそがドクター・ゲロ。悪魔的な頭脳で世界征服をもくろむ悪の科学者である。

 

「…バイオレット大佐。なぜわしの命を狙う。誰かに高値で雇われたか?」

 

「違う!私は私の意思でここに来た!過去を清算するために!貴様こそ答えろ、ドクター・ゲロ!世界を征服してどうするつもりだ!!」

 

私の問いに少し逡巡したドクター・ゲロだったが、その答えは簡潔だった。

 

「知れたことよ。人類を支配するのは真の天才であるこのわしに与えられた天命じゃ。貴様ら無知蒙昧な輩は、ただただ平伏し頭を垂れておればよい。見よ、我が人造人間達を!人類を支配し、世界をわが掌中に収める究極の兵器であるわ!」

 

「狂っているぞ、ドクター・ゲロ…!そんな傲慢な支配など、誰も望みはしない!!」

 

「貴様こそ間違っておるぞ、バイオレット大佐。誰の望みも聞いてはおらん。これはわしの望みじゃ…!」

 

その目を狂気に輝かせる悪の科学者には、私なんかの説得は届かないのだろうか。

 

「さて、せっかくわしの膝元まで来てもらったのだ。喜べ、バイオレット大佐。貴様には我が究極の人造人間、その苗床としての役割をくれてやろう」

 

「ひっ…!」

 

ドクター・ゲロがそう言うと同時に、どこからともなく触手じみたマニュピレーターが私に向かって延びてきた。

 

触手は私の全身を調べるようにあちこち撫で回すと、次第にその触り方は嫌らしいモノへと変わっていく。

 

私は必死で抵抗するが、機械に四肢を固定されているため身をよじることしか叶わない。

 

「くっくく、安心しろ。わしの作った生体開発マニュピレーターは、人間が潜在的に受けられる快感を増幅して与える機能を備えておる。その様子では思い人がいるのだろう?すぐにそやつは単なる記憶の欠片と化すぞ。さぁて、どこまで耐えられるかのぅ」

 

触手はすでに服を引き剥がし、わたしの太ももや胸をねぶるように刺激してくる。

 

ドクター・ゲロの言うように、どれだけ私が快感を堪えても触手が性感帯を刺激して私は思わず声を漏らしそうになる。

 

「あっ…いや、お願い、そこは…そこはあのひとのモノなの…!」

 

触手がとうとう私のアソコに到達しようとしている。このまま快感に流されてしまえば、もう二度とあの人に抱いてもらえない気がする。それが怖くて。あの人に嫌われてしまうことが怖くて。私は思わず涙を流す。

 

「たす…けて…」

 

救いを求める声がかすれるように口から漏れる。

 

ーーー突如、横の壁がすさまじい音を立てて吹き飛ばされた。

 

「呼んだか、バイオレット」

 

そこにいた人を、私が見間違えるはずがない。

 

シャツのように上半身を覆う毛皮。たくましく隆起した筋肉。燃えるような視線を私に向けてくれているのは、なにを隠そうわたしを愛したあの男だった。

 

「助けに来たぞ。そらっ!」

 

彼の手で強固なはずの固定器具は、まるで発泡スチロールのようにあっさり彼の手で壊されてしまった。

 

「き、きさまは…!孫悟空!!」

 

彼が現れた衝撃ですっかり忘れていたが、この場にはドクター・ゲロもいたのだった。

 

「おう、俺が孫悟空だ。そういうお前はドクター・ゲロだな」

 

「ふっふっふ、知っているならば話は早い。このわしが手塩にかけて作り上げたレッドリボン軍を、よくも壊滅させてくれた…!貴様に復讐するため、わしが作り出した人造人間達の力を思いしるがいい!!」

 

「あ…!…ぶない?」

 

なんだか間抜けな台詞を呟いてしまった。私が警告するよりも早く、悟空は向かってこようとする人造人間らを目にも写らぬ早さで倒してしまった。

 

倒れた人造人間らに拳の跡がついているので、恐らく殴ったのだとは思うが。

 

「ば、ばかな…!9号から11号が、一分と持たずにやられるなどと…!」

 

「もう少し数字が進めば、足止めくらいはできたんじゃねえか?だがお前の野望はここで終わりだ」

 

悟空はまるで容赦なしにドクター・ゲロの頭を叩き潰すと、そのまま彼が座っていた台座ごと後ろにあるスーパーコンピューターを消し飛ばした。

 

「…妙にあっさりしてやがるな。こんなものか…?」

 

「悟空、危ないところを助かった。礼を言う」

 

私は安堵と感謝の気持ちで悟空を見上げ、礼を告げる。しかし悟空はなんともいえない表情をして私を見下ろしており、その視線に気づいた私はようやく自分が裸同然であることに気づく。

 

同時に、恥ずかしさ以上に悟空に裸を見られていることによる興奮が増す。

 

「ごく、ひゃんっ!?」

 

「ずいぶんと気持ちよくされたみたいだな。ひょっとして、俺が助けに来なくてもよかったんじゃないのか?」

 

アソコをいじられながら、悟空の呟いた言葉を反芻して思わず反論しようとするが、それもクリトリスを摘ままれるまでの儚い反抗期だった。

 

「まったく、機械ごときに完封されやがって。バイオレット、お前にはたっぷりと生身の俺のよさを思い知らせてやるからな」

 

その拗ねた口調に、彼がさきほどまで私の全身をまさぐっていた機械に嫉妬していることに気づくが、優越感よりも嫉妬心から来る彼の容赦ない責めにわたしの体が悲鳴をあげる。

 

「おねがい、もう、入れて…」

 

「だめだ。自分でもっとマンコを広げてアピールするんだ。しっかりとイヤらしさが表現できたらぶちこんでやる…!」

 

私は残った僅かな羞恥心に内心で離別を告げると、彼に向かって尻を突きだし、アソコを両手でしっかりと広げて中から漏れる蜜をそのままに彼を誘った。

 

「私のイヤらしいメスマンコに、悟空の太くて固いおチンポをぶちこんでくださ、きゃひいいいっ!?」

 

「ああもう、だめだ!こんなの我慢できねえ!バイオレット、一年ぶりのセックスだ!手加減なしでイかせまくってやるから覚悟しろよ…!」

 

「あう…っ!ひぐ…っ!おお…っ!こわれ、こわれちゃうう…!」

 

さきほどの触手の責めも的確で得難い快感を私にもたらしたが、悟空のそれは触手なんぞとは次元が違った。

 

軍人として鍛えた理性と肉体が、彼の手にかかればあっさりと溶かされ、彼が与える快楽の波に溺れていく。

 

「バイオレット、キスだ…!舌を出してくれ!」

 

私は悟空の求めに従い、首を後ろに回して悟空と口づけを交わす。

 

その快感で、私は一年ぶりに潮を漏らして意識を失うのだった。

 

 

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***side ドクター・ゲロ***

 

やれやれ、どうにか茶番は済ませることができたか。

 

これであの男、孫悟空もわしが死んだと思って探し回ったりなどしないだろう。

 

そう、あの場にいたのはわしの記憶をデータとして写して用意した一種のリモート義体だ。

 

…意識を繋いでいたせいで、危うくわしまで死んでしまうところだったわ。

 

だがおかげで貴重な情報を得ることができた。

 

気づけたのはぐうぜんだったものの、わしを探すバイオレット大佐を陰ながら孫悟空が護衛していることに気づいたのは偶然だった。

 

それに、ヤツがブリーフ博士と知り合いならば、わしの旧研究所を知っていてもおかしくはなかったからな。

 

わしはこれまでとは比較にならないほどの慎重さで、ふたたび研究に没頭するのだった。

 




外伝三つ目いかがでしたでしょうか。

だいぶ急ぎ足になりましたが、とりあえず次章がはじまるまでの外伝はこれで最後です。

補足事項としてはマークの年齢を上げてあります。具体的には現在16歳です。あと亀仙人の本名を勝手にジャッキーにしました。なんだかんだ桃白々と付き合い長そうなので。バイオレットが魔族に襲われなかったのは、以前組手用に出した疑似フリーザが護衛についてたからです。スノの元へ派遣しなかったのを悟空はハッチャン自爆後後悔しますが、みんなに慰められてます。

今回ちょこっとだけエロシーンを入れましたが、本編開始では久しぶりに開幕エロスを書きたいですね。

それではまた次回にでも(´・ω・`)


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第二章 サイヤ人編~人造人間編
再開する物語


お待たせしました。いよいよ第二章、サイヤ人編がはじまります。
大量のキャラが出てきましたので、説明回になってしまいましたが、今回は★なし。

つ ま り!

エロがあるってことだぜ(゜∇゜)!!


 

***side セリパ***

 

一足先にコールドスリープから目を覚ました私は、玉座に程近い展望席から遠くに輝く星々を見やっている。

 

見つめ続けていれば、どこかに惑星ベジータがある気がして。

 

そんなことはないと、わかりきっているのに…

 

「…セリパよ、地球へはあとどのくらいだ」

 

「起きられましたか、ベジータ王」

 

振り向けば、そこには王族特有のマントがついたバトルジャケットを着込んだ青年が立っていた。

 

「ああ。王だからとて、いつまでも寝ているわけにはいくまい。ましてや、これからしにいくことを考えればな…」

 

憂いるように嘆息をもらすベジータ王の両目は、閉じられたまま。…彼の目はもはや、月を写すことはない。

 

わたしは過去を振り返る。

 

あの日。私たちチームが、仲間であるはずのバーダックからあえて呼ばれなかった決戦の日。

 

惑星ベジータ消滅の報せを受けて、私たちは生き残った仲間を探そうと辺りを散策した。

 

宛もなく探すようなものだったが、トーマがバーダックからキツイ訓練をする為になにもない辺境の星を使っているという話を聞いていたことを思いだし、それを探すことにしたのだ。

 

そうして探し当てた辺境惑星は、有り体に言って死の星だった。

 

いったい何が起きたのか、その星には非戦闘員のサイヤ人が多数死んでいた。

 

てっきり皆(みな)惑星ベジータで死んでしまったと思っていたので、さらなる事態の混乱に私たちは追い詰められていた。

 

そうして見つけたのは、山だった。

 

山といっても、自然の山ではない。

 

それは夥しいほどの数が重ねられた死体の山だった。死体という肉を無理矢理に折り重ねて作られたその小山からは、はっきりとした狂気が感じられた。

 

だが、わたしたちはさらに驚愕することになる。

 

小山に、スカウターが反応したのだ。

 

わたしたちは慌てて小山を漁った。ひょっとしたらバーダックが生きているんじゃないかと。

 

だが、そこにいたのはバーダックではなかった。

 

2体の大猿、装備から見て恐らくナッパとパラガスによって庇われていたのは、ベジータ王子だった。

 

そのことに落胆しながらも、状況を理解していなかった私たちはすぐに一番近いフリーザ軍の拠点がある惑星へ向かおうとした。

 

最低でもメディカルポッドが置かれていなければ話にならない。ベジータ王子は、それだけの重傷だった。

 

だが、それに待ったをかけたのは以外にもトテッポだった。

 

サイヤ人がこれだけ殺されている状況で、フリーザ軍傘下の惑星へ行くのは考えた方がいいと。

 

普段無口で常になにか食べているような彼が訥々と語る姿は、私たちを納得させるに十分な迫力があった。

 

とはいえ死にかけたベジータ王子をそのままにしておくわけにはいかない。ましてやそのときのわたしたちはバーダックが死んだなどと考えもしなかったのだから、なおさらだろう。

 

数分はそうして紛糾することに費やしただろうか。

 

そんな私たちの行動を制したのは、かろうじて意識を取り戻したベジータ王子だった。

 

かすれるような声で、ベジータ王子は私たちにフリーザに反逆したが失敗したことを伝えた。

 

そして、バーダックが殺されたであろうことも。

 

途中までフリーザとバーダックが戦う姿を見ていたというベジータ王子は、とてもではないが付いていけないと思ったらしい。

 

だが、ひょっとしたらバーダックが勝てるのではないか。そう、思ってしまったそうだ。

 

一度とはいえ、フリーザに勝ったのだから、と。その迷いが地獄を生んでしまったと、悔いるベジータ王子の顔は今となっても忘れることができない。

 

バーダックはフリーザによって惨たらしく痛め付けられ、引きずり回されながら無理矢理他のサイヤ人が死んでいくところを見せつけられたらしい。

 

途中までは生き残りのサイヤ人達も抵抗していたのだが、端から摘むように殺されていき、ベジータ王子もナッパのすすめでパワーボールを作って抵抗したが、他のエリートもろとも倒されたそうだ。

 

最後の意地で大猿化を解かずに死んだナッパとパラガスに守られ、必死で気配を殺して生き延びたらしい。傷つけられた目から流れる血が、わたしには王子の涙に見えた。

 

それから重傷を負った王子を回復させるために辺境のフリーザ軍基地を攻めて旧式のメディカルポッドを使うも(案の定生き残りのサイヤ人は指名手配されていた。フリーザの父親だとかいうコルド大王ってやつの仕業らしい)、すぐにギニュー特選隊が攻めてきて半端にしか回復できずに逃げるしかなかった。そのせいで王子の視力は回復せず、結果失明することになった。目が見えなくなるということがサイヤ人にとってどういう意味か、誰もが忸怩たる思いだった。

 

しかも、その戦いでトテッポとパンブーキンが囮になって死んだ。

 

死ぬのは俺たちみたいなむさい男からだって、いっちょまえに見栄を張りながら。

 

そのあとすぐにバーダックの息子であるラディッツを拾うことができたのは運がよかったんだと思う。…家族全員が皆殺しにされたことを知ったラディッツは見ちゃいられなかったけどね。

 

いくらサイヤ人が戦闘民族とはいえ、家族の情が強いやつはいる。バーダックもああ見えて人目のないところじゃギネといちゃついてたしね。だから復讐に燃えるラディッツの気持ちもわからなくはなかったんだ。

 

だけど、それでトーマが犠牲になることはないんじゃないかって、今でも思う。

 

補給をする為に降りた星で、よりによって私たちはフリーザの兄であるクウラと遭遇した。全員が死を覚悟せざるを得ない中、ラディッツはただ一人ヤツラに向かっていった。これで実力も伴っていればよかったんだけど、クウラにたどり着くことすらなくクウラ機甲戦隊の緑のヤツに殺されかけた。

 

そうしたらトーマが…!あのバカが…!虎の子のパワーボール発生装置を使ってヤツラに向かっていったんだ。結果として、ラディッツは助かった。わたしが助けた。死を覚悟したトーマの思いを、無駄にするわけにはいかなかったから。

 

ラディッツはそれから復讐にとらわれるのを止めた。トーマが腕に巻いていたバンダナで髪を縛る様子は、どこかバーダックの面影を感じさせた。

 

そうやって生き延びたわたしたちは、おんぼろ宇宙船をどうにか酷使しながら宇宙の辺境をさらにさ迷い歩いた。

 

そんな風に生活している内に、サイヤ人以外にも仲間ができた。まずはアモンド。こいつは元々宇宙警察こと銀河パトロールに捕まっていた囚人で、わたしたちに協力することを条件に解放してやったが、なにを気に入ったのかわたしに惚れたとか言って着いてきている。

 

次にダイーズ。こいつはフリーザ軍に攻められていたプキンパ王朝の王子で、故郷の星を滅ぼされた復讐にベジータ王子と同盟を組むような形で仲間に加わった。

 

それからカカオ。サイボーグの賞金稼ぎだったが、ラディッツとの激しい戦いの末に実力を認め、彼を助けるために仲間になった。

 

そしてレズンとラカセイ。…こいつらがいなければ、たぶんわたしたちは宇宙の隅でのたれ死んでいたんじゃなかろうか。かつてフリーザと並び称されたスラッグの攻めた星で、化石状態だったこいつらは不思議な果実のエキスを浴びて復活したらしい。

 

話によればそれを使うことでスラッグは大幅なパワーアップを遂げたという話だけど、種を手にいれようにも全部スラッグに回収されていたようでどうにもならなかった。

 

そうそう、サイヤ人以外にもと言ったが、ひとりイレギュラーなサイヤ人が仲間になっている。

 

ターレス。やつを初めて見たときは、ラディッツと一緒になって驚いたものだ。そっくりだったのだ。バーダックに。冷凍睡眠の状態で宇宙をさ迷っていたターレスを拾ったときは驚いたものだ。

 

聞けば、ヤツはかつてサイヤ人が利用していた使い捨てのクローン兵士なのだという。

 

本来ならクローンサイヤ人の寿命は短いものだが、ある星を攻める戦いで彼は重傷を負って放置されていたらしい。目を覚ませば宇宙船もなく、途方にくれていた。

 

仕方なく食べられるものを探して歩くが、その星にあったものはヒューマノイドタイプの宇宙人にとって毒になるものばかり。

 

しかし背に腹は変えられぬと、ターレスはそれら毒を次々と食っていった。

 

当然何度も死にかけたそうだが、気づけばクローン特有である不変のはずの戦闘力は大きく伸び、おまけにサイヤ人のエリートにしか使えぬはずのパワーボールまで使えるようになっていたと。

 

その後は見つけた丸型ポッドをどうにか動くように直して、宇宙に飛び出したそうだ。

 

回想を終えたわたしは、いつの間にやら展望席近くに集まっていた連中を見やる。

 

「どうしたセリパ。なにか考え事か」

 

「…いいえ、ただ少し考え事を。地球には本当に、あのフリーザをも倒せる戦士がいるのかと」

 

わたしは内心を押し隠して、頭の片隅で考えていた懸念事項をベジータ王に伝える。

 

「はっはっは!それこそ考えすぎだぜ!もしそんなやつが地球にいなくても、フリーザって野郎はオレがそのうちぶっ殺してやるよ!」

 

呵呵大笑とばかりにフリーザの驚異を笑い飛ばすのは、浅黒い肌にバーダックの面影を色濃く残す元クローンサイヤ人の戦士ーーーターレス。直接フリーザの驚異を目にしたわけではない彼の言葉はざれ言に過ぎないが、だからといって確かにフリーザを警戒しすぎても面白くない。我々はサイヤ人なのだから。

 

「…だが、地球にいるやつはあのスラッグを倒したのだろう。ならば、少なくともかつてのフリーザに匹敵する強さを持つはずだ」

 

長髪をトーマの形見であるバンダナで縛ったサイヤ人ーーーラディッツが指摘したことに、ターレスは笑いを詰まらせる。

 

この中で強さの序列を作るならば当然サイヤ人が全員上位に来るが、そのなかでもターレスは下位に位置するのだ。ましてやラディッツはターレスにとっての兄貴分に当たる。その彼の言葉に納得がいく部分があったので、思わず黙ってしまったのだろう。

 

「そうだな、少なくともスラッグを知る俺からしてみれば、アレを倒せるというだけで十分な化け物だと思うが」

 

「…ンダ」

 

横から口をはさんできたのはイヤリングをつけたキザな男ーーーダイーズ。ヒューマノイドタイプの宇宙人で、戦闘力は平均的なエリートサイヤ人に匹敵する。

 

プキンパ王朝の生き残り達といまだ連絡を取り続けており、今では我々の貴重な情報源ともなっている。その発言に言葉を重ねたのは、戦闘サイボーグの元賞金稼ぎーーーカカオ。ダイーズは言語機能に障害を持つカカオと意思疏通をはかることができ、どう教わったのかラディッツも最近カカオの言葉がわかるようだ。ターレスを交えたこの四人はなにかと行動を共にすることが多い。

 

「少なくとも、俺はそんな化け物と戦うのはごめんでっせい…!」

 

でかい図体を縮めるように言うのは、長髪を後ろに束ねた巨漢ーーーアモンド。

 

「なんだい、わたしに惚れたとか抜かすんだったら、どんなやつでも倒して見せるって気概を見せないかい」

 

「セ、セリパ、勘弁してほしいでっせいっ」

 

慌てるように弁解するが、元よりこの男の評価は低い。戦闘力こそダイーズと変わらないレベルだが、彼とこいつでは生き残らせるべき優先順位が違う。

 

「みな、そこまでだ。地球へはあと二日ほどで到着する。訓練するのは自由だが、疲れを残さない程度にしておけ。到着しだい、働いてもらうぞ」

 

結論付けるようにベジータ王子ーーーベジータ王が告げれば、思い思いに解散していった。

 

ちなみにこの場にはいないが、レズンとラカセイは戦闘要員ではなくなり、今では我々の装備の改良や整備を仕事にしている。

 

「ベジータ王。それにしても、本当にその方法でよろしいのですか?」

 

わたしよりも随分と年下ながら、苦労を重ねたことで実年齢からは想像もつかない落ち着きを漂わせる青年は、ため息を吐くようにしてわたしの言葉に答えた。

 

「…不安がないかと言えば嘘になる。だが、俺は戦闘民族サイヤ人の王だ。戦いもせずに軍門に下れば、必ずや後にしこりとなる。父と同じ過ちは起こさんよ」

 

「だからといって、これから助力を頼む相手の星に侵略まがいの行為を働けば、それこそ後に「セリパよ」…はっ」

 

「お前の不安も最もだ。だがそうなれば最悪、死ぬのは俺だけでよい。形だけの王とはいえ、サイヤ人の王族の首だ。お前達の命を購(あがな)う程度にはなるだろう」

 

「ベジータ王!」

 

「一度休め、まだ時間はあるのだ。お前はどうにも考えすぎるところがあるからな。格上に挑むにしても、まずは体を万全にせねばならんぞ」

 

「…はっ、出すぎた真似をいたしました。では、これで」

 

ベジータ王の言葉に従い、わたしは退室する。最後に、ベジータ王の呟きが聞こえた。

 

「…伝説の超(スーパー)サイヤ人か。果たして、俺の紛い物の超(スーパー)サイヤ人でどこまで通用するものかな」

 

言葉にはどこまでも、深い深い憂いが込められていた。

 

 

 

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***side 悟空***

 

「…いや、べつに伝説の超(スーパー)サイヤ人じゃないんだけどな」

 

「ひあっ、やんっ、きゃはっ、悟空さま、おら、ごはんの支度ができねえべっ…!」

 

後ろからチャイナをずらして(お気に入り)チチの狭い膣を激しく抉りながら、俺は今しがた聞いたクラッシャー軍団(仮)の言葉を脳内で反芻する。

 

スラッグとの戦いから、実に9年の歳月が過ぎた。色々とあったが、まずは順序だてて話そう。

 

「ひいぃっ…!悟空さま…!出しながら動かれたら、おら、おら、おかしくなっちまうべよぉ…!」

 

「安心しろ、たっぷりおかしくしてやる…!」

 

「んひゃああああああっ…!!」

 

じゅっぽじゅっぽと汁気たっぷりの音を漏らしながら、俺はチチの膣をさらに深く子宮の入り口まで犯しながら過去を思い出していった。

 

「ああっ…!イクっ、イクっ、イッちゃうだよーーっっ!!」

 

「よし、次は尻の穴だ…!」

 

「うぎっ…!かっ、はあっ…!ああ、悟空さま、やす、休ませてほしいだよ…っ!」

 

「だが断る」

 

「んいいいいっ!ふ、太くなった、あはぅ…!」

 

まず思い出すのは悟飯が生まれたことだろう。

 

トランクスもそうだが、こうして俺の子供という形で原作のキャラクターの子供達は生まれてきている。

 

なにか因果的な作為を感じるが、中身はほとんど別人だ。ちなみに全員尻尾は生えているが、体毛はない。尻尾の色は髪の色に依存している。

 

まずトランクスだが、好奇心旺盛なのはそのままだが、その方向性が違う。彼が興味を持っているのは、科学なのだ。正確には生物学とでもいうべきか。

 

…この間夏休みの宿題だと言って促成栽培に成功した仙豆をもっていこうとしたときはブルマと一緒に慌てて止めたが。危うく既存の生物学を塗り替えるところだった。

 

潜在能力は俺もピッコロ神もしっかり感じ取っているので弱いわけではないのだが、本人が戦いを望んでいないのだから無理強いさせることもないだろう。敵は俺たち大人がなんとかすればいい。

 

長男のディナーは、戦いというよりも、武術そのものに興味を持ってくれている。ある程度育ってから別人格があることはわかったが、どうやら予想通り自分の意思で制御できるようだ。お互いに内側で話ができるらしく、納得のうえで交代しているらしい。

 

ディナー自身からの申告で黒髪のディナーをブラック、金髪のディナーをゴールドと呼んでいる。

 

ブラックは俺が理論だけ説明した合気道を、5歳からの四年間でほぼ身に付け実戦で扱えるまでに至っている。ゴールドはチャパ王の八手観音に感銘を受けたのか、彼から指導を受けて両腕にガントレットじみた武装を顕現するに至った。どうやら気の集中運用に長けているらしく、少ない気を爆発的に高めた一撃は威力だけならすでに弟子達に匹敵するほどである。

 

弟子と言えば、三弟子はこの九年間で大きく成長した。彼らの活躍もとい地獄の修行風景は、いずれ別の形で伝えるとしよう。

 

ちなみに亀仙人の弟子となった天津飯だが、二年ほど前にクリリンと一緒に界王様の元へと行かせた。死んでもいないのに界王様のところへ行くのは閻魔大王がだいぶごねたが、その辺はピッコロ神と一緒にごり押しさせてもらった。二人ともにそれぞれ界王から技を授けられたようで、つい一ヶ月ほど前に帰ってきた。

 

ピッコロ神とピッコロJr.に関しては、驚くなかれ、大界王様を通じて界王神界へと行ってきた。魔人ブウの情報を餌にして。ちょろい。

 

途中からさらっと合流した俺は、抜けたら付けているピアスをもらうことを条件に、煽る界王神シンの期待をよそに片手でさくっとZソードを抜かせてもらった。

 

そこからの流れを台詞だけのダイジェストで送ろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「わー、なんてことだー。伝説の剣を抜けてしまったぞー」

 

「こ、これまでどれだけ強い界王神が抜こうとしてもびくともしなかったのに…!まさか片手などと…!!」

 

「よーし、ちょいと剣の強度を試してやろー」

 

「え、ちょ、ちょっと待ちなさい地球の神よ!なにをするつもりですか!?」

 

「ジュニアよ、フュージョンだ」

 

「はい、父上」

 

「「フュー、ジョン!ハッ!!」」

 

『悟空、準備はできたぞ!!』

 

「よおし、いっくぞおおおっ!!」

 

「ちょっと待ってくださいって!?」

 

キンッ

 

「よし、折れたぞ!」

 

『作戦成功だな』

 

「あーーーー!伝説の剣がーーーー!」

 

「界王神様!お気を確かに!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

まあ、なんとなく想像はつくだろう。その後、二人は老界王神と取引を交わし(とびきりエロい瞬間をリアルタイムで見せてやるとかなんとか…)、無事潜在能力を引き出された。

 

アルティメット悟飯とまではいかないだろうが、広い宇宙を探してもここまで極めたナメック星人はいないだろう。もはや邪神スラッグとて敵ではない。

 

そうそう、悟飯のことだったな。

 

あいつはわかりやすい。ピッコロJr.大好きだ。時々目を離した隙に北の大山脈地帯に行っているようだが、5歳にして恐ろしい行動力である。

 

ちなみに子供のなかで実はもっとも強い。なぜかは知らんが、ピッコロJr.とピッコロ神が帰ってきてからしばらくして、完璧ではないが潜在能力解放じみたことをしてのけたのだ。ピッコロJr.はいずれ強さを追い抜かれるのではと、定期的に精神と時の部屋で時短修行の日々である。

 

俺か?俺は、ある理由から老界王神に潜在能力解放を断られちまったよ。使うことがなければいいんだがな、この力は。

 

「あ…あ…ひ…」

 

気づけばクリと膣とアナルを三点刺激されたチチがあられもない姿で気絶していた。尻の穴にはまだ俺の逸物がささったままである。

 

「悪かったなチチ、少し考え事をしていた。というわけで、改めてしごかせてもらうぞ!」

 

一度尻の穴から抜ける限界ギリギリまで引き抜き、勢いよく再び根元までを突き刺す。

 

「んおおおっほおおっっ!!」

 

ついでに叩き込んだ快楽増幅の気がいい感じに気付けになったようだ。チチは悲鳴をあげて目を覚まし、目を白黒させている。

 

「ふんっ!ふんっ!ふんっ!」

 

「えひぃ!あはっ!んはっ!」

 

意識を飛ばされながらもチチはしっかりと尻の穴をしめつけてきっちり俺の逸物から精液を搾り取る。

 

「…ふうっ、ありがとうなチチ。おかげでスッキリしたぜ」

 

もはや言葉も発することができず、弱々しく震えながら、チチは尻から精液を漏れこぼすのであった。

 

「さて、二日後までにみんなに声をかけなきゃな。久しぶりに忙しくなるぞ…!!」

 

 

 




10年近くフリーザ放置だけどどうなったの?などの疑問は次回にて。ちょい短いけどキレイにまとまったので一区切り。質問あれば受け付けまっせい(´・ω・`)(アモンド感)

ちなみに強さはベジータ>>>>~越えられない壁~>>>セリパ>>ラディッツ>ターレス>>>>>>ダイーズ≧アモンド=カカオ>>>>レズン&ラカセイの順番。

このベジータはキルヒアイス死んじゃったあとのラインハルトイメージして書きました。自責の念から厳しすぎる鍛練を積んだため、原作よりも早い時点で超(スーパー)サイヤ人になれてます。

ちなみに彼らの通称は同じくクラッシャー軍団。理由はフリーザ一族の軍を次々と打ち倒していることから。


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サイヤ人の恐怖!!

※タイトルを入れ忘れるという痛恨のミス…!修正しました( ̄▽ ̄;)

主人公の声は檜山修之さんをイメージ(´・ω・`)

タイトルのサイヤ人は主人公です。


***side 悟空***

 

目を覚ますと、胸のうえで瞳を閉じてぐっすり眠る赤毛の少女ーーースノの姿が目に入る。

 

彼女を起こさぬようにおでこにキスをすれば、くすぐったそうに身じろぎしてーーー昨晩から挿入したままだった逸物が彼女の膣内で固さを取り戻していった。

 

「んんっ!?…あ、悟空さん、おはよ、ぅんっ!」

 

「起こしたか、悪いな」

 

「…もう、昨日あんなに出したのに、こんなにっ、はぁ、かたくなってる…」

 

中が乾いたまま大きくなった逸物は彼女に痛みを与えるかと焦ったが、刺激せずとも目を覚ますとともに彼女の膣から溢れてくる愛液が潤滑油となった。

 

膣の柔らかな刺激を受けた逸物はさらに固さを増し、膣から溢(あふ)れそうになる。

 

しかしスノは、そんな逸物を逃がすまいと締め上げると、いまだ寝ぼけたまぶたを擦りながら上体を起こし、ゆっくりと動き始める。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっっ…!」

 

しばらくは彼女にされるがままに動かさせ、幼さを残す無毛なアソコを眺めながら逸物が刺激を受けるがままに任せる。

 

「あっ、だめ、イっちゃう…!またあたしがさきにイっちゃう…!!」

 

かわいく身じろぎしながら自身がさきにイかないよう可愛い抵抗をするスノ。言葉とは裏腹に、膣は全体で俺の逸物を味わおうと収縮を繰り返す。

 

どれ、手伝ってやるか。

 

俺はスノの細い腰を両側からつかむと、腰を持ち上げ、さらに手で彼女を自分に押し付け、子宮へ向けて激しく突き上げる。

 

「ひきゃぁっ!?あ、ダメ、ダメなのにぃ、ひく、ひきゅううぅぅ…!!」

 

すでに限界が近かったスノはあっという間に絶頂を迎え、舌をもつらせながら潮を漏らす。

 

しばらく快感の波に震えていたスノだが、十分ほどしてようやく息を整えると、抗議するように頬を膨らませてこちらをのぞいてくる。

 

いかんな、そんな顔をされたらすぐに回復してしまうじゃないか。

 

「…もう、たまには先にイってほしかったのに」

 

「ははは、10年早いぞ。その台詞は」

 

「むぅー…あんっ…!?うそ、もう、大きくなるの…?」

 

「そういうことだ。もうしばらく付き合ってもらうぞ…!」

 

「え、ちょ、ちょっと待って、あたしまだ回復してな、きゃひいいぃぃ…!?」

 

抵抗しようとするが、力の入らないスノは再び固さを取り戻した俺の逸物で膣をえぐられ悲鳴をあげる。

 

まあ、ほどほどで止めておくさ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

結局それから追加で三回ほどして、朝から腰が抜けて気絶したスノをタオルで拭き、俺はシャワーを浴びてたのだが…

 

「んむ、んじゅ、んぶ、っぷは!まったく、朝からこんなに大きくしているとは、わたしがシャワーを浴びれないじゃないか!」

 

「いや、先に入ってたのは俺なんだが…」

 

思わず抗議の声をあげるもそれを無視して一心不乱にむしゃぶりつくバイオレットは股間から視線を外さない。

 

いや、時々うかがうようにしてチラチラと上目使いをしているな。

 

「仕方のないやつだ、な!」

 

「むごぉ!?」

 

俺はバイオレットの意図を察して彼女の喉奥へと逸物を突っ込む。

 

気管を塞ぐ俺の逸物は、バイオレットから呼吸を奪うが、彼女はむしろうれしそうに喉を使って逸物をしごく。

 

あまり負担はかけたくないのだが、そんな顔をされてはたまらない。

 

俺は彼女の喉を犯すことを決めると、一度逸物をギリギリまで引き抜いてもう一度彼女の喉奥まで突きいれる。

 

プシュッ

 

炭酸のプルタブを開けるときのような音を鳴らして、バイオレットが失禁した。

 

潮ではないその臭いはすぐにシャワールームに充満するが、俺は腰の動きを止めることなく、無遠慮に彼女の喉を犯し続ける。

 

「そら、出すぞ!」

 

「~~~~っっ!!」

 

喉を塞がれているために叫ぶことはできないが、胃に向かって直接注がれる精液を感じて彼女が絶頂したのがわかる。

 

グポォ…

 

胃液混じりの精液でねっとりした逸物を引き抜くと、バイオレットは呼吸を求めて喘ぐ。

 

「が、がはっ、はぁ、はぁ、はぁ…」

 

半ば白目を剥きながら、あおむけにシャワールームの壁に上体を預けるバイオレット。

 

だらしなく開かれた股間はぬらぬらと光っており、それを見た俺は固さの変わらない逸物をいまだ喘ぐバイオレットの秘所へとぶちこむ。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛ああ~~~っっ!」

 

今度こそ完全に白目を剥きながらバイオレットが気絶する。

 

だが、おとなしく気絶などさせるはずもない。

 

俺はバイオレットの子宮へ快感増幅の気と一緒に意識の覚醒を促す気を送り込んで無理矢理目を覚まさせる。

 

「…うあっ…!?ああっ…!お、おぐぅ、ひ、きひぃ…!」

 

激しい注挿は彼女から完全に余裕をなくし、元の美人からは想像もつかないほどに乱れた顔を俺に見せつける。

 

この顔を俺だけが見れるのかと思うと、さらに興奮してくるな。

 

やがてバイオレットが再び絶頂を迎えると、彼女の膣が激しく痙攣を起こし俺の逸物をがっちりとつかみこんだ。

 

む、膣痙攣になってしまったか。

 

ふふ、だがな。この俺がその程度の対策をしていないと思うなよ。

 

俺は逸物へと力を込めると、それを抜き差しするのではなく、逸物単体を震えさせる。さらにカウパーを大量に溢れさせ、振動による摩擦で彼女に負担がかからないように保護をする。

 

「ふあ、や、や、きゃあああああ~~!!??」

 

単なるバイブと思うなかれ。相手の弱点を同時に刺激することで、逸物でありながら優秀な性器具と変わらない絶頂を相手に与えるのだ。

 

おかげで最近感度増幅の出番がないことないこと。というかアレ使っても耐えられるチチやブルマがとんでもないのか?

 

「………」

 

「ま、まずい!?呼吸が止まった…!戻ってこいバイオレット!!」

 

焦ったが、手慣れた心肺蘇生で息を吹き返したバイオレットにその後怒られた。

 

が、目は悦んでいた。…ハマったのか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

9年という歳月は長いもので、短い。

 

俺はピッコロJr.を相手にニコニコと全力で組手する息子ーーー悟飯を眺めながら今日までを改めて振り返る。

 

悟飯は、俺の子供のなかでぶっちぎりに強い。

 

正直無自覚にその力が振るわれることを恐れたこともあったが、アイツはピッコロJr.をいい手本としてすくすくと育っている。

 

潜在能力解放には驚いたが、考えてみれば5歳にしてすでにそれだけの下地があったということでもある。

 

悟飯にとって組手とはストレス解消であり、ピッコロJr.との貴重なコミュニケーションなのだろう。ちょっと好きすぎて父親として複雑だが。

 

「どうした悟飯!もっと攻めてこい!!」

 

「はい!ピッコロさん!」

 

ピッコロJr.が悟飯の攻撃を肘で受け止め挑発するように距離を開ければ、悟飯は気を解放して突っ込んでいく。

 

ちなみにこうして俺が見守っているのは、二人の戦いが周囲へ影響を与えないようにバリアーを張る必要があるからでもある。あのレベルになると、放っておいたら辺り一体が更地になりかねん。

 

「…はは、相変わらずお子さんは元気ですな」

 

「あれ元気ってレベルか?俺相当強くなったつもりだけどよ、あれ見てると自信なくすぜ…」

 

乾いた笑いを浮かべたのはチャパ王。それに呆れて答えたのはギランだ。

 

彼らはすでに俺の元を卒業し、故郷で暮らしている。とはいえそれでも月に一度は顔を見せに来るし、ついでとばかりに組手などもしているのだが。

 

「だがさすがは師匠の子供だ。すでに人智を越えた強さを持っている…」

 

遅れて答えたのはナム。十センチほどのサイズに縮めた如意棒を腰から下げ、飲み物を持ってやって来た。

 

「お、悪いなナム。だが、アレとお前らを一緒にするなよ。出力だけならあっちが上かもしれんが、武ではお前らが遥か高みにいるんだ。俺がそう育てたんだ、そこは誇っていい」

 

「し、師匠からそれほどの言葉を頂こうとは…!師匠、飲み物を取ってくる程度のこといくらでもお申し付けください!師匠に頼まれれば北の大山脈地帯の雪解け水だろうとすぐに汲んできますよ!」

 

「…微妙に悟飯に対抗意識持つなよ、笑えねえから。それに俺は、水より酒がいい」

 

そう言って俺はナムが持ってきた缶ビールに口をつける。口のなかを苦味が見たし、炭酸が喉を潤す。

 

一息に全部飲み干し、手元で豆粒ほどに潰せば、すぐにナムが次のビールを差し出してきた。

 

「どうぞ!」

 

「お、おう、ありがとう」

 

控えるナムに気圧されながら2本目に口をつけると、ギランがこちらを見て話しかけてくる。

 

「それで師匠よ、今回俺たちを呼んだ理由はいったいなんなんだよ。つい先週に集まったばかりだろうに」

 

相変わらず無遠慮なギランにナムがお約束のごとく殺気を飛ばすが、それを意に介さないのもお約束だ。

 

「おお、そうだったそうだった。いや実はな、明日宇宙人が地球にやってくるみたいなんだが、ちょいと派手な挨拶をやらかそうと企んでるみたいだからな。お前たちの修行相手にもちょうどよさそうだし、出迎えに付き合ってもらおうと思ってな」

 

「宇宙人…!まさか、スラッグのときのような侵略者ですか…!?」

 

一番に警戒した声をあげたのはチャパ王。彼が戻ってから彼の弟子は驚異的な成長を遂げた。

 

恐らく、師範代連中に至ってはかつての亀仙人レベルの強さはあるだろう。

 

そしてチャパ王の息子らはそれぞれ、サパは料理人に、ペルカは道場の経営を任されている。いまではチャパ王の道場は門下生数百人を数える大所帯だ。

 

そして最も才能があるとチャパ王自ら言っていたチャプだが…

 

「…ぜえ、ぜえ、じ、じじょう、はじ、はじりごみ、おわりまじた…!」

 

お、噂をすれば亀仙流の甲羅を背負ったチャプが帰ってきたようだ。チャプはあれからも道場でめきめきと力をつけたが、チャパ王が戻る頃にはすっかり天狗になっていたらしい。あっさり鼻を折られたみたいだが。

 

今は俺のもとで弟子をしている。

 

「おう、じゃあもう一回行ってこい」

 

「…も、むり、です、がふっ…」

 

「…はあ、はあ、はあ、鬼かあんた!?」

 

遅れて走り込みを終えたのは、同じく亀仙流の甲羅を背負った後のMr.サタンことマークだ。

 

こいつの師匠を弟子にしてやることを約束したことをすっかり忘れていた俺だが、そいつからの推薦状でやってきたこいつを見ても、最初はあのMr.サタンだとは思わなかった。

 

なんというか、武道に関して真摯なのだ。たしかに情けない言葉は飛び出すし、でかいことばかり口にする。おまけに才能に関しては、9年鍛えてチャプとどっこいどっこい。

 

とてもじゃないが戦力として数えられたもんじゃない。

 

だが、マークがいたからチャプは変われた。俺の元に来て厳しい修行を課されても、チャプは自分と他を線引きして輪に入ろうとはしていなかった。

 

ところがそれを見たマークは、めげずにチャプへと言葉をかけ続けた。最初はうっとおしいとだけ思っていたようだが、俺の気づかぬ内に馬鹿話をするようになった二人を見て俺とチャパ王は目を丸くしたものだ。

 

…たぶん、どれだけ鍛えてもマークがこれ以上強くなることはないだろう。だがそれでいいのだろう。やつの強さはそういったものではないのだから。

 

まあ、それはともかく。二人揃ってブルマのシャワーを覗いたのは許さん。

 

「マーク、お前は重り追加な」

 

「ノオオオォォ!?」

 

笑顔で伝統の亀甲羅を差し出せば、マークはこれ以上事態を悪化させたくないのか、言葉とは裏腹に素直にそれを背負って倒れたままのチャプへと肩を貸して起こす。

 

…自分も限界まで疲れてるだろうに、こういうことを自然とやれるんだからな、こいつは。

 

ちなみに二人に言いつけたのは中の都までの走り込みである。制限時間つきだ。

 

まあいざとなれば疑似フリーザを監視につけてあるから、ホントに限界で倒れたときにはすぐに助けてやれるしな。

 

「…さて、話が中断しちまったな。ということで、向こうにもなんらかの目的があるみたいだが、それでどこかの都が被害を受けたりするのを受容するわけにはいかない。ピッコロ神は当然として、他にも亀仙人の大師父と、クリリンや天津飯にも声をかけてある。なにか質問はあるか?」

 

全員の顔を見渡せば、ナムがまず質問したいのか手をあげる。

 

「…地球へやってくるという宇宙人は、いったい何者なのですか?」

 

「お、そこが気になるか。聞いて驚け、俺と同じーーーサイヤ人だ」

 

「なにぃ!?」

「なんですと!」

「…むぅ、これは一筋縄ではいかなそうですな」

 

「はっはっは、まあそう構えることはねえよ。たしかに中にはお前たちより数段上の実力者がいるみたいだが、これまで鍛えてきたお前らの実力は俺が保証してやる。自信をもって戦えばいいさ」

 

そう、それに彼らの目的はなんとなくだが察しがついている。俺の情報と合わせて事態が少しでも進展すればいいが…

 

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【2年前】

 

***side 悟空***

 

「ええっ!?俺たちが界王様のところへ!?」

 

俺の提案に思わず声をあげたのはクリリンだった。隣で同じく聞いていた天津飯も驚いている。

 

「ああ、悪い話じゃないはずだ。そこへ行けば、お前たちは限界を越えた強さを掴むきっかけを手に入れられると思っている」

 

「…悟空さんは、なぜその話を俺に?」

 

どこか警戒した様子で話しかける天津飯だが、俺はその様子を見て無理もないと思う。

 

スラッグの事件で世界各地に出現した魔族どもは、俺やピッコロ神、三弟子や大師父など仲間達の活躍によって被害を最小限に防ぐことができたが、ゼロだったわけではない。

 

当然死人はわずかながら出たし、怪我人も多数となった。

 

そしてその結果を知っていながら、俺は我欲でドラゴンボールを使わなかった。

 

恐らくこれで身内に死人が出ていたのならば、俺は迷わずドラゴンボールを使っただろう。

 

だが、あのときドラゴンボールを使って暗黒神龍が出たときに、俺はそれに対応しきる自信がなかった。だから、生き返れたかもしれない人間を生き返らせることを俺はしなかった。

 

これは俺の罪だ。恐らくそのことを知れば、家族が死んだものたちは俺を許すまい。俺がそうだからだ。

 

天津飯はそのことを知っている。そして理由も理解している。だが理屈が伴ったところで感情が納得できるわけではない。

 

ゆえに、彼は俺を身勝手な人間だとして軽蔑しているのだ。

 

仮にも殺し屋を目指した人間が、亀仙流で修行したことでこれほど正義感に溢れた青年に成長するとは思わなかった。

 

そのことを考えれば、俺が嫌われる程度のことはなんでもないのかもしれん。

 

「その修行、わしも付き合わせてもらってよいかな?」

 

俺が自己嫌悪に浸っていると、後ろから大師父こと亀仙人に声をかけられた。

 

「だ、大師父がですか?ですが…」

 

「なあに、わしもまだまだ強くなれそうなんでな。いい機会じゃから、ねえちゃんが世話になってる閻魔大王様に挨拶もしときたいしの」

 

発想のスケールが違うことに驚くが、そもそもこの人は年齢が300歳を越えているんだったな。

 

そういえば占いババにもあったことがなかったな。亀仙人より年上というのもそうだが、桃白々をはじめ彼らはいったいなぜこれほどに長寿なのだろうか。

 

「でも、武天老師様が着いてきてくれるなら安心ですよ!その界王様ってひとのところへ行くのも、いきなり違う流派に入門するみたいでなんか嫌ですし」

 

「…俺は強くなれるならば構わん」

 

二人の亀仙人への全幅の信頼感が感じられる。天津飯もああ言っているが、安心したのかさきほどよりも気が穏やかだ。

 

「天さん!僕も行く!」

 

「もちろんだチャオズ。お前だけを置いていくなどありえん。…悟空さん、構いませんね?」

 

「決めるのは俺じゃなく界王様だがな。まあ構わないだろう」

 

そうして俺はピッコロ神を呼ぶと、蛇の道へと続く閻魔大王の元へと飛ぶ。

 

ちなみにこの瞬間移動じみた技。神となったモノが身に付ける基礎能力のようなものらしく、指定した場所へと移動することができる能力らしい。ただし欠点があり、許可が得られた場所にしか飛べないというところだ。界王神が使う瞬間移動も同じものだが、あちらは権限がそもそも地球の神とは比べ物にならないほど上なのでほとんどどこへでも移動することができるようだ。

 

こうして、亀仙流一行は界王星で修行することになった。ちなみに亀仙人は界王様のギャグ試験を真っ先にクリアして全員を驚愕させていた。

 

 

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***side ターレス***

 

「お、ようやく地球が見えてきたな。へへ、腕がなるぜ…!!」

 

俺は拳を握りながら地球にいるというまだ見ぬ強者を想像して武者震いする。

 

クローンとして生まれ、毒を制してサイヤ人としての力に目覚めた俺に、血の繋がった家族はいない。

 

だから今では兄貴分として認めているラディッツのことも、最初は大嫌いだった。

 

ベジータ王率いるサイヤ人が俺の住む“毒の星”へ来たのは偶然だった。理由はボロ船を直すためだったか。

 

わずかに反応があった宇宙船からパーツを拝借しようと来たらしいが、あんなところにサイヤ人がいたことには随分驚いたらしい。

 

なかでもラディッツ兄貴やセリパの姉御の驚き様ったら今じゃ想像できないほどだしな。あの頃は映像媒体のことも知らなかったが、もし今知ってれば絶対記録してあとで弄ってやったのによ。

 

…あー、でもセリパの姉御はやめておくかな。あのひと基本冗談通じねえもんな。

 

「舞い上がってドジ踏むんじゃねえぞ、ターレス」

 

「ンダ」

 

後ろから声をかけてきたのは相変わらずキザったらしいアクセサリー男のダイーズ。後ろにはサイボーグ戦士のカカオも控えている。どちらも俺がドジを踏むと思って笑ってやがる。

 

「けっ、言ってろ。俺の戦闘力がいくつだと思ってやがるんだ」

 

「4万2千だったか?俺とカカオの連携プレイに負けたのはどこのどいつだったかな」

 

「残念だったな、そいつは2ヶ月前の話だ。今の俺は戦闘力5万はあるんだぜ!なんなら今からリベンジしてやってもイデェっ!?」

 

頭を固いもので叩かれ、目の前がチカチカして震えやがる。痛すぎて涙まで浮かんできやがった。

 

「これから大事な戦いが控えているというのに、なにを考えているんだお前は…!」

 

「お、怒るなよラディッツの兄貴ぃ。ほんの冗談じゃねえか…!!」

 

「ほう、じゃあセリパの前でも同じことを言えるのか?」

 

「…俺が悪かったよ、なんだよ、せっかく強くなったてのによ」

 

ふてくされるようにその場であぐらを組めば、頭をくしゃくしゃと撫でられる。さっき俺の頭を殴ったのと同じやつだとは思えないほど優しくてあったけえそれに、俺はなにも言えなくなる。

 

「お前が強いのはここにいる全員が知っている。だが、その力を向けるのは必要なときを除いて仲間じゃない。わかったら、地球へ降下する準備をはじめろ」

 

手が離れたことになんとなく寂しさを覚えるが、そんなことを口にしようものならバカにされるのが目に見えているから何も言わねえ。

 

「地球へ降下…?このまま船ごと降りるんじゃねえのか」

 

「ベジータ王の考えでな。船はなにかあったときの為に衛星軌道上で待機させるそうだ。降下には丸形ポッドを使う」

 

「えいせいきどう…ってのがどこかはわかんねえけど、上ってことだな、わかったぜ。おし、カカオ!ポッドまで競争だ!」

 

「ンダ!!」

 

先に走り出したから俺の方が早い…と思ってたらカカオのやつバーニア使いやがった!ずりいぞ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

***side ラディッツ***

 

騒がしく部屋を出ていった弟分を追いかけ、ダイーズも部屋を後にする。

 

俺は閉まる扉を見つめながら、ふと気になって地球を眺める。

 

…地球。本来なら、フリーザに殺されたカカロットはこの星に送られる予定だった。

 

ヤツが生きていたら、この星にいるという伝説の超(スーパー)サイヤ人もどこか見知らぬ銀河にいたのだろうか。

 

いや、カカロットは赤ん坊だった。もしかしたら、心配性のお袋が勝手についていったかもしれない。

 

そうしたら、バーダックも、親父も地球に追いかけてきて、俺もその後を追いかけて、今ごろは…

 

「ーーーィッツ!ラディッツ、聞こえないのか!!どこにいる!」

 

セリパの怒声に意識が戻され、俺は振り向く。そこには肩を怒らせ部屋へ入ってくるセリパがいた。これは一発ぐらい殴られるか。

 

と思えば、俺の顔を見たセリパがとたんに神妙な顔になり、どこから出したのか、ハンカチを差し出してくる。

 

「…なにをしているのかと思えば。ターレスにそんな顔を見せるつもりかい、さっさと拭きな!」

 

「ーーー俺は…泣いていたのか…」

 

顔を触れば、そこには汗とは違う液体があった。頬を伝い、ハンカチを受け取った拳へと落ちてくる。

 

「そうか、地球はカカロットが行く予定の星だったね。あんたのことだから、また家族のことを思い出したのかい?」

 

「…ああ、もし少し運命が違っていれば、俺たち家族はあんなことにならなかったのかとな」

 

「運命だなんてものがあるとは思いたくないね。あるとしても、それはあたし達が生きてきた後にできるものだよ。さきにあるのは、いつまでも真っ白な道だけさ…」

 

「すまない、余計な手間をとらせたな。…それにしてもセリパからそんなロマンチックな言葉を聞くとはな」

 

場の空気を変えようとセリパの言葉を笑ったが、どうやら悪い意味で変えてしまったようだ。

 

「くだらないことを言ってないでさっさとポッドまで行きな!!地球まで生身で蹴り飛ばされたいかい!!

 

「わかったわかった、すぐに行く」

 

涙のあとを拭き取った俺は、待っているであろう“弟”の元へと急ぐのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

***side 悟空***

 

「…来たか」

 

空を見上げれば、宇宙船から放り出された丸形ポッドが6つ。どれも地球へ向かってきている。

 

「師匠、全員をここに集めてしまいましたが、もしヤツラがバラバラに侵略してきたらどうしますか?」

 

「心配するなナム。目の前に降りてきてもらうさ」

 

俺は拳を上にかかげ、掌をひろげる。

 

俺が張った“円”の結界は、太陽系全域に及ぶ。さらにその結界は複数の層をなし、地球にも大気圏に張り巡らせている。

 

「むんっ!」

 

今回はその結界を使って、ヤツラの行き先をちょいと指定してやるだけだ。

 

遠視能力で見れば、丸形ポッドの行き先を固定され中の連中が慌てているのが見える。

 

「…なあに、壊しはしないさ」

 

そうして丁寧にヤツラを運んでやれば、ものの数分で目の前へと丸形ポッドが降り立った。

 

女性もいたからな、ひときわ丁寧に下ろしたから地面にヒビひとつ入っていない。

 

やがて、中からそれぞれが姿を現した。

 

「妙な技を使いやがって…!どいつが余計な真似をしやがった…!」

 

怒りながら降りてきた人物、一人目はターレス。

 

ヤツが生き残っていたことは正直俺も驚いた。あの見た目だ、フリーザ辺りに八つ当たりで殺されていると思ったが、運良くベジータに拾われたみたいだな。

 

「ターレス!!勝手に突っ込むんじゃないぞ!!」

 

今にも飛び出しそうなターレスを制したのは、足まで届く長髪をバンダナで縛ったラディッツ。

 

「…やれやれ、どう考えても勝てそうにないのがゴロゴロしてやがる」

 

「ンダ…」

 

次に降りてきたのはダイーズとカカオ。今気づいたが、全員がスカウターに似た装備をつけている。モノクルに似たモニター部分がないが、単なる通信装置だろうか。

 

「ひ、ひとりも勝てそうなやつがいねえんでっせい…いや、あのチビならなんとかなるでっせい…?」

 

情けないことを言いながら降りてきたのはアモンド。巨体を必要以上に縮めて、睨むというより怯えた目でこちらを見てくる。…調子が狂うな。

 

「…アンタ本当に情けないね。もういいから、この戦いが終わったら船から降りな、これ以上情けないツラは見たくもないよ」

 

冷たく別れ(クビ)を切り出し降りてきたのはセリパ。レオタード状のバトルジャケットから覗く見事な尻の食い込みから目が離せない。

 

「そ、そんなぁ…!」

 

ああ、そういえばセリパに惚れてるとか言ってたなアイツ。とはいえこの場にあって戦うことを選べないようでは役立たずにもほどがある。

 

ちなみにこちら側だが、数でも質でも勝っている。

 

まずは言わずと知れたピッコロ神。老界王神による潜在能力解放を受け、その力はすでに完全体のセルを越えている。

 

「お、おい、あのナメック星人、測定不能だってよ…」

 

「…もうかえりたい」

 

どうやら宇宙船で測定した戦闘力をあの通信機で聞いているみたいだな。

 

ピッコロJr.。その実力はすでに父親と互角の領域にあり、今も定番の肩当て付きマントにターバンを身に付け無言で佇んでいるが、着いてきた悟飯を肩車しているので非常にシュールな状態となっている。

 

「…あのガキ、戦闘力2万4千だってよ」

 

「ンダァ…?」

 

悟飯は“通常時”でまだそれだけあるのか。もっと戦闘力を抑える訓練を積まないとな。ちなみにさっきから戦闘力を報告しているのはダイーズである。返答は最初がアモンド、次がカカオだ。雰囲気的に今のカカオの返答は「うそぉ…?」かな。

 

次に亀仙流チーム。

 

天津飯は界王様の元での修行を終え、大きく自信をつけたことで俺への不信感も吹っ切れたみたいだ。地味に辛かったから助かる。

 

クリリンは余裕だな。チャオズと談笑している。せめて見てやれよ。ちなみにだが、切り札を使った場合の実力は天津飯以上である。

 

亀仙人は修行してきてからマッチョ形態がデフォルトになった。…正直実力の伸び代が半端じゃない。一番年上にも関わらず、成長性は三人で一番大きいかもしれん。

 

「三つ目族のハゲが7万、浮いてるチビが1万、星入りチビが5万、マッチョじじいが10万だ」

 

「あ、あのチビが俺と互角だとお…!?」

 

「サイヤ人でもあるまいに、いったいどういう理屈だ…!?」

 

もう報告するダイーズの目が死んでいる。肩を叩くカカオの気遣いが逆に辛いだろう。

 

ちなみにリアクションしているのはターレスにラディッツだ。誰かダブルバイセップスでアピールする亀仙人にも触れてやれ。

 

「ドラゴンもどきが3万、棒を構えているのが2万8千、鎧来た腕の多いやつが15万だ。…それと追加だが、恐らく全員が戦闘力をコントロールできる可能性があるそうだ。つまり、まだ本気じゃない…」

 

沈黙が場を包み込む。数字で告げられた厳しい現実に、クラッシャー軍団の面々は黙りこんでしまう。

 

「相手が自分より強いからってなんだい!あたしたちはあのフリーザ軍をも脅かすクラッシャー軍団だよっ!!」

 

「…そうだな、相手が強いなら、それなりにやりようはあるさ」

 

「ンダァ!」

 

「兄貴…!俺が隙を見てパワーボールを作るから、時間を稼いでくれ…!!」

 

「任せろ…!!」

 

セリパの喝に気合いを入れられ、クラッシャー軍団が正気を取り戻す。だがちょっと待て。

 

「おい、そこのオシャレ」

 

「お、おれのことですか…?」

 

なんでびびってるんだ。

 

「そうだ、なんで俺だけスルーするんだよ」

 

「む、無茶言わねえでくださいよ…!正直、あんたのこと無視でもしなきゃ、俺たちここで立ってるのも厳しいんスからっっ!!」

 

「えー…」

 

俺は不満を口にするが、見ればクラッシャー軍団の面々は誰一人としてこちらを見ようとはしていない。いや、セリパだけはなにか覚悟したかのように俺を睨んでいるか。

 

「…悟空、正直つっこんでやるか迷ってたんだが、せめて威圧を解いてやれ」

 

「あ、忘れてた」

 

俺は自分が気を解放して威圧していたのを思いだし、目の前の彼らを緊張から解放する。

 

「ぷはーっ、戦ってもいないのにすんげえ消耗したぞ…!」

 

「…ふう、これでどうにか動けるか」

 

「…」

 

「おい、アモンドのやつ気絶してるぜ」

 

「ンダ」

 

順にターレス、ラディッツ、アモンド、ダイーズ、カカオである。たぶん今のカカオのンダは「放っとけ」だな。

 

「…あたしが、あたしがあんたの相手になるよ…!!!」

 

突然気を解放しだしたセリパにこの場にいる全員の視線が集まる。

 

たしかにこのなかで一番強いのが彼女のようだが、それでも俺には勝てるはずないのはわかっているだろうに。

 

「あたしの戦闘力は20万!こいつら木っ端どもとは同じに行かないよっ!来な!」

 

いつの間にか他のクラッシャー軍団とは勝ったことになっているらしい。

 

「…ふむ、まあいいだろう。相手してやる…!!」

 

俺は構えを取りながらセリパの3サイズを測定する。イメージは劇場版で亀仙人が披露したスカウターもどきのアレである。

 

「…!?くっ、このあたしが寒気だなんてね!!」

 

言いながら空に飛び上がるセリパの太ももに吸い寄せられるように俺は空へと飛び上がっていく。さて、楽しませてもらおうか…!!

 

 

 

 

 

 




補足★追記
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スノちゃんですが、ハッチャン自爆によるショックでだいぶ落ち込んでいました。そこへやってきた悟空が慰めたのです。最初の慰めかたは体に無理をさせない程度のものだったと明記しておきましょう(´・ω・`)…家に彼女がやって来るまでは悟空は頻繁に通ってました。

Mr.サタンは才能はないけれど、武道に対しては真摯です。悟空の無茶振りにも言われたとおりまじめに鍛えてます。それでも強さは初期亀仙人よりちょっぴり強いくらいでしょうか。その肉体的精神的タフさは三弟子も認めるほどで、なにかと目をかけられています。…ちなみに奥さんと悟空のことは知りません。

クラッシャー軍団の三人は映画版と違い神聖樹の実を食べていないので弱体化しています。逆にサイヤ人組はメディカルマシーンを改良して性能をあげてますので、死にかけるまでトレーニング→メディカルマシーンのコンボで大幅に戦闘力をあげています。あ、アモンドはセリパが喝を入れた時点で気絶してます。
ちなみにそれにも関わらずターレスがダイーズ&カカオのコンビに負けたのは、勝負の内容が相手を倒すことではなく、後ろにある旗を取った方が勝ちという内容だったためです。なので戦闘力は関係ないのにそれをアピールするターレスが面白くてからかわれてます。
□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□
キャラが多くてめっちゃ疲れた。

フリーザの現状まで語るつもりだったのに…

とりあえず次回もエロい意味でサービスサービスゥ(笑)


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君臨する者達 ★

エロまでたどり着けない、だと…!!?

セリパとのセックスを期待した人たちは超(スーパー)サイヤ人4から戻った後に上半身裸が予想されるベジータの乳首を想像しといてください(外道)

※正直心理描写わかりくいので質問があれば活動報告にお願いしますm(__)m


***side クリリン***

 

どう見てもあのサイヤ人のお尻を追いかけていったようにしか見えない悟空さんを見送って、俺たちは固まっていた。

 

天さんなんか露骨に嫌な顔してるよ。

 

でもいいなー、悟空さん。自分の欲望に正直になれて。

 

今あの人嫁さん何人いるんだろ。絶対武天老師様よりスケベだよな。

 

…なんて考えてたら天さんからにらまれちった。あのひと真面目だからエロ本読むのも一苦労なんだよな。

 

でも天さんも地下のトレーニングルームの下にいつのまにかエロ本の隠し倉庫ができているだなんて思いもよるまい。

 

ま、下手にエロ本捨てようものなら武天老師様と二人がかりで襲いかかられるしな。わかってて黙ってるかもしれない。

 

とまあ、軽く現実逃避してみたんだけど、俺たちなにすればいいんだろ。

 

「…とりあえずお主達にとって最大の驚異はいなくなったわけじゃが、まだやるかね?」

 

武天老師様がさっき悟空さんに話しかけられたオシャレさんに声をかける。オシャレさんはいつのまにかサブリーダーみたいな扱いにされて戸惑っていたけど、長髪の人に促されて答える気になったみたいだ。

 

「…あー、その、なんだ。勘違いされても仕方ないんだが、俺たちも別に侵略をしにこの星へ来た訳じゃないんだ。詳しいことは俺から説明できないが、正直これだけの戦力があるなら俺は戦う必要があるとは思えない」

 

オシャレさんはそういって構えを解く。合わせて横のロボット?サイボーグ?みたいな奴も「ンダ」とか言って楽にしてるけど、長髪の人とツンツン頭の人は違うみたいだ。

 

「俺は納得してねえぜ。命令だっていうなら嫌々従ってやるけど、一発も殴りあわずに相手の強さを認めろだなんてサイヤ人として承知しかねるな」

 

好戦的な笑みを浮かべてこちらを挑発するように笑う彼からは、いまだ臨戦態勢の強い気を感じる。

 

まあ、さっきの二人が戦闘体制を解いたからって気を抜くようなやつはこの場にはいないんだけど。

 

「だが戦えば勝てないのは承知のうえなのだろう。その上で戦うというなら、そちらで相手を選んでもらってもよいぞ。元々悟空からはエキシビジョンマッチのようなものだと説明を受けておるのでな」

 

ピッコロ神様が赤いマントをなびかせてバッサリと切り捨てる。ああ、やっぱりこれってそういう集まりなんだな。どうりであの過保護な悟空さんが悟飯ちゃんを連れてくるのを了承したはずだよ。

 

…まあ、悟飯ちゃん俺より強いんだけどさ。

 

「そうだな。なら俺は、実力も近いことだしそこのじいさんと戦わせてもらいたい。ターレス、お前はあの…おい、お前名前はなんという」

 

「え、俺?クリリンだけど」

 

長髪のやつが指をさそうとしてやめて、少し迷ったあと名前を聞かれた。ぶっきらぼうだけど、案外礼儀正しいのかもしれない。

 

「そうか。クリリン、このターレスと戦ってやってほしい。さっき計った戦闘力ではお前達の実力は五分と五分。だが隠した実力がある以上、実際にはそう簡単にはいかないだろう。宇宙は広いのだということを、教えてやってほしい。…もちろん、俺はターレスが勝てると思っているがな」

 

長髪のサイヤ人(だよな、尻尾あるし)はさんざんひとのことを持ち上げておいて最後にはターレスと呼ばれたツンツン頭へ期待を込めた笑みを送ると、ターレスはそれに答えるかのように気を解放した。

 

「当ったりまえだ!こいよハゲチビ!!サイヤ人の強さを見せてやるぜ!!」

 

「…せっかく名前を聞いたというのに、お前というやつは」

 

ハゲチビと言われてムカついたが、長髪のサイヤ人はそれを見越して名前を聞いてくれてたらしい。なんだか怒るに怒れないな。

 

「サイヤ人だか野菜の人だか知らないが、ちょいと地球人の強さってやつを思い知らせてやるよ」

 

「へっ!言ってろ!」

 

周囲のみんなが場所を作るように離れると、俺たちは互いに構えて向かい合う。

 

…んー、とはいえこの状況じゃ元気玉を作るのは難しいな。まあそこまでしなくても勝てるだろうけど。

 

あとやっぱ気円斬はまずいだろうな。たぶん死んじゃうし。となると、あれとこれと、ああっとあの技も使えるか。

 

「よし!かかってこい!」

 

「…余裕見せやがって、食らいなっ!」

 

一息につっこんできたターレスの突きを腕をたてることで防ぐが、勢いがついたターレスの猛攻はそこで終わらない。

 

「そらそらそらっ!どうしたぁっ!」

 

拳と蹴りの雨をさばきながら、俺はターレスが隙をさらすのを待つ。

 

連打のなかで右拳だけが大きく後ろに下がった。今だ!

 

「がっ…!…くっ、だありゃ!!」

 

「うおっ、まじかよ!!」

 

なにをしたかと言えば、隙をくぐってターレスのひざを思いきり蹴り飛ばした後、前のめりに倒れてくる勢いを利用してアゴへ膝蹴りをクリーンヒットさせてやったのだ。

 

かなりのダメージがあっただろうに、そのまま殴り返してくるだなんてとんでもないヤツだな。避けるのが間に合わなければ逆に俺の意識が持っていかれるところだった。

 

「痛っつう~~…!ど、どうだ!思いしったか!」

 

「…おまえのほうがダメージでかいだろうに」

 

顎を押さえながら自慢するターレスに少々呆れるが、こういうヤツは俺の周りにいなかったな。へへっ、なんだか楽しくなってきたぜ。

 

「お?なんだよ、そういう顔もできんじゃねえか。よぉし、こっからが本当の勝負だぜ」

 

再びお互いに構え直して、さっきの焼き増しのように向かい合う。今度は俺から行くぜ。

 

「はあっ!」

 

拳を打ち込み、ターレスがそれをさばく。それを見越して急停止。ターレスの鉄槌をよけるついでにしゃがみこみ、足払いで体勢を崩す。

 

さっきから足元がお留守ですよっと。

 

そのまま勢いよく体を回転させ、鳩尾部分に遠心力と体重を乗せた肘打ちをたたきこんだ。

 

「ぐっはあっ!?」

 

さすがにダメージが大きかったみたいで、ターレスの来てる鎧みたいな服は大きく皹を入れて体を地面に弾ませる。

 

それにしてもあの服、すごい防御力だ。ある程度の攻撃なら通るけど、威力の大半が殺されてる。

 

でもって倒れたままのターレスだけど、気を感じればわかる。やつの気がどんどん膨れ上がっていくのを。

 

「…くくく、すげえ。すげえよお前!」

 

勢いよく起き上がったターレスは、なにを考えたのか着ている鎧をその場に脱ぎ捨てる。

 

「お前みたいなチビに格闘でここまでやられるだなんてな。バトルジャケットはなしだ。裸と裸、拳と拳で決着を着けてやるぜ!」

 

「思いきりのいいやつだな。いいぜ、俺も余計な技はつかわないで相手してやる!」

 

再び仕切り直し、今度は再びターレスがつっこんでくる。俺はターレスの拳を躱(かわ)すが…これはまさか!

 

俺が気づいたときにはターレスの体は深く沈みこみ、俺の足を払っていた。

 

自分の倍はあるんじゃないかって身長のターレスがさきほどの俺と同じように、違うとすれば膝蹴りを見舞ってくるが、むざむざやられるか!

 

「でやっ!」

「おらぁ!」

 

二人の膝と膝が空中でぶつかり合い、勢いのない俺が弾かれる。だがそれを見越しておいた俺は地面にぶつかることなく、ターレスの膝蹴りの威力だけを殺して体を滑らせ体勢を立て直す。

 

「すげえな!お前と戦ってるとわくわくするぞっ!」

 

「へへ、俺もだよ」

 

「おい、お前の名前を教えてくれよ!」

 

「…さっき言ったぞ。クリリンだ!」

 

「クリリンか。よし、覚えたぞ。クリリン、やっぱ殴りっこはなしだ!代わりに今から俺は全力で攻撃するからよ!死ぬんじゃねえぞ!」

 

そう思うなら死ぬような攻撃をしてくるんじゃねえ、とは思うが。ここでそれを言うのは野暮なんだろうな。

 

「うおおおおおおっ!」

 

ターレスの気が高まり、腰だめに構えた両腕の先に気が凝縮されていく。…あれはまさか!

 

「ベジータ王直伝の技だ!食らいなっ、ギャリック砲!!」

 

最大限に高められた気功波が俺に向かって飛んでくる。だから俺も、とっさに同じ技だと思って用意しておいた気功波を放つ。

 

「かめはめ波っ!」

 

青い気功波と赤い気功波がぶつかり合い、荒野の大地を砕き散らしていく。俺とターレスの気功波は最初互角だったが、しだいに俺が押されていく。やっぱ溜め無しじゃきついか。

 

「どうしたクリリン!お前の力はこんなもんかっ!」

 

「…なわけあるかっ!でえええやあああ!!!」

 

俺が追加で気を込めれば、倍以上の太さになったかめはめ波がギャリック砲を飲み込んでいく。勢いを増したかめはめ波は、そのままターレスへ向かっていき、彼の体を飲み込んだ。

 

「やばっ!ターレス!!」

 

俺は今まで戦っていた相手を思わず心配して、かめはめ波を中断してターレスの元へ向かう。

 

すると、そこには髪の毛や尻尾の焦げたターレスが倒れていた。

 

「おい、無事か?」

 

「…なんとかな、って言いたいところだが。だめだな。指一本動かせねえ」

 

「その割りにはしゃべれてるじゃないか」

 

「当ったり前だろぉ。サイヤ人はタフなんだよ」

 

「そいつは羨ましいな。にしてもお前、ぷふっ、その格好、ははははっ!!」

 

「笑うんじゃねえよ。ちくしょう、今度はおまえをこうしてやるからな」

 

そういうターレスの髪の毛は、焦げたせいなのかアフロヘアーのごとくチリチリになっている。

 

「…ん?悪い悪い、クリリンの頭じゃこうはならねえな。いやあ、フサフサ頭で悪いなほんと!」

 

「こ、このやろう…!俺の頭はな、剃ってるんだ!ハゲじゃないんだよ!」

 

「うそつけ、毛穴ひとつ見えねえじゃねえか」

 

「うそじゃねえよ!ほら、よく見ろよ!」

 

「うわあっ!頭を近づけてくるんじゃねえよ!ハゲ頭をじっくり見る趣味なんざねえ!!」

 

「なにおうっ!?だったらとくと見やがれ!おらおらおら!」

 

俺はターレスの顔にこすりつけるように頭を近づけてやる。

 

「や、やめろぉ!くそっ、ラディッツの兄貴!見てねえで助けてくれよ!!」

 

顔に頭をぐりぐりしてやっていたら、動けないターレスが必死に兄貴、長髪のサイヤ人ーーーラディッツに助けを求めるが、どうやら武天老師様と話しているみたいだな。

 

「…なるほど。やはり教育には礼儀も必要か。いやなに、どうにも過ごしてきた環境が荒んでいたせいか、強くなることが優先になりがちでな」

 

「まあ修行とは環境に大いに左右されるものじゃからな。どれが正解というものでもない。じゃが、どう育てるかはやはり師匠が負うべき責任でもあるからのぉ。お主があやつを礼儀正しい若者に育てたいというならば、一度やり方を見つめ直す必要があるのやもしれんな」

 

「ご忠言痛み入る。これが終わったら、一度あなたの修行風景を見せていただきたい」

 

なんか普通に相談してた。これであのバトルジャケットとかいうのを着てなかったら、知り合いの武道家が武天老師様に教授してもらってるとでも思うところなんだけどな。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side セリパ***

 

(…あたしとしたことが焦りすぎたか)

 

後ろから付かず離れずついてくるヤツの気配を探りながら、わたしはこれからどうしたものかと考える。

 

正直な話、相手を見たときに自分達が如何に無謀だったか思い知らされた。

 

まるで巨大な海の底をのぞいてしまったときのような、根元的な恐怖。なまじ半端に強さを実感できてしまったせいで、挑もうとしていた相手がどれだけ強大な存在なのか見せつけられた気がした。

 

(だが、サイヤ人としての誇りにかけて、このまま引き下がるわけには行かないね…!)

 

わたしは仲間達とそれなりに距離を置いたところで止まる。ここなら、万が一全力で戦っても味方に被害は出ないだろう。

 

「ずいぶん遠くまで来たものだな。それで、どうするつもりだ」

 

なにげなく放たれた言葉ひとつひとつが信じられないくらい重い。

 

彼に逆らいたくない。服従し、庇護してもらいたい。そんな、女としてなのか、サイヤ人の下級戦士としてなのかわからない本能じみた警告を、唇を噛み切ることでどうにか堪える。

 

「知れたこと。あんたと戦ってわたしたちの力を示すのさ。…もしあんたが勝てば、あたしは好きにしていい。けど、仲間にはなにもしないって約束しな」

 

飛んでいる最中に気づいたが、こいつが見ているのはあたしの尻や太もも。あたしの体がこいつにとって魅力なら、利用しない手はない。…正直あたしなんかの尻を見て何が楽しいのかわからないけどな。

 

目の前の男は頬をぽりぽりとかくと、困ったように話し出す。

 

「…願ってもないことだが、そもそも別に戦う必要はないんだぞ。お前の強さはなんとなくわかるし、目的も知っている。フリーザを倒せる“力”を求めて、この星へ来たんだろう?」

 

「なっ…!?」

 

わたしは相手から発せられた言葉を疑う。なぜ知っているのかとそのまま言葉に出しそうになり、これが相手のハッタリの可能性であることも考え、どうせ今の態度では真実だと肯定しているのも同じだと考え直して今一度向き合う。

 

「…そうだ。この星には、地球には“伝説の超(スーパー)サイヤ人”がいると聞き及んで来たんだ。そいつだけが、“唯一”あのフリーザを倒せると聞いてな」

 

「伝説の超(スーパー)サイヤ人かどうかはともかく、唯一…?一体その情報はどこの誰から聞いたんだ」

 

「ズノーだ。質問できるまでに11年かかった」

 

「なに…?おい、それはいつの時点での質問だ」

 

「質問が多いな。だが答えてやる。ちょうど一年前だ」

 

目の前の男はその言葉に黙考する。

 

宇宙のあらゆる出来事を知るという存在、ズノー。その正体は一種の情報端末だとベジータ王は考察していた。

 

宇宙の知識であるアカシックレコードそのものと繋がることで、文字通りありとあらゆる情報を取得しているのだろうと。代償がなにかは知らんとも言っていたが。

 

そのズノーが彼しかいないと断言した。それはおかしいと彼は言う。

 

彼はかつて、魔獣と化したフリーザを特殊な能力で見たことがあるそうだ。たしかに驚異的な強さであり、今の私たちでは相手になりそうにないとも。

 

だが、その程度だという。後にパワーアップするだろうことを見越しても、少なくとも地球の仲間でやつに勝てるのが三人はいるそうだ。

 

さらにはナメック星には本物の伝説の超(スーパー)サイヤ人がおり、彼が修行している風景を見たところ、強さにおいてはあのナメック星人に匹敵するらしい。

 

完全覚醒していないとはいえ、伝説の超(スーパー)サイヤ人を制御しているとまで言われたが、伝説の超(スーパー)サイヤ人とはそもそも制御不能なものなのだろうか…?

 

(だめだ…)

 

わたしの心が戦うことを諦めていく。

 

この星に着く前に、先発して送った偵察機の情報でこの男の強さは知っていた。あたし達とは次元が違う強さだと。

 

だがこの男は強さだけではない。知識も冷静さも、あらゆる面で私たちを上回っている。

 

当初、この星に来たとき私たちは力の限り暴れるつもりだった。そうやって力を示して、あわよくば非戦闘員を人質にする形ででもこの男の協力をあおぐつもりだった。

 

だが、実際はどうだ。

 

すでにフリーザを倒せる実力を持つものがあちこちにいるし、人質なんぞ取らなくてもこいつは私たちに協力してくれるつもりでいる。

 

これでよかった筈なのに、あたしは自分が惨めでしょうがない…!!

 

「さっきの条件は忘れて相手をしてやる…全力ではないが、本気でだ!!」

 

頭のなかをごちゃごちゃにされたというのに、突然男がそういってエネルギーを解放すれば、あたしの意識は一瞬で目の前の男にもっていかれる。

 

全力は出さないと言っているのに、なんという存在感だ…!!

 

「お前の過去になにがあったかは聞かない。たぶん、俺が踏み込んじゃいけない領域なんだと思う。だったら俺にできることはひとつ。全力でお前を受け止めるだけだ」

 

静かにそう告げられ、あたしは彼に身を委ねようとしてーーー自分の額を思いきり殴った。

 

「…たしかにあんたに甘えれば、あたしはあのときからずっと苛む後悔から逃げられるのかもしれない。でもね、それは“逃げ”なんだよ…!どんなに苦しくても、どんなに辛くても、それで忘れちまったら、あたしはトーマとの思い出まで否定することになるっっ!!それだけは、死んでもごめんだよ!!」

 

あたしは目の前の男が出すカリスマじみた雰囲気を振り払うように一度大きく腕を振るうと、エネルギーを両手両足にこめてヤツ目掛けて突っ込む。

 

エナジーアーツ。体内のエネルギーを操り、身体能力を増幅させる技術。

 

一部の種族は先天的に持つそれを、わたしはこれまでの年月で磨き上げてきた。

 

昔のように力任せに振るうのではない。一瞬一瞬、一撃にすべてを込めて。エネルギーの局所運用とも呼べるそれをーーー男は、こともなさげに受け止めた。

 

「気の一点集中による打撃の強化か、ディナーのガントレットとは異なるがすさまじい威力だな。これなら当たりさえすれば三倍近い実力差でも埋められるだろう。よし、なら防御はどうだ!」

 

男の蹴りが無防備に立ち尽くしたあたしの腹目掛けて飛んでくる。

 

まともに受ければ大ダメージ必至なそれを、さきほどと同じく当てられる部分だけにエネルギーを集中させて防ぐ。

 

「ふむ、手足以外でも展開可能か。この辺はディナーのやつも課題だと言っていたが、手足以外でもできるわけだな。だがどうする、たった二手でずいぶん消耗したぞ」

 

「はあっ、はぁ、はぁ…」

 

男の言うとおり、あたしは最初の全力攻撃と次の全力防御で内包するエネルギーの大半を使い尽くしていた。

 

もう諦めて、目の前の男に自分自身を委ねたい。そんな願望が浮かんでは消えていく。

 

いやだ…!ここで、一矢報いることすらできずに従って、なにがサイヤ人だ!なにが戦闘民族だ!

 

「どうした、お前のパワーをもっと見せてみろ!」

 

「ぐあっ…!」

 

あたしがじっとしていると、男はあたしを突き飛ばす。ダメージを極力与えないように戦うやり口に、あたしのなかで沸々と怒りの熱が上がっていく。

 

ふと、ヤツの目を覗いた。そこにあるのは、慈悲の感情。

 

ーーーそれに気づいてしまったとき、あたしのなかで何かが弾けた。

 

「見下ろしてるんじゃないよっ!くそったれがあああっ!!!」

 

弾けた感情に任せて今まで以上のエネルギーをこめて拳を突き出す。

 

どこから湧いてくるのかわからない力に身を任せて、あたしは攻撃にこめたエネルギーを爆発的に増やしていく。

 

八つ当たりだとわかっていながら自分が止められなかった。

 

「なんでそんなに強いんだ!」

 

「なに?」

 

「そんなに強いなら、なぜあのときいてくれなかったんだ…!!!」

 

「…」

 

激しい怒りが胸の奥底から沸き上がる。これまで抑えていた、他の手本となるために律していた自分のなかの怒りが、蓋を弾いて飛び出す。

 

「その力があれば…!誰も死ななくて済んだかもしれないのに…!!」

 

いつの間にか男はあたしの攻撃を防御しなくなっていた。それでも大したダメージになってないみたいだが、あたしはそんなことに構わず全力での攻撃を打ち続ける。

 

「うわあああああああっ!!!」

 

あたしは泣いていた。これまで抑えてきた心が吹き出すのに任せて、なにに怒ればいいのかもわからなくなって。

 

男は無防備にあたしの拳を全身で受け止める。

 

ただひたすらに殴られるままに任せ、骨が折れる感触がしても苦悶の声ひとつあげない。

 

「ぜえ…、はあ…、はあ…」

 

もうあたしのエネルギーは残り少ない。いつの間にか“金色”に変わっていた自分のオーラを眺めながら、その光を右の拳に一点集中する。

 

「くたばれええええっ!!」

 

後のことなんて考えない。普段のあたしからすればありえないほどのエネルギー消費。

 

金色の軌跡を描きながら、流星となったあたしの右拳は男の鳩尾にめり込んだ。

 

「がはっ…!くっ…!」

 

口から血を吐き出した男だったけど、わずかに体が傾(かし)いだだけで大したダメージはないみたいだ。

 

あたしのほうが全エネルギーを使い果たした反動で…気を…うしな…

 

 

***side 悟空***

 

「…気を失ったか」

 

下心全開で彼女の誘いに乗ったが、戦えば戦うほどに彼女の痛々しさが伝わってきた。

 

惑星ベジータが消滅し、仲間の大半を失った彼女がこれまで歩んできた辛さが彼女の拳を通してこれでもかと伝わってきた。

 

本心を引きだすためにあえて挑発的な言葉で彼女を煽った。

 

俺の気に呑まれて半ば自失状態だったとはいえ、何万倍もの実力差を気力でねじ伏せた彼女の胆力は称賛に値するだろう。

 

だから途中から、超(スーパー)サイヤ人になれた彼女の攻撃はすべてこの身で受けた。

 

さすがに生身で受けるわけにはいかないから気である程度防御力は上げさせてもらったが、全身打撲と骨折のオンパレードだ。ま、女のパンチで根をあげるわけにはいかないから、意地で耐えさせてもらったけどな。

 

「…その女を、離してやってはもらえんか」

 

「…来たか、ベジータ王」

 

後ろを見れば、そこにはバトルジャケットにマントをつけた盲目の王がいた。

 

原作では「動けないサイヤ人など必要ない!」などと言ってた頃なだけに、その変わりように正直驚きを隠せないでいたりする。

 

「傲慢で知られるサイヤ人の王族とは思えないほどに殊勝な態度だな」

 

「詫びが必要なら幾重にも謝ろう。俺たちは、いや、俺は元々この星を侵略しに来たも同然なのだからな」

 

「ほう?」

 

「ああ、お前と戦って勝てないであろうことはわかっていた。だから次善の策として、お前の身の回りの人間を人質にとり、フリーザと無理矢理にでも戦わせるつもりだった」

 

「結果はどうだい」

 

「…はじめから話し合いの場を設ければよかったとは言わん。そこでこじれた場合、奇襲の機会を失った俺たちは各個殲滅される可能性が高い。フリーザを倒すということは、それだけ俺たちにとって大きな意味を持つということだ。…だが、それで貴様への言い訳になるとは思わん」

 

「それはそうだな」

 

もし億が一にもベジータ王の思惑通りに進んでいれば、俺は俺を許せなかっただろう。そして何より、家族に手を出されて俺が大人しくしているとは我ながら思えん。一応西の都上空に疑似フリーザを一個中隊用意してきたが。

 

「俺の首ひとつで納得しろ、などとは言わぬ。だが、せめて待ってもらえないだろうか。フリーザさえ倒せたならば、俺をどのような目に遭わせても構わん」

 

「だめ…です、ベ、ジータ王…」

 

「おいおい、回復している最中だ。無理をするな」

 

「もう、十分だ…自力で、飛べる」

 

腕から離れるセリパの感触を惜しみながら、彼女を離す。彼女はよたつきながらもベジータ王に近づき、臣下の礼をとってベジータ王に忠言した。

 

「恐れ多くも、我らの策は失敗に終わりました。なればここは懐柔ではなく懇願が必要でしょう。おいお前、名前はなんだ」

 

ぶっきらぼうに聞かれるが、ふらふらと揺れる尻尾に目を奪われていたのでまるで腹が立たない。まさかそういう作戦か。

 

「悟空だ。孫悟空」

 

「…お前はサイヤ人ではなかったのか?」

 

「ああ、こう見えて俺は元々使い捨てのクローンでな。名前なんて洒落たものは持ち合わせちゃいなかったんだよ」

 

「なに!?だがその姿は…?」

 

「色々あってな。今の俺は、サイヤ人の祖先である原種サイヤ人と同じ体を持っている」

 

「セリパよ、説明してはくれぬか」

 

盲目であるがゆえに俺の見た目に言及できなかったベジータ王がセリパから俺のことを聞くと、あろうことかベジータ王は俺に臣下の礼をとってきた。

 

「おいおい勘弁してくれよ。あんたのせいでそこのねえちゃんにすっげえ目付きで睨まれてるじゃねえか」

 

セリパの目線は明確に「ベジータ王になにをした!」と語っている。尻尾もピンと逆立ち、その様はまるで怒れる猫のようだ。

 

「恐れ多くも、その姿は我ら王族に伝えられしサイヤ人の始祖と同じもの。で、あるならば、我ら王族はあなたに頭を垂れる以外の選択を持たないのです…」

 

「つまりどういうことだってばよ」

 

ベジータ王の説明によれば、王族は代々口伝で伝説の超(スーパー)サイヤ人のことを聞かされてきたらしい。

 

そのなかで決して忘れてはいけないことというのが、もし今後原種サイヤ人と出会うことがあればその者に王権を返せ、という一言らしい。

 

「理由はわかったけど千年は昔の話だぞ。お前が気にかけることでもあるまい」

 

「いいえ、あなたがただ始祖と同じ姿であるならば、私にも頭(こうべ)を垂れるという選択はありませんでした。ですが、あなたは伝説の超(スーパー)サイヤ人でもあらせられる。そうであるならば、いいえだからこそ、私に否やはありませぬ」

 

話にならんな。だが、おかげで見えてきた。

 

「ベジータ王、そんなに死にたいのか…?」

 

「なにを…っ!?」

 

俺は頭をあげたベジータ王の顔を思いきり殴り飛ばす。

 

きりもみして飛んでいったベジータ王だが、とっさに衝撃を逃がして体勢を立て直す様からはさすがの戦闘センスを感じさせる。

 

「どういう、おつもりか…!」

 

おお、イラついてるイラついてる。もう一押しだな。

 

「簡単な話だ。お前があんまりに逃げたがってるからな。部下の手前加減してやったが、正直こんなものかとがっかりしたところだぜ」

 

「なにぃ…!」

 

ベジータ王の気が高まってきた。くく、やはりな。為政者として成長したとはいえ、根っこのところではベジータだ。

 

俺は目の前で気を高まらせていく存在に好感を覚えながら、ある手段を思い付く。

 

「なあベジータ王。強くなりたいか?」

 

それは甘言。他者にフリーザ討伐を依頼するほどにまで追い詰められた、ベジータ王のプライドを抉る禁断の一言。

 

「…それ以上は言葉を選んだほうがいい。私は今でこそ王として振る舞っているが、元々気が長いほうじゃないんだ…!」

 

かろうじて保たれる理性と綱渡りをしながら答えるベジータ王に、俺はきっかけをくれてやる。

 

「そうか、残念だな。弱くて情けない王様を、俺が強くしてやろうというのに。どうしたベジータ王?笑えよ、笑い方を忘れちまったか?こうやるんだよ…!」

 

ニタリと三日月を描き笑った俺の口許を、見たわけでもないのにそれが確実にベジータ王へ伝わったことが俺には理解できた。

 

「はああああっっ!!」

 

超(スーパー)サイヤ人と化したベジータ王の姿を見て、俺は考察を始める。…なるほど。

 

「パワー重視の超(スーパー)サイヤ人か」

 

言うなれば原作で未来トランクスが至った筋肉の膨張した形態。問題点の多い欠陥超(スーパー)サイヤ人だ。とはいえ、あれだけのパワーがあればベジータ王の戦闘センスと合わさって劇的な強さを発揮できるだろう。

 

「貴っ様あぁぁぁぁっ!!」

 

「いけません!ベジータ王!!」

 

ベジータ王を心配するセリパの叫びが耳に入るが、今はそれを気にしている場合ではない。

 

俺は気を解放し、ベジータ王と近い戦闘力になるまでに高める。

 

「でえやっ!」

「はあっ!」

 

二人の拳が空中で激突し、肉がぶつかったとは思えないほどに激しい爆音が辺りに響く。

 

そのままお互いに高速で移動を繰り返しながら打ち合いをはじめれば、まるで見えない花火のようにあちこちで衝突音が鳴り響く。

 

「ギャリック砲!」

「かめはめ波!」

 

互いの必殺技が衝突し、次の瞬間には再び格闘が始まる。

 

それにしても盲目とは思えないほどに洗練された動きだ。これがもし盲人の攻撃ではなかったら、そう考えると背筋をゾッとしたものが駆け巡り、同時に体のなかからワクワクした気持ちがあふれかえってくる。

 

寒気と好奇心。

 

相反した感情を制したのは、やはり好奇心だった。

 

「ベジータ王、少し待て」

 

俺はすこし強めにベジータ王の体を突き、その身を一気に地上へ叩きつける。

 

「ぐぅ、がはっ…!」

 

一撃で超(スーパー)サイヤ人化まで解けてしまったベジータ王を見下ろしながら、俺はポケットにしまっておいた仙豆を取り出す。

 

「ベジータ王、食え!」

 

文字通り豆粒ほどの大きさのものをどうやって受け止めたかはわからないが、存外思った以上に冷静さを取り戻したベジータ王は素直に仙豆を飲み込んだ。

 

「ぐう…!!目、目がっ!!」

 

「目はゆっくり開けるんだ。光を見るのは久しぶりだろうからな」

 

「ば、バカな。俺の、この俺の目が…!?」

 

「改めてはじめましてかな、ベジータ王」

 

慇懃無礼におじぎをしてみたが、それどころではないらしい。まあそれもそうか。だが、そこで満足してもらっちゃ困るんだよな。

 

「次だ、ベジータ王。パワーボールは作れるか」

 

「…貴様の目的は一体なんだ」

 

「大したことじゃねえよ。ただ、強いお前と限界まで戦いたいだけだ」

 

「ふんっ!後悔することになっても知らんぞっ!」

 

よし、だんだん元のベジータに戻ってきたな。

 

ベジータ王が素直にパワーボールを作りはじめたのを見計らって、俺はもう一度声をかける。

 

「パワーボールを作ったら、擬似的な月と化したそれをそのまま取り込むんだ。超(スーパー)サイヤ人になってな」

 

「なにぃ!?」

 

「俺はお前のご先祖様なんだろ?だったら信じろよ」

 

「くっ!“弾けて混ざれ”!!」

 

ベジータ王はダメージを覚悟してか、目の前で作り出したパワーボールの爆光を超(スーパー)サイヤ人の状態で一身に浴びる。

 

変化はすぐに訪れた。ベジータ王の全身を体毛が覆い、口が伸びて狼のように鋭い牙が生えてくる。

 

…金色の大猿と化したベジータ王はなかなかの迫力だな。

 

手当たり次第に暴れようとする大猿ベジータ王を、俺は作り出したリング状の拘束具で押さえつける。

 

「まだだぜ、ベジータ王。今度はその状態で理性を保つんだ。サイヤ人としての激しい獣性を持ったままな」

 

我ながら無茶を言っている自覚はあるが、折角お膳立てしてやったのだからなってもらわねば。

 

超(スーパー)サイヤ人4に。

 

「ッグウウオ!オオオオォォォぉぉぉおおおおおおおおっっ!!!」

 

次の変化は緩やかだった。

 

獣としての叫び声をあげる大猿ベジータ王は、次第に理性を取り戻しその姿を変えていく。

 

激しく迸る気はそのままに、上半身には俺と同じくシャツのように赤い毛皮を纏い、わずかに隈取りの入った目元からは裂帛のごとき気合いが迸っている。

 

「よぉし、第2ラウンドだ…!!」

 

伝説同士の戦いが、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




セリパをメロメロにしてやろうと思ったら超(スーパー)サイヤ人になるくらい怒らせた件(´・ω・`)←悟空

実は鳥食ってた頃のヤンデレーザ様なら今の地球メンバーでなんとかなるのが悟空以外に三人います。まあ二人は言わずと知れたピッコロs。もうひとりは切り札を使ったある人物です。だーれだ(´・ω・`)<ピッコロサンダイスキ

ちなみにこのオリ主悟空。サイヤ人にとっては刺激的すぎます。本来対面することがありえないご先祖様の肉体に、数万倍で済まない戦闘力の差。この小説では疑似悟空と化したターレスですが、さすがにワクワクできません。


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銀細工

次回作についてのアンケート
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=142606&uid=35351&flag=1

↑上記のアンケートを取っております。興味がわいた方がいましたら是非ご意見をくださいませ。あんまり集まらないならショタホモなHUNTER×HUNTERを連載します。キルア可愛いよキルア(´・ω・`)


***side 悟空***

 

【6年前】

 

雪が降る小さな村の端で、簡素に作られた墓へと訪れた少女が頭につもった雪を払いながらしゃがみこむ。

 

特徴的な緋色に近い赤毛をした少女ーーースノは、かつて自分を庇って死んだ人造人間8号の墓にやってきていた。

 

「風邪を引くぜ、スノ」

 

たった今到着した俺は彼女に後ろから近づき、降り注ぐ雪をバリアで防ぐ。

 

彼女は沈黙したまま墓を見つめ、やがて寂しそうに振り向く。

 

「ごめんね悟空さん。待たせちゃって」

 

「いや、スノがいたいなら何時間でもこうしていてやるが、この寒さはお前には毒だからな」

 

スラッグがやって来た3年前、世界中を同時多発的に襲った魔族の被害は目の前の少女に陰りをもたらした。

 

どれだけ後悔してもしきれない。なぜ俺は、彼女を守るべくもっと早く動けなかったのか。

 

あのとき、ハッチャンの残骸を抱えながら泣きじゃくる少女を見つけたとき、俺は自分の甘さを痛感させられた。

 

「行こう、悟空さん」

 

憂いを帯びたスノの笑顔は、儚さと危うさから来るものだ。自分のために友達を犠牲にしたことが、彼女の心にどれだけの傷をもたらしたのだろう。

 

「…ああ、帰ろうか」

 

俺はスノの手を引いて帰り道を進む。

 

3年という月日は、人を否応なしに変えるものだ。

 

スノは身長を遥かに伸ばし、その体も徐々に女として成熟していっている。

 

彼女の処女を奪ったのは、ちょうど一年前だ。

 

彼女を心配し、俺は定期的にこの村へと逗留させてもらっていた。もちろん、泊まる場所は自分で用意させてもらった。

 

ある夜、突然現れた彼女は、俺に覆い被さり言った。

 

『忘れさせてほしい…』

 

と。

 

そのとき返した俺の答えが正解かはわからない。だがその日から、彼女はなにかを吹っ切ったように見えた。

 

自分を許したわけではないようだが、心にひとつの区切りをつけたように思えた。

 

家に帰ると、俺はまずスノのコートを回収する。俺はコートが必要ない。というか上着そのものが必要ない。

 

フォーマルな格好は、それを必要とする環境であればこそ身に付けるだけだ。

 

雪がついたコートを乾かすために暖炉の近くへとかけると、俺はリビングのスイッチを操作してバスルームの環境を整える。

 

バスルームが暖まったことを告げるアラームが鳴ると、すでにバスローブを羽織るだけとなったスノが近くで待機していた。

 

「一緒に入ろ…♪」

 

後ろから抱きつくスノの柔らかな感触に、俺はまるで童貞のように股間を膨らませる。

 

あっという間にギンギンになった逸物を抑えながら、俺もズボンを脱いでスノと共にバスルームへと向かう。

 

浴室から漏れる湯気で少々悪い視界のなか、スノがバスローブを脱ぎ、自らの裸体を俺にさらしていく。

 

俺はカウパーまで垂らしはじめた逸物をごまかしながら、浴室へと入っていく。

 

まずかけ湯をしてお互いに全身を濡らすと、スノはボディソープを取り出して自らの全身に塗りたくる。

 

「えへ、エッチかな?」

 

自らの性器だけを隠すようにして泡を集めたスノを見て、俺は暴発しそうな理性を懸命に押さえつける。

 

スノは無言で笑いながら俺へ近づくと、あらためて泡だらけにした全身で俺の体にすり付けるようにして洗い始める。

 

俺は彼女の肢体を全身で味わいながら、皮膚からもたらされる情報を最大限に認識して彼女の全身をとらえる。

 

太ももをこする、ぷにぷにとした股間の感触。

 

胸をこすりながら時おり擦り合わされる胸元の柔らかな突起。

 

そうして彼女を味わっていれば、不意打ちでキスをされる。

 

舌をからめ、口蓋を舐めつくし、互いの唾液をすすり合う。

 

やがて彼女の股間から溢れる蜜が太ももの泡を溶かしはじめた頃、彼女はシャワーでお互いの泡を流すと、壁にとりつけたシャワーヘッドを掴みながら俺に向かって尻を突きだした。

 

「相変わらずエッチだな、スノは」

 

「もう、こんなにエッチになったのは悟空さんのせいなのに…♪」

 

俺は彼女の秘所を指で割り開き、逸物で蜜をすくってたっぷりと擦り合わせる。

 

「あんっ…♪もぉ、我慢できないよぉ、はやく、入れてぇ…」

 

クリトリスをこする度に震える彼女を楽しんでいると、彼女から催促されてしまった。

 

俺も正直我慢の限界だったので、逸物を彼女の体が負担に感じない程度にゆっくりと押し込めていく。

 

この一年ですっかり俺の形になった膣は、ぐにぐにと形を整えるように蠢き、子宮口は早く子種を飲み込もうと鈴口を吸うように食いついてくる。

 

「ふぁ…んっ、くう~~~はぁっ…!?」

 

ゆっくりと引き抜き、再びゆっくりと埋没させる。

 

逸物の動きは遅いが、彼女の感じる速度は早い。次第にペースをあげていけば、それに合わせてお互いの呼吸も弾んでいく。

 

パンッパンッパンッ!

 

バスルームに響く肉と肉が打ち合う音が互いの興奮を増し、理性を奪っていく。

 

「はむっんぅ、悟空、さん、すきぃ…!!」

 

後ろからのキスにねだるように首をふりむかせたスノは、もっと欲しいと言わんばかりに舌をからめる。

 

「スノ、一回目、イクぞっ…!!」

 

無言でうなずくスノに合わせるように、ドクドクと射精を開始する。

 

スノは俺の精液の熱を感じ取っているかのように、俺の逸物から精液が吐き出されるたびに体をビクビクと振るわせる。

 

ゴポッ

 

引き抜くと、押し込められた空気と一緒に大量の精液がスノの無毛の膣から溢れ出てくる。

 

俺は溜まった精液をかきだしスノを喘がせると、すぐにも硬度を取り戻した逸物を再びスノの中へと埋没させるのであった。

 

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***side セリパ***

 

目の前で起きている戦いは、まるで神話を見ているようだった。

 

あの男、孫悟空といったか。

 

彼によってサイヤ人の始祖と同じ姿となったベジータ王は、以前の超(スーパー)サイヤ人をも上回る強さを見せ、悟空を追い詰めるーーーと思っていた。

 

かつて変身した金色の超(スーパー)サイヤ人を凌駕する重々しい一撃はあたしが受ければ一撃でバラバラに砕け散るだろう。だが、当の悟空がその拳を受けて浮かべたのは禍々しいほどの笑顔だった。

 

「はっはっは!楽しいなあ、ベジータ王!」

 

悟空が振りかぶった右手に光が収束し、恐ろしいほどのエネルギー量があっさり集められる。

 

彼は無造作にそれをベジータ王に向かって投げつけると、王に当たる手前でエネルギー波は複数に枝分かれしてその体を貫かんと迫っていく。

 

だがそれにも冷静に対処するベジータ王は、エネルギー波が当たる前に前へつっこむことでそれらを回避して見せた。

 

「そうくると思ったぜっ!!」

 

質量を勘違いするんじゃないかというほどのエネルギーがこめられた拳が、エネルギー波を避けたばかりのベジータ王を殴り飛ばす。

 

「…ぐうぅっ!ま、まだまだぁ!!」

 

落下していきながらも気を集束させたベジータ王は、追撃するために向かってきた悟空が至近距離に近づいた瞬間に必殺技を放つ。

 

「超(スーパー)ギャリック砲!!」

 

これまでのギャリック砲とはケタ違いの威力をこめられたエネルギー波が悟空をとらえる。

 

だが、ベジータ王の渾身の一撃であっても、爆煙から現れた悟空はまともなダメージさえも負っていないように見えた。

 

「強いな、ベジータ王」

 

「…貴様に言われたところで、皮肉にしか聞こえん」

 

ベジータ王の言うことももっともだろう。

 

あたしと戦ったときを遥かに上回るエネルギーを纏っているが、ヤツは超(スーパー)サイヤ人にすら変身していないのだから。

 

「…そうかもな。俺の強さは、反則した上で常に最適解を出し続けた結果にすぎない。だから、純粋な努力だけでそれだけの才能を引き出したお前を…俺は尊敬するよ」

 

そう言って笑う悟空の顔は、どこか韜晦しているようにも見えた。あたしはなぜだがそれから目を離すことができず、ヤツをじっと見続ける。

 

「強くなろうぜ、ベジータ王。何者にも侵されない領域まで。俺もお前も、もう何も失いたくはないだろう」

 

自身の拳を見つめる悟空。あたしはなぜだか無性に彼を否定してやりたくなってーーー突如として現れた気配に尻尾の毛を逆立たせた。

 

「レズン!ラカセイ!!応答しろっ!!」

 

同じく不気味な気配を感じ取ったベジータ王が宇宙船で控えているはずの仲間に連絡をとるが、返事が来ない。あたしも急いで通信端末を起動するが、入ってくるのはノイズばかりだ。

 

「…馬鹿なっ!いったいどうやってここまで近づいたんだっ!!」

 

悟空もやや焦った表情で上空を見つめる。すると、突如として血相を変えて飛んでいった。あたしたちは未だ状況を理解できていなかったが、“ソレ”は自分から目の前に現れた。

 

「くくく、今…どんな気持ちだ?無力にも再び仲間を殺されて…!」

 

「貴様は、クウラ!?」

 

そう、あたしたちの目の前に降り立ったのはかつて戦い、そして倒した強敵ーーークウラが、その全身を銀色の輝きに包み込み降臨した。

 

 

***side 悟空***

 

突如として現れた気配に、俺は目の前の二人より早く気づいていた。

 

だが、だからこそ混乱を隠せなかった。俺の結界は太陽系全域に及ぶ。

 

そこを越えるこれだけ巨大な気があれば、気づかない筈がないのだ。

 

そして俺が焦り飛んでいる最大の理由は、家族がいるカプセルコーポレーションから敵の気配がしていることだ…!!

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side ディナー***

 

その気配に最初に気づいたのはトランクスだった。

 

トランクスは戦いが嫌いで、ケンカはするのも見るのも嫌だって言うけど、こういった感覚に訴えるモノに関しては正直父さんよりスゴいんじゃないかって時々思う。

 

トランクスが慌てて母さん達を集めて(あのトランクスが嘘までついて)シェルターに避難したのと、空から破壊光線が降り注いだのはほとんど同時だった。

 

僕は警戒のため反対する母さん達を置いて外に残ったけど、正直父さんの残した“ふりーざくん”がいなかったら危なかったかもしれない。

 

その“ふりーざくん”も、空からやってきた銀色のふりーざくんによく似たヤツが相手では分が悪いみたいだった。

 

「ええい…!俺の弟を模した人形などと…!!この俺を馬鹿にしているのか…!!」

 

100体はいた“ふりーざくん”はあっという間に数を減らしていく。最悪だ。もし父さんが間に合わなかったら、僕がやるしかない。

 

(…ずいぶん弱気だな、ええ、ブラックよ)

 

「ゴールド、今は黙ってて」

 

内側からした声に、僕は思わず反論する。

 

(関係ねえな。むしろ、今こそ俺たちの力を使うときだぜ?)

 

「…それは、父さんが許可を出さなきゃ使っちゃいけないだろ」

 

(親父の意見なんか関係あるかよ。今ここで力を使わなきゃ、俺たちだけじゃない、トランクスも、ランチ母さんも、ブルマ母さんも、マイ母さんも、チチ母さんも、じいちゃんにばあちゃんも、みんなみんな殺されちまうんだぜ…?)

 

「スノ姉ちゃんとバイオレットさんもね。でも…」

 

「こんなところに猿が隠れていたか」

 

「なっ…!?」

 

まるで瞬間移動したみたいに、いつの間にか後ろに現れた銀色の化け物から咄嗟に距離をとる。

 

化け物は僕を殺そうと手を伸ばすけど、相手が素手なら好都合だ。すさまじい勢いで繰り出された手刀を絡めとり、相手の勢いそのままに僕の後ろへ投げ飛ばす。

 

「なにっ!?」

 

驚いてはいるが、ダメージにはならない。その証拠に銀色の化け物は空中で体勢を整えると、即座に反転して僕をにらみ返す。

 

僕は相手に思考する時間を与えないよう、化け物の懐に入るべく踏み込む。さっきの投げ、小手返しの変形を警戒したんだろう。せっかく警戒してくれて悪いんだけど、“僕はひとりじゃない“んだ。

 

「おらぁ!!」

 

懐まで入った瞬間入れ替わったゴールドは、一瞬で両腕にガントレットを形成すると、最大威力の一撃を化け物の胸元へ向けて発射した。

 

僕の合気道を地味だというゴールドなだけに、彼の扱う武術は派手そのものだ。

 

気を物質化してガントレットを形成。肘まで覆われたそれは、殴る瞬間肘の部分の装甲をすべてエネルギーに変換、弾丸のように強化した拳を発射し相手に炸裂させる必殺技だ。

 

だけど、僕たちがコンボによって決めた必殺技はーーー銀色の装甲がへこみもしていない事実によってあっさり防がれた。

 

「ぐああっ…あぐぅう…!!」

 

「クソガキめ…!つまらんことで一体消費させおって!!」

 

…一体?…消費?首をしめられて意識が遠退くなか、僕は少しでも情報を集めて父さんに念話しようとする。

 

「くたばーーー「おまえがな」ーーーげぶっ」

 

上空から降ってきた父さんが銀色の化け物を拳で真っ二つに引き裂いて銀の粒子へと変わるほどに消滅させる。

 

「無事かっ!ディナー!!」

 

「…けほっ、ああ、問題ねえよ」

 

咄嗟に答えとうとして、今は体の主導権がゴールドだったことを思い出す。

 

それにしても早かったな父さん。あと数秒はかかると思ってたのに。どうやらここへ来るためだけに超(スーパー)サイヤ人の第2形態まで変身して来たらしい。

 

「そうか、母さんたちはどうしてる?」

 

「シェルターだよ。トランクスに感謝しとくんだな、あいつだけが気配がおかしいことに気づいたんだ」

 

「そうか…ディナー」

 

「なんだよ」

 

「ありがとうな」

 

そう言って父さんは力一杯“僕たち”を抱き締める。

 

ゴールドはなんだか照れ臭かったらしく、すぐに離れたうえに僕に代わってしまった。

 

「…恥ずかしいって」

 

(うるせえぞ!ブラック!!)

 

「はいはい」

 

適当にゴールドをあしらえば、父さんは厳しい顔つきで空を見上げている。

 

「アレで終わりじゃないんだね」

 

「ああ、少なくとも地球に6体は同じヤツが降りてきている」

 

「あの化け物が6体も?」

 

「ああ、奇妙なのは全員の気の大きさがバラバラだってことだ」

 

「全員がバラバラ…?父さん、そういえばさっきやつが…」

 

話を聞いていて父さんはなんだか合点がいったようだ。

 

「なぁるほどねえ。まだわからないことは多いが…助かったぜ、ディナー」

 

「えへへ」

 

頭を撫でられて僕は嬉しくて微笑む。

 

(…)

 

「羨ましいなら出てくれば…わかったわかった。行くの?父さん」

 

「ああ、俺はヤツの本体を探す。地球は“ふりーざくん”とピッコロ達に任せるさ」

 

「え、でも“ふりーざくん”はさっき…」

 

「ああ、全滅したな。だが、今の超(スーパー)サイヤ人の状態なら…!」

 

父さんは気を高めると、いつものように全身から次々と“ふりーざくん”を作り出す。

 

普段なら100体も出さないのに、父さんから溢れる“ふりーざくん”はやがて空をおおいつくすほどの数になる。

 

「と、父さん、これ“ふりーざくん”何体いるの…?」

 

「ん?ざっと53万体、ってところか」

 

「なにその軍集団…」

 

「これだけあればここの守りも万全だろう?じゃあ、ちょっと行ってくるぞ!」

 

そう言って父さんは仙豆をいくつかポリポリと食べながら飛んでいった。

 

僕は空を「ホーホッホ」と笑いながら整然と並び立つ“ふりーざくん”を見て、これをなんて母さん達に説明したものか悩むのだった。

 

***side 悟空***

 

危ないところだった。

 

ディナーも最初から本気でやっていればそれほど苦戦はしなかったんだろうが、普段の組手と殺し合いじゃ勝手が違うからな。

 

そうして飛んでいきながら、遠視能力でピッコロ神や悟飯がいる場所の状況を確認する。

 

降りてきた6体のメタルクウラ(明らかに元より強いのでハイパーメタルクウラとでも呼ぶべきか)の内、実に4体がここに来ていた。

 

戦闘力に差はあれど、まともに戦えばディナーでさえ苦戦する相手だ。

 

だが、ここの面子を考えればそれほど心配する必要もない。そして見てみれば、案の定そこには蹂躙されるハイパーメタルクウラ達がいた。

 

「ば、馬鹿な!なぜ動けんっ!」

 

「へっへっへ、ウルトラグルグルガムにそれほどの強度はないが、絶対に千切れない柔軟さがあるんだよ…!」

 

「そしてお前が人間としての骨格を持っている以上関節が存在する。八手観音・絡め手はお前のような相手を拘束するための技だ」

 

「…そして、お前がいかに強かろうと、針の先程の穴があけられれば勝機は生まれるっっ!!!」

 

三弟子の連携プレーによって、圧倒的な格差があるはずのハイパーメタルクウラは動けなくなっていた。さんざんに暴れたのか、全身にひどく絡み付いたウルトラグルグルガムはハイパーメタルクウラの動きを鈍らせ、そこへ追い討ちをかけるように間接を八手観音の八本の腕が拘束している。

 

そうやって動けない状況さえ作ってやれば、ナムの技も外れようがない。

 

「しっ…!」

 

今から3年ほど前。ナムは棒術をついに極めた。もはや如意棒の扱いにおいてナムの右に出るものはいない。

 

今ナムがやっているのは、文字通り針先ほどに気を圧縮してハイパーメタルクウラの頑健な装甲を撃ち抜いたところだ。

 

刺さった針はハイパーメタルクウラの体へ徐々に枝分かれしていき、全身を内側から突き刺していく。

 

攻撃はとうぜんそれだけで終わらない。もはや内臓(回路)は無防備になったも同然のハイパーメタルクウラに追い打ちがかかる。

 

「「「かめはめ波っ!!」」」

 

三人全員が雷に変化させたかめはめ波を放つ。合流し威力を増した雷撃が今だ刺さり続けるナムの気に向かって飛んでいき、ハイパーメタルクウラを中から焼いていく。

 

「がああああああっ!!!お、おのれえええ!こんな程度の攻撃、耐えきればなんのこともないわ!!」

 

「無駄だ。気のコントロールを完全とした我らの雷はお前の体から抜け出すことはない。耐えきれる可能性はゼロだ」

 

「そんな、ばかなああああああ!?」

 

チャパ王の無慈悲な断言にハイパーメタルクウラは絶望し、やがて回路を焼き尽くされて沈黙した。

 

「どうしたの?ねえ、せっかく強いんだからもっとがんばってよ。僕、こんなんじゃ満足できないよ」

 

見る場所を変えれば、悟飯がハイパーメタルクウラを鉄屑へと変えていた。その笑顔は普段全力を出せない分実にいい笑顔である。

 

ディナーの全力攻撃でへこむことさえなかったハイパーメタルクウラの装甲がべっこべこに変形している。この中の個体では一番弱いとはいえ、あんまりな有り様である。

 

「サイヤ人の分際で…!!あまりこの俺を舐めるなあ!!」

 

言うなり、ハイパーメタルクウラの体は三体へと別れる。

 

やはりな。あのハイパーメタルクウラの強さの秘密は、同一の個体がいくつも合体していることによるものだったか。

 

「あは♪すごいすごい、でも…ひとつひとつが弱いんじゃ話にならないよ?」

 

「なにっ!?」

 

「ね、簡単に消えちゃう」

 

分裂を繰り返し、悟飯の後ろをとったハイパーメタルクウラの一体は、彼にとってはいつの間にか後ろに回した手によってあっさり消し飛ばされた。

 

だが、彼らに動揺して止まっている余裕はない。まごついている内に、ひとつ、ふたつと、ハイパーメタルクウラが消されていく。もはや分裂した自分を囮にして生き延びている状況だ。

 

「ふふ、ほらもっと遊ぼうよ!ほらほらほらー!」

 

これが悟飯の危うさでもある。あいつの潜在能力解放は、同時にサイヤ人の残虐さを呼び覚ますスイッチでもあるのだ。フリーザ一族も真っ青なその残虐性は、誰かが止めるまで収まることはない。

 

「悟飯っ!楽しむな!さっさと倒して向こうのベジータ王を助けにいくんだ!!」

 

「は、はいっ!わかりました、ピッコロ兄さん!」

 

ピッコロJr.の叱咤にびくりと体を震わせ、悟飯は落ち着いたように今一度ハイパーメタルクウラを見下す。

 

「…お前達のせいでピッコロ兄さんに怒られたじゃないか」

 

それは八つ当たりだろう、と俺が思う間もなく分裂し続けていたハイパーメタルクウラはあっさり殺された。たしかにこれだけ実力差があるのではピッコロJr.に怒られても仕方あるまい。

 

「…やれやれ、戦いが終わったらまた説教だな」

 

「ほどほどにしておいてやれよ。あまり長いとそれはそれで喜ぶからな」

 

「わ、わかってます、父上」

 

一方でピッコロ神とピッコロJr.の様子を見れば、彼らは全体のフォローに回っていた。2体のハイパーメタルクウラが付かず離れず波状攻撃をしかけているが、ピッコロJr.は相手がふたりがかりだろうと近寄らせる隙を見せない。

 

「なぜだ!なぜナメック星人ごときがこの俺を圧倒できるのだ…!?」

 

「鍛え方が違う。そろそろ貴様の体もストックが尽きただろう。悟飯ひとりで行かせるわけにはいかないんでな。ガタガタにしてやる!」

 

「ほざけええっ!!」

 

ハイパーメタルクウラの内一体が鋭い手刀を繰り出すが、そのときにはピッコロJr.は重りであるマントを捨て去り、もう一体に向かっている。

 

「な、なんだこの重量は…!?」

 

ピッコロJr.が普段から着けているターバン及びマントの重量はそれぞれ200トンを越える。おまけにマントまで重り仕様となっているので、手刀で貫いた腕はマントが絡まって実に重かろう。

 

そして致命的な隙をさらしたハイパーメタルクウラはあっさり破壊され、全身を余すことなく気功波で消し飛ばされた。

 

「クリリン、まだなのかっ!?」

 

「あと少しだ!!」

 

地上では複数体に分裂したハイパーメタルクウラと、クリリン、ターレス、ラディッツ、亀仙人が戦っている。

 

天津飯、オシャレ、カカオは倒れているところから見るにやられたらしいな。死んではいないみたいだが。

 

「天津飯が何体か倒してくれたとはいえ、こいつらはなかなかに厄介じゃのう…!」

 

亀仙人の大師父はハイパーメタルクウラの攻撃をいなして力を消しつつ、時折確かめるようにハイパーメタルクウラに打撃を試みる。

 

「ふん!下等生物の貴様らがいくら攻撃を加えたところで、この俺にダメージなど与えることはできん!」

 

「そうかのう、あと少しだと思うんじゃがな」

 

「貴様の断末魔がか?ぐっ、なんだ、からだが、思うようにっ…きさま、いったい何をした!?」

 

「お主の体、機械なんじゃろう。ずいぶんと時間はかかったが、全身くまなく叩いて確認させてもらったぞい」

 

「なにをしたと、聞いている…!!」

 

「じゃからな、お主が体を動かすための部品を外から叩いて少しずつズラしたり、壊したりしたんじゃよ」

 

「な…そ、そんな、ばかな、まねが…!」

 

「ま、これで終わりじゃがのう。はあっ!!!」

 

亀仙人の裂帛の気合いとともに、体を麻痺させたハイパーメタルクウラは全身に亀仙人の打撃を浴びて内側から壊される。もはや分裂することも叶わず、ハイパーメタルクウラは見た目からはわからないほどに中身を壊されて沈黙した。

 

「できたっ!みんな下がれええ!」

 

クリリンの声に反応したターレスとラディッツが距離を開ける。

 

「くらええええっ!!」

 

クリリンの作った元気玉が驚くほどあっさりとハイパーメタルクウラに炸裂する。

 

ーーーだが、簡単すぎる。

 

違和感にもっとも早く気づいたラディッツが動きだすも、すでに分裂を済ませていたハイパーメタルクウラはクリリンの後ろを取っている。

 

「バカめがっ!死ねえっ!!」

 

「クリリン、避けろおお!!」

 

完全に不意打ちの格好となったが、クリリンは泰然として動かない。ターレスが叫び、ラディッツが急ぐ。

 

そして、ハイパーメタルクウラの一撃がクリリンに命中しーーークリリンは余裕の表情を浮かべた。

 

「へへっ、俺がただ元気玉を作ってると思ったのか。残念だったな、元気玉のエネルギーのほとんどは俺が纏ってるんだよ!!」

 

驚愕するハイパーメタルクウラをクリリンはさきほどの悟飯を思わせる勢いで打ちのめしていく。さながら超(スーパー)サイヤ人じみた超絶パワーアップだが、そのエネルギーは有限だ。よって、早めに相手を倒すことが求められる。

 

「波あああっ!」

 

口上を簡略化されたとは思えないほどの巨大なかめはめ波が、驚愕から冷めやらぬハイパーメタルクウラを飲み込んでいく。

 

ターレスとラディッツはクリリンのあまりの強さにさきほどのハイパーメタルクウラ以上に驚きを隠せないでいた。

 

「ク、クリリン、お前、あんなに強かったのか…」

 

「素の状態じゃあそこまでできねえよ。あれは元気玉っていう自分以外の気を集めて放つ必殺技を応用したんだ」

 

クリリンは謙遜するが、元気玉を体に纏って戦うというアイデアはかなりの無茶を要求する。

 

アレを制御しつつ戦うというのは、言うなれば常に糸を針に通すような集中力と繊細さを要求する。少なくとも俺はやりたくない。

 

「…それにしたところで、あれは超(スーパー)サイヤ人になったベジータ王をも上回っているぞ」

 

「いや、そうでもないぜ。なんだか途中からそのベジータ王ってのもパワーアップしたみたいだし。よくて五分五分じゃないかな」

 

ラディッツの評価に謙遜するクリリンだが、原種サイヤ人の肉体を手にいれたべジータは現時点でも宇宙で指折りの強者だ。それと五分に戦えるという時点で相当な強さなんだがな。

 

「…へ、へへへ。すげえなあ、俺たちが総掛かりであんだけ苦労したクウラをあんなあっさり倒しちまうなんてな。俺たちも負けてらんねえぞ!兄貴!!」

 

「ああ、そうだな。俺たちは戦闘民族サイヤ人だ。負けっぱなしはらしくないからな」

 

「よおし、そうと決まればクリリン!さっきの状態でもう一回勝負だ!!」

 

「おいおい、勘弁してくれよ。アレ体に纏ったあとはすげえ疲れるんだからさぁ…」

 

あれだけ力の差を見せつけられて、心が折れるどころか奮起するのか。

 

「後にしろターレス!そんなことより先にクウラにやられた仲間たちのところへ行くぞ。死んではいないみたいだが、さっさとメディカルマシーンに入れてやりたい」

 

「おおっと、そうだったそうだった。だがよ、レズンとラカセイは無事なのか?」

 

「「俺たちなら無事だぜ」」

 

「うおおお!?いつの間に現れやがった!?」

 

「「船が壊される前に瞬間移動したんだよ。さっきまで隠れてたんだ。危なかったぜ」」

 

突然現れたからまさかとは思ったが、本当に瞬間移動だとはな。

 

「ちっ、船が壊されたんじゃメディカルマシーンがないぞ」

 

「なら、俺からピッコロ神様に頼んでやるよ。あのひとなら怪我くらい一瞬で治せるし」

 

「それにしてもよく無事だったな。やはりヤードラット星でギニュー特選隊と和解したのは正解だったか」

 

「いや、正直クウラ達のステルスが完璧なら危うかったぜ」

 

「でもセリパの姉御もよくギニュー特選隊ってのと仲良くするのを承知したよな。仲間を殺されてるんだろ?」

 

「…あの人は強いからな。さて、そろそろ移動しよう。レズン、ラカセイ、悪いが一緒に着いてきてくれ」

 

「「任せときな」」

 

そう言って彼らは怪我人を抱えて移動していった。

 

やはり地球の戦士は強いな。鍛えたり介入した甲斐があるというものだ。

 

そして、さきほどピッコロJr.に心配されていたベジータ王だが…

 

「紛い物の分際で今の俺に勝てるなどと…思い上がるでないわ!」

 

セリパを人質に取ろうとしたハイパーメタルクウラだったが、それはあっさりとベジータ王に阻まれた。

 

原種サイヤ人の肉体を手にいれたベジータ王の強さは現時点でピッコロに次ぐ。

 

とはいえ、あの変身形態は少々特殊だ。デメリットが理解できていないのならば戦いを引き伸ばすべきではない。

 

どうやら、ベジータ王はそれに気づいているようだが。

 

散々に蹴散らされたハイパーメタルクウラだったが、それでも生き残ったやつは戦い続けようと再生を始める。

 

「何度再生しても結果は変わらん。…紛い物にしてはよくやったと誉めてやろう」

 

「サイヤ人があっ!」

 

「超(スーパー)ギャリック砲!」

 

侮ったわけではないのだろう。

 

事実、ハイパーメタルクウラの戦闘力はさきほど超(スーパー)サイヤ人になってみせたベジータ王を確実に上回っていた。だが、俺の介入によって強化されたベジータ王には勝てるはずもなかった。

 

「ベジータ王!申し訳ありませぬ…!戦いで足手まといになるなど…!!」

 

「よい、気にするな…どうやら他の連中も終わらせたようだしな。レズンとラカセイも無事だが、やはり宇宙船は破壊されたらしい。ここは一度合流するべきだな」

 

「はっ!」

 

かしこまる凛々しいセリパもいいなぁ、と思いながら見ていたら、セリパがキョロキョロしだした。

 

こっちが見えるはずないのだが、すごい勘だな。

 

そうして全員の戦いを見守り終えた頃、俺は木星の後ろに隠れたビッグゲテスターを発見するのであった。




え、なんでメタルクウラ襲来してんの(゜ロ゜)!?
と間違いなく思われたと考えてますので、明日の投稿でエロとクラッシャー軍団サイドの過去を書きます。あとちょっぴり今回の黒幕も。

睡眠時間…!燃やすぜ…!!

ちなみに悟空がベジータ王に対して浮かべたのは素敵なヒラコースマイル(´・ω・`)


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【番外編】“虞美人草の惜別”

タイトルは『ぐびじんそうのせきべつ』と呼びます。

エロシーン少なめですが、たぶんこれで抜けるひとは結構鬼畜。わたしですか?抜けるに決まってるじゃないですか(オリジナル笑顔)

だいぶ長くなりましたが、これでもだいぶはしょってます(笑)
どんだけブロリー書きたいんだっていうね。

にしても疲れたざます


【5年前】

 

***side セリパ***

 

「全員無事だな」

 

「…いてて、結構ボロボロなんだけどな」

 

通信機越しに各自の無事を確認すれば、ガレキの中からあちこちを汚しながらも、ぼやきながらターレスが立ち上がる。

 

『こちらダイーズ。俺とカカオは問題ないが、アモンドが負傷した。治療が必要だ』

 

『こちらラディッツ。敵本拠地の地下に隠されていたこの星の王族を発見した。一度船まで連れていくか?』

 

「了解した。ダイーズはアモンドを連れて船まで行け。カカオはラディッツと合流しフォロー。あたしとターレスはベジータ王の元へ向かう」

 

言うべきことを言い終え、あたしは通信を終了させる。振り向けば、そこには不満そうな表情でがれきに腰かけるターレスの姿があった。

 

「えー、ちょっとくらい休ませてくれよ。今回俺大金星だったと思うぜ?」

 

「所詮はザーボンやドドリアクラスだ。とはいえ、よくやったな。そら、ほめてやったんだから動け。お前が余力を残してるのくらいはわかってるんだ」

 

「ちぇ、バレバレか。しょうがねえなあ、人使いの荒いお姉さまにこき使われますよ」

 

「なにか文句があるのか」

 

「な、ないです。だからその手に溜めたエネルギー弾はしまってください」

 

あたしは無言で手にこめたエネルギー弾を自分に還元する。

 

これで辺境地域のフリーザ軍を指揮できる、それなり以上の戦闘力がある連中は全滅した。

 

だが、やはりここにも今のフリーザ軍を指揮している張本人は見つからなかった。側近級の実力者はこれで全員倒したはずだ。となると、フリーザ軍に限って可能性は低いが、戦闘力によらない知謀で上層部に食い込んでいる存在がいるということか。

 

「どうしたんだよ、セリパ姉。早くベジータ王のとこへ行こうぜ」

 

「…ああ、わかってる」

 

あたしは詮索を打ち切ると、ターレスと一緒にベジータ王の元へと飛んでいった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

解放された原住民による歓待をやんわりと断り、あたしは一足先に船へと戻っていた。

 

美味な食事を大量に用意するという話に、サイヤ人組ははしゃいでいたが。

 

だからといって、儀礼用の衣装などあたしは着るつもりになれない。

 

尻尾をほどき、汗と埃で汚れたバトルジャケットとインナーを脱ぎ捨てミストルームへと進む。

 

スイッチをいれれば、ほどほどに熱い蒸気が壁一面から吹き出し、体の汚れを浮き上がらせる。

 

全身でそれを浴びながら、あたしは過去に思いを馳せる。

 

トテッポ、パンブーキン、バーダック、そしてトーマ。

 

かつての仲間達を失い、幼いべジータ王を率いての流浪の生活は、いつしかフリーザ軍に占領された星々を解放する義勇軍じみた行動に変わっていった。

 

成長したベジータ王は今では生き残ったサイヤ人で最強の戦士となり、ラディッツもターレスを拾ってからはあたしの代わりを任せられるぐらいに成長した。

 

まだまだ全員目を離すわけにはいかないが、思えば長い年月が過ぎてしまったように思えた。

 

「ふぅ…」

 

蒸気を止め、今度は頭上から降ってくるシャワーを浴びる。あたしはシャワーが直接当たらない脇の下や、顔の隙間、股間や股の間の隙間を手や指で拭って汚れを落としていく。

 

「ん…」

 

不意に、指先で触れた股の間の感覚がうずく。

 

トーマに先立たれてから、ずいぶんとほったらかしだったあたしの“女”がうずく。

 

「ふぅ…はっ…」

 

いつしかあたしは指先で豆の部分をこねくり回し、反対の手で乳房を揉みしだく。

 

熱気のこもったミストルームと、あたしの熱が同化していくような錯覚を覚える。

 

「ああっ…!トーマっ!トーマぁ…!!」

 

もはや触れることも叶わない思い人の名前を呼ぶ。

 

くちゅくちゅと水気のある音が股間から響き、あたしは然したる時間も要せずに達する。

 

「…っ!…はっ、く、ふぅ…」

 

せっかく洗ったのに今一度汚れてしまった手を見下ろして、あたしの視界がぼやけていく。

 

「…さみしいよ、トーマ」

 

ぽつりぽつりと顔から落ちていく滴をあたしは見ていられず、しばらくの間をミストルームで過ごした。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side ベジータ王***

 

全員がメインデッキに集まったところで、俺はおごそかに告げる。

 

「…今回お前達に集まってもらったのは他でもない。俺たちにとって不倶戴天の敵のひとりである、フリーザの兄。クウラの居場所が判明した」

 

その言葉に、メインデッキが騒然となる。

 

落ち着いているのはこの情報をもたらしたダイーズと、内心で怒りを抑え込んでいるのであろうセリパのみであることが息づかいで判断できる。

 

「やつらと戦う上で、障害となるものは三つ。ひとつは、言わずと知れたクウラ機甲戦隊。ふたつめは、やつが近年吸収したフリーザ軍やコルド軍の残党。みっつめが、時間だ」

 

言いきると、みな思い思いの顔をしている。

 

すると、ラディッツが神妙な表情で挙手してきた。

 

「ラディッツ、意見を許可する。言ってみろ」

 

「はっ!ひとつめとふたつめは言われずとも理解しておりましたが、みっつめは一体どういう理由がおありで?」

 

なるほど。たしかに理由がわからねば疑問にも思うだろう。気配を探ればそもそもわかっていないターレスはともかく、全員違和感があるようだ。

 

「今から数年前、コルド大王が魔獣と化したフリーザに食われたのは全員知っているな」

 

「ああ、そういや食われて死んだんだっけかそいつ…いでっ!」

 

「ばかもん!仮にも御前での態度ぐらい改めんか!」

 

ターレスはラディッツから拳骨を受け、頭を押さえていた。俺はそれほど身分による序列など気にしていないのだが、セリパやダイーズいわくこういったモノは疎かにすれば後に響くそうだ。そんなものか。

 

「…話を戻すぞ。みっつめの条件に時間をあげたのは、クウラが逃げる可能性があるからだ」

 

「逃げるぅ?仮にもフリーザ一族で最強と呼ばれた男なんだろ?なんでそんなやつが逃げてるんだよ…あ、ちょ、ちょっと待て兄貴!エネルギー波は止せよ!」

 

「言ってわからなければ体に教えるまでだ。…ベジータ王、悪いが外させていただく。さあ来いターレス」

 

悲鳴をあげながらトレーニングルームへ連行されていくターレス。…どうでもいいが、ラディッツよ。お前の言葉遣いも決して丁寧ではないぞ。

 

「ベジータ王。時間を条件にあげられたのは、やはりヤツが逃げるとお考えで?」

 

「…ああ、その通りだ。これまでのヤツの行動がそれを裏付けている。元々まともに軍を率いなかった男が、あのコルド大王が死んだときから急激に自らの軍を持ち始めた。拠点としているのはいつも辺境の惑星で、おまけにヤツは城には住まず、宇宙船を拠点にしていると聞く。どうだ、“いつでも逃げられる”状態としか言えないだろう」

 

ダイーズの意見にそうまとめれば、各自は納得したようにうなずく。

 

そんな中、セリパだけが俺へ刺すような気配を向けてくる。

 

「…ベジータ王。ひとつ確認したい。此度のクウラ討伐、以前ヤードラットでのギニュー特選隊のように和解するなどとは、まさか申しませんね」

 

殺気すら滲ませ話しかけてくるセリパに、この場にいる全員が押し黙る。

 

「そうか、お前には真相を話していなかったな」

 

「真相?ギニュー特選隊と和解するのに、一体どんな理由があったというのです…!」

 

「それはな、つまりこういうことだ…」

 

俺はセリパに話す。ヤードラット星での経緯を。

 

ヤードラット星。銀河に数ある星のなかで時たま注目される“特殊な能力”を持った住民が住む星。

 

俺たちは一年前、ギニュー特選隊とあの星で出会った。だが驚くべきことに、ギニュー特選隊はすでにフリーザ軍を抜け、これまで犯してきた罪の償いとしてヤードラット星を無償で守っているとの話だった。

 

ふざけた嘘をつくものだ、と思ったが、光を失った俺の感覚は相手の嘘すら見抜く。

 

その俺が、ギニューの言葉に嘘がないことを見抜いたのだ。

 

おかしい。

 

当然違和感が先だった。そしてその違和感を決定付ける出来事があった。

 

ヤードラット星に辿り着いた当日、俺はターレスとラディッツを率いて歓待の席に出席した。

 

だがターレスのやつが歓待された際に用意された飯を食った際に、突然食べたものを吐き出したのだ。いの一番にがっついたターレスのことだから、周りから見ればそれが原因で吐いたように見えただろう。

 

だが、俺とラディッツはターレスの体調不良を理由にすぐその場を引き上げた。そして船に戻るなり、こっそり回収したターレスの吐いた食べ物をレズンとラカセイに調べさせた。

 

調べた結果は驚くべきものだった。

 

食事に含まれていたのは、ごく微量の細菌。一度の食事で接種できる量ではなにも起きないが、複数回体に取り込み続ければ恐ろしいことが起きる。

 

それは、一種の洗脳効果だ。

 

体内に取り込んだ細菌が一定量を越えると、細菌は急激に増殖し、宿主の脳を犯す。

 

あのギニュー特選隊が異常におとなしい理由がわかった。やつらはどういうわけかヤードラット星で食事を長期間食べるほどには歓待を受けた。

 

はじめは違和感もなかっただろう。だがそれなりの年月を過ごすうちに、次第に考えを変えていったはずだ。

 

戦闘力はかつてと変わらないが、もはややつらが凶暴になることはないはずだ。そういう風に、変えられてしまったのだから。

 

そして問題も起きた。食事を吐いたターレスだったが、調べれば細菌以外にも遅効性のウイルスに感染していることが判明したのだ。

 

どうやらサイヤ人にしかウイルスは効果を及ぼさないようだが、その効果は強力だ。数年かけてウイルスが全身に回ると、ある日突然心臓が弱りあっさり死んでしまう。それも、死ぬまでの時間は個人差すらない。完全なランダムだ。

 

これで、この星からすぐに逃げ出すという選択肢はなくなった。なんとしてでも、ウイルスに対する抗体を手にいれなければならない。

 

激昂したラディッツはヤードラット星人を皆殺しにしてでも抗体を手にいれようとしたが、それは俺が止めた。

 

たかだか食事にこれだけの手段を用いるのだ。強行すればなにをされるかわかったものではない。

 

同じ理由で、セリパに話すこともためらわれた。あの女はなんだかんだで情が強い。

 

自分の知らないところでターレスがやられたと聞けば、居ても立ってもいられないだろう。

 

結局、ヤードラット星にはウイルスの進行や、俺たちにもなにかされる可能性を考慮して、三ヶ月滞在することになった。

 

結果として、ウイルスはなんとかなった。

 

驚くことにヤードラット星人から技術を教わってくると言い出したレズンとラカセイの二人によって。

 

彼らはヤードラット星人が持つ瞬間移動の能力を教わり、同化と分離の能力を利用して彼らの扱うウイルスや細菌について調べ尽くした。

 

二人にもウイルスや細菌は仕掛けられたが、能力を使ってどちらかが仕掛けられたウイルスを引き受け、化石となっていた際の仮死能力を使ってウイルスも細菌も強制的に小康状態に持っていくと、その状態で治療をほどこすことであえなくウイルスも細菌も克服してしまった。

 

やがて二人が瞬間移動を覚えた頃、船のなかで作ったワクチンを各自で接種させ、ヤードラット星を後にした。

 

星を発つ際の、ヤードラット星人の気味悪い目付きは未だに忘れられない。

 

そのせいで、星を壊すことも忘れて逃げ出してきたのだから。

 

「…話が長くなったな。ことが終われば話してもよかったのだがな、正直さっさと忘れてしまいたかったから、今の今まで忘れていた」

 

「そ、そんなことが…」

 

「ああ、だから仲間の仇であるギニュー特選隊はすでに死んでいるようなものだ。すでに以前のヤツらの意識はないも同然なのだからな」

 

そう、もはやあの星に関わることもあるまい。あんな星は、意識の外に送るに限るのだ。

 

…ひょっとして、これもやつらのウイルスがもたらした思考かもしれんがな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

***side クウラ***

 

「ええいっ!なにが起きているっ!!」

 

俺は手にしていたグラスを床に叩きつけ、報告に来たサウザーを睨み付ける。

 

「も、申し訳ありません、クウラ様っ!クラッシャー軍団の襲撃でございますっ!!」

 

「跳ねっ返りの猿どもかっ!!おのれええ…!!」

 

自然と高まるエネルギーに周囲の調度品が破壊されていく。

 

「今しばらくお待ちくださいませっ!このサウザーが必ずや猿どもの首、取ってまいります!!」

 

言うなりサウザーは飛んでいった。…ふんっ、使えないクズどもめが。

 

俺は急いで船を起動させていく。

 

面倒だが、この拠点も捨てるしかないな。

 

くそ、なぜ俺がこんな“逃げる”ような真似を…っ!!

 

俺は自分の思考に愕然となった。

 

「“逃げる”…!?“逃げる”だとぉ!?宇宙最強であるこの俺がっ!真っ先に逃げを打つなどと…!!くそぉ、これもすべてフリーザのせいだっ!」

 

自分自身に抱いたあまりの怒りに俺は目の前が真っ赤に染まった錯覚を覚える。

 

「…やめだ」

 

俺はエネルギーを解放し、宇宙船を木っ端微塵に吹き飛ばすと、上空に浮かび上がって猿どもへと呼び掛ける。

 

「サイヤ人の猿ども!!この俺はここにいるぞっ!宇宙最強のクウラが直々に相手してやるっ!」

 

「…ほう、もうこそこそ逃げる準備はしなくていいのか?せっかく貴様が逃げ出した瞬間に撃ち落としてやろうと思ってたのにな」

 

「べジータか…」

 

「ふん、今はベジータ王だ。さて、貴様との腐れ縁もここまでだ…!今日こそ殺してやるっ!はあああっ!!!」

 

目の前で悠然と佇むベジータ王はエネルギーを高めると一息に変身した。

 

金色の頭髪。全身を包む激しいオーラ。かつて我らフリーザ一族の祖先が警告したという超(スーパー)サイヤ人の姿。

 

「忌々しい姿だ。だがそれも今日で見納めだ…!!」

 

俺はエネルギーを全開にし、本来の姿を今一度他の形態と同じく包み込む。

 

普段ならばそれは俺自身のパワーを押さえ込むが、俺は常に本来の姿でいることでひたすらに体をパワーがある状態に慣れさせた。

 

だからこそ、今纏う外殻はフルパワーの内圧にも負けない強固な鎧となるのだ。

 

「この姿を見た者は貴様だけだ、さあ…始めようか!」

 

一回り以上大きくなった肉体を包み込んだ外殻は頭部と肘の各所に突起を生やし、俺の声を掛け声として最後の外殻が口元を包み込む。

 

「サイヤ人は戦闘民族だ!舐めるなよっ!!」

 

ベジータも俺に対抗するかのようにさらにエネルギーを高め、全身の筋肉を膨らませる。

 

なるほど、パワーをさらにあげたか。

 

「そんな膨れ上がった筋肉でどこまでついてこれるっ!」

 

俺は一息にべジータの懐まで入り込むと、鳩尾目掛けてボディブローを叩き込む。

 

だがそれは予想した内臓まで届くような感触ではなく、分厚い腹筋に守られたことを示す鈍い触感だった。

 

「ちぃ!」

 

ならば顎か首を狙って意識を奪おうとすれば、ニヤリと笑ったべジータは俺の腕を全力で掴む。

 

「ぐうっ!?き、貴様まさか!」

 

「この俺が今の状態のデメリットも理解できてないと思ったか?これなら早さは関係ないぜ!」

 

「ほざけえええっ!」

 

たしかに早さは関係ないが、それは俺も同じこと。

 

互いに片手を使えないまま、不安定な体勢からの殴打が応酬される。

 

俺の体には外殻があり、べジータには筋肉の鎧がある。

 

五分に思えた戦いだったが、形勢はべジータ有利に動き始めた。

 

ピシッ

 

ほんのわずかな音だったが、その音に俺は青ざめ、べジータは口元を歪めて笑う。

 

「どうやら貴様がさきに限界を迎えたようだな…!」

 

「ば、バカなっ!?」

 

「ギャリック砲!!」

 

「ぐあああああああっっ!!」

 

至近距離から受けたべジータのエネルギー波に、俺は外殻を一気に砕かれる。

 

(まずい…!このままでは負ける…!)

 

俺の焦りはピークに達していた。もはや星ごと消し飛ばそうにもその隙ができそうにない。

 

だが、今の状況は思いもよらぬ出来事によって中断された。

 

「なんだっ!?」

 

とどめを刺そうとしていたべジータが突然動きを止めた。上空へと向けた顔は見えていないものの、垂らす冷や汗が事態を悪化させるものだと確信させる。

 

あとになってこのときのことを思った。

 

俺が逃げ出そうとしたのは何も間違っていなかったのだと。なぜならば、目の前に落ちてきたかつての弟と対峙せずに済んでいたのだから。

 

「ニニニニ兄さン、ヒサヒさひサしブリダね!■■■■■■■■■■■っっ!!」

 

音として認識できないほどの絶叫をあげたのは、かつて潜在能力において俺を上回る逸材だと誉めそやされた天才ーーーフリーザだった。

 

いびつに巨大化した体には無数の突起が生え、四本ある腕には奇妙な腕輪を嵌めている。

 

そしてその口には、食いかけの部下がぶら下がっていた。

 

俺とべジータの判断は早かった。べジータが先程以上のエネルギーを込めてエネルギー波を撃てば、俺も現状で出せる最強の攻撃“スーパーノヴァ”を繰り出す。

 

あれと戦ってはいけない。そう思わせるおぞましい“ナニカ”がやつにはあった。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

…べジータとクウラが戦う少し前のこと。

 

***side ターレス***

 

べジータ王はクウラと決着をつけに行ったみたいだな。

 

俺の相手は茶色いカエルみたいなツラした野郎だ。

 

「貴様らサイヤ人はなんとしつこいのだ。フリーザ様にさっさと殺されていればよかったものを」

 

「だったらてめえが殺してみろよ!」

 

俺はエネルギーを全開にして突っ込む。ラディッツの兄貴からは無駄遣いだって言われるけど、俺はこのパワーを全部出しきって戦うのがたまらなく好きだ。

 

「でえやああっ!」

 

俺の全力の攻撃はカエル野郎にことごとく躱されていく。

 

敵わないのはわかってるが、だからといって戦わない選択肢は俺にはありえない。

 

それに、俺の役割はこうして時間稼ぎをすることだからな。

 

「捕まえたぞ!」

 

「ぐっ、く、しまった!うあああああああ!!」

 

一瞬の隙を突かれて腕を捕らわれた俺は、そのままカエル野郎に電撃を流される。

 

あっという間に全身が焼け焦げていき、意識が明滅する。

 

「しぶとい野郎だぜ、俺の電撃を受けて一瞬で死なないなんてな」

 

「…へ、へへ。ばかが、おれの、かちだ…」

 

「待たせたなターレス!!」

 

「なにぃ!?ア、アギャアアアア!!」

 

上空から強襲した大猿化したラディッツの兄貴によってカエル野郎はあっさり掴まれ、そのまま握りつぶされた。

 

「おそいぜ、兄貴…」

 

「すまんな、雑魚の始末に手間取った」

 

兄貴が来たことで安心したのか、俺は急速に眠くなってくる。

 

べつにいいか、兄貴がいるん…だし…

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side セリパ***

 

「…どうやら、クウラ機甲戦隊も、ここまでみたい、だね」

 

「ば、ばかなぁ…!!」

 

口元から血を吐き出し、サウザーは自分の胸に空いた穴を見つめる。

 

この男、サウザーはクウラ機甲戦隊の隊長であり、戦闘力はあたしを上回る。

 

ラディッツを露払いの筆頭にするため、アモンド、ダイーズ、カカオの三人は地上のクウラ軍を相手取っている。

 

さらにターレスは機甲戦隊のもうひとりがクウラを逃がしに行かないよう、ラディッツが来るまでの時間稼ぎを買って出た。

 

そしてあたしは、トーマの仇を討つためサウザーと対峙したのだ。

 

そのサウザーも、あたしの捨て身の策によって心臓を撃ち抜かれ、もはや死ぬのは時間の問題だ。

 

「ごほっ…まずいな…」

 

あたしがやったのは実に単純な手段だ。

 

サウザーはパワーもスピードも、あたしを上回る。

 

だが下手に大猿化すれば、あいつはクウラを逃がすために逃げ出すだろう。

 

だからサウザーに適度に追い詰められ、サウザーがエネルギーを纏った手刀を繰り出してきた瞬間、わざとそれを食らって、やつを腹筋で掴まえて心臓を撃ち抜いたんだ。

 

意識が遠退きそうになるのを、意地で保たせる。

 

まだだ、まだクウラを倒しちゃいない…!

 

そう思ったときだった。あたしの耳に、あの恐ろしい咆哮が響いてきたのは。

 

***side べジータ***

 

イレギュラーとは起こるものだと知っていたが、こうも厄介な出来事が起きるとはな。

 

「クウラっ!あれをまともに相手するな!!」

 

「ヤツはフリーザだ!兄である俺の命令に従うっ!!」

 

「そんな理性が残ってるわけがないだろう!」

 

こんな風に問答している時間が惜しい。クウラの小型太陽じみたエネルギー球はフリーザを押し潰したように見えるが、肌に感じるやつの気配はまるで衰えていない。

 

「…くうっ!逃げるぞ、サイヤ人!」

 

「貴様に言われんでも…!よけろクウラっ!」

 

俺の叫びが届く前に、クウラの右腕が持っていかれた。

 

「~~~~!!」

 

悲鳴をあげないのはさすがだが、現状ではクウラと協力しなければ逃げられそうにない。だがどうする。あの化け物をどうやって誤魔化す。

 

「…あー、この味は、にいさんの味かあ。すこしまったりしていてパパにそっくりだよ。でもダメだなあ、最近はバーダックもめっきりすがたを現さないし。こんな薄味じゃ物足りないな…アレ、君ってもしかして、ばーだっく?」

 

「ーーーっ!!」

 

向けられたヤツの目を見て怖気が走る。やつは俺を見てなどいない。

 

やつは未だにバーダックと戦ったとき、いやそれ以上に狂ったままだ。

 

「フリーザァ!!」

 

俺が動けないでいるとクウラが動いた。片腕のヤツは狂ったフリーザに近づくと、頭の水晶状になっている部分に掌を一当てする。

 

効果は一目瞭然だった。

 

あれだけの狂気を振るっていたフリーザの肉体が、突然膨張した頭の水晶に飲み込まれ始めたのだ。

 

「ー…あは、なんだか心地いいやー…」

 

抵抗らしい抵抗もせずフリーザは水晶にのみこまれ、やがて動かなくなった。

 

「いったい、どうなったというのだ」

 

「…あれは、俺たちフリーザ一族の禁じ手だ」

 

「き、貴様!?なんだ!?貴様の体に一体なにが起きている…!」

 

目の見えない俺にはクウラの身に起きている異常が完全には理解できなかった。

 

だが、感じる気配や音から察するに、クウラの体も水晶と化していっている。

 

「サイヤ人、いやベジータ王。俺と戦え。あの技を使った以上、俺も長くはない」

 

「なにぃ!?」

 

「心しろよベジータ王。今はヤツを封じることができたが、次に目覚めるとき、フリーザは想像を絶するパワーアップを遂げている。もし逃げるなら、噂に聞く他の宇宙にでも逃げ出すんだな」

 

「…納得はいかんが、今貴様は嘘をついていない。ならば、その願い聞き届けてやろう」

 

もはや俺にフルパワーの超(スーパー)サイヤ人へ変身する余力はない。通常の超(スーパー)サイヤ人に変身した俺は、セリパのように拳の一点にエネルギーを集中させる。

 

「…礼を言おう。来い、ベジータ王!」

 

それはクウラも変わらない。パキパキと響く水晶化の音はすでにクウラの肩口まで及んでいる。

 

俺は無言でクウラへ向かっていき、交差する。

 

「楽しかったぞ、サイヤ人の王よ。俺も、もっと早くに戦うことそのものを楽しんでいられればな…」

 

その言葉を最後に、クウラはカシャン、とガラスが割れるような音を立てて崩れ去った。

 

俺は気配だけを頼りに水晶の山と化したフリーザを見やる。

 

驚異的なパワーアップ、か。

 

すこしフリーザ一族について調べる必要が出てきたな。そういえば、ずいぶんと前にズノーの元を訪れていた筈だ。一度、ヤツの元へ赴いたほうがいいだろう。

 

俺は通信機を起動して、この場にいない仲間達へと声をかけるのだった。

 

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

…べジータとクウラの戦いから数年後。荒廃した辺境の惑星にて。

 

「…すばらしい。こんな状態でもまだ生命反応があるぞ。宇宙に来たのは正解だったな」

 

白い髪、シャツのような白い毛皮に身を包んだ偉丈夫が生身が残ったクウラの残骸を持ち上げる。

 

「だが損傷が激しすぎる。これでは実験体(モルモット)にもならんぞ」

 

それに対して、素肌に黄色いベストを着て帽子をかぶった痩せぎすな男が答える。

 

「なあに、やりようはある。そうさな、当面はこの間見つけたビッグゲテスターに接続してデータを採取しよう。アレのコピー工房を使えば手軽に駒を増やせるだろうしな。“ヤツ”の仲間や拠点を襲わせてもいい」

 

「それほどまでに使い物になるのか?」

 

「言っただろう、やりようはあるさ」

 

白い毛皮の偉丈夫は、手早く分類してクウラを集めていく。

 

「待て、この水晶の山はどうする」

 

「…それは下手に接触しないほうがいいだろう。万が一目覚めれば、今の状態では対処ができん」

 

「お前の体は最高傑作ではなかったのか?」

 

嘲るように問われれば、偉丈夫は自慢するように立ち上がる。

 

「…もちろんだ。だがまだデータが足りん。究極の存在に至るには、常に最適解を求めねばな」

 

「なるほどな。では我らが拠点に帰るとするか、“ドクター・ゲロ”」

 

「くく、もはやその名は捨てた。今の私は人造人間21号だ、“ドクター・ウィロー”」

 

かつて狂気がうずまいた星で、三つの狂気が佇む。果たして、最初に悟空の前に現れるのは誰であろうか。

 

すべては、狂った星の輝きが知っている。

 




補足★説明
□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□
フリーザに軍が減らされる前、具体的にはコルド大王が生きている時代にべジータとクウラは何度か対峙しています。理由は違いますが、どちらも指揮する立場にあったので直接対決はこの日までありませんでした。

ターレスが吐いてすぐに逃げたのは、元々致死性の猛毒すら食べていた悪食のターレスがいかにがっついていたとはいえ、食事を吐き出したからです。べジータ王は帝王としての知識から、ラディッツはターレスのことをよく知っていたため違和感に気づけました。最大の功労者はターレスですけどね。

困ったときの「「俺たちゃ双子の兄弟さ!」」。彼らは本作におけるクラッシャー軍団がチート集団になった最大の理由です。

この戦いにおける戦闘力の変化などはあまり気にしないでください。計算がくそややこしくなりますので、たぶんお答えできません。

あれ?ドーレは?と思ったかもしれません。実は彼はトーマが命がけで特攻した際に死んでます。油断したところを大猿状態でトーマに自爆されました。ちなみにその後バラバラになったトーマの首を、サウザーはわざわざ拾って保存してありました。このためセリパの認識ではサウザーを直接の仇だと思ってます。

今回クウラが用いた禁じ手ですが、完全なオリジナル設定です。とはいえ根拠はあります。
まず、コルド大王はフリーザ一族の突然変異です。さらにその突然変異としての力を意図的に与えて生み出したのがフリーザです。なので、自分はクウラをフリーザを作ったときのプロトタイプだと思っています。だからこそ努力して自分の力を伸ばしたのでしょうし。
話がそれましたね。フリーザの変身は、フリーザ自身がありあまるパワーを抑えるためのものだと本編で断言しています。今回クウラが用いたのは、自らを犠牲にして相手を強制的にパワーを抑えた状態へと変身させる技です。これはフリーザ一族にしか用いることができませんが、代償として自らは水晶部分が広がりやがてくだけ散ります。そしてこの技は相手に封印した者以上の潜在能力があった場合、それを引き出す結果となってしまう、というのがこの禁じ手の設定です。クウラがべジータに警告したのはそれがわかっていて、自分の手で始末できない悔しさからです。

とうとう出ました魔改造博士s。ドラゴンボールで一番怖いのは天才科学者だと思う私の考えは間違ってないはず( ̄▽ ̄;)


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驕れる者久しからず

お待たせしました。
やはり前回の無理が祟ったようで、ちょっとした風邪のような状態に(苦笑)

【うちはの火影】
https://novel.syosetu.org/114364/
↑の新作連載開始です。アンケートにお答えいただいた方々ありがとうございました。こっちがメインになりますので、更新ペースは遅いかもですが、ちまちま進めていきます。


今回でようやくどうにか一区切り、と思っていたら桃白々の出番でほぼ終わりました(笑)

エロは次回外伝の伏線ということで。


【1年前】

 

***side クウラ***

 

目が覚めてはじめに認識したのは自分の体が動かないことだった。

 

首を動かすこともできず、どこからか響く電子音だけが聞こえてくる。

 

「ふむ、目が覚めたか」

 

声がする方を見れば、そこにはアルビノを思わせる白い体毛の男がいた。尻尾があるのを見る限りサイヤ人のようにも見えるが、こいつの気配は異質だ。

 

「…なんだ貴様は。ここはどこか説明しろ」

 

「くっくっく、傲慢よな。さすがはフリーザ一族最強にして最後の生き残りよ」

 

「…どういう意味だ」

 

「なに、簡単な話だ。もはやお前の故郷はないということだ、クウラよ」

 

「なに…?」

 

「ふっはっは!もはやコルド大王はおらぬのにも関わらず、相変わらず自分達が平和を謳歌できると思っていたのは、正直お笑いだったぞ。ああ、貴様らの種族が持つ水晶体だけは有用だったな。おかげでこの体をさらに強化することができた…!」

 

ヤツの浮かべた表情は喜悦そのものだった。

 

…父上の残した最後の作品がどうなったかが気になるが、あえて聞く必要もなかろう。

 

それに故郷にいた腑抜けどもなど、どうでもいい。どうでもいいが、こいつの頭を吹き飛ばしてやりたい衝動がマグマのごとく沸き上がってくる。

 

「…他の者達がどうなろうと俺の知ったことか」

 

「本当にそうか?…ふむ、脳波グラフが変化しているぞ。表面上は取り繕っているが、内心では激怒しているな。面白いやつよ」

 

「貴様は俺が殺してやる…!」

 

「はっはっは!首だけでどうするというのだ!」

 

ヤツの言うとおり、俺の体はなくなっていた。

 

いや、そもそもだ。水晶化をした俺がなぜ生きている。

 

「生きているのが不思議そうだな。なあに、中途半端に死にかけていたお前を私が再利用してやったまでよ。直(すぐ)にお前にも役目は来る。そのときを楽しみに待つがいい、“人造人間20号”よ」

 

ヤツは一方的に俺へ告げると、なんらかの機械を操作したのか俺に急激な眠気がやってくる。

 

人形になるなどごめんだが、もはや今の俺には死ねなかったことへの後悔しかない。

 

「…惨めなものだ」

 

最後に一言呟いて、俺の意識は途絶えた。

 

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side 悟空***

 

ビッグゲテスターを見つけた俺は、装甲の一部を破壊して中に侵入する。

 

時折ハイパーメタルクウラが襲ってくるが、すべて一撃で破壊した。

 

妙だな。本来無数にいるはずのメタルクウラをなんらかの手段で合体できるようにしたとはいえ、本拠地なのだから数限りないメタルクウラが存在しているはず。

 

全部合体させたアルティメットメタルクウラとかを勝手に想像して期待していたのだが…

 

やつらはまるでこちらのやれることを把握するかのように、一体、また一体と向かってくる。

 

さっきからそうして断続的に襲ってくるのだが…いったい何が目的だ?いや、そもそもこれを仕組んだのは本当にクウラなのか。

 

そうして進んでいくうちに、やがて俺はひときわ広い空間にたどり着く。

 

部屋の中央にはこれまでと違い、第五形態のメタルクウラがいた。

 

『よくここまでたどり着いたな、孫悟空』

 

「お前、いったい“誰だ”?」

 

『くく、それを知りたければこの俺をたおーーーぎっ!?』

 

最後まで喋らせず、第五形態のメタルクウラをぶっ飛ばす。

 

「倒してみろ、とでも言いたかったのか?ほら、倒してやったぞ。さっさと姿を見せたらどうなんだ」

 

俺は言いながら、真横の壁を気功波で破壊する。ともすればその向こうでこちらの様子を見ているやつも倒そうと考えていたが、そこそこ気を込めたその攻撃はあっさりと防がれた。

 

「相変わらず容赦がない。そして恐ろしいほどの強さだな“兄弟”よ」

 

「なにぃ…?」

 

爆炎の向こうから現れたのは、言うなれば“白い”俺だった。

 

特徴的な逆立つ髪の毛。シャツのように上半身を包む体毛。そしてカーキ色のズボンには、RR(レッドリボン軍)の文字があった。

 

「どうかね、自分自身と対面した気分は…?」

 

「…そうさな、とりあえずぶっ飛ばしてみたいね」

 

俺は目の前でたたずむ自分と対峙した。

 

見た感じでわかるが、気の性質が俺とまるで同じだ。

 

そしてズボンにこれみよがしに刺繍されたレッドリボン軍のマーク。

 

「人造人間か…いや、気を感じるところから察するに俺のクローンかな?そいつはまた皮肉なもんだ。にしても、お前は殺したはずだがな、ドクター・ゲロ」

 

目の前に立つ俺のコピーが、恐らくドクター・ゲロ本人であろう確信をもって語りかければ、ヤツは満面の笑みを持って自慢げに肉体をさらけ出す。

 

「ああ、あの茶番か。演出には随分と苦労させられたぞ。ふふふ、だがおかげで私は最強の肉体を手に入れることができたがね。これまで数多の人造人間を作り出してきたが、結局このわたしが納得できるほどのモノはできなんだ。それもこれも、貴様が強すぎるせいだぞ孫悟空…!」

 

「…おほめに預かり光栄だな。あの銀ピカをけしかけてきたのもお前か?」

 

「その通り、だが銀ピカなどではない。アレはメタルクウラと呼ぶがいい。とある惑星で死にかけていたフリーザ一族のクウラをわしが拾い、材料としてやったのよ。それにしても貴様の拠点を潰せなかったのが残念でならん。残念ながら貴様らの敵としてはまるで役にも立たなかったからな。だが、データ収集には十二分に役立った。もはや貴様など恐れるに足りんわ」

 

目の前でペラペラと喋るドクター・ゲロを今すぐ殺してやりたい気持ちが沸き上がるが、せっかく相手が勝手に喋ってくれてるんだ。もう少し我慢すべきだろう。俺は自身の体温が急上昇していくのを感じながら、なんとか冷静さを保つ。

 

「他の人造人間はどうした」

 

「他の?ああ、あの出来損ないどもか。もはや興味などないがせっかくなので教えてやろう。“解放した”よ。…くっくっく、ようやく表情が変わったな。焦っているのか?貴様には到底敵わない出来損ないだが、中でも17号は中々に見所がある。唯一“変身”できたのはヤツのみよ」

 

「…最後の質問だ。その体なら俺に勝てると思ったのか?」

 

「それこそ愚問だな。この人造人間21号ならば勝てると確信したからここにいるのだ!」

 

言い終わると同時にドクター・ゲロ、人造人間21号は変身する。

 

白かった体毛と髪の毛が灰色に代わり、筋肉が膨れ上がっていく。両腕にはフリーザ一族のような水晶状のモノが現れた。

 

「くくく、貴様が得意とする超(スーパー)サイヤ人への変身もこの通りよ。さあ、もはやパワーでは貴様をも上回るぞ!どうやってわたしに勝つつもりだ!」

 

「言いたいことはそれで終わりか?」

 

「くどいぞ!いや、恐れをなしたか?ははは、無理もあるまい。わたしが研究し尽くしたお前のコピーであるこの肉体は、あらゆる武道家のデータがインプットされておる!さらには!フリーザ一族の特性を取り込み水晶体によるパワーアンプを取り付ーーーぐはあっ!?」

 

「黙っていればごちゃごちゃといつまでも…聞いてられねえぜ!」

 

回し蹴りでさきほど吹き飛ばしたのとは逆の方向へ飛んでいったドクター・ゲロはすぐさま体勢を直すものの、その表情には驚愕が張り付いている。

 

「し、信じられん!この体はあらゆる面で貴様を上回るはずだ!むざむざ一撃をもらうなどと…!!」

 

「だったら納得いくまで試してみたらどうだ?科学者なんだろう」

 

「おのれええ!」

 

人造人間21号なる俺の肉体のコピーを操るドクター・ゲロは、先ほど以上のスピードで俺へと連打を加えてくる。

 

一撃一撃がすさまじい威力だ。余波だけで床がひしゃげ、壁が弾け飛ぶ。

 

だがそれだけだ。疲労をまるで見せずにこちらへ突撃し続けるドクター・ゲロだが、“こんな”攻撃で俺を倒そうだなどと、武道家を舐めすぎだ。

 

「なぜだ…!?なぜ当たらん…!!当たりさえすれば、確実に倒せるはずだというのに…!!!」

 

「…じゃあ当ててみろよ。どうした、怖いのか?」

 

「ふ…ふざけおって…!!!後悔するがいい!!」

 

当たれば星でも一撃で壊せるほどの気がこめられたパンチが俺に迫る。

 

ドンッ!!!

 

空気を震わせ、度重なる余波にビッグゲテスターが震える。

 

「…あ、ああ…!!」

 

間違いなく顎にめがけて正確に飛んできたパンチだが、正確なだけに対処も簡単である。俺は攻撃を受ける瞬間、パンチが当たる場所へ正確に等量の気を込めることで、威力を寸分の狂いなく相殺してみせた。ずいぶんとショックを受けているみたいだが、これぐらいの技なら俺が知ってるだけで8人は使えるやつを知ってるぞ。

 

「こんなもんが全力か?じゃあ俺がお前に正しい打ち方を教えてやるよ、そらっ!!」

 

「~~~っっ!?」

 

俺の一撃がドクター・ゲロのみぞおちを深くえぐると、ドクター・ゲロは声も出せずにうずくまる。

 

「言葉にして説明してやろうか?お前はデータに頼りすぎなんだよ。その体が機械式なら、あるいは集めたデータも役に立ったかもな。だが、その体は俺が30年以上に渡って鍛え抜いてきた体だ。癖まで同じなんざ、完璧にコピーしすぎてんだよ。お前が意識してないだけで、どれだけの癖があると思ってる。踏み込むときに軸足は意識したか?上半身と下半身が別々に動いちゃいないか?殴る瞬間力みすぎちゃいないか?あげくの果てには、きちんと力が伝わってないから余波で周りが壊れる。わかったか、無駄だらけなんだよ、お前の最高傑作は」

 

「そ、そんな馬鹿な…!!これが理論上の最適解のはずだ…!もっとも強い肉体は!これで間違いないはずなんだ…!!」

 

叫びながらドクター・ゲロが向かってくるが、中身が陰気な科学者のじじいじゃ楽しくもない。

 

力自慢の素人がやみくもに拳をふるっているのと大差ないのだ。

 

相変わらず俺は超(スーパー)サイヤ人になることすらなく攻撃を避けていく。

 

「その体の中身がそれなりの達人なら、あるいは俺とやりあえたかもな。…だがドクター・ゲロよ、お前自身が強くなることを望んだ時点で、全部詰んでたんだよ」

 

俺はいっそ哀れみすらこもった目でヤツを見つめる。

 

「やめろ…!わしを見るな…!わしをバカにするんじゃない…!!そんな目で!わしを見るんじゃなあああああい!!!!」

 

「…終わりだ」

 

俺はドクター・ゲロを蹴り飛ばし、杭状にした気で動けないように拘束する。

 

「せめてお前が目指した体の全力で葬ってやる!!か…め…は…め…!」

 

両の掌に莫大な気が凝縮されていく。青いエネルギーがスパークし、全身を電光が包む。

 

「波あぁぁぁぁぁ!!!」

 

「はは、はははははっ!そら見ろ!やはりわしは正しかった!その体こそ、宇宙最き………」

 

俺の放ったかめはめ波は、ビッグゲテスターをも巻き込み崩壊させていく。

 

「ん?」

 

そのなかに弱々しい気を感じ、壁を破壊して向かっていくと、そこには無数のチューブに繋がれたクウラがいた。

 

「生きているのか…」

 

俺は不意にクウラへ哀れみを感じた。ヤツからそれほど邪悪な気を感じなかったのも大きい。

 

俺はチューブを引きちぎりクウラを抱えると、ビッグゲテスターを後にするのだった。

 

地球へ急がなければ。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side 天津飯***

 

ピッコロ神様に回復してもらった俺は、正直情けない思いでいっぱいだった。

 

こんな体たらくではせっかく修行をつけてくださった界王様や武天老師様、そしてなにより悟空さんに顔向けできない。

 

「なんじゃ、天津飯。せっかく回復したというのに、浮かない顔をしおって。さては負けて倒れたことを気にしておるな?お主が分裂した銀ピカを何体か倒してくれたから、わしやクリリン達もどうにか戦えたというに」

 

「…武天老師様」

 

「それと、悟空のやつに失礼な態度を取ったとか思っておるなら気にせんでよい。あれがその程度のことを気にするたまか。わしがいうのもなんじゃが、自業自得じゃろうがアレ。それよりさっさと魔封波辺りで体の残った二体を封印せねばならんぞ。徐々にじゃが、気が回復しておる」

 

「天さん、僕役に立てなかったけど、せめて封印くらいは手伝わせて!」

 

「…ああ、ありがとうチャオズ。武天老師様もわざわざありがとーーー危ないっ!」

 

間一髪界王拳を発動し、武天老師様とチャオズを抱えて避ける。さっきまで俺たちがいた場所には、気功波による大穴が開いていた。

 

だがそんなことよりも、俺はそれを行ったであろう人物を見て固まってしまった。

 

「…ふん、外したか。命拾いしたな、ジャッキー・チュンよ」

 

「お主は…!桃白々!!」

 

「白々さん!?なぜこんなところに…!いえ、その姿はまさか!?」

 

俺はRRの刺繍が刻まれた軍服を身に纏う白々さんを見て愕然とする。

 

以前悟空さんから聞いたことがある。かつてレッドリボン軍という悪の組織と戦ったと。ほとんどの連中は大したことがなかったが、唯一ドクター・ゲロという男が作った人造人間だけは研究が進めば脅威になったかもしれないと。

 

そしてこうも言っていた。『殺したつもりだが、もし生きていれば必ずヤツはまた人造人間を作る』と。

 

「人造人間…!」

 

「ほう、私の正体をもう見抜いたか」

 

改めて観察すれば白々さんからは気がまるで感じられない。これも悟空さんが言っていた人造人間の特徴のひとつだ。

 

ドゴォォォォン!!!

 

上空からの爆音に見やれば、そこにはいつの間にか戦い始めたのかピッコロ神様と戦う痩せぎすな男の姿があった。さらに驚くことに、不意打ちを受けたのかピッコロJr.が倒れ孫悟飯がすがりついている。

 

「よそ見をしている場合か?」

 

「ーーーっ!?」

 

俺はとっさに防御するも、かつて対峙したときとは比べ物にならない速度で踏み込んできた白々さんの一撃をもらう。

 

回復が間に合っていてよかった。俺はダメージを四身の拳を応用して“なかったことにする”と、下がった気を補うために界王拳を発動させた。

 

「界王拳!30倍!!」

 

これまでの修行で基礎能力を大きく伸ばした俺は切り札を使う。これこそ、界王様の元で会得した俺の必殺技。

 

精神と肉体を集中し、爆発的に気を上昇させるこの技は、それと引き換えのデメリットも大きい。

 

この技を限界を越えて発動した場合、それに耐えられなければ肉体は崩壊するのだ。

 

今の俺にできるのは本来10倍まで。それを、四身の拳で自分に重ねた分身に引き受けさせることで無理矢理上限をあげている。ましてや、すでにさきほどのダメージを無効化するために気の4分の1を消耗している。

 

無理はできないが、さきほどの一撃から判断するに恐らくこれでも白々さんには勝てない。

 

「ならば…!!界王拳、50倍だ!!」

 

四身の拳への負担が一気に増え、残り三つの内二つをダメージ引き受けに回す。

 

俺は界王拳の状態特有の風切り音を響かせ、白々さんに突撃する。

 

「ふん、ぬるいわ!」

 

しかし俺の決死の一撃は、あっさりと身を翻した白々さんによって避けられてしまう。

 

見れば、俺が界王拳を発動する時間を稼いでくれたのか、チャオズと武天老師様が倒れている。死んではいないようだが、早いところ仙豆を与えるかピッコロ神様に回復してもらわないと手遅れになる。

 

俺は覚悟を決め、自らの体も犠牲にしたうえで戦おうと界王拳を引き上げんとするが…それよりも早く白々さんの猛攻が始まった。

 

「そらそら腕が下がっているぞ!どうしたどうした!私のような悪党一人倒せんで、なにが正義の武道家か!ふははははは!」

 

白々さんの連打に晒され、俺は意識を遠退かせる。

 

思い出す。8年前、俺たちの前に姿を現した白々さんのことを。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

【8年前】

 

「…ぜえ、ようやく、ぜえ、見つけたぞ、ぜえ、天津飯、チャオズ」

 

かけられた声に振り向けば、そこにいたのはかつて俺が憧れ目指した人物ーーー桃白々さんが立っていた。

 

どうやら手漕ぎボートでここまで来たらしく、さすがの白々さんも息を切らせている。

 

「…久しいな、桃白々よ」

 

「ぜえ、ぜえ…うおっほん!ふん、ジャッキー・チュンか。偏屈老人がなんのようだ?なんならそこの二人を始末するついでに貴様も殺してやろうか。なぁに、特別にお代はサービスしてやる」

 

その言葉に、俺とチャオズはショックを受ける。やはり鶴仙人老師は、俺達を始末するつもりなのか。

 

「させると思うてか?」

 

俺たちの前に武天老師様が立ちはだかる。最初は亀仙人老師と呼んでいたが、クリリンが武天老師様と呼んでいたので俺たちもそれに合わせた形だ。

 

「おいおいなんのつもりだジャッキー・チュン。まさかお前が私に勝てるなどとは言うまいな」

 

嘲りの表情を浮かべながら笑う白々さんだが、武天老師様の余裕は崩れない。

 

「そうか、お主は“今の”わしの全力を知らんかったな」

 

「はっはっは!全力とは!百年ほど前に戦って引き分けて以来、私は鍛えに鍛えてきた!それが貴様のような老いるに任せてきた者の全力程度で、勝てると思うてか!!」

 

白々さんは言い終わると武天老師様へ向けて駆け出す。しかし武天老師様はまるで慌てず、白々さんの出した突きを杖で軽くいなしてそのまま投げ飛ばす。

 

「…むう!?なんと小器用な真似を…!だがそんな小手先でこの私が倒せるかっ!」

 

再び向かってきた白々さんだが、その合間に武天老師様は戦闘体勢へ移行している。

 

な、なんと雄大で落ち着いた気だ…!

 

「むぅ…!?き、貴様いったいどうやってそんな力を!」

 

「なに、鍛え直しただけじゃよ」

 

「バカにしおってぇ…!!」

 

全身をわなわなと震わせた白々さんの気が、右手の指先に集中していく。

 

「む、武天老師様!」

 

「遅いわっ!どどん波ぁ!!」

 

慌てて俺が声をかけるも、そのときには既にどどん波は発射されていた。

 

だが驚くべきことに、武天老師様はそれを片手で受け止めあまつさえ握りつぶしてしまった。

 

あまりと言えばあまりな光景に周囲のみんなが固まっている。いや、クリリンだけは平常心だ。まさかこれ以上の光景を見たことがあるというのだろうか。

 

それにしてもすさまじい。白々さんは驚愕のあまり腕がふるえ、あまつさえ鼻水まで出している。世界最強の殺し屋と言われた男の威厳はまるでない。

 

なぜかと言えば、気功波を握りつぶすという行為がお互いの圧倒的な力量差を現しているからだ。

 

俺とて、かつて鶴仙人の元で修行していた際には亀仙流の奥義であるかめはめ波を無効化する技を身に付けんとしていた。

 

だが今武天老師様がやったのはそういった技巧的なものでは断じてない。

 

「まだ、やるかね?」

 

「な、なんたる屈辱…!覚えていろジャッキー・チュン、次に会うときが貴様の最後だ!」

 

あまりの力の差を見せつけられた白々さんは、その感情をどこへ向けていいかわからないように見えた。

 

だからまるっきり小物同然の台詞を言って去っていく彼を、俺はどうにも笑うことができなかった。

 

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そしてあれから八年もの歳月が過ぎた。

 

俺の前に立ちはだかる白々さんは、いや桃白々は、かつての強さを遥かに上回る力を手に入れて戻ってきた。

 

だが俺にはわかる。桃白々の矛盾が。

 

「桃白々!あんたはそんな力で満足なのか!!」

 

「なに?」

 

「あんたの強さは、そんな、借り物の力でよかったのかと、聞いているんだ!」

 

軋む体に鞭打ち、桃白々の連打を無理矢理かいくぐって一撃をいれる。

 

「むぐっ!」

 

だが、たった一撃を与えるために随分と消費してしまった。

 

このままでは勝てないだろう。そして負ければ、目の前の男は躊躇せずこの場にいる全員を殺す。

 

俺は覚悟を決める。桃白々を完膚なきまでに倒す覚悟を。

 

「あんたがあれからどう悩み、どうその力を手にいれたかを俺は知らない。だがこれだけは言える。かつて最強と謳われたあんたの拳は、今泣いている…!」

 

俺はズボンから出した虎の子の仙豆を口に放りいれて噛み砕く。

 

一口ごとに力が充足していき、ダメージを負った体は一気に全快へと回復する。

 

「だったらなんだというのだ。さっさとしろ、私には時間がないんだ…!」

 

どこか焦りを感じる口調ながら、桃白々は俺に攻めかかってこようとはしない。

 

「はあっ!」

 

俺はまず、四妖拳を用いて腕を四本に増やす。さらに…!

 

「界王拳…100倍だあぁっっ!!!」

 

俺は四身の拳で負担を分担させているにもかかわらず、体にかかる凄まじい負荷に動けなくなりそうになる。

 

「…それが今のお前の強さか、天津飯。見せてみい、この桃白々への憧れを捨ててまで目指した、強さの頂を…!」

 

「いくぞぉぉぉぉっ!」

 

俺は四妖拳で増やした拳を振るい桃白々に迫る。

 

100倍界王拳であっても対応しきる武道家としての力量に俺はこの人がここまでの強さだったかと驚愕するが、それでも力で勝る俺の拳は数の利もあって確実に桃白々を追い詰めていく。

 

「っぐっはあっ!?こ、ここまで力の差があろうとは…!」

 

上半身の服をずたぼろにされ、なぜだか目に見えて消耗が見えてきた桃白々だったが、その口には笑みが浮かんでいる。

 

「くっくっくっくっく、ふっはっはっはっはっは!!…天津飯よ、これが最後になる。私の命を、生きた証をこの一撃に込める!見事受けきってみせい!!」

 

そう言った桃白々は俺の目の前である意味特徴的な構えを取り始めるが、俺はそれに驚愕する。

 

「そ、その技は…!?いえ、なぜあなたがその技を…!」

 

腰だめに構えられた両の掌に気が充足していく。なぜだかさっきから桃白々の気が感じられるようになったが、今放とうとしている技には驚くほどに大量の気が込められている。

 

「ふふっ、驚いたか。この技の方が全力を出すのに適しているのでな!さらに言うならば、元々私は武泰斗様の末弟子よ。兄者への付き合いで鶴仙流を名乗っておっただけで、あえてつけるならば桃仙流とでも言ったところか。ゆえに…!」

 

すでに球状の気と変わったかめはめ波だが、桃白々は発射しようとはしない。必殺の瞬間を狙っている。

 

「兄者達がこれまで鍛えてきた技は、源流を同じくする私には簡単に真似できる技なのよ!さあどうする天津飯!座して死ぬつもりがなければ受けてみよ!かめはめ波っ!!」

 

目前に迫る巨大な気功波に対して即座にそれを構成する気の仕組みを見きると、俺は四本の腕を思いきり広げ、かめはめ波を受ける寸前で気合いを発し、すべてを消し飛ばさんと迫る桃白々のかめはめ波を消してみせた。

 

「よくやった…!!」

 

そう一言告げた桃白々を見れば、その髪は真っ白になっていた。

 

「…っ!白々さん!」

 

俺は倒れる彼を慌てて抱き起こすが、その体は見た目とは裏腹に異常なほど軽い。

 

「…ふふ、借り物の力の代償よ。人造人間14号として改造された私は、いわゆる失敗作だった。圧倒的な出力の代わりに、全力を出すと体の細胞が耐えきれずに崩壊するという、な。恐らく放っておいても、戦えたのは一時間が精々だろう」

 

「大丈夫ですよ、白々さん!その体だって、きっと治せますよ!」

 

俺はそう言うが白々さんは無言で首を横に振る。

 

「…もうよい。かねてから目の上のたんこぶだったジャッキー・チュンのやつも倒せた。例え失敗作でも間違いなく最強と呼べるだけの力も得た。そして、それを自分の弟分が打ち破ってくれた。なにより私は悪党だぞ、生き残っても誰のためにもなるまい」

 

すべてを悟ったかのように告げる白々さんからいよいよ力が抜けていくと、白々さんの体は砂のように崩れ落ちた。俺はいつのまにか涙を流していた。

 

かつて世界最高の殺し屋とまで謳われた男の、あまりに儚げで、そしてあっさりした死に様だった。

 

だが泣いてばかりもいられない。早くみんなを助けなくてはーーー

 

「悪いな、あんたもそのまま寝ててくれ」

 

爽やかな男の声が聞こえたかと思うと、俺は首筋に一撃をもらってしまう。

 

しま、った…意識……が…おのれ…

 

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【番外編】

 

 

「ほふひんはま、ははひもほろもはほひいえふ」

 

突然くわえられたまま喋られたことが予期せぬ刺激となり、俺はマイの喉奥へと向かって勢いよく射精する。

 

「~~ぐっ!…ふぅ、マイいったい急にどうしたんだ」

 

「んちゅ♪んぷっ、はあっ…!あ、申し訳ありません。さきほどわたしが言ったのはそろそろお子を宿したいと思ったので」

 

言われて俺はマイだけがこの9年間で子供ができなかったことを気にしているのかと記憶を振り替える。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ショッピングモールにて。

 

ガーリィファッションに身を包んだマイとデートをしているとき、不意にマイが物陰に隠れると繋いでいた手をスカートのなかへ導いてきた。

 

マイは下着を吐いていなかった。

 

「ああぅ…!だからって…!こ、こんなところで、しなくても…!」

 

言葉とは裏腹にだらしなく表情を緩めるマイの顔を見て俺はさらに股間を固くする。

 

スカートをたくしあげ、俺は人気のない非常階段で彼女を犯し貫いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

トランクスの授業参観にて。

 

シックなスーツで身を固めた俺、ブルマ、マイの三人は学校内にある食堂で昼食をとっていた。

 

すると、ブルマが化粧直しに行っているタイミングでマイが俺にプレゼントだとなにかのリモコンを渡してきた。

 

…とりあえずMAXパワーにした状態でリモコンスイッチを押してみると、案の定マイがその場で身悶えし始める。

 

俺はブルマと入れ違いにマイと一緒に多目的トイレへと入って鍵を閉めると、準備万端なマイの尻へ無言で逸物をねじこませる。

 

「んひぃぃぃっ…!おしり、おしりはよわいのぉ…!!」

 

スーツ姿のマイを押し倒し、奥へ奥へと突きいれることで彼女に反省を促すつもりではいる。いるったらいる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

他の妻たちと比較しても明らかに多くセックスしているマイと俺だが、ひとつだけ欠点がある。

 

マイは俺の逸物をくわえるのが好きだ。なので、セックスで射精するときは必ずといっていいほど口のなかに欲しがる。

 

膣でも出しているが、少ない精液では妊娠しにくくてもおかしくはない。

 

で、あるならば。やはり以前他の妻たちを孕ませたときのように繋がりっぱなしでいるしかあるまい。

 

「…よしわかった。今日から一週間ほど予定を空けるから、しばらくパオズ山の湖畔で過ごすか」

 

「い、一週間…!やだ、ご主人様ったら、あたしを壊すおつもりですね…♪」

 

顔をすっかり赤らめ発情しきったマイの表情は相変わらず魅力的だ。

 

だがご奉仕の途中で口を離すとはなっていないな。

 

俺は妄想に身悶えするマイのクリトリスを引きちぎらんばかりに引っ張りあげる。

 

「ひきゃあ…っ!ごしゅ、ごしゅじ、さまっ!?そこ、そこは引っ張っちゃだめですぅ…!」

 

体をのけぞらせるマイだが、本当にクリトリスが千切れてはたまらないので適度に力を加減して倒れそうになるマイを支える。

 

「向こうに行ったらこんなもんで済まさないぞ。逃げないようにがんじがらめにして、犯して犯して犯し抜いてやる…!」

 

「ああ…、すてきです…ご主人様…ひぐっ!」

 

「まずは奉仕の途中で口から離した罰だ。特大サイズでマンコをえぐるぞ…!」

 

「あが…!かっは…!おっき、すぎ…りゅ…!」

 

俺はマイの腕ほどはあろうかというほどに太くなった逸物を突っ込むと、乱暴にマイを蹂躙し始める。

 

下腹部から肺や胃を押されるような感覚に、マイはだらしなく顔を歪めながら失禁して喜ぶ。

 

「んごぉ…!おなか、ひろがっちゃう…!赤ちゃんのへや、むき出しになっちゃうぅ…!」

 

もちろん拡がった分はちゃんと元に戻すさ。抉じ開ける楽しみがあるしな。

 

俺は悲鳴をあげるマイを抱えて深く貫きながら、本日何発目かの精液で彼女の子宮をたっぷり満たしてやるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【後日談】

 

結局その後の小旅行でマイはしっかり妊娠した。

 

旅行を羨ましがって引き留めようとしたスノも連れていったら、同時妊娠したのは驚きだったが。

 

完全にセックスできなくなる前に全員並べてセックスするのもいいかもしれん。

 

 




補足★説明
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・ドクターゲロがおかしくなった理由
彼は元々科学者ですが、体を捨てて新たな器に移動した際、これまでとは比べ物にならない力を持ったことから次第に全能感に支配されていきました。そうして彼を諫める立場にあったドクター・ウィローこと13号をはじめ、他の人造人間は事件の直前までビッグゲテスターで眠らされている状態となり、サイヤ人の襲来に併せてメタルクウラを侵攻させた次第です。
・なんでギリギリまで察知されなかったの?
悟空が警戒していたのは太陽系より外側だった為です。それより内側は気を察知することと、地球を被う結界で対処するつもりでした。ところがビッグゲテスターは悟空が警戒網を敷くより以前に木星近辺に停泊しており(ガニメデ辺りにチューしてました)事前調査では違和感を感じなかったのが原因となります。またメタルクウラは人造人間と同じチューニングを受けていましたが、気を感じられた方が悟空が焦るだろうと思い直し、急遽侵攻途中でステルス機能を解除されています。
・ドクター・ゲロこと人造人間21号ってまともに戦えたら強かったの?
かなり強敵になります。そもそも悟空の体に気を増幅するパワーアンプを取り付けた形になりますので、はっきり言って他の戦士では相手になりません。ところが中身がまるで方向性の違う天才じじいが入ったことにより、せっかくの達人プログラムもまるで活かせないままボッコボコにされました。
・ドクター・ゲロはなにがしたかったの?
最初は人造人間を率いて世界を征服することが目的でしたが、途中から悟空のクローン体がどこまで強くなるのか、強くなれるのかという妄執に憑かれてしまいました。そしてどれだけ科学的なアプローチで強化しても、悟空はあっさりそれを越えて強くなるので、焦れったい気持ちが次第に憎悪へ変わっていき、自分の全能力を使って悟空を精神的に追い詰めようと考えました。その結果が不意打ちでのカプセルコーポレーション襲撃であり、仲間たちへの強襲です。
・なんでメタルクウラと他の人造人間を一緒に戦わせなかったの?
自分が至高であると思ってしまったドクター・ゲロにとっては、他の人造人間は邪魔でしかありません。なまじ自由意思を残したがために自分へ逆らうものが多く、とても命令に従う人造人間はいなかったのです。唯一16号だけがある理由からドクター・ゲロを庇いましたが、彼はこのせいで故障してしまったため、修理のために地球に残されました。おかげで死んでませんが。


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【外伝】“鬼ごっこ”前編

ストレス解消を兼ねたエロ回。

時系列的にはスノとマイの妊娠発覚後だと思ってください。


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『うちはの火影』
https://novel.syosetu.org/114364/

まだ1話ですが、時間を見て書いていきます。是非とも読んでくださいませ!


***side ブルマ***

 

あたしは物陰に隠れながら、腕時計に仕込んだレーダーを見て状況を確認する。

 

周囲には誰もいない。

 

ランチも、スノも、マイも、すでにヤられてしまった。

 

ちょっぴりいいなぁ、と思いつつも、これで勝てば賞品はあの人の一日独り占め。

 

負けるわけにはいかないわ。

 

あたしは安定して隠れられる場所を探すため、移動を開始する。

 

不格好だけど、見つかるよりは増しだと考えて匍匐前進で進む。

 

こんなことになるなんて考えなかったから、ミニスカートがすっかりめくれちゃってるけど、見られるにしてもあの人だし。

 

…もし今パンツ脱いだら、どうなるかな。

 

あたしは茂みから上半身を出した状態で、器用に見ないでパンツを脱いでその辺に置いていく。

 

股間がスースーする。

 

でも同時に、もし見られたらって考えるとあたしのアソコがアツくなってくる。

 

あたしはどうしてだか恥ずかしくなって、上がってしまったミニスカートを戻そうとしたんだけど、その手が誰かに捕まれた。

 

って、そんなことするのはあの人しかいないんだけど。

 

「ブルマ、ずいぶん大胆なことするな」

 

「えへ、もしあなたに見られたらって思ったら、脱ぎたくなっちゃった」

 

あたしはもうびちょびちょに濡れたアソコを隠すこともせず、伏せた体勢で顔だけ後ろを振り向いて愛しい人の顔を確認する。

 

だらしない顔。あたしを捕まえるまで、散々三人に出してきただろうに自己主張をしっかりしてるアレ。うっすらと薫るあの人の汗の臭い。

 

ああ、たまらない。もう準備はできてるんだから、なにも言わないでつっこんでほしい。

 

「~~はぅぅ!んっはっ、ああ!はう、あう、好き、好きいっ…!」

 

あたしが言葉に出すまでもなく、あたしの願望を察してあの人はあたしに突っ込んできた。

 

アソコをかき回して蹂躙するアレ。あたしのアソコの肉襞全部を使って、しごいて気持ちよくする。

 

あたしは何回も意識が飛びそうになりながら、あの人の体温を感じる。

 

とっても熱くて、その熱が今自分と繋がってることに、すごく興奮してくる。

 

子供を生んでからも、あたしの体調が戻るや否やこの人はすぐにあたしを求めてきてくれた。

 

女として、経産婦として、本来ならもっと自重するべきだったのかもしれない。

 

でも、自分のことを大好きな旦那様に甘えて求められたら断れるわけないじゃない。

 

それに、あたしもこの人とのセックスすっごく気持ちいいし。

 

「はっあっはうぅ!ん?…きゃっはあっ!?」

 

急にあの人が腰を大きく引くものだから、吸い付くようにして持っていかれたアソコからチュポンと音をたててアレが抜ける。

 

でもすぐにアソコに当てがってきたからなにかと思えば、この人、あたしの子宮を犯すつもりだ。

 

一息にねじ込まれたアレが子宮の入り口、子宮口をあっさり抜けて赤ちゃんの部屋の手前まで訪れる。

 

あの人の突きで肺のなかの空気が逃げ出したんじゃってくらいに息を吐き出したあたしは、喘いで呼吸を求めながら、さっきよりも熱いあの人のアソコに意識が持っていかれてしまう。

 

「あぁぁあぁぁっっ…!も、もうダメ、イっちゃう、イっちゃう…!」

 

化粧が落ちることに向ける余裕すらないまま、、あたしは中に注ぎ込まれたあの人の精液を感じて気を失った。

 

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***side ランチ***

 

「…ちくしょう、ひでえ目に遇ったぜ」

 

まだ股間がウズウズする。こんな風になったのもアイツのせいだ。

 

俺は自分のマンコからぼたぼた落ちてくる精液を眺めながら、さっきまでの感触を思い出す。

 

なにがなんだかわからない内に交代されたあたしは、気がつけば「見ーつけた」の一言と共に襲われていた。

 

履いていたホットパンツを膝下までずり下ろされ、アイツの長い舌が尻の穴に入ってきた。

 

俺は抵抗したんだが、あいつは馬鹿力で離れやしないし、おまけに入ってきた舌は絶妙に俺の弱いところを刺激するもんだから、あっという間に力が抜けちまった。

 

そうして俺が抵抗できなくなったところでアイツのチンポをくわえさせられ、今度は口を犯された。

 

ムカつくから噛みついてやったけど、それすら適度な刺激に感じるらしくて悶えていた。

 

しばらくは舐めながらアイツが俺の体をいじるに任せていたけど、次第に俺の方に余裕がなくなってきた。

 

アソコが熱い。尻の穴が熱い。

 

今すぐ自分でかきまわしたいけど、こいつの前でそんなことしようものなら何をされるかわからない。

 

でもって、俺を見てニヤニヤしたアイツにさっきまでアソコを掻き回されて、三回くらい出されたんだけど…

 

アイツ、わざと俺の尻の穴をいじらないで放置しやがった。

 

ちくしょう、アイツが移動したのはブルマのところか?じゃあすぐには戻らねえよな、たぶん。

 

「…んっ」

 

俺はマンコのヌルヌルを人差し指と中指に擦り付けて、そのまま尻の穴に挿しこむ。

 

ヤバい、すっごい気持ちいい。

 

あたしは加減ができなくなりそうで怖さを覚えながら、ぐちゅぐちゅと尻の穴に入れた二本の指を出し入れする。

 

気持ちいい、気持ちいのに…

 

「あぅ、はぁ、ちく、しょぉ、物足りねぇ、よ、ばか」

 

昂るだけで一向にイケなかったあたしは、不意打ちでキスをされた。

 

ばれた。みつかった。みられた。はずかしい。きもちいい。うれしい。すき。

 

色んな感情が一辺に溢れ出してわけがわかんなくなる。

 

「あむ、んむ、ふはっ、んんっ!?」

 

キスしながら尻の穴に尻尾が入ってきた。この独特のゴワゴワした感触、忘れるわけがない。

 

けれど、悲鳴をあげたいのにコイツはおれの唇から離れやがらない。

 

おれはもう、キスだけでイっちまってるってのに。

 

「んん~~!んんっ、んんん~~!!!」

 

舌がからまって、おれの舌なのかコイツの舌なのかわからなくなる。頭がぼーっとしてきた。

 

「…ランチ、愛してるぞ」

 

「~~~~~~~っっっ!!!!」

 

突然キスをやめられて寂しくてすがりつきそうになったら、超至近距離でとんでもないことを言われた。

 

きっと今、おれの全身は真っ赤に染まってる。

 

嬉しいのに、どうしていいかわからなくておれは泣き出してしまった。

 

「えぅ、ぐすっ、はぁ、ふぎっ」

 

おれは泣いてるのに、こいつは流れる涙を舐めとりながらまたキスをしてきた。

 

今度は唇に触れるようなキス。ついばむように、何度も何度も。

 

そのうえ、流れるようにあたしのマンコにコイツが入ってきた。

 

あたしはえずきながら気持ちよさに耐えきれず、潮を吹いてしまう。

 

しょうべんを漏らすみたいな勢いで潮を漏らして、コイツの下半身がずぶ濡れになる。

 

マンコにチンコが出し入れされる。尻の穴に尻尾が出し入れされる。

 

くちびるにはキスされる。胸は揉まれて乳首は摘ままれる。

 

おれは、あたしは、限界を迎えてとうとう叫びながらイッた。

 

「あおおおおおおおおおっっっ!!??」

 

獣のような叫び声を出したあたしは急転直下する意識に身を委ねて、最後に「らいすき…」とつぶやいて気絶した。

 

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***side チチ***

 

「悟空さまも悪ふざけが過ぎるだよ、島ひとつ使っての鬼ごっこだなんて!」

 

オラだって賞品の“旦那様一日独り占め券”は欲しいだども、だからって後始末とかご飯の支度とかどうするべさ。

 

子供達はカプセルコーポレーションで預かってもらってるから、いくらか楽だども。

 

オラは文句をいいながらも、寝泊まりする予定の大型カプセルハウスでご飯の支度を進める。

 

悟空さまは出来合いでいいとか言ってただが、やっぱり食事はきちんと取らねばだべ。

 

とはいえ、ほとんど用意が済んじまった。あとは鍋の火加減を見てるだけだべ。

 

「…オラも、鬼ごっこに参加した方がよかっただかな」

 

けど最後まで捕まらないのも、それはそれで女としてどうなんだべか。

 

そうだべ、どうせ誰もいないんだべさ、この間悟空さまが言ってた“裸エプロン”とかいうのをやってみるべよ。

 

オラは人目もないことから着ているものを次々と脱いでいくと、下着もまとわない裸になる。

 

「この状態でエプロンつければいいだけだべか、んー、油が跳ねる料理はできねえ格好だべ」

 

前に悟空さまが用意してくれたフリフリのフリル付きのエプロンを着てみただけんど、これはなかなかに恥ずかしい格好だべ。

 

「ちょ、ちょっとオラには早いべ。こういうのは紺髪のときのランチ姉様とかが似合うべ」

 

「いやあ、そうでもないぜ。似合ってるぞチチ」

 

「ひやああああっ!!??」

 

オラは驚いて思わず悲鳴を上げるだども、振り向いたそこには悟空さまの姿があったべ。

 

扉が開いた気配もなかっただ、いったいいつの間に後ろにいただよ。

 

びっくりして固まってたら、悟空さまはすぐ目の前にいたべ。

 

オラは今の自分の格好を考えて縮こまりそうになるだども、その前に悟空さまの腕に抱き締められたべ。

 

あ、エッチなことしてきた臭いだべ。この臭いはたぶんブルマ姉様とランチ姉様だべ。

 

「んむっ…」

 

そんなことを考えてたら、悟空さまがあっという間に口を塞いできたべ。

 

相変わらず口づけがうまいだべな、悟空さまは。

 

「あぅ!ご、悟空さま、おっきくなってるべ…」

 

お腹の辺りを悟空さまのおっきくなったアレがつっついてるべ。すごいにおい…

 

オラのアソコはもうとっくに濡れてるべ。これもこんなにスケベな体に仕込んだ悟空さまが悪いんだべ?

 

だからオラは悟空さまの腕を振りほどいて、台所に手をついてお尻を悟空さまに突きだすべよ。

 

「ご、悟空さま。オラのはしたないおぼこにどうかお情けをくださいませ…!」

 

前にブルマ姉様が「せっかく変わった喋り方してるんだから、今度それで誘ってみなさいよ」なんて言ってたもんだから、やってみたべ。

 

悟空さまの反応がないべ。普通にいつも通り「悟空さま、欲しいべ」って言った方がよかったべか。

 

「…チチィ!!」

 

「きゃんっ!?ご、悟空さま、はぁっぁぁあぁあんっっ…!!」

 

今までにないくらい固い悟空さまのアレがオラのアソコに入ってきたべ。

 

オラ一発で腰から力が抜けちまっただよ。

 

「ひゃん、はんっ、あんっ、ごくっ、ごくうさ、あひゅっ、はげっ、しっ、すぎっ…!」

 

一生懸命伝えるだども悟空さま夢中になって聞いてねえべ。

 

でもこれってオラのことが好きでしょうがねえってことだべなあ。

 

オラもすんごい気持ちいいべ、しばらくは悟空さまの好きにさせるべ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

四時間後

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…っ!…ひっ!…っ!…ぁっ!?…ぅっ!」

 

…あれからどれだけ経ったんだべ。

 

オラ何度も気をやっちまっただが、気がついたらブルマ姉様とランチ姉様が倒れてるべ。

 

あっちのほうでおしっこ漏らしてるのはマイ姉様だべか。顔中汁まみれでわからねえべよ。

 

普通こんなにしたらあそこが痛くなるだども、悟空さまが無意識に治してるもんだから、これキリがねえべ。

 

もう、おらも意識持つのが限界だべ。

 

たぶん次に気絶したらしばらく起きれねえべよ。

 

「チチっ!すまねえ、我慢が効かねえんだっ!」

 

悟空さまが謝ってくるけど、謝る必要なんてないべ。

 

だって悟空さまはオラのことが好きなんだべ?だったらちょっとくらい愛しすぎてもしょうがねえべよ。

 

「ごく…さま、しゅき…れしゅ…」

 

だめだべ、全然言葉になってねえべよ。

 

あ、そろそろイキそうだべ。

 

「はぅぅ、あああ、イク、イク。イっちゃうだよぉぉぉぉっ…!」

 

その瞬間オラの意識は落っこちたべ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




補足☆説明
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・鬼ごっこのルール
最後まで悟空に捕まらなければ勝ち。勝ったひとには“旦那様一日独り占め券”がもらえます。
でもみんな我慢するつもりがあるのかないのか、悟空をえろい格好で挑発してます。


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【番外編】科学者達の憂鬱★

一体いつから、“今日の投稿が一話だけだと錯覚していた?”

前回本編の補足事項になります。


どうしても時系列がバラバラになってしまうので、正直言うとここはスルーしようかなと思ってたんですが、不完全燃焼でしたし、書きたいシーンは書けましたのでまあなんとか。

個人的にドクター・ゲロが狂う過程を飛ばしながらでも書けたので満足。

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まだ1話しかないですけどね!(笑)


【7年前】

 

***side 桃白々***

 

ジャッキー・チュンのヤツに圧倒的な実力差を見せつけられてから一年が経った。

 

わたしはこれまで燻っていた武道家としての誇りを取り戻すため、山奥で厳しい修行に取り組んでいたが…

 

「くそぉ!こんな、こんな程度ではまるでダメだっ!ヤツに勝てるイメージがまるで思い浮かばぬ…!」

 

どどん波を強化して、さらに短時間・高威力を目指して超(スーパー)どどん波を開発したが、こんなものではこけおどしにもならん…!

 

「なんだ…!いったいわたしの何がヤツに劣るというのだ…!?」

 

八つ当たりに巨木を殴り飛ばせば、幹をへし折られた巨木がメキメキと音を立てて倒れていく。

 

「さすがは世界最高の殺し屋桃白々。生身でそれだけの領域に至る修練には頭が下がるわい」

 

「何者だ…!」

 

わたしは咄嗟にどどん波を放つが、それはわたしに話しかけた男の前に立ちふさがる黄色いブヨブヨした怪物に止められてしまった。

 

まるで魔族のような見た目だが、尋常ではない強さを感じる。

 

「これは申し遅れた。ワシの名はドクター・コーチン。偉大なる天才科学者ドクター・ウィローの協力者じゃ」

 

そう言って頭を下げるじじいだが、胡散臭いにもほどがある。

 

慇懃無礼な様子もそうだが、こいつは明らかにわたしを舐めている。

 

「…殺しの依頼ならお断りだぞ。今わたしは忙しいんだ」

 

そう言ってこれ以上話しかけるつもりなら、新技の超(スーパー)どどん波をくれてやろうと密かに気を高める。

 

「…強く、なりたいのでしょう?」

 

「…なに?」

 

その一言は万の言葉を重ねた説法よりもわたしの心に響いた。

 

「まさか貴様の言うドクター・ウィローというのは、いつぞや北の都で魔族を倒した異形を率いていた者か!?」

 

わたしはあれから北の都に現れた謎の老人を探していた。だがついぞ見つからず、結局は基礎に帰っての修行の日々となったのだが…

 

「む?ドクター・ゲロを知っておるのか。ならば話は早い。今ドクター・ウィローはその男と手を組んでおる。貴様ほどの実力者なら、あんな出来損ないなんぞ問題にならんほどの強さを得られるであろう」

 

「その言葉、偽りはないな…?」

 

わたしは一抹の不安を抱きながらも、目の前の老人が語る甘言に魅せられていた。

 

思えば無駄に生きてきたものだ。ジャッキー・チュンと戦った百年前が懐かしい。たった百年と今では思うが、その百年でわたしは随分と色々なものに置いていかれてしまっていたのだろう。

 

ならば、もはや誇りも矜持も必要ない。必要なのは、ただ強くあることのみ。それだけよ。

 

「もちろん、我が敬愛するドクター・ウィローに誓おう。貴様は必ずや強くなる…!」

 

「よかろう、連れていけ。ただし、妙だと感じれば貴様を殺すからな」

 

「くっくっく、それは恐ろしい。肝に命じるとしよう」

 

こうしてわたしは悪魔との契約を交わした。後にそれがわたしの存在意義を否定するようなものだったとしても、そこに後悔はなかった。

 

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【数年後、ドクター・ゲロのラボにて】

 

***side ドクター・ウィロー***

 

「ゲロよ、進捗はどうなっている」

 

「おお、ドクター・ウィロー。目覚めたか。どうだ、その体は?」

 

さきほどポッドにおける調整が終了し、外へ出てきたわたしは自身の体を改めて見下ろす。

 

巨大化した脳髄を納めるほどの器はなかったが、ドクター・ゲロの技術によって記憶や知識をそのままメモリーチップに写すことができたのでなんら問題はない。中身を抜き出した脳髄は既に処分した。

 

わたしは生まれ変わった肉体である、“人造人間13号”の体を見下ろす。

 

「…悪くない。だが、貴様はわたしに最高の肉体を用意すると言ったのではなかったか?」

 

そう、わたしにとって不満なのはその一点だった。現に、今目の前にいるドクター・ゲロは自身の体を孫悟空の細胞から造り出したクローンのモノへと変えている。

 

彼の体は恐ろしいほどのパワーに満ちており、最初は13号の肉体に満足していたわたしが思わず不満を漏らすほどにその差は離れている。

 

「嘘は言っておらんぞ。人造人間としては間違いなく最高峰のモノよ。完全機械式に有機組織を混ぜ合わせたハイブリッドボディ、他の人造人間からパワータンクを吸収することによる変身機能を有し、さらには両の掌にはエネルギー攻撃の一切を吸収して自身のパワーへと変換する紅玉が搭載されておる。今以上に強くなる要素が含まれておるうえに、機械式になったことでお主自身が戦うのではなく、戦闘はあくまでコンピューターが管理してくれる。これ以上何を望むと言うのだ?」

 

長々と講釈されたが、どうやらそもそも譲るつもりがなさそうだ。このままでは最悪動きを止められる可能性もあるので、わたしは理解した振りをして素直に謝罪する。

 

「それはすまなかった。だが肉体の性能試験もまだなのだ、不勉強なわたしを許してくれたまえ」

 

「ふん、ならばよい。それより聞け、ドクター・ウィロー。この間魔族の肉体をベースにしたアンプルをこの体に打ち込んだところ、エネルギーの最大出力が三割以上アップしたのだ。やはりこの肉体は素晴らしい…!!」

 

自慢げに語るドクター・ゲロだが、そもそも魔族の生き残りは当初簡易人造人間として改造し、後の兵士とする予定だったのだ。だが肉体をベースにしたアンプルなどを打つということは、恐らくもはや生き残りはいまい。

 

「しかし憎々しいのは孫悟空めよ…!わしがこの体へ今ほどの出力を持たせるためにどれだけの資材を消耗したと思っておる…!!なぜやつはあんなにもあっさりと出力の上昇ができるというのだ」

 

本気で疑問に思っているらしいドクター・ゲロだったが、わたしはその答えを知っている。

 

簡単な話だろう。彼は修行したのだ。

 

あくまで科学的なアプローチで強さを増そうとするドクター・ゲロに対して、孫悟空という存在は今尚強くなるために限界を越えて鍛える日々を送っている。ゲロからすれば非効率的な反復訓練に過ぎないのだろうが、武道家とは得てしてそうやって強くなっていくものだ。

 

だがドクター・ゲロは恐らくそのことに気づくことができまい。

 

自身が戦ううえで戦闘センスや経験を補うメモリーチップを脳に直接仕込まず、疑似電脳で補っているのがいい証拠だ。

 

いかに優れた本があったところで、本を読みながら戦うことなどできはしないのだぞ。

 

わたしは未だ目の前で自慢を続けるドクター・ゲロに、話題を変えようと他の人造人間について訪ねることにした。

 

「ところでドクター・ゲロよ。他の人造人間達はどうしているのだ?」

 

「んん?あの失敗作の出来損ないどもか。期待した数値は出たが、それだけだな。機会があればわたしやお前の試験相手に起動して潰してしまってもいいだろう」

 

「なに?だがお前やわたしが拾ってきた武道家などは、素材としてはそれなり以上だっただろう」

 

そう聞くわたしにドクター・ゲロはやや不満そうな視線を向けてくるが、それでも科学者として自身の研究成果を知ってほしいのか、彼は別の部屋へと着いてくるように言って歩き始める。

 

やがてたどり着いたそこは、大小様々なパーツが乱雑に置かれた部屋だった。

 

「ここは…」

 

「知らぬのも無理はない。貴様が眠っている間にラボはだいぶ改造を済ませたからな。ここはそのなかでも、いわばガラクタ置き場よ」

 

蔑むように吐き捨てるドクター・ゲロだが、置いてあるパーツにはわたしでさえ理解できないものが多い。

 

「まずはこやつだな」

 

『14』と書かれたポッドに保管されているのは、わたしがドクター・コーチンに言って連れてこさせた元世界最強の男“桃白々”だった。

 

「孫悟空の細胞を元に開発した有機組織を最初に用いたのがこやつだ。たしかに出力は想定以上のモノとなったが、ひとつだけ致命的な欠点ができてしまいおった」

 

「致命的な欠点?」

 

「そうよ。この人造人間14号に施した有機組織なのだが、残っていた細胞をどう取り込んだのか、内包するエネルギーを出力させる度に崩壊してしまうようになってな。セーブしながら戦闘できたところでせいぜい一時間とせずに灰になってしまうだろう」

 

それは目の前で眠る殺し屋への事実上の死刑宣告に等しかった。

 

わたしは憐れむ気持ちでしばらく『14』と書かれたポッドを見ていたが、ドクター・ゲロはわたしに構わず次のポッドへと歩いていく。

 

『15』と書かれたポッドにいたのは、髪を短く切り上げ顔に複数の刃傷痕がある若者。

 

「貴様を除けばこの人造人間15号はもっとも成功した部類だな」

 

「ではなぜ失敗作と…?」

 

「簡単な話よ。わしはこやつを改造した際に脳改造を行い記憶をメモリーチップに写したのだが、なぜだか半端に消せない記憶が存在しよる。それのせいかこやつ、わしの命令に逆らうばかりでな。いや、無理をすれば記憶を破壊することはできるが、そうなるとせっかくのプログラムが無駄になる可能性が高い。それでも電脳化を施しておるので動きは元からは考えられないほどレベルが高いものであるし、なにより停止装置で動きを止めることもできる」

 

「なるほど。15号がそうまでして拘る記憶とはなんだ?」

 

わたしは興味本意の振りをして聞くことにする。なぜならば、それこそが15号を支配する“最適解”だろうからな。

 

「ん?妙なことを聞くな。まあいい、少し待て。…ふむ、これだな」

 

ドクター・ゲロが画面上に表示させたのは猫のような小動物の姿。

 

「これが、か?ドクター・ゲロ、見覚えはあるか」

 

「ああ、そういえばこやつを連れてくるときにこの生き物を助けろと言われたな。結局助からなかったが、変身能力は有用だったので、死体を研究材料に使った記憶があるな。おお、そういえば能力を再現するついでにこの生き物の記憶をメモリーチップに写してあったな。たぶん、そこいらにあるはずだぞ」

 

「…なるほど。手間をかけたな、ドクター・ゲロ。だがそれだけわかればこいつを“使える”ようにしてやれなくもないぞ」

 

「いや、この程度造作もない。それが本当なら朗報だな。わしにはまるで理解できんが、人形を作って人質にでもするつもりか?」

 

「もう少し手間をかけるが、概ね似たようなものだ」

 

「そうか…ではまた後でな。わしは17号と18号の調整をしてくる」

 

「ああ、また後でな」

 

そう言ってドクター・ゲロと別れた後、そこいらにあるというメモリーチップを探す。…待てよ、なぜ17号からなのだ。16号は完成しているのか?ならばいったいなぜそれだけ言及しないのだ。

 

「いかんな、情報の共有が完全でないと妙な猜疑心が涌いてしまう。だが、いったいどうしたというのだドクター・ゲロよ。貴様の目的が見えんぞ…」

 

わたしはモヤモヤとした感情を引きずったまま思わず独り言ちた。

 

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***side ドクター・ゲロ***

 

わしは自分が手掛けた作品のなかでも特別な位置にあるそれを見下ろす。

 

人造人間16号。

 

なぜ“これ”を作ったかと問われれば、わしは「わからない」と答えただろう。

 

かつてわしには息子がいた。自慢の息子が。

 

わしに似て頭もよく、母親に似て優しい顔立ちをしたいい子だった。

 

そんな息子がある日、軍隊に入ると言い出した。わしと妻は反対した。なぜそんな危険な仕事に就くのかと。

 

あの子は言った。

 

「もしもまた戦争になったら、俺は誰かを守る力が欲しいんだ」と。

 

結局わしらはあの子を説得できず、息子は軍隊に入った。

 

それがすべての間違いだった。

 

息子の訃報が届いたのは一年後。

 

息子が、今戦争をしているヤッホイとの最前線にいるのは知っていた。

 

死因は戦いのなかで敵の銃弾を受けたことによるもの。

 

妻はそのことがショックで伏せるようになり、後を追うように一年後病死した。

 

わしはせめて、息子の仇を取ろうと殺した犯人を探し始めた。

 

不可能に近いことは知っていた。弾丸飛び交ういつ死が訪れるかわからない場所で生きることを望んだのは息子自身だ。それそのものを否定する気はない。

 

だが、それとわしが納得できるかは別だ。

 

数年が経ち、わしはある噂を聞いた。ヤッホイとの戦いで活躍し、一躍名を挙げた軍人がいると。

 

わしは藁にもすがる気持ちでその男、“レッド”の元を訪れた。すげなく門前払いされたが、しつこく食い下がった。

 

あるとき、酒に酔ったレッドが思いもよらない言葉を口走った。

 

「お前の息子には世話になった」と。

 

問い詰めたが、やつはそれ以上喋ることはなかった。

 

わしは調べた。金を湯水の如く使い、自分の中に残った嫌な予感を晴らすために。

 

そうしてまずわかったのは、やつが戦果として誇っている出来事のほぼすべてに息子が関わっていることだった。

 

なぜそれに気づけたかと言えば、息子の当時の上官がやつだったからだ。

 

わしは嫌な予感が確信に近づいている気がしたが、真実は期待したほどのものではなかった。

 

てっきりレッドが息子を殺したのだと思ったが、そうではない。たしかに上層部に虚偽の申請をして息子の手柄を掠め取ったのは恨むに値するが、息子が死んだ今となってはそのことに意味はない。

 

息子はたしかに敵の銃弾で倒れた。だがその理由は、負傷した敵を庇ってのものだったのだ。

 

レッドはその真実を知っていたのと、手柄を掠め取った罪悪感から話すのをやめたのだろう。むしろやつは息子が死んだ真実を報告しなかっただけ、借りがあると言ってもいい。

 

なんということだ。息子の死は、自業自得だったのだ。

 

恨む相手がいればよかった。復讐する相手がいるならば、なんとしてでもその相手を殺してやりたかった。

 

だが違う。わしはこの感情をどこにぶつけていいかわからなかった。

 

それからしばらくして、ある日レッドがわしの元へやってきた。

 

世界を征服する軍隊を作るから、手を貸せと。

 

目的を失い、日々を消化するだけだったわしはそれにただ頷いた。

 

いつしかレッドリボン軍を我が子のように感じ、手塩にかけて育ててきたが、孫悟空にそれも壊された。

 

わしはなにがしたかったのだ。息子の無念を晴らしたかったのか。いいや違う。息子はそもそも無念など感じていない。

 

あるとき、戦場でわしの作った武器が奪われ苦戦したという報告が上がってきた。わしは思った。自分で考える兵器、そう“人造人間”を作ろうと。

 

そうして作っていく内に、わしはいつのまにか息子の精神を模倣したメモリーチップを搭載した人造人間8号を作っていた。

 

咄嗟に見た目は息子からかけ離れたモノにしたが、これでは兵器としてまるで役に立たないだろう。案の定、説得などという形で孫悟空に着いていってしまった。

 

その後自爆した人造人間8号を回収し、同じく息子を模して造り出した人造人間16号を作り上げた。

 

なぜこんな風にして今さら息子を再現したのかはわからない。おまけにパワーは人造人間のなかでも段違いに強い。わしは息子を兵器にしたかったのだろうか。

 

わからない。

 

「…やはりダメだな」

 

わしは自分の記憶を写したメモリーチップが漏らす感情をデータとして写し出す画面を見つめていた。

 

なにか役に立つことはあるかとシミュレーションを与えて検証したが、分析結果は郷愁や悔恨といったもの。

 

実にくだらん。こんなことを以前のわしが考えていたのかと思うと虫酸が走るな。

 

わしは無感動に過去の自分が収められたメモリーチップを端末から取り出すと、一息に握りつぶした。

 

これでもう、余計な感情に行動を左右されることはない。

 

ああ、ひとつだけ残しておくか。孫悟空への憎しみだ。これがあるときとないときでは実験の能率が段違いだった実証データがあるからな。行き詰まったときに思わぬ発見ができるかもしれん。

 

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【メタルクウラ襲撃直前】

 

***side ドクター・ゲロ***

 

…孫悟空め、いったいどうやってあれだけの数値を獲得したというのだ。

 

やってきたサイヤ人どもとの戦いを見ていれば、やつは戦っていたサイヤ人の王族をあっさりパワーアップさせてしまいよった。

 

サイヤ人の特性を研究し、ブルーツ波がその肉体に及ぼす影響が著しいことは知っている。だがそれを取り込むことにより大猿化を経由した変身をするとはな。

 

だがこの肉体ではああはいかぬだろう。どこか見た目が孫悟空やこの体と似ているが、まさかやつの体は、あの形態を常態化したものだとでもいうのか…?

 

だとすればこのパワーエナジーの数値も頷けるというものだ。

 

わたしは目を下ろしてモニターを見る。

 

ベジータ王のパワーエナジーを測定した数値は最初の五百倍か。凄まじい上昇率だ。

 

だが孫悟空はそれだけのパワーアップを果たしたベジータ王を相手に、いまだ通常形態のままだ。…まあ、やつの超(スーパー)サイヤ人は文字通り次元が違う。

 

それこそ驚異的なパワーアップを見せたベジータ王でさえ及びもつかないほどにな。

 

そう、アレと対等に渡り合えるのはこのわたしだけだ。このわたしの肉体だけが、アレと戦う資格を持っているのだ。

 

ああ、いよいよだ。いよいよ孫悟空と戦うことができる。この体の性能を十全に振るうことができる。

 

これまでわたしは胸の奥底から沸き上がる殺意や憎悪を糧にこの体を強化してきた。

 

フリーザ一族の暮らす星を侵略し、その肉体を研究した。

 

一千倍近い超重力下に身をおき、わざとダメージを受けることで耐久力を上昇させた。

 

他にも各種薬品や他の星に存在した希少な鉱物を用いて思い付く限りの強化を施した。

 

これだけの手段を用いてようやくわたしはスラッグとの戦いで見せたヤツの潜在エネルギーに追い付くことができた。

 

くく、おかげでこのクローン体は三体目だ。ずいぶんと使い潰してしまったからな。

 

そして経験が増す度にわたしの中の孫悟空に対する憎悪も増していく。

 

おかげヤツの得意とする超(スーパー)サイヤ人への変身もモノにすることができた。

 

そうだ、どうせならこれまでの憎悪をすべてぶつけてやろう。わたしの害意を植え付けた人造人間17号と18号、さらに19号として産み出したメタルクウラを解き放ってやる。

 

いやいや、それだけではダメだな。

 

…よし、人造人間はすべて解放しよう。人造人間同士で殺しあうもよし、わたしの害意に従って孫悟空の身の回りを襲うもよしだ。

 

もはやこの沸き上がる憎悪の理由さえ定かではないが、そんなものはどうでもいい。

 

わたしの念願は今日叶うのだからな…!

 

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【メタルクウラ製造までの道程】

 

***side ドクター・ゲロ***

 

これより日誌をつける。わたしの名はドクター・ゲロ。

 

今回実験対象とするのは、フリーザ一族の戦士クウラ。

 

こやつの故郷である惑星フリーザNo.1を侵略したが、面白いデータが収集できた。

 

まず、このクウラはコルド大王が自分自身の細胞を元に造り出したデザインベビーだ。

 

コルド大王自身一種の突然変異らしく、内包するパワーエナジーの数値は同種族のそれを遥かに上回るどころか宇宙全体で見ても指折りだったようだ。

 

そんなヤツが目をつけたのが、自身が持つ突然変異の遺伝子。

 

それを用いて我が子の遺伝子に意図的な突然変異を加え、誕生させる。

 

そうして最初に生まれたのがクウラだが、これでもコルド大王が求めたレベルには達していなかったらしい。

 

こうして首だけになる前でも、フルパワーになればツフル式のパワーエナジー計測装置で億を越える数値を叩き出すというのに“足りぬ”とは、一体コルド大王はなにを仮想敵としていたのだろうか。

 

次に作られたのが、正真正銘の完成品。やつらの故郷の星の名を与えられた“フリーザ”だった。

 

恐ろしいことに、このフリーザは赤ん坊にして戦闘力が億を越えていた。しかし強すぎたがゆえにコントロールが効かず、変身を覚えるまでにいくつもの星を消滅させたようだ。

 

…まあ今となっては、水晶に閉じ込められた魔獣に過ぎないがな。

 

さて、クウラの実験に戻ろう。

 

驚くべきことに、このクウラは体のほとんどを水晶化と呼ばれる現象で失ったにも関わらず今だ生命反応を有している。

 

これはコルド大王の記録に残っていることだが、コルド大王は万が一のことがあっても二人が早々死なないように改造したようだ。

 

お陰さまで、存分に改造をほどこすことができるがな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ビッグゲテスターに拠点を移すことにする。

 

先日完成した17号と18号が暴走し、ラボがめちゃくちゃにされてしまったからな。

 

16号がいなければ危うく殺されるところだった。おのれ、わたしが油断したところを襲うとは、とんでもない連中だ。

 

ちょうどいい、こいつらにはわたしの憎悪をコピーして移植してやろう。孫悟空にとってはさぞ嫌がらせになるだろうからな。

 

16号は損傷が激しいな。修理が完了するにはしばらくの時間が必要だ。

 

仕方あるまい、こやつはこのラボの地下に置いていくか。

 

さらばだ、我が過去よ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

クウラを元に、ビッグゲテスターのラボで新たな人造人間を開発した。

 

その名もメタルクウラ。人造人間19号だ。

 

こいつはビッグゲテスターの設備を利用することで量産することができた。

 

さらに、ナメック星人の同化能力を研究し付与したことで、メタルクウラ同士は合体することができる。

 

このビッグゲテスターのラボが全力で稼働すれば、更なる量産も可能だろう。

 

この体の性能試験の相手にもちょうど良さそうだな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日はなんとも気分の悪い日だ。

 

あのドクター・ウィローが何を血迷うたか、わたしに逆らいよった。

 

すぐに鎮圧したがな。今のわたしにどうやって勝つつもりだったというのか。

 

これで今のわたしに従うのはメタルクウラだけか。あれは会話もできるが、所詮は決められた通りにしか動かぬ人形に過ぎぬ。

 

自分自身では意思があるように考えているだろうがな。

 

さあ、今日も性能実験を繰り返すとしよう。

 

 

 

 

 




補足☆説明
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【人造人間一覧】
・1号
この小説では1号はメタリック軍曹ということになってます。特徴はでかい。それだけです。普通の人間相手にするには十分強いんですけどね。
・2号~7号
没ですね。悟空にレッドリボン軍が壊滅されるより以前に作っていたものですが、性能的にはさして高くありません。本部基地に保管されていたので、悟空の攻撃でついでに消滅。
・8号
言わずと知れたハッチャン。この小説ではドクター・ゲロが自身の息子をモデルに作った人工知能が仕込まれています。あくまで息子をイメージしただけですので、それが過剰に反映された結果戦いが嫌いな(ドクター・ゲロの願望)性格となってしまいました。その記憶は人造人間16号に受け継がれます。
・9号~12号
9号から11号はバイオレット触手プレイの際に悟空によって殲滅。能力を特化させた異形タイプです。12号は偽ドクター・ゲロでした。
・13号
この小説では知識や記憶を電脳とメモリーチップに写したドクター・ウィローが入っています。
ドクター・ゲロよりも人の心の機微に気づけたり、武道家のことを理解していますが、別に善人というわけではありません。
むしろ心理を把握できるからこそ、えげつない手段でも平気で用います。世界征服の野望を持っていましたが、ドクター・ゲロが狂っていったため不意打ちで殺そうとしました。
結果は惨敗。17号と18号が襲ったことにより、ドクター・ゲロは常に全身を緊張状態にしてあったためです。
・14号
この小説では人造人間に改造された桃白々です。実力はメタルクウラを凌駕するほどのものの、その体は戦うことと消滅することが同じである欠陥品でした。
弟分である天津飯と戦い、自分の全力を防がれたことで満足して死にました。
・15号
次回で出ます。あの男です。
・サポートメカPRⅡ
15号の傍らで浮いているサポートメカです。ある生き物の記憶を受け継いでいます。人造人間ではありませんが、紹介するとしたらここになりますので一応。
・16号
見た目のモデルはドクター・ゲロの息子です(原作設定)。この小説では新たに作った人工知能ではなく、同じコンセプトで作ったハッチャンの人工知能が使われています。
ドクター・ゲロの護衛として作られ、危うく彼が17号と18号に殺されそうになったときに身を挺して庇ったことで壊されてしまいました。
動力炉やメモリーチップは無事だったので、ドクター・ゲロの地球にあるラボで修理中です。
・17号
次回に出ます。彼もまた有機組織を元に作られていますが、その元となったのは悟空の細胞です。変身することができます。
・18号
次回に出ます。彼女も17号と同じで悟空の細胞を元にした有機組織が用いられています。変身はできません。
・19号
北の将軍じみたデブではありません。この小説ではメタルクウラがナンバリングされた名前となりました。本文では分かりにくいので、ほぼ一貫してメタルクウラ表記にしてあります。
・20号
次回か、その次に出ます。クウラが改造された結果です。
・21号
見た目は超(スーパー)サイヤ人5みたいになってますが、中身はドクター・ゲロです。出力のみなら悟空に匹敵する能力を誇りますが、中身が科学者だったために性能を活かせず敗北しました。ちなみに超(スーパー)サイヤ人へ覚醒したキッカケはドクター・ゲロの持つ憎悪です。

以上になります。ちなみに以前外伝でドクター・ゲロが言っていたことは、内容とは裏腹に慚愧の念にかられていました。
わざわざ吹き飛んだ首を探し出したのにはそういった理由があったりします。また、他の人造人間と違いどこか頼りにしているのもその面影に息子を見てしまっているからですね。どれだけ電子記号に変えても、記憶は早々消えなかったということで。


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狼牙、疾風の如く★

彼のシーンは仮面ライダー555のED曲『THE people With no name』やライダーチップスの『Dreamer』『rider firstway』を聞きながら書きました。




***side 人造人間15号***

 

俺はたった今気絶させた男をさきほど気絶させた連中と合わせて移動させる。

 

「狼牙風風拳…!」

 

俺は奥歯に仕込まれたスイッチを押し、技の名前を叫ぶ。別に技名を言う必要はないが、こういったモノは気分が大事だ。

 

瞬間、世界の速度が変わる。

 

塵や埃はまるで水中のようにゆるりとした動きに変わり、音の一切が低音になっていく。

 

十キロは離れた場所へ数秒でたどり着くと、再びスイッチを押して俺に仕込まれた特殊能力である“加速装置”の効果を切る。

 

そこには俺が戦いに巻き込まれぬよう連れてきた達人らがいた。

 

ひぃ、ふぅ、みぃ…10人か。

 

全員それなりに強いみたいだが、正直13号の戦いに巻き込まれればひとたまりもないだろうからな。

 

少々強引で悪いが、ここは気絶させてでも避難してもらうぜ。

 

「ま、待つんじゃ。お主、一体何者じゃ」

 

誰何の声を上げたのは、筋骨隆々とした老人。かなりのダメージがあったと思うが、一番最初に目が覚めるとはな。

 

たしか、データによれば武天老師と言ったか。

 

「俺は人造人間15号です。あなたに危害を加えるつもりはありませんので、ご安心を」

 

「人造人間じゃと!?なぜ人造人間であるお主がわしらを助けるのじゃ」

 

「…俺にもわかりません。ですが、PRⅡが言っている。俺は、俺のしたいようにするべきだと。それではっ!」

 

俺は再び加速状態に入り、その場を去る。

 

これであの場に倒れていた人間は全員避難させたはずだ。だが戻ってみれば、そこでは恐ろしい事態が起きていた。

 

「よくも…!よくもよくもピッコロ兄さんを…!ゆ゛る゛さ゛な゛い゛………!!!!!」

 

あの子供ーーーデータによれば孫悟飯が人造人間19号、メタルクウラを蹂躙するほどの強さなのを俺は知っている。

 

だがそれは今非常に不安定なものに見えた。だからこそ恐ろしい。あの子が慕っていた対象が傷つき倒れたということが。

 

『ヤーチャ様。観察対象のパワーエナジーが加速度的に上昇しています。万が一暴走状態に入れば、地球そのものが危険な可能性があります』

 

傍らに飛んできたPRⅡが俺に話しかける。俺のことをヤーチャ様と呼ぶこのサポートメカは俺とリンクし、あらゆる面で俺を支援する。戦闘においては優秀な相棒だ。なぜ俺をヤーチャ様と呼ぶかはわからないが、不思議と嫌な気持ちにはならない。

 

「なに?それは不味いな。俺のパワーでどれだけやれるかわからんが…最悪俺たちで止めるぞ、PRⅡ」

 

『はい、了解です。ヤーチャ様』

 

「ま、待て…」

 

構えを取る俺たちを止めたのは、倒れていたナメック星人だ。13号のデッドリーボンバーを受けて生きているとは、驚きだな。

 

「無理をするな。手足がまとめて吹き飛んでいるんだぞ」

 

倒れているナメック星人は、不意打ちを仕掛けた13号から孫悟飯少年を庇って重傷を負っていた。

 

むしろ生きているのが不思議なくらいだ。

 

「お、俺なら問題ない。懐に仙豆が入っているから、それを食わせてくれ…!」

 

「仙豆、あの奇妙な豆か。待っていろ」

 

俺はナメック星人の懐を探り豆を取り出すと、それを口に含ませてやる。

 

『観察対象のパワーエナジーが回復。傷も修復しつつあります』

 

「データでは知っていたが、すごいものだな」

 

「傷が治るのを待ってはいられん、ふんっ…!」

 

ナメック星人が気合いの声を上げると、驚くことに千切れた手足が生えてきた。

 

「なんとまあ…!」

 

『観察対象の損傷回復。ヤーチャ様、先ほどの観察対象が動き始めました』

 

「ああああああああああああっっっ!!!!」

 

全身を黒い電光で包んだ孫悟飯少年は、一足飛びに上空で戦う13号の元へと向かっていく。

 

「父上、避けてくださいっ!」

 

「むぅ…!」

 

進路上にいた地球の神はとっさに避けるものの、飛んでくる孫悟飯少年に腕を一本巻き込まれて消滅させられる。

 

「…」

 

人造人間13号はそれを見てもなんら動揺することなく、デッドリーボンバーを連続で発射する。

 

孫悟飯少年はするすると避けていくが…

 

「まずい、あんなものが地上に当たれば地球が吹き飛ぶぞっ!」

 

駆け出したナメック星人に合わせて、俺も走り出す。

 

「狼牙風風拳!」

 

PRⅡを持ったまま加速状態に入った俺は真っ先にデッドリーボンバーの前までたどり着く。

 

「PRⅡ!リフレクトモード!!」

 

『了解です、ヤーチャ様』

 

俺の言葉に従い、PRⅡが姿を変える。鏡面のような輝く装甲をもつ盾へと変形したPRⅡを手にし、俺はデッドリーボンバーの前へと立ちふさがる。

 

「ひとつ!」

 

まずひとつめのデッドリーボンバーを弾き返し、それを上空にある別のデッドリーボンバーにぶつける。

 

「ふたつ!」

 

パワーエナジーを右足に込め、横を通りすぎようとするデッドリーボンバーを蹴りあげる。

 

「みっつ!」

 

同じタイミングで落ちてきたデッドリーボンバーをPRⅡを投げることでひとつを弾き、もうひとつを今度は肘で叩いてナメック星人の方向へ逸らす。

 

「よっつ!いつつ!」

 

戻ってきたPRⅡを構え、ひときわ大きなデッドリーボンバーを正面から受け止め、残り四つのデッドリーボンバーにまとめてぶち当てる。

 

「まとめて、ここのつ!」

 

どうにか全弾迎撃できたみたいだな。

 

「…俺の方に逸らすなら、せめて一言よこせ」

 

「はっはっは、すまんすまん」

 

隣に並び立ったナメック星人に文句を言われたが、彼なら大丈夫だと思ったからな。

 

だが、このままでは余波だけで危険だ。

 

「…ジュニアよ、無事か」

 

「父上こそご無事で…!」

 

降りてきた地球の神がナメック星人に話しかける。なるほど、さきほども言っていたが血縁者ではないかというデータは正しかったか。だがナメック星人はいったいどうやって交配するのだろうか。

 

「悟飯が暴走してしまいました…!俺が、もっとしっかりしていれば…!!」

 

忸怩たる思いを漏らすジュニアと呼ばれた方のナメック星人だが、俺からすれば気配のしない13号の不意打ちに対処できただけでも上出来だと思うがね。

 

「後悔するのは後だ。ジュニアよ、フュージョンするぞ!」

 

「はい、わかりました!」

 

なるほど、なにか策があるとは思ったがフュージョンとはな。たしかメタモル星人の持つ特殊能力、いや技術だったか。

 

二人のナメック星人は並び立ち、パワーエナジーをまったく同じになるように調整する。

 

「「フュ~~…」」

 

どこか滑稽に見えるポーズだが、データによれば精神を集中させるための重要な儀式らしい。

 

「「ジョン!!ハッ!」」

 

二人の指がぴったりと重なりあい、光に包まれて融合する。

 

『悟飯!お前は俺が止めてやる!!』

 

元より凄まじいパワーだった二人のナメック星人だが、フュージョンしたことによる効果はさらなる莫大なパワーを与えていた。

 

「…」

 

「があああああっっ!!!」

 

上空での戦いは不思議な様相を見せていた。一方的に攻めているかに思えた孫悟飯少年は、逆に追い詰められていた。

 

「いかんっ!孫悟飯少年はエネルギーを吸収されている!あれでは13号がパワーアップするだけだ!」

 

俺は事態の悪化に思わず叫ぶが、フュージョンしたナメック星人は動じずに二人の動きを見つめていた。

 

『…なるほど。あの人造人間、すでに自我のほとんどを奪われてるな』

 

「どういうことだ…?」

 

『やつが着けている頭のリングがあるだろう。今やつはそこからの命令に従っているにすぎん。ゆえに、あれさえ破壊してしまえばヤツを止めることができる。…人造人間であるお前にこんなことを頼むのは奇妙かもしれんが、お前には人造人間13号を止めて欲しい。お前なら出来るのだろう?少し余裕のある態度がその証拠だ』

 

「…孫悟飯少年はどうする?」

 

図星を突かれて黙りそうになるが、俺は懸念事項を伝える。今の孫悟飯少年を殺さずに止めるのは俺でも難しそうだ。

 

『それは俺に任せてほしい。必ず止めてみせよう』

 

「よしきた、じゃあ俺も本領発揮といくか…!」

 

俺は内包するパワーエナジーを解放し、全身を包んでいく。

 

「PRⅡ、行くぞ!マニピュレートモード!」

 

『了解です、ヤーチャ様』

 

PRⅡは盾の姿から、球状の形態へと変形する。俺とのリンクを強化した形態であり、俺からパワーエナジーを供給することができる。

 

俺はエネルギーの半分ほどをPRⅡに注ぎ、余剰エネルギーがスパークするほどに充填させる。

 

「受けてみろ、スフェリカル・ブレッド!!」

 

慣性の法則を無視するかのように不規則な起動を描いてPRⅡは飛んでいく。

 

13号は目で追うのを諦めたのか、自身の周囲にバリアを展開して攻撃に備える。

 

ふん、そんなもので俺のスフェリカル・ブレッドが止められるものかよ。

 

バギンッ!

 

バリアを砕き肉薄したPRⅡだったが、惜しくもわずかに首を逸らした13号の頭の横を通りすぎていく。

 

「狙い通りだな」

 

「…!」

 

加速状態で接近した俺にわずかに驚愕した表情を見せる13号だったが、この距離ではエネルギーを吸収することもできまい。

 

残ったパワーエナジーを込めて突きだした拳は、狙い違わず13号の頭をリングごと砕くのであった。

 

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***side ピッコロ(フュージョン形態)***

 

俺はピッコロであってピッコロではない。

 

二人の人格が融合したことによる泡沫のような存在だ。

 

だが今の俺の精神は、融合したひとりの精神が色濃く出ている。

 

『悟飯!戻ってこい!』

 

「うあああああ!!」

 

黒い電光を纏い暴走する悟飯の姿は、痛ましくて見ていられない。なぜならば、溢れ出す気によって自分自身をも傷つけているからだ。

 

その原因を作ったのが俺であるならば、解決してやるのも俺でなければならないと、ピッコロJr.としての精神は思う。

 

それが情けなくも父の力を借りてのものだとしてもだ。

 

悟飯がでたらめなパワーをそのまま気功波として撃ちだせば、フュージョンした俺はそれを真正面から受け止め地球へダメージがいかないようにする。

 

今の力は凄まじいが、老界王神が言うところのアルティメット化はフュージョンの融合エネルギーを激しく消耗させる。ゆえにこのフュージョンは三十分どころか五分しか保てない。

 

だが無駄な時間は必要ない。目的ははっきりしているからだ。

 

俺と悟飯の拳がぶつかり合う。まだ5歳という幼い年齢にも関わらず、鍛練に鍛練を重ねた自分達の融合した力に匹敵するその潜在能力に、僅かながらの戦慄を覚える。

 

だが!!

 

『どれだけ凶悪な力を持とうと!お前は俺の弟だ!帰ってこい、悟飯!』

 

暴走する悟飯を前に、融合しているにも関わらず漏れ出たピッコロJr.の強き思いが、悟飯の黒い電光を吹き飛ばす。

 

「…ごめんなさい、ピッコロ兄さん」

 

突きだされた拳に寄りかかるようにして気を失う悟飯。

 

それと同時に、激しく消耗したことでフュージョンが解ける。

 

「ふう、さすがに疲れたぞ」

 

「父上、ありがとうございました。…世話をかけさせやがって」

 

悪態をつきながら抱き止めた悟飯を優しく撫でる。

 

その顔は、とても穏やかなものだった。

 

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***side 悟空***

 

地球の状況が刻一刻と変化していく中、俺は未だ地球に戻れないでいた。

 

「は、早く俺を殺せぇっ…!サイヤ人!!」

 

「そう言われてもな」

 

俺は目の前で苦悶の声をあげるクウラの攻撃を避け続ける。弱ければなんとでもなるが、これで意外と強い。

 

ヤツはメタルクウラのように金属質な外見をしているが、その色は赤く、パワー、スピード、タフネス、あらゆる点でこれまでメタルクウラを凌駕していた。

 

すでに超(スーパー)サイヤ人に変身している俺と互角にやり合えている。そのことが殺すのを躊躇う理由でもあるんだがな。

 

地球へ運ぼうと移動し始めた途端目を覚ましたクウラだったが、どうやらなにかしらの改造を受けていたらしく、俺に向かって突然襲いかかり始めたのだ。

 

しかも嫌らしいことに、クウラの自我は残したままときている。どうやら首の下に埋め込まれた“何か”から体に指令が行っているようで、このまま殺していいものか少々困っているのだ。さらには…

 

「よそ見してるんじゃないよ」

 

「ちっ!」

 

思わず舌打ちをする程に強い人造人間18号が、操られたクウラと連携して俺を襲ってくるのだ。

 

こんな美人を殴る拳など持ち合わせていないが、さすがに時間を掛けすぎている。

 

…一気に片をつけるべきか。そう思っていたところに、地球から凄まじい気の波動を感じた。

 

「この気は、悟飯か…!まずい、アイツ暴走しやがったな!?」

 

暴走した悟飯は俺かフュージョンしたピッコロ達でなければ対処できない強さを持つ。おまけに変身が続けば続くほど、あの子の体は自分自身に壊されていく。

 

さきほどピッコロJr.の気が急激に小さくなっていくのを感じた以上、それほど猶予はない。

 

俺は一気に超(スーパー)サイヤ人第2形態へと変身し、クウラと18号を捕まえる。

 

片や拳、片や脚。俺は二人を思いきり振りかぶると、木星の周囲を回るエウロパの表面に叩きつける。

 

「がふっ!?」

「くっ!」

 

クウラにはそれなりにダメージを与えられたが、18号は動きを止めたに過ぎないな。

 

だが俺の反撃は、相手がコンマ一秒止まってくれれば問題なく行える。

 

俺は超高速で18号の懐まで入り込むと、掌底で彼女の可愛いげのある乳房をはたく。

 

「きゃっ!?…どこを攻撃してんだぃ!」

 

思ったよりも羞恥心を刺激され悲鳴をあげた18号は、最大まで気を解放するとこっちへ突っ込んできた。

 

俺は続けて彼女の小振りな尻を叩く。

 

「…くっ!いい加減にしな、はぅっ?!」

 

先ほどとは反対側の尻を叩く。悲鳴はこらえたみたいだが、様子を見る限り効いているようだ。

 

よし、畳み掛けるぞ。

 

俺は違和感に動揺する18号へ肉薄するが、ダメージから復活したクウラのデスビームに邪魔される。

 

「ああくそっ!てめえも殺せ殺せ言ってないで自分で何とかしやがれ!」

 

「それができればやっている!自分の体でも無いのにどうやって…っ!?おいサイヤ人、俺の首の下にそこの女にしたような攻撃をやれ!」

 

「断固断る!!アレは女専用だ!やるなら“痛み”になるぞ、それでもいいならやってやる!」

 

「構わんっ!」

 

一瞬クウラの動きが無防備になると、首元に小さな顔が出てくる。アレが体を操っていた本体か。クウラめ、そういうことができるならさっさとやればいいものを。

 

「歯ぁ食いしばれぇ!!」

 

白塗りで小太りな顔目掛けて俺は“最大感度”の攻撃を叩き込む。

 

「ぐああああああああっっ!!」

『ギイィニャアアアアアアアアア!!??』

 

2つの声が重なり、凄まじいエネルギーがスパークする。俺は余波に巻き込まれて吹き飛ばされそうになっている18号をバリアで庇いながら、地味に彼女の体をペチペチ叩く。

 

「やっ!?ひゃう、んく、やめ、やめろぉ…!?」

 

艶かしい声を上げながら宇宙空間で悶える18号。ふはは、愛いヤツめ。

 

とはいえあまり時間をかけてられないのも事実。俺は彼女の下腹部を握ると、そこへ最大感度の“快感”を叩き込む。

 

「~~~~~~っっっ!!!」

 

ぐるりと白目を剥いた18号は気絶し、漏らした小便が一瞬にして凍っていく。

 

「…癪に触るが礼を言うぞ、サイヤ人」

 

やれやれ、人が楽しんでるところをさっきから邪魔しやがって。

 

「言われるほどのことはしちゃいねえよ。“あの痛み”を耐えられたんだ、それだけで称賛に値するぜお前」

 

かつてコピーとはいえ人間の理解を越えた“痛み”を受けたスラッグは一瞬で塩の柱と化した。それを受けておいてこうして会話できるのだから、たいした精神力だろう。

 

「ふん、この俺を誰だと思っている!…一応確認だが、俺を改造した科学者はどうなった」

 

殺気すらにじませて問いかけてくるクウラだが、こいつの復讐する相手はすでに死んでいる。

 

「死んだよ。跡形もなく、気で完全に消滅させた。以前殺し損ねたことがあるから念入りにな。身代わりもないか探ったが、どうやら今回はそれもなかったようだしな」

 

前回ヤツを殺せなかったのは痛恨だったからな。今回は慣れない精神探査までしたんだ。これで生きていたらお手上げでもある。

 

「そうか…世話になったな」

 

「どこに行くつもりだ。まさかと思うが、フリーザの元か」

 

俺の問いかけに動きを止めるクウラ。ついさっき見たからため息を吐きそうになるが、こいつも死にたがりか。

 

「悪いことは言わない、やめておけ。それに、フリーザの元には今度あの世の達人が討伐隊として送り込まれる。俺もお前も出番はないさ…」

 

正直に言えば俺自身の手でヤツを葬りたかったがな。だがここは一応界王達の立場を優先するべきだろう。

 

なに、俺も一度対面したが、オリブーやパイクーハンといった達人の実力はピッコロ達に匹敵する。それが十数人いるのだ。不足の事態にも対応できるだろう。

 

「貴様は知らんからそう言えるのだ。俺とて好き好んであの化け物と戦おうとしているわけではない。だが理由はどうあれヤツを強化してしまったのは俺の責任。ならば、俺が責任を取るべきだろう。さもなければ俺のなかに残った“ちっぽけなプライド”が納得できん」

 

強情なやつめ。ん?強化しただと。

 

「待てクウラ。強化したとはどういうことだ…!」

 

「…本当に知らないのか。いいだろう、まずお前を手伝ってやる。そのあとにでも俺の話を聞いて考えるがいい、この宇宙の存在そのものを左右するほどの化け物を、どうやって倒すかな」

 

俺はクウラの言葉に戦慄する。どうやらいつのまにか、事態はとんでもないことになっているようだ。

 

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***side ディナー***

 

『くそっ…強すぎる…!!』

 

フュージョンした私は持てる限りの手段を用いて足止めを続けていたが、すでに弾除けになってくれる“ふりーざくん”もいない。

 

ここの様子がバレないように張られた認識阻害のバリアを解除することすらできていない。

 

このままでは、父が気づく前に全員殺される。

 

「やれやれ、ドクター・ゲロがエネルギー吸収装置を外していなければもっと早く済んだものを。お前も半端に強いからそうやって苦しむことになるんだ」

 

『だからって、諦めるわけにもいかないのでね…』

 

ブラックとゴールド。ひとつの体にふたつの人格。それらが融合した姿である私の力は、父の超(スーパー)サイヤ人に匹敵する。

 

それが手も足も出ないとは。

 

『いったい、貴様は何者だ』

 

「俺か?俺は人造人間17号。最強の人造人間だ!」

 

目の前の相手は、絶望そのものだった。

 




ちなみにパワーエナジーは原作でも出てくる単語です。界王神が言ってます。

連続投稿はここまでです。次回は少し時間を開けますが、一週間と待たせず鬼ごっこの続きを投稿予定です。

※推敲前に投稿しちゃいましたのであちこち修正しました。


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【外伝】“鬼ごっこ”後編

待望(?)の鬼ごっこ後編。

今回の犠牲者()はバイオレット、ランファン、ハスキーちゃんとなっております。

本編とのギャップがさらにひどいことに(白目)

お楽しみください(笑)


***side バイオレット***

 

複数の偽装痕跡を用意し、私自身は迷彩服の上にギリースーツを着用して地面に伏せている。

 

浅い草むらだからこそ、息を殺して潜むわたしの気配には誰も気づかない。

 

…ブルマのヤツめ、踏んだ仕返しは後で必ずしてやるからな。というか仮にも人を踏んでおいて気づかないとはどういうことだ。

 

それにしてもいつまでこうしていればいいのだろうか。

 

賞品は魅力的だが、あまりにわたしがうまく隠れているせいで最後まで悟空に気づかれなかったらそれはそれで問題な気がする。

 

ううむ、植生は知らないがこれは自給自足のサバイバル要素まで含まれているのだろうか。

 

だとすれば、勝利はわたしのものも同然だな。ふふ、元軍人としての技能がこんなところで活かせるとはな。

 

それにしても一日独占か。な、なにをしてもらうかな。

 

ヤツもあれで意外と銃器に造詣が深いから、久しぶりに銃砲店へ行って飽きるまでウィンドウショッピングもいいな。

 

あ、あとは、西の都のランジェリーショップで、アイツが好きそうな下着を選んでもらったりとか。

 

その後は、どこかのレストランで食事をして、でもって、ホ、ホテルとか行ってみたりして…!

 

あう、ひさしぶりに容赦なく攻められるかもしれない。パ、パンツの替えはあったほうがいいかな。いいよな。

 

「…やばい、パンツが濡れてしまった。ぬう、履き替えたいが一度偽装を解除しなくては」

 

「じゃあ手伝ってやるよ」

 

「え!?な、なんで悟空がここに!」

 

あたしは狼狽えて立ち上がろうとするが、ギリースーツの裾を踏んでその場にひっくり返ってしまう。

 

「お前なあ、俺が相手の生命力を感知できるってのは言っておいただろう」

 

「あ」

 

なんて間抜けなんだわたしは。こんなんじゃ文字通り頭隠して尻隠さずじゃないか。

 

「もう少し放置してもよかったんだが、お前がだんだんエロい気配を出してたからな。眺めてるだけで我慢できなくなってきたんだ」

 

「うひゃ!?そ、そうか。悟空、したいのか?」

 

顔をあげると、全裸だった悟空に驚いてしまう。

 

あたしは目の前の悟空の逸物から目が離せなくなる。

 

今自分がすごくエロい顔をしているのがわかる。仕方ないじゃないか、最近悟空がしてくれないんだから。

 

一週間もなにもしないで放っておいた悟空が悪いんだ。

 

すると、悟空がごく自然にあたしから服を脱がしていた。抵抗感すら感じさせない神業のごとき脱衣力に戦慄を覚える。

 

「ちょ、ちょっと待て!ここでする気か!?」

 

あっという間にパンツのみにされてしまったあたしだが、訝しむ悟空の表情に狼狽える。

 

あたしが間違っているのだろうか?

 

「バイオレット」

 

あ、ダメだ。これは流されるパターンだ。

 

うう、首筋の臭いを嗅ぐな。こんなところで伏せていたし汗くさいに決まってるんだ。

 

「ふやっ!な、なめるなぁ」

 

拒絶の言葉とは裏腹にあたしは抵抗力を無くしていく。

 

全身に落ちるキスにあっという間に心がふやけていくのがわかる。

 

下は草むらだというのに、もはやあたしはパンツさえ履いていない。

 

トロトロと溢れる愛液を見られ、今の状況でも興奮している自分に気づかれてしまう。

 

チュク、と鳴る音と共に割り入れられた指があたしのアソコをかき回す。

 

優しく、丁寧に広げるように。

 

首筋からうなじ、肩にかけてキスを幾度も繰り返される。

 

ピンと立った乳首が自己主張しているのに、ときおり腕がこすれるだけで悟空はそこをいじろうとしない。

 

切なくて、あたしは無意識に悟空にすがりついて彼の胸板に乳首を擦りあわせる。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

漏れる吐息に熱がこもる。

 

悟空の触れた場所、キスを落とした場所が切ない。

 

もっと触れあいたい、そう思うあたしのアソコは漏らしたかのように濡れきっていた。

 

「んぅ…!」

 

いつのまにか悟空に片足を持ち上げられたあたしは、ゆっくりと挿れられていた。

 

不安定な体勢での結合は自由度こそ少ないものの、お互いの興奮もあってか僅かな動きも過剰なほどに快感となる。

 

「ひぅっ…はくっ…くはっ…あぐっ…」

 

そんな必要もないのに、あたしも悟空も声を抑えてまぐわう。

 

あたしは何度も達しながらも、必死に片足で立ち続ける。

 

淫猥な音が、ずちゅり、ずちゅり、と周囲に響く。

 

浅い草むらさえ越えてしまえば、周りには遮蔽物さえないのだ。

 

あたしは悟空に貫かれながら、奇妙な解放感に満たされる。

 

「はあぅ、ぐっ…、もうだめ、立って、られない…」

 

無言で、どこか必死にあたしの体をむさぼる悟空はその言葉に一層動きを激しくする。

 

固さを増した悟空の逸物がこんこんと子宮の入り口を叩く。

 

「ああ、イク、イク、イッちゃう~~~っっ!!」

 

強烈な快感の波に翻弄されながら、あたしは意識を失った。

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side ランファン***

 

「…店長、あたしちょっと参加したの後悔してきました」

 

「なによ、“そういうことされる”ってあたし言っておいたでしょ」

 

木陰から軍服を着た女が立ったまま犯されるのを、双眼鏡で最初から最後までばっちり見ていたあたし達は、コトが終わったのを見てそんな感想を漏らした。

 

あたしが愛しい悟空さんに誘われたのは二週間前のコト。

 

今ではすっかり“それ専用”となった防音仕様の試着室でのことだった。

 

一日独占権だなんて素晴らしいモノ、欲しいに決まってる。それにもし負けても滞在中はたっぷり愛してもらえるみたいだし、あたしは着ける下着に悩みながら今日に期待してたわ。

 

そうしたら、驚くことにハスキーちゃんが着いてくるっていうの。

 

「お金持ちの男を一日独占できるだなんて、最高じゃないですか」

 

なーんて言ってたけど、あたし知ってるのよ。

 

あなたが例の試着室に盗聴機仕掛けて、あたしと愛しい悟空さんがしている最中オナニーしてるの。

 

悟空さんにはバレてて放っておかれてるけど、最近ハスキーちゃんが悟空さんの胸板見る目がヤラシイのよね。

 

この間なんてうっかりしたふりして抱きついちゃって。ぽーっとしてたけど、そんなに優しく抱き止められたのが意外だったかしら。

 

まあそもそも捕まったらエッチなことされちゃう、って言っておいたのに着いてくる時点でわかりきってるわよね。

 

「て、店長!あの人こっち見てますよ!」

 

「あら大変。ハスキーちゃーん、あなただけでもにげてー」

 

「うわ、ひどい棒読み。どんだけエッチしてほしいんですか」

 

「いいじゃない、気持ちいいんだもの。あなただってしっかり濡れてるくせに、ほら!」

 

あたしはハスキーちゃんのホットパンツの上からアソコを撫で上げてあげる。

 

「ひゃんっ!ちょ、ちょっと店長なにするんですか!?」

 

「なにって、イイコトよ。ね、悟空さん♪」

 

「えっ!?」

 

ハスキーちゃんが振り向けばそこには愛しい悟空さんの姿が。

 

あら知らなかった?その人本気で走れば百メートルを0秒フラットでやってくるわよ。

 

「あむ!?んむぅ、んん…ん、あふ、ん、んく…」

 

あーあ、キスされちゃった。あれ強烈なのよね。

 

あたしの時ほどじゃないけど、ハスキーちゃんもうホットパンツびしょびしょじゃない。

 

「んんっ、んんん!?んくっ、ん、ん~~~っっ!」

 

うわ、しかもキスされたままホットパンツに手を突っ込まれちゃった。

 

完全に落ちたわね。もう膝が笑ってるわ。

 

「…ぷはっ、はぅ、あぅ、ぅぅぁ…」

 

やっとキスから解放されたけど、崩れ落ちた先にペニス突きつけられたら戸惑うわよね。

 

処女ってわけじゃないけど、ハスキーちゃん経験人数少なそうだし。

 

でもせっかくの愛しい悟空さんのペニスだわ、あたしも一緒に味わいましょ♪

 

「えへへ、悟空さん。あたしもしていい?」

 

無言だけど笑顔でうなずく悟空さん。あたし、うれしくってペニスに頬擦りしちゃう。

 

「ハスキーちゃん、呆けてちゃだめよ。ちゃんとご奉仕しなくちゃ」

 

「ひあああっ!?あ、てんちょ、だめ、ちくび、はなして…!」

 

「一緒にしゃぶってくれたら離してあげる」

 

「するぅ、するからぁ…!」

 

乳首を掴んでこねくり回してあげると、ハスキーちゃんがあんまりにも必死に頼んできた。

 

「ん、はぷ、ちゅ、れろ…」

 

つたない舌ねえ。だめよ、もっと激しくしてあげなくちゃ。

 

あたしはハスキーちゃんが側面を舐めていたので、先端をくわえこんで舌先でくすぐる。

 

「んも、れろれろ、ちゅる、ふふ、んむ」

 

くわえながらいじると、時々愛しい悟空さんがびくりと挙動するのがわかる。

 

こうやって奉仕していると、自分が悟空さんの物になれてすごく安心するのよね。自分の全部を他人に委ねておけるとでも言うのかしら。

 

しばらく二人でくわえていると、愛しい悟空さんが我慢できなくなったのかあたしを優しく抱き上げる。

 

途中で悟空さんの意図を察して、あたしは両手を愛しい悟空さんの首の後ろに、膝の裏を愛しい悟空さんに持たれていわゆる“駅弁”スタイルになる。

 

「ぅおんっ!あぐ、ふ、ふといぃ…!」

 

ちょっと興奮させ過ぎたみたいで、いつもより二回りは大きい愛しい悟空さんの逸物があたしの膣をぐりぐりと押し広げてくる。

 

正直ちょっと苦しいけど、愛しい悟空さんの気持ち良さそうな顔を見れただけでイキそうになる。

 

「おおおっ、おぅ、はぅ、ひぐぅ、ひぬ、ひんりゃう…!」

 

そんなタイミングで思いきり動かれたら、おかしくなっちゃう…!

 

あたしは快感に耐えられなくて、お漏らししながら何度も何度も愛しい悟空さんの好きなように出し入れされる。

 

何度もイッて、何度も気絶して、そのたびイッて起こされて。

 

それを何度か繰り返して、ようやく愛しい悟空さんの子種が大量の汁になってあたしのお腹に溢れだす。

 

「うあああああっ!?イク、イグぅぅぅぅ!!」

 

あたしはここが外だというのも忘れて、思いきり叫んで絶頂した。

 

***side ハスキー***

 

店長の犯される姿を見ながら、あたしは自分で自分を慰める手が止められなかった。

 

くちょくちょ、と音を立ててアソコをかき回す。

 

さっきのキスで、完全に火がつけられたあたしの体は、きっと今ならどんな男の肉棒でも受け入れるだろう。

 

でもそれ以上に、今店長を犯している極太の肉棒を挿れられたら、あたしはどうなってしまうのだろう。

 

もう、普通の男に抱かれても満足できないかもしれない。

 

そう思っていたら、いつのまにか終わったのか彼が、孫悟空がザーメンとラブジュースでどろどろになった肉棒をあたしに向けてきた。

 

あたしはもう我慢できなくて、木に掴まって立ち上がると、尻を彼に向けて差し出す。

 

どうにでもしてくれ、そんな気持ちで。

 

すると腰を掴まれて、彼の肉棒があてがわれる。

 

しかしあたしの期待は裏切られ、同じくどろどろに濡れた愛液にまみれていたアナルに肉棒が入ってくる。

 

「ひぃっ!ち、ちが、そっちじゃ、あぐぅ…!」

 

たしかにそっちもいじっていたけれど、いきなり挿れられるなんて想定外にもほどがある。

 

だというのに、あたしの尻の穴から内臓まで犯すように突き動かされると不思議と圧迫感なんてどうでもいいほどに気持ちよくなってくる。

 

「ひあああ!?クリは、クリを同時にいじっちゃだめえ!?」

 

アナルを巨大な肉棒が蹂躙してるっていうのに、あたしのクリトリスは器用な彼の手で撫で擦られ一方的に快感のレベルをあげられていく。

 

こんな、こんなの無理よ。耐えられるわけがないわ。

 

あたしは必死で動く肉棒から逃げ出そうとするけど、腰を掴んだ腕はびくともせず、あたしがそこに手を添えたことでむしろ動きがさらに激しくなっていく。

 

「おひり、おひりがめくれひゃう、やえ、やえへぇ…!」

 

必死で訴えるも、なぜかさらに固さを増した肉棒がアナル側から子宮を抉る。

 

ごりごりと抉られた子宮はより感度を増し、あたしはもはや自分が立っているのか倒れているのかもわからなくなる。

 

「~~っ!」

 

叫んだのか、呻いたのか。あたしは口に草が含まれたことで、今地面に寝ているのだと気づく。

 

寝バックの体勢になったあたしは変わらず内側から蹂躙されていく。

 

ふと、一瞬肉棒の硬度が極限まで増したかと思うと、熱い勢いを伴ってあたしの内臓にザーメンが注ぎ込まれていく。

 

人間離れしたあまりの量にあたしは目を白黒させながら、連続で来る絶頂に必死で耐える。

 

「…っくは、はあ、はあ、はあ。お、おわった…?」

 

どうにか気絶せずに済んだあたしは、振り向いて見えた光景に戦慄する。

 

彼が、ペニスを洗っている。

 

ということは、つまり…

 

「んほぉぉぉっ!??」

 

今さっきザーメンを出したばかりとは思えない強度の肉棒がヴァギナの肉をかきわけて挿入される。

 

あたしは今度こそ快楽の波に打ち負けて、あっさりと意識を失うのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、イカされて目を覚ましては気絶するというローテーションを繰り返された。

 

あとで彼の奥さん達に聞いてみたら「十回気絶してからが本番」と言われた。

 

あたしはもう、普通の男で満足できそうにない。

 

 




難産、というわけでもありませんが、とりあえずこれで一通りエロシーンを書けたかなと一息ついてます。

次は意味は違えど難易度の高い18号とセリパですな。まあ、まずはエロいことする下地作らねば。

…開幕でブルマレイプしといてどの口が言うって話ですけど(笑)

ちなみに悟空はこの島にいる間ほぼ裸です(´・ω・`)


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目覚めさせられた“力”★

【閲覧注意】

久しぶりにえぐい描写が今回は多いです。今回の話全編に渡って“そういう”描写が付き物になりますので、ご注意ください。今回は物語の秘密に少しだけ迫ります。


***side ベジータ***

 

一体なにが起こったというのか。

 

紛い物のクウラを撃破した俺はセリパを伴い、他の仲間達の元へと合流せんと移動していたのだが、突如として爆音が轟き仲間達と通信が取れなくなった。

 

そのうえ移動中に原種サイヤ人への変身も解けてしまい、戦力としては正直微妙なものになってしまった。

 

「もう一度あの形態に変身できないのですか?」

 

「…消耗した体力以上に、あの形態は俺の存在そのものとでも言うべきか、なにか別のエネルギーを消耗しているようでな。恐らく、無理矢理変身したところでまともに維持できんだろう」

 

「あの姿にはそのようなデメリットが…」

 

そうして会話しながら仲間達のところへ行くと、そこにはナメック星人による回復を受ける皆の姿があった。

 

「ベジータ王!」

 

真っ先にこちらに気づいたラディッツが俺を呼ぶ。

 

他の者もその声に俺のことを気づき、ダメージもあるだろうに立ち上がろうとする者もいる。

 

「ダイーズ、無理をするな。皆も、不測の事態ではあったが、結果的にはお互いの力を知ることができるいい機会となった。俺もさらに強くなることができたしな」

 

「で、ではやはり先程の強烈な気配はベジータ王でしたか」

 

「だから言っただろうに、あんなんベジータ王しかいねえってよ」

 

「ぐぬぅ…」

 

どうやらラディッツは原種サイヤ人に変身した俺の気配が誰だかわからなかったらしい。

 

まあ存在そのものを変身させるようなものだからな、無理はあるまい。ターレスは本能的な部分で気がついたか。

 

「なにがあったか報告してくれないかい?合流が遅れたのは悪かったが、状況の変化に追い付けてなくてね」

 

セリパの問いに、ラディッツとナメック星人が交互に説明してくれる。

 

「あの銀ピカをなんとか倒した直後、お前達の方へ向かおうとした我らはあちらで倒れている人造人間に襲われたのだ」

 

「…ああ、それでもって俺たちの大半は、こいつに気絶させられてさっきまで離れた場所に避難させられてたんだ。ちなみにこいつも人造人間らしい」

 

「はは、どうも」

 

そういって内心複雑な心境なのを露骨に表情に浮かべたラディッツに指差されたのは軽薄そうな男。

 

人造人間とは気配が希薄である性質を持つらしく、たしかにこうして対面していても一般人にしか見えない。

 

だが、この男がここにいる大半を気絶させて無理矢理避難させたらしく、倒れている人造人間もこの男が倒したらしい。見た目から強さが想定できないのが逆に警戒心を煽る。

 

「その人造人間とは一体なんなのだ?サイボーグかなにかのようだが、それほどの戦闘力を秘めているというのか」

 

「それはわたしが答えよう」

 

俺の疑問に答えたのはナメック星人だった。この地球の神をやっているらしいナメック星人だが、その実力を俺をも凌駕する。ナメック星人も極めればこれほどになるとはな…

 

「そもそも人造人間とは、地球人の科学者が作った“考える兵器”でな。恐ろしい科学力と驚愕する他無いが、あそこに倒れている痩せぎすな人造人間でわたしと互角の実力を有していた。他にもう一体いたのだが、それは天津飯が倒してくれたらしい」

 

事実なのだろうが、驚くべき事態だな。この星の文明レベルはそれほど高くないと思っていたのだが、案外知能タイプの突然変異が生まれやすい星なのかもしれん。

 

「…俺は特別あの人を倒せたわけではありません。人造人間にされた白々さん曰く、自分は失敗作だと言っていました。戦うだけで細胞が消滅していくと」

 

「とはいえ、短時間ならあの銀ピカのクウラを越えるくらいには強かったわけだ。俺からすれば十分とんでもないと思うがね」

 

視線が自分に向いたことから、すでに倒したという人造人間のことを語る三ツ目の青年、天津飯というのか。それに答えたのはダイーズだ。たしかに、肉体的には特別強くもない地球人が紛い物とはいえあのクウラを越えたというのだから、それだけで恐ろしい事実だ。

 

『ヤーチャ様緊急事態です!13号に自爆装置が仕掛けられています!』

 

「なんだとっ!?」

 

さきほどの軽薄な男の横に浮かんでいたサポートメカらしき浮遊物が突然警告する。

 

ヤーチャと呼ばれた人造人間の様子からして、単なる証拠隠滅のものではないようだ。

 

「PRⅡ、爆発の規模はどの程度だ!」

 

『お待ちください…解析結果がでました、観測対象の炉心を特定条件下で融解させ爆発を引き起こすようです。想定される爆破半径は約20000キロ』

 

「なにぃ!?」

 

「…おい、それはこの星の直径より大きいんじゃないのか」

 

「やべえぞ、どうにかその爆発を止められねえのか」

 

驚くヤーチャに対し、ラディッツが補足し、ターレスが質問する。PRⅡと呼ばれたサポートメカもどこか慌てた様子で解析しているようだが、状況は芳しくないようだ。

 

『爆発を止めるのは不可能です。観測対象の活動停止後、しばらくしてから発動するようにされていた上に、こちらのサーチを可能な限り無効化するよう隠蔽処置までされていました。今からでは自爆を止めることは不可能です』

 

その報告を聞いた全員が絶望的な気分になる。ここまで来たというのに、こんなところで台無しにされるというのか。

 

「…PRⅡ。最後まで一緒だぞ」

 

『はい、ヤーチャ様。PRⅡはいつまでもあなたと一緒にいます』

 

「ど、どうするつもりなんだよ」

 

小さいハゲ頭、クリリンという男がヤーチャの様子が変わったことを訝しむが、俺はその様子から何かしようとしているのを察した。

 

だが俺が声をかけるよりも早く、ヤーチャという男は一瞬で倒れた人造人間の場所まで移動する。

 

「なんという速さだ!?」

 

「加速装置というらしい。あれのせいで俺たちの大半が気絶させられたんだ」

 

俺でさえ捉えられなかった速度で移動したヤーチャに、セリパが驚愕しラディッツが補足する。どうでもいいが説明役が板についてきたな、ラディッツ。

 

移動したヤーチャは煙を上げ始めた人造人間を担ぐと、俺たちの方を向いて人差し指と中指の二本で敬礼するかのようなポーズを向けてくる。

 

「地球が助かるにはどうやらこれしかないみたいだ。短い間だけど、あんたらに会えて面白かったぜ。PRⅡ、ウイングモード」

 

『了解しました、ヤーチャ様』

 

ヤーチャに声をかけられたサポートメカがヤツの背中を覆い、羽根というよりは外付けのブースター状に変形する。

 

わずかな砂ぼこりを残し、ヤーチャはあっという間にこの星から離れていった。

 

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***side ヤーチャ***

 

これで自分が死んでしまうとしても、それで地球が助かるならば、それでいい。

 

そんな殊勝なことを考えていたわけではないが、記憶を無くした俺が誰かの思い出に残るなら、それはそれでいいのかもしれないと考えた。

 

加速装置を使い、一瞬で大気圏を飛び越え、三十秒とかけずに火星を通りすぎる。

 

『爆発まで後十秒です、ヤーチャ様』

 

「ありがとうPRⅡ。できるだけ太陽系から離れてしまおうかと思ったが、木星辺りで限界かな。せっかくだからドクター・ゲロの移動惑星を巻き込んでやるか。それとPRⅡ、俺を切り離して自分だけ自爆に巻き込まれようだなんて考えるなよ」

 

『…了解しました、ヤーチャ様』

 

どうやら予想は当たっていたらしいな。PRⅡは機械だが、俺と同じで心があるようだ。誰かの記憶を受け継いだのか、元から自分のものなのかは知らないが。

 

やがて木星が見えてきた。爆発まで間もない。

 

しかし、そんな俺の前に突然人影が現れた。

 

「お、おいどいてくれ。こいつはもう爆発するぞ!?」

 

「わかってるよ、ピッコロ神に頼まれてな。後は任せろ」

 

突然目の前に現れたのは、人造人間の目標である孫悟空だった。どうやって宇宙空間で活動しているのかという疑問もあったが、彼は13号を引ったくるように奪いさると、壊れた13号の全身をバリアで包み込む。

 

「はあっ!!」

 

さらにドクター・ゲロが超(スーパー)サイヤ人と呼んでいた状態に変身すると、バリアにパワーエナジーを注いでさらに強化する。なんて凄まじいエネルギー量だ。

 

驚く間もなく爆発が始まり、目を焼かれないように咄嗟に腕で庇う。しかしバリアは光さえほとんど漏らすことなく、あっという間にその爆発を終わらせてしまった。当然、13号は跡形もないが、バリアにはヒビさえ入っていない。

 

けた違いの強さだ。これが孫悟空か。

 

「おい!なぜ俺がこの女を預かっていなければならん!!」

 

呆けていると、人造人間18号を抱えた20号が現れた。文句を言いつつもきちんと抱えている辺りは律儀だなと思う。

 

「悪い悪い、なんせ急ぎだったからな」

 

朗らかに話しかける孫悟空だが、いつのまに仲間になったのだろうか。

 

データで見る限りは相手は宇宙の支配者といっても過言ではないフリーザ一族、おまけにどうやら相手は俺のように記憶を奪われたわけではないようだというのに。

 

この男はどこまで大きいのだと、

かつての己を失った人造人間15号(ヤーチャ)は思った。

 

「…さて、お前をなんと呼ぶべきか、教えてくれないか」

 

あれほど不遜で大きな男が、どこか気を使うように自分を呼ぶ。

 

それに可笑しさを覚えながらも、ヤーチャは正直に答えた。

 

「俺は人造人間15号だ。ただ、なぜかPRⅡは俺をヤーチャと呼ぶ。折角だから、俺のことはヤーチャと呼んでほしい」

 

その問いかけに一瞬、ほんの刹那の間、孫悟空の顔がくしゃりと歪んだように見えた。

 

「…すまない、お前にわざわざ言うことじゃないんだが、その相棒を、PRⅡを、大切にしてやってくれ」

 

「あ、ああ。ホントに言われるまでもないぜ。にしてもどうした、顔色が悪いぜ?」

 

「…なんでもないさ。なにかあれば言ってくれ、力になる。…っ!そうだ、聞きたいことがある。地球に現れた人造人間は、全員倒されたのか?」

 

孫悟空の様子は不思議だったが、その質問は自分も疑問に思っていたのだ。なので答えながら聞き返すことにする。

 

「俺が確認できたのは、13号と14号の二人だけだ。そこにいるのは18号と20号だろう?19号はたしかメタルクウラってのがそうだったはずだし、16号は故障したと聞いている。となると、今確認が取れていないのは17号だな。あんたの様子とビッグゲテスターの反応がないところからして、ドクター・ゲロこと人造人間21号は倒されたんだろう?」

 

「ああ、ヤツは一片の塵も残さず片付けた。そうか、17号が見つかっていないのか…ん、なぜ“ふりーざくん”の視界が…っ!!くそっ、まさかヤツラまだ俺の家族をっ!!!!」

 

言うなり激昂した孫悟空は目の前で超(スーパー)サイヤ人の壁を越えた第二形態へ変身する。

 

髪の毛だけではなく体毛までが赤く染まり、筋肉が膨らみ全身から赤い電光が迸る。

 

変身はそれだけでは治まらない。赤い電光が、黒い電光へと変わりはじめる…な、なんだこの寒気は…!?

 

「…悪いがヤーチャ、クウラと一緒に地球へ向かってくれ。その女が目を覚ますようだったら、気絶させておいてほしい。俺は一足先に地球へ向かう」

 

目の前の存在がさっきまでの男と同一人物だとはとても思えない。

 

俺は悪鬼のごとき表情へ変わった孫悟空に、どうにか首肯することで答えを返す。

 

俺の返事を確認した孫悟空は、さきほどまでの俺が遅く感じるほどのすさまじさで地球へ向かっていった。

 

***side スノ***

 

止めるみんなを振り切って、シェルターを出たわたしが見たのはーーー手足が引きちぎられ今にも死にかけているディナーくんの姿だった。

 

「いやああああああっ!?」

 

悲鳴はランチさんのモノだった。黒髪の男の子に首を掴まれぐったりしているディナーくんにすがりつこうとするのを、みんなが必死で止めている。

 

あたしは何故だかわからないけど無性に腹が立っていた。こんな、こんなわけがわからないやつに、あたしたち家族を弄ぶ権利なんてない。

 

「…なんだ女。順番に殺してやるから、せいぜいそこで怯えて待っていろ」

 

なんの感情も無いのかと思ったら、その声音に含まれていたのは愉悦だった。

 

この男は…!楽しんでディナーくんを“壊してる”!!

 

そう思ったら、気づくと男の頬をはたいていた。

 

まさか反撃されるなんて思ってなかったのかしら。随分と驚いた顔をしているわね。

 

「気が変わった。お前から殺してやろう」

 

言うなり男が動いた、のかしら。

 

あたしは地面に倒れてた。口が苦い。これ、血かな。

 

「おいおい、相当手加減して撫でてやったんだ。こんなもんで死ぬれちゃ困るんだよ」

 

髪の毛を掴まれて立ち上がらせられる。叫びたいのに、口から出るのはごぼごぼと溢れる血の泡だけ。

 

…ごめん、悟空さん。あたし、時間も稼げないみたい。

 

そう思ってたら、不意にあいつの手があたしから離れて、あたしは優しく抱き止められる。

 

悟空さんだと思ってあたしは見上げると、そこにいたのは見たこともないモヒカンの男の人だった。

 

「スノ、助けに来たぞ」

 

***side 17号***

 

俺は最強の人造人間17号。

 

ドクター・ゲロは孫悟空の体にいたくご執心みたいだったが、あいつがそれほどのモノかね。

 

少なくとも、この俺ほどではないな。

 

俺は右手で掴んだガキの首を、どのタイミングで折ってやろうか考える。

 

死体を見せつけてやってもいいが、どうせなら孫悟空の目の前で殺してやった方がいいだろうか。

 

それならヤツの女全員を裸にひんむいた上で、動けないヤツの目の前で殺していったほうが楽しいだろう。

 

悩ましいな。

 

そんな風に考えていると、シェルターに隠れていたはずの孫悟空の女達がぞろぞろとやってきた。

 

金切り声で悲鳴を上げている女はこのガキの母親か。はは、いいぞ。だったらあの女の前で殺してやろう。

 

絞るように首を千切ると、吹き出す血がまるで噴水みたいで楽しいんだ。

 

だが俺の楽しい時間は生意気にも俺に張り手を入れてきた女によって中断される。

 

ダメージなんか負っちゃいないが、そのせいで思考がひどく冷めた。

 

…だめじゃないか、おもちゃが勝手に動いちゃ。

 

「えぐっ…!?う、うう…」

 

相当手加減したんだが、内臓が潰れちまったかな?

 

まあいい。ムカついたからこの女から殺してやる。

 

「おいおい、相当手加減して撫でてやったんだ。こんなもんで死ぬれちゃ困るんだよ」

 

そうは言いつつも、女の髪の毛を掴んで引き上げたのとは逆の腕にエネルギーをためる。

 

よし、肺と心臓を残してどこまで生きていられるか試してみよう。この遊びはまだしたことがなかったな。

 

さっそく女の乳房を刈り取ろうとした俺だったが、突如として現れた何者かによって俺は顔面を蹴り飛ばされ

大きく吹き飛ばされた。

 

何者だ?

 

「スノ、助けに来たぞ」

 

そこにいたのは、見覚えのある男。たしか、ドクター・ゲロのデータにあった筈。

 

…そうだ!ヤツも人造人間!完全機械式の16号!

 

「お前が、スノをいじめたヤツだな」

 

16号は俺を前に構える。くくく、面白い。旧式のガラクタが、今度も庇いきれると思っているのか。

 

お前がその女を助けに来た理由はどうでもいいが、俺の顔を足蹴にした報いは受けてもらおう。

 

「死ねっ!!」

 

駆け出した俺の貫手は確実に16号の動力炉を貫くはずだったが、驚くことに俺の手は掴まれ動きを止められる。

 

「…予想以上のパワーレベルだが、想定外ではない」

 

16号は俺の胸ぐらをつかむと、そのまま掴んだ腕ごと発射した。

 

「ぐあっ」

 

その圧力に俺は思わず苦悶の声をあげる。この俺が?ふざけやがってブリキ野郎が!ぶっ壊してやる!!

 

「食らえっ!」

 

俺は右手に集中したパワーエナジーを圧縮してブラスターを発射するが、16号のヤツに防御すらせず弾かれた。なんて装甲をしていやがる。

 

「俺の表皮は耐エネルギー防護装置で守られている。お前の攻撃では傷ひとつ付けられんぞ」

 

自身満々に言う16号へ連続でブラスターを当ててみるが、そういうことならエネルギーの無駄だな。とはいえ、永久エネルギー炉がある俺に無駄なエネルギーなど存在しないのだが。

 

それにしてもドクター・ゲロのヤツめ。俺と18号に反乱されてから、16号を再改造しやがったな。道理で強い筈だぜ。

 

だがな、俺もなんの理由も無しに孫悟空の家族を殺しに来たわけじゃないんだよ。ドクター・ゲロの憂さ晴らしに従ってやったのはついでに過ぎない。

 

「喜べ16号。お前は宇宙で最初に完全無敵の存在と対面することができる。機械のお前があの世に行けるとは思わないが、せいぜいメモリーに焼き付けるんだな」

 

そう言って、俺はこの家の金庫に保管されていた宝石“眠り姫”を取り出す。

 

“月の光”を供給源に、太陽すら破壊しかねないエネルギーを生み出す至高の宝石。

 

そして、孫悟空の肉体を元に作られた俺の体には、常に3000万ゼノ以上のブルーツ波が流動している!

 

「はっはっはっは!見るがいい!究極至高の存在を!」

 

胸に染み込むように吸収されていった“眠り姫”の効果はすぐに現れた。

 

俺の体は成長し、ドクター・ゲロによって解除された変身機能が強化された形で現れる。

 

かつて変身したときは長身痩躯だった肉体は筋骨隆々とした逞しいモノへと生まれ変わり、オールバックに変化するほど伸びた髪の毛は逆立ち金色に染まる。

 

さらに俺の全身は溢れるパワーから青い電光を迸らせ、純粋なパワーが桁違いに上昇したことを見た目にも顕(あらわ)にする。

 

「…ふぅ。なあ16号、今俺がどんな気分か知りたくないか?」

 

変身した直後の隙だらけの俺を狙って残った腕をロケットパンチとして撃ってきた16号だったが、高速で飛来した腕を俺はあっさり止めると、過剰なほどにエネルギーを流し込んで消滅させる。

 

「…!」

 

「ふふ、いつの間にか近づかれて驚きか。俺がスピードを下げてようやく目にすることができたようだな」

 

眼前にまで近づいてやると、俺が止まってから慌てて下がろうとする16号。

 

そんな速度じゃ遊びにもならないぞ。

 

「プラズマスパーク!!」

 

なるほど。腕は本来そうやって使うのか。

 

先に飛ばして転がっていた腕と16号の間を紫電がほとばしり、ほんの僅かに俺の動きが鈍る。

 

「ヘルズフラッシュ!!」

 

自爆覚悟なのか、それとも“耐エネルギー防護装置”とやらを過信しているのか。

 

16号は俺の胸元で強烈なエネルギーブラストを解き放つ。

 

余波で孫悟空の女達が死ぬかと思ったが、いつの間にか復活したガキがバリアを張って爆発を防いでいた。

 

あの状態からどうやって回復したのだろうか。ああ、仙豆だな恐らくは。

 

あらゆる傷を元通りに癒す奇妙な豆だったか。だがまあそんなものがあったところで、地獄を味わう回数が増えたに過ぎない。

 

俺はヘルズフラッシュをバリアで反射してやったことで、全身を焦がして倒れ伏した16号を見下ろす。

 

「所詮、ガラクタはガラクタだったなぁ」

 

「…いいや、“時間稼ぎ”は済んだ。俺の勝ちだ」

 

「なに…?」

 

ドッグォアアアン!

 

隕石でも落ちてきたかのような衝撃に、俺は思わずたたらを踏む。

 

「…もうお前は謝っても許さんぞ」

 

振り向いた先にいたのは、どうやってここの状況に気づいたのか、孫悟空が立っていた。

 

はて、こいつの体毛と髪の毛は茶色だった筈。なぜ赤と黒が混じった体毛に変化しているのか。

 

超(スーパー)サイヤ人の第二形態だとしても全身が赤い色に変化しているはずだが。

 

「ようやく真打ちの登場か。だが遅かったな、お前の女のひとりはもう瀕死だぞ?」

 

挑発するようにそう言ってやれば、孫悟空は驚くことにこの究極の人造人間である超(スーパー)17号を無視して通りすぎやがった。

 

「舐めやがって!」

 

俺は無防備な背中へ向けて蹴りを放つが、なぜか俺が転んでいた。

 

ん?なぜ俺の足があんなところに転がっているんだ。

 

「…ブルマ、スノはどうしたんだ」

 

「あなた!スノちゃんはあいつに向かっていって、お腹を殴られたの…!咄嗟にかばったみたいだけど、仙豆も飲み込めないほど血を吐いていて、お願い、スノちゃんと子供を助けて!」

 

俺はいまだに事態が飲み込めない。

 

究極至高であり、完全無敵である俺が倒れていることに。

 

そしてヤツが俺には目もくれず、女の治療をしていることに。

 

「…よかった、まだ二人とも生きている。とっさに潰した仙豆を無理矢理食道に流し込んでくれたおかげだ。ありがとうな、ブルマ」

 

「そんな、そんなことないわ。あたしだって、どうしていいかわからなくて…!」

 

女が泣いている。

 

なぜだ。なぜ誰もこちらを見ようともしていない。

 

孫悟空が泣いている女の体を抱き締めて女を泣き止ませる。

 

次に孫悟空が死にかけの女に手をかざすと、赤いエネルギーが凄まじい勢いで死にかけの女に流れていく。

 

仙豆を含むことさえままならなかった女があっという間に回復していくが、まるでそれに反比例するように孫悟空の体毛が黒く染まっていく。

 

「あとは仙豆を飲ませてくれ。念のため、二粒頼む」

 

「わかったわ」

 

振り向いた孫悟空の目を見て、ようやく俺はすべてを察した。

 

俺の体は、あの蹴りを放った瞬間バラバラになっていたことを。

 

俺はすでに、シンデイタコトヲ…

 

「待てよ」

 

ナゼダ。ナゼシンダハズノオレガツカマエラレテイル。

 

「死んであの世に行けば許されるとでも思ったか?残念だったな、地獄まで俺が連れていってやる…!」

 

アア、オソロシイ。ネエサン、オソロシイカオガコチラヲミテイルヨ。

 

ネエサンタスケテ。ネエサン。

 

ネエサ…

 

***side 悟空***

 

俺は遠視能力で自分の認識の甘さを痛感していた。

 

五十三万体の分身を置いていけばなんとかなると思っていた。

 

フュージョンの許可を出したディナーがいれば、なんとかなると思っていた。

 

すべて、俺の認識の甘さが原因だ。

 

俺は能力を用いて、目の前で見ているのと変わらない状況でディナーの手足がもがれていくのを見つめる。

 

唇をかみきり、奥歯がいくつも砕ける。

 

握りしめた拳の中で爪が皮膚を突き破り、膨れ上がった筋肉が血管を圧迫して全身で内出血を起こす。

 

それと同時に、俺は自分で制限していた“最後の姿”へ変身していく。

 

女達への、家族への思いで押さえつけていたこの体の本来の超(スーパー)サイヤ人の姿が徐々に顕(あらわ)になっていく。

 

あのときの悟飯と同じように黒い電光が俺を包み、体毛が憎しみの黒で染まっていく。

 

遠視能力が暴走し、あらゆる場所のできごとを同時に写し出す。

 

ピッコロ神をはじめとする地球の仲間達や、ベジータ率いるサイヤ人もといクラッシャー軍団が俺の“殺意”に反応して狼狽している。

 

ピッコロ神だけはなにが起きたのか察知してピッコロJr.にポタラを渡そうとしているようだが、もう遅い。

 

俺は最低限地球を壊さない程度に速度を抑えて破壊されたカプセルコーポレーションに墜落する。

 

自分で自分を殴り飛ばしたくて仕方がない。

 

「…もうお前は謝っても許さんぞ」

 

目の前でなにか囀ずる17号がいたが、どうでもいい。

 

俺の視線の先、そこには倒れ伏すスノの姿があった。ディナーが起き上がっているのを見るに、アイツには誰かが仙豆を食わせてくれたらしい。

 

「舐めやがって!」

 

なにかしてきた17号を、俺は通りすぎながら全身から気で作った刃を一閃させてバラバラに刻む。

 

刹那よりも短い時間で切り刻まれたことにも、さらには死んだことにも今は気づかないだろうが、ヤツのことなどどうでもいい。

 

俺は診察と治療を並行しながら、仙豆を受け入れられないほどに損耗した肉体に俺の“生命力”とありったけの“愛”を込めたエネルギーを流し込む。

 

よかった。どうにか二人とも助かりそうだ。

 

俺はゆらりと立ち上がると、後ろでまだわかってない17号をねめつける。

 

ああ、ようやく気づいたか。体から魂が上っていくが、そんなことで“俺から”逃げられるとでも思っているのか。

 

「待てよ」

 

理性などないだろうに怯えるのか。くくく、許してほしいか。だめだね。

 

足りないなぁ、まるで足りない。そんな程度の恐怖で、お前の罪は賄えなどしない。

 

「死んであの世に行けば許されるとでも思ったか?残念だったな、地獄まで俺が連れていってやる…!」

 

俺は無理矢理次元を破ってあの世まで飛ぶ。

 

「ご、悟空か!?その魂をいったいどうするつもりだ…!?」

 

閻魔のおっちゃんが何か言っているな。無視してもいいが、知らない中じゃない。一応答えておくか。

 

「よう、久しぶりだな閻魔のおっちゃん。なに、このクズ野郎を俺が直々に地獄に落としたくてね。ああ、スピリッツロンダリング装置は必要ないぜ」

 

言うなり俺は、蛇の道から降りて地獄へ直行する。

 

さて、簡単に消滅してくれるなよ。

 

 




今回これだけしつこく悟空の家族を狙わせたのには、実はこういった理由がありました。

大切な存在を傷つけられたとき、なにが起きるか。
なぜ悟空は敵に容赦しないのに、いつもどこか余力を残して戦っているのか。
その答えがこれです。悟空自身、この力を嫌っています。
超(スーパー)サイヤ人ラブこと0は、実はこの力の片鱗が現れたにすぎず、精神と時の部屋で自身の力を見つめ直した悟空はこの力の存在に気づきました。かつて制限時間を五分としたのは、それが理性を保てる限界だったからです。

この超(スーパー)サイヤ人ブラックとでも言える形態に関しては、重要なネタバレになるので今は多くを語りません。

補足★説明
□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□
・宇宙空間で会話しているのは以前も言いましたが、そういうものと思ってください(笑)でもお漏らしはきっちり凍って蒸発してたりという(笑)

・悟空が加速状態にいるはずのヤムチャと会話してますが、自力で同じ速度に至ってるだけです。

・17号に掴まれていたスノちゃんの髪の毛は少し切れましたが無事です。バキの天内悠みたいにはなってないのでご安心を。

・仙豆を飲み込めなかったスノちゃんでしたが、ブルマが無理矢理気道を確保した後、潰した状態の仙豆を喉を切り裂いて突っ込まれました。効果は半減以下でしたが、おかげで生命力を維持することができました。

・人造人間16号
緑川ヴォイスのイケメン。けどモヒカン。17号と18号の反乱後壊れた体を地球の拠点にて修理されていました。
再改造を受けているため、この世界の17号とも変身前ならある程度戦えます。
最後に焦げていたのは、耐エネルギー防護装置のエネルギーまで攻撃に回したためです。

・人造人間17号
悟空の細胞から作った有機組織により、原作よりもぶっちぎりで強くなりました。
ただしドクター・ゲロの妄執とも言える感情を移植された影響で、絶望の未来のような残虐な性格へと変貌してしまいました。
ちなみに彼のみ事件に先駆けて目を覚ましており、メタルクウラ襲撃の際はどさくさにジンジャータウンを襲っていました。
ジンジャータウン壊滅のお知らせはエピローグにてちょっとだけ出します。

・人造人間18号
上記の17号と同じくぶっちぎりで強いです。原作の完全体セルなら勝てますが、やはり17号よりは劣ります。
ドクター・ゲロの妄執を写されたのは17号と同じですが、彼女の場合悟空への憧れじみた複雑な感情までコピーされているため、17号とは別れてひたすら悟空を待ち構えていました。悟空との戦いにおいてクリムゾン状態となりましたが、自分より強くてちょっと安心している部分があったりしてます。

・人造人間20号
原作においてはドクター・ゲロだったこのナンバリングは、ずれて魔改造クウラとなりました。見た目は金属質な部分はまんまメタルクウラなものの、色が赤いです。個人的にはレッドクウラと呼んでいます。通常の三倍です(違)
クウラの理性や記憶を消すことができなかったドクター・ゲロは、次善策として首元に助手を改造した寄生体を埋め込みました。これの元は原作における人造人間19号ですね。
寄生体はレッドクウラの戦闘センス、最強に近い肉体を手にいれ調子こいてましたが、悟空の痛覚増幅を受けて呆気なく死にました。




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千年の追憶 ★

お待たせしました。
色々悩んだ結果ネタバレ回に( ̄▽ ̄;)

あ、地味にあらすじを付け足しました。

ううむ、それにしても話を進めるとエロを挟むのが加速度的に難しくなっていく…!




***side ◾◾◾***

 

昔話をしよう。

 

今より1000年以上前の話を。

 

その頃の宇宙は“科学”が支配していた。

 

発達した文明によって多数の銀河を宇宙船が行き交い、巨大な規模の交易が文化を、文明を遥かに発展させていった。

 

銀河の秩序は銀河王が率いる銀河パトロールによって守られ、“表面的”には誰もが平和を謳歌していた。

 

異変は唐突だった。

 

銀河の辺境に住まう少数民族サイヤ人に、今から1500年前ひとりの突然変異が生まれた。

 

突然変異によって生まれた子供は、温厚で穏やかな気質のサイヤ人とは違い、破壊と殺戮を好む凶悪な心を持っていた。星々をすら砕くサイヤ人においても強すぎる力を持つ彼は危険視されたが、彼を抑えることができる大人のサイヤ人がいたことが事態の悪化を招いた。

 

それを知っていたのか、はじめは彼も大人しかった。しかし成長するに従って更に力を増していった彼は、ある日その野心をむき出しにした。

 

もちろんそれを止めようと、サイヤ人のなかでも選りすぐりの者が彼に挑んだ。

 

しかし子供の頃とは違い、突然変異によって得た“黒い力”を十全に引き出す彼を前にしては、かつて宇宙に名を轟かせた戦闘民族も敵わず、戦いのなかで徐々に数を減らしていき、やがて滅んだ。

 

こうして自らを食い止めていた同族がいなくなると、彼は宇宙を征服し始めた。

 

宇宙空間をも生身で移動できる彼は、気まぐれに星々を訪れ、理不尽な要求を繰り返す。

 

好きなように女を抱き、好きなだけ食事をした。

 

彼に挑む強者もいたが、誰も彼に勝てるものはいなかった。

 

それどころか、彼は自分に戦いを挑んだ種族に興味を持つと、その種族の女を犯しにいった。

 

犯された女は子を産み、生まれた彼の血を引く子供は彼と同じく凶悪で、殺戮と破壊を好む存在へと育っていった。

 

あれだけ発展した文明は、広がっていく彼の血によって大きく衰退した。

 

また彼には寿命がないのか、年月を重ねることで衰えるどころかどんどん強くなっていった。

 

いつしか彼は“伝説の超(スーパー)サイヤ人”と呼ばれ、一種の災害と同義と考えられるようになっていった。

 

全宇宙を支配する彼の前にあっては、世界を管理する界王も界王神も抗うことができなかった。

 

何度か“あの世の達人”と呼ばれる者も差し向けられたが、彼に殺されその存在すら消滅してしまった。

 

すべてを破壊する破壊神ですら、真正面から戦えばどちらが殺されるかわからないほどに力を増した彼を確実に殺すため、彼を監視するに留めた。

 

そうして止める者は誰もいないかに思われ、数百年の時が流れた。

 

やがて1000年前、希望が現れた。

 

無秩序にばらまかれた“伝説の超(スーパー)サイヤ人”の種。彼の子孫に突然変異で善の心を持つサイヤ人が生まれたのだ。

 

善の心を持つサイヤ人の“少年”は成長に従い瞬く間に仲間を集め、彼へと挑んだ。

 

結果は、敗北。

 

銀河をひとつ丸々滅ぼした結果に終わった戦いで、少年は行方不明になった。

 

人々は絶望した。もはやいつ動くかわからない破壊神に再び希望を抱くほど、人々は神に期待していなかった。

 

しかし、少年は生きて戻ってきた。

 

数十年を修行に費やし、新たに少年の仲間となった伝説の超(スーパー)サイヤ人の子孫ら六人を引き連れて。

 

仲間の力を手にいれ神の力を得た少年と、突然変異によって神をも打ち砕く悪魔の力を有した伝説の超(スーパー)サイヤ人の戦いは、宇宙の歴史においても天地開闢に匹敵する激しさとなり、その余波だけで複数の銀河が滅んだ。

 

そして、決着が訪れた。満身創痍となった二人の戦いを終わらせたのは、時間だった。

 

神の力を枯渇させた少年はあっさりと伝説の超(スーパー)サイヤ人に敗れ、仇を取ろうとする仲間のサイヤ人らも返り討ちにあい死んでいった。

 

そのとき伝説の超(スーパー)サイヤ人が感じたのが虚無感だったことに、わたしは気づいた。

 

はじめて誰かを殺したことを後悔した伝説の超(スーパー)サイヤ人だったが、間もなく現れた破壊神ビルスによって“破壊”され、彼は死んだ。

 

そう、死んだのだ。あの無敵の超(スーパー)サイヤ人が。

 

神々は伝説の超(スーパー)サイヤ人が消耗したがゆえの結果だと思うだろう。

 

だがわたしは違った。彼は本当に悔いていたのだ。命を奪ったことを。

 

破壊と殺戮を好み、宇宙を支配したあの男が。

 

もしあのまま戦いとなれば、破壊神と伝説の超(スーパー)サイヤ人の余波は下手をすれば宇宙そのものをも壊してしまっただろう。

 

彼はそれを嫌がった。他の星々にいる自らの子孫が無為に死ぬことを。

 

だから破壊神を挑発した。自分を“殺す”ために。

 

わたしはゆえに彼に目をつけた。

 

この哀れで孤独な、強靭な力を持つ悪魔ならば、あるいは“変えてくれる”のではないかと。

 

とはいえすぐに私が介入しては、界王神や破壊神に察知されてしまう。

 

そこでわたしは複数の分身を作り出し、いくつもの星系に送り込んだ。

 

いつかこの魂が転生したときに、わたしの手で介入するために。

 

やがて彼の能力を研究し、意図的に突然変異を引き出したフリーザ一族のコルドが台頭し、それをきっかけとしたのか驚異的な肉体の強さをもって宇宙を支配しようとする強者がそこら中に溢れかえった。

 

もっとも顕著だったのは直系であるサイヤ人だろう。雑種と化したとはいえかつての戦闘民族としての力は劣化し、変わりに特定条件下での変身能力を手にいれていたが。

 

そしてわたしの分身のいくつかはコルドの軍に潜入し、ひたすらに時を待った。

 

姿を変え、年齢を偽り、身分を誤魔化し。

 

時は流れ、劣化サイヤ人に先祖帰りであるべジータが生まれ、ツフル人の星を乗っ取り王を名乗って宇宙を席巻した。

 

またコルドが自身を凌駕する存在として造り出したフリーザが軍を引き継ぎ、恐怖と懐柔によって宇宙の帝王を名乗った。

 

そしてとうとうその時は来た。忘れようがない魂の色。彼が生まれ変わったのだ。

 

だが驚くことに、彼はクローンとして転生した。

 

実験的にサイヤ人の王であるべジータ王と、下級戦士ながらその強さは王を凌駕しかねない潜在能力を持つバーダックの細胞を用いた“使い捨てのサイヤ人”として。

 

わたしは頭を抱えた。

 

どれだけ潜在的に強大な力を持っていようと、このままでは彼があっさり死んでしまうのが目に見えていたからだ。

 

そこでわたしは一計を案じた。

 

テロメアを維持するための保存ポッドに浮かぶ彼に、わたしが知るこの世界の“後の歴史”や様々な知識を、わたしがよく知る地球を中心とした物語として彼の脳に植え付けたのだ。

 

効果はてきめんだった。彼は植え付けられた知識を疑わず、前世の記憶や原作知識と言って重宝した。

 

わたしの分身は科学者として彼に近づきながら、小出しに情報を与えていった。彼の不安を煽り、ドラゴンボールを使う決心を固めるために。

 

ゆえに彼がドラゴンボールに気づけば、後は何とでも理由をつけて彼を単身ナメック星に送り込んでしまえばいい。

 

そう思っていた矢先、想定外の事態が起きた。

 

彼を追うようにして、かつて正義のサイヤ人として彼と戦った少年までもが少女として転生した。

 

最悪なのは、少女が無自覚に魅了の力を使っていること。

 

あの能力はまずい。対抗するにはよほどの力を持つか、そもそも生殖形態が違わなければならない。

 

かつて一度目に伝説の超(スーパー)サイヤ人と戦った際、少年は兆に迫る数の仲間を引き連れ、結果的には銀河をひとつ滅ぼした。

 

それにこのまま二人が出会えば、最悪どちらも前世の記憶を取り戻し、わたしの計画がダメになりかねない。

 

そこで彼をカナッサ星に送ることにした。あの星なら最低限高速艇がある。

 

わたしは軍の情報を彼が手にいれやすいよう工作し、彼が脱出したあとも迷わずナメック星にたどり着けるようにした。

 

逆にそのことで一部のエリートサイヤ人が情報をつかみ、脱走する現場で殺されかけたようだが。

 

まあその程度で彼が死ぬはずもない。肉体は弱ったとはいえ、あの“伝説の超(スーパー)サイヤ人”だ。

 

彼自身は戦闘センスがないことを嘆いていたようだが、そもそも求めている基準がおかしいのだ。あれは彼が求める動きを体が再現できない為に起きている一種の齟齬のようなものだ。

 

だいいちセンスがない人間があれほど巧みにエナジーアーツを操れるものかよ。

 

さて、旅立った彼はこれで大丈夫だろう。潜在的に自分の体を戻してもらう願いを言うようにしておいたし、多少の言い間違いがあったところで彼はかつての肉体を取り戻すはずだ。まあ顔などは今と変わらんだろうが。

 

さて、問題は少年の方だ。

 

まずは前世の記憶が蘇らぬよう、彼と同じ処置をした。

 

能力も可能な限り抑えた。

 

…とはいえあの力がどれだけ抑えられるかわからないが。

 

それから年月が経つに連れ、案の定綻びが生まれた。

 

しかも質の悪いことに、わたしの与えた知識が事態を悪化させている。

 

前世の天真爛漫さはそのままだが、彼と同じ処置をしたのが裏目に出たか。

 

前世の自分が男だったことには気づいているようだが、少し記憶の封印が強すぎたかもしれん。

 

半端な未来の知識で事態を判断しようとしている節がある。

 

かつての伝説の超(スーパー)サイヤ人の面影を持つバーダックに惹かれているようだが、さて吉と出るか凶と出るか。

 

そう考えていれば案の定最悪の事態を引き起こした。

 

バーダックの覚醒は想定していた。あの娘には近くにいるものを奮起させ、力を引き出す性質がある。

 

だがまさかフリーザが魔獣と化すとはな。あれは想定外だった。

 

サイヤ人が滅びたのは必然だろう。あやつらがこれまでやってきた悪逆非道な行為を考えればあれでもまだ足りんくらいだ。

 

とはいえ、赤子とあの娘を宇宙に放り出したままにはしておけんので、ナメック星まで運んでやった。あの星なら娘の能力はほとんど無効化される。下手な宇宙人に拾われて復讐などを図られてはまた宇宙が混乱しかねん。まだ、破壊神に出てこられては困るのだ。

 

それにわたしにもこの事態を招いた責任がある。なにより、赤子を見捨てるのは忍びない。

 

それにしてもあのブロリーという赤子は、どうやら伝説の超(スーパー)サイヤ人としての先祖帰りがかなり顕著なようだな。発揮できる能力としては近いものがあるだろう。

 

成長を見守ってはいるが、あれならかつてのフリーザでさえも一撃で倒せるだろう。“かつて”のならばな。

 

理由はともかく変身能力もうまい具合に制御できているようだ。

 

また、ナメック星を一足先に旅立った彼の方は順調だ。

 

予定通り地球につき、わたしが与えた知識の影響か多少なり金銭感覚をもったことから面倒なトラブルも起こさなかった。

 

育ての親にあれほどなつくとは思わなかったがな。危うくあの老人が死んだショックで記憶を取り戻すかと冷や冷やしたぞ。

 

それからも彼は修行を重ねた。

 

亡き育ての親との約束もあったのだろうが、持ち前のセンスに先達の技術が重なることによって短期間で驚くべき領域にまで至っていた。さすがはかつて“闘いの神”とまで称されただけはある。

 

やがて彼にも覚醒の時がきた。気まぐれに抱いた少女のなにげない言葉をきっかけに、かつての彼からは想像もできない理由で覚醒して見せた。“愛”か、彼にとっては意外ではないのかもしれんな。

 

それからの彼は家族を守るために、仲間を守るために力をつけた。すでにまず間違いなく、宇宙最強と呼べるだけの実力だろう。

 

だが足りない。それではまだ足りないのだ。

 

彼は自分のなかにある力の正体に気づいていたようだが、その正体に嫌悪し拒絶していた。

 

息子のひとりはそれを受け継いでしまったようだが、幸いにも地球人とのハーフであるから最悪の事態にはなるまい。

 

だがいずれ、彼が過去の記憶を取り戻すときが来るだろう。

 

今の自分と、過去の自分を比べたときに彼が何を決断するかは、わたしにはわからない。

 

願わくば、彼が自棄にならないことを祈ろう。

 

かつて“神”であったわたしが祈るべき対象がいったいなんなのか、わたしにもわからんがな。

 

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***side 悟空***

 

『ア…アア…』

 

消えていく17号の魂を見ながら、俺はかつての記憶を思い出していた。

 

破壊と殺戮の限りを尽くした記憶を。

 

「…そうか、どうりで地獄が懐かしく感じるわけだぜ」

 

荒涼とした大地。

 

針山が乱立し、煮立つ血の池は鼻に鉄錆びの臭いを届ける。

 

ここはかつて1000年に渡って俺が囚われていた場所。

 

そしてかつて通過した場所。

 

「…あそこはもっと下か」

 

俺は底が見えない暗闇の亀裂に身を投げ出し、落ちていく。

 

焼け溶けた銅鉄の川が見える。

 

何度も手足を砕かれる罪人の姿が見える。

 

懐かしい。ここで、幾度殺されたことか。

 

かつて地獄で裁きを受けた俺は、次々と他の魂が消えていくなかただ一人消えることはなかった。

 

焼かれ、裂かれ、食われ。

 

凡そありとあらゆる苦しみを味わわされても、俺は納得できなかった。

 

あの日自分の血を引く子供を殺したとき、はじめて自分の中の“黒い力”の全力を出しきったとき。

 

俺の胸に去来したのは、絶望と虚無感だった。

 

あのときまであり得なかった、戦うことへの悦び。

 

自分が拳を打ち付けても、倍の力でそれを返してくる強敵の存在。

 

宇宙の果てまでも、銀河の星々をも征服した俺が、ついぞ手にいれることの叶わなかった存在。

 

それを、俺はあっさりと壊してしまった。

 

その事実に気づいたとき、俺は怖くなった。

 

ひょっとしたら、今まで俺が壊してきた星や、殺してきた人間の子孫に、もっと俺を楽しませてくれるヤツが生まれていたかもしれない。

 

俺がこれまで挑んできた相手の種族、その女を犯していたのはこの為だったのかと、漠然と理解した。

 

そう思うと、俺はなにもできなくなった。

 

無闇にこの力を振るえば、それだけで人は死ぬからだ。

 

かつてはよかった。塵芥(ちりあくた)に過ぎない存在など、どれだけ滅びようとも構わなかった。

 

だが今は、それによって訪れるのが虚(うろ)だと知った今は、もはや先までのように無為な力を振るおうとは思えなかった。

 

そしてそれは、破壊神に殺される寸前まで変わらなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ずいぶんと無茶苦茶をしてくれたね、全王様に知られて僕が“消滅”させられたらどうするんだい」

 

破壊した星々が欠片となって宙に浮く片隅で、そいつは俺に話しかけてきた。

 

紫色の肌にやせぎすな体、なにかの儀礼用のような衣装を着た猫の獣人族のようなそいつを見て、俺は直感的に目の前のそいつが《破壊神》であることに気づいた。

 

「…なんの用だ、破壊神。“今の俺は疲れている”」

 

「その“疲れている”きみに用があって来たんだよ。早速で悪いけど、さっさと“破壊”させてもらうよ」

 

向かってくる破壊神の掌が、ひどく緩慢に感じる。

 

疲れているのは本当だが、戦いとなれば話は別だった。恐らく“黒い力”を解放すれば、この程度の消耗はわけもなく吹き飛ぶだろう。

 

「“破壊”っ!!」

 

「ぐっ…!」

 

だからこそ、俺はそれを避けなかった。勝手に反応しようとする体を無理矢理押さえつけてまで。

 

すでに俺とあのガキの戦いで、いくつもの銀河が滅びただろう。

 

もうそれを繰り返させてはいけない。仮に俺がこの破壊神と戦えば、さきほどのように宇宙が滅茶苦茶になるだろうから。

 

崩れ落ちていく体を見やりながら、俺は安堵する。

 

「…これでもう、殺さなくて済む」

 

「きみは…」

 

俺の全身が崩れ落ちる前に破壊神がなにか言ってきた気がするが、それは俺の耳には届かなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…そうだ、俺はここにいたんだ」

 

そこは無間(むけん)の闇。

 

光は一切ない。自分という存在以外の一切が存在しない完全なる無の世界。

 

それが、ここだった。

 

時間の感覚などありはしない。

 

一秒を一年のように感じ、それがひたすらに続く。

 

苦痛も、悦楽も、なにもない。

 

俺の魂が朽ちるのに、これほど相応しい場所はないだろう。

 

「…そうだ、ここで少し眠ろう」

 

ひどく疲れた気分だった俺は、そこで目を閉じようとする。

 

このまま闇に落ちていけば、今の俺を包む“黒い力”が大切なものを傷つけることもない。

 

そう、思ったときだった。

 

『あなた…!』

 

「っなに!?」

 

俺の耳にはっきりと、ブルマの声が聞こえた。

 

だがそんなはずはない。ここは無間の闇。誰かの呼び掛けなど、聞こえるはずがない。

 

だがだとすれば、今の声はなんだというのか。

 

『悟空さま…!』

 

「今度はチチか…!」

 

次々と自分の女の声が聞こえれば、例え闇とて俺は動かざるをえない。

 

もし万が一こんな場所に彼女たちが来てしまったというならば、一刻も早く助けなければ。

 

『旦那様…!』

 

「ランチ…」

 

ディナーを傷つけられ、悲鳴をあげたランチの声は悲痛に満ちていた。

 

誰だ、誰がお前にそんな声を出させやがる。

 

『バカ亭主…!早く帰ってきやがれ…!』

 

「…バカはひどいだろう」

 

次に聞こえてきたのは金髪ランチの声。その言葉とは裏腹に、彼女の声もまた悲痛に満ちている。

 

『ご主人様…!』

 

「マイ…」

 

彼女の声はひとえに俺を案じるものだった。

 

みんなの声が、熱のように俺のなかに広がっていく。

 

『悟空…!』

 

「バイオレット…」

 

気丈な彼女の声は震えていた。ああ、そうだ。彼女たちを悲しませているのは、この俺自身だ。

 

『悟空さん…!!』

 

スノの声が聞こえる。よかった、もう目を覚ますことができたのか。

 

『しっかりしな…!』『あなたがいなくなったら、あたし生きていけないわ…!』

 

「ハスキー、ランファン…」

 

次々と聞こえてくる女達の声が、俺を奮い立たせる。

 

そうだ、そうだとも。

 

今の俺は、かつての“名もないサイヤ人”じゃない。

 

ましてや、“伝説の超(スーパー)サイヤ人”でもない。

 

「俺は、俺は…!!!」

 

無間の闇に光が生まれる。

 

黒い電光がそれを邪魔するようにまとわりつくが、もはやこんな“力”は枷でしかない。

 

「俺は…孫悟空だ……!!」

 

光がすべてを覆いつくす。そして俺は…

 

□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□◽□

 

***side ピッコロ神***

 

「…やれやれ、なんとか自分を取り戻しよったか」

 

わたしはポタラを外し、元の自分に戻るとその場に膝をつく。

 

悟空め、とんでもない早さで地獄の最下層まで落ちよって。わたしが改造したポタラがなければ、呼び掛けることすら叶わなかったぞ。ポタラは砕けてしまったが、まあいいさ。友には変えられん。

 

「どうなったの!?」

 

慌てたように駆け寄ってくる悟空の妻たち。

 

「…安心せい。やつは自力で自分を取り戻した。礼を言いますぞ、界王様」

 

わたしは遠隔会話をブーストして繋いでくれた影響で気絶している界王様に向かって礼を言う。

 

今回、彼の協力がなければ間違いなく手遅れになっていた。

 

「いやあ、冷や冷やしたけど、どうにかなったならよかったよかった」

 

真っ先に快活な声をあげたのは宇宙から戻ってきたヤーチャこと人造人間15号。

 

彼の言葉をきっかけに緊張感が解けたのか、その場にいる全員が思い思いに膝をつく。

 

「ふはー、じじいにはしんどいわい」

 

「そうは言いますけど、武天老師様悟空さんを呼び掛けるのに力を貸してくれって言われたとき、いの一番に名乗り出たじゃないですか」

 

「そうですよ。俺も方法には驚きましたが、なんともあの人らしいですね」

 

亀仙人、クリリン、天津飯の三人が思い思いに感想を述べる。

 

今回悟空へ呼び掛けるために、わたしはポタラでの合体後、この場にいる全員へ呼び掛けた。

 

地獄の最下層へ落ちていった悟空を救うためには、尋常ではないエネルギーを必要とする。

 

そこで、みんなのパワーが必要だったのだ。

 

「わたしたちも力になれて何よりです」

 

「けっ、あの化け物師匠のこったから、俺たちがなにかしなくても勝手に戻ってきやがったよ」

 

「ギランっ!貴様というヤツはいつになれば師匠に敬意を示すのだ!」

 

立って喧嘩するほどに余裕がない三弟子だが、その顔は一様に安堵している。ギランも口ではああ言っているが、力添えを頼んだときに武天老師に次いで手をあげたのをわたしは覚えているぞ。

 

「まさか原種超(スーパー)サイヤ人にあのような力の回復方法があったとはな」

 

「ええ、驚きました。まさか我々のパワーを送ることで回復なさるとは」

 

「にしてもいいなあ、べジータ王もセリパの姉御も。俺もパワーアップしたいぜ!」

 

「…お前は本当に口が減らないな。だが、今回に限っては俺も同じ意見だな」

 

サイヤ人組も同じく座っているが、彼らはわたしに教えられた超(スーパー)サイヤ人4と悟空が呼んでいた形態、いわゆる原種サイヤ人への再変身と、それに伴うサイヤ人だけが持つエネルギーである“サイヤパワー”の回復に努めた結果だった。べジータ王の持つエネルギーは界王様の遠隔会話を繋げる際のエネルギーを大部分補ってくれていた。

 

「こりゃ、俺たちは第一線から引退かな」

 

「ンダ」

 

「「そう落ち込むことはないぜ。俺たち以外の強さがとんでもないだけだ」」

 

クラッシャー軍団の残りの面々は自分達の今後を考えているようだな。まあ、これだけ力の差がある戦いを連続で経験しては仕方があるまい。

 

「はい、仙豆だよピッコロ兄さん。あーん♪」

 

「ご、悟飯。俺は別に自分で食べられるぞ…!」

 

「…あーん」

 

「わかった、わかったからそんな目で見るな!」

 

我が息子は順調に染められておるな。…悟空よ、そろそろ真面目に悟飯の今後を考えた方がよいかもしれんぞ。

 

さて、悟空が帰ってくるまで時間があることだし、何か聞きたげなべジータ王の質問に答えるとするか。

 

「さて、べジータ王よ。今回はお主のおかげで助かった。聞きたいことがあればなんなりと聞くがよい」

 

「…よく俺が質問したがっていることに気づいたな」

 

「なに、これでも曲がりなりに“神”をやっておるのでな」

 

「なるほど、それはわかりやすい。では聞くが、悟空が放ったあの“力”はいったいなんなのだ?」

 

べジータ王の質問に、わたしはしばし考え込む。

 

「わたし自身、詳細を知っているわけではない。だが悟空曰く、あれは“魔神”の力だと言っておった」

 

「…魔神?」

 

「そこからはわたしが説明しましょう」

 

「誰だっ!」

 

いつの間にか現れた少年にべジータ王をはじめとしたサイヤ人組が真っ先に反応するが、それをわたしは手で抑える。

 

「先触れぐらいは寄越してくだされ、界王神様」

 

そこに立っていたのは宇宙を管理する神の最高位。少年のような姿をした存在───界王神だった。

 

「それは失礼を。ですが、さすがに“伝説の超(スーパー)サイヤ人”が再来したとあっては、黙っているわけにもいきません」

 

「っ!そういうことでしたか」

 

わたしは悟空が持つ“黒い力”に納得がいった。なるほど、そうであれば悟空があの力を“魔神”と評したのも頷ける。

 

「俺にもわかるように説明してくれるか」

 

「うむ、そうだな。べジータ王、魔族というのがどういった存在か、どこまで知っておる」

 

「大したことは知らんな。俺が把握しているのは、破壊と殺戮を好んで繰り返す結果魔族になるということ、魔族になると戦闘力が増すということだ…おい、まさか」

 

自分で言った言葉に得心がいったのか、べジータ王が問い返してくる。

 

「そう、そのまさかよ。やつのあの“力”は魔族と同種のものだ」

 

「…なんだと!?」

 

確信を得てしまったわたしたちはその言葉の意味を反芻するように黙りこむ。

 

「正確には彼の力は後天的なものではなく、先天的に得られたもののようですがね」

 

そこから説明を引き継いだ界王神様によって、1000年前に起こったこの宇宙を滅ぼしかねないほどの戦いが語られた。

 

「…なんとも、規模の大きな話だな」

 

思わず嘆息するべジータ王だったが、無理もあるまい。薄々気づいていたわたしでさえ、驚きを隠せないのだから。

 

「あなたはそれほど驚いていないようですね。地球の神よ」

 

「まあ、驚いていないと言えば嘘になりますがな。神になる際、宇宙の大まかな歴史は学んでおりますゆえ…」

 

「ええ、正直あなた方を界王神界に連れてきたこと、あとで破壊神にどやされそうで困ってますよ」

 

苦笑いしながらため息をつく見た目相応の反応を示す界王神様に、わたしは警戒心を少しだけ緩める。

 

「…彼が再び“殺戮と破壊の権化”としてその力を振るおうとするなら、わたしは一命に変えても破壊神を目覚めさせねばなりません」

 

悲壮な覚悟を決めた界王神様だが、そうはならないことも知っているだろう。ゆえにわざわざわたしたちの前に姿を現したのだから。

 

「まあ詳細は悟空の口から聞くべきでしょうが、今さら“その程度”の衝動にかられることはないでしょう」

 

「…信頼しておられるのですね、あのひとを」

 

「当たり前です。それにヤツがそんなことを仕出かそうとするなら、わたしがぶん殴って止めてみせますよ」

 

すでに悟空との力の差は開く一方だが、そんなことは問題ではない。

 

わたしはヤツの“友”なのだから。

 




べジータ「で、結局魔神とはなんだ」
界王神・ピッコロ神「あ」

まあ詳細は次回悟空に語らせます。魔族に関する設定や伝説の超(スーパー)サイヤ人の昔話はオリジナルですのであしからず。


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神と魂の秘密

遅くなってごめんなさい、作者です。
いつも楽しみに待たせている方々お待たせしました。
感想は作者の養分ですのでどんどんください。

とはいえ前回感想で言われたことに凹んでたところにタブレットが破損したことで大幅に遅れました(白目)


まあ、敢えて言いましょう…

調子こかせてもらうぜっっっ!!!(勇次郎感)


***side 悟空***

 

「…俺が悪かったって」

 

殴られるのは覚悟していた。

 

実際ピッコロのヤツには殴られたし。

 

ああ、ピッコロは以前までピッコロ神で呼んでいた方だ。

 

俺の過去を知ったら、余計に神として接するのが嫌になったらしい。

 

「対等な関係だからこその友人だ」

 

とはやつの言葉だ。

 

お言葉に甘えて、俺はピッコロ神をピッコロ、ピッコロジュニアをジュニアと呼ぶことにした。

 

あまり変わってない?気分だ、こんなものは。

 

で、そんな俺がなにに困っているかというと。

 

「だって、あなたがいなくなっちゃうって思ったら…」

 

先程から胸に、いや全身にすがりついて泣いている女達である。

 

ブルマ、チチ、ランチ、マイ、スノ、バイオレット、ランファン、ハスキー。

 

我ながらよくもまあこれだけの人数を抱え込んだと言いたいところだが、正直これは殴られるよりきつい。

 

地獄の責め苦を1000年受けた俺が断言しよう。

 

愛する女に涙を流させるくらいなら、文字通り地獄に落ちた方がマシだ。

 

「やれやれ、ずいぶんと女たらしになったなおめえ」

 

俺はその声に硬直した。

 

全身が震え、視点が覚束なくなる。

 

突然変わった俺の様子に、女達が驚いて俺の見ている方向を振り向く。

 

「よ、久しぶりだな。悟空」

 

「義父さん…」

 

そこには頭に天使の輪を浮かべた俺の義理の父。孫悟飯が立っていた。

 

「え、でもあなたのお義父さんって亡くなったんじゃ…」

 

「おう、だから武天老師様の姉貴に頼んでな。一日だけ生き返れる権利を使わせてもらったんだ」

 

あっけらかんと語る義父さんだが、俺はまだ驚きで動けない。

 

それだけ、離別した義父との再開は、ことさら今の俺には堪えた。

 

「本当は暴走したお主を止めるために呼んでおいたんじゃがな。せっかくじゃから孫の顔を拝みたいんじゃと」

 

さらにもう一人、“若い女の声”が聞こえ俺はそちらを見やり───固まった。

 

「あ、あんたがひょっとして占いババか…?」

 

「そうじゃ、この世でただひとりあの世との行き来を担う、何でも占う“占いババ”とはワシのことじゃ♪」

 

そこにいたのは、俺の植え付けられた知識を元にするなら『マリベル』という少女が一番近いだろうか。

 

クセのあるくるくるした明るいオレンジ色の髪をなびかせ、巨大な水晶のうえに股がった少女がいた。

 

「あー、いやすまん。俺の植え付けられた知識によれば、あんたは男の声したババアでな。イメージと違いすぎてちょっと固まったぞ」

 

「なんじゃと、失敬な。ワシの不老不死は完璧じゃ。そこの弟みたいな半端な真似はしとらんわい」

 

持っていたまるでおもちゃのような杖で向けられた先には亀仙人の姿がある。

 

「相変わらずじゃのう、姉ちゃん。でもいい加減占いババはよさんか?見た目と違いすぎるぞい」

 

「何を言うかこの愚弟は。占い師とくれば、老練な魔女か、怪しげな魅力渦巻く美女と相場が決まっておる。ワシの見た目通りに名乗ったら占い少女ではないか。そんなのでは客が集まらんわい」

 

ツン、と拗ねたように顔を背ける占いババ。やばい、可愛い。

 

俺は反応しようとする逸物をメタルクウラを砕いたときと同じぐらいの力でぶん殴り正気を取り戻す。

 

「ぐぅ…!?と、ともかくだ。いつまでもこんな場所で話しているのもなんだから、いい加減移動しないか?カプセルコーポレーションに招待するぜ」

 

「悟空さま、カプセルコーポレーションは今…」

 

そう言われて俺はそういえばメタルクウラにカプセルコーポレーションが破壊されたのを思い出す。

 

だがまあ、丁度いい。

 

「わかった。だがまあ、あれくらいならまあなんとかなるだろう。はあっ!」

 

俺は気合いをこめて作り出したエネルギーボールから“ふりーざくん”達を作り出し、一足先にカプセルコーポレーションへと向かわせる。

 

「“ふりーざくん”に片付けに向かわせた。移動は俺の宇宙船で行こう。中で話したいこともあるしな」

 

俺はポケットからホイポイカプセルを取りだし、宇宙船を出現させる。

 

「クウラ!お前も来いよ!フリーザの話の続きも聞きたい!」

 

声を張り上げ、一見微動だにしないクウラに声をかける。

 

セリパなどは尻尾を逆立て警戒していたが、今は個人の事情は後回しだ。

 

「…愉快な話ではないぞ。場合によっては俺はさっさと“ヤツ”の元へ向かわせてもらう」

 

「なあに、今の俺ならどうにでもなるさ。だがまずは情報の共有が先だ」

 

「なあ悟空さん。18号は連れていくのか?」

 

割り込むようにして話しかけてきたのはヤーチャだ。どうやら18号の意識がそろそろ回復しそうらしい。

 

「もちろんだ。お前も来いよヤーチャ、遠慮することはない」

 

こうして俺の宇宙船にはここに集まった全員が乗り込んだ。

 

ちなみにこんなこともあろうかと、ブリーフ博士とブルマによって宇宙船は改造済みである。

 

具体的には百人は乗れるだけの大型船になってしまった。

 

俺は宇宙船の操縦を新たに出した“ふりーざくん”に任せると、思い思いの場所に座るみんなの前へ行き、長い昔話を語り始めるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

***side 悟空***

 

「…魔族と突然変異は、いわば同質の力だ」

 

全員が楽に座れる中央ホールで椅子に座りながら1000年前の話を語り終えた俺は、魔神の力について説明を始めた。

 

「人が魔族へ変わるための理由はもう理解できたと思うが、突然変異は当人の魂そのものが魔族としての性質を持って生まれてくるのと同義なんだ」

 

「魂が、ですか?」

 

クリリンが魂という言葉に反応する。

 

「そうだ。そもそも俺たちが気やエナジーと呼んでいるこれらのエネルギーは、誰もが体に宿す“魂”から生まれる」

 

俺は掌にエネルギー球を浮かべて説明する。

 

「そしてこの俺の魂は、いわば魔の力のオリジナル…とでもいうべきか。前世と、そして更なる“過去”を思い出したからわかったが、俺の中には連綿と続く戦いの記憶が残っている。恐らくこれこそが俺の魂が持つ特性だ」

 

「戦いの記憶、ですか」

 

今度は界王神が俺の言葉を拾う。そうか、彼はまだ若かった上に、界王神としての引き継ぎが不十分なんだったな。

 

「ああ、数億年に渡って繰り返されてきた破壊と殺戮の記憶。どれだけ魂が生まれ変わろうと、けして消えることのない本能。…それこそが、この俺の本質だ」

 

「違う!」

 

どこか自嘲するように言った俺の言葉をナムが否定する。

 

「億の年月など、わたしには分かりはしません…ですが!わたしの師匠はすばらしい人だ、前世が悪人だったからなんだというのですか、あなたはあなたでしょう!?」

 

思いの丈を吐き出すように叫ぶナムの姿に、界王神が驚いたような顔をする。

 

「くっくっ、そのとおりだ。だからこそ俺は今の俺でいられる。もう破壊と殺戮の本能なぞに負けることはないさ。ありがとうな、ナム」

 

俺の言葉にナムは泣き出してしまった。

 

不安にさせたのは女達だけじゃなかったか。

 

「…魔人ブウの件で借りがありますけど、正直わたしの手には負えませんよ。まったく、ご先祖様もなんで着いてきてくれなかったのか」

 

「…ああ、そりゃ仕方ないさ。あいつが来たら、たぶんビルスは間違いなく目を覚ますだろうからな」

 

「どういうことですか…?」

 

不思議そうな顔をする界王神だが、ちょっと神としての自覚が足りなすぎるな。…やれやれ、神になる前のこいつを思いだしちまったからどうにもやりにくいぜ。

 

「破壊神ビルスは対となる界王神と命が繋がっているのはお前も知っているとは思うが、それだけじゃない。自分の命のストックが危機的状況に陥った場合、察知する能力を持っているのさ。俺の前に界王神が勢揃いしてみろ。勢い勇んで現れた破壊神が開幕地球破壊しかねんぞ」

 

俺の言葉に何人かは破壊神のことを思い出したのか青い顔になる。

 

「そもそも、かつて魔人ブウが次々と界王神を倒していったとき、なぜやつは気づかなかったと思う?」

 

出来の悪い教え子に接するように、ひとつひとつを噛み砕いて説明していく。

 

「えっと、よく寝ていたから、ですかね」

 

いまいち自信がないのかすっとんきょうなことを言い出す。はあ、やっぱり根っこの部分はポンコツだな。

 

「…あながち外れじゃないんだろうが、違う。もっと簡単なことだ。“誰も殺されてなかった”からさ」

 

「そ、そんなバカな!?事実、私たちは魔人ブウに…!」

 

狼狽する界王神だが、事実だ。

 

「だから面倒な手順を取ってまで封印処理にとどめたんだろうが。大分奥深くにまで取り込まれた上に、魔人ブウの魂に吸収されかけてるヤツもいるが、まだ生きてるさ。界王神なら魂を見るくらいできるんだろ?」

 

しかりつける俺を前に肩を落とす界王神。キビトはどうしたものか分からずオロオロしている。

 

「ま、お前のこった。相手は魔人だからとか勝手に判断して死んだものと考えたんだろうが、もう少し自分の力を把握して動くんだな。大体、キビトみたいな劣化界王神が生まれてきている時点で神の循環がうまく機能していないのはわかっていたんだろう?」

 

「そ、それは…」

 

神の循環とは、界王神界にある神王樹から次世代の界王神が生まれるシステムのことだ。

 

本来ならば界王神は各銀河にひとりずつ存在するのではない。宇宙そのものを三人が交代で治める。三人の役割も違い、力の界王神、知恵の界王神、心の界王神と三種に別れる。この内力の界王神として生まれてくる存在は、本来なら破壊神に準じる力を持つはずなのだ。

 

ちなみに老界王神は知恵の界王神に、目の前の若い界王神は心の界王神にあたる。

 

だが破壊神の専横を許したこと、早い内から魔人ブウに対処しなかったことによる殺戮の影響で、神として昇華される魂が少なくなってしまった。

 

他の宇宙があることも思い出したが、恐らくこの宇宙、第七宇宙だったかは人間が住んでいる星がかなり少ないはずだ。1000年前の時点で10000もなかったと思う。

 

過去の俺が神の候補者となりうるあの世の達人を殺して消滅させた影響も少なからずあるだろうが、ある意味ビルスの自業自得でもあるな。

 

そもそも、命のストックが増えたことに慢心して破壊しまくる破壊神と、それを寛容した界王神の責任ではあるが。

 

「俺が記憶を取り戻した以上、少なからずかつての罪は償わせてもらう。まずは近い内にドラゴンボールを使って界王神達を復活させよう。っと、その前にフリーザをなんとかしなければならないか。大体予想はついているが、俺から説明して構わないか?クウラ」

 

「…構わん。違いがあれば訂正してやる」

 

「よし、許可も出たし説明するぞ。そもそもフリーザは、伝説のスーパーサイヤ人だった頃の俺を参考に“意図的な”突然変異を加えて作り出された存在だ。お前もそうなんだろう、クウラ」

 

必要なときまで黙っているつもりだったのか、話を振られて視線が集まるのをうざったそうにするクウラ。

 

「そのとおりだ。だが俺は所詮試作品であり失敗作だ。どれだけ鍛えたところでフリーザほどの潜在能力はありはしない」

 

「そうでもないぜ。今のお前、まだまだ鍛える余地はありそうだしな。肉体改造されたときに魂も影響を受けてるみたいだから、ひょっとしたら俺に届くかもしれないぜ」

 

「ふん、貴様の評価など知ったことではない。が、であるならばいずれ打ち倒してみせよう。必ずな」

 

闘志の籠った目を向けられ、俺はその熱にさらされ嬉しい気持ちになる。

 

やはり何時如何なる時であっても、挑む者の視線は心地いいものだ。

 

「さて、話に戻るぞ。フリーザはその特性ゆえに、極めて俺に近い魂を持っている。だがそれは無理矢理に植え付けられたモノだ。それがバーダックとの戦いで死を意識したことで解放され、結果ヤツは魔族と化し、自分の部下も、父も、なにもかもを食らいつくした」

 

俺の言葉に女達が息を飲む。

 

「…自分の父親まで食っちまったのか」

 

「ああ、そのうえやつは誰かを食うことで力が増すことを覚えちまった。とはいえ、それだけなら俺以外でも何とか対処もできたんだ」

 

クリリンの言葉に俺は答えながら、足を組み替える。

 

「…ところがヤツは、フリーザ一族に伝わる水晶化によって一度封印された」

 

「そうだ。あのときはそれ以外に手段がなかった。だが結果として、俺は宇宙そのものを破壊する災厄を解放してしまったことになる…」

 

「なんとかなるさ。“俺”がいる」

 

安心しそうになる一同。だが、ひとり深刻そうな顔をしている人物がいた。界王神だ。

 

「…そのことで悟空さんに報告があります。実は、あなた方の戦いが起きて少ししてから、あの世の達人がフリーザ討伐に向かいました」

 

「なんだとっ!?」

 

その言葉に驚愕する一同。

 

まずいことになったな。最悪、あの世の達人が全員食い殺されかねない。

 

「まだ間に合うなら今すぐに止めろ!これ以上フリーザを無駄に強くすることはない!!」

 

真っ先に反応したべジータ王が声を荒げるが、界王神の言葉は芳しくない。

 

「ま、待ってください!大界王の元で修行を積んだ彼らはひとりひとりが地球の神に匹敵します!それが十数人といるんですよ、さすがのフリーザも…」

 

「無理だな…」

 

界王神の叫びを遮るように、俺は目を閉じたまま告げる。

 

「界王様、悪いが手伝ってくれ。俺の見ている映像を他のヤツにも見えるようにしてもらえるか」

 

「わしまだ頭が痛いんじゃが…わかったわかった、全員でこっちを見ることないじゃろうが」

 

ぶつぶつと文句を言う界王様が触覚を動かして俺が見ている映像と繋がる。

 

「…こ、これは…!!」

 

「…ああ、ひどい有り様だ。おい界王神、ビルスはまだ眠っているのか」

 

「え、あれ?いや、破壊神の気配を感じます!彼は間違いなく起きています!」

 

「ちっ、何をやっているんだヤツは…!肝心なときに役に立たねえ!だから天使なんぞに破壊神の管理を任せるのは反対だったんだ!」

 

俺はもっとも古い記憶を思い出しながら舌打ちする。

 

その間にサイヤ人をはじめとした戦士の面々は界王様に触れながら目を閉じることで魔獣と化したフリーザを見やる。

 

「な、なんとおぞましい怪物だ…!」

 

「むぅ、こ、これは…!」

 

ベジータ王と亀仙人が金色の魔獣となったフリーザを見ながら、血にまみれたやつを見て吐き気をこらえるように口元を抑える。

 

封印が解けたのか解かれたのか。本来の力を取り戻した俺はすぐにフリーザを見つけることができた。

 

しかし辺境の星でフリーザに挑んだ戦士らの大半はすでに八つ裂きとなってその魂を食われた。

 

生き残った戦士も懸命に戦っているが、もはや時間稼ぎすらできていない。

 

そんな中、フリーザはあの世の達人らをなぶり、弱らせながら少しずつ食らっていく。

 

…ヤツにはもはや言葉すらない。いたずらに命を、魂を弄ぶ狂った魔獣そのものだ。

 

「…界王神、こうなっては一刻の猶予もない。俺はフリーザを倒すぞ」

 

「こんなことになるだなんて…ああ、わたしが破壊神をもっと早く起こしていれば…!」

 

嘆きうずくまる界王神だが、俺はその胸ぐらを掴み無理矢理立ち上がらせる。

 

「泣くなっ!お前が自分の判断を否定する分には構わないがな、戦いそのものを否定することはあそこで散っていった戦士達を侮辱する行為だ!例え力及ばずとも、やつらの戦いそのものは絶対に否定するんじゃない!」

 

「う、うう…」

 

「ちょっとあなた、その辺にしてあげなさい。可哀想よ」

 

俺はブルマに宥められ、界王神をゆっくりと下ろす。

 

やれやれ、こいつがこの様じゃ、キビトに瞬間移動してもらうわけにも行かないな。

 

「…仕方ない。フリーザの元まで直接飛んでいく。悪いがピッコロ、手伝って「その必要はないよ」…ビルス、貴様何の用だ…!」

 

宇宙船の中に不意打ちで現れた相手を俺は睨み付ける。

 

紫色の肌をした、猫を人にしたような姿をした神。

 

破壊神ビルスがそこに立っていた。

 

「何の用もなにも、君をここに足止めするためだよ」

 

「…正気か?あのフリーザが暴れれば、間違いなくこの宇宙は壊滅的なダメージを受けるぞ」

 

「かつて宇宙を壊しかけた君に言われたくはないね。それと、別に無目的に放っておくわけじゃないよ」

 

飄然と告げるビルスに俺は違和感を感じて気づく。

 

「おい、あの胡散臭い天使は、ウィスはどこにいる」

 

「あれ、もう気づいちゃった?ウィスなら今フリーザを誘導しているよ」

 

「界王様!」

 

「ほ、ほんとうじゃ悟空!今ウィス様がフリーザを宇宙空間に誘導して、凄まじい速度で移動しておる!」

 

俺は嫌な予感がしてビルスをにらみ、はたと気づく。

 

「ビルス、貴様まさか…!」

 

「ご明察。ウィスがフリーザを誘導しているのはナメック星さ」

 

俺はビルスの企みに気づいた。

 

こいつは黄金の魔獣と化したフリーザを相手に、かつての俺にやったのと同じ方法を取るつもりだと。

 

「ふざけるな!!今のアイツにかつての力はない!ブロリーとてただの優秀な先祖帰りに過ぎん!どっちも殺されるだけだ…!」

 

「だから余計に好都合なんじゃないか。宇宙のバランスを破壊しかねない余計な存在を二人も同時に始末できる」

 

「殺す…!」

 

殺気をこめて俺はビルスを睨むがヤツは涼しい表情のままだ。

 

「いいのかい?こんな場所で戦えば、うっかり君の家族が“破壊”されちゃうよ?」

 

俺は怒りで目の前が白くなるような錯覚を覚えるが、それをどうにか抑える。

 

…まずは考えることだ。目の前の破壊神を出し抜き、ナメック星まで行く方法を。

 

「つまり僕はここにいるだけで君に対しての足止めになるってことさ。ああ安心しなよ、仮にも神に至った魂を持つあの子が食われれば、フリーザは大幅に弱体化する。そうなったら僕がさっさとフリーザを破壊してあげるから、宇宙のことを心配する必要はないよ」

 

「…そうか」

 

俺は一言答えると、改めて椅子に座りなおす。

 

「おや?暴れないんだね。君らしくもない」

 

「人は変わるんだよ。それに、まだ希望が潰えたわけじゃない」

 

そう、現世でセーロと呼ばれるアイツがかつての記憶を呼び覚ませば、まだ希望はある。

 

「…ふん。なら僕は精々君を監視させてもらうとしようか。ちょっとそこの女。なにか美味しいモノを持ってくるんだ。不味かったら破壊しちゃうからね」

 

「ブルマ、それならそろそろカプセルコーポレーションにつくからそこで食事にしよう。片付けも終わったみたいだしな」

 

“ふりーざくん”の活躍により瓦礫はすっかり片付けられ、ブリーフ博士の取り出した予備の家によって、俺たちの住まいは見た目だけならほとんど元に戻っていた。

 

「…なあ破壊神。今戦ったら、お前俺に勝てると思うか?」

 

「愚問だね、僕は宇宙最強の破壊神だ。君なんかに負けるわけがないだろう」

 

「…そうか、それは楽しみだ」

 

俺は口の端に笑みを浮かべながらナメック星を見ることにした。ここにいながらできることをするために。

 

◻◽◻◽◻◽◻◽◻◽◻◽◻◽◻◽◻◽◻◽◻◽◻◽◻

 

***side セーロ***

 

ボクの朝は早い。

 

寝る前に散々抱かれたことでパリパリに乾いた精液を適度に拭うと、ブロリーを起こさないように寝床から出ていく。

 

軽くストレッチをしたら次は水汲み。用途は色々だ。

 

家ほどある貯水タンクからいくつかの水瓶に手作業で移していく。

 

ついでに用意した水で浴槽を洗ったら、気を操作してお湯を沸かし、熱々のお風呂を浴槽の半分ほどまで用意しておく。

 

朝ごはんの用意がある程度済んだら、次にブロリーを起こしにいく。

 

「ん…ぐぷっ、んぷっ…」

 

昨日あんなに出したとは思えないほどに固くなったブロリーの朝立ちを鎮めるためにくわえこむ。

 

舌で裏筋を舐め、亀頭を口先に含んで舌先で刺激する。

 

時々玉の裏を揉みほぐしていけば、あっという間にブロリーの快感が高まっていく。

 

「ん…!んごっ!がぼっ!えぼっ!」

 

寝ぼけたブロリーがボクの後頭部を掴んで激しく出し入れを開始する。

 

少し苦しいけど、喉奥を突かれてボクのあそこはじっとりと濡れ始める。

 

「んぅ…!んぐ…ごく、ごく、んくぅ…」

 

胃まで直接流し込まれるみたいな勢いで射精されるブロリーの精液を、僕は美味しく飲みほしていく。

 

口の端にこぼれた精液もゆびですくい、チンポの周りについたボクのヨダレごと全体をキレイにしていく。

 

「姉さん、おはよう」

 

「んぐ…ぷはっ、おはようブロリー」

 

一度射精したことでスッキリしたブロリーが目を覚ます。

 

毎日見ているのにボクはその顔を見てボーッとしてしまうから困ってしまう。

 

端正な顔立ちに、キリッとした目付き。鍛え抜かれた筋肉は冗談抜きで金属みたいな質感を感じるときがある。

 

毎朝顔を見ているだけで、ああ、すごく格好よくなったなって素直に思えるんだ。

 

「ね、ブロリー。して?」

 

「わかったよ、姉さん」

 

ボクは口を離し、ブロリーに対面した体勢で両足を広げ、アソコを指で広げてブロリーを誘う。

 

まだ触ってもいないのに、ボクのあそこはトロトロになっていて、膣口がぱくぱくと酸素を求める金魚みたいに閉じては開いてを繰り返す。

 

「あっ…!ふぅ…~~~っ!!」

 

ただ入れられただけなのにスゴい快感が頭のてっぺんから爪先まで走る。

 

ボクは若干の潮を漏らしながら、ゆっくり動き始めたブロリーの胸板にすがりつくようにしてくっつく。

 

裸と裸。お互いの体温が直接伝わって、気持ちよさと安心感がボクの胸に広がっていく。

 

ボクだけが気持ちよくされてるのは悪いから、時々ブロリーの乳首を指でこねたり舐めたりしながら何度もイク。

 

姉さん、って耳元で囁かれればそれだけでボクはイッちゃうのに、ブロリーは何度もそれを繰り返す。

 

前後不覚どころか上下の感覚すら消えかねないほどの快楽の波の果てに、何度目かの射精がボクのお腹のなかに吐き出される。

 

「ぐっ、姉さん…!」

 

「ああっ…ブロリーのアツいのが…すっごい…」

 

ドクドクと脈打つようにして快感の波が引いていく。

 

それを名残惜しく思いながらも、ボクはようやく収まったブロリーのチンポがもう一度固くならないうちにぬぽっと音を立てて引き抜き、ぱぱっと服を着替えていく。

 

「さ、ご飯食べちゃおう♪」

 

「うん、お腹空いた」

 

いつもの朝の日常。

 

今日もブロリーは元気に過ごしている。

 

あれから随分時間が経って、ボクはもう悪夢を見なくなった。

 

平和な時間を噛み締めながら、どうかこの日々がいつまでも続きますように。

 

そんな風に思っていた。

 

「セーロ!ブロリー!いるか!!」

 

突如として、食事中のボクらの家にネイルさんがやってきた。

 

その様子は、今まで見たことがないくらいに焦っているように見える。

 

「ど、どうしたのさネイルさん!?」

 

「説明は後だ!とんでもない化け物がこの星に迫ってきている!お前たちは急いでこの星から逃げろ!」

 

ネイルさんの言葉にボクは嫌な予感がした。

 

まさか、そんな。でももしそうなら、ブロリーがなんとかしてくれる。

 

「…師匠、それは俺でも勝てないほどですか?」

 

ブロリーが冷静にネイルさんへ問いかける。

 

その言葉にネイルさんは忸怩たる思いを隠そうともせず、うつむいたまま拳を振るわせる。

 

その態度が、すべてを物語っていたけど、ネイルさんはそれでも言葉としてそれを紡ぐ。

 

「…わたしは最長老様に見せてもらっただけだが、断言しよう。アレは無理だ。誰にもどうしようもない。…いや、悟空ならばなんとかできるかもしれないが、彼を呼んで来てもらうまでにナメック星は間違いなく滅びる…!!」

 

悟空さんの名前を聞いて、ボクは胸の奥から奇妙な感情が沸き上がってくる。

 

数年前、ナメック星を訪れた元・名もないサイヤ人だった彼との邂逅は、ボクの心に不思議な感覚を残していた。

 

伝説のスーパーサイヤ人となったブロリーでさえもあしらう悟空さんでなければ対処できないだなんて、まるっきり悪夢じゃないか。

 

「そ、それじゃみんなはどうするのさ!イヤだよ、またボクだけみんなを見捨てて逃げるだなんて…!」

 

そのときボクの脳裏に見たこともない光景がフラッシュバックする。

 

無数の仲間達。ボクへ笑顔を向ける少女達。

 

そして、すべてを滅ぼさんと迫る災厄の魔神。

 

「あぐっ…!頭が…!」

 

「姉さん!?」

 

ブロリーが支えてくれるけど、ボクは混乱からなかなか抜け出せなかった。

 

今の記憶は、なに?

 

「…体調が悪いのか。すまないがわたしではどうにもできん。とりあえず急いで最長老様の元へ行け。ひとつだけ宇宙船も残っているから、そこから…バカなっ!?早すぎる!」

 

その気配を感じて、ボクはいつかの日を思い出す。

 

コロサレテイクナカマタチ。

 

ソシテヤツハばーだっくヲ…!!

 

「イ、イヤアアアアアッッ!!??」

 

「姉さん、しっかりするんだっ!くそっ…!師匠、姉さんを頼みます!」

 

「待てブロリー!ヤツと戦うんじゃない!!」

 

遠退いていくブロリーの気配。

 

止めなきゃ、彼も殺されちゃう。

 

けど、ボクの意思とは裏腹に体は動かなくなっていく。

 

誰か、誰かブロリーを助けて…!

 




やはー、前回に続きオリジナル設定バンバン出てきてますね(他人事)
細かい描写は前回に続き思いっきりはしょってます。
それでも文量パないですが、まあこんなもんということで。

次回予告

やめろブロリー!怒りに飲まれるなっ!

お前が暴走したら、誰がセーロを守るんだっ!

次回『黄金魔獣』

緑の星に、獣が咆哮するっ…!



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黄金魔獣 ★

ようやくここまで来ました。

去年の暮れに書きはじめた、元はストレス解消の八つ当たり小説。

処女作であるにも関わらず、多くの方に読んでいただき感無量です。

ここまで付き合っていただいた方々、本当にありがとうございます。

多彩な考察で物語の幅を拡げてくれたhisao様、ケンカを売ってるような文章ながら誰よりも早く読んで感想をくれたAPOCRYPHA様のお二人には特にお世話になりました。

…危うくGガンダムの脚本みたいに“完!”って書きそうになりましたが、もうちょっとだけ続くんじゃよ(笑)


***side 悟空***

 

「さすがにいいネタ使ってるな。あ、チチ、そこのエビフライ大皿で持ってきてくれ」

 

俺は口いっぱいに寿司を頬張りながら、揚げたてのエビフライをチチに持ってきてもらう。

 

「このお寿司というのは素晴らしいですねえ。ねえビルス様」

 

「ああ、正直こんなに美味いものを食べたのは4万年ぶりくらいかな」

 

ビルスと後から到着したウィスも並べられた料理に舌鼓を打ち、どことなく表情も柔らかくなっている。

 

「…師匠、こんなことをしていていいのでしょうか。今にもナメック星には破壊と暴虐が渦巻いているというのに…」

 

心底心苦しそうに話しかけてきたナムに、俺は“スプーンをぐにゃぐにゃと揺らしながら”答える。

 

「仕方ないだろう。現状でビルスを“押さえ込める”のは俺だけ。もし俺がここから離れれば、ヤツは容赦なくお前たちを破壊するだろうしな。それはごめんこうむる」

 

「…そうですか、“わかりました”」

 

残念そうにうつむくナムだが、俺の意図は伝わったようだな。さて、後はナメック星の連中がどれだけ持ちこたえられるかにかかっているが…

 

「言っておくけど妙なことをするんじゃないよ、サイヤ人。お前が指先ひとつでもナメック星の援護をしようものなら、僕はすぐにでもこの星ごとお前の仲間を破壊するからね」

 

「わかってるよ、ほれプリンでも食ってろ」

 

「…ほう、これはまた美味しそうだね」

 

餌付けであっさりと意識を逸らされるビルスに、こいつを感動させるほどの超一流料理人が現れたら破壊神の活動があっさり止められるんじゃなかろうかと思ってしまう。

 

ま、そんなことは隣の天使がさせないだろうがな。うまい食事を取らせなかったのも、どうせこいつの策略だろうし。

 

「おや、悟空さん。そんな目で見ないでくださいよ。わたしは“なにも”してないんですから」

 

「ほざけ、お前ら天使がどれだけ腹黒いかはよぉく知ってるんだよ。お前の親父がやってきたことはさんざん見てきたんだからな」

 

億年単位の追憶は記憶を劣化させるが、こいつら天使の所業は俺をして胸糞悪くさせる悪質なものだ。

 

宇宙の安定を保つためなら、どんな下劣な手段でも平気で取りやがる。

 

「まあまあ、お酒でも飲んでのんびりしてくださいよ。“今は”わたしたちが争う理由なんてないんですから」

 

相変わらず笑いながらのほほんと言ってのける目の前の天使にキレそうになるが、俺はそれをこらえて“手元の金属製ボトル”に入ったウォッカを一息に飲み干す。

 

その様子を見ていたチャパ王がこちらの意図を察したのがわかると、近づいてきたので声をかける。

 

「チャパ王、悪いんだが建て直した家の中に“水晶で出来た”俺のコップがあるんだ。中に“アレを入れて”取ってきてくれないか」

 

「はい、ただいま」

 

素直に立ち上がったチャパ王は、あるはずのないコップを探しに席を外す。

 

ビルスやウィスは俺やピッコロの動きはそれなりに警戒しているみたいだが、このなかでも弱い部類に入る三弟子は俺の妻たちに次いで無視されている。

 

それが好都合であることにも気づかずに。

 

「ギラン、暇だからなんかやれ」

 

「なんで俺だけそんな扱いなんだよ!」

 

さきほどからこちらに視線を投げ掛けてくるギランに、ややぞんざいに声をかける。お前露骨すぎるんだよ。

 

「いいから“グルグルガムで”なんか作れよ。そこにいる“破壊神と天使が満足”するようなものをな」

 

「…バカ師匠が無茶振りしやがって…」

 

「なんか言ったか?」

 

「わーったよ、やればいいんだろ!?」

 

俺が片手に構えたワサビのチューブを見て、ギランが悲鳴を上げながらグルグルガムを粘土のように捏ねはじめる。

 

「おや、なにかの余興かい。せいぜい楽しませてもらうよ」

 

ビルスがグルグルガムを捏ね回すギランの手元を注視する。

 

ちょうどその頃、“準備を終えた”チャパ王とナムが戻ってきた。

 

チャパ王はその手に“水晶で出来たコップ”を持ち、中には“あるもの”がなみなみと注がれている。

 

「そうそう、こいつが無いとな。手間をかけたな、チャパ王」

 

「いえ、それより“いつでも”お飲みください」

 

「ああ、じゃ遠慮なく「待ちなよ」…なんだ、破壊神」

 

俺がいかにも美味そうに飲もうとしたコップの中身を見て、ビルスが興味津々といった具合に覗きこんでいる。

 

「ずいぶんとそれを楽しみにしていたみたいじゃないか。ここはまず僕が口にするべきなんじゃないかな?」

 

イヤらしく笑みを浮かべ、自分の要求が通るものだと信じきっているビルス。ありがとうよ、お前がそう言うのを待ってたんだ。

 

「…仕方のないヤツだな。言っておくが、チビチビ飲むんじゃないぞ。それはな、一息にぐいっと煽るから美味いんだ」

 

俺はいかにも美味そうに、手で飲み干す仕草をする。ここまでの美食の数々に舌鼓を打ったビルスからすれば、それを食べなれているはずの俺がこれだけ期待している様子はさぞ羨ましそうに映るだろう。期待の意味が違うがな。

 

「もちろんだとも、君が飲む分なんて残してあげないよ」

 

言うなり、ビルスは一口でコップの中身をすべて飲み干す。“超神水”を。

 

「◎△$♪×¥●&%#?!」

 

意味不明の言葉を発しながら、ウィスの足元にコップを落とすビルス。

 

その瞬間、俺は合図を出す。

 

「今だ!」

 

「八手観音・水晶結界!」

 

落としたコップがまるで水に液体窒素を垂らしたように一瞬で広がり、ウィスを巻き込んでビルスごと水晶の仏像に閉じ込める。

 

「如意金箍呪・縛牢鎖!」

 

その水晶を囲むように鎖状に変形した如意棒が巻き付き、がんじがらめに縛る。

 

「おまけだ!ウルトラグルグルガム!」

 

水晶の隙間からギランが捏ねて粘度を強化したウルトラグルグルガムを流し込み固めてしまう。

 

「魔封波!」

 

とどめに俺がさきほど飲み干した金属のボトルに閉じ込めた破壊神と天使を封印すると、すばやく駆け寄った亀仙人が封印のお札を張り付ける。

 

「ナイスアシストだぜ、大師父!」

 

「ま、ギランがわかりやすかったからのう。今回の戦いに備えて一応持ってきておいてよかったわい」

 

俺は札を持ってきてくれていた亀仙人に感謝すると、ふたりを封印した金属のボトルをピッコロに投げ渡す。

 

「たぶん、10分ともたない。ピッコロ、急いでそいつを精神と時の部屋にある“開かずの間”に送ってくれ」

 

「よしきた」

 

ピッコロは魔法で金属のボトルを、精神と時の部屋にある開かずの間にあっさり送ってくれる。

 

これで時間が稼げるだろう。

 

「な、何が起きたというのだ」

 

事態についてこれなかったベジータ王がチキンを手に持ちながら固まっていた。界王神に至ってはキビトと一緒にまるで自爆したベジータのように白くなっている。

 

「ここで戦うわけにもいかないからな。とりあえず封印させてもらったんだよ」

 

「あれは、以前我々が師匠から教わった手順です。会話の中に連続してキーワードが入っていた場合、封印を施すための動きができるよう訓練してきましたので。…師匠は、最悪あれを自分にお使いになるつもりだったのでしょう?」

 

ややジト目でこちらを見てくるチャパ王に、俺は苦笑で返す。そのとおりだからな。

 

「悟空さん、開かずの間ってなんですか?」

 

俺が口に出した言葉が気になったのだろう。クリリンが聞いてくる。

 

「精神と時の部屋には、出入り口と繋がった場所に寝泊まりする場所があるのは知っているな。実はあそこの下に、部屋とは逆の作用が働く空間があるんだよ。落ちたら最後、外で一日が経つ間に一年が過ぎちまう。見つけたのは俺なんだが、あんまり危ないんでピッコロと協力して封印したんだよ」

 

「えっと、てことは…二日半は時間が稼げるってことですか?」

 

「正解だが、ヤツは破壊神だ。もしヤツが分割した封印をまとめてではなくひとつずつ破壊するしかないことにすぐ気づけば、思ったよりも出てくるのは早いかもしれない。それにどっちみち、二日では宇宙船での往復もできない。直接飛んでいくにしても今からじゃ間に合わない。だから、こうするのさ…!」

 

俺は“黒い”超(スーパー)サイヤ人へと変身し、遠視能力を発動する。イメージするのは、かつてノリで描いたヒーローの自分。

 

黒いバイザーマスクを被り、青いアンダーウェア、赤いマントを着込んだヒーローのテンプレのような姿。

 

「行けっ!グレートサイヤマンっ!」

 

遠視能力を最大発動させ、ナメック星に気で作られたヒーローが降り立った。

 

 

 

 

⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜◽⬜

 

 

カルゴは、目の前で起きたことが信じられなかった。

 

アジッサの苗の手入れをしていた最中、突如として空が暗くなった。

 

かと思えば、落ちてきた“キンイロノバケモノ”がムーリ長老を頭からかじった。

 

一瞬カルゴは固まり、次の瞬間には振り返って走り出した。

 

(早く、お兄ちゃんに伝えなくちゃ)

 

(逃げなくちゃ)

 

それだけが、幼いカルゴが精一杯考えられることだった。

 

だが幼いナメック星人の願いも虚しく、目の前には口を大きく開いた“キンイロノバケモノ”がいた。

 

悲鳴をあげる間もなく、カルゴは噛み砕かれて死んだ。

 

__________________________________

 

 

ブロリーは急いでいた。

 

この星に訪れた自分の心をざわつかせるナニカに急かされて。

 

すでに通常の超(スーパー)サイヤ人には変身している。

 

だから、ブロリーは目撃してしまった。

 

化け物が、デンデの頭を噛み砕く瞬間を。

 

「…あ、ああ…!」

 

つい先日まで、そこにはムーリ長老が率いるナメック星の村があった。

 

多くはないが、それでも十数人のナメック星人が慎ましやかに暮らしていた。

 

だがその場に転がっていたのは、かつてナメック星人“だった”肉片たち。

 

そのときはじめてブロリーに気づいたように、ゆっくりと化け物がブロリーの方を向く。

 

ブロリーは自身の心に去来する、見覚えのないはずの記憶と今目の前に広がる光景を重ねていた。

 

それはかつてブロリーの目の前で起きた惨劇と同じ。

 

血だまりの中で、口の周りを紫色の血で染める『黄金の魔獣』が彼を向いて吠え叫んだ。

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■っっ!!!!!」

 

「…フリーザ」

 

声に負けるようにして超(スーパー)サイヤ人を解いてしまったブロリーが、その場でうつむく。

 

しかしその周囲には、まるで風が吹くように気が集まりエネルギーが高まっていく。

 

「…フリーザ…!」

 

先程よりも大きく、呼び掛けるような声でブロリーは呟く。

 

「フリイイイィィィザアアアアァァァァァ!!!!!」

 

ブロリーのなかに“哀しみ”が広がる。

 

それはまるで“毒”のようにブロリーの心を侵食し、抑えられていた破壊と殺戮の衝動を解放した。

 

気が弾けるようにしてブロリーの全身から溢れ出ていく。

 

それに呼応するようにして、細かった全身の筋肉は肥大化し、身長までも変わっていく。

 

魔獣となったフリーザは、その姿をまるで“ごちそうができあがる”のを待つようにヨダレを垂らして待ち構えている。

 

やがて、ブロリーのほとばしる気が天候までもを変え、周囲が嵐に変わりはじめた頃。

 

変身を終えたブロリーは、巨大化してなお上回る大きさのフリーザを見上げて口角をつり上げる。

 

「さぁ来い!ここがお前の死に場所だあっ!!!」

 

挑発的に叫んだブロリーは、突進してくるフリーザに向かって掌に現出させたエネルギー球《ブラスターシェル》を叩きつける。

 

「■■■■■■■■■■■■っっ!!!」

 

だがその程度ではフリーザは止まらない。そしてブロリーも攻撃の手をゆるめず、今度は《ブラスターシェル》を連続でフリーザに叩きつけていく。

 

当然戦いが与える影響はすさまじく、嵐とともに大地が抉られ、湖が干上がっていく。

 

そして流れ弾が、破壊の余波が、打ち捨てられたナメック星人らの死体を砕いていく。

 

だがブロリーはそれらを気にも止めない。

 

目の前にいる怨敵(フリーザ)を倒す。

 

それだけが彼の思考を支配していた。

 

「はあああああああっ!」

 

ブロリーは全身にバリアをまとい、フリーザへと突っ込む。

 

予想外のカウンターを受ける形になったフリーザは一瞬ひるむが、次の瞬間にはバリアを砕いて中のブロリーを捕まえようと腕を伸ばす。

 

ブロリーはその巨体からは想像もつかない軽やかな動きでそれを回避すると、両手から《ダブルイレイザーキャノン》を繰り出し、フリーザの目に向かって叩きつける。

 

「■■■■■■っ!?」

 

目を潰すことは叶わなかったものの、一時的に視力を閉ざすことに成功したブロリーは大胆にもフリーザの懐へ入り込み、ゼロ距離で《ギガンティックミーティア》を放つ。

 

勢いのままに飛ばされていくフリーザは、防御することもままならず爆発した巨大な緑の極光に包まれる。

 

「…死んだか」

 

あまりにあっさりとした最後に、ブロリーはつまらなそうに気を抜く。

 

だがその瞬間を狙ったかのように、地面を通して伸ばされた尻尾が、ブロリーの左腕を切り落とした。

 

「ぐああああああああっ!?」

 

あまりの痛みにブロリーの中にあった気が乱れ、ブロリーは正気を取り戻してしまう。

 

「お、俺はいったい…!くそっ、腕が…っ!!」

 

腕を押さえてうずくまるブロリー。

 

だが、爆煙の中から現れたフリーザはそんなブロリーへと容赦なく突進していき、巨大な口で彼の左肩をとらえる。

 

「があああっ!は、離せ化け物ぉ!」

 

ブロリーは至近距離から連続で《イレイザーキャノン》を打ち込むが、フリーザはびくともしない。

 

むしろ、攻撃されることを喜んでいるようだった。

 

苦しむブロリーを美味そうに味わいながら、少しずつ噛みちぎろうとするフリーザ。

 

(これまでか…)

 

「おらぁ!」

 

ブロリーが絶望しそうになる中、超高速の一撃がフリーザの腹に打ち込まれ、その隙をついて喰らいついたブロリーの肩を離させる。

 

浮き足だったフリーザを、現れた男は回し蹴りで遠くへとぶっ飛ばす。

 

「ぐ…うう、悟空…さん?」

 

ダメージに喘ぐブロリーは、自分が唯一格上と仰ぐ存在が助けに来てくれたのだと見上げて、頭のなかが疑問符でいっぱいになった。

 

「わたしは悟空さんなどという男ではない」

 

黒いバイザーマスクを被り、青いアンダーウェア、赤いマントを着込んだ目の前の存在。

 

どう感じても悟空としか思えない気を迸らせる男は、両腕をぴんと右斜め上に伸ばし、ゆっくりと反時計回りに円を描いていく。

 

そして最初と逆の姿勢になると、右腕の肘を曲げながら甲は正面、拳は上に、左腕は構えた右肘を押さえるように、同じく甲を正面に向けた構えをとる。

 

「人の世の生き血をすすり、不埒な悪行三昧…!醜い浮き世の鬼を、退治てくれんと現れた…!我こそは正義の味方!グレート、サイヤマン!!」

 

色とりどりに背後を爆発させ、左掌を斜め前に、右拳を腰に取る構えをとった悟空。いやさグレートサイヤマン。

 

それを見上げるブロリーは…

 

「か、かっこいい…!!!」

 

子供のような顔で思いっきり憧れていた。

 

腕の痛みも忘れ、目の前の悟空…もといグレートサイヤマンを見上げるブロリー。

 

「ブロリーくん、急いでゼロ…いやセーロの元に戻るんだ。君には、君たちには、あの力が必要だ…!」

 

そう言って、目の前を警戒するグレートサイヤマン。

 

飛ばされたフリーザは食事の邪魔をされたのが気にくわないのか、ひどく怒った様子で歩いてくる。

 

「急げっ!」

 

グレートサイヤマンは地面に拳を打ち込みフリーザがいる場所までを凍らせると、足元を滑らせたフリーザに向かい手元に光の剣を出現させ、向かっていく。

 

「わかりました…!」

 

痛みをこらえながら、ブロリーは愛する姉のもとへと一度戻るのだった。

 

__________________________________

 

***side 悟空***

 

「やれやれ、行ったか…」

 

グレートサイヤマンとなった俺は、どうにか空を飛んでいったブロリーを見送り、フリーザと対峙する。

 

光の剣で尻尾を切り裂いたが、あっさり再生されてしまった。

 

遠視能力を最大限まで発動させて作り出した分身だが、本体の俺の十分の一以下の力しか持たない。

 

ましてや先ほどゼロ、今世ではセーロの魂に語りかける為に力の大半を置いてきている。

 

だがせめて時間稼ぎくらいはしてみせよう。

 

なに、手段を選ばなければいくらでも戦いようはあるさ。

 

「行くぞフリーザ、お前の罪を数えろ…!」

 

光の剣を12本出現させ、矢のように射ちまくる。

 

殆どが弾かれるが、何本かは刺さっている。だが、フリーザはまるで問題にしていない。

 

それは剣の性質を変え、燃える剣や凍りつく剣であっても同じことだった。

 

「…なるほど、攻撃そのものを吸収しているのか。厄介だな」

 

言いながら俺は吸収される前に刺さった剣を爆破する。体内にまで響いたであろう攻撃に怯むフリーザの隙をつき、特大の剣を作り出し叩きつける。

 

剣は即座にへし折られてしまうが、物質化によって集束された気はまともに殴るよりもダメージが大きい。

 

「そらどうした、神にも届く力を見せてみろ」

 

挑発しながらも、フリーザが向かってくる先に槍衾(やりぶすま)を作り出し待ち構える。

 

こちらへ突っ込んでくる寸前ひときわ輝いたフリーザは、気で全身を防護して無理矢理槍衾を突破する。

 

そのまま俺にかじりつくが…残念、それは偽物だ。

 

ゴバッ!!

 

噛みついた瞬間爆発した分身に口の中を焼けただれさせたフリーザ。今度はうまく吸収できなかったみたいだな。

 

なるほど、防護と吸収をある程度任意で使い分けられるのか。

 

「では、こういうのはどうだ」

 

俺は非常に細かい霧状に分解した気をフリーザの周りに漂わせる。

 

フリーザはもちろん構わず動こうとするが、霧状の気から脱出しようとした瞬間、細かな気は連鎖反応を起こし強力な電撃へと変貌する。

 

「■■■■■■■■■っ!!」

 

悲鳴をあげるフリーザだが、今回は防護も吸収もできていない。

 

霧状の気の正体は、ひとつひとつが雷の性質を持った気の爆弾だ。

 

吸収しようにも細かな気そのものが持つ気の量は小さく、吸収しきる前に電撃と化してしまう。また防護しようにも、電撃は魔獣の肉体に入り込み内側から焼いていく。

 

これでどうにか倒せればと思ったが…

 

「やはり、そう上手くはいかないか。ぐっ!」

 

電撃を纏ったまま、フリーザはなりふり構わず攻撃を仕掛けてきた。

 

本気で動き始めたフリーザを前に、俺は対応が間に合わず右腕を持っていかれてしまう。

 

「■?」

 

気で作り出された遠隔分身であるために、味わおうにも溶けて消えてしまったのだろう。

 

不可思議な表情を浮かべるフリーザに、俺は残る気を分身を維持する分まで全て槍状に変え、フリーザに向けて射ち始める。

 

飽和攻撃でどこまで足止めできるかわからないが、これで分身が消えればもう俺からの直接的な援護はできなくなる。

 

後はセーロのなかのアイツが、どこまで自分の力を解放できるかにかかっている。

 

「さあ、後はお前の出番だぞ!ブロリー!」

 

俺は分身に最後の一言を言わせると、正義の味方グレートサイヤマンは泡のように消えていった。

 

__________________________________

 

 

大怪我を負ったブロリーは、気を失ったセーロがいる最長老の元までやってきていた。

 

すでに他のナメック星人も最長老の元へ避難しており、この場所にすべてのナメック星人が集うことになっている。

 

他の長老らによって失った腕を治してもらったブロリーは、最長老の前で台座に寝かされた姉の顔を見下ろしていた。

 

「姉さん…」

 

理性を失い、自分の力を全て出して戦ったブロリーは気づいていた。

 

黄金の魔獣と化したフリーザに、自分では勝てないことに。

 

今も激しい戦いの気配を感じるが、あのグレートサイヤマンであっても時間稼ぎしかできないであろうことはブロリーも承知していた。

 

「ブロリー…」

 

「姉さん!大丈夫なのか!」

 

セーロに駆け寄ったブロリーはすぐに気づいた。姉の生命力がひどく弱っていることに。

 

「どうしてこんなことに…」

 

聞けばこの場にいるナメック星人がどれだけ治療を施しても効果がなく、徐々に弱ってしまっているということにブロリーは目の前が真っ暗になる錯覚を覚える。

 

「どうすればいい!俺にできることなら、なんだってする…!」

 

もはやフリーザのことなどどうでもいいほどに、ブロリーは狼狽していた。

 

「…前世の力が、魂に宿った本来の力が甦ろうとしているのです。ですが、彼女の肉体は弱い。とてもではないが、魂の力を受け入れるだけの強さはありません。このままでは、いずれ内側から蝕まれ、彼女は死んでしまいます」

 

「そんな…!」

 

ブロリーはその場に崩れ落ちる。

 

姉が死ぬ。そんなことは、彼にはとてもではないが受け入れられることではない。

 

ブロリーは無言でセーロの手を握る。

 

彼女を想い、愛し、大切にしたいと、心の底から思う。

 

だからだろうか。気づくと、ブロリーは真っ白な空間に立っていた。

 

「…はじめまして、かな。君がブロリーだね」

 

「姉さんっ!?…いや違う、あんたはいったい…?」

 

ブロリーの前に立つのは、白い髪のセーロによく似た少年。

 

「僕の名前はゼロ。かつて、伝説の超(スーパー)サイヤ人を追い詰め…負けた男さ」

 

自嘲するように微笑む少年。その姿に、ブロリーはさきほど最長老が言っていた言葉を思い出す。

 

「ま、まさかあんたが姉さんの前世、なのか…?」

 

目の前に立つ少年が瓜二つであることから、ブロリーはなんとなくムラムラしてくるが、今はそれどころではないだろうと我慢する。

 

「う…そ、それ、しまえないかな…?」

 

「あ、悪い」

 

全開でいきり立ってしまったぺニスがむき出しになってしまい、ゼロはブロリーのそれを恥ずかしそうに指さす。

 

「えっと、なんだったっけ。…あ、そうだ。このままだと生まれ変わった僕、セーロは“神”の力を受けきれずに死んでしまう。だから、君に提案しに来たんだ」

 

「姉さんを助ける方法があるのか!?」

 

ブロリーは思わずといった様子でゼロに駆け寄り、その両肩を掴む。

 

体格の違いもありブロリーの力を受けて苦しそうにするかと思いきや、相変わらず頬は染めたままだがゼロはあっさりとブロリーの腕を“力尽く”で下ろさせる。

 

「…僕に宿った神の力は死してなお魂に宿り、他の者を魅了する力として彼女に顕現した。僕もその力は宿していたけど、コントロールの効かないあの力は危険すぎる…結果として、君たちの親や仲間を死なせてしまったしね」

 

「俺が生まれて間もなくあったというフリーザとの戦いか…余計なお世話だ。さっきは思わず暴走したが、サイヤ人である以上戦って死ぬのは本望だろう。フリーザが強かった。それだけのことだ」

 

自らのトラウマに苦しめられながらも、ブロリーは理性的な部分ではかつての事件を納得していた。

 

弱いからいけなかった。それだけのことだと。

 

「…すごいね、さすがは“あの人”の先祖帰りだ。…僕はそうはなれなかった。けれど、あの人の支配を終わらせたいと思ったのも事実だ。見て、これが僕の、僕らの戦いだよ」

 

「これは…!」

 

白い空間に、まるでシャボン玉のように無数の泡が浮かぶ。

 

泡のなかには、漆黒の髪をたなびかせる筋骨隆々とした大男と、純白の髪に赤いオーラを纏いながら戦うゼロの姿があった。

 

数十年に及ぶ戦いの歴史。一度は銀河を滅ぼし敗北したゼロも、修行を重ね仲間の力を受け、伝説の超(スーパー)サイヤ人に匹敵する神の力を手にいれ、激闘の末に死んだ。

 

「…この力、超(スーパー)サイヤ人ゴッドは、担い手を選ぶ。本来なら、仲間となる正しい心のサイヤ人がいない今となっては、もはやゴッドになることは叶わない。けど方法はある。僕の魂に宿った神の力をすべて使えば、“彼ら”を呼ぶことが可能だ。あの黄金の魔獣を今ここで倒すには、もうそれしかない」

 

「それをやれば、姉さんは助かるのか?」

 

「うん、力を使い果たすから、もう魅了の力は失われてしまうけどね。でも、そんな能力は関係なく愛しているんだろう?そして君に、受け取ってほしいんだ。神の力を」

 

「…わかった。お前はどうなるんだ」

 

ブロリーは姉と瓜二つの少年の行く末を心配する。その様子を、おかしそうにゼロは笑う。

 

「ふふ、どこまでもサイヤ人なのに、優しいんだね。そんな君だからこそ神の力は相応しい。そしてどうか、僕に変わって守ってほしい。この宇宙を、星々の命を。そして伝えて…父さんに、いつまでも愛してますって」

 

その言葉を最後に、ゼロの姿は光の粒子になって消えていく。

 

光の粒子はブロリーにも入り込み、彼は目を覚ました。

 

「いったいどうしたんだブロリー!」

 

彼の横には、心配そうにブロリーを覗きこむネイルの姿があった。

 

「…師匠、いってきます」

 

「どういうことだブロリー…その力は…?」

 

赤い輝きに包まれたブロリーは、ゆっくりと浮かび上がると、フリーザのいる方向へと飛んでいく。

 

「はっ!」

 

「セーロ、目を覚ましたのか!」

 

目を覚ましたセーロは、遠くを見るようにして空を見上げて涙をこぼしていた。

 

「…バーダック」

 

セーロが呟くのと時を同じくして、無数の光の流星がナメック星に向けて集まりつつあった。

 

__________________________________

 

「…ほーれ、来なさったぞ。お前が一番恐れた、サイヤ人ってやつがな!!」

 

もう一度分身を送った悟空だが、すでにグレートサイヤマンの姿を維持できないほど消耗していた。しかしそれでもなお、亡霊のように姿を現しフリーザを翻弄していた。

 

そんな状態だったからこそだろう。悟空は、夜空に輝く星が一際多くなっているのに気づいた。

 

ドガッ!!

 

降り注いだ光のひとつが、すさまじい勢いでフリーザを殴り飛ばす。

 

「…すげえな、魂の状態でフリーザを殴りやがった」

 

『せめて一発ぶん殴ってやりたくてな。お前が誰かは知らないが、見てたぜ。ブロリーとセーロが世話になったな』

 

そこにいたのはうっすらと姿を見せる、魂だけとなったバーダックだった。

 

「…ばー、ダっグ…?バアアアアアダアアアアアグッググググググググ!!!!!!!?????????」

 

殴り飛ばされたフリーザだったが、自分を殴った存在がバーダックだと分かるや否や、手足をめちゃくちゃに動かしてかけずり這い寄ってくる。

 

「うわ、気持ち悪いな。お、ブロリーが来たぞ」

 

飛んできた赤いオーラをまとうブロリーは、すでに消えかかった悟空とバーダックを見て驚く。

 

「悟空さん、大丈夫ですか!?…あなたは」

 

『サイヤ人の未来を頼んだぜ、ブロリー…』

 

そう言って、バーダックはその“力”をブロリーに与えて消えていく。

 

『あの赤ん坊がこんなに強くなるとはな』

 

『当たり前だろう、俺の息子だぞ』

 

ハゲ頭の大男が拳を胸に突き出すような形で“力”を与えて消えていく。

 

その隣にいた髭を生やした男は、優しくブロリーの頭を撫でるようにすくと、力を与えて消えていった。

 

「とう、さん…?」

 

『ブロリー、大きくなったね』

 

次にブロリーの元に来たのは快活な様子のスカートを履いた女のサイヤ人。ブロリーの体を一通りなで回すと、笑って力を与えていく。

 

次から次へと、かつてフリーザに殺され成仏できなかったサイヤ人の魂が、ゼロの持つ魂の力で呼び出され、ブロリーへと力を与えていく。

 

「こんな場面で邪魔なんかさせるかよぉ!ほら、こっちだフリーザ!」

 

悟空は連続で太陽拳を浴びせながら、フリーザの気を引き続ける。わざわざ顔をバーダックそっくりに変えたことも効果的で、フリーザは半狂乱で悟空を追い続ける。

 

「ブアアアアァァアァアダアァァアアアアグウウゥゥウウぅウウウウウ!!!」

 

そしてブロリーを見つめながら涙を流す女サイヤ人が、優しく彼の頬を撫でていく。

 

『…ブロリー』

 

「かあ、さん…」

 

『ごめんね、ごめんねブロリー…ひとりにして、ごめんね…』

 

泣きながら謝るブロリーの母、コリーを見て、ブロリーは答える。

 

「俺はひとりなんかじゃなかった。師匠がいた、友がいた、そして姉さんがいた。それに今だからわかる…!母さんが、父さんが、俺を見守っていてくれた…!!」

 

ブロリーは静かに、笑いながら泣いていた。体に流れ込むその大量の力をすべて受けとりながら、サイヤ人の神と呼ばれる赤いオーラを纏いながら、泣き笑っていた。

 

「…俺のなかに流れ込んだみんなの力が言っている!アイツを、フリーザを倒せって…!」

 

「くそっ、限界か…!」

 

「バアアアアアアアア!!!」

 

フリーザの滅茶苦茶な攻撃を受け、とうとう悟空の分身は消えていく。

 

そして、黄金の魔獣の狂った相貌が、ブロリーをとらえた。

 

「アアアアアアアアア!!」

 

事実狂いながら突進してくるフリーザだったが、ブロリーはそちらを振り向きもせず片手で受け止める。

 

突進の余波で大地が砕け、衝撃波が周囲を荒れ狂うが、ブロリーは小揺るぎもせずにたたずんでいる。

 

「はあっ!」

 

力をもて余したブロリーの、無造作な蹴り。

 

しかしフリーザはその顔を大きくひしゃげさせ、ゴムまりのように大地を転がり、弾み、山を砕いてようやく止まる。

 

「終わりにしよう…!」

 

ブロリーが気合いを入れると同時に、その全身を包む赤いオーラが青く変色していく。

 

変色は髪の色にも現れ、ブロリーの髪を透き通るような“蒼”が染めていく。

 

「ギイイッ!ガアアアダアアアグウウ!!」

 

「おおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

“拳を握った”フリーザの巨拳と、全エネルギーを一点に集中したブロリーの拳がぶつかり合う。

 

激しいエネルギーのぶつかり合いが、星を砕いていく。宙(そら)を割っていく。

 

まともに余波が漏れればナメック星があっさり崩壊しかねないほどのエネルギー。

 

ブロリーはそれらのエネルギーをすべて吸収しながら、フリーザの巨拳を消滅させていく。

 

「光に…!なああぁぁぁぁぁれぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

跡形もなく消えていくなか、フリーザは不意に正気を取り戻していた。

 

自分を消すブロリーの真っ直ぐな瞳を見つめながら、静かにフリーザは消えていく。

 

「未練…だな…」

 

最後に一言呟いて、フリーザは消えた。

 

その瞬間、星が輝いた。

 

多くの魂が、その瞬間を待ち望んでいた。

 

フリーザに食われた魂達が、一斉に空へと還っていく。

 

「ブロリー…」

 

光のなか、セーロがブロリーの元へと歩いてくる。

 

「姉さん…」

 

すでに通常形態に戻ったブロリーは、走ることも難しいほどに消耗しながら、少しずつセーロの元へと近づいていく。

 

「終わったの…?」

 

「ああ、全部終わった。姉さん、言いたいことがあったんだ」

 

どちらも疲れはて、どちらからともわからないタイミングで抱き合いながらその場に倒れたブロリーは、抱き締めたセーロのニオイを嗅ぎながら、愛おしそうに告げる。

 

「あなたを愛している…」

 

「ぼくもだよ、ブロリー…」

 

ふたりの愛を祝福するように、魂の花火は打ち上がり続ける。

 

その綺麗な花火は、いつまでもいつまでも二人を照らし続けた。




予告で期待していた内容と違う?こまけーことはいーんだよ(´・ω・`)(笑)

あっさり倒されたフリーザでしたが、まあこんなもんです。
恐怖の描写に関してはこれまでも散々書いたので。
あと、セーロがサイヤ人絶滅の原因の件についてはブロリーにばっさり切ってもらいました。感情では納得しきれてない分も当然あります。人間ってそういう生き物ですし。

…ふう、なんかもう全部終わった気分だけどまだビルスいたわ。
次回でさくっと倒してスーパー口説きタイムに突入だぜ(´・ω・`)(笑)


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“弱きこと”は素晴らしき哉 ★

はっはっは、スーパー口説きタイムまで辿り着かんぜ!(泣)

とはいえメインバトルはこれで終了。

そろそろ各キャラクターの描写しきれなかった設定含めてのキャラ一覧を書こうかなと思ったり。




ビルスは焦っていた。

 

油断、怠慢、慢心。

 

それらすべてを持ち合わせ、かつそれで構わないと思っていた。

 

今日という日までは。

 

「くっそおおぉ!あんな…!あんなカスみたいな連中に僕が封印されるだなんて!」

 

「すごいですねえ…この結界の構成、わたしたちの力を利用しているみたいですよ。どうやら力尽くで脱出するのは無理みたいですねえ」

 

ウルトラグルグルガムをようやく剥がし終わると、ビルスは自身らを囲む水晶観音へと手を伸ばす。

 

「だったらその構成ごと“破壊”してやるまでだ…!」

 

ビルスは手をかざし、水晶でできた観音の結界を“概念”ごと破壊する。

 

これこそが『破壊神』の恐るべき力。全王の力を天使を通して割譲した問答無用の破壊能力であった。

 

しかし、あらかじめ想定されていたかのように結界は復元する。よく見れば、水晶観音の体内には無数の結節点が存在し、ただ破壊しただけでは結界が再構成されるように作られている。

 

「ちっ!相互に干渉してひとつひとつ破壊しなきゃいけないように作られてる…!僕を封印するだけあって、ずいぶんと作り込まれてるよ!」

 

ビルスが破壊するたび、水晶観音は再生する。

 

それはビルスから溢れる神の気を吸収しているのだが、ビルスは結節点を見極め、それら全てへ同時に破壊の力を流し込むと完全に崩壊させた。

 

ようやく脱出できるかと思ったビルスだが、今度はその周囲を鎖となった如意棒が囲む。

 

「お次は如意器ですか。これって神の武器ですよねぇ」

 

「だったらなんだ!まとめて破壊してやる…!」

 

「ひょっとしてこの結界、魔族や魔人を封印するためのものなんじゃないですかねえ。この如意棒も、ビルス様だから簡単に破壊できますけど、魔族が壊すにはかなり苦労する代物ですし」

 

「関係ないと!言っているだろう!」

 

ビルスは鎖状になった如意棒を掴みとると、握りつぶすようにして“破壊”する。

 

すると、まるで如意棒は枯れ落ちるかのようにボロボロになっていき、一欠片も残さず消滅した。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…くそっ、こんなに連続して破壊神の力を使わされるだなんて…!」

 

「この程度で息切れしてちゃだめですよぉ、ビルス様。帰ったらちょっとトレーニングしましょうか」

 

「うるさいっ!あいつら、絶対に破壊してやる…!」

 

顔を憤怒の形相に歪めて、ビルスは最後の封印“魔封波”の破壊にかかる。

 

「砕け散れっ!!」

 

手をかざし、やや乱雑に放たれた“破壊”の力は間違いなく魔封波によって作られた異次元空間を崩壊させていく。

 

しかし、ビルスは出てきた何もない空間に戸惑う。

 

「…な、なんだここは!?」

 

「…時の異次元空間。考えましたね、あの男」

 

解放されたビルスが狼狽するのとは対照的に、それまでの笑顔を消して冷たく言い放つウィス。

 

ウィスは己の力を少し解放し、この世界に果てがないことを察知する。

 

「ビルス様、急いでこの世界を“破壊”してください」

 

「どういうことだ、ウィス」

 

かつて己を鍛え始めた頃のように無表情に言い放つウィスを見て、ビルスは若干だが戸惑いを覚える。

 

「ここは時の異次元世界。それも、外の時間の何十倍もの早さで時間が進んでいきます。あまり長引けば、最悪この宇宙が破壊神を“死んだもの”と判断して神王樹に次の破壊神を選ぶよう要請を出します」

 

そうなった時、ビルスはどうなるか。

 

宇宙に存在を認められなくなった破壊神の末路など、考えたくもないと、ウィスは考える。なぜならば、それは延(ひ)いては破壊神を管理する天使の責任。

 

役立たずの天使として、ウィスの父は嬉々として全王の力を振るわせるだろう。

 

「…なんだか本当にヤバいみたいだね。わかった、ちょっと本気を出すから下がっていてくれ」

 

ウィスはビルスの指示に従って無言で一歩下がる。

 

「むううううっ!!」

 

低く唸るビルスの周囲の空間に、ヒビが入っていく。

 

何もないはずの空間に地鳴りのような音が響き、ヒビはまるで地割れのように広がり徐々に空間を崩壊させていく。

 

割れたガラスが落ちるように崩れていく世界のなか、ウィスは自分の周囲にバリアを張りビルスの様子を相変わらず冷たい表情で見つめる。

 

「だあああああっっっ!!!」

 

溜め込んだ破壊神の力を解放したビルスによって、ついに世界は完全に崩壊する。

 

ウィスは力を使いすぎ気絶したビルスを回収すると、破壊した影響で開いた元の世界へ通じる穴へ飛び込んだ。

 

__________________________________

 

 

***side 悟空***

 

「3日か。思ったより持(も)ったな…」

 

俺は崩壊する精神と時の部屋の扉を眺めながら、ピッコロと共に臨戦態勢へと入る。

 

すでにピッコロはジュニアと更にもう一人とポタラ合体し、戦闘に備えて表層的な肉体は戦闘タイプであるジュニアのものとなっている。

 

今回は破壊神と天使を同時に相手取る可能性があったのもあり、現状における最強タッグでこの場に来ていた。

 

「悟空…破壊神の相手、本当にお前ひとりに任せても大丈夫なのか?」

 

ジュニアの声で呼び捨てにされると違和感があるが、頼もしさの現れだと思っておこう。

 

「問題ない、対策はいくつも用意してある。それよりも、ウィスの封じ込めは頼んだぞ。破壊神が戦っている間、やつは全力を振るえない。だがその分、ビルスが危なくなったら絶対にろくでもない手段を講じるはずだ。…家族を人質に取られるのだけは避けたい」

 

「任せておけ。彼ら彼女らは俺にとっても間違いなく家族だ。指一本触れさせん…来るぞ!」

 

異次元空間から真っ先に姿を現したのはウィスだった。

 

その肩に担いでいたビルスをこちらへ無造作に投げつけると、すさまじい勢いでピッコロへと突進していく。

 

こちらの会話を聞いていたのだろう。

 

だがまあ、その程度は“想定内”だ。

 

「ふふふ、天使の不意打ち…この程度か?」

 

挑発気味にウィスの手刀を受け止めたピッコロは不敵に笑う。ウィスは無表情のなかに少々の戸惑いを織り混ぜると、続いて両腕から連続で光線を発射する。

 

「っ!ピッコロそれに触るな!!破壊神の“力”を借りている!」

 

「なるほど…!」

 

危うく弾こうとした手を引っ込め、ピッコロは飛来する破壊光線を紙一重で避けまくる。

 

ウィスは埒が明かないと考えたのか、全身に破壊神の力を纏いこちらへ突っ込んできた。

 

「いつまでもやらせるかよ…!」

 

俺は黒い超(スーパー)サイヤ人へ変身すると、ピッコロの前に躍り出てウィスの突進を受け止める。

 

「悟空!!」

 

「問題ない!」

 

ピッコロが焦った声を出すが、俺のところまで“破壊”の力は届いていない。

 

ウィスの無表情が崩れる。

 

「わけがわからないみたいだな!単純だ!お前が振るう破壊の力を!相殺できるだけの気を放出してるんだよ!!!」

 

俺は“破壊の力”を圧倒するほど大量の気を拳から放出しながら、ウィスを連続で殴りつける。

 

「ヒトに堕ちた身で、そんな出力を得られるはずがない…!」

 

「堕ちた?違うな、“得た”のさ!」

 

俺は破壊神の力を自分に還元して力を振るうウィスを見下ろし拳を構える。

 

「それとな!破壊神の力を自分の強さだと勘違いしてるお前が!“ヒト”として鍛え直した俺に!勝てるわけ、ねえだろうが!!!」

 

繰り出されるウィスの攻撃をすべて避け、やつの顔面を殴りつける。

 

カウンターとして決まった拳によって、ウィスは宮殿を貫通しながら吹き飛んでいく。

 

「あ、悪い、ピッコロ」

 

「構わん、無傷なまま戦えるなどはじめから思っていない。…それよりあんな方法があるなら教えてくれればよかっただろうに」

 

「やめとけ、同じことやったらあっという間にガス欠だ」

 

周囲に高圧縮された気弾を複数個浮かべ、ピッコロは油断なくウィスが飛ばされていった方向を見定めながら答える。

 

すると、目を覚ましたのかビルスがゆっくりと俺たちの眼前にまで浮かび上がってきた。

 

「…ウィス、破壊神の力を返すんだ。ヤツは僕が“破壊”する」

 

ビルスの有無を言わせぬ口調に、再びこちらに襲いかからんとしていたウィスは無表情を止め、飄々とした様子でビルスの肩に手を置く。

 

「ビルス様、付き人としては一旦帰っていただきたいんですけど、そういうわけにもいきません?」

 

「当たり前だろう。僕は“破壊神”だ。破壊すると宣言した以上、ヤツは必ず破壊する」

 

驚くほど冷静にこちらを睥睨するビルスに、俺は思わず笑顔を向ける。ようやくまともな“闘い”になりそうだ。

 

「…サイヤ人、いや今の名前はたしか悟空とかいったな」

 

「ああ、俺は“孫悟空”だ」

 

ビルスの問いかけに俺は自信をもって答える。

 

「…ふん、天使相手に手加減なんぞしやがって。単純な素の実力ならウィスは僕より強いんだぞ」

 

「あれがお前より強い?冗談だろ、武道家としちゃ遥かに格下だぜ。それより見せてみろよ、お前の“本気”を…!あるんだろ、破壊の力を振るうだけじゃない、とっておきが!」

 

まあウィスとかいう天使は“人形”にしちゃ随分と心が育ってるみたいだけどな。根っこが人形じゃ、どれだけパワーがあったところで俺に勝てはしない。

 

それにそんなことより、今はビルスの本気が待ち遠しい。

 

「…正気か?僕とお前が本気でやり合えば、この宇宙が消滅するぞ」

 

俺の誘いをビルスはいぶかしむ。だがわかるぞ、内心でお前が全力を出したがってるのを。

 

「そうならないように闘う方法くらい察しがついてるんだろ?なあに心配するな、そこの天使とピッコロに結界を張ってもらえばいい。余波くらいなら防げるだろ」

 

俺は「えっ!?」と言わんばかりに意外そうな顔でこちらを見るピッコロに内心で詫びる。

 

やはり俺はどこまでいってもサイヤ人だ。強い相手と戦えるだけでこんなにもわくわくできるのだから。

 

「さあ来いビルス!1000年ぶりのリベンジマッチと行こうぜ!!」

 

俺は解放していた気で自分自身を包むように覆う。薄さは一ミリ以下だが、その密度はさっきまでウィスを殴っていたそれとは比べ物にならない。

 

「…やれやれ、どうしていつのまに僕が挑戦者みたいになってるんだか。だがまあ、そういうことなら遠慮なくやらせてもらおうか!!」

 

俺と同じく神の気を改めて自分自身にまとったビルスは、破壊神としての力を解放しつつも全身に維持するという離れ業をやってのける。

 

あらゆる存在を破壊する破壊神の力を、指向性を持たせて自らのパワーに変えたのか。

 

単純な出力だけで見ても俺と互角、いや…ずっと上にいる!

 

「いいぞ破壊神…いやビルス!俺もお前に見せてやる、サイヤ人の本当の力をな!!」

 

俺は自身に纏わせた気の圧力をあげ、全身に黒い稲妻を走らせる。

 

「さぁ、やろうぜ!」

 

叫んでビルスに真正面から突っ込む。

 

小細工などいらない。受け損ねれば今の俺の一撃でもビルスは死ぬ。

 

「そんなパンチで!」

 

ビルスはそれを挑発と受け取ったのか、自身も力を拳に集束して俺と打ち合う。

 

「はあああっ!!」

 

「ぜええやあああ!」

 

出力で勝るビルスの“破壊の力”を前に、俺もまたさっき以上のパワーを込めて拳を打つ。

 

激しい轟雷のごとき音が響き渡り、余波で宮殿が完全に消滅する。

 

自分を護るつもりで咄嗟にバリアを展開したウィスを利用し、ピッコロはウィスのバリアに重ねる形で結界を展開する。

 

これで、ウィスが下手に結界を消して逃走しようとすればバリアそのものが消滅し、ヤツはこちらの余波に巻き込まれてしまう。

 

今の弱ったあいつでは受けきれまい。アドリブにしちゃナイスアイデアだぜ、ピッコロ。

 

「おらぁっ!」

 

ビルスの膝蹴りが胴着を掠め、上着が破壊され俺は上半身がむき出しになる。

 

くそっ、珍しく上を着てきたってのに。

 

「そんなものか!悟空!!」

 

「なわけあるか!まだだ!もっとだ!」

 

音を越え、光に匹敵する早さでビルスの攻撃が迫る。

 

ヒトの目で見ながら対処できる攻撃ではない。

 

ゆえに、先を読む。

 

音で、臭いで、膚(はだ)で、気で、すべてで感じとる。

 

「はああああっ!」

 

「なぜ当たらない!」

 

すでに俺たちの攻撃は光の線と等しくなり、この力がまともに解放されていれば地球などすでに跡形もないだろう。

 

だが、俺たちの闘いに無駄などない。

 

周囲に余波として広がるエネルギーが、徐々に減っていく。

 

動きは超常を越えながら、及ぼす範囲は狭まっていく。

 

より効率よく。より無駄なく。

 

俺とビルスの攻撃は互いを掻き消さんばかりに熾烈を極め、膨大な攻防が瞬く星々に匹敵する輝きを産み出す。

 

「まだだ!もっと!」

 

ビルスは追い付かない俺の回避に追い付こうと、先ほどの俺と同じ言葉を口にしながら破壊神の力をどんどん自分に注ぎ込んでいく。

 

「ビルス様!」

 

ウィスがそれを止めようと声を張り上げるが、ビルスには届いていない。

 

「ガアアアアア!!!!」

 

肥大化していくビルスの肉体。細かった体は筋骨隆々となり、猫のようだった顔もより肉食獣じみた凶悪な相貌へと変化していく。

 

「オオオオオオ!」

 

圧倒的な“力”を手に入れたビルスのパワーは凄まじく、すでに概念ごと破壊する破壊神の力はないにも関わらず、 その出力だけで俺を大きく殴り飛ばす。

 

俺はクロスした両腕に残る力の残滓に笑みを大きくすると、元の姿から三倍ほどに巨大化したビルスを見上げる。

 

「…おお、痛え。やるじゃないか、ビルス」

 

「フン!貴様ニ勝ツタメニ、ココマデセネバナラナイトハナ!」

 

満足に言葉が話せないにも関わらず、ビルスの瞳は理性の光を失っていない。

 

「ああ、さすがだ!だが悪いが俺もまだ“本気”じゃない。…見せてやるよ、無間(むけん)の闇で得た“光”を!!」

 

「見セテミロ!例エドンナ“力”だろうと捩ジ伏セテヤルッ!」

 

俺は待ち構えるビルスを前にして、目を閉じる。

 

隙だらけに見えるその様子にピッコロが息を飲む音が聞こえる。

 

それだけじゃない。

 

遠く離れたカプセルコーポレーションで、占いババの展開した巨大水晶板に映し出される俺とビルスの闘いを見守る家族らの、個々の息づかいまで感じる。

 

この地球に住むすべての生き物が刻む鼓動の音が聞こえる。

 

大地が鳴動し、空が流動し、海が胎動するのを感じる。

 

「ハッ!!!!!!」

 

俺の全身が変貌する。

 

黒かった体毛は金色(こんじき)に輝き、全身を炎のような金色のオーラが包む。

 

赤く光った目を開いた俺は、その姿に驚愕を隠せないビルスと同じ目線まで浮かび上がる。

 

「…待たせたな。まだこの変化に慣れていなくてな」

 

「ソ、ソノ“力”ハ一体…!」

 

「超(スーパー)サイヤ人さ。本当のな」

 

俺は今まで、超(スーパー)サイヤ人とは単なるサイヤ人の潜在能力を引き出す変身だと思っていた。

 

だが記憶を取り戻した俺は気づいた。その真の力に。

 

複数のサイヤ人の力を集めて変身する《超(スーパー)サイヤ人ゴッド》。

 

さらにその力を常態化させ、自身の超(スーパー)サイヤ人の力を上乗せした《超(スーパー)サイヤ人ブルー》。

 

魔神の力を引き出した《超(スーパー)サイヤ人ブラック》。

 

そして愛をきっかけに目覚めた《超(スーパー)サイヤ人0(ラブ)》。

 

どれも本質は同じ力なのだ。

 

サイヤ人としての根元。生きる上で俺たち戦闘民族が根差す力。

 

“闘争本能の具現化”こそ、超(スーパー)サイヤ人の本質に他ならない。

 

今の俺の変身はこことはことなる時空に存在したサイヤ人の子孫ら、この世界で言うならばセリパやベジータ王の変身に近い。

 

彼らは俺の子孫であり、俺は彼らの強さを劣化したものだと思っていた。

 

だが実際は違う。

 

たしかに目に見えて彼らは弱くなっただろう。

 

フリーザという、突然変異を人為的に起こしたに過ぎない存在に滅ぼされかけたほどに。

 

しかしその実態は、かつて俺が数百年を、いや億のときを越えて得られなかったモノを手にいれていた。

 

すなわち、戦うことの喜びを。

 

強い相手と闘うことの歓喜を手にしていた。

 

弱くなって当然だ。

 

強いということは、それだけ相手がいないということ。

 

無敵というのは孤独となんら変わらない。

 

独りよがりで強くなったところで、それになんの意味があるというのか。

 

ヒトとして転生した俺は、たしかに弱くなった。

 

だがそのおかげで、あらゆるものを得た。

 

義理の父から鍛えることの素晴らしさを学んだ。

 

かつて憎んだ神に属する存在を友にできた。

 

愛する女達を、子供達を得た。

 

“弱い”ことがこんなに素晴らしいとは思わなかった。

 

“強く”なることがこんなに楽しいとは思わなかった。

 

今だからこそ、俺は生きている。

 

生を実感している。

 

「はっはっはっは!お前も楽しめビルス!」

 

「ヤカマシイ!コッチハ制御ニ必死ナンダ!」

 

「修行が足りねえんだよ!だがそれもよし!もっと強くなってかかってこい!」

 

「無茶ヲイウナ!?」

 

俺はビルスと再び殴りあいながら語り合う。

 

ビルスの困惑が拳を通して伝わってくる。

 

楽しい、というのがわからないなら教えてやろう。

 

刹那を競い戦う俺たちが、まだまだ頂点ではないことを教えてやろう。

 

「デストラクション・ノヴァ!」

 

「龍拳!」

 

一点に集中された力が空間を歪めるが、それさえも俺たちには関係ない。

 

「砕ケ散レエ!」

 

「打ち倒せえ!」

 

破壊の超新星と、金色の巨龍がせめぎ合う。

 

一歩も譲らぬ力のぶつかり合い。

 

対決を制したのは、ビルスだった。

 

「もらったぁぁ!!」

 

パワーだけをその場に残し、まるで脱皮するように分裂したビルスの本体は、無防備に構える俺に向かって“破壊の力”を突き出す。

 

しかし俺に触れた破壊の力は発動せず、逆にその力を俺は吸収する。

 

「なに!?破壊神の力を…!」

 

急いで戻ろうとするビルスだが、もう遅い。

 

「か…!」

 

本体という制御を失い、徐々に暴走しそうになる破壊神の力そのもの。

 

「め…!」

 

瞬きするほどの間に、気が構えた両掌の間に溜まっていく。

 

「は…!」

 

金色に輝く気の塊は、今か今かと放たれるのを待ちながら赤い電光を迸らせる。

 

「め…!」

 

ビルスはようやく分裂した巨体にたどり着くが、もう遅い。

 

「波ああぁぁぁぁぁっっ!!!!!」

 

放たれたかめはめ波は破壊神の巨体に命中すると、巨体に同化しきれなかったビルスを弾いて結界を破り、空へ宙(そら)へと飛んでいく。

 

俺は地球から数光年離れた場所で巨体の力を包むようにして消滅させると、ここにまで届くほどの爆光が起きる。

 

やがて光がおさまったころ、俺はおもむろに気絶したビルスを抱えあげ、自身の勝利を宣言した。

 

「俺の勝ちだっ!」

 

カプセルコーポレーションから届く俺への歓声が、耳に響いた。

 

 

__________________________________

 

***side 悟空***

 

それから数時間後。

 

ビルスとウィスはお互いに首から一枚のプレートを提げて正座させられていた。

 

ビルスは『わたしはちきゅうをはかいしようとしました』。

 

ウィスは『わたしはろくでもないことをたくらみました』。

 

とそれぞれ書かれている。

 

「…くそっ!なんで僕がこんな目に逢わなきゃいけないんだ…」

 

小声でぼやくビルスだが、俺の耳にはしっかり聞こえている。

 

「…あんなに自信満々だったのに、ビルス様が負けちゃうからいけないんじゃないですか…なにが『破壊すると宣言した以上、ヤツは必ず破壊する』ですか…」

 

同じく小声でぼやくウィスだが、随分と余裕があるな。…なるほど、感覚器官を切ってあるのか。ずるはいかんよなぁ。

 

「ふん!」

 

「あああああああっー!?」

 

ウィスの肩に手を置き、感覚増幅の応用で無理矢理切った感覚を繋ぎなおす。ついでに足の痺れを増幅してやる。

 

途端に悲鳴をあげて悶え始めたウィスを見て驚くビルスだったが、すぐに理由を察したのか冷たい目線でウィスをにらむ。

 

「ふん!ざまあないね!」

 

「からむな、時間を増やすぞ」

 

「ぐぅ…!く、くそ、破壊神の力さえ戻ればこんなもの…!」

 

身じろぎするビルスだが、正座になった体勢から動くことは叶わない。

 

よくビルスとウィスを見れば、持国天にも似た仏像が全身を覆っている。現在の体勢はそれによって強制的に作られていた。

 

「俺の作った《修羅気功天》はどうだ?《水晶観音》ほどの自由度はないが、動かなくする分には十分だろう」

 

「はい、さすがは師匠。わたしではこれほどの強度はどうにも…」

 

謙遜するチャパ王だが、逆に俺では彼のような技は振るえない。

 

水晶観音は見た目は気で作った鎧に過ぎないが、彼は常に最高硬度を保ったまま状況に応じて関節を操作している。戦闘中にそんな神業ができるようになったのは、一重に彼の努力によるものだろう。

 

「ナムもすまんな、折角の如意棒を壊させてしまって…」

 

「いいえ!わたしごときがお役に立てて光栄です。武器ならいずれまた、どこかでよいものと巡り会えるでしょう」

 

気丈に振る舞っているが、内心ではずいぶんと落ち込んでいる。

 

今回の戦いにおいて、如意棒は重要な役割を果たしたとはいえ、彼にとっては無二の相棒を失った形になるのだ。

 

「…おい、そこの人間。ちょっとこっちに来い」

 

どこか言いづらそうにしたビルスがナムを呼び、おっかなびっくり彼はビルスに近づいていく。

 

「破壊神様、なにか?」

 

最低限の敬意を示してはいるが、相当警戒しているナムに向かってビルスは無言で耳を差し出す。

 

俺はわかったが、あれではナムにはわけがわからないだろう。

 

なので困っているナムの代わりに近づき、無造作にビルスの耳に付いた金環をむしり取る。

 

「いだっ!?おい悟空!なんで無理矢理取ったんだ!」

 

正座のまま怒る破壊神というシュールな光景だが、素直になれないお前に変わってやったんだ。むしろ感謝しろ。

 

「ナム、ビルスがくれるというんだ。遠慮せずに貰っておけ」

 

俺はビルスからむしり取った金環をナムの手に握らせる。

 

最初はわからなかったみたいだが、しばらくするとそれを見下ろしながら驚いた表情になる。

 

「こ、これはまさか…!」

 

ナムが念じると同時に金環は変形し、両端に金色の留め金が付いた黒い如意棒へと姿を変える。

 

「神が使う武器で、如意器という。意思ひとつで思うがままに姿を変える万能の武器だ。お前が棒の姿を選んだというなら、今後はそれが基本の形態になるだろう」

 

如意棒は正体こそ不明だが、先代の地球の神が持っていたとされる神の武器だ。

 

ビルスにはあっさり砕かれたが、本来魔族へ使う分には最強の武器と言える。

 

ちなみにこれは推測だが、もうひとつの耳についていた金環はZソードだろう。

 

そうだ、せっかく破壊神が気前よく寄越してくれたんだ。俺からもひとつ付け足してやろう。

 

「ナム、ちょっと貸してくれ」

 

「師匠?…わかりました」

 

俺がなにかするつもりなのを察してどこか不安げなナムだが、安心しろ。たぶん大丈夫だ。

 

「あーっ!お前僕の力を!!」

 

「…よし。これでこいつには劣化しちゃいるが“破壊神”の力が宿った。ビルスみたいな出力がないからなんでも壊せるってわけにはいかないだろうが、そうだな…魔人ブウぐらいなら上手く当てれば倒せるぞ」

 

「なんですってぇ!?」

 

「…重ね重ねありがとうございます。必ずや、今以上の強さを師匠にはご覧いれましょう」

 

自身の持つ黒い如意棒に宿った恐ろしい力を見下ろし、しかしそれに呑まれることなくナムは不敵な笑みを浮かべる。

 

新生した黒い如意棒の名を“黒龍(ヘイロン)”としたナムは、居ても立ってもいられないのか道場へと駆け出していってしまった。

 

ちなみに先程驚いたのは、パエリアを食べていた界王神である。

 

「ギラン、ちょっと来い」

 

「…ろくな予感がしねえんだが、なんだよ師匠」

 

巨体を遠慮がちに揺らしながらこちらへやってきたギランの両手を握る。

 

「お前のおかげで貴重な時間を稼ぐことができた。ビルスに聞いたよ、お前のグルグルガムがどんな結界より一番厄介だったってな。ありがとうよ、ギラン」

 

真正面からギランの目を見て俺は礼を言う。

 

今回、時間稼ぎを実行した俺たちだが、ビルスに勝てても付き人である天使への対策が不十分だった。

 

そこで急遽対策として取られたのが、ピッコロのパワーアップだった。

 

界王神からポタラを奪うようにして貰い受けると、俺は全力で飛行してナメック星へと向かった。界王神にやらせてもよかったのだが、ごちゃごちゃ説得するよりこっちの方が速いんでな。

 

一時間ほどで到着した俺は急いで事情を説明すると、ネイルを連れて地球へ戻り、ピッコロに界王神界まで連れていかせた。

 

破壊神への対策だと言うと、意外にもすんなりネイルの潜在能力解放を請け負ってくれた老界王神は六時間ほどかけて彼の潜在能力を解放。

 

老界王神のポタラも借り受け、戻った俺は天界の宮殿前で精神と時の部屋の気配が変わるまで待ち続けた。

 

やがて扉にヒビが入り出した頃、ピッコロ、ジュニア、ネイルの三人によるポタラ合体によって《最強のナメック星人》が誕生したのだった。

 

それが、ウィスの攻撃をあっさり受け止めた理由である。

 

「別に大したことはしてねえよ。でもま、あんたに礼を言われるなんざ滅多にあることじゃないしな。ありがたくもらっておくぜ」

 

そう言いながら、誰よりも誇らしげにするギランの姿を俺は微笑ましく見つめた。

 

「…さて、そろそろ来る頃合いかな」

 

「なにがですか?」

 

唐突に呟いた俺の言葉に答える形でチャパ王が訪ねる。

 

すると、突如として光が集まり、そこから界王神と変わらない小柄な人影が現れる。

 

「よう、久しぶりだな。まだ大神官なんざやってるとは思わなかったぜ」

 

そこから現れたのは、ウィスにとってはある意味で“父親”に当たる存在。

 

あらゆる天使の生みの親。

 

「『造物神』、お前の目的はいったいなんだ。俺が記憶を失ってからずいぶんと宇宙を消してきたみたいだが、創造神はそもそも宇宙の消滅なんぞ望んじゃいない」

 

「あなたには言われたくありませんね、『闘争神』。“原初の七柱”のひとつでありながらヒトに落ちるまで転生を繰り返し、今さら記憶を取り戻した貴方になど」

 

俺と造物神の間に緊張が走るが、意外な人物がその場を遮った。

 

「悟空師匠!こんなところにいましたか!」

 

走ってやってきたのはマークだった。顔中を汗で濡らし、必死にこちらへ駆け寄ってくる。

 

…こんなところも何も、俺達がここで戦勝会をやっているのは通達してあったはずなんだが、いったい何があった。

 

「師匠!お願いです!一生の頼みです!どうかミゲルを!ミゲルを助けてください…!!」

 

「なに…?」

 

サタンの口から飛び出した言葉に、俺は眉をしかめるのだった。

 

どうやら今回の騒動、まだまだ終わりそうにないらしい。

 




どんなにオリジナル形態を出しても、最後は原点に立ち返ろう。

悟空が金色の超(スーパー)サイヤ人に至ったのはそういった目標がありました。

正体としては本編でもあったように闘争本能の具現化です。超(スーパー)サイヤ人4の状態で通常の超(スーパー)サイヤ人に変身した、といえばわかりやすいでしょうか。理屈としてはブルーに近いといえば近いですね。2、3への変身も将来的には可能です。もはやナンバリングの意味があるかはわかりませんが(苦笑)

やりたかったことが次々と終わっていくことに寂寥感を覚えますが、それだけ物語に終わりが近づいてきたということ。

魔人ブウ編以降の時間軸は外伝になるかな。

たぶん、地球のドラゴンボールをはじめて使う次回かその次が最終回です。


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【最終話】dragonball calamity ★

これにて本編は終了です。

まだまだ明かされていない謎。出したかった設定など、もろもろ存在します。

ですが、それらを無理にすべて出すよりも、物語としての区切りを大切にするためにここで最終話とさせていただきました。

今後も外伝扱いですが、悟空と妻たちの性活。原作よりも遥かに強くなった仲間たちのその後など、書いていくつもりです。

更新は不定期になりますが(苦笑)

今回はオリジナル設定がてんこもりですが、どうぞお楽しみください。


***side 悟空***

 

 

「こいつは…」

 

俺は動揺から涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにするサタンことマークを落ち着かせながら、彼の妻であるミゲルが入院する病院へとやってきていた。

 

ミゲルが突然倒れたのは数時間前。パーティに向かう準備をしている矢先の出来事だったそうだ。

 

ちなみに彼らの娘であるビーデルは、今はブルマたちに預けてある。

 

俺は高熱に喘ぐミゲルを見下ろしながら、その症状を診察して顔をしかめる。

 

「…ピッコロ。お前はどう見る」

 

「…恐らくお前と同じ結論だ。彼女の魂を“魔”が蝕んでおる」

 

一見すれば単なる高熱に喘いでいるだけの彼女だが、その実態は違った。

 

遠視能力を進化させ魂の様子すら見ることができる俺と、肉体に現れる様子や気の状態から判断したピッコロは、同じ結論に至っていた。

 

「くそっ…!このままじゃ間違いなく彼女は死ぬぞ…!」

 

目の前で再び“魔”に命が奪われることが我慢ならず、無力さに忸怩たる思いを抱きながら俺はある決意をする。

 

「魂に宿った“魔”がある以上、それに引きずられる形で消耗していく肉体はいくら回復したところで時間稼ぎにしかならん。悟空、どうするつもりだ」

 

「ドラゴンボールを使おう」

 

俺が告げた言葉に、ピッコロは静かにうなずく。

 

「…そうか。それがお前の覚悟なら、私からは何も言わん」

 

今彼女の魂には、魔族の魂が無理矢理宿っている状況だ。

 

闘争本能の高い存在ならそれは突然変異となり、高い戦闘力と残虐さを併せ持つ存在へと変貌しただろう。

 

だがミゲルは人間だ。それも善良な。

 

相反する魂が同居した場合、より弱い魂は侵食されてしまう。

 

ましてや弱い人間の肉体だ。魔族の器となるには脆すぎる。結果として、魔族の魂による侵食を受けて彼女は衰弱していた。

 

どんな優秀な医者でもわけがわからなくなるはずだ。魂の診断など、少なくとも俺が『伝説の超(スーパー)サイヤ人』のころでさえ一部の星系でしか成しえなかった出来事なのだから。

 

───だが、解せないことがひとつある。

 

彼女はすでに成人した人間だ。普通魔族の魂は、ヒトの魂が転生する最も未成熟な瞬間を狙い取り憑く。魂というのは基本的に脆弱であり、本来“原初の七柱”などの特殊な魂を持つ存在でもなければ、なにもすることはできない状態なのである。

 

バーダックがどれだけとんでもないことをしでかしたかわかっただろうか。

 

であるからこそ、神としては下位の強さしか持たない各宇宙の閻魔大王が地獄を管理できるのであり、『樹皇神』とリンクした“スピリットロンダリング装置”などという冗談みたいな機械が有効に働くのだ。

 

…そう、それこそフリーザのように“意図的”に魂を宿らせたのでなければ、すでに器に宿った魂へ魔族の魂を宿すなど、いったい“誰なら”できるというのか。

 

「クソ野郎、なにを企んでやがる」

 

俺はそれが可能である、さきほどほんのわずかに“俺たちを見に来た”と笑って去っていった相手を思い浮かべて歯を食い縛る。

 

───ここで、“魔族”と“原初の七柱”いうものを説明しておこう。

 

魔族とは、かつてすべての宇宙の礎を作り上げた“原初の七柱”のひとり『創造神』の力が生んだ“淀み”───世界を生んだ反作用『マイナスエネルギー』そのものだ。

 

この宇宙そのものを誕生させた彼女の膨大な力は、それに応じた反作用を生んだ。

 

“淀み”であるマイナスエネルギーはやがて形を成し、自我を確立させると自らを『魔族』と呼び暴れ始まった。

 

自分達とは違う存在を、世界すべてを否定するために。

 

“原初の七柱”のひとつであった俺は、当時やつらとの戦いを幾度となく繰り返した。

 

幾万年…幾億年と…

 

“原初の七柱”はまだ宇宙ができる前、精神と時の部屋にも似た真っ白い空間で生まれた。

 

あらゆる存在を創り出す最初の神『創造神』。

 

創造神の足りぬ部分を補い、必要なモノを造り出す『造物神』。

 

時間や空間の概念を生み出し、無限の世界を旅し続ける『時空神』。

 

世界に魔法を生み出し、異なる原則による法則を定めた『魔法神』。

 

命の循環を司り、神も人もすべての魂を見守る『樹皇神』。

 

命の多様性を司り、数多の種族が生まれる魁(さきがけ)となった『精霊神』。

 

すべての“闘い”の頂点にして生まれた時より最強無敵を与えられた『闘争神』。

 

創造神が宇宙を生み、造物神があまねく星々を造りだし、魔法神と精霊神がそこに暮らす命を作り出した。

 

時空神が時間や空間の概念を作りだし、樹皇神は命が終わった後の魂を見守る存在として神王樹となった。

 

そして闘争神こと俺は、創造神が作り出した宇宙の淀みである魔族と闘いそのことごとくを打ち倒した。

 

いったいどれだけの時間を戦いに費やしたのか、もはや磨耗した記憶から読み取ることはできない。

 

だが、そのとき俺は確実に飽いていた。

 

戦うことに。生きることに。神であることに。

 

そんなあるとき、ひとりの魔族が戦うのではなく話がしたいと言ってきた。

 

魔族にあっても特殊な不死身の特性を持つそいつとは何度も戦ったが、何度も戦ううちに次第に妙な友情関係が芽生えてきたのを覚えている。…いい加減倒すのが面倒だったのもあるが。

 

なにを話したのかなんて覚えちゃいないが、たぶん大した話をしたわけじゃなかったんだと思う。

 

それでも当時戦うことしか知らなかった俺には新鮮だったし、やつへ好意じみたものを感じたのも事実だった。

 

そんなある日、やつはイラつく俺にある提案をもたらした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『もっと闘争を楽しみたくはない?』

 

ピンク色の肌に、羽織る程度の上着。サルエルパンツを履いた“女”の魔人ビイが俺に向かってそう語りかけてくる。

 

愚問。あまりにわかりきった質問に、俺は本来であれば打ち倒すべき目の前の女を相手に笑みすら浮かべて答える。

 

『当然だ』

 

するとやつはニタリと笑い、魔法神の生んだ“多様性の法則”を宿した体をくねらせ俺にしなだれかかってくる。

 

この魔法と呼ばれる法則を魔人であるこいつが取得してからは殆ど戦っていないが、実際かなり厄介な相手であることは間違いない。

 

だがそれだけだ。

 

どんなに複雑怪奇な技を身に付けたところで、俺の前には敵などいない。

 

あらゆる敵が、一撃で粉砕され死ぬ。

 

俺に抱きつき笑みを浮かべる女『魔人ビイ』は不死身だからこそ死んでいないが、所詮それだけだ。一種の腐れ縁であるためある程度お互いの気心は知れているが、結局俺とこいつはいつか殺し合う仲なのだから。

 

『ねえ、一度死んでみるってのはどうだい?』

 

『なに?』

 

とんでもないことをさらりと口にした魔人ビイに向かって、俺はいよいよ死にたくなったかと殺気を漏らす。

 

『ちょっとちょっと、別にあんたと今戦おうってんじゃないよ。あたいが言ってるのは、今よりほんの少し弱くなってみない?っていう相談さ』

 

魔人ビイの説明を聞けば、どうやら樹皇神のシステムは魔族にも有効らしく、すでに前世の記憶をもって転生した魔族もいるのだそうだ。

 

倒したのを覚えてもいないそいつはどうやら今では“人間”として生きているらしく、記憶を持っていてもかつてのように暴れまわろうとはしていないのだという。

 

魔族の、魔人としての本能をも変質させてしまう“転生”という暴挙。

 

すなわちそれを使うことで俺を今とはまるで違う存在にすることが、魔人ビイの思惑であり、強さの根元を魂に持つ“原初の七柱”である俺を今の闘争神としての神の体ではなくすことが、俺の願う“血沸き肉踊る闘い”への道だと言うのだ。

 

かつて俺は、下界の星々で起きた実に低次元な争いを見てから、闘うことになにかを見いだそうとしていた。

 

自分よりも遥かに弱い存在が少しでも強くなろうとあがき、もがく姿。

 

その姿に俺がいつしか魅せられていることを、どうやらこの女は気づいていたらしい。

 

『…いいだろう。お前の企みに乗ってやる』

 

『あは♪やったね、それじゃ次に出会えるのを、あたいは楽しみに待ってるよ…』

 

それが、ヤツと交わした最後の会話になった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

罠であっても、食い破るつもりでいた。それは俺の“驕り”そのものだったのだろう。

 

魂だけとはいえ、魔人程度に俺をどうこうできるとは思っていなかった。

 

だがまるでそうなることを見越していたかのように、俺を捉えた造物神は俺の魂に全ての宇宙から集めた膨大なマイナスエネルギーを注入した。

 

結果として、“魔族”の神である『魔神』となった俺が転生した。

 

意識はあった。だが、膨大なマイナスエネルギーから生まれた魔族としての本能には抗えず、俺は破壊と暴虐の限りを尽くし、暴れまわった。

 

今になればわかるが、恐らく造物神は魂を消滅させる力を俺に得させることで魔族を文字通り滅ぼそうとしたのだろう。

 

奴の思惑は半分うまくいった。事実、魔神として転生した俺は魔人をはじめとした魔族を悉(ことごと)く滅ぼした。

 

…俺を止めようとした魔人ビイでさえも。

 

その後は死後の世界においてはスピリットロンダリング装置を、生前の世界においては“願い玉”によってマイナスエネルギーを管理するようになった影響もあり、宇宙における自前の体を持つ魔族はいなくなった。

 

生き残りの魔族らはかつて獲得した自我を希釈し、マイナスエネルギーそのものとして宇宙を漂うことでわずかばかりの反抗を残していった。

 

しかし、造物神にとって誤算があったとするならば、『魔神』となった俺を止められる者がいなかったことだ。

 

めぼしい魔人や魔族を滅ぼした俺は、次第に宇宙そのものへ牙を向くようになっていった。

 

抗うことのできない破壊欲求に従い、俺はいくつもの宇宙を滅ぼした。

 

このままでは、やがてすべての宇宙が滅びる。事実そうなるのも、時間の問題だっただろう。

 

しかし事実として、そうはならなかった。

 

これまで事態を知らないようにされていた創造神は、宇宙が消えていくのに気づき嘆いた。

 

彼女は『魔神』と化した俺を止めるために、自ら俺の前に現れた。制止しようとする魔法神、精霊神、造物神を振り払って。

 

天地開闢に匹敵する戦いは、数万年に渡り続いた。やがて俺に勝てないと悟った彼女は自らの命を賭して俺から力を奪い、自身にとって不可逆存在である『破壊神』を生み出し死んだ。

 

そうして生まれた子供のような姿の『破壊神』は魔神となった俺を殺したが、死ぬ前に俺が放った一撃によって破壊神もまた殺された。

 

…それからのことは俺が転生するたびに得た記憶であるためぶつ切りだ。

 

だが、造物神は再び俺が蘇ることを警戒したのだろう。

 

死んだ破壊神の肉体を再構築し、バラバラに散った破壊神の力をそこに納めた。

 

不完全ながら“あらゆる存在を消滅させる”力を得た子供のような破壊神擬きは『全王』と呼ばれた。

 

その後造物神は大神官を名乗り、『天使』という自らの力の端末を使って各宇宙に存在する強者を選抜。宇宙の管理者として『樹皇神』と共に造り出した『界王神』の命と繋げた『劣化破壊神』を生み出した。

 

やがて造物神が危惧したように、魔神である俺はおよそ1000年周期で蘇り、その都度力を“思い出す”前に劣化破壊神によって破壊された。

 

そうして何度も何度も殺されていくなかで、あるとき死後の俺に語りかけてくる存在がいた。『樹皇神』だ。

 

もはや概念のみとなった彼女は造物神がもたらした混沌を嫌っていた。

 

自らが創造神の代理であると言わんばかりの行いが、彼女の逆鱗に触れていたのだ。

 

『樹皇神』は俺を“ヒト”として転生させると言ってくれた。すでに半ば概念化し、意識をほとんど持たない存在となりかけていた樹皇神にとってそれは賭けであったと言ってもいい。

 

だが彼女は、創造神が産み出した魂の産物である“人間”の可能性に賭けると言ってくれた。

 

その生まれ変わりが、原種サイヤ人の突然変異。すなわち『伝説の超(スーパー)サイヤ人』だ。

 

魔神としての転生では無くなったことで前世の記憶と力の大半を失ってしまったが、それは間違いなく俺にとってのキッカケとなった。

 

だが俺はかつてと同じく過ちを犯し、自分の子供さえも殺した。

 

そのときの後悔は今も胸に宿り続けている。

 

そして俺を蘇らせた者が何者であるのか…それは未だにわからない。

 

だがその相手の思惑がなんであれ、俺はそいつに感謝するとしよう。

 

そのことによって俺は“生きる”ことができているのだから。

 

__________________________________

 

 

「出でよ神龍!そして願いを叶えたまえ!」

 

俺の言葉に応じて、復元された天界の広場にて神龍が召喚されようとしている。

 

空には黒雲が渦巻き、稲光が周囲を激しく瞬かせる。

 

7つのドラゴンボールが激しく輝いたかと思うと、光が巨大な竜を象り溢れだしてくる。

 

「なんという巨大さだ…!」

 

天津飯が思わずといった体で叫ぶ。無理はないだろう。

 

光と共に飛び出した神龍の巨体はいまだに出続け空を覆っていく。

 

巨大な体が空でとぐろを巻き、視界を埋め尽くす。

 

時間にして数分。一同が見上げる中、その全身は空を埋め尽くし地球を半球分覆ってしまうほどだった。

 

少し離れた場所から地球を見れば、如何に神龍が巨大かわかろうというものだ。

 

『…さあ、願いを言うがいい…!…どんな願いも“みっつ”だけ叶えてやろう…!』

 

ドラゴンボール。それは対となる宇宙それぞれに存在する生前の世界のマイナスエネルギー収集装置である。

 

“願い玉”と呼ばれる、星ひとつほどある大きさのものがこの宇宙と隣の宇宙である第六宇宙にも存在している。今使われているドラゴンボールは、そのオリジナルの願い玉の欠片から作られた一種の模造品である。

 

ドラゴンボールが願いを叶えられるのは、ふたつの宇宙より集められたマイナスエネルギーを糧に、文字通り神の力を行使可能とするからだ。

 

それはヒトの欲をつき、理不尽な願いを叶えれば叶えるほどにマイナスエネルギーを溜め込んでいく性質を持つ。

 

かつてあった宇宙のいくつかが消滅した原因は、この願い玉にあると言ってもいい。

 

世界を滅ぼすほどの魔族───龍魔族───を倒すために、造物神が全王を使ったからだ。

 

“災厄の宝珠”。それが神龍の、ひいてはドラゴンボールの正体である。

 

『…さあ、願いを言え…!!』

 

神龍の言葉に静まり返る一同。

 

ここにいる人間には、ドラゴンボールが持つ本来の役割と意味を説明してある。

 

破壊神であるビルスはさすがにそのことを知っていた。

 

彼の破壊の力は龍魔族といえど警戒に足るものだが、神龍は一切怯んだ様子を見せない。

 

むしろビルスの方が気圧されているようにすら感じる様子に、俺は緊張感を高めざるを得かった。

 

だが、覚悟はできている。この程度で願いを唱えるのを止めるわけにはいかない。

 

「まずひとつ目だ。今ひとりの女が死にかけている。彼女の魂に取りついた魔族の魂を取り除いて欲しい」

 

『…たやすいことだ…!』

 

俺のイメージから対象者を特定した神龍の赤い目が光り、超常の力が振るわれる。同時に消耗したプラスエネルギーを補填するように、すさまじい速度で神龍の内側にマイナスエネルギーが溜まっていく。

 

とはいえひとまず願いは叶ったようだ。

 

「あなた!ミゲルさんの容態が安定したって!」

 

電話を繋いでいたブルマが報せてくれる。さすが究極の神龍、仕事が早い。

 

ついでだ、他の用件も済ませてしまおう。

 

「よし!…ふたつ目だ。魔人ブウの魂に囚われた界王神らを復活させてほしい」

 

『…ふむ、たやすいことだ…!』

 

「み、みんなが帰ってくるのですか…!」

 

神龍の言葉を受けて嬉しそうな顔を隠せないのは界王神であるシンだ。いや、他の界王神が帰ってくれば東の界王神に戻るのか。本名を名乗ればいいのに、面倒なやつだ。

 

…記憶はすでにないようだが、あれが元魔人だとは誰も思わないだろうな。

 

そうこうしている内に神龍の瞳が一際強く輝くと、あらかじめ俺の前に用意しておいた封印の壺が動き始める。

 

蓋を開けてやると、そこから勢いよく復活した界王神らが飛び出してきた。

 

「う…こ、ここはいったい?」

 

最初に目を覚ましたのは大柄な南の界王神。…なるほど、大した実力の持ち主だな。まともに戦えば今のベジータ王でも苦戦するだろう。

 

「わたしは…魔人ブウに吸収されたのでは…」

 

やや虚ろな表情で現状をいぶかしんでいるのは西の界王神。モヒカンヘアーだが、なかなかの美人だ。後で声をかけてみるとしよう。

 

「シン!お前が我々を復活させてくれたのか!」

 

歓喜の声をあげたのは北の界王神。嬉しそうに東の界王神であるシンの両肩を掴んでいる。

 

「…大界王神様はどこですか?」

 

疑問の声をあげたのは西の界王神だ。たしかに、彼の魂だけは魔人ブウに残ったままだ。

 

『…その者は復活を拒否した…!…自分は魔人ブウと同化すると言っている…!』

 

「なんだとっ!」

 

神龍が告げた内容に驚いたのは南の界王神だ。俺もてっきり復活してくるだろうと思っていただけに、意外な結果に驚いている。

 

『…真実だ…!…待て、今直接言葉を聞かせよう…!』

 

神龍がそう言うと、光が集まりうっすらと透けた大界王神が現れる。サービスがいいな。

 

『…みんな、ひさしぶりだね。シンも、随分と苦労をかけたね』

 

「大界王神様…!」

 

東の界王神、シンは涙を流しながら透けたままの大界王神に近づく。

 

『神龍の言うことに間違いはないよ。それに、僕ははじめからそうするつもりだったからね』

 

「おい大界王神!君は僕に借りがあるだろう!それを返しもせず、このままいなくなるだなんて許さないぞ!」

 

自分は消滅するとわかっているのか、穏やかな表情を終始崩さない様子の大界王神の本気に焦ったビルスが駆け寄ってくる。

 

『おやおや、久しぶりだねビルス。はは、じゃあ悪いけど僕の借り逃げだね。ついでになんだけど、僕と同化した魔人の面倒を頼めるかな?なんでか今の君は破壊神じゃないみたいだし、暇ならちょうどいいだろ』

 

「…借りを返すどころか面倒ばかり残しやがって。“次”に生まれ変わったときは覚えてろよ」

 

それは決して果たされることのない約束にも聞こえた。だがいつか、数万年後か、数億年後か。魔人ブウが死んだ後ならば、いずれは会うこともできるかもしれない。

 

まさか今すぐ殺して転生させるのは、さすがのビルスも躊躇うだろうし。

 

『…はは、それは気の長い話だね。でも覚えておこう。いつか来世で…また逢おうね。…みんなも、元気で』

 

「「「「大界王神様!」」」」

 

東西南北の界王神が叫ぶが、大界王神は笑顔を浮かべて消えていった。

 

するとそれまで不安定な煙だった魔人ブウが安定し、まるまると太った体型の大界王神によく似た容姿の魔人が現れる。

 

気を失っているようだが…ん?気配がもうひとつあるぞ。

 

「下がれ皆の者!何者かが魔人ブウに宿っておる!」

 

ピッコロの警告に従い、戦士らが俺の妻らを庇うために前へ出る。その姿に俺は笑みがこぼれるのを抑えられない。魔人ブウであっても臆せず前に出る人間の姿に、界王神らが驚いた表情で見ていた。

 

やがて魔人ブウに宿ったもうひとつの気配はブウの頭にある穴から煙となって這い出てくると、時間をかけてヒトの形をとっていく。

 

「師匠!四重魔封波を仕掛けます!」

 

チャパ王の言葉に俺は頷こうとして、姿を現した魔人を見て思わず周囲の者を止める。

 

「待て!アイツは…うお!?」

 

姿を現した魔人はまっすぐ俺に突っ込んでくると、俺の胸元に抱きつき顔を埋める。

 

「師匠!」

 

ナムの緊迫した言葉にベジータ王が動こうとするが、俺の表情が敵対者に対するものではないことに気づいたピッコロがそれを止める。

 

「会いたかったよ!あんた!」

 

俺の胸元に飛び込んできたのはかつての腐れ縁。最初の不死者であり、異質な魔人。『魔人ビイ』だった。

 

「お前、いったいどうやって…!」

 

驚く俺にすがりつき顔をぐりぐりと胸板に押し付けるビイをどうしたものか扱いかねていると、ビイはそのまま口づけしようとしてきたので───とりあえず頭をひっぱたいて迎撃する。

 

「ふぎゃっ!ちょっとひどいじゃないさ!数億年ぶりに再会した恋人に対して!」

 

ちょいと力を入れすぎて頭に手形を残したビイを辟易として見つめながら、俺は頬をかきつつ答える。

 

「いや、なんていうか、つい。…というかちょい待て、いつお前が恋人に「つい!?ついであんたはヒトの頭なら砕けるような張り手をお見舞いするのかい!」あー、悪かったよ…」

 

顔をぐいぐい近づけてくるビイの迫力と言うか、意外と整った顔を直視しきれずに目をそらして降参すると、にやりと笑ったビイが俺の腕にしなだれかかってくる。あ、見た目より胸あるな。

 

「いいや、ダメだね。罰として…んっ!ほら、ね?これからあたしとしっぽりヤってもらうよ…!」

 

ヤってもらうの字を想像して興奮してしまった。

 

ビイは自分の股間に混乱から抜け出せない俺の手を招くと、本能的に動いた指が湿った音を鳴らし、そこが“準備万端”であることを知らせてくる。

 

思わず反応してしまう俺だが、さすがに今はまずい。具体的にはシリアスが台無しである。

 

「悟空。とりあえず界王神らの視線が痛い。説明しろ」

 

ピッコロの言う言葉に振り向けば、そこには俺を警戒して睨む界王神らの姿。ビルスも一緒に睨んでいるが、その目は笑っている。西の界王神は俺の股間を見て顔を赤くしているが…なるほど、逸物が完全体になっている。

 

「…すげえ面倒だから雑に説明するが、こいつは俺が闘争神だった頃に戦ってた不死の魔人ビイだ」

 

「…シン、どういうことか、説明してもらえるか」

 

俺の言葉を一ミリも信用していない様子の西の界王神だが、その視線はチラチラと股間に向けられている。

 

試しに上下に動かすと顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。ほほう。

 

「なにしてんのよ!」

 

「あだっ」

 

ふざけすぎてブルマにはたかれてしまった。

 

仕方ないので魔人ビイが掴まるのとは反対の手で彼女を捕まえる。ついでに乳を揉んでおこう。

 

「えっと、わたしもついさっき知ったばかりではっきりと断言できるものではないのですが…彼『孫悟空』さんは1000年前の“伝説の超(スーパー)サイヤ人”であり、かつて天地開闢より存在したと言われる原初の七柱の一柱『闘争神』です」

 

「伝説の超(スーパー)サイヤ人に、闘争神様だとぉ…!?馬鹿な、どちらも死んだはずだ!」

 

シンの言葉に動揺したのは北の界王神だ。なるほど、俺を知っているのか。ならば奴は知恵の界王神にあたる存在だな。

 

「まあ、死んだと言えば死んだな。“どこまで”を知っているかは知らないが、かつて『魔神』に転生して悪逆の限りを尽くし、滅びを体現せしめたのがこの俺だ」

 

俺は試すつもりで黒い超(スーパー)サイヤ人の力をわずかに解放しプレッシャーとして放ってやる。すろと、面白いくらいに界王神全員が動くこともできずに固まる。

 

南の界王神だけはどうにか体勢を整えているが、他はひどいものだ。お、西の界王神もどうにか耐えているな。なるほど、実力はともあれ彼女も力の界王神か。だが腰が引けている辺り、トラウマでも刺激したかな。

 

「いいね!そんな気配も出せるようになったんだな!」

 

「お前にほめられても嬉しくねえよ」

 

「あはっ♪相変わらず素直じゃないんだから!」

 

雰囲気を壊すように俺の背中をバシバシ叩いてくるビイに促される形で俺はプレッシャーを納める。

 

「…ウサス殿。彼の力は我々界王神を上回り、ビルス様をも凌駕するものです。彼の言う闘争神の話が本当かはともかく、敵対するべきではありません」

 

南の界王神───ウサスは冷や汗を流しながらシンに諫められて悔しげに俺を睨む。俺に向かってこようとしたみたいだが、シンが察して止めに入ってくれたようだな。

 

少々ブルマの乳をこねるのに夢中になりすぎたようだ。

 

「…ドラゴンボールを使い我々を蘇らせてくれたことには礼を言うが、彼の力は危険すぎるぞ」

 

ウサスの言うことも尤もだろう。もし仮に俺が暴れれば、たぶん全王が対応する前に全宇宙の半分は破壊できる。今はビルスから奪った力もあるしな。

 

「まあ、仮にも宇宙を管理する界王神としてはそうだろうな。だが誓ってやってもいい。俺はもう、無意味な破壊はしない。…それが魔族だろうと、神だろうとな」

 

ろくなことをしない魔族も、偉そうにしているだけの神々も、ことごとく滅ぼしてやりたい気持ちがなくなったわけじゃない。

 

「…ようやく気づいたんだよ。創造神は、あいつは初めからそんなこと望んじゃいなかったのさ…」

 

かつて彼女を守るために戦い、やがて彼女を殺してどれだけの時が過ぎたのだろうか。

 

造物神ならばそういったところは正確に把握しているだろうし、時空神ならばやつの能力で知ることもできるだろうが、戦うしか能のない俺にはそれらを推し量ることはできない。

 

…だがいずれにせよ、造物神がなにかを企んでいるというならば、それを止めるのは俺の役目だ。

 

まあなんにせよ、ここですべてを説明することはできない。情報を伝えていい相手と伝えてはいけない相手が混在しすぎている。…どうやらすべての界王神が味方ではないようだからな。

 

「神龍!!最後の願いだ!殺されたジンジャータウンの人間を、殺されたときの記憶を消して甦らせてくれ!!」

 

『…よかろう、たやすいことだ…!』

 

俺は流れを誤魔化すかのように叫ぶと、再び眼を赤く輝かせた神龍の力によりジンジャータウンの様子が変わる。

 

人の存在しないゴーストタウンだった街に、混乱しながらも生き返ったことを理解した人々の歓声が聞こえてくる。

 

何人かは上空の神龍に気づいたのか、指をさして驚愕している。

 

『…願いは叶えたぞ…!…さらばだ…!!』

 

役割を終えた神龍は再び輝くと、まるで散るようにして宇宙へと輝きを霧散させて消えていった。

 

目の前には、ややヒビの入ったドラゴンボールが石となって落ちてきたのでそれを俺は気で受け止める。

 

…これで次に使えば、このドラゴンボールからは間違いなく龍魔族が甦る。

 

天変地異を併発し、あらゆるそんざいを否定する災厄の魔族が。

 

ドラゴンボールを使わないのがベストなのだろうが、どうやらそうも言ってられない事態がいつ起こるかわからない。

 

これまでも俺は、いくつも予め備えることで事態に対処してきた。

 

後悔しないために。

 

失わないために。

 

守るために。

 

これからもそれは変わらない。変えることはない。

 

記憶を取り戻したところで、今の俺はまだ弱い。かつて闘争神だった頃から比べれば一パーセントに満たない力しか振るえないだろう。

 

だがそれでいい。弱いということは強くなれるということなのだから。

 

そして今度こそ家族を守る。

 

もう誰かを泣かせたりはしない。

 

そのためなら、どんな辛苦も耐えて見せよう。

 

俺は、“孫悟空”なのだから。




ひとまず本編を最終話とさせていただきます。

これは一重に、自分自身にかかるプレッシャーからの解放という意味合いが強いです。

なので、まだ回収しきれていない伏線や設定など、今後の外伝で明かしていくつもりですのでよろしければお付き合いください。

では恒例の補足★説明

魔人ビイ
女性型の魔人。原初の魔族といってもよく、はじめて不死となった存在。肌はピンク。
闘争神であった主人公をたぶらかし、転生させて恋人になるつもりでしたが目論見を造物神に見抜かれて失敗。彼によって封印され、魂だけとなった闘争神が魔神へと変貌するのを見ていることしかできませんでした。
その後魔神となった主人公に挑みますが敗北。肉体を消滅させられましたが、その魂は無意識に主人公が消さないように配慮したため無事でした。
その後は魂だけの状態で数億年の間宇宙を漂っていましたが、正体は気づかれなかったものの造物神に見つかり捕まってしまい、ミゲルに移植され悟空に無理矢理ドラゴンボールを使わせるきっかけとさせられてしまいました。
ところが宿った相手が悟空の知人だったこともあり、彼女が死なないよう尽力し(本来なら彼女が宿った時点で死んでいる)、神龍による超常の力で魂を剥がされると近場の魔人ブウ(純粋)の肉体を奪い取って復活しました。
目覚めて速攻で悟空に言い寄ったのは、申し訳なさと欲情と永年の想いがスパークした結果です。
戦闘力においてはかつて闘争神であった悟空をして“厄介”と言わしめるもの。
不死身である特性と魔法神の作った多様性の法則(要するに魔法)を宿したことが武器であり、気の出力では遥かに劣りながらも殺し合いなら絶対的な優位にたつことができます。
【能力】
・不死身。全身を気化されようと復活可能。自身を構成するマイナスエネルギーそのものを等量のプラスエネルギーで吹き飛ばされない限り復活できる。
・魔法。蘇生に匹敵する治癒能力。変化能力など多岐に渡る。ドラゴンボールには一歩及ばないものの、大半の願いなら彼女が肩代わりできる。ただしあまりに大規模なものを行使するには気が足りないため、他から借りてくる必要がある。

・東西南北の界王神
彼らの名前はそれぞれ英語の東西南北をアナグラム的に入れ換えただけ。シンは変更すると分かりにくいので、原作そのまま。
ウサスが南の界王神。ノスが北の界王神。エストゥが西の界王神。

・願い玉を作ったのって龍神ザラマじゃないの?
アニメでも名前しか出てきてないので、この作品だと別名を名乗った造物神ということにしてあります。または彼の配下でも有り。

・大界王神が魔人ブウと同化することを選んだ理由。
完全に魂が癒着してしまっているため、剥がすと死んでしまうというのがひとつ(神龍は剥がして死んだ後に復活させるつもりだった)。大神官である造物神のある企みに気づいており、それが魔人ブウを界王神界に送り込まれたきっかけだと気づいているため。またそれに対する贖罪と意趣返し。

・原初の七柱
唐突に前回から出てきた最初の神々。元々はオリジナル小説の設定。実は最初から出すのを決めてあったのだけど、これを出すのにこんなにかかるとは思わなかった。

創造神
女性。他の原初の七柱のお母さん的存在。あらゆる存在を創造した最初の神でもある。とはいえ生きていくために必要な環境作りをうっかり忘れてしまう天然さんでもあったりする。他の六柱すべてから愛されていたが、マイナスエネルギーという反作用を消滅させようと動いた造物神によって遅れて闘争神の変貌を知る。
戦闘力という面においては直接的な攻撃手段は持たないものの、相手を即座に消滅する宇宙に閉じ込めてもろともに崩壊させるという結構えげつない技が使えたりする。
魔神との戦いで披露したが、崩壊前に脱出し続け徐々にその速度をあげていく魔神相手に敗北を悟り、変貌した恋人である魔神から闘争神としての“破壊の力”を奪い、自らの肉体を糧に破壊神を創りだし死亡する。

造物神
男性。大神官を名乗り、すべての宇宙を管理する存在。うっかり者の姉をサポートする有能な弟ポジションのキャラ。シスコン。姉の愛情を一身に受けている(と勘違いして)闘争神を妬み、彼が無責任に神の肉体を捨てた隙をついてマイナスエネルギーの結晶である魔人を消滅させる存在としてアンチマイナスエネルギーとも言える魔神を造り出す。
当初すべての魔人を消滅させた後は、創造神と協力して破壊しても無限ループを繰り返すだけの小宇宙に魔神を捉えようとしたが、創造神にその歪んだ愛情からの行動がばれてしまい彼にとっては最悪の悲劇を生む。
今の彼にとって大切なのは姉の忘れ形見であり自分の作品でもある全王であり、他の存在は所詮使い捨てに過ぎない。
マイナスエネルギーを管理するシステムを樹皇神と協力して作り上げた。

時空神
男性。時間や空間の概念を作り出した存在。本人はすでに概念と化しているものの、その能力は本編未登場のあるキャラクターに受け継がれている。

魔法神
女性。様々な魔法を法則として作り出した存在。すでに概念化。ドラゴンボールのオリジナルである願い玉が扱う超常の力や、界王や界王神が使う魔法はすべて彼女が生み出したもの。

樹皇神
女性。肉体という器を無くした存在を清め、新たな命として送り出す役割を選んだ存在。もっとも早く概念と化したため、彼女のことは造物神でさえ性格を把握できていない。
闘争神の妹のような立場にあり、魔神と化した彼を最後の意思でヒトへと転生させた。

精霊神
女性。うっかり者の姉に変わって、魂だけだったあらゆる存在に肉の器を与えた神。喧しい。まだ概念化していないが、その本体は造物神によるある目的のため、どこかの宇宙に封印されてしまっている。

闘争神
主人公、孫悟空のオリジン。生まれたときより最強無敵の力を与えられたため、億兆単位で繰り返されるマイナスエネルギーの処理に飽きてしまい、仕事を放棄したとも言える事件を起こした。
創造神とは特に仲睦まじく、恋人のような関係だった。
他の神々にとっては父親のような存在。

以上です。

さ、しばらく時間を置いたらエロを書きますかね。
お付き合い、ありがとうございました。


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【外伝】
人造人間(アンドロイド)は人間だった頃の夢を見るか?


サブタイトルは某有名SF小説のタイトルから。

今回は待ちに待った人造人間18号。

人間とはどこからが人間なのか?機械の体に魂は宿るのか?

そんなややこしいテーマとは無縁な、勘違い娘がこじらせた童貞ばりにエロに落ちていく様をご覧ください(笑)


***side ラズリ(人造人間18号)***

 

夢を見た気がして、ベッドのなかであたしは自分の手を薄明かりにかざして見つめる。

 

人造人間(アンドロイド)にそんな機能はないはずだから。

 

だからそうすれば、中にある機械が見えてくるんじゃないかと思って。

 

それが見えれば、自分が機械だと確信さえできれば、こんな風に悩まなくて済むんじゃないかと考えて。

 

あたしの名前は、ラズリ。

 

かつて自分の記憶を消去された、名も“なかった”人造人間。

 

あたしを助けた孫悟空という男が、あたしのかつての名を調べて教えてくれたから、便宜上その名前を使ってる。

 

18号だなんて、いつまでも番号で呼ばれたくなかったから丁度いい。

 

けど今になっても、自分がラズリという人間だったことを信じることができない。

 

なんの記憶もないからだ。いくら“かつての自分”の情報を集めたって、そんなものは慰めにもなりはしない。

 

…本来なら、あたしの命はとっくの昔に終わっているはずだった。

 

孫悟空という、人知の及ばぬ超越者に負けることで。

 

けれど、その願いは他でもない孫悟空によって阻止された。

 

今でも、ドクター・ゲロのことを考えるだけであたしの心にはふたつの火が着く。

 

ひとつは、消えることの無いゲロへの憎しみの炎。

 

ふたつめは、ゲロから移植された“孫悟空という存在”への憧れにも似た焦がれるような嫉妬の炎。

 

『自分をヤツに認めてもらいたい』。

 

この炎の共通点はそのたぐいまれな自己承認欲求だ。

 

こんな成就するはずもない余計な感情を入れられて、あげく生き延びて、あたしはこれからどうしたらいいのだろうか。

 

…弟のラピスは、意識を完全にゲロの妄執に奪われていた。

 

最後に交わした会話で、わたしは目の前の弟が自分が知っている存在じゃなくなってしまったんだと確信していた。

 

魂も残さず消滅させられたとは聞いたけど、それでよかったかもしれない。

 

元の優しいあの子なら、きっと自分がしたことを深く後悔するだろうから。

 

「…ふん、ガラじゃないね」

 

自分の心に浮かぶ複雑な感情を、センチメンタルだと断じてあたしはベッドから起き上がる。

 

ここはカプセルコーポレーションにある一室。

 

つい最近ラピスが跡形もないほどに破壊したって聞いたけど、ここに来たときにそんな様子は少しもなかったんだから金持ちってすごいと思う。

 

あたしも少し前───ううん、“人間”だった頃なら金持ちには憧れたんだろうけど、今はどうでもいい。

 

どんなにお金があったって、あたしの体は人間と違う。

 

食べたものが美味しく感じるのは、きっとそういう風に機械が認識するから。

 

素敵な服が似合うのは、きっとこの体が黄金率もかくやっていうくらいに完璧なプロポーションだから。

 

住むところだって、きっと場所を選ばず生きていける。極寒でも、熱砂でも。

 

だからあたしがこんなところにいるのは間違ってる。そう、思っているのに…

 

「眠れないのか?」

 

ぼーっとしていたら、いつの間にかあたしは共用のリビングまで歩いてきてしまったようだ。

 

そこで先客として来ていた、紫色の肌をした猫の獣人に話しかけられる。

 

「…別に。ただ目が覚めただけ」

 

「それを眠れないと言うと思うんだがな…まあいい」

 

猫みたいな男、たしか『ビルス』っていうらしい。

 

今はやたら美味そうにプリンを食べているが、なんでも宇宙最強の破壊神なんだとか。

 

本当にそうなんだろうか?服装は如何にもだけど、迫力はまるで感じないし、正直あたしにはこの間のパーティの最中ずっと正座させられていたイメージしかない。

 

「なんだか失礼なことを考えてないか?」

 

訝しげに、ほとんど核心をつくような表情でビルスはこちらを覗いてくる。

 

それが心まで見透かされるようで、あたしは顔をしかめて横に背ける。

 

冷蔵庫からビールを取り出して…やっぱりやめてコーラにする。

 

酒なんか飲んでも酔っぱらわないだろう体に、アルコールを入れるのは酒に対する侮辱だろうから。

 

「…別に。あんたこそ、こんな場所でなにしてるのさ」

 

興味なんてないが、さっきのことをしつこく聞いてくる前にこっちから話題を振ってやる。

 

こういう“世間に興味なんてありません”なんて顔してるやつほど、普段の会話に飢えている。

 

「ついさっき、ようやくあの魔人ブウを寝かしつけたんだよ。まったく大界王神め、同化するなら最低限の知識くらい植え付けとけってんだ。なんでこの僕が子供の面倒を見るようなことをしなければならないんだ…!」

 

思い出すに気にくわないことがあったのか、ビルスは怒りながらさきほどまで自分が如何に苦労したのか語るが、あたしにはその様子がひどく嬉しそうに見えて首を傾げた。

 

だからあたしは自分が感じたのとは逆に、彼が口にした言葉へ疑問を投げ掛けてやる。

 

「どうしてそんな思いをしてまで、あの化け物を育てるんだい?」

 

「…魔人ブウだ、化け物じゃない。あれでも僕の古い友達が残した忘れ形見でね、無責任に放り出すわけにはいかないのさ」

 

不思議だ。

 

口調はさして変わらないのに、ビルスの様子を見ればどこか誇らしげに見えてくる。

 

どうしてそんな風に考えられるのだろう…わからない。

 

「…そう。じゃあ、あたしはもう行くね」

 

手に冷えたコーラの瓶を持ったまま、再びプリンを食べる作業に集中し始めたビルスを尻目に、あたしは部屋まで戻ってくる。

 

そこで、はたと気づいた。

 

今の自分が、上下の下着にワイシャツを羽織っただけの格好だったことに。

 

さきほどビルスが無反応だったのはなぜだか悔しい気もするが、まあ見た目からして違う獣人の意見など参考になりはしない。

 

「あいつに見つかってたら…どうなってたのかな…」

 

孫悟空。

 

あたしを止めた男。

 

あたしにセクハラしてきた男。

 

強い男。

 

あらかじめ植え付けられた知識で、孫悟空のことは専門家といってもいいくらいにあたしは知っている。

 

十代前半と思われる姿で他の星系から地球にやってきた彼は、文字通り金銀財宝を積んだ沈没船を独力で引き上げ、そこから得た資金で最初は実に好き勝手していたらしい。

 

ところが孫悟飯老人との邂逅を重ねるうちに彼に弟子入り。それまでの様子が嘘のように、武道家としての修行に励むようになった。

 

数年が過ぎた頃、魔族によって孫悟飯老人が殺害される。その後の様子は不鮮明ながら、当時極めて高いエネルギーレベルが測定されたことから相手の魔族を殺害せしめたであろうことがわかっている。

 

それから数年は、世間に顔を出すこともせずひたすらに菩提を弔うような生活をしていたらしい。

 

そんな生活が一変したのはある少女が彼の元を訪れたこと。

 

ブルマという、世界一を名乗ってもおかしくはない企業カプセルコーポレーションのご令嬢が起こした単独旅行。

 

彼は世間的に見れば一種の家出とも取られかねない彼女をその場で押し倒し、手込めにしたらしい。

 

そこからは劇的だった。

 

外の世界へと旅だった彼は、その圧倒的な力を振るってドラゴンボールを瞬く間に集めた。

 

復活を目論む魔族を討ち滅ぼし、数年後には天下一武道会で優勝した。

 

彼が名をあげるごとに、彼の周りに侍る女の数も増えていった。

 

その後は世界一の軍隊であるレッドリボン軍を片手間に壊滅。これによってゲロの怒りを買い、ゲロが人造人間を造り出すきっかけとなった。

 

それからも何度も地球の、世界の危機を救った救世主。

 

…あたしはどうすればいいんだろう。

 

疑問だけが泡みたいに浮かぶ。

 

ベッドに戻ったあたしは、見えない空を思い描きながら再び眼を閉じた。

 

__________________________________

 

目の前で、あの孫悟空が戦っている。

 

その姿を目に写すだけで、あたしはそこから目が離せなくなる。

 

「どうしたベジータ王!そんな単調な攻めじゃいつまで経っても勝てやしないぞっ!」

 

「おのれえええっ!!」

 

超(スーパー)サイヤ人4だったか、原種サイヤ人だったか。

 

赤い体毛の変身形態で戦うサイヤ人のベジータ王は、ここ数ヵ月であっという間に実力を上げた。

 

孫悟空の女であるブルマと父親であるブリーフ博士、さらにはベジータ王の部下であるレズンとラカセイにとって造られた1000倍まで増幅可能な重力室での修行を行うことによって。

 

変身に伴って体重の増幅もあるだろうが、変身して概ね80キロ前後の体重であるベジータ王が1000倍の重力を受けると80トン。…もはや冗談みたいな数値だが、事実としてベジータ王はそれを克服してみせた。

 

あまりの跳ね上がりぶりに、あのプライドの塊であるフリーザ一族のクウラ(今はレッドと名乗っている)までもがトレーニングルームに入っていくようになったのはお笑いだったけど。

 

「はあっ!」

 

「ナイスパンチ!」

 

わずかにだが、ベジータ王の攻撃が悟空の頬をかする。

 

思わず手放しに褒めた悟空の言葉に動揺したベジータ王の隙をつき、悟空は後ろに回り込んで頸動脈を締め上げ一瞬にして意識を奪った。

 

ぐったりとしたベジータ王をラディッツが受け取る中、気づけばあたしは悟空の前に歩み出ていた。

 

「次はあたしとやってもらうよ」

 

「おい!順番守れよ!次はおれもがもが…!」

 

本来先に約束していたのはターレスだったのだが、次に機会が巡ってきたときにもこうして一歩踏み出せるかわからない。

 

あたしはターレスを押さえてくれたセリパに目線でお礼を言うと、気にするなといった感じの雰囲気が返ってくる。

 

「…悪いな。ちょいとここは譲ってもらうよ」

 

一応言葉にも出してターレスに謝ると、ターレスは今だ口を押さえられながらももがもがと喋ってその場に座り込んだ。たぶん、しょうがねえなあとか言ってるんだろうけど。

 

「お前も変わったな、ラズリ」

 

「あたしが変わった…?そうなのか、でも自分じゃわからない。だから確認させてくれ、孫悟空」

 

言うなりあたしは人造人間特有の溜め無しでの全力攻撃に移る。

 

普通なら気を高めたり集中しなければいきなり全力を発揮することはできないだけに、あたしのこの攻撃は同じ程度の実力者であっても十分不意打ちとして機能する。

 

しかし、やはりというべきか、地面を滑るように飛んで打ち込んだ右の肘打ちはあっさりと悟空に受け止められる。

 

あたしは肘から伝わるヤツの体温が染み込む前に急いで離れると、掌から連続でエネルギー弾を発射する。

 

光弾はことごとく命中しているにも関わらず、悟空にはまるで効いていない。

 

しかも無造作に受けているのではなく、当たった箇所にあたしのエネルギー弾と同じかそれ以上のエネルギーを回して全弾相殺している。

 

わかってはいたけど、これほどか。

 

あたしは下腹からかけ上がってくるゾクゾクとした喜びを否定して再び突っ掛ける。

 

今度は膝。人体において鍛えずとも凶器になりえる場所は、人造人間となったこの体において必殺の凶器と化す。少なくとも、無造作にパンチやキックを繰り返すよりはよほど威力がある。

 

あたしは受け止められた膝を引き寄せられ、顔の前まで近づいてきた悟空の顔に動揺する内心を誤魔化すように、膝蹴りを入れたのとは逆の爪先で悟空の顎を蹴りあげようとする。

 

「おっ!」

 

わずかに当たった。ここで畳み掛ける!

 

「うわああああああああっ!!」

 

あたしは形振り構わず全力での攻撃を次々と繰り出す。

 

永久エネルギー炉の最大出力を上回るエネルギーを全身に駆け巡らせ、悲鳴を上げる自分の体を無視して零距離でエネルギー弾を伴った打撃を幾度も幾度も叩きつける。

 

かつてあたしを食い止めた16号に対抗するため、無い知恵絞って編み出した攻撃方法。

 

連続爆破が悟空を包み込み、あたしは視界がなくなっても攻撃の手を緩めない。

 

けど、全力で放った攻撃でダメージを受けるのはあたしも同じ。

 

至近距離でのエネルギー弾の爆発はあたしの衣服を次々と剥ぎ、破っていく。

 

ストッキングがボロボロになり、袖はすでにない。というか、上着自体ほとんど残ってない。

 

それでもあたしは攻撃する。やがて、腕が軋みだす。限界を越えて、頭の中に警告音が響く。

 

それが嫌であたしは動き続ける。

 

こんな体、壊れてしまえばいい。そう思って、両手での零距離エネルギー弾を放とうとした腕を掴まえられる。

 

「無茶しやがって…」

 

悟空はあちこちが煤けていたが、目立ったダメージはない。

 

むしろその目は、あたしを見る痛々しさに満ちていた。

 

「うっ…!!」

 

不意に痛みが全身に走る。

 

おかしいな…あたしは機械なのに…

 

「まだ…だ…!」

 

それでも苦痛を口にはしない。

 

あたしの意地がそれを許さない。

 

けれど、体は意思とは裏腹に痛みで喘いでいて、情けなくもあたしは自分で作ったダメージで気絶した。

 

__________________________________

 

 

目が覚めた瞬間、目の前にあるのが見知った強化ガラスでないことに安堵する。

 

「目が覚めたか」

 

声をかけられて顔を向ければ、そこにはベッドに腰かけるようにして本を読んでいる悟空の姿があった。背表紙には『純粋理性批判』と書かれている。

 

「驚いたぞ、あそこまでやるとは思わなかった」

 

そう言ってあたしに笑顔を向けてくる悟空に、自然と体が熱くなるのを自覚する。

 

「ふん…!だったらなんだい!弟の、ラピスの仇でも取らせてくれるっていうのかい!」

 

違う。そんなこと言うつもりじゃないのに。

 

悟空の表情が複雑に歪む。

 

あの子が“なにをしたのか”。詳細はセリパから聞いた。

 

人間をオモチャにして“散らかした”様は、さながら地獄絵図だったそうだ。

 

「…アイツがやったことは許されることじゃない。俺の家族を傷つけたのもそうだがな。だがまあ、お前の気持ちもわかるつもりだ。俺とて家族がどれだけ悪逆を働こうと、それを他人に殺されれば恨みもしよう。…死んでやるわけにはいかないが、お前がなにをしても俺は抵抗しない。それでいいか?」

 

頭が沸騰しそうになる。

 

違う、悟空を殺したいわけじゃない。

 

本当に殺してほしいのはあたしの方。

 

化け物の体。人間じゃない違う生き物。

 

どれだけ“ニンゲンラシク”したところで、あたしはもう普通じゃない。

 

目の前で優しく微笑んでるコイツをいくら傷つけたって、それが叶うわけじゃない。

 

ダメだ。

 

こいつといると余計にわけがわからなくなる。

 

自分が自分でなくなるみたいな気分になる。

 

それが嫌で、あたしは悟空に最低なことを言ってるのに、どうしてこいつはあたしをそんな優しい目で見ることができるんだ。

 

「………ほんとうに、なにも抵抗しないんだな」

 

「ああ、約束する。信じてるから、殺さないでくれよ?」

 

悟空はどこか茶化すように、あたしを安心させるように笑っている。

 

だからあたしは、無防備な悟空の唇に少し乱暴にキスをする。

 

「ん…んむぅ、ちゅ、はっ、んぅ」

 

悟空はひどく驚いてるみたいだった。

 

やった。ようやくこいつの顔を驚かせられた。

 

やっと、あたしだけを見やがったな。

 

「………殺すつもりで攻撃するんじゃないのか」

 

あどけなさすら漂う表情でとぼけたことを言い出す悟空。

 

ああもう、女がこんだけ情熱的にしてやってるのに、普段のスケベはどこにいったんだい!

 

あたしはキスしただけで達してしまった自分のアソコがビチョビチョに濡れているのを自覚しながら、いまだ混乱から冷めやらぬ悟空の唇をむさぼる。

 

唇を含む。

 

歯を舐める。

 

舌を吸出し、唾液を飲む。

 

キスすればするほど、深みにハマって出てこれない気分になる。

 

…ちくしょう、足が言うこと聞きゃしない。

 

でも立てないのがバレるのはなんかヤだったので、あたしは羞恥心と戦いながら上着を脱ぎ、ブラを脱ぎ捨て上半身のみ全裸となる。

 

「おお!」

 

悟空があたしのおっぱいを見て感嘆の声をあげる。

 

…荒い鼻息が乳首をくすぐるからすぐに勃ってしまった。

 

「ひやぁっ…!」

 

無防備に乳首をくすぐらせていたあたしは、そのまま悟空に乳首を吸い付かれてしまう。

 

鼻息でさえわずかな時間であたしの乳首を隆起させた。

 

…では、それが舌だったなら?

 

その答えは、息もできないほどの快感から失神と覚醒を繰り返すあたしの姿だった。

 

「~~~ッッッ!!!!」

 

比喩で言う声にならないとはこういうものかと、明滅する意識で思う。

 

たかが乳首。されど乳首。

 

まるでどちらの乳首も、イッた直後のクリトリスになったみたいにあたしの胸は震えていた。

 

こんなことで最後までイケるんだろうか…

 

不意に、乳首への攻めが止んだ。

 

全身を震わせながら見下ろしたあたしが見たのは、悟空があたしのストッキングを破く瞬間だった。

 

「…ひゃ…ひゃめ…さわる、にゃぁぁぁ…」

 

しかしあたしの願いは空しく、悟空はおもむろにあたしのクリトリスを摘まむ。

 

「ひっ~~~~ぐっ…ッッッ!」

 

摘ままれただけで達した体は体勢を崩し、仰向けに倒れてしまう。

 

無防備に悟空の胸元で開かれた股間から、強い性臭が漂ってるのがわかる。

 

けれど、力がうまく入らない。

 

体の芯から達してしまって、甘い痺れがあたしの脳をとろかせてるのがわかる。

 

「うぁ…!やあ…!!」

 

「…すごいな」

 

悟空が言うのも無理はない。今あたしのアソコからは性液が漏れて悟空の胸元を汚しているからだ。

 

とろとろのアソコがぱくぱくと酸素を求めるように蠢き、クリトリスがひくひくと震えるのがわかる。

 

「ひぅ…!あ…!あ…!あぁ…!」

 

悟空の指が、あたしのアソコに挿入(はい)ってくる。

 

ゆっくりとした動きで差し込まれたのは、人差し指だろうか。

 

ぬぷぬぷと心地よい音と同時にあたしの脳髄を焼き尽くす快楽を送りながら、ちょっとずつ指はアソコを掻き回しはじめる。

 

声が出せるのは、さっきよりも少しだけ慣れてきたからだ。快感の度合いは変わってないどころか、徐々に強くなっていく。

 

そのままゆっくりとした刺激だけであたしは達してしまい、過呼吸気味に息をして酸素を取り込む。

 

一時間程度呼吸を止めていても問題ないはずのあたしの体が、五分に満たない刺激で息も絶え絶えになってしまっている。

 

「ラズリ…」

 

気がつけば、いつの間にか悟空があたしに覆い被さるように上にいた。

 

それだけなのに、ひどく安心してしまう自分がいるのに気づく。

 

彼の手で優しく頬を撫でられて気づく。

 

あたしは泣いていた。

 

「ご、くう…あたしを…ころして………!」

 

人間じゃないまま生きていたくなんてない。

 

家族もいなければ、夢もありはしない。

 

できることは壊すことだけ。

 

そんな一生なら、いっそ目の前の男にすがって殺されたい。

 

「……ふ…んぅ………ぁ」

 

今度は、悟空からキスをされる。

 

唇に触れるようなキス。

 

離れていく気配に、あたしはひどく切ない気持ちになる。

 

こんなに近くにいるのに。あたしは自分がどこにいるのかわからないんだ。

 

ねえ悟空。あたしはここにいる?

 

「…お前を殺してやるよ18号。ただし、人造人間18号としてのお前をだ。お前は今日から俺のために生きろ。俺の子供を孕み、産み、育てるんだ。わかったな、“ラズリ”」

 

悟空に名前を呼ばれただけで、鼓動がワンテンポ跳ね上がる。

 

自分の子宮が悦んでいるのがわかる。

 

「………して、してぇ………!」

 

ここまで弱ってしまえば、さすがのあたしにも悟空を罵倒する言葉さえ浮かばない。

 

ただただ懇願する。すがって、この目の前のどうしようもなく優しい男に甘える。

 

「─────────!!!!!」

 

挿入(はい)ってきたことだけがわかった。

 

真っ白い光のなかで、あたしは何度も何度も悟空の名前を叫んだ。

 

泣きながら、悦びながら、怒りながら。

 

まるで百年の間抱かれ続けたかのような不思議な感覚。

 

一瞬で終わってしまったようにも、延々と続いていたようにも感じる。

 

気がつくと、あたしの中に悟空の精液が注がれているのがわかる。

 

何度目かわからない絶頂に達しながらあたしは、その日そのまま眠りに落ちた。

 

__________________________________

 

 

夢を、夢を見ていた。

 

たくましく、雄々しい夢を。

 

夢のなかでその男は戦っていた。

 

来る日も来る日も。

 

男が戦っていない日はなかった。

 

星をまるごと飲み込むような化け物と男は戦っていた。

 

太陽に寄生してしまうような化け物と男は戦っていた。

 

超重力の渦をその身に宿した化け物と男は戦っていた。

 

けれど夢のなかで男は、いつも戦うのを嫌がっていた。

 

次こそは終わり。今度こそは最後。

 

そう願って、拳を振るう。

 

あたしは彼から目が離せなかった。

 

ある日男にも異変が起きる。

 

戦ってきた相手に、死なない相手が現れた。

 

その死なない女はいつしか男の無二の友人となり、儚い約束を交わして死んだ。

 

男は生まれ変わった。

 

何度も、幾度も、繰り返し繰り返し。

 

やがてかつての家族に助けられて、男は“ヒト”として生まれ変わった。

 

最初は失敗した。

 

けれど、今一度生まれ変わって男はあたしの知っている孫悟空になった。

 

__________________________________

 

「夢…なの…?」

 

あたしは目を覚まして、自分が夢を見ていたことを自覚して静かに涙を流した。

 

悟空はあたしを抱きながら、あたしが少し変わっただけの人間だと何度も説明してくれた。…体に覚え込ませて。

 

『人造人間であってもお前は機械じゃない。俺の細胞を元に造られた一種の生体改造人間だ。その証拠に、ここがこんなに気持ちいいだろ?』

 

『わかった!わかったからもうやめてえ!イッテるの!イッテるときはセックスとかダメなのぉ!』

 

啼(な)くことしかできないあたしはそれに頷くしかなくて…なんか無意識にすごいことを口走ったような気もするけど。

 

まだ蟠(わだかま)りは完全に解けていなかったけど、ひどくスッキリした頭は余分なものを考えさせないだけの余裕を取り戻していた。

 

「あぅんっ!?」

 

あたしを抱き締めて眠っている悟空にお礼を言おうとして───あたしは自分にまだ悟空のペニスが挿入(はい)っていることに気づく。

 

「ふあ…!っん、やだ、おっきくなって…!」

 

あたしが動いたせいなのか、アソコに挿入(はい)った悟空のペニスはあっという間に固さを取り戻していく。

 

少し乾いたアソコから染み出るように性液がわき出て、あたしのアソコはあっという間に準備万端になる。

 

「だめ…!だめぇ……!」

 

悟空はまだ起きていないにも関わらず、無意識にあたしの乳首を摘まんでクリトリスを擦る。

 

それが余計に気持ちよくて、あたしは思わず達してしまう。

 

「ひぐぅ、イク、イク、イッチャうぅ…!」

 

あたしがイクのに合わせて収縮した膣へ、悟空の逸物は精液を放出する。

 

音が聞こえそうなほどにはっきりと出されているのがわかる膣の感触を堪能していると、射精が終わったにも関わらず再び悟空の逸物が勃起し始める。

 

「え…?ちょっと、終わらないの?ふあぅ…!や、もうだめ、あきゅぅ!?そこ、そこはお尻の穴だよ!…だめぇ、ほじらないで…イヤァ…!」

 

さきほどまでクリトリスをいじり回していた指が、お尻の穴へと無遠慮にねじ込まれる。

 

あたしの愛液でとろとろだった人指し指と中指を、交互に突っ込まれてかき回される。

 

気持ち悪さと排泄感が混じった不思議な気持ちよさ。

 

あたしはもう何度目かわからない絶頂を迎え、ひとまずは悟空のペニスを抜くことを考える。

 

「うああぁぁぁ…!ひきゅぅ…!や、やっと抜けた」

 

あたしはどうにか膣から悟空のペニスを抜くことに成功する。

 

けれど腰を中心に力が入らなくなっているのはそのままだったので、あたしは“尻を突きだす”ような姿勢でその場に突っ伏した。

 

「おはようラズリ。………朝からエロい格好しやがって、もう我慢できねえ!」

 

「らめ、ま、まっ…ひにゃああああ!!」

 

今になって起きてきた悟空は無防備な尻を見ると、精液と性液にまみれたあたしの尻の穴に狙いを定めると、無遠慮に自分のペニスを捩じ込んだ。

 

悲鳴をあげながら、尻の穴を犯されるあたし。

 

けれどもう、自分を偽らなくて済みそうだ。

 

…あと、あたしはいつまで悟空に抱かれるのだろうか。

 

ブルマとかチチもそうだけど、こいつを相手にひとりでとか無理。

 

「だれ…か、たひゅ…け…!」

 

「どんどん出すぞラズリ…!」

 

尻の穴が悟空の精液に浸される。

 

あたしは悟空の奥さんたちってすごいんだということに気づいて再び気を失った。

 

 




ひとまず、外伝ひとつめ終了。

時系列的には事件の後始末も一通り済んでからになります。

ラズリこと18号的には、悟空を見るだけでムラムラしちゃってます。

元々ゲロが持つ憧れにも似た自己承認欲求を移植されているためでもありますが、それ以上に性感帯刺激されたときのことが忘れられてなかったり(笑)

そしてトラウマは白濁した液で文字通り上書きされましたとさ(´・ω・`)


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サイヤ人絶滅()計画

ひっさしぶりのドラゴンボールc。

いやあ、バトルもエロも前フリありまくりだから遠慮せずできて気持ちえがった!!

ではシリアス&エロスな本編をお楽しみください!!!


***side 悟空***

 

…人造人間との戦い、それに続く黄金魔獣フリーザを発端とした戦いが起きてから6年の時が過ぎていた。

 

俺はある日ナメック星に住むブロリーとセーロから奇妙な依頼を受けて一路南の銀河にある辺境の星へと向かっていた。…なぜかセリパを連れて。

 

「後どれくらいで付くんだい」

 

トレーニングルームから汗を滴らせ出てきたセリパの姿に俺は息を飲む。

 

健康的についた全身の筋肉もさることながら、とりわけむき出しになった腹筋へと目がいく。

 

さらにはそれぞれ身を包んでいるのがスパッツのような伸びるが薄い生地のブルマとスポーツブラのようなインナーのみとあっては欲望を抑えるのにも一苦労だ。

 

せめてブルマに来てもらいたかったが、トランクスの誕生パーティーがあるため残ってもらった。他の女達もそれぞれ“なぜか”予定があり、俺は顔を赤くしながら「ど、どうしてもって言うならあたしが付き合ってやるよ!」とこれから決闘でも挑まれるのかと言わんばかりに気をみなぎらせたセリパを連れてくることになったのだ。

 

そう、わかるかもしれないが俺はセリパを押し倒してはいない。

 

いやさ彼女に魅力がないわけではない。ただ過去の記憶を取り戻した影響で、なんというか無闇に女を口説いて抱くのが嫌になったというか。

 

今更過ぎるが自分の下半身を自重しようと考えたのである。

 

当然その分ムラムラは溜まるわけで、俺は久しぶりに自身の欲望を抑えることによる過負荷特訓を続けている状態にあるわけだ。

 

彼女がどこか俺に好意的なのはわかっている。だが、どうしても思い出してしまうのだ。

 

あの頃の、血にまみれた自分自身を…

 

───とまあ色々考えてはいるが、ここまでコンマ一秒と掛かっていない。

 

俺はセリパの疑問に答えるべく計器と航宙図を確認して目的地までの距離から時間を逆算する。

 

「…あと3日ってところだな。亜光速飛行と空間跳躍を併用しているとはいえ、まさかウィスの使う移動術より高速で移動できるとは思わなかったぜ」

 

俺は苦笑し、かつて滅ぼした銀河の文明が発展していれば、ひょっとして神の力など取るに足らないひとつの要素になり得る日が来るかもしれなかったと考える。

 

何事にも理由はあるものだが、俺は自分のしたことに理由が欲しいのかもしれない。

 

「そうか。で、では少し訓練に付き合え!あたし一人では実に効率が悪い!ああそうだとも!」

 

「そうか、では久しぶりに付き合うとするかな。あれから超(スーパー)サイヤ人はどこまで極めた?」

 

なぜか歌い上げるように主張するセリパに苦笑しながら、俺は意識を戦闘中に近いものへ切り替えることで彼女への欲情を抑える。そのことにどこか残念そうな顔を浮かべる彼女の顔を見ないようにしながら、俺は彼女へと話しかける。

 

「あ、ああ。一応お前が言う第2段階“超(スーパー)サイヤ人2”という形態までは変身できるぞ!」

 

誇らしげに、嬉しそうに尻尾を揺らしながら言ってくるセリパに心苦しさを覚えながら、俺は彼女の扱う戦闘技術を更に洗練させるためにはどういった訓練が効果的かを考える。

 

「そいつは重畳。ま、ひとまずは宇宙船に影響がない範囲に戦闘力を抑えて戦うぞ」

 

念のため内側からバリアを貼るとはいえ、気分が乗って気を解放しようものなら宇宙船が砕けてしまう。最悪俺単独でセリパを連れて近くの星に行くくらいはわけがないが、それはすなわち必然的にサバイバルを要するということであり、そんなことになれば俺は自分の欲望を抑え込む自信がない。

 

__________________________________

 

 

「せやっ!」

 

セリパの鋭い蹴りを俺は腕で防ぎ、そのまま彼女の足に絡めるようにして体勢を崩しにかかる。

 

だがそれを読んでいたのか、彼女は崩される方向を見抜いて加速。逆の足で俺の側頭部を撃ち抜かんと爪先を発射する。

 

「むんっ!」

 

俺はそれを首に気を集中しさらに筋肉を盛り上げることで体勢を整えると、蹴りの直撃を避けるために急前進する。

 

威力が集中した爪先部分を外し、脛の部分を首で無理矢理受け止める。

 

一瞬息が詰まるが、さすがにこの攻め手は予想外だったようでセリパの対処が遅れる。

 

「そぉら、掴まえたぞ!」

 

「わぁっ!」

 

俺はセリパの上半身を覆う伸縮性に富んだインナーを掴まえると、体幹を崩して彼女をそのまま床へと叩きつける。

 

「かはっ…!」

 

叩きつける寸前床の表面に追加で貼ったバリアに叩きつけられる形になった彼女は、肺から無理矢理叩き出された呼吸を取り戻そうと反射的に上半身を大きく膨らませる。

 

俺はその隙を逃すことなく彼女の左腕を背面に巻き込み、脇下で首を固定。右腕を自分の左腕で捕らえ彼女の下半身を挟み込むことで身動きを完全に封じる。

 

「寝技、って言ってな。相手を殺すことなく身動きを封じる術だ。このまま首を絞めて意識を落とすもよし、間接を破壊して戦力を低下させるもよしだ。どちらにせよ、こんな風に悠長に会話するんじゃなく、極めた時点で相手の…大丈夫か?」

 

俺はどこか強く極めすぎたかと慌てて拘束を解き彼女と向かい合うが、彼女はさながら目をぐるぐるさせ混乱しているように見えた。

 

「はひっ…!だ、大丈夫ら!えっと、その…シャ、シャワー浴びてくるっ!!」

 

急いで立ち上がった彼女だったが、ややふらつきその顔はさきほどに増して赤い。

 

それでもどうにかシャワールームへと消えていった彼女の残り香を嗅いで、俺は事態を察した。

 

「…ああ、“出ちゃった”のか。まあそれなりに締め付けたしな、別に恥ずかしがる………ことだなぁ、こりゃあ」

 

俺は戦闘中の思考から徐々に日常へと思考が切り替わるに従って、彼女の残した“尿”のニオイからアンモニア臭以外のモノを嗅ぎとりいよいよ下半身の我慢が効かなくなる。具体的には子供の腕ほどある逸物が自己主張していた。

 

「寝技の最中じゃなくてよかったな…下手したらそのまま犯してたぞ」

 

とりあえず俺は一番遠いトイレで2、3発抜くと、それから目的地にたどり着くまでの間可能な限りセリパと接触しないようにして過ごすのだった。

 

__________________________________

 

「…こいつは、ヒドイな」

 

「一体、この星に何があったんだ…!?」

 

俺たちが到着した辺境の惑星は、科学文明を中心に栄えた星“だった”。

 

犬に似た容姿の惑星の住民らは、ことごとく惑星全体に満ちた毒ガスで倒れている。

 

この毒ガスに関しては船を降りるとき少々揉めた。

 

セリパは「この程度の毒ガスなど問題ない!」と豪語したが、どう見てもこの星に満ちているガスは気の多過でどうにかなる類いの代物じゃない。

 

とはいえあれほど嫌がったのに俺が着けてやったら大人しく着けられるセリパを見ていて俺はいよいよ彼女を突き放したくなる。

 

…自分の衝動から守るためとはいえ、彼女を嫌っているような行動を取らざるを得ないというのは心苦しいものだ。

 

俺とセリパは手分けして宇宙船のなかに生き残りの住民達を避難させていった。

 

すでに事切れている者もいたが、地上にいた者達以外は皆地下に逃げているようだった。

 

元々惑星の住民は数が多い方じゃなく、数百人ほどを収容するだけでガスの被害を受けている住民らは助けることができた。

 

ちなみに俺とセリパが乗ってきた宇宙船だが、全長にして一キロはある。

 

さらには移動先の住民を受け入れるだけの大型移民船としての機能を有しており、一応は試作品という名目で作られたカプセルコーポレーション所有の船である。

 

なんでもレッド(クウラ)が持っていたドクターゲロの科学知識にレズン、ラカセイが興味を示し、そこへブルマとブリーフ博士が悪乗りした結果気づいたら恒星間航行仕様の巨大宇宙船が出来ていたらしい。

 

そんな地球滅亡を想定したクラスの船など作ったらフラグが立つじゃないかと思いながら、ドヤ顔していた我が妻ブルマが可愛かったので久しぶりに裸白衣で三日三晩ほど攻め抜いてやった。

 

回想終わり。

 

さて、それはともかく早いところこの毒ガスの発生源を止めないことにはいつ地下にまで浸透し犠牲者が出ることにもなりかねない。

 

俺とセリパは移動しながら(ちなみに俺にはガスなど効かない)、やがてガスを発生している大型の装置の前までやってきた。

 

そこには予想通り、巨大な黒紫の水晶球じみた者に乗った小柄な老人の姿があった。

 

「…来たな、サイヤ人どもめ」

 

「お呼びに預かり来てやったぜ。…お前がドクター・ライチーだな?」

 

「いかにも。貴様らサイヤ人への復讐を抱き、滅ぼされたツフル人の恨みを溜め幾星霜。こうして貴様らに復讐を果たすために、わざわざゴースト発生装置の劣化コピーなど作り上げてナメック星に送り込んだのだからな」

 

こうして対峙してみればわかる。ヤツの不気味さが。魔族にすらなっていないというのに、その目はどんな魔人よりも汚く濁っている。ビイのヤツとは大違いだ。

 

俺たちがここ南の銀河の果てまで来た理由がナメック星にあったことは既に語ったと思うが、その切っ掛けこそヤツが腰かける黒紫の水晶にある。

 

どうやら“ゴースト発生装置”と言うらしいが、そいつをヤツはよりによってナメック星に送り込み、黄金魔獣フリーザのコピーを大量に繰り出したというのだ。

 

危うくナメック星壊滅の危機となるところだったが、あそこにはブロリーがいる。

 

神の力である“超(スーパー)サイヤ人ブルー”を操るブロリーによってどうにか黄金魔獣どもは撃滅されたらしいが、なんでも倒しても復活する上に少しずつパワーアップしていたとのこと。

 

セーロが見つけた発生装置を破壊していなければ、いずれは自分に匹敵する強さにまでなっていたかもしれないと語るブロリーの様子には嘘や誇張は見られなかった。

 

さらに破壊したゴースト発生装置から今対峙するドクターライチーの姿が浮かび上がり「南の銀河の辺境から順番にこの宇宙を破壊し尽くしてくれる!」と宣言されたらしい。

 

本来であればそんな事態は破壊神であるビルスが対処するような問題なのだが、ヤツめよほど地球が気に入ったのか最近じゃブウの教育の片手間にレストランまで開業しやがった。

 

なんでも美味い料理を堪能するうちに自分で料理を作る楽しさに目覚めたんだとか。

 

破壊神としての仕事はどうするんだと言ったら、俺に力ごと渡して「しばらく任せる」ときたもんだ。

 

まあ、これまで億年単位で壊すことしか知らなかったヤツがどんな形であれ作ることに興味を抱くのはいいことだろう。従業員はウィスとブウのふたりが勤めているらしいが、それなりに盛況だというから今度顔を出してもいいかもしれない。

 

「ふん、余裕だな。だが最強のサイヤ人であるお前をしても我が切り札を前にしてはどうにもならんっ!現れろ、ゴースト戦士達よ!」

 

ドクター・ライチーの言葉に従い、発光したゴースト発生装置から溢れた煙が人の形を作っていく。

 

「…死んだ連中の外側だけ真似しても意味はないぜ」

 

そこに現れたのはフリーザに殺された“無数のサイヤ人”達だった。

 

「…トーマ…!」

 

「ふん、デッドコピーと言えどこやつらを倒すのは貴様らには堪えよう!行けっ!」

 

思わず悲鳴に似た叫びをあげたセリパは反応が遅れる。否、反撃しようとすらしていない。

 

「セリパッ!しっかりしろ!」

 

俺はセリパに向かってきたトーマとパンブーキンの予想外に重い一撃を受け止めながら彼女に声をかけるが、彼女は震えるだけで動こうともしない。

 

くそっ、これが狙いか!

 

俺はさらに向かってきた超(スーパー)サイヤ人のバーダックの頭を蹴りで砕くと、後ろからセリパの悲鳴が上がる。

 

「たしかにこいつはやりづらいがっ…同時にテメエは俺を怒らせたぜッッ!!!」

 

俺は黒い超(スーパー)サイヤ人の力を解放し一気に殲滅しようとするが、そこへ予想外の行動をとったセリパが立ちふさがった。

 

「やめろ、悟空っ!トーマを殺さないでくれ!!」

 

「バカヤロウ、どけっ!」

 

俺が叫ぶのも間に合わず、復活したバーダックのエネルギー波がセリパの背中を直撃する。

 

「きゃああああっ!!」

 

悲鳴をあげるセリパの助けに向かおうとするが、そんな俺へ巨大な腕が殴りかかり俺は吹き飛ばされる。

 

近代的なビル群をいくつか貫き、俺は無理矢理体勢を整える。

 

「くそったれ…!そういやそいつもいるんだったな!」

 

俺は目の前に迫りつつある“6体”の黄金魔獣フリーザを迎え撃つため、さらに力を解放して黄金の超(スーパー)サイヤ人へと変身する。

 

「邪魔だあああ!!」

 

龍拳によって黄金魔獣らを飲み込み、再生できないようそのまま気のバリアに閉じ込める。

 

だがゴースト発生装置は次々とガスを吐き出しライチーがゴースト戦士と呼ぶ中身の伴わない亡霊どもを現出させていく。

 

「どうやらブロリーが言っていた通りアレを破壊しないとダメみたいだな!」

 

俺は自身に記憶を移植した存在がどうせなら目の前の存在に対する対処も入れておいてくれなかったことを恨みながら、指先からデスビームを連続で発射してゴースト発生装置を破壊せんとする。

 

「ふん、無駄だ無駄だ!その程度の攻撃でこのバリアは砕けん!」

 

「ああ、そうみたいだな。でも“連続で同じところを攻撃されたら”どうだ?」

 

俺はバリアに当たったデスビームを霧散させず、威力を保たせたまま慣性の法則を無視したかのごとく直角に曲げ一度目に命中した場所へ連続で当てる。

 

「うおおっ!?や、やめろお!」

 

「嫌だね」

 

俺が答えるのと同時にバリアは砕け、ライチー自身が無防備となる。

 

「俺からも“ゴースト”のプレゼントだ。受けとれっ!」

 

『バアッ!!』

 

俺はライチーの目の前に“ふりーざくん”を作り出すと最大威力で自爆させる。

 

それによってライチーは乗っていたゴースト発生装置から落とされ、同時にヤツの姿が霞む。

 

「こ、こんなあっさりと追い詰めらるなどと!」

 

「お前の読みが甘かっただけだ。じゃあな」

 

ヤツが体勢を整えるまでに目の前まで近づいていた俺は、手刀から生やしたエネルギーの剣でライチーの首をはね、ついでとばかりにひび割れたゴースト発生装置を叩き斬る。

 

「これで終わり…なにっ!!」

 

俺は砕いたはずのゴースト発生装置から発射されたエネルギー弾の直撃を受け、再び吹き飛ばされる。

 

破壊神を上回るパワーの俺を吹き飛ばすだと…!?

 

「フシュウウウウウウウウウウっっっ!!!!」

 

晴れた煙のなかから現れたのは、赤い巨体に頭、胸、両肘、両脛に青緑の宝玉が嵌め込まれた存在。

 

「コイツは確かにヤベエな…」

 

俺は予想外に受けたダメージを回復する余裕がないことを察すると、エネルギーを一気に燃焼させ目の前の存在へと突っ込んでいく。

 

相手がわずかでも自分を上回る可能性があるというならば、即時殲滅で真価を発揮させない内に倒す!

 

「無駄だ」

 

「なにぃっ!」

 

しかし俺の放った龍拳をそいつはあっさりと吸収、いや無効化すると、反撃するでもなく理性的な瞳でこちらを見据えてきた。

 

「お初にお目にかかる。我が名はハッチヒャック。怨念増幅装置によって誕生した新たなる魔神である」

 

自ら魔神を名乗ったハッチヒャックからは、確かにかつての俺を思わせるほどのエネルギーが迸っている。

 

…なるほど、ライチーが銀河の辺境に陣取ったのは隣の宇宙も含めたマイナスエネルギーを収集するためか。

 

参ったね、どうにも事態はすでに詰んでたらしい。

 

「そいつはご丁寧にどうも…先輩として聞いておきたいんだが、お前さんこれからどうするつもりだ」

 

「先達として破壊の限りを尽くした魔神よ、答えよう。まずは我が根幹を為すサイヤ人への復讐を遂げる。老若男女を問わず、血を引くものの一切合切を打ち砕き我が糧として食らいつくさん」

 

「つまり、俺もそうだが俺の家族も皆殺しにするってか…?」

 

「左様。弱った先達の魔神よ。汝の行いに過ちがあったとするならば弱きヒトへの転生を選んだこと。それこそが最大にして最悪の過ち。だが誇るがいい。汝もまた、我が糧として新たなる魔神の力へと還るのだ。なれば再び暴虐と殺戮の限りを尽くし、すべての宇宙を無へと帰さん!」

 

言うなり向かってきた魔神ハッチヒャックの攻撃を、今度は俺が片手で受け止める。

 

「俺の家族を殺すだと…ふざけてんじゃねえぞおおおおおおおおお!!!」

 

俺は“黄金の超(スーパー)サイヤ人”を第2段階へと進化させ、髪をさらに逆立て全身に青い稲妻を纏う。

 

俺の一撃がハッチヒャックの頬を捉え、今度はヤツを遥か彼方へと吹き飛ばしていく。

 

「おかげでてめえの背後にいるのが誰か一発でわかったぜ。どうりで俺のことを詳しいはずだ」

 

「造物神との契約は汝の破壊なり。されば我は新たなる“原初の七柱”のひとつとして迎え入れられん!」

 

「仰々しく喋ったところで、単なる承認欲求の塊じゃねえかてめえ!」

 

俺とハッチヒャックの拳がぶつかり合い、衝撃波で街がめくれていく。

 

あまり長時間戦えば、余波だけでこの星を砕きかねない。

 

(不味いな、思ったより消耗が激しすぎる…コイツがゴースト戦士と同じ特性を持つなら、一撃で倒す必要があるってのによ)

 

俺は内心で高速思考しながら、ハッチヒャックへと牽制の“ふりーざくん”を送り込む。だがそれを見越したのか、ヤツはゴースト戦士のスラッグを差し向け“ふりーざくん”の動きを止める。

 

「ハアアアアアアアアッッ!!」

 

俺の消耗を察しているらしいハッチヒャックがさらに気を解放し、その姿形を変形させる。

 

さらに全身の宝玉の数を増やし、肩にはアーマーじみた突起が生やされそこに特大の宝玉が発生する。

 

「ちっ、こんな場所でやられちまうとはな…」

 

すでに覚悟を決めた俺は、自分の命そのものをエネルギーに変えてハッチヒャックを撃とうと気を高めていく。

 

それを迎え撃たんと同じくハッチヒャック自身も気を高め、全身を光らせていく。

 

エネルギーの溜まる時間から考えて、あと15秒ほどでこの銀河を破壊し尽くすほどの極光が降り注ぐだろう。

 

「悟空…」

 

「セリパか。すまない、お前を守ってやるだけで精一杯みたいだ。安心しろ、絶対に死なせねえよ」

 

俺は残ったありったけの気を両掌の間に集中させ、もっとも得意な技を放つ準備に入る。

 

「そんな、そんなのヤダっ!」

 

「…すまないな。お前の気持ちには気づいていた。ただ、俺にお前を受け入れる覚悟が足りなかったんだ。…好きだったぜ、お前のこと」

 

俺はいつの間にか解けてしまった超(スーパー)サイヤ人の第2形態を気合いで再び発動させ、構えに入る。

 

「あたしのパワーをあげる!もう二度と戦えなくなってもいい!あんたが死ぬくらいなら、また目の前で好きなヒトが死ぬくらいなら、あたしは戦う力なんていらないっ!!」

 

言うなり、セリパは俺の正面に回り込んでキスをしてくる。

 

絶望的な状況下で、俺はどこか興奮していた。

 

セリパの気が、唇から伝わる体温と共に伝わってくる。

 

「こ、これは…!!」

 

俺は自身の尽きかけたパワーが再び取り戻されていくのを、いや、さきほど以上に満ちていくのを感じとる。

 

「サンキュー、セリパっ!これならなんとかなる!!」

 

「んむぅ!!」

 

俺は一度離した唇を再び近づけ、片手で彼女の腰を抱き深く口づける。

 

(か…)

 

彼女を抱くのとは逆の掌に、超新星を思わせるエネルギーの塊が生まれる。

 

上空のハッチヒャックもまた、それに匹敵するだけのエネルギーを溜めていく。

 

(め…)

 

「ん…、んく、んぅ…」

 

絶望的な状況だったはずなのに、俺は自身の興奮が高まっていくのを感じとる。

 

これまで越えられなかったもうひとつの壁。それを越える確信がたった今生まれる。

 

(は…)

 

「ん、ひゃあ…あ、そこは、だめ…!」

 

高まる気に呼応するように、俺の髪が伸び、眉がなくなっていくのを感じとる。

 

さらには全身が充足する気によって黄金に輝き、光が生まれる。

 

ちなみに腰を抱いていた手はセリパの尻尾を握っている。

 

(め…)

 

「んあ…!こすっちゃ、だめ、らめぇ…!」

 

違う意味で高まっていくセリパの興奮を感じとりながら、俺は彼女の首筋を舐め舌をそのまま耳へと這わせていく。

 

(波ぁ!!!!!)

 

「んあああああああああーーーーッッ!!」

 

片手から放たれたとは思えない巨大な極光が、降り注ぐ青緑の光をあっさり飲み込んでいく。

 

ぶつかることで生まれるであろう余波も、俺のエネルギーが圧倒的に上回ったことでそれさえ発生させずハッチヒャックを飲み込んでいく。

 

「ごおおおおああああぁぁぁッ!!??ば、馬鹿な!?我は魔神!最強の魔神なり!我こそは…………っっ!!!」

 

抵抗を許さず、再生を許さず、俺のかめはめ波は新たな魔神の野望と欲望を飲み込み完全に消滅させる。

 

ちなみにセリパは耳を噛んだらイってしまい気絶してしまった。

 

「助かったぜ…セリパ」

 

「はぅ、あぅ、あぅ」

 

顔を赤くして気絶から復帰したセリパだったが、腰が抜けたのかふらふらとした様子で立っていることができそうになかった。

 

そして当然、俺も我慢ができそうになかった。

 

__________________________________

 

 

宇宙船内のベッドの上で、セリパは跳ね回っていた。

 

「~~~~~~~~っっ!!!」

 

さきほどのハッチヒャックの最後の悲鳴を思わせる様子で、彼女は本日何十回目かの絶頂を迎える。

 

処女でないとはいえ十数年男を忘れていたセリパの秘所だったが、よく伸びる生地のブルマを横にズラして眺めたそこは、ぬらぬらと光りなんとも言えない淫臭に満ちていた。

 

俺はさきほどからそこをこね回し、ねぶり、舐めすすり、キスの雨を降らしている。

 

さすがに大猿になっても破れないバトルジャケットのインナーと同じものを使っているだけあって、ブルマはよく伸びたまま千切れることもなくセリパのむき出しになった秘所を晒し続けてくれている。これで指を離せば特にシワもなく元に戻るというのだから、本当に優れた衣類である。

 

俺はもはやまともに見えていないであろう虚ろな目をしたセリパをうつぶせに転がすと、ブルマを尻と股の境目当たりまでズリ下げおもむろに尻タブを開く。

 

肛門からアソコまで。まったくの無毛のセリパであるが、どうやらこれはサイヤ人の女特有の身体的特徴らしい。

 

フリーザがサイヤ人を絶滅させたことがこんなにも腹立たしい日が来るとは思わなかったが、今こうして目の前に貴重な無毛のアソコが広がっているのである。

 

まずはこれに感謝するべきであろう。

 

だが俺は手を合わせたくなる気持ちを抑え、剛直と化した自分の逸物を取り出す。

 

すでに先走りがスゴいことになっており、俺はせいぜい彼女が死なないことを祈る。いやほんと冗談抜きで。

 

ピト、と先端を割れ目に当てれば、セリパの体がびくりと震える。

 

どうやら驚くことに、彼女はこれだけ達してなお理性を保っているらしい。そのことに嬉しいやら興奮するやらで、俺はつい彼女の耳元で囁きながら逸物をずぶずぶと彼女のなかへ埋めていった。

 

「…セリパ、愛している」

 

「……ッッ!?ッッ♥ッッ♥♥」

 

ぷしゃ、と音が聞こえたので見下ろせば彼女は失禁していた。

 

そのことに剛直が固さを増し彼女を攻めるが、セリパは絶頂しながらもどこか意識を残してある。

 

俺はゆっくりと動くつもりだった注挿を、あっという間に激しく腰を掴んで全力で動くものへと変えていく。

 

「う゛う゛う゛う゛っ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 

獣のような声をあげ、彼女は達し続ける。

 

イクことはすでに当然のできごとに過ぎない。

 

それでも俺もセリパもそれを止めようとも思わないし、当たり前だと甘受するわけでもない。

 

一対の獣と化した俺達は、激しく情熱的に互いを求め続ける。

 

肉と肉がぶつかり合い、互いの体液がどちらのモノだったかわからないほどに混ざり合う。

 

「セリパっ!出すぞ!射精する、全部お前のなかに出す!」

 

「ああうう!ういいああああ!!」

 

「ぐぅ…!!」

 

俺の出された精液は彼女の子宮を侵し───さして間をおかずに補充された。

 

「全然治まらない!セリパ覚悟しろよ、お前のなかに全部出すからなっ!!」

 

「ひぃう!ひんやうぅぅぅ!!」

 

「ああ!!死ぬほどイカせてやるよっ!!」

 

腰を動かし、俺は射精を続ける。

 

結合部から漏れだした精液をこぼしながら、俺は連続セックスの最多記録を更新することを確信するのだった。

 

 

 




相変わらずエロは短いけど、予定の文字量だとこんなもんです(´・ω・`)

今回は悟空のパワーに匹敵するキャラクターを出したいな、ということでこのような展開となりました。

まさかの悟空の苦戦に作者も書いてて手に汗握りましたが、決着の付け方も今までで一番とんでもなかったと思います(笑)

名付けるならば絶頂かめはめ波!同じ片腕なのにこの違いよ!(笑)

いやあ楽しかった。また次回もなんかのきっかけで書きます。

ではでは~


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